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1993/05/18 第126回国会 参議院 参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第17号
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1993/05/18 第126回国会 参議院

参議院会議録情報 第126回国会 本会議 第17号

#1
第126回国会 本会議 第17号
平成五年五月十八日(火曜日)
   午後三時四十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十七号
  平成五年五月十八日
   午後三時三十分開議
 第一 国務大臣の演説に関する件
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、身体障害者の利便の増進に資する通信・放
  送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件
 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これより発言を許します。林大蔵大臣。
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(林義郎君) さきに国会に提出いたしました平成五年度予算につきましては、去る三月三十一日に成立を見、既に着実に実行に移されているところでありますが、今般、さきに決定されました総合的な経済対策を受けて平成五年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、今般、新たな経済対策を策定するに至った背景として、最近の経済情勢について申し述べます。
 我が国経済は、昨年八月の総合経済対策に盛り込まれた公共投資の本格的な実施や二月に行われた第六次の公定歩合の引き下げ、景気に配慮した平成五年度予算の成立等により、現在、景気回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきております。しかしながら、景気はいまだ予断を許さない状況にあり、政府としては、今後の景気の足取りを一層確実なものとするため、去る四月十三日、予算の成立直後という極めて異例の時期ではありましたが、史上最大の事業規模の総合的な経済対策を決定いたしました。
 今回の対策においては、厳しい財政事情のもとではありますが、公共投資等の拡大、政府関係金融機関の活用、住宅取得促進税制の拡充や設備投資減税など、実効性の高い内需拡大策を盛り込んでおります。また特に、厳しい経営環境に置かれている中小企業に対しては、その金融の円滑化を図るための諸措置を実施するなどさまざまな面での配慮が払われております。さらに、今回の対策における社会資本の整備に当たっては、社会経済情勢の変化や将来への展望を踏まえ、景気の現状に的確に対応していくという観点から、さまざまな分野に幅広く投資を行うことにより、その効果が景気に対し、より広範にかつ速やかに及ぶよう、その新たな展開を図ることとしております。
 なお、対策に盛り込まれた住宅取得促進税制の拡充、設備投資減税などの税制上の措置につきましても、租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
 政府としては、今回の対策が昨年夏の総合経済対策、景気に配慮した平成五年度予算と相まって、我が国経済の内需中心の持続的成長の実現に資するものと確信しております。
 先日、ワシントンで開催されました先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議においても、このたびの経済対策は、内需中心の持続的成長を達成するための貢献として歓迎されたところであります。
 また、為替相場につきましては、為替相場は経済の基礎的諸条件を反映すべきものであり、過度の変動は望ましくないということに合意し、従来からの政策協調と為替市場における協力の実施が改めて確認されました。我が国としては、今後とも主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じて為替相場の安定を図ってまいりたいと考えております。
 極めて厳しい財政事情のもとで、今回の総合的な経済対策を実施するためのやむを得ざる措置として、公共事業関係費等の投資的な経費の追加に対応するものにつきまして、建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することといたしました。この結果、我が国の公債残高は平成五年度末には約百八十四兆円にも達する見込みであり、巨額の国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的な厳しさはますます深刻さを増しております。今後検討が開始される平成六年度予算におきましては、このような状況を踏まえ、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本とし、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことを目指して、従来以上に、制度の基本にさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行い、財政改革を強力に推進していく覚悟であります。
 次に、平成五年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました総合的な経済対策の一還として、一般会計につきましては、歳出面において、公共事業関係費の追加として、一般公共事業関係費一兆二千億円、災害復旧等事業費四千十七億円を計上するとともに、一般公共事業等に係る所要の国庫債務負担行為の追加を行うこととしております。また、教育、研究、医療、社会福祉等の各種施設整備費等の追加として六千二百億円を計上しております。さらに、中小企業等特別対策費八百七億円を計上するほか、民間における社会資本整備のうちでも特に緊要なものの促進を図るための産業投資特別会計への繰り入れ百六十五億円等を計上しております。
 また、ロシア連邦等における市場経済や民主主義に向けての改革を支援するとの観点から、人道支援、技術支援、核兵器の廃棄への協力等を行うための経費として四百十一億円を計上しております。
 他方、歳入面におきましては、税収について今回の対策に盛り込まれた税制上の措置を実施することに伴う減収見込み額一千四百六十億円を減額するとともに、皇太子殿下御成婚記念貨幣の発行に伴う増収として貨幣回収準備資金受け入れ六百二十五億円を計上するほか、建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することとしております。
 また、年度開始直後ではありますが、今回の補正予算における財源を捻出するためのやむを得ざる措置として予備費二千億円を減額することとしております。したがいまして、今後、年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む必要があると考えております。
 なお、地方財政につきましては、さきに申し上げました税制上の措置の実施に伴い、地方交付税の算定の基礎となる所得税及び法人税の収入見込み額が減少することになりますが、平成五年度の地方財政の円滑な運営に支障を生ずることのないよう当初予算額どおりの地方交付税総額を確保することとし、このため、当初予算において講じた地方交付税の年度間調整としての特例措置を縮減することとしております。
 これらの結果、平成五年度補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対して二兆一千八百八十七億円増加して七十四兆五千四百三十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても所要の補正を行うこととしております。
 財政投融資計画につきましては、今回の総合的な経済対策を実施するため、この補正予算におきまして、住宅金融公庫、中小企業金融公庫等三十一機関に対し、総額三兆一千五百六十七億円の追加を行うこととしております。
 以上、平成五年度の補正予算の大要について御説明いたしました。我が国経済の足取りを一層確かなものとするためにも、何とぞ、関係の法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(原文兵衛君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。櫻井規順君。
    〔櫻井規順君登壇、拍手〕
#6
○櫻井規順君 ただいまの財政演説に対しまして、私は、日本社会党・護憲民主連合を代表いたしまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 本年三月三十一日成立いたしました平成五年の本予算がほとんど執行されていないほぼ一カ月後の本日、その同じ通常国会の最中に、一般会計、特別会計、政府関係機関の三予算を全面的に補正する補正予算案が提出されたことはまことに異常事態と言わざるを得ません。
 本予算の国会審議の中で、所得税減税も入らないのでは不況対策としても弱いとの我が党の主張に対し、内閣は本予算案はベストであると答弁をしてまいりました。その日も渇かぬ間に補正予算とは内閣の責任問題と言わざるを得ません。本予算に対してとるべき内閣の責任と基本姿勢から見て、この事態は総辞職にも値するものだと考えます。さらに、補正予算の提出に当たって、所得税減税を中心に激論が展開されてきた経緯から見ても、所得税減税を柱とする与野党合意の補正予算を提出すべきものであったと考えます。この点についてどう総理は責任をとるか、まず最初に総理に質問をするものであります。
 財政法は、当初予算を編成する際には、年間の政策判断として必要なものはすべて予算計上すべきものとうたつているのであります。今次のこの補正予算案提出の事情ですが、財政法第二十九条に照らして、予算成立後に特に緊要となった本予算補正の必要性とは何であったのか、まず質問をするものであります。
 今我が国の経済は底入れしたかの不況局面に襲われているわけでありますが、この不況を二重底に落とさないために、でき得れば今少し出てきた明るい局面を一気に上昇させようとすることは当初予算編成時点からわかっていたことであります。問題は、省庁別のシーリング枠、そしてここ十数年にわたって変化のない公共事業費の事業別割合の堅持という大蔵省の頑迷固陋な編成方針にあり、それゆえに我が国の当初予算は生きた経済局面にこたえられない実態にあると断ぜざるを得ないのであります。この点について総理の見解を伺うものであります。
 続いて大蔵大臣に伺いますが、不況脱出に追い打ちをかけたこの補正予算案は、新規政策経費を計上したり、シーリング枠から外れる経費の増額を図っているわけですが、これは補正予算の本来の考え方を大きくゆがめているのではないでしょうか。ことしの経済社会情勢の変化と対応を考えたときに、今後の財政運営のあり方とあわせていかがでしょうか。我が国の経済情勢、不況の現在の局面の特徴は何か、そして景気の先行きについてどう観測され、この総合経済対策にどのような役割を果たさせる見通しなのか、総理並びに経済企画庁長官にこの際伺っておきます。
 この補正予算案は、四月十三日の閣議決定の総合経済対策を実施するために編成されたものですが、総理はこの計画をかばんの中に入れてアメリカで四月十七日に宮澤・クリントン会談を持たれたわけであります。ところが、この会議の直後から急激な円高が進行し、景気回復の芽を摘み取る状況に今日置かれているわけであります。宮澤総理はこの事態を予測していたのか、一体何をクリントン大統領と約束してきたのか、その責任は極めて重大であります。円高が進行する中で、我が国経済が低金利で巨額な経常黒字を抱え、また一方で官民協調的な株高誘導などバブル再燃の条件が出そろっているわけですが、宮澤総理に、クリントン大統領との会談の内容は何であったか、そして我が国の経済運営の当面の考え方を伺うものであります。
 さて私は、不況脱出にとって今次補正予算の決定的な欠陥は大型所得税減税が盛り込まれていないことにあると考えます。今次不況の最大の要因は民間の最終消費支出の著しい落ち込みにあり、不況対策に何より大切なことは所得税減税であります。平成五年度予算案の衆議院での議決に先立つ書記長・幹事長会談での梶山幹事長の所得税減税を前向きに検討するとの約束は今日なお守られていないのであります。国民総支出の中の一〇%台の公共事業にのみ偏り過ぎた対策ではなくて、その六〇%を占める最終消費支出を直接に高める所得税減税が必要であります。
 特に、サラリーマンの給与所得税は年収一千万円までの所得に対して急進的な累進課税になっているため、一九八九年の前回の所得税減税の時点に比べて、一九九二年の十月の段階で所得税は七兆三千九百億円の伸び、この間の法人税は、不況と減税措置などもあり三兆四千億円の減収となり、国そして自治体もまた今日サラリーマンの税増収によって息をついているのが現状であります。一方、サラリーマンの可処分所得は、昨年以来対前年比でマイナスを記録し続けているわけであります。まことに問題であります。今日、不公平税制の最たるものは、物価上昇に伴う必要経費も認められず減税もないサラリーマンの所得税と消費税であります。
 総理並びに大蔵大臣に質問いたしますが、今次の補正予算の中で大幅な所得税減税を緊急に実現すべきものと考えますが、責任ある明確な答弁を求めるものであります。梶山幹事長の約束をどう果たすかもあわせて御答弁いただきたいわけであります。
 例年よりも早く来月から政府税調を始めるとのことでありますが、一千万円以下の給与所得税を低所得者層の増税を伴わない累進税率の緩和を図るように対応するよう強く求めるものであります。
 あわせて、さきの総選挙において自由民主党が食料品に関連しての消費税の非課税を公約しているわけでありますが、次の総選挙も近づいてきているわけでありますが、この公約をどうするのか、自民党の総裁でもある宮澤総理の答弁を求めるものであります。
 大蔵大臣、所得税減税は消費税の引き上げとセット、あるいはこれ以上の国際貢献には消費税のアップが必要と一部の人の話題に上っております。私は、消費税を廃止し個別物品税に再整備すべきものと考えますが、大蔵大臣はこの機に、近い将来税率を上げるつもりなのかどうか、明快な答弁を求めるものであります。
 大蔵省は、来年度の予算編成に当たって、旧態依然として経常経費前年度比マイナス一〇%シーリングの概算要求基準を決めたとのことであります。まことに硬直化した財政姿勢であると言わざるを得ません。国内外の生きた経済社会状況に対して、我が国の当初予算は来年もまた有効に対応できないことを宣言したものと理解いたします。二十一世紀に向けて、今日の経済社会状況は大きく変化しているわけであります。
 一九六〇年代の高度成長期は重化学工業的産業がリードし、七〇年代、八〇年代のいわば中成長は知識集約型産業として成功した基幹産業がリードしてきましたが、二十一世紀に向けてのこの九〇年代の低成長は、いわば新しい内容の公共事業を触媒とした社会開発産業がリードする時代を迎えているわけであります。環境と共存し、先端技術の導入による産業の市場需要と供給構造の適合、市民生活の精神文化の尊重、社会の高齢化、少子化等々、我が国もまた欧米と同じように成熟社会の時代を迎えているのであります。
 その意味で、社会資本整備の新しい展開は、公共事業の従来の枠を超えて、地域社会が求める新たな教育条件の整備、都市再開発、防災、中水道、交通管制、地域冷暖房、大気汚染監視、福祉医療緊急システムの整備など、全産業に参加の道を開く公共事業に挑戦することが緊要であります。公共事業の省庁間の割合の堅持などという慣行は捨てて、公共事業を文部省も厚生省も、すべての必要な省庁が共同で参加する社会整備事業へと発展すべきものと考えますが、総理のお考えを伺うものであります。
 ここで、今日、公共事業の談合等が大きな問題になり、国民の大きな疑惑と不信を呼んでいるわけでありますが、総理のこの点に対する対処方針、見解を伺うものであります。
 新社会資本整備についてシーリング枠を外すとの情報が流れていますが、それは大変結構なことだというふうに思うわけであります。今、シーリング枠から当面まず外すべきものは高齢者福祉と教育分野と自然防災であります。総理の前向きの答弁を期待するものであります。
 二十一世紀に向けて、アメリカがカナダなどとNAFTAを、ヨーロッパ諸国はECへと経済ブロックを形成していますが、日本は開かれたアジア・太平洋を大きく組織しながら、東アジア、とりわけ北東アジアの経済的、社会的開発と協力関係の確立が急務となっているのであります。
 ロシア支援がこの補正予算に盛られているわけですが、総理並びに外相にお伺いいたします。
 北方領土返還と経済協力についての政経不可分の原則を緩めたのは結構ですが、なぜでしょうか。私は、ロシア支援はモスクワ政府への一般的援助よりも北東アジア、極東ロシアの各共和国、自治区、沿海州、サハリンなどの諸国との具体的プロジェクトを特定し、環日本海経済圏発展の実のある支援協力に集中することが大切であると考えます。いかがでしょうか。
 さて、我が国が直面している若干の重要問題について質問をいたします。
 その一つはカンボジア問題であります。
 最初に、国連のもとでカンボジアの民主主義と平和の確立のために献身、殉職された中田厚仁さん、高田晴行さんの霊に哀悼の意を表し、負傷された方々の一日も早い回復を心よりお祈りするものであります。
 いよいよ二十三日からカンボジア立憲議会の総選挙が行われようとしているわけであります。第一に、カンボジアの最近の情勢を直視するならば、停戦の合意などPKO五原則は崩壊しています。したがって政府は、すべての派遣要員の活動を中断し撤収すべきであります。第二に、撤収完了までは派遣要員、ボランティアなどすべての滞在者について万全の安全を確保すべきであります。第三に、日本政府はカンボジア和平の枠組みであるパリ和平協定の再構築のために関係国とともに最大限の努力を尽くすべきであります。
 以上の諸点について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 最後に、政治改革について質問をいたします。
 今、日本じゅうの国民がこの百二十六国会においていかなる政治改革が実現するか注目をしているのであります。各種世論調査が明らかにしていますように、今国民が国会に求めていますことは、政治腐敗の構造をいかに断ち切るかにあります。政治腐敗の究明の上に立って、まず政治倫理の確立てあり、政治腐敗行為の有効的な追放措置であり、これが今次政治改革の目的であります。このための法案として、我が党は政治倫理法と政治資金の改正法案、公職選挙法の連座制の強化などを提案しているのであります。総理、今国会がいかなる事態になっても、この目的は、必要な法的整備を進めて完全に実現することをまずお約束いただきたい。いかがでしょうか。
 さらに、この目的実現のために選挙制度の改革を進めなければなりません。衆議院において審議が今進められているわけですが、国民的な合意の得られる選挙制度は、投票結果が公正に議席にあらわれる比例代表制にあることは明らかであります。小選挙区制は地域において政治家を選出する上で意義のある制度であります。しかし、議席数の確定には余りにも無理があります。我が党の小選挙区併用型比例代表制は我が日本社会党に不利になりますが、それが最も公正なるがゆえに提案をしているわけであります。お互いに歩み寄るしかないわけであります。
 総理、今国会で選挙制度の改革を必ず実現するために、みずからの提案を修正してどう合意を見つけるか、決意をお聞かせください。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(宮澤喜一君) 当初予算を御審議いただき成立いたしましてまだ日もたっておりませんのに、同一会期に補正予算を出すというようなことは甚だ不見識なことであるという御批判をいただきました。
 確かにこれは極めて異例なことでありますことは御指摘のとおりでございますが、実は昨年の八月に総合経済対策をかなり大きな規模のものをいたしました。その補正の御審議をお願いいたしましたが、これにかなりの時間を要したわけでございます。その間、本年度の、平成五年度の予算編成におきまして公共事業等を中心に財投も地方単独も一二%余りの大きな公共投資を組んでおります。これを年度内に成立させていただきましたのでその執行が始まっておるわけでございますが、御承知のようにこのたびの経済というのが、ただ経済循環の問題だけでなく、いわゆる逆資産効果というものを背景に持っておりますので、景気の足取りというものは幾らか明るいところも見えてまいりましたけれども、なおここで経済の足取りを確固としたものにいたしたい、こう考えまして総合緊急経済対策を策定いたしまして、またそのための補正を御審議いただいておる。
 一つの国会で二度御審議をいただくのはまことに御指摘のように恐縮なことでありますけれども、実は昨年、補正の成立が非常に延びたということがやはりこの景気の回復に相当の影響をいたしました。したがいまして、まことに異例なことではございましたが、続いて補正をお願いいたすのでございますが、国会がそのような補正の審議をしていただいているということ自身は、経済の回復に必ずいい影響を持つものと考えております。秋まで待つということでないということについては、必ずこれは心理的な影響もあるものと存じます。昨年からのたび重なる緊急経済対策の効果も累積をしてまいりますので、ここで景気回復の足取りが確固たるものになると考えておりますので、ひとつこの補正につきましてはできるだけ早く御審議の上成立をさせていただきたいと存じます。
 それから、一般的に予算のシーリングというものが財政の機動的な運営を妨げておるのではないかという御指摘がありました。
 シーリングというのは、申すまでもないことですが、各省庁が自分の予算の中で優先度の高いものを残し低いものを削るという、そういう意味での役割を果たしておりまして、効率的な財政の運用には寄与しておる、これは確かと思います。ただ、一つの制度にはメリットもデメリットもございますので、予算の機動的な運営を妨げるようなことになってはいけない、それは今後とも心して運用してまいりたいと考えております。
 それから、このような補正予算あるいは総合経済対策がどのような役割を果たすかということでございますが、昨年からのいろいろな公共投資の累積効果あるいは中小企業等に対する施策等々合わせまして、殊にこのたびの十三兆という施策はドルに直しますと千百何十億ドルでございますので、かなり大きなものでございます。これは経済の上で影響を及ぼすことは間違いないと考えておりますが、住宅建設が多少回復し始めている、あるいは在庫調整も業種によりますがかなり進んできたように思いますし、株価も堅調であるというようなそういう動きも見えておりますので、ここでこの景気の足取りを確かにいたしたいというふうに考えています。
 試算によりますと、このたびの総合経済対策の一年間における乗数効果はGNP名目で二・六と言われておりますので、かなり大きいものであると思います。なお、それに算入されませんところの金融であるとかあるいは電力会社等々の投資等がございますので、相当大きな総合的な効果があるものというふうに考えております。
 それから次に、日米会談について御言及がございました。
 もちろん、クリントン大統領と私との二人だけの会談の中で、為替について、それが貿易赤字改善への効果等々について話があったわけではございません。それからまた、クリントン大統領の記者会見自身も、私は横で見ておりましたが、円高を導入することによって当面の貿易赤字をどうしようというそういう意図を持って発言されたものではないというふうに私は実は今日も受け取っております。もちろん、日米間で何かそういうことについての約束があったわけではございません。その後、いわゆるG7の会合がございましたときに、為替というのはファンダメンタルズによって動くことが望ましい、それを維持するために各国が協調するということが確認をされておりますので、それによりましても明らかであろうかと存じます。
 それから、ちょっとお話の中で、現在の経済状況の中でまたバブルの再燃というようなことも気をつけなければならないという御指摘があったように承りました。
 これはもう十分気をつけるべきことでございますが、現在の地価あるいは株価の動向は昭和六十二年以降のようなああいうことはございませんし、またモニター制度であるとか地価対策であるとかいうこともできております。また、経済力の自律回復力も幸か不幸かそれほど楽観できるわけではないというふうに見ておりますので、その方のことは十分用心はいたしますが、ただいま心配をすべき事態ではないであろうと思います。
 所得税の減税につきましては、予算審議の過程におきまして各党協議会が設置されまして、今日に至るまで各党間で御協議がございます。その結果にまつということでございますが、減税という
ことになりますと、以前にも申し上げましたが、このための必要な財源をどうするか、あるいは税制全体との関係でどういう位置づけを与えるかというような幾つかの問題があろうと思います。
 しかし、だんだんいわゆる税制調査会等々でも議論があるのではないかということにつきまして、政府税調が将来の税制の全般的改正に着手をしたということはまだございませんのですけれども、しかし昭和六十二、三年のときにいたしました税制改革で所得税についても大幅な累進緩和、簡素化をいたしました。結果として、我が国の課税最低限は大変に高い、それから中、低のところの税負担は比較的低いわけですけれども、しかし累進はかなりきつい、そういう構造になっております。
 したがって、イギリスなりアメリカなりのところまでもう少し累進を滑らかにして、刻みを少なくするということが中堅層の税負担のいわゆる重税感というものを除くゆえんであるというふうに私自身は考えておりますが、ただ、したがりてそのためには相当な財源が要るということにもなります。しかしいずれにしても、この問題はやがて取りかからなければならない、前回の税制改正においてし残した部分であるというふうに私は認識をいたしております。
 それから、飲食料品の消費税を非課税にするということにつきましては、国会におきまして両院合同協議会が設置されまして御協議がありましたけれども、平成三年十月の協議会で各党会派の意見の一致が見られなかったという報告がなされたというふうに承知をいたしております。
 それから、公共事業というものが新しいニーズにこたえなければならないということは私も痛感をいたしております。いわゆる生活大国におきましてもそれは大事なことでありて、住宅あるいは下水道事業等々につきましてできるだけ大きなウエートを与えますように配慮いたしておりますけれども、今回の補正におきましてもその点はかなり顕著な配慮をいたしております。
 また、そのほかに、いわゆる新社会資本というような俗に言われております通信でありますとか、あるいは別な観点から福祉でありますとか、研究、学術等々に対するもの、これも大事なことであるというふうに、これはおっしゃいますように新しいニーズにこたえていかなければならない。
 それとの関係で談合に一言お触れになられましたと思います。建設省では、かねて審議会の答申がございました。指名競争ということはこれはいろんな意味でやむを得ないであろうけれども、しかし入札のための透明性あるいは技術の評価等々については改善の余地が大きいということで改善に着手をいたしたところでございます。
 それから、ソ連との関係でございましたが、なぜ政経不可分ということを言わないようになりたか。それは、ゴルバチョフ以前の時代に、両国間に領土問題はないという主張をソ連側がいたしておりました。そういうことでありますと、これは両国間の正常な関係というものは難しいと考えていましたが、ゴルバチョフ時代以降領土問題の存在ということを認めるようになり、かたがたソ連がああいうことになりましたので、我が国がまた援助をする必要も生じました。それで拡大均衡という言葉を用いることになったわけでございます。
 しかし、そのようなロシア支援は、我が国にとって縁の近い地方、環日本海圏の支援あるいは協力になるべく集中すべきとおっしゃることは、私もそう思っています。ロシア極東地域に対しまして、殊に食料等々の援助をいたしますときに、いわゆる食料、医薬品等々のマネタイゼーションはこの地域を中心に行っております。沿海地方、サハリン州及びハバロフスク地方を初めとして対象となっております九つの都市のうち七つの都市が極東に位置をいたしておりまして、これは自然にやはりそういうことがお互いのためにいい、将来を考えましてもそれが好ましいのではないかというふうに考えてそういう努力をいたしております。
 それからパリ和平協定の再構築ということにつきまして、この問題につきましては先日も御説明を申し上げました。有権者の九割以上であります四百七十万が選挙登録をしておるわけでございますので、これは国民の大多数が望んでおるということは明らかと思います。今選挙妨害があり、なお武装解除が不十分でございましたのでいろいろ御心配のような事態がございますけれども、五原則そのものは崩壊をしていると思いません。この選挙というものは、カンボジアの永続的和平と国民和解の上で極めて大切なものと心得ております。
 それから政治改革ですが、もとより政治倫理の確立は大事でございますが、政治資金というもの、これと選挙制度というものは切り離せない関係にございます。したがって、私は、今国会におきまして各党がいろいろな案を出しておられますので、その中から政治改革の成案が得られるように念願をいたしますし、もとより私としても最大限の努力を払ってまいります。
 各党とも何かしなければ国民の政治に対する不信は除けないということを強く感じておられますので、各党が論議を詰めていただきますならば、必ずや合意点を見出していただけるものと念願をいたしております。
 残りの問題につきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(林義郎君) 櫻井議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず最初にありましたのは、財政法二十九条に照らして当初予算成立後に特に緊要となった本予算補正の必要性というのは何だ、こういうふうな御質問がございました。
 財政法二十九条には「予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費」であれば補正計上を認めておるところでございます。現在の景気は回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきておりますけれども、まだ予断を許さない状況にある。今後の景気の足取りを一層確実なものにするために、去る四月十三日に総合的な経済対策を決定したところでございまして、今回の補正予算はこの経済対策を実施するため必要な公共事業関係費等の追加に加えまして、対ロシア連邦等支援関係の経費等特に必要となった経費を計上しておりまして、財政法に定めるところの補正予算の考え方に沿ったものであるというふうに考えております。 
 いずれにいたしましても、我が国経済の足取りを一層確かなものとするためにも本補正予算の円滑なる御審議と速やかな成立を期待しておるところでございます。
 次に、若干順番が異なっているかもしれませんが、消費税のアップの問題について御質問がありました。
 消費税のアップについて大蔵大臣どう考えるのだというお話でございましたが、消費税の税率の問題につきましては、基本的には今後の財政需要の動向や税制全体の負担のあり方などを踏まえまして考えていかなければならない、国民が選択する事柄でありますし、国民各層の論議、国民の意向をそんたくして十分に考えていかなければならない問題であろうと思っているところでございます。
 次に、補正予算の中で大幅な所得税減税を緊急に実施すべきではないか、たびたび当参議院におきましても予算委員会その他でいろいろ御議論がありました。また、衆議院を通過するときに三党との間での話し合いがございまして自民党の幹事長が話をしたということがありまして、そのことも含めて答弁しろというお話でございましたが、私が承っているところでは、昨日話し合いが行われておったけれどもまだ結論がついていないというふうに承っているところでございます。
 所得税減税につきましては、いろいろな御議論がありますけれども、私は景気対策としての効果にやはり疑問がある、それから巨額の財源をどうするのかということ、さらには税制全体としての関係をどう考えるかといった広範な点について検討が必要であり、克服すべき課題が非常に多いものだというふうに考えておるところでございます。
 次に、来年度の予算編成に当たりまして、経常経費前年度比マイナス一〇%のシーリングを決めたというが、こういった硬直的な財政姿勢をやめるべきではないかというお話がございました。
 まだ、実は平成六年度の予算の概算要求基準までは決めておらないところでありまして、今後検討していかなければならないところでありますが、いずれにいたしましても、六年度の概算要求基準につきましては、今後慎重に検討していくべき問題だろうと思っております。
 それに関連いたしまして、社会資本整備の新しい展開ということでいろいろな形のものが今回組み込まれていることは議員御指摘のとおりでございまして、公共事業の枠を超えて全産業に参加の道を開く、そういった公共事業をやっていかなければならないのではないか、歴史を振り返りまして、それぞれの時代においていつもいつも問題があった、その上においてやっていかなければならないという御指摘でございました。
 社会資本の整備に当たりましては、公共投資基本計画や生活大国五カ年計画の考え方に従いまして、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配分をしていかなければならないところでありまして、今回の経済対策におきましても、生活大国の実現を展望し、社会経済情勢の変化を踏まえつつ、景気の現状に的確に対処していくという観点から、さまざまな分野に幅広く投資を行おうとしているところであります。今後とも、社会経済情勢の変化等を踏まえ、重点的、効率的に資金配分を行っていかなければならない、これは私は基本的な考え方だろうと思っておるところでございます。
 さらに、ちょっとはっきりしなかったのですが、高齢者福祉、義務教育及び自然災害等につきましてシーリング枠を外す云々というようなお話がございましたが、まだそういったようなことを決めているわけではございません。先ほど申しましたように、シーリング枠をどうするかというのを決めてないわけでございますから、その細部につきましてまだ決めているわけではございませんが、今お話のありましたような点は、私は今までもそういった点の支出の必要性については十分な認識を持ってやってきたところでありますし、今後も適切な対応を行っていかなければならない問題だろうというふうに考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣船田元君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(船田元君) 私に対する御質問は、まず、我が国の経済情勢あるいは不況の現在の局面はどうかということでございます。
 我が国経済の現状を見ると、やはり依然として景気の調整過程が続いているという認識でございます。しかし、そうした中で公共投資が堅調に推移し、住宅建設にも回復の動きが続いておりますほか、最近、産業面を見ますと在庫調整が進展していること、金融情勢においては株式相場が上昇することなど、一部に回復の兆しを示す動きがあらわれてきているわけでございます。
 そしてもう一つ、今後の景気の見通し及び総合経済対策の役割やいかん、こういうお話でございます。
 政府としては、これまでの累次の対策に加えまして、景気の足取りを確実なものとするために、今回総規模十三兆円を超える総合的な経済対策を講ずることにいたしました。以上のような経済対策は、現在在庫圧縮や経営革新に取り組んでいる民間部門の活力をさらに引き出すということにつながるものでありまして、今後の景気の足取りに細心の注意を払いつつ、その適切かつ機動的な実施を図ることによって、我が国経済は内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路へ円滑に移行していく、このように確信をいたしておるわけでございます。
 もう一つは、時代のニーズに即応した公共事業、社会資本整備のあり方についての御質問でございました。
 昨年の六月に閣議決定をされました生活大国五カ年計画におきましても、社会資本整備においては、空港とアクセス交通などの異部門間の整備あるいは公民館や図書館等社会教育施設の集中立地など類似機能、関連機能の協調、さらには公共住宅と社会福祉施設の合築など機能の複合化、そういうような各省庁の連携強化あるいは地方公共団体による事業の総合化ということを推進することにいたしております。
 今後とも、この方向で各般の社会資本の整備を推進してまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣武藤嘉文君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(武藤嘉文君) 私に対する質問に対しましては、もう既に総理からほとんど御答弁がございました。
 多少補足をさせていただきますと、領土問題を一切認めないという時代には政経不可分という言
葉が強調されておりまた、しかし、ゴルバチョフ時代以降、領土問題を認めるようになってまいりましたので、この政経不可分というものを緩めたわけではございませんが、その考え方の延長に立って経済、政治両面の動きが相互にうまく働き、そしてそれが相互に前進をしていく、こういう意味合いで拡大均衡という言葉を用いておるわけでございます。
 それからもう一つは、対ロ支援は極力極東地域に集中すべきではないかということでございますが、この点は先ほど詳しく総理から御答弁をいただきました。そのとおりでございます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(河野洋平君) PKOの五原則に関連してお尋ねがございました。
 停戦の合意につきましては、局地的に停戦違反はございますけれども、カンボジアにおける紛争当事者各派は、停戦の合意に関する規定を含むパリ和平協定に署名いたしております。ポル・ポト派としてもパリ和平協定そのものに反対しているわけではなく、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは維持されていると考えております。また、UNTACの活動の受け入れ同意につきましては、紛争当事者各派はパリ和平協定に署名し、UNTACの設立に同意をいたしておりまして、またカンボジア最高国民評議会SNCを通じてUNTACの活動を受け入れておるわけでございます。
 UNTACの活動の中立性につきましては、UNTACはパリ和平協定に基づいていずれの紛争当事者にも偏ることなく活動を行っているわけでございます。
 さらに、業務の中断や派遣の終了、武器使用に関する我が国の方針につきましては国連側に伝えてございまして、国連側もこれを了解いたしております。
 したがいまして、国際平和協力法上のいわゆる五原則は満たされていると認識をいたしておりまして、我が国の派遣要員、部隊を撤収させる状況にはないと考えております。
 もう一問、派遣要員のみならず、ボランティアなどすべての滞在者について万全の安全を確保すべきではないかというお尋ねがございました。
 政府といたしましては、先般も村田自治大臣国家公安委員会委員長を現地に派遣いたしまして、我が国派遣の要員及びUNVを含むすべてのUNTAC要員につきまして、その安全対策を申し入れたところでございます。
 また、UNVを含むUNTAC要員の一層の安全対策の一環といたしまして、UNTACが人員、物資の輸送能力を高める必要がございます。政府としては、こうした観点から国連の要請にこたえ、UNTACによるヘリコプターなどの輸送能力増強のための経費に充当するため、国連に対しまして百万ドルをめどとする緊急拠出を行うことを決定したわけでございます。
 政府といたしましては、情報の収集に努めるとともに、UNTACとの緊密な連絡等を維持しつつ、派遣要員及びUNVの安全対策に万全を期してまいりたいと考えております。
 なお、UNTACの業務とは直接関係を有しない在留邦人の安全確保につきましても、在カンボジア大使館を通じ可能な限りの方策を講じてまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(原文兵衛君) 常松克安君。
   〔常松克安君登壇、拍手〕
#13
○常松克安君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました平成五年度補正予算案につきまして、総理並びに関係大臣に質問するものであります。
 最初に、今国会の最大の課題は言うまでもなく政治改革の実現であります。連続して起こる不祥事件に対し国民の不信は頂点に達し、経済にも悪影響を与えております。どうしても今国会で決着をつけ、国民にこたえるべきであります。しかし、会期末は刻々と迫っており、一体このままでよいのか、大変な危惧を抱くものであります。焦点の選挙制度改革は、何としても与野党の相打ちを避け、国民が望む政権交代可能な政治システムをつくり上げるためにも今国会で決着すべきであります。
 最近、衆議院は単純小選挙区制、参議院は比例代表制に改革しようなどと与党サイドの発言が報道されております。また、腐敗防止対策のみを選挙制度改革より優先すべきとの発言も相次いでおりますが、その意図は問題を先送りにし改革の流れをとめようとするものであります。あくまで選挙制度と一体で合意を図ることこそ大事であると考えますが、総理の御見解を伺いたい。
 衆議院での審議も大詰めを迎え、政治改革はまさに正念場であります。その中で、これまでの制度に安住しようという動きもあり、状況は不透明と言わざるを得ないのであります。政治改革には不退転で取り組むと常に繰り返されてきた総理は、この状況を打ち破り、政治改革を断行するために具体的にどう、う手だてを講じられるのか明らかにしていただきたい。
 補正予算及び経済、景気対策について伺います。
 政府は、みずから最善かつベストだと豪語していた平成五年度予算の成立後、わずか一カ月余りで補正予算を国会に提出されました。同一国会における補正予算の提出は三十数年ぶりという極めて異例な出来事であり、このような安易な当初予算を提出した政府の責任は重大だと思います。補正予算提出に至った原因もあわせ、政府の責任について総理並びに大蔵大臣の御認識を伺いたいのであります。
 本補正予算は総額十三兆二千億円に上る総合経済対策を受けて編成されたものでありますが、その一般会計規模はわずか二兆円余りで、史上最大規模と鳴り物入りで打ち出した今回の景気対策も、昨年八月の総合経済対策同様、その大半は財政投融資や地方単独事業頼みであります。さらには、実際の支払いが翌年度以降となる国庫債務負担行為も含んでおり、水増しとの批判は免れないと存じますが、総理の見解を求めます。
 我が国経済は、住宅建設の増加、株価の上昇など一部に明るい指標が見られるものの、一方で設備投資計画が大幅減少となっているほか、消費もなお低迷しており、景気が順調な回復過程に乗ったとは到底感じられない状況であります。加えて、企業のリストラはこれからが本番であり、雇用情勢は一段と厳しさを増すことが必至と思われます。総理は、景気の現状と先行きについてどのように分析しておられるのか、お示し願いたいと思います。
 今回の不況は、単なる景気循環だけではなく、地価や株の下落による資産デフレが加わった深刻なる複合不況であり、我々は政府に対して適時適切な景気対策の実施を繰り返し求めてまいりました。しかし、これまでの政府の対策は、公共事業の追加や公定歩合の引き下げなど、ゼネコン業界と銀行中心の景気対策であり、所得税減税といった消費者重視の景気対策は講じられておりません。
 今回の総合経済対策では、ようやく教育減税、住宅ローン減税など、不十分ながら盛り込まれたものの、我々が再三要求する所得税減税が見送られており、なお景気浮揚には不十分であります。一部に明るい指標が見られる今こそ、総理は景気回復を確実なものにしていくために所得税減税の実施を決断すべきと考えますが、総理並びに大蔵大臣の御所見をお伺いいたします。
 さて、カンボジアは二十三日の選挙を目前に控え、停戦違反やテロが相次ぐなど緊迫の度が高まっております。カンボジアの長い内乱の歴史、民衆の塗炭の苦しみを考えたとき、真の和平を実現するためには選挙はUNTACのもとで何としても成功させたいと考えます。しかし、PKO活動は本来犠牲が出てもやむを得ないという活動ではありません。したがって、犠牲が予測される場合でも活動を持続するのは政府の拡大運用、解釈と言わざるを得ません、よって、政府は危険地帯では我が国要員の任務を中断するなど的確な法の運用が最も肝要なときだと考えますが、総理の答弁を求めます。
 私は、特に我が国要員の安全対策という観点から、緊急医療体制について伺います。
 まず、とうとい命を国際貢献のためにささげられた中田さん、高田警視に衷心より哀悼の意をあらわし、御遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。また、けがを負って現在バンコクで入院されている皆様の一日も早い回復をお祈り申し上げます。
 安全対策の第一義は人命尊重であります。どんな安全対策を重ねたといたしましても、突発的な事故に遭遇したといたしましても、人命を助けることこそ安全対策を真に裏づけることになるのであります。私はこの人命尊重の視点が現地にいまだ希薄であることを強く危惧するものであります。
 ところで、今回の事件から受けた課題の一つに、私は文民警察要員、停戦監視要員に対する医療体制の問題があると考えます。二度とあってはならないことでありますが、万が一の事故が発生した場合、UNTACにおいて文民警察、停戦監視要員に対する医療は果たして万全なのか。負傷者の発生から病院までの救護体制等医療体制はどのようになっているのか。政府は安全対策に万全を期すとしているが、緊急時の体制は我が国としてどのように取り組んでいるのか伺いたい。
 さらに、この襲撃事件で負傷を負った八木、谷口両文民警察官は現在タイのプミポン空軍病院で治療を受けていると聞きますが、御家族の心配もあるでしょうし、御家族の便宜のためにも、また人道上の見地からも一刻も早く日本に移し、十分な看護を受けさせてあげるべきだと考えますが、政府の見解を伺いたい。
 また、日本の施設部隊はカンボジアで六百人が活躍しております。このうち医師三名、歯科医一名、合計四名と聞いております。これだけで隊員及び要員の医療が十分にできるかまことに不安であります。この医師の人数は平和時における健康管理を中心に算出されたものなのか、それとも今回のような緊急事態の発生を予測して決定されたものなのか、あわせてお伺いしたい。
 我が国からの選挙監視員四十一名がタケオ周辺に配置されました。選挙監視要員の緊急医療は自衛隊が担当すべきでありますが、今の体制で本当にできるのか、安全対策を言われるなら、こうした備えを万全にすべきと言いたいのです。総理、この点はいかがでしょうか。
 さらに、選挙監視員など邦人要員の安全確保に関連して、政府は、同一場所において不測の事態が発生した場合には、我が国の要員を守るために自衛隊員の武器使用は認められるとの見解を示しております。しかし、同一場所とはどういう範囲なんですか。また、UNTACから具体的に選挙監視員の輸送まで依頼されているのか、この点を明確にしていただきたい。
 何よりも何よりも安全対策に万全の体制をとることを強く求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治資金制度の改革と選挙制度の改革とは、御指摘のように密接な関連を有しております。いわゆる腐敗防止策を含めまして、改革を一体として実現をしなければならないと思います。
 各党から提出されております改革案については、長時間にわたって特別委員会で真剣な御論議が続いておりますが、改革が必要であるということ、その基本的な認識は各党が共通に持っておられますので、この論議を深めていただきますならば必ず合意点を見出していただくことができるというふうに考えております。
 それから、このたびの補正予算の提出につきまして、先般本予算の御審議を願ったばかりのその同じ会期で、いかにもこのことは異常ではないかとおっしゃいますことは、先ほどもお答えいたしましたが、まことに異例なことであるというふうに私どもも考えます。お煩わせすることを恐縮に思っていますが、このたびの景気、経済状況が先ほども御指摘になりましたいわゆる複合的なものでございますために、昨年の三月、八月、そうして平成五年度の本予算と、公共投資を中心に景気の立ち直りを図っております。多少の動きはもう見られますけれども、しかしこの立ち直りを確実にしたいということから、あえて四月に総合経済対策をいたしまして補正予算の審議をお願いいたしておる。このような景気の状況にベストの対応をいたしたいという気持ちでございますが、まことに異例でありますことはおっしゃるとおりでございまして、この点はひとつ御理解を得たいと思っております。同時に、秋まで待たずにこのような御審議を願っておるということ、補正を成立させていただくということは、景気の立ち直りに必ずや大きな効果を持つものというふうに考えております。
 それで、水増しというようなお話がございましたが、今次の経済対策におきましても、国費あるいは地方公共団体の支出、財政投融資資金、それから国庫債務負担行為等々、それらのもののベストの組み合わせでこの対策を組んでおりまして、国費以外のものがこれが空である、水増しであるという御批判は私は当たらないというふうに思います。
 これからの先行きをどう見るかということでございますが、確かに複合不況と言われましたような部分がございますので、このたびの処理は非常に難しいということは感じておりますけれども、今までの累積効果が相当ございますし、また、現実に住宅であるとか、あるいは在庫調整であるとか、株価もそうかもしれません、そういう幾つかのいい指標も出ておりまして、ここのところでやはりこの総合経済対策をいたしますならば、間違いなく景気は正常の回復の過程に入るものというふうに判断をいたしております。
 所得税の問題につきましては、何度もこれも御議論のあったところでございますが、与野党の御協議が引き続き行われております。私どもとしては、財源をどうするか、それから将来の税制体系の中でどのようにこれをとらえるかというようなこと、いろいろ問題があるというふうに考えておるところでございますけれども、なお御協議が継続をいたしております。
 それから、カンボジアにおきまして、確かに私どもが当初考えた事態とはかなり事態は違ってまいったということは事実でございますけれども、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みが破棄されたというふうには考えておりません。これは前回も本会議で申し上げましたとおりのことでございます。
 それから、多少具体的なお尋ねがございまして、事故が発生いたしました場合の医療等々でございますが、UNTAC要員に対する医療につきましては、近くの展開部隊の医療班で行うもの、それから地区ごとに診療所がございます、そこで行うもの、首都のプノンペンの病院で行うもの、治療内容に応じて体制が整備されておりますが、それでなおいけない、及びませんときにはバンコクに空輸をいたしております。
 それで、緊急時の医療体制は重大な問題でございますので、我が国もUNTACとの連絡体制を確保しておりますが、我が国要員につきまして高度の治療がさらに必要な場合には、UNTACの了承を得た上で、我が国に移送することをも含め、そういうことがございますれば適切に対応いたします。
 なお、我が国としてUNTACの医療体制の充実に資するため、本年二月に実施計画を変更いたしました。その変更の中で、我が国施設大隊の任務の中へUNTACの要員に対する医療措置の実施を追加したということでございます。これはむしろ当然であったかと思いますが、施設大隊が医療施設を持っておるのに、ほかの人は医療をしないということはいかにも現実的でない。実施計画を改めたところでございます。
 なお、今回安全対策の一環として、UNTACのヘリコプターによる輸送能力増強のために、我が国としてさしずめ百万ドルを支出いたすことを決定いたしましたが、これは医療施設への移送にも貢献することと思います。
 それから、タケオ周辺に配置された選挙監視員の緊急医療についてお尋ねがございました。カンボジアに派遣されております施設大隊においては、医官等四名を含む衛生要員約二十名がおります。これは施設大隊の隊員の医療のみならず、先ほど申しました計画変更によりましてUNTAC要員の医療についても所要の措置を実施しております。
 お尋ねになりました今回派遣されました選挙監視要員を含め、我が国から派遣された要員の人命を尊重すべきことはもとよりでありまして、現地での医療に万全を尽くす所存でございます。
 それから、自衛隊がその他の我が国要員と同一の場所に居合わせた場合云々という、同一の場所とはどういうことかというお尋ねでございます。
 法律第二十四条第三項で述べておりますように、他の隊員が自己とともに現場に所在する場合の一例でございますが、ある特定の時点で場所的に近接しているということを法律は意味しておると考えておりますが、どういう場所がこれに合致するかということは、これは実際ケース・ハイケースで判断をしなければならないところであろう、あらかじめ具体的にこういうケースということを設定するのは困難であろうと思いますが、いずれにいたしましてもこのような形で要員が我々の部隊からいろいろな意味での保護を受けるということをやっていかなければならないと思っています。
 現在のところ、施設部隊に対して選挙要員の輸送につきましてUNTACから具体的な指示がなされたことはございませんけれども、物資、要員の輸送の業務は国際平和協力法上も、実施計画、実施要領から見ましても問題はないところと考えますので、施設部隊の能力の範囲でこれは実施が可能であるというふうに判断をいたしております。
 その他のお尋ねにつきましては関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(林義郎君) 常松議員の御質問にお答え申し上げます。
 一つは、わずか一カ月余りで補正予算が提出されたけれども一体どういうことだと、こういう御質問だと思います。
 まさにそういったことでありますから、先ほどの財政演説の中でも申し上げましたように、極めて異例の時期ではあるけれども、やはり総合的な経済対策をやりましたのでということでお話し申し上げました。
 もう少し申し上げますならば、平成五年度の当初予算は異例に厳しい状況の中で予算の編成をやりました。やはり景気に十分配慮してやらなければならないという形で、その編成時におきましては私は十分景気に配慮したものだと思っておったところでございますが、その後の予算の審議の過程その他を通じまして景気の状況を見ますと、回復の兆しを示す動きが出ているけれども、依然としてはっきりしない点もあります。
 そうしたことでございまして、景気の先行きにまだ予断を許さない状況である、こういうことでございますから、その景気の足取りを確かなものにするために、まさに異例な時期であって、予算成立直後ということでございましたけれどもあえて打ち出したところでございまして、二度御審議を願うというのは、先ほど総理からも御答弁申し上げましたように、お騒がせしてまことに申しわけない、こういうことでございますけれども、全体のことを考えますならばやはりやっていかなければならない仕事ではないか、こういうふうに考えているところでございます。特に今回お願いいたしましたのは、秋口になりましたならばそれはまたおくれたと、こういうふうな話にもなるわけでございますから、今出した方がこれからの景気をよくするためにも必要なことではないかと思っておるところでございます。
 もう一つの問題は、消費者重視の所得税減税の実施を決断すべきであるがどうか、こういうことでございます。
 もう御承知のとおり、この問題につきましては各党の間におきまして話し合いが持たれているところでございまして、まだ話し合いがついているということを聞いておりません。私自身といたしましては、所得税減税につきましては、景気対策についての効果についてどう考えるかという問題もありますし、特に大きな金額を要する財源をどうするかという問題、さらには税制全体との関係をどう考えるかという点がありますし、こうした広範な点についての検討が必要であり、克服すべき問題が多いというふうに考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(河野洋平君) 常松議員はかねてから救急医療の問題に大変熱心に取り組んでおられるということをよく承知いたしております。この機会に改めて敬意を表したいと思います。
 カンボジアで負傷した八木、谷口両文民警察要員につきまして、お二人の容体は安定化に向かっていると承知をしておりますが、政府といたしましては、お二人についてできる限り早期に我が国に移送し、我が国で治療を受けていただくことが望ましいと考えております。さきに村田自治大臣からUNTACに対してこの旨申し入れを行って、既に了承を得ているところでございます。
 政府といたしましては、お二人の容体及び体調を第一に考え、また本人及び御家族の意向をも踏まえつつ、でき得る限り早期の我が国への移送の準備を行っております。谷口隊員につきましては五月二十一日帰国の方向でUNTACと調整中でございます。また、八木隊員につきましては五月中に帰国の方向で検討に入っております。
 なお、緊急時の医療体制等につきましては、先ほど総理から御答弁がございましたが、この医療体制を通じてUNTACにしっかり貢献しろ、こういう御指摘でございました。
 先ほど総理から御答弁がございましたように、日本といたしましても実施計画等を変更いたしましてでき得る限りの貢献をすべくいたしておりますが、こうした我が国の態度はUNTACにおいても高い評価を受けていると承知をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣中山利生君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中山利生君) 私に対する常松先生のお尋ねにつきましてお答え申し上げます。
 ただいま総理からも詳しくお話がございましたが、カンボジアに派遣しております施設大隊につきましては、隊員が疾病にかかったり負傷した場合の第一線の医療措置は部隊がみずから実施し、これを超える治療が必要な場合にはUNTACの野外病院等において治療を実施する、そういうUNTACの方針に従いまして、先ほどおっしゃいましたような医官四名を含む約二十名の衛生要員を派遣しているところでございます。
 これらの衛生要員によりまして、新たに本年二月に追加されましたUNTAC構成部門等の要員に対する医療、これを含めまして、現地において所要の医療措置を実施しておるところでございますが、現在までのところ医官が不足しているというような状況はございません。いずれにいたしましても、我が国から派遣されたすべての要員の安全確保、人命尊重が何よりも大切であることはおっしゃるとおりでございます。今後とも、現地での医療には万全を期してまいりたいと存じております。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(原文兵衛君) 長谷川清君。
   〔長谷川清君登壇、拍手〕
#19
○長谷川清君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、ただいまの林大蔵大臣の財政演説について、宮澤総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず初めに、日本の経済構造の転換についてお尋ねをいたします。
 今、日本経済は深刻な不況に直面しております。生産、消費ともに落ち込み、大量の勤労者やパートが職を失っております。中小企業の倒産が相次いでおります。また、貿易黒字は九二年度、史上最高の一千二百六十億ドルに達し、ジャパンパッシングの嵐はさらに強まっております。現在の輸出依存、産業優先のこの経済構造を根本から改善しない限り、この巨額の貿易黒字は解消されず、諸外国の批判がやむことはないと考えます。
 四月二十九日、ワシントンで開催されました先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議において円高が抑えられましたことは評価をしておりますが、これと引きかえに、日本に対しましては内需拡大を通じた輸入の増加や構造改革、市場開放を進めて黒字を減らせよとの宿題が出されたことを忘れてはなりません。と同時に、これら諸外国から言われるからという理由ではなくして、我が国の主体性において真に国民が人間らしい生活を送り、物心ともに豊かな生活が保障される社会を確立するためにも、日本経済の構造を抜本的に転換させる時期であると考えるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
景気対策についても、単に経済成長を達成すればいいという発想を捨てて中長期的なビジョンを伴った政策を実施すべきであります。
 民社党は、一九八七年以来、生活先進国の建設を提唱してまいりました。したがいまして、政府が今生活大国づくりに取り組んでおりますことは率直に評価をしているところであります。しかしながら、その実際の効果は弱々しいと言わざるを得ません。政府の責任をより明確にし、ハードのみならずソフトの面においても気を配り、日本の経済構造の変革をも盛り込んだダイナミックな内容に改めて、プラン・ドゥ・シーのそれぞれの段階においてこの実施に全力を挙げて取り組むことを宮澤内閣に強く求めるものでございます。総理の答弁を伺いたいのであります。
 質問の第二は、物価問題についてであります。
 生活先進国づくりにとりまして日本の高い物価を解決することは不可欠の条件であります。しかも、最近の強い円を好機といたしまして、一気にこの高い国内の物価を引き下げるチャンスが到来しているものと私は考えます。強い円による購買力の拡大は外国から日本に贈られた一種の減税
サービスだと言ってもいいでしょう。割安になりました製品、サービスの輸入拡大、差益の出る輸入原材料価格の引き下げ、国内流通部門の合理化など、物価引き下げのための内外価格差是正アクションプログラムをこの機会に、その中には一次、三次産業の近代化によるコストダウン政策も入っております。これらを実施することこそ今なす政治の責任であると声を大にして言いたいのであります。総理及び経済企画庁長官の熱意のほどを承っておきたいのであります。
 質問の第三は、住宅対策についてでございます。
 バブルが崩壊し、地価は下落傾向にありますものの、大都市圏ではサラリーマンのマイホームの取得は依然として困難であり、現実には住宅は遠きにありて通うものとなっております。年収の五倍でサラリーマンが本当に住宅を購入できるよう一層の地価引き下げ策、住宅ローン減税の実施、住宅金融公庫の融資拡充等総合的な対策を講じるよう熱望いたします。宮澤総理の見解をここで伺いたいのであります。
 なお、我々は他の野党とも協力をいたしまして、住宅政策の理念を盛り込んだ住宅基本法の提出を準備しているのでございます。政府においてもこの考えがあるのかどうかあわせて伺っておきたいと思います。
 質問の第四は、税制問題についてでございます。
 政府が提案しております補正予算案の最大の欠点は、我々が実施を強く求めておりました所得税減税が盛り込まれていないことであります。今回の不況はまれに見る消費不況となっております。百貨店販売額は昨年三月以降伸びがマイナスとなり、家計の消費支出も低迷が続いております。本年三月の一世帯当たりの消費支出の実質伸び率は三・四%減少し、三カ月連続のマイナスを記録いたしております。消費拡大策として残された手段は大幅な所得税減税の実施しかないではありませんか。
 本来、税制改革は一時しのぎのものであってはいけないと思います。税体系のひずみやゆがみを正す観点から実施すべきものと考えます。我々は勤労者の税に対する不公平感を解消するため、クロヨン問題の解消、直間比率の見直しにも積極的に取り組んでおります。所得、消費、資産の均衡ある税体系を確立し、国際化、高齢化社会に対応できる税制度をつくり上げていくことこそ今必要だと思います。この抜本的な税制改革を視野に入れながら、その先取りとしての所得税減税を実施すべきであると思いますけれども、宮澤総理並びに林大蔵大臣の明快なる見解を伺いたいのであります。
 最後になりますが、社会資本整備についてお尋ねいたします。
 政府は九一年度から四百三十兆円の公共投資十カ年計画に取り組んでおります。この計画で大事なことは、公共住宅、下水道、都市公園、医療・福祉施設、教育施設等の整備、満員電車解消など、生活向上に直結する分野に重点を置くべきだということです。景気対策を政府がやるたびにいたずらな道路工事がふえて、逆に国民が迷惑をするような従来のやり方は改めるべきであります。
 また、ハードな面だけではなく国民のハートにも優しい触れ合い広場、お年寄りや子供たちの憩いの場、緑と動物に恵まれた町づくりに積極的に取り組むハードとソフトのバランスが重要であります。金と物と時、そして心の豊かさを通じて一人一人の国民が十人十色の幸せを実感できますような、そういう幸福指数の高い社会への転換を図るよう強く求めてやみません。我々もその実現に向かって頑張ります。
 以上の諸点に対して、総理並びに経済企画庁長官の心に響く決意をお伺いしたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) 我が国が現在このようなたくさんの貿易黒字を重ね、しかも海外といろいろ摩擦を生じていることについて、それは我々の基本的な考え方を変えなければならないのではないか、輸出をするばかりでウサギ小屋に住んでいるではないかと言われるような批判は残念ながら事実でありますから、そこをやはり変えなければならないという、そういうお考えについては私まことにそのとおりであると思います。
 生活大国という発想もそういうことから思いついたわけでございますが、この計画の中で具体的に労働時間の短縮であるとか土地・住宅政策あるいは社会資本の整備など、国民生活に密着する数値目標を掲げてこの計画を実現してまいりたい。多少時間がかかりますようでも、それが結局貿易黒字というようなものを減らしていく、調整していく一番の本当の道ではないかというふうに私は心得ておりまして、そのように進めて具体的にこの計画を実施してまいりたいと思いまして、ただいま五カ年計画を実施しているところでございます。
 それから、円高に関連して内外の価格差是正のアクションプログラムというそういう発想も私は極めて賛成でございます。円高は、それは企業側に非常に難しい問題を生むことは申し上げるまでもないことですが、消費者にとってはこれはある意味で輸入価格の下落になるということ、もうそのとおりだと思います。
 それで、この一番の正攻法的なやり方は国内で輸入が自由であり、そうして流通が自由であってその間に十分な競争がある、そういう状況の中であれば自然に円高というのは輸入価格の円価格の下落につながっていくはずである。無論政府の監視モニター等々必要でございますけれども、基本的には市場のメカニズムがそうなるということが私は一番大事なことであろうと思っております。また、最近例えば大規模小売店舗法の改正でありますとか、あるいは独禁法の強化でありますとかいうようなこともこれに資する面が多いと存じますが、そのような競争条件の整備をしていくということを大切に考えたいと思います。
 それから、住宅につきまして大都市圏の地価はかなり顕著に下落をいたしておりますので、いわゆる勤労者世帯の平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得をという、大分その目標には迫ってまいりました。まだ到達したと申し上げられませんが、これは条件はかなりよくなってまいったというふうに考えておりますので、引き続き努力をいたします。
 そして、住宅ローン減税の実施等についてお話がございましたが、今回の経済対策におきまして、住宅取得等をより一層促進するために、借入金残高一千万円以下の部分の税額控除率を一%から一.五%に当初二年間について引き上げました。また、控除限度額も二十五万円から三十万円に上げたととろでございます。これはかなり私は効くだろう、かなり有効な政策になると思っておりますが、さらに住宅金融公庫の融資につきまして三大都市圏では特別加算を行いました。
 それから、総合経済対策におきましても、基本貸付額を大幅に増額する、基準金利を引き下げる、貸付枠を五万戸ふやすというようなことをいたしまして、この面からも御指摘の問題の着実な実施に努めておるつもりでございます。
 住宅基本法でございますけれども、今のところ住宅問題についての国民の持っておられるニーズといいますか、関心の種類というのがかなりいろいろでございまして、国民の合意の形成がもうひとつ基本法に至らないのではないか。今各界にいろんな御意見の違いがありますので、そういう御意見を拝聴しながら集約することができれば検討していくべきだと考えておりますが、ただいまのところはそういう現状と判断をいたしております。
 所得税減税につきましては何度か申し上げました。各党で御協議中のことでありますが、私は過般の昭和六十二、三年ごろの税制改正のときにやはり幾つかし残した問題があると考えておりまして、それは累進構造あるいはその刻みの問題がその一つで、ここから重税感がなかなか去らないということだと思っておりますので、いずれそれは考えなければならぬことだと思います。ただ、それなりにそれだけの大きな財源が要るということに逆にまたなるわけでございまして、あるいは税制全体との関係をどうするかというような問題がございます。いずれ取り組むべき問題だと思いますが、そういう関連した問題の解決が必要であろうと思っております。
 それから、公共投資十カ年計画でハードとソフトのバランスが大事とおっしゃいますことはまことに同感であります。生活大国五カ年計画におきましても、利用者、消費者の観点に立った整備目標を示しまして、そういう立場から、先ほど幸福指数というようなことをおっしゃいましたが、そのようなものになるべき内容の充実を図りたいというふうに考えておるところでございます。
 残りのお尋ねにつきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(林義郎君) 長谷川議員の御質問にお答え申し上げます。
 税制の問題でございますが、政府としては現在の景気が足取りが確かなものになるために総合的な経済対策を策定してやっているところでありまして、その中で所得税減税が抜けているじゃないか、こういうふうなお話でございました。
 所得税減税につきましては、景気対策としての効果についていろいろ疑問があるほか、巨額の財源をどうするのか、さらには税制全体としての関係をどう考えるかという広範な点についていろいろ御議論があるところでございますから、克服すべき課題も多い。また各党間におきましていろんなお話し合いをやっておられまして、まだ話がついていないという段階でございますから、そういったことを踏まえまして今回は出してないということでございます。
 先ほど長谷川先生からお話がありました中で、税制については公平、中立、簡素ということが大切だ、それから所得、消費、資産について適切に組み合わせをしていかなければならない、これは私も全くそういうふうに考えています。そういった形をどういうふうな形でこれから組み合わせていくかというのは税制の基本的な問題だろう、私はこういうふうに考えているところでございまして、その辺につきましての基本的な考え方はそう違っていない。ただ現実の問題として、景気対策でやるかどうかというところでの意見の相違だろう、私はこういうふうに思っているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣船田元君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(船田元君) まず、私に対する御質問は、円高差益の還元のことでございます。
 円高によって輸入品価格の低下に伴う円高メリットにつきましてま、価格動向等に係る情報提供を通じまして、市場原理に基づく適正な価格形成を促すということによって国内販売価格に適正に反映をされるということが重要であると思っています。
 このような観点から、経済企画庁におきまして、現在、輸入品の価格動向調査等を実施するとともに、適宜これらの調査結果の消費者等への情報提供ということをやっておりまして、先日も小売業における円高差益還元セールの実施状況に関する調査結果などを公表したところでございます。私どもとしては、今後とも引き続き円高効果の物価面への浸透状況の的確な把握にさらに力を尽くしていきたい、このように考えております。
 それから、内外価格差の対策につきましては、これはやや中期的に経済構造とのかかわりを有するものだ、このように理解をしておりますけれども、消費者重視の観点から、政府 与党内外価格差対策推進本部を中心として積極的に取り組んできているところでございます。今後とも生活大国実現の観点から内外価格差の是正、縮小に努めていくことが重要であると認識をしておりまして、特に今回の円高の進展も踏まえて、内外価格差対策の一層の推進に努めていきたいと思っています。
 もう一つは、四百三十兆円の公共投資基本計画において生活向上に直結する分野に重点を置くべきではないか、このような御質問でございました。
 公共投資基本計画は、豊かさを実感できる国民生活の実現や地域経済社会の均衡ある発展を図るために、人々の日常生活に密接に関連をした生活環境や文化機能の重点化、あるいは多極分散型国土形成に向けた交流ネットワークや経済基盤の整備等の施策の一層の充実を図るということを社会資本整備の主要な施策にいたしております。
 また、昨年決定をいたしました生活六年計画においても、やはり利用者の視点に立った整備目標を具体的に示しまして、それらを踏まえて生活に関連した社会資本整備に重点を置くということにしているわけでございます。
 なお最後に、このような公共投資についてはハードとソフトのバランスが重要ではないかということでございましたけれども、御指摘のようにこれは生活大国五カ年計画の中におきましても、歴史や自然等地域の個性を生かした美しくて潤いのある社会資本の整備、あるいは屋外広告物等の適正な規制や誘導などによりまして人々が愛着を持てる景観の形成を行うこと、あるいは緑の整備を推進するということを重点的に手がけよう、このように考えております。
 今後とも生活大国への実現のために、特に社会資本整備におきましても生活に関連をしたものに重点を置いてさらに整備を進めてまいりたい、このように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○副議長(赤桐操君) 有働正治君。
   〔有働正治君登壇、拍手〕
#24
○有働正治君 私は、日本共産党を代表して、政府の財政演説に対し総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、日ごとに緊迫するカンボジア情勢についてであります。
 ポル・ポト派は十四日、ついに公然と総選挙が強行されれば選挙後は戦火が拡大し内戦状態になるであろうと宣言いたしました。これは停戦合意に対する事実上の宣戦布告とも言うべきものではないでしようか。国連要員の家族はプノンペンからの引き揚げを開始いたしました。一方、国連ガリ事務総長が十七日、国連安保理事会に提出いたしました報告では、パリ和平協定の想定した選挙状況は存在しないと述べ、和平協定の枠組みの一部が崩れていることを初めて公式に認めたのであります。総理は、これでもパリ協定の枠組みは守られていると強弁するのでありますか。
 また、去る三日のガリ事務総長第四次報告においても、ポル・ポト派の非協力が続き、協定調印によって負った責務を果たすよう同党を説得するというすべての努力はむだであったと断定いたしました。また、選挙は明らかにパリ協定とその実施計画でもくろまれたような武装解除され政治的に中立な環境では行われないと、五原則で言う同意と中立がもはや存在しないことをはっきり認めました。今回のポル・ポト派の声明及び事務総長の今回の報告は、今日の情勢がさらに危険な方向に進んでいることを明確に示しているのであります。
 総理は、PKO協力法の定める五原則の当事者の同意と中立について、これが失われたとするガリ事務総長報告と同様の認識でありますか、それとも異論があるのですか。違うというのであれば、その違いについてどう説明されるか、この際、明確な答弁を求めます。ここに至って、PKO本体への参加凍結の解除や、さらには武力行使など、警備に関し現行法の拡大解釈など断じて許されません。我が党は、派遣要員すべてを直ちに撤収することを強く要求するものであります。
 次は、経済運営と国民の暮らしと営業をめぐる問題であります。
 景気回復の決め手は、GNPの六割を占める国民消費の拡大であります。消費拡大を阻んでいる要因には、賃金の抑制、雇用、年金その他将来への不安、加えて数年来の減税見送りによる生計費に食い込む過重な税負担があります。ところが、政府・自民党は、切実な国民の要求である所得税減税をやらないばかりか、かつて自民党も主張していた消費税の食料品非課税を行わず、住宅ローン減税、教育加算控除の引き上げにとどめました。しかも、所得減税を九四年度に先送りするだけでなく、政府・自民党内では、消費税の税率引き上げと引きかえに行う議論さえ行われているのであります。我が党は、国民の求める大幅所得税減税を赤字国債抜きで直ちに実施することを強く要求いたします。また、景気回復にも水を差す消費税増税計画をきっぱり断念するよう求めるものであります。答弁願います。
 さらに、長引く不況のもとで、中小企業者の痛ましい自殺者も生まれています。日本経済を支えてきた中小企業に活力を与えることは、当面の景気対策の緊急課題であります。国の官公需発注の比率を五〇%に引き上げるだけで一兆三千億円以上、そして同じく地方自治体にも最近のピーク時と同程度に引き上げるように要請すれば一兆八千五百億円、国と地方を合わせまして三兆円以上の仕事を中小企業に回すことができるのであります。総理の決断と実行を求めます。
 融資に当たりましては、必要とするすべての業者が融資を受けられますように、激甚災害並みに金利三%、保証料免除で実質負担三%以下、別枠貸し付けで融資規模二兆円程度の緊急融資制度の創設を求めます。これは中小企業保険公庫、中小企業信用保証協会への出資・補給金、直接利子補給で五百億円の予算でできるのであります。通産大臣の明確な答弁を求めます。
 さて、今回の景気対策の特徴の一つは、新社会資本整備を一定盛り込みつつも、大企業の受注増に直結する大型プロジェクト中心の旧来型公共事業を大幅にふやしていることであります。
 政府が進めている国際航空ネットワーク、大阪ベイエリアなどの大型公共事業は大企業だけが潤うものであります。事実、大型公共事業の中小企業への発注率は、例えば東京の羽田沖空港整備で一%、関西新空港関係で〇・二%でしかありません。これらの大規模プロジェクトは大企業が仕事を独占するだけではありません。東京の臨海副都心開発計画では何と二兆円、大阪のべイエリア計画の一つ、りんくうタウン計画では二千億円の赤字を出し、そのツケを国民に押しつけていることは到底許せません。このように、大企業が潤えば自然と国民が潤うといったトリクルダウン理論の破綻ぶりは、既にアメリカだけでなく日本においても明白になっているではありませんか。総理の見解を求めます。
 政府が生活大国の実現と言うのであれば、このような産業基盤優先の投資ではなく、教育、福祉や医療施設の思い切った拡充など、国民生活基盤優先の公共投資に抜本的に転換することを求めます。
 このことと関連し、この際、雲仙・普賢岳災害対策について質問いたします。
 さきの我が党議員団の調査に対し、九州大学島原観測所では、火山活動が第二段階とも言うべき活発化の時期に入っていること、火砕流については新たに中尾川沿いの市内北部の住宅地への到達も心配されることを強調していました。政府は、この危険な状況をどう認識し、どういう緊急対策をとるのか。安全な住宅確保、また導流堤や河川拡幅などの公共補償、希望者の跡地買い上げにより安全な場所への移転が可能となる思い切った対策を求めるものであります。それぞれ総理の答弁を求めます。
 また、公共事業の発注が公正に行われることは当然の前提でなければなりません。しかし、国民の激しい怒りを呼んでいる金丸不正蓄財事件は、本来国や地方自治体の仕事である公共事業の内容や発注が、建設業界・大手ゼネコンのやみ献金で左右されてきたことを明るみにしました。事は国民の税金にかかわる問題です。我が党は、公共事業発注と建設業界の政治献金のかかわりについてやみ献金を含め徹底調査を行い、結果を国民、国会に報告することを強く求めます。また、国会においては、ゼネコン関係者らの証人喚問を含め国政調査権を行使し、徹底的に解明することは当然ではありませんか。総理の見解を求めます。
 去る十三日には、金丸不正蓄財事件と絡んで公取が山梨県建設業協会などの立入検査を行いました。こうした調査を受けること自体、これらの業界を指導監督する建設省の責任は極めて重大であります。建設省としても独自の調査を行い、その結果を国会に報告すべきであります。建設大臣の答弁を求めます。
 最後に、今やるべき政治改革の根本は、金権腐敗政治の根絶です。国民ははっきり選挙制度へのすりかえを批判しています。朝日、毎日の世論調査では、政治腐敗防止のための制度確立、政治資金の規制が七割を超え、選挙制度改革はわずか十数%であります。総理はこの国民の声をどう受けとめておられるのか、しかと答えてください。
 金権政治一掃の政治改革を選挙制度の改正にすりかえて……
#25
○副議長(赤桐操君) 有働君、時間が超過いたしております。簡単に願います。
#26
○有働正治君(統) 自民党一党支配をねらう小選挙区制を強行することは、主権者たる国民の意思を真っ向から踏みにじるものではありませんか。総理の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) ガリ事務総長のこのたびの報告につきましてお話がございましたが、確かに、これはこの前もこの本会議で申し上げたことでございますけれども、当初私どもが予想しておった事態とカンボジアにおける事態はかなり異なってきておる。一つは、武装解除が完全に行い得なかったということから各地に紛争が起こり、また犠牲者が出たということでございます。もう一つは、選挙についてクメール・ルージュが参加を事実上拒否しておる。この二つの点は確かに予想された事態と違ってきた。それはガリさんの言われるとおりでございます。
 しかし、だからといっていわゆる平和の枠組みが崩れたというふうに事務総長は言っておられるわけではないと私は思っておりまして、パリ協定そのものが崩れてしまえばこれは一切のUNTACの活動というものはなくなるわけでございますから、そういうふうに事務総長が考えておられるわけではない。また、UNTACのいわゆる受け入れ同意でございますが、これは国家最高会議の名においてクメール・ルージュもその一員でございますから受け入れに同意をしておりますし、またUNTACの活動が各派の間で非常にえこひいきであるかといえば、私はそうは思っていませんで、その点でやはり中立性は維持されておる、こう思います。したがいまして、私は前回申し上げましたようにパリ協定の枠組みが守られておるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、所得税減税につきまして、何度も申し上げたことでございますが、前回の抜本改革の後、多少し残した問題があると私自身も思っております。殊に累進率等々、あるいは刻みについてもう少し簡素にできないかという問題はございます。いずれ取りかからなければならない問題と思いますが、それだけにここは非常に歳入のロスが多いところでございまして、財源をどうするか、あるいはそのような所得税というものが税制の中でどういう位置を占めるかというような問題をやはり同時に考えなければならないのではないかと考えております。
 それから、国の官公需の中で中小企業への発注を引き上げよということはかねて党の御主張でございますが、これは私まことにそのとおりであると思っています。一生懸命やってまいっておりまして、中央地方を合わせますとかなりの比率にはなっておる、五〇%を超えておりますのですが、なおこれは一層の努力を必要といたします。
 ただし、私どもの経済政策が何か大企業が潤えば国民がみんな潤うという、トリクルダウンとおっしゃいましたが、そういうことは私どもは考えておりません。そんなに日本経済はまた簡単でもございませんので、そういう意識はございませんことを申し上げておきます。
 それから、公共投資につきまして、これは生活大国でも申しておりますとおり、やはり国民生活に直結した下水道であるとか環境衛生であるとか、なお教育、研究、医療、社会福祉等々、そういうことの整備に増額をいたして重点を置いてまいりたいというふうに考えております。
 雲仙岳につきましてお尋ねがありまして、このたび大規模な土石流が発生をいたしました。幸いに人的被害はありませんでしたが、建物については相当数の被害が生じ、道路、鉄道、農地等に被害がありました。被害を受けられた方々に対して心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 五月七日に非常災害対策本部を開催しまして、観測、監視及び避難警戒体制の確保、水無川と中尾川等の土石の除去、あるいは恒久的な住宅対策の推進、被災者の生活再建の支援等を決定いたしまして実施に移しておりますが、今後とも安全を確保しつつ、地元との連絡を強化いたしまして対策を強力に進めてまいらなければならないと思います。
 公共工事とやみ献金を含む政治献金の問題につきましては、公共工事は国民の税金においてなされるものでございますから、その入札契約等々は特に透明、公明正大でなければならないと思います。建設省において、先般の審議会の答申を受けて大幅な改善に取り組んでいるところでございます。
 それからもう一つ、政治資金は選挙制度と密接な関連を有しておりますから、これは一体として抜本的な改革をこの国会でお願いいたしたいと思います。各党ともその必要性は痛感をしておられますので、御議論の中から必ず成案を得られるものと、政府としてもできますことは最大限の力を尽くすつもりでございます。
 残りの問題につきましては関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(森喜朗君) 有働議員から御指摘がございました中小企業向け融資の点についてでございますが、中小企業の置かれました厳しい状況に対応いたしまして、政府といたしましては、昨年八月の総合経済対策、五年度の当初予算等に基づきまして累次にわたる中小企業金融対策を実施してきたところでございます。
 加えまして、先般の新総合経済対策におきましても、総額一兆九千億円の貸付規模の追加等を内容とする中小企業金融対策を行うことを決定いたしておりまして、このうち中小企業金融公庫等の貸付限度の別枠を倍額化する等の措置につきましては既に実施に移しているところでございます。
 また、予算措置の必要なものにつきましては、今般の五年度補正予算案において、経営に不安定を生じている中小企業に財投金利を下回る低利の運転資金を供給する貸付規模七千億円の中小企業運転資金特別貸付制度の創設、貸付規模二千億円の緊急経営支援貸し付けの拡充等に必要な政府関係金融機関等に対する出資等を盛り込んでいるところでございます。このためにも、ぜひとも五年度補正予算案の早期成立を強く期待申し上げているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣中村喜四郎君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(中村喜四郎君) 私に対する質問は、業界を指導監督する建設省として独自の調査を行い、そのことを国会に報告すべきではないかという御質問でございました。
 建設省としては、一般的に建設業の健全な発達を促進する立場から、業界の事業活動の適正化、企業倫理の確立を図ることを目的として建設業者団体等からヒアリングを行っているところであります。独占禁止法等の個別法令違反に関してはしかるべき機関において調査が進められているところであり、一方、建設省のヒアリングはこれらの法令違反の有無を調査するものではなく、業界の実態を把握し適切な指導を行うため実施するものであり、個々の団体等にかかわる事項について公表する考え方はございません。
 建設省としては、このヒアリングの結果を踏まえ、必要があれば業界における事業活動の適正化について指導をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○副議長(赤桐操君) 萩野浩基君。
   〔萩野浩基君登壇、拍手〕
#31
○萩野浩基君 私は、民主改革連合を代表し、七点について宮澤総理並びに大蔵大臣に質問を行います。
 まず、補正予算三案の質問に入る前に、国際平和のために二度とない人生を、二つとない若い命をささげられたボランティアの中田さん、文民警官の高田さんの御冥福をこの場より深くお祈りいたします。
 私ごとでありますが、亡くなったとの誤報もありましたあの重症の宮城県警の八木さんは実は私の町内会の方であり、どうしても他人ごととは思えません。
 今このときも、カンボジアは刻んと内戦に近い状況となっております。PKO活動への参加基準として決めた諸原則は今や現実には機能していません。このままではメンツのためにとうとい命をさらに危険にさらすことにもなりかねません。選挙を何が何でも強行することが果たしてカンボジアの和平につながるのか。今や選挙後のことも重大事であります。
 国際貢献は確かに重要であります。しかし、我が国がなせる、また今なすべきまことの国際平和への貢献の道を原点に返って今こそ真剣に再考するときと思いますが、総理、これまでの発言にこだわることなく、勇気ある率直な見解を求めます。
 さて次に、景気対策について伺います。
 政府は昨年の今ごろ、景気は間もなく好転すると宣言し、その後、口を開けば景気は今が底だと言い続けてまいりました。しかし、今や日本列島はまさに不況一色であります。政府が今回の不況をいかに甘く見ていたか。それは政府が平成四年度経済見通しを当初の三・五%から一・六%に下げたものの、その一・六%すらはるかに下回っております。政府の甘過ぎた景気判断と後手後手の対応について、厳しい反省の上に立った総理の答弁を求めます。
 ところで、さきの五年度予算審議の際、政府は平成五年度の三・三%成長は十分可能と述べていたにもかかわらず、その舌の根も渇かないうちに史上最大規模十三兆二千億円の景気対策を打ち出しました。平成五年度予算をもってすれば三・三%成長は可能と言っていたのは、あれは間違いだったのですか。それとも、予算成立後景気がさらに悪化するような特別な事態が起きたとでも言うのでしょうか。また、事もあろうに、重大な政治改革の審議の通常国会中に補正予算を提出するような異常な事態は、宮澤内閣の景気判断がいかに間違っていたかの証左以外の何物でもありません。
 さらに、本予算の衆議院通過に当たり、自民党幹事長は国民に所得減税をにおわされたはずなのに、この補正に計上されなかったのは国民の期待を裏切ったも同然であります。何も所得減税がすべてとは言いません。しかし、予算の執行状況を見るとき、今回においても工夫と努力次第では国民期待の所得減税はやる気があれば実行できるはずです。総理の答弁を求めます。
 不況のたびに常に犠牲を強いられるのは一般庶民と中小企業者であります。売り上げや経常利益の激減に見舞われ、倒産やむなき中小企業が少なくありません。しかし、今日の経済大国へ押し上げたのは、こうした中小企業の力によるところ大であります。このように我が国の経済を底辺で支える中小企業が不況に苦しんでいる今日、この補止予算にはどのような中小企業対策を盛り込んでおられるのか、総理並びに大蔵大臣の詳細なる説明をお願いいたします。
 次に、社会資本の整備について伺います。
 景気回復、二十一世紀の超高齢化社会のための公共事業、社会資本の整備が今補正予算でも中心に据えられ、その整備が急がれております。宮澤内閣は生活大国の実現を目標に掲げ、生活関連社会資本の充実を約束されております。しかし、それのみでは生活大国はつくれるものではありません。生活大国とはすなわち高度な福祉国家を実現することであり、住宅、下水道などの社会資本に加え、福祉と教育を重視し、従来の箱物的発想を超えて、人の痛みをおのれの痛みとする人間本位の新たな社会資本を今後の整備の根幹とすべきであります。いかがでしょうか。
 従来型の道路や港湾、空港等に偏った社会資本の整備のみでは生活大国にはほど遠いばかりでなく、ともすると政官財癒着で公共事業を食い物にする心なき政治家の温床ともなりかねません。今こそ福祉を根幹に据えた新しい社会資本の概念、理念に基づく整備を積極的に推進すべきときであると考えますが、総理の熱意ある答弁を期待いたします。
 また、高度な福祉国家、生活大国を実現させるには、二十一世紀の超高齢化社会を視野に入れたマンパワーをパワーにするもろもろの具体的な対策が不可欠であります。ゴールドプランはその一つで現在その実施を地方の責任で進めております。しかし最大の欠点は、農山村自治体で高齢化率三〇%のような自治体が財源面でお手上げになろうとしております。地方任せで二十一世紀の超高齢化時代を乗り切ることは不可能であります。例えばお年寄りや病気の方を献身的にお世話される介護の方、看護婦さん方の待遇は倍にしても少なくありません。施設や看護学校のハード面をふやすだけでは何の抜本的解決にもなりません。地方財源対策を重視したニューゴールドプランを早急に策定し、その実現のための国民的な社会システムづくりを急ぐべきと考えます。
 最後に、私は常日ごろ日の当たらないところに日を当てるのが福祉、教育であり、それを実践、実現するのが政治であるとの信念を抱いております。どうか総理の前向きの答弁を切に期待し、代表質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) カンボジアにおきまして武装解除が完全に行われなかった結果、武装集団による襲撃事件等々も起こりました。また、まことに不幸なことも起こりまして、それにクメール・ルージュが選挙に参加をしないといったような当初と異なった事態の展開がありましたことは残念ながら事実でございます。しかしながら、和平プロセスの基本的枠組みが崩れていない、維持されておると考えておりますことはしばしば申し上げたとおりでございますので、我々といたしまして、引き続きカンボジアにおける和平と民主主義の実現を目指す国際社会の努力に対し、積極的に協力をいたしたいと考えております。
 たびたび政府の経済対策が後手になり、見通しも誤っておったということにつきましては、過去におきましてそのようなことがございましたことは、これは率直に認めざるを得ません。このたびのような経済のいわゆる複合不況と言われるもの、単純な循環だけでなく資産の逆資産効果というようなものが企業、家計に及ぼした影響は非常に大きいものがございました。それらにつきまして十分に素早く対応できなかったということを残念に存じますが、たびたびの施策によりまして今ようやく明るい兆しが見えてまいりました。このたびの御審議を経まして補正予算が成立いたしまして、この景気の歩みを万全のものにいたしておきたいと考えておるところでございます。
 平成五年度の経済見通してございますけれども、政府として景気に配慮して適切、機動的な運営をするということで経済見通しを立てておりますが、このたびこのような総合経済対策をやらせていただきまして、経済見通しで想定された望ましい経済の姿をより確実に実現できるものと考えております。
 所得税減税につきましては、何度も申し上げまして、各党間で御協議中でございます。国民に対する裏切りというようなことを政府はしておるつもりはございません。
 それから、中小企業対策でございますが、補正予算でもこれは重く考えておりまして、このたびの追加規模は七百六十億円でございますが、これは過去最大のものでございます。
 それから、生活大国につきまして、確かにそれは生活に関連した、そしてまた高齢者の保健福祉あるいは社会参加等々、単に都市公園、下水道、環境衛生等々、生活そのものばかりでなく、高齢者の社会参加あるいは学習・文化施設の形成など、そういう社会資本の整備を心がけておりますし、これは生活大国五カ年計画そのものがそういうことを心がけております。
 そして何よりも、おっしゃいますように、ゴールドプランの実現でございます。このゴールドプランはただいまのところ毎年の予算で国、地方を通じまして順調に進捗をいたしております。また、地域の実情に応じた取り組みを支援するために、地方財政計画上、地域福祉基金の設置費等を含めまして、地方単独事業におきましても十分な額を確保しておるつもりでございます。
 残りの問題につきましては関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣林義郎君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(林義郎君) 萩野議員の御質問にお答え申し上げます。
 御質問の趣旨は、我が国の経済を底辺で支えている中小企業へもっと配慮があってしかるべきではないか、今回の補正予算ではどのような対策を盛り込んでいるのかという御質問でございます。
 新総合経済対策におきましては、厳しい経営環境に直面し資金繰りが悪化している中小企業の金融の円滑化を図るために、政府関係中小企業金融機関等の貸付規模の拡大等を図るとともに、中小企業に対する信用保証の一層の充実を図ることとしているところでございます。
 少し詳しくなりますけれども御説明申し上げますが、第一に、中小企業の資金調達の円滑化の観点から、国民金融公庫における低利の中小企業運転資金特別貸付制度の創設を図るということでございます。
 第二に、中小企業の信用保証の充実等の観点から、信用保証協会の保証付融資を拡大するための中小企業信用保険公庫に対する出資、小企業等経営改善資金貸付制度、いわゆるマル経制度でございますが、これの貸付枠の拡大を行うことにしております。単に今回だけではありません。今後とも、中小企業者の置かれている厳しい経営環境にかんがみまして、引き続き政府関係金融機関にも指導し、中小企業者の金融の円滑化に万全を期してまいりたいと考えております。(拍手)
#34
○副議長(赤桐操君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#35
○副議長(赤桐操君) この際、日程に追加して、
 身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長野別隆俊君。
    〔野別隆俊君登壇、拍手〕
#37
○野別隆俊君 ただいま議題となりました身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、社会経済の情報化の進展に伴い、身体障害者の電気通信の利用の機会を確保することの必要性が増大していることにかんがみ、通信・放送役務の利用に関する身体障害者の利便の増進を図るため、通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、通信・放送機構の業務に通信・放送身体障害者利用円滑化事業の実施を推進するために必要な業務を追加する等を行うものであります。
 委員会におきましては、情報通信利用格差是正の状況、文字放送の現状、字幕放送、解説放送の拡充方策等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本件に対し附帯決議案が提出され、本委員会の決議とすることに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#38
○副議長(赤桐操君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#39
○副議長(赤桐操君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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