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1993/03/05 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 予算委員会第二分科会 第2号
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1993/03/05 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 予算委員会第二分科会 第2号

#1
第126回国会 予算委員会第二分科会 第2号
平成五年三月五日(金曜日)
    午後一時十三分開議
 出席分科員
   主 査 越智 通雄君
       相沢 英之君     衛藤征士郎君
       中山 太郎君    宇都宮真由美君
       川島  實君     貴志 八郎君
       細川 律夫君     東  祥三君
       宮地 正介君     渡部 一郎君
    兼務 五十嵐広三君  兼務 小川 国彦君
    兼務 佐藤 恒晴君  兼務 斉藤 一雄君
    兼務 渋谷  修君  兼務 土肥 隆一君
    兼務 藤田 高敏君  兼務 堀  昌雄君
    兼務 古堅 実吉君  兼務 柳田  稔君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤田正晴君
        外務大臣臨時代 河野 洋平君
        理
        大 蔵 大 臣 林  義郎君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務大臣官房会 永井 紀昭君
        計課長
        法務大臣官房審 森脇  勝君
        議官
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省人権擁護 筧  康生君
        局長
        外務大臣官房長 林  貞行君
        外務大臣官房会 藤崎 一郎君
        計課長
        外務大臣官房文 木村 崇之君
        化交流部長
        外務省アジア局 池田  維君
        長
        外務省北米局長 佐藤 行雄君
        外務省欧亜局長 野村 一成君
        外務省中近東ア 小原  武君
        フリカ局長
        財務省経済局次 林   暘君
        長
        外務省経済協力 川上 隆朗君
        局長
        外務省条約局長 丹波  實君
        外務省国際連合 澁谷 治彦君
        局長
        大蔵大臣官房会 中川 隆進君
        計課長
        大蔵大臣官房審 田波 耕治君
        議官
        大蔵省主計局次 竹島 一彦君
        長
        大蔵省主税局長 濱本 英輔君
        大蔵省関税局長 米澤 潤一君
        大蔵省銀行局長 寺村 信行君
        大蔵省国際金融 中平 幸典君
        局長
        国税庁次長   瀧川 哲男君
        国税庁課税部長 松川 隆志君
 分科員外の出席者
        総務庁長官官房
        地域改善対策室 荒賀 泰太君
        長
        防衛施設庁施設 山口 金一君
        部連絡調整官
        大蔵省主計局主 坂  篤郎君
        計官
        大蔵省主計局主 志賀  櫻君
        計官
        文部省初等中等
        教育局小学校課 銭谷 眞美君
        長
        厚生省保険局保 紺矢 寛朗君
        険課長
        労働大臣官房参 後藤 光義君
        事官
        建設省都市局公 山田 勝己君
        園緑地課長
        建設省住宅局住
        宅建設課市街地 松野  仁君
        住宅整備室長
        最高裁判所事務 今井  功君
        総局民事局長
        法務委員会調査 平木 喜祿君
        室長
        外務委員会調査 黒河内久美君
        室長
        大蔵委員会調査 中川 浩扶君
        室長
        予算委員会調査 堀口 一郎君
        室長
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
 宇都宮真由美君     野坂 浩賢君
  串原 義直君     貴志 八郎君
  宮地 正介君     渡部 一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  貴志 八郎君     細川 律夫君
  野坂 浩賢君    宇都宮真由美君
  渡部 一郎君     東  祥三君
同日
 辞任         補欠選任
  細川 律夫君     秋葉 忠利君
  東  祥三君     遠藤 乙彦君
同日
 辞任         補欠選任
  秋葉 忠利君     川島  實君
  遠藤 乙彦君     宮地 正介君
同日
 辞任         補欠選任
  川島  實君     串原 義直君
同日
 第一分科員渋谷修君、古堅実吉君、第三分科員
 小川国彦君、第四分科員佐藤恒晴君、藤田高敏
 君、第六分科員五十嵐広三君、土肥隆一君、第
 七分科員斉藤一雄君、堀昌雄君及び第八分科員
 柳田稔君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成五年度一般会計予算
 平成五年度特別会計予算
 平成五年度政府関係機関予算
 (法務省、外務省及び大蔵省所管)
     ―――――◇―――――
#2
○越智主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 平成五年度一般会計予算、平成五年度特別会計予算及び平成五年度政府関係機関予算中法務省所管、外務省所管及び大蔵省所管について審査を進めることとし、補充質疑を行います。
 法務省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。貴志八郎君。
#3
○貴志分科員 まずきょうの審査につきまして、議事の運営に協力する意味もありましてかなり質問を調整いたした向きがありまして、その公私が通告いたした趣旨には入っておらなかった部分についてもお尋ねをすることになろうと思いますが、そのような事情でありますので御了解をまずいただきたいと思います。
 さて、東西冷戦が解消をいたしましてから物事に対する判断の基準がかなり変わってきたというふうに思います。あれはたしか一九六四年、インドのネール、中国の周恩来共同声明で平和五原則なるものを発表いたしました。これは、あの東西冷戦構造の中で平和に貢献する原則として高く評価をされるわけでありますけれども、東西冷戦の解消によりまして、その中の例えば一つ、内政不干渉というふうな項目については、今いろいろな意味でもう一遍見詰め直される課題になっておると思います。
 特に環境と人権の問題につきましては、内政不干渉ということではなしに、むしろ国境を越えて環境や人権の問題については干渉もするし、人権を守る、環境破壊を指弾するというふうな観点からいえば、むしろ積極的に関与をするというふうな、そういう世界共通の価値観が今日生まれて、それが一つの潮流になっておるのではないかというふうに私は思うわけでございます。
 そういう意味からいいますと、アパルトヘイトの問題も天安門事件の問題も今のボスニア・ヘルツェゴビナの人権侵害につきましても、それは世界から注目をされる課題になりましたし、世界からどんどん他の国の問題でありましてもそれが問題化されていく。アメリカだってサンフランシスコの警官暴行事件をきっかけにして、まさかと思うブッシュ大統領が引きずり落とされるというふうな場面を迎えるわけであります。
 そういう時代の変遷の中で、今我が国の人権問題に対する考え方、それから世界的な人権に対する潮流、そういったものの中で、我が国が今経済一流と言われながら、人権問題についてはひどい言葉で言えば三流とまで言われる、そういうことに対するハードルを何としても乗り越えなければならぬと思うのでありますけれども、今我が国が人権先進国になるためにどのようなハードルを乗り越えていくか、そういう観点で基本的な考え方についてまず法務大臣のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
#4
○後藤田国務大臣 今、貴志議員から、最近の環境の問題あるいは人権の問題等につきまして大変高い見地からの御見識を承ったわけでございますが、私も全く同意見でございます。
 確かに最近のように国際関係が非常に緊密化しできますと、どうしても従来からありましたいわゆる主権の概念もだんだん変わりつつあるのではないかな。そういった中でも、世界共通の問題として御指摘にありました人権の問題については、なるほど一昔前といいますか、それだけでなしに、つい最近まで、やはりこれは主権を侵す主張ではないのかといったような反対意見があったことは事実でございますが、最近もう全くそれはなくなってきつつあるのではないかな。我が国もそういう立場に立って人権問題あるいは環境問題に真剣に内政の上で対応していかなければならない、私はかような認識を持っておるわけでございます。
#5
○貴志分科員 ただいまの法務大臣の御意見は、いろいろな意味で私と基本的には全く一致する、そういうふうに思います。
 そこで、甚だ残念なことでありますけれども、ここ数年間の一つの大きな課題といたしまして取り上げてみたいと思いますのは、平成二年九月二十一日、当時の梶山法務大臣が新宿を視察いたしまして、そのときに、悪貨が良貨を駆逐するというふうなことで黒人差別につながる発言を行いまして、これが大変アメリカに対して、また世界的にもアフリカ諸国からも指弾を受けるというふうな事態に立ち至りました。
 当時の新聞をちょっと読んでみますと、アメリカでタクシーに乗った人が運転手から、日本人だね、あなたの国の法務大臣が黒人と売春婦を一緒くたにしてひどいことを言ってくれたね、あんたは賛成か反対か、そんな話しかけが行われたという体験を投書をいたしておりましたけれども、その後、当の御本人からも、当時の海部総理からも、わび状を入れたり、あるいは陳謝をいたしたり、それこそ火のついた山をもみ消すように一生懸命消されたわけでございます。
 ちょうどこの発言の前に、いわゆる中曽根元総理の発言がございまして、それが知的水準というふうな形でアメリカを批判し、あるいは渡辺現外務大臣が、黒人が破産をしてもあっけらかんのかんなどというふうなことを言いまして、とにかく日本の人種差別三大男とまで言われ、その締めくくりとして梶山発言があったというふうにまで、新聞論調はかなり厳しい批判をいたしました。
 私どもも、人権に対して一体我が国のトップの、しかも人権を守らなければならない、人権を守るための法務大臣がこんなことを発言するということに対して、たまらないほどの恥ずかしさを覚えるとともに怒りをさえ持ったわけであります。
 私はここで聞きたいのは、この発言について法務省としてどのような総括をして、かつその総括をもとにして日本が人権を守るという基本的な正しい姿勢をいかに強くアピールしようとしているのか、そういう行動を何をやったかということを、今ここでもう一遍総括の結果をお伺いをしておきたいと思います。
#6
○後藤田国務大臣 今御指摘の前法務大臣とかあるいは渡辺さんとか中曽根さんの過去の言動についての御指摘をされながらの、こういうことがあってはならぬ、こういう御意見でございますが、私はそういった方々の、前任者等の発言についてここでとやかく申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、私自身の考え方としては、今日もはや人種であるとかあるいは国籍であるとか、あるいは宗教あるいは思想、信条、社会的な身分、いわんや門地等に伴っての不謹慎な発言はすべきでない、やはりこういうことは心の中に差別的な考え方が根っこにあると、とかくそういう軽率な発言をすることになる原因を招来しているのであろう、私はかように思うわけでございますから、今日あなたが今おっしゃるように、こういうことは絶対にお互いにあってはならない。
 しかし、これは何しろ意識の問題、心の問題でございますから、やはりこういう点については人権というものがどれくらい大事なものかということを、私はあらゆる機会をとらえて人権の尊重を基本とするような意識の改革について政府としても取り組まなければならぬと思いますが、最後の御質問の中にありました、その後法務省としては人権問題について一体どういう総括をしてやっておるのかということがございましたから、それについては事務当局からお答えをさせていただきます。
#7
○筧政府委員 ただいま御指摘をいただきました梶山発言につきましては、委員御指摘のとおり、元大臣自身が関係者の皆様に深くおわびを申し上げ、アメリカ大使に謝罪をされる、あるいは米国の黒人議員連盟に対してもおわびの書簡などを送って関係者の理解を得るべく努力をしたものというように承知しております。
 先ほど大臣の方から申し上げましたように、こうした外国人に対する日本人の意識の問題に関しましては、日本人一般についても種々な点において意識を改めなければいけないというところがあるのではないかと考えておりまして、私どもとそれから全国人権擁護委員連合会が毎年国民に対して重点的に啓発をしたいという啓発目標を設定しておりますが、ここ数年来、社会の国際化と人権、あるいは国際化時代にふさわしい人権意識を育てようということを重点目標にいたしまして、その趣旨に沿った啓発活動を続けているところでございます。
#8
○貴志分科員 当時、反省のあかしとして、マイノリティー代表と話し合いをしたり、少数民族を招待してセミナーを開いたり、そういうふうなことをやるということを公約と申しますか、されておったわけですが、そういった問題についてはどのようにやって、そしてそれがどのように理解されたかということを本当は聞きたかったわけでございますけれども、あとの問題もありますので、それはいずれお尋ねをすることにいたしまして、人種差別撤廃国際条約について論及をしてまいりたいと思います。
 ただいま法務大臣が、人種あるいは思想、門地、そういったものについて差別する心の意識が問題だというふうにおっしゃられまして、私も同感でございますが、一九六五年十二月二十一日、国連第二十回総会で、賛成百六、反対ゼロ、棄権一という形で採択されたこの条約であります。六九年一月四日、効力を発生するわけでございますが、これが今日我が国でなお批准を見ていないということは、日本の人権に対する取り組みがおくれている証拠のように受け取られる、私も実は日本の人権に対する考え方のおくれというものをこの条約の取り扱い一つ見てもわかるというふうな気がするわけです。
 法務大臣は先般、二月二十三日の法務委員会におきまして、この条約の処罰規定が思想、信条、表現の自由との関係で直ちに批准することは困難だというふうにおっしゃいました。私は、思想、信条、表現の自由、それが人権差別の自由を認めることになるのだろうかというふうなことについてかなり強い疑問を持つわけでありますけれども、一体処罰規定のどの部分が思想や信条や表現の自由に抵触するというふうにお考えなのか、その一点だけで結構でございますからお答えをいただきたいと思います。
#9
○後藤田国務大臣 この問題は差別撤廃条約の解釈に関することでございますけれども、この条約の中に非常に幅の広い行為を処罰の対象にすることを求めておるわけでございますが、余り広範囲にわたる、言論等を処罰の対象にしてこれを規制するということになりますと、正当な言論活動、こういうものを反面萎縮させてしまうおそれがありはしないか。そうしますと、憲法で保障する思想、信条の自由あるいは集会、結社、表現の自由、こういった問題とぶつかる。つまり、処罰規定の対象にするということは、構成要件をきちんと決めておきませんと、取り締まり当局の、言葉は悪いですけれども、恣意的な解釈運用に走るというおそれが多分にある。
 そういうことを考えますと、私は一方で、我々がどうしても守らなきゃならない罪刑法定主義、こういうようなものを頭に置きますと、この条約の処罰対象が処罰対象として書く場合には余りにも抽象的といいますか幅が広過ぎる、それを今度は罰則で規制するということになると、どうしてもこれは具体的な構成要件というものを詰めなきゃならぬ、そこに相反するものが出てきて、どうしても直ちに踏み切れないという難しい面があるのではなかろうかな。
 といって、この問題は非常に重要な課題でございますから、長い間ですから、議員のお立場に立ては、それはおかしいよ、こうおっしゃると思いますけれども、ほっておくわけではなくて、外務当局との間の検討会なり、あるいは私どもの役所の辛も、今日といえども勉強会におきまして、何とかこれの接点を求めることができないのかどうかといったようなことは勉強しておるのだということだけは、ひとつ御理解をしておいていただきたいと思います。
 なおまた、これは非常に法律的な難しい問題がございますから、それらについては事務当局からお答えいたさせたいと思います。
#10
○貴志分科員 いや、それでもう結構です。せめて後藤田法務大臣のいらっしゃる間に、これだけの世の中の変化を、時代の変化を、世界の潮流の変化もちゃんと理解していただいている後藤田法務大臣の間に、もう三十年も塩漬けになっているこの問題がこれからなお五年も十年もかかるというふうなことでは、世界の日本に対する、人権という価値観を日本が疑われるようなことでは話にならぬと思いますので、ぜひ積極的に、かつできるだけ早い機会に批准ができるように、せっかくの御努力をいただくようにお願いしておきたいと思います。
 そこで、時間もございませんので、今度は国内問題について申し上げてみたいと思います。今まで申し上げてきた話の流れから、私が申し上げたいと思うことについてはほぼ御了察をいただけると思いますので、なるべく簡潔に申し上げてみたいと思います。
 一つは、我が国の中における、いわゆる同和問題の解決についてでございます。
 いろいろと申し上げなければならぬことはたくさんありますけれども、端的に申し上げて、実態調査委員会では、これから実態調査を十一月から年二回に分けて行われるそうでございますけれども、その対象地域に未指定地区の問題がある。この間、二月二十三日の法務委員会で、法務大臣は、未指定地区については十分承知しておるがということを前提にお答えなさっておるように拝見いたしました。
 私が心配をいたしますのは、我々が運動団体の方からお伺いしているのに約千の未指定地区がある、ここからが大変大切なところでございますけれども、仮に今後この未指定地区の中で差別事件が起こってきたときに、それを同和問題に対する差別事件とみなすのかどうかという、今未指定地区だからそれはまだ調査ができないのだということでありますが、しかし、そこで問題が起こったときにどうするのだろうかという心配を私はするのです。まじめな話、そういった具体的な問題が起こってきたときに、人権擁護課の方にそういった話が持ち込まれたときに一体どうするのだ。だから、もっと大きな観点で、各県なり市町村の段階でもいろいろとやられておるわけですから、そういったある意味で気脈が通じたところと、この間の法の附帯決議なんかも尊重した形で未指定地区の問題を、それはもうどこで区切るのだというふうなことではなしに、もっと柔軟に対処するという態度が必要ではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#11
○筧政府委員 ただいまのお尋ねのことは、未指定地区外において同和問題に関する人権問題が生じたときにはどうなるのかというお尋ねでございますが……(貴志分科員「指定地区外」と呼ぶ)指定地区外。これは、結論的に申し上げますと、同和問題に関する問題は憲法の保障する基本的人権の保障の欠ける事態であるわけでございまして、必ずしも同和対策の関連事業の直接的な事業というわけでもなく、あらゆる人に等しく人権が保障されなければならないという観点から対処しておりますので、そのような人権侵犯事件が生じた場合には人権侵犯事件として取り扱い、所要の調査をして措置をする、こういうことになっております。
#12
○貴志分科員 いや、一般的な答えとしては、それはそれでいいのです。けれども、例えば法務局の職員で、結婚差別の問題が問題になった、その結婚差別をした相手が未指定地区の同和地区の方であった場合には一体どうするのだ。具体的なことになってくるとそうなってくるわけでしょう。ですから、未指定地区だからおれは知らぬぞ、一般的な扱いしかできないぞというふうなことではなしに、問題が起これは、その問題に対して、きちんとそれを見て解決するという態度が必要ではないでしょうかと、私はある意味では前向きな話をしているつもりですから、そういう意味での答えをいただきたいと思うのです。
#13
○筧政府委員 委員の御指摘のとおりでございまして、同和問題についての差別というのが依然としていろいろな事件として挙がってくるわけでございます。それは必ずしも指定地区の内であるとか外であるとかということにかかわらず、日本国内に同和地区の出身者であるということに伴って差別事象が生じてくるということになっておりますので、その地区指定のいかんにかかわらず、差別が存すればそれに対して所要の調査をして措置をするということになっております。
#14
○貴志分科員 いずれにいたしましても、未指定地区がある限りは、一つでも残っていれば日本の同和問題の解決はまだ終わっていないということになるわけでございますから、そういう意味で、大きな観点からこの問題も積極的に解決するようにお願いしておきたいと思います。
 それから、狭山裁判の問題でございますが、既に三十年を経過いたしまして、石川一雄さんも未決通算十一年八カ月、間もなく十二年目を迎えようといたしております。昭和五十四年五月二十九日の法務委員会で質問に答えて、未決十年で仮釈放するというふうなお答えがあったと承知をいたしておりますが、既にその期間を通り越して今日に至っているということは大変胸の痛むことでございます。
 この件についてどのように今お考えになっておるのか、五十四年五月二十九日の委員会答弁をもう一遍振り返っていただきまして解決をされることを、この機会にぜひ強くお願いをいたしておきたいと思うのでございます。
#15
○後藤田国務大臣 この問題は従来から大変長い間いろいろな経過を経ておるわけでございますが、無期刑の受刑者をどのような段階で仮釈放するかということにつきましては、司法機関で無期、こう最終決定をされておるわけでございます。それを中途で釈放するということでございますから、やはりそれなりに難しいいろいろな基本的な問題があるのではないか、私はこう思います。この点については十分慎重に検討する必要があるのではないか。だから一概に、ここにも形式的な条件があれば釈放してしまうといったような簡単な問題ではないのかな。
 仮釈放についての申請は、今さら言うまでもありませんが、刑務所長の専権事項になっており、そして同時に、刑務所長としては所内でそれぞれの審議の機関を持っておって、絶えず受刑者の処遇の関係であるとか身上関係あるいは犯罪関係あるいは保護関係等を総合的に判断をしながら公正妥当な取り扱いを慎重にやっておる、かように私は承知をしておるわけでございます。それだけに法務大臣として刑務所長に対してどうこうしろという立場にはないのだということは、ひとつ御理解をしておいていただきたいと思います。
 しかし、この問題は長い経過を経ている問題でありますから、刑務所長としてもそれなりに十分頭の中に刻み込んで慎重な検討をし、対応をしてくれるのではないかな、私はかように考えておるわけでございます。
#16
○貴志分科員 ぜひ前向きの対応を強くお願いをしておきたいと思います。
 なお、社会党として全国十県、五班に分けまして調査団を、これは先ほどの同和地区の実態調査に入るわけでございますが、法務当局も要請があればこの調査にぜひ御協力をいただきたい旨、時間がありませんから要望をいたして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#17
○越智主査 これにて貴志八郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、土肥隆一君。
#18
○土肥分科員 先ほど貴志委員もお話しになりました部落解放について私も質問をさせていただきたいと思います。特に私は啓発活動というところを中心に質問をしたいと思っております。
 その前に、先ほど指定地区の問題がありましたが、俗に指定地区であるとか未指定地区だとかいうことが言われておりますけれども、一体この地区という概念はどういうふうに決め、そしてどういうふうに指定されてきたのか、指定地区でなくて未指定地区というのはまたどういうふうにして決められてきたのか、この指定地区の歴史からお話しいただきたいと思います。
#19
○荒賀説明員 同和対策事業特別措置法及び地域改善対策特別措置法におきましては、事業実施の希望のある地域につきまして、地域住民の合意と選択及びこれを受けました地方公共団体の判断のもとに関係各省庁が確認をしてきたところでございます。この確認された地域が対象地域とか指定地区とかと呼ばれておるものでございまして、四千六百三地区が確認されております。
 その根拠といたしましては、同対法、地対法の一条に「対象地域」という規定がございます。すなわち「歴史的社会的理由により生活環境等の安定向上が阻害されている地域」を言うわけでございますが、その地域を確認する手続といたしまして、昭和五十年金国同和地区調査を行いました以降は関係地方公共団体からの個別の申請を待ちまして具体的に確認をしていく、これが地区指定の手続でございます。
 対象地域の確認につきましては、同対法、地対法に基づいて十八年間確認をしてきたわけでございますが、この十八年間というのは相当長期の期間でございまして、事業実施の希望のある地域については地域住民の合意と選択及びこれを受けた地方公共団体の判断のもとにすべて確認されているというふうに判断して差し支えないものと考えておるわけでございます。
 この十八年間の実績を踏まえまして、昭和六十二年に制定をされました地対財特法でございますが、この地対財特法は特別対策から一般対策への円滑な移行を図るための最終の特別法ということでございまして、地対法の期間中に残された事業を円滑かつ迅速に実施するための財政上の特別措置を定めたものでございます。したがって、地対法失効までの間に対象地域として事業が実施された地域のみを地対財特法による地域改善対策特定事業を実施できる地域としたものでございまして、この地対財特法におきまして新たな対象地域あるいは新たな指定地区の追加は制度上行えない仕組みになっておるわけでございます。
 なお、地対財特法は衆参両院とも全会一致により成立をしたものでございますし、また昨年の一部改正法におきましても、改正前と同様、新たな対象地域の追加は行わない仕組みとなっているところでございます。
#20
○土肥分科員 そうしますと、私の解釈では、今さら未指定地区と言われても困る、行政上は対応できないというふうに今の御答弁から聞きました。私の意見を申し上げますと、やはりまだ残された地区があるとするならば何らかの法的な対応、行政的な対応があってもよかろうと思いますが、その辺についてはこれ以上申し上げません。
 さて次は、近く実態調査が実施されると聞いております。その実態調査は、前回の昭和六十年に行われたものと同等であるのか、今回は少し違った、あるいはボリュームにおいても少し違ったものになさるのかごく簡潔にお述べいただきたいと思います。
#21
○荒賀説明員 来年度に実施する予定の同和地区実態把握等調査につきましては、平成三年十二月の地対協の意見具申、その意見具申を尊重して政府において取りまとめました「今後の地域改善対策に関する大綱」、それから百二十三回国会における総務庁長官の答弁を踏まえまして、これまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等を把握するために三億二千五百万円の予算を計上しておるところでございます。
 調査の概要でございますが、まず目的につきましては、ただいま申し上げましたようにこれまでの地域改善対策の効果を測定し、同和地区の実態や国民の意識等について把握することでございます。
 調査の種類につきましては、同和地区の概況調査、これは地区概況調査と言っておりますが、これと、それから同和関係者の生活実態を把握するための調査、生活実態調査、並びに同和関係者及び同和地区外に居住する者の意識を把握するための調査、意識調査の三種類でございます。
 それで、地区概況調査につきましては、四千六真二の全対象地域及び当該対象地域の所在する府県、市町村等を対象とした行政調査とすることといたしております。
 また、生活実態調査の規模、対象世帯数につきましては、昭和六十年度の地域啓発等実態把握における約一万世帯を大幅に上回ります、約五分の一程度の抽出率による世帯数、これは約六万世帯程度を予定しておりますが、非常に大幅な、大規模な調査を予定いたしております。それから、生活実態調査の実施体制、方法等につきましては、市町村職員である調査員が中心となりまして調査を実施いたします。また、同和関係者その他の地元精通者であります協力員の協力を得る方式を考えておるわけでございます。
 また、意識調査につきましては、同和関係者に対する調査と、対象地域外に居住する約二万四千人程度の者に対する調査の二本立てを考えておりまして、対象地区外に居住する者につきましては、前回六十年の調査は同和地区のございます三十六府県に限られておりましたが、今回は四十七都道府県、全都道府県に拡大をして実施をいたしたい。
 そういったことで、昨年十一月に地対協におきまして総務庁からこれらの基本的な骨格について御説明をして、大筋において御理解をいただいたというふうに理解をいたしておるところでございます。
 この内容につきましては、これまでも関係省庁、地方公共団体、民間運動団体、研究所、専門家等の意見を伺いながら検討を進めてきたところでございます。調査の細部につきましては、本年一月に総務庁内に調査検討委員会を設置いたしまして検討を進めております。近く地方公共団体、民間運動団体、研究所からそれぞれ御意見を伺うことにしておりまして、さらに内容を詰めてまいりたいというふうに考えております。
#22
○土肥分科員 かなり規模が大きくなり、しかしながら地区概況調査、生活実態調査、意識調査というもの、この三本柱は変わらないわけでありまして、調査が終わってその調査報告が出ますと、その調査報告書の解釈をめぐって、被差別部落の実態がこうなっているというふうな一つの傾向的な読み方も可能なような結果が出ますので、結果に基づいてまた私ども議論させていただきたいと思いますが、本当の意味で今ある被差別部落の皆さんの生活がどうなのか、そして国民の意識は今はどういう状態にあるのかということがなるべく実態に即して明らかになるような調査にしていただきたい、このように希望を述べておきます。
 さて、私は、きょうは啓発活動について中心的にお聞きをいたしますが、まずどんな啓発活動をなさっているのか。予算書を見ますと、物的、非物的という部分では非物的な部分が当たると思います。たくさんの省庁にわたって啓発活動をしていらっしゃるわけですが、ごく簡単にどんなことをやっていると、項目的で結構でございますから、総務庁、法務省、労働省、文部省の順でお願いいたします。そのときに、いわゆるこの啓発予算の中での啓発事業の内容にしてください。それから、文部省ではいわゆる社会教育関係の中での啓発活動に限って御答弁をいただきたいと思います。簡単にお願いします。
#23
○荒賀説明員 総務庁におきましては、地域改善対策の円滑な実施及び国民一般を対象とした差別意識の解消を図ることを目的といたしまして、直轄事業といたしまして、国家公務員研修会、地方公共団体職員に対する指導者養成研修会等を実施しております。
 また、地方委託事業といたしましては、地方公共団体に対しまして、講演会、研究会の開催でありますとか啓発資料の配付、テレビ、ラジオ、ビデオ、新聞等を活用した一般国民を対象といたします啓発活動を委託しておるところでございます。
 また、中央委託事業といたしましては、財団法人地域改善啓発センターに対しまして、啓発教材の作成配付、シンポジウムの開催、情報、資料の収集、提供等を委託いたしますとともに、映画会社に啓発映画の制作を委託いたしておるところでございます。
 このほか、政府広報を活用する等、関係省庁、地方公共団体等とも緊密な連携を図りながら啓発活動の展開を図っているところでございまして、今後とも創意工夫を凝らした啓発を積極的に推進してまいりたい、このように考えております。
 平成五年度予算でございますが、対前年度比一〇・五%増の八億五千四百万余を計上いたしておりまして、その充実に努めておるところでございます。
#24
○筧政府委員 法務省の人権擁護機関の啓発のやり方として大きな特色がございますのは、法務省の法務局組織、法務局、地方法務局、その支局の組織を使っての啓発活動を行っている、あるいはまた、全国に約一万三千人おります人権擁護委員の活動を通じての啓発活動を行っているというのが大きな特色でございます。
 具体的にその啓発の形態といたしましては、シンポジウムあるいは講演会、映画会などの開催、あるいは各地方におけるイベントへの参加、あるいはテレビ、ラジオなどのマスメディアを通じての広報活動、あるいはパンフレット、リーフレット等の啓発冊子の配付、あるいはポスターの掲示等の啓発活動を行っているところでございます。
#25
○後藤説明員 労働省といたしましては、かねてより同和関係住民の就職の機会均等を確保することは同和問題解決の中心的課題との認識のもとに、同和関係住民の雇用の促進と職業の安定を図るため、事業主が同和問題について正しい理解、認識を深め、応募者の適性能力のみによって採否を決める公正な採用選考を行うよう啓発指導を展開しているところでございます。
 平成三年十二片十一日の地対協の意見具申では、今後の重点課題の中に就労対策や啓発が取り上げられているところでございまして、労働省といたしましては、この意見具申を踏まえ、今後とも就職差別を解消し、同和関係住民の雇用の促進と安定を図るため、一つには、一定規模以上の事業所を対象とした企業内同和問題研修推進員に対する研修、それから企業トップクラスに対する研修、それから小規模事業所を対象とした採用選考自主点検資料の作成配付、各種啓発教材、啓発広報資料の作成配付、関係都府県の主な公共職業安定所の窓口に同和問題啓発ビデオライブラリーを設置する、それから経済団体を通じての企業に対する啓発指導の要請等を実施することによりまして、事業主に対する積極的な啓発指導を粘り強く実施してまいりたいと考えております。
#26
○銭谷説明員 文部省におきましては、同和教育の重要性にかんがみまして、従来から学校教育と社会教育を通じまして、広く国民の基本的人権尊重の精神を高めるとともに、対象地域の教育、文化水準の向上に努めることを基本といたしまして、教育啓発活動に努めているところでございます。
 社会教育を中心のお尋ねでございますので、以下、社会教育を中心に御説明をさせていただきます。
 まず、全国の同和教育指導者を対象といたします同和教育研究協議会を毎年開催いたしております。また、「同和教育資料」という啓発冊子を作成いたしまして、各都道府県・市町村教育委員会等に配付をし、普及啓発に努めているところでございます。
 また、学校教育と社会教育が一体となりまして、地域ぐるみの同和教育の推進を図る教育推進地域事業の実施を行っております。このほか、教育啓発活動に重要な役割を果たす指導者の資質の向上と指導力の強化を図るため、都道府県・指定都市に指導者研修推進事業の実施を委嘱しているところでございます。加えまして、周辺の住民を対象といたしまして同和問題について理解を深めるための社会同和教育講座の開設を市町村に委嘱しているところでございます。
 今後とも同和教育啓発活動の充実に努めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#27
○土肥分科員 それぞれ御努力はなさっていることはうかがい知れるわけでございますけれども、この啓発活動というのが一種のワンパターンと言ったらちょっと言い過ぎでしょうか、マンネリと言ったら言い過ぎでしょうか、私はそういう感じを持たないではないのです。
 例えば国家公務員に対する研修で磯村英一さんがずっと主に講師をしていらっしゃるのですが、国家公務員に対しては「同和問題の現状と展望について」、大体そのような視点です。あるいは「人権の視点から見た同和問題」「同和問題の課題」とか。ずっと講師として磯村先生やら高木正幸先生などが名前を出していらっしゃる。地方にいきますと、これは講師は出ておりませんけれども、要するに三日間とか四日間熱海とか全国都市会館だとかいうところに集まってもらって、やはり磯村先生などが講師でお話をしていらっしゃる。いろいろ私もお聞きいたしますと、講演会を開催したりパンフレットをつくったり新聞広報をしたり教材をつくったりということでございます。
 この啓発活動というのは、私の感想を申し上げますと、やはり当該の部落の人たちも含めた地域から盛り上がってくるような、地域から始まって市民全体を巻き込むような運動にしないといけないのではないか。上からこういうふうにしてパンフレットやポスターやチラシを配り行事をいたしましても、もう一つ進んでない。その証拠には、相も変わらぬ結婚差別や部落差別の事象が絶えないわけであります。
 どうしたらこれが解消するのかということは、今政府は啓発活動ということを心理的啓発活動などともおっしゃって、心の内から国民の差別意識を変えていくんだ。これはいいのですけれども、言ってみればこれは人間改造でございまして、人間を変えなければいけないということになりますと、ビラを何枚つくりましても人間は変わらない。人間が本当に差別感を克服して、こういう部落差別はいけないんだということを本当に知るようなそういう活動にしなければならないということで、抽象的ではございますけれども、もう一工夫も二工夫もしないと啓発活動はいつまでやっても同じじゃないかと私は思うのです。
 そこで、ちょっと具体的にお聞きしますが、六十二年の十月に財団法人地域改善啓発センターというのができました。これはどういう目的でつくり、今どんな業務内容、予算はどれくらい持っているのでしょうか。
#28
○荒賀説明員 財団法人地域改善啓発センターでございますが、これは昭和六十一年十二月の地対協の意見具申におきましてこのような援言がなされております。
 「今後、啓発活動の推進に当たっては、同和問題の啓発に関する情報等が都道府県、市町村、民間企業、国民の各主体相互の間で迅速に伝達されるよう一層の工夫を行うことが望まれる。そのための一つの方法としては、国を始め、都道府県、市町村等が参画した公益法人を設立し、その法人が情報の迅速な伝達やえせ同和行為その他同和問題に関する相談活動並びに同和問題に関する調査研究及び研修等の事業を実施することが考えられる。」という援言を踏まえまして、今委員のお話にございましたように昭和六十二年の十月に、同和問題に関する総合的な啓発並びに同和問題に関する広報、啓発、相談、調査及び研究等を行いまして同和問題の解決に資することを目的として設立をされたものでございます。
 具体的な事業といたしましては、同和問題に関する啓発資料の作成、配付、同和問題啓発のパンフレットの発行等を行っております。それから、二番目に啓発資料の収集、貸し出しといたしましては、国・地方公共団体が作成をいたしました啓発資料の収集を行い、ビデオライブラリーと申しまして収集、購入したビデオを貸し出しをする。三番目には情報の収集、提供ということで、新聞記事の資料集の発行でありますとかあるいは資料目録の発行等を行っております。また、出版事業として「啓発センターだより」の発行でありますとか、「同和問題解決のために−えせ同和行為対応のための手引き書−」という手引き書を発行いたしております。また、調査研究といたしまして、人権と同和問題に関する意識調査等を行っておるわけでございます。啓発センターの予算額は平成四年度で約一億二千五百万円でございます。
 啓発センターの実施をいたします今後の啓発事業の進め方につきましては、このセンターの中に企画委員会を設置をいたしまして、この企画委員会の中には中央省庁、地方公共団体それから学識経験者、研究機関の代表、広く関係各界の啓発の専門家に委員として参加を求めておるわけでございまして、この企画委員会で活発な議論が今後の啓発事業の進め方について行われているところでございます。近くこの企画委員会から報告書が提出される予定でございます。この企画委員会の議論等も踏まえまして、より一層創意工夫を凝らした啓発活動が展開されるものというふうに考えておる次第でございます。
#29
○土肥分科員 各省庁も啓発事業をやる。特に啓発二省と言われている総務庁、そして法務省、労働省、その他の省庁、農林省なんかも含めましてやっていらっしゃるわけですけれども、そういう省庁の啓発活動と財団法人地域改善啓発センターとの関係はどうなんでしょうか。
#30
○荒賀説明員 総務庁といたしましては、先ほど申し上げました国民一般を対象とした直轄事業あるいは地方公共団体に対する委託事業等を行っておるわけでございまして、これは国の事業として行っておるわけでございます。
 それで、啓発センターは国以外に地方公共団体あるいは企業も含めて民間のいろいろなセクターがございます、そういったところに対して情報を的確に伝達をする、あるいは先生からも御指摘がありました、ややもすればマンネリ化を指摘されておりますこの啓発事業を今後より効果的な一層創意工夫を凝らしたものにしていくために、これはいわば民間の団体でございますから、そういった立場でどういったことをすることがこれから必要なのかという立場で検討をされておるところでございます。総務庁としては、民間の啓発センターに対して財政面その他で支援をしていく、こういう立場でございます。
#31
○土肥分科員 どうも屋上屋を重ねるといいましょうか、その都度必要に応じていろいろなものができてまいりますけれども、どうも全体として、国として一体化した啓発事業になってないんじゃないか。予算も相当額あるわけでありますけれども、それぞれの省庁で消化なさって、こういう問題について何か集中的に徹底的にやってみようというふうな横のつながりというものが感じられなくて、そういう意味で地域改善啓発センターがつくられたんだとは思うのですけれども、なおこの活動の内容についてはしっかりと見てまいりたいと思います。
 もう一つ、中央に財団法人をつくられたわけですが、地方自治体もあちこちで啓発センターといいましょうか啓発協会だとかいうようないろいろな名前が出ております。これは地方自治体が中心になってやっているようでありますけれども、総務庁として、それをいわば推進する側として地方を指導していらっしゃるというようなことがあるんでしょうか。そして今どれくらいの数生まれているのか、お知らせいただきたいと思います。
#32
○荒賀説明員 啓発事業、これは今申し上げましたように、国だけではなくて、やはり住民と一番近い立場にある市町村、地方自治体においても十分な努力がなされておるわけでございまして、やはりそれぞれの地域の実情に応じたきめ細かな啓発が行われておると我々は理解をいたしております。したがって、今お話にございましたような、地方自治体がみずからの判断で啓発センターを設置されておるところも幾つかございます。私どもが把握しているのでは、例えば兵庫県でありますとかあるいは滋賀県でありますとか高知県でありますとか宮崎県でありますとか、そういったところに人権啓発協会あるいはセンターあるいは協議会、そういった形で法人をおつくりになって積極的な活動をしているわけでございます。こういったセンター等によりまして啓発活動を行っていくということも一つの方法でございます。
 また、それぞれの地方公共団体のお考え、判断によるわけでございますけれども、総務庁としては、いずれにいたしましても啓発活動がより積極的、効果的に行われることが必要でございますので、そういった地方公共団体の啓発事業の推進を支援してまいりたい、このように考えております。
#33
○土肥分科員 そうすると、金を出したりあるいは積極的に地方を指導するということは総務庁としてはないということですね。
#34
○荒賀説明員 先ほど申し上げましたように、地方自治体に対する委託費というのはかなりの額を私どもは出しておりますので、そういったものの使い方についてはやはり自治体がそれぞれの実情に応じてされる、センターというのも一つの有力な方法であろう、このように考えております。
#35
○土肥分科員 さて、私は、この啓発活動においても一種の縦割り行政の悪弊が出ているのじゃないかというふうに思います。やはり啓発問題については各省庁間で熱心に討議なさって、そして地域改善啓発センターなども用いられて、集中的に効果のある啓発活動、創意工夫を重ねた啓発活動にぜひとも取り組んでいただきたい、このように思います。
 最後に大臣にお聞きいたしますが、本当にいわれなきこの部落差別、そして今も変わらない、理解に苦しむような差別が行われている今日、やはり運動団体の皆さんが、部落解放基本法というようなものを、そういう名前を使ってでもあえて基本法をつくって、そして国民全員がこんな差別はあってはならないんだというふうな法律をつくってほしいという運動があるのであります。私も基本的に賛成でありまして、非常にダイレクトな名前ではあるけれども、やはり日本の人権差別の克服のためにはあえてこういう基本法も必要じゃないかと思いますが、御意見をお伺いいたします。
#36
○後藤田国務大臣 基本法をつくるようにという熱心な御要望があることは承知をいたしておりますが、やはり一つは、ともかく生活環境をよくするという意味において、いろんな物的な施設というものはできるだけ早くやった方がよかろう。四十三年からもう二十何年やっているわけですから、一定の時期までに、もしまだ残事業があるというならば、その残事業はきっちりと完成すればよろしい。
 残るのは意識の問題ですね。先ほどの御質問にもありますし、答弁をしておる側のお答えを聞いてみましても、なかなかこれは容易なことではない。一つの基本法をつくれば一体解決するのかというと、それは少し短絡的な物の考え方ではないのか。精神改造というようなことでございますから、何といいましても、国なり地方団体なり民間あるいは当該地域の人たち、こういった人たちが、ともかくそれぞれの持ち場、持ち場で粘り強くお互いに連絡をとりながら意識の改革の重要性、これを国民全部に浸透させるようなことが一番適切なのではないかな。余り法律、法律と言って、法律はなかなか心まで縛るというわけにはいかぬわけでございますから、そこらの点は、この団体を推進しようといった方々にもぜひひとつ御理解をしていただきたいな、かように思うわけでございます。
#37
○土肥分科員 終わります。
#38
○越智主査 これにて土肥隆一君の質疑は終了いたしました。
 次に、細川律夫君。
#39
○細川分科員 私は、登記所におきます登記簿の謄本あるいは抄本の交付手数料の問題についてお尋ねをいたします。
 登記の制度の理想については、これは言うまでもなく、実体的な権利変動を正確かつ迅速に公示をすることによって不動産取引の安全と円滑とに奉仕をすることにあるというふうに言われております。したがって、一般の人が登記簿を容易に利用する、それによって不動産の取引の安全と円滑を図っていかなければならないわけでございます。そこで、登記簿謄本あるいは抄本の交付の手数料については適正なものでなければならない。したがって、手数料が余り高くなりますと登記制度の理想に反するということにもなろうかと思います。
 そこで、お聞きをいたしますけれども、この平成五年の一月一日から登記簿の謄本、抄本について六百円が八百円に、そして閲覧などが三百円から四百円に上がった、改定をされたということになりました。どうしてこの値上げをしたのか、まずお聞きをしたいと思います。
#40
○清水(湛)政府委員 登記手数料でございますけれども、その額は物価の状況あるいは登記簿の謄抄本の交付等に要する実費その他一切の事情を考慮してこれを決めるということにされているわけでございます。そういう意味では一種の公共料金ということになるわけでありますが、政府といたしましては、大体三年ごとに登記手数料の額が適当であるかどうかというようなことを見直すということにいたしてきているわけでございます。
 今回の手数料値上げは、過去三年間の乙号事務を処理するための経費及びコンピューター化を推進するための経費等を考慮いたしまして所要の経費の総額を算定いたしまして謄抄本の交付、閲覧等の手数料を定めた、こういうことになっているわけでございます。登記簿の謄抄本の交付等に要する実費の中にはコンピューター化経費が含まれているわけでございまして、昭和六十年以来進めてまいりましたコンピューター化がかなり順調に展開を始めてきたという経過を踏まえまして今回の手数料改定ということになったわけでございます。
#41
○細川分科員 三年ごとの見直しというふうに言われましたけれども、三年前、平成二年の四月に謄本の交付料が四百円から五百円、それから翌年に六百円に上がっております。閲覧の方については、平成二年の四月に二百円から三百円に値上げになったわけであります。それで、今回の値上げによりまして、三年足らずのうちに四百円が八百円になる、ちょうど倍になるのです。これは公共の使用料として余りにも値上げの幅が大き過ぎないか。これについては、いろいろな人たちから反対の陳情とかがあったことは御承知だと思うのです。
 それと、私が重要だと思いますのは、このコンピューター化に伴います昭和六十三年の不動産登記法などの改正のときに、衆議院と参議院で附帯決議がなされておるわけなのです。これを見ますと、衆議院ではこうなっております。「登記手数料を適正に設定し、国民に過度の負担とならないようにすること。」これが衆議院での附帯決議でございまして、参議院の方ではこうなっております。「登記情報システムヘの移行のための経費は、過去に登記手数料に依存することなく、その額の適正を期すること。」こういうふうにそれぞれ附帯決議がなされておるわけなのです。
 この趣旨からいきましても、三年ごとに見直して、しかも倍に手数料が上がるということは余りにも異常だと私は思います。先ほどの説明だけではなぜ倍になるのかわからない。具体的な数字とか根拠があれば、ちょっと示していただきたいと思います。
#42
○清水(湛)政府委員 先生御承知のように、登記をコンピューター化するという大事業を実は始めているわけでございまして、このコンピューター化を推進することが国の責務であるというふうに、昭和六十年の国会で制定されました法律にも明記されているわけでございます。そうして、このコンピューター化の経費につきましては、受益者負担の原則によりまして、登記手数料をもってこれを賄うということを内容といたします登記特別会計法が同時に制定をされたという関係になっているわけでございます。コンピューター化が国の責務であるという法律と登記特別会計法という法律でございますけれども、これに基づきまして私どもは昭和六十年からコンピューター化を推進してきたという経緯になっているわけでございます。
 当初、コンピューター化が、やや展開がおくれたという経緯がございますけれども、最近に至りまして、順調と申しますかかなりコンピューター化庁もふえてきた、その推進もかなり全国的に展開をしているという状況になってございます。ちなみに、例えば平成二年度におきましては、コンピューター化経費というのは、手数料の中で約百六十億のものでございましたけれども、平成五年度予算では、これが倍になりまして、約三百四十億がコンピューター化経費としてつき込まれることになっているわけでございます。
 この間の、私ども特定財源と申しておりますけれども、いわば登記手数料で賄うべき経費といたしましては、まず人件費がございます。これは手数料で賄わなければなりません。その乙号事務に従事する職員の人件費は手数料で賄います。それから、コンピューター化以外の経費、この謄抄本交付事務のためにはいろいろな経費が必要でございますので、そういう経費も手数料で賄わなければならない。それからさらに、そういう手数料によって負担すべき施設費というのがございます。建物を建てる経費も手数料で賄わなければならない。
 こういうふうにいろいろな手数料の使い道があるわけでございますけれども、この登記特別会計制度が始まって以来の経費の内訳を見ますと、コンピューター化経費以外の経費はほとんどふえていない。人件費については、過去五年間の人事院勧告のアップがございますのでそれに見合う程度のものはふえておる、その他の経費も物価の上昇等に見合ってかなりふえておるという面はございますけれども、まあそんなに変わっていないという状況でございます。ひとりコンピューター化経費のみが毎年ふえておる。
 例えば平成五年度予算で、今回お願いしておりますけれども、コンピューター化経費が約六十億ふえております。この値上げによりまして約百六十数億の手数料の増収を見込んでいるわけでございますけれども、値上げたけに限定しますと約百五十億程度ということでございますが、そのうちの六十億を平成五年度のコンピューター化経費につき込み、残りの八十億程度は収支差金として次年度のコンピューター化経費にしようということを計画しているわけでございますが、実質的に見ますと、値上げによる増収分はすべてコンピューター化につき込まれているという状況でございます。
 そういう状況でございますので、コンピューター化がこれから順調に展開していくということになりますと、受益者負担の原則に基づきましてある程度国民の方に御負担を願わなければならない。コンピューター化というのは、申すまでもございませんけれども、これからの登記制度というものを考えますとき、特に二十一世紀を迎えまして、高度な情報社会というものを考えますときに、これは避けて通ることができない事業でございますので、この御負担については、国民の皆様方に御理解をいただきたいと考えているところでございます。
#43
○細川分科員 今の説明ですと、専らコンピューター化に伴う経費の増大があるので登記の手数料を三年近くで倍も値上げをするという説明ですね。コンピューター化にかかる経費は登記の手数料によって賄っていこうということですね。しかし、コンピューター会計は一般会計の方からも繰り入れがあるわけです。国民が登記の手数料を納める、それだけによってコンピューター化をしていこうとするから余りにも過度に負担がかかってくると思うのです。
 そこで、登記簿のコンピューター化について、昭和六十二年十月五日に民事行政審議会が登記事務のコンピューター化処理についての答申を出しています。この中には「今後の検討課題」というところで「登記情報利用手数料収入以外のコンピューター化のための財政的基盤の整備」という項目をわざわざ挙げまして、そこでこう書いてあるのです。御参考までに読み上げますけれども、
  前記のとおり、現行の登記特別会計制度の下
 では、コンピューター化実施経費は、主として
 登記情報の利用者(いわゆる乙号利用者)が負
 担する登記手数料による収入で賄われている
 が、全国的規模でコンピューター化を推進して
 いくためには、これらの利用者に更に重い負担
 を求めなければならない事態も予想される。一
 方、登記事務のコンピューター化のメリット
 は、当面直接的には、登記情報の公開の面に
 現われると考えられるが、将来登記の申請者
 (いわゆる甲号利用者)の側にも、事務処理の
 迅速化及び精度の向上等のメリットが還元でき
 る可能性が十分にある。ここで結論が出るので、
  したがって、今後、コンピューター化が登記
 制度の利用者にもたらす影響を慎重に見守り、
 乙号利用者の負担の状況、コンピューター化の
 メリットの還元の状況等を勘案して、甲号利用
 者にも相応の負担を求める等コンピューター化
 推進のための財政的基盤を整備強化する方策を
 検討すべきである。これが答申なんです。甲号利用者にも相応の負担を求めるというふうになっているわけですね。ということは、これは登録免許税の方をこっちの方に回せ、登記会計の方に回せ、この答申の内容はこういうことだろうと思う。
 そうしますと、今回のこの値上げは、これはもうやってしまったのですけれども、将来的にはこれは一般会計の方からコンピューター化のためのお金についてこの会計の方に回す、そっちの方をぐっとふやすというふうなことを考えておられるのかどうか聞きたい。
#44
○清水(湛)政府委員 まず、先ほど過去六年間に手数料が借になったということでございますけれども、六年前はほとんどコンピューターというのがまだ現実化をしていないという段階でございましたので、その経費を含む形での手数料というものにはなっていなかったという状況がございます。この六年間に大きく事情が変化いたしまして経費的に倍になったということでございますけれども、だからまた次に倍になるのかというとこれはそういうわけにまいらないわけでございまして、コンピューター化が急激に展開してまいりましたために、六年間に倍になったという結果になるわけでございます。そういう状況を踏まえて、先ほど先生御指摘のような民事行政審議会の答申の中に、将来の課題としてそういうことも研究すべきではないかという御指摘もあるところでございます。ただ、この点につきましては、理論的にも予算制度的にも乗り越えなければならない難しい問題が私どもはあると考えております。
 と申しますのは、コンピューター化経費というのは、これは受益者負担という原則、この大原則が法律に打ち出されているわけでございますが、そういう受益者負担の原則ということになりますと、現在それに対応して考えられるのは登記手数料ということになるわけでございます。つまり、登記手数料は既に、登記簿謄抄本の交付等の事務を通じて登記制度を利用する者の受益に着目をいたしまして、その乙号事務に要する実費を勘案して徴収するということになっているわけでございまして、しかも登記事務のコンピューター化は当面乙号事務の迅速適正化ということを目的として行われるものでありますので、結局登記手数料収入を特定財源として登記事務のコンピューター化経費を賄うということにせざるを得ない、そうするのが極めて自然であり合理的である、こういうことになるわけでございます。
 これに対して登録免許税というのは、これは登記、登録等によって受ける利益に着目して担税力に応じて課税されるというふうに言われております。いわゆる一種の所得税、所得を把握する一つの補足的な税金であるというふうに言われているわけでございまして、本来その登録免許税を当然に登記関係の事務の経費に充てるべきものであるということにはならない、つまり国の一般の財政収入として一般の財政支出に充てられるべき性格のものであるということに、理論的には当然のことながらそうなるわけでございます。
 したがいまして、ひとしく登記手数料も登録免許税もこれは国民が負担するものではないかという点では共通でございますけれども、そういうふうに実費を勘案して徴収される手数料、あるいは所得の、所得税の補完税として担税力に応じて課せられる登録免許税というような性格の違いということを考えますと、コンピューター化経費については受益者負担の原則に基づいてこれを賄うものとされている以上、理論的にはこの受益に対応して徴収される登記手数料というものによってこれを賄うというのが理論的であり合理的であるということになるわけでございます。
 ただ、登録免許税とはいっても実質的に手数料的な登録免許税もあるのではないかというような指摘が従来からあるわけでございまして、何が手数料であり何が税金であるかという限界の問題になりますといろいろ議論が出てくるところはございますので、そういうような事情も勘案しながら、私どもとしては将来の課題として研究検討はいたしたい。
 ただしかし、この登記特別会計制度というものは、発足して数年になるわけでございますけれども、これによるコンピューター化というのはいわば緒にっいたばかりでございまして、私どもといたしましては、当面は現在の制度を有効適切に利用していくということに最善の努力を注いでいかなければならない、そのためにはやはり手数料の負担について国民の皆様方に御理解をいただくための努力をする必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
#45
○細川分科員 この点については、コンピューター化についてはたくさんの、莫大な金がかかりますから、乙号利用者だけの負担ではなくて甲号の利用者の方からも、登録免許税の方からも、ぜひ一般会計から繰り入れるように、そういう形でやっていただきたいというふうに思います。
 そこで、お聞きをしますけれども、今コンピューター化の経費についていわゆる受益者負担、実費を負担をしてもらうんだ、こういうことですね。ところが、そういう考えはそれでよろしいと思いますけれども、ではそのいわゆる実費をかけている、にもかかわらずお金を払ってない、使用料を払ってないのがあるわけでしょう。これはもう全然理屈にならないと思いますよ。
 免除の制度があるわけですね。これは私はけしからぬというか、今まで受益者負担が理論的だ、理論的だと言われながら、受益している人が使用料を払ってないという免除制度があること自体、これは私は全く不合理だというふうに思います。どうですか、その点、このいわゆる免除制度そのものをもうやめにしたらどうですか。
#46
○清水(湛)政府委員 乙号の謄抄本の手数料とかあるいは閲覧の際の手数料を納めなくてもいいというようなものがあるという御指摘でございますが、これは国あるいは地方公共団体が登記所に行って登記簿を閲覧するあるいは謄抄本の交付を求めるというような場合でございます。
 一般に官公署が、特にこれは量的に圧倒的に多いのは市町村が固定資産の課税台帳と登記簿を突合する、つまり固定資産税というのは登記簿に記載された所有者にこれを課すということになっているのでありまして、これが時々食い違って本来取るべき人でない人から固定資産税を取るというようなことが間々あると聞いているわけでございますが、それを確認するために市町村の職員が固定資産の課税台帳を登記所に持ってまいりまして全部の登記簿と照合するというようなことがございます。
 これは件数として数えますと大変な量になるわけでございますが、ただこれは登記所の職員が見るというのじゃなくて市町村の職員が来て事実上見ていくということでございます。そういうようなものを有料化するというのが適当であるかどうかというのは、これはやはり一つには官公署相互間のいろいろな関係というものがございます。その請求の公益性とかあるいは官公署相互間の協力関係というものがあるわけでございまして、私どもといたしましては、官公署が手数料を払ってくれるということであればこれは大歓迎でございますけれども、しかしそう私どもの立場だけを主張して解決することができる問題でもないというふうに思っているわけでございます。
 そういうようなことを考慮しまして、この無料分と申しますか、そういう官公署の負担のために費やされている経費を一般の有料受益者がこれを負担するという直接の関係があるということになりますと問題ではございますけれども、全体的な予算の枠組みの中でそういうことも考慮いたしまして、この特別会計につきましては、一般会計からの繰入額というものはコンピューター化経費以外の経費がたくさんあるわけでございますけれども、そういうようなことについても御考慮していただきながら、妥当性を図ってまいりたいというふうに思うわけでございます。
 市町村、官公署、特に市町村の無料閲覧の問題というのは、これはいろいろ各方面から指摘されている重要な問題でございますけれども、実際どういうふうに解決していくのが適当かということについてもまた大変悩ましい問題があるということだけは御理解をいただきたいと思います。
#47
○細川分科員 ちょっと理解していただきたいと言われても、その点私はなかなか理解できないですね。
 それで、もう時間がありませんけれども、先ほども申し上げましたけれども、この民事行政審議会の答申、これにもはっきり書いてあるのですよ、そういう無料化はやめなさいということを、有料化にすべきだということを。こういうのはちゃんとこの答申を、コンピューター化の方だけやって、そしてこの重要な課題、あるいは答申の中でこうしなさいというように書いていることをやらないのでは、これはおかしいのじゃないでしょうか。ここにちゃんと書いてありまして、細かく読むと時間がありませんから結論だけ書いているところを申し上げますと、こういうふうに書いていますね。「国又は地方公共団体の請求による登記事項証明書及び登記事項要約書の交付は、有料とするのが相当であって、その方向で検討すべきである。」とちゃんと書いてありますので、ぜひこういう方向で進めていただきたいというふうに思います。
 それで、最後の質問になりますけれども、ことしの一月に倍に値上げしたわけですね。また上がるんじゃないかというふうに心配をしているのですよ。今までの答弁のあれでしたら、これは登記事務のコンピューター化によってもっと金がかかるようになれば登記簿の手数料値上げをしていく、こういうふうに私ども聞こえたんですけれども、四百円が八百円になり、次は千円になるのではないかと心配しております。
 そこで、大臣に最後にお聞きしたいのですけれども、いわゆる無料になっている部分がありますから、値上げの問題よりも、まず無料のところを有料化にして、それから検討するなら検討するというふうにすべきだと私は思いますけれども、いかがでございますか。
#48
○後藤田国務大臣 細川さんの御意見を聞いておりますと、細川さんのお立場であればそういう御意見は当然出てくると私は思いますね。ただ、役所の側の考え方としては、やはり局長が答弁しておりますように、これだけどんどんふえてくるから、どうしてもコンピューターを取り入れまして、そしてサービス面で国民の御満足がいくようなやり方にしたい。ついては、それについての必要経費はひとつ受益者に払っていただかないといかないのではないかな。これをやめますと、結局はどうなるかといえば、コンピューター化は必要だ、そうするとこれは一般会計に全部いきますね。一般会計にいくということは、これはやはり税金の負担だ、こういうことになるわけですから、そこらは役所側の物の考え方についても御理解を賜らなければなりませんが、細川さんの言われることは私どもとしても十分考えまして、これは附帯決議の中にありますように、附帯決議は、手数料に依存しないで一般会計も出せ、こう言うのですが、これはコンピューター化に入らないほかのサービスもあるでしょうから、それは当然やりますね。
 しかし、同時にまた過度の負担になるなよ。そうすると、四百円だの八百円だのというのは、今の貨幣価値から見ますと、言葉は悪いけれども大した金額じゃないですね。それだから、大した金額でないといって引き上げをむやみにやるべき筋合いのものではない。これはよほど、手数料の引き上げということについては、細川さんのような御意見があるということを心得まして、私は慎重にやらなければならないと思うのです、この点は。これは十分戒慎をしていきたい。ただ、絶対に上げるなよというのはあかんですよ、それはどうしてもいただかなければならぬところはありますから。そこはしかしおのずからなる限度を我々は考えなければいかぬ、その点だけはひとつお答えをしておきたい、こう思います。
#49
○細川分科員 ありがとうございました。
#50
○越智主査 これにて細川律夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤恒晴君。
#51
○佐藤(恒)分科員 ただいまの質問とかなり重複する部分があろうかと思いますが、多少細目にわたりますが、登記所行政についてお尋ねをしたいと思います。
 言うまでもなく、国民の財産の登記をするという権利情報行政執行に国民が関与するというか、物を言うというか、そういうことがなかなかできないということですから、ただいまもお話がありました手数料値上げということについてあれあれと、こういうことになるのだろうと思います。
 ところで、やりとりがありましたから申し上げる必要はないのですけれども、今回八百円ということに実施をされているということでございますが、コンピューター化によってどういうふうに国民に利益がもたらされているのかということを考えてまいりますと、いろいろ問題があるというふうに思います。地方公共団体の住民登録関係の手数料を見ましても、八百円なんというのはないのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、いろいろ他の例などを見ましても問題を感じます。
 ところで、この電算化の問題でありますが、昭和六十年から十年をかけて一千百カ所の登記所を電算化するということでございますけれども、大体今日まで六百億円ぐらいの投資をして五十一庁やっておられるということのようであります。移行計画時のいわゆる乙号事務につきましては、人員体制がどうなっていくのかということを、当時の教宣資料というのか役所の考え方を知らせる資料などを見ますと、十年後には今のままでいけば、つまり手書きといいますか、いわゆる登記簿方式でいきますと、十年後には七千二百人と予想する、しかしコンピューター化、電算化をやれば千五百人でというふうに当時の資料では説明をされているわけです。
 そこで、お尋ねをしたいのですが、現時点で十年後とされるのは九五年度ということになるわけです。今一部実施されておりますけれども、九五年にこの登記業務にかかわる関係についてどういう人員体制になるというふうに予想しておられるのか。登記業務については、統一的な判断を必要とする部分については八〇%ぐらいはそういう業務だというふうにも言われておりまして、電算化したからといってそう軽々に人員削減あるいは余剰人員の合理的な配置ができるということでもないだろうと思うのでありますが、九五年、つまり当初計画から見て十年後と言われる九五年にはどういう人員体制になると予測しておられるのかまずお尋ねしたい。
#52
○清水(湛)政府委員 昭和六十年当時と申しますか、六十年にコンピューター化を目的とした登記特別会計制度を国会でお認めいただいたわけでございますけれども、五十八、九年当時の予想といたしましては、六十年からコンピューター化に着手して十年あるいは十数年で完成しようという大変な意気込みで対応したわけでございます。
 しかしながら、コンピューターのシステム開発とか、いろいろ現実に実施しようということになりますとなかなか難しい問題があるということでその発足がかなりおくれまして、具体的なコンピューター化庁ができ上がりましたのが昭和六十三年ということに延びてしまいました。その後もいろいろ問題がございまして、最近やっとコンピューター化が順調に展開をしたした、こういう状況でございます。本年度末、平成五年三月三十一日には五十九庁がコンピューター化庁になるということでございまして、そのほかに二十数庁が移行作業を続けておる、こういう状況になっております。
 六十年から数えまして十年後の平成七年ということになりますと、じゃ具体的にどの程度のコンピューター化ができるのだということになるわけでございますが、確実なところでは百六十庁程度ということになるのではないか。現在千百の登記所がございますけれども、序数としては一五%程度、事務量的に見ますと、これはいろいろな計算の仕方があって正確なことは申し上げられませんけれども、三〇%程度はコンピューターによって処理されることになるのではないか。この百六十庁は大規模庁あるいは繁忙庁を考えておりますので、序数の割には処理事務量が多いということになろうかと思います。
 こういう状況でございますが、昭和五十七年、八年当時は、とにかく謄抄本の発行事務について正規の職員が従事するということはほとんど不可能なくらいの状況でございました。賃金職員、民事法務協会への下請というような形、あるいは部外応援ということで、当時の計算でも、正規軍を含めましてそういう不正常な形での職員が約四千七、八百人、五千人近くおるという状況で謄抄本事務を処理していたわけでございます。
 そういう状況で事件数がそのままフィックスされて、しかも六十年以降十年間でコンピューター化されるということになれば、そういう不正常な形での部外応援とかあるいは下請とかアルバイトの大量雇用というようなことはほぼ解消して、正規の職員だけで大体処理することができるのではないかなという予想を立てました。当時のコンピューターの、ある意味においては夢物語のようなところがあったわけでございます。
 しかしながら、先ほど申しましたようにコンピューター化の進展がやっと最近緒についたということと、五十七、八年に比べますと、登記の事務量におきましても、例えば謄抄本の事務量は三十数%もふえてしまっておるというような状況もございまして、そういうような総合計算の中で、平成七年の時点で一体職員の構成がどうなるのかということを考えてみましても、職員の数が少なくともまだ足りない、先ほど申しましたような相当量の賃金職員というものをなお継続して雇用していかなければならないという事態は急激には変わらないというふうに考えております。
 むしろ事件数の増加とか、あるいはコンピューター化してすぐあしたから効果があらわれるというわけではございませんで、ある程度ならし運転というような時期も当然必要でございます。さらに加えまして、コンピューター化するためにたくさんの人が要るという問題がございますから、六十年から数えて十年後の姿としてはなお依然として職員の数がかなり不足しておるという状況が現実の姿としてはあるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
#53
○佐藤(恒)分科員 私は、夢を見てコンピューター化によってこうなるのではないかと聞いておるのではなくて、法務省の当時の宣伝資料というのか教宣資料というのかそういうものを見ますと千五百人で済むのだ、こう数字を挙げて書いているから、それでは今どうなっているのでしょうかとお尋ねしたわけです。大分話が違っているようでございますので、また後でお尋ねします。
 ところで、コンピューターの問題とは直接関係ありませんが、今お話に出ました民事法務協会ですか、これについてちょっとお尋ねしたいと思うのです。
 この協会というのは何人の職員を抱えた団体なのか、登記事務に直接下請といいますかあるいは委託といいますか、しまして働いている方はそのうち何人おられるのか、ちょっと細かいのですけれども教えていただきたいと思うのです。
 その委託をするということですが、予算書を見ただけでは委託費というのは出てこないものですからわかりません。ですから、委託費はこういう各項に分散して入っているということになると思うのですが、委託費というのはどのくらいになっておるのか、そしてこの協会は全体の予算の中で委託費で賄っている割合はどのくらいなのか、ちょっと細かくなりますけれども教えていただきたいと思います。
#54
○清水(湛)政府委員 民事法務協会の全職員は現在千七百四十名ということでございます。そのうち千百五十五名がいわゆる下請と申しまして、これはコンピューター化庁ではそういうことはないわけでございますけれども、非コンピューター化庁ではコピーにかけて謄抄本を作製する作業があるわけでございますが、これを民事法務協会にお願いしておるということで、その関係で千百五十五名になっております。
 それから同時に、コンピューター化のための移行作業と申しまして、現在ブックに記載してある登記事項を登記簿ファイルに移しかえなければならない、そのための基礎的な移行作業をこの民事法務協会に委託しているわけでございますが、その関係の職員が五百一名、そのほかに事務職員等が八十四名ですか、それで合計千七百四十名ということになっているわけでございます。
 そして、この民事法務協会に委託している関係の事業でございますけれども、先ほど申しました謄抄本の下請事業経費が約四十億円でございます。三十九億七千七百万円余でございますが、約四十億円ということで、これは民事法務協会の収入の約三〇%になっております。それから、二番目に申しましたコンピューター化のための移行作業委託経費でございますが、これは約八十二億円でございまして、これが比率六一%でございます。つまり、民事法務協会の収入の九一%は下請とコンピューター化の移行作業経費である、こういう状況でございます。
#55
○佐藤(恒)分科員 九一%が委託費によって賄われている団体、こういうことになるわけですが、公務員の賃金と協会の職員の賃金がどういう差といいますか、実態にあるのかということを私はつかんでおりませんからわかりませんが、九一%ということはほぼ全額ですね。ここに一体どういう効果を期待しているのかということになりますと、単に退職金とかいろいろな人件費で幾らか安くおさめることだけを期待しているということになるのではないか、こういうことになると私は思うのです。そういう意味で、いわゆる下請体制については見直す必要があるんじゃないか、私はこういうふうに思います。しかも、全体の九一%が委託費だということになりますと、後で人件費などは私も個人的に計算をしてみたいと思いますが、これは意見だけを申し上げておきたいと思います。
 ところで、またコンピューター化の問題に戻りますが、十年で約一千八百億円というふうにしましてその内訳なども当時は明らかになっておりました。一番大きいのは入力経費で一千億円ということになっているわけであります。現在時点では、十年ではなくて十数年かかるだろう、こういうことのようでありますけれども、移行経費はどのくらいに見込んでおるのか、そしてまた全体ではこれは兆余の金がかかるのではないか、こういうふうにも言われておるわけでありますが、現時点での仕上がり経費といいますか、つまり十五年ぐらいかかるとすれば、それまでのいわゆるシステム開発費から含めた、そしてまた既に運用しているところも含めてこの十五年間にどれだけの投資を必要とするというふうにはじいておられるのか、そこのところをまず伺いたいと思います。
 それから、これは意見ということになろうかと思いますが、多くの企業では大型のシステムをそろそろ再検討すべきではないかということで、小型のシステムといいますかそういう検討も大分進んでいるということでございますけれども、このケースに関しては当初開発をしたシステム、そしてまた導入をした機器ということの中で今後とも進めていくということになっているのかどうか、その辺もちょっと触れながら、まず総体経費がどのぐらいになるとはじいておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#56
○清水(湛)政府委員 コンピューター化経費の中には、まず一番ウエートを占めますのが移行経費でございます。これは先ほど申しましたように、現在紙の登記簿に書いてある事項をコンピューターに移す、これが膨大な事務量になるわけでございます。現在、日本の不動産の数は約三億筆個あると言われておりますので、一不動産に大体三枚の登記用紙が備えられるという前提をとりましても十億枚の紙に書いてある事項をコンピューターに移す、こういうことになるわけでございます。
 私どもの現在の試算では、今後移行のために四千億程度の金はかかるのではないか、だから十年でやるということになりますと単年度四百億ということになります。これを十五年でやるということになりますと、単年度の負担はさらに少なくなるということになります。さらにまた、移行も私ども本当にアバウトな推計でございますので、十数年後を見通した形で申し上げるのはむしろちょっと不適当かと思いますけれども、大体その程度の金がかかるんじゃないかな。ただしかし、移行につきましても、例えばOCR、光学的な装置によって紙の登記簿からコンピューターに移しかえるというような技術も現在並行的に開発されつつありますので、移行経費も技術開発によって大幅にダウンする可能性を持っておるということが考えられます。
 そのほかにまた、そもそもコンピューター自体についてダウンサイジングなどという言葉が最近はやっておりますけれども、技術は日進月歩である、また実はそのための技術開発経費として私ども今後十数年間に四、五十億の金は投じなければならないのではないかなという予測を立てておりますけれども、技術開発によるコストダウンというのは大いに期待をすることができるというふうに考えております。
 そういうような移行経費あるいは開発経費というのはこれは一時的なものでございますけれども、コンピューター化した後におけるランニングコストというものも相当額のものが考えられるわけでございます。それやこれや、四千億プラス相当の額の経費を今後十数年間にわたって必要とするであろうというふうに考えている次第でございます。これはあくまでも予測で、正確な数字ということで御理解をいただくのはちょっといかがかと思いますので、その点お含みおき願いたいと思います。
#57
○佐藤(恒)分科員 経費はかかるけれども何か先行きは大変いい結果を生むようなことを言っているけれども、先ほど言ったように、スタートするために数字とデータを挙げて当局は説明をしているわけですから、ここに来て余りあいまいな話をされるのははた迷惑な話なんですね。もう少し確信のあるところを、前は活字にしたのですから、そのことに責任を持つように、ここはもう一回明確に狂いが生じた、したがって今後はこのぐらいだ、こういうところをきちんと言うぐらいのところがなければ、手数料を納めている皆さんに対する責任ということにはならないんじゃないかそういうところをまず申し上げておきたいと思います。
 ところで、特別会計ですけれども、この特別会計の制定時に、当時の民事局長さんはどなたか私は存じませんが、コンピューター化の主財源は手数料を見込んで、登記事務の抜本改善を図るというふうに述べておられるんですね。基本的な設備については国の費用でやるべきであるというふうに私は思っております。謄本とか抄本の交付あるいは閲覧といったようなものについては利用者の何らかの経費負担ということについては理解はできますけれども、私はそう思っております。ブックレスシステムということに切りかえてまいりますと、果たして手数料ということになるんだろうかというようなこともいろいろ疑問があります。そこら辺の問題は抜きにいたしまして、いずれにしましても、民事局長は主な財源として手数料、こう言っているわけです。
 それから、昨年の四月の参議院ですけれども、当時の法務大臣は、特別会計の基盤をつくりながらそこに一般会計の補助というのがたどり着く一番早い方法だということで述べておられるわけですね。このお二人の見解表明はいずれも問題があるというふうに私は思っております。
 一方では、完全に甲号と乙号が分離できない中で主財源は手数料だという言い方をしている。一方では、手数料で特会基盤をつくって一般会計からは補助なんだ。実際、今補助金という名目は会計上は使っておらないようであります。繰り入れという形でありますが、これが補助という繰り入れなのか、あるいは免許税に匹敵する一般財源からの当然の繰り入れということなのか、そこはともかくとしまして補助であるということを言っているわけですね。こういうことでこのお二人の見解は問題があるんではないかというように実は私は思っております。
 そういう立場でお尋ねをするわけですけれども、私は特別会計で事業を営むといったような会計ではないだろうと思うのです。一般事務に近いというふうに私は思っておるわけですが、そういうものが手数料でどんどん賄われていくということになりますと将来に問題を残すわけです。
 ここで、ちょっと細かくなって恐縮なんでありますが、一番直近の決算として把握しておられる登記印紙の収入、つまり手数料の収入、これは幾らになっているのかちょっとお知らせをいただきたいし、同時に、手数料については、通常物価問題であるとかあるいは実費であるとかないとかといういろいろ言い方はありますけれども、八百円としなければならない根拠、これを私ちょっとお尋ねをしておきたいと思います。どういうところで八百円という数字が出てきたのか。
#58
○清水(湛)政府委員 登記印紙収入額の決算額で現在判明しておりますのは、平成三年度は六百二十七億四千八百万ということになっております。平成四年度はこれをかなり上回ることになろうかと思います。ことしの一月に六百円から八百円に改定したわけでございますが、この登記手数料の額というのは物価の状況とか登記簿の謄抄本の交付等に要する実費その他の一切の事情を考慮してということでございまして、この実費の中にコンピューター化を推進するための経費というものを見込んでおる、今後三年間におけるコンピューター化経費を見込みまして、これをベースにして八百円という金額を算定したわけでございます。
 それで、私どもの考えと申しますか、今年度の予算もそうでございますけれども、この値上げによる増収額はコンピューター化の展開に伴う経費にほとんどすべてが充てられる、こういうことになるわけでございます。
#59
○佐藤(恒)分科員 ということになりますと、これまでの投入経費が約六百億円、ただいまお話ありましたように六百二十七億ですか、ということですね。それがすべてコンピューターのあれに投入されるということになりますと、これは手数料ではなくて、原価計算をやって全額手数料で賄ってもらう、こういうことになるんじゃないでしょうか。そうなると手数料じゃないですね。これは原価計算をした価格になっちゃう。私はそう思うのですけれども、いかがでしょうか。
#60
○清水(湛)政府委員 先ほど申した六百億云々の金額は、手数料収入額の平成三年度における決算総額であるということでございます。コンピューター化経費という関連から申しますと、平成三年度にコンピューター化関連経費として使われたのは二百三十五億ということになっております。
 先ほども御説明申し上げたところでございますが、登記手数料というのはすべてコンピューター化のために使われるのではないわけでございまして、特別会計の性格から、乙号、つまり謄抄本作製業務に従事する職員の人件費、これも手数料で賄います。それから、コンピューター化経費以外のそういういろいろな物件費がございます、必要な事務費その他の経費がございます、これも手数料で賄う。それから、登記所の建物、特にコンピューター化のための建物というものにつきましては、手数料収入でそういう建物の建築資金を賄う、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、この手数料収入のすべてがコンピューター化のために費やされるということにはならないわけでございます。
 かつては、例えば平成元年度の予算の中身を見ますと、この手数料収入額の中でコンピューター化のために使われた物件費というのはわずか一八%でございましたけれども、平成五年度予算で見る限りにおきましては、手数料収入額の四二%がコンピューター化のために使われる。しかも、平成元年度から現時点で見ますと四百円のものが八百円、途中六百円という経過を踏んでいますけれども、八百円ということになっておりまして、相当の増収額があったわけでございますが、その増収額のほとんどはコンピューター化のためにつき込まれている、こういう状況になるわけでございます。
 先ほども申しましたように、本年一月一日からの八百円への値上げも、今後三年間におけるコンピューター化の必要経費というものをはじきまして、それで手数料額を八百円というふうに算定いたしておるわけでございます。本年度は増収見込み額のうちの六十億をコンピューター化のために使い、残りの約八十億は平成六年度のコンピューター化経費に積み上げておくというような予算措置をいたしておるわけでございますけれども、そういう状況を踏まえてこの手数料というものは使われておるということでございます。
#61
○佐藤(恒)分科員 私は、手数料イコールコンピューター化の経費、こう言っておるわけではなくて、八百円の根拠というものを示してもらいたいと。私は、手数料だから根拠ないと思うのですね、厳密に言って。原価計算をして価格を言うのなら計算の根拠がありますけれども、手数料だから根拠はないと僕は思うのだけれども、それが倍額の八百円になったということについては、まあはっきり言えば、登記特別会計を賄っていくためにこれぐらいの単価でなければいけないという逆算ではないのかということで、手数料ではなくて事実上の価格になっているんではないかなという気がするんです。
 それはともかくとして、大臣に最後にお尋ねをいたしますが、先ほど申し上げたように民事局長は、特会は主財源は手数料で賄う。昨年の大臣答弁では、そういうことで特別会計の基礎をしっかりしておいて、あと足りないところは一般会計からの補助をやっていくということによってコンピューター化も進んでいくだろうみたいな答弁になっているわけですが、特別会計のあり方として手数料が主財源で一般財源は補助なんだという考え方は、先ほども議論のありました印紙税部分は、登録免許税の部分は入ってないわけですから、どういうふうにこの特会の性格というものをお考えになり、その関連で手数料というものをどうお考えになっているのか、特会の財源はどうあるべきなのか、このことについての見解をお尋ねしておきたい。
#62
○後藤田国務大臣 コンピューター化をやらなきゃならぬということで、その際にやはり特別会計を設けてできるだけ早くやろう、こういうことになったわけでございますから、やはり主たる財源は手数料によってやるべきものであろう、かように私は考えております。
#63
○佐藤(恒)分科員 時間だから終わりますが、特別会計が手数料で賄われるというのは、やはり一般行政的特別会計という性格から見て問題があるのではないかということを申し上げて、終わります。
#64
○越智主査 これにて佐藤恒晴君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして法務省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#65
○越智主査 次に、大蔵省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川国彦君。
#66
○小川(国)分科員 私は、昭和六十一年二月以来、働く主婦パートの税金の問題について各種委員会を通じて大蔵大臣あるいは大蔵省にいろいろ御所見を承ってきたわけでありますが、今度新たに林大蔵大臣が就任されて、林さんは経済企画庁の政務次官、大蔵省の政務次官、そして厚生大臣、大蔵大臣、また衆議院の各常任委員長もたくさん歴任されておりまして、もうベテランの大先輩でございます。そうした方が大蔵大臣になられたわけでございまして、大変私ども心から慶賀に存じておるわけでございますが、まずその大蔵大臣に、働くパートの主婦というものが今大変な数に及んでいるわけでございますが、この方々の生活についてどういうふうな御認識を持っていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#67
○林(義)国務大臣 小川議員は長年パート問題に取り組んでおられることは私も承知申し上げております。この方面でいろいろと御議論をいただいておること、私も本当に尊敬を申し上げているところでございます。
 私にパートの状況をどうだというお尋ねでございますが、戦後の時代から日本経済の発展の中で、初めはパートというのはまさにまさにパートでありまして、本当にちょっと家庭の主婦が手伝いに出ていく、こういうふうなところから始まったのだろう、私はこう思うのです。しかしながら私は、男性だけが働くということで女性がなかなか働かないということが、パートがだんだんと発達をしていきますことによりまして女性の職場進出という形になってきましたし、恒久的に女性が働くというのがだんだんとふえてきたというのは、私は戦後の時代だろう、こう思っております。今や男女同権、こういう形で職場にもたくさんの主婦が出て働くというふうな形になってきていると思っております。
 そういった中で、依然としてちょっとこの仕事をやってもらいたいとかあれをやってもらいたいとかというような仕事はもちろんあるわけでございますから、そういったところに女性の方が出ていって働かれる、こういったようなことで、せっかく収入は上がったけれども税金に皆取られてしまうというような話がありまして、随分前からいろいろとこの問題は議論をしてこられたところであります。
 今、私はそういったような問題につきましては大体いいところまで持ってきているんじゃないかな、こういうふうな感じを持っているところでございます。やはり働く主婦の方々、特に置かれた立場が、正直申しまして、いろいろな点でまだ後見というかよく見ていかなければならない立場だろう、私はこう思っておりますので、いろいろな点で温かいまなざしをこうした方々にも向けていくのが政治のあり方じゃないか、こう思っているところでございます。
#68
○小川(国)分科員 今、大臣のパート主婦に対する御見解を承ったところで大蔵省に伺いたいのですが、主婦パートの問題について私が取り上げてきた主張の一つは、パート主婦本人の非課税限度額、それから夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額、妻が健康保険、国民年金の被扶養者となれる収入の限度額、これがすべて九十万円であったために、この金額を超えて妻が働くと家計全体の収入がマイナスになる、いわゆる逆転現象が起こっていた。このことを解消すべく、国会の各種委員会で主張してきたわけです。これに対して政府大蔵省、厚生省も理解を示しまして、徐々にではありますが改善の傾向を示していることは、今大臣のお話のように非常に喜ばしいことだと思っております。
 しかし、私が主婦が百二十万円まで働けるよう限度額を引き上げよと主張してきましたのは、昭和六十一年当時の各種の水準の検討結果であったわけでございます。この目標から見ますと、既に七年の歳月を経た今日、いま少しこの額が引き上げられてもよかったのではないか、こういう感を否めないわけでございますが、この点大蔵省としてどのように考えておられるか、まず伺いたいと思います。
#69
○田波政府委員 長年の小川委員のいろいろ御指摘等も受けまして、お話にございましたように、税制の問題といたしましては、配偶者特別控除等を用いましていわゆる逆転現象というのは解消されたということは御高承のとおりでございます。したがいまして、残る問題としては、今御指摘の扶養手当の問題等々があるわけでございますけれども、これについては、それ以来各省においてもいろいろな検討がなされているというふうに聞いております。
 そこで、問題として、この百万円という今の、パートに出られる主婦がおられた場合にそれを超えますと課税をされるという水準の問題でございますけれども、私どもといたしましては、税金の問題といたしましては、一人で年間百万円を超えるというような収入を持っておられる方でありますれば、夫の被扶養者ということではなくて、独立の納税者として相応の負担をしていただくべきものではないかというふうに考えております。したがいまして、この非課税限度の引き上げをするということは、むしろ税負担の公平の面から問題があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#70
○小川(国)分科員 総務庁統計局の労働調査特別調査報告というものによりますと、最近三カ年の女子パート数の推移は、平成二年が七百二十五万人、平成三年が七百六十四万人、平成四年が八百十二万人、そのうちいわゆる主婦パートは、平成二年が五百十万人、平成三年が五百四十万人、平成四年が五百六十九万人であり、昭和五十七年の女子パート数三百九十万人から見ますと十年でほぼ倍増していることになり、最近も急増しているわけであります。この主婦パートの急増ぶりを見ても理解できますとおり、パート主婦問題の重要性は今後ますます増大して、いろいろな角度から検討しなければならないと思うわけであります。
 そこで、きょうは厚生省の方においでをいただいておりますので、まずお伺いしたいと思うわけであります。
 健康保険において夫の被扶養者となれる妻の収入の限度額及び国民年金において夫の被扶養配偶者として扱われる限度額、平成元年に百万円から百十万円未満に、平成四年に百十万円から百二十万円未満に、十万円ずつアップされてきたわけでありますが、従来この限度額は税法の非課税限度額及び夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額に追従する形で設定されてきているわけでありますが、厚生省がこのように二回も先行してアップを行った理由、その背景はどういうものであったか、伺いたいと思います。
#71
○紺矢説明員 基本的には、今委員御指摘の改定の経緯を経ておるわけでございますが、厚生省の所管させていただいております健康保険の被扶養者認定基準と申しますものは、御案内のところでございますが、サラリーマンを対象とする健康保険に、そのサラリーマンの収入により生計を維持する者、これを被扶養者としてサラリーマンの保険の方から必要な医療の給付をする、こういう仕組みでございます。
 それで昭和三十六年に、御案内のとおり国民皆保険ということで国民健康保険制度ができまして、今御指摘ございましたパート労働者になられる主婦の方は、場合によっては健康保険の被扶養者になり、あるいは場合によっては国民健康保険の被保険者になっていく、こういう状況にあったわけでございます。
 昭和五十二年に、この収入の基準につきまして被扶養者認定基準という形で、各保険者がそれまで算定に差異があったというのを極力統一的に取り扱うということで基準を示しているわけでございまして、その中に、被扶養者の収入とサラリーマンである被保険者の収入を比較して認定をするという仕組みをはっきりと打ち出しまして、今御指摘ございましたように、昭和五十二年につくりましたときには七十万円という基準であったわけでございまして、七十万円の収入とそして被保険者、サラリーマン本人の収入を比較して認定をするという仕組みをとったわけであります。
 そして、この設定当時以後おおむね、今御指摘ございましたように所得税の非課税限度額と同額であったわけでございますが、六十二年以降、全体的な所得の伸びに基づいて算定をする、こういう仕組みをとってきておるところでございます。
 その趣旨といたしましては、今申し上げましたように、パート労働の主婦の方がその収入によって保険を移るという仕組みでございますので、そうなりますと負担も違いますし給付も変わるということで、極力保険関係の適用を維持する、こういう考え方に立ちまして全体的な所得の伸びで改定をしてきているということでございまして、改定の経緯につきましては、委員御指摘のとおり平成四年に百二十万円、そして平成五年度からは百三十万円に改定したい、このように考えているところでございます。
#72
○小川(国)分科員 平成四年十二月十一日に厚生省のパート労働者に対する医療・年金保険に関する検討会、厚生省の保険局長、年金局長の私的検討会ですね、ここでは、健康保険、年金の被扶養者の認定基準を来年度から引き上げる報告書をまとめ、同省はこれを受け、所定基準額を現行の年収百二十万円未満から百三十万円未満に引き上げる方針を決めた、こういうふうに書かれているわけでありますが、平成五年度の方針として厚生省はこれを採用し百三十万円未満に引き上げる、こういうことはそのとおりでありますか。
#73
○紺矢説明員 基本的に御指摘のとおりでございます。
#74
○小川(国)分科員 もう一つ。その趣旨は、パート労働者に対する医療・年金保険に関する検討会報告書によりますと、医療・年金保険の中長期的方向を考えた場合、被用者については、その就業実態に応じ、なるべく被用者保険の適用を考えていくことがパート労働者の地位及び福祉の向上という観点からも適当であると考えるが、当面の問題として、医療・年金保険における逆転現象は被扶養者認定基準額の水準以上において発生するため、これを引き上げることが考えられる。この方法は全く問題がないのではないが、全体的な所得の伸びに応じた引き上げ以上の大幅な引き上げを避ければ、平成五年度においては、この引き上げはやむを得ないと認めるとなっております。
 厚生省は、この答申の考え方を尊重して、そうした方針に沿って進まれてきた、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#75
○紺矢説明員 基本的には委員御指摘のとおりでございますが、先ほど申し上げましたように、健康保険、厚生年金の適用につきましては、社会保険といたしまして、独自の負担と給付の仕組みをとっております。さらにこれからに向かって、この制度の全般的な見直しというのも必要でございますので、そういった観点の中におきまして、当面、五年度は従来の考え方で引き上げることはやむを得ない、こういう答申をいただいたところでございます。
#76
○小川(国)分科員 その答申に基づいて平成五年度実施する、予算化も行った、こういうことですね。
#77
○紺矢説明員 御指摘のとおりでございます。
#78
○小川(国)分科員 そこで、大蔵省に伺いたいのでありますが、昭和六十一年四月二十一日の決算委員会におきまして、私、このパート税制の問題について大蔵省にお尋ねをしたわけです。そのときに税調の動きについて御報告があったのですが、大山政府委員は、
  まず、従来の税調の御議論を御紹介申し上げ
 ますと、税制の簡素化等の観点から、当面は現
 行制度の枠内で対応する、つまり給与所得控除
 の最低控除額と少額不追求の三十三万円、「現
 行制度の枠内で対応することが適当であると考
 える。」こういうふうに基本的に述べておられ
 るわけでございます。税の世界がまずしゃしゃ
 り出てと申しますか、まず先頭に立ってという
 ことはなかなか難しゅうございます。
  そんなこともございまして、税制調査会の答
 申、別の部分で「基本的には、まず、主婦の
 パートや主婦の内職を雇用政策上あるいは労働
 法制上どう位置づけるかという視点から取り上
 げて議論すべき事柄であり、更に税制上の問題
 としても、例えば配偶者控除のあり方や課税単
 位といった所得税制の基本的枠組みのあり方と
 の関連において慎重に検討を行う必要があると
 考える。」こんなふうに述べておられるわけで
 ございますが、前段は、やはり労働政策として
 これをどういうふうに扱っていくのか、定義を
 初めとしてまだ皆目ないわけでございますが、
 労働政策上、まず位置づけをどうするかという
 一つ重要な問題があるのではないか、その上に
 立って、税制としても配偶者控除のあり方や課
 税単位の問題としてどう扱っていくかというこ
 とを考えるべき問題である、これが五十九年十
 二月の答申でございます。こういう答弁をなすっているわけであります。
 これはまさに、当初は税制が一定の基準額を決めて、それを追うようにしていろいろな年金や保険の基準が決められてきたという従来のいきさつ、経過があったわけでありますが、このときの大山政府委員の税調の内容の御紹介と御答弁では、労働政策上まず位置づけをどうするか、そしてその上に立って税制も考えていく、こういう見解を述べられておりました。かつては税制が先行し労働政策が後を追っていた、しかし、労働政策が先行して税制がその後を追っていく、こういう考え方を述べられているわけであります。
 今厚生省当局がお述べになりましたように、社会情勢の中から賃金のアップ、そういうものが行われてまいりますと、パート主婦の生活状態、経済状態も年々変わってきているわけでありまして、そういう社会的な経済の実態に応じて厚生省は、これまでは税務当局、大蔵省当局と一緒に並べてずっと上がってきたわけです。九十万から百万も一緒に進んできた。ところがその後、百十万、百二十万、そして今度百三十万。年金、保険の加入は、パートの皆さん、百二十万まで働いても百三十万未満であればそれに加入しなくてよろしいですよ、こういうところまで厚生省が進んできている時代状況を見ますと、大蔵省の税制も、主婦の皆さん、百二十万とは言わないまでも百二十万までは非課税の限度額を引き上げますから安心して働いてくださいよ、年金、保険と税金と横並びです、こういう状況を私どもはぜひつくり上げたいものだと思っているわけでありますが、この点、どういうふうにお考えになられるか御答弁をいただきたいと思います。
#79
○田波政府委員 御質問は二つに分けて考えられるのではないかなと思います。
 前段は六十一年の大蔵省の答弁との関係でございます。これにつきましては、それ以降のいわゆる抜本改革の中におきまして配偶者特別控除の拡充等が行われてまいりまして、いわゆる当時指摘されていたような逆転現象は税制上はなくなったという事実が一つ申し上げられるのではないかと思います。
 それからもう一つの問題、後段でございますけれども、保険の上でのいわば扶養者であるかどうか等々の問題あるいは労働省の管轄下でございます扶養手当との関係、これと税法上のいわば控除限度額とのその関係をどう考えるかということだと思います。
 それにつきましては、私どもといたしましては、先生御指摘のようにこれまである程度の連関性は持って動いてきたような事実があることは否定いたしませんけれども、制度の目的といたしましては、それぞれ労働政策あるいは保険政策上の扱い、それから税法上の扱い、それぞれの立場において構築をされるべきものではないかなというふうに考えておるところでございます。
#80
○小川(国)分科員 厚生省の被扶養者の限度額のアップ、これは時代の状況に応じた当然の施策であった、こういうふうに思うわけでありますが、一方税法ではパート主婦本人の非課税限度額及び夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額、これは平成元年に双方とも、双方ともというのはいわゆる税法上の取り扱いと年金、保険上の取り扱い、これは双方とも九十万円から百万円に上がってきた。それ以来四年間この税法上の基準は据え置かれたままになっているわけです。もし平成五年も百万円に据え置く、こういうことになりますと、昭和五十九年の九十万円から九年経過しても十万円のアップしか達成しなかったことになるのではないかと思うわけであります。
 これは物価の上昇率、家計収入の上昇率、そのどれと比較をしましてもつり合いがとれない状況になりつつあるのではないかというふうに思うわけです。厚生省の被扶養者限度額並みにするには時既に遅し、こういう感もあるわけでありますが、今直ちに百二十万円にして厚生省の被扶養者並みの金額に肩を並べる施策はとれないものかどうか、これはひとつ大蔵省で十分御検討を願いたい、こういうふうに思うわけでございます。
 すなわち、このパート主婦本人の非課税限度額を百二十万円として、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額も百二十万円、こういうような減税措置は考えられないものかどうか。先般の野党全体の政府に対する減税要求の中にはパート減税という一項目が入っておりましたが、まさにその言わんとするところはこういう趣旨ではないか、こういうふうに私ども理解しているわけでございますが、そうした意味での減税は考えられないものかどうか、お伺いしておきたいと思います。
#81
○田波政府委員 委員御指摘の点は、いわば税制全体の問題にわたる面がおるというふうにまず認識いたします。そういった観点から見ますと、冒頭申し上げましたように、公平感ということで申し上げますと、例えば今のパートの方々のいる世帯の課税最低限は三百六十四万二千円でございます。これに対しまして、いわゆる片稼ぎ世帯の場合の課税最低限は三百十九万八千円でございます。そういった面で、全体としての公平感をどういうふうにとらえるかという問題が一つあると思います。
 それから、国際比較をして見ましても、日本の場合は百万円でございますけれども、アメリカの場合の単身の給与所得者の課税最低限は八十万円でございます。イギリスも七十六万円、ドイツの場合も七十四万円ということでございまして、課税最低限が必ずしも低いということは言えないのではないかというふうに認識をしておるところでございます。
#82
○小川(国)分科員 私は、そういう片稼ぎ世帯と共稼ぎ世帯の税法上の公平感の問題にどういう影響を与えるか、それは一つあろうかと思います。しかし、これはまた後ほど実態を申し上げたいと思いますが、片稼ぎ世帯と共稼ぎ世帯の数の差というのは、圧倒的に共稼ぎ世帯の方が多くなっている、こういう現状がございます。
 それから、いま一つは、先ほど厚生省の方の取り組みの経過をるるお述べいただいたわけでありますけれども、大山審議官の答弁にもありましたように、労働政策が先んじて税制がその後を見ていく。そしてまた、年金、保険の水準を百二十万円まで引き上げてきた厚生省の考え方は、年々賃金はベースアップしてくる、そしてパートの働く労働時間は決まっているけれども、賃金が上がってくる。そうすると、賃金が上がってきて百万円を起さないためには労働時間を抑えなければならない、こういう実態。去年と同じ時間働いて実質は賃金のベースアップのために去年より収入がふえてしまった、こういうことでは、そのパートの人達の実態を正しくとらえるならば、やはりベースアップや賃上げに乗じて限度額というものを引き上げてやる必要があるのではないか。こういう賃上げの実態をにらんでそういう対応がなされてきている。
 時間も参りましたからこの辺で終わりにしたいと思いますけれども、そういうふうに考えてみましたら、税制も客観的なそういう状況、それからパートの生活実態というようなものをにらんで、ぜひ大蔵当局としてもまた大蔵大臣としてもひとつ御検討いただいて、少なくとも夫婦で一千万円以下で、パートで働いて家計の補助をし、ローンを払ったり教育費を払ったり、そうした生活費を支える柱ともなっているパートの主婦とその夫と双方をにらんだ限度額の引き上げということについてはさらに御検討いただきたい、こういうふうに思います。
#83
○田波政府委員 御指摘でございますけれども、これは本当に釈迦に説法で恐縮でございますが、所得税といったものを考えるときに、所得税というのは、御指摘のように就労の形態に着目して課税をするということではなくて、言うまでもなく所得に対して課税するものでございますから、特定の就労形態をとっておられる方だけについて特別の扱いをするということをしていきますと、先ほど来申し上げておりますような他の形の生活をなさっておられる方々との公平等の問題がさらに拡大をするといった点については、十分考えをいたしていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。
#84
○小川(国)分科員 終わります。
#85
○越智主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。
 次に堀昌雄君。
#86
○堀分科員 きょうは、二つ問題を取り上げさせていただきますが、まず最初に、今政治の世界で一番重要な課題は、私は、政治改革の問題が極めて重要な課題だと考えておるわけでございます。
 そこで、その政治改革は、選挙制度の問題もありますし、政治資金の問題もありますし、多岐にわたりますけれども、私は、一九五八年の五月に衆議院に籍を置かしていただきまして、一九六〇年から公職選挙の特別委員と大蔵委員を志願をいたしまして、昨年の国会までは大蔵委員であり、公選の特別委員をいたしておりました。約三十数年にわたってやってまいったわけでございますけれども、その中でやはり非常に気になっておりますことは、日本の政治資金の問題というのが団体献金と企業献金というものによって賄われておる、こういうことでございまして、このことがややもすると企業と政治家との癒着をもたらすということに発展をし、最近はしばしば企業と政治家との間における問題が毎国会のように問題になってきておるわけでありまして、そういう企業と政治家との関係というものを断ち切るためには、政治献金というものを個人の単位に戻して、団体や企業献金を取りやめるということにいたしますと、この政治改革というものの極めて透明な状態がもたらされる、こう考えております。
 そこで、実は民社党の方でも既にこういう提案をしておられるわけでありますけれども、個人の政治献金については、ひとつ最初は何らかのプラスといいますかフェーバーを与えなければ、これまでそういうことになじんでいないわけでありますから、フェーバーを与えるということで当面ひとつ年額十二万円までの政治献金については所得税の税額控除というものを租税特別措置法で考えてみたらどうかということをちょっときょうは提案をさせていただきたいと思っているのであります。
 そこで、この後で予算の問題を取り扱いますけれども、予算の方は実は担当次長に出席をしていただいておりますが、それは主計局長に出てもらっても、皆さん大蔵関係者多いからあれでございますけれども、予算全体の問題を担当するのは主計局長でありますから、予算全体についての議論をするならば主計局長の出席を求めるのでありますが、きょうは後の方は公共事業の配分問題という極めて技術的な問題でありますので、それは担当次長の方がいいということで、しかし税の方は、実は審議官おられたのでありますけれども、審議官ではなくて税の責任者である濱本主税局長の出席をお願いする、こういうことになっておりますことを最初にちょっと明らかにいたしておきたいと思うのでございます。
 そこで、ここに書いております意味はこういう考えなんであります。要するに十二万円というのは、一月に一万円ずつ、ある政党、団体に献金をする、年間に十二万円である、そこまでを限度にしよう。例えば、労働組合のようなところでございましたら、政党の関係者がその労働組合員に対して、月に百円でいいですからひとつ献金をしてください、年に千二百円になります。労働組合というのは人数が多いですから、千二百円でもたくさんの組織をされた労働組合の人たちがその気になってくれればかなり大きなものになりますが、しかし一人一人の金額は年に千二百円でよろしい、あるいはもう少し所得の高い水準の皆さんはそれでは月に千円ずつということで、年に一万二千円出していただいたらどうだろうか。それから、自民党の支持をしていらっしゃる方というのは個人営業その他個人事業主とかという方でございますから、この皆さんはどうも月に一万円ぐらい出していただいても大丈夫なのではないだろうか。
 この前、実は竹下さんと話をしておりましたら、竹下さんはそういう式の方が三千人ぐらいあるので大変助かると、もう大分昔の話でございますが、こういうことを聞いたことがございます。月に三千万円でございますから年間で三億六千万円、これが安定的な政治資金になるということは大変安定した政治活動が可能になる、私はこんなふうに考えておりましたのでありますが、ただ何となくそういうことを呼びかけても、やったことのない制度でございますから、まず最初に税額控除をやって、三年間だけはそれをやります、その三年間にひとつ企業献金や団体献金は三分の一だけ減らしてください、こういうふうにセットにしまして、結局十年間にこの税額控除はなくなるけれども、十年後には今の団体献金と企業献金がなくなる。こちらの方は税額控除がだんだん減っていきますが、逆に今の企業献金と団体献金は減る。大体十年ぐらいをめどにこういう形で政治改革をやってみたらどうだろうか、こういうのが実は私の提案であります。
 大蔵省、実は税額控除という問題は、いろいろな点で問題になりますけれども、大変抵抗の強いことは私も三十年これをやっておりますからよく承知しておるわけであります。しかしこれまでは、今度ほど国民が政治改革を求めるというような政治的情勢にはございませんでした。そこでひとつこの問題について、これは簡単なことでございますから、考え方は今申し上げたように、当初は一体幾ら税額控除の費用が要るかということも、初めてのことでございますからなかなか簡単にわかりません。ですから、そこのところを含めて、すぐことしやるとか来年やるとかということができるとも思いませんけれども、やはり今の政治改革の最も重要な部分の一つということで、大蔵省でひとつ考えていただく必要のある問題ではなかろうかというのが私の考え方でございます。
 まず、そういう意味では政治家の立場からの大臣の御見解を承りたい、こういうふうに思います。
#87
○林(義)国務大臣 堀先生は長いこと大蔵委員会におられまして、税の方も大変な御専門でもあります。また、公職選挙特別委員会の方にもずっとおられたわけですから、その方にも詳しい。両方詳しいところの先生がおっしゃる話でありますから、私どもも耳を傾けてよく聞かなくちゃいかぬ、こう思っておりますが、今のお話は、今度の政治改革全般の話の中でどうしてやっていくか、こういうことだと思っております。
 個人献金につきましてどうするかというような問題が大きなテーマになっておりますし、その反面といたしまして企業献金を制限していく、撤廃をしていくという方向に持っていくというような一つの方法があると思っておりますが、しかし、そういった形でもってやったときに、今度個人献金の方、どういうふうな形でもってやったらよろしいのか。もう一つ申し上げますと、政治家のいろいろな活動、それにつきましては公費負担というようなことも考えていかなければならない、こういうふうなことも考えられているわけでありますから、そういったことを総体としてこれから検討をしていかなければならない問題だろう、こう思っておるところであります。
 それで、今お話がありました、特に大蔵委員会で先生御指摘になりましたのは税額控除と、こういうような話でありまして、先生も御質問の中で御指摘になりましたように、税額控除というのはなかなか難しい制度だ。今やっておりますのは所得控除でありますから、それならばまだと、こういうことでありますが、税額控除というのはなかなか難しい制度である、こういったことでありますが、それは、そこまでやっていくということになると、政治資金のあり方としては果たしてそれがいいのかどうなのか。言いますと、それは全部国庫の補助金なんかで出すのと同じことに相なるのではないか。そうすると、そういった形でやるのがいいのか、補助金で政党に出すのがいいのかというような議論も私はしていかなくちゃならないだろうと思います。
 もう一つ申し上げますと、税額控除という形でやったときにどんな手続でやったらよろしいのか、また個人が所得税を納めたり何かするときにどういうふうな形でやりますか、またどんな添付資料が要りますかとか、そういったいろいろな手続的な問題もあるだろう、私はこう思っておるところでございまして、そういったことをいろいろと考えていかなければならない問題だろうと思っています。御提案の趣旨は私もよくわかりますし、全体の中で考えていくべきものだろう、こう思っております。
#88
○堀分科員 実は、ここに書いてありますのは、資料を差し上げておるのでありますけれども、政党に対してだけこれを認めるわけなんであります。要するにこれからの献金は、現在は個人に対して団体あるいは企業から献金が行われるのでありますが、個人に対しては一切禁止をしよう、要するに政党本位の選挙制度にして、選挙はやはり金がかかるわけでありますから、その選挙についての費用を個人献金で賄おう。
 今、政党に対しては公費を出したらどうかと。西ドイツはごらんのようにもうそういうふうになっておるのでありますけれども、私は、いきなり国民の納税をした資金を政党にぼんと渡す、政党は現在そんなに国民に信頼されているわけじゃございませんから、それはどうもストレートに公費をそこにつき込むというのは適切でないのじゃないか。そうすると、やはり個人の選択に任せるということの方が、個人が自分の支持する政党に献金をするということはそれなりに筋の通ったことでありますし、それも今の、それをずっと続けるということのために考えておるのではなくて、最初に導入部分では、これまで個人献金というのはほとんど行われてないものですから、その個人献金を奨励するといいますか、そのために税額控除という手段を使って、それも導入部分だけそれを使って、順次それを減らしていって、そうして今の企業献金、団体献金をやめる、そしてこれは、すべて献金は政党に限る、選挙制度も政党本位の選挙制度にする、こういう政治改革のプログラムの一環として実は御提案をいたしておるわけでございます。
 これは検討課題として一遍主税局においてもまた、これは主税局だけでのことではございませんから、やはり大蔵省としてひとつ検討を進めてもらいたい。それは日本の政治が透明になるということが国際的な信用の面においても非常に重要なことでありますので、国民に対しても重要でありますが、やはり国際的にも、この今の日本におけるいろいろなトラブルが起きておることは大変私は残念に思っておりますので、それを取り除くためにもこの程度のことは必要ではないか、こう考えておりますので、技術的な面を含めて主税局長の答弁をお願いします。
#89
○濱本政府委員 先ほど大臣からもお答えがございましたわけでございますが、寄附をいたします額と同じ額の税額控除が行われるということになりますと、寄附額が国を通じまして直接納税者の指図人に渡るのと同じ形になろうかと思います。結局、こういうことをどこまで認めていいのかという問題がまずそこに一つあると思います。
 これはもう先生よく御承知おきいただいた上でのお話かどば存じますけれども、それはまさに財政制度自体の仕組みの問題であろうかと思いますが、そのことが一つと、それから、税プロパーの問題といたしましては、例えば国に対して個人が寄附をいたします場合に、これはいろいろないきさつもございましたけれども、今所得控除方式が一番合理的だということで所得控除方式をとっておるわけでございますけれども、国に対します場合には所得控除方式、政治家に対します場合にのみ税額控除方式ということ……(堀分科員「政党です」と呼ぶ)失礼しました、今のは私の申し落としてございました。政党に対します場合にのみ税額控除方式ということがどういう理由づけで税制上仕組み得るかという点もちょっと戸惑うところでございます。
 それから、やや技術的なところも含めてということでございましたので技術的な話になりまして恐縮でございますけれども、結局、御提案は、給与所得者とか現在確定申告を要しない者につきましてもすべて確定申告をしました上で処理するということになろうかと思いますけれども、それが税務執行上対応可能かどうか、そこは企業の年末調整も活用すればいいじゃないかというお話かと存じますけれども、企業が従業員一人一人の、そういう若干プライバシーに立ち入る問題につきまして果たしてうまく処理できるだろうか。
 さらに、先生の御提案を読ませていただきますと、例えば一定の郵便振替を利用する。払い込みの相手方が特定の、これは政党ということになりますけれども、政党であるという場合にはそれほど面倒なことではないではないか、つまり政党名が書いてあればそれはそれと確認できるのではないか、そういう意味かどば思うのでございますが、つまり自治大臣の確認を受けた払い込みとするということになっておるわけでございますけれども、私ちょっとよく自分でまだ納得がいきませんのは、例えば特定の振り込み番号がございまして、それに政党名が書いてあったといたしまして、それが本当にその政党であるのかどうかということをどういう形で確認できるであろうかそんなことも考えまして、何と申したらよろしゅうございますでしょうか、基本的に政治資金制度の適正な運用が確保されるかどうかという点について検討する必要があると思われるわけでございますけれども、仮にその点が十分確保されるのでございますれば、今申し上げましたような税務執行上の問題が本当にうまくワークするのかどうか、そこは議論させていただきたい、かように存じます。
 なお、最初に申し上げました骨格部分につきましては、検討せよとの仰せでございますけれども、正直申しましてちょっとにわかに見当がつかないのでございますけれども、お話は十分承らせていただきたいと存じます。
#90
○堀分科員 実は、これは中央選管が発行する振替用紙、そうしてちゃんと中央選管が認めておるところの、ここに過去における選挙で三名以上国会議員が当選しておるもの、あるいは有効投票の百分の一以上を受け取っているものというような、ですから政党要件をきちんとして、それを中央選管が管理して、中央選管の発行するところの振り込み用紙ということになりますと、そこへ行ったということは間違いないのです。その振り込み用紙の受領証というもの、それが税務署に提出されれば、それは今の税額控除の対象になる、こういうようなことですから問題はそんなに複雑ではないのであります。
 要するに、今の団体献金、政治献金をやめるためには金がなくちゃ困る、じゃ公費でやったらどうかという御検討が自民党の内部でも進んでおるようでありますが、ストレートに公費で政党にお金を渡すよりは、やはり個人が献金というシステムを通じてやるのが本来の政治献金のあり方だろう、私はこう思っておりますので、そうすると公費でやるのと今の税額控除というのは、形は違いますけれども、私は、個人献金の税額控除の方がいきなりストレートに公費を出すよりも、制度の将来を考えればこの方が望ましいということがこの問題を考えたもとでございますので、それはいろいろな角度から御検討いただきたいと思います。
 もう一つきょうの中心になるのは、資料をお配りしておりますけれども、公共事業の配分がどういうわけか毎年ほとんど変わらない。皆さんにお配りした資料の二段目でございますが、「公共事業関係費(構成比)」、元年度、二年度、三年度、四年度、一五年度と書きまして、治山治水対策一七・八、一七・八、一七・七、一七・七、一七・五、道路整備二八・六、二八・五、二八・五、二八・五、二八・五、数多くすっと書いてありますからごらんいただければわかりますけれども……(「シーリングを直さなければならぬ」と呼ぶ者あり)だから、こうなっているもとは、今そこに専門家がおられますけれども、そのシーリングを一体だれがつくったのか。私は三十年もおりますけれども、どこかでだれかが考え出したことだと思うのであります。
 私はちょっと昔の例を引きますが、実は尼崎市で戦後間もなくにジェーン台風という大変大きな台風の被害を受けました。尼崎市はあそこに鉄鋼の工場がたくさんありまして、戦時中に鉄鋼を冷やすための冷却水を井戸を掘ってどんどんやったものですから地盤沈下が起きて、国鉄線南は大体がゼロメートル地帯というふうになっているのです。そこへジェーン台風がどおっと来て南部は人家も被害、工場や商店も被害、大変な被害が出ました。そのときに阪本勝という戦前に政治家であったのが市長をしておりまして、そこで、国や県に要請をして防潮堤をつくるなどということでは市長の責任である市民の生命、財産を守るわけにいかないということで、市中銀行から借り入れをしまして、そうして一挙に河川も含めて、河川の予防、防潮堤をつくらなければ水が入ってきますので、半分オランダみたいなことでありますけれども、完全に防潮堤をやりました。
 そのときに阪本市長が言いますのは、最後の一メートルができなければ全部できてても防潮堤の用はなさないんだ、それには二年も三年もかかる補助金を当てにすることはできないというので、実は市中銀行の借り入れで一挙にやりまして、そのために尼崎市はかなり数年間にわたって財政再建団体になる、こういう歴史的な経過があります。
 しかし私は、やはり公共事業というものは、こういうふうに細切れにしてシーリングで同じような率でぽつぽつやるというのは投資効果が非常に下がると思うのです。実は、私も若いときに兵庫県の豊岡という町へ行って見ましたら、道路の真ん中のところだけが舗装されていまして、家の前の三メートルぐらいのところはセメントでやってあるところもあれば何もしてないところもある、モザイク道路みたいになっているんですね。そこで私は豊岡の市長に会って、これはどうしてこんなことになっているんですかと話を聞きましたら、実は国からの道路の予算が非常に不十分なので、しかしできるだけ車や何かの通るところだけは舗装をしたい、そうして延長をしたいというので、真ん中のところだけ舗装をして次に予算がついたらまた両わきをやろう、こういうことだ。
 私はモザイク道路だ、こういうことを言っていたのでありますけれども、やはり私は、今のこの公共事業のこういうようなあり方は、その公共事業の目的に応じたある一定の効率が上がるような措置を優先して、もうそろそろ今のシーリングのようなことをやめたらどうか。それが公共事業が本当に国民のために生きた公共事業になる、こう考えるのでございまして、ここのところは林大蔵大臣にひとつ勇断を持って、新しいそういう国民のための公共事業のあり方について御答弁をいただきたいと思います。
#91
○竹島政府委員 今先生の御指摘、二点あったかと思いますが、最初の公共事業の事業別の配分、確かに先生からちょうだいいたしましたこの資料のとおり数字はなっておりまして、事業別のシェアの変化が大きく見られないという御指摘でございますが、もう少し長いスパンで見てまいりますと、例えば昭和四十年度と平成五年度というようなことで見てみますと、現在問題になっております住宅・下水道環境衛生等のいわゆる生活開運の公共投資、これは昭和四十年度には全体の九%でございましたのですが、平成五年度では三〇・一%ということで相当大きなシェアの違いが生じておる。当然それ以外の分野は九一%から七〇%弱ということになっておりまして、長い期間で見ますとこのようなことでございまして、必ずしもシェア固定ということではないのでございます。
 ただ、現実問題、いろいろな御意見、御批判も十分承知しておりまして、このところは、公共投資基本計画というものをつくりまして以降は、生活関連の投資をさらに重点的にやるべきであるということでございまして、平成三年度から生活関連重点化枠という新しい仕組みも導入いたしまして、そちらにさらに重点を置いておるということでございまして、五年度予算におきましても、先ほど申し上げましたような住宅、下水道等の生活関連は対前年七・一%の伸び、それに対してそれ以外の公共事業については四・一%ということで、現実的にできる限りのめり張りをつけておるところでございまして、今後とも基本的にはこの生活関連重視ということで毎年度の予算編成に当たってまいりたいというふうに考えております。
 二番目は具体的な箇所づけの話でございますが、確かにこれは重点的、効率的に予算を配分し、なるべく早く工期を終わらせるというのがいいことだと思うのでございますが、基本的にはそういうことで各省庁、事業別、箇所別の張りつけをやっていると思いますけれども、現実的にはなかなか予定工期どおりいかないということもございます。この辺はさらにこれからの箇所づけに当たって努力をしてまいりたい。一方で調整費なんという仕組みもございますけれども、基本的には、具体的な箇所づけ、新規採択をどうするかというところが個別の事業の進捗に当たっては大事な点でございますので、なお一層努力をしていきたい、かように考えております。
#92
○堀分科員 なかなか制度というものは、一つでき上がるとその制度を変えるというのは実は大変なエネルギーを要するわけなんですね。
 それで、今竹島次長が答弁されたように、昭和四十年というのは、一体今から何年前になりますか。ともかくも、一九六五年ですからね、それと九二年と、その間に変化がなかったら、そんなものは政治でも何でもないので、変化があって当たり前の話でしてね。そういう話をこんなところで持ち出しても、それは答弁にならないのですよ。
 それは歴史的な話でございまして、そうではなくて、要するに私が言っておることは、結果としてこういうような構造配分になっているというのは、これはだれが見てもおかしいというふうに思うと思うのですね。だから、そういうことのないようにするためには、今そちらから声が出ました、シーリングというところでそういうふうに割り込んじゃうものだから結果的にそういうふうになるというようなことになりますので、やはり公共事業のあり方そのものを少しもう一遍検討し直すことが必要なのではないかということで、私がここで問題を提起させていただいているわけでございます。
 だから、そういう意味で、確かに道路も重要であります。しかし、尼崎市で、さっき申し上げたような地盤が低いところですから、要するに公共下水道に比重をかけてどんどんやりました。それがやれる理由は、実は尼崎市には、大庄湿地帯という広い土地が湿地になっていて、カヤが生えていて何も使えない土地があった。これを阪本市長が考えまして、真ん中に池を掘って、その土を周囲に埋め立てて、真ん中にモーターボートの競艇場をつくって周辺を住宅地帯にしたのですね。その競艇の収入が年間百億円余りあるのです。だから尼崎市では、私が国から公共事業の予算を持って帰っても、市単の部分はその今のモーターボートの収入でカバーできるということで、現在九一五%の公共下水道ができているのです。
 それはなぜかというと、今申し上げたようなゼロメートル地帯ですから、上から来た川の水も全部護岸になっておりますのでポンプアップで、要するにポンプで全部外へ出す。こうなりますと、汚ない水を海に、瀬戸内海にどんどん出すわけにいきませんから、そこで公共下水をきちんとして浄化装置をちゃんとして、きれいな水にして外へ出すということのために私も予算配分に努力をし、そうしてそれが可能なような財源措置もあったものですから、現在ここは九五%以上、ほとんど、都市計画が進んでいないところだけがちょっとできていませんけれども、そういうふうになっているわけであります。
 そういう意味では、ぜひ今のその自治体、地域において最も重要なことにできるだけ資金が配分されて、国民としての福利が享受できるような予算配分ということが公共事業においては今後も重要である、こう考えておりますので、そういう意味できょうは、分科会のわずかな時間でありましたけれども問題提起をさせていただいたわけであります。
 大蔵大臣の御答弁を伺って、私の質問を終わります。
#93
○林(義)国務大臣 堀先生からの今のお話でございますが、先ほど竹島次長からも御答弁をいたしました。公共事業というのは、いろいろな形で時代に応じて変遷をしてくるし、またそれぞれの地方の要望に従ってやっていかなければならない問題だと私は思っていますし、地元の尼崎市、豊岡市のお話を引いてのお話も非常に説得力のあるお話だと思います。
 ただ、全体としての予算をどうしていくかというのは、今も尼崎の中でお話がありまして、地元でいろいろな財源がある、それと一緒にしてやっていく、こういうふうなお話です。そういったところの財源があるところはいいのですけれども、ないところを今度はどうするかという話でもありますし、また治山治水とか道路とか、いろいろな分野にわたって公共事業はあります。それの配分をしていくということになりますと、どうしても何か画一的にならざるを得ない。画一的にしたときには一体どうするんだ、こういうふうな問題がありまして、これは私は、公共事業の全体のあり方として考えていかなければならない大問題だろうと思います。
 限られた金をどう配分していくかということになると、やはりそこでいろんな問題が出てくる。それをどういうふうな形でやっていくかというのはこれからの課題であろうと私は思いますし、御指摘のような問題もありますから、さらに検討していかなければならない基本問題だろう、こういうふうに思っているところでございます。
#94
○堀分科員 終わります。
#95
○越智主査 これにて堀昌雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、宮地正介君。
#96
○宮地分科員 最初に大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
 昨日、与野党書記長・幹事長会談におきまして、所得税減税の問題について梶山幹事長は前向きに検討する、こういう回答をいたしまして、予算委員会が正常化したわけであります。この与野党幹事長・書記長会談の約束事は、大変重い約束であるわけでございます。
 まずこの点について、今後大蔵大臣は、政府としてどのように取り組んでいくお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
#97
○林(義)国務大臣 昨日、四党の間で合意が見られましたことに対しまして、私も関係者の御努力に対して敬意を表するところでございます。
 文言も文書になっておりますし、今宮地委員御指摘のような形のお話もありましたから、今後協議機関をつくってやっていく、適切かつ機動的なことも考えていかなければならない、こういうふうに私は思っているところでございまして、そういった形で各党の協議が行われていくということを見守ってまいりたい。もちろん政府の方も、経済の運営がありますから、そのときそのときの問題につきましては適時適切に対応していくつもりでございますけれども、四党合意の問題につきましては、そのお話し合いの推移を見守っていくというのが私たちの基本的な考え方だと御理解を賜りたいと思っております。
#98
○宮地分科員 推移を見守るというのでなくて、これは私は大変に重く受けとめて、具体的にどう所得税減税を実行に移すか、これがやはりこれからの大蔵当局の重要な対応でなくてはならないと思うわけでございます。
 そこで実は、この二月の二十八日に、私は現在公明党の埼玉県本部長をしておりまして、埼玉県下で街頭において、所得税減税についてのアンケート調査をさせていただきました。ちょうど天候もよく、主要都市、主要駅約二十カ所程度を対象にいたしまして所得税減税に対するアンケート調査をいたしましたところ、大変多くの方に御参加をいただき、積極的に御協力をいただいたわけです。男性が千八百三十四名、女性が二千三百六十八名。これは時間にして、午後一時から三時ころですから二時間程度の時間でございました。
 その結果を申し上げますと、所得税減税に賛成ですか、反対ですかということに対しては、何と賛成が三千九百九十一件、約九四・九%という大変な関心とまた期待を持っておりました。反対は何とわずか二百十二件であったわけであります。
 さらに、それでは、この所得税減税が実施された場合、私どもは当然野党として共同要求した四兆二千六百億の中身を提示してのアンケート調査であります。そうしましたところ、この所得税減税が具体的に実現された場合使う、と。私どもは、五月連休前に標準世帯で一世帯十万円以上の所得税減税を主張しているわけですが、この十万円が戻ったら使いますか、貯蓄ですか、こういうような端的な御質問を国民の皆さんにぶつけましたところ、何と、使うという方が二千九百二十五件、六九・五%、約七割の方が消費に使う、と。貯金をするという方は千二百七十八件、三〇・四%でありました。国民の多くの方は、この大型所得税減税をやれば七割の方は使います、と。
 では具体的にどういうものに消費としてお使いになりますかとさらに突っ込んで申し上げましたところ、この二千九百二十五件の中で、トップは生活用品でありまして九百二十六件、第二位が旅行でございまして七百八十六件、第三位がレジャー五百八十五件、こういうことで、非常に具体的に使い方についてもきめ細かに国民の皆さんは考えていらっしゃいます。
 そして、その中で、それではどういう方々がお使いになるかということで職業別にもチェックをさせていただきましたら、トップがサラリーマンでありまして一千四十五件、何と七五%です。そして第二位が専業主婦の六百八十二件、第三位が自営業。
 こういうように大方の方は、やはり勤労国民、サラリーマンの方は大変に所得税減税を期待されている。私は、こういう現場の生の直近のアンケート調査を見ましても、今や所得税減税に対する国民の期待は大変に大きい、こういうふうに実感として受けとめているわけでございます。
 大蔵省は何か公共事業と比較して所得税減税の消費喚起の相乗効果は非常に小さい、公共事業一・四に対して〇・五ぐらいだということをかたくなに言っております。しかし、国民は今申し上げたのが現場の実態でございます。大臣、どうか、そういう点で、この問題については昨日の与野党幹事長・書記長会談においても前向きに検討する、こういうことでございますので、国民はもう、政府は所得税減税を少なくとも実行に移してくれる、こう期待していると私は思うのでございますので、どうか、推移を見守るなどという何か第三者的な立場でなくて、この際は踏み込んで、この与野党幹事長・書記長会談を受けとめて、実現に向けて努力する、このように確約していただきたいと思います。
#99
○林(義)国務大臣 今宮地委員のお話でございまして、地元でいろいろなアンケートをとられたりいろいろな活躍をしておられまして、お話を聞きまして、私も、それはそれでそういうことだろうなと思っておるところでございます。それは、正直申しまして、減税をした方がいいかしない方がいいかといったら、私は、それはだれでも減税した方がいいというのが当たり前のことだと思うのです。
 問題は、どういうふうな形ならば不況対策として実行可能な施策をやることができるか、こういうことだろうと思っているところでございまして、四党の合意の中には不況対策として実行可能な施策を協議しますと書いてあるわけでございますから、私はこれを文字どおりに受けとめまして、与野党で御協議を賜る、こういったことを見ていなければならないだろう、こういうふうに申し上げているわけでございまして、私といたしましては、今のところ、それ以外に言いようがない、こういうふうなことでございますので、御理解を賜りたいと思っております。
#100
○宮地分科員 それでは、大臣、時間が限られておりますからこれで押し問答ばかりできないのですが、要するに減税の方式には、中身は、一つはいわゆる投資減税とか教育減税とか住宅減税、こういう政策減税、これは大変大蔵省は理解していると我々は見ている。もう一つは、いわゆる制度改正による減税、いわゆる扶養控除の現状の三十五万を四十五万にするとか、基礎控除の六十五万をでは七十五万にする、いわゆる所得税法改正に伴うところの税制改正。もう一つは、我が党が主張している戻し税減税、この三つが内容的にあるわけです。少なくとも所得税減税と我々が言っているのは、少なくとも戻し税減税を中核とした中での所得税減税を主張していることは、これは論をまたないわけです。
 大臣、この三つの中でどこを重点に考えておられるのか。所得税減税の実現に向けて、どうこの三つの中の中身を今後検討して実行に移そうとされているのか、簡単に結論だけ述べてください。
    〔主査退席、衛藤(征)主査代理着席〕
#101
○林(義)国務大臣 今御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますように、四党で合意をされたところの趣旨に沿ってどういうふうな協議をされるのかということを私たちは見てまいりたい、こういうことでございまして、申し上げますならば、私たちの方は、今お話がありました戻し税であるとか政策減税であるとか、いろいろなお話がございましたけれども、やはり景気対策としての効果はどうするんだろうか。不況対策をやるということで書いてありますから、それでどうするんだろうか。それからもう一つの問題としては、巨額の財源を一体どうするのか、あるいは税制全体の問題としてどうするのかというような広範な問題があると私たちは思っているわけでございまして、予算委員会におきましても私もたびたび御答弁申し上げているように、諸問題がございます、こういうことでございまして、私はそういったことを踏まえて、実行可能な施策を協議していただけるものだ、こういうふうに思っているところでございまして、それのお話し合いが進んでいくことを見守っているというのが現在の立場でございます。
#102
○宮地分科員 この与野党協議会を見守るというスタンスは理解できますけれども、私は、やはりこの所得税減税に対しては、野党の共同要求、これはまさに四兆二千六百億という総額は、現在の不況を克服するための大型減税であることは論をまたないわけでございますので、ぜひその点を含めて、今後積極的に大蔵省としても実現に向けて御努力をいただきたい。きょうのところは強く要請をしておきたいと思います。
 また、今回の与野党幹事長会談の約束事、少なくとも政府・自民党の幹事長である梶山さんの前向きに検討するという約束は、私は大変重い約束事である、それなりに重大に受けとめて大蔵省は今後検討していただきたい、このように強く要請をしておきたいと思います。
 次に私は、ちょっと具体的な問題でございますが、埼玉県の川越税務署の庁舎移転問題について少し確認をしておきたいと思います。
 現在、川越の税務署は大変に狭隘でございまして、人口増加地帯において、その中身は、職員の皆さんの仕事の環境から見たら大変に悪い環境にあるわけでございます。建て増しができない、東武鉄道東上線のわきで大変騒音でうるさい、手狭である、こういうことから、川越市の並木の前田地域に平成六年度完成で今移転の計画がある、このように伺っております。
 時間がありませんから私から申し上げて、まず間違いがないかどうか。予算の概要については、全体計画が二十四億二千六百万円、そして平成六年度完成で、当面は平成六年十二月の完成予定で進めておる、土地は約四千平米、建物は地上四階地下一階、一階が約千二百平米、ですから地下を入れて五フロア、そして駐車場とか緑化地帯は残りの二千八百平米、こういうことで現在進めていると伺っておりますが、これで間違いはないかどうか、確認をしておきたいと思います。
    〔衛藤(征)主査代理退席、主査着席〕
#103
○瀧川政府委員 川越税務署につきましては、関係御当局の御理解をいただきまして大変順調に進んでおりまして、内容につきましては今おっしゃったとおりでございます。
#104
○宮地分科員 今後実際に中のレイアウト等を検討していくというふうに伺っておりますが、次長御存じのように国税職員は、地価税の創設の問題、消費税の導入の問題等々、全国で約五万二千名の国税職員が必死に働いておりまして、年々仕事の量、質が増大をしてきております。せめて庁舎の環境改善、あるいは約半分の方が宿舎から御通勤されているという実態ですから、宿舎の改築、改造を積極的にやるべきである、福利厚生を拡充すべきである、こういうことを再三申し上げ、逐次予算に応じて御努力いただいておりまして敬意を表しているわけですが、ぜひ今回のこの新築移転に伴いまして福利厚生の面、例えば食堂とか休憩室あるいは更衣室、できれば、これだけのスペースですから、働いて職場に帰ってきたときに本当にゆっくりとお茶でも飲み、コーヒーでも飲めるようなサロン風的なそうしたものも十分検討すべきではないか、こう考えておりますが、福利厚生の充実についてはどういうお考えを持っておるかどういう計画を持っておられるか、伺っておきたいと思います。
#105
○瀧川政府委員 先生おっしゃるとおり、私どもの職員、大変一生懸命働いていただいておりまして、私どもも常日ごろ感謝しておるわけでございますし、また予算、定員などで関係御当局の方からも大変御理解いただいておりまして、おっしゃるとおり予算の面でも私どもかなり感謝しなければいけないような状況になっておると思います。
 なお、川越税務署、これは新庁舎でございますから、おっしゃるとおりできるだけ福利厚生面に配慮したものにしたいと思いますけれども、ただ、世の中の常識というもの、あるいはいわば役人に対する声といいましょうか、そういったものにもよく耳を傾けながら、できるだけのことはしていきたい、かように思っております。
#106
○宮地分科員 大臣、今お話聞いていて大体わかったと思いますが、私は国税職員の職場環境の改善は全国的にもぜひ積極的にやっていただきたいと思うのです。五万二千名が本当にもうずっと横ばいで、仕事の内容は相当厳しい状況にあるわけで、今、お役人さんのところですから常識あるということで次長は大変慎重な答弁ですが、やはり今後有能な職員を採用するためにも、一般の民間のトップ企業に負けないぐらいのそれなりの処遇というものもやっていかないと、質的になかなか難しい。特に高等学校卒業生等を採用する職場ですから、最近は高等学校の卒業生は金の卵みたいなものですから、そういう方が専門官として将来査察をやったり調査をやっていく、そういう有能な、質の高い職員を採用する意味からも、そうした福利厚生の面の充実というものはやはり頭を切りかえてまさにリストラしていかなければならない、そういう時代に来ているのではないか。
 そういう点では、御遠慮は大変につつましいのですが、やはりもっと質のいい職員が採りやすい職場環境というものも大事ですから、どうか大臣、この点について今後大臣としても特段の御配慮をいただきたい、私はこう思いますが、一言御決意を伺っておきたいのです。
#107
○林(義)国務大臣 宮地さんのお話で温かい御配慮を税務署に与えていただきまして、私も心から感謝を申し上げる次第でございます。
 全国的に税務署の庁舎をいろいろ考えていかなければならないというようなお話もございましたが、私は、全然やらないということじゃありませんけれども、税を取る立場の者というのは相当の規律、自律を持っていかなければならないものだと思うのです。ほかの方のことを考えるよりは、やはり厳しい戒律というものを持っていかないと、国民から税金をいただくわけでありますから、それが普通のような形でやるというのは一つの問題ではないかな、私は基本的にそういった考え方を持っておりまして、まさにバブリックサーバントの中のパブリックサーバントである、そんな気持ちで働いてもらうということが税務職員のモラルでなければならないのじゃないか。
 少し古いかもしれませんけれども、そういうことだ。しかしながら、それならばどんな汚いところでもということじゃないのでありまして、いろいろな点で福利施設その他のものについても配慮をしていかなければならないものだろう、私はこう思っております。予算も大変厳しい状況でございますから、いろいろと国税庁の方で苦労をしてやっておりますが、できるだけいいものをつくって、本当にいい役所になるようにということを心がけていかなければならない。これは、その上に立つ者の責任でもあろうかな、私はこう思っておるところでございます。
#108
○宮地分科員 今後とも機会あるごとにいろいろ要請していきたいと思いますが、国税職員の置かれた実態というものをよく認識して、やはり彼らが使命感と誇りを持って、希望を持って職場で働けるように、家庭の環境、まさに宿舎、また職場の環境、そしてよりよい、質の高いすばらしい職員が採用できる環境、そういう意味でも今後は庁舎の中における福利厚生、こういうものはぜひお願いしたい。過去に越谷税務署で赤痢の事件がありまして、私も大変激励をしたことがありますが、また今後過労死だとかそういうものが起きないように健康管理にも十分配慮した職場というものをぜひつくってあげていただきたい。このことは強く要請しておきますし、また機会あるごとに要請してまいりたい、こう思っております。
 次に、最後にオリンピック報奨金の非課税問題について何点か確認しておきたいと思います。
 まず、この非課税化について今後検討する考えがあるかどうか。これについて大蔵当局、主税局長ですか、ちょっと確認しておきたいと思います。
#109
○田波政府委員 先生を初めといたしまして、オリンピックの報奨金について非課税にしろという熱心ま御意見があることは存じております。したがいまして、私どもとしてももちろん勉強はしてまいりたいというふうに思っておりますけれども、もろもろの他の所得との課税の公平の点その他について極めて慎重な議論が必要なんではないかなというふうに考えておるところでございます。
#110
○宮地分科員 大臣、JOCのお金というのは、これは善意の寄附なんですね。そして、所得税法の第九条で非課税所得に挙げているのは、もう御存じのように文化功労者への年金とか日本学士院から恩賜賞や日本学士院賞として交付される金品、日本芸術院から恩賜賞や日本芸術院賞として交付される金品、ノーベル賞として授与される金品。非常に、こうした芸術文化面については大変な配慮がされているわけです。
 なぜスポーツはこの範疇に入らないのか。まして、オリンピックで金賞で三百万円の報奨金ですね。銀賞で二百万円の報奨金、銅で百万円ですよ。こうした方々が大変な貢献をされて、昨年のあのバルセロナでも岩崎恭子ちゃんがトップになったときは国民が喝采したわけですね。中学生ですよ、十四歳。ところが、三百万円の金賞をもらっても九万円の税金がかかるというのですね。これは少しばかり考え直すべきじゃないのか。
 まず、私は基本的に、このオリンピックの金賞が九万円、銀賞が四万円です。銅はゼロ、これは非課税です。九万円と四万円、なぜこれは取るのだ。理念的にも、私は今申し上げたような九条にオリンピックの報奨金は入れてもいいのじゃないか、こう思います。その点について一点です。
 もしこれが九条の対象とならないなら、私はここで国税庁の次長の方に確認しておきたいのだけれども、この九万円の岩崎恭子ちゃんの場合は経費がゼロなんですよ。オリンピックで金賞をとったり銀賞をとるには、それなりの大変な経費がかかっているのですよ、経費が。恐らく交通費にしたって宿泊費にしたって、あるいは個人の身の回りの衣食住についてだって経費がかかるのですよ。これは経費はゼロ扱いなんです。普通、一般の一時所得で中小企業の皆さんなんかがやった場合には、最低二割か三割は必要経費というのはかかるのですよ。常識的には、税理士の先生に聞いてみればわかりますが、大体四割ぐらいとる場合もあるのですよ。バルセロナで三百万円の金賞をとった岩崎恭子ちゃんが、あの一年間、金賞とるまでに、一月一日から金賞とるまでの間でもいいですが、経費ゼロというのはおかしいじゃないですか。なぜ経費ゼロ扱いにしているのですか。この点について、二点確認しておきたい。
#111
○田波政府委員 前段の点についてお答え申し上げたいと思います。
 御指摘のもろもろの非課税制度でございますけれども、これは長年にわたりまして学術または芸術に関する顕著な功績があったということで、例えばノーベル賞の授賞対象に匹敵するような業績を上げられた、そういったものについて表彰がある、その場合に金品が贈られる、これを特別に非課税とするものでございます。
 確かに、オリンピックでゴールドメダルをとられたというような事実は国民にとりまして大変な喜びでございますけれども、ちょっと一回の、もちろんそれまでの努力ということはあるわけでございますけれども、競技の結果に着目して授与されるオリンピックの今度の場合の報奨金といったものとは若干性質を異にしているのではないかなというふうに私どもは考えているところでございます。
#112
○瀧川政府委員 一時所得に当たるということについては、先生おっしゃったとおりでございます。一時所得の計算上何が引けるかといいますと、当該収入を得るために直接要した費用、そして五十万を引いて二分の一にする、こういうことになっておりまして、直接要した費用というところから見ますと、実際、今度の報奨金につきましては経費が考えにくい、こういう状況でございます。
#113
○宮地分科員 もう時間がありませんが、大臣、最後に。これは非常に苦しい答弁なんです、お二人とも。これは今後十分に所得税法を改正をして、第九条の中にオリンピック報奨金の金、銀――銅は事実上非課税ですから、金、銀の対象者は入れていくべきである。理念的にもおかしいです。と思うなんて、もう最初の御発言も本当に苦しい。ましてや、直接経費がかかるかわからな
                    書んい。かかっているのです、現実に。三百万円の金が六〇%の経費扱いになればゼロになっちゃうのです。なるのです。銀の場合は四〇%経費で落とせばゼロになっちゃう。もしこの法律をどうしても改正できないといったら、これ経費扱いしなさい、そうすればできるのですから。これだけの、オリンピックの金賞、銀賞をとるのにはやはり相当な経費がかかっているのです。それは直接的にかかっているとかかかってないとか、直接もうかかっているわけですよ。聞いてごらんなさい。
 ぜひこれは大臣、大臣の決断で今後平成六年度税制改正の中で、本年度はともかく、平成六年度の税制改正の中で改正問題に積極的に取り組んでもらいたい、こう思いますが、いかがでしょう。
#114
○林(義)国務大臣 岩崎恭子ちゃんの報奨金から税金を取るのはけしからぬじゃないかおっしゃれば私は、素直に考えればそういう御議論というのはあるのだろうと思いますが、私は、それじゃどこまでどう広げていくかね、どういうふうな基準を引くかねという話の問題だろう、こう思うのです。オリンピックの選手でもプロの選手もだんだん出てくる。プロの選手のやつについて、もらったのを一体どうしますかなというような議論も出てくるのだろう、こう思うのです。
 それから、今お話を事務当局の方からいたしましたように、一時所得であればどうだというような、私は、税の手続論の問題としていろいろ議論をしていくということはあるだろうと思いますが、それでは全体としてオリンピックのやつをどうするか。日本だけではなくて、何か調べてみたら、アメリカなんかでもやっぱりオリンピックの報奨金は税金をかけているという話なんですね。だからそういったところもいろいろ考えてやらなくちゃいかぬので、岩崎恭子ちゃんだからまあいいじゃないか、それは十四歳の子供さんがやったのだからいいんじゃないか、私は確かにそんな感じもいたしますけれども、じゃあ、それを一般論としてどういうふうに引いていくのかねということを議論してみなくちゃならないのだろう、私はこう思っておりまして、御趣旨はよくわかりますから、また私も勉強させてもらいたい、こう思っております。
#115
○宮地分科員 これで終わりますが、私は岩崎恭子ちゃんの例を挙げましたが、大臣、一般の企業に勤めているそういう方々が金賞、銀賞をとりますと、企業の所得の上に今度は三百万円一時所得で総合課税になる。そういう方の場合は九万円ではとまらないのですよ、二十五万ぐらいになる人もいるんですよ。そういうふうに必要経費を全くゼロで見ておれば、実際に金をもらっても、働いている人が金をとった場合、学生さんがとった場合、全部課税が違うのですよ。少なくとも今の税制上でいくのだというのなら必要経費を認めるように私は強く要請して、終わりたいと思います。
#116
○越智主査 これにて宮地正介君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤田高敏君。
#117
○藤田(高)分科員 私は、今国会で最大の問題になっております所得減税を中心とする減税問題、いま一つは公定歩合のたび重なる引き下げに伴ういわゆる少額預金者の金利保証、かたがた福祉定期預金の内容改善について質問をいたしたいと思います。
 先ほども質問がありましたが、所得税減税を中心とする減税問題については、大臣も御承知のとおり昨日の与野党間のああいった合意によりまして、いわゆる所得減税を含めて前向きに検討する、こういうことが決定されたわけであります。これは立法機関のいわば意思の合意と見なきゃならぬと思いますね。そうすると、昨日まで大蔵当局、財政当局がかたくなに所得減税はいわばだめだ、こういう立場をとっておったわけですけれども、昨日を境に政治情勢は大きく変わったと私は思うわけであります。
 まず、そのこと自体についての認識、この各党合意によってこういう決定がなされた、その立場に立って大蔵当局はこれからどういう作業に取りかかっていくのか、その決意のほどを含めて見解を聞かしてもらいたいと思います。
#118
○林(義)国務大臣 昨日あの合意がありましたのは、私から申し上げるまでもありません、先生も御指摘のとおりでございますからくどくど申しませんが、これは、与野党協議機関を設けて不況対策としての税制上の措置その他のことをやっていく、こういうふうなことが書いてございまして、その税制上の措置の中で所得税減税を前向きに検討します、こういうふうなお話があったということも承知しておるところでございまして、与野党で協議をされるわけでございますから、いかなる協議をされ、またどういうふうな話がされるか、そういったことを私たちとしては今のところ見守るより以上に方法がないんだ、こう私は思っておるところでございます。今からこの方向に基づいてやっていかなければならないというふうに与野党で話をされたわけでございますから、これからどういうふうなことで話をされるか、それを見守っているということだろう、こう思います。
 特に不況対策についての税制上の措置というのがございます。所得税減税というような話につきましてはそういったことでございますが、それにつきましては「実行可能な施策を協議する。」ということでありますから、その協議でどういうふうなことをされるかというのを見守ってまいるというのが今の私たちの姿勢でございます。
#119
○藤田(高)分科員 極めて事務的な答弁でして、これは甚だ政治家として遺憾であります。少なくともきのうときょうの政治的な局面というものは大きく変わった。どういう形でこの減税をやるか、その財源をどうするか、それはこれからの問題でしょう。
 しかし政府当局なかんづく大蔵当局は、この国会の今動きつつある生きた現実に即して、これはまじめにやはり所得減税をやるという前提に立って、大蔵当局としても減税に向けての作業にある意味で着手すべきではないか、私はこう思うわけでございまして、その点に対する見解をいま一度お尋ねすると同時に、今さらこんなことを申し上げても仕方がないと思うのですが、政府は一昨年来経済企画庁、大蔵当局を中心にして、今日の景気動向については堅調である、いわば景気浮揚の時期も去年の秋ごろには底上げになってくるのじゃないか、こういったいわば甘い観測、極端に言えば間違った観測をやったことが今日こういう景気不況の局面を醸し出しているのじゃないか。
 これに対して、少なくともことしの成長率三・三%で予算を組んでおるわけですから、これに忠実にこたえていくためにも、政府の責任において公共事業と公定歩合の引き下げを中心として景気浮揚をやろうとしておるわけですけれども、これでは識者の見るところ二%程度しか景気浮揚にはならぬのじゃないか、三%以上の台に乗せるためには、いま一つの景気浮揚策、いわゆる減税策というものが有力な手段として必要ではないかというのは大方の見解だと思うのですよ。
 私は、そういう経済動向の見通しの誤りを含めて、政府自身が、せっかく国会の意思として減税の方向が打ち出されたわけですから、それにやはり財源上の問題もありましょうけれども極めて積極的に精力的に取り組んでいくことは当然の責任ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#120
○林(義)国務大臣 たびたびの御答弁になりまして恐縮ですけれども、私どもといたしましては、実行可能な方策を協議するという形になっておるわけでございますので、文字どおりこれをそのとおり受けとめてその推移を見守ってまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
 今お話がございました昨年のいろいろな見通しの問題がありました。だからこそ私たちは昨年の総合経済対策を実施し、また平成五年度の予算におきましても景気に配慮したところの予算を組んでせっかく努力をしてきておるところでございまして、私たちといたしましては、今いろいろなお話がございましたけれども、いろいろな点が、私もたびたび予算委員会におきまして御答弁を申し上げ、また御説明を申し上げているように、いわゆる減税というのはなかなかに問題があるんだということでございまして、「実行可能な施策を協議する。」こういうふうなお話でございましたならば、ぜひそういった点も私は御勘案いただけるものだろう、こう思っておるところでございます。
#121
○藤田(高)分科員 大臣は既に、つい先日G7の会議にも行かれた、渡辺外務大臣が訪米もなさった、そしてまた来月には総理御自身が訪米の御予定だというふうにも報道をされている、かたがた七月には東京サミットが行われる、こういう国際的な動きを含めて考えます場合に、もう既にG7を含めて、日本が貿易黒字の解消等々を行うためにも、財政出動と申しましょうか、新たな施策というものが当然これらの会議でも出てきておると思いますし、またこれからも減税問題を含めた諸外国からの、あるいは国際的な要請も強まってくることは必至であろう、こういう条件を、十分予見できる条件ですから、そういう条件を考えます場合に、日本が世界的な視野に立って経済的な貢献をしていくという立場からも、所得減税を含む減税というものが必要ではないかと思うのですが、大臣の見解はいかがでしょうか。
#122
○林(義)国務大臣 二月にアメリカの財務長官ベンツェンに会いに参りまして、そのときにもクリントン・アメリカ大統領とも会いました。また先週は金、土、日とかけまして一泊もしないで、あのロンドンでG7の会合に出てまいりました。
 私も極めて友好的な肩ひじの張らない話し合いができたことを喜んでおりますが、今各国それぞれ問題を抱えている。特に日本に対して強圧的な態度で、また、何でもというような形で日本をいじめてやろうというような話ではありませんでしたし、日本が財政出動をしなければだめだというような話も各国からはなかったわけでございまして、日本がいろいろな点で国際的な配慮をしてもらうということについて期待をするというようなことはありました。
 また為替相場の問題につきましても、私の方から特に申しましたけれども、特段の、私たちがとっているところにつきまして各国が反対であるとか異論があるとかいうような話はなかったと、私は自分でやってきたわけですから私が申し上げるのが一番正しいことだろう、こう思っておりますけれども、そういうふうなことでございます。
 日本も、特に今からやらなければならないのは、各国と協調して世界をインフレなき持続的な成長へ持っていくということが私たちに与えられたところの役割だろう。アメリカのクリントン大統領に会いましたときにも、私は、クリントンさんが財政再建のために大変大幅な増税をやる、それから新しい政策をやっていく、そういったことについて国民に対してあえて犠牲を求めていくような姿勢については、大変私は感銘しているところである、もう一つ申し上げますならば、やはり健全なアメリカの経済をつくり直してもらいたい、競争力のあるアメリカをつくり直してもらいたいということをお願いをしておったところでありまして、そうしたことについて全くクリントンさんも、同意見だ、日本も大いにひとつ頑張ってやってもらいたいというような話があったわけでございます。
 私は、日本側にいろいろなことが要求されるということが言われていますけれども、日本ももう少し胸を張ってやったらいい、そうすれば必ず信頼してもらえるんだろう、こういうふうな気持ちていることを改めて申し上げておきたいと思います。
#123
○藤田(高)分科員 私は、先ほど申しましたように、これから後半に向けて、というよりも来月以降動くであろうそういったサミットとか総理の訪米等々含めて、私なりの見解を申し上げたわけでございます。
 私は、胸を張ってと言いますが、そういった後追い的な形で国際会議等で要請があってそれを受けてやるというようなことが卑屈な態度であって、今の大臣の御答弁を聞くと、これは私の勘ぐりかもわかりませんが、大蔵財政当局はもうかたくなに減税に財源の問題を含めて消極的な態度を今までとってきた、その魂胆というのは、最後に減税をやるための財源を、クリントンの増税ではないけれども、消費税の税率をアップする、そういうところへ落としどころを考えながら今必要以上に抵抗なさっておるんじゃないか、こういうふうにさえ判断するのですが、どうですか。
#124
○林(義)国務大臣 消費税の問題で税率アップというような話は私たちの頭の中にはありません。(「藤田(高)分科員「これからもないですか」と呼ぶ)これは私は将来の問題としていろいろ考えていかなければならない話だろうと思います。それは、税の負担をどうするか、所得、消費、資産、こういった形でバランスのとれたところの税をどうつくっていくかというのは、これは税の基本問題でありますから、私はそういった基本問題の中でいろいろなことは考えていかなければならない点があるだろうと思いますが、今何か、所得税減税をやるからこっちでどうだこうだなどというような話は実は私たちの方は全然考えていないということで御議論いただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、消費税率をどうするかというのは、これはもう委員御承知のとおり、かつて消費税をやりますときにも、三%にしてやるというときに大問題があったわけでございますし、国民の各層の意見を十分に聞いて、また国民の意向をそんたくしてこれをやっていかなければならない大問題だろう、こういうふうに私は思っているところでございます。
#125
○藤田(高)分科員 そのことでこれ以上議論しようと思っていませんが、今の大臣の御意向からいけば、これから先所得減税を含む減税財源には消費税の税率アップはない、こういうふうに私は理解をいたしておきたいと思います。
 そこで、きょうはもうあれこれ計数を挙げて議論をする時間はありませんけれども、私はこの際、大蔵財政当局にもぜひ、以下申し上げるような事情というものを尊重する必要があるのじゃないかということを強調しておきたいと思うのです。
 というのは、政府は公共事業と公定歩合の引き下げによって景気を浮揚する、こう言ってきておるわけですけれども、民間の、例えば野村総研であるとか、あるいは三菱総研であるとか日本総合研究所であるとか、あるいはかっては官僚エコノミストでありました経企庁次官の宮崎勇さんですね、大和総研の理事長、こういった方々、それぞれ権威ある民間機関というものが計数を挙げて、いわば所得減税、例えば一兆円減税をやれば、生産面において、あるいは労働者の面において、GNPのアップ率において、いろいろな面から検討して、日本総合研究所ではありませんけれども、例えば一兆円所得減税をやると、生産高の面では、片や一兆五千六百億に対して片や一兆四千三百億ということで、ほとんど大差がない。労働者数のふえ方においては、第三次産業を中心として、減税をやった方が公共事業よりも、約十二万五千人対十四万三千五百人というようなことで減税の効果の方が大きい。そして、GNPのアップ率についても、今我々、国会の意思として、というよりも野党三党の共同提案として出しております四兆円規模の減税をやればGNPについても〇・八%アップするというような民間研究機関の指標というものも非常に大事な指標でありまして、考え方によれば、過去の実績を見れば、政府のそういった見通し、経済指標よりもこういった民間機関の経済指標というものが往々にして当たっておるわけです。
 そういう立場からも、こういう民間の意向というものをもっともっと尊重して、今度の減税に対してもこれから政府は積極的に取り組むべきではないか、このように思うわけですが、御見解を聞かせていただきたい。
 それといま一つは、先ほどもどなたかの質問にありましたが、これはもう前からも報道されておることですが、減税をやったら預貯金に回る、こう言っておるわけですね。預貯金に回ったっていいじゃないですか。郵便貯金を含めて財政投融資に回る。その財政投融資が、それこそ国債発行じゃないけれども、百八十兆円からの国債残高に対して資金運用部が引き受けておるのがかれこれ三分の一程度でしょう。約三割ぐらい引き受けておるわけでしょう。結局、預金になってもそういうふうに資金運用部に政府が発行する国債を受け持たして景気が循環しておるわけですから、仮に何分の一預金になっても、消費の分と合わせて十分所得税の減税効果というものはあるわけですから、そういう点をもっともっと、わかり切ったことでしょうけれども大事にして今問題になっておる所得減税に取り組むべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
#126
○林(義)国務大臣 いろいろお話がございました。
 まず景気見通しについて、民間のいろいろな見通しがある。かつて企画庁の偉い人をしていたのが民間に行ったところの数字がどうだというようなお話もいろいろございました。だけれども、これは政府の方としては経済見通し、平成五年度は三・三%になりますというふうな見通しで今やっておりまして、それの裏づけをするような格好でもって平成五年度の予算をつくり、またいろいろな経済運営をやっているところでございますから、いろいろな御意見はあるだろうと思います。あるだろうと思いますが、私たちの方はそういった形でやっていくということです。民間の意見は全然聞かないということではなく、そういった意見もあるだろうなということは私も考えてみなければならないことだと思っています。
 ただ、私の方で調べておりますと、一つには、なんでしたら後で事務当局の方から説明させますけれども、かっての景気の下降期、それから景気が上がってくるときの話でありますけれども、景気が上がってくるというような段階のときの数字で、民間の方はなかなか上がらない、こういうふうに言う。政府の方はそれでいっているのですが、政府の数字よりもはるかに速いスピードで景気が上がってきたというのは、過去二遍ほどそういった経験があるわけでございまして、この辺は景気の見通してありますから、私は一〇〇%どうだこうだというような話を申し上げるつもりもありませんけれども、私はそういった形でうまくいくのではないかなということを考えておるところでございます。
 それからもう一つ、先ほどちょっとお話がありまして、私が消費税の問題につきましてはどうだという形で、消費税でどうだこうだということをおっしゃいましたが、消費税というものは基本的な問題として考えていかなければならない問題だ、今上げないとか上げるとかというような話を私は言っているわけではないわけでございまして、いろいろなことを考えていかなければならないのがこの消費税の問題ではないかということを申し上げたところでございます。
 それからもう一つは、郵便貯金の話です。今度公定歩合が下がりましたりなんかしたら郵便貯金の方へ金が非常に集まったということが確かにあります。しかしながら、郵便貯金に入る、それが今度はまた財投の方へ回ってくるという格好でずっと回ってくれば最後には消費になるではないか、確かにそうでありますが、経済のことで言いますと、すぐに公共事業なんかに使えたならば、発注をすることによりまして仕事が出てくる。そこでまた給料が出ます、資材の新規発注が出ます、それがまた新しい別の会社に行ってそういったものが出てくる、その運搬をするところの人が出てくるというように、いわゆる乗数効果というものが働くからこそ公共事業が経済に与える影響が多い、私はこういうことを言っているわけであります。一方は消費の方に回ります。消費の方に回りますと貯蓄に回るというのは、やはりそこの迂回の程度が随分変わってくるからということでございまして、今の先生の御議論は御議論でございますけれども、私はちょっと当たらないのではないかなというふうに考えておるところでございます。
#127
○藤田(高)分科員 その点は、先ほど民間の事例を幾つか挙げましたが、そういった研究機関の見解と私どもの見解は大方一致をしておる。その考え方と政府の考え方が違うわけですから、それを詰め切るだけの時間はありません。
 そこで、私は財源の問題について、これは赤字国債を出してはならぬ――堀先生もいらっしゃいますけれども、大体私は党内でも堀先生と、少し意見が違うくらい赤字国債発行まかりならぬというぐらいな立場で、一言で言えば財政当局の立場に立つぐらい、そういう立場で党内議論をやってきた一人です。あるいは初めて国債を発行したとき以来、私は国債発行額というものを極力抑えるべきだという立場をとってきたわけですけれども、今度の政府のいろいろな見解を聞いておりますと、赤字国債について赤字国債についてと言うのですが、今や赤字国債と建設国債の違いはどこなんだ。
 我々が最初議論をやったときは、十年償還をやるんだ、これがいつの間にかいよいよ現金償還の間際になったら、これを六十年の償還に切りかえてしまう。そして国債のああいった定率繰り入れとかあるいは余剰金の繰り入れとかいうものは全部七年も八年も繰り入れを中止したりして、そうして財政を硬直化するようなことをやってきておるわけですね。だから、私は、赤字国債にそこまでこだわるのであれば、赤字国債と建設国債の相違をもっと明確にして、償還も十年だったら十年で繰り上げるというぐらいにしないと、六十年サイクルで返済するというようなことでは実態論として全く合わないのではないかと思うのですが、この点についての見解と、時間があと五分しかないそうですから質問点をまとめて申し上げます。
 二つ目は、したがって私は、今回の場合は赤字国債でやらざるを得ないということになるのであれば、第三の国債論ではないけれども、赤字国債でも建設国債でもないというような性格づけをやって、五年以内に償還をする、これから自然増収があったときは優先的に減税の財源に充てたものに償還財源として振り向けていく。ここ四、五年、五、六年前のように、四兆円も五兆円も増収があったら、それを全部食い散らかすような形で一般歳出に向けていくようなことをやらないという厳格な歯どめ条件をつくって、そして減税財源に充てるべきではないかと思うわけですが、このことについての見解を承りたい。
 それともう一つは、公定歩合の引き下げによる少額預金者の金利問題であります。この質問をする時間がほとんどなくなりましたけれども、御案内のとおりこの一年半の間に五回公定歩合が下がった。そのことによって五百万あるいは七百万、一千万というような形で、それこそ退職金をとらの子のようにして、その利子を生活設計の中に組み込んでいる、そういう年金生活者やあるいは少額預金者はこの公定歩合の引き下げによって大変影響を受けております。
 こういうものを救済するためには、一つの方法として、昭和五十年ごろであったと思いますが、福祉定期預金制度ができましたね。これは利率が四・一五%で保証をされておる。ところが、年金生活者がかれこれ千五百万人ぐらいおるのですけれども、これを利用しておる者はわずか五、六万人ぐらいしかいないのです。これではせっかく高齢者や年金生活者に対して、公定歩合が引き下げになっても、そういった点についての金利保証をやろうとしておる制度が生かされてないのですね。これは銀行にとってみれば逆ざや的なものになりますから、余りPRはしないかもわからぬ。
 しかし、政府がこういう制度をつくった以上、少なくとも、全部が全部と言わないけれども、八割、九割方の者がこういう制度を利用することのできるような、例えば政府広報でそういう対象者に周知徹底させるような方法をとるべきではないか。そしてこの機会に、前段申し上げたこととの関連において、福祉定期預金の預かり金を現在の三百万を五百万にするとか、あるいは七百万にするとか、そうしてこの預け入れ期間が一年になっていますね。ですから、一年でまた手続をやりかえなければいかぬわけですが、これは大変煩瑣ですから、これを三年に延期するとか、福祉定期預金の内容自身をそういう形で改善をして、年金者や高齢者の公定歩合引き下げに伴う生活の圧迫に対しこれを社会政策的にも救済していくことが必要だと思いますが、まとめて大臣の御所見をいただきたいと思います。
#128
○竹島政府委員 前段の公債の関係についてお答え申し上げます。
 まず、赤字国債と建設国債で変わりがないんではないのか、そうなってきているのではないかという御指摘でございますが、償還期間が同じということ、現在六十年になっておりますが、それに着目いたしまして同じだということにはなりませんで、御案内のように財政法第四条で認められておる建設国債というものと、財政法では認められていない、したがってやむを得ず出す赤字国債の場合は特別立法を要するということで、両者の法的な根拠が違うわけであります。
 それから、中身を申し上げまして、後世代に受益をもたらすような資産ができるか、現世代が使い切りの消費的経費に回るかということで違うわけでございまして、建設国債と赤字国債はあくまでも違う。それで、私どもは、既に出ております赤字国債、約六十兆円ございますが、それの早期償還に努めなければならない、そういうことで対処しているわけでございます。
 それから、二番目に第三の国債という御指摘がございましたが、我が国の財政制度のもとでは建設国債、そうでなければ赤字国債、その二種類しかないわけでございまして、それは名前いかんによって変わるわけではない。ただ、過去に湾岸危機の場合に出しました特別国債がございます。ああいった償還財源とセットの特別国債がございましたが、それ以外は赤字国債か建設国債どちらかに分類される、そういうものだと考えております。
#129
○寺村政府委員 福祉定期についてのお尋ねでございますが、まず限度額の引き上げについてのお尋ねがございました。実は昨年八月に従来の二百万円から三百万円に引き上げたところでございまして、現在の利用状況からいたしますと、今この三百万円の限度で十分ではないかという考えを持っているところでございます。
 それからさらに、制度の期間延長等の問題でございますが、福祉定期預金は、これは今まで規制金利体系のもとで金利水準が引き下げられた場合にその例外措置として設けられてきたものでございます。ところが、こうした規制金利が金利の自由化によりまして自由金利預金の範囲が非常に拡大いたしておりまして、本年六月には定期預貯金金利の完全自由化が実現するというような状況にございます。小口の預金者全体が自由化のメリットを享受できるというような状況にこれからなっていくことでございますので、その期間の点につきましては、今見直しをするのは難しいと考えております。
 ただ、今せっかくこういう制度ができているのに利用者が少ないではないかという御指摘がございました。それは全く御指摘のとおりでございまして、昨年八月にも当局からPRにつきまして積極化するようにしたところでございますが、今回さらに改めて当局からも各金融機関で積極的なPRをするように促していきたいと考えておるところでございます。
#130
○藤田(高)分科員 どうも少し時間が超過したようですが、御無礼しました。ありがとうございました。
#131
○越智主査 これにて藤田高敏君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡部一郎君。
#132
○渡部(一)分科員 私は、沖縄県の発展の問題につきまして、大臣の特別の御高見を仰ぎたいと思っております。といいますのは、沖縄県に対しまして、復帰二十一年目になるわけでございますが、依然として沖縄県経済、特に県民一人当たりのGNPは全国の最低位に属するわけでございまして、これは沖縄県民が第二次大戦の末期において、県土を挙げて戦場とし、多くの痛ましい犠牲を払いつつ本土復帰への道を選択されたという輝ける歴史とその御労苦に対して、私は余りにも不穏当な財政政策ではなかろうかと痛感するところであります。
 沖縄県は、最近「琉球の風」というNHKにおきますテレビドラマにおいても紹介されておりまして、もちろんご存じたとは思いますが、あえて申しますならば、明の時代、つまり日本でいいますとちょうど豊臣秀吉の朝鮮侵入あるいは徳川家康の黙認によるところの琉球王国の併合という時代の状況が刻々と描写されているわけであります。これは、単なる歴史物語として理解されるのではなく、県民の側から申しますならば、一つの民族問題としてまことにつらい心情を巻き起こすものであると私は感ぜざるを得ないのであります。したがいまして、沖縄県民に対しては当時の海軍の総司令官が終戦の直前、ぜひとも沖縄県民の真心こもる愛国的行動に対して後の日本政府高官は特段の配慮をされたいという旨を述べて亡くなられたという史実があるわけであります。
 私は、かくも古いことを申しますのは、沖縄県に対する施策が最近そういう意味では適切でなかったんではないかという気持ちを抑えきれない。といいますのは、財政的に落ち込んでいる沖縄というものを抱えているということは、私は何にも増して東南アジアあるいは国際貢献を顧みる場合に、我が国にこれほど真心を尽くしてこられた沖縄県民に対する態度を、冷たい状況に放置しているというふうに受け取られますならば、これは何の施策をしても東南アジアあるいは世界の発展途上国に対して説得性を失うものであると思うからであります。
 沖縄県は、昔、万国の津梁、かけ橋と言われた時代があるわけでありまして、今二十一世紀の万国の津梁、つまり二十一世紀の世界のかけ橋になろうという勇壮な気分が満ち満ちておられるわけであります。また、大交流時代、大航海時代をつくろうという気持ちが青年の中に沸き上がっているところであります。したがって、それにこたえる施策があってしかるべきではないかと私は思っておるわけであります。
 前大蔵大臣のときに私は御質問をしたわけでございますが、沖縄における港が中城、那覇、平良、石垣の四港が開港されているのでありますが、与那国という一番南の、台湾とくっついている、目と鼻の先のところが開港されておりませんので、それを対外港として開港されるよう、既存のルールではなくひとつ開港していただきたいというお願いをいたしました。許可さえ取れるならば別に問題がないという言い回しをおっしゃったわけであります。許可さえ取れればというのは、許可を申請さえすれば特別に許可するよという意味だろうと私は思っているわけでございますが、この与那国開港もまだ余り進んでいないように思われますので、まずその辺から伺いたいと存じます。
#133
○米澤政府委員 関税法におきます開港と申しますのは、外国貿易船の出入港がどこでも自由に行われるということだと税関が対応できない、例えば麻薬、銃砲等の密輸入等に対する体制がないようなところに船が着いて対応ができないということになると困りますものですから、そこで港を区別いたしまして、外国貿易船がたくさん来るようなところには自由に出入りができるように開港という指定をいたしておきまして、ここにはあらかじめ職員を派遣しておく、こういうことでございますけれども、これは、日本じゅうの港にもしかして船が来るかもしれないのでということで、皆それだけ人員を配置するというわけには、これは行政の効率の上からいってもまいりません。したがいまして、沖縄県におきましては金武中城、那覇、平良、石垣という外国貿易量の多い四港について開港いたしておりまして、先ほど先生御指摘のございました許可をということは、これは不開港でありましても税関長の許可を得れば船が着けられるということでございます。ですから、船が入れないということではございませんで、不開港でありましても許可を得れば外国貿易船が入港することは可能でございまして、そこでの貿易が禁止されているわけではございません。
 ただ、実際問題として需要が非常に少ないものでございますから、言ってみれば開港というのは包括許可でございますが、包括許可をしてあらかじめ人員を配置するまでもなくて、もし必要があればその都度の許可で貿易ができるような制度になっておりますということを御答弁申し上げたわけでございます。
#134
○渡部(一)分科員 この辺の法律的な正確な解釈は今のとおりでありましょうけれども、与那国の人々からいいますと、目と鼻の先に生鮮食料品の大基地があるわけであります。そこと取引をしたいと思っているわけであります。ところが、生鮮食料品を運ぼうといたしますとCIQがひっかかるのです。CIQは、改めて申すまでもありませんけれども、関税がひっかかる、それから入国管理がひっかかる、それから植物検疫と動物検疫がひっかかるわけであります。
 この担当官は、今軽くおっしゃいましたけれども、あるものは那覇市にありあるものは石垣にあり、そして、大蔵省の方はまだいいのでありますが、出張所が設けられておりまして、監視署が設けられておるわけであります。この監視官が多少カバーして所要の事務を行うようにはなっておるのでありますが、CIQは全部そろっていない。そうするとどういう結論を招いてきたかといいますと、与那国は目の前にあるお値段がこちら側の三分の一の安さの生鮮食料品を手に入れることができない、それからこちら側は流通の経路の最終段階に到達したものを向こう側に売ることができないということに結果的になっているわけであります。
 こういう状況を改善なさるつもりがあるならば、現地をもうちょっと視察をしていただいて対応策を協議すべきだと私は各省庁あわせて御要請をしたのでありますが、その後改善の余地が見られないのでありますが、これはどうお考えなのでございますか。他省庁にもわたることを申し上げているわけでありますからちょっと面倒くさいのですが、どうぞ。
#135
○米澤政府委員 御指摘の与那国につきましては従来、従来と申しますのは昭和六十三年以前のことを申し上げているのでございますけれども、港湾整備など公共事業に使用する砂、砂利などの無税品に限り輸入が行われておりました。税関は、あるいはCIQは受け身でございますから、税関が物流を主導するというところまでおこがましいことを考えているわけではございませんけれども、今先生が御指摘になりましたような問題意識を私どもも持ちまして、何か生活物資の輸入ということのトライアルができないだろうかということを、これは私ども権限がございませんので、輸入をされるのはあくまで輸入者の方でございますし、そこに運んでこようという物流の方は物流の方でございますけれども、しかしもしそういうものが来れば税関として御協力申し上げますよ、しかしトライアルとしておやりになってみませんかということで、実は地域の方々とお話をしたことがございます。
 その結果、昭和六十三年の十二月に第一回、それから平成元年の七月に第二回、元年の八月に第三回、元年の十二月に第四回のトライアルが行われました。確かに若干の物資が動いたことは事実でございますけれども、やはり基本的には物流の実体の需給といったものがそこまで熟していなかったということで、決してCIQがネックになって起こらなかったということではないんではないかというふうに考えて、私どもとしては、このトライアルを中止したわけではございませんで、実際にまた需要が出てくればそれに応じた対応はとるつもりでございます。
#136
○渡部(一)分科員 あなた、所管外のことまで相当勇敢に言われましたね。(米澤政府委員「いや、Cのことを」と呼ぶ)いや、あなた、それじゃまずいと思うよ。植防と動防の担当官がそこにいないのに、生鮮食料品が入るわけないじゃありませんか。それなのにあなたは流通がないからなどと偉そうに言う。受け身だと言いながらそういうことを平然として言う。それが官吏の悪い癖だ。所管外ならば所管外らしく控え目に言うべきです。所管外のことを偉そうに言うその悪い癖は、それはいかぬ。そういう言い方をするから沖縄県民が全部困ってしまう。
 私はこういう扱い方はしたくなかったけれども、あなた、それはちょっと慎まれた方がいいんではないですか。現にバナナを持ってこようとするでしょう、台湾から。台湾は与那国におろせますか。おろせません。何と名古屋まで持っていくのですよ。名古屋から博多く回っていって、博多から小船に乗っけて那覇へ持ってきて、那覇へ持ってきてからまた石垣に行って与那国に来る。これで四カ月かかるのです。値段は三倍になるのです。何で目と鼻の先に運べないのですか、そういうことが地元で問題になっているのに。そういう意識を持っている人があなたの答弁を聞いたらどう思われますか。
 それはあなたは、関税の問題は関税の問題かもしれません。しかし、通産省も横に座っておられることです。外務省も座っておられることだ。わざわざ呼び出しているじゃありませんか。それで、ほかの担当省庁もあることだからそこと打ち合わせて、流通がより円滑に遂行して沖縄県民の便宜に資するようにやることが沖縄振興計画の精神だと存じますと答弁されるのが政府委員の立場じゃないですか。違いますか。どうぞお答えください。そんないいかげんなことばかり言ったら、私こわいですぞ。どうぞ。
#137
○米澤政府委員 表現が適切でございませんでしたらおわび申し上げますが、私どもは、税関の立場からトライアルをしたことを申し上げたわけでございます。Cのことをお答え申し上げたつもりでございまして、他の点については担当省庁からお答えいただきたいと思います。
#138
○渡部(一)分科員 私は、その意味で結論的に言うと、沖縄県は目の前と貿易ができなくなっている。それを言っておるのです、大臣。
 ですから、私はここで大臣にぜひ御理解をいただきたいのは、CIQの話から始まったからCIQから始めますけれども、例えば小船が対岸に貿易をしようとすると、向こうの受け入れ港がないのです。中国の受け入れ港がない。とことこ港にこちら側の船が常時入りますという約束ができていない、したがって、中国沿海の多くの漁港、多くの農村との間の交流ができない仕組みになっている。こんなのは交渉をすればそう難しいアイテムではないし、私は、最近福建省の幹部が日本に訪問してこられておりますが、御相談しましたところ、福建省側の港は全部あけてごらんに入れます、日本側の港のどこかを御指定いただければ船は通しますと、向こうもこう言っているのです。こちらも別に閉じているわけじゃないと私は思います。ただ、しょっちゅう全部あいているとは言いかねる。CIQ全部の役人がそろっていないのですもの。そして、日本の中心部には役人がいても、国境線こそ一番そういう人たちを多目に配置しなければいけないのに、その入る港のところが十分でない、これを私は問題だと申し上げておるわけでございまして、ぜひとも大臣、ここのところは適切な御指示をいただいて、関係省庁でも御討議をいただき、沖縄県の近隣島嶼との間の交流あるいは貿易、小貿易ができるようにぜひ御指導をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#139
○米澤政府委員 また関税のことに限って申し上げますけれども……(渡部(一)分科員「あなたに聞いてない。僕は大臣に質問した。何であなた答える。大臣に指導してくださいと言ったんじゃないですか。そうでしょう、あなた」と呼ぶ)
#140
○林(義)国務大臣 渡部委員の御質問にお答えいたします。
 今のお話を聞きまして、正直言ってこれはなかなか難しい問題だなという感じを私は持ったところでありまして、関税の問題ありますし、植物検疫の問題あり動物検疫の問題あり、また人のいろいろな検疫の問題等もありますから、そういった問題を一体どういうふうにしてやったらいいのかな、これはやはり考えていかなければならない問題だろう、こう思っておるのです。
 いろいろな点、総合的にどうしてやるのか、私にもすぐにいい知恵がありませんけれども、こんなことを言ってどうかわかりませんけれども、一つの考え方として、ヨーロッパで辺境貿易とかというのがあるのですね。たしかかってのフランスとドイツとの国境地域のところなんかでしょっちゅう行き来しているのです。なぜ行き来しているんだと言うと、ガソリンの値段が違うからあっちへ行って入れた方がいいとか、こっちへ行って入れた方がいいとかどうとかいうようなことで行き来をしたりなんかしているところがありますから、やはり諸外国とも、それぞれ同じような文化程度とかなんとかでありましたならばいろいろな工夫を凝らしていることはあるんだろうと思うのです。むしろそういったことを少し勉強してみます。
 日本は島国ですから、海を渡ってというと全部ふさぐ、こういうことになりますから割とふさぎやすいのですけれども、今のお話のようなことがありましたら、要請にどういうふうにしてこたえられるか少し考えてみなくちゃならない問題だな、せっかくの御指摘でございますから、今そういうふうに考えたところでございます。
#141
○渡部(一)分科員 ありがとうございます。
 関税局長殿、そんなに怒らないでください。私は大臣に、各省庁にまたがるマターなので研究をし、戦後処理のいわば終わっていないこのテーマを研究していただくようにお願いしただけであります。
 今大臣がおっしゃいました問題は、ヨーロッパにおける国境線上の国境貿易あるいは関税同盟あるいは自由貿易地域の問題を短い言葉でおっしゃっていただいたんだろうと存じます。ガット協定の二十四条には、これがヨーロッパあるいは東南アジアの国々において巧みに使われている結論としていろいろな形態があることを示しております。
 私は先日、ベトナムと中国の間の国境貿易エリアの状況を伺いましたけれども、初年度において二百億ももう既に交流が行われておる。両方ともエリアを限って国境貿易地帯として指定をする。ガットに届け出をするとできるようになるわけですね。そうすると、全体的な関税は一本化されているわけではありますけれども、その指定地域の関税については非常に安く、あるいはそれに伴うシステムというものが存在している。こういう形になっているんだそうでございます。
 ヨーロッパ型にいいますと、国境貿易というものはしたがってひどくもうかるものだ。国境に行くと品物が安く買える、国境に行くとこっちが持っていく品物をうまく向こうが買ってくれるという気分がありまして、国境というのが一つのゴールデン地帯というふうに民衆の中で見られている。それがまた国境地帯の非常な安定的な安全保障にもなっておるというようなことなんだそうでございます。
 大臣はその辺は強い方ですから私がくどくど言うまでもないわけでございますが、ここで沖縄と沖縄の対岸との間、これは倭寇の時代から本当にエキサイトした状況になっていまして、日中国交正常化が行われましても依然として交流はない、両方は船を通す状況にない、存在するのは時々走ってくる海賊船ばかりというような状況が依然として続いておる。この状況を直すということは戦後処理の問題の一つとして重要なのではないか、こう思っておるわけでございます。したがって、もしでき得るならば、ガット二十四条に言う国境貿易地帯あるいは関税同盟地帯あるいは自由貿易地帯として両方を統括していく、そしてここのところで大きな繁栄をする地帯をつくってはどうなのか。そこに使われるものは、明らかに大型の船ではなくて小舟貿易が主力になるわけでございますが、この対岸の両側にいる民衆にとっては大変うれしいことになると思うのでございますが、御研究をぜひいただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
#142
○林(義)国務大臣 先ほど私申しましたのは、ヨーロッパではアルザス・ローレン地方というのがあります。アルザス・ローレン地方はかつてドイツに占領されたりフランスになったりまたどうだというような地域なんですね。住んでいる人もフランス人とドイツ人と一緒になって、フランス語で話したりドイツ語で話したりめちゃくちゃ、めちゃくちゃと言っては語弊があるかもしれませんけれども、入りまじっているのですね、ストラスブールの辺ですけれども。そういったところというのは、私は、今のような形で国境貿易とかいろいろなことをやってもおかしくないんだろう、こう思うのです。
 今御指摘の沖縄の話、確かに福建省との関係は、私は正直言って、表向きにはないかもしれないけれども裏ではいろいろな取引が昔はあったんだろう、こう思いますよ。統治権がそんな強いときでないときにいろいろな関係があったし、恐らく人間的にも、嫁さんに行ったり、向こうから嫁さんもらったり、いろいろなことをやってきたところじゃないかな。そんなことがあるかどうか知りませんけれども、そんなようなところですから、私は、そういった実態に合うようなことをやはり何か考えていくというのがその地域の実情に合うものだろうと思います。ただ、今それぞれみんな法律がこうありまして、ぴしっとなっていますから、さあそれをどういうふうにしてやっていくのかというのは、私もすぐにここでやりますとかというふうに大だんびら切れるわけでもありません。少し研究させていただいて勉強してみたい、こう思っております。
#143
○渡部(一)分科員 大変ありがとうございます。
 関税局長にここでお答えをいただかなければならぬわけであります。局長、ひとつこの点につきましては、大臣は研究の意思を明らかにしていただきましたけれども、局長もこの問題につきまして大臣の御指示と調子を合わせてひとつ研究していただいてはいかがかと私は思いますが、既にもう御検討は相当進んでおると思われます。それで、もう胸の中にいろいろ方寸もあることだと存じますので、その御高見を承りたいと存じます。
#144
○米澤政府委員 ガット二十四条は、おっしゃいますとおり、そもそもガットというのは一般に最恵国待遇が原則であるわけでございますが、そういう国境貿易に関しては最恵国待遇の例外として、締約国が国境貿易を容易にするために関税上の免除措置を隣接国に与えるということを認めるというのが二十四条の三の(a)でございます。
 これは、実は先生からの御指摘もございまして勉強してみました。この定義というのは実は設けられておりません。いろいろ調べましたところ、ガット規定を作成した当時の記録がございまして、「陸棲国境の両側に一定地域」、多くの場合は十五キロメートル以内という口頭の回答があるようでございますけれども、「陸棲国境の両側に一定地域」原則十五キロ以内「における住民の必需品の小規模の交易をいう。」そういうガット規定成立当時の記録がございました。それ以上詳しい公的な解説は一切ございませんが、そこから推測いたしますと、ただいま大臣から御答弁がございましたように、一つの生活圏を形成している、そういうところに政治的に国境が引かれたといったようなところに適用されるということを想定してつくられたものじゃないかと思います。
 それで、実際の諸外国における適用状況については、ガット事務局にも問い合わせてみたのでございますが、ガット事務局はこれを把握しておりませんということでございます。そこから先を申し上げるとまたおしかりを受けるかもしれませんが、そうした経緯から推測いたしますと、沖縄のように本土との経済的な結びつきが最も強い地域ということを想定している規定なのかどうかという点については、若干疑問ではないかというふうに思っております。
 ただ、一言補足させていただきますと、先ほど御答弁申し上げようと思いましておしかりを受けておりましたが、一言ぜひ御答弁申し上げたいと思いますのは、私ども少なくとも税関、Cの立場では、沖縄というものへの重点は大変置いてきているつもりでございます。
 と申しますのは、沖縄は一つの県でございますが、ここにおります税関の定員二百十三名というのは、北海道、青森、岩手、秋田を統括しております函館税関、それから九州の半分を統括しております長崎税関に匹敵する規模の税関の定員を沖縄県一県に配置しているのでございます。それほど関税局、税関は、沖縄の通関体制の整備ということには、限られた定員の中で最大限の努力をしているということは御理解賜りたいと思います。
#145
○渡部(一)分科員 税関の定員を増強するように累次述べてまいりました私にとりましては、そのお話はよく理解できるところでございまして、結構なことだと思います。
 陸接地十五キロと申しますならば、花蓮港と与那国の間はまさにそのレベルに該当する、もう目と鼻の先に見えているところのエリアなんです。北方四島がもし日本に返ってきた場合には、根室のあたりから北方四島のところが全部目と鼻の先に見えているところでございまして、また先方のエリアからも目と鼻の先というところでございますから、陸棲国境十五キロという原案がその後修正されたことを考えますならば、海接国という言葉があるかどうかは知りませんけれども、ごく近隣のところについてはそういうことも考慮されてしかるべきではなかろうかと、私は考え方としては存じております。また、十分な御研究をますますなさろうという気迫は十分にうかがえましたので、沖縄県民にとってプラスなすばらしい結論をぜひ出していただくようにお願いしたい。
 特に、私はこの際申し上げたいのでございますが、関係各省庁の間で、どうか沖縄県の小船貿易が周辺の地域と円滑にできるような諸施策をやっていただきたい。例えば、船に積んだエンジンの大きさがちょっと小さいからといって、海上に出ることは全部禁止なんです。フカをとりに行くときは許可するのに、向こう側まで、フカと格闘するような大騒ぎをするわけじゃない、荷物を運んでちょろっと行くだけのことは全部禁止なんという規定はおかしいと私は思うわけでございまして、関係省庁の御検討をぜひお願いしたいと思うわけであります。
 最後に、私は、外務省にちょっとお尋ねしたいのです。
 与那国の上に実は防空識別圏が通っているのです。台湾側の識別圏と日本側の識別圏とが真ん中になっておる。日本から飛ぶ飛行機は台湾側に入ってから着陸する。そのために有視界飛行でなければならぬという奇妙な状況になっておる。なぜかというと、台湾側に入るわけですから、向こうから見れば警戒しなきゃならない。
 この前答弁がちょっとおかしかったのでございまして、その後渡辺大臣から、これについては研究するという旨の委員会答弁をいただき喜んでいるところでございますが、その後この交渉は、台湾側からでも、恐らく北京側とも交渉しなきゃならない面倒なアイテムだろうとは存じます。こうした問題について、平静安穏な航空状況というものをぜひつくっていただきたいために、私はあえてもう一回お尋ねするわけであります。現在どうなっているか、それから、これからどう交渉されるおつもりか、お尋ねするわけであります。よろしくお願いします。
#146
○池田政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の防空識別圏につきましては、これは国際法上確立した概念ではございませんで、一般に各国が自国の安全を図るために国内措置として設定しているという空域でございますが、これによって領空ないし領土の限界とか範囲を定めるような性格のものではございません。したがいまして、我が方から台湾側に対して防空識別圏の線引きの変更を申し入れるということは考えていないわけでございます。
 しかしながら、防空識別のためにとられます具体的な措置が他国の領空の主権を侵犯するということは当然許されるべきことではございません。したがって、領空侵犯が発生しました場合は、これまでも台湾との関係では、交流協会を通じまして台湾側に厳重な抗議を行っておりますし、今後とも同様な措置をとっていきたいと考えております。
 なお、先生がその後の研究の結果を説明するようにということをおっしゃいました。私どもも、本件につきましては、先般来の御指摘も踏まえまして、近く事実関係を把握するために外務省から現地に人を出して調査を行う予定にいたしております。
#147
○渡部(一)分科員 時間がなくなりましたからやめますけれども、随分調査に時間がかかりますねと最後に申し上げておきまして、今後の御努力をお願いいたします。
 終わります。
#148
○越智主査 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、川島實君。
    〔主査退席、衛藤(征)主査代理着席〕
#149
○川島分科員 私は、既に通告をいたしておりますドル預金の手数料についてお尋ねをいたしたいと思います。
 九〇年の五月に東京銀行にUSドルで二千ドルを預金いたしまして、九二年の五月に引き出しをいたしましたところ、利息が百六十四ドル三十二セントつきました。これに対して、利息の課税というのはわかるわけでございますが、USドルで預金をしたにもかかわらず、USドルで戻していただいたのに、日本円とドルにかえたくらいの手数料を取られた、こう言って憤慨をいたしておるわけでございます。
 東京銀行は、当初はドル預金は非常に利息が高い、当時六・八七五%ついた、ということでお客を集めながら、ドルで預金をしなければ、日本円で預金をすれば、日本円からドルにかえる手数料を取って預金をする、そして今度は、ドルで預金したはずなのに出すときは日本円からドルにかわるそういう手数料を取る。まことにけしからぬことで、庶民にとっては少しでも高い金利でとらの子を育てていきたい、こういう願いを込めてやっておるにもかかわらず、全然告知もなしにそういう制度をとっている。こういう銀行のあり方というのは非常に憤慨にたえないわけでございますが、大蔵省はどういう御指導をいただいておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#150
○中平政府委員 先生おっしゃいましたように、御自分でドル預金をなさいましてそれをドル賞で払い戻しをいたしますときに、金融機関は顧客から手数料の支払いを求めております。ただ、その手数料は各行において自主的に決めておりますので、各行まちまちとなっておるところでございます。したがいまして、銀行は、それぞれの銀行によって若干ずつ具体的な対応は違うかもしれませんが、基本的な考え方として、なぜドルで預金をしておるのにドルでおろすときに手数料を取るのか、こういうことが御疑問になるのは非常によくわかるわけであります。実を申しますと、ドル預金を円貨で払い戻していただいた方が手数料は安いということが現実のようでございます。
 なぜドル賞で払い戻しますときに手数料がかかるかということでございますけれども、これは銀行はドルの紙幣を持っておりまして、そしてその紙幣で払い戻しに応ずる、こういうことをせざるを得ないわけであります。その意味では、ドル紙幣を外から現送してまいります。その場合の運賃あるいは保険料、あるいはそのまま置いておきますとそれは金利を生みませんので、むしろ保管に伴うコスト、そういったものがかかりましてそれでお支払いに応ずるということになるので、外貨の紙幣でお払い出しになるときにコストの手数料としてお支払いいただく、こういうことだと思われます。
 それで、今先生のお話の中に、そういうことは何もわからないではないかというようなことがございましたが、これも先生からあれがございましたので、ちょっと銀行に、一、二聞いてみたわけでございますけれども、預金の通帳の中に、預金規定の中に、同じ幣種、ドルならドルで支払う場合にも所定の手数料をいただきますというような規定は入れてある、こういうことだと承知をいたしております。
#151
○川島分科員 それでは、結局、日本円で預かって、あなたはおろすときにドルで受け取りたいのですか、日本円で受け取りたいのですか、こうこうこういう手数料がかかりますと、最初にどうしてそういう指導をしないのですか。今はどのくらい手数料を取っているのですか、お伺いいたします。
#152
○中平政府委員 先ほども申し上げましたように、手数料というのは銀行によって若干ずつ差がございまして、お払い戻しをいたしますときに、いろいろありますが、一ドルにつき二円の手数料を取っているところ、あるいは三円取っているようなところというようなものがあるようでございます。
#153
○川島分科員 東京銀行とはっきり言いましたのは、これは社会正義上余り好ましくない、こういう受けとめ方をしておるわけです。一ドルで二円でしょう。今一ドルで一年間に金利は幾らなんですか。
#154
○中平政府委員 ドル預金でございますので、ドルの金利というのは最近低くなっておりますから四%前後ではないかと思いますが、ちょっと手元に正確な数字がございませんけれども、短期であればそういうことであり、長期であればもう少し高い。長期金利はドル金利が高こうございますので期間によって違うと思いますが、短期であればそんなことであろうかと思います。
#155
○川島分科員 最初の日本円からドルにかえる手数料、そのパーセント、一ドルでいいです。それから、今度ドルでおろすときに日本円にかえる、二円と言われましたが、かえる手数料の合計は一ドルに対して何%になりますか。
#156
○中平政府委員 正直言いまして、それぞれ銀行によって違うものですから、私も詳しい資料を手元に持っておりませんけれども、先ほど申しましたように、ドルで支払いをするという場合にはドル紙幣を持っていなければいけないということで、そこにかかるコストが手数料になるわけでございますけれども、円の場合ですと、円でお払い戻しをいただくという場合には紙幣は要らないわけでございます。したがって、そういうコストはかからない。そのかわり、ドルを円にかえるという、そういうエクスチェンジのコストがかかるわけでございまして、その場合は、通常の場合ですと、対顧客の電信の買いレートというのになりますから、中心レートに対して一円の手数料ということになろうかと思います。先ほど二円と申しましたのは、銀行によって違いますけれども、例えば二円と申しましたところは、円でいたしますと一円という手数料になるかと思います。
#157
○川島分科員 このように、パーセントをおっしゃいませんのであれですけれども、金利がわずかしかないのにこういう手数料のパーセントで堂々と取っている。こういうシステムは、やはり告知をして国民にわかりやすい形でやっていただかないと、普通の一般の国民は、ドル預金は金利がいいからということで宣伝をします、しかし現実的には、ドルで持っていったのに、変動制でつくわけですからわずかしかつかない利息に税金がかかって、さらにまた手数料を取られるということは間尺に合わないという見方をするわけですね。
 そして、現金で持っていった場合は、預けるときにドルのレートはこれですよということで、レートは公共の形できちっとわかっているわけですけれども、手数料はまた余分に銀行は取りますでしょう、日本円で持っていっても。そうしたのに、また今度出すときには手数料を取るわけですから、円にしてもドルにしても両方。こういうことはおかしなことで、少なくとも銀行というものは、預けたお金に対してきちっと預けたお金を返してもらう。利息に対して、あなたは預けたものではないですから、日本円をドルにかえる分については手数料をいただきますよということなら理解ができますけれども、その辺のところが非常に不明朗であって、弱い者いじめと言わざるを得ないと思うのですよ。だから、きちっと指導していただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
#158
○中平政府委員 先生おっしゃいますように、仮に日本におきまして円預金をいただきましたときには、これは円を預金いただきますとき、あるいはお支払いをいたしますときに手数料はちょうだいいたしません。また、アメリカで預金をいたしますときに、ドルで預金をいたしましたり支払いをしたときは当然手数料をいただかないわけでございますが、外国で外貨でということになる場合に、先ほど申しましたように、外貨を持ってこなければならないとか、紙幣を持ってこなければならないとか、保管するとか、そういうことでコストがかかるということは現実の事態だと思います。
 ただ、ただいま先生おっしゃいましたように、外貨預金というようなものがかつては非常に大口の専門家の人たちの預金であったものが、だんだん一般の方々も国際的に旅行をされる、現金を手にする、そういう形で外貨預金というものが一般的になってきている中で、先生から今お話がありましたように、そういうコストがかかる、あるいは払うときにこれだけの手数料はかかるよというようなことについて十分に御理解を得ているのかどうかということは非常に重要なことだと思いますし、先ほど私申しましたように、銀行によってまちまちになっておりますというのは、ある意味では、これが競争によって適正なところに行くという要素もあるわけでございますので、私どもとしては、十分適正な競争を通じでできるだけ預金者にとってわかりやすい、かつ適正なものになる、そして銀行からも顧客に対して十分理解を求めるようにそういう努力をしていただくということで、私どもも指導してまいりたいと思っております。
#159
○川島分科員 いずれにしましても、ドルで入れたものをドルで返してもらうのに手数料を取る。最初にきちっと東京銀行と予告しておりますので、東京銀行の場合はこうですよという答弁が返ってしかるべきなんですね。安い、一ドル二円なんて言って、東京銀行は三円取っているのじゃないですか。きちっとやはり答弁をしておいていただきたいと思います。
 次に、公的機関のいろいろな中小の企業にお金を貸し出している貸出金利の問題でございます。
 これは、今非常に不況で政府の施策の中で金利を非常に低く下げているわけでございますけれども、中小企業が多くの高度化資金等を国の機関からお借りになると、高い時期に借りたのは今日の金利の半分よりもさらに二倍以上の金利を払う形に実はなっているわけです。長いのは七年なり十何年なりという長い間そういう負担をこうむるわけですね。だから、金利の今の低さを考えると、各企業は、高い金利を払っている企業にとっては非常に恨めしく、何とかならないかという陳情が生まれるわけでございますが、政府は、その政府機関で、各金融公庫が貸し出しているお金の固定金利の分の格差、例えば現在の採用しようとしている格差についてどのくらいの変動差があれば見直しをすることができるのか。私どもはぜひ、こういう不況の時期でございますから、金利負担を少しでも軽減できるような施策を講じてもらいたいと考えるわけでございますけれども、その点についていかがでございますか。
#160
○寺村政府委員 政府関係金融機関の金利は、お話がございましたように、固定金利の体系をとっております。これは、財投で郵便貯金とか厚生年金から年金の資金をお預かりするときに長期の固定金利でお預かりをしておりまして、それを原資にしてお貸しをするというので、全体の体系が、民間金融機関は変動金利体制になっておりますけれども、政府の場合は固定金利でお預かりし、かつお貸しするのも固定金利で、それで実は郵便貯金あるいは厚生年金に固定金利をお支払いできる、こういう体制になっているわけでございます。
 したがいまして、高金利のときに政府関係金融機関からお借りになった方々は、その分どうしてもそういう問題が、金利が低くなったときには非常に金利が高いというお感じがあるのでございますが、逆に実は金利が低いとき、現在は国民公庫、中小公庫は四・九%になっておりますが、非常に長期固定の有利性がございまして、実は中小公庫も国民公庫も最近非常に貸し付けの申し込みが急増をいたしておりますけれども、実はそういった政府金融機関の金利のシステムが固定金利であることから来ていることではないかと思っております。
#161
○川島分科員 いや、固定金利はわかっておりまして、それでその格差の問題を指摘しているわけです。
 だから、今やれることといいますと、一度返してそして借り直すということでその解決はつくはずなんです。しかし、いろいろな担保物件が入っていたり、限度額の設定をまた改めてやりますと、法律的ないろいろな設定の費用だとか手続の費用が余分にかかるわけでございまして、これらが金利との計算でどうおのおのに負担が軽減されるかどうかという問題があるわけでございますが、それらの問題をクリアすることができれば、借り直しをすればきちっと安い金利に移動できる、こういうことになるわけでございますけれども、その点についてはいかがでございますか。
#162
○寺村政府委員 今、お借りするのが固定金利で、お貸しするのが固定金利で貸しておりますから、金利が高いときにはやはり高い金利で調達をしておりますので、もしそれが金利が下がったときに低い金利で借りかえるということになりますと、その差はどこかが負担しなければいけないということになるわけでございます。
 実は原資が財投資金でございますから、郵便貯金あるいは年金資金にはお約束した金利でお返しをしなければいけない。財投は利ざやを全く取っておりませんから、もしそこでそのような仕組みをつくりますと今度は国民公庫に赤字が出るということで、結局それは国民の負担でその分を見るという形にしかならないことになるわけでございますので、今全体、政府金融機関の金利は固定金利というシステムでございますので、そこを調整するのは、従来からもそうでございますが、やはり困難ではないかということでございます。
#163
○川島分科員 中小企業の皆さんが非常に苦しんでいる、そして世の中の矛盾をつくづく感じている、こういうことに対して温かい配慮がなされないということは非常に残念なことでございます。今後ひとつ十分御検討をお願いしておきたいと思います。
 次に、カード破産の防止についてお尋ねをいたします。
 現代は、第二次クレジット・サラ金パニックの時代と言われるごとく、大きな社会問題となっております。昭和五十八年十一月にサラ金規制法が施行されて以来、クレジットやサラ金などによる多重債務者や破産者は一時減少傾向にありましたが、平成二年のころから全国各地で再び急激にふえてまいっております。現代はまさにキャッシュレスの時代であり、カードがあれば日常生活はもとより、さまざまな分野で多種多様なサービスが受けられるようになりました。
 しかし、こうした便利なカード社会の中で、クレジットカードの使い過ぎ、多重借り入れによって返済が不能に陥り自己破産を申し立てる若者がふえてまいっております。これは、金銭感覚が欠如し、容易に借金をする消費者側にも問題がありますけれども、業界の一部では貸付限度額等を全然枠を設けないで消費者にお貸しをする、そういう信用機関の問題点もあろうかと思うわけでございます。
 個人の情報の取り扱いもいろいろ問題があろうかと思いますけれども、おのおのの消費者の支払い能力等をきちっと掌握をして、自己破産に至らない前に何とか対策が講じられないか、こういうふうに思うわけでございますが、この件についてお伺いをいたします。
#164
○寺村政府委員 カード破産を含めまして個人の多重債務の問題、御指摘のように近年急増をいたしております。こうした問題の発生を防止するためには、ただいま先生もお話しございましたけれども、借り手である利用者の側におきまして節度ある合理的な利用がなされることが必要でございますが、同時に、貸し手であります業者の側におきましても、顧客審査に当たって過剰な貸し付けを行わないような適切な対応を行っていくことが必要であると考えております。
 貸金業規制法におきましては、貸金業者に過剰な貸し付けを禁止しております。具体的には、窓口におきます簡易な審査のみによって無担保無保証で貸し付ける場合のめどは、当該資金需要者に対する一業者当たりの金額については五十万円、それからまた当該資金需要者の年収額の一〇%に相当する金額とするというような指導を行っているところでございます。
 ただ、今お話ございますけれども、多数の業者から借り入れるということになりますので、そういった多重債務を防止するということになりますと、やはりプライバシー保護に配慮しつつ信用情報機関を活用することが必要であり、今そのような指導をいたしております。六十二年の三月から信用情報機関の間の情報の交流につきましても、延滞等の事故情報、いわゆるブラック情報と言われているものでございますが、その交流が行われているところでございます。それから、まだ延滞が発生していないのですが、その残高が幾らになっているかというような残高情報の交流、これはホワイト情報と言われておりますが、これはまだ、行政当局から今呼びかけを行っておりまして、そういうことができるような体制ができないかということで検討している、こんな状況でございます。
#165
○川島分科員 ちなみに、最近の自己破産件数、金額、それからクレジット会社のそういう被害を受けた数、それから一件当たりどのくらいで若者がそういう自己破産を受けるのか、裁判所に来ていただいておりますので御答弁いただきたいと思います。
#166
○今井最高裁判所長官代理者 まず自己破産の件数でございますが、今御指摘ありましたように最近相当ふえております。最近五年間について申し上げますと、個人の自己破産でございますが、昭和六十三年には九千四百十五件、平成元年が九千百九十件、平成二年一万一千二百七十三件、平成三年が二万三千二百八十八件、平成四年、昨年でございますが、四万三千百四十四件ということでございます。
 それで、どの程度の金額でもって債務者が自己破産かということでございますが、これにつきましては特に統計はございません。破産法によりますと、支払いをなすことあたわざりしときということになっておりますので、支払い不能、要するに自分の財産なり収入でもって債務が払えない、こういうことでございますので、それはそれぞれの債務者個々の事情によっていろいろ違うということでございます。
#167
○川島分科員 それでは、破産を受けたそういう若者たちは法的にどんな制限を受けるのか、非常に若いときにそういう破産宣告を受けて、将来的に子供を育てるまでに大変な御苦労をいただく事柄がたくさんあろうかと思うわけですが、その制限についてお伺いをいたしたいと思います。
#168
○森脇政府委員 お答えいたします。
 破産者が受ける制限については大別して三つあろうかと思われます。一つは、財産に対する管理処分権を喪失するということでございます。これは、破産宣告とともに破産管財人が選任されます。その破産管財人が債務者の財産を管理し換価する、これを債権者に分ける、こういう手続でございますので、破産者の財産についての管理処分権を喪失するというのが第一点でございます。
 それから第二点目といたしまして、破産法上の自由が制限されます。これも幾つかあるわけですが、一つは居住の制限でございます。裁判所の許可を得なければその居住地を離れることができないという制約を受けるわけでございます。次に、郵便物及び電報受信が制限されます。裁判所は職権で、郵便局または電報取扱局に対しまして破産者あての郵便物または電報を破産管財人に送達すべき旨を嘱託することができます。そういたしますと、これらの郵便物あるいは電報は破産管財人の方に配達される、こういうことになるわけでございます。
 さらに、破産者には説明義務が課されます。破産者は破産管財人などの請求によりまして、破産に至った事情、財産や負債の状況等について必要な説明をしなければならないということになっておるわけでございます。
 次に、引致あるいは監守を受ける場合があるということでございます。裁判所は、必要があると認めるときには破産者の引致を命ずることができるということになっております。さらに、破産者が逃亡しあるいは財産を隠匿する等のおそれがあるときには破産者の監守を命ずることができる。この監守を命ぜられた破産者は、裁判所の許可を得なければ他の者と面接したり通信したりすることができない、こういう制約を受けるわけであります。
 さらに、他の法令によって身分上の失権を伴うという場合がございます。例えば民法でありますと後見人あるいは遺言執行者になることができないというような制約をかぶりますし、株式会社あるいは有限会社の取締役は、破産宣告を受けると当然に解任になります。また、合名会社、合資会社の社員は破産によって当然に退社する、こういう規定になっております。
 以上のような制約を受けることになっております。
#169
○川島分科員 時間が余りございませんので、最後にお願いをいたしますが、まずクレジットの事故が非常に増加をいたしておりますので、破産宣告等、今後増加をさせないための対策をひとつお願いをいたしておきたいと思います。さらに、外国人に対してのクレジットの支給をしないという非常に人権問題にも発展するような点まで報道されているわけでございますが、その点についてもひとつお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、都市公園の整備で予算の拡大についてお願いをしておきたいと思うわけでございます。
 生活のゆとり、豊かさを求めるライフスタイルが今求められてきておるわけでございまして、一つは西尾市のスポーツ公園、それから刈谷市の総合運動公園、それから高浜市の緑地公園、この三公園についての進捗状況、それから今後の方針、愛知県は六年に国体の誘致が決まっておりますので、お願いをしておきたいと思います。
#170
○山田説明員 お答え申し上げます。
 最初の二点、都市局の方からお答え申し上げます。
 西尾市スポーツ公園は、西尾市が整備を進めております運動公園でございまして、平成六年の愛知国体の剣道会場となるものでございます。この公園は平成二年から事業を開始しておりまして、現在は体育館の整備を行っているところでございます。今後も引き続き体育館の整備及び周辺の造園工事などを進めまして、平成五年の七月には体育館周辺区域の完成を予定しているところでございます。
 次に、刈谷市総合運動公園でございますが、若年層から高齢者まで幅広くスポーツ、レクリエーション利用に供するために刈谷市が総合公園として整備するものでございまして、平成六年の愛知国体のサッカー会場となるものでございます。この公園は、平成元年から事業を開始いたしておりまして、現在はサッカー会場となります多目的グラウンドのスタンドなどの整備を行っているところでございまして、今後も引き続き多目的グラウンドの整備を促進いたしますとともに、駐車場、便所等の整備を行いまして、平成六年度の供用を予定いたしておるところでございます。
#171
○松野説明員 大山緑地公園につきまして住宅局の方からお答え申し上げます。
 大山緑地公園は、高浜市が都市緑地として整備するものでございます。県営住宅建てかえ事業を実施中の赤松団地に関連する公共施設といたしまして、平成四年度から住宅宅地関連公共施設整備促進事業として整備を実施しているとこるでございます。今後も引き続き当事業により整備を推進してまいりたいと考えておりますが、平成七年度に完成の予定でございます。
#172
○川島分科員 ありがとうございました。終わります。
#173
○衛藤(征)主査代理 これにて川島實君の質疑は終了いたしました。
 次に、東祥三君。
#174
○東(祥)分科員 公明党の東祥三でございます。
 まず初めに、ニューヨークの世界貿易センタービル爆破事件についてお伺いいたします。
 この事件は、とうとい人命が奪われかつ多くの傷害者が出た痛ましい、許すことのできない事件です。また、経済的に見ましても、ニューヨーク市当局によりますと、二月二十六日の事件発生から一週間で既に八百三十億円近い損害が出ているとのことです。
 そこで、アメリカの金融・証券市場や経済活動に大きな損害を与える残念な事件ですが、我が国の金融・証券市場や国民経済にどのような影響を与えると認識されておられるのか御見解を賜りたいと思います。
#175
○寺村政府委員 世界貿易センタービルの中には本邦の金融機関が二十二行、これは支店が二十一、駐在員事務所が一でございます。それから証券会社が七社、現地法人が六社で、駐在員事務所が一社でございます。それから損害保険会社が三社、いずれも駐在員事務所でございますが、それぞれ入居をいたしております。
 まず金融機関につきましては、従来から、緊急な事態が生じた場合に資金決済等に滞りが生じないようにバックアップオフィスを構える等の対策を進めてきておりまして、今回も事故が発生しましてから速やかにバックアップオフィスを稼働させる、あるいは仮営業所で営業をするということで今対応いたしております。それから証券会社、損害保険会社もいずれも仮営業所等で対応いたしております。
 いずれにいたしましても、資金の決済あるいは不可欠の業務に支障が生じないようそれぞれ各機関とも対策をとっております。ただ、緊急事態でございますので、通常時の業務と比べますと、若干その業務の活動は縮小しているということは考えられるのではないかと思っているところでございます。
#176
○東(祥)分科員 ちなみに損害額はどれくらいか、それは出ておりますか。
#177
○寺村政府委員 まだそこは把握はいたしておりません。
#178
○東(祥)分科員 次に、さきの予算委員会におきまして宮澤総理は、市川書記長の追及に対して、政府の経済見通しが甘かったことを認めました。政府が想像する以上に景気の現状は悪いと言わざるを得ません。にもかかわらず、政府は景気浮揚策として公共投資一本やりです。所得税減税に対しては考慮を払っていないということが言えます。政策減税だけでなく所得税減税がぜひ必要だ、改めてここで主張したいと思います。
 御承知のとおり、日本百貨店協会からも、消費喚起のための所得税減税の必要性の声が上がっております。残念ながらケインズの経済理論の代替論がない現在、景気回復のための緊急的カンフル剤として所得税減税をぜひ実施していただきたいと存じます。
 既に昨日、自民党梶山幹事長から、所得税減税を前向きに検討するとの表明がありましたが、私は、再三再四主張していることでございますが、一つ、標準一世帯当たり十万円として約二兆八千億円の戻し税の実施、二つ、基礎控除を三十五万円から四十五万円に引き上げて、給与所得控除の最低控除額を六十五万円から七十五万円に引き上げるとともに、控除率の適用区分を変更して、昭和六十三年度以降の物価調整分として、本年の年末調整において約一兆円の所得税減税の実施を改めて要望いたしますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
#179
○林(義)国務大臣 委員御承知のとおり、昨日与野党で合意がされたところでございまして、これは私からも読み上げるまでもない、委員御存じのとおりだと思いますけれども、与野党の協議機関を不況対策に対して設けます、それにつきまして公共事業の執行の問題、また不況対策としての税制上の措置について協議いたします、で、実行可能な施策を協議しましょう、こういうふうなことがありまして、これで合意に達し、また自民党の梶山幹事長からこの合意に関連いたしまして、所得税減税について前向きに検討するというお話があった、それで合意に達した、こういうふうに私は聞いているところでございまして、私どもの方としては、たび重なるこの予算委員会での御議論で私の考え方を申し上げておきましたけれども、昨日そういうふうなお話がありまして、大変各党いろいろと御協議をいただいた上でできた話でありまして、その御協議いただいたことについて私は敬意を表するものでございますが、これからどういうふうな形でやっていくかにつきましては、先ほど申し上げましたように協議機関を設けて、そこで「実行可能な施策を協議する。」こういうことになってますので、そういった協議がどういうふうに行われるのか、協議の推移を見守ってまいりたい、こういうふうに今のところは考えておるところでございます。
#180
○東(祥)分科員 公共投資はもちろん重要な景気浮揚策であるということは否定いたしません。しかし、以前と違いまして、この公共投資の乗数効果というのは、多くの方々が存じ上げているとおり低くなっております。したがって、以前のようなてこ入れに効果を及ぼすとはどうしても思えないのでございます。したがって従来型の予算配分比率でなくて、めり張りをつけた配分が必要だと主張する根拠はここにあります。総理が生活大国をうたっておりますけれども、公共投資にどういう哲学というかビジョンがあるんでしょうか。下水道あるいは住宅、公園などの住環境や、大都市圏について鉄道政策を含めてビジョンがないんじゃないのか、この点についていかがお考えですか。
#181
○林(義)国務大臣 下水道その他のものにつきましてはそれぞれ五カ年計画等がございまして、それぞれのところで事業を着実に推進していこう、こういうことでやっておりますし、政府全体としましては、公共事業は四百三十兆円というような大きな目標を掲げましてやっていく、こういうふうなことに相なっておるところでございます。
 そういった意味で、私は、今日本経済がこれから発展していく上におきましてこうした公共事業というものをやっていくということは、やはり国民生活の基盤をつくるという意味におきましても大変大切なことだ、こう思っておるところでございます。委員御指摘のように、公共事業の乗数効果が減った、こういうふうなお話でございますが、これは比較の問題でありまして、いわば所得税減税とかなんとかというよりはまだまだ公共事業の方が乗数効果は高いということは、これはもう大体明らかなことだろう、こう思っておるところでございます。
 実は、先ほど申しましたように与野党で御協議をいただく、こういうことでそれを見守っているところでございますが、私どもの方といたしましては、特にお話のありました所得税減税等につきましては、税制としてのあり方の問題、景気対策としての有効性の問題、さらには財源の問題等種々の問題があるということで私たちは考えているところでございまして、これは予算委員会、本委員会におきましてしばしば私が申し上げておるところでございます。
 いずれにいたしましても、そういったことにつきましていろいろな点で実行可能な施策を御協議いただけるものだということでございますので、その推移を見守っておるというのが今のところの私たちの態度でございます。
#182
○東(祥)分科員 大蔵大臣は確かに、相対的な形では公共投資と所得税減税の乗数効果の二つを比べたならば公共投資、公共事業の方が乗数効果が高いのだろう、私もその点に関しては全く否定しておりません。しかし、経済構造が変わり、GNPに占める製造業の割合というのは十年、二十年前に比べると激減しているわけですから、短絡的に大ざっぱな形で言えば、四分の三以上というのが製造業にかかわっていないわけですから、そういう意味では基本的にケインズ理論に基づくこの公共事業投資一本やりの景気浮揚策というのは、果たしてそれだけでいいのかというもう一つの疑問が出てくるわけです。
 ここで議論しておりますと分科会の時間がなくなってしまいますが、ただ大蔵大臣言われた所得税減税がある意味で公共事業に比べるならばそれほどの消費喚起になり得るのかという、それが発想の原点としてあるのじゃないかと思うのです。
 私は下町に住んでおりまして、地元の下町の中小企業の方々のお話をお伺いしますと、例えばプラスチック樹脂の製造業など受注がもう半減してしまっている。低金利の資金の借り入れは別に要らない。それよりも生活できる最低限の仕事が欲しいという切実な声が上がっている状況です。また、サラリーマンにおいては残業が減って可処分所得が減っている。そういう意味では景気の底上げ以外、根本的な解決の方途がないのではないのか。景気の底上げに対して公共投資一本やりでいいのかどうなのか、これが私の基本的な視点の背景にあります。
 金融・証券に端を発して、今さら言うまでもありませんけれども、バブルの崩壊による深刻な資産価値の下落と日本の経済システム全体を含む今回の不況というのは、バブルと直接関係のない多くの国民を巻き込んでいることも事実でございます。複合不況と呼ばれる深刻な経済の回復は最重要な問題ですので、ぜひとも大蔵大臣、所得税減税の実現を重ねてお願いする次第です。
 さて、次に、可処分所得が減る一方で、世界に例を見ない高い家賃や住宅費、教育費などの負担があります。ちなみに、日本の家賃というのはニューヨークに比べますと、経企庁のデータでございますが、物価レポート92、ニューヨークの家賃に比べますと一・七倍、ハンブルクの一・八倍です。さらにまた日本より経済的水準が低いイギリスのロンドンにおいては日本の家賃よりさらにまだ低い。既に要望を出している住宅減税、教育減税をぜひここで実施していただきたいと存じますけれども、この点についての御見解を賜りたいと思います。
#183
○田波政府委員 住宅税制についてのお尋ねでございます。直接には現在、委員御承知のように住宅取得促進税制というのがございます。これは住宅を取得するために借入金を行われた場合に、現在の制度では借入金の残高が二千万円までは一%、二千万円から三千万円までの部分については〇・五%を税額控除するという制度でございます。そういたしますと、年間で最大二十五万円を税額控除できるという制度になっておるわけでございます。
 この二十五万円というのを通常のサラリーマンの世帯の年収との対比で考えてみますと、およそ六百五十万円の年収のサラリーマンの標準世帯が納める年間の所得税の全額に相当する大きな金額になっておるわけでございます。ちなみに、民間給与の実態調査で調べますと、標準世帯の給与所得者の平均年収というのは六百六十八万円でございますから、それに相当するような規模になっておるわけでございます。そのために減収規模も、平成三年度の改善措置を考慮して計算をいたしますと約五千百億に上るという措置になっておるわけでございます。
 そういったことを考えますと、この制度というのは住宅対策等のための税制上の措置として最大限の配慮を払ったものでございまして、これをこれ以上拡大することにつきましては、むしろ住宅を取得できない層との不公平が拡大するといった問題もあるのではないかというふうに考えております。
 それから、後段の家賃とか教育費の問題でございます・
 これは家賃にせよ教育費にせよ、いわば典型的な生計費であるということでございます。そういう意味においては、例えば食費であるとかあるいは被服費、そういったものと同じ性質のものだというふうに考えられるわけでございまして、そういったものだけを取り出して特別の控除を設けるということには基本的な問題があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#184
○東(祥)分科員 非常に残念なお答えです。
 ただ、住宅促進税制についてもお話がありましたが、この住宅促進税制のビジョン、これはどのようなビジョンをお持ちなんでしょうか。
#185
○田波政府委員 今申し上げました住宅取得促進税制というのは、やはり住宅の取得を行う場合の初期の負担を軽減することによりまして国民の持ち家の取得を促進する、あわせて、住宅建設によって内需の拡大等に資するという観点があることは事実だというふうに考えております。
#186
○東(祥)分科員 宮澤総理は、年収の五倍で良質な住宅が持てるようにしたい、こういうふうに言っているわけですが、しかし現実はほど遠い状況にある。
 今のお答えで持ち家を促進させたいということを言っているわけですが、現実は、例えばアメリカの場合ですと、これはデータは九〇年度ですけれども、年収の三・五倍でもって住宅を取得することができる、全国平均ですね。イギリスにおいては四・五倍、旧西ドイツですと四・六倍、日本は全国レベルでも六・七倍。ということは、首都近県で暮らす国民にとっては、この年収の五倍というのは何を意味しているのかよくわからない。全国平均でも六・七倍のそれだけ高い住宅であるにもかかわらず、宮澤総理は平然どこのように言われているわけです。
 さらに、住宅取得控除は六年間の期間となっているわけですけれども、これは一体どのような根拠に基づいてこうなっているのか、お伺いしたいと思います。
#187
○田波政府委員 二つの御質問があったと思います。
 まず前段の点でございますけれども、私どもやはり、生活大国づくりという観点からすると、住宅の取得をできるだけしやすくするということは非常に大切な要素だというふうに考えております。
 ただ、今お話しのような例えばアメリカ等との比較で申しますれば、やはり一つの問題として、その住宅の建つところの地価の問題があるのではないかなというふうに私なりに考えるわけでございます。例えば、大ざっぱな数字で恐縮でございますけれども、日本全土の地価の総額というのがアメリカ全土の総額の四倍くらいに達していた時期があるわけでございます。地価は下がってきたとは言いながらも、まだそういった面で、土地の価格の問題というのはこういった問題を考える場合の一つの重大なポイントなんではないかなというふうに考えております。
 そこで、住宅の問題についてどういう形で税制が後押しできるかということでございますけれども、先ほど来申し上げましたように、この住宅取得促進税制というのはいわば、平均年収六百五十万の標準世帯の所得税額の全額を六年間にわたり丸々控除するというところまで最大限配慮してあるところでございますので、一種の公平性といった観点からはなかなか拡大が難しい点が多々あるのではないかと思っております。
 六年間の考え方でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように、あくまで住宅を取得する場合の初期の負担を軽減するというねらいがあるわけでございます。
#188
○東(祥)分科員 非常に重要なことを言われていると思います。
 当然、おっしゃるとおり日本の場合は、住宅それ自体というよりも土地の価格が他国と比べて極めて高い。それはおっしゃるとおりだと思うのですが、その辺をちょっとおいておきまして、制度は違うのですけれども、住宅減税方式を他国と比較した場合、減税額というふうに言った方がいいのかわかりませんが、例えばアメリカは日本の五倍額です。例えばマンションを購入するのに五千万円かかった場合、最終的な減税額としてどれだけの額が戻ってくるのかそれを見ますと、アメリカの場合七百四十三万円、イギリスの場合四百十八万円、旧西ドイツの場合ですと二百十八万円、日本の場合は百四十六万円。アメリカに比べると、アメリカは日本の五倍です。イギリスは約三倍、旧西ドイツは一・五倍。したがって、先進国と言われながら住宅取得もできない、減税額から見ますと。苦労してローンで買っても負担が大きくて、他国と比べても大きくおくれているとしか言えません。
 しかし、その背景には、まさに今おっしゃったごとく、土地価格の問題があるんじゃないのか。そうしますと、二月建て住宅を取得した場合の土地の部分もある意味で控除の対象とすべきではないのか。制度の大幅な拡充が必要だと思いますけれども、もし先ほど言われている一つのビジョンに基づいて持ち家政策を推進していくとするならば、単なる住宅促進税制のみならず土地の部分も考慮した制度の大幅な拡充というのが筋論的にいっても必要になってくるんじゃないのか。この点についていかがですか。
#189
○田波政府委員 住宅促進税制の効果の点でございますけれども、先ほど申しましたように現行の控除率というのは一%が基本になっておりますけれども、これは七百万円ぐらいまでの年収の標準的なサラリーマンの世帯の場合には、一〇%の支払い利子を丸々所得控除しているというものと同じ効果を持つわけでございます。これは、ローンで借りられる場合の現行の金利水準というのはそれよりは当然低いわけでございますから、効果としては相当なものがあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
 この制度の目的でございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、最初申しましたように、国民の持ち家取得を促進するとともに、あわせて、住宅を建設することによる内需の拡大等に資するために政策的に特に認められた制度であるということを御理解いただきたいわけでございます。
#190
○東(祥)分科員 次に行きます。
 先日、住宅取得等特別控除の居住要件について大蔵省に御見解をお伺いさせていただきました。これは、住宅を取得した者が、例えば転勤等のやむを得ない事情で居を移した場合における住宅取得等特別控除の適用の可否についてお伺いしたものでございます。
 租税特別措置法関係通達四一−二の中で、「当該やむを得ない事情が解消した後は、その者が共にその家屋に居住することとなると認められるときは」と規定されておりますが、転勤により配偶者がともに居を移す場合、その他の扶養者が引き続き居住するならばこの通達が適用されるか否かということについての解釈についてでございます。
 この件については、早速大蔵省内において御議論をいただいて、認められるケースもあるとの御見解をいただきました。公平を期すためにも重要だと思いますので、この件はもう既に全国の税務署に周知徹底されているのでしょうか。
#191
○松川政府委員 先日、住宅取得特別控除の居住要件についての御見解、いわゆる問い合わせがございました。それにつきましては既に回答したところでございますが、各国税局におきまして取り扱いが異になりますと困りますので、早速各国税局に連絡いたしまして、担当職員の研修等の際に周知するように指示したところでございます。
#192
○東(祥)分科員 これは非常に重要なことであると同時に、この問題で悩まれている人々にとって貴重な朗報であると思います。迅速にまた的確に御対応賜り、感謝申し上げます。
 もう一つ、教育費についてお伺いいたしますが、現在、教育費用の貸し付けローンが政府系金融機関の国民金融公庫あるいは一般の商業銀行においてふえております。これらの助成のために金利負担軽減等の措置を一定の基準を設けて行うことはできないのでしょうか。
#193
○寺村政府委員 国民金融公庫の教育資金貸し付けでございますが、これは長期プライムレートを基準として決定しておりまして、金利の低下に対応いたしまして現在五・二%と過去最低の水準になっております。
 一方、政府の施策としましては奨学金制度がございます。これは奨学のためのということで、財政資金を投入することによって援助をしておりますが、この金融を通ずるシステムは、家計の所得の教育費の支出に伴う平準化のための施策として、いわゆる政府金融システムの中でこういうような対応がとられているわけでございまして、奨学制度とは意味合いが違いますので、それについてさらに財政的な負担をというのはちょっとなじまないのではないかと考えております。
#194
○東(祥)分科員 時間が来たので、やめます。ありがとうございました。
#195
○衛藤(征)主査代理 これにて東祥三君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#196
○衛藤(征)主査代理 次に、外務省所管について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤一雄君。
#197
○斉藤(一)分科員 私は、ボスニア、ソマリア等の人道援助のあり方についてお尋ねをいたします。
 つい最近、ボスニア東部においてセルビア人武装勢力の大攻勢があり、特に女性、子供を含めた住民への大虐殺や住宅の焼き討ち、略奪が行われているとの報道がありました。政府はこれに対してどのような対応をなされましたか。
#198
○野村(一)政府委員 御指摘のように、特にボスニアの東部におきましてセルビア人によりますムスリムに対する非人道的な行為が行われておりますが、これに対しまして、特に食糧とか医療品が緊急に必要であるということから、人道的見地から、米国が国際連合あるいはUNHCR等の人道援助機関と協調のもとで、必要とする人道援助物資の空中投下を実施しておるわけでございまして、我が国としてはこれに対して支持を表明しております。
 すべての当事者がこのアメリカのオペレーションの安全確保のためにできる限りの協力を行いまして、こういったオペレーションが成功裏に成功する、特に人道的な問題でもございますので、これを期待している次第でございます。
#199
○斉藤(一)分科員 国連安保理は、国連保護軍の部隊を激戦地の東部へ緊急展開することをガリ事務総長に要請いたしました。もともとボスニアでは武装勢力の多くが無管理状態にあり、たとえ人道援助とはいえ、当事者の合意が必要なのではないでしょうか。
#200
○野村(一)政府委員 御指摘の米軍によります人道的援助物資の投下につきましては、もともとボスニア政府自体の要請があったということ、あるいは二月二十五日、ボスニアの中のセルビア人勢力の司令部が今回の空中投下につきまして攻撃あるいは妨害を行わないように傘下の部隊に指令したという情報もございます。さらには、二月二十七日でございますが、フランクフルトにおきまして、支援物資をアメリカの輸送機に搭載する前に、紛争の各当事者の代表が集まりまして、支援物資に武器が含まれていないということを確認した上で空中投下のオペレーションが実施されているといった事実関係がございます。
 我が方としましては、必ずしもオペレーションの詳細を承知しているわけではございませんけれども、ただいま申しましたようなことから、実態的には当事者間の合意と申しますか、それがあった上で行われている、そういうふうに理解している次第でございます。
#201
○斉藤(一)分科員 次はソマリア情勢についてですが、米国など多国籍軍の撤退後、事実上の平和執行部隊の投入が検討されております。この点についてガリ事務総長は、どんな当事者の同意も必要ない、強制力を与えられなければこれらの任務は遂行できないと述べました。それは、これまでの中立、不偏向の原則に反しないでしょうか。
#202
○澁谷政府委員 ブトロス・ガリ事務総長の報告は既に安保理に提出されておりますが、きょうからこれについての協議が始まることになっております。最終的には、これに安保理決議を付しまして、これを採択するかどうか来週中に決められることになると思います。確かにそれを読みますと、強制措置によって人道援助その他安全の維持を図るという一項がございますけれども、これも審議の過程を見守る必要があるかと思います。
#203
○斉藤(一)分科員 次に、ガリ国連事務総長は来日中、宮澤総理に、モザンビークは停戦の合意があり、日本の制約や条件を満たしていると、暗に日本に期待を表明いたしました。
 しかし、それは大変おかしな話で、PKO法の参加五原則に合っているからといって自衛隊を派兵しなければならないという義務は日本にはないと思うわけであります。また、PKOへの参加は、あくまで加盟国の憲法とそれぞれの国の自主的判断に任されているはずであります。ましてや日本は、平和憲法のもと、自衛隊の海外派兵は禁止されております。それにもかかわらず政府が調査団を派遣したのはなぜでしょうか。
#204
○澁谷政府委員 まず、ブトロス・ガリ事務総長の訪日の際の宮澤総理との会談でございますけれども、この会談におきましてガリ事務総長は確かにモザンビークには一言及いたしました。しかし、これは一般的に日本はグローバルにあらゆる地域で国連の活動に参加してくれ、その例示としていろいろな地域を挙げまして、その一つとしてモザンビークに言及いたしました。
 しかし、ガリ事務総長は、自衛隊を出してくれというような形ではなくて、その参加のやり方あるいは貢献の仕方は、日本を含めたそれぞれの国が決めることだという一般的な形で意見を開陳いたしておりました。したがって、特定の要請をしたということではございません。
 モザンビークにつきましては、実は私どもは大使館は実館を置いておりません。ジンバブエの大使館がモザンビークを兼轄いたしております。そういった事情もございまして、より詳細に現地事情、それからモザンビークにおけるPKOの展開状況にも若干不明な点がございますので、これらを詳細に調査し、情報を収集するというのが目的でございます。
#205
○斉藤(一)分科員 とりあえず調査団を送って調査をしてみるということであって、将来派兵をするという目的を持って派遣をしたということではないというふうに私は判断しているわけですけれども、そういうことですか。
#206
○澁谷政府委員 この調査団は特定の目的を持って派遣されたものではなくて、あくまでも報告の結果を待ってできることがあればやるという姿勢でございます。
#207
○斉藤(一)分科員 時間がありませんので、次に、日本航空株式会社のチャーター便による自衛隊員輸送の民間協力のあり方についてお尋ねいたします。
 自衛隊のカンボジア派兵のために民間機である日本航空のジャンボ機を輸送手段として使うということは、国際民間航空条約の第三条、「軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は、国の航空機とみなす。」に触れませんか。
#208
○澁谷政府委員 シカゴ条約第三条(b)は、「軍、税関及び警察の業務に用いる航空機は、国の航空機とみなす。」と規定しております。いかなる場合に軍、税関及び警察の業務とみなすかについては、条約上の明確な基準は設けられておりません。ICAO、国際民間航空機関の場合においても、統一的な解釈は成立いたしておりません。こういったことで、シカゴ条約第三条の統一的な解釈が成立していない以上、航空機の国か民間かの識別は、所有形態、使用形態あるいは使用目的等に照らして総合的に判断されるべきであると考えております。
 今次、日本航空機による自衛隊員の輸送という点が問題になっておりますけれども、あくまで政府が日本航空と民事上のチャーター契約を締結して当該契約を行うということでございます。これ等に照らしましても、総合的に判断した結果、当の日本航空機を民間航空機として扱うことには特段の問題はないというぐあいに考えられます。
#209
○斉藤(一)分科員 聞くところによりますと、今もちょっとお話がありましたが、国際民間航空機関の法律委員会の議題になっているというふうに聞いておるわけですが、どういう状況だか把握しておりますか。
#210
○澁谷政府委員 先生御指摘のとおり、昨年九月二十二日より十月八日までモントリオールで開催されましたICAO第二十九回総会において、シカゴ条約第三条で規定されている「国の航空機」の定義をICAOとして早急に明確にすることにつきまして、我が国を含む締約国の支持が得られましたので、理事会のもとにある法律委員会、これは通常年一回開催されますが、この法律委員会の場で審議されることになりました。この決定を受けまして、近くICAO理事会はこの議題を法律委員会の作業計画に含めることになっているというぐあいに承知いたしております。
#211
○斉藤(一)分科員 仮にイギリスの場合、航空機の使用目的によって判断しているというふうに聞いていますが、そのとおりですか。
#212
○澁谷政府委員 英国につきましては、国内法上の取り扱いが、民間航空会社が運航している航空機は、軍需物資を運んでいても民間航空機として扱うということになっております。
#213
○斉藤(一)分科員 航空機の使用目的ということと今のお答えはちょっと違うのじゃないですか。私が言っているのは、日本航空の場合には自衛隊員を運ぶというのが目的でありますね。その場合に、英国の場合には使用目的ということに主眼を置いておりますから、これは軍用機ということになりはしないですか。
#214
○澁谷政府委員 国内法上の取り扱いは、民間航空会社が運航している航空機については、軍需物資を運んでいても民間航空機という扱いでございます。ただ、これは実際の運用でございまして、実際の解釈といたしましては、軍需物資を運んでいる航空機は国の航空機とみなすという解釈もございます。
#215
○斉藤(一)分科員 こればかりやっておるとそれで終わってしまいますので、先へ行きますけれども、いずれにしても確定的な解釈は成立していない、各国の解釈に基づいて運用をされている。したがって、英国、米国、日本、それぞれみんな解釈を異にしているわけですが、それでは日本は、全くこの種についての定義といいますか、きちんとした解釈というのはない。先ほどお話があったように、目的、使用形態、使用者等について総合的に判断する。
 総合的に判断するというやつは非常に危険なんですよね。目的は何か、使用形態はどういうものか、使用者はだれかといったようなことをもう少し具体的に規定して、その上でどれにも抵触はしていないということで総合的に判断したというならいいのですけれども、その点が非常にあいまいなので、この点は今後ひとつきちんとしていただきたい。事は民間航空機ですから、安全性を最も大切にしなければならない航空機であるわけであります。
 それでは、一九四九年八月のジュネーブ諸条約追加第一議定書の第三十七条には、文民または非戦闘員の地位を装うこととあります。民間航空機で自衛隊員を海外派兵することは、この条項に抵触するのではないでしょうか。
#216
○丹波政府委員 ただいま先生の御指摘の第一議定書の問題でございますけれども、これは、現実の戦闘行為における状況のときにいかなる紛争当事者として対応すべきか、あるいはその準備段階でどういう対応をすべきかということを規定しておる国際取り決めであることは先生の御承知のとおりでございまして、今御議論されておられますところの問題は、PKO、国連の平和維持活動、その中立・非強制、もう戦闘は終わったというところに国連の活動の一環として出ていく、そのために日本の地域から、例えばこの場合はタイでございましょうけれども、移動していくというときの輸送の形態の問題でございまして、問題の次元は非常に異なるのではないかと私たち考えておる次第でございます。
#217
○斉藤(一)分科員 その解釈は大変疑問なわけですけれども、次に譲りたいと思います。
 そうしますと、これまでの政府答弁でいきますと、紛争地域に直接民間航空機をチャーターする、乗り入れをするということはもちろんお考えではないと思うのですが、しかし、その周辺にはいつでもどこでも自衛隊の部隊を民間航空機をチャーターして派兵できる、こういう解釈になりますけれども、そういうことでしょうか。
    〔衛藤(征)主査代理退席、主査着席〕
#218
○丹波政府委員 ただいま私申し上げたところでございますけれども、国連の平和維持活動というものの本質からして、今先生、派兵ということをおっしゃいましたけれども、私たちはそういうぐあいな考え方はいたしておらないことはもう先生よく御承知のとおりでございます。
 それから、先ほどから国連局長も御説明申し上げた私たちの考え方でございますけれども、例えばパキスタンが今回UNTACに参加するために八百三十六名のパキスタンの歩兵部隊をパキスタン航空とまさにチャーター契約によりましてタイのウダパオ飛行場に運んだときも、タイの航空当局はまさに民間業務であるという扱いをしておりまして、同じことはインドの兵隊の輸送についてインドがチャーターした民間航空機についてもそういう扱いをしておるということで、私たち今先生に御説明申し上げてきております考え方は、ほかの国の民間航空機にも適用されておる考え方であるというふうに考えておる次第でございます。ぜひ御理解方お願い申し上げます。
#219
○斉藤(一)分科員 平和維持活動だという話はそれなりにわかりますけれども、自衛隊というのは、これは国際的には軍隊、国内でも私ども兵役の経験ある者から見ると立派な軍隊ということになるわけです。日本軍を海外に派兵するわけであります。ですから、私はそういう認識に立って質問をしているということを忘れてもらっては困るわけであります。
 それでは、先ほどもちょっと申し上げましたが、戦争が起きているあるいは紛争が起きている地域には、この日本航空機を乗り入れさせることは考えていますか。
#220
○澁谷政府委員 現在の協力法では、停戦合意が成立しているというのが第一の原則でございますので、そのような条件が成立していない地域にそういう民間航空機を派遣するということは考えられません。
#221
○斉藤(一)分科員 要するに、戦争状態にある国あるいは紛争地域に直接民間航空機を乗り入れることはできない、いいですね。
#222
○澁谷政府委員 そのとおりでございます。
#223
○斉藤(一)分科員 その紛争地域というのは、周辺地域ならば世界各国どこへでも、その紛争地域の隣の地域へ航空機を乗り入れできるのだ、こういうことですね。
#224
○澁谷政府委員 五原則、特に停戦の合意と紛争当事者の受け入れ同意というのが成立してない地域に乗り入れることは難しいかと思います。
 例えば、今ソマリアの周辺国であるケニアにつきましては、もしケニア政府が同意し、かつ国連もこれを認めるということであれば、民間航空機の派遣は可能であるというぐあいに考えられます。
#225
○斉藤(一)分科員 私は、その目的が、あくまでも自衛隊という軍隊を運ぶわけですから、それは軍事用と判断するのが常識ではないかというふうにどうしても思わざるを得ないわけであります。
 皆さんの説明を聞いておりますと、操縦も客室乗務も日本航空の職員が行っているので民間航空機だ、こういう説明ですよね。そうすると、操縦と客室乗務をもし自衛隊員がやった場合にはこれは民間航空機にはならない、こういうことでしょうか。仮の話です。
#226
○澁谷政府委員 具体的な事例に沿って判定すべきだと思いますけれども、使用目的それから所有形態等さまざまな要素を考慮に入れて、その都度総合的な判断を下すということにならざるを得ないと思います。
#227
○斉藤(一)分科員 最後に、現在自衛隊をカンボジアに派兵しているわけでありますけれども、もともとこれは日本国憲法に違反するものであり、またカンボジア情勢を見たときに、PKO法の参加五原則にも抵触をしている、こういう状況だと思います。したがって私は、こういう中では、自衛隊のカンボジアからの撤収をどうしても政府の決断によってやるべきであるということを強く要求したいわけでありますけれども、この件について大臣の御見解をお伺いしたい。
 それからもう一つは、関連して、それならばどういう場合に自衛隊を撤収するというお考えなのか、これもあわせてお答えいただきたいというふうに思います。
#228
○河野国務大臣 PKO法は、委員御承知のとおり大変長い国会での御議論がございまして、そうした御議論を踏まえて国会で成立をした我が国の法律でございます。その法律にのっとって、その法律の示すところに従ってカンボジアに自衛隊の施設部隊がPKO活動のために出ていっているわけでございまして、憲法違反という御指摘は全く当たらないと思います。
 さらに、今日のカンボジアの状況につきましては、いろいろな角度から御注意をいただいたり御心配をいただいておりますことは大変ありがたく存じますけれども、今日のカンボジアの全体的な状況を俯瞰して見てみますと、委員御指摘のようなパリ和平協定に違反をしているような状況とは言えない。これは私が言えないと言っているだけではなくて、UNTACの明石代表を初めとして、このカンボジアにかかわる多くの方々、さらにはSNC四派が会合するときにも、四派は和平協定は守られておるという認識を引き続き持っているわけでございますから、こうした状況でパリの和平協定は、その枠組みは十分に守られているし、ということはとりもなおさず、PKO協力のために日本から派遣をいたしますための五原則は今日もまだ十分その条件を満たしているというふうに考えておりますので、現在の状況下で、このPKOに派遣をいたしておりますものを撤退をさせるという意思はございません。
 どういうときに撤退をするのかという御指摘、御質問でございますが、これは繰り返し申し上げておりますように、和平協定が破られた、全面的な戦争が再開されたというような状況下であればもちろん撤退をするわけでございますが、それ以外にも、だれしもがこれは撤退が必要だということを認める今我々が想定し得ないような状況というものが起こるとすれば、それは直ちに関係者が集まってそうした相談をするということになろうかと存じます。
#229
○斉藤(一)分科員 先日も宮澤総理は、今日のさ吏ざまな改憲発言あるいは改憲解釈が起きている中で、私は護憲派だというような大変頼もしいお話がございました。少なくとも、日本国憲法を守る、厳守するというのは、日本政府が率先してやらなければならないことでありますし、日本国民もそのことを強く期待しておるわけでありますので、日本国憲法の精神に基づいて、今後の問題については十分慎重に、しかも、違反するような場合には直ちに決断をされるように強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#230
○越智主査 これにて斉藤一雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、柳田稔君。
#231
○柳田分科員 まず初めに、ロシア問題について質問をさせていただきます。
 昨年の九月、訪日予定ということでエリツィン大統領が来られるはずだったのですけれども、四日前になりまして突然中止をされました。私自身は、常識的に見て大変失礼なことだなというふうに強く感じた次第であります。
 報道を見ておりますと、なぜ訪日が延期になったのか、日本がクリル諸島の問題を余りにも強く持ち出したからだとか、このような状態でロシアが南クリル、北方領土を日本に引き渡せないのは明らかだ、我々は日本側の問題提起の仕方には応じられない、日本訪問がむだ足になるのでは意味がないという報道がありました。
 その真偽についてはいろいろあるかと思いますが、総理がこの訪日延期につきましていろいろと電話でエリツィン大統領とやりとりをされた。その中には、ロシアの国内事情によるものだ、訪日を延期させてほしいというものがあったように聞いております。また、それ以外に、九月から十二月にかけてロシアの内政にとって重要な時期になる、この時期にロシアを離れることは大変難しいということも聞いておるわけであります。
 しかし、この九月から十二月は大変難しいと言っておきながら、十一月には韓国に行かれた。そして十二月には中国に行かれた。主権国家日本、その国民の一人として、大変名誉を傷つけられた話ではないかというふうに私は思うわけであります。
 このロシアの姿勢について、私はやはり再度明確な説明、さらには謝罪を日本政府として求めるべきではないかと思うのですけれども、政府としてはどのような対応をとってこられたのか、まずお聞かせ願いたいと思います。
#232
○野村(一)政府委員 先生御指摘のとおり、昨年九月のエリツィン大統領訪日の延期、それをめぐる事情というのを、私ども政府としても極めて遺憾な事態というふうに受けとめておるわけでございます。
 なおその後、極めて遺憾な事態ではありますけれども、ロシアとの関係につきましてこれ以上悪い影響を及ぼさないということ、さらには日ロ間の対話と関係改善の努力の必要性、そういった点につきましては、去年の九月の国連総会の際に日本とロシアの外務大臣会談が開かれまして、ここはきちんと認識が一致したところでございます。その後、ことしの一月にはパリで日ロ外相会談が再び行われまして、大統領訪日の準備を真剣に進めたいというふうにコスイレフ外務大臣も言っております。
 私どもそういうことを額面どおり受けとめまして、やはり基本的にはエリツィン大統領の訪日が早期に実現するということが両国間の関係に弾みをつけるために有益だということでございます。
 基本的に、今申しましたような考え方で対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#233
○柳田分科員 今後のことを考えるとそういうふうな話し合いになるかと思いますけれども、しかし間違いは間違いだと。日本人はよくなあなあ主義と言われまして、言葉に出さずに気持ちで話をするというのがありますけれども、ただし外国はそうじゃない、言葉に出して理解をするんだというふうに私は聞いておるのです。間違ったことは間違いだ、なぜこういうことになったのか、やはりちゃんとしたものがなければ次に進めないのではないかと思うのです。私は、今の答弁、若干満足いかないなという気がするのですけれども、いかがでしょうか。
#234
○河野国務大臣 エリツィン訪日延期につきましては、委員もお気づきだと思いますが、その後官房長官の記者会見におきまして、甚だ遺憾であるという旨、政府の態度を表明いたしております。さらに渡辺外務大臣も、この訪日延期が極めて遺憾だということを外務大臣として発言しておられます。これらはいずれも、委員おっしゃるように予定を直前になって変更したということに対して極めて遺憾ということで遺憾の意を表明いたしておるところでございます。
 しかし、その遺憾の意を表明すると同時に、私どもは、これが、先方の説明どおり国内事情によって来れなくなったということであるとするならば、これは感情的に過剰な行動をとることもまたいかがなものかというふうにも実は考えたわけでございまして、訪日を延期されたということについては遺憾の意をきちっと表明すると同時に、今後の日ロ関係は今後の日ロ関係として、やはりそれはそれとして冷静な対応もまた一方で必要ではないかというふうに考えているところでございます。
#235
○柳田分科員 不信感が残るんですよね。
 私は昨年、PKOの調査団、衆議院で派遣させてもらったときに加わらせていただきましてドイツ、スウェーデンヘ行ってまいりました。PKOの話もいろいろしましたけれども、それ以外にまたロシアの問題についても意見交換をさせていただいたのですが、いろいろなお話が出たのも事実でありました。ヨーロッパの抱えておる問題というのもいろいろと聞かせていただきました。
 ドイツに行ったときは、ドイツ自体大変苦しんだけれども、せざるを得ないんだ。要するに、以前はロシアの軍事に対して大変脅威だったけれども、今はそうじゃなくて難民なんだ、来てもらったらヨーロッパの経済は破綻する、だから何としても経済支援をしてロシア自体が自分の国で経済復興を遂げて難民を出さないようにするのが最善の策だというお話もありました。
 ミュンヘン・サミットのときに二百四十億ドルの資金協力が実現をいたしました。いろいろと支援をされておるわけでありますけれども、この資金協力の前提条件というのがあったと思うのです。前提条件としてロシア自身が経済改革していく、そういう話があったのですけれども、いろいろ報道を見ておりますと、これも大分行き詰まってきたのではないかな。人道的な支援は別にしまして、二百四十億ドルの資金協力、それが約束として取りつけられたのに自分たちの仕事はしない、こういうふうなことでは要するにさらに僕は不信感がだんだん大きくなってくるなと思います。
 こういう状態の中で、この二百四十億ドル、日本にも大分来るんでしょうけれども、この計画を実施すべきなんだろうか。要するに、日本にも来られなかった、その理由が何ともあやふやだ。そして一生懸命しようと言ったのに自分たちは努力をしない。この計画、二百四十億ドルの資金協力、本当に実施すべきかな、正直言って疑問に思っているんですけれども、いかがでしょうか。
#236
○野村(一)政府委員 先生御指摘の点というのは、まさにロシアの現在の内政そのものとも言える点だろうかと思います。
 御案内のとおりエリツィン大統領はロシアの改革路線を全力を挙げて推進しようということで努力しておるわけでございますけれども、何分これも新聞等でよく報じられておりますように、最高会議と申しますが、国会におきましてそれに対する非常に厳しい批判がなされ、それがまさに改革路線を先に進めようというのに対して、いやそういうスピードではぐあいが悪い、まさにそういう葛藤の中でロシアの国内政治が進められておるということでございます。
 ただ、私は、基本的には、今申しましたようなロシアのそういった国内の動向をよく注目しながらも、やはりロシアの内政、経済、外交のすべてにわたる改革というのが引き続き推進されるように国際社会としましてはこれを支援するというのが一致した見解であろうというふうに認識しておるわけでございまして、何分この二百四十億ドルの点につきましても、基本的にはIMFの求めておりますいわゆるコンディショナリティーをめぐる点につきまして、どうしても一致点が見られない。したがって、マルチの支援という側面は順調に行っていない、それは先生御指摘のとおりでございますけれども、やはり基本的にはエリツィン大統領を中心とする改革路線を支援していく、そういうことが今国際社会でとられている基本的なスタンスであろうというふうに考える次第でございます。
#237
○柳田分科員 今のお答え、それなりに理解はできるんですけれども、協力をします、しかし御本人は何もされない、こういう状況でさらなる支援をしていいものかな、またこれも不信感の方にも傾くんですよ。
 もう一つですけれども、報道を見ますと、都市部に食糧がないないというお話もよく聞くんですが、ロシアに行かれた方に聞きますと、あるところにはあるんだ、食べ物はたくさんありますよ、ただ都市部にないだけです、何が悪いのかというと流通が悪い、こういう問題もある。混乱しているというのはよくわかるんですけれども、なぜ自分たちの努力をさらにしないのかという気が大変いたしております。
 政府としてもこの食糧事情については認識されていると思うのですけれども、どれぐらい認識されているのか、お答えできる範疇でお願いいたします。
#238
○野村(一)政府委員 確かに食糧事情ということを考えますと、まず例えば穀物生産というのを一つとってみますと、ことしの穀物生産量はネットで約一億トンということでございまして、実は昨年よりもふえておるというのが実態というふうに理解しております。
 それでは、なぜその供給が不足しているのかということでございますけれども、今御指摘のような流通システムが円滑に働いていないという事情も確かにあろうかと思います。特に食糧の自給率の低い地域と思われますシベリアあるいは極東地域あるいはモスクワとかの大きな都市におきましてこういった供給不足というのがより強く感じられているということであろうかと思います。
 特に年金生活者といった、何と申しますか社会的ないわゆる弱者層と言われる方にそういった食糧の供給がうまいぐあいに回っておらないという点につきまして深刻な影響が及んでいる、そういうふうな事情があろうかというふうに理解しておる次第でございます。
#239
○柳田分科員 食糧はあるんだ、しかし一部では、ないない。これだって自分の国で努力すればそれなりのいい傾向にはなるはずなんですけれども、まだ手がつかない。政治が混乱しているからだ、一言で言ってしまえばそうなるのでしょうけれども、これすらも本当にソ連を信じていいのかなという気にもなるのです。
 余りにも悪い例ばかりたくさん挙げたわけでありますが、きょう新聞を見ておりましたらシベリア抑留者の裁判の結果も出たようであります。抑留された方々、御家族の方々、大変多いわけですけれども、この方々に話を聞きますと、大変な不信感を、こういう場で話ができないようを言葉を聞くこともあるわけであります。
 そういう中にありまして、七月に東京サミットがある。議長国は日本で、議長は宮澤総理だ。先日、ドイツのコール首相が参られまして宮澤総理と会見した折に、エリツィン大統領のサミット出席を話し合われたという報道もありました。まず、政府としてエリツィン大統領の招請を決めたのか、お尋ねしたいと思います。
#240
○河野国務大臣 結論から申し上げますが、まだ決めておりません。もちろん、今委員御指摘のように、この夏の東京サミットは日本が議長国でございますから宮澤総理が議長を務めるわけでございますが、このサミットの運営は、御案内のとおりサミットのメンバーがみんなで相談をして決めるわけでございまして、日本一国の判断で決めることではございません。したがいまして、サミットのメンバーの国々の御意思を確認する、あるいは考え方の合意を得る、そういう作業が必要でございますが、何せアメリカが新政権の誕生という、全く新しいメンバーで政権をつくるという状況でございましたので、なかなか御相談を申し上げるという状況にならなかったわけでございます。もちろん、今は体制も整っておられるわけですが、準備が若干おくれていることも事実でございまして、きょう現在エリツィン・ロシア大統領のサミットへの招請問題については結論が出ておりません。
#241
○柳田分科員 北方領土の進展もほとんど見られていない現状だ。そういう中にあって、多分日本に来られて、サミットの舞台へ出るかどうかは別としまして、また経済支援の問題が議論になりかねないのではないかという気もしておるのであります。先ほど言った不信感、日本から見ると北方領土の問題、これらもろもろを含めますと、来られても日本にとって意味があるのかな、そういう疑念が大変強いのですけれども、政府としては、何か意味があるのかお考えになっていることがありますでしょうか。
#242
○河野国務大臣 今委員が御指摘になりましたことは、サミットへの出席を頭に描いておっしゃっておられるのかあるいは全く別の場面、つまり日ロ二国間の問題としてお考えになっているのか定かでございませんのでちょっとお答えが的確でないかもしれませんが、もしサミットの場にエリツィン大統領を招くという場合を想定するといたしますと、これはただ単に日ロ二国間だけの問題で意味があるかないかという議論はそれだけでは判断できないのではないかというふうに思います。
 また、もしそうではなくて日ロ二国間の問題として、別の次元といいますか、別の場面、別の時期にお招きをすることがいいかどうかという御議論でございましたならば、それは何といっても日ロ関係を前進させるといいますか、今日のような停滞した状況を動かす、進める、そういうときには何かのアクションが必要であろうというふうに私は思いますから、大統領の来日がそれであるかどうかは別として、何らかの形で日ロ間の動きをつくり出すことは必要ではないか。これは外務大臣の会談も一つの方法だと思いますが、いずれにせよ日ロ間の何がしかの動きは、この停滞した両国関係係の中でないよりはあった方がいいというふうに一般論としては考えられます。しかし、これは具体的な場面を想定して申し上げていることではございませんし、そういう状況が現在あるということでもございません。
#243
○柳田分科員 気持ちとして大変よくわかるのです。ただ、厳しい姿勢をとるときがあってもいいのではないか、それが今だろうと私は思うのです。日本人は大変心の優しい人が多いので、そういうことは理解をして寛大に措置をしようとする面が見られるのですけれども、やるときはぴしっと厳しくやる、その姿勢を示していただければなというふうに思います。大臣、御所見がございましたらお願いいたします。
#244
○河野国務大臣 委員からそういう御発言がございましたが、昨年の訪日延期以後、大変厳しい御意見が寄せられていることは事実でございます。また、新聞等の世論調査などを見ましても、決して好ましいと思っておられる方はいないわけでございまして、日本の世論の対日観というものは大変厳しい結果が出ているということを私どもは承知をいたしております。
#245
○柳田分科員 時間が余りありませんので次の話題に移らせていただきますけれども、中国の軍事力増強の問題でございます。
 最近中国では、一九九二年二月の領海法制定、南シナ海の南沙群島ダラク礁武力占領(七月)、トンキン湾での石油探査(九月)などといろいろと象徴される出来事があるわけでありますが、その根底に軍事力増強があるというふうに私たちは見ております。特に、海軍力は大変びっくりするような強化があるわけでありますが、この中国の軍事力増強について政府はどう認識されておるのか、そのことについてどういう姿勢で臨もうとしていらっしゃるのか、お答えを願いたいと思います。
#246
○池田政府委員 最近になりまして中国が軍事拡張を進めているのではないか、あるいは特に海軍力を増強しつつあるのではないかという御指摘がございました。そういった見方が最近ふえていることは私どもも十分に承知いたしておりまして、この問題につきましては、今後とも注意深く、かつ冷静に動向を見守っていきたいと考えているわけでございます。
 もともと中国は、七〇年代後半から四つの近代化の一つとして国防の近代化を進めてきたわけでございまして、国防の近代化そのものは恐らく中国に限らずほかの国もやっておりますから、これのみが中国の特異な現象と言うことはできないと思います。しかしながら、中国が最近海軍力の面においてこれまで以上に力を入れているのではないかという御指摘につきましては、私ども注意深く見ていきたいと考えております。
 ちなみに、中国の国防予算について申しますと、公表されているものにつきましては、人民元のベースでは確かにふえております。しかしながら、ドルベースに換算いたしますと八〇年代初頭から減少しているということが言えます。もちろん、これは国防予算等、例えばインフレの率であるとかいろいろなことを考慮しなければなりませんので一概に申し上げるわけでございませんが、私どもが受けております感じは、中国の国防予算全体としては必ずしも八〇年代初頭と大きな変動があるということではないというように見ているわけでございます。
#247
○柳田分科員 漏れ伝わるところによりますと、空母まで購入するという話まで我々は聞くのですけれども、そういう細かい点まで把握はできているのでしょうか。
#248
○池田政府委員 私どもも中国の軍近代化の面については注意深くフォローしておりまして、幾つかの情報というものも子細にフォローいたしております。ただいまの空母購入の話については、最終的に中国がどういうように決定するのかわかりませんけれども、今までのところ、我々の得ている情報ではそういうことはないということを中国は公表しております。
#249
○柳田分科員 最近ロシアが武器をほかの国に売っている、中国も買っている、その中国に対しても相当の経済支援を日本はやっている、何か不思議な話なんですよね。日本は武器を出さない、しかしお金を出す、出した国が武器の売買をやっている、何と不思議な話だろうかという気がするのです。
 さらに、もう一つ不思議なことは、イランという国もありますね。これもロシアから武器を買っている。それで、このイランに対しては、ODA予算を初めとして大変厳しい姿勢を日本はとっていますね。中国とイランを比べたときに一体どこが違うんだ。余り違わないのに何で中国には手厚くやってイランにはこんなに厳しいのか、これでは筋も通らない話だなという気がしてならないのですけれども、この外交の一貫性、さらには中国に対して甘いのではないかという姿勢が見られるのですが、いかがでしょうか。
#250
○川上政府委員 中国に対する経済支援、御指摘の点につきましては、基本的に先生御案内のとおり、経済社会開発、福祉の向上ということを目的として特定の開発事業計画を中心に供与するものでありますから、それ自体直接軍事力の増強ということにはつながらないだろうという点は一つあるわけでございますが、もう一つ大事なことは、日本政府といたしましてはODAの大綱というものを昨年六月に閣議決定いたしまして、それに基づきまして援助の供与というものをやっているわけでございますが、その中に、国際の平和と安定を維持強化し、また、途上国における開発への資源の適性かつ優先的な配分を実現する、そういった観点から軍事支出の動向、武器輸出入等の動向に今後十分注意してまいりたいという政策を基本姿勢として打ち出しております。
 ただ、援助は、御案内のとおり、当然のことながら今のような軍事費等々につきましても、それぞれの安全保障環境というものが違うわけでございますし、それから、援助自体が二国間関係の総合というもので諸般の事情を考慮しながら援助政策を決定するというところがございますので、そういう全体の大枠の中で一つ一つの国に対してどういう政策をやっていくのかそれがダブルスタンダードにできるだけならないようにきちんとやっていくという基本姿勢で慎重にやってまいりたいということでございます。
#251
○柳田分科員 最近、軍縮軍縮と、世界が平和になってきたという話がよくあります。しかし日本の周りを考えたら、果たして以前より安定したのだろうか、ちょっと話がわきにそれますけれども、私は逆に不安定要因がふえつつあるのではないかなという気がするのです。だから日本の防衛のためにはさらに金を使うべきじゃないかというふうにも思ってもいたりするのですけれども、日本の周りの国々の動きについては注意深く見ていただいて、それなりの的確な対応をしていただければと思います。
 もう時間がなくて、最後になるのですけれども、先日総理がアジアの各国を図られまして、APEC、この活動もさらにやっていこうというふうなお話もありましたけれども、こういうふうに、少しずつですけれども、各国の軍事力を見ていますと不安定要因もふえてきている気もしないでもないので、ヨーロッパにはCSCE、各国集まっていろいろ協議する場もある、こういう面もできればAPECに入れたらどうか。というのは、新しくつくろうとするとまた大変な時間もかかりますから、それよりは既存のAPECにこういう面の話し合い、協議をする場を持ったらどうかということを日本が中心になって働きかけるのもいいかと思うのですが、お答えを手短にお願いいたします。
#252
○池田政府委員 APECにつきましては、もともとが経済協力を中心に行っていく場であるということでっくられたものでございますけれども、ただいま先生が御指摘になられましたように、APECを将来どういう方向に持っていくのかということにつきましては、今後関係各国が集まって議論すべきことだというように考えております。私どもも、遠い将来はこの会議の枠組みが政治対話のための枠組みともなり得るのではないかと考えているわけです。
 しかしながら、当面のところ、先ほど御指摘になられましたような政治対話を行う場としてはASEANに外相会議という場がありまして、そのときにいつも同時に域外のメンバー国を招待しておりまして、これを拡大外相会議と呼んでおりますが、この拡大外相会議というのがアジア・太平洋の全域の問題について政治的あるいは軍事的な問題も含めまして議論する非常にいい場になっていると思いますので、とりあえずのところはこの場を使って政治対話を進めていきたいというように考えております。
#253
○柳田分科員 どうもありがとうございました。
#254
○越智主査 これにて柳田稔君の質疑は終了いたしました。
 次に、渋谷修君。
#255
○渋谷分科員 私の方からは、大変地味な問題ではあるのですが実は大変重要な課題でございまして、国会に初めて当選させていただいて、たまたま国際的な事件が相次ぎましたので、中東諸国に行きましたり、あるいはヨーロッパにも飛んでいきましたり、つい最近はアメリカのクリントン大統領の就任式にも勝手に出てまいりました。また、アメリカの政治家やあるいは普通の市民との交流などもしてまいりました。本当は国連問題その他をいろいろやりたいところなんですが、そういう話は多分専門の方々がやられるだろうということで、余り議論がされないのではないかという部分について伺います。
 たまたま日本で有名な、伝統的なといいますか、ある琴の演奏者と会う機会がありまして、日本の文化交流ということにつきましてもう少し政府が力を注いてほしいという話がございました。東南アジアの国々も、去年の十月くらいにタイ、ラオス、ベトナムと回ってきたりしましたけれども、他の国の人々といろいろ話をするときに、政治家同士の話というのはどうしても目的がはっきりしていますから利害がぎすぎすしたりするわけですけれども、お互いの多様な文化といいますか、文化の交流というのが背景にありますと本当に血の流れた人間の顔というものがお互いに理解できまして、その意味では議論も随分スムーズにいく場合があるのですね。
 私は、その方の話も聞いて、これは文化交流というのをもっと積極的に日本が推し進めるべきだろうというぐあいに考えまして、いろいろと外務省の方からこの問題についての取り組みの状況を知らせていただきました。平成五年の予算で、外務省としての文化交流についての基本的な考え方についてまずお知らせをいただきたいのです。
#256
○木村(崇)政府委員 御質問の平成五年度の文化交流という点につきましては、外務省といたしましては、各国との文化交流の重点として、日本語の普及、日本研究の振興、日本文化、芸術の紹介、知的交流、草の根交流、それから途上国に対する文化遺産保存等広い意味の協力を行っておりますけれども、平成五年度におきましては、このような重点事項の中で、特に旧ソ連の崩壊と欧州統合への動き等を踏まえまして、欧州各国との知的交流の推進、それから途上国の有形及び無形の文化遺産保存への文化協力ということにさらに重点を置いて推進していきたいというふうに考えております。
 私どもといたしましては、平成五年度予算政府原案において、このような重点事項を推進するために必要な予算経費をお願いしているところでございます。
#257
○渋谷分科員 そういう幾つかの項目に分けまして取り組んでいるということは承知をしているわけでございますけれども、あれもこれも総花ということではなくて、とりわけ平成五年度においては重点的に、特徴的にこの部分について一生懸命取り組もうというような計画の立て方はあるのですか。
#258
○木村(崇)政府委員 先ほどお話申しましたとおり、私どもとしては特に欧州との知的交流の推進、これは特に旧ソ連の崩壊を踏まえまして、また欧州統合の動きを踏まえまして、それが一つの重点でございます。また、途上国への文化遺産保存への協力ということをもう一つの重点に置いております。もちろん他の分野についても重要でございますので、それなりの配慮及び予算をお願いしておりますけれども、私どもとして特に今回さらに予算の拡大をお願いしたのはこの二点でございます。
#259
○渋谷分科員 もちろんそれぞれすべて大事な部分なのですけれども、先ほど来申し上げている点でいいますと、多様な人の交流、それから日本の文化といいましても非常に多様ですよね、各地域に例えば郷土文化的なものもありますし。そういうものをたくさんやはり知らせることによりまして、一面経済アニマル的な、つい経済のことだけでは大デレゲーションで行く、そういう日本に対する理解がこの文化交流によって随分違ってくると思うのですね。
 したがって、そういったところにもっと重点を置くべきだというぐあいに私は実は考えているのですが、特にこの人物交流、さらに展示とか公演とか日本の生きた文化が本当によく相手に伝わるようなもの、これは例えばイギリスに比較して、イギリスがやっております同じような事業、日本とイギリスの数字を述べていただきまして、この文化交流について総額も比較していただけますか。
#260
○木村(崇)政府委員 先生のおっしゃるように、日本の対外関係ということにおいて文化というものが非常に弱いということであってはならないわけでございまして、いわばバランスのとれた日本ということを各国に理解してもらうということが非常に重要なわけでございます。
 私どもといたしましては、このたびの予算政府原案におきまして文化関係の予算の大幅増加を計上しておるところでございますけれども、先生の御指摘の日本の現在の数字とイギリスの数字と比べますと、これは英国ではブリティッシュカウンシル、それから日本は国際交流基金の予算を比べますと、英国の場合には九百四十七億、日本の場合には百九十二億という状況になっております。
#261
○渋谷分科員 大臣が今お休みだということで、官房長官、この今の数字をお聞きになりまして、イギリスと日本と比べて、経済的な状況といったら日本の方がずっと大きいんでしょう。どうしてこんな差があるのでしょうか。歴史的な背景だとかももちろんあろうかと思いますが、その原因についてわかりやすく説明していただけますか。
#262
○河野国務大臣 ちょっと話が長くなって恐縮でございますが、前段のことを少し申し上げたいと思います。
 先般ドイツのコール首相が日本に見えまして、首脳会談が行われました。その際にコール首相から特にお話があったのは、文化交流についてでございます。私ども、日独関係というのは経済問題を中心に、あるいは政治問題を大事に話し合われるものと思っておりました。もちろんそういうことも多うございましたけれども、特にコール首相からは日独間の文化交流というものの重要性を指摘されまして、これから文化交流を大いにやろうじゃないか、こういう御指摘がございました。
 考えてみますと日本とドイツは、文学でございますとか音楽でございますとか、もちろん医学もそうでございますけれども、そうした交流が昔から大変ございました。そうした文学や音楽を通じて日独両国国民の心の交流といいますか、相互理解というものは大変深まっていたと思います。それが昨今、そうしたものが少し片隅に押しやられて、経済的な関係ばかりが非常に大きくなったということは、コール首相をして、やはりこれは少し問題ではないか、日独両国がこれからお互いにもっと連携を深めて、相互理解を深めて国際社会が持つ共通の問題に積極的に取り組もうと思えば、文化交流というものから思い切って組み直していくというぐらいの気持ちが必要なのではないかということをお考えになったのだろうと、私はお話を横で聞いておりまして感じた次第でございます。渋谷議員がそうした点に着目をされて文化交流の問題を論ぜられることを、大変な御見識と感じて私は伺っておりました。
 そこで、日本とイギリスの問題でございますが、額を比較するということは、まことに私どもは、余り大きい声で言えないところがございますが、まず一つお考えをいただきたいと思いますことは、文化交流の大事なことは、余り政府が型にはまったやり方をするよりも、むしろブリティッシュカウンシル、それから日本も国際交流基金、そうしたやや官を離れた部分で文化交流というものはもっと生き生きとしてほしいという気持ちが一つございます。そういう点につきましては、イギリスの長い歴史、伝統、ブリティッシュカウンシルの長い活動というものを我々は大変うらやましく見ることができるわけでございます。金額の差が余りに大きいということを御指摘でございますけれども、一つは今申し上げましたような文化交流に対する価値をどれだけ多く見ているかというバックグラウンドがあると思います。それからもう一つは、文化そのものに対する評価の問題もあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、日本の国のように、イギリスのようにヨーロッパの中にあっての文化交流よりははるかに日本が行う文化交流は実際はお金もかかる、つまり旅費その他を考えますと大変資金量も多くなるということがあるはずなのに、なかなかそこにお金が積み増していけないということを私は大変残念に思っております。しかし、我々もまたこのことの重要性という問題意識だけは持っておるつもりでございますから、先生初め皆様方の御支援もいただいて、この予算をさらに積み増していきたいと考えております。
#263
○渋谷分科員 トータルの数字もそうなんですけれども、一番大事だと思われる人と人との、フェース・ツー・フェースという話し合い、私自身も行ってみてそう思いますし、ラオスでやはり伝統的な向こうの文化などに触れますと、確かに国は貧しいけれどもすばらしいなと思うわけですね。このことは大事なことですよね。
 ですから、そういう意味でいうと、今のこの人物交流など数字で単純に比較するのはどうかということは私自身もそう思いますが、イギリスと日本との人物交流の金額をもう一度、答弁資料に残しておきたいものですから、そこの部分だけ取り上げてお願いします。――ありませんか。じゃ、後で探しておいてもらって、また後で答えてもらうことに……。私、この前いただいたのに、この資料。
#264
○木村(崇)政府委員 一言だけお許しをいただければ、先ほどのイギリスとの比較でございますけれども、ブリティッシュカウンシルと国際交流基金とは必ずしも全部同じ部面をカバーしているわけでございませんので、そういう意味で、先生のおっしゃったとおり単純な比較ということはできません。ただ、私どもとしては、やはり国際交流基金を通じる文化交流をさらに拡大したいということは、先生のおっしゃるとおりでございます。
#265
○渋谷分科員 私がそちらからいただいた資料が間違いなければ、一九九〇年ですね、単位は百万ですから、これはイギリスが、人物交流のところに絞っていきますと、先ほどトータルで九百四十七億と言いましたが、人物交流の部分でいいますと四百二十一億をかけているんですね。それに比較して日本は十八億七千五百万ということですから、私はこの数字は、単純な比較の問題というのはもちろんありますけれども、日本という国は、政治家も含めて、外に行きますと売らんかなの姿勢だけで、やはりその文化という問題については、外務省も含めてそういう、今大体答弁資料を事前に打ち合わせしていながら、なかなか出てきませんでしょう。やはり僕は、評価が非常に低いのではないか、この問題についての取り組み方の姿勢が非常に弱いのではないかということをどうしても感ぜざるを得ないのです。
 そのことの指摘ばかりしていてもしようがありませんから、後でまた具体的な提案を申し上げたいと思いますけれども、外務省のバックアップで海外に公演に行きました方からの話でも、例えば楽器を持っていく、楽器をくるむいろいろなものだとか、もちろん旅費からその他から要って、その他いろいろなことをやりたいのだけれども、予算が非常に限られて、そういう意味での十分な準備がまず一つはできないというようなことの指摘であるとか、あるいは平成四年度の公演事業の部分を見ましても、確かに幾つかやっておりますが、余りにもちょっと少な過ぎますよね、これは。
 ですから、今私の手元にありますような、一々項目は申し上げませんけれども、こういう例えば文化交流の部分でいいますと、これらは、これは公演事業の部分ですが、こういうリストアップというのはどういう基準で行われるのでしょうか。
#266
○木村(崇)政府委員 先生のおっしゃるのが、いわば政府の国際交流基金を通ずるその他の文化交流でどういうものを行うかということでございますと、私ども、もちろん種類によってかなり基準というのは違うわけでございますけれども、先生のおっしゃったような、例えば公演、展示事業については、まず企画内容が非常に優良なもの、それから多くの人に鑑賞されて対日理解促進に与える効果が高いもの、それから相手国との共同制作とか、相手国との交流が今後発展することが期待できるようなものというようなものがある程度優先的に配慮されるわけでございます。
#267
○渋谷分科員 私は、例えば歌舞伎だとか能だとかそういうものだけではないことは、もちろんこの資料を見ながらわかるのですけれども、日本の文化というのは非常に多様だということを他の国の人に理解してもらいたいのです。
 この中にも、私がこういうことも外に紹介しているのかというぐあいに思いましたのは、たまたまこの中に、これは平成元年度ですけれども、津軽合奏団中南米公演というのがありまして、合奏津軽曲、津軽じょんがらなどというのがありました。実は私の出身地でありまして、津軽じょんがらがこういう形でメキシコ、コロンビアその他の国々に紹介される。これはすばらしいことだなというぐあいに思います。しかし、何も津軽の文化だけじゃないんですね。いろいろな多様な文化を紹介することで、日本人の妙な売らんかなだけの姿勢ではない心の部分だとか、あるいはそういう意味では本当に日本の豊かさみたいなものが、先ほどラオスの例を出して大変失礼だったかもしれませんが、そういう豊かさということが伝わると思うのです。
 そういう意味でいいますと、国のレベルから画一的にこういうものを紹介しましょうというのは、実は私が基準を聞きましたのはそういう意図で聞いたのですが、そういう方法ではない方法をとるべき時代ではないのか。特に、地方の時代などというぐあいに言われておりますけれども、例えば各都道府県からその地域の代表的な郷土文化あるいは紹介できるようなものをリストアップを五つなら五つ全部させまして、それらをその中から例えばローテーションを組んで予算をつけて海外に紹介をする。例えば地方都市では姉妹都市をやっているところもあるでしょう。県によっては、県が最近はあちこちに例えば経済使節団を出すとかいうことがあるのですね。そういう場合に、やはり金がないからなかなか文化的な交流の部分までは連れていけないのですよ。
 そういうのをもっとやはり外務省は、この人物交流の部分あるいは展示、公演の部分の予算を拡充して、そういう地方自治体、地域自治体が取り組もうとすることについてバックアップするような、そうなると大分具体的でしょう。どういうものが紹介されるかということも、だんだんその中でわかってくるというぐあいに思うのですが、一つのアイデアとしてどんなふうに考えますか。
#268
○木村(崇)政府委員 先生御指摘のとおり、日本の理解ということ、日本の文化を理解してもらうということについては、いわば非常に広範囲なものを理解してもらう必要があるわけでございます。例えば、古い昔の文化だけではなくて、現代の日本を知ってもらうということも非常に重要でございますし、日本の最上級の、一級のものを理解してもらうと同時に、やはりそういう地方地方にある特色のあるもの、これも理解してもらう、これが重要なわけでございます。これは先生御指摘のとおりでございます。国際交流基金及び外務省といたしましては、そういう全体の考えの中で外務省がやるべきところということを考えております。
 ただ、地方の伝統文化等につきましても、先生御指摘の案件以外にも、例えば沖縄の古典舞踊の公演、淡路人形協会の欧州公演、「土佐和紙アメリカ展」「現代の京焼・清水焼パリ展」等々、いわばいろいろな地域のものを出しております。
 私どもとしては、国と地方自治体とその他民間の有志の方々と協力してやっていきたいと思いまして、一つのやり方といたしまして、日本祭、ジャパン・フェスティバルとかジャパン・ウイークとかいうようなものにおきまして、私どもが音頭をとらせていただきまして、国、地方自治体、それからボランティア団体を含めて、いろいろな活動を集めて、場合によると二十、三十を同じ時期に、バラエティーのある日本を示すということでやることによりまして、全体として相乗効果を高めるようにいたしております。
 先生御指摘のように、一つの県から幾つというふうにきっちりはできないとは思いますけれども、そういう方向で私どもは努力していきたいと思っておるわけでございます。
#269
○渋谷分科員 先ほど来のお話を申し上げまして、手元にこれは国際交流基金の支出予算の推移グラフというのがありまして、お手元にあろうと思うのですが、トータルとしては伸びは非常に伸びているというような説明をいただいておるのですね。ところが、この中でもやはり人物交流とか展示、公演というのはそんなに伸びは高くないのですね。先ほどのイギリスの例などの数字を見ますと、そこにやはり相当な金額をかけているということは、私はこれは一つの参考になると思うのですね。
 ですから、ここに、ODA予算でいえばもう一兆円を超しているのか超していないのか、最近の数字ちょっとわかりませんけれども、少なくともその規模に達している中でいえばもっと、これは何もこちらから出すだけの話じゃなくて、特に東南アジア諸国やあるいはそういう国々でいえば、文化交流といいましても、向こうの予算ではなかなか日本に来られないという方々を招聘したりするわけですから、そういう部分にもっとお金をこれはかけるべきではないかというぐあいに考えるのですが、そんな難しい話ではないと思いますので、官房長官のお話を伺っておきたいのです。
#270
○河野国務大臣 御指摘は全くそのとおりだと思います。問題は、金目の問題だけではなくて、そういう文化交流が大事だ、非常に重要だ、価値がある、そういうお互いの認識を高めるということが実は必要なんじゃないかと思います。
 委員御指摘のように、県あるいは市で国際的な姉妹都市などを結んで、積極的な国際交流をやっておられるところが最近は大変多いわけでございますが、そういうときには、スポーツ交流をやるか文化交流をやるか、いずれにしても人物交流ということになるケースが多いと思います。例えば高校生の交歓をするとか、あるいは婦人が行ってくるというようなケースもたくさんあるわけでございますが、そういうときに、その文化交流というものがどの程度のレベルで、そのプライオリティーがどのくらいになるかということになりますと、余り高くない場合が多いのですね。
 文化交流の重要性というものをお互いに認識し合って、それが非常に高いということであれば、私は、余り大げさな大会を開くとかなんとかということよりも、むしろ地方都市同士のささやかな文化交流というものがたくさんあるということも非常に意味があると思うのですね。ですから、国際交流基金も大いに頑張らなければならぬと思いますが、そうした価値を、認識をみんなで持ち合って、あらゆる分野あらゆるレベルで文化交流のために努力をするということもまたお願いしたいというふうに思います。
#271
○渋谷分科員 お話を伺っていまして、やはりこれは、決意一般げんこつだけで物が前へ進むわけじゃありませんから、かかわった人の話を聞きますと、予算が限られているために、もっといろいろな意味で交流をしたいんだけれどもそれができないという現状があるわけですね。ですから、今の大臣のお話もそうでありますけれども、人物交流あるいは展示その他の交流、向こうから人を呼ぶ場合のものも含めてですけれども、やはりこれはトータルとしての数字がどうしても少な過ぎますよ。こういう数字を、例えばイギリスとの比較というのはちょっと単純比較過ぎますけれども、より拡大するということで、外務省自身はこれまでどういう努力をされてきたのですか。毎年毎年大蔵省に対して相当厳しい要求をされているのかどうなのか。
 それからもう一つは、財政当局は、確かに財政状況が厳しいというのはよくわかりますけれども、ODA予算の中で考えた場合に、もっとこれに対しては、大蔵省自身がもう少しこの文化交流に対する理解というものを持ってやるということがなければいけないのではないか。双方ともそういう意味では意識が低いために、こういう数字にとどまっているのではないかというぐあいに考えるのですが、大蔵省もいらっしゃったら、両方の考え方を聞いておきたいと思います。
#272
○木村(崇)政府委員 先生御指摘の私どもの文化交流の予算拡大の努力でございますけれども、私どもとしては、先生御指摘のように、今後ともさらに努力したいとは思いますが、今までも拡大の努力を行っております。来年度の政府原案におきましても、国際交流基金への補助金は二二・七%増をお願いいたしております。また、文化交流部の予算全体として一六・〇%の拡大をお願いしております。これは政府全体の伸び及び外務省全体の伸びよりもはるかに高い数字でございまして、先生、皆様方の御支援を得て努力していきたいと思っております。
#273
○志賀説明員 文化交流の重要性に関する認識につきまして、御指摘はまことにそのとおりだと考えておりまして、今文化部長から御説明申し上げましたとおり、平成五年度の予算においても、いわば厳しい財政事情の中ではありますが、破格という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれどもそういう配慮をしている、そういう所存でございます。
#274
○渋谷分科員 両方から答弁いただきましたけれども、こんなことをひとつきっかけにしていただいて、もう少し活発な文化交流ができるように、そして、私どもが外に行きましていろいろな話をしましても、もちろん厳しいやりとりをする場合もありますけれども、そういう話題が出てきて和やかな雰囲気になって、それでお互いの理解というものがまず前提にあって、それから議論ができれば、随分発展するのではないかというぐあいに私は思うのです。
 もう一度伺っておきますが、国際交流基金法があってこれをベースにして今やっているということなんですけれども、どうもこの法律の基本、ベースでやっているからこの金額がなかなか伸びないのではないか。やはり改めてこれは文化交流を推進するための新たな法制というのを準備する必要があるのではないか、そうしないとこの金額がさらに拡大するということにならないのではないか。
 先ほど言いました地方都市やそういったものの、例えばきめ細かなリストアップ、優先順位をつけて、ローテーションを組んで、そして文化交流をする、向こうからも招聘をするというようなことは、この基本法、国際交流基金の法律の中にはそこまでのきめ細かなものはなかなか出てきませんね。ですから、今の時代に合った形で文化交流をより強力に推進するとすれば、そういう新しい法制度を考えるというようなときに来ているのではないかというぐあいに思うのですが、これは大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#275
○木村(崇)政府委員 国際交流基金法といいますのは、私どもとしては全体の枠組みとしてできていると思いますので、確かに詳細については触れてございませんけれども、これはイギリスのブリティッシュカウンシル、それからドイツのゲーテ・インスティチュート等と同じように、私どもとしては、国際交流の中核的組織として組織的にはでき上がっていると思います。問題は、それをさらに拡大させ、努力を続けるということだと思いますので、先生のおっしゃる中心的趣旨は全くおっしゃるとおりでございますが、組織として新たなものをつくるとか法律を新たにするということではなくて、むしろこのでき上がっております枠組みの中でさらに努力を続けていきたいと思い、先生の御叱正をいただきたいと思っております。
#276
○河野国務大臣 大変貴重な御意見を多々ちょうだいいたしまして、厚くお礼を申し上げます。事務的には事務方が今申し上げたとおりでございますが、文化交流の意味の重要性というものをよく受けとめまして、努力をいたしたいと思います。
#277
○渋谷分科員 大変地味な話ですが、大事なことだと思ってあえて貴重な時間をとらせていただきました。ぜひこれからこの文化交流について、より拡充強化されますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#278
○越智主査 これにて渋谷修君の質疑は終了いたしました。
 次に、古堅実吉君。
#279
○古堅分科員 最初に、国際情勢と関連した日米安保条約、米軍基地問題について伺います。
 ソ連が崩壊し、その脅威云々の口実が使えなくなった中で、政府は、冷戦後と申しても国際社会は不安定要因を包含しておりとして、日米安保条約の堅持、基地強化を強調しています。国際社会の不安定要因を理由に基地強化を容認しようとする政府の態度は、これまでのソ連脅威論と同じく、国民を欺く口実であり、国民の平和への願いへの重大な挑戦だと考えます。
 軍事ブロック解体、軍事力削減こそ世界の流れです。安保条約廃棄、米軍基地撤去こそ日本が真剣に努力すべき方向ではないか、こう考えます。まず、基本点について伺いたい。
#280
○河野国務大臣 軍縮は、我々にとっても極めて重要な目標でございます。しかし、その前提は我が国の安全そしてアジア・太平洋地域の安定、そういったものがあるということは当然のことだろうと思います。
#281
○古堅分科員 まともにお答えいただけませんが、防衛白書で一九八四年と一九九二年の極東ソ連軍を対比してみると、地上軍は四十一個師団三十七万人から三十六個師団三十二万人へ、海上兵力では、水上艦艇九十隻から七十隻へ、潜水艦百四十隻から九十隻へ、航空戦力では二千二百機から千八百六十機へと削減されています。
 ところが、在日米軍は、体制、機能、そのすべてにわたって、削減の方向どころか、逆に強化されています。例えば横須賀基地では、十隻の米艦船の母港だったのが十一隻の母港となり、あの巨大空母インディペンデンスの配備さえなされました。佐世保基地も五隻から六隻の母港となり、佐世保−沖縄本島間の光ファイバー海底ケーブルも完成しています。三沢基地は、フィリピンから撤収したP3C対潜哨戒機の地上支援要員が移駐してきておりますが、これはかつての在比米軍基地の機能も在日米軍に受け持たせる、そういうことになったことを意味します。
 基地面積をとってみましても、共同使用を含めれば、十年前の百五十六施設、約六十万平方メートルから現在百八十一施設、約百二万平方メートルにもなっているではありませんか。世界で唯一、在日米軍基地だけがこのように強化されておるのです。不安定要因という口実でこんな時代錯誤の方向が許されていいのでしょうか。
#282
○佐藤(行)政府委員 いろいろ御指摘がございましたけれども、今の米軍基地の問題でございますが、先生は米軍基地の数、面積がふえているということをおっしゃいましたけれども、我々はそのようには認識いたしておりません。
 先生御承知のとおり、今基地の整理統合というのは、特に沖縄の見地から見ますとおくれていることは私も認めますけれども、整理統合ということが我々の一つの目標でありまして、その点に努力していることだけは申し上げておきたいと思います。
#283
○古堅分科員 政府が発表している数字さえもう否定する、これは言語道断の話です
 沖縄米軍基地の再編強化も露骨なものがありますよ。嘉手納基地には、在比米軍基地所属だった第三五三特殊作戦航空団、第六〇三軍事空輸支援群が一時的移駐と称していまだに居座っています。嘉手納基地では基地渉外部が、第一八航空団は、戦闘機、空中警戒管制機、空中給油機の組み合わせが成り、一度飛び立てはそのまま作戦に従事できるように強化されたというふうに述べていますように、従来別系統のものであった空中警戒管制機部隊、空中給油機部隊が、F15戦闘機の部隊である第一八航空団に一本化されたのです。
 嘉手納基地の再編強化によって、F15は空中給油機の支援を受けてシンガポールまで遠征飛行の訓練を行っています。さらに、軍事支援群の強化で、嘉手納基地がクラーク基地にかわってインド洋、東南アジア方面への軍事空輸の拠点となってきていることも明らかです。まさに安保の枠さえ無視した米軍の勝手な基地使用と言っても過言ではない。それでも政府は結構だというのですか。
#284
○佐藤(行)政府委員 先生御承知のとおり、特に一九九〇年以来、米軍がアジア・太平洋地域におきましても合理化をし、数の上での削減を図っていることは事実でございます。三段階に分かれた計画の中で、九一年、九二年の第一段階、そしてことしから入る第二段階というふうに順を追って米軍の数の上での削減が行われております。その中で機能の統合と合理化ということも図られております。
 もちろん兵器体系が進んでいるところでございますので、即応態勢の強化とか兵器体系の面での近代化ということは行われておりますが、在日米軍にとってみますと、例えば過去二年間で四千七百名の兵力の削減が行われ、また今御指摘になりました空軍につきましても、これからの合理化の結果七百名ぐらいの兵員面での削減が行われるという見通しが出ておりまして、そういう意味で確かにその統合あるいは合理化ということは行われておりますが、それがそれだけで済むものではなくて、結果的な兵力の削減ということも伴っているというふうに私は理解しております。
#285
○古堅分科員 一路強化の方向が正しいとかそうなくちゃいかぬと、さすがにそういう方向での主張まではできないようです。
 沖縄の米海兵隊の再編強化も、御存じのとおり大変なものですよ。在沖米海兵隊は、昨年九月、第三海兵遠征軍のもとに第三六海兵遠征隊の常駐司令部を創設しました。ベローウッドの乗艦部隊と言われる第二六二中型ヘリ中隊がハワイから普天間飛行場基地に常駐配備されています。さらには、低強度紛争に対応する特殊部隊第三監視偵察諜報部隊が新設され、キャンプ・ハンセンに駐屯しています。海兵隊の上陸演習バリアント・アッシャーが昨年沖縄で六年ぶりに再開されました。さらに、佐世保、沖縄の基地だけで海兵隊の強襲揚陸体制が編成され、地域紛争に即応できるようになっています。昨年十二月のソマリア上陸作戦には沖縄からも三百人が派遣されています。
 これらの実態というのは、在日米軍基地の再編強化が限定作戦や有事に対応するためとして、地球上のどこへでも展開できるためのものとされ、そのための拠点基地として日本が位置づけられているということを如実に物語るものではありませんか。
#286
○佐藤(行)政府委員 先生のおっしゃられる事実の面も確かにあるのかと思います。ただ、すべてのリストを申し上げるつもりはございませんが、八九年の夏以来でありますけれども、沖縄の海兵隊に影響のあるいろいろな転出、解隊が進められております。例えば御承知の第一転対空ミサイル大隊の解隊というのも行われましたし、第三軽装甲歩兵大隊のカリフォルニアへの移駐とかキャンプ・シュワブにおりました二個戦車中隊の解隊とか、リストを数えますとかなりのものがございます。
 そういう中で先ほど私四千七百名と申し上げましたけれども、正確には四千七百七十三名の米軍の兵力の削減が行われておりますが、そのうち約三千五百名が海兵隊でございます。そういう意味で、先ほどの繰り返しになりますけれども、全体像の中での統合合理化ということは進んでおりますけれども、数の上では兵力が減っているというのが事実でございまして、飛行機の距離が延びたとかそういうことはあるかもしれませんが、全体としては、少なくとも今御指摘になりました沖縄におります海兵隊については削減の方向にあるというふうに私は理解しております。
#287
○古堅分科員 単なる数の異動だけでは言えない、それが今の再編強化の内容なんです。
 進む再編強化の中で、沖縄では何が起きているか。米軍の強化によって沖縄の演習は激化し、県民の生命と安全が一層脅かされ、自然が破壊され続けています。キャンプ・ハンセンの県道百四号越え実弾演習は、昨年は十二回三十三日、発射弾数六千三百九十八発。これは復帰後最高でした。県道を封鎖して行われるのです。百五十五ミリ核非核両用。復帰後しばらくの間は一日一回、こういう傾向でした。これがこの復帰後最近の数年に至っては、一回二日ないし三日ということが続いてまいりました。これがとうとうことしに入って一回四日運続、こういう形にまで演習が激化する。本当に言語道断の方向が進んでいます。
 さらに、普天間基地でのヘリの墜落事故、ヘリ輸送物資の落下事故、読谷や伊江島でのパラシュート訓練の降下事故、戦闘機と民間機との異常接近など、事故も後を絶ちません。その他、米軍基地から発生する赤土汚染、PCB汚染、生活破壊の航空騒音。米軍基地の存在は、県民にまことに耐えがたい犠牲を強い続けています。
 これでも政府は、不安定要因のためには基地強化されなくちゃいかぬ、演習の激化も容認しなくちゃいかぬ、そういうことで基地被害、県民の犠牲は大したものではないというふうにでも理解されよと言うのですか。
#288
○佐藤(行)政府委員 先生にはいろいろな委員会の場で私のみならず大臣からも申し上げておりますが、沖縄の基地の整理統合を少しでも早く進めようということが我々の努力目標でありまして、昨年の五月十五日、沖縄二十周年記念の際にアメリカ側にも改めて申し入れをいたしまして、これまで残っていた部分について全体的に進めるように努力しようというところを合意したところでございます。
 実は、率直に申し上げまして少し残念な事情は、去年の大統領選挙、そして政権の交代ということを挟みまして米側の人ががらっとかわるということもございましたものですから、事務的な詰めが少しおくれているということはございます。ただ、我々としては、少しでもアメリカ側と話し合って基地の整理統合を進めたいということで努力をしているところであります。
 それから、今いろいろ御指摘になりましたけれども、例えば赤土の問題でありますが、当初のころ確かに赤土の流出ということがありましたけれども、今回進められておりますキャンプ・シュワブの道路につきましては、現地の防衛施設庁の方も御苦労されて、御努力をされて、アメリカ側も赤土被害の大きさを認めまして、そして各工区ごとに事前に防衛施設庁と打ち合わせをした上で進めるという手段をとっておりまして、最近は赤土の被害は、少なくとも我々は聞かないで済んでいるという状況でございます。
 それから、確かに訓練の問題はございます。一
○四号線の訓練の問題というのは昔から沖縄県民の方々に苦痛を強いていることは、我々も承知いたしております。ただ一方で、これもいつもの繰り返しになって恐縮でございますが、安保体制ということでお互いに万が一の場合には日本の防衛のためにもアメリカに協力してもらうというような体制をとっている中において、訓練というものまでやめろと言うわけにはいかない。そこで、公共の安全に配慮してやってほしいということで、その都度申し入れを行い、来ているわけであります。
 訓練がふえたという点につきましては、いろいろな見方があると思います。確かに一〇四号線につきましては、一昨年来、年間三十日を超すようなことになりまして多い状況だとは思います。ただ、訓練と申しますのは、訓練をする方の兵員の訓練状況等にもよっていろいろ変わってくるわけでありまして、いろいろな形の訓練の中身を見てみますと、一方的に増加するとか一方的に減少するとかということだけではなくて、非常に多いときもあれば少ないときもある。それはそこの配置されている兵士の練度にもよるところがあると思いますので、その点に若干の上がり下がりがあることは、県民の方には御苦痛のこととは思いますが、意識的にただふやしているということではないということだけは御理解願いたいと思います。
#289
○古堅分科員 一体どこが日本に攻めてくるから、万一の場合に訓練を米軍にもやってもらわなくちゃいかぬなどと考えておるのですか。とんでもない話です。そういう口実のもとであのような小さい沖縄で演習をあのように激化させて犠牲だけは強いる、それを我慢しろと言うのですか。許せません。
 次に進めますが、今度は返還問題についてです。
 整理縮小を進めるとさっきもおっしゃいました。そういう方向でお尋ねしてみたいと思うのですが、政府は、基地の安定使用の確保は大切だということで、米軍基地強化を容認しながら、アメリカの要求に基づいてあの思いやり予算など、これは天井知らずにふやしてまいりました。一方、基地の返還についての切実な要求については、どっちかといえば本当にまじめにやっているのかというふうに言いたくなるような、遅々として進まぬ、地元の県民を失望させる、そういう事態が続いています。政府はもっと頑張ったらから取れる、せめてそういう基地の返還問題などについて真剣に取り組むべきです。
 そういう立場を踏まえて、二、三具体的な問題についてお伺いしておきたい。
 一つは、在沖米軍基地内の沖縄県有地の返還についてです。
 去る二月十九日、沖縄県は、在沖米軍基地の提供施設内の県有地の十施設、十三カ所の返還要請を国に対して行っています。これは、在沖米軍基地にある県有地面積の約九一%に当たる施設です。今回の沖縄県が要請している施設は、現実の県民生活に直接かかわっているものでありますし、米軍の同意も得られる可能性があるというふうに見られる、こういうものであるだけに、政府はこの問題についてぜひ真剣に取り組んでほしい、こう考えています。
 どのように受けとめて対処をされようとしているのか。まずそこをお聞きしたい。
#290
○佐藤(行)政府委員 我々の立場から申しますと、県民の御要望があり、先生おっしゃられたように、米側からも返しやすいような基地を一つでも多く見つけて沖縄の基地の整理統合を進めていきたいというのが我々の基本的な立場であります。
 今御指摘の県有地の問題につきましては、県の方から那覇の防衛施設局の方に要望が出されて、施設庁の方で防衛施設局を通じて県の具体的な要請を今聞き取りをしているところだと私は理解いたしております。そして、その結果を見て防衛施設庁も御判断をされるでしょうし、必要があれば我々としてもアメリカ側との折衝もしたいと思っておりますが、今の段階ではいただいた御要請を施設庁の方でもう少し詳しく伺って、その上で判断をするということになると思っております。
#291
○古堅分科員 施設庁がお見えだと思いますが、いろいろな現地の調査をしたりアメリカとの協議に入ったりなどという過程があると思うのですね。それの段取りも含めて、手短に、どのように考えてどう進めようとしているというところあたりを聞かせてください。
#292
○山口説明員 御説明申し上げます。
 平成五年二月十九日、沖縄県知事から那覇防衛施設局長に対し、提供施設区域内に所在ずみ沖縄県有地のうち北部訓練場等十施設、面積約八百十ヘクタールの返還要請があり、同月二十三日、那覇防衛施設局において沖縄県事務当局からその内容について説明を受けたところでございます。
 これらを踏まえまして、今後、返還要請地の現地調査や現地米軍にその意向を照会する等の手続を進める予定でございます。
#293
○古堅分科員 もう少し先の方を聞きたいのです。現地の施設局としては、もう既にどういうところだということは十分手の内にわかっているところですよ。その調査が何も困難をきわめるなどというようなことでもない、どのくらいかかって、どのようにアメリカとの折衝にいつごろ入れる、そこらあたりどうですか。
#294
○山口説明員 御説明申し上げます。
 やはり米軍にとりましても、運用上の所要等も種々ございますので、それらの調整等も今進めているところでございますので、現時点におきましていつごろということは、今お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#295
○古堅分科員 返還要請されている土地のほとんどが既に県と軍との関係において共用状態にあるとか、県民の生活に深くかかわって不可欠の状態下に置かれているところがほとんどだと聞いています。それだけに、政府がその態度をもって進めれば、その可能性は大きいというふうにも考えるのですが、どうですか。
#296
○佐藤(行)政府委員 確かに、今回の県有地の御要請にかかっている部分には、道路のように既に使われているようなところもございます。そういうこともございますので、なるべく我々としても県民の御要望に沿うような方向に持っていきたいと思っておりますが、とにかく今の段階では、現場で防衛施設庁と米軍とがまず県の方の御要請を詳しく伺って調整をするという段階でございますので、そこで話が進めばそれにこしたことはないわけでありますから、その進みぐあいを見ていきたいと思っております。
 ただ、先ほどの繰り返しになりますけれども、我々の基本的な立場は、県民の方の御要望に沿って、そしてアメリカ側の理解も得やすい施設、区域を一つでも多く見つけて、非常に多い沖縄における米軍の施設、区域の整理統合を少しでも進めていきたいというのが我々の気持ちでございますので、その方向で対応をしてまいりたいと思っております。
#297
○古堅分科員 ぜひそういう面で努力をしてほしいと強く要望を申し上げておきます。
 次に、普天間基地の一部返還の要請がございます。去る二月二十三日、宜野湾市の桃原市長が沖縄開発庁、防衛施設庁に対して、普天間第二小学校の運動用地礁保のため、隣接する普天間飛行場の一部を返還してほしいという要請を行いました。普天間第二小学校の現在の敷地面積は文部省基準のわずか五二%にすぎません。隣接する基地の返還で運動場用地をつくりたいという切実な思いを含めての宜野湾市からの要望です。この問題については、現地の司令部も理解を示しておるというふうなことも聞いております。その問題についてどのように対処されるか、見通しも含めてお伺いしたい。
#298
○山口説明員 御説明申し上げます。
 平成五年二月二十三日、宜野湾市長から当庁に対し、普天間第二小学校の拡張整備を図るため、普天間飛行場の一部土地を返還されたい旨の要請がありました。その整備計画については今後具体的に策定したいとの御意向でありましたので、当庁としてはその進捗に合わせて検討してみたいと思っております。いずれにしましても、宜野湾市の要望は当庁としても理解しておりますところであり、市の計画が進捗すればできる限りの努力をする所存であります。
#299
○古堅分科員 大変結構な前向きの姿勢だというふうに考えますし、次の世代を担う子供たちの教育の問題を抱えて、この第二普天間小学校の問題は、本当に長年にわたる解決しなくてはいかぬ課題の一つですから、ぜひ外務省としても、防衛庁の方としても、連携を取り合って早目に実現させてほしいと強く要望申し上げておきたいと思います。
 次に、嘉手納の基地内道路の返還、または共同使用についてお尋ねします。
 沖縄市は、嘉手納飛行場の基地内道路の返還もしくは共同使用を要請しています。この要請は、一九九一年七月、沖縄県の大田知事を初めとした渡米要請団の一員として参加した新川市長が直接米国にも要請し、米側が米四軍調整官に調査検討させる旨回答している経緯があります。道路も混雑する中で、沖縄市の発展その他の面から不可欠の課題だとして強い要望が続いている課題です。どのような対処を考えておられるか、お聞かせください。
#300
○山口説明員 御説明申し上げます。
 地元にそのような御意向があるやには聞いておりますが、当庁に対しまして本件に関する要請が個別具体的にあるわけではございませんのでお答えは差し控えますが、嘉手納飛行場は米軍にとりまして枢要な施設、区域であり、またこれらの道路は当該施設、区域の運用に当たって幹線道路として機能していることから、現時点においては当該道路を返還または共同使用により開放することは難しい問題と考えております。
#301
○古堅分科員 このようにすぐ難しいなどというようにして片づけずに、よく沖縄市の言い分も聞き、沖縄市周辺のそのことに伴う、もたらされた交通渋滞その他、いかに市民からの切実な要望となっているか、そういうことなども勘案の上、米軍とも折衝するなど、そういうような努力の方向、それをもっていろいろやって、結果難しいことでしたというなら話はわかるのですが、直接まだ要請もないというのに難しいなどと片づけてはいかぬですよ。
 時間がありませんので、最後に締めくくりを申し上げさせていただきますが、言いたいことが山ほどあります。
 沖縄県民は沖縄の戦後が一日も早く終わってほしい、切実にそう思っています。一部には、例えば天皇の沖縄訪問によって沖縄の戦後を終了させるというふうな言い分などに見られるように、何かにかこつけて沖縄の戦後が終わるなどと言ったりする、そういう向きがあります。しかし、こういう言い方というのは、沖縄の心、それを知らない者の言い分と申さねばなりません。
 沖縄の戦後、これを終わらせる道は、日米安保条約の廃棄、米軍基地の撤去、この基地からもたらされる公害、それをなくし、解決しなくてはいかぬ山ほどの戦後処理問題、それらが立派に解決するということを抜きにして沖縄の戦後は終わらないのです。沖縄の戦後を一日も早く終わらせてほしい、こういう県民の切実な願いにこたえて、政府が県民の心を大事にしてぜひ努力してほしい、そのことを強く主張して、終わらせていただきます。 ’
#302
○越智主査 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。
 次に、五十嵐広三君。
#303
○五十嵐分科員 大変お疲れのところ恐縮でございます。私が最後でございますので、もう少しおつき合いいただきたいというふうに思います。
 私、御質問申し上げたいと思いますのは、サハリン残留韓国・朝鮮人問題でございます。この問題の深刻な状況というのはもうよく御存じのことと思うのでありますが、平成二年の四月十八日、外務委員会で、きょうもこの委員会に御出席いただいておりますが、当時の中山外務大臣がこの問題では初めて心のこもった謝罪のお答えをいただいているわけであります。
 このときは、私の質問は省略いたしますが、お答えだけちょっと申し上げますと、「自分の意思ではなしに、当時の日本政府の意思によってサハリンに強制移住をさせられ就労させられた方々が、戦争の終結とともにかつての祖国に帰れずに、そのまま現地にとどまって暮らさざるを得なかったという一つのこの悲劇は、まことにこの方々に対して日本としても心から済まなかったという気持ちを持っております。」こういうお気持ちがサハリン残留韓国・朝鮮人問題の解決の一つの原点であろうというふうに思うのであります。もちろん今もそのお気持ちに変わりはないだろう、またそのお気持ちでさまざまな施策に当たっておられるというふうに思うのですが、いかがですか。
#304
○河野国務大臣 尊敬する先輩大臣の御発言は、全くそのとおりと感じております。
#305
○五十嵐分科員 今まで一時帰国等につきましては、大変効果的な御援助をいただいて、以前は想像もつかなかったたくさんの方々が直行便でユジノサハリンスクとソウルの間を往復して、四千人を超える人たちが肉親と再会できたということであります。しかし、これもまた三千人ぐらいの希望者がいるわけでありますから、それも続けなければいかぬのでありますが、しかしあわせて最大の問題になっているのは、実は永住帰国の問題であります。
 一時帰国、肉親再会だけではなくて、母国に帰って母国で骨を埋めたい、こういう気持ちは当然サハリン残留韓国・朝鮮人の皆さんには強くあるわけです。しかし、御存じのような情勢の中で、一昨年くらいまではほとんど実現できなかった。今年の夏まででわずかに四十四人しか永住帰国できなかったのですね。
 韓国の方では、実は光琳教会というキリスト教の教会がこれに積極的にお取り組みをいただいて、愛の家という老人ホームに受け入れようということになって、一世の方々が七十七人、去年の九月二十九日に直行便でそこに入ることができたんだ。第二次が四十二人、これは今月の二十日に予定されていますが、集団永住帰国する予定であります。
 これらのことはうれしいことなんですが、しかし御承知のように、出るときには年金も何も皆打ち切られるわけですね。ああいう状況の中ですから、年金といったってわずかなものなんでありますが、それも打ち切られる。財産は持ってこられない。本当に着のみ着のままで韓国に戻って老人ホームに入って、そこで住居と食べるものは安心していただけるわけでありますが、たばこ銭もない。何を買うといってもどうしようもない。非常に困窮した状況の中で暮らしておられる。愛の家に入らない四十四人ばかりのそれぞれお帰りになった人たちの暮らしの実態というものを、それは外務省もある程度御存じだと思いますが、極めて困難な暮らしをしておられる。
 そこで、御提案なんですが、本格的な支援はこれからなるべく早く固めてもらわなくてはいかぬことなんでありますが、当面しかし、これらの方々の一定の生活支援というようなものを、例えば今の日韓両赤十字の共同事業体における基金等を活用するとか、何らかの方法で多少なりともやはり面倒を見るべきでないかというふうに思うのですが、いかがですか。
#306
○池田政府委員 在サハリン韓国人問題につきましては、政府といたしましては、その歴史的かつ道義的責任というものは十分に認識いたしておりまして、そういう観点からこれまでも努力してきております。現在、日本赤十字社及び大韓赤十字社がつくりました共同事業体を通じて離散家族の再会等に対して支援を行っているわけでございまして、その事業の枠内で既に百名以上の韓国人が永住帰国を実現したということがございます。
 また、昨年十一月でございますが、今後の効果的支援のあり方を検討するということを目的といたしまして、現地におきまして実地調査を行いました。そのときには、我が方から外務省職員それから赤十字社の職員が参りました。その結果、現地の一つの団体によりますと、昨今のロシア経済の混乱もございまして当初の予想をはるかに超えておりますけれども、若い世代を含みます一万二千人以上の方々が韓国への永住帰国を望んでいるということが判明したわけでございます。
 こういった多くの方々が韓国に永住することを希望しているということになりますと、これは受け入れ国であります韓国側の体制ということが最も重要でございます。韓国にとりまして大きな社会的、経済的影響を与えるということも十分あり得ると思います。したがいまして、日本政府としましては、韓国政府の意見も十分に聞きながら、どういう支援を行っていくのがいいのかということで鋭意検討してきているというのが現状でございます。
#307
○五十嵐分科員 局長、僕の聞いていることに答えていただくようにしてください。あなたは今百人くらい共同事業体の基金で実現することができたと言うのだけれども、それは飛行機に乗せたというだけの話なんですからね。あの基金では要するに飛行機賃だけなんですから、お間違えないようにしていただきたいと思いますね。
 聞きたいのは、そうやって永住帰国した、それで愛の家に入ったが生活が大変だ。そこにわずかなものでも、政府から金が出るというのが難しければほかの方法でもとって何か考えるのが、私は、さっきの中山前外務大臣のお言葉、きょうの河野外務大臣代理のお言葉の趣旨に沿うものでないかというふうに思って、そういう努力を要請しているわけです。いかがですか。
#308
○池田政府委員 私どもといたしましても、この問題につきましては、これまでの経緯を踏まえましてできる限りのことをするというのが日本政府の責任ではないかということを感じておりまして、その点は中山前外務大臣それから河野外相代理がただいまお答えになられたとおりでございます。ただ、永住帰国ということになりますと、これは韓国に永住帰国するということでございますので、日本政府の一存で決めるということはもちろんできません。したがいまして、やはり韓国側と十分に話し合っていくということが必要になってくるわけでございます。
#309
○五十嵐分科員 つまり、日韓赤十字の共同事業体というのは、韓国は入っているわけでしょう。それは、もちろん韓国政府の意向も聞きながら日韓赤十字の共同事業体というのは仕事をしているわけです、日本政府、韓国政府の意見を徴しながら。どうかひとつこの問題についても一生懸命、情を持って対応してほしい、こういうぐあいに思います。御要請を申し上げておきます。
 それから、今局長さんのお話のように、実は去年の十一月の中ごろ、外務省からもおいでいただいた、あるいは日本赤十字社からも行った、韓国赤十字社からも参加した、そして永住帰国希望者の実態をサハリンにおいて調査したわけですね。私もその後半ちょっと一緒になったのですが、御報告のとおり約一万二千人も帰りたいという希望者がいる。これはもちろん一世だけじゃなくて二世、三世も含めてですね。これは我々の想像をはるかに超えるものである。こんなにいるとは思わなかった。しかし、今ロシアの混乱の中で、あるいは一時帰国して母国を見ながら、やはり帰りたいという気持ちが募っているのだろうと思うのですよ。一万二千人というこの方々が帰りたいという希望があったということは、外務省も調査によって確認なされた。しかし、調査のしっ放してはどうにもならないわけですから、それをどうするかということになる。お話しのように、韓国政府側の受け入れの考え方というのはやはり何といっても一番大事ですね。わずかな人数じゃないんだし、どっと行くわけですし、大変なことであります。
 そこで、提案なんですよ。日韓両政府、それから経過からいうと日韓両赤十字でこの際サハリン残留韓国人の帰国対策プロジェクトのようなチームを、そのことに全力を挙げて力を合わせて取り組んでいくというような共同の機関を設けてはいかがかと思うのです。そうして、韓国における受け入れ態勢をどうするんだ、あるいは一万二千人もの人なんですから、とてもそんなにどんと受け入れるといったって大変な話になりますから、一体実際問題としてどういう受け入れが可能なのか。
 また、やはり一世の人を先に受け入れるべきであるとか、一世の中でも身寄りのない人なのか、何がどうなのか、そういうような順序というものについての検討だとか、あるいはどんなような年次計画でやっていこうかとか、あるいはまた、それに当然資金が必要なわけだから、その資金の面では日本政府は積極的に支援をしなくちゃいけないわけですから、こういうようなことについて知恵を集めて誠実に取り組んでいくというようなことを考えてはどうかと思うのですね。そうでなければ、私も見ていて、みんな気持ちの上では何とかしてやらにゃいかぬと思っているのだけれども、なかなか進みようがない。そこをきちっと進めていくという上では、私はそういうような共同のチームのようなものがあって、このことに鋭意努力してもらうことが大事ではないかというふうに思うのですが、いかがですか。検討していただく価値がありますか。
#310
○池田政府委員 ただいま先生御指摘の日韓両国政府それから日韓両国赤十字間のお話し合いによって共同のチームをつくったらどうかという御提案でございますが、私どももそういう御提案も念頭に置いて韓国側と話し合いをしていきたいと思います。
 そして、私どもとしましては、来年度、九三年度につきましては事業費として一億二千万円、それから調査費として五百二十七万円を現在計上しているという段階でございます。
#311
○五十嵐分科員 大変結構なお答えを聞いて、非常に心強く思います。ことしで五百三十七万円、二年続いて調査費ということになるわけですね。本当はことしは調査費でなくてしかるべきまとまった対策の予算が必要だと思ったのだけれども、なかなかそうはいかなかった。しかし、二年間の調査費で、ことしなお、お話しのようにそういう共同の検討機関などを設けて鋭意調査と対策を講じながら、ひとつできるだけ早くきちっと対応してほしい。もう高齢だから、本当に皆さん、来るたびに言うのですよ、あれも死んだ、これも死んだ。こんなに申しわけないことないと思うのですよ。どうか早急に対策を講じてもらいたいというふうに思います。
 きょうお聞きしたいと思うのは以上のことなんですが、そこで最後に、実は去年の十二月にサハリン残留韓国・朝鮮人問題についてサハリン州韓人老人協会の朴安東会長から、三つの協会が連名なんでありますが、十二月八日付で宮澤総理あてに要請書が渡されているのであります。これは私立ち会いで柿澤政務次官にお渡しをさせていただいたものなんでありますが、ちょっと主なところだけ拾い読みしますので、ぜひ聞いてほしいのですよ。
    サハリン残留韓民族に対する戦後処理請求について
  我々は第二次世界大戦前、戦中の徴用または強制連行政策に基づき、ここサハリンに連行され、炭鉱・軍需工場・飛行場・土木工事現場で筆舌に尽くし難い非人道的な強制労役に酷使され、戦後、この地に置き去りにされた韓国・朝鮮人とその子孫である。
ちょっと飛ばしますが、
  戦後、我々を帰国させる機会は幾度もあったのに、日本は三十万人を超える日本人だけを帰国させ、四万人を超える韓国・朝鮮人をこの地に残した。我々は自由意志でこの地に来たのではなく強制連行されてきたのだから、日本には当然我々を帰国させる義務があった。しかし、故意にそれを怠ったため、我々はこの地に棄民として残され、故郷の家族と連絡をとる術さえなく、約半世紀の暗黒の月日を空しく送ったのである。
少しまた飛ばしまして、
  我々は、日本国に対し、日本が犯した不法行為を深く反省謝罪し、短期間の内に以下の補償措置をとるよう要求する。
 一、希望者全員の韓国への永住帰国実現のための支援事業
 二、韓国に永住帰国する者が集団で入居できる帰国者センターの設置
 三、徴用一世に対する未払い賃金及び郵便貯金その他を現在の価値になおして清算すること
 四、サハリンに残る一世、韓国にいる高齢婦人及び永住帰国した老人たちの生活を保障し、かつ老人ホーム、医療機関等を建設すること
 五、サハリン在住二、三世の民族伝統文化の再生、保存のための文化センターの建設
 六、現在実施中の家族再会事業の継続
ちょっと飛ばして、
  以上の要求項目について、別紙署名簿を添付して要請する。
  この件について、文書による回答を求める。こういうことで、一万四千名の署名簿をつけて十二月の十一日に柿澤政務次官にお手渡しをさせていただいたような次第であります。
 この会長が、実はちょうどこの前金泳三新大統領の就任式に招待をされてサハリンから韓国に入って、今月の末ごろ日本に来たいという連絡が来ていまして、そしてこのときに御返事をいただきたいということなんですよ。こういう要求項目について個々に十分な御返事のできるような状況ではないことは私ももう承知しておりますし、これはさっき言った共同の検討機関でも設けた中で十分にそれぞれ検討されるべきことでありますが、しかしそれにしてみても、これに対して誠意のある回答を会長が、朴安東さんが来たときにはひとつしてほしいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
#312
○河野国務大臣 五十嵐先生初め多くの方々からこの問題を熱心に説かれて、外務省としても十分問題意識を持っております。今先生からお話がございましたように、かねてちょうだいをしております書簡がございますから、もしチャンスがあれば外務省として誠意を持ってお目にかかり、お話をさせていただく気持ちがございます。
#313
○五十嵐分科員 質問を終わります。ありがとうございました。
#314
○越智主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして外務省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の補充質疑は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
    午後九時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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