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1993/03/29 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 外務委員会 第2号
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1993/03/29 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 外務委員会 第2号

#1
第126回国会 外務委員会 第2号
平成五年三月二十九日(月曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野沢 太三君
    理 事
                椎名 素夫君
                山岡 賢次君
                北村 哲男君
                磯村  修君
    委 員
                成瀬 守重君
                野村 五男君
                宮澤  弘君
                矢野 哲朗君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                黒柳  明君
                猪木 寛至君
                立木  洋君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       国際平和協力本  萩  次郎君
       部事務局次長
       外務大臣官房長  林  貞行君
       外務大臣官房外  英  正道君
       務報道官
       外務大臣官房審  津守  滋君
       議官
       外務大臣官房文  木村 崇之君
       化交流部長
       外務大臣官房領  荒  義尚君
       事移住部長
       外務省アジア局  池田  維君
       長
       外務省中南米局  寺田 輝介君
       長
       外務省欧亜局長  野村 一成君
       外務省中近東ア  小原  武君
       フリカ局長
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  丹波  實君
       外務省国際連合  澁谷 治彦君
       局長
       外務省情報調査  鈴木 勝也君
       局長
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
   説明員
       文部省高等教育  工藤 智規君
       局大学課長
       自治大臣官房企  澤井 安勇君
       画室長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○久保田真苗君 今回の法律の中には在外公館の在勤手当の政令による適用状況というものがございまして、その政令による適用状況なのですが、今までこの適用というのはどの程度に行われていたのか、それから今回どういうふうな適用があるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
#4
○政府委員(林貞行君) 政令による適用状況でございますが、今回の法律基準額の改定を行った上で、政令ではこの新基準額に合わせた支給額を定めることとしておりますので、各公館の政令支給額は法律基準額と一致したものとなっております。
 法律によりまして、この政令は法律の二五%の範囲内で政令を設定し得るというふうに書いておりまして、そういう意味でこの法律に定めた額の二五%以内である場合には政令により運用させていただいております。これを超えるような事態が生じました場合には、今回のように法律案を出させていただいて法律の基準額を全面的に改定するということでございます。
 今回は改定させていただきましたので、政令と法律の基準額は全く同じでございます。
#5
○久保田真苗君 円高の影響ですね、これはいつも問題になるのですが、円高につきましては、もうここわずかな期間に一〇%程度の円高があるのですけれども、これについてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#6
○政府委員(林貞行君) 在勤基本手当は、任地における実質購買力が維持されるよう任地における物価、為替等を勘案して定めるわけでございますが、今回の改定におきましては、円高が顕著との条件にかんがみまして半数近くの公館においては円により定める在勤基本手当は減額となっております。円高を念頭に置いた今回の改正になっております。
#7
○久保田真苗君 円高を含めて算定しておられる、こういうわけですね。
 給与表を見ますと私なんかなかなか理解に苦しむところがあるのです。例えば駐米大使が百万円で、例えばカリブ海なんかのところは百二、三十万というふうな状況になっているのですが、ほかにもございますね、そういうところが。これは一体どういうことでこういうふうに差があるのでしょうね。
#8
○政府委員(林貞行君) 特定の国についてちょっと今、数字を持ち合わせておりませんが、例えばワシントンにおける給与を一〇〇といたしますと、これについては二つの調整がほかの地域について行われます。
 一つは物価に関するものでございます。これはIMFその他の物価統計を使いまして、現地における物価が高ければそれだけの調整を行います。それからもう一つは、特定勤務地手当というのがございますが、これは特定の勤務地が例えば衛生の問題とか教育の問題とか治安の問題とか、そういうふうに非常にその勤務地が悪い場合にそれに対する手当というのを出しておりますので、物価とそれから勤務地の状況を二つ合わせて調整が行われますもので、今カリブ海のお話がありましたが、その結果としてそれがワシントン一〇〇に対して一二〇になっているということは大いにあり得ることでございます。
#9
○久保田真苗君 カンボジア大使館の問題について伺いたいのです。
 私、昨年七月に参りましたときに大変気の毒な状態でございまして、大使を初め専門員とかJICAの出向職員とかそういった方々を含めて全部で十人、そしてホテルの二室を充てて、大使の部屋はお客さん三人までという状況でございまして、当時は各国の大使が当番制でいろいろな協議をするという場合にもその会議を日本はやれないという、そういうひどい状況でございました。
 そのときも大使館がいつできるかというようなことは伺ったことがありますけれども、現在どういう状況になっていますか。大使館の施設及びスタッフの状況についてお聞かせください。
#10
○政府委員(池田維君) 我が国の在カンボジアの大使館は、九一年の十一月にプノンペンに今川大使以下計三名という少人数でSNCの常駐代表事務所として発足したわけでございますが、その後若干の改善が見られております。
 ただ、先生が御指摘になられましたように、昨年は今のような状況でございまして、その後九三年三月、ことしの三月末現在で館員が今川大使以下十三名となっております。そして、そのほかに専門調査員が一名と派遣員が二名おりまして全体で十六名を数えるという状況でございます。
 それから大使館の施設面につきましては、当初は確かにホテル内に事務所及び公邸を構えていたわけでございますが、ことしの一月になりましてから新しい事務所、公邸それぞれ独立したものへ移転いたしました。ただ、その後もプノンペン市内のインフラ状況が非常に悪いということがございまして、発電機であるとかあるいは給水の施設というものを整備いたしましたり、また警備面等でもいろいろ問題がございますのでそういう点で種々の措置を講じているというところでございまして、SNCの常駐事務所として発足しましたころに比べますと明らかに改善はされておりますけれども、まだまだであるというように考えております。
#11
○久保田真苗君 随分訪問者も多いですし、会合も非常に多いと思うのです。それで、大使館そのものがそういった当番制の会合もできないというような状況は脱却したとごらんになるわけですね。
 今後はそれじゃどういう点を充実される御予定ですか。
#12
○政府委員(池田維君) 人員の点につきましてはまだこれから十分に充実をしていって、現在のカンボジア大使館が果たすべき十分な役割を果たさなければいけないと思っております。
 それからまた、事務所、公邸につきましては、ホテルから出ることはできましたけれども、先ほど申しましたように、インフラの事情が非常に悪いということがございましてまだ十分な活動状況を見るに至っておりません。そういった面で今後ともさらに整備を図っていく必要があるというように考えております。
#13
○久保田真苗君 インフラの一つなのですが、衛星放送というのがあるのですね。これは世界じゅうの大使館で見た場合にその普及状況はどの程度になっているのですか。
#14
○政府委員(林貞行君) 衛星放送は世界各国の動きを即刻に把握できるという情報入手の意味から大変有効な手段でございまして、外務省といたしましてもこの衛星放送受信のためのパラボラアンテナ設置に努力しているところでございます。
 平成二年の湾岸危機の経験もありまして、特に平成四年度の予算におきまして危機管理体制の強化という観点からパラボラアンテナ五十台が認められました。平成五年度予算におきましても、今御審議いただいている予算でございますが、六十五台をお願いしているところ。でございます。
 今後ともさらなる拡充に努めていきたいと思います。
#15
○久保田真苗君 大使館でまだそれがない大使館は何カ所あるのですか。そして、例えばビルマヘ行っている大使館はどうなっていますか。
#16
○政府委員(林貞行君) ミャンマーにつきましては、事務所、公邸ともパラボラアンテナが現在のところ配置されております。
 現在までにパラボラアンテナが設置されている公館は五十四公館でございまして、未設置の公館が七十三公館でございます。平成五年度の予算を御承認いただきますれば、この未設置の公館につきましても先ほど御説明した六十五台というものをできるだけ早急に設置いたしたいと思っております。
#17
○久保田真苗君 朝鮮問題です。
 朝鮮半島は従来から世界の紛争といいますか火種の一つの候補地として言われてきているのですが、外務省としてもそれをお認めになるだろうと思いますし、またそれを防ぎたいとお思いになるだろうと思うのですが、その点についてどういうふうに把握していらっしゃいますか。
#18
○政府委員(池田維君) 朝鮮半島の平和と安定というのは我が国にとりまして極めて重要な位置にありまして、これは特に我が国の安全保障それから防衛政策等にとって重要であるというように考えております。
#19
○久保田真苗君 この間、ニューヨークで日米韓三国の高官会議がございましたね。アメリカ当局がその内容を発表されて報道されているのですけれども、この会議はどこが呼びかけたものですか。
#20
○政府委員(池田維君) この会議の開催についてのイニシアチブは、日本と韓国がほぼ同時に考えつきましてほとんど同じイニシアチブであったと考えております。そうしてまた、アメリカもほぼ同様に考えておりましたので急遽まとまったという背景がございます。
#21
○久保田真苗君 結果としてどういうことが合意されましたか。
#22
○政府委員(池田維君) この三者の政府間協議の重点でございますけれども、とりあえずは北朝鮮のNPT脱退の決定を撤回させるというために国際社会がいかなる外交的措置をとるかということに置かれてきたわけでございます。そして、各国とも二国間あるいは多数国間の場を使いまして北朝鮮にNPT脱退の再考を求めるために可能なあらゆる外交的努力を行うということを確認いたしました。
 ただ、そのときにその前提として三カ国とも、この北朝鮮の今回の決定というのがNPT体制に対する挑戦であり、また国際社会の平和と安定にとっても深刻な事態をもたらすものであるという共通の認識で一致したわけでございます。
 それで、日米韓ともに、北朝鮮が核疑惑の解明に協力する場合には北との関係改善を進める用意があるということであるけれども、もし北朝鮮側に前向きな対応が見られない場合にはIAEAあるいはその他の関係諸国とも協力しながら適切な対応を考えざるを得ない、そして必要な場合には本件を安保理に付託せざるを得ないということに合意を見たわけでございます。
#23
○久保田真苗君 報道ですから確認をお願いしたいのですけれども、三人の高官の間でNPTへの復帰は無条件であるということが出ておりますけれども、この無条件であるというのはどういう意味なのですか。
#24
○政府委員(池田維君) 恐縮でございますが、NPTへの、ちょっと聞き漏らしまして。
#25
○久保田真苗君 NPTへの北朝鮮の復帰ですね。復帰は無条件でやらねばならないということだそうですが。
#26
○政府委員(池田維君) 三カ国の協議の内容としましては特に合意事項として無条件という言葉を使ったことはございませんけれども、これは恐らくNPTに復帰するに当たっていろいろな条件をつけるなどいう意味で報道されているのだと思います。
 しかしながら、私どもとしては別にそういう表現を使うことに合意したことはございません。
#27
○久保田真苗君 そうとすると無条件ではないという意味なのですか、これは。
#28
○政府委員(池田維君) その場合の条件とか無条件というのは何を意味しているか必ずしもよくはわかりませんが、もしも条件というのが従来NPTのメンバーであったのをそのまま今回の決定を撤回してもとに戻るという意味で無条件だというのであれば、そういう意味では私どもの合意した内容と全く同じでございます。ただ、用語としてそういうものを使わなかったというだけでございます。
#29
○久保田真苗君 NPT脱退問題で米国と朝鮮の直接または秘密交渉はしないというふうに報道されております。これはどこが希望して、そしてどういう意味なのでしょうか。
#30
○政府委員(池田維君) ただいまの報道は必ずしも正確ではないのではないかと思いますけれども、先ほど申しましたように、三カ国ともに多数国間の場つまりIAEAとか安保理でございますが、それ以外に二国間の場、例えばアメリカでありますと米朝、それから韓国でありますと南北、日本でありますと日朝というようなそういう二国間の場も必要に応じて考えていくということで合意ができたわけでございまして、そういった意味では少なくとも当面は外交的なあらゆる努力を尽くそうということであったわけです。
#31
○久保田真苗君 外交的にの方は余り具体的でないのですよ。そして、安保理の手続だけはばかに具体的なのですね。
 私は、安保理に出すということを合意したということ、それはなかなか大変なことだと思うのです。これは三カ月の期限が切れる六月十二日までにめどを出すという、そういうことはお決めになったわけですか。
#32
○政府委員(池田維君) 三カ月の有効期限があるということは関係者ともに十分に認識をいたしておりますが、特に三カ月の間に何々しなければいけないということを決めたわけではございません。
#33
○久保田真苗君 安保理では所定の手続に従って処理するという、その意味を聞かせてください。
#34
○政府委員(池田維君) 安保理でどういうタイミングで本件が取り上げられるのかあるいは安保理でどういうような議論が行われることになるのか、これは必ずしも明確ではございません。
 したがいまして、中身につきましても安保理が議論すれば非常に強いラインのものになるかあるいは必ずしもそうではないかというような幾つかの可能性がございますので、そのあたりについては十分にまだ詰まった議論になっていないということを申し上げてもよろしいかと思います。
#35
○久保田真苗君 でも、経済制裁などの制裁措置に踏み切ると、そういうことが出ておりましたね。そこまではお話し合いになったわけですか。
#36
○政府委員(池田維君) 三カ国間の場ではいろいろな意見交換が行われましたけれども、ただいま申し上げましたのが大体の合意事項でありまして、経済制裁云々ということについて合意があったわけではございません。
#37
○久保田真苗君 それから中国との協力が不可欠であると、そういうふうにお考えになりますか。
#38
○政府委員(池田維君) ただいまの点については、三カ国とも大体中国が重要な位置にあるということについて認識は一致しておりまして、そういった意味では中国とも十分に連絡をとりながら中国の協力を求めていきたいという考え方でございます。
#39
○久保田真苗君 協力を求めるということはどういう意味ですか。
#40
○政府委員(池田維君) 本件については中国も朝鮮半島における非核化政策ということで一貫しております。したがいまして、朝鮮半島において核兵器を持つ国が出現することについては中国も反対の立場を明確にしているわけでございまして、そういう基本的な中国の立場というものを十分に考えながら今後とも中国と十分に連絡をとって相談していくということでございます。
#41
○久保田真苗君 所定の手続を踏むということになりますと、所定の手続というのはそんなにたくさんあるわけじゃないのですね。非軍事か軍事かどっちかということじゃないのでしょうかね、この場合。
 そういたしますと、経済制裁という声も聞こえるけれども、しかしそれが効力がないということになると次のステップに入っていくということは十分外務省としては御認識になっているわけでしょう。その辺はどうですか。
#42
○政府委員(池田維君) 私どもとしましては、本件がNPT体制に対する大変大きな挑戦であり、東アジアに対する安全保障にとっても極めて重要な問題であるというように考えているわけでございますが、この間の三者協議につきましては少なくともまず当面のところは外交的な努力を尽くそうということで合意したわけでございまして、その他の将来あるべき措置につきましては、これは北朝鮮側の出方にもよりましてまた考えていくということで一般的な意見交換は行われました。しかし、それについて特に具体的に一致が見られたとかあるいは結論が出たというわけではございません。
 繰り返しになりますが、現在のところは二国間あるいは多数国間の場を使って説得を行っていくというのが重点でございます。
#43
○久保田真苗君 日本にとっては日朝交渉が停滞といいますかサスペンドされている状態の中で一体どういう外交的方法があるのでしょうか、またあり得るのでしょうか。
#44
○政府委員(池田維君) 日本としましてはやはり多数国間の場とそれから二国間の場があると思いますが、多数国間の場ではIAEA、日本は理事国のメンバーでございますから、この場で北朝鮮側とも話をしておりますし、今後ともそれを続けていくということであろうと思います。
 それから二国間の場ではこれまで八回にわたって行われました国交正常化交渉というものがございます。国交正常化交渉とこの北朝鮮の核開発の問題とを直結して我々は考えているわけではございませんが、しかしながら交渉の進展を見るためにはどうしても核問題というものについて疑惑は解明する必要があるということでございまして、そういった意味では今回のような北朝鮮の対応というのはやはり日朝の国交正常化の進展を困難にしている要因であるというように考えているわけでございます。
 しかしながら、そういったもの以外にも二国間で接触の道というのはございますから、そういういろいろな場を使って我が方の考え方を先方に伝えることによって再考を促していきたいというように考えております。
#45
○久保田真苗君 日朝交渉ですけれども、これがうまくいっていない理由は何なのでしょうかね。不調の最大の理由というのはどういう点にあるわけですか。こちらは何を求め、何が満たされないのですか。
#46
○政府委員(池田維君) 日朝交渉の中身は大きく分けましてこの核の問題とそれ以外の問題に分けることも可能であろうかと思います。核以外の問題につきましては、これは将来双方の政治的な決意等がございますれば意外に早く進展するのではないかと思いますが、この核問題については、先ほど申しましたように、日本側としましてはこの問題について妥協することはできないという明確な立場がございます。
 しかも、これは日本だけではございませんで国際的な総意でございますが、そういう意味でこの核問題が現在の日朝交渉の最大の障害になっているということを申し上げてよろしいと思います。
#47
○久保田真苗君 核問題といいますと、つまりそれは中身としては何になりますか。朝鮮が核の特別査察を受け入れない、そのことですか。それとも南北の相互査察の問題ですか。それとも南北の共同宣言にありましたようなプルトニウムの再処理施設、ウランの濃縮施設、そういったものを持たないで半島を非核化すると、そのことを日本も主張しているわけですか。
#48
○政府委員(池田維君) 現在、先生がおっしゃいました三つの点はそれぞれ関係していると思いますが、特に具体的にはIAEAが特別査察を行うということを北側が受け入れるということにかかっているわけでございます。そして、今までにIAEAは六回の査察を行っておりますけれども、IAEA側の調査とそれから北朝鮮側の申告した内容の間に重大な不一致があるわけでございまして、この不一致を解明するためにはどうしても特別査察というものをIAEAとして行う必要があるということでその要請を行っているわけでございますが、そこを受け入れていない。
 受け入れていない理由は何なのかということがいろいろ推測の材料になるわけでございますが、そういう問題をとにかくきちっとしてもらわない限りいわゆる核疑惑は解明されないということになるわけでございまして、外から見ると核兵器をつくろうとしているのではないかあるいはつくったのではないかという疑惑に結びついている、こういうことでございます。
#49
○久保田真苗君 そうすると、IAEAの特別査察、その点だけなのですね。それ以外のプルトニウムの再処理施設とかそういうことを言っているわけではないわけですか。平和利用のためならいいというふうに認めていらっしゃるわけですか。どうなのでしょう。その辺がどうもさっぱりわかりにくいのですよ。
#50
○政府委員(池田維君) 今のIAEAの特別査察それから南北間の相互査察というのも、突き詰めますと基本的には同じ内容を解明しようとしていることになるのだと思います。そういった意味では現在の国際社会の北側に対する要請というものがIAEAの特別査察というものにかかっているわけでございまして、これが当面のところの最大の国際社会の要請だと思います。
#51
○久保田真苗君 IAEAから安保理へ移っていくということまで予想があるのだとしたら、そうしますと何を理由として制裁に踏み切るのか。
#52
○政府委員(池田維君) 現在のところ、関係国、特に日米韓の間でもまだ制裁というようなことについて合意ができ上がったわけではございません。したがいまして、いずれにしても、北朝鮮が行いましたNPTからの脱退という決定を一日も早く撤回してNPTにとどまるということを要請しているわけでございます。
#53
○久保田真苗君 ただ所定の手続に従って進めるということになりますと、そこまでにとどまらないというそういうところへ踏み込んでいるのじゃないかと私は疑問を持つのです。確かに核疑惑というものは大変困るものですよ。それはよくわかりますのですけれども、それを理由としてこの地域に戦火が勃発するというようなお話は当面の問題からいったらもっと非常に深刻なことだと思うのです。
 それは局長もこの間の委員会でカンボジアとは比較にならない大変な問題なのだという表現で言っていらっしゃいましたので、もうそこのところは十分おわきまえになっていらっしゃると思うのですけれども、私は安保理のやり方というのが、普通の要するに非難、脱退、そして次は経済制裁、そして軍事行動というそのステップを非常に常套的に踏んでいる場所ではないかという疑問を近ごろつくづく深くしているのです。そして、その結果がいろいろなところへそういう制裁行動が行われるということなのだけれども、今この朝鮮問題だけに限って考えますと、もう一つの北朝鮮がNPTに復帰するというその問題をどういうふうに本気で進めるのか。
 つまり、この間も北風と太陽の例が出ておりましたけれども、私はどうも北風の準備の方が何か進められていて太陽の方はさっぱりどこにいるのかわからないという、そういう印象を受けるのです。それは私の思い過ごしであればよろしいのですけれども。
 これは局長としては、仮に行くところまで行くような状態、そのことはあり得るとお考えでしょう。そうでしょう。どうですか。その辺をあいまいにしておいても仕方がないと思うのです。
#54
○政府委員(池田維君) 繰り返しになりますが、私ども北朝鮮側の対応によって、まだ北朝鮮がNPT脱退の決定を撤回するという可能性は十分あるというように考えておりますし、もちろん話し合いによって、先ほど先生がおっしゃいました南風に当たるものが何であるかということはそれぞれ韓国の場合、アメリカの場合、日本の場合、違うと思いますが、しかしそれぞれが全力を尽くすことによってそういった話し合いというものも続けていくということで、何とか話し合いによって本件を解決できることを切望しているわけでございます。
 しかしながら、それでも北朝鮮側が応じない場合にどうなるのかといった問題は出てくるわけでございまして、そういうことから北朝鮮が核疑惑の解明に協力する場合には北側との関係改善を進める可能性というものが十分残っているわけでございますが、前向きな対応が見られない場合にやはり関係諸国と協力しながら適切な措置を講じていかざるを得ないという感じは持っております。
#55
○久保田真苗君 ただ、例えば湾岸のときなんかと比べますと、湾岸のときは侵略という事実がございますよね。今度はこれはどういう認定になるのでしょう。
#56
○政府委員(池田維君) IAEAのメンバーには当然ながら権利と義務がございますが、そのうちの義務としましては、IAEAのメンバーである以上いわゆる核兵器を生産しないということはこれは義務として考えられているわけでございます。
#57
○久保田真苗君 ただ、そのNPTですけれども、NPTには脱退の手続があるのですね。NPTを脱退したということ自体がどうして安保理の制裁あるいは安保理で何かを認定される対象になるのか。その認定される事実というのは一体どういうことなのか。ですから私、ちょっとお話が先走ってやしないかなという感じを持つのですよ。その点はどうなのでしょう。
 つまり私は核疑惑があることが何でもないと言っているわけじゃないのですけれども、これは一つの国際法ですからそういうものを無視するような無法的な行動が次々に行われるということに対して私は非常に懸念を持っているのです。この場合はどういう認定があり得るのか、そこを御説明いただけますか。
#58
○政府委員(池田維君) もし今の御質問についての私の理解が正しければ、将来どういう措置をとっていくかとかどういう法的根拠に基づいてそういう措置がとられるのかという御質問かと思いますが、現在のところ、先ほども申しましたように、やはり私どもとしてはまずは話し合いの道を通じて北朝鮮がNPTの脱退を取りやめるということを期待しているわけでございまして、そういった意味で将来の細かいそういった問題について必ずしも十分にまだ考えていないということでございます。
#59
○久保田真苗君 ですから、その辺も詰まらないのに安保理に持ち出して、安保理で所定の手続を経てそして制裁行動に出るという、何でそういうことが先走ってお話し合いになられるのか、私は非常にその辺に懸念を持つのです、実際問題として。
#60
○政府委員(池田維君) ただいまの御指摘の安保理でございますが、安保理というところはもちろん世界の平和と安全という観点から議論はするわけでございますが、安保理の決議そのものの中にもいろいろな段階がございます。例えばこれまでカンボジアについても何度か安保理で議論されておりますが、初めの段階ではただ呼びかけて、とにかくパリ和平協定を遵守するようにというようなことを言ったこともございます。
 したがいまして、北朝鮮の場合につきましても安保理に上がったから直ちに極めて強硬な措置がとられるというようなことでは必ずしもないのではないかと思います。それはいろいろな段階があり得ると思います。それから北朝鮮側がどういう対応をするかということはそのときに非常に重要なポイントになってくると思います。
#61
○久保田真苗君 これも報道ですけれども、朝鮮のNPT脱退宣言以前にアメリカは中国にその予測を通報したという報道があるのですね。それは把握していらっしゃいますか、どういうことだったのか。
#62
○政府委員(池田維君) その点については、そういう事実はなかったというように認識しております。
#63
○久保田真苗君 日本にもそういうあれはないわけですね。
#64
○政府委員(池田維君) ありませんでした。
#65
○久保田真苗君 仮に非常に悪い状態を予測した場合、朝鮮が復帰しないと、そういうふうになったときに外務省としてはどちらをおとりになるのですか。つまり行くところまで行くのか、それとも何とかしてこの地域に戦火を起こさないと、どちらに重点がおありになりますか。
#66
○政府委員(池田維君) それはそのときの段階で十分に各方面の意見を聞きながら考える必要があると思いますが、特に北朝鮮側の出方、それから関係各国の出方等は重要だと思います。したがいまして、そういう関係諸国とも十分に慎重に検討をしながら進めていく必要があると思っておりまして、別にこれを仮想に何が何でも性急にやらなきゃいけないというように考えているわけではございません。
#67
○久保田真苗君 関係諸国もよろしいのですが、この朝鮮半島というのはアメリカからも遠くヨーロッパからも遠いというそういう立地にあるわけです。ですから、関係諸国どころの騒ぎじゃなくて、まさに私たちが最もこれを重大に受けとめない限りとんでもないことになるかもしれない。私は自分が思い過ごしであることを心から願っているのです。
 それで、例えば行くところまで行くような場合に米中関係というのはどういうふうになると予測されますか。
#68
○政府委員(池田維君) まだその先の段階で米中関係はどうなるかということまでちょっと予測するのは早いような感じがいたしますので、今の段階では差し控えさせていただきたいと思います。
#69
○久保田真苗君 韓国はどういう思いを持っているというふうに推定なさいますか。
#70
○政府委員(池田維君) 韓国にとりまして北朝鮮との関係というのは、これは日本、アメリカともまた違った意味で大変重大な問題だろうと思います。そういった意味では韓国自身極めて慎重に、しかしながらこの問題の持つ重大性というものも十分に認識しながら考えていると思いますので、今後とも引き続きよく韓国とは意見調整を図っていきたいというように考えております。
#71
○久保田真苗君 韓国は大変な苦しい状態だというふうに思いますね。
 私、いろいろなことを伺って、予測でお返事が出てこないのも当然だとは思いますけれども、ただ私は、ここはまず人任せにはできないということ、それはやっぱりアメリカやヨーロッパから遠いというそういう地点であって、私たちこそがこの問題を心配しなきゃいけないことだと思うのですね。それで、いろいろな国との合意もよろしいのですが、私はこの近くの人間はむしろフリーハンドを持つべきじゃないかと思うのです。
 そういうことで外側からたがをどんどん締められて、そして最後は安保理の制裁だというようなそういうところまでいってしまっては日本の外交は失敗だと私は思いますので、もうこのことは本当によろしくお願いしたい。そういう意味でいつものマンネリじゃない真剣な取り組みをしていただきたい、そういうふうに思います。
 次に行きます。
 PKOですけれども、モザンビークなのですが、モザンビークの情勢がよくて五原則大丈夫との御報告だったらしいのですけれども、今後ともそういう予測が十分に立つのでしょうか。どうなのですか。どこも引っくり返しになっていくというそういう地域でございますよ、ここは。
#72
○政府委員(小原武君) モザンビークの今後の状況いかんという御質問でございますが、報告書の中にも触れてある点でございますけれども、今後例えばアンゴラのように内戦が再開されるというような可能性は非常に小さいという見方をしておりまして、これは私どもだけではなく国連初め関係諸国が一致した見方でございます。
 その根拠といたしまして、政府、それから抵抗組織、通称RENAMOの双方がこの和平協定を遵守するという姿勢を非常に明確にしておるのが第一点でございます。
 それから第二点は、七五年以来の長年の内戦の結果、国内には厭戦気分が広まっていて和平に対する期待が極めて高いという点が指摘されます。
 それから第三点は、双方特に抵抗組織側に高度の戦闘意識がないということ、それから外部からの武器供給が停止されているという点でございます。
 それから第四点は、主要な都市は政府軍の支配下にありまして、もともと抵抗組織側の活動はゲリラ活動に限定されていたというようなこともございます。
 いずれにしましても、アンゴラの二の舞は踏むまいということが国連側でも十分認識されているところでございまして、そのためにもまず選挙に先立ちまして十分な武装解除を行うというような新たな対応がこれから行われるところでございます。
#73
○久保田真苗君 派遣を言われている業務ですけれども、その業務はモザンビークのPKO全体の位置づけの中から見てどういう業務を担当するということになりますか。
#74
○政府委員(萩次郎君) 細部につきましては今後国連との調整になるわけでございますが、予定されております輸送調整の分野というものは、まず一つは港湾、空港に到着する人員、物資、これの受け入れ業務が一つございます。
 それからそれぞれの機関が輸送手段を持っておりますので、その間の調整、それから輸送手段の割り当て、こういったような一言で言いますと輸送の段取りを業務内容とするというふうに考えられております。
#75
○久保田真苗君 結局、輸送調整をもしやるとすれば、首都にあって輸送基地を持つ、そしてそこでいろいろな輸送に関する業務の差配をするというそういう立場になるわけですね。どうですか。
#76
○政府委員(萩次郎君) まさに業務の差配と言ってもいいかと思いますが、みずから輸送手段を持つということは原則としてないわけでございまして、それぞれの部隊が輸送手段を持っておりますのでその差配をするということになろうかと思います。
#77
○久保田真苗君 ソマリア、ユーゴ、そういうところで、ソマリアの場合、今までPKOであったところへ多国籍軍が出ていって、今度は多国籍軍が一応引くと。それに伴って重武装化した武力行使を認められたそういうUNOSOMUというのが安保理決議で設置されるわけでございますね。それをPKOと呼ぶのかそれ以外のものと呼ぶのか、その辺はどうなのでしょうね。
#78
○政府委員(萩次郎君) UNOSOMUについては我が国が参加するというような段階には今ないわけですので、それがどういうレベルのものかを一概に断定することはできないわけでありますが、いわゆる国際社会といいますか、国際連合においてPKOと称するものの中に従来のUNOSOMTがあったわけでありますし、その範疇にUNOSOMUも置かれているというふうに承知しております。
#79
○久保田真苗君 ユーゴの方はそこにいたPKOに対してより強いマンデートが出されたということなのですがね。
 いずれにしましても、非常にPKOが変質しているということはお認めになりますね、そういう意味で、そして、そういう変質することが安保理の決議だけで行われる、そういう事態になってきているということは十分御認識になりますね。
#80
○政府委員(澁谷治彦君) 確かにユーゴの場合、特にソマリアの場合につきましては我々が通常観念しておりますPKOと違った側面が出てきていることは事実でございます。
 ただ、これをどう定義するか。つまり従来のPKOと全く違ったものであるかどうか、あるいはガリ事務総長が「平和への課題」で提案しております平和執行部隊の機能を持つのかどうか、あるいは予防展開の機能を持つのかどうか、こういった点につきましては国連ではまだ定まった定義はございません。今後、国連の場その他で検討されるべき問題だと思っております。
#81
○久保田真苗君 今おっしゃった国連の場というのはどういう意味なのですか。それは総会にでもかけるということなのですか。そうじゃなくて、安保理は既にソマリアの分については当事者の同意なし、そして武力行使の容認と、そういうことになっているわけでございますから、国連で十分の定義がないということは私は言えないと思う。
 なぜそれならそういう定義も論議されないうちにじゃんじゃかと出動命令を出すのか。その辺が私は非常に、やっぱりこれは国際社会ですから国際の合意というものがなくちゃいけない。安保理が仮に九カ国、最低九カ国が合意したからといって、憲章の枠を踏み越えそうな問題についてまで安保理が独断でやっていいというような理由はないはずでございますよ。憲章の枠内でやるということが大原則だと思うのですよ。それを踏み越えるようなことをしておいて、そしてなぜこれが国際の合意なのでしょう。
#82
○政府委員(澁谷治彦君) もちろん従来のPKOに平和執行的な機能を与えるかどうかという点について一般的なコンセンサスがあるわけではございません。今回の安保理決議についてはソマリアという特殊な状況のもとにあるPKOについての問題でございまして、これを一般化していくかどうかということは今後の問題であると思います。
 それから今回のソマリアの措置につきましても、決議案につきましても、これは国連の枠組みをはみ出しているということではなくて、国連の憲章七章のもとにおける行動ということが明記されております。
#83
○久保田真苗君 局長、確かに決議の中には七章と書きますよね。だけれども、七章では手続がちゃんと決まっているのです、特に軍事行動については。これはPKOの延長としてやられている行動で、もともとPKOは七章ではないという理解のもとに始まっているわけです。六章かせいぜい六章半のところに位置づくということで私どもはずっと物を考えてきたわけですよ。もしそうじゃなくてPKOが七章のもとで行動するというのであれば、PKOこそ国連憲章に明記されなければならないことだと思うのです。
 もう時間もありませんから、私、自分でしゃべりますけれども、今回もソマリアヘ初めに行ったのは人道的介入だったのですね。飢餓に見舞われている人に人道的な食糧援助を与えるために、その輸送を確保するために多国籍軍を出した、そういうことだと思うのですよ。ところが、きのうの決議によりますとそうじゃなくて、これからもっと拡大するのだ、ソマリア全土にわたって安全を確保するため三万人以上を出していくと、その経費がこれは十五億ドルですか八億ドルですか、どっちが正しいのでしょうね、そういうふうになっているわけでしょう。
 そうしますと、国内問題への介入を人道的な理由からやっていたという前提は全部崩れているのです。ソマリア全土に対して治安維持を行うということなのですよ。国連がそういう活動をするということはしっかりした合意のもと、そしてしっかりと明記された条件の例えは憲章の中に位置づいたものであるということであれば、それは時に必要な場合もあるかもしれませんね。ですけれども、今回のこれはずるずるとPKOから始まってソマリア全土に治安維持を行うとかそういうことを言っているわけでしょう。こういう歯どめのないPKOというものに対して私は重大な疑問を呈さざるを得ないのですよ。
 それで、お伺いしたいのはモザンビークなのです。仮にPKOが変質するという場合には、例えば重武装化あるいは武力行使容認決議、こういったものが出たときには、モサンビークヘ板に自衛隊が出たとしますとそういう人たちはどうするわけですか。五原則に違反してそこにいるわけですか。
#84
○政府委員(萩次郎君) これはいずれの地域におきます日本のPKO参加部隊も同じことでありますが、PKOに参加をする我が国の部隊はあくまでも現在私どもの国際平和協力法のもとに行動するわけでございますので、それに合致しない場合は取りやめるということになるわけでございます。
 モザンビークが将来どうなるかというようなことは今の段階でにわかにどうということは断定できませんが、その法律のもとで行動するというようなことは当然でございます。
#85
○久保田真苗君 法律のもとで行動するとおっしゃるのですが、さっき業務を伺いましたら、首都における輸送基地にあって各国のいろいろな活動に対する差配を行うというわけでしょう。そういうものが、新たな追加マンデートがこのPKOに下された場合にそういう位置にあるところのものが本当に抜けられるのですか。その辺どういうふうに予測していらっしゃるのですか。
#86
○政府委員(萩次郎君) これも特段モザンビークに限るわけでもありませんし、カンボジアにも該当するわけでありますし、将来のことを予断を持って申し上げるわけにはいきませんけれども、法律に合致しない場合は業務を停止するということでございます。
 それで今、差配ということでおっしゃいますが、この輸送調整の分野というのはすべての分野の業務の差配ということではございませんで、輸送の段取りのみを行うということでございます。
#87
○久保田真苗君 ほかの分野だったら別かもしれない。だけれども、輸送の基地が抜けるなんということは要するに血液の流れがとまるということですからね。だから、五原則に反するような状態になったときに、そして極めてその地域の状況からして同じような植民地であったアンゴラでああいうことになっているということも考えますと、私は輸送調整というような仕事はふさわしくない業務だと言わざるを得ないのです。
 それでもそれは大丈夫だ、五原則が守られないような状態ならもうそこから抜けていつでも帰れるのだ、そういうことを国連と協定するのだと、そうおっしゃるわけですか。どうなのですか。
#88
○政府委員(萩次郎君) 一点は輸送調整でございますが、本来各部隊とも自分の輸送手段は当然持っておるわけでございます。この輸送調整というのはそれをより効率化するためにそれぞれの輸送の手段の間の調整を行うということが一つでございますので、輸送調整があった方がもちろんいいわけでございますが、これがなければ部隊の輸送が成り立たないというものでもまたないということは御理解いただきたいと思います。
 それからもう一つは、これは別にどの地域に限ったことでもないわけでございますが、PKO活動をやっている者が引き揚げるかどうかということの判断はもちろん最終的にはみずからの判断になるわけでございますが、その前に種々の段階があろうかと思います。そのうちの大きな段階はやはり国連そのものとの調整ということになろうかと思います。
 私どもは、実態問題として国連と我々との間で意見のそこが出るということはまずないとは思いますが、万々一そういうようなことがあれば、我々は法律に従って業務を終了するということを言わざるを得ないということでございます。
#89
○久保田真苗君 そういう条件にあることをはっきりさせるということは一番前提として大事なことだと思いますし、では今の次長の御答弁からは、そういう事態になったときは中断、撤退に問題はないのだという御答弁だと伺っておきますね。
 それからカンボジアですけれども、いろいろあるのですが、この間ヘリが墜落して報道関係者それから国連職員二十何人というのがございましたね。あれは何をしに行ったのでしょうね、あのアンコールワットヘ。それで、国連職員がそれに同乗していたということはどういう仕事で行ったのでしょうね。
 そして、そこでけがをなさった日本の女性職員の三谷純子さんという方、あの方は重傷と出ていたり軽傷と出ていたりしますけれども、事実はどういうふうになっているのですか、大変お気の毒なことだと思いますけれども。
#90
○政府委員(萩次郎君) カンボジアのUNTACの方から聞いております話によりますと、あのときは欧米の報道陣の方の視察をUNTACが計画をして、シエムレアプ、この近くにはアンコールワットというような有名な文化財があるわけですが、そちらの方へUNTACの広報官、これは三谷さんがやっておられるのですが、そういう広報の担当の方が報道陣をお連れするということで、ヘリが墜落したというか強制着陸してしまったということでけが人が出たわけであります。
 それで、現在連絡を受けております三谷さんの御様子は、もちろん元気でおられるのですが、ドイツの病院に今入っておられるということでやはり異国の地での治療ということに不安もこれあり、できれば日本に帰ってきて治療されたいという御希望があるということで関係方面で調整をされているというふうに聞いております。
#91
○久保田真苗君 ロシア問題、時間がありませんので一つだけ伺います。
 対日支援の方策については多少伺っておりますけれども、ロシアが一つの大方針として軍事費削減、そして軍需産業から民需への産業転換を行うということが一つの大きい方針になっているけれども、それが停滞しているということについて私は非常に残念に思うわけです。それで、日本としてはそういったどんどん今もつくられている武器が東アジアヘ向けて盛大に輸出されているという、そこにやっぱり着目せざるを得ないので、そういう見地から武器製造業というものを例えばインフラ整備、そういったところへ産業転換を図るというそのコンパージョンに対して思い切った支援をできないものかなと私は思うのです。それが一つ。その点についてどうお思いかということ。
 それから日本は過去において石炭産業の転換を、いろいろ悲劇もたくさんありましたけれども、石炭から土木事業への転換を比較的うまくやったと私は思っているのです。その場合、外務省としては、例えば労働省、通産省あるいはその他の省庁、そういったところの知恵をもっともっと直接出してもらってこのコンパージョンに力を入れることはできないか、そのことについてお答えをお願いいたします。
#92
○政府委員(野村一成君) ただいま先生御指摘の軍民転換と申しますか、これは一時期は確かに非常にロシア側も熱心でございましたけれども、最近若干その辺について余り熱意がなくなっているという感じを私どもも受けております。
 他方、やはりこれは非常に今のロシア経済、特に市場経済への転換その他の見地からいたしまして重要な分野であろうかという点、私どもも認識は同じでございます。特に軍需産業の民間への転換といたしまして私どもが重視しておりますのは、そういうノウハウと申しますか技術支援の点でございまして、この点につきましては、二番目の質問にも関連するわけですけれども、外務省だけじゃなくて通商産業省その他関係省庁とも協力いたしましてできる限りの支援を行ってまいりたい、そういう方針で臨んでおります。
#93
○久保田真苗君 終わります。
#94
○堂本暁子君 きょうの議題になっております法律のことを伺いたいと思いますが、今回の法改正で在グルジア大使館が設置されるということで、ロシア大使館がその任務を兼ねると伺っております。
 大変激動するロシアでございます。旧ソ連圏での外交はあらゆる面で今、大変困難かというふうに思いますが、どうしても言葉の問題、これはもう大変、カザフ語が必要だそうでございますしウズベク語も必要である。細かいニュアンスを知るためにはそういった言葉がどうしても必要だと思うのですけれども、こういったことに堪能な外交官の方はおられるのでしょうか。
#95
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のように、ソ連邦の崩壊に伴いまして新たに十五カ国が誕生いたしたわけでございまして、我が国は、ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、カザフスタンそれからベラルーシに大使館あるいは駐在官事務所を新たに開設いたしましてこういった国々との関係の増進に努めてまいりたいと思っているわけでございますが、何分、語学の点につきましてはにわかに、率直に申し上げまして、このカザフ語、ウズベク語と申しましてもそのために養成した要員はございません。
 現在それではどういうふうに大使館を運用しているのかということでございますけれども、何分ソ連邦のかつて構成部分でございましたし、ロシア語という一つの共通語がございます。したがいまして、館務あるいは先方との接触その他につきましてはロシア語で用を足しているというのが実情でございます。
 長い目で見ますと、せっかくそういうところに実館をつくってこれから関係を増進してまいるわけでございますので、やはり要員の養成という点は考えていかなければならないという問題意識は持っております。
#96
○堂本暁子君 文部省に伺いますけれども、これから外交だけではなくて経済、文化、あらゆる領域で国際的な交流が多様化していく時代に、大変日本語というのは世界に通用しない言葉ですし、その地域ごとの言語というのは大学に入ってからという方針でいいのか。やはり大学を出てからでは何といっても遅い。その点で地域研究ということにどの程度実際に人員を割いておられるか、人員を割くというか、そういう大学教育の方針の中に入れておられるか、文部省に伺いたいと思います。
#97
○説明員(工藤智規君) 先生御指摘のように、国際社会の一員として、日本における日本国民たる子供たちからあるいは社会の構成員に至るまでの国際理解というのは重要なことでございますが、今もおっしゃいましたように、大学だけではなくて小中高の段階から国際理解のためのいろいろな教育活動を行っておりますし、留学生交流という意味での交流も盛んでございます。
 また、大学における地域研究といいましょうか、そういう観点からの研究と教育も近年極めて盛んになっておりまして、単に授業の上でのものだけではなくて、御承知のように、日本においでいただく留学生も年々ふえてまいっておりますし、また日本人学生の海外への留学もふえておるわけでございます。そのほかに海外に赴任しました子弟の帰国子女の大学入学も近年相当ふえておりますけれども、授業のほかにそういう学生同士あるいは外国の先生方などを含めた相互の交流がふえているところは御承知のとおりでございます。
 そのほか地域研究という形での研究に特化した研究機関としましては、いろいろございますけれども、例えば北海道大学にスラブ研究センターがございますとか、あるいは東京外語大学にアジア・アフリカ言語文化研究所、あるいは京都大学に東南アジア研究センター、このように関係の大学にいろいろ関係の研究者がやっていらっしゃいまして研究の特化をしているわけでございます。
 近年、平成三年からでございますけれども、これらそれぞれ関係の機関で行うだけではなくて日本全体で総合的な地域研究機関のあり方を研究してはどうかということで調査費も計上いたしておりまして、平成四年度には一千万強の調査経費を計上いたしましてさらに調査の深化を図ることとしているところでございます。
#98
○堂本暁子君 今いろいろお挙げになりましたけれども、私、本格的な地域研究は日本ではなされていないのじゃないかというふうに確信してやまないのですね。
 例えば外語大のアジア・アフリカ言語文化研究所、私もあそこで少数言語のチベット語のコース三カ月とりましたが、三カ月ではどうすることもできない。三カ月のインデンシィフコースはございますけれども、それ以外に本当にそういった一つ一つの今の東欧なりそれからアジアなりアフリカなりに関しての地域研究をどこの国立大学でやっているか。全然ありません。やっているのは英語とかフランス語とかロシア語とか、そういう大きいところはありますけれども、それはよその国へ行ったらもっと細かいところの研究をいっぱいやっている人たちがいるから、今度は例えばJICAだろうが外務省だろうがそういった形でみんな要員が養成されていくわけだと思うのですね。
 そういうことでいうと、この際ぜひ、きょうお越しいただいたので、外務省の前に文部省がもっとそういった総合的な地域研究をそれぞれの国立大学には少なくとも置いていただきたい。アフリカなんか非常に貧困だと思っています。東京で、これだけ大きな日本からの援助がアフリカヘいこうというときに、それじゃアフリカの地域研究なり学部なり持っている国立大学があるか。多分ないと思うのですね。そういうことではこれからアフリカの援助というようなことが大々的になされるときにも私は困ると思うし、東欧に関しても同じことが言えると思います。ぜひ、きょうはお越しいただいたのでお願いをして、またのときに細かいお話をしたいと思います。
 ありがとうございました。
 きょうはもう少し小規模公館の外交実施のことでも伺いたかったのですが、さっき久保田先生もプノンペンのことをお話しになっていましたので私はそれを飛ばさせていただいて、次の東欧の問題に入りたいと思います。
 ユーゴの問題に入ります前に、実はきょうは川上局長がいらっしゃいますけれども、「二十一世紀に向けた日本の援助政策」というのを大変興味深く読ませていただきました。特に東西冷戦の崩壊後の多様化、それから質的変容と申しますか、そういったものにどう対応していくかというようなことを書いていらっしゃるところなんかもなるほどと思いながら読ませていただいたところです。
 それで、その中でもいろいろ思うこと多かったのですけれども、きょうは特にNGOの問題に絞ります。ここに書いていらっしゃるNGOのことというのは、
 NGOは概して途上国の草の根レベルでの活動を旨とし、地域住民のニーズを直接に汲み取りつつ、支援活動を機動的に行なえるという特性を有している。途上国の政府を相手とするODAではこうした点で必ずしも行き届かない面がある。したがって、ODAの実施に当たって、こうしたNGOの知識・経験が有益な場合が多々あろう。ODAとNGOの活動を対立的なものととらえるのではなく、互いに補完し合うよう対話を進め、そうしたことを通じて援助に対する国民の支持基盤をさらに広げていくことができれば誠に望ましい方向といえるのではないか。
とお書きくださって、私はもう大いにこれをこれから大事にしていただきたいと思って、きょうこのお書きになったのを見て、ああやっぱりNGOについて伺おうと思った次第です。
 東欧のことなのですけれども、東欧もそういう意味で大変にNGOの活躍の場が多々あると思います。特に女性の視点から申しますと、私、先日IPPFという国際家族計画連盟の会議にボンベイヘ行ってまいりましたけれども、東欧の悲惨がいろいろな形でヨーロッパから報告されておりました。
 ヨーロッパでは、対日そして対東欧支援の中に避妊具がないために大変に望まない妊娠をする人が多い、そしてしかも栄養失調の状態なのでそのために命を落とすこともあるということですので、ECではそういった家族計画関係の支援を急速することに決まったという報告をしていたのですけれども、日本は今度東欧とかロシアに対しての支援の中に、貧困とか女性とかそういった方面に対してのきめ細かい援助をしてくださるおつもりがあるかどうか、その辺をまず伺わせてください。
#99
○政府委員(野村一成君) ちょっと突然の御質問なものですからあれでございますけれども、主としてNISと申しますか、対日支援だけではなくて新たに独立した国々に対する主として人道的な支援のための融資あるいは無償支援をやっておるわけでございますけれども、ただいま私の手持ちの資料では避妊関係は項目としてちょっとございません。
#100
○堂本暁子君 多分そうだと思うのです。恐らく先に質問をお願いしたとしても多分ないと思うのですけれども、ここも恐らく企業が何百億というようなプロジェクトをやるのと違ってODAで対応することの非常に難しい領域だろうと思います。JOICFPもあることですし、やはりECがやっているように、そういった女性の人たちが非常に今苦しんでいる、そういうことに日本も目を向けていただきたいというふうにお願いいたします。
 特に今、世界で五十万人ぐらいの女性が出産あるいは妊娠のために命を落としていますし、飛行機がそれだけの数落ちたらばもう大事件になるのですけれども、そういったことで亡くなっていることは余り問題にされてない。大変東欧そして旧ソビエト地域は今、悲惨だということを聞いております。
 もう一つは、ボスニアでセルビア人兵士による集団レイプ、これは三万とも五万とも報道には書かれているのですけれども、それであげくの果てに強制出産を強いている。これはもう本当に基本的人権の侵害ですし、戦争犯罪でもあろうと思います。国連の安保理でも問題になったのですけれども、日本政府はこれに対してはどのように対応しておられますでしょうか。
#101
○政府委員(澁谷治彦君) 安保理における決議案にこれは賛成いたしました。非常に異常な事態ですし、あの悲惨な状況に対して国際社会が一致してその政治的な意思を示そうというのがその決議の趣旨でございます。我々としてもああいうことは起こるべきではないという観点から賛成した次第でございます。
#102
○堂本暁子君 今後も積極的に日本としては明確な立場をとっていただきたいというふうにお願いして、次に行きたいと思います。
 NGOに関連したことですが、予算委員会の総括質問でも伺いましたラムサール条約に関連してのことです。
 この六月に釧路でラムサール条約の締約国会議が開かれるようになって、私も大変に関心を持って湿地のことをいろいろ調べ始めたのですが、湿地は大変重要な生態系の保全には欠かせない領域である、しかもそこで水の浄化ですとかいろいろな役を果たしているということが言えると思います。残念ながら日本の場合は、八郎潟にしてもそれから釧路にしても、干拓とか開拓とかという形でずっとむだな土地をどう農業に使うかという形でやってきた。そして、しかもそれが今度は大きなインフラストラクチャーとなって、日本の国内だけではなくてODAの場合もそういった形でどれだけ湿地に対してのアセスメントがなされているかということが問題だと思います。
 最初に伺いたいのはスリランカなのですけれども、コロンボ・カトナヤケ高速道路の建設計画というのがOECFのプロジェクトで進んでおります。このプロジェクトも、非常に大きなラグーンがございまして一万ヘクタールぐらいの湿地があるのですけれども、今ODAで計画しているような形で高速道路をつくると大変に湿原とそれからラグーンが破壊されるということが現地の環境保護団体からは報告されております。
 外務省としては、こういった湿地の保全という視点からこの計画を十分に配慮して調査なさったのでしょうか。
#103
○政府委員(川上隆朗君) 突然の具体的な御質問ですので正確にお答えできるかどうかあれですが、スリランカのケースにつきましては、私が承知しております限り、今はまだエンジニアリングサービス、詳細設計を行っている状況であると承知いたしております。
 湿地に関する影響調査につきましては、本件事業のスリランカ側の実施機関でございます道路開発庁、RDAというものがあるそうですが、そこが現地の専門家に委託して調査を実施して、中央環境庁がそれを検討している状況である。我が国政府といたしましては、当然のことながら環境問題、環境とODAを両立させるというのが、チャーター、昨年のODA大綱にも書いてある基本原則でございますので、その結果がいかなるものになるかということについて非常に関心を持ってフォローしているという状況でございます。
#104
○堂本暁子君 それはスリランカ側の調査だと思うのですね。
 予算委員会のときにも申し上げましたけれども、OECDの勧告にはドナー国も調査をするようにということが書いてございますが、その点、日本政府としてはドナー国として調査をなさるおつもりはおありになるか。
#105
○政府委員(川上隆朗君) 私どものこういう詳細設計あるいはその前の段階でのFSといったものにかかわる環境調査の基本姿勢というのは、ODAの場合あくまで事業の主体が先方でございますので、主体となって事業をやる先方の機関と十分な意見交換をまずやる。意見交換をやって、その過程において我々の今の姿勢でございます環境配慮ということを先方側に十分インプレスするということをやります。
 そこで、FS、ESにはしたがって基本的な環境の配慮というものが、先生御案内のとおり、以前は若干そこが足りなかったというところも我々反省いたしておりますけれども、今の段階では我々のそういう注目すべき点については向こうもよく知っておりますから、その調査の段階でそこを十分配慮した調査ができ上がるように我々としては配慮しているつもりです。
 しかも、FSとかESは、先生御案内のとおり、日本がやることももちろんございます。今の日本がやるようなFS,ESについては当然今の時点では環境ガイドライン、JICA、OECFが持っておりますがイドラインに沿ってチェックをするわけでございますが、果たして先方がやったものはそれでは信用しないのかというとそれはそうではないので、やはりそれを十分精査解析してその調査というものがきちっとなされているということであれば、我々はそのラインに従ってやる。
 しかも、向こうの調査を解析する段階において不十分だということがわかれば、当然のことながらそれをある程度フォローアップする。決定の前にフォローアップすることもありますし、場合によっては実施の段階で環境配慮をさらにフォローアップしていく、こういうこともあるかもしれませんけれども、そういうような基本姿勢で環境に配慮しながらやってまいりたいというふうに考えております。
#106
○堂本暁子君 私の得ている情報では、その調査をやったのはティサ・ヘラト博士という方のようですけれども、二カ月間スリランカに滞在されたけれども、地元の人の話によるとフイールド調査をほとんどしていないということらしいのですね。実際にはほとんど図書館通いをしていたらしい。
 その報告書では、湿地の植物学的重要性は低いというふうに書かれているそうです。それでもなおかつ建設の過程及びその後における水系の遮断、それから排水及び埋設する土砂は、河川及びネゴンボという場所ですけれども、ネゴンボラグーンにおける水生動植物の生態系に重要な影響を及ぼすおそれがあるというふうには指摘しているということです。しかしなおかつ、だからといってどうやって道路がつくられるための悪影響を回避するかということについては書いていないというようなことを聞いています。
 十分に精査するとおっしゃっていらっしゃるのですが、問題は、私が思いますに、これだけ大きな巨額のプロジェクトですから、きのうきょうのプロジェクトではない。そうしますと、きょうもここにJICAの環境配慮ガイドラインというのをお持ちいただいて、私もけさ初めて見せていただいたのですけれども、関係のある道路のところをあけてみましたらばやはり湿地についての非常に細かい調査項目が出ているわけですね。
 なぜ問題なのかというと、何年前からこの計画があったのか存じませんけれども、恐らく五年前十年前というのは環境サミットの前でもありますし、それだけアセスメントに対して神経質ではなかったという形で図面が引かれている可能性があるのじゃないかと思うのです。やはりこれだけ日本のODAの湿地への影響が今ラムサール締約国会議を前にして問題にされるようなことになってきているわけなので、ぜひともその計画を変更するぐらいの思い切った環境配慮を日本がやってみせるということがとても大事だろうと思うのです。
 JICAのこれを見ますと、例えば薬剤によらない除草というようなことも書いてありますし、水利用にかかわる住民の問題も書いてありますし、貴重な水生植物の調査も書いてありますし、それから住民との問題、湿原の問題、全部細かくリストアップされているわけです。こういったガイドライン、今これはできてまだ半年ぐらいかと思いますけれども、こういったガイドラインができる前は知らなかったということではなくやった方がいいのじゃないかというふうに思うわけです。
 やはりNGOの人たち、地元のNGOというのはずっとそこに住んでいる人たちが中心になってやっているわけですから、そういった人たちの言うことには私は耳をかすべきだと思うし、それから日本のNGOもそういうことにも耳を傾けていただきたい。
 ここの場合には、かつて十五世紀にオランダがカナルを通し、次にイギリスが十九世紀に通し、今度はいよいよまた日本がというふうに地元の人は言っているようですけれども、もう既にその土地をある程度確保してあって、それから従来からある道路もあるそうです。陸からの淡水が入りそれから海からの海水が入って、接水と言うそうですけれども、ちょうどバランスをとっているそこのところが壊れるような、非常に広い範囲にわたって壊れるようなことをあえて今なぜ改めてしなければならないのか。
 オールタナティブの案を実際に検討なさったことは、これはこのプロジェクトについてはもうそれこそ急なので、土日があったものですから御通知してございませんけれども、このオールタナティブな案というのはお考えになっていますでしょうか。
#107
○政府委員(川上隆朗君) まさに先生おっしゃるように、ちょっと急に御質問を受けましたので私も十分調べておるわけではございませんが、今の先生の御指摘の湿地を含む環境への影響につきましては、例えばアジア湿地局あたりの話ですと必ずしも影響は多くないといったような議論もあると聞いておりますし、いずれにいたしましても、先ほど私が述べましたような基本的にそういう環境問題については非常に精査しながら我々やっていくという姿勢でございますので、しかもまだこれは本体の工事が始まるという段階ではないESの段階で、かつその湿地に対する影響があるかないかについては今までのエンジニアリングサービスの中に十分入っていないからそれをプラスして、現地の公開大学と聞いていますけれども、RDAが公開大学の先生に調査を依頼して結果を検討中だという段階と承知していますので、我々としてはとりあえず、いずれにしてもその調査結果を待ってよく見てみたい、こういうことでございます。
 したがって、オールタナティブを検討するとかいう段階までには私はまだ至っていないのじゃないかと思います。
#108
○堂本暁子君 怖いのは、やはりよその国と日本の違うことは、年度ごとに予算が決まっているもので非常に速くいろいろ進展してしまう、決まるということなのですね。
 ここの場合もまさに今おっしゃったような形のアセスメントがなされていると私も聞いていますけれども、それがどの程度信頼性のあるものかということについては非常に疑問を持っています。ぜひOECDの勧告に従って日本の側からやはりアセスメントをしていただきたい。そして今まで、かつてもう用地が用意してあったところがあるそうですし、なぜ新コースをつくらなきゃならないのかということです。
 それからもう一つ私が大変このプロジェクトに関して興味を持ちましたのは、もう国家予算の十分の一ぐらいの大きな巨額なプロジェクトなのですね。幾らだったかちょっとここに書いてないのですけれども。それで、どういう理由でこんな大きなプロジェクトがなされなきゃならないのかということも疑問が起こっているということです。
 特にこれは、きょうはラムサールの関係から伺っていますから、三十一種の鳥がいて八月から翌年の四、五月にかけての渡り鳥も飛来するということですけれども、そういったラムサール条約の問題だけではなくて、やはりその巨大プロジェクトというのがどういう意味を持っているのか。余りにも破壊的な要素が大きいとすれば、そこのところは何かそのオールタナティブを考えていただく方がいいのではないかというふうに考えていますけれども、これはまだ手をつけていない問題ですから、できるだけ湿地が破壊されない、そして水のバランスが崩れない形で計画をしていただいた方がいいのじゃないかと思っています。
 次に、いろいろ湿地に関してはございまして、開発という観点からいえばみんなそれは開発には必要なのだというようなことなのかもしれないのですけれども、例えば中国の豆満江、ここも大変にシベリアからの渡り鳥が来て中国の南なのアジアなりに飛んでいくところだそうです。そこの開発の仕方も問題になっています。
 それからこれはODAではないのですけれども、インドネシアのイリアン・ジャヤというところでマングローブの大変大規模な伐採工事を日本の企業が行っているとか、あとそれからベネズエラのかんがい計画、メキシコ、グアテマラの国境にあるウスーマシンク川のダム建設とか、そういったもろもろの水にかかわるたくさんの計画が、非常に湿地とか川とか海岸とかそういったものからの配慮が少ないというふうに聞いています。
 もう一つ、これもスリランカですけれども、サマナラウェアダムというダム、これは私は現地へ行っていないので自分で見ていないのですが、そこではもう既に最初が二百八十四億二千万、それからまた水漏れの修理のために三十二億六千四百万かかっているそうです。そういったお金をかけながらなおかつ水漏れが続いている。右岸にもう穴があいてそこから流れているので、大統領が水をとめるようにという命令すら出したということですけれども、これはやはり環境アセスメントだけではなくてその前に施工の設計ミスがあったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#109
○政府委員(川上隆朗君) また突然の御質問でございますので、ちょっと正確なところは御容赦いただきたいと存じますけれども、サマナラウエアに関しましては、今おっしゃったようなオーダーの額の円借款が供与されてダムを建設したと。まだ完全にできているわけではありませんが、今、試験的にそのサマナラウェアダムに水を入れている、その段階で水漏れがあったということは事実でございます。
 この点につきましては基本的に我々の理解は、サマナラウェアの地層がいわゆる石灰岩質で極めて複雑であった、当初予期したよりもはるかに複雑であったという報告を受けておりますが、いずれにいたしましても、水がある程度漏っている以上は確かに初めの調査の段階が十分ではなかったのではないかと言われればそれはそのとおりかと存じます。しかし、専門家の話をいろいろ我々も聞いておりますけれども、この石灰岩層というのは非常に複雑な地形だということが後で、ボーリングを通常のダムの建設よりもはるかにたくさんやって調査したにもかかわらず、建設の途中でわかってきたというような事情もあったようでございます。
 今、ダムの水位をある程度下げて既に試験発電を行っておりますけれども、今後これをどのような形で、ダムが決壊するとかそういったようなおそれはないということは我々はっきり伺っておりますけれども、これをどういうふうに手当てしていくのかということについては検討中でございます。
#110
○堂本暁子君 グラウチングという工法で水をとめるようなことをなさったようですけれども、今度は別なところからまた漏っているということですね、もっと底の方から。一体どこから水が漏るのか、今おっしゃったような複雑なところで。そうすると後から後から、幾らお金をつぎ込んでも結局借款ですから、グランツではなくこれは借款ですから、どんどんその国の負担になっていくと思うのですね。
 最終的にそういった借金を押しつけるような形になるのではないかというふうに思いますが、もう一度その点について、これはどう対応なさるおつもりなのか。
#111
○政府委員(川上隆朗君) もちろんこれは事業主体はスリランカ政府でございますので、先ほどから私が申し上げましたような事実関係、大まかな事実関係に基づきまして先方が委員会をつくりまして、客観的な構成になる委員会と承知しておりますけれども、その委員会が今後これをどういうふうに手当てするのか。もちろん手当てするとしても最終的な手当てでなければならないと私は思いますけれども、そういうことについて検討している段階と承知いたしております。
 したがって、その委員会の決定あるいはもう一つスリランカの国内でも大統領が一人委員会というのを任命して、これは最高裁のたしか判事か長官だったと思いますけれども、そういう方が客観的に判断をするというようなこともやっているという状況でございます。
 我々は、こういうような専門家の意見、それからOECF自体も、日本側の責任実施機関でございますが、OECF自体も現地に専門家を送りまして調査も行っている。そういうもののすり合わせの結果が出てきた段階で我々としても慎重に判断したい、そういう基本姿勢でございます。
#112
○堂本暁子君 もしこれ以上お金をかけても危険であるというような客観的な判断が出た場合、大変な額の借款ですが、これは返してもらうわけですか、もし工事を中止した場合。あちらは何かもう非常にそういう声も大きいというふうに聞いておりますが、もし下の住民が一時避難するような事態も起こった、これを続けていくとまた違う漏れがあちこちから起こってくるというようなことになった場合に、もう危ないからやめようというようなことになった場合、最初の借款だけでも二百八十四億、全部トータルすると三百十七億、これだけの負担がスリランカにはかかるわけですね。これはどういうことになるのでしょうか。
#113
○政府委員(川上隆朗君) 私ども少なくとも承知いたしております限りでは、今、ダムそのものについての危険はない。したがって工事は、先ほど申しましたように、ほぼ完成している状況で試験発電はもうやっておるわけでございます。水位を下げれば水が漏れてくる量というのは明らかに減っている。したがって、減っている状況においてしかし一定まだ出ているということで、それはどこから出ているのかということを調査する仕方というものが専門的にある、こういうふうにとりあえず伺っております。きょうはちょっと資料も何もございませんので私の理解だけでございますけれども、とりあえず伺っております。
 そういうことでございますので、本件は我々の供与した円借款がスリランカ側にとってもむだにならないような形でぜひ手当てしながら発電を続けるような方向でやりたいというふうに考えておるところでございますが、しかしそれは先ほど申しましたように、専門的な御意見とかなんかを全部伺った上での判断にもちろんなるわけでございまして、今の段階ではそういう我々の感じと申しますか、我々いろいろな情報は得ておりますので、そういう情報に基づいて得たとりあえずの判断というふうに御理解いただきたいと思います。
#114
○堂本暁子君 ですから、まだつくっていないこちらのハイウエーの場合もそうなのですけれども、やはり事前のアセスメントなりそれから設計なりがとても大事だと思うのですね。一たんつくってみたわ水が漏れるわ、そこをとめたらまた違うところから水が漏れるわ、こっちをとめたらまたこっちから水が漏れるわ、これではもう本当にダムとしての機能というか、危険で下流の住民は住んでいられない。また自然環境破壊も起こっていくわけですし、ですからいかに事前の環境アセスメントと計画、それから話し合いが必要かというこれは一つの例ではないかと私は思います。
 その意味でも、その前のコロンボ・カトナヤケの高速道路、これをつくっちゃってから、やれ排水はいかないわ、塩害がスタートした、今度また塩害をフォローアップしなきゃいけない、それからそこの畑がだめになっちゃったというようなことが起こりかねない状況だという声もあるとすれば、やっぱり徹底した調査を相手任せにするのではなくて日本側でやらないと、日本の方としても、日本はあれだけつくっておきながら借金をこっちに残したではないかという責めを受けて、ありがたがられるどころか地元の人は、私たちを苦しめているのは日本の援助ですとその地域住民は言っているそうです。
 そうすると、地域住民からそういうような声が出てくるというようなことになってはまずい。とすれば、徹底したアセスメントを環境面と施工と両方のサイドからやって、それから地域の住民、NGOと十分話し合って納得ずくでこれからは進めていかないとこういった間違いが起こっていくのではないかというふうに思います。その辺でやはりNGOの存在というものが決して私は今、小さくないのだと。やはりそこで生活している人たちの生活の感覚で、図面を東京で引いている人と違った感性を持って、そこで何百年と生きてきた人たちの知恵というものをもっと大事に日本はしてもいいのじゃないかというふうにとても感じるのですね。
 ですから、コロンボの方はまだ設計も始まっていないことですし、どうぞ十分に環境とそして施工の調査をこれでもかこれでもかというぐらいにぜひやっていただきたいというお願いをして、午前中の質問を終わりたいと思います。
 午後はカンボジアの農業の問題について、これもNGOとの関連で伺っていきたいと思っています。
 ありがとうございました。
#115
○委員長(野沢太三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時一分開会
#116
○委員長(野沢太三君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#117
○荒木清寛君 今回提出の法案について一点お尋ねいたしますけれども、今回の改正案によりましてグルジアに兼館の大使館が設置をされまして、旧ソ連各国との外交体制は一応整ったということになります。しかし、いただいた資料によりまして数えてみますと十五の共和国のうち実館のない共和国が十一ありまして、旧ソ連各国の計画的な実館化の必要があるというふうに考えます。
 また、政局の流動化、また対日支援に的確に対応するためにも、ロシア大使館はかなり兼轄をしているわけでございまして負担が重くなってくると思いますので、このロシア大使館に重点的な人員配置また本省からの応援等を行う必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
#118
○政府委員(野村一成君) 先生御指摘のとおり、ソ連邦の崩壊の結果十五の国が新たに誕生いたしまして、早速ウクライナ、ウズベキスタン、エストニア、カザフスタンそれからベラルーシには大使館あるいは駐在員事務所を新たに開設しておるところでございます。また、単に大使館だけではなくて、日本とロシア極東との関係が非常に拡大するし、また今後もそういうふうになっていくように努力する必要があろうかということでございまして、五年度におきましてはウラジオストク、ハバロフスクに総領事館の開設を予定しております。
 兼轄公館を実館化していくというのは非常に必要であるというふうに考えておるわけでございますけれども、何分いろいろな行政事情、財政事情とかあるいはほかの公館とのバランスなんかもございまして検討せざるを得ないということで、早急に推進するのは困難な事情にあるということでございます。
 いずれにしましても、今後も旧ソ連諸国の情勢あるいは我が国との関係の発展等に応じてできる限りの手段を講ずることによりまして適切な外交が行われるようにしてまいりたいと思います。
 なお、在ロシア大使館そのものでございますけれども、特に先生御指摘の兼軽業務のほかに、やはりロシアがかつてのソ連邦と違いまして非常に開放的になっておるということの結果、情報収集あるいは広報活動等の面におきましてかつてとは違いました活動、積極的な活動を行う必要性というのが増大してまいってございます。そういった状況をいろいろ勘案いたしまして、五年度予算におきまして在ロシア大につきましては兼韓国関連を中心に七名の増員、それから一名のアタッシェ受け入れ増を措置させていただいたところでございます。
 同じく今後とも外務省全体の機能強化の中で必要な体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#119
○荒木清寛君 次に、関連しまして対日支援について、先般もお聞きしましたけれども、重ねてお聞きをしたいと思います。
 言うまでもなく、今一番大事なことはエリツィン大統領の改革路線をきちんと支持をしていくということであろうかと思いますけれども、しかしながらせっかくロシア政府に莫大な資金を貸し付けをしましてもそれが結果として有効に使用されなければかえって累積債務などがふえるだけであるということになってしまうわけでありまして、援助をした意味が全くないということになるわけであります。
 そこで、資金の贈与にせよあるいは貸し付けをするにせよ、その使途の選別といいますか、対象となるプロジェクトの選別を適切に行っていくということが大事じゃないかというふうに考えるわけでありますが、この点に関しまして援助を受ける側のロシアと日本の側の協議というのはどういう形で行っているのでしょうか。
#120
○政府委員(野村一成君) 今、先生御指摘の点は、日本とロシアの協議というよりはもっと広いコンテクストでやはり対日支援全体に関係してくる話だと思うのでございます。援助を行ってその資金等が有効に使われるということがまさに必要でございまして、今回、先週の金曜日に発表させていただいたのでございますけれども、十四日、十五日、東京におきましていわゆるG7の諸国の外相・蔵相会議が開催され、またその際にしかるべきロシアの代表も招くということを考えておるわけでございますけれども、要するに実務的なそういう対日支援の積み上げ、積み重ねということで具体的に何がいいのかというのを今、鋭意検討しておるところでございます。
 特に日ロ間で一番私の頭に浮かびますのは、例えばこの前の二十五億ドルのパッケージにしましても貿易保険というのがかなりの額を占めておるわけでございますが、やっと天然ガス関連で大体七億ドルほどの契約が成立いたしましてその一部はもう既にディスバースもなされておるわけでございますけれども、何分、契約が実現しましても例えば現実の支払いメカニズムがどうなっているのか、ロシア側の方との間で先方の体制が十分でないというふうな点もございまして技術的な支援その他も兼ね合わせてやっていかなきゃならぬ。それはまた技術支援としまして我が国もロシアとの関係で鋭意進めてまいっておるところでございます。
#121
○荒木清寛君 昨日、テレビの討論会を見ておりましたら、ロシアの識者といいますか、その方が、日ロ開発銀行のようなものをつくったらどうか。そういう場でどういうプロジェクトを選定するかという審査をしていったらどうか、そういう形で日本の側の例えは銀行のノウハウを生かすとかいう形で民間の力も活用してプロジェクトの選択ということができるのではないかという提案をされていましたけれども、そういうお考えはどういうふうにとらえられますか。
#122
○政府委員(野村一成君) 確かに私もそういう報道を新聞で見たことがございますけれども、現実の支払いのメカニズムを含めまして全体の具体的な支援策というのを検討しているところでございます。
 それで、お金の流れも一つの側面でございますけれども、現在の例えは一つの例でございますけれども、何と申しますか、支援を具体的な金額で行ったとしましてもそれを受けてロシアにおいて外貨収入が具体的にないことには全体のインプットとアウトプットとのバランスがとれないということで、例えば一つの例としましては、そういう意味で有望な産業であったしこれからも恐らくあるであろうというのがエネルギー、天然資源、石油の面でございます。
 そういった点で非常に生産量が現に落ちているというのが実態でございまして、そういうところに重点的に支援をするとかいろいろなアイデアが出てまいっております。それをことしは特に我が国は議長国でございますので全体うまいぐあいに取りまとめていくということに努めてまいりたいというふうに考えておる次第です。
#123
○荒木清寛君 関連しまして、今後の対日支援といいますか旧ソ連諸国に対する支援のうち、ロシア共和国以外の共和国に対する支援はどのように計画をしていらっしゃいますか。
 といいますのは、このいわゆる対日支援がロシア共和国に偏っているのではないかという危惧を持つわけですけれども、その点いかがでしょうか。
#124
○政府委員(野村一成君) ほかの旧ソ連邦を構成しておりました独立国に対しましても技術支援等は行っておるわけでございますが、あわせて今、人道支援ということで一億ドルの支援を行っている中で、ウクライナとかベラルーシ、モルドバ、アルメニア等あるいは中央アジアの国を含めまして、例えば医薬品とか医療機器の購入等で援助、支援を行っております。
#125
○荒木清寛君 旧ソ連邦を構成していた国が十五あるわけですけれども、支援額をその十五の共和国に割り振る際の調整はどういう場で行っていらっしゃるのでしょうか。
#126
○政府委員(野村一成君) この一億ドルの人道支援につきましては政府間の協定を結びまして、それは我が国とそういった国々全体が参加したものでございますが、その協定に基づきまして支援委員会というものを設けておりまして、その委員会の場で議論して振り分けを決めていく、そういう仕組みをとっております。
#127
○荒木清寛君 過去の例といいますかこれまでの支援の実績でいきますと、ロシア共和国とそれ以外の共和国に対する支援の割合というのは大まかに言ってどのぐらいになりますか。
#128
○政府委員(野村一成君) ちょっと私、突然のあれで、細かい数字は追ってまた必要に応じて提出させていただきたいのでございますけれども、一億ドルの人道支援につきまして約八割見当はロシア関連のものであるということでございます。
#129
○荒木清寛君 ウクライナ共和国について若干お尋ねをしたいと思いますけれども、新聞報道等によりますと、レオニード・クチマ首相が本年の一月十四日に、ウクライナでは独力でICBMを開発する技術力を持っているということを明らかにしたわけであります。
 ただ、現政権は自国領内の核兵器全廃を宣言しているわけでありますけれども、二次にわたります戦略兵器削減条約にこのウクライナが署名及び批准をしているのかどうか、あるいはNPTに加入をしているのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#130
○政府委員(澁谷治彦君) ウクライナは、昨年五月のSTART実施取り決めなどにおきまして、START条約の当事国となるとともに短期間内にNPTに非核兵器国として加入すること及び七年間でウクライナに配備されている戦略核兵器を撤廃することを誓約しております。ウクライナがこのような誓約を履行することが旧ソ連の核兵器廃棄問題全体にとって重要な要因の一つとなりますので、我が国としてはウクライナがこれを早期に履行することを期待しております。
 ウクライナ配備の戦略兵器を含めた旧ソ連の核兵器の廃棄問題は国際社会の安全保障を確保する上で重要な問題でございまして、その中でもウクライナにおける核兵器廃棄はこういった旧ソ連全域の核兵器廃棄を促進する上で大きな要因になると思っております。
#131
○荒木清寛君 今のお答えですと、ウクライナ共和国は二次にわたる戦略兵器削減条約の条約上の拘束を既に受けているというふうに考えてよろしいわけですか。
#132
○政府委員(澁谷治彦君) まだ批准いたしておりません。これを早急に批准させることが必要だと思っております。
#133
○荒木清寛君 心配な点は、ウクライナ共和国の中に一部の先鋭的な民族主義者が核武装論等を唱えているということを危惧するわけでありますけれども、日本としてもこのウクライナにおける核兵器解体のための技術及び資金の協力援助ということを考えていくべきであると思いますが、この点とうなっていますでしょうか。
#134
○政府委員(澁谷治彦君) 私どもも援助の可能性については検討はしておりますけれども、これは我が国一国を超える問題でございますので、特にG7諸国を初めとする関係諸国と協調しながら検討を進めていく方針でございます。
 目下のところ、具体的な方針が固まるまでには至っておりません。
#135
○荒木清寛君 私、先般、いわゆるチェルノブイリの原発事故の被災者の方に救援をしていらっしゃる民間団体の方とお話をしてまいりました。昨年ジトミール州というところに行かれたそうですけれども、そこの州の人たちは、何を食べても汚染されているからもう今さら心配しても仕方がない、そういった投げやりな気持ちになっている、そういう報告を聞きまして大変私も愕然としたわけであります。
 言うまでもなく、日本というのは唯一の原爆の被爆国でありますしそういう痛みというのが一番よくわかるはずですから、政府もチェルノブイリの被災者に対する救援に力を入れるべきであると思いますが、現状及び今後の方針についてお聞きをしたいと思います。
#136
○政府委員(野村一成君) チェルノブイリにつきましては、WHOを通じまして既に六十二億円の資金協力を行っておりますが、それ以外に先般の先ほど申しました一億ドルのうちの五百万ドル相当の緊急人道支援ということで、これは細かい内訳はわからないのでございますけれども、五百万ドルをウクライナに充てましてそのうちのかなりの部分、例えば二百万ドル程度はチェルノブイリ関連の医療機関等に対しての医療機器等を供与するために使用するということを考えております。
#137
○荒木清寛君 その民間団体の人のお話を聞きますと、いわゆる主要都市にはそういう救援物資が行っているのですけれども、なかなか地方の都市にまでは届いていないという実態があるそうでございますので、そういった点もよく調査をしていただいてまたこれから継続的に援助をしていただきたいというふうに思うわけであります。
 きょうは自治省の方にも来ていただいておりますので、若干、国際姉妹都市につきまして関連をしてお聞きをしたいと思います。
 戦後の日本は敗戦をきっかけにしましていわば第二の開国を迎えましたわけで、その際のキーワードが国際化ということであったわけであります。この姉妹都市というのは新しい時代の要請が生んだ非常に重要な発想の一つであったと思いますし、民間外交あるいは自治体外交を推進する大きな力となってきたというふうに思うわけで、私も高く評価をしております。
 我が国の国際姉妹都市といいますのは一九五五年の長崎市と米国のセントポール市との提携が皮切りであったというふうに記憶をしておりますけれども、現在における姉妹都市の提携の組数について報告いただきたいと思います。
#138
○説明員(澤井安勇君) 国際的な姉妹都市の提携状況についてでございますが、国際親善都市連盟の調べによりますと、外国の地方団体と姉妹提携をしている地方公共団体は平成五年二月一日現在で三十七都道府県六百六市町村でございまして、提携の縁組数は両者合わせまして五十四の国と地域九百五十件というふうに承知いたしております。
#139
○荒木清寛君 この九百五十件、九百五十都市との提携ということですけれども、相手国の分布ということを見ますといわゆる北に偏っているのではないかというふうに思うわけでありますが、地域別の姉妹都市の分布状況といいますか、その状況についておおむね御報告をいただきたいと思います。
#140
○説明員(澤井安勇君) 提携の縁組数九百五十件の地域別の内訳でございますが、北米が三百四十九件、それからアジアが二百四十六件、ヨーロッパが百九十二件、大洋州が八十二件、中南米が七十二件、中近東が七件、アフリカ一件となっております。
 提携数が北米、アジアないしはヨーロッパ地域を相手とするものが大変多いということでございますが、これにつきましては戦前からの移民の関係ないしは第二次大戦後の姉妹都市運動というものがアメリカで始まったことなどの事実、その他これまでの我が国と諸外国との歴史的な交流関係などが反映されているものと考えております。
 近年の特徴といたしましては、アジア・太平洋地域への関心が大変高まっておりましてこういった地域との提携が増加している状況にございます。
#141
○荒木清寛君 御報告のありましたように、中東地域におきましては七件七都市、アフリカにおいては一件ということでありまして、中東あるいはアフリカの各都市との提携が大変おくれているというふうに思うわけであります。国際社会の中で我が国の責任というものが大変に大きくなってきたわけでありますので、アフリカ等のいわゆる途上国との交流というのも民間レベルであるいは自治体のレベルでもっともっと深めていく必要がある、今後の課題であるというふうに考えます。
 地方公共団体の姉妹提携についてのアドバイスにつきましては財団法人自治体国際化協会が当たっているというふうに聞き及んでおりますが、こういった形でいわゆる途上国との交流をもっともっと深めていくべきではないか、そういった観点でのアドバイスあるいは指導をしていらっしゃるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
#142
○説明員(澤井安勇君) 地方公共団体の姉妹提携は、どういたしましてもそれぞれの地方公共団体と海外の特定の国との歴史的ないしは経済的ないしは文化的なかかわりに基づく具体的な交流というものが裏づけとしてありまして、それに基づいて行われている例というのが大変多うございます。したがいまして、御指摘のアフリカとの縁組が非常に少ないというのもそういった事実上の交流実績というものがどうしても薄かったということなどが主たる原因がと思われます。
 相手国の選定につきましては、基本的には自治体の国際交流でございますのでそれぞれの団体の判断によるべきものと考えておりますが、いずれにいたしましても、今後ともできるだけ幅広くかつ多様な国際交流、地方公共団体によります国際交流が促進されますように、関係省庁の御協力も得まして自治体国際化協会などと連動いたしましてさらに支援協力を行ってまいりたい、こういうふうに思っております。
#143
○荒木清寛君 外交というのは国と国との外交だけではありませんで、先ほども言いましたように、民間外交、自治体外交というものが極めて重要になってくると思います。
 そこで、外務省に最後にお尋ねしたいのですけれども、外交を進めるに当たりまして地方公共団体あるいは民間と十分に連絡協調をして進めていっていただきたいと思いますが、この点について一言お考えをお伺いしたいと思います。
#144
○政府委員(英正道君) 先生御指摘のとおり、外交は地方自治体さらには民間セクターの御協力を得なければ実施ができません。特に外務省としては、地方自治体の国際交流活動の活発化ということについては私どもも大きく期待をしておりまして、既にもう十年以上国際化相談センターというものを設けまして自治体からのいろいろな情報の御依頼等におこたえすることをやっております。
 また、国際交流はやはりそれを推進する自治体そのほかNGO等の関係者のいろいろな意識の強化を図るということが大前提でございますので、国際交流人材育成講座というようなものを年に二回外務省で開催いたしまして、自治体の方に広くお越しいただいていろいろ関係を深めるということを行っております。こういう人的な関係ができていつでも外務省に相談ができるというような体制に持っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#145
○政府委員(野村一成君) 恐縮でございます。先ほど私、数字で若干間違っていた点がございますので訂正させていただきます。
 チェルノブイリ被災支援のWHOを通ずる我が国の拠出でございますけれども、私、六十二億円と申し上げましたが、二十六億円でございましたので、申しわけございません。
 それから一億ドルの先ほどの旧ソ連邦諸国への人道支援の大まかな内訳でございますけれども、これはこれから実施に移っていくわけでございますが、腹づもりといたしましては五対五と申しますか、ロシアについて五、そのほかについて五というそういう腹づもりで実施していこうと、そういうふうに思っております。
 以上、まことに申しわけございません。
#146
○荒木清寛君 終わります。
#147
○猪木寛至君 きょうの新聞でしょうか、ソマリアの記事が出ておりますが、このソマリアの状況についてちょっと説明をしていただきたいと思います。
#148
○政府委員(小原武君) ソマリアにつきましては、国連を中心とする活動に並びましてソマリア人自身による国民和解の動きというものが少しずつ出てきているわけでございます。私は後者について御説明させていただきたいと思います。
 言うまでもなく、ソマリア問題の解決は最終的にはソマリア人自身の手で達成されねばならないという観点に立ちまして、国連の主導のもとに和平に向けての動きが行われてきております。その一環としまして、去る三月の十五日から二十八日までエチオピアの首都アディスアベバにおきまして和平と統一に向けての具体的方途を検討するための国連主催のソマリア人関係当事者による国民和解会議というものが開かれてまいりました。
 その結果、若干の前向きの動きが出てきておりまして、参加した政治勢力のうち十五勢力によりまして、立法機能を備えた暫定国民評議会というものの設立、それから国、州、軍などのレベルにおきます暫定行政組織の設立、それから九十日以内に武装解除の実質的完了を達成するという、これらの点の合意を含みます国民和解の協定というものが採択されております。
 国連の主導のもとにおきましてこういうような動きが出てきたということは前向きに評価されるところであります。これが所期の目的どおりに実施されていくかどうか、今後注目すべきところであろうというふうに見ております。
#149
○猪木寛至君 先ほどからも何回かこのお話が出ておりまして、国連主導でぜひ国連の力を発揮してもらいたいという思いはあるのですが、しかしアフリカの諸国に限らず、カンボジアもありますが、国連が関与しているソマリアそしてモザンビーク、それからアンゴラと、なかなか思いどおりにいかないというのが現実じゃないかなと思います。
 そこで、ソマリアも私はちょうど去年政府の派遣員が行ったときに同時に行ったわけですが、非常に短い時間というか、実際のスケジュールからいいますと、あそこは朝ケニアから飛びまして、小さな飛行機で飛んでいきますと大体三時間以上を要します。そして、着いてお昼ぐらいになるわけですからそこで昼食会をやって午後の飛行機で帰ってくるというスケジュールのあれを見たのですが、これは幸か不幸か飛行機が故障いたしまして、代表団、調査団は翌日の飛行機ということになったのです。
 大変混乱している中でなかなか情報収集というのは難しいわけです。特に日本の場合は出先機関がないということも含めて。たまたま私も三日以上時間を費やしましてバルデラあるいはバイドアというところまで足を伸ばしまして、ちょうど米軍がバイドアに入ったすぐ後でまだバルデラというところには米軍が到着していなかったということで、テレビや新聞で報道されるとおり、非常に悲惨な状況が続いておりました。
 我々が行ったときにも難民が避難してきている状況の中で、まさに本当に骨と皮というか、そして黒人が自分の肌をかきむしって、栄養失調からくる皮膚病だと思うのですが、かきむしり、そしてその皮膚が、白い肌が、白い肌というか身が出てきてしまって、本当に見るにたえない生き地獄というような状況でした。
 そういう状況の中で、政府がきょう午後発表された部分、本当に今ソマリアの一番弱い人たちが欲しているものというのがどうも国民の皆さんに伝わっていないのじゃないか。一番欲しているものは、これはトウモロコシの粉というのでしょうか、これをまぜたものなのですが、それとお米、小麦、そして豆と油という、こういうものがセットで送られないと本当に彼らの食に合わない。今、日本で皆さんボランティアでいろいろ一生懸命やられていることは大変すばらしいことですが、その情報が確かでないために実際には魚の缶詰を送っているとかそういう現状にあって、逆に向こうに送ったらだれもそれを引き取る人がいないというような現状です。
 その辺を本当にもうちょっと調査の方を手を広げてもらって、やはり日本の国民の中にも協力をしたい、何かをしたいという意識の人がたくさんいるわけですから、その辺をもっともっと情報を公開していただきたい、あるいはもうちょっと時間をかけて調査をしていただきたいという気がいたします。
 そこで、私自身も大変時間もなかったために、医療物資を百キロちょっと持参したのですが、これも当時は飛行機が十人乗りということで自分の荷物も持っていけないというような状況で入ったのです。
 バルデラに行きましたところ、見ている前で子供たちが死んでいく。通常であれば、死んでいく子供をあるいは弱った子供をお母さんが抱きかかえるのでしょうけれども、そのお母さん自体がもう力がなくなってしまって、子供が死んでいるのか生きているのかわからない。そういう状況でお母さんがただ目線を追っているだけで、そこから涙もこぼれてこないというように本当に悲惨な状況でした。そこで、私どもはそこに立ってその実態をカメラにおさめようと思ったのですが、その状況の中でシャッターを切るというか、そういう傍観者という立場で何もできない自分自身に非常に腹立たしく思いながら見てまいりました。
 我々がこれから特にアフリカに限らずそういう途上国あるいは紛争地域の支援ということになりますと、今回モザンビークに関しても調査団が行かれまして調査をされたということで、私もちょうど同じ時期にいたわけですが、もっと調査のあり方というか、この辺に私は大変疑問というか、派遣する以上もうちょっと時間をかけてほしいと思います。
 そして、ソマリアは今後、二万八千人でしょうか大規模な国連主導という形で国家再建に向けて支援体制をとるわけですが、当然日本としてもいずれ何かをしなきゃいけない時期が来るのじゃないかと思うのです。そこについてはいかがでしょうか。
#150
○政府委員(澁谷治彦君) 調査団の帰国以来、私どもとしてはいろいろな角度からソマリアに何ができるか検討をしておりますが、今のところこの場で具体的な措置として申し上げるまでには固まっていないというのが現状でございます。引き続き努力してまいりたいと思っております。
#151
○猪木寛至君 その後、去年入った後に調査団は政府としては入っているのでしょうか。
#152
○政府委員(小原武君) 調査団として新たなものは派遣しておりません。
#153
○猪木寛至君 先ほど申し上げたとおり、そのような状況の中でやはり国民の顔が見えるような支援というか、また同時に日本として国益に沿った支援という形、必ずしも慈善だけではできない。
 一つ私が体験したというか感じたことですが、それは今、ユニセフの関係で資金を集められております。これは恐らく国連に一回拠出するのでしょうけれども、実際どういう仕組みになっているかというと、ソマリアに関してユニセフが前線部隊という形で、我々はユニセフの関係でちょっと入ったわけなのですが、実際に宿泊所あるいはその基地とでもいうのでしょうか、非常にモガディシオ自体が破壊されておりまして、元大蔵大臣とかそういう人たちの邸宅をホテルがわり、宿舎がわりにしているわけです。
 そこにいる職員たちの給料というのが大変高いというか、例えばGNP一人当たり千ドルにも満たない国の人たちが五千ドルも六千ドルも給料を取っている。それから食べるものから宿泊の問題については一切個人負担はないということです。国際機関で働く部分これは平等でなくちゃいけないと思いますが、彼らにとっては本当に何年分の給料を一カ月で稼いでしまうというような状況です。
 我々本当に日本のボランティアがもしこれから出ていくとすると、仕事を捨ててなおかつ収入が絶たれて、そしてああいう遠いところまで行く旅費の問題、それから現地に入った場合には大変やみが横行しているというか、物を買うにしても物すごく高い。あるいはホテル代に通常紛争地域というのは物すごく先進国以上のお金が取られる。そういう状況の中で日本のボランティアの人たちというのは果たして行けるかどうか。
 例えばスウェーデン政府が今やっているのは、お金も出します人も出しますということで、スウェーデン政府の名札をつけまして、そして写真があって、そういう人たちが結局エキスパートというか、そういう経験に基づいて彼らは行動しております。日本人が今これからすぐ出ていったところで国際機関あるいはそういう紛争地域ですぐ活躍できるかというとなかなかできないのじゃないか。そういう意味でもうちょっと日本も経験が必要だと思うのです。今回のカンボジアも自衛隊が出て行かれた。まず評価を受けるよりも我々は経験を積むことの方が大事だろう。そういう意味でボランティアの人たちにもうちょっと経験を積んでもらう。それにはやはりお金と人を出すという、大きなことじゃなくてもっと小さな部分できめの細かい部分で援助ができるのではないかと思うのです。
 その辺について、今後、今やっているような国際貢献あるいは私が今申し上げたような国際貢献ということについてどうお考えでしょうか。
#154
○政府委員(澁谷治彦君) 今、先生御指摘の点は、正直に申し上げて私どもの悩みの種でございます。何とかしたいと、特に政府が全額負担でなくても国連の機関、諸機関と協力して人を、日本人を出せないかということはいろいろ私どもは工夫しておりますけれども、なかなか今のところ具体的な形の協力形態が見つからないのが現状でございます。
 その際、一番大きな問題点は、日本政府が関与して日本人を出す場合、何か事故があった場合の補償の問題が一つございます。これはたとえ国連の機関がイニシアチブをとるにしても、国連の機関の責任においてその補償を行うということだけでいいのかどうか、私どもちょっと今、頭を悩ませておるところでございます。
#155
○猪木寛至君 そういう問題でいつも思うのですが、国際貢献の中で危ないところには行かない、そして危なくなったら引き揚げるという、この考え方ではとてもじゃない、国際貢献というのはできないのじゃないか。まずいろいろ問題があるからとにかくひとつ助けてくださいという依頼が来るわけですから、そこのところで今スウェーデン政府がやっているような形のあり方というのは大変私は見ていてすばらしいなと思ったのです。
 特にそれからソマリアの問題においても、モガディシオとバイドアというところではまた条件が全然違うわけですね。食糧、物資が届かなかった。私の方はちょっと情報を得ていないのですが、今現在はどういう状況でしょうか。
#156
○政府委員(小原武君) ソマリアにおける国連の活動が進展している結果といたしまして、人道救援物資の分配状況は相当改善されてきているというふうに理解しております。
#157
○猪木寛至君 同時にモザンビークの方もこの間あった部分では、飢餓は一応解決というか、ありませんという政府の関係者の話があったわけですが、私もモザンビークに関しては国会議長とそれから首相との会談をしたのです。ここで言われている調査団の報告書を見ますと、お互いが大変今回の戦いに疲れて、とにかく両方がとても支援に期待しているということなのです。私も確かにそういう話を聞いたのですが、今度は本音の話となりますと全然違う話をしてくるのです。
 これは国会議長と食事の際に出てきた話ですが、RENAMOに対しては全く信頼していないと。そして、選挙に向けて彼らは一向にやる気がないということ。もし選挙が実施されれば彼らは我々に勝てるはずがない。そういうことになればアンゴラのケースも含めてこれは妨害運動を起こしてくるだろうということを言っているのですが、表と裏が大分違うのです。
 調査団はその辺の裏の話はどういうふうにとらえてこられたのでしょうか。全く表だけの話なのでしょうか。
#158
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに国連のPKOの展開がおくれているがゆえに、停戦合意が成立した時点に比べれば政府側、反政府側の間に若干の不信感が芽生えてきております。
 例えば反政府側も、武装解除に応じたい、しかしながらやはり平和維持軍が展開してくれないと自分たちは危なくて武器を捨てられないと、こういうことを言っております。それからそうは言うものの国連のPKOの展開が進み始めますと、従来、山にこもっていた反政府側もマプトの事務所の方に最近戻ってきたという情報もございますので、国連側の措置が進展するに伴いそういった若干の不信感も解消していくのではないかと思います。
 それから反政府側は、選挙には負けるとしてもその選挙の結果は尊重するということも言っております。
#159
○猪木寛至君 RENAMOを支援しているというか、これは最初に首相と会ったときに、やはり歴史をひもといてよく見てもらわないとならないということで、ちょっと歴史の話をする暇がありませんが、このRENAMOに対する支援グループというのが、例えばマラウイあるいはケニアからの支援、兵隊が軍事訓練していくそこの資金的な援助が南アフリカから依然として出ているということで、これはうわさだけじゃない、現実にそういうものをこれはアメリカにしても、もう一つどこだったですかね、つかんでいるという話なのです。この辺もどちらを信用するかは別の問題として、情報としてある。
 ですから、これはRENAMOと政府側が今、話し合いをするだけではなくて、結局その辺の南アフリカからの支援体制、援助を断ち切らない限り我々は彼らを信用することができない、だから我々の相手はRENAMOじゃなくてそういう国々であるという意見もあったのですが、この辺について今回の調査団としてどういうふうに見ておられますか。
#160
○政府委員(小原武君) その点について私から御説明させていただきたいと思います。
 過去において南アがRENAMO側に援助を行ったというのは事実であったようでございますけれども、八九年にデクラーク大統領が南アで就任いたしましてから南アとモザンビークの関係が非常に劇的に変わりました。その背景には冷戦が終わったということがあるわけでありますけれども、九〇年の七月にデクラークがモサンビークヘ参りまして、そこでモザンビークのチサノ大統領が、南アがもはやRENAMOを支援していないということをモザンビークとして公式に受け入れるという宣言をしております。
 最近私どもが南ア政府といろいろの形で意見交換する過程におきましても、南ア側はRENAMOへの支援は一切していないというふうに繰り返し言明しているところでございます。
#161
○立木洋君 今度の法案でも在外公館が新設されるわけですが、世界の大きな情勢の中で今、全部でたしか世界で百八十カ国あるのじゃないかというのですね。それで、ここに日本として兼館も含めて在外公館が設置されていない国が何カ国ほどあるのでしょうか。
#162
○政府委員(林貞行君) 現在、兼館体制をとっている国は六十七でございます。
#163
○立木洋君 今、そういう状況が非常に大きく動いており、それからまた治安問題なんかで日本人の生命にかかわる事件なんかも起こったりしておりますから、在外公館の役割というのは非常に重要になってきているのじゃないかというふうに感じているのです。
 外務省の方として渡航情報というのを出していますね、それぞれの地域に渡航する場合には危険があるからそれは注意すべきであるというふうな。この渡航情報というのは、周知それから注意喚起、観光旅行自粛勧告及び渡航自粛勧告という四とおりの情報が流されているというのですが、この四つの情報はどういう区別があるのでしょうか。御承知ない。
#164
○政府委員(林貞行君) 領事移住部の担当でございますが、来ておりませんので。
#165
○立木洋君 これを聞くといって情報もらっておったのだけれども、おたくの方から。
 それで、注意喚起する、つまり渡航するに当たって危険があるからといって注意喚起をするというので去年の四月にカンボジアヘの日本人の渡航者に対する渡航情報というのを出していたのですが、ことしの一月と二月と相次いでこの渡航に関する情報というのが出されているのですね。
 これは一月二十五日のあれを見てみますと、ここでは特定の地域にはなっていますけれども軍事的衝突による戦闘が発生している、そういうところなので観光は避けるようにというのが一月二十五日に出されておって、二月の十九日に相次いで、前回述べていたシエムレアプあるいはアンコールワット、それからアンコールトム、これらの周辺は従来は比較的危険の少ない地域と見られていたけれども、今や襲撃事件なんかが起こっているのでこの地域も危険なのでやめるようにというふうな渡航情報がなされておりますので、カンボジアに対する渡航についてはやはり危険があるので、行くことはできるだけ制限すべきだというふうな方向で最近カンボジアに対しては対処するというようなことになっているのでしょうか。それもわからない。
#166
○政府委員(林貞行君) 今、担当の領事移住部長を呼んでいますので、事前の通告をいただきませんでしたので来ておりませんですが、今、呼んでおりますので、あとちょっと別の質問を先にしていただければ幸いでございます。
#167
○立木洋君 いや、これはおたくの方からもらった情報なのです。質問するからもらったのです。御本人がいなかったら質問してもはっきりしませんから次に進めます。
 それで、今までカンボジアの状況についてはつまり和平の枠組みは壊れていないということを政府としてはずっと主張されてきているのですけれども、和平の枠組みが崩れていないという根拠について端的に言えばどういうふうなことなのでしょうか。
#168
○政府委員(萩次郎君) カンボジアにおきましては、御案内のとおり、長い間の内戦の結果、国連のPKO部隊が展開をしておるわけでありまして、残念ながら停戦違反というものが種々見られておるわけでありますけれども、それにもかかわらず私どもはこれは全面的な戦闘が再開されているわけではない、したがってパリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは依然として維持されていると認識をしておるわけであります。
 また、ポル・ポト派といたしましてもUNTACの活動そのものを否定しているわけではないということでございますので、国際平和協力法上の停戦の合意、それからUNTACの活動に対する同意といったいわゆる五原則は現時点で満たされているというふうに判断をしております。
#169
○立木洋君 これは協定がつくられたときの経過から見ても明らかなのですけれども、このパリ協定の第九条、これは停戦に関する条項ですね。それについて附属書というのが出されていて、その第一条が「停戦」ということになっております。
 ですから、その「停戦」の内容というのがどういうものかということを一つずつ確認していきたいのですが、この第一条の「停戦」の最初の項目に、つまり一九九一年十月二十三日からパリ協定は発効されたわけですけれども、その第一段階、俗に言う自主的な停戦の段階ですね、この第一段階は終了したのでしょうか、端的にお答えいただきたい。第一段階は終了したのでしょうか。
#170
○政府委員(澁谷治彦君) 第一条に……
#171
○立木洋君 いや、第一段階が終わったのですか。終わっているなら終わっている、終わっていないなら終わっていないと、それだけで結構です。
#172
○政府委員(澁谷治彦君) 第二段階はまだ終わっておりません。
#173
○立木洋君 第一段階。
#174
○政府委員(澁谷治彦君) 第一段階は終わっていると。
#175
○立木洋君 一九九二年六月十三日から開始されるUNTACの軍事部門のもとでの監視監督下における停戦、いわゆる第二段階は始まったのでしょうか。
#176
○政府委員(澁谷治彦君) 始まっております。
#177
○立木洋君 始まっておりますと。
#178
○政府委員(澁谷治彦君) はい。
#179
○立木洋君 あなたおかしいよね、これ。国連の事務総長の報告とまるっきり違うこと宣言っているよ。どうなのですか。
#180
○政府委員(澁谷治彦君) 第二段階には入っておりますけれども、ポル・ポト派の消極的な態度によって武装解除が進んでいないというのが現状でございます。
#181
○立木洋君 一月二十五日のガリ事務総長の第三次報告によると、ポル・ポト派が和平プロセスに全面的に参加していない。パリ協定の義務を果たすということを拒否している。だから停戦の第二段階を実施することは不可能になっている。違いますか。このとおりでいいのですわ、事務総長が言っているとおりで。
#182
○政府委員(澁谷治彦君) 目下のところ進んでいないという意味で事務総長の報告は正しいと思います。
#183
○立木洋君 次の項目、ここでは国際連合に対してすべての各派は次の情報を提供せよということになっています。提供することに合意したという項目があります。そこにはすべての派の軍隊の総兵力、編成、配備、それらの数、それからすべての部隊の陣地、これを地図によって提示せよと。その文書は出されていますか、すべての各派が国連に。
#184
○政府委員(澁谷治彦君) ポル・ポト派は出していないというのが現状でございます。
#185
○立木洋君 その次に、各派の軍隊が保有する武器、弾薬、装備の包括的な目録、その武器、弾薬及び装備が配備されている正確な位置、この情報はすべて提供されていますか、国連に。
#186
○政府委員(澁谷治彦君) ポル・ポト派を除きます三派は当初武装解除に応じまして、その限りにおいては武器関連の情報等をその範囲内においては出されておりますけれども……
#187
○立木洋君 私は、すべての派。
#188
○政府委員(澁谷治彦君) ポル・ポト派は出しておりません。
#189
○立木洋君 次に、各派のすべての地雷原の詳細な記録、その情報は提供されていますか、国連に。
#190
○政府委員(澁谷治彦君) これは出されておりません。
#191
○立木洋君 次の項目、いわゆるUNTACの軍事部門の司令官が次のことを完成するということになっているのですが、第二段階開始の四週間前までに各派と協議をして各派の軍隊の再編成及び収容並びにその武器、弾薬及び装備の貯蔵のためのUNTACの計画を完成する、この計画は完成されていますか。
#192
○政府委員(澁谷治彦君) これはポル・ポト派が武装解除を拒否している結果として、それは完成しておりません。
#193
○立木洋君 次の項目、各派は厳格に停戦を遵守し、陸上、水上及び空中におけるいかなる敵対行為も再開しないと。いかなる敵対行為も一切起こっていないでしょうか。
#194
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに局地的な停戦違反は起こっております。
#195
○立木洋君 起こっておるところか、ガリ事務総長の報告によると毎日起こっている。
 次の項目のところになりますと、すべての敵対行為及びその部隊の支配する領域を拡大し、戦闘の再開に導くおそれのあるいかなる配備、移動、行動も慎むということになっていますが、こういうようなおそれのある配備、移動、行動というのは一切存在していないでしょうか。
#196
○政府委員(澁谷治彦君) これはそれと認められるような行動はありましたけれども、それは停戦の合意を覆すような規模には至っておりませんし、現在は平穏でございます。
#197
○立木洋君 そのような注釈は停戦のあれにはないのですよ。「いかなる」なのです。どんなことがあってもいかぬのです。「いかなる」なのです。
 私はパリ協定の第九条に基づく停戦の状況について一つ一つ今、聞きました。この第一条の「停戦」の合意の内容について守られている条項があったらお示しください。何が守られているのか。
#198
○政府委員(澁谷治彦君) 完全には守られておりませんけれども、例えば武装解除は部分的には実施された上それが中断しているということでございます。
#199
○立木洋君 完全に守られなくて結構だという停戦の合意じゃないのですよ、この条項は。いかなるものもいけない、すべてがいけないのです。すべての敵対行動が禁止されているのです、この条項はね。だから、ここまでは起こってもいいのだというふうな項目にはなっていない。いかなるなのです、すべてなのです。守られていないのです、どの項目も一つも。あなたはお認めにならないのですか。
 結局あなたは、部分的にだとか完全にだとかというふうな形容詞をつけないと言えない。ということは、この条項で言う「いかなる」「すべて」という一つ一つの項目に該当して見るならばどの一つも守られていないと。そうじゃないですか。どうです、保温谷さん。
#200
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに停戦違反はございます。そういった意味では各項目は完全には守られてはいないということは言えるかと……
#201
○立木洋君 完全にと言わなくて結構なのです。守られていないのですよ。
#202
○政府委員(澁谷治彦君) 完全には守られてはおりませんけれども、停戦の合意という全体の枠組みが崩れるには至っていないということでございます。
 これはいろいろ紛争、例えば紛争当事者の動き、特にSNCにおける紛争当事者の動き等いろいろな要素を勘案した上でその都度総合的に判断すべきものだというぐあいに考えております。
#203
○立木洋君 停戦の合意は守られていないということはあなたは渋々お認めにならなければならなかった、完全にという形容詞をつけながらも。守られている項目は一つもないのですから。そして、あなたはあくまでも、しかし和平協定についてそれが破壊されるような状態じゃないということでもってしのごうとしている。
 PKO法案が問題になって国会内で議論されたこのときの状況というものは、停戦の合意というのはどういう内容でしたか。PKO法案が討議された中で停戦の合意というのはどういう内容を停戦の合意と言ったのでしょうか。
#204
○政府委員(萩次郎君) PKO法で言っております停戦の合意というものは、紛争当事者がその停戦に合意をするという文字どおりのことでございますが、その一部に停戦違反があるという事実はもちろん認めざるを得ないわけでありますが、私どもはその基本的な合意の枠組みは崩れていないというふうに判断しております。
#205
○立木洋君 次長さん、あなた詭弁を使ってはいけない。PKO法の第三条に定義があるのです。「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意」なのです、停戦の合意というのは。いいですか。
 この問題について国会で議論になったときに、停戦の合意については五原則の第一項目、そしてこの第三条にこう書いてある。つまり「武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意」、これが停戦の合意です。こう明確に述べて、それを解釈して、武力紛争が現実に停止されているということとそれをまた維持するという当事者間の合意、はっきりとした合意、これが前提であります。
 私は、バリ協定のことを全部言うならば、それはあなた方がおっしゃるように、パリ協定の中には難民の問題もありますよ。それから人権の問題もありますよ。選挙の問題もありますよ。あるいは復興復旧の問題もありますよ、パリ協定というのは。しかし、停戦の合意というのは第九条で明確にされて、附属書二の第一条「停戦」、これが停戦の合意なのです。
 その停戦の合意がとれ一つ守られていないということは和平の枠組みじゃないのです。バリ協定云々でごまかしちゃいかぬのです、あなた。停戦の合意は成っていないのです。できていないのです。ちゃんとそういうことを政府は、停戦の合意とは何かと。武力紛争の停止、これが現実に停止されているということ、それをまた維持するという当事者間の合意がはっきりあること。ポル・ポト派ははっきり言っているじゃないですか。十二月の二十二日、この交戦区に無断で侵入してきた場合には責任を持ってその生命を保障できませんと。これは停戦の合意を守らないという趣旨ですよ。
 パリ協定云々については破棄されたというようなことはないでしょう。停戦の合意をすべての派が守る、この守るという状況を維持しますという合意が今どこにあるのですか。その合意がどうして証明できるのですか。おっしゃってください。
#206
○政府委員(萩次郎君) 確かに停戦違反はしばしば見られるわけでありますが、先ほどから申しておりますように、SNCの場においてもいかなる派も停戦の合意を破るということは明言をしておりませんし、またUNTACそのものも停戦の合意の枠組みが壊れたということは一切申しておりませんし、依然として枠組みは守られているというのがUNTAC自体の判断でもございます。
#207
○立木洋君 パリ協定で言われている和平の枠組み、バリ協定全体が吹っ飛んでしまったみたいなことを私は言うつもりはないのですよ。
 この問題についての停戦の合意というのはどういうことかということは、PKOの法案の中で極めて真剣に慎重に、それが憲法違反にならない原則の第一項目に掲げられた。だから、停戦の合意とは何なのだと。これはすべての派が停戦の合意をしていかなる場合でも紛争を起こさない、そしてそういう状態をずっと維持していきますということが完全に守られているという状態を停戦の合意というのだと、これは政府自身が説明してきたのですよ。
 政府自身が説明してきた内容を、今の事態になってくると、それは停戦の状態でないいろいろな武力紛争みたいなことが各地で何回か起こっているかもしれませんけれども、しかし持っていく結論は枠組みが崩れていないと言う。停戦を維持していくという四者、四派の合意が今どこで証明されるのですか。問題は、文書の上で問題をとやかく言っているのじゃないのです。現実にそれが守られているかという実態が必要なのです。
 戦争を開始するときに戦争を開始しますと宣言しないで戦争を開始することだってあったわけですよね、かつては。だから問題は、宣言するかしないか、文書がつくられているかつくられていないかという問題でなく、それを破棄するというふうに言わなくたって現実で破棄されておれば、実態的に破棄されておれば、それは停戦の合意が崩れたということになるのですよ。
 ですから、この停戦についてのどの項目も守られていないということは、日本語で言えば停戦の合意が破られているということじゃないのですか。どうでしょうか。
#208
○政府委員(澁谷治彦君) 確かに立木先生が御指摘になった諸点はございます。しかしながら、停戦合意が崩れるかどうかという点は紛争当事者の意思も判断の基準になります。これだけではございませんけれども。
 紛争当事者はバリ協定を守らないということは言っておりません。SNCの場では対話にポル・ポト派も常に応じております。その他の状況を考えますと停戦合意の枠組みは依然として崩れていないというのが私どもの判断でございます。
#209
○立木洋君 さっきも言ったように、私はパリ協定を守れないのだ、停戦の合意は破棄しますというふうに言わなくたって現実に破棄されているという実態が存在している、私はそう言いたいのです。
 確かに言っていないですよ。停戦の合意は破棄するとどの派も言っていないです。言っていなくたって現実に停戦と決められたこの項目、ここで先ほど私が提示した項目ですね、これ全部で「停戦」という第一条に出されているのは六つの項目があります。六つの項目のどれ一つも守られていないとあなた自身も認めざるを得なかった。だから、これが守られていないということは、停戦の合意の内容として掲げられている六項目についてはどの一つとして守られていないということは、現状としてそれが維持されていないのです。停戦を維持するという合意が事実上存在していなくなっている、破られているということなのですよ。
 あなた自身、どの項目も守られている条項を示すことができなかった。だとするならば結局、口では破るとは言わないけれども、主張はしなくても現実には破られているのではないですか。現実の認識はどうなのでしょうか。
#210
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、PKO法案審議の過程で私は国連局長をしておりまして、先生が御提起の問題につきましては当院及び衆議院におきまして本当に多くの時間が割かれて議論されたことは御承知のとおりです。
 例えばPKOの歴史を見た場合に、レバノンのPKOの問題が随分議論されました。それからキプロスのPKOの問題が随分議論されて、先生の党の御同僚の先生方もこの問題を、もちろん立木先生も提起されましたけれども、衆議院におかれても提起されたわけです。それに対しまして、レバノン及びキプロスの場合にも地域的あるいは時間的に局地的な停戦違反というものは確かにあったけれども、全体として見ればやはりこういう合意が成立していた前の時点と比べれば非常に事態は違う。まさにそういう中で国連の平和維持活動が行われたのだと、こういう議論を通じて法案の成立があったと思うのです。
 今般のカンボジアの問題につきましても、先生のおっしゃることはある点では理解はいたしますけれども、例えば三年前のカンボジア、四年前のカンボジアと今日のカンボジアの状況はやっぱり違っておるということは先生も認められると思うのですね。
 それは当事者が国連が主体となってつくったパリ和平協定を全体としては遵守しているというところが三年前、四年前と、これは平成三年十月に締結されたものですけれども、それと今日の事態が違うというやはりそこはそういう現実があるわけで、確かに一個一個洗っていきますと完全には遵守されていないものがあるかもしれませんけれども、今、国連局長の方からも申し上げましたとおり、依然としてポル・ポト派はSNCにも出てきておるというような状況、そして彼ら自身もこのバリ和平協定の全体の枠組みは遵守しているのだと言っているような状況。
 それからもう一つ非常に重要なことは、五原則というものを政府として提示し、かつそれを法案に盛り込む過程での私たちの考え方で一番重要な問題は、結局、憲法上の論議のいろいろな問題が出てくる武力行使というものに巻き込まれるあるいは武力行使をせざるを得ないような状況に立ち入らないための原則ということで、今日の施設部隊はまさにそういう状況に立ち至っていないということも逆に言えば停戦というものが完全に崩れてそういう武力行使の状況が出てきてはいないという、そういうところにも政府が全体としては五原則に抵触する事態には立ち至っていないという判断を示しておる、そういう状況ではないかというふうに考える次第でございます。
#211
○立木洋君 やっぱり丹波さん聞くにたえかねて出ていらっしゃったのですが、多少議論がかみ合ってきたと私は思いますよ。
 問題が二つあると思うのです。私はバリ協定が破棄されたとは考えていないのです。パリ協定と停戦の合意とは違うのです、内容は。バリ協定全体を私は言っているのじゃないのです。ですから、あくまで全体としてまだパリ協定がだめになったとか破棄されたとかということを結論を出せないというあなたの考えには私は賛成します、今の段階では。しかし、停戦の合意というのは違うのです。なぜ違うか。これは国連がPKOを派遣できるかどうかという条件と日本が国連の派遣したPKOに参加できるかどうかということは次元の違う二つの問題なのです。
 これはもう宮澤総理も明確に述べたように、この問題については判断にずれが生じることがあり得ると言っているのです。国連と日本と事態の判断にずれが生じることがあり得ると。その場合に第一義的に重要なのは日本国の判断だ、日本国の判断によって決定するのだと。停戦合意が崩れたらそれは撤退するのです。国連の判断じゃないのです。国連がPKOを派遣する状況が仮にあったとしても、日本から見て停戦の合意が事実上崩れておるならば撤退しなければならないというのがPKO法案のあなた方が説明した精神なのです。宮澤総理はそう説明したのです。
 それを国連自身が確認しておる条文に基づいてどのただの一項目も守られているというふうに説明できないということは停戦の合意が崩れているということなのですよ。バリ協定が崩れているというのとあいまいにしないでいただきたい。国連が参加するという条件と日本がそれに参加するかどうかという条件とを混同しないでいただきたい。
 その二点を明確にして、なおかつ政府が述べられたあのときの派遣の条件として停戦の合意というのは、武力紛争の停止、現実的な停止です。そして、それを維持するという紛争当事者間の合意です。これが現実にどこにあるといってあなたは根拠を証明することができるのでしょうか。
#212
○政府委員(丹波實君) 先生のおっしゃる、PKOを国連が派遣するというそのときにつけるいろいろな条件と日本がそういうものに参加するに当たってのいろいろな条件との間には差があり得ると、この点は私は何ら異論ございません。
 例えば現在のカンボジアにおきますPKO活動に安保理事会が追加的に武力行使というものをカンボジアのPKOの主要な任務とするというような任務の拡大を行った場合、自衛隊も含めて。その場合には日本の参加というものが国際平和協力法上できなくなるという仮定の事態を考えた場合にそれははっきりするのだろうと思うのです。それが第一点でございまして、その点はですから私は先生の論理には何ら異論はございませんということを申し上げている次第です。
 しかし、第二点といたしまして、現在の状況におきまして日本の施設部隊が国際平和協力法の枠内において依然として活動ができるというのは、逆に申し上げると、いろいろな局地的な対立その他はございますけれども、全体としてこの法律で言っておりますところの紛争当事者の停戦維持の大きな枠組みというものが崩れていないからこそ自衛隊は依然としてこの国際平和協力法の枠内で対応しているのだという、そのこと自体が全体の枠組みが崩れていないということを示しているのだと、私はそういうふうに理解しております。
#213
○立木洋君 だから、停戦の合意ということと全体の枠組み、パリ協定が設けた全体の枠組みとは厳密に区別しなければならないと私は言ったのです。あなたはそこをどうしてもごまかす。それをすりかえているのです。
 停戦の合意というのは、この第九条に述べられているこれが停戦なのです。その附属書第一条の「停戦」という項目で六項目。私がさっき指摘しなどの一つも守られていないじゃないですか。停戦の合意の内容がどの一項目でも守られているというならば根拠を示していただきたいと言ったら根拠を示すことができなかった。そしてこれを、停戦の合意が破られているのになおかつ枠組みがありますというのはパリ協定の枠組みなのです。
 日本がPKOのこれでやったときに、パリ協定の枠組みが崩れない限りなんというふうな条件づけていないのです、憲法に違反するかしないかの五原則については。明確なのです、これは。停戦の合意なのです。停戦の合意というのは武力紛争の停止、これが現実的に停止されている、そしてこれが維持されるということが完全に当事者間で合意があるということなのです。
 ポル・ポト派は、おれのところに来たら撃たれて死んだって知らないよと言っているのですよ。これでも合意が守られている、維持されているという証明になるのですか。十二月二十二日の文書、丹波さん、知らないことはないでしょう。
#214
○政府委員(丹波實君) 政府としては、何もきょうのみならず今日に至りますところの予算委員会の説明その他におきまして、局地的な停戦違反はまことに遺憾ではあるけれども、そういうことが起こっているということはずっと御説明の中で認めてきている次第でございますが、他方におきましてカンボジア全土が戦火に見舞われるようになっているとか全面的なポル・ポト派とプノンペン側との対立が起こっているかというと、そうでないことも先生はこれは認められると思うのです。
 ですから、このパリ和平協定の一項一項洗っていけばそれに必ずしも完全に対応しない現実というのはあるかもしれませんけれども、他方におきましてカンボジア全体の現実というのは、全面的な戦争が起こっているとかあるいはポル・ポト派がプノンペンに向かって全面的な戦争の命令を出しているとかあるいは逆であるとかということではないこともこれはもう先生認めていただけると思うのです。
 私たちはそういう全体を指して、平和協力法で言っているところの停戦というものは依然として全体としてはその枠組みは維持されているということを繰り返し申し上げてきている次第でございます。
#215
○立木洋君 あなたは今度、条約局長になっておられるので、この協定の一項目一項目やっぱり厳密に私は精査していただきたい。
 だから、私が先ほど澁谷さんにも言ったように、一項目一項目で大規模な戦争が、戦闘が起こったらなどというのは書いていないのです、不完全でも結構だと書いていないのです、そんなことは。停戦の合意には。明確なのです、これは。すべての敵対行為なのです。どんな敵対行為もだめだと書いてあるのです、いかなる敵対行為なのです。そういう条項が守られていないということは停戦の合意は守られていないということなのです。破られているということなのです。
 私はなぜこんなにこだわって言うかというと、政府はこの五項目の第一に挙げたのが停戦の合意なのです。この停戦の合意が守られておるから憲法には違反しないと言ったのです。そうでしょう、丹波さん。憲法に違反するかしないかというのが最大の問題なのですよ。その最大の問題の一項目に掲げられた停戦の合意というものが破られたらこれは憲法違反につながるということになるわけでしょう。そうしたら撤退しなければならないのじゃないのですか。
 これほど明快な条約上の解釈ですよ。それを条約局長ともあろうあなたがそういうふうな全体の枠組みが全体の枠組みかど言って、全体の枠組みに停戦の合意の一項目一項目が守られていないという実態をすりかえてはいけないよ。どんなにそれは言い逃れをしようたって言い逃れはできないのです、停戦の合意はどれ一つ守られていないのだから。守られていると言えるなら言っていただきたい。言えないでしょう。守られていないのです。
 そうするとこれは、守られているかどうかという問題が憲法の違反になるかならないかということを掲げて、五原則のどの一つでも守られなくなったら撤退します、憲法に違反するのだから撤退します、こういうことでPKOをあなた方は主張して通したのじゃないのですか。それが現実に守られていない。どの条項を見ても守られていないということが明確になっている。そうすると私は、これは憲法に反するか反しないかという最大の問題ですから黙って引き下がるわけにはいかぬのですよ。
 どうです、局長。条約上の解釈からしてあなたが言うならばどの条文かを示してその根拠を明確に示していただきたい。破られていないという根拠を示していただきたい。
#216
○政府委員(丹波實君) いかなるという言葉があるといって、先生にしても鉄砲一発撃たれたらそれで停戦違反だということは、先生もそこまではおっしゃっておらないと思うのです。
 要は程度の問題でございまして、私たちは、この一字一句を見た場合には全部が守られているかどうかは議論はあるかもしれませんけれども、全体としてカンボジアの現実というものをごらんいただけば、カンボジアの現実はやはりパリ和平協定が結ばれた以前とは違って全面的な戦争が行われているわけでもございませんし、全体としては関係当事者間の停戦というものは枠組みは維持されておるという考えでございます。
#217
○立木洋君 それは枠組みが守られていないといってあなたがここで答弁したら大変なことになりますから、それはあなたは口が裂けてもそうはおっしゃらないでしょう。だけれども、腹の中ではあなたは条約局長として条文の一項目一項目に照らして本当に停戦の合意が守られておると確信持っているかどうか。私は、あなたは持っていないと思うのです。
 一月二十五日のガリ事務総長の第三次報告をごらんになったっておわかりでしょう。プノンペン政府軍とポル・ポト軍との武力衝突など停戦違反がふえて同国の緊張が高まっていると言っており、さらに停戦違反という項目までつくった。最近、毎日の停戦違反の総数が増加しているというのでしょう。私は弾一発などというようなことでとやかく言おうとは思っていないのです。毎日起こっているのです。しかも、停戦違反という項目を立ててガリ事務総長が言っているのですよ。それでもなおかつバリ協定の枠組みが存在しているということで国連は努力しようとしているのでしょう。それは国連の態度です。しかし、日本がそれに参加するかしないかということはPKO法案の五原則ということで明確に限定したはずなのです。その五原則の第一項目が停戦の合意なのです。
 停戦の合意は、もう繰り返しません、この第三条で明確に規定されている。国会の答弁でも宮澤総理自身が言っている、国連の認識と違う場合があり得ると。第一義的には日本の国の判断を優先させるということまで述べている。そうしたら、ここで出てくる結論は、停戦の合意は守られていないのだから直ちにカンボジアから憲法に反するこの軍隊は撤退すべきである。結論は明確じゃないですか。
#218
○委員長(野沢太三君) 立木君、時間が参りました。
#219
○立木洋君 これで私は終わりますが、どうです、その最後のあくまであなたが枠組みは存在していると言う根拠をどこに置くのか。
#220
○政府委員(丹波實君) 今まで私たちが御説明申し上げてきたことにつけ加えることはないと思います。
 残念ながら私たちは先生とそこは見解を異にしておりまして、全体としては和平協定が作成された以前と以後では相当事態はやはり異なっている。全面的な戦闘というものが開始されたというふうに判断できる状態でもございませんし、このカンボジアの現在の状況で武力行使というものを伴わなければ任務を維持し得ないというような状況にも立ち至っていない。そういう意味で、全体としてこの五原則、この法律というものの枠内で対応できる状況というものが依然としてある。そのこと自体が逆に私たちは和平の枠組みというものが依然として壊されていないということを示しておるというふうに考える次第でございます。
#221
○立木洋君 きょうは終わります。
#222
○磯村修君 今度の法案、在外公館の法案につきましてお伺いしたいのですけれども、この提案理由の説明の中に「在チェッコ日本国大使館以外は近隣国の大使館が兼ねて管轄するものであります」と書かれております。このいわゆる兼館と言われている公館ですが、これは六十七カ所だそうですね。それで、こういう兼館というのはどういう理由でこういうものが置かれているのか、お伺いしたいと思い、ます。
#223
○政府委員(林貞行君) 兼館の数は御指摘のように六十七でございます。現在、我が国が設置している大使館は全部で百七十七でございますので、兼館の数は約三八%ということになっております。
 兼館とは、実際に事務所を設置することなく近隣国の大使をして兼任せしめるものでございますが、次のようなメリットがあるわけでございます。
 まず、相手国の了解を得て兼館を設置し大使が信任状を奉呈するということによりまして、我が国の外交使節が相手国により正式に接受されて両国の外交関係が調うということになります。それから公式の外交チャネルの設定ということによりまして先方政府とハイレベルにおいて安定した緊密な関係を保つことができる。そういうことによって必要に応じて機動的に相手国に働きかけることができる。これは邦人保護の場合も含みますけれども、そういうことができるということでございます。
#224
○磯村修君 兼館というのは実際にはそこに人は配置されていないということですね。そうしますと、非常に国際情勢がこういうふうに動いている中でもって人がいないということは、実際問題としてそういう兼館を所轄している大使館からは大体どの程度の間隔でもって兼館のところの国へ行って活動しているのでしょうか。
#225
○政府委員(林貞行君) 兼館国といいますと大使館員を実際に常駐させていないわけでございまして、御指摘のように、近隣の親公館の大使及び大使館員が出張して視察してくるということでございます。
 兼館は数多くございますので実際にどのくらいの頻度でということはなかなか言えませんが、例えばけさほどから議論になっておりますモザンビークにつきましてはジンバブエが兼館しておりますが、この一年に五回館員の出張がございます。
#226
○磯村修君 兼館のあるところに行っていろいろな活動をするのにその程度のことで果たしていいのかなというふうな感じもするのですね。実際は人がいて活動することが一番好ましいことでもあるし、一番適切なるものであると思うのです。特にこういう国際情勢という中で非常に敏速に情報収集をしたりしていくためには、やはりそれだけの機能を果たしていかなければいけないと思うのです。
 そういう意味からいっても、兼館が多いということはそれだけ国際情勢を把握していくための情報の収集等いわゆる在外公館が行う機能を十分果たすことができないのじゃないかというふうなことが考えられるのですけれども、将来こういう兼館というものはふやしていくのか。人員を何人かそこに常駐させるあるいはそこに頻繁に行かせて活動させるというふうなことは将来的な考え方としてはいかがなのでしょうか。
#227
○政府委員(林貞行君) 情報収集という観点からいえば、先生御指摘のとおり、実館があるに越したことはないわけでございます。そういう意味におきまして、中期長期の問題として兼轄公館を実館化するということが望ましいのじゃないかという先生の御指摘であるかと思います。
 私どもとして兼館が必ずしもいい姿とは思っておりませんが、いろいろ行財政事情というものがございまして、そういうものを見ながら実館をどういうプライオリティーを持って置いていくかということを考えていきたいと思っております。その間におきまして近隣公館、親分館からの出張をさらに頻繁にするとか、それから必要に応じて本省からの人を出すとか、そういうことでカバーしていきたいと思っております。
#228
○磯村修君 例えば今、PKOの問題を抱えている地域では特に人の常駐ということが必要であろうと思うのです。モザンビークとかソマリアとかというところもやはり人が常駐していなかったというふうな点でなかなか状況把握ということも難しい面があっただろうと思うのですけれども、これまでこういう地域、特に問題を抱えている地域の情報収集というのはどういうふうな形で行われているのですか。
#229
○政府委員(林貞行君) これは先ほどから申し述べていることの重複でございますが、親公館からの出張、それから本省からの出張、それから特に必要な場合には関係各省を含む調査団の派遣、そういうことで全体として把握に努めておる次第でございます。
#230
○磯村修君 モザンビークの場合なんかを考えた場合、こちらから本省から調査団を編成して行っているわけですね。やはりそれ以前にそういう状況が生じている地域については手早く状況を把握するということが大変それ以後の行動についての判断材料として大事なことだと思うのです。本省からそういう情報収集団を派遣しなければそれができないというところに私はもう一つ問題があろうかと思うのですけれども、そういう状況のためになかなか判断しにくい面がある。
 こういう点を解消していかなければいけないと思うのですけれども、いかがですか、機動性という問題について。
#231
○政府委員(林貞行君) 御指摘の点も含めて念頭に置きながら、行財政事情がございますものでそういう枠内で私どもとしては最大限の努力をしていきたいと思います。
 先ほど、親公館からの出張それから本省からの出張、調査団と申し上げましたが、また非常に多くの場合に親公館における情報収集というものも可能でございまして、そういう点でも補完している次第でございます。
#232
○磯村修君 それでは、モザンビークのPKOにつきましてお伺いしたいと思うのです。
 今回のこの地域でのPKOについては既に部隊を派遣するということが決まっているようですけれども、これは五十人程度の部隊だと言われているのですが、規模は大体どの程度になるかということはおわかりになりますか。
#233
○政府委員(澁谷治彦君) 当初の国連の計画では七千五百名程度でございます。
#234
○磯村修君 いや、日本からの部隊です。
#235
○政府委員(澁谷治彦君) 失礼しました。
 これはさらに国連と調整する必要がございますけれども、五十名程度の規模になると思われます。
#236
○磯村修君 私は、PKOに参加していくということにつきまして我が国としては、既にいろいろなPKO協力法の論議が行われてきたそれを十分に踏まえながら、そしてまた今、初めて経験しているカンボジアでの評価というものを得ながらこれからのPKOへの参加というものを検討していくべきである、こういう考えを持っているのですが、今回の場合、いまだにカンボジアでのPKO活動の評価というものが明確に出されていないまた定かでない中でもってこういうモザンビークヘの派遣というものが政府によって決定されている。こういうことはちょっと既成事実を性急に積み重ねていっているのではなかろうかというふうな懸念もあるのです。
 外務省としては、今行われておりますカンボジアでの日本のPKO、これをどういうふうに評価しておりますか。
#237
○政府委員(澁谷治彦君) カンボジアのUNTACに参加いたしました我が国の要員の活動は国連側からも非常に高く評価されておりますし、我が方におきましても一般的に国民の理解は得られているというぐあいに判断いたしております。
 特に今回のモザンビークにつきまして、日程がおくれた、つまりPKOの展開がおくれたという事情もございますけれども、国連側が日本側の態度決定を待ってくれたのは、カンボジアにおける我が国の要員の活躍を高く評価している、それゆえにモザンビークにも出てくれないかという気持ちを国連側は内々に私どもに漏らしているところでございます。
#238
○磯村修君 確かにカンボジアの例をとりましてもいろいろな意味合いにおいて評価があるのですけれども、私はただ自衛隊の派遣ということだけによっていわゆる国際貢献ということを考えているとすれば、これは少し一方的ではなかろうかと思うのですね。やはりああいう紛争地域あるいは紛争の終わったところに行きますと、非常に民生面での手助けをしなければならない問題が幾つもあるわけです。そういう課題を幾つも抱えているのですね。
 そういう問題を今度のモザンビーク等において、部隊を派遣すると同時にそういう民生面での何か手助けはなかろうかということを外務省なりでもって検討なされた経緯はございますか。
#239
○政府委員(小原武君) モザンビークにつきましては、PKO活動以外にも経済協力などの面でかねてから貢献をしてまいってきております。その背景には、モザンビーク一国のみならず南部アフリカ全体において占めますモザンビークの重要性ということを勘案してやってまいっているわけでありまして、内戦状態にあった国にしましては我が国のODAとして相当量のものがこれまで行っているわけでございます。
 一例を挙げますと、九二年度の対モザンビーク経済援助といたしまして約五十億円のものが行っておりますし、また国連機関その他国際機関を通ずる貢献としまして約十億円の貢献を行っております。
 したがいまして、国内の安定をにらみながら、今後、経済復興、経済開発への協力というものが進んでいくというふうに考えております。
#240
○磯村修君 今度のモザンビークヘのPKO参加について、宮澤総理あるいは官房長官等は大変慎重な姿勢をとっていたというふうに私は受けとめております。それはなぜかと申しますと、カンボジアでのPKOの一定の評価を受けた上で考えていきたいというふうな趣旨のことを述べられております。
 それだけ非常に慎重な姿勢を示している中で、こういうふうに調査団が派遣されて帰ってきて報告を受けて間もなく派遣を決定したといういきさつの中には外務省がモザンビークヘのPKO参加を非常に先行的にやっておったというふうなことも一部に伝えられているのですが、その辺はいかがですか。
#241
○政府委員(澁谷治彦君) それは確かに昨年の十二月、モザンビークのPKOについての安保理の決議が成立した段階から私どもは何ができるかを考えておりましたけれども、自衛隊の派遣というのは外務省だけではもちろん決定もできませんし実施をすることもできません。そういう意味では関係省庁等と御相談しながら何ができるかを検討してきたところでございます。
#242
○磯村修君 伝えられるところによりますと、モザンビークの次にソマリアとかあるいは旧ユーゴということが控えているのですけれども、一部には、このPKO協力法を緩和して、そしてさらに強固な活動への参加ができ得るように対応していきたいというふうなことも考えられているということが伝えられている面もあるのですね。そういう意味合いからいったら、例の平和執行部隊をめぐる論議が聞かれる中でもってさらにそこの先へ参加していくということになってまいりますと、大変PKOへの参加というものは歯どめがなくなってしまうのじゃないかというふうな懸念も国民の間にはあるわけですね。
 そういういわばPKOの歯どめということから考えた場合、これから先のことを外務省はどう認識しておられるか、お伺いしたいのです。
#243
○政府委員(澁谷治彦君) まずソマリアの問題につきましては、目下のところ我が国の要員の派遣については具体的な検討は行っておりません。今後、国連の方からそういう要請があった段階で国際平和協力法における諸条件を初めとするいろいろな要素を考慮しながら検討をしていくことになると思います。
 それから国際平和協力法の見直しにつきましては、一応既に現在の法律で期限が決められておりますのでそれに従うということで、ソマリアに要員を派遣することが可能になるように現在の法律を変えていくということはございません。
#244
○磯村修君 ともかく私、先日もここの席で言ったのですけれども、やはり初めて経験しているカンボジアでのPKOというものを完成させると言ってはちょっと変かもわかりませんけれども、そういうものの評価を得た上でこれから先のPKOというものを慎重に考えていくべきである。そこに国民的な合意が得られる道筋があろうかと思うのですね。ですから、次から次へ拡大していくということは国民の側から見ると大変これは心配になる種であって、やはりそこには慎重さという、ものをもっと持ってほしいということを願わざるを得ないわけです。
 平和協力ということはいわゆるPKO協力法に基づくところの自衛隊の派遣だけではないわけでありまして、そのほかいろいろな民生面での問題があるわけですから、そういう方面への積極的な参加ということもぜひ考えながらこれからのPKOというものに対処してほしいということを期待して、質問を終わります。
#245
○武田邦太郎君 きょうは在外公館の情報収集あるいは処理あるいは発信等についてお尋ねするわけでございますけれども、情報というものは、先ほど来の委員と外務省の担当者のお話のやりとりを見ても、同じ事実に対する情報が考え方あるいはその立場によって非常に違うということが明瞭であります。
 国連中心主義ということが流行言葉になっておりますけれども、国連のあり方自身が、例えば安保理常任理事国が拒否権を持っている、これは明らかに国際民主主義に反しているわけです。あるいは核兵器は自分らは持つけれどもイラクや北朝鮮には持たさない。こういうことも公平に考えれば、まず我々が何年計画で核兵器を廃絶するからイラクも北朝鮮も持つなというならばこれは我々も承服します。しかし、今の態度はどうも多くの国を承服させることはできないではないか、こういうふうに思います。
 何とかしてこの百八十の国が共通の世界理想といいますか物差しを持ちませんと、せっかく進んでいる情報手段がかえって混乱をもたらす心配がある、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#246
○政府委員(鈴木勝也君) ただいま御指摘のございました常任理事国の問題あるいはNPT条約上の核兵器国と非核兵器国との違いというようなものにつきましては、これはお言葉を返すようでございますけれども、情報の問題とそれから情報を踏まえての政策の問題という二つに分けて御議論いただいた方が適切ではないだろうかという気がいたします。
 私どもが主として責任を持っておりますいわゆる情報の分野におきましては、これは評価をもちろん加えることは加えますけれども、何よりもまず客観的な事実は何かということを把握するところから始めるわけでございまして、常任理事国とそうでない国とがあって発言権がおのずと違う、あるいは核兵器国と非核兵器国とに同じ条約の中で分かれているということを是とするか非とするかということは、しょせんこれは国際社会の平和と安定をいかにして効果的に維持していくかという政策の問題ではないかというふうに感じております。
#247
○武田邦太郎君 それは私の舌足らずでありまして、常任理事国のあり方についてはそれでいいと言う人もおりましょうし、いかぬと言う人もおりましょうし、現在の国際的な協定のもとでは少なくとも現実はその線において進んでいる。いろいろな考え方があると思うのですね。私が申し上げているのは、そういういろいろな考え方によって情報の発信の仕方あるいは情報のつかみ方が変わるだろうという一例に挙げただけで、おっしゃるとおりです、それは。決して反対ではありません。
 そこで、どこの国でも共通に持てるということは、世界が文明の進歩によってだんだん一体化する、国境が薄く低くなる、こういう歴史的な傾向をとらえまして共通に考え得ることは、この地球世界から平和的、民主主義的な手法によって戦争と貧困を、すぐではありませんけれども、解消する方向に国際努力を、協力を集めていく、こういう考え方には多くの人が反対はしないだろうと思うのですね。どうでしょうか。
#248
○政府委員(鈴木勝也君) まことにおっしゃるとおりでございまして、そういう点は我が国の外交の基本的な目標としても見据えているところでございます。
#249
○武田邦太郎君 そういうことで、外交ということは過去の日本においては各国と日本とのいわばおつき合い、平和にやっていくとかあるいは何らかの意味で協力するとかということが中心でございましたけれども、今日では個々の国といわゆる外交をやるというよりもむしろ世界政策とも言うべき方向が外務省の重要な任務になりつつあるのではないか。
 例えばODAにしましてもPKOにしましても、いわゆるこれまでの外務省のお仕事の枠をはみ出るというのはちょっと言葉が変でありますけれども、いよいよなすべき任務の範囲なりスケールは拡大しつつある、外交政策というよりもむしろ世界政策の主体を担うべき官庁となりつつある、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#250
○政府委員(鈴木勝也君) もちろん従来と同様、二国間の外交というものは引き続き重要性を有するだろうと思います。しかし同時に、先生御指摘のとおり、世界の流れがどちらの方向へ向いているかということを、例えば地球環境の問題など非常に典型的な例だろうと思いますが、そういった世界の流れというものをできる限り迅速に察知して望むらくはそれを先取りして政策を打ち出していくということのためにも、耳を長くして常に情報をキャッチするように努力するということが必要であることは御指摘のとおりだと思います。
#251
○武田邦太郎君 いや、誤解なさらないように。
 私が言っているのは、外務省がその守備範囲を広くすることに賛成なのです。何とか広げてほしいのです。外務省の予算がわずか七千億であるとか人員が五千人もいないとか、こういうことはこれは外務省としては言いにくいことかもしれませんが、外務大臣はこの次の総理になられるかなられないかわかりませんけれども、そういう人が大臣におられるのですから、少なくともこれから先の外務省の重大な役割に照らしてしかるべき予算と人員を整備する。ことし来年というのじゃありませんよ。今後数年あるいは十年の大計においてそういうことをやはり国民世論に訴えるということが大事ではないかと思うのですね。いかがですか。
#252
○政府委員(林貞行君) 御指摘の点はまさにそのとおりだと思います。
 私ども、定員につきましては千人計画というものを持っておりまして、大臣・副総理の御指示も得て、査定当局の理解を得るように努力しております。予算につきましても同様に頑張っていきたいと思います。
#253
○武田邦太郎君 それはぜひそうお願いしたいのですが、そうとなればいよいよ先ほどからの情報でありますけれども、情報を集め整理し発信する場合の姿勢は、人類共通の良識なり国民の多くの考え方に即して情報というものに当たらなきゃならぬわけであります。
 その基本は、先ほども御賛成いただきましたように、近い将来に地球世界から戦争と貧困をなくすることを民主主義的、平和的手段によって実現する、そういう路線に従って情報を整理するという方向がぜひ望ましい、こう思いますが、どうですか。
#254
○政府委員(鈴木勝也君) おっしゃるとおりだろうと思います。
 私どもといたしましても、本省、在外公館を含めまして、例えば紛争の火種になるようなものというのがどこにあるのか、これは紛争の予防という観点からも非常に大事だろうと思いますが、そういう火種のようなものをできるだけ早く察知する、それからまた国際的な共同行動に結びつけていくようにイニシアチブをとれればそれにこしたことはないわけでございまして、その点につきましては御指摘のとおりだろうと思います。
#255
○武田邦太郎君 そういうことが徹底すれば、先ほど来の質疑応答も非常に今よりもずっと筋の通ったものになる可能性が生まれてくるのではないかと思います。
 いずれにしましても、私どもの実感からいえば、外務省が世界にわたる情報収集なり処理なり発信の主体となるわけでありますけれども、現実問題として通産省あたりがつかんでくる国際的な情報あるいは農業関係ならば農水省のつかんでくる情報を比べますと、どうも外務省がつかんでこられる情報に比べてどちらが豊富で現実的であるか。これは例によって立場によって評価は違いましょうけれども、少なくとも私なんか農業畑の人間でありますけれども、農業に関しては農水省の情報の方が我々農業関係者から見ると利用価値の高いものが多いように思うのです。
 これは御判断が違っていいのですよ。いいのですけれども、世界が一つになって共通の理想を探究する人類の目標なり手法なりは決まっておるわけでありますから、例えばウルグアイ・ラウンド一つつかまえましても、私なんかウルグアイ・ラウンドについては外務省の態度が正しいと思っておりますけれども、しかし願わくは農水省の情報と外務省の情報が共通路線において国民に提示されるということになれば国内におけるいたずらな混乱といいますかが少なくて済むと思うのですね、絶無にはならぬまでも。
 だから、日本農業の前途を決定するある意味の重大な関門がウルグアイ・ラウンドに対する姿勢でありますけれども、こういうことについて何か外務省と農水省との間に情報の収集処理について連携をとるようなお考え、これは外務省だけに希望するわけではありません。農水省にも希望しますけれども、何か混乱の起きないような、情報の統一と言うと言葉はよくないですけれども、反対して混乱することのないようなそういうことをお考えでないでしょうか。
#256
○政府委員(鈴木勝也君) 厳しい御指摘をいただいたわけでございますけれども、もちろん完璧にというわけにはなかなかまいりませんが、例えば在外公館の場合をとってみますと、これは何も外務省の出先というだけではなくて日本国政府全体の出先ということで多数の省庁のアタッシェの方ももちろん館員としておられるわけでございまして、それぞれの分野について各担当の館員が情報を収集する。これはまず当該在外公館のレベルでお互いに突き合わせて、何が一番確度の高い情報かということを当然審査しているわけでございます。さらにそれを、報告を受けました本省におきましてもあるいはその関係省庁におきましてもまた評価分析をしているわけでございます。
 外務省のウルグアイ・ラウンドについての情報に比べると農水省の情報の方がいいという点も、確かにそれは個々のケースをとってみますとやはりもちはもち屋的なところがございますからそういう面も出てくるかと思いますけれども、私どもといたしましてはできる限り日本政府全体としての評価をどうつけるべきかということでやっている次第でございます。
#257
○武田邦太郎君 それは私も幾らか承知しております。私の親友なども農水省からアメリカに行って外務省の方のアタッシェとして活動したのもおりまして一応事情はわかるのですけれども、そういう中で依然としてさっきから心配してお願いしているような事態があるわけです。
 だから、本当に外務省、農水省、通産省、各担当省庁が総合的な全体的な立場に立ってやられれば、別のところから持ってきた情報も期せずしてうまく一つにコンビできるということになるのではないかと思うのです。現在の仕組みはよくわかるのですけれども、それでもなお各省としての立場というものがあってどうも混乱しているのが現実だと思うのですね。それでお願いしているわけでありますが、まずそういうことでお伺いします。
#258
○政府委員(鈴木勝也君) 御指摘のとおり、情報というものは、釈迦に説法になりますけれども、ただとってきただけでは意味がないわけでございまして、関係者の間で共有をしてそこから共通の評価分析というものを生み出すということが大事なわけでございます。
 現状が満足のいくものでないということは私どもももちろん十分承知しておりますけれども、今後につきましては関係省庁間あるいは日本政府全体の中でできるだけ情報の共有を深めていくという方向で努力させていただきたいと思っております。
#259
○武田邦太郎君 ぜひそういうふうにお願いしたいと思います。そうなるためにも、最初申し上げたように、いかにも外務省の予算と人員が非常に窮屈な中で非常に御苦労なさっているということがもう一番大きな問題だと思うのですね。
 ですから、本当に質のいい情報を全体的に欠落のない形でキャッチするにはどうしても、現在の方が能力云々というのじゃなくて、能力の高い人が十分の予算を使って活動なさるということが大事でありますので、外務省の要求などは私どもから見ると非常に遠慮がちなことになっていると思いますけれども、これは思い切って国民の前に必要なものは必要だということで要求されることをお願いいたします。
 終わります。
#260
○堂本暁子君 まず大臣、お越しくださって早速ですけれども、松永政府代表がエリツィン大統領との会談を終えて帰国されて直接の御報告もいろいろとお受けかと存じますが、私たち大変今のロシアの情勢、不安な要素がたくさんございますが、大臣は今後のロシア情勢についてどのような見通しをお持ちでいらっしゃいましょうか。
#261
○国務大臣(渡辺美智雄君) テレビ等で一番早いニュースを皆さん方一緒に傍受をしておるわけでございますが、本当に予断を許さない状況にある。幸いなことに、エリツィン大統領もハズブラートフ議長も解任はされなかったようであります。あれが解任されて、しかもそんな決議は認めないなんということになるともっとさらに混乱状態になっちゃうのでしょうが、その点は一応、一山越したというか一難去ったというかどういう言葉がいいのか知りませんが、混乱に拍車をかけることが少し弱まったということは言えるだろうとは思います。
 我々としては、言うまでもなくエリツィン個人というよりもエリツィン大統領が進めている改革路線はこれは大いにバックアップをしていかなきゃならぬし、エリツィンさんにかわる人といったってそういう人は今のところいないわけですから、したがってエリツィンさんを結果的には支持しているということになってもそれはやむを得ない、仕方ない当然のことだろう、そう思っております。したがって、このエリツィン路線というものが瓦解しないように国際社会においてみんなが共通した考えの中で、日本としてもそれは国際社会の一員としての義務は果たしていきたい、そう考えています。
#262
○堂本暁子君 けさほどから在外公館の法改正についていろいろ審議をしてきているところですが、在外公館が非常に手薄と申しますか、今、武田さんからもお話のあったように、大変人数も足りない予算も足りないという中で、やはりNGOの果たす役目というのは大変に大きいと思っております。大臣もNGOという言葉はもうよく御存じだと思います。きょうはNGOの問題を中心にいろいろ伺いたいと思っているのですが、カンボジアの農薬援助とNGOの関係について伺います。
 先日、予算委員会でも農薬の問題については伺ったのですが、これは局長に伺いたいのですが、カンボジアでNGOの活動はいつごろから始まったと外務省では認識していらっしゃいますか。カンボジアにおけるNGO活動、大体何年ごろからというふうに思っていらっしゃいますか。
#263
○政府委員(川上隆朗君) 現在、カンボジアにおきましては、先生のおっしゃる民間援助団体、援助に携わっているNGOという御趣旨だと思いますけれども、少なくとも幾つかの、五つや六つ、もっと多いと思いますけれども、NGOがかなり活発に活動されているということは十分認識いたしております。
 ただ、いつごろから始められたのかということについてはちょっとつまびらかにしておりません。
#264
○堂本暁子君 一九七九年にヘン・サムリン政権が発足した直後からというふうに聞いております。そして、イギリスのOXFAMですとかその他アメリカやドイツ、フランスの大きいNGOがたくさん参加しております。今、五つか六つとおっしゃいましたけれども、現在の数は大体百のNGO、常駐しているNGOが六十ぐらいだということです。そして、九〇年にCCC、コーポレーション・コミッティー・フォー・カンボジアが結成されて定期的な三者協議、カンボジアの政府ではないですがSNCと、それからあと国連、ユニセフとかそういった国際機関、そしてNGO、その三者の協議が続いているそうです。
 私、たまたまそのリストをいただいたのですけれども、例えばありとあらゆる子供の問題とかそれからエデュケーションだとか健康だとかいろいろなのがあるのです。ここに実に一体幾つあるのでしょうか、恐らく二十五ぐらいのプロジェクトがありますけれども、NGOと、それから月に一回ずつぐらい何時からどこでということも書いてあるのですが、そういう三者協議を続けているということです、現地で。
 それで、きょう伺いたいのは、カンボジアのそういったCCC、この百ぐらいのNGOの委員会が在プノンペンの今川大使に十二月十八日に農薬の問題で申し入れ並びに提言を行っていることは御存じでいらっしゃいますか。
#265
○政府委員(川上隆朗君) 先ほど私、五つ六つと申し上げましたのは日本で活発に活動しているという趣旨でございまして、もちろん各国のNGOはたくさんあるというのは十分承知いたしております。
 それから今、先生、国際機関等いろいろな立場での活動をやっている団体間の協議というものがあるということをおっしゃいましたが、先般のカンボジア復興閣僚会議、去年六月に行いましたけれども、我が国の主催でございますが、ここでもNGOの連合体でございます今のCCCをまさに日本に、オブザーバーでございますが、呼んで会議を行った経緯がございます。それからその後も各ドナー国、国際機関等との意見交換というものをこの国際会議のフォローアップとしてもう何回も、数度にわたりまして行っております。
 そういう活動が行われて我々との間に緊密な関係があるということは十分承知いたしております。
#266
○堂本暁子君 CCCの方も、東京で去年行われましたカンボジア復興援助についての会議に四人の方が出席されて大変好意を持ったと、主催国である日本に好意を持ったということです。
 ただその席で、今後カンボジア復興援助について二国間援助の場合も、今申し上げましたセンターでの国際機関あるいはNGOとの三者の話し合い、そういったものとドナー国が連携を深めることによって仕事を進めるということを確認したとNGO側は了解しているということなのですね。日本政府としてはいかがでしょうか。
#267
○政府委員(川上隆朗君) 今申しましたように、UNTACの復旧部門がカンボジアにおけるドナー間の援助調整というものを行うということが東京宣言で宣言されてございまして、これを受けましてUNTACやUNDPが主催するドナー会合が開かれている。そこには私の理解ではNGOも出席して常時意見交換が行われていると。
 つい先般も、たしか三月の末だったと思いますけれども、会合が開かれて私どもの方の課長が出席したといったような経緯もございますけれども、そういう形での意見交換が続いているというふうに承知いたしております。
#268
○堂本暁子君 五月の選挙が終わりましたらば、また日本が議長国になって会議が開かれると聞いております。その場合にやはりまた前回と同じようにNGOの参加を認めるかどうか、そのことはいかがでしょうか。
#269
○政府委員(川上隆朗君) この問題は実は直接私の所管の問題ではないのですが、先般もいろいろ協議をいたしまして、出席国とも協議をして、オブザーバーの資格でNGOの代表の組織でありますCCCから御出席いただいた、先生おっしゃったように、何人かの方が来られたということでございますので、この前例を前提にしながらまた会議を行うことになれば話し合いをするということになると思います。日本は議長国ですから、それなりのインワルエンスはあるということだろうと思います。
#270
○堂本暁子君 それはぜひかっちりお約束いただきたいというふうに思います。
 と申しますのは、NGOの方は、先ほどのことに話が戻りますが、現地でもって日本大使館に十二月十八日に提言もし、それから一月十二日にさらに申し入れ文書をお渡ししているけれども、それに対して日本政府からの誠意ある回答がない。もう今度は日本が議長になったときはNGOを無視するのではないかと。そして、大変大きいNGOの委員会ですけれども、日本に対して不信感を抱き始めたというふうに、これは内外のNGOかも両方から聞いております。これは日本にとって大変望ましくない問題だと思うのですね。ですから、やはりNGOに対してきちんと対応していただきたいというふうに思うのです。
 きょう、はっきり次の会議もNGOの参加を認めるということを伺ったので大変うれしいのですけれども、その場合、やはり今回の農薬援助については大変日本を出る前からいろいろ問題があったためかなかなか応じていただけない。そして、地元ではもう十七年ぐらい農業のことをやっているNGOがたくさんいるわけですから、日本が本当に安全なのだということが証明できるのであればぜひそのことをNGOの人たちは一緒に話し合っていきたいという希望を持っているわけですけれども、どうも日本政府はこのNGOの件については今のところ応じていない。これは現地では大変強い要望になっていますので、これから対応していただけますでしょうか。
#271
○政府委員(川上隆朗君) 我々は、カンボジアの農薬の件につきましては従来から基本的にNGOとのいろいろなレベルでの対話は少なくとも当地東京においては行っているつもりでございますし、先般来もこれはNGOの一つでございます日本ボランティアセンターが主催したシンポジウム等にも我が方からも積極的に出ていろいろな意味での直接的な対話を行っているつもりでございます。
 今、先生のおっしゃった現地カンボジアにおけるそのような対話が行われているかどうかということ、私ちょっと資料等詳細を今、持ち合わせておりませんけれども、可能な限り前向きの方向で対話を行うということはこれは当然のことじゃないかというふうに思っております。
#272
○堂本暁子君 私、ここにその一月と十二月の申し入れ書は持っておりますけれども、最初のものは提言なのですね。こういうふうにした方がいいのではないかということでいろいろ、調査をぜひ日本政府がNGOと協力して、米とか野菜に使う安全で適切な植物性の殺虫剤及び害虫を特定した化学殺虫剤に関する情報を集める、そういった仕事を一緒にまずやってほしいという提言ですとか、そういうことを言っています。
 こういったものに東京では対応していらっしゃること、私もそのシンポジウムのあったこと存じておりますが、現地でぜひ、外国のNGO、これの代表になっているのもほとんど、JVCも入ってはいますけれども、大半は、九割方は外国のNGOです。その人たちに対して日本の農薬が安全なのだと、そして局長がお書きになったように、ODAに対して補完的な立場でNGOが仕事をするということもあるわけですから、やはりNGOとそういった協力的な関係を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#273
○政府委員(川上隆朗君) 農薬につきましては、基本的に我々カンボジアに今回供与した農薬は我が国の農薬取締法でも安全評価を確認されているものに当然のことでございますが限定しております。我が国といたしましては、こういう安全性を確認された農薬ですけれども、しかしながら農薬についてはいかに適正量を適時に最小限使うのかというあたりが一番の今の国際的な議論のポイントになっているというふうに存じておりますので、そういう方向でNGOとの間の対話をさせていただきたい。
 恐らくNGOと言われでもいろいろな御意見の方がいらっしゃいますものですから、もちろん農薬を使うことがもともと全くだめであるという立場の方もいらっしゃるかと存じますし、その辺の基本的な我々の姿勢としては、やはり今回の農薬を供与する目的というものが世界の最低水準にあるカンボジアの農業生産、特に米の生産を上げるということが今、焦眉の急務であるという前提に立っての議論でございますので、その辺を御理解いただいた上で我々の対話をやってまいりたいというふうな基本姿勢でおる次第でございます。
#274
○堂本暁子君 非常にお米がとれない、貧しいということがある中で、田んぼの魚ですとか昆虫、そういったものも食べている。それがたんぱく質として栄養になっているということなのですけれども、農薬をまくとそういった魚ですとかその他、虫の類なども死んでしまうわけで、今度は家庭の栄養に有害な影響がある。例えばそういった農薬の汚染ということも考えられるかもしれません。そういった面で多角的な調査が必要だと思います。
 それから日本で基準を満たしているということが必ずしも南の国、既にインドネシアで大量発生というのが、インドネシアだけじゃないですね、これに書いてあるのはインドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムで既に集中的な殺虫剤の使用後に大量発生が出ているというようなことが報告されていますので、やはり日本では適用できることが南ではできないのだという実例があるわけですから、その辺をお考えいただきたい。
 そして、外務省はこれから訓練をするというふうにおっしゃっているわけですが、そういった訓練やトレーニングというものが今申し上げたような二つの問題、大量発生の可能性とそれから必要なたんぱく源までもなくしてしまうというようなことには役立たないと思うのですけれども、その訓練によって一体何が得られるわけでしょうか。
#275
○政府委員(川上隆朗君) 先生、ウンカ等のお話だと思いますけれども、大量発生についてまず言及されたわけでございますが、その点につきましては、今回の農薬の供与というのは量的には三十五トンということでカンボジアの全耕地面積の一・七五%をカバーするにすぎないものでございます。カンボジア側は、これを使うに当たってもかんがい設備が整っていて害虫の発生しやすい乾季に限り使用するということで、しかも使用の目的は限定的、治療的、害虫が発生してからしか使わないということを明確に言っているわけでございます。
 近隣の諸国の例を今、挙げられましたけれども、我々の少なくとも得ている数字では、カンボジアの場合は農薬の年間使用量というのはここ数年六十トン、これは統計が整備されていませんので明確に正しいのかどうかわかりませんけれども、六十トンから八十トン程度というふうに言われておりますが、近隣のタイ、フィリピン等では一万五千トン以上使っている。これは大量投入ということが言えると思うのです。
 しかし、カンボジアの場合は二けた三けた違うということでございますので、注意深くなければいけないことは絶対確かだと思いますが、直ちにこれによって生態系が変わって、例えばインドネシアで一回発生した、名前は忘れましたが何とかウンカというウンカ類の発生というもののようなことがカンボジアに起こることは我々の理解するところ非常に可能性として小さい。リスクはそれは、もう絶対ないということは何事についてもないと思うのですけれども、非常に小さいというふうに考えております。そういう前提でもって慎重にカンボジアに対して供与をする。
 次の問題は、今、先生が御指摘になった訓練の問題だと思います。要するに供与はしたけれどもこれを十分まさに安全に使用できなければ、散布できなければしょうがないわけで、そこの点につきましては、しかしながら一方ではやはりカンボジアは今申しましたような形で農薬を使っている歴史はもちろんあるわけでございますから、全然その知識がないということはない。そういう前提のもとで農業省とこれからまさに環境問題について十分慎重な対話をやりながら安全な散布をしてもらう。
 これは先ほど一・七五%と申しましたが、一ヘクタール当たり一リットル一年に一回まいて大体そのぐらいになるわけですね。したがって大量散布ではないので、にもかかわらず何か問題が出てくればそこで直ちにやめるといったようなことでやっていくということが大事なのではないか。
 その散布方法についてはFAO、それからIRRIという国際稲研究所ですけれども、というようなところが現地におりますので、そういうところの専門的な意見も聞きながらやってまいりたいというのが我々の基本姿勢でございます。
#276
○堂本暁子君 単に向こうの農業省だけではなくて外国のNGOにもぜひ対応していただきたいというお願いと、それから二国間のバイラテラルな援助というのは日本がトップを切っているようでございます。あとの国は大体五月に選挙が終わってからということのようですので、やはり日本がそういったNGOや何かと一緒にやっていくという、そういったモデルケースになるかならないかというふうに外国の人たちも見ているということです。
 日本はNGOの頭を越えて、今まで十七年間もNGOが一つのバランスをつくってきたそれを日本が壊しているのではないかというふうに私は外国の人から聞きました。それは大変望ましくないことですので、やはり必要な対話は時間がかかってもやる。大使館の館員は足りないかもしれませんけれども、やはり日本政府の誠意を示すこと、さもないとそれがイギリスヘ飛び火し、アメリカヘ飛び火し、ドイツ、フランス、みんなそれぞれの国に日本は誠意がないというふうに言われるわけなので、そこをぜひよろしくお願いしたいと思います。
 そして、先ほどのスリランカのダム、私ちょっと資料を見ていましたらば、サマナラウェアダムのことですけれども、国際専門家パネルは既に何か調査を終えているようで、日本がグラウチングの処理をしたその右岸に原因があるというふうに言っているのだそうです。そこを今度は崩して、そしてその下の今度は地下というか底ですね、湖の底にブランケットみたいなものをつくるということだそうです。
 そういたしますと、ここに三十二億からの注入をしたわけですね、三十二億六千四百万。これはもう全くむだになってしまったという感じがするのです。やはり私どもタックスペイヤーとしてはそういうむだな使い方というのは大変問題があると思いますので、最後に外務省にどうしてもこのことはきちっと御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#277
○政府委員(川上隆朗君) サマナラウエアの件でございますが、事実、けさほども申し上げましたように、調査委員会ができて、調査委員会は一定の結論を出しつつあるというふうに我々は理解しておりますけれども、最終的な結論が出てそれが政府の名前で我々に伝わってきている状況ではないというふうに私は承知いたしております。ちょっと突然の御質問でしたので、ちゃんと調べる暇がございませんで申しわけございませんけれども、そういう状況と認識しております。
 したがって、今後サマナラウェアダムの今の水漏れがある部分を一体どういうふうに手当てするのか、どういう対処方針で臨むのかというのは、けさほど申しましたように、そのいわばファインディングに基づきまして我々は基本的に考えたい。
 その場合に何と申しましても、先生おっしゃいましたように、今までやりました我々の工事がもちろんむだになるというような方向ではない。できる限り、可能な限り最大限ダムが利用されると。ダム自身の安全性が危ない場合にはそれはまた別でございますが、我々が聞いているところ幸いそういうことではないというふうに伺っておりますので、それでは何らかの形で手当てする。非常に不幸なことにこれが石灰岩質という大変複雑な地層だったために、ボーリングを何回やっても、それからボーリングの結果生じた欠陥を、今、先生御指摘になったグラウチングで処理したわけですが、にもかかわらずそのグラウチングの深さが十分ではなかったというようなこともあってなお水漏れが続いているというような事態のようでございます。
 そこで、その水漏れが何に起因しているのかということを探し出すのが一番のポイントなわけですが、とりあえずは、今おっしゃったように、ブランケット処理といって土砂を湖底に沈めてそれでふさいでしまうというような方法を考えているやに伺っております。ただ、その点についてはもうちょっとはっきりした調査結果が出て、我々がそれについて通報を受けてから慎重に検討させていただきたいと、かように考えております。
#278
○堂本暁子君 終わります。
#279
○荒木清寛君 大臣に国連改革についてお尋ねをいたします。
 国連が誕生しましたのが昭和二十年の十月二十四日でありましてもう四十数年が経過をしておりまして、その間に地球を取り巻く状況が全く大きく変わっております。冷戦も崩壊をしておりますし、環境問題が地球的な課題となってきているわけであります。周りの情勢が変わったわけでありますから当然国連も大きく変わらなければいけない、新しい国連をもう一回つくる、そういった決意でこの国連改革に取り組んでいく必要があるというふうに私は考えております。
 総理もかねてから国連の役割の重要性を指摘されておりまして、国連機構改革の検討の必要性と、そういうことをおっしゃっております。
 そこで、大臣にお尋ねいたしますけれども、七月の東京サミットにおきましてもこの国連改革を大きなテーマとして取り上げるべきだというふうに私は考えますが、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
#280
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国連ができた当時と今では世界の情勢も違うし、国の数も違うし、それから今言った環境問題等の影響の大きさも違うし、もうがらがらと違ってきているのですよ。したがって、国連に非常に信頼性と実効性を持たせていくためには改革しなきゃならぬ、大体そういう空気は加盟各国にあると思います。思いますが、それは国連の場で常時討議されることであって、サミット七カ国だけで協議しちゃうということにはちょっとなじまないのじゃないか。したがって、サミットでこれを取り上げるという考えは今のところ持っておりません。
 しかし、その必要性は荒木委員のおっしゃるとおり非常に重要だと、それは同じ認識でございます。
#281
○荒木清寛君 安保理の構成見直しの件についてお尋ねいたします。
 言うまでもなく、国連の役割というのは加盟国の行動を調和していくためのシステムという点にあると思いますけれども、この点、現在の国連の状況ということにおきましては、安保理常任理事国を中心としました一部の先進国に国連が主導されているのではないか、そういう根強い批判があると思いますし、私はそれは基本的には妥当であるというふうに考えております。そこで、国連自身につきましても民主化に向けての改革、そういう視点が必要だと思うわけであります。
 ところで、国連の事務総長に対しまして各加盟国は本年の六月末までに安保理の構成見直しについての意見書を文書で提出するということになっているようでございます。そこで、この提出する文書の内容といいますか、安保理の改革についての大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
#282
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも今おっしゃられたように、各国が安保理の組織のあり方について持ち帰って検討してそれぞれ意見を出してくることになっています。だから、それを検討した上でどうするかを決めるのですが、我が国にとっても目下検討中ということで、まだ時間もございましてはっきり結論は出ておりません。
#283
○荒木清寛君 大臣個人としては特にこの点、御見解はございませんか。
#284
○国務大臣(渡辺美智雄君) 特別個人としてはありませんが、事務的に考えられることがあれば局長から答弁させます。
#285
○政府委員(澁谷治彦君) 安保理の議席数を幾つにするかとかあるいは常任理事国を幾つふやすかと、こういった点については我々の態度はまだ決まっておりません。
 ただ、私どもが注意しなくてはならないのは、民主化という観点に余り重点を置き過ぎると国連の信頼性と実効性が失われる可能性がある、そこをうまく調和していく必要があるというのが私どもの基本的な態度でございます。
#286
○荒木清寛君 次に、対日支援についてお尋ねをいたします。
 ミッテラン、クリントン両大統領のコメント等を見ておりますと、お二人についてはエリツィン個人を全面的に支援をする、そういうスタンスが非常に強いというふうに私は感じております。
 この点につきましてはいろいろな意見がありまして、先ほどもおっしゃったように、エリツィン以外に改革を推進できるリーダーはいないという指摘もありますし、その一方で、特定の個人を全面的に支援するということは内政干渉にもつながりかねないし逆に反対派を敵に回すことになる、余り好ましくないという意見もあれば、あるいはエリツィンの役目はもう既に終わったのだ、彼は革命家であって、共産党の支配を終えんさせるそういう時点でもう役割は終わったのであって、これから必要なのは建設者タイプのリアリストであると、そういう見解もございましていろいろな見方があるわけでありますが、この点、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#287
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもうちょっとこういうところでしゃべると、マスコミがいっぱいおりましてすぐに電波に乗ってヨーロッパへ行っちゃうのですよ。渡辺外務大臣はこう言ったと、だれかが必ずそれで何か言われますから、下手にどうだこうだ言えない。
 原則論的に言えば、要するに一国の運命はその国の国民が決めることであって我々がどうこうすることじゃないということでございますが、しかし我々は共産主義と対決して何十年間やってきたわけですから、共産主義体制というのはここで崩れて、そして人権が尊重され法と秩序が守られて、それで法と正義の外交を展開するとかスターリンの行き過ぎを認めるとかいろいろエリツィン大統領は言っているわけですから、その改革は我々のかねて主張しておったところと同じことですから、したがってこれは支持すると言ってもそれは一つも内政干渉にも何も私はならぬし、だからそういうふうなやり方は支持すると。今のところそういうことを言っている偉大なリーダーというのはエリツィン大統領しかいないということも事実です。
#288
○荒木清寛君 最後に、大臣に死刑廃止条約について一言御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 先般二十六日に、死刑の執行が約三年数カ月ぶりに再開されたということが明らかになっているわけであります。私個人としては、生命尊厳という立場から死刑には反対でございます。これは究極的には国内法の問題ではありますけれども、ただ平成元年の国連総会で死刑廃止条約が採択され、同三年七月には発効している、そういう状況がございます。
 先進国の状況を見ましても、先進国で死刑制度を維持しているのは我が国とアメリカの三十六州だけであるというふうにも言われております。ヨーロッパ諸国には我が国に比べて治安がよくないところもあるわけでありますけれども、そういうところでも死刑を廃止しているわけでありまして、どうも我が国の姿勢は国際的には説得力に欠ける点があるのではないかというふうに考えているわけでありますが、一言、大臣の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#289
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国際規約の第二選択議定書の採択というのはあったのですが、しかし実際条約に加入しているということになりますと、私の聞いているところでは十四カ国、世界でまだ一割ぐらいしか加入していないというように承知をいたしております。
 死刑制度があった方がいいか、ない方がいいか、これは議論の多いところでして、ともかく手当たり次第に人の人権は無視する、人を扼殺してもいいのだというような人もそれはもう死刑にはならないよということがいいのか、これは問題のあるところだと私は思うのです。
 ただ、人道的に言えば、それは捕まっちゃった以上はどんな悪いことをした人でも、何百人、何万人殺した人であっても死刑はするべきじゃないということばかりもなかなを言えないし、しかし人権は尊重するという気持ちはわかるし、私はこの前の予算委員会がなんかでも、どっちにもその理由はありますなということを言ったのですが、あなたはどうですかと言うから、私は決めかねているのはいると。心は六対四ぐらいなのだけれども、それは言わずにおいて、ともかく今のところ大臣としてはどうだということは差し控えておいた方がいいでしょう。
#290
○荒木清寛君 ありがとうございます。
#291
○猪木寛至君 大臣にお伺いしたいと思います。
 先ほどの質問の中で、外務省における情報収集能力というか、随分各委員からも意見、質問が多かったと思うのです。私も、去年ソマリアとそれからまた先日エチオピア、そしてジンバブエ、南アフリカ、モザンビークと回りました。例えば、こういう出先機関がない状況の場合、兼轄というのでしょうか、こういう状況の場合、情報能力がないなんて言うと外務省から怒られますけれども、間違っても認めるわけにいかないと思うのですが、しかし現実における今の状況というのは非常に多様化してきている。
 それから先ほども指摘がありましたが、外務省の人員の問題あるいはお金の問題、こういうことで、足らないのはわかるのですが、実際に本当の問題は何であるか。
 今、ソ連の問題も大変混迷してきています。私も何回かソ連に行った折に、こういう状況というのは何年か前にある人から予想を言われたことがあるのですが、またカンボジアにおける状況も国連サイドから見るこういうふうにしたいという気持ちはわかるのですが、現実にそこで起きている問題というのはまた別であると。そして今回、モザンビークにおける調査団の報告も見ました。まさに国連あるいはそこにかかわる人たちの意見というのは私も同じてしたが、やはりこういう紛争の問題というのはその国民自体が理解して本当に平和に向けて歩まなきゃいけない部分であると思うのです。しかしながら一方、表向きの顔と裏と違う。今回、RENAMOという反政府側に対しても非常に政府側が不信感を持っている。今も何回かごの会談をボイコットしている。こんな状況が続けば選挙は当然行われないだろうと。事実その状況がおくれつつあるということも新聞でも報道されております。
 そこで今、大臣として、この状況、私の方も具体的に言わなきゃいけないかもしれませんが、モザンビークにおける問題は、大使館が本来やるべき仕事を日本の商社の人たちが、国連に対してであったりあるいは向こうのイタリアの大使であったり、そういうものを全部根回ししているというのが現状です。これにはやはり調査員のお金の問題、いろいろな問題を含んでいるわけですが、その辺の問題は大臣のところに正確に上がっているのでしょうか。そこをちょっとお聞きしたいと思います。
#292
○国務大臣(渡辺美智雄君) あそこには日本の大使館もありませんし総領事館もありません。ジンバブエの大使館が兼轄しているということなので情報に多少疎いというところがあるかもしれません。
 したがいまして、今度のPKO派遣問題等に絡みましても、何かそれにかわる向こうの政府とよく連絡がきちっとつけられる身分、資格のある者をともかく臨時的に常駐させようということがあるのです。どの程度つかんでいるかということになりますと具体的に何をと言われても私は一々お答えはできませんが、担当局長からお答えさせます。
#293
○政府委員(小原武君) 先生御指摘のとおり、実際にそこに大使館がある、常時そこで物を見ているという場合と兼館で隣国から見ている場合にかなりの差があるということは否定できないことであろうと思います。
 しかし、そういう中にありまして最善を尽くしているつもりでございまして、ジンバブエの大使館の中にモザンビークのことを半ば専念して見る館員を張りつけてあるわけでございます。それからモザンビークが在外に持っている大きな大使館、例えば国連でありますとかワシントンでありますとか、そういうところとの関係もよくして常時情報交換をするということで情報入手に鋭意努めているところでございます。
#294
○猪木寛至君 もう一つだけ。
 それと、今回は予算でもうたわれていますが、とにかく文化交流もこれは大事である、評価していくということになっております。
 たまたまモザンビークにはシーラカンスという大変珍しい生きた化石がおりまして、この化石を日本の学術研究者が何回か日本に持ってきたいという話をしたのですが、なかなか実現しなかった。今回、向こうの首相と話したときに、とにかく顔の見える貢献をするためにもモザンビークをもっと日本に知らしめる必要がありますよということでこれを日本に持ってくる話をいたしましたら、オーケーをしたわけじゃないのですが、快くぜひそれには賛成したいということで、決定いたしましたらまた政府の方の協力もお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。
#295
○立木洋君 きょうは時間が五分ですから、PKOの問題をめぐってまた大臣にゆっくり質疑ができる時間を私はとりたいと思っておりますが、この間モザンビークにPKOを派遣した問題について、私たちはもうこれは反対だと言ったのは大臣御承知のとおりですが、モザンビークの情勢認識ですね。今、同僚委員も言われましたけれども、これは私も非常に重要な問題じゃないかと思うのです。つまり派遣をするのに反対だとか賛成だとかという立場を抜きにして、情勢をどう見るかということは一つはっきりさせておくことが私は必要だろうと思います。
 御承知のように、十六年間にわたって内戦が続いてきたわけですね。そして、去年の十月四日に協定が合意しました。ところが、その二年前からローマでいろいろ話し合いをやっていたのだけれども、なかなか曲折があったのですね、これは。そして、十月の四日にいわゆる和平協定が実現したけれども、その後に大規模な戦闘が起こっているのです。ですから、この問題については今度のこの合意の内容をどう見るかという問題点としてよく考える必要があるだろうと思うのです。
 それからもう一つの点は、和平協定ができてから半年間で武装解除をして、そして軍隊を統合して三万の軍隊にするというのをほぼ六カ月間でやろうという内容だったのが、それは全く今、武装解除も何もできていない。それで、四十九の地点に集合すると言ったけれども、九つの地点が決定されただけでどの一つの地点にもまだ集合が開始されていない。これは現地の情報によると、双方とも自分に有利なようにと、自分の軍隊にとって有利なように集合地点なんかの問題も考え合って取引が続いて、駆け引きが続いてなかなか定まらないというふうな状況等もあるのですね。
 それから地雷なんかも大変な、二百万個の地雷が存在しているというようなことも言われておりますし、これの撤去も進んでいない。結局これは報告書の中でも、両者の間でのいわゆる不信感というのが存在していると。これも現地に行かれた同僚議員の猪木議員の話を聞いても、両方の間での不信感というのはなかなか根強いものだというふうなことも述べておりました。
 それで今、PKOが幾つかのところに派遣されておりますけれども、これじゃなかなかうまくいかない。私は、内戦に関するかかわり方というのは、いわゆるそこで武力、武装部隊を統合して集合させて、そしてその武装解除が進行するかしないかということがある意味では重要なポイントになっているだろうと思うのです。
 御承知のように、アンゴラの場合には和平協定ができてから大統領選挙までやって、武装解除もするという話もあったのだけれども、実際には武装解除が進まないで戦闘が再開されたのですね。だけれども先ほどのお話では、そういう内戦が再開される状態、そういう可能性は極めて少ないという判断を局長が言われたのですが、アンゴラでああいう事態になっているのにモザンビークの事態では極めてそういう条件が少ないなどというふうなことはどういう根拠で言えるのだろうか。
 先ほど言われたように、あそこは大使館もないわけですから十分に状況もつかめていない。それから調査団が派遣されていきましたけれども、現地で調査した期間は六日間です。モザンビークの面積というのは日本の倍以上の面積があるのに、こういうところを六日間で調査したと言われる。それは一定の調査はできたかもしれないけれども、本当に情勢の正確な把握という見地からできたのかどうかという問題なんかもどうしても疑問が残るわけです。
 それで今、御承知のように、PKOの問題というのはきょうの午前中もいろいろ議論になりましたけれども、いろいろとやっぱり変化が出てきている。力に頼らない国連というのはもう時代おくれだというふうな議論も、御承知のように、ユーゴの事態から起こってきている。ソマリアみたいな状況も新しい展開として出てきている。そういう問題が存在している状況の中でなぜ急いで自衛隊を派遣するというふうにしなければならなかったのか。
 もっとあそこは飢餓もあり貧困もあり人道的な救援も必要だというふうなことが問題になっているわけですから、PKOの一つの内容としては。だから、そういう面に援助の手を差し伸べるというふうなことも考えて、当然もっと情勢をよくつかみ、本当に憲法の問題について我々は違反になるというふうに思っているわけですけれども、そういう国連自体、PKOの内容自体が変わり得るという可能性があるのですから、そこらあたりの問題で、急いで自衛隊を派遣するというのは私たちとしてはどうしても同意できない。根本的には憲法の問題での我々の賛成できないという問題がありますけれども、今回のやり方自体を見てもやっぱりどうしても問題が残るという点は厳しく指摘しなければならない点じゃないかと思うのです。
 ですから大臣に、情勢についての認識と、急速自衛隊を送る、人道的な救援ではなくて急速自衛隊を送るということに踏み切った根本的な考え方というのはどこにあったのか、この点についてのお答えをいただいて、私の質問を終わります。
#296
○国務大臣(渡辺美智雄君) 理屈を言えば、送るというふうに急速踏み切ったわけじゃなくて、送れるように準備を始めたということは事実ですよ。
 問題は、これは十六年間も内戦が続いたと。そのとおりで、このまま放置しておけばいつまでだって続いていくかもしれない。また、あと五年も十年も続くかもしれない。しかし、もうみんな嫌気が差してきたと。そういうところへちょうど国連が中へ入って、やっとその十六年間の内戦をやめて曲がりなりにも停戦合意ができて、それで皆さんがそれを守ろうと、こう言い出したわけですから、これをまただめだ、信用できない、もう少し様子を見ようということがいいのか。せっかくそこまで言ってきた。十六年間も踏み切れなかったことをとうとう踏み切ったのだから、だからそれをともかく、多少それは承知しない人だっているでしょう、それは一〇%や二〇%はいるかもしらぬ。いるかもしらぬが、それをともかく抑えてでも説得してでもまとめていこうというのが国連の立場ですよ。
 そういうことで、既にもう一部のPKOは入っておるし、たまたま日本に対してもおくればせながら、配車係というか、輸送部隊のある程度のミドルマネジメントというのかな、それで配車して命令するわけですから人数は少なくても大丈夫だ、まだ間に合うということであって、日本は国連の報告しか広がっていませんしするので一応その裏をとると言っては何だけれども、本当にそうなのかねということもやっぱり日本人の専門家によって確認しておきたいということもあって調査団を派遣した。
 ところが、その限りにおいてはこれはPKOを派遣するに何ら支障になることはないと。ほかの国も出るといって出てもおるということでもあるし、たまたまアフリカは、確かにモザンビークというのは日本から遠い国ですよ、地球の後ろの方だからね。何の関係あるのだ、日本と関係ないじゃないかと。むしろ関係あるところだけ日本は行くというのか、関係ないところでも国連がやるというのなら人道的な問題もやるというのかという、これは考え方の問題ですよ。
 そして、この人道的援助、援助と言ったって、また食糧だけ送って、医者だけ送って、しかし内乱は続くかもしれないという状態に置くのか。それよりも治安をまず確保して、武器をちゃんと供出させてそれで平和にして、そこで産業も起こして手伝う。自分たちが自前で、自前という言葉はどうか知らぬが、自助努力、自分で食べていけるように自分たち国民が働くという援助をしていかなければいつまでたってもやり切れるものじゃないのですからね、これは。
 だから、そういうことで総合判断した結果、行く方向で準備をスタートさせたと。ちょっと長くなったが、そういうことでございます。
#297
○磯村修君 先ほど外務大臣、ロシア情勢について御答弁がありましたけれども、エリツィン大統領解任に至らないということで一難去ったということでありましたですね。そうした中で、先進七カ国あるいは欧州共同体がエリツィン大統領を東京サミットに招くことを決めているということで、エリツィンさんの支持というものを強く鮮明に打ち出しているということが言えると思うのですけれども、そうした中で日本もいよいよ国際社会の一員としてそれなりの支援に取り組んでいかなければならないでしょう。
 ここで私、一つお伺いしておきたいことは、何か経済支援というふうな話の中で、今まで対ロシア外交の中で行われてきた北方領土の交渉というものがあったのですけれども、最近この話がどこへ行ってしまったのだろうかというふうなことが一般的な受け取り方であろうと私は思うのです。そこで、きょうは一つだけ大臣に、これからの経済支援と北方領土問題、これをどういうふうに理解したらよいのか、一言伺いたいと思います。
#298
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう北方領土問題は北方領土問題です。
 御承知のとおり、もう言うまでもありませんが、日本国有の領土であって、国際法的にも実態的にも、帝政ロシア時代からスターリン時代にも何らクレームのついたことのない日本国有の領土ですから、しかもスターリンは終戦後、北方四島に米軍がいないことをたまたま奇貨としてそいつをのそのそ上がって占領しちゃって不法占領状態が現在続いているということでございますから、これは平和条約を結ぶに当たってはきちっとけじめをつけなければ日ロの平和条約は結べないと、これは私は当然だと思うのです。国境を画定しないで平和条約を結んだ例がないからね。だから、それはそれとして我々はどこまでもさらに要求をしていくということです。
 しかしながら一方において、今までのように北方四島即時一括返還、それができない限りはロシアとはもう友好的な交際はできませんということを言っていった方がいいのか。しかし、ソ連時代は今までのようにソ連がやっちゃった時代であって、新しい新制ロシアは要するに法と正義に従って国際問題を解決する、スターリンの間違いは間違いで認めていくと。ヨーロッパにやったようなことが日本に対しても極東においても実施されるならば、ソ連邦時代と全く同じ考え方というのもいかがなものかということであって、我々はそこで北方四島一括即時ということはちょっと和らげまして、そして二国間の問題についてもそれは拡大均衡でお互いに譲り合いながら、いろいろ国の事情もあるでしょうから多少時間がかかってもそれでやっていきましょうと、今そういうふうに変わっているのですよ。
 変わっているのだけれども、北方四島は日本のものであるから返してもらうのだよということは絶対にこれは曲げることはできない。
 ただ、それでは時間がかかるじゃないかということを言われますから、それは要するにがらっとロシアの体制が共産主義体制をかなぐり捨てて変わった体制になって我々と同じ価値観でやるというのだから、その体制がひっくり返ることは困ると。それは自由陣営はみんなそう言っているわけですから、日本も有力な自由陣営の一員としてそれに乗りますよと。
 北方四島はあるけれども、しかし国際社会の一員としてそれはやはり分相応の、要するにイギリスやフランスやみんなほかでやるというようなことは、彼らはうんと近い同盟国関係にあるのだから、しかしそれに近いぐらいのことは我々はやりますよと。戦時中の同盟国家ですからね、あれは。我々は違うのだから。違ってもできるだけのことはやりますということで今までもやってきているわけです。
 したがって、今後もよく話し合いをしながら、それは拒絶するものではありませんという姿勢で進みたいと思っております。
#299
○磯村修君 もう一つ、東京へエリツィンさん参られますね。その際、今の北方領土問題にも触れられますか。
#300
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはまだ決まっていない話でございまして、要は今度のサミットにつきましてはエリツィン大統領を呼ぶことはこれはもう通知しましたから、電報もここにあるのですが、大変向こうから感謝もされまして、それで参りますということにはなっております。その前に外相・蔵相会議についても適当な人を差し向けますということになっております。
 したがってこれは、サミットの問題どこの二国間の問題は日本国としてはリンクさせない。要するにその問題をサミットで、二国間の問題、領土問題ですね、領土問題を冒頭持ち出せば少しこんがらかっちゃいますから、これはこれで別な問題にしたいと、そう考えています。
#301
○磯村修君 終わります。
#302
○武田邦太郎君 今、世界で六億の飢えた民がいる、最近一年に千七百万人の子供が飢え死にしている、こういう報道があります。こういう状況を戦乱状況が一層加重している。その戦乱の背後には民族問題、宗教問題が沸騰している。
 こういう現在の地球上の飢えたる民の問題は深く平和問題とかかわっておる状況でありますけれども、これをどういうふうにタッチしたら効果的に助けることができるのか。かつて農林大臣もおやりになったし、今外務大臣で近く総理にもなられるかもしれない大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#303
○国務大臣(渡辺美智雄君) 開発途上国については、今もお話ししたのですが、要するにともかく社会保障的に生活保護のように日本とか先進国が幾ら援助をしたって、それじゃ永久に援助し続けられるのかと。これはサミットで私が大蔵大臣の時代にドイツとアメリカとの、あのときはシュミットさんですかね、それからレーガンさんと大激論があったのです。
 我々と同じような社会保障、年金とか医療とか、それから学問の水準、教育水準ですね。我々が逆立ちして、先進国が全部一緒になってもう国民に大増税をして世界じゅうの国にやったからといってこれはできるはずがないだろう、実際問題として。限界があると。やはり自助努力で立ち上がってもらう以外にない。我々は、したがって援助というのはどこまでも臨時的なものであって、もう開発途上国が立ち上がってもらうための潤滑油であり指導でなければならぬ、それが根本だという議論がありましたよ。私も全くそう思っているのです。
 したがって、例えば適地があり適作があるとするならば、やはりそれにかんがいをしてやったりそれから道路をつくってやったり技術指導をしたり、そういうことをやって自活の道を与えるということが非常に大事だと。したがって、大いに今後も我々は農業技術協力というものを現地のニーズや状況に合わせて極力進めていきたい。そういう点で武田先生のような専門家の意見を大いに拝聴していきたいと考えています。
#304
○武田邦太郎君 今おっしゃるとおりだと思いますが、とりあえず飢えたる国に食糧を援助する、それと並行してみずから生産し農業を発展させて食べていくようにすると。これはどこまでも原則論でそのとおりだと思いますけれども、もう一歩、現在先進国と言われている国はほとんどすべてかつては途上国を支配し搾取して今日ある国ばかりでありますから、そう余り偉そうなことばかり言わないでかつての罪滅ぼしの意味も含めて、途上国の経済がせめてテークオフ、やっと自立する、どうかすれば先進国にとってもいいマーケットになるかもしれないそういう国々の発展をどこまで援助するかというのは、できる範囲でしかできないわけでありますけれども、考え方としてはそういうことが望ましいのではないか。
 もう一つは、今、農業援助なんか随分ちゃちなもので、あんな零細な協力隊で効果的な食糧増産はできるわけがないと思いますが、もっと効果的にやるには少なくとも何千人単位ぐらいの思い切った農業振興援助隊をつくって、これは農業だけでなくて、林業が地球環境の問題についても非常に大事な問題でありますが、林業をめぐればこれは途上国と先進国とが完全に対立してストックホルムからリオデジャネイロまでけんかし続けておるわけです。そういう状況に対してももっと効果的な組織的な援助ができないか。
 これは日本なんかは自衛隊の数が減ってもそういう平和応援隊をつくって、先ほど立木委員のお話もありましたけれども、戦乱状況が起こったら直ちに引き揚げる、戦乱状況が完全になくなれば大部隊がたっと行って応援する、こういうようなこと、半分夢のように聞こえるでしょうけれども、これをやるかやらぬかが直面する地球世界の混乱状況に一つの大きな対策になり得るのではないかと思うのですが、いかがですか。
#305
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大部隊というのは何を大部隊でだれをやるのか、農業部隊をやるのか
#306
○武田邦太郎君 農業部隊ですね、農業あるいは林業。
#307
○国務大臣(渡辺美智雄君) 農業部隊をやるのかよくわかりませんが、やるにしても技術者をやることで労働者をやるわけじゃないと思いますね。だから、農業技術者をやるわけですから、もう大部隊の必要は私はないのじゃないか、小部隊でもそれは済む話だろうと。
 それからよく近代農業とかいって日本的な農業を開発途上国へ持っていっても、ただトラクターを持っていったりいろいろなものを持っていって圃場整備もできていないところで動くわけがないですからね。コンバインもトラクターも動かぬですよ。やはりその土地に合ったことをやってやらないと失業者は救われないわけですから、それはやはりその情勢に合ったようなものを持っていくと。
 また、だんだんに生産性を上げることは大事でしょうが、そうするとその次に来るものは、あなた方から金を借りて教わって農産物をつくったのだけれども、何で買ってくれないのだと、こういう問題が出てくる。厄介な問題が必ず出てくるわけですから、援助をしてたくさんつくらせるというからには、じゃ余ったものは買う用意があるのですかね、その買う用意のない人は言う資格があるのかねと、こう言われちゃうわけですね、今度は。なかなか難しい問題がある。
 しかしながら、少なくとも食糧不足の状態にあるようなところは、自活できるぐらいのところまではこれは応援しなきゃならぬ、そう思っています。
#308
○武田邦太郎君 もう終わりますが、前半は賛成ですが、後半は見解の相違ですね。そういうことはあり得ないです。
 終わります。
#309
○委員長(野沢太三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#310
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#311
○委員長(野沢太三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#312
○委員長(野沢太三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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