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1993/03/29 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 大蔵委員会 第4号
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1993/03/29 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第126回国会 大蔵委員会 第4号
平成五年三月二十九日(月曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     山田 健一君     堀  利和君
     下村  泰君     島袋 宗康君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     志苫  裕君     渕上 貞雄君
     堀  利和君     山田 健一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野末 陳平君
    理 事
                竹山  裕君
                藤田 雄山君
                鈴木 和美君
                前畑 幸子君
                及川 順郎君
    委 員
               大河原太一郎君
                河本 英典君
                北澤 俊美君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                楢崎 泰昌君
                藤井 孝男君
                久保  亘君
                渕上 貞雄君
                堀  利和君
                本岡 昭次君
                山田 健一君
                牛嶋  正君
                寺崎 昭久君
                吉岡 吉典君
                池田  治君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       大 蔵 大 臣  林  義郎君
   政府委員
       内閣法制局第三  野田 哲也君
       部長
       国際平和協力本  柳井 俊二君
       部事務局長
       経済企画庁調整  長瀬 要石君
       局長
       経済企画庁総合  田中 章介君
       計画局長
       経済企画庁調査  土志田征一君
       局長
       環境庁企画調整  八木橋惇夫君
       局長
       国土庁土地局長  鎭西 迪雄君
       大蔵政務次官   片山虎之助君
       大蔵省主計局次  涌井 洋治君
       長
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省関税局長  米澤 潤一君
       大蔵省理財局長  藤井  威君
       大蔵省証券局長  小川  是君
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       大蔵省国際金融  中平 幸典君
       局長
       国税庁課税部長  松川 隆志君
       国税庁徴収部長  中山 寅男君
       国税庁調査査察  野村 興児君
       部長
       建設省道路局次  近藤 茂夫君
       長
       自治大臣官房審  谷合 靖夫君
       議官
   事務局側
       常任委員会専門  下村 純典君
       員
   説明員
       経済企画庁調整  梅村 美明君
       局産業経済課長
       経済企画省物価  小菅 伸彦君
       局物価調整課長
       沖縄開発省総務  勝野 堅介君
       局企画課長
       法務省民事局参  吉戒 修一君
       事官
       労働省労政局労  太田 俊明君
       政課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○平成五年度における一般会計承継債務等の償還
 の特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、山田健一君及び下村泰君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君、島袋宗康君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野末陳平君) 国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案及び平成五年度における一般会計承継債務等の償還の特例等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案は、去る二十五日に質疑を終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#4
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表し、国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案並びに平成五年度における一般会計承継債務等の償還の特例等に関する法律案について、反対の討論を行います。
 まず、補助金整理合理化法案についてであります。
 本法案は、公共事業関係補助金に関して八五年以来暫定的にとられてきた補助金一括カット措置について、恒久化を図るものですが、直轄事業についてはカット前の八四年水準に戻しているものもありますが、補助事業については、過去の数次にわたって切り下げられてきた最低の水準、あるいは新たにそれ以下に切り下げています。この結果生じることになる六千九百億円の地方への影響額について、平成五年度については補てん措置がとられていますが、それ以降については原則として地方負担とされるのであります。これは地方に負担を転嫁してはならないという地方財政法の精神に反し、地方財政にしわ寄せを図ろうとするものであります。
 第二に、義務教育国庫負担の一部の一般財源化についてであります。政府は行革審答申に基づいて、地方に同化定着したものは一般財源化するという方針のもとに、社会保障、文教などの分野における補助制度を廃止していこうとしていますが、今回の措置はその一環として行われているものであります。このような政府の一般財源化方針は、教育、社会保障など国が当然行われなければならない責務を放棄し、専ら地方にその負担を押しつけようとするものであります。
 第三に、地震再保険特別会計、自賠責保険特別会計への一般会計繰り延べ措置は、これら特別会計に対する国の責任を回避するものであり、いずれは後年の国の負担となる負担の繰り延べであります。
 次に、一般会計承継債務の償還特例法案についてであります。
 本法案は、交付税特別会計などから一般会計が承継している債務の償還を繰り延べるとともに、政管健保への国庫補助を減額するものであります。償還先送りは赤字国債発行回避のためとはいえ、後年度にそのツケを回すだけであり、金利支払いは累増し、新たな負担増をもたらすものであります。また、政管健保への補助減額の口実となっている同会計の黒字は、健保改悪による患者負担増等によるものであり、これを理由に補助の削減を図ることは認められません。
 以上をもって反対の討論といたします。
#5
○委員長(野末陳平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#6
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前畑幸子君から発言を求められておりますので、これを許します。前畑君。
#7
○前畑幸子君 私は、ただいま可決されました国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   国の補助金等の整理及び合理化等に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
一 公共事業等に係る国庫補助負担率の見直しの結果生じる地方負担については、今後の地方財政計画の策定を通じ地方財政運営上支障がないよう適切な措置を講じるとともに、公共事業等臨時特例債については、後年度における国の所定の負担を行うこと。
一 国庫補助金の整理合理化に当たっては、地方公共団体への事務権限の移譲、適切な地方財政措置を併せ検討するとともに、地方財政法の趣旨を踏まえ、その事務事業の性格及び国と地方との間の財政秩序を維持するため特に配慮すること。また、今後とも国会における審議の経緯等を踏まえ、国の補助負担金の補助単価などの適正な設定に努めること。
一 国民のナショナルミニマムに関する制度及び負担の変更に当たっては、地方公共団体等の関係団体の意見を十分聞くとともに、国と地方の行財政の再配分に係る国の施策の変更に際しては、地方自治の本旨に則り、地方財政の運営上支障がないよう十分留意すること。
一 地震再保険及び自賠責再保険に係る事務費の一般会計からの繰り入れ停止措置については、その他の特別会計への事務費繰り入れ状況との整合性を図りつつ、地震再保険特別会計及び自賠責再保険特別会計に係る保険事業の運用状況・収支状況等に照らし、そのあり方について引き続き検討すること。
一 法律の改廃に当たっては、立法の趣旨と制定の経過を踏まえ、国会審議のあり方について十分配慮すること。
 右決議する。
 以上でございます。
#8
○委員長(野末陳平君) ただいま前畑君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#9
○委員長(野末陳平君) 全会一致と認めます。よって、前畑君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林大蔵大臣。
#10
○国務大臣(林義郎君) ただいま御決議がありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
#11
○委員長(野末陳平君) 次に、平成五年度における一般会計承継債務等の償還の特例等に関する法律案について採択を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#12
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 及川順郎君から発言を求められておりますので、これを許します。及川君。
#13
○及川順郎君 私は、ただいま可決されました平成五年度における一般会計承継債務等の償還の特例等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   平成五年度における一般会計承継債務等の償還の特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
一 承継債務の繰延べ等は、あくまで臨時緊急の措置として慎重に取り扱い、それぞれの制度・施策の運営に支障を生じない範囲で行われ、歯止めを有しているものに限るよう配慮するとともに、各歳出項目についての徹底した洗い直しや、制度・施策の根本に踏み込んだ見直しを幅広く進めること。
一 財政投融資の運用に当たっては、社会経済情勢や国民のニーズの変化に的確に対応して、対象分野や対象事業について見直しを行うこと。
一 政府管掌健康保険事業に係る国庫補助の繰入特例措置分及びその利子については、同保険事業に対する国民の信頼保持のため、国及び政府管掌健康保険の財政状況等を勘案しつつ、できる限り速やかな繰戻しに努めるとともに、保健福祉施設事業について、質的な充実はもとより、その計画的推進を図ること。
 右決議する。
 以上でございます。
#14
○委員長(野末陳平君) ただいま及川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#15
○委員長(野末陳平君) 全会一致と認めます。よって、及川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林大蔵大臣。
#16
○国務大臣(林義郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと存じます。
#17
○委員長(野末陳平君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#19
○委員長(野末陳平君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
#20
○国務大臣(林義郎君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、現下の厳しい財政状況及び最近の社会経済情勢の変化に顧み、課税の適正、公平を確保する観点から、租税特別措置の整理合理化を行うほか、当面早急に実施すべき所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、課税の適正、公平の確保を推進する観点から、企業関係の租税特別措置等につきまして、平成五年度におきましても特別償却制度等の整理合理化を行うことといたしております。
 一方、農業経営の基盤の強化を推進する等のため、農用地利用集積準備金及び営農の規模を拡大した場合の割り増し償却制度の創設等の措置を講ずるとともに、環境保全、資源エネルギー対策に資するため、エネルギー使用の合理化等の技術に係る試験研究費に関する特例措置、再生資源利用促進準備金の創設等の措置を講ずることといたしております。第二に、土地税制につきまして、土地政策との整合性を図りつつ、住みかえによる居住水準の向上を図る等のため、特定の居住用財産の買いかえ等の場合の長期譲渡所得の課税の特例の創設等を行うことといたしております。
 第三に、老人等の利子非課税制度及び勤労者財産形成住宅、年金貯蓄非課税制度の非課税限度額の引き上げを行うことといたしております。
 第四に、第十一次道路整備五カ年計画に必要な財源確保等の観点から、揮発油税及び地方道路税の税率の改正等を行うことといたしております。
 その他、法人税における源泉所得税額の控除不足額の還付に関する特例措置の創設、不動産等に係る相続税の延納利子税の引き下げ等の措置を講ずるとともに、中小企業者等の機械の特別償却制度、住宅用家屋の所有権の保存登記に対する登録免許税の特例等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 以上が租税特別措置法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#21
○委員長(野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#22
○久保亘君 最初に、経済企画庁にお尋ねいたします。
 消費の現況と今後の見通し、特に一月二十二日に発表されました経済企画庁の平成五年度経済見通しについて、これは修正する必要はないのかどうか。今もこのとおりに経企庁としては見通しを持っておられるか。その点を最初にお尋ねいたします。
#23
○説明員(梅村美明君) お答えいたします。
 現在、我が国経済は引き続き低迷しているわけでございまして、設備投資のストック調整や在庫調整の循環的な要因のほか、資産価額の下落もあって厳しい状況に直面しているわけでございますけれども、こうしたことを踏まえまして、政府といたしましては、昨年三月の緊急経済対策あるいは昨年八月に行いました総合経済対策等の実施により、さらにはまた、五年度の政府予算におきまして景気の対策を盛り込みました予算を講ずることによりまして景気の回復に努めてまいりたい、かように考えております。
 今後とも経済情勢の変化に細心の注意を払いながら機動的な対応に努めてまいりたい、かように考えているわけでございまして、政府経済見通しを現在修正するというようなことは必要ないと考えているところでございます。
#24
○久保亘君 あなた方の見通しては、平成五年度GNP四百九十五兆の中で民間最終消費支出を二百八十兆、そしてその伸びは四・九%となっております。そして、その民間最終消費支出の四・九%の伸びを見ていく中で、雇用者所得が同じく四・九%伸びることになっておりますが、こういう点について、経企庁が出されておる数字は今も見通しとして非常に正確なものであるというお考えなんでしょうか。
#25
○説明員(梅村美明君) 民間最終消費支出の要因といたしましては、三つの要素から成り立っているだろうと思います。
 一つには、国民が得ました所得をどのように使用するかという消費性向の問題。これは景況観にまた大きく左右されるところでございます。もう一つは、雇用者数の全体の動向でございます。それから、もう一つの要因といたしましては、一人頭雇用者所得。
 このような要因でございまして、雇用者数につきましてはややその伸び率は鈍化傾向にあるものの、平成二年度、三年度、三%台の雇用者数の伸びをしていたわけでございますけれども、来年は二・一%の伸びを見ているわけでございまして、足下も大体そのような動きで推移していると思われます。
 それから、一人当たり雇用者所得、これは今後の所定外労働時間、あるいは賞与等々の要因によって変更する要因はまだあるわけでございますけれども、我々としましては、そういう雇用者数、雇用者所得の動向等から判断いたしますと、来年度の所得の動向につきましての見通しというのは現在適切なものであると、かように考えている次第でございます。
#26
○久保亘君 この問題は、いずれまた経企庁の責任ある方に出ていただいて、実情とあわせて私の方からお尋ねしなければならないときが必ずやってくると思っております。
 大蔵大臣にお尋ねしたいのは、現下の消費の非常な低迷の状況というものと、景気対策の上から見た消費を引き上げていく問題についての課題、政治課題として見た場合に、消費の問題をどのようにお考えでしょうか。
#27
○国務大臣(林義郎君) 久保委員御指摘のように、消費が低迷しておるじゃないかという御議論は、ことしの初めぐらい、特に年末の商戦がなかなか伸びないというようなお話もありました。
 しかしながら、私は、昨年の総合経済対策が昨年暮れの補正予算の成立等で固まってまいりましたし、また平成五年度の予算を御審議をしていただいておりまして、ことしになりましてから徐々に景気の方は上向きになっているような感じがしているわけであります。もちろん、これで確実にというような話まではいかないかもしれませんけれども、昨年の暮れぐらいとはやはり相当感じが変わってきているということは正直言って事実だろうと思います。
 明るい指標も見られるところでありまして、マネーサプライが回復をしてきたということもあります。自動車の販売につきましても、昨年は落ち込んでおりましたけれども、ことしになりましてから伸びを示してきているということでありますし、また機械受注などというのも、本当は機械受注なんていうのはなかなか私はそう伸びないんだろうと思うんですが、それも伸びてきた。それから鉱工業生産指数もふえてきた、こういうふうなことでございまして、私はいろんな点で感じ方が変わってきているようなことになってきているだろう、こう思っておるところであります。
 現在予算案の御審議を最終的に参議院でお願いをしているところでございますが、五年度の予算におきましても景気に十分配慮した予算になっておりますし、この予算を成立させていただきましたならば年度初めから直ちに執行できるようにやりたい、こう考えておるところでございまして、ぜひとも予算案の成立をお願いをしたい、こう思います。
 こうした施策によりまして、私はことしは、平成五年度の前半には公共工事に支えられ、また後半には個人消費等も回復をしていくんではないかという形で着実な成長路線に入っていくんだろう、こういうふうなことで考えているところでございます。
#28
○久保亘君 非常に楽観的な見通しを経企庁も大蔵省もお持ちのようでありますけれども、実際に発表されてまいります統計上の数字では、消費は前年度対比でマイナス、こういう状況が出ているんではないでしょうか。
 私は、やはりGNPの中の非常に大きな部分を占める消費の拡大というのが景気対策の重要な一つの決め手であろう、こう思っております。だから、その消費を拡大をしていく手段として何があるのか。そうなれば、勤労者を中心として生活大国の豊かさを実感ができるようになりたいという国民の希望は非常に強いわけですから、それにこたえるような実質可処分所得の増加、これは何かと言えば賃金のアップと税金と公的負担の軽減。それからもう一つは消費意欲の増加といいますか、このことは何があるのかと言えば、雇用の安定と社会保障の確立。これらの問題が総合的に考えられなければならない問題であります。とりわけ賃金のアップ、それから公的負担の軽減、その最も代表的なものは所得税、住民税の軽減、こういうことになってこようかと思うのであります。
 そういうことについては、消費拡大の決め手として私が申し上げたようなことについて、何か御異論はございますか。
#29
○国務大臣(林義郎君) 全体として、経済運営の中でなだらかな経済成長に持っていく場合におきましては、それぞれのところでバランスをとりながら私はやっていくことが必要だろうと思っております。
 雇用の水準、いろんな問題があると思いますけれども、雇用の問題につきましてはどうするか、これはやはり基本となりますのは企業の方の生産活動というものが相当ふえていかなければなかなかうまくいかない。そうでなければ雇用の水準というのも上がっていかないだろう、雇用者所得も上がっていかないだろう、こういうふうに思っております。
 また、所得税を初めとするところのいろんな諸問題につきましても、私は問題がなしとはしませんけれども、これはこの前税制の抜本改革をやりまして、我が国におきましては課税最低水準におきましては世界で最も高いところの水準にまで持ってきておるわけでございますし、それからそういったような形で税制というものをどう考えていくかというのは常に頭の中に置いておかなければならない考え方ではないかな、こう思っておるところであります。
 また、社会保障費その他の問題におきましても、これからの高齢化社会、また全体としての社会保障制度をどうするかという中でいろんな点を考えていかなければならない、そういった点でバランスをとりながら発展を図っていくというのが我々の考え方でございます。
#30
○久保亘君 大変用心深いお答えをいただきましたけれども、私は、やはり民間最終消費支出が経企庁が見通しとして出しておりますような大きな伸びを示すということについては、政策的な減税、それから税金の負担の軽減、こういうものが非常に重要な要素だと思っております。
 とりわけ、労働省にお尋ねいたしますが、まだ春闘は進行中でありますけれども、ことしの春闘の現状からかんがみて、労働者の実質可処分所得は経企庁の見通しのような方向で大きく上昇するような結果になっていると見ておられるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
#31
○説明員(太田俊明君) お答え申し上げます。
 今春闘における賃上げの水準につきましては、今後まだ多くの交渉が残されていることから、現段階では確定的なことは申し上げられない状況にございますが、ただ、これまでの回答、妥結状況を見ますと、鉄鋼、電機、自動車、造船、電力、私鉄、NTTといった民間の主要企業で額、率とも昨年を下回る状況となっております。
 今春闘の賃上げ水準が実質賃金を向上させるものかどうかというお尋ねでございますが、春闘の賃上げ率をめぐりましては、マスコミ、労使などで実質賃金について議論する場合には定期昇給プラス消費者物価上昇率で考えることが多いわけでございます。この場合、消費者物価上昇につきましては平成四年度の政府見込みでは一・八%となっております。また、定期昇給につきましては企業の賃金体系によって大きく異なっているわけでございまして、これを何%と見るかは難しい問題がございまして、実質賃金につきまして一律に評価することもなかなか難しい状況にあるのではないかと考えておるところでございます。
 またさらに、今春闘の賃上げ妥結を受けて国民生活の水準が向上するかどうかは、今後の景気の動向や所定外給与、ボーナスの動向にも大きく左右されるのではないかと考えているところでございます。
#32
○久保亘君 昨年、大変不況の年と言われながら、春闘はJCを例にとりますと四・九五くらいの妥結になったと思うのでありますが、ことしは四%を切っております。これは経企庁の出されております資料等と対比いたします場合に大変問題があるように私は思っておりまして、物価の上昇率を平成五年度で二・一という見込みを立てておられるし、定昇分というのは、これはそれだけ生活費その他が膨らんでいくことに対応するものでありまして、実質可処分所得がふえて生活が豊かになるというものとは直接は結びつかない。そうすると、定昇分と物価上昇分と合わせると四・二%というときに妥結が四%を切るということになりますと、大変厳しい状況だと言わなければならぬと思うのであります。
 一方、税制改正についても、今大蔵大臣は六十三年の税制改正を取り上げておっしゃいましたけれども、六十三年からそれじゃ今日まで物価がどれだけ上がっているのか名目賃金の上昇によって公租公課の実質的な負担がどれだけ重くなったのか。この点は経企庁か大蔵省がどちらかおわかりの方で答えていただきたい。
#33
○説明員(小菅伸彦君) まず、消費者物価の上昇率についてお答え申し上げます。
 昭和六十三年税制改正以後の五年間の物価上昇率ということでございましたけれども、まず昭和六十三年度は消費者物価の上昇率〇・八%の上昇でございました。これ以降、平成元年度二・九%、平成二年度三・三%、平成三年度二・八%、それぞれ上昇となってございまして、平成四年度につきましては、東京都区部の速報値で一・六%の上昇となってございまして、政府経済見通しの実績見込み一・八%程度の範囲内におさまる見込みでございます。ちなみに、六十三年度を仮に一〇〇といたしますと、平成四年度は実績見込みベースでおよそ一一一でございます。
#34
○久保亘君 要するに、税制改正が前に行われて以来、物価は、今はっきり聞こえなかったけれども、累積一一%上昇した、こういうことですね。それに平成五年度の二・一がまた加わってくるわけでしょう。そうすると一三%以上の物価の上昇です。
 それから、名目賃金は上がった分だけ税の負担は重くなっているわけですから、これで国民生活と結びつく消費が拡大してくるはずはないのでありまして、私は減税の問題は国民生活の視点、それから物価調整の視点、もう一つはGNPの中の六割近い部分を占める民間最終消費支出を引き上げるという意味において景気対策の視点、こういう立場から見て、今ぐらい減税が重要な問題として考えられなければならないときはない、こう思うのですが、大蔵大臣はやはり否定されますか。
#35
○国務大臣(林義郎君) 先ほど申しましたように、経済全体の運営に当たりまして、雇用の問題であるとかあるいは公租公課というような負担の問題であるとかそういった諸問題を考えると同時に、物価水準等というものも当然に考えていかなければならない話だろうと思いますが、いわゆる所得減税、あるいは消費のための所得減税、こういうことになりますと、私は、今減税をしたときにどういうふうな効果をもたらすかということも考えておかなければならない話だろう、こう思うのであります。
 今の状況からいたしますと、先般もこの御議論がありましたけれども、所得になったものの中で貯蓄に回る方が多くて消費に回る方がだんだん少なくなってきているんじゃないか、こういうふうな御議論もありますし、また第二の問題といたしまして、やはりその財源をどこから捻出してくるかという大きな問題があるところでございまして、国の置かれている財政状況からいたしますと、赤字国債に頼らざるを得ないとするならば、私はこれは大変な問題ではないだろうか、こう思っておるところでございます。赤字国債によりまして一たび特例公債の道を開くとするならば、長い間苦しんできたその状況を再び繰り返すという形になることでありまして、これはもちろんできないところでございます。
 そのほかどういった形のものでやっていくか。いわゆる戻し減税でやるのかどうするのかねと、こういうふうないろんな議論もあるところでありますし、いわゆる所得税減税ということであるならば、まだまだ御議論をいただかなければならないという問題がたくさんある。こういうふうに考えておりますし、予算委員会でもまた衆議院の各委員会でも私はたびたび御説明しているところでございますが、今申し上げたような諸問題がある。そういった意味で軽々に所得税減税の話に乗るわけにはまいらないということでございます。
 ただ、与野党、衆議院の予算委員会で予算を成立させるに当たりまして、四党間の合意ができておりまして、その合意でいろいろな御議論をされるということは承っておるところでございますし、そういったものを見詰めてやっていかなければならないが、私の気持ちをどうだと、こうおっしゃるならば、今申し上げたようなことであるということを申し上げざるを得ないということでございます。
#36
○久保亘君 そういうお答えをきっといただくだろうと思っておりましたが、私は、減税が貯蓄に回るという考え方、これは現実にはそういう面がないとは申しません。
 しかし、それならば、国際的に比較して日本は世帯別平均貯蓄額というのが決して低くない、非常に高いですね。その上に減税効果が貯蓄に回って景気対策にあらわれないという言い方があるならば、政府はなぜ貯蓄にさらに回るかというその原因を追求しなければならぬのであります。これは教育費、住宅取得、社会保障、年金、医療、こういったような問題に対して、政策上非常に問題があるから貯蓄に回さざるを得ないということがあるんじゃないでしょうか。
 したがって、所得税の減税を効果あらしめるためにも、教育、住宅、そういったような問題に対する政策減税が一体的に取り組まれる必要があると私は思っております。また、特に高齢者世帯などを中心とする社会保障政策のおくれをどうやって進めていくか、こういうことと一体的に考えていけば、一方的に減税はやれば貯蓄になるよという言い方で退けることは政府の責任ある言い方ではない、私はこう思っております。これは反論をいたしておきます。
 それから、もう一つの問題は財源論です。
 私は、財源を無視して何でもやればいいと考えてはおりません。しかし、今日、後世にツケを回すという理由でもって財源措置を公債等に頼ることについての批判的意見が特に政府を中心にして強いのであります。実際には、今日のような生活大国の豊かさを実感できない状況をこのまま続けておくことが後世に対する責任を果たすことにならない。それならば、景気対策上優先的に必要な課題は、私はそれを遂行することが後世に対する責任でもあろう、こう思っております。
 したがって、減税等を中心とする措置と財源論というものは切り離して論ずることはできないけれども、財源論がすべてに優先するという考え方は間違いだと思っております。その証拠に、例えば政府は、湾岸戦争のときには九十億ドル、前の分も合わせますと百二十億ドルでしたか、これを支出することについては、我々は反対いたしましたが、そのことが必要だという政策が優先して、財源は後から追っかけたはずです。
 そういうことを考えてまいりますと、今日減税が重要であるかどうかという国民生活の立場に立って、景気対策の立場に立って考えて、その結論に基づいて、では財源がどう考えられるかということを議論しなければならないんじゃないでしょうか。
 それからもう一つの問題は、私は昨年の臨時国会でも本会議で宮澤総理に申し上げたことがございますが、教育費などをすべて消費的経費として片づけてしまっている日本の財政立論というのは正しいのかどうか。アメリカのクリントン大統領が言っているように、教育費というのは後世にツケを残すのではない、これは未来への投資である、だからこのことに対して公債を発行して賄うということは決して間違いではない、それをやるべきだ、こういう一つの政治哲学を持って進められているわけでありまして、財源論というのを大蔵省がいかにしてお金を出さなくて済むかという立場で考えるということは間違いではないか。政策上必要なこと、優先すべきことについては、そのことをどうやってやるかという立場で必要な財源について考えるということでなければならぬと思うんですが、いかがでしょう。
#37
○国務大臣(林義郎君) 今お話がございまして、なぜ国民の中で貯蓄が非常に高いか云々と、こういうふうなお話がありました。日本の貯蓄率は割と高い。ヨーロッパに比較いたしましても、ドイツが日本とほとんど同じぐらいのところまでありますが、イギリスやアメリカなんというのは割と低い、こういうことであります。
 それは、やっぱりそれぞれの国にそれぞれの状況があるんだろうと思いますが、よく言われておりますのは、やはり将来に対する不安がある、あるいは病気になったときの介護をどうするかという形で貯蓄をしておかなければならないだろう、いろんな原因があって日本は高いんだろうと思いますが、そういったことをうまくやっていくためにこそ経済全体をうまくバランスをとって成長させるということが私は必要だろうと思うんです。
 例えば病気になったときにどうするかという形におきましても、健康保険制度というものがあるわけでございますし、それから住宅の不安、こういうふうな話がありましても、住宅に対しましても税制のみならずいろんな施策を私たちはやってきているところでございます。そういったような形のものでできてきておるわけでありますから、すぐに消費をそのまま刺激をしてと、こういうことじゃなくて、全体経済の運営の中でおのずからなる形での国民の消費が伸びていくような形をやっていくことの方が望ましいのではないか。
 先ほど申しました所得税減税でいろんな問題がある、時にばらまき税制などというようないろんな問題があると申しましたのは、単にそこだけをいたずらに刺激することは、かえって将来に禍根を残すことになるんではないだろうかなという感じを持っているところでございます。
 それで、財源論のお話がございました。私も財源につきまして、やはり赤字国債はいかぬ、こういうふうに申しましたのは、やっぱりそのことを考えてやっていかなければならない。御指摘のありましたような湾岸のときにおきましても、百二十億ドルですか、出しました。その出した金額というのは、やはりそのときに税法上特別の措置をいたしまして、ガソリン及び特別法人税等々で措置をしてその財源を調達してきたところでございまして、決してこれを将来にわたって残したという話ではないわけでございまして、そういったようなことを考えてやるというのは私は一つの方法だろう、こう思っておるところでございます。なかなかそれがすぐにできそうもないということから、私どもはこういうふうな、先ほど来申し上げているようなことを申し上げておるところでございます。
 それから、教育費の問題につきましても、私たちもこれは配慮しておりまして、十六歳から二十二歳までの子供を持っている人につきましては特別扶養控除という形のものを持っております。これは、そのくらいの子供さんを持ちますと高等学校なり大学に行かれる、こういう形でありまして、そういった子供さんを持っておるところならばやはりいろいろなお金もかかるであろうという形で、基礎控除制度に類するようなものを設けておるところでございます。決して教育の問題を無視しているとかということではありません。
 ただ、教育費という形でやりますと、大学や上のその他の学校に行かれる子供を持っている方と、それからそういった子供がない、また子供があってもなかなか大学に行かれないという形のアンバランスをどうするかという問題もあるだろう、こう思いますし、教育費という形ですべてのものをやると、一体教育費というのはどの範囲までを控除の対象にしていくのかねと、学校に行く費用を全部というような話になると、私はその費用たるやどういうふうな形で考えていくかという技術的な問題もあるだろう、こう思っておりまして、先ほど申し上げたような控除制度というものでこの辺を考えておるということでございます。
 決して教育を無視したりなんかしているということでは全然ないことだけは御理解を賜りたい、こう思っております。
#38
○久保亘君 大蔵大臣は、教育問題について大変理解の深い方だと私は思っておりますから、今お答えになりましたことはよく理解できますが、私が申し上げているのは、教育予算にかかわってこれを投資的経費と見ていくことが先進諸国間の中においてもだんだん常識化しつつあるのではないかということを申し上げたのであります。
 時間がありませんので、もう一つどうしてもお聞きしておきたいことがありますが、資本金一億円以上の法人の中で、建設業の法人の数と、この建設業法人のうち赤字法人が幾つあるのか、国税庁、おわかりでしたら数字を教えていただきたい。
#39
○政府委員(松川隆志君) 当庁で公表しております平成三年分の会社標本調査結果によりますと、資本金一億円以上の法人数は全部で三万百八十社でございまして、そのうち赤字法人は九千八百四十社でございます。そして、このうち資本金一億円以上の赤字法人の建設業は百五十六社でございます。
#40
○久保亘君 建設業の赤字法人百五十六社の中には、今話題のゼネコンと称する法人が含まれておりますか。
#41
○政府委員(松川隆志君) ゼネコンという業種分類はこの統計ではしておりません。ただし、総合建設業、これは非常に広い概念でございまして、いわゆる建設業に元請と下請というのがございますが、その下請以外のものということで、非常に零細なものから含んでおるわけでございます。
 そうした総合建設業という定義でありますと、平成三年につきましては十九万四千八百十二社でございます。ただし、黒字、赤字の内訳については把握しておりません。
#42
○久保亘君 それでは、今回資料の提出や捜査を受けた十八社について、これは私申し上げてありますのでおわかりだろうと思うんですが、十八社の中で赤字法人がありますか、ありませんか。
#43
○政府委員(松川隆志君) ちょっと手元にその資料を用意しておりませんので、後で調べてお答えしたいと思います。
#44
○久保亘君 調べていただくように私は申し上げておいたんですが。
 もし赤字法人があります場合に、使途不明金というのが、最近新聞に報道されたのでは、十八社分かどうか知りませんが三百八十二億ということが言われておりますが、使途不明金に対しては当然に課税されているわけではありますね、国税庁の扱いとしては。
 しかし、この使途不明金を持つ法人が赤字法人であった場合には、使途不明金は課税されますか、されませんか。
#45
○政府委員(松川隆志君) 法人税の計算におきまして損金を否認するということでございますので、御指摘のように赤字の場合には利益が出てこないということで、結果として課税されないということになります。
#46
○久保亘君 そうすると、使途不明金ということでいろいろなところに支出されたお金がありましても、会社の経理全体として調査所得欠損、こうなりました場合には、この使途不明金は課税対象となり得ない、こういうことだと思いますが、そのとおりですね。
#47
○政府委員(松川隆志君) 御指摘のとおりでございます。
#48
○久保亘君 建設業の法人というのは、資本金一億円以上ということにしなければ、私が政府の資料を見ておりますところでは、全体では平成二年度に三十二万五千六百七十四社ございます。そして、これが平成三年度になりますと三十六万五千七百七十五社になっております。一年間の間に建設業法人が四万百一社ふえておりますが、これはそのとおりですか。
#49
○政府委員(松川隆志君) 御指摘の統計の種類が何かちょっと我が方では把握しておりませんが、例えば資本金一億円以上の法人で申しますと、平成二年分が千五百十四社、平成三年分が千六百三十一社ということでございまして、一億円以上の法人につきましては百十七社増加しております。
#50
○久保亘君 一億円以上じゃなくて、私が申し上げておりますのは、国税庁会社標本調査結果に基づく資料によれば、建設業法人というのは平成二年に三十二万社余りあるんです。そして平成三年になりますと、これは三十六万以上になっていくわけです。一億円以上というのはそんなにありませんよ。
 全体として建設業法人が上げました営業収入は、平成三年度で百五十四兆余りです。これは営業収入ですから利益ではありませんけれども、そのうち法人税として負担されたのは二兆二千億。これはあなた方が出された資料ですよ。間違いありますか。
#51
○政府委員(松川隆志君) 会社標本調査の数字は、今御指摘のとおりでございます。
#52
○久保亘君 先ほど後で調べて報告するということでございましたから、取り調べを受けた十八社について、この十八社の調査所得利益、調査所得欠損別に、それから赤字法人というのがどれだけあるのかできれば納付された法人税額、こういうものをぜひ後で資料として提出していただきたいと思います。それだけあなたの方に私の方から要求しておきます。
 時間がなくなりましたので、大蔵大臣に一つだけ。今度の租特法の中に老人マル優の限度額引き上げがございますが、老人マル優の限度額引き上げが五十万円と今度決められた根拠は何か。
 これを私がお聞きいたしますのは、一体高齢者に対する税制上の措置というのはどのようにあるべきと考えておられるのか。私どもはこの限度額を七百万とするよう求めていたのでありまして、実際には高齢者世帯の公的年金、恩給に依存する率というのは非常な勢いで高くなってきているわけであります。
 今日では、既に公的年金、恩給に依存する高齢者世帯の所得の構成は五十数%に達しております。昭和五十年には二六%であったものであります。稼得所得というのは六〇%近くあったものが、十数年の間に三〇%に減っております。そして財産所得というのが大体一割程度でずっと来ているわけであります。
 だから、年金生活者にもいろいろあるからと、政府税調の答申にございますけれども、しかし私は大部分の人たちはそういう格差で考えるような状況にはない。そのときに財産所得が、財産所得というのはわずかな退職金等を貯金に回してその利息を生活費に回しているということなんでありまして、この利息が公定歩合の相次ぐ引き下げによって金利が低下してどんどん収入が減っている。そうなればますます公的年金、恩給に依存する率が高まって、その公的年金や恩給は必ずしも所得を膨らます方向には行ってない。
 こういう中で、一体高齢者対策というものをいかにすべきだという方針を持って、その中で五十万円引き上げようと考えられたのか、そのことを伺っておきたいと思います。
#53
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘のとおり、高齢者の所得をどうするかというのは私は大問題だと、こう思っておりますし、御指摘がございましたように、昭和四十年代、五十年代、ずっと変わってきました。昭和四十八年でしたか、福祉元年とかいうような話になりまして、そのころからいろいろとやってまいりましたし、私も厚生大臣やっておりましたときに年金制度の一元化云々というような話も提案をしたりしてきたところであります。
 高齢者の所得の基本は、やはり御指摘のように稼得収入、自分が働いて得るところの収入ではなくて、年金がだんだん中心になっていくということは、私はこれはもうあるべき姿としてそうだろう、こう思っているところであります。御指摘のように、退職金をもらった、あるいはそのほかの収入がありました、それの貯蓄をというのは、それに比べたら第二義的な話であろう。また、お年寄りが働いて得るというのも第三次的なことで考えていくのが方向ではないか。
 そういった意味で、将来にわたりましてやっぱり年金というものを中核的に考えていく話ではないだろうかな、こう思っておるところでございまして、年金制度につきましても、いろんな形での一元化を図っていくことであるとか、どうするかというような問題が私はあると思います。租税及び社会保険負担というような格好のものをどうしていくかというような話もあります。負担を高くしていくならばあるいはできるかもしれないが、その辺をどうやっていくのか。特に高齢化社会に対してどうしていくのかというのはこれから必ず大議論していかなければならない問題だろうと思いますが、今のところで基本的な認識として申し上げますならば、今のような考え方を私は持っておるということを率直に申し上げておきたいと思います。
 そういった前提でこの問題を考えますと、いわゆる老人マル優制度というものをどうしますか。確かに社会党の方からも御提案ありまして、相当上げろというようなお話もありました。しかし、このマル優制度というのは貯金を持っている人についてやれるわけでありまして、郵便貯金もありますし、それから一般の銀行預金もあります。それから国債もありますから、それを全部合計しますと九百万ぐらいになりまして、それを全部上げると千五十万円ぐらいになる、こういうふうな話でもあるわけです。
 そういったような形でやっていくということでございますから、これをさらにふやしていくということになると、またどういうふうにするかという問題が私はもう一つあると思うんです。例えば、生命保険で老後年金とかというような話の問題のいろんなことが出てくる。あるいは信託の方からまたいろんな仕組みを考えて老後のやつをやっていくというような問題があると思っておりまして、いわば年金という形で公的にあるいは制度的にやっていくというような話のものと、それぞれの人が自助努力でやっていくというところはやはりちょっと違うところの問題を考えておかなくちゃいかぬのじゃないか。それがないと、全体としての整理がなかなかつけられないんじゃないかなということが一つの問題としてございます。
 それからもう一つは、第二番目の問題としてありますのは、貯蓄の中でいろんな形の貯蓄が加わりましたから、それを整理してやるときに、やっぱりキャピタルゲインと申しますかインカムゲインと申しますか、それと勤労者所得とのバランスをどうとっていくかということも考えておかなくちゃならぬでしょうと、こういうふうな話もございますし、いわばグリーンカードと申しますか背番号制度と申しますか、そういったものをやっていくときに、やはりその辺をどう考えていくかということを考えておかなくちゃいかぬという問題が、私はこのマル優制度なりあるいは財形貯蓄の非課税制度の問題につきましても問題としてあるんじゃないか。
 こういうことでございまして、今回につきましては、財政上の問題もございまして限度額は一応五十万円ぐらいにしておこう。それはある程度まで、相当時間もたっておりますし、物価の値上がりもありますから、そういったことを考えてやらなければならない。しかし、税の制度として申し上げますならばこの制度はいかがなものであろうかというふうな感じを持っているのでございまして、さらにこれからも検討をしていかなければならない。当面は五十万円でやっていくという形で、これ以上の引き上げを考えるとかいうことはございません。
 もう一つ、最後に申し上げますけれども、将来のそういった形のものをどう考えていくかというときに、税の議論として私は申し上げますならば、やはり長い年代にわたったところの貯蓄その他についてどうするかというのは、貯蓄をするときに税金をかけて、そのかわり後でもらうときには税金をまける。それから、貯蓄をするときには税金は払わないけれども、後で老齢者がもらうときに税金を払う。これは税の理論としては私は両方あると思うんです。どちらも全部免税というのは私はちょっと行き過ぎではないかな、その辺の調整を税としてはどう図っていくかということを考えておかなければいかぬのじゃないか。
 やはりすべての方々に公平に税というものはやっていくという話が基本だろうと思いますから、そういった運営の中で、今申し上げましたような議論というのをどう組み立てていくかというのはこれから考えていかなければならない問題だろう、こう思っているところでございます。
#54
○久保亘君 いろいろまた意見もありますが、時間が参りましたので、前畑委員と交代いたします。
#55
○前畑幸子君 法案の質問をする前に、今先輩の久保先生から使途不明金に対する大変鋭い質問をされましたので、私、もう少し納得させていただく意味で細かいことを聞いてみたいと思います。
 今この法案参考資料の中の六十八、六十九のところを見させていただいているんですけれども、その中で、建設業に関しましては大体三三・七%が赤字法人割合ということで説明がされております。そのほかに大体半分というものが赤字法人の割合を占めているようでございます。
 使途不明金というものは赤字法人ならば課税されないという御説明がありましたけれども、例えば五千億の損益、赤字を出された場合に、使途不明金が五千億あったならば差し引き課税所得はゼロということになりますが、五千億の赤字が出て使途不明金が六千億あれば、一千億に対して法人税がかかるのではないでしょうか。そうしますと、ほとんど経常利益をゼロというか、要するに使途不明金の金額ぐらいが赤になるという決算書ができて初めて法人税がかからないという状況になるのではないでしょうか。
#56
○政府委員(野村興児君) お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘、確かに赤字の場合は納税額、課税額は生じないケースもございますが、使途不明金なるものは損金算入を認めておりませんので、その分につきましてはその分だけ赤字が減少する、こういうことになろうかと思うわけであります。
 そしてまた、いろんな事情がございますが、私どもで使途不明を調査いたしまして、例えば法人の役員の賞与になっている、こういった事例も実は使途不明解明の段階であるわけでございますが、そういった場合にはその役員個人に対しまして所得税が課税される、こういった事例も十分あり得るわけでございます。そういった場合は、個人の所得税を課税いたしますとともに、その相当額については、これは損金算入を認めませんので、法人税上もそれについては課税をする、こういうことになろうかと思います。
#57
○前畑幸子君 大法人で、役員の認定賞与に対応するということは、会社の金の流用ということでこれは大変会社に損失を与えている詐欺行為になると思いますので、そんなことが許されては困るわけですけれども、私が言いたいのは、要するに五千億の使途不明金を、役員賞与にしろ手数料にしろ交際費にしろ使って、そしてマイナス五千億の利益を出したら、別表四で五千億の使途不明金を足しても課税所得はゼロという結果になるというところが私は納得できないんですね。
 商法からいきますと、要するに株主総会は損益計算書、貸借対照表で株主への当期の営業成績を説明されるわけですから、その中の給料のうちに使途不明金として計上するものがどれだけあるとか、交際費の中にこうしたおもしろくない数字がたくさんあるとか、手数料の中に金丸さんのところへ行った金額があるとかいう説明は、株主総会では説明されないわけですよね。その後に、決算を組み、申告書をつくおところでそのやましい金額を利益加算するわけです。そうしますと、株主に対する説明の中ででも、質問をされなかったから答えなくてもいいという結論になると思いますけれども、私は株主に対してもこれは背任行為ではないかなというような気がいたします。
 そして、今赤字法人に対しては使途不明金に対しても課税されないということは、かなりの赤字欠損を組んで、使途不明金を五千億足してもなおかつ法人税の課税所得がゼロであるということは、大変な使途不明金が認められているんだなという気がいたします。そして、今久保先生がおっしゃったように、利益が百五十四兆もありながら法人税が二兆二千億しか計算されないという、この辺の不思議なところを少し御説明いただきたいと思います。
#58
○政府委員(野村興児君) 一般的に申し上げますれば、今おっしゃいました計数、収入とそして課税額、この関係については、特に建設業についでこれが著しく低いとか、そういう実態はないかと思います。
 ただ、今御指摘ございましたいろんな点、例えば株主総会におけるいろんな問題、これはまさに商法上の監査の問題かと思います。私ども所管外でございますけれども、私ども国税といたしましては、こういった使途不明については、本来税務行政上の立場からいいますれば、真実の所得者に課税をする、これが原則でございます。私どもはあらゆる機会をとらえまして、任意調査という限界はございますけれども、そういった努力をしているところでございます。
 したがいまして、今御指摘の点、あるいは今回のいろんな事件を踏まえまして、そういった今後の取り扱い、厳正にこれを行っていきたい、こういうふうな考え方をしているところでございます。
#59
○前畑幸子君 株主への説明の中ではそういうことはされないと思いますけれども、その辺は法務省としてはそれでいいんでしょうか。
#60
○説明員(吉戒修一君) それでは御説明申し上げます。
 先ほど来御議論されております使途不明金でございますけれども、これは租税行政庁に対しまして使途を秘匿する支出といたしまして、費用ということを証明できないということのために損金算入を認められないものと私どもとしては承知いたしておりますけれども、商法上はこういうふうな概念はございません。
 したがいまして、商法工作成が要請されております、先ほど来御指摘のありました貸借対照表及び損益計算書でございますが、これは会社の財産及び損益の状態を正確に判断することができるように明瞭に記載するということが求められております。その中で、いわゆる使途不明金とされるものもいずれかの費目、例えば一般には交際費でありますとか諸会費、雑費などに分類されて会計帳簿に記載されているものでございます。
 そして、このいわゆる使途不明金につきまして、会社の計算書類等にいわゆる不実の記載、事実に反する記載をいたしたというような場合には、これに関与した取締役、これは計算書類等の虚偽記載について過料の制裁を受けます。さらに、会社または第三者に使途不明金の支出によりまして損害を及ぼしたという場合には損害の賠償責任を負うということになります。それからまたさらに、今委員御指摘のとおり、使途不明金の支出によりまして自己または第三者の利益を害するということで粉飾の経理を行ったというような場合には、商法上の特別背任罪ということで刑事上の処罰がされるということでございます。
#61
○前畑幸子君 そうしますと、今の使途不明金の中に、おもしろくないものはこれはやはり刑事上の責任もとらなきゃいけないということと判断していいですか。
#62
○説明員(吉戒修一君) 今御説明申し上げましたように、いわゆる自己または第三者の利益を図り、また会社を害する目的で粉飾経理を行いまして会社に財産上の損害を与えたと、このような構成要件に該当する場合には特別背任罪として処罰されるわけでございます。
#63
○前畑幸子君 交際費というのは、大資本の会社はみんなこれは利益加算をしなければなりませんし、寄附金も利益加算をしなければならないわけですから、そうしますと、そのほかに使途不明金というのはどこの科目に入っているか私はわかりませんけれども、それを使った人というのは代表者もしくは一部の責任ある立場の方ではないでしょうか。
 中小企業におきましては、代表者の認定賞与にほとんどされるのが現状でございますので、法人税も払い、そして個人としても認定賞与で源泉を払っているわけですけれども、大法人においては、赤字であるならば税金はゼロで、全部使途不明金という利益加算さえしておけばいい。そしてまた、利益が出ていても法人税半分払っておけばそれで認められる。そして、それが会社の要するに経営上必要なお金であると役員が認めればそれで通るわけですから、よほどそれが個人的に使ったということ以外は利益加算すればそれで済むんではないでしょうか。
#64
○政府委員(野村興児君) 今委員お尋ねの中小法人に対します、あるいは零細法人に対します取り扱いが認定賞与という形で非常に厳しくなっておる。にもかかわらず大法人についてはそういった取り扱いかないのではないかという御質問かと思いますが、実は法人税法上、あるいは取り扱い上、原則といたしまして使途不明金についての問題は、大企業であれ中小企業であれ取り扱いを異にするものではないわけでございます。ただ、今おっしゃいましたように、調査をしました結果、例えばそれが支出法人の役員に帰属したと認められるようなもの、結果が出てきた場合には、御指摘のように役員賞与として課税をする。これは役員個人に対して所得税を課す。かつ、その法人の取り扱いといたしましては、その法人の損金として認められませんので、これは損金不算入という取り扱いになります。
 一般的に今零細法人についてはそういうふうなことになっているんじゃないかと、こういうお尋ねでございますが、これは私の推測でございますが、恐らく零細法人は同族法人が非常に多うございます。同族法人の場合は往々にして役員の私的な支出にそういう隠れた経費が使われておる、こういったこともあるかと思います。そういったことで第一線の取り扱いがそういった事例が多いんではないか、そういう事例が散見されるんではないか、こういう御疑念かと思います。
#65
○前畑幸子君 今部長のおっしゃることはよく理解できますけれども、現実は中小企業の方が、使途不明金という名のもとなのか、認定賞与にされようとも、上納金として大会社が出す裏金の負担をさせられているのが現状なんです。中小企業は下請会社として決まった金額を上納させられるわけですから、自分の役員賞与を五十万上乗せして源泉を払っておくか、あるいは仮払い計上しておいて使途不明金なり利益加算をして法人税を払って大企業に上納しているわけです。しかし、調査が入ったときには、どんなことがあっても自分の会社をつぶすわけにはいかないわけですから、それが言えないわけです。そうしたときにはやはり代表者の認定賞与としてのまざるを得ないというのが現状なんです。
 ところが、じゃ大法人も自分の会社のためにその使途不明金は使った金であるはずですから、これは会社の存続のために、成長のために必要なお金であるということで法人税だけをかけられたんでは、そこに差があるのではないか。それならば代表者への認定賞与に全部すべきではないかと私は言いたかったのでございます。今後の問題としてしっかりと御検討をいただきたいと思います。
 次に私は土地の地価税、居住用財産のことについてちょっとお聞きいたします。
 居住用財産の買いかえ特例の復活についてお尋ねをいたします。
 この制度は、都心部の地価高騰を地方の住宅地に波及させる引き金となったわけでございますので、バブルをあおった元凶として昭和六十二年事実上一部を残しまして廃止となったものであります。最近都市部ではやっと地価が下がってきたような報道がされておりますけれども、今回再び一億という範囲とか十年居住の住宅とか、いろいろな諸条件はつけられたものの、復活されようとしておりますけれども、その目的、意図はどこにあるのでしょうか。
#66
○政府委員(濱本英輔君) 居住用財産の買いかえの特例制度、これを一定の要件を付しまして今法案として法案審査に供しておりますゆえんは、建設行政といいますか国の住宅政策を推進していく過程におきまして、国民の住みかえということによります居住水準の向上ということが非常に重要な政策課題となっておって、この政策課題を支えるためにどのような方策があるか、これをいろいろ検討いたします過程におきまして、既にこれまで存在しております制度によってカバーし得る部分というものもあろうかとは存じますけれども、さらにこの制度を一つ加えることによりまして、より政策としての力をつけたいという要請からとられたものと、このように私どもは受けとめております。
#67
○前畑幸子君 新聞とか不動産屋さんの情報によりますと、現実に高値で売れ残っているようなマンションも随分あります。そして、値下げがどんどん進んでおります土地もあります。しかし、こうしたものが値下げを妨げたり地価の値下げに歯どめがかかったりしたのでは大変後悔を残すことになるわけです。
 この日曜日の日経新聞によりますと、「模索続く土地政策」というところで、監視規制緩和の声も出ている、自民党や産業界の一部にはバブル期以前の状態に戻すべきだ、これだけ景気が落ち込んだのでは大変だ、地価税の廃止とか土地譲渡所得税の軽減とか、監視区域の撤廃までも考えているというようなことが新聞に載っておりますけれども、宮澤総理大臣の言われる生活大国の目標を何としても成功させるためにはこの問題がネックになっては困ると思いますが、その辺は大丈夫でしょうか。
#68
○国務大臣(林義郎君) いろいろと御議論あるところだと思いますが、この居住用財産買いかえ特例というのは随分歴史のある制度でありまして、東京で家を持っている、土地を持っている、その人が老後になったら、東京の町のど真ん中におってもしょうがないから田舎に行ってちょっと家を建てたい、そういったときに、買いかえして持っていくことも一つの方法ではないか。一つには、そういった形でやりますと新しい住宅ができるわけでありますから、経済効果としても出てくるじゃないかというふうな話が昔あったんです。
 しかし、ちょうど委員長も党の税調で一緒にやっておられましたのですが、土地高騰のときに田舎へ持っていくと、東京の土地がめちゃくちゃに上がっているものですから、二億、三億持っていってぱっと買うと田舎の土地が皆上がっちゃってどうにもならぬ、こういうふうな話がありまして、これこそやっぱり土地高騰の元凶じゃないかという形があったものですから、そのときに整理をしようという形でやったんです。そういったようないきさつがあってやったんですが、今やっていますのは、そういった基本的な考え方は私は変えるべきではないだろう。
 ただ、いわゆる東京やその他のところにおられる一般のサラリーマンの方々が住みかえをしてゆく、こういうふうな話のつつましやかなところのものについてはまた制度をやってみてもいいじゃないか、またそれが土地の高騰を再び来すことのないようなことでやるならば一つの考え方ではないか、こういった形でひとつその辺を考えながらやっていこう。
 それですから、譲渡するところの土地は十年以上持っているものでなくちゃなりません。それから価格も何億円というふうな話じゃなくて、一応一億円以下のものにいたしましょう。それから譲渡者が今まで住んでいたところも十年以上住んでいたということでやる。単に土地の転売をしたりなんかしてやるやつはだめでございますと、しかも、ということで制度を組みまして、なかなか問題もあるし、土地の対策の、今動かしていかなければならない、こういったときでありますから、適用期限を二年間でもってやってみようと、こういうことで始めたところのものでございます。
 決してこれでもって土地の高騰をやろうとかなんとかというふうなことはもちろん考えていないし、またそういったようなことになってくるならば、この制度というものは当然見直しを二年後においてしていかなければならないものだろう、こういうふうに考えているところでございます。
#69
○前畑幸子君 今までの土地税制を眺めてみますと、今回の特例の歴史が示しますように、朝令暮改を繰り返してきたということではないかなと思うわけです。
 土地政策の欠陥は、こうした短期的に変更を繰り返してきたということに本質的問題があるような気がする。土地政策というものは、都市計画というものとあわせてもっと長いビジョンで、生活の最も基盤として考えていただくのであって、税制で三年か四年したらもう変えるというようなことでは、やはりそこに不公平が出てくるのではないかなと思いますので、どうしても基本的にきちっとした生活大国に向けての、そして年収の五倍以内で普通のサラリーマンが土地が持てるような政策というものに落ちついていただきたいと思うわけです。
 今回、二年という時限であり、そして一億という、これは東京、大阪、名古屋でいえば一億なんて大した金額でないという感覚もありますし、また、地方へ行けば一億なんてとんでもない金額だという感覚もあるでしょうけれども、やはりもう少し落ちついて土地税制というものを考えていただきたいと思います。
 この特例をどうしても復活させなければならない理由は、やはり経済の精神的な、マインド的な落ち込みというものに寄与するところがあるかと思いますけれども、大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
#70
○国務大臣(林義郎君) 先ほど申しましたように、この制度の沿革をちょっとお話し申しましたけれども、私も土地税制を長い目で見ておりますと、正直なことを申しまして、いろいろ変わってきたという歴史だと思うんです。そういった意味で、今までやってきた土地政策における税制のあり方というのは果たしてよかったのかな、素直に私は反省をしていっていいんじゃないか、こう思っておるんです。
 しかしながら、現実にありますところの税制で言いますと、やはり今の土地基本法に基づきまして土地の価格の安定を図っていくというようなことが一つの大きな柱でございますし、もう一つ申し上げますならば、土地神話をやっぱりやめていくということが私は土地政策の一つの大きな柱ではないかと思っているところでございまして、そういった方向でこれからもいろいろなことを進めていくことがぜひ必要であろう。
 しかしながら、それだからといって何でもかんでも皆というわけにいきませんし、先ほどお話がありましたように、東京では一億円は大したことない。しかし、私らのところへ来ましたら、それは一億円の土地というのは大変なことですわ。正直申しましてそれは大変なことである。先生のところの名古屋ならそうでもないのかもしれませんよ、正直言って。だけれども、違いますが、生活大国という形で年収の五倍という形でやるということならば、やっぱり土地を土地神話から解放していい形に持っていくということが私は必要なことだろう、こう思っています。
 そういった中で、今やっていますところの先ほど申しましたサラリーマン云々というような形のものもやはり考えていってみたらどうだろうか。これが弊害を及ぼすような形になったならばやめていかなければならないものだろう、そういうふうに考えて、あえてお願いをしているところでございます。
#71
○前畑幸子君 今でも三千万控除というものもございますし、税率も低いわけですから、さしてという気もしないでもありませんけれども、やはりこれだけ経済が落ち込んでいる中で、少しでも精神的に、そうした動きがどれだけの人が対象になるかということですけれども、間違いのないように、再び高騰につながることのないように歯どめをかけていただきたいと思います。
 それと同時に、地価税の問題も、今新聞に書かれていたように大変苦しいという各業界からの声が上がってきているようです。これは大変論戦をした末、税負担が一部の特定業者に偏るとか不況のため地価税の負担が重いとか、導入後一年で早くもそうした見直したとか廃止だとかという声が上がっているようですけれども、私は、むしろ平成五年度は正規の本則にきちっと戻るように頑張っていただきたいなと思うわけです。
 今おっしゃいましたように、土地神話を完全に封じ込めるため地価税の本格的な定着を図っていただかなきゃいけないのではないかなと思いますが、その決意と、それから実際に地価税が納税されてみましたら、当初見積もりより実収というものがかなり多く入ったようにお聞きしておりますが、その辺の数字をお聞かせいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(林義郎君) 地価税というのは、いろんな議論を積み重ねた上でこの制度をつくったわけでありまして、土地の保有に対して一定の負担を求めるということが地価の安定に寄与していくんではないかということでやっておりますし、それは、先ほど私も申し上げましたし前畑委員からも御指摘のありましたように、土地神話を崩壊させていく、土地神話をなくしていくという一つの大きな柱だと思っております。今回、これが本則税率〇・三%に移行するわけでございますけれども、そういった形で長期的な問題というふうに私は考えて、ぜひこの定着を図っていかなければならない、そういうふうに考えておるところでございます。
 それからもう一つのお話は、税収の予算が四千二百億円でやっているが、相当ふえたじゃないかと、こういうふうな話。正直申しまして、税を取る方からしましたらふえたというのは大変ありがたい話なんですけれども、なぜそうなったかといいますと、実を言いますと土地情報というのが非常に政府の持っているものが少なかった、税収見積もりをするときから一体大丈夫かねと、こういうふうな話をしておりましてやったんですが、実際にやってみましたならばこういうふうな形になってきた。今まで、それほどまでに土地に関するいろんな情報が少なかった。この地価税とかなんとかということをやっていきますと、私は随分いろんな情報がこれから出てくるし、そういった意味での土地政策の発展にも貢献していくんじゃないかな、こう思っておるところでございます。
#73
○前畑幸子君 当初見積もりから実際の収入が随分ふえていたようですけれども、この使い道はどのように使われているのでしょうか。
#74
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘のように、四年度の収入見込み額を四千二百億円と見積もっておりましたところ、先ほどのように増収になったということでございますけれども、地価税収の使い道につきましては、これまでもこの委員会でも御議論を賜りまして、本来土地関係の使途というものに見合った使い方がなされて当然であるということが何度も御注意がございました。
 平成五年度の予算編成に当たりましても、その点は予算当局におきまして十分重く頭に置きまして予算編成に当たったわけでございまして、若干具体的に申し上げますと、公営住宅用の土地の先行取得のための緊急整備事業の創設を初めといたします公共用地の先行取得に充てますお金、あるいは土地の基本調査の新たな実施、地価公示やあるいは都道府県の地価調査の充実というものに回しますお金、あるいは住宅宅地関連の公共施設等の整備促進事業の増額を初めとします住宅宅地の供給促進のために回しますもの、さらに市街地再開発事業やら駐車場の整備事業の拡充のために土地を有効利用する、より高度利用する、そのために回します予算、そういったものにそれぞれ充てておりまして、御要請がございました意図に即応できた予算ができたというふうに考えております。
#75
○前畑幸子君 地価税として入った税金をやはり土地に関連したそういう諸整備のためにきちっと使っていただくことをお願いしたいと思います。
 それから、聞きますところによりますと、要するに実際の課税対象となった法人がごく一部の法人に偏っていたという結果が出たようにお聞きしておりますけれども、法人と個人の保有の実態というものを少し御説明いただきたいと思います。
#76
○政府委員(濱本英輔君) 先ほど大臣からも付言されておりましたように、土地に関します情報というものは、情けないかな、国家といいますか我々の当局におきまして極めて乏しいものでございました。したがいまして、先ほどの地価税収の見積もりに当たりましても、今までよるべき実績ももちろんございませんし、よるべきデータが極めて不足しているという中で模索してつくった税収見積もりであったということを、過ぎた話ではございますけれども、先ほど大臣の御答弁にも述懐されておったわけでございます。
 今回、この地価税収が明らかになってまいりまして、いろいろな事実が明らかになってまいりました。その中から幾つか申し上げてみますと、例えば地価税の課税対象となりました法人分の土地と申しますのは、法人が所有しております土地の約六割強を占めるということが判明いたしました。地価税の納税者となった法人というのが二万八千社ぐらいございます。これは、全体の法人数が今二百五十万社と言われておりますけれども、その一%ぐらい、つまり一%ぐらいの法人が地価税を納税されたということになろうかと思いますが、その場合、この二万八千社なる法人の有しております土地の価格というのが約四百八兆円、公示価格ベースで四百八兆円と言われております。これに対しまして、先ほど申し上げました我が国の法人全体が持っております土地の資産価額というのが約六百四十四兆と言われておりますから、納税法人の割合は一%強でございますけれども、価格ベースで考えますと法人の土地全体の約六三%強が今回この対象になったということが言えようかと思います。
 それから、先ほどちょっとお尋ねがございましたけれども、法人、個人の別を見ますと、地価税の課税対象土地のうちで法人所有分というのが九割強でございまして、居住用の土地を除きました一定以上の資産価値を有する土地保有はほぼ法人に偏しておるという実態も明らかになったような気がいたします。
 それから、法人の内訳につきましても一言申し上げておきますと、法人の資本金階級別に今の状況を分析してみますと、やはり大法人に土地資産が集中しているという実態が鮮明となったように思います。例えば、資本金が百億円以上という大きな法人、これは全体の申告件数から申しますと全体の三%程度のものでございますけれども、課税価格で見ますと全体の約四割。三%の法人が全体の四割をカバーするという実態も明らかになってまいりました。
 以上でございます。
#77
○前畑幸子君 今御説明をいただくと、本当になるほど大法人の一部が大変な土地を所有していて今回の地価税の対象になったという結果が出てきたような気がいたしますので、大臣におかれましては、経済界そしてそういう業界の言葉に惑わされることのないように、信念を持って土地保有に対する地価税の導入の意義をきちっと御理解いただいて貫いていただきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。
 それに関連をいたしまして、もう一つ土地に関連して、相続税の御質問をさせていただきたいと思います。
 これも地価高騰のあおりから、都心部における相続税の負担が大変強くなってきております。
 朝日の夕刊に載っていたわけですけれども、五年二月十五日、東京で相続税の重圧に耐えかねて自殺という心の傷む事件が載っております。相続税が払えない夫婦は死を選んでしまったということでございます。これは、中を読ましていただくと、問題点もありますけれども、相続した土地を売却して納税する予定でいたものが、ちょうどバブルの終えんに当たってしまって買手がつかず、税務署からは督促は来る、差し押さえは来るということで、老夫婦が自殺をしてしまったということでございます。
 ここで、私もちょっと不思議な気がいたします。一億九千万の納税額ですので、申告を持っていったときに税務署の職員が、あなた、きょうこれだけ納められるんですか、納められなかったら、あした納めても五%の罰金がつくんですよ、そうしたら、延納申請なり物納の申請なりをしてくださいと一言言ってやっていただきたかったなという気がいたします。本人は自助努力で一カ月か二カ月のうちに売って納税をするつもりだったと思いますけれども、納税の方法は大変厳しゅうございますので、その辺をきちっと指導してあげていただきたかったなと、この紙面を見た中ではそう思います。
 この中に、「形状から切り売りは難しく、税金の物納も無理」であると言われたということのようです。それから、借地権のついている物件があったようですから、借地権のついているものは物納として税務署はとっていただけないわけですね。そういうことが重なって、この方は大変な目に遭われたわけですけれども、大臣、この新聞で御意見がありましたら、ちょっとお聞きしたいと思います。
#78
○国務大臣(林義郎君) 私も新聞でその話を拝見させていただきましたし、またいろんなところで過酷な税の取り方ではないかというおしかりを賜っていることは事実でございます。私もそういった形で亡くなられたということに対しましては、心からお悔やみを申し上げたいし、追悼の気持ちを新たにすることは当然でございますが、税の執行という問題からすればやっぱりいろいろ問題があったんではないかなと思います。
 委員御指摘のような物の考え方もありますが、税の方からすればまた考え方もあるわけでございますから、事務当局からその辺の話もちょっと聞いておいていただいた方が私はいい。これは別に非難をするとかなんとかじゃありませんが、相続税というのを御議論していただくために、いろんな問題の角度からお話を聞いておいていただいた方が私はいいんじゃないか、こう思いますので、あえてお願いいたしまして政府委員から答弁をさせます。
#79
○政府委員(濱本英輔君) ただいま御指摘がございました記事のことでございますけれども、特定の納税者の事案でございますし、関係者の当然プライバシーの問題もございますから、具体的な事実関係に立ち入ったことをここで御説明するのは適当でないと考えます。大臣が先ほど冒頭でお断りになったような気持ちを私どもも同じく持っておるわけでございますけれども、前畑先生のお尋ねがせっかくございましたので、ちょっとあの記事等から想定されますこと、あるいはそれに伴いまして、私どもの方から私どもの内部の状況等も一、二申し上げて、お聞きいただいた方がいいかと存じますので、お許しをいただきたいと存じます。
 あそこにございましたのは、相続財産が、これは一般論としてお考えいただいてよろしいのでございますが、例えば三百二十平米の土地で、その平米当たりの単価が仮に九十五万円であったといたしますと、相続税額を計算いたしますと五千万円弱という計算になろうかと思います。報道されております額は、先ほどお話しございましたように二億円近い大きな額でございましたので、今私が申し上げました額は、その四分の一ぐらいの額になってしまうわけでございます。
 したがいまして、推察されますのに、このケースでは、三百二十平米の自宅の土地以外に相続財産がほかに何かおありになったことが考えられる。個別の事案について申し上げることは適当でございませんので、一般論的に受けとめていただきたいのでございますけれども、そういうことが考えられる。したがって、相続税が払えない状況ということであったといたしまして、それがどういう状況であったかということをいろいろ思いめぐらせるわけでございます。
 いずれにしましても、先生おっしゃいましたように、相続税の納付につきまして、延納制度でございますとか物納制度でございますとか、そういう制度が現にあって、税務署でこのような事案に接しました場合に、そのような納付制度があるんだということを納税者にきちんと御説明する、そして、納税者のいろんな個別の事情に即応してどういうやり方が適切かということを親身になって相談に乗るということは絶対必要なことでございまして、それは本件も含めまして、国税当局としては十分指導させていただいているというふうに私ども聞いております。
 そういう中で、こういった事件というものが、いずれの内情によるにしましても起こりましたことは、とても残念なことでございまして、今後ともそういった意味での税務署の窓口での配慮というものには重々意を用いていかなければならないというふうに思っております。
#80
○前畑幸子君 主税局長の細かい御説明ですけれども、この方の場合は借地権つきの物件がほかにあったようでして、それは物納の対象にはできないわけですので、御自分の居住していたところを売却して納税しようという御意向だったような気がいたします。ですから、この物件しか納税の対象にする物件がなかったように私は感じております。
 それはさておきまして、もう一つ私がお訴えしたいのは、私は、名古屋市の名東区といいまして名古屋市の東部の外れ、昔ですとイノシシが出るような田舎でございましたけれども、地下鉄が引けまして、そして東名の名古屋インターチェンジができまして、大変なところになってしまいました。昔はウグイスが鳴いていたところですが、今はもう高速道路が東京並みに高架で走るところになってしまいました。
 それは土地区画整理というものをしていただいて、社会資本の整備によって大変地価の値上げをしていただいたわけですから、ありがたいことだということなんですけれども、そこに住んでいます一人の五十ぐらいの御主人が、二年前に八十幾つの父親が亡くなって相続が発生したわけです。
 彼いわく、私にしみじみと言うんですね。代々地主で、跡取りで、どんなに土地が高価なものになっても、わしたちにとってはただの土だ。親に残してもらった土地を、先祖の土地を一生懸命守って維持していくことで精いっぱいできょうまで来てしまった。それを売って楽な生活をすればいいけれども、それではもうこの町に住んでいられないぐらい放蕩息子として非難される。だから、固定資産税を維持するために駐車場だとか少々の貸しビルをつくって一生懸命維持してきたのがきょう現在だと。
 自分では一回も高くなった土地を売っていないわけですけれども、近所がどんどんバブルで売り買いされて、きのう二百万がきょう三百万、一カ月したら五百万というような状況になってしまった。こんなことで、相続のときには全部土地を失わなきゃならないなと思っていたけれども、一番バブルの高いところでおやじが死んだ、時を選んでくれなかったものだから、大変な相続税になってしまったということなんです。私が胸を打たれるのは、跡取りというのは土地を売ったら笑われるわけですし、そしてまた自分が一回も売ってもうけたわけでもない土地がすごい評価になってしまったと嘆いているんです。
 それはさておきまして、そういうまじめに人生を歩んできた人が、一生懸命これから売って相続税を納めていこうと思ったわけですけれども、父親の亡くなった年が悪かったために、申告するころには実勢価格がどん、どん、どんと、こう下がってまいりまして、例えば一千万で売れていたものが評価額で六百五十万、今はそれが四百万でも売れないんですね。
 ですから、頼むに、お国の税務署さん、物納で取ってくれと言うんですけれども、税務署は延納申請をして自助努力でお金で納めると言った以上、物納を認められないんです。ですから、銀行はお金をなかなか貸していただけませんし、今どれだけ土地の単価を下げていっても買っていただく方もないわけですので、もう二年繰り越して利息を払って耐えているんですけれども、そういう状況があるんですが、延納と物納の柔軟な対応は大臣、いかがなものでしょうか。
#81
○政府委員(濱本英輔君) 相続税の延納適用者に物納への切りかえを認めてはどうかというお話でございまして、このお話はたしか以前にもこの席で前畑先生から御指摘をいただいたことを私よく記憶させていただいております。
 少しお時間をいただきまして、私どもの考え方を聞いていただきたいのでございますけれども、租税というのはあくまでも金銭による納付が原則でございますから、財産課税である相続税におきましてももちろんそれが原則でございます。ただ例外として相続税の場合には物納ということを認めている。相続税の物納というのは金銭による即納がもちろん困難であるほかに、延納によってしばらく時間をかけて納付していくという形をとることも困難であるという事由があります場合に、一定の申告期限までの納税者の申請に基づきまして税務署長がお認めをすると、そういうルールにしておるわけでございます。
 今の御提案は、異常な地価高騰とその後の急落という現象の中で、土地を売却して相続税を納付するつもりで延納を選択しておったところが、土地が売れないもんだから、売れずに納付が困難となるというケースに限りまして物納への切りかえを認めてはどうかということかと存じます。
 この場合、その趣旨なりお気持ちは非常によくわかるのでございますが、今までのプリンシプルに照らしてどういうことになろうかと申しますと、まず租税債権は金銭納付を原則とするというこの原則、これは近代の租税制度というものをどう構築していくかという上におきましては基幹となる部分でございまして、重い原則だと思いますが、まずその原則に対する例外、これが一つ現にあるわけでございます。
 それから二番目に、申告期限後に一たび自己の責任といいますか、自己の計算で納付方法を選択されました納税者が、再度例外の納付の物納をされることについて選択権をお与えするということになりますので、そこに二重のといいますか重ねての例外の選択というものをお認めするという事態が生ずるということが二番目にあろうかと存じます。
 さらに、物納は相続開始時点の価格で収納いたしますことから、課税時期以降のリスクを当該財産を管理しておらない主体、つまり当該財産につきましては手も足も出ないといいますか要しなかった主体に負わせることになる。つまり、この場合主体というのは国であろうかと思いますが、あるいは一般の他の国民ということになろうかと思いますけれども、それが負うという形になってしまう。そのことをどう考えればいいかということになるわけでございます。
 しかし、私どもは状況が状況であるということは、先回の御指摘もそうでございましたし、その後もたびたび諸方面からもそういった問題提起をちょうだいいたしました。考えました。今回改正案として見ていただきます中に、相続税の納付に着目いたしまして延納の利子税を引き下げる、延納の負担を軽くするということが一つの新しい政策として選ばれたということを申し上げておきたいと思います。
 それから、また翻って考えますのに、これは前のときにも前畑先生おっしゃっておったことでございますけれども、物納申請に係る財産が物納財産として不適当としてその変更が求められまして、他に物納に充てる適当な財産がない場合には延納を認めることとしておるけれども、物納から延納には行くわけだから延納から物納に行くことも認めたらどうかといったしかお話をいただいたと思います。この物納から延納へという流れは、いわば例外納付からより原則納付に近づいてくるという順序でございまして、先ほどるる申し上げました構築しておりますプリンシプルからいいますと、なじみやすい選択であるということを申し上げたかったわけでございます。
 いずれにしましても、そういう状況で、延納しております相続税額に対しましては裏でそれに見合います担保の提供が要件となっておるはずでございまして、現実的な解決の形としましては、延納による納付が困難になりましたときは提供されております担保を処分するという形で実際には物に戻って現実的な解決が図られるということになろうかと今は考えます。
 私どもとしていろいろこの問題を打開の方法がないかということで検討してみましたわけでございますけれども、今日までのところ、今申し上げましたような整理をなかなか容易に踏み越えにくいという感じを持っておるということを御報告申し上げなきゃならぬ状況にございます。
#82
○前畑幸子君 この自殺をした老夫婦も、「地価高騰も無関係だったのに」と遺族の方もおっしゃっているんですね。何十年もそこで住んできて、地価高騰のあおりなんて、何にも私たちは関係なかったのにと言っているんです。今私が訴えたのもそういうところなんです。売り買い売り買いをしてもうけてきた人とそこに区別が税務署でできるわけはないので、それは一概には無理かと思いますけれども。
 そうしますと、日本の経済がバブルバブルで、今まではそんな土地が下がるなんということはそれこそ逆神話で、考えもしなかったのが土地だったと思います。それはやはり政府の土地政策に対する誤りもあったのではないかなと思うんです。土地の実勢価格が路線価をも下回るという状況になってきたこと、この逆転現象が生じてきた現在、それは国民として私たちは喜んでいるわけなんですけれども、たまたまその時点に当たった納税者たちにとっては大変なことなので、やはりこれは税制の一環として、土地を公有地化していくという意味でも物納ということも、この五年間ぐらいの土地上昇率を考えますと、この四、五年の間に相続人になった人たちというのは本当に大変な状況にあるようです。
 ですから、私は、勝手なことを言うようですけれども、私にあるわけじゃないので、人のことを言うわけですけれども、延納、物納制度の拡充を提案したいというよりも本当にお願いをしたいと思うわけです。何としても延納、物納制度の一層の弾力化を今後検討していただけないものかなと思いますけれども、大臣の温情ある納税者への御答弁はいただけないものでしょうか。
#83
○国務大臣(林義郎君) お答え申し上げます。
 今、お話を聞きまして、物納の問題というのは私は難しい問題だと思うんです。実は、大蔵大臣になりまして、大阪、名古屋と、こうちょっと行ってみたんです。地元で国税局、財務局からいろいろお話を聞いたんですが、昨今非常に物納がふえておりまして、件数的にも非常にふえてきておる。
 いろいろと物納のところの段階で、今前畑委員御指摘のように問題があります。しかし、今度物納していただく方も、どういうふうな形で管理をするかというのはしかく簡単な話じゃないんです、これは。国税局で管理をするのか財務局で管理をするのか、どこでどういうふうな管理をするのか。土地の管理といっても土地だけ持っておりさえすればいいというわけじゃありませんし、建物でもあればその建物の管理ということになったら、またこれは大変な話だと思うんです。
 今まで余り物納してない、金銭で納めてもらうということを原則にしてやっておりましたが、実はそういった問題も私は正直言って出てくるんだろうと思うんです。お話のように、土地が非常にバブルで上がっちゃった、下がった、そのときにどうするか、何かやっぱり考えていかなくちゃいけない。相続税は相続税として、皆さん何とか納めなくちゃいかぬという気持ちは持っておられるんでしょうけれども、そこをどうするかというような問題はあると思います。
 先ほど局長からお話し申し上げましたように、租税というのは金銭で納めることが原則だ、物で納めるのはあれだと。これは資本主義社会の持っているところの原則でありまして、明治以来貫かれたところの原則だろう、私はこう思います。
 そうしたいろんな問題がございますので、私らもこれは重たい宿題、非常に大きな問題だというふうに受けとめまして、少し勉強さしていただきたいな、こう思っておるところでございます。
#84
○前畑幸子君 銀行、ノンバンクなどが勝手につり上げた土地価格に対しては、財政投融資とかいろいろな政策を考えていらっしゃるわけですので、今大臣がおっしゃいました、納税の方法も国税局が受け取っても財務局がそれはだめだというような、財務局と国税局との間にもいろいろ駆け引きといいますか、やりとりがあるんですね。例えば、借地権のついたものなどは絶対にとらない。更地にして全くもうきちっとしたものでないととらないとか、大変物納にするための手数料もかかるわけです。そういうことを私も体験してきております。
 この八十四ページ、「相続税の延納・物納の利用状況の推移」というところに物納許可、平成三年五百三十二件と書いてございますけれども、これは申請件数としてはどのぐらいあったのですか、わかりませんでしょうか。
#85
○政府委員(中山寅男君) お答え申し上げます。
 平成三年度申請件数といたしましては、三千八百七十一件でございます。そのうち許可をその一年間でいたしましたのが五百三十二件と、こういうことでございます。
#86
○前畑幸子君 これを見ていただきますと、三千八百七十一で五百三十二件しか許可はされてないということなんですね。このぐらい物納というのには厳しいんです。
 私も、去年来からいろいろな税理士の先生に御批判をいただいているんですけれども、水道管が少し出ていてもとれない、それを埋め込んでもう一度見てもらうとか、それから測量が〇・一平米違っていても測量のし直しを不動産鑑定士とか測量士を入れてしなきゃならない、大変物納に対する手数料がかかるということも、これ納税者の大変な負担になっているわけです。土地というものに数字を与えて、それを財産価値として相続税を納めさせた以上、やはり今度は、物納の仕方にももう少し寛大な措置というものが私は必要なのではないかなという気がしてなりません。
 例えば、昔の地主はたくさんの借家を持っていますけれども、二十年も二十五年もたてばお家賃は上がってきません。ところが土地の評価額はどんどん上がっているわけです。そして、借家権、借地権というものがついていますと容易にどいていただくわけにもいきません。そうしますと、それは物納ができない。大変な問題が出てきているわけで、これは日本のきょうまでの五十年間の土地政策、借地借家法などいろいろな問題をほうりっ放しにしてきた結果が、きょう現在にしわ寄せになってきていると私は思います。
 ですから、やはり相続税を納めることは当然のことですけれども、取り上げる以上、取りやすく、出しやすくしていただくということも私は必要ではないかなと思います。
 ですから、今、借地権、借家権、そういうものを持っている土地所有者、それから物納をしたくても、この土地一つしかない納税者もいるわけです。その一つが例えば三億の評価額があるとします。ところが相続税が一億しかないとしますと、それは物納として認められないんです。分筆せよと言われても、例えば四十坪の土地を分筆するわけにもいかないわけです。いろいろな矛盾が出てきておりますので、今後、土地というものは日本に限られた坪数なんですけれども、これを公有化していくという方向に向けても、納税しやすいよう、物納しやすいようなお取り計らいもお願いを申し上げたいと思っております。
 これから土地がどんどん下がっていくわけですから、そういう問題は出てこないかもしれませんけれども、バブルの時代に延納申請をしている大変多くの納税者は、二十年年賦にしてやったからいいじゃないか、十年で納めると言ったんだからゆっくり納めればいいじゃないかというものの、とても納められないような税額を抱えて苦しんでおりますので、再度、勝手なお願いですけれども、そうしたことも踏まえて御検討をいただきたいと思います。
 この三千八百七十一件のうち五百二十二しか物納の許可が得られていないというところに私は大変びっくりしておりますけれども、このことに関して大臣はどう思われますか。
#87
○国務大臣(林義郎君) 実は、今のお話でございますが、三千九百七十三件未済と、こうなっていまして、許可が五百三十二件、取り下げ等が五百四十一件で、要するにまだ未済、処理できないという形になっちゃっているわけです。
 これは平成三年でございまして、平成四年になったらもっとふえているんじゃないか。まだ数字が出ていないけれども、私がそんな推測を申し上げてもおかしいんですが、もっとふえているという感じを私正直言って持っているんです。
 これからどうするかというのは、せっかく税金を納めましょうと、自分の先祖伝来の土地を出してでも納税をしなくちゃならないという国民の気持ちというのは私はこれは酌んでいかないと、それは土地じゃだめだとかなんとかいう余り冷たいことを言ったんじゃ正直言っていかぬのだろうと思います。
 しかしながら、今委員まさに御指摘のような、借地権があったときに一体どうするかとか、担保権がついていたときにどうするかこうするかというような話になっちゃったら、非常に私は難しい問題があると正直言って思います。だから、そういったものをいろいろやっていかないといけない。だからこそ、いろんなことがある。土地の問題というのは非常に複雑な問題でありますから、これをやっていったらどうかなということを、慎重にいろいろな角度から検討していくことが必要だろう、こう思っています。
 実は私、もう一つ申し上げますが、私が前におったところの近くに土地があいちゃったんです。何でだろうと思ったら、飲み屋のおじさんが亡くなっちゃった。それが恐らく物納か何かになっちゃったんで、その土地が全部草ぼうぼうになっちゃっているんです。町の真ん中ですよ。田舎だったら草ぼうぼうというのはいいんですけれども、町の真ん中で草ぼうぼう。それをだれが管理しているんだか、どうもその辺は物納したおかげであんまり管理がうまくいかない。物納してもらうと、今度は管理の方をどうするかというような問題もまた出てくる。
 その辺もしっかりやっていかないと、単に物納してありがとうございます、それは確かにそれで済むんですが、それからどうしてやっていくか、今度は国がいろんなところで土地をたくさん持っておりましたら、これをどうしてやっていくかというのは別の観点からもまた一つ問題が私は正直に言って出てくるだろうと思うんです。そういったこともありますし、御趣旨もよくわかりますから、私たちの方も少し勉強させていただきたい、こう思っておるところであります。
#88
○前畑幸子君 今大臣御心配されたように、昨年は地価税の問題もありまして評価額の決まるのがおくれましたので、去年の相続税申告者はほとんどことしの一月四日が期限だったと思います。その一月四日の相続税物納申請者を見ていただかれたらびっくりするぐらいほとんどの方が物納ではないかなと私は思っております。
 ということは、国税当局におかれましても大変な問題だと思います。これは財務局がいかぬと言うからとか、うちはいいけれどもとかいうそういう問題じゃなくて、国税局の範囲で納税者と対応して、いっときも早く許可を出してやっていただきたい。これには一つ納税者の精神的な悩みというものがあるんです。七十、八十になりまして、物納してやる許可がまだおりてこない、いつだろういつだろうと一カ月が非常に長く感じて、もう胃を悪くして医者通いしているというおばあさんもいるわけですので、そういうことに対する対応も早くお願いしたいし、また大臣今お悩みのように、国はお金が入らずに、相続税が入らずに土地ばっかり入ったらどうするんだと。
 これは時間がございませんから、やっぱりそれはまた次の、私もシリウスで土地の動きを勉強さしていただいておりますけれども、地方では公共事業をやろうと思っても土地がなかなか思うようにならなくて困っているわけですから、その辺は国と地方との関連したいろいろな組織を考えていただきまして、公共事業に対する売却を優先し、そしてまた私ども国民に対してもお値打ちな金額で売ってもいいんじゃないか。そういう機構をひとつつくっていただいて、今後は考えていただくような方向も一つの手ではないか。時間がないので、簡単なことであれですけれども、そういうような機構的なことも考えていただいて取り組んでいただきたい。
 私は、これから物納という時代になっていくだろうと思います。そしてここ四、五年の納税者の苦しみも酌み取ってやっていただきたいことをお願いして終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#89
○委員長(野末陳平君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時一分開会
#90
○委員長(野末陳平君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として山田健一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#91
○委員長(野末陳平君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#92
○牛嶋正君 私は、租税特別措置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、きょうは相続税を取り上げ、今政府が相続税に対してどのようにお考えであるのかお尋ねしてまいりたいと思いますが、その前に、租税特別措置のあり方に関しまして初めに私の意見を述べさせていただき、その後政府のお考えをお尋ねしてまいりたいと思います。
 そもそも望ましい税体系を確立するためには、初めに、想定されます租税原則に基づいて税制を構成する税目を選択し、できるだけ租税原則に適合するように税構造を組み立てていくことが求められると思います。昭和六十二年の税制改革では、公平、中立、簡素の三原則が掲げられましたが、今もこの三原則はそのまま変わっていないというふうに考えます。
 しかし、税の問題を非常に難しくしているのは、一つの税目がこの三つの原則とも完全に適合することが非常に難しいということでございます。例えば、所得税は公平の原則を満たすわけですけれども、中立の原則に対しましては必ずしも十分な税とは言えません。反対に、消費税は中立の原則はよく満たしておりますけれども、公平の原則からいえば問題が残ります。したがって、望ましい税制を組み立てていくときは公平、中立、簡素の諸原則のいずれかの原則を満たす税目を組み合わせて税体系を構築することがこれまで試みられてきたわけでございます。今大蔵省が言っておられます所得課税、消費課税、資産課税のバランスのとれた税制という考え方もこういったことに基づいているのではないかと思います。
 しかし、そうしたタックスミックスをいかにうまく行っていきましても、それぞれの税が持っております問題点はそのまま残ることになります。例えば、所得税の持つ労働意欲に対する阻害要因は消費税が導入されたからといって消えるものではありません。そうだといたしますと、よりよい税制をつくっていくためには、タックスミックスのほかに、個々の税目の中でできるだけバランスよく三原則を満たしていくように税構造を工夫していかなければならないのではないかと思います。そのために用いられるのが租税特別措置ではないか私はこういうふうに考えております。
 例えば、利子所得に対する課税が貯蓄意欲に対しましてそれを阻害するような要因、効果を持っておりますけれども、それを避けるために利子課税に対しまして源泉分離課税の特別措置を設ける等がそうではないかと思っております。その意味では、税制を組み立てていく上で、租税特別措置というのはいわば潤滑油の役割を果たしているのではないかというふうに考えるわけでございます。しかし、本体の税目がきちっとした体系を、税構造を持っていなければ、幾ら潤滑油を注ぎ込んでも、例えば比喩的に申しますと、歯車は滑らかには動かないんではないかというふうに思っております。
 このことからいいますと、租税特別措置の整理合理化に当たっては、本体とも言うべきそれぞれの税目の税構造と常に関連づけて行う必要があるというふうに考えております。先ほどの歯車を使って比喩的に申しますと、歯車のスムーズな回転を促すためには潤滑油が足りないのか、それとも歯車の構造自体が問題を持っているのかそのあたりを十分に見きわめていかなければならないのではないかと思います。
 例えば、今度問題になっております老人等の利子非課税制度の見直しに当たりましても、本体の方で所得税の総合課税制度を徹底いたしますと、この問題はいわば租税特別措置では議論しなくてもいいんではないかというふうに思うわけでございます。
 このことから、私は、ですから租税特別措置の見直しに当たりましてはそれだけを見るのではなくて、常にそれと関連する本体の税構造そのものを見ていかなければならないというふうに思っておりますけれども、こういった私の考えに対しまして大臣はどのようにお考えなのかまずお聞かせ願いたいと思います。
#93
○国務大臣(林義郎君) 牛嶋先生は経済学者としましてこの辺御専門の方でございますから、大変学識も深い方でもございますし、私もいろいろのお話等も聞かしていただいているところでございます。この機会をかりまして改めてお礼を申し上げておきたいと思います。
 今のお話のように、租税特別措置というのは個別の税目のすべてが原則を満たしているものでない、いわば潤滑油的なものであるんではないかというようなお話でございます。全くそうだろうと思いますが、潤滑油とそれから歯車との関係をと、こういうふうなお話でございましたが、私は思いますのに、租税特別措置の中には特定の政策目的を実現するために設けられておりますところの政策税制というのがございます。これは税の政策じゃなくて、ほかの省のいろんなエネルギー政策その他の政策がございます。それと、必ずしも政策税制として取り扱うべきではないけれども当面の措置として租税特別措置法に定めているものがあると思うのでございまして、租税特別措置の中でもやっぱり性格の異なるものもあるように思っているところでございます。
 前者の政策税制は先ほど申し上げましたようなことですが、政策税制以外のものとして取り扱うもの、例えば国に財産を寄附いたしました、そのときの譲渡所得の非課税制度というのもやっぱり租特の中に入ってくる。これらは本当は本則の中に入っていても考え方としてはいいのかもしれない、こう思うのです。
 そういったような話もありますし、先生御指摘になりましたような老人課税の問題にいたしましても、私はこれはたびたびお話し申し上げていますけれども、本来はインカムゲインなりキャピタルゲインの話でありますから、本当は全部のものを総合して取り扱うようなシステムができましたならば、その中で私は本来考えた方が素直な話だと思います。午前中もお話し申しましたように、老人の施策についてどんな形でやっていくのかというようなこともありますから、そういったものをどう考えるかということですが、今そこまでいっていませんものですからこんな租税特別措置の中でやっているというようなものも私はあるんだろう、こう思っております。
 そういった意味で、両々相まっていろんなことをやっていかなければならない。言うまでもありませんけれども、全体といたしましては常時社会経済情勢に合うかどうか、そういったことにつきまして常に不断の見直し、検討を続けていかなければならない、このように考えているところでございます。
#94
○牛嶋正君 今申し上げましたような立場から、きょうは相続財産に対する課税の特例等に関連いたしましてその本体の方であります相続税を取り上げて、その課税根拠あるいは基本的な問題につきまして二、三、御質問をしてまいりたいというふうに思っております。
 我が国の相続税は先進国の中でも最も税負担が重いというふうにみなされておりますけれども、私はこれは相続税の課税目的と非常に密接に関連しているのではないかというふうに思います。この課税目的は必ずしも各国共通のものでありませんで、それぞれの国がそれぞれの独自の課税目的を持っているようでございまして、その課税目的を実現していくために税構造なりあるいは課税方法を決めている、こういうふうに見られるわけでございます。
 各国で取り上げられております課税目的というのを私なりに整理させていただきますと、四点ぐらいにまとめることができるのではないかなと思っております。一つは、死亡を機会といたしまして納税者の財産処分権に対して制限を加えることを目的とする。二つ目は、何の努力もなしに財産を得る権利に対して制限を加えることを目的とする。そして第三番目は、富のより平等な分配を実現することを目的とする。そして四番目は、未実現のキャピタルゲインを資産相続を機会に捕捉することを目的とする。
 こんなぐらいの課税目的が各国で用いられているようでございますけれども、このうち一と二は私有財産権の一部を制限するものというふうに解釈できますが、我が国の現行租税制度のもとではどのような課税目的のもとに相続税が課税されているのか、まずお聞きしたいと思います。
#95
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘がございましたように、古くから言われております相続税の課税根拠、理論的根拠というものに即して我が国の相続税というものも論議されてきたというふうに我々も考えております。
 相続による財産の無償取得、つまり偶発的な原因によりまして財産の不労所得が起こる、それに担税力を見出して負担を求めようとする考え方。それから巨額の財産を相続しました者とそうでない者との間のバランス、つまり富の過度の集中を抑制して、先ほど牛嶋先生おっしゃいましたようにより平等な分配を図る。あるいはこれは今の御指摘にそのままはございませんでしたけれども、もう一つ時々言われますことは、被相続人が生前に税制上の特典だとか、場合によりまして税制上、税の制度というものも逐一変わったりいたすわけでございまして、そういう中にあって納税の機会を失した蓄財がある、そういう財産を相続の際に精算するという、そういう所得税の補完税としての機能を言われる場合もございまして、そういった複合的な目的のもとに相続税制というものが論議されてきた、こう考えております。
#96
○牛嶋正君 今、生前納税の機会を失ったという理由をもう一つ追加されましたが、それは先ほど四番目に挙げた課税目的でございまして、今御指摘のように、この四番目と申しますのはもう一度申し上げますと、未実現のキャピタルゲインを資産相続を機会に捕捉するというものでございますが、そういう意味では所得税におけるキャピタルゲイン課税の補完という役割を担っているのではないかというふうに思うわけでございます。したがって、この点については所得税と関連づけて議論する必要があると思いますけれども、現在の所得税でのキャピタルゲイン課税は実現主義に立っておられるわけでございますね。
 したがって、この資産相続、資産が相続される時点をキャピタルゲインが実現する一つの機会であるというふうにとらえるのか、そうではなくて、資産相続というのはそこではキャピタルゲインは未実現であるというふうにとらえるかによりまして所得税のキャピタルゲイン課税の性格が変わってくるわけでありますけれども、今は相続される時点ではキャピタルゲインは実現しないという立場に立っておられるのではないかというふうに思います。そのために土地の供給が、結局相続でどんどん幾世代もキャピタルゲインの課税の負担を引き延ばすことができるわけでありますから、私はそのために非常にロックイン効果が強く働いているのではないかというふうに思います。
 そうだといたしますと、土地問題とも関連いたしまして、この際、所得税におきまして相続の時期にキャピタルゲインは実現するという立場をとってはどうかというふうに常々私考えているわけであります。その方が所得税の公平性というふうな観点からも、また相続税の課税目的であります富のより平等な分配にも適合していくのではないかというふうに思いますけれども、この点についての今の大蔵省のお考えをお聞きしてまいりたいと思います。
#97
○政府委員(濱本英輔君) 牛嶋先生を前にいたしますと、いつも学問的な御教示を賜っているものでございますから、つい、そういう事柄としてお話を理解しておるところがございますので、もし不適切な表現がございましたら御注意をいただきたいと存じますが、つまり、先生が先ほど相続税のそもそも課税根拠として四つお挙げになったその四番目のものと、私が申し上げましたものでございます、つまり課税の機会を失して蓄財が生じておる。それをどう考えるかという問題と、そのとらえ方は必ずしも、何といいますか一通りではないというふうに思うわけでございます。と申しますのは、これから私が御答弁を申し上げますこととそこが抵触をするのかなという気がしたものでございますから。
 と申しますのは、シャウプ勧告におきまして、今御指摘がございました点につきましては、生前中たると死亡によるとを問わず資産が無償移転されました場合、そのときまでにその財産につき生じた利得とか損失はその年の所得税の申告書に計上しなくてはならない、こういうふうな整理が行われたわけでございます。
 この勧告を受けまして、実は昭和二十五年の税制改正で、相続とか贈与によりまして資産の移転がありました場合には、そのときの時価により譲渡があったものとして、つまり牛嶋先生のお言葉をかりれば、そのときにまさに実現したものと見てそれらの所得につきましてみなし譲渡課税というものを行う、そういう規定が設けられました。
 しかしながら、このようなみなし譲渡課税がその後うまくまいったかどうかということになるわけでございますけれども、相続時に通常の相続税の負担をしました上にさらにその相続しました財産につきましての譲渡所得税負担を同時に求められるという結果になるわけでございまして、しかもその税を払うための現金というものがそこで必要になるわけでございますけれども、それはその瞬間は現金化されない状態にある。しかしそれをあえて所得として課税するということをどう理解するかという問題が提起されました。
 いろいろ議論がございました末に、昭和二十七年の改正におきまして、相続及び相続人に対する遺贈による財産の移転についてはみなし譲渡課税を行わないこととし、相続人または受遺者に被相続人の取得価額を引き継がせて、実際にその資産が処分されましたときに所得が実現する時点で初めて課税を行うというふうに、今の形式に改められたわけでございます。御指摘のような考え方は、現に、かつてもそういう議論がございましたし、シャウプの段階で今申し上げましたような整理が行われておったということもそのとおりなんでございますけれども、現行の課税方式というのはこうしたその後の経緯を踏まえまして定着してきておるものでございまして、今私どももこの基本原則を直ちに改めなきゃならないというふうには思ってないわけでございます。
 ただ、昨年来いろいろ相続税に関しましていろいろな問題がございまして、やはり負担の適正化ということからしまして、譲渡します場合の譲渡財産、その取得価額をどう見るかというようなことにつきましては、かなり、先ほどの牛嶋先生の御指摘のように、潤滑油的な租税特別措置の活用ということをおっしゃいましたけれども、そういう現実に妥当するための特別な特例、これは法律に限りません、いろいろな法律以下の方式をとることもございますけれども、そういうものも工夫しておる、これが現在の状況かと存じます。
#98
○牛嶋正君 その富のより平等な分配の実現ということに課税目的を置くといたしましても、どこまで富の再分配を進めていけばいいのか、これについてはなかなかすべての納税者のコンセンサスを得ることは難しいんではないかというふうに思っております。
 それで、我が国は先進国の中でも最も平等な社会であるというふうに言われているわけですが、もしこの平等な社会が今の我が国の社会の安定性をもたらしており、そしてまた一方では活力をもたらしているとするならば、今の平等な社会をもう少し持続していくといいますか、続けていった方がいいというふうにも考えられるわけでございます。しかし、一方ではまた子孫に美田を残すことによりまして世代がうまくつながっていくというふうな意見もあるわけでありまして、これからの高齢化を考えていく、迎えるに当たりまして、そういう面もやっぱり見逃すわけにはまいりません。
 そうなりますと、これから富の分配に対しまして、今申しましたいろいろな見方ありますけれども、大臣は富の分配に対して今は非常に適当な状況なのかそれともこれからの高齢化社会を考えた場合に、もう少し緩やかにしてもいいとお考えなのか、そのあたりのお考えをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#99
○国務大臣(林義郎君) 委員御指摘のように、私は日本というのは大変平等な社会になってきている。世界的に言いましても、金持ちと貧乏人というか中産階級との差が日本ほど平等になっているところはないんじゃないか、私はそんな認識を持っておるわけであります。それは日本の社会の同質社会というものが一つの影響があったのかもしれないと思いますし、いわば協調主義というようなものもそういったものの中にあったのかもしれないと思っています。また、もちろん言うまでもありませんけれども、相続税がそういった形になってきているということも私は役割を果たしていくことは否定できないんだろう、こう思います。
 日本のこれからの社会を発展させていくときに、できるだけ中産階級中心の平等な社会というのは私は一つの目指す方向じゃないかな、こう思っておるところでありますが、それと自由経済原則というものを一体どう考えていくかというのが一つの問題だろうと思います。いかにして、自由経済で優勝劣敗が出てくる、強者と弱者が出てくる、その辺をどうやっていくかというのが一つのこれからの経済社会の大きな問題だろう、こう思います。
 それからもう一つは、国内的にはそういうことでありますけれども、平等なという話を国際的に見たときに一体日本は、日本の国内は確かに平等だけれども対外的には違うんだと、対外的には一体どういうふうな格好で考えていったらいいのかねというのは、私は大変大きな問題であると同時に、古くて新しい問題だろう、こう思っているところであります。いずれにしましても、私は、日本の国内で平等な社会というか、そういったものがあっていく方が望ましいんじゃないかな、もう少しむしろ進めていってもいいんじゃないかなという感じを持っているんです。
 それは、この前バブルの問題ありましたですね。バブルというのは逆の形で富の不平等をつくるような結果になったんじゃないかなという私は感じを持っているところでありまして、ああいったことが二度と起こらないようにするということは、今申し上げましたような日本の社会のことからして、決してバブルなどというのは好ましいものでなかったという私たちは反省をしていかなきゃならないのじゃないか、そういうふうに考えておるところでございます。
#100
○牛嶋正君 今バブルのことがお話に出ました。ちょっとそれに関連してお聞きしようと思っていたんですが、バブルが発生いたしまして、資産インフレが起こっているときには資産格差が非常に拡大しているんだということが言われておりました。今度は逆に資産デフレになりますと、その議論でいきますと縮小していくのかなという気がするわけでありますけれども、今回のバブルの影響がそういった富の分配状態にどういうふうな影響を与えたのか、この点についてもし何か具体的なデータがございましたら、お示しいただきたいというふうに思います。
#101
○政府委員(濱本英輔君) 非常に大事なお尋ねでございますけれども、なかなかこの富の分配状況を客観的に捕捉してお示しをするということは難しい作業でございまして、お気に召すようなデータが政府部内になかなか十分御用意できない状況にあろうかと思うのでございますが、一つは国民生活白書にジニ係数を用いまして、今お尋ねの例えば土地資産でございますとか金融資産につきましての格差を近年示してくれるようになりました。
 この数字でごくごく最近のところの足取りだけ見てみますと、例えば平成二年から三年にかけてでございますけれども、土地資産格差、これはジニ係数でございますから、申し上げるまでもないことでございますけれども数値は一に近いほど格差が大きい、ゼロに近いほど格差が縮小しておるということかと存じます。平成二年に土地資産格差につきましては〇・六三一三、それが平成三年には〇・六二四五、それから金融資産の方も平成二年が〇・五〇九二、平成三年が〇・五〇六。
 この数字で見ます限りはどちらも小幅ながら縮小しておるという感じもいたしますが、このポイント幾つにどこまで十分御説明にたえられるような数字であるかということを、私は、この数字は経済企画庁の数字でございますけれども、直接伺っておりませんけれども、いずれにしてもその資産格差が拡大を続けておるという状況にはないという気がいたします。
#102
○牛嶋正君 税の問題を議論するときに、所得の分配状態に関しましては比較的データはあるわけです。しかし、いつも資産といいますか富の分配状態に関しましては分析しようにもなかなかデータが得られないというふうなことです。しかし、国の方は大蔵省の方は相続税等で、それは全体の数字ではありませんけれども、そういった税という形で出てきた部分だけでもある程度つかめるんじゃないかというふうな気がするわけでございますが、相続税を通してそういった資産あるいは富の分配状態が変わってきたのか、どう変わっているのかというふうな分析はなさったことはあるのでございましょうか。
#103
○政府委員(濱本英輔君) 相続税の世界は、その年にお亡くなりになった、つまり相続税の申告をしてくださいました方々の資産に着目をしての話でございますから限定された話になろうかと思いますけれども、例えば相続財産の構成の中で土地のウエートが何%であろうかつまりお亡くなりになった方々がお残しになった財産の内訳としてこういう種類の資産がふえてきているとか減ってきているとか、そういう大きな流れというのは従来からつかまえることができたと思います。ただ、もう少しマクロ的な意味でと申しますか、国民全体の資産保有の状況にそれを及ぼしていろいろ論じるにはなかなか相続財産のデータからは限界があるのかなという気がいたします。
 さっきも午前中の御質疑にございましたけれども、最近、地価税のまた新しいデータなどもだんだん整備されるものと思います。これも一定の基準以上の土地を保有された方々の土地保有状況にすぎませんので、全体からいえばごくわずかなものではございますけれども、少しずつそういう形で個人、法人の保有しておる財産、それを全体的にとらえていくというような努力を重ねていかなきゃならないんじゃないかというように思っております。
#104
○牛嶋正君 今度は、今の相続税の累進度に関しまして少しお尋ねをしてまいりたいと思います。
 相続税の累進度は、具体的には所得税と同じ課税最低限とそれから累進税率表によって決まってくるわけでございます。とりわけ問題になってまいりますのは累進課税表でございますが、恐らくこれにつきましても、先ほどの富の分配状態がどういう状態が一番公正かという議論と同じように、なかなかコンセンサスの得られないところだと思います。恐らく、相当額の資産をお持ちの方は、健全な個人資産の形成とか秩序ある社会生活の維持というふうなことを理由にできるだけ累進度が緩やかであることを主張するでしょうし、逆に資産を持たない者の側からいいますと、高い累進課税、それによって過度の資産の集中を排除すべきだというふうな主張も出てくるかと思います。
 しかし、相続税の累進度というのを見てまいりますと、我が国ではこれまで納税者に一応認められている所得税の累進度に準拠して決められてきたのではないか、こういうふうに思うわけです。これまで所得税の累進度の見直しがなされますと、それを追うようにして相続税の方の累進度も手直しされる、こういうふうな経緯があったように思います。
 ところが、前回の所得税の改正によりまして所得税の方が思い切ったフラット化がなされたわけでありますが、一方相続税の方はそのまま累進度がほとんど見直されない形で残った感じになっております。そういたしますと、これまでの所得税の累進度に準拠した形のものがここで終わったというふうに見るのか。これからは独自の相続税の累進度を独自に見直していかなきゃいけないということになるわけでありますが、そのあたりのこの前の所得税の税制改正のいきさつなどをちょっとお話をしていただければと思います。
#105
○政府委員(濱本英輔君) これまでのいきさつといったようなことでございますので私の方から申させていただきたいと存じますが、確かに牛嶋先生が今御指摘のような着眼というのは、相続税の最高税率の議論に常につきまとっていた議論だろうと思います
 相続税の最高税率は、昭和五十年度の改正の際に、当時の諸外国の相続税の最高税率、アメリカが当時は七七%、イギリスが七五%というような率だったようでございますが、また我が国の所得税の最高税率が当時七五%であったというようなことを考慮して、そういうものも議論の中の一つの大事な素材としながら、当時七〇%でございました税率を七五%に引き上げたという経緯があったと記録されております。
 その後、六十二年九月の改正で所得税の最高税率が六〇%に引き下げられまして、またこの間の抜本改正でさらに五〇%に引き下げられることになったわけでございますけれども、それじゃ当時の諸外国の相続税の最高税率はどうであったかといいますと、やはり我が国の最高税率の水準よりはかなり低い水準になっておったと思います。
 このような状況からしまして、富の再分配という相続税の基本的な機能を考慮するとしましても七五%というのはちょっと高過ぎるのではないかという議論がございまして、これをどの程度まで引き下げるかということだったと思いますけれども、冒頭牛嶋先生からお尋ねございました相続税というのは何のためにあるのかという基本論に至りまして、これは七〇%ということにとどめようということに当時なったわけでございます。
 ただ、最高税率をどう決めるかという問題とそれぞれの税率、どれだけの価格帯にその税率を当てはめるかという問題とは相互に関連し合った問題でございまして、その価格帯の当てはめ方などもいろいろそこで議論もしたわけでございます。それで当時、結局所得課税はその所得税率は五〇%ということにされましたけれども、これに個人住民税率を加えますと最高税率は一応六五%という水準でございましたので、六五%というような水準もある程度当時の議論では横ににらみながらということではなかったかと存じますけれども、七〇%という率に設定されたわけでございます。
 確かに、今日諸外国の相続税の最高税率を見ますと、アメリカが五〇、イギリス、ドイツ、フランスはさらにそれを下回る率でございますから、日本に比べるとかなり低い率になっているかとは思いますけれども、アメリカも今度クリントン大統領が提案しております、まだ案でございますけれども、遺産課税につきましては今の五〇%を引き上げるというような動きもございまして、よその国はまたそれぞれに考えておられるのではないかなというふうには拝察しております。
#106
○牛嶋正君 大蔵省では恐らく今の所得課税それから消費課税、資産課税はバランスがとれていないんではないかというふうにお考えだと思いますし、これから恐らく考えていかなければならない所得税の改正にも、やっぱり税制全体が先ほど申しましたように全体で租税原則をうまく満たしていくようなそういう組み合わせを考えていかなければならないと思いますが、そういったこれから考えられる税制改正の中でこの相続税というのがどのように取り扱われていくのか、特に今私がお尋ねしました累進課税表についてどのようなお考えがあるのか、ちょっと最後にお聞きしたいと思います。
#107
○政府委員(濱本英輔君) 今の御指摘は、この後のことについてどのように考えておるのかということでございますけれども、まずはそのお話を申し上げます前に、足元の状況といたしまして、確かに最高税率に関しまして先ほど申し上げましたような事実があるといたしましても、日本の相続税負担が一般的に諸外国よりは高いかどうかということになりますと、一概にそうも言えないという気がいたします。
 例えばアメリカの場合には、先ほど最高税率につきましては触れましたけれども、相続税の基礎控除は高いのでございますけれども最低税率は我が国の一〇%に対しましてアメリカは一八%でございます。それからイギリスは四〇%の単一税率を採用しております。それからフランスやドイツは、税率は先ほど申し上げましたように低いのでございますけれども課税最低限も我が国に比べますとより低いものになっております。
 したがいまして、答えはすべてその中間にあるといいますか、一概にどちらの国が低いと言い切れない状況にそれぞれの国がなっておりまして、かなりやはり各国特有の形をとっておるという気がいたします。
 日本においてもその思想は今日までも相続税に関して受け継がれてきたように思いますし、今後も相続のあり方、相続の実態、それから資産の偏り方、そういうものを見ながら考えていただくものだというふうに思っておりますが、税制調査会でこれまで御議論いただきました限りで、相続税の税構造につきまして何か明確に将来の方向を示した御提言というものがちょうだいできているようには思いません。やはり牛嶋先生御指摘のような所得税との関係ということも一つその中にあろうと思いますし、これから御議論をいただくことだというふうに思っております。
#108
○吉岡吉典君 大臣は、本法案の趣旨説明の中で、課税の適正、公平を確保する観点からということをおっしゃいました。私は、その観点を貫くならもうちょっとほかにやっていくことが、必要なことがあるんじゃないかと思っているところです。
 まずお伺いしますけれども、製品輸入促進税の緩和、拡充に係る問題ですが、これによる各年度ごとの減税額はどうなっていますか。
#109
○政府委員(濱本英輔君) 輸入促進税制につきましての各年の減収額を申し上げますと、平成二年度が八百七十億円、三年度が九百八十億円、四年度が六百七十億円、これはそれぞれ予算ベースでございますけれども、平成五年度が三百七十億円、その程度のものを見込んだ次第でございます。
#110
○吉岡吉典君 この海外製品輸入促進税、これは海外に進出した日本企業の子会社からの日本への輸入の際にも適用されますか。
#111
○政府委員(濱本英輔君) 適用されます。
#112
○吉岡吉典君 そうしますと、日本の企業というのは海外に進出を今盛んに遂げておりますが、その進出した企業が進出する際にもいろいろ優遇措置を受ける、反対にその子会社が日本に輸入するときにもこういう優遇措置を受けるということは、私は税の適正、公平ということに当たるのかどうなのか大いに疑問を持つところです。
 海外進出の場合の優遇税制としてはどういうものがございますか。
#113
○政府委員(濱本英輔君) 海外進出企業に対します税制上の優遇措置としましては、海外投資等損失準備金制度というのがございます。
 この制度はどういう制度かと申し上げますと、青色申告書を提出しております内国法人が、特定の海外事業法人等の株式を取得しましてその事業年度末まで引き続き保有しております場合に、その株式の価格の低落によって損失が生ずる、そのことに備えますために取得価額の一定割合以下の金額を準備金として積み立てましたときに、その積立額の損金算入を認めるというものでございます。そのような制度がございますことを御報告しておきたいと存じます。
#114
○吉岡吉典君 いずれにせよ、先ほども言いましたように、海外に進出するときも、進出先から日本へ輸入するときにも優遇措置があるということははっきりしました。それに加えて、性格は若干違うにしろ、私はいろいろな税制上の問題があると思います。
 まず外国税額控除ですが、最近五年間の外税控除額を御報告願います。
#115
○政府委員(野村興児君) お答えをいたします。
 最近五カ年間の分、すなわち一九八五年、昭和六十年以降の外税控除額を申し上げます。
 昭和六十年、一九八五年、五千二百六十一億円、一九八六年、昭和六十一年、四千七十五億円、一九八七年、昭和六十二年、三千六百三十八億円、一九八八年、昭和六十三年、三千六百五十一億円。以下毎年の分を申しますと、四千百六十八億円、四千六百四十七億円、最終、平成三年、四千六百十四億円でございます。
#116
○吉岡吉典君 外税控除というのをすべてを私は否定しようというものではありませんけれども、この外国税額控除額というのを、これは大蔵省の予算委員会提出資料によると、大体八割以上が百億円以上の大企業になっております。大企業がそういうふうな優遇を受けている。
 私は特にここでお伺いしたいと思うのは、この税額の中には実際に税金を払っていないもの、つまりみなし控除というのが含まれている。これは国会でも私も何回か論議したことがかつて大蔵委員会にいたときございますし、それからその他でも論議になってきているわけです。製造業に例をとって、この税額控除の内訳がみなしを含めてどういうふうになっているか御報告願います。
#117
○政府委員(野村興児君) 製造業について業種を特定してお尋ねでございます。
 外税控除、平成二年分で恐縮でございますが、製造業に係りますところの控除対象外国法人税額のうちのいわゆるみなし納付税額、百四十億円になっております。
#118
○吉岡吉典君 ちょっと全体、内訳を、直接のと間接の分含めて。
#119
○政府委員(野村興児君) 製造業につきまして、その内訳でございますが、直接納付税額といたして五百五十億円、そしていわゆる間接納付税額といたしまして三百七十億円、合計が九百二十億円になるわけでございます。そのうち、みなし外国法人税額、これが百六十億円ということでございます。
 先ほど申しました百四十億円は平成三年分でございますので、そこの差が……
#120
○吉岡吉典君 同じ年の数字ではないと比較のしょうがないんですが。
#121
○政府委員(野村興児君) 失礼いたしました。
 一九九一年一月期でございます。その分について申し上げますと、直接納付税額が五百億円、間接納付が二百九十億円、その合計が七百九十億円になりますけれども、そのうち外国法人、みなしの外国法人税額が先ほど申した百四十億円でございます。
#122
○吉岡吉典君 製造業の場合ですと、そうすると結局は六百五十億円払って七百九十億円の税額控除を受けていると、そういう計算になるわけですね。
 この外国税額控除のあり方というのは、論議になった中で、とりわけみなし控除ということが論議になってきましたが、これは私は二重課税を排除するという点からいっても、どういうわけでみなし控除というのが出てくるか理解しがたいんですが、このみなしという問題はもう検討対象にもならない、このまま貫くというものなんですか。
#123
○政府委員(濱本英輔君) 吉岡先生、先ほどから幾つが御指摘を賜りましたことで一言だけお許しを得まして申し上げたいと存じますのは、輸入促進税制あるいは海外投資等損失準備金のお話を申し上げましたときに、これらはいずれも日本の進出企業を優遇するものではないかという御指摘でございました。
 しかし、私どもの方のこういった措置を検討します際のスタンスというのは、もう申し上げるまでもないことでございますけれども、輸入促進税制につきましては、日本の進出企業云々ということではなくて、輸入そのものを促進するという正面からの考え方でございますし、海外投資等損失準備金制度につきましても、それらが経済協力という側面におきまして、より広い公共的使命を果たしていく上で国がそれを手助けするという観点でございまして、企業優遇という考え方を超えた考え方でそっちも申させていただいているということをお聞きいただきたいと存じます。
 それから、今みなし外国税額控除という制度というのは一体何事かということでございますけれども、これは一般に開発途上国はそれぞれの国の経済開発を促進しますために海外からの一定の投資などに対しまして租税上の優遇措置を講じておる。先ほどの牛嶋先生の御議論にございましたまさに租税上の傾斜措置を講じておるということでございまして、投資企業の本国が海外で得た所得を一たん課税対象に取り込みまして、しかる後に海外で支払った税金を控除する仕組みを採用しておりますと、開発途上国がせっかく租税特別措置を講じて減免をしました所得が投資企業の本国で全額課税対象に取り込まれてしまう、課税されることになる。そうすると、開発途上国の立場からいたしますと、せっかく講じた減免税の措置の効果がなくなってしまうということになります。みなし外国税額控除はこうした開発途上国におけるインセンティブを減殺しないようにという計らいで講じておる措置であることをお許しいただきたいと存ずる次第です。
#124
○吉岡吉典君 最初の優遇税制という方ですけれども、そうおっしゃるんですけれども、大蔵省からもらった資料で、「海外進出企業に対する優遇措置(海外投資等損失準備金)による減収見込額」という表も私はもらいました。いろいろ理屈はおっしゃっても、やっぱり優遇措置の一つであることは間違いないというのが大蔵省の認識でもあろうと私は思います。それが悪いととるかいい必要な措置だととるかというところでは分かれるかもしれませんけれども、その点は一言申し上げておきたいと思います。
 それから、私はみなしの問題は結局どういうことになるかといえば、外国政府がまけてくれた分を法人税収入の減少という形で結果的には日本政府が負担していく、そういう結果になるわけでしょう。相手がまけてくれた分、日本の税収が減るという点では日本が負担したと同じ理屈になるわけですから。
 これは、外国税額控除の制度の適正なあり方はどうかということは大いに必要だと思いますが、私はこの点は問題が多いということをずっと元大蔵委員会にいたときから言い続けているところですけれども、再度言わせていただきたいと思います。
 それで、七大商社の外税控除、これは七は出せないということですから、出せるので結構ですけれども、どれぐらいになっているかちょっと、これはみなしだけで結構ですから。
#125
○政府委員(野村興児君) ただいまお尋ねの、大手商社九社でございますが、この外税控除が五百三十八億円、これは一九九二年三月期でございますけれども、その内訳でございますが、内国法人間における受取利子、受取配当等に課された源泉所得税が七百九億円でございます。
 みなしのお尋ねでございますが、外国税額控除に係る控除対象外国法人税額の総額が五百五十九億円でございますので、そのうち直接納付税額が三百四億円、間接納付税額が二百五十億円となっております。その直接納付税額及び間接納付税額にはみなし納付外国税法人額四十一億円が含まれているところでございます。
#126
○吉岡吉典君 今は幾ら何でも露骨だということで是正されたわけですけれども、少なくとも、私がここの大蔵委員会にいる当時の質問の中で、昭和六十年の三菱商事、伊藤忠商事、丸紅、日商岩井、トーメン、ニチメン、兼松、この七大商社の日本に対する法人税はゼロであったということですね。これは大蔵省もお認めにならざるを得ないことですけれども、日本の代表的な七大商社の日本に支払っている税額がゼロだというような結果が出るような税のあり方というものについては、今ゼロはなくす措置はとられたわけですから幾らかは払っているにしろ、私は本当に抜本的に検討をする余地がある、とりわけみなしは検討しなくちゃならないと思います。
 余り時間がありませんけれども、あとタックスヘーブンの問題を二、三お伺いします。
 まず、タックスヘーブン国指定は、日本は四十一力国のはずですね。ところが、中央大学の富岡教授が自分の研究室総がかりで調べたところでは、日本政府の指定基準は甘くて、実際は八十カ国を超えるということを国名も挙げてお書きになっています。これは日本政府の四十一カ国というのは、厳密な調査の上にこれ以外にないというものなのかどうなのか、お答え願います。
#127
○政府委員(濱本英輔君) 今の問題についてお答え申し上げますが、その前に私がちょっと誤解を生じるようなことを先ほど申し上げたかと存じますが、企業の優遇措置というのは企業の何を優遇しているかというところを御着目を賜りたいという意味でございました。
 それから先生は、先ほど外国政府と日本政府の関係で、外国税額控除につきましては日本国政府がそれだけの税収を失っておるのではないかという御指摘がございましたけれども、これは事柄からいたしまして、外国政府がそれだけ本来なら取るべき税金を租税特別措置としてまけたということでございまして、税収を失っているのは外国政府であって、日本国政府が直接その税収を失ったということにはならないのじゃないかというふうに思います。
 それから、七大商社の話でございますけれども、これは税額をどれぐらい払っているかという集計はなかなか難しいのでございますけれども、これらの商社は法人税と、それから源泉所得税ももちろん払っておるわけでございまして、それらをひっくるめたところでごらんを賜る必要があろうかと存じます。もちろん外国税額控除の制度につきましては近年厳しい運用をさせていただいておるところでございます。
 そしてタックスヘーブンの話でございますけれども、四十一カ国と申しますのは、制度を改めます直前に確かにタックスヘーブンにつきましてそれぐらいの数のものが存在するということをお示ししたことがございました。
 ところが、先年も御議論を賜ったことでございますけれども、タックスヘーブンの税制を運用してまいりますときに、いろいろな形の税の軽減というものが図られるようになりまして、富岡先生の今の所論には私は接しておりませんけれども、なかなか、事実上目まぐるしく対応が変わる、外国政府の対応も変わる、うかうかしておりますと指定漏れを生ずるということがございます。
 そういう現象は日本だけについて起こることではなくて、どの国に対してもそういう現象が起こっているわけでございますが、それに対して各国はどのように対応したかと申しますと、指定的にどの国と指し示します形でタックスヘーブンを言うのではなくて、タックスヘーブンに類しますような行為、つまり法人税負担が極端に軽減されるというような状況が起これは、そこに進出している企業の親会社はそれとして申告をするようにというふうに建前を切りかえた方がいいということになりまして、先年軽課税国指定制度というものを廃止したわけでございます。
 したがって、今は何カ国が対象になっているかということはお示しすることはできません。できませんので、四十一カ国がどうなったかということは申せませんけれども、取り組み方が変わったということは申せるかと存じます。
#128
○吉岡吉典君 なかなかとらえるのが困難だという観点があれば、私はこのところはそういうことを貫いて、適正な課税ができるように努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 もう時間が来ましたから、これに関連して二、三あったんですが、つまりぺーパーカンパニーによるところの税金逃れというものは実際に新聞報道等でもありますけれども、それはあるということはお認めになるか。あるとすれば、代表的なもので今念頭にあるのでどういうものがあるか、一、二お示し願えたらと思います。
#129
○政府委員(野村興児君) 我が国の経済は国際化に伴いまして海外取引というのが非常に多くなってきておるわけであります。そして、この海外取引を悪用といいますか活用いたしましたそういった脱税の事例というのも実は多々見られるわけでございます。
 そういったことで、私ども国税庁といたしましては、海外取引に重点を置いた調査を実施しているところでございまして、その一環といたしまして特にこのタックスヘーブン税制についての調査もその充実に努めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、タックスヘーブン対策税制を含みました海外取引調査に調査日数を十分がけて行っておりますし、その適用除外要件あるいは課税対象金額、こういったものの適否などを中心にいたしまして、徹底した調査を実施しているところでございます。
#130
○吉岡吉典君 もう一言。
 私は、この問題をあともう少し突っ込んでやりたかったんですけれども、もう時間が来ました。私はここで再度、適正、公平な課税ということなら、やはり第一に国際的にも異様だと言われる過大な減価償却制度を改める問題、第二に国際的にも手厚過ぎると言われる内部留保制度を少なくとも欧米並みに整理すること、第三に今申し上げましたタックスヘーブンへの進出企業に対する適正な課税、それから外税控除の見直しというようなことを求めたいと思います。そうすることによって今の不況対策に回す財源を生み出せるということを申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。
#131
○池田治君 利子非課税制度についてお尋ねをいたします。
 今回の法改正によりまして老人等の利子非課税制度の非課税限度額が平成六年一月一日以降、三百五十万とする特例措置が講ぜられることになりました。この点については前々から、いや、七百万が適当じゃないかとか、ゼロがいいんじゃないかとか、いろいろ議論がなされたところでございますが、結果として現行の三百万から三百五十万と五十万だけ高くなったわけでございます。この端数の五十万というのは、どういう根拠で五十万を出されたんでしょうか。
 これは、もともと老人福祉の行政という立場から考え、また高齢化社会を迎える今日においてはもっと高い方がいいんじゃなかろうか、こう考えますが、その点はいかがでございますか。
#132
○国務大臣(林義郎君) この問題は随分いろいろと議論のあったところでもありますが、そもそものこの制度はキャピタルゲインと申しますか、利子課税についての源泉をやりましたそのときに、本来はそういったものについては一律課税をしていこう、こういうふうな話で始まった話でありまして、郵便貯金のような問題につきましても全部一律にかけていかなければ、全部捕捉してやらなければならないんじゃないかなという話であったんです。それをやはり老人だけは何かしてやろう、こういうのがそもそもの発足でありまして、いわば例外措置でやったわけでございます。
 それが相当時間もたっておりますから、時間の経過もありますから、大変な御要望もありましたので、そこは五十万を上げていったらどうかなというようなことでこの制度をつくったわけであります。税全体の考え方からいたしますと、こうした制度が残っているというよりは、老人に対する本当の所得対策でいろいろなことを考えますならば、むしろ別なことを考えてやっていかなければならない。
 一方で、御指摘のありますような国民総背番号制度であるとかなんとかというような格好になりましたならば一体どうするのかというようなことも考えなければなりませんし、また老人の年間の所得と申しますか収入と申しますか、年金にだんだん頼ってきているところでありますから、年金に対するところのものを厚くしていくという形でありまして、老人が稼ぐところの勤労性所得とか、あるいは今お話のありました貯蓄によるところの収入というようなものにつきましては、若干優遇措置をするのはどうだろうか、一般的な形の方に持っていった方が望ましいのじゃないかなという感じを私は持っておるところであります。
 しかし、今現存している制度でございますから、それも長いことやって同じようなことになっておりますから、少しそこは五十万円ぐらいは上げていったらどうかなというのが正直なところ、今回の提案の理由でございます。
#133
○政府委員(濱本英輔君) 大臣のお答えにつけ加えることは何もございませんが、先ほどちょっと手を挙げかけたものでございますから、御指名をいただいたのかと存じます。
 政府税制調査会等の論議でも、結局、この新しい措置によりまして優遇を受けます層というのはどういう層であろうか、その層を優遇するためにはだれが負担をするのかということを中心に議論がございまして、このような措置がいたずらに拡大されるべきではないという強い議論が一方にございました。他方、これは有用な制度であるということで何とか枠を引き上げてほしいという要請がございまして、そのぎりぎりの論議として決着したものでございます。
 たまたま五十万円の引き上げというのは、同じような制度が三つございますので、合わせましたところでまいりますと、限度額が今までの九百万円から一千五十万ぐらいになるわけでございます。一千五十万といいますと、高齢者世帯の今の貯蓄の分布からいたしますと、大体標準的な真ん中ぐらいの層をカバーする額になっておりまして、結果的にそれぐらいのめどに合ったものになっておるということかと存じます。
#134
○池田治君 六十歳以上が老人かどうか知りませんが、この人たちの預金の率といいますか預金残高、一千万以上は幾ら二千万以上は幾ら、ゼロの階層は何人おるか、こういうことはわかりますか。
#135
○政府委員(濱本英輔君) 手元にございます全国消費実態調査、これは平成元年の総務庁の統計でございますけれども、で申し上げますと、高齢者夫婦世帯の貯蓄現在高でございますが、三百万円未満の層が全体の一五・一%、三百万円を超えまして三百万円以上五百万円未満が一一・七%、以下千万円未満が二二・四%、千五百万円未満が一四・一%、二千万円未満が九・五%、二千万円以上が二七・二%という分布でございます。
#136
○池田治君 二千万以上もかなりおられるわけですね。
 三百万以下というものの層の中にはゼロという方がどれだけおられるんですか。
#137
○政府委員(濱本英輔君) ちょっと手元の統計ではゼロという層につきまして数字が示されておりません。
#138
○池田治君 この預金残高の割合から見ますると、一番多いのは五百万から一千万の間であるということになりますと、三百五十万の非課税というのはそう安くもないし高くもないしということであろうと思いますが、この五十万に限ったということはどういうことが根拠たんでしょうか。
#139
○政府委員(濱本英輔君) 先ほども申し上げましたような二つの方面からの論議のぎりぎりの調整の結果と申し上げるほかないのでございますけれども、今、三百万あるいは五百万と申し上げましたのは世帯の話でございます。先ほどから御議論になっております老人等マル優の非課税限度の枠と申しますのは、一人当たり幾らということで設定できるわけでございます。したがいまして、世帯ベースにすればこれらを夫婦で利用することができるということになりまして、一人頭でまいりますと三つの制度で九百万、二人で申しますと千八百万が今までの限度でございました。
 これが先ほど申し上げましたようなことで膨れるわけでございますが、膨らみました結果が、今分布を申し上げましたけれども、一千万円のところに一つの山がございまして、二千万円以上にまた次の山がございます。二つのこぶになっております。この真ん中のこぶをほぼカバーし得る層に、たまたまでございますけれども、五十万円ずつ引き上げることによってほぼ限度額が見合うということになりました。
 そういう結果になったということでございまして、そういうものも見ながら論議が行われということを御報告申し上げておきたいと存じます。
#140
○池田治君 では、五十万ということの根拠は、調整の結果出た数字であって、特別根拠はないということですね。
#141
○政府委員(濱本英輔君) 数式的に割り出された数字ではないという意味ではそのとおりでございます。
#142
○池田治君 では、次に移りまして、勤労者財産形成住宅貯蓄非課税制度の非課税限度額も五百万から五百五十万に引き上げることとなりますが、これも勤労者の住宅を建設するための財産形成を図ろうという制度でございますから、今の不景気の対策としてもこれは重要な柱になるものでありますし、また宮澤内閣が言われる生活大国五カ年計画の中にも勤労者のゆとり、豊かさを実現するための制度をつくると、こうおっしゃっているわけですから、五十万なんてけちなことを言わずにもう少しアップされたらどうかと思うんですが、これの根拠はどういうことでございますか。
#143
○国務大臣(林義郎君) この制度も今の三百万、三百五十万と同じような問題でございまして、利子課税の問題をどうするかというときの特例措置としてこの制度は設けられたところでありまして、財産形成貯蓄制度という格好でできてきておるわけでございまして、それで五百万と、こういうことでやっておるわけです。
 この運用状況を見ますと、後で細かくは政府委員の方からあれでしたら答弁させますけれども、五百万に今なっておりますけれども、それの実際の積立額というのは極めて少ない、百三十万ぐらいじゃなかったかと思いますけれども、そのぐらいになっておるわけでございます。いろんな理由があるんだろうと思いますが、現実にそういうことになっている。今五百万という限度がありまして、そのぐらいにしかなっていない。それをさらに今度、最初ありましたのは、一千万とかなんとかに上げろと、こういう話がありましたんですが、それを上げますと特定の勤労者にだけ、高い所得の勤労者にだけ裨益するような制度にするのはいかがなものだろうかという議論が有力にございました。
 そういったような議論もありまして、むしろそんなところまでやって、一体使われもしないものをやる、しかももしも使うということになるならば富裕なる勤労者だけではないかというようなことの制度をつくるのは一体どんなもんだろうかという形で、極めて否定的な見解を持っておったところでございます。
 それを、こちらの方の三百万を三百五十万にしますからということもございまして、全然こちらも何にもしないというわけではない、議論の過程におきまして、いろんな議論があった中で、一緒に五十万ほど上げたらどうかなというのが偽らざるところの趣旨でございます。五百万を五百五十万にしたら論理的にこうだという話ではない。いろんな議論の結果、集約しましてそういうふうな形に落ちついたというのが実態でございます。
#144
○池田治君 では、今、勤労者が積み立てている財産形成の残高はわかりますか。
#145
○政府委員(濱本英輔君) 平成四年三月末の数字がございまして、財形年金貯蓄というのと財移住宅貯蓄というのがございますけれども、財形年金貯蓄から申し上げますと、貯蓄残高が三兆四千六百三十七億、財移住宅貯蓄の方が三兆九千九十一億、一人当たりの貯蓄残高で申しますと、財形年金の方が九十八万円、財移住宅の方が百三十八万円でございます。
#146
○池田治君 今の数字は非常に少ない数字だと思いますが、実際住宅を建てようとする勤労者にとっては、利子の非課税というのは非常にありがたいわけでございますから、今後ともこの点は大蔵省の方で御配慮をしていただくようお願いをしておきます。
 次は、三月二十七日の日経新聞によりますと、国際会計基準委員会の理事会が東京で開かれまして、国際会計基準では短期の金融資産、短期の金融負債は時価評価をするという方針を決めたという報道がされております。
 バブル経済崩壊後の経済立て直しの一環として、企業が持っている土地や建物などの資産評価を実態に即して評価し直すという資産再評価法をめぐる議論も今盛んに行われておるところでございますが、各人の資産再評価への期待は、金融機関の不良債権処理、株価対策、国際会計基準の統一の問題、企業の財務内容のディスクロージャーの立場等々によっていろいろ変わってくると思います。
 そこでまず、資産再評価をするには特別立法をするか商法並びに税法の改正も必要となってくると思いますが、大蔵省はこの点、大まかに言ってどのような方針でおられますか。
#147
○政府委員(小川是君) ただいまお話のありました国際公認会計士協会で議論をいたしております短期の金融資産等についての時価主義の問題と、もう一つお触れになりました資産再評価の問題とは、言葉が似ておりますが非常に異なる概念でございます。
 一つは、時価主義で評価をしようという考え方は、通常は、企業会計で処理をいたしますときに基本的には取得原価主義をとっているわけでございますが、特に市場性のある有価証券等につきましては、これを短期のものについて時価で表示をすることにしてはどうかという議論でございます。したがいまして、これは毎期の当該企業の財務状況をあらわすに当たって、計算するに当たって時価を利用してはどうかという議論でございます。
 いま一つの資産再評価の問題といいますのは、むしろある時期を画しまして当該企業の保有する特定の資産について時価で評価をし直してはどうかという問題であると存じます。
 特に後者の問題につきましては、最近いろいろ言われるところが多いわけでございますけれども、やはり我が国の商法が取得原価主義をとっていること、また、こうした再評価をいたしますと未実現の利益が計上されるということになるわけでございますから、基本的にはこれはいかがであろうかと思うわけでございます。そのほか、技術的に見ましても、市場価格のあるものでも時価の評価というのは大変難しいわけでございますから、いわんや、そうではない、最近言われております土地の再評価というようなものになりますと、技術的に極めて困難であろうと存じます。そして最後に、当然のことながら課税問題がある、このように考えているわけでございます。
#148
○池田治君 この資産評価論は、御答弁ありましたように、景気対策的な側面もありますが、簿価に基づいたバランスシートのゆがみを是正して企業の財務内容の実態を国民に開示する、そういうところに意義があろうかと思っております。
 これができないのは、含み資産として平成二年時点で有価証券が百四十五兆円、土地が五百三兆円にも上っておりますが、バランスシートなど株主に報告する経営資料にはこの含み資産というのは顔を出しませんので、これではディスクロージャーをしても素人には何の意味がわからないということになってしまいます、資産再評価によってガラス張りになれば、財産をこっそり切り売りして赤字を穴埋めするというような経営の手法は通じなくなる、こういうことが重要かと思っております。
 資産評価論では、大衆株主や国民に正確な情報を開示すると同時に、含み益経営という日本的経営のあり方も見直さなければならない契機になると思っておりますが、この点、大臣はどのようにお考えになりますか。
#149
○政府委員(小川是君) 委員が御指摘になっておられますのは、ある一時点をもって含み益を表に出すような形での再評価ということを御指摘であろうかと存じます。
 その問題につきましては、先ほど申し上げました一般的な、技術的な問題、あるいは課税上の問題、また商法等の基本的な問題があろうかと存じます。むしろ含み益の問題につきましては、現在でも、例えば土地であればどこに所在する土地をどれだけ持っているかというような形で、あるいは有価証券につきましても、時価で評価をした場合にどれだけあるかというような補助的な情報をディスクローズするという形で次第に投資家に補完的な情報を提供するということを充実してきております。それが一つの重要な方向性ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#150
○池田治君 土地の再評価税について、三月一日の衆議院予算委員会で、大蔵省は土地の再評価益に適正な課税を実施しないと再評価までの値上がり益に対する課税を免れることになると答弁されております。これは今御説明がありました非実現利益には課税しないという税法の基本精神との整合性がまず問題になろうと思います。また、再評価を実施している諸外国の例を見ると、再評価益は非課税とするのが世界の常識のようでありますが、この税と再評価の問題についての御見解を最後にお伺いいたします。
#151
○政府委員(濱本英輔君) 資産再評価を行いまして簿価を改定いたします場合に生じます再評価差益というものは、それが実際に資産を売却したことに伴う利益でないことは先生おっしゃるとおりでございまして、それを同一視しているということではないのでございますが、しかし将来その資産を売却した場合には、その値上がり益のうち再評価時点までの分は課税から脱落してしまうということになるのではないかと案ずるわけでございます。既に再評価が認められる以前に資産を売却して譲渡益について納税している者がたくさんおられるわけでございまして、その方との不公平をどうするのか。
 これはかってシャウプ勧告の中にやはり再評価に関しますいろんな議論がございましたときに、シャウプ勧告自身が再評価税を勧告しているわけでございますけれども、その勧告の根拠としましてやっぱり当時もこういう議論がございました。こういう不公平論がございました。それから、資産保有の多寡や保有期間によりまして企業間での公平、不公平の問題があるはずである。それから、任意の再評価とします場合には、再評価を行う力がある企業とそうでない企業というものをどう考えるのかという問題もあるのではないかという気もするわけでございます。やはりその売却益に対します課税との公平というものを考えました場合に、こうした再評価差益に対しましても適正な課税が要るのではないかなと思うわけでございます。
 諸外国のことも私どものわかる限りで調べてみますところ、アメリカはこの再評価というのは認められておらない。ドイツも貸借対照表に明示するという形での再評価は認められていないのではないかという気がいたします。それから、商法なんかによりまして再評価が認められておる場合としてフランスなどの例があるかもしれませんけれども、これはやはり再評価益に対しまして通常の法人税率で課税されるということになっております。そういうことから見ましても、こういう形で出てくる再評価益に対しましては、課税の世界はやはりきちっと即応しておるというのが世界の実態ではないかという気がするわけでございます。
    ―――――――――――――
#152
○委員長(野末陳平君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、志苫裕君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#153
○島袋宗康君 高齢者のマル優限度額について、池田委員と若干重複するところがありますけれども、せっかく準備しておりますので、高齢者の利子非課税制度の特例措置について質問いたします。
 昨年十二月の税制調査会答申によれば、平成五年度税収はかつてのような税収増が期待できない状況にある、そういった前提に立って歳出面での経費の縮減や合理化を厳しく求めている。また、税制についても国民の税負担に対する理解を求め、政府に対しても税負担の公平確保について最大限の努力を傾注することを求めているようであります。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
 このような観点からすれば、利子課税に関する今回の一部改正案には問題があるのではないかというふうに私は思っております。すなわち、老人等の郵便貯金、少額貯蓄、少額公債等の非課税限度額をこの局面で引き上げることは、抜本的な税制改革を唱える一運の答申や近年の財政事情等からすれば整合性がないのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、この改正案に対する大蔵省のお考え方、経緯等について簡単に御説明願いたいというふうに思います。
#154
○国務大臣(林義郎君) いわゆる利子に対する課税制度につきましては、昭和六十三年の税制抜本改正のときにおきまして課税ベースの拡大、負担の公平等の観点から一般の預貯金利子を原則課税にする、こういう形の中でやりました。ただ、それまでいろいろと問題がございました中で一気にやるのもどうだろうかということで、老人等の貯蓄とかあるいは財産形成政策になっております勤労者の住宅貯蓄、年金貯蓄に限定しましてその利子を非課税としてやったらどうだろうか。税の原則からすればそれはおかしいのではないかという議論がありましたが、老人の方々だけについてはいわばシルバー預金というような格好でやったらというような話で、例外的な措置をしたわけでございます。
 その後、相当時間がたちまして、今回大幅なこれについての例外措置をつくってくれというふうな御意見が各方面から出てきたところでございます。政府税調及び私の属しています自民党の税調におきましても随分といろいろな議論をしたわけでありますし、委員長も随分この辺については御議論もいただいたところなのでございます。
 そういったことで、老人マル優等の非課税制度はいろいろな問題がある。先ほど申しましたまさに例外措置であるということと、それから余り高額な資産まで配慮するのは一体いかがなものか。三百万円を三百五十万円にする、こういうことでありますが、初め出ていましたのは三百万円を七百万円にする、しかも制度が郵便貯金と銀行とそれから国債と三つありますから、合計しますと七百万円で二千百万円もの、それほどまでやるのは一体どうだろうか。一部の金持ちの方々だけに優遇ということになるんじゃないかな。それから一方の財形貯蓄の方も五百万円を一千万円の要求だと、こういうこととなると、実際にそれの適用対象になっておりますのは百三十四万円ぐらいしかないわけですから、それをまたふやすのは全く一部の人にだけ、勤労者でありますけれども、勤労者の中での金持ちだけにやる、こういうふうなことになるんじゃないかな。
 こういうことがありまして、ただ、一般的な御議論がいろいろあったわけでございますので、そういった三百万を七百万にするとか、五百万を一千万円にするとかということではなくて、若干時も経過したわけでありますから、その部分を考えまして五十万円ずつ引き上げていく、こういうことにしたという制度でございます。
#155
○島袋宗康君 私申し上げておきたいことは、非課税の特例措置そのものが悪いということではないわけでありまして、歳入面で大変苦労なさっているというふうなことがうかがわれるわけです。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
この時期にいわゆる周囲の多くの反対を退けてといいますか、言葉は悪いかもしれませんが、非課税限度額を引き上げるのは積極的な理由が見出せないのじゃないかというふうに思うわけです。つまり、この特例によって高齢者の何%の方が恩恵に浴していくのか。政策の実効性というふうな面からいたしますと、政府としては余り説明のしようのない、政策面から言うと私は問題があるのではないかという面で、高齢者の何%の方々が適用されるのかというふうなことを重ねてちょっとお伺いいたします。
#156
○政府委員(濱本英輔君) この制度が実施されますことによりまして、今まで三百万で打ち切られていた非課税限度額が、三百万から三百五十万まで引き上げられることによりましてそのゾーンにおられる方々がこの利益を受けられることになるということになろうかと存じます。それを正確に言い当てるということはなかなか難しいことかと存じますけれども、これはあくまでも推計にかかるものでございまして、厳密に数字を申し上げるという、それほど詰めた人数を申し上げるに及ばないかと存じますけれども、利益を受けられる方が数百万人のオーダーであり得る可能性はあると思いますけれども、あくまでも推計でございます。
 結果、全体の規模としまして、実施時期がこれは平成六年の一月以降ということでございますので、減収額にどれぐらい響くかということになりますと、平成五年度の予算にはさほど響かない。先ほどこれだけ財源が厳しい折にという御心配までいただいたわけでございますけれども、平年度ベースで約三百億ぐらいの減収額になろうかと、そんなことを見込んでおります。
#157
○島袋宗康君 減収の問題はこれからやろうと思っていたのですが、私が聞いているのは、全高齢者の何%ぐらいがこれの恩恵を受けるかということを聞いているんです。大体の数字でよろしゅうございます。
#158
○政府委員(濱本英輔君) 失礼いたしました。
 郵便貯金に関連いたします数字は手元にございまして、今老人等の郵便貯金非課税制度の利用人員というのが千百八十八万人と言われております。そのうちで、限度いっぱい、つまり三百万まで利用しておられる方々が約四百万人ということでございまして、この方々がそれぞれどの程度御利用なさるかということはなかなか難しい問題でございますけれども、それに応じて利益を受けられることになると思います。
#159
○島袋宗康君 約三分の一の高齢者の方々が三百万の範囲があるいはそれ以上の額の恩恵を受けているというふうなことになると思いますけれども、それにしても非常に少ない方々の恩恵というふうに私理解しております。
 そこで、マル優の利用者の実数は先ほどおわかりにならないというふうなことでありましたけれども、もしこれから申し上げることについて、その範囲内でおわかりいただけることがありましたらお答え願いたいというふうに思います。
 いわゆる高齢者マル優の利用者の実数、それからその利用者の平均利用額は幾らか、それから限度額いっぱいまで利用している高齢者の割合は全利用者の何パーセントか、それから、今回五十万円を引き上げることにより税収、先ほど三百億円のお話がありましたので、これはわかりましたから、あとの三つの問題についてもしおわかりでしたらお答え願いたいと思います。
#160
○政府委員(濱本英輔君) 手元にございますデータで申し上げたいと存じます。
 郵便貯金につきましては、先ほど一千百八十八万人の利用人員と申し上げましたが、ちなみに六十五歳以上の総人口が平成四年四月現在何人おられるかといいますと、千六百万人でございます。この千六百万人をベースにして考えるべきことかと存じます。郵便貯金の場合、最高限度額三百万円までフルに利用していらっしゃると見られる方が、郵政省からこれは聞いたところでございますが、約四百万人ということでございまして、一人当たりの利用額といいますものが元金ベースで百八十九万円ということでございます。
 それから少額貯蓄の非課税制度の場合には、銀行等の場合でございますけれども、これは利用人員が一千三百七十四万人と聞いております。一人当たりの利用額が百九十八万円。これは限度いっぱいの人員というものは明確に示されておりません。
 それから、老人等の少額公債の非課税制度につきましては、利用人員が二百八万人と聞いております。一人当たりの利用額が百六十五万円でございます。
#161
○島袋宗康君 今の説明を聞いてやはり疑問があるわけであります。いろいろとありますけれども、例えば三百億円をそういう預金者の恩恵として与えるよりも、もっと別の老人福祉などに役立てた方がいいんじゃないかというふうに考えるわけであります。いわゆる高齢者の福祉はやっぱり別途に考えていくべきではないか。これから見ると、利用者は非常に少数というふうな感じを受けるわけです。それからすると、ちょっと税金の不公平さがその辺から見られるわけであります。
 そういったところから考えていくならば、やっぱり税のあり方として、もっと公平さを考える場合には総体的に老人福祉にまんべんなく、税金の使い道というものをはっきりさせた方がいいのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
#162
○政府委員(濱本英輔君) 確かに今御指摘がございましたように、老人に対する税制上の福祉の側面からの対応というのをどういうふうに考えるのかという基本的な問題を御提示いただいておるように思うわけでございます。
 けさ方の御議論にもございましたところでございますが、今老人に対します税制上の措置といたしましては、老齢者に対します特別な控除がございましたり、あるいは公的年金を受給しておられます方々に対する控除のような制度も税制上はございます。ベースにそういうものがございます。そういうものを老人に対して認めながら、これから後老人に対する諸掛かりというのはだんだんふえてくる。例えばけさも御指摘がございましたように、老人の生活を賄っておられます原資としては、やはり年金給付に依存するところがだんだんウエートが高くなってきているという久保先生の御指摘がございました。
 そういう状況の中で、それじゃそれをだれが負担するのかということになるわけでございまして、一方で若い世代の人たちがそれを負担するといたします。そして、老人はその老人の所得階層を問わずこういった制度を温存しておく、しかもある一定の資産額以上の方々に特にメリットが生ずるような今回のような改正が施されていく、そのことのつじつまが合わないではないかという指摘もこの論議の過程ではございました。
 そういう議論というのが蓄積されておりまして、今回はこのような改正が行われましたけれども、これから後引き続きこういったもののあり方をどのように問うていくかという議論は続いていくんだろうというふうに思います。まさに今御指摘になりましたような議論を私ども大切に伺わせていただかなきゃならない立場にあるような気がいたします。
#163
○島袋宗康君 加藤政府税制調査会長も、これはまさしく会長がそう言っておられますが、引き上げは不公平をもたらすことになるということをはっきり言われております。老人マル優の拡大には全く理屈がない、また限度額いっぱいまで利用しているのは少数の人である、高齢者に対する福祉は別途に考えるべきだというふうなことをはっきりと会長さんはおっしゃっているわけです。
 そういうふうなことからすると、この制度を設けることによって、拡大することによって、いわゆる高齢者の資産の格差をますます広げる結果になりはしないかというふうなことを懸念するわけでありますけれども、そういった立場からしても不公平さがその辺から見られるんではないかというふうにここではっきり言えると思いますので、その辺について将来どのようにまた位置づけてお考えになるか、お伺いしたいと思います。
#164
○政府委員(濱本英輔君) 大臣からもたびたびお答えございましたように、この制度は例外的な措置でございまして、今回の議論におきましても先ほど来申し上げましたようなさまざまな議論を浴びた制度でございます。
 今後こういった問題をどう考えていったらいいかということになるわけでございますが、一つには、これはもう御議論が出ておりますように、利子課税制度そのものをどう見ていくかという問題があろうかと存じます。
 利子課税制度というのは、利子という所得、利子所得というものが非常に特別な性質を持っておるものでございますから、これを普通の所得と同じように合算をして、総合課税、累進税率の適用ということに進めれば最も公平ではないかという考え方が往時からございますけれども、まず公平であることの大前提としましては、所得の把握の確実性ということがございませんことにはかえって不公平を準備するだけのことになってしまう。
 そこで、今所得の把握体制というものをどう考えるかという議論を一方にし、その上で公平性を実現していくという論議、それから制度の中立性なり簡素性なりの議論をこれにかぶせていく、そういう利子課税の議論が行われているわけでございまして、今日までのところそういった要請からすると今の分離課税というものを評価し得るというのが今回の税調の答申でございました。
 あわせて、将来に向けましては総合的な課税を推進するという意味で納税者番号制度というものを導入できないか、納税者番号制度が導入できれば話は違ってくるということがもちろん論議されておるわけでございますけれども、この納税者番号制度の論議というものは税金だけの論議ではなくて、税金の周辺の問題あるいは少し税金から離れたところでこなさなきゃならない幾つかの問題を抱えておりますので、そこらをこなし切るかどうかというところでございまして、それはまだ見通しが立っておりません。したがいまして、そこまで見通したところの全体の利子課税の論議というものをここで組み立て切ることはできないというのが一方にございます。
 それと老人対策、これは先ほども申し上げましたように、老人に対する諸掛かりがふえていくことを一体だれがどういう形で負担するかという議論がちょうど重なっていくところがこの問題であろうと思います。
 したがいまして、一方では利子課税の論議を見守り、他方で年金制度を含みます老人対策というものの全体のこれからの成り行きを見守り、そういうものをあわせて御議論をいただくべき問題と心得ておりまして、その具体的な方向をここで申し上げるにはまだ少し議論が熟していないというのが状況でございます。
#165
○委員長(野末陳平君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#166
○委員長(野末陳平君) 速記を起こしてください。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#167
○鈴木和美君 総理、私は一番最初に、国民の納税意識について総理の見解を聞きたいと思うんです。
 多少テレビのドラマを引用してちょっと語らせていただきたいんですが、世の中、政というのは、代官様型と庄屋様型と両方あって政と年貢というのは順調におさまるんだろうと私は思うんです。
 政治家の中にも代官様型と庄屋様型と二つタイプがあると思うんです。代官様型というのは、これは説得型です。年貢を納めてもらうんですから、こうこうこういうわけで納めてくれ、こういうのが私は私流の代官様型と言うんです。庄屋様型というのは、余計なことをしゃべることはないけれども、あの人だから間違いないといってついてくるんだと思うんです。だからこれを納得型と言うんです。つまり説得型か納得型か、代官様が立派であれば、それはそれなりに年貢が納まるんじゃないでしょうか。悪代官が出たらこれはいかぬですな。
 そういう面から見ると、今回の金丸さんの巨大な脱税事件というものが起きてから、国民はどうでしょう。サラリーマン、つまり源泉納税者は、もう申告納税にしてくれ。申告納税者は、今度この租税特別措置法で我々、政府職員の皆さんに納税意識を啓発してもらおうじゃないか、こういう今附帯決議をつけようとしている。税務職員が実調に出かけていっていろんなことを話をすると、申告納税者は、もう税金を納めたくないと言うんです。
 これが今日の国民の納税意識じゃないかと私は思って、歳入委員会の大蔵委員会の一人として大変心配しているんですが、総理の国民の納税意識についての認識について、まず聞かせていただきたいと思います。
#168
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの出来事は、政治に対する国民の不信を一層深めたものとして、政治に関係する者としてまことに申しわけないことだというふうに思っておりますが、なかんずく、今鈴木委員の提起されました問題、国会議員は納税者を代表して納められた税金が誤りなく国民のために、また適当な、適正な方法で用いられる。また、できれば税金は少ない方がいい。そういう職責を国会議員というものは負っておりますし、また議会制度も沿革的にそういうふうにして発達したものと考えます。
 その国会議員であった人が、国会議員であった時代に、今回のような起訴を受けるに至ったそういう行為をしたという理由で起訴されたということになりますと、納税者としては、国会に対する不信を持つばかりでなく、自分たちが苦労して納めている税金がこのような政治となってあらわれているのか、また、苦労している税金がこれだけたくさんの額、起訴状によれば国会議員によって適脱されているのかというようなことは、納税者としてこれは当然だれもが感じておられることだと思います。
 そういう意味では、私も鈴木委員の言われますことに思いをいたしまして、まことに憂慮にたえないところでございます。
#169
○鈴木和美君 さらにもう一つお尋ねしたいんですが、ここのところ連日報道されております公共事業に対する建設業界の政治献金というかやみ献金というか、その分類はさておきまして、この報道について国民がどういうふうに思い考えているかということを尋ねたい。今私が分類する一つ一つの項目について、時間がございませんからお答えは一つ一つには要りませんけれども、総括的に述べていただきたいと思います。
 まず、この建設業界からの政治献金について、一つは政治家の倫理観というものをどう考えるかということがあると思うんです。ここに毎日新聞の夕刊の記事を持っておりますが、総理も何かいただいているみたいですな。中曽根さんだけがいただきましたと答えた。あとはわからないと答えていますが、宮澤さんもAランクにランクされております。こういう報道がされています。つまり政治家の倫理観という問題が一つ。
 二つ目は、私は、許認可や行政指導権限を通じて政治と結びついた官僚機構の問題があると思うんです。俗称我々は分権を急げと、公共事業に対する許可権の範囲を地方に移譲しろとかという問題を提起しています。
 三つ目は、何となく生じている族議員の弊害というのがあります。四つ目は、入札、談合というあり方をこのままでいいのか、族議員の弊害というのは、俗称言われているように、予算が確定するときの予算陳情というのが大変大きな全国的な問題になっている。箇所づけということになるとまたこれも問題になる。
 五つ目は、ここが問題だと思うんですが、つまり各事業年度ごとに発注される建設公共事業に対する積算された発注の価格が妥当性があるのか。業界が損してまで政治献金を続けられるだろうかと考えると、何かそこに積算の価格に矛盾があるというように国民は思っておると思うんです。
 もっと分類はたくさんありますけれども、私なりに項目を整理してみると、こんな問題があると思うんです。
 さてそこで、一つ一つのお答えは要りませんけれども、建設業界からこのような政治献金が行われていることに対して、総理はどういう認識、見解をお持ちになりますか、お答えいただきたいと思うんです。
#170
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に私自身のことを申し上げておきたいと思いますが、その記事はたしか毎日新聞であったのですが、その翌日でございますか、予算委員会におきまして御質問がありましたので、私につきましてはそれは明らかに間違いでございます、私自身にはそういうことはございません、何か盆暮れにやみ献金のようなことをするということでありましたが、そういうことは全くございませんということを申し上げておきました。Aランクとかいうことは、これは会社の側のなさることですので私の知り得ないことでございますけれども、こちらでわかっておりますことははっきりそのようにお答えを申し上げておきました。
 次に、しかし一般に伝えられるごとく、このたびの金丸前議員の問題についていわゆる大手土建会社が、それもほとんど多くのものがこぞって入札、発注等に関して特別の献金をしておるというようなことが仮に事実だといたしますと、これは、政治家のモラルの問題はそれとして置きまして、行政としてはゆゆしい問題であります。これこそは国民の税金を使ってする仕事でございますから、言ってみれば税金が適正に使われているかいないかということそのものにまず関係をいたします。
 したがって、これからの問題といたしまして、公共事業についての入札なり発注なりが間違いなく適正に行われておるかどうかということは厳しく再検討してみなければならないことでございまして、今度の起訴の内容になっておりますことが事実であるかないかは一応置きまして、このようなことが広く言われるようになった以上は、発注なり契約なりが適正に行われているかどうかにつきまして厳しく再検討をいたしてみたいと思っております。
#171
○鈴木和美君 一つ一つお話しする時間がございませんが、私は、きょうどうしてもここの点は総理の決意を聞いておきたいんですが、こういう私の述べたような不祥事に対して改善、改革をしようと、しなきゃなりませんね。いろんな手法があるし、時間のかかる問題もありましょう。しかし、今問題になっている政治家の倫理とか腐敗防止法の制定とか政治資金規正法の強化、いろいろありましょう。ありましょうけれども、私は当面、宮澤総理が決断を持って臨まなきゃならぬのは、政治改革の中の選挙法の問題とそれから行政改革の問題だと思うんです。
 今そのことをやらなければ、国民に何を我々国会議員として襟を正したかということの答えが出ないと思うんです。そういう意味において、選挙法の問題については既に我が党、公明党は国会に提出してあります。自民党の皆さんも間もなく提出されるようなことを聞いております。そこで、この国会で選挙制度改正というものについて何らかの合意を見て成立させない限り、私は国民に真にこたえたということにならないと思っています。
 そういう意味で、今までどちらかというと宮澤総理は、中選挙区においても効果を上げることができるとおっしゃっておられたが、昨今ずっと新聞報道を見ている限り、金丸さんの事件、建設業のこういう問題が出たということだとすればこれはやはりこの国会で従来の中選挙区制を直して、野党、それぞれの党との合意を成立させて選挙制度の改正を行う、行いたい、決意を述べる、そういう報道がなされております。
 したがって、私はきょうお聞き申し上げたいのは、この国会で成立をさせる、できなければ政治責任をとるぐらいの決意のほどをきょう聞かしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#172
○国務大臣(宮澤喜一君) 一番根本は政治家自身の倫理の問題であり、どういう制度をとりましてもそこが崩れるようでは問題の解決はできないのでありますけれども、しかし、制度そのものがまた倫理を担保するという要素もございます。そういう意味では、鈴木委員の言われましたようにここまで問題が深刻になりました以上は、制度そのものを変えるしかないだろうというふうに私は考えておりまして、それはあたかも英国におきまして一八八三年の改革が行われたと同じような状況に我が国の民主主義はついに来てしまったのではないかというふうに思っております。
 したがって、昨年の初めから、私はまず自分の党内に緊急改革の案をつくること、それが済みましたら十一月ごろまでに抜本改革の案をつくることを要請してまいりましたが、緊急改革は幸いにして前国会において成立をいたし、実施されました。残るのは抜本改革の問題でございまして、私どもの自由民主党としましては昨年来の作業がほぼ完了をいたしておりまして、間もなく関連の法案を、恐らく四法案になると思いますが、衆議院に提出をいたしたいと考えておるところでございます。
 他方で、野党におかれましても、おのおの案を具してこの問題に対処されるということでございますから、衆議院におきまして特別委員会を通じてそれらについての御議論が行われていくことを期待いたしております。
 現在の急迫した事態を考えますと、政治改革は何としてもこの国会において実現をしていただかなければならないと思います。与野党の案が全部出そろっておりませんので、これからの御審議の帰趨はまだわかりませんけれども、少なくともすべての国会議員が政治倫理、資金にまつわる問題についてこのまま放置しておけないという点では認識は一致しておりますので、方法論は多少異なりますとも認識は一致しておりますので、この国会で成立していただけるもの、また政府としてもそのためにもとより全力を尽くすつもりでございます。
#173
○鈴木和美君 その点、もう一つ突っ込んでお聞きしたいと思うんですが、よくお気持ちはわかりました。わかったんだけれども、わからないのは、お互いの主張というものを述べ合って、妥協してでもこの国会で成立させたいということを総理は願っているんですか、どうですか。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) 各党の案がまだ出そろっておりません。いわんや御審議が始まっておりませんので、そのことにつきまして御審議が始まらない段階で何とも申し上げることができませんけれども、私がただ一つ申し上げたいことは、多少案の違いはありましても事態はこのまま放置できないということは議員各位が党派を超えて同じように認識しておられる。そういう一種の緊急性がございますので、そういう中から必ず成案が得られるものというふうに考えます。
#175
○鈴木和美君 政治責任を感じ、不退転の決意で臨むと、こういうふうに私は理解したというように理解してよろしゅうございますか。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) そう考えております。
#177
○鈴木和美君 次は行政改革の問題についてお尋ねします。
 これも連日新聞で報道、指摘されております政官財の癒着是正についての問題です。これは行革審でいろんな角度から今議論がされているんですが、これも先ほどの分類と同じように私なりに問題点を拾ってみると、一つは予算というものを作成するに当たって内閣予算局をつくったらどうかというような問題が一つあります。公共事業費の枠組みの問題をどうするかという問題があります。そして権限、いわゆる分権というような問題。政治家と官僚との関係、ここには派閥の是正まで議論されているような状況も聞き及びます。
 ところが、宮澤総理がこの行革審に何を期待するのかということがどうも鮮明でないというような報道がされていますね。その点私もよくわからないのでありますが、ただ言えることは、やっぱり行政改革という問題も今回の不祥事にかかわる大きな問題でもあると思うがゆえに、宮澤総理から各省庁に対して、行革審の審議に当たって、自分の縄張りだけ考えないで大いに協力して新しい対案というか成案というか、得るように努力してほしい、こういう御指示をいただきたいと思いますが、やっていただけますか。
#178
○国務大臣(宮澤喜一君) 私が行革審にお願いをしたいと思っておりますことは、これは常に行革審が実は考えておられることではあるのですけれども、二つのことであります。
 一つは、官から民へということ。これはいわば規制解除、ディレギュレーションと言われるようなことでございます。もう一つは、中央から地方へということで、これは文字どおりそういうことでございますが、この二つの方向で現在の行政というものをぜひ改めていきたいと考えておりまして、行革審というようなことを煩わさずにこれは本来官僚制度の中から生まれなければならない改革でございますけれども、御承知のような理由によってなかなか内部からは生まれ得ない、育ち得ない種類の改革でございますので、あえて行革審にお願いをいたしておるわけで、答申をいただきますと全力を挙げてこれを尊重し実行するということで各省庁を督励をしてまいりたいというふうに考えております。
#179
○鈴木和美君 政治腐敗問題に関する最後の質問ですが、竹下さんの問題についてちょっとお尋ねしたいんですが、衆議院で証人にお出になりました。参議院でもぜひもう一度聞きたいことがあるからおいでいただきたいという喚問の要請をしたにもかかわらず、とうとうおいでにならないような自民党さんの態勢で、参議院予算委員会は大変困難を来した状況にありました。
 そこで、私は端的にお尋ねしたいんですが、衆議院でおいでになったものが参議院でおいでにならないということ、おいでにならないというよりも出さなかったという自民党の総理・総裁のことから考えると、一つは参議院を軽視しているんじゃないですか、こういう気持ちが一つあります。
 もう一つは、竹下さんを出すとどういうことになるのだろう。そういう、どういうことになるのだろうという推測が働いて、金丸さんの問題というのは金丸さんがバッジをとっちゃったから司直の方はやりやすいですわな。バッジがついているといろんなことでなかなか手が入らぬ。おやめになったから今日、全部悪の仕儀が暴露されているわけでしょう。竹下さんがここでやめるなんということになったら、またえらいことが出る、これは自民党に不利や、そんな判断が働いたんじゃないかと推測できます。
 そこで、たった一言でいいですから、先ほど私が申し上げた代官様と庄屋様から見て、竹下さんはいい代官でしたか、いい庄屋様でしたかお答えだけください。
#180
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまの竹下衆議院議員が証人として証言をされた、さらに参議院においてもそうあるべきではないかということを中心にしてのお尋ねでございましたが、これはどうも政府としてこのことにお答えを申し上げる立場にはない。このような機会でなければ、また鈴木先生のお話も伺い、いろいろ御教示を得たいとは思いますけれども、こういう公の場でございますので、政府といたしましてこれ以上申し上げることは差し控えるべきだと思います。
#181
○鈴木和美君 ぜひ心して対応していただきたいと思います。
 それでは次は、景気の見通しについてお尋ねを申し上げたいと存じます。
 総理は、平成四年四月、七月、そして十二月の参議院の予算委員会、そして平成五年三月十八日、講演なさったときなどなどからして、この状態から景気は明らかに最悪の事態を脱し回復基調に入っているとか、先が見えてきたとか、こういう御発言がなされておりますね。そして、どちらかというと、一貫して景気が底を打ったということを繰り返し述べられていると理解しているのであります。
 しかし、午前の審議のときにもお話が出たんですが、三月の月例経済報告、九二年十月から十二月のGNP統計などなどから見ると、景気は依然として低迷しているというような状況の報告があるわけです。
 そのさなかに、三月十八日、日本商工会議所通常会員総会で講演なされました。そのときも先が見えてきたというお言葉を使われて、景気の底打ち発言をなさっています。そういう状況から見ると、現在の景気というものはどういうふうに見たらいいのか、もう一度総理の現状認識についての見解を聞かせていただきたいと思います。
#182
○国務大臣(宮澤喜一君) 余り長くなってはいけないと思いますので簡潔に申し上げますが、今回の景気というものは、いわゆる円高以降非常に長く続きました好況の中で、ほぼ四年間にわたりまして企業の設備投資が二けたでふえ続けた、その後を受けましたいわば循環的な要素があることはもとよりでございますけれども、それに加えまして、しばしば言われますように資産価額の下落という経験したことのないそういう要素を持っておりますので、景気の回復が非常に複雑な状況を呈してまいりました。
 すなわち、循環であれば循環が完了すれば景気は自律的に反騰するわけですが、資産価額の下落ということが、例えば家計におきましては家計消費の意欲を非常に沈滞させたことは疑いないことですし、企業においても企業の資産の含みが減ったわけでございますから、設備投資というものは、そうでなくても沈滞しておりますところへ投資意欲にさらに水をかけたということになったと思います。
 それに加えまして、この資産価額の下落というのが金融機関、証券市場にも影響を及ぼしました。金融機関においては融資対応能力というものが著しく損なわれましたし、証券市場においてはエクイティーキャピタルを起こすということが非常に難しくなった。いわばそういう経済の循環とでも申すべき、血液とでも申すべき部門がかつて経験したことのない影響を受けたことによって景気の立ち直りがさらにおくれておるという、一言で申しますと、私はそういうことであると思っております。
 それに対しまして、昨年の三月、八月、相当大きな総合経済対策をとりましたし、補正予算も通過をさせていただきました。また、この平成五年度予算もその延長線上においてかなり大きな景気刺激策をとっておるわけでありますが、政府のなし得ることは日本の市場経済からいえばそんなに大きいわけではない。ただ沈滞しているそういう市場、民間の経済活動をこれによって刺激をしようということでございますが、これだけ大きな対策を重ねておりますので、時間がかかりましたが、これは必ず影響を持ってくるだろうと思っております。
 私が先般、三月の半ばに商工会議所で申しましたことは、こういう景気でございますから絶えず動向を注意していなければならない。殊に年度末、いわゆる三月危機というようなことが言われたことについては、一月以来随分警戒をいたしてまいりましたけれども、ことしに入りましてから、例えば住宅投資に改善の状況が見える、あるいは鉱工業出荷指数にも多少動きがある、あるいはマネーサプライも大したことはありませんが幾らか違った様子を見せてきた、証券市場においても出来高が相当ふえてきている等々、幾らかそう思って見ると多少動きが見える。少なくとも三月危機と言われるような方向には経済は動いていないということは事実であったと思います。
 そういうことを踏まえまして、いわゆる循環の外に属する部門にも、例えば銀行におきまして不良債権の処理の機関が設けられる、あるいはいわゆる住専、住宅専門金融会社の救済についても先般一つの方式についての合意ができた等々のことがございまして、感じとしては最悪の事態を過ぎて、多少明るさが見えてきたのではないかということを申しました。
 もとより、先ほど申しましたように非常に複雑な原因で不況が続いておりますので、殊に設備投資等々がにわかに立ち直ると期待することは、これは先ほど申しましたような事情から無理であろうと思います。したがって、回復の過程というものはかなり長い、V型に急上昇するというようなことはこれは恐らく考えられないことですが、少なくとも明るさが見えてきたというふうに考えてもいいのではないかということを申しました。
 ただ、すぐ続きまして、とは申しても、よく証券市場で「もうはまだなり」と申しますように、だからといって政府が手を緩めていいとは思わない、やはりここはもう一つ動向に応じて機動的に対応することを怠ってはならないと思うということをつけ加えでございますが、ただいまそういうような見方をいたしております。
#183
○鈴木和美君 一言で経済を述べるというのは大変難しいことだと思うんですが、結論から申しますと、三・五%成長を先般一・六に下方修正したわけですね。
 それで、午前の議論でも久保委員から御質問があったんですが、民間の調査機関の方は、所得税減税まで入れて約二・二%ぐらいかというような数字を発表しています。政府は依然として、三・五%もしくは三・三%というような成長率を修正するとか、そういうようなことはないんですか。
#184
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成四年度について申しますならば、御指摘のように十−十二月までのQEはそろっておるわけでございますから、あと一−三しか残っておりません。この一−三で仮に一・六%という年度間の成長を達成いたしますためには年率で一三%ぐらいの成長が必要であるわけですから、これは今我々の経験しておりますこの時期に年率一三%の成長があるとは思えません。そういう意味では平成四年度の成長率というものは政府が予測したとおりにはなかなかならないであろう。これはもうそう申し上げざるを得ないと思うのです。
 ただ次に、それならば平成五年度がどうであるかということになりますと、これは恐らく経済はここからゆっくりではありますけれども立ち直っていく、四―六を初めとしまして。そう考えるのが私はそんなに非常識ではないというふうに思いますものですから、五年度に三・三%の成長率を見ているということは、私はそう無理なことを申しておるわけではないだろう。
 大変それも高い成長があると申しておるわけではありませんで、前の年がもう一%何がしの成長でございますから、その上の三・三ぐらいのことは実はできましてもそんなに自慢するほどのことではない、そのくらいのことは私はできてもおかしくないというような気がいたしております。
#185
○鈴木和美君 私は、三・三%を引き直したときの国民生活の状態がどうかということの分析の結果を述べないとそれは議論にならぬところなんでございますが、私が今この問題を提起しているのは、二十五日の林大蔵大臣とのお話のときと総理のお話のときと、ちょっとニュアンスが違うような私は気がするんです。
 なぜかと申しますと、補正予算組むのかと、補正予算ですよ。そうしたら林さんは、とんでもないと、今この予算を審議してもらっているのに、補正どころじゃないんだという話をされたですわ。それから、上向き傾向にあるというお話もございました。だとすると、上向き傾向にあるというのであれば、何で補正組まなきゃいかぬのですかとなりますわな。ところが、総理はそこの言葉、上手巧みに言って、そんなに楽観的なことはできないから、いつでも政府が何かをやらなきゃならぬようなことを考えておかなきゃならぬというのを、ばっと今つけ加えているんですね。
 この補正という問題は、梶山幹事長がぼかぼかぼかぼかぶち上げておりますけれども、総理・総裁として、今予算審議が行われているときのこの補正の扱いというものは一体どういうふうに考えればいいんですか。経済が上向いていくよと言っているのに補正だと言うんでしょう。この後、新社会資本整備のことをお尋ねしますが、どうもその辺のところは一貫性がないと思うんですが、いかがですか。
#186
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしましては、この平成五年度の予算を新年度当初からできるだけ早く執行させていただきたい、それがこの際最も必要なことだというふうに考えておりまして、それ以上の、以外のことを政府は実は申し上げる立場にございません。
 ただ、つけ加えさせていただきますならば、先般衆議院においてと申しますよりは、これは各党と申し上げるべきかと思いますけれども、今後とるべき経済対策について各党の間で協議をなさるという、そういう合意がございまして、実行可能な政策について御相談をなさる、御協議をなさるということがございます。そういうまた世論というものも一部にあることも存じておりますので、そのことは政府としても決して等閑にしておるわけではございません。
 が、しかし、ただいまこの予算を提出いたしました政府の立場は、先ほど申しましたとおり、この五年度予算を成立させていただきまして、それをできるだけ早く執行いたしたいと考えておるところでございます。
#187
○鈴木和美君 各党のこれからの経済対策についていろんな話し合いをしようということが合意された根底というのは、やっぱり景気低迷が続くんじゃないのかこういう前提に立っているからそういう話になるわけでしょう。政府見通し三・三%大丈夫やというんであれば、この予算を早く通せば、皆さんが思っているような、つまり経済の高揚期に入るんだということになるわけでしょう。だから、どうも政府の前提と我々の前提とは食い違っているような気がしてならないんですよ。
 今ここで補正の問題を議論するということは不見識ですわな。我々だって物言えますか、そんなこと。補正の問題議論するんであれば、欠陥予算がとなるでしょう。欠陥予算を何でおれたちが審議しなきゃいかぬのかとなりますわね。けれども、それはまあ表向き言ったとしても、先々の景気状況を見ればとても心配だから、さてさてだと、いろんな議論をしているわけですよ。
 そこで、もう時間が来ますから、新社会資本整備問題についてお尋ねしたいんですが、これは宮澤総裁ということになりましょうか総理というふうになるかわかりませんけれども、三塚政調会長が今全国各地でこの新社会資本整備という問題を打ち上げられていますね。これは、つまり生活大国という宮澤総理のそういう政治信念というか、それに基づいた具体的な施策のために行われようとしているのか、総合経済対策というか景気の刺激というか、そういうことを目的として考えられているんですか。これはどちらの性格を持つんですか。
#188
○国務大臣(宮澤喜一君) 生活大国五カ年計画が昨年策定されました。そして、こういう不況の中におるわけでございますけれども、この対策は、むしろ不況を契機として実現をしていくべきものであろうと。
 すなわち、五カ年計画の幾つかの目標は、政府からというよりはむしろ国民の側から見て、例えば住宅は五年ぐらいの勤労年間所得である程度のものが取得できるようにいたしたいとか、あるいは年間労働時間はこのぐらいに考えるとか、あるいはまたいわゆる社会福祉のための福祉サービスについては何年までにこのぐらいにしたい、マンパワーをどうして確保するといったように、一つ一つ具体的な計画を、下水道については七〇%までというようなことを提示しておりますが、たまたまこのたびの総合経済対策が先ほども申し上げましたようにやはり国、地方の公共投資を中心とするものでございます。並びに住宅、中小企業関係でございますから、生活大国が目指しております諸施策そのものがこの総合経済対策に盛られる結果になっております。またそうでなければ一貫をしないわけでございますが。したがって、この不況というものをむしろ契機にして、生活大国五カ年計画の目標に近づいていこう、こういうふうにいたしておるものでございます。
 御指摘のいわゆる新社会資本と言われますものは、従来公共事業としてやってまいりましたものをさらに視点をひとつ変えまして、例えば文教、研究、学校でありますとか、あるいは福祉施設関係でございますとか、あるいは通信の充実でございますとかいう、いわば道路とか川とかいうものから、治山治水からちょっと離れました新しい面の社会資本の充実を図ろうという考え方でございまして、私はそれはそうあってしかるべきだし、まさにそのことが生活大国五カ年計画でも目指しているところでございますので、ぜひそういう施策をこれからも推し進めてまいりたいというふうに考えております。
#189
○鈴木和美君 もう一度、簡単なお答えで結構なんですが、つまり生活大国ということの実現を図るための施策である、それが主目的なんだと。つまり景気浮揚というのが主目的ではないんであって、生活大国を実現するための一つの手法として今回このことを考えた、こういうふうに理解していいんですか。
#190
○国務大臣(宮澤喜一君) そこは御質問の前段がございますので、なかなかお答えが申し上げにくいわけでございますけれども、生活大国五カ年計画で本来ねらっておりますようなそういう施策が行われることによって、それが景気回復に役立つ、また役立つならばそれはまさに政策としてとるべきところではないかというふうに申し上げておきます。
#191
○鈴木和美君 私も前段の議論にこだわってもらう必要ないと思うんですよ。みんなそれぞれ本音と建前がありますから、言いづらいところは言いづらくて結構なんですけれども、しかし本音を聞いておかないと対応に実は困るんです。
 なぜ困るかというと、私、林大蔵大臣と先日もお話し申し上げたんですが、新社会資本整備というものの中身をずっと見てみると、今総理がおっしゃられるみたいな、それは学校も福祉も先ファイバーも出てきます、それから耐用年限の短いものはどうするとか出てきますよ。問題は二つ私はこの中で感ずるんです。
 その一つというのは、どうも役所の縄張り争いじゃないのか。これは、今までどっちかというと公共投資というものの各省庁の枠が決まっちゃっているんですよ。だからその中で物を考えなければならぬわけでしょう。ところがそれではどうも停滞が行われるし、どうもおもしろくないというから、郵政省は郵政省なりにそれは何とか領域を広げたいということがありますよ。そういうにおいもぷんぷんします。それからどこかの派はどこの省につながっているなんというのもにおってきます。何かそういう縄張り争いのためにこんなことが考えられているのかなというような問題点。
 もう一つの問題点は、今度は建設国債のあり方について、これを短期の建設国債にしてもいいんじゃないかという発想がありますね。大蔵大臣は、国債の節度は守っていきたい、それから、この新社会資本整備計画の中でも、現に建設国債の対象にずっとなっているんだから、余計なことまで広げる必要ないじゃないかと先般答えられたんですよ。ところが、一方自民党政調会長の方は、それとは全く対照的な御発言が全国で行われているんです。これを調整するのが総理ですわな。
 したがって、私は縄張り争いの問題と国債問題についての見解をきちっと聞かしていただきたいんです。つまり、従来の建設国債の思想でいくのか、そういう国債の問題を今度は領域を変えて新しいものをつくるのかということ、どういうふうに調整されようとするのか、その点を聞かしてください。
#192
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来、公共事業の、いわば縄張りと言われましたが、シェアにつきまして、各省庁の間のシェアがなかなか弾力的に動けないこと、あるいは一つの省の中におきましてもいろいろな事業別のシェアが動きにくいことは、官庁行政に御経験のある鈴木委員御指摘のとおりで、これは何とかして改めなければならない一つの問題でございますが、今度そういういわゆる新社会資本というような問題が提起されたということは、財源をどうするということを一応別にいたしましても、やはり社会資本というものをもう少し広く考える必要がある。そして、新しい時代のニーズに従ってそれは弾力的になされなければならないという意味で私は有意義なことだというふうに考えます。
 それから、次に財源の問題でございますけれども、今短期の赤字国債、そういうものについてどう思うかというお話がございました。私は、短期であってもそうでなくても、赤字国債は赤字国債だというふうに考えます。したがって、それはやはり避けていかなければならない。この新しいいわゆる社会資本というものの中で、建設国債の中で賄えるものはそれは賄ってまいりたいと思いますし、それ以外の財源を考えなければならないとすればまたそれなりの方法を考えなければなりませんが、しかし、短期であれば赤字国債であってもいい、あるいは赤字国債ではないというような議論は、私はそのように考えておりません。
#193
○鈴木和美君 どうも釈然としないんですが、短期の国債というときに、我々減税を要求して、赤字国債でも短期償還で仕方ないんじゃないかというのが総理の頭にあるからそういうお答えになるのかもしれませんけれども、いい悪いは別にして、私が理解をしていることは、今回の新社会資本の整備というものには、財源として建設国債の短期国債にするということを言っているんでしょう。赤字国債じゃないんじゃないですか。何か性格を変えるということを言っているんじゃないですか。これが一つ。
 それからもう一つは、そういう制度が行われるというのであれば、財源調達について短期の建設国債を発行できる。つまり社会資本の担保があるよと、それはパソコンであろうと何であろうと、いろんなものが出てくるわけですから。だからまるっきり国債の考え方というものを根本的に変えるという思想がここにはあるんじゃないですかと受けとめているんですよ。だから、単なる赤字国債であるとか短期の赤字国債とかということを今議論しているつもりは私はないんです。
 私の理解が間違っているというんなら別ですよ、私は前提としてそうとらえているものですから、どういうふうにするんですかと伺っているんです。
#194
○国務大臣(宮澤喜一君) これは専門家の助けをかりる必要があるかもしれませんが、従来建設国債の対象と考えておりますもの、仮に施設というものは、いろんな施設、どういう施設かにもよりますが、施設と設備というものを分けて考えることが伝統的な考え方であると思います。
 設備ということになりますと、それは施設とかなり一体化したような設備というものもございましょう。ございましょうけれども、しかし、例えばラップトップというようなコンピューターは、これはどうも施設と一体とした設備というふうには思いにくいのではないか。これをしたがって建設国債の対象にできるかということになりますと、恐らくそれは従来伝統的に考えられてきた考え方ではないであろう。
 すなわち、今お尋ねの点について申し上げますならば、基本的に財政法の考えております建設国債の対象というものを根本から変えてしまうようなことをこの際いたすべきではないだろう。伝統的な解釈の範囲で読めるものは読んでいってよろしいと思いますけれども、今申し上げましたような種類の、仮にこういうものでも、これ設備でございますけれども、施設と一体になるとはなかなか申しにくい種類の設備であろうと思いますので、その辺のところはやはりおのずからけじめというものがあるだろうというふうに考えます。
#195
○鈴木和美君 私は、建設国債の性格をもう少し幅広くしたらいいんじゃないかというのが持論なんです。つまり、物だけが担保されているという建設国債はもう時代おくれじゃないか。つまり、第三次産業がこれだけ普及しているんだから、もう少し情報とか教育とかそういうところにも、物以外のものにも建設国債の幅を広げたっていいじゃないかという私は持論の持ち主なんです。けれども、それはどうも今大蔵省賛成するような空気ではないんです。だから、一歩下がって現在の国債の概念というもの、財政節度から考えると、どうもおかしいんじゃないのかなと思っておるわけでございます。
 きょうの総理のお話を聞いて、総理、新たな短期の建設国債を出すというようなことは考えてもいないし、それは私の思い違いであるというようにきょうは理解をしておきたいと思うんです。新聞情報でしかこの問題はわかりませんものですから、そのように理解させていただきたいと思うんです。
 そして、一番最後の質問ですが、税制の問題で一つだけお聞きしておきたいと思います。
 先般、平成四年十一月二十四日、衆議院の予算委員会で自民党の津島雄二議員から質問があった、今後の税制についても今から「総合的な検討を政府部内においておやりになっていただきたい。」と。その答えとして、議事録を見たら、総理は、「ごもっともなことだ。年金の再計算の時期も決まっておりますし、直間比率と言われた問題についても、」「十分な成果が上がっているとは申しがたい。」、こういう答弁をなさった。
 この「ごもっともなことだ。」というものを上にすると、今から「総合的な検討を政府部内においておやりになっていただきたい。」という「ごもっとも」というのは、これは税制の抜本改正のことを意味するんですか「総合的な検討」というのは。答えてください。
#196
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成四年十一月二十四日に津島委員が御質問になられました中で、税制のあり方、社会保障、年金制度のあり方、国民負担のあり方等について適切な結論を必要なときには出していく、そういう姿勢が望ましいということを言われましたことに対して、私は基本的にごもっともなことだというふうに申し上げております。
 すなわち、昭和六十二、三年ころのいわゆる抜本的な税制改正の中で、所得税の殊に累進構造をもう少し滑らかにといいますか、簡素にすることができたならばなという思いを今でも持っております。しかし、これは国民の一番重税感の感じられる部分であるだけに、失われる歳入の大きい部分でございますので、そのときにはそこまでいけなかったわけでございますけれども、そういうことは英米に倣うとまでは申しませんが、やはり考えていいことではないかということに関連をいたしまして、いずれにしても二十一世紀、高齢化社会に向かって国民年金等々、社会保障全体の負担と給付という問題を考え直さなければならない時期でございますから、それとあわせてこういう問題を考えなければならない時期が遠からず来るのではないか、そういう認識を申しましたものでございます。
#197
○鈴木和美君 これで発言を終わりますが、私は、このやりとりを見ておって二つの問題を感じます。
 その一つは、「総合的な検討」ということは、いわゆる抜本的にもう一回やり直さなきゃ総合的な検討とはならぬのです。総合的な検討なんですから、直間比率まで含めてやらなきゃ総合的検討にならぬのですよ。そうすると、この点では、年金の問題も近づいているから、直間比率もあるからということは、どうも消費税率を上げるということを浮き彫りにしたいということの総理答弁が含まっているんじゃないかという私は憶測をとります。
 もう一つは、抜本改正ということは、六十二、三年のときにはシャウプ以来の抜本改正だといって鳴り物入りでやったんですよ。そして、あのときに消費税を入れたんです。あれは高齢化社会のために使うと言ったんですよ。使い方がおかしくなって、今度もう一回抜本改正ということはおかしいんじゃないですかと思うんです。四年間やって、それがおかしいからといってまた抜本改正というのは理屈が合わぬのじゃないかと私は思うんです。
 そういう意味で、非常にこの発言については私は素直にすとんと落ちない面を持っていますので、いずれまた機会を見て議論をさせていただきたいと思います。
 質問を終わります。
#198
○牛嶋正君 私は、租税特別措置法の一部を改正する法律案の中で取り扱われております事項にも環境保全と関連する事項が幾つかあるわけですけれども、きょうはせっかく総理にお越しをいただいておりますので、もう少し議論を広げて、環境問題を取り上げて総理のお考えをお尋ねしてまいりたい、こういうふうに思います。
 あと七年余で二十一世紀を私たちは迎えるわけでありますが、今こそ二十一世紀の我が国の進路をじっくり腰を据えて考えるべき時期ではないか、こういうふうに思います。
 しかし、高齢化、国際化、情報化の進展する中で、我が国を取り巻く内外の情勢は大きく変化し、それが二十一世紀の見通しを難しくしていることも確かであります。
 そういった中で、総理は、生活大国五カ年計画をまとめられ、地球社会と共存する生活大国づくりという方向を国民に示されたわけでございます。その中では、高齢化社会にどう取り組んでいくかそして国際平和貢献にどのような形で参加するか、さらに地球環境をどう守っていくか、こういった我が国が今直面している三つの課題を中心に計画がまとめられていったものというふうにお察しいたします。
 ただ、これから二十一世紀に向けて我が国の経済を運営していくに当たりまして、これらの三つの課題は相互に関連しているように思うわけであります。
 最初の、高齢化社会にどう取り組むか。二十一世紀に豊かな長寿社会を迎えるためには、二十一世紀に向けて我が国の経済はある程度高目の成長率を維持していかなければならないかと思います。
 また、国際貢献におきまして、世界経済が均衡ある発展を遂げていくに当たって、我が国がリーダー的な役割を果たしていくためにも、国内においてある水準の成長率を維持する必要があると思います。
 ただ、三番目の地球環境をどう守っていくかということを考えますと、この点ではある程度成長率に対してそれを少し抑えていく必要が出てくるのではないかと思います。
 総理は、生活大国五カ年計画の中で三・五%という実質成長率を想定されておりますが、この成長率でもって今我が国が直面している三つの課題というのは一応クリアできるというふうにお考えになっているかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
#199
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、我が国がやがて高齢化社会を迎えるであろうが、しかし今から二十一世紀に向かってはできるだけ高目な成長を指向しておく必要があるだろうという点が第一点。
 それから、日本が世界から期待されておるいろいろな役割を果たすという意味からも、あるいは世界経済をリードしていくという意味からも、同じようなやはり努力が大事ではないか。しかし、それらに関連をして環境問題が非常に地球規模になってきたということから考えると、それには幾らでも成長してよろしいというわけにはいかない。成長自身がそういう地球的な問題と整合した、いわゆるサステイナブルと申しますか、そういうものでなければならないという、その辺をどう考えるかというお尋ねでありました。
 私の記憶に間違いかなければ、経済審議会におきまして、生活大国五カ年計画を試算されましたときのフレームにはやはり環境問題というものの意識がかなりありまして、したがって、いわばその中でどれだけの成長が可能であるかという、そういうシミュレーションをたしかやられたというふうに承知しております。
 その結果があそこに与えられた数字で、これであれば環境問題について新しい大きな負荷を残すことはない。しかも、この程度であればまず目標としている幾つかの経済目標を達成することができる。そういう両方を両立する成長の数字をあそこに掲げられたものというふうに承知をいたしております。
#200
○牛嶋正君 我が国が国際貢献に対しまして非常に今積極的な姿勢を示しておられますけれども、この地球環境保全に対して私はそれ以上に積極的な姿勢を我が国は示すべきじゃないかというふうに思っております。
 そう考えます理由は幾つかあるわけですが、一つは、我が国の経済発展とともにエネルギー消費量が非常に増大してまいりまして、それが地球の温暖化にかなり大きくかかわっているという点でございます。
 いま一つは、我が国のGNPは世界のGNPの一五%を占めるに至りましたが、それだけに海外からの資源をかなり消費しております。ですから、今問題になっております森林の減少とかあるいは熱帯雨林の減少、そういったものにも我が国の責任はかなり関係しているんではないかというふうに思うからです。
 もう一つは、少し積極的な意味から、我が国が今後の自然環境の保全にリーダー的役割を果たすべき理由を考えております。
 それは、我が国はこれまで省エネルギーのためのノウハウというのは相当蓄積してきているわけでございます。ですから、こういった蓄積された技術をいわゆる積極的に海外で活用してもらうように図っていく。さらに、これまでの技術にこれから新しい環境保全のための技術を開発していく、それだけの我が国は力があるというふうに思っているからであります。
 こういうふうな理由から、もし地球環境の保全に対して我が国が今後リーダー的役割を果たしていくというふうに考えますと、先ほどお尋ねいたしました三・五%という実質成長率は少し私は高いのではないかというふうな感じを持っておりますけれども、総理は、今目指しておられる生活大国づくりの中でこの環境保全の問題について我が国がどのような役割を果たすべきか、それについてはどうお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
#201
○国務大臣(宮澤喜一君) 国内におきましては、既に政府自身あるいは民間におきましてもいろいろ御協力があって我が国自身の環境保全につきましていろいろな施策がなされておりますが、国際的には、昨年のUNCEDの会議でも申しましたように、我々としてはこれから五カ年間にほぼ八十億ドルぐらい、ですから一兆足らずの金をODAの中で発展途上国の環境問題のために使いたい、こういうことを計数として、数字として約束をしておる国でございます。
 したがって、そのような世界環境に対する我々の負担というものも既に約束をしておるわけでございますから、さらにしかし、これから今御指摘のありましたような我々のノウハウを提供するといったようなことも起こってまいると思います。
 それらのことが三・五%という成長の五年間のフレームの中でどのように可能か、あるいははみ出すかどうかということは、これこそ経済審議会でシミュレーションをやられて検討していただいたものだと思いますので、今簡単な言葉で申し上げることは私自身できませんし、またそれだけの知識を持っておりませんけれども、少なくともその両方の調和がとれるというポイントを三・五%というところに求めたというふうに承知をしております。
#202
○牛嶋正君 私は、この三・五%についてもう一つの懸念を持っております。果たしてこれから三・五%の実質成長率が維持できるのかということでございます。
 と申しますのは、これまでの我が国の経済発展で、やっぱり企業の設備投資というのが非常に大きな力があったというふうに思っております。これまで各企業はかなり旺盛な投資意欲を持って設備投資を展開してきたわけですけれども、これまでの企業のそういった投資意欲がどこからもたらされたのかということを振り返ってみますと、最初は省力化のための投資がなされてまいりました。そしてまた、省エネルギー化の投資も進められた。情報化、ハイテク化の進展に伴いましてその分野への投資も旺盛に行われてきたわけであります。
 これらのこれまでの設備投資の内容を見てまいりますと、そのときどきの非常に明確な投資目標をそれぞれの企業が持っていたんじゃないかと思うんです。そして、その投資目標がさらにそのときどきの国の政策の目標と私はある意味で一致していた、そしてそのことがさらに民間の企業の投資意欲を支えてきた、こういうふうな感じで受けとめております。
 ところが、バブルより少し前ごろから民間の企業の投資目標が少し不確定な要素を含むようになったんではないか。それは、国が進めようとされた内需主導型の経済と個々の企業がそのとき持った市場におけるシェア拡大のための投資目標、この二つの間にはこれまでのような一致が見られない、関連づけが見られないというふうなことを私は感じたからであります。このことがむしろバブルを生み出した一つの原因ではないかというふうにも思っております。そして、バブルの崩壊によってシェア拡大という投資目標は必ずしも実現しなかったわけで、今企業はそういう意味では明確な投資目標を見失っているんではないかというふうに思うわけです。
 そして、国が今示しておられる地球社会と共存する生活大国づくり、この国が掲げておられる経済政策の目標と、個々の企業が、今申しましたように投資目標については非常に見失った状態で、なかなかうまくつながらない。ですから、今後景気がある程度回復いたしましても、これまでのような民間企業の投資意欲が持たれていくのかということについて一つの懸念を私は感じるわけであります。
 ですから、ここで政府は、即効的な経済対策も必要ですけれども、今目指している生活大国づくりで個々の企業がどういうふうな役割を果たし得るのかというふうな点についても、ある程度生活大国のビジョンを明らかにしながら私は示していく必要があるのではないか。そして、個々の企業が投資を行っていく場合に、これまでのように効率だけを追求するのじゃなくて、環境保全というふうな点についても少し考えていく。そういうふうになりますと、新しい投資目標をここで個々の企業が持つことができるし、その投資目標は同時に、国が目指しておられる経済政策の目標とある意味では一致していくのではないかというふうに思うわけであります。
 そういう点では、少し中長期的になりますけれども、ただ生活大国実現のためにこういうふうな目標値を定めてそれを実現していくんだというだけじゃなくて、もう少し個々の企業にも生活大国のビジョンが明らかになるような、そういうような計画づくりというのが今求められているのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#203
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、この三・五%の成長が高過ぎるかどうかということについてでございますけれども、今、過去を顧みてみますと、昭和五十五年から六十年の間の実質成長率の平均は三・八であります。六十から二年にかけて四・七、二年から三年が三・四。その次が今一・六と政府が言っているところでございますけれども、これは現在非常な不況であるわけでございます。ですから、実質三・五という成長率は、過去から見まして私はそんなに高いとは思いません。努力をする必要はありますけれども、達成可能な成長率たというふうに私自身は思います。
 しかし、御指摘は、成長の一つの担い手である設備投資というものが、もうそういう新しい投資目標を失いつつあるのではないかということに関してであります。今の段階で、ほとんど四年間設備投資が二けたで続きましたので、ここで投資意欲がないということはこれは無理のないところですけれども、しかし、かつて一九八〇年の初めのころ言われたことは、もう今世紀には大きな設備投資はない。というのは、技術革新というものはもうほとんどできてしまっておって、現実に設備投資に化体していくような技術革新があれば、既にもう実験室でかなりのところまでできていなければならないという、大変に支持者の多い説がございました。
 しかし、実際にはどこかからハイテクというものが登場をいたしまして、その予測は完全に誤りであったという経験を我々はごく最近に持っておるわけでございますから、これから何が設備投資を主導するか、新しい要因があるかないかということはなかなか簡単に私は言い切れないことであろうと思います。
 例えば我が国の場合でございますと、今はちょっと違いますが、労働力不足ということはもう恒常的な要素にならざるを得ないということがわかっております。このことは、恐らく間違いなく新しいと申しますか、少なくとも省力あるいはそれよりもっと大きな意味で設備投資の要因にならざるを得ないだろうと例えば一つのことをとって申せば私は考えます。あるいは、牛嶋委員がただいま御所論の途中でやや一つの傍系の話としてされました環境問題すらが設備投資の対象になるかもしれない、そういうこともあろうと思います。
 ですから、いろんな意味で、私はこれから設備投資というものがもう目標を失ったと即断することは、どうも過去の経験にかんがみると必ずしもそう思わないということが一つございます。
 ただ、全体として環境問題というものが、成長は何でもすればいいのだということではない、持続可能な成長でなければこれは地球環境を必ず壊すであろうという大きな意味でコンセンサスができつつございますから、そういう意味で、昭和三十年代とか四十年代とかいうような、もう何でもかんでも成長ができるというような時代でない、地球的にそうでなくなっているということは事実であろうと思います。
#204
○寺崎昭久君 道路財源に係る問題をお尋ねいたします。
 まず、暫定税率の延長改正ということでございます。
 周知のとおり、自動車重量税、揮発油税、地方道路譲与税、これらはいずれも二十年近く暫定税率が適用され、なおかつ、数次にわたって引き上げが行われております。暫定というのは仮に一時的な取り決めを行うという問題であろうと思いますが、以下、考え方の点で総理にお尋ねしたいわけであります。
 というのは、第一は、二十年も続けばまさに仮末代であって、暫定暫定といって、いつかは本則に戻されるんじゃないかという国民の期待や信頼を裏切ることになるんではないかということであります。
 それから二つ目は、暫定というのはどうしても税収確保という面から出発しますので、他の租税とのバランス、整合性というのが見失われがちだ、無視されるあるいは軽視されがちだと思います。引き上げる場合も、他の税制とのバランスを考えるよりは今の暫定税率がこれこれだからこの程度は上げてもいいんじゃないかというような検討が行われやすいんじゃないかと思います。
 そして第三は、道路財源についていえば、限りなく応能負担になっていると思いますけれども、何をもって支払い能力を測定しているかということも極めてあいまいだと思うんです。
 こうした状況を考えてみますと、私は既に石油関係の税率は高過ぎると思いますけれども、道路財源に係る暫定税率については他の租税との整合性を考えながら抜本的に見直すという中で、要すれば、本則をきちっと決めるということが必要なんじゃないかと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
#205
○国務大臣(宮澤喜一君) これは十分説得を申し上げるだけのことが私にできないかもしれません、政府委員の力をかりたいと思いますが、やはりそれは一般財源というもので賄うという基本がございましょうけれども、一般財源の収入の拡大には限度がある。他方で五カ年計画がございまして、その五カ年計画に基づいて道路整備をやっていきますので、その期間中の財源をどうするかというところで、一般財源を外しますと、そうしますと揮発油税等に頼らなければならない。そこで、その経過期間中に見合ったという意味で租税特別措置法で定めているのだと思います。
 二十年も同じことをやってきて、それでも暫定がと言われますと、どうもそこはどういうふうにお答えしてよろしゅうございますか、ひとつ政府委員の力をかりたいと思います。
#206
○政府委員(濱本英輔君) 基本的にただいま総理から御答弁がございましたことに尽きるのでございますけれども、道路計画というものを一定の期間を切りましてつくりまして、その期限に見合った財源というものの確保をまた考えるという今の方式からしますと、その一定期間の道路計画というものを満たすための財源のあり方というものをそこで議論し、そして一つの税率を設定していただく、こういう手法でございまして、これがたまたま道路の整備計画が長年続いてまいりましたために、今寺崎先生がおっしゃいましたように、一体いつまでやるのかという感じにお受け取りになられるのかと思います。
 ただ、物の考え方としましては、道路整備計画というものをそういう一定の期間ごとに決めていくということに対してはそれなりの合理性もあると思いますし、またそれに見合った財源をその都度考えていくということもまたそれで一つの合理的な考え方だと思いますので、その考え方自体に我々は不審を持って見るということは今までいたしておりませんけれども、それが今後どういうふうに展開していくかということを考えますときに、今のような御指摘もよく頭に置きまして考えていくべきことかなという気がいたします。
#207
○寺崎昭久君 道路というのは公共財であると思いますが、その財源調達が限りなく応能課税になっておるということにもっと着目をしていただきたいし、他の税制とのバランスというのを考えていただきたいということなんです。総理も将来税制についての見直しが必要になるという趣旨の御発言をされておりますけれども、そうした際、あれは目的税だから別というんじゃなくて、税というのはどのように負担しても納税する国民にとれば同じ税なので、ぜひ全体のバランスをお考えいただきたいということであります。
 もう一つ考え方の問題でお尋ねしますが、ガソリン等の石油精製品にはタックス・オン・タックス、いわゆる二重課税が行われております。消費税を導入したときにこのようになったわけでありますけれども、やはり税の理屈というのは国民にも納得のいくような内容にしなければいけないんではないか。総理はこのタックス・オン・タックスについてなぜ是認されているのか、これをお伺いいたしたいし、関連して政府委員の御答弁がいただければと思いますのは、これを早急に是正すべきではないかということと、せめて酒税並みの調整併課ぐらいを考えるべきではないか、この三点、お願いいたします。
#208
○国務大臣(宮澤喜一君) 消費税を創設いたしますときにこの問題は非常に難しいことになりまして、いろいろなことから結局寺崎委員の言われますようなことになっておると承知しておりますけれども、詳しいことにつきまして政府委員からお答えを申し上げます。
#209
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘の点は、御指摘のとおりになっておりまして、要するに考え方といたしましては、受益者負担的あるいは原因者負担的な性格を持ちます特定財源と、それから消費一般に負担を求めております一般税としての消費税と、この二つを比べていただきますと、それぞれ課税の趣旨というものを異にしておるという理解でございます。したがいまして、別の税がたまたま二つかかるという事態というのはこれはあり得ないことではないというふうに考えるものでございます。
 石油関係諸税のうちで石油税は石油対策、揮発油税とか地方道路税というのはこれは道路整備財源、航空機燃料税は空港整備、あるいは原油関税は石炭対策というふうに、石油にかかりますいろんな税もそういった用向き用向きに税率が設定されるということが現にございますけれども、そういった事態というのは外国におきましても税体系の中に現に存在している事実がございます。
 したがいまして、私どもとしまして、今後こういった税体系というのはそのときそのときの状況に合わせて見直しをしていくということはこれは当然のことであろうかと思いますけれども、物事の考え方としましてはお許しをいただきたいというふうに思っております。
#210
○寺崎昭久君 最後に私伺ったのは、酒税では調整併課をしているのに、なぜガソリンは単純併課なのかということでございます。これもぜひ御検討いただきたいと思います。
 時間が参りましたので、総理に最後にお尋ねいたします。
 環境税の問題が時々話題を呼びます。必要な税制であれば今後大いに議論をしながら固めるべき問題であるとは思いますけれども、しかしながら、何のための税制か、何のための税がということがはっきりしないまま、観測気球のように環境税が時々顔をのぞかせるというのは大変不満なわけであります。例えば、環境対策に広く使われるための原資を必要としているのか、あるいはCO2をできるだけ抑えるためにペナルティーとして税をかけようとされているのか。使途、目的もはっきりしないまま税だけがひとり歩きするというのはぜひ避けていただきたいと思いますし、こうした環境税のようなものを考える場合に、総理はどういう筋道で検討すべきかお考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
#211
○国務大臣(宮澤喜一君) 環境に関する税というものを考えますと、今寺崎委員の言われたようにペナルティーとして、例えば炭素税のようなものは、なるべくそういうものを多用しないように、たくさん使わないようにというペナルティー、あるいはむしろ逆に優遇措置として省エネのための施設に租税特別措置法上の優遇を認める。いずれの場合にもペナルティーかあるいはむしろ今度は優遇措置がという場合の税の使い方。
 全然それと別にと申しますか、それよりもむしろ環境の問題に非常な歳入が必要なのでそのための税を取りたいという考え方か、そのいずれかに私は分かれていくのだろうと思いますけれども、ただいま私が聞いたり見たりしております限りでは、そのいずれであるかという議論が明確になっておらないと思います。また、二つに分けられませんでも、その両方であるというお話でもよろしいのですけれども、それもどうもこれだけの需要がある、あるいはこれだけの効果があるということの説明も十分には聞いていないように思います。
 国際的にまた別に問題がございまして、例えばアメリカで今度何かのエネルギー課税をするということをクリントン大統領は言っておるわけでございますが、そのことが国際的な一種の競争条件の均等化というような形で呼びかけられてくる可能性がまたあるかもしれない。
 いろんな要因があると想像されますけれども、ただいまのところそのいずれも私には余り明快には把握できない。税というものはできることならばかけないにこしたことはないと思っておりますものですから、このことを余り安易に考えてはいけないというふうに自分としては思っております。まだなるほどやむを得ないと考えるに至るようなはっきりした心証を持つに至ってはおりません。
#212
○吉岡吉典君 総理は、予算委員会の論議を初め、税制について二十一世紀を目指しての税制改革の考え方について述べてこられました。その際、昭和六十二、三年の抜本税制改革で残している問題がある、殊に所得税についてあるとおっしゃり、イギリス、アメリカなどで二段階とか三段階になっていることを挙げながら、大体所得税については二段階か三段階に持っていこうとなさっている考えを示されたと思います。内閣改造後の記者会見では三段階とおっしゃっていたと私は思います。
 この考え方は現在も変わりありませんか。ついこの間述べられたばかりですから。
#213
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十二、三年の改正の後残りました問題は、いわゆる中所得階級と申しますのでしょうか、中所得階級のところが、やはり昇給があると新しい上の累進の段階に入っていきますものですから重税感というものがなかなかとれないという、そういう問題を残したと思います。これはしかし、そういうことであるだけに、ここを簡素化しますと失う税収は非常に大きいのでございますので、簡単に取りかかれないという問題を持ったままきょうに及んでおると思いますので、できますならばやはり累進構造はもっと簡単にした方がいい。
 ただ、それは三つがいいのか二つがいいのか、あるいはむしろ現在の方がいいのかというようなことは、政府の税制調査会、私どもの党にも税制調査会がございますけれども、そこらで専門家が検討をしていただきたいと思っておりますことで、私がこれがいいということを申すほど自分に十分知識がございません。
 したがいまして、どういう構造にするかはともかくといたしまして、やはりそのことには取り組みたい、それによって中所得階層の重税感というものはかなり緩和をせられるということは今でも思っております。
#214
○吉岡吉典君 私がこれをお伺いしましたのは、ちょうどアメリカではクリントン政権が誕生しまして、この所得税についても現在三段階であるのを二月十七日の経済演説では五段階にすることを提起しているわけです。総理が五段階を二、三段階にということをおっしゃった大体同じ時期に、アメリカでは三段階から五段階へと。もっと振り返ってみますと、レーガンの第一次、第二次の税制改革で十五段階から二段階になったものを、ブッシュのもとで三段階になり、クリントンが五段階ということを、これはまだ法律になっているわけではありませんけれども、提起しているわけです。
 総理、当然お読みになっているクリントンの選挙公約等を見ましても、言っていることは、結局こういうレーガン税制改革というもので富裕者への優遇をやった結果、貧富の差が拡大してアメリカはもうどうにもならない事態になったので、国民第一に切りかえるんだということがこの選挙公約での基調でもあったと思いますし、今後の税制ということでは富裕者に相応の税負担をしてもらうんだということが中心的に述べられていたと思います。
 日本でも中曽根、竹下税制改革以降の貧富の差の拡大ということは、例えば厚生省の所得再分配調査結果等を見ましてもその方向というのははっきり出ていると私は思うわけです。そういうことを見ますと、中曽根、竹下税制改革でやったと同じように、十五段階から五段階までやったものを、さらに二段か三段ということが検討されている。それをもうちょっと早く二段階までいったアメリカでは、逆に累進を広げようとしている。
 これは非常に対照的なことで、私は今の総理の考えられている方向というのは、今はっきり数字的にも見えるようになった日本の貧富の差というものが一層広がる方向になるのではないか、こう思いますが、その点は総理、どのようにお考えですか。
#215
○国務大臣(宮澤喜一君) クリントン大統領が提案しておられます所得税の改正案は、確かに吉岡委員の言われますように、前政権が金持ち優遇であったというそういう批判に立っておる、財政需要もございましょうけれども、幾らかそういう批判に立っておるというふうに私も思います。
 ただ、私が思いますのは、今吉岡委員は、我が国における貧富の差が拡大しているという最近の傾向についてお述べになりましたが、しかし、基本的には、所得層を五分位に分けました分類によりますと、我が国は第一階層から第五階層までの所得格差が世界で最も少ない国でございます。御指摘は、その間で多少の開きが出てきたということをおっしゃいます。それは私は、殊にこの最近の景気変動で事実だと思っていますけれども、依然として所得格差の最も少ない国であるということは、これは変わりません。
 そういう意味では、アメリカは第一分位と第五分位の差は相当大きな国でございますので、仮にクリントンさんのそういう反省が正しかったとしても、それは我が国にすぐに適用せらるべきものであるかどうか。むしろ、私としては、格差の少ないという点に注目をして今の所得税の累進構造は考えることの方が我が国に適しておるのではないかというふうに自分としては思っております。
#216
○吉岡吉典君 私は、日本の税制で今検討すべきと思うのは、今の累進を一層弱めるという方向の問題が一つと、もう一つ、クリントンが打ち出したことで対照的なのは、彼はあぶく銭でもうける時代に幕をおろすという、第一に富裕者への税金負担を述べるとともに、二番目には、国内の工場を閉鎖し、海外に労働力を求める企業を優遇する税制は廃止するということを掲げているわけです。
 私は、これに先立つ租税特別措置法に関連する論議の中でもこの問題に触れて、やはり企業の海外進出を優遇するような税制というのは検討する必要があるんじゃないか。クリントンは廃止するということが出ている。日本ではそういう時期に引き続きそれをむしろ拡大している。この点も総理、どのようにお考えになっているのか。
 私は、日本の今の税制というのが、結局はレーガン税制をモデルにして、そこが破綻して出直しが始まっている時期に、日本はそれをそのまま引き続いていくということではまずいのではないかと思うんですが、いかがお考えですか。
#217
○政府委員(濱本英輔君) 吉岡先生の御指摘、後段の方をお答え申し上げればいいのかと存じますけれども、前段につきましても一言だけ事実として私どもが気になっております点、総理の先ほどの御意向もそういうものを頭に置いていただいているんじゃないかと存じますことは、例えば平均的な給与収入でございます七百万円ぐらいのレベルをとりますと、日本におきましては所得税、住民税合わせまして五十四万円ぐらいの負担になろうかと思います。これがアメリカにまいりますと百十五万円、イギリスにまいりますと百五十万円ぐらいの負担になる。そういう意味におきましては、これくらいの階層におきます税負担は低い。
 しかし、給与収入がうんと上がってまいりますと、例えばわかりやすく、非常に高くなりますかもしれませんが、三千万円ぐらいでいきますと、日本は千二百万円ぐらいの税金をお払いいただくことになる。アメリカですと一千万足らず、イギリスですと一千百万足らずというぐらいの税でございます。
 これは両極端を申し上げておるわけでございますけれども、その中にございます階層というのはかなり急傾斜で累進構造がきいていく。それが一体勤労意欲等にどういう影響を持つのであろうかという問題意識を持っておるということでございます。
 それから、吉岡先生たびたびの御指摘なんでございますけれども、海外進出企業を優遇するということはおかしいではないかという御論議でございます。
 生意気なことを申すようでありますが、先ほども申し上げたことでございますが、今日本でとられております租税特別措置といたしまして、海外の投資損失準備金、これは例えば外国の政府などに対します貸付金におきまして、債権として傷んだものがあります場合に特別な措置を講ずるというようなもの、あるいは経済協力という観点からその企業の活動を推進しようという観点からとられるものと我々は理解しておりまして、単なる進出企業の優遇策とは意味を異にしておるということをもう一度お答え申し上げておきたいと存じます。
#218
○池田治君 消費支出の減少について二、三お尋ねします。
 昨年三月からことし一月にかけましては消費支出の増減は余り目立たなくて、大体ゼロ水準をとっていたということでございますが、総務庁がこの二十六日に発表されました一月の家計調査報告によりますと、全国・全世帯の消費支出は一世帯あたり三十一万六千五百二十六円で、物価上昇率を差し引いた実質で前年同月に比べて二・一%の減少となっております。品目別に見ますと、光熱・通信が一・六%、家具・家庭用品が八・八%、住居費が二・九%、教養・娯楽費が五・二%、教育費でも九・三%、食料費においては一・二%の減ということとなっております。
 節約は最高の美徳という観点に立てはこれも称賛に値すると思いますが、一般国民は、不景気風にあおられまして欲しい物も買わないでじっと我慢しているのが実情ではないかと思っております。これでは総理の言われる内需拡大という点にも逆行しできますし、また景気を向上させるために消費の拡大ということもこれはまた反対になっております。生活大国づくりの方針も出されておるわけでございますので、総理は、この消費支出が減少したということについていかがお考えか、御所見をお伺いします。
#219
○国務大臣(宮澤喜一君) このような景気の状況でございますし、殊に、先ほど申し上げましたような資産下落効果というものが消費者自身に、仮にそれが実現いたしませんでも心理的に圧迫感を与えるわけでございますし、賃金決定の傾向を見ておりましてもおのずから景気動向を反映するような様子が見られます。また、それに至ります前にも、時間外手当等々が減らされる、あるいはパートの機会が少なくなるといったような、いろんな意味で消費性向を下げるような要因がたくさん見られます。それはおっしゃるように事実であると思います。
 ただ、私どもは、それは基本的にはやはり経済対策として景気の正常化を図ることによって改めていくべきものであろう。こういう状況が非常に長く長く続くということでございますれば、それはまた減税の問題にもなっていくかもしれませんが、むしろこの一、二年の傾向であるといたしますと、それは景気についての経済対策によって改められるものである。恒常的に消費性向そのものが、所得いかんにかかわらず、景気いかんにかかわらず下がってきているというふうには考えておりません。
#220
○池田治君 さようでございますか。
 それは後にしまして、今労使間では盛んに春闘をやっております。春闘でありますが、これも経済界の不景気で、雇用不安ということもございまして時短とか賃上げ、双方の要求ともなかなか思わしくないようでございます。
 金属労協の妥結を中心にして連合が試算をいたしましたところによりますと、全産業のことしの平均賃上げ率は三・九%以下ではないかと見込んでおります。昨年の平均賃上げ率は四・九%ということでございましたので、約一%以上低いということでございます。これは八七年の三・五六%上昇という数字に近い線でございますが、八七年には消費者物価上昇率が〇・五%と物価が安定しておりましたのでよかったですが、ことしは物価も一%か二%上昇するんではないかと言われております。そうしますと、定期昇給が二・一%前後として、物価上昇率二%以上ということを前提といたしますと、実質賃上げ率はゼロもしくはマイナスという可能性もあると言われております。
 そうしますと、消費支出が今申しましたように減少している中において、勤労者の所得が減ってくるということでは消費はますます減少してくることが考えられます。これも総理の言われる勤労者のゆとり、豊かさを実現するという生活大国づくりとは全く逆行している結果になると思いますし、また景気浮揚策としても消費が落ち込むということは余り得策ではないと思いますが、総理の御所見をお願いします。
#221
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申し上げたことと関連をいたしますが、このような景気状況というものの中で労使の交渉の中から賃金水準が決定されていく、これはもとより政府として立ち入るべきものではございませんし、また現実に労使の交渉の中から賃金水準が今決められつつある。その結果は、見ておりますと昨年のそれよりも確かに下回っておるということは事実のように存じますが、これはやはり労使における経済についての見方、考え方等々が反映されているものと思います。
 したがいましてこれ自身は、政府が何か申すべきことではございませんが、消費者物価の問題について申しますならば、ただいま前年対比で一・二%のところにいるわけでございます。したがいまして、政府として消費者物価をできるだけ安定的に誘導するということはこれはかなりの程度政府の一つの政策目標であり、また政策努力でなければなりませんので、その努力は間違いなく続けてまいりますし、また実現できるものというふうに思っております。
 押しなべて申しますならば、そういう結果として可処分所得が経済を反映して多少少なくなるあるいは消費性向が上がらないということは、それはやむを得ない事実であろうと思いますけれども、全体としてはやはり政府が経済対策を進めることによってこのような状況を改善していくというのが政府の本来的な役割であろうというふうに私どもは考えております。
#222
○池田治君 経済対策によって消費減少が防げるということが早くに効果が出ればいいんですけれども、景気浮揚策でいろいろな施策をおやりになっても、株は若干上がってきましたけれども、その他についてはそれほど目立って景気浮揚はしていないというのが現状であると認識しております。
 そこで、やっぱり政府も所得税減税をして、勤労者の懐を豊かにしていただかないと経済は浮揚していかないのじゃないかと思っております。林大蔵大臣は、所得税は増税するよりも減税がいいに決まっていると、こう言われましたが、財源問題、そして減税による効果という問題でなかなか御決断ができないんだろうと思いますが、消費支出の減少、春闘での賃上げの実質低下というようなことを踏まえますと、どうしても勤労者の所得税減税を思い切って断行していただいて、生活大国、総理の言われるような社会にしていきたいと、こう念じております。
 時間が来ましたので、答弁は結構でございます。よろしくお願いします。
#223
○島袋宗康君 先日の予算委員会で時間切れで質問ができませんでしたので、そこで総理にモザンビークの国連平和維持活動、PKOの自衛隊派遣問題についてお尋ねしたいと思います。
 政府は、カンボジアに次いで、今度はモンザンビークの国連平和維持活動に自衛隊を派遣することを決定されたようであります。我が国のPKOの参加は、カンボジア派遣で完全に定着したものとして考えていらっしゃるのか、現在のカンボジア派遣について問題はないのかどうか、お尋ねします。
#224
○国務大臣(宮澤喜一君) 現在、カンボジアにおいて国際平和協力法に基づきまして平和協力をいたしております。いわゆる五原則というものを前提にいたしているわけですが、ただいまのところ、私自身は五原則は守られておる。パリ協定が破棄されたということもございません。それは十三年も戦争をいたしておりましたから、多少のことはある、すべてがしんと静まり返るというわけにいかないだろうということは、これはある程度理解をしておかないといけないと思います。
 そういう状況の中では、五月の二十何日かに選挙を行うということで、既に四百数十万の登録があったわけでございますし、また三十七万の避難民を国に帰すという、そういう大きな計画も、既に三十四万ぐらいまでは実現をしたということ等々を考えますと、これはやはり平和協力活動を我々もあそこで行って国づくりに貢献するということは意味のあることであるし、また法の認めた条件にかなうものであるという判断でございます。
#225
○島袋宗康君 まあまあ参加五原則を満たされているというふうな御見解ですね。
 そうであれば、ほかの地域のPKOも参加させる方針で、いわゆるこれは歯どめにならない。モサンビークへ派遣することによって、あるいはカンボジアへ派遣することによって、歯どめはもうない、これからもほかの地域にも派遣していくというふうな姿勢になりますか。
#226
○国務大臣(宮澤喜一君) これは将来のことはまことに予想しがたいところでございますけれども、モザンビークの場合には既に一九九二年、昨年の十月に包括和平協定ができておるケースでございます。その後の推移を見ておりまして、ここにも五原則の適用は可能だということはかなり前から考えておりましたけれども、いかにも我々にとっては遠いところ、と申します意味は、在外公館を持っておりません、実館を持っておりませんで、ジンバブエが兼轄をしておるということ。したがってこの国の中における状況というのは外交ルートではなかなかわからない。それから邦人は漁業関係者等がかれこれ五十人近くのようでございますが、そういうことでいかにも土地の様子がわからない。その上にさてどのような活動を求められるのかというようなところが明確でございませんでした。
 したがいまして、先日調査団を派遣したわけでございますが、求められる仕事はいわゆる輸送についての調整であるといったようなことがわかってまいりましたし、また在外公館がないということにつきましては、こちらから外務省の関係者を派遣いたしまして、駐在をさせまして政府との関係を維持するということも可能だということがわかってまいりました。また、通信関係につきましてもいろんなことの可能性がほぼ明らかになってまいりましたから、そのような任務であれば、殊に輸送調整といったような分野についての仕事であれば、五十名程度の者を行ってもらうことが適当ではないかということを判断いたしたわけです。
 ただ、今後こういうケースというのがたくさん出てくるかと申しますと、どうも必ずしもそうではない。五原則が、つまり関係者の間で停戦協定ができておって、そして積極的に国連の平和維持活動を望んでいるといったような地域というのは、むしろそれよりもっと難しい地域の方が多いように思っております。ですから、今後次々こういうことがあらわれるであろうということは予想いたしておりません。
#227
○島袋宗康君 このように自衛隊を任務で海外各地へ派遣することは、自衛隊法上の本来の任務とは見られないと思います。国土防衛に当たる自衛隊と国連協力のための組織は明確に区別すべきではないかというふうに思うわけです。今後対処される問題については、国連改革を視野に入れたいわゆる自衛隊法の改正も必要ではないかというふうに整理していかないといかぬというふうに思いますが、その辺についてはどうお考えですか。
#228
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、国際平和協力法を御審議願いました、成立をさせていただきました経緯の中で、このような行為は自衛隊の本来の目的を定めております条項ではなく、自衛隊のいわば、附帯的という言葉は適当でないかもしれません、今百何条という条文を私ちょっと申し上げかねているんですが、そこに規定をいたしました。
 それは、今後国連がどのような機能を営むことになり、したがってそれへのどのような協力が我が国に期待されるのか、またその頻度はどのようなものであろうかといったようなことについて、十分ただいまのところ見通しを立てることが難しゅうございます。そういうこともございました。したがいまして、あのような自衛隊法の改正をさせていただいたわけでございます。
#229
○島袋宗康君 国連安保理事会は、国連平和維持軍第二次ソマリア活動を展開する決議を全会一致で採択しましたが、これは事実上初の平和執行部隊であると言われております。
 変質する国連の平和維持活動に対し、今後の我が国の対応策は従来の五原則で十分か、総理の御見解を伺いたいと思います。
#230
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日でございますか、国連安保理事会が決定いたしましたソマリアの国連の平和遂行というのでございましょうか、ピースエンフォースメントとたしか言っておると思いますけれども、これは事務総長の説明によりましても、国連憲章第七章によるものであるということでございますから、今まで国連としてこういう例は私はなかったのだと思います。
 すなわち、六章によります平和維持活動と違いまして、場合によりましては武力によって抵抗を排除するということも含んでおるようでございますので、これは今まで国連では恐らくそのような例はなかったと思われますし、七章に基づくということはそうであろうと思いますが、その間の具体的な関連がもう一つ明確でございません。
 でありますので、ただこれはほうっておきますと、とにかく食糧が住民に届かないという状況をアメリカ軍によって排除をいたしましたが、そのアメリカ軍が撤退するならばまた同じ状況が起こるということが余りにも明らかでありますので、いわばそういう意味でやむを得ず国連がそれにかわりましてそのような役割を担うということになったわけでございますから、よって来る人道的な考慮は理解ができますが、目的はともあれ、国連が重装備を持って住民の抵抗を排除する――住民と言ってはいけませんが、現地の抵抗を排除するというようなことは初めてのことであろうと思います。
 我が国の国際平和協力法から考えますと、我が国がこのような活動に参加することは私はできないものというふうに存じます。
#231
○委員長(野末陳平君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#232
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法改正案について反対の討論を行います。
 五年来の所得減税見送りによる実質増税で、国民の税負担はかつてなく高まっています。税負担を軽減するためにも、長引く不況を打開するためにも、大幅な所得減税はますます必要となっています。ところが、九三年度税制改正は、国民が求める所得減税を拒否する一方、大企業に対する特別措置について、そのほとんどを期限延長するばかりか、幾つかの新たな制度を新設しているのであります。
 まず、製品輸入促進税制の拡大であります。今まで輸入増加率一〇%以上としていた適用要件を緩め、二%以上あれば輸入増加率に応じて利用できることとしたことは、一層多くの大企業に利用を認めるものであります。また、この制度は我が国企業の海外子会社からの逆輸入にも適用されるものであり、海外進出大企業に対する減税措置ともなっているのであります。
 そればかりか、本改正案は、エネルギー使用合理化事業促進税制、特定環境技術開発促進税制、官民共同研究促進税制、ソフトウエア高度化基盤整備準備金制度など新たな租税特別措置を創設しております。これらは地球環境保全、省エネルギーあるいは研究開発促進などを口実にしていますが、結局のところ、新たな大企業向け特別措置にほかなりません。
 本改正案はまた、農地集積促進税制を創設し、大規模経営体への農地集積を促進しようとしていますが、これは日本農業を支えている九割の中小農家を切り捨て、少数の大規模経営に農地を集積させるいわゆる新農政を推進するものであります。
 さらに、本改正案は、さきの税制抜本改革のときの約束であった利子・株式譲渡益課税の総合課税化を見送っております。その一方、CPなどの有価証券に対して有価証券取引税を非課税とするなど、財テク所得に対する課税を見逃しているのであります。
 本改正案には、老人マル優の限度枠を三百五十万円に拡大するなど、一定の改善措置も含まれていますが、全体としては、以上伸べた理由から反対の態度をとるものであります。
#233
○委員長(野末陳平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#234
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前畑幸子君から発言を求められておりますので、これを許します。前畑君。
#235
○前畑幸子君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   租税特別措置法の一部を改正する法律案
   に対する附帯決議一案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
一 国民の理解と信頼に基づく税制の確立のため、引き続き、公平・公正の見地から税制全般にわたる不断の見直しを進めることとし、特に不公平税制の是正、資産課税の一層の適正化については格段の努力を行うこと。
一 各種準備金・特別償却等の企業関係の租税特別措置については、政策目的及び政策効果の観点から、従来にまして徹底した整理合理化を進めるとともに、各種引当金のあり方等について今後とも検討すること。併せて、赤字法人、公益法人課税について、社会的責任及び応益負担の側面等を踏まえ、その課税のあり方を引き続き検討すること。
一 居住用財産の買換え特例については、昭和六十二年に廃止に至った経緯にかんがみ、地価の動向も含めて実施期間中の適用状況に十分注意しつつ、今後とも、土地政策との整合性を損なうことのないよう留意すること。
一 土地問題の根本的解決へ向けて、適正な地価水準の実現と地価高騰の再発防止が必要不可欠であるとの観点から、土地基本法の理念の下、土地に対する税負担の公平を確保しつつ土地政策に資するため、地価税制度の定着を図るとともに、地価税の創設に伴う増収分の使途については、創設時の論議、その他の諸事情を踏まえ、引き続きその具体的内容を検討すること。
一 利子及び株式譲渡益に対する課税のあり方については、課税の公平・適正の観点から引き続き検討を行うこと。また、いわゆる老人等マル優及び財形貯蓄の非課税制度については、非課税限度額を含むそのあり方につき、それぞれの政策目的及び適切な利子課税体系に配意しつつ、適宜検討を行うこと。
一 酒類の販売については、未成年者の飲酒防止等の観点から、酒類業界が今後とも適切な対応に努めるよう指導すること。
一 自動車関係諸税については、社会経済情勢等の推移に即応しつつ、そのあり方について幅広く検討すること。
一 複雑、困難であり、高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、職務の一層の複雑化・国際化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、今後とも処遇の改善、職場環境の充実及び定員の一層の確保等につき特段の努力を行うこと。
一 納税者意識の向上のための啓発活動の充実及び納税者の応接のための庁舎環境の改善など、納税者サービスの一層の向上を図るよう努めること。
 右決議する。
 以上でございます。
#236
○委員長(野末陳平君) ただいま前畑君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#237
○委員長(野末陳平君) 全会一致と認めます。よって、前畑君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林大蔵大臣。
#238
○国務大臣(林義郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#239
○委員長(野末陳平君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#241
○委員長(野末陳平君) 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。林大蔵大臣。
#242
○国務大臣(林義郎君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、関税率、減免税還付制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、関税率等の改正であります。
 昨年九月の日米乳製品・でん粉等協議の合意に基づくポテトフレーク等の関税率の引き下げ、石油に関する国内の規制緩和に対応した重油の関税割り当て制度の廃止等を行うとともに、平成五年三月末に適用期限の到来する暫定関税率の適用期限を延長する等所要の改正を行うことといたしております。
 第二は、減免税還付制度の改正であります。
 原子力研究用物品等の免税制度について、適用実績がなくなったことから廃止するとともに、平成五年三月末に適用期限の到来するそれ以外の関税の減免税還付制度について、その適用期限を延長することといたしております。
 以上のほか、最近における郵便物等の輸入の急増に対応し、輸入通関の迅速化等を図るため、課税価格が十万円以下の少額輸入貨物に対する簡易税率制度を新設するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 国際開発協会、いわゆる第二世銀は、加盟国からの出資金を原資として、特に貧しい開発途上国に対して極めて緩和された条件で融資を行う国際開発金融機関であり、これら開発途上国の経済・社会開発の促進に大きな役割を果たしてきております。
 国際開発協会は、設立以来九次にわたり増資を行ってまいりましたが、このほど、今後三年間の融資財源を確保するため、第十次の増資を行うことが合意されました。政府は、開発途上国の経済・社会開発における国際開発協会の役割の重要性にかんがみ、その活動を積極的に支援するため、この合意に従い追加出資を行いたいと考えております。
 本法律案の内容は、政府が国際開発協会に対して、従来の出資額のほか、四千七百十五億九百七十四万円の範囲内において追加出資を行い得るよう所要の措置を講ずるものであります。
 以上が二法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#243
○委員長(野末陳平君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#244
○本岡昭次君 法案そのものに特段私は問題を持っていませんので、税関の業務の問題について質問をしておきます。
 まず関の方から申し上げます。税関の関的機能の中で、一番重要な問題になってきつつあるのが麻薬の問題だと思います。麻薬、覚せい剤等の乱用問題は、これは世界的に深刻を様相を呈してきております。
   〔委員長退席、理事竹山裕君着席〕
日本においても不正薬物の使用が非常に問題となっています。今麻薬問題はいろいろな報道、テレビを通して世界の様子として我々が知ることができる状況にありますが、この日本を麻薬汚染国としないためにも、税関の水際での取り締まり、これが極めて重要だと思っております。
 私の手元にある資料によりますと、一九九二年の密輸摘発実績を見ますと、コカインが前年の倍増となっているのを初め、不正薬物全体で七二%の増、末端価格で実に二百三十五億円分を摘発しているというふうになっております。しかも、世界の麻薬組織が日本を麻薬販売のターゲットということで、虎視たんたんとねらっているというふうな情報もあるようであります。
 果たして、水際で麻薬持ち込み、不正輸入といったものを完全に阻止ができるのかという問題に危惧を感じます。密輸の手口も年々悪質巧妙化しておるのでありますが、税関では最近のこのような情勢にどう対応しているのかということについてお伺いをしておきたいと思います。
#245
○政府委員(米澤潤一君) 社会生活の安全を脅かします麻薬、覚せい剤、銃砲等のいわゆる社会悪物品の取り締まりというのは、これはやはり水際においてその流入を阻止することが極めて重要であると私どもその責務の重要さを痛切に認識いたしております。
 最近におきます摘発実績を見ますと、先生御指摘のとおり、平成四年の押収量は全体に増加しておりまして、特にコカインの押収量は前年に比べましてはぼ倍憎いたしております。こうした背景には、国際麻薬犯罪組織が日本をターゲットとしてコカイン等を密輸入しているといったことをうかがわせる事犯もございます。それからまた、旧ソ連の崩壊に伴いまして、向こうの社会経済情勢の混乱により銃砲や大麻といったものが日本に流れてくるといった危険もございます。
 それからまた、密輸入の手口といったものもますます悪質巧妙化いたしておりまして、例えば最近摘発しました事例を見ますと、入国旅客が携帯してきた事例でございますけれども、ボウリングのボールを半分に割ってその中にコカインを隠していたとか、それからコンテナの奥を二重底にいたしまして、竹製品の入ったコンテナの奥に百十キロの覚せい剤が隠されていたとかいった大変巧妙な手口が出てきております。
 そこで、税関といたしましては、こうした不正の薬物等の水際取り締まりを強化するために、考えられます水際の守りというのは私ども大きく分けて四つあるんだろうと思います。
 一つは旅客でございます。旅客が自分で運んでくるといったケースが非常に多うございます。それからもう一つは商業貨物でございます。それからもう一つは、意外に郵便物というのが多いのでございます。それからもう一つは、クラシックな密輸でございますけれども、船員が夜陰に乗じて船からおろす。
 大体大きく分けましてこの四つの想定されるルートがございますので、それぞれごとに、まず一番はこれは情報収集機能の強化でございます。それからハードの面では取り締まり機器の充実でございまして、エックス線の検査装置でありますとか麻薬探知犬、これが非常な威力を発揮いたしております。それからやはり関係取り締まり機関との連携強化でございます。さらには、昨年実施されました麻薬新条約とそれに関連いたします特例法に基づきまして新たに認められましたコントロールドデリバリー、泳がせ捜査とでも申しましょうか、そういった手法といったものも法律上認めていただきました。こうしたものを的確に実施することによりまして、重点的かつ効率的な取り締まりを実施してまいりたいと思います。
 もちろん、このためには仕事自身非常に効率化する必要がございます。考えられる限りの、例えば日常業務はなるべく電算機で処理して、余ったパワーを情報収集であるとか実際の取り締まりであるといった、まさに機械ではできない部分に人間のマンパワーを投入するといった重点化、効率化を図りますとともに、こうした努力をしてもなお必要となる要員につきましては、当委員会におきましていただきました累次の附帯決議の御趣旨も踏まえまして、厳しい行財政事情のもとでございますけれども、関係方面の理解を得ながら要員の確保に最大限の努力を図っているところでございます。
#246
○本岡昭次君 この間の新聞を読んでおりますと、こんな記事も出ておるんです。「コカインをコンドームに詰め込み、飲み込んで密輸する手口が発見された」などと、こんなことをやられたらそれはもうどうしようもないですね。結局これは水際で防止する。それをくぐり抜けて密輸する手段、これは我々のいわゆる常識を超えたところで行ってくると思うんです。それに対してどういうふうにして税関の職員の皆さんが闘うのか、私は大変なことだと思うんです。
 それから、これは神戸税関の麻薬犬エルフとロッキーというんですか、新聞にこういう麻薬犬が活躍しておるというのが載って、いかに税関が頑張っておるかというのを報道しておるんです。こういう麻薬犬を扱う職員の皆さん。しかしある本によると、コカインとかそういうものは粉末だから要するに麻薬犬がかぎ分けられるけれども、それをにおいを消して固形化して入れて、それでもってこちらでまた粉末に戻すという処理をしたらこの麻薬犬もお手上げではないかと。麻薬犬が活躍すればするほど、今度は麻薬犬が対応できない状況を当然つくっていくと思うんです。
 そういうことで、実にこれは際限なき厳しい闘いになってくると思いますが、日本を絶対に麻薬に侵された国、汚染国にしてはならないわけであります。したがって、日本の将来のことを考えてみても、税関の関的機能の中の、密輸といってもそのほかのものもありますが、特に麻薬、覚せい剤、この問題に対して水際で闘ってくれている税関の職員の皆さん、一体何人おればいいのかという問題は大変なことになると思うんですが、少なくとも現状では十分ではないというのが実際税関に働いておられる皆さん方の要望であります。
 私も毎年この問題を質問して、歴代の大蔵大臣が何とか努力しようと。ある大蔵大臣は、税関のこの問題に関して、行政改革の中でシーリングによって全体の定員を減らすという中にこの税関関係の皆さんを入れたことが間違いだったと思うということまでおっしゃった大蔵大臣もおられるわけなんですよ。日本の将来のことを考えたらということですね。
 だから、そういう意味で、水際で完璧な阻止が可能か不可能かという議論がありますけれども、これはやはり可能なまで阻止できる状況を確保し、国民が安心しておられる状態をぜひともつくってもらわなければならない、こう思うんです。
 一つは、局長の方から、自信を持って大丈夫です、本岡さん心配しなさんなと言える職員が配置されているのかという問題と、大臣、そうした問題について大臣自身のひとつ御見解、これ両方まずいただいておきたいと思います。
#247
○国務大臣(林義郎君) 水際における作戦は大変なものだと私も思っております。
 私も大臣就任以来、二遍ほど実はアメリカとヨーロッパにG7のことで行ってまいりました。そのときに税関を通りましたが、税関の方が実はこんなものを押収したと、先ほど局長から話がありましたボールの中に入っていたというのを持ってきた。これどのぐらいするんですかと言いましたら、えらい高いものなんですね。あれだけ高いものをそうやって持ってこられたら、なかなかこれは私は取り調べも容易なことではないな、御苦労ですねという話をそのとき申し上げました。しかし、こういったものが入ってきますと、本当に国民の体に及ぼす影響というのは私は大変なことだと思います。本当にこの点については十分意を用いてやらなくちゃならない、こう思っておるところであります。
 ことしも関西新空港の方の関係でも人がふえましたけれども、特にこれからの税関の業務というのは、今のお話のようなものに重点的に配慮していかなければならない、私もいろんなところで一生懸命努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
#248
○政府委員(米澤潤一君) ただいま大臣から大変力強い励ましのお言葉をいただきまして、大変ありがたく思っております。政府全体といたしまして非常に厳しい行財政事情の中で、定員についても各省庁全体で純減になっている中でございますから、私どもといたしましては、税関の仕事の重要性というものにできるだけ御理解をいただいて少しでも多くの人間を分けていただきたいところでございますけれども、そうエゴだけを申すわけにもまいりません。しかし、できるだけの最大限の努力をして要員の確保に努めてまいりたいと思っております。
 おかげさまで、そうした努力が実りまして、もちろんそれで百点満点ということでは決してございませんけれども、平成五年度におきましては画期的な百七十一人の純増というものが認められました。これは平成元年度の消費税導入のときの百五十五人を上回ります、実に昭和四十七年までさかのぼるほどの画期的な増員でございまして、こうした増員を認めていただきましたからには、私どもその戦力をまさに最大限発揮して、課せられた任務の最大限の遂行に果たしてまいる覚悟でございます。
#249
○本岡昭次君 そうして、毎年のように附帯決議をつけています。
   〔理事竹山裕君退席、委員長着席〕
参考までに去年の参議院大蔵委員会の附帯決議を見ますと、「中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。」、「特段」という言葉を入れて附帯決議を政府に対して上げたということがあるわけですが、今定員の確保百七十一名ですか、それだけの増員ができたということで、政府の方も附帯決議の約束を果たしてくれて本当にうれしく思います。
 しかし、その中にもう一つ、「その処遇改善」というのもあるわけなんですが、あるいはまた「職場環境」というのもあります。この「処遇改善」ということの中に、先ほど言いました水際作戦を展開する人たちの能力とかいう問題は非常に高い特殊的なものを要請されるわけでありますが、そうした関税職員の処遇の中に、特殊勤務手当とかいったようなものを含めて、そうした特別な能力というんですか、業務の力をつけていくための処遇というようなものが図られているのかどうかということと、私どもの兵庫県にも税関職員の宿舎がございますが、今度は百七十一名も増員されて、それぞれのところに配置されていくということになろうかと思いますが、そうした職員の寮とか宿舎とかいったものは万全になっているのかどうか。
#250
○政府委員(米澤潤一君) 職員の処遇に関しましては、税関の業務内容の特殊性、高度な知識、経験、技術を要するという点を踏まえまして、従来から上位の級別定数の拡大に努力してまいりました。それからまた、特殊勤務手当の拡大、それから職場環境の改善等に総合的に努力してきているところでございます。
 特殊勤務手当につきましては、これは法令上、「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別の考慮を必要とし、かつ、その特殊性を俸給で考慮することが適当でないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給する。」ということになっておりまして、税関におきましては一定の業務に従事する職員に対して犯則取締等手当を支給いたしております。
 具体的には、税関職員が令状等に基づいて船内捜索に従事した場合、これは昭和四十六年度からでございますが、これに加えまして、平成二年度からは麻薬探知犬取り扱いに従事した場合、それから平成四年度からは令状等に基づく麻薬、銃砲等に係る居宅、事務所等の捜索に従事した場合というふうに拡大してきているところでございます。
 それから、お尋ねの寮、宿舎につきましては、これは政府全体の配分の問題がございますけれども、まさにその場所に勤務していなければならないという官署がいっぱいございますので、その特殊性については宿舎当局のかなり好意的な御配慮をいただいているところでございます。
#251
○本岡昭次君 特殊勤務手当の問題は努力してもらっていることを今聞かせていただきましたが、先ほど言いましたように、完璧な水際での阻止可能な状況をつくっていくために、そしてすぐれた職員を養成していくためにもさらにひとつ努力していただきたいということを要望しておきます。
 それから、先ほど百七十一人の要員の増があったということは、その理由のもう一つの問題に関西新空港の開港ということもあるんではないか、こう思っております。平成六年の夏ごろに関西新空港が開港予定されています。この関西新空港の貿易量及び出入国者の予想というふうなものが、大阪税関長の私的諮問機関である関西新空港と地域社会に関する税関行政懇談会というんですか、私もその資料をいただいてずっと読ませていただきました。
 それを見ると、平成二年の数字を使って、輸出に関しては約七兆四千億、現在の大阪国際空港、伊丹空港と呼ばれているその約八・七倍、成田空港の約一・六倍と想定しています。また、輸入についても約四兆四千億、伊丹空港の約四・四倍、成田空港の約〇・六倍、こういうことで大変な大きな空港ができるんだなということがわかります。
 また出入国者数についても開港時点で千二百九十万人というふうに見込まれていて、成田空港よりもやや規模が小さいですが、ほぼ同じぐらいの出入国者を予定している。こういうことなんですが、この税関行政懇談会の報告書のような形になると想定していいんですか。
#252
○政府委員(米澤潤一君) 御指摘の関西新空港と地域社会に関する税関行政懇談会と申します、これは大阪税関長の私的諮問機関ということで発足いたしまして、平成三年の五月に「関西新空港と地域社会に関する税関行政懇談会報告書」というのを出しました。
 その中に、先生御指摘のとおり、「平成六年に関西新空港が開港すれば、その貿易額は現在の大阪、神戸両港を合わせた貿易額に近いものになると見込まれる。」という記述がございまして、現在の大阪、神戸両港の数字を合わせますとただいまおっしゃいましたような数字になります。それから、出入国者数につきましても、関西空港株式会社が昭和六十年の四月に出しました開港時の需要予測というのがございまして、これによりますと千二百九十万人、こういうふうになっております。
 空港の滑走路が一本でございまして、一本の滑走路の場合、マキシマムな離発着回数というのが大体十六万六千回ぐらいと言われております。それをもとに理論計算いたしますと、ちょっと金額にはなかなかしにくいのでございますけれども、理論計算いたしますと一定の数字が出てまいります。まさにマキシマムを使った場合の理論値といたしましては、大体成田のちょっと下ぐらいの数字という数字はあるのでございますけれども、問題は需要の方がどれだけ出てくるかということでございます。そのマキシマムのキャパシティーにどんなペースでふえていくだろうかということは、経済の予測にも関係いたしますし、それからもっと具体的には実際に乗り入れるエアラインの需要がどれだけあるかということにもよってまいります。
 ですから、遠い先の、本当に将来の滑走路が満杯になるキャパシティーとしてはおっしゃったような数字はございますけれども、それにどんなペースで到達していくか、それからまた、開港時にどれだけのお客さんがあるかということにつきましては、これはなかなかちょっと推計しにくいところでございまして、当面の問題といたしましてはやはり開港時の姿を押さえていくことが大事だろうと思います。これはもはや一年何がし先のことでございますから、推計といったような悠長なことではとてもぶれが大きくて困りますので、もはや具体的に積み上げていく段階ではないか。
 それで、この積み上げにつきましては、エアラインがこれからどう入っていくか、これが実はまだ決まっておりません。これからだんだん運輸省の方が国際交渉をなさいまして、まず相手国政府と乗り入れの航空協定のあれをなさいます。それから、それができますと今度はIATAを通して各エアラインと具体的な時間割りのようなもので積み上げていかれる。そうしたものをこれから夏の概算要求の時期、それから、概算要求の時期にはまだかたまっておりませんので来年の予算決定のとき、さらには来年の夏と言われております開港の直前にまた見直すといったようなことで積み上げてまいりたいと思いますが、いずれにいたしましても御指摘のような数字は遠い将来の問題としてはともかくとして、当面の数字としてはちょっとそこまでの需要には到底いかないのではないかと思っております。
#253
○本岡昭次君 よくわかりました。
 それで、ここは二十四時間自由に通関処理することが可能な空港というんですか、そういうものになるということも聞いております。そしてまた、成田空港並みの規模にするということから、航空貨物の物流の迅速化を図るために航空貨物ターミナル構想というふうなものが成田空港と同じように、ここにある六甲アイランドとか大阪南港、りんくうタウン、泉北六区、こんなところに挙げられている。要するに、物流の迅速化のために航空貨物ターミナルに通関機能を持つということですね。ということがある。
 そういうこと等を考えてみると、二十四時間空港、それから今言いました物流の迅速化のためにということで、これは税関の職員の対応もかなり大変なことになるんではないかというふうに思うし、また的確な、適正配置というんですか、そういうものがなければかなりの負担増になるんではないかというようなことを心配するんですが、その点はいかがですか。
#254
○政府委員(米澤潤一君) 関西新空港の構想の段階で二十四時間運用というものを可能にするようにということが言われております。ただ問題は、実際のエアラインの時間割りの張りつけて果たして二十四時間張りつくような需要があるかどうかということ、それからまたアクセスの問題もいろいろございます。ですから、いつの段階で二十四時間運用ということにだんだんなっていくか、それを見ながら対応を考えてまいりたいと思っております。
 いずれにいたしましても、今でも成田にいたしましても、もちろん離発着時間は二十四時間ではございませんけれども、少なくとも八時間ではございませんので、これは直勤務でちゃんと必要な人間を一定の勤務時間の中にはまるように直で運用いたしております。ですから、その直がたくさん必要になるようなことがございましたら、それだけの必要な人間はいかにしてでも配置していかなければならない、こういうことでございます。
#255
○本岡昭次君 最後に、地方空港の問題も伺っておきます。
 これも毎年議論になるわけで、地方空港の税関空港化ですね。チャーター便が飛ぶとかあるいはまた現在の国際空港では間に合わないので地方空港から国際便が飛ぶというふうなことがあるわけです。その対応はどうしているのかというと、それらの近辺の国際空港から要員が回っているんだということで、大変だなというふうにずっと思っていたんですが、そのことについても、「税関業務の運営等に関する行政監察」、勧告ですね、平成四年八月、総務庁が行っていますが、この中にもその趣旨のことが明記されているわけです。
 「業務量が急増し、かつ、日曜日等における勤務の必要のある地方空港等の官署については、それら業務の実態を踏まえた要員配置を行うこと。」とか、あるいはまた「出張所及び監視署の配置について、地方空港の国際化等への対応、物流、交通事情等の変化を踏まえ、その見直しを行うこと。」というようなことで、総務庁も新しい国際化という問題を踏まえての勧告がなされているわけですが、こうしたことについて、従来からも努力するという御答弁をいただいているんですが、この勧告は見直しをせいと言っているわけで、従来のように応援に行く体制を強化するとかいうことじゃなくて、やっぱり地方空港の税関という問題も新しい観点に立って見直せということじゃないかと私は思うんですが、その点はどうなんですか。
#256
○政府委員(米澤潤一君) 地方空港、特に税関空港になっております地方空港の離発着状況というのは、空港によって随分違います。それで、毎日のように入ってくるところはよろしいのでございますけれども、それに対応して人員を配置いたしておりますが、大部分の空港は特定の曜日に集中しているとかあるいは週のうち飛行機が入ってくる日と入ってこない日とがある、そういうところでございまして、非常に全体として厳しい定員の中でございますから、ピーク時に合わせて必要な人員をべたに配置するというのもこれまたなかなかむだなことでございます。そこで、やはり賢明な人員配置ということからいたしますと、ある程度応援といったことによらざるを得ないと思いますので、問題はいかに応援を合理的にやるかということではないかと思います。
 そこで、私どももこの監察を受けてということだけでなくて、私ども自分たちでも考えてきたことでございますけれども、最近、この応援の体制について、一つは、応援するもとの方、大体もとの官署というのは海を抱えている官署でございまして、そこに例えば要注意船が入っているとか、そちらの取り締まりの需要もありますから、総合的に考えて、両方見比べまして、例えば空港の方がチャーター便でお客さんの素性がもう全部わかっている、余り密輸のリスクのないような地域から飛んできた地元の方のチャーター便だというようなところはそれほどぎりぎりと見なくてもいいんじゃないかというような一種のリスク判定をいたしますということで、その場合には応援する人員を最小限にとどめる。
 それから、また一方で飛行機は入ってくる。しかし応援しようにも応援するもとの方もちょうどそのときピークと重なるといったようなときがあります。そういうようなときには、今度は玉突き応援と申しましょうか、応援するところへまた近くから応援するというようなことで、人員を最も効率的にオペレートする。
 そろからさらには、近いところでやるということになりますと、近いところというのは必ずしも大きな所帯とは限りません。やはり大きな所帯の方が応援するにも効率がようございます。例えば、北海道の例でございますけれども、もはや近いところということではなくて、飛行機を使いまして千歳から飛んでいく。その方が経験もあるといったような、いろいろ工夫をしているところでございます。
#257
○本岡昭次君 終わります。
#258
○前畑幸子君 私は、IDAの第十次増資の経緯についてお聞きしたいと思います。
 昨年四月に行われました世界銀行・IMFの合同開発委員会において、環境と開発という関係に大変焦点が当てられたわけですけれども、この国際開発協会の第十次増資では環境問題にも十分配慮をするため、いわゆる環境増分イコール環境対策面への追加的資金というものについて検討することが合意されていると思います。
 これは開発途上国に提供する地球環境保全というために資金を別枠扱いとするもので、環境対策的な側面を全面に打ち出したものであったと思っておりますが、その後の経過を見ますとこの別枠扱いが実現しなかったように思うわけです。その見送られた理由と、それから地球環境問題に対するIDAの役割について見解を御説明いただきたいと思います。
#259
○政府委員(中平幸典君) ただいま御指摘がございましたように、世銀、IDAを通じまして環境問題に対する配慮を強化をしていくということが今回の増資に当たりましても合意をされたわけでございます。そして、これももう一つ御指摘がございましたように、IDAの第十次増資に当たりまして、環境に対する配慮を重視すべきであるという立場から、増資の規模を決める際に環境分というものを設けてはどうかという議論があったことも事実でございます。我が国といたしましても、この環境増分というようなものは検討に値する一つの考え方であるというふうに考えておりました。
 その後、数回に及ぶ増資交渉というものが行われたわけでございますが、その過程におきましてこのような増分を設けるか否かにつきまして各国の間で意見が分かれたわけでございまして、資金が枯渇する時期が迫っておりましたということもございまして、早期に増資の合意に達するためには環境増分というものを設けるというのではなく、環境問題への取り組みはIDA融資の全般を通じて一層強化していくということといたしまして、この増資についての合意にこぎつけたというわけでございます。
 それから、ただいま地球環境問題に対してIDAはどういう役割を果たしているかという御質問がございました。
 御承知のとおり、地球規模の環境保全につきましては、先進国と途上国が共同いたしまして平成三年五月に地球環境ファシリティー、GEFというものを創設したところでございますが、世銀、IDAは地球環境ファシリティーの事務局といたしまして基金の管理を行いますほか、GEFにおける融資案件につきましてもその審査や実行等に当たって中心的な役割を果たしてきているわけでございます。
#260
○前畑幸子君 実は、私のところへ「地球の友」というところからIDAに対する大変批判的な、IDAの姿勢は問題があるというファクスが送られてきたわけです。
 それを見ますと、ナルマダダム計画に対して八七年度本格着工以前から現地住民及び国際的環境団体による反対運動が起こっていたにもかかわらず、世銀は融資継続をしている。ことしの一月末には警察部隊が八度にわたって住民をねらい撃ちするというような発砲事件まで発生しているということなんですね。
 私、このナルマダダム計画というものに対するちょっと資料がまだ手に入っていないんですけれども、その計画のいきさつと現在の状況を少し御説明いただけませんか。
#261
○政府委員(中平幸典君) ナルマダダム計画と申しますのは、インドの中部におきますナルマダ川流域総合開発計画の一環といたしまして、グジャラート州にかんがい、発電を目的とする多目的ダム及び水路を建設する、そういうプロジェクトでございます。
 そこで、これに対しまして世銀、IDAは、本プロジェクトにつきましてダム及び電力プロジェクトに三億ドル、水路プロジェクトに一億五千万ドルを供与するということを、もう大分前になりますが、一九八五年の三月に承認をいたしました。
 その後、ただいま御指摘のありましたように、住民移住の問題、環境の問題というのが出てまいりました。そして、世銀、IDAの総裁でございましたコナブル氏の決定によりまして、一九九一年の六月に、住民移住問題及び環境問題について、独立の委員会、モース委員会と言っておりますが、これに検討を依頼いたしました。そして、昨年の十月の理事会におきまして、このプロジェクトの移住面及び環境面の問題点について指摘をいたしましたただいまの独立委員会、モース委員会の報告を受けまして、検討をいたしました。
 その結果、当面この融資は継続しつつ、移住、環境問題にかかわる改善について包括的なレビューを行う、そして、その包括的なレビューの結果を踏まえて、さらに融資継続の適否を検討するということが決定をしております。
 いずれ近いうちにこの包括的なレビューの結果が出てまいりますので、これを踏まえて私どもとしても慎重に対応していく必要があるというふうに考えております。
#262
○前畑幸子君 説明書の四ページの「IDAの増資規模と我が国の出資額の推移」を見ますと、第六次あたりからほとんど世界第二位の地位にあり、最近ではシェアも二割を超す大変多額の出資をしているわけですけれども、今の世銀、特にIDAが融資するプロジェクトは、成長とか貧困の撲滅、環境保全といううたい文句とは裏腹に、このナルマダ計画に代表されるような社会的にもそして環境的にも深刻な問題を残しているんではないかということで、現在国際NGOによるIDAに対する増資に待ったというキャンペーンが展開されているということですが、本当でしょうか。
#263
○政府委員(中平幸典君) このIDA融資につきまして、融資の対象となるプロジェクトの環境等に対する影響につきまして批判的な御意見があるということは私どもも承知をいたしております。私どもは、こういう御意見にも十分耳を傾け、注意を払っていく必要があるというふうに考えておりますが、IDAはこれまでも途上国の貧困緩和や環境保全に対する支援に努めてきたところでございまして、今回の第十次増資に当たりましてもこの努力を一層強化していくということが合意されているわけでございます。
 なお、ナルマダダムの問題につきましても、私ども、我が国といたしまして、このプロジェクトの進捗には、住民の相当数が移転に同意をすること及び包括的な環境行動計画の策定が完了することという条件が満たされるべきであるという立場でございまして、こういう主張を理事会でもしてきているところでございます。
#264
○前畑幸子君 これ「エコノミスト」にも、鷲見先生という方が「放漫経営の危機に直面する世界銀行」と、世銀のあり方に対して大変厳しい見方をしていらっしゃるわけです。私たちの尊い税金をこうして後進国のために使うわけですから、やはり喜んでいただくような使い方をされないことには、私たち国民としても本当に情けないことだと思いますので、気をつけていただきたいなと思います。
 それでは、このIDAに対する我が国の追加出資の払い込みというのは三年均等分割の出資国債で行うということになっておりますけれども、各年度の現金償還見込み額というんですか、それが各年度の一般会計歳出予算の国債費の出資国債償還財源国債整理基金特別会計へ繰入の中に一括で計上されているわけですね。ほかのものも入っているわけで、この国債費の項目の中には国際金融機関の出資分も含まれているわけでして、あくまで現金償還見込み額ということですけれども、どのくらいの現金償還が各年度行われているかということはこの予算書の中からは数字的にはわからないわけです。
 この過去の現金償還実績をきちっと公表できるような数字というものはあるんでしょうか。
#265
○政府委員(藤井威君) 過去のIDAに対する増資分で払い込みが行われたものにつきまして、IDAから我が国に償還の請求がございます。今先生の御指摘のとおり、国債費で計上いたしております償還費の中からそういう要請にこたえておるわけですが、現実にIDAに対して幾ら償還したかというのは過去の分については当然数字がございます。
 今御審議いただいております十次の前の第九次増資に係る現金償還実績は、例えば平成二年度分につきましては六十八億円、三年度は三百五十九億円、合計四百二十八億円でございます。
#266
○前畑幸子君 第九次増資の追加出資額である四千三百三十一億円の実績というものは、今おっしゃった二年と三年と、そうするともう一年残るわけですか。
#267
○政府委員(藤井威君) 今、実績というお話でございましたので、二年と三年の終わりました年次、決算が確定しておりますので、その数字を合計四百二十八億円と申し上げました。
 もちろん全体としては四千三百三十億円でございますのでまだ残っておりまして、平成四年度は予算上は八百三十一億円を計上しております。五年度は九百六十五億円を計上して、現在御審議をお願いしております予算の中に含まれております。
#268
○前畑幸子君 それから、IDAにおける我が国の投票権シェアが、ほかのと比べますと何か低いような気がするんです。発言権をあらわすこれは指標であると思うわけですけれども、一九九二年六月末現在で九・九七%となっているわけです。出資シェアの二〇・一八%に比べると、何かそこに、ほかの世銀などとの割合から見ますと発言権が保障されている数字がちょっと合わないような気がいたしますが、その辺はどういうことでしょうか。
#269
○政府委員(中平幸典君) ただいま御指摘の数字はそのとおりでございまして、我が国の出資シェアが投票権のシェアと比較いたした場合に、出資シェアに比べまして投票権のシェアが低いというのはそのとおりでございます。
 これは、IDAにおける投票権というものを配分する場合に、出資額の小さい発展途上国にも一定の投票権を確保するという観点から、投票権を算定するに当たりまして、出資額に比例する部分、すなわち比例票のほかに出資に関係のない基礎票というのを設けまして、これを加盟国に平等に配分しているということが一つ。それからもう一つは、先進国と発展途上国の間で比例票の算定に当たって差を設けまして、途上国の投票権が余り小さくならないように、こういう配慮をしていることがこの背景にございまして、我が国のように出資額の比較的大きい先進国につきましては、出資シェアに比べて投票権のシェアが小さくなっておるという事情があるわけでございます。
#270
○前畑幸子君 そうしますと、ほかの世銀などと違って出資割合と投票権というものが比例しないということなんでしょうか。
#271
○政府委員(中平幸典君) 世界銀行の場合におきましても、それからIDAの場合におきましても、あるいはその他アジア開発銀行等の地域開発金融機関におきましても、考え方としては、出資に比例した投票権の部分と各国に平等に配分する基礎票、こういうものを両方足して各国の投票権にする、そういうやり方は同じように行われているわけでございますけれども、御承知のようにIDAの場合には原資となります資金は出資金しかございませんものですから、次々と三年ごとぐらいに増資を重ねてきておりまして、その出資というのは圧倒的に先進国が出資をいたしまして、そして非常に貧しい国に融資をする。そうなりますと、投票権はそのまま置いておきますと先進国の投票権がどんどん大きくなりまして途上国の投票権が小さくなってくる、こういうことが懸念されるわけでございます。
 そこで、全体として途上国の投票権が余り小さくならないように、そういう工夫をいたしまして、そのために、一つは先ほど申しましたように基礎票の部分を大きくするということ、それからもう一つは、比例票の算定に当たりまして途上国と先進国で差をつけるというやり方をしてまいっておるものですから、ただいま御指摘のありましたように、世界銀行と比べましてIDAの方が出資シェアとの間の差が非常に大きくなっておるということはそのとおりでございます。
#272
○前畑幸子君 八ページに、一九九〇年度でいきますと、農業・農村開発などが大変なウエートを持っていた。それから教育も大変なウエートを持っていたわけです。時代とともに必要とされる融資承認額が動いてきているわけですけれども、九二年度を見ますと、ノンプロジェクトというのが二二%、それから人口・保健・栄養というのが一〇%。農業・農村開発はそれなりのウエートを持っているわけですけれども、このノンプロジェクトというのが九〇年から九二年度にかけまして三倍近い伸びをしているわけです。この辺のことをちょっと御説明いただけますでしょうか。
#273
○政府委員(中平幸典君) 世界銀行もIDAも、もともと途上国におきます生産設備あるいはインフラ整備等の開発プロジェクトに対する融資というものを基本として業務を行ってきたわけでございますけれども、近年、経済成長を達成するためには、開発プロジェクトの実施に加えまして、経済全般を効率化して資源が有効利用できるように経済の構造調整を図る必要があるということが指摘されるようになりまして、IDAにおきましては、一九八〇年から通常のプロジェクト融資に加えまして途上国経済の構造調整努力を支援するためにいわゆるノンプロジェクト型の融資を実施してきております。
 具体的に申しますと、借入国が経済構造調整のためのいろんな施策を実施するということを条件にいたしまして当該国に対してプロジェクトベースではない経済開発に必要な資金というものを供与する、そういうやり方をとってきておりまして、それが全体で一九九二年度、世界銀行の年度ですから七月から六月まででございますが、その年度におきましては全体の約二割になっているというのが現状でございます。
#274
○前畑幸子君 世界銀行をめぐりまして、世界銀行の内部費粋でワッペンハンス・レポートというのが出ているわけですけれども、これによりますと、今までのそういうプロジェクトに対する失敗率が三七・五%ということで、三件に一件は失敗しているという結果が出ているんですね。日本は世界銀行に対してアメリカに次ぐ第二位の出資をしているわけですけれども、世銀に対して日本もこれから責任ある役割を果たしていかなきゃいけないと思いますけれども、この辺の失敗率に対しての御見解はいかがでしょうか。
#275
○政府委員(中平幸典君) 世界銀行、IDAは途上国の開発を支援するために融資業務を行っているわけでございますが、その業務がおっしゃいましたように有効に効果を上げていくということが重要でございまして、果たして世銀、IDAの行っております融資がそういう効果を上げているかどうかということを内部で検討してきているわけでございます。
 その一環として行われました世銀内部の評価によりますと、一九九一年度に完了したプロジェクトにつきまして、向こうの内部では、コストに対してどれだけの収益を上げているかという指標でございます収益率が一〇%に達していないようなプロジェクト、これを不満足と、こう言っておりまして、そういうプロジェクトが確かにこのところふえてきて、九一年度に完了したものについては全体の三七%に達しているというのは御指摘のとおりでございます。
 このような状態になっている理由としては、一次産品価格が低迷しているといったような外的な要因もございますが、世界銀行自体としてプロジェクトの審査、管理能力、そういうものをさらに向上させる必要があるんではないかというような自省、反省をいたしておるところでございます。
 私どもとしては、世界銀行、IDAの中でこういう実際にやっておりますプロジェクトを分析して、問題があるならば問題があるということを指摘をし、そしてそれに対する対応をみずからのイニシアチブでやっていくということは健全なことだと考えておりまして、私どもとしても、ただいま御指摘のありましたように、貴重な国の金を出資をするわけでございますので、世銀、IDAの出資が所期の目的を達成するように、こうした議論には建設的に参加をしてまいりたいというふうに考えております。
#276
○前畑幸子君 ぜひお願いしたいと思います。
 我が国の経常黒字が九二年度には千百七十六億ドルという最高に達したわけですけれども、一方、民間の対外直接投資の方は八九年をピークにしてどんどん減少している状況にあるわけですけれども、このため黒字をどのように還流させていくかということが我が国の重要な政策課題となってきているような気がいたします。
 こうした中で先日、一月十五日に森通産大臣が日本・EC閣僚会議に出席して、ブリュッセルでこれまでの倍に当たる総額千三百億ドルをこれから五年間にわたって新たな資金還流計画構想として発表されたと思います。その中に、世界銀行など国際機関への拠出金の増額とか、環境保全や開発途上国の産業構造高度化につながる円借款の充実とか、それから日本輸出入銀行の途上国向け融資の大幅な拡充などということをおっしゃっているわけです。また、一月の二十八日には、総理も衆議院の予算委員会の中で、新たな資金還流計画の必要性を発言されたと思います。
 こうしたことを考えますと、政府におきます今の検討状況といたしまして、資金還流計画の目標額をどのようにされるお考えでしょうか。
#277
○政府委員(中平幸典君) ただいま御指摘がございましたように、我が国の経常収支の黒字というのは昭和五十六年度以降かなりの期間にわたって続いているわけでございますが、他方、我が国の外貨準備高は平成元年四月に千三億ドルに達した後、近年はむしろ減少しておりまして、現在は六百九十億ドル程度となっているところでございます。民間が輸出等によって得ました外貨は、民間企業による海外への投資でございますとかあるいは銀行の海外からの借り入れの返済という形で海外に戻っているわけでございまして、このような形で資金は市場を通じて国際的に循環をしているわけでございます。
 他方、世界の資金フローを見てみますと、先進国相互間の場合にはマーケットを通じまして比較的円滑に資金が流れてまいりますけれども、開発途上国に対する資金フローを確保するということは引き続き重要な課題になっているわけでございます。
 そこで、我が国が国際社会において果たす役割に対する期待が高まっている中で、我が国から開発途上国に対して資金フローを確保するということは、我が国の国際貢献の観点から極めて重要であると考えておりまして、途上国の資金ニーズがどこにあるかどういう資金ニーズに対してこたえていくことが望ましいかということを念頭に置いてただいま幅広く検討をいたしているところでございます。
#278
○前畑幸子君 資金還流計画よりも市場開放したり内需拡大をすること、それによって黒字削減を優先するように求められているわけですから、新たな資金還流計画に対する欧米の見方というものは必ずしもいい目ではないような気がいたしますから、その辺が、何のために資金還流をするのかという理念をきちっと持っていただきたい。
 今度の新たな資金還流計画の理念について、最後に大臣の御見解をお聞きして終わりたいと思います。
#279
○国務大臣(林義郎君) 資金還流計画と申しますか、私は国際経済、特に国際金融の中におきまして考えなくちゃいかぬのは、一国の経常収支が余りにも過大であるというのは、やっぱり世界的なバランスを逸することになるんだろう。かつてIMFがアメリカのドルを中心といたしまして固定平価制でずっと動いておりましたときには、日本も随分言われたんです。経常収支の赤字に悩んでいる、赤字国はいろんなことをやらなくちゃいかぬ、こういうことがありました。
 しかし、その後変動相場制になりましたり、国際経済理論の中におきましても、一国の経常収支の赤字があるならばどこかに経常収支の黒字があるわけでありますから、世界が全体としてバランスを持って発展していくためには、一国だけのバランスというものを考えてやっておったのではいけない。世界全体の発展を図るためには経常収支のおのずからなる節度がなければならないだろうと思っております。
 もちろん、経常収支というのは貿易と貿易外の観点でありますから、お話のように貿易についてのいろんな形で輸入拡大を図っていくことであるとか、あるいは貿易外の受け取り、支払いの関係を改善していくとか、いろんなことを私はやっていくことが必要だろうと思います。思いますが、やはりそういったことに対する政策努力というものを私たちもやっていかなければならないと思っておるところであります。
 かつての六百五十億ドルというようなときにやりましたのは、中南米諸国に対して、金がないからと、こういうことでありました。今どこに金を回していったらいいのか。私はやはり発展途上国に金をいろいろ回していくことによって経常収支の黒字を縮小するというのが大体の大きな筋だろうと思います。しかしながら、これはノーマルな形ではなかなかいかない。政府援助というような格好が必要でございますから、一体そういったものをどうしていくかというのを私たちは基本的に考えていかなければならない。
 世界全体をどう発展させていくか、日本の国際的貢献をどう発展させてやるかというところに私はこの基本的な問題があるように考えておるところでございまして、そういった観点からいろいろと勉強させていただいております。サミットがありますし、総理もアメリカへ行って日米会談をやられます。恐らくそういった中で日米間の貿易の関係と世界経済の中においてどんな形でやっていくかという話もしなければならない、またしていくべきだろう、こう思っておるところでございますので、そういったことも踏まえまして努力をいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#280
○牛嶋正君 私は、今問題になっております関税定率法及び国際開発協会に関する法律に特段の意見がございませんので、いただきました資料に基づきまして若干御質問をしてまいりたいと思います。
 まず最初に、関税定率法でございますが、日米の農作物の十二品目合意の中で二品目選ばれて今度税率の引き下げが行われているわけですが、現行の税率はコーンフレークもポテトフレークも二五%ですが、引き下げられた税率は一六・二%と二〇%、こういうふうになっております。こういった税率の改定が行われる場合、どのような要因が考慮されてこういう差が出てくるのか、そのあたりからまず御説明をいただきたいと思います。
#281
○政府委員(米澤潤一君) コーングリッツとポテトフレークにつきましては、昨年九月の日米乳製品・でんぷん等協議の交渉の結果の合意に基づいて関税率を引き下げることとしたものでございます。
 それで、具体的にどう下げるかという点につきましては、各品目の国内産業保護の必要性と、それから相手国の関税引き下げ要望との綱引きと申しましょうか、そういうことを総合的に勘案いたしまして交渉の中でこう決まったものでございます。
 具体的には、コーンフレーク製造用コーングリッツにつきましては、現行税率から三五%のカットということで一六・二%、それからポテトフレークにつきましては、そこまでのカットが日本として譲れないということで二〇%カットということで、頑張って二〇%ということで決まったものでございます。
#282
○牛嶋正君 次に、重油の関税割り当て制度が廃止されまして一般税率に切りかわっていったわけですが、その説明の中で、「硫黄含有量により新たな細分を設ける」とされておりますね。この「硫黄含有量」という基準ですが、この中に環境の問題というものが要素として入っているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#283
○政府委員(米澤潤一君) 現在の関税割り当て制度のもとにおきます輸入というのは、国内生産では不足する火力発電向けの低硫黄重油がほとんどでございます。一方、その他の高硫黄重油につきましては、国内需要を上回る生産が行われておりまして、無秩序な輸入を抑制していく必要がございます。したがって、石油製品の適切な需給バランスを確保して、需給に見合った安定的な供給を図るために、需給状況の異なる低硫黄重油と高硫黄重油とは区分して税率を設定するようお願いしているものでございます。
 したがいまして、このように今回の改正は国内における重油の需給状況に主として対応したものではございますけれども、先生御指摘のように、低硫黄重油には相対的に低い税率を、高硫黄重油には相対的に高い税率を設定しているわけでございますから、低硫黄重油の輸入を促進するということによって環境問題への対応にも資するものと考えております。
#284
○牛嶋正君 そうしますと、実際の税率を決めるときには環境問題というのはそれほど考慮されないけれども、結果的にそういう結果になったというふうに考えてよろしゅうございますか。
 次は、暫定関税率の一年延長でございますが、五千七百七十一品目が延長される。私この法案を読んだときに、恐らく一年延長ですので、今進められているウルグアイ・ラウンドの交渉の結果待ちだというふうに思っていたんですが、そうじゃないようですね。この暫定関税率というのは毎年、一年ずつ延ばしていかれるということのようですが、しかしウルグアイ・ラウンドの交渉結果によりましては、来年あるいは再来年あたりかなり見直しがされると思いますが、そのあたりの見通しはどうなんでしょう。
#285
○政府委員(米澤潤一君) ウルグアイ・ラウンド交渉が合意に至りました場合の暫定税率など法律で定まっております税率、これ国定税率と言っておりますけれども、この国定税率の取り扱いにつきましては、現段階ではまだ方針を決めておりません。
 と申しますのは、一般的に関税率の引き下げについてラウンドの合意によって国際的に義務が生ずるのは、譲許税率と言われております条約の協定で決まっている税率の引き下げでございます。したがいまして、その譲許税率が現行の暫定税率など国定税率より低い水準まで下げられた場合には、その場合には条約の方が優先いたしますから譲許税率が直接適用されることになります。ですから、そういうことで優先いたしますので、必ずしも論理必然的に国定税率の方を引き下げを行わなければならないというわけのものではございません。
 ただ、そういう場合に、譲許税率より高くなった国定税率をそのままほっておくということがいいのかどうか関税率体系の問題としていいのかどうかという議論はございます。
 したがいまして、いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンド成立合意後のあり方につきましては、合意の内容を踏まえてその時点で検討していくことになろうと思います。
#286
○牛嶋正君 そうしますと、今後もやはり暫定関税率につきましては毎年見直されていく項目があるというふうに考えてよろしゅうございますね、引き続いて。
 そのときに、先ほどの議論に戻るんですけれども、新しい税率を決定するときに、先ほど国内の産業の事情とかあるいは相手国の事情、そういうものが勘案されるということでしたけれども、今後は環境問題も少しは考慮をしていかなければならないのではないかと思うんですが、その点はいかがでございましょうか。
#287
○政府委員(米澤潤一君) 先生御指摘のとおり、基本的には関税率の改正は国際競争力を勘案した国内産業保護の必要性でありますとか、当該物品の需要者や消費者の利益でありますとか、あるいは各国から我が国への関税引き下げ要望といったものを総合的に勘案して、関係省庁とも十分協議の上行っているものでございますが、環境問題につきましても、これまでも例えば公害防止用の機械類の免税措置であるとか、それから低硫黄燃料油、製造用原油等の減税措置といったものを講じておりますし、また先ほどどちらかというと結果というふうには申し上げましたけれども、今回の重油関税の見直しについても環境問題への配慮というのは存していたところでございます。
 さらに、昨今の環境問題に対する問題意識の高まりを踏まえまして、現在ガット等の場で行われております貿易と環境といったものについての議論につきまして我が国は積極的に参画しているところでございます。これはウルグアイ・ラウンドより一つ先の話になりまして、今回のラウンドそのものではございませんが、そうした議論も行われておりまして、今後とも関税政策の遂行に当たりましては国内産業の保護等の必要性を基本に置きつつも、必要に応じて環境問題に配慮してまいる所存でございます。
#288
○牛嶋正君 関税問題につきまして最後の質問ですけれども、先ほど本岡委員がお尋ねになりました。私も社会悪物品の水際取り締まりの強化、これに非常に関心があるわけですが、先ほどけん銃とそれから麻薬が問題になっていましたけれども、社会悪物品という場合に、このほかに何かございますか。
#289
○政府委員(米澤潤一君) 私どもは、大体麻薬、広い意味でございますけれども、大麻とか向精神薬といったものまで含めた、要するに不正薬物とでも申しましょうか、そういったものと銃砲といったものを俗に社会悪と呼んでおります。
 もちろん、税関が水際でチェックするものといたしましては、そのほかに知的財産権を侵害するもの、いわゆるにせブランドでありますとか、ワシントン条約に基づいて輸入が禁止されているものとか、それからさらには風俗を害するものとかいったものはございますけれども、それはやはり麻薬等の不正薬物や銃砲といったものに比べますと、その社会的な悪影響といったものはけた違いに違いますので、主として社会悪と申しますときは私どもはそうした使い方をしております。
#290
○牛嶋正君 相手の方もだんだん巧妙になってきて、先ほどの話じゃないですが、かなり技術といいますか、専門的技術が必要になってくると思うんですが、この取締官というのは最初からそういうことで採用されておられるのかそれとも採用は一般の職員と同じで、後で研修などで取締官というふうな配置をされるのか、その点いかがでございますか。
#291
○政府委員(米澤潤一君) 税関の職員の採用は、国家公務員試験の行政職T種、U種、V種と、こうございますけれども、国家公務員試験の職種で採用いたします。そして採用の段階で特にこの人は何の専門といった色をつけませんで、一緒に研修いたしまして、それで一定のローテーションのもとで、もちろん人事のことですから完全に同じというわけにはまいりませんけれども、なるべく計画的な配置をして、いろいろな仕事ができるようにしております。
 どちらかといいますと、男子の若い職員の場合にはまず取り締まりの基本というものを身につけて、それからだんだん本人の適性に応じてある年齢から先はいろいろ分かれてまいりますけれども、特に取締官ということで特定の職種として採用しているわけではございません。
#292
○牛嶋正君 次に、国際開発協会について、やはりいただきました資料に基づいて御質問したいと思います。
 第二世銀と、こう言われるわけで、世銀の補完的な役割というふうなことが言われておりますが、融資条件を見ていきますと、融資というよりもむしろ経済的援助というふうな感じを受けるわけです。そうしますと、当分は融資した資金が還流するわけではございませんで、今後もやはり増資を続けていかなきゃいけないんじゃないかと思います。先ほどの前畑さんの御質問にもありましたように、だんだんと失敗例がふえてくるということですが、私は当然のことだと思うんです。最初融資するのは、一番必要で効率のいいところから融資をしていきますから、そこがだんだん終わっていきますと、効率の悪い、非常に不確定要因の多いところに投資が進んでいくということは当然でありますが、そういうことも含めてこれからどういうふうな形で増資が進められていくのか、そのあたり少しお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#293
○国務大臣(林義郎君) 世界銀行及びIDA、両方いろいろありますけれども、国際機関として発展途上国、特に貧困国に対しましていろんな援助をしていくのは世界的な私は先進国の責任でもあろうか、こう思っているところであります。特に国際開発協会は、本当にいわば贈与に近いような格好での融資、三十年とか三十五年とか非常に長い形での融資でありますから、私は、そういったのがやはり発展途上国に向けていろんな役割を果たしていかなければならない、これはやはり相当の間継続していかなければならないものじゃないかなと思います。
 ただ、先ほどありましたように、ナルマダダムであるとかいろんな問題あります。こういったのも私は非常に難しい問題だと思うんです。確かに、その地域の住民にとりましてはそんなものをやられたら大変だと、こういうことがあります。しかしながら、インドならインドにとりましたら、やっぱりそういったものをつくって発電をしてもらうというのは全体としては大変大切なことだと思うんです、逆に言いますと。だから、その辺のバランスをどうとりながらやっていくかということでありますし、まさにそこにこそいろんな問題がある。また、それをやっていかなければならないのが発展途上国の問題だろうと思っています。
 金がないからだということじゃなくて、そういった問題のために抑えられているのは一つ仕方がないことかもしれません。金がないからというような形でやらないというのはいけない。そういった意味で、日本は先進国としてこういったことに積極的に貢献をすべき、していかなければならない立場にあるんじゃないかなというふうに考えております。
#294
○政府委員(中平幸典君) ただいまの大臣の御答弁を補足させていただきますが、先生の御指摘にありましたように、IDAの融資は大変長い期間の融資でございます。大体三十五年から四十年、うち据え置き十年ということでございます。
 それからもう一つは、金利を取らずに手数料のみ、〇・七五%の手数料で貸すということでございますので、世界銀行のように世界銀行債といったようなものを発行してそして市場から資金を調達して、それを原資として貸すということができません。したがって、基本的には加盟国の出資額及び貸したものが返ってくるその返済金しか原資がないわけでございます。そういうことでございますので、今後とも増資の必要というのは出てくる。
 もちろん、若干ずつ返済は進んでまいりますけれども、返済額よりはるかに多くの融資所要額がございますので、このところ毎回、三年ごとぐらいに新たな原資を追加していかなきゃならない、こういうことになっておりまして、今回お願いをいたしておりますものも、今後三年間ということでございますので、その先また増資の問題が起こってこようかというふうに思うわけでございます。
#295
○牛嶋正君 これも先ほど前畑委員がお尋ねになったんですが、出資シェアとそれから投票権シェアの違いはよくわかりました。
 私は問題は、先進国全体とそれから融資を受ける後進国全体の投票権シェアがどうなっているかが問題じゃないかと思います。このIDAの性格からいいますと、私はむしろ、ただ融資するだけじゃなくて、特にノンプロジェクトの融資がふえてきておりますので、そういったノウハウをやっぱり提供していかなければなかなか実は上がらないんじゃないかと思うんです。そういたしますと、やっぱり先進国は全体として後進国よりも投票権シェアが少し多いということの方が効率的な融資ができるんじゃないかというふうに思いますが、その点ちょっとお伺いいたします。
#296
○政府委員(中平幸典君) 御指摘のように、全体として見ますと先進国の投票権のシェアの方が多いわけでございます。ただ、昨年六月の時点でとりまして、先進国全体の出資のシェアは九五%を超えているわけでございますけれども、投票権のシェアは約六一%ということになっておりまして、その意味では出資額に比べれば投票権のシェアは小さいわけでございますけれども、投票権自体で比べますと先進国が六一%ということになっているわけでございます。
#297
○牛嶋正君 時間ですので最後の質問にしたいと思いますが、僕は、環境問題も大事ですけれども、後進国の場合は人口問題が非常に大事ではないか。幾らそれぞれの国のGNPを上げましても、人口が爆発的に増大すれば一人当たりは低下していくわけですから、このIDAの融資に当たりまして人口問題がどのように考えられているのかお伺いしたいと思います。
#298
○政府委員(片山虎之助君) 初答弁をさせていただきます。
 今先生御指摘のとおりでございまして、途上国の開発に当たりましては、もちろん貧困の削減ということが大きな課題でございますから、その一環として人口問題にどう対処するかというのは大変重要なことであると思っております。
 具体的にIDAは、家族計画に関する情報やサービスを提供するためのプロジェクトや、女性の初等中等教育へのアクセスを改善するためのプロジェクト等への融資を行っておりまして、そういうことを通じて途上国の人口問題への対処を努力している、こういうふうに承っております。
#299
○吉岡吉典君 国際開発協会、IDAの融資は、途上国の中でも特に貧困国に対する無利子・長期の融資であり、今日の世界的な貧困問題の解決に大きな役割が期待されているものであります。
 問題は、これが本当にそういう目的に沿って成果を上げているかどうかということですが、IDAがIMFに協調している構造調整融資ということがいろいろ国連でも問題になっているようであります。この融資に際してかなり厳しい条件がつけられているわけですが、その条件というのは途上国に政策変更を迫る条件ということになっておりますけれども、具体的にどういう政策条件がつけられていますか。
#300
○政府委員(中平幸典君) 世界銀行、IDAの構造調整融資の問題でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、借入国が経済構造の調整を図りまして、それによって経済全般を効率化して、資源が有効利用できるようにする、そういうことをベースにしてプロジェクト融資も有効に進められる、こういうふうに考えられるというところから、このような融資が一九八〇年からIDAでは始まったわけでございます。
 具体的な中身といたしましては、資源の有効利用がなされますように、非効率な財政支出によって財政赤字が過大であったり、それから公的企業の運営が非効率であったり、また複雑な為替レートのために資源配分が有効に行われない、こういった結果として経済の発展が阻害されるといったような問題に対処するために、非効率な財政支出の是正でございますとか、あるいは公的企業の運営の改善でございますとか、あるいは為替レートの適正化等の施策を求めているところでございます。
#301
○吉岡吉典君 そういうふうに抽象化されると何も問題がないようですけれども、国連の文書等を読んでみましても、例えば政策条件として、教育、保健などの公共支出の削減とかあるいは公営企業の民営化、外資の導入、賃金の引き下げ、こういうふうな条件がつけられ、その結果いろいろな問題が起こっているということです。
 静岡県立大学の小浜という助教授が「ODAの経済学」という本に書いているところによると、調整融資に対して多くの批判がある。例えば、「世銀が要求する政策改革に対し、被援助国のほうは強く反対意見を述べることができない。その結果、長期的にみて望ましくない政策改革を強制される場合がある。」とか、「声の小さい貧しい人々に不利な影響を与える場合が多い。」とか、「世銀のいう政策を実行すると景気が悪くなる。」とか九つに分けてどういう批判があるかを書いています。
 こういうのを紹介すると、それは学者の見解だという答弁も出てくるかと思いますので、国連自身の文書、例えば国連事務総長が行った「アフリカの経済危機」という報告書、かなり膨大なものですけれども、こういうものとか、それからあるいは国連アフリカ経済委員会の報告等の中でもこの問題が取り上げられまして、調整融資というものが非常に厳しく描かれている。陳腐な融資だというようなことまで書かれているわけです。
 あなた方そういう国連の文書等は十分検討をなさっていると思いますので、どういう批判が国連の文書で行われているか、ちょっと報告してください。
#302
○政府委員(中平幸典君) 世銀、IDAの構造調整融資につきましては、これらの途上国と世銀、IDAとの間で調整プログラムというものを合意するわけでございますが、そのプログラムの中身というのは借入国に規律を求める面があることはこれは事実でございまして、こういう内容につきまして、IMF、世銀の求めているものが途上国にとって厳し過ぎる規律ではないかという意見や批判があることは否定はできないわけでございます。
#303
○吉岡吉典君 国連の文書でどう言っているかを私は聞いているんです。国連がどう言っているか。
#304
○政府委員(中平幸典君) 国連の文書も、例えば国連のアフリカ経済委員会で今後の一九九〇年代に向かってどういうことをやっていくべきかということを検討した中で、これまでの世界銀行の構造調整融資が必ずしもその目的を達していなかったのではないかというような指摘が幾つかなされてきておって、それに対して今後オールタナティブといいますか、代替する案をいろいろ提案しているということは承知をいたしております。
#305
○吉岡吉典君 時間がないから、承知していますというのじゃなくて、私はどう言っているかを聞いているわけですよ。
 例えば、IDAが重点を置いたアフリカで貧困が増大したことを述べて、例えば一人当たりGDPがこの間平均〇・七%下がり続けたとか、あるいは「アフリカは一九八〇年代」、一番力を入れた時期に「貧困が上昇している世界で唯一の地域である」というような報告も行われ、それから国連アフリカ経済委員会の報告に至ってはこう書いているんです。「今日までに十分明らかになってきたことは、理論的にも経験的にも陳腐な構造調整プログラムは、構造的性格を有するアフリカ諸国が直面しつつある経済的、金融的、社会的問題の真の諸原因を処理するという点では不適切であるという点である」、「陳腐な構造調整」だと。これは国連のアフリカ経済委員会の文書でそう言っているわけですから、一つのプロジェクトがうまくいかなかったとかどうとかじゃなくて、基本的な批判を行っているわけです。
 大臣、こういうのをお聞きになった上で、先ほどの趣旨説明の中でも「大きな役割を果たしてきております。」というふうにお述べになったのかどうか。
#306
○国務大臣(林義郎君) 国連といたしましてもいろんな点で批判がある、また批判をしていかなければならない、私はそういったことは国連のあり方としては健全な方向だと思うんです。いろんなことをやっているときに、全然批判も何もなしということじゃなくて、国連という機構でありますから、いろんな物の考え方が中であって、それじゃその議論の末にこうしていきましょうかという妥協策が見出されて私は国連というものは進んでいくんだろう、こう思うんです。
 そうした意味で、いろんな批判がありましても、その中で進めていかなければならないものはやっぱり進めていくというのが今の私は国連のあり方だろう、こう思っているところでありまして、また今お話のありましたようないろんな批判がある、その辺はやっぱり謙虚に受け入れてやっていく姿勢こそ必要なことじゃないだろうかな、こう思っているところでございます。
#307
○吉岡吉典君 私は、こういう議論が国連で出ていること自身はいいことだと思います。それは大臣のおっしゃるとおりです。
 そういうのを十分に大蔵省は検討なさって、その上でなおこういう方向でこれが必要なんだということで提起されれば、それは私らわかりますよ。しかし、そういうことは全然ない。報告でも一切ないし、あなた方出されたものの中でも、先ほどの世銀の三七%が失敗しているというのにしても、こういうのを検討した上で、検討しただけでいいのじゃない、その上に立ってこういう改善の方向があるということを提起しておれば、それはまだわかりますよ。
 私は、例えばこの国連の文書もどうやら大蔵省お持ちでなかったように経過的に思っていますけれども、すべての文書みんな見ていなきゃいかぬとは言いませんけれども、やはりそういう点でどういうところに問題点があるか、とりわけ政策変更を求めた結果が貧困を増大し、教育レベルを低下するというような問題が起こるというのはかなり重大な問題だと思いますので、論議があるから健全じゃなくて、論議を踏まえてどういう方向へ改善するかが明らかになって健全だと言えると思うので、もう一度大臣の御意見を。
#308
○国務大臣(林義郎君) 国連の機構というのはいろんなお考えを持って議論をされているわけでありますから、私は、そのおっしゃるような話も含めまして、いろんな議論があってその上で話が進んでいくものだろう、それがやはり国連のあり方としてはあるべき姿じゃないだろうかな、こう考えております。
 御趣旨のほどはよくわかりましたし、役所の方ももう少し勉強するようによく言っておきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
#309
○池田治君 関税の問題ですから、報復関税制度の整備の問題について一、二問お尋ねします。
 関税定率法第七条の報復関税についてお伺いしますが、これは我が国の輸送手段または輸出品、通過貨物に対して貿易の相手国が不利益な取り扱いをしたり、または不利益な関税を課すようなことがある場合に、その国からの輸入品に対して報復的に割り増し関税を課すことができるということが規定されております。
 しかし問題は、相手国の貨物の指定や報復関税の税率など、具体的な内容は政令によるとされております。これまで政令はなかったと伺っておりますが、最近この政令の整備をするんではないかということがうわさされております。政令を定めるということは、報復関税の発動にはずみをつけることになって、ひいては相手国を刺激して報復合戦になると懸念します。特に、貿易立国であり輸入大国である我が国が報復関税制度というものをつくって政令制度をすると、これは大変な問題になるんじゃないかということを懸念しておりますが、大蔵省はその内容が明らかであればお教え願いたい。
#310
○国務大臣(林義郎君) 池田委員からお話がありました報復関税というやつですね、私はそんなことを今検討しているとは思いません。
 それは、報復関税というのは戦前にヨーロッパで随分あったんですね。アメリカとヨーロッパの間でいろんな貿易戦争がありました。日本からもいろいろな綿製品とか繊維製品の輸出がありました。それに対して向こうが報復的な関税をかける、それなら日本もまた関税をかける。お互いが関税のかけ合い競争をしたことがやはり戦前におけるところの世界経済の秩序を崩してきたという苦い歴史をお互い持っているわけであります。
 しかるがゆえに、私はガットというものが戦後においてできて、お互いがそういった報復的なことはやめていこう、お互いがもしもそういったことがあるならばガットの場においてお互いが協議をしていこうではないか、全く一方的にできるのはダンピングの関税である、それから数量制限もできるだけやめていこうと、こういうふうなシステムをつくったわけでありまして、日本でこそまだ報復関税という制度は残っています。残っていますが、でも日本としては私はそういったことはやるべきでないし、またそういったことを考えるべきでないだろう、こう思っています。
 ただ、現実問題としていろいろあります。それは外国から日本に対して何かされるというときに、それは発動しますよという話も交渉の場としては私は言うことはあってもいいんだろうと思います。しかしながら、現実問題としてそれはまず話し合いの場においてやっていくということが私は大切なごどのように考えておるところでございます。
#311
○政府委員(米澤潤一君) ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございます。
#312
○池田治君 大臣はそういう制度を考えてないということでございますが、ことしの二月三日の日経新聞によりますと、報復関税制度を通産省が考えておるということでございます。これによりますと、単なる政令を整備するだけでなくて、第七条に定める報復関税の対象も輸入制限などガットに明白に違反する措置、アメリカのスーパー三百一条のようにガットの許可なしに発動する一方的な制裁、また反ダンピング関税の恣意的な課税、こういうものについても拡大を考慮しているということが載っております。
 今、戦後一度も発動されなかった報復関税制度の整備ということが報道されるということは、ウルグアイ・ラウンドで今ガットの問題は協議中でございまして、大変な国際的な問題にもなろうかと思います。今の大臣の御答弁によりますと、そういうことは考えてないがちょっと便宜上そういうこともあるということは、駆け引きの材料としてこういうことも整備するという報道がなされていたんでしょうか。大蔵省はどう考えられますか。
#313
○政府委員(米澤潤一君) お尋ねの報道につきまして通産省に確認いたしましたところ、通産省においても報復関税制度にかかわる検討が行われているという事実は全くない、このようにこの場でお答え申し上げていいということを通産省から聞いております。
#314
○池田治君 どうも日経新聞も信用できませんな、これは大きな字で書いてあるんですよ。
 ただ、やはり貿易の問題はガットで今盛んに論議されているし、先ほど申しましたように日本も貿易大国で貿易黒字を出しているわけですから、ここで今報復関税をやって日本の気に入らぬところには関税を高くするぞというようなことを言えば、日本の立場としては全くないわけでございまして、相手の再報復でやられてしまうということが懸念されますので、これはこういうことはないと言われれば結構でございますが、仮に通産省からそういうことを言ってきても関税率は上げるべきではないと思いますので、大蔵の方もよろしく頼みます。
 次は、アメリカのBIS規制についてでありますが、自己資本の八%以上という国際決済銀行の自己資本比率基準が非常に難しくて我が国の企業は今苦しんでおります。そこへきて、アメリカでは昨年十二月よりBIS規制よりもっと厳しい内容の規制が実施されることとなりました。十一月に成立した連邦預金保険公社改善法により定められました早期是正措置というものは、自己資本の充実度に応じて対象金融機関を五つのグループに分けてそれぞれに応じて是正策を求める内容となっております。
 例えば、BIS規制基準の自己資本比率八%未満の場合には総資産の拡大が禁止されたり、六%未満の場合には増資合併による自己資本の強化を義務づけたりしています。この中で注目されるのは、五つのグループ分けの最高基準が一〇%以上と定められたことであります。既にアメリカでは、対象金融機関一万二千のうち九〇%以上が一〇%以上のグループに属していると言われております。かなり自己資本充実というのはアメリカは進んでいるようでございます。
 今回の措置は米国内における規制で、米国の現地法人や支店を除けば日本の銀行には直接影響はないと思っておりますが、BIS規制自体が日本の銀行の海外での目立ち過ぎを少しチェックしてやろうやという面もあって規制されたやに聞いております。こういうことがどんどん進めば、将来米国の基準がBIS規制改定の基本となって規制が強化されるんじゃないかということも懸念されるんですが、大蔵省の見解はいかがでございますか。
#315
○政府委員(寺村信行君) ただいま委員のお尋ねのとおり、米国におきまして連邦預金保険公社改革法におきまして、自己資本比率規制につきましてBISの八%だけではなくて、一〇%以上の優良銀行につきましては預金保険料率などの面で有利な取り扱いを認めることといたします一方、八%に達しない銀行にはその程度に応じてペナルティーが科せられると、こういうような国内法上の手続が進められているところでございます。
 ただいま委員御指摘のとおり、しかし邦銀、日本の銀行につきましては、在米の現地法人につきましては規制の対象となりますけれども、在米支店は規制の対象とならないというのでさしあたっての影響はないと考えているわけでございます。
 問題は、今後こうした措置がバーゼルの銀行監督委員会の場においてそのような規制の強化が行われるかどうかということでございますが、これまでのところ、この米国の基準をひな形としてただいま申し上げましたように一〇%基準を導入したり、あるいは八%を達成しない銀行にBISで決められた以外に新たなペナルティーを科す、こういうような議論は現在行われておりません。もともと、BIS規制はことしの三月から八%の最終基準が初めて適用されるということでございまして、現在監督委員会でいろいろ議論しておりますけれども、米国のやっていることをそのままひな形とするような動きは現在のところないわけでございます。
#316
○島袋宗康君 沖縄における企業立地の促進と貿易の振興など、沖縄振興開発特別措置法によりまして一九八七年にフリーゾーンを設置されたわけです。
 このフリーゾーンは五年目を迎えておりますけれども、当初、我が国の南の貿易拠点となるというような位置づけで盛んにこれは鳴り物入りで宣伝されたわけでありますけれども、どうも当初の計画どおり進んでいないというようなことがございます。参議院とか衆議院の方々もちょいちょい沖縄に行かれて、このフリーゾーンの視察に行ってこられた話を総合いたしましても、当初の計画どおり行ってないというようなことで非常に残念がっているというふうな状況になっております。
 したがって、この問題について、開発庁はその原因等についてどういうふうに把握されているのか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
#317
○説明員(勝野堅介君) お答え申し上げます。
 御質問の沖縄自由貿易地域は、沖縄振興開発特別措置法により法制化された制度でございまして、沖縄県知事の申請に基づき、沖縄開発庁長官が指定する地域でございます。この自由貿易地域は、関税法に規定する保税地域制度、すなわち指定保税地域、保税上屋、保税倉庫、保税工場、保税展示場、総合保税地域の各制度と、立地企業に対する国税及び地方税上の優遇措置を組み合わせた制度でございます。
 このようにこの制度は関税法上の保税制度と立地企業に対する税制上の優遇措置を組み合わせた制度でございまして、財政金融等に係る支援と相まって沖縄における企業の立地を促進するとともに、貿易の振興に資することを目的としているものでございます。
 自由貿易地域は、制度の創設以来、長期間未設置であったわけでございますが、昭和六十二年の十一月に至りまして、沖縄県知事から地域指定の申請が沖縄開発庁長官に対して行われまして、同年の十二月に、初めての自由貿易地域として自由貿易地域那覇地区の指定が沖縄開発庁長官により行われたところでございます。
 この自由貿易地域那覇地区は、用地約三ヘクタール、施設の延べ床面積約一万平米でございまして、昭和六十三年六月、二十七社の入居企業が選定され、その後各企業におきまして順次専用設備等の設置を行い、平成元年六月に至りまして全社がそろって操業を開始したところでございます。
 この那覇地区につきましては、供用を開始以来四年以上経過しているわけでございますけれども、昨年来、入居企業のうち数社が撤退するなど、先生御指摘のとおり、必ずしも予期されたような成果が上がっていないという状況にございます。
 その要因といたしましては、施設が狭隘であること、入居企業の貿易実務に対するノウハウの蓄積が乏しいこと、あるいは入居企業が小規模であるため自由貿易地域制度の優遇措置等を十分に活用できないこと、こういったことなどが指摘されておりますけれども、基本的には企業ごとにそれぞれの事情があると思われるところでございます。
#318
○島袋宗康君 大体の内容はお聞きのとおりでありますけれども、いずれにいたしましても、その原因はたくさん私はあると思います。制度的な制約が不振の原因だというふうな指摘もよく聞かされるわけですけれども、その辺について、いわゆる制度的な欠陥があるのか、もっと改善すべきところがあるのではないかというような点について何かございましたら御説明をお願いしたいと思います。
#319
○説明員(勝野堅介君) お答えいたします。
 沖縄の自由貿易地域は、先ほど申しましたように、制度的には関税法上の保税地域制度と税制上の優遇措置を組み合わせたものでございまして、この自由貿易地域を利活用する企業のメリットといたしましては、関税及び内国消費税の繰り延べによる経費節減、保税地域制度の適切な運用、税制上の優遇措置、沖縄振興開発金融公庫による長期低利の融資などが挙げられるわけでございます。さらに、沖縄の自由貿易地域には、企業立地のための公的な基盤整備、地理的有利性、こういったメリットがございます。
 また、この自由貿易地域の一層の機能の拡充を図るために、昨年三月の沖縄振興開発特別措置法の延長に当たりまして、税制上の優遇の対象とする業種が、従来の工業から道路貨物運送業、倉庫業、こん包業そして卸売業に拡大されるとともに、関税法に新たに設けられました総合保税地域の活用が認められたところでございます。
 自由貿易地域那覇地区が現在必ずしも予期されたような成果が上がっていない理由として、先ほど御答弁申し上げましたように、施設が狭隘であることなどが指摘されているところでございますけれども、自由貿易地域の振興のためには、まずもって、沖縄県、市町村、立地企業等の主体的な努力及び創意工夫によって自由貿易地域に関するこういった優遇措置等が活用されることが必要であると考えられるところでございます。
 また、このような意味におきまして、昨年策定されました第三次の沖縄振興開発計画におきましても、自由貿易地域における優遇措置の重点的活用等を図ることとしているところでございまして、このことを踏まえまして、沖縄開発庁といたしましても、地元におきまして、関税上それから国税及び地方税上等のさまざまな優遇措置が適時適切かつ積極的に活用されるよう一層の支援を行う等してまいりたいと考えているところでございます。
#320
○島袋宗康君 いろいろの問題はあったにしても、この制度は三次振計にも引き継がれているわけですから、今後も継続、発展させるような方向にぜひ持っていってほしいと思います。
 当初の計画どおり発展させるには、どのような方策が現時点で必要なのかというふうなことを再度御説明願いたいと思います。
#321
○説明員(勝野堅介君) お答えいたします。
 沖縄開発庁におきましては、昭和六十二年の自由貿易地域那覇地区の指定以来、施設整備につきまして補助を行う等自由貿易地域の支援を行ってきたところでございます。
 それから、先ほども御答弁申し上げましたように、昨年の沖縄振興開発特別措置法の改正に当たりましても、国税及び地方税に係る優遇措置の対象業種の拡大あるいは総合保税地域の活用等の優遇措置の拡大を行ったところでございます。
 また、沖縄県におきましても、那覇地区の状況、今後の社会経済情勢の推移等を踏まえまして、またさらに関係企業の要望等も受けまして、同地区の活性化、拡大等について検討しているところでございます。例えば、自由貿易地域の設置の趣旨に沿う企業の育成、スペースの再編、物産貿易振興資金の活用、経営指導の実施等でございます。
 さらに、中長期的には中城港湾新港地区につきましても、立地特性を踏まえた自由貿易地域の設置について検討を進めていく意向を有しているところでございます。
 今後の自由貿易地域の振興のためには、先ほども申し上げましたように、まずもって各種施策を重点的に活用するための関係企業や沖縄県等の主体的な努力及び創意工夫が重要であると考えるところでございますけれども、沖縄開発庁といたしましても、沖縄県の意向等も踏まえ、また関係省庁とも御相談しながら、さらに自由貿易地域の振興方策について勉強してまいりたいと考えているところでございます。
#322
○島袋宗康君 県のこの資料によりますと、本県経済社会が抱えている雇用失業問題、県外との所得格差の問題、それから財政依存の経済体質が非常にあるというふうなことから、さっき説明がありましたように、さらに中長期展望に立って中城湾港にもっと積極的に拡大していくというような方向にあるわけですので、ぜひその辺を今のような形で終わらさないようにして、中城湾港にこれから立地をする場合においてもぜひ強力な国の御指導をお願いして、これが所期の目的が達成できるように要望して、時間ですので、終わりたいと思います。
#323
○委員長(野末陳平君) 以上で両案に対する質疑は終局いたしました。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#324
○吉岡吉典君 私は、日本共産党を代表して、国際開発協会への加盟措置法一部改正案及び関税定率法等の一部改正案に対し、反対の討論を行います。
 まず、国際開発協会への加盟措置法案についてであります。
 IDAは貧困国を対象とした無利子・長期の融資であり、今日世界的な貧困問題の解決に大きな役割が期待されております。ところが、近年、IDAはIMFなどと共同し、融資相手国に政策変更を迫る構造調整融資を重視してきております。IDAによる構造調整政策の基本は、市場原理と経済効率を最優先とするものであります。この考えのもとに途上国に対して、教育、保健などの公共支出の削減を迫り、また公営企業の民営化や外資の導入、賃金の引き下げ、物価引き上げなどの政策変更を行わせております。
 IDAが最も力を入れているアフリカ諸国では、これらの政策を受け入れた結果、教育水準が切り下げられ、国民の栄養欠乏が悪化するなど、ますます貧困が拡大しているのであります。国連の調査によっても、このような構造調整融資に伴う政策変更がアフリカの貧困国の貧困を一層悪化させ、これら途上国の長期的経済発展を阻害していることをはっきりと認めているのであります。
 次に、関税定率法等の一部改正案についてであります。
 本改正案に含まれている皮革・革靴の関税割り当ての一次税率枠の大幅拡大は、苦境に陥っている国内の零細な皮革・革靴産業に一層重大な打撃を与えるものであります。国内産業の実情を無視した毎年の大幅な枠の拡大は、関税割り当て制度の趣旨にも反するものであります。
 このほか、本改正案は多くの品目の関税引き下げを図っていますが、その多くは我が国の一方的な引き下げにより国内中小企業、農業に大きな影響を与えるものであります。
 以上で両案に対する反対の討論といたします。
#325
○委員長(野末陳平君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次、両案の採決に入ります。
 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#326
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 藤田雄山君から発言を求められておりますので、これを許します。藤田君。
#327
○藤田雄山君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、民主改革連合、二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
   関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について十分配慮すべきである。
一 世界経済における我が国の立場を踏まえ、調和のある対外経済関係の形成に努めるとの観点から、多角的自由貿易体制の維持・強化及び世界経済の安定的成長に引き続き貢献しうるよう、ウルグアイ・ラウンドの成功に向けて努力すること。
一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢に対処するとともに、国民経済的な視点から、国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分配慮しつつ、国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。
一 著しい国際化の進展等による貿易量及び出入国者数の伸長等に伴い税関業務量が増大するなかで、その適正かつ迅速な処理に加え、麻薬・覚せい剤、銃砲、不正商品、ワシントン条約物品等の水際における取締りの強化が、国際的・社会的要請として一層強まっていることにかんがみ、税関業務の一層効率的、重点的な運用に努めるとともに、税関業務の特殊性を考慮して、今後とも、中長期的展望に基づく税関職員の定員の確保はもとより、その処遇改善、職場環境の充実等に特段の努力を行うこと。
 右決議する。
 以上でございます。
#328
○委員長(野末陳平君) ただいま藤田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#329
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、藤田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林大蔵大臣。
#330
○国務大臣(林義郎君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#331
○委員長(野末陳平君) 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#332
○委員長(野末陳平君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#333
○委員長(野末陳平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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