くにさくロゴ
1993/01/27 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
1993/01/27 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第3号

#1
第126回国会 本会議 第3号
平成五年一月二十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成五年一月二十七日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。大久保直彦君。
   〔大久保直彦君登壇、拍手〕
#4
○大久保直彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題になりました総理の施政方針並びに各政府演説に対して質問をいたします。
 質問に先立ち、このたびの皇太子殿下の御婚約を心からお喜び申し上げます。まことにおめでとうございました。(拍手)
 さて、宮澤総理の政治に取り組む基本的な姿勢について、数点ただしたいと思います。
 東西の冷戦構造が崩壊し、世界は新たな秩序を求めて激動を重ねております。アメリカにおいても、クリントン新大統領が誕生じ、新たな出発をいたしました。変革を掲げる戦後生まれの大統領の誕生であります。
 私は、このクリントン大統領を選択したアメリカ国民の決断と意識の変化に対し、最近話題になりました一本の映画を思い出します。それは、先日テレビでも放映されましたが、一九九〇年度のアカデミー賞受賞作品であるケビン・コスナー監督・主演の西部劇「ダンス・ウィズ・ウルブズ」、オオカミと踊る男という映画であります。かつて私たちが知っていた西部劇は、カウボーイや騎兵隊が主人公であり、西部をたくましく開拓する強いアメリカの象徴でありました。そこでは正義の味方の主役たちが悪者のインディアンを制圧するという構図でありました。ところが、この映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」では、アメリカで初めてインディアンの立場に立った西部劇がつくられたのであります。そして七つの部門でアカデミー賞を受賞いたしました。
 この物語は、アメリカ西部の雄大な大自然の中で、アメリカ騎兵隊の一人の将校とインディアンの一族が見事に調和し、信頼し合って生きていこうとする人間の姿が描かれております。ここには、地位や名誉や金ではない、人間の尊厳そのものが訴えられておりました。それは、アメリカ合衆国が過去の過ちを認めて、その上でそれを乗り越え、もう一度再生していこうということを示唆しておりました。このような映画が制作され、アメリカ国民に圧倒的な拍手を浴びていることに、私はアメリカの変化を感ぜざるを得ませんでした。
 私は、今回のクリントン新大統領の誕生の背景に、冷戦の中で育ち、ベトナム戦争を経験した戦後世代が、もう一度アメリカを再生させようとの「チェインジ」、変革への熱い思いを感じてなりません。
 翻って、我が日本も、今国民は戦後政治の変革を強く求めております。いわゆる五五年体制と言われた保守合同以来、自民党単独政権はあらゆる部分で制度疲労を起こして限界を呈しております。その端的なあらわれが、ロッキード事件以来、リクルート、共和、佐川と続いた終わることのない政治スキャンダルであります。
 このときに、自民党にかわる政権をつくることのできない私たち野党にも責任があります。しかし、今求められているのは、与野党を問わず、日本の政治が現状から脱皮し、新しい政治を国民とともにつくり出すことができるかどうかなのであります。
 まず、総理にお尋ねしたいのは、あなたには現在の政治の変革を求める国民の声がどこまで聞こえているかということであります。宮澤総理、あなたは自民党政治の保守本流の中で生き抜いてこられた政治家であります。ゆえに、あなたには、既に制度疲労を起こしている現在の政治状況をだれよりも強く感じておられることと思っておりました。しかし、宮澤内閣誕生から一年、そこにあるのは、国民に対して総理の顔が見えない、言うならば現状追認の姿でしかありませんでした。
 総理、あなたが政権を担当されてからこの一年、あなたは日本の現状を変革するためにどんな勇気と理想を示されたのでありましょうか。それとも、総理はつくられた道を安全にそつなく歩くだけで、もとから変革への意欲などお持ちではないのでしょうか。
 宮澤総理の政治手法についてこのような意見があります。宮澤総理は日本丸という何十万トンの大型タンカーの船長であり、かじ取りなどは航海士に任せて、みずからは船長室に入ったままのようであります。船長みずからがかじをとるのは小さな小型船のすることであって、日本丸のような大型タンカーの船長がすることではないと考えておられるようであります。海が穏やかなときならばそれでもよいかもしれません。しかし、今水平線には暗雲が立ち込め、波も荒く、風が吹き、まさにあらしの真つただ中にいる状況であります。乗客や乗組員は、日本丸が無事に航海できるかどうか、懸命にこのあらしを乗り切ろうと汗を流しておるのでございます。そのときに船長はひとり船長室に閉じこもっている。今、乗客や乗組員は不安といら立ちの中におります。
 宮澤総理、今こそこのあらしを乗り切るために陣頭指揮をとるべきではありませんか。一例を挙げれば、国民は佐川スキャンダルの解明に総理が先頭に立つことを求めております。その決断と実行なくして、幾ら美しい言葉を並べても、それはむなしく響くだけなのであります。
 いろいろ申し上げましたが、我が国の現状は大変厳しいものがございます。総理の率直な御所見をお伺いいたします。
 幾つかの基本的問題について、総理の見解をただしてまいりたいと思います。
 まず、佐川問題についてお尋ねをいたします。
 私どもは、佐川問題の徹底した究明なしには日本の政治の真の改革は始まらない、国民の政治への信頼は取り戻せないと思います。ところが、宮澤総理、あなたは今国会の施政方針演説の中で佐川疑惑解明にほとんど言及されておりません。これは国民を冒涜するものではありませんか。総理は前国会で、自民党みずからもいずれかの時期には党内でけじめをつける旨の答弁をされておりますが、総裁としてどのような調査をされ、またどう判断されたのか、国民の前にまず明らかにしていただきたいと思います。
 竹下政権誕生に暴力団が介在したこと、金丸氏が受け取った五億円問題など、前国会の経緯を見ても疑惑は深まるぽかりであります。宮澤総理、あなたはこの佐川問題究明に何をなさってこられたのか。私どもや国民には、佐川問題に対しての宮澤総理の顔は全く見えてこないのであります。この問題をあいまいにしたまま政治改革など幾ら叫んでみても、それはしょせん絵にかいたもちであることを重ねて申し上げておきたいと思います。この点についても、総理・総裁としてどう対応されるのか、見解をお伺いいたしたいと思います。
 公明党は、今国会で関係者の証人喚問を強く求め、佐川問題の真相解明に取り組んでまいりますが、政府、司法は守秘義務ぽかりを強調し、それが国政調査への大きな障害となっております。政治責任にかかわる部分についての資料は国会へ提出することも強く求めておきたいと思います。佐川事件の解明に対し、御決意を伺っておきたいと思います。
 疑惑解明とあわせて、今国民が真に求めているのは、政治改革の根本は政治倫理の確立にあることは明らかであります。まさに、総理が施政方針で指摘されたイギリスの腐敗行為防止法のような抜本策が必要であります。
 公明党は、第一に、企業、団体からの政治献金の禁止、第二に、選挙犯罪及び政治資金規正法違反者に対する公民権停止などの罰則の強化、この二つを柱とする政治腐敗防止法体系の整備を求めるものであります。総理の見解をお伺いいたします。
 あわせて、自民党の抜本的な政治改革案をいつまでに正式に決定されるのか、お伺いしておきたいと思います。既に公約された十一月はとっくに過ぎております。「今日の後に今日なしとの覚悟」とおっしゃる以上、責任ある答弁を求めます。
 次に、当面の景気対策についてお尋ねをいたします。
 今日、日米経済は極めて深刻な状況に陥っております。個人消費の落ち込み、企業収益の悪化が進む中で、いつ底入れするかの展望も全くない低迷状態であります。
 この事態を招いた責任の一端は、政府の見通しの甘さにあります。振り返れば、昨年、政府が補正予算を提案した際、その十兆七千億の景気対策を実施すれば年内には景気は上向くとの見解を示したのであります。その背景には、この不況を従来と同様のパターンでとらえ、在庫調整がそろそろ終了し上昇局面を迎えるであろうという楽観的な認識があったのであります。
 これに対して、我が党は、今回の不況はそれほど単純なものではなく、日本経済の構造にかかわるものであり、複合不況とも言うべきものであるから、従来のパターンでの対応は効果はないと指摘してまいりました。今日の事態は、我が党の指摘と危惧が正しかったことを明確に示しておるのであります。政府は、このことについて深く反省をし、今国民にわびるべきではないでしょうか。
 現在求められているのは、経済の先行きに見通しが得られず、冷え切っている消費者や企業に明るい展望を示すことであります。そのために、次のような大胆で断固たる新たな景気対策を早急に実行することであります。
 その第一は、五兆円規模の大幅な所得税減税であります。これを可能な限り早期に実施することであります。第二には、公共投資の大幅な追加実施であります。さらに第三は、大都市地域、例えば東京、大阪、名古屋などの自治体が、みずからの判断で住民税、固定資産税などの減税ができるように制度を整備することであります。
 特にこの五兆円規模の減税は、私ども野党のみならず、国民的要求であります。もし総理がこの声にかす耳を持たぬというならば、私どもはこの参議院において、予算案審議並びに予算関連法案審議のことごとくに重大な決意で臨むことをここに強く表明いたしたいと思います。
 長引く不況の中で最も厳しい立場に立たされている中小企業対策を早急に行うべきであります。
 中小企業向け融資の拡大は当然のこととして、貸付金利の引き下げや貸付期間の延長、民間金融機関の貸し出しの円滑化を図るなど、積極的、重点的に取り組むべきであります。
 以上、総理、大蔵大臣の答弁を求めます。
 宮澤総理は施政方針演説において、冷戦終結に伴う国際環境や国民意識の変化によって日本の政治、行政システムには変革が必要で、政治はその先導役を務めるべきと述べられておりますが、この言葉自体はまさにそのとおりでありますけれども、実態としていかなる変化なのか、いかなる変革が必要なのかが全く要領を得ないのであります。
 今日、日本が直面している課題は、明治以来日本が進めてきた発展のスタイルそのものの見直しではないでしょうか。すなわち、明治維新以来、西欧列強の脅威にさらされながら、日本は、経済政策においては、生産力の増強を第一とし、国民生活の豊かさは後回しにするという政策をとり、行政システムにおいては、徹底した中央集権体制をとり、地方自治を認めず、国民と各地域に対して画一的な目標を押しつけてきたのであります。対外政策においては、欧米先進国に追いつけ追い越せを至上の目標にして、そのためにアジアの諸民族に対しみずからの価値観を押しつけてきました。
 この路線は、第二次世界大戦により国の成り立ちが変わっていく中にありましても根本思想において克服し得ず、今日に至っているのであります。今これら経済政策、行政システム、対外政策という国の根幹にかかわる路線が行き詰まり、根本的な見直しを求められているのであります。
 総理の言われる「二十一世紀に向けての新たな発展の礎」を築くには、これら明治維新以来百三十年にわたる日本の仕組みを問い直し、変革することが最も大事なことであります。この観点からも、中央集権的行政システムの改革は今日直ちに実行できる課題なのであります。地方分権の実現は、生活者優先の社会の建設にとって大切な柱の一つであります。政治、経済、文化を生活者の立場から見れば、国民により近いところで物事が決められるシステムが必要なのであります。
 そこで、仮称「地方分権基本法」といったものを制定し、時代の要請にこたえて地方分権を強力に進める必要があります。まず、総理の御所見をお伺いいたします。
 公明党はこれに向けた第一段階として、当面、一つの具体的な提案を行います。それは、地方債の規制緩和であります。すなわち、自治体の地方債の発行について、国の許可によるという現行制度を廃止して、自治体はみずからの判断で地方債を発行できるように改革することであります。私たちは、地方分権にかかわる具体的な提案の実現を、この参議院から強く推進していく決意であります。与野党各会派の皆様にも御協力方をよろしくお願い申し上げます。
 これから私たちは、参議院サイドから具体的提案を積極的に提言していきたいと思います。今回の地方分権化に関する具体的提案はその先駆けであります。私たちは、地方分権への第一歩として、地方債の規制緩和を実現すべきであると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、生活者の政治を推進する立場から、何点か質問をいたします。
 この質問の初めに、去る十五日、北海道を中心に東日本一帯を襲いました釧路沖地震で被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。政府は、地域住民の意向に沿った速やかな復旧対策の実施を行うべきであることを強く要望しておきたいと思います。
 高齢化社会を迎え、今後重大な課題となる介護の問題に対処するために、ゴールドプランの実現は当然として、それ以上に総合的な介護の政策が求められております。特に、在宅の寝たきり老人等の家族の介護者を支援するためにも、所得保障のある介護休暇制度の一刻も早い制度化が必要であります。労働大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、エイズの問題についてお尋ねをいたします。
 この問題については、昭和六十一年、本院の高桑栄松議員が予算委員会で取り上げ、献血血液による輸血感染を防げということで、年間九百万件に及ぶ血液検査体制を主張し、直ちに予算がつけられ輸血感染の先手を打ったことは余りにも有名であります。当時、今の後藤田法務大臣が官房長官の時代でございました。あれから七年、先進国、途上国の別なく、世界を覆うエイズの恐怖の中で、我が国も例外ではありません。
 今日、最も主要な対策は、第一に、治療薬の開発であり、感染者の治療受け入れ体制であります。第二に、医療の職場感染の予防と具体的な予防措置の義務づけを十分な予算をとりて実施すべきであります。第三に、血液製剤による感染者の救済であります。そして、予防には正確な知識の普及が大切でありますが、エイズは血液感染であるということから、感染確率に注目した科学的な教育が必要であります。このエイズの問題に取り組む総理の御見解を伺いたいと思います。
 次に、消費者保護対策に関連して、我が党は平成四年五月に、欠陥製品による被害から消費者を守る立場で、製造物の欠陥による損害の賠償に関する法律案を提案いたしました。
 製造物責任法は、既に欧米諸国で制定が進んでおり、我が国においてもその制定が待たれております。昨年十一月の国民生活審議会消費者政策部会の報告を受け、各省庁においては所管製品ごとに、消費者被害の防止、救済のあり方等に関し検討するようになっておりますが、各省庁の検討体制はどのようになっておりますか。また、そこに消費者を参加させるべきだという意見もございますが、製造物責任法に対する政府の基本的な考え方を明らかにすべきであります。総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、外交問題について伺います。
 初めに、ポスト冷戦の国際社会における我が国外交の基本姿勢についてお伺いいたします。
 第一に、仮称「国際協力憲章」の制定を図るべきではないかと提案をいたします。国際協力の基本路線を確定するとともに諸外国の理解を得るために、憲法の平和主義、国際協調・国連中心主義、自由と民主主義の堅持、地球益、人類益の擁護、環境保全など、我が国の国際協力に関する基本原則を内外に明らかにする仮称「国際協力憲章」の制定を図るべきではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
 第二に、去る二十一日、オルブライト次期アメリカ国連大使はアメリカ上院外交委員会におきまして、これまで慎重でありました国連常設軍の創設に賛成、地域紛争に対するPKOの強化など、クリントン政権の新しい国連外交方針を明らかにいたしました。この政策転換に対する総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 第三に、ODAについて、国際的な目標となっておりますGNP比〇・七%の実現に向けた長期ビジョンはいかなるものなのかを国民の前に明らかにすべきであります。総理の御所見をお伺いいたします。
 日米関係について、外務大臣にお尋ねをいたします。
 第一に、前ブッシュ政権と新クリントン政権では、日本に対する政策で何が一番変わると思っておられますか。
 第二には、その変化に対して具体的にどのように対応しようとされておるのか、お考えがあれば伺っておきたいと思います。
 第三に、日米関係の将来を展望しつつ、日本の側からクリントン政権に新しい提案があってしかるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、外務大臣、日ロ関係、対ロシア支援についてお伺いいたします。
 昨年九月のエリツィン大統領の突然の訪日延期、外務大臣はこの訪日キャンセルに激怒するかと思っておりましたが、意外と平静に受けとめておられました。この日以来、日ロ関係の改善へ向けての外交交渉が一時的に停滞した感があります。
 そこで、端的に伺いますが、第一に旧ソ連邦諸国の混乱が世界の不安定の要因になると懸念されておりますけれども、現時点におけるロシアの国内情勢並びに国内事情をどのように見ておられるのか、率直にお答えをいただきたいと存じます。
 第二に、エリツィン大統領訪日の見通しと、領土問題についての見通しをお伺いしておきたいと思います。
 第三に、こうした中で、本年七月、東京サミットにおいて、日本は議長国として、エリツィン大統領の改革民主化路線を支持するG7の協調体制の中で、ロシア支援についてどのようなリーダーシップを発揮されるのか、お伺いをいたしたいと存じます。
 以上、内政、外交について、限られた時間の中で質問をいたしました。
 総理、質問を締めくくるに当たりまして、私は今、先人政治家の言葉を思い出します。「政治学者は往々にして知性を重視し過ぎる。だが、指導者は必ず鋭い本能を持っていた。指導者というのは時代の動きを本能的に察している」と述べております。総理、時代の動きとは民衆の声であります。今こそ政治の変革を求める国民の声にこたえることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)、
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘がありましたように、何百年に一度という歴史的な変動の中で、我が国の国際環境あるいは国民意識が非常に大きく変化をいたしております。これに対応いたしますために、戦後我々が築き上げてまいりました経済社会システム全体の変革が必要であるというふうに考えておりまして、その点は大久保議員の御指摘と私も同じ認識を持っております。
 先日の施政方針演説で申し上げましたとおり、まず一つは、新しい世界の平和秩序を構築するために我が国がどのような国際貢献をすべきかということであります。それから第二の問題は、国民意識の変化というものが、個人や企業の意識あるいは行動の転換を伴わなければならない、それを私どもは生活大国づくりという形でとらえようとしておるわけですが、これが第二であります。第三に、しかしそれらの大きな改革をなすべき原動力は何といっても政治でなければなりませんが、その政治が甚だしく国民の信頼を欠くに至った。そのための信頼の回復、政治の改革が必要であるという、この三つを施政方針演説で申し上げたわけでございます。
 過去一年を顧みて、そういう問題に政府はどのように対処してきたのかというお尋ねであったと思いますが、まず第一の世界平和秩序構築についての我々の国際貢献の問題でございますが、例えて申しますと、国際平和協力法の制定をお認めいただきまして今平和協力隊員がカンボジアの国づくりに行っておりますけれども、この法律の成立の過程で、慎重な御審議をいただき、またいろいろ御協力をいただきましたが、ともかく、やはりこれは我が国のとった道としては画期的なことでございましたし、国際的な要請にこたえる道だというふうに私どもは認識をいたしております。
 それから、この国民の意識の変化に対応する国内政治としての生活大国は、五カ年計画の策定を経済審議会でしてもらいまして、これで今後の五カ年の施策についてのレールを敷いたと思います。
 政治の改革については、まだ緒についたぽかりでありますけれども、いわゆる前回の国会におきまして緊急政治改革と九増十減による定数是正をやっていただきまして、これはごくごく緊急分でございますから、根本分、抜本分はこの国会にお願いをいたさなければなりませんけれども、このような基本的な認識に対して、過去一年間この程度のひとつ努力をいたしてまいったということは申し上げてもいいことであろうと思います。
 どうも船長は船室にこもっておって何もせぬではないかという御批判がありまして、それは、我が国もこれだけ大国になりましたので、急にカーブを切ったり何かすることはやはり難しゅうございます。そういう意味で大型タンカーと言われたと思いますが、ある決まったときに、ある決まったところへどうやって船をつけるかというのが恐らく船長の務めでございますので、及ばずながらその努力を続けてまいりたいと思っておりまして、「変革と実行」をモットーに、勇気と決断を持って国政のかじ取りをさせていただきたいと思いますので、よろしくどうぞ御教示をお願いいたします。
 佐川疑惑について、自民党はどういうことをしたのかというお尋ねでございまして、竹下元総理につきましては国会におきまして、両院において二度の証人喚問がございました。その事実を踏まえまして、党といたしましても役員会で竹下元総理から直接事情の聴取をいたしました。党としての調査をいたしたわけでございます。その結果につきましては、記者会見等で公に国民の前に明らかにいたしたつもりでございます。
 この問題につきまして、佐川疑惑の問題につきましては関係当局が捜査、調査を継続している部分もございますし、また、裁判所において公判係属中の部分もござします。これらはそのおのおの、つかさ、つかさに任せるべきものと思いますが、ただ、このような国民不信を招く事態が生じたことについて何としても政治の信頼を回復しなければならないという、事実は事実としてもう否定のできないところであって、そのための真相解明は依然として重要だと考えております。
 国会におかれましても、国政調査という面でいろいろ御調査もされました。あるいは今後もされることであると思いますが、政府ももとよりそれには最大限の協力をいたしてまいる所存であります。
 それから、いろいろ資料等々を国会に提出すべきであるということについて、国会の国政調査権の行使というものは、もとより行政府として最大限に協力をいたさなければならないものであります。ただ、捜査や訴訟に関する資料の提出について、三権分立の問題あるいは司法権の独立など、御承知のように問題がございます。そういう制約はございますから一つの限界があることは、法令上、御理解をいただきたいと思いますが、しかし、何といってもこれだけ国民の関心を集めた問題について国会が国政調査をされるということでありますから、できる限りの、最大限の御協力をして、お求めのある資料等は提出いたさないといかぬというふうに考えております。
 それから、企業等の団体による政治献金あるいは政治の腐敗との関連でございますが、企業も一つの社会的な存在でございますから、政治への意思表示としての政治資金というものは、これは概に私は否定するわけにはいかないと思いますけれども、ただおのずからそれには限度があることである、節度があることであろうと思います。
 自民党が今回、抜本改革に際しまして、政治改革の基本方針というものを策定いたしましたが、その中では、やはり資金というものは個人ではなくて政党中心に考えていくべきであるということから、企業等の団体献金は原則として政党に集めていこう、個人の場合にはごく少額のものに限るという、そういう考え方をいたしておりますが、これは個人と企業との間に起こりやすい癒着あるいは腐敗を防止するという意味合いも含んでおりまして、違反者に対する制裁強化措置も盛り込んでおるところでございます。
 それから、このいわゆる抜本改革分でございますが、私が党内で就任のときに要請をいたしましたのは、昨年の十一月までに党内としての意見取りまとめをしてほしい、抜本改革をそういうことで考えてほしいということを申しましたので、予定どおり十二月の早々に党内の意見がまとまりました。それが政治改革の基本方針でございますが、これを中心に法案化を今急いでおりまして、この国会に提出して御審議を仰ぎたい。各党間でおのおのの御意見をお持ちでございましょうから、それをいろいろ集めまして、国民のよく見ておられる前で、ガラス張りの中で合意点を見出していただくことを念願いたしております。
 次に、経済問題につきまして、いわゆる五兆円規模の所得減税等々につきまして御指摘がございました。
 前国会でもこの御議論がございましたし、この国会でもそれにつきましての御議論がございます。私ども考えまして、平成五年度の予算編成に際しまして、国が財政負担をするという場合に、それは場合によりましては減税という形で行われることもございます。それから公共投資等によって行われることもある。そのいずれが現在の不況脱出のためにより効果的であるかという一つの費用対効果の問題は、やはり大事なことであると思います。
 今回の平成五年度予算は、御案内のようにかなり大きな公共投資を盛り込んでございまして、財政投融資計画では一二%余りの増であります。それから地方単独事業も一二%の増でございますから、全体として今度の予算で、政府投資額を申し上げますと、あの大きな補正予算を加えました平成四年度の予算よりも九・五%の増でございますので、これはかなり大きな中央、地方による投資でございます。これとあわせまして、住宅建設が比較的好調でございますから、これらがこれから数カ月、日本の経済に影響を及ぼさないはずは絶対にないというふうに考えます。
 ただ、今のこの不況は、御承知のように従来の循環的な部分だけではございませんので、その動向なりなんなりはよほど注意をして、殊にこの数カ月注意をして見てまいる必要があると思っておりまして、必要に応じて適宜適切な対応をしなければならないと考えております。
 もう一つ、このような減税を平成五年度で考えませんでしたのは、御指摘もありましたが、やはり財源の問題でございました。公共投資でございますと、それだけの資産が将来に残るということで建設公債で賄うことができますけれども、減税となりますとそういうわけにまいりません。その他の歳出をぎりぎり詰めておりますからほかに余裕はない、やはり歳入補てん公債を出さざるを得ない。そのことと減税との、いわばこれも費用と効果というようなことになろうと思いますが、そういうことを考えましてただいまのような予算編成をいたしたわけでございますが、しかしこの予算自身は昨年の八月の総合経済対策あるいは補正予算の線上にあるものでございますので、必ず効果をあらわすであろう。しかし、経済の状況には十分注意をいたしてまいらなければならないと思います。
 次にお尋ねになりました一連の問題は、いわゆる地方の自治、地方の分権の問題でございます。
 この問題について、基本的に私も大久保議員と同じような考えを持っております。と申しますのは、我が国は明治以来、富国強兵ということでおのずから中央集権をいたしました。また、戦後の復興をするためにも、これも効率的に復興しなければならないということで中央が強い権限を持った。そういう中央集権の百年余りの歴史を持っておりますけれども、しかしここに来まして、いわゆる国民の生活の基本になるシビルミニマムというものは一応充足をした。そして、こういう世界の時代でございますから、国がその中央の集権を非常にきつくやって国防を固めなければならないというような、そういう一触即発というような事態があるわけでもございません。
 いろんなことを考えますと、やはりこれから先、地方に対して国が今までのようないわば行政についての関与をする、干渉とは申しませんけれども、そういうことでない時代が来つつあるのではないか。殊に、ふるさと創生というような施策が非常に地方で歓迎をされて、そうして生活に身近な行政はやはり地方の創意と工夫がいいという認識も高まってきておりますから、そういう意味で、私は大久保議員の言われたことに基本的に賛意を表したいと思います。
 そこで、ただ、具体的に御指摘のあった問題が二つございます。一つは、自治体が自主的な減税をやってもいいでまないか。もう一つは、自治体の起債について、これをもっと規制を緩和したらいいではないかというこの二つの問題でありました。
 ひとまず現在のことを申し上げますと、住民税や固定資産税は標準税率でございますから、法的には自治体はこれによらないこともできる。現に標準税率を超えているところもございます。ただ、自治体が独自に異なる標準税率を定めていきますと、他の地域の納税者との負担の均衡という問題がある。あるいは地方財政の健全性そのものに問題がかかわるところがあるであろう。それはやはり、地方交付税、昔は平衡交付金でございますから、そういう意味で地方の財政に国が一つの関与と申しますか、平衡交付金の思想そのものが地方間のアンバランスをなくすというそういう調整機能として考えられておりますから、そういう考え方がやはりおのずからある。
 同じことは起債についても、例えば起債をするというときには、地方財政計画がございますから、当然その起債の償還の財源をどうするかというようなこともございましょうし、地方団体の財政運営がそれで大丈夫かというようなこともございましようと思います。つまり、本当に地方の自治、分権を考えようといたしますと、一つは行政の問題、一つは財政の問題があると思います。
 行政の問題は、権限委譲というようなことでしばしば取り上げられて、やはりできる限りのことをしていかなければならない。行革審もそういう考えでございますからそうやってまいりますが、もう一つ、財源の再配分、財政の問題をどうするかというところに、今大久保議員のおっしゃっていらっしゃいます地方による減税であるとか、あるいは起債の規制緩和というような問題があるのだと、こういうふうに思います。
 ですから、確かにそこらに今後の地方自治を考えていきます上に大切な問題があるということは、私も問題の御指摘としてはよく理解をいたします。今申しましたような、今の全体の建前については申し上げたとおりでございますから、そういうところからこの問題を考えていかなければならない、そういう御指摘ではないかと思います。将来の指針として、十分注意して承りました。
 次に、釧路沖地震についてでありますが、現在、北海道を初め地元市町村を中心に、関係機関におきまして鋭意応急対策、復旧活動をいたしておりますが、私どもとしても応急対策及び早期の復旧に全力を挙げているところでございます。もちろん、地方特別交付税のことなどにつきましても十分に配慮をいたしたいと思います。
 それから、エイズの問題でございますが、何としてもその拡大を食いとめなければならないと考えております。平成五年度予算におきましてこの関係の厚生省の予算を、入り用なだけと申しますか、ともかく金を惜しますに予算の措置をいたしたつもりでございますが、正しい知識の啓発普及、あるいは検査、治療の体制、カウンセリングその他等ん、あるいは血漿製剤による感染者の救済、いろいろなことがございますが、この今の時期が本当に勝負どきだと思います。この勝負どきを失いますと大変なことになっていくということをよく承っており、私どもも認識しておりますので、これについては何としても最大限の対応をいたしたいと思っております。
 製造物責任制度に対しての考えでございますけれども、政府、殊に経済企画庁における国民生活審議会においてこの問題をずっと検討していただいてまいりました。家庭電器、自動車あるいは食品、薬品など、もろもろの製品について、消費者の被害の防止あるいはその救済策について検討をいたしてもらっております。
 これにつきましては、ヨーロッパの例もございますし、アメリカの例もございます。消費者救済あるいは消費者の被害防止ということからいいまして非常に意味のある施策であることに間違いはございませんけれども、アメリカなどに時々散見するような思わざるケースになってはいけないというこういう配慮も、これは生産者とか消費者ということを離れまして、やはり消費者自身がかえってその結果として思わざる結果を招くということも考えておかなければならないというようないろいろな意見がございまして、私としては今年内にはひとつ結論を出してほしいというふうに考えておりまして、その結論を得ましてこの施策を考えてまいりたいと思っております。
 それから、国際協力について、いわゆる援助の問題でございますけれども、我々の国際協力の考え方は、申すまでもなく国連を中心とする国際的努力、軍縮・軍備管理、あるいは世界経済の全体の繁栄、各国において民主主義であるとか人権であるとかいうものにやはりできるだけの配慮をしてもらいたい、ならば市場経済ということが望ましい、あるいは南北問題でありますとか地球環境、地球的規模の問題等々が国際協力の基本であると思っております。政府開発援助大綱におきましてもそういうことを中心に考えておりますので、それは大久保議員の言われます「国際協力憲章」の思想を我々としては政府開発援助大綱で実行いたしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
 それから、アメリカの国連外交、これについては後ほど外務大臣からお答えは申し上げるかと思いますけれども、アメリカの次期国連大使がせんだって上院外交委員会の証言の中で、いわゆる国連加盟国が安保理事会に兵力を提供することについての国連憲章第四十三条の規定に触れられたということについてであります。
 いわゆる国連軍と言われるもの、これは、国連憲章には第七章という規定がございますけれども現実にはつくられたことがない。また、条文を読んでおりますと、この前に各国と特別協定を結ぶというようなことも書いてございますが、もとよりそういうことは行われたことはございません。クリントン政権として国連を重視するという考え方であったと思いますけれども、そこまでいくことになりますと、これはもとより今後国連加盟国で十分に議論をすべきことであろうと思います。これからクリントン政権が国連外交をどういうふうな方向でやっていきますか、米国とはもとより緊密な協力関係を維持していきたいと思います。
 ODAについて、残念なことでありますが、なかなか〇・七%という理想に達しない。実額といたしましては、我が国は一九九一年の実績は百十億ドル余りでございますので世界第一位でございます。この内容の改善につきまして、引き続き努力をいたしたいと思っております。
 残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(林義郎君) 大久保議員からのお尋ねでございますが、総理から、五兆円減税の話、それから投資の促進の問題、公共事業の促進の問題、また固定資産税、住民税のお話がありました。私からは重複してこの点につきましての御説明は省かせていただきたいと思います。
 私に与えられた問題は、中小企業対策を早急に行うべきではないか、こういうふうなことでございますが、中小企業対策といたしましては、先般の総合経済対策に基づきまして、経営に不安定を生じている中小企業者に対する新たな低利融資制度の実施を初めとして、政府関係中小企業金融機関等に対する総額一兆二千億円の貸付枠の追加など、思い切った措置を実施中であります。
 さらに、五年度予算におきましても、中小企業金融公庫等の貸付規模の拡大、新たな低利融資制度の創設、小企業等経営改善資金貸付制度の貸付条件の緩和、信用補完制度の充実など、中小企業の置かれておる厳しい現状に配慮した措置を盛り込んでいるところであります。予算の速やかな成立を切望しているところでございます。
 また、民間金融界に対しましても、中小企業の決算資金及び年末資金の資金需要に対する貸し付け等につきまして、引き続き適切に対応するよう要請しているところでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣村上正邦君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(村上正邦君) 労働行政の一端を御理解いただく機会を与えてくださいましたことに、まず感謝いたします。
 介護休業制度は極めて重要と考えております。昨年定めた介護休業制度等に関するガイドラインに基づき指導に努めているところでございますが、その一つの所得保障につきましては、労使が十分話し合った上で決定することが適当であるとの考えを示しております。
 介護休業の法制化は、今後の検討課題と認識いたしております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 ブッシュ政権とクリントン政権とは、我が国に対する政策で何が一番変わると思うかということでございますが、結論を申し上げますと、私はそう大きな変化はないだろうという結論です。
 しかしながら、選挙でいろいろ言っていますからね。民主党はもともと貿易については保守的な考え方も強いし、それから内政重視ということも言っておりますし、そういうような点で多少変化はもちろんありましょう。貿易面等におきましても日本に対しては強硬であることが重要だということも言っていますが、しかしながら、対日貿易の赤字のうち四分の一は日本に責任があるが、あと残りはアメリカにもあるということも言っておりますから、総合的に考えますと、私は今までどおり話し合いの路線でやりていけるものと、そう考えております。
 したがいまして、このアメリカの政策の変更に対して具体的にどのように対処すると言われましても、具体的にどのようにどうということもまだ出ておらぬわけですから、これにはこう対処するということはちょっと今の段階でお答えできないということであります。
 それから、何か提案を行うかということでございますが、これはいろいろ問題点はたくさんございますから、一つの提案によって全部解決するものではありません。ありませんが、やはり今までのいろんな日米構造協議のようなものを途中でやめるわけにもまいりませんので、そういうものはやはりフォローアップをして意見の調整をしていきたい、さように考えております。
 それから、ロシアの国内情勢並びに国内事情をどう見るかということでございますが、これももう御承知のとおり、チェルノムイルジン首相が就任をする、それによって何人かの大統領側近の入れかえが行われたというようなことで、非常に我々としては心配をしているところもございますが、しかしながら、改革路線を引き続き推進するということにおいては、急いでやるか少しゆっくりやるかという違いはあるにせよ、エリツィン大統領に対する批判派の方々も改革放棄ということを言っている人はないわけですから、ただ早いか遅いかというだけのことでございまして、したがいまして我々は、ロシアの内政、経済、外交、すべての面にわたってエリツィンさんの提唱しているいろんな改革の提案、それらが引き続き推進されるということを期待いたします。
 と同時に、やはりロシアの民主化、あるいは我々と同じような市場経済への移行、人権の尊重、法と正義の外交、こういうようなものは大いにバックアップをしてまいるつもりでございます。
 その次は、エリツィン大統領の訪日の見通しと領土問題についての見通しはどうかということでございますが、残念ながら、去年の九月に、十三日に来て十四、十五と会談をやるわけだったんだが、九日の晩に一方的に電話で延期の申し入れがあった。まことにこれは、非常に例の少ないことで残念なことでございます。
 しかし、それによって腹を立ててみたって仕方のないことなんです。これはいろいろ国内事情が向こうもあるようですから、それは失礼な話ではありますが、しかしながらそれには冷静に対処する。感情的にならない。非常に大事なことであって、これは日本が諸外国から高く評価されておるところでございます。我々はどこまでもやはりエリツィン大統領が直接宮澤総理にお話しになったことを信用する。新聞や何かでいろいろそれは書いてありますよ。しかし、それは一々そんなことを言ったって仕方のないことであって、エリツィン大統領自身が言われたこと、それを信用するということでやっておるわけでありますから、これは決して訪日がなくなったわけじゃなくて、国内事情等もこれあり、延期になっておる。
 しかしながら、その後二度もロシアのコズィレフ外相と日本の外相が会談をして、引き続き訪日の時期について、いつがいいか、どういうふうな条件がそろったらいいか、今話し合いをしておるということであります。
 次は、サミットで日本が議長国としてロシア支援についてどのようなリーダーシップを発揮するかということでございますが、サミットにロシア大統領を呼ぶ呼ばないということはまだ決まっておりません。これは日本だけで一人で決めるわけじゃありませんから、これは議長ですから、参加国の意見も聞いた上で宮澤総理が決めることになるだろう、そう思っております。
 しかし、我々は、御承知のとおり十月の末に日本において、エリツィンさんの訪日延期にもかかわらず、対ソ支援会議というものを世界の七十カ国も集まって、どうしたならばソ連及びその周りの独立国家共同体を助けることができるかということについて協議もし、大いにやっていこう、できるだけのことをやろうと言っておるわけですから、だからそういう点においては日本もリーダーシップをとっているんです。
 よく、日本はロシアに対して援助をしてないんじゃないかというようなことを言う人がありますが、これは間違いであります。私はこの間ECに行きまして、ECの指導者が一番興味を持ったところはそこなんです。だから、日本で何々をやっているんだ、こうこうしかじかということを言って話しますと、なるほどということでよく理解を深めていただいたという点は、これは全くそのとおりなんです。
 これは、我々にユーゴスラビアの問題でこうだのああだの開かれても、実際は皆さんが必ずしもわかっているとは限らないんです。ところがECの方の人は、すぐ隣の国ですから何でもわかっている。と同じように、極東の問題について、関心はありますが詳しくはわかっていないということは事実なんです。だから、そういうことについてよく話をして、我が国の立場を理解してもらうという努力が必要でありますと、今後国際社会の一員として我々はそれなりの協力はいたしますということでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(原文兵衛君) 足立良平君。
   〔足立良平君登壇、拍手〕
#10
○足立良平君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、宮澤総理の施政方針演説に対して質問をいたします。
 質問に先立ちまして、このたび、皇太子殿下と小和田雅子さんとの御婚約が決まり、近い将来御成婚の運びに至りましたことを心よりお祝い申し上げます。(拍手)
 さて、私は、佐川急便事件と政治改革、そして景気対策、国民生活の問題、さらに外交防衛の四点に絞って質問をいたしたいと思います。
 まず第一は、佐川急便事件の真相解明と政治改革により、政治に対する国民の信頼を取り戻すことについてであります。
 さきの臨時国会において判明いたしました皇民党事件に対し、すべての国民は怒りを感じ、また金丸氏に対する事件処理のあり方は、広く国民に不公平感と不信感を横溢する結果となりました。最近の朝日新聞の世論調査におきましても、国民の九四%が疑惑は解明されていないと感じているように、かつてない疑惑の広がりを持つ佐川急便事件の真相究明はいまだ不十分であり、国民の政治不信も今や極限に達していると言っても過言ではありません。
 今日の政治的緊急課題は、国民の政治に対する信頼を取り戻し、議会制民主主義を真に定着させ発展させるためにも、佐川急便事件の徹底的な真相解明を行うことであります。そのためには、竹下元総理の再喚問を初め関係者の証人喚問が不可欠であり、総理は日本の政治の最高責任者として真相究明の先頭に立つべきであります。証人喚問実現に向けての協力と、総理が約束をされた自民党としての調査結果を速やかに公表することを求めるものであります。総理の見解を伺います。
 また、法治国家において、暴力団が時の総理決定に関与するなど言語道断であります。仮に竹下氏がみずからの手を汚さなかったにいたしましても、一国の総理大臣を務めた人として政治的、道義的責任は免れ得ず、みずから議員辞職をするのが当然と考えますが、総理の見解を伺います。
 今日、中央省官庁の許認可件数は毎年百数十件も増加が続き、平成三年度末には実に一万九百四十二件にも上っております。さらに、第三者にはうかがい知れない行政指導という名の規制と補助金行政は、政官財の癒着構造を生み出し、政治腐敗の根源になってまいりました。佐川急便事件のけじめを真につけるということは、この金権腐敗を生む政治的土壌を抜本的に変えていくことであります。
 そのためには、まず第一に、規制緩和や地方分権を推進し、行財政改革を断行しなければなりません。
 そして第二に、昨年末の政治改革の緊急是正に加えて、政治資金の透明性確保や連座制の強化、違反者の公民権の停止や立候補制限、政党への公費補助と企業・団体献金の禁止などの抜本的政治改革を講じていくことであります。
 これに関連し、政府・自民党は、今日、単純小選挙区制の導入を政治改革の柱として位置づけようといたしておりますが、この制度には、金がかかり、政官財の癒着を一層進めていく、民意を公正に反映しないなどの欠陥のほかに、政府・与党が圧倒的に議席を占有し国会を完全に形骸化してしまうという致命的欠陥がございます。これを他の政治改革と絡めるのはやめるべきであります。これらの諸点に関し、総理の見解を伺います。
 また、選挙制度を問題にするなら、戦後一度も定数是正が行われず、一票の格差が実に六・六二倍にも達している参議院選挙区の定数の不均衡を緊急に是正すべきであります。あわせて総理の見解を伺います。
 次に、景気対策についてお尋ねをいたします。
 一九九一年の半ば以降調整局面に入った日本経済は今もなお回復の兆しを見せず、雇用調整をも伴った深刻な不況に突入いたしております。我が民社党は、早くから不況対策の実施を主張してまいりましたが、政府は景気判断を誤り、後手に回った経済対策により、今日、不況をますます深刻化させるに至りました。今日の状況は、まさに宮澤内閣の失政によりもたらされたものと言わざるを得ません。
 私は、景気対策について、特に二点に集中して取り組むよう提唱いたします。
 第一は、所得減税の実施であります。今回の不況の長期化は、民間設備投資の冷え込みに加え、GNPの約六割を占める個人消費の大幅な落ち込みが大きな要因となっております。個人消費がこのまま停滞し続ければ、現在せっかく素材産業を中心に進んできている在庫調整が振り出しに戻り、景気後退に拍車をかけることになりかねません。個人消費の拡大のためには、賃金の引き上げと並んで、大幅な所得減税がぜひとも必要であります。また、税負担の公平性という観点から、サラリーマンの税負担が重くなり、これが個人消費を抑制している事実にも着目すべきであります。
 第二は、公共投資の実施、特に住宅対策の強化であります。住宅関連産業は、家具、建築資材等多岐にわたるすそ野の広い産業であり、その波及効果は投資額の約二倍にも達するのであります。まさに住宅対策こそ、景気対策の二本目の柱として位置づけねばなりません。今こそ、政府は、抜本的な住宅減税の実施に加えて、農地の宅地化の一層の推進、公的住宅融資の拡大なと思い切った住宅政策を講ずるべきであります。
 以上の観点から、私は、二兆円以上の所得減税と二兆円規模の住宅減税等、合計四兆円以上の政策減税を実施すべきであると考えますが、宮澤総理の御所見を承りたい。
 次は、国民生活に関し三点お伺いをいたします。第一は、中高齢者の雇用問題についてであります。
 今日の厳しい不況の中で、雇用のしわ寄せば中高齢者に集中をいたしております。また、厚生年金の支給開始年齢が六十五歳に引き上げられようといたしているなど、中高齢者は深刻な雇用不安、生活不安に脅かされている状況に置かれております。中高齢でも勤労意欲のあるすべての人に職場を保障し、生活の不安なく生きがいのある人生を送れるようにすることは、福祉社会、生活先進国の基礎であります。この観点から、私は総理に対し、中高齢者向けの職場を積極的に開発するとともに、部分年金、部分就労制度の検討により六十五歳雇用保障体制を確立することの確約を求めるものであります。その確立なくして年金支給年齢の六十五歳引き上げは行うべきではありません。総理の答弁を求めます。
 第二は、介護の問題についてであります。
 急速に進む高齢化社会に伴い介護を必要とする人が急速に増加し、西暦二〇〇〇年には、介護を必要とする老人の数ま実に百万人を超えると予想されております。しかし、我が国の介護福祉の現状は極めて貧弱であり、介護は家庭における女性にゆだねられているのが実情であります。事実、総理府の女性の就業に関する世論調査におきましても、勤労意欲のある女性の就労を困難にする要因として、育児に次いで老人や病人の世話が挙げられていることからわかるように、働く女性は仕事と介護で疲れ果てているのが現状であります。介護休業を法制化し、年老いた親の介護や子供の病気の看護のために一定期間休職したり勤務時間を短縮する柔軟な勤務形態の確立が必要であります。
 同時に、在宅福祉施設の充実、介護労働者の確保等の対策が不可欠であります。総理の見解を伺います。
 第三は、教育、中でもボランティアやスポーツ、情操教育の振興についてであります。
 我が国の戦後の学校教育は、個人の能力や技術の向上を目指す教育が重視され、他人や社会との関係で公共心や道徳心を養う教育は軽視されてまいりました。これでは、友愛の心に根差し、地域社会や国際社会で積極的に活躍できる人材を育成することは望むべくもありません。私は、この観点から、小中高の各段階において、社会福祉活動や環境の美化活動といったボランティア活動を教育課程に取り入れ、子供たちに人を助けることの喜びと充実感を与え、公共心や道徳心を養うことが必要であると考えるものであります。
 また、それに加え、青少年の身体及び精神の健全育成と豊かな心を持つために、スポーツ、情操教育を充実させるべきであると考えますが、総理の見解を求めます。
 次に、外交防衛政策に関して質問いたします。
 冷戦の終結は無条件に世界平和をもたらすものではなく、むしろ民族、宗教、経済的対立に基づく地域紛争を多発させることとなりました。共産主義体制が瓦解した旧ソ連諸国の動向も、経済改革の行方とも相まって、極めて不透明な状況にあります。
 こうした中で、冷戦後の新しい国際的秩序と恒久平和の実現に向けて国連の果たすべき役割やその運営についての論議が、今日、高まりつつあります。昨年九月の国連総会でガリ国連事務総長は、停戦の合意など従来のPKO派遣原則の枠を超え、積極的な平和の創造、紛争拡大の予防といった新しい観点から、重武装の平和執行部隊を創設することを提起いたしております。
 そして我が国では、昨年、PKO協力法の成立によってようやく国連の平和維持活動に参加する道が開かれたところであり、現在自衛隊の諸君がカンボジアにおいて献身的な努力を行っている最中であります。そして一方において、渡辺外相は、今通常国会でPKFの凍結解除を行うべきであると述べたと伝えられておりますが、総理御自身の御見解はいかがでありましょうか。
 また、ガリ提案に見られるような国連の平和創生活動などに我が国が参加することについてどのような見解をお持ちなのか、あわせてお伺いしたいのであります。
 国連が担う平和活動には我が国として積極的に貢献すべきであり、また、国連が有効にその機能を果たせるように役割を担っていくべきであります。もはや一国平和主義の思想は冷戦後の今日の世界には通用いたしません。それは世界的孤立を招くのみで、日本の国益に反します。二十一世紀に向けて我が国の果たす役割はいや応なしに高まってまいりますが、今日までの政府の憲法解釈で世界の平和に積極的に貢献していくことが可能なのか、真剣に議論する時期に来ていると考えるものであります。
 総理は、今日までの論議を通じて、憲法のあり方について見直す考えのないことを明らかにしておられます。その一方で、政府は、極めて重い役割と責任を有する国連の常任理事国入りに積極的でありますが、これまでのような憲法解釈でその責任と役割を果たしていくことが実際的に可能なのか。常任理事国入りを求める以前にこの点を国民の前に明らかにし、国民的コンセンサスを得る努力をまず行うべきではないかと考えますが、総理の明快なる御答弁をお願いしたいのであります。
 最後に、今後の日米関係につきお尋ねをいたします。
 米国では十二年ぶりに民主党政権が復活をし、戦後生まれの若きクリントン氏が大統領に就任いたしました。
#11
○議長(原文兵衛君) 足立君、時間が来ました。
#12
○足立良平君(続) 日米両国の友好関係は、単に日米両国にとどまらず、アジア・太平洋地域、世界経済の安定と繁栄にとって不可欠であり、日米安保体制の堅持や自由貿易の推進など、日米関係の根幹は今後とも維持発展されるべきであります。
 政府は、通商、安全保障等の面で従来以上の対日姿勢を示してくるであろうクリントン大統領による新政権をどのように認識し、外交を推進しようとされておるのか。特に、我が国の対応いかんによっては日米貿易不均衡問題や防衛の費用分担問題などが両国の深刻な政治対立に発展する可能性もなしとしませんが、この点についての総理の御所見をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の政治不信は、御指摘のように、私自身もかつて経験したことのないほど深刻なものであるということを痛切に感じております。
 真相解明につきまして、今後の証人喚問等々の進め方につきましては、これは国会において御判断をいただくべきものと考えますが、私としましても真相解明は極めて重要と考えます。国会における国政調査にも、政府として可能な限り協力をすることは当然であります。今後もそのようにいたしてまいります。
 また、自民党自身の事情聴取につきましては、実は自民党において役員会で事情聴取をいたしました。その後、その結果について記者会見等で国民の前に公表をいたしたところでございます。
 選挙民によって選ばれました議員の責務は、選挙民から信頼され、その負託にこたえて国政に従事することでございますから、なお選挙民から十分な信頼を得ておるか、負託にこたえて選挙民の要望を満たすことができるかどうかという判断は、基本的にはこれは御本人がなさらなければならないというふうに考えていまして、したがいまして議員の進退につきましては、基本的には議員自身が考えられるべきことであるというふうに思っておるところでございます。
 行政改革の問題につきまして、規制緩和がなお十分でない。確かに、まだまだ進めなければならない分野がたくさんあると思います。行革審等の答申をもっと具体的に強く推進を実行してまいりたいと思っております。
 また、昨年十二月には、地方分権推進の一つの突破口といたしまして、いわゆるパイロット自治体制度を閣議決定いたしたところでございまして、これが今後の地方の自主性、自立性を一層発揮するためのよすがになってほしいと考えております。
 補助金等につきましても、確かにこれは、補助金自身の重要な機能はございますけれども、ややもすると地方行政の自主性、総合性を損なう場合がございます。そういう意味では、地方公共団体の事務事業としていわゆる定着したものについては一般財源化をした方がいい。また、一般財源化を図るような方向で補助金の整理合理化を進めてまいりましたが、これからもそういたしたいと思います。
 政治資金の問題につきまして、先般お願いをいたしました緊急改革に続きまして政治改革の一環として考えていきたいと思っておりまして、その透明性の確保あるいは違反者に対する制裁強化等々は、自民党が政治改革の基本方針として先般策定をいたしたところでございますが、この法案化につきまして今鋭意努力をいたしておりますので、今国会におきまして、何とぞ各党のお考えとあわせて御審議をいただき合意点を見つけていただきたいというふうに希望をいたします。
 単純小選挙区制は、各政党が一人の候補者を立てて選挙を争いますので、おのずから争点は政策が中心になってまいります。また、有権者が政権の選択をいたします場合に、一人一人各党を代表する候補者でございますから、その選択が非常に明確に行われやすい、有権者にとってわかりやすい制度であるという特色を持っておりますので、現在の中選挙区制を抜本的に改革するとすれば、私はこの導入が最も望ましいという考えをいたしておるわけでございます。
 参議院の選挙区のことについてお触れになられまして、投票価値の問題につきましては、最高裁の考え方を拝見しておりますと衆参ではおのずから異なっているようでございますが、承るところでは、参議院自民党を中心に、選挙区における逆転現象を解消するため現行総定数の枠内において定数是正を行う必要があると、うふうに考えておられる、いわゆる四増四減を取りまとめておられるというふうに承知をしておりますが、そうでありますれば、各党間でどうぞよろしく御論議をいただきたいというふうに考えます。
 なお、減税の問題についてお話がございまして、先ほども申し上げたところでございますが、要するに、財政負担をいたします場合に、所得税減税がいいか、あるいは公共事業等による投資の方が不景気脱出に有効であるかという判断の問題といたしまして、平成五年度予算編成につきましては公共投資を優先ということで、その結果といたしまして、平成五年度の政府投資額は補正後の平成四年度に比べて九・五%の増でございますから、これはかなり大きな中央、地方による景気のてこ入れになると思います。かたがた、減税となりますとその財源を特例公債に求めざるを得ないということもございまして、平成五年度といたしましてはこういう決断をいたしました。
 ただ、経済情勢は非常に微妙でございますから、十分に気をつけて、適時適切に対応しなければならないと考えております。
 なお、税負担につきましてお話がございまして、これは私は、決して今税負担が軽いなんということを申すつもりはございませんけれども、昭和六十二年、三年にいたしましたあの税制改革がございます。その後の給与上昇を勘案いたしましても、夫婦子供二人の標準世帯では、なお現在の税負担の水準が当時よりもまだ低いということを申し上げることができます。また、主要な諸外国と比較いたしましても、中低所得者層の所得税負担は我が国の場合にはまだまだ相当低いという事実がございますが、これはしかし、であるから税に問題はないと申し上げているわけではございません。念のためそういうことを申し上げておきたいと思います。
 それで、住宅取得についてのいわゆる住宅減税についてお話がございました。
 これはごもっともなことでありますけれども、従来この住宅減税というのはかなり制度としては進んでおりまして、住宅取得促進税制であるとか、勤労者の財形貯蓄非課税制度であるとか、あるいは新築貸し家住宅に対する割り増し償却であるとか、いろいろな制度がございますが、殊に取得促進税制では、御承知であろうかと思いますが、住宅を取得いたしますためにいたしましたローンの残高の金額によりまして、〇・五%から一%までの金額を所得税の税額控除をいたしております。毎年の限度は二十五万円の税額控除でございますが、それを六年間控除することができることになっておりまして、これは広く利用されております。
 毎年二十五万円の所得税額控除、二十五万円の所得税額といいますと標準世帯で年収六百五十万円のサラリーマンの払う税金に相当いたしますので、これはかなり大きな減税でございます。このための減収額は五千六百億円になっておりますので、かなり大きな住宅取得減税が既に行われつつあるということを御紹介申し上げたいと思います。
 それから、市街化区域内農地のうちで宅地化する農地については、これはその農家の意向を踏まえつつ、計画的な宅地化と賃貸住宅の建設を促進するために各般の施策を積極的にやってまいりました。今後とも推進をしてまいります。
 高齢化の問題でございます。
 六十五歳の雇用保障と年金の問題についてお尋ねがあったわけですが、本格的な高齢化社会を間もなく迎えますが、その際、高齢者が元気でいてもらうということも大事ですが、やはり積極的に生きがいを持ってもらうということが大事でございますので、そういう観点から、高齢者の働く場の確保を図ることが大切と思います。そのために六十五歳まで雇用を継続するということをできるだけ積極的に進めたいと思いますが、その場合、高齢者の立場からいって、今までどおりの仕事を今までどおりしたいという方もありますけれども、もりと短い時間がいいとか、あるいは一日置きがいいとか、いろんな態様がございますから、そういう条件に対応していかなければならないと思います。
 片方でそういう条件整備を進めます一方で、年金の問題でございますが、将来にわたって適切な給付水準を確保しなければならない。しかし、高齢化が進むということは若い人がそれだけ相対的に少なくなるということでございますから、後代の負担は非常に大きくなりやすい。それを適正なものにしていくということを考えてまいりますと、今後支給開始年齢を段階的に引き上げていくということは、残念でありますがどうも避けて通れない課題ではないかというふうに思います。そのことは、しかし雇用の機会とやはり密接に関係をして考えていかなければならない問題でございますから、高齢者雇用促進を図りながら、そういう広い観点から検討を進めていきたいと思います。
 介護の問題は、これからますます非常に重要になる問題でございます。殊に、女性にとりまして介護というのま相当大きな負担になりつつありますし、今後ますますそうなる心配は多うございます。介護と職業との両立を図るために、おっしゃいますような介護休業制度であるとか、あるいは勤務時間の短縮であるとかいうことを定着させていかなければならないと思います。法制化ということもやがて考えられる一つの道でありますけれども、その前にまずこの介護休業という考え方を定着させる必要があるということで、労働省がガイドラインを定めておりまして、ただいまのところ、ガイドラインに沿って制度についての受け入れ、普及促進に全力を尽くしてまいりたいと思います。
 それから、いわゆるゴールドプランでございますけれども、ホームヘルパーなどの在宅福祉サービスを大幅に拡充、たしますとともに、在宅での福祉が困難な場合におのずからいわゆる施設の利用になりますが、特養老人ホームの整備等を進めております。
 ただいまのところこの十カ年計画は順調に進んでおりますので、着実にこれを年次割りに進めてまいりたいと思いますが、その中でも人材の確保は、極めて難しい、また大事な問題でございますので、さきの通常国会で法的な整備もお願いをいたしたところでございますが、この人材の確保を一番大事な問題として今後とも努力をしなければならないと思っております。
 それから、ボランティア活動の教育課程への導入についてでありましたが、学校教育において公共心や道徳心を養うという意味で、道徳や特別活動を中心にボランティア活動について指導をいたしております。今後とも充実すべきものと思います。
 青少年の身体及び精神の健全育成のためのスポーツ、情操教育につきましても、同様に極めて大切なことと考えております。
 PKFの凍結解除の問題についてお話がございまして、おかげさまで、昨年、平和協力法を成立させていただきました。現にカンボジアにおいて七百名の協力隊員に国づくりに汗を流してもらっておりますが、これにつきましては国民の大方の理解と支持を得ているものと考えております。
 そこで、いわゆるこの平和維持隊本体業務について、別に法律で定める日まで実施しないという昨年の国会の御決定であったわけですが、現在この現行法のもとで実際の協力活動が始まった段階で、国民もそれを見ておられていろいろの価値判断をしておられることでございますので、将来のこの法律の見直しの問題につきましては、今の時点において国民がこの問題について十分に理解をされ、また受け入れてもらえる、私はそういうことになってまいっておると思いますけれども、やはりそういう実績を注意深く見てまいる必要があるであろう。将来の見直しということにつきましては、ただいま予断を持たずに、もう少し現在の現実の協力を続けていって、国民のそれについての判断を私どもが見きわめるということが大切ではないかと思います。
 次に、ガリ国連事務総長が「平和のための課題」について意欲的な提案をされた。これは、国連がこのような任務をにわかに背負うことになりまして、やはりこのままではいかぬというそういう使命感からであると思います。
 そのことは高く評価いたしますが、その中で、例えば平和執行部隊というような提言は、今まで国連が経験したことのない考え方、やったこともない考え方でございますから、その意味はわかりますが、加盟国の間で十分に議論を尽くす必要があるであろう。したがって、政府としては、イニシアチブについてはそれを評価いたしますけれども、この問題については引き続き検討すべき問題であると思います。国連のそういう検討と、しかしその活動に我が国自身が参加できるかどうかということは、我々は憲法に照らしてやはり判断をしていかなければならない。具体的な問題として、そういう時期が来れば判断をしなければならないと思います。
 そのような国連のこれからの平和活動の広がりというものが仮にある場合に、そのことと我が国が安保理事会の常任理事国になるということとを、私は結びつけて考えているわけではございません。
 一般的に、おっしゃいますように常任理事国になればいろいろ責任が大きい。言葉だけで仕事を済ます、とは申しませんが、常任理事国となれば、これはできません、いろいろと、ということがやはりなかなか違ってくるだろうとおっしゃることは、私はそういうことがあろうと思いますけれども、この常任理事国の問題は、結局、国連憲章の改正ということにつながるわけでございますから、そういたしますと、戦後につくられました敵国条項等々の入っております国連憲章を、今これだけの加盟国になりました段階でどのように直すかということは大変に難しい高度に政治的な問題で、時間がかかる問題と思います。これをしなければならないということは確かでございますから、我が国も積極的に貢献をしてまいりますけれども、かなり時間のかかる問題であろうと思います。
 いずれにしても、国連がいよいよ重い責任を果たしていく上で、世界の人々、また我が国の人々の十分な支持と理解を得るように努力をしてまいりたいと思います。
 クリントン政権に対しましては、両国で合わせて世界のGNPの四割を占めておるということから、両国間の問題はもちろん、世界に対して共通に果たさなければならない仕事が多うございまして、クリントンさんが当選されました直後に電話でそのことは申し上げて、もとより御同意でありましたけれども、できるだけ早い機会を得てそういう話もしてみたい。先方が今、内政の整備をしておられるということでございますので、しかるべき時間を待ちましてその機会を得たいと思っております。
 防衛費用分担の問題につきましても、我が国が従来、日米間で基本的な了解をいたしておりますので、それに従ってやってまいりたいというふうに考えております。(拍手)
#14
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#15
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。国務大臣の演説に対する質疑を続けます。立木洋君。
   〔立木洋君登壇、拍手〕
#16
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、政府の施政方針に対し質問をいたします。
 一九九三年は、国民の政治に対する厳しい批判と大きな不信に示されているように、これまでの自民党政治の行き詰まりをだれの目にもはっきり見える形で迎えました。このため、宮澤首相自身、いわゆる「変革と実行」を掲げざるを得ませんでした。しかし、問題は、何をどのように変革すべきなのか、その変革が国民の真の利益にかなうのか、平和と民主主義と社会進歩の進路にかなうのか、まさにその内容と方向こそが最大の問題であります。
 まず、速やかに変革すべきことは、汚れた金によって動かされ、反社会的な暴力団が介在する政治であります。
 佐川急便事件は、憲政史上最大量悪の金権腐敗事件であって、国民の強い要求のもとに、さきの臨時国会で審議と証人喚問が行われました。しかし、国民の間で、佐川疑惑は晴れるどころか一層深まったのであります。現に、世論調査を見ても九割以上の人々がまだ解明されていないと明確に述べており、地方議会における疑惑の解明を求める決議は、全国三千三百六議会中二千五百六十三議会、実に七八%の多数に上っているのであります。このことでも明らかなように、引き続き真相解明に全力を尽くすのが今国会の重要な責務であります。
 ところが、昨年末、自民党は臨時役員会を開いて竹下氏に釈明を行わせ、これで事件の幕引きを行おうとしていますが、一体何が解明されたというのでしょうか。佐川急便が金丸氏に渡した五億円の使途についてもその流れは何一つ解明せず、当事者間の明らかに矛盾した証言や供述を放置したまま、暴力団関与についての事実を覆い隠し竹下氏の責任を免罪しようとすることは、法治国家の存立の根幹にかかわる問題であって、宮澤首相の責任は免れないのであります。首相が改革を言われるのなら、国民の強い要求にこたえて、予算委員会で金丸、竹下両氏の再喚問を初め重要関係者の証人喚問を行い、さらに調査特別委員会も設置し、空前の疑惑の全容の徹底解明のために努力すべきではありませんか。
 自民党の政治改革の基本方針は、佐川事件の反省に全く欠け、しかも企業、団体献金禁止の世論に逆行し、その限度額を倍にふやそうとさえしています。政治献金の流れを政党に限るようにしたからといっても、企業献金のわいろ性はいささかも変わりません。例えま、一昨年、防衛庁の装備調達上位十社の自民党への献金は三億三千万円にも上り、これらの企業の契約実績は、その三千倍近い九千億円に達しているのであります。このような企業献金自体が国政をゆがめる大問題であることは明らかであります。
 首相は、企業も社会的存在であると言いますが、しかし国政に関する主権者ではありません。しかも、企業の献金を容認することは、金のある者が有利になり、本来平等であるべき国民の基本的権利が不平等になります。この点からも、アメリカは早くから企業献金を禁じているところであります。首相が民主政治の発展を主張されるのなら、民主主義にも反するこの企業献金の容認はやめるべきであります。国民の権利の平等という見地からどうお考えになるのか、明らかにしていただきたい。
 金権腐敗政治を変えるためには、企業、団体献金の禁止こそが真の解決の道であることを日本共産党は一貫して主張してきました。このことは、さきの参議院選挙でも、他の野党の多くも公約として掲げざるを得なくなっています。首相は、この国民の要求に背を向ける態度を改め、企業、団体献金の禁止に今こそ踏み切るべきであります。
 また、参議院の定数格差は、参議院がつくられて以来一度も是正していないために一対六・四八に拡大しており、参議院選挙制度にも、当然、憲法の平等の原則を貫くべきではありませんか。あわせて答弁を求めるものであります。
 次に変革すべきことは、日本経済を、大企業本位から国民生活、消費者優先の経済、ゆとりのある生活と快適な環境へと根本的に転換していくことであります。
 今日の不況は戦後最大と言われ、それは、景気循環に加えバブルの崩壊、少数の大企業の異常な競争力強化と、対照的な国民生活の低迷、減税もなければ福祉の充実もないという極めて深刻な消費の落ち込みによるのが特徴であります。長引く不況のもとで、日本経済を支えてきた中小業者は、仕事がなく、単価の値下げ、そして設備の借金を抱え、倒産、廃業の危機に追い込まれています。昨年の倒産は一万四千件にも上り、各地で痛ましい自殺者が生まれています。
 これに対して政府がとった緊急経済対策や総合経済対策は大企業本位の従来型のものであって、中小業者や国民が切実に求める不況対策にほど遠いものと言わざるを得ません。アメリカの経済を見ても明らかなように、大企業に恩恵を施せば滴が滴り落ちるように国民にも恩恵が行き渡るというようなやり方は、既に明確に破綻しているのであります。このような大企業優先のやり方を転換し、直接中小企業経営を守る緊急措置をとること、国民購買力を向上させ真の内需拡大を図ることを柱とする国民本位の対策こそ実施すべきであります。
 その一つは、緊急経営支援貸付融資の増額であります。政府の昨年暮れの不況対策で中小業者が利用できるのは緊急経営支援融資で、その枠は二千億円、金利四・四%、これは東京都の融資枠より少なく、金利は東京、大阪よりも高く、これでは国の責任を果たすとは到底言えるものではありません。首相、速やかに融資を増額し、制度の充実を図ることを要求いたします。
 第二に、国の官公需の中小企業への発注を大幅に引き上げることであります。一九八一年度をピークに低下の傾向にさえあるこの発注比率を、かつて政府が約束したとおり五〇%に引き上げるだけで、一兆三千億円以上の仕事を中小企業に回すことができます。官公需法で中小企業への発注は義務づけられており、全事業所の九九・一%、従業員数で七九・二%を占める中小企業への官公需発注の五〇%は当然であります。首相の明確な答弁を求めます。
 第三に、労働者の賃上げや大幅減税による国民の購買力の向上の実現であります。今日、大企業は、不況を最大の口実にして、人員削減、合理化などの犠牲を労働者に押しつけています。ところが、大企業の実態は、大企業四百三十三社だけで八十八兆円余りという膨大な内部留保が存在しており、その額は九一年度のみで三兆六千億円もふえています。このわずか二・五%を取りますだけでも、三万五千円以上の賃上げが可能なのであります。こうした不況を口実とする大企業の大量人員削減の規制、実質賃金の向上の実現、また労働時間年一千八百時間の文字どおりの実現を速やかに図るよう、指導強化を求めるものであります。
 同時に、三年連続の所得税減税なしで、勤労者の所得税負担率は六・三四%と三十四年ぶりの高水準となり、内需の冷え込みと不況の一層の低迷をもたらしています。赤字国債を発行せず、軍事費の削減などにより二兆円規模の所得税、住民税減税と、消費税の食料品非課税の速やかな実現をあわせて求めるものであります。
 もちろん、所得税減税を消費税率引き上げと抱き合わせて行うことは絶対に容認できません。政府が九四年度実施を目指して四月から政府税調での審議を始めようとしているのは、財界の主張にこたえて、所得税減税と抱き合わせて増税を企図するものではありませんか。国民生活を直視するならば消費税は廃止すべきであり、ましてや消費税率引き上げは行うべきではありません。首相の見解を明確にしていただきたいのであります。
 さらに、農業及び米の市場開放問題に関して質問をいたします。
 まず、米の自由化は断固阻止すべきであります。そもそも、ガットは各国の経済主権を前提として貿易上の問題解決を図る国際機関であって、自国の根本的利益に反することはこれを拒否する当然の権利を加盟国は有しているのであります。したがって、国会決議に基づいて米の自由化を阻止するのは日本の当然の権利であり、これを貫くことは政府の責務ではありませんか。
 次に、今日政府の進めている農業の新政策では、市場原理、競争原理の一層の導入を強調し、需給動向と市場原理を反映した米価決定など、専ら自由化のもとで必要とされていることについて検討を進めています。また、新政策に基づく具体的な施策として、農地法を改悪して企業の農業進出を図ろうとするなど、一層日本の農業が脅威にさらされることになることは明らかであります。
 このような新政策は、米の市場開放への事前準備とも言うべきものであります。農業の重大な危機を招きかねない新政策の撤回を強く求めるものであります。
 最後に、憲法と国際協力について質問をいたします。
 最近、一部に、国連協力のためなどといって、自衛隊の海外派兵を可能とするための憲法改正の言動が見られますが、それは戦後政治の原点を忘れ日本の進路を誤らせるものであります。かつて言語に絶する悲哀を人類に与えた侵略戦争を行った日本は、憲法で国民主権を宣言し、同時に平和原則を確立して戦争放棄と戦力の不保持を規定し、世界平和に貢献することを誓ったのであります。その際、国連との関係では、たとえ国連の決定であろうと軍事力による協力は行わないことが憲法制定議会で明確にされ、このことは日本の国連加盟時に再度論議され、重ねて明らかにされています。これは疑問の余地のない日本国憲法の大原則であります。首相、この原則は当然尊重すべきではないでしょうか。
 米ソ対立が崩壊した後の今日、真の世界平和秩序の確立のために、日本国憲法の平和原則を一層生かしていくべき重要な時代を迎えているのであります。ところが、侵略戦争の根本的な反省をないがしろにし、憲法の平和条項に基づく日本の国づくりを放棄してきた自民党政府は、あくまで軍事同盟にしがみつき、軍備増強を図ってきました。さらに、今回は、アメリカへの追随を内容とする国際貢献を口実にして、憲法の平和条項を改悪しようとするために国会に改憲の協議機関の設置を提案するまでに至ったことは、断じて容認できません。
 昨日、衆議院での答弁で、首相は、憲法の平和原則は国際協力の邪魔にならないと述べました。それなら、国際貢献を改憲の口実とすることは成り立たないことであります。首相の明確な見解を求めるものであります。
 この点で、典型的な誤謬は、憲法の平和原則を真正面からじゅうりんするカンボジアヘの自衛隊派遣の問題であります。
 国民の厳しい批判をかわそうとして、政府が、憲法上譲ることのできないものと述べて取り繕ってきた国連平和維持活動参加のいわゆる五原則も、今日成り立たなくなっております。ポル・ポト派は、その支配地域への国連要員の立ち入りゃ武装解除を拒否し、さらに、国連要員の拘束にとどまらず、それへの公然とした武力攻撃さえ開始しています。このように、パリ協定に基づく具体的実施がポル・ポト派によって完全に拒否され、それへの武力攻撃による阻止行動さえとっているのに、どうしてパリ協定の枠組みが維持されていると強弁できるのでしょうか。政府は、二重の歪曲が崩れた今日、直ちにカンボジアヘの自衛隊派遣を中止すべきであります。
 私は、米ソ対決の構図がなくなった今でもカによる世界戦略にしがみつくアメリカ追随の日米安保体制から脱却し、憲法の民主的、平和的原則に基づいて、核兵器完全廃絶、軍事ブロックの解体、民族自決権の尊重、差別のない経済協力の真の国際貢献の道を選択することを強く要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の政治に対する信頼を回復するためには、政治家個々の倫理の問題がもとより基本でございますが、さきの国会で成立いたしました緊急改革に引き続きまして、政治の構造にまで立ち入った抜本的な改革をぜひ実現いたさなければならないと考えております。
 このたびのいわゆる佐川事件につきまして、部に既に関係当局が捜査、調査をなお続けているものもございますし、裁判所において公判係属中の事柄もございます。これは、そのおのおのの推移を見守る必要がございますが、国会におきましてなお真相解明をなさる、真相解明は私どもも重要なことだと思いますが、その国会における御審議の進め方につきましては、国会で御判断をいただくべきものと思います。もとより、政府として可能な限りの協力を申し上げることは当然のことでございます。
 次に、企業の政治献金についてお話がございまして、私は、企業もやはり社会的な存在でございますから、ある程度政治にそういう協力、寄与を、寄附をするということは、これは一概に禁すべきものではないだろう。かつて判例もあったと記憶をいたしますが、ただ、それにはおのずから節度があるだろうというふうには思います。
 自民党がこのたび政治改革の基本方針を策定いたしました際に、企業の政治献金は原則として政党が受ける、個人との関係はなるべく切っていこうということから、資金調達団体というものに限り、しかも少額ということにしておりますが、これはいわば企業と個人との癒着を断とうという考えであろうかと思います。
 それから、参議院の選挙制度にも、憲法の平等の原則を貫いて定数格差の是正が必要ではないかというお尋ねでございました。
 投票価値の問題は、最高裁のお考えの中でも衆参では多少違って考えておられるように思いますが、先ごろ参議院自民党を中心に検討された結果、選挙区における逆転現象を解消するため、現行総定数の枠内において定数是正を行う必要があるとの結論を得られたと承っております。いわゆる四増四減と言われるものと思いますが、この点、今後、各会派の間で御論議をいただけるものと信じます。
 それから、緊急経営支援貸付制度でございますが、先般の総合経済対策の一部といたしまして、国と都道府県が協調して、経営が不安定な中小企業に対して低利融資を実施するものでございます。ただいま御指摘になられましたような制度でございます。これは中小企業の経営には非常にいい制度と私は思いますが、なおその経営支援のために万全を期してまいりたいと思っております。
 それから、中小企業向け官公需の発注のことでございますが、これは官公需確保法がございまして長年努力をいたしておりますのですが、なかなか思うほど十分にいきませんで、国の実績で申しますと、ほぼ四〇%をちょっと切るあたりでございます。地方の方はかなり、六、七〇%いっておりまして、平均いたしますと五五、六%でございますが、今後とも、中小企業の受注機会の増大に努力をいたしてまいりたいと思います。
 それから、雇用につきましては、まだまだ諸外国と比べますれば我が国の場合は影響が軽敏でございますけれども、しかし、雇用調整助成金等の機動的な活用を通じて、万一の場合の予防には十分努めてまいります。幸いにして、財源はここには十分ございますので、それは十分に措置をいたすことができると考えております。
 労働時間の短縮につきまして、年間総労働時間千八百時間の達成に向けて、完全週休二日制の普及促進に努めておりまして、殊に中小企業に対しましては、そのためのいわゆる省力化の援助であるとか、いろいろな国の支援もいたしまして、四十時間労働制への移行を実現してもらいたいと思っております。そのための労働基準法改正案を今国会に提出いたしたいと思います。
 それから、減税のことにつきましては、先ほどから申し上げておりますが、平成五年度といたしましては、やはり国の財政は公共事業等の支出に充てることが不況より脱却するためにより有効ではないかと判断をいたしたものでありますが、同時に、財源の問題もございました。
 国の新たな借金をふやすことなく二兆円規模の減税をやれという、こういう御注文でございますが、歳出まもう切れるものま切っておりますので、どこかほかを切れと言われましてもなかなかそれは至難なことでございます。新たな借金をふやさずに所得税、住民税の減税をやれとなると、それならまたほかの税金をやるか、とおっしゃったのではないと思いますけれども、それはなかなか難しゅうございまして、そうかといって歳入補てん公債を出すということもいかがかということで、五年度はこういう編成をいたしたわけでございます。
 消費税はやめたらいいじゃないかというお尋ねであったのですが、昭和六十二年、六十三年の抜本改正をいたしましたときに、御記憶のように、これから高齢化社会に入っていく、そうなりますと、いろんな意味での国民負担を考えると、所得と消費と資産との間で均衡のとれた国民負担をお願いすることがいい、そうしう安定的な税体系を考えまして、あの際に所得税等の減税と消費税の創設をさせていただきました。高齢化社会になることが必至でございますので、この選択は間違っていないのではないかと今でも考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、米について、国会決議等の趣旨がございますので、これを体しまして今後とも対処をしてまいりたいと思います。
 それから、いわゆる新農政でございますが、これはやはり我が国のこれからの農業が、そういう経営の意欲があって、そして実際に力強い農業を進めていく人たちがやはり出てもらわなければならない、そういう趣旨でこのいわゆる新政策を取りまとめたわけでございまして、これからの長期展望をいたしますと、どうしてもこういうことが必要ではないかと思います。
 それから、憲法改正について、国連協力をするんだから憲法改正をする必要があるという論理はおかしいというふうに言われました。
 国連協力にもいろいろございますけれども、私どもとしては、国連協力をいろいろいたします上に憲法が障害になるというふうには考えておりません。そして、国民の中に、現在、憲法のどこをこう改正せよというコンセンサスが熟しているとも思えませんので、私としては、今そういうことを、改正を考えておりません。
 ただ、そこまではおっしゃるとおりと思いますが、その次にカンボジアのところまで憲法違反だとおっしゃいますと、ああそれなら憲法を変えるかということにこれは大変になりやすい御議論だと思います。
 私どもは、先般いわゆる平和協力法を国会で慎重な御審議を願いまして、その成立をさせていただいた上で、カンボジアで今七百名の平和協力隊諸君に汗を流してもらっておるのでございますが、この点は、国会であれだけ慎重に御審議をいただいて、もとより憲法違反でない、また国民的な支持もある、こういうことで御可決をいただいて、また、現に七百名の諸君の活躍は国民の広い支援と応援を得ておるものというふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(原文兵衛君) 高井和伸君。
   〔高井和伸君登壇、拍手〕
#19
○高井和伸君 私は、民主改革連合を代表しまして、宮澤総理の施政方針演説に対し質問をいたします。
 私ども民主改革連合は、この第百二十六通常国会から会派名を、「連合参議院」を改め「民主改革連合」といたしました。
 民主改革連合は、三つの改革を活動の中心とします。一つが政治改革であり、二つが立法府の改革であり、三つが地方分権の改革であります。私どもの活動をぜひ御理解いただきたいと思います。
 さて、総理は政治改革が焦眉の急だと申されます。しかし、前国会における佐川事件の解明は不十分でした。国民の生活感覚からほど遠い巨額の金銭が政治の世界で動いたという佐川事件の真相解明ができないとき、国民の政治への信頼が損なわれ、総理の言われる日本丸はかじが壊れ漂流するという取り返しのつかない事態に陥ることは明白であります。真相解明には、私ども民主改革連合も要求している金丸元自民党副総裁や竹下元総理の再喚問、小沢元自民党幹事長や佐川清氏の証人喚問等の実現が必要不可欠と考えます。
  そこで、総理に質問いたします。
 佐川事件のけじめをどのようにつけられるのか、そして証人喚問については協力を約束していただけるのか、また、佐川事件の解明で国民の納得が得られないときは、総理は政治責任をとり国民に信を問うべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 竹下内閣誕生の際、右翼と暴力団が絡んだという前代未聞の皇民党事件について、政府・与党である自民党の役員会は、竹下元総理から事情聴取をし、完全に決着したと言っておられます。国民は竹下元総理の議員辞職を当然のことと考えており、到底この事件が決着したと受けとめてはいません。総理は前国会の答弁でも、自民党として調査の上しかるべき措置をとると言明しておられました。そこで、質問いたします。
 総理、あなたは皇民党事件の解明についてどのような調査をし、どのような結論を得ているのか、また、この事件は竹下元総理の辞職なしに決着したとお考えなのか、どうしてこのような事件が生じたのか、その構造的欠陥をどうとらえたのか、議員辞職を議員個人の判断に任すのではなく、新たな立法措置を行う考えはないのか、明確な御答弁をお願いいたします。
 もし、総理が完全に決着したとお考えならば、国民の認識と総理の認識との間のギャップについて、これを埋めるため国民にどのように説明されますか、御答弁願います。
 これまでの政治改革に関する総理の強い決意を聞いておりますと、言葉と裏腹に、問題の先送りの繰り返しの姿勢しか浮かんでまいりません。総理の施政方針演説にあります政治倫理の確立、政治資金の透明性の確保などの抜本的改革について、「今日の後に今日なし」との覚悟ならば、少なくとも、政治資金規正法違反に対する公民権停止と選挙違反の連座制強化の内容を盛り込んだ法案の提出を約束していただきたいのです。小選挙区制度が先行することは、結局、野党の反対で政治改革ができなかったという総理の言いわけの材料づくりとしか映りません。
 そこで、総理に質問いたしますが、政治腐敗防止に関する法案の今国会への提出を約束していただけるのか、もしそれが今国会でできないときは政治責任をとると言明していただけるのか、不退転の決意で臨むと言われる以上は、国民に約束していただきたしのであります。
 なお、選挙制度の改革について一言触れますと、民主改革連合は、参議院においては比例代表制の廃止を、衆議院においては小選挙区比例代表併用制を考えております。
 さきの臨時国会で、日本新党と民主改革連合が共同で、政治資金規正法の一部改正案を提出しました。その内容のポイントは、候補者に監督責任を負わせ、一種の連座制規定と公民権停止の罰則規定を新設するものでございました。前国会では審議未了となり今国会に再提出を予定しておりますが、総理は、私どもの提案について賛成か否か、見解をお聞かせください。
 次に、平成五年度予算の基本についてただします。
 総理は、生活大国を目指す予算編成と言われますが、まず、福祉、教育予算への配分や、景気の後退で有効求人倍率が一・〇を割る現状で生活弱者や雇用確保のための重点配分のないこと、さらに、中小企業者への支援も十分でなく、いわんや消費の拡大につながる施策のないことであります。
 そもそも、このたびの不況は宮澤内閣の景気の読みの誤りから始まっており、その責任は重大であります。いまだに旧来の硬直した財政運営にこだわり過ぎ景気対策を確立てきていない責任は、二重に重大だと考えます。
 そこで、総理、こうした景気に対する読み違いの施策に対する責任のとり方を明らかにしていただきたい。景気浮揚の失敗がはっきりしたとき、明確な政治責任をとることを国民に約束していただきたい。このことを約束していただけなければ、景気マインドは変わらないし、国民の頑張りも出てこないと思います。
 平成四年の経済成長の三・五%も達成できず、さらに平成五年度の成長率を三・三%と見ている政府に対し、民間調査機関は二・〇から二・五%を予測しています。こうしたときに求められるのは、従来の公共投資重点の手法ではなく、新たな手法で柔軟に対処することであります。消費意欲の減退と、これに伴う投資意欲の減退が現状における最大の問題ととらえます。消費意欲の拡大のため残された施策は減税であります。
 総理は、答弁の中で、公共投資か減税かの択一的な選択が政治的判断であったと言われておりますが、私は、選択的な問題ではなく、両立、すなわち公共投資も減税も採用するという政策をとることが肝要と考えます。総理はこうした政策の採用にどのような認識をお持ちなのか、お尋ねいたします。
 現状において、不況と資産デフレ、賃上げ抑制の影響で消費が停滞することは必至と予測されています。今日、消費不況が経済の成長を下に引っ張り、不況感を呼んでいます。政府の五年度予算及び諸施策の中に消費拡大の施策は見えてきません。
 経済の不況を読み取ることに失敗した今、景気浮揚のための消費拡大を図るためにも、昨年私どもが主張していた二兆円規模の減税では景気浮揚の効果が上がらないと判断します。ここに至っては、思い切って消費意欲を引き起こす減税が望まれます。その額を四ないし五兆円程度が必要と考えます。その財源については柔軟に対処すべきと考えます。総理の決断を求めます。
 総理は施政方針演説で、国連中心主義をもって国際化時代の対応の柱とされております。民主改革連合としては、発展途上国の意向重視による国連機能の充実を目指すべきと考えております。
 ところで、現実のアメリカの軍事行動は、国連中心主義政策として国連の旗のもとでの活動と見られていますが、今次のイラク爆撃に見られるように、アメリカ中心の多国籍軍による攻撃であって、国連事務総長のもとでの軍事活動ではありませんでした。
 ただ、国連安保理の決議の実効性を確保するための武力行使であるというものです。その限りでは国連の意向に沿うものであると言えますけれども、一方では、イスラエルのゴラン高原あるいはヨルダン川西岸の占領行為に対する安保理の撤退決議に対しては、アメリカはその実効性の確保のために何らの軍事行動をとらないという現実があります。要するに、アメリカは安保理決議に関して二つの基準を持つというダブルスタンダードの政策をとっています。こうした現実のアメリカの国連中心主義の裏側には、大国のエゴが見え隠れしております。
 総理は、アメリカと共通の価値観を共有すると言われますけれども、アメリカの国連安保理決議に関するダブルスタンダードの政策についてどのように受けとめておられるのか、そしてどうアメリカに働きかけていかれるのか、見解を示してください。
 私は、今月上旬にアメリカ国連協会の招待で、ニューヨークの国連の関係者と、アメリカのクリントン政権誕生前夜の新旧政権の関係者や国会議員と会談してまいりました。そこで強く要請された項目をまとめれま、次の二点でございます。一つが、日本は国力に見合った国連の安保理の常任理事国になるべきだというアメリカ政府関係者の強い意見であり、二つが、同様に国連のPKO活動にもっと幅のある参加をすべきだという国連関係者及びアメリカ政府関係者の強い意見でありました。
 しかし、一方では、国連やアメリカの関係者の期待する日本のPKO活動と、国連平和維持活動協力法に定める内容などにはかなりのギャップがあります。民主改革連合は、PKO問題について、まず現行の国連平和維持活動協力法の枠内でカンボジアにおける体験を積むことが先決であると考えております。そして、憲法との関係からも、日本の貢献の枠を世界に示すためにも、自衛隊と別組織のPKO隊を設置すべきであると考えております。
 そこで、総理に質問いたしますが、こうした国際的期待と国内法制とのギャップについて、総理は、国連やアメリカ、世界に向かってどう理解を得られるのか、どうリーダーシップをおとりになるのかをお聞かせください。
 総理から国連安保理常任理事国入りの意向が表明されております。アメリカの国連代表部の話を聞くとき、拒否権のある常任理事国入りをすれぼ当然日本に軍事的貢献が期待されます。しかし、この点は、憲法上受け入れる余地はありません。総理は今国会の答弁で、海外における集団的自衛活動は憲法に抵触するとされております。当然のことであります。しかし、国連やアメリカの抱く期待感と認識の差が大変気にかかります。
 そこで、総理に質問いたしますが、日本の国連安保理の常任理事国入りについてどのようにお考えなのか。特に、拒否権の存在、軍事的行動に対する期待や、他の国々が常任理事国入りを希望しておられる、そういった点を含めて、そして日本の憲法上の立場をどのように維持していくのか、政府の描く基本的見取り図を国民に示していただきたいのであります。
 また、国連憲章の改正など、早晩問題になりますが、これまでの国連に対する日本の貢献から、国連憲章に規定されている日本やドイツ等に関する敵国条項を撤廃することを、安保理常任理事国の問題と切り離して強く求めるべきと考えますが、総理の所見をお聞かせください。
 個別の問題として、総理も演説の中で触れられております二点について質問いたします。
 一つは労働基準法の改正であり、一つは行政手続法の制定であります。それぞれ、時間短縮の枠組みと、超過勤務と休日勤務の割り増し賃金の枠組みをつくるという労働基準法の改正も、また、行政手続の透明性、公平性の制度的保障をなす行政手続法の制定も、世界の流れから取り残された部門の措置であります。民主改革連合としては、精力的な取り組みを求めます。総理の、今国会での成立を期すという決意を伺いたいと思います。
 最後に、総理の政治改革に対する認識と国民の認識との間に大きなギャップがあり、さらに、カンボジアにおけるPKO活動においても、法案審議中の総理の、平和になったところに出かけるのですから安全ですというそういう発言と現状とは、その環境に大きなギャップがあります。さらに、国連中心主義においても、憲法問題に対する国際的認識にギャップがあります。こうした中での日本丸のかじ取りについて多くの不安を抱くものであります。
 総理の日本丸のかじ取りに対する確固たる決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の政治に対する信頼を回復するために、もとより政治家一人一人の倫理の確立が大事でございますが、やはり、先般成立をさせていただきました緊急政治改革に引き続きまして、抜本的な改革をぜひこの国会で実現していただきたいと思っております。
 佐川事件につきまして、一部は既に関係当局が捜査、調査を続けております。また、裁判所において公判係属中の事柄もございます。それについては、おのおのその推移を見守る必要があると思います。
 国会における証人喚問の進め方等々、これは国会で御判断をいただくことでございますが、真相解明は確かに重要でございますから、国政調査におきまして、政府としても可能な限り協力をさせていただくことはもちろんでございます。
 皇民党事件の解明についてお尋ねがございまして、この件は、いわゆる東京佐川急便事件の中で裁判所で公判係属中であるのでその推移を見守る必要があると思いますが、国会におかれまして今後ともこの真相解明をされる、あるいは国政調査を行われるということにつきましては、もとより政府としては全面的に御協力を申し上げなければならないと考えております。
 それから、自民党自身の真相解明はどうしたかということでございましたが、自民党自身、役員会において、関係者においでを願りて詳細にわたって真相を調査いたしました。その結果は記者会見において公にいたしておるところでございます。
 次に、議員の身分についてのお尋ねでしたが、議員は選挙民によって選ばれ、その選挙民から信頼され負託にこたえなければならない、そういう立場でございますから、なお選挙民の信頼があるか、なお選挙民の負託にこたえて活動ができるかということは、しょせんは議員自身、本人自身が判断しなければならない問題である、そういうふうに考えております。
 なお、これに関連して、立法措置というふうに言われたと思いますが、どういう関連の立法措置と言われましたのか、いずれにしてもそれは国会で御判断いただく問題ではないかと思います。
 腐敗防止につきまして、確かに、一八八三年にイギリスで根本的な立法ができましてイギリスの政治の今日があるというふうに言われておりますが、我が国もまさにそういうところに立ち至ったと考えておりまして、自由民主党の作成いたしました政治改革の基本方針におきましても、連座制の強化なども含めて、選挙制度の改革、政治資金の透明性の確保等々を考えておりまして、各党各会派ともいろいろ御案をお持ちと思いますので、この国会において法案の成立に向けて御審議をお願いいたしたいと存じます。
 それから、平成五年度の経済の問題、それに関連して減税等々の問題がございました。
 成長率三・三%というのはどうなんだというお話でございますけれども、振り返ってみますと、平成四年の四−六月の成長率はゼロでございます。七−九月期はマイナス〇・四でございますから、これはいわば極めて異例な低成長、と申しますよりはマイナスまであったわけでございますから、その後の三・三というのは決してえらい高いことを言っているわけではございません。前が高ければその上の三・三は大変でございますけれども、ああいうマイナス成長まで経験しました今、この程度のことはできないといかぬなと、このぐらいのことは私はできておかしくないというふうに実は考えています。
 ただそう言っておりますわけではありませんで、昨年の総合経済対策から今回の平成五年度予算まで、相当大きな中央、地方の政府支出がございまして、平成五年度の予算に盛り込まれております政府支出は、あの大きな補正後の平成四年度に比べてなお九・五%の伸びでございますから、これは相当大きいのでございまして、これでこの数カ月間に経済が変わらないということは私はないだろうと思っております。思っておりますけれども、経済情勢の変化には、殊にこの数カ月、細心の注意を払います。そうして機動的な対応を怠らないようにしなければならないと思っております。
 なお、それにつきまして高井議員としては、公共投資も減税もその両方だと、減税の財源は柔軟に考えよというお話でありました。十分柔軟には考えてまいりますけれども、仮に特例債ということになりますとそれをどのようにして償還をするかということは当然考えておかなければならない問題でございまして、やはりそういうところは少し償還のところまで考えていたす必要があるというふうに考えまして平成五年度予算はごらんのような編成をいたしたわけでございますが、なお経済の動向には十分注意をしてまいります。
 それから、国連中心主義ということと、アメリカがいわば二重の物差しを持っておるのではないか、ダブルスタンダードを持っているのではないかと言われたかと思いますが、しかし、国連というものが本当に長いこと機能いたしませんでしたが、冷戦が終わりまして、ソ連も中国も、拒否権を持っている国がああやって現実に安保理事会で全会一致の決議を、湾岸戦争のときにはそうでございましたが、していったわけでございますから、初めて国連中心主義というものが現実に可能になってきたと考えるべきではないのでございましょうか。私はそう思っておりまして、それがソマリアのような問題につきましても国連の発動というものが有効になった理由ではなかったかと思っています。
 アメリカとしても、いわば残されたただ一つの大国というようなことになりましたので、そこはかなり注意をしておりまして、湾岸戦争のときもそうでございますが、ソマリアなんかにつきましても、国連の安保理事会を中心に、それを立てて決議を積み重ねていくというようなやり方をしておるように思います。また、ぜひそうしてもらわなければなりませんで、我が国としてはやはりそういうふうにアメリカに対しても申しておりますし、また、そういうことで国連を動かしていくのが本当であるというふうに思っております。
 日本が安保理事会常任理事国になるということについてどう考えるかということでございますが、昨年十二月の国連総会で「安保理議席の衡平配分と拡大」という決議案が全会一致で採択されまして、ことしの六月の末までに我が国としても意見を出すということになっております。
 この問題は、だれもが今のままではおかしいということを知っておるわけでございますけれども、ここに手をつけるということは国連憲章全体に手をつけるということにならざるを得ません。四十何年間の問題を全部問題に出すかということになるわけでございますから、これは高度に政治的な、しかも相当込み入った長いことになるであろう。しかし、やはり国連が今のそれこそニーズに合うようなものになるためには、どうしてもここは避けて通れないところであると思いますが、我が国がそういう国連の、いわば近代化と申しますか、憲章の改正に努力をしながら、世界の平和のために一層重い責任を果たしていく、こういう立場をとってまいりたいと思っております。
 それからもう一つ、それに関連して敵国条項のお話がございましたが、これはおっしゃいますように時代おくれであり、今やもう全く意味を持たない条項となりました。つい昨年の国連総会におきましても、渡辺副総理から、国連憲章の中に残存する歴史的遺物の例としてこのことを指摘いたしております。えらい気になることでもございませんけれども、国連憲章そのものはそのようなものすら持っておるのでございますから、これを改めるということは、実は根本的に非常に大きな作業になる、こういう問題として考えておるところでございます。
 それから、労働基準法の改正につきましては、今国会に労働基準法改正案を提出させていただきたいと思います。
 それから、行政手続法の制定につきましては、おっしゃいますように一年間作業をいたしました。行革審の答申に沿いまして今国会に法律案を提出いたしたいと思います。
 なお、先ほど敵国条項はえらい気になることもないと申し上げましたのは、軽く考えて申したのではございませんので、ひとつ誤解のないようにお願いをいたします。
 最後に、これからどのように我が国の政治を進めていくかということでございますが、やはり我が国が国力にふさわしい国際貢献をする、そして国民の一人一人が誇りを持って、幸せを実感できるような、またそれをするエネルギーをなお我が国は持っておりますので、そのエネルギーをひとつ十分に力を出してもらってそういう国づくりをし、世界に貢献をいたしていきたい、このように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(原文兵衛君) 渕上貞雄君。
   〔渕上貞雄君登壇、拍手〕
#22
○渕上貞雄君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、さきに行われた宮澤総理の施政方針演説に対して質問をいたします。
 佐川急便事件と政治改革の問題、PKO、国連改革を含む外交、防衛問題や憲法改正問題、そして当面する景気対策等については、昨日、同僚の矢田部議員が取り上げましたので、私は内政問題を中心にして質問することにいたします。
 とはいいましても、総理、私はこれまで宮澤総理を初めとする政府の答弁を聞いておりまして、私も、冒頭、佐川事件と政治改革の問題について言申し上げなければなりません。
 宮澤総理、長期にわたる自民党一党支配のもとで利益誘導型の政治と金権腐敗政治が続き、総理大臣の選任に暴力団が関与するという事態まで生じたことに対し、国民の怒りと政治不信はかつてなく高まっております。我が国の議会制民主主義が危機に瀕していることは、これまで質問に立たれた各党各会派代表が繰り返し強調されたとおりであります。したがって、総理、今国会の課題は、何よりもまずこのような国民の批判に明確な回答を示し、政治不信の解消と議会制民主主義の再生に取り組むことでありましょう。
 しかしながら、総理、国民注視の中で行われたこの三日間にわたる質疑応答の内容は一体どうであったでしょうか。あなたの施政方針演説を聞いても、また、これまで総理が我が党の山花新委員長を初め各党各会派代表の質問に対して行った答弁を聞いても、佐川急便事件の徹底解明や政治改革に対する積極的な姿勢は全く感じられません。総理の答弁で国民の政治不信は本当に払拭されたなどとお考えなのでしょうか。私は、この際、宮澤総理の積極的な答弁をいま一度強く要求しておきたいと思います。
 さて、ここで私は、消費税、リクルート選挙で本院に議席を得ました者として、今日の国民の深い政治不信の原因の一つは政府・自民党の消費税問題の扱いにあることを強く指摘しておかなければなりません。
 自民党は、さきの総選挙で消費税の大幅減税を公約いたしました。しかるに、選挙後、自民党政府はこの公約をほごにし、税制改革協議を一方的に打ち切ったのであります。このことは政治不信を増幅しており、この問題の解決なしには国民の不信を解消することはできません。この点からも、消費税の逆進性の緩和を図るため飲食料品の非課税化を早急に行うべきだと思いますが、宮澤総理はいかがお考えでしょうか。さて、我が国の経済力に見合ったゆとりある豊かな生活の実現が国民的課題となっていることは言うまでもありません。もちろん、当面する景気対策も重要でありますが、景気回復という短期的課題も、効率優先の経済社会から国際経済社会に通用する生活者優先の経済社会への転換という長期的、構造的課題と整合的に追求されなければなりません。私は、このことを特に指摘して、以下具体的に質問をいたします。
 ゆとりのある生活の重要な柱の一つは、時間的なゆとりであります。現状は、ゆとりどころか、ドイツやフランスなどと比べ年間三カ月分も労働時間が長く、過労死も後を絶ちません。私たちは、年間千八百時間の達成という新経済五カ年計画の目標を実現するには、完全週休二日制、週四十時間労働制を実施し、あわせて、時間外・休日労働の制限や年次有給休暇付与日数の増加等の措置を講ずるための労働基準法の改正が必要であると指摘し続けてきました。
 政府も先ごろ、週四十時間労働制の導入等を内容とする労働基準法の改正案を中央労働基準審議会に諮問するに至ったことは、ともかくも評価をしたいと思います。しかしながら、時間外・休日労働の法定割り増し賃金率の引き上げには弱腰で、年次有給休暇の付与日数の増加も見送られるのでは、総理、これで果たして本当に年間千八百時間を達成できるのでしょうか。
 他方で、生活リズムを犠牲にするおそれのある一年単位の変形労働時間制を導入しようとしていることは許せません。年間平均すれば週四十時間におさまっても、特定の時期を見れば週六十時間も七十時間も働くことになる、これが総理の言うゆとりある生活の姿なのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、高齢化社会対策について質問いたします。
 宮澤総理は、前国会、我が党の代表質問に対し、厚生年金等の支給開始年齢を六十五歳に引き上げることは避けて通れない課題であるとの認識を示されました。しかし、避けて通れない課題と断定するには、条件はいまだ整っていないと言わざるを得ません。厚生年金の六十五歳支給案が見送られた八九年当時と比べ、六十歳前半層の雇用状況はほとんど好転していないばかりか、いまだに六十歳未満定年制の企業が四分の一を占めるというのが実情なのであって、六十歳未満定年制の禁止、雇用と年金の接続という大原則の確立こそ急務であると考えるのでありますが、総理の御見解をお聞かせください。
 高齢者の介護の問題も切実です。高齢者については可能な限り地域社会の中で生活できるようにすべきでありますが、その介護についても、これまでのように家庭に依存することを基本とするのでなく、基本的には社会全体で支えるようにすべきです。政府も確かに高齢者保健福祉推進十カ年戦略に取り組んでいますけれども、このいわゆるゴールドプランの目指す水準では不十分であります。我が党は、このプランを九六年度に前倒しして実施するとともに、新たなプランの策定を提案しておりますが、この点について総理のお考えをお尋ねしたい。
 あわせて、市町村が介護関連事業を実施しやすいように、国庫補助率のかさ上げのための特例措置の立法化が必要と考えますが、総理の見解をお尋ねしたいと思います。
 次は、地方分権の問題であります。
 総理は施政方針演説で、地方への権限委譲の推進を述べられております。しかし、実態はどうでしょうか。昨年末の総務庁の報告によりますと、国の許認可権は減るどころかかえってふえているのが実情です。また、今回の地方財政対策では、補助負担金の一般財源化、公共事業の補助負担率の恒久化がなされるとのことですが、負担だけが地方に押しつけられ、権限委譲は微々たるものです。我が党は、二十一世紀に分権型社会を実現するために、地方分権推進法の制定と分権推進の国会決議の採択を提唱しておりますが、総理は地方自治体への権限委譲についてどのようにお考えでしょうか。
 バブル崩壊により地方へも不況の波は押し寄せ、税収の落ち込みは深刻であります。一方、福祉や環境対策など地方財政の役割も大きくなっています。このようなときに、地方交付税は四千億円減額されます。これは地方自治体へのツケ回しにすぎません。総理、これがあなたのおっしゃる地方財政の円滑な運営なのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、農業問題について伺います。
 御存じのように、我が国の農業の危機的状況は極めて深刻ですが、総理も施政方針演説で触れられましたように、中山間地域対策が今日の農業政策を進めていく上で重要であります。
 今月十四日に発表された農政審議会の中間取りまとめでは、中山間地域における新たな高付加価値作目の導入や融資制度がうたわれております。しかし、今日の中山間地域農業の危機的状況を見るならば、新たな負債を生み出すおそれのある融資政策が果たして有効と言えるでしょうか。私は、今こそ、EC諸国で導入されている直接的所得補償制度、いわゆるデカップリング制度を我が国でも導入すべき時期に来ていると考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、林業問題について伺います。
 今日、農山村の過疎、高齢化等により、農業同様、林業も深刻な危機を迎えています。国土・環境保全、大気の浄化、水資源の涵養など森林の持つはかり知れない公益的機能を見るならば、我が国の林業の再建は国民的課題であります。総理はこの問題に一体どのように対処されようとしているのか、お伺いいたします。
 私は、この際特に、一昨年九月の台風による風倒木の被害問題を取り上げておきたいと思います。
 台風十九号の通り道となった地方の森林は壊滅的な状況であり、今日に至るもその復旧作業は思うように進んでおりません。これを放置すれば、第二次、第三次の災害が生じるおそれさえも指摘されています。この件について農水大臣はどのように考えられておられるのか、お示し願いたいと思います。
 次に、釧路沖地震について、災害に見舞われた現地の皆さんに対し心からお見舞いを申し上げますとともに、その復旧対策について政府の見解をお尋ねしたいと思います。
 我が党は、二十一日、佐藤副委員長を団長とする調査団を現地に派遣したのでありますが、降雪などのため下水道などの被害はなお十分把握できていない状況で、特に、公共施設である港湾、道路、橋梁、学校、住宅等住民生活に直結する施設の被害の大きさは、伝えられている以上に大きいようであります。災害復旧対策として、激甚災害指定の検討を初め早急に対応ができるよう現行法令を最大限弾力的に運用する必要があります。また、特別交付税の交付など地方交付税の支給時期や額についても弾力的な取り扱いが必要だと考えますが、いかがでございましょうか。
 次に、雲仙・普賢岳の噴火災害対策についてもお尋ねをいたします。
 雲仙・普賢岳の噴火活動は依然衰えず、なお二千人余りが避難生活を強いられております。島原地方の復興計画が早急に策定され、噴火活動が完全に終息しない段階でも復興の準備に着手できるようにすることが重要であります。そこで、大規模な集団移転の円滑な実施のための特別措置や復興計画の根拠規定、その他の特別措置を盛り込んだ島原地方の復興のための特別法を制定するお考えはありませんか。総理のお考えを聞きたいと思います。
 JR各社は、現在、時速三百五十キロを目指した次世代新幹線の開発競争にしのぎを削っておりますが、安全輸送の原点をいっときたりとも忘れてはなりません。鉄道の高速化、ハイテク化に見合った検査チェック体制の見直しと、十分な時間をかけての耐久車両試験を行うよう、この際強く求めておきたいと思います。
 一昨年五月に起きた信楽高原鉄道事故の原因が、一年半以上もかかって昨年十二月に最終報告が出されました。しかし、その内容は信楽高原鉄道側の安全確認ミスというだけのもので、疑問点が解明されたとは言えず、遺族関係者からは批判の声も出ております。しかも、運輸省の最終報告が出された後になって、滋賀県警の調べによって信号固定装置設計ミスの疑いが持たれていることも報道されております。このようなことが起こる原因は、現在の鉄道事故調査体制に不備があるからにほかなりません。
 米国では、独立した事故調査機関、国家運輸安全委員会、NTSBがあります。我が国でも鉄道事故について、航空機事故調査委員会や海難審判所同様の、独立した常設の第三者的な事故調査機関の設置が必要だと考えますが、総理、いかがでございましょうか。
 アンダマン海でのタンカー衝突事故を初めとして、最近タンカーの原油流出事故が続発をしており、深刻な環境汚染が懸念されております。油汚染に対する準備、対応及び協力に関する国際条約、OPRC条約を我が国も早期に批准すべきではないでしょうか。相次ぐタンカー事故の多発は、船舶の二重船体化の必要性をさらに高めております。我が国の企業は率先して二重船体化を図るべきと考えますが、そのための助成措置を検討すべきではないか。また、今後浮上してくると思われるマラッカ海峡の通航税問題についてどう対応するつもりなのか。これらの点について、総理の考えを明らかにしていただきたい。さらに、今回と同様な事故が我が国近海で起きた場合における具体的な対応策について明らかにしていただきたい。
 次に、高齢者や障害者といったいわゆる交通弱者に対する交通アクセスの改善を求めたいと思います。
 高齢化の先進国であるヨーロッパでは、交通弱者に配慮した交通施設が既に町の随所に取り入れられております。米国でも既に障害者法が制定されています。この面に関して、我が国はまだその後塵を拝しているというのが現状であります。国連障害者の十年は昨年をもって終了いたしましたが、引き続き、道路や各種の交通アクセスについて高齢者や身障者用の施設整備に取り組む必要があり、それを推進するための中長期計画の策定が必要であると考えますが、運輸大臣、いかがでございましょうか。
 次に、教育改革についてお伺いをいたします。
 業者テスト問題が大きな問題となっておりますが、受験生に多大の不安を与えたことは極めて遺憾であります。このような問題の提起は時期を考えてしてもらいたいものであります。しかし、受験のために学校教育の中に業者テストが横行するという極めて問題のある教育の現状の改革に手がつけられたということは、率直に評価をするものです。
 しかし、事は、文部省が業者テストについて物申したということで済む問題ではないと思います。業者テストの本質は一体何だったのか。業者テストは、知識の多寡を偏差値に置きかえて受験生の優劣を判断する現行の受験システムにおいては、募集する学校の立場、特に私立の高校の立場からは、いわゆる優秀な生徒をローコストで集める手段であり、受験生を送り出す学校にとっては、教え子を間違いなくいずれかの学校に送り込むために必要な手段となっているのであります。したがって、文部省は、業者テストをやめさせることだけでなく、偏差値受験のシステムの改革にこそ着手しなければならないのではないでしょうか。
 最近、新規採用に当たって学歴や学校歴を問わない企業が出てきております。この傾向はますます強まると考えます。偏差値受験のシステムによる学歴や学校歴でま社会の変化に対応できないということではないでしょうか。国際化社会、情報化社会と言われる今日では、多様な価値観に柔軟に対応できることこそ未知の課題に遭遇してもたじろぐことなく挑戦できること、また、自分の意見を価値観の異なる人々にも的確に伝えることができること等々の能力が求められているのであります。マル・バツ式の単一価値観に基づく暗記力だけを誇っていては困るわけであります。
 また、日米貿易摩擦やガット・ウルグアイ・ラウンドの知的所有権の交渉等を通じて独創的な科学研究のおくれが指摘されておりますが、ここでも、画一的な価値観から独創的な発想ができる人材が求められております。
 こうした観点からも教育の改革が求められているのでありますから、大学入試センター試験のあり方を含めて、受験のシステムが抜本的に見直されなければならないと考えるものでありますが、総理並びに文部大臣、いかがでございましょうか。
 宮澤改造内閣で、官房長官との兼務とはいえ女性担当大臣が誕生したことは、男女参画型社会の実現を目指す上でともかくも意義のある一歩として評価してよいと私は考えます。しかし、問題は、それによって政府の具体的な取り組みが前進するかどうかであります。
 例えば、二〇〇〇年に向けての女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略実施に関する第一回見直し勧告は、二〇〇〇年までに男女平等を達成するため、九五年までに指導的地位につく女性の割合を三〇%までふやすことを目標としています。政府もこれまで、女性の政策決定の場への参加促進のために、各種審議会等への参加率を高める努力をされていますが、目標自体が九五年までに一五%と低い上、昨年十一月現在の参加率は一〇%にとどまっているのが実態であります。このままでは、低く設定された目標でさえもその達成が危ぶまれるのであります。女性枠を設けるなど、より積極的な特別措置を講じる必要があると思いますが、総理並びに担当大臣、いかがですか。
 男女雇用機会均等法についても、同法の施行状況の点検と同法の規定の見直しを行い、より実効のある法律に改正すべきであると考えますが、総理、いかがでしょうか。
 また、一昨年、通常国会において一連の育児休業法が成立をし、昨年四月から施行されたところでありますが、休業期間中の所得保障問題は先送りされています。この際、労働者が安心して育児休業をすることができるよう所得保障制度の創設を積極的に検討すべきであります。同様に、看護・介護のための休業の法制化にも取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。総理の積極的な答弁を期待いたします。
 近年、仕事と家庭の両立を図れる勤め方として、パートタイム就労を選択する人が非常にふえてきております。パートタイマーは今や八百万人を数えると言われ、基幹的、恒常的労働力として日本経済に欠かせないものとなっております。しかしながら、パートタイマーの労働条件は劣悪であり、しかも、不況になれば真っ先に解雇され、いわゆる雇用の調節弁として扱われているのが実態です。我々は既に一年前、社公民連四党と民主改革連合共同のパート労働法案を衆議院に提出しており、この際、パート立法に対する宮澤総理の積極的な姿勢を示すよう強く求めた、と思いますが、いかがですか。
 さて、ことしは国連の国際先住民年であります。しかしながら、政府は今日に至るもなお何らの方針も計画も示しておりません。私は、まず我が国の歴史的事実を率直に認めること、そして、アイヌの民族的権利の回復を前提とした総合的な施策を推進するため、政府にアイヌ民族問題を担当する正式な窓口を設け、差別立法である北海道旧土人保護法を廃止してアイヌ新法を制定すべきであると考えます。政府も、この際、これまでの姿勢を改め、アイヌ新法制定を真剣に検討すべきと考えるのでありますが、総理、いかがでございますか。
 また、部落差別は今日もなお根強く残っております。一九六五年の同和対策審議会答申を踏まえ、立法措置を含む総合的な対策の推進が必要であります。
 さらにまた、在日朝鮮・韓国人等の定住外国人に対し、安定した在留権を保障するなど歴史的経過を十分踏まえた特別措置を講ずることを含め、賃貸住宅への入居差別の禁止、国民健康保険への加入促進など、在日外国人の人権を保障し得るよう国内体制の整備を図らなければならないと思いますが、これらの問題には一体どのように取り組んでおられるのか、総理のお考えをお聞かせください。
 最後に、総理、政治は決断と実行、結果に対して責任をとることだと言われています。佐川急便事件に対する責任の所在を明確にしないことが政治不信を招き、政治改革に対する決断のなさが既成政党に対する批判となってあらわれ、対応のおくれが景気の低迷を招き、いまだに暗いトンネルの中だと言われています。
 私は、主として内政問題を中心に質問いたしましたが、宮澤総理、私は理念や状況の説明は求めません。国民の納得する具体的な方策、決断と実行を求めて、私の代表質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 佐川事件につきまして重ねてのお尋ねでございますので、繰り返すようでございますが、国民の政治に対する信頼を回復するためには政治家個々の倫理の確立がもとより大事でございますが、さきの国会で成立をいたしました緊急改革に続きまして抜本的な政治改革を実現しなければならないと考えております。
 事件そのものにつきましては、関係当局が捜査、調査を継続している部分もございますし、裁判所で公判係属中の問題もございますので、それについてはその推移を見守る必要があると存じますが、国会における証人喚問の進め方等々、国会における御判断にまつべきものと思います。
 真相解明は重要でございますから、国政調査に対しまして政府としてももとより可能な限りの協力を申し上げる、これは当然のことでございます。
 次に、消費税のことについてお話がございました。
 このいきさつは御存じのとおりでございますけれども、政府が平成二年の三月に、飲食料品の小売段階非課税化等の特例措置を含む消費税見直しの法案を提出いたしました。しかし、これは審議未了になって廃案となりました。その結果、国会におきまして、立法府としての結論を出すということで税制問題等に関する両院の合同協議会ができまして、この点について長く御協議がありましたけれども、平成三年の十月において専門者会議の座長から、各党会派の意見の一致は見られなかったという御報告がございました。政府としては、このような立法府の御議論の経緯、結果を踏まえてその後運営をいたしておるところでございます。
 次に、労働時間の短縮は、生活大国の実現の上で最重要課題と思っておりますので、労働基準法改正につきまして現在中央労働基準審議会において、週四十時間労働制への移行、割り増し賃金率に係る規定の見直し等の御検討をいただいておりまして、また、御指摘のありました一年単位の変形労働時間制、御承知のように、一年の範囲内で一週平均四十時間以下とすること等を要件に週及び一日の労働時間の弾力化を図るという制度でございますが、これについても中央労働基準審議会で御検討いただいておるところでございます。
 いずれにいたしましても、審議会の答申を得ましたらこの国会に労働基準法改正案を提出いたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それから、厚生年金の問題でございますが、六十五歳に引き上げる前に六十歳未満定年制を禁止する、そして雇用と年金のいわば継続、接続でございますか、これを大事に考えるべきだという御指摘であります。
 今の時点で、六十歳の定年制というもの、これをまず確保しなければならないわけでございますが、導入予定の企業を含めますとほぼ九割を超える程度に定着をしつつあると思います。今後は、雇用と年金との連携を確保しつつ、六十五歳までの継続雇用の推進、それにもいろいろ態様があると思いますが、そういうことで高齢者に雇用の場をつくってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、ゴールドプランでございますが、ただいままでのところ目標に向けまして毎年度着実に、年度割りで、最重点施策として進んでおります。
 目標をもっと前倒しをしろ、早めろということでございますが、どうも現実の問題としてマンパワー等々いろんな問題がございまして前倒しということは容易ではないように思いますが、しかし、着実に計画どおりのことを実行してまいらなければならないと思っております。
 これについての国庫補助率は、地方と中央の機能分担、費用分担につきましての関係者のコンセンサスが大体できておりますので、今のとおりやらせていただきたいと思います。
 それから、地方分権につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたので繰り返しになりますけれども、やはり明治以来の富国強兵あるいは戦後の国の再建といったようなときに中央の力が非常に強くなければならなかったということはそれといたしまして、今日、生活の基盤になりますようなインフラストラクチャーとかあるいはいわゆるシビルミニマムはもう全国どこでも大体そろっておりますので、この上は地方の、殊に住民に身近な行政は地方に任せた方がいい、中央は余り口を出さない方がいいという全体の考え方は、私はまさにそういう時代であろうと思いますので、昨年十二月にも、地方分権推進の突破口としていわゆるパイロット自治体制度というものを閣議で決定いたしたところでございます。
 行革審の答申もございますので、権限委譲ということをできるだけ重点的に進めたいと思っております。
 それから、地方交付税を四千億円減額したということは、このような国の財政事情でございまして、地方も決して楽ではございませんけれども、平成五年度の地方財政では、住民福祉の向上、あるいは地方単独事業が景気回復には非常に大事な問題でございますので、その大幅な増額など財政需要を的確にきつくなく見込みました上で、その上で地方交付税総額につきまして特例措置をいたしたところでございますが、これにつきましては地方からの理解と協力を多としております。地方財政に迷惑をかけないように運営をいたしてまいりたいと思います。
 中山問地域等々につきまして、従来から、特別の有利な補助率の設定、採択基準の緩和等の措置をいたしております。また、農政審議会から特別の答申もいただいております。施策はそうでございますが、先ほどお話のありました直接所得補償制度を導入するかどうか、ECのような制度でございますけれども、そのことが地域全体の活性化あるいは地域における人々の定住にどれだけ効果があるのか、また、そういう問題についての国民的な合意がどうであろうかという難しい問題を抱えておるというのが率直なお答えでございます。
 それから、森林につきましては、緑と水の源泉でありますし、生活大国にとっても大切なもので、次の世代に大切に引き継いでまいりたいと思っております。山村、林業は非常に困難な状況に直面しておりますから、その振興を図るためには今後とも努力をしてまいらなければならないと思います。
 釧路沖の地震につきまして、関係省庁が一体となりまして現地調査をいたしております。そうして、今回の災害に対する応急対策と早期復旧に全力を挙げて取り組んでおるところでございますが、御指摘のように平成四年度の特別交付税の配分につきましては、被災団体の財政運営に支障が生じませんように迅速適切に対処をいたすつもりであります。
 雲仙・普賢岳のあのような状況が長く続いておりますことに、住民に対してまことに御同情にたえません。既にかなりたちました日時の中で、現在二十一分野にわたって総合的な被災者救済策を講じてまいりました。かなり施策としてはなれてもまいりましたわけでございますが、したがって、改めて特別法の制定は考えなくてもいいのではないかという考えでございます。
 それから、新幹線の高速化に伴う安全確保につきましては、当然でございますが、十分注意をいたします。
 また、鉄道事故については、現在鉄道事故の調査体制はまず整っておると考えておりますので、常設の調査機関を必要とするとは考えておりません。
 油の汚染についての関連で、OPRC条約の早期批准の問題をお尋ねになりました。この条約の趣旨は、我が国としても、油汚染事故全般に対処するための法的枠組みでございますので賛同できるものと考えます。したがいまして、国内法制の整備をしておかないといけませんが、その国内法制の整備もあわせまして、この締結につきまして鋭意検討をしてまいりたいと思います。
 それから、タンカーの二重底問題でございますけれども、我が国でもタンカーの二重船体化を促進しなければならないということは業界ではもとより常識になりつつございますが、平成五年度の税制改正におきましてこの二重船体化タンカーの特別償却を認めたいと思っております。これに特別償却制度を設けることによって二重船体化を推進してまいりたいというふうに思います。
 それから、マラッカ海峡の通航税の徴収という問題について御指摘がございましたが、我が国の船舶は非常にあそこを通っておりますから、通航税を徴収されるということは実は大きな関心事たらざるを得ません。国際海運に重大な影響を与えることになりますので、海峡利用国側の立場にも十分配慮をして、広く国際的な共通理解のもとに慎重に対処すべき問題と思います。
 なお、今回のようなタンカー衝突事故の未然防止あるいは油流出による汚染の防止等についても十分な配慮を払わなければならない。我が国としても、もとより政府も業界もそのように考えております。
 大学入試センター試験のことについてお尋ねがございまして、大学入試の改善は、常によりよい方途を求めて絶えず努力を続けていくべき重大な課題でございます。当面、現行制度の基本的な枠組みのもとで、受験生の能力、適性等を多面的に判定する方向での着実な改善、円滑かつ公正な実施が重要と考えております。
 それから、審議会等に女性の積極的な参加を求めるべきであると、うことは、私どもも実はそのことは痛切に考えておりますが、殊に審議会というものが、ほとんどのものが国民生活に非常に密接に関係をしておりますので、国民の半分を占めておる女性がそこで発言をされるということは大事なことでございますけれども、現在、審議会の委員の中で女性の占めておられる割合は大体一〇%でございます。
 それはいかにも少ないということはそのとおりと思いますので、今ともかく平成七年度までに一五%ということで一生懸命努力をいたしておりまして、新しい審議会ができる、あるいは既往の審議会の任期が参りましたときには殊に努めて女性の方々に新しく御就任を願うように考えておりまして、何とかしてまず一五%の水準というものに達したいとただいま考えておるところでございます。
 男女雇用機会均等法の施行状況の点検と規定の見直しにつきまして、やはり大分認識が広まってきましたが、一部には雇用管理に問題のある企業も見られるというふうに聞いておりますので、この規定の見直しを含めた有効な施策のあり方につきまして、婦人少年問題審議会に検討をお願いしたいと思っておるところでございます。
 育児休業、それと介護休業制度、二つについてお話がございました。
 育児休業をとられる労働者に対する経済的援助をどうするかということでございますけれども、なかなかそこまで行き切らずに、しかし今後の課題としてその問題が残っております。育児休業法が現実に施行されている状況を踏まえながら、この問題は残された問題として検討していかなければならないと思います。
 それに対しまして介護休業制度の方でございますけれども、これはまだ法律ができておるわけではございません。介護というものがだんだん働く人々の負担になっていく、殊に女性にとってそうなりやすいわけですから、今後この介護休業制度というものが何とかもっと定着していかなければならないということで、労働省がガイドラインを定めてこの制度の普及促進に努めておりますけれども、やがてはある段階で法制化が必要になるかもしれない。ただいまとしてはこの定着をまず図りたいというふうに思っております。
 パートタイム労働については、これからのいよいよ重要な就業形態になるように思いますので、法制化の問題については従来しばしば御要望を伺っております。現在、労働省で法制化の検討を進めておりまして、この国会に所要の法案をできるならま出させていただきたい、御審議をいただきたいというふうに今考えております。
 それから、アイヌ新法につきましては、北海道からの要望がございますので、関係省庁から成る検討委員会を設けて鋭意検討をいたしております。
 同和問題は、昨年改正されました地対財特法に基づきまして、残された物的事業のもう少し計画的な実施、それから法に定められた期限内の完了、あるいは啓発等の問題、それから地域改善対策を円滑に進めていくための行政の主体性の確立など、そういう問題について努力をいたしておりまして、昭和四十四年以来二十四年間にわたって関係諸施策の推進に努めてまいりました。この問題の一日も早い解決に努力をいたしたいと思います。
 外国人労働者につきましては、外国人労働者にも労働関係法令が適用されるわけでございますから、従来から、人権にも配慮しながら適切に対応してまいっておりますけれども、この問題はますます難しくなってまいりますので、行政の適切な運営に努力をいたしたいと思っております。
 残りの御質問につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣田名部匡省君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(田名部匡省君) 風倒木被害対策についてのお尋ねでありますが、お答え申し上げます。
 平成三年の台風十九号は、非常に広範囲にわたりまして大変な被害をもたらしたわけであります。特に、風倒木被害は地域林業に対する影響が大きく、重大な災害と認識をいたしております。
 このため、平成三年度及び四年度に、あるいは補正予算措置を含めまして、風倒木の処理や治山ダムの設置を中心として、災害のおそれの高いところから復旧対策を積極的に推進しておるところであります。特に、早急に対策を講じる必要のある箇所につきましては自衛隊派遣による風倒木の緊急除去も実施したところであります。
 十九号台風の被害は広範にわたっておりまして、その復旧は一定期間をかけて計画的に処理をしていかなければならない事情にありますが、今後とも、関係県との連携を密にしながら、二次災害防止に十分配慮して、積極的に被害森林復旧に取り組んでまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣越智伊平君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(越智伊平君) 高齢者、身体障害者の方々、こうした方々の公共交通施設についての御質問でございますので、お答えを申し上げます。
 高齢化社会の到来及び身体障害者の社会参加の要請等に対応するため、高齢者、身体障害者の方々が安全かつ身体的負担の少ない方法で公共交通機関を利用して移動することができるよう、鉄道駅におけるエスカレーター、エレベーターの整備やリフトつきバスの導入等の対策を進めてきたところであります。その結果、整備、改善は着実に進められつつありますが、まだ十分と言えるものではございません。
 今後、政府におきまして策定する障害者対策に関する新長期行動計画等を踏まえ、交通施設の整備に努めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣森山眞弓君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(森山眞弓君) いわゆる業者テストの横行によります弊害を少しでも除いていきたいという関係者の努力を評価していただきまして、ありがとうございます。
 高校教育改革推進会議におきましてかねて検討していただいておりましたが、昨日、高校入学者選抜の改善についての報告がまとめられました。この報告におきましては、いわゆる業者テストの偏差値を用いない入学者選抜の改善及び進路指導の改善につきましての提言が盛り込まれておりまして、文部省といたしましては、この報告を踏まえ、指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、この報告では、入学者選抜において生徒の多面的な能力、適性などが評価されますように、選抜方法の多様化、選抜尺度の多元化を図ることにつきましても提言されているところでございます。文部省といたしましては、この点につきましても最善の努力を尽くしていきたい考えでございます。
 大学入試につきましては、先ほど総理から既にお答えがございましたので省略させていただきます。
 いずれにいたしましても、事は中学校における業者テストや大学入試の問題に限らず、社会全体の意識の改革が必要であるということはまさに御指摘のとおりでございまして、文部省といたしましては、今後とも、各方面のお知恵をおかりし御協力をいただきまして、事態の改善にたゆまぬ努力を続けてまいる考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(河野洋平君) 国の審議会等委員に女性の登用を、参加率をもっと高めろ、こういう御指摘でございました。
 総理大臣からもお答えを申し上げておりますように、現在一〇%、およそ平成七年にそれを一五%にしようというのが目標でございます。しかし、これまでの足取りから考えてみて、それはそう簡単なことではございません。しかし、でき得る限り一五%を早く達成したい、こう考えておりまして、審議会の委員を推薦してくださいます関係団体に対しまして、推薦に当たってはできるだけ女性を多く入れてほしいということを一月十二日付文書でお願いいたしてございます。
 さらに、総理大臣を本部長といたします婦人問題企画推進本部というのがございますが、現在その会議におきまして各省庁に協力要請をいたしまして、でき得る限り達成したい、こう考えておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○副議長(赤桐操君) 青島幸男君。
   〔青島幸男君登壇、拍手〕
#29
○青島幸男君 私は二院クラブの青島幸男でございます。
 ただいま専ら国民の関心事になっております政治改革につきまして御質問申し上げます。
 総理も施政方針演説の中で熱心に説かれておられますが、どうしても私どもが受けとめた感じでは、論点が衆議院に偏っているように思えて仕方がないのであります。さきの国会で成立いたしました緊急改革にいたしましても専ら衆議院を中心としたものでございまして、参議院のありようについては注目すべき点は何も見出せなかったという感じがいたします。
 選挙制度の改革にいたしましても、単純小選挙区制か、比例代表を含む小選挙区制か、こういう衆議院の制度の論議が中心になっておりまして、選挙制度の改革が政治改革に影響を及ぼすことは十分認めますが、衆議院の選挙制度が変わりさえずれば一挙に政治改革が進展するというふうにはとても考えられません。
 改めて言わずもがなのことでございますが、国会には衆議院と参議院の両院があり、それぞれが本来の使命を全うしてこそ国民の負託にこたえ信頼が取り戻せるわけでありまして、参議院の存在を絶対に軽視するわけにはまいりません。
 私も、憲法に定めてございます二院の制度はシステムとしては非常によくできていると思いますし、守っていきたいと念願している者の一人でございます。ところが、現在の参議院のあり方を見ますと、残念ながら、立法したときに想定したようなチェック・アンド・バランスというような機能が十分に働いているとは到底申せません。かつては参議院内に緑風会という会派があって、十分に参議院の機能を発揮していたと聞いております。時の流れとともに政党化が進んでまいりまして、ついには自民党一党が衆参両院で過半数を占めるというようなことになり、完全にその特色は失われ、存在の意義すら問われるようになりました。参議院は衆議院のコピーと言われ、無用論が声高に論じられるようになりました。
 このありさまを見まして、昭和四十三年、今から二十五年も前になりますが、私は参議院の改革を目指しまして全国区に立候補いたしました。そのときのスローガンは、政党の支配下にその意義を失った参議院を良識の府として再建しようというものでございました。以来その旗印を掲げてやってまいりましたが、少しも実情は変わらず、非常にじくじたる思いでおりました。
 ところが、昭和五十八年、突如として参議院に比例代表制が取り入れられました。参議院を制度的に政党化してしまうことに結びつく、みずから参議院の意味を失わしめるような悪法が強行採決されたのであります。拘束式の名簿によって党員として当選した議員が、党籍を離れたとき、あるいは他の党へ移ったとき議席はどうなるかというような基本的な矛盾さえ解決されないままでありますし、選挙後見直しをするといった約束はほごにされ、当初断固反対を唱えていた野党も、そこそこの議席数を得て、その後沈黙してしまったように見受けられます。
 全国区は金と労力がかかり過ぎるからという理由で比例区にしたわけでございますが、一部の政党の中には、名簿の順位を上げてもらうために以前にも増して莫大な費用と手間がかかると嘆いている者もあると聞きます。改革の意味はどこにも見出すことができなかったと言っても過言ではありません。もとの全国区制に戻すか、あるいはブロック制にするか、それは今後の論議にまちますが、比例区を廃止して新たな視点で改革を図ることが肝要と考えます。総理の御見解をお尋ね申し上げます。
 それともう一つ、参議院から大臣、政務次官を出さないことです。そうすれば、各自みずからの栄達のために心を砕くこともなく、衆議院の動向に気を配る必要もなくなり、みずからの参議院の権威を高めるべく活動することができるようになるはずです。あわせて総理の御見解を承ります。
 次に大切なことは、党議拘束の問題であります。百人いれば百人の意見が異なるはずでございまして、同じ政党の中にいたからといって、必ずしもいつもあらゆる議題で全く同じ意見がそろうとは限りません。それぞれのよって立つ哲学と信条から考え方の相違はあるでしょう。小異を捨てて大同につくというのではなくて、小異を尊重することにこそ民主主義の意義があり、参議院の本旨がそこにあると思います。党議によって個人の意見を拘束することをやめる方向に進めるべきだと思いますが、自民党の総裁といたしましての総理の御意見を伺います。
 党議による拘束をやめ、議員各自がみずからの見識に基づいて勇気を持って断固おのれの信条に従って行動するようになれば、政党の上層部の一握りの人たちの談合によって政策が左右されるような、最も参議院にふさわしからぬ、いうところの国対政治も影を潜めるでありましょうし、ましてやこの談合に金が絡んでくるというような、国民の側から見れば最も許すことのできない不祥事も起こらなくなるに違いないと思います。
 参議院の存在は国費のむだ遣いである、参議院は要らないという無用論が叫ばれて長い年月がたってまいりました。今ここに会議のために集まっている参議院議員の諸君の中にも、参議院は要らないと思っている人は一人もいないはずです。また、参議院は未来永劫このままであって構わないという方もおいでにならないでしょう。今こそ参議院を改革すべきときです。
 まず、選挙の制度を政党色を排除する方向で検討し直すこと、いま一つは、やろうと思えばあすからでもできる党議拘束をなくすことです。選挙のときは仕方がないとしても、議長、副議長がその職にあるときは党籍を離脱するように、議員一人一人が全員党籍を離れて無所属議員になるぐらいの覚悟が必要です。みずからよって立つ思想や信条に従って、だれからの影響も受けずに、独立自尊、襟を正し、勇気と情熱を持って有権者の期待と負託にこたえる気概を持つべきだと思います。
 参議院の各党は、衆議院各党の隷属物でも支配下にあるわけでもありません。参議院は衆議院から明確に分離独立し、固有の立場を堅持し、衆議院よりむしろ上位にあって指導監督する立場に立つべきです。さすれば、今論じられている政治倫理審査会というようなものを考える必要はなくなるはずです。国民からも信頼され、政治不信を払拭することにつながるに違いありません。
 ただいま論じられている政治改革は専ら政治家の立場からでありまして、国民が何を求めているかがなおざりにされているように感じられます。国民の側から見れば、政治家は選挙のときだけ大声で勝手なことを言い、選挙が終われば知らぬ顔で、不満や要求の持って行き場がない。政治とのかかわり合いをどこに求めていくべきか、その場がない。実は多くの国民はそこにこそ怒りと不安といら立たしさを感じているのだと思います。
 昨年暮れ、私は、政治改革の手段の一つとして、百万枚のはがきをお寄せいただくように国民の皆さんに呼びかけました。日ならずして四十万枚という膨大な数のはがきが集まり、マスコミの支援もありまして、これは大きな世論の力となって実際の政治改革を大きく前進させることになったと私は信じております。このことをもってしても、国民の皆様が日ごろどれだけ政治に関心を持ち、政治とかかわり合う場を求めておいでになるかがわかるはずです。参議院が今こそ国民の怒りや不安やいら立ちを受けとめる場となるべきであると思います。
 今、エネルギー源としてプルトニウムが問題になっております。プルトニウムヘの道を選ぶか他の道をとるかはその国の文化が決めることだと言った人がいます。原子力委員会や政府が決定することではなく、国民の意思によって決められるべきだという意味です。国民の総意が反映し、文化が論じられるところとして参議院がその存在機能を明らかにすることができたときこそ、政治不信がその忌まわしい姿を消すときだと信じております。
 去年のことになりますが、この場でPKO法案に反対した諸君が延々と牛歩戦術を行いました。あの事実は、図らずも参議院の意味と重要さを広く知らしめることになったと思います。私はこの場にはいられませんでしたが、参加することはできませんでしたが、長時間にわたりて罵声に屈せず屈辱に耐えて牛歩をやり遂げた同僚諸君の勇気と情熱に心から敬意を表します。やがて改革が実ればこのような手段に訴えなくて済むようになることも添えて申し上げます。
 最後に、定教是正など選挙に関する問題は第三者機関にゆだね、その決定に完全に従うことにし、選挙のやり方はすべからく公営の方向で行うよう推し進めるべく検討すべきと考えますが、総理のお考えをお尋ねいたします。
 議員諸氏の誠意と意欲に期待をいたしまして、一日も早く参議院の改革が進むこと、実が上がることを祈念いたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆参両院の選挙制度が相互に密接に関連していることは、御指摘のとおり、また申し上げるまでもないことでございますが、先般、自由民主党が政治改革の基本方針を策定いたしました際に、衆議院に小選挙区制度を導入することが議論されたわけでございますけれども、その関連におきましても、参議院が比例代表制を持っておられるというようなこととの関連で、やはり参議院についてもその改革を議論していただかなければならないということでございました。また、現在、参議院自民党に設けられました参議院改革に関する研究会を中心に、鋭意検討旧しておられるところと承知しております。今後、各会派間で十分御論議をいただきたいと存じます。
 次に、参議院から大臣、政務次官をお出しになるのをおやめになるべきだという、こういう御主張であったと思いますが、参議院は申すまでもなく、衆議院に対する抑制、均衡、補完等々、衆議院とは違った役割を果たされることが憲法上も期待されておると思います。国政のために、国務大臣あるいは政務次官、適材を簡抜して適所に任用すべきものと考えておりますので、任用に当たりまして参議院議員であるからこれを排除するといったようなことがある必要はない、むしろ、人材であれば国政にそういう形で参画をしていただくことは大切なことではないかというふうに思っております。
 それから、参議院におげる党議拘束の問題についてお話がございまして、かつての緑風会のことについても御言及がございましたけれども、結局、国家国民のためにどういう政策を選択するか、あるいはどうやってこれを実行していくかということは政治家としての使命でございますが、そのために政党というものがしばしばある。その政党というもの、これは、志を同じくする人々が集まって、民主的な議論を重ねて一つの結論を出すところでございますから、そのこと自身がもちろん悪いということはあり得ない。
 ただ、参議院というものは衆議院と違った機能を持つのであるから、そうではなくて、一人一人がむしろ独立した判断を持つことが望ましいというのは、私は一つの御見識だと思いますが、それはやはりおのおのの会派においてお決めになることではないであろうかというふうに思います。
 つまり、要は、会派と申しましてもグループと申しましても、党内での、あるいはその内部での個々の議員が自由闊達に議論をされる、そういうことが大事であるのではないか。その結果として、一つの結論を出してそれに結束されるのか、あるいはそうでなくてお一人お一人が自由な立場で態度を決せられるかというのは、おのおのその会派の合意と申しますか、カラーと申しますか、そういうことで決まっていくのではないかというふうに、私よくわかりませんが、そういう感想を持っております。
 それから、プルトニウムのことでございますけれども、プルトニウムの平和利用を含む我が国の原子力開発利用の基本政策につきましては、原子力委員会及び関係各省庁において、関係者の意見を求めて、十分に留意しながら進めてまいっておると思います。
 原子力開発利用の基本政策については、原子力基本法の規定に基づいて原子力委員会が策定をいたしておりますけれども、原子力委員会が独走をしておるというわけでは私はないと思いますので、恐らく御指摘の点は、冷戦というようなものが終わって世界のいろいろな事情が変わってきている、あるいはこういう問題についての国内の世論の動きもあるということをおっしゃっていらっしゃるかと思いますけれども、現在、原子力委員会が国民の気持ちを離れていわば独走しているというふうには私は思っておりません。
 それから、最後に、選挙のいわば公営化ということについてのお話であったわけでございますけれども、選挙に金のかからないように、公正な選挙が行われるようにという、そういう見方からいろいろな形で国のそれについての助成なり関与なりが大事だということは、だんだんコンセンサスが広がりつつあるのではないかと思います。先般の緊急改革におきましても一部そういう部分が導入されておりますが、なお抜本改革におきまして、自由民主党といたしましては、選挙についての公費の導入ということを政党本位の立場から行いたいというふうに、そういう基本方針を先般策定したところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(赤桐操君) このまましばらくお待ちください。このまましばらくお待ちください。
    ―――――――――――――
#32
○副議長(赤桐操君) これにて質疑は終了いたしました。
  本日はこれにて散会いたします。
   午後三時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト