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1993/04/28 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第10号
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1993/04/28 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 労働委員会 第10号

#1
第126回国会 労働委員会 第10号
平成五年四月二十八日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
出席委員
  委員長 岡田 利春君
   理事 大野 功統君 理事 古賀 正浩君
   理事 住  博司君 理事 長勢 甚遠君
   理事 岩田 順介君 理事 永井 孝信君
   理事 河上 覃雄君
      赤城 徳彦君    東家 嘉幸君
      野呂田芳成君    羽田  孜君
      石橋 大吉君    外口 玉子君
      石田 祝稔君    伏屋 修治君
      金子 満広君    伊藤 英成君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 村上 正邦君
 出席政府委員
        労働大臣官房審 征矢 紀臣君
        議官
        労働省労政局長 若林 之矩君
        労働省労働基準 石岡慎太郎君
        局長
        労働省労働基準 伊藤 庄平君
        局賃金時間部長
        労働省職業安定 齋藤 邦彦君
        局長
        労働省職業安定 岡山  茂君
        局次長
 委員外の出席者
        厚生省健康政策 矢野 正子君
        局看護課長
        通商産業省機械
        情報産業局自動 林  洋和君
        車課長
        中小企業庁計画 佐藤 哲哉君
        部振興課長
        中小企業庁計画 柚木 俊二君
        部下請企業課長
        労働委員会調査 下野 一則君
        室長
    ―――――――――――――
四月二十七日
 労働基準法の改正等に関する請願(徳田虎雄君
 紹介)(第一八〇七号)
 同(小沢和秋君紹介)(第一八九七号)
 同(金子満広君紹介)(第一八九八号)
 同(木島日出夫君紹介)(第一八九九号)
 同(児玉健次君紹介)(第一九〇〇号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第一九〇一号)
 同(菅野悦子君紹介)(第一九〇二号)
 同(辻第一君紹介)(第一九〇三号)
 同(寺前巖君紹介)(第一九〇四号)
 同(東中光雄君紹介)(第一九〇五号)
 同(不破哲三君紹介)(第一九〇六号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一九〇七号)
 同(古堅実吉君紹介)(第一九〇八号)
 同(正森成二君紹介)(第一九〇九号)
 同(三浦久君紹介)(第一九一〇号)
 同(山原健二郎君紹介)(第一九一一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第一九一二号)
 労働基準法の改正に関する請願(伊藤英成君紹
 介)(第一八八二号)
 同(森本晃司君紹介)(第一九四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する
 臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第三三号)
     ――――◇―――――
#2
○岡田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。外口玉子君。
#3
○外口委員 既に多くの委員によりさまざまな角度から労働基準法改正案については質疑が重ねられてまいりました。そこで私は、長年その改善を強く求める声があったにもかかわらず、今なお困難な問題を抱え続けており、しかも高齢社会に向けて早急に配慮しなければならない看護労働の問題を中心に質問を進めてまいりたいと思います。
 看護労働は、その特徴として、密室性の高い医療職場における女性労働としての特徴によって、さまざまな問題を含んできております。夜勤を含む二十四時間切れ目のないサービスを提供するための交代制勤務を要求されています。また、資格社会であり、極めて階層制の強い職場を形成してもいます。また、対人サービスの中でも人の命に直接かかわる対応を求められるなどなど、緊張度が極めて高い職であることも確かです。さらに、特定機能病院などを除いては、大部分の病院が中小企業レベル、特に診療所などは零細企業と言ってもよい職場環境に置かれていることも確かです。このような特徴に基づいて、特に対策を要する厳しい労働条件を抱え持っているわけです。
 今、私はこうした極めて特徴的と思われることを幾つか挙げてみましたが、この看護労働について労働省としてはどのような認識をされているでしょうか。そして、それらにどのように対応してこられているのか、あるいはまた、しようとされているのか、その基本姿勢をまず労働大臣にお伺いいたしたいと思います。
#4
○村上国務大臣 おはようございます。お答えをさせていただきます。
 看護婦の方々の仕事は、健康を預かり、人命にもかかわる大変重要な仕事であります。労働条件や待遇の面でも、その御苦労が十分報われるものでなければならないと考えております。
 とりわけ医療の高度化、専門化が進み、高齢化も進展する中で、看護婦の方々の人材確保が大きな問題となっている現在、労働条件、労働環境の改善、福利厚生の充実等を通じて、看護婦の方々のこうした御苦労が報われるような職場となるよう、関係者が大いに努力しなければならないと思っております。
 労働省といたしましても、厚生省との密接な連携のもとに、病院等に対し労働条件等の改善のために必要な指導・援助を引き続き精力的に誠意を持って行っていきたい、このように思っております。
#5
○外口委員 今の御答弁では、全国三十五万、四十万とも言われる看護婦の気持ち、私の仲間でございますけれども、その気持ちを考えますと私は大変不満足でございまして、労働者を守る労働省と、原点に立ち戻って一緒にこれから看護労働の改善に取り組んでいくその第一歩を築いていくためには、まず、ここでもう少し大臣にはっきりとした御答弁をいただかなければ先に進めない気がいたします。
 つまり、今まで何度も何度も看護労働の問題は言われてきておりますが、二十年以上もの間、看護婦の処遇が極めて劣悪な状態に置かれている、そのことは国としてもわかっていた。それにもかかわらず、ここに至るまで取り組んできていなかったという点があると思います。
 一九六五年、人事院の二・八判定、すなわち複数夜勤、月八日以内、このことはもう今から二十七年前に人事院の判定で出されていることです。以来今日まで抜本的な改善をしてこなくて、いまだ夜勤回数は月十回以上というのが半数、後ほど
調査報告を具体的に挙げてお話ししたいと思いますけれども、そういうような実態があります。
 そういうことに対しての真摯な反省の弁を私は労働大臣に求めたいと思います。それから質問を進めたいので、お願いいたします。
#6
○村上国務大臣 基本的な労働省の姿勢といたしましては、委員のおっしゃるように反省だとかなんとかということよりも、今おっしゃられたことにつきましての実態をよく把握し、そしてそういう事実の上に立って、おっしゃるように非常に厳しい環境、労働条件について、その改善については万全を期す努力をしてまいります。
#7
○外口委員 労働者を守るという労働省の強い決意を、今大臣がこれから取り組んでいくということを表明されたと受けとめてよろしゅうございましょうか。−それでは、次に進めさせていただきます。
 労働省は、昨年六月に成立した看護婦等人材確保に関する法律の制定により対応を強化しようとされてきたと思いますが、その具体的な対応の内容についてお伺いしたいと思います。
#8
○齋藤(邦)政府委員 御指摘のように、昨年看護婦等の人材確保の促進に関する法律が制定されまして、その後、関係各省といろいろ準備のための御相談をしてまいりました。昨今指針を策定いたしまして、その指針に基づきまして事業主指導を積極的に実施してきております。
 それからさらに、その法律の趣旨を実現するために、福祉重点公共職業安定所を指定いたしました。平成四年度十一カ所、平成五年度十一カ所でございますか、いずれにいたしましても、そういうような重点安定所を指定いたしまして、それぞれ労務管理、雇用管理の改善の指導あるいは求人求職の結合の促進というようなことについて努力をしてまいったつもりでございます。
#9
○外口委員 基本指針の中には、労働大臣が病院などに勤務する看護婦等の処遇の改善に関する事項として、週四十時間・週休二日制の早期導入、夜勤月平均八回以内を早期に達成、有給休暇の消化、給与水準の適正化、福利厚生の充実など、幾つかの具体的な目標がうたわれています。
 看護婦等人材確保法は、看護婦不足解消のための緊急の策として昨年提案され、その緊急性は、施策を具体的に進めるに当たっても一層のこと維持されるべき条件だと思います。
 このような中で、労働省は基本指針の中でうたったさまざまなこれらの課題に対し、個別にどのように対応しておられるのか、お伺いしたいと思います。
#10
○齋藤(邦)政府委員 基本指針の中にいろいろなことが書いてございますが、労働条件に関することについて若干申し上げますと、複数を主として月八回以内の夜勤体制の構築に向けて積極的に努力する必要があること、計画的な休暇の取得を可能にするように取り組む必要があること、それから、院内におきます作業や環境の管理、心身の健康管理に対応できる管理体制を確立していくことが望ましいこと等々のことが書かれております。
 私どもといたしましては、先ほども御説明をいたしましたけれども、福祉重点安定所等を通じまして事業主の方々に対しますPRと申しますか周知徹底、あるいは厚生省の方でやっております中央ナースセンター等とも十分連携協力をとりつつ、このような趣旨が十分に徹底されますように努力をしてまいりました。さらに今後もその努力を続けていきたい、このように考えております。
#11
○外口委員 つまり、基本指針の実現のためにも、今この審議を行っている労働基準法案が大きな役割を果たしていかなければならないということは間違いありませんね。
#12
○齋藤(邦)政府委員 私どもがお答えするのが適当かどうかあれでございますが、いずれにいたしましても、私どもの現場でいろいろ御意見を伺っておるところから見ましても、看護婦の方たちの離職をする理由あるいはなかなか再就職しにくいという理由の中に、労働時間への不満というのが極めて強いというのが実態でございますし、また、指針でも書いてありますようなことを実際に実現するためには、やはり労働時間の短縮というのは極めて重要なことだというふうに思っております。
 したがいまして、そういう意味で、本改正基準法が一日も早く施行されて、それによって時間短縮の努力が芽生えることを期待しておるということでございます。
#13
○外口委員 そういたしますと、今回の改正案が国会に上程される過程で、猶予措置が延長されるなどありますが、特にこの基本指針を生かすための緊急性ということから考えますと、それが大きく失われてきてしまっているように思えるのです。
 こんなことで緊急な看護婦の確保が図られるとお考えなのでしょうか。
#14
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、看護婦の方々の労働時間の問題、休日の問題、大変重要な課題として受けとめております。
 御指摘のありましたように、医療機関等につきまして、小規模のところにつきましては、今回四十六時間の猶予措置の延長、これが行われたところでございますが、私ども、医療機関に限らず、自主的にできるだけ早い段階で四十四時間というものを実現していただくように、計画的、組織的な指導を進めていきたいというふうに考えております。
 とりわけ医療機関につきましては、先生御指摘のように、看護婦の方々の人材確保、また、そのためにもその方々の労働条件等の改善の問題が大変重要な課題でございますので、私ども、医師会等とも連携をとりながら病院の方々に集団で集まっていただいて、具体的な労働時間短縮のためのノウハウの提供等いろいろな指導を行っております。これらが幾つかの県で成果もおさめ始めておりますので、これらが全国的に展開されるように、私ども引き続き努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#15
○外口委員 今までの御答弁の中ではっきりしてまいりましたように、労働基準法案は、労働者の生活の質を保障し、同時に、私ども看護労働者にとっても基本指針などの施策を積極的に支援していくはずのものであるわけです。
 以下、このことを前提に、看護労働をめぐる具体的な問題についてなお質疑を続けていきたいと思います。先ほどの答弁の中で看護婦の離職の問題が指摘されておりましたが、そのことについて伺いたいと思います。
 日本看護協会が本年三月に実施いたしました看護婦の退職率の調査によりますと、新しく病院に採用された調査対象の看護婦のうち、六人に一人に当たる一三%が何度か途中で退職していることが明らかになっています。それはせんだっての新聞報道でも大きく取り上げられましたので、御存じのことと思いますが、特に処遇改善がなされていない医療法人や学校法人や個人の病院でこの率は高く、処遇の改善が看護婦の定着率につながっているとの見解も出ています。
 このような厳しい事実について、労働省並びに厚生省はそれぞれ何が原因であるとお考えですか、お答えください。
#16
○齋藤(邦)政府委員 先生今御引用されました看護協会のアンケート調査結果によりますと、看護婦の方の離職理由としましては、二十代では、結婚という理由とあわせて、夜勤回数が多い、休暇が少ないというようないわゆる労働時間への不満が多いようでございます。また、三十代になりますと、出産・育児・子供のためというような理由が多くなっております。
 ただ、全年代を通じまして、事務作業などが多くて十分な看護ができないというような仕事内容への不満や、他分野への興味というようなものもあるようでございます。また、現在私どもの職業安定所の窓口におきますいろいろな実際の求職を申し込みに来られる看護婦さんたちのお話を伺っても、やはり同じようなことが理由として多いというふうに思っております。
#17
○矢野説明員 今労働省の方からお話がありましたように、看護職員の離職理由につきましては、
いろいろありますけれども、女性であるというようなこととか適齢の問題とかいろいろありまして、やはり多くは結婚、出産、育児、また夜間勤務等、そういった労働条件によることが多いというふうに考えられております。これは看護協会の今回の調査だけではありませんで、前回、九一年のころにもやられておりますが、同じような結果を示している状況でございます。
 いずれにしましても、こういったことで離職があるということは非常に残念なことだというふうに思っております。
#18
○外口委員 今おっしゃったように、この原因はやはり二十数年前から明らかにされていることで、この二十数年間、多くの看護婦が、みずから希望した職場、そして厳しい学習をも乗り越えて就職したにもかかわらず、夢破れて職場を去っていかなければならなかった状態が続いてきているわけです。
 私としては、なぜ今に至るまで本気で国が取り組んでこなかったのかということを強くここで迫りたい思いをしております。
 今三十万、四十万とも言われる潜在看護婦が職場に戻ってきたら、どんなに現場の人手が潤うかという話も随分と耳にするところですけれども、この看護婦たちがなぜ帰ってこないのか。それは、二十年たっても相も変わらぬ前近代的な労働環境、労働条件に置かれているということを知っているからではないでしょうか。
 この点、二・八判定以来のこの二十数年間、夜勤回数の減少ということに対してどういうふうに取り組んでこられたのか、厚生省、労働省、それぞれにもう一度お考えを聞きたいと思います。
#19
○矢野説明員 夜勤回数の減少につきましては、順次少しずつ回復というか、八回ということを二・八の判定のときにやられているころから見まして、少しずつよくなっている状況ではないかと思います。それは経験的にもそういうことを感じております。
 その判定は約二十五年前ということになっておりますが、その間厚生省におきましては、昭和四十九年から看護職員の確保ということで、需要の数それから供給の数等を、病院のベッド数の増その他いろいろな要因で膨れてまいります医療の需要に対しまして、計画的に対応していくということでやってきているわけでございまして、一次、二次の需給計画、それからその後の需給見通しという形で、現在人材確保法に至りまして、その努力をさらに重ねたいと思っているところでございます。
#20
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の夜勤回数の減少の問題は、やはり看護婦の方々に働いていただく、また、職場へ戻ってきていただくための重要な課題であるというふうに従来から受けとめておりまして、私ども、各県に重点的に設けてあります公共職業安定所におきましてもそういった観点からの雇用の改善に取り組んでおりますし、また、労働基準行政の出先におきましても、労働条件の維持、またその指導監督という観点から、夜勤回数の多いところにつきましてそういう監督指導を進めるなど、両方連携をとりながら夜勤回数の減少に向けて努力しているところでございます。
 また、病院等に対しましても、夜勤回数の減少等が労働時間短縮につながっていく観点から、労働時間短縮に向けての具体的なノウハウの提供等、集団的な指導をする機会をできるだけふやしていく、こういう姿勢で取り組んでおるところでございます。
#21
○外口委員 さきの一九九一年の病院看護基礎調査によりますと、これは国公立、民間、すべての病院ですが、夜勤回数は十回以上というところが対象の二一・八%を占めているわけですね。こういうような厳しい実態があって、その中で離職者が極めて多くなっているということが報告されていますので、このことに関して後ほどまた伺ってまいります。
 まず、このような新規採用者、すなわち、ようやく学習を終え、夢を持って職場に出たばかりの新規採用者の一三%を超える率が離職をしていってしまうという現状は、極めて深刻な問題だと思います。
 この深刻な問題に対して、では一体離職を防止していくために基本指針に沿ってこれまでどのような対応を具体的に進めておいでなのか、伺いたいと思います。
#22
○齋藤(邦)政府委員 先ほども再三申し上げてまいりましたけれども、 一つのルートといたしましては、福祉重点公共職業安定所を指定いたしまして、そこでいわゆる周知活動、一つは広報等でございますが、そういう意味での周知活動、それから、あわせましていろいろな雇用管理改善のための助言指導を行っております。保健医療・福祉施設等に対しまして、具体的に雇用管理上の問題点の指摘、改善方法の提示・援助というようなことをいたしておりますし、そのために必要な助成金としまして看護婦等雇用管理研修助成金というようなものも設けましたので、そのような助成金等も活用して周知徹底と申しますか、できるだけ指針どおりに労働条件が図られますように努力をいたしておるところでございます。
#23
○矢野説明員 離職防止の対策につきましては、従前から、例えば院内保育事業につきましては昭和四十九年ごろからやってきているわけでございます。特に平成五年度におきましては、まず子供を持っておる看護職員の離職を防止するということで、今申し上げました院内保育施設の助成の充実に加えまして、この中で、特に従来は補助対象となっておりませんでした中小の病院あるいは診療所といった小さいところが共同で経営いたします保育所につきましても、助成を加えようとしております。
 二番目といたしまして、各都道府県におきまして、看護職員の離職防止にいろいろと熱心に取り組んでいる例がございます。そういったことで、都道府県の創意工夫を生かした離職防止の事業につきまして今まで対策をとっておりますけれども、それ以外に、あるいはそういうことの中でもさらに充実したいということを含めまして、離職防止事業に対して助成するというふうにことしの予算の中で対応してまいりたいと思っております。
 いずれにしましても、医療機関というのが背後にございますから、そういったところの理解を得て働きやすい職場づくりというものを進めまして、離職の防止に努めたいと思っております。
#24
○外口委員 実態調査の数値をどのように受けとめるかというところがどうも甘いといいますか、もう少し実態を踏まえて分析して、それへの対応をしていただきたいと思うのです。
 一九九三年三月に日本看護協会ナースセンター総合本部がまとめた離職看護婦等の就業実態調査によりますと、調査対象の退職者のうち、当分就職するつもりがない人は三八%であり、残りの約三分の二は何らかの形で近く再就職をする意思があったとのことです。また、同調査によりますと、再就職者の離職期間は、一年未満が九〇・四%を占めているということが明らかになっています。すなわち、看護婦の退職について見ると、一年以内に次の就職へとつながっている方が多いということです。長期に離職しますと、その再就職率は非常に低まるということがこの数値から考えられます。さらに、再就職経験者の就職回数を見てみますと、三回目以上が五〇%を占めています。そうしますと、離職といっても移動率が高いと見ることもまた可能かと思います。
 このような調査結果から明らかなことは、今申し上げましたように、再就職者は短期間で職場を変えていること、いま一つは一年以上離職した者が再就職する可能性は非常に低いということなんですが、これについてはどのようにお考えになっているでしょうか、それぞれお答えください。
#25
○齋藤(邦)政府委員 先生御指摘のような傾向はあると思います。一つ最近の特徴でございますが、ひとり看護婦さんだけにとどまらず、一般的に若年者の方の転職率と申しますか、就職率が非常に最近高くなってきております。
 これにはいろいろ理由があろうかと思います
が、一つは、職業選択の際の慎重な態度にやや欠けるところがあるのではないかというところも指摘できますし、若年者の方の職業観なり倫理観と申しますか、そういうようなものに変化が生じているのではないかというようなことが全体的な傾向として言えるわけでございます。
 ただ、看護婦さんの場合をとってみますと、それぞれ学校を出られてから就職をするわけでございますので、そういう意味で、看護婦になることをいわば若いときからと申しますか、学校のときから志してこられるわけですから、実際の職務と今までイメージしてきたところとの乖離が大きかったのかなとも思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、やはり基本は、このような施設におきます雇用管理の改善が急務であろうというふうに思いますし、そういう意味で私どもは、先ほど申し上げましたようなことで、雇用管理改善のための助言指導に全力を挙げていきたい、このように思っておる次第でございます。
#26
○矢野説明員 今、短い人ほど早く離職する、こういう御指摘でございますが、労働省がお話ししましたような状況もあろうかと思いますし、それから、特に看護の職場といいますのは非常に周りに人が多くて、患者さん、それから家族、さらにそれを取り巻くいろいろな職種の方との間の、これもお話がございましたが、実際に教育で学んだものとのギャップとかいうものが、いろいろとその仕事に対するイメージを壊している、そういうこともあるのではなかろうかというふうには思います。
 これは一つの原因かもしれませんが、そのほかにも、確かに看護婦不足というような問題で、看護関係の雑誌等を見ますと、勤務条件につきまして、給料の面で、自分との比較においてそういったところを選びたいとか、そういった感じを持つ者も非常に多いのではなかろうかと思います。そういうことから考えまして、やはり職場に定着する、それから、仕事の中身を自分の専門性が生かせるような職場づくりをしていかなくてはいけないというふうに考えております。
#27
○外口委員 今の御答弁ですと、イメージと現実が大変乖離していたので転職する人が多いというような話でしたけれども、これだけ転職する率が高まっているにもかかわらず、そういう市場の中で労働条件が普通でしたら上がっていくはずですが、より高い方へと行っているわけではないわけですね。
 では、こういうような現実の状態をどのようにお答えなんでしょうか、厚生省と労働省から。
#28
○伊藤(庄)政府委員 看護婦の方々が離職し、再就職という形で移動していった場合の労働条件の変化、とりわけ賃金等の変化につきまして、特にそれらを把握した統計などはございませんけれども、我が国の一般的な雇用慣行のもとでは、御指摘のように上がらないといいますか、場合によっては確かに低下する場合もあり得るということが十分予想されるわけでございます。そういった観点からも、やはり看護婦の方々の労働条件を確保する、また人材確保という観点からもその定着を進めることが非常に重要な課題になっておるというふうに受けとめております。
#29
○矢野説明員 実際の職場におきましてそういったこともあろうかということで申し上げたわけでございますが、そういう環境をできるだけ改善していかなければいけないということで、今回の人材確保法あるいは基本指針の第一から第六に至るまでのそれぞれの条項の中におきましてその実現を期したいということで盛り込んだということで、その中身につきましては、非常に細かいところまで、今御指摘がありましたような現場の問題とかあるいは看護管理上の問題とかいろいろ含めまして、そういうものを何とかして実現していきたいということでつくられたというふうに思っている次第でございます。
#30
○外口委員 今の答弁は、現場の現実をきちっと見ていらっしゃらないという気が非常にするのですが、先ほど申し上げました調査によりますと、再就職者の二〇%以上が臨時職員としての就職であって、また職位が上がった人はわずか五・四%にすぎず、再就職に当たってキャリアが評価されにくいという状態が歴然としているのです。
 このような調査結果を踏まえ、潜在看護婦の掘り起こしを強調したりする政府は、今後一体どういう対応をしていくおつもりなのか、本当にこれで大丈夫なのか、私は大変疑問に思いますが、この点についてどういうふうにお考えでございますか。
#31
○齋藤(邦)政府委員 私ども、各医療機関に対しまして公共職業安定所がいろいろ指導をいたしておりますが、その際の指導のマニュアルというのをつくっております。その中にも記述をしてございますけれども、離職をしておられる看護婦の方々が再就業をする際に持っている不安というのも、いろいろなものがあるようでございます。
 一つは、当然ですが、家事や育児との両立あるいは労働条件についての不安というものもございますが、そのほかに、やはり看護婦としての能力ですとか看護業務の内容について不安があるというようなことを回答しておられる方が非常に多うございます。これは看護協会の就業意向調査でございますが、例えば、医療技術ですとか機器の進歩によってより高度な看護技術が必要とされるようになっているにもかかわらず、こういうような進歩した技術に追いついていけるかどうかというようなことを不安に思っている方も多数おられるというようなことでございます。
 したがいまして、やはり事業主の方々が再就業の際には十分研修を受けさせたり、あるいは勤務スケジュール等について配慮する必要があるだろうというふうに思います。
 そういうようなことを中心としましてマニュアル等を作成いたしまして、指導をいたしたいというふうに思っている次第でございます。
#32
○矢野説明員 潜在の方につきましては、先ほども御指摘がありましたように、非常に数が多いということで、その方々のパワーというものをどういうふうに活用したらいいかということは非常に大きな課題でございます。
 現状におきましては、今御指摘がありましたような各種の問題があろうかと思いますが、女性の多い職場、看護婦等の中におきましては、置かれている家庭状況等から、あるいは夜勤や常勤ができないという者も少なくないという状況がありますので、考え方といたしましては、臨時の採用あるいはパートタイムという労働の形態は、これから看護婦の人材を確保していく上におきましては非常に重要な方策であると認識しております。
 昨年十二月に定められました看護婦等の確保を促進するためのいわゆる基本指針でございますが、そこにおきましても、パートタイムの労働者、臨時、そういった潜在の方々の活用でございますが、そういう方々がより働きやすい勤務条件の整備を進めるということで、その中において人材活用する重要性について示されているわけでございます。
 また、平成三年から厚生省で看護業務検討会というのをやっておりまして、そこにおきましても今の課題が取り上げられておりまして、こういった看護職員の活用につきましても検討課題の非常に大きな一つとしてやっているわけでございまして、これにつきましては近いうちに報告を取りまとめたいと考えております。
#33
○外口委員 まず、先ほどの労働省の答弁ですが、事業生の方の努力というふうに触れられておりますけれども、個々の事業主の自助努力、経営努力がされてこなかったということをもしおっしゃるならば、それをできるようにすることが国の責任だと思います。国の責任としては、その事業主がきちっと雇うことを規定する、あるいはまた雇いたいと思うようになること、あるいは雇えるような裏づけをすることなどいろいろと考えられますが、そういう国としての責任を本気で行おうとしているのか疑いたくなるような現状があるわけです。この点についてどういうふうにお考えですか。
#34
○齋藤(邦)政府委員 先ほどからも再三御答弁申
し上げておりますように、私どもといたしましては、先国会におきまして成立をいたしました看護婦等の人材確保法に基づきまして、種々の労務管理改善のための指導をいたすことにいたしております。
 一つは、雇用管理上の問題点を具体的に指摘しながら、改善方法の提示ですとかそれに伴う必要な援助等も行うことにいたしておりますし、雇用管理の研修のための助成金も活用をいたしたいというふうに思っております。
 さらに、介護労働安定センター等が新しく発足をいたしましたので、その安定センター等の実施する助成、融資制度というようなものを活用しながら、できる限り雇用管理の改善を事業主の方にお願いしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
#35
○外口委員 ナースセンターについては後ほど改めて伺うことにしまして、先ほどの厚生省の答弁に対してですが、ここまで看護婦不足が社会的関心事となっており、もはや思い切った施策をしなければだめだという国民的コンセンサスはつくられてきていると思います。
 看護婦等人材確保法案がそういった国民的なコンセンサスの上でできたはずなのですが、先ほどのお話を伺っていますと、せっかく思い切って人確法をつくったにもかかわらず、それを実行する段階になって、今回の労働基準法案に見られますように、どうも急に失速しているような状態があるのは一体なぜなのでしょうか。その点について伺いたいと思います。
#36
○齋藤(邦)政府委員 この法律に基づきましていろいろな努力をいたしてきております。指針の内容等につきましても関係各省十分御相談をいたしましたし、また、関係審議会等の御意見も十分伺いながら策定をいたしました。
 失速したという御指摘でございますけれども、私どもこれから全力を挙げて努力をいたしていきたいというふうに思っておりますし、むしろこの法律の趣旨にできるだけ沿うようにこれからも運用に心がけてまいりたい、このように思っております。
#37
○外口委員 やはり時短への取り組みということが極めて大きな問題だと思いますので、続いて、病院における看護労働の時間短縮の問題に移って質問させていただきます。
 一九九〇年四月二十六日の予算委員会第一分科会において、私は総務庁に対して、特に国立病院における看護婦等の労働時間の短縮の必要性について質問しております。その後、国立病院などでは週休二日制の導入などが進み、時短も促進してきてはいますが、いまだ日本の病院の大部分を占める民間病院においては、その歩みは決して速いとは言えない状態にあります。
 今回の労働基準法の改正においても、中小規模の病院などの時間短縮への動きも、週四十時間制が制定されたとしても、その達成はしばらく猶予されることになっています。この点についてどのような見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。
#38
○伊藤(庄)政府委員 病院につきましては、先生先ほども御指摘もございましたように、この労働基準法の改正によって週休二日制に相当します週四十時間労働制を目指してまいりますが、小規模のところにつきましては、平成六年からは当面四十四時間からスタートする猶予の措置が平成九年三月までの間あるわけでございますが、私ども、その間におきましても、できるだけ早い機会に次なるステップへ、最終的には四十時間労働制へ早期に向かうように指導を積み重ねていく、こういう考えております。
 とりわけ看護婦の方々につきましては、先生御指摘のように、人材確保、また労働条件、処遇の面でも多くの課題を抱えておりますので、この週休二日制の普及等を中心とした労働時間短縮につきましては、十分医師会その他と連携をとりながら集団的な指導事業をさらに積極的に進めるとか、また、厚生省の方ともいろいろ連携をとり、時間短縮を進めるに当たってのいろいろなノウハウの検討、研究を行いまして、そういったものも事業主の指導の中で活用していくなど、これから積極的にそういった対策を進めていきたいと考えております。
#39
○外口委員 一九九〇年にもそのような答弁もいただきまして、以来もう三年が過ぎているわけですけれども、依然として労働時間の短縮というのは実現されてきておりませんで、とりわけ三交代、交代制勤務の中ではそれが非常に難しい状況にあるわけなんです。
 今、実現していきますということは、平成九年とおっしゃいましたけれども、ちょうど三年間で、今までの三年間どこれからの三年間ですが、一体そこまでに具体的にどういう取り組みをされることで実現できるというふうにお考えなのか、はっきりさせていただきたいと思います。
#40
○伊藤(庄)政府委員 この週休二日制に相当します週四十時間労働制の実現に向けまして、とりわけ医療機関がどう取り組んでいくか、これは私ども大いに検討、研究しながら進めていかなければならない課題であるというふうに思っております。
 御指摘のございました交代制あるいは深夜の問題も、医療機関という性格上、その前提となって解決しなければいけない背景もいろいろございますので、私ども実情に沿った形で進めるために、一つは専門のそういう医師会等と連携をとりながら、病院の実情に応じた形で具体的なノウハウの提供ができるように、その事業主の方々に集団的に集まっていただいて指導する、こういった事業を既に始めております。これが幾つかの県で成果もおさめておりますので、全国的にそういったものが展開できるような姿へ持っていきたい。また、この週四十時間労働制、これはやはり大きな課題でございますので、さらにそれを確実なものにしていくためには、時間短縮のためのノウハウ等さらに研究しなければいけないと思っています。
 地域における医療体制の整備とか各病院における予約制の徹底とか、さらには看護料等の問題とも関連があるのかもしれません。そういったことをよく厚生省とも相談、研究しながら、事業主の方々への時間短縮のためのノウハウの提供に当たってはその成果を十分活用しながら進める、こういった形で週四十時間労働制へ向かっていきたいというふうに考えております。
#41
○外口委員 これまでの答弁を伺っていて、事業主の方々と検討するというような答弁が何度か出てまいりましたが、労働省は労働者を守る立場ですね。そういった点では、この看護労働の改善が戦後一貫して言われて、何度か看護婦不足の危機的な状況がありまして、今多くの人々が高齢社会を迎えつつある中、不安を感じているところなんですが、どうも事業主、経営者の立場の方に傾き過ぎている嫌いがあるように受けとめられるのですが、それについてはどういうふうに思いますか。
#42
○伊藤(庄)政府委員 私ども、基本的な姿勢として、看護婦の方々、重要な仕事に携わっていただいている方々の労働条件を向上させていく、この基本姿勢はもとよりしっかりと持っているつもりでございます。それらを実現していくために、病院等は他の業種と違った労働条件向上のために解決していかなければならないいろいろな背景を持っておる、そういう認識のもとに、それらを克服していくために事業主の方々への具体的なノウハウの提供等を行い、またさらに効果的なノウハウも研究しながらそれを広めていく、こういう考えでございます。
#43
○外口委員 例えば、民間病院の多くは、三年以内の短期間の退職者に対して退職金を支払ってない実情もあるのですよ。それは御存じだと思います。したがって、転職を希望する看護婦の多くは、十分な退職金をもらうことなしに退職しています。このような場合、退職金制度の充実のために、たしか労働省では中小企業退職金共済制度を設けているはずですが、このような制度の利用を促進することは看護婦の処遇条件の改善にもつながっ
ていくと思います。労働省としてもこの制度は普及していくべきと考えますが、そこでお聞きします。
 看護婦に対するこの制度の適用状況と、それに伴う予算措置がどの程度とられているのかということについて、まずお答えください。
#44
○若林政府委員 ただいま御指摘ございました中小企業退職金共済制度でございますが、これは中小企業の事業主の任意加入制度でございます。
 それで、病院のようないわゆるサービス業の場合には、常用従業員が五十人以下の事業が中小企業とされまして、中小企業退職金制度に加入できることになっているわけでございます。この制度に加入いたしますと、一年に達しました場合に退職金が支給されることになるわけでございます。
 ただいまこの制度には二百七十万の労働者が被共済者になっているわけでございますけれども、業種別に看護婦さんがどのぐらいいるかという数字はございません。
 ただ、この制度につきましては助成制度がございまして、新規に加入しました事業主に対しまして掛金助成が行われておりますのと、それから、事業主が掛金を引き上げましたときに、これについての助成を行うといったような助成制度が設けられております。
#45
○外口委員 そういった面からの処遇の改善も、もっと積極的に進めていただきたいと思います。
 次に進みます。
 もう一つ厚生省に対してですが、長期離職者の再就職が非常に困難であるということは先ほどの調査結果からも明らかで、それに対してどのような対応策をとるのかということについて伺ってまいりましたが、厚生省は、昨年の看護婦等人材確保法の審議の際にも潜在看護婦の再就職を強調していましたし、先ほども答弁の中で強調されておりましたね。また、老人保健法によって創設された老人訪問看護ステーション、これも潜在看護婦を活用するから大丈夫であるというような、あのときの審議過程の中での御答弁でした。
 そのように、幻のといいますか潜在看護婦の再就職を大変当てにして、需給計画といいますかさまざまな事業を展開しようとしているのですが、四十万人とも言われる潜在看護婦の活用の成否にさまざまな新規事業がかかっていると言っても過言ではないわけです。しかし、長期に離職している潜在看護婦は非常に就職しにくいというふうなことが調査結果で出ている。
 では、この点についてどういうような見解を持って事に当たられているのか疑問に思いますので、お答えください。
#46
○矢野説明員 潜在の数につきましては先ほどのような推計をしておりますが、その方々を活用するために、各種のこれからの医療対策の中で取り入れていきたいというふうに思っているわけでございます。
 その窓口といたしまして、従来からやっておりましたナースバンク、それから今回のナースセンターということで、その方々は長い間離職しておりますから、技術を身につけていただくということで技術的な面での再講習、リフレッシュ、そういうものを初めといたしまして、さらにその中には現場の実習等も含めまして、現在の医療技術の水準になれていただくというようなことを配慮いたしました上で現場に行ってもらうというような形で、ナースセンターを通してそういった事業を進めてきて、各県におきましてナースセンターを中心にした一つの講習会としてやってきているというのが実態でございます。
 それからさらに、それを今後はいろいろな形で拡充していきたい。ナースセンターの中で、そういった新しい方に対して、現場により近く自分たちの仕事にアプローチできるような意味でのいろいろな機会をさらに広げていく、そういう対策もとりたいというふうに思っております。
#47
○外口委員 再就職者の就職経路、さきの調査をここでまた再び見てみますと、知人からの紹介や求人広告によるものが多いのですね。そして、職業安定所の紹介は一一・一%、ナースバンク、今のナースセンターの紹介は七・五%にすぎないのですね。ですから、看護婦が再就職をする場合は、どうも先ほど来労働省、厚生省が答弁されているような職業安定所の紹介、あるいはナースセンターの機能の充実ということを通してされていないということがこの調査では明らかになっております。
 そうしますと、こういうような厚生省、労働省の関連した機関を通じての就職は少数派にすぎないこの実態、これに対しての賛否はあるにいたしましても、このような機関を看護婦確保のための手段としてもし本当に位置づけているのでしたら、この職業安定所やナースセンターが看護婦確保に果たす役割は小さいと言わざるを得ないのですけれども、これについては、この実態と今まで御答弁されたこととの違いをどういうふうに御説明なさるのでしょうか、お答えください。
#48
○齋藤(邦)政府委員 平成三年度におきまして私ども公共職業安定機関での看護婦の求人求職状況を見てまいりますと、新規求人数で十三万九千人ばかり、求職者の方は六万人ございますが、遺憾ながら就職件数は一万九千、約二万件ぐらいでございます。
 どうしてこういうことになるかということでございますが、一つは、求職者の方々の希望というのは、出産・育児、結婚、介護あるいは労働条件の問題というようなことがありまして、なかなか求人と求職が結合をしないというような実態がございます。
 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、福祉重点安定所というのを、先国会で法律が通過して後直ちにではございますが、昨年の秋にスタートさせました。そこでいわゆる潜在的な看護婦さんの方々をそれぞれ登録をしていただきまして、各種の情報の提供あるいは相談・援助というようなことをいたす体制を整えたところでございます。私どもといたしましては、このための専任の職員もそれぞれ配置をいたしまして一層努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#49
○矢野説明員 ナースセンターにつきましては、先ほど申し上げましたように、従来ナースバンクという形で事業をやってきております。それを昭和四十九年度から実施してきたわけでございますが、今御指摘がありますように、この機関が必ずしも十分に各医療機関や看護職員の要望にこたえられなかった、そういう面もあったというふうに考えております。そういうことがありまして、平成四年度におきまして、従来の都道府県のナースバンクを各都道府県の看護職員確保対策の拠点という形で位置づけまして、新たに都道府県ナースセンターという形で改組、充実してきたということでございます。
 そういうことで、予算につきましてもそれを倍憎いたしましたし、それから、潜在看護職員の就業促進を行うナースバンク事業を強化するということとともに、さきのいろいろな研修、例えば訪問看護をナースステーション等に供給するということもありますので、訪問看護の研修とか相談等を行う訪問看護支援事業でありますとか、あるいは看護婦等の確保あるいは再就業を進めるためのいろいろな基盤を整備しなくてはいけないということで、そういった意味でのいろいろな連絡協議会でありますとか啓発活動でありますとか、そういう事業等も加えまして、現在機能強化を図っているという状況でございます。
#50
○外口委員 ナースセンターと改組したとしても、極めて少数の人しかこの機関を通して再就職していないという先ほどの数値の低さとの関連で、どのようなお考えなのかをもう一度お願いいたします。
#51
○齋藤(邦)政府委員 私ども、従来から看護婦の職業紹介には力を注いできたつもりでございますが、いかんせん、非常に専門的な分野でもございまして、なかなか私どもの機関を御利用いただけなかったという実態があろうかというふうに思います。
 先ほども申し上げましたように、昨年秋に福祉
重点安定所を指定をいたしまして、そこには必要なシステムを運用するための機器等も導入いたしましたし、専門の職員等も置きました。そういうようなことを通じまして、私どもの公共職業安定機関がやはり看護婦さんの方々の御期待にこたえるだけのものでなければならない、このように思いまして、現在努力をいたしておるところでございます。
#52
○矢野説明員 需給見通しにおきましても、そういった潜在の方々の発掘ということを一つの項目として重要視しているわけでございます。
 先ほどのような実情がございまして、今後、とにかくナースセンターというものを拠点にした形の活動を展開したいということで、そのPRに努めていくわけでございますが、また同時に、人材確保法の中におきましてもナースセンターの位置づけを明確にすることができましたので、その中で就業協力員でありますとかいろいろな方々の、そういった看護婦の職業をやめた方、例えば引退したりした方々からのいろいろな情報とか、そういったものも広く集めるような形で、ナースセンターがそういうものをできるだけ把握できるような仕組みをこれからも考えていきたいというふうに思っております。
#53
○外口委員 私が先ほどからお聞きしているのは、そういう一般論ではなくて、すなわち、ナースセンターが本当に厚生省が当初目指したような機能を果たし得るのかどうかということに大変危惧の念を抱いているわけなのです。
 そこで、看護婦を確保するためには処遇の改善が不可欠であるということは、先ほどからの調査の結果を引用して何度も申し上げてまいりました。では、ナースセンターは、看護婦の確保のために設けられた以上、就職しようとする者の立場に立って、よりよい条件、あるいはより働きやすさ、労働条件プラスアルファがありますが、そういう働きやすさ、あるいは自律的に柔軟に自分の技術を提供できるとか、そういう環境の整備があると思いますが、そういう働きやすい医療機関へと紹介をすべきものなのだと思うのですね。
 しかし、現実には、就職のあっせんに当たって、労働条件の低い病院に対しても、それでも働ける看護婦を紹介しようとするような、結果的にそういう機能を果たしてしまっている。例えば、こういう条件での看護婦を求めるということをナースセンターに依頼した場合に、その求人者の要望に沿って求職者を当てはめていく、そういう看護婦の紹介の仕方をされるということで、大変安い労働条件を固定して紹介していくという、いわゆる一般に言われる労働市場における競争原理が働かないような状況での紹介の労をとっているということが幾つか私どもの耳に入ってきております。そういった意味で、ナースセンターの前身であるナースバンクも、ほとんど臨時職員の紹介、いわゆるパートタイマーを紹介するということが多いという点も、その問題の一端を示していると思います。
 こういうことは明らかにナースセンターの設立趣旨に反するものでありまして、長い目で見てこれは大変な問題だというふうに思いますし、処遇改善による看護婦の確保をもしかして妨げる方向に機能をさせられてしまうかもしれないと思います。
 私はこのような事態が実際に起きてしまうことを非常に懸念している者の一人ですので、この点についてきちっとしたお答えを伺いたいと思います。
    〔委員長退席、永井委員長代理着席〕
#54
○矢野説明員 平成四年度からナースセンターに改組をしたということを申し上げましたが、その際に、今先生御指摘のようないろいろな求職の条件あるいは求人の条件につきまして、なかなかマッチしないという多くの面があるというようなこともわかっております。
 そういうことで、今の労働条件の改善等につきまして、例えば求人側の示しましたいろいろな要求といいますか、給料とかその他の額につきましては、そこの中でいろいろと話し合いをするということだけではなくて、ちょっと申し上げましたが、看護職員確保対策連絡協議会というような形でナースセンターの中に一つの連絡会を設けまして、求人側あるいは実際に就職する看護婦の側、それぞれの意思を踏まえまして、これこれの実態はどうなのかというようなことを議論する場をつくって、そういう中で労働条件等につきましてもナースセンター自身がそれを是正していくというような、そういうことを念頭に置いて活動をするということで、そういう実質的な中身につきましても充実強化を図るということを含めて、今回の指針、それから今後の対策をやっていきたいというふうに思っております。
#55
○外口委員 この懸念は大変多くの方が、関係者が持っているものでして、今の答弁では晴れません。
 例えば、ナースセンターの情報の公開がきちっとされなければ、よりよい条件の方に就職していくという動きはつくれないわけですね。そういった意味では、労働条件などさまざまな就業に当たって必要とされる情報が、きちっと公開されないままにあっせんが行われているということが大きな問題だという指摘もありますが、それについてはどのように考え、また改善しようとされているのか、お伺いしたいと思います。
#56
○矢野説明員 平成五年度におきましての事業でございますが、ナースセンターを充実させるために情報交換あるいは事例検討等を実施したいということで、先ほど申し上げましたいろいろな実態を踏まえた議論をしていただく協議会というものを設けたということでありますし、それからさらに、先ほど来お話がありますような看護職としてやっていくという職業意識の啓発を図るということもありまして、具体的にどれくらいの数の潜在看護職員がいるのかということをことしの仕事として把握調査事業をやりたいというふうに思っております。
 それからさらに、中央ナースセンターにおきましては、都道府県ナースセンターの無料職業紹介の効率化を図らなくてはいけない。情報がある一カ所だけ、ある県だけという範囲でとどまるだけではなくて、広域的な面におきましても看護婦の移動等を含めた情報を早くキャッチする必要があるということで、ことしは中央ナースセンターでございますが、そういった意味での統一的なコンピューターシステムというものの開発をやるということを今考えております。
 以上です。
#57
○外口委員 先ほど申し上げたように、医療界は密室性が非常に高いですから、かえって働く者の側、要するに求職者側が求人側の条件に合わせられていくような状況では、ナースセンターが本来目指す機能は果たしていけないと思いますので、この私の危惧が実際に起こらないように、これからもっと積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 その一つとして、先ほど答弁の中にもありましたように、看護婦等人材確保に関する法律によって、地域に密着した看護婦等の就業促進対策や看護に関する啓発を進めるためにということで、看護婦等就業協力員が主に退職看護婦などによって置かれることになっていますね。また、医療法の人員標準配置基準の七割を満たさない病院に対しては、看護婦の確保の責任を明確にするために、看護婦等確保推進者を設置することが決まりましたね。
 これらの点について実態はどうなっているのかについて、まず御報告ください。
#58
○矢野説明員 まず最初に、看護婦等確保推進者につきましては、看護婦等の配置標準数の七割を。下回った病院に設置を義務づけております。この七割を下回る状態を確定するための期間を、現在のところ最大六カ月間というふうにとっております。法律が施行されましてからちょうど六カ月を経過しようとする今の時点におきましては、まだ各県における状況も非常に流動的でございまして、この件につきましては、もうしばらく時間を置いて全国の状況を調査したいというふうに考え
ております。
 それから、もう一つの看護婦等就業協力員につきましては、新年度におきまして各都道府県が関係予算の計上を検討しているというふうに聞いておりまして、これにつきましても近く委嘱の状況を調査したいというふうに考えております。
#59
○外口委員 では、今実態は把握していない。近くというのは、いつどのように報告される予定なのでしょうか、はっきりとお答えください。
#60
○矢野説明員 具体的にいつということははっきり今申し上げられないのでございますが、いずれにしましても、法律が施行されまして、各県におきましてもこの人確法に関する指導を強力にやっておりますので、予算の計上とか含めて対応しているということもいろいろな機会をとらえまして調査しなければいけませんし、我々の方といたしましても、この人確法全般につきましての実施状況というものも把握していかなければいけないというふうに思っておりますので、今年度におきましてもそういう点を頭に入れて調査していきたいというふうに思っております。
 時期的にいつというのは、ちょっと今のところまだ明示しておりません。
#61
○外口委員 看護婦の人材確保が緊急であるということで、昨年看護婦等人材確保法を成立させたにもかかわらず、まだその基本指針に沿って具体的なことが行われていないかに今伺いました。
 結局、看護婦等の人材確保に関する法律の基本指針の実効性を担保するものとして、先ほども申し上げましたように、労働基準法の改正が大きな役割を占めるということは明らかですけれども、そうしますと、この基本指針の進捗状況というものをもう一度改めてきちっとお伺いしないと、人材確保法の実効性というか、そのことに関しては非常に問題であると思いますので、もう一度その点についてはっきりとお答えください。
#62
○矢野説明員 基本指針の進捗状況でございますが、御指摘のとおり、これは確保対策の基盤となるものでありまして、一つは、先ほど来申し上げておりますような有子看護婦の保育所の事業でありますとか、いろいろなものを含めまして、それぞれの基本指針の内容を反映させる部分はかなりあるわけでございます。
 そういうことで、予算措置の充実でありますとかあるいは税制上の優遇措置でありますとか、いろいろな対策がございまして、それぞれのことを通じまして指針の内容の実現に努めていきたいというふうに思っておりますの例えば、第一、第二、第三、第四、第五、第六という形で具体的な事項が載っておりますので、それらを反映させるように、従来の確保対策の中にさらにその分を強化していくという形で実現に努めていきたいというふうに思っております。
 それからもう一つは、都道府県等を通じまして、先ほど来の基本指針に基づく夜勤負担の軽減でありますとかあるいは看護業務の改善、先ほど御意見がございましたが、例えば潜在の方々の業務の中に入れていく場合のいろいろな業務改善の事項もあろうかと思いますし、それからさらに勤務の体制についても、どういうふうにそれをこなせばよろしいのかというような工夫とかいろいろございますので、そういった面での業務の改善、あるいはさらに全般的な問題といたしまして、福利厚生面の充実とか、そういうことを含めまして、県レベルにおきましても適切に対処されるように、いろいろな機会を通じて指導を図っていきたいというふうに思っております。
#63
○外口委員 基本指針の推進の担保となる政策を具体的に示さなければやはり絵にかいたもちになりますので、具体的にどういうふうな方法で臨んでいくのかということについて、もう少し具体的にはっきりと提示していただきたいと思います。
#64
○矢野説明員 具体的にということになりますと、例えば先ほど来の四十時間の達成ということを考えましても、一つは、需給の見通しにつきましてその達成を図るということが一番大きなことでございます。
 そういうことで、確保対策の柱といたしまして、養成力の拡充強化ということは従来からかなり力を入れてやってきているわけでございますが、それに加えて、先ほど来申し上げましたように院内保育所の数をことしの分につきましてもかなりの数ふやしておりますので、そういうことによりまして、離職をできるだけ予防したいというような対策の一つの反映として、予算の方にあらわしているということであります。
 さらに、看護職員につきまして貸費生、修学資金でございますが、これにつきましても従来なかなか十分な数が賄えなかったわけでございますが、ことしの分につきましては大幅な増額を図った。
 そういった各般にわたりまして、これがこれという形で基本指針に直結するということはなかなか難しいのでございますが、今申し上げましたような各般やってまいりました確保対策の柱に沿いまして、具体的な予算の増でありますとかあるいは中身の充実でありますとか、とにかく一歩でも二歩でも指針の趣旨を十分に取り入れた形で具体化して、政策の内容を広げてきているということでございます。
#65
○外口委員 今答弁の中にありました需給見通しの問題ですが、現在、看護婦確保の量的指針として看護職員需給見通しの見直しがまとめられており、二〇〇〇年までの具体的な需要数が示されています。
 この見通しの見直しの発表後に策定された看護婦等人材確保法により制定された看護婦等確保推進者あるいは看護婦等就業協力員の機能が十分働いて確保がスムーズにいった場合、もしくは法律による効果が十分に機能せず人材確保に効果が見られなくなった場合、そういう場合には当然見通しの見直しをさらに見直す必要があると思いますが、そうなった場合は見直しをいたしますね。その点についてお答えください。
#66
○矢野説明員 平成三年の十二月につくりました看護職員需給見通してございますが、これは需給見通しの中にも明記されておりますが、諸般の事情その他いろいろな条件から見直しが必要なときには、やりますというふうに書いてございます。そういうことでやっております。
#67
○外口委員 それはわかっておりますが、先ほど来具体的に、看護婦等確保推進者とか看護婦等就業協力員を置いて十分に機能させますと約束いただきましたけれども、その結果によってはもう一度見直すということは担当課としては責任があると思いますので、それについてはっきりとお答えください。
#68
○矢野説明員 需給を見直すファクターにはいろいろあろうかと思いますが、今先生御指摘のようなそういうものも一つの条件になろうかと思います。
 そういうことで、見通しにつきましては、やはり需給の動向がどういうふうになるかということを十分に見ながら、これは特に需要に関係してまいりますので、そういったいろいろな観点から、諸般の状況を見て、必要があれば所要の見直しを行っていきたいというふうに思っております。
#69
○外口委員 見直しをきちっと責任を持ってやっていっていただくということを申し添えて、最後の質問に移らせていただきます。
 今まで、処遇の改善と人材の確保についてさまざまな施策の推進と問題点を議論してきましたけれども、労働基準法にあるように、個々の労働条件は労働者と使用者の契約の上に発する以上、契約を間接的に適正にしていくための施策には限界があることも承知しております。しかし、この契約の前提として、自由な労働契約であることが必須であり、労働者の側には自由な職業選択が保障されていることは言うまでもないと思います。ところが、この自由な労働契約さえも妨げられている事実が准看護婦の労働分野に極めて顕著にあらわれております。このことについての行政責任を問いたいと思います。
 准看護婦学校への入学は、現在はそれが中卒が条件であるにもかかわらず、九五%以上が高卒で占められています。しかも、入学は本人の准看護
婦学校に入学しようという積極的な意志というよりも、むしろ看護短大や正看護婦学校に入学できなかった方々が准看護婦学校に入学したというケースの方が多いということは厳然とした事実でございます。
 この点については、女子進学者のうち十三人に一人が看護婦養成機関に進学しているという現状がありますから、こういうことに対し、高校の進学指導の不備という点で非常に関係者からも今指摘されているところです。
 あるいはまた、准看護婦学校に入学した生徒の多くは、昼間は学校に通いながら、学校のない時間帯は指定された病院で低賃金で看護助手として労働し、さらに卒業後は、数年間は所属した病院に勤務することを強いられているということが多く見られる。この点もさきに新聞報道で大きな社会的な問題になっているので、御存じのことと思います。
 このような労働形態は明らかに自由な労働契約を前提としておらず、また、憲法に記されている職業選択の自由にも反する行為であることは明白です。
 私はこのような言葉を使うのは大変嫌なのですが、医療界では慣習になっているいわゆるお礼奉公という前近代的な雇用関係の実態、これについては労働省ではどのようにお考えなのか。そして、このような慣習、制度というものはどういうふうにお考えになっているのかについて伺うと同時に、せんだって他の委員からもこの点については指摘されておりまして、許されるべきではないというようなお答えがあったかと思いますが、では、許されないものがどうして現に制度として存在しているのか。この制度は、それだとすると間違っているということになるのかどうか、そういうようなことを含めて行政の責任ある答弁をお伺いしたいと思います。
#70
○石岡政府委員 先生御指摘のように、最近准看護婦の方々の問題が出てきております。労働基準法の第十六条では、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」とされておりまして、このような条項に違反する契約は存在してはならないと思います。
 しかしながら、平成四年度におきまして実態を見てみますと、准看護婦の方々の退職に際しまして、奨学金の返還や違約金の支払いをめぐって労働基準監督署に十四件の申告が行われております。労働基準監督署はこれを受けましていろいろ調査したところ、このうち八件は、明らかに先ほど申しました基準法第十六条の違反その他の違反が見られましたので、是正勧告を行いまして違反状態を直させました。また、そのうち四件は監督署がいろいろ指導した結果、事業主側が是正いたしまして、准看護婦の申告者も申告を取り下げるという形で解決しております。
 今後とも、このような問題につきまして准看護婦の方々から申告があった場合には、労働基準監督機関といたしましては、労働者保護の観点から厳正に対処してまいりたいと考えております。
 また、労働基準監督機関は毎年病院等の医療機関に対しまして監督を実施いたしております。この監督を実施する場合には、准看護婦等の奨学金制度が、御指摘のように退職の自由を不当に拘束するなど基準法に違反するものになっていないかどうか確認することにもいたしておりまして、法違反が認められた場合には強力にその是正をするなど、厳正に監督の際にも対処してまいりたいと考えております。
#71
○外口委員 今の御答弁ですと、悪徳な事業主がそういうことをやるので厳正な処罰なり対応をしていく、あるいは監査をしていくというような話がありましたが、これは行政責任逃れなのではないでしょうか。病院により安い労働力を必要とさせるような、そういう准看護婦を必要とさせるような、すなわち人手をかけたら、人件費を多くかけたら病院経営が成り立たないような状況に今追いやられている、追いやってきている、そういう行政の責任があるのではないかというふうに思いますが、このことに関して厚生省並びに労働省からの答弁をいただきたいと思います。
    〔永井委員長代理退席、委員長着席〕
#72
○矢野説明員 社会問題化しているお礼奉公につきましては、我々もいろいろなところから情報を得たり、また実態等につきましても見ているわけでございます。先ほど労働省の方からお答えがございましたように、基本的には本人同士といいますか、本人たちの契約の問題にかかわるわけでございますが、この中身が、我々が新聞等で見ておりますような社会通念に照らして非常に常軌を逸しているというようなことであれば、これはもう正していくべきであるというふうに考えております。
 この点につきましては、関係機関とも協議いたしまして問題の解決を図るよう努力したいと思いますし、また、その原因がどこにあるのかというようなことにつきましても今調査をしているということでございます。こういった看護婦の労働の現場におきまして准看護婦の扱いについて種々問題が起きてまいりますのは、現在の医療を支えていく上において大きな問題であろうかと思いますので、とにかくそういった面での解決を図りたいというふうに思っております。
#73
○石岡政府委員 労働省といたしましては、御指摘の准看護婦さんの問題につきましては、准看護婦さんから申告があった際、また医療機関に対する監督を加えた際に厳正に対処してまいりたいと思います。またその上で、病院行政を所管される厚生省に対しまして労働省として要望すべきことがあれば要望してまいりたいと思っております。
#74
○外口委員 このような制度自体のもっと根本的な検討を積極的にすることを要求して、私の質問を終わります。
#75
○岡田委員長 次に、伏屋修治君。
#76
○伏屋委員 この労働基準法改正につきましては、もうこれで四たびになると思いますが、多くの委員の方からもたくさんの問題点が指摘されまして、ほとんど出尽くした、こういう感じがするわけでございますけれども、あえて私も確認を含めながら質問をさせていただきたいと思います。重複する点が多いと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。
 まず最初に、年次有給休暇についてお尋ねをしたいと思っております。
 休暇を取得した場合、他人へのしわ寄せとかあるいは職場の雰囲気を壊すことになるのではないか、こういうようなことで気遣うことが多いと聞いておるわけでございますが、そういう面、労働省の方としてはどういうふうな認識をしておられますか。
#77
○石岡政府委員 平成三年における年次有給休暇の付与日数は十五・七日、そして取得日数は八・六日ということでございまして、我が国におきましては年休が半分ぐらいしかとられていないという実態がございます。
 この原因でございますが、いろいろ調べてみますと、先生御指摘のように周囲に迷惑がかかる、あるいは病気等有事への備え、あるいは仕事がたまり後で忙しくなる、あるいはまた仕事が多く人手不足といったような原因が挙げられております。これらの原因を考えてみますと、やはり我が国の企業においてまだまだ年次有給休暇をとれる、そういう体制づくりが十分ではないのではないか、その辺に問題意識を持っております。
#78
○伏屋委員 年次有給休暇の取得日数等々をお話しになられましたけれども、そういう雰囲気に対しまして、その解決策のために労働省としては具体的な如才のない対策を立てておられると思いますけれども、その現状等をお聞きしたいと思います。
#79
○石岡政府委員 労働省といたしましては、平成二年七月に連続休暇取得促進要綱というものを策定いたしました。この要綱では、年休二十日付与、二十日取得ということを目標に掲げまして、いろいろな施策を講じてきているところでございます。
 例えば、年次有給休暇取得計画表を企業で作成
していただいて年休をとりやすくするとか、企業において年休をとった場合に業務代行者を決めていただいて、あるいはまたその他の方法によりまして年休をとりやすい条件をつくっていくこと、あるいはまた労使一体となった委員会をつくっていただきまして、そこで年休の取得状況をフォローアップしていただく、あるいはまたさきの六十二年の基準法改正でてきた制度ですが、あらかじめ労使が年の初めにいついつの時季に年休をとるという計画をつくる、そういう年休の計画付与制度を活用してもらうなどいろいろな具体的な方策を示しながら、企業に対しましていろいろな機会を通じまして指導を行っているところでございます。
#80
○伏屋委員 そういう対策については、その前に労働者の方々の声あるいは使用者の方々の声等々を参考にしながらこういう対策を立てられたと思います。
 九〇年七月に連続休暇取得促進要綱で、年次有給休暇の年平均二十日付与、二十日取得、こういう目標を掲げだというのは今説明があったとおりでございますが、そのメニューとして一週間程度の連続休暇、フリーバカンス等が示されておるわけでございますけれども、実際にそれが行われておる企業は一体どれぐらいあるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#81
○伊藤(庄)政府委員 御指摘の連続休暇でございますが、年末年始あるいはゴールデンウイーク、夏休み、そういったものの時期に連続休暇を行っておる企業は、全体といたしまして企業割合九〇・三%でございます。そこでの平均の連続休暇の日数は十三・五日、こういう状況になっております。
#82
○伏屋委員 かなり高い率であるようでございますけれども、その中にもいろいろな問題があるのではないかなと私は思うわけでございます。そういう面で、こういう平均十三・五日というような連続休暇をとっておるというところは、大体が大企業ではなかろうかと私は思います。時短の問題で一番の問題になっておるところの中小企業、そういうところにおいてはこれほどの高率にはならないだろうと思いますし、また、こういうような長期の休暇は現実においてはとっておらないのではないかなと思います。
 そういう面においての中小企業における実態の数というのは把握しておられますか。
#83
○伊藤(庄)政府委員 先ほど申し上げました日数、規模別に見てまいりますと、全体での企業割合九〇・三%というふうに申し上げましたが、これが千人以上が八九・八、それから百人から九百九十九人の規模がちょうど九〇%でございます。それから三十人から九十九人のところが九〇・五%、こういった割合になっております。
#84
○伏屋委員 そういう連続休暇が下請企業、いわゆる中小企業にまで完璧に行き渡るような指導というものを強力にこれからも行っていくべきだ、こういうふうに私は思います。
 この年次有給休暇二十日完全取得ということが時短促進に与える影響というのは非常に大きい。これは三本柱の一つですから、何としましてもそういう面からの強力な指導あるいは指導方針等を立てなければならない。
 それで、もう既に指導方針を立てておるとするならば、その中身についてもお聞きしたい、こういうふうに思います。
#85
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、この連続休暇の普及促進、年次有給休暇の取得促進にもつながります時間短縮の大きな柱であるというふうに考えております。
 それで、私ども、この連続休暇の普及に当たりましては、平成三年度から連続休暇取得促進事業と称しまして、連続休暇取得促進のためのマニュアルを作成して、それらの事業主の方々への周知に努めるとか、三大連休に合わせまして都道府県単位で連続休暇相談コーナーを設けるというような形で、この連続休暇の普及へ労使の取り組みを促しておるところでございます。
 また、ゴールデンウイーク、それから夏休みにつきましては、特にそれに先駆けまして連続休暇の実施予定の企業にアンケート調査などを行いまして、そのうちの好事例等についてはこれを公表して、他の企業へのモデルになっていただくというようなことを行っておるところでございます。
 それで、今後につきましても、これらの普及促進に務めていきたいと思っておりまして、昨年成立させていただきました労働時間の短縮に関する臨時措置法、この中では、労使で事業場内に委員会をつくりこういった問題について話し合う、そういう労働時間短縮のための体制の整備について事業主の努力義務等も設けました。こういった制度の活用を通じまして、事業主の方々が労使でいろいろ話し合って工夫をしていく、そういった年次有給休暇、連続休暇の普及に向けた意識改革、システムづくりを進められるような環境をつくっていきたい、またPRにつきましても精力的に進めてまいりたいというふうに考えております。
#86
○伏屋委員 最近の自動車業界の不況によって、非常に自動車業界が生産調整を余儀なくされております。その余波を受けまして、下請企業というものがやむを得ず長期の連続の休暇をとらなければならないというようなところに追い込まれておるわけでございますが、これは今まで御説明があった労働省のフリーバカンスの考え方とはやや異にするのではないか。そのあたりはどうお考えですか。
#87
○石岡政府委員 最近、御指摘のような動きが確かに見られるところでございますが、このような形での連続休暇は必ずしも好ましいものだとは思っておりません。連続休暇が景気の影響とかかわりのない流れとして定着していくことが望ましいと考えております。
 景気変動は絶えずあるでしょうが、ひとつ労使の方でよく話し合っていただきまして、景気変動にもかかわらず休日が確実にふえるという方向が出ますように、労働省としてもいろいろな機会に指導を加えてまいりたいと思っております。
#88
○伏屋委員 今の時短の問題でかなり先行しておるところを見ますと、やはり時短を主たる目標としてやってきたのではなくて、いわゆるバブル経済が崩壊した、そのために生産を調整しなければいけない、売り上げが不振になってきた、そういうことが結果的にこの自動車業界には時短という形になっておるわけでございますね。
 それで、自動車総連等々のいろいろなお話を聞いてみましても三重苦だ、どれだけ働いても売り上げが上がらないしというようなことで、非常に困っておられるわけでございますけれども、このような現況がまた活況を呈してくると、もとの残業というような形で所定外労働がふえてくるというようなことにならないような考え方というものも、自動車総連の労働者の方々も役員の方々も考えておられるようでございます。
 それに関連いたしまして、通産省にきょう来ていただいておると思いますが、自動車産業の時短を進めるために、モデルチェンジの期間を延長したらよいという提案が通産省からされておると聞いておりますが、その後の経過あるいは通産省の指導状況等々についてお聞かせいただきたいと思います。
#89
○林説明員 先生御指摘のモデルチェンジでございますけれども、このモデルチェンジといいますのは、ユーザーのニーズあるいは安全、環境問題、こういった社会的要請に対応するための最新技術を具体化するという意味で極めて重要な役割を持っております。他方、モデルチェンジに伴う労働負荷あるいは開発設備投資、こういったものは時短の促進やあるいは省エネルギー・省資源、こういったことを阻害するある意味でのマイナス面というのもございます。
 ただ、モデルチェンジ自身が、今申し上げたように技術開発動向とかマーケティング、こういった企業活動の基本に関することであるということを考えますと、基本的には各メーカーが時短促進あるいは省資源・省エネルギー、こういう観点も踏まえて自主的に判断していくべきことなのではないかなと思います。ただ、新技術を具体化する
ものではないとか過度に頻繁なモデルチェンジが行われるようなものについては、企業において自主的に規律するような努力を行うことが重要ではないかなと思います。
 以上であります。
#90
○伏屋委員 諸外国においてはモデルチェンジというのは八年と言われておるようでございますが、我が国は大体平均四年ごとにモデルチェンジがされておる。そういうことから過当競争があり、それが国際的な摩擦にまで膨れ上がってきておる、こういうことでございましたけれども、バブルの崩壊によりまして非常に生産も減になりましたし、過当競争というものから収益が減になってきておる。
 日本の車というのは、本当にどうしたら買い手がつくかということが先行するわけで、諸外国の車というのは、どちらかといいますとモデルチェンジというのは八年というような長い期間でもあるから、非常に伝統性のある車が多いように見受けられるわけでございます。
 そういうような状況の中で、今通産省の方の指導のことについてはお話がありましたけれども、このような状況に対してメーカーの方はどう対応しようとしておるのか、通産省のお考えを聞きたいと思います。
#91
○林説明員 自動車業界のモデルチェンジサイクル、先生今御指摘のように主要車種で四、五年が主流でございますけれども、物によりましては十年程度という、モデルチェンジサイクルの長いものもございます。
 先ほど私申し上げましたように、時短促進あるいは省エネルギー・省資源といった観点から、いろいろなものがございますけれども、各会社とも、車種によってはモデルチェンジサイクルの長期化を大きな流れで検討しているという状況だろうと思います。また、直接モデルチェンジとは関係ございませんが、時短の促進という観点からは、同時に車係数の削減とか部品の共通化あるいは部品の削減、こういった努力もあわせてやっており、努力をしている、こういう現状でございます。
#92
○伏屋委員 次に、年次有給休暇が完全に取得できない、五割台にとどまっておるという現況の大きな要因というのは、やはり病気に備えて有給休暇を残しておきたいということで、そして年度末になってしまったら、病気をしなかったので未取得になった、こういうようなことから五割台で停滞しておるのではないかというように考えるわけでございます。
 年間総実労働時間千八百時間に向けて時間短縮していくということで、労働省としては年次有給休暇完全取得のための意識改革とかシステムづくり、また休暇日数の大幅な増加というようなことを言っておるわけでございますが、現実からいうと絵にかいたもちのようなことになってしまうわけであります。
 その一番大きな要因は病気に備えてということで、これが時短、年次休暇完全取得の大きな阻害要因になっておる。こういうことから考えれば、病気休暇制度あるいは介護休暇制度というものを設けて、労働者が安心して休暇を取得できるように労働省が法的整備をしていかなければならないのではないか。この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
#93
○伊藤(庄)政府委員 年次有給休暇の取得促進は、職場内のとりやすい雰囲気づくり、またシステムづくりが非常に重要かと思いますが、また病気あるいは介護等への備えという点も見逃せないことは先生御指摘のとおりでございます。
 介護休業制度の法的整備の問題でございますが、それ自体一つの大きな政策課題でございまして、今後の検討課題というふうには認識いたしておりますが、現段階でその普及状況等を見ますと、まずその介護休業制度の普及促進に全力を挙げていくことが大切かというふうに考えております。このため昨年度、介護休業制度等に関するガイドラインを作成して周知に努めております。その啓発指導に積極的に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 また、病気休暇につきましても、年休の取得促進と密接な関連を持つわけでございますが、やはりこれにつきましても現在その普及状況は決して十分でない段階でございます。私ども、当面労使の取り組みの実情等を十分把握しながら、その普及に努めていくことが先生御指摘のようなことにつながる意味でも大切かというふうに考えているところでございます。
#94
○伏屋委員 病気休暇あるいは介護休暇について、その普及ということで労働省が御努力なさっておることはわかるわけでございますが、それが日の目を見るのは大体いつごろなのか。
 これから普及に努めていく現実の流れの中で出てくることだろうと思いますけれども、病気休暇あるいは介護休暇というものを設けることによって年次休暇の取得が完全にできる、時短に貢献できるんだということを考えれば、普及に努めるということだけで終わっておっては何にもならないので、そのあたりのめど、いつごろにそういうようなことができるのか。あるいはまた、それがまた普及に努めるだけであるということであるならば、当面は有給休暇の二十日にプラス日数を付与する、これくらいの考えが検討されてもよいのではないか、このように考えますが、そのあたりはどうですか。
#95
○石岡政府委員 介護休業及び病気休暇の法的整備の問題につきましては、ただいま部長からお答えいたしたとおりでございまして、法制化は重要な今後の検討問題だと思っておりますが、このいずれの制度も普及状況がかなり低い状況にございます。したがいまして、この普及にまず努めなければいけないということでございます。
 介護休業につきましては、「生活大国五か年計画」で触れられております。それによりますと、「必要に応じ法制化を含めた有効な普及対策を検討」していくということになってございますので、この「生活大国五か年計画」の方針に沿って、今後いろいろ検討を加えてまいりたいと考えている次第でございます。
 それからさらに年休の問題に触れられまして、二十日付与、二十日取得のためにさらに年休の日数を増加させる必要があるのではないかという御指摘でございますが、先生の御指摘の趣旨は非常に私どもはよく理解できるところでございます。
 しかしながら、昭和六十二年の基準法の改正の際に六日の年休を十日に引き上げまして、大企業は六十三年四月から十日にすぐ引き上げたのですが、中小企業は猶予措置が設けられておりまして、平成六年の四月からようやく十日に引き上げられるという状況でございます。
 そういう状況も勘案いたしまして、今回の基準法改正案では年休の増加をしないで、六カ月間の勤続があればその後年休を付与するという改善を図ったわけでございます。
 しかしながら、審議会におきましては、非常に強く年休の日数を平成六年四月以降の時点で引き上げることを検討すべきではないかという声がございまして、それが一つの建議にもなっておりますので、今後、労働省としましては、その建議を受けまして、年休の増加について速やかに検討を行ってまいりたいと考えております。
#96
○伏屋委員 時短促進に年次有給休暇の完全取得というのは、もう繰り返し申し上げるまでもなく重要なことでございますし、今後高齢化社会になるにつれて、介護休暇というのはもう必然的に労働者にはかかってくることだ、こういうふうに考えるときに、時短とこういう年次有給休暇を完全取得するためには、こういうものをできるだけ速やかに法的整備をすることが緊急の課題ではなかろうか、このように考えるわけでございます。
 そうすることがやはり労働者が安心して休暇を取得できることでございますし、こういう両制度を確立するためにも、労働省の責任者である大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#97
○村上国務大臣 家族の介護や病気からの回復に専念できるようにすることは、精神的にも必要なことであり、安心して家庭生活を送るために重要
な課題であり、年休の取得促進にも密接に関連することと思います。
 そこで、介護・病気休暇につきましては、今局長、部長が御答弁いたしましたように、環境的に条件的に私が今色よい決意を述べるという段階には残念ながら至っていない、こう思っております。ですから、介護につきましては、これはまあまあ前向きな検討ということで、積極的発言をしろというならばそういうことなのかな、病気休暇につきましては、法制化の方向について模索をさせますということしか言えないのじゃないか。
 それから、そのめどについてどうだという御質問もありましたが、私の在任中にそのめどということはなかなかお約束はできる状況ではない、しかし、積極的に取り組むことについては指示をいたしたい、こう思います。
#98
○伏屋委員 余りがたい決意とは受けとめられませんけれども、とにかく非常に緊急の課題でございますので、労働省としてもこの問題は早急に実現するように、法的整備の実現のためのさらなる御努力と決意を固めていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#99
○岡田委員長 次に、金子満広君。
#100
○金子(満)委員 非常に短い時間ですから、端的に伺います。したがって、短く答えていただきたいと思うのです。
 八七年に労基法が改正をされて、変形三カ月が導入されました。丸五年たったわけですけれども、この変形三カ月が事業所にしてどんなようなところに広がったか、それからまたどういう産業に主として適用されたか、この点を概略で結構です。
#101
○伊藤(庄)政府委員 この三カ月の変形制でございますが、最近の利用件数を申し上げますと、昭和六十三年が三百一件、それから平成元年で三百六十一件、平成二年が四百十一件、平成三年八百十五件と、まだ三けた段階の状況でございます。
 これらの業種別の状況でございますが、これにつきましては本省の段階では特に地方から取り寄せてはおりませんが、これは届け出が出てまいりますので、その状況は各労働基準監督署段階で把握し、業種の業態に応じた適切な運用について指導しているところでございます。
#102
○金子(満)委員 どういう業種かというのは、傾向的にもわからないですか。
#103
○伊藤(庄)政府委員 現段階では、本省として業種別の状況を把握いたしておりません。
#104
○金子(満)委員 私は大変だと思うのですね。一年のものを今度適用するというのに、三カ月のものを、これは丸五年たっているのですよ、それで傾向も出ない。地方の労基署にいっているだろう、これは無責任だと思う。これは労働省何をやっていると言われますよ。三カ月の方はいいかげんにしておいて今度は一年にしますという、これじゃ済まないですよ。一年にやるという責任でもってあなた方は言っているのだから、そういう実態ははっきりさしていただきます。
 そうでなければ、今度変形一年になったらどういう産業に、どういう企業にこれが拡大し、適用されていくかという傾向すら見えないじゃないですか。大変だと思うのですね。だれも知らなかったら、労働大臣は、前のことだから、今、村上さんがそれを知らないのはしょうがないけれども、これは行政としては大問題だと私は思うのですよ。このくらいの傾向、我々だってつかんでいるのですから、こういうような職種にこのように広がっているだろうくらいのことは言えると思うので、私はこれは厳しく指摘しておきたいと思うのです。
 今度変形一年ということになりますと、私どもも随分の職場を調査し、いろいろの専門家や、そしてまた実際に職場へ出かけていって聞いたこともありますし、また、この労基法の改正案が本院で審議が始まって以後、自由法曹団なども多くの職場からアンケートをとり、出向いて調査をしてやっています。自由法曹団のはきのう発表されましたけれども、私は、そこでこういう点を聞きたいと思うのですね。
 変形一年というのが導入されれば、労働組合や組合のない職場でもどういう事態が予想、予測されるかということです。
 一番多いのは、その特徴というのは、広範な企業の中にこれが適用されるであろうというのは疑いを挟むところはほとんどないです。これは法自体がそうなっているからね。こういう点が一つ。もう一つは、どこでも共通に指摘されるのは、残業手当が大幅に削られるようなシステムだということです。
 こういう点から、例えば自由法曹団がきのう発表したものの中にこういうことがあります。
  既に三カ月ないし一カ月単位の変形労働時間制の導入されている職場での経験に照らして、一年単位の変形労働時間制が残業手当の大幅な減収の結果をもたらすことを明らかにしている(私鉄、タクシー業界、紙パ産業、自治体職場など)。もともと変形労働時間制の導入は、労働者の必要からではなく企業の必要に応じて所定労働時間を自由に伸縮しようとする目的のもとに行われてきた以上、残業手当の大幅減収は明らかといえる。
この点は私も指摘したわけですが、こういう指摘が現実にあるのです。これは非常に大きい問題だと私は思います。
 そういう中で、具体的に今指摘した職種でこういう傾向が出ています。一つは、
  観光貸し切りバスのように季節の繁閑の差がある業務で、日または週の労働時間をあらかじめ定めておくことが困難、かつ業務の都合で協定時間が通常に変更される業務にも適用し、残業時間賃金の大幅削減。これは私鉄総連が指摘しています。
 また、もう一つは、これはタクシー労働者の問題ですが、
  繁忙期(七月、十二月)に長時間を取り入れ、五月の連休等暇な時期に時短を取り入れられると運転手は生活のため暇なときでもいっそう長時間働く。結局年間を通して今以上の長時間労働となる。
これは自交総連神奈川です。
 変形で残業手当が減るのか減らないかというのは労働者にとっては死活問題なのですが、これはだれが計算しても減るのです。企業の側も減ると言うのだから、減らすために適用があるのだから。こういう点はどう考えますか。それと、実際に労働組合、労働者の職場で私どもが聞いても、これは素直に出てくる言葉です。だから、国会で審議すると同時に、職場や地域、専門家の中でもいろいろ検討、研究されているのですから、その点でお答え願いたいと思います。
#105
○伊藤(庄)政府委員 一年単位の変形労働時間制、これはあらかじめ年間の休日を特定し、計画的に休日を確保していく、また、三カ月を超える期間ごとに労働時間を日々特定をしていく、こういう仕組みを前提といたしておるものでございます。
 したがいまして、先生御指摘のありました貸し切り観光バス等につきまして、現在の三カ月単位の変形制についても同様でございますが、注文に応じるために臨時体制を組まなければいかぬということから、年間の休日をあらかじめ設定したり、労働時間を日々特定したりしていくことが困難であるようなもの、あるいは一たん決めたとしても、恒常的な残業があるために変更を余儀なくされることが十分予想されるものには使えない、こういうことにいたしておるわけでございまして、先生御指摘のあった事例については、私ども一年単位の変形制が運用されることは想定いたしておりません。
 それから、もう一つ御指摘ございました残業時間が減るではないかということでございますが、年間で休日管理をして、それをふやしていくという趣旨で設けるものであること、また、それを労使協定で決めていただいて届け出をさせる。その中で余りにも不合理な点については十分チェックがなされる。それから、とりわけ現在三カ月単位
で設けられております一日及び一週の限度時間、これについては縮小するということで具体的に検討の上、労働省令で縮小した姿を定めていく、こういうことにいたしております。
 したがいまして、現行の三カ月の場合と比べまして、変動の幅というのはかなり小さくなるという姿にこの制度がなるわけでございまして、現行の三カ月制度に比べて残業時間は減るとか、特定の時期に集中するというようなことは私ども想定いたしておりません。
#106
○金子(満)委員 違うのですよ。一年ということ、そしてまた三カ月ということ、そしてまた一日とか一週とかにいろいろな計画を立てて上限を決める、これはそのとおりだと思うのです。それは仕組みなんです。
 私は、残業手当は少なくなるでしょうと聞いているのです。残業の時間というのはどうかといったら、ありますよ。その中で今度は変形が入るのだから、変形は残業時間を使わぬのだから、働く時間はあっても手取りが少なくなるのですよ。休日はといったら、取りやすくなるだけなんです。暇なときは時短になるのです。けれども、それは残業の分にならないのです。変形になっても、それはもう働いたときのものがあるのですから、こっちは働かなくていい。けれども、実際には年間を通して手に入ってくる、懐に入る残業代は減るのです。そういうことはみんな指摘されているのです。その点が一つの問題です。
 それから、今観光バスの問題などを申し上げましたが、一日または週の労働時間をあらかじめ定めておくことが困難なところは、初めから計画はできないのです。取り入れてはいけないのです。そして、取り入れても業務の都合でしょっちゅうそれが変わるような場合があるのです。そういう職種は、取り入れたらごちゃごちゃになってしまうでしょう。これ昼言われるとおり、適用しないならしないということがはっきりしていなければだめだと思うのです。
 そういう点で、問題はたくさんありますけれども、時間がないから最後に一つ、裁量みなし労働の拡大の問題についても触れたいと思うのです。
 この裁量みなしが五業種から広がるということが出てから、一つの流行語が学者の中でも出るのです、どういうものがふえるだろうかと。まずはふろしき残業がふえるだろう、フロッピー残業がふえるだろう、仕事持ち帰り残業がふえるだろう。これは今でもあるけれども、多くの場合サービス残業になっているのです。今度裁量みなしになると、うまくそこがすりかえられる危険性はどこでも指摘しているのです。ですから、質問すればサービス残業はだめですと言う、これは決まっているのです、仕事を持ち帰ってやってはいけません……。そんなことはない、持ち帰ってもいいのです。これもそのとおりなんです。
 しかし、今度は裁量みなしということになりますと、ふろしきで持って帰るとか、確かに今までそういうことをやっていたのは残業で見積もられていたわけです。今度は八時間なら八時間と枠を決めておけば、その中に入ったものとみなされてしまうという点が現実に起こるだろう。そして、いろいろな職場で聞いてみて適用されるなとどこでも言われるのは、金融関係はもちろんそうですけれども、営業、管理、経理、セールス、調査、こういう俗に言うホワイトカラーの部門は、この裁量みなしは相当広がるだろうとみんな予測しているのです。この点について、それをどういうようにしたらサービス残業が裁量みなしに変わらないようになるのか、その点ひとつ答えてもらえませんか。
#107
○石岡政府委員 現行法の三十八条の二で裁量労働制が規定されているわけでございますが、それを見てみますと、「研究開発の業務その他の業務」ということで、具体的には労使が協定で定める業務に限るということになっているわけでございます。こういう業務に相当するものとして、従来通達で五業種を御指摘のとおり指定してまいりました。
 しかし、この形は非常に不明確な形ではないかと思っております。したがいまして、今回命令ではっきりこういう業種が裁量労働の対象になるものですよということを定める。その方が、御指摘のようないろいろな問題が確かに考えられますので、命令で定めた方が厳格な歯どめがかかるというふうに考えている次第でございます。
 御指摘は、営業、管理、セールスマン、調査などホワイトカラー層にこれが拡大されるのではないか、こういう御懸念でございますが、ホワイトカラー全般にこういう裁量労働制が適用されるということは全く考えておりません。裁量労働制というのはあくまでも、三十八条の二に書いてございますように、労働者の裁量に業務の相当の部分をゆだねるという労働であり、また、業務遂行の手段とか労働時間の配分の決定に関して、経営者側が具体的な指示を出せないような特殊な労働であると考えております。
 したがいまして、当然ながら、こういう裁量労働制になじむ労働者のみがこの制度の適用対象になるわけでございまして、どういう業務が裁量労働の対象になるかにつきましては、法改正がされれば専門家による検討の場も設け、また、審議会でも慎重に検討して定めてまいりたいというふうに考えております。
 御指摘のようないろいろな問題も十分念頭に置きながら、今後対処してまいりたいと思っております。
#108
○金子(満)委員 終わりますが、言われるとおり、問題があることは事実なんですね。ですから、今後ともこの問題は究明していきたいと思います。
#109
○岡田委員長 次に、伊藤英成君。
#110
○伊藤(英)委員 本日は、まず中小企業関係の問題から伺います。
 今後の中小企業をめぐる労働力の需給というものを見ますと、まずは、これから若年層を中心とする労働力の供給がどんどん減少していく、そしてまた、若年層の意識変化ということもありまして大変厳しい状況になっていくだろうと予想されます。そしてまた、中小企業庁の調査でも、休暇とか労働時間を重視する傾向というのがますます強くなっておりますし、会社を選ぶ要因としても、休日がどのくらい多いかということが非常に大きなファクターになっているわけですね。そういう意味で、今後、中小企業の時短を本当に進めていかないと中小企業自身の死活問題にもなっていくだろう、こういうふうに思っております。
 そこで、まず伺いますけれども、中小企業の労働時間と改正下請振興基準についてであります。
 下請取引関係の適正化をねらってということで九一年二月に下請振興基準が改正をされたわけでありますけれども、昨年の十月の連合及び連合総研の調査によりますと、下請振興基準を「知らなかった」と答えた率が三九・八%、「知っていたが内容は知らない」というのが三八・一%、したがって、実質的に理解されていない率がざっと全体の約八割ということですね。中小企業庁でもこれまでも広報活動や啓蒙活動は行ってきたとは思いますけれども、今の数値を見ますと、いかにもこれでは不十分だろうという気がいたします。
 もともと改正された趣旨というのが下請企業の時短に配慮するということでありますから、この基準が周知徹底されていないと中小企業の時短も進まない、こういうふうになるわけですね。どのように思われますか。
#111
○柚木説明員 お答えいたします。
 私どもといたしましては、振興基準の普及啓発のため、従来から全国各地で親企業の発注担当者を対象としました講習会を行ったり、あるいは各種広報を実施しております。また、親企業の発注方式の実態を把握するため、毎年四万の下請事業者の調査を行っておりまして、その結果を踏まえ、昨年の二月と十二月の二回にわたって、約三百六十の親企業団体に対して長官名それから関係局長名で通達を出しまして、振興基準の遵守徹底について協力要請をしているところでございます。
 こういったことで、親企業につきましては周知
が少しずつ進んでいると考えておりますが、ただいま委員御指摘の連合の調査結果を見ましても、下請側の方の周知がいまだという感じがしておりまして、残念に思っております。私どもの努力がいまいちというふうに思っております。
 したがいまして、今年度におきましては、振興基準を一層周知徹底するため、申し上げたような講習会あるいは各種広報、実態調査といったものを継続するだけでなく、それとは別に、一億円未満の中小企業者を対象としました下請中小企業取引条件改善講習会といったものを新たに設ける、あるいは社内教育用のビデオをつくって各企業に活用してもらう、そういったことを考えております。
 さらに、下請取引関係の適正化を推進するためには、下請取引関係の実態に関する情報収集体制の強化が必要でございます。このため、下請事業者からの相談に幅広くこたえる能力を有していらっしゃる中堅の下請中小企業の経営者の方の中から、全国で約六百名ほどでございますが、下請取引相談委員として委嘱いたしまして、この方々に下請事業者からの苦情を受け付けていただいて、そして私どもに問題を訴えていただく、こういうことを内容とします下請取引相談事業を今年度から開始することになっておりまして、現在この事業の早期実施に向け準備中でございます。
 いずれにしましても、こういった施策を通じまして、今後とも振興基準の周知徹底を図るため全力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
#112
○伊藤(英)委員 中小企業の時短促進の大きな阻害要因となっているのが休日前発注、それから休日直後納入ということでありまして、中小企業庁の調査でもなかなかこれが減少していない実態にあると思います。
 したがって、取引慣行の点も含めて、産業界の時短を促進するためには政府全体が改善に取り組んでいかなければいかぬ、こういうふうに思っておりますが、この点について政府全体としての取り組みをどのように実行されているのか。大臣にお伺いした方がいいですね。
#113
○村上国務大臣 おっしゃいますように、これは政府が一体となって取り組むべき課題であり、また、そういう姿勢を示していかなければ実は上がらない、こう思っております。
 昨年十月には、時短促進法に基づき、労働時間短縮推進計画を閣議決定により策定し、事業を所管する関係省庁と連携を図りつつ、労働時間の短縮を進めていっているところであります。しかし、中小企業庁からの最初の答弁にもありましたように、まだまだそこらあたりの、御指摘いただいたようなことがあろうかと思いますが、今後十分にそういう面について推進を図っていきたい、このように思っております。
 また、時短促進法に基づき、同じ業種の企業集団が作成した労働時間の短縮のための計画については、関係省庁と共同で承認しております。この計画の実施を妨げている取引上の問題がある場合には、取引先の企業に対して共同で協力要請を行う。
 今後とも、通産省、建設省、運輸省など関係省庁との間で連絡会議の場をつくっておりますので、積極的にその場を活用しながら政府全体で短縮に取り組んでいきたい、このように考えております。
#114
○伊藤(英)委員 今回、労基法の改正とセットで労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の改正が提案されておりますね。三点質問したいのですけれども、一緒に伺います。
 まず第一は、この時短促進法が昨年成立したときに、なぜ奨励金、助成金を新設しなかったのか。労働省が怠慢だったのか、あるいはそれとも施行後業界団体から要請があったのかということが一点。
 第二点は、施行後の企業内の労働時間短縮推進体制の整備の状況はどうなっているのかですね。
 それから、第三点は、時間短縮実施計画の承認申請件数と支援措置実施状況はどうなっているのか、伺います。
#115
○伊藤(庄)政府委員 まず最初の点でございますが、今回御審議をお願いしておりますこの法案と、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の改正もお願いしておりまして、改正が成立させていただければ、新たに助成制度等の時短のための支援措置、これを実施することといたしておるわけでございます。
 昨年成立させていただきましたこの時短促進法におきましては、事業主が共同で労働時間短縮実施計画を作成して承認を受ける、それに対しまして、行政といたしましては、そういった事業主の集団に対しまして労働時間短縮のためのノウハウを持ったアドバイザーの派遣、そういった指導・援助の協力をしていく、あるいは取引上の問題があれば、関係省庁と共同で協力要請するという内容で法案を成立させていただいたわけでございます。
 今回は、そういった労働時間の短縮の推進としてやはり軸になります週四十時間労働制、これを労働基準法の改正によってその道筋を具体的に決めさせていただく、そのための改正の審議をお願いしておるわけでございまして、この週四十時間労働制に向かっていくために、とりわけ中小企業をそういった水準に持っていくためにはさらに強力な支援措置が必要ではないかということで、私ども時短促進法の改正をお願いし、新たに助成金制度の創設や、それの前提となります指導・援助体制の整備を図ることにしたものでございます。
 それから、時短促進法で定められております労働時間短縮推進体制の整備の状況、それから事業主が共同で行います時短実施計画の承認申請件数でございます。
 まず、順序が逆になりますが、後者の方から御説明申し上げますと、労働時間短縮実施計画の承認申請件数、平成五年の三月末時点で私ども四十八件について承認を行いました。申請は五十六件ございますので、その後申請の内容の審査等を行っているものがまだございます。
 これらの承認を受けた事業主に対しましては、労働時間短縮のための情報、資料の提供からアドバイザー等による助言指導、取引上の問題については関係省庁との共同による要請等を行ってまいるわけでございますが、昨年の九月に成立いたしました法律でございまして、その後事業主が具体的な計画の策定作業等を行いまして、比較的年度末に至ってこの承認申請が出てまいっております。承認を受けたものはここに盛られた計画を軌道に乗せるべく今事業を始めているところでございますので、しかるべき時期に、私ども各地方段階、また関係省庁で具体的にどのような支援が行われたかについてはフォローしていきたいと考えております。
 もう一つお尋ねの労働時間短縮推進体制の整備状況でございますが、これも時短促進法の中で、労使が日常的に労働時間短縮の諸問題について話し合う場として、労使で構成する委員会の設置などその推進体制の整備を図ることを努力義務といたしておるわけでございます。私ども、現在これを普及させるために、企業の担当者に対する講習会等を行ってきております。
 先ほど御説明申し上げました四十八件の時間短縮実施計画の承認をいたしましたが、その内容を見ましても、うち三十五件は傘下の事業主のもとでこのような推進体制の整備を図ることを事業の一環に取り込んでいる、そういった内容を持っております。それが今具体的に軌道に乗る緒についたところでございますので、しかるべき時期に、それらが具体的にどのように整備され、機能していくかをフォローアップしていきたいというふうに思っているところでございます。
#116
○伊藤(英)委員 残り時間がほとんどもうありませんので、最後に伺いますけれども、先般閣議了承された平成四年度の中小企業白書によりますと、中小企業の時短促進の問題点では、第一位が、取引先や顧客の便宜を考慮すると独自に実施できないというものなんですね。そしてまた、時短の対応で一番効果が上がったものは何かということで見ますと、一番多いのが事務管理の電算化、そ
の次が業務運営の見直し、それからその次が従業員の意識改革、この三つがみんな実は六〇%以上を占めている。一番高いのは七十数%というふうになっているのですね。
 そういう調査等を見ますと、今回の法改正で盛り込まれた援助策等では、やはりこれは極めて不十分ではないのだろうかという気がするのですね。こういう調査の状況なんか見たりしますと極めて不十分ではないか、こう思うのです。
 そういう意味で、その評価についてどういう見解を持つのかを中小企業庁並びに労働省に伺います。
#117
○佐藤説明員 中小企業におきます労働時間の短縮は、「生活大国五か年計画」に基づきゆとりある生活を実現するという点、さらには、労働力の確保を図る上で極めて重要な課題であると認識しておりますが、現在厳しい状況にあります中小企業に対しても、さらに時短を促進するために最大限の措置を講じていく必要があると考えております。
 このため、中小企業庁といたしましては、中小企業労働力確保法を柱といたしまして、労働時間の短縮を図るため、省力化投資などに対しまして金融、税制上の優遇措置、さらには所要の予算上の措置を講じておりますが、さらに、累次の経済対策に基づきまして、省力化投資促進のための金融、税制上の措置の拡充、下請中小企業の労働時間短縮を促進するための措置の徹底、労働時間短縮に資します省力化・自動化のための技術開発、さらには、労働時間を短縮したよい事例の紹介やPRなど、中小企業に対します総合的な支援措置を講じております。
 今回、時短促進法に盛り込まれました中小企業に対します支援措置は、ただいま御説明申し上げました所要の措置と相まって、中小企業の円滑な時短を促進するものと期待をしておるものでございます。
 今後とも、労働省を初めとします関係省庁との連携のもとに、これらの施策の活用を通じまして、中小企業におきます一層の労働時間短縮の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えておるような次第でございます。
#118
○石岡政府委員 先生御指摘のように、中小企業の時短促進を妨げる問題として、取引先や顧客の便宜を考慮すると時短ができないという点を労働省としても重要視しております。この点につきましては、従来から都道府県労働基準局が、例えばトヨタとトヨタの下請ということで企業系列別の集団を指定いたしまして、そこでいろいろ議論を行い、適切な納期の設定などについて両者間で申し合わせを行わせております。
 さらに、先ほど時短実施計画の承認が四十八件あると申し上げましたけれども、そのうちの二十四件は、実は取引条件の改善を目的に挙げている次第でございます。こういう同業種の企業が、中小企業団体が一丸となって時短の実施計画を策定し、取引条件の改善を進めていくことが非常にこれから大事だと思いますが、この団体に初めて、法案が成立いたしますと、事務費の三分の二の助成、それから一千万までの限度の助成金を出すことにしております。したがいまして、取引条件の問題につきましては実効ある措置を用意しているつもりでございますが、今後さらにその運用の実態を見て改善して、充実すべきものは充実してまいりたいと思います。
 それからもう一つ、事務管理の電算化などが時短に非常に効果があったというような御指摘は、ごもっともだと思います。やはり中小企業は、事務管理の電算化とか省力化投資とかなどなどを通じまして生産性の向上を図る必要があると思います。この点につきましても、従来からもアドバイザーの派遣などいろいろ助成をしてまいったわけですが、今回の法案では、中小企業がこういう電算化など省力化投資をやった場合に、そして時短をした場合に、個別の事業主に対しまして特別奨励金を出すという制度も用意してございます。この制度をも通じまして中小企業の生産性が高まり、時短が進むようにしてまいりたいと思いますが、あわせてこの助成制度も、実績をよく見まして、問題があれば改善をしてまいりたいと思います。
 最後に、通産省の方でも、減税も含めて中小企業の時短にいろいろ取り組んでいただいておりますので、労働省としても、通産施策の充実で必要があれば通産省に対して要望してまいりたいと思っております。
#119
○伊藤(英)委員 終わります。どうもありがとうございました。
#120
○岡田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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