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1993/04/21 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第12号
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1993/04/21 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 農林水産委員会 第12号

#1
第126回国会 農林水産委員会 第12号
平成五年四月二十一日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
   委員長 平沼 赳夫君
   理事 金子徳之介君 理事 萩山 教嚴君
   理事 御法川英文君 理事 簗瀬  進君
   理事 柳沢 伯夫君 理事 佐々木秀典君
   理事 前島 秀行君 理事 宮地 正介君
      岩村卯一郎君    内海 英男君
      大原 一三君    久間 章生君
      高村 正彦君    鈴木 俊一君
      谷  洋一君    中谷  元君
      鳩山由紀夫君    保利 耕輔君
      星野 行男君    松岡 利勝君
      宮里 松正君    有川 清次君
      石橋 大吉君    遠藤  登君
      北川 昌典君    沢藤礼次郎君
      志賀 一夫君    田中 恒利君
      辻  一彦君    野坂 浩賢君
      鉢呂 吉雄君    山口 鶴男君
      倉田 栄喜君    藤原 房雄君
      藤田 スミ君    小平 忠正君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  田名部匡省君
 出席政府委員
        農林水産大臣官 上野 博史君
        房長
        農林水産省構造 入澤  肇君
        改善局長
        農林水産省農蚕 高橋 政行君
        園芸局長
        農林水産省畜産 赤保谷明正君
        局長
        農林水産省食品 須田  洵君
        流通局長
        林野庁長官   馬場久萬男君
 委員外の出席者
        環境庁大気保全 後藤 彌彦君
        局特殊公害課長
        自治省財政局調 林  省吾君
        整室長
        農林水産委員会 黒木 敏郎君
        調査室長
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  野坂 浩賢君     沢藤礼次郎君
  堀込 征雄君     北川 昌典君
同日
 辞任         補欠選任
  北川 昌典君     堀込 征雄君
  沢藤礼次郎君     野坂 浩賢君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に
 関する法律案(内閣提出第二四号)
 農業機械化促進法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二五号)
 特定農山村地域における農林業等の活性化のた
 めの基盤整備の促進に関する法律案(内閣提出
 第六四号)
     ――――◇―――――
#2
○平沼委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、農業機械化促進法の一部を改正する法律案及び特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律秦の各案を一括して議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま審査中の各案につきまして、来る五月十一日火曜日、参考人の出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
#5
○平沼委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。
 各案審査の参考に資するため、委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認の申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 なお、派遣地、派遣の日時、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○平沼委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
#8
○平沼委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小平忠正君。
#9
○小平委員 今回提案されましたこの三法案に関しまして、まず私は、農業基本法が我が国に制定されましたが、その制定以来、農業政策で最も欠けております点は、農政に主体性がなく、そのときどきの経済の動向あるいは財政事情等により目まぐるしくこれが変わり、これによって農業者の農政に対する信頼が著しく低下をされてきました、このことにあると思います。
 農業は工業とは異なり、長期にわたる不変のビジョンの確立が必要であります。農業者に信頼される農政の確立を期さなくてはなりません。そういう意味においては、今回提出をされました三法案とも、昨年六月に公表された新政策に沿って新しい視点に立った施策の展開を図ろうということは、それなりの評価はできる面もございます。しかしながら、問題は、この新政策そのものが関係者に十二分に理解をされ、農業者が自信と確信を持って今後の農業に取り組んでいけるかどうか、また、そういう体制が構築されるかの点だと思います。
 特に、新政策の中でも、言葉としては幾つか評価をする点もございます。言うならば、今日までの農政が効率一辺倒だったことを反省しなければならないと指摘している点であります。しかしながら、新政策の中身について見れば、その反省のもとに立った具体的施策が何ら見当たらないのであります。農業の国際化の進展等に対応し、今後構造政策を強力に推進する必要はだれもが認識をしていることでありますが、私もこれを否定するものではございません。
 問題は、構造政策を円滑に推進できる周辺の各種施策が整合性を持って十二分に整備をされているかという点であります。今回提出をされた法案を含め、構造政策のみを先行させる施策が展開されれば、これは今日までの効率一辺倒の農政と何ら変わりがなく、これが失敗に帰することは明々白々だと言えると思います。農業基本法の抜本的見直しを含めて、バランスのとれた農政の展開を図ることが肝要であり、この点等々を含めて、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#10
○田名部国務大臣 おっしゃるとおり構造政策だけで考えてはいかぬ、こう思っておりまして、それは農業と農村、これが健全に発展していくということが大事なことであって、今そういう意味では農村社会が非常に困難な状況になってきておるということを考えながら、この新政策でもそのことを考えたのと、何といっても理屈はいろいろありますけれども、他産業並みの労働時間をどうやって確保した中で農業というものができていくかということを考えるのと同時に、そこには所得、それがやはり他産業並みのものを確保しないとなかなか後継者も生まれてこないという実態がありますので、担い手がいないこと等も考えてみると、経営体をどう育成していくかということも大事なことであって、その経営体が生産の大宗を担う、そういう農業構造にしていかなければならぬというふうに考えております。
 そのためには農地の集積を図るとか、あるいは居住する環境、そうしたものもよくしていかなければならぬし、地域の特質というものもとらえて、付加価値の高い農産物の生産対策、流通、加工、総合的に考えたつもりなんです。
 ですから、構造政策だけで何かしようということにはもう無理があるという考え方でこれを進めております。経済、財政、そういうことにより大きな影響を受けないためにはどうするかということで、しかしこれは、受けるのは国全般ですから、結局この農業以外の方の経済も停滞すると、農業にもこれは影響が連動して出る。
 ただ、私は、他産業と違って毎日食べる食糧ですから、これは生涯日に三度三度食べておるわけですから、そういう面では影響をやや受けにくいものだ、いいものさえしっかりとつくっていけば。そういうこと等も考えながら、予算、税制、各般にわたって具体的な施策をお願いしておるわけでありまして、今後ともそういう考え方で進めていきたい、こう考えております。
#11
○小平委員 それでは次に、農業者の最大の関心事は、今まさしくこの新政策に沿って規模拡大を図った場合に、現在よりも収益が上がるかどうかというこの点だと思うんです。大臣がよく言われる、もうかる農業、このことが実現されるかどうかといったことではないかと思います。
 まことに残念ながら、最近の農政の動向について見れば、まさにこれとは逆のことが行われているのではないでしょうか。端的にいえば、規模の拡大を図り、生産が向上すればそれだけ価格を引き下げるという政策がとられているのが実態でございます。生産性の向上メリットが還元されない農政に対し、農業者は大きな憤りと失望感を抱いております。
 私は、当委員会で、前の質問で北海道の酪農の例を取り上げました。規模拡大のために多くの酪農家は大変な借財をしてまいりました。しかし、乳価は年々低下をしており、据え置きもございますが、これに牛肉の輸入自由化も加わって、その経営は年々著しく苦しくなってきているのが実態であります。
 私の選挙区であります北海道の空知、日高、この地帯は北海道を代表する稲作地帯でもありますが、酪農地帯と同様の状態にあって、規模拡大による借財の増加と米価の引き下げによって農業経営は悪化の一途をたどっております。新政策においては、先般、昨年六月ですか発表された新農政において、北海道における稲作の展望としては、作付面積も少しく大きく見られて、二十八ヘクタール。その中身は、水稲十四ヘクタールを中心にして、輪作というか、麦、大豆等々になっておりますが、こうした経営を実現するためには、さらに多くの設備投資が必要であります。これ以上の米価の引き下げは経営に大きな打撃を与えることは明らかであります。いわんや内地において、こういう状況で十から二十ヘクタールの規模の経営体、これを実現することは私は大変に難しいのではないかということも感じております。
 それはそれとして、農産物価格の内外価格差の縮小は、ガット・ウルグアイ・ラウンドの進展等に伴い大きな政策課題となっていることは承知しておりますが、こうした農業経営の実情を無視した価格の引き下げは、構造政策の推進に当たっても決してプラスの面にはならないことを十分認識をする必要があろうかと思うのであります。
 今後の構造政策と価格政策の運用方針について、政府の御答弁をいただきたいと思います。
#12
○上野(博)政府委員 農産物の価格政策は、農産物の種類ごとに若干の違いはございますけれども、基本的にはそれぞれの作物の再生産を確保する、あるいは需給の調整を図って過不足のない状態を保っていく、あるいは消費者に価格安定、余り価格が変動しないような価格の安定というものをもたらしていくという種々の機能を持っているわけでございまして、私どもといたしましては、毎年その価格決定のために必要な生産者のコスト、生産費を正確に把握をいたすところから作業を始めまして、毎年度の需給動向、生産費の水準というものを勘案をいたしまして価格決定をいたしてまいっているわけでございます。
 今後の価格政策につきましても、基本的には今私が申し上げましたような考え方でまいることが当然基本になるわけでございますけれども、今この三法を御審議願っております諸般の農業をめぐる情勢、これに対応するために構造政策は必要なわけでございますが、そういうことを鋭意努力をいたしまして、コストの削減にも努めながら、需給事情等をも的確に反映させた価格を決定してまいる必要があるというふうに考えているわけでございます。
 その際に、委員御指摘のように、規模の拡大などを生産者が図っていかれるに際しましては、いろいろコスト面での負担もあるわけでございまして、そういうものが十分に織り込まれてまいるように、コストのダウンと価格へのその反映ということがタイムラグが生ずることかないように努めていく必要があるということについては、十分配慮してまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
#13
○小平委員 特に価格政策、端的に言って、農業にとっては価格政策、そのことは非常に大きな要素だと思います。いろいろな農政、多々ございますけれども、やはり何といっても収入という面からいうならば、価格政策、これが大きな問題であることは御承知のとおりでありますので、この問題は、今答弁いただきましたけれども、しかし、これが実際に農業の経営にプラスになるような方向に行っていただけることを強く期待するものであります。
 そこで、法案に関しての質問をさせていただきますが、今回この農用地利用増進法ですか、これを農業経営基盤強化促進法に改正をする、そして今後の育成すべき経営体の実現を図るために、農地の集積やその他の施策の集中化、重点化を図ることは確かに必要であり、一定の評価はしなきゃなりません。しかし、政府は、この法律の運用を中心に今後十年間に約百七十五万ヘクタールの農地の流動化を進め、稲作の個別経営体について見れば、十から二十ヘクタールの個別経営体、これらを五万戸程度ですか、それから複合経営体については五から十ヘクタールを規模にして十万戸程度、これらを実現したいというプランを描いておるようでありますが、果たしてこれが着実に実現されるかどうか、これについても大きく意見が分かれていることも事実であると思います。残念ながら、これが絵にかいたもち、画餅になるのではないか、そういう指摘も多いのもこれまた事実であると思います。こういうことにならないために、大臣、どのような決意で臨もうとしておられるのか、これについてもお答えをいただきたいと思います。
#14
○田名部国務大臣 新政策で示されておりますように、何といってもやはり経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的農業経営というものがなければならぬ、こう思うのです。そのために大区画の圃場整備を進めていくとか、あるいは育成すべき農業経営及び実現すべき農業構造の目標というものを明確にする。あるいは農地の利用集積活動の強化をする。あるいは経営指導、経営体質の強化を図るための法人化の推進をしていく。こういうことによって農業も近代的な経営に変えていかなきゃいかぬ。そうしませんと、実態が、目標を達成した、そういうものがなければ意欲が出てこないと思うのですね。一体自分のやっていることはどうなっているか。そのためにいろいろ、去年の米価でも、勉強する費用とかパソコン、ファクシミリ、そうしたものも実は米価の算定の中に織り込んで、意欲的に、若い人たちはそういうものはこれからはもう必要ですから、そういうことをやっていただこうということでやったわけであります。
 いずれにしても、これは目標を掲げましたけれども、全部が全部やるということかどうかは、これは農家の皆さんのかかって意欲の問題でありますから、その意欲を引き出すように、我々もまた努力していかなきゃならぬということで、金融あるいは予算、いろいろな面で総合的に、体系的に講じて、そしてこの実現、達成のために全力を挙げて取り組んでいかなきゃいかぬ。そうでなければ、現状のままではもう先が見えている。それを放置しておくわけにまいりませんので、何としても意欲を持って、魅力ある農業経営をしてもらう。本当の喜びというものを味わっていただきながら農業経営に取り組んでいただきたい、こう願っているわけであります。
#15
○小平委員 具体的なことでお伺いをしていきたいのであります。
 農地の流動化を進めるに当たってやはり必要なことは、担い手に対する施策の強化拡充にあわせて、農地の出し手であります要するに売り手、高齢農家やあるいは安定的兼業農家というか、そういうところの皆さんが農地を供給しやすい環境整備を図ることにも大きなポイントがあるんではないかと思います。この点については、この新政策については、法律案においても具体的な記述がどうも見えてきません。
 出し手農家というか売り手農家に対してどのようなメリットを与えることができるのか、またメリットを与えなければなりませんよね。さらに、これら農家の集落における位置づけをどのように考えておるのか。この点について、政府の見解をお伺いしたいと思います。
#16
○入澤政府委員 ただいま大臣が御答弁いたしましたとおり、農地の流動化を進めて、やる気のある農家を育成していく、その過程で、やはり地域の集落を基礎とした関係者の話し合いを十分に積み重ねなければいけないと思います。
 そういう中で、個別農家を、個別経営体を育成していくのか、あるいは地域全体として生産組織体を育成していくのか。そういう場合に、その地域に存在する土地持ちの非農家であるとか、あるいは小規模な兼業農家あるいは高齢農家等がどういう役割を分担するのかということを地域全体で話し合って決めていかなくちゃいけない。労働力の提供であるとか農道や水路の管理など、地域社会でいろいろ役割分担するものがあります。そういうものをスムーズにやっていく仕組みをつくっていくことが必要だというふうに考えております。
 そこで、兼業農家等農地の出し手が農地を出しやすくするようなメリットを考えなくちゃいけないということでありますけれども、現在やっておりますのは、農村地域工業導入法等に基づきまして安定的な農外就業機会を確保するということ、あるいは農業委員会等によるいろいろな情報の収集、提供あるいは農地の利用調整活動によりまして出しやすくする、あるいは税制上も、農地を譲渡しますと八百万円特別控除の恩恵を受ける、あるいは小作料の一括前払いを受けた場合には所得税の平均課税の適用を受ける、税制上の特例措置も考えております。
 こういう措置をこれからも拡充強化しながら、地域全体として出し手にもメリットを与え、それからまたコミュニティーを維持する方法を考えていきたいと考えております。
#17
○小平委員 今、局長から御答弁をいただいたのですが、今、八百万の控除とおっしゃいましたよね。さらに拡充強化する、具体的にどういうことなのか。
 言うならば、私は、この一点については前のときにも質問した経緯があるのですが、いろいろな手当てをするといっても、農地の流動化に一番効果があるのは、いわゆる基礎控除の問題とかそれから税率の問題だと思うのです。これがまさしく売り手農家に対するメリットの大きな点だと思うのです。特に、今申しましたように、農地の譲渡所得に対する控除額の引き上げ、これがいわゆる今局長が言われたさらに拡充強化ということなのでしょうか。そういう点、あるいは税率の問題ですね。国税、地方税合わせて今は三九%ですか、こういう引き下げの、これも税法上難しいことがあるのもわかります。しかし、これらのことが何にも増して一番大事な施策だと私は思うのですね。
 これは御承知と思うのですけれども、特に北海道においては、農地の流動化というのは賃貸よりは所有権の移転、これに期することが主体なんです。そんな意味で、ここのところは非常に大きな問題なものですから、もう少し具体的にお答えいただきたいのです。
#18
○入澤政府委員 ただいまの農地を譲渡した場合の特別控除につきまして、毎年財政当局、税務当局にも農林省としては要求しているわけでございます。なかなか難しい問題がありますけれども、譲渡所得が年々上がっていくというような傾向にありますれば、実態に合わせて税率なりあるいは特別控除額等についても考慮してもらえるように、可能な限り折衝をしていきたいと考えております。
#19
○小平委員 ということは、今後、これについて検討していくということと受け取ってよろしいのですか。
#20
○入澤政府委員 税のバランスの問題とか税全体の取り扱いの問題がありまして、実現をするかどうかということについて確約申し上げるわけにいきませんけれども、私どもとしましては、いろいろなデータを十分に分析しながら、常に前向きの姿勢で取り組んでいきたいというふうに考えているわけでございます。
#21
○小平委員 確かに今、これは一部の地域を除いて全般的に言えることだと思うのですが、北海道におきましても農地の価格が下落傾向に依然としてありまして、そういう意味においても農地の流動化はなかなか難しいのも今の実態であります。
 この点に関して、今回の改正におきましては、農地保有合理化法人の機能を拡充し、農地信託等事業が創設をされ、本事業の活用に大きな期待が寄せられてくると思うのですね。事業の具体的内容とあわせて、これはどっちかというと北海道をイメージというか、主体的に北海道向きだと思うのですけれども、どの程度活用されると、またどんな効果があると考えておられるのか、お答え願いたいと思います。
#22
○入澤政府委員 農地信託等事業につきましては、今先生御指摘のとおり、一般に農地価格が下落傾向にあります北海道あるいは東北地方の地域におきまして、農地保有合理化法人が農地を取得して買い手を探す間に売買差損が発生するというふうなことが予想されるために、農地保有合理化促進事業を活用いたしました優良農地の保全とかあるいは担い手への農地利用集積に支障を来す事態が生じている、こういう状況をどうやって打開するかということで考えられた事業でございます。
 この事業は、地価下落地域におきましても農地保有合理化事業による農地の中間保有あるいは再配分機能を発揮できるように、信託の手法を活用いたしまして農地売買等事業を補完して農地の流動化を促進するということを目的としております。
 具体的には、農地保有合理化法人、都道府県農業公社あるいは農協の合理化法人が離農農家あるいは規模縮小農家から農用地等の売り渡し信託を引き受けて、これが新しい仕組みなのですけれども、当該信託の委託者に対して、信託を引き受けたときに農地の評価額の七割以内の資金を無利子で貸し付ける。そして、農地保有合理化法人は農用地等を規模拡大農家に売り渡して、その対価を信託の委託者に支払う。委託者は、信託財産の売却の対価によって農地保有合理化法人からの借入金を償還する。こういう手順で、可能な限り円滑な離農促進と、それから地価下落地域における優良農地の保全それから農地の担い手への集積を推進するということにしているわけでございます。
 北海道でどのくらい活用されるかという話でございますけれども、北海道における農地保有合理化促進事業、売買等事業が中心でございますが、この実績で見ますと、買い入れ面積で見まして、昭和六十年度以来毎年三千ヘクタール台で推移しております。平成三年度には若干回復いたしまして四千ヘクタール台に達しました。しかし、ピーク時昭和五十二年度あたりでは七千四百ヘクタール前後あったのですけれども、それに比べますと五十数%の水準になっている。
 これにつきまして、いろいろな原因がございます。農地開発事業が縮小をして未墾地の買い入れが減少したとか農地の供給がだぶつきぎみであるとか、それから担い手の間で買い控えがある、それから農業先行き不安等から担い手の投資意欲が減退している。いろいろな事情が指摘されておりますけれども、こういう状況の中でも、一般的な地価下落傾向のもとで、優良農地であっても農地保有合理化法人が売買事業で介入しにくい事例が散見されます。
 今後どのくらい量的に実現していくかということを推計するのは困難でありますけれども、今のような状況にございますと、この農地信託等事業はかなり活用されるのじゃないかというふうに見ております。
#23
○小平委員 農地保有合理化促進事業が発足をしてもう二十年少したつのですが、今いろいろと数値を挙げられて御答弁もあったのですけれども、実際には農地が予定したとおりには動いていませんよね。それをさらに今回いろいろと制度を拡充していこうと。それはわかるのですが、問題は、農地信託事業ということなのですけれども、それが終了しても売れなかったらどうするかということですね。さらに、この公社は大体都道府県単位が多いですよね。ただし、今のあれでは市町村から農協とか、そういうように、もう少し広げようというあれもありますよね。また、この農地を目標どおり流動化するには、もう少し突っ込んだ施策が必要じゃないでしょうかね。
#24
○入澤政府委員 まず、信託期間内に信託財産を処分できなかったような場合のお尋ねでございますけれども、この事業の対象にのっけるのは、基盤整備が済んでいて連担して団地化している優良農地というふうに、まず入り口のところで選別いたしまして、そして可能な限り信託等事業を円滑に進めるようにしたい。それから、それでもなかなかできない場合には信託期間を延期する。要するに、再引き受けによりまして、契約を更改して、粘り強くやっていくというようなことをまず考えております。
 いずれにしましても、やはり農業公社が相当な力を入れなければなりません。しかし、農業公社は各都道府県に一カ所でございますから、新しくできました市町村あるいは農協の農地保有合理化事業あるいは市町村の公社、こういうそれぞれの機関と連携プレーをするのはもちろんでございますが、さらに農業委員会の活動、農地銀行活動をやっておりますけれども、そういうところとも十分に連携しながら、農業公社が規模拡大のために一定の役割を十分に果たすというふうに持っていきたいと考えております。
#25
○小平委員 私はこの問題でどうしても触れなければならない点は、やはり規模拡大を図るということが主眼点でしょう。そこで一番大きなネックになっているのが、土地改良事業等のいわゆる基盤整備の負担金の問題ではないかと思うのです。特に、事業工期が予定以上に長期化したということは、言うならば農民の責任ではないのですよね。まずほとんどの事業が、もう予定以上に長期化してきました。これによって負担金の増大、さらに追い打ちをかける農畜産物価格の低迷、これらがあって、ほとんどの農家は土地改良事業費の償還に苦慮している、これが実態であって、まだまだ土地改良が済んでない地帯も多うございます。しかし、これをさらに事業を新たに展開するなんてことは、今は皆さんはもう警戒しちゃって、だれもしませんよ。こんな状況が今の実態です。当時を思い起こすと、本当に雲泥の差があると思うのですね。
 こういうところで、今回提案された法案の中には、この土地改良事業にかかわる受益者負担に対する無利子融資の道が開かれるようで、それが出ておりますけれども、その具体的内容はどのようになっているのかをお伺いしたい。
 さらに、こうした無利子融資の対象となる事業を積極的に実施することがぜひ必要だと思うのですが、そのことに関しで、本年度から始まる第四次土地改良長期計画においては、この事業をどういうふうに加味しながら取り組んでいこうとしているのか、この点もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
#26
○入澤政府委員 規模を拡大するに当たって、その前提として基盤整備事業をきちっとしないといけない、その場合の農家負担の軽減を図るということは御指摘のとおりでございまして、我々としてもいろいろな工夫をやっているわけでございます。
 今回、圃場整備事業を実施するということを契機といたしまして、経営体へ農地が集積されるようにということで、土地改良事業の農家負担金に対する農林漁業金融公庫、沖縄の公庫等からの資金の貸し付けにつきまして、国の無利子資金を原資として貸付資金の一部を無利子とする制度、担い生育成農地集積事業というふうに予算では言っていますけれども、これを創設しようとしたものでございます。
 具体的には、事業完了後に、将来担い手になると見込まれる農業者等の経営する農業生産面積が、事業実施前に比較しておおむね二〇%以上増加すると見込まれる、そういうふうな要件を満たす場合には、農家負担分、一般的に、標準的に申しますと農家負担分は一五%前後でございますが、このうち生産基盤整備事業費の一〇%を限度といたしまして、土地改良区等に対して無利子資金の貸し付けを行おうというものでございます。この無利子資金で充当された分以外の五%相当、これはまた既存の農業基盤整備資金で全額賄う。したがいまして、トータルすると、無利子の資金が重なる部分だけその負担が軽減されていくということでございます。
 この事業としまして、今申し上げました担い生育成基盤整備事業のほかに、北海道とか沖縄等の土地改良型の畑作地域におきます事業費にも適用するということで、高生産性畑地帯総合土地改良事業、これも平成五年度で創設しましたけれども、これを対象にしたいと考えているわけでございます。
 第四次土地改良長期計画におきまして、どの程度この無利子の融資制度の対象事業を考えているかということでございますけれども、土地改良長期計画は個別具体の事業ごとの事業量について定めるものではございませんので、この計画の実施に当たりましては、これからいろいろな補助制度とか融資制度等を活用いたしまして農家負担の軽減を図ってまいりたい、可能な限りこの無利子融資制度の事業量が多くなるように配慮しながら、その予算編成に取り組んでまいりたいと考えております。
#27
○小平委員 私は、この問題で御答弁のようないろいろな手を打っていこうということはわかりますが、幾らそういう手を打たれても、農地の流動化を促進する意味において一番今大きなネックになっているのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、この土地改良事業に伴う負担金の償還の問題ということが依然としてそこに存在しているのですね。それは農地を譲渡するにしても、売買に当たっても、この償還金をどういうふうに処理するかという問題。
 例えば離農する場合、いろいろな事業の消化に伴う費用一切をその売買の際に一括返済しちゃうという、国営事業なんかではそういうことが実際ございますよね。したがって、その農地の価格を高くしても、売り手にとってはその中身というのはその負債の償還に充てられちゃって、実際はもう残らない。ましてやいわゆる国税、地方税等の支払いもあるでしょう。また逆に買い手から見ると、今度は高い農地を買わされて、それがさらに規模拡大をした後、今後のみずからの経営にこれが大きな重しになってかかってきている、こういう実態がございますよ。それで、このことが指摘されましたので、過般、土地改良負担金に償還平準化事業ですか、こんなことも講じられてきました。しかし、これでは抜本的な解決策にはなっていないという切なる願いが、関係者からも、これは農民からもあるいは土地改良関係者からも上がってきております。
 そういうところで、これからの事業に対しては、今ほどもいろいろな制度の道を開こうということはわかりますが、今既に抱えているもの、これを整理化するための解決策というか、いわゆる強力な手だてというものは何か考えられないものでしょうか。
#28
○入澤政府委員 土地改良事業に伴う農家の負担金の軽減対策につきましては、御指摘のとおり、今の平準化の事業であるとかいろいろな施策、制度を逐年実施しているわけでございます。例えば、平成元年度には工種別完了制度を設けるとか、あるいは昭和六十二年度には計画償還制度を設けるとかいろいろなことをやんているわけでございます。
 土地改良事業で見ましても、公共事業一般の性格、内容に応じまして応分の負担が個別農家の受益農家に求められていることは否定するわけにはいかない。しかし、実際に営農をやってみて、十分に負担金を払えないような状況にあるという農家もいることも事実でございます。
 私は、やはりこの負担金の問題を基本的に考えるには、制度として負担金の軽減対策を可能な限りやります。これはバランスがありますから、そう農林省の思っているとおりすべてが認められるわけではございませんが、今までもかなりやっていますが、これからも事情に応じていろいろな工夫、検討はいたしますけれども、基本的には営農に対して濃密指導をきちんとやる、そして農業経営によって農業所得を十分に得られるような仕組みを考えていくことが必要ではないかと思います。営農にもっと力を入れるということで努力したいと考えております。
#29
○小平委員 もっと的を絞って言いますと、要するに、負債は負債で、もうそれは承知しているのですよ。問題は金利なのですね。今はまさしく金利が金利を呼ぶ状況ですよ。言うならば、公定歩合は今極端に下がっている。でもそれと連動していないでしょう。だから、私今いろいろと申し上げましたけれども、端的に言っていわゆる金利の削減措置なのですよ。これについではどうでしょうか。
#30
○入澤政府委員 金利の軽減措置につきましては、ただいま申し上げましたような一千億円の資金を五年間で造成いたしまして、その資金を使って利子補給をする平準化事業等をやっておりますので、そういうふうな工夫を各地に適用するということがまず最善ではないかというふうに考えております。
#31
○小平委員 特に土地改良区においては、水利権、水利費等も含めてやはり大きな問題。これも御承知だと思うのですけれども、そういうところで、ここのところを解決しないと、幾らすばらしい案をつくっていっても、新農政プランといっても、ここのところが解決しなければいかぬと私は思うのですね。
 特に、いろいろな策を講じられますね。でも、基本的に言って今農業が抱えでいる問題は、やはり大きく言って二つあると私は思うのですね。一つは今言った負債の問題。これはまさしく農民が農政、政府の施策に踊らされたのですよ。それに忠実に従ってきてこうなったわけですね。この責任は、やはりそれを指導した政府がきちんと解決すべきだと私は思います。この負債の対策の問題。
 それからもう一つは、これも何度も機会あるごとに申し上げましたけれども、価格ですね。毎年、乳価、畜産から始まって、ずっと価格政策がございますね、この価格政策。この二つさえきちんとしていければ、単純な論理ですよ。年々物価は上がる、いろいろな分野で皆さんの給料、サラリーは上がっていく、ところが農業だけは合理化を図っていけば逆に算定基準が下げられる。理解できないですよ。端的に言って、負債問題とそれから価格の問題、この二つさえきちんとやってくれたらほかの農政要らないと思うのですよ。
 今、私感じますことは、今まで農業者というのはたくさんおられましたよね。でも、その中でいろいろ淘汰があって、今やっておられる方は、苦しいながらもきちんとした経営能力を持った、また意欲もある農家が実際やっています。しかし、そういう農家の方は、皆さん後継者はいるのですよ、でも、その後継者に向かって、おまえ農業をやれとは言えないですよね。ところが、平たく言って採算に合う農業だったら、親は息子に向かってやれと言えるのですよ。でも、こういう状況なら私だって言えないです。私も実際畜産農家です。私も息子がいますけれども、おまえ自信持って畜産業やれとはちょっと言い切れないですね。これは、幾ら農民が努力したって、その自助努力ではできないものがここにあると思うのです。私、そのことを本当に強く感じます。端的に言って、もうほかのこと要らないと思うのですよ。どうでしょう。
#32
○入澤政府委員 新政策を考えたときの一番の基本は、まさに農業が職業として誇りを持って後世につないでいかれる、そういうものにしよう、産業として自立できるような農業にしようということで、意欲を持って一生懸命創意工夫をする農家層を広範に育てていこうということで考えたわけでございますが、今の負債対策であるとか価格政策の問題、いずれも私どももかなりのことをやっているということは御承知のとおりだと思います。
 ただ、それが十分であるかどうかにつきましては判断の分かれるところでございまして、今のような御指摘があるのだと思います。我々も、農家の経営実態をよくよく分析しながら、これからも可能な限り農業経営が円滑にやっていけるように努めてまいりたいと思います。
#33
○小平委員 その気持ちは私も百姓ですからよくわかるのですが、もう少し申し上げますと、こういう例をもって申し上げたいと思うのです。
 これはよく言われるのですが、施設型農業ですね、これは何とか皆さんやっておられる。野菜ですとか果樹園芸、こういう施設型、これらはどちらかというと市場原理、そういうところでやっていける要素が非常に強いのですよ。また、規模的な問題もありますね。でも、土地利用型農業、これは農民みずからの自助努力ではできない、どうしても政府の農政がしっかりしなければできない、そういう分野です。ところが、どっちかというとそちらが、国土保全を含めて、将来に向かつて我が国農業の非常に大事な分野でしょう。大事な柱というか、それが欠落しているのですね。
 具体的な例を申しますと、私のところでも一部施設型農業主体の地域がございます。例えば有名な夕張メロンあるいは追分メロン、これは北海道においてもメロンの元祖というか草分け的な地域です。この地帯はいわゆる中山間地域的なところです。土地条件も悪かった。それが今成功されて、メロンがあの状況で、全国津々浦々皆さん御存じですよね。ところが、この地帯は後継者、配偶者の問題はないですよ。まずほとんどの農家は、どこに行っても後継者はおります。それから配偶者もおります、お嫁さんもおります。黙っていても息子はやる気を起こしますし、親も一生懸命息子に向かっていろいろな経験を教えます。そして、いろいろな施設を改良していく、お嫁さんも来る。本当に問題ないですよ。そうすればもう一生懸命、またそれがいい方向に広がっていくのですよね。こんなところもあります。すべての地域でこういうふうにいけば本当に我が国の将来、いろいろな地域社会を守る面からもあるいは国土保全の面からも、本当にいい方向に行くと思うのですけれども、この点、特に価格政策と負債対策、私はこの点を重ねて指摘しておきたいと思います。これは答弁はもういいです。
 次に、同じくまた今回の改正において、農地法それから農協法の改正も行われ、これに基づいて農業生産法人の事業要件と構成員要件の緩和が図られる、こういうことであるのですが、今回のこの改正において新たに構成員となることができる企業等に対しては、議決権等に制約が設けられており、この措置は法人事業の活性化を図るものとしては評価はしなければならないと思います。しかし問題は、企業等が出資のほか融資もすると思うのですが、それらを通して農業生産法人の実際上のオーナーになっていくのではないかという、言うならば金が支配するというその点であるのです。その防止のためには、企業等が構成員となる農業生産法人に対し、その事業活動や運営状況、さらには法人が解散した場合における農地の処分等の厳しいチェック体制の確立がぜひとも必要である、私はこう思うのですが、これに対してどんな方針で対処をされていくのか、この質問。
 それからもう一点。これに関して、私は株式会社に農地取得の道を開くことは絶対にしてはならないと思うのです。こんなことを含めて、政府の見解、それから特に株式会社の農地取得に対して、私は絶対にいかぬと思うのですけれども、これについて、まず大臣の御見解はどうでしょうか。
#34
○田名部国務大臣 株式会社が農地を取得して農業に一般的に参入することについては、これはかねてからいろいろな意見がございました。投機的に、または資産保有的な農地取得のおそれがあるということ等の意見がありまして、これは私も不適当だというふうに考えておりまして、このような内容の農地法の改正は考えておりません。
 ただ、一方、経営感覚にすぐれた、安定的な農業経営体を育成するということも大事なことでありまして、農業生産法人の営む事業及び構成員の範囲を拡大していかなければならない。かねてから私が申し上げておるのは、企業的な感覚というのは、人と物と金だ。物は、幸い農家の方々が自分の土地を持っているわけです。ただ、二戸当たりで経営していこうとすると、経理面とかそういう面の人手が足りないとかいろいろありまして、法人にしたらどうか、そうして全体の経営内容を明らかにしながら、給料もきちっと払えるあるいは労働条件もいろいろな制度を使って、雇用の安定というか、働く人のためのものをというふうに考えたわけです。
 ですから、さらに発展していくと、あちらこちらで私も見ております。一昨日も行って見てまいりましたが、農産物だけではなくて、それを、とったものを加工する。私のところの田子町に、ニンニクを一生懸命やっている町なんですけれども、最初はニンニクをつくることばかりやっておりましたが、だんだんこれを加工して販売するところまでいって、何か、今度アメリカと向こうのニンニクの、きのうの新聞では市長さんが来てガーリックの生産をやる、それでセンターで販売する、そういうことまで発展していくのが、多様な就労の場ということでは大事なことなんですね。
 そういうことを考え、あるいはテレビや何かでコマーシャルを流してやっていくというには、今の農家の力ではなかなか容易でない部分というのはある。やがて力がついてくればもうそんな心配はないのでしょうけれども、そのために農家等も積極的に資金を出して、そして経営も管理も一緒になってやっていくという姿は、出生率の低下した、担い手がいない、人手不足は全部ですから、農業だけじゃないのです。そういうことを考えたときに、どういう体制でいかなければならぬかというのがこれからの農業だと私は思う。
 そういうことを考えながら、そう言っても、実質的に株式会社が農業生産法人を支配することのないように、いろいろ構成員の範囲の拡大に当たって一定の限定を設けたわけでありますし、また、農業生産法人に対する十分な監督体制が整備されておりまして、今回の農業生産法人の要件の見直しが企業の土地投機につながらないというふうに考えております。
#35
○入澤政府委員 今回の農業生産法人の要件の見直しに当たりまして、御質問の趣旨は、実質的な企業支配がないようにチェック体制を強化したらどうかということでございますが、当然のことでございまして、今回の農業生産法人の要件改正によりまして、農業生産法人制度が悪用されないようにするために、現行いろいろなチェックシステムがあるわけでございます。農業生産法人が農地を取得する場合にはきちんとした要件に該当しなくてはいけない。例えば、すべての農地を耕作する、取得する農地を効率的に耕作する、農地法上いろいろな要件がございます。これでまずチェックいたしますが、これに加えまして、事業内容とか構成員の状況など、法人要件の具備につきましても報告する旨の条件を新しく付する。それから、農業生産法人台帳を毎年補正して、要件具備について常時チェックするというふうなことを追加いたしまして、企業による支配がないようにしたいと思っております。
 ただ、融資等によりまして実質上は支配があるのじゃないかというふうなことでございますが、その場合におきましても、やはり農家みずから、あるいは農業関係者みずからが経営感覚を磨いて、そして他からの支配に対応するというふうな内側からの努力が必要じゃないかと思います。そういう意味で、営農指導体制を強化いたしまして、経営指導、技術指導、それからそのほかの、マーケティングの指導等をやって行くようにしたいと思っております。
#36
○小平委員 そういう歯どめ等がありましても、実際には力があるところが支配するというのは、これは自然の摂理ですから、そこのところが今後大きな課題であると私は思うのです。
 しかしまた、今大臣も言われたように、そういうところに今いろいろ不足していることを、助力を頼むというか、その力をかりてPRというか、広げるということも大事ですから、新しい試みでもあり、それがよい方向に作動するように私も期待いたします。
 しかし問題は、農業と一つに言ってもいろいろな品目というか、各般ありますね。それによってはこういう法人を巻き込んで、法人化というか、企業を巻き込んでやる方がいい分野と、どちらかといったらそういうことでない方がいいというのがあると思うのですよ。例えば北海道ですと、稲作についてはそういう法人化というのは過去にもう既にやっているのですよ、政府のそういう指導によって。でも、やはりこれははっきり言ってうまく作動しなかったですね。ですから、農業でもその部分によって適不適、向き不向きがあると思うのです。そんなことを思いながら、このことが単に改正だけで済まないようにしていかなければならぬ。そのことがひいては農地をしっかりと守ることにもつながっていきますし、また新農政、今回の新プランによって、これがためにまた崩れていったのじゃまずいと思うのですよね。だから、ある意味では、企業参入ということは意外と大事なポイントかもしれません。しかし、それをうまく、ちゃんとやっていけば私もいいように作動すると思うのですね。そんなふうに思います。
 それで、実は中山間関係、農山村法案についても質問を用意しておったのですが、時間が来ましたので、残念ながら質問できません。これは次回に残しておきまして、一応きょうはこの点で終わらせていただきます。ありがとうございました。
#37
○平沼委員長 遠藤登君。
#38
○遠藤(登)委員 新農政の基本的な分野については幾つか議論されましたので、主として農業機械化促進法の改正案を中心にしながら質問を申し上げたいと思う次第であります。
 まず、その前提に、いわば我が国の総合経済政策、それは自由市場経済ということだと思うのですが、原則的に総合経済政策の中における農業、食糧経済政策というものの位置づけをどのように考えていらっしゃるのか。その中で、極端に言えばアメリカの百五十ヘクタールあるいは二百五十ヘクタールと日本の平均一・一ヘクタール、あるいはタイの労働賃金にしても日本との比較の中では十六分の一とか十七分の一とかいう、いわば賃金構造一つとってもそういう開きが、それぞれの国によって違うわけであります。そして今食糧問題、環境問題が世界的に問われている、こういう状況の中にあるのでありますが、いわば我が国の総合経済政策の中における農業政策というものの視点ほどのような考え方に立っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
    〔委員長退席、簗瀬委員長代理着席〕
#39
○上野(博)政府委員 極めて大きな問題でございますけれども、基本的に申しますと、農業も農産物を生産する産業であるということでございまして、国民の毎日の生活に欠かせない食糧の生産にかかわるものが非常に多いわけでございます。
 そういう意味で、国内生産を、食糧自給率の維持を図っていくというような観点から、できるだけ供給力を高めていかなければならないというふうに考えますとともに、最近の食生活の高度化というようなことからわかりますように、なかなか国内で供給できにくいえさみたいなものもあるわけでございます。そういうものにつきましては、これはやはり国際的に依存してまいらざるを得ないわけでございますし、それからまた消費者の立場に立ちますれば、やはり家計の負担等の限界から一定の制約があるということもあるというふうに考えるわけでございます。
 したがいましで、一概にどうこうとなかなか言いにくいことではございますが、先生のお話にございますように、農業というのはそういう食料品の生産ということを離れまして、いろいろな多面的な機能を果たしているという役割があるわけでございまして、すべてを市場経済的な考え方で律し切ってしまうというわけにはいかないということもまた、そのとおりだというふうに考えているわけでございます。
 今度の新政策の改定に当たりましても、今後におきまする世界的な食糧の需給というようなことについて見通しも得たわけでございまして、なかなか見通しは難しい面があるのでございますけれども、どちらかというと需給がきつくなっていく方向に行く可能性があるのではないか、非常に不透明ながらその心配があるというふうに考えている、その面からは大いに国内の生産力を上げていかなければならないだろう。
 それからまた、それぞれの国の置かれております農業、これは非常に差があるわけでございまして、今委員にも御指摘をいただきましたように、経営規模の大きさということにつきましては、日米間では非常に大きなものがあるわけでございますし、こういう所与の要件とも言うべきものを捨象して一律の議論で当てはめるわけにはいかない。そういうことになりますと、農業の持っている多面的な役割というものを果たし得なくなるという問題があるわけでございまして、我々といたしましては、一定のそれぞれの抱えている条件の差というものに着目をいたしました一定の国内農業政策の保護というものは、これはぜひとも必要だというふうに考えております。
 ただ、その中におきまして、やはりこのところ非常に厳しくなっております農業外のいろいろな状況、それから労働力の不足の問題、先ほど大臣も申し上げましたが、そういうような問題に対応する、あるいは農業就業者の老齢化という問題に対応いたしまして、可能な限りの効率的な農業を展開するという努力をしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
#40
○遠藤(登)委員 新農政の中にいわば所得目標というものがありますが、生涯所得として二億円あるいは二億五千万円とか、大体年間八百万円ぐらいの総合所得を目指すということでございます。
 先ほどもいろいろ議論が展開されておりましたのですが、いわば価格政策という所得政策、所得目標、それを達成するための価格政策、その中で再生産を保障するような価格政策というものを重点的にとらえて、あるいは食糧その他需給事情を勘案して対応するということでありますが、所得政策と連動して少なくとも主要農畜産物の価格政策、再生産を行うに足る価格政策というのが一定程度きちっと目安として確立されていかなければならないのではないか。もちろん、それは国民全体との合意形成を目指しながら、そういう価格政策あるいは所得政策というものをきちっと確立をしていかなければならないのではないかというふうに思うのでありますが、その点についてはどのような視点に立っていらっしゃいますか。
#41
○上野(博)政府委員 価格政策の基本的な運営の態度につきましては、価格政策は、もちろん委員おっしゃいますように、農家の所得の安定を図っていく上で非常に大きな機能を持っているものでございます。そういう面で、生産費調査などをしっかりやりましてその数値やなんかを十分検討いたしまして、再生産が確保できるということを一つの大事なメルクマールとして価格決定が行われているということは当然のことだというふうに考えるわけでございます。
 ただ、ではそれだけで、例えば価格は上がれば上がる方がいいのかということになりますと需給の問題というのがあるわけでございまして、農家が非常にいい値段だと思ってどんどんつくりますと、一方では需要とのアンバランスが生ずる。この需給のバランスをどう図っていくかということも、やはり価格の果たす非常に大事な役割だというふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、価格決定につきましては、いろいろなことを総合的に勘案をいたしまして決定をいたしてまいるわけでございますけれども、消費者のことも考えて、コストの低下を図りながら農家の再生産なり経営規模の拡大なりということができるということでの運営に今後努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#42
○遠藤(登)委員 例えば、現在春闘が行われております。毎年春闘が行われている。きのうもきょうも話に出たわけであります。まず農業を代表する米価の問題から始まりまして、四%前後で春闘が攻防しているという状況がありまして、地方の段階はまだ半分ぐらいしか妥結状況がないという状況があります。大体、米価、これは政府の米価で十五年、十六年前の米価ですね。物価が六五%も上がったりあるいは賃金が五割も上がっているという状況の中で、時間がありませんから端的に申し上げれば、農業、生産者と消費者の、いわば憲法規定に言う価格の団体交渉権というものを主要農畜産物について確立することができないか。政府が中に入るということもそうでありますが、端的にそういうふうに考えるのでありますが、どんなものでしょう。
#43
○上野(博)政府委員 ただいまの委員の御提案について、ちょっと直接にお答えをするのはなかなか難しいのでお許しをいただきたいのでございますけれども、米について言いますと、現在実態的には七割見当ぐらいのお米が自主流通米として生産され供給をされているわけでございまして、この価格決定というのは、言うなれば生産者と消費者の需給の力かげんで市場で決まっているわけでございまして、団体交渉ではないのでございますけれども、それにかわるいわゆる価格決定メカニズムの中で決められているという意味で、多分に今委員の御指摘になられたような形に近いのではないかというふうな気もいたします。
 それから、その価格が多年にわたり据え置かれていたということの事実の理解の仕方でございますけれども、稲作をやりますのに投下労働時間というのは、これは大変急速に減少をいたしているわけでございまして、時間当たりの賃金ということで見れば、やはり全体としての労賃の上昇傾向というものを十分に反映をしてきたのではないか。ただ、生産物の値段として見れば、その生産に投与された時間というものは短くなっていることを反映して、なかなか思うようには上がっていかないというようなことが一つの事実としてあるのではないかということも考えるわけでございまして、農家の経営とか所得とかということを考える際には、もう少し、一体農家がどれだけ稲作に従事をしたのか、全体としてはどういうような労働燃焼の場を持っているのかということもあわせ考える必要があるんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#44
○遠藤(登)委員 農業は生命産業であり環境産業である、農業と環境は一体であるという認識についてはほとんど一致して確認できるのではないだろうかというふうに思います。今日、七百万ぐらいの農家の総所得の中に占める農業所得が大体百二、三十万、ある県によっては百万も割る。それは何なのか。農家がだらけているのか、苦労が足りないのか、工夫が足りないのか。それは市場経済との関連もあろうかと思いますが、この新農政における所得政策、価格政策、少なくても主要部分については、きちっと一定の方向を明るい展望のあるものとして確立されていくということが不可欠な課題ではないかというふうに思いますので、十分ひとつ御検討をいただきたい。
 それから、農業機械関係に入るわけでありますが、生産費の中で農業機械代というのが一番大きい。生産費の中に占める割合というのは三五、六%になる。したがって、農業機械を大いに開発をする、そして生産コストを低減して生産性を高めるということについては一番重要な課題だとも思います。
 そういう意味において、今回の法改正の目的あるいは基本的な課題、新農政との関連について、農業機械促進法の一部改正案件について、どのようなかかわりがあるのかということについてお聞かせをいただきたい。
#45
○田名部国務大臣 新政策で示された経営感覚にすぐれた農業の担い手が、夢を持ってやりがいを持って取り組んでほしい、こういう願いがあるわけでありまして、そういう魅力ある農業づくりを進めるには、先ほど来申し上げておりますように、まず農地の流動化を図る。経営感覚にすぐれた経営体の育成といった構造政策とともに、農作業の効率化あるいは労働負担の軽減、そうしたものを進めるには何といってもやはり機械化が必要だということでございまして、新政策においてもセンサーやコンピューターを活用した作業ロボットの開発等、画期的な技術開発の重要性を指摘いたしているところであります。
 このような視点から、今回の新政策を進めるために重要な柱の一つとして、構造二法とともにこの農業機械化促進法の改正案を実は提出いたしておるわけでありまして、高性能農業機械の計画的な試験研究、実用化及び導入を中心とした農業機械化の促進を図ることにいたしております。
 委員お話しのように、農業機械というものは非常に大きな負担だということでありますから、この利用の仕方についてはいろいろと考えて農家が機械の負担に耐えていけるような仕組み、そういうものを考えないと、機械の下になってしまいまして幾ら働いても農業経営がよくならぬ、そういうことだけは避けていかなければいかぬ、こう思っております。
#46
○遠藤(登)委員 現況は、幾ら働いても大方の農家はまず機械代、農機具代を払うに四苦八苦をして、賃労働に出るとか出稼ぎに出るとか、機械屋の奉公みたいなものです、土地改良の負担もさることながら。そのために借金が返せないという農家はいっぱいある。
 それで、高性能の農業機械の開発ということが一つの大きなポイントになっているのでありますが、どのような視点、構想に立っていらっしゃいますか。
#47
○高橋(政)政府委員 お答え申し上げます。
 我々高性能農業機械の開発に当たりまして、効果的な研究開発を行うという視点から、まずどういうような対象機種を選定していくかということでございますが、これは、農業生産現場からの要請が強く、農作業の効率化または農作業における身体の負担の軽減に資する程度が著しく高く、かつ、農業経営の改善に寄与することが認められる機種としたいと思っております。
 具体的な機械の開発に当たってでございますが、まずどうしても機能性を保持するということが必要でございますので、まず一つには作物の条件あるいは圃場条件等に適応いたしまして安定した性能が確保されること。あるときは非常に安定しているけれどもあるときは非常に性能が確保されないということではいけませんので、どういう条件でも一定の性能は確保されるようにするということ。それから、オペレーターの労働負担の軽減等のために、機械操作が容易に行われ得るようにすること、そんなことがまず機能の面からでございます。
 もう一つは、低コストの視点からでございますけれども、いろいろなものを飾り立てないで、基本機能を重視いたしまして可能な限り簡易なものにする。それから、長期利用が可能な耐女性が確保されるということ。それから、作物を超えまして利用が可能となるようないわゆる機械の汎用化あるいは部品の共通化が図られるというようなことが必要ではないかと思っております。
 それから、安全性の視点からは、農作業事故防止のための機械の安全性が確保されるということが重要ではないか、こう思っております。
#48
○遠藤(登)委員 何といっても農業機械の耐久力、今大体五年とか七年。日本の農業機械はドイツあたりの農機具とは比較にならない。二、三年たてば部品もないというような状況が機械によってはあるので、新しく買いかえしなければならない、そのために機械化貧乏がはかがいく、こういう状況で苦悩しているのが今日的な状況なのです。
 それで、同じような機械を、例えば部品を取りかえて、いわば多様な作業に耐え得る汎用化の拡大、耐久力、いかに長く使える農機具をつくるか。そして軽装で簡単に操作できる、そして安全性が確保されて安い農機具をいかにつくってもらうか、これは生産者側の強い願望だと思うのであります。そういう意味では、もっともっと内容や視点を細かくすれば、農家がこれにかける期待というのは非常に大きいと思うのであります。
 それから、現在ある農機具の部分的な改良、開発にもっと力点を置く必要があるのではないか、暫定的な過程として。新しく機械を買うということも大事だけれども、現在ある農機具を部分的な改良によってもう少し長もちさせる、そういう開発についても力点を置いてもらいたい。これは農家の切なる要求だと思うのであります。そういう点についてはどのような視点に立ちますか。
#49
○高橋(政)政府委員 今お話がございましたように、特に地域に適しました農業機械の開発につきましては、既存の農業機械の部分的な改良、そういうことによっていくことが非常に必要じゃないかというふうに思っております。
 このため、現在国では、特に地域的な機械が多いわけでございますので、都道府県の試験研究機関がローカルのメーカーの皆さん方と連携いたしまして、地域の立地条件あるいは作物の特性、地域の栽培特性、特に地域の栽培特性といいますのは、あぜの高さであるとか幅であるとか、播種あるいは定植の様式、そういったものが違うわけでございますのでそういうものに応じた機械の改良を行うことを支援をする、助成をする、そういう事業もやっておるところでございます。
 また、地域特産物を含めました複数の作物に利用が可能となるような汎用機械の開発も推進をしていきたい、こういうふうに思っております。
#50
○遠藤(登)委員 それから、促進会社をつくるということがポイントなわけでありますが、これの設置構想あるいは設置場所等について具体的にお聞かせをいただきたい。
 それから、促進会社をつくるために、生研が三億ほど今回の予算措置で出資をする、あわせて民間メーカーの参加も求める、あるいはそこに出資を求める、こういうことになるわけでありますが、機械メーカーの選定とか、出資のあり方とか、あるいは、促進会社の人事構造とか財政構造、どのようにして運営するのかということについて、一連の対応方向についてお聞かせをいただきたい。
#51
○高橋(政)政府委員 実用化促進会社と我々一応呼んでおりますが、この会社につきましては、生研機構とそれから民間からの出資によって設立される会社であるわけですが、現在審議をお願い申し上げておりますこの法案が通りますれば、直ちに具体的な準備もしなければいけませんが、現在もそういうことを前提にいたしまして関係者の間で準備を進めておるところでございます。
 現段階で申し上げられますことは、まず、設立予定の実用化促進会社は一社を考えております。それで、設立当初の出資は、生研機構から三億、民間から三億、計約六億ということを予定しております。
 それから、役員とかあるいは従業員でございますが、これにつきましては、本事業の業務を的確に遂行していく上で必要な最小限の人数にいたしたい、こういうふうに思っております。具体的な人数を幾らにするというところまではまだ決めておりません。
 それから、事業内容につきましては、生研機構におきまして開発されました農業機械の実用化の促進を行うということでございますので、具体的には、全国広範囲に適応可能な標準的な機械化栽培様式、栽培の仕方が非常にばらばらでございますと、機械を開発しても使えないということになりますので、標準的な栽培様式をどんなものにしたらいいかということをまず決める必要があるということでございます。それから、主要部の設計の調整。それから、金型によって生産する部品の共通化、汎用化を行う、それから金型等の基本的な製造機材、それをつくりまして、それの貸し付けをする、それから機械化栽培マニュアルの作成、提供をするというようなことになる見込みでございます。
 民間からの出資でございますが、本事業の趣旨に賛成する多くの方々の参加を期待しておるわけでございますが、出資の中心となる人は、大手の農業機械メーカーあるいは中小の農業機械メーカー、それから農業団体等が想定されるところでございます。
 以上でございます。
#52
○遠藤(登)委員 機械メーカー、いわば促進会社に直接参入してもらうのは一社だけとおっしゃいましたね。
#53
○高橋(政)政府委員 出資をしていただくのは、機械メーカー現在百社ぐらいございます、その中から希望される方に出資をしていただくということで、促進会社としては一社を設立したいということでございます。
#54
○遠藤(登)委員 促進会社は一社、出資は参加される人は全部入れる。その出資の規模は約三億ということで、国、いわば生研と平等な出資の中で、六億で促進会社をつくる。
 それから、なるべく農業機械を安く生産をしていただくという構造をつくり上げていくために、金型を貸すとかあるいは栽培マニュアルを提供するとか、広く、参加された会社はもちろんでありますが、ほとんど参加してくるのではないかとも思いますが、参加されない企業についてはどのような形になりますか。
#55
○高橋(政)政府委員 結局、出資をするメーカーと出資をしないメーカーがあるわけでございますが、それで出資をするメーカー、出資をしないメーカーもそうでございますけれども、促進会社でつくる金型の貸し付けを受ける、借りるわけですが、その借りる場合に、出資をしている方と出資をしていない方とが、例えば同じ料金であるとか同じような条件で借りられるということにしますと、そうなると出資しない方が得ではないかというような問題がございますので、その辺は出資をする人と出資をしない人で、料金とかそういった貸し付け条件について差は設けたい、こんなふうに思っております。
#56
○遠藤(登)委員 それから、それぞれ国立の農業試験場あるいは各県の試験場、試験機関があるわけでありますが、それとの連携も、それぞれ立地、特産、産地によってはいろいろ違うという部分があるし、栽培様式をなるべく統一していくというようなこともそれぞれ試験場のお力を押さなければならない、あるいは普及する段階においても重要な機関として位置づけをする必要がある、こういうふうに思うのでありますが、そん連携対応はどうなんですか、農業団体含めて。
#57
○高橋(政)政府委員 特に、栽培様式を統一していくということが、この場合非常に重要になってくるというふうに思っております。特に野菜作の場合には、地域によりまして相当に栽培の仕方が異なっておる、またそのことが機械化が進みにくいというような状況になっておるわけですので、この点は非常に重要だと思っておりまして、我々はこの標準化を進めるに当たりましては、生産者の皆さんあるいは栽培関係の研究者、生研機構の担当者とかあるいは農業機械の製造業者等の関係者によりまして十分な検討を行い、それを踏まえて産地の指導であるとか、機械の設計、製造が行われるということが必要ではないかというふうに考えております。
#58
○遠藤(登)委員 それから、特に野菜の農業機械の開発などに力点を置くというようなことも言われておりますが、当面の開発の重点課題としては何を考えていらっしゃいますか。
#59
○高橋(政)政府委員 我々がこれから検討していく対象の機械としてはどんなものかということでございますが、まず農業経営の大規模化あるいは経営の複合化ということにおいて、農作業の効率化を図る上で必要となります、より汎用性の高い、例えばコンバインあるいは耕うんロボット、水田用の管理ビークルと言っていますが、機械でございますけれども、そういうもの。それからもう一つは、後継者不足、高齢化等によります担い手不足が深刻な状況にあります野菜とか果樹作につきまして、省力化、労働強度の大幅な改善を図るための、例えばキャベツの収穫機であるとか野菜用の全自動移植機、特に移植段階の規格化がおくれておりますので、そういった移植機、それから果樹の無人防除機といったもの。それから三つ目には、作業環境の改善、環境保全型農業の確立のための畜舎の排水浄化処理装置であるとか、農産廃棄物のコンポスト化装置、そんなものが考えられると思っております。
#60
○遠藤(登)委員 実用化、何といっても多様に使える農業機械、それから価格政策の面でありますが、低利、長期の融資制度あるいは助成制度、税法上の償却費あるいは償却年限を拡大するという問題、税法上の控除措置の問題などなど、今までとられてきた部分もいろいろあるわけでありますが、この面をもっともっと強化をする必要があるのではないかというふうに思うのであります。
 なるべく優良な農機具を生産所得に見合う、生産費構造の中でもなるべく低減に政策化をしていく必要がある。そうでなければ、新農政の展開でも達成できない大きな要素がこの農機具にあるのではないかというふうに思うのでありますが、その点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
    〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
#61
○高橋(政)政府委員 ただいまお話しのように、農業機械関係の経費が生産費の中で占める割合、稲作で見ても二割あるいは三割といったようなところでございますので、その軽減を図っていくということは、我々も非常に重要なことというふうに思っております。そのための政策手段といたしましては、今お話がございましたように、いろいろな補助事業、そのほかの制度資金、税制措置といったようなものがあるわけでございます。
 まず、農業機械に対する補助事業でございますが、これもできるだけ効率的に使っていただくということが必要なわけでございますので、営農集団等が新技術の導入をするとか、あるいは共同利用組織を育成しながら効率的に利用するために導入を行うという場合に、その取り組みに対して助成をするということをしておるわけでございます。
 また、融資制度といたしましては、御承知のように農林漁業金融公庫資金あるいは近代化資金、改良資金におきまして各種の資金が設けられておるところでございます。特に平成五年度におきましては、農業機械の賃貸事業につきまして、公庫資金からも長期低利の融資の措置を講じたところでございます。
 さらに、平成五年度の税制改正におきましても、農業機械化促進法のこの改正にあわせまして、農業者が特定の高性能農業機械を取得あるいは借り受けた場合における特別償却それから税額控除の特例を設けたところでございまして、こういう措置を通じまして、開発された農業機械の適正な導入あるいは効率的な利用というものを促進してまいりたい、こう思っております。
#62
○遠藤(登)委員 それから一面、やはり農業機械の効率的な有効利用というのが、今日的な農業においても一つの大きな課題になっているわけでありますが、農業機械銀行、全国的には約七百くらいそういう機関がある、あるいは各県に農業機械公社がある、あるいはそれに準ずるような組織が全国に幾つもあるということでありますが、農業機械をより有効に効率的に活用するということが極めて重要な課題になっておりますが、そのための政策も、財政的な面を含めて強力に推進をしていく必要があるのではないかというふうに思うのでありますが、新農政を展開されるという中でどのような方向に立っていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
#63
○高橋(政)政府委員 農業機械の効率的な利用を図りまして、機械の過剰投資を防止していくということが重要なことでございますので、農林省といたしましても、まずこの機械化促進法により定められます高性能農業機械導入基本方針、県では導入計画を定めるわけでございますが、これに基づきまして、農家が農業機械を効率的な利用に配慮して導入するようになるように、普及組織などを通じましてまず指導をしております。
 それからもう一つは、今お話しのように、農業機械銀行方式を推進しておるわけでございます。この農業機械銀行方式では、農業機械銀行が農作業の受委託の仲介あっせんも行いますが、そのほか必要に応じまして、所有する農業機械を農家集団に貸し付けるとか、あるいは農家の持っている農業機械の利用調整を行うとかいうようなことをしております。受託作業の集積によって受託者の経営規模の実質的な拡大を図るとか、あるいは農業生産の中核的な担い手としての受託者の集団の育成を図るとか、あるいは受託者の基幹的な農業機械作業の肩がわりによる地域全体の農業生産力の底支えなどを図っておるわけでございます。
 それで、現在その実施主体は、地域の実情に応じまして農協とかあるいは農業機械公社、そういったものが事業主体として行っておりまして、先ほど先生からお話がございましたように、現在七百八ということになっております。
 近年、農業者の高齢化という中で受託者が不足しております、そういう農業機械銀行が多くなっておりますので、現在新規受託者の掘り起こしであるとか、あるいは最新鋭の農業機械がなかなか使えない人がおりますので、そういうオペレーターの実践研修をするとか、あるいは年間就業機会の確保のための受託作業範囲の拡大等、そういったことで現在活動の強化を図っておるということでございます。
 今後の機械の利用のあり方といたしましては、農業機械銀行方式のほかに、新たに農業機械のリース、レンタル、貸し付けもやるというようなことで、農業機械の効率的な利用を一層促進してまいりたい、こう思っております。
#64
○遠藤(登)委員 農業機械に関連をして、農業機械の事故が非常に増加をしている。これは労災の対象にならない部分あるいは加入していない部分が相当ある、あるいはそれぞれ農協等の保険対象部分を一定程度救済されている部分がありますが、この農業機械事故に対する救済措置、その面ももっともっと考究する必要があるのではないか。もちろん、いわば組織経営体、農業法人を初め、それは当然労災事故に該当していくという部分が出てくるのだと思いますが、その点は十分配慮をされていく必要があるのではないか。もちろん安全性、農業機械の事故を撲滅していくということも重要なかなめであります。農業機械化が拡大されるに従って重要な課題になる。
 それから、現在でも就農女性が日本農業の約六割を占めているということがありますから、農業機械に対する女性のいわば研修、講習を初めとしてへその点は重視をしていく必要があるのではないか。あわせて、農地流動化促進の問題と関連をしながら農業者年金の問題が非常に大きく絡まってくる、あるいは日本農業の大宗を担っている女性の農業者年金の問題も重要な課題になってくるというふうに思うのでありますが、その点についてどういうふうにお考えですか。
#65
○高橋(政)政府委員 農作業の事故でございますけれども、最近農作業の死亡事故の推移を見てみますと、特に高齢者の方が農作業に従事しておる機会が非常に多いということもありまして、作業事故が非常に多いというような現状がございますし、また女性の皆さん方が実際に機械を運転しているということもあるわけでございますので、我々もそういった実態に基づきまして、まず一つは安全意識の啓蒙活動を実施しておりますが、今先生からもお話がございましたように、特に研修事業というようなものもやりまして、そういう事故が起こらないような対策も講じているところでございます。
 それから、特に今回の法律の改正におきましても、都道府県知事が定める特定高性能農業機械導入計画があるわけでございますが、この中に機械を使用した農作業の安全性の確保に関する事項も追加いたしまして、都道府県における農作業安全への指導も強化いたしたい、このように思っております。
 それから、そもそも農業機械そのものの安全性ということも重要でございますので、我々といたしましては、農業機械の型式検査あるいは安全鑑定におきまして、安全防護装置などがちゃんと取りつけ装備されるように、装備されているかどうかということもチェックするようなことをやっておるところでございます。
 それからもう一つは、労災保険への加入というような農作業事故補償制度への加入促進ということについても積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#66
○遠藤(登)委員 それから特に、いわば特定地域ですね、中山間、山間、それはほとんど高齢者が主体的な担い手である、あるいは女性が担い手である、こういう状況から、特定地域の農業機械の開発については特段の留意をする必要があるのではないかというふうに思います。
 時間がありませんから、それと連動しながら、いわば特定地域対策、新農政でもいろいろな角度からそれは政策化されようとしているのはわかるのでありますが、特に山間、中山間の中にもあるわけでありますが、集落が集落ごと崩壊しているという状況、この前の五年間の農業センサスの調査でも、十四万の農山村の集落の中で、五年間で二千三百を超えて集落ごと解体になっている。それは最近ますます加速をしているという状況であります。
 したがって、新農政なんていうなまぬるい状況ではないのじゃないか。特に高齢者比率が五割を超えているとか、あるいは集落が崩壊寸前のところとか、そういうものに対してはいわば定住給付金とか交付金とか、あるいは集落も維持できないということでありますから、集落振興交付金とか、それは臨時措置でもいいからそういうものを早急に手だてをしていかなければ大変なことになるのではないか、こういうふうに切実に感ずるのでありますが、新農政展開に当たって、もう山間の集落が集落ごと崩壊をする、廃屋になっていくという状況に対して歯どめをかけるということが喫緊の課題ではないか、こういうふうに思うのでありますが、どんな認識を持っていらっしゃいますか。これは大臣から。
#67
○上野(博)政府委員 今回の新農政の考え方を出すに至りました過程におきましても、中山間地域の農業のあり方というものをどういうふうに考えていくかということを非常に重く考えてまいったわけでございましで、老齢化あるいはそこに住んでいる人たちの数が減っていくというようなこと自体に、何らかの手を打って対応していかなければならないというふうに考えたわけでございます。
 ただ、そうはいいましても、この地域の状況は、委員お話しございましたように、非常に厳しい事情にあるわけでございまして、なかなかそう簡単にうまく対策が打てるということでもないわけでございますが、一方で、非常に厳しい事態を招いているその地域の自然的な状況というものが、農業の生産という面から見れば、逆にその地域特有の農産物を生産できるというようなことも考えられるわけでございまして、いろいろそこに住んでおられる農業者の方々に工夫をしていただきまして、農業生産の発展の道を考えてまいりたいというふうに一つは考えております。
 それからもう一つは、中山間地域の方々の所得の維持の問題という点でいえば、農業以外につきましても、やはりいろいろな角度から就業の機会というものを導入し、確保していかなければならないわけでございまして、必ずしも農林水産省の行っております政策だけでございませんで、関係各省の力も得て必要な対策を講じてまいりたいというふうにも考えているわけでございます。
#68
○遠藤(登)委員 これはなまぬるい悠長な問題じゃないと思います。これは農林省だけの問題じゃないと思います。したがって、これは緊急対策として、私は政府全体で各省庁にまたがって対応されることを強く求めたいというふうに思います。
 最後に、時間がありませんから、ニュージー産のリンゴの輸入解禁問題に関連をして、去る三月三十日あるいは三十一日、公聴会が開かれた。しかし、六十五名の公述人があって意見開陳されたのが七名だけであったとか、それは年度末のいろいろな多忙な時期に開催をした、あるいは農繁期的にも消毒その他、剪定、非常に忙しい時期に開催をした、それから官報で告示をされた、農民は官報など見ている状況じゃないのであります。ろくに告知もしなかった。それは形式的なものじゃないのか。改めて意見開陳の場を求めるというふうに農林大臣は青森県の生産者と約束をしたということがありますが、その点についてどのような対応をされるのか。
 それから、ニュージー産については、臭化メチル、次亜塩素酸ソーダ、これは国内においても禁止をされている、それはモントリオール議定書において国際的に使用規制が行われている、そういうものを前提にして輸入解禁をするというのは問題じゃないか。
 それから、最近、きのうの報道にもあったのですが、アメリカの解禁要求について強い要求がある、あるいはカナダの要求などもあるという状況をいろいろマスコミの報道を通して聞くのでありますが、どういう状況にあるのか、あるいはそこ保にどう対応するのか。
 それから、鹿島港に濃縮果汁をいわばタンカーで運んでくる、それはブラジル産ということが報道されて、濃縮果汁貯蔵タンクが五月に完成するということでありますが、国内産の果汁あるいは果樹産業にどのような影響があるのか、それにどう対応するのかということについてお聞かせをいただきたい。
#69
○高橋(政)政府委員 相当広範な御質問でございますので、少々長くなるかもわかりませんが、まず一つは、公聴会があったのだけれども、それについてどういう考え方をしているかということでございますが、御承知のように公聴会を三月三十日に開催したわけでございますが、この開催に至るまでの手続といたしましては、我々、植物防疫法第七条第四項に基づきまして、これでは十日前に公告をするということになっておりますので、実際には十四日前でございますが、官報に掲示をいたしまして開催をしたわけでございます。
 また、当日は一部の出席者によります不規則発言、あるいは議長席を取り囲むなどの行動がありましで、議事が遅延したわけでございます。この点は非常に残念なことであったわけでございますが、したがって、途中休会といたしまして、同法施行規則第四条第四項の規定により続行するということで、次の日の三十一日に再開をいたしまして昼に終了したというものでございます。
 当省といたしましては、公聴会において公述人を排除するとか、あるいは公述を制限するというようなことはしなかったわけでございますし、現に七人の公述人は公述されていることから明らかなように、公述する場は与えていたわけでございまして、公聴会は適法に行われたものでございまして、したがって公聴会を再度開催するというつもりはございません。
 しかしながら、意見を発言しなかった公述人につきましては、あらかじめ公述意見書を提出していただいておりますので、我々が現在その中身を審査する際には、十分にその公述意見書も検討させていただきたいと思っております。
 なお、我々農林省といたしましては、常に農家の皆さん方の御陳情なり御意見に対しては門戸を開いておるわけでございますので、そういう要望があればいつでも陳情あるいは御意見に対して対応をいたしたいということは大臣からも申し上げているところでございます。
 それからもう一つは、今度の消毒、殺菌のために臭化メチルそれから次亜塩素酸ソーダの使用をしている、これは安全性から見て問題ではないかということでございますが、この点は、特に輸入食品の安全性ということは厚生省の所管でございます。農林水産省といたしましては、人の健康は重要な問題でありますので、ニュージーランド側には、日本の残留基準がこういうふうになっておりますよ、これをクリアする必要がある旨指摘をしておるところでございます。それで、植物検疫措置で行う消毒に伴う食品の安全性についてはその基準内にあるというふうに、我々としては確認をしておるところでございます。
 それから、特に臭化メチルが使われておるけれども、この臭化メチルは国際的に禁止をしよう、使用を中止しようという方向にあるものではないかということでございますが、これは先生がおっしゃいましたように、一九九二年十一月に第四回のモントリオール議定書締約国会議というのが行われまして、そこで、この臭化メチルはオゾン層を破壊するのではないかというようなことで、生産、消費量は一九九一年レベルで凍結するということになりました。これは使用禁止とは言っておりませんが、凍結する、しかしながら、植物検疫用のものについてはこの凍結から除外するということになっております。
 しかし、この臭化メチルが本当にオゾン層破壊にどんなふうな影響を与えるかということにつきましてはまだ科学的な知見が十分ではないということで、一九九五年に次回の国際会議が開かれますが、そこでさらに検討しようということになっております。そこで使用禁止ということになれば当然使ってはいけないわけですから、今の消毒技術が対応できないことになって、その意味では輸入はされないということになると思っております。
 それから、最近、アメリカ、カナダ、そういうところからも輸入解禁の報道があったりしておりますが、その辺の考え方がどうであるかということでございますが、これは、植物防疫法に基づいて輸入が禁止されております生果実等におきましては、相手国において対象病害虫の殺菌殺虫技術が開発されまして我が国への侵入が完全に防止される場合にのみ輸入を解禁するということにしております。したがいまして、アメリカ、カナダからリンゴの輸入解禁の要請があることは事実でございまして、これらにつきましでも、それぞれの国から現在提出されている、あるいは提出を求めております殺虫殺菌技術データの評価を個々に行った上で判断するものでございまして、まだその技術について向こうにそういったデータを求めている最中でございます。
 したがいまして、ニュージーランド産リンゴの解禁が、直ちに今申し上げましたような国からのリンゴの解禁に結びつくというようなものではないと考えております。
#70
○遠藤(登)委員 終わります。
#71
○平沼委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#72
○平沼委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金子徳之介君。
#73
○金子(徳)委員 私は、新農政、いわゆる「新しい食料・農業・農村政策の方向」に基づく関連三法案に多大の期待を持ち、そして戦後農政の混乱の中から農業基本法が生まれ、そしてその線上で大きな成果が上がるように期待を込めまして若干の質問を行いたいと思います。
 農業基本法ができたのは昭和三十六年六月であります。自来、三十年余たった今日、我が国の産業は急速な経済成長を遂げました。そして、世界経済をリードする先進国になったのであります。これを支えてきたのは、何といっても私は農村である、良質な労働力の供給や、あるいは土地を提供したり、あるいはまた食糧を生産し、国土保全、環境保全、緑と自然の安らぎの場を国民に提供してきたのは農村であると申し上げてはばからないわけであります。
 この農林業が、今や第一次産業ゆえに他産業、都市部との所得格差、生活格差、生活格差にはいろいろあります。利便格差、文化、教育面での格差、すべての面での格差は依然として残っているのではないか。構造的ひずみあるいはゆがみが是正されずに幾多の隘路に当面していることもまた否定し得ないところであります。
 一方、世界は東西冷戦体制が消滅するとともに、新たに食糧需給の面からは、飽食の国と飢餓の国に象徴されるような南北問題の発生と、世界が地球規模で人類の平和的共存共生をかけて食糧問題を考えなければならない時代に入ったと言っても過言ではないと思います。いつまでも金に飽かして食糧を買いあさる国というそしりは、いずれ出てくるものと思います。日本の食糧問題は、いわば世界の食糧問題に通ずる問題である。
 私は、このような観点から、この新農政は国民経済的見地からしっかりとした位置づけを新たにするため、先ほど申し上げました農業基本法の上に方向づけられたものと確信するがゆえにその期待も大きいわけでありまして、必要とする関連三法律案が、たとえ多少の現実的対処の中で、当初はなじみにくいことがあったとしても、制定し、施行し、実効を上げることの方が目下の急務であると思うからでございます。そして、沈滞しているあるいは夢を失いかけている農村の活性化と、当面の諸課題解決の糸口を早く見つけなければならないと信じます。
 まさにこの新農政は国政の根幹にかかわる施策であり、政府は総力を挙げ、全知全能を込めてこれに当たるべきであると思います。改めて大臣の決意のほどを伺いたいと存じます。
#74
○田名部国務大臣 同じ東北という環境の中で、私ども、農村社会あるいは農業というものは地域の発展に大変な貢献をしてきたということはもう御案内のとおりでありまして、ただ、日本の戦後工業化を目指す中で、一極集中、今日を想定したわけではなかったにしても、国土政策において少し創意と工夫が足りなかっただろうと思うのです。その結果として、農村の若い人たちが都市に働く場を求めて出てくるという中で、残されたお年寄りの皆さん、今頑張っているわけでありますけれども、このままいきますと大変なことになっていく。私は、何といっても活力のある農山村を守るということでなければならないし、その中で、農業そのものが魅力のあるものでなければならないと考えております。
 きのうもOECDのペイユ事務総長と昼にお会いしまして、その中でも私は、今委員お話しのように、農業というのは南北の格差、余剰な農産物を抱えている国もあれば、これがまた不足して飢えている国もある、そういうことの将来見通しというものを考えてみると、確かに開発途上国では人口がどんどん増加をする、そこには環境問題ということがネックになって農地を拡大する余地がだんだんなくなっていく中で、一体世界の食糧というものはどうあるべきかという観点から貿易問題というものを議論しないと大変なことになるということも、きのうお話をいたしておきました。
 世界はそういう傾向でありますが、我が国の農業は現在、新規就農者の減少、高齢化がどんどん進む、あるいは耕作放棄地が増加するということでありますから、何といっても地域の農業生産を担う意欲的な農業者を育成していかなければならぬということであります。そうでありませんと、農業生産と農地の利用がだんだん荒廃していくという事態になっていることは御案内のとおりでありまして、こういう認識に立って、新しい農業政策というものを取りまとめました。
 何といっても、やはり他産業並みに収入も確保できる、意欲を持って次の世代の若い人たちが本気で農業というものに魅力を感じて取り組んでいただける体制をこの機会につくらなかったら、まさに二十一世紀の日本の農業というものは惨たんたるものだ、これは十分覚悟して、決意を新たにして、多少の痛みは伴っても、次の世代のために我々は親として、政治家としてしっかりしたものを残していく、この覚悟で臨んでいきたい、こう考えております。
#75
○金子(徳)委員 まことに力強い御決意のほどを伺いまして安心をいたしました。どうか自信を持って進めていただきたいと存じます。
 そこで、グローバルな立場から食糧の需給の見通しについて伺いたいと思います。
 地球上の総人口は五十三億ともあるいは五十四億とも言われているわけであります。しかも毎年一億人ずつふえている。そうしたことになりますと、長期的に世界の穀物等の需給バランスが大変心配になってくるというふうに伺っておるわけであります。とりわけ先進諸国の小麦生産地帯等では砂漠化現象などが起こっておりますが、これらの予測をどのようにされているのか。
 また、こうした予想あるいは予測をされる中で、我が国の食糧自給について、どこまで自給力を強化し自給率を上げようとされるのか。これは当然この新農政の関連の中では大きな基本的な問題になるわけでありますけれども、平成三年度では既にカロリーベースで四六%の自給率と言われております。穀物はもう既に三〇%を割っているのじゃないかと思いますが、これについて御回答いただきたいと思います。
#76
○上野(博)政府委員 今度の新政策を策定いたします際に、どういうような将来の食糧自給率の見通しをもって対応したのか、こういう御質問でございました。
 具体的な数字を明確にするということはなかなか難しいところもいろいろあるわけでございますが、私どもといたしましては、国内の資源をできるだけ活用し、需要の変化等にもできるだけ即応した形での食糧生産体制というものを築いていくという考え方で、しかも、今お話ございましたように、国際的にはいろいろ不透明な条件がございますけれども、今お話しのような諸要因があって需給は逼迫基調ではないかというような見通しのもとに、生産力を極力高める。この新政策の一つの前提になっております、平成二年につくりました「農産物の需要と生産の長期見通し」におきましては、供給熱量ベースで大体五〇%の自給率というものを平成十二年程度の時点で維持していくというようなことで考えている、そういうものを踏まえて検討を進めてまいったということでございます。
#77
○金子(徳)委員 大変難しい予測と対応になると思いますけれども、これはまた後ほど触れさせていただきたいと思います。
 次に、農業経営基盤の強化のための関係法律の整備に関する法律案、まことに斬新な、例えば農業従事者の年間労働時間を切り日よく二千時間以内という形、あるいはまた生涯所得をおおむね二億から二億五千万円、これはさきに各委員からの質問にそれぞれお答えになっておられるわけであります。また、一つのシミュレーションで、稲作をやった場合はこうだというようなモデルまでお示しになったという、ガイドラインとしてはまことに適切である。
 しかし、何といっても、すばらしい経営感覚を持つ安定的な経営体を育てるためには、その担い手を確保していかなければいけない。その担い手を確保するためには、この新政策で目標としている農業経営体を地域の実情を踏まえながらしっかりと実現していかねばならないと思います。この実現のために、その施策をどういうふうに進めるか、お伺いしたいと思います。
#78
○入澤政府委員 御指摘のとおり、経営感覚にすぐれた効率的かつ安定的な農業経営を実現する、これが新政策の一番基本的な目標でございます。このためには、地域の実情を踏まえてやらなくてはいけませんけれども、単に規模拡大のみならず複合化、これは地域複合化ですね、それから個別農家の複合化、集約化、こういうような経営内容の改善を図っていくことが重要であると考えております。
 この法体系の中では、望ましい経営体として目標を示すことになっておりますけれども、自然的、社会的条件等、地域の実態に応じまして多様な営農類型というものを示していきたいと考えております。この営農類型を示しまして、それを実現するためにどうしたらいいかということで、まず第一に先進的な優良事例を広範に調べながら、その優良事例に学んでいきたいと思っております。
 いろいろな事例がございます。例えば、福井県の例でございますけれども、担い手が安定兼業農家の農地を引き受けて、借地により規模拡大をするとともに、部分作業受託につきましては兼業農家の一部がオペレーターとなりまして、両々相まって集落全体の農業が省力化とか機械の共同利用により、低コスト、高所得を実現しているわけでございます。
 それから、三戸の機械共同利用の農事組合法人を設立して稲作の省力化を図るだけでなくて、同時に菊とかキュウリのハウス栽培を複合化して年間就労を確保して、二戸当たり一千数百万円の農業所得を確保している例も愛知県にございます。
 これらの優良事例を各地で拾い集めまして、そして具体的な普及指導システムをまず確立していきたいと考えております。
#79
○金子(徳)委員 担い手への農地の集積を進め、地域農業の再編を行っていくに当たっては、何といっても、現在の農外収入を主とする第二種兼業農家を含めて、関係者が引き続いて農村に居住し、農村コミュニティーの崩壊を招かないようにする必要があると思います。今後の構造政策においで、この第二種兼業農家をどういうふうに位置づけていくのか、伺いたいと思います。
#80
○入澤政府委員 御指摘のように、この法律によって目指す今後の農業、農村の再編整備におきましては、第二種兼業農家の位置づけが重要であります。この第二種兼業農家を含めた農村コミュニティー全体が構造再編のメリットを享受できるように進めていくことが重要であるというふうに認識しているわけでございます。
 それでは、最近における第二種兼業農家の実態はどうかと見でみますと、例えば都市近郊などでは、兼業機会が豊富な地域でございますが、第二種兼業農家が既に安定的な兼業先を得て農外で十分な所得を確保しており、小作料も含めて安定的な生活が可能になっておりますので、農地の貸し手となって、コミュニティーの中で生産性の向上、所得の向上に寄与している例がございます。例えば栃木県の小袋営農集団なんかその例でございます。
 それから、高齢化が進んだ地域では、むしろ後継者のいない小規模兼業農家の側から、地域の農地管理のための担い手またはこれにかわる組織経営体に、農地の受け手となってもらうことを希望するケースもあります。これは富山県の例でございます。
 こういうような例にありますように、地域の関係者の話し合いに基づきまして、規模拡大農家だけではなくて、小規模な第二種兼業農家とか高齢農家もあわせまして、地域農業全体として生産性の向上あるいはその地域の技術の伝承、それからコミュニティーの維持を図って、過疎化を招かないようにしていくことが必要であると考えております。
#81
○金子(徳)委員 第二種兼業農家の農地が遊休農地というような形で放置されると、いろいろと地域にとっては、病害虫の発生の原因になったりなんかというようなこと、それだけではなくて、今後、専業農家にとっても、そうした姿は非常に不安感を与えるわけであります。そうした中で、どうしたってこの農地の流動化を図っていく必要がある、この決め手はこれからどうするのかというようなことで、地域の農業委員会等の役割というのは非常に大きくなってくるのではないかなと思っているわけであります。
 そうした意味で、後ほどまた触れさせていただきたいと思いますけれども、担い手の育成において、特に魅力あるということを前面に押し出されてこれからの農村づくりを指導するというお考えでありますが、この農業経営の法人化の問題が重要だというふうに思っております。これをどういうふうに進めるか。
 いま一つ、直接そういう育成との関連はないわけでありますが、中山間地域は一番担い手が少ない、嫁さんもいない、そうして崩壊していくということであります。国土庁調査の結果でちょっと数字を見てみますと、最近十年間で、廃村になった集落が何と三百七十二集落、そして集落移転、集落再編成が望ましいというふうに、地方団体、自治体がそのように思っているところが何と二百十団体あるという回答であります。ざっと六百近い、現在ではもっとふえているだろうと思いますが、過疎地域市町村千百五十七市町村の中でそのような現象が起こり、とても現状では、集落数は約六万七千ほどあるわけでありますけれども、町村当たり平均三十七集落ある中で、大変なこれからの対応対策が必要になっているわけであります。そうした意味合いを含めて、この法人化で活路が見出せるかどうか、これをお尋ねいたしたいと思います。
#82
○入澤政府委員 今回の新農政のもう一つの柱が、経営感覚にすぐれた経営体の育成でございまして、その一つの方法といたしまして、農業生産法人を広範に育成しようということが指摘されているわけでございます。この農業生産法人、あるいは農地を取得しないで法人化する法人化も含めまして、今回はいろいろな方法を法律の中に取り入れております。
 まず、農業生産法人につきましては、要件につきまして事業及び構成員の範囲の拡大を行う。それから法人化全体につきまして、設立の指導あるいは設立後の経営内容を指導する体制を整備するということ。それから農業生産法人につきましては特に財務基盤の強化が必要でありますので、農業公社が農業生産法人に対しまして農地を出資する制度を創設いたします。さらに、その場合の譲渡所得等の軽減措置を講じます。それから担い手が不足している地域の農地管理を進めるために、特定農業法人の制度なども設けるようにしております。いろいろな新しい工夫を凝らしながら、法人化を進めていきたいと考えているわけでございます。
 特に、今御指摘のありました中山間地域、ここでは担い手が非常に少なくなって農業の継続に困っている、困難になっているという地域がたくさんございます。そういうところの農地を有効利用して農業生産を継続発展させるためにどうしたらいいかということで、いろいろ考えまして、その一つの工夫といたしまして、今申しましたように、特定農業法人の制度というものを設けてみました。
 この制度は、担い手が不足している地域におきまして、関係者の合意に基づいて農用地利用規程を定めます。その農用地利用規程の中で、その区域内の農用地の相当部分を利用して農業生産をしようとする農業生産法人を明確に位置づけまして、その法人に農地利用を集積していく仕組み、その場合に農用地利用集積準備金制度というものを税法上設けまして税制上のメリットを与える、こんな工夫もいたしまして、中山間地域のように担い手の確保が困難な地域におきましては、特に農業生産法人あるいはその他の農業法人に期待するところ大なるものがありまして、各般の施策を展開していきたいと考えているわけでございます。
#83
○金子(徳)委員 機能的な、そしてまた柔軟性のある対応をしないと、確保というのはなかなか大変だと思います。
 そうした農業後継者不足の中で、新規就農者の参入が望まれるわけでございます。計数的にも、データをいただいておりますが、去年は千七百の新規就農者があったわけでありますが、実際には農協や農業委員会の対応の面が具体的には入ってまいります。法の改正もありました。しかし、農業委員会の運営や、農業者として承認するかどうかということを任されておるといいますか、法の範囲内で判断業務になっているわけでありますから、参入しやすいように国としての方策といいますか方向づけをきちんと御指導いただきたい、あくまで法制上の範囲でということになりますけれども。
 それからまた、新規参入者、Uターン就農者向けに国内留学制度というか、これからの新しい農業をやるためにはこういうような考え方、あるいはこういうようなやり方、ハイテクを利用すればこのような方向になるというようなこともいろいろと、絶えず日々新たな技術が出てまいりますので、これらの研修体制を整備していくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#84
○入澤政府委員 最初に、新規就農者と農業委員会との関係につきまして、私からお答え申し上げます。
 昭和六十二年度から、サラリーマンなど農外からの新規就農希望者の円滑な就農を促進するという目的で、全国農業会議所に新規就農ガイドセンターというのを設けました。大変な反響でございまして、今までの相談延べ件数八千百八十件、相談者実数は四千三百九十四人に上っております。この中から毎年少しずつ就農しているわけでございます。
 就農に当たりましていろいろな問題がございます。一つは農地の取得が円滑に進まない、あるいは農業というのはロマンチシズムだけでやれると思って入ってきたらそうでなかった、大変な難しい問題で研修が必要であった。あるいはそのほかの初度詭弁的な経費も十分に用意しなければいけない、いろいろな問題に直面しまして、相談者は多いのですが、なかなかスムーズに新規就農しないといったようなことがございます。
 そこで、こういうふうな新規就農を本格的に進めるために政策を強化しなければいけないということでございましで、平成五年度におきましては情報提供のシステムを抜本的に強化しようということで、新しく制度予算をとっております。また、現地へ希望者本人を同行いたしまして、農業委員会とか農協、農地提供者等に紹介を行い、農地の取得が円滑に行われるようにしたいと思っております。
 いずれにしましても、新規就農ガイドセンターは全国農業会議所にございまして、その指導のもとに各農業委員会がございますので、農業委員会に特段の努力をしてもらいまして、新規就農が円滑に進むようにやっていきたいと考えております。
#85
○金子(徳)委員 最後の質問になるわけでありますが、時間がございませんので、要約してお尋ねいたしたいと思います。
 新政策の中で農地保有合理化事業、これを地域に根差した事業として定着、発展させていくためには、どうしても地域の農業委員会の役割が大きいわけであります。特に、土地の流動化を図るためには、農地銀行活動と連携なくしては構造政策等は全くできないわけであります。この連携の強化を図っていく必要がある。
 また、これは大臣に最後にお願いしたいわけでありますが、構造、経営対策を推進していくためには、農業委員会系統組織を含めた構造政策の推進組織の整備を考えて進めるべきではないか。今までの農業委員会は単に農地法を守るという立場で、法制上のそれぞれの判断事務、許可を出す、あるいはノーだ、これらについては条件がつくという程度の形であってはならないし、また、積極的に農地銀行活動をやっているところもあるわけであります。そして、海外の構造政策の成功、不成功の例はやはり流動化次第である。特にデンマーク等では今、伝統的に行われた親子契約が、農地の価格上昇下落でどうしてもスムーズにいかないということもあります。これからは構造政策が中心になる、担い手の対策が中心になるということから、どうか適切な、そして慎重な対応を、しかもたくましく自信を持ってやっていただきたいということで、最後のお尋ねにしたいと思います。
#86
○入澤政府委員 従来から農地保有合理化促進事業、要するに流動化を進めるに当たりまして、農業委員会など関係機関の行う農業構造の改善に資するための施策と連携、調和を図るように留意しているわけでございますが、特に農業委員会の行っておる農地銀行活動、これは地味ではありますけれども、大変重要な活動をやっております。この農地銀行活動との連携につきましては、今後とも十分に配慮していきたいと考えております。
 特に、構造政策の推進機関の中長期的なあり方として、今御指摘のありました農業委員会系統組織の問題につきましては、新政策の文章の中でも「農業委員会系統組織については、法令業務を中心とした既存業務の見直しを行うとともに、農地利用の集積の一層の促進及び農村地域の活性化を図るため、その組織、業務の見直しを行う必要がある。」というふうに指摘されておりまして、このような観点から今後検討を進めていく考えであります。
#87
○金子(徳)委員 農業委員会関連組織等のこれからの活動については、どうか大臣、省内研究会等を設置するなり、そうしたことで大いに活動強化を図れるような体制づくりを最後に御要望申し上げまして、終わります。
#88
○平沼委員長 御法川英文君。
#89
○御法川委員 我が国の現在直面しております農業問題等につきましては、農業関係者の方々、ほとんど同じような問題意識を持っておると思います。今さら私から申し上げるまでもないわけでございますが、何と申しましても国内の穀物自給率の低下、現在二九%とも言われております。さらにカロリー換算でいたしましても、四六%という状況にございます。また、農家の所得が、これも御指摘されておりますように、相対的に低下しているのが現状でございます。
 さらにまた、農業後継者が少ない、後継ぎがいない、こういう深刻な状況に直面しておるわけでございます。今現在、辛うじて高齢者の方々に農業に取り組んでもらっておりますが、これは、考えてみれば明治、大正あるいは昭和の前半の日本の教育の成果でこうした高齢者の方々が農業に取り組んでおる、こういうふうにも言えるわけでございまして、この農業後継者問題が農村にとって大変深刻な問題であるわけでございます。
 また、最近は農業機械が普及されまして、農業労働力の厳しさというものは大変緩和されてはきておりますが、それでも、なおかつ他産業に比べますと、農業の労働というものは厳しい、こういう状況にございます。
 さらにまた農村の混住化、こういう社会現象でございまして、農村の環境問題、これがまた大変重要な課題になってきております。こうした背景によります地方の過疎化の進行が大変急速に進んでおる。まさに多種多様な問題を抱えておるのが農業問題であり、あるいは農村社会である、こういう認識を強くいたすわけでございます。
 一方、外的な問題といたしましては、何と申しましてもガット・ウルグアイ・ラウンドの問題でございます。きょうはこのガットの問題につきましては触れませんけれども、いずれにいたしましても厳しい状況下にある我が国農業、農村をどのような方法で維持発展させるか、これが現在の農政に課せられた最大の課題であろう、私はこう思うわけでございます。
 政府は、このような認識のもとに農林水産省内にプロジェクトチームを編成いたしまして、精力的に取り組んでいただいたわけでございますが、昨年の六月でございますか、新しい食料・農業・農村政策というものを打ち出したわけでございます。私は、このいわゆる新農政の考え方につきましてはおおむね正しい方向にある、こう思っております。そして、今国会に提案されました、現在審議いたしております三法案、これは新農政を具体的に実現するための法整備、こういうことになるわけでございます。そして、この新農政の中では、農業経営基盤の強化ということを強く打ち出しております。
 今回の特徴は、何と申しましても経営の主体としての法人化と大規模化、これを前面に打ち出したことに一つの特徴がある、こう見なければならないわけでございます。もちろん個別経営につきましても大変大きな比重を置いておるわけでございますが、何といっても法人化という物の考えを取り入れたことが最も特徴的な事柄である、こう思うわけでございます。
 全体計画の中で、現在の三百八十三万余の農家が十年後には二百五十万から三百万戸、この程度を目指しております。個別経営体で三十五万から四十万戸、組織経営体としての法人組織で四万から五万戸、こういう見方をされております。そして、その稲作に占める割合は、大体八〇%程度の生産を見込んでおるわけでございます。
 そこで、こうした物の考えに対しまして、一部には小農切り捨てというような声も若干あるわけでございますが、私は、小も中も大も一緒になって、力を合わせ、農業を守り、国民に安全な食糧を安定的に供給する体制を確立することが最も大事な事柄である、こんなふうに考えるわけでございます。
 そこで、第一点の質問でございますが、こうした目標、計画、これをどういう手順で達成するか、これが一番の問題であろうと私は思います。これまでも何人かの議員の方々が御質問をされておるわけでございますが、具体的な取り組みも、しかも個々の農家あるいは農業関係者の方々がよくわかるような形での政府の説明がなければ、なかなかこの計画を達成することはできない、こんなふうに思うわけでございます。特に生涯所得二億から二億五千万というようなものを目指しておりますが、こういうものもあわせまして、具体的にどういう形でこの目標を達成しようとするのか、我々国会議員がわかるのじゃなくして、個々の農家、現場の生産に携わる人力がわかるような形の具体的な取り組み、こういうものを国民の前に明らかにすることが最も大事だと思うわけでございまして、この点につきましてまずお伺いいたします。
#90
○田名部国務大臣 今委員、いろいろとお話しになりました、そういうことを目標にして新政策というものをまとめたつもりであります。
 何といっても望ましい経営体をつくることが大事でありまして、そのための目標、農業構造の目標の明確化を図っていかなければいかぬ、その上で農地保有合理化法人を活用した担い手の農地を集積していく、経営体ができたらそこにそういうものを持っていきながら、さらに農業経営の法人化を進めていく。
 これは、日、月と鳥取県に行ってまいりましたが、個人ではどうしてもできないものは農協が物すごいバックアップをして、集落ごとに養鶏、養豚、畜産というように働く場をそこに確保しながら、自分でも自分の農業をやりながらそこへ行って働いて、両方から収入を得ながら大変意欲的にやっているところを見てまいりまして、私ども考えている法人化というものも、何といってもこれが信頼されなければいかぬ。あるいは経営管理能力、それから資金の調達能力、あるいは取引の信用力の向上でありますとか、一番大事なことは雇用関係、これが明確になることと、社会保険、そうしたものの適用、働く人たちの労働の福祉といいますか、そういうものが明確でないと、法人化というのはできないのですね。
 そうしたことは私どもがこのねらいとしておるところでありますし、そこで、そこまでいきますと、何といっても高性能農業機械、そういうものでやらないと、規模が大きくなりますとそれに見合った機械を開発しなければいかぬ。今お話にもありましたように、労働が非常にきついという話もありまして、嫁対策、担い手対策としても、農村から都市に嫁に行くのではなくて、何とか都市から農村に来たいという人たちはおるのですよ、自然の中が好きだという人が。そういうことで担い手の新規参入、そういう人たちも、会社の中でこせこせとやるよりも自然の中で私は汗をかきたいという人たちがだんだんふえておるという実態にも合わせてやはり整備をしていかなければならぬ。
 そこで、生産の方もさることながら、生活環境というものもよくしていって都市との交流もやっていこうということで、農村社会をもっともっと都市の人たちに理解してもらいたい、すばらしいものだということを。前にも申し上げましたが、他産業の方は景気、不景気に左右される、農業も多少はあります。しかし、生まれてから死ぬまで三度三度毎日食べるのですから、誇りを持って農業をやりなさいと私は言って、農家の皆さんを激励しておるわけであります。そこへもってきて、今度の第四次土地改良長期計画の策定、これに基づいて計画的な基盤整備をやっていこう。大体そうしたことを想定しながら、新たな立法措置でありますとか予算、税制、そうした各般の施策を強力に実施しながら、本当に魅力ある農村社会をつくり、農業経営をやらせたいと考えております。
#91
○御法川委員 今大臣のお話、よくわかるわけでございます。また、そうでなければならないと思いますし、くどいようではございますが、そうした大臣の考えておられる新しい政策を総合的に、一つのパンフレットでも結構でございますから、そういう形で個々の農家にまで行き渡るような形で、今何をやろうとしておるか、何を考えておるか、そして農家が何をやらなければならないか、そういったところをかみ砕いたものを個々に提示していただくことが、この政策を進めるのに非常に効果があると私は思いますので、ぜひひとつそういうこともやっていただきたいと思います。
 それから第二点でございますが、農用地利用増進法を改正しまして、この農業経営基盤強化促進法に改めるわけでございます。その中で、都道府県が基本方針を決定する、それに基づきましで市町村がさらに基本構想というものを決定する、そしてそれに基づきまして個々の農業者が農業経営改善計画を作成する、こういう法律の内容になっております。
 そこで、この農業経営改善計画でございますが、個々め農家がこれをつくるということにおいては実際問題としてなかなか大変だと思います。これを作成するに当たってどのような指導体制でつくらせるのか、この辺の物の考えにつきましてお尋ねしたいと思います。
#92
○入澤政府委員 御指摘のとおり、農業経営改善計画は、農業者自身によってつくられ、自主的な申請によって認定を受けるわけでございますが、計画作成に当たりましては、経営とかあるいは技術の専門的な知識を有する者の指導助言がぜひとも必要であります。
 このために、制度の趣旨にのっとった農業者の自主的な作成ということは基本としながらも、十分な指導助言体制をつくっていかなければいけないということで、現行の農用地利用増進法に基づく経営規模拡大計画というものがございますが、これも農業者からの要請に応じた農業委員会それから農協等が計画作成に協力をしております。
 さらにまた、農業改良普及所等も指導助言することになっておりますけれども、これを強化いたしまして、各市町村ごとに営農指導センターみたいなものを設けまして、これは予算措置でありますけれども設けまして、そこに農協あるいは農業委員会、あるいは場合によっては市場関係者あるいは食品産業のメーカー、そういう人たちの助言も得ながら、そこに行けば営農相談あるいは技術相談、場合によっては税務相談もできるというふうなぐあいに持っていきたいと思いまして、営農指導体制を今どうやって強化するかということを部内で検討しているわけでございます。
#93
○御法川委員 局長、大体わかりましたけれども、僕は一番のポイントはここになってくると思いますので、これは相当腹を据えてやらないと中途半端な格好になってしまう危険性もあるわけでございますので、やはり相当腹を据えた取り組みをしていただきたい、こんなふうにお願いしたいわけでございます。
 次に、特定農山村地域、いわゆる中山間地域の活性化対策でございます。
 この現状につきましても、野党の議員の方々からもその実態につきましてるるお話がありましたわけで、その内容につきましては申し上げません。この中山間地域を活性化させようというようなことで、いろいろの物の考えが法案に示されております。
 まず、この特定農山村地域の指定を行うことになっております。そして、その基準等につきましては政令でこれを定める、こんなふうになっておるわけでございます。まだ法律が制定されないわけでございますから、制定され次第というふうな答弁になるかもしれませんが、大体どういうものを基準にしてこの指定を行おうとするのか、概略で結構でございますからお聞きしたいと思います。
#94
○入澤政府委員 この特定農山村地域の指定につきましては、この法律の二条におきまして、一応の要件が書いてあるわけでございます。
 一つは、「地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域であり、かつ、土地利用の状況、農林業従事者数等からみて農林業が重要な事業である地域」というふうになっていまして、具体的には政令で要件を指定することになっております。
 現在、この政令の要件を検討中でございますけれども、「地勢等の地理的条件が悪く、農業の生産条件が不利な地域」の要件といたしましては、全耕地面積に占める急傾斜地面積の比率が高いこと、または林野率が高いことを考えております。
 それから、「農林業が重要な事業である地域」の要件といたしましては、農林地の割合または農林業従事者の割合が一定以上であるということを考えております。
 対象地域としましては、市町村の区域を原則と、いたしまして、旧市町村の区域についても、所定の要件に該当する場合にはその対象地域とするという方向で検討しております。
#95
○御法川委員 概略わかりました。そして、今局長が申されましたそうした基準に大体合致するであろう町村が、全国で千七百九十三市町村あると言われております。
 そこで、年数にもよるわけでございますが、大体この千七百九十三のどれくらいの町村を指定しようというお考えなのか、この点につきましてもお尋ねしたいと思います。
#96
○入澤政府委員 対象市町村の数につきましては、現在その具体的要件の詰めを行っているところでございまして、正確な数字は申し上げられませんけれども、市町村の全域が対象地域となる、こういう市町村の数はおおむね千二百市町村程度がなというふうに見込んでおります。
#97
○御法川委員 わかりました。
 次に、いわゆる中山間地域の活性化計画でございます。これも前の法案と同じでございましで、市町村で計画を立てることになっております。そして、その内容は非常に広範囲にわたっておるわけでございますが、この計画そのものも、やはり立てる段階になりますと大変難しい作業であると、実際私は思います。
 今現在でさえ、中山間地が先ほどのようないろいろな不利な条件のもとで生活されておるわけでございますが、そこに、たとえ町村といえども、どうやって自分らの地域を活性化する方向に持っていくか、何をやればいいのかというその辺がわからないで悩んでおる、あるいは壁にぶつかっておるというのが現状でございまして、そこいら辺のこの計画を立てる段階においての取り組み、これもそこに住む人力の創意工夫と一言で言ってしまえばそれまででございますが、それでは意味がないわけでございまして、どうやってそこの計画を手だてさせるか、ここいら辺の指導といいますか取り組み、これが大事だと思いますので、ここいら辺につきましても、現在のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#98
○入澤政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、中山間地域の活性化を図るためには、地域の基幹的な産業であります農林業の振興はもとより、地域特産物の販路の開拓とか地域間交流の推進、あるいは就業機会確保のための工場とか企業の誘致等も重要でございます。
 こういう観点から、市町村が基盤整備計画を作成するに当たりましては、みずからだけではなかなか十分でない、地域住民の英知を結集することはもとよりでございますけれども、計画作成に必要な人材面での支援体制の整備が必要であるというふうに考えております。
 このため、学識経験者等による助言、相談活動あるいは人材育成のための企業派遣研修等を行うとか、現在非常に活発に行われております二十一世紀村づくり塾運動、こういうふうな運動を活用しながら人材の育成を支援して、そのような人材の指導のもとに、この基盤整備計画が具体的に実行可能性のあるものとしてつくり上げられるようにしたいというふうに考えているわけでございます。
#99
○御法川委員 これは大変根本、基本になる部分でございますので、ひとつ特段の力を入れていただきたいと思います。
 時間もないようでございますが、第四点といたしまして、この中山間地における地域経営改善あるいは安定融資事業等がございますが、目標の収入に対しまして実際の収入が一割以上下回った場合に、十アールにつき五十万円を限度に融資をされる、こういうふうになっております。
 きのうの野坂先生のお話にもあったと思いますが、二年、三年あるいは四年と連続でそういう現象が続いていったと仮定した場合にどうされるのかという問題。
 それから、生産性が非常に低いわけでございますから、その融資を受けた場合でも、今度はその償還というものが当然出てくるわけでございますが、果たしてこういう地域でその償還が可能なのかどうか、私はこうした疑問も出てくるわけでございます。(発言する者あり)野党の方から応援いただきましてありがとうございますが、場合によっては、結果的には農家のいわゆる固定化負債というものにつながっていく危険性がないだろうか、こういう心配もあるわけでございます。
 EC等では実施されておるようでございますが、条件不利地域へのいわゆる所得補償対策というものが行われておると聞いております。我が国の中山間地域におきましても、こうした施策を講じでもいいじゃないかという声もございます。しかし現在、当面はこの政策を強力に推し進めてまいるわけでございますが、この政策が実施されていった段階で、この委員会で指摘されるような問題、こういうものに直面した場合に、今申し上げました、将来の課題ということにはなりますけれども、いわゆる所得補償対策の導入というものを考えられるかどうか、私は、将来でございますけれども、考えてもよいと思いますが、この点についてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、簗瀬委員長代理着席〕
#100
○上野(博)政府委員 この中山間地域に対します所得補償の問題につきましては、将来、将来といいますか、その地域の活性を保つ上でどういうような対策を考えなければならないのかという非常に広い問題の対象として、検討対象には入る問題だというふうには思っているわけでございますけれども、現在我々が感じでおりますところを申し上げますと、そういう所得補てん的な措置というもの、これは生産と切り離した形での所得補償というようなことではデカップリングの本質でございますけれども、そういうものが行われたときに、果たして中山間地域の営農の活性化をもたらし、あるいは営農の安定性を継続するということにつながるであろうか、これは金額的なものももちろん関係があるだろうとは思うのでございますが、そういう感じが一つはするわけでございます。
 それから、これは農業の分野だけに限って、地域活性化という観点からそういう措置を講ずるということが、全体としての、その地域社会に住まわれる皆さんの間で受け入れ可能というような話になるのかというような問題もあるのではないかというふうに思っております。
 それから一方では、所要の資金を負担する国民全体の側のコンセンサスというようなものができるのかというような点についても配慮の必要があるのじゃないかというふうに考えているわけでございまして、現在のところは、中山間地域の厳しい条件に対応した農業生産を可能ならしめるために、必要な基盤整備事業等の補助率の設定であるとか採択基準の緩和であるとか、あるいはそれに加えまして、生活環境をよくするための各種の投資であるとかいうものを集中的に行っていくというようなことによって対応するということを考えているということでございます。
    〔簗瀬委員長代理退席、委員長着席〕
#101
○御法川委員 この問題については、もっと聞きたいところでございますが、申し上げたいところでございますが、時間もありませんのでなにでございますけれども、あと農業機械化促進、これにつきましては先ほど遠藤先生が大変詳しく御質問されたわけでございますので、私はあえて申しません。しかし、問題は、やはり丈夫で長もちして、しかも価格が安い、こういう農業機械をつくり出していくべきだ、私はこういう考えでございまして、この考えはひとつ取り入れてもらいたいと思います。
 それから、これは余計なことで大変失礼でございますが、きのう、農林大臣が藤田委員の質問の最後の方で、毎年毎年この農産物価格を政府で決めるのが果たしていいのかどうかというようなお話をちょっぴりなさいました。そして、生産する場所もいろいろ違う、そういうものがみんな同じ価格というのがいいのかどうかというような意味合いのお話があったわけでございまして、同時に、国内で自由化というような、自由な価格形成というようなお言葉があったと思います。
 そこで、日本の国内で、国内の農産物の価格がある程度自由な形で決定されるというふうなことを想定した場合に、いわゆる外国農産物の日本に対する自由化というものの阻止ができるのか、できないのか、この点につきましてお聞きしたいと思います。
#102
○上野(博)政府委員 やや技術的なところも関係があるのじゃなかろうかと思うわけでございまして、私の方から先にお話をさせていただきたいと思います。
 国内の価格安定制度といいましても、内容的にお米について講じておりますような制度、あるいは乳製品について講じておりますような制度、肉、大豆であるとかいろいろあるわけでございまして、一概に外の国際的な価格関係とのつながりぐあいを頭に置いた議論というのはなかなかしにくい面があると考えております。国際的な価格関係を完全に遮断をして決めておりますような場合でございますれば、国内的な価格の決定が国際的な問題につながる面というのはない、要するに数量規制的な面で完全にシャットアウトされているということでございますと、国内の価格関係というのは自由に設定しても一向に構わないということになろうと思いますし、国際価格の関係等考慮いたしまして、非常に価格が安くなるときにはその影響を遮断するというようなことで国内の価格安定制度というものができている場合には、国内関係、国際関係を切り離して物を考えるというのはしにくい面があるのじゃないかと思うわけでございます。
 ガットやなんかの制度との関係でいいますと、価格安定制度の有無がどうこうというよりは、国内の生産数量規制、数量制限をしている場合には輸入数量の規制ができるというようなことの方がむしろ原則として確立をしているわけでございまして、今の先生の疑問に対して直接的なお答えになっていない面もあろうかと思いますが、必ずしも一概には言えないというふうに考えているということでございます。
#103
○御法川委員 豊かな農村、明るい農村、これをぜひひとつ実現したい、みんなそう思っております。大臣を中心に農林水産省が一丸となって、ひとつこの理想実現のために大いに頑張ってもらいますことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#104
○平沼委員長 北川昌典君。
#105
○北川(昌)委員 社会党の北川でございます。地方行政委員会に属しておりますが、お許しをいただきまして質問をさせていただきたいと思います。
 もう既にそれぞれの委員の皆さん方から質問があったこととかなりダブる部分があると思いますけれども、これまたお許しいただきたいと思います。
 最初に、農業の新政策についての大臣の基本的な考え方をお聞きいたしたいと思います。
 先ほど御法川先生の方から今までの歴史、現状についてお話もございました。まさにそのとおりの面がございますが、昭和三十六年に農業基本法が制定をされました。それを基軸に数次にわたる農業構造改善事業が進められてまいりました。しかし、一方では農産物の輸入自由化が進んでまいりました。そのことから減反政策がとられましたし、米の減反あるいはミカンの減反、十年ほど前にパイロット事業で五ヘクタールぐらいのミカン園をつくった、ところがまだ果実が実らない、収入が入らないうちに減反ということでミカン園を放置せなければならぬ、そして残るのは借金だけ、こういった農家があちこちに出てまいったところでございます。そういったことから、農政に対しての猫の目農政という酷評もあちこちから出ました。また、国の言うことの反対側のことをすれば農業は成り立つ、こういった声も農民の中から出てきた。これも一つの歴史でございます。
 そういったことから農業を離れていく人、あるいは兼業しなければ農家が成り立たない人、またこういった農業に対する展望を失う、希望がないということで後継者が育たない、こういう歴史がこれまで続いてまいりました。まさに日本の農業は今、剣が峰だろうと思うのですけれども、今回そういう中で農政の大転換とも言うべき新農政が進もうといたしております。田名部大臣、これが成功するかしないか、日本農業が再建するかしないかの出発点であります。成功すれば田名部大臣がやったんだということにもなりかねない、こういう農政でございますが、これについての基本的な考え方をまずお聞かせいただきたいと思います。
#106
○田名部国務大臣 今お話の中に猫の目農政ということがありまして、私もベトコンの幹事長を長らくいたしまして、米価のときにも徹夜して朝方にいろいろな対策を立てで、これは毎年やってきまして、こんなことをやっておっては農家も大変だな、こう思いまして、今官房副長官の近藤、私の前の大臣ですが、話をしまして、もっとしっかりとした対策をやろうよと。それには、きのうも私はペイユさんに言いました、猫の目農政と言われているんですと。何と訳すかと思っておりましたが、この猫の目のときに、私はペイユ事務総長に、輸入は絶対にできないもの、国内で自給でいくもの、それから五〇%ぐらいは輸入するもの、あとは完全に自由化してやっていいものというふうに分けてやらないと猫の目農政と言われる、農家も安心して営農にいそしむという、不安定な要素があってどの国も困るのではないでしょうかという話をしたのです。
 しかし、国際的なことはこれからの問題でありますから、それはそれとして、農業基本法制定後、今までいろいろ変わってきました。国民の食糧に対するニーズも多様化してきまして、そういうものは国内産で全部賄えないものですから、輸入が増大して四兆五百億にも達しているということもあります。しかし中には畜産、施設園芸、そうしたものが生産性向上を実現してきたものもありまして、あるいは農外所得、都市近郊の農家は農外で収入を得て、それと農業の収入を合わせると、所得だけで見れば勤労者世帯を上回る水準に達したという、これらの面が基本法農政が果たした役割であろう、こう考えております。
 しかしながら、高度成長過程の中で農地価格が上昇した、土地利用型農業部門における経営規模拡大がそのことによって停滞していることも事実でありまして、この面が一番問題になっているのですね。施設園芸でありますとかそういうものはまあまあ何とか収入もあるということでありますけれども、土地利用型の農業はある程度の規模がありませんと安定しません。あるいはそのために農家と他の産業との所得が不均衡になってきた、あるいは一極集中などによって中山間地を中心とした過疎化、高齢化、担い手の不足、今お話しになったようなことが起きているわけでありまして、こうしたことを考えながら、二十一世紀という次の時代、長寿社会と言われる時代に出生率が余りにも低下しておるということから見れば、一体どういう農業でなければならぬかということに着目をして、今日的な視点に立ってこの新農政というものを、三十年ぶりに大改革をしようということになったわけであります。この方向に沿って、ただいま御審議いただいております法案を初め各般の具体策を講じながら、数は少なくても意欲的な経営体というものをつくりながら農村社会というものを守っていきたい、こういうふうに考えております。
#107
○北川(昌)委員 ひとつ全力を挙げて農業再建のために頑張っていただきたいと思います。
 次に、この政策の中には食糧自給率の向上の具体的な指針が出ておりません。確かに、農政審議会の中ではカロリー四六%、穀物二九%、先進国でも異例に低い、こういう指摘はされておりますけれども、これをどうしなければならない、したがってこういう農政をというものが出てまいっておりませんけれども、この十年の間で食糧自給率をどこまで高めようとするのか、この目標はどうなっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#108
○上野(博)政府委員 食糧自給率の問題につきましては、国民の食糧消費の傾向がだんだん高度化といいますか、変わってまいっていることに対応いたしまして、国内の生産体制もそういうものに合わせて変えていかなければならない。しかし、畜産物を大量に消費をするということになりますと、国内で十分なえさの生産もしにくいということもございまして、自給率が下がってまいっているわけでございますが、将来、国際的な先行きの様子を考えてみますとなかなか厳しい面もあるわけでございまして、生産性の一層の向上を図って、品質やコスト面での改善も進めながら、可能な限り国内の農業生産を維持拡大していく、現在の自給率の水準をできるだけ維持してまいりたいというのが我々の基本的な考え方でございます。
 確かに、そういう新政策の具体的な提言の中にはその点についての言及はございませんが、今私が申し上げましたような考え方の背景といたしまして、平成二年一月に閣議決定をいたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」というものがあるわけでございますけれども、この中には平成十二年ごろの水準として供給熱量ベースで五〇%程度の自給率を考えているということでございます。
#109
○北川(昌)委員 これはその程度にいたしまして、特に今度の法案の中にも稲作の方向、農業の方向というものが出ておりますけれども、稲作以外のものについてはほとんど出ていないわけなのです。これが自給率との関係もあるわけでありまして、ここではあれしませんが、こういったものも本当に総合的な農業を進めていく体制を早急につくっていただくことをお願いしておきたいと思います。
 次に、今後のあるべき農業の経営体ということで一定の方向が出されておりますけれども、それを見てみますと、今後育成すべき個別経営体を三十五万から四十万戸、うち稲作が十五万戸程度、こういうことになっておりますけれども、六十三年の農業センサスによりますと、十ヘクタール以上の農家が三万五千、今こういう実態の中で、この十年間の間にこうした経営体の育成が可能なのかどうか、この点をひとつお聞きしておきたいと思います。
#110
○上野(博)政府委員 これはなかなか簡単な話ではないことはどなたもお認めいただけるのだろうと思うわけでございますが、そういう大きな、経営の効率性の高い規模の農業をつくるということでなければ、これから先着い人たちが農業に従事するという期待が持てないということから、我々としてはそういう経営としての目標を立てたわけでございまして、それの実現に向かってとにかく最大限の努力をしなければならないことが最大の問題意識としてあるわけでございます。現在でも、中核農家の経営規模等をもとに考えますと、今の我々が立てております。その程度の水準の経営規模の農家をつくり出していくということにつきましては、繰り返しになりますけれども、非常に難しいのは言うまでもないわけでございますが、必ずしもできないことではないと考えているところでございます。
#111
○北川(昌)委員 こうした経営規模拡大をするに伴いまして百七十五万ヘクタールの農地集積がこの中で打ち出されております。過去十年間に農地流動化の実績は七十一万ヘクタール、こうしますと、過去十年間の二・四、五倍の流動化をしなければならないということになりますが、先ほどの農業の担い手の問題と一つで、これもなかなか難儀なことだろうと思うのです。この実現は可能なのかどうか。これも夢を持たせるためのものであってはならないわけなんですが、いかがでございましょうか。
 それとあわせまして、集積しますと、規模拡大しますと、結局一方では縮小しなければならない農家も出てきます。これが全部離農するわけにまいりませんので、そういった規模を縮小する農家の対策というものがこれに連動しているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#112
○入澤政府委員 午前中もお答え申し上げたのですけれども、過去十年間の農地流動化の実績が七十一万ヘクタール、今後十年間では、今先生御指摘のとおり百七十五万ヘクタールぐらい恐らく流動化するのではないかと推定しているわけでございます。
 その推定の根拠は、現に跡取りのいない高齢農家の皆さんが持っている農地が四十二万ヘクタールある、あるいは第二種兼業農家、恒常的な勤務をやっている農家の農地が百三万ヘクタールある。この人たちはいずれ出し手になっていくわけでございます。この出し手になっていく農地をいかにして担い手としての経営体に集積させていくかということでございまして、いろいろな数字を勘案しますと、百七十五万ヘクタールぐらいは流動化があって、利用集積を図らなければいけないのじゃないかと考えているわけであります。
 その結果、見通しとして、稲作でいえば十から二十ヘクタールの経営面積を持つ農家が個別経営で五万とか十万、組織体で二万とかいうようなことが数字が出ておりますけれども、そういう人たちをつくると同時に、各地域のコミュニティーの発展ということも考えなければいけない。我々は、いろいろなところで優良事例に学ばなければいかぬと思っております。出し手になって、農地はこれから担っていく人たちに出しますよ、しかし自分は一部の農地を自習いたしまして、自留地を持って野菜とか花とかをつくって、兼業所得と合わせて高価格で作物をつくって所得を得ます、あるいは高齢でもう年金生活に入っている、地代収入を当てにする方がいいということであれば、土地持ちの非農家として、農地は新しい経営体あるいは生産法人に出すということで、村にとどまって村の中の役割分担を果たしていただく。
 ですから、コミュニティーの中でいろいろな話し合いを積み重ねながら、プロ的な担い手としての農家を育成すると同時に、生産組織も育成し、それからそれぞれの高齢者あるいは土地持ちの非農家として役割分担を担っていくということを想定しているわけでございまして、また、そういう人たちが農地を出しやすくなるような政策、これは別途税制等で用意しておりますし、農地保有合理化事業等でも小作料の一括前払いとかなんとかということも用意しておりますし、いろいろな政策を用意しておるわけでございます。
#113
○北川(昌)委員 兼業農家が必ずしも土地を提供することにはなかなかならないのです。農業が成り立たないか係ら兼業、ほかのところに勤めに行く、こういう形になっておりまして、やはり土地は、先祖伝来のものを手放すあるいは出すということは、日本人の性格としては非常に難しい問題だろうと思うのですけれども、やはりそこがすばらしい政策というものを据えられていけばこれに協力してもらえるということにもなるだろうと思いますし、そういった面ではぜひひとつ今後頑張っていただきたいと思います。
 ただ、この農地流動化については、農地保有合理化法人がやっていますね。それと同時にまた、農業委員会がやっております農地銀行、これも取り扱っておるわけですが、この違いはどうなのでしょうか。
#114
○入澤政府委員 農地保有合理化事業というのは、農地保有合理化法人、これは現在県の農業公社、通常農業公社というのは県の農業公社、それから市町村、それから農協、それから市町村の公社、この四つの組織体が農地保有合理化事業をやることになっております。要するに、農地法の特例といたしまして、耕作者でないのですけれども農地を売買できるという機能を与えられているのが農地保有合理化法人または農地保有合理化事業でございます。
 農地銀行の活動というのは、通常掘り起こし活動と言っているのですけれども、農地を売りたい人あるいは買いたい人、貸したい人、借りたい人を尋ね回って、とにかく毎日、よく聞いてみますと、夕御飯食べてから一軒一軒農家を回って、あなたのところの農地はこういう人が規模拡大しようとしているので出してもらえないか、売れなかったら貸してもらえないかというふうな話し合いを進めている農地流動化推進員という方々が各村々に配置されているのです。そういう人たちが農業委員会に情報を持ち寄って、農業委員会ではそういう情報を収集分析いたしまして、そして農地保有合理化事業に結びつけるという前段階の作業をやっているわけでございます。
 そういうふうに農地保有合理化事業と農地銀行活動とは、掘り起こし活動と掘り起こしの成果を受けて具体的に売買とか賃貸借をやるということに結びつけるという連係プレーをやっているわけでございまして、一つは法律に基づく事業、一つは予算制度に基づく事業でございます。
#115
○北川(昌)委員 土地を流動化させるにはどちらも重要な役割をしているわけでございますが、こういった点でいきますと、連携を強めていくということが今からは極めて大事なことだろうと思います。私は、できるならば、これは一本化できるものならそのことによってより円滑な運営というか、事業が進んでいくのではないかと思っております。しかし、この点は今お聞きしましたので、あれします。
 次に、農業生産法人についてお尋ねいたしたいと思います。
 今回、農業生産法人の要件緩和が行われました。企業も一定の規制の中で参入することになりました。この企業が参入するということは、もちろんいろいろな経営のノウハウとか技術のノウハウを持っておりますので、今後の法人を引っ張っていくという意味では大きなメリットもあると思いますし、そういう役割を果たすというふうに思います。ただ一方では、やはりノウハウを持っておるがゆえにいろいろな面での発言力が強くなる、そのことがリーダー的な立場になって今度はその法人を支配をしていくということになりかねないのではないかと思うのですけれども、そういった運営上の問題として、この法人に対するチェック機能というものを置く必要があるのではないかと思いますが、そこらあたりをお聞かせいただきたいと思います。
#116
○入澤政府委員 御指摘のような心配がございまして、私ども、今回、農業生産法人の要件を緩和するに当たりまして慎重の上に慎重を重ねて、農政審議会の意見を聞くほか、学識経験者の意見等も十分に聞きながら進めたわけでございます。幾つかの角度からチェックシステムを設けております。
 一つは、農業生産法人が農地を取得する際には、定款とか要件の具備を証する書面の添付、すべての農地を耕作すること、取得する農地を効率的に耕作するということの確認、それから許可時におきまして構成員の状況等要件にかかわる事項等を報告する旨の条件を付する、こんなことによりまして、農業生産法人の要件の具備それから投機目的による農地取得でないことをまずチェックいたします。
 それから、今度は農地を取得した後でございますが、許可条件に基づく報告を義務づける、それから農業生産法人台帳を作成いたしまして、常に補正をいたしまして要件の確認を行う、それから要件を欠いたような場合には、農地法第十五条の二の規定に基づきまして一定期間内に是正措置を講じさせます。それでも是正しない場合には、その法人の所有する農地は国が買収するという法律体系になっているわけでございます。
 さらに、今回、農業生産法人の要件改正によりまして、農業生産法人制度が悪用されないようにするために、現行の今申し上げました要件チェックに加えまして、事業内容、構成員の状況など、法人要件の具備についても報告する旨の条件を付します。それから、農業生産法人台帳を毎年補正して具備要件について常時チェックすることを追加しております。
 このように農業生産法人の構成員要件の改正を行うことにしたわけでございますが、その際、企業の有する議決権につきましても四分の一以下、かつ、一企業で有する議決権を十分の一以下というふうに規制するとともに、実質的に企業支配等が生じないように、要件チェックにつきましても監督体制に万全を期するということにしているわけでございます。
 しかし、何よりも大事なのは、農業生産法人の経営者みずからが経営マインドを持ってみずからが強くなることだと私は思うのです。要するに、経営感覚を持って、マーケティングリサーチもきちんとやり、売れる物をきちんとつくっていく、生産活動と同時に商活動もきちんとやるというふうなことを企業の方々からも十分に学んでやっていくことが必要じゃないかというふうに考えておりまして、そういう意味での経営相談、技術相談、マーケティング相談等の体制もつくっていきたいと考えております。
#117
○北川(昌)委員 やはりこの農業生産法人は特殊でございますから、一遍失敗したらこれはやり直しがきかないわけなんですね。そういった面で、本当に真っすぐに、素直に進んでいくような体制というものにしていかなければならぬ。そのためには、いろいろなチェックあるいは助言体制というものを整備してもらわなければいけないというふうに考えますので、今後の指導等をお願いします。
 もう一つ、万が一農業生産法人が倒産をする、解散をするといったときに、この企業が、企業単独ではできないわけですけれども、企業と関係する人が持ち分権を持っておってその土地を取得する、こういったような心配は起きないだろうかというのがあるわけなんですね。ここらあたり、簡単でいいですけれども、なければない、あればあるのでどうするというふうにお答えいただきたいと思います。
#118
○入澤政府委員 農業生産法人が解散し、構成員に農地を処分するという場合につきましても、一般の農地の権利移動と同じように、農地法第三条の許可が必要でございます。そして、農業委員会または都道府県知事の許可を受けなければなりません。この許可を受けるためには、農地法の規定に基づきまして耕作者主義ということで各種の要件が定められております。すべての農地を耕作しない場合はだめだ、それから必要な農作業に常時従事しない場合も権利取得はできない、効率的に利用しない場合にも権利取得はできない、非常に厳格な要件でございまして、農地を取得しようとする者が法人の場合には農業生産法人以外の法人が農地を取得することができないというふうになっているわけでございます。
 したがいまして、企業が一定の制限のもとに新たに出資者となることが今回認められるわけでございますが、このような企業が農業生産法人に対する出資者であったとしても、解散に伴う残余財産の分配によって農地を取得することはできないというふうになっているわけでございます。
#119
○北川(昌)委員 次が、生産法人ができます、そのときにUターンあるいは脱サラで帰ってきてこの法人の組織員として入りたい、就農したい、こういう若者がおります。ところが、途中でございますから、現物出資もない、株も参加してないわけでございますから、参入するにしても資金が必要なんですね。こういったときに、途中から参入する場合の持ち分の譲渡を受ける場合、何か支援措置、いわゆる融資とか、そういったものは考えられないか。これはやはり担い手をつくり上げていくという面からも一つのポイントにもなりますので、聞かせていただきたいと思います。
#120
○入澤政府委員 新規に農業に従事する者が農業生産法人に参加するに当たりまして持ち分を取得しなければいけないかどうかということでございますが、持ち分の取得というのは必ずしも必要ではなく、持ち分の取得に対する支援が新規就農を特に促すということもないんじゃないかというふうに考えております。
 農業生産法人には、新規就農を希望する者が、まず農業生産法人の被用者として雇用されて農業に従事し、その後段階的にその法人の持ち分を取得するという形で、初度的な経費の負担だとか経営リスクなしに農業経営に参画することが可能なんじゃないかというふうに我々考えておりまして、農業生産法人が新規就農者の受け皿としての役割を果たしていくように、これからいろいろな角度から指導してまいりたいというふうに考えております。
#121
○北川(昌)委員 やはり最初法人をつくる場合には、それぞれ農地を出したり、株、持ち分をするという形で参加しますね。ところが、その参加した人がお年寄りで、もうおれの権利を譲りたい、ちょうどUターンしてきた青年が買いたい、ところがお金がない、そういったところの融資の問題ですが、これは今度の中には入っておりませんね。
#122
○入澤政府委員 そのように農地法の条件を充足するような新規参入者がおりまして農地を取得したいということでありますれば、これは農林公庫の農地取得資金、三分五厘資金が借りられることになっております。
#123
○北川(昌)委員 ありがとうございました。
 次に、経営改善計画の認定制度でありますけれども、この農業者を認定していく、この場合、そこの首長さんが認定していくわけですね。基本計画もつくっていきますが、認定をする。そうした場合に、その集落の中で何人か、幾組か、そういう事業計画を出してやりたい、こういう人がおりましたときに、すべてが認定になるのか。そうでない場合は、そこの首長が認定するのになかなか惑いが出てくる。もう一つは、やはりその集落間の中で、農業者間の中での感情的な対立といいますか、そういったものが出てくるような気がしてならないわけです。同時に、首長さんは四年に一遍選挙があるわけですから、私どももありますけれども、選挙があるわけですから、やはりその点についてはちょっと積極的に選定できない、そういう障害があるんじゃないかと思うのですけれども、そこの障害をどのようにのけていくのか、何か対策がございますか。
#124
○入澤政府委員 全国の農山村で、活発に生き生きとして農業をやっている、林業をやっているようなところの共通項目がございますが、その一つに、開かれた村、要するに、今御指摘のようないろいろな感情のもつれを排除して、積極的に新しい慣習、新しい技術を導入する、それからよそ者を歓迎するというふうなところは非常に生き生きとしてやっております。
 今回の経営改善計画の認定に当たりまして、これは上から押しつけるものじゃございませんから、集落内の関係農家がみんな集まりまして、十分に話し合いをして、その結果として計画にまとめ上げていくことでございまして、私どもは、できるだけ感情問題でそういうふうなことがないように、むしろ経営改善計画というのはその村の生産性を上げ、それから全体として農業を活性化させていくんだという視点に立って、首長さんが指導力を発揮されることを期待しているわけでございます。
#125
○北川(昌)委員 一口に簡単におっしゃるけれども、それは実感でも、同じ農業をしてきまして、この人だけをリーダーにしてと、こういろいろ問題が起きてくる可能性は含んでいると思うのですよ。こういったことが起きますと、やはり今度集落が崩れていきますので、そういったことがないような対策というものもとっておいていただきたい。小さいことであるようですけれども、大事なことだと思いますので。
 それから、農地保有合理化法人でございますが、これは新規事業として新規就農者の研修事業が入っております。ところが、この合理化法人というのは利益を得る法人じゃないわけですが、この研修に当たって、いろいろな人とか設備とか、こういったものが必要になってくるわけなんです。これに対しての経費、これについては支援措置というものがあるのかどうか。
#126
○入澤政府委員 農地保有合理化法人が研修を行う場合に、まず農地でございますが、代位して農地を買って、中間保有している農地を使います。具体的な指導でございますけれども、それは、農協に頼んだり、あるいは市町村に頼んだり、あるいは農業者みずから、農業公社みずから、必要な範囲内で経費を支出してやるということも考えております。特別に予算措置を講じたわけじゃございませんけれども、地域の関係者の総力を挙げて協力していただきまして研修をやっていくというふうにしたいと思っております。
#127
○北川(昌)委員 これは答弁は要りませんけれども、先ほどもお話が出ましたように、後継者の問題、これは極めて深刻でございます。新規学卒者の就業が一千七百人、農業関係の高校に行きましてもほかのところに就職していくということですね。やはり問題もあるのです。中学校時代、今偏差値がなくなりましたけれども、あれで輪切りをして、全く関係ない、希望もしない者を中学校から農林高校に送り込んでいくとか、こういうことだったわけなんですよ。目的意識がないから就職しませんね。
 これは文部省の関係なんですけれども、こういう話もあるのですよ。私の地元なんですけれども、すぐ近くに農林高校がある。そこの中学校の先生が子供に、おいおまえ、勉強しないとそこの高校にやるぞ、こういう農業軽視の教育というものがされてきておる、ここにも問題があると思うのですね。そういった点、これはここで私は申し上げて、文部省の方にも農林省の方から、ひとつこういったものの協議を強めていただきたいと思うのです。
 それから、生活環境の改善の問題、これは集落排水でございますが、一つの方針を見ますと、農振地の中で十二万の集落があって、これから十年間で三万の集落をということでございますから、四分の一しかならないわけですね。これでは改善できないのです。
 昨年、私のところで高校総体がございました。民宿がございました。民宿でないと、地方でございますから宿泊がない。ところが、子供たちが何と言ったかというと、あそこは水洗トイレじゃないからだめだ、こういうように本当に敬遠するわけなんですね。そういった環境の整備、衛生環境等も整備されてないと、何としてもこれは急がなければならない。都市との交流というのが今度の方針の中にもうたわれておりますが、これを成功させるためには、やはりそういうところがないといかないわけなんですよ。
 そういった面で、集落排水でも一番切り捨てられておるのが農村なんです。こういった面で、これはもうお聞きしませんけれども、これは積極的に取り組んでいただいて、環境整備というものをしていただきたい。中には、ちょっと話しましたけれども、二十戸が一つの基準になりますので、ところが、山村に行きますと、二十戸どころか点々とありますから、なかなかこの事業は網をかぶらないわけです。したがって、これは今厚生省がやっておるようでございますけれども、合併処理、こういったものを農林省サイドでも取り上げていただいて、排水事業ができないところはそういった施設で整備をしていただくという考え方も御検討いただきたい、このことをこれは要望として申し上げておきたいと思います。
 それと同時に、農業、農村を守るには農道の整備等が必要なのですが、私のところの地元で広域農道、沿岸南部広域農道は非常に長い、四十二・七キロでございます。建設サイドもございますから三十五・三キロでございますが、もう五十五年からかかっておりまして、年次でございますから、三つに分かれておりますから五十九年、ちょっと十年以上かかったところ、それから今十年、それで進捗率が三五%。これは、これから農業を再建していこうというときに、このテンポでは農業がなかなか進んでいかないことにもなりかねない。ことしはかなり予算を組んでいただいておりますので、さらにこれからスピードが速まっていくと思いますけれども、これも要望して、ぜひ速めていただくことをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、特定山村対策についてお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、先ほどの御法川先生の質問の中で山村の指定になるのは千二百程度だとおっしゃいましたが、間違いございませんね。千七百九十三ですからかなりあるわけですけれども、やはり山村地域というのはそう条件が変わるところはないと思うのです。山村で大変苦労いただきながら今まで農業を守る、林業を守る、環境を守るということをしていただいているわけで、もしこれでこの指定から外れていきますと、さらに意欲を失うという地区もできかねないわけでありますから、そういった面では指定の枠を緩やかにして広げていただいて、ほとんどこれにはまるようにしていただいて、全体の農村を、せっかくのこの農村対策というものを今度の農政の中で初めて目を向けていただいたわけですから、これを成功させなければいかぬ、そのためには枠を広げて大多数が入るようなことにしてもらわないといかないと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
#128
○入澤政府委員 先ほど千二百市町村くらいが対象になるのじゃないかということを申し上げましたが、山村振興法の指定地域、指定市町村、それから過疎対策法の指定市町村も大体千二百弱でございまして、ほぼオーバーラップしたようなことでございます。一定の要件に該当するところをきちんと指定していきたいと思っております。
#129
○北川(昌)委員 市町村はそういう数でございますけれども、集落になりますとどういうことになるのでしょうか。やはり事業を進めていくには、集落単位で事業を進めていかなければならぬと思うのですね。
#130
○入澤政府委員 行政区域ですから、市町村単位で指定いたしますけれども、地域のとり方は大体旧市町村単位にするかなというふうに考えております。
#131
○北川(昌)委員 これは基本計画は市町村がつくるということでございますから、その中で解決されていくものだろうと思うのですけれども、この基本計画を作成する場合に、普通農振とか、あるいはほとんどが県が基本計画を出して市町村が基本構想、こういうことになっておりますが、この分については市町村が基本計画をつくる、こういうことになっているわけです。
 確かにこのことは非常に現場を重視した将来の、現場で決めていく、地元で決めていくということでの考え方としてはいいと思うのですけれども、ただ、この基本計画をつくるときに、国とか県とかがある程度参画していただかないといかないのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕
#132
○入澤政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、新しい試みでありますので、私ども関係機関を動員してこの中山間地域の活性化に取り組みたいと思っております。
 まず国にありましては、試験研究とか、それから地方農政局における指導の充実強化を図ります。それから、新規導入作物の作付とか需給動向に関する情報の把握とか提供については国が一生懸命やりたいと考えております。それから、都道府県にありましては、それぞれ地域における試験研究や普及活動の充実に努めますとともに、計画の承認に当たりまして、導入すべき作物などにつきまして、地域の特性を踏まえながら他の市町村の導入動向などもにらんで所要の調整を行うというふうに、都道府県の役割も明確にして指導していきたいというふうに考えております。
#133
○北川(昌)委員 やはり国は全国のいろいろな情報、動向というもの、これをつくろうということで取っかかりますね。最初が大事でございますから、それに取っかかってみたら、全国で金太郎あめのようにこうということではこの事業は成功しないわけで、そういった面での情報とか指導とか、こういったものが必要だ。県にすれば、やはり私のところに例がございますが、構造改善事業でミカンを植えました。植えるについてどういう品種を植えるか。県の普及所あたりでいろいろ研究してもらって、その結果、今非常に適地適作ということで全国的にも評判がいいミカンができるという成功例もあるわけなのですね。ところが、片やそういったところがなかったがゆえに、せっかく植えたミカン、何年もたってこのミカンが出たときにはこれがす上がりをして全く売り物にならないという例もあるわけです。
 土壌が転作に適するか、そしてこれが本当に全国的に余り厳しい競合はしないか、こういった面のことも十分に頭に入れての計画をつくり、取っかかりをしていかないと成功しないというふうに考えますので、そういった点を十分配意をいただきたい、こういうふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
#134
○入澤政府委員 全く御指摘のとおりだと思います。
#135
○北川(昌)委員 同じようなことでございますけれども、高付加価値の新作目を導入する、こうした場合に、その集落だけの積み上げということでなくて、やはり周囲には商工会議所、いわゆる販売の商工会議所あるいは森林組合あるいは農協、こういった団体があるわけですけれども、こういった団体のノウハウも一緒に入れてその村全体で事業を進めていくというようなことにならないと、その集落だけでの話し合いでは、先ほど申しましたような感情的な問題とかいろいろな問題も起きてくる危険性もあると思うのですけれども、そういう面での役割といいますか、そこら辺はどうお考えになっていますか。
#136
○入澤政府委員 各市町村ごとに経営指導センターというのを設けまして、そこには普及所それから農協の職員、それから農業委員会等もみんな参加してもらいまして、そのほかに市場の関係者、食品産業のメーカー、それから中小企業のいろいろな経営診断をやれるような人、いろいろな人を集ってセンターで具体的に相談にあずかるような仕組みをつくっていきたいと思っております。そこに行きましたら、その地域でどういう経営をやったらいいか、それから技術はどういうふうにやったらいいだろうか、マーケティングはどうやったらいいか、どこの市場に売ったら高く売れるかとか、いろいろなことを相談できるような仕組みにしたいと思っております。ですから、農協等団体、普及関係者、農業委員会等の役割は一段と重要になってくるのではないかというふうに、私は考えております。
#137
○北川(昌)委員 それから、やはりこれからスタートするについては高齢者の知恵というものが大きな役割を果たすと思うのです。と同時に、こういった新規の事業を、作目を導入して農業を経営していく、一方ではこれに関連したいろいろな製品を付加価値をつけるというようなことも必要であるかもしれません。そのノウハウを高齢者は持っておるのです。かつては福祉対策も含めて各戸に牛を一頭ずつ貸し付けて、これが高齢者の皆さんのお仕事でしたけれども、もう今そういうこともできません、牛も集約化されていきましたから。こうした人たち、お年寄りの皆さん方、しょうゆをつくるとかおみそをつくるとかいろいろな工芸品とか、技術を持っていらっしゃるのです。こういったものを生かすこともこの事業の中で必要だろうと思うのです。こういった点は地元の問題だ、こうおっしゃればそれまでなのですけれども、国もそういう気持ちがないといかないと思いますし、そういうことに対しての支援というのもまた必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
#138
○入澤政府委員 御指摘のとおり、高齢者は地域の活性化を図る上で貴重な経験と知識を有する大変重要な存在ではないかと思います。高齢者対策、人間押しなべて、働く意欲と能力がある限り働く場が与えられてしかるべきだと私は考えておりますけれども、そういう観点からしますと、農山村において農業あるいは農産加工業に従事するということは大変重要な職場ではないかと考えております。
 全国でいろいろな例がありますが、今御指摘のとおり、みそ、漬物等伝統的な農産加工品を製造するところで高齢者がお役に立っている。地域の農産物やキノコ等を利用した伝統料理、木工品等伝統工芸品の製造、それから農林業体験だとか伝統芸能、こういうもののインストラクター等、幅広くその経験と知識を生かして活躍をしておられます。
 今度の中山間地域の振興は農林業などの活性化でありまして、農林業以外のいろいろな事業の活性化もあわせてやって、その地域全体を活性化させたいということでございますので、当然高齢者にも非常に重要な役割を果たしていただかなくてはいかない、そのためのいろいろな助成措置といいますか、予算上のいろいろな政策はこれからも用意していく考えでおります。
#139
○北川(昌)委員 先ほども出ましたけれども、いわゆる直接所得補償ということについて、お考えをお聞きしたいと思うのですけれども、経営改善資金それから安定資金、低利融資がされますね。しかし、耕地面積が狭いのです。山村に行きますと段々畑で、昔の三畝とか五畝とかいうのが集約されて何段になっているわけで、そういう面では生産性も非常に低い。よっぽど付加価値の高いものが植えられれば別ですけれども、そう簡単にはいかないわけであります。そうなりますと、今でも年間農家所得が五十万ですか、大きく伸びてくるとは考えられない。やはり今度はこれに専従するのではなくて、またどこかに仕事に行かなければ食べられない、食えないということになって、この事業が進んでいかない。したがって、やはり事業が確立するように一つの補償をする考えはないのか、検討をいただく考えはないか。
 先ほどはそういうことはないとおっしゃいましたが、実は私は宮崎の出身でございますけれども、私のところの知事はなかなか偉いのです。県土の中で温度差が、宮崎から福島までの温度差がある。その温度差を生かしていろいろな作物をつくって、高冷地では高冷地野菜とか菊とかこういったもので農業が成り立っていく。いろいろやってこられました。所得も高いところもあるのです、なかなか大変なところもあるのですけれども。そういうことをしながら農業を守ってきたが、それでもなかなかいかぬということでいかないところもあるわけですね。どうにもそういったことができないところには、一昨年からデカップリング、直接所得補償について検討しようということで、森とむらの会の高木文雄さん、元国鉄総裁ですね、この方に調査研究を委託いたしまして毎年予算をつけております。
 ただ、これはやはりそのことと同時に環境を守る、保全するという立場での検討に入っているようなのですね。そういう面からいきますと、これが決まりましても県だけでの財政支援はなかなかできない。そこでやはり国に要請もしなければならぬという考え方を持っているようですが、そういうふうに現場ではそうしなければどうにも守れないところが出てきている。多いのですよ。そういったところに対してのデカップリングを私どもは提案をしているわけなのですけれども、やはり地方でそういう動きがあるわけですから、国としても御検討あるべきではないかと思いますが、大臣いかがでしょう。
#140
○田名部国務大臣 たびたび御熱心にこのデカップリングのお話をいただくわけでありますけれども、今、現に中山間地農業をやっておるわけですから、そういう中で、じゃあどうされておるか。結局、収入が一定していない、それのみで生活できない人たちは、やはり場所によっては、近くに市があるとか働く大きな場所があれば、そこへ行って収入を得ながら中山間地農業をやっておる。一方ではそう働きに行けないというところは、もう既に出て、あるいは仕送りとか年金とかいろいろなことでやっておる人もおるということになりますと、一様ではないのですね。二種兼業と申し上げた方がいいと思うのですが、そこに補償を出せるかどうか、またそのことによって本当に若い人たちがそこに定着をしてどこにも行かずにやれるかという、いろいろなことを考えるとなかなか難しい。そこへもってきて、農村、中山間地を守っているのは働いている農家だけかというと、農家でない人、お店を経営したりいろいろな人もそこにおる。そっちは補償するがこっちは補償しないとかというケースを考えると、いろいろ出てまいります。
 それからいま一つは、ECの場合には一農家当たりの平均支給額は一年間で十四万円です。十四万で本当に若い人たちがそこに残って農業をしていただけるだろうかという問題もあるわけですね。けたが違うわけですから。日本だと月に十四万ぐらい出せばあるいはという人もおられるかもしれませんが、いずれにしてもそうしたことがありまして、今回、中山間地対策としては、地域の自主性と創意工夫を生かした取り組みを支援しようという言葉が一番いいのであろうと実は考えたわけです。
 従来から中山間地には有利な補助率の設定もいたしておりますし、採択基準の緩和などの措置を講じておりますけれども、これらの施策に加えて、地域の特性を生かした農林業の振興、集落機能の再編強化、農林地の利活用の促進、そういうことを図るための新たな制度を創設するということにいたして対策を強化していくことが大事であろうというふうに考えたわけでありまして、どうぞこういう面でまずやらしていただきたい。やっている中でまた新たな問題というものは出てくるかもしれませんが、そのときには今度どういう対策が必要か、いろいろと我々も模索をしながらいい方向にいい方向に努力しているわけですから、そういうことで御理解をいただきたい、こう考えております。
#141
○北川(昌)委員 この地区の、山村地域の人は、今おっしゃったように確かに山根、過疎法、いろいろ網をかぶっておりますけれども、その中でもなおかつ余り恩恵を受けていない地区が多いんですよね。下水道、上水道あるいは病院、道路、本当にそれからわきに置かれた人たちであって、それでもなおかつ先祖伝来の土地を守るということで、それが今度はその地域の環境保全にもつながっているわけですが、農業を続けてこられた。そういったものに対することも考慮に入れたデカップリングというものが検討されてしかるべきではないか、こういうふうに考えます。
 これはお聞きしませんけれども、そういった面も含めて、それと、せっかく今度つくる山村対策でのそういった団体、これに支援をすることもデカップリングの一つにもなるわけで、そういったいろいろな形での検討をお願い申し上げておきたいと思います。
 それと、これは山村問題で、農業を経営していくについて一番の悩みはイノシシとか猿ですね。これが悪さをするんですわ。せっかく実りが来た目の前に、収穫時期が来た、全部やるんですよね。これではもう農業は続けられないという状況があります。こういった鳥獣害に対する防止策。イノシシも近ごろは頭がいいんですね。電線を張ってやっておりますと、最初は逃げますが後は潜っていくとか、これはもう猿とイノシシは賢いのです。しかし、これがそういう山村農家にとっては大変な状況なんです。やはり今後これを徹底してもらわないと、せっかく事業を進めましても、一方から全部すり取られていくということで経営が成り立たないということになりかねないと思いますので、それをひとつお聞きしておきたいと思います。
#142
○高橋(政)政府委員 中山間地帯では特に最近、猿とかイノシシ、そういったものによる被害が問題になっていることは我々も承知しておりますが、対策といたしましては、爆発音というようなおどし器具を利用する、あるいは防護ネットなどの物理的防除をやるとか、忌避剤をやるとかという、そういうものとそれから補殺するという方法とを組み合わせてやることになるわけでございますが、今先生がおっしゃいましたように、どうしてもなれてしまってそういうものは効き目がないというようなことで、どうも従来の手法では効果的な対策が困難な場合が見られます。
 そこで、我々もこの辺ちょっと検討しなきゃいけないということで、五年度から新たに、例えて申しますと、ある一定の場所を通ると必ずポンと音がするということですと、これはもうなれてしまって全然効き目がありませんので、一定の場所を通りましてもランダムに、時間が決まってなくて、ある場合は一分後、ある場合は十秒後とか、ランダムに爆発音を鳴らす、そうしますとなれることがなくていいとかそういうような技術、あるいは太陽電池を利用した電気ショックを与える方法であるとか、嫌いであるというような鳴き声というか音を出すような方法であるとか、そんな技術を導入したモデル地区を設定いたしまして、何とか我々もいい防止対策を確立、定着、普及させようというようなことで考えておるところでございまして、今後そういったことにも力を入れてまいりたいと思っております。
#143
○北川(昌)委員 あと、農協と森林組合の連携の問題等、いろいろお尋ねしたいこともあったわけでございますが、時間が来ましたので、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#144
○御法川委員長代理 志賀一夫君。
#145
○志賀(一)委員 私は、もう既にいろいろ議論されてまいりましたけれども、今回の新しい農水省の政策の理念、その中では、農業、農村が有する国土、環境保全等多面的機能に着目した農業、農村の非経済的価値の重視、二つ目には国際的な食糧需給の不安定性に着目した国土資源の有効利用、三つ目に効率的、安定的な経営体の育成等に着目した農業の経済効率性の追求、この三つの重要な視点をどのように整合性を図りつつ新しい農政の中にどう具体化していくかがこれからの最大の課題だというふうに考えますが、それらに対する方針についてまずお伺いをしたいと思います。
#146
○田名部国務大臣 適切な農業生産活動を継続するということの中で、食糧の安定的な供給でありますとか国土、環境の保全あるいは生活余暇の空間の提供、こういうことを図っていかなければならぬ、こう思っておりますし、そのためには意欲的な農林業者の存在が基本的な前提となるわけであります。そこで、こういう人たちのために経営体の農地利用の集積を進める必要があるというふうに考えておりまして、また、これとあわせて関連する施策として、生産性の向上を図りながら環境への負荷の軽減に配慮した持続的な農業の確立、あるいは農村における生活環境整備などの地域活性化対策、こうしたものを総合的に推進をしながら農業、農村の持つ多様な機能の維持増進を図っていくということにしておるわけであります。
#147
○志賀(一)委員 こういう中で私ども痛感いたしますのは、農業の公益的な役割、やはりこういうものを考えるときには当然そこに非経済的な要素というものが働いてくるわけでありますが、それと対比して、農業の効率性を余りにも重視し過ぎる嫌いがあるのではないかということが今度の農政の最大の柱としてびんと響いてきているわけですね。その辺をどう整合性を保っていくかというのが新農政の課題ではないかというふうに思うのですが、その辺はいかがでしょう。
#148
○田名部国務大臣 確かにそういう面もあると思います。しかしながら、現状をずっと見ておりまして、担い手もいない、あるいは嫁対策をどうするか、いろいろ課題があるわけですね。そう言いつつも、やはり所得が一定のものでないとならないということになると、今申し上げたように、その所得が上がる程度の規模のもの、土地利用型、稲作の場合は二十ヘクタール程度、あるいは複合でやった場合、これは一つの目安でありまして、どういうふうに組み合わせるかというのはその地域の実情というのがありますから、土地のないところで規模拡大、拡大と言ってもこれは困難でありますし、ですから、いろいろな組み合わせの中でどうするかという、利益追求ばかりではないのですけれども、基本的なところは、生活が安定しないところに意欲的に農業経営をやるかということを考えると、おっしゃるとおり国土という面から見ればそういうことでありますが、農業生産が上がる中で、その生産をしているうちに、一方での環境でありますとか国土というものが保全されておるんだということに考えていかなければいけないのではないかと考えております。
#149
○志賀(一)委員 この問題はまた後で触れたいと思いますので、具体的な課題でお聞きをいたしたいと思います。
 それは、平成二年一月に公表いたしました「農産物の需要と生産の長期見通し」に立った西暦二〇〇〇年の国内農業の枠組み、すなわちカロリー自給率五〇%の維持、優良農地五百万ヘクタールの確保、国民一人当たり二千キロカロリーを供給し得る国内生産体制の堅持を当面の達成すべき政策目標として明示し、これを実現する方向の適切な国境措置と国内農業政策の内容を整備し、必要な財政負担と消費者負担をあわせて国民に提起をしてその是非を問うべきだ、こういうふうな閣議決定があったわけでありますけれども、これについていま少しく具体的な方針をお聞かせいただきたいと思います。
#150
○上野(博)政府委員 長期見通しで示しております自給率の見通しは、我が国の農業の持っております力を最大限に発揮するということによって実現をする水準というものを意欲的に見通したものでございます。
 しかし、一方で現実問題として食糧自給率は低下傾向にあるということでございます。これは御案内のとおり、国民の食生活が非常に豊かになりまして、そういう食生活の変化が食糧自給率の低下ということに結びついているということだろうと思うわけでございますけれども、農地の面積にも限りがあるわけでございまして、自給率を上げていくということについてはなかなか容易ならざる問題があるわけでございます。
 したがいまして、食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけていくということを今度の新政策でも非常に大事な考え方として立てているわけでございますが、そのためには生産性を一層向上いたしまして、品質やコスト面での改善を図ってまいることによりまして、可能な限り国内の農業生産を維持拡大するということが大事になるわけでございます。
 こういう目的のために、特に土地利用型の農業につきまして、経営感覚にすぐれた効率的、安定的な経営体を育成するという今回の新政策の考え方を打ち立てたわけでございまして、そういう経営体によりまして土地改良事業などを積極的に進めで、それによって出てまいります優良な区画の大きい圃場というようなものを使って、さらに先端的な技術開発なども進めながら、そういうすぐれた技術力のもとにまた新たな生産体制を築いていく、そういうことで初めて達成されることになるということでございます。
 したがいまして、今申し上げましたようなことにつきまして、私どもとしては一層の努力をしてまいることを考えているわけでございます。
#151
○志賀(一)委員 自給率の低下に歯どめをかけるための具体的な政策目標及び政策内容がこの中では全く示されていないのであります。したがって、そういうお考えがあれば具体的に明示すべきだ。効率的な、安定的な、望ましい経営体の提示とそれを育成するための構造政策の展開のみをもって農業の担い手を育成し、一定の国内生産を確保し、自給率の歯どめをかけることは極めて困難ではないか、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#152
○上野(博)政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、各般の施策を総合的に実施いたしまして、それによってようよう達成される意欲的な見通しの水準が長期見通しに載っておる水準であることはまことにそのとおりでございまして、その達成がなかなか簡単でないだろうということは委員御指摘のとおりだと考えております。しかしながら、ともかく二十一世紀に向けまして我が国の農業が生存して発展をしていくというためには、現在のいろいろな状況から見まするに、私どもが提示をいたしておりますこの新しい政策体系、これをもって対応する以外に方法はないのじゃないか、これを努力をして実現していくということが、難しいながら自給率の低下に歯どめをかけることにもつながるのではないかというふうにも我々は思って、努力しようということを申し上げているわけでございます。
#153
○志賀(一)委員 言っていることは私もわかるのです。しかし、自給率を二〇〇〇年に五〇%に置く、そうならば、その目標に向かってどういう作物を、どういうものを一体どういう年次計画を立てて生産を増加していくのかという具体的なプロセスを国民の前に示さないで、頭の中の文章だけでこういたしますという理屈では、私は納得がいかないと思うのであります。しかも、カロリーベースでもあるいは穀物から見ても年々自給率が下がっている、これ以上下げたら大変だという思いがありますから、その辺は、ここで五〇%という目標を決めたなら、それに向かって何をどうする、酪農はどうする、野菜はどうする、そういう具体的なプロセスを国民の前に提示することが新農政に対する大きな期待になって、そして農家の皆さんの、ではやろうかという意欲を引き出すことになるわけです。そのプロセスを明らかにしないで理屈だけ言っても、それは我々としても承服するわけにはいかぬと思うのです。
#154
○上野(博)政府委員 プロセス論といったときに、言っておられる意味と私が受け取る意味の間に差があるのではないかという気もいたすわけでございますけれども、新政策の中で土地利用型の農業、稲作につきましては、私どもとしてそのプロセスをお示ししたと考えているわけでございます。確かに、それ以外の作目につきまして、稲作に匹敵するほどのプロセスといいますか、将来の姿というようなものをお示ししていないのは事実でございますが、これにつきましては、これから鋭意農政審議会の小委員会あたりに御検討もいただきながら、この夏ぐらいをめどに、主要な作目について将来の姿を描く、プロセスを描くという努力をいたしたいと考えております。
#155
○志賀(一)委員 米についてはそういう方針を明らかにした、こういうことでありますけれども、あれはやはり五十年に一つの政策目標を描いたにすぎないじゃないのですか。そのプロセスは明らかになってないでしょう。本当にやろうというのなら、各作物別にもっと明確な、具体的な方針を出すというのが当然じゃないでしょうか。もう一度お伺いしたい。
#156
○上野(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、稲作以外につきましては、将来の姿であるとか取り組むべき課題であるとか、現在の技術体系等から見て実現可能な経営の姿とういものもお示しをするつもりで努力をいたしているところでございますが、先ほど来申し上げましたように、プロセス論の理解の仕方に差があるのではないかというふうな気がいたします。
 私どもとしては、稲作について言えば、新政策の中でお示しを申し上げましたような将来の稲作の経営体というものをつくり上げるべく、本日も御議論をいただいておりますような各種の法制の改正について、新たな考え方で将来へ向かった取り組みを御相談申し上げているわけでございます。それからまた、予算的にも、平成五年度の予算におきましては、各般にわたりましてああいう新政策の考え方に沿った施策をとっているところでございまして、これからもさらに必要があればそういう方向に沿った努力をいたすというつもりでおるところでございます。
#157
○志賀(一)委員 やはり時は待たないのです。もう毎年、農産物の輸入はどんどんふえる、そして食糧の生産というものは待たないで年々下がっていくのです。そういう中で、やはりもっと具体的に速やかにいろいろな作物について提示をして、国民の皆さん、農家の皆さんが魅力を持ち得るような政策を具体的に出してください。ぜひお願いしたいものだと思います。
 話は違いますが、昨年の端境期には米の手持ち量がわずかに二十六万トンとかと聞いておったわけであります。非常に背筋を寒くするような量だと私は思うのでありますが、やはり今の我が国の食糧政策を考えた場合に、ある程度の食糧の備蓄政策というものは当然あってしかるべきだと私は思うのであります。
 そこで、別な例でありますが、今の低下する食糧の自給率を考えたときには、何かがあれば大変なことになる。御承知のように、石油は九二年度で百四十日分備蓄をいたしておりまして、それに必要なお金は三千四百四十五億、まさに農林予算の一割を石油の備蓄政策に使っているわけであります。いま少し農林大臣も、こういった政策について元気を出して予算要求をしてやるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#158
○上野(博)政府委員 私どもの住んでおります日本、この国におきまして、この国が持っておりますいろいろな条件のもとで、現在の我々が享受をいたしております豊かな食生活を続けていくということになりますと、やはり国内生産と輸入あるいは備蓄を組み合わせて食糧の供給を安定的に行っていくことが必要だ、その中におきまして、備蓄についてもその役割は果たしていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
 その際の備蓄の考え方になるわけでございますけれども、輸入障害が発生いたしましたときの一時的な食糧供給の減少という不測の事態に対応するための手段だというふうに我々としては位置づけているところでございまして、輸入依存度の高い小麦であるとか飼料穀物及び大豆につきまして備蓄を現在でも実施いたしているところでございます。
 ただ、備蓄の数量ということになりますと、品目ごとの需給の実態あるいは費用と便益、コストが非常にかかるというようなことを総合的に考えまして、妥当な水準で備蓄を考えるべきじゃないかというふうに思っております。現在政府の助成によりまして確保いたしております備蓄数量というのは、品目によって若干の違いはございますけれども、おおむね年間消費量の一カ月分から三カ月分程度になっておるところでございます。
#159
○志賀(一)委員 今一カ月から三カ月ということを言っているわけですが、現実にそういう備蓄をやっているのですか。何か余り記憶にないのですけれども。
#160
○上野(博)政府委員 私ただいま申し上げましたように、政府の助成でそういう水準の備蓄をいたしているところでございます。
#161
○志賀(一)委員 それでは、最近の、秋以降の備蓄している数字をずっと出してくれませんか。当然でしょう。それから、そのためにどれくらいのお金を使っているのかもあわせて出してください。
#162
○上野(博)政府委員 経費につきましてはただいま手元に数字を持っておりませんが、数量につきましては、食糧用の小麦で平成五年度の計画が九十二万トン、飼料用の穀物としてトウモロコシ、コウリャンを合わせて八十万トン、大麦が四十万トン、大豆が八万トン、こういう数量でございます。
#163
○志賀(一)委員 お米の方はどうなっているんですか。
    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕
#164
○上野(博)政府委員 お米については、米穀年度末の持ち越し数量というのがそういう役割を果たす数字ということになろうかと思いますが、平成五米穀年度の末でたしか四十万トン台の数字だったかなというふうに思います。この点、確認をいたしまして、後ほどお答え申し上げたいと思います。
#165
○志賀(一)委員 四十万トンといえば、二日か三日か知らぬけれども、もう本当に微々たる数量だと思いますので、今後備蓄政策についてはひとつ抜本的な対策をとれるように御検討いただきたいと思います。
 次に、私は中山間地帯の現状についてお聞きをいたしたいと思います。
 御承知のように、中山間地帯は過疎化、高齢化の進行、就業機会の不足、耕作放棄地の増加や森林の維持管理の停滞、生産基盤の整備のおくれ、生活環境の整備のおくれ等で極めて厳しい状況下にあることから、緊急な対策を立てるべきであるとして、中山間地域の総合的な振興を図るには、農水省のみならず関係各省が話し合って、ひとつ一体的な取り組みをすべきだということで今日まで議論を深めてきたというふうに思うのでありますが、その経過と結果についでお聞かせをいただきたいと思います。
#166
○田名部国務大臣 御案内のとおり、中山間地域は四割を占めておるわけでありまして、これは農業の四割でありますけれども、地域の基幹的な産業である農林業の振興を初め、良好な生活環境の確保でありますとか農用地及び森林等の地域資源の適正な利用及び保全、さらには地方都市との道路アクセス条件の改善、医療、福祉、そうしたものの充実を図りながら定住条件の整備を進めていかなければならぬと考えておりまして、これまでもいろいろな施策を推進をいたしてまいりました。しかしながら、経営の担い手の減少、高齢化の進展の状況から、今委員お話しのように、閣議で私から、農林水産省だけではなかなか対応ができない、よって、各省庁の御支援もいただきたいということもお願いを申し上げました。
 これからも、先般、国土庁、自治省、私の方でいろいろと勉強会等もいたしながら、今回御審議いただいております特定農山村法案においては、中山間地域の条件に即応した新規作物の導入等による農業経営の改善、安定の促進、あるいは農林業を中心としてその他の事業を含めた活性化のための基盤整備を促進するため、所要の税制措置あるいは地方財政措置、そういうものを関係省庁が連携協力をして総合的に講ずるということにいたしておるわけであります。
#167
○志賀(一)委員 中山間地帯では、地域の施策として、畜産、野菜、果樹、養蚕など、立地条件を生かした労働集約型、複合型の農業や有機農業、林業、農林産物を素材とした加工業、観光などを振興するほか、定住条件の整備や地域資源の維持管理に資する各種施策の一層の強化を図るとともに、財政上、金融上の手厚い措置を講ずることによって農林業等の経営基盤の整備と体質強化を図り、あわせて地域資源の有効活用や工業導入等を通して安定収入の場を確保することによって所得確保を図りたいということが、農水省の中山間地帯に対する一つの考え方でありますし、そのことに私はなるほど、文章としては立派なものだというふうに思いますし、また、方針としても間違ってはいないというふうに思うのでありますけれども、しからば、今もう瀕死にさまよっている養蚕業をどうやっていくのか、桑が伸び放題となっている現況の養蚕業をどうするのか、それからまた、若い者がこの中山間地帯、特に山村地帯においてはもうほとんどいない、そういうところにどうやって工業導入をするのか。今求められているものは具体性なんだ。それがなくして、若い者が中山間地帯に定着をし、喜んでそこに定住の地を求めて一生懸命農林業をやっていこうという気分にはならないというふうに思うのでありますが、この辺についての具体策についてはどのようなお考えなのかをおただしをしたいと思います。
#168
○入澤政府委員 中山間地域のみならず、農山村で生き生きと若者が農業をやっている事例を見ていますと、およそ四つの項目が抽出されます。一つは、安定的に所得が確保される。もう一つは、先ほどもちょっと申し上げたのですけれども、開かれた村づくりがありまして、いろいろな技術、いろいろな文化が抵抗なく入ってくる、それから長老、老人の皆さん方も若者のそういうふうなことをよく理解する。三つ目は、生活環境のいろいろな施設を初め、道路等のアクセスも整備されてまして、一、二時間もすればちょっとした中核都市に行きまして都市の生活も味わえる。四つ目は、我が村は美しくということで、自分の村を誇りに思うような町づくりや村づくりがなされている。こんな条件が、いろいろな事例を読んでみますと、あるいは現地に行って実態調査をやってみますと、抽出されてまいります。
 私どもは、今回の中山間地域、特に条件の不利地域におきまして定住の促進を図り、そこで農林業を活性化させるという場合に、今申し上げましたような四つの条件を可能な限り充足するような政策を展開しなければいけないということで、各省庁とかなり突っ込んだ話し合いをやりました。先ほど大臣から答弁がありましたけれども、我が国の中山間地域の状況を見ますと、農業の四割のシェアを占めている。やはり農業が活性化することが中山間地域の活性化に基本的にはつながるのではないかということで、農林業などの活性化ということを中心に今回法案を考えたわけでございます。しかし、農林業だけじゃだめなので、それに加えまして、その他の事業といたしまして、工業導入とか流通施設の設置をして商業等も活性化させていこうということを考えたわけでございます。
 既存の各般の施策、制度を可能な限り動員したい、そのためには、それぞれの省の持っている事業をうまくこっちの地域に当てはめていかなければならないという問題があります。これらにつきましては、国土、自治、農林省のほかに、建設省、通産省も主務大臣になりましたし、それから厚生、運輸、郵政等の各省庁も協議大臣になっておりますので、十分に話し合いをしながら、先ほど申しました四つの条件を充足するという観点から政策を展開していきたいというふうに考えているわけでございます。
#169
○志賀(一)委員 今お話しいただいた四つの方向については、私も全面的に異論はないのです。しかし、それをどう具体化していくのかということの中では、この中山間地帯の中で具体化しているのは低利資金の融資制度が主要な柱で、あと具体的なものが何かあるのでしょうか。法律自体としては立派なものができていると私は思っているのですけれども、しかし、じゃそれにこたえてこの地域の農家の皆さん、特に若い人たちが飛びついてくるような法律案であろうかということになれば、私はどうも納得がいかない、これが現状ではないでしょうか。
 どうです、もう既に過去においてこのような文章に書いたことは実験済みなことなのですね。今土壇場に来ている中山間地帯をどうするか、具体的にどうするかが今最大の問題だと思うので、それにはこの法案はこたえていないのじゃないでしょうか。
#170
○入澤政府委員 今御指摘のとおり、既に山村振興法、過疎法、その他各種の地域振興立法がございます。こういう地域振興立法に基づきまして計画が立てられ、公共事業等も逐次計画的に入っているわけでございます。そこにもってきまして、この条件不利地域である中山間地域に特別な対策を講じなければいけないということを考えまして、かなり難しい作業だったわけでございます。既存の地域立法と調整をしながら中山間地域立法を考えるわけでございますから、よくよく実態調査もしなくちゃいけない。私も九州の山の奥まで行ってよく見たり、群馬県なものですから、群馬県の山奥へ行ってよく実態を見たりなんかしてきました。
 そこで気づいたことは一つ、やはり平場に比べまして土地の条件が悪いということから、土地の利用が粗放利用である。急傾斜地帯、傾斜度が非常に高い地域が多いものでございますから、田も畑もばらばらに存在する。耕作放棄地もあり、それからまた、いろいろな施設用地もばらばらにある。そこでうまくやっている事例なんかも参考にしてみますと、粗放的な土地利用を最適な土地利用計画に改めなくちゃいけない。その中でも、特に最適な農業的土地利用、農業を中心とした土地利用計画というものをつくらなくちゃいけない。その上で経営改善計画をきちんとつくっていこうということでございます。
 そういう場合に、土地をいじくるために、今いろいろな法律がございます、農地法、農振法、それから都市計画法等々ございますけれども、そういう法律に基づいて、一遍ごとにやったんじゃ、一筆ごとに許可を受けていたんじゃいけないということで、この法律では既存の法律にない新しい法律制度を工夫したわけでございます。それが所有権移転等の事業でございまして、一定の話し合いのもとに一定の権利関係の調整が行われた場合に市町村が計画を立てて公告をする、そうしましたら、AさんからBさんに農地が移る、あるいはAさんの農地を林地に転用する、あるいはAさんの持っている耕作放棄地は施設用地に転用されるというふうなことが公告によって効果が発生するということを工夫したわけでございます。まず、土地の制度から始まったわけです。土地の制度の見直しから始まりまして、中山間地域活性化の条件を整備することにしたわけでございます。
 そして、今度はその上に具体的に何をやるかということでございまして、これにつきましては、私どもで新しく中山間地域の総合土地改良事業の予算もことしの予算で獲得いたしまして、またそれを使いまして、中山間地域の土地状況の整備をしようということにしております。そのほか、農村工業導入の予算であるとか各省の持っておる予算を適宜適切に配置していきたいというふうに考えているわけでございまして、この法律には具体的な助成手段というのは書いてありませんが、既存の各種の助成手段をこの法律でつくった新しい仕組みの中に当てはめるということで、既存の法律制度との調和をとった形で進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#171
○志賀(一)委員 今のお話、しばらくは待ちましょう。しかし、本当に私どもが期待するような政策が出てくるかどうか。
 そこで私は、先ほどもお話がありましたが、やはり低利資金だけではどうにもならぬ。そんなことで今農家の皆さんが飛びついてくるなんて考えたら、それはもうどうかしていると思うので、それよりもデカップリング政策を全面的に、スイスでやっていることを、EC諸国でやっていることをそのままそっくり見習えということ、まねしろということではありません。そういう考え方の発想のもとといった政策を少なくともやらない限りは、不利益な地域に対してこれからそういう政策をやらなければ、その地域に住んで農業をやろう、林業を大事に守っていこう、景観を維持しよう、そういう考え方の青年はいないだろう、全く皆無になるだろう。そういうところから、いろいろこのデカップリング政策についても議論がありますが、根本は、やはりもっと日本的なデカップリング政策をやれないものか、こういうことでひとつ大臣にも模索をしてほしい。
 さっきECでは十何万云々というお話がありましたけれども、今の時点で同列に、ECで十何万やっているのを日本になんという、そんな考えは私も持っていませんし、大臣も例えばの話で出したのだろうけれども、スイスでは年間二百万から三百万くらいの助成をやっているというふうに聞いているわけでありますから、そういう制度があればもっとがらっと変わって、これの期待感もあるし、例えばスイスの場合は、標高差によって五段階に分けてその段階ごとに所得、お金を補助する、こういう政策をやっているわけでありますから、何かしらそういうものはなじまないというのが従来の話し合いの中では行政当局の、農水省の考え方ですけれども、単になじまないということで対処していたのでは日本の農業も農村もなくなってしまう。そういう立場からやはりどうしたらいいのかを模索をして、みんなで知恵を絞り合ってひとつ対策を立てようではないかということを私は大臣に求めたいというふうに思いますが、いかがでしょう。
#172
○田名部国務大臣 条件が全く違うのですね。基盤整備が完全に終わっているECと基盤整備が進んでいない日本、そういう大きな違いもありますし、混住化社会でないという違い、いろいろな条件がありまして、今、ECのこの補償金の支給額、先ほど私は一年間に十四万、こう申し上げました。幾らなら適切なのかという問題も我々は考えたわけではありませんからわかりませんが、平均すると十四万一千円にECはなるのですが、スペイン等は年間五万円、今多いところのルクセンブルグで五十二万六千円、イギリスが四十九万三千円で、これが二番目であります。少ないところは、ギリシャ等も五万五千円とかいろいろあります。ですから、あれは国々によって違うからいいようなものですけれども、日本一カ国でこれをやろうとした場合にこんな差がつけられるのかどうかという問題等もいろいろありまして、なかなか熱心にデカップリングのお話をいただくのでありますけれども、どうも、日本としてこれをやったときに、一体国民的に合意を得られるかどうかという問題もございます。
 いずれにしても、本当にこういうことで残って農村社会を守ってくれるかどうか。しかし、現に大変厳しいとはいいながらもこういう中山間地で農業で頑張っている人も今おるわけでありまして、これをもう少し支援をしていこうということから、先ほど局長がお話しになりましたような新しい仕組みでお図りをしながら、何とかこの地域の活性化のために努力していこう。
 私も、就任以来随分日本国じゅう、時間があれば回っていまして、観光でうまく農業と結びつけてやるとか、地域によっていろいろなアイデアを持ちながらやっている。さっきもお話ししたように、農業協同組合がそれぞれ働く場所を集落ごとに確保しながら一生懸命それに取り組んでいる。それは加工から流通まで一切やっている農業協同組合、伺いましたら、五百人ぐらい抱えて、他県にセールス、営業所を設けてやっているという話なんかも聞きまして、まあまあいろいろな条件のところがありますけれども、いいところは大変よく頑張ってくれておるな。問題は、ひどいところもあるわけですから、そうしたところをどうしていくかということもありますので、今直ちに、ECと同じでないといいながらも、直接所得補償方式ということはなかなか導入できる環境にないというふうに考えております。
#173
○志賀(一)委員 これだけで時間が過ぎ去ってしまっては困りますので、しかしやはり今の政策では、何回も申すようですが、結論的に中山間地帯が活性化するということは恐らく期待できないのではないか。
 実は一年前ですが、私の福島県の会津地方に行ってまいりまして、環境保全林の落成式に二カ村が一緒にやって、前の渡部通産大臣と一緒に見てまいりました。しかし、あの環境保全林、一億から二億とか三億とかとかかっているそうですが、あんなにたくさんのお金をかけて一体地域の活性化にどれだけの役割と使命を果たすのかな、こう思ったときには、こういう従来のような政策のあり方ではだめで、もっと別な角度から新しい政策をつくっていかないと地域の活性化には本当につながってこない、こういうふうに私は思ったわけでありますが、いずれにしても、デカップリング政策というものを学びながら、やはりどうやったら中山間地帯の活性化が可能なのかという模索を、私どもももちろん頑張りますが、農水当局もひとつ十分御検討いただくように求めたいと思います。一次に、農地の流動化、集積化について若干お聞きをしておきたいと思いますが、従来とも農業基本法制定以来、何度か法律の制定によってその促進に政府は努めて今日まで来たと思うのでありますけれども、なかなか農家の経営規模拡大ということにはつながってこなかったのではなかろうかというふうに思います。それは、やはり今の農村の実態を十分把握した上での施策ではないから、結局空回りに終わっているというのが私の考えてあります。
 それで、私がその点指摘をいたしますと、例えば農地を売買する価格の評価が非常に困難な点もあります。それから、貸借関係ではなかなか条件がそろってこないと難しいという点もあります。それから、農業に対して中山間地帯でも魅力のあるような政策がないから、したがって借り手がないという点もあります。中山間地帯は、農地が細分化し、また所有権の交錯等で大規模化あるいは機械化の高度化は難しい、こういう地理的な条件もあります。農地に対する農家の皆さんの資産的保有意識があるとともに、最低生活を維持するためにはやはり防衛策として食糧の生産に固執するという生来的なものもあります。
 それともう一つ大事なことは、政府の施策に対して不信感が非常に強いということだと思います。かつては、桑を抜けというときには逆に桑を抜かないでおいた方が、奨励金をもらって抜くよりも抜かないでおいた方がいいということで、三年後には今度はまた桑を植えるという奨励金があったり、そういう過去のことがありますが、先ほども猫の目農政というふうに言われたけれども、今、米の減反政策、転作対策が続けられる一方で、増産のための水田の復元対策事業も昨年からことしで二年目、やられているということなども、農政に対する不信に一層輪をかけているというのが状況であります。
 もう一つは、農村地区の進出企業が下請中小企業のために、賃金が安くてそして経営が不安定で、不況となれば直ちに影響してそのはね返りを受ける、そういうところから一層土地への執着を強めて土地を放したくない、こういう状況がいろいろとあるわけであります。
 ですから、こういう状況を一つ一つ丁寧に解決の方向を見出していかないと、農地の流動化ということは絵にかいたもちにすぎないというふうに思うのでありますが、過去の経緯にかんがみて、これからどういうようなお考えでこの流動化を進めようとしておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
#174
○入澤政府委員 流動化につきましては、思ったほどというと問題があるのですが、それにしても一応着実には進んでいるわけでございます。農業基本法制定前の三十五年と平成四年と比較してみますと、二ヘクタール以上の農地を持っている経営層のシェアが一三・三%から三六・二%にふえました。五ヘクタール以上は〇・二%きりなかったのですが、これが七・一%になりました。北海道では十ヘクタール以上の経営層が三十五年には一七・八%でありましたが、平成四年には八一・三%になりました。二十ヘクタール以上は〇・九%だったのですけれども、六〇・八%というふうになっております。
 いずれにしましても、今先生御指摘のとおり、土地に対する執着、それからまた資産保有意識というのは非常に強うございます。そういう意味で、流動化政策の中心は、所有権の移転から利用権の設定の方向にどちらかというと主流を移してきたわけでございます。それでもなお利用権の設定が十分にいかないということで、農作業の受委託だとか、これも全面受委託、部分受委託、その農作業の受委託まで含めて何とかして農地をまとめて連担化して、そこで経営規模を大きくして生産性が上がるようにしようじゃないかということで、農地銀行活動、農地保有合理化事業のいろいろな政策手段、農用地利用増進事業の政策手段等駆使してやっているわけでございます。これは、今回の農業経営基盤強化法を通していただきまして、その法律に基づきましてさらにまた一段と政策を強化していきたいというふうに考えているわけでございます。
#175
○志賀(一)委員 今のお話は一応わかりますけれども、なかなかこの流動化というのは難しい問題でありますので、私が申し上げた諸点について十分検討しながら、また状況によっては法律の改正もして前に進むように、ひとつ御努力願いたいと思います。
 その次に、土地の利用区分の明確化についてお尋ねをしたいと思います。
 私は、優良農地はあくまでも確保しなければならないという立場で、土地の利用区分を明確にする必要があるというふうに思います。理由は、食糧の自給率に歯どめをかけ、むしろ引き上げなければならないからでもあります。第二は、規模拡大、集団化に支障がないような対策を講ずるべきである、この二つの理由からであります。
 かつて農振法施行当時は、やみくもに大きな網をかぶせたのでありますが、時代の変化とともに、農村工業の導入のため工場敷地になるとか、住宅団地の造成とか、あるいは公共用地の取得等によって漸次農振地域が蚕食されて、農業情勢の変化から優良農用地に対する認識の度合いが薄まってまいりましたことなどを加えて、農振法の存在すら軽視されてきた現状ではないのかというふうに私も考えざるを得ないと思っているところであります。したがって、優良農用地の区分を明確にして、農業の公的使命達成のためにも、農振法等必要な改正を行うなどの措置を今とるべきではないのか、こういうふうに私は思いますが、このことについては、ひとつ大臣にその考え方についてお聞きをしたいと思います。
#176
○入澤政府委員 大臣の前に、ちょっと事務的に。
 御指摘のとおり、狭い国土の上で非常に高密度な経済社会活動が行われておるわけでございますから、工場用地とか住宅地等の土地需要にも対応しなくてはいけませんけれども、我々としましては優良農地を確保していくということが一つの使命でございます。このために農振法がありまして、集団的な優良農地を対象にいたしまして農用地区域という線引きをやっております。この地域におきましては、農地転用とか開発行為を抑制して優良農地の確保を図ることにしているわけでございます。やむを得ず農用地区域において農業外の土地利用を行わなくてはいかぬという場合にあっても、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと、あるいは変更後の農用地区域の集団性が保たれることなどの条件を満たす場合に限って農用地区域からの除外を認めております。
 今後ともこういう方針でやっていきますけれども、御指摘のとおり、あしき転用例とかあるいは無断転用も数々あります。全国農業委員会を督励いたしまして、無断転用のパトロールをきちんとやるようにということで、これも予算を獲得して、パトロール月間等を設けましてやっております。
 それからまた、都道府県等の公共機関による転用につきましても、集団的な優良農地を確保する面で問題なきにしもあらずというところも散見されますので、そういうところの対策もきちんとやっていかなくてはいかぬということで、今いろいろと検討をしているわけでございます。
#177
○志賀(一)委員 先ほども申し上げたように、よく私が食糧の自給率を高めるべきだと言うと、そんな土地がないからなかなか上げられないよというのがいつでも大臣の答弁ですが、そういう意味でもこれ以上優良農用地を少なくしないために、やはりもっと農振法の強化なりあるいは別な面からの何らかの方法がないものか、こういうふうに考えているところでありまして、それらについて総合的に検討していただきたい、そんなふうに思います。
 時間がなくなりましたから、一点だけ大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
 今年度の農林予算についてでありますけれども、パーセントのみについてお聞きをいたしたいと思うのでありますが、国家の予算全体に対する農林予算の対比で見ますと、五十四年度で九%であったものが平成五年度ではわずかに四・七%というふうに、まさに激減をいたしております。うち一般歳出ということで考えましても、五十四年度で一一・八%あったものが平成五年度の予算では八・四%と、それぞれ大幅に農林予算が減っておりますことは非常に残念だと思うのであります。どうか農林大臣、持てる力をひとつ精いっぱい出し切って、これからの食糧の問題は決して生産者だけの問題ではなくて、国民全体、消費者全体の重要な関心を持っている課題でもある。しかもなお、自給率が極めて低いという現況を考えれば、もっともっと農林予算をふやして農村のいろいろな要求にこたえ、農業の活性化、蘇生化に全力を尽くしていただきたい、そんなふうに思っているところでありますが、大臣の方針をお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#178
○田名部国務大臣 国の予算の中には、地方交付税でありますとか国債費というのがあります。これが大きく伸びていきますと、率から見れば確かにおっしゃるような御指摘をいただくわけでありますけれども、一般歳出の中で私ども政策的な予算というものは何としてもふやしていきたいということで、随分頑張ったつもりでありますが、何分にもシーリングの中でありますので思うようにふやすことができないということは御理解いただけるところでありますが、そういう中にあっても、この新政策絡みの予算というものはこれから着実に伸ばしていかなければいかぬというふうに考えております。
#179
○志賀(一)委員 ありがとうございました。
#180
○平沼委員長 沢藤礼次郎君。
#181
○沢藤委員 今私どもが審議しております関連法案の水源地というのでしょうか、源は、今さら申すまでもなく新政策、昨年の六月に発表されました「新しい食料・農業・農村政策の方向」であります。この文書を拝見したとき、出だしの部分、「政策展開の考え方」という部分を見たときに、私どもは非常に明るい展望を見出したような感じがしました。農民団体、農民の方にお聞きしましても、いいものが出た、こういう考え方が出たということは大変うれしい、こうおっしゃっているのです。それはどこかといいますと、もう私がくどくど申し上げるまでもないのですが、部分的に読み上げてみたいと思うのです。それは要するに、農業、林業の果たしている公益的な役割、国土保全、環境保全に対する役割というものを評価した。今までになかったわけです。遅かったと思うけれども、とにかくいいことだなと、まあ涙をこぼして喜んだ人もありましたが、次のような部分があります。我々は、我が国の森林や農地が持っている国土・環境保全機能を見直し、先人の長年にわたる努力によって築き上げられてきたこれらの掛け替えのない財産を、良好な状態で後世代に引き継ぐことが求められている。という部分と、さらに敷衍しまして、農業及び農業が営まれている農村地域は、国土・環境保全といった多面的かつ公益的な機能を有している。そして、これらの機能はそこに定住している人々の適切な農業生産活動を通じて維持増進されている。
 特に水田は、連作が可能で、洪水防止、水資源のかん養などの機能を併せ有する優れた生産装置であり、国民的視点に立ってこの機能が適切に維持増進されるよう努めていく必要がある。大変共感を呼ぶ出だしてあります。
 大臣に最初にお聞きしますが、これが今後の農業政策、林業政策の基本である、これを基本にしながら今後政策が展開されていくんだと理解したいのですが、大臣の御所見をまず承っておきたいと思います。
#182
○田名部国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、農業の果たす役割、農山村は、農業と林業、こういうものを大事にしていくことによって、洪水の防止でありますとか水資源の涵養あるいは土、大気の保全、緑豊かな景観の保持、そういう重要な役割を農業、林業が果たしているわけです。これがおかしくなりますと今申し上げたようなことが、全体のバランスが崩れて我が国にとっても大変な損失になる。したがって、農林業、農山村の持つこのような公益的な機能を維持増進させていくことが非常に大事だ。ただ守るのではなくて、業を通じて守っていこうという考え方であります。
#183
○沢藤委員 さて、それを数量的にあらわすことができるかという問題になるわけであります。これは引用しますと、例えば農業、農村の持っている多面的な機能、公益的な機能、国土保全、環境保全、水の保全、土の保全、大気の保全、生物の保全、さらには保健休養機能、さらには人文社会学的機能というふうなたくさんの公益的機能がある。これを評価する手段として代替法とかヘドニック法、サーベイ法という方法があるわけですが、その中の手法によってこの機能を経済的な評価額に換算した場合に一年間で十二兆円になるという数字がございます。
 時間の都合上、私の方から申し上げて、その私から申し上げたことに対する御所見を賜りたいのですが、これは、今申し上げたのは水田の有する公益的機能であります。詳しく言えば、水田の機能が十一兆八千七百億円。さて、森林の効用評価額、これは昭和六十年の数字でありますが、水源涵養とか、土砂が流出するのを防止するとか崩壊防止であるとか、保健休養機能であるとか、野生鳥獣保護機能であるとか、大きいのは酸素を供給し大気を浄化する機能、これらを総計しますと一年間三十二兆五千九百億円という数字が出てきております。この数字について、これでよろしいかどうか。
#184
○上野(博)政府委員 数字を手元にちょっと持ち合わせてないのもあるのですが、ヘドニック法の十二兆円というのはそのとおりだというふうに思います。それから森林の持っております公益的機能の評価の問題につきましては、多分三十二兆円ですかと思いますけれども、ことしの白書におきましては、これをインフレ率を掛けまして三十九兆円というふうに表示しておったかと思います。
#185
○沢藤委員 先ほど私が申し上げました数字は、森林に関しては昭和六十年ですから、今おっしゃったようにふえていると思います。林野庁の試算ですから、これはうそはないと思いますね。それから、さっきの水田機能に対する試算ですけれども、これは農水省が委託した研究所の数字ですから、これまた間連いないと思うのです。その時点での数字を合計しますと四十四兆円ということになるわけです。もっと上向いているだろう。
 さてそこで大臣、先ほどから論議をお聞きしていますと、環境保全、国土保全というこの農山村機能、特に私は、中山間地帯が川上ですから、先ほど申し上げた国土保全、水涵養からいうと平野部よりも非常に重要な役割を果たしていると思うのです。そこに対して、四十四兆円とは言いませんけれども、先ほど来我が同僚議員が指摘しておりましたように、デカップリングあるいは何らかの形の支援をすべきじゃないかと思うのですが、もう一度お答え願います。
#186
○田名部国務大臣 農業、林業が農村に果たしている今お話しの国土、環境保全、こういうものは、今後とも適切な農業あるいは林業活動を通じて維持増進させていくことが重要だというふうに私は考えておるわけであります。
 特に中山間地域につきましては、農林業の担い手の育成あるいは確保、また基盤整備などの施策の推進をすることによって必要な条件整備に努めることとしながら、あるいは従来から有利な補助率の設定、採択基準の緩和、そういうことをやってきたわけでありますけれども、これに加えて、地域の特性を生かした農林業の振興あるいは集落機能の再編強化、農林地の利活用、こういうものの促進を図っていくために新たな制度を創設する、そういうことによって対策を強化していかなきゃいかぬというふうに考えておりますし、先ほど来も申し上げておりますように、農林水産省だけでどうしてもできない部分というものは他の省庁に協力をいただくということで、ここ私が就任以来、中山間地あるいは農村地域というものは大変ですよ、このままにしておいたらということで、閣議でも何回か申し上げるものですから、大分御理解をいただいてきたと思うんですね。
 ですから、まあそれは農林水産省の問題だということから何とかしなきゃいかぬということになりまして、自治省でも今度千八百億、その対策のためにお手伝いをいただくとか、いろいろなことが始まってきましたから、私は、この新農政をきっかけにしてもっともっと他省庁との連携を保ちながら、環境にしても何でも、水源保全、いろいろなことにもっと目を向けた施策というのは展開していけるのではないか、こう思っておりますし、私どももまたそれへ向けて全力を挙げて頑張る、これは一極集中排除の一つの手だてでもありますから、そういう考え方で努力していきたい。
 そういうことで、ECのデカップリングにつきましては、先ほどお答えしたところであります。どういうことがいいのか、我々も勉強してみないとわかりませんけれども、一方には国民というものがおって、この合意が得られなければならないという面もあります。また、公平でなければならぬという面も考えますと、なかなか今直ちにというわけにはまいりませんけれども、十分私も勉強をもっとしてみたい、こう思います。
#187
○沢藤委員 この問題については要望申し上げて次の問題に移ってまいりたいと思いますが、デカップリングについても、大臣のお考えと私たちの考えとはちょっとずれがあるのです。社会党が準備しております案の中では、直接やはり所得補償政策が必要だという視点で、社会党法案には我が国初めてこの考え方が出ているわけです。これを国民の前でどちらがいいかというふうなことの選択もお願いをしながら、これからひとつ大臣にも御努力願いたいと思いますし、農業団体の意向を聞いてみますと、恐らく農水省にもたくさんの要請書が来ていると思いますが、おおむねこの方向には賛成なんですよ。まあかなり遠慮している部分はあるのではないかなという気もするのだけれども、その中で中山間地帯に対する農業団体の最大公約数的な主張は、中山間地法案は、その第一歩としては評価し得る、今後本格的な中山間地域対策を確立するためには、国民の合意づくりを進めながら一層強力な制度的な支援措置をお願いしたい、こう言っているのです。これが農業団体のかなり遠慮ぎみの要請だと受け取っていたださたいと思うのです。先ほども確認いたしました、四十数兆円、国土のために一生懸命頑張っておる、そして新農政は冒頭に先ほど申し上げたような非常に基本的なことを高らかにうたいとげている、これを無にしないでほしい、このことを強くお願いをしておきます。
 次に、土地改良について、規模拡大あるいは市場原理導入というのが新農政のまた別な柱になっていて、これは論議を呼ぶと思うのですが、質問です。第四次の土地改良長期計画の主な点、特徴があったら、ごく簡単にお願いします。
#188
○入澤政府委員 第四次土地改良長期計画につきましては、新政策の方向に即して二十一世紀の我が国農業の基盤を築くため、三つの項目を課題としております。一つは魅力ある農業を実現するための生産基盤の整備、二つ目は快適で美しい田園空間を形成するための農村地域の総合的な整備、それから三つ目は安全な国土を維持形成するための基盤の整備でございます。計画総額を四十一兆円といたしまして、先般四月九日の閣議で決定されたところであります。
 具体的な整備水準の目標といたしましては、効率的、安定的な経営体が生産性や収益性の高い農業を展開する基盤を整備するということで、水田では、三十アール程度以上に整備された割合を現状の五〇%から七五%に、このうち一ヘクタール程度以上の大区画に整備された割合を三%から三〇%に引き上げる、畑では、農道が整備された割合を現状の五六%から七五%に、畑地かんがい施設が整備された割合を一五%から三〇%に引き上げるということにしております。また、農村地域における快適な生活環境の形成に資するということで、新たに三万集落、現在は五千集落でございますが、三万集落を対象に農業集落排水施設の整備を行う、こんなところが課題と特徴でございます。
#189
○沢藤委員 事業費は四十一兆円ですね。この中で農民サイドの負担分はどのくらい見込まれているか、ちょっと一つだけ。
#190
○入澤政府委員 これは事業費でございまして、標準的な事業を申し上げますと、国営事業で補助率が大体五〇%、その残りの五〇%を都道府県と市町村が持ちまして、農家負担は大体一五%程度ということになっております。
#191
○沢藤委員 私は、先ほど来主張しておりました立場からすれば、こうしたいわゆる国土保全、環境保全につながる事業というのは原則的に国の事業でやるべきだと考えております。それが一挙に実現しないにしても、農民負担を軽減させることに努力してほしいという気持ちを持っております。これは先ほど来の論議からおわかりいただけると思います。
 時間の関係上、次に進ませていただきます。今の結論は、農民負担をとにかく軽減する方向に努力してほしいということであります。
 今のことについてちょっとお聞きしたいのですが、基盤整備では一ヘクタール区画が工事地域の二五%以上を占める事業については農家負担は五ないし一〇%、従来の三十アール区画だけの工区は一七%という数字を聞いたことがあるのですが、これはどうですか。
#192
○入澤政府委員 今申しましたように、標準的な圃場整備でありますと農家負担が一五%なんですけれども、一ヘクタール以上の大区画の圃場整備で集団化の割合が高いとかいろいろな条件に適合する場合には、そのうちの一〇%につきまして土地改良区に補助をしております。その分だけ農家負担は軽減されるということでございます。
 また、ことしの予算で担い生育成の基盤整備事業というのを設けましたが、これは土地改良区に一〇%の補助金を出すのではなくて、農林公庫を通じて一〇%の無利子融資をするということで、これによりましても農家負担を軽減していきたいと考えているわけでございます。
#193
○沢藤委員 次に進みます。
 規模拡大というかけ声が非常に強いものですから、広い圃場をつくる、十ないし二十ヘクタール農家をつくるのだ、そういう広さのかけ声がかなりぴんぴん響いてきまして、それが一体どのような結果をもたらすか、あるいはその規模というもの、物理空間的な規模に加えて実質的な規模、つまり収入という面を加味した実質的な規模拡大ということを常に意識してほしいということが要望なわけです。これも時間の関係上私の方から若干申し上げて、所感を賜りたいと思うのです。
 例えば規模拡大しようと中核農家を育成しようと、農作業、稲づくりを例にとっても、機械作業だけではどうしてもできない、人力がかかわってくる作業というのは今のところ必ずあるわけですね。これは東北農試の一九九二年のデータでありますけれども、自走式による機械作業、あるいは自走式や輸送機による移動、つまり機械化の部分の労働力と、どうしても人間、人力がかかわらなければならない作業、例えば畦畔の草刈りであるとか、播種であるとか、追肥あるいは苗出し、ハウスの管理、苗の補充、補植、田の草取り、こういったものはやはり人力に頼らざるを得ないが、この二つを比較してみますと、これは十アール当たりの水田ですが、前者の機械力の労働時間は六時間ちょっと、そして人力がかかわらざるを得ない労働時間は十四・五時間、つまり十アールの米づくりをするときの労働力で人力が携わらざるを得ない部分が六九%、機械でこなしている部分が三一%、これだけ合理化されたという見方は成り立つわけです。いずれにしても、人力で補完しなければならないという実態がありますから、そこに、先ほど来指摘されました高齢者の方であるとかパートの方あるいはUターン、老後を農村で暮らすとか、そういった方たちを総合的に配置しなければならないだろう。そのことを、中核農家育成あるいは規模拡大というような勢いのいい方にばかり目を向けないで、実質的なところに目を向けてほしいということが一つ。
 それから、圃場整備についても、これもくどくど申し上げませんが、ある学者の説によりますと、畦畔が夜放熱する、熱が出る、したがって畦畔の近くに生えている稲は呼吸作用が抑えられるものですから、日中蓄えたエネルギーを余り使わないで済む、したがって成長が速い。こういうことから考えますと、同じ圃場整備するにしても、一ヘクタールつくる場合にも、仮に、比較ですが、二百メートル、五十メートルという区画と四百メートル、二十五メートルという細長い区画とを比べた場合に、後者の方が収穫が多い、こういう説があります。こういうきめ細かな配分は必要じゃないかな。
 もう一つは深耕、耕すときの深さですね。今のロータリー式は五センチから八センチぐらいでしょう。プラウを使いますと十五センチぐらいになりますね。この違いは大きいのだ。つまり、稲が根を張るのには、前者だとこういうふうになるのですね。そして、後者ですと深くまで根を張る。特に東北のように気候変動の激しいところはその深耕したところの水田は強いんだ。こういったことの指導あるいはそれに対応する手段もあわせて考えてほしいというのが結論ですが、いかがでしょうか。
#194
○入澤政府委員 私も、昨夜先生から御質問通告を受けまして、今の説をお聞きして、局内で、こういう考え方があるのかなと言って、かなりゆうべ頭を悩ましたところなのであります。これから今先生が御指摘になった論文等も読みまして、本当に効果があって応用できるものであれば十分に検討していきたいと考えております。
#195
○沢藤委員 念のため申し上げておきますが、今申し上げた幾つかの例は、岩手大学の前の農学部長、土地改良等では全国的に有名な石川武男先生の説でありますので、申し添えておきます。
 あとは、ほほ笑ましい実例を一つ申し上げて、次の話題に移っていきたいと思うのですが、一関農業高校というのがございます。農業科畜産専門分会三年生の研究プロジェクトチームが、牧草地の大敵、雑草のギシギシをコガタルリハムシの幼虫で枯らす実用化に成功した。除草剤を使わないため、低コストで薬害の影響もないという、大変明るいニュースもあるわけです。こうしたきめの細かさ、土づくり等を含めて、規模拡大という明るい表舞台、それを支えるきめの細かい農政を展開していただきたいことを申し上げて、次に入っていきます。
 先ほどちょっと申し上げましたが、規模拡大ということをある別な角度から切り込んでいきますと、農民の取り分、収入ですね、これのシェア拡大というのが非常に重要な面があるのじゃないかなと思うのです。そこで私は、農畜産物の流通、加工について今質問を始めたわけでありますが、国民の食料費支出、いわば最終消費者の飲食総支出費、家計簿から出ていく食料費の全部トータルしたもの、どのくらいと見ていますか。そして、その中でどのくらいが農民、漁民の懐に入るというふうにお考えですか。
#196
○上野(博)政府委員 昭和六十年の産業連関表、ちょっと古いのですが、現在使える資料としてはこれが一番新しいわけでございまして、間もなくもっと新しいものが出てまいることになるわけでございますが、やむを得ず六十年の連関表で見てみますと、食料消費支出額は約五十八兆円ということでございまして、これの国内農業者の受け取り分というのは約十兆円、一八%ということになっております。農業生産額が伸び悩んでおるということもあるわけでございますが、その程度の水準であるということでございます。
#197
○沢藤委員 確認したいのですが、国民が支出している飲食費の総支出額の約二割前後と考えてよろしいでしょうか、どうでしょうか、農民の懐に入る分。
#198
○上野(博)政府委員 この数字で見ますと、約一八%という水準でございます。
#199
○沢藤委員 四、五年前に私がこの農林水産委員会で質問したときは、たしか二二、三%という御答弁があったのですね。それが今のように下がってきている。ますます農民の取り分が少なくなってきているということです。これは私は重大な問題だと思うのですね。
 結論は、結局原材料、肥料や飼料も含めて原材料に、農民のサイドから見ればかなり支出がいく、そして生産する、売る、こっちは価格がかなり抑えられているという、取り分が少なくなってきているということもあると思います。
 と同時に、私は、規模拡大を質的な規模拡大にしなければならないという主張を、別な角度から切り込んでいきますと、今お答えになったように、国民が支出している食料費の二〇%弱しか生産者に入らない。では八〇%以上はだれに入っているのでしょう。答えは明白ですね。食品産業、流通、加工でしょう。テレビのコマーシャルもそれに入っておる。これをせめて農民の取り分、シェアを四〇%まで引き上げるとしたら、収入は二倍になるわけですよ。しかもこれは不可能じゃない。この視点を私はぜひ強調したいのです。
 私は、質問に立つことが決まってから、岩手の一関市、一関ミートという個人の方がやっているところに行ってきました。この方は、畜産農家でありました。豚千頭を飼っています。特徴は、配合飼料を買わない、それぞれの飼料を自分で必要なくらい買って、もちろん輸入物も入るわけですが、配合は自分がやる。自分の豚に合うように、そして後でふん尿を処理するときに、においができるだけ少なくなるようなものを加えて、とにかく自家配合する、これが一つです。それからもう一つは、いわゆる加工工場を持っておるわけです。有限会社ですけれども、これはほかからの資本は入っていません。自分で工場でハムその他をつくっている。そして、ふん尿は機械で処理をしまして、においのしない、土に近いようなふん尿処理のものを近くの農家に無料でお上げしている。運搬費だけもらっている。
 この一貫作業をやっている石川さんという方がおっしゃるには、本来は農民に入るべき部分、しかもそれは大変利潤の多い部分を、それがあると思えば商業資本が来て持っていってしまう、結局農民は利潤に遠い、きつい、あるいは苦しい部分だけを常に残されている、これをいかにして取り戻すか、これが勝負だというふうにおっしゃっています。私はこれは本当だと思いますね。
 したがって、私は、食品工場とか流通業者の存在を否定するわけでもないし、敵対視するつもりはありません。しかし、農業あるいは農業団体がみずからの生産、少なくても生産、加工、流通という部分にもっともっとシェアを拡大していくという体制がなかったならば、さっきの数字は二二から一七、八になって今度は十数%、下がっていく一方ですよ。そうなれば農家はもうやる気がなくなってしまうわけだ。つまり御臨終になる前に農民の取り分、シェアを高めることに、例えば加工施設を計画的に一県何カ所かに配置するとか、少なくても地域の食糧消費、加工品を含めて、それを地場の生産物で賄う、学校給食もあるし病院給食もある、こういった体制を徹底的に追求してほしい。規模拡大も結構です、おやりになってください。同時に、実質的な規模拡大ということで、今申し上げたことをぜひ真剣に取り上げていただきたい。これはお願いを申し上げておきます。
 そこで、今申し上げたことの御感想をいただくとき一緒に、企業の農業参入ということについて私今触れました。いい部分を商業資本が持っていっているということです。それに関連して、先ほど来質問がありましたが、今度の法改正で、今まで農家に限られていた農業生産法人への出資を、制限つきながら企業にも道を開いたということは問題があるんじゃないか。いろいろな歯どめはあるようですけれども、企業というのはやはりもうけ仕事で来るわけですから、環境保全のために来るとか地域産業のために犠牲になりますなんという殊勝なことで入ってくるんじゃないのです。そこに住んでいる農民こそが、さっき冒頭に申し上げたその地域の環境、国土を守る、それを果たしているのが農民であり、その農民がやっている農業経営だということをおっしゃっているわけです。それを大事にするということは、いわば企業参入を私はできるだけ抑えるべきだと思う。
 それから、さっきお聞きしていますと、いや、こういう歯どめもあります、大丈夫だとおっしゃるようなあれもありましたけれども、アリの一穴ということもある。今までの日本政府、自民党政府と言えば怒られるかもしれませんが、ここまでは、ここまではと言って、どんどん解釈で幅を広げていった実例もあるわけでしょう。憲法論議なんかがその典型的な例です。そこまではやらないにしても、やはり一つの制度としてぴしっと穴があいた場合に、そこからどのような現象がつながっていくかということは、農民サイドからすれば余り信用してないのですよ。
 先ほど来申し上げておきました農民団体からの要望書、これも恐らく農水省に行っていると思いますけれども、その部分について触れますと、農業生産法人に対する農外資本等による農業経営支配が生じないようチェックシステムについて強化をしてほしい、これが農民の声です。私も、県の農協中央会の方々ともお話ししますけれども、いや、沢藤さん、社会党、自民党一緒になって、とにかく企業化というのはストップさせてくれ。これは杞憂に終わればいいのですけれどもね。思い出してください。二年前の毎日新聞トップにいきなりばんと出た、企業参入への道を開くと。何か不吉な予感がしたのだけれども、それが連綿と何かどこかで続いてきているのではないかなという不安を持っていることは確かなのですよ。私も持っているけれども、農業団体も持っている。この不安を消してほしい。
 以上です。
#200
○入澤政府委員 御指摘のとおり、農産加工等によって農産物の付加価値を高めて農家所得の増大を図るということは極めて重要なことであります。各地でいろいろな試みがありますけれども、やはり企業マインド、経営マインドを持った農家層、農家のリーダー、経営者を広範に育てていかないとこのような試みは成功しない。私どもでも農業構造改善事業で、今先生御指摘のとおり、いろいろな工場施設とか何かに助成をしております。例えば、秋田県の岩城町ではプラムワイン、シャーベットで成功しておりますし、群馬県中之条町では漬物等で非常に成功をおさめている。こうやって一次所得プラス二次産業、三次産業、流通、加工過程に翼を広げて所得を増大させているわけでございますが、こういう試みはこれからも大いに助長していきたいというふうに考えております。
 それから、後段の企業の参入につきましては、先ほど申しましたように、二重にも三重にもチェックシステムを法律制度上は設けておりまして、企業による一方的な農業支配というものがないように、私どもは十分に監視体制を整備していきたいと思っておりますけれども、大事なことは、どういう場合になっても負けないという体質をつくることではないかと思うのですね。新政策で望ましい経営体、効率的、安定的な経営体というのは、みずからが強く経営マインドを持った経営体になるということでございまして、むしろ企業恐るるに足らずというふうな気持ちの経営体がたくさん出てくることを私は期待しているわけでございます。企業のノウハウに学んで、企業によって侵されない体質を持つことがまず基本的に大事ではないかというふうに考えております。
#201
○沢藤委員 次に、畜産関係について触れたいのですが、畜産業全体の流れの中の終末部分といいますか、つまりふん尿処理と死亡獣畜の処理、これは環境問題に直結しますし、畜産を展開するためには避けて通れない問題です。したがって、次のことをまずお聞きしたいのです。
 ふん尿処理を有効に利用するということについて、大ざっぱで結構ですから、一〇〇%利用されているのか、あるいは、排せつ物が多くて若干公害問題を起こしているという例も耳にするのですけれども、この肥料としての利用の需給状況をごく簡単にお聞きしたいということと、解体作業の中の特に死亡獣畜、私どもはへい獣と言ってきたのですけれども、死亡獣畜の処理に伴う公害発生という問題が出ているはずなのですが、全国的な状況がもしおわかりでしたら、簡単にお示しいただきたいと思います。
#202
○赤保谷政府委員 家畜のふん尿の利用状況につきましては、今ちょっと資料を調べておりますので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
 それから、畜産経営をしておりますとどうしても死亡獣畜が出てきております。これの発生状況につきましても、統計の調査がございませんで、正確な把握は困難ではありますけれども、家畜伝染病予防法に基づいて届け出をさせております。その家畜伝染病により死亡した頭数、これで見てみますと、平成三年が、牛については二十三頭、豚については二百二十九頭、そういうような状況になっております。
#203
○沢藤委員 実は私も、へい獣処理、死亡獣畜の処理について基本的な数字が欲しいなと思って、いろいろ問い合わせてみたのです。そうしたら、なかなかつかめませんね。今出たのは恐らく法定伝染病ですから、これは数字がつかみやすいと思うのです。しかし、伝染病の数字から逆に全体的な死亡の頭数を推定しますと、恐らく数千倍あるいは一万倍になるのじゃないか。岩手県の数字を申し上げますと、これも共済から逆にたどってきた数字ということで推定なのですが、平成三年度の数字で、乳用牛が千頭、馬四十頭、豚五千九百頭というふうにいって、一年間に約一万頭死亡しています。そして、伝染病の数はというと数頭、十頭になってないのですね。ですから、今お答えになった数字の何百倍というのが実際の死亡数ではないかと思われます。
 さて、問題はそこから先なのですけれども、屠場でもって屠殺されたものの処理は、化製工場に運ばれて、皮は皮で塩蔵して業者に売られる、それから骨あるいは内臓はボイル、煮沸して油をとる、そして搾りかすは飼料、肥料として使うという、いわゆる再生、リサイクル産業なわけです。しかも、これは畜産全体にとってはなくてはならない部分でしょう。畜産振興、畜産振興というけれども、その頭数をふやすとか、どうなったとかああなったとか、しかし、最も終末部分については余り意を払ってないという証拠がさっきの数字の不確かさになっているわけですよ。
 これは、今までのやり方を反省しまして、行政も畜産業者も、終末処理については畜産業の避けることのできない一体的な部分だという観点に立てませんか。でないと、結局はそこの部分は企業に任せる、こっちはやはり採算を問題にしますから、なかなか公害対策ができないという状態があって、結局は処理工場、化製工場と、私企業と地域住民との対立になっておるわけなのです。行政や畜産関係は、高見の見物とは言いませんけれども、こっちにいまして、一番の荒ぶる部分、対立部分を処理工場、化製工場と地域住民とで火花を散らしておる。これはあるべき姿じゃないと思うのです。くどいようですが、畜産業の一部として位置づけて、公益的な配慮でもって、例えば第三セクターをつくるとかそういったことで対処できないか、このことをお聞きしたいと思います。
#204
○赤保谷政府委員 死亡獣畜の処理の問題ですけれども、先生お話しのように、畜産経営に必然的に生じてくる、これを適切に処理するということにしないと、畜産の発展のために支障が生ずる。ところで、今の制度ですと、先生御承知のとおり化製場等において処理することになっている。これまた厚生省の方で所管しているわけですけれども、一般的には、共済に加入しているような、共済事項のような場合には、共済組合がそこに紹介したり、あるいは民間のほかに農協で一時冷却処理施設なんかを持っておりますが、いずれにしても化製場との関係がございますので、おっしゃるとおりちょっと手抜きというとあれですけれども、エアポケットのようなところがあったかと思います。法律を所管している厚生省ともよく連携をとって、スムーズにいくように指導していきたいと思っております。
#205
○沢藤委員 もう一度確認させていただきたいのですが、畜産行政としての立場からお聞きしたいのです。
 残渣処理あるいは死亡獣畜の処理は、畜産業にとっては避けて通れない問題である、したがって、畜産業全体の一部として公益的な配慮をすべきだという点についてはどうか。あわせて、レンダリング事業というのがその最前線で、住民との間で苦労しているわけですね。公害防止施設の完全なものを設置しようとすれば、十億、十五億かかるそうです。大変だと思うのです。住民も大変だ。これに対して、レンダリング事業に対する各種の補助事業とか融資とか、そういったものの適用ということについては考えていただけないかどうか。
 そしてあわせて、環境庁お見えになっていますね。岩手においては今、二つの民間企業が悪臭公害で住民とかなり長い間鋭く対立している。これについてどのような対応をなさっているか、あるいはなさろうとしているか、これをお聞きします。
#206
○須田政府委員 今お尋ねのございました二番目の方だと思いますが、レンダリング業につきまして私どもの方で所管しておりますので、それにつきましての今後の対応といいますか、現在の対応状況につきまして、かいつまんでお話をしたいと思います。
 レンダリング業につきましては、食肉製造業から排出されます畜産物残渣をレンダリングしまして動物油脂と動物性たんぱく質をつくり出すということで、今先生もおっしゃいましたように、いわゆる畜産の資源循環の重要な役割を機能的に果たしているというふうに思います。全国で約百十社存在するわけでございますが、非常に零細な業者がほとんどでございまして、今おっしゃいましたようないろいろな悪臭問題等も抱えているわけでございます。
 これらの問題に対してましては、それぞれ企業努力によりまして対処しておるわけでございますが、行政といたしましてもできる限りの対応を図っていくということで、際立ったことといたしまして、今二つ取り組んでおります。
 従来、金融面におきまして中小企業金融公庫等の産業公害防止貸し付けを行っておりますけれども、それに加えまして、一点としては、平成四年度から中小企業設備近代化資金によります無利子の貸付対象にレンダリング業を加えまして、製造機械だけではなくて、脱臭設備や悪臭密閉施設等の公害防止施設もその融資の対象といたしております。それから二点目といたしましては、平成五年度、今年度からでございますけれども、流通段階から排出されます畜産物廃棄物の処理施設を共同で設置する場合におきまして、食品商業基盤施設整備事業の補助対象に追加するということで、これにつきましても、仕組みいかんによりましては十分レンダリング企業に対します環境対策への支援にもなろうかと思います。
 その他、諸般の調査も含めまして、私どものレンダリング業を所管する立場におきまして最大限の対応を図ってまいりたい、かように考えております。
#207
○後藤説明員 レンダリング工場、先生がおっしゃった獣骨処理場の関係でございますけれども、代表的な悪臭の発生源の一つでございまして、平成三年度の私どもの調査によりますと、全国で四十一件の苦情が受理されております。このような悪臭問題に対しましては、悪臭防止法という法律を私ども所管しておりまして、まず、国の方で、不快なにおいの原因となり、生活環境を損なうおそれのある物質を悪臭物質として指定いたします。次に、都道府県知事が規制地域と悪臭物質ごとの規制基準を設定し、さらに市町村が第一線で、事業活動に伴って発生する悪臭の規制、指導に当たるというような法律の体系になっております。
 環境庁におきましては、この悪臭問題にきめ細かく対応するために、レンダリング工場みたいな主要な悪臭の発生源の悪臭の発生の原因物質について、逐次悪臭物質を追加してきて、いろいろ対策を講じてきたところでございます。また、環境庁といたしまして、有効な悪臭防止技術に関する知見を取りまとめて普及させるために、悪臭防止技術改善普及推進事業という事業を今実施しております。
 御指摘のレンダリング工場につきましては、悪臭防止のための具体的な技術面での改善手法を盛り込んだ手引書を平成四年に取りまとめまして、関係地方公共団体に普及しているところでございます。御指摘の本件につきましても、住民の生活環境の保全を図るために、こういう手引書を活用して悪臭防止法の運用を適切に行うように、関係自治体と十分連携をとって指導していきたいと考えております。
#208
○沢藤委員 もう一つ質問したいことがあるので先に進むわけですが、その前に一つだけお聞きしたいと思うのです。
 岩手の場合は、四国四県の広さで畜産が展開されていまして、死亡した獣畜は五カ所に集める、それを業者が受け取りに行く。数日かかるわけです。当然、夏場はもう腐ってしまっている。それが、処理するまでの腐敗によるにおいが恐らく悪臭の大部分ではないだろうか。皆さん、家庭で豚や牛の臓物や肉を煮て、悪臭で困りますか。新しいのは、屠場からずっと処理するのはいいのですよ。結局、悪臭の原因は、今申し上げた、腹がこんなに膨れてしまった家畜の処理によって悪臭が発生している、そう見でもいいと思うのです。とすれば、繰り返すようですが、これは畜産を展開すると避けて通れない一部分だということで、それに対する対応を今ここで具体的にはお答えいただかなくても仕方ありませんけれども、大臣、今私が申し上げたような視点で、死亡獣畜の処理についてどのようなお考えかということをきちんと出していただきたい。
#209
○赤保谷政府委員 大臣がお答えする前に、私からちょっとお答えさせていただきます。
 先生おっしゃるように、死亡獣畜は畜産に必然的に伴って生じてくるものでありまして、今の体系からいいますと、先ほど来申し上げておりますように、化製場等に関する法律によりまして、死亡獣畜取扱場において埋却、焼却されるか、そこで解体されるということになっておるわけですが、今先生おっしゃいましたような一時冷却施設それを私どもの方の地方競馬、地金協の助成事業で、十分ではございませんけれども、整備を進めております。また、えさ用として、未利用資源としてえさにできるわけですから、そういうものを飼料用にするために施設を整備する、こういうものに対する助成事業も進めておるわけでございます。
 それで、先ほど来申し上げておりますように、死亡獣畜の処理をする場所は化製場等に関する法律で決められておりますので、所管の厚生省とその辺をよく相談いたしまして、畜産の最終処理というとあれですけれども、そこのところがうまくいかぬと畜産がうまくいきませんから、厚生省とよく相談して、私どもの方でも先ほど申し上げました助成もやっておりますが、食品流通局の方でもやっております。さらにそういう点について意を用いてまいりたいと思っております。
#210
○田名部国務大臣 よく実態に合うようにしなければならぬということは当然のことでありますので、各省とも十分連携をとりながら、どういう対処をするかということを十分検討してみたいと思います。
#211
○沢藤委員 この問題はこれで締めて次の問題に移っていきますが、この問題はこれからも継続して取り上げていきたいと思います。
 規模拡大というのを畜産に当てはめますと多頭飼育ということで、飼育頭数がふえる。沢内村という私の近くの有名な村ですが、頭数をふやした。今までは自分の農地に還元をしていわゆるサイクル農業ができた。しかし、頭数をふやしたらふん尿が余る、野積みをする、川に流れるという新たな公害が出ているわけですね。したがって、先ほど来繰り返しておりますように、規模拡大は結構なんだが、それによって生ずるひずみが随所に出てくる可能性がある。それを注意して点検しながら、市町村あるいは農業団体と十分連絡をとりながら手だてをしてほしい、このことをお願いしておきたいと思います。
 終末処理を嫌々引き受けさせられている。前は、へい獣も化製業者は一頭幾らと金を出して買ってきたそうです。二、三年前からは、もうとてもということで、向こうの方から金を出して引き受けざるを得ないという状況に変わってきている。このこともあわせて、やはり現地等の視察もしながら、対策を進めていただきたいと思います。
 時間が迫ってきましたので、質問の最後になります。
 新農政を支える要素で最も大事なのは、私は人間だと思う、人材だと思います。そこで、先ほど岩手大学の学長さんと電話で話をしたのですが、岩手大学農学部、伝統の古い有名な学部なわけですが、卒業後の進路はどうなんだとお聞きしましたところ、平成三年の数字ですが、百九十六名卒業して進学、大学院等へ行ったのが四十六、公務員が六十二、サービス、団体等が四十、食料品製造八、化学工業八、農林業ゼロということです。農業高校の卒業生がどういうふうな進路をたどるかということは、既に御承知のとおりであります。
 こういう状況の中で新農政展開といっても、これは絵にかいてもちになってしまいかねない。しかも、二十一世紀の農業、林業を良好な環境で引き継ぐんだということを新農政で高々とうたいとげておきながら、それを担う人間がいなくなったとしたら、これはまた大変なことになるわけです。そういった意味で、後継者という言葉は使いません。いずれにしても農業、林業に携わる人を養成する。そして、それは学者とかこの辺の席に座っておられる官僚だとかということよりも、今望まれているのは、農協なり市町村役場なり、あるいは畜産団体なり、あるいは生活協同組合もそうですが、そういった第一線でリーダーシップを発揮できる人が欲しいということに焦点を定めていけば、これは前にも農林水産委員会で一度触れたことがあるのです。
 一昨年学校教育法が改正されまして、高等専門学校制度が、今まで商船と工業だけだったのが他の分野に拡大できるということになったわけです。当時の井上文部大臣とやりとりしたのですが、私は、今申し上げたような観点から、農業はどうなんだと言ったら、これは結構です、こういうことをはっきり言っているのです。そして、やりとりのときにおいでになった農水省の説明員の方の答弁、これは農水省の見解といってよろしいかと思いますが、教育内容の高度化という面でいろいろな道が開かれている、これは高く評価したい、そして高等専門学校制度については、農林水産省といたしましては、文部省ともよく連携をとりながら、今後若い農業者をいかに育てていくかを十分努力していきたい、こういうような答弁をいただいております。
 そこで、質問になるわけですが、高等専門学校は窓が開かれていまして、農業高校を卒業した人がもう少し頑張りたいというときには、スライドして高等専門学校の四年生に編入できる、それから、高専を卒業して四年生大学に行きたいという人は四年生大学の三年生に編入学の道が開かれるというふうに、非常に開かれた制度であり、そして高専の卒業生には準学士という称号が奉られる。若い人から見れば、一つの制度としてしっかりしたものというものはやはりあこがれます。引かれるわけです。そして、受け皿は、流域管理システムを展開している林業関係、そして新農政を展開しようとしている自治体と農業関係団体、そこで第一線の指導者として活躍するということの意味は大きいと思う。
 ちなみに工業高等専門学校は、国立が全国四十九校あります。これは工業という産業界からの要請で出てきた。どうですか、大臣。今度は四十九対ゼロじゃなくて、農業は要請があるないにかかわらず、来世紀の農業を立て直すためにも、リーダーを育てるためにも、我が方から打って出で、国立の農業林業高等専門学校をつくろうじゃないか。全国数カ所でいいのです。青森、秋田、岩手、三県に一つくらいでもいいのです。そうした展望と意気込みを、私は大臣からお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
#212
○高橋(政)政府委員 大臣が説明する前に、ちょっと私の方から御説明申し上げます。
 ただいま先生の方からお話がございましたように、これからの青年農業者、あるいは農村あるいは農業をやる場合のリーダーの皆さんを育成するに当たって、技術あるいは経営能力、いろいろな能力を習得してもらうのが基本であるというふうに考えておりまして、国あるいは各県、ほぼ全県といっていいと思いますが、あるいは民間で現在農業大学校というものを設立しておりまして、これは高校卒を対象として、実践的な研修教育あるいは座学、そのほか先進農家へ留学させますとか、あるいは普及員によります指導ということを推進してきておるわけです。特に、また平成五年度でも県の農業大学校においては、先進的な農業技術の研修教育につき一層充実をするというようなことでの施設整備も充実させたいということでやっておるわけでございます。
 それで、今御指摘のありました高等専門学校につきましては、御承知のように文部省所管のものでございますが、平成三年の大学審議会の答申を受けまして学校教育法が改正されまして、今までは工学及び商船の分野に限られておりましたが、それ以外の分野でも対象とし得るということになりまして、農業に関する教育の機会の増大につながるわけでございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、そういう意味では非常に開かれた制度になったということで、我々といたしましても非常に評価をしているところでございます。
 したがいまして、今後農林水産省といたしましても、文部省とより連携を密にしながら、能力にすぐれた青年農業者の育成をどうしたらいいかということについて努めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#213
○田名部国務大臣 何をやるにも人であります。企業は人なり、こう申しまして、いいリーダーを育てるということは大変大事なことであることは、私は十分承知をいたしておりますし、いい例の地域を見ましても、そこには必ずいい指導者がおって、そして立派な農業をやっておるということからも、そのことは大事だと思います。ただ、学校教育の中でのカリキュラム、一体どういう人間を育でるかということをきちっといたしませんと、卒業しても何か本当に専門的というわけにもいかぬ、これは、よく育てるべき内容、そういうものを十分検討してやっていかなければいかぬというふうに考えております。
#214
○沢藤委員 要望一つで終わりたいと思います。
 今お答えのありましたように、農業短期大学校、農水省所管の施設は学校じゃなくて農民研修制度の施設なわけです。それと、その機能を生かしながら、できれば併設、ドッキングしながら、科目ごとに講座ごとに受講できるわけですから、そして岩手では、農業短期大学校がありますから、そこと併設する形で両方で生かしていく。これはすばらしい機能を発揮できるような気がするのです。所管の縦割りの壁を外していただきまして、ぜひいろいろな面で文部省と協議していただきたい。私は、岩手でもう既に教育委員会と農政部と一緒に話し合い、検討を進めている、そのことを申し添えてお願いしておきたいと思います。
 終わります。
#215
○平沼委員長 田中恒利君。
#216
○田中(恒)委員 大臣と、委員長にもお願いをしておきますが、これは答弁要りませんが、私は国会の審議というものはきちんとやらなければいかぬと思うのですよ。ところが、最近、特に農林省、役所の方からともかくたくさんな法律をぽんぽん出してきて、今度のこの法案は、たしか七本ほどの法律を一本にしておるが、国会へ出てきたら、国会の審議で慣例だ、漁業は一緒だ、林業は一緒だということで、二本も三本も法律を一緒に、二日間の日程とか三日間の日程とかで処理しているのですが、国会改革ということが恐らく今度は問題になるでしょうが、私はやはり非常に大きな問題を持っておると思うのです。
 ですから、やはり一国会の間でどれだけの法案が成立するのが妥当だといったようなことは、委員会の方でも考えなければいけませんが、農林省の方でも十分考えた上で出していただいて十分な審議がされる、そういうふうにお願いしたいのです。法案はトンネルで、つくるところがここじゃないのだ。野党の私らのところなども毎日ぐらい役所が大勢来て、何を聞くのだ、どうだこうだといって次から次へ来る。こういうことを慣習として残してはいけないと思います。そのことを特に農林大臣と委員長にもお願いをしておきたいと思います。
 そこで、私は、同僚の諸君がいろいろ指摘をしておりますから、重複はできるだけ避けたいと思いますが、これは大きな問題でありますから、多少童なるところがあるかもしれませんが、一つは農業基本法と新農政の関係について、若干お尋ねをしなければいけないわけであります。
 この新しい農政が昨年の六月に出されたわけですが、それに関係者は非常に注目をしておりますし、恐らくこれは農林水産委員会へ、どういう人が来ておられるのかよく知らぬけれども、きのうから傍聴者が大分多いのですね、私は何ら関係ないけれども。やはり関心が深いということです。その中には、これは相当思い切ったことを出しておるという声もあります。それから、これは本当にやれるのかという不安や疑問もある。私どもは農村の現場に近づけば近づくほど、これはやれっこないよ、こういう声が非常に強いように思っております。
 そこで、この新農政というものと農業基本法はどういう関係に位置づけられるのか、まず大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
    〔委員長退席、萩山委員長代理着席〕
#217
○田名部国務大臣 農業基本法は、農政の目標として、農業の生産性の向上でありますとか農業従事者と他産業従事者の所得の均衡ということを掲げているわけでありまして、この法制定後、いろいろな施策の展開をしてきた結果として、畜産や施設園芸の分野を中心に成果を上げた面もありますけれども、稲、麦、大豆、土地利用型農業については生産性の向上が立ちおくれておりまして、他産業従事者との均衡ある農業所得を得られる農業者が極めて少ないという状況にあるわけでありまして、このような状況から見ると、農業基本法の政策目標というのは基本的には今日においても妥当であり、我が国の農業の発展を期して今後とも追求をしていくべきもの、こう考えております。
 昨年取りまとめましたこの新政策でありますけれども、基本法の政策目標を今日的視点に立つで具体化したものでありまして、今申し上げたように、労働時間でありますとか生涯所得が他産業従事者と遜色のない経営体の育成、こうした経営体が生産の大宗を担う効率的、安定的な農業構造の実現を目指しておる、こういうことでありますので、お尋ねのことについては私どもはこういう考えで進めてよろしい、こう考えております。
#218
○田中(恒)委員 そこで、ちょっとこれは入澤さんに聞いたらいいのでしょうが、新政策の中で個別経営体と組織経営体とありますね。そして、これが十五万戸と二万戸内外ですか、それで米作農家の場合約八〇%程度は十年後には保持するという目標を出しております。これと農業基本法のいわゆる自立農家あるいは協業経営とどういうふうに違うのですか。今度の新農政を見てみますと、農家とか農業者とか、こういうのはほとんど出てないのだな。経営体という形で出ておるわけですけれども、この差は一体何か。
 それから、たくさん言いたいのだけれども余り言えぬのだが、私どももう少し若いときに、私は団体におったが、かつて農業基本法をつくったときに、所得均衡というスローガンは非常に鮮烈に頭に残っておるのですよ。非常に大きな影響を日本の国内に与えたと思うのですよ。しかし、その所得均衡は残念ながら成就しておりませんよ。あなたがおっしゃる農家所得としては勤労者の所得よりも多少高いと言われているが、農業所得は年とともに低下をしておるので、農業基本法は失敗をした。こういう基底の上に立って、新農政が出しておる環境の問題、あるいは世界的な食糧不足の中で農産物の自給というものが各国に求められていくということ、あるいは進め方については地域の人々の声を聞いて農政を下からつり上げていくという姿勢、これは基本的な新農政の理念として私は評価をする値打ちがあると思いますが、農業基本法の最終目標であった所得均衡という点についてはどうも間違いがあったと思っております。そういう意味では、思い切って、悪いことは悪かった、今度はこれでいきますよという大だんびらを振りかざして臨んだ方がもっと国民的な共感を得るのじゃなかろうかと思いますよ。
 小倉武一さんが、この人は農業基本法をつくった人だ。農林省の諸君の大先輩だ。彼の随筆などを読むと、農林省は記念集会とか記念誌とか十年目とか二十年目とか三十年目とかやるが、農業基本法だけは一つもお祝いもしてくれぬが、葬式も出してくれぬ、こう言っておる。農業基本法に対する評価はあなたのところの部内だってさまざまなのじゃないか。だから、新農政だって私は、我々は確かにこれはこれでいかなければいけないと思うときはあるのですよ。あるけれども、全体を見てみると、そっくりそれはストレートにつながっていない。そこのところが新農政に対する私の非常な不安であります。それについて御意見があったらお聞かせいただきたい。
#219
○上野(博)政府委員 今の農業基本法の問題から先にお答えを申し上げたいと思いますが、農業基本法が他産業従事者並みの所得を確保するという命題を掲げているということにつきましては、基本的に私は間違ってない。そういう意味で、農業基本法が失敗をしたということにはならないのではないか、依然としてそこが我々農政を担当する者の追求していかなければならない目標なのではないかというふうに考えるのです。
 といいますのは、他産業並みの所得が得られないような農業であるならば、若い方がどうやって農業に魅力を感じ、農業で一生を過ごすというふうに考えるかという問題になってくるのではないかというふうに考えるからでございます。そのときに、今回新政策で提言をいたしております考え方の中には、所得だけではどうも条件として十分でないのではないか。農業に従事する労働時間、これがやはり他産業並みの時間でなければ、むやみやたらと働いて心身をすり減らしてやっと他産業並みの所得を得るということでも、必ずしも魅力がある産業だということにはならないのではないかというふうに考えたわけでございまして、その点は、今回の経営体という概念が基本法ベースの自立経営農家というような概念にプラスをして持っている部分だという理解をいたしているわけでございます。
 それから、自立経営と経営体との違いが先ほどのお話にあったわけでございます。この点について申し上げますと、自立経営というのはやはり農家というものを単位として考えているわけでございますけれども、今度の我々が考えております経営体という概念は、より個々の個人、家族であればその構成員、そういうところに焦点を当てで、個人を単位として物を考えているというところが違うかと考えております。
#220
○田中(恒)委員 官房長、今の話を聞くと、経営体といったのは、個々の人ではなくて一つの経営組織といったようなものに焦点を置いた、考えの重点を置いた、だから農業者個々ではないのだと言っておるが、自立農家だって個別経営体の一つでもあるし、恐らく自立農家がそのまま農業基本法農政の中で育っていっておったら、個別経営体、当時の金でたしか百万戸つくると言っておったのだ。できやせぬ。できやせぬというか、できてないのだ、これは。だんだん崩れ落ちるから、経営体という形でいく。それは経営の効率を高めて企業化の路線を突っ走っていくという方向につながっていくと理解していいのですか、まずいですか。
#221
○上野(博)政府委員 その前に、先ほどの発言、若干舌足らずなところもあったかと思うので、補足させていただきたいと思うのでございますが、経営体というものも家族農業経営から発展してそういうものに至るということは、もちろん我々としてもそういう性格のものだというふうに考えているわけでございまして、自立経営が家族農業経営であって、経営体とその淵源も全く別であると考えているわけではございません。それはかなり共通のところもある、出発点としては同じだと考えていいのではないかと思っております。
 それから、今の企業という観念で物を考えているのかというお尋ねにつきましては、我々がこの経営体ということを言います場合に、経営感覚に富んだ経営体を確立していくというような物の言い方をいたしているわけでございまして、やはり所得なり労働時間なり労働条件なり、そういうものが現在の日本の社会一般で考えられているようなレベルに達するものである、それができて初めて若い方々が農業というものについてやってみようかと考えていくことになるのではないか。経営感覚、経営ということをかなり重視をしているというふうに考えていただきたいと思います。
    〔萩山委員長代理退席、委員長着席〕
#222
○田中(恒)委員 いろいろ議論はしたいけれども、いやと言うたらここで終わってしまうから。
 それで、ちょっと今関係があるといえばあるのだが、農地の流動化をめぐって株式会社の参入はやらない、こういうふうに今度のこの新農政では言っておるわけだが、株式会社の農業参加というのは今後ともあり得ないというふうに理解してよろしいですか。
#223
○入澤政府委員 株式会社が農地を取得して農業経営をやるということは今回も考えておりませんし、私はこれからもそういうことは、今回法律を直すわけでございますから、考えられないのじゃないかというふうに考えております。
#224
○田中(恒)委員 なかなかこの辺は微妙なのじゃないかね、まだ。それじゃいいです。
 ちょっと聞きますが、食糧の自給率を一%上げるのに金が幾ら要りますか。
#225
○上野(博)政府委員 この問題、先ほど内々の事前の御連絡を受けまして、私いろいろ考えたのでございますが、非常に簡単なようで難しい問題でございまして、なかなか簡単にお答えを申し上げられないのではないかという感じを持っております。
 それは、自給率を、これはカロリーベースであれ何であれ、あるいは穀物自給率のことを言っておられるのかという気もいたすわけでございますが、それを計算するということになりますと、一体何でもって、何を国内で生産することによってこの自給率の一%を上げるという試算なりなんなりをやるのかということが非常にお答えに響いてまいるところが大きいわけでございますし、しかも、簡単に数字としてはあるいは出るのかもしれませんが、そのことの背景には、土地の利用であるとか、農家の作目の選択の問題であるとか、経営の問題であるとか、いろいろな問題があるわけでございまして、私として、それを簡単に数字だけぽんと出して、はい、これがお答えでございますということを申し上げていいのかどうかという疑問もわいてまいっているわけでございまして、ちょっと逡巡をいたしているところでございます。
#226
○田中(恒)委員 それはだめだよ。自給率の問題は今、日本の農政の基本ですよ。そして、これまでの論議で大臣は、今の自給率、穀物自給率は二九%、カロリー計算は四六%か、これを三一%と五〇%にする、恐らく平成十二年ですね、という答弁をしたわけだが、これは、大臣がそういう気持ちで日本の食糧政策を担当するということになるから、二九%から二%ふやすんだから、あと二%ふやすということについて本気になって、金も知恵も全部ぶち込んでやっていく、そういう気持ちだと思いますが、そのためには幾らの金が要って何をどういうふうにやっていくかという体制ができなければやれぬでしょう。
 しかも、この自給率の問題は、何もこの法案の審議で問題になったのじゃないですよ。もうこれは何年も前から、日本の農業が自給率低下を重ねている中で論議されておるわけだから、そういうことをあなた、農林省の官房長が、知恵袋が、まあちょっとなかなか言えぬなどという答弁を国会でするのは不見識だよ。それははっきりしてもらわなければ。
 (発言する者あり)
#227
○平沼委員長 静粛に。今準備していますから。
#228
○上野(博)政府委員 私は、計算の仕方が非常に、まあ短時間に検討するようにということで御質問をいただいたということもございまして、なかなか適切な計算の仕方というのはわからない。今、一つの考え方として、例えば小麦を増産して一%の自給率を上げるとなると、四十万トンぐらいの小麦の増産をしなければいけないのです。
 それを、じゃ一体どうやって国内で生産を余計してもらうのかということの金額的な所要の計算をするというときにどういう計算をしたらいいのだろうということで、実はいろいろ逡巡をしているというふうに申し上げたわけでございまして、この四十万トンに現在の小麦の国の買い取り価格と輸入小麦のえさの原料価格の値段との差を掛けるというのが一つの方法かとも思うのですが、じゃあそれだけ掛ければ、その数字で国内生産は小麦が四十万トンできるかと言われれば、私は全然自信がございません。といいますのは、政府は現在その麦の値段で買うということを約束しているわけでございましで、にもかかわらず、あと四十万トンの麦の生産ができないわけでございます。だから、それだけの計算から出ますと約五百億の数字になるのですが、五百億かけて一%上げられるというふうには私は申し上げられないので、じゃあ一体幾らかけたらいいのかというふうになると、これは正確な答えがなかなかしにくいなというふうに思ったことを申し上げたわけでございます。
#229
○田中(恒)委員 小麦というのを簡単に出したが、私もそれは、穀物の自給率を上げるのには、やはりえさだからな、えさをやればぱっと上がるから、あなたは多分小麦を言うだろうと思ったが、案の定言うた。
 それは、確かに五百億や七百億ぐらいの金でできるはずはないんだ。私は、漠としたことで大変あれだけれども、相当な金が要る。これは、中には一兆円要ると言う人もおる、五千億と言う人もおる、七千億と言う人もいろいろあって、的確な数字を持っていないが、これは農林水産省は持っておるのだと思うが、出すべきですよ。単に小麦というだけではなくて肉畜も含めて、あるいは果樹、蔬菜、そういったようなものも含めて、日本農業の日本型食生活の体系を組み立てる上に、必ず全部日本の食糧でやっておるのではないのだから、ほとんどたくさん何もかも入れよるのだから、今、米を除いたら。だから、そういうものの日本型食生活の標準のことを考えた場合にはこうこうこれだけと、だから輸入農産物全体を計算をすると、あれ四兆三千万ぐらいですか、そして土地面積が千百万ヘクタールぐらい要る。だから、今の日本の農地の二倍ぐらい、二倍半ぐらい土地が要る。こんなことを大ざっぱに言っておるわけだから、ぜひこれは精査をして、そして後で知らせてくださいよ。いずれこの自給率の問題はこの委員会でも細かく議論をしなければいけませんよ。こういう論議を続けてきておるわけですから。
#230
○平沼委員長 上野官房長、的確な返事をしてください。
#231
○上野(博)政府委員 我々は、作業をしないということを申し上げるつもりはございませんが、ただ、その農地面積、農地の造成の問題であるとかというだけでは必ずしもないわけでございまして、人の問題、いろいろ関連する問題は大きいと思うのです。この一%という数字、たった数字は一でございますけれども、やはり日本の食糧消費構造であるとか生産構造であるとか、そういうものが非常にかかわっての現状でございますので、それから出てきます一%上げることについてというものの計算、努力はしてみたいと思いますが、なかなかいろいろ難しい状況があるのではないか、条件があるのではないかというふうに考えております。努力はしたいと思います。(発言する者あり)
#232
○平沼委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#233
○平沼委員長 では、速記を始めてください。
 では、改めて、田名部農林水産大臣。
#234
○田名部国務大臣 私が閣議で決定したことに基づいて、これは我々としては最大の努力をしなければならぬことは当然であります。それを具体的にと、こう言われると、人口の動向がどうなっていくのか、だんだん日本の人口が減っていくんだということになると、それでもまだ変わりますし、あるいは消費、あるいは国民の好みによって何が消費されなくなるか、何が伸びていくか、いろいろな要素がありまして、しかし、私どもは、土地基盤整備をやる、あるいはバイオテクノロジーを駆使して生産性も上げていくという中でやはり努力していかなければならぬ。
 数字、具体的にどうできるかということは、これはちょっと検討させてください。まあ、どこをとらえて出すかということによっても大きく差がありますし、皆さん方も二〇%自給率を高める、こういう御提言がありますけれども、社会党の案がですね、二〇%上げるというのですから、それも今みたいなことできちっとやるとなるとなかなか簡単には出ないのだろうと思うのです。しかし、私たちも最大限努力してみますので、どういう試算で出せるか、やってみますから。(発言する者あり)
#235
○平沼委員長 ちょっと速記をとめて。
    〔速記中止〕
#236
○平沼委員長 では、速記再開。
 上野官房長。
#237
○上野(博)政府委員 先ほどの御質問、非常に端的に一%と、一%上げるために幾らかかるかという御質問でございまして、私はああいうふうにお答えをしたわけでございますが、長期見通しとの関係でいいますと、長期見通しというのはいろいろな趨勢や何かをもとに平成十二年の見通しを立てたものでございまして、それについて政策的にどういうような裏打ちをしてやっていくかということまで全体として整えてあるわけではございません。しかも、五〇%というのはこの長期見通しの付表に載っておるわけでございまして、若干扱いとしての性格も本文の内容とは別なものになっているわけでございます。この辺は、やはり今いろいろございました御議論にも関連をいたすのだろうと思うわけでございますが、政府として一定の将来の見通しの自給率の達成ということについてどこまで責任を負うか、計画としてそういうものを立て呑ものではないということを言っているものだというふうに我々は理解をしているわけでございまして、やや、今の御議論をお聞きしております際に、以上申し上げておいた方がよかろうかと思って、御発言をお許しいただきました。ありがとうございました。
#238
○田中(恒)委員 大臣が、あなたか、質問に対して三一%にする、こう言われたのです。それは今のお話では閣議で決めたんだな。三一%にするなら三一%にする道筋をつくらなければだめじゃないか。それが何か、そうしたら自給率の向上ということはもう全然日本の農政は考えていないのかということになりますよ。そういう裏打ちこそ今直ちにつくらなければいけないので、それが今すぐできぬと言うなら、私はそんなに、それはあなたが言うように、責任持って全然狂わないようなものといったって、無理だと思いますよ。だけれども、一応私もこの国会で質疑をしたんだから、ここで正式に――やめと言えばもうやめてもいいわ、後に譲ってもいいですよ、十分か五分かもらえればいいんだから。それで処理してもいいですけれども、そうしたら、何か難しくてできないんだということですか。
#239
○上野(博)政府委員 この五〇%とか三一%とかいう数字自身は、形式論、手続論でございますけれども、閣議決定の対象にはなっておりません。あくまでも参考付表という形で示されているものでございます。ただ、先ほど来大臣も申し上げておりますので、私どもとしまして御質問の趣旨を十分に検討させていただきまして、どういうようなお答えができるか、検討することをお許しをいただきたいというふうに思います。
#240
○平沼委員長 委員長からちょっと申し上げますけれども、きょうは法案に対する質疑ですから、後からしかるべく返事をするということでその部分は保留をしていただいて、審議を続行していただければと思うのです。理事会でよく協議させていただいて、前向きに検討することによって、審議を続行してください。
#241
○田中(恒)委員 理事会でよく相談してください。
 もう時間は入っておりますから、あとわずかな問題について二、三お尋ねしますが、やはり価格政策ですよ、一つは。価格政策ですが、これもがたがた言いませんが、やはりこれからの価格政策で気をつけておかなければいけない点は、農家の、生産者の生産性向上のメリットですね、このメリットがどういうふうに分けられていくか。これは自民党の諸君は乳価のとき、米のとき、このメリット論がこの数年間、プラスアルファをつけるときに大変御苦労されておる点だと思うのですが、新農政の中で設定される価格政策の中に、生産性のメリットは農家に返す、こういう原則をやはり打ち立てる必要があると私も思いますが、この点はどうかということ。
 それから、御承知のように稲作を見ても、五ヘクタールですかね、五ヘクタールまでは急速に経費は下がる、コストは下がる、しかし、五ヘクタールを超えると停滞していく、十七、八から二十ぐらいになると逆にコストが高くなる、こういう傾向を持っておりますね。もちろん技術水準の問題もありますけれども、現在は。そうすると、想定される規模拡大の上の方は大体この辺だと言うこともできるわけですよ。そういう点を配慮した上で価格政策というものを考えてもらう必要があると思うので、その点についてちょっと答えてください。
#242
○上野(博)政府委員 農産物の価格決定に当たりましては、生産費をもとに農家の再生産の確保や需給の安定、価格の安定というようなことを考えて決定をしてまいっているわけでございまして、今後もこの点については基本的に変わらないだろうというふうにも思うわけでございます。
 その際に、生産性向上のメリットをどう扱うかという問題でございますけれども、これは、農家が個々に生産性を向上されれば、その中でその農家が価格、要するに、並み以上の生産性向上があれば当然経営にプラスという形ではね返ってまいるだろうというふうにも思うわけでございまして、今の価格決定の仕方でもそれなりに反映はしているんだろうというふうに思うわけでございます。
 ただ、今この新政策の考え方で経営規模の拡大を図りながらコストを下げてまいる、そうすると価格関係にもいろいろその影響は出てまいるだろうというふうに思うわけでございますが、生産性向上の進みぐあいと価格のそれへの反映の仕方というものが跛行を来さないように十分考えていかなければならないということは、新政策の中にもうたわれているわけでございます。
 それから、規模拡大をした場合に生産性の向上がどこまでも図れるというのはそうなのかどうかという御疑問でございますけれども、現在の統計の制約もございますが、米の生産費調査によりますと、十ヘクタール以上層の大規模農家の生産コストは農家平均の約六割ということでございまして、非常に大きく低減をしておるというふうに理解をいたしております。
 それから、大きくなっていったときにどこかで生産性向上のスピードが落ちるというポイントがあるんじゃないかというお話でございますけれども、これは、現在の技術水準、機械の性能、そういうようなものからなかなか、一定の条件というのはあるいはあるのかもしれないと思います。しかしその前に、経営耕地が分散錯圃をしているということが非常に大きな問題になるんじゃないかというふうに考えておりまして、これの集団化を図っていくということができますれば、大きな経営規模はそれなりの生産性の高い経営を営むことができるのではないかというふうにも考えているところでございます。
#243
○田中(恒)委員 今の議論をやり出したらこれもまた限度がないのだが、いわゆる効率性のある経営体という言葉が随所に出ておるんだ。その効率性というのはそれなんだな。それでいけば大規模にやった方がいいんですよ。株式会社も入れてやった方がいいんですよ。私は、そうはいいながら、家族経営体というのはなかなかそんなに簡単に崩れないと思うんですよ。家族経営体の中で、私はミカンだけれども、自分もミカンをつくっておるが、やはり二町五反ぐらいから上はだめですよ。それは家族労働力の限界があるから。それは統計だって出ておるんじゃないの。稲作だって同じじゃないかと思います。だからそれは、大規模にすればするほどいいというわけにはいかない。
 全体的に今、日本の農業の停滞というか、農業もうだめだと言っておるのだ、つくっておる連中は。その連中の理由は、やはり幾ら一生懸命やって合理化をして生産性を高めても、そのメリットが返ってこないというところに最大の問題があると私は思うんですよ。マクロ的に見て日本の農業の生産性は国際的に高いですよ。ずっと生産性の努力というのは高くなっておりますよ。しかし、報われるものが少ないから、もうだめだというようなあきらめに変わってきておるんじゃないですか。そういう限界性というものはやはり持たにゃいけんのじゃないかと私は思うのだが、まず持っておるかな。
 まあいいよ。答弁する必要ないわ。それで、もう一つわかりやすいことを言いますが、この農地、農林省は農林省の生命線だと言ったのだ、五百万ヘクタールというのは。これは二千カロリーですかね、国民に最低必要な栄養、カロリーを補給するためには五百万ヘクタールの土地が必要だ、これを放したら農林省は崩れる、こうまで言い切ったのだが、今の農地というのはどういう状態になっておりますか。五百万切っておるのじゃないの。
#244
○入澤政府委員 ちょっと今、どの局で答えるべきかということがありましたので、ちょっと遅くなりまして申しわけありません。
 現在の農地面積は、平成三年で耕地面積合計で五百二十万ヘクタール、田が二百八十三万ヘクタール、畑が二百三十八万ヘクタールということでございます。平成十二年の例の長期見通しの必要耕地面積は全体として五百万ヘクタールから五百二十万ヘクタールというふうにしております。
#245
○田中(恒)委員 平成三年の耕地面積五百二十万ヘクタールなんだが、しかし御承知のように、耕作放棄地というのは平成二年で二百二十二万ヘクタールあるんだな。だから、これはずっと減っておるから、今の時点でやったら、たしかあなたのところの統計でもマイナスになっておるんだと思うのだな。これも今の一%の穀物自給率と同じほど重大な問題ですよ。私はこれ以上突っ込みませんが、ひとつ十分目を光らせておいていただきたいと思います。
 ちょっとどうしてもお願いしなければいけないことがあるので、後は羅列して申し上げますが、農林業のドッキング、これは私なんかも若いときから言っておったことで、山村の地帯では、森林組合の中心に農協が入り込め、一緒になれ、こんなことを若いときから言った組ですが、一遍に言ったってできぬでしょうが、できるまで、法律改正まで入り込んでもらいたいと思います。
 今林業は非常に深刻だ。農業以上に深刻ですね。それで、流域単位の森林計画をつくるということになっておるんですよ。そこで、今当面しておるのは、流域単位の森林計画をつくるプランメーカーがいないということなんだ。そういう林業のことに細かい練達の人が地方にはいないということですよ。それは町村長が産業課長、林業課などをつくっている町村があって、あるけれどもそれはまばらで、これは林野庁の現役かOB、こういう人はやれるようなんですよ。我々はいつも勉強しよるんだが、ああいう諸君をこの際使ってみる必要があるのではないかと思うのです。林野庁来ておるかな。その辺が今非常に大切な問題なんだな。流域単位の計画というのは、林野庁のそれを使ったらどうかということ。
 次から次へ言います。
 そして、国有林の労働者は恐らく二万人になると思うが、どんどん減らしていくわけなんだが、やはりそうはいっても非常に優秀な林業技術と装備を持っておるのですよ。組織体ですよ。これは組織部隊ですよ。民有林は国有林以上に荒廃しておるのですよ。この国有林と民有林が流域単位の森林計画で一緒にやるわけですから、この労働者層は民有林に活用していく、同一施業をやっていく、こういう方向に向けるべきだと思うのですよ。私なども、赤字の問題で柳沢さんなんかともいろいろなことをやったのだが、そのときから私はそんなことを申し上げておったのです。これは検討してもらいたいということ。
#246
○馬場政府委員 二つの問題があろうかと思います。
 一つは、流域管理システムの中で流域林業の活性化のためのセンターを設置しでおるわけです。そこで取りまとめの任に当たる、我々はこれを計画推進員と言っていますが、これになかなか人がいない、ついてはそういうものについて国有林の職員等を充てたらどうかという御質問、もう一つは、実際に林業をやる労働力が民有林ではない、これで国有林の職員を活用したらどうか、こういうお話だと思います。
 最初の方の流域林業活性化センターの計画推進員でございますが、おっしゃいますように、流域全体の林業・森林について通暁しておって、かつ調整能力を持つ人というのはなかなか難しいわけでございます。これは、活性化センターの構成員である関係者、いろいろな団体等が入っておりますが、これらの人力の合意によりまして選ばれてくるということになっておるわけであります。国有林の方は、もちろん国有林も流域管理システムに積極的に参加するということで、営林署長を中心にいろいろと参加をして林業の技術協力なり情報提供をやっておるわけでございますが、この調整の任に当たります計画推進員ということになりますと、今言いましたように、これは広くその地域について通暁しておる人ということで、そういう人がいるかどうかということになろうと思います。
 実際に置いているところの数字といいますか例を見ますと、おっしゃるように県の職員のOBの方あるいは森林組合系統の職員の方あるいは市町村のOBの方等がかなり選任されております。残念ながら今のところ国有林のOBの人というのは実績としては出ておらぬわけでございますけれども、地域によりまして国有林が非常に大きなウエートを占める地域あるいは民有林がほとんどの地域等がありますから、一律に申し上げられませんが、そういう能力のある人が選ばれて活用されることは非常に望ましいことだと思っております。
 それから、国有林野事業に従事する職員を民有林の仕事に活用することについてでございます。
 これは、委員御案内のとおり、国有林野事業の保有する技術等の有効活用を図るということで、国有林野事業の運営の妨げにならない限りにおいては民間の委託によって森林の管理経営あるいは調査等を受託することができるというのが法律で、国有林野事業特別会計法において認められております。また、受託事業というのは実際にもある程度こなしております。
 ただしながら、国有林野事業の健全性を確立するための改善計画の中では、国有林野事業というのはむしろ民間実行になるべくしていこうという方向が示されたわけであります。したがいまして、国有林野事業の実施のために必要な職員というのは当然国有林野において確保すべきでありますが、このほかに民間の事業を国の職員がやることについては、どうしても限定的な、例えば国有林野事業が季節的にあるいは地域的に余り事業がないというようなときに限定的に受託をするということはあり得ますが、一般的に国有林野の事業の職員を民間の仕事をするために抱えておくというようなことはなかなか難しかろうと考えております。
#247
○田中(恒)委員 ちょっと意見は違うけれども、やる時間がありませんから、これはまたいつか機会を持って長官とは話をしたいと思います。
 長官にせっかく出てもらったから、ちょっと長官に関係したことで、特に大臣にお願いをしておかなければいかぬが、百二十三国会で松くい虫の被害対策特別措置法が制定されまして、私なども実は少し苦労をしたのでありますが、この際、結局空中防除が中止になる、空中防除については、住んでおる人々の安全性という立場で、その地域の人々や多くの人々が反対をしているところはやってはいけない、反対者が多いところはやってはいけない、こういうことになりまして、附帯決議ももちろんそういうようにきちんと書いてあります。特に、行政的には基本方針というのがあるのですね。その基本方針の中にも、特別防除、つまり空中防除の実施について「地域住民等関係者の理解が得られる見込みがあるものについて実施するものとする。」見込みがないものは実施しない、こういうふうに書いておるのです。
 それで大臣は、これは私の質問でありますが、最後の段階で、「今お話しのように環境保全への配慮、この基本方針の趣旨が都道府県初め地域の特別防除の実施者の段階まで徹底するように、各種担当者会議等あらゆる機会を通じて指導していきたいし、万が一そういうことで反対というところは、これは絶対やってはいかぬ、そう思います。」こういうふうにきちんと言われておるわけですよ。こういうことで、日本社会党はこの法案にずっと反対してまいりましたが、賛成をしたという経過が実はございます。
 ところが、それから以降の空散の状態を見てみると、必ずしも私どもが考えたようになっていないところが部分的にはあるようであります。私などは、またそれぞれ林野庁に、あそこはこうしてくれ、こうしてくれと言ってきたのですが、今、私のところに足利の人々から大変な苦情が実は持ち込まれておるのですよ。これは林野庁にも行ったのです。ここでは、ことしは約七千人の署名。それだけではないのです。ここにも書いておりますが、団体名。これは団体署名ですよ。百七十一団体。これを見ると、学校、お寺、これは宗教界ですが、それから自治会、病院、足利にある大きな団体はほとんど全部だと思いますよ。全部が空中防除やめてくれと言っているのですよ。
 そういう状態なのに、ことしどうなるかと聞いたら、やるかもしれぬが面積を少し何とかというような話があります。だれかやってくれと言うところがあるのかと言ったら、森林組合が言ってきておるそうです。森林組合というのは日本ではどこでもやってくれと言うでしょう、この法律に基づいて出されたんですから。しかし、これだけの関係団体が、遠慮をしてくれ、やめてくれと言っておるのだから、これは聞いてあげなければいかぬですよ。
 ところが、これを決定するのは市だということはわかっていますよ。市が従来の方式で多少面積などを少なくしてというような考えのようでありますが、私などはこの委員会でああいう議論をして、そういうことでこれを認めたという経過があるから、特に大臣とは直接話をしておるわけですから、私は、実情をそれこそよく見てもらって、これをとめるように、やらさないように、林野庁、農林省として御指導いただきたいと思っておりますが、どうですか。
#248
○田名部国務大臣 特別防除の実施に当たりましては、昨年の国会での十分な御審議をいただきまして、今お話しの附帯決議を踏まえまして、昨年四月に新たに松くい虫対策の基本方針を定めたところでありまして、適切に実施するように指導しているところでありますが、御指摘の、利用者の集まる場所の周辺の松林においては、その周辺の居住者あるいは管理者の意向を十分に確認して、大多数の同意が得られない場合は実施しないという方針で対処しでいるわけであります。
 具体的に足利市につきましては、その方針を受けて、昨年度の実施に当たって、住宅等の周辺は散布区域から除外したと報告を受けておるわけでありますが、特別防除の実施に当たりましては、今後とも地元の意向を十分把握するなどして、円滑な事業が実施できるように指導してまいりたい、こう考えております。
#249
○田中(恒)委員 この松くい虫の防除のやりとりの中で、いつもそういう答弁が返ってくるのですよ。人家等問題のないところは避けておりますと言うのだが、そこに住んでおる住民の諸君に言わせると、飛散したものが飛んできて心配でたまらないと言っておるわけなのですよ。だから、これだけ自治会なり病院なり学校なり保育所なり、こういう周辺の人が挙げて、これは困りますからやっていただきたくない、こう言っておるわけですが、山の奥で、だれも人がいないところで、被害がないようなところでやってくれるならそれは結構だと私は思いますよ。だけれども、少なくとも足利市の中心の市街地とか、相当これは飛散しますから、そういうところの地域については、これだけの人がこれだけの動きをしておるわけです。昨年もやっておるんだ。昨年も約二万人に近い署名が出ておるはずですよ。これは林野庁にも行っておる。この間も大勢行ったでしょう。私は怒られて、そして林野庁に行ってみなさいといって行がしたのだから。よく実情を見てもらって処理していただくようにお願いしておきますよ。長官。どうでしょう。
#250
○馬場政府委員 ただいま大臣が申し上げましたように、地元の住民の方あるいは管理者の方の同意を十分得てやれるように指導してまいりたいと思っております。
#251
○田中(恒)委員 自治省に来てもらっておりますから、自治省にお答えをいただくのが、礼儀でありますので、農林水産委員会として。
 私、デカップリングの問題も実は聞きたいけれども、もうそういう質問はできませんが、やはり地方自治体では、若者がいない、人は減る、そういうことで今必死になっていろんな努力をしておりますよ。私のところなんかでも、子供が一人生まれたら町長が十万円の御祝儀を持っていくとか、そんな町が大分出てき始めでおる。立派な家をつくったり、低い家賃でやったり、そんなことは普通ですよ、今山村地域では。
 そして、私のところでは、広田村というのがありますが、ここなんかは、小学校ですが、三人しかおらぬということで学校がつぶれる。それで、学校を守りたいということで村外からの入学者を募集したら、物すごい人が集まったというんだな。松山はもとよりですけれども、高松とか広島とか九州からも来ておるというんだ。やはり自然教育の要素を含めた学校ということを考えておるのでしょうね。
 ただ、そういうところへ行って聞くと、やはり金が要るといって頭を痛めでおりますよ。そういうところに対してやはり県なり国なりが応分の手伝いをしていく、そういう道はないかということで、いろいろ聞いておるわけでありますが、なかなか思うようにはいきません。自治省は、千八百億か千七百億の環境保全のいろいろな予算を組んでおるはずですが、地方財政のこういう実情に対してひとつ力を入れてもらいたいと思うので、それについて、ことし考えられておる施策をここで明らかにしていただきたいと思います。
#252
○林説明員 お答えを申し上げます。
 いわゆる中山間地域におきましては、人口の減少とか高齢化の進展等によりまして地域活力の面での懸念がございまして、地方団体におかれましてもいろいろな努力をされているということは私どもも承知しておるところでございますし、また自治省といたしましても、こうした地域の活性化を図ることは極めて重要な課題であると認識をいたしております。このため、中山間地域の振興のためには、農林業を初めといたします産業の振興、就業、所得機会の創出、生活環境の整備等の各般にわたる施策の推進が必要であると考えておりまして、いずれもなかなか大変難しい課題ではございますが、この課題に対する地方公共団体の果たす役割というのは大変大きいものがあると私どもも認識いたしているところでございます。
 このため、自治省といたしましては、関係各省庁とともに、こういう問題にどういうふうに対処すべきかいろいろ勉強させていただいておるところでございますが、平成五年度におきましては、御案内のように、森林の公有化とか担い手対策等によります森林、山村対策のための地方財政措置を講ずることといたしましたが、このほかにも、定住条件の整備に不可欠と考えられます農道や林道の大幅な整備促進を図るための新しい単独事業の制度を創設するなどいたしまして、農山村地域の振興対策を積極的に推進することといたしているところでございます。
 今後とも、いろいろたくさんの課題はございますので、関係省庁と連携を図りながら、また地方団体におきますいろいろな努力の実態をも参考とさせていただきながら、地方財政の立場から必要な施策を検討し、充実が図れるよう努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#253
○田中(恒)委員 農林省、ひとつしっかりやってくださいよ。自治省の方向はあなたらもわかっておるかもしれぬけれども、私らも地方行政委員会の諸君からそれらの経過、細かいことを聞いたわけでありますが、これからの農政は、どうしたってやはり自治省、建設省、国土庁、農林水産省、全体の横の体系がどううまくいくかということにかかってくると思う、大臣もおっしゃったけれども。これが非常に大きな役割を果たすと思いますから、ぜひデカップリングの問題も含めて十分検討していただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#254
○平沼委員長 次回は、来る五月十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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