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1993/03/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 外務委員会 第1号
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1993/03/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 外務委員会 第1号

#1
第126回国会 外務委員会 第1号
平成五年三月二十六日(金曜日)
   午後二時十分開会
    ―――――――――――――
   委員氏名 
    委員長         野沢 太三君
    理 事         椎名 素夫君
    理 事         山岡 賢次君
    理 事         北村 哲男君
    理 事         磯村  修君
                石渡 清元君
                成瀬 守重君
                野村 五男君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                黒柳  明君
                猪木 寛至君
                立木  洋君
                武田邦太郎君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十二日
    辞任         補欠選任
     石渡 清元君     北  修二君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野沢 太三君
    理 事
                椎名 素夫君
                山岡 賢次君
                北村 哲男君
                磯村  修君
    委 員
                成瀬 守重君
                野村 五男君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                黒柳  明君
                猪木 寛至君
                立木  洋君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       国際平和協力本  萩  次郎君
       部事務局次長
       外務大臣官房長  林  貞行君
       外務大臣官房審  津守  滋君
       議官
       外務大臣官房会  藤崎 一郎君
       計課長
       外務省アジア局  池田  維君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  丹波  實君
       外務省国際連合  澁谷 治彦君
       外務省情報調査  鈴木 勝也君
       局長
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
   説明員
       外務大臣官房審  内藤 昌平君
       議官
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (外務省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十二日、石渡清元君が委員を辞任され、その補欠として北修二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(野沢太三君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(野沢太三君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺外務大臣。
#6
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 改正の第一は、在外公館の設置及び廃止についてであります。
 今回新たに設置しようとするのは、在グルジア、在クロアチア、在スロバキア、在スロベニア及び在チェコの各日本国大使館並びに在ウラジオストク日本国総領事館であります。各大使館の設置は、旧ソ連、ユーゴスラビア及びチェコスロバキアを構成していた各国の独立に伴うものであり、在チェコ日本国大使館以外は近隣国の大使館が兼ねて管轄するものであります。また、在ウラジオストク総領事館につきましては、ロシア極東部最大の都市であり我が国を含む諸外国とロシア極東部の交流の拠点となるウラジオストクの重要性を踏まえ設置するものであります。
 在外公館の廃止につきましては、チェコスロバキア連邦の解体に伴う在チェコスロバキア大使館の廃止のほか、ロシアの在ナホトカ総領事館を廃止することとしております。
 改正の第二は、以上の新設の在外公館に勤務する職員の在勤基本手当の基準額を定めるとともに、最近における為替相場及び物価水準の変動を踏まえ、既設の在外公館に勤務する職員の在勤基本手当の基準額を全面的に改正するものであります。
 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の改定は在外職員の生活に直接関係することであり、四月一日から実施する必要があります。このため年度内の法律改正が必要であります。
 以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#7
○委員長(野沢太三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
#8
○委員長(野沢太三君) 次に、去る三月二十三日、予算委員会から、三月二十六日の午後半日間、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、渡辺外務大臣から説明を求めます。渡辺外務大臣。
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) 平成五年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は、六千六百四十一億百万円であり、これを平成四年度予算と比較いたしますと、四百二十五億七千六百万円の増加であり六・九%の伸びとなっております。
 国際社会は、古い秩序が急激に瓦解しましたが、これにかわる新たな秩序の構築が間に合わず、世界は歴史の転換期に特有な不透明で流動的な時代を迎えております。さきの湾岸危機や、旧ユーゴスラビア、ソマリアに見られるように、これまで抑えられていた宗教、民族、領土問題等に根差す対立や紛争、抗争が、今後とも引き続き表面化してくる危険があります。ロシア等の旧ソ連諸国における民主化と市場経済化への改革、世界の景気回復、多くの開発途上国の貧困、人口増大等の問題は、依然として深刻であります。
 国際社会がこのような歴史の転換期の諸問題を着実に克服し、平和と自由と繁栄を世界のより多くの人々が享受できるよう、我が国としてもその国力にふさわしい指導力を発揮していく必要があります。本年七月には主要国首脳会議が東京で開催されますが、我が国は議長国として、このような認識に立ってその成功のために最大限の努力を行うとともに、新たな国際秩序をつくるために一層主体的に取り組まなければなりません。かかる観点から、我が国外交に課された使命は極めて重要であり、従前以上に強力な体制のもとで積極的な外交を展開していく必要があります。このため平成五年度においては、外交実施体制の強化と国際貢献策の充実強化の二点を最重要事項として予算の強化拡充を図る所存であります。
 まず、外交実施体制の強化に関する予算について申し上げます。
 定員の増強につきましては、平成五年度においては百四十名の増員を得て、外務省定員を合計四千六百三十九人とする所存であります。また、機構面では、総合外交政策局及び国際情報局を設置するほか、在チェコ大使館並びに在ウラジオストク総領事館及び在ハバロフスク総領事館を開設すること等を予定しております。
 さらに、在外公館の機能強化のために、在外公館施設等の強化及び海外邦人安全対策・危機管理体制の強化のための経費二百六十七億円を計上しております。
 加えて、外交政策策定の基盤となる情勢判断を的確に行うために不可欠な情報機能の強化に要する経費として四十三億円を計上しております。
 次に、国際貢献策の充実強化に関する予算について申し上げます。
 国際貢献策の充実強化の四つの柱は、政府開発援助の拡充、平和のための協力、国際文化交流の強化、そして地球的規模の問題の解決であります。
 まず、平成五年度政府開発援助(ODA)につきましては、一般会計予算において政府全体で対前年度比六・五%の増額を図っております。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比六・七%増の二千四百三十一億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が二千十四億円、食糧増産等援助費が四百十七億円であります。さらに、人的協力の拡充のため技術協力予算の拡充に努め、なかんずく国際協力事業団事業費は対前年度比七・〇%増の一千五百四十二億円を計上しているほか、援助実施体制の強化に努めております。
 次に、平和のための協力でありますが、新しい世界平和の秩序の構築のための国際協力を進めることが必要との認識に立ち、国連の平和維持活動を初めとする平和及び人道分野での国際機関などによる活動の支援並びにロシア、東欧諸国等の改革を支援するため、対前年度比九億円増の二百六億円を計上しております。
 次いで国際文化交流の強化でありますが、欧州諸国を初めとする各国との知的文化的交流を図り、異なる文化間の相互交流を促進するため百二十五億円を計上し、国際交流基金事業の拡充強化及び文化協力の推進を図ることとしております。
 さらに、地球環境問題あるいは麻薬問題といった国境を越えて国際社会に影響を及ぼす地球的規模の問題に取り組むため、国際機関を通じて積極的貢献を行うべく八十四億円を計上しております。
 以上が重点事項を中心とした外務省関係予算の概要であります。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#10
○委員長(野沢太三君) 以上で外務大臣の説明は終わりました。
 この際、お諮りいたします。
 外務省所管平成五年度予算の大要説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○北村哲男君 北村でございますが、外務大臣に御質問したいと思います。
 昨日のボー・バン・キエト・ベトナム首相と宮澤首相との会談でベトナムのいわゆるドイモイ政策に対する協力を一層推進していくことが合意されているという報道がなされております。もちろん外務大臣もお会いになっていると思いますが、外務大臣はキエト首相の来日をどのように評価しておられるのか。特に外相は以前からベトナムあるいはカンボジアとの関係を強めてこられたとのお立場から、その評価もあわせて御所見を伺いたいと存じます。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) アジアの中で日本とベトナムとは国交があることはあるのですが、今から三年ぐらい前までは、大使館が置いてあっても余り現地の大使とベトナムの外務大臣は会話もしたことがないというような状態にあったし、アメリカとの関係があって日本がベトナムに投資や融資や援助をすることについてはブレーキが簡単に言えばかかっていたということも事実です。しかしながら、これは日本がベトナムに被害を与えたことはあってもベトナムから被害を受けたことはございませんし、アメリカとベトナムが戦争したことがあって日本はそのお手伝いを前線基地の一部としてしたと思われておるわけですから、これも事実。
 しかしながら、ベトナムとアメリカとが完全に国交正常化になるまでは日本とベトナムも十数年さっぱりで、援助はストップしちゃったわ、高官の往来はないわというようなことを今までのとおり継続するのはいかがなものかということで、私などはベトナムに行ったりアメリカに行ったりしてやっと日本、ベトナム関係が動き出してきて、アメリカも選挙も終わったことだし、そうPOW、MIA問題を感情的にだけ取り上げておっても、これは世界じゅうもうベトナムに対しては好意的にやろうという空気になっているわけですから、日本とアメリカだけがぐあい悪いということはどうもこっちがぐあい悪い、実際のところ。
 そこで、そういう関係の中でやっと円借も一応前の約束した分はそれじゃ出しましょうというようなこと等になり動きかかってきた中で、初めてベトナムの首相を日本に招聘をして、おいでになって胸襟を開いて総理大臣と話し合いをした。非常にこれはよかったですよ。これは大きく転換する兆しが出てきまして、国際金融機関等への影響も大きく私は出てくるだろうと、総理も近くアメリカに参りますから。
 そういう意味で大変画期的なことで、日本はドイモイ政策を全面評価して支持するということを総理大臣からもはっきり明言をされましたから、超党派で我々国会議員で日本・ベトナム友好議員連盟というのをつくってやってきておりますが、これが大変実ったということが私は言えると思うのであります。
#14
○北村哲男君 宮澤首相は、去る一月のタイ・バンコクにおけるアジア外交についての政策演説で、インドシナ復興援助支援への我が国の積極的な協力に言及しておられます。インドシナの安定を進める見地から我が国は、市場経済と対外開放を柱とする政策を進めているベトナムのいわゆるドイモイ政策、ベトナムの社会基盤整備にどのような協力を進めていくつもりなのか。ただいまもいろいろ言及されましたけれども、その点と、さらにインドシナの安定にはベトナムと中国、ASEANとの関係改善が進展することが不可欠であります。我が国はこれらの諸国との対話促進に何らかの役割を果たす考えであると思いますけれども、その点についての御所見を伺いたいと思います。
#15
○国務大臣(渡辺美智雄君) 宮澤総理がインドシナ半島フォーラムというようなことを提唱されましてなにしているのですが、微妙なところもいろいろございますのでこれはよく注意をし、近隣諸国に対する配慮も払いながら誤解を受けないように勉強会をやっていったらいいじゃないか、そう思っているのです。ラオスもありますし、カンボジアもベトナムもありますから、いずれにしても、インドシナ半島の安定ということはASEANとの関係改善の上からも非常に重要です。
 また、ベトナムと中国というのは、長い何千年の歴史の中で残念ながらそう仲がよかったときばかりあったわけじゃなくて、むしろ争ってきておった歴史の方が思い出されやすい。そういうようなことでは困るわけですから、これはやはりベトナム、中国というものも、国交をきちんと正常化はしておりますが、一層友好関係を深めていっていただく、我々はそのことを期待しておるわけで、できるだけの橋渡しはやっていきたい。
 また、ベトナムがカンボジアから完全撤兵をしてカンボジアにもう干渉しないということがはっきりしたものですから、その点は中国ばかりでなくて国際社会においても高く評価されている、こう見て結構だろう。ベトナムは今後とも外国に軍隊を出すようなことをしませんということを言っておるので、ASEANの諸国も安心できるのじゃないかと思います。
#16
○北村哲男君 この点についてもう一、二点ですが、一つは、今ベトナムはASEANのオブザーバーでありますけれども、近い将来ASEANへの加入の可能性はあるとお考えでしょうか。あるいはもしあるとすればどういう条件が整えば加入ができるのだろうかという問題について。
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) オブザーバーとして参加することになっておりますが、正式加入になるかどうかということはやはりASEAN諸国との関係が大事じゃないかと思いますね。
 ややもするとベトナムというのはちょっと怖がられておったということも事実なのですよ、戦争に強いからね。それは何のがんの言ったってフランスは追い出してしまうわ、ポル・ポト派は山の中へ遣い込んでしまうわ、中国とは戦ってもう一歩も譲らぬわ、アメリカとも戦ってきたという歴史がありますから、それは反面からいえばなかなか精強な民族であって、これが強くなったら大変じゃないかという心配があっても不思議ないのですな。
 しかし、ベトナムはもうそれはやらないということを天下に宣言しているし、それがもう信頼されてきて、今、非常にもう三十年もおくれていますから、そういう点でベトナムがそんなに強くなることはないとみんな見ておりますし、そういう点では安心しているのでしょうが、だからもう少し様子を見て安心をするということになれば、おのずから入れようかという話になるのじゃないですかな。それは我々が入れろとか入れるなとかと言う立場にありませんから、ASEANの中で相談してもらうということでしょう。
#18
○北村哲男君 もう一点ですが、今カンボジアとの関係をもう侵攻はしないと天下に宣言しているというふうに外相は言われましたけれども、今カンボジアではベトナムとの関係が依然としてしこりに残っておってカンボジアの人たちはベトナムを信用していない。あるいはUNTACに対する不満も、入ってきたベトナムの人たちを出すとか、その辺についての解決が十分にできていないということが非常に不満の要素として残っているわけですけれども、その点について外相は、ベトナムは将来カンボジアに対して一切干渉しないというふうな確信とか、あるいは日本としてカンボジアとベトナムとの関係について積極的にその辺の、もうお互いにやり合ったり入り組んだりあるいは侵攻したりということはしないということについて強く求めていく御意思はございますか。
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私は、しないと思いますよ。カンボジアにいるベトナム人というのはもう代々住んでいるのが七、八万人いるそうですね。ゆうべ聞いたらそう言っておったですよ。それと逆に、今度はベトナムに住んでいるカンボジア人というのは三十万か四十万かいるそうですよ。だから、お互い行ったり来たりして土着しちゃっているわけです。しかしながら、カンボジアにいるベトナム人がこの間も三十何人か、ポル・ポト派かどこか知らぬけれども、まとめて殺されたということなど、えらい刺激していることは事実。
 だから、やはりベトナム人でもうあそこへ土着しちゃって何代もいるような人を皆殺しにしちゃうとか、それから特別な弾圧でもかけるというようなことになればどうか知りませんが、そういうことのない限りは私は恐らく、カンボジアに二度と入ることはないと言っていますから、それはないと思いますよ。
#20
○北村哲男君 この点は現地でいろいろとプノンペン政府以外の方々いわゆる旧三派の人たちの話を聞きますと、依然としてベトナムとの関係は不安要因として残っているということが多くありますので、その辺は今は強く追及する気はありませんけれども、将来的にもまだ未解決の問題だと私は思います。
 それでは、この点については終えまして、次にロシア政局への対応と対日支援の問題についてお伺いしたいと思いますが、ロシアの政局はエリツィン大統領と議会との対立によって混迷の様相を呈しております。私ども個人としてはとても一喜一憂するのですけれども、国としてはここで一喜一憂することなく冷静に対応する必要があると思います。政府の基本姿勢はどのようなものであるか、御所見を伺いたいと存じます。
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは結局、ロシアがどういう道を選ぶかということはロシア国民が決めることであって、もうエリツィン政権でなければ絶対だめだと日本が言えば、それは言い過ぎになるでしょう。
 しかし、我々としてはもう共産主義のやり方に対してはもとから反対をしてきているわけですから、共産主義という信じられているものがあってどっちがいいとか悪いとか言ったらお互い理屈はあるのかもしらぬけれども、せっかく国連ができても、勢力の拡張をめぐってあっちこっち地域戦争が、キューバにおいてもそうだ、アンゴラもそうだ、インドシナ半島もそうだ、朝鮮半島もそうだ、あっちこっちいっぱいあったことは事実ですよ。
 しかし、そういうことは今度はなくなって、勢力拡張、軍事拡張競争をやめようということがやっと、もうくたびれちゃって、両方くたびれたせいももちろんあるが、STARTUの交渉も調印される、それから大量破壊兵器をどんどんなくそうというようなことになってきているのですから、我々はそれは憲法の精神からいっても日本の生きる道からいってもバックアップしていかなきゃならぬ。当たり前のことですね。どんな政権だってそういういい方向を我々はバックアップする。たまたまそれがエリツィン政権であったということでありますから、逆戻りすることは我々は好まない。
 したがって、今の文字どおり彼らが言っておる、もう人権も尊重する、民主主義社会をつくって独裁的なことはやめて、拡張主義もやめて、スターリンの行き過ぎは是正して、そして法と正義に基づいた外交を展開するのだというのであれば、額面どおりならそれは我々はバックアップしますよということが基本姿勢。
 確かに日ロ間には北方四島問題もございますが、その問題はその問題として我々は元来の主張を通さないわけにいかぬわけですから、それはそれ、これはこれ、やはり拡大均衡という原則に基づきながら、自由陣営の西側諸国と協調しつつ今後も適切なロシア外交をやってまいりたい、そう思っております。
#22
○北村哲男君 基本姿勢は今のとおりお伺いしますが、ロシアは核大国であります。そのロシアの混乱はぜひ回避しなくちゃならないということは全世界の希望でありますが、エリツィン大統領の改革路線を支持することをもう時期を逸することなく具体的に打ち出すべき時期だと思います。
 その柱となる対日支援のG7の閣僚会議はどのような予定になっているのでしょうか。また、いわゆる対日支援の緊急サミット開催の動きはどのようになっているのでしょうか。
#23
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは去年もサミットのときに終わってからエリツィン大統領に来てもらって、それでいろいろ話を聞いてバックアップしようという話になったのですから、ことしも非常に苦しい立場に置かれているというのでエリツィンさんをサミットに呼んでくれという一部の国から強い要請のあることも事実。我々は、日本はサミットの議長国ですから、東京で今度やるわけですから、だから一国だけの自分の意思でどうだこうだというわけには、議長ですから大勢の赴くところにまとめていかなきゃならない。したがって、そういう方向で検討がされている。まだ確定はしていない。
 ところが、それでは遅過ぎるから早く繰り上げて対日支援の緊急サミットをやったらどうだという意見が一部の国から出ておるし、いやそんなこと急に言われたって、じゃ集まって何をやるのか、ただ頑張れと言うだけなのか、それとも耳をそろえてちゃんと出すものは出すのか、そんな準備できるのかねということをめぐりまして意見がまだ決まっていないという点も事実ですよ、これは。その前の準備が一つ必要なのじゃないか。
 それについては、それならばその外相・蔵相会議というものをサミット前に開くことはどうだという話にだんだんなってきて、ところがそれには余り賛成しない国もありまして、やっとゆうべあたり話がついたようだけれども、それについて内閣としてはどういうことを言うか。外務省の意見はもちろんわかっていますが、議長は総理大臣だから、私は議長じゃないから、総理大臣が何か言うのじゃないですか、きょうの午後あたりに。
#24
○北村哲男君 首相と外相の意見が違うこともあれですが、それは……
#25
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは総理大臣がじかに言うかどうかわからぬよ。番頭を使って、番頭じゃなかった、官房長官を使ってそれは言わせるかもしれませんけれどもね。
#26
○北村哲男君 ロシアの政局の混乱というのは、もうどの論評もその背景は極端な経済不振というふうに言われております。債務の繰り延べなどの緊急避難的な対応ももちろん必要でありましょうが、我が国の支援はロシアが主体的に早く市場経済移行に努める基礎づくりに重点を置くというふうにすべきであろうと思います。
 その意味で、老朽化したロシアの生産設備あるいは能率性を欠く流通機構などに対する知的援助とかあるいは技術協力を一層進めるべきであると思いますけれども、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
#27
○政府委員(野村一成君) いわゆる技術支援あるいは老朽化しております生産設備の更新といった点についてただいま先生が御指摘の問題点、そのとおりだと思います。
 まず技術支援につきましては、これは平成三年にゴルバチョフ前大統領が参りましたときに技術的支援に関する協定を結びまして、それに基づきまして専門家、研修生等を受け入れたりあるいは我々としても専門家を派遣するということで積極的にやってまいっております。したがいまして、これはロシアの方からもかなり高く評価されておるわけでございまして、引き続き力を入れてまいりたい分野でございます。
 それからその次の生産設備の老朽化に対する対応でございますけれども、特に石油、ガスという分野、これはやはりロシアの産業の中でも外貨を稼ぐことが最も有望な分野でございまして、そういったところで近年生産の低下が目立っておる、それが設備の老朽化であるということ、これははっきりいたしております。
 したがいまして、そういった点につきましても支援を重点的に行うことが必要であろうということでございまして、私どもも貿易保険の引受枠ということで、天然ガスそれから石油それぞれ約七億ドルの貿易保険の引受枠を設定したりしておりまして、それに基づきまして当事者間の話し合いが行われておりますが、ガスの分野につきましては契約が終わりましてはぼ大体実施の段階に至りつつあるという状況でございまして、石油についてはまだ当事者間で話し合いが引き続いて行われているという状況でございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、老朽化設備に対する支援というのはまさに今のロシア経済の状況からいたしまして必要な支援分野であるというふうに認識いたしております。
#28
○北村哲男君 野村さんの今の話につけ加えてですけれども、来日中のロシア科学アカデミー経済研究所のニセビッチ研究員が、先般、最も大事な支援は情報の提供だというふうなお話をしておられました。この点については当然と思われますけれども、もちろん外務省としては情報の提供ということも中心的な支援の中身としてお考えになっているのでしょうか。もう時間がないから一言で結構です。
#29
○政府委員(野村一成君) 具体的に情報といいますといろいろな分野があろうかと思いますけれども、私どもは技術支援の中には流通それから産業政策とかあるいは経済計画の問題あらゆる分野におきまして、つまり市場経済に移行というときのノウハウと申しますか、そういうものをきちんと、情報という形になるかどうかわかりませんけれども、理解していただくというのが非常に重要な分野であるというふうに認識しておるわけでございます。
#30
○北村哲男君 その点につきましては終わりまして、一、二、今度の予算のことについてお聞きしますが、一つは外交実施体制の問題ですけれども、定員の問題です。
 我が国が世界の期待にこたえて国力に応じた外交を展開するためには外務省の陣容を強化する必要があるということはもう長く言われていることなのですが、政府の予算案によりますと、定員は百十四名の純増を得ておりますけれども、九三年度末の定員は四千六百三十九人、依然として欧米諸国はもとよりアジア諸国と比較しても外務省職員の定数に見劣りがあるというふうに聞いております。
 国際関係は人間関係がベースであって、外務省定員の飛躍的な増員が必要と言われております。私もそう思います。当面、九一年十二月の外交強化懇談会報告の提言で速やかに一千名程度の定員増をすべきだというふうなことを言われておりますけれども、これはどのように達成していく御予定でしょうか。
#31
○政府委員(林貞行君) 御指摘のように、外交強化懇談会報告におきまして、外務省は速やかに一千人程度の目標で増員すべしということが言われております。この報告書の提出を踏まえまして、同報告書が出されました直後の平成四年度には百三十名の増員を得るとともに、アタッシェ等の受け入れを加えますと全体として百五十八名の増員を得ました。平成五年度におきましては前年度をさらに上回る百四十名の増員を措置していただきますとともに、アタッシェを加えますと全体として百六十九名の増員となっております。
 今後とも、厳しい財政事情ではございますが、私ども最大限の努力をして、関係者の理解を得つつ、本件報告の提言を踏まえて外務省の定員の一層の整備に努めてまいりたいと思います。
#32
○北村哲男君 それから経済協力の問題についてお聞きしますけれども、第四次中期目標が昨年終わっておりますが、その達成の見通しと、それから第五次中期目標の検討状況についてお伺いします。
 政府開発援助の拡充は、我が国が国際社会に貢献していくための重要な柱であります。昨年で期間が終了した第四次中期目標についてはその達成の見通しはどうなのか。一応、報道では達成したというふうに出ておりますけれども、政府はこれについてどのように評価をしておられるのでしょうか。
 また、最近の新聞報道では、ことしから第五次中期目標については宮澤首相の訪米時にいわゆる資金還流措置とあわせて具体的な目標が設定公表されるのではないかと伝えておりますが、政府の検討状況を明らかにしていただきたいと存じます。
#33
○説明員(内藤昌平君) 第四次中期目標につきましては、現在、数字につきましては結果を集計中でございます。現在の推定では、目標であります過去五年間五百億ドルという実績はほぼ達成可能と考えておる状況でございます。さらに次の第五次中期目標につきましては、現在、政府部内で検討中でございます。その際の量的規模を含め検討中でございます。
#34
○北村哲男君 検討中というだけでなくて、もう少しわかるようにここで発表はできないのでしょうか。
#35
○説明員(内藤昌平君) ODAにつきましては、これが我が国の国際貢献の分野での重要な柱という認識から引き続き着実に拡充していく、そういうことにつきましては政府部内でも共通の認識がございますが、その具体的な目標につきましては現在なお検討中の状況にございます。
#36
○北村哲男君 もう終わりますが、今のお話でも何か新聞報道とかそのほかの報道よりもはるかに後退したような動きで、もうちょっと詳しく出ていますよね、実際は。それ以上言えないなら結構ですけれども。
 終わります。
#37
○荒木清寛君 公明党の荒木清寛です。
 先ほどもお話がありましたけれども、外交強化懇談会報告によりまして外務省の定員をおおむね一千人程度を目標にふやしていく、本年度末は四千六百三十九人になるというお話なのですけれども、いわゆる総定員法の関係でこれ以上の増員ができるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#38
○政府委員(林貞行君) 外交強化懇談会の提言で千名の増員というのがうたわれておる次第でございます。千名程度を速やかに増員すべしというのが報告書の提言でございます。
 御指摘のとおり、厳しい財政事情ではございます。総定員の管理も厳しく行われておりますが、私ども過去におきましても査定当局の理解を得て相当数の定員の増をいただいております。平成四年度につきましては百三十名の増員、アタッシェを入れますと百五十八名、平成五年度につきましてはアタッシェを入れますと百六十九名の増員をいただいておりますので、関係者の理解を得ましてこの目標の達成に全力を挙げていきたいと思っております。
#39
○荒木清寛君 現実には、これ以上の増員をする場合にはいわゆる政令の改正によりまして他の省庁の人員を振りかえる、そういうことになるわけですか。
#40
○政府委員(林貞行君) 査定当局がどういうふうにして全体の定員の中から外務省に割り振っていただいている定員を捻出するかというのは、私どもその辺の詳しい事情はよくわかりませんが、私どもといたしましては従来より相当の定員増をお願いしておりまして、厳しい財政事情の中にあってはそれなりの理解を得た査定をいただいている、こういうふうに理解をしております。
#41
○荒木清寛君 そういう面では、大臣は副総理でもありますので十分に指導性を発揮していただきたいというふうに思います。
 次に、対米外交についてお尋ねします。
 クリントン大統領は二十三日の公式記者会見で日本の対米貿易黒字をこれまでになく強く批判をいたしまして、日本製のミニバンに対する関税も二・五%から一気に十倍に増強する、これに賛成であるというようなことを強調いたしました。夕刊によりますと、「米大統領が対日強硬姿勢」というふうに一面で報じた新聞もあるわけですけれども、そこまで言いますのはやや過剰な反応だという気もいたします。ただ、クリントンさんは、例えばボスニアヘの対応をとりましても選挙前は介入しないという公約であったというふうに覚えておりますけれども、むしろ今は積極的に介入しているということでございまして、非常に読みにくいという点があると思います。
 そこで、大臣にお尋ねしたいのは、クリントン大統領の対日政策をどう評価していらっしゃるのか、とりわけ短期的な対日政策について御見解をお尋ねしたいと思います。
#42
○国務大臣(渡辺美智雄君) しばらく民主党は政権についておらず、議会では多数派を持っておった。非常にジャパンバッシングとかなんかについて民主党の議員の方が共和党よりもどちらかと言えば強硬なことを言う方の方が多かったやに我々は記憶をしています。
 したがって、民主党政権ができて、どういう大統領なのかクリントンさんのことについては余りつまびらかにしていなかったというのもこれも事実です。やや半分心配をしておったわけでございますが、私はクリントン政権ができて初めて日本の政府の主要閣僚として三十五分ばかり意見の交換をするチャンスを得たわけですが、その中で我々にもはきはきとざっくばらんに物を言ってくれまして、私は歴代のどの大統領よりも日本を最も尊敬しておりますと、またどの大統領に比べても私は日米関係というものは重要だということをよくわかっていますと、こうおっしゃっているわけですから、私は額面どおり実はちょうだいをしておるのです。
 しかしながら、今後二十一世紀においても米国にとって最も重要なのは日米関係だということを言う反面、やはり当面の問題でアメリカの経済の再活性化に真正面から取り組んでいく、これは我々は賛成で、赤字の削減、それは対外、対内どもにそういう努力をしてもらうことは賛成ですから、もちろんそれはそれで結構なのです。しかしながら、日本に対する貿易がうまくいかないということのために、すぐにアンチダンピングだとか、やれそのためには税金をかけるとか、やれ三〇一条復活だとかいうことを軽々に言われたのではこれはやっぱり困るものですから、そういうことは余りいい政策じゃありませんよということを私は申し上げたのも事実です。
 それに対して向こうは、いやそれはもうどうしてもという場合のレアケースといいますか、そうしょっちゅうあるべきものじゃないし、それはないように努力はしているのだと言っておりますが、やはりある程度国内向けというものもございましょうからいろいろなことをおっしゃっております。我々としては、話していけば大体わかるし、わからないところはあるいはあるかもしれませんが、それはそれなりにこちらが対応をしていかなきゃならぬ。したがって、余り過剰反応をする必要もない、冷静にそれは受け答えをしていく必要がある、そう思っております。
#43
○荒木清寛君 いわゆる公共工事をめぐる談合体質につきましては、日米構造協議でも問題になっているぐらいでございまして、私も大変に関心を持っているわけでございます。
 大変ぶしつけな質問で申しわけないのですけれども、きょうの朝刊を見ますと、ある新聞によると某大手ゼネコンの政治家への献金リストというようなものが載っておりました。SA、Aランク、Bランク等に分かれているわけですけれども、Aランクというのは盆と暮れに五百万円渡すのだというようなリストだという話で、そのAランクの中に大臣も載っていらっしゃるわけでありまして、大変心外に思っているのじゃないかというふうに私は推察をするわけでございますが、何かコメントがあればぜひお聞かせ願いたいと思います。
#44
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別にコメントはありませんが、その建設会社から政治献金は受けておりませんということは申しませんよ、私は。それは何百社という献金を受けているのがありますからね。大所帯を持っておるわけですから、企業から献金をもらっていませんなんて、うそをついたって仕方がない話で。しかしながら、適切に法律に従って処理されているということ、これも間違いないことだと。
 そして、AランクかBランクかそんなことはこちらの知っている話じゃございませんし、あの新聞がどこからそういう、きょうもちょっと話が出たのですが、何を根拠に言っているのか、そんなものもわからないのです、実際は。だから、風聞にむきになってこちらが反論する必要もありませんからその程度のコメントしかできないということです。
#45
○荒木清寛君 最後に、対日支援の問題についてお聞きします。
 私は、北方領土問題の解決を対日支援の条件とするべきではない、対日支援を拡大したからといって決して領土要求を取り下げたわけではありませんし、むしろ領土要求を粘り強く続けながら機を見て積極的に対日支援を打ち出していく、これが外交のテクニックではないかというふうに考えますが、一言大臣の御見解を求めます。
#46
○国務大臣(渡辺美智雄君) ソ連時代と変わってロシアになったわけですよ。したがって、ソ連時代はともかく条約をつくれば破るし共同宣言は勝手に自分で取り消しちゃうしというようなことをやってこられて、我々としてもやはりそれならば北方四島即時返還、それがされるまではもう政経不可分、あなた方に対する援助は一切できないという姿勢で来たこと、これも事実ですよ。
 しかし、ソ連の内閣といいますか政権がかわっちゃって、それでもう共産主義はやめちゃった。それからもう大統領も選挙で決めるのだというふうに、先ほど長々と言ったから繰り返しませんが、いずれにしても、我々と近い価値観によって国家運営をやっていこうというのですから、それはそれなりに我々も、また軍部の弾圧によって大軍事競争が世界じゅう展開されたら困るわけですから、そうならないようにしたいということは同じ気持ちなのです。
 したがって、それはそれなりの支援を我々国際社会の一員としてはやりますということを言ってきておるわけです。やりますと言ったって受け入れ体制ができないと、せっかく七億ドルのガスパイプラインの貿易保険を与えますよと言ってもそれが署名できないということで今度三億ドルに減らすとかなんとか、これは今度はできるそうだが、みんな日本の責任ばかりじゃないわけですから。無償でやるのは品物を買っていってばらまくというかやるわけですから、それはうまくいっていますわね。
 だから、今後もよく話し合いをしながらできるだけのことはやっていきたいと、そう思っているのです。
#47
○荒木清寛君 ありがとうございました。
#48
○猪木寛至君 私は質問はありませんが、この間政府の派遣員とちょうど時期を同じにしましてモザンビークを見てまいりましたので、この次また時間があるときに私の報告と、また質問をさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。終わりです。
#49
○立木洋君 クリントン大統領が、先日、財政再建計画について発表されて、その中で軍備について一定の削減をするという内容が発表されたことは大臣御承知のとおりだろうと思うのです。
 それで、その問題と関連して今、日本に対して日本にいる米軍の駐留費をもう少し持ってもらえないかあるいは日本の防衛力についてさらに拡充してほしいというふうなことが問題になっておりますけれども、この点について外務大臣としてまた副総理としてどういうふうにお考えになり、どういうふうに対処していきたいというふうにお考えになっているのか、その点をお聞きしたいと思います。
#50
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的なことは北米局長から答弁をしてもらいますが、この間のアスピン国防長官との会談等においては、具体的に日本がもっと負担金を持ってくれとかどこをどうしてくれというような話はなかったのですよ。我々は要は日米安保についての日本の考え方を述べ向こうの考え方を聞くと、基本的な話ですからそういう点では意見の一致を見たと。
 それからもう一つは、やはり安保というものを今後も円滑に運営していくというためには地域住民とのトラブルがしょっちゅう起きるようでもこれは困るわけですから、そういう点については起きないようになるべく、もう世界の冷戦構造にも変わりも来てもいるわけですから、そういう点も十分配慮して今後相談しながらやりましょうと、一口で言えばそういう話だったのです。
#51
○立木洋君 それで、大臣、先日、宇都宮市のホテルでの会合で大臣が述べられているのは、日本の仮想敵国は少なくなった、イージス艦やAWACS、これはつくっても使い道がないとあなたはっきりおっしゃっているわけですね。AWACSといえば一機五百七十億するのです。使い道のないイージス艦というのもさらに今度一隻追加して、一千百二十億円もするものですね。
 この使い道のないということは必要がないということなのですね。それをなぜ副総理が今度の予算にAWACSを二機、来年度もさらに二機、イージス艦は今まで三隻発注しているのにさらに一隻発注したのか。その発注された理由は一体何でしょうか、必要がないものを。
#52
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは言葉不足で、と言っている人もあるという、と言っている人もあるが落っこっちゃった。だから、と言っている人もあるというのが正確な表現ですから、ここで確認しておきます。国会で言ったことの方が本物だから。
#53
○立木洋君 それは、と言った人もいるというのはないのですよ、あなたのには。今はそれをうまく唇を合わせているような格好に見えますけれども、やっぱり言うべきことはきちっと言うというのが大臣の信条だというふうに今まで承ってきたのです。必要がないものを発注するというのは、予算を編成される責任にある副総理としてはいかがなものか。
 それで、これは問題は一つだけじゃないのです。先日、これは日本評論家協会であなたまた発言されているのですが、日本に駐留している米軍の経費についての思いやりの部分がある、この思いやりというのは本当を言えばこれは当たり前のことなのだ、こういうふうにあなたはおっしゃっているのです。あれは、思いやり予算というのは金丸さんが言った言葉なのですよ。本当は米軍側が出さなければならないけれども、それは向こうから頼まれて仕方がないから思いやりだと。ところが、思いやりではなくてそれは本当なのだと、思いやり予算じゃなくて本当の予算になっちゃったのです、渡辺副総理によって。
 そうすると、必要でもないものを予算に計上し、思いやりというふうにまで言われていたものを結局今度本当のものだ、当たり前のものだというふうなことになると、これはアメリカの軍需産業におもねたりあるいはアメリカの政府の言いなりになるような予算を組んで、日本の国民の意思に反するような予算を組むというふうなことになってしまうのじゃないか。ということになると、予算編成についてこれは大変な問題になる。
 だから、副総理としてどういうお考えで予算を組むのかということにまで問題はなってくるので、ここらあたりの考え方については、やっぱり日本の国民に対する予算なのですから大臣としてはきちっとした姿勢をとらなければならないということをどうしても申さざるを得ないので、宇都宮の件といい日本評論家協会における発言といい、大臣はできるだけ口が滑らないようにこれから注意しますということを何回もおっしゃっているので、これは口が滑ったと言われるのか、それとも本音を述べたのか、ここらあたりのことは一言はっきりさせておいていただきたい。そうしないとどうも大臣のこれまでの発言についてはどうなのかという、外務委員会で私も時々本音を出す大臣として見てきた点からも、このことだけははっきりお聞きしておきたいと思うので、明確にしていただきたい。
#54
○国務大臣(渡辺美智雄君) 本音を言ってしかられることもあるし、なかなか難しいのです。これは立場立場それから場所柄、いろいろございますから。
 私は、思いやり予算というのは別に言葉遣いは間違っているというようには思いません。日米地位協定によってどういうものを出すかということを決めているわけですから。しかし、思いやりだ思いやりだといって何も恩に着せるような私は考えでもないのですよ。やはり取り決めた以上は当然出すべき予算だと、私は当たり前だと思っているのです、実際は。
 だから、最初のスタートはそれは思いやりかもしれない。出さなくたっていいと言うかもしれないが、日本がこれだけ大国になって、そして最初に安保条約ができた当時というのは、御承知のとおり、日本には自衛隊はなかったわけだから、一番最初にできたときは。あれは昭和二十六年にできたのでしょう。自衛隊は二十九年にできるのですから、兵隊さんなんかいないのだから、日本には。自衛隊さんも。一方的にアメリカが面倒見るということにならざるを得ないのです、安保条約を結ぶとなれば。だから対等な安保条約ができるわけがない。
 しかしながら、日本に国力ができ、自衛隊もでき何もできということになってくれば、当時無一文だったときの日本とアメリカとの関係というものはある程度変わってきたってこれは仕方がない。私はある意味では当然じゃないかという気持ちがあったものだからそんなことを言っただけなのです。
#55
○立木洋君 一言だけ。
 大臣、つくっても使い道がないということになれば不必要だということになって、これは浪費なのですよ。それでまた、当初からのそういういきさつがあって、当然アメリカが払うべきお金を日本が払っている。そういうものは正常に戻さなければならない。そういう点からいえば、だんだんアメリカに結局追随していく道をやっぱり渡辺ミッチー大臣も追うのかというふうに言わざるを得ないので、そこらあたりは自主性を守るというならばそれらしい姿勢を大臣にとっていただかなければならないということだけははっきり申し上げておきたいのです。
 終わります。
#56
○磯村修君 外務大臣にお伺いしたいのですけれども、国連のガリ事務総長が「平和への課題」ということを提案して以来、いろいろなPKOをめぐる新たな論議が起きているわけですね。
 日本の場合もPKO参加をめぐって憲法の解釈問題とかあるいは改憲論議、こういうことが大変近ごろ言われるようになってきている。日本の憲法というのは、やはり我々の国民生活の中に本当に根差して大変国民の大多数から支持されている。こういう意味合いからも憲法の平和理念というものをこれからの国際協力に生かしていく、これが大変重要なことだろうと思うのです。PKO協力法の審議の過程の中でもいろいろな論議が行われたわけですけれども、こうした論議をこれからも大切にしながらPKOというものを考えていく必要があるのじゃなかろうかと思うのです。
 そこで、外務大臣にお伺いしたいことが一つございます。
 PKO協力法には見直し規定というものがあるわけなのですけれども、最近のいわゆるガリ提案以来いろいろな論議がなされている世論あるいは国際世論というものを踏まえながらいわゆるPKF本体業務の凍結解除ということにつきまして、今その必要性に迫られている状況にあるのかどうか、外務大臣はどのようにこの辺はお考えになっているか、お伺いしておきたいと思います。
#57
○国務大臣(渡辺美智雄君) 現地の状況ですから、専門家、国連局長に説明をさせます。
#58
○政府委員(澁谷治彦君) 先生御承知のとおり、昨年六月に成立いたしました国際平和協力法に基づき、我が国はアンゴラ及びカンボジアに要員を派遣しております。アンゴラにおきましては任務は一応終了いたしましたけれども、カンボジアにおきましては現在七百名の協力隊員が平和と復興のため汗を流しております。この活動につきましては、国連を初め多くの関係者がこれを高く評価するとともに、我が国の国内におきましても国民の理解と支持を得ているというぐあいに考えております。
 法律の見直しにつきましては、国際協力法はここ三年を経て法律の実施状況に照らしてその実施のあり方について見直しを行うものとしております。ただ、いわゆる本体業務の凍結につきましては新たな法律をつくることによって解除できるということになっておりますので、この見直しと解除、法律上の本体業務の解除とは一応区別して法律上は扱われていると思っております。
#59
○磯村修君 きょうの報道にもモザンビークに自衛隊を派遣する等の報道がなされておりますけれども、この点、派遣ということは政府としてお考えになったわけでございますか、外務大臣。
#60
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは閣議でけさ、決めたわけじゃありませんが、内々そういう要請があるのでいろいろ諸般の事情を検討した結果、要請があった場合は引き受けられるような準備を開始をする、準備をするということを閣議で決定をしたのです。
#61
○磯村修君 そうすると、まだモザンビークに派遣するということを内定しているとか、そういう段階ではないのですね。
#62
○国務大臣(渡辺美智雄君) 準備がないと引き受けたってすぐできませんから、内々の打診があったのでそれに対して、あそこには外務省の出先もないし、総理がこの間予算委員会で言ったように、向こうの政府と交渉する人もいないし、便宜供与の問題もいろいろあるし、ぐあい悪いねと。どうするかという問題もあるし、現地の事情もわからない。だから、わざわざ調査団まで出して調査をして帰ってきて、客観的な報告をそれぞれの専門家から内閣は受けたと。それをよく検討した結果、これは我々の五原則にもかなうしするから断る理由もない。
 あとは語学の問題だとかいろいろ人の問題だとか、今度は配車係が主たるものらしいのですよ。指揮官じゃないがそれに近い、あなた向こうよ、こなたこっちよと各部隊をいろいろ指図をするわけです、車を仕向けて。だから、そういうふうな指揮系統の中に入っていくということも大事なことだし、それからむしろ日本と直接利害関係のない地域だから、利害のあるところだけ出すけれども利害関係のないところはやらないよというのじゃないこともはっきりわかる。人数も少なくて済むというような諸般の事情を考えて、本部長としては、じゃ準備を始めなさいということについて閣議の了解を得たと、こういうことです。
#63
○武田邦太郎君 ロシアとの対応は、今の大統領と議会との対立関係もありましょうし、特に日本は北方領土の問題があって経済援助との絡み合いというのは非常に難しい要因も含んでおりますけれども、これまでの日本の対外態度はややもすると外国の行動を見て後追い的にくっついていくというような印象を持たれる場合が少なからずあったように思います。
 フランスのミッテラン氏などは、実質上は大して援助もできないのに先に動き回ってその指導力を誇示したり相手の好感を得たりというようなことが目立ってこれも余りいい印象を与えませんけれども、これから先、困難な国際情勢の中で、経済力を持っておる日本が先を読んで、ほかの国の動いていくのを見て後から動くようなそういうことのないようにお願いしたいと思いますが、格別御意見ありませんか。
#64
○国務大臣(渡辺美智雄君) 質問の趣旨を正確に私は受け取ったかどうか疑問なのですが、外国のことばかり横目で見ながらバランスとってやるというだけじゃなくて、やはり日本自身としても自主性を持ってよく情勢を分析した上で決めなさいと、こういう御趣旨だろうと思います。大切なことなので拳々服膺していきたいと思っています。
#65
○武田邦太郎君 それから限りある経済援助のスケールの中でございますけれども、経済援助が軌道に乗るとして、例えば日本の場合は環日本海経済圏というものは国民が非常に乗り気になっておりますし、またシベリアの資源というものはほとんど無尽蔵といわれておりますので、日本の援助が効果的になるためにも、向こうさんにとってもこちらにとっても、例えばこちらが援助する場合にバイカル以東を主としてやりたいというような注文はっけられるものでしょうか。
#66
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはどうか、相手の国のあることですからそういう注文つける話まではしたことはありませんが、しかし経済的な取引ということになってくれば、それはウラル以西ですか、遠いところよりもやはり近間の方が手っ取り早いということですよ。したがって、極東の方に投資とか何か将来するとすればやはり近くの方にならざるを得ないということじゃないですか。
#67
○武田邦太郎君 終わります。
#68
○田英夫君 まず質問に入ります前に委員長にお願いをしておきたいと思いますが、大臣に対する質疑と政府委員に対する質疑を分けて行うというやり方はきょう初めてであります。私も長い間外務委員やっておりますけれども、全く初めての体験でありますが、きょう私が取り上げる問題も最終的には大臣の政治的な判断を伺わないとしっかりとした討議ができないという感じがいたします。
 したがって、お体のことを考えての委員長や理事の皆さんの御配慮は十分理解できますけれども、こうした状態が長く続くことは大変好ましくないと思いますので、ぜひ国会の委員長というお立場、理事というお立場からこのことをお考えいだきたいということをお願いをしておきたいと思います。
#69
○委員長(野沢太三君) しっかり承っておきます。
#70
○田英夫君 まずカンボジアの問題について伺いたいと思います。
 今、アジアの一国であるカンボジアの状態、さらにそこに自衛隊が派遣をされているという状態を考えるときに、カンボジアの問題というのは大変重要な我々の関心の的にならざるを得ない問題だと思うわけですが、今のカンボジアの情勢を、大変大ざっぱな聞き方ですが、どういうふうに見ておられますか、アジア局長。
#71
○政府委員(池田維君) 現在のカンボジアにおきましては局地的かつ限定的な停戦違反というものが発生しておりますし、軍事的な緊張状況というものがそういう状態で続いております。しかしながら、私どもといたしましては、全面的な戦闘が行われているというわけではないというように認識しております。そういった意味で、パリ和平協定の基本的な枠組みというものは維持されておるというように認識しているわけでございます。
 いずれにしましても、UNTACとも緊密に連絡をとりながら、引き続き現地の情勢を注意深く見守っていきたいというところでございます。
 なお、制憲議会の選挙でございますけれども、これは五月二十三日から二十七日まで五日間行われるということに決まっておりまして、UNTACの主導のもとでそのための本格的な準備が進められております。それに関係いたしまして、タイとカンボジアの国境におりました難民がほとんどがもう既にカンボジアに帰っております。三十三万人が帰ったということでございます。それからカンボジア内部の有権者登録につきましても約九二、三%の四百七十万人の有権者登録が行われたということでございまして、そういった意味でも選挙準備に向かって本格的に情勢が進みつつあるというように考えております。
 しかしながら、先ほど申しましたように、局地的かつ限定的な軍事的な緊張状態あるいは政治的な緊張状態というのは続いておりますから、日本としてはカンボジア各派に対しましてこれまでと同様に自制を引き続き求めていくということが重要だというように考えておるわけでございます。
 それからポル・ポト派でございますが、現在までのところは選挙に参加しないという姿勢をとっております。しかしながら、一応門戸はあけてありまして、選挙までの間にポル・ポト派が希望するならばいつでも選挙の過程に入ってくることはできるというようにできております。
#72
○田英夫君 私の認識と大変違うわけです。
 去る十二日、先々週の金曜ですか、バンコクでいわゆるポル・ポト派、正確には民主カンボジアと自分たちは言っておりますが、民主カンボジアのキュー・サムファン議長と会談をいたしましたので、その彼の言葉と突き合わせながら伺っていきたいと思います。
 今のアジア局長のお話ですと大変楽観的でありますが、キュー・サムファン氏の考えを聞いたところによるとそうではないという印象を持っております。
 最初に伺いたいのは、なぜ民主カンボジアのクメール・ルージュの連中が今、選挙に参加することを拒否しているのかその理由は一体何だとお思いですか。
#73
○政府委員(池田維君) 私どもが理解しておりますところでは、これまでポル・ポト派が和平の過程に参加できないということの主張として二つの点を挙げてきたと思っております。その一つはベトナム兵の存在ということでございます。あるいはベトナムの移住者の存在ということも言っております。それからもう一つは、プノンペン政権に対する監督機構は必ずしも中立的ではないのではないかという点だったと思います。この二点につきましては、これまでもUNTACが中心になりまして関係各国とも十分に協議しながらできるだけの努力を進めてきたというのが実態だろうと思います。
 特にベトナム兵の存在という主張につきましては、これまでUNTACとしましては、もしポル・ポト派の方でそういうベトナム兵が存在しているというのであればそれを指摘してほしいと、そこへいつでも飛んでいくなりあるいはその地域のチェックポイントを通じて実態を調べたいということを言っております。
 それからもう一つ、プノンペン政権に対する行政機構の中立性といったような問題につきましてもこれまでいろいろな国際的な努力が行われてまいりました。例えば日本とタイが中心になりまして去年の夏から秋にかけて何度かポル・ポト派の今のキュー・サムファン氏とも交渉いたしました。私自身も三回にわたってキュー・サムファン代表とお会いして突っ込んだ話し合いをいたしました。そのときは特にこの第二の問題が中心になったわけでございまして、この点についても国際社会としてできるだけのことはしようということになっていたわけでございます。
 しかしながら、この二つにつきまして依然として彼らとしては納得できないという立場だと思います。しかしながら、UNTACあるいは関係各国としてできるだけのことをやった、そこで彼らが不満が残るということであれば果たしてどこに不満があるのであろうか、むしろそれを言う方に無理難題があるのではないかということが今の国際社会の一般的な感じなのではないかというように感じておるわけでございます。
#74
○田英夫君 今の最後の点ですけれども、私もキュー・サムファン氏に会ったときに、あなた方はもっと自分たちの考えを国際社会に対して説明をしたらいいじゃないかと。後で触れますけれども、時間があったら触れたいと思っている問題ですが、北朝鮮のIAEAのかかわりあるいはNPTの脱退の問題、この一連の核の問題についても私は同じ感じを持っているのです。その意味では北朝鮮といわゆるポル・ポト派とは何か似た点があるように思いますね、非常に国際社会に対する説明が下手だというか。
 しかし、実際に私も何度かカンボジアヘ行っておりますし、特に多くの方はプノンペンにおいでになってこれがカンボジアだと思って帰ってこられるようですけれども、私に言わせればプノンペンというのはカンボジアの中の特殊な非常に平穏な場所であって、あれはまさしく別天地だという気がいたします。地方へ行きますと、これが本当のカンボジアの生活だと思うわけです。
 例えばキュー・サムファン氏はこういうことを言っているのです。さっき選挙に参加しない主な理由は二つとおっしゃいました。そのとおりなのですが、もう一つ彼が強調しているのは、SNCに対する取り扱いが本来パリ和平協定で決められたものとUNTACがやっているのとは違う。SNCをもっと機能するものに権威あるものにしょうということを自分たちは言っているけれども、それを一向にやろうとしないということを言っております。
 それからこの春二月ごろから一連の大攻勢をかけたと、日本での報道によるとあたかもポル・ポト派が大攻勢をかけたというふうに報道されていたのです。報道の方ももう大臣が帰られるとともにほとんどいなくなりましたが、報道の方にぜひ聞いていただきたいと思うくらい、この点はかつてのベトナム戦争当時の日本の報道を私もその当時は現場の報道におりましたからよく覚えておりますが、ベトナム戦争当時の日本の報道はワシントン発とかサイゴン発とかそういうアメリカサイドの報道でほとんど占められていた。
 東大の新聞研究所が当時調べたところで、八五%がアメリカサイドのニュースソース、北ベトナムあるいは中国、ソ連というサイドの報道は五%ぐらいしかなかったという、そういう数字さえ出ていたわけですが、最近の報道は調べてみれば恐らくそれ以上ではないかと思うくらいプノンペンあるいは日本を含めたアメリカなどのサイドのニュース。
 さっき申し上げたとおり、大変プロパガンダが下手ですから、ポル・ポト派の方の言い分というものに根差す報道はほとんどないのでありますが、今度の大攻勢というのもカンボジアの今までの十三年間の戦いの軌跡を知っている人なら全く逆に見るのが常識なのです。乾季はいわゆるプノンペン政権、ベトナム軍側、雨季になって攻撃をしかけるのがポル・ポト派、これが常識なのです。それをポル・ポト派の方が乾季の真っ最中である二月に攻撃をかけるということで、報道を見たときに私は疑問をまず持ちました。
 ところが、キュー・サムファン氏に言わせると、全く私の予想どおり、これは全く逆だと。攻勢をかけてきたのはプノンペン政府軍である、あるいはそこにベトナム軍が加わっているというふうに言うのであります。私は、ジャーナリストの立場に戻ると一方の側だけの言い分を聞くわけにはいきませんから、この点は私はだからそうだとは言いませんけれども、少なくともキュー・サムファン氏の言い分はそうであります。
 彼はこういうことを言っています。ベトナム軍及びプノンペン政府軍は最近もシエムレアプ、ボーバル、ルーベン、コンポントム、パイリンなどで戦車や重砲を使った大規模な軍事攻勢をかけてきた。こうした大規模な軍事攻勢のために武器の輸送をする場合に、戦車とか大きな重砲は国道五号線、六号線あるいは鉄道を使って行っている。となれば、幹線道路と鉄道を使っている以上はUNTACがこれを知らないはずがない。これは黙認をしているとしか思えない。しかし我々はその攻勢に耐えてきたのだ。こういうふうに言っているわけでありまして、話が全然逆になります。
 私は、繰り返しますが、どっちが正しいかということを言い得る立場にありませんから、この点は一方の側を御紹介することになるわけであります。
 それから、こういう状況だからUNTACがベトナム勢力を残留させたまま選挙をやるということになれば我々はそうした選挙に参加するわけにはいかない、こういうふうにも言っておりまして状況のとらえ方が逆でありますから、選挙に参加しない理由を日本における報道だけで判断すればポル・ポト派がどうして選挙に参加しないのかまことに不思議でありますけれども、キュー・サムファン氏の言い方を加えて判断をするとそういうこともあり得るかなというふうに考えられてくる。
 そういう意味で、五月に予定されている選挙ですけれども、これは言うまでもなくこの選挙を目指してパリ和平協定がつくられたと言ってもいいくらいのことですから非常に重要な選挙ですけれども、この選挙が行えるとお思いですか。
#75
○政府委員(池田維君) 私どもは、結論的には何とかこの選挙をUNTACの主導のもとに行ってほしいと考えておりますし、UNTACは非常に強い決意を持ってパリ協定に書かれた規定に従ってその義務を果たしたいということだと思います。
 そして、これは先ほど田先生からも御質疑がございましたが、ポル・ポト派を除けばカンボジアの各派は選挙を行うということで基本的に合意はしておりますし、それから関係諸国もそうでございます。これは中国、ベトナム、タイ等の関係国を含めてすべてそうでございます。したがいまして、私どもの見通しといたしましては、曲がりなりにもこの選挙は行われるだろうというように考えているわけでございます。
#76
○田英夫君 池田アジア局長はカンボジア問題は御専門ですし、バンコクにおいでになって特に旧三派連合政権について非常に詳しく見ておられたから、その方がアジア局長ということで、私も日本の外務省は正しい判断をされると考えたいのでありますけれども。
 またキュー・サムファン氏の言い方を加えて話をしたいと思いますが、彼はこういうことを選挙について言っています。選挙を形式的に強行するかどうかはUNTACの決断にかかっている。しかし、自分が知る限りでは実際上はとても選挙を実施することはできないと思うと。
 日本の報道を根拠に考えると、自分たちで騒ぎを起こしておいて選挙ができないというのはおかしいじゃないか、こういうことになるのでありますが、根本のところが違いますから、そこは自分たちが騒ぎを起こしたとは考えていない。騒ぎを起こしているのはプノンペン政権側だということですから、こういう言い分が出てくるのもある意味ではうなずけるのですね。
 今、三派のうちの他のいわゆるソン・サン派やラナリット派は選挙に加わるというお話がありましたけれども、ここもキュー・サムファン氏の言い分によりますと、ソン・サン派やラナリット派は果たして選挙に参加するだろうか私は見守っている。プノンペン政権側はプノンペン市内でさえ白昼これらの政党の事務所を襲撃してテロを行っている。手りゅう弾が事務所に投げ込まれるような状態の中で選挙が行えるだろうか。
 これも報道人には悪いですけれども、日本の報道によると、小さく辛うじてラナリット派の事務所に手りゅう弾が投げ込まれたというような報道がありますが、その言外には全体の調子からすればそれはポル・ポト派がやっていることだという、そういうふうに受け取られる報道です。あるいは国道六号線の橋が爆破された、こういう報道もありましたが、これはポル・ポト派がやったものと見られるという、はっきり各紙ともそういう後書きがついております。これもすべてキュー・サムファン氏に言わせると逆であります。
 その辺のところは、ジャーナリストというのは一方に偏らずに真実を報道するということを私は繰り返し教えられながら新聞記者をやってきましたので、いまだにそのことだけは守り抜いていきたいと思っておりますので、あえてきょうはそういうことを繰り返して申し上げているわけであります。
 それで、キュー・サムファン氏によると、ベトナムあるいはプノンペン政権側は今後選挙が近づくに従ってこうした政治テロやさらに軍事攻勢を強めるだろう、こういうふうに見ておりますね。そうなってくると非常に心配なのですが、そういう場合に果たしてシアヌークさんという存在がどういう役割を果たすだろうかということがカンボジアでは特に大事な問題になってくるのでしょうが、外務省はシアヌーク殿下の役割をどういうふうに考えておられますか。
#77
○政府委員(池田維君) シアヌーク殿下につきましては、私どもやはりカンボジアの和平プロセスの一つの中心的な人物として求心力になり得る人であるというように考えているわけでございまして、もちろんこれまでのシアヌーク殿下の政治的な行動の軌跡を見ておりますと、あるときはプノンペン政権に近い立場をとられたりあるいは逆にポル・ポト派に近い立場をとったりということで若干のぶれはありました。しかも、最近も恐らくそういったぶれは依然として続いていると思いますが、しかしながら四派の人たちが最大公約数としてやはり一目も二目も置いている人物というのはシアヌーク殿下をおいてないわけでございまして、そういった意味では依然として今後シアヌーク殿下がパリ和平協定に基づいて国民和解を進めていく上で中心的な役割を果たしていかれるのではないかというように考えているわけでございます。
 それから先ほどもございました大攻勢ということでございますが、ポル・ポト派の立場それからプノンペン政権の立場それぞれ違った言い方をしておりますし、私どももどちらかの派の言い分だけを聞いてそうだと受けとめているわけではございません。むしろ基本的にはやはりカンボジアの中ではポル・ポト派とプノンペン政権の双方の側において対立関係がございますから、いずれの側がやるか、それは作用と反作用の関係というのもございます。
 したがいまして、私どもとしましては、UNTACが中立的な立場で政治的安定を図るあるいは治安の維持を図るということを引き続き強力に支持していきたいと思いますし、私どもが持っておりますチャネルを通じましてプノンペン側にもあるいはポル・ポト派に対しましても双方の自制を求めていきたいというように考えているわけでございます。
#78
○田英夫君 本当にシアヌーク殿下という存在がこれから五月まで非常に重要になるだろうと私も思います。
 キュー・サムファン氏もこの点に触れておりまして、今、北京にずっと行ったきりの状態のシアヌークさんですが、これ自体一種の意思表示だろうと見ていいのじゃないでしょうか。三月の初めにはっきりとプノンペン政権並びにUNTACに対して批判をし、同時にまたその直後には四派合同で内閣を組織して自分がその首班になるということを提言されて、翌日、北京に戻ってそれを取り消されるというようなある意味ではシアヌークさんらしい言動をとられたことは御存じのとおりですけれども、この辺のところはやや斜め後ろぐらいからシアヌークさんを見てみると真意がわかってくるのじゃないか。
 私は、シアヌークさんはUNTACに対して非常な不信感を持っていると。そういう中で五月選挙を無視して、つまりその前に内閣を組織して自分が首班になるというのですから、もう内閣ができてしまえばそれで政権はできるわけですから、五月の選挙は要らなくなってしまうわけで、五月の選挙を意味のないものにしてやろうというこれは提案なのですね。しかし、それをすぐ翌日はまた取り消されました。悪く見れば、これは揺れ動いてシアヌーク的だということも言えるかもしれませんが、同時にその辺が老練なというか、政治家の本心を出しながらばっとまた消してみるというようなやり方であるかもしれません。しかし、シアヌークさんは恐らく最後の土壇場で何かするだろう。キュー・サムファン氏によると、このまま手をこまねいておられるとは思わないと、こう言っております。
 それから日本の世論からすれば一番問題の自衛隊とのかかわりについてキュー・サムファン氏に聞いてみました。これから戦闘が激化するだろう、プノンペン政権側はそういう軍事攻撃を激化するだろうという話でしたから、そうなると自衛隊がそれに巻き込まれるということはないか、私たちはそれを心配するということを言いましたら、答えは、それはUNTACと日本の出方いかんだ、このまま情勢がさらに悪化し混乱した情勢の中でそのまま自衛隊を含め外国軍隊がカンボジアにい続けるならば、それは戦禍に巻き込まれるということもないとは言えないと、こういう答え方をしております。
 大変この辺は微妙な表現でありますが、いずれにいたしましても、カンボジアの情勢というのは非常に危険な微妙な状態にあると思います。したがって、モザンビークに自衛隊を出すなどということが次の課題にされているようで外務省は大変それに熱心のようでありますが、私はカンボジアの自衛隊の方のことをまずお考えになった方がいいのではないかということだけ申し上げておきます。
 カンボジアについては以上で終わりますが、同じアジア局長にまたお尋ねするのですが、さっきも申し上げた北朝鮮の問題です。
 北朝鮮が最近、核拡散防止条約、NPTを脱退するという衝撃的な行動に出たわけでありますが、このことを政府はどういうふうに見ておられますか。
#79
○政府委員(池田維君) 今般、北朝鮮が核兵器不拡散条約、NPTから脱退するということを決定したわけでございますが、これはやはり核不拡散という体制に対する大変大きな挑戦でありまして、それは同時に東アジアあるいは広く世界の平和と安定に重大な事態をもたらし得る可能性のある問題であるというように考えているわけでございます。
 それで、我が国としましてはいち早く本件についての懸念を外務大臣の談話の形で出し、この決定をできるだけ早く撤回してNPTにとどまるようにという呼びかけを北朝鮮側にいたしました。それから今週二十二日でございますが、ニューヨークで日米韓の政府間の協議がございましてそこで議論を行いましたけれども、その結果も、現在のところはできるだけの外交努力を行うことによって北朝鮮が今回とった行動、それを撤回することを呼びかけていくということを決めたわけでございます。
#80
○田英夫君 この問題はもとをただせば、北朝鮮はNPT脱退に当たっての声明の中でチームスピリットの問題に触れておりますけれども、私はこれはむしろつけたりと言ったら怒られるかもしれませんが、本当の理由ではないと。チームスピリットに対しては毎年非常に鋭敏な反応をしてきたわけですけれども、これを理由に脱退するということではないと思います。
 去年はチームスピリットをアメリカ、韓国はやめたわけですが、それをことし復活したという意味では大変北朝鮮を刺激したことは事実でしょうけれども、しかしそれだけの理由ではない。むしろIAEAのかかわり、核査察の問題、それをめぐるアメリカや日本の政府の動き、こういうようなところに一つの大きな原因があるのではないかと思いますが、そういう原因についてはどうお考えですか。
#81
○政府委員(池田維君) 原因については必ずしも明確でない点がございますけれども、北朝鮮側の主張によりますと、ただいま先生御指摘になられましたように、チームスピリットをことしやったということが不当な行動であるということ、それからIAEAの特別査察の要請というもの、これが北朝鮮の主権を侵害するものであるというような主張で、この二点が中心かと思います。それ以外にも挙げている点はございます。しかし、いずれをとりましてもその北朝鮮側の主張の中には必ずしも納得できない点がございます。
 例えばこのIAEAの特別査察でございますけれども、これは今までIAEAが六回にわたって北朝鮮に対する査察を行ってきたわけでございまして、その六回の過程で北朝鮮側がかなり協力的に自分たちの持っている情報とか資料とかをIAEAに提供しております。そして、この提供された資料あるいは情報に基づきましてIAEAが分析を行ったところ、この分析の結果とそれから北朝鮮側が主張している中身との間には重大な不一致があるということがIAEAによって確認されたわけでございます。
 したがいまして、IAEA側としては、その不一致がどこから出るのか、そのためにはやはり今問題になっている平壌の北にありますピョンピョン地域の二つのサイトをもう少し徹底して調べてみない限りどちらが正しいかわからないということになってきたわけで、そこでIAEAとして特別な査察を行うということになったわけでございますから、この特別査察に対してそれを不当であるという北朝鮮側の主張というのは我々にとっては十分理解できない。むしろ北朝鮮側が今までやってきたことの中に矛盾があるのではないかという感じがするわけでございます。
 したがいまして、いずれにしましても、そういった点について北朝鮮側の主張が説得力を持つためには、やはり国際社会の要請、特にIAEAを通じた要請に対してもう少し前向きに対応する必要があるというように考えているわけでございます。
#82
○田英夫君 これもさっき申し上げたとおり、どうもポル・ポト派と北朝鮮が非常に似ているということを申し上げましたけれども、外務省はもちろん入手しておられるでしょうが、北朝鮮側のIAEAに対する言い分という、これはちょうどキュー・サムファン氏がUNTACに対して言っているのと非常に似ているような感じがするのですが、ところが日本の政府も国際社会一般もこの北朝鮮側の言い分というのは余り重要視されないというか取り上げられない。また報道の悪口になりますが、日本の報道には一行も出ていない。しかし、ここにありますけれども、北朝鮮側が二月と三月に相次いで、NPTを出たときとその前のIAEAの六回目の査察の後、北側が、何といいますか、居直ったような形になったときに出した声明等読んでみますとその言い分はわかるわけです。
 要するに今、局長がおっしゃったとおり、IAEA側の計算と北朝鮮側の計算、特にプルトニウムがどのくらいできるであろうかということに最後は尽きてくるのでしょうけれども、これに違いがあると。北朝鮮側は、自分たちの計算の方が正しいということを会議の席ではIAEA側は認めたのだというふうに言っています。これは確かめてみないとわかりませんけれども。にもかかわらずIAEA側はその後の会議の席でそのことを一方的に無視してきたと、こういうふうに言っている部分もこの声明の中にはありますから、よくわかりませんが、いずれにしても、この問題が障害になって日朝の国交正常化交渉というものが、現在も開かれておりませんけれども、容易に開けなくなるのじゃないだろうかということを懸念するのです。
 今度、日本側の北朝鮮に対する交渉の代表団の団長はかわられましたね。今度の遠藤大使はかつてIAEAの日本の代表として議長もやられたと聞いておりますし、その専門家でもある。科学技術の担当もしておられたし、また北東アジア課長もやられ朝鮮問題の専門家でもあると。そういう意味ではうってつけの大使を選ばれたわけでしょうけれども、にもかかわらずこれは会談が開かれなければ全くその人選も意味がなくなるわけですが、やはり今の情勢では日朝国交正常化交渉というのは再開できないのでしょうか。
#83
○政府委員(池田維君) ただいま田先生がおっしゃいましたポル・ポト派と北朝鮮の行動の中に非常に類似点があるのではないかということにつきましては、私自身も個人的には大変類似性が多いとこれまでも常々考えておりまして、それは双方がやはり非常に閉鎖的で孤立した集団でありあるいは国家であるということによっていると思います。
 しかしながら、クメール・ルージュの場合と北朝鮮側の場合で非常に大きな差がありますのは、日本から見ますと、朝鮮半島において核を持った国、しかもそれが必ずしも日本に対して友好的でない国が出現するということが日本のこれまでの安全保障に対する考え方に根本的な影響を及ぼすのではないだろうかという点でございます。これはカンボジアにおいてクメール・ルージュは百万人ぐらいの人を虐殺したとかいうことになっておりますけれども、それは基本的に日本にとってそう大きな問題ではないといえば、もちろん人道上の問題は別にして、日本に対する直接的な影響ということから言えばそういうことも言えなくもないと思いますが、朝鮮半島におきます今の核を持った国家の出現といった問題というものは、これはもう比較にならない重大性を持っているというように私は考えておるわけでございます。
 それからIAEAにつきましては、これについて確かに北朝鮮側の主張とIAEA側の主張に食い違いがあると思いますけれども、むしろIAEA側の主張を納得させるためにはもっと北朝鮮側の主張が説得力があるものでないといけない。しかも、それを実証するためにやはりIAEA側の特別な査察というものを受け入れるような用意がないといけないというように考えております。
 それから日朝交渉でございますが、私どもとしましては、従来、日朝交渉今まで八回やっておりますけれども、日朝交渉とこの核の問題を直接的にリンクさせたことはないわけでございます。ただ、日朝交渉自体が進展を見るためには、核疑惑について完全なる進展がない限り日朝交渉も進展しないだろうということは言ってきております。そういった意味におきましてはお互いに大変重要な関連は持っている。しかし、日朝交渉を開くための前提として核についてすべて問題が解消されることを絶対的な条件にしてきたわけではございません。
#84
○田英夫君 この辺から先は本当に外務大臣がおられないとお聞きしにくい、政治的判断の問題ですからやりにくいことなのですけれども、やはり私も長いこと北朝鮮、韓国の問題にかかわってきて、特に北朝鮮との交渉というものに対するこっち側の姿勢としては、遠藤さんとも話し合ってみましたけれども、遠藤さんも同感だと言われたので安心したのですが、いわゆる太陽か北風がという、こちら側の姿勢の問題として絶対にこれは太陽でなければ、太陽というやり方でなければならないと私は思うのですよ、北朝鮮の従来からの態度というようなものを感じてみると。
 制裁をするぞとか、アメリカはクリントン政権になってもなおかつ北朝鮮に対する経済制裁をやるぞと、特に石油や天然ガスを入れることをとめようとか、そういうことをつい最近も言い出しておりますが、こういうことに日本政府は絶対に同調しない方がいいと思うのです。ああいう性格ですから、まさにそういう北風を吹かせて力で押しまくってこっちの言い分を通すというのじゃなくて、太陽を当ててかたくななマントを脱がせるというそういう姿勢こそ大事であって、私は遠藤大使にも進言をしたのですが、できるだけ早く、NPTの脱退というようなことがあったからこそなるべく早く日朝国交正常化交渉を始めるべきだ。特に李恩恵の問題というような次元の低い問題を入り口に置いて、それがあるから中に入れないなどという態度は絶対にとるべきじゃない。
 この席でも申し上げたから繰り返しませんけれども、李恩恵の問題というのは本当に私はまゆにつばをつけて聞かなければならないような程度の問題だと。私の娘だと言うのですからね、韓国の安全部は。その程度の何といいますかあれを流すような、そういう程度のものを大切なアジアの平和を進めようという日朝交渉の入り口に置くというようなそんな価値のある問題じゃないですよ。
 そういうことを申し上げて、最後に韓国のことを伺いたいのですけれども、最近非常に気になりますのは、韓国における新聞とか週刊誌、そういうものに出てくる日本に対する論調といいますか書き方というのは非常に厳しくなってきているということは当然外務省もお気づきだろうと思います。
 それは最終的には日本の過去の植民地支配、特に従軍慰安婦の問題に象徴されるような人権を踏みにじったそういう問題を今改めて次々に取り上げて、最近では、これは最近といっても半年ぐらい前のことですけれども、昔のいわゆる日韓基本条約が結ばれていく段階での金・大平メモというようなもの、これは秘密メモと言われているものですが、それを暴露した記事が出て世論がこれに硬化しているというような、あるいは日韓基本条約が結ばれたときのいわゆる賠償問題をめぐっての当時の韓国政府の、最終的には御存じのとおり無償三億ドル、有償二億ドルということで決着がついたわけですが、これは屈辱的な外交であるというような書き方をし始めている。
 こういうことの中で、今改めて従軍慰安婦問題というものが非常に重要な日韓間の外交テーマになってきたときに、例えば韓国外語大の李良煕という国際法の専門家の教授ですけれども、この際ウィーン国際条約六十二条を適用して日韓基本条約を見直すということを韓国側から提起してはどうかという、これは一学者の提起ですけれども、そういう声が韓国の新聞に大きく出ているわけです。
 つまりこのウィーン国際条約六十二条というのは、条約締結当時は全く予想できなかった事実がその後判明した場合には条約を破棄し、再び条約、協定を結ぶことができる。韓国のその世論によれば、これを適用して屈辱的な条約を結び直してはどうかという。その一つのテーマが挺身隊いわゆる従軍慰安婦の問題、それから強制連行の問題、こういうものに対する最近の日本政府の態度と、こういうふうになってきているわけです。
 せっかくといいましょうか、韓国では金泳三新大統領が生まれ、当然のこととして近い将来に宮澤総理との間の日韓首脳会談というものが行われるということになるわけでしょうけれども、今の状態では私は日韓首脳会談はできないと思いますよ。
 この辺から先も大臣に伺いたいところですが、残念ながらおられませんから後日改めてということになりますが、この障害を取り除くにはどういうことをまずおやりになろうと考えますか。
#85
○政府委員(池田維君) ただいま田先生が御指摘になられましたとおり、日本と韓国の間でいわゆる過去の負の遺産といいますか、過去の問題というのが一つの障害としてこの関係の発展にマイナス要因になってきたということは大変残念なことだと思います。
 ただ、先ほど御指摘がございました一九六五年の日韓間の基本条約については韓国政府も、これはもう日本と韓国の間で完全に法的決着を目指したものとして締結されたということで日韓間で一致が見られるわけでございまして、法的な意味で私は特に韓国側が問題にしているということはないと思います。
 ただ、今の日韓の問題の中でやはりどうしても日本側で誠意を持って解決しなければいけない問題というのが従軍慰安婦の問題であるというように考えているわけでございます。
 これは常々大臣あるいは官房長官がいろいろな機会にも発言されてこられましたけれども、いわゆる従軍慰安婦として筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられた方々に対してどういうような形で我々の気持ちをあらわすことができるのかということは、各方面の意見を聞きながら誠意を持って検討していきたい。そして私どもは、韓国政府の要請も受けましてまずそのための実態を調査するということでできる限りの努力を続けてきたわけでございまして、この真相解明の努力というのは、五十年前のことでございますからいろいろな限界がございますが、しかしいずれそう遠くない段階で私どもとしましては第二回目の調査結果をまとめまして、そしてそれに基づいて日本としてどういう形で自分たちの誠意を示すことができるのかということを考えていきたいというように思っているわけでございます。
 そういうことによって今の日韓間の過去の問題に起因する問題に何とか早く終止符を打つことによって関係全体を未来志向的な方向に持っていきたいというように考えております。
#86
○田英夫君 金泳三大統領もこの点については、日本から金銭的なもので解決してもらおうとは思わない、こういうことを言われたのですが、これについては私なんかはそれは非常に厳しい言い方だと逆に思いますよ。韓国の民衆の皆さんの気持ちを知っていればその言葉というのは、実はそんな日本から金なんか受け取れるかというふうなトーンで受け取った方がいいと思うのですね。容易ならざる言葉だというふうに受け取るべきであって、賠償を改めて払わなくて済むのかというような受け取り方は逆さまだと思う。
 この点については私ももっともっとお聞きしたいことがありますが、大臣もおられませんし、このくらいでやめておきます。
 ありがとうございました。
#87
○荒木清寛君 難民問題についてお尋ねをいたします。
 今日では世界に一千八百万人に達する難民がいると推測をされております。難民問題の解決そのものが世界の平和と安全の維持にとって極めて重要であるというふうに言えると思います。日本は難民協力に本格的に取り組むようになりましてからまだ十年余でありますけれども、しかし国連難民高等弁務官に緒方貞子女史が就任をされております。そろそろ日本もこの難民の受け入れを真剣に検討する時期に来ているのではないかというふうに考えるわけですが、そこで旧ユーゴ情勢についてお聞きをいたします。
 昨年の八月六日、総理は緒方弁務官に対しまして難民支援に前向きな姿勢を示されました。また、これは新聞報道になりますけれども、昨年の八月十八日に外務省の高官が難民の受け入れあるいは日本での一時的保護を検討しているというような発言があったというふうに報じられておりますが、この点どういう形で旧ユーゴの難民支援に取り組んでいく方針でありましょうか。
#88
○政府委員(澁谷治彦君) 現在のところ、旧ユーゴ難民を受け入れることにつきまして具体的な検討を行っているということはございません。
 ただ、ユーゴの難民問題につきましては、UNHCRの方といろいろな意見交換を行いまして、何かできることはないかということで協議等をやっているところでございます。
#89
○荒木清寛君 それは経済的な支援に限っての協議ということでございましょうか。
#90
○政府委員(澁谷治彦君) もちろん経済的な支援を行うということが主になりますけれども、難民問題につきましても、単に日本が受け入れることができるかどうかという問題のみならず、難民問題一般、特にユーゴの難民問題についてはUNHCRが言ってみれば責任を持っている国際機関でございますので、非常に豊富な知識とノウハウを持っておりますので、その吸収に私どもは努めているところでございます。
#91
○荒木清寛君 緒方弁務官は、UNHCRが日本政府あるいは民間団体との間でこの難民問題につきまして密接で恒常的な協力関係を確立することを望むという発言もしていらっしゃいますので、積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 これに関連しまして、今、米軍が単独でボスニア・ヘルツェゴビナへ救援物資の投下作戦を展開しておりますけれども、ドイツ空軍も一部これに参加をする、そういった決定を政府がしております。また、フランスでもそういった検討をしているというふうに聞き及んでおります。
 それで、日本の場合にも食料品、衣料品の緊急の援助という形でこの投下作戦に関与することはできないのでしょうか、あるいはそういう検討をしていらっしゃらないのでしょうか。
#92
○政府委員(澁谷治彦君) 物資につきましては特に関係国からの日本への要請もございませんし、また客観的に見まして物資そのものについては供給の方は、つまり援助物資の方はかなりある、その援助物資の配分についてあるいは運搬についていろいろ問題があるというぐあいに私どもは理解しております。
#93
○荒木清寛君 次に、対日支援問題についてお聞きをいたします。
 現在、エリツィン政権が存亡の危機にあるということが報道がされておりますけれども、二十一日付の外務報道官の談話を読みますと、支持をするのはエリツィン大統領の改革路線であって、同氏個人を特に、特にといいますか、同氏個人を支持するのではない、そういったニュアンスを私は感じるわけでありますし、また先ほどの大臣のお話を聞いておってもそういう印象を受けました。しかしながら、現在、民主主義体制の確立また市場経済への円滑な移行ということを考えますと、彼以外にその指導ができるリーダーはいないというふうに考えます。この点がゴルバチョフ元大統領が失脚したときの状況と決定的に異なるのではないかというふうに考えるわけであります。
 そこで私は、その改革路線を支持するというよりも一歩踏み込んでエリツィン大統領自身を支援するのだ、そういう表明をしてロシアの国民にメッセージを送るべきであるというふうに考えますが、この点いかがでしょうか。
 特に、論評によりますと、エリツィン氏が失脚した場合にはルツコイ副大統領が浮上するというような可能性もある。しかし、彼は超ナショナリスト、民族主義的な傾向の人間であるというような報道もありまして、私はこの際エリツィンを支持するのだという態度表明を外務省、政府としても明確にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#94
○政府委員(津守滋君) ただいま先生御指摘のとおり、現在のロシアの状況を見まするに、改革派の先頭に立ってこれを指導しているのがエリツィン大統領である、こういうことだろうと思います。御指摘の外務報道官の談話もそういう趣旨でこれを発表したものでございます。
 換言いたしますと、改革路線を進めているのはエリツィン大統領でございますから、改革路線を支持するということはとりもなおさずエリツィン大統領を支持すると、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
#95
○荒木清寛君 先ほども大臣からお話がありましたけれども、四月十四、十五の両日に対日支援を具体化するために東京におきましてG7の外相・蔵相会議を開く予定であるというふうに承りました。そこで、その際に日本としてはどのような支援策を提案しまた表明していくのかということをお聞きしたいと思います。
 特に、第一にこの資金援助の総額と、そのうち日本がどのくらいを負担するのか。二点としましてはこの援助の方法、つまり贈与にするのかあるいは融資にするのか、あるいは両者であればその割合。さらには直接の二国間援助でやっていくという形での表明をするのかあるいは国際機関経由での援助ということを提案をしていくのか。さらには援助資金の使用可能な対象案件についてどのように提案をしていくのか、お聞きをしたいと思います。
#96
○政府委員(津守滋君) 現在、G7、先進七カ国間でロシアに対してどのような支援をするか鋭意協議しつつ検討をいたしておる次第でございます。
 その際に、先般香港で行われましたシェルパ会合の際の七カ国のシェルパとフョードロフ・ロシア副首相との間の会談、協議で出ましたロシア側の要望、あるいはロシアの改革状況にかんがみまして現在ロシア側が必要としている支援、こういったものを勘案いたしまして現在作業中でございます。
 今、四時に官房長官が発表したと思いますが、来月十四日、十五日に七カ国間の外相・蔵相合同会議が行われますが、この会議において、今、先生がおっしゃられましたように、具体的な支援の方策について何か発表できるかどうかということにつきましては、準備の時間が非常に限られておりますので、この中旬におきましては支援策の大枠あるいはどういうものを盛り込むかといった要素、こういったものについて合意するよう現在作業を進めている次第でございます。
#97
○荒木清寛君 その外相・蔵相会議におきまして日本としてはどのぐらいの資金援助をするのか、そういうことは現段階で決まっておりませんですか。
#98
○政府委員(津守滋君) それにつきましても、現在、財政当局と関係当局との間で鋭意協議をし作業を進めているところでございまして、この時点で具体的にどのような内容の支援にどの程度の額を支援できるかということについて申し上げるのは時期尚早でございます。
#99
○荒木清寛君 昨年のエリツィン大統領の訪日に関してでございますけれども、その訪日のための準備の打ち合わせの場におきましてロシア側から、北方領土に駐在するロシア軍が撤退する場合の費用を日本の方で負担をしてくれないか、支援をしてくれないか、そういった要請があったというふうに報じられておりますけれども、そういったことはございましたでしょうか。
#100
○政府委員(津守滋君) そういう事実は承知いたしておりません。
#101
○荒木清寛君 北方領土から軍が全面撤退をするということは領土返還にとっては大きな前進であると思いますけれども、日本政府の方からそういった支援の打診をするお考えはありませんでしょうか。
#102
○政府委員(津守滋君) 御指摘のように、北方領土に駐在いたしておりますロシア軍が引き揚げることは日ロ間の関係の改善に貢献するという観点から、これまでも累次ロシア側に対して引き揚げを要求してきたわけでございます。
 その点につきましてロシア側から種々の機会にいろいろな情報がもたらされております。多分先生も御案内のとおりだと思いますが、昨年の三月のコスイレフの訪日の際等いろいろな発言がございましたが、現在との程度ロシア軍が駐留しているかどうか詳細な情報は持ち合わせておりません。これにつきましては、まずロシア側が引き揚げるという意思表示をすることが先決問題であろうかと思います。
#103
○荒木清寛君 今、ロシア共和国におきましては、民主化が前進するか後退するかという瀬戸際にある緊急事態にあるというふうに思います。そこで、人道的な緊急支援、具体的にはロシアの国民に十分に食糧を行き渡らせる、そういった意味での緊急支援も大事になってくるのではないかというふうに思います。
 ただ、ロシアの国の情勢としましては、せっかくにそういった支援物資を送りましても現場の国民の人に行き渡らないという状況があるというふうに聞いておりますけれども、この点、外務省としまして支援物資が確実に国民の方に行き渡るように何か対応をしていらっしゃいますでしょうか。
#104
○政府委員(津守滋君) 今言われましたようなうわさが種々これまでも飛び交っていることは私どもも承知いたしております。かつそういう危険があるということも考えておりまして、したがいまして昨年初めに計上いただきました六十五億円の人道援助を実施する際に特に日本赤十字のノウハウ等専門知識の協力を得まして、実際に支援した物資が社会的弱者、個人とかあるいは病院とか老人ホームに渡るように種々工夫をいたしまして、その後トレースいたしました結果、ほとんど確実に届くべきところに届いているという結果の報告を受けております。
 なお、昨年の補正予算で計上いただきました一億ドルにつきましては、通常の物資の形態によります支援のほか、いわゆるマネタリゼーションという形で支援物資の食料品を現地、具体的にはモスクワ、サンクトペテルブルクそれから極東の七カ所におきまして市場価格よりも安い価格で販売いたしまして、その収益を積み立てましてロシアの社会的弱者のために使う、こういう新たな方法で援助を行っております。
#105
○荒木清寛君 先般明らかになりましたロシアあるいは旧ソ連の放射性廃棄物の海上投棄についてお聞きをしたいと思います。
 ヤブロコフ大統領環境問題担当顧問が大統領に提出をしました調査報告書によりますと、一九五五年から同九二年にかけまして旧ソ連及びロシアが日本海、オホーツク海、北太平洋、北極海の一部等に放射性廃棄物を海上投棄していた、こういった事実が判明しております。この調査報告書は外務省としては入手をしておりますでしょうか。
#106
○政府委員(津守滋君) 御指摘の中間報告が行われたというロシアの報道を受けまして、これは昨年十二月末でございますが、今年一月初めに直ちに我が方モスクワ大使館員がロシアの関係当局に接触をいたしましてその発表文を入手いたしております。
#107
○荒木清寛君 外務省としましては、特に我が国と関係があります日本海、オホーツク海への投棄場所については掌握をしておりますでしょうか。
#108
○政府委員(津守滋君) ロシア側にこの件について照会いたしましたところ、この中間報告、新聞に発表されました中間結果の内容は事実であるという回答を得ました。
 ただ、その際に今おっしゃられましたような具体的な詳細な事項についても照会いたしましたが、今のところこの点については十分な情報を入手できていない。その後一度三月の初めに督促をいたしておりますが、今のところ詳細については入手いたしておりません。
#109
○荒木清寛君 この点に関しましてロシア政府に照会するのはもちろんとしましても、我が国としましても科学技術庁等の協力を得ましてきちんと実態を調査すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
#110
○政府委員(津守滋君) 三月の初めに督促をいたしましたので、さらにロシア側を督促いたしましてまずロシア側から詳細なデータを入手して、その上で今おっしゃられましたような日本政府としてとるべき措置について考えてまいりたいと思います。
#111
○荒木清寛君 いずれにしましても、放射能汚染の可能性もあるわけでありますので、そういった廃棄物を早期に除去することが急務であると思います。この点、日本としましても関係諸国と早急に協議をすべきである、ロシアも含めて関係諸国と協議をしていくべきであると考えますが、いかがですか。
#112
○政府委員(津守滋君) ロシア側に照会いたしました際にロシア側の説明としましては、海水表面層、これは中間報告にも載っておりますが、海水表面層の放射能に関するデータは放射性廃棄物の海洋投棄に関連した放射能レベルの増加を示していない、こういう内容でございます。これは御承知のように、液体低レベル廃棄物でございます。
 しかしながら、これだけではもちろん十分ではございませんので、さらにまずロシア側から情報を得た上で必要であれば関係諸国とも協力して対処したいと考えております。
#113
○荒木清寛君 対日支援の一環としましてこの投棄物の早期除去に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 以上です。
#114
○猪木寛至君 きょう新聞に出ておりますモザンビークというところへの自衛隊の派遣、それについて質問をさせていただきたいと思います。
 ちょうど私は三日からエチオピアヘ参りまして、それからジンバブエ、南アフリカ、そしてたまたま偶然というか今回の政府の派遣員と同じ飛行機でモザンビークに入りまして、ちょうど出るのも同じ日にちだったのですが、今回の調査団の方は全く厳しい日程というか過密なスケジュールの中で短い時間の中で情報をとられてきたということで、大変御苦労さまでした。
 ただ一つ、私も全くつてがなしで向こうへ飛び込みましたものですから、実際に向こうに入ってからどなたに会っていいのかというのもわからない状況で単身入ったもので、しかしながら幸いに現地のキューバ大使並びに向こうの邦人の方々の協力を得まして、最初に国連大使、国連代表でしょうか、会いまして状況を説明していただきまして、それからキューバ大使館の計らいで向こうの議長さんと二時間ぐらい食事をしながら話をさせてもらいました。
 これは政府側ですから、RENAMOという反政府側に対する批判というのは大変強かったのですが、一つはやっぱり歴史を振り返ってみないとわからないというか、行ってみて初めてわかることで、それと同時に首相と会見もまた持たせてもらいましたが、これは大体言っていることは同じようなことです。
 先ほどカンボジアに関する田先生の話がありましたが、情報というのはいつもながら、我々は新聞を通じて聞いているとそうかなと思って行きますと、行ってみると大違いという。ソマリアの話は後でさせてもらいますが、去年の暮れにソマリアヘ入ったときも大変悲惨な状況で、今回のモザンビークもまさに同じような状況が報道されていたので私も覚悟して入ったのですが、行ってみましたら大変町はきれいで平穏で、非常に落ちついた状況でびっくりしたのです。
 そういう中で一つは、今回、在外公館法ということですが、たまたま向こうの現地に出先機関がないということで事前にジンバブエから調査員が入っております。事前にそういう根回しをされて今回の訪問は成功だったと思いますが、しかしその在外公館で働いている職員の人たちというのは大変これは我々が日ごろ目が届かない部分というか、例えばそういう中へ飛び込んでいくと、紛争地域というのは通常ホテル代とかタクシーとか一見安いように思われるわけですが、非常に高いというか、ホテル代も先進国並みあるいはそれ以上に取られてしまう。その調査員が政府の皆さんに同行する。そして結果的には自分の懐から持ち出しになってしまう、赤字が出てしまう。
 そういうことをほかの大使館でもいろいろ聞いてみましたら、確かにそういうこともあるのですと。じゃ、それは全然大使館は見てくれないのですかという話をしましたら、全くそのとおりでもうしょうがないのですという話があったのですが、この辺について政府の方はどのくらい認識されているか、ちょっと聞かせていただきたいと思います。
#115
○政府委員(林貞行君) 具体的にモザンビーク等の旅費の規定がどうなっているかちょっと手持ちの資料はございませんが、原則として旅費法に基づきまして各地域におけるホテル代、日当、宿泊というのは決まっております。もちろん地域によって違うわけでございまして、現地からの稟請に基づいて全体を見てそれをやっていると。特に高いところはA地区、B地区とかということをやってできるだけの面倒を見ておるつもりでございますけれども、今の先生の御指摘を踏まえまして、もう一度今おっしゃられたような地域については見直してみたいと思います。
#116
○猪木寛至君 ぜひ見直してもらいたいと思いますが、もうちょっと具体的に申し上げますと、例えばそういう我々も含めて泊まるホテルというのはその土地の一流ホテルということになるわけですね。そうすると、そういう人たちはその金額では泊まれないということでどこかの近所のホテルに泊まる。しかし、連絡が不十分である、電話も不十分である、そんなことからやむを得ず同じホテルヘ油まるということになれば、当然もうそれは赤字になるのは目に見えているわけです。
 その辺をできるだけ一生懸命これから、さっき外務省の人員の問題も出ておりますが、外務省に入りたいという人も一部では少なくなっているという話も聞いておりますので、これから本当にこういう世界情勢が変化していく中でまさに今回のアフリカにおける外務省の機能的なもの、皆さん一生懸命やられていますけれども、実際にしかし機能として十分かということになれば、今回のモザンビーク見ればしかり、あるいはソマリアしかりなのです。そういう中で一生懸命やろうとしている人たちの気をそがないようなことをひとつ十分気を使っていただきたいなという気がいたします。
 そして、きょうはもう余り時間がないものですからまた次回に改めて、モザンビークに関して自衛隊を今後派遣するのかしないのかと。きょう新聞に出てはおりますが、大臣の先ほどのお話ではまだ決まってないというふうなことですが、私どもが見た範囲内では派遣するのについては問題ないだろうと私自身も見てまいりました。しかし、総理からこの前、モザンビークに関しては日本人がいないのだから、そういうところにPKOを送る必要はないみたいな意見が出されましたけれども、現地に商社の関係者、JICA、それからあと名前を挙げていいのでしょうか、大洋漁業の職員の人が五、六十人ということでいるわけですから、あの発言は許せないということで怒り狂っておりました。
 その辺の外務省に上がっている情報自体が、あるいは政府、総理の持っている情報というのが非常に少ないという気がいたしますが、どうでしょうか。
#117
○政府委員(澁谷治彦君) モザンビークの在留邦人が数十名の規模に上るということは事前に大体把握できていたと思います。何名というそこまではちょっとぶれがあると思いますけれども、大体の規模は把握できていたというぐあいに考えております。
#118
○猪木寛至君 今回、先ほど申し上げた調査団が大変日程を厳しくいろいろ調査されたということは大変私も評価するのですが、もう一つちょっと注文をつけさせてもらいますと、ここにも日程表が出ておりますが、私もよくこんな日程を組んだな、本当にばかじゃないかと、こういう言いぐさはうまくありませんけれども、一つか二つ聞けば大体の状況はわかるじゃないか。
 私の方からもし注文をつけるとすれば、もうちょっと国民の顔を見てほしい。その調査の人たちがもうちょっと時間の余裕を持って、実際にモザンビークの国民の顔、この顔の見える貢献ということになりますと、今回一生懸命やられたことにけちつけるわけじゃありません、しかしもうちょっと余裕を持って、時間的な余裕もそうだし、モザンビークの人たちの顔を見てそこから感じるものがあるのじゃないかなと、そんなことを私も同行しながら感じました。
 どうもありがとうございました。
#119
○立木洋君 佐藤局長、ことしの一月中旬に米軍がイラクに対して攻撃をしたという報道がありました。この是非については、私はきょうは十一分ですから、きょう論ずるつもりはないのです。ただ、在日米海軍司令部が明らかにしたところによると、二隻の駆逐艦がこれに参加している。日本の駆逐艦であるトマホークの装備をしているヒューイットもこれに加わっているという報道がありました。
 これは今回だけでなくて、湾岸戦争のときアメリカの海軍省が発表した一九九一年の五月十五日、湾岸戦争の総括記録というのが出されましたので幾つか拾い読みしてみたのですけれども、ここでは日本の基地、日本の施設あるいは区域を使用しているミッドウェー、それからバンカー・ヒルだとかモービル・ベイなんかの巡洋艦ですね、それからファイフの駆逐艦もこれに参加していたと、非常に詳しく、どれくらいのトマホークを撃ったのか、それから六千五百回にわたる戦闘飛行を指導、指揮しただとか、いろいろ非常に詳しく書いてあるのですね。
 このようなことはもう事実としてこれは間違いないわけですね、いかがでしょうか。まずその事実関係だけ。
#120
○政府委員(佐藤行雄君) 私も今の先生のおっしゃられた報告書と同じものを見たのだろうとは思いますが、事実関係というか、あそこに書いてあるポイントを申し上げます。
 我々がもう、まあ拾い読みかもしれませんが
#121
○立木洋君 いや、私が述べたのが事実か事実でないかだけで結構です。
#122
○政府委員(佐藤行雄君) そうだと思います。当時、日本に家族を置いていたミッドウェーもおりましたし、そういう船が当時の湾岸戦争に参加したということが記録に載っております。
#123
○立木洋君 それで、これは安保条約の六条になるのですが、丹波さんが来ていないから佐藤さんが答えてくれるのだろうと思うのだけれども、安保条約の六条といいますと、これはもう長いこと国会では議論になりました。日本と極東の安全と平和に寄与するために米軍が日本の施設と区域を日本において使用することができるということになっているわけです。中東というのは極東でないということは今までも政府が繰り返し答弁しているわけですね。そうすると、私は極論をすれば、日本に駐留しているこれらの艦船が駐留目的に違反して中東の戦闘に参加したということになると日米安保条約六条違反じゃないかというふうに言いたくなるわけです。
 まあそういう条約違反と言うのは相当厳しい内容ですから、あえて言葉を緩めて言えば、しかし条約で決められている内容と現実に米軍が行っている行動の上では大変な差異があるのではないかというふうには言えるのだと思うのですが、これはどういうふうにお考えになっているのでしょうか、外務省は。
#124
○政府委員(佐藤行雄君) 条約局長ほどうまくお答えができるかどうかわかりませんけれども、これも先生御承知の上でお聞きになっていることだとは思いますが、ミッドウェー一つを例にとりましても、この周辺にいることによってその抑止力が日本の安全とかあるいは極東の安全とかに役立っているという点は我々認めていたところであります。それにプラスして、機動力のある軍のことですから臨時的にそのほかの目的のために使われるのも、これもまたそのことをとらえて先生も条約違反というお言葉は少しきつ過ぎると言っておられましたけれども、そこまでを気にしているものでもないだろうと思います。
 議論はいずれまた事前協議の問題というのがもう一つあるのだろうと思いますが、そこに行く前の問題として、我が国のあるいは極東の安全に役立っているような艦船が時に応じて機動性のゆえにほかの目的に使われても、そのこと自体をとって安保条約に違反しているというふうにはならないというふうに我々は思っております。
#125
○立木洋君 私は条約違反と言いたいのです。だけど、佐藤さんの立場になると条約違反ということは厳しいというふうに受け取るだろうから、私はあえて言葉を和らげて言えばといった意味なのです。
 それで、この問題については抑止力になるからとかならないからというふうな問題じゃなくて、米軍が移動して、兵力だからどこにどう展開するかという自由はあるというふうなことについて私はとやかく言うつもりはないのです。しかし問題は、日本に駐留する米軍が区域と施設を利用するのは何のためかということは限定されているのです、これはもう明確に。そうすると、その目的から反した行動を日本から出た部隊が行った、日本から出た部隊がそこに行ったということになると、これはもう明らかに条約違反と言わざるを得ぬのですね。
 これは一九九二年四月一日、米下院軍事委員会の軍事施設設備小委員会で、フォード、これは国防長官の首席補佐官ですよ、彼が明確に証言しているのですけれども、湾岸戦争の場合、日本から部隊を移動することが可能であるといって、つまりサウジアラビアに最初に入った部隊の幾つかは日本からであった、こう述べているのです。ですから、湾岸戦争をやるのに日本から部隊が行ったのです。
 そうすると、日本にいたその部隊というのは海軍も含めてこれはまさに駐留中の目的に反した行動をやるために行ったのですよ。安保条約の六条の考え方からいうとこれはまさに違反した行動なので、現実にそういう乖離が生じた場合に日本政府は湾岸戦争の問題についての米軍の参加について何か意見を申し出たのか。この問題については一体どうなのかという事実を確かめたことがあるのでしょうか。
#126
○政府委員(佐藤行雄君) 先生のおっしゃる論理と私たちの考えている論理の立て方がちょっと異なっておりまして、御承知のように、安保条約六条のもとでアメリカが日本の施設、区域を使える目的としているところは、基本的に日本の安全であり極東の安全であるということであるわけですね。六条を読みますとそう書いてあるわけです。
 そこで、そこにおります米軍がそれでは専ら日本との安全のためだけに張りついていなければならないかと、そこまで条約で言っているわけではありませんから……
#127
○立木洋君 極東、もう一つ極東。
#128
○政府委員(佐藤行雄君) 極東も含めてですね。
 したがって、米軍もいろいろなことの目的に軍を使うことがあるわけですから、それが機動力をもってほかの地域に移動して戦闘へ参加する、このこと自体が、先生おっしゃいましたけれども、我々から見て安保条約の目的に反しているという感じは持っておりません。ゆえに、湾岸のときにもそのこと自体について右を左を言ったわけではないわけであります。
#129
○立木洋君 これまでの国会における審議の経過というのは局長十分御承知だろうと思うのです。私も二十年間近くこの問題をやってきたのです。政府のこれまでの答弁というのは、あなたが今おっしゃったような答弁じゃないのですよ。極めて厳格にならなければならなかった。極東というのはどうなのか、極東の周辺が何なのか、ベトナムに日本から行く部隊、これは一体どうなのだ、ベトナムは極東かということまで大変な問題になったのです。
 この条約というのは、だんだん拡大解釈していくならば世界じゅうどこに行っても結構だというふうなことになりかねない要因があなたの今の答弁からでは出てくるのですよ。問題でね。
 そこで、フォードの「日本・アジアにおけるアメリカの安全保障政策のかなめ」という書面が出されている、アメリカの政府に。それを読み上げてみますと、「日本を基地とする戦力は、東アジア・太平洋地域及びインド洋地域のいかなる地点でも起こり得るいかなる敵対行為にも迅速かつ効果的に対応するために期待されている戦力である」。いいですか。インド洋なんていうのは極東じゃないのですよ。アフリカまで入るのです。中東まで入るのです。ここまで行くことが認められている戦力だというのですよ、日本にいるのは。そうすると、これはもう六条の解釈と変わってくるのです。事態がここまで来ているということを私は厳しく指摘しなければならない。
 きょうは時間がないのでこれ以上議論ができないけれども、しかしこの問題についてはアメリカに対して私は日米安保条約六条の趣旨に立って明確にすべきだと思うのです。そうしないと大変な事態にずるずる行ってしまう。条約というのはそんないいかげんなものでないというのは局長も十分御承知だろうと思うので、どうですか。
#130
○政府委員(佐藤行雄君) まず、先ほどおっしゃいましたように、極東の範囲について長年にわたって安保条約締結当時から国会で議論があったことは先生御指摘のとおりでありますし、政府も統一見解も出してその点は政府の極東の範囲についての解釈を明確にしたことはございます。また当時、周辺というような言葉も出てきて、それについてもかなり厳しい議論がありました。また、私の記憶の限りでもこの間の湾岸戦争のときに、私の前任のころでございますが審議があって、ペルシャ湾は極東の周辺の中に入るのか入らないのかといったような議論が行われたことも承知しております。ただ、それはいずれも極東という言葉の範囲についての解釈をめぐっての問題であります。
 私が先ほどから申し上げています点は、そういう日本の安全あるいは極東の平和と安全のために日本に駐留を認められている米軍がそれでは専らそのためでなくてはいけないのか、あるいは時に必要に応じてほかの目的に使われることがあってもそのことが安保条約に違反するものであるのかどうか、そこの点を申し上げているわけでありまして、私は先生のおっしゃられた解釈、これまでの国会において政府が述べてきた解釈を特にこの際変えているとは思っておりません。
#131
○立木洋君 もう最後になりますので、一言。
 これはすべてこれまでの外務大臣が言ってきたのです。これは宇野さんだったかな、大平さんだったかな、ペルシャ湾における事態が極東の平和及び安全に脅威を与えるようなことは考えられない、そういう意味においてペルシャ湾は極東の周辺地域ではないと、これは明言しているのですよ。だから、日本に駐留して日本の施設、区域を使用する許可を与えられているのはあくまで日本と極東の平和と安全に寄与する、そういうことはかかわりがないと言っている。
 かかわりがあるということを今度はあなたが言い出すことになると、ヨーロッパで事態が起こっても極東にかかわりがある、あるいは南洋のどこかでアフリカの南の方で起こっても、これは日本の経済の安保にかかわるだとか食糧の安保にかかわるだとかと言い出すとみんなかかわってくるのです。そうすると、日本にいる米軍というのはどこに行っても日本ははい結構ですというふうなことになるならば、日米安保条約の六条なんというのは私は賛成していませんよ、しかしその六条を建前にしておる政府の主張からしたって認められない。全く拡大解釈してどこまでいってもアメリカの言いなりの世界戦略に追随することにならざるを得ない。これは重大な危険になるのです。
 私は、きょう時間がないからそのことだけ指摘をしておいて、改めて時間があったらまた丹波さんと二人そろえて少し議論をしたいと思います。
 終わります。
#132
○政府委員(佐藤行雄君) もうそれじゃ反論の余地もないのですか。
#133
○立木洋君 どうぞ、私は禁止はしませんよ。
#134
○政府委員(佐藤行雄君) 先ほど来申し上げていますように、それから今御指摘の外務大臣の答弁もペルシャ湾が極東の周辺じゃないということを言われたことも承知しておりますし、それはいずれも極東とか極東の周辺という言葉をめぐっての解釈の問題でございまして、在日米軍がほかの問題に全然携われないのかどうかという問題とは別の問題だということをきょう申し上げたかったわけであります。言葉が足りなかったかもしれませんけれども。
#135
○立木洋君 納得しませんが。
#136
○磯村修君 カンボジアのPKO活動につきましてお伺いしたいのですけれども、ここでのPKO参加というのは日本にとって初めての経験であるというだけに、これから起きてくるいろいろなことで政府の判断というものが大変今後に重要な慣例となって残っていくわけですね。そういう意味合いにおいて、これからの政府の判断とか見解というものは大変慎重にしていかなければならないのではなかろうか、こういうふうに私は思います。
 その点から一つお伺いしたいのですけれども、カンボジアで時折発砲事件が起きる。先ほどの外務省の説明では、軍事的な緊張は続いているけれども全面的ではないというふうに認識している、こういうふうな見解が示されたわけですが、仮にその緊張がかなり広がったというふうな場合、日本から派遣している部隊の撤収あるいは業務を中断するという場合、その判断そのものがUNTACの判断あるいは日本側の判断、こういう判断基準になる見方が相違する場合も出てくるのではなかろうかというふうに私は思うのです。その場合どういうふうに措置していくのか、その辺を確かめておきたいのですけれども、御答弁願います。
#137
○政府委員(萩次郎君) 例えば停戦合意が崩れだということが明確になったような場合でございますが、派遣の終了に当たっては、当然のことでありますけれども、国連側と密接な連絡のもとで行われるだろうというふうに考えられますので、基本的に国連側の判断と我が国の判断が食い違うというようなことは実際問題としては想定しがたいのではないかというふうに思っております。また、我が国の要員派遣が派遣の終了を含みます基本的な原則を規定する国際平和協力法に従って行われるという点につきましては、国連側にも十分説明をして了解を得ておるところでございます。
 さはさりながら、全く仮定の問題としてもし国連側の判断と我が国の判断が異なるというような例外的な場合にはどうするのかという話がありますが、その場合は、当然のことでございますが、国連側に連絡をいたしまして我が方の判断として派遣を終了するということになるのは当然のことであろうと思っております。
#138
○磯村修君 それから最近PKOの中身が非常に拡大されてきて、ガリ事務総長が言われるような平和執行部隊というふうなこともよく言われてきているのですけれども、仮にこういう問題が具体的に出てきた場合に、平和執行部隊というものを我が国のPKO協力法に照らしてどういうふうに理解したらよいのかその辺はどういうふうに理解したらよいか、お伺いしたいと思います。
#139
○政府委員(萩次郎君) ガリ国連事務総長が昨年六月に発表いたしました「平和のための課題」というのがあるわけでございますが、これは近年における各国の冷戦後のさまざまな紛争に対してPKOがより有効に働くためにはどうしたらいいのであろうかということで、ガリ総長が個人的に作成された私案であろうというふうに私ども理解をしておるわけであります。
 このような努力といいますか新しい考え方というのは、全体といたしましては国連による国際平和それから国際の安全のための努力の将来像、こういったものを意欲的に示そうというものであろうとは思っておりますけれども、提言に含まれております例えば平和執行部隊といったようなもの、これが具体的内容がまだ必ずしも明らかではない。ガリ事務総長もまたさらにその詳細な自分の提案を書かれるというようなことも聞いております。また、この平和執行部隊ということについても、国連の加盟国の間でもさまざまな議論が今行われつつあるというふうに承知しております。
 したがいまして、まだ平和執行部隊、名前は出てきておりますが、その具体的な内容というのは必ずしも明らかではありませんし、まだ国際社会において全体的なコンセンサスが得られている段階でもないというふうに考えられておりますので、今この段階で私どもは、それが現在の我々のPKOと具体的にどうかかわりがあるのか必ずしも一概にはっきりしたことは言えないのではないか、こういうふうに考えております。
#140
○磯村修君 一般的に平和執行部隊というのはかなり重装備の組織を持ってというふうな受け取り方がされているのですけれども、そういうふうな理解はそちらではなさっているのですか。
#141
○政府委員(萩次郎君) 先ほど言いましたように、平和執行部隊というものの詳細が必ずしも明らかでありませんのではっきり断定的なことは言えないと思いますが、もしその考え方が、一部の報道で言われておりますように、相当の重装備を持ってかなり武力行使を前提として組織されるようなものというようなことになりますと、当然のことでございますが、私どもの国のPKOというのは平和協力法に基づいて行動するわけでありますので、そこの考え方とそごが出てくるということはあり得るだろうと思います。
#142
○磯村修君 わかりました。
 もう一つ、今カンボジアで進めているところのPKO、私も先月ちょっと状況を見てきたのです。今、市中あるいは周辺を歩いてみても、確かに市民生活はあるのですけれども、なかなかこれもUNTAC特需と申しましょうかそういうものがあってのことだろうと思うのですけれども、まあ生活が成り立っている。しかしながら、学校とかあるいは医療機関とかいろいろな面で十分でない。全くゼロに等しいような状況のところもあるというふうなことを見てきたのですけれども、外務省なりあるいは平和協力本部の方でもこの辺のODA的な援助というふうなものは今の段階で何かプランを持っていらっしゃるのでしょうか。外務省、どうですか。
#143
○政府委員(澁谷治彦君) いわゆるカンボジアに対します二国間援助につきましては、これはまさに経済復興あるいは人道分野等多方面にわたる二国間の援助及びこれに加えて国際機関を通ずる援助を既に実施いたしております。
 例えば国際機関を通ずる援助といたしましては、我が国は昨年六月にカンボジア復興閣僚会議を主宰し、一・五億ドルから二億ドルをめどとして協力していく旨表明いたしております。
 人道分野における援助といたしましては、二国間援助により災害援助及びプノンペン市への医療機械整備計画を既に実施しておりますし、国際機関、例えばUNHCRを通じて難民、避難民に対する援助も実施してきております。
 また、チュルイ・チョンバー橋の復旧を初めとする社会経済基盤整備のための協力も実施しつつあります。
 今後ともカンボジア側のニーズを踏まえて適切な協力を行っていくつもりでございます。
#144
○磯村修君 私、現地を見まして感じたことは、とにかく今の法律ができて初めて経験していることですから、それだけに将来もこういう問題いろいろ出てくるでしょう。やはり日本のPKO参加ということは、今初めて経験しているカンボジアで一つの今のPKO活動とそれからODA的な援助、そういうものを結びつけたいわゆるPKO参加というふうなものをモデル的にカンボジアをモデルとしてつくり上げていって、そしてそれをPKO活動に活用していくというふうな考え方に立ってこれから将来のPKOというものを考えた方がいいのじゃないかというふうな印象を持ったわけなのです。
 例えばモザンビークに部隊を派遣するというふうな話も出てきておりますけれども、調査団を派遣するまでに政府は、宮澤総理は、PKOはあちこち手を出すものじゃないというふうな趣旨のことを発言しているということが伝えられておりますけれども、そういう姿勢は私は大事にすべきだと思うのです。今はあちこちに手を出すものではなくて、やはり今初めて経験しているものを何かPKOという一つの形を中身をつくり上げていって、それをモデルとして将来活用していくようなことを考えていくということが大事ではなかろうかと私は思ったわけです。
 ですから、そういうことから考えていくと、やれモザンビーク、やれこっちだあっちだというふうなことをやっていけば、国民の側から見ると本当にPKOとは何だろうかと、納得あるいは合意が得られない中でどんどん広がっていってしまうというふうな状況に陥っていく、それは私はよくないと思うのです。国民の本当に十分な納得とかそういうものを得てPKOに参加していくということを考えた場合に、やはり一つのモデルをつくってそのモデルが国民の本当にこれでいいのだという納得が得られて初めて立派な貢献ができていくというふうな感じが私はするのです。
 ですから、外務省も協力本部の方も、あるいは政府全体がそういう物の考え方に立ってこれからのPKO活動をすべきだと私は提言するのですが、いかがでしょうか、そういう考え方は。
#145
○政府委員(萩次郎君) カンボジアにおきます活動開始後半年がたったわけであります。つい先般も第一次の停戦監視要員が戻ってまいりました。相当な成果を上げているというふうに聞いております。
 他方、国連モザンビーク活動への要員の派遣に関する我が国への国連あるいは関係国の期待の強さ、現地調査団の報告といったものが総合的に検討されました結果、一部の輸送調整といったものについて五十名前後のもので貢献することが適切ではないかというふうに判断をされたものでございます。
 六百人の施設大隊も間もなくもう一週間なり十日なりいたしますと交代をして帰ってくるということで、私どもといたしましても、もちろんまだまだスタートして間もないのでありますが、半年たって人員が交代するというのは一つのワンパターンを終えたのではないかというふうにも考えております。
 こういったことで、カンボジアのような大規模な国際貢献というのはないわけでありますけれども、アフリカという新しい地域で、五十名程度ではありますが、新しい形の国際貢献というものをやることが我が国にとってもあるいは国際社会にとっても有意義なことではないかというふうに考えております。
#146
○磯村修君 一言お伝えしておきますけれども、ちょうど私が行ったときにフランスの大統領が来ていたわけです。それ以前、宮澤総理もASEAN諸国訪問をしておりました。お隣のタイ国まで行ったわけですけれども、地元の文民の方、いろいろな方の話を聞いておりましたら、初めて我々はここでもってPKOを経験しているのだ、そういうところにやはり日本の総理も現地がどうであるかぐらいのことを見るべきではなかったろうかという声があったということをお伝えしておきます。
#147
○武田邦太郎君 私が今、平和問題で心配しておりますのは、中国とアメリカの間がどうも雲行きがよくない方向に動くのではないかということであります。
 ソ連の崩壊のときから、中国はアメリカが唯一の超大国として行動するのではないかということで意識が非常に先鋭になっておりますが、中国の側が非常に軍拡に熱心であります。これに対してアメリカの側は、軍拡ももちろん心穏やかでないですし、天安門事件についてもアメリカの姿勢は日本のように忘れん坊ではなくて、いまだに許しがたいものとして厳格な態度を保持していると言われております。
 そういう状況の中で、フィリピンにおけるアメリカの軍事基地が撤去される。代表的なものは、南沙列島の石油資源を非常に重視して中国は海軍力を強化する。そういう状況の中で、東南アジア諸国は非常に神経をとがらせまして、今後ともアメリカの軍隊のプレゼンスを希望すると。こういうような状況になりますと、どうも太平洋を挟んで中国とアメリカとが仲よくはなれない条件が高まるではないかという気がするのですが、これはもう日本にとってどちらの国とも仲よくしなきゃならぬ国でありますから容易ならぬ事態の動きではないかと思うのです。
 これは大臣に伺いたかった問題でありますけれども、どういうふうにお考えでしょうか。
 それでは一括してお願いしましょう。もしお考えがあれば、日本としてはどういう姿勢でおればいいとお思いになるか。これで私のは終わりますから、ひとつ。
#148
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに先生がおっしゃいましたように、米中の間が余りしっくりいっていない、外から見ていまして。これはそういう印象をぬぐい切れません。
 私の担当は国連でございますので直接米中の問題は扱いませんけれども、例えば人権問題に関する決議案なんかが出てきますと、やはりアメリカ、ECを中心とする欧米諸国、それから中国がやや孤立した形である程度の論争をするというような場面がしばしばございます。そのような場合に、私どもとしては中国に我々のメッセージを明確に伝える。それも中国側が受け入れることができるような形で、例えば決議案の内容も中国側が受け入れることができるような形にしつつ、なおかつその中に我々が伝えるべきメッセージを含めるということで双方の間に立ちまして決議案の内容について努力しているというのが実態でございます。
 先生がおっしゃいましたように、米中間の関係が悪化いたしますと、私どもとしてもその間に立ちまして日本の外交が展開しにくくなるということは必至でございますので、これは何としても防がなければならない。私の担当分野は国連でございますけれども、国連及び関係の国際機関においてもそのようなつもりで米中間の、対立とはいかないまでも、米中間の問題については対応していっております。
#149
○武田邦太郎君 ありがとうございました。終わります。
#150
○委員長(野沢太三君) 以上をもちまして、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#151
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は来る二十九日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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