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1993/04/13 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 商工委員会 第11号
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1993/04/13 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 商工委員会 第11号

#1
第126回国会 商工委員会 第11号
平成五年四月十三日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 井上 普方君
   理事 新井 将敬君 理事 井出 正一君
   理事 金子 一義君 理事 額賀福志郎君
   理事 山本  拓君 理事 竹村 幸雄君
   理事 安田  範君 理事 遠藤 乙彦君
      甘利  明君    岩村卯一郎君
      尾身 幸次君    奥田 幹生君
      古賀 一成君    古賀 正浩君
      佐藤 信二君    田辺 広雄君
      田原  隆君    谷川 和穗君
      真鍋 光広君    増岡 博之君
      増田 敏男君    村田 吉隆君
      柳本 卓治君    渡辺 秀央君
      江田 五月君    大畠 章宏君
      貴志 八郎君    小岩井 清君
      清水  勇君    鈴木  久君
      武藤 山治君    安田 修三君
      吉田 和子君    和田 貞夫君
      長田 武士君    春田 重昭君
      小沢 和秋君    川端 達夫君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  森  喜朗君
 出席政府委員
        通商産業大臣官 江崎  格君
        房総務審議官
        通商産業大臣官 白川  進君
        房審議官
        通商産業省通商 森清 圀生君
        政策局次長
        通商産業省貿易 渡辺  修君
        局長
        通商産業省機械 坂本 吉弘君
        情報産業局長
 委員外の出席者
        運輸省運輸政策
        局国際業務第一 三ツ矢憲生君
        課長
        商工委員会調査 山下 弘文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十三日
 辞任         補欠選任
  渡辺 秀央君     柳本 卓治君
  後藤  茂君     小岩井 清君
  鈴木  久君     貴志 八郎君
同日
 辞任         補欠選任
  柳本 卓治君     渡辺 秀央君
  貴志 八郎君     鈴木  久君
  小岩井 清君     後藤  茂君
    ―――――――――――――
四月十三日
 中小企業のための追加経済対策に関する陳情書
 (静岡県浜松市元城町一〇三の二浜松市議会内
 中村圭介)(第一五三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 貿易保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一九号)
     ――――◇―――――
#2
○井上委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢和秋君。
#3
○小沢(和)委員 まず基本的な点について、大臣に二、三お尋ねをしたいと思います。
 今回の法改正は、我が国の膨大な貿易黒字資金を海外に還流させる政策の一環として行われると聞いております。しかし、そのために、海外事業資金貸付保険を創設し、てん補率を非常危険九五%、特別の場合は九七・五%に、信用危険を一挙に四〇%から九〇%に引き上げることは、巨大な銀行、商社などに対する余りの優遇措置ではありませんか。
 従来、海外投資については、相手国の国情や投資先の信用を自分で調査し、みずからの責任で決断するよう求め、てん補率を普通輸出保険などより低く設定していたのには根拠があったと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#4
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 今回の改正は、先生今御指摘がございましたように、我が国かも発展途上国に対する資金の流れを眺めてみました場合に、従来に比べまして、特に民間部門から海外に流れる資金の流れというのが相対的に落ちてきておる、こういうことがございます。
 特に、世界全体を見ましても、そういう様相があるものでございますから、したがいまして、従来、海外投資保険に対しましては、九〇%を限度とするてん補率にしておったわけでございますが、それに対して、海外事業資金貸付保険につきましては、現下の客観情勢を考えまして、かつまた、こういう経済環境にある我が国が、発展途上国に対する資金ニーズにこたえていくためには、より積極的にこれに貢献する必要がある、こういう考え方のもとに引き上げをしたわけでございます。
#5
○小沢(和)委員 私は、そのてん補率を一挙に大幅に上げたことが余りにも露骨なサービスではないかということを指摘しているわけで、今の答弁では私は納得できません。
 そこで、大臣、そういう優遇をしても、本当に政府がねらっている方向に資金が流れるのかどうかという問題です。比率でいえば、九十数%てん補をするといっても、一定の損はやはり覚悟をしなければならないとすれば、民間資金はみずからのもうけになるところにしか出ていかないのではないか、この点いかがでしょうか。
#6
○渡辺(修)政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘のとおり、現在のカントリーリスクの状態等、相手国の状況並びに我が国の資金供与を行う企業主体の財務状況等々考えますと、依然として相当程度のリスクカバーを行わなければお金が出にくいという要素があることは事実でございます。
 しかしながら、同時に、今まで九〇%を最高としておりましたてん補率を原則九五%、一定の相手国の外貨獲得産業等に対する場合には九七・五%ということで民間が負担すべきリスクを半分もしくは四分の一にする、こういうことが今回の我々の結果でございます。これは貿易保険審議会で非常に何度も何度も議論を重ねられましたけれども、最終的には民間企業もみずからのリスクというのをやはり残しておいて、それで企業採算性というのを見させる必要があると同時に、余りにも重い腰が上がらなければ我が国の使命は果たせない。その両方の兼ね合いを極めてかんかんがくがく議論した結果、こういう形にしたわけでございます。
 それから、先ほど先生おっしゃいました今回の九七・五というのは今までと考え方が違うじゃないかということでございますが、従来のサプライヤーズクレジットに対します輸出代金保険につきましては最高てん補率が九七・五ということでございますから、これと大体なぞらえた、こういうことでございます。
#7
○小沢(和)委員 いや、私は普通輸出保険などに比べて海外投資の保険が低かったのには根拠があったじゃないかと言っているんですよ。しかし、時間の関係もありますから先へ行きますが、今度は、大臣、必ず答えてください。
 新聞報道では、今回の法改正は発展途上国への融資の促進が中心ではあるが、もう一つ、アメリカの輸出を援助するねらいも含まれていると聞いております。昨年ブッシュ大統領が訪日した際、グローバルパートナーシップ行動計画で米輸銀と我が国の貿易保険の協調プログラムを進めることで合意いたしました。今度も日米首脳会談で日本はその拡大を提案するのか、どの程度の拡大を予定しているのか。
 もう一つ伺いますが、昨年日米首脳会談で合意した輸入拡大策が発表されたとき、西欧各国などから、なぜアメリカにだけ優遇をするのかという批判が一斉に出されました。今回もまたそういう反発をさらに大きくすることにならないのかどうか。お尋ねをします。
#8
○森国務大臣 発展途上国等に対します資金還流を図るということも大事でございますし、基本的にはやはり内需を拡大をして貿易を、できるだけ輸入促進を進めていくということが大前提でございます。今委員から御指摘の、アメリカの輸出促進を支援するために云々という御指摘もございましたが、一昨年の五月に発展途上国等向けのプロジェクトに対しまして米国輸出入銀行と我が省の貿易保険が協調して信用供与を行うということで合意をいたしておることもございます。また、協調信用供与につきまして代表的な形は、米国輸出部品については米国輸銀が、日本輸出部品については貿易保険がリスクを、負担を行うものであるというふうに承知をしております。
 また、近年、本邦企業は国際的なプロジェクト率先者としての役割を求められておりまして、同一プロジェクトにつきましても、本邦以外の国から輸出される部分があるときも、本邦企業が仲介貿易により取り扱う場合は貿易保険によりリスク負担を行うことが可能でございます。本協調のプログラムにおきましても、かかる仲介貿易について一定の額の保険引き受けを行っているところでございます。さらに、本邦企業が行う仲介貿易の形態であれば、アメリカの輸出部分につきましても貿易保険の付保が可能であるが、現在までには本協調プログラムにおきまして貿易保険がリスクを負担した米国輸出部分はほとんどございません。
 いずれにいたしましても、貿易保険においては、仲介貿易の場合であっても、当該仲介取引を行う本邦企業、被保険者として本邦企業の負担するリスクをカバーしているところでございます。
 また、後段の部分の、ヨーロッパからもそういう声があることは私も承知もいたしておりますし、私自身も一月、日本・EC閣僚会議に出席をいたしました際、直接そうした声も聞きましたけれども、私どもとしては米国偏重という形はとっておりませんし、すべて、いわゆる政府調達にいたしましても、あるいは民間の輸入にいたしましても、また輸入促進のそれぞれのいろんな我が省の対応もそれぞれ内外無差別であり、透明性がしかれておるということは、努めて理解を求めてきておるところでございます。
#9
○小沢(和)委員 日本が貿易保険の適用を引き受けるようにした結果、アメリカの途上国輸出などが大きく伸びたとしても、肝心の日米間の貿易不均衡、アメリカの対日赤字は何も減りはしません。だから、アメリカが今後もこの赤字解消のために日本に圧力をかけてくることにはいささかも変わりがないと思います。
 結局、この仕組みはアメリカヘの御機嫌取り以外には余り意味がないのではないか。途上国への輸出はリスクが高いので、今後当然アメリカのために莫大な保険金を支払うことになるのではないか。二点お尋ねします。
#10
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど大臣からもお答え申し上げましたけれども、発展途上国の大きなプロジェクトに対して、日本の貿易保険とアメリカのEXIM、輸出入銀行の輸出信用とが組み合わされるという点につきましては、これは先生現実問題として、今、世界の発展途上国のビッグプロジェクトというものについては、それを、プライムコントラクターあるいはそのマネージングをする企業というのが世界じゅう一番安いところから部品を持ってきて、それで我が国の得意分野と組み合わせて、発展途上国に産業技術を上げていこう、こういうような、まさに世の中ボーダーレス経済に入っていっておるわけでございます。
 そういうことから、例えばインドネシア等々で発電所を行う場合には、アメリカのタービンが最もすぐれておりますからそれが出ていくし、それから日本からはボイラーその他の周辺機器が出ていく、それらを組み合わせる、そういうのを本邦の最も有能と思われる商社その他が全体をマネージングする、こういう実態に応じて最も効率的にやるのがいかがか、こういうことでやっておるわけでございます。
 そういうことで現在行われておりますものの大部分が、我々の貿易保険と、アメリカから出る分についてはアメリカのEXIMが輸出信用を与えておる、それの協調になっておりますけれども、それ以外にも第三国から出るものについては我々の仲介貿易保険が関与しておるという部分がございます。
 それから、もう一つ申し上げなければいけないのは、いわゆるアンタイで行っているのがございます。例えば、メキシコのペメックスなどに日本がアンタイの事業資金を貸し付けておりまして、それのアンタイでございますから、相手国のペメックスが石油を掘削するときに必要な資機材、そういうものを彼らが、アンタイでございますからアメリカから機器を調達するということは重々ございますし、そういう分野というのは非常にアメリカのすぐれた分野でございますから、十分それはそれでメキシコの発展に役立っているんだろうと思います。
 そういう点につきまして、ボーダーレス経済に合ったような形で今世界の発展途上国に対して貢献をしていっているわけでございまして、こういった協調体制というのはアメリカにおきましても議会筋から大変高く評価されておりまして、その限りにおいて、本件についての非難めいたものはございません。また、日米間でいろんな貿易問題があるというのは、これはこういう第一、第二の国でございますから、日々、日常問題として種々の摩擦は出てくるでしょうし、貿易黒字問題については、先ほど申し上げましたように、昨年来万般の内需拡大策その他を講じているところでございまして、それはそれとしてやるべきことはやらなければいかぬ、こういうふうに考えております。
#11
○小沢(和)委員 いろいろ附属した話はいいんですよ。私が一番関心を持っているのは、日米間の貿易不均衡を解消することには、この措置は直接役に立たないでしょう。アメリカが幾ら高く評価して御機嫌がよくなっても、アメリカから見て日米間の赤字が減るような状況にならなければ問題解決しないのでしょうと言っているわけですよ。
#12
○渡辺(修)政府委員 日米間で四百億ドルを超える非常に大きな黒字が出ておりますから、それに対して、この貿易保険で今まで協調で行ってきております実績というのが、プロジェクト自身で過去二十件、約六十二億ドルぐらいでございますから、それ自身が直ちに日米間の貿易赤字解消に結びつくかという点については、これは必ずしもそのように直結して申し上げることはなかなか難しいかと思います。
 しかしながら、こういう形で日米間で率先して、プロジェクトが動くことによってアメリカの輸出が出ていくことは事実でございますし、日本が貿易保険で協調しなければ、EXIMだけでは出ない、そういう世界の発展途上国のプロジェクトの実態になっておりますので、その点においては極めて、アメリカからの機器の輸出に間接的に貢献していることは十分説明できると思います。
#13
○小沢(和)委員 だから、私が言っているそこが大事だと思うんですね。
 それで、アメリカの輸出に対して日本が貿易保険の適用という形で協力をすれば、これは発展途上国への輸出ですからリスクが相当にある、そうすると貿易保険の赤字をいよいよひどくするということにこれはつながってこざるを得ないと思うんです。私は、今貿易保険は非常にピンチだし、これをますますひどくするようなことをやってはならないのじゃないか、今貿易保険にとって必要なのは再建の方向を明確にすることだというふうに考えます。
 そこで、次の問題に移りますが、貿易保険赤字の最大の原因となっている債務国の支払い繰り延べ、いわゆるリスケジュールの見通しと、これへの対応であります。
 この問題で、昭和五十九年三月の当委員会で私が質問したとき、杉山貿易局長は、「債務繰り延べによります保険金の支払いの場合には、国と国との約束によりまして、一定の期間たちましたら、その債権は支払ってくるわけでございます。」「当面の資金繰りとして借り入れはいたしますが、中長期的には収支採算は依然としてとれている」と述べ、さらに「私どもの試算によりますと、五十九年度と六十年度が借入金がピークになる時期と考えておりまして、」「六十二年度以降になりますと単年度の保険収支は急速に改善に向かっていくという結果が得られておる」と答弁しております。
 それに対して私は、「累積債務問題というのは発展途上国が簡単に乗り切れるような問題ではない。むしろさらに深刻化をしていく。したがって、リスケの続発はもちろん、再リスケといったようなことも起こってくる」と警告をいたしました。その後の数年間の経過を振り返ってみれば、まさに私が警告したとおりになっているのではありませんか。
#14
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘ありましたように、五十九年三月の国会における答弁、やりとり、私つぶさに拝見いたしました。今先生の御指摘のあったような答弁を、時の貿易局長はいたしております。これは一九八四年でございます。
 それで、非常に不幸なことは、実は発展途上国の累積債務問題というのは、八五年以降さらに深刻化が一段とふえまして、当時は十五カ国程度であったリスケ国が、その後三十三カ国にふえる、さらにその三十三カ国のうち、リスケ交渉はしましてリスケを結びましたけれども、再リスケをしなければいけないという国が、アルゼンチンとかナイジェリア等二十カ国程度さらに出てきたというようなことでございまして、このときの見通しというのが、その後の急速に悪化する累積債務問題で大幅に狂っだということは先生今御指摘あったとおりでございまして、これに対して我々は、大変苦しい貿易保険特別会計の収支で対処してきたということでございます。
#15
○小沢(和)委員 当時そういうことが見通せなかったわけじゃないんですよ。だから私は、そういう根拠に基づいて、泥沼化するということを警告を発したにもかかわらず、五十九、六十年がピークでその後は改善するというようなことをあなた方が言われたわけであります。
 それで、今三十三カ国がリスケを受けている。そして総額は、これは当局からいただいた資料では一兆二千三百七十億円というふうになっております。ここ三年だけを見ましても、平成二年十カ国、三年九カ国、四年十二カ国と、新たなリスケを認めております。リスケ問題は山を越えたようなことを言う人もおりますが、今後もまだリスケ問題は深刻な状況が、こういう状態だと続くのではありませんか。
 それから、我が党は債務国の実態を無視して回収を強行せよなどとは申しません。債権回収不能として処理すべきケースも生まれると思います。当局の資料では、ポーランド、エジプト、最貧諸国などで三千七百億円の削減をしたとありますが、一兆二千三百七十億円からこの額を引いた残りは確実に回収される見込みがあるか、お尋ねをします。
#16
○白川政府委員 まず、これまでに実施されました、パリ・クラブによりますリスケジュールに伴います保険金支払いでございますが、これは平成二年度に千四百九十一億円、リスケに伴って保険金支払いを行っております。これが過去最大、ピークでございまして、その後、平成三年度、平成四年度は、それぞれ千四十一億円、八百三十一億円と、保険金のリスケに基づく支払いはかなり急速に減少をしてまいっております。平成四年度の八百三十億円という支払い規模は、ピークであった平成二年度の約半分になっているわけでございます。
 片や回収の面でございますが、平成二年度、平成三年度はリスケ関連の回収がおおむね両年度とも三百億円程度でございましたけれども、我が国貿易保険が最大のリスケ債権を持っておりますところのブラジルとのリスケ交渉が幸いにも本年に入りまして妥結いたしまして、それに伴う回収が平成四年度に行われました。それで、それを含めますと、平成四年度全体の回収が千六十億円と、これまでの三倍ぐらいの規模になりまして、これまた過去最大規模の回収金を記録いたしているところでございます。
 委員お尋ねの今後の見通してございますが、御指摘のとおり、累積債務問題の帰趨、これを正確に今後見通すということは、世界の政治経済状況の動向に大きく左右されますので、なかなか難しい面はございますけれども、リスケ関係の保険金支払いを現在ただいまの可能な限りの材料で私どもが判断しますところでは、旧ソ連邦関係のリスケに伴う保険金支払いというのは出てまいると思いますけれども、総じて見ますと今後着実に減少してくるのではないかというふうに考えております。また回収金につきましても、平成元年度来、債権代位とか、あるいは回収を図るための特別の財務室という機構をつくったりして努力をしておりまして、今後とも最大限の回収努力を行って確実な回収を図ってまいりたいと存じております。
#17
○小沢(和)委員 このリスケの処理のために膨大な借り入れが必要になったわけであります。調査室の資料を見ますと、平成五年度で八千三百六十億円、支払い利子三百八十億円となっておりますので、ほとんど年間の保険料収入に近い利子を払わなければならない状態になっている。これはまさに危機的だと思うのです。この状況を救うために、ここ数年、莫大な政府の出資が行われております。これも調査室の資料では、平成五年度で累計二千百九十二億円余となっております。こういう状況を打開をしていくためには、私は保険料の値上げはもう避けられない問題になっているのではないかと思うのです。
 昭和五十九年にも私は保険料の値上げを提案いたしました。その後昭和五十九年九月、平成元年四月、四年四月と値上げをしたと伺っております。ところが、私が当局の資料で計算してみたところ、不思議なことに昭和六十一年度○・四六%、六十二年度〇・四〇%、六十三年度〇・二五%、平成元年度〇・一九%、二年度〇・二〇%、三年度〇・一六%と平均保険料率は下がり続けているのであります。値上げしても、しても下がり続けるとは一体どういうことなのか、明らかにしていただきたい。
#18
○渡辺(修)政府委員 保険料値上げとそれに伴います保険料収入との関係の今のお話でございますが、我々、保険料の実収入を上げますために、一連の保険料値上げを行いますとともに、あわせていわゆる包括保険、つまり選択的にある地域あるいはある貨物だけをその保険に入るということじゃなくて、でき得ることならば、ある貨物については包括的に保険に入っていただく。そういたしますと、保険に入る方も楽でございますし、逆に処理する方も楽でございますから、そういう包括保険制度というのを駆使いたしまして、それを非常に民間の保険業者の皆さんにお願いをしたわけでございます。
 そういうことで、特に平成元年あるいは平成四年、その両方の保険料値上げ時には、例えば自動車等におきましても、必ずしもリスクの大きい発展途上国のみならず、例えば北米向けも含めまして包括的に入っていただく、こういうようなことが行われましたものですから、したがってそういうところの保険料というのは、先進国というのは保険料、比較的安うございますから、そういうことの両方を含めまして包括保険を駆使するがために、全体の実収を上げながら、しかしながら付保に対する保険料収入の比率というのは、今の先生おっしゃったような形で推移しているというのが実態でございます。
#19
○小沢(和)委員 だから、世間の手前、赤字だから値上げするといって打ち出しておきながら、包括保険などというようなものを使って、実際にはどんどん値下げをしている。こんなばかな話はないということを私、申し上げておきたい。これでは問題、解決しません。
 先日の審議の際、当局は、日本の保険料率はOECDの分析では若干低い国にランクされていると答弁をされましたが、これも納得できません。当局の資料では、一番高いのはドイツ二・七五%、次いでフランス一・一二%、イギリス一・〇二%、アメリカ〇・五四%。これと比較して日本の〇・一六%は飛び抜けて低い。日本はドイツの十分の一以下、アメリカと比べても三分の一以下、世界一低いということではありませんか。
#20
○白川政府委員 ただいま委員御指摘のデータ、私どもも手元に持っており、承知いたしておりますが、これはOECDの輸出信用保証会合事務局が作成いたしました保険料収入全体を引受保険価額で割った率であろうかと存じます。そういった指標で見ますと、今委員御指摘のとおり、主要国の中で日本が一番低い状態になっているのは事実でございます。ただ、これにつきましては、引受保険の構成によるところが非常に大きいわけでございまして、先ほども一部局長から御答弁いたしましたけれども、我が国の保険種の構成割合として非常に極立った特徴がございます。
 それは、第一は、他国と比べて短期の保険の割合が多いということでございます。
 具体的に数字で申し上げますと、日本の場合短期案件の割合が全体の九五%でございますが、他国はそれがおおむね六割から七割というふうに低くなっております。保険の料率と申しますのは、期間が長くなれば長くなるほど返済のリスクが高まりますので、期間が短ければ保険料が割安となり、長くなれば保険料が割高になるわけでございますから、短期案件の割合が多いということは、そのこと自体全体の、先ほど申しました統合された形での指標をとってみると、値が低くなる方に働くわけでございます。
 それからもう一点は、先ほども御答弁いたしました包括保険の利用の割合でございます。
 これも、我が国の場合、総保険価額の九八%が包括保険の利用によるものでございますが、主要先進国は、これまたその割合が六ないし七割ということでございます。包括保険につきましては、これは被保険者が選択するのではなくて、先進国も自動的に付保の対象、保険を掛けていただくということになりますので、平均いたしますと保険料が割安になる効果をもたらすわけでございます。
 以上二点の保険引き受けの構成上の特徴から、委員御指摘の指標は一番低いということになっておりますけれども、ただこの数字、それをもって直ちに保険料自体が主要先進国で日本が一番低いということではなく、やはり保険の構成する構造に由来しているところであるというのが私どもの認識でございます。
#21
○小沢(和)委員 数字は認めながら、実質的には否定しようとなさるわけであります。しかし、だれが考えても引き受けている額に対して保険料の、その割合で負担の率というものを考えて論ずるのは、これは当たり前のことだ。そのごく常識的な比較で見れば、これは何といっても日本が世界一安い。しかも付保率、これを見れば日本が今度は断然世界一つまり保険を掛けている割合ですね。こういうような点を考えてみても、今の貿易保険料というのは余りにも大企業に対するサービスが行き過ぎているのではないかと私は思うのです。
 それで、時間が来たようですから、私は最後に大臣にもう一度お尋ねしたいと思うのです。
 輸出をしたり、それから海外に投融資しているのは、今も言いましたようにほとんど大企業なのですね。貿易保険では資本金十億円までは中小企業として扱われるくらい貿易は大企業の世界なのです。その貿易保険を、保険料は世界一低いままにして、国民の血税を出資金などの形で二千億円以上もつぎ込んだり、金はどんどん貸し付けたりというようなことでは国民は納得しないと私は思います。一般の国民に関係の深い特別会計などは、赤字になるとすぐ値上げをしておるということも考えなければいけないと思うのです。この際、貿易保険の収支相償の原則、つまり独立採算制を貫いて保険料率を引き上げることを私は厳しく要求したいと思いますし、これが貿易保険本来の姿でなければならぬと思うのです。この点についての大臣の見解を最後にお尋ねをいたします。
#22
○森国務大臣 小沢委員から御指摘のとおり、貿易保険は収支相償で運営することが原則でございまして、近年のリスケ事故の増加等に伴います事業収支の悪化に対応するために回収努力の徹底、保険料の改定による増収等の自助努力を図ってきた結果、平成四年度につきましては事業収支の均衡が確実と見込まれるに至ったことは、先ほど事務当局から申し上げたとおりでございます。近年行われております一般会計からの資本繰り入れは、ポーランド、エジプト及び最貧国に対します債務削減に対応するとともに、貿易保険が今後とも引き続きその機能を果たすのに必要な財政基盤の強化を図るために行っているものでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも事業収支の補てんのための安易な繰り入れを行うことではなくて、収支相償の原則のもとに収支改善の自助努力を継続しつつ適切な事業運営を行ってまいりたい、このように考えております。
    〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕
#23
○小沢(和)委員 やめたいと思ったのですが、要するに保険料の引き上げが必要な時期ではないかと払お尋ねしているのですが、その点どうですか。
#24
○森国務大臣 委員からの御指摘の点、十二分に私どもも検討しながら適宜適切に進めていかなければならぬと考えております。
#25
○小沢(和)委員 終わります。
#26
○安田(範)委員長代理 川端達夫君。
#27
○川端委員 大臣よろしくお願いいたします。この法案の提出の背景、提案理由の説明等々にもお述べになっておりますが、世界、特に途上国に対して資金還流の必要性が非常に大事であるということが述べられておりますが、この点についてひとつお尋ねをしたいと思います。
 日本からの資金還流というのは大きく分けて、一つはODAで行うもの、もう一つは民間資金。この民間資金の中に民間の直接投資と民間の貸付金、こういうふうに分類されるのではないかと理解をいたしますが、通産省の説明では、ODAは順調に政府の方針として伸びを堅持しているけれども、民間資本の伸びが減少しているから総額としてやや減少ぎみである。この理由というのがその一つにいわゆるカントリーリスクのヘッジがあるのでこの法案によってそういうカントリーリスクを保険によって政府が軽減し、支援をしていく、こういうことで今回の法改正が提案されたというふうに理解をしております。
 そこでお尋ねしたいのですが、この貿易保険法の適用というものは、いわゆる経済的な側面でこういうものというある幅、縛りというのがございますが、経済的な側面以外に、規制というのですか縛りというものは何かあるのかどうか、法律で規定されているかどうか、お尋ねしたいと思います。
#28
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 貿易保険につきましては、法律上、適用国あるいは適用案件について特段の、今先生御指摘にあったような縛りというのは設けてございません。
#29
○川端委員 いわゆる保険の適用に関しては、経済的な条件というのですかそれ以外にはないというのがこの本来の姿であります。一方、ODAを我が国が行うというときにはODA四原則というものがあります、指針というのですか。一つは軍事支出の動向、二つ目に大量破壊兵器、ミサイルの開発、製造の動向、三番目が武器輸出入の動向、四番目に民主化促進、市場志向経済導入、基本的人権の保障等を十分に勘案するというのがODAを行うときの、これは基本的には経済的な側面ではない部分で、このODAというのはこういうことを考えながらやらなければいけないという指針があるわけです。
 そういう意味で、この貿易保険法はこういう側面が何もない。ということでODAとは性格が違うものだという認識で、民間資本だから違うといえばもちろん違うのですが、この点に関してはどういう整理をされているのかについてお尋ねしたいと思います。
#30
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 まず、貿易保険というのは、先生今おっしゃいましたように、一義的には民間のイニシアチブにより行われる対外取引のリスクをカバーするものでございまして、先ほど先生おっしゃいましたODAとはそこで性格が異なっております。また、その限りにおいてODAの指針というのが直接適用されるものではございません。しかしながら、我々、国別の引き受け決定方針に際しましては、個別審査案件について慎重にこれをチェックするために、省内にカントリーリスク委員会というものを設けまして、そこで国ごとに各種のリスクの度合い、しかもその性格、内答等について非常に慎重な審議をいたしておるわけでございます。それで、個別に判断をしておるわけでございます。
 そうした過程におきまして、例えば先ほど先生、御指摘ありましたけれども、ODAに関する四つの指針でございますが、一、二例を挙げますと、例えば環境につきましては我々は現地の環境基準についてそれが満たされているかどうかという点は、相手国の責任当局にしかるべく申請者に対してそれを確認するようにさせておりますし、また、例えばでございますが、先ほどおっしゃいましたODAの中の、基本的人権等が抑圧されておる国、そういう国につきましては、そういう国が他の諸国あるいはマルチの国際の社会の場においてどういうふうな援助なり、あるいはそれに対する経済的なサンクションが行われておるのかといったような客観情勢もよく見てとりまして、それを判断した上でカントリーリスク委員会で広い意味のカントリーリスクという意味でチェックしておるということでございまして、実質的には、今先生御指摘のあった四つの事項についてもそれなりに我々は十分目配りをしておる、こういうことでございます。
    〔安田(範)委員長代理退席、竹村委員長
    代理着席〕
#31
○川端委員 今のお話ですと、個別にいろいろな運用の部分で御配慮されているというふうに受けとめたのですが、今回の予算案でいわゆる貿易保険特別会計繰り入れというので二百二十八億円の予算が計上されている、そういう中で、別の資料でいいますと、通産省ODA予算の概要ということで平成五年度予算貿易保険百三十二億円、こういうふうに入っている。これは二百二十八億円のうちの百三十二億の貿易保険の分は、いわゆる勘定の仕方としてODAの枠という部分の性格を持っているということで書いておられるのだというふうに思いますが、そういう部分では国際的に見てODAと全く無関係というものではないという性格を貿易保険が持っているということ、まさにこの数字でも実態をあらわしていると思うのですね。
 そういう中で、ODAというのはいわゆる四指針ということで非常に厳密な運用というか指針を持っているときに、貿易保険という性格で、ODAの性格を持っていながら貿易保険という枠では基本的には、一番初めにお尋ねしましたように、経済的な側面で運用できるという性格で、ODAとは別なんだという形で存在をしている。実態は、個別の運用としてそういうカントリーリスクなんかを配慮しているのだとおっしゃるけれども、私はそれで中身としてはということで一生懸命やっておられるのは理解いたしますが、もう少しきちっとするものを持たないといけないのではないか。民間資金を保全して資金還流を図るということは大変重要ですけれども、ODAに関係するものを持っている以上、無原則なやり方というのは排除されるべきだし、配慮するだけでなくて、もう少し指針というふうなものを明確にされる必要があるのではないかというふうに思うのですが、こういう貿易保険とODAの関係の、今の実態は今お伺いしましたが、これからもう少し明確にすべきではないかということに対して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#32
○森国務大臣 いろいろ細かな具体的な例も挙げて御指摘をいただきました。貿易保険は、政府がみずから譲許的な条件の資金を貸与するわけではございませんで、一義的には民間のイニシアチブによりまして行われる対外取引についてのリスクをカバーするものでございまして、これは先ほど渡辺局長からも申し上げたとおりでございます。したがいまして、ODAの四つの指針などは直接これに当てはまるものではない。しかしながら、政府の公的保険を付保するものでございますので、この四指針で規定している事項のうち、環境への配慮や軍事用途への使用回避等、可能なものにつきましては貿易保険においても極力その趣旨に配慮した運用を行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#33
○川端委員 繰り返しになるのでもうやめておきますが、通産省の予算案の中でも貿易保険のうちの半分ぐらいはODAという枠ではめているというときに、原則的にはODAとは別だからODA指針には基本的に関係しないのだということは、ちょっとやはりおかしいのじゃないかなというふうに思っております。環境、人権、武器等々ということで御配慮いただいていることは承知いたしておりますが、原則としてこうあるべきだということにおいては、ODAの枠と同じような考え方をもう少し明確にお出しになるべきではないかという意見だけ、私は申し上げておきたいと思います。
 次に、保険の全体についてお尋ねをしたいのですが、いわゆる海外投資保険をつけましても、どういうときにどれだけ保険がおりるかということがある程度掛けた人たちも予測ができないと、保険ですから掛けた意味が余りないということに当然なると思います。そういう部分で、海外投資保険という部分は先が海外なわけですから、いろいろな技術的な問題を含めて、そして、その保険の対象になるというときは、いろいろな事態が発生したという意味では非常に難しい状況にあるということだと思います。この査定というのはどういうふうに行われるのか、そして、その査定の基準というのはどういう規定であるのか、そして、公開されているのかという点についてお尋ねをしたいと思います。
#34
○白川政府委員 今御指摘の海外投資保険も含めまして貿易保険全体の支払い保険金の査定につきましては、根源は法令、さらにそれに基づく約款の規定に従いまして厳正、公正に行っておりますし、かかる法令、約款は非常に専門的で、御指摘のようにこういった実務に携わっている方でないと、なかなかわかりづらいかもしれませんけれども、法令、約款はすべて公開させていただいております。これに基づいて査定をいたしているところでございます。
 なお、法令用語あるいは約款用語で非常にわかりにくい面もあることは事実でございますので、さらに市販いたしております手引き害あるいは解説書といったようなもので極力わかりやすく御理解いただけるような措置も講じているところでございます。さらに、それでもなおわからないというようなお問い合わせがございますときには、極力懇切に、個別にお答えいたしているところでございまして、今後ともそういった照会事項を中心にわかりづらい点を明確にしながら、手引き害あるいは解説書にそういった点を追加して一層わかりやすくしてまいりたいと考えているところでございます。
    〔竹村委員長代理退席、委員長着席〕
#35
○川端委員 少し旧聞に属する話でありますが、この貿易保険が非常に大きな関心を呼びました件として、いわゆるイラン・イラク紛争のときに日本企業が約三千億投資をしていた旧イラン・ジャパン石油化学事業というのがございます。これは貿易保険の対象額が千六百六十二億、そして関連五社がこのときに残存価額等を引いて保険請求したのが九百三十一億円、そして最終的に査定が七百七十七億円、こういうことがございました。そして、こういう査定が出たということで請求額の約二割減額ぐらい、八割ぐらい認められたということですね。これは報道によりますとですが、九一年八月十七日の読売新聞朝刊の報道では、「請求額に対し、査定で二割近く減額されたが、五社は、不服申し出をすれば、さらに解決に時間がかかることを考慮して受け入れを決めた。」こういうふうなことがあります。
 お尋ねをすれば当然、これは今お述べになった部分で適正に査定をしたからこうなったんだ、こういうことになるのであえて聞きませんけれども、請求側もそれなりにそういう法令等々、約款等々を厳密に計算をして請求を当然するものであります。査定が二割というのは相当違うなという印象を受けました。そういう部分で、万が一にも保険の財政、支払い能力というものがこういう査定とかに影響を受けてはいけないというふうに思います。そういうことはないと確信をいたしておりますが、若干気になりますので、この保険の財政状況というのはどのような状況かということだけお教えをいただきたい。
#36
○白川政府委員 お尋ねの貿易保険特別会計の収支の状況について御答弁申し上げます。
 この特別会計の平成三年度の決算が出ておりまして、最終決算に基づきます収支は、保険料収入が三百五十七億円、回収金収入が四百七億円という収入に対しまして、歳出たる支払い保険金が三千四百十九億円ということで、平成三年度につきましては単年度の赤字額が二千六百五十五億円、三年度末に資金運用部から借り入れている残高が六千三百七十八億円という非常に大きな額になっております。
 ただ、平成四年度につきましては、まだ決算の数字が出ておりませんので現段階では見込みの状況でございますけれども、第一の要素といたしまして、保険金の支払い額が湾岸関係の支払いが減るといったような要因によりまして平成三年度より大幅に減少する見込みであります。さらに、リスケジュールに伴います計画に沿った回収金でございますが、これはブラジルから多額の回収が見込まれております。さらに、昨年四月から平均三割の保険料引き上げを図っておりまして、それに伴う増収効果も見込まれまして、平成四年度の単年度の事業収支につきましては黒字が達成できることがほぼ確実な状態になっているところでございます。
#37
○川端委員 六十三年度が一千三十五億円の赤字、元年度が三百九十二億円、二年度が一千百五十一億円、今の平成三年度が二千六百五十五億円、平成四年度は何とか黒字が出そうだということですが、最近の国際情勢の中では不安定な要因は非常にたくさんある。ロシア等々へのいろいろな事業展開ということ等を含めますと、このまま黒字基調がずっといけばいいのですが、非常に不安な部分もたくさんあるというふうに思いますし、過去の例から見ても巨額の赤字を抱えていることも事実であります。そういう部分で、これから支払いというケースは相当予想としては、たまたま今回湾岸危機等の分で減ったけれども、ほかの地域においては、中近東だけでなくてロシアの問題を含めて、非常に不透明なところが多いというのが実態だと思います。
 保険の請求も当然ながら大型の部分が来る可能性があるということと、紛争地域の残存施設の査定をどうするのかというふうな、混乱の中での部分をどういうふうにするのかということ等々で、非常に危ないからといって付保に応じなければ保険の意味がないわけですし、逆にどんどん来るからというのでどんどんいけば、また財政的に破綻をしてしまうという非常に難しい状況に来ているのではないかなと思いますが、全体として、これからどういう展望でいろいろな状況に対応し、収支という観点から見て配慮されようとしているのか。展望についてお尋ねしたいと思います。
#38
○渡辺(修)政府委員 貿易保険の特別会計の収支状況について、その必要性等々について十分御理解いただきながら、それに対する今後の収支上の不安点等についての御指摘でございます。
 先ほど来御答弁申し上げておりますように、基本的には、八〇年代後半のリスケは悪化した大宗でございます。それは既にピークは越えたと考えております。
 二点目は、湾岸戦争に伴います支払い、これが平成二年、三年、四年と続きました。これも巨額でございましたが、これも過ぎたということでございまして、おっしゃるように、ロシアのリスクに伴います九三年度の支払い、これはまた出てまいりますけれども、湾岸戦争の平成四年度について支払ったものがゼロに減りますかわりにそれが入ってくるというような形で、全体として見ますと、胸突き八丁である特に平成二年、三年というところは越えだというのが我々の認識でございますし、かつまた各国の輸出信用機関の皆さんの共通の認識でございます。また、各国の輸出信用機関もほぼ我々と同じような巨額な赤字を抱えておるということでございまして、これは八〇年代後半からの大きな世界のうねりの結果であるというふうにお考えいただければ御理解いただけるのではないかと思います。
 しかしながら、そういう中で発展途上国の資金需要に的確にこたえていって、その工業化を支援していかなければいかぬという使命もございます。その過程におきまして、今回こういうことで民間資金の発展途上国への事業資金貸付保険を創設するわけでございますが、基本的な考え方は、カントリーリスクに応じまして非常に慎重な審査結果をしていかなければいかぬということで、まず一つは、国別にカントリーリスクにおいて相当細かい段階をつけまして、従来八段階にリスクを分けまして、それに応じて危ないところは保険料を高くするというような形できめ細かな我々の基準をつくってございます。そういったものをまずベースにいたしまして、かりまた個別具体的な案件に通じましては、例えば相手国政府のレター・オブ・ギャランティーが得られておるかどうか、あるいは新たに供与しようとする相手国産業、相手国企業がそれの生産品を確実に輸出できる担保がとれているかどうか、あるいはそれの輸出代金というものが確実に入ってきて、それについて確実にブロッキングアカウントをつくっておって日本に返済するようなスキームになっているかどうかということを個別に見まして、それに応じまして保険料を考え、また、相手、特に実施しようとする民間の被保険者との間で、てん補率においてリスクを負担する割合を変えていこう、こういったような非常にきめ細かなやり方で一つ一つ慎重にやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。非常に御指摘の点、まさにポイントでございまして、できるだけ発展途上国をサポートしてやりたいけれども、同時に貿易保険収支も十分考えていかなきゃいかぬ、そこの兼ね合いは大変我々苦労するところでございますが、今申し上げましたような基本方針で対処していきたいと考えております。
#39
○川端委員 ぜひともに、確かに難しい部分といいますか、保険としての財政というかバランスの問題と、それから本来の資金還流でそういう国にいろんな形でお手伝いといいますか支援ができるということとのバランスというのは、非常に難しい部分があると思います。ぜひともにきめ細かく運営をしていただきたいと思うんですが、それと同時に、この貿易保険制度ということでのもう一つの難しい側面ということについて大臣のお考えをお尋ねしたいんですが、この貿易保険制度というのは通産省がやっていることになっているわけですね。特会とはいえ通産省がきちっとやっている。そういう意味ではある意味で中身もよくわかり、先ほど局長言われたいろんなきめ細かい対応も保険を運用するに当たってできるという利点は、当然通産省が独自におやりになるというので、情報も含めて非常に細かくできるという利点はある。ただ一方、業界を管理監督される立場であるという意味は、一方でそういう保険支払いとかいうときにいろんな部分でそこに請求するというこの両方、指導監督される立場であり、中身も全部知られていて管理監督もされるというときに保険金もそこからいただくという部分で、業界としてこれを申し入れようと思っても何となく圧力は感じるというのが素直なところ、そういうものではないかなというふうに思うわけです。ですから、これはやっぱり通産省がそういう両面の立場を持ってやるという保険制度という部分で非常に難しい側面を持っていることはやっぱり事実だと思うんですね。そういうことに関してはこれからどういうことを配慮しながら、先ほどの御議論では何か独立さしたらどうだというふうなお話もありましたけれども、これまたいろんな問題がたくさんあるというのも承知をいたしておりますが、そういう部分でこの制度、大変大事な、海外の取引のリスクをカバーしながら、そして資本を含めた輸出を促進をしていくというその本来の目的を達するのに、通産省が両面を持ちながらおやりになるということに関してはどういうふうに認識され、これからやろうとされているかという基本的なお考えだけお伺いをしたいと思います。
#40
○森国務大臣 いろいろ御指摘を今御意見も交えていただきましたが、貿易保険が従来より国営で運営されているのではないか、こういうような御指摘であろうかというふうに受けとめました。貿易保険がてん補いたしますリスクは、外国貿易その他の対外取引において生ずる為替取引の制限等のリスクであり、このリスクは予見が困難であることとともにその与える影響が極めて大きいということから、通常の民間の保険によっては対応が困難な危険を保険する制度であるということ。二つ目には、カントリーリスクの評価、分析等は健全な貿易保険運営に不可欠であるが、その基礎情報は外務省、通産省、あるいはジェトロ等に依存する割合が大きい、そういうことが国営で運営されているというようなそういう主な理由であるわけでございます。諸外国を見てみましても、イギリスでは我が国と同様に政府自身が運営しているほか、欧米主要国におきましても引き受け方針、重要案件の引き受け判断等については政府みずから意思決定をいたしております。また、我が国の貿易保険制度は、包括保険制度の普及及びコンピューターの活用によりまして事務処理などは極めて効率的に運用をされております。したがいまして、貿易保険の運営主体を特に独立の公的機関として通産省から切り離すべきことが必要であるというふうには私どもは今は考えていない、このように申し上げておきたいと思います。
#41
○川端委員 時間が来てしまいました。最後に、この本来の趣旨というのは十分理解をしておるつもりでありますし、こういう一種の国営保険として累積債務の国等々の支援に資するという意味で非常に重要な役割を担っているということもそのとおりだと思います。そういう意味でその部分の保険の赤字分、まあ平成四年度は黒字ということでありますが、赤字がそういうことで出た場合の一般会計からの支出というのもそういう意味では国際的にも私は理解が得られる問題だというふうに思うんですが、一万日本から輸出が非常に多いではないかというふうに見られる国際的な環境も一方であるわけでありまして、そういう部分からいったときにこの貿易保険法の改正自体で国庫からどんどん支出をされているではないか、これは輸出の振興を、輸出奨励を政府のお金を出してやっているではないかという、ちょっと斜めから見たような見方で、ある部分で批判をされるということも私はあり得るのではないかと思う。今度法改正してどんどん政府が金を出せるようにやって、輸出補助金ではないかというふうな指摘がないとは限らないわけでありまして、こういう部分に関しては考え方としてどういう基本的な整理をしていくのかということについてちょっとお教えをいただきたいというふうに思います。
#42
○白川政府委員 今回新設いたしますものについてやや技術的になりますので、御説明申し上げます。
 昨年この海外事業資金貸付保険を創設する端緒となりました貿易保険審議会の議論の中でも先生御指摘のような懸念なり問題が指摘されまして、我が国の国際的な立場を考えますと、今回新設する海外事業資金貸付保険につきましては日本からの輸出に結びつかないアンタイドの貸し付けを対象としたものにすべきであろうという御議論をいただきまして、私ども今回お認めいただきましたらそのようなものとしてこの保険制度は運営してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、それ以外の輸出代金保険等々につきましては、確かに我が国の輸出と結びついた面はございますけれども、これは諸外国とも、先ほど大臣からも御答弁いたしましたが、国営ないしは国営企業で実施いたしておりまして、大部分の国につきましては収支損、赤字が出ますとその額は自動的に国の財政から補てんされるという仕組みになっております。それでない仕組みになっておりますのは特別会計制度をとっております我が国とイギリスでございまして、このような実態がありますものですから、しかもさらに補足いたしますと、八五年以降非常にリスケが頻発した結果、各国とも貿易保険制度は赤字になっておりまして、政府会計から多額のお金を繰り入れているというのが実態でございます、我が国のみではございません。かかる状況から、これまでも輸出補助金だというその指摘は受けておりませんし、私どもとしては今後ともそのような指摘はないと思っておりまして、仮にあった場合は十分反論可能ですし、反論していきたい、このように考えております。
#43
○川端委員 ありがとうございました。終わりにしたいと思います。
#44
○井上委員長 武藤山治君。
#45
○武藤(山)委員 きょうは共産党の小沢代議士、また民社の川端さんから具体的にいろいろ保険法の内容について質問がありまして大変勉強になったわけでありますが、貿易問題にかかわる保険の問題ですから、グローバルな大きな見地から日本の貿易問題について少し大臣と論争してみたいな、こう思っておるわけでございます。
 日本は貿易立国だというのは国民すべてが承知をしております。無資源国日本が生きていく道は、貿易しか冨をふやす道はない、この点はみんな共通をしていると思うのであります。しかし、それが余りにも突出をし過ぎて今世界からいろいろ批判を受け、日本の政府もあれやこれやいろいろ苦心をしているがなかなかうまい解決策は出てこない、これが現状だと思うのであります。
 私は、日本の外務省が三月九日の日に、アメリカのギャラップ社に委託をして世論調査をいたしたという報道を最近聞いたのでありますが、大臣は、その調査を委託し、結果が出たということはお聞きになっておりますか、おりませんか。
#46
○森国務大臣 承知いたしております。
#47
○武藤(山)委員 承知いたしておりますね。
 それを新聞報道で見ますと、日本は国際的役割を果たしていると思うかどうかという質問に対して、一般国民は四七%が果たしていない、さらに有識者の回答は、五八%の有識者が全く果たしていないと答えているのですね。国際的に日本の役割がアメリカからこんな状態に見られていることについては、あなたはこの世論調査は真実を意味していると考えるのか、その点ほどのように受けとめますか。
#48
○森国務大臣 世論調査というのは対象の、調査を受ける人の判断というのが的確に反映しているというふうに基本的にはそう認めなければならぬと思いますけれども、問いかけでありますとか、あるいはまたそのときの世界の状況あるいは国内の状況あるいは社会の事情、もっと細かく言えば、またそのときの本人本人、個人個人の環境、いろいろなことによって調査に対する答えというのはやはり変わってくるだろうというふうに思っております。しかし、基本的には、アメリカの日本に対する考え方といいましょうか、日本の見方というのは確かにこの数字に出てきておるというのが実態であろうというふうに私どもも承知をしておかなければならぬ、こう思っておりますので、絶えずそのことに対して日本の理解をしていただけるようにいろいろな努力はしていかなければならぬ、このように考えております。
#49
○武藤(山)委員 もう一点、不公正な貿易障壁を設けていると思うか設けていないと思うか、この設問に対して八〇%の国民が日本は不公正貿易障壁を設けている、こう答えているのですね、八〇%。それからもう一点、日本政府は補助金で輸出奨励をしていると思うか思わないか、これについては七六%の数字ですね。日本は政府が補助金で輸出を奨励しているという世論なのであります。
 この点については、渡辺さんもこの世論調査の結果、新聞報道見ましたね。あなた、この二点についてはかなり具体的なことに触れるものだから、この八〇%と七六%という二つの数字についてはあなたならばどういう反論をいたしますか。
#50
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 今の御指摘の二点、不公正な貿易取引をしているということと補助金輸出、この二点についてのギャラップ調査の数字を見まして、正直申し上げて私自身大変ショックであったわけでございます。
 それで、やや細かくなりますが、不公正貿易ということで従来外国から指摘がされる項目といたしましては、いわゆる関税障壁、それから非関税障壁、それから民間におけるいわゆる慣行、この三つぐらいがあると思うのでございますが、まず最初の関税でいきますと、平成二年度ベースで見ますと約一千品目ぐらい関税引き下げを実施いたしまして、現在我が国の平均関税率というのは二・一%になっておるわけでございます。アメリカが五・五%、ECが五・六%という数字でございますから、主要先進国の中では最も低い、こういうことになっております。
 また、非関税障壁につきましては、例えば一九六三年、我が国がまだ自由化の端緒についたころでございますが、残存輸入制限品目というのは百五十五品目ございましたが、現在農水産物について十二品目残すだけでございまして、これもよく先生御承知のとおり、農産品については主要先進国もいろいろなことが残存いたしておりますので、先進国に比べて特段のあれはないと思います。
 また、基準・認証とかあるいは政府調達につきましても、累次の各種のアクションプログラムによりまして内外無差別等々行ってきておりますので、私は、その点についての大きな問題はないし、むしろガットルール以上に透明性、あるいはスーパーコンピューターその他の輸入については、よりオープンに、よく広く公知するような周知徹底をしておる、こんな様子でございます。
 また、民間取引でございますが、これは日米構造協議の場でもいろいろ議論がございましたが、これにつきましても自由な競争が行われるように、かつまた公正なルールが行われるように、かつまた透明性と内外無差別を勧奨してきておりまして、少なくとも私どもは我が国のマーケットがあるいは貿易取引が不公正だという気は全くいたしておりません。
 さらに、輸出補助金に至りましては、これはウルグアイ・ラウンドの場でもいろいろございますが、事我が国に関しては全くそういう事例はないということでございまして、そういう意味で、それぞれのものにつきましては事務的には極めて明快なお答えができる、かように考えておるわけでございます。
#51
○武藤(山)委員 森大臣、今貿易局長が説明したように、私も大蔵委員をずっと二十年ばかりやってきたものですから、関税関係などにはかなり関心持ってずっとやってきたわけですが、私、先進国の中で比較したら日本ぐらい自由にどんどん開放し、自由化しているというのは大変珍しいと思うのですね。今の平均関税率にしたって、アメリカが五・五、日本が二・一という数字を見ても、日本が貿易障壁が大きいととやかく言われるゆえんはないのだ。だから、大臣は、いろいろアメリカとも折衝しECとも会議をやる際に、やはり具体的にそういう日本の立場というものを本当に勇気を持って披瀝しているのかどうか、そういう点、日本の経済外交にしても一般外交にしても大変控え目過ぎるのじゃないかな。アメリカに戦争で負けてその後またお世話になったんだからしょうがないんだといえばそれっきりなのでありますけれども、やはり独立国家であり、お互いが自由経済を堅持しようというからには、今のような具体的数字をきちっと閣僚はあらゆる会議で主張すべきだと思うのですが、いかがですか。
#52
○森国務大臣 今武藤委員から御指摘ございましたとおり、我が国ほど、そうした数量的な制限もございませんし、関税率ももう極めて低いわけでありまして、それに比べ、アメリカやECの方が高いというのも今事務当局からもお答え申し上げたとおりでございます。
 基本的にはやはり従来からの日本に対するアメリカ国民の一つの偏見もあるのかもしれません。しかし、逆にそれは日本のPR不足だ、また我々の努力も足らざるというところもあるかとも思います。しかしながら、このギャラップ調査の結果に見られますように、こうした日本市場の開放性等について必ずしも正しくない認識が出ておるということはこれはもう事実でございますから、これにつきましては極めて努力をしていかなければならぬと私は思っております。
 ただ、武藤先生おっしゃいますように、何か遠慮をしておるのではないかとかそのような御指摘がございましたが、まあ私のジェネレーションというか世代でいえば、ちょうど小学校の二年生のとき終戦になって、平和になってから、アメリカの産業の力強さ、偉大さなんというものを比較されたり車社会などを教師から教えられて、大変な国と戦争しちゃったんだなという気持ちがやはり我々世代はございます。そしてやはり我々は、そのアメリカやヨーロッパに追いつき追い越せという一つの努力目標をしてきた。逆に言えば、アメリカの立場からいえば戦勝国という立場があった。
 ちょっと長くなって恐縮ですが、私は常々、トルーマンから始まってずっと、先般のブッシュまでの世代というのは、まあ一時的にケネディーのような若い時代もありましたけれども、日本に勝った戦勝国という意識があって、またもう一つ、やはり世界で初めての原子爆弾を落とした、そういう気持ちもあり、日本に対し、ある程度日本が独立し、平和国家として大きくなってくれるように、やはりある意味で父親のような、あるいは兄貴のようなそんな気持ちで日本に対する責任も持っておられたと思うのです。しかし、クリントン政権になりますとまた全然、彼らが物心ついたときには既に日本は工業国家であり、大きな科学技術を持つ国だというふうに見ているというようなことから、日本に対する見方がやはりまた大きく変わってくるというふうに、時代の変化というものもやはり十分我々は理解をしておかなきゃならぬと思っております。
 そこで、大変恐縮で長くなりましたが、結論を申し上げますと、先般私はアメリカヘ参りましたときも、ゴア副大統領を初め関係閣僚には強く、今日の日本のいわゆる状況というものは、つまびらかに申し上げてまいりましたし、実はこれまだお配りしてなくて、委員長に御了解を得てこの資料をお配りをしたいと思いますが、日本語版にはなっておりません。これ、一日ぱらぱらっと見ていただきますと、いかに日本はオープンにやっているか、しかし、比較するとアメリカの方がよっぽど厳しいですよというようなことがわかるように、これはちょうど私が先般渡米する前に急いでつくらせたものでございまして、これを向こうの閣僚の皆さんに配ってまいりました。また、委員長、理事会の御了承を得て、ぜひお配りをさせていただきたいと思います。
 ただ、急いでありますので日本語版ができておりませんが、こういうものを彼らに見せましたら、彼らも見て、へえなんて言っておりましたけれども、そういうことを日本の通産省としても政府としても努力をしておるんだということをぜひ御理解をしていただきたいと思う次第でございます。
#53
○武藤(山)委員 大臣が、体も大きいし、アメリカ人に遜色がないから堂々と物を言うだろうとは思うのですが、この間自動車の部品の輸入について、アメリカはさらに延長せよと言うのを大臣が拒否した、こういう新聞報道を読んだときは、いや、なかなか通産大臣やるな、この姿勢を貫いて頑張れと陰ながら声援を送っている一人なのであります。やはりそういう毅然とした態度で物を言わなければいかぬなというのがきょう言いたい一つなのであります。
 そこで、渡辺貿易局長、不公正な貿易障壁八〇%という世論調査が出てくるその背景は何か。それはやはり日本の系列の問題ですかね。大企業は系列のそれぞれの中小企業、小会社に、自分たちの意図するいい品物を納期に確実に納めてもらって約束事がきちっと行われるという信頼関係、そういうものが日本の生産性を高め、いいものをつくっているのですが、これがアメリカ人から見ると、どうも障壁に見えてしょうがない、こういう感じでこういう数字が出てくるのでしょうかね、この八〇%は。
 それからもう一つは、先ほど川端さんか小沢さんが、やはり輸出に奨励をし過ぎている、保険も貿易保険に掛け過ぎている。特に貿易保険の中身を見ると、アメリカが圧倒的なんですね。あの数字を見ると、アメリカがもうダントツで、全体の半分近くがアメリカの保険貿易関係なのですね。こういうのを見て、政府が補助金を出して輸出を奨励しているという受けとめ方、誤解ですけれども、そういうものがやはり七六%という数字が高くなっている根底にある材料なのか、よくわからない。私もアメリカのことはよく知らない、イギリスのことはよく知らないと同じように、アメリカ人も日本のことはよく知らないというのは共通していると思うのでありますが、それにしてもこの数字はいかにもひどいという感じがするものですから、先ほどのように、こちら側の主張で障壁は何もないよ、しかし向こうがこういう数字が出るからには、何か気につくものが、心当たりするものがあるとすればこの辺かなというものは何があると、あなたの認識ではこんなものがあるいはそうかなという障壁と思われるもの、あるいは奨励と思われるもの、例えばどんなものが思いつきそうなものか。
#54
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 今ギャラップ調査の裏にある、つまりああいう数字の背景は一体どこにあるのだろうかという御指摘でございます。これはなかなか難しい問題だろうと思いますが、一つはやはり先生御指摘ありましたように、民間での取引の問題というところで、アメリカ流の取引とはやや異なった、つまり日本のマーケットに入るときの難しさというのを実感として今味わっており、それについてのある種の不満というのが出ておるというのは一つあると思います。
 特に先生よく御承知のとおり、アメリカの場合は圧倒的な国内マーケットでございますから、そういう意味で、輸出が海外に目が向いだというのは比較的近い過去でございまして、そういう意味で急速にアメリカの輸出は伸びているのですけれども、なかなか幅広く中堅企業あるいは中小企業の皆さんが輸出になれるというところまでいっておりませんので、そういう人たちが今日本に物すごい勢いでやってきていますけれども簡単に入れない、逆に日本の消費者はサービスその他の要求水準が非常に高いというところに直面しておる、そういう面があることは事実であろうと思います。
 ただ、この点につきましては、日本が諸外国に出ていく場合も同じでございますし、欧州のビジネスマンも全く同じ苦労をしておるわけでございますし、現に日本にもたくさん成功しておる人があるわけでございます。そういう人たちの不満というのは、成功している人は比較的サイレントパーソンでございまして、そういう要素が一つあると思います。
 もう一つは、貿易黒字の問題があると思います。原因はいろいろございます。例えば経済学的に言えば、アメリカの財政赤字が根源ではないとかいろいろございますけれども、報じられる、あるいはそれを非難される議会の議論あるいは新聞論調等を見まして、一般の国民というのは、黒字が減らない、あるいは、最近ますます拡大する日本というのは何か不公正なことをしておるに違いない、そういうパーセプションが芽生えてきておる、この二点が大きな点ではなかろうかと思いますし、特にそれについて我々が感じますのは、特にアメリカの場合は一般紙というのは、特にアメリカの地方に参りますとローカルな新聞でしか出ておりませんし、そういう意味ではワシントンの新聞がそのまま地方に転載されておる、こういったようなことで必ずしも実情、実態を知らないままパーセプションが先に走って醸成されていく、こういう要素が非常に多いのではなかろうかと思い、それに対する対策ということで、今まさに大臣が御指摘した、そういった日本に対する「神話と事実」こういうパンフレットでございますけれども、こういったようなもので根気強くパーセプションを変えていかなければいかぬ、かように考えております。
#55
○武藤(山)委員 この「神話と事実」これは私が通告したから、大臣、親切にきょう配ってくれたんだと思うのですが、私の通告の中で平成四年版不公正貿易報告書、通産省が出したものだと思うのでありますが、これは産業構造審議会ウルグアイ・ラウンド部会という名前になっていますが、これは恐らく通産省が刊行したものだと思うのです。これを読んで私は大変感心をして共感を覚えて、こういうことを閣僚がみんな頭に入れて会議には臨まなければいけないぞというのをこれでしみじみ感じたわけなんですね。そこで、これを英語版にしてアメリカの国会議員全員、EC議員、ヨーロッパの議員全員、さらに主な商社とか産業人に英語版にして配るべきだ。それを現在どのくらいやっているのか。私の質問をとりに来た若い者は、かなりやっていますと言うだけで中身はよくわからないのですが、この不公正貿易報告書の翻訳物を阿部ぐらい世界に配っているのか。わかったらちょっと教えてみてください。
 それから、政府としては、アメリカの新聞とかあるいは主な、これはと思う月刊誌などに、政府として実態をもっと知らしめるという広報活動ができないものなのか、やってはいけないのか、その辺もあわせてちょっと聞かせてもらいたい。大臣でも局長でもどちらでもよろしい。
#56
○森清政府委員 私ども昨年から出しました諸外国の不公正な貿易につきましての調査でございますが、先生からお尋ねのございました英語版にしてどの程度、諸外国に我が方の考え方を不公正貿易白書について周知徹底をしておるのかというお尋ねでございますが、昨年、産構審で白書が取りまとめられましたときに直ちに英語版を作成いたしまして、千五百部諸外国に配付をいたしております。
 また、あわせまして、ガットの事務局の方にも英語版を出しまして、私どもの考え方をきっちり説明をいたしております。
 この機会でございますので、先生から大変高い評価をいただきました私どものこの白書につきまして、一言だけ御説明をさせていただきたいのですけれども、同種のものといたしましては、御案内のように、アメリカのUSTRが毎年三月に諸外国の不公正な貿易慣行についての報告書を出しておりますし、また、昨年、ECからも対日について同種のものが出ております。私どもと大きく違います点は、私どものはあくまでも不公正という判断をするに当たりまして、ガットあるいはウルグアイ・ラウンドのダンケル・ぺーパーあるいは知的所有権でございますと例のパリ・コンベンションとかそういう確立された条約等々に準拠して不公正かどうかという判断をしておるところでございまして、そういう意味での、私どもは客観性を十分持っているものだ、その点、アメリカ、ECのものとは違うのではないか、それだけ自信を持って周知徹底に努めたい、かように思っている次第でございます。
#57
○武藤(山)委員 それはよろしい、大いに自信を持って。ただ、千五百部は少ないな。やはり一万部ぐらい印刷して、アメリカの上下両院全員、それから役所、EC、評議会、こういうところの議員に全部配る、一万部ぐらいはつくって、やはりECとアメリカに対しては教宣活動を徹底的にやらなければこの溝はいつになっても埋まらない、私はそう思うわけであります。
 そこで、次の質問は、大臣、一九九〇年の六月に日本とアメリカで構造協議の最終報告をまとめたわけですね。この構造協議の中で、日本にはあれしろこれしろと言って、最終出したときには二百何項目かの内政干渉にわたるようなことまで全部、公共事業は四百三十兆円やれの、内政干渉的なことをいっぱい並べて、日本側は日本側でアメリカの財政赤字を何とかしろ、あるいはまたもっと貯蓄率を高めろ、あるいは貿易赤字を減らす努力をせよ、そういう注文をつけてもブッシュ政権、四年間、目に見える効果のあることは何にもやらぬじゃないですか、アメリカ側は。それで、日本だけ責めてくるんですね。私は、悪い意味の民族主義とかそういう意味で言っているんじゃないですよ。日本が優越感を持ち、日本が絶対正しいという立場で物を言っているんじゃないのでありますが、どうもアメリカの言っていることは一方的な点が非常に多い。これについて大臣はどう考えていますか。
#58
○森国務大臣 先ほどから委員との間の議論の展開の中にございましたように、日本神話というような、やはり日本の国に対する正しい理解というのが行われていない。どちらかといいますと、貿易とかそうした産業、いろいろな面で日本より劣っているという言葉を申し上げてはいかぬのかもしれませんが、数字としてそう出てくれば、やはりそういう中で日本のいわゆる仕組み、日本の社会のあり方、そういうことに対してもいろいろと注文をつけてくるということになったんだろう、こう思います。しかし、そのことは、もちろんこれからの国際社会の中に生きる日本としては、そうしたやはり誤った理解があるということは、これは正さなければならぬことでございますから、正すべきことは正し、国際協調をしていく、また、日本として守っていかなければならぬ仕組みや風土、歴史や文化、これはやはりしっかり守っていって、相手にきちっと理解を得るということも大事だと考えております。
 ただ、ブッシュ政権下におきましては、それぞれブッシュ政権のいろいろな政治的な理由もございましたのでしょうが、どちらかといえば、そうした日本側からの意見に対して具体的に適切な対応をしたということは、実効としては上がってはなかったというふうに私も言えるんではないかと思います。しかし、繰り返し我が国政府は、また、私ども政治家の立場、国会議員のレベルでも、与野党通じてこうしたことをアメリカ側に指摘をしてきたはずでございまして、今回のクリントン大統領の新しい経済政策あるいは新しい政治を行っていく彼の考え方の中に、いわゆる産業の国際競争力をつけていくとか、あるいは教育に投資をしていくとか、また、財政赤字の削減を思い切って進めてきたというようなことで、かなりアメリカ側もそうした形で日本のこれまで主張してきたことについて理解をし、協力をしていこうという対応が見えているということは私どもとしても大変喜ばしいことであろう。そういう意味で、いよいよ日米間、しっかりと世界の経済のために、また、世界の果たさなければならぬような課題に対して協力をしていくという日米関係をますます強固にしていかなければならぬというふうに、私は一連のお話し合いをしながら、そんなことを思い、また、今委員の御指摘に対してそのような感想を申し上げておきたいと思います。
#59
○武藤(山)委員 貿易の問題で、アメリカの言い分は、輸出と輸入の差が余りにも大き過ぎる。アメリカの赤字をどこまで日本との関係で圧縮できれば日本たたきがなくなるのか、だれもこれ、答えが出せないと思うのでありますが、今一九九二年の貿易収支を見ると、東南アジアと日本の関係が四百六十九億ドル、日本が黒字ですね。それから米国が四百三十六億ドル、ECが三百十二億ドル、いずれも日本が黒字。合計千六十六億ドルの貿易収支の黒字ということが今日本の状況ですが、これ、大臣、日本は輸入と輸出が全くバランスするというところまで日本の経済構造というのは変えていけるかといえば、私はそれは難しいと思うんですよ。資源を買う国との関係は日本が赤字。だから、アメリカはもっとアメリカの赤字を減らすためには、石炭なり鉄鋼石なり油なり、そういう原材料を日本に国際価格で売れるシステムをアメリカが考えなければいかぬと思うんですね。日本は実際アメリカとは赤字になっているけれども、中近東、中東における油はほとんどアメリカのメジャーの油を買っているんだから、本来ならあの油の問題もアメリカの国際収支に入れるべきなんですよ。そうすれば、日米の関係は日本だけが圧倒的な黒字なんという計算にならないんですね、国際的な全体を計算に入れれば。ところが、メジャーの売った油はアメリカの輸出には計算に入れてない。だから、こういうことがいつまでも続いている。アラスカの石油なり鉄鉱石、石炭も、高いから買わないのでありますから、オーストラリア並みの価格にアメリカができるんなら、アメリカの石炭買ってもいいし、鉄鉱石買ってもいいはずなのでありますが、アメリカはそういう原料は余り外国に売りたがらない。ほかのものでペイして何とかバランスとろうというんですから、これは大変厳しい、難しい。だとすれば、どの程度まで日米の貿易赤字の圧縮ができればアメリカは我慢をするんだろうか。これは非常に難しい問題ですね。
 しかし、日本政府にとってはその点は大変重要な点なのであります。これは質問としてはちょっと大き過ぎて答えられないから質問にいたしませんが、いずれにしても、アメリカのとっている態度は自由貿易ではない、まさに管理貿易だ、私はこう断定します。その理由は、一つは、反ダンピング課税の乱用、これもひどいですね。ガットでは適当ないいことを言っていながら、自分の国では反ダンピング課税をへっちゃらに乱用している。これは今のアメリカの態度。鉄鉱輸入にダンピングの仮認定を既に十五カ国ですか、やりました。
 それから、カンター米通商代表部代表は、日本市場での米国製品のシェアに目標値を設けると言っているんです。アメリカの部品をこれだけは買えという目標の数字まで示して、日本を攻め上げようとしているんですね、新しい通商代表部の代表は。半導体はもう既にそれでやられて、日本側は、公約ではない、あれは期待数字だという程度なものが、アメリカ側は、あれは約束だ、これだけの半導体はどうしても買え、こういうことをもうやられており、さらに自動車部品の購入計画を一九九四年まで延長しろ、これは森通産大臣に無理難題をまた向こうが呼びかけたようですが、あなた断った。
 こういうように一つ一つ拾い上げますと、アメリカの言っていることとやっていることは全然違う。日本はノーと言ったときが本当はやることなんだ、ノーがイエスなんだなんて変なこと言ったりする、こういう感覚で他国の大統領に言うというような無感覚で、そして我々小さい国を――余り言うと民族あるいは人種差別みたいなことになるから言えないんですが、どうもそういう点が見え見えである、こういうアメリカの管理貿易体制に対してもっと的確に、世界の会議の舞台なり国連なり何か、サミットではけんかになってしまうんでしょうが、こういうアメリカのやっている管理貿易に対するおきゅうを据える方法というのはないものなのか。これはひとつ大臣、どう考えますか。
#60
○森国務大臣 いろんな国の行政、政治の仕組みにも、基本的にやはりベースとしてあると思うのですね。今、一連の指摘をされました事柄なども、日本の国の行政が進めていく海外との話し合い、あるいは国内政治。しかし、アメリカの場合は、議員がまとまりまして、そして議員立法で提案をするという仕組み。しかも、将来自由民主党と社会党さんもそういう方向に行くであろうと思いますけれども、アメリカの場合は個人個人の拘束はされないわけでございますから、民主党も共和党も一緒になって、自分たちの地域あるいは自分たちの擁護する産業に対しては立法措置をして、政府に突きつける。そういうことを政府がたくさん抱えて、政府自身も悩んでいるということも事実だと思いますし、最近そういうことが非常に顕著に出てきておりますのは、やはり十二年ぶりに共和党から民主党政権に移行をした。その民主党が、政権を奪回するために、選挙キャンペーンを通じて、かなりいろんな形で要望を受け入れてきている。あるいは選挙が終わりましてからも、いわゆるNECといいますか、経済のサミットを開いて、そしてそれぞれの今まで不満に思っておったことなどの要求を、クリントン政権はそれを受けて海外に対して、外国に対して対応していくというようなことなど、従来と違った政治的な場面の展開があるということが、こうした問題が非常に多く日本に対してしむけられているということだろうと思います。
 しかし、先ほどから委員から御指摘ございますように、やはり正しくないものについては日本はきちんとお断りしなければならぬし、さらに、これも自主的に二国間で、いわゆる円滑に、円満に話し合いをしていく、そして政府に対しては私どもはやはり冷静な対応をお願いしたい、これは政府にも議会側にも私どもはお願いを申し上げたい。それでもなお解決し得なければ、今おっしゃったように国連の場とか、東京サミットというものはないかもしれませんが、ガットの場というものがあるわけでございますから、この場で議論をして解決を図っていくということに努力していくことがやはり大事ではないか、このように考えておるところでございます。
#61
○武藤(山)委員 ガットの場で頑張るのが一番正しいと思うのでありますが、大いにひとつ気を吐いて頑張ってもらいたい、期待をいたしておきます。
 貿易局長、結局今の状況は、先ほど申し上げましたように一千六十六億ドルも貿易黒字だ。輸出を減らすか輸入をふやすしかないわけですよ、大ざっぱに言えば。その輸出を、今の日本の輸出額を減らせという要求については、減らせると考えるのか。もしアメリカがこういう形で管理貿易をどんどんやってくる場合に、アメリカに押しつけられてやる方がいいのか、自主規制をこちらから先手を打って、一定の、五年なら五年、その間に目標値はこの程度まで対米輸出を減らそう、そういう目標を業界に相談をさせて自主規制を強化するのがいいのか。それとも、アメリカに個々の問題で要求をされ、目標値を設けられ、いじめられるけれどもこの道を選ぶ方がよりベターだと思うのか。これが第一点。
 第二は、輸入をふやすといったって、大臣が一人ていっぱい物を買うわけじゃなし、国民が欲しがらないものを幾ら買えといったって、日本人は買いません。国民のニーズにこたえる製品をつくらないで日本に買え買えと言われてもこれは困る話なのでありまして、自由経済の原則は市場原理なんですから、市場は個々の消費者が物を買うか買わないかで決定されるので、いいものをつくって、安くてよくて、見てくれがよくて丈夫で長もちして、そういう生産の競争が自由経済の原則だから、だとすれば、私は、日本の貿易額を減らす、輸入をふやすといっても、なかなかそう簡単なものではないな、こう考えるのですが、そこらについて、貿易局長として日夜頭を抱えているんだと思うのですが、どんなことを今考えているか。
 結局、アメリカやECは、日本の輸出入がバランスがとれるまで日本をやっつけてやれという発想があることは見え見えなんですよ。今度次の質問に入るわけでありますが、ヨーロッパ議会の決定、そういうことを頭に置きながら日本の輸出と輸入のあり方を考えてみるというのは、どういうところまでが考えられるのか。渡辺さん、まだ局長になったばかりで勉強足らぬと言うかもしらぬけれども、あなた頭いいんだから、相当勉強していると思うので、蓄積の成果をここでひとつ発表してもらいたいのですが、どうですか。
#62
○渡辺(修)政府委員 現在我が国の貿易が抱えております一番深刻な問題といいますか、悩みにつきまして、正面からの御質問でございまして、大変ある意味では我々も模索をしておる分野でございます。ただ、基本的な考え方を申し上げれば、輸出について今どういう状況かといいますと、昨年、九二年の四月から九三年二月までの輸出というのが、我が国の輸出というのは金額全体で六・六%対前年度比で伸びておりますけれども、数量ベースで見ますと〇・六%減ということになっておりまして、一口で言うと、こういう国内不況期というのは昔は輸出というのは数量がラッシュしたのでございますけれども、現在はそこは数量ベースで見ますとむしろ横ばいないし微減ということで、高付加価値に伴って輸出が価格が上がっておる、こういうことが一つの特色でございます。
 それからもう一つは、アメリカも、半導体やコンピューターとかいわゆる工業先端部門の製品について、これを生産し、国内マーケットのみならず諸外国に売っておりますけれども、その根っこになります機械機器、あるいは主要な、要するに資本財、こういったようなものが日本から入ることが不可欠な状況になっております。我々、日米経済の融合化といいますか、インテグレーションというのですけれども、そういう意味で、日本からの優秀な資本財をもとにしてアメリカが立派な先端産業を育て上げ、それを欧州あるいは東南アジア等に売って、貿易、輸出を今急速に伸ばしておる、そういう状況でございます。
 したがいまして、基本的には、今の形で日本が輸出を抑える、あるいは抑えてくれという話自身は、そういう意味では、今の客観情勢を考えますと、諸外国からも現に大きな声では起こっておりませんし、またそういう形で対応すべき問題ではないのではないかというふうに私は考えております。
 他方、個別市場摩擦という点からいきますと、昔、集中豪雨的に輸出が出ればいけないということがよく言われました。そういったことで、我が国といたしましては、自主的に幾つかの品目、自動車を初めとして、工作機械とかフォークリフトとかいろいろやっております。そういうものについては個別品目対策としてケース・バイ・ケースで自主的にやらなければいかぬ分野があるいはこれからあるのかもわかりませんけれども、相対的に申し上げますと今のような輸出環境でございますから、客観情勢でございますから、私は輸出をマネージしていくという方向は正しくない方向ではないか、かように考えております。
 逆に今度は輸入でございますけれども、さすれば輸入を伸ばさなければいかぬということで、現在、我々大きく二つのことをやっております。
 一つは国内の需要の喚起でございます。これはアメリカの学者、その他いろいろおります。学者に言わせますと、日本の現在抱えておる黒字の七割とか八割というのはマクロ経済の問題であって、要するに国内の景気対策とアメリカの景気とのすれ違いとかそういった要因が非常に多いんだということを言われる学者もたくさんおります。私、その要因が一つ大きいと思います。
 それからもう一つは個別の輸入促進でございまして、先ほど来申し上げましたように、過去、累次にわたる市場開放をやっておりますし、それに加えまして、アメリカの輸出促進を全面的にサポートするために、先般の補正予算等で、ビジネスサポーティングセンターをつくるとか、あるいはジェトロの長期派遣員をアメリカに送って、中堅中小企業の輸出マインドを育成してそれを日本に入れてくるとか、きめ細かい、ありとあらゆることを今やっておるわけでございます。それによる直接貢献度というのはもちろん限界がありましょうけれども、そういったような日本の、あらゆる面で輸入促進のためのグッドウイルを見せるという要素もこれは必要不可欠だろうと思います。
 こういう二つの方向で、我々は、基本的には輸出というのは歓迎されている輸出であり、それをマネージするということではなくて、可能な限りの輸入促進で対応していくというのが基本方向だろうと思います。その意味で、我々はあらゆることをやりますし、相手国に輸出マインドの醸成もいたしますけれども、基本は日本の景気の対策であろうということで、これは、平成五年度の予算もお通しいただきましたし、あわせて、大臣を先頭に最後の国内対策について一生懸命今やっておるところでございます。
#63
○武藤(山)委員 十六日ですか、宮澤総理がアメリカでクリントン大統領と会談をすることになりまして、日本政府としては、この会談に臨む日本の政策を大統領に提示する、こういう報道がなされておりますが、総理大臣が大統領に提示する政策のうち通産大臣の所管と思われるものは何と何と何がある、協議をしたんだと思いますが、それをちょっと明らかにしてみてください。
#64
○森国務大臣 基本的には、やはり二国間のマクロの問題を両首脳が、政治的な問題あるいは経済的な問題、さらにまた二国間で果たしていく世界的な課題、例えばロシア支援、あるいは従来計画経済体制にありました国々に対する支援、さらに環境の問題、人口の問題、そうした問題を大きな、高い見地で両首脳がお話し合いをされていくことが基本だろうと思います。
 特に日米関係は、たびたびこの委員会でも申し上げておりますように、世界のGNPの四〇%、四割を超えております。そういう中で日米がより協力をし、そして良好な関係を築くことによって世界の経済が健全に発達をしていくということになろうかと考えます。また、そういう意味で、両国が絶えずさらに構築を進めていくことによって世界が繁栄をしていく、こうした角度からお話し合いをされていくべきものだと思います。ただ、それのまた基本的なベースになります二国間の貿易のインバランスを解消する問題でありますとか、あるいはまた個々の問題が出ておりますが、そうしたことなどにつきましては、私どもといたしましても先般渡米をいたしまして、それぞれ関係閣僚と両国の考え方についてお話し合いをしております。
 要は、先ほど申し上げましたように、大きな角度で世界的な展望をお話し合っていただくということが、基本的にはそれぞれ通産省が抱える問題への解決にもつながっていくものだ、このように考えております。
#65
○武藤(山)委員 今の答弁はちょっと森大臣としては点数低いな。もう新聞に出ているんだから、もうちょっと具体的に話していいんじゃないですか。
 新聞によると、「日本の国際貢献策を打ち出す意向を固めた。」一つは機動的な財政出動、内需拡大。これは自民党と十三兆円程度の補正予算、それから二番目、市場開放、三番目が政府開発援助、ODA第五次目標七百五十億ドル、その下に「貿易保険の拡充」と入っておるものだからきょうの質問項目に取り上げたわけでありますが、四番目が地球規模での資金・技術協力、五番目が対ロシア支援、この五項目を中心にしてクリントンと話し合う、こういうことが大きく報道をされておるわけでありますが、この項目を見ると、市場開放、開発援助、地球規模での資金・技術、対ロシア、これは一以外は皆通産関係にほとんど関連が深い項目なのであります。ですからこれは、通産大臣が、かなりこの内容について今から公約と受けとめられるような約束をすると、また結果で追及をされる、そういう代物が幾つがこの中にあるようでありますから、通産大臣としてはしかと目を光らせて、実行可能な範囲のことを言わせないと、また公約、約束違反という形で日本がたたかれる心配があるものですからこれを取り上げたのですが、大臣、ロシア支援という項目もこれは入っているのでありますが、通産省として、ロシア支援に今の自由経済の中で、しかも国はお金がなくて、借金は百八十六兆円、国債残高、利息だけで十三兆円。国家に物事をやれといっても金の出場がない。結局民間資金を活用する以外にない。そうなると、ロシア支援というのは結局民間資金でやれることを考える以外にないと思うのであります。私は渡辺さんが貿易局長に就任するときに、渡辺さん、これからは豆満江開発だのロシアの地下資源だのそういうものだけは貿易として大いに力を入れなければいかぬ課題でしょうな、局長になったらしっかり勉強してほしいよというようなことを言ったのを今思い出すわけであります。いずれにしてもロシア支援の場合には、石油、鉄鉱石、石炭、ガス、ダイヤモンド、そういう地下資源がいっぱいある国ですから、そういうものに限定をしてできるだけ貿易保険を適用していく。新聞報道によると、二十億ドルぐらいロシア支援を、そんなことを考えているという報道をちらほら聞くのでありますが、貿易保険でロシアに一応どのくらい枠を設定しようと今考えているのですか。
#66
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 対日支援に関する我が国のあり方、とりわけ民間資金を中心に貿易保険が、それが中心になるのではないか、こういう御指摘でございます。
 対日支援につきましては、今先生御指摘ありましたように我々の考え方は、もちろん人道的その他いろいろなことも必要でございましょうが、事経済の本質からいきますと、あの国が持っております石油、天然ガスといういわゆるエネルギーの産業、現在生産量が資材不足その他で随分落ちてきておりますが、これを強力にサポートして、まあ言葉は悪いのですがリハビリテーションをいたしましてさらに生産力をアップさせていく。それで稼いだ外貨を国内の経済再活性化にどんどん充当していく。そういう一種のターゲットインダストリーといいますか傾斜生産方式といいますか、そういう方式で対応していくことが最もロシアのためにもなり、また世界のためにもなることではないか。こういう考え方で、既に一昨年やりました対日支援二十五億ドルの中に、十八億ドルという貿易保険の輸出信用の枠を設定いたしておるわけでございます。
 その後のロシアとのいろいろな折衝によりまして、天然ガスにつきまして七億ドルの契約が成立いたしまして、これについては、そのうち三億ドル分に貿易を既に付保いたしまして、これが船積み準備が今進められておる、こういう状況になっております。早晩残りの四億ドルもやりまして、七億ドルの天然ガスは、これは貿易保険で物が出ていって、相手国の資材供給その他によってリハビリに貢献する、こういうことになると思います。
 あと七億ドルが、石油について今商談が行われておりまして、これにつきましては、いろいろな事情があっておくれておりましたが、ロシアから、石油につきましては七億ドルの信用供与をしましたときにそれの返済方式、これは保険でございますから当然代金回収その他返済がしっかりしていなければいけませんが、それについてロシア側といろいろな話し合いが行われてきております。方向として、先般世銀でも一種のエスクロアカウントという、ある一定の条件のもとにロシアが物を売って、石油を売って買った代金を特定の銀行に特別勘定として入れて、そこから返済に充当するというのを認めようという、そういったようなかなりといいますか相当確実な返済スキームが大体世界で認められることになるものですから、そういうことを通じてこの七億ドルも相当進むと思います。
 ちょっと長くなりましたが、そんなことで十八億ドルのうち、現在貿易保険関係、大まかに言うと十億ドルぐらい既に実施をしておるのでございますが、残りの八億ドルについてもできるだけ急いでいこうというのが既存の方針であります。
 あわせて、今先生御指摘ありましたように、これからの第二弾といいますか、これから今東京で行われようとする対日支援、それの形で、一体どういう形で、無償有償あるいはその他含めまして対日支援を行うかという点については、現在政府内で最終的な調整をいたしております。したがって決定までにもうしばらく時間がかかるわけでございますが、その中の大きな一つの視点として今先生がおっしゃったロシアのエネルギー産業の支援、それについて民間がお金を出して政府が貿易で付保していく、こういうのが一つの大きな柱になるのではないかというのは御指摘のとおりだと思います。
    〔委員長退席、安田(範)委員長代理着席〕
#67
○武藤(山)委員 ロシアに対する援助の仕方、協力の仕方は大変難しいと思うのです。二十億ドルの貿易保険で石油、ガスなどにまず手をつける。エリツィンは大統領として継続できるのかどうか。私は失脚すると見ておるのです。人民代表者大会がオールマイティーの権限を持っている憲法なんです。三権分立になっていないのですよ、ロシアの仕組みが。ですから、この人民代表が絶対権限を持っているああいう憲法でエリツィン大統領が何をやろうとしても憲法に反するという形でまたやられちゃう。恐らく二十五日の国民投票の結果有権者の過半数をとれなかったときにはもう議会から相当の攻撃を受けていたたまれなくなるであろうというのが私の見方なんですが、これは役所や大臣に答えろといっても、国際関係の問題ですから、エリツィンがもう失脚しちゃうだろうなんということは言えないから答えを聞こうとは思わないのでありますが。ただその場合に、今言ったような投資をしたときに政権がかわっても確実にとり得るという保証を、政権がどうかわっても大丈夫だというきちっとしたものを取り交わしておかないと大変危険だなということを痛切に感じておるものですから、保険に入れる場合にもその辺の契約書はかなりきちっとしなきゃいけないよということを言いたいわけでありますが、その辺は念に念を入れてやろうとしておるのですか、どうですか。
#68
○渡辺(修)政府委員 お答え申し上げます。
 おっしゃるように非常に重要な点、特に貿易保険の現在の特別会計の状況を考えますと、代金の回収について返済スキームをしっかりするということは一番重要なことでございます。
 そういうことで、先ほど例に挙げました天然ガスの場合にはブロッキングアカウントというものを設けまして、すなわち信用供与をした七億ドル分に相当する天然ガス、資機材を出しますけれども、それで天然ガスをロシアの場合には西欧に相当たくさんパイプラインで売っております。それで稼いだ外貨を、外貨割り当てを国内的にやっておりますけれども、それをガスプロムという公団に優先的に割り当てまして、それが、ロシアに設けます、一定の勘定をつくりまして、それについて返済日の六カ月前に必ず充当しなければいかぬ、それを東京からモニターできる、こういうような特別なブロッキングアカウントをつくりまして、それをロシアの政府がギャランティーする、そういうような形でつくったわけでございます。先ほど申し上げましたエスクロアカウントというのは、これはその後アメリカあるいは欧州、日本、そういったような信用機関がロシア及び世界銀行とよく話し合ってきたものでございまして、今のロシアにできたブロッキングアカウントに相当するものをもう少し今度はエスクロといってより強固な、極端に言いますと海外の銀行のどこかに入れようといったようなことになっておりまして、そういったような形で返済の確実性を確保しようということで今対応しておるわけでございまして、これによって相当今の一連の輸出信用供与が世界的にも進むのではないかと思っておるわけでございます。
    〔安田(範)委員長代理退席、委員長着
    席〕
 なお、念のためにもう一言申し上げますと、今申し上げた信用供与というのはいずれも輸出、物が出ていくことに伴います信用供与でございまして、我々専門語で言えばサプライヤーズクレジットでございまして、これについて、もし事故が起こった場合には、つまり返済期日がおくれた場合にはこれは政府間で責任を持って、パリ・クラブというところで先生よく御承知のとおりリスケの話をする対象の債権でございますので、そういうことで政権が将来どういうことになろうとこれはロシアという国がパリ・クラブにおいてきちっとリスケをしなければいかぬということでございます。ただ我々はそこまでいかないで、今の石油、天然ガスその他エネルギー産業のリハビリテーションをしっかりやって、今申し上げた幾つかのアカウントでしっかり返済スキームができるようにしたい、かように考えておるわけでございます。
#69
○武藤(山)委員 時間が大変迫ってまいりましたのではしょりますが、森通産大臣、一月でしたか、新聞発表でこれから資金還流を倍額にするという目標を掲げて大いに日本のもうけた金を世界に使ってもらうようにしようなぜ倍額なのかわかりませんが、その一環として、最近の朗報として新聞で、私、大変賛成であり、すばらしいことだから、ぜひ政府としてこれはやるべきだ、そういう立場で感じたのが、アメリカの「超高速鉄道日米で開発」「輸銀の融資も検討」「首脳会談で合意へ」という大きなプロジェクトの発表がありました。まさにこれは二十一世紀のアメリカの交通体系にかかわる大きなプロジェクトであります。この問題が一つ。
 それからもう一つは、通産省が構想を描いた「全地球の災害監視 衛星三十二基打ち上げ」「欧米と共国運用 途上国にも情報提供」「当初費用二兆円以上に」、これは通産省だ。この構想も至極よろしい。ぜひ実現をしてもらいたい構想である。
 第三、日本、中国、ロシアが鉄道整備、「経団連など 資金協力へ調査団」、これは野村証券の田淵節也さんが行って帰ってまいりまして、日中で合弁会社を設立、調印をして帰ってまいりました。この豆満江開発、日本海におけるアジアの最大の港をやがてつくろう、それのインフラ整備で鉄道がずっと吉林を通って黒龍江省を通ってモンゴルまで、モンゴルの物資が運べるという大変すばらしい大構想でありまして、これは国連開発委員会で採択になりまして、五千億ドルの巨大な投資をしてここの整備をやろう、国連でもこの大構想を打ち上げたわけでありますが、この三つのプロジェクトについて、日本政府としてどう取りかかるか、これは通産大臣の大きな構想力を実行に移してもらいたいという期待を込めて、まず運輸省から、アメリカの超高速鉄道網設置についての現段階と将来見通し、これについてちょっと説明してみてください。
#70
○三ツ矢説明員 お答え申し上げます。
 日米の運輸技術協力の現状と申しますか目的でございますが、御承知のとおりアメリカ政府は磁気浮上式鉄道等の運輸インフラ整備、それから、代替エネルギーを使用した自動車の開発等の環境対策を重要な政策として掲げておるわけでございますが、我が国としても多大な関心を有しておりますこれらの分野において、両国間で情報交換等を通じまして運輸分野全般の協力関係を充実するとともに、両国がより効率的にかつ安全な交通体系の整備に資するということを目的にしておるわけでございます。この協力関係を通じまして、私どもとしては多少なりとも日米経済関係の改善に資することができればというふうに考えておる次第でございます。
 なお、黒字還流策の一環としまして、米国の高速鉄道整備に対しまして日本輸出入銀行の融資が検討されておるという点につきましては、私どもも新聞報道等でこの情報に接しておるわけでございますが、これが私ども考えております日米運輸技術協力と直接にリンクするかどうかということは、現時点ではまだ定かではございません。ただ、一般論として申し上げますと、将来この技術協力の結果、米国において新たな鉄道整備プロジェクトが発掘されて、これに対する資金需要が出てくるということになりましたら、その点は可能になってくるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#71
○武藤(山)委員 貿易局長、豆満江の問題について合弁企業を設立したという報道がありますので、貿易局長の方ではどの程度まで実態を把握しているのか、豆満江開発について説明してください。
#72
○森清政府委員 お尋ねがございました豆満江流域の国際共同開発構想でございますけれども、UNDPから大きな構想が打ち出されたわけでございますが、本件につきましては、武藤先生御案内のように、北朝鮮の核不拡散条約からの脱退等の問題といった政治的に難しい問題がこのところ関連をしてきておるというようなこともございまして、具体的な進展は今のところ、はかばかしくは進んではいないという状況でございます。
 そういうことでございまして、当面、北朝鮮を外した地域を対象といたしまして、言いかえますと、中国とロシアの二国で鉄道を建設する、ザルビノ港まで引っ張っていくという計画を、いわば全体構想から切り離した形で進めようという動きがある、こういうふうに聞いております。
 今申し上げましたこの中国、ロシア間の鉄道建設につきまして、先生御指摘のございましたように、我が国の民間企業に対しまして応分の協力要請があったというふうに承知いたしております。しかしながら、本件資金調達の方法等詳細につきましては、まだ具体的には固まっていないというふうに聞いておりまして、当省として本件そのものについてどう取り組んでいくのかという点については、現段階では正確に申し上げる状況に至っていないというところでございます。
 本件はそもそも国連開発計画、UNDPにおいて検討が進められてきたものでもございまするし、今後の各方面での検討の状況を踏んまえまして、かつまた関係国、つまり、特に中国、ロシアといった諸国と我が国とのさまざまな関係、そういうものを総合的に判断いたしまして、私どもとしての対応を検討してまいりたい、かように思っています。
#73
○武藤(山)委員 君は勉強不足だな、全然情勢、新聞を見てない。僕が質問しているのは、新聞に基づいて事実を具体的に質問しているのだ。この新聞、はっきり読んでごらんなさい。合弁会社名は図們江開発実業有限公司、資本金二十万ドル、日本がそのうち四九%負担、会社の名前も出ておる。しかも、元の、田淵節也さんが行ってそこで調印をして設立したと新聞に出ているのだよ。これからロシアと北朝鮮がどうのこうのなんて聞いているんじゃないのだ。勉強が足りないね。答弁しなくてもよろしい。そんな答弁は聞きたくない。もっと勉強して、豆満江という日本海を隔てたこんな重大な地域で何が起こっているかぐらいは適切に勉強しておかなければいかぬですよ、役所は。
 いずれにしても、そういう大プロジェクトを大臣、これから手がけて資金の還流というものをやるということは非常にいいことだ、そういう例として今二つの、アメリカ国内の高速鉄道の問題と豆満江、さらに衛星の打ち上げの三つの問題はたくさんお金がかかるから、日本政府として十分関心を持って取り組むべきだ、こういう意見を述べたわけなんです。そういう構想を取り上げて大いに推進するという見解については、大臣はどう思うかを聞いて、時間でありますからやめますが、時間がな――ちょっと意見を述べてください。
#74
○森国務大臣 先般のこの委員会でも武藤委員から世界的なプロジェクト、たしかヒマラヤでございましたか、その山を治めるということは極めて重要だというお話がございました。昔でございますと奇想天外な話なのかもしれませんが、今ではそういう地球的な課題に日本が国際的貢献の見地から協力していくということもこれから進められていくことは間違いないというふうに私も共感を覚えております。
 ただ、先ほど武藤委員から最初に、資金還流の規模を倍増させると言ったがその真意はどうかというお尋ねがございました。今さら委員にくどくど申し上げる必要はございませんが、大幅な経常黒字を有する我が国としては、内需拡大、輸入促進に努めるということは基本的なことでございますが、発展途上国に対します円滑な資金の流れの確保を通じて国際貢献を果たしていくということが重要である、このように私は認識をしております。このため、新たな資金還流策の検討を私は提唱したもので、その際、従来進めてまいりました六百五十億ドル、一部ODAも含んでおりますが、アルシュ・サミットのときのものよりもさらに、今の日本の世界経済における枢要な地位を見て我が国が国際貢献を果たすに当たっては、今後少なくとも従来のものを倍にするようなものを考えるべきだ、このように、ちょうどヨーロッパに行っておりましたときに記者懇談の際申し上げたわけでございます。その後、総理からもそれに対しまして指示がございまして、関係省庁ございますので、その間で今検討を進めているところでございます。
 まだ資金還流計画につきまして具体的なものは成案を得ておりませんけれども、従来の計画は累積債務問題に対応していわば緊急避難的な国際収支対策としての資金を供給することが目的であったというふうに思っております。しかしこれからは、中所得国を中心として累積債務問題が改善しつつあることも考えてみると、広く途上国の経済開発、あるいは旧計画経済下にあった諸国の市場経済への移行にかかわる資金需要に対して、国際貢献の観点から新たな五カ年計画を考えていくべきではないか、このように私どもは考えるわけでございまして、いろいろ個別のお話がございましたことなども十分に検討の課題にしていくべきことであろう。もちろんそれぞれ当該の国の要求があっての話でございますが、考えていくべきであろう、このように考えます。
#75
○武藤(山)委員 最後の質問にいたしますが、円高の問題です。
 大臣も御承知のように、八日に欧州議会で対日貿易不均衡是正のための会議がありました。その会議で採択した対日貿易・経済関係決議の中で具体的なことを言っていますね。「日本の対EC黒字に強い懸念を表明した上で、具体的な是正策として対欧州通貨での長期的な円高誘導」、円高を誘導せよ、こういう文章が決議の中に入っているわけですね。これが二月八日の欧州議会の決定。そして二月九日にはバーグステン米国際経済研究所所長がやはり円高誘導の発言を京都でやりました。そうしたら、途端にその翌日から円高になってしまったのです。百二十四円が二月十七日には百十九円、一昨日は百十三円、昨日は百十二円七十七銭、目まぐるしく急激に円高になりました。
 この欧州議会の決議、通貨に対して圧力を加えるようなこういう決定をやられたのではたまったものじゃない。通貨は中立性を維持して、中央銀行の専管事項で、通貨の問題については余りとやかく言わないというのが物価安定上からも通貨の信頼維持のためにも必要であるという日本人の感覚から見ると、大変好ましからざる決定をした。その結果、今円高で日本は大変苦労しておる。この動向についてどう考え、そして円高は、経済のパフォーマンスが日本は特にいいわけですから、まだまだ円高に進むと見るか。人為的に中央銀行と政府の介入によってほどほどのところをいつも長く維持できるか。その辺の大ざっぱな感覚しか言えないと思うのでありますが、経済を預かる通産大臣として円高についての最近の情勢を加味した御意見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#76
○森国務大臣 二月の時点での円高というのは今委員から御指摘ございましたとおりでございまして、元来バーグステン氏は円高に対していろいろ関心を寄せておられ、また、そういう発言も強いわけでありまして、たまたま二月の初めに日本に見えました。そうしたことも一つの弾みをつけたと言えましょうし、もう一つは、G7が開かれるので多分そういうことが話し合われるのではないかということの思惑が当時走ったというのは、この委員会でもそうしたことを申し上げたと思っております。
 今委員がおっしゃいましたように、市場原理を通じてそれぞれの国の基礎的な経済条件が反映をしていくものでなければならないことは言うまでもないことでございますが、今回の円高の動きは、我が国の貿易黒字によりまして、四月十六日から予定されております日米首脳会談、あるいは今月末に予定されておりますG7などを控えまして、政治的な円高方向への為替の調整圧力が生じるのではないか、こういう思惑が依然として強く残っているということだろうと思います。さらに、それに加えまして、相場の需給面でも輸出企業によるドル売り圧力が生じていっているとの観測も出ているということもあろうかと思います。もう一つは、これは本当に皮肉なことでございますが、我が国の株式相場が堅調に推移をしているということがまた円買いへの安心感を生んだということでもありましょうし、きょう夕方には決定をいたします我が国の総合経済対策への期待が高まっていることなどを背景として円買いへの投機的な動きが活発化してくるのではないか、このように私どもは見ております。
 しかし、十二日の東京市場では再び最高値を更新したわけでございまして、日銀が介入を行った模様ではございますが、結果的には百十二円九十五銭という終わり値で最高値の取引で終わったわけでございますが、二カ月間で十一円以上も円高が進んでいるということは、私といたしましては、こうした動きについては余りにも急激過ぎる、このように考えております。特に、このように為替レートが思惑等によって短期間のうちに急激に変動することは、今景気低迷の中で一番苦しんでおる産業界全体に対して悪影響を与えるのではないかということを懸念いたしておりまして、今後ともこの為替レートの動向を注視してまいりたいと思っておりますが、こういう急激な変動に対しましては、各国との連絡を含めまして、通貨当局が適宜適切に対処されていくものであろう、このように私は考えておるところでございます。
#77
○武藤(山)委員 残余の五項目についての通告をしておきましたが、それぞれの担当官、恐縮ですが、時間がありませんので打ち切りたいと思います。
 ありがとうございました。
#78
○井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#79
○井上委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。小沢和秋君。
#80
○小沢(和)委員 私は、日本共産党を代表し、貿易保険法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 改正案に反対する第一の理由は、発展途上国等への資金還流を名目に、現在でも大企業に世界一有利な貿易保険をさらに大企業本位に拡充することであります。
 我が国の貿易保険は、中小企業の利用は通常の定義より広い資本金十億円以下に範囲を拡大しても金額で二・六%にすぎず、ほとんどが大企業の輸出入、海外投資にかかわるリスクを補てんし、支援する制度となっております。しかも米、英、仏、独の先進国と比較して、我が国の貿易保険は引受保険価額二十二兆円と抜群の規模で、保険収支赤字は二千六百五十五億円とこれまた群を抜いた大きさなのに、保険料率は○・一六%で米国の三分の一、ドイツの十七分の一と世界一低くなっています。他方、この貿易保険を維持するため、一九八七年度から九三年度までの七年間に一般会計から貿易保険特別会計に二千百三十二億円もの資本繰り入れを行い、資金運用部からの借り入れは九三年度には六千三百七十八億円にも達しているのであります。発展途上国への資金還流を名目にした改正案は、収支相償の保険原則を完全に無視し、貿易保険をさらに大企業本位に拡充するものであり、到底認めることはできません。
 第二の理由は、大銀行、大商社などのリスク負担を軽減し、その高利潤確保を支援することであります。
 新設される海外事業資金貸付保険を直接利用し、その恩恵を受けるのは大銀行、大商社などに限られています。我が国の大銀行、大商社は、それぞれ世界ランキングの上位を独占するほど国際的にも大きな実力を持っております。その社会的、国際的責任からしても、みずからの責任で発展途上国への応分の資金還流に協力するのは当然であります。しかし現実には、みずからの高利潤確保のために発展途上国融資を抑え、逆に引き揚げてさえいます。法律を改正してまでこうした身勝手な大銀行、大商社などのリスク負担を軽減し、その高利潤確保を支援することは断じて許されません。
 第三の理由は、異常な貿易黒字をもたらしている我が国大企業の輸出ラッシュを前提に対米公約に基づいて米多国籍企業の輸出拡大、利潤追求を支援することであります。
 政府は現在の不況対策においても、異常な貿易黒字、経常黒字の国内的要因である大企業の劣悪な労働条件や下請中小企業取引条件を改善するための対策を進めようとせず、逆に大企業に活力を与える本末転倒の対策に終始しています。また通産省は、米国輸出入銀行と貿易保険の協調プログラムを推進していますが、仲介貿易保険の九一年度の引受実績を見ると、仲介貨物の船積み国はアメリカが三百七十七億円で保険全体の六九・四%を占めています。このことは貿易保険が米国の輸出拡大支援策となりつつあることをはっきり示しています。アメリカ政権の求めるままに米多国籍企業の輸出拡大、利潤追求を支援するやり方は日米間の問題の真の解決にはつながらず、きっぱりとやめるべきであります。
 以上の理由により本法案に反対の態度を表明し、討論を終わります。
#81
○井上委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#82
○井上委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、貿易保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#83
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#84
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
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#85
○井上委員長 次回は、明十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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