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1993/04/27 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 内閣委員会 第4号
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1993/04/27 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 内閣委員会 第4号

#1
第126回国会 内閣委員会 第4号
平成五年四月二十七日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     風間  昶君     大久保直彦君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     翫  正敏君     西野 康雄君
 四月八日
    辞任         補欠選任
    西野 康雄君      翫  正敏君
 四月二十六日
   辞任          補欠選任
    寺澤 芳男君      武田邦太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         守住 有信君
    理 事
                板垣  正君
                田村 秀昭君
                穐山  篤君
                喜岡  淳君
    委 員
                石川  弘君
                合馬  敬君
                永野 茂門君
                藤江 弘一君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                瀬谷 英行君
                大久保直彦君
                吉田 之久君
                聴濤  弘君
                高井 和伸君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       国 務 大 臣  河野 洋平君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  鹿野 道彦君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣  中山 利生君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣  伊藤 博行君
       官房内政審議室
       長
       内閣法制局第一  津野  修君
       部長
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局  福島  登君
       職員局長
       国際平和協力本  柳井 俊二君
       部事務局長
       国際平和協力本  萩  次郎君
       部事務局次長
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   河部 正之君
       総務庁人事局長  杉浦  力君
       総務庁行政管理  増島 俊之君
       局長
       総務庁行政監察  田中 一昭君
       防衛庁参事官   高島 有終君
       防衛庁参事官   三井 康有君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練  諸冨 増夫君
       局長
       防衛庁人事局長  秋山 昌廣君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁建設  黒岩 博保君
       部長
       外務大臣官監領  荒  義尚君
       事移住部長
       外務省アジア局  高野 紀元君
       長事務代理
       外務省国際連合  小西 正樹君
       局長事務代理
   事務局側
       常任委員会専門  菅野  清君
       員
   説明員
       法務省保護局恩  栃木庄太郎君
       赦課長
       労働省労働基準
       局賃金時間部労  荒  竜夫君
       働時間課企画室
       長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日
 とする法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本国憲法第八条の規定による議決案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
 査並びに国の防衛に関する調査
 (陸上自衛隊調査学校の教育訓練に関する件)
 (モザンビーク国際平和協力業務実施に関する
 件)
 (ガンボディアの現状と国際平和協力隊員等の
 安全対策に関する件)
 (行政手続法案の提出時期等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(守住有信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十九日、風間昶君が委員を辞任され、その補欠として大久保直彦君が選任されました。
 また、昨二十六日、寺澤芳男君が委員を辞任され、その補欠として武田邦太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(守住有信君) 皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律案、日本国憲法第八条の規定による議決案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河野内閣官房長官。
#4
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律案及び日本国憲法第八条の規定による議決案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律案についてでございます。
 結婚の儀は、皇太子殿下及び皇太子妃殿下が結婚の誓いをされる儀式であり、国事行為として、平成五年六月九日に行われます。
 本法律案は、皇太子殿下の御結婚に際しまして、国民こぞって祝意を表するため、結婚の儀の行われる日を休日とするものであります。
 なお、附則において、この法律に規定する日は、他の法令の規定の適用については、国民の祝日に関する法律に規定する日とする旨を規定しております。
 次に、日本国憲法第八条の規定による議決案についてでございます。
 皇室が、財産を譲り受け、または賜与するには、日本国憲法第八条の規定により国会の議決に基づかなければならないことになっておりますが、皇室経済法及び皇室経済法施行法の規定によりまして、天皇及び内廷にある皇族について一年間にこれらの方を通じて賜与する価額の合計が千八百万円、譲り受けの価額の合計が六百万円に達するに至るまでの場合には、そのたびごとに国会の議決を要しないこととなっております。
 このたびの皇太子殿下の御結婚に当たりましては、ただいま申し述べました場合のほか、皇室が、平成五年七月三十日までの間において、社会福祉事業の資に充てるため、五百万円以内を賜与することができるようにし、また、平成五年六月一日から同年七月二十日までの間において、内閣の定める基準により、皇太子殿下の婚姻を祝するために贈与される物品を譲り受けることができるようにする必要があります。
 以上が本法律案及び本議決案の提案理由及び内容の概要でございます。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
#5
○委員長(守住有信君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○喜岡淳君 おはようございます。喜岡ですが、よろしくお願いいたします。
 皇太子と雅子さんの御結婚の日程が正式に決まったということでありますが、この件について心からお喜びを申し上げたいと思います。
 今回の御結婚に当たりましても、今官房長官が御提案の中にも触れておられましたけれども、国民がこぞってお喜びをするという立場からの御提案であったというふうに聞きました。やはり国民の間にこのせっかくの御結婚をめぐって意見の違いなどができる限り起きないように、政府の方としてはもし問題があるならばクリアをしていこう。例えば、かねてからの議論の中でも、政教分離の問題とかさまざまな論議が行われてきたわけですけれども、そういった国民の間にいろいろな意見の違いが発生しないようにできるだけ問題点があるならばクリアをしていこう。
 そして、こぞって国民が祝福できるような、そういう御結婚にしようという努力をされる立場にあるというふうに私は思います。そういう立場から、国民の中にも幾つかの関心事がございますので、この際お尋ねをしたいというふうに思います。
 まず最初に、官房長官にお尋ねいたしますけれども、四月十三日の閣議では、御結婚の日取りについて、六月の上旬あるいは中旬ということが決まったようにお伺いをいたしております。この六月上中旬というような閣議決定の理由ですね。一月から十二月まである中で、どうして六月の上旬、中旬ということを閣議決定されたんでしょうか。まず、日程のことでお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(河野洋平君) 御質問が二つあるんだろうと思います。
 六月上中旬とした理由でございますが、まず第一にお答えをいたしますのは、御結婚の儀は納采の儀が終わりましてできるだけ早い時期に行われることが望ましいのではないかという考えを基本といたしまして、皇室その他の諸行事の日取りでございますとか、小和田家の御都合もございましょう。あるいは皇太子妃の御進講その他の諸準備などもございましょう。さらには、その他もろもろの事情などを勘案いたしまして総合的に考えた結果、六月上中旬ごろがよかろう、こういうことを考えた次第でございます。
 さてそこで、もう一つの御質問は恐らく、なぜ六月九日なら六月九日とはっきりしなかったんだと。上旬とか中旬とか、そういう少し幅を持たせたような閣議決定の仕方をしたのかということにもあるいは御質問があるのかと思います。
 結婚の儀などの行われる日を特定するためには、皇室には皇室のさまざまな行事の御予定などがおありだろう。そうした日取りとの調整などが必要であるということから、閣議では上旬もしくは中旬という幅のある一応の目途を決定いたしまして、具体的な日にちの特定につきましては宮内庁長官にゆだねる、こういうことにいたしたわけでございます。
 上旬、中旬、若干幅がございますが、結果として六月九日という日にちになり、その後幾つかの行事なども考えますと上中旬、こういう幅を持たせた決定はやむを得ない決定であったわけでございます。
#8
○喜岡淳君 六月ということが決まった当時の新聞報道では、これで佐川事件についての議論はもう吹っ飛んだんだというような報道もありましたけれども、私は、そういう観点から、なぜ六月ということが選ばれたのかというようなつもりでお尋ねしたところであります。
 宮内庁にお尋ねいたしますが、六月の何日にするか、この細雪の決定については宮内庁の方にゆだねられておったことだろうと思います。普通の庶民感情からいいますと、御結婚の日というのは末広がりの日を選ぶというのが通常の国民の常識、我々の庶民の感覚ですが、なぜ九日という日を決定されたのか、これは国民の中に素朴にある疑問でございますので、なぜ九日という日を選ばれたのか、お尋ねしたいと思います。
#9
○政府委員(宮尾盤君) 閣議決定では、国の行事が国事行為として行われますものが結婚の儀、朝見の儀、宮中饗宴の儀と三つございますので、その結婚の儀は六月の上旬、それから宮中饗宴の儀を頭に置きまして中旬と、こういう閣議決定をしていただいたわけでございます。
 そこで、結婚の儀をそれでは六月の上旬いつごろ行うのか、先ほど官房長官から御答弁がありましたように、こういうことが閣議決定におきまして宮内庁長官にゆだねられたわけでございますが、この日取りの決定につきましては、宮内庁では皇太子御婚儀委員会というものがございますのでそこでいろいろ検討し、その検討のときに頭にありましたのは六月のそのころにおける皇室の諸行事というものはどういうことになっているのか、それから小和田家の御都合というものも当然あるわけでございます。
 そういう皇室の御都合あるいは小和田家の御都合その他の諸事情を総合的に勘案をしながら、具体的な九日という日を小和田家とも御相談をして決めたと、こういうことでありまして、特にそれ以外の格別の事情というものはないわけでございます。
#10
○喜岡淳君 ちょっと最後のところを。
#11
○政府委員(宮尾盤君) 先ほど申し上げましたような皇室の御都合あるいは小和田家の御都合等を勘案して決めだというのが、この決定の理由でございます。
#12
○喜岡淳君 ところで、休日法案がきょう出されておりますが、昭和三十四年のときにも今の天皇の御結婚で法案が出されておりますけれども、昭和三十四年のときの法案ときょう提出されております法案は全く同じものなのかどうなのか、そのあたりはどうでしょうか。
#13
○国務大臣(河野洋平君) その趣旨において全く同じものでございます。
#14
○喜岡淳君 趣旨は全く同じだという御答弁でありますけれども、昭和三十四年のときの法案の本文は皇太子の御結婚についてこう書いていますね。「国民こぞって祝うため、結婚の儀の行われる日を休日とする。」これは昭和三十四年のときの法案の本文ですね。今回の法案の本文は「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日は、休日とする。」どうして今回は前回のように「国民こぞって祝うため、」というのを法案の本文から外しておるんですか。
#15
○政府委員(伊藤博行君) 先生御質問のとおり、昭和三十四年のときの規定の仕方と今回若干異なっております。趣旨におきましては、官房長官から御答弁ございましたように、全く同じでございますけれども、多少字句を変えておるという点でございますが、その違う点は本文の中の「婚姻を国民こぞって祝うため、」という文言の使用の有無という点でございます。
 今回この言葉を用いなかったのは、皇太子殿下の御結婚は国民が久しく待ち望んでおりました慶事であるということとともに、結婚の儀は閣議決定によりまして国の儀式として行われるというふうになっております。したがいまして、「皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日は、休日とする。」と規定することによりまして、日本国民が皇太子殿下の御結婚に祝意を表するために休日にするという本法の趣旨は十分あらわれているというふうに考えた次第でございます。また、提案理由の中では、この点を確認する意味で「国民こぞって祝意を表するため、結婚の儀の行われる日を休日とする」というふうに記しております。
 さらに、やや技術的な点を申し上げますと、最近の政府提案の国民の祝意ないし弔意をあらわすことを趣旨とする休日関係法、即位礼の休日法とかあるいは大喪の礼の休日法の場合におきましても、国民こぞって祝うためとかあるいは国民こぞって弔意を表するためといった文言は使用いたしておりません。そういった最近の立法の規定の仕方に倣って今回の文案も考えた次第でございます。
#16
○喜岡淳君 ちょっとよく意味がっかみかねますけれども、一言で言えばどういうことですか。
#17
○政府委員(伊藤博行君) 一言で申し上げますと、趣旨、目的等は全く前回と同じでございます。規定の仕方の差というのは極めて法技術的な考慮からというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
#18
○喜岡淳君 やはり前回は「国民こぞって」ということが法案の本文に囲まれておったわけですが、これは、やはり昭和三十四年当時は議員立法として提案されてきたということが背景にあるのかなというような気もいたします。今度は閣法として政府提案になっておりますけれども、どうも私の印象としては、前例を踏襲した極めて実務的な事務処理のような印象を免れないというように思っております。
 そこで、今国民こぞってというお話がございました。この点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 官房長官、この法案がきょう成立するといたしますれば、六月九日は休日となり、祝日扱いになるわけですね。どういう職種が六月九日に休むんでしょうか。水曜日ですね、六月九日は。どういう事業所とか職種がこの日に休みになるんでしょうか。
#19
○国務大臣(河野洋平君) 附則の第二項の規定によりまして、国の行政機関、裁判所、国会に置かれる機関などは休日となるとともに、地方公共団体も休日となります。また、銀行などのように、国民の祝日に関する法律に規定する休日を当該企業の休日とする旨法令上規定されているものも休日となるわけでございます。
 その他の民間企業、団体などはこの法律の制定により当然に休日となるものではございませんが、多くは休日となるものと思われます。
#20
○喜岡淳君 国の機関とか地方自治体が休みになるというのはわかりますが、民間の多くが休みになると思われるという趣旨はどの辺にあるのか。民間企業がそんなにたくさん休まれるんでしょうか。思われるという根拠はどういうところにあるんでしょうか。
#21
○説明員(荒竜夫君) 労働省の調査によれば、民間企業の六割がすべての国民の祝日を休日としております。また、ことしの春闘の状況を見ましても、例えば自動車関係でありますとか造船関係の企業が、六月九日御成婚の日をことし休日とするというような合意をしております。
 そういうところから考えますと、今御審議をお願いしている法案が通れば、六月九日を休日とするという企業が相当数に上るんではないかというふうに考えております。
#22
○喜岡淳君 例えば六月九日は水曜日ですね。デパート三越の場合は、本店営業部に問い合わせをしたところ、うちは営業いたしますということをおっしゃっておりました。銀行についても、銀行法の第十五条に基づけば、祝日の日は休業するというふうになっておりますから銀行は休むかもわからない。しかしデパートはやるだろう。そういう意味では、私はどういう職種、どういう事業所がこの日に休むのか、まだまだイメージがつかみかねております。
 それで、次にお尋ねしたいことは、一体どれぐらいの事業所が、何%ぐらいの事業所で六月九日、実際に休みになるかという点であります。
 学校についても、公立学校は休みになるとしても、私立の学校ではそれぞれの学校の建学の精神といいますか、あるいはその学校それぞれに私学の経営方針というものがあると思います。ですから、必ずしも全部の学校が休むということにはならないと思います。デパートなんかも、今言いましたように、慶祝営業といえばちょっとあれですが、お喜びをして営業をするということになるでしょう。
 政府としては、一体どれぐらいの事業所が六月九日に休む、何%ぐらい休むというふうに見ておられますか。
#23
○国務大臣(河野洋平君) 皇太子殿下、皇太子妃殿下の御成婚は多くの国民が久しく待ち望んでいた御慶事だと思います。そこで、恐らくこの御結婚の儀に際してさまざまな祝意を表される方がおられるものと思います。しかし、その祝意の表し方はそれぞれであって、これは全く強制する性質のものではないと考えております。
 したがいまして、この休日にいたしましても、委員おっしゃるように、民間企業におきましては民間企業それぞれの御判断があって、労働時間内に祝意を表される方もあると思いますし、またみんなで休んでそれぞれ祝意を表するというお祝い方もあるんだろうと思います。
 要は、それぞれのお考え、それぞれの形態で祝意を表されることでちっとも構わない、少なくとも祝意を強制するとかという性質のものではない、祝意が表せられるような環境をつくるということが大事ではないか、こう考えております。
#24
○喜岡淳君 何%ぐらいが休むかというのは非常に難しいだろうと思います。
 労働省にお尋ねをいたしますが、現在の週休実態について教えていただきたいと思うんです。日月火水木金土、一週間、七曜日ありますが、大体週休は曜日ごとに何%ぐらいとっておるのか、その週休の実態についてお尋ねいたします。
#25
○説明員(荒竜夫君) 私どもが所管しております労働基準法では、週一回休日を与えなければならないというふうにされております。さらに、現在の労働時間短縮の観点から、完全週休二日制というものを私ども推進しているところでございますけれども、銀行等のように銀行法で営業日の規制があるというところを除けば、具体的に何曜日を休日にするか、休みにするかというのは、各企業が業種の特性なりを判断しまして自主的に決定するべきものではないかというふうに考えております。
 したがいまして、せっかくのお尋ねでございますけれども、私ども、民間企業が具体的に何曜日に休日をとっているかという点については特に調査を行っておりません。
 一般的に言えば、先ほど申しました銀行とか製造業、建設業等の業種では日曜日とか土曜日を休日にしている例が多いんではないかというふうに考えております。他方、サービス業、小売業等については、土日は営業しまして平日適当な日に休日をとっている場合が多いんではないかというふうに考えております。
#26
○喜岡淳君 総務庁の方にお尋ねいたしますが、曜日ごとの週休実態はわかるでしょうか。
#27
○政府委員(杉浦力君) お答え申し上げます。
 現在、一般職の非現業の国家公務員について考えますと、五十一万人の方がおられるわけでありますが、そのうちの約六割、二十九万人の人がいわゆる官執勤務、官署に出てきまして官署の中の仕事をする人でございます。この人たちは土曜、日曜日が休みでございます。そして、そのほか二十二万人、約四割の方が交代制勤務の方でございます。その交代制勤務につきましては、業務の内容あるいは繁閑とかいろいろなことを考えまして任命権者が決めておりますので、一概にどの日にという格好になっておりません。
 したがいまして、土日お休みいたしますのは一般職の六割、そして交代制勤務のうちで土日がお休みに割り振られている者ということでございます。
#28
○喜岡淳君 労働省、総務庁の今のお答えの中では、大体世間は土日は休んでおるという、結局そういうお答えだろうと思います。土日が多いというお答えでしょう。
 財団法人余暇開発センターの調査というのがありますが、平成三年三月十一日のこの調査では、日曜日休みの事業所は全産業の八五%と見られると。八五%が日曜日に休む。土曜日に休むというところが全産業の八二%、こういうふうになっております。デパートを中心に、水曜日に休んでいるところは九%。土曜日、日曜日に休みが集中していることが明らかになっております。
 それでもう一つ、労働省の平成二年四月に発表されました報告書では、これは労働時間短縮と勤労者生活に関する研究会、この研究会の調査報告によりますと、日曜日休みという人が八二.四%、日曜が休みでないという人、つまり平日が週休日の人は一四・七%。完全週休二日制の人は八八%までが土日休みに集中をしている。そして日曜日が休みでないところは、小売店.飲食業の四七・六%、サービス業の四〇%等々となっておるようであります。
 そこで、私はお尋ねをしたいんですが、六月九日水曜日をお休みにして果たしてどれぐらいの事業所が休むのかということを改めてお尋ねしたいと思うんです。
 労働省、六月九日がお休みになった場合、八割、九割ぐらいのところが休みになるというふうに見ておられますか。
#29
○説明員(荒竜夫君) 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、私どもの調査では約六割の企業が国民の祝日、現在の国民の祝日ですけれどもそのすべてを休日にしております。また、自動車関係とか造船関係は、ことしの春闘で六月九日を休日にするというような合意をしておりますので、そういう点から見ますと、六割程度ないしそれ以上が六月九日を祝日・休日として祝うんではないかというふうに考えております。
#30
○喜岡淳君 総務庁はどれぐらいが六月九日に休むと見ておられますか。
#31
○政府委員(杉浦力君) 厳密な数字はわかりませんが、先ほど申し上げましたように六月九日が休日になりますと、法律に基づきまして官署はお休みになります。したがいまして一般職、先ほどの五十一万人のうちの六割は当然お休み。そしてそのほか交代制勤務につきましても、通常の祝日対応で休みがとられると思いますが、これにつきましては、今後職員団体と政府当局との協議でいろいろな割り振りをされると思います。
#32
○喜岡淳君 法案の提出者の官房長官にお尋ねしたいんですが、やはり国民こぞってお喜びしようということで法案を提出されておるお立場だと思いますけれども、大体どれぐらい休めば法案の趣旨は達成したと、立法の効果ありというふうにお考えでしょうか。
#33
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど来から申し上げておりますように、何%休めばというパーセンテージは大変申し上げにくうございます。そしてまた、何%達成すればどうこうという性質のものでもないだろうと思います。
 私どもといたしましては、この御結婚の儀当日は先ほども申しましたように祝意を表すことができるような環境をまず整える。その上でそれぞれ祝意の表し方にっいてはそれぞれのお考え、お気持ちで表されることが望ましい、こう考えておりまして、この休日で職場がどのぐらい休めばこの法律の目的が達せられたかどうかということについて、数字の上で、パーセンテージでこの法律の趣旨が十分生かされたかどうかということを示すということは大変難しいということを申し上げたいと思います。
#34
○喜岡淳君 この件にっきましては強制することはできない、しかも政府としてはできる限り国民こぞって慶祝してもらいたい、事業主は事業主の都合もある。そういう中で、果たしてどういうふうにすれば一番国民の中にうまくバランスをとった形でお喜びができるのか、当然政府はそういうことを考える立場にあると思うわけです。
 もちろん日程の決め方に当たっては、皇室の日程あるいは政府、宮内庁の日程、皇室の歴史的な伝統、こういったことは当然前提になるわけですけれども、私はこういうさまざまな要素を総合的に勘案した場合に、日曜日にやるというのも一つの案ではないかというふうに思います。
 日曜日にやりますと、週休二日制のところは土日月と三連休になっていきますね、休日・祝日扱いです。しかも日曜日は九割近いところが既にもう休んでおるわけです。多分六月九日、はっきり言いますが九割以上のところは休まないでしょう。官房長官うなずいておられるが、そのとおりと思いますよ、私も。日曜日ならば従来九割近くが休んでおる、そこにまたプラスアルファも考えられるでしょう。しかし、平日に休みをとって九割を超えて休むということは考えられないと思うんです。
 ちなみに、昭和三十四年のときの数字をお聞きいたしましても、そういう調べはないということでありますが、やはり週休二日の実施状況が進んできておりますし、事業主にしても、特に製造業においては三連休にした方が事業主としても都合がいいし、そこに働く人も都合がいいし、国民の多くがまた休業し祝福することもできるし、何かそういうような考え方ということも、新しい憲法の時代での考え方の一つになりはしないかというのが私の考え方でありますけれども、官房長官の御見解を伺わせていただきたいと思います。
#35
○国務大臣(河野洋平君) 喜岡委員のお考えも一つのお考えだとは思います。
 しかし、この結婚の儀は、そうしたお考えもさることながら、天皇家と小和田家の御両家のそれぞれの御都合もおありでしょう。そしてまた、さまざまな段取りなどを十分総合的にお考えになった末この六月九日という日が決まり、六月九日という結婚の儀の日取りが決まったことによって、その日を休日にしようというこの法律ができたわけで、もともと休日をいつにすることが都合がいいかというところからこの日が考えられているわけではないわけでございます。
 お考えはお考えとしてよく承ったわけでございますが、この結婚の儀の行われる日は、お二人の門出にふさわしい日を御両家それぞれの御都合もあわせ、総合的な勘案の上でお決めになったということでございまして、その日がたまたま水曜日である。それが休みやすいか休みにくいかというのは、今回の法律を提案いたしましたこととは少し違う角度の話のように思います。
#36
○喜岡淳君 多分、そういう御答弁だろうと思っておったんですが、国事行為として閣議決定をする立場にあるのはやはり官房長官だろうと思います。
 それで、御両家の御都合とか皇室の伝統とかさまざまなことを考慮しっつも、官房長官は、国事行為としてこぞって多くの人が参加できるように、しかし強制ではないんだというところのバランスを、じゃどうとるかというので私の案を今言ったわけです。ぜひそういうことも一つの見解として聞いていただければ幸いというふうに思います。
 それから、この御結婚をめぐってもう一つ、国民の中に本当に毎日毎日議論になっております問題の一つに、恩赦の問題がございます。
 この御結婚に当たりまして、恩赦は一体どうなるんだろうか。新聞報道も連日出ておりますけれども、正式な御意見はまだお伺いしたことはございません。
 そこで、官房長官にお伺いをいたしますけれども、今回恩赦はやられるわけでしょうか。
#37
○国務大臣(河野洋平君) 恩赦にっきましては、事務当局におきまして慎重に検討中というふうに伺っておりまして、まだその内容等については承知をいたしておりません。
#38
○喜岡淳君 これは閣議決定の問題になりますから、官房長官はどういう方向で臨もうというお考えでしょうか。法務当局に検討をお願いするとしても、官房長官のスタンスというものはどういうお立場でしょうか。
#39
○国務大臣(河野洋平君) 今申し上げましたように、まだ事務当局におきまして慎重に検討中というふうに伺っております。
 法務大臣も法務委員会等で御発言になっているというふうに承知をいたしておりますが、今慎重に検討中だということをおっしゃっておられると承知しております。私もそれ以上のことは現在承知いたしておりません。
#40
○喜岡淳君 官房長官のスタンスというのは非常に決定的なんです。だれか人がやるんじゃないんですよ。閣議決定する問題は官房長官ですよ。何か今のお話では法務省がやる話だみたいなお考え、まあそれはそれでしょうが、しかし官房長官としては、内閣の責任者としてどういうスタンスなのか、やるのかやらないのか、このスタンスについてはどうでしょうか。新聞報道では進めていると書いてあるんです。だから、新聞社には言えでも国会で言えないということはないと思いますので、改めて官房長官の明確な御答弁をお願いします。
#41
○国務大臣(河野洋平君) 法務大臣が当面の責任者でございまして、法務大臣から事務当局に御指示があって、事務当局は慎重に検討をするということになっておると承知しております。
 法務大臣のお考えは、恩赦は行う方向で検討するというふうに承っております。
#42
○喜岡淳君 では、進めるという方向、うなずいておられますので、そういうことだろうと思います。
 そこで、法務省にお尋ねをいたしますが、この恩赦の制度、この制度についての基本的な御認識を伺いたいというふうに思います、この制度についてです。
#43
○説明員(栃木庄太郎君) 御承知のように、恩赦は有罪の言い渡しを受けた者の犯罪後の行状などに基づきまして、その改善更生を促進するという刑事政策的な機能を果たしているものだというふうに評価されております。
 しかし、恩赦というものは司法の決定を行政の作用によって変更するというような効果を持つものでございますから、その運用におきましては十分な慎重さが要請されるものであろうというふうに考えております。
#44
○喜岡淳君 恩赦の制度は、やはり刑事政策上のものであり、私は天皇の慶弔事とはどういう関係なのかなという気がするわけです。これまでも御皇室の慶弔事の際に恩赦が行われてきておりますけれども、実際のところやられてきたわけです。皇室の慶弔事に恩赦をなぜやるのかというような声も依然として根強いわけですけれども、この点についての法務省の御説明をお願いしたいと思います。
#45
○説明員(栃木庄太郎君) どのような機会に恩赦を行うかというようなことにつきましては、御承知のように恩赦法上には定められていないところでございます。先例によりますと、これまでの恩赦は、皇室の慶弔事も含めまして国の節目となる国家的、社会的意義のある事象に際して行われてきたものだというふうに理解しております。
 それによりまして、罪を犯した人の社会活動上の障害を取り除き、その社会復帰を促すといったような刑事政策的な機能を果たしてきたものであるというふうに理解しています。
#46
○喜岡淳君 さらにお尋ねいたしますが、この恩赦に当たっては、今御説明ありましたように、訴訟上の手続によらずして刑罰権を消してしまうわけですから、やはりそういうことになってしまいますと裁判の結果を行政権が変えてしまうということになるわけです。したがって、三権分立の立場からいろいろと問題点も指摘されてまいりました。
 そこで、恩赦について政治的にこれが乱用されないようにきちっとした歯どめというものがなければならぬと思いますけれども、これについては昭和三十三年ですか、この参議院においても恩赦法の一部改正案が可決をしておるようであります。残念ながら衆議院に送ったら解散になって日の目は見ておらないようでありますけれども、やはりこういった歯どめの問題についても法務当局の中では御検討されておると思いますが、そのあたり検討しておることがありましたら教えていただきたいと思います。
#47
○説明員(栃木庄太郎君) 先ほども申し上げましたような理由によりまして、恩赦は慎重に運用されるべきであるというふうに考えておりますので、我々事務当局といたしましては恩赦が常に適正に運用されますよう恩赦制度の沿革ですとか、これまでの歴史でございますとか、あと恩赦の趣旨あるいは先例の検討、あるいはこれらに関する資料などを収集いたしまして、それ相応の努力は払ってきているというふうなつもりでございます。
#48
○喜岡淳君 もう一つお尋ねいたしますが、政令恩赦の問題です。
 政令恩赦について具体的に今世間の関心が集まっておるのは御承知のとおりだろうと思います。その政令恩赦について妥当性、合理性、これについては一番疑問が呈されておるところであるのは御承知のとおりであろうと思います。政令恩赦の刑事政策的な意義について御説明願いたいと思います。
#49
○説明員(栃木庄太郎君) 先ほど申しましたように、国家の節目となる社会的あるいは国家的な意義のある事象の際に政令恩赦が行われてきたということでございますが、そのような際に罪を犯した人の改善更生あるいは社会復帰を促すという趣旨で政令恩赦も行われてきたというふうに承知しております。
#50
○喜岡淳君 さて、この政令恩赦の問題ですが、政令恩赦については内閣で基準をつくってやられるわけですから、当然国民の側から見るとさまざまな疑念が生じやすいというのは御承知のとおりだろうと思います。政権政党の思惑によって動かされているんではないかとか、いやそんなことはないとか、そういう疑念が一般的によく議論をされております。
 そこで今回、官房長官、政令恩赦はやられる方向で御検討されておるんでしょうかどうでしょうか。あるいはやらない方向で検討が進んでいるんでしょうか。
#51
○国務大臣(河野洋平君) 先ほどから申し上げておりますように、いかなる恩赦を行うかということについては事務当局においてまさに慎重に検討中というふうに承っておりまして、委員おっしゃるような中身については現在私は承知しておりません。
#52
○喜岡淳君 先ほどからお答えしておりますとおりということでございますが、私も先ほどからお聞きをいたしておりますとおり、やはりこの問題は非常に関心事でございます。河野官房長官に対する国民の期待というものは長官御自身ひしひしとお感じのことだと思います。政令恩赦については、もうこの時点でございますから、政治改革の議論も大きなうねりの中でございます。やはり官房長官としての姿勢というものは明確にしていただきたいというふうに思います。改めてお尋ねいたします。
#53
○国務大臣(河野洋平君) まことに繰り返しで申しわけございませんが、後藤田法務大臣から、今回恩赦を検討するに当たっては慎重に検討をするよう事務当局に言ってあるという御発言がございました。恐らく喜岡委員がおっしゃるような意味で、いろいろな意味で慎重なお考えが進んでいるというふうに思います。
#54
○喜岡淳君 これも新聞報道でありますが、これは事実か否か、お答えいただきたいと思うんです。「政府は現在、「政令恩赦の一つである復権令と、「特別基準恩赦」の両方を組み合わせる方式を軸に検討を進めている」、これは事実でしょうか。
#55
○説明員(栃木庄太郎君) 恩赦につきましては、先ほど来から官房長官もお答えしておりますように、慎重かつ抑制的な方向で検討するよう法務大臣の指示を受けまして準備を進めているというところでございまして、その内容についてお答えするというような段階ではないというふうに理解しております。
#56
○喜岡淳君 もう一つお尋ねいたしますが、「政令恩赦、実施せず」、これは事実でしょうか。
#57
○説明員(栃木庄太郎君) その点につきましてもただいまお答えしたのと同じでございまして、内容についてはまだお答えする段階ではないというふうに理解しております。
#58
○喜岡淳君 やはりこの政令恩赦の問題は、特にこういう時期でありますし、私はもしこんな政令恩赦で、それは恩赦の内容にもよると思いますけれども、それこそ皇太子の御結婚に当たり汚点を残すような恩赦があってはならないと思います。恩赦に当たっては、私はそういう点についても配慮すべきだろうと思いますので、改めてこういった政令恩赦について官房長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#59
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど来から御答弁申し上げておりますように、恩赦の検討に当たって後藤田法務大臣は、事務当局に対して抑制的に考えるようにという御指示をなさったということを私は承知いたしておりますが、それ以上の中身については承知をいたしておりません。
 私の感想を申し上げれば、後藤田大臣の指示をされた、抑制的に考えて検討をしてほしいという御判断に私は賛意を表したいと思います。
#60
○喜岡淳君 復権の問題ですが、これも報道によれば、特別恩赦に限定して復権はやらないという非常に断定的な報道もございますけれども、この復権の問題についてどういうふうにお考えでしょうか、復権の問題です。
#61
○説明員(栃木庄太郎君) 委員の御質問は、復権というのは恐らく復権令の意味であろうかと思いますが、その復権令は先ほど来から申し上げております政令恩赦の一つということでございまして、これまでの私の答えを引用させていただきたいというふうに思います。
#62
○喜岡淳君 時間が参りましたので、これで終わるわけですけれども、この恩赦の件については、やはりこの際きちんとした議論をしておくべきではないかというふうに思います。私の個人的な意見がとは思いますけれども、ぜひこの際、恩赦については国民の納得がいくような、国民の声が反映できるような恩赦のあり方について検討すべきだと思います。
 特に、私は個別恩赦を充実させるという方向性、政令恩赦については国民世論を反映させる仕組みを何らかできないものかどうか、さらに、個別恩赦をやるようにすればいわゆる公職選挙法の違反者が一律に復権することにはなりませんので、この点は非常に国民世論として受け入れられるものではないかというふうに思います。
 さらに、そういうふうにすれば、対象者の感情なども考慮してそれぞれ復権が妥当かどうかということは個別に審査といいますか、判断されていくわけですから、そうしますとなぜこの人が丸になったか、国民の疑念も晴れていくわけです、一人一人について。明確な判断ができるわけです。
 ぜひ、そういう意味では、今回の御成婚を契機に、御成婚にふさわしい恩赦のあり方というものをやはり検討すべきではないかというふうに思いますけれども、その点について法務省と官房長官にそれぞれ御意見を聞かせていただきまして、終わりたいと思います。
#63
○説明員(栃木庄太郎君) 貴重な御意見を承っておきます。
#64
○国務大臣(河野洋平君) 喜岡委員の御意見は、よく法務省にも私からお伝えすることとしたいと思います。
#65
○喜岡淳君 終わります。
#66
○聴濤弘君 提案されている法案についで、この際、憲法との関係についで基本となると思われる点を質問したいと思います。
 第一番目の問題は、皇太子の結婚の日を休日とするという法案に関連してですが、憲法との関係で第一に質問したいのは、結婚というのは憲法の二十四条でも決められておりますように、両性の合意のみに基づいて成立するという、両性の、二人の私的行為である、その二人がどのような家に属していようとも私的行為であるということについては違いがないと私は思いますが、その点についてまず見解をお聞きしたいと思います。
#67
○政府委員(宮尾盤君) 結婚ということについての一般的な考え方は、それは両性の合意に基づいて行われるわけでございまして、民間の結婚式におきましては御両人のそれぞれの家と家とで行われる一つの儀式、こういうふうに考えるわけでございます。
 ただし、皇太子殿下の御結婚につきましては、これは、皇太子殿下は、将来、国の象徴あるいは国民統合の象徴というお立場につかれる皇位継承順位第一位の地位においでになる方でございますから、一般の結婚とはやはり違った考え方をとってしかるべきだろう、こういうふうに考えております。
#68
○聴濤弘君 今、そういうお答えがありましたけれども、しかし、国事行為というのは憲法で厳格に定められているわけでありまして、天皇家が行うことであれ、皇太子が行うことであれ、それが国事行為であるというところへ進むのには幾つもの媒介法が要ると思うんです。皇位継承者だから国事行為になるということにはならぬと思う。憲法には国事行為というのはきちっと決められているわけです。一挙にそこへ飛躍するという論理は、私には今の御説明では納得しかねます。
 どのようにして、皇位継承者であるということから一挙にこれが国事行為になる、これは憲法のどの部分に基づいでそう主張されるのか、御説明願いたいと思います。
#69
○政府委員(宮尾盤君) 憲法第七条第十号には「儀式を行ふこと。」ということがあります。憲法第七条には国事行為が幾つか掲げられておりますけれども、その中で、国の行事あるいは儀式を、国事行為としてどういうものを行うか、こういうことについては、これは儀式、行事の内容、性格、こういうようなものに基づいて内閣が決定をする、こういう考え方に立つでおるわけでございます。
 そこで、今回の皇太子殿下の御結婚でございますが、皇太子殿下は先ほど申し上げましたように皇位継承順位第一位の方でございます。そして、将来天皇という地位におつきになる方であります。あろう、こういうふうに判断をいたしまして、その一連の儀式、行事のうちの結婚の儀、朝見の儀、宮中饗宴の儀、この三つの儀式はそういう根幹的なものだろうということで閣議決定によりまして国の儀式とする、こういうことが決定をされたということでございます。
#70
○聴濤弘君 この際ですからきちんと聞いておきたいんですけれども、今御説明のありました憲法第七条第十号にあります「儀式を行ふこと。」我が国の憲法においては、そういう皇位の世襲制というものを当然認めておることは御承知のとおりでございます。そして、皇太子殿下の御結婚というのは国民が久しく待ち望んでいた事柄でございまして、大変国民の関心も高く、国民的な慶祝慶賀の対象になるということが言えると思います。
 そういうような理由からいたしまして、皇太子殿下の御結婚の根幹をなす儀式につきましては、国の儀式としてお祝いを申し上げることが適当でということですが、憲法制定当時には、この問題を私調べたんですけれども、余り議論されてないんです。「儀式を行ふこと。」という中身は何かという議論がされてないんです。これは私が調べたんです。
 実際上、それでは憲法制定当時、この「儀式を行ふこと。」ということで何を具体的に指そうとしていたのか、このことについてお伺いします。
#71
○政府委員(宮尾盤君) 憲法第七条第十号の「儀式を行ふこと。」ということにつきましては、その規定からは具体的なことが出ておりませんけれども、これはいかなる儀式が象徴たる天皇が主宰をして行うことが相当であるか、こういう考え方に基づきまして内閣が判断をする。つまり、天皇の国事行為については内閣の助言と承認に基づいて行われる、こういうことになりますので、内閣の助言と承認というそのことのもとにいかなるものも国事行為として行う、こういうことになるわけでございます。
 御承知のように、毎年恒例のものとしては、例えば新年祝賀の儀というのが一月に行われておりますけれども、こういうものが閣議決定によりまして国事行為として毎年行うということにされております。
 なお、それ以外の事柄につきましては、例えば昭和三十四年における現在の天皇陛下の御結婚の儀式あるいは最近におきましては即位礼の儀式、こういったようなものはその都度閣議で国事行為として行う、こういう御決定に基づいてとり行っているというわけでございます。
#72
○聴濤弘君 最初に申しましたように、憲法との関係で基礎的なことをきちっとしておきたいというのが私の質問の趣旨でありますので、もう一問それとの関連で質問しますが、この七条の国事行為というのは、憲法に、この国事行為は国民のために左のことを行う、「国民のためにこというふうに書かれております。
 皇太子の結婚が国民のために行われる、あるいは結婚式が国民のために行われるというのは一体どのように説明をされるのか、お答え願いたいと思います。
#73
○政府委員(宮尾盤君) まず、先ほど申し上げましたように、皇太子殿下は皇位継承第一順位の方でありまして、将来憲法に定めでおります国の象徴あるいは国民統合の象徴という立場につかれる方であります。そして、そういうお立場にあるわけでございますから、これは皇位の世襲性ということを定めておる関係からいたしまして、皇太子の御結婚というものについてはかねてから待ち望んでいた御慶事でございますし、国民の関心が非常に高い、国民挙げて慶賀すべき事柄である、こういう考え方のもとに天皇陛下が主宰をして国事行為として行う、こういうことが相当であろう、こういうふうに判断をされたというふうに考えております。
#74
○聴濤弘君 今、るる御説明ありましたけれども、国民が望んでいる、どの男女でも結婚をするということは周りの者が皆祝賀をする、望むということでありまして、特別にこれをすべての人々の上に置くという論拠というのは、今言われましたところによれば皇位継承者だということのみであります。
 私は、時間の関係もありますので官房長官にお伺いしたいんですけれども、この現天皇が結婚をしたときのそれを国事行為とし、休日にするということが国会で議論されましたときに、当時の高辻政府委員はいろいろその理由を説明されましたが、つまるところ「別に差しつかえないのではないか」、こういう答えをしておられます。今のような御説明があるんです。結論として別に差し支えないではないか。またもう一つの言い方で言いますと、同じ高辻政府委員は、「国事行為としないというのもいかがかというふうに考えられるわけであります。」こういういわば簡単に言うと、いいじゃないかというような立場である。
 ところが、今回、きょうの提案理由の説明では「国民こぞって祝意を表するためこういうふうに官房長官言われた。ここにはかなりの差があると思うんです。簡単に言うと、いいじゃないかというのが今度は国民こぞってだと、やはりそういうふうな形で出されますと、ここには強制ということが含まれてくるというふうに思わざるを得ない。かつてのところとは大分大きな差があるというふうに思いますが、官房長官はどのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
#75
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど喜岡委員からの御質問がございましたが、そのときにも申し上げましたが、三十四年当時に御結婚の儀当日を休日とするということもやはりもちろん法律があったわけでございます。その当時は議員立法でございますが、その当時提出をされました法律と今回御審議をいただいております法律案とはその趣旨、目的は全く同一のものであるということを先ほど御答弁をさせていただいたところでございます。
 委員も御承知のとおり、三十四年当時のものは法律の中に「国民こぞって」という文言が入っており、今回は提案理由の説明の中でそういう文言をつけ加えた、違いがあるかという御質問が先ほどございましたから、これは全くその趣旨、目的は同一のものでございますという御答弁を申し上げたわけでございまして、三十四年当時と今と特段今回別の目的をこの中に含めたということではございません。
 しかし、私どもは国民久しく待ち望んでおられた御結婚でございますから、できるだけ多くの方が祝意を表すことができる環境を整えるという意味で、この法律案を御提案申し上げているということでございます。
#76
○聴濤弘君 天皇家の私的行為である結婚ということを国事行為にするというのは、今御説明を受けましたが、やはり非常に無理のある説明であると私は思います。憲法の主権在民の原則に反するものと私は思い、この法案に反対するということを申し上げておきます。
 最後に、もう一問官房長官に御質問させていただきますが、先ほど喜岡委員が恩赦の質問に触れられました。喜岡委員は非常に原理的といいますか、理論的に質問をされました。私端的に質問しますけれども、一点だけ端的に質問しますが、現在金丸前自民党副総裁が脱税容疑で起訴されております。恩赦が行われた場合、この恩赦の中には原理的に言いますと控訴権の消滅というのがありますが、もしこの恩赦が適用された場合に金丸氏は免訴されるということになるのかどうなのか。
 すべて検討中と言われておりますけれども、しかしこういう問題についてはどのように判断をされるのか。もしそのようなことが起これば、国民はこういう恩赦のやり方というものを許さないと私は確信をいたしますが、官房長官はこの問題を含めてどのように、慎重に検討すると言われていることはどういうことを意味しているのか、こういう問題も念頭に入れているのか、官房長官の御意見をお聞きしたいと思います。
#77
○説明員(栃木庄太郎君) この件につきましては、個人の問題に関することでございますので、お答えするのは適当ではないというふうに考えております。
#78
○国務大臣(河野洋平君) 説明員が答弁したとおりでございます。
#79
○聴濤弘君 時間が来ましたので、これで終わります。
#80
○高井和伸君 民主改革連合を代表いたしまして、皇太子徳仁親王及び小和田雅子さんの結婚の儀に対して大変心うれしく思っております。
 そういったことを前提にしまして、ちょっと二、三確認的な質問をさせていただきますけれども、皇室行事のうち、国の儀式としている範囲はどれだけかという質問なんでございます。今回の場合は、休日に絡む皇室行事ということになりますとより限定されますけれども、天皇家というような言葉が先ほど出てきました。そういった場面で、国の行事ということで憲法七条十号による天皇が主宰する国の儀式としてとり行っている範囲は、一般的にはどういうふうに説明されますでしょうか。
#81
○政府委員(宮尾盤君) 皇室行事のうちで、国の儀式としてどのような範囲のものを取り上げているのかということでございますが、憲法七条十号に定めておる儀式というのは、我が国の象徴たる天皇が主宰をされて国の儀式として行うにふさわしい儀式を言うものでございまして、具体的にどのような儀式を天皇が主宰されることがふさわしいかということにつきましては、儀式の性格等を勘案いたしまして内閣の責任において決定をしておるということであります。
 ですから、個別にそのときどきにおいて判断をしていくのが多いわけでございますが、これまでの例で申し上げますと、新年祝賀の儀、これは閣議決定によりまして毎年一月一日に行う、こういうことが定まっておりますが、そのほかは皇太子成年式とか、皇太子結婚式における結婚の儀、それから大喪の礼、即位の礼、こういったようなものがこれまでの事例でございます。
#82
○高井和伸君 今までの質疑の総括をしますと、皇位の承継順位一位の方に限定している、このように伺ってよろしいわけですね。
#83
○政府委員(宮尾盤君) 結婚式について見れば、先般秋篠宮殿下の御結婚式がありましたが、この際には国事行為として行うことはいたしませんでした。
#84
○高井和伸君 それから、今度祝日の関係でお尋ねいたしますが、かつての皇室関係行事と関連しての祝日であった日が振りかえという概念ではないんでしょうけれども、新たな祝日ということでセットされてきたというか、国会でもちろん法律として成立して行われてきたということでございますけれども、後で私質問する五月一日の祝日との関係もありますが、こういった傾向は今後も続くんでしょうか。
#85
○政府委員(伊藤博行君) 国民の祝日に関する法律は、戦後間もない昭和二十三年に定められております。この法律に定められております国民の祝日の中には、沿革的に見れば皇室とかかわりのある日もございますけれども、新しい祝日法を制定する際におきましては、国民の祝日をそれぞれの日に即しての意義づけをした上で祝日法の中の内容とされておるというふうに理解しております。
 今後、国民の祝日を追加するという点についてでございますけれども、祝日法の改正につきましては、その議論の対象になります日一つ一つにつきまして、この法律の趣旨でありますところの「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」という、そういったこの法律の趣旨に照らしてふさわしいかどうか。
 それからまた、我が国が既に定めております祝日の数が現在既に十三日になっておりまして、数の上では諸外国、先進国等と比べましてもむしろ多い方になっておるということ。それからまた、祝日の増加は国民生活への影響もいろいろあるということ等を勘案いたしまして、それぞれにつきまして慎重に検討すべきものであるというふうに考えております。
#86
○高井和伸君 皇室関係のことでちょっとさかのぼったような質問になりますけれども、関連して一つだけ質問させていただきますけれども、皇族の方々が御臨席される行事というのをいろいろニュースで見聞しております。
 そういった中で、そういった決定手続はどのようになっているのかということを教えていただきたい。特に私企業、私会社のいろんな記念行事だとかそういったことに出られるのか出られないのかということも興味の一つでございますけれども、特に私的な部分と公的な部分もおありかと思います。そういった私的部分はそれは自由である、公的部分はこうであるというような基準があるならば、それをちょっとお知らせ願いたいと思います。
#87
○政府委員(宮尾盤君) 皇族方の行事への御出席につきましては、これは宮内庁がいろいろお世話を申し上げながら御相談をして決めていく、こういうことが基本になっております。
 それで、私的なものというのは、もちろんそういうケースもありますけれども、これはどういう性格の行事であり、またそういうものに御出席をされる必要があるかないか、いろいろな御交際等の問題もありますから、そういう中で判断をされておるわけでございます。
 公的なものについての御臨席の場合には、これは私的な場合も公的な場合も同じでございますが、それぞれその主催者といいますか、要請をする方からの要望がございましてこれが出てまいります。その行事の趣旨、性格等をお手伝いをする私ども宮内庁の方でいろいろ判断をいたしまして、御臨席されるのにふさわしいか否かということをまず判断をして、そしてその上で皇族さん方の御日程がそれにうまく御都合ができるかというようなことを御相談して決めていく、こういうのが一般的な決定手続でございます。
#88
○高井和伸君 休日の関係に戻ります。
 五月一日、メーデーと言われておりますけれども、この日を国民の祝日にするということで私は国民の意識は熟しているのじゃないか。先ほどから何度も言われますが、こぞって祝うということになれば、勤労者あるいは労働者という立場から最もふさわしい、フィットすることじゃなかろうか。統計的な数字を見ますと、大体国民の半分は勤労者あるいは働く立場にある。
 時間もありませんが、端的に、五月一日を国として、政府として祝日にするお考えはありませんかという質問になりますが、そういう考えはないと言うならば、その理由は何なのかというのを端的にお答え願いたいと思います。
#89
○政府委員(伊藤博行君) 五月一日のメーデーを国民の祝日にすべきではないかという御趣旨の御質問でございますけれども、この日を祝日にするということにつきましては、先ほど来申しておりますように祝日法に定める祝日の趣旨に照らしていかがなものか、そういった観点からどうかということのほかに、現在既に同趣旨の祝日であります勤労感謝の日、十一月二十三日でございますけれども、既にその日が祝日になっておるというようなこと等を考えますと相当慎重に検討すべき課題ではないか。
 もう少し敷衍して申し上げると、そのほかに問題点として、五月一日を国民の祝日といたしますと、祝日法の規定によりまして、いわば祝日と祝日に挟まった日はまた休みになるというようなことから最低でも七日連続の休日になります。年によってはそれ以上に長くなります。
 特に、経済的なといいましょうか、金融市場あるいは中小企業の経営等に与える影響が非常に大きいというような点もございますし、それからまたそもそも現在の我が国の祝日の数が先ほど申しましたように十三日ございます。これは先進諸国と比べましてもむしろ多い方であるというようなことから、基本的に慎重に考えていくべきものではないかというふうに思っております。
#90
○高井和伸君 祝日に関する国民の意識調査、これをやったことが政府としておありなのか。何か祝日法施行直後にやったというような話を聞いておりますが、その後やっておられるのかどうか。やっておられないというのならば、特に五月一日を祝日にしたらいかがかというような世論調査をするつもりはないのかということを質問いたします。
#91
○政府委員(伊藤博行君) 国民の祝日に関する法律は、先ほど申しましたように昭和二十三年の制定でございます。それ以後の世論調査といいましょうか、調査といたしましては四回ございます。昭和三十五年三月、このときは祝日に関する一般的な調査を行っております。その後三回ほど、四十一年、五十三年、五十五年に三回行っておりますけれども、そのときには特定の日を想定しての調査でございます。
 内容の説明は省略いたしますが、最後に御質問になりました五月一日をこういった調査の対象にする気はないかという御質問につきましては、現在のところ基本的に慎重に考えるべきであるというスタンスで臨んでおりますので、あえて調査するという計画は持っておりません。
#92
○高井和伸君 これは、先ほどのお話、いろいろ細かいことはそれなりに理解できますけれども、いよいよ官房長官に登場願って御答弁をいただきたいんですが、世界各国においで五月一日、レーバーデーだとか、ワーカーズデーだとか、メーデーだとか、これによって設定されているのが、労働組合の連合体の連合の調査によりますと百二十五カ国ある。大体先進国はみんなやっておるという状況。
 先ほど勤労感謝の日これありというようなことをおっしゃいましたけれども、これもあえて言えば旧皇室方のある種の記念日を振りかえた要素が多々あるというようなことで、先ほどから前置きの質問をしておいたわけでございますが、そういったこと。
 それから、これは官房長官、総理大臣の今回の施政方針演説の中でも生活大国ということでライフサイクルの関係だとかいろいろおっしゃいます。先ほど、技術的なことで事務方としての答弁としては理解できても、世論調査する気はないというようなことをおっしゃいますけれども、そんなことを言わずに、これは働く人の統計によると六千七百万人ぐらいが勤労者という立場にあります。
 勤労感謝というのは、これは非常に抽象的な概念でありまして、働く生身の人間、生活大国という勤労者に対する祝意がそこで述べられているかというと、これはちょっと昭和二十三年当時と今と大分時代がもう変わっておりますし、日本の経済状況も変わっております。金融機関だとか、いろんな行政のサービスだとか、そういった問題もあるかとは思いますけれども、もうそろそろ熟しておるのではないかと私は思います。
 そういうことを含めて、今後の取り組みを、それから障害となっているのはどういうところなのかを含めて、内閣を代表して官房長官の前向きな御答弁をいただきたいと思います。
#93
○国務大臣(河野洋平君) 高井委員がかねてから五月一日の祝日化に努力をしておられることは私も承知をいたしております。
 しかし、今事務当局から申し上げましたように、祝日についての御要望はいろいろな種類があることもこれも委員御承知のとおりでございます。ちなみに、環境の日、家庭の日、海の日、障害者の日、こういった日が五月一日以外にも要望として出てきております。
 そうした中で、基本的に十三日という祝日の数をもっとふやすことがいいかどうかという議論をひとつしなければなりません。これは、今委員おっしゃったように生活大国という見地から少し休日が多い方がいいのではないかという、これも一つの御意見であろうと思います。
 しかし一方で、中小企業を初めとする方々の中から、なかなかそういうことではという声も聞こえていること、これもまたよく聞かなければならないことであろうと思います。
 さらにもう一点、この祝日に関しての議論の中で、もし仮に祝日をふやすとするならば、余り集中しないでシーズンが少し分かれた方がいいのではないかという有力な意見もございます。いや、一カ所に固めて、バケーションのように日にちがとれる方がいいという御意見ももちろん一方にございますけれども、余り休日が一カ所に偏るということはいかがかという御意見もございます。これは、季節によって大変忙しい業種で働かれる方々にとってはやはり大事なポイントとなるだろうと思います。
 そうしたさまざまな要請、さまざまな注意事項、そして根本的に我が国がさらに休日をふやしていくことがいいかどうか、こういった議論は大いにしなければならない議論であろうと思います。時に国会においてもこうした議論が活発に行われるということも必要かと思います。
 さてそこで、委員が御指摘になりました国民の意識を調査してみてはどうか、こういうことでございます。先ほど政府委員から御答弁を申し上げましたように、過去四回にわたって調査をいたしております。しかし、この調査は必ずしも五月一日を休みにすることがいいかどうかと言って調査したわけではございません。一般的な祝日と申しますか、休日に関しての意識を調査したという実績がございます。
 そうしたことをいろいろ参考にしながら祝日法案といいますか、この法案をさらに改正するかどうかについではまだまだ議論が成熟するのを待つことが大事だというふうに考えまして、今直ちに調査をするという予定はございません。
#94
○委員長(守住有信君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(守住有信君) 御異議ないと認めます。
 討論につきましては、理事会の協議により行わないことといたしましたので、これより両案について採決に入ります。
 まず、皇太子徳仁親王の結婚の儀の行われる日を休日とする法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#96
○委員長(守住有信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、日本国憲法第八条の規定による議決案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(守住有信君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(守住有信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#99
○委員長(守住有信君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#100
○翫正敏君 防衛庁長官と教育訓練局長に質問いたします。
 資料を事前に三点お渡ししてございます。教育訓練局長及び防衛庁長官は事前に見ていただいていると思いますが、まず最初に、見ていただいておるかどうかだけ最初に一点だけ確かめます。
 毎日新聞の大阪本社が本社版で四月二十一日付朝刊に大きく取り上げました。陸上自衛隊の調査学校が占領下を想定して諜報、武装蜂起の訓練をやっていた、偽名で募金の実習をやっていた、さらに、まるでスパイ映画のようなこと等をしていた。「「文民統制逸脱」の批判も」、「国民への詐欺行為」というような大きな新聞記事がございますが、これをコピーで事前にお渡ししてございます。教育訓練局長も防衛庁長官もこれを読まれましたでしょうか。
#101
○政府委員(諸冨増夫君) はい、拝見させていただきました。
#102
○国務大臣(中山利生君) 私も、教育訓練局長と一緒に拝見をいたしました。
#103
○翫正敏君 それで、前回の三月二十九日の本委員会におきまして、私、この点について十分ぐらいの時間で質問をいたしました。そのときに教育訓練局長の方から答弁いただきました点を、大事なところをちょっと線を引きまして、そこだけ、こういうことを確認していただいたということで申し上げます。
 まず、東京都小平市にある陸上自衛隊の調査学校の中で、心理戦防護課程という課程を設けて現在も教育をしているということですね。これがあります。
 それから二点目が、昭和五十年の十一月十日から五十一年の三月十一日までの間に陸上自衛隊調査学校の情報教育部第五教官室で教育実施計画、第十七期幹部心理戦防護課程教育実施計画が行われた。そのような期間にこの心理戦防護課程というものが確かに行われたと、こういうことが訓練局長から答弁ありました。
 それから三点目が、私がそのときに、受講生が卒業するに当たって「桐千葉」という名の卒業論文集をつくったということを指摘しましたところ、教育訓練局長からは、先生御指摘のような論文集というか、資料集のようなものをつくった記憶があるという者がいた、こういう答弁がございました。
 それからもう一点、局長は、この論文集や資料集みたいなものについでは、調査学校として指導してつくらせたとかという性格のものではなくて、私的に卒業生がそれぞれ任意につくったものである、このようにおっしゃった。
 数点、前回の質問と答弁の重要と思われる点を要約いたしましたが、間違いございませんでしょうか。
#104
○政府委員(諸冨増夫君) 間違いございません。
#105
○翫正敏君 そこで、事前にこれもコピーして渡してございます教育実施計画ですね。(資料を示す)これでございますけれども、これは教育訓練局長も防衛庁長官も事前に見られましたか。私が事前に資料をコピーでお渡しいたしておりますが、見られましたか。
#106
○政府委員(諸冨増夫君) 拝見いたしました。
#107
○翫正敏君 長官は。
#108
○国務大臣(中山利生君) 拝見しました。
#109
○翫正敏君 この第十七期幹部心理戦防護課程教育実施計画(五十年十一月十日〜五十一年三月十一日)、こうなっておりまして、これが情報教育部第五教官室と、こう印刷されております。中に日程表がこうずっと書いてございますが、こういう日程でこの当時の教育実施計画が行われた、このように理解してよろしいですか。
#110
○政府委員(諸冨増夫君) 先生御提示の文書を私拝見いたしましたが、先般も申し上げたとおり、当時の教育資料は修了後一年ぐらいをめどに全部破棄しております。したがいまして、御提示されましたこの実施計画書なるものが実際に調査学校で使用されたものであるかどうかという点については確認できないということでございます。
#111
○翫正敏君 これは当時の実施計画書であるということを否定されますか。
#112
○政府委員(諸冨増夫君) 肯定否定ができないということでございます。というのは、私どもきちっとした手持ち資料が存在しないわけでございますので、これが本物であるかどうかの論評はできないということでございます。
#113
○翫正敏君 否定はされませんね。
#114
○政府委員(諸冨増夫君) 肯定も否定もできないということでございます。
#115
○翫正敏君 現在、陸上自衛隊の調査学校の中で教育心理課程の教官をしている人、ある人ですね、名前はちょっと言えませんが、ある人がこの教育訓練を受講しているんですね。この人にこの計画について聞いてみましたか。
#116
○政府委員(諸冨増夫君) 先般も御説明いたしましたが、私ども防衛庁として一応調査をいたしまして、その調査内容については先日の委員会で御報告してございますが、今回、特に先生から御提示された資料を提示して確認をするというようなことは別に行っておりません。
#117
○翫正敏君 教育心理課程の現在の教官をしている人が当時受講生であったと、当時受講生であった人が現在教官をしているんですから、当然常識的に考えればその人にまずこういうふうにやったのか、もし資料がなければ、本当は当時の資料がないとおっしゃっているのは私おかしいと思うんですがね。うそをついているんじゃないかと私は思っているんですけれども、しかしあえてそういうことは言いませんが、その教育課程の人がいるんですから、その人に聞いて、こういうふうにやったのかどうかと、こう尋ねられたらよかったんじゃないですか。一月たっているんですよ、一月。どうして聞かないんですか。
#118
○政府委員(諸冨増夫君) 先ほども御説明いたしましたように、防衛庁としては、既にさる新聞に記事が出たのを契機といたしまして防衛庁としてできる限りの調査を行ったわけでございます。その調査の結果、私どもとしては一応の結果を得たわけでございまして、その後いろいろ先生から資料の提示ございますが、そういうものについて改めて調査する必要はないということで、別に本資料に基づいて確認等はやっておらないということでございます。
#119
○翫正敏君 そういうけしからぬことを言っておると、だんだん悪いことになりますよ。
 それで、もう一つ資料を事前にお渡ししてございますね。前回の局長の答弁の中で論文集とか資料集というようなものをつくったと、そういう話があると、こう言われたので私の方から「桐十葉」という題の十七期のこの課程修了者の論文集、これをコピーしたものを事前にお渡ししましたが、もちろん読んでいただいていると思います。確かめませんが、読んでいただいていると思います。これが前回答弁されましたところの論文集ないし資料集というものに当たるそのものであるかどうか確認されましたか。
#120
○政府委員(諸冨増夫君) 先生からいただきました「桐十葉」と思われる資料は私も拝見いたしましたが、これは前回も御説明いたしましたように、卒業生が任意に勝手につくったような文書でございまして、防衛庁として何ら責任のある文書ではないということで、このような文書について一々論評することはいかがかと思いますので、答弁は差し控えたいと思います。
#121
○翫正敏君 防衛庁長官も見られましたね。内容を見られましたね。
#122
○国務大臣(中山利生君) はい、拝見しました。
#123
○翫正敏君 勝手につくったと言われますが、これをつくった編集委員長は現在も自衛官の方ですよ。その人がつくった。その現職の自衛官の人が編集委員長をしています。名前はちょっと今言いませんが、その人にこれをつくったかどうか、写真もここにあるんですよ。(資料を示す)写真載っているでしょう、写真。写真載っているでしょう、二回。確かめましたか、現職自衛官に確かめましたか。
#124
○政府委員(諸冨増夫君) まことに恐縮でございますが、私も読んでみまして、ここに写真の出ておる人物を確認いたしますと、防衛庁に実在していないお方でございます、名前は。ましてここの編者の名前を見ますと、「隠密同心保存会」、発行者は「Dr・Necorronbo」、発行所は「北海道網走刑務所」というような非常に一見ふざけたような文書でございまして、私どもとしてはこういう文書について論評しても仕方がないんじゃないかというふうな考えでございます。
#125
○翫正敏君 そこまであなたおっしゃるんなら、三十四ページ見てください。ここに「恩師並びに十人衆の住所録」ということで、当時この教育訓練を実施した教官の名前四名、受講した名前十名、本名で書いてありますよ。これ認めますか。
#126
○政府委員(諸冨増夫君) ここに書いてございますことは、中には実在の名前も書いてございます。
#127
○翫正敏君 そんなことを聞いているんじゃないんだよ。名前を。
#128
○政府委員(諸冨増夫君) したがいまして、ここに書かれております当時の学生あるいは教官の名前の中には一部実在する人間もあるということは先生御指摘のとおりでございます。
#129
○翫正敏君 一部実在の人がいるんじゃないでしょう。この四名の人はそのとき教官で授業をした。あとの下の十名の人は受講した人でしょう。間違いないでしょう。どうして認めないんですか、そういうことは。名前を言ってないでしょう。認めなさいよ、そういうことは。
 この資料集が防衛庁の責任でつくったものなのか、それとも私的につくったものなのかということを言っているんじゃないんですよ。ここに書いてある内容のうち、この住所録が載って、当時の住所と氏名が載っているでしょう、実名で。この人たちはそうなのかどうなのか、答えてください。うそをついたらだめですよ。
#130
○政府委員(諸冨増夫君) ここに書かれているのは、先ほど言いましたように一部実名ということで恩師並びに十人衆というふうな住所録が書いてございますが、ここの名前が出ておる方々は当時実在した人間でございます。
#131
○翫正敏君 そういうふうに素直に認めればいいんです。
 じゃ、その内容にちょっと入りますが、個人的につくったものであろうが、要するにこういう訓練をしたかどうかという内容の問題ですからね。つくったのが防衛庁の責任であるかどうかというふうな問題じゃないんですよ、申し上げでおきますが。
 六ページ、七ページのところに一万円大作戦というものが書いてございます。どういうことをやったのかということを論文集ですから書いてございますので、ちょっと読んでみますね。
 「CPIに入校して最初の大きな実習であったせいか、今から思えば全員わからぬままにも全力とうきゅうをした様に思います。」CPIというのはカウンター・サイコロジカル・インテリジェンス、つまり心理戦防護課程ということをあらわすわけであります。答弁しなくても結構です。「特に生れて初めて「カバーネーム」なるものを用い、親からいただいた名前を一寸横において、スパイ映画の主人公になったような気分を味わった人もいるのでは 成果 十五口獲得」、こういうふうに書いてあります。
 それから、右のページの方へ行きますと、「ツチを求めて寒風の中をあっちヘウロウロこっちヘチョロチョロ、「やっぱり浮世の風は冷いわい」と思いつつも結果は何と今まで最高の十五口」、今まで最高ということは今までもずっとやっていたということをこれはあらわしているわけですね。こういうふうになっているんです。
 その下、ちょっと見てください、資料を。その下のところの名前、ちょっと言いませんが、ここに書いてある名前、「「ヤッター」と喜こんだのは教官と」名前言いませんよ、何とかさん「だけだった」と、こう書いてありますね。この何とかさんというのはどなたか知っているでしょう。答えてください。
#132
○政府委員(諸冨増夫君) ここに特定の名前が書いてございますが、私どもこの方がどういう方かは存じ上げておりません。
#133
○翫正敏君 東京都防衛協会という防衛庁を支援する外郭団体の事務局長をしている人でしょう。その人の名前がここに、当時も現在もしておられるでしょう。あなた、そんなうそをついたらだめなんやいって言ってるでしょう。そういうことぐらいは認めて、その人が喜んでくれたと。だからこの一万円大作戦でお金を十五万円寄附を集めて、そしてこの東京都防衛協会へ持っていったんでしょう。
 そうしたら、防衛協会の○○さんは結構な寄附を集めてもらってといって喜んだわけでしょう。そう書いてあるじゃないですか。これ、なぜ認めないんですか。
#134
○政府委員(諸冨増夫君) 今、先生いろいろ肩書をおっしゃいましたが、この六ページにはそういうことは一切書かれておりませんで、ただ名前だけが書かれておるということですので。私も東京都防衛協会の吉富さんという方は、そういう肩書つきの方であるということはよく存じておりますが、ここに書かれているのは、そういう東京都防衛協会というような名前が載っかってないということを申し上げておるわけでございます。
#135
○翫正敏君 名前はあなたが言ったんですから、私が言ったんじゃないですから、よく覚えておいてください。
 それで、この一万円大作戦というふうなものが、私の調査によりますと昭和五十年の十一月二十五日から二十九日にかけて基礎実習の中で行われたと、こういうことですが、お認めになりますか。
#136
○政府委員(諸冨増夫君) 私ども、先ほども御説明しておりますが、一万円云々と先生おっしゃいますが、そういうことについては、調査した結果、防衛庁としては御指摘のようなことについて、当時の教官、学生の中の聞き取りでございますが、記憶が定かでないということで確認できなかったということでございます。
 いずれにしても私ども、教育内容でそういう違法性といいますか、先生何か問題があるとおっしゃっていますが、そういうふうな教育は行ってないということが調査の結果でございまして、こういう何といいますか出所不明の資料にいろいろ書かれておるからといって、それを証拠にやったというようなことにはちょっと結びつかないんじゃないかと。
 いずれにしても、公に私ども調査をいたしまして特定するわけでございますので、こういうふうな文書に基づいてどうだこうだと言われても、ちょっと私どもとしては内容について論評することは差し控えさせていただきたいというごとでございます。
#137
○翫正敏君 防衛庁長官に資料を事前に見ていただきましたでしょう。二十六ページのところに写真があって、この写真で活字を拾っているところがあります。「こんなカッコウじゃあ活字はひろえない」と、こういうふうに書いてあるんですがね。活字を拾う、こういうのは教育訓練課程の中にありますね。出所不明の話じゃないですよ。活字を拾う、こういうのはありますねと聞いているんですよ。ないですか、ありますか。
#138
○政府委員(諸冨増夫君) 現在、調査学校にはこういうふうな活字を拾うといいますか、こういう場所はございません。
#139
○翫正敏君 当時は。
#140
○政府委員(諸冨増夫君) 当時は、ちょっと調査してみないとこれはわかりませんが、調査の結果でも何といいますか、どういうことをやったのか、ここに書いてある文章の中身について一々どういうことをやったというようなことについては私どももう既に調査済みでございますので、個々の内容について一々確認するというようなことについでは御容赦いただきたいと思っておるわけでございます。
#141
○翫正敏君 なるほどね、そうおっしゃるんですか。
 それでは、一万円をせっかく出して自衛隊に協力しよう、防衛協会に協力しようというふうにして協力してくれた人、それからさらには協力はしなかったけれども、自衛隊員に協力してもらえないかということで声をかけられた人は随分いると思うんですが、そういう人たちに対しても何ら所感をお持ちではないと、防衛庁長官、そういうことになりますか。全くこの文書については出所不明の怪文書で、これについて関知するところでない、内容に何が書いてあろうが知らないと、こう言い張るんですか。防衛庁長官、答えてください。
#142
○国務大臣(中山利生君) 我が国の防衛を守るという場合には、あらゆる事態というものを考慮していかなくてはなりませんし、専守防衛ということになりますと、いろいろ情報関係の仕事もしっかりとやっていかないと任務が達成できないということだと思います。しかし、それが先生御指摘のように今のスパイ映画もどきの仕事が行われて、しかも一般の国民の方に御迷惑をかけるというような形で行われるということは、もしそういうことが、もしの話でありますが、あったとしたら、これは行き過ぎであろうと思っております。
 教育訓練局長も、先生の御指摘に基づきまして、そういうことが実際にあったのかどうか、現在はどうなのかというようなことをかなり徹底して調べてもらいました。その結果、先ほどから御報告を申し上げておりますように、その事実が定かではない、現在はそういうことは行われていないという結論に達したわけでございます。
#143
○翫正敏君 現在行われているかどうかという問題はもうちょっと後でやりますけれども、とにかく、当時こういうことが行われたかどうかということを今確かめておるわけであります。
 現在も、当時はもちろん自衛官でございますが、現在も十名の受講生の中の四名の人は現職自衛官であります。そういう人の中の一人は、先ほど言いましたように「桐千葉」を編集した編集長であります。さらには、先ほども言いましたようにもう一人の人は現在陸上自衛隊の調査学校のCPIの教官をしておられる、こういうことなんですね。また、あとの二人の人はそれぞれ調査隊というところで仕事をしておられる、自衛隊の調査隊で仕事をしておられる。
 こういう重要な役職にあられる人なので、そういうふうに全面的に否定をされて、怪文書だとこうおっしゃるということになりますと、これはこの方々が個人的にやったということになりますね。
 そういうふうになりますと、私としましては、これは詐欺行為に当たるし、詐欺行為が時効であるとこう頑張られるのならば、自衛隊員たるにふさわしくない行為であるということは間違いないことだということになりますので、これはいろいろとまたこっちも構えなきゃならないわけであります。
 こういうふうに怪文書であるから内容についで一切知らない、関知しない。つくったのは防衛庁だと私言っているわけじゃないんですよ。訓練局がこの論文集をつくったと言っているわけではないんですよ。編集したのは当時も自衛官、現在も自衛官、これを受講した人であるということを言っているわけでありますので、そういうものについでそう全面的に否定をされるということは困ったことになりませんか。ある程度認められた方がいいんじゃないですか、局長、防衛庁長官、どうですか。
#144
○政府委員(諸冨増夫君) 再三同じ答弁になって恐縮でございますが、私ども防衛庁として調査をしたわけでございます。調査をした結果、先生がいろいろ言われておりますような、法的に問題があるような教育をしたという事実は全く特定できなかったし、現在もそういうことは行われていないということでございます。
 先生御指摘の「桐十葉」にいろいろ何か、それらしきことが書いてあるから当然やったというような御指摘のようでございますが、私どもの調査も厳正にできる限りの調査をやったわけでございまして、その調査の結果、御報告申し上げているように法的に問題はなかったという結果が、結論といいますか、出ておるわけでございます。
 この文集と私どもの調査結果とは、そういう意味では余り関係ないといいますか、調査自体は厳正に行った結果を申し上げておるということでございまして、この資料についての論評を、私が公の立場でいろいろ申し上げるのはいかがかと思うということを申し上げておるわけでございます。
#145
○翫正敏君 九ページを見ていただきたいんですが、この九ページのところに十名の人たちの名刺が載っておりますね。これの題が「欺騙」とこう書いてある、欺願、人をだますと。「教訓」というところで「うそはドロボウの始まり」、こういう教訓が書いてあります。
 こういう欺願という、人をだます訓練、にせの名刺を使って、これは先ほどの一万円大作戦で募金をして歩くときにもこの名刺を使ったのだろうと思いますが、さらには長野県松代市などにおきまして、総合活動ということで人脈調査、その市内で有力者はだれか、この辺の地区を動かしているのはだれかというような人脈をいろいろ調査をするという、調査学校ですから調査活動をするんでしょうけれども、その調査をするに当たってこの「歎願」と題する名刺をつくった、こういうふうに書いてございます。
 この十人の名刺を見ますと、先ほど言いました、見せました、お認めになりました実際に受講された十名の方とは違います。ただ、ここに書いてあります肩書を見ますと、この肩書のうち少なくとも四つですか、この肩書は当時実在する会社であったり、また学校であったりするわけです。こういうものを使って人脈調査をしたということは教育課程の中にあったんじゃないんですか。
#146
○政府委員(諸冨増夫君) こういう名刺を印刷して、名前をかたって云々というようなことは、一切その調査の結果そういうことはないということでございます。
#147
○翫正敏君 どこどこまでも否定をされるということを貫かれる方針を決められたようでありますけれども、そういうふうにして否定をし続けておられでもよくないと私は思うんです。
 じゃ、にせの名刺をつくったというようなそういう訓練、これで人脈調査をしたというようなこと、そういうような訓練は調査の結果、その当時行われなかったと、局長は断言されるわけですね。
#148
○政府委員(諸冨増夫君) 私ども、調査の結果はあくまでもそういうことで、内容的に違法なことは一切やっておらない、法的に問題があるようなことはやっておらないということで結論を申し上げているわけでございます。
#149
○翫正敏君 自衛隊員たるにふさわしくない行為であるか、自衛隊員たるにふさわしい行為であるかということを問題にしておるんであります。自衛隊としての訓練内容として適切な訓練であったのか、それともそうでなかったのかということを問題にしておるのであります。そういう点に立ってもう一度答弁してください。
#150
○政府委員(諸冨増夫君) 何を基準に自衛隊員云々というのは、私も先生の質問の御趣旨がちょっとわかりかねるわけでございますが、私ども、教育目標といいますか、内容については、十分に学校当局の方から事前に御報告を受けておりますし、事後にも教育内容についての報告を受けているところでございまして、教育内容そのものについてちょっと公表するわけにはまいりませんが、内容的に法的な問題があるというようなことは一切ないということを申し上げているところでございます。
#151
○翫正敏君 じゃ、次に投書作戦へ行きますが、十一ページ見てください。十一ページに投書作戦というのがあって、五十一年一月十日から一月三十一日まで投書作戦をした。こういうことで五通ぐらいの投書が切り抜きでここに書かれております。こういう投書作戦という、投書作戦という名前がどうかは別にして、偽名を使って自衛隊員の受講者が新聞に投書したという、こういう事実はありますか。当時の訓練の中でありましたか、ありませんでしたか。
#152
○政府委員(諸冨増夫君) 投書をしたということにつきましては、私どもの調査の結果でも、学生の中で偽名といいますか、教官の奥様の名前なんかを御本人の了解を得た上で、いろいろなマスコミといいますか、のところに投書をしたということは確認してございます。
#153
○翫正敏君 教官の奥さんと言われましたね。
#154
○政府委員(諸冨増夫君) はい。
#155
○翫正敏君 この資料の福田文子というのはどの教官の奥さんですか。
#156
○政府委員(諸冨増夫君) ちょっと細部の名前その他は差し控えさせていただきたいのでございますが、私ども、どういう名前でだれが投書したと、そういうふうなところまでは特定できなかったわけでございますが、いろいろ当時の教官、学生に聞いてみますと、いろんな新聞へ投書をしたんだということを確認したということで、あくまでも私は先生御指摘、御提示のこの文書に書かれている、これを認めているわけではございません。
#157
○翫正敏君 じゃ、そういう投書をしたかどうか確かめますよ。
 年はこの年ですね、昭和五十一年。一月二十九日木曜日付の新聞に「駅構内の除雪職員はどこに」、こういう題で自衛隊員の受講者が投書した、こういう事実は把握をしましたか。
#158
○政府委員(諸冨増夫君) 個人個人の名前、だれがどういう名前で、いつどういう新聞に投書したということまでは特定できなかったというのが調査結果でございます。
#159
○翫正敏君 そういうことをおっしゃいますが、あなた、これをインチキな資料だ、でたらめだ、出所不明だ、こうおっしゃいますが、私はこの資料をもらって、ここに切り抜いてある新聞を、国会図書館で全部当時本当に投書が載ったのかどうか調べました。その結果、ここに載っているのは全部当時の新聞に、それも大新聞に全部載った投書であるということが明らかです。ここに資料があります。当時の新聞のコピーです、これ。
 昭和五十一年二月七日、○○新聞に「今こそ青少年に徳育を」、「雪まつりが教えてくれたもの」、こういうふうにして載っているわけです。「自衛隊への偏見排せ」、これも二月八日に載っています。(「いい意見だ」と呼ぶ者あり)内容の善悪を今言っているんではありません。内容の善悪を言っているんじゃなくて、そういう自衛隊を賛美する内容の投書を、それを当時の教育内容として行って、そしてそれを、局長のおっしゃる言葉で言えば教官の奥さんの名前を同意を得て使ったと、こう言われましたね。
 しかし、少なくとも自衛官本人じゃないことは間違いありませんよ。本人があたかも別の人であるかのように装って、そして自分が自衛官ですから、自衛官が自衛隊をみんな支持してほしいという気持ちを持つ、これは私否定しませんよ。しかし、そのときにこういう名前を使って、それも教育訓練の内容として行ったということであれば、これは問題じゃないですか。自衛官としてふさわしくない行為だ、こういうふうになりませんか。大丈夫ですか。
#160
○政府委員(諸冨増夫君) ふさわしくないとかふさわしいという論評の前に、私どもが調査した事実関係を踏まえて内容をちょっと御説明させていただきたいと思うのでございます。
 第一点は、私ども学校当局にこういうことをやれとか、まずそういうことを指示して行われたわけでも何でもございませんで、教官の創意工夫というようなことで当時行われたようでございますが、これも特定できなかったわけでございます。だから、学生があるいは自発的に行われたかもしれません。いずれにしても、どういう状況で実施されたかということについては特定できなかった。
 それから、内容をちょっと御説明いたしますと、今先生若干お触れいただきましたが、本人が主張したかったようなテーマ、いわゆる自衛隊としてはこういうところでいろいろ黙々と汗を流していますというようなことを訴えたい。それからもう一つは、日常生活の中からいろいろ感じたり訴えたかったようなことを一社会人として見解を表明したかった。
 したがって、決して政府の政策に抵触するようなことを訴えたわけでもなく、また、投稿に当たっていろいろ教官とか家族の名前を使っておりますが、これは事前に御本人の了解を得て実施されておるというようなことから考えまして、私どもの調査では、こういうことが行われたことに対しまして、先生の御意見いろいろ種々の御評価はあろうかと思いますが、私としては法的に特段問題はなかったんではないか、このように考えているわけでございます。
#161
○翫正敏君 防衛庁長官、社会の公器たるマスコミの新聞ですね、こういうものに現職の自衛官が、それも教官の指導などを受けながら、新聞投書作戦と名づけていたかどうかは別として、とにかく自分の名前でない別の人の名前を使って、そしてこういう投書をするという、こういうことを教育訓練の一環として行うということは私は問題があると思うので、これはこの投書を掲載した新聞の名前はもちろんさっき言いましたように私わかっておりますが挙げませんけれども、こういう新聞に対してやっぱり防衛庁長官として所感の一端を述べられた方がいいと思うんですね。
 それから、その新聞を当時読まれ、今日もその新聞を購読しておられる何千万という国民の人たちにもやはり一言あってもよろしいんじゃないかと私は思いますが、防衛庁長官、どうですか。この社会の公器たる新聞を使ってこのようなことを当時したということについて何か御所見をお述べください。
#162
○国務大臣(中山利生君) 先生がおっしゃっておりますように、この種の投書を組織的に意図的に行うたということであれば大変問題であろうと思いますが、自衛隊員個人個人として、自分の体験等を通じてそれを新聞に重見を発表するということは決して不合理な問題ではないのではないかと思っておりますし、先生からいただきました投書のコピーも、これも実在のものであろうと思っておりますが、それが先ほど先生から言われておりますような意図のもとに出されたものであるかどうかということもはっきりしておりません。
 私どもも、何か局長が一生懸命隠しているというような印象を与えているようでありますが、国民の皆さんに不要な誤解とか疑念を持たれるということは自衛隊の活動のためにも非常に残念なことでありますので、そういうことのないように事実関係はできるだけはっきり究明をして報告すべきだということで局長の方でも最大限の努力をした、その結果が先ほどからの報告になったというふうに私は考えております。
#163
○翫正敏君 自衛隊員個々人が個人の責任においで、そして同意を得て人の名前をかりて出した、あくまでこういうふうにおっしゃるんですか。それともこれは教育訓練の内容として、どういう教育訓練内容かといえば、前回、局長がおっしゃったように日本が占領下に置かれた場合に、占領下とは言われなかったね、有事の場合を想定してと、こうおっしゃった。
 有事の場合を想定していろいろ心理戦というものがかけられる、そういうときにそれを防護しなければならない、そういうことのための訓練を今日もやっているんだということをお認めになりました。当時の教育訓練の内容としてこういうことをしたのかどうか、それとも個人の責任でしたのかどうか、これを答弁いただきたいので、局長、次いで防衛庁長官の順に答弁してください。
#164
○政府委員(諸冨増夫君) これは、内容は特定できなかったので私の若干推測でございますが、学生個人個人がそういう心理戦防護というような業務を実施するに当たって、自分の説得力であるとかあるいは文章作成能力を高めるとか、そういう個人の資質を高めるためにこういう投書をいろいろ書いて、それが一般社会に認められるのかどうか、そういうことを個人的に検証したんじゃないかと思われるわけでございます。
 したがいまして、こういうものは学校当局の方で当時どういう指導をしたかというのも特定できなかったし、恐らく教官とか学生がそれぞれ自発的に創意工夫といいますか、そういう経験に基づいてそういうことが行われたということで、大臣からも今答弁いたしましたように、組織的に私どもがそういうことを意図的に指導してやらせたとか、そういうことではございません。
 以上でございます。
#165
○国務大臣(中山利生君) 私も同じような意味で、先ほど申し上げましたように、これが組織的、意図的に行われたものではない、そういう調査の結果の報告をいただいておりまして、それを信頼しているところでございます。
#166
○翫正敏君 こういうことを個人的に自衛隊員が行ったということであれば、それはその行ったという自衛官の行動というものと、それからシビリアンコントロールというものとはどういうことになるんですか。シビリアンコントロール下に置かれて行動しなきゃならないんじゃないでしょうか。自衛隊員が勝手なことをしてもいいんですか、長官。局長ちょっと待ってください、これは教育訓練の内容じゃないですから。長官どうですか、シビリアンコントロールの上から許されるんですか。(「表現の自由だ」と呼ぶ者あり)自分で名のってやるなら表現の自由ですよ。
#167
○国務大臣(中山利生君) 我が国の防衛体制にとってシビリアンコントロールということはもう基本的な重大な課題でありまして、これを徹底していくということが我々の任務であろうと思っております。
 そういうことで、私は今現在、防衛庁、自衛隊の中ではシビリアンコントロールというものが非常に見事に機能しているというふうに思っておりますが、それが今先生が御指摘のような一般の国民に不要な疑念や誤解を与えるような、また御迷惑をかけるようなそういうことをするということは、これはもう隊としても隊員個人としてもやはりその本来の任務を逸脱したものであろうというふうに考えておりまして、私どもも過去におったかどうかということははっきりしないと言っておりますが、今後もシビリアンコントロールの精神を十分に体して、そういうことのないように極力努力をしてまいりたいと思っております。
#168
○翫正敏君 不規則発言もありましたので、申し上げておきますが、自衛官が自分の名前で国民として意見を発表したり投書したりすることを私は何も問題だと言っているわけではありません。それはおわかりいただけると思います。
 そのことを言っているんじゃなくで、自分の名前ではない、人の名前を使って、そして自衛隊を賛美するような内容の投書を社会の公器たる新聞にするという、そういうことがいいことなのかどうか、自衛隊員としてふさわしいことなのかどうかということを問題にしているわけであり、そして、そういうことを勝手に自衛官がやっていたと局長がおっしゃるなら、それはシビリアンコントロールの上からいかがなものなのかということを指摘しているわけなんですから、これは長官、もう一遍その点に絞って御見解をお伺いしたいと思います。
#169
○国務大臣(中山利生君) 今、先生が言われたような事実が、今局長からもそういうことがあったかもしれないという話がございましたが、自分の信念を吐露するということでなくて、人の名前を、他人の名前を使ってそういう行為をするということはやはり問題がございますので、我々も今後そういうことのないように努力をしてまいりたいと思っております。
#170
○翫正敏君 局長、そこでちょっと伺いますが、現在、これに類した内容の教育訓練を心理戦防護課程、調査学校の教育課程の中では行っていないということをあなたはここで断言しますか。簡単にやってください。
#171
○政府委員(諸冨増夫君) 先生御指摘の質問につきましては、現在は全く行っておりません。それは断言できます。
#172
○翫正敏君 そこで、先ほどからの私の質問に対する局長及び防衛庁長官の答弁を聞いておりますと、個人的に自衛官が行ったということで、訓練内容ということを否定しておられます。一貫して否定をしておられますので、それであれば、私は、自衛隊法施行規則第六十八条に基づいて、この自衛隊員を自衛隊員たるにふさわしくない行為を行った者であるということで申し立てを行いたい、防衛庁長官に対して申し立てを行いたいというふうに思いますが、何人たりともこの自衛隊法施行規則六十八条に基づく申し立てができるということでよろしいですか。
#173
○政府委員(秋山昌廣君) お説のとおりでございます。
#174
○翫正敏君 申立人の所属や官職、氏名を書き、被疑事実を書き、証拠書類を添付して提出する、そういうふうにすればとにかく受け付けてはいただけると、こういうことですね。
#175
○政府委員(秋山昌廣君) おっしゃるとおりでございます。
#176
○翫正敏君 どこへ提出すればいいんですか。
#177
○政府委員(秋山昌廣君) これは、懲戒手続に関する訓令などとか、いろいろ手続の規定がございますけれども、ちょっとラフな言い方をすれば、自衛隊の懲戒権者とおぼしき者に出していただければ、もしその者が懲戒権者でなければ直近の懲戒権者に移送するということになっておりますので、出していただければ結構でございます。
#178
○翫正敏君 もうあと数分ですね。
 じゃ、本日付をもちまして防衛庁長官中山利生殿に申立書を提出いたします。
 被申立人は陸上自衛官現職四名、被疑事実、上記四名は、第十七期幹部心理戦防護課程において、訓練の一環と称し偽名を用いての新聞投書作戦、彼らが卒業に当たって作成した論文集ではこれを不作戦と名づけている、あるいは偽名を用いて東京都の防衛協会への会費集め、上記論文集では一万円大作戦と命名されているなどを行った。これらは刑法に触れるおそれのある行為であり、自衛隊法第四十六条第二号、隊員たるにふさわしくない行為に該当することは明白である。
 証拠としまして「第十七期幹部心理戦防護課程教育実施計画」、これが一。二といたしまして「桐十葉」、自衛隊員、現職自衛官が編集長として編集したもの、これを提出いたします。
 以上で質問終わります。
#179
○政府委員(秋山昌廣君) 恐縮ですが、一応その自衛隊法施行規則第六十八条に基づく申し立てについての手続自体は訓令で定まっておりまして、文書で提出していただくことになっておりますので、ただいまのお話は承りましたけれども、手続はよろしくお願いしたいと思います。
#180
○委員長(守住有信君) 午後三時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時開会
#181
○委員長(守住有信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#182
○瀬谷英行君 最初にモザンビークの問題でちょっとお伺いしたいと思います。
 モザンビーク国際平和協力業務の実施について、四月二十七日閣議決定ということでございますけれども、具体的にはモザンビークにどういう理由でPKOを派遣するということを考えておられるのか、どのように現地でもって対応するつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
#183
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のように、けさほどの閣議におきまして、モザンビーク共和国における国際平和協力業務の実施につきまして、実施計画及び関係政令の閣議決定をいただいたものでございます。
 モザンビークにおきましては、一九七五年のポルトガルからの独立以降内乱が続いておりましたが、昨年の十月にローマにおきまして停戦協定が成立いたしました。その後、国連安保理におきまして国連モザンビーク活動、いわゆるONUMOZという略語でございますが、設立されたわけでございます。
 このONUMOZの活動につきまして、国連の方から、我が国からの要員あるいは部隊の派遣につきまして打診が非公式になされておりましたが、四月二十三日付で、これは現地時間の二十三日でございますが、国連事務総長から我が国に対しまして輸送調整部隊四十八名及び司令部要員五名の派遣要請が行われたわけでございます。
 これらの派遣要請につきまして検討いたしました結果、我が国としては、このモザンビークにおける平和維持活動にできる限りの積極的な貢献をしよう、こういう見地からこれらの要請に応じまして輸送調整部隊四十八名と司令部要員五名の派遣を決定したわけでございます。
 この業務の内容でございますけれども、輸送調整部隊と申しますのは、輸送手段の割り当て、通関の補助、その他輸送に関する技術的調整にかかわる国際平和協力業務でございます。それからモザンビークにおけるいわゆるONUMOZ、国連モザンビーク活動の司令部におきまして、中長期的な業務計画の立案、それと輸送の業務に関する企画調整といういわゆる司令部の業務を行うというものでございまして、派遣期間は本年五月六日から本年十一月三十日までの間ということになっております。
 この輸送調整部隊は自衛隊の部隊でございます。それから司令部要員も自衛官でございます。
 なお、モザンビークにおきましては我が国の大使館の実館がございませんので、モザンビークの首都マプトに大使館の臨時事務所を開設いたしまして現地での支援体制をつくるということになっております。
 概略御報告申し上げますと、以上でございます。
#184
○瀬谷英行君 そうすると、モザンビークというところは、我が国の大使館もない、わかりやすく言えば縁もゆかりもないような国なんですよね。距離はどのくらいあって、気候はどんなところで、内戦の状態はあるのかないのか、カンボジアのように危険はあるのかないのか、そういう点も端的にお答え願いたい。
#185
○政府委員(柳井俊二君) モザンビークにおきまして、私、大使館の実館がないというふうに申し上げましたが、実館がないと申しますのは、実は隣のジンバブエというところに大使館の実館がございます。その隣の国からモザンビークの関係の仕事を見ているということでございまして、制度上は在モザンビーク大使館というのはございます。ただ、実際の事務所が従来はございませんで、ジンバブエから出張をいたしまして必要な仕事をしていたということでございます。今回、この機会に出張事務所を開設するということでございます
 それから、モザンビークの場所でございますれども、南アフリカ共和国のすぐ北隣でございます。マダガスカルの対岸のアフリカ大陸の東側ということになりまして、人口は約千六百万、面積は我が国の約二倍ということでございます。
 それから、我が国と縁もゆかりもないかということでございますけれども、その点につきましては意外と歴史的な関係がございます。ポルトガル人が中世に日本に参っておりますけれども、大概の場合はモザンビークを通じて参ったという歴史がございます。
 それから、現在、ある漁業会社が日本から行っておりまして、エビの輸入等をやっております。在留邦人は約六十名強おるということでございます。
 それから、内戦の状況あるいは停戦の状況でございますけれども、先ほど申し上げましたように、昨年の十月にローマで停戦協定ができまして、その直後停戦違反等が伝えられておりましたけれども、その後は停戦違反も伝えられておりません。非常に現在その停戦はよく守られているというふうに承知しております。
#186
○瀬谷英行君 日本人が六十人ほどで、エビをとっているということなんですけれどもね。ここへPKOを派遣するというのはどうも不自然な気がするんですよ。向こうはエビで鯛を釣るというつもりじゃないでしょうが、何かわざわざ日本が行かなきゃならないという理由がどうも納得できませんね。
 国連の方から要請があったと言うけれども、世界じゅうでどこかでトラブルがあるというと、おっ取り刀ですぐに飛んでいくというようなスタイルはどう考えても納得できないんです。日本の国民だって近所隣ならいざ知らず、一万何千キロもはるか向こうでしょう。昔、日露戦争のころ「ここはお国を何百里」という歌があったけれども、何百里どころじゃないでしょうからね。一万何千キロなんでしょう、地球の半分ぐらい向こう側だから。これはわざわざ行かなきゃならないような義理があるのかどうか、その点、どうも納得できませんが、どうですかね。
#187
○国務大臣(河野洋平君) 委員お尋ねのとおり、確かに余り縁のないところでもございます。今政府委員が御答弁いたしましたが、全く縁がないわけではありませんが、そんなに縁が濃いということではございません。
 ただ、ここでお考えをいただきたいと思いますことは、私どもが考えなければならない国際貢献というのは、利害関係があるから行く、そこは利害関係が全くないから行かないということではなくて、むしろ国際貢献という場合にはそうした、あそこへ行くと損する、あそこへ行くと得をするということではなくて、やはり国際的に日本の支援を求められる、あるいは国連が判断をしてここは日本にぜひ応援をしてもらいたいという御判断があればそこは利害損得を超えて応援をする、支援をするというのが国際貢献の一つの形だろうと思います。
 ということが一つございまして、それとは別に、我が国は国際貢献のためのいわゆるPKO法という法律を制定していただきました。その法律に基づきまして、いわゆる五原則、こういうものがきちんと前提としてあるかどうかということも判断した上で、こうした五原則が守られ、なおかつ我が国が求められている、要請を受けるであろう分野に効果的な支援のできる能力があるという状況、あるいは支援をするにふさわしい理由がある、そういう地域については支援をすることがいいのではないか。
 こういう判断でございまして、確かにカンボジアの場合には長い歴史がございますし、身近で事情もよくわかっているところでございますから支援をするのは比較的御理解も得やすい部分があって、それとモザンビークはかなり状況は違っております。したがって、政府といたしましてもこのモザンビークにPKO協力をするかどうかについては非常に慎重に調査をし、議論をし、判断をしたわけでございます。
 御質問のとおり、余り義理がないじゃないかとおっしゃられれば、そう義理があるとかないとかという判断でこの国際貢献の判断をしたのではないということが御答弁になろうかと思います。
#188
○瀬谷英行君 モザンビークヘわざわざ派遣をするということですけれども、そういう世界じゅうでいろいろ紛争のあるところへ片っ端から行くということになると行き切れないと思うんですよ。
 ユーゴだとか、あっちだのこっちだの世界じゅう探せば大変なところはいっぱいあるわけでしょう。そんなところへ一々PKOを派遣していたんじゃ、行った人間が、俺は何のために何の因果でこんなところまで来なきゃならないんだろうと、こういう疑問を持っちゃいますよ。お国のためだなんていったってそんなものは通用しませんわね。あんな一万何千キロも離れた、我々から見りゃここは地の果てモザンビークというふうなところだからね。だから、そういうところにやられる人の身になって考えてやる必要があると思うんですね。
 そこで、今五原則が守られているかどうかという話が官房長官からありましたが、その五原則の話になると、カンボジアですよ。カンボジアで五原則が守られているのかどうか。去年のPKO法は随分強引な方法で通過させられましたけれども、あのときの約束というのは五原則だとかパリの和平協定だとか、いろいろありましたね。それが守られる、心配ないんだ、危険はないんだというように宮澤総理からもう何回も繰り返しで言われました。さながらピクニックにでも行くかのように心配はない心配はない、行ってこい。ビジネスマンの出張を促すかのような、そういうような言い方でもって話がされたんですけれども、今実際のカンボジアはそうじゃないでしょう。
 カンボジア全土が危険地帯になっている。あのときの話とは全然違うと思うんですよ。果たして、あのときの話そのままと見ていいのかどうか、危険はないのかどうか、戦闘状態に発展するおそれがないのかどうか。これは深刻な問題だと」思うんですよ。その点をお答えいただきたいと思います。
#189
○国務大臣(河野洋平君) カンボジアにおきましては、最近も種々の暴力行為、テロ事件が発生をいたしております。また、ポル・ポト派が選挙への不参加を表明し、プノンペン事務所を閉鎖するなど不安定な要因がございます。これは委員御指摘のとおりでございます。
 しかし、カンボジアにおいて全面的な戦闘が行われているというわけではございません。パリ和平協定の枠組みは依然として維持されていると認識をいたしております。
 ポル・ポト派は制憲議会選挙への不参加を公式に表明はしておりますが、既にUNTACの主導によりまして四百七十万人の有権者登録、これは全有権者の九割を超えている数字でございますが、四百七十万人の有権者登録が終了しておりまして、カンボジアの大多数が選挙の実施を望んでおると考えていいと思います。
 また、この選挙を予定どおり実施するという国際社会の確固たる意志は、三月八日採択された国連安保理決議並びに四月二十三日発表されたパリ和平協定署各国による共同声明にて確認がされているところでございます。
#190
○瀬谷英行君 ゆうべだったかのテレビでカンボジアの特集がありましたね。そのときに、それは何だと言ったら選挙の登録証を見せたと。その登録証を見せた人はベトナム人だと。ベトナム人、カンボジア人入り乱れているところへ選挙の登録をするためにせっせと勧誘をして、そして登録証を発行しているんじゃないかというような感じがするんですよね。実際の人数よりも登録証の人数の方が水増しされているんじゃないか、そんな感じがするんです。
 第一、あそこは戸籍があるんですか。戸籍がないのにどんどんこうやって登録をするなんということになると、大変にどうも怪しいものだという感じがしてくるんです。確かに、連挙というのはロシアの還華だってかなり我々から見ればいいかげんだなと思うことはあるけれども、あそこはまだ戸籍ぐらいはあると思うんですよ。そしてイエス・ノーははっきりしているんです。ダー・ニェットという言葉でもってかなりエリツィンさんは宣伝をして多くの票をとったというふうに見られますけれども、カンボジアの場合はロシアなんてものじゃないと思うんですね。選挙のやり方自体が果たしてどこまで徹底しているんだか、その辺どうもあいまいなような気がいたします。
 そこで、パリ協定あるいは五原則などというものがちゃんと機能して、そしてしっかりした治安状態で公正で良心的な選挙が行われるかどうかなんですよ。先進国の選挙とは随分内容が違うと思うんです。選挙という名前ばっかりで実体はどうも形だけつくるんじゃないか、つけ焼き刃の選挙じゃなかろうか、こういう気がするし、そのつけ焼き刃の選挙を支援するために日本のPKOが、あるいは日本のボランティアが、日本の警官が命を張るというようなことは果たしてどんなものか。それだけの値打ちがあるのかどうかと行った人たち自身が思うんじゃないかと思うんです。その点どう思いますか。
#191
○国務大臣(河野洋平君) カンボジアにおきます現在の状況は、私どもも細心の注意を持って見なければならぬというふうに思っております。
 しかし、いずれにせよカンボジアの永続的和平を何としてもつくり上げるためにカンボジア国民、そしてまた周辺国、これまでカンボジア和平のために力を入れてきた多くの国々が今が一番大事なときだ、五月の二十三日といえばもうあと一カ月後に制憲議会選挙が行われるわけでございまして、今言ってみれば胸突き八丁とも言うべき場面でございますが、大いにそれぞれ努力をして立派な選挙を行って、そしてカンボジアの永続的和平をつくり上げるまず基礎づくりをしたいと願っていると思います。
 日本もアジアの一国として、このアジアにございます不安定な状況を何とかして解糖をして、安定した、そして将来立派に発展する国になってほしい、こう我々も念願をするのはこれはまた当然の気持ちではないか。いわゆる一国平和主義、一国繁栄主義などと言われて、アジアの一国である日本がみずからの平和、繁栄だけを考えるということを言っていても、それはなかなかそうはいかない。我々は周辺国の平和のために法律の範囲内で、憲法の範囲内でできることはするということが必要なのではないか。
 国連におきまして慎重な審議が行われて、UNTACという組織をつくり、このUNTACを中心にカンボジアの永続的な和平をつくり上げる礎を今みんなで一生懸命つくっているところでございます。これに対する協力は、カンボジアのためだけではなくて、ASEANあるいはインドシナ、ひいてはアジア全域にとっても必ずやその平和のため、繁栄のためにも重要な意味を持つものというふうに確信をいたしておるわけでございます。
#192
○瀬谷英行君 憲法を守るということになれば、武装した自衛隊を送り込むということ自体にそもそも問題があるわけです。特に最近の報道によると、危険が迫ってきたものだから自衛隊員が武器を携帯するということが伝えられていますね。新聞報道でもあります。自動小銃で守られてある山を撤退するというような、写真で出ていますね。このスタイルは完全に軍隊のスタイル、銃を肩に担いで、鉄かぶとをかぶって双眼鏡で眺めている、こういう状態ですよね。銃を担ぐ、携行するということはだてに銃を担いでいるわけじゃない。
 時と場合によっては撃つぞというわけでしょう。武力による威嚇に当たるんですよね。武力による威嚇という目的がなけりゃ銃なんか持たなくていいんですよ、何も持たないでいい。おれは武器は持っていないぞと、それでいいわけなんですね。
 武器を持っている、そして完全に装備をして警戒をしているということは、交戦状態になるということもあり得る。自分自身を守るためにという名目はつくけれども、事と次第によっては戦うぞということになるわけでしょう。
 そういう戦闘の状態の可能性というのはあると思っておられるのか、心配ないというふうに思っておられるのか、今非常に危険な状態であるというふうに報ぜられておるけれども、政府としてはどのように認識をされているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#193
○政府委員(柳井俊二君) いわゆる戦闘が行われると予想されるかどうかという点につきましては、先ほど官房長官からも御答弁ございましたように、現在カンボジアでは停戦違反でございますとかあるいは武装集団による攻撃事件というものは起こっておりますけれども、これが全面的な戦闘の再開というものではないというのが現状でございます。また大規模な戦闘が起きる状態、近く起きるというようなことは現時点で予想しているわけではございません。
 ただ、何分長年にわたって戦闘が行われてまいりました後に和平が成立したわけでございますので、そのような和平というものはどうしても脆弱な面がございます。それゆえにこそ国連の平和維持活動というものが必要になってくるわけでございますが、そのような中で散発的な停戦違反でございますとか、またカンボジアのようなところでは非常に長年にわたった戦争の時代を通じまして非常に多くの武器が出回っておりますので、私的な武装集団というものも相当あるわけでございます。
 したがいまして、そのような治安の悪い面があることは事実でございますので、要員の安全を図るということはこれは不可欠な要請でございます。
 そこで、法案の審議に当たりましても、武器の問題、武器の使用と武力行使の問題ということは随分繰り返し議論されてきたわけでございますけれども、政府といたしましていろいろな機会に御答弁申し上げてきたところですが、この要員の生命、身体を守るために行う必要最小限度の武器の使用というものは、これは自然的な権利であって、憲法の禁止する武力による威嚇あるいは武力の行使というものには当たらない、こういうことでございます。
 そのような前提に立ちまして国際平和協力法が成立したわけでございまして、我が国といたしましては、この法律の枠内で国連の平和維持活動に協力するということでございます。
#194
○瀬谷英行君 その武器の使用は憲法に当たらないというのはちょっとおかしいんでね。例えば、ボランティアの中田さんが殺されましたよね。だれに殺されたんだかわからないでしょう、犯人が。これはポル・ポト派かというふうな報道もされました。だけれども、ポル・ポト派に見せかけてほかのグループがやったかもしれないでしょう。どっちにしたって犯人見つからないんだ。
 中田ボランティアだけじゃなくて、今までだってブルガリアだとかバングラデシュだとかインドネシアだとか、いろんなところの人が殺されていますよね。私は、やはり自衛隊だけじゃなくて、文民警官であろうとボランティアであろうと犠牲を出しちゃいかぬと思うんですよ。一人や二人なら死んでもいいというような考え方持たれちゃ困るんですよね。これがもし組織的な攻撃を受けで戦闘状態になった場合に、一人や二人で済むかどうかわかりませんよ、これは。
 特に、日本の政府がプノンペン政権側にくみしているというふうな見方でポル・ポト派は敵視をしていると、こういうことになっている。敵視をされれば、何かのはずみでぶつかったときに交戦状態になる可能性というのは十分にある。
 その場合に、全く自衛のためなら武器を使っても差し支えないんだと言うけれども、自衛のためというのはどうやって判断をするかですね。サッカーやラグビーならアンパイアがいて、どっちがいいとか悪いとか、早いとか遅いとか言いますけれども、銃を持った連中が向き合って発砲してしまった場合には、どっちが早く撃ったかなんてことわかりませんよ、これは。そういう状態になった場合に、自衛のためなんという言葉がどこまで使えるのか、これは非常に難しいと思うんですね。
 これは、防衛庁長官も考えてもらわなきゃいけないんだけれども、今武器を持っているだけだ。しかし、持っているということは攻撃をされる場合を想定して持っているわけでしょう。相手が攻撃をするという場合にはこっちも撃ち返すというつもりなんでしょう。向こうが撃ったらおれは撃つぞといっていたんじゃ間に合わないんですね、今の方は。特に、今までの議事録を見ますと、自衛のためというのは、まず空砲を撃てとか、上向けで撃てとか、なるべく足から下の方を撃てとか、ねらえとか、いろんなことを議事録見ると書いてあります。そんな机の上の作文のように現地の情勢というものはうまくいかないと思うんですね。それを一体考慮しているのかどうか。
 特に、私もちょっとこの前、いつだったか忘れましたけれども、PKOの委員会聞いていて驚いたんですけれども、まず説得をしろと、それから空砲を撃てとか、いろんなこと言っていますよ。説得しろといったって日本語じゃ通じないんですからね。空砲を撃てと言うけれども、相手は空砲を撃ったんだか実砲撃ったんだかわからないですからね、音は同じなんですから。それで空砲撃ったら向こうから実砲で撃ち返されたと、こっちが先にやられちゃうんです。
 戦闘状態、特に敵と味方が遭遇して戦闘を行うという場合には早く撃った方が勝ちなんですよね。ゆっくりして、まあどうぞというようなこと言っていたんじゃ間に合わないんですね。その点考えたなら、この武器の使用方法なんというのはちょっといい加減だと私は思いましたよ。
 これは防衛庁長官にお伺いしますけれども、そんな自衛のためなんということでもって果たして本格的な遭遇戦が始まったときに務まるのかどうか、その場合の指揮命令系統はどうなっているのか。だれが指揮をしてだれがとめるのか、その点はどうなっているのかということもお伺いしたいと思うんです。
#195
○政府委員(畠山蕃君) ただいま御質問の中に遭遇戦というようなお言葉がございましたが、私どもイメージしておりますのは、この法律の二十四条で認められておりますのは、我が隊員の生命、身体が危険になったぎりぎりの場合ということで正当防衛、緊急避難に相当するような場合にこれを使用することができるということに限定をいたしておりまして、数名が向かい合って戦力を戦わすといったようなことは全く考えておらないところであります。
 そうした場合には、危険を避けるということがまず第一であります。そしてしからざる後に、そういうことが可能でない場合に、個々の自衛官の判断においてぎりぎりやむを得ないときにこの武器の使用をすることができるということでございまして、御質問の趣旨は武器の使用そのものについてだれが指揮をするかということでありますならば、それは個々の自衛官の判断によって自分の命が危ないという場合に、限られた場合にのみこの自衛官の判断で行う。
 そのほかの、それにまつわる武器使用以外の、そういった事態での指揮官というのは当然その現場の大隊長ということになるわけでありますけれども、その武器使用そのものについては、これは自衛官個々の判断で、自己の生命が危ないといった場合にこれを使用することができるというのが法の建前でございます。
#196
○瀬谷英行君 小銃でも機関銃でも持っていて、引き金に指を引っかけて一センチ引っ張りゃ弾が出てくるんですよね。自衛官個々の判断でもってそれをやらせていていいんですか。こんな危ないことはないですよ。こういう武器を使うときは、指揮官がいて目標を明示して距離幾らだと言って、撃ってよろしい、撃てと言って、それから撃つようになっているんですよね。
 それから、指図なんという言葉がありましたけれども、軍隊用語で指図なんというのはないですよね。指図なんというのは、引っ越しや大掃除の手伝いに来た者に物をどこへ運べというのが指図というもんです。撃てとかなんとかいうのは指図にならないですよ。あれはもうまさに完全な戦闘行為なんですよね。
 ばかに悠長なことを言っているけれども、第一どうやって相手を、敵味方を識別するんですか。ポル・ポト派がちゃんと赤穂浪士みたいに名前書いて、あるいはたすきかけてポル・ポト派だと。だから撃ってくれと、おまえらの敵だぞ、これから撃つぞなんというようなことを言うわけないでしょう。
 同じようななりをして、ジャングルの中から出入りをして、突如として撃たれるというようなことになっちゃうんじゃないかと私は思うんですよ。ちゃんと相撲や何かのようにきちんと礼をしてそれから始めるというもんじゃないですよね。これから始めましょうという格好で戦争というのは始まっていない。それなのに実際の説明は非常に悠長な手間暇かけるようになっているんです。
 現実には、私は自衛隊だってそんなことを言われたってそうはいかないんじゃないかという気がするんですよね。そうでしょう。
 それから、相手を殺さないように足をねらえなんてこの前言っていましたよ。足をねらえといったって、私も軍隊の経験があるけれども、仁王立ちに立っていて鉄砲や小銃を撃たないですよ。足をねらうから立っていてくれと、そうはいかないですよね。大概あれは腹ばいになって撃つんですよ、小銃でも機関銃でも。だから、足をねらうつもりでやってみようと思ったけれども、足が見えないと、頭を撃ち抜いたと、間違ってあしからずと言ったって間に合わないですからね。
 そういうことを考えると、やはりもう少し現実的に武器の使用法だって考えなきゃうそだと思うんですね。こういうことを言われた自衛官自体困ると思うんですよ。そういう心配がなきゃいいですよ。実際にはカンボジアにはそういう危険が充満しているんですよ。そういう危険が充満をしていつ何とき、今殺された日本人は中田さんだけかもしれないけれども、外国の軍隊も何名か殺されている。よその国の軍隊なら殺されても構わないというものじゃないですよね。それは場合によっちゃ日本の自衛隊にもかぶさってくる。あるいは日本の警官にもボランティアにも同じ日本人だからというので目標が向けられるということになったら、これはもうえらいことになります。
 特に選挙に当たって、選挙のために自衛隊がいろいろ便宜を図ると、護衛をするなんという問題が出てくると、これはポル・ポト派からねらわれるという可能性もあるんじゃないですか。その場合に、昼間ならいいけれども夜にねらわれたんじゃ、どこからだれが撃っているんだかわからないというようなこともある。どうやって応戦していいんだかわからないという場合もある。そういう場合にはどういう処置をとるのか。撤収するのか応戦するのかという二者択一の問題を迫られるという状態だってくると思うんですよ。
 そのときに、一体現地の指揮官に対してはどういうふうに教えているのか。その辺もちゃんと示してやらないと現地じゃ困ると思うんですが、どうですか。
#197
○政府委員(畠山蕃君) ただいま御説例のようなことが、私どもが、例えば選挙の手伝いをすればポル・ポト派が日本の自衛隊をねらう可能性があるではないかという前提でのお話でございましたけれども、私どもは選挙が公正に行われなきゃならないという立場から、施設部隊にUNTACの方から要請がございます選挙に関する協力を行うということは、これはぜひ行うべきであるという立場から行うものでございまして、それを行ったからといってポル・ポト派が日本の自衛隊を襲撃するであろうという前提に立っての御議論にそのままお答えするわけにはいかないのであります。
 一般論として申し上げますと、一般論として仮にどこかの者が襲撃をしてきたという場合にどう対応するかといいますと、作業中でございますと、その業務の一時休止というのが実施要領の中に定められております。これは施設大隊長ないしはその権限の依頼を受けた者、これが一時休止をさせ、そしてまた必要な避難等の安全の措置を命ずるという形で、まずは危険を回避するということを選択する形になっておるところであります。
 で、最後のぎりぎり必要やむを得ないときに自己の生命、ないしは同時に他の隊員を含めてでありますけれども、その生命を守るためにぎりぎりのときに武器の使用が許されるという形でございまして、まずは安全なところに退避をする等の措置を講ずる、こういうことになっているわけであります。
#198
○瀬谷英行君 心配はないようなことを言って、実際に何が始まるかわからないですからね、これは。パリ和平協定も五原則もちゃんと守られているというふうに確認できる状況にはないと思うんですね。もう破れかぶれじゃないけれども、ぼろぼろになっちゃっている。
 こういう状態になっているのに、いや和平協定は守られているとか、五原則も守られているというのはこじつけといいますか、ちょっと無理な言い方じゃないかと思うんですよ。私は守られていないと思う、これは客観的に見て。守られているのなら、我が方のボランティアが殺されたりいろんな国の軍隊が襲撃されたりそんなことはないはずだ。
 それから、選挙だって公正、良心的に行われるのならば問題はないはずなんですよ。問題はないはずなんだけど、大ありなんでしょう、これは。ポル・ポト派はあれはインチキだと、こう言っているわけですからね。もう考え方が違うんだ。そうすると、いや応なしにぶつかっちゃうんですね。恐らくプノンペン政権側は日本の自衛隊に対して、武力を行使して、本当のことを言うならばポル・ポト派を制圧してほしいと思っているんじゃないかという気がするんですよね。
 だけれども、そこのところはうかつに攻撃をしたりするとこれはえらいことになる。しかし、そういう差し迫った状況がだんだん近づいてきている。衝突をしたという場合になすすべもない。指揮官はどうしていいかわからないということじゃいけないと思うんですよね。そういう心配が全然ないという状態であるのかどうか大いに私は疑問がある。その点を政府としては慎重に考えてあらゆる場合を想定しなきゃいけない。
 私は、やはりこれらの問題を解決するために、モザンビークでもそうですけれども、我々が中に入る、いい悪いは別としてとにかくPKOでもって自衛隊も派遣しちまった。しかし問題の解決は当事国にやらせるべきだと思うんですよ。よその国に来てもらって自分の国の不始末、仲たがいを何とかしてくれ、夫婦げんかの仲裁を遠くの他人に頼むような、そういうことをやらせてはいけないと思うんです。甘やかしちゃいけないんですよ。どんなに苦しくたって自分の国のごたごたは自分の国でもって片づけるという気持ちを持たせなきゃいけない。日本が来て何とかやってくれるだろう協力してくれるだろう、こう思わしちゃいけないと思うんですよ。
 だから、まずこういう問題の衝に当たる中心は、武器を輸出した、売り込んだり貸したりくれたりした国々が責任を持たにゃいかぬ。例えばモザンビークならもとの御本家だったポルトガルとか、ここに縁故のある国が面倒を見るのが筋ですよ。何もこんな遠くから、日本から来てもらうなんという必要ないんです。向こうだってびっくりするんじゃないですか、見たこともないような人間が来てPKOだなんていって何やるんだろうというふうに言っちゃって。だから、その点どうでしょうかね、PKOのあり方、国際貢献のあり方というものを根本から考え直さなきゃいかぬ。
 根本から考え直すためには、どんないざこざが起きたってテリトリーというものがあるんですよね、縄張りが。日本からユーゴスラビアだのボスニアだのセルビアだのあんなところへ行くなんということは考えられませんし、必要もないと思います。まあカンボジアは近いから、まあ何とか面倒見ようと、こういうことになるかもしれませんけれども、それにしてもやはりカンボジアの中でまず当事者同士が、カンボジア人同士が集まって相談をするというのが筋だと思うんですよ。
 それから、いろんな武器をどこの国がどれだけ供給したかわからぬけれども、そういうことをやった国々は武器をくれといて、あとどんどん撃ち合いをしたものを横目で見て知らぬ顔をするなんということは、これは私許されないと思うんですよ。
 だから、問題の根本的解決には何でもかんでも出しゃばるばかりが能じゃないと思うんです。余り出しゃばらないようにする、当事国に解決させるというのが筋だと思うから、私はそういう筋に従って国際問題は解決させるように国連にも注文つけるべきだと思うんですが、どうですか。
#199
○国務大臣(河野洋平君) 原則的には私も委員の御指摘の中で共感できるところがございます。それはもう間違いなく当事国の中で問題が解決されるということが原則だという点でございます。
 本来、民族自決の原則と申しますか、当事国の中で問題が解決されることが一番いいわけでございます。カンボジアにいたしましてもモザンビークにいたしましても、その他幾つかございますが、どうしてもその国の中で話がつかない。もう三年や五年じゃないわけです。十年、十数年にわたって内戦状態がずっと続いておる。血で血を洗う内戦が続いておる。
 どうしても話がつかないということで、別の国からも停戦の話し合いを行う協力がなされたわけでございまして、今回カンボジアにおきましては四派がテーブルに着いて、そしてパリで和平協定を行う。協力国も参加をして和平協定をつくる。どうしても国内だけでは話がつかないという状況になったからでございます。
 モザンビークにおきましても、非常に急進的な社会主義体制をつくろう、非常に厳しい規律で国内を統一していこうという社会主義的な国家建設に対して民族抵抗運動というものが起こって、そして政府軍と抵抗して、政府軍、反政府軍でこれまた長い間の内戦状況が続いた。この長い間の内戦状況、もうこれはへとへとに疲れ果ててきたというふうにおっしゃる方もありますけれども、その長い間の内戦の中にイタリーを初めとする幾つかの国が入って和平協定をまとめた、こういう経過がございます。これは委員御承知のとおりでございます。
 そして、何とか和平協定をまとめたわけですけれども、これは長い間の殺し合いがあったわけでございますから、憎しみというものはなかなか簡単にはおさまらないということで、国連がPKO活動というものをそこに派遣をして、割って入って、そして選挙を行って、本来、その国でその国の国民による選挙によって政府をつくるという礎を築く作業が現在の作業でございます。
 したがって、できるだけ早く制憲議会選挙が行われ、その結果によって憲法が制定をされ、議会ができ、行政府ができ、法律がきちんと守られるという状況をできるだけ早くつくり上げるその基礎づくりといいますか、土台づくりに我々は国連の要請もあって協力をしようということでございまして、PKO活動で行っておりますものが交戦するというようなことは本来ないのが普通でございます。
 ただ、残念ながら停戦協定違反というものも若干起こってくる。これは長い間の戦闘状態でございましたから、あってはならぬことでございますけれどもそういうことが起こることがある。これはまたそういうことが全く起こらない、選挙も全くだれの世話にもならずに公正な選挙が行われるというならば、それは大変結構なことで、それこそPKO活動そのものが必要ないわけでございますが、どうしてもそういうことでなければ、基礎的なものがなかなかできにくいという状況を国際社会が判断をしてPKO活動、そして国際貢献という、こういうことになっておるわけでございます。
 私どもも一日も早く、カンボジアにしてもモザンビークにしても、当事国の国民の手によって平和な秩序ある社会が、国家が建設されるということを心から願っているわけでございます。そのための土台づくりのお役に立ちたいという気持ちで出ていっているわけでございまして、そこで撃ち合おうというようなことは全くそういう場面も実は想定をしていないわけでございます。
#200
○瀬谷英行君 時間ですから、終わります。
#201
○永野茂門君 最初に、防衛庁長官にお伺いいたします。
 カンボジアの第一次派遣隊は既に帰国しておりますが、立派な仕事を完遂し、かつ一人のけが人も出さずに終わったということはまことにうれしいことであります。
 第一次派遣隊の隊員の意見をいろいろ聞いてみますと、その中で彼らがどういうことを言っているかというと、非常に大事なことを言っておるわけであります。危険があることは当然であり、そしてこれを克服しながら業務を遂行するのが我々自衛官であり、あるいは自衛隊であると考えていたということを多くの自衛官が述べております。つまり、犠牲者が出る可能性は否定できないし、当然あるだろう、しかしその犠牲者を出さないような方策を徹底的に追求して任務を完遂するんだと、これが我々の仕事である。
 私も、自衛官がこういうような派遣部隊として任務を遂行する場合の気構えとして、そしてまた実際にもやらなきゃいけないこととして、これらの意見に対して敬意を表するとともに当然そうであるべきである、こういうように考えたものであります。
 そこで、犠牲者を出さないように、あるいは危険を克服するというために、まず周りの状況といいますか全体の状況を把握する必要があるわけでありますけれども、長官はカンボジアの全体の情勢をどのように把握しておられますか。特に、軍事的な力関係がどうなっていると観察をしておられますか。さらに、その中で特別に派遣隊の行動地域周辺はどうなっておるかということをお伺いしたいと思います。
 私が申し上げたいことは、いろんなほかの条件があるわけでありますけれども、軍事的に見た条件がUNTAC側の方がすぐれておる、手を出しにくいという状況にあるならば決して相手は手を出すことはない、十分に抑止できる。こう考えるものでありますが、その付近についてどのように御観察になっておりますか、お伺いします。
#202
○政府委員(高島有終君) お答えいたします。
 現在のカンボジアにおきます各派の軍事的な意味合いでの勢力という点で見ますと、今問題になっておりますポル・ポト派の兵力は約二万名というふうに見積もられております。これに対しましてプノンペン政府軍の方は約八万強、さらにこのほかにソン・サン派、シアヌーク派合わせまして約三万程度の兵力があるというふうに見られております。これに対しまして、現在展開いたしておりますUNTACの軍事部門の中の歩兵部隊というものの数は約一方でございます。
 それから、施設大隊が展開し作業いたしております南部地域の状況でございますけれども、この地域にございますUNTACの歩兵部隊はフランス、ブルガリア、ガーナ、それからインドの歩兵部隊の一部ということでございますが、これらを合計いたしますと南部地域で約二千五百名ぐらいの歩兵部隊が展開いたしております。この地域におきますポル・ポト派の軍事勢力の正確な状況は残念ながらわかりませんけれども、御承知のとおり、ポル・ポト派の方はカンボジアの北部に主力を展開いたしておりますので、南部地域におきます勢力は小規模なものというふうに見られているところでございます。
#203
○永野茂門君 兵力の数を主体にお答えいただきましたけれども、兵器のレベルその他はおわかりになっておりますか。
#204
○政府委員(高島有終君) まず、兵器のレベルという御質問でございますけれども、カンボジアの政府軍の方の兵器のレベルで申しますと、これは戦車、軽戦車、T54、55、59、PT76といったもののほか、装甲兵輸送車、迫撃砲、それから七十六ミリから百三十ミリの各種火砲、多連装ロケットランチャー、対空火器等を装備いたしております。
 他方、ポル・ポト派でございますけれども、ポル・ポト派は、御承知のとおり、戦術的にもゲリラ戦が主体であったということも反映いたしまして小火器が中心でございますが、小火器以外に対戦車ロケットランチャー、あるいは百七ミリ十二連装のロケットランチャー、七十五ミリ及び八十二ミリの無反動砲、それから六十ミリ、八十二ミリといったサイズの迫撃砲等を保有しているようでございます。
#205
○永野茂門君 わかりました。
 そうしますと、とにかく戦力レベルにおいてかなり政府軍あるいはUNTAC側が有利である、トータルとしてですね、そういうふうに判断できると思います。もちろん申立てあるはずでありますけれどもね。砲撃するような意図は持ち得ないだろう、こういうことを申し上げておきます。
 次に、部隊の安全を確保するためには現状に応じまして情報を集め、そしてまた自主的なパトロールだとかあるいは監視哨による監視も必要でありますし、また別の面で言いますと退避ごう等の隊員の防護のための措置が極めて重要であります。そしてまた派遣部隊、タケオの部隊は、特にUNTACの本部でありますとか周辺のUNTAC部隊、特に歩兵部隊との連絡を緊密に確保するというようなことが重要であります。
 今、例として述べましたようなことを含めまして、もろもろの日本の派遣部隊の、個人行動の場合も含めまして、安全防護対策がどうなっておるかということ、そしてまた防衛庁長官は安全確保について、どのように確信をしておられるかということを承りたいと思います。
#206
○政府委員(畠山蕃君) まず、情報の入手ということが安全確保の大前提でございます。
 我が国の施設大隊におきまして、この大隊から派遣をされております連絡幹部がプノンペンに常時行っておりますけれども、この連絡幹部を通じましてUNTAC軍事部門司令部からの各種の情報を収集しているということがまずございます。それからまた、この大隊が所在します地域を担当しておりますのがフランスの歩兵大隊でございまして、このフランスの部隊からも必要な情報の入手を行っておるということがまずございます。
 それらの情報を踏まえまして、従来から安全対策ということには意を注いでいるところであります。例えば夜間の外出禁止であるとか、一人での行動を慎むとか、あるいは一両での車の運行を避けるといったような、これはもう施設大隊がカンボジアに展開した当初からこういうことを励行してきたわけであります。
 それに加えまして、これも形の上では従来からある意味ではそのように行ってきているわけでありますけれども、大隊長の判断に基づきまして隊員に対し、けん銃、小銃あるいはヘルメット、防弾チョッキ等を携行させるということを行い、新たに注意を喚起しているところであります。
 それから、タケオの宿営地におきまして雨期対策を兼ねたごう、退避ごうといいましょうか、こうの整備を行うということを行っておりますし、それから警衛所の周囲等所要の箇所に土のう積みを行うというような措置を講じて、施設大隊の宿営地でありますタケオの地域の安全を図るという努力を続けているところでございます。
#207
○永野茂門君 施設部隊というのは、もともと穴を掘ったりざんごうをつくったり補給をしたりするのが専門でありますので、そういう部隊の防護については恐らく抜かりなく十分できていると思いますけれども、もしも個人的な行動をとるという場合に、その場合の安全確保ということについては特別な何らかの配慮がいるんじゃないかと思います。
 いずれにいたしましても、後また触れますけれども、カンボジア情勢を好転させるための国際的、外交的あるいはまたUNTAC全体としての努力が重要であることはもう基本的な問題としてあると思います。ポル・ポト派がこれ以上孤立を深めるというような状態には陥らせるべきではないと思います。それらを含みまして全体としての努力も重要でありますが、現地における安全確保の具体的な措置に万全を期するよう十分な留意と御指導をお願いしたいと思います。また、広報につきましても抜け目のないようにやっていただきたいと思います。
 ここで若干、派遣隊員等の経験からつけ加えたいことがあります。それは厳然たる規律を維持しておるということ、秩序でありますとかあるいは威容でありますとか、それから住民との融和、こういうものが極めて安全に重要であるということを監視要員として行っていた連中も体験しておりますが、これはカンボジア情勢を好転させるという基本的な問題とともに極めて重要な安全策の要素であると思いますので、その点をお含みおきを願いたいと思います。
 次に、協力本部の方にお伺いいたします。
 我が派遣部隊が、UNTACの一要素として各国派遣部隊とともに業務を最後まで完遂することは極めて重要であると考えます。総理も、また官房長官も、あるいはまた防衛庁長官も、今のカンボジア情勢ならば、我が派遣部隊はUNTACの要請に従って業務を完遂するというように表明しておられます。私もこれについては当然そうであるべきであると賛成でありますが、国民の皆さんも含めましてなお疑義を抱いている人たちもおりますので、ここでそのように判断する理由、つまり業務の遂行を継続すべしとする理由を確認したいと思います。
#208
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のとおり、カンボジアにおける永続的な平和の確立のために、現在UNTACを中心に行っております国際社会の努力を我が国としては全面的に支持し、この任務を最後まで完遂させるべきであるという点は極めて重要な点だと思います。
 確かに、カンボジアにおきましては停戦違反でございますとか、あるいは武装集団による攻撃事件等が起こってはおりますけれども、現時点におきましてカンボジアで全面的に戦闘が再開されているというわけではございません。
 また、カンボジアにおける紛争当事者の各派でございますが、これらの各派は、カンボジア最高国民評議会を通じまして、UNTACの設立及び活動につきましての規定を含むパリ和平協定に署名しておりまして、我が国の活動を含むUNTACの活動を受け入れているわけでございます。先ほど申し上げましたような問題はございますけれども、現在、UNTACの活動をこれらの各派が全面的に否定するというような行動をとっているわけではございません。
 したがいまして、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは依然維持されていると考えておりますし、また、停戦の合意を含む国際平和協力法上のいわゆる五原則は今も満たされているというふうに考えている次第でございます。
#209
○永野茂門君 それではお伺いしますが、どのような状況になったならば業務を中断することになるのか。もし具体的な表現ができるならば具体的に表現していただきたいと思います。
 それから、それに関連いたしまして、中断を決定する際の責任及び手続は、実施計画ですか、実施要領ですかあるいは政令ですか、よく存じませんけれども、それにはどういうように規定しておるんでしょうか。
 そしてまた、その際、UNTAC本部とはどういうような調整をやるんでしょうか。
#210
○政府委員(柳井俊二君) 業務の中断につきましては、具体的な状況に照らしまして、いわば現場限りではなくて、我が国政府としての対応を総合的に判断する必要があると考えております。
 国際平和協力法の仕組みにおきましては、我が国から派遣された要員部隊は、いわゆる五原則の最初の三つの原則でございますが、これらの原則のいずれかが崩れたような場合には、国際平和協力本部長が定める実施要領に従いまして、国際平和協力業務を中断するということになっているわけでございます。
 御承知のとおり、この三つの原則は、第一が紛争当事者間の停戦の合意が守られているということでございます。それから第二が、国連の平和維持活動が行われる地域の属する国及び紛争当事者の当該活動の実施及び我が国の参加に対する同意があるということ。第三に、この国連平和維持活動がいずれの紛争当事者にも偏ることなく実施されるということでございます。
 これらの基本原則のいずれかが崩れた場合には、政府として判断をいたしまして、そのような状況が長くなれば業務の終了ということになるわけでございますが、しからざる場合には中断ということになるわけでございます。
 それから、御指摘の第二の点でございますが、しからば、どのような手続でだれが判断するかという点でございます。この点につきましては、実地要領に中断に関する規定がございます。先ほどもちょっと触れましたけれども、部隊の場合について申し上げますと、この判断は防衛庁長官が本部長と協議の上、業務を中断するように指示した場合には、現場の部隊の長が業務を中断するというのが基本原則でございます。それから、一定の場合を掲げておりますが、その場合に該当するような状況が生じました場合には、現場の部隊の長は防衛庁長官を通じまして本部長に報告し、指示を仰ぐということになっております。
 実施要領で挙げております場合と申しますのは、具体的には三つでございます。
 一つは、「紛争当事者が停戦合意、平和維持活動及び我が国による国際平和協力業務の実施に対する同意を撤回する旨の意思表示を行った場合」。それから第二に、「大規模な武力紛争の発生等により、もはや前記の合意又は同意が存在しないと認められる場合」という点でございます。それからその次に、これら以外の場合でございましても、停戦の合意あるいは関係者の同意というものが存在しないと認められる場合というその他の場合も挙げております。それから、具体的な例として三番目に挙がっておりますのは、「国際連合平和維持活動がもはや中立性をもって実施されなくなったと認められる場合」ということでございます。その他を入れますと四つの場合が挙げてあるわけでございます。
 それから、中断に際しましては、当然のことでございますけれども、カンボジアの例で申しますればUNTACと緊密に連絡調整を行うということでございます。
 繰り返しになりますけれども、このような状況が生じた場合におきましては、具体的な状況に照らしまして総合的に判断すると、そして、現場限りではなくて政府の指示を仰ぐということでございます。
 なお、防衛庁長官あるいは本部長の指示を仰ぐいとまがなく、また、国連側との連絡をするいとまがないような場合におきましては、安全確保のために業務を一時休止するということも定められております。
#211
○永野茂門君 今聞いた範囲においては、現場において裁量の余地もあるということでございますが、いずれにしろ状況を見きわめながら最後まで任務を完遂できるように願うものであります。
 防衛庁長官にお伺いしますが、今までの全般情勢でありますとか、あるいは現地における安全措置等、それから協力本部等の方で答弁されました中断あるいは一時休止等の考え方、できるだけ最後まで任務を遂行していこうということでありますけれども、これらを通じて長官の部隊の安全に関する確信、そしてまた任務完遂に対する見通しを伺いたいと思います。
#212
○国務大臣(中山利生君) いろいろ停戦違反事件であるとか、武装集団による凶行であるとか、あるいはポル・ポト派ばかりではなくて、各派がそれぞれテロ的な行為をやっているというようないろんなうわさがあるわけであります。
 我々の常識を超えまして、選挙という一つの異常な状況、自分が当選するためには相手候補を殺すことが一番確実だというような常識が行われているという話も聞いておりますし、そういう中での作業、いろいろの危険が予想されるわけであります。
 先ほど畠山防衛局長から御答弁申し上げましたように、これはもう派遣前から危険の防止ということについてはいろいろなマニュアルが授けられているわけでありますけれども、なおかつ先ほどお話し申し上げましたような、状況の把握というものが一番大事であろう。そのためには、先ほど申し上げましたUNTACの本部あるいは地域の方々、また駐在をしておりますフランス軍その他の各国の軍隊、そういうところから情報をできるだけ早く受け取って、それに対する事前の対処をできるだけ早くやっていく、そういうのが一番の安全の基本ではないかということで私どもも努力をしているわけであります。
 何といいましても、ポル・ポト派とプノンペン政権軍の選挙に絡んでの確執、駆け引きというのがいろんな事件になってきていると思いますので、そういう意味では、停戦の合意とか、そういうものはまだ守られているというふうに感じておりますし、それができないような大混乱になる場合はある程度早くから、数日前からそういう行動というものは予測できるわけでありますから、そういうものを情報を集めながら安全対策をやっていくということしかない。
 今のところ、柿澤外務政務次官、それから日吉防衛事務次官が相次いで現地に行ってまいりまして、UNTACの方々、あと周辺の国々の幹部の方々ともお話し合いをしてきたわけでございますが、いずれも選挙はできる、その選挙の達成のためにみんなで一緒に努力をしようということになってきたということでございますので、私どももその方針でこれからも進んでいきたいというふうに思っております。
#213
○永野茂門君 協力本部の方にもう一つだけお伺いしたいと思います。
 現地の国連平和維持軍の総指揮官といいますか、コマンダーからの作戦命令の対応のあり方についてお伺いしたいんですけれども、第一次派遣隊の状況を見ますと、例えば作命T号によってタケオのUNTAC要員に対する給水、給油支援等が追加されたり、あるいは作命T号によってセクター六ほか幾つかの地域の工兵全般支援について担任拡大の命令があったわけでありますけれども、これらの手続は丸二カ月以上かかっているんですね。つまり実行してよろしいということ。これは幾ら何でも時間がかかり過ぎだと思うんでありますが、何か時間を短縮するような工夫は今検討されておりますか、どうですか。
#214
○政府委員(萩次郎君) 国連より新しい任務というものの指図があった場合、迅速にこれにこたえるようにすべきであるということはまことに御指摘のとおりでございます。私どもとしても、なるべくこれに円滑に対応できるよう努力をしてまいりたいというふうに思っておりますが、いろいろ諸手続等があり必ずしもすぐにというわけにはまいらない面もございます。
 いずれにいたしましても、現行の法制度に基づきましてできるだけ速やかに対処するようにしてまいりたいというふうに考えております。
#215
○永野茂門君 例えば、権限を本部長の方から防衛庁長官までおろすとか、それがいいかどうかというのは検討しなきゃいけないわけでありますけれども、いずれにしろ、もう少し短縮する方法について御努力をお願いしておきたいと思います。
 最後に、外務省にお伺いいたします。時間がありませんので一問だけにいたします。
 政府は、国連のPKO特別委員会でガリ事務総長が提案した平和執行部隊について、特殊で例外的な状況下では展開を認めることができるという我が国の立場を明らかにしたと新聞に報ぜられておりますが、その実情はどういう状況でありましたのでしょうか。
 また、国連のアナンPKO担当の事務次長が国連待機部隊についで発言をしておるということが新聞にも報道されておりますが、このアウトラインをお伺いいたしたいと思います。
 そして、いずれにいたしましても、この種の要請が日本に対しても世界的にだんだん強くなってくる、国際的に強くなってくるということになると思いますが、これはいろんな法的な問題、特に憲法との関係等もありまして十分慎重に検討しなければいけないと思います。積極的な対応を考えながら慎重な検討をおやりになっていると思います。もちろん我々の側でも十分検討しなきゃいけませんけれども、政府側が現在検討している状況はどうでありますか。お伺いいたします。
#216
○政府委員(小西正樹君) ただいまお尋ねの国連PKO特別委員会における日本代表の発言でございますが、これはまず第一に、平和執行部隊、この考え方について議論することは非常に有益であるということを述べております。
 また第二に、武器の使用を自衛目的に限ること、展開に先立ちまして当事者の同意を得ること、こういったPKOの原則は引き続き尊重されるべきであるという発言をしております。
 また、第三点といたしまして、特殊な状況にあり、かつ例外的な場合においては、平和執行部隊及び平和執行部隊の背後にある考え方が妥当であるということもあり得ると考えるという点を指摘しております。
 これは、実はソマリアが念頭にございまして、ソマリアにおいては人道的な救援活動のための安全の回復には至っておらないという点が第一点。第二点といたしまして、対立種族間の武装解除も完全に行われている状況にはない。第三点といたしまして、依然として無政府状態が続いている。こういった例外的、特殊な状況においては、国連が強制措置を伴った活動を行うということもやむを得ない。こういうことを念頭に置きまして日本代表が発言したわけでございます。
 第二点の御質問の、アナン事務次長の国連待機部隊についての考え方でございますが、これは現時点におきましては事務局の内部で検討をしておる段階で、各国の加盟国の考え方も聞かれではおりますが、必ずしもまだはっきりした輪郭というものが国連の事務局から提示されているという段階ではございませんので、またそういう段階におきましてその概要等について御報告、御説明させていただきたいと思います。
 第三の御質問としまして、将来において、こういった平和執行部隊なりそういった形の平和維持活動について日本の参加を求められるケースがあるんではないかという御質問でございます。
 私どもは、将来どの時点でそういう要請が出てくるのか、これについては予期し得ませんが、現時点におきましては平和協力法、この法律の実施を通じて国際貢献をやっていきたいという考え方でございまして、この平和執行部隊あるいはほかの予防配備といった新たな考え方については勉強はいたしますが、当面私どもの対応といたしましては平和協力法の枠内で対応していくということを考えております。
#217
○永野茂門君 ありがとうございました。終わります。
#218
○大久保直彦君 PKOの問題につきましては、官房長官が戻られましてから二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 私は、総務庁長官に今国会提出予定と言われております行政手続法の問題について二、三ただしたいと存じます。
 私は、この四半世紀の間、行政手続の問題がいわゆる明治百二十年以来の古いスタイルを踏襲してきた、これが今国会においで新たな法案が提案されることについて非常に私自身は感無量の思いをいたしますとともに、日本の行政の新しい発展のために極めで画期的なことである。このような思いを持ちながら法案が出されるのを今か今かとお待ちしておるわけなんですけれども、けさ方の理事会で総務庁の官房長から、やや提出がおくれそうである、鋭意努力はしておるけれどもおくれそうであるというような御発言がございました。
 総務庁長官におかれましては、今国会にこのような行政手続法並びにその整備法案を提出されることについての御所見と、並びにこの法案の最後の詰めの進捗状況はどうなっておりますのか、まず冒頭にお尋ねをいたしたいと思います。
#219
○国務大臣(鹿野道彦君) ただいま先生申されたとおりに、我が国の行政手続は個別の法律に任せられておるというようなことで、従来からその不備なりまた不統一というふうなことが目立ちまして、法制の中での整備というふうなものがおくれでおるんではないか、こういうふうな指摘を受けてきたわけであります。
 また、行政の運営においても行政指導が大変多いというような中で、許認可の申請に対するいわゆる審査の基準というふうなものが明確になっておらないんじゃないかというような指摘も受けてまいりました。先生まさしく行政のスタイルと、このように申されましたけれども、その行政のスタイルに対しては、国内だけではなしに諸外国からももっと公正・透明な行政運営をやってほしい、こういうふうな声が高まってきておったわけであります。
 そこで、この要請にこたえるためにということで、共通的な横断的な法律を制定する必要がある、このようなことから、政府といたしまして平成三年の十二月に提出されました第三次行革審答申に沿いまして行政手続法を作成して、できるだけ早く国会に提出をすべく今作業に全力を挙げているところであります。しかし、まことに申しわけないというふうな一語に尽きるわけでございますが、三百五十という法律にも関連する膨大な作業でございまして、いささか予定よりも提出がおくれておるわけであります。
 しかし、この行政手続法が、まさしく我が国の行政制度及びその運営の公正・透明性が向上することによって国民の行政に対する信頼というふうなものを確保するのに大いに役立つこと、あるいは国際社会において日本が期待されるところの役割を果たしていくというふうなことのためにも大変重要だというふうなことを考えますならば、何としても今度の国会で成立をさせていただきたい、この気持ちで今日取り組まさせていただいておりますということだけは申し上げさせていただき、そのような意味で今後とも何とぞ御協力、御支援のほどをお願い申し上げたいと思います。
#220
○大久保直彦君 今、長官の御答弁の中で、平成三年の第三次行革審答申云々という御発言がありましたが、さかのぼりますと昭和三十九年の第一次臨調、臨時行政調査会の答申によってこの行政手続法を一日も早く制定すべし、またはそのための調査会を設けよという答申が行われておるわけでございますから、以来二十数年間、いわゆる四半世紀にわたりましてなぜこんなに時間がかかってきたのか。
 つい数カ月前、今国会早期提出と言われながら、この期に及んで、また手続いろんなことがあるんでしょうけれども、三百五十にかかわる法律との関連性等々で休みを返上して今詰めていらっしゃるようでございますが、今国会に間に合うのかどうかということと、なぜ二十数年もかかって今日ようやく日の目を見ようとしておるのか、何がネックであったのか、その辺についての御見解を伺いたいと思います。
#221
○政府委員(増島俊之君) 提案につきましては、ただいま総務庁長官が申し上げましたように今全力を挙げて準備をいたしているわけでございます。本法につきましてはほぼまとまっておりまして、そして現在はこの個別法、本法の施行に伴います関係法の改正でございますが、それの統一審査の段階にあるわけでございます。
 で、統一審査の段階にありまして、個別法におきましていろいろ行政手続法をそのままストレートに適用することが適当でない適用除外措置、あるいはまた行政手続法と重複することになります規定の削除、あるいはまた個別法の中にやはり残しておくべき部分がございまして、そういうものを存置させるための措置、それから用語の整理等などをやっているわけでございます。
 そういう意味で、この統一審査の面からのいろいろ類似事項の統一的な整序というのがございまして、若干の時間がかかっているわけでございますが、ただいま総務庁長官申し上げましたようにできるだけ早く国会に提出するということで全力を挙げておるわけでございます。
 それから、一次臨調のときに、これは昭和三十九年でございますが、やはり公正確保という観点からの御提言がございまして、そしてそれがなぜ実現していないのかという御質問であるわけでございます。なかなかストレートにお答えするのは難しい面もあるわけでございますが、しかし、従来統一的な行政手続の検討が進まなかったといいますのは、我が国におきましてはこういう行政手続が必要な分野といいますのは個別法で対応してきたということがあると思います。
 したがいまして、現在でも行政手続法の施行に伴います関係法律が膨大になっているということも、各個別法で行政手続がかなり詳しく書かれている分野があるわけでございます。全く書かれていないというものもあるわけでございますけれども、しかし、そういう必要に応じてこういう個別法で対応してきたということが一つあると思います。
 それからもう一つは、どちらかといいますと日本の役所では行政処分を行います場合には概して慎重に、または用心深く行われるということが多いわけでございます。手続がある意味では整備されていない場合でも相手方との事実上の接触がなされ、そしてまたその言い分なりいろんな御主張を聞いてそして処分をする、そういうような状況があるわけでございます。そういうような背景でこの種の統一的な行政手続法のいわば立案といいますか、インパクトというものとして薄かったのではないのかというふうに考えているわけでございます。
#222
○大久保直彦君 長官、今国会に提出ということはこの場でお約束はできますか。
#223
○国務大臣(鹿野道彦君) その決意で全力を挙げてまいります。
#224
○大久保直彦君 時間がありませんので、私は要点だけお尋ねをしておきたいと思うんです。
 いわゆる江戸時代からのお上一任みたいな裁量権みたいなものが日本の行政スタイルの中には、長年の悪弊というんですか、伝統的に根づいておりまして、許認可を申請する側にいたしましても、どういうことが基準になっておるのかさっぱりわからない。その辺の裁量の幅が非常に多かったのが、今回のこの行政手続法ができますと、いわゆる許認可の基準というものが国民の前に極めて鮮明になる、そういうことでは非常に画期的なことではないかと思います。
 さっき、長官の御答弁にもありましたけれども、やはり国際化の彼もこの行政手続法を促進しなければならない一つの加速になっているのではないか、こういうことも思うわけでございます。
 今、この行政手続法が制定されることについて非常に関心を寄せております問題を三点に絞って私はお尋ねしますので、的確な御答弁なり、お考えを聞かせていただきたいと思います。
 一つは、入国管理の業務の手続が非常に不明確である、こういう声をよく聞きます。いわゆる入国管理の手続について今回の法案ではどういう措置をとっておられるのか。
 二番目は、いわゆる許認可の申請をいたします場合に、受理したのか預かったのかよくわからない。いわゆる受理証というんですか、受領証というんですか、受領印というんですか、そういうものを押して受け取りがないものですから、後に不服審査の申し立てをしましても受理されているのかどうかということが全くあいまいのままになってしまっておる。こういうことは今回の法律でどういう考え方になっておるのか。
 さらには、申請をいたしましてからどのくらいの期間でこれが審議され、検討され、許可されるのか。その辺の期間の設定も今までは非常に不透明といいいますかわからない、お願いしっ放し、いつ回答が出てくるかわからない、こういうことが続いてきたわけでございますけれども、この点について、今回の行政手続法ではどういう考えを持って臨んでおられるのか。
 時間がありませんから、端的な御答弁をお願いいたしたいと思います。
#225
○政府委員(増島俊之君) 第一番目の入管業務でございますけれども、外国人の出入国について、これを認めるかどうかといいますのは本来国家の自由裁量に属する、そういう事項であると言われておるものでございます。したがいまして、今回の行政手続法が対象としております一般国民に対する処分というものとは性質を異にしているということで、本法の適用除外ということで考えておるわけでございます。
 二番目の許認可の握りつぶし、いわゆる握りつぶし的なことにつきましては、まさにこの行政手続法で、この申請が行政庁の事務所に到達したときには遅滞なく当該申請の審査を開始しなければならないという旨を規定しておりまして、また申請が形式上の要件に適合しない場合には、申請の補正を求めるか、あるいは許認可等を拒否するのかを申請者に速やかに明らかにすべきだ、そういうことを規定することを予定しているわけでございます。
 また、三番目の標準処理期間につきましては、まさに標準処理期間というものをきちっと設けて業務を行うという規定を設けるということにしておるわけでございます。
#226
○大久保直彦君 まだ法案の実体を見ませんので、きょうはこの程度にとどめておきたいと思います。
 先ほど長官の御決意もありましたように、何とか今国会でこの手続法が成立をいたしますように、私どももできる限りの協力をいたしたいと思っておりますけれども、ぜひとも総務庁においても一層の御尽力をされますことを強く要請いたしておきたいと思います。
 官房長官がお帰りになりましたので、PKOの問題についで二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 きょうの閣議でモザンビークヘのPKOの派遣を御決定されたと伺っております。そのことについて、決定をされてやれやれというときにこういうお尋ねはいかがかと思いますが、官房長官は、政治家河野洋平という立場ではなく、富澤内閣の官房長官という立場で、このモザンビークヘのPKOの派遣については非常に当初慎重論を唱えておられ、むしろ後ろ向きとも思われるような御見解を持っていたやに私どもは承知いたしております。
 その河野官房長官が、何があってこのモザンビーク派遣へのゴーサインを出されましたのか、この辺が今日今もって余りはきっりいたしておらない。今後のこともありますので、どういうことがあってその見解が変わられたのか、または、もともと初めから変わっていなくて渋っているふりをされておったのか、その点についての明確な御所見をお伺いいたしておきたいと思います。
 重ねて、明日衆参両院本会議でPKOについての中間報告がなされるようでございますが、それに先立つで本日このモザンビークヘの派遣を決定された、そのお立場でのお考えがあれば御意見を伺っておきたいと思います。
#227
○国務大臣(河野洋平君) 私が思いますのに、国際貢献というものは近年我が国が果たさなければならない極めて重要かつ崇高な仕事であるというふうに基本的に考えております。その一方で、外国に日本から若者を派遣するということについでは十分慎重でなければならないというふうに考えているわけでございます。
 カンボジアにおきましても、先ほど本委員会で委員の先生方からいろいろ御指摘がございましたように、なかなか細心の注意を払わなければならない状況でございます。本来、カンボジアのPKO、日本からの派遣部隊が参りましたときには四派がそろってこれを歓迎していたという状況であったわけでございますが、最近になるとそれは必ずしも六カ月前の状況とは若干違ってきているという部分もございます。そうしたように国内の情勢というものはやっぱりかなり変化するわけでございまして、そうしたこともよく考える必要も一方ではあると思うんです。
 それからさらに、これも先ほど御指摘がございましたように、カンボジアといえば日本と長いつき合いがあり、かなり多くの人がそのお国柄まで承知をしているところでございますが、モザンビークということになるとそれはそう多くの人がよく知っているというわけではない、遠隔の地でございます。そうしたことから、国際貢献を果たさなければならない我が国にとって大事な役目と思いながらも、一方でこの遠隔の地に日本の若者を国際貢献のために派遣をするということになると、よほど十分な調査あるいはバックアップ体制、そういったものがきちんとできているかどうかということについて実は私は極めて慎重でおりました。
 そこで、今回の決定に当たりましても二回にわたる調査団を派遣いたしました。一回目の調査団は一般的な情勢を十分調査をして帰ってまいりました。今回二回目の調査団を出しまして、五十数名の人員を派遣するについて、その日常生活からもちろんその気候、風土、伝染病の状態がどうかということまでいろいろな角度から調査をしてもらったわけでございます。そういう調査をする一方で、この問題は政治家、政治がすぐれて最後は判断すべきものと考えておりましたから、政治家としていろいろと考えるところがございました。
 国際社会の中における我が国の地位、将来我が国が行くべき道、そうしたことを考えると同時に、アフリカという地域、さらには日本の持つ能力、これは先ほど申し上げましたように外交上の能力もありますし、派遣をすべき自衛隊の能力、つまり国連から期待をされている輸送調整というものに対してどの程度その期待にこたえるだけの能力があるかということなどなど、さまざまな角度から研究検討をし、最終的に派遣をするということの決断をするよう本部長に報告をしたわけでございます。
 今回の決定に当たりましても、外務省を初め関係先と十分連絡をとってバックアップ体制を整える、先ほどもこの委員会でお話がございましたようにモザンビークにはもともと大使館もございません。したがってモザンビークの状況はジンバブエの大使館経由で日本には連絡が入る、南アも非常に近うございますから南アの大使館からももちろん情報は入りますが、直接モザンビークには大使館がないわけです。
 そこで、今回は五月一日にモザンビークに仮の事務所を開設して、そこに常駐の外交官を置く、さらに平和協力本部からも派遣するというようなことで、バックアップ体制もできる限りの布陣をしいて、そして派遣をするということにしたわけでございます。
 少し話が長くなって恐縮でございますが、先ほども申し上げましたように、モザンビークは政府軍とその政府軍に抵抗する民族抵抗戦線といういわば反政府軍とが対峙したような形になっているわけです。この二つの勢力が和平協定を結んで和平に向かっておりまして、現状ではこの和平はうまくいくに違いないという評価でございますが、まだまだこれから難しい場面もあるいはあるかとも思います。しかし、誠意を持ってこの地域の和平のために努力をしてほしいというふうに考えているところでございます。
#228
○大久保直彦君 終わります。
#229
○吉田之久君 きょうはこの委員会で、特にカンボジアのPKOをめぐる危機管理の状況につきまして多くの質問がございました。与党の側も野党の側も、あるいはPKOに賛成した側も反対した側も、押しなべて今カンボジアのPKOは大変な危機に直面しているという指摘がなされました。議会がこれほど心配しているということはまさに国民が心配しているということの証明でございます。
 ところが、肝心の政府の御答弁を聞いておりますと、防衛庁も外務省も官邸も、いろいろ立場上のお苦しみもあるとは思うのでございますけれども、まだそんなに危険な状況にはない、停戦合意は守られております、五原則は満たされておりますというようなお答えが基本でございます。
 しかも、先ほどの答弁を聞いておりますと、あの崇高な使命に燃えた中田君が悲運な最期を遂げた後であるにもかかわらず、まだ指導なさっている現状は、夜はひとり歩きをしないように、車は一台で動かないように、何か平和な国のお嬢さんに物を申しているような表現でございますけれども、私はそんな状況では既にないと思うのでございます。
 非常に大事な問題でございまして、この辺についで一段と政府の細心の配慮と、そして万全な対策が講じられるべき時期に今来ておると思うのでございますが、この点につきまして官房長官はどうお考えでございますか。
#230
○国務大臣(河野洋平君) 国連ボランティアの中田さんの死はまことに残念であり、痛ましい事件でございました。心から御冥福を祈りたいと思います。
 しかし、カンボジアの状況は吉田委員御指摘のように、日本人としては中田青年がとうとい命を落としたわけでございますが、よその部隊からはかなりの犠牲者が出ているという事情でもございます。私どもはえてして、日本人が事件に巻き込まれると大変心騒いで、他国の人ならばそう驚かないといったようなことが間々過去にはあったかと思いますけれども、決してそういうものではなくて、どんな場合でもカンボジアにおいて命を落とす人があってはいけない、事故が起きることは決していいことではないというふうに思うわけでございます。
 ただ、そうは言いながら、お互いに安全をどうやって確保するかということになりますと、国連の手によって安全というものは確保されるというのがまず第一義的でございますから、私どもも今川大使を通じて、まずはUNTACに対して我が国の部隊の安全を確保してほしい、万全を尽くしてほしいという申し入れをいたします。
 と同時に、こうした痛ましい事故が起きないように万全の対策をとってほしい、これは何も日本だけを指すわけではなくて、UNTAC参加の人たちの全体を指し、さらにはカンボジアの国民にも犠牲が出ないことが大事だということを我々は考えております。それは第一義的な問題です。
 しかし、我々は我々でみずからを守らなければなりませんから、我々の安全をただUNTACにお願いをするというだけでいいわけではございません。そこで我々は、例えば施設大隊の皆さんはそれぞれみずからの安全のために組織的な安全対策をなさっておられる。これは、いろいろ状況を見ましても、仮に計画的な襲撃があるとすれば、それはすきがある、弱みがある、弱いところがあるというところが襲撃をされる。仮に計画的な襲撃があるとすれば、そういうところがその襲撃の目標にされやすいとするならば、やはり組織として規律を守ってきちんとした行動をとるということは安全対策上も重要なことだというふうに思います。
 この点は、現地の責任ある方々は日ごろからかなりやかましくそういうことをおっしゃっておられるようで、安全のためのいわばマニュアルをつくってそのマニュアルどおりの行動をされる、これが身を守るための大事な一つの手段と言ってもいいかもしれません。
 しかし一方で、文民警察でございますとか停戦監視のように、日本から派遣された人が、離れて行動をするという状況でもあるわけでございますから、こういう方々の安全に対しても十分配慮をしてもらうように、これはやはり文民警察あるいは停戦監視をつかさどる組織にお願いをしなければならないわけで、そうしたことをお願いすると同時に、それぞれの個人にも十分身を守るための注意を喚起するということはしておるところでございます。
 ただ、我々が心配をしなければなりませんのは、やはりNGOの方々とか国連ボランティアに参加している方々のことはなかなか今申し上げたような組織的に守るということができにくいわけでございますのでき得る限り連絡がとれるように、そしてもし非常に危険な状況が差し迫るというようなことがあれば、連絡が迅速にとれるように、そういったような工夫を凝らす努力をしていきたいと思うわけでございます。
#231
○吉田之久君 今、官房長官お話しのとおり、まさに国際貢献の先頭に立つべき日本としては、ただ中田青年が命を絶ったということだけを悲しむのではなしに、既にブルガリアやバングラデシュの兵士たちも亡くなっております、そういう問題全体をみずからの痛みとして受けとめなければならない。
 同時に、今長官からお話ありましたが、正規の自衛隊はまだしも、NGOやボランティアに活躍する人たちはほとんど単身、全く丸腰で僻地に赴いております。しかし、だからといって再び第二第三の中田君のような悲劇が起こったらこれは日本国民はとてもおさまらないと思うのでございます。それは今後の国際貢献全般にも非常に大きな影響を与えることは当然でありまして、だから再びあのような悲劇を起こさせないと。
 それは、UNTACにもいろいろとお願いすべき筋合いはありましょうけれども、ともあれ丸腰がどんなに注意して歩いたってそれはやっぱりねらわれたらそれで最後でございますから、ねらわれないように彼らを十分にガードする、そういう人たちをどのように用意するかということが具体的には大事な問題だと思うんです。日本の自衛隊が今の状況でそれはできません。だとするならば、プノンペン政府にお願いし、カンボジアの警察、治安に当たる人たちに守ってもらうのか、あるいは一部PKFの外国の部隊にいっそのことお願いするのか、もう少し具体的な対応をとらないと国民の不安はおさまらないと思うのでございます。
 この辺、どなたからでもお答えいただきたいと思います。
#232
○政府委員(小西正樹君) ただいまの先生の御指摘は非常に大切な点でございまして、私どもも先ほど官房長官から御答弁の中にありましたとおり、明石代表に対して柿澤政務次官からこの点についての十分な配慮をするようにという申し入れを行ったところでございますが、特に私どもの方で心配しておりますのは丸腰の国連のボランティアの方々の安全の確保でございます。
 これにつきましては、第一義的にはUNTACの指揮監督下に入るわけでございますので、UNTACが措置をとっておるわけでございますけれども、現在私どもが承知しておる措置といたしましては、コンポントム州在住のすべての国連ボランティアのプノンペンヘの帰還。第二点といたしまして、すべての国連ボランティアに対し、プノンペンにおいてより一層の安全措置を講ずるためのブリーフィングを行う。それから、第三点といたしまして、危険度の高い州に駐在するすべての国連ボランティアは郡部にとどまって、UNTACの武装工スコートなしに町の外に出ることを禁止する。
 さらにUNV、国連ボランティアの事務局といいますか、国連ボランティア側とUNTACとの間におきまして、治安が悪化した場合の国連ボランティアのUNTACの軍事部門駐留地での滞在、UNTAC選挙部門における安全確保上級調整官の設置、危険地域でのボランティアの移動には武装工スコートをつける、英語、フランス語で会話可能な無線担当官を二十四時間ベースで配置する、こういったことについで現在協議が進んでおります。
 そういった点につきまして、私ども日本政府の側といたしましても十分注意して見てまいって、必要に応じUNTACの方に申し入れをしたいというふうに考えております。
#233
○政府委員(萩次郎君) 警察官、文民警察、それから停戦監視員、それから選挙監視員という割とばらばらになっていろいろな地域で原則非武装で活動されるという方々の安全確保、これは私どもも大変重要なことだと思っております。基本的には例えば停戦監視員、それから選挙監視員、完全な非武装でございますが、その方々が活動を行う際には必要に応じて必ず歩兵部隊の護衛をつけるということを原則としております。
 選挙監視員はこれから参るわけでございますが、現在UNTACの選挙監視部門と軍事部門との間で選挙監視要員の安全確保について、その方策がさまざま詰められているというふうに聞いておりますとともに、私どもの方からもその点重々遺漏なきをUNTACに申し入れをしておるところでございます。
 私どもとしてもちろんできる限りのことをやるわけでございますが、例えば警察、停戦監視は、停戦違反が割と行われているシエムレアプあるいはコンポントムという町や村に勤務する者がおるわけでございますが、そこの人々に対してはなるべく日本との通信をまず確保することが大事ということで衛星通信装置を配付してございます。今後、選挙監視員が現地に参りますので、さらに台数をふやすことによって情報の不足による不安というものを除くように努力をしたいというふうに思っております。
 それから、万々一のときのことを考えまして、例えば防弾チョッキとか防爆マットとか、そういう自分のところでできるぎりぎりのことは極力最大限努力をしてまいりたいというふうに考えて施策をとるようにしております。
#234
○吉田之久君 いろいろ御苦労、御苦心いただいているようでございますが、まだまだ心もとないものを感ずる次第でございます。幾ら日本と通信してもそれで命は守れないと思うわけでございまして、いよいよ状況がおかしいと思えば、カンボジアの選挙も大事でございますけれども、やっぱり挺身するボランティアやNGOの人たちをすぐに退避させるとか、あるいは今お話しのとおり、十分諸外国のPKFを主力とする歩兵部隊に守らせるとか、その辺のことをしてもらわないとちょっとこれは先行き大変心配でございます。
 以上、問題を二つに分けまして、要するにまだ辛うじて五原則は守られているからPKOは活動していいと思うのでございますけれども、にもかかわらずテロとかゲリラとか強盗とかギャングとかが続出をしておるのでございますから、まずこれをどのように排除するかということが一つ。
 それから、ポル・ポト派の方もこの選挙には協力しない、武力行使あるやもしれずというような予言がしきりに伝わってきておる大変物騒な状況でございます。もしかすべてが壊れてポル・ポト派がプノンペン政権軍と全面戦争するとか、あるいはUNTACを相手にしてくるというときは、当然日本のPKOは中断、撤退しなきゃなりませんが、しかし中断、撤退するまでに被害を受けることもあると思うのでございますね。まして向こうは、ポル・ポト派は八十二ミリの迫撃砲等相当な銃火器を持っておるようでございますが、日本は小銃やけん銃だけでございます。とても太刀打ちできないと思うんですね。
 そういう万が一のことも絶えず考えておかないと、非常に平和の幻想だけで対処しておっては後で取り返しのつかないことが起こる危険もありますので、その辺、官房長官などからお答えをいただければありがたいと思います。
#235
○国務大臣(河野洋平君) 吉田委員が御指摘になりましたように、私どももあれだけの人数をカンボジアに出しているわけでございまして、細心の注意を払ってその安全の確保のために最大限の努力をするということに徹しているところでございます。
 私どもは、現在でもパリの和平協定の枠組みは守られていると確信をいたしておりますし、五原則も守られているというふうに思っているわけでございまして、このことは自分だけが思っていても決して意味があることではございません。客観的にそういうことでなければならないわけでございます。
 吉田委員が御心配になりますように、現在一番我々にとって心配をしていること、関心事はやはりポル・ポト派の動静でございます。このポル・ポト派はポル・ポト派としての主張もございますが、現在のところポル・ポト派の動静というものを十分関心を持ちながらUNTACを中心とするカンボジア和平、永続的な和平を確立するための努力がなされております。
 これは、御承知のとおり先ほども申し上げましたが、選挙まであと一カ月という状況でございますから、あちこちで摩擦が起き、衝突があると同時に、各派は各派なりの宣伝合戦もかなり多いわけでございます。さまざまな宣伝合戦が行われる中で、どれが本当の情報であるかということを見分けることに神経をすり減らしながらやっているわけでございまして、情報戦争の中で浮き足立つということになると公正な選挙が行われないということにもなりかねません。十分危険を察知する細心の注意を持つと同時に、デマにはこれはきちんとデマを見分けて屈しないという確固たる姿勢も一方で大事かと思います。
 あとう限りの努力をして、最後の大事な局面、しっかりとまずはこの選挙が行われる、公正に行われるよう努力をいたしたいと思っております。
#236
○吉田之久君 ところで、きょうの新聞を拝見しますと、カンボジア派遣の初の辞退者が出た、読んでみますと千葉県在住の女性二十四歳、中田君が亡くなった直後、参加の意思に変わりはありませんかという問い合わせを受けたと。亡くなられたばかりで判断のしようがありませんと言ったら、いずれ判明次第連絡しますということであったけれども、何の説明もなかった。余りにもそっけなく感じた。だから私はやめます。
 これはやっぱり重要な問題だと思うんですね。こういうせっかく国際平和のために働こうとする青年たちに対して、今行政のとっておる姿勢がこれでいいんだろうかと私は大変心配を感じる次第でございますが、いかがでございますか。
#237
○政府委員(萩次郎君) 選挙部門への派遣候補者につきましては、現在五十人余りの方がいらっしゃるわけですが、既に三月中に研修を終えて準備を進めておるところであります。本日の閣議の決定を受けまして、現在これらの方々に意思の確認を行っておるところでございます。勤務をされておられたり、留守をされております方もいらっしゃいますので、全員の確認には二、三日時間を要するかと思いますが、この点、十分御本人の意向を確認をして決定したいというふうに思っております。
 それから、本日の新聞にも載っておりました方、昨日ファクスが送られてまいりまして、同趣旨のことが書かれておりましたことは事実でございます。私どもといたしましては、十分現地の情勢すべてにつきましてできるだけのことをお知らせするように努力をいたしておるつもりでございますが、残念ながら御辞退をされるということでございます。
 最終的には、先ほど申しましたように全候補者の確認をした上、最終的に国家公務員に採用するという手続をとりたいというふうに考えております。
#238
○聴濤弘君 カンボジア問題について質問いたします。
 きょう政府は閣議で、カンボジアの選挙の業務を推進するということで、選挙監視要員の給食活動、それから宿舎の提供などの新たな追加任務を決定いたしました。この選挙の問題につきましてポル・ポト派は選挙を妨害するということを言っておる。昨日の新聞でも報道されておりますけれども、投票所への攻撃ということがあり得るというような状況、それから特に選挙監視要員に対しても攻撃が加わるというようなことがあり得るという報道もなされております。そういう意味で情勢は非常に重大だと思います。
 先ほど、吉田委員が情勢が重大であるということを言われ、その方途については恐らく討論しますと私と違うかもしれませんが、しかし、情勢の認識においては政府よりもはるかにシビアな見解を示されたと私はそのように聞きました。私は今どういう措置をとるかということについて判断する場合に、本当にカンボジアの情勢というのはどうなのかということを政府がどう考えているかということがやはり基本でなければならないと思います。
 私、質問いたしますが、これまで何回もパリ協定が破られているということを幾つも事実を挙げて私もここで質問いたしましたし、また、その他のところでもそのことは言われておりますが、そのたびに政府側のカンボジア情勢の判断は、パリ協定をポル・ポト派が破棄するとは言っていない、これが一つ。
 それから、まだ全面的な軍事衝突には至っていない、だからパリ協定は守られているし、PKOの五原則に基づいて発動したあの状況は変わっていないという認識を繰り返し述べてこられましたが、その点について今も変わりがないと、それが基本認識だというふうに考えてよろしいでしょうか。
#239
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど来御答弁を申し上げておりますが、カンボジアにおきまして近時種々の暴力行為やテロ事件が発生をしていることは事実でございます。また委員御指摘のように、ポル・ポト派が選挙への不参加を表明していること、さらにプノンペン事務所を閉鎖するなど、不安定な要因が出てきていることも事実でございます。
 ただ、私どもはポル・ポト派、一つの不安定要因の大きな要素はポル・ポト派の動静でございまして、このポル・ポト派が行われようとする選挙に不参加を表明している、これに対してUNTACはいつまでも門戸を開いて参加を要請し続けてきたわけでございます。一部ではポル・ポト派が選挙に参加しないばかりではなく、選挙を妨害するというようなことを表明したという報道もございますが、これらにつきましてはUNTACの明石代表を初めとしてポル・ポト派にそういうことをすると国際的にも孤立しますよと、これは国際的に見でこの制憲議会選挙は極めて重要なもので、本来パリの和平協定を初めとしてこういう段取りで進めるということに合意をしてここまできている。
 それにもかかわらず、不参加ばかりか妨害をするというようなことがあれば極めて国内外から非難を浴びることになりますよ、そういう考えはやめて、やはりこの選挙に参加をすることが大事ではありませんかということを繰り返しポル・ポト派に呼びかけております。
 と同時に、これはポル・ポト派だけではなくて他のグループにも、この選挙が公正に行われる、そのためにそれぞれ自制するように、これはお互いに挑発するということもありますから、各派に対して選挙に向けてそうしたことのないように自制を促すということを繰り返し行っているわけでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたけれども、選挙戦もう半ばということになりますとさまざまな宣伝合戦も行われて、実体があるかどうかはわかりませんけれどもさまざまな情報が飛び交うという事態でございます。こういうときに、それぞれがその情報に惑わされて浮足立つということもまたあってはならないことでございまして、毅然として選挙は行うという国際社会を初めカンボジアの各派の合意というものをやはりきちっと動かさず、そのための努力を集中するということが今大事なのであって、ポル・ポト派を初めとする幾つかの派のいわゆる情報、宣伝に右往左往するということがあってはならないというふうに思っているわけです。
 しかしその一方で、もちろん安全対策にも細心の注意を払う必要がございます。そのことはまたそのこととして、私どももあとう限りの努力をしておるところでございます。
#240
○聴濤弘君 従来からも政府が答弁をしてこられた、ポル・ポト派がパリ協定を破棄しない、あるいは一応パリ協定というのは認めるという態度を現在も続けているということを情勢判断の基本としてこられた点について、今官房長官いろいろな面を申されましたけれども、その点について私はちょっと突っ込んで質問したいんです。
 雑誌「世界」の三月号に、ポル・ポト自身が書いた「ポル・ポトの秘密政治論文」というのが載っております。それを読みますと、何でポル・ポト派がパリ協定を守るかということの理由が非常によくわかります。
 簡潔に申しますと、なぜ破棄宣言をしないで守るかといいますと、このパリ協定に至る前に東京会議、それからジャカルタ会議、これがありました。そのときにはカンボジアをこれから二派でもって統治していくというか、二派でもってカンボジアを運営していく。一派はプノンペン政権、それからもう一派は三派連合、すなわちシアヌーク、ソン・サン、それからポル・ポト、これが三派連合をつくってもう一派をつくる。この二つでもってカンボジアをこれから統治するなり運営していくということで合意をすべきだという国際的な圧力がかかった、ジャカルタ会議、東京会議で。しかしポル・ポト派はそれを拒否してきた。
 なぜならば、自分たちの地位というのが三派連合の中のワン・オブ・セムにしかすぎないからだということで主張し続け、そしてついにパリ協定が結ばれたときに、この二派でもって統治していくのではなくて四派ですね、いわゆるポル・ポト派も四つの勢力の一つ。今までポル・ポト派というのは大量虐殺をやって、そしてカンボジアの国民から非難を受け、復権するというそういう状況にはなかったんだが、このパリ協定によってみずからを復権させることができた。四つのうちの一つとパリ協定で位置づけられた。だからこれは自分たちの武器になるんだ、こう言っているんです、ポル・ポト自身が。
 この武器を利用して自分たちの立場をカンボジアで強めていくんだ、そういうことを彼は明確に述べている。驚いたのは、政府は今UNTACの活動、国連の活動ということを言われますけれども、この論文では、我々は古い敵を持っている、それはベトナムだ。新しい敵が出た、それは国連も含む。新しい敵と言っているんですね、国連も。UNTACも新しい敵というふうに彼らは位置づけている。それで自分たちの支配地域を拡大していくんだということをこの論文で述べております。
 これが、彼らが停戦違反を山ほどやってもパリ協定は守るんだと言っているその最大の理由は、自分たちが復権を認められた、パリ協定によって。これを崩したくないというのがポル・ポト派の戦略だ。そこだけは守りながらあとは実質的に支配地域を拡大していく、こういう戦略あるいは戦術といいますか、それをとっているというふうに思わざるを得ないわけです。
 そういう意味で言いますと、私たちがパリ協定の違反の事実を挙げて、こういう状況で政府としてはどう考えるのかという質問をすると、パリ協定の破棄が宣言されていないから、まだ守ると言っているからと言っている答えというのは、ちょっと情勢の判断に大きな甘さがあるのではないかと私は思います。その点いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(河野洋平君) 確かに、パリ協定の中に参加をして自分たちの存在というものを、言葉は、表現は適切でないかもしれませんが、一種の市民権を得たといいますか、そういうポジションを得ているということは本に書かれておりますので私も承知をいたしております。
 そこで、パリの和平協定というものを認める。さらにSNCにも入って自分の席は確保しているんだということを一方で表明し続けているわけでございます。余り踏み込んでこのことを申し上げるのはいかがかと思いますが、しかしいずれにせよ、パリの和平協定の枠組みを認め、SNCの自分のいすもそのままにしながら進んでいけば、これはいずれの日にか制憲議会選挙がそのパリ和平協定の枠組みの中で行われて、その選挙の結果もまた認めざるを得ないということに私は結果としてなるんだろうと思うんです。
 仮に、途中まではその動きを利用して自分の存在というものをアピールしながら、あるいは市民権を得ながら進んでいったとしても、その結果は制憲議会選挙というものが行われて、その選挙の結果、憲法が制定をされ、選挙によって議会もつくられるというところにいかなきゃならなくなるというふうに思うんです。
 それは、途中まではそういっても、最後のところで飛びおりて別の方に走っていくのではないかというさまざまな憶測はございますけれども、私どもは、パリの和平協定の枠組みというものを認めて、五月の二十三日の制憲議会選挙に向けて毎日毎日みんなが努力をしているという姿が一方にあるわけですから、結果としてその姿を多くの国民は認めるということになるはずだというふうに私は思います。
#242
○聴濤弘君 ポル・ポト派が別の方向に飛びおりていって、事態が予測しない方にいくかもしれないということを言われましたけれども、今のままでいきますと選挙が行われる、ポル・ポト派はそれには参加しないと言っている。参加しないだけじゃなくで妨害もすると言っているんですが、ともかく参加しないと言っている。
 そうしますと、選挙が行われてカンボジアの一定の地域に選挙に基づく一つの政府ができるということに一方ではなる。しかしもう一方で、ポル・ポト派が武装解除をせずに軍隊をもってそれに対峙するという、そういう結果が今のところできるということだけははっきりしている。別の方向にいくかいかないかは別として、ともかく選挙は参加しないと言っているんですから、そういう状況が間もなくできるということは間違いないことだというふうに思うんです。
 そうしますと、カンボジア問題を解決しなければならない、我々も解決しなきゃならぬと思っておりますが、UNTACがこれだけやって選挙もやった、しかしその結果は何かといえば今私が言ったような状況、新しい一つの政府がこの地域にはできてもこの地域にはポル・ポト派が軍事力を持って対峙するという、そういうカンボジアができたということにならざるを得ないんで、これではカンボジア問題を解決した、ある大きな一歩を踏み出したとかそんなことを言える状況では私はないと思うんです。
 パリ協定というのは全くそういうことを予定していなかったわけです。パリ協定の中身が一つ一つほごにされていった結果がこういう状況を生み出していると私は思うんです。
 ですから、この五月二十三日から行われる選挙の直後にできる状態というのは、官房長官が言われたような平和的な状況ではない、一層緊張したものがカンボジアで生まれるというふうに私は思わざるを得ないんですが、もう一度官房長官の御意見を伺いたいと思います。
#243
○国務大臣(河野洋平君) これは、選挙が終わった状況まで想定していろいろ物を言うのはなかなか難しいわけでございます。選挙の結果も実はどういう結果が出るかということは今はなかなか予測しがたいわけでございます。しかしながら、一般に言われ始めておりますことは、恐らく公正な選挙が行われるということになると、その後に、つまり選挙ですから相当はっきり力関係といいますか、数の上で勢力分野がわかってしまうわけです。そうなると、やはり選挙に参加しなかったグループはどういうことになるのかということで、そこに不安定な要素が出てくるだろうということを皆が思い始めております。
 しかし、そういう状況の中で、その難しい状況をまとめでいく方法というものがないかといえばそうではなくて、そこでシアヌークという人の存在が多くの人たちに期待されるものになってきているということがあるんだと思います。もうこれは少し古くなりました、以前になりましたけれども、この選挙と別に大統領制を導入したらどうか、シアヌークさんを頭にイメージとして描きながら大統領制を導入してはどうか、そしてその大統領のもとに各派がまたそれぞれの発言権を確保するという方法はないかとか、さまざまな知恵が寄せられていたわけでございます。
 カンボジアの長い歴史、それから我々には時に理解できないような人間関係、そういったものもあるわけで、さまざまな人たちが知恵を持ち寄って、とにかくカンボジアに永続的な和平を築こうという意味では合意ができているわけですから、そしてその合意の中にはポル・ポト派も入って合意をしたわけでございますから、その方向に向かって知恵を集める、武力よりも、武器弾薬よりも英知で、理性で和平をつくるという努力がなされる必要があるんだろうというふうに私は望んでいるわけでございます。
#244
○聴濤弘君 シアヌーク派への期待ということ、期待を実際上されているかどうかは別として、シアヌークの指導力ということも今触れられましたけれども、一言私申しますと、シアヌークの親族、家族はポル・ポト派にあの当時ほとんど全員殺されていますから、そんな単純にシアヌークとポル・ポト派が和解をするなどとは私は思いません、私のこれは個人的な見解でございます。
 今、英知を集めて何とか合意の方向にということを官房長官言われましたけれども、最後の結論を申す前にもう一つだけ質問したいんですが、PKOの五原則、あれが満たされているからということでPKO法を発動したときに、政府としては今のような事態が来ると思っておられましたか。それともPKO法を発動したときにはこれはもうカンボジアには平和が来たんだと、停戦の合意はできているんだ、平和が来たんだから。簡潔に言うと、平和のために出ていくのでそこで武器を使用するなどということはあり得ないんだし、平和なところに平和のために、ノーベル賞をもらったPKOなんだ、そういう説明をずっと簡単に言うとされてきました。
 しかし、事態はそうではなくなってきていると私は思いますが、そういう事態ではないという認識はお持ちですか、かつて言ってたこととは違う状況になっていると。
#245
○国務大臣(河野洋平君) 長い間、内戦と申しますか、血みどろに戦い合っていた人たちが和平を求めて停戦協定に署名をして、そして停戦の合意ができて、PKO五原則が確認をされて、各国からもPKO活動のために要員がカンボジアに行き、我が国からも派遣をされているわけです。我々は、平和な社会をつくるということはそう楽なことではないというふうに思います。全く何のトラブルもない、何の苦労もないならばPKO活動というのは、つまり国内だけで話がつくなら何も外国から行く必要はないというのは先ほど来御指摘があったところでございます。
 なかなか国内ではもう合意ができない、やはりだれかが間に割って入ってくれなければトラブルはおさまらないという状況がある。しかし、停戦の合意はできている。停戦の合意はできているけれども、ぶすぶすと火種は、言葉は悪うございますけれども、あるから、だれかが間に入っていてほしい、そしてその火種が全く冷えて消えるまでだれかが間に入っているということが大事だというのが一つのPKOへの期待だろうと思います。
 もちろん、我々は五原則を確認しているわけでございますから、停戦が確認され、当事者からも来てほしいという合意があって出ていくわけでございますから、そんなに戦いが、双方で衝突が起こる真ん中に入っていくということを想定して出ていったわけではありません。しかし、永続的な平和をつくり上げるためには時として汗をかくということをいとわないということは、やはりそういう気持ちはあったというふうに思うんです。
 現在の状況が、それでは出かけていったときに想定した状況であるかといえば、私は出ていったときよりも緊張感は強い、これは申し上げていいと思います。しかし緊張感は強うございますけれども、繰り返しになって恐縮ですが、和平協定の枠組みはまだもちろん残っているし、五原則も確認ができるという状況であるというふうに考えておるわけでございます。
#246
○聴濤弘君 もう時間がありませんので一言。
 今の御説明聞きましても、かつての状況と私はやっぱり違うというふうに判断をいたしますし、他の同僚委員からも出ておりましたけれども、今の情勢というのは一つの大きな転機、正念場、もっともっとシビアな情勢で、新聞でも正念場のPKOというふうに言われているところであります。ですから、この際情勢を全面的に分析をし、その情勢分析に基づいて、撤退を含めた基本的な全面的なカンボジアでのPKO活動についての再検討が必要だというふうに私は思います。
 そのことを主張して、私の質問終わります。
#247
○高井和伸君 官房長官にPKO問題で質問通告しておりませんでしたけれども、今までの議論の中で二つばかり簡単な質問でございます。ぜひお答え願いたいと思います。
 一つは、五原則が満たされないということが確認されたとき、自衛隊は中断して撤退するということになりますが、今世情そんなことをしたら国際社会から笑われる、そんなことは恥ずかしくてできないという議論あるいは声が聞かれます。そういった場面でも五条件が満たされなくなったら撤退されると考えますが、そのとおりでございましょうか。
#248
○国務大臣(河野洋平君) 五原則というのは、中断があり撤退があるということが五原則でございまして、私どもは繰り返し五原則と言っておりますことは、PKO法に基づいて我々は行動するということを考えているわけでございます。
#249
○高井和伸君 もう一つ、選挙が終わり憲法制定議会ができれば、それでUNTACの使命は終わりだと、こういうことで、UNTACの使命もそれに限定されているはずでございます。
 そういったときに、ポル・ポト派が選挙に参加しない、しかし選挙は実施するというSNCの決定などを見るときに、UNTACもそう決めておりますが、これは当初のもくろみと幾らかずれてきております。ずれできていることを前提にしながらも、そういった国連のUNTACの目的という問題の変節についで日本のPKO法はどのような機能をするのか。それぞれ実施計画の変更ということで対応されるんだろうと思いますが、その場合はどのぐらいまでが許容範囲と考えておられますか。
#250
○政府委員(萩次郎君) まず、事務的に事実関係を申し上げさせていただきます。
 UNTACの目的が変節したのではないかということでございますが、国連を含めますUNTACの究極の目標は、制憲議会選挙をやることによって新しい憲法を制定をし、現在UNTACに預けられているいわゆる統治権、これを新しい制憲議会に譲り渡す、これは大体選挙が終わってから三カ月、そしてそれらの業務を終わってUNTACは任務を終了する、これが九月の半ばというふうに言われております。この目的は現在といえどもいささかも変更はしていないというふうに見ております。
#251
○高井和伸君 私の言っている趣旨は、そういった上で政権移譲すると言ったところで、ポル・ポト派が参加しないような選挙結果をもってすれば、先ほどから官房長官がおっしゃっておられるように、変節があることを当然の前提としながらもいろいろ知恵を出し合ってやっていこうじゃないか、こうおっしゃっておるわけです。それが、今までのPKOカンボジア派遣という目的の枠からはみ出ていく場面があるんじゃないか。
 そういった場面、形式的な話は今結構でございますが、生きた政治という問題の中においてさらなるPKOへの日本の自衛隊の関与というものが膨らんでいくんじゃないか、私はそういう心配をしているんですが、その限界は那辺にありやという質問をしているわけです。
#252
○国務大臣(河野洋平君) 今、政府委員から御答弁を申し上げたとおり、手順はすっきりしたものでございます。
 もし、この手順が変わるということがあるとすれば、それは国連における議論の結果、新しい決議が行われるということは一つあると思います。そうしたものを受けて、また我が国は我が国としての判断を下すということになろうかと思います。
#253
○高井和伸君 ありがとうございました。
 次に、きょうは国の防衛に関する調査という一般調査事項でございまして、私はかねてから頭の中に引っかかっているテーマについて防衛庁に質問したいと思っておりますが、簡単に申し上げますと、自衛隊は軍隊か、こういう論理になります。私が質問することはある意味では没価値的な側面から質問して事実を確認していきたい、そういう立場をまずあらかじめ申し上げておいて言うわけでございます。
 日本の軍事法というものを一般概念でとらえた場合、自衛隊法しかないんじゃなかろうか、こう思っております、防衛庁設置法だとかいろいろありますが。そういった場面で日本の旧軍隊との法制上の比較をする場合、例えば旧軍においては陸軍刑法、海軍刑法、陸軍軍法会議法、海軍軍法会議法、こういったものがありました。この軍法会議というのは裁判所の一種でございますから、今の憲法上置かれないということはよくわかりますが、旧軍のこういった陸軍刑法あるいは海軍刑法といった法体系を現在自衛隊法はとっていないと考えておりますが、とっていない理由はどこにあるんでしょうか。
#254
○政府委員(秋山昌廣君) 現在、自衛隊におきまして、今御指摘のとおり旧軍刑法に類似する刑罰法令は持っておりません。それから軍法会議も設置しておりませんが、次のような理由があろうかと考えているところでございます。
 まず、その陸海軍刑法に対する考え方でございます。
 旧軍の軍刑法におきましては、徴兵制を採用していたわけでございますし、またその軍刑法におきましては反乱ですとか、担権あるいは辱職といったようないろいろな罪を広範囲に規定しておったわけでございます。かつ、これらの罰則の最高刑が死刑というふうになっておったわけでございます。
 他方、自衛隊法におきましては、反社会性を有し刑罰をもって制裁を加えることについて合理性のある隊員の規律違反につきましてまず国家公務員法上の罰則と同様の刑罰を科すというジャンルが一つございます。それからもう一つ、自衛隊が規律を保持し国民の負託にこたえるといったような趣旨から自衛隊法独自の罰則規定がございまして、その最高刑は七年以下の懲役または禁錮ということになっております。
 現在の自衛隊法におきまして、陸海軍刑法のような広範な犯罪について死刑を含む刑罰を規定するということにつきましては、自衛隊員が公務員の一員であるにもかかわらず他の公務員との間において科刑上、刑を科する上で著しい不均衡を生ずることとなり適当でないという考え方からきているものと考えております。
 さらに一つつけ加えたい点は、現在の自衛隊は、先ほど申し上げましたように徴兵制ではございませんで、志願制というものを採用しております。その志願制のもとで良質な隊員の確保に我々努めておるわけでございますが、さらにその服務指導教育といったようなものの徹底、あるいは規律違反行為に対しては懲戒処分を含め厳正に対処して規律の保持に努めているところでございます。
 それから、陸海軍軍法会議についての考え方も若干触れさせていただきたいと思います。先ほど委員の方から御指摘がありましたとおり、これは主として、旧軍の軍法会議のようなものは、憲法第七十六条によって禁止される特別裁判所に当たるのではないかといったような考え方から設置されていないというふうに考えるべきと思っておりますが、そのほかの問題といたしまして、陸海軍軍法会議法におきましては特設軍法会議の設置が可能といったようなことがございます。
 その場合には、弁護、公開、上告が認められないといったようなことなどから見られますとおり、犯罪行為を行った者の人権保護の観点から不十分な面もあったとも考えられるわけでございます。
 他方、現行憲法下においては、規律違反を行った隊員であってもその基本的人権というものに配慮すべきではないかといったような考え方が背景にあるというふうに考えているところでございます。
#255
○高井和伸君 おっしゃることは大体予想していたことでございました。それではいろいろ議論する前提としまして、自衛隊法に定めている刑罰、先ほどおっしゃったように通常の公務員とのバランスを考えてと、したがって自衛隊員なるがゆえに幾らか加重はされるけれども、余り重い加重はなされていないんだと、こういうことだろうと思います。
 私の理解する限り、いろんな刑罰がありますが、治安出動命令下における違反行為あるいは防衛出動命令下における違反行為というのは加重されていくということは当然でございますが、寡聞にもちょっと、私は治安出動命令は下ったことはないと理解し、防衛出動命令は下ったことはないと理解しておりますが、そのとおりでしょうか、まずその点から。
#256
○政府委員(秋山昌廣君) おっしゃるとおりでございます。
#257
○高井和伸君 そこで、自衛隊法に定める罰則規定に違反があり、それが、実刑が確定したというか、刑が確定した、無罪ではないという事件はどれほどあるのか、個々的に挙げていただきたいと思います。自衛隊法施行後のことでございます。全部です。
#258
○政府委員(秋山昌廣君) 自衛隊法に規定される罰則に係る事件数につきましては、今、自衛隊法施行後という委員の御要請でございましたけれども、申しわけありませんが、昭和三十五年度以降の資料しか整理されておりませんので、昭和三十五年度から平成四年までの過去約三十年間という期間についての数値を御説明されていただきたいと思います。
 まず、総括的なことを申し上げますと、自衛隊法第百十八条から百二十二条までの罰則の関係で起訴されて有罪となった件数はこの期間八件でございます。このほかに起訴されたものの無罪となった者ですとか、あるいは送検したものの起訴猶予となった者等々、その他のものが四十六件ございまして、全体でこの罰則の規定に係る事件数というものは五十四件になるわけでございます。
 それから、罰則違反の項目別にそれがどうなっているのかという御質問がございました。委員の方から治安出動あるいは防衛出動の場合にはそれぞれ付加されていくからという御指摘もありましたので、項目の分類に従ってちょっと御説明させていただきたいと思います。
 いわゆる職務離脱、あるいは予備自衛官の不出頭というところは、これは件数はございません。それから防衛用物損壊、これが全体で二十三件、件数としてはございますが、これが起訴されたのが三件、有罪になったのが二件ということでございます。それから百十八条だったでしょうか、武器不正使用でございますが、これは全体で二十六件事件としてはございましたが、起訴された者が三件、有罪になった者は三件でございます。それから警戒勤務関係、部隊不法指揮関係、それから抗今、命令に抗するというやつですが、この辺は事件はございません。
 それから秘密漏洩、これは全体で件数は三件、三件起訴されて三件有罪でございます。それから私企業からの隔離、これは件数がございません。政治的行為の制限、これは二件でございまして、一件起訴、無罪でございます。団体等の結成、同盟罷業、これらは事件そのものはございません。
 以上、全体で五十四件、起訴されたものが十件、有罪であるものが八件ということでございます。
#259
○高井和伸君 非常に数が少ないという事実がわかりました。そして過去の事件、ニュースで秘密漏洩なんていうような問題が、ちょっと自衛隊の高官の方がなさったということも今思い出しました。そういった中で少なかったことは、没価値的にいっていますから評価はやめます。
 そこで、アメリカの軍法制と日本の軍法制との差、先ほど旧軍との関係を言っていただきましたけれども、そしてまとめてドイツの軍法制と日本の軍法制の差というのは、私の聞いているのはハードウエアとしての軍の規律あるいは命令系統の保持という側面からの刑罰規定における枠組みでございますけれども、こういった問題を比べた場合、日本の自衛隊法という法律とこのアメリカ、ドイツとの比較ということになると、一言で言うとどんなことになるんでしょうか。
#260
○政府委員(秋山昌廣君) 特に軍法制につきまして、諸外国との比較は大変難しゅうございまして、なかなか一言で申し上げられませんけれども、まず徴兵制の有無の違いですとかあるいは任用制度、社会環境、そういったいろんな違いがございます。そういった違いをあえてちょっと超越いたしまして単純に比較をさせていただきたいと思います。
 アメリカの軍法制との比較でございますが、アメリカでは軍法として統一軍事裁判法が一九五一年に制定されておりまして、同法において次のような犯罪が規定されております。例えば不正または違法の入隊、任官、除隊、それから上官等に対する暴力、不服従、命令・規則の不履行、逃亡、敵前での非違行為、強盗、殺人、傷害、文書偽造等でございます。
 この規定された刑罰といいますか、犯罪について比較してみますと、アメリカの統一軍事裁判法では、日本の自衛隊法と違いまして、窃盗、強盗、殺人等、一般人が犯した場合の刑法上の犯罪とされる行為についてもこの法律で規定されているというところが一つ大きな違いかと思います。なお、アメリカには軍事裁判所が規定されております。
 それからドイツでございますが、ドイツは統一ドイツ後にどのようになっているのか実は掌握しておりません。旧西ドイツの防衛刑法につきまして若干申し上げますと、罰則としては独断欠勤、逃亡、抗今、服従拒否あるいは上官に対する暴力、反乱等でございまして、アメリカに比較いたしますと犯罪の範囲が非常に狭い、かつ、たしか現時点では軍事裁判所は創設されていないという意味では自衛隊法にやや近い形なのかなという、恐縮でございますが、単純に比較した場合の印象を持つ次第でございます。
#261
○高井和伸君 防衛庁長官は、今までの議論で私が何を聞きたがっているのかよくわからぬと、こうおっしゃるのかもしれません。これは前回も私、予算のときに質問した事項でございますが、日本の自衛隊は強いか、こういう結論に私はなるということを言いたいわけです。
 強いと、こうおっしゃるはずでございますが、今軍事法制が、例えば軍法会議というのは、先ほど申し上げましたように非公開で即決でしかも迅速で略式であるというようなのが大体基本的な、過去の例で言えばそういうことであって、それを取り入れろと言っているわけじゃありません。ありませんけれども、先ほど政府委員からの御答弁のとおり、ドイツは十年の最高刑に対して日本は七年、それでいろんな自衛隊法関係の論考及び今の政府委員の御答弁を見るときに、一般公務員と同じことであると、自営隊員は。
 したがって、勤務の特殊性から幾らか刑の加重はされていると、そういうような言いわけで非常に刑が軽く決めてあるんだという理由づけをなさっておられました。今の政府委員の御答弁によれば、その中にもう一つ徴兵制というようなことをとっていないと、こういうことがございました。
 私、どういうことを言いたいかというと、自衛隊は軍隊だと、こういうところに仕分けされるんでしょうけれども、このPKO問題でいろいろ問題になったときに、政府側の答弁内容の中に、PKOという問題はこれは軍隊じゃなきゃやれないんだと、こういう説明が多々何度も繰り返し行われ、しかもそういった技量を持ち、組織的なものがあり、命令一下その一つの目的のために集中的に集団的行為ができるということが何度も繰り返して政府答弁にありました。
 そういった中で私が言いたいのは、自衛隊は軍隊であるかと、こういう概念の遊びをするわけじゃありませんが、こういった各国の法制を見て自衛隊法を見るとかなりの落差がある。落差がある中でもう一度質問しますが、自衛隊は強いかということと、自衛隊は軍隊であるかと、こういうような質問に集約できるような質問をして、私の時間も来ますので、御答弁をお願いいたします。
#262
○政府委員(秋山昌廣君) 事前にちょっと。まず一つ、自衛隊は強いかという委員の御質問に対しましては、これまで政府委員あるいは大臣の方から何度か昨年の法案の審議のときも御説明させていただきましたとおり、PKO活動はその一部においてやはりある意味で組織的な力、国際的にはいわゆる軍隊といったような組織の要素を持つ組織の参加というものが欠かせないという観点で、我が国ではこのPKO活動に参加する一部として自衛隊の組織、経験というものが必要なのではないかという説明をしたと思いますし、そのことをもって強いか弱いかということはちょっと評価は我々できませんけれども、そういう面でPKOに参加しているというふうに御理解いただければと思うわけでございます。
 自衛隊は軍隊かということにつきましては、これは再三これまでも国会審議の中で政府側から答弁をしておりますけれども、外国による侵略に対しまして我が国を防衛する任務を有するものでございますが、憲法上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられておりますので、通常の観念で考えられる軍隊とは異なるものと考えているところでございます。
#263
○高井和伸君 そこで防衛庁長官、以上の議論を踏まえて、私の心と今の政府委員の答弁の心の落差を、食い違いをぜひ埋めていただきたいと思います。
#264
○国務大臣(中山利生君) 今、人事局長からお答え申し上げたとおりだと思いますが、我が国の自衛隊、過去の戦争あるいは侵略と言われるような歴史から、国内的には軍隊と言うことをはばかられるような面がございまして、過去いろいろ名前を変えてきながら現在自衛隊ということになっているわけであります。
 今、自衛隊の装備あるいは隊員の士気、国防というものに対する認識ということをよく見でみますと、限りなく軍隊に近い。士気も旺盛であり、装備も優秀であり、決して弱い軍隊ではないというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたように、国外では日本の自衛隊も軍隊と言われている。また外国などへ行きましても、またPKOの活動にいたしましても、国際的な軍隊同士の信頼関係、そういうものが物を言っているような感じがするわけでありますけれども、国内では、今先生おっしゃいましたような憲法などを初めとしまして制度的にまだ軍隊と認められているわけではないわけであります。
 私からこうしてほしいとか、こうあるべきだと申し上げるわけにはまいりませんが、先生がおっしゃっている意味、よくかみしめながらこれからも検討していきたいと思っております。
#265
○武田邦太郎君 PKO活動について国論が二分されているわけですね。これは、自衛隊の存在なり安全保障についての国論が二分されていることを意味しておりますし、本日の委員会でも、質問なり問題提起をなさった委員で一人も政府の答弁に満足された人はなかったんではないか、こういうふうに思います。
 仮に、この問題だけに限定して国民投票に問うたならば、多数の国民が野党の提示した疑問なり不安に同調するのではないか。これはよしあしは別です。そういう可能性を非常に大きな悲しみとするものであります。双方のこの主張に伝統的な政策論理がございまして、にわかに一つになるということは到底望むことはできませんが、極力その距離を小さくしたい、こういう熱願は抑えることができません。
 その一つとして、相当長期にわたる近未来展望といいますか、少なくとも二十一世紀初期にまでわたるような展望の中で、現実の推移を冷静に見ながらこの問題をどう掘り下げるかということも一つの見方じゃないかと思うんでありますけれども、これは戦争の歴史あるいは軍事学の立場で申しますと、予算委員会でもちょっとお話ししたんでありますけれども、一九六二年のキューバ事件、フルシチョフのソ連とケネディのアメリカとが核兵器を持ってにらみ合ったときに、もしあのときにやっておったならば、それはやる可能性はかなりあったわけでありますけれども、両国は壊滅する。戦争はその日のうちに終わってしまう。そして人類は、少なくとも人類の文明は破局に陥る。
 こういうことはまず疑えなかったと思うんでありますけれども、人類の戦争が進化の極限に達しているということは、その意味では言えるのではないかと思うんですが、その後の戦争というものはそれまでの戦争と違いまして、国と国とがつぶれるまでやり合うというようなことはまずない。いわば人類の世界における内乱的状況でありまして、だらだらと長く続く。
 これは、ベトナム戦争からアフガニスタン戦争を含めてそうでございまして、これを何とか処置するということになりますと、これは一国のつくった国軍、アメリカの軍隊が幾ら強くてもベトナムは解決できませんでしたし、最近のソマリアの問題のごとく、圧倒的に力があるアメリカの軍隊のおかげで何とか助かるような状況でありましても、ソマリアの国民はアメリカ帰れといって石を投げた。
 こういう状況は、恐らく近い将来に旧ユーゴにアメリカ、フランス、イギリス軍が行ったとしても大した効果はないだろうというように思います。なぜかといえば、それぞれの国軍はそれぞれの国の利益に反することはやらぬだろうと。ただ一筋にユーゴの平和と共栄のために、それを最高の目標としてやるだろうということをユーゴの諸民族、諸国家は信じないわけですね。そこにこれから先の地球上の治安を保つのは国連軍、国連警察軍と仮に申しましょう、国と国との戦争じゃないわけです、警察でありますから。そういうものが完成しないとうまくいかないんじゃないかというふうにも考えられるわけですね。
 そうなりますと、国連というものがすべての民族、特に途上国の民族に信頼される必要がございますけれども、今日の国連は第二次大戦に勝った五つの国が特権を持っておりまして、拒否権を持っておるとか、あるいは核兵器もこれらの国々は持っておってほかの国には持たさない、こういう姿勢をとっております。
 ところが、途上国のちょっとした国は、これはイラクとか北朝鮮に代表されるように皆持ちたいわけです。それによって先進国に対抗する力を持てると思っているとしても無理じゃないわけですね。インドは七個の核兵器を近く持つだろうと言われておりますけれども、それならパキスタンが持ちたくないと思うはずはありません。イラクが持ちたいということは世界周知の事実でありますけれども、そうなればイランもシリアも持ちたいのは当然であります。
 こういうふうになりますと、アメリカが圧倒的な力でイラクをやっつけたといっても湾岸戦争は私はまだ終わっていないと思います。フセイン政権は健在でありますし、軍隊を依然として持っている。クウェートの領地を解放することには成功したけれども、イラクを完全にやっつけることには成功しておりません。これが今日の世界の状況であります。アメリカ軍が圧倒的な力をもってしてもイラクを完全にやっつけることはできない。ちょうど太平洋戦争で日本をやっつけたようにはやっつけられないわけです。
 そういう状況の中で、我々はいや応なしに国連というものを世界平和の維持者として完成しなけりゃならぬ人類史的課題を持っていると思うんです。そうなれば先進国、少なくとも五つの国々の特権を放棄して、十五年か二十年かそれはわかりませんけれども、我々も核兵器を廃絶するから北朝鮮さんもイラクさんも持ちなさんな、こういうような姿勢を五つの国が持てるか持てないか。そして今日では御承知の武器輸出の八割はこの五つの国がやっているわけですね。だから、国連安保理常任理事国は世界の内乱の種を、武器をまいているわけです。
 こういう状況に対して、どこかの国がもっと立派な国連をつくりましょうやと提言するとすれば、これは核兵器をつくる力を持っておってあえてやらない。三菱重工の戦車などは飛び切り世界で優秀でありますけれどもこれも輸出しない。たった一つの原爆を受けた国である日本がもし国連を完全に、完全にということはないかもしれませんが、もっと多くの国の心からの信頼を得るような国連にするとすれば、まず発言を始めるのは日本以外にはあり得ないと思うのはこれはうぬぼれではないと思うんです。みずから歴史によってその任務を課せられている、こういうふうに考えます。
 そういう中で、自衛隊というものを考える場合には、まあ私などは一国単位に形成された軍隊は今日の平和を維持することはできない。国連常備警察軍が相当のものができるということになれば、日本の若者が当然それに、これはもちろん志望でなきゃなりませんけれども、参加するということは、日本だけが参加しない特権を持つことは不可能でありますから、国連常備警察軍ならば参加してもいいが、日本の国家単位の自衛隊は、これは憲法が最高か最高でないかは別として、少なくとも違憲であることは間違いない。
 そういうことを考え合わせまして、世界の平和に対する日本の国際貢献というものは、かくのごとき様式においで、かくのごとき精神において貢献はしなきゃならないし、またそれは武力をもってだけの貢献じゃなくて、少なくとも先進国の多くは途上国を征服して搾取することによって今日の先進国になっていることは間違いないんでありますから、後進国がせめて一人当たりGNP一千ドルぐらいになるまで、これを抱き上げると言ったらちょっと僭越でありますけれども、そういうことを先進国はみずから課し、あるいは自然災害でありますとか戦乱でありますとか、そういうようなことに対しては当然先進国の自発的な努力によってこれを、自分の国のためにやる国軍なんというようなことを途上国に認識されないようなそういう治安維持のあり方を考えてみたい。
 そういうことがはっきりすれば、まず今日のようにPKO活動なり、自衛隊なりあるいは安全保障なりについて国論が真っ二つに割れて到底一つになりがたい、こういう状況はだんだんと解消されていくのではないかというふうに考えるのであります。
 これは、相当の時間が必要になると思いますが、こういうことについて直ちに答弁らしきものを要求するということは非常に非常識でございますので、こういうことを考えるのは余り間違いではないかどうかということを、官房長官、いかがでしょうか。
#266
○国務大臣(河野洋平君) いつもながら貴重な御意見をお聞かせいただいて、大変印象深く伺っておりました。
 私も、二十一世紀に向けて世界の国々の政治家がいろいろなことを考え、いろいろな挑戦をしていると思います。その中の一つが例えばヨーロッパ、ECでございます。あれだけの歴史を持つ、そして先進的な工業あるいは経済を持つ国々が集まって、一種の主権国家が主権の一部を割いて大きな枠組みをつくるという、経済的な統合ばかりでなく政治的な統合、その中には安全保障まで含めて考えている。そういうものをつくろうと、とにかく政治家が集まって議論をし、その方向に向かって、大変難しい道のりですけれども歩き始めだというのは、やっぱり主権国家が二十一世紀に何か新しい国家像といいますか、新しいものをつくろうとする政治家の挑戦なんだろうというふうに私は大変感銘深くこれもまた見でいるわけでございます。
 委員おっしゃるように、国連というものが、その設立から五十年、およそ半世紀を経て、今設立当時とは大分趣が変わってまいりました。当時、いわゆる国際連合としてスタートした時点では、まさに日本、ドイツは敵国条項の中に名指しされていたわけでございます。
 その二つの国が、今や国連の中で財政的な負担は極めで大きな部分を占めているわけでございまして、このことも大きな半世紀前とは変化でございます。と同時に、かつてのソ連、現在のロシア、そして私は中国の存在も随分と、五十年前、半世紀前とは姿もその考え方も変わってきているということははっきりしております。
 さらにまた、国際社会を見渡しましても、冷戦が終えんして新たな国際平和秩序を模索するという新たな動きが出ておりますが、それにもかかわらず各地でさまざまな衝突が起こっている。その衝突の中には、宗教的な問題もございますし、もちろん領土、国境についてのトラブルもございます。また、もっと根源的なものを考えると貧富の差といいますか、富の偏在と申しますか、そうしたことがトラブルの原因になっているということもあると思います。
 そういったことをずっと見てまいりますと、国連が果たす役割は極めて大きい、と同時に、国連もやはり何がしかの新しい発想を持たなければならないという場面に差しかかっていると言ってもいいのだと思います。したがって国連は、本年の夏でございますか、六月をめどにそれぞれ改革案を求めでおられまして、我が国もその改組について提案をすべく検討中でございますが、各国がアイデアを持ち寄って、国連の新たな機能あるいは新たな理念といいますか、そういうものについても議論をするという時期が今来ているように思います。
 しかし一方で、パンドラの箱のふたをあけるかあけないかという議論もあって、だれしもが今新しい時代に対応できる、適応する国連というものを求めながらも、一たんふたをあけたらばどういうことになるかという不安もまた一方にはあるわけでございまして、こうしたことについで理性的に、そして未来を志向する議論が静かに行われるということを我々は大いに期待をするところでございます。
 先生、武器の問題についても御指摘になりました。確かに上位数カ国が武器の輸出の大部分、ほとんどを占めているわけでございますが、我が国もまた一方で武器の輸入国では上位にランクされるものでもございます。各国は、それぞれその国の置かれている立場、状況等を踏まえまして、一定の安全保障のための機材をどうやってそろえるかということにまた苦心もしているところでございますが、我が国は、かつて海部前首相が提案をされました武器の移転に関する、あるいは武器の登録に関する提案なども国連にいたしまして取り入れられ、そうしたことが今始まったところでございます。
 こうした建設的な提言が、国連参加各国によって、これは拘束力がないわけでございますが、各国が積極的に参加をして、まあ近ごろのはやり言葉でございますが、一定の透明性を確保してその安全が確保されるというような方向で改良改善が加えられていくことが必要ではないかというふうに思っております。
 いずれにせよ、国際貢献という大きな役割といいますか問題を、我々は国民一人一人の理解の中で、我々は今一体何ができるのか、何をすべきなのかということを一人一人が考えて、我々ができる範囲内、憲法の範囲内と申しますか、あるいは法律の範囲内と申しますか、そして我が国が持つ能力の範囲内で、我が国が志向する方向を目指して国際貢献をしていくということが何より大事なことだというふうに思っておるわけでございます。
 どうもお答えになったかならぬかわかりませんが、最近考えておりますことをちょっと申し上げさせていただきました。
#267
○武田邦太郎君 時間が参りました。残念ですが終わります。
#268
○委員長(守住有信君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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