くにさくロゴ
1993/04/23 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第9号
姉妹サイト
 
1993/04/23 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第9号

#1
第126回国会 労働委員会 第9号
平成五年四月二十三日(金曜日)
    午前十時五分開議
出席委員
  委員長 岡田 利春君
   理事 愛野興一郎君 理事 大野 功統君
   理事 古賀 正浩君 理事 住  博司君
   理事 長勢 甚遠君 理事 岩田 順介君
   理事 永井 孝信君 理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    東家 嘉幸君
      野呂田芳成君    宮下 創平君
      岡崎 宏美君    常松 裕志君
      外口 玉子君    和田 貞夫君
      石田 祝稔君    伏屋 修治君
      金子 満広君    伊藤 英成君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 村上 正邦君
 出席政府委員
        中小企業庁長官 関   收君
        労働省労働基準 石岡慎太郎君
        局長
        労働省労働基準 伊藤 庄平君
        局賃金時間部長
        労働省職業安定 齋藤 邦彦君
        局長
        労働省職業安定
        局高齢・障害者 坂根 俊孝君
        対策部長
 委員外の出席者
        労働委員会調査 下野 一則君
        室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
 辞任          補欠選任
  田邊  誠君      和田 貞夫君
  山下八洲夫君      常松 裕志君
同日
 辞任          補欠選任
  常松 裕志君      山下八洲夫君
  和田 貞夫君      田邊  誠君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する
 臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三三号)
     ――――◇―――――
#2
○岡田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
#3
○和田(貞)委員 今次の労働基準法の改正に当たりまして、私は、特に中小企業に働く労働者の立場に立って、これからこの法律に基づきまして労働省の方では大変お世話をいただかなくてはならないわけでございますので、要望なり、お願いなりをさせていただきながら、御質問させていただきたいと思うわけです。
 今日の日本の中小企業というのは、経済が落ち込めば大変、経済が上昇すればまた大変、円が下がればもう大変、円が上がれば大変というようなことで、非常に不安定な基盤に中小企業が置かれておるわけです。また、そこに働いておられる労働者にとってはそれ以上に大変なことであって、今や中小企業も国際的な視野に立った経営をしていかなくてはならないと思うわけでございますし、また、それなりに国際的ないろいろな条件の中で打ちかっていく基盤づくりというものも、経営者だけではなくて労働者もお互いに力を合わせて努力していく、こういうことにならざるを得ないわけでございます。
 そこで、現実の問題として、やはり大企業に働く労働者と中小企業に働く労働者の間には格差がございます。労働基準法にうたわれておる、あるいは労働基準法がこれから改正されて国際的な視野に立った日本の労働者の労働時間の最低の規制をやっていく、こういうことであるわけでございますが、単に労働時間の問題だけじゃございません、年金の問題につきましても、大企業の労働者の年金と中小企業の労働者の年金格差というのがございます。あるいは社員住宅、そういうものを含めまして、労働者福祉の問題につきましても大企業のそれと中小企業のそれとはやはり格差があるわけです。賃金から始まりまして、そのような年金、福祉に至るまで、やはり格差を縮めていく、縮減していくということでなければ、中小企業における人材の確保、人材の育成、こういうことも不可能になっていくのじゃなかろうかと思うのであります。
 そういうことでございますから、どうしても中小企業の力を強めていくという前向きな対策というものが必要でございますが、ややもいたしますと、現状認識の上に立ってそれが後退していくというようなことにもなりかねないわけでございますので、私は、基本的に、現状認識の上に立って後退をするというような政策は政策じゃないと思うのです。やはり現状認識の上に立って前向きに進めていく、これが、真に中小企業のことを思い、中小企業に働く労働者の立場に立って行われる政策でなくてはならない、このように思うわけでございます。もとより、日本の中小企業の戦後果たしてまいりました役割というものは非常に大きいわけでございまして、大企業の下支えをやってきて、そして今日の日本の経済を築き上げたわけでございますから、中小企業の経営者あるいはその中小企業に働く労働者の功績というものを非常に高く評価しなくてはならない、このように思っております。
 その上に立ってひとつ質問させていただきます。
 まず、総実労働時間、年間千八百時間ということが掲げられてから久しいわけであります。この千八百時間というのは、最終的に日本の労働者を最高千八百時間にこれを定着させていく、くぎづけしていく、こういうことなのか。いや、そうじゃなくて、国際的な視野に立って、これ自体も経済摩擦の大きな一環になっておるのであるから、日本の労働者の労働時間をそれ以上に短縮を進めていかなくてはならない、その過渡的な、中間的な当面の目標が千八百時間であるのか、どちらの方にウエートを置いておられるのかということについて、まず労働大臣の方にお聞かせいただきたいと思います。
#4
○石岡政府委員 「生活大国五か年計画」におきましては、労働時間の短縮を重要な柱といたしておりますが、その目標は、年間の総実労働時間を千八百時間に短縮しようというところにございます。同様の目標は前の経済計画でも立てて、その目標に向かって政府は一生懸命努力してきたところでございますけれども、率直に言いまして、なかなか実現の難しい面がございました。
 したがいまして、労働省といたしましては、当面何よりもこの千八百時間の目標を計画期間中に達成したいということで、全力を挙げてまいる考えでございます。
 この千八百時間が達成されました段階で、いろいろな国際的な問題とか我が国の労働者の福祉の状況などをその時点でまた考えさせていただきまして、新たな目標があればまた検討してまいりたい、かように考えております。
#5
○和田(貞)委員 あればとかないとかというんじゃなくて、この千八百時間というのは、日本の労働者の年間労働時間に設定することを最終的な目標に置いているのか、中間的な目標に置いているのか、当面の目標にしているのかということだけをひとつ聞かせてください。
#6
○石岡政府委員 千八百時間の目標は、国際的な状況を勘案しながら、また国内における労働者の福祉も総合的に検討しながら、妥当な水準の目標ではないかということで設定してきたものでございます。したがいまして、この千八百時間という目標の達成に全力を挙げたいと労働省として考えているところでございます。
 これが最終なのかどうかという点につきましては、世の中もいろいろ変わってまいりますし、千八百時間を達成した段階におきまして、改めて、これが最終なのかどうか、よく検討をさせていただきたいと思っております。
#7
○村上国務大臣 私の責任といたしまして、千八百時間、まずそこに最善の努力をしていくことが私に課せられた、現時点でこの法案を御審議いただく目標である、このようにお考えいただければ結構だと思っております。
#8
○和田(貞)委員 大臣の言われたように、千八百時間を現時点における目標と定めて、その達成のために努力をする。
 そこで、ひとつアメリカを初めヨーロッパの重立った国々の労働時間が年間一体どの程度になっておるのか、重立った国で結構でございますから、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#9
○伊藤(庄)政府委員 労働時間につきましての外国との比較でございますが、外国と比較する際に、各国、統計のとり方等がまちまちでございますので、製造業の生産労働者、そこをとらえて比較をいたしております。
 まず、我が国の労働時間は、平成四年は、二千時間を割りまして、年間の総実労働時間千九百七十二時間ということになったわけでございますが、これを一九九一年時点で外国と比較する際、また製造業の生産労働者ということにいたしますと、二千時間を上回る二千二十時間でございますが、これに対応する各国の数字、アメリカ、イギリスが千九百時間台、それからフランスが千六百時間合、ドイツが大体千六百時間、これをやや切る程度の水準、こういう状況になっております。
#10
○和田(貞)委員 今大臣の言われた、日本の労働者の年間労働時間を千八百時間にするというその当面の目標以上に進んでおる先進国があるわけなんですね、これは製造業だけの例でございましたけれども。
 そうすると、やはり日本の労働者は、日本の国民は働き過ぎる。私は、働き過ぎるということはいかぬとは言ってない。働いてこそこのように日本の経済というのは五十年足らずの間にのし上がることができたわけですからね。だから、誤解をしてもらったら困るわけでございますが、働かないようにせいということを言っているのじゃない。余りにも日本の労働者が――きょうは賃金のことは言いませんが、これらの先進国の国々と比べましたならば賃金がやはり国際的な水準よりも下回っておった。そういう下回っておった賃金の補いをするために所定時間外労働をかなり日本の労働者が強いられてきた。あるいは、一週間に日曜日も含めて働いて一カ月に二回しか休日がなかったというような条件の業種、企業もあった。あるいは一週間に一日しか休めなかったという企業もあった。さまざまでございますが、相対的にそういう面で日本の労働者がアメリカや先進国と比べて非常に働き過ぎだということは、そこを言っておるわけですね。
 そういうことでございますから、やはり労働省あるいは政府の方が、千八百時間をせめて当面の目標として、ひとつ計画内に速やかにこれは実現をするために、達成をするために努力をしようということは非常に結構なことでございますが、それよりもなお労働時間の短縮ということが、これからいよいよ進んでくる国際化の中でやはりどうしても新しい目標を設定しなくてはならない時期が必ずやってくると思うのです。したがいまして、その目標を達成するためにも、この千八百時間というものは必ず早い機会に達成するという、これは決意だけではなくて、具体的にどのように進めていくかということが大事な問題であるわけでございます。
 したがって、この千八百時間という当面の目標を達成するために努力をしてもらわなくてはならないわけでございますが、また頑張ってもらわなくてはならないと思いますが、この千八百時間というのは、もちろんのこと公務員も民間の労働者の皆さんも、あるいは大きな企業の皆さんも小さな企業の皆さんも、いろいろな業種の皆さんも、総じて平等に千八百時間の達成ということを目標にされておるのでしょうね。
#11
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のありました千八百時間という経済計画の目標、これを定めるに当たりましては、毎月勤労統計で出てまいります年間総実労働時間、これを基準としてその千八百時間という目標を設定いたしました。そういう意味では、いろいろな労働者あるいはいろいろな業種のトータルとしてこの千八百時間というものが出てまいりますので、それとの比較で、私どもそれに近づいていく、あるいはそれを達成するということを目標にいたしております。
 したがいまして、一人一人と厳格に申しますと、むしろ個々の産業、労働者の平均ということになる数字でございますが、ただ、こういった政策目標として千八百時間というものを掲げています以上、どのような業種、規模あるいは労働者におきましても可能な限り千八百時間に近づいていき、そういった形での労働時間、職業生活が実現されるように持っていくことが私どもの任務だというふうに考えております。
#12
○和田(貞)委員 これはどの業種であっても、大きな企業であっても小さな企業であっても、労働基準法というこの法律−これは最低の基準なんですからね。そうでしょう。最高の基準ですか、最低の基準でしょう、労働基準法の基準というのは。現行の労働基準法の基準であっても、将来的にわたっても労働基準法という法律の基準は、最低の基準でしょう。最高の基準なんですか。
#13
○石岡政府委員 労働基準法の第一条に明確に規定がございますが、基準法で定めますところの基準は最低の労働条件の基準でございます。
#14
○和田(貞)委員 最低の基準であれば、仮に千八百時間ということであれば、千八百時間以下の実働年間労働時間であってもいいわけでございますが、千八百時間を超えて千八百五十時間、千九百時間ということは許されないことでしょう。
#15
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生から、労働基準法で定める最低基準としての守るべき水準と経済計画で掲げています千八百時間という政策目標との関係についてのお尋ねでございますが、労働基準法は、ただいま局長から申し上げましたように、最低の労働基準を定めておりまして、これは何人にも守っていただくという性格のものでございます。それから、経済計画で掲げています千八百時間は、この労働基準法で規定する最低水準とはまた別の、生活大国づくりのために政府または労使一体となってこの千八百時間の達成に向かっていこう、こういう目標でございます。
 したがいまして、労働基準法で掲げる最低基準を遵守していただくことのほかに、完全週休二日、時間外労働の削減あるいは年次有給休暇の取得の促進といった労使の間の積極的な取り組みも加わって、この千八百時間に近づいていくことになる数字でございます。
#16
○和田(貞)委員 千八百時間の目標を近い将来に達成させなければいかぬわけです。努力をしてもらわなければいかぬ。努力をすると言っておられる。
 そういうことで政府の方が千八百時間を達成した、小さな企業でも大きな企業でも、運輸業であってもサービス業であっても、皆さん方の努力で千八百時間を達成した、その達成した場合に千八百時間に見合う労働基準法の最低基準というのをつくるんじゃないですか。つくらないんですか。
#17
○石岡政府委員 千八百時間という労働時間短縮の目標を達成する場合には、幾つかの条件が必要でございます。その一つは、完全週休二日制が普及するということ、言いかえれば、週四十時間制が一般的にならなければならないということでございます。
 この点につきましては、このたび出させていただいております労働基準法の改正法案では、平成九年度から法定労働時間を週四十時間にするということにしているわけでございます。したがいまして、この法案が通りますと法定労働時間の面から千八百時間へ向けての具体的な政策が一つでき上がるというふうに考えております。もとよりこれは最低の基準でございますから、この法定労働時間四十時間に違反する者は処罰されるという形でございます。
 しかし、これだけでは千八百時間は達成されないわけでございまして、次には年休の問題でございますが、年休につきましてもいろいろ今回の法改正で改善をお願い申し上げておりますけれども、この年休につきましては、やはり二十日なら二十日、これは労使がとっていただかなければならないわけでございます。幾ら制度的に年休ができましても、あるいはまたそれに違反した場合は基準法違反ということになりましても、与えられた権利なりとしての年休を労働者がとっていただかなければ、これまた千八百時間に到達しないわけでございます。
 さらに申し上げれば、残業時間も適当な水準にならなければ千八百時間になりません。一つのモデルとしては、年間の残業時間が百四十七時間、そうなれば千八百時間になるということを政府側のモデルとして出しておりますが、これにつきましても、今回、基準法の改正法案では割り増し賃金率を上げるなりという仕組みを出しておりまして、それによって妥当な残業水準になるように政策的に配慮しているところでございますが、この点につきましても、労使が三六協定で妥当な残業水準に抑えて努力していただくという面がないと千八百時間にならないわけでございます。
 以上、細々と申し上げましたが、千八百時間になるために所要の基準法の改正法案を今回出させていただいておりますが、これとあわせまして、労使が積極的に千八百時間にされますように努力される、それを政府側も助長していく、両面の政策が必要ではないかと考えております。
#18
○和田(貞)委員 したがって、その千八百時間の政府目標が達成されれば、それの裏づけがされるように、それが後退をさせないように、過労働時間あるいは今御指摘のあったように所定外労働時間の上限、あるいは所定外労働、休日労働や時間外労働というものをやらせないということの原則に立って、どうしてもやる場合には、やはりどうしても負担がかかるという意味で割り増し賃金率の引き上げというようなことも考えていかなければならぬのですが、そういうようなことが、千八百時間というのが一般化してしまった、中小企業も含めて、業種を含めてそれが一般化してしまった、達成したといったときには、今若干述べられたように、過労働時間は何ぼにする、何々にするというようなことは最低限の労働基準としてお決めになるのでしょうなということを私はお尋ねしているわけなのです。
#19
○石岡政府委員 千八百時間を達成するために所要の基準法の改正が必要であるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。そういう目標を達成するために、今回、基準法の改正法案を出させていただいているつもりでございますが、そういう制度的なあるいは基準法の規定の整備のほかに、それを最低基準にされまして労使が努力をしてもらわなければいけない分野もあるわけでございます。
 例えば、年休は二十日とらなければならないということになったといたします。しかし、とらない場合は千八百時間にならないわけでございますので、制度的な整備のほかに労使の努力というものも非常に大事でございまして、労使に一生懸命努力していただくと同時に、そういう労使の努力を政府側も御援助申し上げていきたい、そういう政策もあわせて大事ではないかと考えておりますので、御理解のほどをお願いを申し上げたいと思います。
#20
○和田(貞)委員 確かに労使がお互いに努力をするということも、やはり原則的に労使が話し合ってそういう条件をつくり上げていくということは、これは労使慣行としていいことなのですね。けれども、やはりそれを支援をするために、それを政策として可能にさせていくために、労働基準法という法律があるのですからね。いつかの時期にはかくあるべきだということを出してもらわないと、法で縛ることのいい悪いは別として、やはり働く者の立場に立っては、どういう業種に行っても、どういう職業についても、どういう規模の企業で働こうとも、最低はこれだということで安心をしてもらえる。また、経営者の皆さんは、規模がどうであろうが、業種がどうであろうが、これを守らなければ人を使えない、労働者を使えない、そういう社会的な責任を自覚する、こういうことになるわけでございますから、そのために労働基準法というのはあるのですから、これはぜひともいつかの時期に決めてもらわなければいかぬわけですね。
 今回のこの法の改正でなぜ、先ほどお話もございました所定外の労働時間の上限規制というものも見送ってしまった、あるいは割り増し賃金率の改定についても見送ってしまった、あるいは有給休暇の付与日数の増加も見送ってしまったのか、私はわからないわけです。若干でもそのことをとらまえて支援策を講ずるということが、千八百時間の目標達成のための、労使双方の自覚の中でそれを進めていく、そういう行政としての支援策でなかったのかなというふうに私は思うわけでございます。
 今回のその見送りというものは、せっかく今大臣も、当面千八百時間の達成のために一生懸命にやるのだ、こういう決意を込められてお話しになったわけでございますが、その目標達成が決意とは逆に後退をする、おくれてしまうということになりはしないかなという危惧の念があるわけでございますが、その点について、ひとつお話しいただきたいと思うのです。
#21
○伊藤(庄)政府委員 千八百時間の達成に向けて、今回の基準法の改正の内容を見送ったものが多いのではないかという御指摘かと存じます。
 千八百時間達成に向けまして、いろいろな要素が積み重ねられてこの千八百時間というものの達成に向かうわけでございますが、何といいましてもやはりその軸になりますのは完全週休二日制、これの普及でございます。もちろんそのほか、時間外労働の削減、年次有給休暇の取得促進といった労使レベルでも取り組んでいただかなくちゃいかぬ要素がございますが、この週休二日制に相当する週四十時間労働体制への移行のスケジュールを法定していく、これはまさに千八百時間達成に向けての大きな軸になるものというふうに考えております。
 先生から御指摘ございました時間外労働の上限規制、これにつきましては、我が国の労働慣行、やはり終身雇用慣行のもとで、時間外労働についてある程度労使間で弾力的な対応をしながら、不況の場合にも雇用の安定を図っていくための雇用調整の機能、これを大事にしながら扱っている面もございますし、画一的な上限規制になじまないという面がございます。
 ただ一方、私ども、時間外の割り増し賃金率につきましては、時間外労働の削減あるいは休日労働の削減、国際的な公正労働基準の確立という観点から、二五%で長い間固定されていたものを二五%から五〇%の間でこれから考えていくんだというふうに大きく踏み出した法律の仕組みをつくっておるわけでございますし、また、有給休暇の付与日数等の問題もございましたが、これらにつきましても、その資格要件を一年から六カ月に短縮し、現在、中小企業については既に決められている十日への付与日数の増加がまだ実施されておりませんけれども、その実施された段階では、またさらなる引き上げについて審議会の場でも議論していこう、こういうふうに審議会で合意されている経緯もございます。
 そういった意味で、今回の労働基準法の改正案は着実に労働時間の短縮に向けて前進していく内容を含んでいるものというふうに私どもは考えております。
#22
○和田(貞)委員 一応そのことがうたわれたことは評価できると私は思うのですね。しかし、評価はできるんだけれども、今回はそこまで踏み切れなかったというところが、千八百時間の達成に向けておるにもかかわらず、どうかいなという気がするわけなんです。それを踏み切っておった方が、その千八百時間の達成にもっとその時期を早めることになったかもしれないし、目標を達成することについての政府の意欲というものを国民に示すことができたのではないか、こういうふうに思うのです。そのことを非常に残念に私は思っておるわけでございます。
 なぜそれに踏み切ることができなかったのですか。
#23
○石岡政府委員 先生御指摘の諸問題につきましては、今回の労働基準法の改正法案を提出させていただく前に審議会などでよく検討させていただいたものでございます。
 確かに、これらのものが今回の改正法案にも盛り込まれますとその効果は大いにあったと思いますけれども、一つ一つ見てみますと、さはさりながらいろいろな問題があったわけでございます。その辺、公労使の審議会での御意見も十分に参考にさせていただきたながら、千八百時間に向けて最大限改正すべき内容の基準法案をまとめまして今国会に提出しておりますので、よろしく御理解のほどを賜りたいと思います。
#24
○和田(貞)委員 そこまでの答弁しかできないと私は思うわけでございますが、私はこの現実を無視をして議論をしているんじゃないんです。実情は私はよくわかっているわけなんです。したがって、特定の業種についてはあるいは規模によっては、猶予措置や特例措置を設けなくてはならぬということもよくわかっているわけです。
 しかし、猶予措置なり特例措置というものはいつまでも生かしておくというんじゃなくて、猶予措置の業種なり規模以下の企業については、その猶予措置がなくなっても可能になるように、あるいは特例措置がなくなってもそのことが可能になるように、その期間の間に鋭意努力していかなければいかぬと思うのです。
 それは、その労使だけの問題だというのではなくて−労働省だけではないと私は思う。労働省にそこまで責任を押しつけるのは、私は酷だと思う。労働省は労働省として、出先の機関を通じてそれぞれの業種、それぞれの企業に行政指導をやっていくということはもちろんのことでございますが、食品の製造業だとか食品の加工業であるとかいうようなところ、あるいは販売のところは農水省が労働省とタイアップして行政指導を進めていく、製造業からサービス業については通産省がこれまた行政指導をやっていく、運輸省も流通業者については同じようにやっていく、政府を挙げてやっていかなければいかぬわけですね。そして、この猶予措置というもの、特例措置というものをせっかく決めた期間の間にこれが達成できるというように努力をしなければいかぬのですね。努力を全くしなかったとは私は言いませんよ。努力をしなかったとは言いませんが、現状はそれが実情なんだ、それが実態なんだというようなことで、いつまでもそのような猶予措置や特例措置というものを生かしていく、そして、先ほどお話をいたしましたように、過労働時間、週休二日制の問題、所定外の労働時間の上限、あるいは祝祭日あるいは時間外の割り増し賃金率の引き上げというものは、だからできないんだというようなことでは、私は行政の大きな後退じゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう点を含めて、千八百時間の達成のために猶予措置を一日も早く、特例措置を一日も早く解消できるように労働省としては各省庁に働きかけて努力をしていくということを、この機会にひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
#25
○石岡政府委員 千八百時間の労働時間達成を目標といたしまして、週四十時間制への移行をこれから進めていくわけでございます。その際に、やはり基本的には法の前の平等ということで、猶予措置をとることは望ましくないとは思いますものの、日本の中小企業の現状などを考えますと、段階的に労働時間を短縮していく、すなわち、そういう内容の猶予措置をとるということは週四十時間達成のために必要最小限の内容にとどめなければいけませんが、そういう猶予措置をとることが週四十時間の早期実現につながるという面もございますので、猶予措置をとらせていただいているわけでございます。
 それで、御指摘のとおりでございまして、いつまでもこういう猶予措置を残すのは適当ではないと考えておりまして、労働省といたしましても、この猶予措置の期間中には目標の労働時間の短縮ができますように、猶予措置対象企業に対しましていろいろな面から援助してまいりたいと思います。
 また、労働省だけでは労働時間の短縮ができないのではないかという御指摘は、私も全くそのとおりだと考えておりまして、農林省、通産省あるいは運輸省その他事業所管庁とも密接に連携をとらせていただきながら、政府を挙げてこの猶予対象事業の労働時間の短縮が早期に実現できるように、今までも努力してきたつもりでございますが、今後さらなる努力をやってまいりたいと考えております。
 なお、特例措置がございます。これは猶予措置と少し性質が違っていると先生もお考えだと思います。例えば、現在労働時間は四十八時間となっています。週四十時間にこれから向かうわけでございますから、その基本的な路線を考慮に入れまして、審議会におきましては四十八時間の水準を見直さなければいけないという結論を出していただいておりますので、労働省といたしましては、その審議会の出された結論に沿って特例措置対象企業の時短も今後進めてまいりたいと思っている次第でございます。もとより関係省庁め協力を得ながら進めてまいりたいと思っております。
#26
○和田(貞)委員 労働省は、労働大臣を先頭に労働行政をやっておるのですから、前向きに千八百時間の目標達成に努力しなければいかぬ、それには指導面だけではなくて、この法の改正にこれをつけ加えることによってより前向きになるな、より前進することになるなということは百も承知だと思うんです。そこで、私の推測でございますが、労働省としてはそのようなことに踏み切ろうとしておったのであろうが、例えば通産省の方から、例えば運輸省の方から等々、ちょっと待ってくれと、ちょっとこらえてくれと、そういう横やりはなかったのですか。
#27
○伊藤(庄)政府委員 今回御審議願っております労働基準法の改正案を作成するに当たりましては、中央労働基準審議会で労使が非常に真剣な御議論をいただき、さらには、先生から御指摘がありましたように、中小企業等を中心とした労働時間短縮の問題、それぞれそれらの企業の経営上の基盤ともいろいろかかわる問題でございますので、関係各省庁とも鋭意意見の交換等も行ってまいりました。
 そういう中で、中小企業の問題も各省庁と、これに対する労働時間短縮の進め方等は非常に大事な問題の一つとして議論を行ってまいりました。そういう過程で、中小企業の今後の労働時間短縮の進め方について非常に活発な議論は御指摘のとおり行いました。また、そういう過程で、御指摘のありました省庁から、現下の雇用情勢の中で非常に厳しい環境に置かれている企業も少なくない、そういう実情を踏まえて中小企業に対して何らかの配慮はないものかというような御意見もあったことは事実でございます。
#28
○和田(貞)委員 非常にきれいな言葉を使われるわけでございますが、それを私は言うなら横やりと言っておるのです。せっかくあなた方の方がこっちに行こうと思ったのに、ちょっと待てというそういう横やりがあったのですよね。通産省や労働省、これはまあそれぞれの立場で言ったと私は思うわけでございますが、少なくとも猶予措置を一年間延長するという、三月三十一日限りであった猶予措置をさらに一年間延長するというようなこと、これは横やりというよりもどちらかというと横紙破りで、ちゃんと法に基づいたところの、今言われたように中央労働基準審議会という労働大臣の諮問機関があるわけですから、その諮問機関の中でこの議論をするということであればいざ知らず、外の方で勝手にその方針を決めてしまって、そして、その審議会にかけるときには全く審議委員を無視されたということで労働側の委員が総退場、そういう異常な審議会の中で決まった。
 こういうようなやり方は、せっかく一生懸命に頑張っておられる労働省としては情けないと思いませんか。残念だと思いませんか。そういう横やりなり横紙破りによって、労働大臣の諮問機関にきちっとかけて議論をしてもらって、そこで得た結論によってそういう措置をするのであればいざ知らず、外でやられるというようなことについては労働行政として禍根を残すというようなことにはなりはしないですか。
#29
○村上国務大臣 これは基本にかかわることでございますので、この猶予の御措置をお願いした大臣として答弁すべきかと思いますので、お答えいたしますが、横紙破りだとか横やりだとかこういうことについては、私の政治生活の中において断固排撃しなきゃならない、筋を通していくのが私の政治信念であります。そうした立場で、毫もそういう横やりに屈するというようなことはあってはならない。
 これはあくまでも、私自身もそうでありますが、特に先生は大阪の御出身でいらっしゃいまして大阪を選挙基盤として戦っていらっしゃる、特に今回大阪の中小企業の皆さん方の御陳情というものを私はたびたびお受けをいたしました、そうしたことから考えまして、これはやはり政治というものは実態に即して、そして、判断すべきことは判断していかなきゃならない、こういう立場に立ちまして、現状の中小企業の経済状況下の中で、私はこういう判断をしていかなきゃならないという結論に達しまして、審議会にその審議をお願いを申し上げた、こういうことでございます。
 審議会におきましても公労使という構成の中で整々とその御審議を心から願った次第でございますが、不幸にいたしましてああいう結果になっているわけでございますけれども、労に対する御退席につきましても、私どもは私どもなりに御出席を賜って、審議を賜るべく努力をさせていただきました。
 結果といたしまして、御答申を賜りますときに審議会の会長から、その手続において労働省としても問題がなきにしもあらずというこうしたきつい御忠告を賜り、そのことについての反省は十分いたしているところでございます。
#30
○和田(貞)委員 その労使公で構成されておる中央労働基準審議会、三者構成で行われておるにもかかわらず、労働側の、いわばその三分の一の委員が総退場。この総退場になったというのは、これは今大臣がどんな横紙破りにも屈しない、横やりにも屈しない、こう言われたけれども、これは屈したから労働側の委員は退場したと私は思うのですよ。異常な中で結論を出したということはいいことじゃないと私は思うのです。異常なことだ。そんなことを続けていってはよくないでしょう。どうですか。
#31
○村上国務大臣 先ほど申しましたように、この答申をお受けいたしましたときの会長からの強いそうした私どもに対する注文というものは、率直にお受けをさせていただいておる、こういうことでございます。
#32
○和田(貞)委員 そんなことのないようにこれからやってください。横紙破りに屈せずひとつやってください。
 それで、その横紙破りをやった側の通産省の方に私はお尋ねします。
 この猶予措置を一年間延長してくれ、あなたのところだけじゃないが、通産省もその一つの役割を果たしたところでございますが、どういう理由でなぜそのような横やりを入れたり横紙破りをやったのか、お聞かせ願いたいと思います。
#33
○関政府委員 大変失礼でございますが、私どもは横紙破りだとは思っておりませんので、私どもの考え方を御説明させていただきたいと存じます。
 先生、先ほどから御指摘ございましたように、我が国の働いておられる方の、労働者の方の八割は中小企業で働いておられるわけでございます。その数は四千万人以上いらっしゃるわけでありますから、先ほど来御指摘ございますような生活大国を実現する上でこの中小企業における時短が極めて重要であるという認識は、私どもも人一倍強く持っているつもりでございます。また、いろいろな中小企業の経営者の方に伺いましても、やはり同じようなお気持ちを持っておられるわけでございます。そのために、私ども、これまでもいろいろな形で努力はしてまいりました。
 先ほど来御質疑ございますように、労働基準法におきましてはいわば法的規制という形でその実効を図られるわけでございます。私どもは、中小企業の方々が時間短縮をすることが可能となるような条件の整備、環境の整備ということについてこれまでも大変努力をしてまいったわけでございます。まだ不十分かもしれませんが、この努力はこれからも続けてまいりたいと思っておるところでございます。
 しかしながら、先生の方が私よりもはるかに詳しく御存じだと思いますけれども、現下の中小企業の経営状況は極めて厳しいわけでございます。私どもの統計でも恐らく全体の中小企業の二分の一以上は現在赤字でございます。時間短縮を短期間で実現しようといたしますと、例えば人手をふやすかあるいはまた人手が少なくて済むような機械を導入するかといったような方法が考えられるわけでございますが、このような景気の状態ではなかなかそれも実現できないというのが実情ではないかと思うわけでございます。
 そこで、私どもは、時短の重要性は十分認識をいたしておりますけれども、このような厳しい経済実態にある中小企業の実情も十分に勘案して、労働基準法の改正あるいはそれに関連する諸措置についても措置をしていただくようにいろいろ意見を申してまいったわけでございます。これは、法律を提出いたします場合でも、また政令を策定いたします場合でも内閣の閣議で決定をいただくわけでございまして、その前の段階では各省に御協議がございまして、各省はそれぞれの立場で御意見を申し上げるという機会があるわけでございます。私どもは、そういう機会等を活用させていただいて、今申し上げましたような実情を御説明してきたという経緯でございます。
#34
○和田(貞)委員 私も私なりに中小企業にかかわっておるわけでございますから、よく事情はわかっております。中小企業庁は、当然のことながら中小企業の実態というのは把握しておられる。問題はその情報源です。その情報源が私は大事だと思うのですよ。横紙破りではないということを言われたけれども、私に言わせれば横紙破りなんだ。その情報源が正確にとらまえておられない。そして、その中小企業対策としての基本的な考え方を誤算しておると私は思うのです。
 後で言いますが、その情報源として、どのような中小企業団体の方からあなたの方に、猶予期限を一年間延長してよという陳情があったのですか。
#35
○関政府委員 この問題につきまして、私どもいろいろな方の御意見を伺っているわけでございまして、大きく分けて三つぐらいあろうかと思います。
 一つは、今先生御指摘の中小企業に関する各種の団体がございます。商工会議所でありますとか、商工会でありますとか、あるいは中央会、商店街振興組合連合会、こういった団体からも御意見を伺うわけでございます。
 同時に、私どもは組合の皆様方とも時々会を持って組合のお立場のお考えも承っておるわけでございます。実は、私も、私ごとで恐縮でございますが、昨年の六月末に中小企業庁長官になりましたが、直ちに翌七月の上旬に組合の方とお会いして、いろいろと意見交換をさせていただきました。その際には、この時間の問題もございました。それ以外の問題もございました。その後も、あるいは私が直接お会いする、あるいは私どもの担当部長がお会いするという形で何度がお話し合いの機会を持たせていただいて、こちらからも御意見を承っております。
 それから、同時に、そういった各団体を通ずるという以外にも、中小企業におきます時間短縮はどういう状況にあるのか、またそれを実施することが難しい、困難なポイントはどこにあるのかということにつきましては、私ども自身あるいは私どもの地方支分部局でございます通産局あるいは都道府県の皆様方から直接の御意見を伺い、そういった各方面の御意見を十分伺いながら私どもなりの判断をさせていただいているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#36
○和田(貞)委員 今お述べになったように、日本商工会議所初め中小企業四団体の方からの陳情もあった、これも一つの情報源ですね。
 しかし、中小企業庁長官、ここで大事なことは、これからの問題として、仮に日本商工会議所の石川六郎さんが選挙で特定の候補者の応援弁士に立った、こういう場合は商工会議所法の違反なのですね、特定の政治団体を支援したり特定の政党を支持したらいかぬというようになっているのだから。これは石川六郎さんが鹿島の会長としてやったんだ、これは商工会議所の会頭としてやったんじゃないんだ、こういう使い方もあり得ますわね。しかし、商工会議所の会頭をやっておる限りは、鹿島の会長というよりも、今度の石川六郎さんのこの問題については国民の大きな関心と批判の的となっているでしょう。それを、商工会議所の会頭としては関係ないんだというようなことを言いながら、今度のこの点については、商工会議所の会頭として、商工会議所の意見としてというような使い方をされるということは、私は不思議でならぬわけです。
 その一つの団体に中央会がございます。私も大阪で一つの中小企業団体の理事長をやっております。中央会の会員なんです。中央会の会員であるために、私は大阪の中央会に聞いた、京都の中央会にも聞いた、兵庫の中央会にも聞いたのです。何も知らぬと言っておるのですよ。中央会が中央会としての意見をあなた方に陳情するのであれば、かつての消費税の問題があったじゃないですか、かつての売上税の問題があったじゃないですか、やはり各県の中央会の意見を吸い上げて、手続をとって、機関で決めて中央会の意見だというのが中央会の意見なんです。商振の意見も同じことです。そのように機関の議を経て会長が動かれるということは、その機関の決定によって動いている。商工会連合会も日本商工会議所も同じことです。
 今回あなた方の方に陳情に来たというのは、組織として陳情に来ているのじゃなくて、個人が陳情に来ている。もっと悪く言うならば、だれかの口車に乗ってその人たちが動かされたというようにも受け取れるような今回の陳情ですよ。それをまことの情報だということで、中小企業四団体の意向もあるのでということで、中小企業庁なり通産省が労働省に意見を言うということは、横紙破りじゃないと言われても、横車であり、まさに横紙破りじゃないですか。どうですか。
#37
○関政府委員 四つの団体の個々の意思決定の手続のことでございますから私からお答えするのは適当かどうかとは思いますけれども、せっかくのお尋ねでございますので、結論的に申し上げれば、正式な手続を経てこの陳情がなされているもの、こう私どもは解釈をいたしておるところでございます。
 一例を御説明申し上げますが、御必要があれば四つ全部申し上げてもよろしいわけでございますが、例えば今御指摘の全国中小企業団体中央会、これは昨年の十月十五日に青森で全国大会を開催いたしまして、そこで今回の内容になるようなものにつきまして決議をいたしております。実は私もこの会合には出席をいたしておりましたし、たしか労働省からもどなたかお見えになったと思いますけれども、その全国大会で決議をされたものでございます。
 また、今先生がおっしゃいました四団体の要望書という形でそれを実現していくということにつきましては、中央会の中に総合政策懇談会という場があるやに聞いておりまして、そちらでその要望書の内容を承認したと承知をしております。
 商工会連合会につきましても、十一月二十六日の大会で、これも私は出席をいたしておりましたのでよく覚えておりますけれども、そのような決議がなされ、一月十九日の正副会長会議で要望書を提出することが決められたと伺っておるわけでございます。
 その他の機関につきましても、時間の関係で詳しくは御説明申し上げませんが、同様の正式な手続きを経て出されたものと私どもは解釈をいたしておるところでございます。
#38
○和田(貞)委員 全国商店街振興組合連合会、この例を私は言いましょう。現在、百八連合会、二千四百七十二組合、末端の加入店は十四万二千店です。その中で、もちろん家族的に商売をやっている方々が非常に多いわけでございますが、従業員は一人、二人、三人、ほとんどがその程度です。少なくとも従業員を十人以上使って商売をやっておる商店というのは、その中の五%なんですよ。九五%の皆さんは従業員十人以下の商店だ。そんなようなところが猶予期間を一年間延長してくれ、これが全体の意向になりますか。正規の手続を経たと言うけれども、この構成をもって見ても当たらないでしょう。だから、まともにひとつ答弁してもらわないと困る。お答えいただきたい。
#39
○関政府委員 先生御案内のとおり、今申し上げました四団体、いずれも法律に基づきまして設立が認められ、その運用についても法律によって規制されておるわけでございますから、当然その団体としての意思決定の手続も法律またはこれに準ずる法規によりまして規制をされているわけでございます。
 したがいまして、先ほどは商工会連合会と中央会について申し上げましたが、せっかくのお尋ねでございますからそれ以外の団体についても申し上げますと、全国商店街振興組合連合会につきましては、十月二十日の理事会におきまして時短問題についての検討委員会を設置いたしまして、十一月二十五日に正副理事長会議におきましてその内容をお決めになり、その対処の仕方については理事長に一任をするという形で決めたというふうに聞いておるわけでございます。それから、日本商工会議所につきましても、昨年の暮れの十二月十七日、それから一月二十一日の常議員会におきまして同様な決定及び要望書の提出を認めたという手続を経たと聞いておるところでございまして、先ほど御報告申し上げました二つの団体とも、法令に基づきます意思決定の手続に従って決定され、私どもに御意見のお申し出があったということでございます。
 なお、先ほど来申し上げておりますように、私どもは、その四団体のほかにもいろいろなルート、組合の方の御意見も伺い、また、私どもが直接調査するということも含めまして総合的な判断をして、その一助であるということもぜひ御理解いただきたいと思います。
#40
○和田(貞)委員 きょうはその中小企業の団体に参考人としてぜひとも来てほしかったのですが、手続上できませんでしたので、私は今長官の言われたことと対峙してどうですかということを尋ねることはできませんので、平行線です。これは別の機会に、私は私なりに言っておるわけでございますから、労働省の方、大臣の方、あなたのところは内々だけれども、ひとつ外の私らの意見もまともに聞いておいてください。
 私は、中小企業の実態ということは百も二百もわかっているんです。冒頭に申し上げたように、実態はこうだから、実情がこうだからということじゃ一つも前進がないのです。その実態をなくすように努力せないかぬのです。実情を解決するための努力せないかぬのですよ。これが生きた政治であり、行政じゃないですか。いつまでたっても実情はこうである、実態がこうであるというようなことは、私が先ほど申し上げたように、これはもう皆さん方の政策の実現ということの足引っ張りになるし、ひいてはやはり中小企業のためにもならぬわけです。そういうような実態、実情というものをなくすことが、今日まで社会的に役割を果たしてきた、経済的に役割を果たしてきた中小企業が、これから人材も確保し、国際的な分野で活動ができる、そういう基盤をつくり上げていくことになるわけですから、また、そういうようにしむけていかなくちゃならぬわけです。いつまでも実態や実情やということでは、私はやはりだめだと思います。
 そういうことは言ったところで時間がたってしまいますので、中小企業庁が、長官のところが三月に中小企業白書の概要を、これは毎年発表されておりますが、発表されておる。その発表された「むすび」として、中小企業の長期的発展のための課題ということで三つ挙げられておるのです。一つは「労働環境の整備と人材育成」、人材育成です。二つは「国際化の進展と地球環境問題への対応」、三つは「構造変化に対応する産業基盤の充実」、産業基盤を充実せないかぬ。中小企業対策だと言うたら、もう金を貸すだけ、税金をどうするというようなことだけじゃだめだ、やはり基盤を充実させていかないかぬ、そのために人材を確保せないかぬ。
 労働時間の問題についても、中小企業の実態はこうだ。今日国際的に言われている地球環境の問題でも、中小企業だから許すということにはならぬわけですよ。中小企業だから環境問題に関心を持たなくてもいい、公害をばらまいてもいい、こういうことにはならぬわけです。環境の問題も労働時間の問題も同じことじゃないですか。そのことを達成することによって初めて、中小企業の基盤というものを充実させていくことになるわけです。
 特に人材の育成というものについては、進んで中小企業に働く意欲を持たせていかないかぬ。最近は賃金の格差というものは、労働組合の努力もあり、使用者の理解もあって大企業との間の格差を縮小していくという方向に向いておりますが、労働時間の格差、実情−実情ということでいつまでもほっておくと、いつまでもこの格差の是正ということにはならない。年金についても同じことです。
 いつも言うように、大きな企業や公務員の皆さんは、企業年金というのがあって、年金は三階建て。中小の皆さんは、その三階建ての企業年金をつくる中堅の企業は別として、中小零細な企業は企業年金さえつくるということも力がない。二階建てと三階建ての年金格差がある。安い住宅にということで大きな企業は社宅を建てられても、小さな企業は社宅を建てるということもできない。その他の厚生福祉の問題についてもおくれておる。
 そういうような問題は、年金を三階建てにしていく、福祉も大企業にまさるとも劣らないような福祉を考えていくというようなことをやってのけてあげるのが中小企業庁の仕事じゃないですか、それが中小企業対策じゃないですか、中小企業政策じゃないですか。その中に、この労働時間の短縮というものも一つの大きな柱にあるわけですよ。そういう問題を解決して初めて、戦後おれたちが大きな企業の支えの役割を果たしてきて、こんなに立派な日本経済をつくれてきたんだということで、経営者の皆さんも、労働者の皆さんも胸を張って、おれは中小企業の労働者だ、中小企業に働く技術者だということで、これからもなお意欲を持たれるということになるのじゃないですか。
 そういうようなことを十分に頭に置いて、中小企業の労働者に向けての時間短縮について、もう金輪際、これ以上横紙破りをやるというような繰り返しをやらないようにしてもらいたいと思いますし、また、労働省の方もそれをしかと受けとめてもらいたいと思うわけでございますが、長官、どうですか。
#41
○関政府委員 お答え申し上げます。
 先生今御指摘の中小企業白書でございますが、実は、これは本日の閣議で御決定をいただくことになっていたものでございます。先生から御指摘ございますように、時短の問題でありますとか労働環境の問題についても、私どもも大変重大な問題だと考えておりまして、今度の白書におきましてもその分析にいろいろ努力をいたしたわけでございます。
 そこで、時間短縮でありますとか労働環境の改善といったようなことにつきまして、最初にお答え申し上げましたように、中小企業庁として心がけておりますことは、中小企業の方々がそういうことが可能となるような環境条件を整えるというのが私どもの仕事だと考えておるわけでございます。
 時間の関係で詳しくは御説明申し上げられませんが、私ども、現在進めております施策は五つぐらいの柱になるわけでございます。
 第一は、中小企業労働力確保法の運用によりまして、労働時間の短縮でありますとか職場環境の改善、あるいは福利厚生の充実、募集方法の改善といった中小企業の労働力確保、時間短縮について、法律の運用によりましてこの実効を図っていこうという措置でございまして、現在二百七十を超える具体的な計画が動きつつあるわけでございます。
 二つ目には、時間短縮を進める上で、省力化機械でありますとかロボットといった、人手が少なくて済むあるいは危険な仕事に人が直接携わらなくて済むような機械の導入が非常に有効であるわけでございます。そういった機械の導入等々の場合に金融上、税制上の措置を講じ、また、最近におきましてもこれを拡充いたしたところでございます。
 三番目には、特に下請中小企業の場合には親企業との関係でなかなか時間短縮が進められないという面もございますので、下請企業振興法等々の運用によりまして、親企業にも協力を求めていくという措置でございます。
 それから四番目は、今後さらに時間短縮を進めるために必要となる技術の開発についても力を入れておるところでございます。
 五番目には、中小企業の方々にとりまして、日本全国で展開されております中小企業の中で時間短縮にこういう形で成功したといったような具体例がまた大変参考になるわけでございます。先生御指摘の今回の白書におきましてもそういう具体例を幾つか紹介させていただいておりますし、また、中小企業事業団のデータベース等でもいろいろ御紹介をすることにいたしております。
 こういった形で、私どもは、中小企業の皆様方が時間短縮につきまして所期の目標を達成するためになさるいろいろな御努力に対して、各面のお手伝いを今後とも強化してまいりたいと考えておるところでございます。
#42
○和田(貞)委員 今触れられた中で下請中小企業振興法の問題でございますが、これは法律があってもなくてもいいという意味じゃございませんが、この法律をつくったときの経済情勢、社会情勢と比べれば、やはり変化している向きもあると私は思うのです。この法律では、下請中小企業というのは、親企業と子会社、元請企業と下請企業、この間が、製造業にあっても同業種、そういうことになっているわけですね。今、多様化しておりまして、企業の中に、例えば派遣業として構内作業だけを下請する、あるいは運輸部門だけを下請する、サービスだけを下請するというように、下請企業というのが同業種だけで解決できないという問題が伴ってきているわけです。
 だから、私は長官にも申し上げたように、この下請中小企業の範囲をこの際もっと拡大していく、異業種間の下請も認めるようにしていく、そして、振興ということでなくて、下請中小企業の支援法、あるいは下請中小企業の援助法とか保護法とかいうような形に改めていくべきじゃなかろうかということを私は提言しているわけです。
 あわせて、今この振興法に基づく振興基準というのが定められているわけですね。これは法に基づくところの政令でもなく、省令でもなく、単なるという言葉を使ってどうかと思いますが、通商産業省の告示第三十八号、告示なのです。これでは規制の網にかかりませんよ。これでは、告示によって親企業、元請企業の行政指導に努めたところで効果がないと私は思う。
 私は、このものずばりとは言いませんが、中小企業あるいは下請企業のことを考えるならば、この基準こそを下請中小企業の支援法あるいは援助法という形で、せっかく決められておるわけでありますから、この告示を法律に昇格させていくことに踏み切ることを労働省としてもあるいは中小企業庁としてもぜひとも検討してもらいたいものだというように私は考えるわけでございます。
 中小企業庁それから労働省、私の今の提言についてひとつお答え願いたいと思います。
#43
○関政府委員 先生御指摘のように、我が国の製造業、中小製造業のおおむね五六%は下請関係にある企業でございますので、この下請企業におきます時間短縮をいかに実現するかということは、先ほど来申し上げておりますように非常に重要な問題だと思っておるわけでございます。
 そこで、今先生から下請企業振興法の御指摘がございましたが、この下請関係について規制をいたします法律といたしましては、下請中小企業振興法のほかに下請代金支払遅延等防止法、二つの法律があるわけでございます。
 この下請中小企業振興法でございますけれども、今先生御指摘の、例えばサービスでありますとか工場内でいろいろ附帯的な業務を行っている者も入れたらどうかという御提言、前にも承ったところでございますが、実は業態が変わってまいりますとなかなか同じような考え方でできないということで、今の下請企業振興法は、製造または修理の委託というものを対象にいたしているわけでございます。製造または修理の委託であります限り、委託する側と受注する側が同じ業種である必要はないわけでございます。ただ、先生おっしゃるように、サービス業一般といったようなものについては、御指摘のとおりこの法律で対象にはいたしていないわけでございます。
 この点につきましては、例えば建設業につきましては、建設業法によりましていろいろな規制がございます。また、運輸関係につきましては、独占禁止法上のガイドラインといったような形でやっておられる例もございます。しかしながら、サービス業一般についてはここでは今対象としていないわけでございますので、私ども勉強させていただきたいと思っております。
 勉強させていただきたいと思っておりますが、今の下請企業振興法的な体系の中に入れるのがよろしいのか、あるいは力関係の差がある企業の間の取引条件の適正化といういわば独占禁止法の原点に戻って考えた方がいいのか、そこはいろいろな議論があり得ると思いますので、実態を勉強させていただいて、検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
 次に、先生から、下請企業振興法の振興基準を告示から法律にできないかという御指摘がございました。
 振興基準につきましては、私どもとしては、先ほど来の御質疑にも実は関係してまいるわけでございますけれども、平成三年の二月には下請中小企業が時間短縮を促進することが可能となるように振興基準の改定を行ったところでございまして、今、振興基準の中にはそういった配慮も加えられているということをまず御理解いただきたいと思うわけでございます。
 次に、これを法的なレベルに上げるべきかどうかという御議論がございました。
 私どもとしては貴重な御提言だと思うわけでございますが、この振興基準の中身、具体的な親企業と下請企業との取引関係と申しますものは、非常に複雑なさまざまな要因の中で取引条件等が決められてくるわけでございますので、また経済というのは常時動いているわけでございますので、日々また変化を来すことも事実でございます。そういった中で、私どもとしては、その実態に合わせて、あるいは複雑なさまざまな条件を十分組み込んでこれを実施していくという観点からは、今の告示という形が一番現実的ではないかと考えておるのが現状でございます。
 私どもとしては、この振興基準を達成する、確立するということを目指しましてさまざまな努力を続けておりますけれども、これからもこの振興基準を実現いたしますように、広報でありますとか関係企業へのお願いでありますとか、さまざまな形でこれからも拡充をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#44
○石岡政府委員 先生御指摘のとおり、中小企業を見ますと、賃金、時間、年金、社宅など、大企業と比べまして本当に大きな格差があるところでございます。労働時間について言いますれば、大企業の時短は労使に任せておけば基本的にはできていくとは思いますけれども、中小企業の時短はやはり中小企業だけではできない、そういう問題ではなかろうかと思います。
 と申しますのは、中小企業の時短を妨げているいろいろな要因を調べてみますと、中小企業の生産性が非常に低いあるいは取引条件が非常に厳しいといったようなことなどがあるからでございます。これらは、やはり単独の中小企業だけでは、労使だけでは直せない、そんな問題だと思いますので、政府がやはり政策的にこういう阻害要因というものを取り除いて時短をしていかなければならないと考えている次第でございます。
 そういう観点から、労働省は、今までも通産省や関係省庁に対しまして取引条件の改善によって時短が進むようにいろいろお願いもしてきたわけでございます。下請振興基準の改正も平成三年の二月にありまして、一歩改善がされているところでございますけれども、今後、この告示が法律になるかどうかという問題も含めまして、要は、中小企業における取引条件の改善が実際に進み、それが時短に結びついていくということが大事なわけですから、そういう方向で、どういう形が一番大事なのか、どういう政策が一番大事なのか、通産省ともよく相談をさせていただきたいと思っております。
#45
○和田(貞)委員 労働省は、この基準を機械的にそのまま通産省に言って、法律に置きかえてくれと言うたところで、これはやはり問題がありますが、やはり告示よりも法律の方がより拘束力があり行政指導というのはできやすいわけでございますから、今言われているようにひとつ検討してください。これは、横紙破りじゃなくて、建設的な意見というのですよ。建設的な意見は労働省、どんどん通産省にひとつ言ってください。
 時間も参りました。いろいろと議論させていただきましたが、日本の中小企業が今日まで果たしてきた役割、そこに働いておった労働者が、いつまでも胸を張って、体を張って、おれこそが中小企業の労働者なんだということが誇りに持てるような労働条件をつくり上げていくために、労使はもちろんのことでございますが、労働省、ひとつ勇気を持って一日も早く千八百時間の達成を当面の目標として頑張っていただきたいと思いますので、最後に労働大臣の方から決意のほどをお聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#46
○村上国務大臣 どうぞ労働省にひとつ満腔の信頼を寄せられまして、労働行政に御協力を賜れば幸甚に存じます。
#47
○和田(貞)委員 終わります。
#48
○岡田委員長 次に、伊藤英成君。
#49
○伊藤(英)委員 質問に先立ちまして一言申し上げたいと思いますが、私の質問順位につきまして、本日も委員長初め各党の皆さん方に大変御配慮をいただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。
 この労基法の改正の問題につきまして、本日は三回目の委員会になります。私は、第一回目のときに、労働時間の規制の仕方といいましょうかそういうこと、あるいは猶予措置、特例措置のあり方の問題について議論をいたしました。次の二回目の二十一日には、時間外及び休日の割り増し賃金卒について議論をいたしました。本日は、まず変形労働時間制の問題について伺いたいと思います。
 この問題につきましては、一年単位の変形労働制の導入に関して、それが休日増を図る方策と理解されていても、その関係者からはやはりいろいろな懸念が持たれております。一つは、経営側のこの制度の乱用、二つ目には、経営側にのみ有利な制度で労働側には利点がないのではないか、そして三つ目には、実際の制度として機能するかどうか、特に、施行規則十二条の六で育児、介護、訓練、こういうものを受ける者に対する配慮の努力義務を課しておりますけれども、彼らの就業継続を困難にする危険はないだろうか、四つ目には、乱用防止等の方策と違反した場合の罰則規定が必要ではないだろうか、こういうものであります。
 そこで、三カ月単位から一年単位に変更した理由は、一体どういうことであるか、まず伺います。
#50
○伊藤(庄)政府委員 ただいま御審議願っておりますこの労働基準法の改正、週四十時間労働制への移行、週休二日制に相当する労働時間制を採用することを一つの大きなテーマにいたしておるわけでございます。
 こういった週休二日等を通じまして休日増を図っていく場合に、やはり年間の休日管理、こういうものを行いながら、業務の繁閑を利用しながら週休二日制あるいはそれ以上に相当する休日増を図りつつ、今回目的にしております週休二日制に相当いたします週四十時間制の導入をしやすくする。そういった労使の取り組みによりまして効率的な労働時間管理、週四十時間労働制の達成、そういうことを進めていくための一つの効果的な方策として、これを、従来の三カ月の変形労働時間制を一年の変形労働時間制に変えて制度を改めて実施していきたいというふうに考えたものでございます。
#51
○伊藤(英)委員 一日八時間を超え、そしてまた週四十時間を超えて働くことを前提にしていることから、経営側の運用いかんによっては特定の期間に長時間労働が集中する危険が当然のこととして指摘されますね。
 それが、特に組合員数の少ない事業所になりますと民主的な枠組みの労使協定の締結がなされるかどうか、これまたどうかなと思います。この点についてはいかがですか。
#52
○伊藤(庄)政府委員 最初の変形労働時間制を採用した場合の一日、一週の上限時間に関連いたしまして、一時期に過度の労働が集中することがないかという御指摘でございますが、現在三カ月の変形労働時間制について設けられております一日十時間、一週五十二時間という限度時間につきましては、これを縮小の方向で施行の段階で労働省令で定めるよう検討していく、こういうことにいたしております。
 また、そういうことに加えまして、年間平均して、各週の平均が、猶予の水準ではなくて四十時間でなくてはならない、こういうこともございます。また、労使協定でこの具体的な内容を定めて労働基準監督署の方へ届けていただく、こういった制度もございまして、そういった時間的な制約また手続的な制約から見まして、余りにも一時期に偏るような不合理な変形労働時間制の利用は実質的にできないものというふうに私ども受けとめております。
 それから、一年の変形労働時間制は、三カ月制の場合と同様、労使協定を前提といたしておるわけでございますが、この労使協定を結ぶに当たりまして、労働組合、労働組合がない場合には従業員の代表の方とこの協定を締結するわけでございますが、労働組合のない場合の労働者代表の選び方につきまして、私ども通達等を発しまして、例えば労働者代表として事業あるいは労働条件の計画や管理に関する事務をやっている者を選んでしまったり、そういうどちらかといいますと管理監督者的な者を代表に選んでしまうというようなことがないように、また、従業員の意見を正しく反映して事業主と協定を結ぶための話し合いができるように、例えば選挙、挙手、そういった民主的な方法で代表を選ぶようにというような通達を出しております。そういったことをこの一年の変形労働時間制の実施に当たりましても十分に指導し、また労使協定の届け出があった場合にも十分チェックをして運用していきたいというふうに思っております。
#53
○伊藤(英)委員 この辺は現実には心配されるところが多々あるわけですね。そういう意味で十分に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、育児、介護等の家族的責任を有する者、また勤労学生や特別に事情のある労働者に対して現在十分配慮されているかどうか、どういう認識が、そしてまた今後もそうした労働者が守られるかどうか、この辺についての見解をお伺いいたします。
#54
○石岡政府委員 変形労働時間制の適用を受ける者につきましては、労働省令で
 使用者は、育児を行う者、老人等の介護を行う者、職業訓練又は教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児等に必要な時間を確保できるような配慮をするように努めなければならない。
と規定されているところでございます。
 御質問はこの規定が守られているかどうかでございますが、いろいろ調べてみますと、十分使用者側でこの省令に基づく配慮がなされているというような実態があると考えておりますが、さらに今後問題がこの面で出ないように届け出などの際に厳しい行政指導をしてまいりたいと思っております。
 それから、今後の問題でございますけれども、一年の変形労働時間制につきましては、三カ月の変形労働制の一日、一週の上限規制を強める形で規制をかぶせてまいりたいと考えておりますし、また、この制度は監督署に届け出をする制度として予定もいたしておりますので、育児等への配慮が問題なく使用者によってなされるように行政指導を厳しくやってまいりたいと思っております。
#55
○伊藤(英)委員 今言われたようなことも、一度計画を策定したこの変形制の期間の途中に労働側にとって極めて困る事態が発生したというような場合に、その変形制を変更できるのかどうか。そして、もしもそれができないという場合に、その調停を労働省がするのかどうか。あるいは明らかに経営側の乱用と判断ができるようなことも想定されると思うのですね。そういうようなことを考えればやはり罰則規定を設けなければいかぬのではないか。いかがですか。
#56
○伊藤(庄)政府委員 この一年の変形労働時間制を採用するに当たりましては、労使協定で事前に年間の休日、それから一定期間ごとに区切りました日々の労働時間をあらかじめ特定して動き出す、こういったことが定められている制度でございます。
 これにつきまして、変形期間の途中で労あるいは使の都合で変更するということになりますと、むしろ私ども、事業主側の業務上の都合で変更されるケース、いわばこの労働時間の変動幅を利用するケースが出てくるのではないかということで、その点については途中での変更はできない仕組みにいたしております。
 ただ、日々の労働時間につきましては、一年とはいえ三カ月ごとに労働時間を決めていく。したがって、その三カ月の区分の事前に事業主が決めて、法律上労働側の同意を得て決めていく、こういう仕組みにいたしております。したがいまして、そういった労働時間の問題につきましては、その段階で労働側の意向が十分反映されるような仕組みと法律上いたしております。
 もう一つ、この変形労働時間制について何らかの乱用等があった場合に罰則の規定を設けるべきではないかという御指摘でございますが、例えば一日あるいは一週について現在よりも縮小した形で限度時間を定める、こういう考えでおりますけれども、これに違反してそれを超えて働かせた、割り増し賃金をそれに対して払ってない、こういうケースが出ますと、それはもとに戻りまして、通常の労働時間から起算した割り増し賃金を払わなければならない、こういう仕組みになりますので、それを払ってないということになれば、そういった条項違反ということで当然に罰則の規定が問題になる、こういう仕組みになっておりますので御理解いただきたいと思っております。
#57
○伊藤(英)委員 今幾つかの問題についていろいろと説明をいただきましたけれども、やはりまだ心配だということが言えると思うのですね。
 一年単位の変形制は経営側のみに有利にならないようにしなければなりませんし、また、業種拡大の懸念もありますから、そういう意味ではやはり何らかの歯どめというものが必要だ、こういうふうに思います。
 それで、どうしても次の三点が非常に重要だと思います。まず一つは、一日の上限時間は八時間とする、あるいは、一週の上限時間は四十八時間とする、連続労働日数の上限を定めることだと思いますが、いかがですか。
#58
○石岡政府委員 ただいま、一年単位の変形制については経営のみに有利にならないよう、また、業種拡大の懸念もあることから一定の歯どめが必要ではないかという御指摘がございましたけれども、労働省も、基本的にそのとおりであり、一定の歯どめが必要ではないかと考えているところでございます。
 そこで、御指摘の三点の考え方でございますが、一円、一週の上限時間につきましては、審議会でも現行の三カ月の場合の上限時間よりも縮小する方向で見直すべきだと既にお決めいただいておりますので、その方向で適切に対処してまいりたいと考えております。
 また、三番目におっしゃいました連続労働日数の上限を定める点につきましては、現行の三カ月の場合と同様に、一週間に一日の休日が確保できる日数、こういうふうにさせていただきたいと思っております。
#59
○伊藤(英)委員 さらにまた御検討をお願いいたします。
 次に、年次有給休暇について伺います。
 前回の法改正時の附帯決議に「今後適当な時期に、ILO条約の水準を参考にさらに付与日数の増加を図ることを検討する」とされておりますけれども、労働省として、前回改正時から付与日数の引き上げについてどのような検討を行ったのか、そして、今回三百一人以上の規模の事業所はなぜ引き上げをしなかったのか、まず伺います。
#60
○伊藤(庄)政府委員 年次有給休暇につきまして、前回の労働基準法改正の際にございました附帯決議の、ILOの水準を参考にしながら適当な時期にその付与日数のあり方について検討する、この点を受けてどんな検討をしたかという点でございます。
 私ども、今回労働基準法の改正案を検討するに当たりまして、まず、労働基準法研究会、労働大臣の私的諮問機関でございますが、ここに検討をお願いしております。そこからいただいた報告の中で、まず年次有給休暇については、一つは、継続勤務期間の要件を一年から六カ月に短縮してはどうかという提言をいただき、また、付与日数の関連につきましては、今後の課題として付与日数を今一年ごとに一日上げている仕組みをもう少しスピードを上げるとか、そういったILOの基準を参考にした付与日数の改善のあり方が検討課題として提示されました。それを受けまして、中央労働基準審議会で御検討願った際にも、年次有給休暇の付与日数のあり方については、重要な議論のテーマでございました。種々の議論が行われましたけれども、最終的に法案取りまとめの基礎となりました建議では、付与日数のあり方につきましては、三百人未満の中小企業について平成六年四月から十日でようやく実施されるということもあって、それが実施される段階でその後の付与日数のあり方について速やかに検討するということで全会一致で建議を出していただいた経緯がございます。
 したがいまして、私どもその建議に沿いまして、今御審議願っております本案が成立し、また、中小企業へ十日という日数が実施される段階、といいましても来年の四月ですのでもう間もなくでございますが、速やかに今後の付与日数のあり方について検討に入っていきたいと考えておるところでございます。
#61
○伊藤(英)委員 今言われました三百人規模以下の事業所は、来年の四月一日から最低付与日数を八日から十日に引き上げるということですが、六年以降はどういうスケジュールで考えておられますか。
#62
○伊藤(庄)政府委員 平成六年四月から三百人未満の中小企業につきまして十日が実施されるわけでございまして、先ほど御説明申し上げましたように、その段階で、速やかにその後の付与日数のあり方について中央労働基準審議会に御議論をお願いして、具体的な検討に入っていきたいというふうに考えております。
#63
○伊藤(英)委員 労働基準法研究会報告の中に、
 中小企業においては従来から長期勤続者が少ないことに鑑み、現行の十日から一年に一日ずつ増やしていって十一年勤続してようやく二十日になるという仕組み
これは再検討の必要がある、
 一年に二日ずつ増えることとすることや最低付今日数の引上げが検討される必要がある。こういうふうにありますけれども、この点についても私ども共同要求の中で求めておりますが、この点はいかがですか。
#64
○伊藤(庄)政府委員 私どもこの年休の付与日数のあり方につきましては、前回の改正の際にございました附帯決議の線に沿って、ILOの条約の水準を参考にしつつ検討していかなければならないというふうに思っているわけでございますが、それを参考にしながら行っていく際に、今の我が国の仕組みと並べて考えますと、この一年たつごとに一日ずつふやす仕組み、これを仮に二日にしてはどうかという検討テーマは、基本になります基礎的な最低付与日数のあり方、それらとも密接に関連してくる問題であるかと思っております。
 したがいまして、中小企業に十日という最低付与日数が実行される段階で速やかに中央労働基準審議会に議論をお願いして具体的な検討に入っていきたいというふうに先ほど申し上げましたが、その中でこの一年経過ごとの日数のあり方というものもそれとセットで御議論を願っていく、こういう形を考えております。
#65
○伊藤(英)委員 この辺もなかなか進みそうもないなという感じを非常に強くするわけでありますが、最低付与日数について、ILOの三労働週の水準をいつクリアすることになるのだろうか。
 そして、私はあわせて伺いますけれども、先回でしたか先々回でしたか審議会の出しているモデルケースの話をしたと思うのですが、あのモデルケースの中に、千八百時間を達成するために掲げているあるいは前提としている有給休暇の取得日数二十日間というのがあります。あれを一体どういうふうにして達成していくのだろうか、こう思うのですが、いかがですか。
#66
○石岡政府委員 御指摘のILOの三労働週・十五日の水準につきましては、これをクリアすることが我が国のこれからの課題であろうかと思っております。そういう問題意識を持ちながら、年次有給休暇の水準の引き上げにつきましては、先ほど部長が答弁しましたように、平成六年四月以降審議会で御審議をお願いしていただく予定にしておるところでございます。
 それから、「生活大国五か年計画」のモデルケースの年休二十日取得の目標達成の問題でございますけれども、このためには、前回の基準法改正により制度化されました年休の計画的付与制度、これが非常に有効だと考えておりますので、これの普及と活用の促進を強力に図ってまいりたいと考えております。
 さらに、今般、中央労働基準審議会で基準法改正の審議をした際に建議をいただいたわけでございますが、その建議の一つに、年休の取得促進のための有効な方策についてもさらに今後検討するというのが入っておりますので、平成六年四月以降、審議会で、先ほど申しました水準の引き上げとあわせまして、今後年休を消化するための有効な方策について鋭意検討をお願いしてまいりたいと考えております。
#67
○伊藤(英)委員 八割出勤要件がありますね。昨年の九月の労働基準法研究会報告の段階では、
 出勤率の算定に当たって、育児休業、介護休業、病気休業等は出勤したものとみなすことを検討すべきである。
こういうふうにありました。しかし、十二月の中央労働基準審議会の建議では、これは育児休業のみ、こういうふうになっていますね。やはり病気と介護も出勤とみなすべきではないのか、こういうふうに思いますが、これはいかがですか。
#68
○伊藤(庄)政府委員 労働基準法研究会からの報告によりまして、年次有給休暇の要件の関係におきまして、先生御指摘のように、育児休業、介護休業、病気休暇につきまして、その出勤の要件に関しましては出勤したものとみなすことと考えてはどうかという報告がございました。私どももそれを検討の素材として中央労働基準審議会でも御議論を願ったわけでございますが、最終的に法案をまとめるに当たりまして、この出勤みなしにつきましては、やはりその休暇が法律上の制度として整備されている育児休業、これについてまず実施をしていく、こういう結論に至ったわけでございます。
 育児休業については、今申し上げましたように、法律上の制度として整備されていること、また、休暇がほぼ一年にわたる休業になることが予想される、こういった事情もございまして、この八割出勤との関係では、今回ぜひ出勤みなしをして育児休業をとる方の便宜を図っていきたいというふうに考えたわけでございます。
 御指摘の介護休業につきましては、私どもその普及に努めている段階でございますが、今後これの制度化等をめぐっての議論が出てくることも予想されます。そういった介護休業の制度化等をめぐる今後の論議の状況を見ながら、年次有給休暇の要件との関連については検討してまいりたいというふうに考えております。
 また、病気休暇のケースにつきましては、まだそういった制度につきまして企業間にその採用についてばらつきがあるというような状況もございますので、まず病気休暇制度につきましての普及、これらを図っていくことが先決かというふうに考えているところでございます。
#69
○伊藤(英)委員 介護それからまた病気ということで、これから検討していくということでありますが、いわば率先してこういうのを実施していくという姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 時間ももうほとんどなくなりましたけれども、最後に、年次有給休暇の取得率の問題で、最近やや上向きにありますけれども、まだまだ低いなというふうに思います。
 平成二年の七月の労働省の連続休暇取得促進要綱には「年次有給休暇の平均二十日付与、二十日取得」ということを目標にしております。そのメニューとして一週間程度の連続休暇等を示しておりますけれども、なかなか浸透していないのが現状ではないか、こういうふうに思うのですね。
 それで、今は年末年始や夏季休暇を除くとなかなかその実施率が低いということだと私は思うのですが、こうした原因と今後の指導方針についてお伺いをして、私の質問を終わります。
#70
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、私どもは、年次有給休暇の取得率を促進していくための有力な方策として、連続休暇制度の普及、これの啓発に努めているところでございますが、その実態を見ますと、年末年始それから夏季、夏休み、それからゴールデンウイーク、この三大連休、これに連続休暇が集中しているのが現状でございます。そういったところを中心に普及も進んでおります。ただ、その他の時期につきましては、連続休暇につきましては、平成三年の数字でございますが、それ以外の時期で実施している企業の割合は七・六%という状況でございますし、連続休暇日数も四・五日と、まだ不十分な状況が見られます。
 これら三大連休以外の連続休暇の普及が十分でないことにつきましては、我が国のいろいろな慣習との関連があるかと思います。また、職場の体制づくり等もそういった慣習との関連で休む時期等についての目安の立て方が行われてきている、そういったことにも起因しているのではないかというふうに考えております。
 ただ、労働者の、特に若い人たちの意識の変化等もございまして、むしろこういう連続休暇が三大連休以外のところで、また余暇施設あるいは乗り物等も余り込まない時期で休んだ方がいいのではないかというような意識も希望も出てきております。そういうことから、私ども、余暇施設の利用平準化というようなことのねらいもあわせまして、そういったこともこれから考えていかなくちゃいかぬであろうというふうに考えておるところでございます。
 そのための具体的な方策といたしまして、連続休暇を導入するためには、年次有給休暇の計画的付与制度、前回の労働基準法の際に設けていただいたものでございますが、これの活用をさらに進めていきたい。また、職場内でお互いに年次有給休暇をとる時季等について調整し合う、そういった職場内の仕組み、またそういうことを助ける一助になると思いますが、私ども勧奨、勧めております年次有給休暇の取得計画表、こういったものの事業場内での作成、そういったことによりまして自主的にいろいろ業務の都合を勘案しながら、また事業場内で調整し合いながら、とりやすい雰囲気のもとでの年次有給休暇の取得促進、こういうものを進めていきたいというふうに思っておるところでございます。
#71
○伊藤(英)委員 今は意識も本当に随分変わりつつあると私は思いますし、こういう休暇を取得しやすいように、ますますその促進のために御努力をお願いをしたいと思います。
 時間が参りましたので、終わります。どうもありがとうございました。
#72
○岡田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#73
○岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。常松裕志君。
#74
○常松委員 私は、運輸交通事業、すなわちJRや私鉄などの鉄道労働者、バス・トラック労働者、ハイヤー・タクシー労働者などの問題を中心にしながら、労働基準法改正案について質問をいたします。
 まず最初に、時間短縮問題について幾つか質問いたします。
 労働大臣に初めにお伺いをいたします。
 運輸交通労働者やその御家族の中に大きな疑問が広がっているのを御存じでしょうか。その疑問とは、労働時間の短縮が実施されるたびごとに出社時間が早くなり退社時間も遅くなる、つまり拘束時間が長くなる、これはおかしいのではないかという疑問であります。
 今回の労働基準法の改正によっても労働時間の短縮が行われるわけでありますが、勤労者福祉向上の目的に反しまた拘束時間が長くなるだけではないか、そういう声が私のもとに届いているのです。あってはならないことだと思います。大臣のお考えをお聞かせください。
#75
○村上国務大臣 常松委員のおっしゃいますように、そういうことはあってはならないことだ、それは私どもが進めていく時短というその理念に反することだ、こう思います。
#76
○常松委員 大変明快な答弁、ありがとうございました。
 次に、さらに労働大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、労働時間の短縮は、長期的に見た場合には雇用機会の確保を目的として行われているはずであります。ところが、大臣、仕事の量それから内容も変わらない、したがって労働時間の短縮をすれば当然雇用の量がふえるはずでありますが、ふえるどころか逆に減っている、逆にそういった雇用の縮減になっているような事態が運輸交通の現場で起こっているのだそうであります。
 これまたあってはならないことだと思うのでありますが、労働大臣の引き続いて明快な御答弁をお願いいたします。
#77
○村上国務大臣 自動車運転者については、運転時間のほかに拘束時間についても、その基準を告示で定め、その遵守について指導しているところであります。拘束時間が長くなるといったことはあってはならないことだ、こう思います。
#78
○常松委員 大臣、今のは拘束時間の問題でありまして、私がお尋ねいたしましたのは雇用の機会の確保についてお尋ねをいたしましたので、改めて御答弁をお願いいたします。
#79
○村上国務大臣 労働時間の短縮に際しては、労使間で十分に話し合っていただき、例えば留守宅を訪問したため配達ができない、再度配達のために訪問するようなことを避けるためコンピューターを導入し在宅状況を把握するなど、仕事の進め方についてそれぞれ積極的な創意工夫をしていただいて、無理のない、むだのない、効率的な方法で進めていっていただきたい、そのような取り組みが職場の魅力づくりにもつながる、それがまた働く人の定着や新たな人材確保にもつながる、このように思います。
#80
○常松委員 大臣に重ねてお尋ねして大変恐縮なのですけれども、私の質問しているのは、仕事の質も変わらない、仕事の量も変わらない、にもかかわらず、時間短縮によって本来だったら人がふえるはずのところがふえないで逆に減る、こういうことはあってはいけないのではないかということでございますので、ひとつ先ほどのような明快な御答弁をお願いしたいわけでございます。
#81
○村上国務大臣 質問の趣旨がよくわかりませんでしたので……。
 おっしゃるとおりだと思います。
#82
○常松委員 明快な御答弁、ありがとうございました。大して難しい複雑な質問はいたしておりませんから、大変私の方は頭が単純でございますので……。
 また、今回の労働基準法の改正による労働時間の短縮は、完全週休二日制の定着を目指して、当面、運輸交通労働者については四週六休制であるとかあるいは四週五休制を目指しているものと私は理解をいたしております。ところが、実際には労働者はその休日を与えられないような場合が、これまた運輸交通の現場では非常に多く見られるわけでございます。休日の買い上げ、言いかえれば休日出勤でありますが、これが横行いたしております。これまた大臣、あってはいけないことだというふうに思います。
 休日を現実にふやし、ゆとりと豊かさを国民にもたらしていくのが本法改正の目的であるという労働大臣の決意をお聞かせをいただきたいと存じます。
#83
○村上国務大臣 それもあってはならないことだ、休日二日制を目指しながら、その一方で休日出勤になって実際には休めないようなことでは私どもが目指す労働時間の短縮にはならない、このような理解ております。
 特に、運輸業においては、安全運転を確保するためにも、自動車運転をなさる方々が十分休息をとる、休日をとる、そして心身の回復を図るということが重要であろうか、そうした意味において休日というものは大切なことだ、このように思っております。
#84
○常松委員 大変明快な御答弁、ありがとうございます。
 さて、休日の買い上げ問題について、関連して二つほどお尋ねをいたします。
 初めにハイヤー・タクシーの労働者の問題です。
 ハイヤー・タクシーの労働者の場合、所定時間の午前二時の直前になってお客さんから横浜まで行ってくれと言われても、いや、もう時間ですからといって断ることはできませんし、途中の多摩川あたりでもうおりてくださいというようなことも言えないわけであります。したがって、タクシーなどの労働時間の短縮は、休日増、稼働日数の減でなければ現実には実行されません。このことはハイヤー・タクシー業界では常識でございます。
 したがって、東京では、事業者団体である東京乗用旅客自動車協会と、労働者側の全自交東京地連や私鉄総連ハイタク東京協議会など労働七団体とが覚書協定を結びまして、週四十四時間への労働時間短縮の実現は、休日増により実施することとするというふうになっているところであります。
 ところが、事業者によってはペーパー時短や休日出勤を押しつけるなどの事態が後を絶たないわけであります。
 労働基準局や監督署が黙認をしたり、ましてや奨励をしたりしていることはないと思いますけれども、大臣の御答弁もございますが、改めではっきりした御答弁をお願いいたします。
#85
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、今回の労働基準法の改正の柱でございます週四十時間労働制、これは週休二日制に相当するものでございまして、いわば週休二日制を普及させていく、これが今後の労働時間短縮の一つの大きな柱になるかと思っております。
 その点は御指摘のございましたハイヤー・タクシー関係の業界についても同様でございまして、私ども、関係業界に対しまして、完全週休二日制に向けて、今仮に猶予期間中でございましても休日増に努力していただく、そういう働きかけをしてまいりたいと思っております。
#86
○常松委員 次に、JRの問題をちょっと御指摘をしておきたいと思いますが、JRの職場では休日の買い上げが常態化しているというふうに聞いています。
 国労東日本本部とJR東会社との交渉記録を手元に持っておりますけれども、その中で、これは九二年十一月の記録でございますけれども、会社側の回答の中で、社員一人当たり年間四・六日休日を買い上げているということを明らかにしているわけであります。
 この四・六日の休日出勤というのはJR東会社全体の平均でありますけれども、私が今こちらに持っております東京駅の事例の場合でございますと、九二年三月、これは九十七人から合計百九十九日を買い上げている。次の四月、百十二名から二百二十一日を買い上げている。五月、百十名から二百三日を買い上げている。六月、百十二名から二百十九日を買い上げている。七月、百十七名から二百二十六日を買い上げている。つまり、一人平均毎月二日ずつ買い上げているということであります。すなわち、常態化、普通の状態になっているわけであります。
 その休日の買い上げたけではなくて、JRでは毎月、一労働日に満たない労働時間について就業規則の中で超勤として整理するとし、これを買い上げています。
 国労東日本本部の調べによりますと、私の地元の八王子駅の場合、九二年四月は十五名の労働者から合計五十一時間三十分を買い上げている。五月には同じ十五名の労働者から六十三時間三十分を買い上げている。六月にも同じ十五名の労働者から五十二時間三十分を買い上げている。これまた常態化しているわけであります。
 JR東といえば、日本を代表するというかあるいは世界を代表するような企業でありまして、コマーシャルなどでも非常に明るいイメージを振りまいているわけですけれども、そのイメージとはほど遠い実態であります。
 こうしたことが私のところに届いているわけですけれども、労働省としてどうなんでしょうか、後刻で結構ですが、調査をしていただいた上で、こういったものが常態化しているとすれば大変問題だと私は思いますから、御回答をいただきたいと思うのですけれども、調査していただけますか。
#87
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の実態は私ども詳細には承知していない問題でございますが、恐らく勤務シフトを組む中で、日々の所定内の労働時間を飛び出していったものが出た場合の清算といいますか、そういった形を賃金あるいは代償的な休みの形、そういうものの調整の過程で御指摘のような形が出てくるのかと思います。
 労働基準法上の問題として法律上の問題になるかどうかは、その限りでは私どもちょっと判断しかねますけれども、とりあえず、どういう実態であるかにつきましてはJRの方に照会してみたいと思っております。
#88
○常松委員 私のところに回答してくれますね。
#89
○伊藤(庄)政府委員 照会してみまして、ある程度の実情がつかめましたら御報告に上がりたいと思います。
#90
○常松委員 今、これは御答弁かどうかわかりませんが、感想かもしれませんけれども、私が言った前段は休日の買い上げです。休日の買い上げということは、つまり、特例休日なり調整休日なり、要するに休みで当然休日になるべきところを超勤をさせているという、これが東京駅などの場合に常態化している。これは恐らく常態化しているということなんですから、これは基準法上もあるいは基準法の改正の趣旨からしても問題があると思うのですけれども、部長が言ったのは後段の問題ですね。
 前段の問題も問題がないと思うというふうなことなんですか。
#91
○伊藤(庄)政府委員 実態を詳細に承知しておりませんので何ともお答えしにくいところでございますが、恐らく前段の方はいろいろな休日について出勤させた場合にその割り増し賃金という形になっているのか、御指摘の買い上げというものがどういう実情なのか、その辺も含めて照会をしてみた上で御報告をしたいと思います。
#92
○常松委員 どうぞそういうことでよろしくお願いいたします。
 ところで、次に、運輸交通業の適用猶予措置の期間延長の問題について幾つかお尋ねをいたします。
 運輸交通業の法定労働時間については、過去二回にわたってその適用が猶予されてまいりました。このたびの労働基準法改正案の提出に当たりましても、労働省は、労働者側の意向を全く無視して、一方的に四十四時間制適用猶予措置の期間延長を諮ったわけでありますが、この場をかりてでありますけれども、強く労働省に抗議をいたします。
 これに関連をいたしましてお尋ねをいたしますが、なぜ適用猶予措置を期間延長したのか、その理由及び九七年三月三十一日をもってこの猶予措置については廃止をするということについてはっきりお約束をいただきたいと思います。
#93
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の運輸交通業につきまして四十六時間で猶予してまいりました措置について今般延長したことについての御指摘でございますが、今般、労働基準法の改正案をまとめる中で私ども鋭意検討してまいりましたが、景気情勢、経済情勢が昨年の後半から非常に厳しい様相を増してまいりまして、そういう状況の中で、中小企業にとって厳しい経営環境の中をくぐり抜けるためにコストの削減等非常に苦労している企業が少なくない、そういう中からこの労働時間、とりわけ法定労働時間の短縮が非常にコストに直結する、そういう問題を背景に、猶予措置の三月三十一日の期限を前に何らかの配慮という非常に切迫した要望等もございまして、そういう中で、私ども、この経済情勢を考慮した、本当にやむを得ない緊急避難的な措置として実施いたしたわけでございます。
 一方、今回の労働基準法の改正は週四十時間制のレールを敷くことが主眼でございまして、法律に明記されておりますとおり、平成九年三月三十一日までが猶予期間ということになっております。
#94
○常松委員 運輸交通業につきましては、四十六時間制を九三年度末まで延長しておきながら、四十時間労働制を展望しつつ引き続き尽力を要請するというふうに労働省は言っているわけですけれども、労使の自主的努力に任せるだけでは時短の前進は望めないのではないか、運輸交通業の実態を踏まえるならば、行政として全体的な環境整備をするべきではないかというふうに私は思いますが、労働省のお考えはいかがでしょうか。
#95
○伊藤(庄)政府委員 今回の猶予措置の延長は緊急避難的な措置として実施いたしましたが、これはまさに厳しい、ぎりぎりの経営環境に置かれておるところにつきましてのやむを得ない措置でございまして、全体についてこの猶予があったからといってその水準に甘んじていることは決して好ましいことではないというふうに考えております。
 そういう意味では、今回の措置が中小企業の時間短縮の流れに水を差すことがないように、私ども、猶予の対象になった業種につきましても、計画的、組織的な指導を行い、できるだけ早い段階で実質的に週四十四時間制が実現がされるようにしてまいりたいというふうに思っています。そのために、交通関係の業界につきましても運輸省と十分な連携をとりながら指導に当たっていきたいというふうに考えております。
#96
○常松委員 トラック運輸業の実態に基づき、三点ほど続けてお尋ねをいたします。
 トラック運輸業は適用猶予の対象となっているわけでありますが、その理由として挙げられているのが、実態として時短が進んでいないからということであります。
 トラック運輸業は他のどの業種よりも長時間労働でありますが、この背景には幾つかの特殊な事情がございます。
 一つは、不特定多数の国民の要請にいつでもこたえなければならないために、年中無休・二十四時間営業となるという事情、二つ目には、産業活動の変化や利用者ニーズの多様化にきめ細かく対応せざるを得ないという事情、第三に、道路交通事情の悪化、都市における駐車場の不足、出荷の波動、社会的物流インフラ整備のおくれなどの事情、四つ目には、機械化が困難な上に、仕事の内容が営業と労働を分離できない性質である、加えて労働力不足が非常に深刻であるという事情、五つ目に、トラック運輸業には約四万の業者がありますが、そのうち従業員三十人未満の企業が三万二千社もありまして、これら小規模業者は荷主への従属性が非常に強いという事情、こういう事情があります。
 したがって、トラック運輸業では、今御答弁ありましたように、企業内労使の意向だけで休日や時短を進めることは極めて困難でありますし、特に小規模企業では荷主動向にすべて支配されるために、労使の自主努力に任せるだけでは時短は進まないわけでございます。のみならず、時短が進まないことがまた原因となって労働力不足が続いて、物流システムの維持にも困難が生ずるというような事態になっております。この点についての御認識はいかがかということが一つ。
 それから二つ目には、したがって、トラック運輸業の時短には法的な規制と業界としての一斉休業などが必要であると思いますが、その一斉休業についてのお考えをお伺いしたい。
 三つ目には、今御答弁ございましたから改めて必要ないと思いますけれども、平成九年四月以降はこの猶予措置はなくなるということについてはっきり確認をしておきたいと思いますがいかがか。
 以上でございます。
#97
○伊藤(庄)政府委員 トラック業界の置かれている状況等を踏まえた労働時間の短縮についての認識のお尋ねでございました。
 確かにトラック業界は物流システムの主要な担い手でございまして、国民生活とも非常に深いかかわりを持ちます重要な産業である。しかしながら、その実情を見てまいりますと、長時間労働ということが要因になりまして必要な人材の確保等がなかなかできない、それが経営上の大きな問題にもなっている。また、それがうまく循環していかないような形をとっていることも問題の一つであるというふうに私ども認識をいたしております。
 その点につきましては、私ども、対策といたしまして、道路貨物運送業につきましては業界の参加も得て時間短縮のための指針を作成し、時間短縮に向けての取り組みの機運醸成に努めておりますし、また、荷主関係の団体に対しましても協力の要請を行うなど、いろいろ努力を積み重ねてきているところでございます。
 それから、もう一点の、トラック業界の時短のために一斉休業が必要ではないかという御指摘でございますが、昨年成立させていただきました労働時間の短縮に関する臨時措置法に基づいて、事業主が共同で時間短縮実施計画を作成して、その承認を受けて共同で時間短縮に取り組む、こういう制度が行われているわけでございますが、トラック業界はこの制度の利用にも熱心に取り組んできております。
 そういう中で一斉休業の問題を取り上げているところも見られますし、やはり一斉休業がこの業界の時短を進める上で非常に有力な方法であるということをそんなところからも私ども認識しているところでございます。
 今後とも、この時短促進法の活用につきましては非常に期待をしているところでございますので、業界とも連携をとって、この利用がさらに進むように努力していきたいというふうに思っております。
 それから、最後にお尋ねがございました猶予措置の問題でございますが、先ほど申し上げたとおり、今回御審議をお願いしている法案の中で、これらの猶予の期限は平成九年三月三十一日までとしているところでございます。
#98
○常松委員 御答弁ありがとうございましたが、東京都のトラック協会は四十四時間制への移行を取りやめることを決定したというふうな業界紙の報道がございます。この報道によりますと、それに加えて、既に四十四時間制で三六協定を締結し労基署に届け出たところにおいても、四十六時間に戻した三六協定を再締結して既に届け出たものと差しかえて届け出ることについても、当然の権利なんだという意見が大勢を占めたと伝えているところでございます。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、私は、もしこの報道が事実だとするならば、東京トラック協会というのは労働省が今進めようとしている事態に随分逆行している動きだなと思うわけでございますが、この報道が事実であるかどうかが一つ。
 それから二つ目に、既に四十四時間制になっている事業所において、猶予措置が延長されたからといって四十六時間に戻すというようなことがあってはいけないと思うのですけれども、この点についての労働省の見解をお尋ねしたい。
 三つ目には労働省の決意を伺いたいわけでありますが、平成五年の四月一日からは四十四時間とするように、前倒しでも実施するように、各県トラック協会をきちっと指導するという御決意ありや否やという点についてお尋ねをいたします。
#99
○伊藤(庄)政府委員 今お尋ねあった点、ちょっと順序が逆になるかもしれませんが、まず、今回猶予措置の延長が行われた、したがって既に四十四時間で走っていたところが四十六時間へ後戻りできるのかという点でございます。
 この点につきましては労働基準法上も明文がございまして、労働基準法で定めている基準は最低の条件である、それを理由に不利益に労働条件を下げてくることはできないというのが労働基準法上も明文化されているところでございます。既に四十四時間に決めているところがまた四十六時間に戻るというようなことがあってはならないことは明らかであろうと思っております。
 それから、東京トラック協会で今申し上げたようなことと相反する話が出ているのではないかという点でございますが、私ども、関係の東京トラック協会にも連絡をとっております。しかし、その前提といたしまして、以前から、全日本トラック協会から都道府県トラック協会に対して週四十四時間体制の早期実現について指示が出ておりますし、こういう指示が出る背景には私どもからのトラック業界に対する要請もございます。
 このように私ども、猶予措置の延長が行われたといたしましても、全体がこれに甘んじているわけにはいかない、やはりやれるところにつきましては一日でも早く実質的な週四十四時間体制が実現するようにしていかなくてはいけない、そのための組織的、計画的な行政指導をやっていこうというふうに思っております。
 東京トラック協会におきましても、やはりこの記事につきましては取材の中で話したこととある程度食い違いがあるということは認めておりますので、その点心配ないかと思いますが、引き続き私ども先ほど申し上げた方向に沿って関係業界とも連絡をとり、指導を行ってまいりたいと思っております。
#100
○常松委員 重ねて確認しますけれども、東京トラック協会の中でこの業界紙に報じているようなことが事実あるとするならば、労働省としてはこうしたことのないようにきちっと指導するということで今の御答弁を受けとめてよろしいですね。
#101
○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘のありました記事、例えば四十六時間の猶予措置の延長が行われたから労使協定の出し直しをやっていいのか、いいと、こういったぐいにつきましては、先ほど御説明申しましたとおり、既に一たん決めているものを後戻りはできないわけでございまして、その点は既に私どもも関係の団体とも連絡をとって、そういう趣旨でないことは確認いたしております。
 今後ともそういう誤解が生じないように十分注意してまいりたいというふうに思っております。
#102
○常松委員 念のために、この業界紙の表現ですけれども、
 労働省では「すすめられることではないが、これまでの協定を破棄して、提出し直すというのであれば、受付ざるをえない。いけないとは一言えないが、喜ばしいことではない」
ということが報道されておりますけれども、これは業界紙が書かれたことであって労働省の立場ではないというふうにはっきり確認しておきたいと思うので、一言で結構ですから、部長、そのとおりだというふうにひとつ答弁してください。
#103
○伊藤(庄)政府委員 既に四十四時間ということで労使協定を行っていたものが、そういった形で四十六時間へ後戻りするような協定の出し直すということは、あり得ないというふうに思っております。
#104
○常松委員 適用猶予の延長措置において、事業所の人員規模によって適用時間を区分をしたわけでございますけれども、百人で区切った理由とその根拠は何かあるのですか。
#105
○石岡政府委員 今回の猶予措置の延長は、特に中小企業の場合、経営条件が非常に悪くなりましたので、緊急避難的なやむを得ない措置として実施したものでございます。
 その際、御指摘のように百人未満の事業場に限ることといたしました。その理由は、昨年の五、六月に行った労働省の労働時間の実態調査を見ますと、製造業を中心といたしまして、百人の規模を分岐点としまして、下の方と上の方とで所定労働時間の現実の水準に相当差が見られたということでございます。言いかえれば、百人未満の規模におきましては、週四十四時間の実績を持つところが非常に少なかったということでございます。それからもう一つの理由は、いろいろ今回の不況の影響を調べてみましたけれども、その結果、百人未満の中小企業は厳しい経営環境に置かれているというふうに判断したからであります。
 以上のような理由によりまして、百人未満の事業場につきまして猶予措置の延長を行わせていただいた次第でございます。
#106
○常松委員 ところが、運輸交通業なんかの場合は、例えばトラックの運輸を例にとりますよ、そうすると、各地の事業所に配置をされた人と車と情報が結合したネットワークによって業務のシステムができ上がっているわけですね。その事業所を、百人未満の事業所については四十六時間だ、それ以外のところは四十四時間だと、こういうふうに事業所の規模によって法定労働時間の適用に差ができるということになりますと、同一企業や同一グループの中に混乱が生ずることになるわけです。かつまた、全体としてというと過当競争的な体質が運輸交通業の場合ありますから、したがって、それがまた競争条件の格差となって公正を欠くことになるんじゃないかな、こういうふうに思うのです。
 そこで、大企業などの場合、つまり全体として百人を超えるような大きな企業の場合に、こういう企業について、こちらの事業所は四十四だ、こちらは四十六だと、こういうことはしない、全体四十四時間で統一をするように指導をしていくということが私はしかるべきだと思うのですけれども、こういう点について今後どういうふうに措置をしていくのか。また、それを政令の中できちっと書き込んでいくのかどうか、こういった点についてお答えをいただきたいと思います。
#107
○石岡政府委員 労働基準法は事業場をその適用単位といたしておりますので、今回の猶予措置の場合も、適用に当たりましては事業場の労働者数によって判断をしてまいったわけでございます。
 しかしながら、御指摘のように今回の猶予措置はあくまでも最低基準でございまして、すべてが四十六時間になってほしいというものではございません。できるところは四十四時間にしていただかなければならない性格のものでございます。
 そういう観点から、四十六時間の猶予対象事業につきましては、早く四十四時間になるように今年度指導を強化してまいりますけれども、その場合、とりわけ御指摘のような大企業の小さな営業所につきましては、四十四時間にできる力は多分あるんだろうと思いますので、そういうところは重点的に四十四時間になるように指導をしてまいりたいと考えております。
#108
○常松委員 それは、例えば政令なり通達なりで、そういう点についてははっきりさせてくれますね。
#109
○石岡政府委員 政令は既に出しておりまして、そこでそういう趣旨は盛り込んではおりませんけれども、通達その他で今申し上げました趣旨は徹底してまいりたいと思っております。
#110
○常松委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、タクシーの業界の問題についてお尋ねいたします。
 昨年以来、タクシー運賃の改定に当たりまして、これは週四十四時間に改定するための時短原資が含まれて運賃の改定が行われているのは周知のところでございます。
 それにもかかわらず、今回のこの労働省の提案によりますと、百人規模以下の事業所では週四十六時間でもいい、こういうふうに解することができるわけでありますけれども、私はこれもあってはいけないのだろうと思っています。これは運賃改定に関する社会的な約束でございますから、したがって、タクシーの運賃改定がされた地域あるいはその事業者については四十四時間制を実施をするということで確認をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#111
○伊藤(庄)政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、私ども運輸省ともいろいろ話し合っているところでございますが、先ほども申し上げましたとおり、猶予措置の延長が行われたといたしましても、いつまでも四十六時間に甘んじていることは好ましくないわけでございまして、私ども計画的、組織的な行政指導によって、週四十四時間体制が実質的にでき上がるように努力してまいりたいと思っております。
 運輸省におきましても、既に料金改定の前提として四十四時間ということが組み込まれていたケースにつきまして、業界に対しては引き続きその四十四時間という週の労働時間を目指していってほしいということを言っておりますので、十分連携をとりながら、ただいま申し上げましたような行政指導を進めていきたいというふうに思っております。
#112
○常松委員 これも通達なり何なりの中にきちっと盛り込んでいただけますね。
#113
○伊藤(庄)政府委員 そのような趣旨につきましては、地方にもそういったものを通達等で十分伝達をしたいというふうに思っております。
#114
○常松委員 ハイタクの問題について引き続きお尋ねをいたしておきますが、ハイタク業界は、運輸交通業の中でも最も労働時間短縮の困難業種だろうと思います。それは先ほど休日問題のときにお話をしたとおりでございます。
 そこで二点についてお尋ねをしたいわけですが、ハイタク業界に対しては、週四十八時間から四十六時間、週四十六時間から週四十四時間への移行に当たりまして二回の運賃の改定が実施をされたわけであります。
 時間短縮促進が非常に困難な業種に対しては政府の一定の援助的な施策が、特に中小零細企業への援助と同様なものが私はハイタクにも適用されるのがしかるべきだと思っておりますけれども、具体的にその点を申し上げますと、賃下げのない時間短縮ということになりますと、やはり適正な運賃の実現を労働省の側からもプッシュすべきじゃないか、こんなふうに私は考えております。
 ハイタクの場合には、人件費率が村営業収入比で八〇%を超えるような業界でございますから、ほとんど収入は運賃だけ、そして合理化したくてもほとんど合理化努力はできないという業界でありますから、そのような適正な運賃が賃下げのない時短のためには必要だと思っておりますけれども、その点について労働省の側からプッシュするお考えがあるかどうか、これが一つ。
 それから第二には、週四十時間の実現をスムーズに具体化するためには、やはり週四十二時間というふうな中間的措置が必要なんじゃないか、こういうふうな要望が業界にもあるいは労働組合側にもあるやに聞いているのですけれども、この点についてのお考えについてお答えをいただきたいと思います。
#115
○伊藤(庄)政府委員 ハイヤー・タクシー関係の業界につきましては、非常に労働集約的な産業でもありますし、生産性の向上をなかなか図りにくい、そういったことから、労働時間の短縮についてはいろいろ克服しなければならない課題の多い業界だというふうに考えております。
 私ども、そういったところから、このハイヤー・タクシー関係の業界につきましては、個々の事業主あるいは団体、そういうものをとらえまして、いろいろ労働時間短縮についてのきめ細かな指導・援助を行ってきております。
 こういう実情につきましては運輸省も十分承知をいたしておりまして、運賃改定の際にも労働条件の問題を十分頭に入れて行われていることでございますし、その際、労働時間というものも十分大きな柱として扱われているとのことでございますので、今先生御指摘の点は、改めて運輸省にプッシュするというよりも、これからもそういった労働条件、とりわけ労働時間の問題を十分念頭に置いて、運賃の問題を初めタクシー・ハイヤー関係の業界に対する行政指導が運輸省、労働省よく連携をとって行われる、そういう意味合いでよく連絡をとっていきたいというふうに思っております。
 それからもう一点、ハイヤー・タクシー関係の業界において、週四十時間制に備える意味もございまして週四十二時間の段階というものを設けてはどうかという御指摘かと思いますが、私ども、今御審議をお願いしております労働基準法の改正法案におきましては、平成六年の四月から原則として四十時間制を実施し、一定の規模、業種につきましてはまず四十四時間から猶予措置を始めていきたいと思っております。その後どういうステップを踏んで四十時間に到達するかという点につきましては、御審議を願った中央労働基準審議会の建議では、実態によっては四十二時間というステップも検討する、こういう指摘をいただいているところでございますので、私ども、法律の施行後、適宜実態調査等を行いながら、四十二時間というステップを踏むかどうか、またそれがどういう時期かというような点については慎重に検討を行ってまいります。
#116
○常松委員 次に、JRについてお尋ねをいたします。
 先ほども申し上げましたように、JRは世界有数の大企業だろうと思うのです。ところが、運輸交通業としては、猶予措置の対象事業になっているわけであります。
 JRの場合は、実は一九七五年、昭和五十年の十月の段階で全勤務種別の平均過労働時間は四十三時間をとうに達成しておりました。ところが、九三年の三月三十一日まで、これはJRが発足してからでありますけれども、猶予措置の対象事業であるということで四十六時間制をとり、九三年四月一日からは、今度は四十四時間制をとっているわけであります。
 つまり、四十三時間が現実には実現していたのを、むしろ、時短によってあるいは労働基準法の改正によって逆に、それだけじゃありません、国鉄がJRになったという中での労使関係もありましょうが、いずれにいたしましても、実態として、一九七五年の四十三時間からこの間までは四十六時間、ことしの四月一日からも四十四時間、こういう政令ぎりぎりの労働時間を就業規則で決めているわけであります。
 労働省は、JRに対して、昭和六十三年一月一日の基発第一号、「当面の法定労働時間の適用に当たっての猶予措置」にあるような指導を行ってきたのかどうか。この趣旨でいいますと、「規模の大きな事業」、「常時三百人を超える労働者を使用」しているような事業に対しては「猶予期間中の一定の時期までに、できるだけ速やかに」引き下げるような指導をするようにということが求められているわけなんですね。
 ところが、この間まで政令どおりきた、また恐らく政令どおり四十四時間でいくということになりますと、この基発第一号による指導はJRに対してやってなかったんじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、これは事実関係を知りたいのですが、そういう指導をJRに対してやったことがあるんでしょうか。労働省としてそういう指導をやったことがありますか。
#117
○伊藤(庄)政府委員 一般に私ども、こういった運輸関係の業界につきまして、そういう大規模の企業のそれぞれの事業所についてはできるだけ早く猶予の段階から抜け出すような行政指導を進めてまいってきているわけでございますが、個別企業に対して、とりわけJRというような形で直接的な指導は行ってはいないんじゃないかというふうに理解しております。
#118
○常松委員 これは要請しておきますけれども、やってもらいたいと思うんですね。だって、通達の中でそういうふうに書いてあるわけですよ。通達の中にはっきり書いてあって、それも含めてこの基準法が、そして時短が推進されていくわけです。
 JRといったら日本を本当に代表する大企業ですよ。そこが一番おくれて小規模のところと一緒に歩いていくというのでは、これは業界全体、鉄道で働く労働者のいわば足を引っ張っていると言っても間違いないのですね。私鉄などではほとんどもう実際には週四十時間制ですよ、民鉄の場合は。その中でJRが四十四時間制というのでは、これは私は全体として見て非常に不公正だと思うのですよ。
 したがって、どうですか、労働省、きちっとこの六十三年の基発一号に従ってJRに対して指導するということを約束してくれませんか。
#119
○伊藤(庄)政府委員 この法定労働時間は、最低条件を超えて次の段階へ進む指導でございますので、本来労使の話し合いももちろん前提としながらそういう労働条件の短縮を進めていくことになりますので、今お話しございましたように、個別の企業がそこに入るかと言われますと、種々労使関係の中に入っていくような問題もあろうかと思いますが、どのような形でこのJRに対して、できるだけ労働時間の短縮、御趣旨に沿うような形で進むかどうか、どのように働きかけていくか、十分検討して実効のある対応を考えて検討していきたいというふうに思っております。
#120
○常松委員 あなた、基発第一号の中に労使関係がどうとかこうとかなんということはどこにもありませんよ。これは、「猶予措置が設けられた事業においても、労使関係者は、できるだけ早期に過所定労働時間を」今度でいえば四十四時間以下とするように努力することが望ましい、こうなっているわけでしょう。だから、そういう労使関係に任じておくのではなくて、労使関係に対して労働省が指導するということをこの基発一号は言っているわけですよ。そうじゃありませんか。だから、労使関係をまってじゃなくて、全体として四十四時間から四十時間の方に一日も速やかに行くように通達とおりに指導しなさい、こう言っているのですから、それはそのとおりやってくださいよ。
#121
○伊藤(庄)政府委員 もちろん、こういった大企業の事業所で、事業所単位で見れば例えば百人未満などとかそういったケースにつきまして行政指導を行っていくことはもちろんでございますし、JRにつきましてもそういった対応をしてまいりたいと思っております。
 ただ、今JRという個別具体的な企業の御指摘でございますので、そこで、現状、労使関係で時間短縮に向けてどういう話し合いが行われているか、そういう実情を十分把握した上で、どのような入り方が私どもとして適切なのか十分検討した上で実効ある方法を検討していきたい、こういうふうに申し上げましたので、御理解願いたいと思います。
#122
○常松委員 そういうことでひとつよろしくお願いいたします。
 実はここにJRのある車掌区の運行行路表があります。これは二つともそうなんですけれども、これを見て私はびっくりしてしまったんです。この中のある方の場合なんですけれども、拘束時間が二十四時間三十七分、労働時間が十三時間五十一分、したがって、その差の十時間四十六分というのは、これは支払われない労働時間ですね。その中で仮に睡眠時間が六時間としても、約四時間四十六分は支払われない時間になっているのですよ。これは実は例外ではなくて、泊まり勤務の車掌にとっては普通だというのです。これはもし労働省が必要なら後でこの運行行路表を貸してあげてもいいのですけれども、調べていただくと非常にはっきりしています。
 もう少しわかりやすい例で言いますと、例えば東京駅から伊東線で下田までという列車に乗り込んだ場合に、JRの車掌さんは伊東でおりて、そして伊東で、その電車が伊豆急の下田まで行って戻ってくるのを待っている。約三時間かかるのですけれども、この三時間というのは支払われない時間になっているのですね。したがって、先ほど私冒頭に言いましたけれども、時短が実施されているのだけれども実際に拘束時間は変わらないというのです。これは私は、先ほどの大臣答弁とは事実関係として非常に反していると思うのです。
 したがって、そういう実態だそうですから、こういうことも含めてひとつ労働省の方で調査をして後刻御報告いただきたいと先ほどお願いしたわけですけれども、こういう実態があるから、今申し上げました基発第一号に沿ってちゃんと指導をしてくれ、こういうことを申し上げているわけなんです。ぜひ今の点も含めて調べて後刻御報告をいただきたいということなんですけれども、これも、御報告いただけるかどうかだけでいいのですが、お願いいたします。
#123
○伊藤(庄)政府委員 ただいま先生からお話のございました事例は、拘束時間の問題かと思いますので、労働基準法上の、法律上の問題としてどうこうということにはならないのではないかという面もございますけれども、先ほど御指摘もございましたので、そういったものが傾向としてどうなっているのか、また、ダイヤ改正等によってどういう影響を受けているかにつきましては、調査といいますか照会をしてお話を伺ってみたいというふうに思っております。
#124
○常松委員 つまり、世の中の人はみんな、今回の労働基準法の改正によって時間短縮が行われて、拘束時間が短くなって、ゆとりと豊かさが出てくるというふうに思っているわけですよ。だれだってそう思っているわけです。ところが、運輸交通の現場ではむしろ拘束時間が長くなったりJRみたいに拘束時間が全然変わらないということがあったのでは、政府なりあるいは労働省のやっていることについて国民の皆さんがおかしいなという疑問を持つことになるわけです、政府に対する信頼の喪失ということにもなるわけです。だから、私は、事実関係を調べてみてくれ、調査をしてくれ、こういうふうに言っているわけですから、ひとつぜひお願いします。よろしいですね。
#125
○伊藤(庄)政府委員 お話を伺うことにしたいと思っております。
#126
○常松委員 次に、猶予業種の労働時間のことについてさらに御質問いたします。
 今ちょっと申し上げましたように、民鉄の場合は、もうほとんど四十四時間をクリアしているところか、多くは四十時間になっているのですね。したがって、猶予業種の規模の決定に当たっては労基法八条四号のくくりにとらわれないで、これからは業種単位に調査をして、そして猶予から外していくということが必要なのではないか。先ほどバックは認めないと言いましたね。四十四時間になっているところから四十六時間へのバックは認めない。当然のことなんですけれども、四十時間になっているところを私はまさか四十四時間にバックさせるという考えはないと思うのです。
 これは確認させてもらいますけれども、それはありませんね。同時に、今後の猶予業種の決定に当たってそうした業種単位に調査をするおつもりがあるかどうか。この点、二つほどお尋ねをいたします。
#127
○伊藤(庄)政府委員 最初の点でございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、一度設定した労働条件につきまして、労働基準法上の最低労働条件を理由にそこへ後退してくるというようなことは、これは許されない、法文上も明白でございます。
 それからもう一点、猶予業種を決める等のための実態調査に際しまして、こういう業界の実態に合った分類が必要ではないかという点でございます。
 私ども、現場での猶予措置の範囲を決めるに当たりましては、労働基準法の第八条による業種区分、これを基準として決定してまいりました。また、その前提となる実態調査につきましてもその区分でやってまいりました。しかしながら、この法案が成立いたしましたならばまた新しい週四十四時間から始まる猶予措置の範囲を決定しなくてはいけませんので、それのための実態調査に当たりましては、御指摘のございました運輸交通業を含めまして全体についてきめ細かい対応が可能になるような調査を設計していきたいというふうに思っております。そのため、業種につきましても関係労使の意向を確認の上よりきめの細かい細分化した調査を予定しておりますので、その結果に基づいて最終的には猶予の範囲のあり方も検討していくということにしたいと思っております。
#128
○常松委員 次に、トラック運輸の関係でまとめて幾つかお尋ねいたしますが、トラック運輸の時間外労働をいかにして縮小するかという問題です。
 年間大体四百から七百時間ぐらいに及んでいるわけなんですが、この原因の一つに、労働省告示第六号、時間外労働適正化指針の対象から自動車運転者を除外していること、また、労働省告示第七号、自動車運転者の労働時間等の改善基準違反事業者に対する罰則通用がないことが指摘されるのではないかというような声がございます。また、トラック運輸業においては、日々の業務が外部要因によって変動するため労働時間管理が困難であるという理由で、時間外労働手当算出のための時間を、一運行または一日、一カ月単位のみなし残業時間で処理するケースが非常に多いわけであります。中には、時間外手当にかえて歩合給で処理しているようなケースもありますが、これらに共通することは、実際の時間外労働時間より少ない手当の支給で終わっているというのが通例であります。これは形色変えたサービス残業であります。
 こうした問題点を改めるための措置として、次に幾つか御提案いたしますから、まとめて御答弁いただきたいと思います。
 一つは、時間外労働適正化指針を自動車運転者にも適用するお考えはないかどうか。
 二つ目に、自動車運転者に関する時間外労働協定を受理する時点で、貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づく乗務記録と、時短計画、休日・休暇取得計画と運転者数を提出させるようなお考えはないか。
 三つ目に、労働省告示第七号に、月に何回かの週末を自宅で過ごすための一定時間の付与を明記した事項を追加するとともに、本告示に違反した事業者に対する罰則を明記するお考えはないかどうか。
 四つ目に、運転者の労働時間管理は、実時間によることを原則とする。実時間によることが極めて困難な業務の場合は、法定速度内での運転を基本とした運行時間に実態平均に近い作業時間を加えた標準運行時間方式による管理とすることができないか。
 五つ目に、これは後の変形労働時間ともかかわりますが、一年単位の変形労働時間制には、一日の上限時間を八時間、一週の上限時間を四十八時間ということを最低限とするようなお考えはないかどうか。
 六つ目に、時間外労働に対する賃金を歩合給などで支給することについては、基準法違反であることを明確にして、改善指導を強めるお考えはないかどうか。
 以上でございます。
 ここに、あるトラック業界の賃金票があるのですけれども、これを見てみますと、七十七時間も超勤やって、全然超勤手当が払われていない、手当で払われている。また、四十二時間所定外労働時間を働いて、六千円しか払われていない。あとは、手当で払われているというのがざらにあるんですね。したがって、こういう長時間労働が蔓延しているわけなんです。
 以上まとめてお願いいたしましたけれども、一つ一つについて的確な御答弁をお願いいたします。時間がありませんから、できるだけ手短にお願いします。
#129
○伊藤(庄)政府委員 何点か、たくさんございましたので、もし漏れていましたら御容赦願いたいと思います。
 まず一点、自動車運転者に対しましても時間外労働適正化指針を適用できないかという点でございますが、自動車運転者に対しましては、私どもその業務の特殊性から、別途、自動車運転者の労働時間等の改善に関する基準、これを作成いたしまして、これの中では、始業から終業までの拘束時間も含めた基準を作成いたしまして、その指導を行っているという段階でございます。
 私ども、この改善基準の遵守を徹底していく、これがまずもって先決ではなかろうかというふうに考えております。現段階では、いきなり時間外労働適正化指針の適用ということは考えておりません。
 ただ、自動車運転者の時間外労働協定、いわゆる三六協定の受理に際しましては、先生からもお話しございましたが、私ども現在、時間外労働協定の届け出に、時間外あるいは休日労働に関する労使協定書の写し、また運行に係る勤務割表等の添付を求めて、先ほど申し上げました改善基準に違反する内容のものにならないように厳正な指導を行いまして、もし違反するような点、不十分な点が見られれば再提出というようなことを進めておりますので、その点御理解をいただきたいというふうに思っております。
 それから、自動車運転者の労働条件の改善基準に違反した場合に罰則の適用ができないか、こういう御指摘でございますが、この自動車運転者の労働条件の改善等に関する基準を定めるに際しまして、私ども、公労使から成る専門の委員会を中央労働基準審議会に設けて、いろいろな話し合いを行っていただいた中でこの基準を定めました。その際にも、少なくとも拘束時間、最大拘束時間、休息時間、運転時間、こういう事項につきましては告示で指導していくことが適当だ、こういう趣旨のことが合意されて、こういう改善基準が行われましたので、その点御理解をいただきたいと思います。
 ただ、私ども今回法案を提出するに当たりまして、この自動車運転者の改善基準に今回の基準法改正がどう響くかというようなことも、今申し上げました中央労働基準審議会の専門小委員会にお集まり願って御議論も願いました。そういう中でも、これについて法律上の根拠を持つような形にしていくことについてはまだ時期尚早であるというような意見が強く、そういった罰則の適用といった法的な強制力を持つものとしては現段階では考えられないという結論を得た次第でございます。
 それから、時間外労働に関します賃金を歩合給のような形で支給することについての問題でございますが、時間外労働を行わせた場合、現行法では通常の賃金の二割五分以上支払わなくてはならないということになっておりますので、どういった形態の支払いをしているのか、個々のケースの実情に応じまして、私ども、問題があるケースについては十分調べまして、通常賃金の二割五分以上の割り増し賃金を払わなければならないという規定に照らして、それに足りない、不十分な形になるようなケースにつきましては、十分改善を指導してまいりたいというふうに思っております。
 それから、変形労働時間制について、その上限時間についての御指摘でございました。これにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、一年の変形労働時間制を導入するに当たりましては、現行の三カ月の一日、一週の限度時間についてはこれを縮小するということを考えておりまして、そういった方向で、法案を成立させていただきましたならば、具体的な検討をして労働省令で限度時間を定めていきたいというふうに考えております。
 それから、標準運行時間の方式による管理の問題でございますが、そういったことにつきましては、私ども指導に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
#130
○常松委員 歩合給の件ですけれども、そうすると、就業規則などでそういう歩合給のようなものが定められているような場合があれば、こういうものは基準監督署なりなんなりへ持っていけばきちっと指導してくれる、こういう趣旨の御答弁ですね、今の答弁は。
#131
○伊藤(庄)政府委員 基準法上問題になりますのは、時間外の労働が行われた場合に何よりも通常賃金の二割五分以上の割り増し賃金がちゃんと払われているかどうかが問題になります。したがいまして、その形態いかんにかかわらず、結果として二割五分以上になっていなければ労働基準法上問題ありとして改善指導を行います。
#132
○常松委員 あと改善基準告示七号についてなんですけれども、罰則規定については現在のところ検討の余地がない趣旨の御答弁だったのですけれども、とにかくそういう意見は既に小委員会の中でも出ているはずでありますから、それはそれでぜひしんしゃくしてもらいたいと思うのですが、その以前の問題として、当然、改善基準は今回の労基法改正に伴って変更しますね。改善が行われますね、告示の中身の改善が。そのときに検討してもらいたいのですが、これは皆さん知っていると思うのですが、結局、改善基準は、ある意味では拘束時間などでいえば労基法よりも内容は労働者側にとって厳しくなっている。したがって、これは労基法一本でいくべきだという意見があるわけですね。
 どうしてこういう意見が出てくるかといいますと、実は労基法がある、それから労使協定でこれまでの実態がある、改善基準がある、そうしますと、こういう事例があるのです。会社側が、労基法の方に合わせるのじゃなくて、拘束時間について労働者側にとってより厳しく定めている改善基準の方に合わせることがあったのですね。こういうことが相当大きな企業の中でも行われているのですよ。したがって、この。改善基準がそういう役割も果たしているということについて労働省は認識してもらいたいのですね。
 そこから、労働基準法一本でいいじゃないか、改善基準は要らないじゃないか、こういう意見も出てきておりますから、今言ったことも含めて、改善基準は改善の基準なんであって改悪の基準になってはいけないわけですから、したがって、そういう趣旨で運用していくということについて今後の検討の中ではっきりさせてもらいたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#133
○伊藤(庄)政府委員 この自動車運転者の労働条件の改善基準につきましては、今御審議願っておる法案を成立させていただいた段階では、次の目標として週四十時間労働制に対応した新しい基準を策定していかなければならない、そういったことで検討を進めることにいたしております。
 そういった場で、今お話のございましたような運用面でいろいろ問題があれば、その専門の小委員会の場で出していただいて御議論を願うようにしてまいりたいと思っております。
#134
○常松委員 次に、運輸交通業では中小零細企業が非常に多いため過当競争体質にあるというふうに先ほど指摘いたしました。今次改正案の中で労働時間短縮支援センターによる事業というのがあるわけですけれども、それのみに依存するだけではなくて、政府全体として関係行政機関がそれぞれの所管に沿って、物流業を初めとする運輸交通業の時短促進のための環境整備に努めるべきだと私は考えています。
 労働行政においては、さきに指摘したような特定業種時短推進事業の実施も含めて、時短のおくれている産業に対する指導の強化、中小企業労働時間短縮促進特別奨励金制度あるいは時短実施計画推進援助団体助成金制度などによる援助、それから運輸交通業における各事業者団体に対する時短促進法の活用促進の指導強化などについて、具体的に措置をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。これは簡潔にお答えください。
#135
○伊藤(庄)政府委員 運輸交通業につきましては、労働時間の短縮は非常に大きい課題でございますので、今先生お話のあったような諸点を十分踏まえまして、また、運輸省あるいは関係事業主団体と密接な連携をとって一体となった総合的な角度からの時間短縮指導を推進していきたいと思っております。
#136
○常松委員 今ちょっと私が触れましたけれども、長時間労働になっている業種における時短促進を図るために、二年間で特定業種労働時間短縮推進事業を実施してきた経過があるのですけれども、その中で道路貨物運送業を指定して時短指針を策定し指導してきたのですが、正直言って実効が上がっていないと思っています。したがって、再度運輸交通業を対象としてこうした事業を継続して実施すべきであると思うのですけれども、仮にそれが難しければ、約一万七千人の推進員がいらっしゃるそうですから、そういう方々に対してこれまで以上の強力な御指導をいただいていく必要があるのじゃないかと思っておりますが、これについても決意をお伺いいたします。
#137
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように特定業種につきまして進めてまいりました労働時間の短縮推進事業は、この道路貨物運送業についてもやってまいりました。
 その成果が不十分ではないかということでございますが、その事業の中で設定いたしました指針、これは労働時間短縮の目標と、この目標達成のための手法、課題を一般的に示した内容になっておりまして、これからはそれを受けて関係の労使が具体的に実際にどう取り組むかということであろうと思っております。そのために効果的なのは、労働時間の短縮に関する臨時措置法に基づきます事業主共同で作成いたします労働時間の短縮の実施計画またはその承認制度の活用につながっていくということが非常に大事なのではないか。
 したがいまして、こういった指針あるいは事業のやり直しというよりは、そういった発展的な取り組みへつながるように私ども取り組んでまいりたい。そういう過程でお話のございました労働時間短縮推進員の活用等については十分配慮していきたいと思っております。
#138
○常松委員 最後になりますけれども、変形労働制についてお尋ねをいたします。
 三カ月の変形から一年変形への拡大についてなんですけれども、これは年間二千八十時間の枠内で一日の労働時間を伸び縮みさせるものでありまして、よほど厳しい要件を付さなければとんでもない生活、労働が強いられる、労働者の一日のライフサイクルを基礎とする人間たるに値する生活のための最低基準を崩しかねない制度だと私どもは思っております。我が国が国際的にもおくれた週四十時間労働制をとりながら、一日八時間、週四十時間労働制を崩し、弊害のある制度を導入するのか、その目的を聞きたいわけでありますが、そうした点については既に当委員会で御議論されておりますでしょうから、私としては運輸の問題に少し絞ってお尋ねいたします。
 この変形制の一番の問題は、使用者が一年単位の変形労働時間制を使えば、繁忙期には命令に定められた上限さえ守っていれば労働者を目いっぱい働かせることができ、この範囲の労働はすべて所定労働時間だから割り増し賃金を支払う必要がない。そのかわり、閑暇期に労働時間を短縮し、年平均週四十時間におさまるように調整すればよいわけでありまして、労働者側から見ますと、一日十時間働いても時間外手当は一円もつかない。本来ならば時間外労働になるはずが、一カ月仮に五十一時間働いても時間外手当はつかないということだろうと思うのです。これは労働者にとっては実際には大変な賃金の引き下げになります。
 一九八七年の労基法の改正のときに三カ月変形労働制が導入されたわけですけれども、そのときに私鉄の貸し切り観光バスの労働者の事例ですけれども、当時で月五万三千円ぐらいの時間外手当のダウンになるということが算出されました。これは新聞でも大きく取り上げましたので、労働省御存じのとおりであります。これがその後、基発一号になっていったわけです。
 この一年変形制は全産業に広がる可能性を持っておりますが、現行の三カ月変形制の場合には、法文の上では限定はありませんけれども、労働省の通達によって、「季節等によって業務の繁閑の差が生じないものについての適用は考えられない」あるいは「恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度である」などとされておりまして、その適用範囲にかなり厳しい枠がはめられています。ところが、一年単位の変形制では、法文上の制約がないことはもちろんですが、立法過程においても、これを季節あるいは時期により繁閑の差のある産業、企業のみに限定する趣旨は全くあらわれていないわけであります。
 そこで、お尋ねをいたしたいのですが、今申し上げましたようなことは、この一年変形制についてもきちっと制約となるのどうかということが一つ。
 二つ目には、三カ月の変形制では、昭和六十三年一月一日基発一号あるいは平成三年一月一日基発一号で
 業務の性質上一日八時間、週四十四時間を超えて労働させる日又は週の労働時間をあらかじめ定めておくことが困難な業務又は労使協定で定めた時間が業務の都合によって変更されることが通常行われるような業務については、三箇月単位の変形労働時間制を適用する余地はないものであること。
と通達をされているわけであります。
 この通達は一年単位の変形労働時間制について当然適用されるものと理解をいたしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。
#139
○石岡政府委員 一年単位の変形制につきましては、あらかじめ休日が特定される必要がある制度でございますので、年間の業務の波動が予測できないために年間を通してあらかじめ休日を設定できない、こういうケースにつきましては適用がないものと考えております。また、所定外労働時間を特定することが困難であったり、仮に特定したとしても変更があったり、あるいは恒常的な残業が生じやすい事業についても適用できないものであろうと考えております。したがいまして、これらの点につきましては、現行の三カ月単位の変形労働時間制と同様の通達を出してまいりたいと考えております。
 続きまして、御指摘のように現行の三カ月変形労働時間制につきましては通達を出しているわけでございますが、一年単位の変形労働時間制につきましても、貸し切り観光バスという例示を出すかどうかは別といたしまして、変形期間開始前に労使協定により労働日などを特定しなければならないという制度でございますので、そうでないところは適用がないということを通達で明確にしてまいりたいと考えております。
#140
○常松委員 六十三年一月一日の基発一号、三年一月一日の基発一号、この通達と同じように一年変形制でも適用されていくというように理解してよろしいですね。端的にお答えください。
#141
○石岡政府委員 一年の変形制をお認めいただけましたら、改めて、現在三カ月の変形制について出しております通達における趣旨と同様の通達を出してまいりたいと思っております。
#142
○常松委員 ありがとうございました。
 最後になるかもしれませんが、変形労働時間制についてもう一つだけお尋ねをいたしておきます。
 これもJRの事例ですけれども、JR各社は、各職務系統別に相異なる勤務種別及びその組み合わせの勤務を行っておりますが、労基法上は、全系統、全勤務種別について、三十二条の二の一カ月単位の変形労働時間制を採用しています。
 その結果、例えば保線の職場などでは二日分の勤務が組み合わされ、深夜の長時間にわたる勤務、しかも休憩時間なしでぶっ続けに働かされているのが常態になっておりまして、かつ、夜勤が月十日もあるというような状態になっておるようであります。運転の職場でも、貨物列車などでは二晩連続して乗務させられたり、トイレに行きたくても、途中でとまらないために、大便も小水もどちらも運転室で行うというようなことが起こっているそうであります。
 三十二条の労働時間制の原則に対して、三十二条の二で変形制を採用するに当たっては、昭和六十三年基発一号による労働者の生活設計を損なわないようにという趣旨、及び一日、一週間の労働時間の限度などを踏まえて、同基発及び平成三年基発一号の労働時間の特定及び昭和六十三年基発百五十号の労働時間の特定の程度など、一カ月単位の変形労働時間制の採用要件について充足しなければならないものじゃないかと私は考えています。
 しかし、JR各社においては、例えばJR東日本の乗務員勤務のように、一日当たり七時間十六分という所定労働時間に基づいて、一カ月単位、これは四週間ですけれども、その勤務について特定するというような定めをしているのはむしろ例外でありまして、各社ともに、一部非現業部門などを除き、東日本の乗務員以外の勤務を含めて、公然と一カ月単位労働時間制の採用要件を欠いた就業規則の定めをし、運用を行っているわけであります。その結果、先ほど申し上げましたように、労働者の生活設計が著しく損なわれているというふうに私は理解いたしております。
 この委員会の場では、一カ月単位の変形労働時間制の採用要件として、則十二条、労働時間の周知、則十二条の二、変形労働時間制の起算日、則十二条の六、育児を行う者等に対する配慮などのほかに、前述の労働時間の特定及び労働時間の特定の程度の趣旨について、当然採用要件として含められるべきだというふうに私は理解をしているところでございます。
 この点について、先ほど来お願いしておりますように、JRの実態について、労働省としてJRの話を聞いて調査をして、そしてその上で、労働省が出している諸通達等に照らして正しく変形労働制が採用されているかどうかぜひお調べをいただきたい、それに反しているような場合があるとするならばきちっと指導してもらいたい、こういうふうに思うのです。これも、もう時間がなくなってしまいましたから、調査をして回答してくれ、こういうことにとどまるかもしれませんけれども、御答弁をお願いいたします。
#143
○伊藤(庄)政府委員 一カ月の変形制につきましては、冬日の労働時間、労働日、そういうものをあらかじめ特定しなければいかぬわけですが、恐らくJRの場合の勤務割表といいますかそういうもので勤務していく場合にも、就業規則からその下のランクに決めることを落とすわけですが、そういう場合でも、始業・終業時刻とか各勤務の組み合わせの考え方とか、それから勤務割表の作成手続あるいはその周知方法というようなものを定めておく必要がある、こういう通達で指導いたしておりますので、今お話のあった点について、私どもそういうものとの関係で問題があるのかどうかはちょっと詳細はわかりかねますけれども、先ほど別件についてお話もございましたので、どういう実態であるのかについてはJRの話を聞いてみるということにいたしたいと思います。
#144
○常松委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
#145
○岡田委員長 次に、石田祝稔君。
#146
○石田(祝)委員 私は、まず労基法の質疑をさせていただく前にお伺いしたいことが二つほどございます。
 一点は、最近の新聞報道によりますと、身体障害者の雇用納付金制度で納付義務があるのに未申告の企業があった、これは総計一億円を超える金額が未申告だった、こういう記事が載っておりましたけれども、このことについてお伺いします。
 実情はどうであったのか、いろいろとお伺いをすると、必ずしも新聞報道の表現等がそのまま真実を伝えてはいない、そういう部分もある、こういうふうには聞いておりますけれども、労働省として、雇用納付金の納付義務、未申告の企業の問題、これは実情をどういうふうにとらえておりますか、まずお聞きをします。
#147
○坂根政府委員 お尋ねの納付金関係業務の報道関連につきましてお答えします。
 この業務は、障害者雇用促進法に基づきまして日本障害者雇用促進協会が行っているわけですが、その納付金の算定に当たりましてパートタイマーの取り扱いについて事業主側の誤解があったことなどの理由から、一部事業主の中に申告漏れが見られたところでございます。
 しかし、御指摘がありましたように、基準そのものは明確であるにもかかわらず、この報道によりますと、納付金の納付基準が不明確であったため起こったかのように述べられているなど、誤解を与えるような内容が含まれているというふうに考えております。
#148
○石田(祝)委員 物事はすべて原因があって結果があるわけでございますので、基準も明確であった、いろいろこうおっしゃっておりますけれども、端的に言って、なぜこういう事態が起きたのか。
 私が新聞で拝見して、またいろいろお聞きすると、実際、検査があって金額等も数字についてはほぼそのとおりじゃないか、こういうふうなことも聞いておるのですが、これは今実情を御説明いただきましたけれども、なぜこういうことになったのか、そこのところをもうちょっとはっきりお答えください。
#149
○坂根政府委員 お答えします。
 納付金の徴収は事業主からの申告に基づき行うこととされているわけですが、御指摘のこの申告漏れは、主として事業主側の申告額の算定方法についての理解が十分でなかったことなどによるものだというふうに考えております。
#150
○石田(祝)委員 そうすると、三百人を超す企業が納付の義務がある、こういうことでありますけれども、その中でその企業の自主申告の部分の勘違い等であった――うなずいておられるからそうだと思うのです。
 私も国会に議席をいただいて、当時、社労委員会ということで厚生省と労働省一緒になっておりました、そのときは厚生省、労働省一緒ですから、いつも厚生省の方も来ていただいているし、労働省の方も来ていただいている、そういう中で障害者の問題を私もたびたび質問いたしております。この問題は、こういうことがこれから続くと、ある意味ではまじめに納付している企業、一生懸命努力しでもいろいろな事情で、特にいろいろなことでなかなか企業に入ってもらえない、また会社の環境等がまだまだ整わなくて雇えない、ですから、これは申しわけないことだからお金だけでも、その納付金だけでもしっかり納めていこう、こういう方もあると私は思います。
 そういうふうな納付金制度自体が、こういうことがあると、これからそういうまじめに努めている企業が、ある意味でいえば、何だ、おれたちはまじめにそういうことがあって申しわけない気持ちで納めているのに、こういう企業が何十社もあって累計一億円を超すようなことがあっていいのか、こういうことになると思うのですね。この点についてはどうですか。
#151
○坂根政府委員 申告漏れの理由につきましては、今ほど申し上げましたように理解の不十分というようなことでございますが、それにつきまして、申告内容についての事業主に対する周知あるいは審査が不十分であったということがあろうかと思いますので、この点はまことに遺憾だというふうに考えております。
#152
○石田(祝)委員 そうすると、遺憾だということをおっしゃいましたけれども、これは遺憾だということでは、本当にそれだけで済んではいかぬということでして、今後どういう対応をとられるのか。
 みんながこの制度を守っていこう、この制度を効果あらしめるように頑張っていこう、こういうことでやっていくのがいいと私は思うのですが、今後、労働省として、所管の省としてどういうふうに努めていかれるのか、最後にそれだけをこの問題では聞いておきたいと思います。
#153
○坂根政府委員 お答えします。
 労働省としましては、事業主が納付金制度に基づく申告内容を容易に、わかりやすく理解できるように、今後は申告書の記載に当たって内訳整理表というものを添付させるように様式の改正も行うことにしているところですし、また、この障害者雇用促進協会の審査部門の増員を図るなど、納付金の審査体制を強化したところでございます。
 そういうことで、労働省としましては、この納付金の徴収が適切に行えるように、雇用促進協会に対する指導監督等に十分に注意していきたいというふうに考えております。
#154
○石田(祝)委員 ぜひともこの点はよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、雇用保険についてお伺いをします。
 失業給付の額の算出の基礎についてお伺いをしたいのです。
 昭和五十九年三月九日の衆議院本会議で雇用保険法等の一部を改正する法律案の趣旨説明がなされております。その中で、雇用保険の失業給付の額の算定の基礎を変更する、現行の失業給付の額はボーナスも含んだ総賃金を基礎としているんだけれども、これからは賞与を除いて失業給付をしたい、こういうふうな趣旨説明があって、この改正案が通ったわけであります。
 そうすると、徴収の際にボーナスが入っているかどうかということと、給付はこういう形でのけたわけですが、徴収と給付の算定の基礎に賞与がどういう扱いになっているのか、教えていただきたいと思います。
#155
○齋藤(邦)政府委員 先生御指摘のように、昭和五十九年の法律改正によりまして賞与等を失業給付額の算定の基礎から外すことになりました。保険料の方は賃金総額でございますので、当然賞与も含めた額をもとにして保険料は計算をされるということになります。
#156
○石田(祝)委員 そうすると、徴収はボーナスも入れてもらっている、そのかわり、出す方はボーナスは入れませんよ、こういうことですね。――今うなずいておられたから、そうだと思うのです。
 これは、この改正案までは徴収も給付も算定の基礎にボーナスが入っておりました。ですから、結局ここの五十九年の改正から給付の際だけ除くことになった、こういうふうなことになっているわけであります。私も会議録をずっと読んでみましたけれども、端的に申し上げまして、どうも外した理由はよくわかりません。
 例えば、年金とかみたいにもらい出したらその人が御存命中はずっともらえる、そういうものの基礎ではなくて、ある意味でいえば、九十日とか百二十日とか非常に切られた中で、なおかつ失業しないともらえないわけですから、本来ならこういう失業給付をもらわない方が、もともと働き続けられているということでいいわけですけれども、もらうようになって、なおかつ、そういう厳しい条件のときに算出の給付の基礎から外す、これは、私はなぜこういうことになったのかという理由がわからないのです。
 その理由と、その当時のこういうことをなさった理由がまだ続いているのか、そういう必然性がまだ現在でもあるのかどうか、これをお伺いします。
    〔委員長退席、河上委員長代理着席〕
#157
○齋藤(邦)政府委員 お答えをいたします。
 賞与を算定の基礎から除外をいたしました理由でございますが、それは、賞与等の額というのが業種あるいは企業規模によりまして非常に格差が大きいということがございます。
 例えばでございますが、平成三年の賃金構造基本統計調査によりますと、十人から九十九人のところの賞与を一〇〇といたしますと、千人以上にいたしますと二二三ということで、二倍以上の差がございます。定期給与だけにいたしますと、十人から九十九人にしますと一〇〇、千人以上でも二二六でございますので、それほどの差が見られない。
 それから、さらに業種によってボーナスの額は非常にアンバランスがございます。これも同じ統計調査でございますが、例えば産業計を一〇〇といたしますと、金融保険業では一五四、しかるにサービス業等になりますと九二というように、産業業種によって非常に額の格差が大きゅうございます。さらに、同一企業をとりましても、そのときどきの業績の状態いかんによってその額が非常に大きい。
 こういうことから見ますと、一律に賞与等を失業給付額の算定基礎に含めることについては問題があるのではないか、こういう趣旨で除外をすることにしたわけでございます。
 要は、給付額をどのような水準にするのが一番合理的だろうかということに帰着するわけでございまして、当時の改正法によりまして給付水準が下がることを防ぐためにあわせて給付額の引き上げも行っておりますので、そういう意味では合理的な改正ができたのではないかというふうに思いますし、また、現状におきましても、そのような事情というのにつきましては特段の変化はないというふうに思っております。
 なお、保険料徴収額の方に賞与を含めておるという理由でございますが、保険料をどのような方に負担をしていただくのが一番合理的かということにこれもまた帰着いたしますし、さらに保険料率をどのような水準にするか、決定するかということにもかかわる問題だろうというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、産業ですとか企業の状況によって非常に賞与の額が異なるわけでございますから、ということは、いわば保険料の負担能力が極めて高い方にいわば賞与が多いということになるというふうに思います。そういう意味で、負担能力の高い方により多くの負担をお願いしたい。
 それから、もし給付の額に合わせまして賞与を保険料算定の基礎から除外をするということにいたしますと、必然的に保険料率を引き上げなければ必要な保険料を徴収できないということになりますが、そういたしますと、保険料負担が、中小企業の労働者に非常に重く、大企業の労働者にはむしろ軽減されるという、結果としてそういうことになってしまう。こういうようなこと等も考慮いたしますと、やはり保険料の算定基礎には賞与を含めておいた方が合理的ではなかろうか、こういうような趣旨でございます。
#158
○石田(祝)委員 局長からいろいろと長く御説明いただきましたが、私、聞いておりましたら、給付の際は算定の基礎に入れると技術上の問題も含めていろいろ事情があって難しいというお話だったように思うのですね。だけれども、技術上の難しさというのは、それを取るときはそういう問題はないのでしょうかね。だからそこは、給付のときと徴収のときの計算の算定の基礎というのは、これはほとんどやり方は変わらないわけだと思うのですね。だから、片一方に入れて片一方は入れないというのは、私から言わせればその当時の財政上の問題ですね。これがまさしくあったんではないかと思いますよ。
 これは失業給付費、雇用勘定の収支状況を見ますと、昭和五十八年度、まさしくこの法律案が改正をされた年の年度は、収入から支出、要するに徴収から給付を引くと赤字になっておるのですね。そして、その前後も赤字ですから、三年間赤字だった。そういうふうな財政状況があったんじゃないでしょうか。
 ですから、いろいろと御説明いただいたのですけれども、基本的には雇用勘定が赤字だったのでこうなったのですよ、こういうことではないのですか。
#159
○齋藤(邦)政府委員 お答えいたします。
 実は、当時雇用保険法改正法をやりましたときに私、担当課長でございまして、当時の社労でもいろいろお答えを申し上げましたが、確かにその当時の雇用保険財政は極めて苦しいといいますか、非常に赤字傾向でございました。そのときに雇用保険制度そのものを立て直さなければいけないという使命は一つ確かにあったわけでございますが、あわせて保険制度、給付制度全体についてどのようなシステムが一番合理的かということを念頭に置いて改正法を作成したつもりでございます。
 すなわち、雇用保険と申しますのは、労働者が失業した場合に失業給付を行うわけでございますが、その目的は、再就職のために求職活動を行う間その生活の安定を図るということが雇用保険の主たる目的でございまして、その目的に一番ふさわしいような給付の体系のあり方はどのようなものか、どのような形にすれば数多くの方に公平感を持った給付ができるか、あるいはまた、もう一つの要素といたしまして、先生御指摘がございましたような技術的な理由ももちろんございます。非常に多数の方を処理しなければならないというような要請はもちろんございますが、当時の私どもの主たる意識といたしましては、先ほど申しましたように、制度全体として一番合理的なものはどういうものかということを頭に置いて作成したつもりでございます。
#160
○石田(祝)委員 この問題はそろそろ見直した方がいいのじゃないかと私は思います。
 局長は当事者としていろいろなところから詳しく御自分なりにこうしなくてはならぬということが頭の中に入っておって、今おっしゃっていると思うし、そういうことでされたと思うのですが、これは払っている方から見たら、ボーナスのとき取られているのに、本当に失業して困ったとき、何でボーナスが入ってないのだ、取られるときは取られて、もらうときは入ってないというのはおかしいじゃないか、これは素朴な疑問だと私は思うのですね。
 その当時、単年度で非常に赤字が続く、そういう状況だ、そういうことで一時的に便法というのでしょうか考え方を変えてやった。これは私はわからないことはありませんけれども、例えば平成三年度でしたら、単年度で黒字がもう七千六百億なのですね。そして、私が聞いたら、累積で約四兆円のお金が雇用勘定にはある。そういうときに、局長の御説明はちょっと納得しづらいものがあるのではないかと私は正直思います。ですから、これはそろそろこれからもとに戻すことをお考えになったらいかがかと思うのですが、この点について、最後の質問にしたいのですが、これはいかがですか。もとに戻す方向で考えたらどうでしょうか。
#161
○齋藤(邦)政府委員 当時、改正法の議論を国会でお願いをいたしましたときにも、先生御指摘のような御議論が多々ございました。ただ、先ほども申し上げましたように、この問題は給付水準をどのようなところに定めるのが最も合理的なことかということに帰着するのではないかというふうに思っております。
 見直しするつもりはないか、こういう御質問でございますが、現在雇用保険部会というのが職業安定審議会の中にございます。その中でも、この前の雇用保険法改正のときの御議論を踏まえまして、全般についていろいろな御議論をしていただいております。その中の一つのテーマにこの問題が含まれておるということもございます。いろいろと関係者等の方とも議論をさせていただきたい、このように思っております。
#162
○石田(祝)委員 では、その問題はぜひもとに戻す、こういうことでまた御検討いただきたいと思います。
 それから、失業給付の日数の問題ですが、私は地元の高知県で、ある小さな企業というのでしょうか、営んでいる方からお話をいただきまして、相談を受けました。
 それは、そこの企業の社長さんは、できるだけ高齢の方も働いてもらいたい、自分のところで働けるのだったら働いてもらいたい、こういう気持ちで、六十歳過ぎた人も働いてもらっておった。その場合、失業給付、これは失業するということで、六十五歳でやめても定年でやめても六十歳でやめてももらえるわけですけれども、六十五歳までいくと、それまではやめれば三百日の失業給付がもらえるのが、六十五歳になったら百五十日になる。これはいかにも、そういう年のいった人に働いてもらいたいという立場からすると、努力をしてそういうある程度年のいった方に働いてもらっている立場からすると、おかしいのではないか。高齢の方もできるだけこれからは長く働いてもらうという時代に、六十五歳まで働いてもらって、やめたらその失業給付の日数が半分になってしまう、これはちょっとおかしいのではないですか、こういうふうなことも言われたのですが、この点、どうなのでしょうかね。六十五歳になったら百五十日、それまでだったら三百日、これはちょっとこれからの時代に合わないのではないかなと思いますが……。
#163
○齋藤(邦)政府委員 この問題も先ほどの給付日額と同じときの改正でそのような改正になったわけでございますが、一つ前提としてありますのが、先ほど申し上げましたけれども、雇用保険は再就職のための求職活動を行う間その生活の安定を図るというのが一番の主たるねらいでございます。したがいまして、雇用保険の受給期間中は再就職のためのいろいろな活動をしていただくということが前提でございますし、その再就職というのはやはり雇用労働を前提とするわけでございまして、そこがまず議論の前提にならなければならないのだろうというふうに思います。
 ところが、六十五歳以上の方を見てみますと、一般的に申し上げれば、労働市場からの引退過程にある方ばかりでございますし、就業の内容としましても、フルタイムの雇用は非常に少なくなる。むしろ任意の就業ですとか短期間のごく短い労働というようなことでございますし、また、就業希望の内容もいろいろ種々雑多でございます。そういうような方について通常の場合と同じような給付をするところが果たして適当なんだろろうかというところがこの改正の問題点でございます。
 通常の給付ですと、四週に一回公共職業安定所に来られて、そのたびに失業の認定をしていくということでございまして、そういうことではなくて、一回限りの失業の認定によりまして所定の一時金を給付して、自分のニーズに合った形での就職活動をしていただく、これの方がむしろ合理的ではないのだろうか、その方が高齢者の方の多様な就業希望にむしろ合致するのではなかろうか、こういう趣旨でこの制度にしたわけでございます。
 それから、あえてつけ加えさせていただければ、三百日というのも、それは最大限三百日ということでございまして、いわば退職金みたいな三百日ではない。ですから、少し比較の次元を異にして考えなければいけないのではなかろうか、このように思う次第でございます。
#164
○石田(祝)委員 この問題は、そういう当事者の方、また、高齢者を雇いたい、長く働いてもらいたいという現場で御苦労されている方の率直な疑問としてまだみると私は思いますので、これは問題の提示にきょうはとどめておきたいと思います。
 大臣にお伺いをします。
 中央労働基準審議会は、週四十六時間制の猶予措置を対象規模を縮少した上で一年延長いたしました。これは当委員会でも何度か問題になったことでありますけれども、その際、労働側委員が欠席のまま答申を行ったわけでありますが、現在、その審議会はどうなっておるのでしょうか。これからいろいろと審議もしていただかなければならないのですけれども、欠席のまま答申を出して終わっておるのか、どうなっているのでしょうか。
#165
○村上国務大臣 今の審議会は、御答申をいただきましたあの時点において、労の審議委員の皆さん方の退場、こういう状況でございました。これは会長にこの審議会の運営についてはゆだねて、私どもはとにかくこれについて申し上げる立場ではないわけでありますけれども、そうした状況の中で猶予措置の延長の答申をちょうだいいたしました。その折、会長から、労働省、私に対しまして、その手続についての遺憾の意が述べられまして、それに対して私も率直に反省すべきところは反省をいたしております。
 そうした私どもの考え方というものを、今日、審議会の皆さんについては十分意のあるところはお酌み取りいただいておると私は信じて、また、この法案の成立後は関係省令等々重要な事項の検討をお願いするわけでございますが、そのことについては円滑に審議会を開いていただきまして活発な御議論を賜ることができる、こう思っておる次第であります。
#166
○石田(祝)委員 続きまして、裁量労働制についてお伺いをします。
 平成四年七月の第七次雇用対策基本計画で「ホワイトカラー層の適正な労働時間管理を促すとともに、研究開発職など労働時間管理が困難な職種について裁量労働制の普及を図る。」こういうふうな第七次の雇用対策基本計画が出ております。また昨年九月の労働基準法研究会報告、また十二月の中央労働基準審議会の建議、こういうふうにいろいろと裁量労働制について述べられているわけでありますが、今回この裁量労働に当たる業務を命令で定める、こういうふうにした理由は何ですか。
#167
○石岡政府委員 従来、裁量労働制の適用業務につきましては、法律で例示いたしておりまして、具体的には法律解釈として通達で具体的な業務を定めていたわけでございます。こういうやり方につきましては、かえってはっきりわからないという御議論も研究会などでございまして、今回の法案ではその業務を法令上明確にするために命令で定めた次第でございます。
#168
○石田(祝)委員 では、法令上明確にするということでこういうふうにしたということですね。そうすると、この裁量労働制の対象業務はどういうのを条件として考えられておるのでしょうか。
 これは今まででしたら研究開発の業務、こういうふうな例示があったのですが、これを削除して新たな定義で行ったわけですね。ですから、対象業務の条件とか、これを外したということは何か意味があるのかな、こういうふうな気もするのですが、対象業務の条件とその研究開発の業務というものの例示を削った理由ですね、ちょっと二つお伺いします。
#169
○石岡政府委員 御指摘のような法文上の整理を行っておりますが、これは立法技術上の問題でございまして、特に重大な意味はございません。命令では、従来定めておりました五つの業務をまず定めまして、そのほかは審議会でいろいろ御議論いただきまして合意ができたものを業務の対象として明示したいと考えております。
#170
○石田(祝)委員 そうすると、審議会の議を経なければ裁量労働制の対象業務はまだはっきりしない、こういうことだろうと思うのですが、これで非常に裁量労働というものが過度に拡大をしないかという危惧を私は持っているのです。
 今までは例えば研究開発の業務という例示がございました。そういうものを外してまた新たに命令で決めますよ、これからこの法案が通ってから、中央基準審議会ですかそういうところで決めていただきますよ、こういうことだろうと思うのです。そうすると、今まででしたら例示ということで枠がはまっておったのが、過度に裁量労働というものが拡大をしていかないか。これもそうですよ、あれもそうですよ、こういう形でどんどん広がっていきはしないかという危惧があるのですが、この点の心配はないのでしょうか。なければないというふうに明確におっしゃってください。
#171
○石岡政府委員 今後どのような業務を裁量労働制の対象とするかにつきましては、現在通達で例示しております五業務を中心に労働省令で定めたいということでございますが、安易な拡大は考えておりません。いろいろ審議会で慎重に御検討いただきまして内容を定めたいと考えております。
#172
○石田(祝)委員 安易な拡大をしないということですから、これはどういう形になるのか、ぜひ厳しくやっていただきたいというふうに私は思います。
 それで、この裁量労働制で私は一番大きな問題だと思うのは、要するに、裁量できる範囲というのは、仕事のやり方とか時間を裁量はできるわけですけれども、仕事の量そのものを裁量はできないということだと思います。
 例えば、私が読んだ鼎談というのでしょうか、労働基準法についてのそういう座談会の中でフランスの例を挙げている方がいらっしゃいまして、その中に、その方が企業調査でフランスへ行った、そのときに、フランスの労働省の説明では裁量労働が認められるのはいわゆるガードルという管理職だけと聞いていたけれども、ある研究所に行くと事務員からテクニシャンを含むほとんど半分ぐらいの人が裁量労働の契約を結んでおった、こういうことを知ってびっくりしたという話もあったのです。そしてその中で、裁量労働を結ぶときに条件があった、三つあるということでその方は述べておりましたけれども、一つには本人と必ず書式、書面の契約を結ぶ、それから二番目として、原則として時間の拘束はなくフレックス、これは日本でも同じなようでありますが、そして三番目に仕事の量が適切なものである、こういう三つの条件があったようであります。
 ですから、私は、最初に申し上げましたように、この裁量労働の大きな問題は仕事の量そのものは自分では裁量できない、こういうことではないだろうかと思うのです。企業というものは、例えば一年間でやる仕事の量、これこれの人数の裁量労働のグループはこれこれの量の仕事だ、こういうふうにやっておっても、年度の途中でも仕事が入ってくる。こういう仕事をぜひおたくのこの部門でやってもらいたいというふうに来られたら、いや、うちは裁量労働で労使で協定を結んでこの一年間はこういう仕事しかやりません、お引き受けできませんといって断るところはまずないと私は思うのです。ですから、仕事の量が裁量できないということを考えてどういうふうな歯どめをお考えになるのか。これは私は大事な問題ではないかと思いますが、どういう歯どめを考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
#173
○伊藤(庄)政府委員 先生のお尋ねのございましたのは、裁量労働についての歯どめといいますか乱用防止の観点であろうと思いますが、裁量労働制につきましては、局長の方から申し上げましたとおり、今までの裁量労働制の対象業務は、五業務を例示しまして、その他それに類似するような業務もよろしい、こういういわば例示的列挙でございました。この点につきまして、今回は労働省令で、審議会の検討を経て、限定的な列挙をしていく、いわば業務の範囲を明確にすることによって安易に事業主が広げていくような形はとれない仕組みをまずつくります。これが一点でございます。  。
 同時に、労使協定の締結によりましてこの裁量労働制が初めて機能する、労使協定も労働基準監督署への届け出の制度、こういうふうにいたしております。その届け出があった時点では、その業務が本当に仕事の遂行方法、労働時間の配分、そういう点について裁量が認められている業務なのか、またそういう人たちを対象としたものであるかを十分にチェックして受理する、こういうことを行いますので、裁量労働制が乱用なりそういったものにわたることのないようなチェックが十分可能ではないかというふうに考えております。
    〔河上委員長代理退席、委員長着席〕
#174
○石田(祝)委員 部長、私の聞いていることはそういうことじゃなくて、職種等はそれは厳しく歯どめをかけていただきたい、これはまず最初に前段申し上げました。それとともに、この裁量労働制は、例えば職種を限定しても、裁量労働の労使契約を結んだ人たちが仕事の量の裁量はできないのじゃないかというふうに私は言っているのですよ。
 ですから、さっきも説明しましたけれども、年の初めにこれだけの人数でこれだけの仕事をということで裁量労働をやっても、会社の性格上、仕事が入ってきたら、いや、うちは裁量労働でこういうふうになっていますからとても人も雇えないしできません、こういうふうに断れないのじゃないかというふうに私は心配するわけです。そうしたときに、手段とか時間を自分で裁量できますよということであっても、仕事の量がふえてきたら現実には時間とかは裁量できないわけです。ですから、仕事の量が裁量できないという部分の歯どめはありますか、こういう質問です。
#175
○伊藤(庄)政府委員 裁量労働制を使う場合、まず労使協定によりましてみなしの労働時間を決めて労使協定を行うわけでございますが、そのみなし労働時間はあくまで実情に合った労働時間でなければならないということでございますので、仕事の量が労使協定でみなした労働時間内に到底処理することが困難なような決め方というものは当然チェックされるというふうに考えております。
 またもう一つ、先生お話しのあったフランスの場合と比較して私どもの違いますところは、五業務を見ていただきましても、どちらかといいますと上司の指示を受けて残業をするしないという者は決めない、いわば何をどうするかというようなことまでかなり裁量的に個々人の裁量にゆだねられている労働者のグループの範囲に限定をいたしております。
 で、フランスの場合、詳しいことを承知いたしませんが、一般の社員等につきましてガードルの制度がございます。このガードルの制度は、大学を出てすぐというよりも、ある程度の実務経験あるいは大学院等を卒業したいわば幹部候補生から確実に幹部に成長するという、割合限定された人たちを入社当初から力ードルということで契約で採用するわけでございますが、こういった人たちについては、裁量労働制というよりは、そもそもフランスにおいては労働時間の……(石田(祝)委員「そういうことを聞いてないのです」と呼ぶ)いや、お話をちょっと……、適用がないわけでございますので、先生お話しのあった人たちは、その下でそういう人たちの指揮を受けて働く、これは一般職員、恐らく幹部になることがない一般職員を対象にした裁量労働制を御指摘になっておりますので、この人たちは仕事の星も、恐らく仕事の遂行方法等についてもいわゆるカードルと呼ばれる人たちから指揮を受けるわけでございまして、(石田(祝)委員「カードルのことを聞いているのじゃないですよ」と呼ぶ)いえ、お話を聞いていただきたいと思うのですが、恐らくカードルの人たちから指揮を受ける人たちの裁量労働制ですから、仕事の量も恐らく制限しないと日本のような裁量労働制のような運用ができない、その辺を一緒に比較することは困難ではないかというふうに思っております。
#176
○石田(祝)委員 ちょっと賃金部長、時間がなくてやっているのですから、カードルのことは例示で挙げただけで、私が聞いているのは日本のこれからの労働基準法の法案のことを言っているわけですから。委員長、お願いしますよ、ちょっと答弁が長過ぎます。
#177
○岡田委員長 簡潔に政府側は答弁してください。
#178
○石田(祝)委員 ですから、そういう形で結んでおっても、年の途中で仕事が入ってきたときに会社というものは断れないのじゃないか、そうしたときに仕事の量は裁量ができないのじゃないかという心配を私はしているわけです。ですから、そういうことがないのか、そういうことに対する歯どめがあるんですかという質問をしております。
 年の途中で仕事が入ってきて、裁量できない仕事の量を与えられるのじゃないか、そういう心配はありませんか、そういう歯どめはありますかという質問ですから。
#179
○伊藤(庄)政府委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、この裁量労働制の対象として使える人たちは、仕事の遂行方法、労働時間の配分、これらについて完全にその本人の裁量にゆだねられている人でございます。したがいまして、これだけやれ、そのために残業をしろ、こういう指示を上から受ける人たちは裁量労働の対象にならないわけでございまして、これはフランスの場合の先生御指摘になった例とはかなり違う、我が国の裁量労働制はフランスのものとは違う、こういう点を御理解いただきたいと思います。
#180
○石田(祝)委員 そうしたら、この問題はちょっと聞き方を変えてお伺いをします。
 年の初めに労使協定を結んで、一年間こういう仕事をする、何人のスタッフでやる、この仕事は職種柄、手段も時間もある程度自由に自分で裁量してできる部分だから裁量労働ということにしよう、そしてある一定の仕事をやるということで契約をする、労使協定を結ぶ。
 そうすると、年の途中で例えばこういう仕事が入った、これはぜひそちらの部門でということであっても、それは拒否できる、新たな労使協定を結ぶ以外にそういうことをやる必要はないということですか、そのことをさっきから聞いているのですけれども。
#181
○伊藤(庄)政府委員 これは裁量労働でございますから仕事の遂行方法、時間の配分は本人にゆだねられているわけでございますから、全体としての仕事をこなそうと思いますと、そういった人たちは全く裁量的に仕事をしますので、全体の人数をふやしたりしなくちゃいけません。
 したがって、この前提になる労使協定によって決めているみなし労働時間を直すか人数を増やすかというようなことが必要になってまいりますの。で、それはこの労使協定で機能させている仕組みが生きてまいるんではないかというふうに思っております。
#182
○石田(祝)委員 そういう新たな労使協定等を結んで、人数をふやすとかそういうことをしなくちゃならない、こういうお答えだろうと思います。
 それで、裁量労働の根本の考え方はやはり労働者保護という観点が私は大事だと思うのですが、そういう観点で歯どめとか職種、業種について十分慎重に検討してもらいたいのです。労働者保護の観点が大事だ、こういう観点でこれから進めていかれる、こういう理解でよろしいですか。
#183
○石岡政府委員 裁量労働制につきましては、当然のことでございますが、労働者保護の観点を次かしてはいけないと思っておりますので、そういう観点を大事に、歯どめをいろいろ考えてまいりたいと思います。
#184
○石田(祝)委員 それでは続きまして、時間外と休日労働の法定割り増し率の問題で若干お伺いをしたいのですが、この割り増し率を命令で定めることとした理由ですね、これは大事な問題ですから大臣にお伺いをしたいと思います。
#185
○村上国務大臣 割り増し賃金率については、恒常的な時間外労働、休日労働を削減するため、基本的にはその引き上げを図っていくべきであると考えておりますが、大部分の企業における割り増し賃金率が二五%にとどまっている現状から見て、法律で固定的に率を定めるのではなく、政令で今後の実態等を見きわめつつ段階的に引き上げる仕組みとすることが適当と考えたのであります。
#186
○石田(祝)委員 労働基準法研究会報告とか建議、また第七次の雇用対策基本計画、これなんかを拝見しますと、やはり時間外・休日労働の法定割り増し率をある程度上げるということが時間外労働を削減したりまた休日労働をさせない、休日を確保するということのために非常に実効性がある、こういう観点で書かれております。その中で、この割り増し率をだんだんに上げていくという大臣の御答弁でありましたが、現在二五%ということになっておりますけれども、ではこれが実際二五%なのかどうか。
 これは私は労働省の方にお願いをしまして実効割り増し率というのを調べていただきました。そうすると、二五%というふうになっているんだけれども、実際はどうなのかという計算をしてもらうと、一七・八%だ、実効割り増し率というのは。これは結局ボーナス等が基本的には入っていないということなんですね。一七・八%だという数字をいただきましたが、これを二五%と書いている法律の中身に沿って考えると、私、計算しましたが、実効割り増し率を二五にするには三五%くらいなければならぬではないかというふうに思います。いろいろなところから陳情等もいただきまして、時間外は三五%という数字もあちこちから聞こえてきておりますが、これは二五%ということになっておりますから、実効割り増し率を少なくとも二五にするように考えたらどうかな、そのように思いますが、この点はいかがでございましょうか。
#187
○石岡政府委員 ボーナスなど現在割り増し賃金の算定基礎に含まれていないものを含ませまして計算をしたものが、今先生おっしゃいました約一八%という数字でございます。しかし、ボーナスなどを割り増し賃金の算定基礎に入れるかどうかについては理論上いろいろ議論があるところでございます。
 それから、現在の割り増し賃金率を三五%ぐらいに引き上げるべきだという御指摘がございましたが、今の先生の御指摘とは別にいたしまして、休日労働の割り増し賃金を当面考えておりますけれども、二五%以上の水準でぜひ平成六年四月から、審議会にも諮って引き上げる形で決めてまいりたいと考えております。
#188
○石田(祝)委員 今局長も御答弁になりましたけれども、ぜひこれは来年から上げる方向でやりたい、こういうことですから、お願いしたいと思います。
 こういう中で、雇用対策基本計画等を拝見しますと、割り増し率というものが時間外のいわゆる削減につながる、また、休日の確保ということで非常に有効なことがどの報告書にも出ております。そうすると、例えば、こんなに割り増し率を払うのだったら新しく雇った方がいい、極端に言えば、時間外をめちゃくちゃふやすのではなくて、仕事が多ければ仕事量に見合った人数を確保してその中で仕事をやっていこう、こういうふうなことになると思うのですが、いわゆる数字だけ見て企業家のサイドがもう新しい人を雇おうかというふうになる分岐点というのは今どのくらいになっていますか。
#189
○伊藤(庄)政府委員 ただいまの御指摘は、所定外労働をやらせた場合の割り増し賃金を払っていくのと、新しい人を雇って社会保険料その他の負担をしていく場合の均衡点ほどの辺にあるのかということだと思います。
 この点は平成四年度の労働白書で、新規採用と時間外労働の両者のコストが等しくなることを想定すると、その段階の割り増し率は六九・三%になるという分析を行っております。
#190
○石田(祝)委員 この六九・三という数字は全事業所平均だと思うのですが、例えば規模五百人以上の事業所では八二・九%、百人から四百九十九人のところで七一・六%、三十人から九十九人で六一・五%、トータルで六九・三%、これは平成四年の労働白書の数字ですが、一九八六年、昭和六十一年の労働白書では六二・九%という数字が載っております。ですから、六九・三まで上がったわけです。
 そうすると、基本的に約七割のところまでは割り増し率を払ってでも、新しく人を入れるよりも、経営者の側から見たらそちらの方がいい。この中で約七%上がっているわけです。そういう中において二五%というのがずっと続いてきているわけです。これは経営者の側からすれば、人を新しく入れないで二五%のままの時間外で働いてもらった方がある意味では得だ、その差が広がってきているわけですから。これは変な話になりますけれども、雇わないで時間外でやらせておいた方が、その間七%の部分での利益はふえているという見方も成り立つわけです。
 ですから、今局長が来年四月から休日についてやりたい、こういうお考えも述べられましたので、新しく採用する人よりコストが安いから低いところで割り増し率を抑えて時間外でやっていこう、そういうことはぜひともこれから若干考え方を変えていく必要があるのではないかと私は思います。
 この割り増し率というのは、今後とも労働時間の短縮に関連して非常に大きな課題になってくるだろうと思いますので、ぜひ第一弾として明年必ず上げていただくようにお願いをしたいと思います。
 時間もございませんので、年次有給休暇の点で一つだけお伺いをします。
 ILO第百三十二号条約、これは年次有給休暇に関する条約で、一九七〇年からあるそうですけれども、日本はまだ批准をしておりません。この批准ができない理由を教えていただきたいと思います。
#191
○石岡政府委員 今回の改正法案では、ILO百三十二号条約の内容を参酌いたしまして、継続勤務要件を一年から六カ月に短縮いたしました。
 しかしながら、この条約におきましては、年次有給休暇は一年につき三労働週以上とし、少なくともその一部は中断されない形の二労働週から成る、要するに二労働週連続して休むということでなければならないということが書かれております。この点はまだ実現されておりませんので、批准は困難であります。
#192
○石田(祝)委員 それと、この中の第六条の第二項というのでしょうか、これに「疾病又は傷害に起因する労働不能の期間は、」中を省略しますが、「最低年次有給休暇の一部として数えてはならない。」というくだりもございます。
 それで、今回の建議を拝見しましたり、今回の法案を拝見しますと、いわゆる年次有給休暇の算定のときの繰り越しというのでしょうか、最低付与される条件として八割勤務ということがあるのです。その要件の中で、労働基準法研究会では介護と病気と育児、この三つをたしか算定基準の中に入れる方向で検討すべきだということが出ておりました。実際は育児休業だけになっております。これは午前中も質問があったと思うのですが、法定されたので入れているのだ、こういうことです、
 介護も、ある意味では労働省も一生懸命やっていただいておりますが、制度として制定された場合は当然今回のような育児休業と同じ扱いになるのかどうか、このことをお伺いします。
#193
○石岡政府委員 介護休業制度が法律で制度化されました場合には、御指摘のような方向で対処したいと考えております。
#194
○石田(祝)委員 それでは、最後に大臣に一言、決意は何回もお話しいただいてもいいものだと思うのですが、この法案に対する御決意をお述べをいただきまして、終わりたいと思います。
#195
○村上国務大臣 この法案にかける労働省の意気込みというものを見ていただければ、私は、これは改めて強調申し上げるまでもないと思いますので、一日も早くひとつ成立をさせていただきたい、このことを心からお願いをするものであります。連休前にでもひとつ衆議院を上げていただきたい、このことを切にお願いを申し上げておきます。
#196
○石田(祝)委員 最後に一言、済みません。
 我々のそういう条件を、条件というとおかしいのですけれども、いろいろ要求もございますし、我々の考えもございますので、ぜひ我々の思いも酌み取っていただかなくちゃこれはなかなか難しいんじゃないか、そういう気もしますので、大臣の決意を聞いたりこっちがお願いしたりで妙なものですけれども、お願いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#197
○岡田委員長 次に、金子満広君。
#198
○金子(満)委員 今回の労働基準法の改正については、確かに部分的に改善のところはあります。しかし、私の考えでは、改悪という点では、一つは変形労働時間一年という問題と、もう一つは、これから質問いたしますが、裁量労働の問題だと思うのですね。
 そこで、裁量労働の問題について具体的に幾つか伺っておきます。
 現行の労基法で言うところの裁量労働の問題については、適用される業種の限定はもちろんありますね。確かに「研究開発の業務その他の業務」ということになっていますが、先ほどからいろいろ聞いている中で、研究開発に類するものでなければ裁量労働の対象にはならない、だめだ、これはもう当然だと思います。そうですね。現行法ですよ。
#199
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおりでございまして、研究開発職の業務を法律上例示し通達で列挙しているのも、いわゆるスペシャリストでございます。
#200
○金子(満)委員 今度の改正によると、その限定がなくなるということなんですね。やはり限定がなくなれば裁量労働というのは、理屈からいえば無限に広がるわけなんだけれども、そういう点でいろいろなところから指摘されているわけです。
 現在の五つの業種、これは例示でありますが、この五つの業種で働いている労働者の総数は概略どのくらいになりますか。
#201
○伊藤(庄)政府委員 現行の裁量制度は、これら五つの業務に従事している人のうちというのがございまして、うち仕事の遂行方法、労働時間の配分等について本人の裁量にゆだねられている者ということでございますので、実際そういう扱いを受けている人の数となるとこれは統計上把握が困難でございます。ただ、一般にデザイナー、そういう業務ごとで、そういう業種で職種分類される人がどのくらいいるかというのを調べてみますと、適当な統計がございませんが、平成二年の国勢調査でこのような職種の人たちを拾い上げれば大体八十二万七千人程度、こういう積み上げが出ております。
#202
○金子(満)委員 現行の法規の中で五つの業種ということですから、全部が全部裁量労働を適用しないことははっきりしているのですね。しかし、裁量労働が広がる範囲というのはこれだけの労働者ということはやはり厳格につかんでおかないとならないと私は思うのです。そういう点から、私ども労働省や総務庁の関係でいろいろ調べてみました。
 こういう中で、五つの業種と言われるもの、これは繰り返してもなんですけれども、つまり「新商品又は新技術の研究開発」、それからもう一つは「情報処理システムの分析又は設計」、三番目が「記事の取材又は編集」、四番目が「デザイナー」、五番目が「プロデューサー又はディレクター」、こうなっているわけですね。これを去年の暮れ、この労基法の改正問題が大きな政治問題になってきている中で労働省の職安局に聞きました。その対象人口というのはなかなかわからないということで、最初に聞いたのが基準局です。それから職安局に聞きました。職安局でこの五つの業種がこういうもの、その内容が全部あります。
 そして総務庁にこれを渡して、九〇年の国勢調査の結果でどのくらいになっているかという分析をしてもらいました。そうしますと、この職業別、そして十五歳以上ということでこの五つの業種に入っている対象人口は今言われた数字とは全然違って、百八十五万八千四百人という数字になるわけです。ですから、こういう中で現在の五つの業種というのが大体これだけの人が働いているということは言えるわけです。
 ですから、今度その枠を広げるというときに、枠を広げるのですから、対象の労働者の数がどのくらいあるかというのはしっかりつかんでおかなければならないと私は思うのです。悪い言葉ですけれども、その点が非常にずさんだと思うのです。したがって、今度は全部の労働者の中でホワイトカラーを含めて比率がどうなるのかと言ったら、恐らく出ないんじゃないかと思うのです。そうして法律とか条文はひとり歩きするわけですね。こういう点をぜひ見なくちゃならぬ。
 そこで、おとといの当委員会でもいろいろの問題が出ました。ホワイトカラーというのはどういうものを言うのかというので、なかなか出ませんでしたけれども、政府側からの答弁はありませんでしたが、どういうものを言うかの前に、ホワイトカラーというところの労働者の総数はどのくらいあると思いますか。俗称だそうですけれども、ホワイトカラーと言われる労働者の総数はどのくらいあるか、これを伺っておきたいと思います。
#203
○伊藤(庄)政府委員 これは統計上、管理監督者、事務従事者、その辺を積み上げれば出る数字でございますが、恐縮でございますが今手元にございませんので、もし後ほどでよろしければ、その辺積み上げた数字を準備させていただきたいと思います。
#204
○金子(満)委員 その点について、おととしの九一年、これは労働省の直接指導機関で日本労働研究機構というのが発行している「仕事の裁量性に関する調査研究」というのがあります。この中で、ホワイトカラーと言われるもの、おとといのこの委員会ではホワイトカラーというものはどういうものか労働省側は答弁ができませんでした。通称であるということは私も聞きましたが、この日本労働研究機構の「裁量性に関する調査研究」の中では次のように言っています。
 「ホワイトカラー」という呼称それ自体は俗称であるが、
これはあなた方も言いました。
 通常は日本標準職業分類でいう「専門的・技術的職業従事者」「管理的職業従事者」「事務従事者」「販売従事者」の四つの職種を指している。
こう言っています。
 この四つは、アメリカの労働統計局の公式の定義とも合致しているのですよ。だから、労働省の担当者がこれを知らないというのは、その職務上からも大変なことだと思うのですよ。指示すればすぐできることなんですからね、私どもが調査しても出てくるんだから、そういう点を主管官庁である皆さんの方でしっかりつかんでおかないというのは大変なことで、しかもこういう中でどんどん労基法改正の議論が進んでいるのですから。
 そこで次は、数の問題があります。
 国勢調査によると、一九八五年時点でこれらホワイトカラーの数は約二千七百万人、全就業者の四六・七%に達しており、
こういうふうにあります。これは八五年ですから、これを先ほどの総務庁の国勢調査、九〇年の国勢調査の結果に基づいて分析して数字を出しますと、ホワイトカラーの労働者の数は三千八十一万九千九百人になっているのですよ。これは全体の四九・九%、つまり、全就労人口の約半分なんですね。これは八五年の四六・七%から見ればはるかにふえている。
 そうなりますと、問題は、全就業労働者の半分近いところが実は労働基準法の労働時間の規制を受けないところで仕事をするようになる危険性、可能性、これが今度できているわけなんですね。
 そこで、この適用というのは大変大事な問題だと思います。みんな心配するのは、これがどんどん広がるのではないかということですが、その点はこれまでの質問者に答える中で安易な拡大はしないということ、これはまあ当然だと思いますが、そういうことは今度法改正をやってもそういう点でいくわけですね、もちろん。
#205
○伊藤(庄)政府委員 今ホワイトカラーの定義、数等についてお話しございましたが、御理解いただきたいのは、確かに労働基準法研究会報告で、事務従事者のうちの一部について裁量労働制の話がございました。それは例示として明快な限定つきでございまして、例えば企業の本社等で相当高度な経営戦略あるいは企画等の業務に携わって裁量的な仕事を許されている者、こういう者でございまして、今お話しありました販売従事者まで含めたいわゆるホワイトカラー全体の議論ではなくて、本当に限られた、本社の中でも一握りの人たちについての裁量労働制の問題でございますので、そこはホワイトカラー全体の話として私どもとらえてはおりませんし、研究会報告ももちろんそうでございます。
 この問題は、中央労働基準審議会でも議論ございました。その際も同じようなとらえ方で議論が行われました。ただその上で、そういった人たちについての裁量労働制の適用に当たっては、どのようなグルーピングをして、それをどのようにきちっとあらわして、慎重に、広がらないようにやっていくためにはいろいろな技術的な検討または実務的な検討も必要だということで、別途検討の場を設けて、そこで二足の成果が出た段階で裁量労働制を適用するかどうかは改めて審議会の中で議論しよう、それはあくまで労働省令で明快に線引きをして、安易に広がらないような工夫をして労働省令で定める。そういう意味で、今回労働省令で命令で決める、こういう限定した制度になったわけでございまして、その点御理解をいただきたいと思っています。
#206
○金子(満)委員 私が指摘した日本労働研究機構のあれは、具体的内容を四つ出しており、これもアメリカと一致しているのですから、そう単なる参考みたいなのじゃ困ると思うのですね。ほかの省庁があるいは民間の研究機関がやったのなら適当な解釈もいいけれども、あなた方の指導のもとにやっておるところなのですから、それははっきり指摘はしておきます。
 そこで、今安易な拡大はしないという意味のことを言われましたね。いいですね、それは。しかし、私はその場限りの答弁はやめてほしいと思うのです。
 去年の六月二十五日の経済審議会、これは宮澤内閣のもとで出した「生活大国五か年計画−地球社会との共存をめざして−」の中に、今の問題は全部入っているんですよ。安易な拡大どころの話じゃないのですね。「労働時間短縮に向けた条件整備」ということで、何と書いてありますか。言えば「裁量労働制の普及に努める。」とちゃんと書いてあるのですよ。これは内閣の方針ですからね。総理も何回も言っているのに、労働省の皆さんが安易な拡大はしない、これから十分審議していく、これは私はその場限りの答弁だと思うのです。責任をだれがとるんですね。これは村上労働大臣、あなたが労働大臣になってからのことじゃないのですが、しかし、政府の方針としては普及をすると言っているのです、政府を挙げて。ところが、担当の労働省では安易な拡大はしません、これからいろいろ研究してと、さも抑えているようなことを言うけれども、これは政府、閣内における重大な矛盾ですよ。そういう点を十分深めないでやっていたらどういうことになるかという点で、これは大臣、内閣そのものに関することですから、ひとつ御答弁願いたいと思うのです。こちらが本当だと思うのです。−いやいや、大臣に聞いているんだから。あなた方のはさっき聞いたのだからもういいよ、どうぞ村上さん。
#207
○村上国務大臣 今の御指摘いただいたそこらあたりのあれは、私もまだ十分に承知していないのでございますが、そのことについては後ほど局長から答弁をさせますが、御指摘いただいた、やはり内閣にしても私ども労働省にしても、そこにはいささかの矛盾があってはならない。それと、やはり一貫性というものと継続性というものがなければ、政府に対する信頼、労働行政に携わっている労働省に対しての信頼もあり得ない、私はこう思っております。事務的なあれは局長が立ちますから。
#208
○石岡政府委員 先生御指摘のように、「生活大国五か年計画」の中ではこのように書かれております。
 一律な労働時間管理になじみにくい分野において、フレックスタイム制の普及を図るとともに、労働時間管理が困難な職種については裁量労働制の普及に努める。
この趣旨は現行制度の普及という趣旨でございまして、ここで裁量労働制の拡大を図るというふうに書いてあれば確かに問題であると思いますけれども、そういうふうに書いてございません。
 裁量労働制につきましては慎重に対応してまいります。
#209
○金子(満)委員 まあ普及と拡大は違うと言うけれども、普及というのは一般に広げることでしょう。だから、そういう言葉の解釈より、政府の方針というのははっきりしているのです。フレックスタイムというものもここに書いてあります。これは残業手当を出さなければなりませんよ。しかし、ここの場合でいうところの裁量労働は出さなくたっていいんだよ。だから、そういう点も考えると、我々が懸念するのは、そして多くの人々が不安に思うのは当然だと思うのですね。ですから、一時しのぎという言葉は悪いけれども、会議が過ぎれば後はどうにでもなるというような、そういう考え方を持ったらだめだし、私はそういう点からいったら、労働大臣が矛盾があってはならぬというのは本当だと思うのです。よかろうが悪かろうが、それなりに筋がなければ議論できないのですよ。何か昼だか夜だかわからないような、夕暮れみたいな話をしたのではだめなんですからね。これは明確にしておきたいと思うのです。
 それで、その点との関連ですけれども、これからどうなるというより、今なっている問題を一つだけ例示として取り上げたいと思うのですね。
 裁量労働制を何に適用するかというのは、繰り返し言われているように、これは研究開発業務とその部分が限定されているわけです。だから、やたらに事務部門なんかに広がるのじゃないということははっきりしているのです。これはもう天下公知のことなんです。
 そこで、今月の十一日に毎日新聞で相当大きい記事が出ているのです。若干そこの部分をやりますけれども、問題は幾つかの企業なんですけれども、私が取り上げたいのはオリンパス光学工業の問題ですが、ここで、「仕事の評価「量」より「質」」という表題で「裁量労働制 採用企業急増中」となっている。出来高払いになるのですね。「出来次第で賞与格差も」つける。こういう中で
 オリンパス光学工業の場合、直属上司が達成度を六段階に分けて相対評価し、通常の賞与とは別に、半期ごとに最低ゼロから最高一・二カ月分の別枠賞与を支給する。
ということをしながら、どういうことをやったかというと
 研究者は設備を使う関係上、
つまりコンピューターその他設備を使う関係上、自宅ではできないですから出てくるのです、会社に。
 研究者は設備を使う関係上、仕事の時間配分が制約されている。むしろ事務部門の方が裁量の幅が大きい
これはオリンパスの人事部がそういうことを言っている。そして、「事務部門への適用に踏み切った」と書いてある。今月の十一日の記事ですよ。ですから、まだ改正も何もなっていない、現行法規で五業種というのに枠が決まっているのに、もう事務部門へぽっと広げているのです。
 先ほども他の委員の質問の中で労働省の関係者は答えているわけですけれども、これは労働基準監督署に届け出てあるのが普通だと思うのですよ。届け出てあるのですか、ないのですか、これは。
#210
○伊藤(庄)政府委員 この裁量労働制については、労使協定が前提になりますので、これは届け出義務がございます。実際把握しておりませんが……。もう一つ、時短促進法に基づきまして、その中で労働時間の短縮推進体制を整備するということで、企業内に委員会等を設けていろいろな決議その他時間短縮のための申し合わせをしていただく場合もございます。そこで、この裁量労働についての労使の決議を行われた場合には、これは届け出がなくていい、こういうこともあり得ます。
 したがいまして、このケースがどちらに当たるかにつきましては、調査をしてみないと、現段階では判断がつかないということであります。
#211
○金子(満)委員 その委員会ができているかできてないかはもう一つの問題ですけれども、時短促進法に基づいて労使で委員会ができていれば届け出をしなくてもいいという。じゃ、このままいったらどういうことになりますか。脱法行為が堂々と天下の大道を歩いているのですよ。
 それで、きょうの新聞だったらどうか知らぬけれども、十一日に出ているんだから、労働省の皆さんや政府関係者もえっと思うと思うのです、こんなに新聞に大きいんだもの。それで、採用企業はどんどんこの裁量労働制を適用して、広げている。そして、今の法律の枠を超えて、労働省の制度の例示の枠を超えて、事務部門にやりやすいし、なるんだと書いてあるんだ、これは。それを労使で決めればいいんです、届け出しなくても結構です、今これをもし日本じゅうの人が聞いたら、ああそうですか、これはうまいことを聞いた、届け出も何も関係ない、あれはざる法だ、脱法行為でどんどん労使で決めればいいのです、こういうことになりますよ。
 だから、労働省としての労働行政でこれをしっかりつかんで、それは法違反なんですよとそれは指摘しなければならない。そうでなかったら、事務部門にやることは非常にいいし、やりやすい。研究部門はコンピューターなんか、コンピューターとは書いてないけれども、「研究者は設備を使う関係上、」というのはそういうことなのです。次から次へメジロ押しになるから、あなたの番は何分と切らなくちゃならない。事務部門がそれがないからやりやすいし、能率が上がるんだ。
 なぜ、私がそういうことを言うかといえば、先ほどの日本労働研究機構の中ではどういう職種にこれが適用できるかという内容までちゃんと書いてあるのですよ。だから、抑える抑えないじゃなくて、何と書いてあるか。
 具体的には、個々の顧客の訪問計画、受注業務や回収計画、既納客管理・フォローの「仕方」は原則として個々の営業マンに任されており、これをいかに効果的・効率的に行うかによって、まさに個々の営業マンの販売台数の違いとなって出てくるわけである。訪問、受注活動の計画は、原則として営業所長が月単位、中間管理職が週単位で大枠を策定し、一週間に一度はミーテングが実施され、個々の営業マンの進捗状況の把握がなされる。がしかし、それぞれの時間単位の中で何をどのようにどれだけやるかは、個々の営業マンの裁量に委ねられている。
ちゃんと書いてあるんですよ、これは。こういう格好でオリンパスだってやっているんですよ。ほかもやっているんですよ。ですから、ここは明らかに五つの業種、それをはみ出しているんですよ。
 今度は、それをはみ出していることをもっと普及しよう、政府の方針でというのが「生活大国五か年計画」なんだから、そういう点では一つの考え方として矛盾がないんですよ。そこを、何とか違うものの解釈があるかのようにおっしゃるからおかしなことになっているんです。
 今のオリンパス、どうぞ後で調べてくださいよ。新聞に出ているこれをずっと見て私どもそれなりに調べてみますと、確かにそうだ。ですから、潜りでやっているのが公然化しているんですよ。潜りの、ここのところに資料まで出ているんだ、こういうのができますと。だったら、今度、自動車セールスからいろいろなセールスマン、大変ですよ、これは。
 ですから、そういう点を私たちは考えたときに、労働省のこの労働行政が現に、今法の改正の問題で議論しているときに、もう先取りして事態の方が進んじゃっているんだ。そういう点をどう見るのかというのを担当者としてはしっかり−私は悪口言っているわけじゃない、あら拾いしているわけじゃないですよ。みんなの懸念が議論の中で出てきているのに、毎日新聞を見たらこういうことになっている。全然これはおかしなことだと思う。あなた方はもっと敏感にこういう問題をとらえていかないと、事が起きて、火事が起きてからポンプを引き出すようなことをやったんじゃだめだというのです。そういう点は非常に大事な問題だから、私は指摘をしておきたいと思うのですね。
 さらに、そういう中で、最後に近くなりましたが、結局変形一年の問題も、今度の裁量労働の問題もどういうことに結果はなるだろうかと思うと、そこに出てくるのはやはり過密労働、長時間というのは出てきますよ。そして、企業経営者の側から見れば残業代の節約には確かになります。しかし、過労死という問題はそこで解決つかないわけですね。
 労働省は、これは把握しているかどうか知りませんが、過労死と言われる中で、労働省の公式文書にはなかなか過労死というのは出てこないです、ほかの政府機関では、過労死というのは括弧で入っているところが大分ありますけれども。過労死と言われる中で、ホワイトカラーの過労死の数は相当多いんですよ。これは一つの新しい特徴なんですね。どういうことになるか、なぜそうなるかというのは、ホワイトカラーの多くの労働者に共通している点は、企業から異常なノルマが課せられるんですよ。それで一生懸命働くから、会社人間になって、社会人間にならないのです。会社人間にどんどんなっていく。そうして、そういう中で今度は裁量労働というのがずっと広がれば、こういう危険性も付随して、正比例して広がっていくのです。これは解釈でなくて事実だから、流れでそうなるのですね。
 そうして、裁量労働を採用している企業の使用者側が多く言っていることは何だろう。賃金には二種類ある、ですよ。一つは、もうこれは常識的に言われるように、労働時間で賃金を決める方式、これはもう国際的にも普及しています。もう一つは、生み出した成果で、つまり上げたノルマで賃金を決めるというシステムがあります。ですから、裁量労働制というのは後ろの方に、後者の方に重点がかかっているのは当然だと思うのですね。ですから、ノルマを果たさなければ手取り賃金が下がるのですよ。だから、家族を養い長距離通勤をやり、そして車のローンだ、住宅ローンだと払うためにはどうしてもノルマを上げるという、これをやらざるを得ない。だから無理をするのです。責任がある。そして、裁量のきくところ、適用されるところはそういうシステムの中でやるのですね。そして今度は、ではノルマを達成したらどうか。達成した労働者は、次の段階はまたノルマが上がるのですよ。そういう形で競争が激しくなるというのが残念だけれども今の状態だと私は思うのです。経済は大国であり、生活は大国だとは言えないのですね。
 だから、最後になりましたが、労働大臣、やはり裁量労働というのはそうした危険が常につきまとっている、これだけは考えていかなければならぬことだ。そういう立場から見ると、私は業種の限定というのは簡単に取り外すべきではない。今だっていろいろなことで矛盾が出ているのだから、そういう点で、こういうような危険を持っている裁量みなし労働というものについて労働大臣はどういう考え方を持っているか、このことをお聞きして私の質問を終わることにします。
#212
○村上国務大臣 おっしゃいますように、敏感に、そして先手先手で対応していかなければならない、私も労働大臣になりまして四カ月ちょっとになりますが、そのことを言われるまでもなく気をつけてやってきたつもりであります。そして、気がつけば実際この目で確かめようということで、積極的に、あるときは山谷に、あるときは座間に、あるときには原宿に上野にと見て回っております。
 今御指摘いただきましたことについては、その敏感さにおいては御指摘のとおりかと思っております。甚だ遺憾なことだと思います。
 そこで、御質問の対象の業務は実態に即して慎重に定めることとしていかなければならない、運用に当たっても適正な労働時間管理が行われるよう指導してまいりたい、このように思っております。
#213
○岡田委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト