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1993/04/15 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第4号
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1993/04/15 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第4号

#1
第126回国会 法務委員会 第4号
平成五年四月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   出席者は左のとおり。
    委員長         片上 公人君
    理 事
                下稲葉耕吉君
                真島 一男君
                竹村 泰子君
                猪熊 重二君
    委 員
                斎藤 十朗君
                鈴木 省吾君
                服部三男雄君
                平野 貞夫君
                山本 富雄君
                大脇 雅子君
                角田 義一君
                深田  肇君
                矢田部 理君
                石原健太郎君
                紀平 悌子君
   国務大臣
       法 務 大 臣  後藤田正晴君
   政府委員
       法務大臣官房長  則定  衛君
       法務省民事局長  清水  湛君
   事務局側
       常任委員会専門  播磨 益夫君
       員
   説明員
       国土庁土地局国  段本 幸男君
       土調査課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○不動産登記法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片上公人君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。
#3
○国務大臣(後藤田正晴君) 不動産登記法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、建物の合体に関する登記手続を整備し、閲覧に供するため登記所に地図に準ずる図面を備えること等により、不動産登記手続の適正迅速な処理を図るとともに、不動産登記制度の利用者の利便に資するため、その一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
 第一に、数個の建物が合体して一個の建物となった場合には、建物の所有者は、合体前の建物の抵当権者等の承諾書等を添付して、合体による建物の表示の登記を申請することを要するものとし、この場合に、登記官は、合体後の建物の表示の登記をした上で、その建物の登記用紙に合体前の建物の抵当権等の登記を移すこととしております。
 第二に、登記所に不動産登記法第十七条の地図が備えられるまでの間、これにかえて地図に準ずる図面を備えるものとし、何人も手数料を納付してその閲覧を請求することができることとしております。
 第三に、委任による登記申請のための代理権は、本人に死亡等の事由が生じても、消滅しないこととしております。
 第四に、登記済証が滅失した場合にこれにかえて登記申請書に添付することを要する保証書について、当該申請に係る不動産所在地の登記所以外の登記所で登記を受けた者も保証人となることができることとしております。
 第五に、地図を作製する場合において必要あるときは、登記官は、土地の所有者に異議がないときに限り、分筆及び合筆の登記をすることができることとしております。
 第六に、地役権の登記がある土地について合筆の登記を申請する場合において、合筆後の土地の一部に地役権が存続することとなるときは、その部分を示す図面の添付を要するものとしております。
 第七に、予告登記がされている場合において、確定判決等により確定した登記の抹消または回復を請求する権利を放棄したことを証する書面が提出されたときは、裁判所書記官は、予告登記の抹消を嘱託することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいまするようお願いいたします。
 以上でございます。
#4
○委員長(片上公人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○角田義一君 角田でございます。
 まず、国土庁にお尋ねいたしますが、今日国土庁が管理管轄をしております俗に言う地籍地図の作製の進捗状況は今日の時点でどの程度になっておりましょうか、御説明願いたいと思います。
#6
○説明員(段本幸男君) 地籍調査の進捗についてのお尋ねでございますが、地籍調査と申しますのは国土庁で所管しておりまして、国土調査法に基づきまして昭和二十六年から一筆ごとの所有者、地目、地番、境界及び地積等の明確化を図るために実施しているものでございます。さらに、その進捗を図るために昭和三十七年から国土調査促進特別措置法という法律に基づきまして十カ年方式による調査を進めているわけでございまして、現在は平成二年度を初年度といたします第四次国土調査十カ年計画というものに基づきまして計画的な進捗を図っておりますが、その進捗率は平成四年度末現在で全国平均三七%ということになっております。
#7
○角田義一君 国土庁ではいわば山林だとか原野だとかというところと人口密集地域と分けておると思うんですが、俗に言う人口密集地域、ここにおける地籍地図の作製状況というのは現在どの程度になっておりますか。
#8
○説明員(段本幸男君) ただいま全国平均で三七%と申し上げましたが、私どもはそれらの調査をDID地域、いわゆる人口稠密地域と分けて統計をとっておりますが、DID地域におきましてはさらに低くて一二%ということになっております。
#9
○角田義一君 何か東京二十三区は地籍地図は一枚もないというふうに聞いていますけれども、そうですか。
#10
○説明員(段本幸男君) 東京二十三区内におきましては、かつて土地改良の関係で従前地調査ということで別途類似調査を実施したことがございますが、地籍調査として実施したものは一枚もございません。
#11
○角田義一君 戦後四十数年たって、この東京で地籍地図が一枚もないというのは、それはどういうわけなんですか。
#12
○説明員(段本幸男君) 都市部の地域につきましては私ども地籍調査を促進すべく現在も努力しておりますが、都市部の地域におきましては土地が非常に細分化されておりまして権利の移動が非常に激しいというふうな状態、あるいは地価が高いというふうなこともございまして住民にの権利意識が非常に強い、したがって土地の境界等を画定する場合に非常にやりにくいというふうなこと、あるいは地方行政側がいろいろ生ずる行政需要に対応していくときに、私どもの地籍調査は大変地味でございましてこういったものに対する認識が低かったというふうなこともございましてなかなか進んでいないというふうなことでございます。
 なお、東京都につきましては、現在、精度ははるか劣りますけれども、戦災復興図とか震災復興図とかそういったものがございまして、これらでいろんな行政が行われているというふうな状況ではないかととらえております。
#13
○角田義一君 私はびっくりしたんですけれども、東京二十三区で国土庁の地籍地図が一枚もないと。しかもそれは、権利意識が高まっているとか権利の変動が激しいとか、そういうことは私は理由にならないと思うんですね。権利意識が高いのは結構なことなんだ、ある意味では。権利意識が高いからゆえにしっかりした地籍地図をつくらなきゃいかぬ。論理が逆なんだ、あなた方の言っていることは。と私は思うんですよ。
 じゃ問題は、一年間大体どのくらいの予算をこの地籍地図をつくるためにとっているんですか。
#14
○説明員(段本幸男君) 予算の関係でございますが、地籍関係の予算は平成五年度におきましては、負担金の格好でとらえておりまして、国費ベースで八十五・三億円ということになっております。
 なお、この予算は昭和五十七年にピークの予算額、負担額、国費で九十・四億円というのがつきましたけれども、その後歳出の抑制の影響を受けまして予算が減ってきまして、昭和六十三年に一番最少額を記録したわけでございます。その後平成四年度、平成五年度につきましては、特に地価高騰等に伴う措置として土地情報をきちんと整備せにゃいかぬというふうな認識も受けまして、公共事業を上回る予算の伸びを得ているというふうな状況にございます。
#15
○角田義一君 八十五億程度の予算でやっているんでしょうが、今日、全国平均三七%ですね。そうすると、十カ年計画が何年やるのかわかりませんけれども、一体日本全国の地籍地図ができるというのは何年なんですか。
#16
○説明員(段本幸男君) 私ども第四次十カ年計画、先ほど申しましたように、現在は平成二年度を初年度といたします第四次十カ年計画というものに基づいて実施いたしております。この四次十カ年計画を立てるときにおおよそどの程度見積もってやるかということを試算してやっているわけでございますが、その折には今後全体を三十年程度、ごく一部の林地等利用度の低いところを除きまして、残る地域を三十年程度で完了することを目標に置いて十カ年計画を定めたというふうな形で実施いたしております。
#17
○角田義一君 あと三十年、私は亡くなっていますな。とても生きていられないでしょう。
 ちょっと外国の例を聞きますけれども、ドイツ、フランスはどうなっていますか、地籍地図は。完成しておるはずですよ、とっくに。
#18
○説明員(段本幸男君) 諸外国における事例でございますが、まず今出ましたフランスにつきましては、既にナポレオン地籍というふうな名前で呼ばれておりますように、一八〇〇年代、今から約二百年前でございますが、に始められまして五十年ほどかけて、その段階で終わっている。フランスにつきましてはその後やはり開発が進みましたから一九三〇年ごろから再調査が進められまして、これについてももう終わっているという段階にございます。
 それからドイツにつきまして、旧西ドイツで答えさせていただきたいと思いますが、旧西ドイツは、これは連邦でございますので各州がそれぞれ地籍調査を実施するということになっておりますが、それぞれの各州につきましてもすべて完了しておりまして、今は図面のそれぞれまた再修正の段階にあるというふうに聞いております。むしろ旧西ドイツにおきましては、これらを情報システム化してそれを行政に生かしていこうというふうな段階で検討が進められているというふうにとらえております。
#19
○角田義一君 失礼だけれども、韓国はどうなっていますか。
#20
○説明員(段本幸男君) 韓国につきましては、占領時代から既に始めておるようでございまして、一九一〇年から一八年まで土地調査、それから一九一六年から二四年まで林野調査ということで既に完了しているというふうな状況にございまして、現在は多目的化とか数値化とかいった段階で進められているというふうにとらえております。
#21
○角田義一君 台湾はどうですか。
#22
○説明員(段本幸男君) 台湾につきましては、一九五四年、戦後すぐ始めたようでございまして、先生先ほど御指摘ありましたように、これまで私どもは都市部が大変おくれているわけでございますが、台湾ではむしろ逆で都市部については今までほぼ完了しておりまして、進捗率は四〇%ぐらいというふうにとらえております。
#23
○角田義一君 この問題だけやっているわけにいかないんですが、これは法務大臣というよりも副総理として私はお尋ねしたいんです。
 日本は近代国家で、しかも一番国民の権利関係をしっかり押さえなきゃならぬ地籍地図が今日まだ三七%の進捗率、あと三十年かからなきゃでき上がらない。これから土地開発であるとかいろいろな国土の総合的な開発を進める上でも、私はこの地籍地図というのは国家運営の基本だと思うんですよね。そういう認識を今までの法務当局なり国土庁なりというのはどの程度持っておったのか、非常に私疑問に思ってびっくりしているんです。
 しかもドイツ、フランスとかいうところはもう、それは歴史はちょっと若干違うかもしれませんけれども、完成しておる。韓国でも戦後いろいろやってもう進んでおる、台湾ももう進んでおると。こういう状況の中で先進国である日本がまだ三七%、しかもこれから三十年かからなきゃ完成できないだろうと、こういうことで果たしてよろしいのか。
 これはもうちょっとやっぱり国家的な一つの大きな事業として位置づけて、予算もつけてもっと早い時期に仕上げる、そういう基本的な姿勢が政府にないからこういうことになるんじゃないかと私は思うのでございますが、ひとつぜひ副総理、副総理に就任されたんですから、国家運営のこれ基本として、こんなのろのろのろのろしたことで果たしていいのかどうなのか、この辺のやっぱり副総理としての御所信を私は承っておきたいと思うんです。いかがでございましょうか。
#24
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えするまでもなく、正確な地図を備えつけて権利関係をはっきりさせるということは、これは極めて私は基礎的な重要な仕事であろうと思います。
 今、応答を聞いておりまして、昭和二十七年からといったらもうこれ四十年たっているんですね。それでまだあと三十年、これ七十年かかる。仕事は大変難しい仕事であろうとは思いますけれども、それにしてもこんな大事な仕事に年間の予算がわずか最近の貨幣価値で大体八十億から九十億程度、完成率は三十何%ですか、大都市等では一二%、これはもうまことに私は仕事に対する重点の置き方をいま一度見直さなきゃいかぬのではないかというくらいの感じを持ちました。
 御質疑等、ごもっともだと思います。これはしかるべく閣議等の際に私の方からこういう重大な御提言があったということを発言をいたしまして、できる限り推進をするということに努力をいたしたいと、こう思います。
#25
○角田義一君 ひとつよろしく副総理としての手腕を発揮していただきたいと思います。期待をしております。
 次に移ります。
 不動産登記法の関係でお尋ねするわけでありますが、今回二十四条ノ三というものを新設されまして、十七条の規定による地図が備えつけられるまでの間、これにかえて「地図ニ準ズル図面」を備えつける、こういう形になってきておりますが、これはほとんどがいうところの公図だというふうに思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
#26
○政府委員(清水湛君) その大部分が明治の初期につくられたいわゆる土地台帳附属地図とされるものである、それ以外のものも若干、例えば土地改良による図面だとか、あるいは土地区画整理が行われた際につくられた換地図面、そういうふうなものが一部含まれておる、こういうふうに理解して差し支えないと思います。
#27
○角田義一君 この公図についてはいろいろ議論があるところでありますけれども、これは今度の場合は、この公図については閲覧だけではなくて、写しの請求権、これはどういうことになるのでありましょうか。
#28
○政府委員(清水湛君) 従来、従来と申しますか、現在この十七条の地図以外の地図等につきましては、これは正式な法的な位置づけというものがされていないわけでございまして、今回これにつきまして閲覧制度を設けるということにいたしたわけでございます。十七条の地図でございますと、閲覧のほかに登記所の方でコピーをつくりまして、これは十七条の地図であるという証明文を付しましてこれを交付するという制度があるわけでございますが、この「地図ニ準ズル図面」につきましては、今回はこのような制度を採用することとはいたしておりません。
 その理由は、一つには「地図ニ準ズル図面」というのが規格も非常に不ぞろいで不統一である、そのまた用紙も戦前に作成した和紙等でつくられているものも多数あると。規格なんかについても、先ほど申しましたけれども、極端に言えば大変大きな大判の公図もあると、こういうような状況があるわけでございます。そういうようなものについて写しをつくるということになりますと大変な労力がかかるというようなこともございまして、とても現在の体制ではこれに対応することはできないというようなことから写しの交付というようなことについては、今回はこれはできないと、こういうふうにいたしたわけでございます。
#29
○角田義一君 これは手数料を納付して閲覧ができるわけでありますが、これはまあ法律ができて手数料というものがだんだん決まっていくんだと思いますけれども、およそどのくらいの金額、閲覧する費用、手数料を予定しておるんですか。
#30
○政府委員(清水湛君) 現在はこの法十七条の地図というものが多数あるわけでございますけれども、全体はカバーしておりませんが、登記所が保存しております十七条の地図の図面というのは、枚数で申しますと、四十数%になっているわけでございます。
 この十七条の地図の閲覧手数料については、一枚について四百円というふうに現在決まっているわけでございます。私どもの考え方といたしましては、これはいずれ政令でお決めいただくことではございますけれども、この十七条の地図の閲覧手数料と同額の四百円ということにいたしたいというふうに考えているところでございます。
#31
○角田義一君 私、ちょっと発想が逆だと思っているんですよ。法務省の考えだと、ほかの地図も四百円だから公図も四百円だということのようだが、物の論理的な考え方だとそうじゃないんじゃないですか。
 公図を閲覧させると、しかしその費用を取って。その費用を何に使うか。それは公図を維持管理するために使う費用とするならば、例えば公図の維持管理をするために一体年間どのくらいの金が要るんだと。そして、年間どのくらいの件数が閲覧に供されておるんだと。とすれば一枚このくらいになるんじゃないかというのが論理の筋道であって、それが全くなくて、ほかのところが四百円だから、ほかの地図も四百円だから公図も見せるだけでも四百円だと、これはやや乱暴な理屈ですよ。少なくとも国民から一銭でもお金を取るときには非常に厳格なやっぱり制度なり運用なり、それから発想なりというものがきちっとして、そして一銭でも金を取るという、そういう基本的な発想を国家は持ってないと私はいかぬと思うんです。ほかの地図が写しまで入れたって四百円ですから、これは見るだけだから、それでも四百円だという、そういうロジックがまず私は気に食わないんだよ。もうちょっと国民が納得できるようなロジックをちゃんと立てて説明してくださいよ。
#32
○政府委員(清水湛君) 本来の地図が四百円だからこれも四百円だということで形式的に考えているわけではございませんで、もちろん地図の閲覧手数料につきましては、他の登記簿またはその他の書類の閲覧手数料の額と同じように、物価の状況だとか、あるいはそういうものを維持管理するために要する諸経費、人件費を含めまして、そういう諸経費を含めて算定をするわけでございます。
 現在の登記手数料というのは、そういうような交付等に要する実費その他一切の事情を考慮して決めているわけでございまして、その点につきましては十七条の地図に要する経費もそうでない「地図ニ準ズル図面」に要する経費も基本的に交付等に要する実費という点から見ますと違いがない、そういうことから両者に差等を設けることは合理的ではない、こういうふうに考えられるわけでございます。
 私どもといたしましては、そういうような状況を踏まえまして、おおむね三年間程度ごとに物価の諸状況とかいろんな経費の状況等を勘案して手数料の改定を行っているわけでございますけれども、その際にさらに加えまして、御承知のようにこの種の登記手数料をもって登記のコンピューター化を進めるということにもなっておるわけでございます。コンピューター化の展開に応じまして、これに要する経費が年々増加をしておるというような状況もございますので、そういうコンピューター化経費をも含めまして登記手数料の合理的な額を算定する、こういうことになるわけでございます。その際、十七条の地図の手数料額と今回の「地図ニ準ズル図面」の手数料額、これはそういう点から考えますと同額とすべき性格のものであろうと、こういうふうに考えて先ほど申し上げた次第でございます。
#33
○角田義一君 あなたには釈迦に説法だけれども、要するに公図というのは別に登記官の認証はもらえませんよね。これは新しい制度になったって、じゃ認証してくれますか。してくれないでしょう。それは司法書士さんなり本人が、これは公図の写したということを自分で書いて裁判所に出すだけのものなんだ。何ら閲覧をしたからといって、あるいはまたお金は別に払って謄写したからといって証拠能力が高まる、証拠価値が高まるというものじゃないわけですよ。少なくとも前のいわゆる地籍地図であるとかあるいは土地改良での地図というものについては、これは一応登記官がちゃんと認証してくれますよ。裁判所にだってそれなりの信用がある、証拠価値があるわけです。こっちは単なる閲覧だけで四百円。
 私は四百円が高いとか安いとかと言うんじゃないんですよ。いろいろ議論があるところだけれども、国民からお金を取るというときにはもっとちゃんと合理的な理由がなきゃいかぬだろうと、こう言っているんですよ。しかも片一方はちゃんとしたある程度力がある。力があるというのは、証拠的な力がある、証拠価値がある。片一方は何もない。それでも同じ金を取る。こういう疑問はやっぱり残るんですよ。
 それで、あなた方の衆議院の議論を聞いていると、年間大体これは千二百万件あるんですな、閲覧が。そうすると、四百円だと私の大ざっぱな計算で五十億ですよ、あらあら。千二百万件で四百円だというと五十億円入るんです。この金はどこへ入るんですか。これは不動産特別会計へ入るんですか。どこへ入れるつもりですか。
#34
○政府委員(清水湛君) その前に、十七条の地図の場合には写しの交付という制度がございまして、これは認証文を付します。これについてはまだ閲覧とは別に四百円の手数料をいただく、こういうことになっておりまして、この部分が「地図ニ準ズル図面」については欠けているということに今回なっているわけでございます。
 この種の登記手数料は、今回「地図ニ準ズル図面」については閲覧制度だけができまして閲覧手数料の徴収ができるわけでございますが、この閲覧手数料の総額、これは全国に約三百万枚、正確に申しますと二百九十数万枚のこの「地図ニ準ズル図面」があることになるわけでございまして、これが日常的に利用されておると。そういう利用状況の実態というのは、必ずしも正確なデータが実はあるわけではございませんけれども、一定の期間を区切りましてこのいわゆる「地図ニ準ズル図面」の閲覧状況というものの統計をとりまして、それから推計いたしますと約五十億、これは少し私は見積もり過多ではないかなという感じも実はしないわけではないのでありますけれども、大体五十億程度の収入は年間で予想できるのではないか、こういうことになるわけでございます。
 こういう登記手数料は、御指摘のように現在の登記特別会計のもとにおけるいわゆる特定財源、つまり一般会計からの繰入額とそういう登記手数料等の特定財源から登記特別会計というのは成るわけでございますが、そういう特定財源として、主として乙号事務処理経費、日常的な謄抄本作成等の事務経費に使われるほか、コンピューター化の経費に振り向けられると、こういうことになるわけでございます。
 したがいまして、この「地図ニ準ズル図面」の手数料につきましても、本来のこの「準ズル図面」の維持経費にもちろん充てられるということ、これは従来も相当、十数億、二十億近い金がこのために費やされているわけでございますけれども、さらに私どもはその金をこの「地図ニ準ズル図面」の整備のために振り向けるとともに、コンピューター化経費の一助にもいたしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#35
○角田義一君 これは閲覧するだけでは用が足りないからコピーをとるわけですけれども、恐らく実際は登記所に備えつけられてありますコピーを借りてとるということになると思うんですね。
 そうしますと、そのコピーというのは、これは民事法務協会が所有しておるコピーだと思うんです。高い安いはいろいろ議論があるところですけれども、関西では一枚大体五十円、関東では七十円。関西の方がしっかりしているんですな、五十円なんですよ。関東は七十円取られている。そのお金が民事法務協会に入ることになる。
 そうすると、これもちょっと疑問があって、いろいろと尋ねているとまた切りがないんだけれども、本当に不動産のコンピューター化を進めるとか公図の維持管理をするとかということになると、本来であれば私はこの部分の公図のコピー代というのは、これは不動産の特別会計の方に入るべきなのが筋じゃないのかなという気がするんですよ。それが、財団法人であるけれども、その収入の方へ入っていくということはどういうことになるのでございましょうか。わかるように説明してください。
#36
○政府委員(清水湛君) 本来、登記制度上写しの交付ができる、写しの交付請求権があるというものにつきましては、これは国側で写しをつくりまして、認証文を付して御申請人に交付する、こういうことでございます。ところが、いろんな書類の中には閲覧はできるけれども写しの交付という制度はない、こういうものはたくさんございます。
 今回問題になっております「地図ニ準ズル図面」につきましても、写しの交付制度は今回創設をいたしておりません。それ以外にも、例えば分筆の登記の申請の際に出す地籍測量図だとか、あるいは建物を新築した場合に提出する建物の図面あるいは各階平面図というような図面があるわけでございます。そういうものについても閲覧の制度はございますけれども写しの交付という制度はございません。
 そこで、従来よりそういうものを閲覧する方々が閲覧の機会にそれを写しとる、例えば図面でございますとトレースの用具を持ってきてトレースで自分の図面を写しとる、こういうようなことがある意味におきましては昔から行われてきたわけでございます。ところが、戦後非常に複写機の技術が発達してまいりまして、自分で写しとるのが面倒だと、だから外部の業者が登記所にそういう機械を設置して、そしてその機械を利用して自分たちはコピーをつくって持って帰るというようなことにさせてもらえないかと、つまり利用者の方からそういう声が必然的に起こってきたわけでございます。中には土地家屋調査士会等が積極的にそういう機械を買いまして登記所の中に置いてほしいというような要請が出てまいりました。
 しかし、そうなりますとそういう機械を設置する場所、これは国有財産を使用するという問題が一つ起こってまいります。それからもう一つ、登記所の電気代をどうするのか、そういう機械の電気代をどうするのかというようなことが問題になりまして、会計検査院の方からも指摘をされるというようなことがございました。
 そこで、国の大事なそういういろんな資料を取り扱うということでございますので、国のいわば監督権の及ぶ財団法人民事法務協会の方で一律にそういう利用者の要望にこたえる形で、いわばサービスとしてそういう機械を購入いたしまして、国の許可を得て、また電気につきましては別途メーターを設けてコピーを置いて、それを俗にコインコピーと称しているわけでございますが、そういうようなこと。
 また、法務局の方から見ますと、いつまでも法務局の中に居座って長時間トレースをしておられるということになりますとほかのお客さんの迷惑にもなるし、非常に登記所が混雑をするというような面もございましたので、そういう利用者の要請にこたえる形でこのコインコピー制度、これがもう非常に速い勢いで普及してきたというのが実情でございます。
 そういうようなことを考えますと、本来国でつくるべき性格のものではございませんので、結局それについての経費はこれは民事法務協会の方に帰属をせざるを得ない、その費用を国の方で取り上げるというのはまさに法的な根拠が全くないということになるわけでございます。この費用の額につきましては、例えば民事法務協会といたしましては、そういう機械を購入してそこに置いても経済的にはペイしないというようなところも実はあるわけでございますけれども、利用者の方からの非常に強い要請があってかなりその数をふやしているというような状況も実はあるところでございます。
 したがいまして、コンピューター化のためにこの経費を何とかして確保しなきゃならないという要請は私ども本当に痛切に感じているわけでございますけれども、このコインコピー代についてはちょっとそれに繰り入れるということは難しい話ではないかと、こういうふうに実は考えているわけでございます。
#37
○角田義一君 私は民事法務協会が悪いとかいいとかと言っているんじゃないんですよ。民事法務協会はここわずか二十年ぐらいの間に資産がばあっと、最初三百万ぐらいだったものが今十七億ぐらいですな。そういうことはすぐわかりますよ。財団法人で資産がどんどんどんどんふえるんです。一般的には身上が減るよりはふえた方がいいかもしれないけれども、しかし財団法人というのは営利を目的としておるわけじゃないわけですから、それがどんどん身上が十七億にもなるということは、一体これはどういうことなんだろうかなという素朴な疑問を私は持つ。
 しかも国も相当この民事法務協会には受託料で一般会計から金も出してコンピューター化なりの作業をやってもらっているということになりますと、十七億の資産もできてきたこの民事法務協会と国とのあり方、手数料の徴収の方法、こういうのはもう一遍総合的に、こういうものは困るということを私は見直さなきゃならぬ時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですよ。
 この民事法務協会がいろんな役割を果たしているということは、私は何も否定もしないんですよ。しないんだが、これだけ身上がふえて、しかも今言ったような手数料とかあるいはコピー代をどうするかというような問題を総合的にやっぱりもう一遍洗い直すというか、再検討する時期に来ておるんじゃないかと、こういう気持ちがするから聞いているんですが、どうですか、その辺。
#38
○政府委員(清水湛君) 民事法務協会が一時期非常に順調にその業績を伸ばしできたということは事実でございまして、そのためにある程度の資産の蓄積ができた、コインコピーによる収入等も相当の額に上がったという事実はございます。
 ただ、私どもが民事法務協会にお願いをしております仕事といたしましては、一番大きな仕事はいわゆる謄抄本の作成業務の一部委託、こういうことでございます。簡単に申しますと、登記簿の謄抄本の交付申請があった場合に、それをコピーで焼くという作業を民事法務協会に委託をする、こういうことが重要な仕事になっております。それからもう一つは、コンピューター化を現在進めておりますが、コンピューター化をする際に、現在登記簿に記入してある各種の情報を磁気ディスクに写しかえなければならない移行作業という大変面倒な作業がございます。そういう作業について民事法務協会に委託をする、こういうことでございます。
 それから、民事法務協会独自の事業といたしましてコインコピーの設置、これは利用者からの非常に強い要請に基づいて民事法務協会がこれを行っているわけでございます。
 そのほかにもちろん公益法人として登記制度とかいろんな制度についての研究、検討、それから各種の広報、宣伝等をやっているわけでございますが、そういうような民事法務協会全体の状況の中で、例えば最近不動産取引が若干停滞をしておるというようなこともございまして、実は一番主要なメインの仕事である謄抄本の作成の一部委託、これは謄抄本を焼いた枚数に応じて法務省側がお金を払うということになっておりますが、そういうようなものが減少をするというような状況になってまいりまして、収支の状況は必ずしも最近順調とは言えないような状況にございます。
 そういうような状況を踏まえまして、またこれがしかし財団法人として、公益法人として法務省のいわば監督下にある法人でもございますし、現実に登記行政のかなりの重要な陰の部分を担っておるという実態もございますので、いろいろそういうような先生御指摘のような問題も常に意識しながら私どもとしては検討をしておるところでございます。
#39
○角田義一君 そういう問題意識を私どもは持っておるということだけちょっと留意しておいてください。
 次の問題に移ります。
 今度の改正点で私はちょっと気になる点が幾つかあるわけなんですが、二十六条に「委任ニ因ル登記申請ノ代理人ノ権限ハ本人ノ死亡」云々とありまして、「消滅セズ」と、こういう規定になっておるんですな。これは釈迦に説法だけれども、普通委任契約は本人が死亡するともう代理権は消滅するんですよね。なぜこの新しい制度、民法のこれは一つの大例外になりますわね。これを設けた経過というよりも、むしろ私は法理論を聞きたいんですよ。民法の例外規定をここに置く、どういう理由づけで、どういう理屈づけでこれができるのかということの法理論的な問題をまず説明してほしいんです。
#40
○政府委員(清水湛君) 御指摘のように民法の一般原則に従いますと、本人が死亡いたしますと委任による代理権は消滅をする、こういうことになっているわけでございます。
 ただしかし、この司法書士の代理権につきましては、これは一つには既に確定した権利関係というものがある、売買なら売買という形でもう所有権は移転しちゃっておる、あるいは抵当権はもう設定してその効力が生じておるという実体がまずある。もちろんそういう実体が正確であるかどうかということは、司法書士が受任をする段階においてこれは確認をしなきゃなりませんけれども、とにかくそういう客観的にもう決まった権利関係がある、そういうものをいわば公簿に反映するための手続でございますので、この委任による代理権が本人の死亡等によって消滅しないことといたしましても、これによって本人に不利益を与えることはない、こういうことが大前提にあるわけでございます。
 同じような議論、これはまさに先生に対しては釈迦に説法でございますけれども、例えば民法では双方代理の禁止という大変重要な規定がございます。この双方代理の規定は、これは司法書士が登記所に申請する行為、これは一種の公法上の行為でございますので民法の規定がストレートに適用になるかどうかという問題はあるわけでございますけれども、仮に類推適用があるといたしましても、双方代理の禁止規定の例外に、単なる義務の履行についてはこの限りではない、こういう例外規定が設けられております。
 司法書士さんが登記の申請をする場合には、先ほど御説明申し上げましたとおり、実体上の権利関係は既に確定をしておる、それをいわば義務の履行としてそういう手続をする、公簿に反映するための手続をするということでございますので、いわば一種の義務の履行ということで双方代理が認められております。そういったような制度の趣旨からいたしましても、本人が死亡した場合にこの代理権が消滅するということはいささか不都合である、こういう点が一つでございます。
 それからもう一つは、これは最高裁の判例で認められた議論ではございますけれども、司法書士というのは双方から委任を受けて双方代理という形で登記の申請を行います。その際に、一方の当事者がこの委任契約を解除することができるかどうかということが問題になりまして、最高裁の判例は原則として解除はできない、そういう双方代理の構造上それは解除することはできないんだということを言ったわけでございます。その解除については、弁護士法とかあるいは税理士法には規定はございませんけれども、解釈論として司法書士についてはそういう判例理論が確立をしておるというような状況がございます。そういうような司法書士の双方代理というような代理構造というようなものを考えまして、やはり不消滅とするのは合理的であると。
 それからまた、手続の面から見ましても、一方の当事者が死亡したかどうかというようなことは必ずしも判然としないことがあります。登記所の方でいろいろと書類が不備であるというような場合には補正をしていただくというようなことがあるわけでございますが、そういう手続が円滑に、スムーズに流れる、司法書士の代理権が安定したものになっておるということがやっぱりそういう場合の前提でございまして、そういうような面からも代理権の不消滅の規定を置くのがこの際代理権の安定性を明確にするという意味において妥当であろうというふうに考えた次第でございます。
 それからもう一つは、これは従来の判例理論でもあったのでございますけれども、例えば委任による代理権は本人の死亡によって消滅をするということに民法上なっておる。なっておるんですけれども、それに気がつかないまま登記の手続を終えてしまうということも現実にはあったわけでございます。
 そういう場合に、代理権がないからその登記は無効なのかということになりますと、実は判例では、その登記は実体が決まっていて、実体に合った登記ならばこれは抹消の請求をする利益はないというような形で、実質的には代理権不消滅と同じような効果を認めるような理論構成が一方においてはされていたというようなことも私ども考えまして、この際この不動産登記法の中に、この代理人というのは主として司法書士でございますので司法書士さんの代理権の安定あるいは強化を図るという意味においてこのような規定を置くのが妥当であろうと。
 弁護士法にも同じような規定がございますけれども、弁護士法における訴訟代理権の不消滅とは若干そういう意味におきましては考え方が違う面があるということは、これは否定できないというふうに思うわけでございます。
#41
○角田義一君 私は結論的にはこれは賛成せざるを得ないなと思っているんですが、若干率直に言って疑問を幾つか持っているんですよ。
 それは、今、局長がいとも簡単に実体関係が確定しておるからと、こういうふうにおっしゃるけれども、それは普適正常な場合はそうだとも思いますよ。取引は圧倒的にそうだと思います。しかし二つ問題があるんです。
 一つは、土地が高くなってきているということと、それから売り主、買い主、特に売り主の場合でしょうけれども、高齢化になってくるという問題があるんですね。そうすると、本当にその方が高いものを売るという意思があるのかどうかという確認は、これはプロの司法書士さんでも非常に私は悩むところがあると思いますよ。そういう意味で、例えば本人が亡くなった、あるいはおやじがもうろくしているときに売っちゃって、あんな安い金じゃとても我々売る気にならない、金返すからというふうに相続人が言い出した場合に一体どういう権利関係、法律関係になるかという問題はこれはあるわけで、例えば死亡しても消滅しないという規定があるからといって、恐らく司法書士さんはそのまま登記をするようなことは私はないような気もするんです。
 ただ、双方代理ということもあるからやらざるを得ない、登記してしまわなきゃならぬ、待ったがかけられないという、私ども弁護士的な感覚で言うとそういう問題が起き得るでしょうと。あなたは簡単に実体関係というものが全部押さえられているとか心配ないと言うけれども、そういったものでもないんじゃないかという疑問が一つあるんです。
 もう一つは、じゃ司法書士さんに全部お任せをするならするで私は構わないと思うんですよ。司法書士法との整合性の中で、これはもう代理はあくまでも司法書士さんがやって、弁護士のように訴訟代理があって、そして死亡したときも訴訟手続はある程度手続面だけは進めることができるという規定になっておって、それは弁護士だけができるんだということであればいい、司法書士さんだけならそれができるというならいいんだけれども、これは別に代理人が司法書士とは限らないんですよ、この条文は。そういう問題がまずあるでしょうというんですね。そういう問題というものを全部クリアし切っているのかなという疑問が私はあるわけ。判例はもちろんそのとおりだと思っているんです。だけれども、判例というのは法律じゃありませんからね。これは変わることもあるんだし、判例の射程距離というのは一体どこまであるかという問題はあるわけです。しかし、法文上はこうなっちゃっているわけですね。
 その場合、あなたは司法書士さん司法書士さんと言うけれども、司法書士さんがやるのは恐らく取引の八割ぐらいだと思うんです。八割やって、現実にいろいろほかの取引がある。しかし、二割はそうじゃない。しかし、この条文はこの条文として、できれば動くわけですから、生きていっちゃうわけですからね。そういうことを考えますと、あなたがおっしゃるほど事は簡単単純ではないのではないかと私は思うんですが、いかがですか。
#42
○政府委員(清水湛君) 登記制度というものを考えますときに、間違いのない登記をする、こういうことが非常に大事なことでございます。
 したがいまして、先生が御指摘になったような代理権があるかないかという問題のさらに一歩前の問題として、本当に当事者が売買なら売買があって、それに基づいて登記の申請をする確実な意思があったかどうか、これが問題だと思います。例えば、亡くなったおやじさんが少しもうろくをしている段階に甘言に弄されて土地を売ってしまった、こういうようなことでございますと、それはむしろ民法の実体法の理論として後に詐欺なりあるいは錯誤ということで無効取り消しの理論ということによりまして、仮に登記がされましてもその登記をまた回復するということが理論的に可能であり、そういう方法が残されているわけでございます。それはそういう形で問題の解決をせざるを得ないというふうに思います。
 私どもが申し上げておりますのは、そういう実体関係というものは別途の法理でこれをまたひっくり返すということはあり得るわけでございますが、そういうことを前提とした上で、しかし実体関係がきちっとした意味で確定をしておる、そういうことを前提として考えますと、これはやはり登記はやらざるを得ない。例えば、売り主であるお父さんが司法書士に依頼して買い主のために登記を移してほしいということで手続を進めていたところ亡くなってしまった。しかし、その場合でも相続人の方はお父さんが負っていた登記を移す義務というものを相続によって相続するわけでございますから、これはやはり、改めてまたその人たちから同じような委任状をいただく必要があり、また相続人はそういう委任状を出さなきゃならない、こういうことにもなってくるわけでございます。
 そういうようなことを考えますと、やはり実体関係が前提であるということを踏まえた上でこのような不消滅の規定を置くということが非常に合理的であり、手続の安定ということにも資するのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 先生の御指摘される不実の登記が場合によってはされるというようなことにつきましては、これはむしろ司法書士の方で事件を受ける際に間違いなく本人がそういう申請書を有しているかどうかということを確認する義務、こちらの方の問題として論ぜられるべき性格のものではないかというふうに考える次第でございます。
#43
○角田義一君 私はこれに非常にこだわっちゃっているんですが、まあ実態は司法書士さんが八割ぐらいやっておられるし、やっぱり司法書士さんもきちっとそれはまじめに全部やっておられるわけで、トラブルをなるべく避けるようにやっているのはよくわかるんですよ。そうは言っても、私が先ほど申し上げたような事例が今後やはり社会の状況の中で出てくる可能性というのは多分にあると思うんですわ。そういう場合の事前のチェックなりをどうするかという問題が一つやっぱりそれは別の問題として残るかもしれない。
 それともう一つは、今言った双方代理という制度がありますから、片方が死んじゃって片方がそういうことを言われてきても、買い主の立場に立ってみれば登記をやってやらなきゃならぬという、これまたひとつ責任も司法書士さんはあるわけでしょう。そういう非常にジレンマに陥るおそれもあると私は思うんです。そういうことを考えると、これは司法書士制度との関連の中で、やはり将来一つの大きな課題としてあるんだという認識を持ってもらわなきゃ私は困ると思うんだけれども、いかがですか、局長。
#44
○政府委員(清水湛君) 恐らく私ども、こういう規定を置きました場合にはもう何がかんでも代理権は不消滅であるというふうに司法書士さんの方で頑張られるということにはならないのではないかと。例えばいろんな委任の際に、御本人が死亡した場合には連絡をしますから改めて相続人から委任状をもらうようにしてくださいとか、そういうことをお互いに権利者、義務者の双方承知の上で慎重の上にも慎重を期して手続を進めていただきたいというようなことが仮に委任の際にあれば、それはそういうことも一つの有効な合意と私は見得るのではないかというふうに思います。
 ですから、司法書士さんとしては、あるいは土地家屋調査士もしかりでございますけれども、真実の登記を実現して本当の権利者の権利を保護するというのが究極の目標でございますので、そういう観点から適切な行動をすることを私どもとしては期待し、またそういうような方向でいろんな助言もしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#45
○角田義一君 これに関連しまして、この条文には、「本人ノ死亡」はわかるんですが、後に「本人タル法人ノ合併ニ因ル消滅、」というのがあるんですけれども、法人の代表者等の死亡とか代表権の変更あるいは消滅、こういう場合は一体どうなるかという明文がないわけなんですよね。これはどうなりますか。解釈によって本人の場合と同じような扱いをするということになるのか、これが一つ。
 そうなりますと、いろいろ実務で厄介なこと、例えば法人でいわば印鑑証明、資格証明をつけて出して実印をくっつけて出した。しかし、悪いやつがいて、その日のうちに法務省の方にはもう改印届けを出して、司法書士さんが前の日もらったものを持っていったら、いや印鑑が違うよ、もう改印されているよ、押してある判こと違うじゃないかというような形でこれは却下せざるを得ないというような事態にもしなったとすると、せっかくこれだけの法律をつくっても意味をなさない。その場合の手当て、細則等の改正、これらについても一体どういうように考えておるか、あわせてついでにこれちょっと説明してもらいましょうか。
#46
○政府委員(清水湛君) 二十六条で言う「本人タル法人ノ合併ニ因ル消滅、本人タル受託者ノ信託ノ任務終了又ハ法定代理人ノ死亡」という表現がございますけれども、この法定代理人の中に代表者の死亡等は含まれるというふうに解釈すべきものと考えております。
 それから、代表者が死亡するということになりますと、新しい代表を選んで当然その変更の登記もしなければならないという商業登記手続上の要請があるわけでございますけれども、その際に新しい代表者が直ちに印鑑を登録して旧代表者の印鑑とは違うものにしてしまう、ところが登記の申請の際に出された印鑑証明書はそれとは違う、こういう非常に限界線上の問題が起こってこようかと思います。しかし、普通その登記所で当該法人の登記がされているというような場合には、そういう印鑑証明書の提出を要しない場合もあるわけでございますけれども、そうでない場合にはそのまま旧代表者が出した印鑑証明書でその登記がされるということになろうかと思います。
 問題は、印鑑証明書の提出を要しない登記所、つまり法務大臣の指定した登記所以外の登記所では、委任状に旧代表者の印鑑が押されておる。ところが、登記の申請がなされた段階におけるその登記所における代表者の印鑑は新しい印鑑になっているという場合に、そこに食い違いが生ずるという問題が限界線上の問題として出てこようかと思います。そういうような食い違っている場合には、これはやはり却下をせざるを得ないということになるのではないかと。
 ただしかし、その場合でも従前の印鑑というのがその印鑑票の中にまだ保存されているということであれば、それは受理するということも可能だという説も出てくるかもしれませんけれども、そういう限界線上の問題についてはもう少しこれは具体的な事案に応じて考えさせていただきたいと、こういうふうに考えております。
#47
○角田義一君 きょうの答弁とすればそこまでにとどめておいてください。これはいろいろ検討課題になっておる、検討課題なんだ、間違いなく。だからこれは法律が通った後、細則をどうするかというときによく考えて勉強してもらわぬと困るんです。私どもはど素人だけれどもあなた方はプロなんだから、よくそこのところはちゃんときちっとやってもらわぬと、せっかくいい法律をつくったところで実務がまた混乱しては困るので、そのことだけきちっと申し上げておきたいと思うんです。
 それと、今回例の建物の合棟、合体によって従前あった抵当権の消滅を防ぐという新しい法律ができて結構なことだと思うんですが、これは局長さん、三十年も前に通達が出て、そのままずっとやってきてひどい目に遭った人がいっぱいるわけですよ、この通達によって抵当権がふっ飛んじゃって。それでいろいろ異議を裁判所に申し立てて裁判になった例もたくさんあるわけで、勝ったり負けたりしていますわな。やっと三十年たってこれじゃ不合理だと、ちゃんとした法律をつくらにゃならぬと、こういうことでございまして、法務省というのはお上なんだな、こんなことを言うと大臣に申しわけないけれども。もう先例というのを墨守ですよ、私に言わせれば。もう三十年も墨守して、これが正しいんだということでやってきているんです。ところが、国民の側から見ると大変困ったことも幾つもあるわけですよね。何でこれだけのものを三十年も墨守して、ぎゃあぎゃあ言われてやっと今度法律を直すんですか。もうちょっと柔軟に対応したらどうですか。まずそれを質問したいんです。
#48
○政府委員(清水湛君) 御指摘のとおり、建物の合体に関する登記事務の扱いというものは、昭和三十八年にこういった基本的な取り扱いを示したのが最初でございます。
 建物の合体というのは、御承知のように二つ建物が……
#49
○角田義一君 いいです、その理屈はわかっているから。私は何で三十年もほっておいたかということを聞いておるんです。
#50
○政府委員(清水湛君) 物理的に一個になってしまう、そういう場合の取り扱いとしては、一不動産一登記用紙主義の原則に反する状態だということで、これはもう放置することができない、その場合には両方の登記を本来消すのが登記制度の理論的な筋である、こういうことで従来は考えられていたわけでございます。相当長期の間そういう不動産登記法の原理原則に従った解釈運用をしてきたわけでございますけれども、そういう扱いをするということが一般的に公知の事実になってまいりますと、今度は逆にそれを悪用していわゆる抵当権飛ばしというような現象が出てきた。これが私は昭和四十年代後半あるいは五十年代の現象だろうと思います。
 そういうような情勢を踏まえまして、昭和五十年代に入りまして一体どういうふうにしたらいいかというような検討作業を始めたわけでございますけれども、手続的に非常に難しい問題がございましてなかなかいい結論が出ない。一方では、御承知のようにいわゆる抵当権飛ばしをねらったような現象がかなりあらわれてきまして、訴訟にもなる。裁判所は大変苦労しまして、これはもうむしろ実際は合体に近い状況なのに実は合体もしていないんだ、まだ建物は別々なんだというような非常に事実認定の面で抵当権者を救済するというような解釈を重ねてきたわけでございます。
 しかし、そうは言ってもこれはやはりその実体に即した法改正をする必要があるということで、実は今回大変遅いと言えば遅いというおしかりを受けることは私仰せのとおりだと思いますけれども、そういう意味ではおくればせながらこういう改正法案をやっとまとめた、こういうのが実情でございますので御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#51
○角田義一君 これは結果はいい法律になるんだから、私はもう余りぎゃあぎゃあ言いたくないんだけれども、例えば東京地裁では、抵当権が吹っ飛んだのを裁判所が救済しているんですな。ところが、もっと悪質な事例だと鹿児島の事例があるんだけれども、それは一審二審ともかわいそうに仮差し押さえや、抵当権者はみんな負けちゃっているわけです。今、最高裁に行っているんですが、全然弁論が開かれない、一年も口頭弁論が開かれない。やっとこの法律ができたから最高裁どういう態度をおとりになるか。適用の問題があると思いますよ、いつの時点で何を適用するかというその法律の適用の時期の問題等がいろいろあると思うんだけれども。
 私が申し上げたいのは、こういうことなんですよ。要するに先例があって、先例を墨守するのはそれなりの理由はあると思うけれども、やっぱりいろいろ現場で司法書士さんなりあるいは代理人なり弁護士さんなりがこれはおかしいんじゃないか、こういう先例は改めてもらわないと困るじゃないかというまず申し立てみたいなものがあるわけでしょう。それをうんと筋張った言い方をすれば、登記官が却下する。却下すればそれに対する不服申し立てをすると。それはまあ法務局の長がやるわけでしょう。それでなお不服だったら行政訴訟をやるということになるわけです。行政訴訟をやったらあと三年も四年もかかって、その間権利は全然裸になったままになっておるわけですよ。それじゃやっぱり司法書士さんなり本人は、これはお上に逆らえないからしょうがない、お上の言うとおりのものに直すよりしょうがないじゃないかということで先例に従ったような形で意に反してやるということが幾らでも今日あるんですね。
 例えば二つの例を挙げてみれば、例えばマンション、今東京で非常にはやっておるマンションでは、あれは御存じのように建物と、それから敷地でしょう。何百分の一、五百分の一ぐらいの土地をもらう。そして分けるわけ。ところが、その相続人がない。共有者が死んじゃって。縁故者、まあいろいろ面倒を見た人に土地と建物をやろうとしたときに、今どうなりますか、これ。最高裁のやっぱり判例を経て三十数年墨守してきた通達をあなた方は変えたでしょうや、一々例を挙げて恐縮だけれども。それをまた三十年も墨守して最高裁の判例が出て初めて新しい通達を出してきた。何回も何回もそれはもう異議が出でいるに違いないんですよ。
 そこでちょっと聞きますけれども、そういうふうに却下されて法務局長に申し立てをした件数は、一体ここ五年間くらいでどのくらいありますか。ほとんどないはずですよ。ほとんどやられていないんだ、この制度は。
#52
○政府委員(清水湛君) 登記官の処分に対する不服申し立てということができるようになっているわけでございますが、過去五年間の申し立て件数は合計で百四十三件ということになっております。
#53
○角田義一君 何百万件という登記の中で、それは大抵のものは正常に動くからいいんですけれども、今私が言ったように異議申し立てをしてもそういうシステムになっているからなかなかできない、これが活用されてないわけですよ。だから、活用されてないものを活用しろと言っても無理だとすれば、私は先例のいろいろな矛盾点、現場からいろいろ出てきた問題についてはもうちょっとフランクに法務局は、そういう団体なり、例えば弁護士会なりあるいは司法書士会なりが統一して、この先例は改めてもらった方がいい、ひとつ検討してくださいよという場合にはもう少し、法務省は昔のお上と違うんだからもうちょっと柔軟に対応してそういうものの協議に応ずるという姿勢に転換できませんかね。
 これはまず局長に聞いて、それから大臣に私は聞きたいと思っています、これは政治姿勢の問題だから。
#54
○政府委員(清水湛君) 私どもは常にかたくなに態度を変えないというわけじゃございませんで、従来でも司法書士会からの要望とかあるいは現場の第一線の登記官の方からいろいろな申請人、弁護士さんからのいろいろな問題提起あるいは司法書士さんからの問題提起というようなものを踏まえて、こういった取り扱いは変更すべきではないかというような上申が始終、ほとんど始終私どものところに来ることがございます。そういうものに対応して先例を、これを直ちに変更するということも今までしばしば行ってきているわけでございます。
 先生が御指摘の例の共有持ち分、共有者のうちの一人が相続人なくして死亡した場合に、特別縁故者に行くのか他の共有者に行くのかという問題、これは実は昭和三十七年の民法改正の際にも立法の段階で議論がございまして、そしてその際は、共有者のうちの一人が相続人なくして死亡した場合には、特別縁故者、あれはもう例外的に設けられた規定であるからそちらの方は働かなくで、民法の原則に従って他の共有者に帰属する、こういう解釈であの立法はされたというふうに私どもは聞いているわけでございます。
 ただ、その後非常に社会経済情勢が変わってきて、相続人がないまま死亡するというような方がふえてきて、しかも実際上は妻である、実際上は子供であるというような形で生活の面倒を見るというような人たちがふえてきたということもあるのだろうと思いますけれども、そういうような現象を踏まえまして、最高裁がとうとうこれは特別縁故者に関する規定の方が優先するという判断を示したわけでございます。
 私どもといたしましては、それまでもちろん先生御指摘のように登記所内部にもいろいろ議論があり、また外部においても学者がいろんな論文を発表をして論じたという実績は十分承知していたわけでございますけれども、立法の経緯等からやはりそういう解釈はとれないという説も非常に強力に主張されていたという経緯もございました。そこで最高裁の判例が出るのを待っていたわけでございますが、最高裁の判例が出ましたので、直ちにその判例の趣旨に従って、従来の立法当時の解釈をいわば変更するという形での通達を出した、こういうことでございます。
 これもやっぱり三十何年かたっているという話でございますが、そういう意味ではおしかりを受ける点は私どもにも多々あると思いますが、できるだけ迅速に関係方面の意見は十分聞きながら対応してまいりたいというふうに考えておりますので、この点はまたよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#55
○角田義一君 大臣の御答弁をいただく前にもう一つだけちょっと聞きたいことがあるんです。
 例えばもう一ついろいろ現場で問題になっているものを挙げたいと思うんですけれども、例えば区画整理事業なんかで、今現在の登記実務においては区画整理中の土地を分筆することはできないという通達になっているんですな。ところが、名前を言うとまたいじめられちゃかなわぬから言いませんけれども、某、某としておこうか、某法務局管内ではいいじゃないかと、復元ができればそれは全部土地改良が完了しなくても分筆させてもいいと。そうじゃないと非常に権利関係が複雑になって、そして当事者のまたもう一遍共有を、持ち分を移動する、さらに抵当権がついているものをまた全部移動するとかで非常に複雑な手間暇かけて費用もかかるという中で認めているところもあるやに聞いております。これが一つ。
 それから、例えば住宅公団、公団は別にもう事業が完成しなくてももとの地図に戻せるということを条件にしてどんどん分筆させちゃうわけですよ。そうすれば、買う方は自分でもう分筆してもらったところに抵当権をつければいいんだから全部また共有を直すこともしないわけです。そうすると、私はこれはひがみではないが、お上のやる住宅公団ならそういうことはさせるが、おまえら民間というか市町村がやるような区画整理なんというのは危なくてしょうがないから分筆させないんだと、こういう発想が法務省にあるんではないか、こう私は疑うんだけれども、どうですか、そこのところは。
#56
○政府委員(清水湛君) お言葉を返すようですが、公団だからあるいは市町村だからというような発想は私どもには全くないわけでございます。
 分筆については、これは釈迦に説法のような話になってしまいますけれども、恐らく問題として先生の頭の中にあるのは従前の地域であると。従前の地域について区画整理工事をしちゃって仮換地の状態になっている、だから従前の土地の状況というのはもう全然わからない、しかし工事をしたために一種の仮換地状態になって本換地がされないまま長期間を経過しているというケースがあるわけでございます。
 そういうときに、現実には仮換地の一部を買い受ける、こういうようなことが行われるわけでございますけれども、仮換地というのは、これはまだ登記簿上の土地ではない、登記簿上存在するのは従前の土地でございます。ですから、仮換地の部分を幾ら特定して分筆をいたしましても、これは登記のしょうがない。もし分筆をするとすれば、従前の土地について分筆をする。ところが、従前の土地はもう区画がどこであるかわからない、こういうような状況になっております。ですから、そういう場合にはもう分筆ができないということになるわけでございまして、最高裁の判例でもそういう場合には、仮換地で従前の土地がわからない場合にはもう共有という形でとりあえず登記をするしかないんだと、分筆の登記はできないんだということをもう最高裁は認めているわけでございます。
 ただ、例外的にまだ工事がそれほど進んでいなくて、従前の土地の位置、区画が明確であるという場合には、これは従前の位置を特定することができますから、そこを測量して分筆の登記をし、それを換地区画整理事業体に知らせてそれに対応する換地を決めてもらうということも、これは可能かと思いますけれども、そうでない場合には原則としてできない、こういうことになるわけでございます。それを便法的に従前の土地はわかったことにしてあるいは分筆の登記手続をするということも、それは全く考えられないわけではございませんけれども、それは理論的に申しますと、不動産登記法の大原則である現地を測量して測量図面をつけて分筆をするという、この手続に明確に違反したものになるわけでございまして、したがいましてそういうことは理論的には認められないということになるわけでございます。
 この点は非常にあちこちで指摘されている問題でございますが、私どもといたしましては、土地区画整理事業なんかの場合には仮換地のまま長期間置くというようなことはできるだけやめて、早く本換地にしてきちんとした登記を終えていただきたいというのが登記関係者の非常に強い希望になっているという状況にあるわけでございます。
#57
○角田義一君 それはちょっとまた時間があればいろいろ議論したいんですけれども、私が大臣に一つ最後にお尋ねしいたのは、要するに先例というのがたくさんあるわけなんですよ。法律は御案内のとおり明治にできた法律ですから、先例なり判断なりをやっていかなきゃならぬということはわかるんです。しかし、これは後でちょっとまた最後にお尋ねしますけれども、私はもう抜本的に不動産登記法というのは変えなきゃいかぬ時期に来ているなということを感じるんです。それまでの間、やはりその先例の見直しとかそういうものについてはもう少しフランクに関係団体と話し合って、やはりこれは改めた方がいいということがあれば三十年もかからないで、取引の安定なり登記の安定を害さない範囲においてもう少し柔軟に対応できないのかな、こういう気持ちは率直に持つんですよ。大臣、その辺ちょっといかがですか。
#58
○国務大臣(後藤田正晴君) 角田さんがおっしゃいますように、世の中はどんどん変わるわけですね。だとすれば、その変わる世の中に適応できるように法律なりあるいは制度というものを私はやはり改正をすべきであろうと。改正するに至るまでの間はできるだけ具体的妥当性のある解釈運用をすべきであると。それにはやはり土地等であれば不動産家屋の調査士なりあるいは司法書士の方なり、そういったような人もおれば団体もあるし、弁護士さんもおるし、こういった専門的な立場の人がたくさんおるわけですから、そういう方との協力も求めながら適切に対応するのが私は行政のあり方であろうと、こう思います。
 ただ一つだけお願いしておきたいなと思うのは、これはどこの役所の法律であろうと法律であれば同じことなんですけれども、ところが法務省の法律というのは、御案内のように刑法とか民法とか商法とか、それの手続法とか、何というんですか、世の中の本当の意味での土台を支えておる基本的な法律を所管している役所なんですよね。だとすると、やはり法的安定性ということがどうしても必要なわけですね。
 そういう仕事を絶えず法務省の皆さんというのはやっているわけですから、先ほどのような適時適切な解釈運用ということはわかっておりましても、やはり仕事の性格からくる、角田さんの立場で見ればどうも頑固一徹やなど、もう少し柔軟な頭で処理したらどうだいという御意見もよくわかるんですが、この法務省という役所の性格といいますか、もう私も、本当に歴史のあるきちんとした役所が今二十幾つの役所の中で一体幾つあるかということになりますと、もう本当にこの法務省あたりしかないんじゃないかと。あとはもう言葉は悪いけれども、まことに随時適切という言葉の中で安定性が崩れているという心配もあるわけです。そこのところをひとつぜひ御理解を願いまして、と言いながらやっぱり線引きのところは一番重要ですから、十分心得まして対応していきたい、こう思いますので、お願いします。
#59
○角田義一君 次の問題に移ります。
 時間の関係もありますからあと二つほど問題を聞いておきたいと思うんですが、保証書の問題です。いろいろ議論があるところですが、今回いわば管轄を撤廃したと。これは時代の流れで私は結構なことだと思うんですが、しかし保証書をつくる保証人、この問題は基本的に何の解決もされていないと私は思っているんですよ。
 時間がありませんから端的に言うと、例を挙げますけれども、立派な東大の教授がおられる。その人は不動産登記法の権威である。しかし、土地が高くて残念ながら東大の教授でも家が買えない、土地が持てない、官舎住まいだと。この人が幾ら東大教授で、しかも不動産法の権威だとしても、今の制度だと保証人になれないんですよ。私が権利証を失っちゃったから保証人になってくださいと言ってもなれないんでしょう。なれますか、どうですか。
#60
○政府委員(清水湛君) これは登記を受けたことがございませんと保証人にはなれないと、こういうことになるわけでございます。
#61
○角田義一君 そこが私は、登記を受けたことがないというのは昔の明治時代の地主階級の頭のままなんだ。小作人なんというのは持っていないんだからしょうがない。地主階級だけが土地を持っておって登記ができた。ところが、時代が変わっちゃっているわけでしょう。そうしますと、保証人制度というのはどうしたらいいかというのは、今言ったように抜本的に見直さなきゃおかしいと思うんです。しかも保証人の責務というのは、何しろ本人であることが間違いない、それで登記の意思がある、移す意思があるということを確認できればいいわけなんで、御本尊さん、要するに保証人になる人が今言ったような形で東大教授で不動産法の大家だけれどもこんな時代で土地も持てないと、それが保証人になれないというこの矛盾ですよ。これ矛盾と感じませんか。局長さん、どうです。
#62
○政府委員(清水湛君) 今回の改正の趣旨は、結局登記の申請をしようとする者をよく知っている人に保証人になってもらう。つまりこの登記の申請人が本人に間違いないということを保証するという意味でございますから、例えば今回いわば管轄を外したことによりまして郷里におります田舎のおやじだとか親戚だとか、登記を受けたことがなければこれはいたし方ございませんけれども、そういう親戚の者からそういうような保証人になってもらう、こういう意味で広げたわけでございます。
 ただ、さらにそれに加えて登記を受けたことがない人でも保証人になれるというようなことにするかどうかというのは、これは一つの政策論だと思います。今までの考え方といたしましては、登記を受けたことがある人であれば登記の持つ重要性ということについて登記を受けたことのない人よりか認識の程度が高いであろうという相対的な、むしろ絶対的な基準じゃなくて相対的な基準でそういうような線も引いておると。一方では、登記というのは年間何千万件もされるわけでございまして、登記所としてはある程度そういう形式的な形で保証人適格というものをチェックするという事務処理の迅速性の必要性もあるというようなこともございましてこういう形式的な枠をはめているわけでございます。
 登記の申請事件が非常に少なくて、この人は本当に保証人として適格者であるかどうか、東大の教授であるかどうかというような身分証明書を出していただいてゆっくりそこで審査をするというようなことができるところでございますればまた考え方も違ってくるかもしれませんけれども、現在のシステムの中ではこの程度であろうと。
 さらには、こういう人的な保証ではなくて、保証会社みたいなものをつくって一定の保証料を払って保証してもらうというようなシステムだっていいじゃないかとか、あるいは保険会社が保証をするというようなことがあってもいいんじゃないかというようないろんな制度論はあるわけでございますけれども、今回の改正では、そういった自分をよく知っている人が必ずしもその当該登記所の地域にはいないというような最近の地域社会の崩壊と申しますか、人口の流動化と申しますか、そういう現象を受けましてそういう範囲を広げるということにとどめたと、こういうことになるわけでございまして、御指摘のような考え方ももちろんあるということは私ども承知しているわけでございます。
#63
○角田義一君 これ議論するといろいろおもしろいんだけれども時間の関係もあるからあれしますけれども、やはり明治にできた法律が片仮名文体で今日までずっと生き残っておると、これはもう通達なりあるいは判例なりを積み重ねてやってきているんですが、やっぱりもう限界が来ているなどいう感じが私はしますですよ、率直に申し上げて。そして、今言ったような保証人一つ取り上げてみましても、登記をした人と登記をしていない人が登記法の理解だとか登記についての理解が違うなんというのをあなた言ったって、それは今のしゃばは通らないです。ここで、幾ら国会でそれ言ったってだめ。それは通らないです、しゃばでは。もうそういう時代になっちゃっているわけですからね。だから、そういう意味ではこれはひとつ抜本的な改正の時期に来ているのではないかと。
 口語化するというようなことが衆議院の付帯決議にもありますけれども、私は単に文語体を口語で改めればいいというものじゃないと思うんです。非常に歴史的な経過もある中で、不動産登記法というのは今の時代に合うようなやっぱり作業に取りかからにゃいかぬじゃないかと。そのためにはやはり広く国民から意見を聞いて、審議会をつくる、いろいろ刑法でも民法でもそうですけれども、そういう審議会をつくって、そして本格的な作業に取りかかるということをやっていますわね。私は不動産登記法もこの改正を機会にそういう時期に来ているのじゃないかなと。やはり審議会等を設けて、広い意見を聞きながらやったらいかがかなというふうに思うんですが、これは局長とそれから大臣にお聞きしたいと思います。
#64
○政府委員(清水湛君) 不動産登記法というのは、これは明治三十二年につくられた法律でございまして、現在でもこれは非常に活用されている法律でございます。私どもといたしましても、これは非常に難しい漢字片仮名まじりの表現である、これを現代用語化する必要があるのじゃないかという点は十分に認識いたしておるところでございます。それから、内容が本当にある意味においてはプロ、専門家を対象としたような形での規定ぶりになっておるということからわかりにくい、こういう面もあろうかと思います。
 ただしかし、明治以来、この手続法の中身につきましてはもうしばしば改正が繰り返されてまいりまして、先ほど先生保証人の問題については御指摘がございましたけれども、その他の手続につきましては非常に合理的な仕組みが現在打ち立てられておるのではないかというふうに思っております。
 したがいまして、内容面についての抜本的改正という点については具体的に何を考えるかという問題は私どもあると思うわけでございますが、先ほど申しました現代用語化の問題、あるいは法文の表現をわかりやすいものに改めるというこの二点につきましては、現にそういう観点からの作業を進めているわけでございます。審議会もそのために設けるということは今のところ考えてはおりませんけれども、これまでも例えば司法書士会とか調査士会の意見はいろんな機会に聞いているわけでございまして、審議会というような形でなくても関係団体の意見というものについては十分これを尊重して法改正に当たっているということでございますので、この点もよろしく御理解いただきたいと思う次第でございます。
#65
○角田義一君 大臣がちょっとお勉強されておりますから、その前に一つだけ実務的なことを聞いておきます。
 最後になります。
 予告登記ですけれども、二つちょっと聞いておきたいと思うんです。休眠予告登記をどうするかというのは私ども実務でも関心のあるところで、予告登記は別に害がないんだけれども何か事件物のような感じを持っておって、それを消すということは大変結構なことだと思っているんですが、二つのことを聞いておきたいと思うんです。
 それはここに書いてあります、裁判所が権利を放棄したことを証する書面というのがあるわけですが、これは確定判決だとかそういうものがあれば別に問題ありませんけれども、いわば休眠登記でこの書面は一体どういう書面がということについては、これはもうこれからの運用といいましょうか、裁判所の判断なりに任せていかなきゃいかぬじゃないかということが一つと、それから、登記をするときにやはり丁寧な意味からいうと事件番号等をきちっと書いてもらうということが抹消をする上で私は大事なことだというふうに思っておるんですが、その二つの点について、これ実務的なことですから最後に大臣にいろいろ聞く前にちょっと聞いておきたいと思います。
#66
○政府委員(清水湛君) 権利を放棄したことを証する書面に具体的にどういうものが当たるかということは、これは裁判所書記官が判断する問題、ケース・バイ・ケースによって判断する問題だと思いますけれども、典型的には、勝訴の判決をもらいながら実は判決に基づく登記の抹消をしないでお金をもらって権利を放棄するというようなことが考えられるわけでございまして、和解調書だとか和解契約書、そういうふうなものがあろうかと思います。もし私的な和解契約書ということになりますと、あるいは印鑑証明書をつけろというふうな話にもなってくるかもしれませんけれども、これは裁判所の判断の問題だと思います。
 それから、予告登記の際に登記簿に裁判所の事件番号なんかをつければ非常にわかりやすいんじゃないか、裁判所の方でもわかりやすいんじゃないかというふうな御指摘でございます。これも登記簿に書かないよりか書いた方があるいはいいということは間違いなく言えるわけでございますけれども、実際の実務上そういうことで非常に面倒なことになるのかならないのか、この辺も少し検討させていただきまして、裁判所とも協議いたしまして方針を決めたい、こういうように考えております。
#67
○角田義一君 大臣に一つだけ最後にお尋ねいたします。
 いういろ今回の改正で私もそれなりにきの昔の勉強をさせてもらったんですけれども、不動産登記法を読んでつくづく感じますのは、やはり明治以来からの文語体、しかも難しいあれで、しかも判例、先例というものが積み重ねられてきている。不動産登記法を見ただけでは国民はわからないです、はっきり申し上げて。判例それから通達まで全部勉強しなければわからぬということではやっぱりいかぬのじゃないか。もう少し国民にわかりやすい不動産登記法ということを目指さなくちゃいけないんじゃないか、基本的に言って。そうなりますと、やはりもう今日本動産登記法の、他の民法、刑法もそうでございますけれども、それに非常に関連のある法律として、やっぱり抜本的な改正ということを考えにゃいかぬ時期に来ておるんじゃないかなということが一つ。
 そのために、今ちょっと局長さんは審議会なんか設けることはない、いろいろ関係者に聞けばいいということだけれども、それが私はちょっとやっぱりかたいと思うんです。審議会なんか設けたってちっとも悪いことではないんです。審議会を設けて、広く意見を聞いていい法律をつくるということがやっぱり基本でなければ私はいけないと思うんです。
 この二点について大臣の所信を承って、私の質問を終わりたいと思います。
#68
○国務大臣(後藤田正晴君) 法律をもう少し一般の国民にわかりやすく書きかえたらどうだと、殊にまたベカラズ式の片仮名の法律がまだ随所にある、こういうものはやはり口語体にして直してやらなきゃならないじゃないかというのは、これはもうごもっともでございます。法務省としても現在そういう口語化の問題で検討をどんどん進めていることも御案内のとおりでございますから、さらに作業を進めましてこれは一日も早く直すべきであろうと思います。
 今も実は私、そういう御質問があるだろうと思って秘書官に聞いたんですよ、わからない言葉何かないかいと言って。そうしましたら、例えばこれは刑法ですけれども、刑法の「内乱罪」のところなんて見ますと、「邦土ヲ僭窃シ其他朝憲ヲ紊乱スルコトヲ目的」と、こう書いてあるんですね。これわかりませんよね。あるいはまた、この間も私何かのときに、あれは商法でしたか民法でしたか、番頭、手代という言葉があるんですよ。そうすると、これわかっている人は今の人におらぬのです、これは。それからまた、法律全体で見ますと、日本の法律でわからないのは、ともかく不眠症にかかれば読んだら必ず眠れるという法律、これ税法ですよ、税法。それから、今はもう共済組合になりましたけれども、恩給法ですよ。これ読めば読むほどわからない。
 こういうような法律が戦後これだけ長い間だってまだ直ってないんですね。殊にうちの役所のを見ますと、刑法改正なんというのは、御案内のようにもうとっくの昔に草案はできたんですね。草案はできたんだけれども、一向その施行をしない。事ほどさように、さっきこれは申し上げたのと関連するんですね、根っこの問題であるといったようなことでなかなか進まないという面があるんですね。
 しかし、心はもう幾らなんでも長過ぎるではないかと思います。法務省としましてもせっかく勉強しておりますから、御趣旨のような点は十分心得まして推進をいたしたい、こう思います。それでまた、各種団体の方の御意見、これは聞かなきゃいけませんけれども、さればといって、聞かなきゃいかぬからといっていつまでもわかり切ったものをほうっておくということも許されない。
 こういったように日本の法制度全般についで何か大きな転換期に来ておるわけですから、私は全部見直さなきゃならないなと。同時に、今法律が千六百本あるんですよ。大体一年に、通常国会、臨時国会合わせますと百本ぐらい法律が改正せられたり直したりせられる。その都度いろんな規制が入ってくるんですね。こういったような点も本当に政府としましても各方面の意見を聞いて是正をすべき時期が来ていると思います。こういう点も私ども政権担当しておるだけに責任が重うございますから十分心得で対応したいと、また皆さん方の御叱正等もぜひ賜りたいと、こう思います。
#69
○角田義一君 必要があれば審議会等も設けておやりになるというふうに承っておいてよろしいですか。
#70
○国務大臣(後藤田正晴君) 結構でございます。
#71
○角田義一君 終わります。
#72
○猪熊重二君 角田委員の方からいろいろ聞かれましたので私の方は質問をちょっと省略させていただきます。
 まず最初に、「地図ニ準ズル図面」についてお伺いしますが、いただいた資料によると、十七条地図が二百二十六万枚ある、それ以外の地図が二百九十四万枚あって、合わせで五百二十万枚法務局で保管していると。
 この地図によってカバーされている、両方の地図を合わせてカバーされている土地の範囲というのはどのくらいになりますか。
#73
○政府委員(清水湛君) この地図の枚数につきましては、縮尺が五百分の一とか千分の一、それから二千五百分の一というようなものもあるわけでございまして、私どもは枚数で把握いたしておりますけれども、正確な面積比率ではまことに申しわけございませんけれども把握はしていないと、こういう状況でございます。ただ、この二百二十六万枚の国調の地籍図というのがあるわけでございますけれども、国調の地籍図の調査完了地域が十万一千七百平方キロということでございまして、一部まだこの地籍図が登記所に送付されていない地域もございますけれどもほぼ送られておるという前提をとりますと、十七条の地図が備えられておる地域は十万平方キロ程度ということになろうかと思います。
 なお、国調の地籍図のほかに土地改良法とか土地区画整理法、最近の土地改良、土地区画整理というのはやはり国家基準点に準拠した正確な地図をつくるというようなことをいたしておりますのでそういうような図面、あるいは法務局が独自にこの十七条地図づくりをやるというようなことをやっておりまして、これが約五十平方キロあると、ごくわずかでございますけれども、そういうような状況になっているわけでございます。我が国の国土が全体で三十七万平方キロでございますので、十万平方キロ程度について十七条の地図が整備されているというふうに一応の推計が成り立つと言って差し支えないのではないかと考えます。
#74
○猪熊重二君 要するにこの十七条地図と、それから「地図二準ズル図面」としての公図、この二つでほぼ取引の対象となるような土地については全部カバーしているのかどうなのかということを問いでいるんです。簡単に答えてください。
#75
○政府委員(清水湛君) 実は地図が全くない地域というのも若干ではあるがございます。私どもの試算では約五千平方キロ程度の地域に地図が全く昔からないというようなところがあるのではないかというふうに推測いたしておりますけれども、三十七万平方キロ、ほぼそれ以外のところは国調の地籍図といわゆる「地図ニ準ズル図面」でカバーをされていると言っていいと思います。
#76
○猪熊重二君 細かいことですが、十七条地図は土地の区画及び地番を記載すると、こういうことになっているんです。「地図二準ズル図面」は、土地の位置、形状及び地番を表示するというふうに両方が違うんですけれども、この違うのには何か意味があるんですか。
#77
○政府委員(清水湛君) 地図という言葉が既に「地図」という言葉と「地図ニ準ズル図面」という表現の違いがございます。
 私どもがここで地図と言っておりますのは、国家基準点、一等三角点から三等三角点まであると言われておりますが、そういう国家基準点との連絡関係を持つ土地の境界図面、これを地図と呼んでいるわけでございます。
 と申しますのは、現状が大水とかあるいは大きな地殻変動で破壊されて橋とかそういうものが流れてしまう。流れてしまいましても、国家基準点と接合した図面がございますとそれに基づいて、もちろん誤差の問題はございますが、その土地の位置を特定、復元することができる、こういうことになるわけでございます。そういう意味でそういうものを地図と呼んでいるわけでございまして、地図についてはそういうことを前提とした上で名筆の土地の区画及び地番を明確に表示するということにいたしているわけでございます。
 ところが、「地図ニ準ズル図面」というのは、これはそういう国家基準点とは結びついていない、いわば土地の形状図でございまして、地図とは言えない、そういう意味で「地図ニ準ズル図面」という言葉を使ったわけでございます。
 しかし、この図面なるものも土地の相対的な位置関係、何番の隣の土地は何番であるとか、あの土地の配列関係はこうであるというようなことにつきましては、明治の初期以来つくられた図面ではございますけれども、ほぼ正確にそのような状況をあらわしておるというようなことになるわけでございまして、そういう意味で位置関係、形状、地番というような表現にいたしたわけでございます。
 根本的には「地図」あるいは地図ではない「地図ニ準ズル図面」という用語の中にはその両者の違いがあらわれておると、こういうふうに考えているわけでございます。
#78
○猪熊重二君 それから、手数料の件なんですが、これも先ほど角田委員の方からいろいろ話がありました。現在は十七条地図は交付してもらうのに四百円の手数料を取られる。この四百円の手数料を払えば登記所で判こを押したきちんとした書面がもらえるわけです。それに対して公図の方は現在はただで、そして民事法務協会でコピーしてもらうからそのコピー質だけ取られる。この民事法務協会のコピー代が四、五年前は百円だったんです、一枚。私がやっぱりこの法務委員会で、町じゃみんな二十五円じゃないかと、安いところじゃ二十円だと、何で百円なんだということを言って、ようやくじゃ何とか半分にしますと言って、まだ半分になっていない。
 いずれにせよ、しかし現在は五十円か七十円、民事法務協会の方だってあるけれども、そこへ払えば公図の写しがもらえるわけです。今度逆にこの法律ができたおかげで、今、民事局長お話しのようだと、四百円の閲覧手数料を払って、そしてさらに七十円のコピー代を取られて四百七十国会度かかるんです。今まではは七十円、今度は四百七十円。そして四百七十円でもらう方はずさんな図面、判こが押してあるのをもらうのは、十七条地図の方は四百円できちんとした地図がもらえる。これじゃぐうたらな方をもらう方が高くて、まともな方が安いということは、やっぱり四百円じゃなくてもう少し考えるべきじゃなかろうかと。
 手数料を払うということ自体は、やっぱり受益者負担という意味においてそれは私もやむを得ぬだろうと思うんです。しかし、受益者負担というのはいろいろ実際にかかる金という意味ですから、四百円の閲覧手数料を取って、それで一生懸命登記のコンピューター化の方へ回されちゃうというんじゃ受益者負担を超える部分になってくる。ですから、この金額を四百円ともう決めちゃったわけじゃない、今から政令で決めるわけですから。まともなものが判こを押して四百円だったら、いいかげんと言っちゃあれですけれども、いいかげんな図面をただ見る方はもっと安いということを当然考えるべきだと思うんですが、どうです、局長。
#79
○政府委員(清水湛君) いろいろお考えが私ども当然あっていいところだというふうに思うわけでございまして、いろいろな議論が積み重ねられてきたところでございます。
 ただ、十七条の地図の場合には、閲覧についてまず四百円いただく、それ以外にもし写しの交付請求をすればまた別途四百円ということで、合計八百円ということになるわけでございます。ところが、「地図ニ準ズル図面」の方につきましてはいろいろ問題がございまして、写しの交付という制度は今回は採用しないと、とてもそれにたえ得るだけの体制になっていないということで写しの交付制度は採用いたしておりません。閲覧だけでございます。
 問題は、閲覧のために私どもが非常に古い和紙の地図をつくりかえたり、あるいは大きな判の図面を五十センチ・六十センチの図面につくり直したり、こういうような作業を現在相当の金をかけてやっているわけでございます。そういう意味で、地図の維持管理経費、これは人件費をも含めてでございますけれども、閲覧に供するという目的のためにだけでも、この「地図ニ準ズル図面」を整備するための実費というのは、場合によっては正規の十七条の地図の図面の維持管理費よりはるかにかかるというのが実態になっているわけでございます。
 そういうようなことを考慮いたしまして、実費を勘案して手数料を決めるという法律の趣旨からいたしますと、やはりこれは両者に違いを設けるというわけにはいかないのではないか、閲覧についてはそれぞれ四百円ということにならざるを得ないのではないかとういふうに私どもは現在考えているわけでございます。
 先生御指摘のように、そういう閲覧の際に、今度は閲覧者がトレース用紙などを持ってきてそれをトレースして写しを持って帰るということは、これは自由でございますけれども、その際にコピーという現代の文明の利器があるわけだからそういうものを利用させてほしいというようなことから民事法務協会がそういうものを積極的に提供するということになったわけでございます。
 そのコピー代として、大登記所では現在五十円、余り利用度のないところではこの費用を賄うことができないというような状況もございますので七十円というような金額で現在運用しているようでございますけれども、中身が少し、いいかげんという言葉はちょっとどうかと思いますけれども、やや精度が低い、精度にも非常に高いものから低いものまでいろいろな段階が実はあるのでございますけれども、そういった中身の問題ではなくて、やはりそういう維持管理に要する実費というものを基本に考えますと、まあ四百円、四百円、コインコピー代は別途負担していただく、こういうことにならざるを得ないのではないかというふうに考えておりますので、この点もよろしく御理解を賜りたいというふうに思う次第でございます。
#80
○猪熊重二君 なるべく簡単に答弁してもらって……。
 要するに、今まで銭がけたから今度ここで四百円で取り返そうというふうな考えでやられてもちょっと困るんで、しかしまあ金額は適正に決めてください。先ほど角田委員が言ったように、本来なら必要なところから金額が出てくるというのがやっぱり私も筋だと思うんです。
 まあその点はそれにして、次に登記申請の代理権の不消滅の件に関してお伺いしますが、先ほど局長の説明をいろいろ聞いていると、司法書士が受任してきちんと実体関係等についてもいろいろ調査しているというふうなことがあるから代理権を不消滅にしてもいいんじゃなかろうかというふうな説明をされたように思うんですが、もしそういう説明だとしたら、それは説明にならぬと私は思う。
 なぜかというと、不動産登記法上にしろ、あるいは司法書士法、土地家屋調査士法のもとにおいても本人申請ということが原則、前提になっているし、それから、本人が申請せぬで代理人を選ぼうというときに、代理人の資格は何ら限定していないんです。だから、今回代理人の代理権の不消滅ということになれば、委任を受けている司法書士あるいは土地家屋調査士あるいは町のおじさん、だれでも代理権不消滅になる。だから、それにもかかわらず代理権が不消滅でいいんだという論理がなかったら、司法書士は専門家だから、こういうふうにきちんとやるから間違いないから代理権不消滅なんだというんじゃ全然理由にならぬ。この代理権不消滅の理由はどういうところにあるんですか。
#81
○政府委員(清水湛君) ちょっと説明があるいは私足りない点があったかと思いますが、司法書士がしっかり確認するから代理権不消滅だということではございませんで、この点だけについて説明するということであれば、既に実体上の権利関係は確定しておる、それを公簿に反映するための手続である、いわば双方代理が認められている義務の履行という部面に該当する行為であるということから、基本的にはこのような代理権不消滅の規定を置いても差し支えがないと、こういう意味でございます。
 かてて加えて、私どもの登記手続の適正円滑な推進を図るというような意味からももちろんこういった制度が望まれるわけでございますが、基本的には実体関係が既に確定したものを反映するための手続であるということがやはり根本であろうというふうに思っているわけでございます。
#82
○猪熊重二君 いや、私はこの代理権不消滅ということを今回法務省で言ってきた理由は、私なりの解釈からすれば、いわゆる不動産登記の登記申請事務が非常に類型化されていて、極端に言えばだれがやってもそう変わらないという意味における事務の類型性ということと、それから仮に委任者の立場に立って考えてみた場合にも、代理権を不消滅にしておいたとしても委任者の利益を特別害することはないという観点からこの代理権不消滅という制度をつくったんだというのが筋だろうと思うんです。
 なぜかというと、先ほども角田さんが言っていたけれども、委任契約あるいは代理契約において死亡によって消滅するというのは、愛を含む委任契約というものは当事者間の信頼関係にあるわけ。その信頼関係にある本人が死んだらその契約は終わりにしようというところに、本人の利益というものを一番考えて代理権消滅ということをやっているわけですから。だから、これを不消滅にしても、事務的に類型的なものだし、これを不消滅にしたからといって本人に別に特別の損害もないし不利益にならぬということが今回の理由だろうと思うんです。局長のお話だと、どうも不消滅の理由がよくわからない。
 次に、代理権を不消滅だとしたときに、その代理人はだれの代理人になるんですか。
#83
○政府委員(清水湛君) 法理論的には、本人が死亡しておりますので相続人を代理する、こういう形になろうかと思います。
#84
○猪熊重二君 そうすると、今回代理権の不消滅の規定をしてあるけれども、委任者が委任の時点において、おれが死んだら終わりだよということを言っておけば、それはその約束の方が優先するのか、それから、相続人の方はいつでも代理権の消滅を主張し得るのか、その辺はどうですか。
#85
○政府委員(清水湛君) 委任契約もこれは一種の自由な契約でございますので、契約の中身の中でそういうような特別に死亡したらもうそのときから代理権はなくなるというような特約をした場合には、やはりその特約の効力というのは、これは認めざるを得ないのではないかと、こういうふうに思います。
 そういう特約がないのにもかかわらず、今度は相続人の方で、これはおやじのやったことで私どもは知らないから代理権はないよと、こういうふうに言えるかというと、これはちょっと難しいのではないか、言えないのではないかと、こういうふうに思う次第でございます。
#86
○猪熊重二君 それはおかしいよ。だってあんた、代理権不消滅だから、じゃだれの代理人でといったら相続人の代理人だというんです。その相続人の代理人なのに、その委任者である、本人である相続人がやめたと言えないというのはおかしな話じゃないですか。
#87
○政府委員(清水湛君) これは解約の問題と私ちょっと誤解いたしました。
 司法書士の代理につきましては、権利者、義務者からの双方の代理という形で代理申請をするわけでございます。その場合に、一方の当事者の方から委任契約を解除する、したがって渡した書類などを返してほしいというような請求をすることができるかどうかということにつきましては、登記申請の代理行為の特質からそういうものの解除はできない、こういうのが最高裁の判例でございますので、そちらの面から相続人の方で、おやじのしたことだから知らないよ、だから解除だと、こういうふうに言うことは制約をされるということになろうかと思います。
#88
○猪熊重二君 今の局長の答弁も私は十分に納得できない。
 最高裁の判決は司法書士だからなんということを言っているものじゃないと思うんですよ。要するに、登記申請において双方から委任を受けた代理人は、登記権利者と登記義務者の双方から受任している限度において、片方からやめたと言ったから、はいよと言うわけにはいかぬということを言っている論理であって、受任者が司法書士だからなんということは、たまたまその事案がそうだからというだけであって、司法書士だからなんということじゃありませんよ。
 要するに、司法書士であろうが、土地家屋調査士の場合は表示的な問題だから余りないけれども、一般の私人の、隣のおじさんがやった場合一だってこの最高裁の判決の論理が適用されるんです。そういう意味において双方が代理権を授与した場合に、片方がわしはやめたと言うわけにはいかぬと。そういう意味だったら何も相続人の問題とかどうとかという問題じゃなくて、登記事務の双方受任の問題として、一般論としてそれはわかりますよ。
 そうじゃなくて、そういう意味だったらそれは何もおとっちゃんが生きているときだってできない、こういうことになるわけです。おとっちゃんが生きていてもできないものは子供もやっぱりできない。それはそれでいい。そうじゃなくて、そういう特殊な場合じゃなくて、双方代理じゃなくても何でもいい。要するに私が言いたいのは、この規定があることによって本人である相続人の解任権というものは変更あるのかないのか、それを聞いているんです。
#89
○政府委員(清水湛君) 司法書士に限らず、一般に登記の双方代理の申請の問題として考えるわけでございますけれども、先ほど申しました解約権についての制約があるという前提のもとで解約ができる場合ということもこれはあり得るというふうに考えざるを得ないと思います。
#90
○猪熊重二君 それから、この代理権不消滅ということの時的な範囲というものについて私はちょっと伺っておきたいんです。要するに、受任して、受任すればいろいろ書類をつくって申請する。それで申請すれば通常受け付けてもらう。それで受け付けたけれども、補正とかいろいろあるけれども最終的に登記が完了しますわね。受任して申請して受付番号ができて、それから最終的な完了、ここまでのすべての時点にこの代理権不消滅という規定がかかるのか、それとも受け付けまでで、受け付けられた段階で、その後委任者が死亡したという場合にまでこの規定が適用あるのかどうか、その辺どうですか。
#91
○政府委員(清水湛君) これは受け付けの段階だけということではなくて、この規定は受件から登記完了までのいずれの時点においても委任者が死亡した場合にも適用されると、こういうふうに考えております。
 例えば、委任を受けて登記の申請書をつくり、登記の申請書を提出する、受け付けられたと。その受け付けに基づきまして登記所の方で内部の処理をするわけでございますが、その間の過程における補正というような問題についても当然代理権はございますし、登記が完了した後に登記済証を受け取るという行為があるわけでございますが、これについても代理権はある、こういうふうに私どもは考えるわけでございまして、その時点までの死亡についてすべて適用されると、こういうふうに言って差し支えないと思います。
#92
○猪熊重二君 今の点はもうやめておきます。
 次に保証書の問題についで、これももう全部角田さんが言ったことと同じことなんです。今まで「其登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル」ことが要件になっていて、これを「其登記所」じゃなくて日本全国どこでもいいよと広げた。だから「登記ヲ受ケタル」ことが保証人の要件であるという限りにおいては、「其登記所」じゃなくて全部に広げだというのは、これは非常に進歩した立法なんです。
 問題は、登記所において登記を受けたということが保証人の要件だということの理由が全然納得できぬということなんです。登記を一回でもしたことがある人は登記事務に精通しているとか登記の重要性を知っているとか、そんなことはありはしませんよ。どんな登記でもいいんです。しかも十年前でもいいんです。十年前に何かちゃちな登記をやったと、それでもいいというんです。そんなことが何で要件になるのか。そうでなくして、登記所において登記を受けたなんということが保証人の要件にどうしても必要なんだという理由をもう少し明確に言ってください。
#93
○政府委員(清水湛君) これも先ほどお答えしましたとおり、もう絶対的にそうでなくてはならないということではないというふうに私どもは考えているわけでございます。
 ただしかし、いろんな登記がございますけれども、例えば所有権の売買等に関する登記というようなことでございますと、登記を受けた人は登記の申請手続というのはこういうふうにされ、その際には大変大事な印鑑証明書も出さなきゃならないし、いわゆる権利証というのはこういう働きをする、そのために登記所は非常に厳格なチェックをするというようなことについての一応の知識を持っていると。登記事務に精通をしなくても、登記というのはそういう意味で非常に大事なものだという認識を登記を受けたことがない人に比べれば相対的には持っているというふうに法律は考えているわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように確かにこの保証人資格を得るために本当にちゃちな登記の申請をして、私は登記を受けたことがありますと言ってそういう登記簿の謄本を出して保証人になる人がないとは言えないし、私どもはそういう事例もあるやに聞いております。そういう一種の病理的な現象というものは、これは全国的に見ますと絶対ないとは申しませんけれども、一つの制度の立て方としてこの辺でやっぱり線を引かざるを得ない実情があると。もっと保証人としてふさわしいものを選び出すような、しかもそれが簡易迅速にできるようなシステムというものがつくれれば、これはまたそちらの方に移行するということも考えられますが、当面はとりあえずその範囲を広げるということで対応をいたしたいということでこのような改正案をお願いすることにしたわけでございます。
#94
○猪熊重二君 ちょっと、全く類似の問題じゃないけれども、公正証書作成の場合の人の同一性確認だって印鑑証明だけでやっているわけですよ。だから、遺言したいと言って行ったと。じゃ、あなた本人であることの、まさに遺言者本人であることの証明として何を持ってくるかと。「登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル」なんてことじゃなくて、印鑑証明を持ってきなさいと。それから、この遺言者に対して保証人が二人要ると。その保証人も本当に保証人としての立場があるかどうか、保証人であるかどうかというのは印鑑証明でちゃんと同一性を確定しているんです。この保証書作成の保証人が今でも印鑑証明添付させているんだから、それだけで十分だと。
 公正証書の遺言だったら、私なんか財産はないけれども、財産ある人は全部公正証書、遺言なんて重大な法律行為です。あるいは一千万借りるとか、七十億延べ棒をもらうとかいろいろあるけれども、そんな重大な公正証書をつくるのに印鑑証明だけで本人確認しているじゃないですか。こんな「登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル」なんということを要件にするなんて全く理由がない。こんなことを演説したってしょうがない。ともかくよく恥ずかしくなくこんな改正案を出してきたなと。
 今のものを前提にすれば改正案ですよ、今のものを前提にすれば。今のものという、「登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル」ということを要件にすること自体がもう全く理由がない、おかしなことなのに、さらにそれを改正して出してきたから、これよく検討してみてください。
 次、建物合体の登記の場合。
 まず、合体登記の場合、合体建物の単独所有者が任意に合体建物の表示登記を申請しないでほうってある場合、この場合には何らかの処置があるんですか。
#95
○政府委員(清水湛君) 建物の合体をいたしますと、合体後の建物に対して改めて建物の表示の登記を申請しなければならない、こういうことになっているわけでございまして、合体という事実状態が生じた後一カ月内にこの申請をしなければならない。申請を怠りますと過料の制裁が科せられることがあり得るということになっているわけでございます。
#96
○猪熊重二君 それ以上に職権による登記とか、そういうことはどうなっているんですか。
#97
○政府委員(清水湛君) 理論的には、この表示に関する登記の部分については職権でもすることができるということになるわけでございます。ただ、現実の問題として、例えばA、B、Cの建物が三つ合体して一つの建物になったという場合には、建物の表示の登記をする場合におきましてはどういう持ち分になるのか。A、B、Cがそれぞれ三分の一ずつの持ち分になるのか、あるいはAが二分の一でBが四分の一でCが四分の一、こういう状況になるのかという、いわば表示の登記の申請の際に記載すべき所有者及びその持ち分について登記官の方で客観的にこれを正確に認識するということはなかなか難しいという問題がございます。
 したがいまして、そういう権利関係に絡むというようなことになりますと、これは結局申請にまたざるを得ない、こういうことに実際問題としてはなっていくのではないか、こういうふうに考えております。
#98
○猪熊重二君 だから結局、表示の登記のときに表示だけでなくしてそれについての持ち分的なものを登記しろ、こういうことを言うから表示登記が職権登記できないんです。だから、これは私が見て、何で表示登記でありながら持ち分的なものを書けということになってくるのか、表示登記と称しながらなお中区欄的な意味での問題が入り組んできているから非常にごちゃごちゃするんじゃなかろうかな、こう思って今の質問をしたわけです。
 次の問題は合体によって建物の共有者がいる場合。要するに、数個の建物の所有者や表題部に記載した所有者あるいは所有権の登記名義人がそれぞれ別の者である場合には、その全員が共同して登記申請せにゃならぬわけですね。どうですか。
#99
○政府委員(清水湛君) 合体の結果所有者が数人になる、そのうちの一部の者は所有権の登記がある登記名義人になっていた者であるかもしれませんし、また他の者は所有権の登記がない単なる表題部に記載した所有者であるということもあり得るかもしれません。そういう場合には結局三人が合体後の建物をどういう持ち分の割合で共有することになるかということについて話し合いをいたしまして、そういう形で三人が合同で登記の申請をする、こういうことになるわけでございます。
 ただ、そのうち一人が応じないというようなことはございます。応じないということになりますと、持ち分についての話し合いもつかないということになる場合がほとんどだろうと思いますけれども、そういう場合には、それぞれの持ち分は合体後の建物についてはかくかくしかじかの割合であるということについて最終的には裁判所の判決をいただくということが考えられるわけでございます。そして、裁判所の判決が出まして持ち分の割合というものが客観的に決まりますと、これはもう表示の登記は一種の保存行為でございますので、共有者の一人が保存行為として登記の申請をすることができる、こういうことになろうかと思います。
 問題は、持ち分の割合が決まっているということであれば一人でもできる、こういうことになるわけでございます。
#100
○猪熊重二君 だから、持ち分について三人でけんかしていて話がつかぬというと表示の登記自体ができないということがおかしいんじゃなかろうかと思うんです。表示の登記は表示の登記で登記しておいて、持ち分についてはゆっくりけんかしてもらえばいいわけなんです。ところが、その持ち分も書けというから表示もできない。表示の登記のときは持ち分も書けというから、こっちが決まらぬから表示もできないということで、けんかが三年かかったら三年間表示登記できないわけですよ。その辺はどうしてそういうことになったのか。どうして持ち分の登記を表示の登記の中の項目として入れたのかどうか、どうもその合理的理由がわかりませんが、それはそれとして、今度は抵当権がある場合の表示登記の申請について伺います。
 合体前の数個の建物のうちどれかに抵当権がある場合には、抵当権の消滅を承諾した書面もしくは抵当権の登記名義人の合体建物持ち分上の存続を承諾した書面が添付されていなければ登記申請は却下されるということだろうと思うんです。ともかく合体建物の持ち分上の抵当権でいいよという抵当権者の承諾書がもらえたときは具合がいいけれども、もらえないときはどうするんですか。
#101
○政府委員(清水湛君) これは合体をいたしますと、A、B、Cの建物が仮に合体をいたしまして、Aの建物の上に抵当権がついていたということになりますと、合体後のAの建物に対応する持ち分の上に抵当権が存続する、こういうことになるわけでございます。その際に、実際上A、B、Cがそれぞれ三分の一ということであって、それについて異存がないということであれば問題がないわけでございますけれども、例えば抵当権者を害するということのためにAの持ち分を少なくする、Aの持ち分は十分の一にしてしまう、抵当権のないB、Cの方の持ち分をふやすというようなことも実は考えられるわけでございます。
 したがいまして、抵当権者としては合体後の建物のAならAの持ち分が何分の一になるかということについては重大な関心を持たざるを得ない。これはしかし、オーバーに要求することはもちろんできませんけれども、客観的なAの持ち分というのは当然決まるわけでございまして、もし抵当権者が承諾をしないということでございますれば、客観的に正当な持ち分の上に抵当権が存続しているということについてのやはり判決なりそれにかわるものというものが必要になろうかと思います。もちろん、抵当権者の方でもう合体後の持ち分の上には抵当権の登記は移さなくていいということであれば、それはまたそういう承諾書をつけていただいて登記をするということになるわけでございます。
 今までの合体というのは、非常に悪意的に行われるものは抵当権者を害する目的でやっているわけでございますが、今回こういうような制度をつくりますと、どうしても合体をするという場合にはあらかじめ抵当権者の了解も取りつけた上で合体をするということにならないと現実の問題としてはスムーズにはいかない、こういうこともまた一面ではこういう制度を設けることによって言えるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#102
○猪熊重二君 それで、要するに抵当権者にとって合体前の単独建物については自分が抵当権を設定していたつもりでいたわけですよ。ところが、がちゃんなんてなっちゃって、その持ち分だと。その持ち分の上へずっと抵当権が乗っかっていくと。どうしてそんなことになるんだろう。その法理論はどうなるんだろう。ともかく一戸建てのちゃんとしたところへ自分は抵当権をつけたわけだ、一千万貸して抵当権をつけた。ところが、隣の家とがっちゃんこになったら、今度はがっちゃんこになった合体した建物の持ち分の上へずっと行くという。どうしてすっと行くんですか。
#103
○政府委員(清水湛君) 確かに、これは大変法律理論としては議論のあるところでございまして、民法には付合とか添付についての規定がございます。
 民法の規定によりますと、動産と動産が一緒になってくっついちゃったというような場合には、その主従の区別ができないようなときには共有になる、こういう規定が民法の中にあるわけでございます。これは動産と動産でございます。ところが、不動産同士の付合について民法に規定がない、こういうことから従来、例えば合体というのはこれは不動産同士の付合という一つの形態でございまけれども、この場合どうなるんだという一つの問題がございました。
 この点につきましては、やはり動産同士の付合の場合に共有になるという制度の趣旨からして、不動産の場合にもそういった共有状態になるということはこれは認めざるを得ないという考え方がとられていたわけでございます。
 抵当権者の方からいたしますと、抵当権者としては単体の建物の上に抵当権を持っていたと、その方が競売をする場合にも競売しやすいというふうに考えていたはずでございます。
 しかし、現実の問題として、建物が二個ではなく一個になってしまった、物理的な建物が一個になってもう両者の区別がつかない、従前の建物はここまでであるというようなことを申しましてももう壁も取り払われていて、これはもう完全に二個性がなくなって一個性になってしまうというようなことになりますと、それによって抵当権が消えてしまうんだということになりますとこれは抵当権者にとって大変大きな損害になります。そこで、その動産の付合の理論のいわば延長といたしまして、その場合には共有持ち分の上に抵当権が移行する、こういうことにするのが合理的であるということになったわけでございます。
 これは一つの解釈でございますけれども、そういう解釈を前提といたしまして、しかもその解釈につきまして私ども民法の学者の方にいろいろと尋ねまして、法制審議会におきましても御議論願ったところでございますが、そのような解釈が是認されるということでございましたのでそれを前提としたこの不動産登記法の規定を整備する、こういうことにいたしたわけでございます。
 もちろん、もともと抵当権というのは建物の目的とするものについて設定をすることができますし、建物の共有持ち分を目的とする抵当権の設定登記ももともとできるわけでございますので、このようにいたしましても不合理はない、少なくとも抵当権者の利益を図るという意味においてはこのような制度しかない、こういうことから今回のような改正案になったわけでございます。
#104
○猪熊重二君 今この改正法がない、これが法律になる以前、要するに現在ですね、現在だったら、単独建物に対して抵当権を設定した、そうしたらそのめぐりの壁を取っちゃってよそとくっつけちゃったということになれば、抵当権者は抵当目的物に対する棄損、滅失ということによる損害賠償請求もできるし、それから、極端に言えば建造物損壊罪という刑事上の犯罪として追及することもできるわけでしょう。余り時間がないんだけれども、私は現行の法制度のもとにおいて、家を壊したり、あるいは壁を壊したり、あるいは隣へ引きずっていって隊とがっちゃんこしちゃったということになったら損害賠償請求権、それから刑事上の建物損壊罪で告訴権も有すると私は思うんだけれども、まずそれはどうですか。
#105
○政府委員(清水湛君) 理論的な問題として、それによって抵当権者が損害を受けるという事態が生じますと、民法上の不法行為責任あるいは抵当権という一種の物権の侵害行為としての責任を追及し得るということは言えようかと思います。
 ただ、抵当権者が受ける損害というのは一体何なのかというまた別な議論もあるわけでございまして、競売をした結果、当初の予定した債権は回収できなかったということが一つの条件になるのかならないのかというような問題がございます。そういう問題は今回の改正によって変わるものではないという、そういう損害賠償責任は別途追及し得る余地があるということについてはこれは別な問題として考えられる、こういう意味でございます。
#106
○猪熊重二君 そうすると、実体上の権利関係については、この不動産登記法の改正が成立したとしても、実体上の抵当権の権利性、権利の内容とかそういうものには変更はないということですか。
#107
○政府委員(清水湛君) 抵当権としての中身には変更がない、目的物が物理的な一個の建物からそういう建物の共有持ち分に変わったということでございます。したがって、経済的価値も同等同額であるべきであって、そのために持ち分が何分の幾つかということが非常に重要な問題になる、こういう意味で申し上げているわけでございます。
 ただ、そういうふうにした結果、抵当権の実行は非常にしにくくなるとか、あるいは持ち分の競売ということでなかなか抵当権の競落人があらわれない、こういうようなことが仮に出てきますと、あるいは抵当権者としての別途の損害賠償請求ということが問題になるということも考えられる、こういう意味でございます。
#108
○猪熊重二君 例えば土地建物が同一の所有者に属するときに抵当権を設定した、競売すれば独立建物だから競売もしやすい、法定地上権も成立する。ところが、隣の家へ持っていっちゃって合体したといったら、今度はその合体した建物の上の持ち分なんで変なものになっちゃって、こんな変なものではなかなか買い手がいやせぬ、競落人が。それで損するけれども、今度は地べたの方はどうなるか、地べたの権利関係が。AとBがいて、こっちのときは同一所有者だから法定地上権があったけれども、今度はこっちへ行っちゃったら法定地上権はどうなるのか。もう少し検討してもらわぬと、抵当権者の権利は全く自分が無関係な状況でふわっと変なところへ行っちゃうというようなことで、非常に問題が多いと思っています。しかし、時間がないのでやめます。
 以上で終わります。
#109
○委員長(片上公人君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十五分開会
#110
○委員長(片上公人君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#111
○竹村泰子君 今回の法改正の要綱を拝見いたしますと、前回の改正、六十三年、百十二国会が登記簿のコンピューター化を図り、そして登記制度の近代化を目的とした大改正であったのに対しまして、かなり中身の技術的な細かい改正、言葉をかえれば実務的な手当てにとどまっているというふうな印象を私も受けます。そのとおりじゃないのかなと思います。
 例えば、いわゆる公図にその法的根拠を与える規定の新設、それからその閲覧有料化、登記簿を利用する多くの国民に直ちに出費という形で影響していくという改正でありますので、午前中から、あるいは衆議院の審議の議事録も拝見しております。かなり多くの審議がもうなされておりますけれども、確認の意味もありまして、短い時間でございますがもう少し聞かせていただきたいというふうに思います。
 まず、公図と言われる旧土地台帳附属の地図、これは昭和三十五年の不動産登記法の改正時にいわゆる法的根拠を失ったものなんですけれども、その経緯を説明していただけますでしょうか。
#112
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 いわゆる公図と言われるものの大半を占めますのは旧土地台帳附属地図でございまして、これは御承知のように明治六年から十四年までぐらいの間に、地租改正条例に基づきまして土地に関する租税徴収のための基礎図面ということでつくられたものでございます。俗に改組図というふうに言われておりますが、これが全国的な統一を欠いておるという面、あるいは若干不正確であるというようなことがございまして、明治二十年ごろからさらにそれを修正するための作業が行われたというふうに言われております。
 これが基本となりまして、明治二十二年に土地台帳法の前身である土地台帳規則というものが制定されまして、法制上は土地台帳の附属地図としての位置づけがされたわけでございます。同時に、この正本が税務署、副本が地元役場にそれぞれ保管されるということになったわけでございますが、戦後昭和二十五年に土地台帳に関する事務、従前は税務署が徴税との関連において扱っておりましたこの事務が、徴税事務に関しては固定資産税ということで市町村の事務になったために、残りの台帳事務に関する関係はこれは登記所で取り扱うべきだということになりまして土地台帳事務が登記所に移管されたわけでございます。
 そういう状況で登記所の方で土地台帳法に基づく土地台帳附属地図ということでその維持管理をしていたわけでございますが、昭和三十五年に不動産登記法というものが改正されまして土地台帳法を廃止いたしまして、新たに表示に関する登記ということで登記法の中に土地台帳法制というものを吸収したわけでございます。その際に、将来の理想と申しますか、我が国の地図の現状にかんがみ、法務局に正確な地図を備えるということを目的として初めて法律の中に法十七条の地図というものの規定がされたわけでございますが、それと同時に土地台帳法が廃止されましたので、その附則において法的に位置づけられておりましたいわゆる公図については何らの法的な根拠がなくなってしまった、こういうことになるわけでございます。
 法的な根拠を失いましたために、このいわゆる公図の維持管理をどうするかということが非常に問題になったわけでございます。当時の気持ちとしては、速やかに十七条の地図を整備して、この土地台帳附属地図というのはこれはもういわばお蔵に入れてしまうというようなことも考えていたわけでございますが、現実にはなかなかそういうふうにうまくいかなかったという結果に現在のところなっているわけでございます。
 そういうことから昭和三十五年に法的な位置づけというものが失われたわけでございますが、現実の問題といたしましては十七条の地図が整備されない地域におきましては土地の位置・配列関係を知る唯一の公的資料、この地図の精度につきましては、明治の初期につくられたというような経緯、あるいは税金を取るためにつくられた図面であるということから現実の面積よりか大体小さく図面がつくられておるというような経緯もあるわけでございまして面積的な点でも精度を欠くというような点はあるわけでございますけれども、とにかく唯一の公的な資料であるということで登記行政の運用上も、また登記所を利用される一般国民の皆様方もこれを唯一の頼りにしていろんな登記に関する手続をしてきたという実態があるわけでございます。
 そういう状況を踏まえて、今回これについての法的位置づけを明らかにするのがやはり妥当であるということで、今回のような改正をお願いすることにいたしたわけでございます。
#113
○竹村泰子君 その法的根拠を失った公図に再び法的根拠というか、不動産登記法に十七条地図と公図という二種類の図面が認められるということになったわけですよね。国民に誤解を与えることになりはしないでしょうかね、これは。つまり、信頼できる十七条地図とそれから正確性に欠けるものも多い公図について国民が、私たち素人はどちらが正確であるかということを判断しなければならない。十七条地図と公図は外見上明確に区別されるものがあるんだかどうだかそれはわかりませんので、その辺地図等の閲覧あるいは写しの交付について混乱が生じるおそれはないのかどうかお尋ねしたいと思います。
#114
○政府委員(清水湛君) いわゆる国土調査法に基づきまして国土庁が主体となって作製しております地籍図、これが現在十七条地図のほとんど全部を占めるわけでございますが、このようなものにつきましては、登記所におきましてこれは法十七条の地図であるということを図面上表示いたしております。
 そして、法十七条の地図ということで登記所が指定したものにつきましては、現行法におきましても閲覧の際に閲覧手数料を徴収、また請求があれば登記所の方で正確な写しを作成してこれを交付するということをいたしているわけでございます。
 ところが、そういったような図面がもともとない地域におきましては、これは今回の地図に準ずる地図ではない図面でございますけれども、そういうものがある、それがいわば法十七条の地図にかわるものとして利用されているわけでございますが、これは十七条地図扱いを従来いたしておりませんので、閲覧も当然のことながら無料ですし、写しの交付制度もない、こういうことになったわけでございます。したがいまして、事務的には両者、二つのものが併存することによって混乱を生ずることはない、こういうふうに思うわけでございます。
#115
○竹村泰子君 不動産に関する事実や権利を公証するという不動産登記制度の趣旨からしますと、現地復元性を有する十七条地図の整備、これが望まれることは言うまでもありませんが、先ほど角田議員の質問にもありましたけれども、もう一度十七条地図の整備状況、供給源などをお聞かせください。
#116
○政府委員(清水湛君) 現在の登記所におきます法十七条の地図の整備状況でございますが、これは登記所に現在保管されております地図、枚数総計五百二十万枚でございますが、そのうちの二百二十六万枚、四三%が不動産登記法十七条の地図として取り扱われているものでございます。残りの二百九十四万枚、五七%がいわゆる今回の「地図ニ準ズル図面」といった取り扱いを受けるものになる、こういう状況になっているわけでございます。
#117
○竹村泰子君 御説明によりますと、現在の地図の整備は国土調査に基づく地籍調査事業に依存しているのが現状であるとお聞きしております。
 そこで、国土庁にお伺いいたしますが、国土調査の進捗状況、調査手法の概要及び近年における調査結果の各年送付数、どのようになっておりますでしょうか。
#118
○説明員(段本幸男君) お答えいたします。
 まず、地籍調査の進捗状況でございますが、地籍調査は先ほど角田先生の御質問にもお答えしたとおり、昭和二十六年から一筆ごとの土地の所有者、地目、地番、境界、地積等を明らかにするために実施しでいるものでございまして、現在は平成二年度を初年度といたします第四次十カ年計画で実施いたしておりますが、四年末の進捗率は全国平均で三七%ということになっておりまして、おくれた状況にあるというふうに考えております。わけても都市部地域でおくれておりまして、都市部では一二%の進捗率というふうなことになっております。
 調査手法でございますが、それぞれ一筆の土地の境界を確認していくということでございますので、その一筆地の確認そのものが相当大きな部分を占めておりまして、この部分で筆数が多い、あるいは権利意識が非常に強い都市部地域でおくれるというふうなことになっております。
 それから、地籍図の作製枚数でございますが、平成三年度において見ますと、作製枚数は六万四千万枚作製いたしておりまして、これらのほとんどを登記所の方に送付しているというふうな状況にございます。
#119
○竹村泰子君 そうしますと、国土調査の近年の予算額と調査の際の一平方キロメートル当たりの単価、どのぐらいになるんでしょうか。
#120
○説明員(段本幸男君) 予算額につきましては、平成五年度予算で、国費で八十五億三千万円ということになっております。補助率が五〇%でございますから事業費はおよそ倍になるというふうに考えていただければ結構かと思います。
 それから、単価でございますが、単価につきましては、筆数の多いところと筆数の少ないところといろいろございますけれども、全国平均押しなべて見ますと、一平方キロメートル当たりの単価は六十万四千円ということになっております。
#121
○竹村泰子君 そうしますと、法案資料によりますと、まだ未調査の土地が十八万平方キロメートル以上あるということになっておりますから、その完了までにはかなりの年月を要すると言わざるを得ませんね。さらに、この地籍調査がこれまでに実施された地域は、今ちょっとお答えになりましたけれども、農業地帯、村落、山林原野が中心である。そのとおりだとしますと、市街地などの調査が進展する見込みについてはもう全く悲観的と言わざるを得ない。この点、国土庁の御認識はいかがですか。
#122
○説明員(段本幸男君) 大変失礼いたしました。先ほどお答えしました単価、六十万四千円と申しましたが、単位を間違っておりまして六百四万円、平方キロメートル当たりの単価は六百四万円でございます。
 今おっしゃいましたように、残事業量に対しまして、特にDID地区の進捗が悪い関係で私どもこれらの進捗を進めるべく努力をいたしておりますが、これら都市部地域を進捗するに当たって、やはり筆数が多いとか権利意識が強い、こういったものに対処するために平成二年度からは都市部促進事業というのをつくりまして、やはり調査の実施前の状況を的確に把握し調査を少しでも円滑に進めるというふうな事業も実施いたしております。
 また、今後それぞれ市町村が実施する場合の市町村がその調査を実施することに伴って自分の行政に利用しやすいような形をつくることが一番と、行政需要の優位性が高い状態に持っていくことが必要と考えておりまして、利活用の促進、コンピューター等を導入して行政でも利用できるような背景をつくっていくというふうなことを考えておりまして、これらによりまして四次十カ年ではDIDを少しでも伸ばすような工夫をしていきたいというふうに考えております。
 全体といたしましては、午前の質問にもお答えしましたように、第四次十カ年計画の当初に考えた今後三十年間でDIDを含む主たる地域を終わらせたい、というふうに考えております。
#123
○竹村泰子君 早急に地図の整備が要請されるのは地図混乱地域あるいは地図のない地域、こういうところだと思います。これらの地域の実態及び平成五年度予算では二千百二十二万六千円が計上されている地図混乱地域対策経費、この金額はこれでよろしいでしょうか、及びその使途はどのようになっていますでしょうか。
#124
○政府委員(清水湛君) 法十七条の地図の主要な供給源が国土調査法に基づく地籍図であるということでございまして、私どもそれに大いに期待しているわけでございますが、他方、先ほども委員御指摘のように最も地図が必要とされるような都市あるいは都市周辺の開発途土地域、そういうようなところが実に地図と現況が著しく合わないと申しますか、地図と現況が全く合っていないというような地域があるわけでございます。そういうような地域を我々は俗に地図混乱地域と呼んでいるわけでございまして、むしろそれは地図が混乱をしたのではなくて、開発業者が適当に現地を区割りしたために現地が混乱しているんだという考え方もあるわけでございますけれども、いずれにしても現地と地図が合わない、こういうところが何カ所かございます。
 そういうところにつきまして、対策経費として、そういうまず地域の実態の調査をするとか、あるいはそういう土地でも売買の対象となったり分筆をするというようなことがあり得るものですから、そういう場合の地図をつくる点としての基準点を設置する、こういうような対策を現在講じているわけでございまして、そのための地図混乱地域対策事業として予算額が、平成五年度予算額におきましては二千百二十二万六千円の予算措置をいただいておると、こういう状況にあるわけでございます。
#125
○竹村泰子君 また、都市及びその周辺地域の地図整備が求められていることは言うまでもないわけであります。地籍調査による成果の送付を待つだけではなくて法務省自身による地図作製が必要だと考えますけれども、現在までの法務省による地図作製などはどの程度の実績があるのでしょうか。平成五年度の登記特別会計では、「十七条地図新規作成経費」として千八十八万三千円が計上されておりますけれども、この金額によりどの程度の作業が可能なのでしょうか。
#126
○政府委員(清水湛君) 法十七条で法務局で地図を備えるべしということになっていることから、私どもといたしましては、国土庁による地籍図だけではなく法務局みずからもこのような地図作製に取り組むべきであるというふうに考えているわけでございます。
 そこで、実は昭和四十三年度から、職員の地図づくりの研修というようなものを兼ねるという意味で、法十七条地図の作製モデル作業を毎年一カ所ないし二カ所で実施をするということをいたしているわけでございます。平成五年度予算における法務局の法十七条地図、新規地図作製経費は一千七百十二万三千円ということになっているわけでございますが、これまで、昭和四十三年度以降現在まで約三千枚、面積にいたしますと五千平方キロ程度に至ると思いますけれども、その程度のものにつきまして法務局独自に作製した十七条地図というものがあるわけでございます。
 これは、法務局職員だけが作製するというわけではございませんで、地元の土地家屋調査士会に委託をいたしまして正確な名筆の筆界認定から地図づくりまでを行っていると、こういうことでございます。しかし、全体から見てみますと極めて微々たるものであるというのが現状でございます。
#127
○竹村泰子君 年間でその程度の整備では、大臣、どうですか、とても法務省で地図を作製しているという実情ではないんじゃないかと思うんですね。十七条地図備えつけの規定新設時の会議録を、昔の会議録を見ますと、地図整備に関する当時の法務省当局の認識がかなり甘いのではないかと思えるんですね。地籍調査を頼みにしていたと言わざるを得ないと言っても過言ではないのじゃないかと。法務省自身による地図作製を妨げている条件は何ですか。
#128
○政府委員(清水湛君) もともと国土調査法というのは、我が国における土地の名筆の境界というものを明確にして正確な図面をつくり、それを各種の行政の基礎資料とする、こういういわば国家的な観点からつくられておる法律だというふうに私どもは承知いたしておるわけでございます。そのことから、当然に国土調査法にも規定があるわけでございますが、それが成果として法務局に送られる、法務局の方ではそれを法十七条の地図として活用するという全体的な仕組みになっているわけでございますので、基本的には私どもといたしましては国土調査法の地籍調査というものに期待をするということにならざるを得ないわけでございます。
 ただしかし、法務省独自でもこれはつくることができるわけでございますから、私ども微力ながらそういうところに進めてまいったわけでございますが、何分にも、先ほど全国的な平均単価が六百万円余というお話がございましたけれども、私どもは現実にこのモデル作業として行っている地域は都市周辺部でございまして非常に権利関係がふくそうしている地域というようなこともございまして、経費が非常にかかるということと時間が物すごくかかるということがございます。そういうようなことが全体の予算規模の中で大きなネックになっているというふうに思うわけでございます。
 もちろん、現在コンピューター化を進めておりますが、これが順調に展開してまいりますと、私どもといたしましても、さらにそういう面について積極的な展開を図りたいという気持ちを現在持っているところでございます。
#129
○竹村泰子君 昭和三十五年に公図が廃止されて十七条の規定が新設されたということは、登記所に地図を備えるべき義務を国が負うことになったということですよね。
 大臣にお伺いいたしますが、法務省は一刻も早く地図作製の本格的な実施に移る必要があると思いますが、御所感をお聞かせください。
#130
○国務大臣(後藤田正晴君) 全く委員がおっしゃるとおりでございます。
 ただ、先ほど来お答えしておりますように、もともとが明治の初めに地租中心の租税制度、これのためにこれ一番最初にできたわけですね。それをだんだん時代の変化で引き継ぎ引き継ぎして今日の不動産登記法といったような形になっているわけです。
 その間、やはり権利関係をはっきりせにゃいかぬということで現在国土庁で地籍調査等をやっておるんですが、仰せこれ金がかかるんですね。それと人手がかかる。時間がかかる。しかも日本の土地の変化が非常に激しいし、殊に都会地あるいはその近郊、登記法上で言えば混乱地域とでも言いましょうか、そういうところがどんどん対象が変わるものですから、しかも地価がどんどん上がってくる。そうすると、わずか十センチのところでも狂うとなかなか調査が進まないと。いろんな悪条件が重なっておるわけですが、おっしゃるとおりにきちんとした十七条の地図をつくるということは何よりも私は急がにゃならぬし肝心なことだろうと思います。
 その点で率直にお答えすれば、やはり今日までの国の施策が立ちおくれておるということは、これはもう否定できないことでございます。大変厄介な仕事でございますが、国土庁の方の地籍調査を基本にしながらも、我々としましてもできるだけの混乱地域等は早く整理をするということに今後一層努力をしなければならない、かように考えているわけでございます。
#131
○竹村泰子君 きょうの私の持ち時間が非常に短くて、公図の問題、それからコンピューターの問題など登記手数料の問題などもお伺いしようと思っておりましたが、ちょっと時間がなくなってしまいました。
 最後に、もう一つ大臣にお伺いいたしますが、コンピューター化の問題ですね。コンピューター化の経費は一般会計で賄うべきではないかという質疑がこれまでにも繰り返し行われております。当時の田原法務大臣は、特許会計の例を示して特別会計の必要性を述べられました。そうであるならば、利用者の立場に立った手数料の適正額の決定とコンピューター化を進めるための定員増及び予算の確保についてさらに努力をしていただく必要があると思いますが、最後に大臣の御所感を伺って終わりたいと思います。
#132
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるようにコンピューター化を今推進しておるわけですが、一般論的に言えば、事業を早くしようと思うと特別会計にした方が勝負は早いんですね。一般会計ということになりますと、予算の編成の作業の中でだんだん押し詰められましてうまくいかないと。
 そこで、特別会計をつくる。特別会計をつくれば必ずこれは、収入がなければ特別会計ができぬわけですから、そうすると収入を得る道を講ずる。そうすると、コンピューターを整備するのにはそれを使えばその手数料を取る。手数料は皆さん方の立場に立ては、これは高過ぎる、これを低くしろと、これまた当然の御要求といったような谷間の中で、私はやはりそうは言いながらもこの特別会計を、仰せのような御主張もわかるわけですけれども、何とかひとつ御理解も得ながら一日も早くこれを整備していきたい、かように考えておるわけでございますので御了解を願いたいと、こう思います。
#133
○服部三男雄君 それではお尋ねしたいと思います。
 午前中からの質疑を伺っておりまして、法務行政という特殊な、特にその中の不動産登記法という技術的な規定に関する質疑でございますので専門的な質問になって当然とは思うんですが、もう少し法務当局から、今度の改正はどういう理由で改正するんだと、今まで不都合があったからこういうところをこういうふうに改正することが、この登記制度の実体に沿うんだという御説明をいただいた方がわかりやすいんではないかなということを私午前中からの質疑を聞きながら思っておったものでございます。
 ひとつ、今回の七つですか、改正点の具体的な不都合があったところをこういうふうに改正すればこうなるんだという、単純な趣旨ではなくて実務的な回答をいただいた方がわかりやすいんではないかな、そしてそうすることが今度の改正を国民の皆様によく理解してもらうことにつながるんではないかな、このように思っておりますので、建物の合体、それから地役権の図面提出、公図の問題、そしていわゆる一般委任代理の原則を変更した理由、あるいは保証書の問題等について個々に御回答いただきたいと思うんです。
#134
○政府委員(清水湛君) 今回の改正は、一言で申しますと登記手続の簡素合理化と申しますか、そういうものを中心として幾つかの問題点、従来問題点として指摘されながらなかなか解決をすることができなかったというような問題を集中的に取り上げまして、その解決を図ろうという意味でございます。
 まず、一番大きな問題は、先ほどから議論になっている点から申しますと「地図ニ準ズル図面」の制度でございますけれども、これも昭和三十五年以来の実情というものを踏まえて、より地図を、現実の問題としては「地図ニ準ズル図面」を今後かなり長期間にわたって頼りにして法務局側としても行政を展開し、利用者としてもこれを利用して不動産取引を続けていかなきゃならないという実態があるということを正面から認めまして、これについての法制をきちっとした形で整備をすると。
 そして、手数料を一方において徴収することによって、現実には明治以来の和紙等でぼろぼろになっている台帳附属地図というものをきちんとした形でポリエステルフィルム等に書き写して整理保存をするということによって、本当の意味での国民の利便に供することにしよう、こういうのが「地図ニ準ズル図面」の閲覧制度の新設でございます。
 それから順番に追って申しますと、登記申請代理権の不消滅に関する規定、これも午前中御議論がございましたけれども、登記申請手続というものの特殊性、実体的な権利変動があったことを前提とするいわばその義務履行行為としての手続上の反映行為、こういうようなことに着目し、多くの場合は司法書士でございますけれども申請手続の安定を図るというようなこと、これがこの代理権の不消滅に関する規定の新設であり、これによってかなり手続が円滑、スムーズに進むことが期待されるというふうに私どもは考えております。
 それから保証書制度の改善につきましては、これは前々から、保証人になってもらう人が、例えば私は東京に出てきたんだけれどもその登記所の付近にはだれも知り合いがいない、田舎にはおやじがおるけれどもおやじではだめなのか、こういうような国民からの切実な要請がありました。そういう点を踏まえまして、登記を受けたる保証人というのはおかしいんじゃないかという御議論がございましたけれども、そういうことで国民の要望にこたえるものとも考えているわけでございます。
 第四の地図作製の際の職権分合筆は、これは先ほど竹村先生の御質問にもございましたけれども、法務局がみずから地図を現実につくっており、これからつくっていこうという意欲は大いにあるわけでございますので、その際の手続の円滑化ということを考えたものでございます。
 それから、第五の地役権の登記がある土地の合筆登記手続につきましては、これは従来、合筆後の土地の一部に承役地になす地役権の登記があるというようなことの場合には図面が非常に見にくいというような指摘が関係者からございまして、これもまた関係者の要望に従って解決をすると。
 さらに第六、合体につきましては、午前中も議論がございましたけれども、昭和三十八年の民事局長通達以来本当に各方面で議論がされてまいりました。特に昭和四十年代後半、五十年代になりまして、これを悪用するというような現象が出てきたわけでございまして、それに対応するには立法をもってしか解決することができない、こういうことから今回の改正、非常に遅いという御指摘がございましたけれども、これをすることにいたしました。
 恐らくこれによって、今までも善良な方々は合体をする場合には抵当権者にあらかじめ話をして承諸書をもらって、その上で間に建物を増築して合体をするということをやっていたはずでございますけれども、これは今度は法律的にきちんとそういうことになりましたので、この点について裁判上争われるというようなことはほとんど皆無になるのではないか。裁判所が非常に苦労して抵当権者を救うために、実際上は合体だと見るべき事案ではないかなと思われるものについで、いや実は合体をしていないんだというようなことで抵当権者の救済に、ある意味においては無理な判決をしていた傾向もあるわけでございますが、今後はそういうことが解決されるということになるわけでございます。
 そのほか、予告登記に関する手続の整備、これは一見非常に簡単なようでございますけれども、実は裁判所のした予告登記が消す手だてがないまま残っちゃっている、そのために、その所有者が不動産を売ろうとしても予告登記が古いのがついているために、何かけちがついているのではないかというようなことで値段がたたかれるというような大変な不利益をこうむる事例が指摘されていたわけでございます。これもこの際きれいに整理をすることができたということになるわけでございます。
 ある意味におきまして、六十三年改正で不動産登記のコンピューター化という将来に向けての大改正をいたしたわけでございますが、今回の改正は、現在の登記手続で積み残されている問題、重要な問題だとして従来から議論されていながらなかなかうまく解決方法がなかった問題をいわば総ざらいして手続の明確化、簡素合理化を図った、こういうふうに評価していただければ私どもは大変ありがたい、こういうふうに思う次第でございます。
#135
○服部三男雄君 建物合体の場合についての局長のお話は、いわゆる抵当権飛ばしの防止ということをおっしゃっているのかと思うんですけれども、これに関してはやっぱり裁判例がたくさんあったんでしょうか。
#136
○政府委員(清水湛君) かなり数多くの裁判例がございます。この中には法務省の取り扱い、これはもう理論的に言ったらまことにやむを得ない、そういう扱いしかできない、つまりこの法律ができる前におきましては一不動産一登記用紙主義の原則に反するような事態が出てくるわけでございますので、これはもう不動産登記制度上許されないということで、その場合には両方の登記を消す、これはもういたし方がないということで、そういう私どもの取り扱いを是認した判決もございます。
 しかし、そうではなくて、それは法務省の取り扱いは取り扱いでそれは正しいんだけれども、具体的な事案においてはまだ建物は合体したとは言えない、あるいは合棟したとは言えないという事実認定の方で逃れまして抵当権者を救済するというような形のもの、それからある程度合体、合棟ではあるけれども、これは余りにも抵当権者を害するという悪意を持ってされた行為であるから、そのような行為は効力が認められないというような形でその抵当権者を救済したもの等がございます。
 いずれにいたしましても、これをめぐって昭和五十年あるいは六十年代にかなりの訴訟が出てきたという事実があるわけでございます。
#137
○服部三男雄君 登記制度には公信力がないということになっておりますね。それが取引の安全を選ぶべきか、それとも実体の正確さを選ぶべきかという登記制度にとっていつも問題になるところでございますが、現行法はどうも公信力の方をとらないということになっておるわけです。
 そうしますと、土地取引に絡む第三者の安全を守ろうとしますと、登記制度そのものは実体を正確に反映しているんだということに帰着する以外にないわけですね。そうでないと第三者の取引が非常に不安定になりますし、係争事件がふえるということになりかねないわけで、それが経済取引に非常に害を及ぼすおそれが多いわけです。そうしますと、今度の改正事項の中で、実体に関する部分と大事な関係をするのは、登記済証滅失の場合の保証人の問題と、それから登記手続の代理権を本人死亡でも例外として残すという、この部分が関係してくるのではないかなと思うわけです。そのほかの部分はかなり技術的な改正ではないかなと、図面の問題とかあるいは公図の問題はそうだと思うんです。
 そうしますと、この不動産登記法の関係は民事局の所管でありますから、ちょっと刑事事件的な発想というものとは分離して考えなきゃいかぬのかもしれないんですけれども、予想されるケースとして、一例としまして、今民事局長がおっしゃったように、実体の権利移動があったんだから、あとは手続だから一般の民事の委任の考え方を伸ばしてもいいんだと、変えてもいいんだと、民事訴訟法にもあるではないかという立論なんですけれども、その実体が例えばだまされて権利関係が移動したとかいうような場合がありますね。だまされたのを後で気づいて、だけれども委任していると、やめようと思ったときには本人が死んじゃったというようなこともあり得るわけですね。
 そうしますと今度、相続した子供たちはだまされた事由等がわからない、またそれを裁判で立証しようとしてもなかなかできないというのが実際問題発生し得るわけですね。
 こういったケースまで考えても、今おっしゃっているような登記手続の適正迅速処理あるいは利用者の利便という今回の改正立法趣旨から考えて、そういうことまでをカバーできるのかどうかという疑問が起こるわけでありまして、その点について御検討願ったんでしょうか。あるいは御検討願った結果、こういう点から大丈夫だろうということでこの改正に踏み切ったということなんでしょうか。御説明いただきたいと思います。
#138
○政府委員(清水湛君) 例えば、売買の登記で売り主が売買契約をして、登記の方の申請を司法書士に依頼した。場合によっては、例えばその申請書が登記所に出される段階で金銭のやりとりもされているというのが普通だろうと思います。そういう例えば状況で売り主が死んだと、ところが、その売り主の方はだまされて安い金で売らされちゃった、こういうことでございますと、もしそれが詐欺ということであれば売買契約の取り消しということになりましょうし、それから要素に錯誤があったということであれば無効ということになりましょうし、その他いろいろ法律行為の有効、無効原因等がございますと、仮に結果として登記はされましてもその登記は無効である、登記は抹消されるべきものということになるわけでございます。
 ただ、もしそういう原因がなかったということになりますと、仮にじゃ、売り主が死んだので相続人が相続をしたといたしましても、その実体上の権利関係が正しければ、売り主の相続人は、登記を申請する義務を相続しているわけでございまして、不動産を相続しているわけではございません。というのは、もうその不動産は買い主の方に所有権は移っているわけでございますので、相続したものは登記義務だけである、こういうことになるわけでございます。そういう場合には結局、買い主が再び売り主に対してそういう登記手続をせよという請求をいたしますと、これはもう容易に裁判所は登記手続を命ずる判決をすることになるだろうと思います。
 ただ、先生がおっしゃるように、だまされたとか、あるいはそうではないというような抗弁が出てまいりますと、それはそちらの方で大変大きな問題になる、こういうことになるかと思います。
 したがいまして、申請手続の代理という側面だけで考えるならば、このような改正をいたしましても委任者に不利益を与えることにはならない。もし不利益を与えることがあるとすればそれは実体法上の問題であって、それには実体法上の対応策が別途用意されているはずである、こういうふうに私どもは整理をいたしたわけでございます。
#139
○服部三男雄君 保証書の保証人の問題です。登記済証はないという場合の保証書の問題です。
 ちょっと本論と外れるかもしれないんですけれども、私も経験があるんですが、私が具体的に経験したのは、お年寄りの家をねらいまして売買契約書を勝手につくって、登記済証がないんだと。その前提としては例えば改印届なんか全部やっちゃうわけですね。おじいさん、おばあさんでもう年をとってわからなくなっていますから、いいかげんな話でもぽんと判を押さされて、そしていわゆる権利証のところで気づかれるとまずいから権利証はないんだというふうに届け出をします。そして、もちろん悪質不動産業者ですから、確認書が行く、それを見越しましてポストへ行って待っているわけです。それを盗み出すんです。それを持っていってやったのを捜査した経験があるんです。
 高齢化社会をこれから迎えますし、土地の価格が非常に上がっておりまして、相続人がいないようなお年寄りが東京都内の一等地に何億、何十億もの土地を持っているんです。これはだれもがねらうわけです、不動産業者、悪質不動産業者は。悪質不動産業者の話をしておるんです。そのときに私は思ったんですけれども、どうも保証書というのは、今のようにこういう全国一円だれでも保証人になれるぞというふうになってきますと、ますますそういうふうに悪用されるんじゃないかなというようなことを今説明を受けながら思いました。
 制度というのは、悪用する立場であれば、法の裏をだれもが、頭のいいやつが考えるんでしょうけれども、これだけ日本の土地の価格が上がり、その資産というものが経済効果を非常に大きく持っている、今バブルの後で資産デフレになっているようですけれども。
 こういう観点から考えると、今回の改正の、不動産の流通を確保するために所在地以外のところの登記を受けた者を保証人にするという趣旨、制度改正そのものはいいんだろうけれども、そうすることによって逆用されることを考えると本人確認ですな、はがきの確認だけではなくて本人確認というものをもっとよく考えないと、先ほど私が申し上げたように、登記に公信力がないと、それがすぐ高額物件であれば転々と動くわけですから、本人確認という要素をもっと考えられた方がいいんではないかなという気がするものですから、その点についての所感をお伺いしたいと思います。
#140
○政府委員(清水湛君) 先生が検事の時代に具体的に捜査された事件と同一であるかどうか私存じませんけれども、全く同じようなケースはないわけではございません。
 御承知のように、不動産登記手続において間違いない登記をする手段といたしましては、まず第一に印鑑証明書、これは三カ月以内に発行した印鑑証明書でなきゃだめだと、こういう印鑑証明書の提出制度がございます。それから、この登記済証を出す、いわゆる権利証を提出させる。権利証がない場合には保証人二人を立てる。これが今回問題になっているわけでございますが、所有権の移転の登記に関する場合には、そういう保証書の提出がございました場合には登記所の方では本来の申請人の家に郵便でもって、あなたはこういう保証書で登記の申請をしているけれども、間違いなく申請しているのかどうかという通知を出します。その通知に、提出した印鑑証明書に押した印鑑と同じ印鑑を押して、間違いないという返事が来れば、登記所の方では安心してこれは間違いない申請であるということで登記をするわけでございます。
 ところが、悪い連中は、そうやって登記所が送る通知を本人の家の前の郵便ポストで待ち受けておりまして、郵便屋さんが来ますと、その通知は私が本人に持っていきますと言って途中でカットして、自分たちが偽造した印鑑をそれに押して登記所に送り返すというようなことをする。これが難しい場合には本人の知らない間に住所を移転してしまいます。これは私も経験したケースでございますが、住所を移転してしまう。住所を移転してしまいますと、そこで本人に成り済まして新しい印鑑登録をする。その印鑑登録に基づきまして印鑑証明書を登記所に提出する。登記所の方では、これはもうもちろん保証人、登記済証がないわけでございますから保証書で申請する。そうすると、登記所の方の郵便による通知は、勝手に住所を移転したところのアパートの一室がなんかに登記所の方の通知がいく。そこで偽造印鑑を押して登記所に送り返す。
 こういうような、まことに手の込んだ形での他人の土地の売り飛ばしという方法、いわゆる地面師の行為と言われでおるんですけれども、そういうのがないわけではございません。
 ただしかし、最も大事な印鑑証明書の偽造とかあるいは印鑑証明書のだまし取りという行為が行われるということになりますと、これはなかなか登記所の窓口ではチェックはできない。印鑑証明書によるチェックあるいは保証通知によるチェックと二重のチェックをするわけでございますが、それをさらに果たして間違いなくその本人のところへ登記所の方からの郵便による通知が行って、間違いなく本人がそれに判こを押して送り返したかということまで確認をするということになりますと、これは非常に難しい問題になってくるのではないか。年間、保証書による登記事件が二十二万件程度ございます。
 そういう中で、いわゆる本当に悪質な地面師グループがそういう手の込んだ売り飛ばし行為をするわけでございますが、私どもといたしましては、そこまで例えば日本では本人の身分証明書なんかは個人個人が持っているということはございませんので、たまたま運転免許証であればそれはその人は結構だということになりますが、そういうようなものを個別に提出を求めて本人を確認するということは、年間二十二万件ある保証事件の中で到底これは対応できないことになるのではないかと。
 やはり勝手に他人の住所を移すようなことができるだけできないようにする。それから、そういうことまでしなくでも、最近高齢者問題というのが問題になりまして、高齢者に甘言をもって近づき全然登記とは関係ないものに使うんだと称して印鑑証明書をだまし取るとか、あるいは登記済証をちょっと貸してくれということで借りてきて高齢者の知らないうちに土地を売り飛ばすというような現象が新聞等でも報道されております。そういったたぐいの犯罪行為、これは登記所の窓口でチェックできるものはチェックし、現実にチェックされた例もあるわけでございますけれども、一〇〇%完全に防ぐというのはまあなかなか難しい問題もあるような気がするわけでございます。
 年間、登記事件は二千数百万件の処理があるわけでございますが、その中でどの程度のものがそういう不正な登記ということで紛れ込んでおるかという問題もこれはあるわけでございまして、私どもといたしましては、現在の制度はかなりこれはよく考えられた制度だと思いますので、これを的確に正確に履践することがまずもって私どもに課せられた責務であると、こういうふうに考えているわけでございます。
#141
○服部三男雄君 ちょっとこの改正点とは変わるのですけれども、社会の大きな流れとしまして、官庁の所有する、保有する情報の公開という、これは社会の大きな流れとして国民の多くの人の要望事項になってきているわけでございます。といいましても、なかなかこれは難しい、各役所で保管しているものを共通一元化するということはなかなか難しい作業でありますし、アメリカのように余りにも情報公開が進み過ぎるとかえってまた問題、弊害も生ずることがあるというわけですが、登記に関する情報公開というのはそういう危険性は余りないのではないかな、比較的技術的分野ですし、実態は個々の権利者相互間で決められたことの範囲にすぎないわけですからできるんじゃないかなと思うわけであります。
 その一環としまして、例えば主に登記事務に携わる人というのは司法書士の方ですから、この方たちからの要望もあるんですけれども、コンピューターとの連携、連動という要望もあるようでございます。そういったことについてどのようなお考えをお持ちなのかということをお聞きしたいんですけれども。
#142
○政府委員(清水湛君) 現在、登記事務のコンピューター化を進めているわけでございまして、平成五年度末、来年の三月でございますか、三月になりますと全国で九十カ所の登記所が完全にコンピューター化されまして、登記事務の全体の二〇%以上はコンピューターによって処理される、こういう状況になろうかと思います。しかし、全国的な展開ということを考えますと、まだ相当の長期間を要する。私どもの気持ちでは、今後五年ないし六年後には全事務量の六〇%以上はコンピューターによって処理されることになるのではないかというふうに期待しております。
 しかし、全国的に散在する小規模の登記所まで含めましてコンピューター化するということになると、さらに長期の期間を要すると思います。私どもさしあたって現在はそういう意味で、現在の登記所のコンピューター化、これにまず最大のエネルギーを注ぐということにいたしております。
 その上でさらに、コンピューターのメリットを生かして、例えば端末をもっとふやして市町村に置くとか、あるいは司法書士の事務所というところまではちょっと難しいかと思いますけれども、司法書士会の支部の事務所に置くとか、そういうようなことは将来の問題として当然のことながら検討の視野の中には入っているわけでございます。
 ただしかし、これをするにつきましても、端末を利用して登記簿に勝手なことを書き込まれるというようなこと、あるいは不必要に登記簿の内容がその端末を通じて外に出ていくこと、そういうようなことを防止するためのいろいろなシステムを考えなければなりません。登記は対抗要件で一般に公示をするということが本来の目的でありますから、だれでも見れるということが基本でありますけれども、利害関係のない部分についてまで見れる、例えば隣の家の人は何々銀行あるいは何々金融会社から何々の借金をしているというようなことが登記簿にはあるわけでございまして、無用にそういうものが第三者にもわかってしまう、こういうことはやはりプライバシーの侵害にもつながってくるという問題であろうかと思います。
 そういう意味で、コンピューターへのアクセスを正当な形でコントロールをするということが非常に大事な問題になってくるわけでございまして、そういうようなものについてもきちっとした研究がされて、心配がない、こういうようなことが前提となるわけでございますけれども、将来の問題としてこれはやっぱり研究、検討はしなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
#143
○服部三男雄君 法務大臣、せっかく副総理になられて初めての法務委員会でございますから法務大臣にもお尋ねせにゃいかぬと思いますが、といっても、法務大臣が登記手続の専門家とは到底思えませんので……。
 ここでひとつ、今度自民党政府はバブル再生ではないかと危惧されるくらい大きい総合経済対策を講ずるわけでありますが、その中に今はやりの新社会資本投資というものがあります。私はもと法務省におりましたが、法務省というのは非常に予算のないところでございまして、実力大臣がお見えになったんですから、今度の新社会資本投資でコンピューターの費用を請求される気があるのかどうか、こういうことをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
#144
○国務大臣(後藤田正晴君) 新聞に出ておりますように、今度のは一つは当面の景気浮揚対策としての経済政策の中身、もう一つはやはり経済構造そのものを変えなきゃならないといったようなやや中長期をにらんで、しかも生活大国とでもいいますか、そういう方面へ内政全体を切りかえにゃいけない、そういうことも視野に置いた二つの性格で、私自身個人的な評価をすれば、よくぞ十三兆二千億といったような思い切った事業規模の対策を講じたなと、こう思います。
 そこで、中身を今言ったような観点で切りかえておりますだけに、例えば、従来公共事業一本になっておった偏りがちな対策を、そうではなくて新しい社会資本の整備という観点でやろうといったようなことで、福祉であるとか教育であるとか、いろいろな面が入り、そして同時にコンピューター化等の問題についても考えていこう、こういったようなことを中身としておるんですが、この十三兆二千億の中に一般会計でやらなきゃならない面がございますね。
 その中に学校教育の中のはやりの機械、パソコンみたいなものですね、それらを新しい意味合いにおいての施策として、例えば建設国債の対象に入れる入れぬという議論があったんですが、これは今回はちょっと待ってくれということになりまして、それでいろいろな研究機関その他の施設の中の一環としてそういうものは入れるといったようなところまで広がりまして、コンピューターのような問題はこの次の予算編成の際に私は問題になるんではないかと。
 そこで、法務省はおっしゃるように本当に堅実なんです、いい言葉で言えば。ところが、やや批判的な言葉で言うとかた過ぎるんですよ、すべてにおいて。だから中身が世の中の変化に対応していけない。飛躍的な発展をしにくいような私は仕組みになっていると思います。そうなると、やはりこのコンピューターの問題というのは非常に重要なんですね。これは入管の問題が一つありますね。それからもう一つは民事局の系統の登記の問題があるといったようなことで予算要求はしたんです。それで施設の面は入りました。それからコンピューターの面は先ほど言いましたような観点で、もう少し検討させてくれというのが大蔵事務当局の切なる要望でございます。
 しかし、昨晩も有力な議員の方から御提言もあり、実はきょうもまた官房長から大蔵省の方に何とかならぬのかといったようなことを申し込んでおりますが、いずれにいたしましても御要望のような線でだんだん私はなっていくと思います。
 このコンピューターなんというのは、法務省はもちろんのこと各役所にあるわけですから、しかしこれはやらなきゃならない仕事ですから、こういう際に私は思い切って踏み切った方がよかろう、こう思いますので、いずれ今度の補正で入らなくとも、この次のときにはぜひひとつこういう観点でやりたい、こう思っておりますので御理解願いたいと思います。
#145
○服部三男雄君 終わります。
#146
○紀平悌子君 大分時間も経過いたしまして、大臣初め政府委員もお疲れのことと存じますが、いただきました短い時間の範囲内でお伺いしたいことをよろしくお願いいたします。
 実は私、不動産登記法というものを初めて拝見いたしました。私も実は小さな土地と持ち家を東京の一部分に持っておりますので、これは大いに自分自身が生活者としてこういうことは知っておかなきゃならないことであったなということを実は今の御論議の中で痛感をいたした次第で大変勉強になりました。
 先ほど清水局長が箇条ですらすらとお答えになりましたお答えの中で、なぜ今度の改正が必要であるかということはすっかり何かのみ込まれてしまったような感じでございますが、なおかつお伺いする点についてよろしくお願いいたします。
 不動産登記法というのは、国民、私ども生活者にとって非常に重要な法律だと思います。家屋や土地の所有者が、権利者がだれか、まただれからだれへ所有権などが移っているか、その状況を明らかにする大事な法令でございます。現実には登記と実際の権利関係が食い違う場合がとかく耳にするところでございます。不動産の価格が非常に高騰して、かつ相続の問題などで一般の国民の多くが不動産物権の変動にかかわる機会というものがずっと前よりはふえてまいりました。一刻も早く偽造登記の根絶、そして国民のだれもが理解できる登記制度、これが望ましいというふうに思うんですが、法律の読みやすさということ、こういう面も含めまして法務省はそれぞれにどうお考えになりますか、またどう対応されますか。できれば簡潔にお答えをお願いいたします。
#147
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 登記の真正の確保というのは、これは不動産登記制度の最大の目標である、間違った登記をしない、不実の登記をしないということが最大の目標でございます。
 そのために登記法は非常に面倒くさい手続、一見国民の方から見ますと非常に面倒くさい手続を設けております。印鑑証明書も三カ月内のものでなきゃだめだとか、あるいは登記済証、いわゆる権利証を出しなさい、権利証がなければ保証人を立てなさいというような非常に細かい手続を定めているわけでございますが、それでもいろいろ税金等の関係において第三者の名義にしたり、あるいはいわゆる中間省略登記と申しまして、実際上は甲−乙−丙というふうに売買されているのに甲から面への移転登記をするというようなことが行われております。
 できるだけそういう実際とは合わない登記というものを防ぐことが必要だと思いますけれども、大量の事件処理の中でできるだけのそういう真実の登記の実現のために努力をしておるというのが全国千百カ所に上る登記所の職員の実態であるというふうに私どもは考えております。
 それから、偽造の登記が最近不動産価格が急騰しておるというような現状を踏まえまして、印鑑証明書を偽造するとか、あるいは登記済証、権利証みずからも偽造するとか。あるいは先ほど服部委員からお話がございましたような手の込んだ他人の土地建物の売り飛ばし工作をするというような連中も後を絶たないという状況にございます。
 しかしながら、一方では登記所の窓口の申請書類のチェックで偽造が見破られたという件数も少なからずあるわけでございます。印鑑証明書が不自然であるとか、あるいは登記済証として出された権利証が当時の登記所ではそういう判こを使っていなかったというようなことを登記官が見破りまして偽造が発見されたというケースも数多くございます。そういうような状況の中で真正な登記が実現されるように努力をしております。
 また不動産登記というのは、御指摘のように戦後特に一般の人々もほとんど登記所に関係するようになりました。戦前はある一定の地主さんとか家主さん階層だったというふうに言われておりますけれども、戦後、特に最近は一般の大衆もすべて登記所に出入りをするというような状況になってきたと言われております。
 そういうような状況を踏まえまして、登記手続を国民の方々から見てわかりやすいものにするということは必要なことであり、もちろんその現代語化も図っていかなければなりませんが、しかし登記の真正担保、正しい登記を実現するということのためには一方で面倒くさい手続もまた要求しなければならない、こういう面もあるということについてはまた御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#148
○紀平悌子君 続いてお伺いしたいんですけれども、土地などについての権利関係をあらわす地図として、法第十七条による地図と、それからこの法律改正が通るまでを法的根拠のないまま事実上通用してきたいわゆる公図でございますが、これは愚問かもしれませんけれども、どちらが正確なんですか。そしてどういうふうな作製状況、それから性格を持っていますか。簡単で結構でございます。
#149
○政府委員(清水湛君) 法十七条の地図というのは、これは簡単に申しますと現地復元性という言葉でよく私どもは説明するんですが、現状が完全に例えば大水等で全く一変いたしましても、その地図があればもとの土地の位置、区画を再現できると。それはなぜかと申しますと、その地図と国家基準点との位置関係が明確になっていると。国家基準点というのは、これは専門家に言わせますと、地上がどうなりましても天体の測量によってその点を正確に特定することができる、こういうふうに言われております。ですから、そういうものとの結びつきによりまして土地の位置、地球上の一定の区画というものが常に明確になると。もちろん、地図作製上の誤差とかそういうものは当然ございます。
 ところが、これに対しましでいわゆる公図というのはそういうものとは関係なしに、明治の初期に土地の形のあるがままの姿をそのまま図面化したものということでございまして、その間に現状が変わってまいりますと当然のことながら地図と現地が食い違ってくる。隣の方が少しずつ毎年一くわずつ土地を削っていきますと、だんだん少なくなって図面とは食い違った形になってくるというような現象が田舎にあると言われているのでありますけれども、これはやはり作製当時の状況をそのまま図面化したというところに問題があるということなんだろうと思います。そういう意味では、十七条地図の方が非常に正確であると。
 したがいまして、作製方法も国家基準点から多くの基準点、図根点等をおろしまして、それをベースにして地図をつくるということが行われるのに対して、いわゆる公図というのは形状をそのまま図面化するという作製方法でございますので、そういうような違いもあるということになるわけでございます。
#150
○紀平悌子君 先ほどから御質問が相次ぎましたので、その十七条地図、より正確な地図の調査、そして作製ということが急がれるべきですけれども、これはお答えが既にございました。
 国土庁にお伺いしたいんですけれども、先ほど権利意識が増大したと、特に都市部ですね。それから筆数が多いというようなこともちょっとおっしゃったように思うんですけれども、一番ネックになる点は何ですか、おくれている点。おくれるというか、やりにくい点です。
#151
○説明員(段本幸男君) お答えいたします。
 今、先生もおっしゃいました土地が細分化されて権利移動が非常に激しい、あるいは地価が高騰してまいりましたかげんで土地に対する権利意識が非常に強くなった、こういうことが都市部で言われております。
 さらに、先ほど言いましたように地方公共団体におきましても、行政需要が非常に多様化している都市部におきましては地味な地籍に手が回らない、こういうふうなことがございますが、恐らくこれらが相乗的に作用してなかなか今日まで進んでこなかったような状況をつくり出しているのではないかというふうに分析いたしております。
#152
○紀平悌子君 この法律が通りますと、今回の第二十四条ノ三では、公図、つまり権利関係の表示というより課税台帳の附属地図として作製されてきた、まあ不正確と言ってしまってはいけないかもしれませんが、非常に正確さを欠く図面が十七条地図と並んで不動産の公示ということに使われることになりますね。
 大都市圏などでは所有権者の変動によりまして新所有権者がその周辺の土地権利者との間で新たな境界を画定しようとするときなど、それが十七条地図である場合と、それからいわゆる公図である場合では結果に違いが出てくる、これは仮定の問題でございますが。つまり可及的には法第十七条地図によった方が正確な取引ができると考えられるんですが、結論として現段階では公図しかない地域においては、土地取引というのは公図で行ってくれと、こういうことでございますね。これが現実だからというお話でございました。
 このことで後学のためにお伺いしたいんですが、三十五年に公図に法的根拠を与えてきた土地台帳制度が廃止された時点にその点においては一応逆戻りするというふうな改正になるわけですね、つまり追認すると。かつて廃止されたものが追認というか、また引き起こされるというか、そういうことになるんですが、この点については矛盾というか、ほかにもこういう法律をつくるときの例がございますのでしょうか。
#153
○政府委員(清水湛君) ちょっとほかにこれに類似した例があるかというお尋ねにつきましてはちょっと今急で思い当たりませんけれども、確かに三十五年当時は非常に高い理想を掲げてできるだけ早く正確な地図を整備したいということで出発したことは間違いないと思っております。しかしながら、現実には現在まだ三百万枚に上る旧台帳附属地図というものが活用されて、その維持管理に大変な金がかかっておると、むしろ十七条の地図として指定されていた地図の方が最近つくられた地図でございまして、その方がむしろ維持管理費がかからないと。
 しかし、いずれも維持管理費が特別会計における手数料収入で賄われているという実態が出てまいりまして、負担の公平という見地からいきましても、それから今後とも長期にわたってこういうものを事実として利用していかなきゃならない、そして利用していく以上はもっと立派に維持管理をしていかなきゃならない、もっと金をかけなきゃならない、こういうようなことになったわけでございまして、三十五年の改正時点に戻ったというよりか、現状を踏まえてより改善を将来とも続けていこうと、こういう意味での私どもは改善というふうに考えているわけでございます。
#154
○紀平悌子君 もう一言その点についてお伺いしたいところですが、先へ参ります。
 国土庁にお伺いしたいんですが、先ほど午前中に大都市圏での状況を、進捗状況は極めて遅々たるものだというのがございましたが、具体的に東京、大阪、名古屋、福岡、おわかりでございましょうか、それぞれ進捗状況は。
#155
○説明員(段本幸男君) お答えいたします。
 午前にもお答えしましたように、全国平均三七%の進捗に対しましてDID地域では一二%の進捗にすぎないということを申し上げましたが、具体的には都道府県単位で進捗をされておりますので都道府県単位で申し上げますと、平成三年度末の進捗状況でございますが、東京都においては一六・二%、大阪府におきましてはわずか〇・八%、愛知県において四・八%、福岡県は県域全体は比較的進んでおりまして六五・五%ということになっておりますが、恐らく二十三区とか市域になればさらにもう少し下がるような状況にあるのではないかというふうに考えております。
#156
○紀平悌子君 法務省にお伺いしたいんですが、いわゆる公図が閲覧有料化されるということなんです。つまり、登記手数料金第三条、二項により、第十七条地図に準じて四百円の手数料を取ることになる、こういうわけでございますね。そうしますと、先ほどから専門的な立場からもいろいろ御質問がございましたことに多少重なりますけれども、十七条地図といわゆる公図とは精度の違いがあるということである以上、同額が徴収されるということはちょっとやっぱりどう考えても不合理じゃないか、国民、庶民のレベルから考えますと、これは地域的による不公平も招くんじゃないかというふうに思いますけれども、再度お尋ねいたします。
#157
○政府委員(清水湛君) 「地図ニ準ズル図面」の閲覧手数料の額というのは、例えばこれは登記簿とかその他の登記所のいろんな書類、図面等の閲覧手数料と同じように、物価の状況とか、それからそういう図面の維持管理に要する実費等を勘案して政令で定めるということになっております。具体的な中身が、例えば地図だからとかあるいは登記簿だからとかあるいはそれ以外の附属書類だからというような書類の中身というよりか、むしろ現実にそのためにどれだけの人件費なり維持管理経費というものが必要であるのか、こういう観点から手数料というものは定められていると思うわけでございます。
 したがいまして、内容に若干の精粗の違いがあると申しましても、同じく十七条の地図も一つの図面であり、「地図ニ準ズル図面」も物理的な図面である、そういうものであるということで、その扱いとか維持管理というような面を考えますと全く同じような経費がかかる。特に、「地図ニ準ズル図面」のこれまでの沿革というようなものを考えますと、極端に申しますと、地方に行けば六畳敷の大きさを持った公図なんというものもあるわけでございまして、そういうものを全部五十センチ・六十センチあるいは四十センチ・三十センチ四万のポリエステルフィルムに書き写していくというような余計な作業があるわけでございまして、そういう意味では大変な経費がかかるというような面がございます。
 そういうことを私ども勘案いたしまして、やはり十七条の地図であるか「地図ニ準ズル図面」であるかということとはかかわりなく、閲覧の手数料はやっぱり同額にするのが理論的には筋であろう、こういうふうに考えているわけでございます。
#158
○紀平悌子君 少し話が外れますけれども、最近、国や地方公共団体が登記手数料を免除されているということに対する批判が大きいというふうに思うんですけれども、これについてはいかがですか。簡潔で結構でございます。
#159
○政府委員(清水湛君) 国なり官公署が登記所に登記簿の謄本を請求するという場合には、現在これは無料ということになっております。登記特別会計のもと、そういう無料ということでいいのかというような素朴な御意見があることは私ども承知しているわけでございますけれども、官公署相互間の協力関係とか、あるいは例えば国の場合を考えますと、結局また一つの国の機関として相互に協力をいたしているわけでございますので、これを有料化するということについてはやや問題があるのではないか。
 それから、一番大口なのは市町村が登記簿を閲覧する、これは固定資産課税台帳との突合という意味で一登記所の登記簿を全部閲覧してこれを課税台帳と照合するということが行われているわけでございまして、そういう件数が非常に多いのでございますけれども、登記所にかける手数というのはほとんどないというような実情がある。そのほかに、国なり官公署が登記簿の謄本という形でこれを請求する件数というのはそれほど数は多くないというような問題もございまして現在のところ無料ということになっているわけでございます。
 これを有料化するということになりますと各般にわたる法律改正が必要になるわけでございまして、相当いろいろとそれぞれ事情がありまして難しい問題もないわけではございません。私ども将来の問題として検討はしているわけでございますけれども、さしあたってこれを直ちに有料化するということは非常に難しいのではないかというふうに認識しているわけでございます。
#160
○紀平悌子君 法務大臣にお伺いしたいのでございますが、権利関係を正確に表示していないという批判の多い公図について法的な根拠を与えるということ、そして法第十七条地図と同額の手数料を国民から徴収するということにつきまして、これは大臣としては、まあこれでもやっぱりこれは必要なんだというふうにしんからお思いになりますでしょうか。
#161
○国務大臣(後藤田正晴君) ともかく御質疑等の中で明らかになりましたように、やはり名筆ごとの正確な地図というものを一日も早くつくるということが私は大事なことだと思いますね。それが大変おくれておる。
 それらを考えまして、そこで一般会計よりはどちらかといえば特別会計の方が早くできるということは、これは従来の政府の予算等を考えれば出てくる結論でございます。そういう意味合いで、ともかくサービス面があるわけですから、受益に匹敵するだけの実費をちょうだいするということでああいう制度をつくったわけです。
 ところが、何といいますか、精密な図面の方と従来からある必ずしも精密でない図面の方と同じような手数料を取るとは何事だと、こういう御意見だと思うんですが、それも私は理解ができます。しかしながら、従来からの公図の方もその維持管理の経費は特別会計の中で賄うということになっているわけですね。そうしますと、その方を無料ということになると、十七条の図面の方を使う人だけがそうでない図面の維持管理費も負担をするということにもなるわけです。
 これらについて従来から、率直に言いますと検査院なりそれから総務庁ですか、こういった省からこれ少し不公平じゃないかということで御注意等も実はあったんです。そういったようなことで、段々の御質問の意味もわかるんです。品物の悪いものとええものと同じ値段にするとは何事だ、これはよくわかるんですけれども、といって、今言ったような十七条の方だけでそうでない方まで経費を負担する、何ということだ、こういう議論がございまして、あれこれ考えた結果同じような、負担の公平とでもいいますか、それで利用者の方からいただこうと、こういうことに考えたわけでございます。
 ただ、金額そのものの決め方等については、これは段々の御意見ございますから、これはむやみに上げるべき筋合いのものでは私はないと思いますが、そこらをひとつ常識的に判断をさせていただきまして適切な運用を図っていきたい、かように考えているわけでございます。
#162
○紀平悌子君 ありがとうございました。終わります。
#163
○委員長(片上公人君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 不動産登記法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#164
○委員長(片上公人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村泰子君。
#165
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました不動産登記法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議の各派並びに各派に属しない議員石原健太郎君及び紀平悌子君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    不動産登記法の一部を改正する法律案に
    対する附帯決議(案)
  政府は、次の諸点について格段の努力をすべ
 きである。
 一 不動産登記法第十七条の地図の整備の一層
  の促進を図るとともに、地図に準ずる図面に
  ついても、更にその整備を図ること。
 二 地図等の閲覧手数料等、登記関係手数料に
  ついては、利用者に過度の負担を与えること
  のないよう、適正な額に設定すること。
 三 登記事務のコンピュータ化を更に推進する
  とともに、地図のコンピュータ化についても
  その実現を図ること。
 四 登記の真正を確保するため、今後とも登記
  申請手続の改善・整備、審査事務の充実を図
  ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#166
○委員長(片上公人君) ただいま竹村泰子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#167
○委員長(片上公人君) 全会一致と認めます。よって、竹村泰子君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、後藤田法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。後藤田法務大臣。
#168
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#169
○委員長(片上公人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○委員長(片上公人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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