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1993/05/18 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 地方行政委員会 第8号
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1993/05/18 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 地方行政委員会 第8号

#1
第126回国会 地方行政委員会 第8号
平成五年五月十八日(火曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 三吾君
    理 事
                石渡 清元君
                久世 公堯君
                岩本 久人君
                有働 正治君
    委 員
                狩野  安君
                釘宮  磐君
                坂野 重信君
                須藤良太郎君
                関根 則之君
                林田悠紀夫君
                上野 雄文君
                大渕 絹子君
                山口 哲夫君
                渡辺 四郎君
                続  訓弘君
                長谷川 清君
                西川  潔君
                細川 護煕君
   事務局側
       常任委員会専門  佐藤  勝君
       員
   参考人
       全国町村会政務
       調査会財政部会  伊藤孝二郎君
       長
       京都府八幡市長  西村 正男君
       千葉大学教育学  池上 洋通君
       部講師
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(佐藤三吾君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、全国町村会政務調査会財政部会長伊藤孝二郎君、京都府八幡市長西村正男君及び千葉大学教育学部講師池上洋通君の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、皆様方には御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。心からお礼申し上げます。
 本案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、議事の進行上、参考人の方々にはそれぞれ十五分程度の御意見を順次お述べ願い、陳述がすべて終わりました後に、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 また、発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっておりますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げておきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、まず伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。
#3
○参考人(伊藤孝二郎君) 全国町村会財政部会長、また新潟県町村会長をいたしております新潟県黒川村長の伊藤孝二郎と申します。
 参議院地方行政委員会の諸先生方におかれましては日ごろから地方行政全般にわたりまして格別の御高配をいただいていることに対しまして、この席をおかりいたしまして心から厚くお礼を申し上げます。
 本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をお与えいただきましてありがとうございました。町村行政を担当している町村長の立場から意見を申し述べさせていただきます。
 まず、委員の先生方にお願いしたいことは、ただいま本委員会において御審議中の地方交付税法等の一部を改正する法律案の早期成立についてでございます。
 平成五年度も、はや五月となりまして、本年度予算に計上した事業の早期着工を図らなければなりません。特に私どものような降雪地帯におきましては、早期に着工を図らなければならない対策はたくさんございまして、事業の年度内完成は遅くなりますと困難ということに相なるわけでございます。また、財政力指数〇・五未満の団体が七〇%を占めている私たち町村におきましては、一番大きな財源が地方交付税であり、これが決まらないとなかなか事業に着手できかねるところでございます。
 一方、御高承のとおり、我が国の経済情勢は、生産、消費の停滞により景気が低迷しており、地域経済におきましても極めて厳しい状況にございます。このような状況にかんがみまして、政府におかれましては去る四月十三日に総合経済対策を閣議決定されましたが、その追加事業規模は十三兆円を超えるというふうにお聞きをいたします。昨年八月の経済対策を上回る規模となっており、このうち地方単独事業は二兆三千億、公共用地先行取得に一兆二千億が追加されているほか、公共事業の前倒し施行等も明示されており、地方団体におきましても、公共投資、中でも地方単独事業の積極的、円滑な実施が強く望まれているところでございます。
 このような状況を考えますと早期の事業実施が必要でありますが、そのために裏づけとなる財源の確保が不可欠でございます。先ほども申し上げましたように、とりわけ地方一般財源の重要な地位を占める地方交付税の団体ごとの総額や算定方法を早急に確定していただくことが必要でありますので、本法案の速やかな成立に特段の御高配を賜りたくお願いを申し上げるところでございます。
 さて、地方公共団体におきましては、住民の豊かで快適な生活の実現を目指して、生活関連社会資本の整備、高齢化社会に対応する福祉政策の充実等、その果たすべき役割はますます重要なものとなっております。
 今回の地方交付税法改正案では、地域づくり、地域保健福祉の増進、森林、山村対策、国際化の推進等々当面する行政需要に対する財源措置については充実強化されると承知しておりますが、以下、その主要なものについて所感を申し上げさせていただきたいと思います。
 第一は、地方単独事業の拡充についてでございます。
 平成五年度の地方財政計画においては、投資的経費に係る地方単独事業は対前年度比一二%増と大幅に拡充されており、特に森林、山村対策として保全すべき森林の公有化の推進等の経費が新たに措置されたことは、まことに時宜を得た措置であり高く評価しているところでございます。今後とも、地域振興に果たす地方単独事業の役割の重要性や公共投資基本計画に基づく身近な社会資本の整備促進の観点から、引き続き地方単独事業の拡充について先生方の御理解と御支援をお願い申し上げるところでございます。
 また、ふるさとづくり事業については、第二次ふるさとづくり事業として拡充継続していただき、おかげさまで地域の魅力を生かした自主的、主体的な地域づくりを進めていくことができます。引き続き、ソフト事業分を含め、充実を図っていただきますようお願いを申し上げます。
 第二は、福祉施策の充実強化についてでございます。
 本年四月より特別養護老人ホーム等の措置権が町村に移譲され、特別養護老人ホームの建設等苦慮する面もございますが、町村におきましても、高齢化社会の到来に対応し、地域住民のニーズにマッチしたきめ細かな在宅福祉等の各種保健福祉施策を展開しております。このような状況の中で、今回、社会福祉関係経費、中でも高齢化社会に対応した地域福祉の向上を図るための地域福祉基金について昨年に引き続き大幅に増額されるなど、適切な配慮がなされております。今後とも、地域の実情に応じた福祉施策を推進するため、さらなる財政措置の拡充をお願い申し上げます。
 第三は、国保財政の健全化についてであります。
 高齢化社会の到来は医療費の増大を招き、保険料の負担はますます高くなり、国民健康保険をめぐる状況はますます厳しくなってきております。今回、暫定的な国保財政安定化支援事業の拡充、制度化が図られたことは、国保財政の健全化、安定化に寄与するものと考えております。しかし、医療費の適正化、給付と負担の公平化、保険料負担の平準化等の構造的な問題を抱える国保制度を抜本的に改善し、国民健康保険の運営に支障を来さないようお願いを申し上げます。
 このほか、公有林の適正な管理及び森林整備の担い手対策のための基金設置等、森林、山村対策が新たに設けられましたが、これは地球環境の保全という大きな観点、また森林資源の有する公益的機能、さらには山村地域における人口の減少等の実情を理解され講じられた措置であり、深く感謝を申し上げますとともに、今後ともさらなる財政措置の拡充をお願い申し上げます。
 ところで、昨年の秋ごろから地方交付税の総額の圧縮が伝えられ私どもも大変心配していたところでございますが、地方交付税の総額の圧縮は公共投資基本計画に基づき行っている社会基盤施設の整備や高齢者保健福祉推進十カ年戦略の実現等に大きな影響を及ぼすことから、私ども地方団体は全国大会を開催する等の運動を行い、また諸先生方にも大変な御尽力をいただいたところでございます。結果的には、御高承のとおり、地方交付税の総額から四千億円の特例減額措置を行うことで決着を見たところでございます。
 この特例減額措置による減額分につきましては後年度において法律に基づき返済をされるものでありますし、先ほど申し上げましたとおり、地方財政対策において地方単独事業の大幅な拡充、地域福祉の充実など地方団体が当面必要とする各種施策における措置が講じられた上で行われるものであり、しかも国の予算編成が税収において前年度当初税収を下回るという厳しい状況のもとで建設国債の増発や税外収入の可能な限りの確保に努めてもなお極めて厳しい状況にあったことを考えますと、この際やむを得ないものと考えているところでございます。
 ただし、この際一言申し添えさせていただきますと、いわゆる交付税の総額をめぐる議論の中で、地方交付税が三年連続して減額されることなどをとらえていわゆる地方財政余裕論を展開する向きがあるということでございます。これらの特例措置はあくまでも異例に厳しい国の財政に資するためにとられた緊急避難の措置であり、地方団体が我が身を削りこれに協力してきたところでございます。内政の担い手たる地方団体が命後推進しなければならない施策が山積していること、税収の動向が厳しい状況にあることなどを考えるならば、決して財源に余裕などはなく、到底納得し得ないものであることを御理解賜りたいと思います。
 次に、せっかくの機会でございますので、この際、地方団体が抱えている当面の重要課題につきまして二点ほど要望をさせていただきます。
 まず第一点は、地方交付税率の堅持等についてでございます。
 御高承のとおり、地方交付税は、憲法で保障された地方自治の本旨を実現するための地方団体共有の固有財源であり、国のほかの歳出とは性格を異にするものでございます。現在、緊急の政策課題となっている各種社会資本の整備、高齢化社会への対応、地域の振興などの施策の多くは地方団体によって行われているところでございます。これら地方団体に課せられた責務を果たしていくためには地方交付税は不可欠の財源でございます。今後とも地方交付税率の堅持及び総額の確保につきましては先生方の特段の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 第二点は、国庫補助金等の整理合理化についてでございます。
 国庫補助金等の整理合理化に当たっての私どもの基本的な考え方は、国と地方の機能分担、費用負担のあり方を十分検討し、その上で事務事業のあり方そのものを抜本的に見直し、その結果により整理合理化を行うべきであり、国の財政上の都合等による安易な一般財源化は容認できるものではないと考えておるところでございます。
 以上、当面する地方行財政の諸問題につきましてお願いかだがた忌憚なく意見を申し述べさせていただきましたが、目下私どもの最大の関心事である本法案の速やかな成立を重ねてお願い申し上げまして、公述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#4
○委員長(佐藤三吾君) どうもありがとうございました。
 次に、西村参考人にお願いいたします。西村参考人。
#5
○参考人(西村正男君) 京都府八幡市の市長を務めております西村でございます。
 本日は、参議院の地方行政委員会が地方交付税法等の改正案を御審議いただくに当たりまして、参考人として意見を申し上げる機会を賜りまして大変光栄に存じております。精いっぱい努めさせていただきますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 私は、幸いなことに、八幡市の前身である八幡町の時代から現在まで、職員として二十八年、助役として二年、そして市長として十三年、合わせて四十二年間、地方行政の第一線にあってこの道一筋に仕事をさせていただいてまいりました。きょうは、せっかくの機会をいただきましたので、日ごろ仕事に取り組む上で、地方財政について、なかんずく地方交付税について、かくあるべしと願っておりますことをありのままに申し上げさせていただきたいと存じております。大変お世話になっております自治省のお方もお見えでございまして、少し面映ゆい感じがいたしておりますが、旧知に免じてお許しをいただきたいと思います。
 申し上げたいことは大変たくさんあるわけでございますけれども、時間の関係がございますので、要点を絞ってお話をさせていただきます。
 その一つは、交付税が実に多くの事務事業の財源として特定をして使われるようになってきているということであります。交付税では、いわゆる事業費補正といたしまして特別に重要な事業についての経費の算入がございます。事業をする当該年度に経費の一部を直接算入する。または、地方債を充当してその元利償還金の一部を後年度で補給する。この二つの方式を併用してなされているわけであります。
 私が直接財政担当の課長や部長として交付税の仕事をさせていただいておりました昭和四十年代から五十年代にかけましては、このような形で算入をされておりましたのは、小中学校やごみ、し尿施設の整備費など、基礎的な自治体としてぜひ整備をしなければならない義務的な施設の建設費に限られておりました。それが今では、道路、河川、公園、高齢者福祉施設あるいは消防、防災の施設、さらには電線の地中化や駐車場、駐輪場、都市緑地、そして文化財の保全事業や商店街施設に至りますまで地方債と交付税の組み合わせによって財源措置がなされるようになりました。つまり、市町村が町づくりの上で自主的に任意に選択して施行する性格の事業まで交付税の特定の対象になってきているということであります。この交付税措置のある地方債事業を数えてみましたら、実に六十を超える数になりました。
 国庫補助事業が伸びない。予算が足りない。そういう中で交付税が自治体財政を支える最後のとりでとして孤軍奮闘しておる。まさにそういう印象でありまして、長年交付税を仕事の上で無二の親友とし、あるいは交付税をとことん愛してまいりました私といたしましては本当に涙ぐましい思いさえいたしておるのでありますけれども、現在の地方財政状況のもとではやむを得ない、そういう思いがいたします反面、やはり交付税の本質というものは、法の第三条にうたっておりますように、積算は一定の行政水準を想定して行うけれども条件をつけたり使途を制限したりはしないというところにあるのではないか。このように交付税が実質的に任意の事業に対する補助金に変身をしていっていいものであろうかという思いがいたしてならないのであります。
 使途の制限といいますと、あのどんな町にも一億円というふるさと創生事業が頭に浮かんでまいります。この事業は昨年度まで地域づくり推進事業として三年間引き継がれてまいりました。今年度からはふるさとづくり事業としてさらに三年間交付税で措置をなされることになっておりますが、何に使ってもいいということが実は使う立場になれば大きな使途の制限になりました。一億円で何か変わったことをしなきゃならぬということでありまして、そのために、もちろん、いい仕事もたくさん考えられ実施をされましたけれども、その一方では、地道にやらなきゃならない仕事がいっぱいあるのに、金の塊を買って見せ物にしたり、不便なところで人が来ないのにむやみに温泉を掘って、わいた湯をもてあます、そういった悲喜劇も生まれてきておるわけであります。
 このように交付税の中で特定財源としての領域が年とともに広がっていくのを見て、こうならざるを得なかった背景というのはよくわかるわけでありますが、そして取り上げられている個々の事業の有用性というものはよくわかるわけでありますものの、交付税の本質から見てこれでよいのかという思いが痛切にいたすのであります。
 もう一つは、国庫補助負担金の交付税への振りかえが相次いでいるということであります。
 最近の事例だけ見てみましても、四年度では、小中学校の大規模改造事業費のうち経過年数二十年未満のものが国庫補助から外されまして地方債の元利償還金を交付税で補てんをするという形にされました。また、地方特定道路整備事業、同河川事業ということで、事業費の一五%を事業年度の交付税に算入し、七五%に地方債を充当しまして、その元利償還金の三〇%から五五%を交付税で補給するという制度もつくられましたが、これも補助事業の不足分を交付税で穴埋めということにほかならないわけであります。
 このような国庫補助事業の交付税への転嫁は、五年度でも道路や河川の補助率五五%を五〇%に引き下げるなどの措置によって六千九百億円の補助金を減額して、同額を地方債で措置し、その償還金については一〇〇%交付税で面倒を見るということで引き続き継続されているところでございます。
 ソフトな画でもまた同様でありまして、国民健康保険の事務費について、御案内のように、四年度では八百七十億円、五年度ではさらに百四億円が補助金から交付税に移されましたし、また五年度では、低所得者の税負担を軽減する国保保険基盤安定制度に係る補助金は、五百六十億円のうち四百六十億円が交付税に回されまして、わずか百億円にやせ細ってしまいました。
 私が申し上げたいのは、これは実質的な交付税の減額であるということでございます。交付税法第六条にうたっております所得税、法人税、酒税の百分の三十二、消費税の百分の二十四、そしてたばこ税の百分の二十五をもって交付税とする、そのことに変更はなくても、運用の面で実質的に大きな減額がなされているということであります。その上に、平成三年度の五千億円、四年度の八千五百億円に引き続き、五年度でも四千億円が規定の総額から特定減額されるということになっております。多くの事業の特定財源としての機能を果たし、かつ多額の国庫補助金を肩がわりし、その上に法定の総額を国庫財源確保のために削る。随分交付税には余裕があるようでありますけれども、実態は決してそうではありません。
 例えば私の市では、急速な都市化と人口の急増のために昭和四十年代の後半から五十年代にかけます十五年間に小中学校を実に十一校も新設いたしました。そのために起こしました義務教育施設債の元利償還金を見てみますと、四年度の実績で総額七億三千八百万円のうち交付税で補てんをされているのは四億三千六百万円でありまして、残りの三億二百万円につきましては需要額の算定から除外をされているのが実態であります。
 また、私の市には千四百世帯、人口四千七百人という全国でも有数の同和地区がございまして、この二十三年間全力を挙げて改善事業を実施いたしてまいりました。おかげで物的な整備はほぼ終わったわけでありますが、三百億円に上る事業の財源といたしまして同和対策事業債あるいは地域改善事業債として許可をされた地方債の元利償還金が四年度の実績で九億四百万円に上ります。しかし、その中で交付税に算入を見たのは二三%、二億八百万円にすぎませんで、残りの六億九千六百万円については切り捨てられているというのが実態であります。
 この二つの事業に係る地方債元利償還金の財源不足額はちょうど十億円になるわけであります。これは標準財政規模百三十億円の八幡市にとりましては大変な負担でありまして、財政窮迫の主因となっております。人口の急増に伴う小中学校の整備あるいは特別措置法に基づく同和地域改善対策、これら法に基づく絶対的な義務的な施設整備費に対してすらこのような財源手当てしかなし得ていないのが現在の交付税でありまして、これは自治省も本意は私と同じだと思うわけでありますが、特例減額や国庫補助金の肩がわりなどする余裕はさらさらないということを申し上げたいのであります。
 三つ目に申し上げたいのは、これは当面、緊急の課題として高齢者福祉に関する交付税措置を抜本的に改善する必要があるということであります。
 厚生省のいわゆるゴールドプランの策定によりまして、関係法律の改正もございまして、今全国の市町村ではハードとソフトの両面から高齢者福祉の充実を目指して懸命に取り組んでおります。ハードの面では、中心施設であります特別養護老人ホームの整備費などに大きな超過負担があり、プランの達成を図るためには算定基準の早急な是正が急務でありますが、ここではソフトの運営費の面における交付税のあり方について申し上げます。
 およそ施設は建前として年度末に完成し年度当初に開設を見ることになりますが、これまで交付税における対象老人の措置経費の算定というものは前年度末の入所人員でなされることになっておりました。特養の場合で申し上げますと、一人当たり年間三百万円の経費のうち、平均して本人が四十万円、残りの二百六十万円を国と市が折半をして百三十万円ずつ負担をするということになります。前年度末入所人員ということでは、四月以降に開設をした新施設分についてはその一年間は全く計算外となりまして、百三十万円掛ける五十人分、実に六千五百万円の歳入欠陥を招くわけであります。
 私の市でこの四月に開所する特養がございまして調べましたところ、このことがわかりましたので早速自治省に是正をお願いいたしました。すぐに御対応をいただきまして、五年度から密度補正に使う数値を四月一日の入所人員に改めるという方針を出していただきました。理論上はそれでいいということでありますので、私は担当者に胸を張って自治省でちゃんと考えていただいたからもう新特養についての財源の心配は要らぬよと言ったんですが、現場の実態はそんなたやすいことではありませんでした。
 四月一日に開所しても一日で全員を受け入れることはとてもできることではなく、何日かに分けて段階的にお預かりしていくということでありまして、結局、この改善で今年度救われますのは五十人の中で十人分、千三百万円だけになりました。何分義務的な経費でありますので四月二日以降の入所分については特別交付税でルール分として算定をしていただくようお願いしているところでありますが、申し上げたいのは、この高齢者福祉の分野は新しい施策がどんどん展開されていく分野でありますので交付税においてもおくれをとらないように積極的な対応をお願い申し上げたいのでありますのでないと、財源の不足が施策推進の足を引っ張ることになりかねません。
 四年度の例では、密度補正によって実態に基づき算定をされておりますのは、以前から制度としてありました特別養護老人ホーム、養護老人ホームの入所経費と家庭奉仕員の派遣費だけでありまして、最近整備が進んでおります新しい施設であるデイサービスセンターや在宅介護支援センターの関係経費、さらにショートステイ事業の運営費は単位費用の中に一般的に算定されているだけでありますし、訪問看護サービスや訪問給食サービス、訪問入浴サービスに至っては算定の項目自体が見当たらないのが現状であります。
 数値のとり方についても、この高齢者福祉面では新しい施設が次々にできまして新しい事業が次々に起こされていくわけでありますから、前年度の数値では大きな算入の不足が起こります。できるだけ当該年度の新しい数値をとっていただきたいし、また時間的に把握できなかった部分については、特交でちゃんと見るルールを確立していただきたいのです。先ほども町村代表の方からお話がございましたが、高齢者福祉対策経費については五年度から財政力の貧弱な町村にも措置権が移されましたのでその財源保障について特に綿密な配慮が必要である、そのように思っております。
 以上、交付税について市町村の現場の一員として日ごろ考えさせられていることについて要点を絞って申し上げさせていただきました。何分、事務から離れて十五年になりますし、忙しい日常の中で短時日の中に取りまとめましたので事実の誤認などありはしないかと危惧いたしております。間違った点がありましたらお許しを賜りまして、遠慮のない御指導を賜りますことをお願いしまして、陳述とさせていただきます。ありがとうございました。
#6
○委員長(佐藤三吾君) どうもありがとうございました。
 次に、池上参考人にお願いいたします。池上参考人。
#7
○参考人(池上洋通君) 大変大切な席にお招きいただきましてうれしく思っております。
 私は千葉大学で今社会教育概論などを学生たちに教えておりますけれども、社会教育概論をやりますと社会教育行政を教えることにもなるんですが、実は私昨年の四月まで東京の日野市役所の職員でございました。それで、長い間にわたりまして、日野市役所の職員で、最後管理職でやめましたけれども企画行政などに在職をさせていただきまして、行政の第一線で予算づくりをし、あるいはまた地行計画をつくってきたものでございます。また現在は、自治体問題研究所と申しまして今から三十年ほど前につくられました研究機関がございまして、そこの全国の事務局長という職をさせていただいております。そんな立場でお話を申し上げます。
 とりわけ、お二人の参考人の方、先輩に当たる皆様のお話を伺いまして、昨年まで私も先ほど申し上げましたように自治体の職員でしたのでちょっと胸が痛くなるといいましょうか、実はせつない思いをして伺っておりました。
 私は、時間も余りございませんので論点を絞りまして、近年の地方交付税法の改正といいましょうか、その方向が地方交付税の特定財源化への道をどんどん急いでおるのではないかという危惧を日ごから抱いておりまして、この際にそのことを申し上げたいというふうに思っております。先ほど申し上げましたように、行政の実際の現場におりますとこのことはかなり大きな問題でございまして、この辺のことを申し上げてみたい、このように思っておるところでございます。
 もうここに挙げてございます例につきましては先生方十分御承知のことと思いますのであれこれ申し上げませんけれども、公立保育所の人件費支出の一般財源化がテーマになってきている、あるいはまた小中学校の教員の人件費もテーマになってきているというふうに聞くに及びまして、これはちょっと大変なことだというふうに率直に申し上げなければならないと思っております。
 まず第一番目に、特定財源的経費を一般財源に組み込むと一体どんなことになってくるかということで実感的なお話をさせていただきますと、実は私がおりました東京都の日野市と申しますのは長い間いわゆる不交付団体でございます。そういたしますと、一般財源化されるたびに市からの丸出しになっていく経費になるんです。
 これは実はちょっと古い制度で申し上げてあれでございますが、統計行政の費用がございます。御承知のように、統計行政の費用と申しますのは、大半は国の行います指定統計、国勢調査を初めとする指定統計の業務を行うそうした費用に充てられるわけです。ところが、その仕事に携わります職員の人件費と申しますのは交付税で算定をしているということになっています。すると、地方交付税の不交付団体におりますと、国が行います指定統計の業務をすべて当該市町村の支出によって人件費を賄うという仕組みになっていくわけでございます。
 私は実は企画課におきまして統計行政にも携わったことがございますけれども、大変不合理であるという思いをしばしばいたしました。なぜ丸ごと国の事業であるものを市の経費、全額持ち出しで行わなければならないのか。人件費に絡んで全額そうなるわけでございますから、全くおかしいではないかという思いを繰り返し思ったものでございました。事実、その当時ございました行政管理庁の統計主幹というところがございまして、そこで出しておりました統計情報という雑誌がございましたが、そこでぜひそのことを書いてくれと頼まれまして、行政管理庁のその雑誌に私は連載で今日の統計行政はなぜそんなことになっているのかという論文を寄稿したことがございましたけれども、大変不可思議なことであったというふうに今でも鮮やかに記憶をしておるわけでございます。
 特定財源をいわば一般財源化していきますと、今のは大変端的な例でございますが、今申し上げました不交付団体にあっては丸ごと経費増になるのではないか、こういう疑問がまず第一にございます。
 不交付団体は一般的に富裕団体などと申しますけれども、私が不交付団体におりました経験で申し上げますと、本当にせつない思いで職員たちが経費を節減いたしまして、予算の査定を厳しくして、ある場面では本当に胸の中でつらいなあと思いながら、障害者の予算までも厳しく査定をしてつくり出したお金によって何とかいわば不交付団体になっているなどという例が少なくないわけでございます。すると、一生懸命経費を節減し努力をしてくると、むしろまた丸出しをしていく経費がふえていく、こういう関係になるのではないか。これで果たして第一線の職員のやる気を引き出すことができるような仕組みになるのだろうかということを率直にまず申し上げたいわけでございます。これが一つでございます。
 それから、二つ目に申し上げたいのは、もう交付団体の場合には先ほどからお二方の参考人の方がおっしゃっておられますので私も繰り返し申し上げませんが、一般財源を特定化されていくことになっていくわけでございまして、本来地方交付税の制度が持っております自主財源的な性格を制限していくことになるということはもうあれこれ繰り返すまでもないことだというふうに思っておるところでございます。
 ここに一つの例を挙げておきましたが、これまで超過負担といいますと保育行政の例がしばしば挙げられてきたわけでございますけれども、保育行政のようなものを例えば一般財源化した場合に、これまでの超過負担問題はどこに行ってしまうのだろうかということが危惧されてなりません。私、厳密な計算をここに伺うのにしてきたわけではございませんので、数千億円に上るというふうにいろいろなテキストを読んで大ざっぱに書き出しておきましたけれども、一体一般財源化した後でこうしたテーマはどこに行ってしまうのか。そのいわば超過負担に当たる部分はどのように財源保障をしていくことになるのかということについて大変不安があるわけでございます。
 これは先ほどお話ございました高齢者の福祉につきましても障害者の福祉についてもそうでございまして、実際東京都などで障害者の施設あるいは高齢者の施設を建ててみますと、いわゆるバブル経済と言われた時期のあの地価狂乱のもとでも福祉行政はやらないわけにはいかなかったわけでございまして、あの当時買った土地のことを思い出しますと今でも歯がみをする思いを実はするのでありますが、どんなふうな算定基準で土地の価格を考えてきたかということを考えてみますと恐るべき金額の超過負担に実はなっておるわけでございます。そうしたことを含めて、特定財源を一般財源化していったときに、私たちは一体こうした超過負担問題はどのようになるのかということに深い疑問を抱いておるわけでございます。
 それから次に、地方債の増大の問題も一つ大きなテーマになってきているのではないかというふうに思うのでありますが、地方債の増大と公債費を交付税で次々に補てんしていくというこの流れが強まってまいりますと、これも地方交付税制度の本来のあり方から申しますと少しく外れることになるのではないかという不安をぬぐい切れません。
 とりわけ、景気対策事業というふうに限ってはおりましたが、単独事業の事業費に一〇〇%地方債を充ててもよいといったふうなことがちょっとあったようでございますけれども、私は実際に自分自身が行政の中で財政運営に当たっていた立場の経験を申しますと、これはちょっと恐ろしいことといいましょうか、これが後年度負担ではね返ってきたときに、それぞれの自治体は一体どうなっていくのかということを率直に御指摘申し上げたいというふうに思うところでございます。
 実際に私たちが地方債を発行いたしますときに、私のおります日野市のような不交付団体でございましても地方債をどうするかについてはかなり厳しい討論を内部で行うのでございまして、それはもう本当にそうです。必ず反対だという職員をわざわざつくりまして、なぜ反対かの理由を全部事細かに述べさせて、そうしてどうしてもやらなきゃならないぎりぎりのところで地方債というのは実は決めているんです。
 そういうことで申し上げますと、少し乱暴と言うと言い過ぎかもしれませんが、後年度負担のことが深く憂慮されるというふうに率直に申し上げておきたいと思います。もちろん、単独事業が増大すること一般を私はいけないというふうに申し上げるつもりは全くございません。それはいろいろな理由でそうなるわけですし、むしろ地方の自治ということを考えますと単独事業が大きくなることは賛成でございますが、果たして今のような組み立てでよいのかということにつきましては深い心配をしているということでございます。
 それから、その次に申し上げておきたいと思いますのは、今後このようにして特定財源化をどんどん進めていくようになりますと、地方交付税制度が持っています優位性、自治体間の財政的不均衡の是正に基づいて自治体の財政的自主性を確保していくということが一番すぐれた点だったというふうに思うのでございますが、その一番根幹のところが危なくなってくるのではないかということを率直に申し上げたいわけでございます。
 それにあわせて、本来ナショナルミニマム的な性格を持っているもの、ナショナルミニマム的といいますのはいわば憲法に記してあります法のもとにおける平等を確保するための最低限のミニマムなもの、これまでは保母の人件費は二分の一を国が持つ。それはやはりそうしたミニマムを達成する上で欠かすことのできないものだという合意の上でそうなっていたんだろうと思うんですが、そういうふうなものを一般財源化していったときに出てくる流れというのは一体何かということ。これもまた大変心配でございます。
 実はここにもちょっと書き出しておきましたが、日本経済新聞の昨年の十二月六日の記事、ここに実はコピー持っておるわけでございますけれども、ここでは明確に「国の歳出、「間接削減」」という見出しがうたわれてございまして、このいわば一般財源化の流れというのは国の歳出削減だというふうに一般紙も指摘をする、こういうふうな事態になっているわけでございます。私たちは当然自治省の皆さんも地方自治体のことに腐心をなさっているというふうに思っておりますけれども、基本的な流れというものを大きなところで見てまいりますと、やはり先ほどから繰り返し申し上げておりますように、このまま進むと地方交付税の存在そのものに結局のところぶつかってしまうかなというふうな憂慮を持っているところでございます。
 実は、私たちは職員のときにいろいろ勉強するわけですが、「地方税財政制度」という自治省の財政局長をおやりになっておられました矢野浩一郎先生のお書きになったこの本などは私たちが職員研修のときに使った一番ポピュラーな本でございますが、この本の中で私たちが学んだ地方交付税と申しますのは大変ある意味で厳しいものでございまして、
 地方交付税制度の直接の目的とするところは、地方団体間の財源の均衡化および地方団体が計画的な行政執行をなし得るための財源保障にあるのであるが、その際重要なことは、このような機能の発揮が地方団体の行政の自主性をそこなわずになされることでおる。いかに完全な財源保障が行われたとしても、それが、国の一方的判断によって決定され、また、その使用について実質的な国の千与と伴うものであっては意味がない。地方交付税は、地方団体の財政収入の性格としては、第三章に述べたようにいわゆる依存財源に属するものであるが、しかし、それは、あくまでも、地域住民の意思に基づいて行われる地方自治行政をその財政的側面から実質的に支えるものとして、地方団体の自主性を確保しつつ、財源均衡化および財源保障の機能を発揮すべく制度的にも配慮がなされており、 それによって、地方自治の本旨の実現に役立ち、地方団体の独立性を強化するという究極の目的を果たそうとするものである。
というふうに書かれておりまして、私たちはこれを繰り返しテストにも出るものですから勉強するのでありますけれども、ここで矢野先生は独立共有性というお言葉で地方交付税の基本的性格を示されております。これは、国税とは完全に独立した財源でなければならないことが一つ、それからもう一つはすべての地方公共団体の共有の財源だということで、独立共有性というお言葉を使って説明されておられますけれども、今の流れと申しますのは、私はこうした基本的なところを崩してしまうおそれがありはしないかということを考えておるわけであります。
 最後に、あと一点だけ申し上げて終わりにさせていただきます。
 私は今申し上げましたように地方交付税の流れから考えますと今の特例減額についても少し心配でございまして、これも先ほど伊藤参考人の方からお話がございましたが、私全く深くうなずくところでございました。確かに国の財政事情のことはよくわかるのでございますが、本当にこうした減額がいわば国の財政事情がということで簡単にやられてよいのかどうなのかということについてやはり真剣に考えなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。もともと昭和五十九年に法改正を行いましたときに、果たしてそうしたことが目的だったかどうかということもあわせて私は疑問とさせていただきたいと思っているところでございます。
 以上で意見といたします。ありがとうございました。
#8
○委員長(佐藤三吾君) どうもありがとうございました。
 以上で各参考人の意見陳述は終了いたしました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○石渡清元君 自民党の石渡でございます。きょうは三人の参考人の方々、お忙しいところをお差し繰りをいただきましてありがとうございます。また、それぞれの陳述を賜りまして御苦労さまでございました。
 まず伊藤参考人さんに、総論的に地域づくりに対する御努力を通じまして地方と国の認識というか、国にどういうふうに期待をされているか等々についてお伺いをしたいと思うわけであります。
 公共投資というのは、計画に基づいて、社会資本の整備を初めとして今まで出ましたゴールドプランいわゆる高齢化社会対策、環境問題、国際化も、いろんなことをやっておるわけでございますけれども、しかし、これはやはり何といっても単位自治体の皆様方が具体的にあるいはできるだけ自主的にその地域の特性に合った自治体運営、行政を推進していくということが非常に大事であり、またその期待が今高まっていると思うわけでございます。そういう場合に、それぞれの地域の皆様方の期待に対してどのようにこたえていくか、あるいはどのような形で国に期待をするか等々の問題についてお伺いをいたします。
#10
○参考人(伊藤孝二郎君) ただいまの御質問でありますけれども、私も昭和三十年に村長に就任いたしまして、自来十期、今任期中でございますけれども、振り返ってこの自分の歩んできたことを考えてみますと、当時は、物のない時代にありましてまだ配給事務等が残っておった時代でございました。今やまさに全くひっくり返したような違う価値観。物があり余って、いかにしてこれを消費するかというような、当時では考えられないくらい時代が大きく変わってきております。
 そんな中で、今、日本の国際的な地位というものがそれなりに大きく飛躍をしておるわけでありますが、その中にも、やはり国が豊かになることはまた地方も豊かになるというようなことに連動しておるわけでありますので、多くの国の財政的な援助によりまして私どもの地域も大きく変わろうとしているような状況にございます。
 端的に申し上げて、人口は少ない過疎地域でございます。ようやく歯どめがかかったというような状況で、昨年から過疎法から外れだというような状況にございます。新潟から北に四十キロぐらい、ちょうど山形県に隣接をしているところでございますけれども、胎内川という川が流れていましてその川を中心に開けてきたところであります。農業を主体にしてやってきましたわけでございますけれども、今、工場誘致などが盛んに行われまして、若人が残るようになったというようなことで人口減にようやく歯どめがかかったというような状況にございます。
 そして、やっていることがそういうような農業と他産業との調和のとれた地域づくりというようなことで、特に観光面に非常に力を入れまして大きな成果を上げております。年間九十万ぐらいの人間が入るようになりまして、特にそこでできた農業の生産物を直接観光客に食べてもらう、お土産にするというような形での農業の付加価値を上げていくというようなことでございます。
 また、畜産、花卉園芸等が盛んに今入っていまして、農業と観光がようやく結びついて、若人がその観光施設に、ホテルが今二つございまして、そこがいわば観光の拠点というようなことで、一つの地元から言いますれば雇用の場の拡大ということにつながりました。若い人たちの雇用の場であり、また都会の人との交流の場でもございます。そういうようなことで一応の成果を上げておるわけであります。
 これにはやはり、四十一年、四十二年に大きな災害がございまして、災害を契機に国の大きな改良復旧というような形での公共投資が行われたために非常に地域が大きく変わったというようなことが言えると私は思います。こういうふうに社会資本がやはり入ればその地域は本当に生まれ変わるように変わるというこの現実、先ほど申し上げた就任した当時から比べたらそんな形で国の援助によって大きく変わったというふうに私は思っておるわけでございます。
 そういうことで、これからはやはり国際交流の問題も、職員を毎年一名留学をさせましたりまた多くの職員を海外研修に出したりするような制度で国際交流を図ることなど、また外人の教師を雇って語学の教育などに力を入れて成果を上げておるところでございます。
 また、ゴールドプランの問題も今お話がございましたけれども、私のところに新潟県の唯一の盲老人の施設がございます。今百三十ベッドがございまして、そこを中心に社会的に恵まれなかった皆さん方が非常に日々楽しい生活をしておられるような次第でございます。私どももなおそこに三十ベッド、その方々が体が弱くなってよそへ行かなきゃならぬというようなことでもそこにずっといられるというような希望にこたえて、ミニ特養などということで、寝たきりの人たちもそこに一緒に住まわれるというようなことで大変喜んでいただいております。また、昨年からデイサービスセンターを非常に病人を抱えて苦労されている家庭の皆様方のために付設して、予期以上の成果を上げております。
 これらのやはりそこに入る方々の非常に喜んでおられることを目の当たりにいたしまして、私どもが国の施策に乗りましてやったことの成果がそのように皆さん方から非常に喜ばれていることを、私どもとして今後のさらに推進のために努力をする意味の基本にしたいというふうに思っているところでございます。
#11
○石渡清元君 黒川村が非常にユニークな都市経営、運営をやられていることはよく承知しております。
 次に、地方財政対策について具体的に西村、池上両参考人にお伺いしたいと思います。ちょっと時間が限られておりますものですから、今まで具体的な御指摘もありましたので端的にお答えをいただきたいと思います。
 それは、今度の地財対策にしても、単独事業の増額とかふるさとづくり事業、森林、山村対策等々いろいろ新しいものがふえました。そして、地方公共団体が事業をどのように円滑に推進させていくか、地方債や地方交付税の組み合わせ、いろいろな活用の仕方があろうかと思いますけれども、その新しい問題点。ふえた地財対策について具体的にどう評価し、あるいはどういうところにもう少しウエートを置いたらいいかという点について西村参考人にお伺いをしたいと思います。
 池上参考人には、日本経済新聞のお話も、けさの日経にも事業税の見直しをやろうなんていうことがちょっと出ておりますけれども、そういう意味で実際に財源にさわっていくんじゃないか等々の御意見がございました。そういったようなこれからの地方交付税のネックは、どちらかというと池上参考人はやや交付団体的なそういう発想かと思いますけれども、どのような方向がベターなのか、その点について簡単にお答えをいただきたいと思います。
#12
○参考人(西村正男君) 地方単独事業を交付税と地方債の組み合わせによっていろいろメニューをふやしていただいて地方団体が選択できる幅を広げていただいている。そのこと自体は現実の問題としては大変ありがたいことだと思うわけでございます。それが先ほど申し上げましたように大変ふえてまいりまして交付税本来が持っている自由に使えるという部分がだんだんと減ってきておる、その辺が大変心配になるというふうに思っております。
 私といたしまして、今後どの辺に交付税のねらいを絞っていただきたいかということになりましたら、やはり地方団体がどうしてもやらなさやならない義務的なもの、この辺の財源手当てをぜひきっちりしていただきたい。申し上げました中で、特にこれから全団体に共通するものとして、高齢者福祉対策に対する財源保障を交付税の中できっちりやっていただきたい。その余力をもっていろんな任意事業の方に配っていただけたらと、そのように思うわけであります。
#13
○参考人(池上洋通君) 私、今お話ございましたのは全く同感でございます。
 今後の地方交付税はどんなふうな方向でということでございますので、一言申し上げますと、まず第一に、私きょう繰り返し疑問を提示させていただきましたが、今日進められようとしております特定財源の一般財源化をとにかく当面やめるということをはっきりされることが必要だろうというふうに思います。これなしに地方交付税的性格を担保しかつ財源を確保することはもともとできない相談だというふうに思われるからです。これが一つございます。
 それからもう一つは、もちろんいわゆる特例減額も困ったことだということになるわけでございますけれども、先ほど私が矢野先生の御本で読ませていただきましたが、何よりも文字どおりの独立共有性を頑固に守っていく、そのことが今絶対に求められる唯一の原則であるというふうに思われてなりません。
 以上のことを申し上げておきたいと思います。
#14
○石渡清元君 さらに具体的にお伺いいたします。
 今度は実際現場にいられる伊藤参考人あるいは西村参考人にお伺いしますが、今、総合経済対策でいろんなことをやろうとしております。今年度の当初で地財計画でも一二%増、またこれから二兆三千億の地方単独事業を追加しよう、こういうような事態になっております。恐らくお二方の参考人の議会でも六月あるいは九月にその問題をやられるんじゃないかと思いますけれども、実際にそんなにどんどんやっちゃってやる事業あるのかとうかという疑問が、さっき温泉を掘ったけれどもそれだけになっちゃったとかそういう話もありましたけれども、平たく言えばそういう対象というのはあるものなんですか。それをお二方に。
#15
○参考人(伊藤孝二郎君) 地方団体におきましては、おっしゃるこの総合経済対策の今後の考え方というものについて、やはり住民は豊かで快適な生活を送れるような生活関連社会資本の整備や先ほど申し上げた社会福祉施設の整備を求めておられるわけであります。そういう面から現在まだまだたくさんの要望を私どもはいただいておるわけでございまして、そういう意味で地方経済の上からも非常に私ども歓迎をいたしております。
 私の村といたしましても、住民の要望の多い林道や農道の整備などを中心に圃場整備なども今計画を進めておるところでございまして、まだ水道の問題とか下水道の問題などが私どものところに残っているような事業でございます。そのほか、地方単独事業としては、平成三年度では前年対比二七・五%、平成四年度では一六・二%、平成五年度では二八・一%、現在十七億八千百万円というような予算を計上しておりますが、そういうことで事業の実施をさせていただいておりますけれども、まだまだ今申し上げたような事業がたくさん残っておる。それらは都会と農村部との格差が非常にまだあるというようなことを感じておりますので、ぜひひとつこの事業の推進をよろしくお願いしたいと思っております。
#16
○参考人(西村正男君) 私の市の例を申し上げますと、現在三本の道路の新設事業を継続して行っているわけでありますが、そのうちの二本の道路はもう着工してから十年になります。どちらも一キロ程度の延長の道路ですが、十年たってもまだ完成を見ません。原因は用地の高騰。最初の計画では六年ででき上がるものが、用地費が高騰した、しかし補助金は前年度並みで凍結されてまいりまして、そういうことで当初の施工期間が倍になりましてもまだでき上がらない。そういう状況でありますので、幾ら補助金をいただいても補助金が余るということはありません。
#17
○石渡清元君 大事な地方分権について市町村のあり方をお伺いしようと思うんですが、あと二分か三分だとどうかと思うわけでありますけれども、いずれにいたしましても、私今いろいろ参考人のお話を聞いて感じましたことは、それぞれ財政力指数が違うわけなんです、地方交付税は都道府県も一緒になって入っておりますので。そうすると、同じ枠の中に都道府県あり市町村ありということで、これから果たしてどうかなというような疑問を感じながら陳述を聞いておったわけでございますけれども、一分で伊藤参考人に地方分権についてのお考えがありましたらお答えをいただきたいと思います。
#18
○参考人(伊藤孝二郎君) 地方分権につきましてはいろいろ議論をされておるところでございますが、町村の規模が小さいことや、マンパワー、自主財源等の不足を理由とした受け皿論、地方行政不信論にも終始している感じがございますが、まことにその点は遺憾でございます。
 地方住民の自治の理念のもとに我々町村長は日々地方づくりに真剣に取り組んでいるわけでありまして、広域的に処理するというようなことで近隣町村等一部事務組合で大きな事業等は処理をされて非常に順調にいっているところで、住民に非常に歓迎をしていただいているところでございます。いわばし尿処理の問題とかごみ処理の問題とか、多くの大きな地域的なものはそういうことでやっておるわけでございますので、今後合併等も、自主的に行うような合併というものは当然ございますけれども、法に盛ってやるというようなことはいかがなものかというふうに思っております。
 今後、町村でも権限とこれに伴う財源が適切に調和されて十分効率的な事務処理が行えるんじゃないかというふうに思いますので、私は今後も広域行政というようなものにもう少し重点を置いていったならばよろしいんではないかというふうに思っているところでございます。
 以上でございます。
#19
○岩本久人君 私の質問の大半は西村参考人にお願いしたいと思っているんですが、その前に一つほど伊藤孝二郎参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどあなたの意見をお聞きしておりましたら、一言で感想を言うと、交付税法改正案の中身もさることながらとにかく早く早く、早期成立をお願いしたいということが冒頭にあって、それから最後にもとにかく早くお願いしたいということがございました。あなたの場合は全国町村会を代表するという方ですから、つまり、我が国有数のいわば利益団体、もっといえば政治団体をリードしてこられ、しかも四十年という長きにわたってそういった地方政治を第一線で守ってこられたあなたにしてみればどのように思っておられるか。
 つまり、私たちも早期成立ということについては全く賛成です。しかし、国会の審議の過程でいろんな事情で、あなたの評価で言えば若干おくれておるということではないかと思うんですが、あなたの目から見て審議がおくれているという原因はどこにあると思っておられるか、また全国町村会としてそのことについてどのような対応をしてこられたのか。先ほど聞くと大変緩やかなようでございますので、長時間大演説やってもらっても困りますので、できたら一分間でひとつ感想をお伺いしたいと思います。
#20
○参考人(伊藤孝二郎君) おくれている原因等については慎重に御審議をしていただいているんだというふうに理解をいたしております。受ける側からすれば、今先生がおっしゃったように早くしてほしいというのも当然ではないかというふうに思うのでありますが、法を審議される皆さんは国民を代表して御審議いただいておるわけでありますので、慎重になされることも当然かというふうにも思っているわけであります。
 私が早くというのは、会期がありますので、会期内でひとつ早くしてほしいというような意味で申し上げたのでありますので、その点、御理解いただければありがたいと思います。
#21
○岩本久人君 私が期待をしていたのは、実は国会が予算委員会がとまったりその他いろいろなことがありました。いわゆる東京佐川の問題から、やみ献金、談合の問題からその他さまざまな問題が実は今国会にかかっておる。そういったことがやっぱり一番大きな原因だということを十分認識いただいて、今後そういうことのない政治社会をつくるためにもひとつ頑張ってほしい、こういうふうに思ったから聞いてみたわけでございます。今後ともその辺の本質的なところでも力をかしてもらえますようお願いをしておきたいと思います。
 では、西村参考人にお願いをいたします。
 まず、特養の建設に当たって大変御苦労があるということ、その他いろいろな問題をるる言われました。四十数年間、行政の第一線の現場で責任者としてやってこられた市長さんのお言葉ですから、重たく受けとめさせていただきました。実は、私も地元島根県松江市で十年ほど前に社会福祉法人を設立いたしまして、現在やっておりますのは特別養護老人ホーム、地域交流ホーム、ケアハウス、デイサービスセンター、介護支援センターと企業内の保育所というのをそれぞれ今やっております。約十年になりますが、本当に苦労の連続です。血のにじむような思いでやってもなかなかうまくいかない。こういうことなんですが、恐らくそれ以上のところがあると思うんです。まずその実態をお伺いしたいと思います。
#22
○参考人(西村正男君) 私の町では、五年前に社会福祉法人に市から援助をしまして特養を一つつくってもらいました。さらに、平成四年度で社会福祉法人に援助をしまして特養を建設してもらったわけでありますが、ネックとなりましたのは、五十人の標準規模の特養としてできるだけ用地を節約して三階建てにしましても二千平米の用地が要ります。平米三十万円はいたしますので、用地費だけで六億円かかるわけでありますが補助がないわけです。ですから、建ててくださいとお願いをする相手は福祉に関心のある人、しかも自分が土地を持っている人、そういう人に法人をつくっていただいてやっていただかなくてはならない。
 幸いそういう人を見つけることができてできたわけですけれども、今度上物を建てるのにまた一苦労であります。五十人の特養にいろいろ附属設備をいたしまして結果として約八億八千万かかったわけです。法律からいいますと二分の一が国庫補助で四億四千万なかったらいかぬのですが、二分の一じゃなくて国庫補助は四分の一しか実質ありませんでした。ちょうど二億二千万しかありませんでした。国庫補助の足らずを市から補助をすると、社会福祉法人に。そういう形で設立を見たということでございます。
 この辺のところを是正をしていただかないと、いかにゴールドプランをつくりましても実現するというのは大変難しい、そのように思っております。
#23
○岩本久人君 確かに、私も一番苦労しておるのは何かといいますと今市長さんがおっしゃったように土地が補助対象では全くないということ、これが一番大きな問題。それと超過負担。私のところの田舎でも、総事業費のうちの補助金というのは国、県、市あるいは周辺町村から応援してもらっても大体五割に満たないということで大変苦労しておるというのが実態であって、内容的にはやはり同じことだなと思ったんです。
 そういったところから、少しでも何とかならないかという期待、希望に今回のこの交付税の改正案というものが少しでもこたえておるのかどうか、そういったことについてお伺いをしたいと思います。
#24
○参考人(西村正男君) 今度の交付税法案の中で、前年度に引き続いて地域福祉基金が計上されておるということについてはありがたいことだというふうに思っております。
 ただ、そういうものが単なる果実の運用だけじゃなしに、そういう施設建設費についても必要とするときには使用しても構わない、こういう保証をいただきたいと思うわけであります。
#25
○岩本久人君 今言われた地域福祉基金の問題については私もこの委員会で過去二回ほど取り上げたことがございます。
 例えば私の県でも、県単位、県だけのそれで見ても二十五億円ぐらい基金の積み上げがあるんですが、御案内のように非常にレートが今低いものだから、その果実ということになるとほんのささやかなことにしかなってない。だから、一生懸命頑張ってもらっておる人たちには失礼かもわかりませんが、現場では何十億円あるにもかかわらず、それぞれ関係団体の希望が多いものだから結果としてままごとみたいなことにしかなってないじゃないか。そういうようなことではだめだから、基金については交付税の中だから、ソフトだソフトだということでなくて、基金の取り崩しをしてでもやはりハードにも使えるようにしてもらいたいということをここで取り上げました。
 自治省側からの答弁としては、もちろんこれは交付税だからそれぞれの自治体の判断でどのように使われても結構でございますということでございますので、そのように今後活用してもらいたいと思うんです。内容的にはそういった取り崩しをされたというふうに聞いたんですが、その中身はどういうことになっておりますか、お伺いしたいと思います。
#26
○参考人(西村正男君) 幸いなことに、八幡市の場合は昭和五十二年から福祉基金を持っておりまして、市民の皆さんから福祉のためにということでそれにどんどん御寄附をいただいておりまして、その蓄積が今一億三千万ございます。そこへ三年度で六千二百万、昨年度で一億二千五百万だったと思いますが、交付税の中から積み上げをするということができまして、総額としては三億二千万ほどの福祉基金を持っております。
 先ほど申し上げました福祉施設の建設に当たりまして、二億二千万出す中でどうしても一億一千万の財源は都合がつかないということで、もちろん市が独自に積み上げたものを含めての中からでありますけれども、一億一千万を取り崩して特別養護老人ホームの建設を見た、こういうことであります。
#27
○岩本久人君 全国の自治体の中の数%はそういうふうに活用されておるということを聞いておりましたが、具体的に耳にしたのは初めてなんで、今後ともしっかり頑張ってもらいたいと思っております。
 次に、あなたの意見の中にありました義務教育施設整備費や地域改善対策事業に係る地方債元利償還金に交付税に算入されない部分が多くて財政的に大変だということがありましたが、これは特交で手当てをされるという方法があるんではないかと思っておりますが、その点はどのように考えておられますか。
#28
○参考人(西村正男君) 一般的に地文税で捕捉されない行政需要について補てんするのが特別交付税であるということでありまして、当然特別交付税の中で、その特殊事情として十億円というのは大変多額な義務的負担でありますので、配慮されるように毎年度申請をいたしております。
 ただ、結果として、平成四年度の特交は総額でいただきましたのが五億一千万でありました。ですから、それだけとして半分。しかし、御案内のように特交というのはたくさんの算定項目がありますので実際にどれだけ十億円の義務的経費に対して見ていただいたかわかりません。ただ特交総額として五億一千万円はいただいた。内訳は公表されておりませんのでわかりません。
 以上でございます。
#29
○岩本久人君 次に、先ほど言われましたいわゆるふるさと創生事業の問題ですが、この中であなたがおっしゃった、何に使ってもよいということが使う立場になれば実に大きな使途制限になったと。この言葉は私どもももちろん初めて耳にするんですが、大変含蓄のある言葉だろうと思いました。
 それで、さまざまな知恵と力を出し合っていろんなものが展開をされてきておることは承知しておりますが、それでは、あなたの市では過去四年間にどのようなことをなされたのか、また今後どのようなことをお考えでありましょうか、お伺いをいたします。
#30
○参考人(西村正男君) たしか平成三年度と四年度で一億円が全国の市町村に配分されたわけでありますが、そのときに、市民代表、議会も含めてでありますが委員会をつくっていただいて十分議論をしていただきました。こういうものを何に使うべきかということを世論調査もいたしました。これは理屈づけかもわかりませんけれども、やはりふるさとを創生するという目的に沿わなきゃならない。しかも、市として市民として今必要としているものをやらなきゃならない。その両者をどう組み合わせるか。その接点をどこに求めるかということで議論をいただいた。結果として、最初の一億円については、子供たちを健やかに育てるというのがふるさとの創生につながるんじゃないかということで全部の中学校にLL教室の機材を整備しました。
 それから、その続きですが、これはちょっと市町村ごとに金額が増減されて私の方は一億一千万いただきました。次の三年間、去年まででありますが、合計三億三千万いただきました。これについては、一つはそのうちの二億一千万で、三年間の合計ですが、みどりの基金をつくりまして、その基金の果実で市内の緑を保護していこうと。保護する具体的な方法というのは、土地の所有者の方に、その方の持っている森林、竹林も含めてでありますが、五年間は伐採をせずに保護しますという約束をしていただいて、約束をしていただいた分については毎年一平米当たり十円を維持管理費として差し上げると。それから立派な木をお持ちの方、これも切らずにきちんと守っていきます、そういう約束をしていただいた方には年間五千円をその果実から差し上げるということにいたしました。
 残りの一億二千万については、国際交流を進めなきゃならないという状況が友好都市関係でございますので、ふれあい基金という形で基金にしまして、その果実をもって、中国とアメリカでありますが、国際交流を行っていく原資にしようということでいきました。
 これからの三年間の三億三千万の使い道につきましては、これはもう非常な地道な使い方でありますが、余暇の時代でありますので、その中の約一億円については、スポーツ公園がありますけれどもまだ夜間照明設備がないので夜間照明設備をそれでつくろう、そういうことで余暇の活用とスポーツの振興を図ろう。それから残りのお金につきましては、二億円余りでありますが、これについては中学校に余裕教室ができておりますので、その余裕教室を整備し直しまして歴史資料館、民俗資料館を含めた生涯学習センターをつくっていこうということで、今年度その計画づくりをやるということにいたしております。大変地味な使い方をいたしております。
#31
○岩本久人君 次に、強調されておりました交付税の事業費補正に補助金に相当するような経費がどんどんふえてきておるということを言っておられましたが、交付税総額の中でそれはどれぐらいになっているのか、それからあなたの市では具体的にどうなのか、教えてほしいと思います。
#32
○参考人(西村正男君) 間違っておればお許しをいただきたいわけでありますが、私が承知しております限りでは、四年度の実績でありますが、全国市町村の交付団体分で九千六百億円、約一兆円に近い金が事業費補正として使われておるというふうに承知をしております。これは需要額全体が十五兆九千億円でありますので、その六%に相当すると。需要額全体から言えばそういうことでありますが、そこから基準財政収入額を引きましたいわゆる交付額での割合を見ますと一四%ぐらいになるということで、大変大きい部分が事業費補正に使われておるということでございます。
 八幡市の場合は、需要額に対する比率は実際は八億円ほど事業費補正に出ておりまして、需要額が約百十億円ほどでありますので七%から八%の間ぐらいの割合になる。交付額で見ますと、いただいておる交付税の中で二〇%が事業費補正相当額になっておる。これは該当項目も多いわけでありますけれども、そういう比率になっております。
#33
○岩本久人君 次に地方単独事業のことですが、今までの本委員会とか本会議での議論の中では、実は自治省の考え方というのは、この地方単独事業というものについてはやる気のある市町村とそうでない市町村とで当然差をつけて対応する、こういうことのようです。こういった自治省の考え方、スタンスについてはどのような評価をしておられるでしょうか、お願いいたします。
#34
○参考人(西村正男君) 大変お答えの難しい御質問をいただいておるわけですが、理論的には、やはり地方自治の本旨から考えて、できるだけ自治体自身が自由に考えて使えるようなそういう財源の賦与が望ましい。これは先ほども申し上げているとおりであります。ただ、そこへ行き着く過程として、自治省の方で必要な事業についての財源措置をなされて、こういう事業もありますよということで誘導をされる。これは当然あるだろうと思います。そういうことには一定の限界があるであろう、そういうふうに思います。
 理論的には、私としてはそのお金が何兆円になるかわかりませんが、そういうものについては交付税の配分の中で指定をせずに自由に使える形で単位費用の中に織り込んでいただいて、態容補正、密度補正、いろんなものが必要だろうと思いますけれども、一般的に織り込んでいただいて、その中で地方団体が知恵を出して自分の市町村に必要なものを考えてやりなさいという形になれば一番望ましいんじゃないかそのように思っております。現在はその過渡的な段階にあるんじゃないか、そういうふうに思っております。
#35
○岩本久人君 今の質問と同じことですが、急で失礼ですが、池上参考人は今の点についてはどのような評価をされていますか。
#36
○参考人(池上洋通君) 私たちが実際に現場で努力なさっている方とお会いをしていろいろとお聞きする観点から申し上げますと、今お話をいただいたとおりだと私思いますが、あわせて申し上げたいと思いますのは、もともとの基準財政需要額全体の算定がかなり現場に即して正確に行われておりませんと、自由に使えるお金というのが仮にあったとしても結局のところそちらに吸収されていくというおそれがいつもあるわけでございます。そうしたことをあわせて御理解いただきたい、こういうふうに思います。
 その点があいまいですと、これは先ほど私大変すばらしいお言葉だと思いましたが、勝手に使えるというのは大変不自由だと私は伺いましたけれども、実はそういうものがあったにしても、その前提となる基礎のところできちんとした担保される財源がないことには、結局一般的な経費に消えていかざるを得ないということが私たちの繰り返しの経験でございますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
#37
○岩本久人君 時間もそろそろ終わりますので、最後に同じ質問を三人の方にそれぞれお願いしたいと思うんです。
 今年度は、現在審議しております平成五年度の地方交付税法のこの中に特例減額四千億という問題が入っておりまして、これの理屈理論の支柱はいわゆる公経済バランス論ということになっておりますが、このことについてそれぞれ、伊藤参考人はどのように思われるか西村参考人はどのように思われるか、池上参考人はどのように思われるか、この評価についてお伺いして、私は終わりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
#38
○参考人(伊藤孝二郎君) 今の情勢からして、将来返済をされるということであるならば、やむを得ないんじゃないかというふうに思っております。
#39
○参考人(西村正男君) 交付税率が法律の上ではっきりとしてある以上、その親である国税なり消費税なりたばこ税が落ち込めば当然交付税も減るというわけでありますので、さらにその上に、特例減額するあるいは需要額の中に国庫補助事業を振りかえていくと、実質的な減額をするということは交付税率そのものの引き下げにほかならないということであります。
 いわゆる公経済のバランスというのは、交付税率が決まっている以上、国税も減れば地方の交付税も減るということでバランスはあくまでとれていくと私は思っております。
#40
○参考人(池上洋通君) 私は先ほど御紹介しました著書の中のを引用させていただきます。私と全く同じ考えでございますので申し上げたいと思います。こう書いてございます。 昭和五〇年度以来、経済情勢の変化に伴って、地方交付税の総額に大幅な不足を生ずる事態が続いて、その不足分を補てんするため交付税特別会計において巨額の借入れが行われ、昭和五三年度からは、当面の措置としてその償還額の二分の一を国庫において負担する制度が設けられたのであるが、この方法による借入金の累積額が膨大な額となってきたため、昭和五九年度以降は原則として借入れ方式は廃止され、これに代えて必要な場合には交付税総額の特例措置を講ずることとされた。これらの措置は、いずれも前記地方交付税法に規定する行財政制度の改正に当たるものである。
云々と書いてあります。
 矢野先生もおっしゃっていますように、特例措置と申しますのは、基本的に不足したときにちゃんと財源措置をしなさいということが本来流れだったはずであります。私は大変疑問でございまして、なぜ特例減額ができるのかこんなことは学んだことはないというふうに率直に申し上げたいところでございます。
#41
○続訓弘君 どうもお三方、大変御苦労さまでございました。
 お三方はそれぞれに長い行政経験を持っておられ、その行政経験に基づく率直な御意見の陳述がございました。私もたまたま三十八年間都庁に勤めておりまして、その間、三十年間財政の責任者でございました。そんな関係から先ほどのそれぞれの立場からの意見開陳には大変私は感動させられました。ところで、私どもこの地方行政委員はそれぞれに実は地方の味方であります。そのことをまず御理解を賜りたいと存じます。
 そこで、先ほど御発言の逆の順序から私お伺いさせていただきます。まず池上参考人に。
 従来の地方分権論から最近は地方主権論が声高らかに叫ばれております。そして、その実現のためには例えば地方主権推進法を制定すべきなどの議論もございます。池上参考人として、これら推進の方法論について、もし御意見があれば伺わせていただきたい。
#42
○参考人(池上洋通君) 地方分権について申し上げますと、地方主権というふうな言葉で最近表現されております流れ、地方自治体の権限、機能を強めて、住民主権に基づく町づくりを発展させよう、あるいはまた一定の意味での広域行政を発展させようという方向につきまして私賛成でございます。
 ただ、二つばかり申し上げたいことございます。
 第一番目に申し上げねばなりませんのは、制度をあれこれいじらないと地方分権は進まないのではないかということにつきましては必ずしもがえんじ得ないものをちょっと感ずるわけでございます。
 実は私、先ほど申し上げましたように自治体問題研究所という組織におりまして、全国のあちらこちらの市町村に呼ばれまして基本計画をおつくりしたりするときのお手伝いもさせていただいております。そこでいろいろな地域の町長さんや村長さんとお会いしたりするのでございますけれども、皆さんがなさっている努力というのは本当に文字どおり血のにじむようなものでございまして、何とかそれぞれの基礎自治体において町や村を発展させるという努力を累年にわたって行っておるわけであります。そこへここ最近簡単に合併論のようなものが出されてくるわけでありますが、私はそれは少し違うのではないかという思いをいつも現場で伺って知っているところでございます。
 とりわけ申し上げておかなきゃなりませんのは、それぞれ今、御承知のように地方自治法で基本構想その他をつくることが義務づけられておりまして、人口数千の村、町でございましても何年もかけて基本構想を一生懸命になってつくるわけでございますが、ある日上位計画のようなものがあらわれて全くそれを無視するようなことが時々あるんです。そうしたことも少し本気になって基礎自治体を大切にする、そうした地方行政が今こそ求められているということをまず率直に申し上げたいというふうに思うわけです。それが地方分権のまず出発点でなきゃならないということが一つでございます。
 もう一点は、私たちがやはりそうしたことを考えますときに、先ほどお話もございましたし私も繰り返し申し上げましたけれども、地方が実際に負担をしなければならない経費というものについて、いわば計画的なものとしてどのように算定をしていくかということを少しやはり本気になって考えなきゃいけないと思います。
 といいますのは、どうしても行政経営が大変だったりするものですから、当面の当面のということになりがちだし、こういうような経済不況ございますと一層そうでございます。そうではなしに、少なくとももっと先ほど申し上げました基本構想というものを大切にしながら進むようないわば財政運営に、どんなに小さい自治体であってもきちんとやはりお互いに援助をしていく、これが強く求められている、こんなふうなことを思っておるところです。
#43
○続訓弘君 西村参考人にお伺いいたします。
 私はさきの参議院選挙で全国を回らせていただきました。その間、数多くの地方団体の方々に直接お目にかかって御意見も伺いました。そのときに二つございました。一つは、財源の配分の関連であります。きょう参考人が述べられましたような地方交付税だとか地方債の許可の問題だとかあるいは税源を地方に与えるとか、そんないろんな要望がございました。そこで集約できることは、少なくとも地方財源を五対五、国と地方に五対五ぐらいに分けてほしい、そして地方交付税等も一般財源化してほしい、こんな要望が一つございます。
 そして二つ目には、やはり権限移譲あるいは事務配分の問題であります。例えばバス停一つ動かすにも地方団体の意思がなかなか反映しづらい。許可が必要なんだと。あるいはバスの時間を延長するに際しても同じようだと。あるいは特養も、五十大規模ならば用地があるけれども、国が言われるような八十大規模ではどうにもならぬ。そういう意味で、財源の問題あるいは権限の移譲の問題について真剣に考えてほしい。これが地方団体の声だと、こんなふうに私は受け取ってまいりました。
 そこで、西村参考人はこんな問題に対して現場の市長さんとしてどんな認識を持っておられるのか、その辺をお聞かせいただきたいと存じます。
#44
○参考人(西村正男君) 今、先生がおっしゃったとおりのことを私も思っております。
 先ほどから申し上げておりますように、もっと自治体独自の財源があれば自治体独自でいろんなことができるのに、一々国の方へお願いをして補助金をいただくなりいろんなことをやらないと仕事ができない。大変まだるっこしいことであります。
 それから、権限の移譲もそれと同じことでありまして、できるだけの権限を自治体に任していただきたい。それは誤りも出てくるかもわかりませんけれども、しかしそういう試行錯誤の中で自治体が育っていく。そういう目で見ていただきたい、そのように思っております。
#45
○続訓弘君 伊藤参考人にお伺いいたします。
 伊藤参考人は黒川村長さんであり、かつ全国町村会の政調会の財政部会長、こんなお立場でいらっしゃいます。そこで、今回地方制度調査会で広域連合というのが答申をされましたけれども、地方団体の側からこの問題についてどんな評価をしておられるのか、その辺を伺わせていただきたい。
#46
○参考人(伊藤孝二郎君) 私どもが伺っていると、私どもの生の声というものが反映をしておらないんじゃないかというふうに感じておるわけであります。これからこういう機会に、私どもが現実に経験をし、こうあってほしい、こういうふうにしてほしいというような声をやはり皆様方に聞いていただき、そしていろいろ御検討いただくというようなそういう機会を得て、そういうものが真に国民の納得するというか、そうだというようなものにやはりなってほしいし、そういうふうにやってほしいというような考えを持っております。
#47
○続訓弘君 ありがとうございました。
#48
○長谷川清君 本日は、お三人の方々、本当にありがとうございました。
 地方自治の責任ある立場でございますので、伊藤さん、西村さん、お二人が地方の立場から見て一番悩みだと今現在思っていらっしゃることや、こうあってほしいという点について、一つ二つ項目で結構でございますが挙げていただきたいんですが。
#49
○参考人(伊藤孝二郎君) 今もお話がありましたように、私は余りにも法律の権限が国に集中をしているんじゃないかというふうに思います。そういうことで、何をやるにもやはり省庁間の調整というものが非常に難しい。もっとやりやすい省庁間のあり方というか、そういうものをもっと単純にわかりやすいものにしてほしいというふうに思っております。
#50
○参考人(西村正男君) 先ほどから申し上げておりますように、市自身で自由にある程度のことができる、そういう財政基盤が欲しい。私の町は財政力指数もそう高くありません。交付団体でありまして、その辺のところが一番切実であります。
#51
○長谷川清君 非常にわかりやすい、とにかく自由な現ナマが欲しいということと、余りにも権限が中央に集中しておって、しかも縦割りになっているからいろいろと一定の金がおりてきてもやりづらい、こういうことだろうと思うのであります。
 今、高齢化社会を迎えるという、そして準備段階に入っておりますが、各地方の方から見ておりまして、シルバー人材センターという組織が既にもうあなたのところでは設置をされておりますか。それともまだされておらないか。シルバー人材センターというものについてどういうふうにお考えになっておるか。既に設置されているとするならば、その効果なり貢献度なり、こういう点についてお伺いをしておきたいと思うんです。
#52
○参考人(伊藤孝二郎君) 今まだ設置していませんが、そういう機運にございますので、ぜひ設立をしたいというふうに思っております。
#53
○参考人(西村正男君) おかげさまでシルバー人材センターという制度ができた間なし、昭和五十六年でありますか、京都府で最初に設立をさせていただきまして、もう十年を経過しております。
 四百人余りの高齢者が加入をしておりまして、年間一億数千万円の収益といいますか所得を上げておりまして、大変張り切ってやっていただいております。
#54
○長谷川清君 池上さんからも、一般論として、今の件について。
#55
○参考人(池上洋通君) 私がおりました市でもシルバー人材センターはいち早く設置をいたしまして、多くのお年寄りの皆さんがそこに集いまして努力をされておりました。とりわけ、私ども行った努力の中心は、公共的な事業のプログラムの中でお年寄りに働いていただく場面をたくさんふやしていこうという努力でございました。それは率直に申し上げますと、これまでなかった労働を生み出すことまでいたしまして、たくさんの皆さんに働いていただこうという努力を重ねてきたところでございます。
 私は実は社会福祉の分野にも一定の年度おりましたが、その間思いましたことの一つに、そうした点では高齢者のこれからのテーマの中で、働くこと、生きがいというテーマ、生活の張り、経済的な一定の支えという三つをきちんとしていくような、そうしたものとして重視すべき政策ではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
#56
○長谷川清君 私は高齢化の対策には幾とおりかの段階があるんじゃないかと思っております。もう既に就労できないで寝たきりになっていたり、寝てはいないけれども行動半径が非常に狭くなっていたり、その以前の段階の、定年になって六十歳から六十五歳、七十歳、七十何歳と、まだ健康で生きがいを持って仕事にもついておきたいというような方々のシルバー人材センターというものの存在はいろんな意味において非常に意義が高いのではないか、これからの時代にますますこの価値は高まっていくのではないか、こう思うのであります。
 三千何がしの単位である全国市町村の中のまだ七百に手が届いていない状況なんですね。でございますから、これは全部の市町村に組織が設置されるまでにはあと一体何十年かかるんだろう。今のテンポでいきますと三十年かけてもまだ完成しないようなテンポでございますから、どうか地方自治の側の立場からも、双方でこれをやはり促進をしていく必要があるんじゃないか、こういうふうに感じておりますので、この点をひとつ求めておきたいと思うわけです。
 二つ目には、地域のいろんな文化というものをいろんな意味において、先ほどもふるさと資金というのがつくられてという西村参考人のお話でございました。そして、国際交流をしているという。これは非常に私はいいことだと思いますし、どうせ国際交流をするのならば、それぞれの市町村ごとにございますかけがえのない文化というものをそれに乗っけていって、全国数多くの市町村が国際社会の中で好ましい文化の発進基地になっていく、こういったような視点、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
#57
○参考人(伊藤孝二郎君) 大変参考になる御意見を拝聴いたしまして、ありがとうございました。私どももそういう気持ちで文化を残したいというかつくっていきたいというようなことで、いろいろ資料館をつくったり、また研究をしているそういうグループに補助をしたりいたしまして、御趣旨に沿うようなことをやっています。
 特に私ども、昔の油田がありまして、天智天皇に燃える水を献上したというような土地がございます。また「くそうず」というような自然に湧出している場所がございまして、天智天皇を今お祭りしています近江神宮に毎年献上しているようなわけで、そういうものも残して、昔のやはりそういうものを大切にしていきたいというようなことで努力をしておりますので、大変御趣旨は賛成でございます。
#58
○参考人(西村正男君) 福祉と文化というのは人間が人間たるべき一番原点だろう、そのように思っております。そういう認識の中で、福祉の都市、文化の都市をつくろうということで頑張ってやらせていただいているわけでございますが、特に八幡市の場合、あのエジソンが八幡の竹を使って電球を実用化したという故事来歴がございまして、エジソンの生まれましたアメリカのオハイオ州のミランという村と姉妹都市を結んでおりまして、子供たちがお互いに絵の交流をしたり、あるいは夏休みには行き交いしたりして親交を深めております。
#59
○長谷川清君 もう時間が切れて申しわけありませんが、池上参考人に、地方から起こす景気対策とでもいいましょうか、そういう視点に立って何かお気づきの点があればお答えいただきたいと思います。
#60
○参考人(池上洋通君) 景気対策ということになるかどうかはちょっと難しいのでございますが、先ほど申し上げましたように、私、北海道、東北の地域の市町村長の皆さんに去年の秒あたりから二十人近くお会いしました。そしていろいろなところでお聞きしたところで、一つ私の胸にありますのは、何とかやはり改めて第一次産業を前に出した地域振興計画を本気になってやるときがやってきているのではないかということでございます。これはどの市町村長さんも同じようなことをおっしゃいました。何とか第一次産業を全面に出して頑張ってみたいとおっしゃっておられます。
 そして、さらにいわば工房型といいましょうか手づくり型といいましょうか、そうしたもので町の人や村の人が参加できる新しいタイプの第二次産業、それを第一次産業とリンクしながらやるような、池田町などで御苦労なさってきたああいう流れを何とか太いものにする。そうしたことが改めて求められているのではないかということを文字どおりの地方からの声として受けとめたところでございます。
#61
○有働正治君 きょうは、御意見本当にありがとうございました。まず心から感謝申し上げます。
 私は、まず池上参考人と西村参考人に同じ御質問をさせていただきます。
 それは政府が進めています一般財源化の問題でございますが、今年度は見送られましたけれども、保育所の保母さんの人件費を地方負担にすることが来年度も恐らくまた議論になってくるのではないかと、先送りされている感じがいたすわけであります。こういう点は、措置制度の見直しあるいは解体へとつながるものだということで保育関係の団体を初め多くの人たちが強く反対されています。
 一般財源化が進められていくと国の責任の放棄につながりかねないということでありますけれども、これについてどのようにお考えになられるのか。同時に、この問題と地方分権化の動きとの関係があるようにも見受けられるわけでありますが、この点はどう見られておられるのか。同じ質問で恐縮ですけれども、御意見をいただければと思います。
#62
○参考人(西村正男君) 大変重要な問題だというふうに認識をいたしております。これは基本的には国庫負担あるいは国庫補助事業を交付税に移しかえていくという流れの延長線上に出てきていることではないかというふうに認識をいたしておりまして、お話にありましたように、児童の福祉を守り、母親の労働権を保障する児童福祉の中の核となっております保育所措置制度の根幹にかかわる大きな問題だというふうに認識をしておるわけでございます。
 一般財源、地方の自主性を高めようというのは、国庫補助事業をなくそうというところに短絡的につながってはならないと私は思うので、これは別の問題だというふうに思っております。国庫補助事業から外して、あるいは国庫補助負担から外して地方の独自に任せる。それはそれでいいですけれども、それに伴う財源の賦与がないと、これはもう実質的に国庫補助を削減するために、国の財政を助けるために行う便法にすぎないということになってまいりますので、やはりこの辺の措置については、私といたしましてはあくまで児童福祉の観点から現行の制度を守っていただきたい、そのように認識をしておるところであります。
#63
○参考人(池上洋通君) 御質問のことについて申し上げますと、私も今西村参考人がおっしゃったことに全く同感でございますが、あわせて申し上げますと、まず、保育行政につきましては別の角度からの検討も本気になってやらぬとまずいのではないかという思いを持っております。
 と申しますのは、これは労働省の資料で、きょうは持ってまいりませんでしたが、二〇一〇年、二〇二〇年の段階で労働力不足が非常に大きくなる、どうしても女性の労働力が大きな社会的な位置を占めることにならざるを得ないというふうなそうした流れが政策的にもあるやに聞いております。ゴールドプランが出てきた背景にもそれがあるというふうに私たちは学んできておるわけでございますけれども、そうしたこともあわせ考えますと、むしろ今こそ保育行政をどのように発展させるか、どのように豊かに整備するかというときに来ているのだというのが私どもの認識でございます。
 そういう点で申し上げますと、私は現場におりました経験から申し上げますと、一般財源化した場合に、まず人的な措置が本当に適切にいつも行われるようになるのだろうかという心配が率直にございます。
 それはどういうことかと申しますと、私先ほど冒頭に統計行政の例を出して申し上げたわけでございますが、今、日本の統計行政の例で申し上げますと、地方交付税に人件費は含まれているんだという言い方の中で、実は地方交付税が予定をしている統計行政の職員よりもはるかに少ない職員しか配置されておりません。それが累年重なって今統計行政の現場で何が起きているかといいますと、現実に国の下請のようにして得たいろいろなその地域の中における数値、国勢調査を初めとして指定統計の数値がございますが、この数値を地域の行政に役立てるために読みかえて統計操作をするという職員が実はいないんです。全部国の行政のぎりぎりの職員しか配置しておりませんから。そういうことになっております。
 結果として、今、日本の統計行政は第一線では大変な事態になっているわけですが、同じようなことが保育行政やその他で起きるのではないかという危惧を率直に持っております。これは保健婦の人件費についてもそうでございましたけれども、私ども最も具体的なところで危惧をしておるのはその点でございます。
 もう一点申し上げますと、保育行政につきましては、先ほど私これも触れましたが、措置制度の解体につながるのではないかという問題とあわせまして御指摘申し上げましたいわゆる超過負担の問題、このことも真剣に考えておかなければならないことだというふうに思っておるところでございます。
 とりあえず、以上でございます。
#64
○有働正治君 伊藤参考人にお尋ね申し上げます。
 先ほど自民党の石渡委員の御質問に対しまして、景気対策等の事業はあるというお話がございました。私は借金政策の中でこれが行われていることが問題ではないかと考えるわけであります。例えば九一年度決算で見ましても、地方財政の危機ラインとされています公債費負担比率が一五%を超えている団体が一千七十七団体。全団体数の約三分の一が該当している。特に過疎自治体など財政力指数の低い団体ほど公債費負担比率が高くなる傾向がありまして、起債制限団体ぎりぎりの団体がふえる可能性もあると考えます。
 したがいまして、事業ができなくなる団体が出てくるか、あるいは借金をしてまで公共事業をやらなければならないのかという団体も出て、ますます団体間の格差が広がっていくということも考えるわけでありますが、町村会の財政部会長といたしましてこういう心配はないのかどうか。
 また、地方単独事業の一般財源としての地方交付税総額の減額をやめて、一〇〇%起債など、これほど多くの借金をせずに公共事業がやれたらというのが自治体の本当の願いじゃないかと考えるわけですけれども、そこらあたり忌憚のない御意見をいただければと思います。
#65
○参考人(伊藤孝二郎君) ただいまお話しのように、借金をしないでやるにこしたことはないと思っております。今、オール借金というわけにはいかぬというので事業をやる前に基金造成をしながらやる、町村の財政のカバーをするためにそういうやり方をしているところが多いというふうに思っております。
 私どもも幾つかの事業の計画を立てますと何年か基金造成をしながらやっているような次第でございまして、今こういう情勢で、危機対策からして、それを受け入れるというようなことにそういう基金を持たぬとやはりなかなかできないということは言えると思いますので、交付税でそういうものが交付されるとか、また補助金が高額に補助をされるというような形でやられれば一番よろしいというふうに思っております。
#66
○有働正治君 最後に、一分だけあるようでありますから、池上参考人にお尋ねします。
 今、地方分権というのがしきりに言われていますけれども、この問題についての基本的考えと申しましょうか、時間がなくて申しわけありませんけれども、お聞かせいただければと思います。
#67
○参考人(池上洋通君) 一言申し上げます。
 先ほどもちょっと触れましたが、私は地方分権ということを考えますのに、何よりも主権者である住民の意思に基づいて分権が行われるかどうか本当に主権と言えるような形で地方分権が行われるかどうか、これが決定的なことだと思います。
 一例を挙げさせてください。
 例えば障害者です。私は実は、個人的なことを申し上げますと、二十年を超えて障害者運動のボランティア活動をやっておりまして多くの障害者と出会っております。そして、障害者の施設をつくりますときに、広域的な施設と称して、例えば東京都のどこかの町に住んでいた障害を持っている少年を、東京都の場合で申し上げますと、秋田県、山形県、福島県といったところに施設をつくりましてそこへいわば措置するということをやってきております。そういたしますと、そうした施設に慰問といいましょうかボランティアで出かけますと、彼らの言うのは異口同音でございまして、お父さんに会いたい、お母さんに会いたいというふうに彼らは必ず言うのであります。
 私は、地方の分権といいますのは、本当に主権者の願っているその願いに基づいて組み立てられるような行政をどんなふうにつくっていくかということでなければならないということを常日ごろ感じてまいりました。ぜひ、これからの地方分権論の中では、そのことをどんな場面でも念頭に置いておやりいただければというふうに願ってやみません。
 以上です。
#68
○西川潔君 お三人の参考人の皆さん、本日は大変御苦労さまでございます。ありがとうございます。
 早速御質問をさせていただきます。
 ただいま各自治体におかれましては老人保健福祉計画の作成がなされているところでありますが、その作成に当たりまして、それを担当する人手、予算が自治体間においてかなり格差があるということもお伺いしております。今後、権限移譲に伴うこうした事態がさまざまな場面で予想されると思うわけですけれども、この点につきまして実際にお取り組みになっておられる皆様方にお伺いしたいんですが、まずは伊藤参考人と西村参考人にお願いいたします。
#69
○参考人(伊藤孝二郎君) 高齢化社会が全国津々浦々に押し寄せてきている実情でございまして、私ども地方におりましても、都会よりも高齢化社会というふうなものが早く来ておるわけでございます。今私ども、特別養護老人ホームの設置、またデイサービスセンターをつくりまして、在宅福祉に対しましても積極的にやって、多くの成果が上げられておるところでございます。
 我々もやるについて、いろいろお話がございましたように、負担金また補助金等のそういう充実が私ども何としても先決でございます。そういう財政的なやはり裏づけがない福祉はないわけでございますので、そういう意味においていささか苦慮をしているところもございます。今後さらに国がバックアップをしていただきましてより高い福祉が展開されますように、この機会に要望申し上げたいと思っております。
#70
○参考人(西村正男君) 老人保健福祉計画に伴う施設整備が進んでおります中で、ことしの四月から、これまで都道府県の責任でありました措置権が小さい町村に移ったということで、私のところは市でありますけれども、近辺の町村では大変な戸惑いがございます。
 というのは、小さい町では一つの特養を持つといったことができないわけです。では私のところの対象者は一体どこへ入れたらよいのか。それぞれ自分のところの住民がかわいいわけでありますから、それぞれの市で持っておるところはやはり自分ところの市民を優先する。そうすると周辺の町村の分まで受け入れる余裕は当然ない、足らぬわけでありますから。これまでは都道府県がやっておったわけでありますからその辺は府県が責任を持って公平に受け入れできたわけですけれども、これからはそのような問題をどう調整していくかということが大変難しい問題になってきております。
#71
○西川潔君 そこでお伺いしたいんですけれども、平成三年度から地域福祉基金を設置する費用について交付税措置が行われておりますが、この地域福祉基金による事業の成果、進めてこられての経験からの問題点。僕は思うんですが、今までもいろいろな方々にお伺いしていろいろ御質問もいただいたんですけれども、やっぱり都会の福祉と田舎の高齢者福祉とは本当に百八十度違うものであるということもよくわかるんです。そういう中で、皆さん方に希望を持っていただく、そしてまた地域の中で一体本当に何が足らないのか。国会の方でも勉強させていただいたり、地方へ参りまして現場で勉強させていただいても、何か皆さん方がまだ一〇〇%つかみ切れてないように、僕自身そういう実感を抱くんですけれども、いかがなものでしょう。西村さんと伊藤さんにお伺いいたします。
#72
○参考人(伊藤孝二郎君) 権限移譲も今お話がございましたように内容が伴わないというか、私どもも結局は権限移譲を受けて入所させる措置権が来ましても入所させる場所がないために調整に混乱をしているような情勢でございますので、こういう点についても一つは片手落ちじゃないかというふうに思っておるわけであります。いわば、食えないものをもらったというようなことになるんじゃないかというふうに思います。
 もう一つは、最近アルツハイマーというんですか、ぼけの人が非常に多うございます。こういうぼけ対策というのは非常におくれているんではないか。私ども北欧の先進国に視察に行きまして、向こうはそういう対策が非常に完備をしている。日本においては、そういう一般の人と一緒にしておる。そのために一般の寝たきりの人たちが非常に迷惑をする。ぼけられた方に殴られたり、おれの寝床にお前が入っているというんであれがあったというようなことも何回も聞いております。
 そういうようなことで、病気の内容が違いますのにそういうのを日本は一緒にしておるというようなことで、非常に画一的なものじゃないかというふうに思いますので、もう少しやはり配慮をいただきまして、そういう人たちはそういう人たちで専門的にやはり別にしておきませんと大変なことになるんじゃないかというふうに思います。せっかくの機会でありますので一言つけ加えさせていただきます。
#73
○参考人(西村正男君) 地域福祉基金による事業の成果でございますが、三年度と四年度の交付税の需要額の中で合わせまして一億九千万福祉基金の積み立てをいたしました。先ほども申し上げておりますように、昭和五十二年から、市民から任意に寄せられた福祉の基金を合わせて積んでおりまして、合計をいたしまして三億二千万ほどの基金がある中で、昨年度、特養を建設するに際しまして必要な財源として一億一千万を充当したということが具体的な使い道としてございます。
 ただ、基金を積みました途端に低金利になりまして、自由に思う存分その果実を活用できるだけのものが出てきておらないというのが現実でございます。基金というのは、本来の目的はその果実を運用するということなんですが、二億円なら二億円に対する果実が低金利のために期待しておったほど効果を上げておらないということでございまして、その果実の活用については目ぼしいものをまだ生み出しておらないのが現実であります。
#74
○西川潔君 あと三分ほどでございますけれども、最後に行政の窓口サービスについてお伺いしたいんです。
 広域化、自動化、簡素化という観点で、窓口の行政サービスが、例えば転居届一つにいたしましてもそうでございますけれども、いろいろ検討されておられるというようなこともお伺いしております。お年寄りや障害者の方々で市役所等に出向かれる方が大変困難をしておられる。そういう意味で、伊藤参考人、西村参考人、そして最後に池上参考人にも、この窓口行政について一言ずつ問題点をお伺いしたいと思います。
#75
○参考人(伊藤孝二郎君) ただいま西川先生からお尋ねの窓口サービスでありますが、私はやはり職員教育というものが非常に大切だというふうに考えておりまして、職員のサービス教育というのを、県の人事組合、町村人事組合というのがございまして、そこでサービス専門の教育というんですか講習会等も毎年やって非常に成果が上がっております。やはり思いやりのあるサービスというものが私は窓口においては大変大切であるということを考えております。また、最近多くの首長の方もそういうふうに考えておられまして、大勢の方をそこの研修会に参加させていただいておりまして、多くの成果を上げております。
#76
○参考人(西村正男君) 八幡市の場合、二十四平方キロということでそう広くない町でありますけれども、できるだけ市民の皆さんの便宜を図ろうということで、公民館三カ所と、それからこれはちょっと異例なことだと思いますが、農村部で農協一カ所に地域窓口というのを設けまして、ファックスで本庁と結びまして謄抄本の交付などが地元でできるようにしております。大変喜ばれております。それから、公民館は社会教育を行うところだと、そういった先入観を捨てて、あらゆる施設を有機的に使っていくことがこれから実態として大変大事だ、そう思っております。
#77
○参考人(池上洋通君) 一言申し上げますと、今お二方がおっしゃったことは全くそのとおりでございますので、それ以外のことを二つだけ申し上げます。
 一つは、今とりわけ都市の地域で大きな問題になってきておりますことに、在日外国人がふえてまいりまして、その人々に対する自治体のサービスをどうするかということが実はかなり大きなテーマになってきております。アラブ圏の人たちその他、言葉のできる職員はそもそもいないわけでございまして、この人たちのテーマをかなり正面からのテーマにしなければならなくなってきているということをまず率直に申し上げたいと思います。
 それから二つ目には、やはり何といいましても人口の高齢化、それから人口の高齢化に伴う障害のテーマなどがございまして、例えば手話のできる職員をどう配置するかといったようなことが具体的なテーマになっているということもつけ加えて申し上げておきたいと思います。つまり、そういう意味では、人的な配置がより豊かにならなければならないということになっているということを申し上げておきたいと思います。
 以上です。
#78
○委員長(佐藤三吾君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして本委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。今後ともよろしくお願いします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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