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1993/03/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第2号
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1993/03/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第2号

#1
第126回国会 法務委員会 第2号
平成五年三月二十六日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     藤江 弘一君     鈴木 省吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片上 公人君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                真島 一男君
                竹村 泰子君
                猪熊 重二君
    委 員
                斎藤 十朗君
                鈴木 省吾君
                服部三男雄君
                平野 貞夫君
                山本 富雄君
                大脇 雅子君
                深田  肇君
                矢田部 理君
                石原健太郎君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
   政府委員
       法務大臣官房長  則定  衛君
       法務大臣官房会  永井 紀昭君
       計課長
       法務大臣官房司  濱崎 恭生君
       法法制調査部長
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省矯正局長  飛田 清弘君
       法務省保護局長  杉原 弘泰君
       法務省人権擁護  筧  康生君
       局長
       法務省入国管理  高橋 雅二君
       局長
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務  仁田 陸郎君
       総局経理局長
       最高裁判所事務  島田 仁郎君
       総局刑事局長
   事務局側
       常任委員会専門  播磨 益夫君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成五年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成五年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管及び法務省所管)
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片上公人君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 去る三月二十三日、予算委員会から、本日の午後半日間、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 裁判所及び法務省関係予算につきましては、去る二月二十三日に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○深田肇君 深田肇でございます。
 先般、大臣の所信表明を拝聴いたしたのでありますから、本来ですと所信に対して質疑を行いながら予算委員会の委嘱を受けてやるのが一番いいんだろうと思いますけれども、どうも予算委員会の現在の進行状況の結果だと思いますが、委嘱審査が先になってしまったようで、私どもにとっては不自然だと思います。どうもこういった状況は遺憾だと思いますけれども、そのことを一応申し上げた上で、具体的な項目一、二大臣に御質問しながら所見を例えればありがたいと思います。
 今国会の政治的な焦点は、何といいましても政治改革に関するものだというふうに思います。そういう意味から、法務・検察行政について大臣に一、二御質問をしてみたいというふうに思います。
 国民の側からしますと、政治不信、検察に対する不信は極に達しているというふうに見られておったのであります。最近になって、まあ全体的に驚いたことでありますが、金丸信前自民党副総裁が逮捕されたり起訴をされたような状況の中から、国民の検察に対する信頼回復を少しずつ呼び戻しているんだろうというふうに思っている次第でございます。
 そういう観点から、先般、大臣の所信を拝聴したり、その後またゆっくりと読ませていただきまして、第四の課題の人権擁護行政についての項目で、大臣は「人権の擁護は、憲法の重要な柱であり、民主政治の基本」であるということを大変積極的に表明されたことに対して、率直に申し上げますが、前任の大臣の場合は、同じような文章なんでありますけれども、「憲法の重要な柱の一つであり、」とわざわざ「一つであり、」が入っておりまして、今度の後藤田法務大臣は、その「一つであり、」が切られておるわけであります。大変人権擁護を強く指摘されているというか、お考えになっているんだというふうに感じているわけでありまして、大変評価をいたしているところでございます。
 同時にまた、出入国管理行政の充実強化については、先般の参議院の予算委員会などの報告などを読ませてもらったところによりますと、その際の発言におきまして大変積極的な発言をされ、このこと自体また高く評価をしながら大臣の指導性に信頼を置いているような次第であることをまずは申し上げておきたいと存じます。
 そこで、私ごとに近いことになるかもしれませんが、こういうふうに大臣のお話をしながら思ったのでありますが、思い起こせば自衛隊が初めて掃海艇として海外に出動するという話がありましたときに、いわゆる政治家後藤田さんは、国論がちょうど二分したときでありましたが、アジアの国民とのこれまでのことと、これからのことをよく考え合わせて深く考慮して行うべきことであろうというようなことを報道で知りました。大変意味深い発言をされたということを知って、そのときから大変な感銘を受けておったわけでありまして、私どもの標語で申し上げますと、まさに日本国憲法の精神である平和、民主主義、人権、これに対して、後藤田大臣が高い認識なり見識をお持ちだということを感じておりまして、敬意を表しておきたいと思う次第でございます。
 そういう立場から、大臣、先ほど申し上げましたように、最近の国民が日本の今の政治に対して大変な不信を持っている、こういう状況の声とか行動というものはもう物すごいものが盛り上がってきているというふうに思います。宮澤内閣の支持率も下がっておりますし、必ずしも日本社会党が高くなったわけでありませんけれども、そういったことを率直に申し上げた上で、この信頼回復というものに対して我々政治に携わる者はどう
したらいいのかということを、大先輩でもあります大臣の立場から今何をなすべきなのか、こういったことが最も大切なことなんじゃないかということをこの機会に所見としてお伺いできればありがたいと思っていますので、まずその点をお聞かせいただければありがたいと思います。
 以上です。
#4
○国務大臣(後藤田正晴君) 最近、佐川事件という不祥な事件が発生をいたしまして、そうした関連の中で、私どもの先輩でもあり、またある意味においては同僚でもある重要な立場におられた方の周辺に国民に説明のしにくいような不祥事件が発生したことはまことに申しわけないという感じでございます。これは率直に国民の皆さんにこういった場を通じて謝らなければならない重要な事柄であろう、こう考えておるわけでございますが、それだけにこういった時期に検察のあり方というものについては、国民の皆さん方は多くの期待感というものを検察のあり方、運営については持っていらっしやる。
 そういったようなことから、当初においては検察不信といったような声があったわけでございますが、そういった声に対して虚心に我々としても耳を傾けなきゃならぬということは当然でございます。同時にまた、ああいった不信の底にあるものは期待感の裏返しであると同時に、やはり検察というものの仕事の性格というものが必ずしも正確に国民の皆さん方に理解していただくことができていない。非常に理解の難しい仕事であるだけに、我々としてはあくまでも法の枠の中で、適正な法の手続のもとで精いっぱいやらざるを得ない、それでは国民の皆さん方の目から見ると手ぬるい、こういったような二つの見方の違いからいろんな御批判があったものと、かように考えるわけでございます。
 いずれにいたしましても、したがって私どもとしては精いっぱい今の法の枠の中でやらなきゃならないな、こういうことで検察としては現時点においても一連の事件についての解明ということに全精力を傾けて努力をしてくれておるはずでございますし、いずれ私はその結果が検察としては何らかの形で処理をして国民に明らかにされるであろう、かように考えておるわけでございます。
 同時にまた、このことは政治の立場において考えますと、それだけで済んだものとは思いません。それは、昭和二十三年の石炭国管から復興金融金庫の事件、一連のいろんな事件が過去四十数年間ひっきりなしに起きてきているわけですね。これは一体どういうことだろうかという、そこへ本当の意味で私はメスを入れる待ったなしの時期に来ておるのではないかな、こう思います。
 それを考えますと、やっぱり今お互いがやるべきことは、与党といい野党といい、立場はそれぞれ違っておっても、こういった不祥事件を起こさないで政治に対する信頼回復のためにどういう抜本的な改革を考えるべきかということにこの事件の教訓としてつないでいくということが一番大事なことではなかろうかな、かように思いまして、総理・総裁の御指示もあり、自由民主党としても今せっかくの努力をし、いずれまた野党の皆さん方との意見の交換の場を通じて国民の期待するような政治改革というものが私はできるのではないかなと、そのことをまた期待をいたしておるような次第でございます。
#5
○深田肇君 大変御丁寧に御説明いただきました。いろんなことがあるんだろうと思いますけれども、我が党も抜本的な政治改革のために頑張りたいという決意を新たにしておるところでございまして、自民党なり大臣の立場もいろいろありましょうけれども、どうぞひとつ大変信頼できる政治家としての法務大臣が積極的に抜本的な政治改革をこの国会の会期の間に仕上げて、国民の信頼を一日も早く回復しながら日本の民主政治をしっかりと発展させるためのお力添えを賜りたいということをお願いいたしておきたいと存じます。
 そこで、実は昨年のこの委員会で、私は埼玉県の選出でもございますので埼玉県の狭山市の一市民であります石川一雄さんの仮出獄のことについていろいろとお話をさせていただきまして、時の法務大臣から温情あるお話をいただきました。それを持ってまた千葉刑務所に参りまして、彼を激励し、健康に留意しながら明るくなる日まで頑張るようにと言ったことを今思い出しながら、今回また石川一雄さんのことを中心にいろいろと御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 私どもの大先輩の矢田部さんからも何度がお話を伺ったのでありますが、この法務委員会で裁判所の問題だとかそれにまつわるようなことにつきましてはなかなかやりとりがしにくいようでありまして、いわんや具体的な問題につきましては、質問する方も難しければ、御答弁いただけないということもどうも慣習といいますか、常識的なものになっているようでございます。
 私の周辺というふうにあえて言いますけれども、埼玉県もそうでありますが、全国的に言っても、いろんなことについて国会のやりとりをテレビ、新聞でみたりニュースキャスターの解説などを聞かされる中から、もう少し率直なやりとりをして国民の方が持っている素朴な疑問や質問に対して答えてもらえないのか、話を聞いてもらうことはできないのかということがあることも事実なんですね。
 そういったことが今までの慣習であったり、答弁の仕方であったり、会議の持ち方であったり、それから一般市民がよくわからない国会上の運営もあるんだと思いますが、私も参議院議員になって三年たってみましても、どうも一般市民社会と国会の中の生活状況は違うんだなということを実感しているんです。このまま国会に慣れちゃっていいのか、やはりもう少し市民社会にしっかりおらなきゃいかぬのかと思って自問自答することも率直なところあります。
 そんなことを申し上げた上で、きょうは少し市民の側に立ちまして、市民がこんなことを大臣に聞いてみてくれ、法務省の皆さんから聞いてくれよと言っているということを、率直な素朴な疑問という立場から一、二お話を伺ってみたいと思いますので、できればひとつよりより具体的に許される範囲のお話をしてもらうとありがたい。そのことを私はまた本人石川一雄に伝えたいと思いますけれども、数多い県民や市民にも話をしたいと思っておることをまずは申し上げた上で本論に入っていきたいというふうに思います。
 そこで、矯正局長に一つ伺いたいのでありますが、石川一雄さんの最近の状況はどんな状況なんでしょうか。ここからひとつ入っていきたいんです。三月八日に社会党の国会議員団数名で千葉刑務所に参りまして、川上所長ともお会いいたしましていろんなことを伺いました。ざっくばらんに相当いろんなことも伺っておりますけれども、改めてこの場でもう一度局長の口から近況を聞きたいと思いますので、御説明をいただければありがたいと思います。
#6
○政府委員(飛田清弘君) 本人は、昭和五十二年の九月以降、千葉刑務所に収容されておりまして、現在は、昼間は施設内の洗濯工場におきまして洗濯夫兼補綴夫として就業して、夜間は個室において読書などを行う規則正しい生活をしております。
 最近の状況ということなんですが、ずっと見ておりますと、昨年までは本人の心情について若干懸念を抱かせるような動静も認められなかったわけではございませんでしたが、ことしに入りましては心情的に安定してきておりまして、現時点では処遇上特段の問題は生じていないというふうに承知しております。
#7
○深田肇君 これからの質問は答えてもらえないのかなと思いながら、大臣ね、そこまで皆聞かされるんですよ、刑務所へ行っても川上所長からも。そうなりますと、後からお話もしたいと思いますが、大変長い時間、逮捕から三十年でありますし、今成績もいいし、いろんなことを考えますと、去年はいろんなこと、去年もいろんなことなかったと伺っているんだけれども、今年になると去年はあったよと。去年、所長に会ったり、去年のこの場でおける局長の発言はいい話ばかり聞か
されていたんですよね。ところが今になってみると、去年はいろいろあったがことしからいいよと、こうおっしゃるんです。
 それは別にしまして、年数も長いし、ことしもいいということであればそろそろ仮出獄などについての手続はあってもいいんじゃないか、してもらってもいいんじゃないかと思ったりするんですが、これはお答えをいただけないことなんですかね。これをやっぱり皆聞きたがっていますね、周りも市民も有権者も。こう申し上げて、お言葉いただけませんか、局長の方から。
#8
○政府委員(飛田清弘君) 受刑者の仮出獄の申請は刑務所長の専権事項とされておりますが、その申請に当たりましては、受刑者本人の処遇関係、心情関係、犯罪関係及び保護関係を総合的に判断して決すべきものとされております。
 それで、その見通しはどうかと申されましても、そのように刑務所長の専権事項でありますから私からあれこれ申し上げるようなことはできないわけでありますが、いずれにせよ、千葉刑務所長は仮出獄の問題についてはほかの無期受刑者との間で特に有利にも不利にもならないように公正及び公平を期して慎重に検討してくれるものと、そういうふうに考えております。
#9
○深田肇君 局長の答弁はそういうことなんだろうと思いますが、そばで大臣がにっこり笑っておられた心の温かいところをよりどころにして次のところへ進みたいと思います。
 さて、保護局長に一つ伺いたいのでありますが、なかなかあなたとは会いにくいんだそうですね、これ以上のことを申し上げませんが。
 三月八日の午後、法務省まで社会党の国会議員団が数名でお訪ねしたんです。結果的には手続の手違いか何かあったのかもしれませんが、約束の時間十分ほど待機しましたけれども、法務省まで行ったんだけれどもお会いすることができなかった。もっと言葉を丁寧に申し上げるならば、御尊顔を押すことができなかった。我々国会議員団は、やむを得ず約束から十分だったころ帰って、矯正局に回ったら、矯正課長さんはお茶入れてくれてゆっくり話をさせてもらったんです。という事実経過をこれも懐の深い大臣の前でまずお話し申し上げておきたいと思います。
 いずれにしましても、これもまたよく私は承知しているんですが、仮出獄については所長の方から更生保護委員会に上がってこないとどうにもならないことだということなんであって、上がってくればそれなりの処理をしましょうということの御答弁しか保護局長からもらえないんだろうと思います。
 後ほど少し時間をいただきまして先輩議員の皆さんにも御理解をいただく意味を含めてお話をさせてもらいたいと思いますが、この五月二十三日が来ますと逮捕されてから石川さんは三十年たつんですね、三十年。こういういろいろな写真がありますが、逮捕されたときの若い写真と私どもが刑務所で会ったときの彼の風貌は変わっています。大変な年齢、三十年間、あの中だけではないのでありますが、苦労しているんだろうな、寂しい思いもしているだろうなと思っています。
 同時に、少し知識として申し上げるならば、だれもが承知のことでありましょうけれども、刑の確定後この八月になりますともう十六年でありますから、これもこの前の御質問でも申し上げたら、そういったことは算入過程についていろいろと考えることができるんだというような話もいただいていますけれども、このことも含めて、保護局長にお会いできなかったからもう一遍伺うのでありますが、何か温かい雰囲気を我々が市民や周りに伝えるような言葉をいただけないものでしょうかね。大臣には一番最後にもう一遍お願いします。大臣じゃなくて保護局長に言ってもらいたい。
#10
○政府委員(杉原弘泰君) お答えをいたします。
 まず、委員御指摘のように、仮出獄の許可につきましては、最終的には地方更生保護委員会が決定をするわけでございますけれども、その前提といたしまして当該受刑者が拘束されております監獄の長からの仮出獄申請があった段階で、それに基づいて審査の手続を開始するということになっております。これは委員既に御承知のとおりでございます。
 そしてまた、仮出獄はどのような場合に許可されるのかということについて申し上げますならば、御承知のとおり刑法二十八条におきましてその要件が定められておりまして、懲役または禁錮に処せられた者が改俊の状があるとき、有期懲役の場合につきましては刑期の三分の一、あるいは無期懲役につきましては十年を経過した場合に、先ほど申しましたように地方更生保護委員会の三人の委員で構成いたします合議体におきまして所要事項を調査するなど審理を行った上でこれを判断するということになっております。
 また、この刑法二十八条に規定しております仮出獄を許される実質的要件といたしましての改俊の状があるときという規定につきましては、その内容は、具体的には本人の悔悟の情あるいは更生の意欲、再犯のおそれ、社会感情等を総合的に判断しまして、そして本人を仮出獄の上保護観察に付することが相当であると認められる場合に初めて仮出獄が許されるということになっております。この具体的な内容につきましては、御案内のように仮釈放及び保護観察等に関する規則三十二条で定められているところでございます。
 御質問の対象者につきましては、現在千葉刑務所に受刑中であるということは私どもも存じておりますけれども、その者につきましての仮出獄の見通し等につきまして、私の立場からここで今具体的に申し上げることが残念ながらできません。それは今、矯正局長からお話になりましたところも踏まえまして、既にこの者についての仮出獄の申請の有無、それが前提になるわけでありまして、そのことを含めまして残念ながら今後の見通し等についてこの席で具体的に申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
#11
○深田肇君 私は遠回しに申し上げたけれども、これから随時お会いをいただけるんでしょうかね。それだけをちょっと、衆議院の同僚からしっかり聞いてこいと、この間みたいに十分間待って帰らにゃいかぬことになるのかどうかと言われていますので、その点を御答弁なかったものだからもう一遍再質問させてもらいます。
#12
○政府委員(杉原弘泰君) その点につきましては、私、委員がお尋ねのように、去る三月八日に委員を含めまして五名の先生方がおいでになるということをあらかじめ承知しておりまして、その際に記録係として一名の秘書のような方が御同行されるということをあらかじめ私了解しておったわけでございます。
 私、前回この問題につきまして先生方にもお会いしておりますけれども、私がお会いする趣旨は国会議員の先生方と御面談をする、そしていろいろお話を伺うという趣旨でございますので、記録係として必要な範囲内の方に、秘書等に立ち会っていただくのは結構ですということでその際も一名の同行に限っていただいたわけです。今回もそういうことでお約束いたしましたのでそういう趣旨でお待ちしておりましたところ、それ以外の方が何名か同行されたということでありましたので、そのお約束に従っていただければということで申し上げたところ、残念ながら先にお帰りになってしまったということでありまして、私どもといたしましては国民の代表者であられる国会議員の先生にお会いするということは、これは当然誠実に対処しなければならないというふうに考えておりますので、今後もそういう姿勢で誠実に対処するということは何ら変わりございません。
#13
○深田肇君 このことで余り時間をとっていると後のことがあるので……。
 そういう今説明をされちゃうと、これまた私は衆議院なり参議院の同僚も行っておりましたけれども、他の議員に対してちょっと説明のしょうがないんですね。
 例えば、今おっしゃった言葉だけでもちょっちょっとメモしましたら、先に約束した、記録係
一人という約束であった、ところが二人来たと。二人来たのはだれかというのは、国会議員の秘書だということを当時の課長や調査員の方にも身分を明らかにして、その秘書はここで今私の写真を撮ったりしている彼も行ったんですよ。彼もだめだというんだから。ここへ入っていますけれどもね。ということなんですからね。
 それで、もう時間ないから、こういうことを長くやるのは私余り得意じゃないんだけれども、お昼御飯が早く終わったものですから十五分ほど前に行っているわけです。そのときに確かに一人と思ったやつがあと一人二人いたということがあるかもしれませんが、そのことも含めて十分や十五分の話し合いの余地はあったわけですから。
 それで一時半になって、もうこうなりゃ大臣に直訴しておくけれども、半から十分たって、一時四十分にもう決裂だから。じゃ我々帰らざるを得ないぞと言ったら、どうぞということになっちゃって帰るんですから。それで、局長はどこにいるんだと言ったら、隣の部屋にいるんだよとこうおっしゃっているんだから、いるのなら顔を見せてくれて、まあ私は議員の名前言ってもいいけれども、うちの議員に対してまあまあまあとこうやられりゃ、いろんなことあっただろうと思うんだな、日本語は通じるわけだから。そういったことを今のような答弁をされちゃうと、それはそうはいかないというふうに実は思いますね。
 それからまた、言葉のことだろうけれども、先に帰られましたと言うけれども、先に帰った雰囲気じゃないですよ、今申し上げたようなことですから。片っ方はちゃんと時計見ながら、あと五分あと五分と言いながら私の先輩が待っていて、おい深田君、十分だ、君は法務委員だな、十分待ったぞ、さあ帰ろうと、こうやるわけですから。それを皆さん見ておられるわけだから、法務省の方々は。その中でとめることもなければ、何とかしましょうという話があったわけでもないんだから。だから、それは局長知らなかったのなら法務省全体の問題になるし、そのことを今やるのが主目的ではありませんが、これからも積極的に会っていただいて、我々議員や有権者の代表、代理であるメンバーが意見を言うというときにはひとつ耳を傾けてもらうということが、どうなんでしょうかね、大変これはもう最初に申し上げた大臣の所信とは大分遣うんじゃないかということを感じたことを率直に申し上げて、まあこのことばかりが問題じゃありませんから、次にいきたいと思います。
 そこで、そういうふうに申し上げた上でちょっと、本当はここのところで少し時間をいただいて大臣にも、もう皆さんも御承知のことだろうけれども、もう一遍生の話を聞いてもらいたいし、そして先輩の議員の皆さんにもこういうことが三十年前にあって、今こういう状況になっているんですよということを一、二お話ししたいと思っていましたが、思わぬところで保護局長に時間とられちゃったものだからしゃべれなくなっちゃいましたので簡単にやります。
 今、石川一雄さんは第二次の再審請求をしているんですね。これはもう皆さん御承知のとおり。第二次の再審請求をしている。そういう状況の中で、実はここで法務省なり裁判所との間で法律的論議をやって手続論争をしようという気持ちは全くないんです。そこは、もっと正直なところ、もう誤解ないように聞いてもらいたいんだけれども、ここにおる市民が、私でなくて市民が、それを法務省や裁判所に聞いてみてくれと言うわけですよ。同時にまた、石川一雄さんのお父さん、お母さん亡くなっちゃったんだが兄弟生き残っているんです。その兄弟たちが聞いてくれよと。聞くと、十分待ったけれども会ってもらえなかったと。ここで言うと、これは答弁できませんと、こうなっちゃうわけでしょう。そういう状況だから、ここまでオーバーに言っちゃしかられるかもわからぬが、政治不信とか検察不信だとか法務省不信ということに広がらないとは限らないね。広がらないとは限らないね。という感じが率直にします。
 例えば、埼玉だけでなくて全国的にもあるかと思いますけれども、差別発言がどんどん出るんですね。たまたま小さな町、狭山ですが、その中でも続出する差別発言だとか、それから、私はきょうはそのことを中心的テーマでやるつもりはないのでありますが、部落差別の問題だとかいうことについて比較的多いんですよ、最近。多いんです、埼玉の場合は。そういうときに、どうしても狭山の事件、石川さん事件というものは直接間接やっぱり影響しますね。したがって、私は決してオーバーに言うつもりはありませんが、埼玉県や日本全体のいわゆる国民感情が落ちついて、そして名実ともに平和で豊かにいくためには、こういったことはもうどんどんどんどん解決していくということがなくちゃいけないんじゃないかと。それが法務大臣、特に気をつけてそういうふうに指導していただくことが日本の平和だろう、日本の国民の心が一つになるためには一番いいことだろうというふうに痛感をした立場で一、二お話をしたいんです。そういう意味では本当に素朴な疑問をみんなが持っているんだということを言いたいというふうに思います。
 そこで、三月八日に石川さんのところに行ったんですが、三月二十一日、新しい話なんです。三月二十一日の日曜日に狭山市、約四、五万人の小さな町なんですが、御本人の家があったところであります。しかもそこは逮捕された場所であります。その狭山市の小学校を借りまして、こういったことはもう正式に言わざるを得ませんので名称とおり言いますと、また少し気分的に悪くされるかもわかりませんが、富士見小学校の体育館を借りて、「石川さんの不当逮捕三十年糾弾 狭山第二次再審闘争勝利 埼玉総決起大会」というのが持たれた。糾弾するのはおかしいとかいろんなことは別にして、そういうのが市民等々によって行われたんです。
 そのときに、私はここで局長なり大臣にちょっと印象として残しておいてもらいたいことは、責めてもらっちゃ困るんですが、狭山の市長がその場に来られた。狭山市長が来られまして、印刷物でメッセージを読み上げられた。このときに私は市長がこういう理解をしておられるのかと本当にうれしく思って、そのことを保護局長にも矯正局長にもぜひ言いたいじ、できれば裁判所の皆さんにも直接間接知ってもらっておきたいと思うんです。
 もうはっきり石川一雄さんがと、さんをつけてもらって、石川一雄さんが逮捕されて三十年たちましたというのがずっとありまして、そしてその中でこうちゃんと御本人は言っておるんですよ。私自身は行政府の一組織の長でありますから司法に直接口を差し挟むことは控えたいと思いますがとちゃんと前置きを市長なんか言っているんです。言った上で、この後がいいんですよ、この年月の重さをひしひしと感じずにはおられません、何よりも県内各地から大勢の方がこんなに集まってきている現実を私は大きいものと感じます。もう率直に言っておるんですね。その次に、きょうも少しお話をしたかったのでありますが時間がありません、ここでしゃべっちゃいますが、元捜査員の新たな証言があったとの新聞報道、これは弁護士が引き出すわけでありますが、その新聞報道に接して、この再審請求に対して十分審理を尽くしていただきたいとの感を深めております、こう言うんですね、再審の問題。
 これ、市長がそういうふうに市民を代表する声として、御本人の家族や千名以上集まっているメンバーの中で言う、これは埼玉県だけのメンバーで、ほかの県から来ているわけじゃなくて。そういうところでそういうふうに話があった。しかも一番最後に、うれしかったことは、かつ御本人が釈放されましたら狭山市民として安定した生活を送れるよう意を尽くしますことを込めてごあいさつとしますと、こういうありがたいことを言われているんですね。そういう状況であることも御承知いただいて、もうそろそろいかがなものかとい
うことを強調したいためにそういうことを申し上げます。
 同時にその集会に、ここにも印刷物があるんですが、本人ですね、石川一雄さんからアピールが来たんです。
 この中で、私は引用することがたくさんありますが、時間がありませんので二つ言います。「私石川一雄は、地元の集会に挨拶状を出すのは今回が初めてです」、だから、三十年間にして初めてです、こう言っているんです。これは印象的な言葉です。もう一つは、「皆さんにお願いしたいのは、やはり、東京高裁に事実調べを求める幅広い国民世論の高揚をはかってもらいたい」、事実調べをしてもらいたいというんですね。私も調べてもらいたい、もう一遍調べてもらいたいと書いてあるんです。自白をしたことは、何で自白しちゃったのか、あのときどんな雰囲気だったかということをもう一遍言いたい、言うチャン人がないんだ、聞いてもらいたいんだということを訴えているんですね。
 そういったことがありましたということを申し上げた上で具体的なことを、これは最高裁にお伺いすることなのかなという感じがしますが、どこでも結構でございます。
 いわゆる第二次再審請求というのをやっていると思いますが、私ども知るところでは、一九八六年八月二十一日にやっていますから、もう七年たっちゃうんですね、七年。こんなに時間かかるものなんですかね。出した本人にとってみても、七年間動きがない。我々それを聞いて、七年も前にやってまだかというのは、これは全部集まった人が言うんですね。これを聞いてきてくれよと、こう言われているんです。これはその機関でやることであって、ここでは答弁できないとおっしゃるかもわからぬが、それにしても余り長過ぎやせぬかなというふうに市民が思うことは、それは検察であるとか裁判の状況を知らない市民の方の問題なんであって、こんなものは当たり前なんだということなんでしょうか。そういうことを教えてもらいたいんですよね。言ってやりたいですね、市民たちに。石川さんの家族たちに説明してやりたいですね。という感じがします。
 同時に、いや本当に七年も八年もかかっているんだというんなら、ほかにそんな例がたくさんあるんですか。ほかにたくさんあるんですか。石川さんだけがだめなのか。いやもう大体そんなもんだよ、人手不足含めてそんなに簡単にできないよ、裁判長といえども忙しいんだよというようなことになるのかどうかということも含めて、ほかの例もあるのかないかも聞きながら、私は時間がかかり過ぎているんじゃないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
#14
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 一口に再審の請求事件と申しましても、各種各様の事件がございます。
 そこで、ちなみに平成三年に決定が出された再審請求事件の平均審理期間、これを調べてまいりましたところ、地方裁判所の場合九・一カ月、高等裁判所の場合十・七カ月となっております。ただ、これはあくまで全体の平均値であります。その中には、身がわり犯人であることが発覚したようなケースから、事案が複雑困難でその審査に相当の年月を要するようなものまで千差万別であるわけでございます。
 そこで、今申し上げましたような複雑困難な事件におきましては、もともと原記録自体も膨大でありますし、当事者が主張する争点も多いということがございます。そこで、例えば再審の請求書に続いて補足的に追加意見書、これがまた年月を経て何回かにわたりこの追加意見書が出されるということもございます。
 そしてまた、これ私、今委員の御質問ではございますが、具体的な事件につきましては触れることできませんのでございますけれども、一般的に申し上げて、このような複雑困難な事件になりますと数次にわたり追加の意見書が出され、また次々と新証拠の請求が出される、そしてまた中間において鑑定が必要だというようなことで、鑑定の結果を待ってその鑑定書も提出したいというようなことをその当事者の方から請求してまいるということもございます。
 そうなってまいりますと、裁判所といたしましては、そういった新証拠が出そろい、そして両方の当事者の意見が十分出尽くして、その上で慎重に検討しようということになりますのでかなりの年数を経たものも幾つか出てまいることになります。
 先ほど委員がおっしゃった、このようなのがあるのかという御質問でございますが、これはいわゆる著名再審請求事件で、請求から決定までに十年なり十数年かかった例も幾つかございます。
#15
○深田肇君 もう一つそれに関連して、再審関係の開始の問題と事実調べということの関連について伺いたいんです。
 どっちが先でなくちゃならないかということを、法理論的な説明を今伺うことが主目的でないのでありますけれども、周辺の人だとか私どもに対して説明に来てくれたり、陳情要請がある人たちの文献だとか発言を見ますと、今回の第一次の再審の棄却のときの経過だとか七年間の経過などを見ますと、一般論のお話がたくさんあったわけでありますから石川さんの狭山事件の問題でおっしゃったとは思わずに申し上げますけれども、いわゆる事実調べというものが全然行われてないんだ、こういうことが我々に随分説明があるんです。本件に関してあるんです。確定判決のことも言いましたし、それから第一次の、棄却になったがこのときも、できることらしいんだけれども事実調べというものがなくて、書面で審査されて審理の結果は没、棄却ということにこの前なった。それから、申し上げたように七年前から出して、今日までまだ第二次のことをやっているわけであります。
 裁判所というものは、私たちの感覚からいくと、検察側からいろんなものが出るでしょうし、それから同時にまた、本人なり弁護側からいろんな新証拠とか何か出てきたら、それはやっぱりやりとりができるものだと一般市民は思っているんですね。それは法律改正しなきゃできないのか、いや法律上からいえば書面だけでよろしいんだし、やればやってもいいんだという両方の解釈があるということを専門家の我が議員の先輩からも聞いたりはしているんです。
 市民感情からすると、検事と弁護士と裁判長がいて、再審というのは、一般市民は知らない言葉でありますが、無事の救済だという理念に基づいてやってもらえるんだと、本人もやっているんだ、七年もかかっているんだよと。そうなると、どこかで証拠調べがあったり事実調べがあったり、それからやりとりがあったりすれば裁判所にはっと処理してもらえるものだと思っていますよね、テレビ、映画を見る限りにおいては。ところが、どうも今回はそうではないという不安材料が大変充満しているという感じがするんです。
 それに関連して、私たちがよりよりそのことを痛感するようになりましたのは、一九九一年の八月に、全国の数多い法律の専門の学者の先生方が、八十一名だと言われておるんですが、この狭山事件に対しての事実調べが必要だと、事実調べをしなきゃいけませんよということで、そのための署名をつくって裁判所へ出されたということがまた我々のところへ多く資料として拝見するチャンスがあるんですね。そういうことを専門家の先生方までが言っている。にもかかわらず、それが全然進まない。国会議員のあなたは何と考えているのか、こういうふうにやっぱり市民との間になりますよね、家族との間にもなりますよね。そういうことについて、これまた狭山事件というふうに限定をするとお話ができないことかもわかりませんが、いわゆる事実調べということと再審との関係だとか、それから事実調べの一般的必要性ということだとかについてはどういうふうなお考えをお持ちなんだろうか。そして、私が不安を持っている市民にどういうふうに説明したら一番いいのかということをちょっと関係のところから御説明いただくとありがたいと思います。
#16
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 再審というのは、もともとが三審制のもとでその事件の裁判が確定した後の問題でございますので、事実の調べと申しますと原則的にはそのもとの記録、それを調べることから始まるわけでございます。
 それから、もちろん再審請求に当たっては、当事者の方から新しい証拠が発見されたという主張があり、その新しい証拠が出るわけでございますので、もとの記録と提出された新しい証拠、それらをまずつぶさに検討する、これが最初に行われる事実調べでございます。そういった事実調べをしながら、なお検討の上でさらに証人尋問が必要である、あるいは現場検証をする必要があるというふうな判断に至ることもあり得るわけでございます。そういう判断に到達した場合には、その裁判所において証人尋問あるいは現場検証を行うということも当然あり得るわけでございまして、今までの再審事件でもそこまで行った事件もございます。
 それからまた、証人尋問や現場検証を行わなくても、提出された新証拠ともとの記録だけを突き合わせて再審の開始請求が相当である、あるいは相当でないという判断に達し得る場合も幾つかあります。達し得る場合にはそのような証人尋問等を行わずに決定することもあるわけでございます。これは要するに、その事件、事件においてどのようなあり方になりますか、これは具体的な事件によって違うということになります。
#17
○深田肇君 御説明はそういうことになるんだろうと想像はしているんですけれども、それでは一般国民や市民は理解できないんですよね。だから、こういう場で聞くのがよくないということになればお邪魔してお話を聞かせてもらうことがいいのかもわかりませんけれども、何かそこのところは再審請求をしていく過程の中で事実調べというものは、狭山事件なら私は当然あってしかるべきと思います。一般的な問題についてもそのことは並行して行うべきものなんだと、そして一定の結論を出すべきものなんだというふうにあるべきだろうというふうに思っていることを申し上げておきたいと思います。このことを申し上げたということが恐らく市民の側の、不安を持っている側にとっては少しでも気持ちが安らぐだろうと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
 そこで、次に話を進めます。
 これまた私どもが聞いた話によりますと、第二次の再審請求に関連をして、検察側の方からいわゆる意見書が出たり、それから四通の新しい鑑定書が出てきているという話があるわけですね。そういったものがあって、裁判所の方から弁護側に言われた最後の日が三月十五日のようでありますから、そこに向かって何百ページにわたる意見書を出した。数多い新しい証拠も出した。証拠の問題はもう時間がありませんから一言で言えば、先ほど申し上げました万年筆が二度調べたときはなかったが三度目には出てきたというようなこととか、それを捜査官の人が、おれが最初に行ったときにはなかったよということを今になって言われているというようなこと。そういったことを言うと、警察の方では、その捜査官が年をとったからぼけちゃったんじゃないか、当時のことを忘れているんじゃないかというようなことを言ったとか言わないとかと聞かされちゃうんですね。そうなると、当時の捜査官が今、年をとったからだめだということになるとどうなるのかと。そうすると、もう長くなっちゃもう何もわからないということになっちゃうわけですから再審も何もやれなくなっちゃうじゃないかというふうに一般の人は思いますよね。私もそう思います。
 そこで、その人たちの話を聞いたり書面を読みますと、大きく分けて四つ。いわゆる筆跡ですね、脅迫状を出したわけですから。脅迫状の筆跡は、鑑定をしたら、石川のものだと言う人と、これは石川の字ではないよという鑑定書がちゃんと出ているということなんだそうですね。それから殺害の方法、首を絞めたか絞めないか、これも違うというのがちゃんと二つ出ている。それから、死体を運んだか運ばないか、これも運べないのと運んだというのが出ている。それから血液型、これは我々素人にとってはもう絶対的なものだと思うが、血液型だって出てきている。しかも、その関連の中では、五月一日の日に殺されたというのが、どうも後から調べてみると五月二日か三日でないと死んでない、五月四日に死体が発見されたんですから。ということを弁護団の方が出す。そういうことがどんどん今の世の中ですから、それが手書きの手紙になったり印刷物になったり写真になったり、ここにもこういう写真もありますが、これだけ立派な写真を号外としてつくって、こうやってやるわけですよ。「カモイの上は捜索ずみだった 万年筆」、石川さんの筆跡は、脅迫状は、本人が大変苦しい時代の若者でしたから字が書けない、漢字が書けないんだということまで書いてあるんですね。殺害の日時を五月一日というけれども、五月四日に死体を掘ってから調べてずっとやっていったら、それは五月二日か三日でないと死んだことにならないよということまで書かれている。こういうものがどんどん出て読まれて、それをまた弁護士さんが説明する。
 ここにあるんですけれども、素人がつくった芝居までやって、芝居でわかりやすくやるんですよ、約二十分ぐらい。それをじっと見てますと、源流しながらみんな聞いて、いやそれは石川さんかわいそうだと。石川さんの弟が、本人が石川一雄になりまして、それでこんなことを言ったらしかられるかもしらぬけれども、当時のお巡りさんにこづかれたり、もうおまえ、ここでやったと言えば十年間にしてやるよというようなことを別件逮捕のときに言われたとかいうようなことをわんわんやるわけでしょう。それが本当であるかどうかというのは早くしないと県民や市民は動揺しますよ、実際は。もうこういったものがどんどん駅前で配られ、みんなが読んでいるんだから、今は民主主義の時代だからまくことは問題ないわけですから。したがって、早く大臣、片づけた方がいいんじゃないかということを私は言いたいんですよね。
 というようなことを申し上げて、四つもそういうことがありますと、どうなんでしょうかね。これも具体的な答弁でいただけないんだろうけれども、鑑定の違うもの二つ出てくるんですね、検察と弁護側から。それで相互がやりとりする、相互を尋問するというようなことはこれはもう常識だと思いますが、これは常識なんですか。それともそれも裁判所が決めることであって、我々が常識で持っておることは世間知らずなんだという御答弁なんですか、いかがですか。
#18
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) そこはやはり当該裁判所が必要があると思えばその鑑定人等を呼んでいろいろ聞くし、出された鑑定書で十分であると思えば聞かない場合もあるということになろうかと思います。
#19
○深田肇君 そうおっしゃるんでしょう。おっしゃるんでしょうけれども、そうなると、私が考えていることも市民の考えていることも世の中の法律も何も知らずに、これだけの立派な法治国でここに法律があって法律で決まっているんだから我慢して黙っておれというふうに聞こえちゃうんです、そういう御答弁されると。
 そこは政治家大臣は最後に少し緩やかなお話聞かれるかもわかりませんが、そういうものですかね、本当に。怒りを込めて私質問したいけれども、もう一遍答弁してくださいよ。全然だめなものかね、これは。間違っているのかね、我々の感覚は。と思いますが、いかがですか。
#20
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 例えば今のお話で、鑑定書でもその鑑定書自体で十分に裁判所の方でその内容が理解できるものである場合に、わざわざその鑑定書の作成者を呼んで質問するまでの必要性はないということもあり得るわけでございます。ですから、そこはやはり当該裁判所の必要性の判断ということに最後には帰着するかと思います。
#21
○深田肇君 前もって大先輩の矢田部さんから、そういうものだよ日本の法律は、そういう答弁し
か出ないよというふうに耳打ちされた上で、なおかつ市民感覚を持って、大先輩の前ですが、バッジをつけて二年、三年たったらこれはそういうわけにいかないですね、市民との感覚では。ということでありますのでしつこく何遍も申し上げました。
 最後にもう一つ伺っておきたいんだけれども、我々の周辺で流れている話は、証拠を開示せよ、こういうものですね。検察側が持っている証拠は全部出ていないじゃないか、こういうんです。我々にしてみたら証拠というのは全部オープンにされて、それはだれが考えても認められない証拠があるのかどうか知らないけれども、全部オープンにしたらいいと思う。証拠のリストという言葉があるそうだけれども、そんなものは当然開示されていいと思う。開示を求めていこうということを我々がはがきを出して検察庁に送ろうじゃないかとかという運動があるんですよね。これも市民感覚としては当たり前のことなんだが、当たり前でないことが今法治国家で行われているということになるんです。大臣、笑っておられるからそういうこと知っておられるんだろうけれども、これは矛盾と感じないですかね。
#22
○政府委員(濱邦久君) 証拠の開示の問題でございますので私の方からお答えさせていただきます。
 今るる委員が御指摘になっておられるところのもともとの狭山事件の第二次再審請求事件、これが現在東京高等裁判所に係属中でございます。
 その事件についての全証拠を開示すべきかどうかというようなことにつきましては、これも当該事件について個々の検察官が判断すべき事柄でございますので、法務当局としてそれ以上のお答えができないわけでございます。
 ただ、これ一般論として御説明を申し上げるわけでございますが、いわゆる公判に提出されていない証拠の開示をするかどうかということにつきましては、これは検察官がそれぞれの個別具体的事件におきまして、当該事件の内容あるいは争点との関連で特定の証拠の開示の必要性の有無、あるいはその程度、それから開示した場合における関係人の人権、名誉の保護、あるいは今後の捜査、公判に対する影響というようなことをいろいろ勘案いたしまして判断すべきものというふうにされているわけでございまして、これは一般論として申し上げたわけでございます。
 したがいまして、本件におきましても、そういう基本的な考え方で担当検察官が適正に対処するものというふうに考えているわけでございます。
#23
○深田肇君 時間がありません。
 ちょっと私正確に確認して好きたいけれども、今のお話を聞くと、裁判所の方が判断をしてくれるということになると、証拠の開示をしてくださいよというのは、どうも検察へ行くよりは裁判所へどんどん行った方がいいように聞こえますが、我々は検察に証拠開示をと、こういうふうにやっているんですよね。ところが、いろいろやってみても、裁判所が言わない限りは検察側は出さないとおっしゃっているんですか、証拠開示なんということはだめよとおっしゃっているんですか。裁判所が出せと言えば出さざるを得ないが、裁判所が出せと言わない限り出さないのが今までのやり方なんだよと。
 となると、出せ出せということは検察にも言わにゃいかぬけれども、むしろ裁判所の方にそういう判断を強く求めていかにゃいかぬと、一般市民は。というふうに焦点は裁判所だという感じを今聞いたんですが、この間き取り方は間違っていますか。そこだけちょっと、時間がありませんけれども、正確に教えてください。
#24
○政府委員(濱邦久君) 先ほど私一般論としてお答え申し上げましたのは、要するに個別具体的事件における証拠を開示するかどうかということは、それぞれその事件の当事者において証拠調べを請求しようとする意思のある証拠についてこれを事前に開示するというのが原則になっているわけでございます。
#25
○深田肇君 もう時間がありません。
 最後に大臣、一つお願いしたいんですが、ことしの正月に石川一雄本人が歌を書きまして、我々のところへ送ってきたんです。ちょっと御披露します。「今も獄 愚痴は去年に笑顔は今年 勝利の年に命を張らん」。ことしはどうしても勝利したい、命を張るんだ、こういうふうに言っているんですね。今も獄、三十年間ということでしょう。愚痴は去年にする、笑顔はことしたと、勝利の年に命を張らんと。ことしの正月、石川一雄さんが私どもの方に年頭のあいさっとしてこういう歌を書いて送ってきたんです。
 これを見て、本当に前々から、前の田邊委員長もそうですし、新しい山花委員長もそうでありますが、今までは春までには、今回は梅雨どきまでには、こういうふうに千葉刑務所長にぜひ仮出獄の手続をしてくださいよと。もう長いとか、それから現在の成績だとか、本人の精神的安定性の問題だとか、それから世論がどういうふうに見ているかとかいうことについてはよく御存じだと思うから、ぜひひとつ仮出獄の実現のための申請をお願いしたいということを何遍も申し上げているわけであります。
 そんなこんなを含めて、今何遍も申し上げましたように、一年生議員の特権を使ったような形で、市民感情という言葉に依拠していろんなことを質問させてもらいましたが、いかがなものでしょうかね。早い時期に仮出獄の状況だとか、そして可能である限りの公開された場所における再審がきちんと行われて、それでそのことが片づいていく。そのこと自体によって、埼玉県だけではなく全国的な国民の心理状況も安定していくというようなことが法治国家としては急がなきゃならぬことじゃないかというふうに思っていますが、最後に人権こそ基本理念だとおっしゃった法務大臣の御所見をいただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
#26
○国務大臣(後藤田正晴君) 狭山事件の石川受刑者の件は、捜査の段階、それからまた第一審、二審、三審の裁判の段階、そしてまた再審の段階等でいろんな問題が、私は具体的には中身はわかりませんけれども、いろんな動きがあったことは承知をいたしております。そして同時にまた、長い間刑務所の中に入れられておるということも知っておるわけでございますが、しかしやはりこの種の問題は、裁判所が決定をしてある事項でございますから、それを私ども、深田さんのお気持ちはわかるんですよ、お気持ちはわかるんだけれども、さればといって政治の立場でこれはもう釈放すべきであるとか、そういうことは私は言ってはならぬことじゃないかなと。
 やはりこれは、今再審請求等も出ておりますから、そういった結果も待たなければならぬでしょうし、釈放それ自身が、やはり政治的な判断ではなくて、きちんとした刑事政策とでもいいますか、そういった中で慎重にこれは判断をしなければ、これは間違ってはならぬことでございますから、私自身は現時点においてお答えをするとすれば、やはり慎重にこれは考えるべき筋合いであって、軽々に私の口からどうこうと言うことは差し控えなければならぬことだと、かように考えております。
#27
○深田肇君 終わります。
#28
○猪熊重二君 最初に、国選弁護人の問題についてお伺いします。
 最近の刑事事件における弁護人の私選と国選別の比率がどうなっているか、裁判所別であれ、審級別であれよろしいですが、お伺いします。
#29
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 平成三年におきまして通常の第一審終局事件で国選弁護人の選任された被告人の割合でございますが、地方裁判所で五九・六%、簡易裁判所で七八・九%、トータルいたしますと両方ならして六二・八%でございます。
#30
○猪熊重二君 そうすると、簡裁の方がちょっと多い。地裁に比べて簡裁の方が国選弁護人の比率が大きいんですけれども、いずれにせよ平均して六二・八%ということになると、刑事事件における弁護人の十人のうち六人が国選弁護人としてつ
いている。私選弁護人は四割ということになるわけです。刑事事件における弁護人の立場が大変大切であるということを考えれば、この国選弁護人の比率の大きさということは非常に刑事裁判手続において考えなきゃならぬことだと思いますが、これについて裁判所は、国選弁護人の役割とか現在の状況とか、どんなふうに考えておられますか。
#31
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 今、委員が御指摘のように、国選弁護人の選任される事件が全体の過半数を超えておるという実情に照らしまして、やはり刑事裁判の適正かつ円滑な運営ということは国選弁護人の弁護活動いかんに依存するところが極めて大きいものというふうに考えており、したがって刑事裁判運営にとって非常に重要な制度であるというふうに認識しております。
#32
○猪熊重二君 今、最高裁刑事局長は国選弁護人制度が非常に重要だとおっしゃるんですが、それじゃ平成五年度予算においてこの国選弁護人に対する報酬がどういうことになっているかということについてお伺いします。
 弁護人の報酬が二十五億六千万円、旅費が三億六千七百万円というふうな数字になっているんですが、この数字がどういう根拠で出てきているのか、そしてまたこの数字は前年度に比べてどういうふうに変化しているのか、お伺いしたいと思います。
#33
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 今御指摘の数字でございますが、これは直近の実績に事件の傾向値を乗じて得た額、これに新規の値上げ分を加えて算出するということになるわけでございます。もう少し具体的に申し上げますと、平成五年度の国選弁護人の報酬額でございますが、算出基礎として前々年度、平成三年度の実績に直近三カ年、これは元年、二年、三年の事件の伸び率を乗じ、そこに単価アップに伴う新規の値上げ分を加えて算出するということになります。その単価アップでございますが、平成四年度に比べますと約四・八%の単価アップとなっております。
#34
○猪熊重二君 何か伺ったけれども、全然よくわからぬ。
 それじゃ今度は別の聞き方をして、いきなり聞くので申しわけないけれども、この予算で平均的に国選弁護人一人についてどのくらいの額が支給されそうになりますか。
#35
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 平均的なことで申しますと、国選弁護人の報酬といたしましては、大体地方裁判所でありますと三開廷の事件が多く、基準的にはそれでいきますと七万二千円。ただ、報酬と日当がこれにプラスされることになります。したがって、大ざっぱに言えば、ごく平均的に言って十万円ぐらい、こんなようなことになろうかと思います。
#36
○猪熊重二君 今、局長は平均三回ぐらいと言われるけれども、裁判所に行く回数だけだったら三回でいいかもしれぬけれども、警察に留置されていれば警察へも行かなきゃならぬ。拘置所に行っていれば拘置所にも行かなければならない。要するに、被告人との面会に少なくも一回、普通二、三回行かなければならない。検察庁へ記録閲覧にも行かなきゃならぬというふうなこと。それから、場合によっては家族に会ったり、あるいは被害者に会ったりと、こういういろんな弁護人の活動があるんです。ですから、三回で十万円というと、ああ一回三万円か、それならまあまあだなと、こういう勘定になるんですが、実際にはもっと回数がかかっている。
 ですから、十万円という金額が果たして妥当なのかどうなのかということについて、参考になるかどうかわかりませんが、昭和四十七年の第六十八回国会の当参議院の法務委員会で、最高裁長官代理としての牧圭次さんが、国選弁護人の報酬は、日本弁護士連合会の報酬等基準規程を一応の基準として、できるだけそれに近づけた報酬を支給できるようにしたいと、こういうふうなことを述べているんですが、これは御承知でしょうか。
#37
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 今、委員御指摘の点は承知しております。
 それから、先ほど申しわけございませんでした。約十万円というような言い方をいたしましたけれども、もう少し正確に言わせていただくと約八万円ぐらいです。
#38
○猪熊重二君 それはいいや、間違ったのはそれはいいけれども……。
 昭和四十七年に長官代理の牧さんは、恐らく刑事局長がなんかのときなんだろうと思うんですが、日弁連の報酬等基準規程を一応の目安というふうに言っているけれども、それじゃ日弁連で現在刑事事件についてどのような報酬規程を定めているか、最高裁としては承知していますか。
#39
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 現在では合議事件で三十万円、単独事件で二十万円というふうに聞いております。
#40
○猪熊重二君 私は何も日弁連のその報酬基準が絶対正しいとか言っているわけじゃないんですけれども、今言われたように日弁連の報酬基準とすると、刑事事件については一般的な事件として三十万円でやっている。それを一応の基準にして、できるだけそれに近づけた報酬にしたいというのに八万円というのは大分近づいていないんじゃないでしょうか、これ。だから、言っていることと数字が違うということは、この昭和四十七年の最高裁の考え方というのはその後変わったんですか。
#41
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 御指摘のとおりでございます。
 最高裁といたしましても、御指摘の牧刑事局長のころは日弁連の報酬支給基準額にできる限り近づくように努力をしておったところであります。ただ、その後にこの日弁連の方の報酬支給基準額が昭和四十八年に従前の三倍に引き上げられ、五十年に再びまたおよそ三倍に引き上げられた。さらにまた、昭和五十九年に従前の一・五倍に引き上げられております。こういったことでどんどん格差が大きくなったわけでございますが、日弁連の方の引き上げの根拠必ずしも明らかでございませんし、また私選弁護人が実際にこのような支給基準に沿った基準どおりの報酬を受けているのかどうか、その辺の実態も把握できないということもございまして、現在では国選弁護人の報酬支給基準額を直ちに日弁連のその基準額に近づけるべきであるというふうには考えておらないわけでございます。
#42
○猪熊重二君 そうすると、何を基準にしてこの金額というのを決めているんですか。要するに、先ほど局長は、一応公判出廷三回とおっしゃったけれども、先ほど私が申し上げたように、その三回のほかに拘置所や刑務所へ行ったり、いろんなものがある。だから、三回でなくして、三回を含めて六回、七回というふうになるんです。それで、一回小菅の拘置所まで行ってくるにしても、やっぱり出てから帰ってくるまでには四、五時間かかるんです。そうすると、時間的に何時間ということがきちんと数字に出てくるわけじゃないけれども、少なくも二、三十時間かかるんです、一つの事件について。
 そうすると、平均八万支給すると言うけれども、仮に三十時間もかかったら、もう時間当たりの金にすると本当に二千円かそこらになってしまうんです。それだったらスーパーのパートだって今、時間八百円だとか千円だとか、少し頑張れば千二百円なんというのもあるんです、スーパーの時給だって。それは弁護士の国選弁護報酬はスーパーの時給の千円よりは、二千円ぐらいになるか二千五百円ぐらいになるか、それは二倍ぐらいにはなっているかもしれぬけれども、スーパーのレジを打つとか、何かパートで行っている人の仕事に比べて二・五倍ぐらいの金しか出さぬで、それでそれが相当だというわけにはいかないと思うんですが、その辺どう考えているんです。
 ただ、私はこのことを余り言うのは、自分も弁護士だから、何だか全くれ、全くれと言っているみたいで非常に言いにくいんだけれども、ただ実際には、これは大臣も聞いておいてもらいたいんだけれども、弁護士は雇われている弁護士がいるんです。雇われている弁護士は給料三十万もらっ
て、そのほかに国選弁護やると五万でも八万でも懐に入るからいいんだけれども、雇っている方はたまらないんです。要するに、月給出して雇っている弁護士が稼ぎに行ってきて、その稼いだ金はそっちに行っちゃうんだから。そうすると原価計算とかいろいろやってみると、この国選弁護の金なんというんじゃ全然赤字なんです。これ商人じゃないから原価計算して収支どうこうというわけにはいかぬけれども、もう少しこの国選弁護の費用を抜本的に改めてもらうというようなことも考えていただきたいんです。大臣にお伺いしても大臣もその辺おわかりにならぬだろうから、刑事局長、もう少しこれは高くしたらどうですか。
#43
○最高裁判所長官代理者(島田仁郎君) 冒頭にお答えいたしましたように、国選弁護人の重要性というのは十分に認識しておりますし、また委員が御指摘になられましたように、国選弁護人の訴訟活動を充実させようとすればそれなりの費用もまたかかってまいるということも十分承知しておるつもりでございます。この点につきましては、弁護士会等とも何回にわたり協議会等も設けて、弁護士会からもいろいろ実情をつぶさに承っておるところでございます。そういったことをもとにしまして財政当局にもいろいろお願いしてまいり、ここのところ毎年財政的には国家財政非常に厳しい折から、まあ何とか人事院勧告よりもプラスするところ一%なり二%なり、かなり私どもとしましては御理解をいただいて、それなりの報酬のアップを図ってきてまいっておるつもりでございます。
 ただ、そうは申しましてもこれで十分というふうに考えておるわけじゃございませんで、なお今後ともそちらの方向で前向きに大いに努力してまいろうというふうに思っております。
#44
○猪熊重二君 時間の関係で質問一つ飛ばして、刑務所の服役者の作業員与金についてお伺いします。
 平成五年度歳入予算項目の中に、矯正官署作業収入というのがありまして、百五十三億七千万円余が計上されているんです。法務省で歳入項目というのは非常に数が少ない。五つか七つくらいしかない。その中に矯正官署作業収入というのが一つあって、しかも百五十三億も入ってくるえらい立派な収入項目があるんです。この百五十三億云々の内訳ですね、特にいわゆる一般刑務所の作業収入の額を内訳的に教えてください。
#45
○政府委員(飛田清弘君) お尋ねの内訳は、刑務所の作業収入が約百五十三億三千四百万円、それから少年院の職業補導収入などが約四千二百万円と、こうなっております。
#46
○猪熊重二君 そうすると、刑務所の方の額がほとんどで、百五十三億三千万円余ということになるんですが、これだけの作業収入を上げるために必要と考えられる経費というか原価計算というのか、ともかくこれだけの収入を上げるために必要な経費の項目と金額、その合計とを概略でいいから述べてください。
#47
○政府委員(飛田清弘君) この刑務作業というのがいわゆる営業としてやっているわけじゃございませんので、会社とか製造業者がやっているような、そういうふうな計算は到底できないわけでございますが、かかる経費には人件費と物件費とあるわけでございます。
 まず物件費だけについて申しますと、その予算は約三十三億四千六百万円ぐらいであります。その内訳を申しますと、例えば、原材料費が一億七千六百万円、機械・器具費、これが約十億七千万円、それから光熱水料約四億五千万円、作業実施経費約十六億五千万円等ということでございます。
 ただし、物件費だけで刑務作業ができるかというと、原材料とそれから機械を据えつけたところに受刑者を連れていって、さあつくれと言っても、それは百五十三億売り上げるようなものは到底つくれないわけでございますから、それについては、原材料を受注してきたり、あるいは注文をとってきたり、あるいは原材料や製品を管理したり、それらの事務処理をしたり、それから就業をしている受刑者の指導をしたり、監督をしたり、そういう人がいて初めてこの百五十三億の売り上げができるようなものができるということになるわけでございます。
 この職員の人件費ということになりますと、これは作業ばかりに専念しているというわけではございませんからどのぐらいの人間がかかっているかということは難しいんですが、大ざっぱに言って刑務所の職員の二割ぐらいがそれに当たっておりまして、そういうふうな職員の人件費を考えますと、それが大ざっぱに言って最低百三十億円ぐらいはかかっているんではなかろうかということであります。
#48
○猪熊重二君 まず、今のお話の中で、刑務所の職員の人件費が百三十億かかると言ってみたところで、仕事していようが仕事していなかろうが刑務所の職員はいなきゃなんないんだから、そんなものをここの勘定に入れるわけにはいかぬ。じゃ、仕事させないからこの百三十億円分の刑務所の職員のうち二割がいなくていいのかというと、いやそれは逃げちゃ困るからいなきゃならぬ。だからそうじゃなくて、やっぱりこれだけの売り上げをするために必要な経費といえば、今三十三億四千六百万円ぐらいが物的な経費だと、こうおっしゃる。私はそれが経費だろうと思うんです。それ以外に仕事をするための人件費が少々あるにしても、百三十億かかるなんて言ったって、刑務所の職員の経費のうちの二割をその売り上げの中に突っ込まれたんじゃちょっとぐあいが悪い。仮に経費がいろんな問題を考えて五十三億としても、百億という金が服役者が稼ぎ出している金なんです。ここが一方において重要なことなんです。百億稼いでいるんです。
 さあ、それで問題は、これだけ服役者が百億稼ぎ出しているのに、服役者にはどれだけの銭が、私は銭と言うといつも怒られるのでお金と言います。どれだけのお金が行っているかということについて今度お伺いしたいんです。じゃ今度は、刑務所の方の服役者の作業員与金の年間金額はどのくらいを予算計上していますか。
#49
○政府委員(飛田清弘君) 今の御質問の前提となっているところには、私といたしますれば異論がございますが、それはさておきまして、平成五年度における作業員与金の予算額は約十三億二千万円ということになっております。
#50
○猪熊重二君 だから作業員与金として服役者に支給される、労賃じゃないんだ、労賃じゃないんだとおっしゃるけれども、ともかく仕事したことの賞与金で、お褒めのお金が十三億二千万。だけれども、純益というか利益は百億に近いわけなんです。しかも、この十三億というのが相当な金額ならいいですけれども、十三億の算出根拠として、服役者の一日当たりでもいいし一時間当たりでもいいけれども、服役者の平均賃金と言うと怒られるから、平均作業員与金は幾らになりますか。
#51
○政府委員(飛田清弘君) これは受刑者でも、作業が始まったばかりで何もできないのと、それからかなりな年月がたってある程度できる者と同じわけじゃございませんから全く平均してしか申し上げられないわけでございますが、全く平均しますと作業員与金の一日当たりの平均額は約百四十五円でございます。
#52
○猪熊重二君 一時間当たりの単価もいただきました。一番安い見習い工は一時間で三円二十銭なんです。だから八時間労働で三、八、二十四円、一日に。一番高い人は二十九円五十銭で、これ切り上げて一時間三十円とすれば二百四十円。一日八時間労働させているのか六時間労働させているのか知らぬけれども、ともかく一日働かしてというか働いていただくというのか知らぬけれども、それで二百円ぐらいというのじゃどうにもしょうがない。たばこ一つ買えない、一日働いて。
 もう時間がないから自分でしゃべります。
 要するに、そういうふうにして三年、五年勤めて、一生懸命やったけれども一日にもらうお金が二百円ぐらいだったら一年で幾らか、こういう計算になるんだけれども、三年、五年勤めて出ると
きに、持って出る金が一体幾ら持って出られるかということなんです。刑務所で服役するというのは別に懲罰でもなければ懲らしめでもなければ何でもない。やっぱりその人間が世の中へ出できちんと働いて食っていけるようなことのためにやっているという名目なんでしょう、名目。
 まず、それじゃ名目を聞いてみましょう。
#53
○政府委員(飛田清弘君) 刑務所で作業させるのは刑法の根拠からくるわけでございまして、刑法は懲役になった者は拘禁して、それで労役を科するというふうになっています。ですから、刑務所で作業させるのは刑の執行の内容としてやっているわけでございます。それが直接的には目的でございます。
 もっとも、懲役を科して、これは刑の執行だから当然やらせなきゃならないんで、その直接的な目的は出所した後のためというわけじゃないんですが、間接的にはそこでいろいろ勤労意欲を高めたり、あるいは技術を覚えれば出所した後の役に立つという副次的なものが、これが行刑の面から考えられるところでございます。
#54
○猪熊重二君 刑法では「定役ニ服ス」と書いてあるだけなんです。定役に服して、その定役の性質が懲罰的な懲らしめのためのものであるだとか、あるいは手に職をつけて外へ出ていくための職業的な意味での仕事にするだとか、そんなことは刑法には書いてありゃせぬじゃないですか。
 刑罰の目的をどう見るかということなんです。懲らしめるために寒いところでともかく一日八時間でも十時間でも十五時間でもただで働かせて、それも定役に服するんだろうし、そうじゃなくて、きちんとした労働環境で働いて働いて、得た利益はあんたに還元してやるから、今度はもう悪いことをせぬで、ちゃんと外へ出たらしっかりしろと言って、出るときに銭出して渡してやると。また銭だ。金渡してやるかという、それが刑罰観の問題、行刑の目的に関する理解の問題なんです。
 その行刑の目的をどう考えるかによって一時間三円だとか二円だとかという感覚が出てくるか、それとも百五十億国に入る金があって、経費的に五十億かかるならば、百億は全部あなた方に渡すからこれでしっかり頑張れとやるか、これはもう行刑の政策の問題なんです。
 それで、じゃ大体最近の服役者が出ていくときに実際に刑務所でいただいた、ありがとうございますといって出るときに持っていくお金は一体どのくらいですか。
#55
○政府委員(飛田清弘君) 作業員与金は年々上がっておりますから幾らということはある年度で言わなきゃなりませんので平成四年度で、これも実際に支払った額をなかなか全部調べはできませんので推計が入っておりますが、それで申しますと、在所期間一年の場合に約二万一千円、一年六カ月の場合に約三万八千円、それから五年の場合には二十六万二千円、十年の場合は約六十二万六千円と、大体そのぐらいになろうかと思います。
#56
○猪熊重二君 大臣、五年間一生懸命働いて、出るときに二十万しか持って出られないんです。二十万持って出たんじゃ、今なんかホテルなんか、こういう人はホテルに泊まらぬにしても、住んで飯食って、一週間もたてば金なくなっちゃう。一週間たって金なくなっちゃったら何するか。また盗むよりしょうがない。ということで、こんな五年も働いて二十万円、平均的にですよ、今あなたがおっしゃった数字によると二十万円なんです。何でそんな服役者の働いた金から国が百億円一年にもうけなきゃならないんですか。
 あと一分しかありませんので、大臣の見解を伺って……。
#57
○国務大臣(後藤田正晴君) やりとりを聞かせていただきまして、やはり確かに労働の対価なんというような考え方に立ては、これは問題になりません。やはり何といいますか刑の内容だと、これは。つまり、労役に服して、その間にできるだけ世の中に出れば芸が身につくようにといったようなことも考えながら、刑の内容としての労務作業をやらせておると。その労務作業にある意味において、何といいますか、奨励とでもいいますか、そういうような意味合いの国としての一つの恩典みたいな物の考え方で今日まで来ておるのではないかなと。そしてまた今、五年間で二十万ですか、確かにそれは労働の対価としては問題になりませんが、いずれにせよ出た当座はともかくたちまち電車賃もないといったようなことでないようにというような配慮も一方でしながらやっているものであろうと、私はさように理解するんです。いずれにせよ、猪熊さんのおっしゃることもよくわかります、それは。これらはやはり私どもとしても皆さん方のこういう御意見を聞きながら、将来のこれは一つの勉強しなきゃならぬ課題であろう、かように考えます。
#58
○猪熊重二君 終わります。ありがとうございました。
#59
○紀平悌子君 私のいただいている時間というのは非常に長時間いただいておりまして、往復で十五分でございます。それで大変恐縮ですが、いつもながらお答えいただきます皆様方もぜひ、できるだけお願いをしました私の質疑が終わるような御協力をお願いしたいというふうに思います。また失礼をする部分もあるかもしれません。全く私の不手際で時間が足りなくなるといういつものでんでございますので、その点も初めにおわびを申し上げておきます。
 大臣も再々述べられておりますように、今、長年の病弊というか、政治と金の問題が問われておるだけではなくて、国民が政治にあるいは国会に政府にそびらを向けるというふうな大変なことになっているという状況でございます。
 そこで、まず非常に単純素朴な質問から入らせていただきます。
 金丸信元自民党副総裁の問題だけではなく底は深いわけですけれども、やはり何といっても金丸信元副総裁の問題が耳目を集めております。それが入り口、端緒となったということですので当然のことだと思いますが、この金丸信元自民党副総裁の脱税ということに象徴されます利権政治を裏から支えた企業側の人物の一人、小針暦二福島交通会長が、三月十八日の夜、私の団体の事務所の近くなんて大騒ぎでございましたけれども、入院先の代々木の榊原病院、そこをお出になりまして、そして事実上の日本脱出ということをなさったわけです。これが非常に周囲の住民が山のように群がるという、いわば住民感情というのがあらわになった代々木の榊原病院前の状況だった。私もちらっとそれを偶然見ましたわけですが、この小針会長は、報道によりますと、現在進行中のワリシン購入脱税の実質的指導者だということも聞いております。東京地検特捜部の事情聴取も五回に及んでいらっしゃるそうでございますが、事件に深いかかわりの人物の日本脱出ということを、許すという言い方はおかしいんですが、許してしまったということは、これは捜査に御支障というのはないんでしょうか。
 やはり、政治改革は国民の代表である国会の政治改革という面でも行わなければならないことでございますけれども、何といっても第一線の、合せっかく威信を回復された検察庁ですね、国民の目というのはそういうところに集まるんです。そしてその中で政治を見ます。その点不思議だというふうに主婦の人も働く人も言っておるんです。子供もそう言っております。ひとつこの辺、本当に御支障はなかったんですか。
#60
○政府委員(濱邦久君) 今、委員が御指摘になっておられます小針暦二会長につきましては、これは委員御自身が今御指摘になっておられますように、捜査、公判に関して身柄が拘束されているわけではないわけでございまして、その訪米等の行動につきまして、例えば検察当局がそのことについての連絡を受けるとか、あるいはこれを許可するというような立場にはないわけでございます。実際にも検察当局がそのような許可をしたなどというような事実はもちろんないわけでございます。
 ただ、委員がお尋ねになっておられますのは、それはそうとして、現在検察当局が進めておりま
す具体的事件の捜査との関係でどうかという御趣旨のお尋ねだと思うわけでございます。
 これはいつも申し上げることでございますけれども、具体的事件の捜査におきまして特定の人物を検察当局が取り調べたか、あるいは取り調べるかというようなことについて、具体的に立ち入ったお答えは御遠慮させていただくわけでございますけれども、金丸前議員らに対する所得税法違反事件の捜査におきまして、検察当局は金丸前議員らの蓄財の経過等につきまして、必要な関係者の取り調べを行っているものともちろん承知しているわけでございまして、小針会長が出国したことによって捜査に支障が生じているという報告には接していないわけでございます。
#61
○紀平悌子君 まだお尋ねしたいことがございますけれども、先へ参ります。
 法務大臣にのっけからお伺いして大変恐縮でございますけれども、恩赦の問題でございます。
 現在、政府では皇太子の御結婚に伴う恩赦の実施ということで、法務大臣の御指示のもと法務当局で復権と特別恩赦を軸に検討されているというふうに伺っております。大体、本人の行状とか反省度とか、そういったことを度外視して一律に犯罪者等を赦免する政令恩赦というものが私は非合理的な面があるのではないかと思います。時代も進んでまいりました。民主主義の精神に反すると言ってしまっては言い過ぎかも知れませんけれども、国家による特別の計らいというふうになりかねないということもあるのではないかと思います。刑事政策的には特定の者について個別審査の上恩赦するかどうかを決める特別恩赦に限っていくべきだというふうに私は思っております。
 さらに問題なのは、特別恩赦として今回行われるであろう復権の面で、恩赦される罰金刑の確定者について実際に恩恵というかそれを受けるのは公民権停止の公選法違反の方々、それから統一地方選挙が行われた平成三年だけでも公選法違反の罰金刑受刑者は三千六百名に及ぶというふうに聞いております。殊に、総選挙が予想されております今でございますので、慶事を前提とした国民のための恩赦が逆に国民の意思に反するというか、あるいは選挙の浄化ということにつながらないというふうになりかねないという危険があります。国民の間には、いろいろ婦人団体、市民団体の間にはそういった形になる恩赦はやめるべきだという声も多くあるのです。
 今は脱税というより重い罪に問われて取り調べを受けておられる金丸信元自民党副総裁も復権の恩赦を受けるということになるので、脱税の方が初犯になるというふうなことになるんでしょうか。こういうふうなことは、やはり正義、公平というような国民の感情からは非常にこれは損なわれていくと。つまり、国民のそうした声を法務大臣は心底どう受けとめておられますでしょうか。もし、具体的に例えればなお結構でございますが、どう受けとめられておられるかということでお願いいたします。
#62
○国務大臣(後藤田正晴君) 恩赦制度をめぐりまして、今、紀平さんがおっしゃったようないろんな立場からもいろんな議論があることは私百も承知をいたしております。恩赦というこの制度は憲法上の制度でありますし、戦前と今日では、これは意味合いが変わってきておりますけれども、やはりこの制度そのものを私は大事にしなきゃいけない制度だ、どこの国でもある制度であろう、こう思います。問題は運用の問題であろう、かように考えておるんです。
 何といいましても、ただ一般的に申し上げまして、司法の作用を行政の作用で、これで変えてしまう、場合によると国家の処罰権そのものを消滅させるといったような大変な制度なんですね。しかし一方、刑事政策的に考えますと、やはり法律というのはかたいんですよね、固定化しておるんですね。そういったところからくる、やはり避けがたいマイナス面もあるわけですね。だから、そういうようなことをいろいろ考えて、この制度は大変な重大な影響を及ぼす作用であるだけに慎重でなければなりませんけれども、やはり制度としてはこの運用にできるだけ慎重な配慮をしながらもやらなきゃならない制度である、私は一般論としてそう考えております。
 今、皇太子殿下の御成婚を控えていろんな御意見がありますが、これはまだ私は、事務当局にはそういったような基本的な考え方は当然従来から持っておるわけでございますが、ひとつ勉強してみてくれ、こういうことで勉強してもらっておることは事実でございますけれども、ここで今どうこうというお答えできるような段階ではありません。つまりは、恩赦を実施するかしないかというようなことまで含めて、やるとすればどういうことになるのかなといったような勉強をしていただいておる段階である、かように御理解願いたいと思います。
#63
○紀平悌子君 御懇切な御答弁ありがとうございました。
 そこで、法務省にお伺いいたしますのですが、勉強するようにというふうな感じで今大臣としては指導の立場に立っていらっしゃるということなんですけれども、恩赦法についてはきのうきょう改正の必要があるというふうに出たわけではなくて、このところずっとないんですけれども、昭和二十七年でしょうか、まあ一応ちょっと改正がありました。
 例えば参議院の議員提案でございましたけれども、三十二年、三十三年ぐらいでしたかしら、私も大変お世話になりました参議院におりました市川房枝さん、元参議院議員でございますが、何人かの有識の議員と御一緒に法改正の提案をされたことがあるんです。例えば、そのときはたしか恩赦審議会というものを、国会の衆参議長をもお入れした審議会をつくって、そして民主的なコントロールをしたらどうかというようなことではございました。これはもちろん参議院の方では通っておりますけれども、当時衆議院の方では審議未了となって流れております。一応このような経過も十分御承知のことと思いますけれども、恩赦法の改正というような点については当局はお考えでございましょうか。法改正の方の部分をお伺いいたします。
#64
○政府委員(杉原弘泰君) お答えをいたします。
 今、委員御指摘のように、過去の一時期に恩赦法の一部を改正して、恩赦の実施につきまして内閣に恩赦審議会等の諮問機関を設けるべきではないかというような考え方に基づきまして、その方向での立法化の動きがあったことは私ども承知いたしております。
 恩赦の実施につきまして内閣に諮問機関を設けますことは、それによりまして恩赦の内容が事前に漏えいする、漏れるというようなおそれもありまして、刑事司法に好ましからざる影響を及ぼすのではないかというような問題、あるいはまたそのような諮問機関を構成する委員をどういうふうに公正にかつ適正に選任するかというような問題、さらにはこのような諮問機関が設けられるといたしますと内閣の恩赦実施に関する政治的な責任と申しますか、そういったものがこの諮問機関に転嫁されるおそれがあるのではないかというような御意見等々いろいろの問題がございまして、そうした諮問機関を設けることの当否につきましてはにわかに判断しがたいというようなこととされまして、そのまま現在に至っているというふうに理解をいたしております。
#65
○紀平悌子君 二分ございますか。もうないですか。
 それでは、やはり私の不手際でこれから、私はもうとても我慢がならない、お父様でもお母様でも祖父母でも、だれでも我慢のできないという問題、いじめの問題です。子供のいじめの問題ということにつきまして、これはだれかが必ずどこかでやらなきゃならないことだと思うんです。
 それで、きょう伺いたかったのは、法務省、文部省に、まずいじめという問題につきましてどういうふうな基本的な対策をお持ちかということが一点。それから、行政官庁同士、法務省と文部省との間に連携された御相談の場というのがこれまでにあったと思うんですが、あるのかないのか。
あったとすればどういう方法であってどういうふうな方向で進んでいるのか。それから、本当に申しわけないんですが、この次の機会に大臣にもこのいじめという問題につきまして、これは物すごく深刻な問題でございます。それで、ただびほう的にいわゆる対症療法をやっただけではなかなかおさまるものではないのですが、今なお、これが下火になっているというのは実は違います。
 こういうことをこの次お伺いをしたいというふうに残しまして、時間が来ておりますのでやめさせていただきます。資料だけは、いじめの件数等の資料だけは、後ほど両省からいただきたいと思っておりますのでお願いいたします。
 終わります。
#66
○委員長(片上公人君) 以上をもちまして、平成五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管及び法務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○委員長(片上公人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#68
○委員長(片上公人君) 次に、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。
#69
○国務大臣(後藤田正晴君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下簡単にその要点を申し上げます。
 第一点は、裁判官の員数の増加であります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件の適正迅速な処理を図るため、判事補の員数を七人増加しようとするものであります。
 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数の増加であります。これは、一方において、地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び破産事件の適正迅速な処理を図る等のため、裁判官以外の裁判所の職員を五十六人増員するとともに、他方において、裁判所の司法行政事務を簡素化し、能率化すること等に伴い、裁判官以外の裁判所の職員を三十二入減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を二十四人増加しようとするものであります。
 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいまするようお願いを申し上げます。
 以上でございます。
#70
○委員長(片上公人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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