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1993/01/26 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第2号
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1993/01/26 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第2号

#1
第126回国会 本会議 第2号
平成五年一月二十六日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成五年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 國弘正雄君から海外旅行のため来る二十八日から十日間、粟森喬君から海外旅行のため来る二十八日から八日間、小池百合子君から海外旅行のため来る三十日から八日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(原文兵衛君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十二日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。矢田部理君。
   〔矢田部理君登壇、拍手〕
#6
○矢田部理君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、さきの宮澤総理の施政方針演説に対し、私どもの見解を明らかにしつつ、質問を行います。
 世界は今、歴史的な転換期に差しかかっております。半世紀近く東西を画してきた冷戦という一つの時代が終わり、新しい歴史の一ページが記されつつあります。それだけに、我が国の政治は今何をなすべきか、いかなる進路をとり、どのような役割を果たすのかが内外より厳しく問われております。にもかかわらず、宮澤総理、あなたは、政権をとって一年、本格政権などと期待されながら、顔が見えない、何もしない、指導力がないと批判され、存在感の希薄な総理として世論の指弾を浴び、国民の支持を失ってきました。
 その典型例が佐川急便事件であります。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」と言ったイギリスの歴史家アクトンの警句を引用するまでもなく、ロッキード以来、政治腐敗はとどまることを知らず、今や極限に達しております。このような汚職と利権の政治を再生産してきた根源には、政財官の癒着と、その上に成り立ってきた長期にわたる自民党の政治支配があります。それを突きませなかった私ども野党にも一半の責任なしとはしませんが、リクルート事件に見られるように、総理御自身も関与を指摘されてきたこの腐敗の体質と、それを生み出した構造について、まずどのような認識をされておられるのか伺いたいのであります。
 また、政治は信なくば立たずと言われてから久しいのでありますが、腐敗のきわみとも言うべき、泥棒をしても金が欲しいと語ったのは、ほかならぬあなたを総理・総裁に押し上げた責任者である阿部文男その人でした。その究極の姿が、政権の誕生に右翼、暴力団の関与までも許すことになったのであります。事ここに至って政治の信頼は地に落ち、我が国の議会制民主主義は根底からその存在を問われることになっているのであります。総理、この事態をどのように受けとめておられるのでしょうか。
 佐川急便事件は、二百名以上の政治家に数百億円に上る巨額の資金がさまざまな名目で動いたと言われており、日本の疑獄史の中でも空前のものとして指摘されております。金丸氏の五億円は氷山の一角にすぎず、それらの金の流れについてはほとんど明らかにされておりません。また、いかなる理由でそのような大金が政界等にばらまかれたのか突きとめる必要があります。
 佐川スキャンダルの本質は、運輸業界の後発企業が全国展開をしていくに当たり、許認可権を握る運輸省を初めとする既存の利権構造に食い込むために、自治体を含む政官界に独自の利権のネットワークを張りめぐらす必要があった、巨額の金の流れはその手段であり、わいろ性の強い資金であったと考えられます。金丸氏が五億円授受に際し何かわけのある金ではないかと思い最初断ったというのは、まさに語るに落ちたでありまして、その実態について、小沢一郎氏を初め必要な証人喚問を行うなど本格的な解明をする必要があります。
 佐川急便事件のもう一つの問題は、自民党政権の総理・総裁を選ぶ過程において右翼、暴力団が関与し、我が国憲政史上ぬぐいがたい汚点を残したということであります。しかも、当の竹下元首相は、総裁選直前に暴力団の関与の事情を知っていた疑いが強く、少なくとも総現在任中その事実を知ったと証言までしておりますのに、その責任を一切とろうといたしておりません。事はもはや一個人、一政治家の問題ではなく、我が国政治制度の根幹が厳しく問われているのであります。激しい怒りが全国に充満し、竹下やめるべしという声は今や天の声となっております。
 宮澤さん、総理・総裁の座にある者として、政権の誕生に暴力団が関与したという忌まわしい事態について、政治家が暴力団と関係を持つことは適当でないというような評論ではなく、どう受けとめ、どのようなけじめをつけるべきだと考えておられるのか、明快な見解を示すべきであります。
 これら多くの疑惑に包まれた佐川急便事件の全容解明はいまだ緒についたばかりであり、今国会が正念場であります。総理は、これまでも事件を一貫して他人事とし、解明に消極的、受動的な態度をとり続けてきました。政治的、道義的責任の問題につきましても、竹下氏については個人の問題と逃げ、時には金丸副総裁を慰留するなど、関係者をかばったりしてきたのであります。これでは、国民の怒りを静め、政治の信頼を回復することはできません。宮澤内閣の姿勢と責任が厳しく問われていることを肝に銘すべきであります。総理は、真相解明は既に終わった、事件としては一件落着をしたとでもお考えでしょうか。
 そこで、政治改革について申し上げます。
 さきの臨時国会で二十一項目の改革がなされましたが、極めて不十分なものであります。政治改革の最大の焦点は、金権腐敗政治を一掃し、政治倫理を確立するためにどのような法律と制度をつくるべきかということであります。金権腐敗の原因を選挙制度のせいにし、小選挙区制導入に道を開こうとするのはとんでもないすりかえであり、真犯人を隠して身がわり犯人を差し出すたぐいのものと言わなければなりません。総理に改めて、政治改革の原則は何かをただしたいのであります。
 真の政治改革は、まず第一に、企業、団体献金を廃止することであります。政治資金は個人の浄財を基本にし、受け入れ団体の一本化やその徹底した透明化を図り、違反者への罰則等の強化などを断行すべきであります。アメリカでは企業、団体の献金は早くから禁止されており、百ドル以上の所得や贈り物まで資産報告の記載事項とされております。ところが、我が国では、ロッキード疑獄の教訓として政治資金規正法が改正され、その附則第八条で五年後には企業献金等を再検討すると明記されましたのに、いまだにこれが自民党の反対で日の目を見ておりません。宮澤さん、この約束をどう守るのでしょうか。
 政治改革のもう一つの柱は、政治腐敗防止法の制定であります。腐敗した政治家への罰則の強化とあわせて、政界からの追放を制度化することであります。イギリスでは一八八三年、政治腐敗防止法がつくられました。その結果、買収、供応などの腐敗行為によって有罪と確定した候補者はその選挙区から終身立候補ができません。運動員の行為であっても当選無効、七年間の立候補禁止となり、政治腐敗はほぼ一掃されたのであります。
 総理、イギリスで百年前にできたことがどうして我が国ではできないのでしょうか。総理の改革断行の決意と、いつまでにどのように実現をするのか具体的なプログラムを国民の前に示すべきであります。
 次に、外交政策について質問をいたします。
 まず、冷戦終結後の世界認識についてであります。東西冷戦の一方を担ってきたソ連、東欧などの社会主義国は、その負担の重さとたび重なる過ちゃ失敗によって一挙に瓦解いたしました。疲弊をしたのはアメリカも同様であります。そして、残された世界には、東西の枠組みを超えて、地域紛争、南北問題、貧富の格差、環境、麻薬、疾病など解決されない深刻な課題を抱え、そこには勝者もなければ敗者もないのであります。これら人類的、地球的な規模の課題に取り組むためには、もはや旧来の冷戦型思考や先進大国による世界管理という発想では対応も解決もできず、根源的な発想の転換が必要であります。
 冷戦終結後の我が国の国際政治における役割と進路について、幾つかの提言をしながら、総理の所信を求めたいと思います。
 その第一は、日本の戦後責任の問題であります。
 日本が太平洋戦争で敗北して半世紀になりますが、我が国はいまだ戦後責任を果たしておりません。日中戦争から太平洋戦争に至る一連の侵略は、アジア諸国と多くの民衆に対しはかり知れない大きな損害を与えました。従軍慰安婦や強制連行問題はその典型的な例であります。長きにわたる朝鮮に対する植民地支配を含めて、深く反省し、心から謝罪することが必要であり、同時に適切な補償をする責任があります。
 そこで、私は、国権の最高機関である国会として、当参議院が改めて戦争責任についての反省と謝罪を特別決議にして内外に宣言すること、また、国会に戦後責任問題の特別委員会を設置することを同僚の議員の皆様方に提案を申し上げたいのであります。
 総理、あなたは自民党の総裁としての立場から、国会の特別決議の実現を推進するとともに、政府としてもそれに見合って、調査と補償、教育など適切な措置をとるべきものと思いますが、いかがでしょうか。
 外交について第二の問題は、冷戦後の国連のあり方についてであります。
 我が国はこれまで国連中心主義という建前をとってきました。総理もそのように強調をされておりますが、果たしてそのとおりでありましょうか。これまで自民党政府の国連外交は、国連中心主義とはほど遠く、アメリカ追随一辺倒の外交であったと断言せざるを得ません。事実、日本は、一九五一年に国連に加盟して以来、国際の平和や正義に関する国連決議の採択において、冷戦時代を通じて、我が国はアメリカに次いで反対や棄権が多かったのであります。しかし、国連自身も、東西対立のはざまで、みずからの存在意義を見出そうと苦悩してきました。したがって、私は、もはや過去を非難するだけの立場をとろうとは思っておりません。
 私は、冷戦が終結した今日、こうした国連の歴史を総括し、二十一世紀にふさわしい全人類的な国連の再構築を図ることが世界と日本の国際的な役割にほかならないと確信するものであります。そのための我が国の国連協力は、平和憲法の基調に沿って非軍事の立場を堅持し、大きな経済力や高い技術力をてこに民生の面で積極的な役割を担うべきものであると考えますが、まずこの基本認識につきまして総理の見解を伺っておきます。
 総理、国連は、今や発足当初の三倍以上の加盟国を持つに至りました。とりわけ、冷戦の終えんによって地球的規模での対応が可能となり、また地勢環境や南北問題、飢餓や貧困、人権問題などでしてこれらと密接に関連して多発している地域紛争など、緊急の課題に直面をいたしております。
 国連がこうしたグローバルな課題に取り組むことができるためには、その抜本的な改革が必要であります。我が党は、平和、公正、民主の観点から、既に重要な提案を行っております。その第一は、国連総会の権限強化。第二は、安保理の拡大と地域代表制の確立、拒否権の廃止を含む見直し。第三は、環境、人権など新たな理事会の創設。第四には、国連の下部機構としての地域機構の確立などでありますが、総理はこうした国連改革を提唱し推進する決意がありますでしょうか、伺っておきたいと思います。
 ところで、総理、政府は安保理の常任理事国に名のりを上げているようであります。しかし、安保理は、第二次大戦の戦勝五大国が特別の地位と権限を占めており、国際的な公正と民主主義の原則にもとるものであります。また、安保理は、軍事的強制措置をも決定、推進する機関であります。そのような安保理に、平和憲法を持つ日本が常任理事国となることは適切ではありません。日本は、我が党が提案している国連改革を実現することこそが先決であり、それがなされないままの常任理事国入りは本末転倒であると考えますが、総理の見解を伺っておきたいと思います。
 次に、PKO問題について質問をいたします。
 国民の強い反対を押し切ってカンボジアに自衛隊を派遣して三カ月が過ぎました。総理は、戦争が終わって平和な地域に行くのだ、五原則があるから大丈夫だと国民に説明をしてきました。しかし、カンボジアではいまだ戦闘はやまず、むしろ選挙が近づくにつれて激化の様相さえ呈しております。停戦は事実上破綻し、派遣要員が戦闘に巻き込まれたり攻撃の対象になりつつある現状にどのように対処をするのか、撤収をも含めて、カンボジアへの対応を全般的に見直すべきであると考えますが、総理の所見を求めます。
 昨年夏、国連のガリ事務総長は「平和への課題」という報告を発表いたしました。そこでは、国連による国内紛争への介入や軍隊の事前配置、あるいは重装備の部隊を投入する構想など、従来のPKOを超えたシステムづくりが提案されております。その一部は既に実施に移されており、国連の平和維持機能は、原則や基準があいまいなまま軍事行動が拡大する状況になっております。政府はこのような方向を支持する立場をとろうとしております。
 また、最近、これにあわせて、PKFの凍結解除やPKO諸原則の緩和の主張が政府の閣僚などからも出されております。憲法上の問題も解決せず、基準も不明確なままに、軽率な判断は控えるべきであります。日本は、国連の信頼性の確保のためにも、公正な国際秩序づくりや、大国の誤り、行き過ぎをチェックする役割をもっと引き受けるべきであると思いますが、総理の所見をここでも伺っておきたいと思います。
 日本は、状況に振り回されるだけではなく、独自の平和協力の立場と体制を積極的に確立すべきものと思っております。私たちがかつて提案をしてきた、自衛隊とは別個に、非軍事、民生、文民による常設の国際協力隊という構想を具体化することが必要であります。今からでも遅くはありません。総理の率直な見解を求めたいと思います。
 次に、ODA、国際開発協力について質問をいたします。
 日本のODAは世界第一位となり、事業ベースでは二兆円に近づきつつあります。しかし、日本の国際開発協力がこれだけの規模になり重要性を持つに至っておりながら、国民の代表たる国会が具体的に関与できるシステムになっておりません。これでは、国会は国民の負託にこたえることができません。政府は、少なくともその基本方針や予算、計画等について事前に国会に示し、その承認を得るとともに、責任性の明確な行政の一元化を図るべきであります。
 さらに、私は、贈与比率の向上、生活や環境の破壊防止、NGO向け援助の拡大、青年海外協力隊の大幅拡充などを実施するよう求めるものであります。私たちは、そのためにも、ODAの理念や諸原則を明記し、国会の責任ある関与や行政の一元化を内容としたODA基本法が必要であると考えております。この際、政府は、基本法の成立のために積極的に協力すべきであると考えておりますが、いかがでしょうか。
 次に、軍縮とアジア・太平洋の平和の問題について質問をいたします。
 第二次戦略兵器削減条約に見られますように、米国とロシアを中心とした本格的な軍縮の動きは、アジア・太平洋地域にとっても歓迎すべきことであります。日本はこれに対して、ロシアの核兵器の解体・処理、軍民転換への協力など支援を強化すべきであると考えておりますが、総理の見解はいかがでしょうか。
 また、太平洋に位置する日本としては、海の核の削減、全廃が大きな関心事でありますが、総理、米ロ両国に対し全廃に向け積極的な働きかけを行うべきではないでしょうか。
 政府はかねてから極東ソ連軍の脅威を軍拡の口実としてきましたが、ロシアの現状は、その脅威も顕著になくなってきているのではありませんか。日ロ平和条約の締結や日朝国交回復はさらに平和の環境づくりを加速させることになると思いますが、どのように推進をしようとしているのか、総理の所見を伺いたいと思います。
 このような情勢の中で、日本も大がかりな軍縮を進める必要があり、またそれが可能であります。政府は最近、中期防衛力整備計画を見直し、五千八百億円の削減を発表いたしましたが、これは中期防総額のわずか二・五%にすぎません。しかも、導入しないと言っていたAWACSなど高性能で高価な兵器の導入を行うなど、軍縮の流れに逆行いたしております。
 今日、日本の防衛費は、中国と南北朝鮮、ASEAN六カ国の合計に匹敵しておりますが、これではアジアに向けて軍縮のイニシアチブをとることはできません。思い切って、三年をめどに、陸上自衛隊を五万人、海空で二万五千人を削減してはどうでしょうか。加えて、新型兵器の調達などを取りやめれば三兆円の削減が可能であります。それでもなおかつ、近代兵器で武装した陸上十万人を含む十六万人の強大な戦力が残ることになり、いかなる意味でも国の安全が損なわれることは考えられません。
 なお、兵員の削減につきましては毎年退職をする二万人の隊員を中心にし、余剰の部分は自衛隊とは別個の非軍事の国際協力隊などに組み込み人道援助や災害救助に当たることになれば、一挙両得でもあります。大胆な軍縮を追求することを提案し、総理の答弁を求めたいと思います。
 日本の軍縮は、当然、アジア・太平洋地域の諸国に対しても、軍縮と平和のシステムづくりへの強力なメッセージとなるでありましょう。軍縮による平和の配当はこの地域全体に配分されるとともに、これら諸国の内部においても生み出されることになります。総理は、アジア・太平洋地域の軍縮のためにどのようなイニシアチブをとられるおつもりか、お答えをいただきたいのであります。
 一月二十日、アメリカではクリントン政権が発足をいたしました。この政権は、大幅軍縮と国内経済の再建に力を入れるものと期待されており、国民生活の向上と人種和解の達成が課題となっております。
 一方、米国の対外政策がどうなるかが私たちにとっても大きな関心事であります。米国は世界の警察官にならないとは言っても、グローバルな軍事力を維持し、国連などを舞台に軍事介入を続けたり、軍縮のツケを日本に肩がわりさせてくる可能性があります。また、国際経済においては、公正な競争を旗印に、日本などに強力な圧力をかけてくることも予想されます。このようなクリントン政権に対し、総理はどのような立場と手法で関係を築いていかれるのかを答弁いただきたいと思います。
 また、東京サミットでは対ロシア支援策がテーマの一つになるはずでありますが、我が国としては、政経不可分論を転換して具体的な支援を進めることが、国際社会の安定のためにも、領土問題の解決のためにも有益であると考えておりますが、総理の所見を伺います。
  次に、内政問題に質問を移します。
 私は当面の最大の課題である景気対策や農業問題を中心に質問し、その他の課題は明日、同僚の渕上議員が担当することになっております。
 我が国経済は、戦後半世紀の間に経験をしたことのない資産デフレと循環型の複合不況にあえいでおります。今日に至るも景気は本格的な回復の兆しを見せておりません。にもかかわらず、宮澤内閣は景気動向の判断を誤り、二年おくれで、ことしの一月の月例報告でやっと不況であるとの認識を示しました。景気判断を誤った結果、政府は、景気対策のタイミングを失しただけではなく、最大規模だけが売り物の十兆七千億の景気対策も所期の成果を上げておりません。
 また、景気回復の見通しにつきましても、多くのエコノミストは、よくてもことしの後半、悲観的な見方では年内は絶望的であるとさえ言っておりますのに、総理はこの春からと楽観的な見通しを語っておられます。そのとおりでしょうか。景気見通しを再び誤診することになりますればどのような責任をとられるのか、総理の答弁を求めたいと思います。
 さらに、九三年度の経済見通しについて、政府と民間との間には実質成長率でおおむね一%の開きがありますが、総理は三・三%成長に確信をお持ちでしょうか。東京サミットではこれが国際公約になることも予想されますが、責任を持てるのか、根拠を示して答弁をいただきたいのであります。
 なお、今回の不況の中で、資産デフレにつきましては過剰な投融資を行った企業や金融機関が自己責任で対処すべきであり、政府がバブル経済のツケとでも言うべき土地や株の救済をすることは許されないと考えております。したがって、公的資金の導入は将来も絶対にしないと断言できるかどうか、総理の答弁を求めておきます。
 我が党は、ゆとりと豊かさが実感できる生活を求めて、生活関連の社会資本の大幅な拡大が必要であると考えております。それは景気対策からも重要であります。総理も生活大国五カ年計画を掲げましたが、初年度の予算でその展望が開けるとはお世辞にも言うことができません。生活関連の公共投資はわずか五百億円増加しただけで、配分も従来の枠組みを変えておりません。これでは、五年分の所得でマイホームが取得できるとか、欧米先進国並みの生活環境整備を行うと言っても絵にかいたもちにすぎません。
 総理、生活大国というのであれば、日米構造協議における四百三十兆円の拠出も含め、そのグランドデザインを明らかにし、具体的な計画を国民の前に示すべきではないでしょうか。総理の答弁を求めます。
 また、昨年春以来、不況対策と税の不公平是正の見地から、私たちは大幅な所得税減税の必要性とその実行を政府に強く求めてまいりました。
 GNPの六割余を占める個人消費は急激かつ大幅に落ち込んでおります。所得の減少が消費を停滞させ、消費不況を増幅させていることは明白であります。しかるに、政府は、減税は貯蓄に回り不況対策に役立たないとして、国民の切実な要求について九三年度予算でも一顧だにしておりません。ところが、この政府の態度は足元から崩れつつあります。与党である自民党は、短期の特例国債を発行し、これを財源に、戻し税方式とはいえ二兆円規模の減税実施を検討中とのことであります。今や減税は、経済界を含めて天の声と言っても過言ではありません。総理に決断を迫りたいと思います。
  次に、農業問題についてお伺いをいたします。
 今日、我が国の農林漁業は、過疎、高齢化、後継者不足、経営難などで崩壊の危機に瀕しております。中山間地域農業も深刻であります。農業等の持つ公益的機能は、単に食糧の供給に限らず、地域経済の活性化、国土保全等多岐にわたっており、国民生活に欠かせないものであります。このような厳しい状況のもとで農産物の例外なき関税化による我が国の米などの市場開放が行われれば、農林業の崩壊にさらに拍車をかけることは必至であり、その影響は広く国民生活全般に及ぶと言っても過言ではありません。
 現在のガット農業交渉は明らかに食糧輸出国ペースで進んでおりますが、そもそもガットにおいても、農産物貿易につきましては、農業生産が土地や気象条件等に左右されやすいことなどから輸入制限の特例を設けてきたのであります。このようなことを考えますならば、我が国の米の完全自給や各国の食糧安全保障の承認は、日本だけの特殊な主張ではなく、広く国際的にも普遍性を持つ正当な主張だと言うことができます。政府は、国会決議を尊重し、今後事態がいかなる方向に推移をいたしましても、我が国はガットの場で米市場の開放に反対し、食糧安全保障の権利を主張するという基本的な立場を貫き通すよう強く求めたいと思います。総理、この間政府部内には不協和音が流れておりますが、この場で確固たる反対の意思を表明されてはいかがでしょうか。
  次に、環境問題についてお伺いをいたします。
 限りある地球の環境は悪化の一途をたどり、豊かな自然は国の内外で取り返しのつかない破壊の危機に瀕しております。これからの環境保全のためには、この社会を循環型社会へ転換することが急務でありましょう。このため、環境負荷の小さい製品や循環型の好ましい生産に対する優遇措置、環境汚染を抑える機能を持った環境税の導入など、経済的な手法を確立することも求められております。また、環境アセスメントの法定は最小限必要なことであります。この点、総理はどのように考えておられるでしょうか。
 日本は、狭い利害にとらわれることなく、日本と世界の豊かな自然を次代に引き継ぐという視点で、世界に誇り得る環境基本法を持つべきであります。しかし、政府部内の作業では、企業の圧力や省庁間の対立でその内容が後退しつつあるのは全く遺憾であります。総理は、演説で環境基本法の制定に触れられましたが、今国会に提出することを公約なさいますか。日本が環境分野で世界のイニシアチブをとるためにも、どのような決断をされるのかが問われております。お伺いをしておきたいと思います。
  最後に、憲法問題について質問をいたします。
 昨今、憲法見直し論議が新たな装いを凝らして登場してまいりました。その特徴の一つは九条問題でありますが、第一に、PKOや国連の決議に基づく地域紛争に自衛隊が疑義なく出動できるようにするために憲法を改正すべきである、二番目には、国連が行う軍事的強制措置に自衛隊が参加、協力することは集団的安全保障として憲法上可能である、第三には、集団的自衛権の行使は憲法上禁止されていないなどの主張が行われております。
 そのねらいは、いずれも、自衛隊の海外展開によって冷戦終結後の国際秩序づくりに参画をしようというものであります。その立場から、明文改憲、またはさらなる解釈改憲を掲げるものであり、断じて容認することはできません。これらの主張につきまして、総理の所見を求めます。
 平和憲法は、冷戦構造のもとでは閉塞状態に置かれ、必ずしも有効に機能してきませんでした。しかし、冷戦後の世界の趨勢は、一部に地域紛争が発生しておりますが、全欧安保協力会議に見られますように、平和と軍縮の時代の到来を告げております。それは憲法の期待した時代の幕あけとも言うべきであり、憲法の平和主義はその生命力を回復する最良の機会を迎えたのであります。この視点から、冷戦構造の産物である日米安保条約も、自衛隊も、この際根本的に見直す必要があるのではないでしょうか。そして、アジア・太平洋地域での平和と軍縮、協力と共生のシステムへと置きかえるべきであります。総理の所見を伺っておきます。
 元来、日本国憲法は、人類普遍の原理と崇高な理想に基づいて制定されたものであります。とりわけ、憲法前文と第九条に託した平和の原則は、侵略と戦争という大きな犠牲を払って実現した憲法の核心であり、国民の誇りとなっております。日本国憲法は、二十一世紀に向けて世界を先取りした平和の哲学として、また、国民主権、基本的人権、国際協調主義などを推進する基礎として、国の内外でその理念を生かし、開花させるべきであります。日本国憲法のその意義と今日的役割について総理の憲法認識を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 最初に、ここ二十年に及ぶ政治腐敗の体質とそれを生み出した構造についてどう考えるかという御指摘でございました。
 申すまでもないことでございますけれども、議員は、選挙民の信頼を得て、その負託にこたえて国政に従事をするものでございますから、たとえどのような制度であれ、議員一人一人がはっきりした、しっかりした政治倫理を持っていなければならない、これは申すまでもないことでございます。しかしながら、過去の出来事を振り返ってみますと、それはそうでございますけれども、やはり選挙制度そのものにも関係がないわけではないと申し上げることができると思います。
 すなわち、今の選挙が、政策中心で争われる、必ずしもそういう形になっていない。いわゆる衆議院における中選挙区というものは、必ずしも政策中心で争われずに、一党から複数の候補者が出るというようなことが現実でございます。したがって、その結果としてやはり金が余計にかかるというようなことも現実の問題としてはございますし、政治資金は、いろいろの規制をしておりますけれども、それにも不透明さが残っておるということが現実であろうと思います。
 残念なことでありますがそれが現実と思いますので、したがって問題は、そういう政治構造に立ち入った抜本的な政治改革がやはり必要である。倫理のことは申すまでもないことでございますけれども、そういう倫理が間違いなく貫き通せるような、それを制度面からも担保するような制度の改革というものがやはり大切ではないか、こういうふうに考えております。
 それから、共和事件以来、我が国の議会制民主主義は根底から存在を問われているではないかと言われることについては、まことに残念でございますが、私も御所見と同じ考えを持っております。
 この現在の国民の政治不信というのはかつて経験したことのない深刻なものである、まことに残念なことでございますが、そう思いますので、この機会に、政治が一日も早く国民の信頼を回復し、そして期待される機能を発揮するようにいたさなければなりません。それは、倫理の問題であると同時に、やまり政治改革を必要とするというふうに考えておりまして、事件の真相解明ということはもとより極めて大事でございますが、民意が的確に反映されるような政治構造を実現しなければならない、政治改革を推進してその具体的な成果を上げたいというふうに考えております。
 なお、佐川急便事件につきましてお尋ねがございましたが、これにつきましては、前国会におきましても各党各派が真相解明のために非常な努力をされました。また、今後におきましてもそういう御努力が続けられると存じますが、国会における証人の喚問の問題は、これは国会において御判断をされるべきことかと存じます。もちろん、政府といたしまして、国会の国政調査については可能な限り最大限の協力をいたすことは当然でございます。
 なお、この佐川急便事件に関連をして政治家と暴力団との関係について指摘がなされておりますけれども、およそ政治家がこのような集団とかかわり合いを持つということは、これはあってはならないことであります。政治にかかわる者は、みずから襟を正し自粛自戒して日々の政治活動に当たらなければならないのはもちろんでございます。
 なお、政治家の進退につきまして、これは前国会でも申し上げたことでございますけれども、選挙民に選ばれました議員の責務というのは、やはり選挙民から信頼され、その負託にこたえて国政に従事をするということでございます。そのような選挙民の信頼がなお維持され失われていないか、また選挙民の負託にこたえて活動ができるかどうかということは、これは最終的にはやはり本人が判断をしなければならないことではないかというふうに考えております。
 国民の政治不信を招く事態が生じましたことについて、国民の疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければなりません。真相解明はもとより重要でありまして、国会における国政調査に政府が最大限の御協力をいたすべきことは当然のことでございます。
 また、この事件につきまして、一部には既に関係当局が捜査、調査を継続している事柄もございます。また、裁判所におきまして公判係属中の事柄もございますので、それらについては、つかさつかさに任せて、その推移を見守る必要があろうと存じます。
 なお、過去において、個々の事件が起こりましたときに、私の発言がそれに対して不明確であ
る、あるいは微温的であるという御指摘がございました。
 そのことは気がついておりますが、実は、一つ一つの報道がございました場合に、私の立場から申せば、事実関係を明白にいたしませんでその報道についてコメントすることは、これは差し控えなければならないという自分の立場であると存じておりますので、事実関係がはっきりいたしましたときには常にはっきり判断を申し上げておるつもりでございますが、この点は御理解をいただきたいと思います。
 企業献金の問題でございますが、企業も社会的な存在でございますから、政治に対して発言をするということは、これはあってならないわけではない。ただ、それにつきましてはおのずから自制の限度というものがあるだろうということは、これは事実だと思います。
 自民党がこのたび政治改革の基本方針、いわゆる抜本改革の基本方針を策定いたしましたが、その中では、政治資金も、これは選挙そのものもそうでございますが、なるべく政党中心に調達をする仕組みにいたしたいというふうに考えておりまして、したがって個人につきましては、いわゆる企業等団体献金の関連の資金調達団体を極めて厳しく制限し、またそれを少額に限るということにいたしております。したがいまして、それは、企業との関連は主として政党がこの相手となるというふうに考えをしておるわけでございますけれども、また、寄附の公開基準の引き下げ、あるいは政治資金の透明性の確保、罰則の強化などをこの政治改革の基本方針では定めておりまして、やがてこれらにつきましては国会におきまして、各党各派間で十分御議論をいただきたいと考えているところでございます。
 それから、イギリスにおきまして、一八八三年、グラッドストンのときに腐敗行為防止法ができて、それが今日のイギリスの政治浄化の起点になったということはそのとおりでございますが、我が国も、百年余りおくれましてまさにそういう時期に来ているものというふうに認識をいたしております。
 先ほど申しました自民党が作成いたしました政治改革の基本方針もそのような思想のもとにつくられたものでございますが、この基本方針をもとに、その法案化に向けてただいま鋭意作業が行われておりまして、今国会に提出をして御審議を仰ぎたいと考えておるものでございますが、なお各党間で、各党におかれてあるいは各会派におかれてもいろいろ案をお持ちと思いますので、国会で十分論議を尽くしていただいて、今国会で合意を得ることをお願いいたしたいと思っておるところでございます。
 次に、過去における我が国の戦争責任、殊にアジアにおけるそれについてお尋ねがございました。
 我が国の過去の行動によって、アジアを初めとする関係地域の人々が耐えがたい苦しみと非常な悲しい体験をされたということは事実でありまして、政府はいろいろな機会に深い反省と遺憾の意を表明してまいりました。これらにつきましては、過去において、連合国、あるいは戦後我が国と分離独立いたしました地域との間の請求権の問題について、御承知のようにサンフランシスコ平和条約あるいは二国間の取り決め等によって、誠実に、我が国としてはかなり経済的には苦しい時代でございましたが、誠実に対応してきたと思っております。
 また、教育の問題でございますが、私は、先般バンコクで申したことでございますけれども、日本国民の日々の行動の中にも歴史の教訓が十分に生かされるようにしていかなければならない。殊に若い世代は過ぎ去ったことを存じませんので、そういうことは間違いなく教育をするようにしなければならない。一層意を用いてまいりたいと思っております。
 次に、国連協力につきまして、我が国としてどのような立場からそれをなすべきかという御指摘であったわけでございますけれども、我が国は本来、いわゆる国連中心主義ということで戦後ここまでやってまいりました。国連が無力でありました時代には、それは一種の抽象論であるというやゆを受けたこともございましたけれども、幸いにして国連が力を持つようになりまして、憲法の定めるところに従いまして、この国連への、国連憲章の目的と理念を実現すべく最大限の協力をいたさなければならないのは当然と思います。また、現に、国連の財政面におきましては我が国は第二の財政負担をしておる国でございます。
 とりわけ、我が国のこういう国力が進むに従いまして、国際の平和と安全の分野においてもう少し積極的な人的な貢献をなすべきではないかという内外の世論がございまして、昨年、国会において慎重な御審議の末に国際平和協力法を成立させていただきました。これによりまして、我が国の憲法の許す範囲における人的貢献を行うことができることとなりました。現にカンボジアにおきまして、自衛隊の諸君を初めとする六百名余りの人々がカンボジアの国づくりに汗を流しております。このことは広く国民の支持を得ているというふうに考えております。今後とも、御指摘のような民生面も含めまして、憲法の許す範囲での国連協力を進めてまいりたいと思います。
 これにつきまして、今の国連では十分でない、いろいろな意味で国連の強化をすべきだという御指摘がありまして、私はこの点はそのとおりと思います。国連がにわかに実際的な機能を帯びざるを得ない、また、それを発揮するようなことになりましたについて、国連というものがそれまで十分そのような用意をしておったかといいますと必ずしもそうだとは申せない、それは確かにそういう点がございますので、そういう意味で、国連を育ててまいらなければならないと思います。そういう立場から申しまして、御指摘になられました幾つかの点は十分検討をいたすべき項目であろうと思います。
 常任理事国の問題について御指摘がございました。
 安保理事会の改組につきまして、昨年の十二月に全会一致で「安保理議席の衡平配分と拡大」に関する決議というものがございました。これは全会一致で採択をされたわけでございますが、それに従いまして、本年の六月三十日までに各国が意見を提出することになっておりまして、我が国としてもその準備をいたしております。我が国として率直に意見を述べてまいりたいと思いますが、安保理事会の機能を損なうことなく、国際社会の期待に沿うような形での安保理事会の改組が行われ、安保理事会の信頼性と実効性を高めなければならない、これがこれから国連総会決議を受けましての課題であると思っております。
 この安保理事会の改組の問題は、よく御承知のとおり、国連の場においてこれから議論が進んでまいりますと国連憲章の改正を必要とする問題に発展することは恐らく不可避と思われますが、その場合には、大変高度で政治的な複雑な微妙な問題をいろいろ呼び起こすであろうということは容易に予想されますので、息の長い取り組みが必要であろうかと考えております。
 なお、先ほど、安保理事会は国際的な公正と民主主義の原則にもとるというふうに御指摘になられたというふうに承りましたが、私はそう考えてはおりません。
 カンボジアにおきましてのことでございますが、散発的あるいは局地的な事件が発生しておりますけれども、パリの和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持をされております。いわば紛争当事者間の停戦の合意は保たれているというふうに考えておりますので、我が国が自衛隊諸君等を派遣いたしました基本的な状況には変わりがないというふうに思います。
 次に、国連のガリ事務総長が提唱いたしましたいわゆる国連のこれからの平和維持等に関する問題でございますけれども、ガリ事務総長が、国連の現在のような状況の中で積極的に機能を発揮させるために事務総長としていろいろなイニシアチブをとろうとしておられることには、これは十分にその意義がわかりますし、我が国もこの議論に積極的に参画していきたいと思いますけれども、ただ事務総長のお話の中には、やはり今まで国連あるいは安保理事会がやってまいりましたこととは、かなり先へ進みましたと申しますか、一歩を出たいろいろな問題がございますので、我が国自身がすぐそれに参画できるかどうかというようなことは、憲法の問題もございまして、これは一つ一つやはり慎重に考えていく必要があると思います。
 もちろん、我が国はそういう議論には積極的に参加をしていきたいと思っておりますけれども、我が国自身が事務総長の先般言われましたような国連の新しい平和維持、あるいは平和をつくる、ピースメーキングと言われたと思うのですが、そういうことに参加できるかどうかということは、これは我が国自身が判断をいたさなければならない問題と思います。
 国連平和維持活動につきまして、自衛隊とは別の文民がいいのじゃないかというお話は、前国会でも御主張を承っておりますけれども、今現実に自衛隊の諸君がカンボジアの国づくりに参画しておりますことを見ておりますと、やはり長年の蓄積いたしました技能であるとか経験であるとかあるいは組織力等々、これが有効な貢献をするために極めて必要なことであるということが現実に証明をされておるように思います。この法案の御審議の過程で、国民の中には果たしてどういうことが行われるかについて十分な御理解がなかった向きもあると思いますけれども、その後の自衛隊等々の活動をテレビ、報道等で国民が見ておられて、今、幅広い国民の支持があるものというふうに私は考えております。
 この法案は、国会で御修正がありまして、施行後三年を経た場合に見直すということになっておりますけれども、私といたしましては、今現に行われている平和協力、この実態というものを、まだ始まって間もないことでございますので、よくその実績を見ながら将来のことは考えていく、予断を持たずに、もう少し今の実績を重ねていってもらってはどうかというふうに考えております。
 ODAについて、政府開発援助大綱というものを私ども閣議決定をいたしました。それに対して、相手国の立場も考えながら、やはり人権でありますとかあるいは過大な軍備でありますとかいうものについては、それなりの我々としての意見を言わせてもらう、あるいは環境についてもさようでございますけれども、そういう考え方から政府開発援助大綱を閣議決定してやらせていただいておるところでございます。
 それから、ロシアの核兵器の解体あるいは軍民転換ということについてお話がございまして、確かにロシアの核兵器の解体及び処理は重大問題でございます。重大問題でございますので、G7等でも議論をしておるところで、我が国としてもそれはなし得る貢献はいたしたい。技術的には、核兵器の解体・処理が、日本として現実にそれについて手の出せる問題とは思いませんけれども、しかしそのための財政的援助等々はこれはやってできないことはないのでございますから、それについてもできることは貢献をいたしたい。
 軍民転換につきましては、これは現実に、ミッションを我が国から派遣しておりまして、個別の企業についてアドバイスをいたしております。
 それから、戦術核、戦略核で、いわゆる海洋発射の分につきましては、先般アメリカとロシアとの間で第二次戦略兵器削減条約、STARTUが署名されたことでございまして、これは喜ぶべき進展だというふうに考えております。
 日ロ平和条約の問題でござ、ますが、先般、渡辺外務大臣がパリにおきましてロシアのコーズィレフ外相と会談をされて、エリツィン大統領訪日のために真剣な準備をするという合意をされたわけでございます。我が国としましては、ロシアあるいは旧ソ連の各国がいわゆる民主主義路線あるいは市場経済路線に進んでくれることは、ここは世界全体、我が国にとりましても当然利益でございますから、そのための支援は当然いたしていかなければなりませんけれども、領土問題について、やはりエリツィンさんの言われる法と正義に従ってこれは解決をしてもらわなければならない。バランスのとれた関係を進めていきたいと思います。
 なお、日朝国交正常化でございますけれども、朝鮮半島の平和に資するように、我が国としても誠意を持って努力を続けておりますが、ただいま北朝鮮の核兵器の開発の問題についてなお十分な理解が得られていないと私は考えておりまして、この問題を解決いたしませんと国交の正常化を促進していくことはなかなか困難である、説得によってこの問題の解決をしてもらって正常化を進めたいというふうに考えております。
 それから、自衛隊の問題でございますけれども、先般、中期防の修正を三年後を待たずに行いましたことは施政方針演説で報告を申し上げたところでございます。五千八百億円の減額をいたしました。
 いわゆる早期警戒管制機AWACSでございますが、我が国のような専守防衛の国から申しますと、できるだけ情報というものを広く的確に集めておくということが専守防衛の基本であります。
AWACSは攻撃的な性格を全く持っておりませんので、いわばウサギの耳が長いといいます、一番我が国の専守防衛に必要なものと考えております。確かに、多くの国がAWACSを購入いたしました時代は既に過ぎておりますために、生産ラインが一時閉鎖される、こういうことがありまして、単価がいっときに比べますとかなり高くなったことは事実でございます。残念なことでございますが事実でありますので、先般、日米間でかなり詰めた折衝をいたしました。そうして、その結果として我が国として購入することを決めたということでございます。
 ただ、我が国の防衛全体は、仮想敵を持たないいわゆる専守防衛でございますから、この世の中の動きはよく知っておりますけれども、いわゆる専守防衛、基盤的防衛力整備のための大綱を今すぐに改める必要があるとは思いません。ただ、今回の中期防衛計画の終了前に、その辺のことは全部改めてレビューをいたさなければならないと思っておりまして、したがいまして、御指摘のような自衛官定数を含む大幅な削減をするということは考えておりません。
 アジア・太平洋地域でどのような軍縮が可能であるかということにつきまして、せんだっても、私、これらの幾つかの国を訪問したときに話をいたしてまいりましたが、ヨーロッパにおけるCSCEのような、そういう仕組みがすぐにできるような関係ではない。それはやはりアジアの国々が非常に多様的であるということに関係があると思いますが、むしろそのことは私は大事なことだと思いますので、今としましては、御承知のようにASEANの拡大外相会議というものが、昨年来、経済問題からさらに進んで政治、安全保障の問題も取り扱おうという合意が自然にできてまいりましたので、そのような自然の動きを日本としてもお役に立つのならば促進をする、そういうことがいいのではないか。急いで一つの仕組み、機構をつくるということには少しまだ無理があるように思います。
 なお、この地域の安全を将来考えていきますときに、私はやはりアメリカの存在が不可欠ではないか、地域の平和と繁栄のために不可欠だと思います。と申しますのは、これらの地域の国々によってはお互いに脅威と考えている相手が実はまちまちでございまして、場合によっては日本自身がそのような脅威になるかもしれないと考えている国もあるいはあるかもしれません、そういうことはないはずでございますけれども。そういういろいろ複雑な各国間のいわば脅威観がございますものですから、やはりアメリカがこの地域で存在を持つということは地域の安定性のために私は大事なことではないかというふうに、この問題の基本の一つの要素として認識をいたしております。
 クリントン政権との関係でございますが、日米両国合わせまして世界のGNPの四割を占めますので、両国間の問題はもとよりとして、お互い同じ価値観のもとに世界全体の繁栄と平和のためにやりていかなければならない仕事は多い、選挙が済みました直後にそういうことは電話でクリントンさんとお話をいたしましたけれども、なお、新政権のそういう準備ができましたら、できるだけ早い機会に話をいたしたいと思っております。
 対ロ外交につきましては、先ほどちょっと申し上げました。ロシアの内政、経済、外交がいわゆる好ましい改革路線に行きますように、我が国としてもできるだけの支援をしなければなりません。同時に、両国間の領土問題を解決して平和条約を締結するということも大切なことと思います。
 景気問題についてお尋ねがございまして、このたびの平成五年度予算では、いわゆる公共事業関係、財投、地方単独事業を含めまして、財投で一二%、地方単独事業で一二%、また住宅、下水道、生活関連等々の予算は七%、かなり大きな伸びを平成五年度予算で組んでございまして、昨年の総合経済対策の延長線上でこの景気の回復を図ろうといたしております。また、一応住宅投資も活発でございますので、これらのことがこれから数カ月の経済に影響を持たないはずはない、これは必ず影響を持つことになると思います。
 三・三%の成長は大丈夫かなと、こういうお尋ねがございましたが、何と申しましても、過去を振り返りますと、昨年の四月−六月期の成長率はゼロでございます。七月−九月期がマイナス〇・四でございますので、その上で三・三%の成長というのはそんなに大きな話ではございません。だからといって、また大変自慢をしていいほどの実は数字でもないのでございまして、このぐらいのことはできないと私はいかぬというふうに思っております。
 それから、資産デフレ、これはもう金融機関が自分の責任で対処すべきものではないかということは、私は基本的にそう思います。金融機関の自助努力が基本であるということから、いわゆる共国債権買い取り機構が間もなく設立されるということ、また、各銀行が不良資産のディスクロージャーを本年三月期に、たすことになっておりまして、基本的にはこれはおのおのの金融機関等々が真剣な自助努力をいたすべき問題である。ただ、結果として銀行の融資能力が非常に落ちるということは、言ってみれば、体の中を血が流れる、その血の流れが停滞をするというようなことでございますから、国民経済的な観点から支援すべきところは支援をする必要があると思っておりますけれども、基本的にはこれは自助努力の問題であると思います。
 生活大国につきましては、いわゆる公共投資基本計画を平成二年六月に策定いたしてございます。そして、昨年の生活大国五カ年計画で、公共投資を今度はできるだけ利用者の視点に立って目標を設定することにいたしました。それが五カ年計画でございます。これを進めてまいりたいというふうに思っております。
 所得税の減税についてお話がございまして、これは昨年も申し上げたことでございますけれども、結局、政府が数兆円なら数兆円という財政支出、財政負担をいたしますときに、それが減税の形をとるのがいいのか、あるいは公共投資等の形の方が景気回復に役立つのかという、そういう判断の問題が一つございます。平成五年度の予算では後者の判断をいたしたわけでございますが、また同時に、これには財源の問題もございまして、いわゆる公共投資でございますと、建設公債、これは資産が将来に残りますので発行することができますけれども、そうでない場合の歳入補てん公債ということになりますと、これはこれなりのやはり問題があるということから、平成五年度予算はごらんのような編成をいたしました。
 ただ、これから数カ月間の経済状況は非常に微妙でございますから、政府としては、常に注意を怠らずに見ておりまして適時適切な対応をいたさなければならないというふうに考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、これも前に申し上げたことでございますけれども、国会決議等の御趣旨を体しまして、国内産で自給することを基本方針としてまいりました。この段階に入りまして、各国とも農業につきまして困難な問題を抱えておりますけれども、やはりこのダンケル合意案というものは、輸出補助金についてはいろいろ申しておりますけれども国境措置については十分なことを言っていない、我が国のような輸入国から見ればバランスを失しておるということを考えておりまして、そういう指摘をいたしておるところでございます。
 それから、環境問題につきましては、いわゆるリサイクル法の適切な実施をいたすこと、また環境負荷の少ない製品、循環型の好ましい生産を優遇してまいりたいと思います。
 環境税の問題でございますけれども、環境税を主張される主張の中に、一つは、これはむしろ環境汚染を抑制するための一種のペナルティーとして税金を取るという考え方と、そうではなくて環境対策のための財源が必要であるという考え方と両面がございまして、議論が集約されていないというふうに思っておりまして、引き続き勉強いたしてまいりたいと思います。
 環境アセスメントの問題につきましては、公害対策審議会の答申に基づきまして、このたびの法律の中で、現行措置の実態や事業者の自主的取り組みを踏まえつつ環境影響評価の重要性、考え方を盛り込むべきである、そういう考え方を踏まえて検討したいと思っています。ただいま法案の策定作業を進めておりまして、できるだけ早い時期に成案を得て御審議を仰ぎたいというふうに思っております。
 憲法の見直し、憲法改正との関連で、国連憲章とのお話があったわけでございますが、国連が行う軍事的な措置、いわゆる強制措置の中で、国連憲章の第七章には国連軍というようなことを書いてございますけれども、このような国連軍は創設されたことがございません。また、はっきり定義を下されたこともないと思います。
 集団的自衛権の行使につきまして、国際法上日本が自衛権を持っているということは主権国家ですから当然でありますけれども、その自衛権の行使というのは、やはり憲法九条でいえば、我が国を防衛するための必要最小限度の範囲にとどまるべきものであるというふうに考えますので、そのような最小限度の範囲を超えるということになりますと憲法上問題があると思います。つまり、この間のことは、一言で申しますならば、我が国が海外において武力行使をする。すなわち、自衛のために、国土を守るためということであればこれは別でございますが、海外で武力行使をするということにはやはり憲法上の問題がある、そういうふうに従来考えてまいりましたし、またそれでよろしいのではないかというふうに思います。
 日米安保条約、自衛隊を根本的に見直すべきではないかということでございますが、冷戦後の時代になりましたけれども、やはり日米安保条約が抑止力として働いておることは事実でございます。抑止力というのは、これはめつたに発動されませんのでわかりませんけれども、それが抑止という意味であろうと思います。また、アジア・太平洋地域における安全保障の点につきましても、やはりアメリカの存在というものは大事だということを申し上げました。そういう観点からもこの体制は大切なものであると思っておりますし、また自衛隊につきましても、先ほど申しましたような基盤的防衛力を整備するという立場から申しますれば、これは自衛隊というものをやはり大切にしていかなければならないというのが私の考えでございます。
 憲法の意義と今日的役割というようなお尋ねがございましたが、我が国の憲法は我々の過去の経験に基づきましていろいろなことを定めておりまして、それま我々としてやまり大切にしなければならない。もとより、憲法で許されておりますことは、今日の国際情勢の中で我々の貢献としてなさなければなりません。むしろ、許されておることは積極的にすることによって、それを越えて憲法の許されていないことは我々としてはできない、そういう立場をはっきりさせることがよろしいのではないか、そういう考え方を持っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(原文兵衛君) 山本富雄君。
   〔山本富雄君登壇、拍手〕
#9
○山本富雄君 私は、自由民主党を代表いたしまして、当面する重要課題につきまして、宮澤総理に質問をいたします。
 本論に入ります前に、謹んでお祝いの言葉を申し述べたいと思います。
 全国民が久しく待ち望んでおりました皇太子徳仁親王殿下と小和田雅子さんとの御婚儀が調いましたこと、まことにおめでたく、心よりお喜び申し上げます。(拍手)御成婚の儀がつつがなく行われ、お健やかな新家庭が築かれますとともに、御皇室の御安寧と弥栄を衷心よりお祈り申し上げる次第であります。
 次に、今般の釧路沖地震につきましては、不幸にして死傷者が発生しましたほか、住宅などに大きな被害が出ました。被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。我が党は、政府と一体となって、被災者の救済、施設の早期復旧に万全の対策を講じてまいります。
 まず、景気対策についてお伺いをいたします。
 年末年始、全国どこへ参りましても不景気の話ばかりでありました。バブル経済の崩壊によって我が国経済は資産インフしから資産デフレを引き起こし、それが循環型経済の足を引っ張って不況感を一層増すという、かつて経験したことのない様相を呈しております。経済の専門家でさえ今回の不況については当初その見方や認識がさまざまに分かれていたように、政府においてもその実態の把握や判断に種々の苦労があったことは想像にかたくありません。
 しかし、一昨年来続いてきた景気後退も、ここに来て政府の適切な対応、対策が効果をあらわし始め、景気はほぼ底入れ間近に差しかかったと言われるようになってまいりましたが、景気の現状について総理はどのように判断されておられるか、まず御見解を承りたいと存じます。
 政府は、昨年三月末の緊急経済対策に続き八月にも、大方の予想をはるかに上回る総額十兆七千億円という過去に例を見ない最大規模の総合経済対策を打ち出されましたが、その対策の内容は、今回の不況の性格を実によく分析し、適切に対応したものであったと高く評価するものであります。
 通常の循環型不況に対しては八兆六千億円に達する公共事業費をもって充てるとともに、株価の予想外の低迷という資産デフレには公的資金の投入というかつて試みたことのない斬新な手法を取り入れるなど、経済対策の内容、その手法とも、以前の公共事業一本やりの対応に比べ一段と充実したものでありました。加えて、民間金融機関の間に滞留し、しこりとなっておりました担保不動産等の流動化を図るための債権買い上げ会社を政府が音頭をとって設立するなど、対応の迅速さと内容においてまことに適切であったと思います。
 しかし、これによって問題がすべて片づいたわけではありません。特に、資産デフレによって金融機関が内部に抱え込んだ不良債権は、昨年末の政府の発表によれば実に十二兆三千億円に達しており、今後その処理をどう進めていくかは景気の動向とも密接に絡む重要な課題と考えますが、いかがでしょうか。
 戦後約半世紀、我が国は幾たびかのつらく苦しい不況を経験してまいりましたが、それを国民の英知と努力によって乗り越えるたびに経済の足腰は鍛えられ、一段と強靱な構造になってまいりました。今回の不況が戦後未曾有の新型不況であろうとも、我が国国民の努力はもとより、これまでに蓄積された知識と経験によって必ずや立ち直り、再び拡大の道を歩むことを私は確信しているものであります。
 既に景気は最悪期を脱しつつあると言われておる現在、最も重要なことは、このわずかに見え始めた明るい芽をさらに気合いを込めて大きく確かなものにしていくことだと思います。
 平成五年度予算の早期成立は、国会に対する国民の至上命令であります。そしてさらに、必要ありと判断された場合には次なる対応を用意することも極めて重要かと考えます。総理の御見解を承りたいと存じます。
 景気低迷が長引くにつれて、財政面では税収の落ち込みが目立ち、厳しさを増しております。昨年十二月成立した四年度補正予算では、法人税を中心に四兆八千七百三十億円の減額修正を行ったところであります。五年度税収もその影響を強く受け、四年度当初に比べ一・九%減と異例の減額見積もりを行っておりますが、まず今後の税収動向について政府の基本的見解をお伺いいたします。
 平成五年度予算では、不況対策が厳しい税収の中で求められ、その財源づくりが難しい状況にありながら、安易に赤字国債を発行することなく、投資的経費を厚くする一方で経常的経費を極力圧縮し、めり張りのきいた予算を編成したことは今後の財政運営に大きな意義を持つものと考えるものであります。
 その一方、景気対策のための建設公債は限度いっぱいの発行を見込まざるを得ず、そのために公債依存度は一一%台へと高まり、平成七年度の公債依存度を五%以下に抑制するとの目標達成が一段と厳しさを増していることはやむを得ないところであります。しかし、いかに困難な状況とはいいながら、その旗印を掲げ続けることが、安易な国債発行を抑え、健全財政への取り組みの上で必要不可欠であることは申し上げるまでもありません。かつて、ぼろ旗などと言われた平成二年度の特例国債脱却の財政再建目標が景気拡大によって不死鳥のようによみがえったことを、この際、想起すべきであります。
 他方、歳出面を見ますと、我が国の経済大国化に伴って歳出需要は年々圧力を増しております。ODAはもとより、昨年のカンボジアへのPKO派遣が示すように、国際貢献のための財政需要は今後もふえ続けるでありましょう。また、国内においても、宮澤内閣のもとで本格的に取り組み始めました生活大国実現のための社会資本の整備や、ひたひたと迫ってくる二十一世紀の高齢化社会を迎える準備など、そのための財政需要は膨大であります。この膨れ上がる歳出需要と不足がちな財源の調和を総理は今後どのようにして図っていくおつもりか。
 昨年十二月の本院予算委員会の質疑において、総理は平成六年度の税制の抜本見直しの必要性について触れられましたが、その背景にはこうした膨大な財政需要をお考えになってのことだったのでありましょうか、総理の真意をお聞かせ願いたいと思います。
 以上、景気対策並びに財政政策についてお尋ねをいたしましたが、我が党は、資産デフレという根強い不況を一刻も早く克服し内需主導型のインフレなき成長を目指すことを最大の政治目標として各般の措置を講じてきたところでありますが、さらなる手当ての要否を検討するため、このたび党内に総合景気対策本部を設置し、先週より検討を開始いたしております。
 どうか、総理、あらゆる業種、あらゆる地域において国民の生の声を聞いて実態を把握され、今年前半の動向をいち早く見定め、景気回復という国家的命題のため、適時適切な金融財政措置の出動をも辞さぬ強い決意で臨まれることを要請しておきたいと思います。
  次に、外交関係についてお伺いいたします。
 冷戦が終わり、ソ連が解体してから一年余りが過ぎ、米国においては先週クリントン政権が誕生いたしました。しかし、年が明けても世界の行く末には暗い材料が多く見られます。
 我が国を初め先進国経済は厳しい状況にあり、今年は先進国全体で三千万人以上の失業者が発生するとの見通しが出されております。暗黒政治から解放されたはずの旧ソ連や中・東欧諸国における改革はさまざまな困難に直面しており、これらの諸国の経済は深刻な状況にあります。
 また、冷戦が終わったにもかかわらず地域紛争はかえって増大しており、旧ユーゴスラビアやソマリアは今なお戦乱にさいなまれております。北朝鮮の核開発疑惑など核兵器の拡散の懸念は、我が国にとってのみならず、世界の平和と安定に対する重大な懸念材料であります。さらに、開発途上国の貧困の問題、環境、難民、エイズなどの地球的規模の問題も深刻な状況にあります。
 これまでの米ソ冷戦時代が「秩序の中の冷戦」であったとすれば、今は「混沌の中の平和」とでも言うべき時代でありましょうか。国際システムの構造的変化の中での試行錯誤であり、米国初め各国は、まだ新国際秩序とは何かを模索している段階だと思います。総理は、戦後、冷戦時代の国際政治に長くかかわられていた者として、今日の時代の冷戦後観をどう認識しておられますか。
 新春早々、米ソ両国によるSTARTU、第二次戦略兵器削減条約の調印がありましたが、湾岸戦争の恒久的停戦を定めた国連決議を守らず相も変わらず挑発的行為を繰り返す最近のイラク等の言動を見るまでもなく、私は、ポスト冷戦時代は混沌として見通しがつかない無秩序の状態がまだ続くものと思っております。新しい世界平和秩序の実現に向けて日本としていかなる国際的役割を果たすべきとお考えでしょうか、御所見を伺いたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 こうした混沌の時代こそ、国連の役割はますます大きくなっています。我が国外交が国連中心主義を堅持して国力にふさわしい役割を担うべきは、国際国家日本としての責務と存じます。
 既に我が国としては、昨年六月に成立した国際平和協力法に基づき、現在カンボジアにおいて、自衛隊施設部隊、文民警察官、停戦監視員約七百名を派遣、平和と復興の基礎を築くため献身的な活動を行い、我が国として初めての国連平和維持活動に対する本格的協力を行っております。ここに、私は、派遣隊員諸君の絶えざる御労苦に対し深く感謝の意を表するものであります。
 問題は、現地におけるポル・ポト派が停戦の第二段階入りに応ぜず、かねてより懸念がないわけではありませんでしたが、ついに去る十二日、カンボジア北部で国連暫定統治機構文民警察の宿舎が襲撃され、死傷者が出ております。幸い日本人はたまたま現場から離れていたがために難を免れましたが、政府はこの事態をどう受けとめ、安全確保を図るのか。総理はASEAN諸国訪問の中で現地で明石国連暫定機構代表と会談をされましたが、今後の方針についてお伺いをいたします。
 さらに、自衛隊の国際貢献活動を本来の任務に位置づけること、また、我が国の安全保障理事会入りなど国際平和に対する基本方針をお伺いいたします。
 さて、この二十日にスタートしたクリントン米新政権に対し、心から祝意を表したいと思います。
 私は、新大統領がテレビで行いました「米国の再生」を呼びかけたあの若々しい演説に胸を打たれました。戦後四十七年を経過し、両国は、自由と民主主義、市場経済原理等の基本的価値観を共有し、その上に、政治、経済、安全保障を初めとする国民生活のあらゆる分野にわたって極めて密接な関係を築き上げました。今日、世界のGNP二十兆ドルの中で、アメリカ五兆ドル、日本三兆ドル、合わせて八兆ドル、世界経済の約四割を占めている両国が、世界的な経済、貿易、地球環境、南北問題等に相協力していくことが重要であることは申し上げるまでもありません。
 しかしながら、現在の日米関係は、冷戦の終結、日本の経済力の台頭、日米間の経済摩擦等により、一つの曲がり角に来ているのではないでしょうか。現在、世界経済は自由貿易と管理貿易が混在するという困難の中で、両国がいわゆるグローバルパートナーシップを推進していくことが重要と考えます。日米間にいささかなりともわだかまりありとすれば、速やかにそれを払拭することが肝要であります。新政権と忌憚のない意見交換を行うべきと考えますが、訪米についてどういうお考えをお持ちでしょうか。
 我が国が今後とも国際社会において先進国の一員として発展していくためにはアメリカの存在をおいてないことを十分心して、米国の国際的関与を理解し、協力し、友好親善の推進を図るべきと存じます。今後の日米関係をどう発展させていくのか、政府の方針をお伺いいたします。
 ソ連が消滅して一年が経過いたしました。連邦消滅後結成されました独立国家共同体、CISも求心力が弱く、我々が最も心配しておりました核の統一管理だけはどうにか維持されましたが、ロシアとウクライナの対立、民族問題は激化し、情勢は混沌、極めて流動的であります。また、ロシアでは価格自由化を含む急進的な経済改革が導入されましたが、経済は改善されず、改革修正を求める動きが強まる中で、エリツィン政権は困難な政局の運営を余儀なくされているようですが、総理はこうした旧ソ連邦の不安定な情勢の変化をどう受けとめ、対ソ支援を行うのでありましょうか。
 北方領土の返還は日本民族最大の関心事であり、昨年九月のエリツィン大統領の訪日が直前になって中止となったことは極めて遺憾であります。今後の訪日予定と、北方領土問題解決のための政府の方針をお伺いいたします。
 総理、さきのASEAN諸国への訪問、まことに御苦労さまでございました。
 冷戦構造が崩壊し国際社会が急激に変化している中にあって、我々が位置するアジア・太平洋地域はASEAN諸国を中心に活力ある経済発展を遂げており、世界の注目を集めております。また、政治面におきましても、カンボジア問題の解決などインドシナ地域との新たな関係構築に努めており、世界の平和と安定のために重要な役割を果たしております。
 このような現状の中、私は、この地域における平和と繁栄への好ましい動きをより一層定着させていくことが必要であり、そのためにも、我が国はアジア・太平洋の一員として同地域との協力関係を強化させていくことが重要であると考えております。かかる観点より、私は今次の総理のASEAN四カ国訪問はまことに時宜を得たものであると考えます。我が国がこの地域の平和と繁栄を確保していくために政治、経済、安全保障面でどのような役割を果たし、また協力関係を強化させていくかについて、訪問の成果を踏まえた総理の所見をお伺いいたしたいと思います。
 本年七月には、我が国が議長国となり、東京においてサミットが開催されます。現在、国際社会は、世界経済の回復と成長、その他さまざまな課題を抱えていますが、東京サミットを成功させるためには、議長国たる我が国が参加国間の政策協調及び協力を積極的にリードしていかなければならないと考えます。東京サミットにいかなる方針で臨むのか、議長を務められる総理御自身のお考えを承りたいと存じます。
 次に、生活大国の実現についてお伺いをいたします。
 戦後の我が国は、日米安保条約により軍備に多くの資金を費やすことなく、専ら経済に集中することができました。そして、欧米に追いつけ追い越せで発展し続け、今日我が国の国民総生産は四百五十九兆円、アメリカに次ぐ世界第二位、全世界の実に一五%を占める経済力を有するに至りました。しかし、数字的にこれほど豊かな経済大国となりながら、では果たして国民一人一人が我が国の経済力に見合った豊かさを実感しているのでありましょうか。今こそ、国民が豊かさとゆとりが実感できる、単に物質的なものでなく、個々の生活の質を充実させるような生活大国の実現を目指さねばなりません。
 昨年六月、総理に答申された生活大国五カ年計画では多くの項目について具体的な目標数値が掲げられておりますが、ここで私は、特に国民生活に深くかかわるものの幾つかについて政府の方針を伺っておきたいと思います。
 生活大国五カ年計画の目玉である労働時間短縮の目標値は一九九六年度の総労働時間を千八百時間と定めておりますが、九一年度の実績二千八時間から見て、これが計画どおり達成することが果たして可能なのか。極めて厳しい労働環境のもとで頑張っている中小企業等に対し、政府としてこれをどう進め、ゆとりある暮らしの実現を図るのか、お伺いをいたします。
 また、公共投資基本計画によれば、今世紀末までに総額四百三十兆円の公共投資が行われることとなっておりますが、今後の対応を伺います。
 住宅政策については、勤労者世帯の平均年収の五倍程度で良質の住宅が取得できるような施策を講ずることとしておりますが、このためには、住宅価格が下がるか所得が大幅に上昇することなしに果たしてそれが可能なのか。今後、住宅取得難をどう解消し、これを進めるのでありましょうか。
 地方の振興には、一極集中の是正、多極分散、国土の均衡ある発展等は引き続き着実に進めなければなりません。四全総を見直し、五全総を策定すべき段階かと思いますが、お考えをお示しください。
 長寿福祉社会の問題であります。我が日本は世界一の長寿国となり、二十一世紀の初頭には国民の四人に一人が高齢者という超高齢化社会を迎えることとなります。不安のない老後生活の確立には、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランにある介護の問題をどうするのか。さらに、どのように高齢者の雇用環境の整備を図るおつもりですか。
 また、国の地方公共団体に対する規制や関与を極力なくすことが必要であります。国と地方との機能分担の見直し、地方への権限委譲についてどう考えておられますか。
 以上、国民生活に密着した幾つかの分野についてお尋ねをいたしましたが、最近の世論調査によれば、国民の意識は、経済至上主義から内容のある簡素な生活と人生を求め始めているようであります。言葉だけでない真の生活大国の実現とは何か、総理の御所見を承りたいと思います。
  次に、環境問題についてお伺いします。
 東西の冷戦時代は、平和の破壊者として空から核が降ってくることを我々人類は恐れていたのでありますが、冷戦後の混迷の今日では空から酸性雨が降ってくることを恐れ、これをどう防ぐかが問われております。
 一昨日の朝日新聞によれば、中国国家環境保護局長は、石炭の増産に伴って酸性雨の原因となる二酸化硫黄、SO2が増大し、日本へ越境汚染するおそれを認めました。これは、ひとり我が国における酸性雨だけの問題ではありません。オゾン層の破壊、地球の温暖化、熱帯林の減少など人類の新しい脅威に対しては、世界各国が今こそ英知を結集、協調して取り組まねば、有限な地球の環境と資源の中で持続可能な開発を実現することは困難であります。
 昨年六月、百八十カ国の参加のもとで、ブラジルのリオデジャネイロにおいて国連環境開発会議、地球サミットが開かれました。宮澤総理は出席を熱望したにもかかわらずPKO協力法案の国会審議等により参加ができず、せっかくの国際舞台における発言のチャンスを逸しましたが、この際、改めて地球環境問題に取り組む決意を示していただきたいのであります。
 これまで我が国は公害対策と自然の保全という両面から環境政策をとらえてきましたが、新たに都市生活型公害問題や地球環境問題など対象領域が拡大、多様化し、現行法体系では今日の時代の要請にマッチしておりません。我が党では、今般、地球的規模から環境問題を見直すため新たに環境基本問題調査会を設け、今後精力的な検討を開始いたしますが、私は、地球サミットにおける国際合意を実行していくには、国際協力のもとで我が国が地球的規模での環境保全に率先して取り組んでいくという日本の顔を広く内外に示すことが国際的な責務であると思います。今こそ環境基本法の制定は急務と考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
  次に、政治改革についてお伺いいたします。
 戦後最大の試練とも言えるこの重大な時期に、相次ぐ政治スキャンダルにより国民の政治に対する不信がかつてなく高まっていることはまことに遺憾であります。信なくんば立たず、政治に対する国民の信頼の確保は民主政治の要請であります。速やかに積年の弊害やあしき慣行を断ち切り、新しい時代の要請にこたえて、公正にして明朗な国民本位の政治の仕組みをつくらねばなりません。
 こうした事態の中で、昨年三月、我が党がまとめた緊急政治改革案がベースとなり、前国会、各党間による合意の結果、衆議院議員の定数是正を初めとして国会議員の資産公開、違法な寄附金の没収など二十一項目について当面の緊急改革が成立の運びとなったことは、せめてもの具体的な前進があり、評価いたすものであります。
 しかしながら、問題は、今日見る金権的政治体質を将来的にどうするかという抜本改革なかりせば、国民の期待する新しい政治構造の確立は困難だと思います。当然ながら、その改革の中心となるものは現行の選挙制度の是正であり政治資金のあり方の変革であるとは思いますが、そうした制度改革以前に最も大事なことは、有権者たる国民の心を我々政治家がどうとらえているかということであります。
 国民の政治不信の原因は政治の腐敗にあると言われております。そして、その腐敗は政治に金がかかり過ぎることにあり、その是正には金のかからない選挙制度にしなければならないというのが今の論議の流れであります。それも一理だと思いますが、私は、より本質的には、国民の政治不信は制度改革以前に、今どきの政治家の言うことややることは信用できないという率直な言葉に表現される政治家不信があるのではないかと考えております。
 我が党は、昨年十二月十日、透明な政治の実現を目指して、政治改革の基本方針、いわゆる抜本改革案を決定、総裁みずからが推進本部長に就任、具体案策定に向かって検討を開始しております。総理は今回の事態を百年前のイギリスの政治腐敗のときと同じ認識に立つと申されておりますが、改めて、今の政治危機は一体どこから来ているとお考えかその認識を伺いますとともに、抜本改革についての理念及びこれをやり遂げんとする決意をお示し願いたいと存じます。
 政治は文字どおり国民のものであります。政治改革は今だれもが解決と前進を強く望んでいる国民的緊急課題でもあります。どうか政治に対する国民の心を踏まえ、真摯に対処し、国会全体として本問題が速やかに遂行できるよう、総理の不退転の決意を要望いたしたいのであります。
 さて、我々自身の参議院改革について、満堂の与野党議員の皆さんに訴えたいと思います。
 昨年七月行われた参議院選挙の投票率は、史上最低の五〇・七%でありました。我々はこれをどう受けとめればよいのでありましょうか。私はこれを、夏休み最初の日曜日と投票日が重なったためであるとか、あるいは社会党などがPKO協力法案に牛より遅い超牛歩戦術をとったこと等が重なり合って有権者の大半が棄権したとは思いたくないのであります。私をして言わしむれば、各会派ともに、党本部の政党化、派閥化に埋没し、多年参議院らしい独自性を発揮することなく、衆議院のカーボンコピーと言われるような政治状況が顕在化して国民の参議院に対する期待が遊離したことにほかなりません。責任は我々参議院議員みずからにあります。
 我が党は、こうした参議院の現状を深刻に受けとめ、今こそ参議院が国権の最高機関としてふさわしい役割を果たすべく思い切った改革の道を進め、活力ある参議院を再構築すべきと認識し、全党的体制のもとに、参議院改革に関する研究会を発足させました。不肖私がその座長となり、参議院の組織運営、さらに選挙制度及び参議院自民党の改革問題等につき中間報告を取りまとめたところであります。
 中でも、速やかに実施すべき課題を数点申し上げたいと思います。
 その第一は、選挙区の議員定数の不均衡の是正を図ることとし、当面いわゆる四増四減を党議決定の上、昨年末、既に各会派の代表者に御説明を申し上げたところであります。現行選挙区における議員定数の配分は直ちに違憲ではないとしても、著しい逆転現象はもはや看過できない状態にあります。前国会における衆議院の選挙区の定数是正、いわゆる九増十減の実施にかんがみても、一票の価値の平等の見地から、本院として速やかにその是正を図るべきが国民の負託にこたえる責務であると考えます。
 第二は、参議院の運営に関する事項として、電子式投票装置の採用の問題であります。これは既に参議院改革協議会において了解をされているところでもあり、議事の能率、議院情報システムの整備に役立ち、議会の機能強化が図られるものであります。
 第三は、立法府としての使命を踏まえ議員立法の充実強化を図ることとし、党の政策審議会の中に議員立法推進委員会を設置し検討を開始いたしております。
 さらに、我が党内の問題ではありますが、参議院が先んじて派閥を離脱し無派閥化することを目指し、派閥問題検討委員会を設置し、これまた検討を開始いたしました。
 以上は我々が目指す当面の参議院改革の一端にすぎませんが、我々は、二院制のもとにおける参議院はいかにあるべきかを引き続き真剣に模索してまいります。
 同僚議員の皆さん、みずからの所属政党、会派の立場を超えて、参議院創設の原点に立ち、かくあるべき参議院の理想を求めて、この際発想の大転換を行おうではありませんか。要は実行くのお互いの決断であります。
 総理も、かつて本院議員の経験者として造詣深きものをお持ちと思います。党総裁として参議院のあるべき姿をどう認識しておられましょうか御所見を伺いたいと思います。
 最後に、新農政の展開とウルグアイ・ラウンドについてお伺いいたします。
 ウルグアイ・ラウンド交渉は、七年前、世界貿易の進展と新しい秩序を目指して南米のウルグアイで発足し、その後さまざまな交渉経過を経て、今日なお百十二カ国間において引き続き協議が行われていますが、いまだ各分野にわたって妥結を見るに至っておりません。
 自由貿易体制のもとで、世界屈指の貿易大国として経済的繁栄を享受している我が国としては、常に対外不均衡の是正を目指して思い切った市場開放を進めるとともに、世界経済を発展させるためのウルグアイ・ラウンド交渉の成功を切に望むことは当然であります。
 しかし、ウルグアイ・ラウンド交渉イコール日本農業、そして米問題と短絡的にとらえることは根本的に間違、であります。米は我が国の伝統的文化そのものであること、食糧として民族生存の命であること、さらには水田が国土の環境を保全する機能を担っていること等をあわせ考えるならば、米の市場開放につながる例外なき関税化は我が国として到底容認できるものではありません。
 今日、農山漁村は、後継者不足、高齢化の進行、嫁不足、中山間地域における人口の減少など極めて厳しい状況にあります。二十一世紀まであと八年、活力ある農山漁村を形成していくためには、農業者が夢と自信を持っていそしむことのできる魅力ある農林水産業の確立と、農山漁村の定住条件の整備が不可欠であります。昨年、農林水産省は、二十一世紀を目指した農政の将来ビジョンとして「新しい食料・農業・農村政策の方向」を取りまとめ、発表しております。これにより魅力ある農業、活力ある農村の確立を目指しているわけでありますが、今後この新農政をどのように具体化していくかお伺いをいたします。
 我が党は、法人形態での農業経営など効率的、安定的な経営が育成されるよう、また、農地の規模拡大や集団化、経営感覚にすぐれた農業者の育成のための積極的な施策を柱とした、農業自立十カ年戦略とも言えるより具体的な新農政の展開が早急に必要であるとの結論に達しましたが、これについての政府の見解もあわせて伺いたいと思います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンドは、昨年十一月にジュネーブにおける多国間交渉が再開されたものの、農業のみならず、サービス、知的所有権等各分野においてもさまざまな問題が噴出したこと
から年内合意には至らず、交渉は年越しとなりました。本年に入ってからも、EC委員の交代や米国の政権交代等、また、EC内部での不協和音、米・EC間の諸問題の詰めの不足もあり、先行きはさらに不透明であります。
 ウルグアイ・ラウンドの早期かつ成功裏の終結はもとより重要でありますが、他方、国民の命に直接かかわる食糧につき一定の自給力を維持することは国家としての使命であります。特に米は、食糧自給率が先進国中で最も低い水準にまで低下している中で国内で自給している食糧の核として、我が国農業、農村の存続にかかわるほど重要なものであります。加えて、二十一世紀における世界全体の食糧事情等を考え合わせるとすれば、なおさらのことであります。政府はウルグアイ・ラウンド農業交渉にどのような姿勢で今後臨んでいくのか、三たびにわたる国会決議を体し、国内産で自給するとのこれまでの我が国の基本方針に変更はないと考えてよいのか、総理の確とした見解を伺いたいと思います。
 我が国が世界最大の農産物純輸入国であり、ガット交渉の基本は、輸入国、輸出国双方にとってともに利益を享受し合える公平なものでなければならないことをこの際痛切に思うべきであります。
 私は、七年間のウルグアイ・ラウンド交渉に臨んだ日本の主張は、農業分野はもちろん、各分野にわたって常に堂々たる正論であったと確信をしております。本交渉は十五分野にわたり多年熱心な協議が行われているところでありますが、農業はその一分野にしかすぎません。まして、米は日本にまつわるそのまた一部であります。農業のみならずどの分野におきましても、各国とも、国の生存をかけて譲れない、絶対守らなければならないものは一つや二つあるはずであります。交渉はお互いの話し合いであり、およそ交渉に例外はっきものであります。まして、本格的な各国の話し合いはまさにこれからで、交渉なくして何の決断でありましょうか。総理の明快な御所信をお聞かせ願いたいと思います。
  以上、私は、
 一つ、バブル経済の崩壊から速やかに立ち直るための景気対策は大胆に行うことを、
 二つ、混迷の世界秩序にあっては、これまでの受動的な平和の享受者から立ち上がり、積極的な平和の創造者としての国際貢献を、
 三つ、豊かさが実感できる生活大国の実現と活気に満ちた国土づくりを、
 四つ、地球的規模での環境保全に我が国が率先して取り組む姿勢を、
 五つ、政治家のモラルの確立こそ民主主義国家の存立にとって重要な政治改革の柱であることを、そして、国民の負託と期待を踏まえた参議院の奮起を、
 六つ、日本農業の立場を踏まえたウルグアイ・ラウンド交渉と新農政の強力な展開を、それぞれ強調いたしました。
 もとより、これらの課題の解決や実現はさまざまな困難を伴うことばかりだと思います。言い古された言葉ではありますが、「言うは易し、行うは難し」であります。「変革と実行」を目指しての総理のリーダーシップを強く強く求めて、質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済の現状につきまして大変御心配をいただいておりまして、私も実は憂いを同じくするものでございます。容易ならぬ状況と思っております。
 在庫調整が一部には終了したのでございますけれども、まだまだ終了し切れない部分があちこちにございます。資産の価格が下落をいたしましたことは、家計すなわち消費にも、あるいは企業の投資意欲にも影響しておる大変厳しい局面にございます。
 従来から、昨年の八月には御指摘のようないわゆる総合経済対策を講じました。また、暮れの補正予算でこれが本格的な実施に移されたわけでございますが、平成五年度予算もその延長線上に立ちまして、かなり大きな公共投資を中心とする予算編成をいたしました。公共事業実施機関関係の財政投融資は一二%余り増でございますし、地方単独事業も一二%を予定しております。また、生活関連投資は七・一%の増というふうに、全体として政府投資額は補正後の四年度の実績見込み額に対して九・五%の増加でございますので、これはかなり大きな政府、地方による投資でございます。このことは、殊に今年に入りましてからその影響を必ず持っていくことと思います。
 それによりまして、やがて消費あるいは企業設備投資等につなげてまいりたいと考えておるわけでございますけれども、何分にも、御指摘のように今度の不況は単なる循環だけではない要素を含んでおりますから、したがってこの数カ月、経済情勢の推移には細心の注意を払ってまいらなければならないと思います。そして、一日も早く景気の回復が実感できますように機動的な対応を怠らないようにいたさなければならないと考えておりまして、自民党におかれましてもいろいろそれにつきまして、対策本部を設けて全国各地の事情の調査、やがては恐らく献策等々もお考えいただけると思いますが、政府といたしましても全力を尽くす覚悟でございます。
 この資産デフレというものによって金融機関が大きな不良債権を抱えている。十二兆三千億円ということを仰せられました。これは何としても金融機関の自助努力によって解決するということが基本でございます。しかし、政府としてもそれに対して支援すべきことはやはり支援をしていきたいと考えておりまして、具体的に申しますならば、個別の金融機関がやはり一つ一つの問題の早期処理をしていかなければならない、関係者の努力が必要でございますが、環境整備の一環といたしまして、民間金融機関が出資をいたしまして不動産担保つき債権の買い取り会社がやがて設立されるという段取りになりました。これに対しまして、不良債権の、担保つき債権の移転が行われるわけでございますけれども、その際、税務上の取り扱いにつきましては所要の措置を講ずることにいたします。
 また、金融機関自身が不良債権のディスクロージャーを自分の責任においてしてもらうということで、これはこの三月期のものから始めてもらいたいと思っております。金融機関自身の問題でございますから、金融機関自身の自助努力が何といっても基本でございますが、ただ、金融機関の融資能力、融資対応能力が非常に落ちてきたということは、国民経済における血液の流れの結滞のようなものでございますので、政府といたしましてもこの点は十分に金融機関が対応いたしますように、政府としてやれることはいたします。大事な問題というふうに考えております。
 平成五年度の予算、何といってもこの早期成立をお願いして、そして新年度から執行させていただきたいと思っておりますが、それによって必ず実体経済にさらにいい影響を与えるであろうと思っております。ただ、先ほども申しましたが、経済情勢の変化には細心の注意を払ってまいります。
 今後の税収をどう考えるかということも、まことに今の経済状況から申しますとごもりともな御指摘と思います。
 先般、平成五年度の予算を編成いたしましたときにも、なかなか見通しが困難でございましたが、当初から申せば、平成四年度に対しまして平成五年度は一・九%減を見込んでおります。六十一兆三千三十億円でございますが、減額補正後の税収に対しては多少のプラスを見ておりますけれども、当初・当初ではマイナスという見通しをいたしております。それにいたしましても、やはり経済状況をよほど政府も注意してまいりませんと税収にも影響が出かねないというただいまの情勢でございますので、十分注意をいたしてまいります。
 それから、将来に向かっていろいろ、日本も高齢化をする、歳出圧力は多い、しかし経済の成長がこういう状況であるとやはり財源との関係が心配ではないかとおっしゃいますことは、まさに私どもがよほど気をつけなければならないこと、殊に特例公債を出さないということでございますから、それだけ、既存の制度を見直す、あるいは歳出をできるだけ削減して重点的に財源を配分するというようなことでございますが、その上で申したいことは、日本経済というのはやはり大きな潜在力を持っておる、そのことに変わりはないと私は思います。まだまだ高齢化社会が本格化したわけではございませんので、それだけの潜在力がある。それを十分に引き出しますような経済運営というものが大切である、このことをぜひ忘れてはならぬことだと思います。
 先ほどもお話しの中に、かつて、平成二年でございますか、特例公債をやめるんだという、ぼろ旗と思ったがそれが実現できた。これはもう、申すまでもなく、それだけの経済成長があり、そして歳入がそれだけふえたということにあったわけでございますので、あのときのようないわゆる多少バブルがかったことはこれはいけませんけれども、しかし日本経済の潜在成長力というのは今のようなものでない、もっと経済運営のやり方があるというふうに思っておりまして、このことをお尋ねに対する一番の大切な心構えだというふうに申し上げたいと思うわけでございます。
 それにつきまして、昨年十二月に、将来の税制について予算委員会で触れたことがあるというお尋ねがございました。
 現在の税制改正、抜本改正は昭和六十二、三年でございますからほぼ五年たっておりますけれども、このときにやはり所得税の累進構造をかなり簡素化いたしたわけでございますが、御承知のとおり、まだまだ米英に比べますともう一つ簡素化の余地がある。これがやはり、中間と申しますか、ちょうど中ぐらいなところの重税感、ちょっと昇給をするとすぐ税金が上がるという刻みの問題ですが、そこのところが一番問題でありまして、しかしそのゆえにそこのところの手直しが一番歳入を食う、こういう部分。これについてはしかしやっぱり抜本的に考え直さなければならないのではないか。
 ちょうど国民年金の再計算の問題も将来控えておりますものですから、高齢化社会に備えましての国民負担のあり方全体をやがて検討する時期が来る、遠からずそういう時期が来るという趣旨のことを実は申し上げたわけでございまして、平成六年でございましょうか、しかし、そろそろもうそういう問題を考えていかなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。これはいわば中長期的な問題でございますけれども、そういう問題を考えております。
 それから、冷戦後の国際情勢の認識ですが、先ほど御質問の中で、「秩序の中の冷戦」から「混沌の中の平和」に移ってきたというのは大変的確な表現だというふうに思います。まさに、冷戦には冷戦でやはり米ソという一つの秩序があった。それが崩れました結果、そういういわゆる核兵器の抑止力による危うい冷戦というものから平和の状況にはなりましたが、それは新しい混沌を呼んだという、まさにそのとおりと思います。現に見ておりますように、民族や宗教に根差した対立、あるいは核兵器、あるいは通常兵器まで含めましての兵器の拡散ということが起こってきた。また、開発途上国における貧困、あるいはエイズ、地球環境の悪化等々多くの問題がございます。
 その中で我が国は何をすべきかということになれば、やはり、今まで平和主義を実践し国連中心主義でやってきた我が国こそ、これだけの経済力を持っておりますから、この新しい平和秩序の構築に率先して参加しなければならな、と思います。そのためには、国連を中心とする国際的な努力、あるいは軍備管理・軍縮、世界経済の繁栄、それからやはり各国における人権と申しますか民主主義と申しますか、そういうものへの関心を喚起すること、また市場経済へ向かっての努力、それから南北問題、環境、そういう地球的規模の問題といった分野が我が国の協力の最も期待される分野である、また我々の経済力、技術力が貢献できる分野である、このように考えております。
 カンボジアにおける状況についてお尋ねがございました。
 UNTACの文民警察宿舎が一月十二日に襲撃されたということにつきまして、先般バンコクで明石代表から直接また聞いたことでございますけれども、このときの襲撃をしたのはだれであるのか。最初ポル・ポトと報道されましたけれども、どうもそのようでもない。一種の何と申しますか盗賊と申しますか、武装集団で身元がはっきりしないということでございました。いずれにしても、非常に残念なことで、直ちにカンボジア駐在の今川大使からUNTACの特別代表に対して、我が国の要員の安全確保についての配慮方を依頼したところでございます。私自身もまた明石代表にそのことを再度申し上げているところでございます。
 ただ、そういうようなことは多少起こっておりますけれども、基本的な平和の枠組みあるいはパリ協定の遵守ということが崩れたわけではございませんので、我が国から現地に行ってもらっております人々には引き続き仕事をしてもらう。これは、国際平和協力法に定められた条件は崩れておらないというふうに考えております。
 そのような国際貢献、カンボジアにおける自衛隊の活動について、これは自衛隊法三条の本来任務に規定をすることがいいのではないか、そういうことについてどう思うかというお尋ねでございまして、これはいろいろ議論をいたしましたけれども、自衛隊が蓄積いたしました技能であるとか組織力であるとかあるいは経験を活用する場として、いわゆる第八章に規定されている業務と同列に置いたわけでございますが、このことは、今回そういう処置をいたしましたのですが、今後やはり、こういう任務が非常にふえてくる、あるいは今回の経験を生かしましていろいろ、それについていろんな事態を予想して体制を整備していくというようなことになってまいりますと、いわゆる第三条の任務として規定すべきではないかという議論が出てくることがあると思います。
 ただいまの御質問もそういう意味であったと思いますが、それはやはりもう少し平和協力業務の実態を見きわめました上で検討してまいりたい。国民的な議論もございましょうし、御指摘の点はこれは必ず忘れずにおりますが、もう少し実績を見てまいりたいというふうに思っております。
 それから、安保理事会の常任理事国の問題でございますけれども、こういう国連がいわば思わず大きな仕事を引き受けるようになった世の中の変化に対して国連自身が十分適応をしていない、いろいろな変革が必要だということは、多くの人がそういう問題意識を持っておりまして、昨年十二月に国連総会におきまして「安保理議席の衡平配分と拡大」に関する決議が採択をされました。ただ、この問題は、もう御承知のように、国連憲章の改正を必要とするかなり高度で政治的な、かつ微妙な問題でございますので、息の長い取り組みが必要であろうと思っております。
 我が国としてもこういう中で率直に意見を述べてまいりますが、安保理事会の機能を損なわずに国際社会の期待に沿うような形での改組を行う、信頼性と実効性を高めていくということが必要なことと思います。口で申しますほどこの問題は易しくないかと思いますけれども、今のままではいけないということはほとんどすべての人が認めておりますので、やはりそういう努力を積み重ねて世界の期待に国連がこたえなければいけない段階だというふうに思います。
 アメリカで大統領の交代がございました。確かに、日米間でGNPの四割を占めるわけでございますから、世界の平和と繁栄に向かって、山本幹事長が御指摘のようなグローバルパートナーシップというものを築いていかなければならない。その点は、クリントンさんが当選されました直後の電話でも私からも申したことでございます。先方の御準備が整い次第、なるべく早い機会に首脳会談をいたしたいと思っておりますが、その時期は外交ルートによって決めていきたいと思います。
 旧ソ連のことについてもお尋ねがございまして、先般、第七回の人民代議員大会においてチェルノムイルジン首相が就任をされた、そのあたりの経緯はなかなか十分わかり得ませんし、また、これから四月に向かいましてどのような政治動向になるのか、また、IMFとの協議が事実上途絶えておるような状況でございますが、ここらのところをどうするのかというような、内政、経済、外交にわたって、改革路線に入ってほしいのでございますけれども、必ずしも見通しは明らかでないというのが正直のところでございます。四月を越えましてそういう路線が定着することを心からこいねがっております。
 なお、エリツィン大統領は、北方領土問題を法と正義によって解決するということを言っておられまして、それをあわせまして日ロ関係が均衡のとれた形で発展をするようにさせたい。一月十三日に渡辺外務大臣がパリでコーズィレフ外相と会見されました際に、ロシア側から、日ロ関係の発展のためにエリツィン大統領の訪日の準備を真剣に進めたいという意思表示があって、我が方としてはもとよりこれに同意をいたしたところでございますので、早くそれを実現いたしたいと思います。
 それから、ASEANにおける我が国の役割ということでございますけれども、先般私が訪問いたしました四国で申しましたことは、第一に、アジア・太平洋の平和と安定、将来にわたってはその安全保障をどういうことにするか、やはりぼつぼつ考えておかなければならないということ。第二点に、この地域の特色は開放性と多様性にあるので、活力ある経済発展を促進したい。第三の問題は、民主化、人権の問題であるとか、あるいは開発と環境の両立といったようなそういう課題。第四には、インドシナにやがて平和が参りましたときには、との国づくりのために日本とASEANとが連携をして一緒になってやりましょう、そのために、ことしの秋にはフォーラムを東京で開きたい、皆さんおいでくださいませんかというお招きをした。
 そのようなことでございますけれども、我が国の心構えとしたしましては、やはり日本はもう二皮と軍事大国になることはないということを非常にはっきりさせる、はっきりの上にもはっきりさせるということ、並びに、ASEAN諸国との話し合い、つき合いはやはりそのプロセスというのが非常に大事であって、それには多少時間がかかりてもこれはむしろいいのである、お互いに考えお互いに行動しようという、そういう二つの原則が大事ではないかというふうに考えております。
 東京サミットにどういう立場で臨むかということは、まだ我が国は議長国になったばかりでございまして十分な相談をいたしておりませんけれども、一応、議題といたしましては、冷戦後の世界平和をどうやって維持増進するかということ、それから旧ソ連の問題、もう一つ、開発途上国の問題、これらを中心にしてはいかがかと思っております。
 なお、アジア・太平洋地域のいろいろの問題意識、視点がこのサミットの議論に反映されるように努力をいたしたいと思っております。
 労働時間の短縮でございますが、労働基準法の改正案を今国会で御審議いただきたいと思っておりますが、殊に中小企業等に対しましては省力化投資の支援などいろいろな支援、援助をいたしまして、この短縮に協力をしてもらいたい、移行をしてもらいたいというふうに考えております。
 それから、いわゆる公共投資基本計画四百三十兆円でございますけれども、新たにと申しますか、今般、生活大国五カ年計画をつくりましたので、これをこの公共投資基本計画に基づきまして実行してまいりたい。それも、国と申しますよりは利用者の視点に立って整備目標を設定してやっていきたい、こう考えております。
 生活大国五カ年計画の中で、勤労者にとって平均年収の五カ年分ぐらいで住宅が取得できるようにしたいということを申しておりますけれども、この場合、住宅規模としては大体七十平方メートルぐらいを考えておるわけでございます。そして、東京で申しましたら通勤時間にして、ちょっときついですが一時間半以内というぐらいのことかと思いますが、今の状況をそのベースに換算いたしますと、平成二年には八・五倍でございました。平成四年には六・五倍程度に下がってまいっております。したがって、土地税制をうまく実行する、あるいは宅地供給を促進する、土地利用の推進等々、あるいは住宅金融公庫の融資、これらを組み合わせまして、この六・五というところから五というところにひとつおろしてまいりたい。それをただいま目標にしてやっておるわけでございます。
 それから、地方の振興の問題、四全総をもう一つ考え直すべきではないかということは、今年末、平成五年末に取りまとめるために、今、四全総の総合的点検を行っているところでございます。それによりまして将来を考えたいと思っております。
 それから、高齢者保健福祉推進十カ年戦略、ゴールドプランでございますが、西暦二〇〇〇年までに保健・福祉サービスを整備するなどいわゆる介護対策を推進しよう、在宅福祉、施設福祉ともどもそういうふうに考えておりまして、これはただいままでのところ着実に進められておりますので、今後とも着実に年次計画を実行していきたいと思います。
 なお、高齢化社会に入りましたときの高齢者の雇用環境の整備でございますけれども、高齢者が生きがいを持って、長年の知識、経験を生かして生活されるということは大切なことと思います。そのために六十五歳までの継続雇用を推進していきたい。あるいは、離職されました高齢者でもいろんな条件のもとにもう一遍再就職を希望される方が少なからずおられますので、こういうことを今後とも積極的に推進をいたします。
 国と地方の行革の問題、行財政事務の再配分ということでございますけれども、明治以降いわゆる富国強兵の時代、これは何といっても中央集権が必要であった。あるいは戦後は、国土が荒廃いたしましたので、とれも国が中心になって地方に対していろいろな施策をやってきた。ただ、今になりますと、いわゆる生活の基盤になりますような環境整備は一応シビルミニマムとして終わっておりますから、もうこれは中央が余りあれこれ申さずに地方に仕事をしてもらう方がいい、そういうことになってまいったと思っていまして、そういう意味で、ふるさと創生というような事業が非常に好評なのもそういうことであろうと思いますから、そういう観点から地方分権ということをこれからもっともりと考えていかなければならないというふうに思います。
 それから、真の生活大国とはどういうことかということについて御指摘がありまして、やはり完全雇用、失業があってはこれは話になりませんので完全雇用、そして物価が安定をしておって、生活の質が簡素に、しかし非常に充実したものになるということであろうと思います。経済政策としては、そのような内需主導型の経済構造の定着を図るということかと思います。
 冒頭にお話しのように、今我が国の経済は非常な厳しい状況にございますけれども、しかしこの厳しい状況の中で公共投資をやっていく、地方の単独事業をやっていく。その厳しい状況を契機にしましてそういう仕事を進めていく。そういう生活関連のインフラの充実を図っていく、あるいは労働時間を短縮する、男女共同参画型社会を形成する、そういうことをこの不況を契機に進めていく。こういうふうに考えておりまして、今回、昨年の総合経済対策でも、また平成五年度の予算案におきましても生活関連社会資本の整備を重点的に進めておりますのもこういう意図でございます。
 それから、地球環境の問題は、我が国は昨年の国連環境開発会議で、私は出席ができませんでしたけれども、極めて具体的に我が国の取り組みを宣明いたしまして、大変に好評でございました。それを進めてまいりたいと思います。
 環境基本法につきましては、二つの審議会からの答申がございましたので、ただいま政府部内で法案化の作業を進めております。鋭意作業を進めておりますので、やがて新しい環境時代にふさわしい法案の内容を御審議いただきたい、ただいまこのように鋭意努力をいたしておるところでございます。
 政治に対する危機についても重ねて御指摘がございまして、イギリスが一八八三年のいわゆる腐敗防止法を契機に今日の政界の浄化を実現することができた。我が国も百年余りおくれてまさにそれをしなければならない時期に、もう待ったなしに立ち至ったというふうに考えておりまして、改革実現に向けて勇気と決断を持って取り組んでまいりたいと思います。
 参議院のあるべき姿についてお話がございまして、山本幹事長が座長となられて、参議院の再構築に全党的体制で研究会を開催され中間報告をおまとめになったということは、まことに意義の深いことと存じ上げます。各派におかれて十分論議を尽くしていただきまして、立派な改革が行われますように期待を申し上げております。
 農業の新政策につきまして、昨年の新政策を展開してまいりたい、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者を育ててまいりたいと思いますが、党における御議論もいただきながら、着実に実施をしてまいりたいと思います。
 最後に、ウルグアイ・ラウンドでございますが、おっしゃいますように、ダンケルの合意案というのはやはり、輸出補助金ということについてはいろいろ言っておりますけれども、輸入国の立場からの国境措置の扱いは甚だしくバランスを外れているというふうに私は思いますので、この点は改められるべきであるという主張を我が国としてはいたしておるわけでございます。
 最終段階になっておりますけれども、国会決議等の趣旨を体しまして、国内産で自給することを基本方針としてまいりました。この基本方針のもとで対処してまいりたいと考えております。(拍手)
#11
○副議長(赤桐操君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○副議長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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