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1993/04/21 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第10号
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1993/04/21 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 厚生委員会 第10号

#1
第126回国会 厚生委員会 第10号
平成五年四月二十一日(水曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 浦野 烋興君
   理事 粟屋 敏信君 理事 野呂 昭彦君
   理事 平田辰一郎君 理事 持永 和見君
   理事 山口 俊一君 理事 網岡  雄君
   理事 池端 清一君 理事 遠藤 和良君
      甘利  明君    伊吹 文明君
      岩屋  毅君    衛藤 晟一君
      小沢 辰男君    大石 正光君
      岡田 克也君    加藤 卓二君
      坂井 隆憲君    鈴木 俊一君
      住  博司君    近岡理一郎君
      中谷  元君    浜田 幸一君
      宮路 和明君    簗瀬  進君
      伊東 秀子君    沖田 正人君
      加藤 繁秋君    川俣健二郎君
      菅  直人君    小松 定男君
      五島 正規君    外口 玉子君
      土肥 隆一君    長谷百合子君
      森井 忠良君    草川 昭三君
      吉井 光照君    児玉 健次君
      柳田  稔君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 丹羽 雄哉君
 出席政府委員
        厚生省健康政策
        局長      寺松  尚君
        厚生省保健医療
        局長      谷  修一君
        厚生省社会・援
        護局長     土井  豊君
        厚生省老人保健
        福祉局長    横尾 和子君
        厚生省児童家庭
        局長      清水 康之君
        厚生省保険局長 古川貞二郎君
 委員外の出席者
        文部省高等教育
        局医学教育課長 遠藤純一郎君
        文部省体育局体
        育課長     遠藤 昭雄君
        労働省労働基準
        局監督課長   戸苅 利和君
        自治省行政局公
        務員部給与課長 伊藤祐一郎君
        厚生委員会調査
        室長      高峯 一世君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十一日
 辞任         補欠選任
  小沢 辰男君     浜田 幸一君
  大石 正光君     中谷  元君
同日
 辞任         補欠選任
  中谷  元君     大石 正光君
  浜田 幸一君     小沢 辰男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第五五号)
 診療放射線技師法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五七号)(参議院送付)
 視能訓練士法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第五八号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案、内閣提出、参議院送付、診療放射線技師法の一部を改正する法律案及び内閣提出、参議院送付、視能訓練士法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沖田正人君。
#3
○沖田委員 母子・寡婦福祉法の改正についてお伺いをしたいわけでありますが、御案内のように、昭和二十七年に母子福祉資金の貸付等に関する法律が施行されまして今日に至っているわけですね。幾つかの改正の節目があるわけでありますけれども、この経過についてひとつ簡明にお答えをいただきたい、御説明いただきたいと思います。
#4
○清水(康)政府委員 御指摘のとおり、昭和二十七年に母子福祉資金の貸付等に関する法律というものが母子福祉対策の単独立法としては最初のものとして制定をされたわけでございますが、それ以後、昭和三十九年に、貸付金のほかにその他の福祉の措置なども加えまして、総合立法として母子福祉法が制定されております。また、昭和四十四年には寡婦福祉資金貸付金制度というのが予算措置として設けられておりまして、昭和五十六年に、その予算措置で行ってきた貸付事業を法定化することなどを背景として母子福祉法の一部改正が行われて、今日に至っているという経過でございます。
 五十六年の改正の際に貸付金を法定化したわけでございますが、そのときに母子福祉資金と寡婦福祉資金、それぞれについて別々の会計を設けるというふうなことが決められまして、以後今日まで運営されてきておりますが、寡婦福祉資金特別会計につきましては若干の剰余金が滞留するという状態等が続いているために、その有効活用を図るということが制度運営の課題というふうになってきているわけでございます。
 こうした状況を踏まえまして、今回特別会計の運営を改善するということと、それから自立促進に必要な相談・指導体制を充実するというふうなことを目的としまして、法改正をお願いしようというものでございます。
#5
○沖田委員 この法律のスタートは、戦争犠牲者の家庭に対する援護的な性格が強かったのだろう、こう思うのです。まだそういう傾向を引きずっているのではないかと思われるのですけれども、その点はどうでしょう。
#6
○清水(康)政府委員 確かにスタートの時点では、そういう戦争未亡人に対する福祉対策というふうな要素があったと思いますけれども、御案内のとおり、今日ではかなり母子家庭の実態が変わっておりまして、いわゆる生別離婚の家庭なども多くなっておりますから、その背景というものは非常に変わってきているというふうに考えております。
#7
○沖田委員 死別ではなくて生別・離婚の実態がだんだんふえてきている、もうおっしゃるとおりだと思いますが、同時にまた、若年化の傾向が非常に見られる。したがって、母子・寡婦福祉法については、もっと内容的に将来に向かって充実させていかなければならぬと思うのですね。そういう観点から考えましても、一応貸付金の実績及び剰余金等の実績について御説明いただきたい、こう思います。
#8
○清水(康)政府委員 平成三年度の数字しかまだ結果は出ておりませんので、平成三年度で御説明させていただきますが、母子福祉資金の貸付実績は、貸付件数が五万九千五百二十件、貸付総額が約百五十七億でございまして、この母子福祉資金の方は昭和五十六年以降一貫して増加をしておりまして、五十六年に比べて約一・五倍ぐらいの貸付量になっております。
 一方、寡婦福祉資金の貸付実績でございますが、貸付件数が三千二百七十件、貸付総額が約二十億円というふうになっております。こちらの方は昭和五十六年以降、貸付需要一資金需要がどうも減少傾向にある、一般的にそうなっておりまして、平成三年度におきましては五十六年当時の貸付額の六割程度の水準ということになっております。
 そういう結果、母子福祉資金では約四十二億円、これは毎月貸し付けに必要な額の約三・二カ月分でございますが、そういう剰余金が生じておりますし、寡婦福祉資金の方では約八十一億円、これは約四十九・四カ月分に相当しますが、そういう繰越金が生じているという状況でございます。
#9
○沖田委員 母子に対する貸し付けについては少なくて、そして寡婦に対する貸し付けは剰余金が非常にふえているということでございますが、これはどうなんでしょう、やはりPRが不足なんですか、それとも貸付条件が厳しいのですか、それともニーズがないのか、その点明らかにしていただけませんか。
#10
○清水(康)政府委員 寡婦福祉資金に繰越金が生じているのは、各都道府県ごとに実情がかなり違っておりますけれども、一般的に言いますと、約十年間にわたりまして資金需要が減少して、一方で過去に貸したお金の償還金が返ってまいりますので、その償還金を新規貸付金が下回る、そういうことが続いた結果だと考えております。
 とりわけ寡婦福祉資金の貸付需要の減少に影響を与えておりますのは、貸付需要の中で最も大きな比重を占めておりますいわゆる住宅資金でございます。これは全体の約四〇%を占めているわけでございますが、この住宅資金の需要が大きく減少したというふうに考えておりまして、それを除くそれ以外の資金需要は、トータルとして見ますと余り大きな変化はありません。
 したがって、私どもは、寡婦に対する住宅資金の貸付需要が減った理由は、地域差もありますので必ずしも明らかではないわけでございますが、一般論として言えば、住宅の改築とか増築とかいうものについてはおおむね二十年程度のサイクルで生ずるわけでして、一たん改築、増築に必要な資金が出た後まだ二十年がたっていないために、新しい需要が減りまして需要の後退期が続いた、こういうことではなかろうかと思っております。
#11
○沖田委員 原因なりその他いろいろあるだろうと思いますけれども、せっかく制度があるわけでありますから、どうぞひとつ貸付限度額を引き上げるとか、十分PRするとかいうことを図って十分な対応を進めていただきたい、こう思うのです。
 問題は、母子世帯にしても寡婦世帯にしても、御案内のように返還率は非常にいいわけです。律儀に返していただいている。そういうことから考えたって、現実のニーズに対応した限度額の引き上げというのが当然考えられてしかるべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、その点もう一言お答えをいただきたい。
#12
○清水(康)政府委員 御指摘のように、貸付条件を緩和したり限度額を引き上げたりして、需要の拡大を図っていくということは非常に重要なことだと思っております。私どもも、実は福祉資金の貸し付けについては、毎年物価の上昇率であるとかあるいは他の育英資金のような制度の貸付限度の引き上げたとか、そういうものを横にらみしながら限度額の引き上げなどは努力してまいっておりますし、また、需要の変化に対応するために、必要に応じて貸付対象を拡大しているということもやってきております。
 例えば、近年の状況を申し上げますと、昭和六十二年には、自動車の運転免許習得に必要な資金、これを修業資金ということでお貸しをするようにしております。平成三年度においては、大学や短大に入った場合の入学金相当額を貸付対象に加えるということをやってまいりましたし、平成四年度では、就職支度資金というものがございますが、その中にいわゆる通勤用の自動車購入資金というようなものも加えてございます。また今年度、平成五年度におきましては、これまで住宅資金については増改築あるいは修繕といったものだけを対象にしておったわけでございますが、新たに住宅取得も対象に加えるというふうなことを行いまして、いろいろ努力をしてきております。
 御指摘のとおり、母子・寡婦資金ともに大変まじめに償還に努力していただいておりまして、償還率も大変ようございますので、私どもとしては今後とも福祉資金の貸し付けを一層促進する、そして母子家庭の福祉あるいは寡婦の福祉に寄与する、そういう立場から、必要に応じて限度額の引き上げあるいは貸付対象の拡大というものにつきましては努力してまいりたい、そう考えております。
#13
○沖田委員 今回の法改正で、母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言、指導を行う事業を法定化する、こううたわれているわけですね。この事業に対する補助などを含めて、この理由をひとつ説明をしていただきたいと思います。
#14
○清水(康)政府委員 今回は母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言、指導ということの法定化をお願いしているわけでございますが、一般的に母子家庭や寡婦の方は社会的、経済的に不利な状況にございまして、生活基盤も不安定になりやすいということで、その自立促進、生活安定ということが大変重要であるわけでございます。特に近年は離婚による若年母子家庭が増加しておりまして、大変環境の変化ということもございますので、母子家庭や寡婦の自立促進ということが非常に重要な施策ということになるわけでございます。
 しかしながら、現状は、母子家庭や寡婦の自立を支援するための事業というものの取り組みは都道府県によってややさまざまな状態でございまして、また特に公認会計士であるとか税理士であるとか弁護士さんであるとか、そういった専門家による相談体制というものが十分展開されていないという状況もございます。
 したがいまして、今回、特に経済的自立に必要な金銭貸借に関する問題あるいは事業経営上の問題、そういう問題に対する法律、財務の相談とか、そういったものを母子家庭及び寡婦に対する専門的な助言、指導を行う事業ということで法定化をいたしまして、一層の推進を図りたいということでございます。
 この法定化によりまして一層この事業が推進されるよう期待しているわけでございますが、税制上の優遇措置であるとかあるいは共同募金等の優先配分だとか、その他いろいろなメリットが出てくるのではないかということを考えているわけでございます。また現在、予算につきましては、自立促進事業という予算補助を計上して、これに対応しているところでございます。
#15
○沖田委員 どうぞそういう目的に沿って適切な対応を進めていただきたい、指導を強めていただきたいと思います。
 いわゆる母子・寡婦福祉法、この法律の中では父子家庭というものは一体どうなっているのだろうか、父子家庭の実態の把握についてはどうお考えになっていらっしゃるか。御承知のように、俗に女やもめに花が咲いて男やもめにウジがわくと民間ではよく言いますね。ですから、最近の傾向としては、いわゆる男やもめ、奥さんが亡くなられたり、さらには離別をされたということで、子供を置いていかれておろおろしているというところも正直言ってあるのじゃなかろうか、御苦労いただいているところもあるのじゃなかろうか、こう思うのですね。したがって、こういうところについては、世帯数や収入などについての実態はどう調査していただいているのか、把握しておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#16
○清水(康)政府委員 父子家庭についての実態でございますが、ちょっと古うございますけれども、昭和六十二年の全国の父子世帯の総数は十七万三千世帯になっておりまして、これを五年前の昭和五十八年の調査と比較しますと、若干増加しているという傾向にございます。
 父子世帯の平均的な生活状況ということになりますと、有業者一人当たりの年間収入は二百七十六万ということになっておりまして、世帯全体で見ますと三百六十万程度でございます。また、持ち家の比率は約六割の方が持ち家を持っておられるということで、全世帯平均と比べると、経済的な意味、そういう持ち家とか所得とかいう意味では余り遜色のない水準にあるように思われます。
 ただ、生活上の問題といたしましては、御案内のとおり、いろいろ聞いてみますと、家事、育児に関する問題点、そういうニーズというものを挙げる世帯が大変多いわけでございまして、家計に関する問題をたくさん抱えている母子世帯と父子世帯の場合は、やや異なったニーズになっているということかと思っております。したがって、ホームヘルパーの派遣であるとか家事や育児に対する支援であるとか、そういう事柄に対する要請が多い、そういうサービスを確保するということが重要であるなというふうに考えているわけでございます。
#17
○沖田委員 当然育児とか家事だとかいうところに不便を感じるということもありましょうけれども、やはり何といいましょうか、母子家庭があって父子家庭がないというのは、どうもへんばではないかなという感じがしないでもないのです。また、その対応についてはいろいろあるだろうと思いますけれども、将来に向かって御検討いただければありがたいと思います。
 そこで、母子家庭とか母子とか寡婦とかいう呼称、名称については、もう非常にそういう点では古くなったのではないか。古いといいましょうか差別といいましょうか、差別というと少しきついのですけれども、今日的な状況の中ではなじまない言葉になりつつあるのではないか、こう思いますが、いかがでございましょう。
#18
○清水(康)政府委員 用語につきましては、確かに一つの定義がございますわけですが、時代とともにその用語のイメージが非常に古くなってくるというふうなことはあろうかと思います。例えば寡婦につきましては、税制上使う場合の寡婦の定義とか母子・寡婦福祉法で言う寡婦の定義とか、あるいは貸付金の対象にする場合には若干この対象を拡大している、いろいろございますので、難しい点があろうかと思いますが、現在、法律上の名称を変えなければいけないような状況になっているというふうには考えておらない次第でございます。
#19
○沖田委員 もっと言いますならば、福祉という言葉についても、やはり少しく違和感が出始めてきているのではないかというふうに私は思います。したがって、一定の法律をつくるときには、もうぼつぼつそういう点の呼称、名称についても、少しく時代にマッチした呼称、名称というものを検討していただくことが大事ではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。
 例えば福祉事務所、例えば母子寮、この言葉の響きはどうお考えですか。やはり福祉事務所に相談に行くということ自体に一つの引け目といいましょうか、母子寮に入るということ自体に社会的な偏見なり違和感というものを持っているのではないか、こういうふうに考えますから、そういう点で言葉の響き、そしてその影響、社会的な受けとめ方、こういうものを十分考えて、温かいそういう点での社会づくりを目指していくべきではなかろうか、こう思います。
 今申し上げたように、母子だとか寡婦だとか母子寮とか、例えば福祉という言葉についてもいろいろ議論がこれから沸いてくるだろうと思いますので、将来的にひとつ御検討いただければありがたいと思いますが、いかがでございましょう。
#20
○清水(康)政府委員 御指摘の点は、気持ちとしてはよく理解できますし、その用語というものが非常に大切である。そして、今現に福祉の世界で用いられている用語に、いろいろ将来的に検討した方がいい言葉があるのではないかというふうなことについては、私もそのとおり思いますけれども、現在現行法で使われている、あるいは今回の改正時点で、寡婦という言葉あるいは母子家庭という言葉あるいは母子寮といったよう宣言葉について、これを改正するという、例えば改正してどういう言葉がいいのかということについてのなかなか一致した合意もまだございませんので、少し中長期的に検討させていただきたいというふうに思います。
#21
○沖田委員 独身女性については、いわゆる母子・寡婦福祉法の対象外になっていますね。また、突然寡婦になられた方についても、従来子供さんをお持ちでない方については、やはりこの法律の対象外になっているのじゃなかろうかと思うのですが、そのことについての考え方を明らかにしていただきたい。
#22
○清水(康)政府委員 五十六年に母子福祉法から母子及び寡婦福祉法に改正された時点におきまして、どういう方を対象にすることが適切かということについていろいろな議論がございましたようですけれども、結論だけ申し上げますと、御案内のとおり、かつて母子家庭ではなかったけれども、現在おひとりで暮らしておられる方で子供を扶養していない方のうち四十歳を超えた方につきましては、少なくともこの寡婦福祉資金の貸付対象にした方が適当である、そういう結論に達しまして、法附則六条で、正確に言えば準寡婦ということにでもなるのでしょうか、四十歳以上で子供の扶養をしておられない方々につきましても、寡婦福祉資金の貸付対象にするという形での前進を図ったわけでございます。
 しかし、それ以後もう十年近くたっておりますが、関係の道府県だとか関係団体、関係者の方から、四十歳をもっと別な形に直せというふうな意味の具体的な要望、要請は今のところ受けておりませんので、当面現行の制度で対応して十分なのではなかろうか。一般の国民とこの無利子ないしは低利の資金を受けられる方との均衡ということもございますので、現状ではこの法附則六条で言う準寡婦を対象にするというところで必要な対応はなされている、そう考えております。
#23
○沖田委員 いわゆる母子家庭の若年化の傾向がふえてきているということは御案内のとおりですね。さっき申し上げたように、母子とか寡婦とかいう呼称、名称についての違和感を私の場合は持っているわけでありますけれども、東京都では、御承知のように女性福祉資金貸付制度という形で対応していますね。これは御承知だろうと思います。だから母子・寡婦福祉法に基づく貸付資金じゃなくて、東京都のように女性の経済的な自立を援助するという目的で、母子、寡婦じゃなくて女性という呼称、名称で貸付制度を広げていっていただくことが必要じゃないか、こういうふうに思うのですが、この点いかがでしょうか。
#24
○清水(康)政府委員 東京都が母子・寡婦福祉法制定以前から、女性の方を対象にした一般的な貸付制度を設けているということについては、よく承知しております。
 この東京都の制度は、配偶者のない女子で二十五歳以上の方々等を対象にして、しかも現在やっておりますような特別会計を設けてやるという仕組みではなくて、一般会計の資金でお貸しをする、こういうふうな制度のようでございまして、昭和三十九年に婦人福祉資金貸付条例というものが施行されて以来、いろいろな変遷を経て、今日では東京都女性福祉資金貸付条例、こういう形で、一般会計によって運用されているというふうに理解しておるわけでございます。
 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、私どもも、昭和五十六年に母子及び寡婦福祉法が制定された際、制度の対象をどうするかということについていろいろ議論があったわけでございますが、子供が成人に達すれば自立が可能になるので、すべての寡婦について特別の無利子あるいは低利の融資をするという必要性はどうか、あるいは中高年の独身女性と一般的な女性とのバランスはどうか、いろいろな議論がありまして、各党の合意という形で、結論からしますと、寡婦の定義が現在のようになり、先ほど申し上げましたとおり、当分の間、四十歳以上の配偶者のない女子であって、いわゆる児童を扶養していない者に対しては法附則六条によって貸付対象にする、こういうふうな結論が出されたわけであります。
 私どもは、現在においてもそういう議論はあるわけでありまして、基本的な情勢に変化はないのではないか、こう考えておりますし、また、東京都以外の他の道府県から、ぜひこの四十歳という年齢をもっと引き下げて対象を拡大しろという要望は、今のところ出されておりません。
 したがいまして、東京都の場合は、寡婦福祉資金制度が実現したときも、それに加入するといわば政策の後退になるというふうな御心配があったかもしれません。また、原資を国から借りる必要もないということもあったかもしれませんが、現在でもこの寡婦福祉資金制度は東京都においては活用されてないといいますか、そういう制度を設けておられませんで、おっしゃるとおり、広く二十五歳以上の配偶者のない女子を対象にした一般的な制度としてやっているわけでございます。
 国として、この制度に準じてあるいはこの制度を参考にして対象をもっと拡大していくということは、現在のところ考えておりません。
#25
○沖田委員 申し上げていることはもうおわかりいただいていると思いますけれども、やはり女性の経済的自立を促進するということ、それから、いわゆる母子とか寡婦とかいう言葉の響きがともすると哀切な響きを与えかねないということで、呼称、名称の検討については将来的に努力をしてみてもらえないかという要請をしておきたいと思います。
 そこで、次の問題は、母子相談員の数とか職務内容等についてはどういうことになっているか、御説明をいただきたいと思います。
#26
○清水(康)政府委員 母子相談員というのは、母子家庭及び寡婦の福祉の増進に努めることを任務として都道府県に設置されている職員でございます。現在、全国で千百十人の方がおられますが、そのうち常勤の方が三百三十四人、非常勤の方が七百七十六人となっておりまして、都道府県の本庁とか福祉事務所とか地方事務所、そういうところに配置されているわけでございます。
 その職務内容は、母子家庭の母及び寡婦に対していろいろな身の上相談に応ずる、あるいはその自立に必要な指導を行うということでありますし、相談内容といたしましては、福祉資金の貸し付けの件あるいは児童扶養手当に関することなどでございます。
 母子相談員の方々の大変献身的な努力によりまして、母子家庭や寡婦の福祉の増進が図られているということを私どもは日ごろ思っておりまして、この母子相談員の方々の活動に心から敬意を表している次第でございます。
#27
○沖田委員 今の説明にありましたように、三百三十四人がいわゆる常勤、七百七十六人が非常勤でいろいろ御苦労いただいている。こういう傾向については、やはり常勤化を促進すべきじゃないか、そして親切丁寧にいろいろな相談に応じていく、対応していく、こういうことが大事ではないだろうかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
#28
○清水(康)政府委員 おっしゃるとおり、常勤職員による対応ということが一つの道であろうかと思いますけれども、現行法は御案内のとおり、「母子相談員は、非常勤とする。」という規定になっておりまして、ただし、児童福祉司その他一定の資格を有する方、「相当の知識経験を有する者については、常勤とすることができる。」と、原則が反対になっているわけでございます。
 しかし、昭和三十九年に法律が制定されたときに、常勤化をもう少し進めたらどうか、こういうふうなお話もございまして、当時、昭和四十年度で見ますと、全体九百四十四人のうち八十二人の方が常勤でございました。これは八・八%でございます。それが現在は、先ほど言いましたように千百十人のうちの三百三十四人ですから、三〇%くらいというふうになっておりますので、常勤化率は少しずつ高まってきているというふうに考えております。
 今後とも、各都道府県の事情にもいろいろよると思いますし、適切な人材がいるかどうかということにもよると思いますが、常勤の職員の方々による対応も非常に適切な対応でありますので、そのような方向で都道府県とも相談してまいりたい、こう思います。
#29
○沖田委員 どうぞひとつ実態に即して、常勤化が望ましいわけでありますから、規定の改正等は努力をしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
 そこで、別にあら探しをするつもりはありませんけれども、申し上げておきたいのは、この「厚生の指標 国民の福祉の動向」というのが厚生統計協会から出されていますね。この中の文章に「母子相談」という項目の中で、「具体的な職務内容としては、母子世帯の発見、面接、調査、訪問、指導等である。」こう書いてある。「母子世帯の発見」というのは、やはりこれは適切な表現ではないと思いますから、今ここであら探しをするようなことは言いたくないけれども、先ほどから再々申し上げておりますように、母子とか寡婦とかいう言葉の持っている響き、母子相談員という母子という言葉の持っている意味合いというものが、ともすると余りよくないというふうに私も思うがゆえに、あえて申し上げているわけであります。これを母子世帯の把握とかいうような言葉に変えていただくことの方が適切だろう、こう思いますが、ひとつ見解をお示しをいただきたい。
#30
○清水(康)政府委員 ただいま御指摘をいただきました厚生統計協会が発行している「国民の福祉の動向」の問題でございますが、私ども厚生省の方においてもこの編集に関与しておりますので、私も御指摘をいただいて読んでみまして、「母子世帯の発見」という言葉が使われていることについては、ちょっとどうも適切でないな、御指摘のように考えます。
 したがいまして、用語は大変大切でございますから、ぜひこの問題につきましては、お話のような母子世帯の把握なり、あるいは母子世帯の実情把握といいますか実態把握といいますか、ここは何かそのような用語に、言葉にできるだけ早い機会に直すよう努力いたします。
#31
○沖田委員 もう一度お伺いをしたいのでありますけれども、母子相談員の職務というものは、母子家庭及び寡婦の皆さんの自立にとっては極めて重要な相談相手になるわけでありますから、厚生省としても今後一層資質の向上と、それから増員、常勤化、こういう方向でひとつ取り組んでいただけないか。もう一度その点についての見解をお示しいただきたい、こういうように思います。
#32
○清水(康)政府委員 御指摘のとおり、常勤化は非常に重要なことだと思っております。
 ただ、これは御案内のとおり財源が伴いますので、現在の制度はどうなっているかといいますと、地方交付税制度の中において、標準県において四人が常勤、十人が非常勤、こういうふうな積算になっております。私どもは、都道府県の御意向、あるいは適切な人材が確保できるかどうか、いろいろな問題があるかと思いますけれども、この財源措置のあり方などにつきましても自治省の財政局などとも相談しながら、現在、昭和四十年当時に比べれば常勤の率が当時の三倍くらいにはなっているわけでございます。今後とも財政措置なども含めて自治省などとも相談し、また都道府県を指導してまいりたい、こう思います。
#33
○沖田委員 離婚率はどうなっていますか。その調査の数字を持っていらっしゃると思いますが、お答えいただけませんか。
#34
○清水(康)政府委員 ちょっと今手元に具体的な率は持っておりませんが、近年離婚率が一般的に高くなってきて、先ほど御指摘のように、若い生別の母子家庭が、若年の母子家庭がふえてきている傾向にあるというふうに思います。
 今手元の資料によりますと、平成三年度の離婚率は、離婚数は十六万八千九百六十九件でございまして、人口千人に対する離婚率としては一・三七ということでございます。これを例えば昭和四十年の数字を見てみますと、昭和四十年は離婚数が七万七千百九十五件で、人口千人対の率としては〇・七九ということになっていますから、かなりふえてきているということだと思います。
#35
○沖田委員 若年化の傾向、離別の傾向というものがふえてきているということで、当然この貸付制度についても充実させていただかなければならぬだろうと思いますし、同時に、自立するための相談業務というのが強化されなければならぬということは言うまでもありませんから、その点についてはひとつ特にこれからも十分配慮していただきたい、このように思います。
 あわせてお伺いいたしたいと思いますのは、国籍条項の制限はこの法律にあるのですか、ありませんか。
#36
○清水(康)政府委員 母子及び寡婦福祉法の中では、いわゆる国籍要件というものは設けられておりませんので、私どもは外国人の方でも対象になるというふうに考えております。
#37
○沖田委員 そうすると、在日外国人についても十分温かい手は差し伸べられる、こう理解していいですね。
#38
○清水(康)政府委員 十分相談にも応じられますし、また、資金の貸し付けも可能であるというふうに考えております。
#39
○沖田委員 突然ですから数字をお持ち合わせでないかもしれませんけれども、もし外国人にも適用するということであるならば、どの程度の数字なり予算措置になるだろうかな、このように思うのです。実態として、今日既に適用しておられる実態があれば、それとあわせてお答えをいただきたいと思います。
#40
○清水(康)政府委員 一応国籍要件がないということで、内外無差別の原則に立っているものですから、統計上もいわゆる日本国籍の方に貸したか外国人の方に貸したかという統計をとってないものですから、申しわけありませんが、今のところどのくらいの貸付実績があるかとか、そういう数字は持っておりませんけれども、私どもは現在の母子福祉資金や寡婦福祉資金の実態から見まして、資金不足で貸すことができないとかそういう実情にはございませんので、むしろ借りようとする方々の計画なり貸し付けを必要とする内容なり、そういうものが適切であれば、これは十分対応していけると思います。
 ただ、地域的には、各都道府県によって必要とする人の差がかなりあるのだろう、こう思っておりますので、今後も十分そういう点には注意をしまして、外国の方がいやしくも差別されることのないような対応をしていきたい、こう考えております。
#41
○沖田委員 国際化にだんだん拍車がかかっているということはもう御案内のとおりでございますから、これからどうぞひとつ、外国人に対する適用がどうなっているかという調査も含めて、その実績等については明らかにされるように努力していただきたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思うところでございます。
 ともあれ、いろいろお伺いをいたしましたけれども、母子及び寡婦の福祉制度というものをさらに実効あらしめるために、大臣の決意をひとつお聞かせいただきたい。私も子供のころに早くおやじを亡くしたものですから、母子家庭で育ってきた経過があるものですから、特に身につまされるものがあるわけでありますけれども、どうぞそういう点で、この母子及び寡婦福祉制度についての将来的な充実強化のための決意を厚生大臣にお伺いいたしたい。
 以上でございます。
#42
○丹羽国務大臣 まず、参議院の本会議で遅参してまいりましたことをおわび申し上げます。
 母子家庭は現在、若干ふえる傾向にございまして八十五万世帯でございます。それから、寡婦の方々は百四十万人ということでございます。これらの方々は、さまざまな面におきましてハンディを背負って生活していらっしゃる方々でございます。先生もそういうような御体験ということでございますけれども、当然のことながら、それらの方々の生活の安定と向上を図るということは大変重要なことである、私どもはこのように考えておる次第でございます。
 これまでにも毎年貸付金制度の改善に努めるほか、平成二年には母子家庭にヘルパーを派遣する事業を創設する、あるいは法制化する、こういうような充実に努めてきたわけでございます。今後とも、母子家庭や寡婦の方々の経済的、社会的自立や母子世帯の児童の福祉の向上のために、一層の施策の充実に努めていく決意でございます。
#43
○沖田委員 今の決意を伺って安心をするわけでありますけれども、まだまだ母子家庭、寡婦、こういう言葉の響き、さらには母子相談員の資質の向上とか増員、常勤化の問題とかいろいろあるだろうと思います。どうぞひとつ、そういう点では東京都のように女性という言葉を含めて、母子・寡婦福祉法ではなくて適切な表現に改められるように要望申し上げ、さらに一層の充実強化を図っていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#44
○浦野委員長 加藤繁秋君。
#45
○加藤(繁)委員 今回、特別会計が統合されるということで、このこと自体は別に悪いことじゃないので、ぜひ積極的に進めなければいけないという立場で、幾つかお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、貸付申請をして不許可になった件数が、平成三年度で母子、寡婦合わせますと三百七十九件でございます。不許可の件数が三百七十九件ということについてどのような所見をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。
#46
○清水(康)政府委員 平成三年度の実績で、母子、寡婦合わせて三百七十九件という御指摘が今あったわけでございますが、全体の新規貸し付けの件数を見てみますと、母子の方が三万一千百四十一件、寡婦の方が二千三百五十三件でございます。貸付不承認となった率だけを計算してみますと、母子が一・〇%、寡婦が三・一%というふうな数字でございますので、非常に厳しくて貸付不承認が多いというふうな判断はしておりません。
 貸付不承認になった理由は何だろうかということをいろいろ聞いてみますと、当然のことながら、いろいろな意味で要件に該当しなかったというふうなこと、あるいは貸し付けを受けて行う事業計画が必ずしも妥当なものではなかったというふうなことだと理解をしております。しかし、資金が逼迫しているというわけではございませんので、適切な貸付計画であり、特に教育資金その他貸し付けの必要性が非常に高いものについては、必ず各都道府県において適切な、必要な措置が行われているというふうに考えております。
#47
○加藤(繁)委員 三百七十九件というのは、確かに不許可の率は低いですね。ところが、実際現場へ行きますと、母子相談員のところへ借りる相談に行くわけですけれども、あらかじめ無理な場合は受け付けないで返す、こういう状況があることについて把握しているかどうかということ。あるいは借りたい人から見ても、借りたいけれども障害が高くて初めからあきらめざるを得ない、このようなことが実は背景にあって、つまり申請を出さない。出して、それを全部受け付けたとすると、もう少し却下の件数が多くなるのではないか。そういう状況にあるということについてつかんでいるのか。もしつかんでいるとすれば、そういう事前の却下があるという実態について御承知おきいただきたいなということでございますが、いかがでしょうか。
#48
○清水(康)政府委員 確かに貸し付けの実際の流れからいいますと、母子相談員の方々のところに行っていろいろ指導を受け、相談をして、そして、とてもこれは要件に該当しないというふうなことであると、あらかじめ申請をしないといいますか、そういうことが現実に個々の窓口でというか、個々の都道府県であり得ると思います。
 ただ、残念ながら、どれだけ受け付けをしなかったのかというふうな統計はとっておりませんので、それがどの程度のウエートになっているのかはつまびらかでございませんけれども、私どもは、もし貸付要件なり貸付条件が厳しいために借りられないというふうな実態が非常に多いのであれば、それは当然制度そのものを直していかなければいかぬ、こう考えております。
 現在のところ、各都道府県の方から、この点が問題なのでぜひ直してくれというふうな具体的な要望は出されておりませんので、全体的に見れば、今の貸し付けは適正に行われているのだというふうに理解しております。
#49
○加藤(繁)委員 具体的な要望がないということですが、私はこの質問をするに当たりまして相談員の方々に何回か意見をお伺いしたのです。ですから、私が今から申し上げることは、県からは上がっていないけれども現場からの声だというふうに聞いていただいて、要望として受けとめていただきたいと思います。
 まず、例えば住宅貸し付けでいきますと、実際問題、車庫とか庭とか塀は貸付対象にならない。しかし、今日の状況から見て、例えば家庭という字を書いても、家と庭があって家庭なんですよ。家だけでは家庭じゃないのですね、これは一つのあれですけれども。したがって、家は建てたけれども庭をつくるのは貸さないとか、塀は貸さないとか、塀だって当たり前なんですよ。それから車庫というのは、今日では一軒の家に車が一・四、五台という状況ですから、車庫をつくるのもまた世間の常識じゃないか。
 そのような観点から見て、この住宅貸し付けには問題があるのではないか。つまり、それは取り払って、そういうことも含めて貸すべきじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#50
○清水(康)政府委員 住宅資金につきましては、現に居住する住宅の補修、保全等というものが対象になっておりまして、生活環境の維持に直接関係していると見るかどうかということはなかなか難しいわけでございますが、直接的に関係しているものについて貸付対象にするというふうな扱いになっております。
 御指摘の車庫あるいは庭、塀、そういうものについて、これを生活環境、住環境に直接影響を及ぼすというふうに判断をして対象に加えるかどうかについては、ただいま御指摘をいただきましたので、よく検討してみたいと思います。確かに、時代とともに貸し付けの条件なり貸し付けの内容が変わっていってしかるべきだ。そういうふうな意味においては、適切な貸付対象になるように常時点検をしなければいけないと思いますけれども、現時点で車庫、庭、塀というものを対象にしますというふうな結論は出しておりませんので、大変恐縮でございますが、現場の母子相談員の方々の声であるということを受けとめて、よく検討させていただきます。
 今のところ、その部分を対象にするという必要性と住宅本体の部分を対象にするという必要性とから考えますと、優先度はどうしても少し下がるのかな、こんな感じでおります。
#51
○加藤(繁)委員 私、今どうしてこんな質問をしているかといいますと、寡婦の貸し付けの件数も金額も少ないという。それで今回統合したんでしょう。したがって、少ない原因というのは、今これから私幾つか申し上げますけれども、そういうところにあるのではないかなというふうに申し上げているのですよ。したがって、厚生省として、こういう金が余った、先ほどちょっと何か言っていましたけれども、理由はしっかりつかんでいないんじゃないかな。
 つまり、例えば塀とか庭とか車庫も貸しますよというふうになれば、それじゃ借りましょうか、こういうふうに現実はなる。こういう実態があるということについて、しっかりつかんでもらわなければ困りますよというふうに言っているのですよ。したがって、必要度がないから今は難しいのじゃなしに、時代の流れからいうと必要度は高まっている。したがって、今は答えられないけれども、ぜひそういう方向について検討していきたいというふうにお答え願いたいと思いますね。
#52
○清水(康)政府委員 必要度がないというふうに答えたつもりはございませんけれども、優先度という問題がいろいろあるのかもしれません。私どもは、ぜひ貸付対象が適切になるように、あるいは限度額が適切に引き上げられるように、先ほどもちょっと御答弁しましたが、年々対象を新たに加えるとか、努力をしてきているつもりでございますが、今の委員の御指摘も心にとめて、今後の問題として考えさせていただきたいと思います。
#53
○加藤(繁)委員 もう一つ、自動車の貸し付けで、営業するための目的に貸すのはオーケーだけれども通勤ではだめだ、こういうことが実は平成四年度まであったらしいのですけれども、四年度に何か変えたらしいですね。これは私、事前に聞きましたから、もうお答え願わなくて結構です。そういうふうになったということで、非常に今前を向いているなということで受けとめたいと思います。
 そこで、もう一つ、実はこれは言ってなかったので申しわけないのですけれども、私、香川県の「母子・寡婦福祉のしおり」というのを持っているのですけれども、この中に「修学」というので、償還期限というのは「据置期間経過後貸付期間の三倍以内」、こういうふうになっているのですよ。したがって、据置期間が六カ月ですから、三年ですから九年六カ月で返さなければいけない、こういうふうになるのですね。
 ところが、法律では二十年で返しでよろしい、こういうふうになっていると思うのですよ。したがって、私、これは香川県だけしかないのですけれども、県によってこのような貸し付けの期間に網かけて、つまり法律よりももっと厳しくする、こういう状況になっているのではないかなというふうに思うのですが、そういう点についてはいかがでしょうか。
#54
○清水(康)政府委員 各都道府県において法律の決めている例えば猶予期間とかあるいは貸付期間について、もっと厳しい形でやっているというふうなことについては、ちょっと初めてお聞きしましたので、香川県だけのことなのかあるいはほかの県でもそういう実態があるのか、私どもは、原資を国が三分の二出しているという制度でございますから、当然国の方で定めている償還期間あるいは猶予期間というものでやっていただくように、もし違っていれば指導していきたい、そういうふうに思います。
#55
○加藤(繁)委員 続いてもう一つですけれども、保証人について。
 これは昭和三十九年の母子福祉法ができたときの議論ですけれども、そのときの議論で、保証人をなくするということは難しいけれども、しかし、相互保証というようなことで、保証人が要るということが壁になって借りられないということをぜひなくしていきたい、大蔵省とも話して、相互保証という立場でやっていこうというような論議がされているわけなんです。現在もこの相互保証という考え方は、全体の貸し付けについて適用されているというふうに考えてよろしいですか。
#56
○清水(康)政府委員 貸し付けに当たりましては、制度の安定的な運営というふうな観点から保証人というものを義務づけているわけでございますけれども、一方では、保証人の要件を厳しくしますと、借りたい人がなかなか借りられないというふうなことになりますので、貸し付けを受けやすくするという観点から、資金の貸し付けを受けた者がまたこれから受けようとする方の保証人になる、それを相互保証と呼んでいるわけでございますが、そういう相互保証というものは認めているわけでございます。
 母子福祉資金を借りた方が今度は他の方の保証人になるということでは、いわゆる保証能力その他から見て問題ではないかという、厳しく見ればそういうふうな指摘もあるかもしれませんが、この母子・寡婦福祉資金の制度の趣旨から見まして、保証人という制度をやめるわけにはいきませんけれども、今言ったような相互保証というものを認めることによって、より借りやすくする、スムーズに借りていただくということを実行しているわけでございます。
 結果を見ましても、この母子・寡婦福祉資金ともに償還率は九五%を超える高い率を維持しておりますから、私どもは、この相互保証という現行のやり方は、今後とも継続していって何ら問題がないというふうに考えております。
#57
○加藤(繁)委員 また香川県のことで悪いのですけれども、この香川県の貸し付けの中で事業開始と事業継続という資金の貸し付け、これは相互保証ということは認めていないのですよ。つまり、大変保証人の選定が難しい。したがって、昭和三十九年の母子福祉法のできたときの議論から見て明らかに後退してきている。つまり、網かけを行ったり、あるいは相互保証が全体ではあるけれども、事業の貸し付けについてはそれが難しくてなかなか貸せない、こういうような現状にあることについては御承知していますか。
#58
○清水(康)政府委員 大変申しわけありませんが、香川県の実態をよく調べてこなかったのです。今御指摘のような香川県の実情については、ちょっと私ども把握しておりませんが、この相互保証という仕組みが事業資金についてだけは現実に機能していないというふうなことがあるのかどうか、もしあるとすれば、それをどう是正したらいいかということについて、よく香川県の方からもお話を聞いてみたいと思います。
#59
○加藤(繁)委員 そうしてもらいたいと思います。
 もう一つ償還率、先ほど言いましたが、よくなっています。昭和三十七年で九〇%で、現在九七・八%ですから、大変償還率がよいわけなんですが、このよいということについてどのような所感があるのか、お伺いしたいと思います。
#60
○清水(康)政府委員 今御指摘のとおり、平成三年度で見ますと、母子福祉資金の方が九五・一、寡婦福祉資金の方が九七・八%、類似の制度に比べても大変高い償還率になっているわけでございます。
 これは、何といいましても、この資金をお借りいただいた母子家庭や寡婦の方々が、この制度の趣旨を十分に御理解いただきまして、償還金が次の方の貸し付けの貴重な原資になっているということを理解していただいて、誠実に返済を行っていただいているということが第一かと思いますけれども、同時に、いわゆる母子相談員の方々、この母子相談員の方々が母子家庭や寡婦の方々の生活指導に当たって、あるいは償還事務、償還のスムーズな実施に当たって非常に貴重な役割を果たしていただいている、そういうふうに考えております。
#61
○加藤(繁)委員 一つは、これは昭和三十九年の五月七日の社会労働委員会の議事録ですけれども、黒木政府委員の
 確かに償還率がいいということをほめるというような運営は適当でないと私も思っています。したがって、単に義務的にこの資金の運用をやりますと、ほんとうに借りる必要のある母子に対して利用されないといううらみがございますから、そういうことのないようにというのがこの事業の運営のむずかしいところと申します
こういう答弁があるんですね。
 つまり、一番最初、私、不許可の件数のことを申し上げました。実は裏腹がある。つまり、償還率がいいから必ずしもうまくいっているという意味じゃなくて、その償還率の内容も、例えば期間が来ても返せないけれども、毎月千円とか五千円とかというお金で期間が過ぎても返している。それも実は返還しているという中に入っての償還率であるという実態。
 もう一つは、実は返還できる人しか借りていないというような裏腹も一つはあるという。したがって、私、先ほどからるる申し上げましたけれども、つまり、借りるということについて、本当に借りられないつらい立場にあるのだという一つのそういう弱者がいるということについて、償還率とかあるいは不許可の件数とかということだけではなしに、そのような状況も考え合わせていただきたいなということで申し上げたということでございます。ぜひそういうふうにお願いをしたいと思います。
 その次に、貸し付けをしますと利子を取ります。その利子の中で貸付業務を行う事務費、それを出しているということなんです。しかし、その貸し付けの中身を見ますと、事業会計も多いんですが、一番多いのは修学と就学支度、これが貸し付けの中で一番多い。ところが、この一番多いものが無利子であるということ。
 したがって、私の意見は、貸付事務費というのは一般行政事務費から出すものであって、こういう利子の中から負担をするべきものではないのではないかという趣旨で、今度二分の一が四分の三ですか、ふえたんでしょう。利子から出せる金額がふえたというようなことを私聞きました。つまり、利子から出せる金額がふえるということは、無利子の方に借り手が多いんだから、したがって、私の意見から見ると逆行する。ぜひこの事務費については、一般行政事務費の方から出すような考え方を出していただきたいなということでございますが、いかがでしょうか。
#62
○清水(康)政府委員 まず最初に、償還率が高いからいいわけじゃないよという御指摘がありました。私も償還率の高さをもってとうとしとなすというふうな考え方に立っているわけではございませんで、本当に必要な方に必要な資金がお貸しできるような、そういう制度でなければならないというふうに思っております。仮に非常に無理な形で償還を求めるというふうなことがあるとすれば、これは適切なことではないと思っておりますので、ただただ償還率を高めるための指導といいますか、そういうことに偏しないように努力をしたいと思います。
 それから、事務費の問題でございますが、実は御指摘のとおり、有利子の制度と無利子の制度と二つあるわけでございまして、かつては無利子の貸付金の方が四〇%ぐらいで有利子のものが六〇%ぐらい、そういう時代も三十年ぐらい前はあったわけでございますが、現在、平成三年度で見ますと、無利子の方の資金の需要が非常に多いわけでして、約八割弱、七八・九%が無利子の資金、それに対して有利子の資金は二一%、こんな数字になっておりますので、当然返還されてくる利子の一部を使って事務を行うということであれば、どんどん事務費を減らさなければいかぬ、こんな話になってくるわけでございます。
 私どもは、都道府県の事務としてこの事務は定着しておりますから、人件費等については、御案内のとおり一般会計の方から支出されておりますし、一般的な貸し付けを円滑に行うための事務費について、一般会計からのお金だけではなくて、利子の一部を貸し付けに充当することができるという制度については、これを全廃しなきゃいかぬというふうなことではないと思っておりますけれども、貸付事務に充当された金額がいわばベースになって、償還金の減少につながるとかあるいは適切な資金需要の把握につながるとか、そういうこともございますわけですので、利子から充当される額が今法定で二分の一ということで、法律を改正しない限りは動かしょうがないというふうな仕組みになっているのを、今度は少し弾力化させていただいて、そのときの全国的な需要を勘案して政令で限度を決めさせていただきたい、こういう改正をお願いしているわけでございます。
#63
○加藤(繁)委員 だから、その改正が私の意見とは違うということですね。つまり、利子からたくさんとるようにできるという改正をしたのであって、本来からいうと、それは趣旨の逆行になっているのではないかということを私が申し上げたわけですので、そういう意見があるということについてぜひ御承知おきいただきたいと思います。
 時間がありませんから、次にいきます。貸し付けは一応これで終わりますけれども、今度は制度面の改善について幾つかお伺いをしたいのです。
 例えば児童扶養手当、これは去年まで三万八千二百二十円だったのが今度は三万八千八百六十円になりましたね。確かに値上がりしたわけですけれども、一方の遺族基礎年金と比べて非常に低いという意見と、もう一つは、児童扶養手当も遺族基礎年金もともに十八歳未満であるということ。そうしますと、例えば高校三年生で四月の十日生まれの人は、三年生になった途端に両方とももらえない。そうすると、事実、この趣旨からいきまして非常に不適切なことになっているんじゃないかなと思いますので、この点は最終学校修了までというふうに、私、運用をぜひしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#64
○清水(康)政府委員 お話しのように、児童扶養手当等が十八歳に達すれば打ち切られる。したがって、高校三年に在学している途中で支給ができなくなるという問題がございまして、これに対応するために、御存じのとおり、同額を今の母子福祉資金の方から無利子でお貸しする、こういう制度はあるわけでございますけれども、これはあくまでも貸付金でございますから、お話の趣旨には合致しないと思います。
 御案内のとおり、今般、次期年金制度の改正の中で、社会保障制度全体を通じて児童や子供の範囲をどういうふうに考えればいいのか、そういう問題がございますので、私どもは、これは今後慎重な検討を行っていく課題というふうに認識しております。
 ただ、最終卒業修学年限までということですと、場合によっては大学に入った方は大学卒業するまで、こういうふうになるかもしれませんが、当面政府として検討しておりますのは、十八歳問題ということであるということだけ付言させていただきます。
#65
○加藤(繁)委員 ぜひ早急にしていただきたいと思います。
 次に、離婚した人。この離婚した人は、慰謝料をもらっている人というのは平成一年で五六・七%なんですね。したがって、半分ちょっと超えるくらいで、多くの人は慰謝料をもらっていない。同時に、六十二年の所得でいいますと、死別した人は二百四十二万の所得、生別、つまり離婚ですね、これは百八十五万円、一般の人は五百十三万円と、所得格差が非常に大きいということですね。
 一方でそういう所得格差がありながら、離婚した人は、慰謝料をもらっている人が半分ちょっと。しかも、その上に子供がいますと、子供の養育料、養育費をもらっている人は、現在も受けている人が一四%、受けたことがある人が一〇・六%、受けたことがない人が七五・四%ということですから、ほとんどもらっていない。これは六十二年の調査ですが、もらっていないという状況です。
 したがいまして、この際、子供の養育料の支払いの義務について何らかの法制を行う必要があるのではないかというふうに思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。これは母子福祉法に入れるかあるいは新たな立法をするかということにこだわりませんから、お答え願います。
#66
○清水(康)政府委員 お話しのとおり、離婚した場合に子供の養育費をきちんと支払う、そういうものを法定化すべきではないかということにつきましては、これはかねてからいろいろな御議論があるわけでございます。昭和六十年に児童扶養手当法が改正された際も、実は父が養育費を支払うべきであるという考え方を前提といたしまして、父の方に一定の所得がある場合には逆にこの児童扶養手当の支給は制限される、そういうふうな法律の規定がございます。
 ただ、実態は、先ほど御指摘がありましたとおり、それではその扶養義務の履行がきちんと行われるようなシステムになっているのか、行われているのかということになりますと、さまざまな御議論がありますので、現在のところこの規定を動かすための政令の制定を行わないで、実態といたしまして、児童扶養手当を支給するという形で解決をしているということなわけでございます。
 御指摘の、離婚した場合に養育費の支払いを法定化して、それをきちんと父親の方から取り立てるといいますか、そういうことにつきましては、現在法務省の法制審議会の中で民法部会というのがございまして、そこの身分法小委員会というところが検討事項の一つとしまして、そういう離婚をした場合に、いわば扶養義務者である父親からきちんと滞納などがないように、慰謝料はもちろんのこと、月々の養育費が払われてくるのか、そういうシステムをどうつくればいいのかというふうなことについて、法務省の方で今御議論が行われているというふうに承知しておりますので、私どもとしてもその議論を見守っているというのが実情でございます。
#67
○加藤(繁)委員 もう一つ、今度は母子及び寡婦の方が病気になった場合に、介護人の派遣が法制化されていますね。この介護人の派遣がされているので、各県大体一カ所くらいだそうでございますが、介護人の名簿登録を行って、その中から近くの人をそこへ派遣する、こういう事業が行われているわけでございますが、これは父子の家庭にも行けるということですね。
 したがって、女性が父子の家庭に介護人として行くという場合に、非常に行きづらいという状況があるんですよ。行きづらいということですが、本当は父子の家庭が一番必要なんですよ。必要なのにもかかわらず行きづらい。先ほど言いましたように、ホームヘルパーの派遣ももちろんできます。ホームヘルパーも女性がほとんどでしょう。介護人も恐らく女性がほとんどだろうと思います。
 したがって、そういう一番必要なところに実は非常に行きにくいという問題をどう考えるのかというのが一つと、それから、厚生省としてこの介護人という制度を今後活用していこうというふうに考えているのか、それともホームヘルパーをそこに派遣しようというような方向性を持っているのか、どっちなのか、その二点お伺いをしたいと思います。
#68
○清水(康)政府委員 父子家庭の居宅介護事業というのは比較的新しいわけでございますけれども、平成三年度の実績をちょっと調べてみましたところ、派遣回数で七百五十九回ぐらいの派遣が行われております。今年度の国の予算でも約一億円余の予算措置をとっておりまして、父子家庭にサービスが行き届くような予算措置はしているつもりでございます。
 御指摘のように、女性が訪問しづらいのではないかということについては、あるいはそういう実態が地域によってあるかもわかりませんが、ぜひ理解を進めていただいて、確かに夜間とかそういうときに行くということについては、いろいろなちゅうちょがあるかもわかりませんけれども、関係者の方々が十分お話し合いをして、そういう心理的な行きづらさとでもいいますか、そういうものを克服できるように私どもは対応していきたいと思います。
 また、介護人の活用が主なのかホームヘルパーの活用が主なのかどちらだ、こういう御指摘でございます。大変恐縮でございますが、私どもとしては、どちらでなければいかぬということではなくて、両々相まって適切に対応したいということだと思います。
#69
○加藤(繁)委員 これは、ぜひ介護人の名簿登録についてもう一度各県を調査して、私は県によって非常に格差があると思います。非常に進んでいるところと、それからもう名簿だけ登録しておいて実際は余り活用されていない。その理由は、例えば介護人が高齢であり過ぎるとか、あるいは必要な人の近くにその人たちがいないとかいう場合で、事実上は機能していないようなところもある、と思います。これはこれから必要になりますから、先ほど言った訪問看護ステーションとかそういうこともできていますので、それとあわせて、こういうことについてぜひ強化いただきたいなということでございます。
 父子の話が出ましたので、先ほども質問がありましたが、もう一つ私が申し上げたいことは、父子の場合にこの母子・寡婦福祉法が適用になるのは、税控除、それから介護人の派遣、それから医療で、母子はお母さんと子供ができますけれども、父子の場合には子供だけだ、こういうふうなことが適用されます。されないのは貸し付けと住宅と手当、全部ない、こういうことです。
 先ほど言いましたように十七万三千二百ぐらいに父子の家庭がふえていますので、父子の人はお金がたくさんあるんだから、困るのは介護人と税控除と医療ぐらいじゃないかというような区分けは余りされないで、ぜひ貸し付けや住宅や手当も支給できるようにしていただきたいな。実態として、父子の子供さんというのは、やはり児童福祉施設に入る方が非常に多いというようなことから見ても、何らかの手当てが必要なんじゃないかなということ、これが一つ。
 もう一つは、先ほど言いましたけれども、母子・寡婦福祉法ということについて、もし名前を変えるならば、片親という言葉がいいかあるいは一方の親というか、そういう片親家庭福祉法というようなことなのか、何かそういうふうにしますと、どちらかがいないところはすべて見れるというようなことで、非常に合理性はあるんじゃないかなと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#70
○清水(康)政府委員 まず最初に、在宅介護支援等につきまして、確かに都道府県による地域差がある程度あるのかもしれないと思いますので、その点については、特におくれている都道府県が具体的にわかりましたならば、それを十分指導してまいりたいというふうに思います。
 それから、貸付金などが父子家庭については対象にならないではないかということでございます。
 確かに現行の母子・寡婦福祉法、母子福祉資金、寡婦福祉資金というのは対象にならないわけ。でございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたが、父子家庭の場合のニーズは資金、経済的な家計の問題というよりも、育児とか家事支援という方の要望が非常に強うございますので、その辺をまず第一に考えたいということと、それから、どうしても資金が必要だという場合には、御案内のとおり、社会福祉協議会が主体になってやっておりますけれども、生活福祉資金という類似の制度がございまして、この制度で対応することも可能でございますので、総合的に、本当に資金が必要な場合に、どこに行っても借りる先がないということでないように十分配慮してまいりたいと思います。
 最後に、片親家庭福祉法というか単身家庭福祉法といいますか、そういうふうに変えたらどうかというふうな御提案でございますが、御案内のとおり、母子や寡婦の場合は、生活基盤の不安定な家庭が何とか生活の安定、維持向上を図っていくということを目的として、しかも歴史的に言うと、貸付金の制度からスタートしてきて総合立法になってきた、こういう歴史的な背景がございます。
 一方、父子家庭の方については、先ほども言いましたように、どうもサービス支援というものが中心的な課題になっているというふうなこともございます。私ども、また関係団体のこれは長い歴史がございますから、母子寡婦団体がこの父子家庭も取り込んだ総合的な立法にすることについて御賛同いただけるかどうかといったような問題もございますので、現在の時点でそういう総合的な立法にするという考え方はとってございませんけれども、一つのお考えとしてお聞きさせていただきたいと思います。
#71
○加藤(繁)委員 考え方の中に、母子、寡婦という、つまり女性は収入が少ない、男性は収入がある、こういう考え方があるのですよ。これは前はそうですよ、戦争未亡人なんかから発足した当時は。今の段階において男女雇用機会均等法というのもできて、しかも最近は職場の女性進出が非常に大きい、むしろ逆に男性の方が家事をやっている、そういうのも出ているでしょう。したがって、そのような考え方をぜひまず改めて、やはり困っている人、収入の少ない人は、だれであってもそういうふうに見るということが合理性があるということで私は申し上げたということなので、ぜひその点について、後で大臣にもまたお伺いしますけれども、お願いをしたいと思います。
 その次に、そういう相談が来るということで相談員の待遇ですけれども、まず母子相談員の勤務内容、どのような勤務内容になっているか、それについてお伺いをしたいと思います。
#72
○清水(康)政府委員 先ほども御答弁したのでございますが、母子相談員は常勤の方と非常勤の方とおられまして、常勤化については昭和四十年四月ごろから次第に進んできている。率としては十分でないかもしれませんが、当時の八・八%というものが現在では三〇%ぐらいになっていますから、常勤化が進んできているというふうに理解をしております。
 したがって、常勤の方と非常勤の方の勤務状況が違うわけでございますが、非常勤の方々について見ますと、各都道府県の報告を見ますと、大体勤務日数が二百二十日程度、一日の平均勤務時間は七時間ぐらい、それは勤務した日でございますが、そういうふうなことだと理解をしております。
 いずれにしましても、この母子家庭や寡婦の福祉の増進については、母子相談員の方が大変重要な役割を果たしていただいているというふうに私どもは考えておりますので、今後とも各省庁ともいろいろな協議をしながら、常勤、非常勤を問わずに十分な処遇ができるような配慮をしていきたい、努力をしていきたい、こう思っております。
#73
○加藤(繁)委員 ちょっと簡単な質問ですけれども、同じ質問を自治省の方にもお答え願いたいと思いますが、その前に、その常勤という場合は、非常勤的な常勤という意味なのか、それとも定数化してもう職員としてやっていることを示しているのか、考え方はどっちですか。
#74
○清水(康)政府委員 常勤というのは、私どもの理解では、定数化してきちんとその定数の中に雇われているという場合ですし、非常勤の場合には、先ほど言いました一日平均勤務時間が七時間というふうなことからいいますと、そこの勤務した日については、常勤と余り変わらないような形になっているというふうに理解しております。
#75
○伊藤説明員 母子相談員の勤務内容につきましては、所管省庁であります厚生省からただいま答弁されたとおりと承知いたしております。
#76
○加藤(繁)委員 そうしますと、定数化されているということですが、昭和三十九年の五月十三日の社会労働委員会の質問で黒木政府委員が、「定数化して一般職員として勤務しております者が五十七名」、これはどこの県がということに対して、静岡、和歌山、徳島、香川、高知、京都、こういうふうに答えているのです。私、調査室の資料を見ますと、徳島、香川は常勤化はゼロになっているのです。したがって、常勤化というのは減っているのかどうか。
 そして、その前の質問に、「母子相談員の数は、昭和三十八年四月一日現在で九百四十二名、勤務の状態は、非常勤が三百五十八名、常勤的な非常勤が五百二十七名、その他が五十七名こういうふうに答えているのです。先ほど厚生省の答えた常勤というのは、その他の五十七名に当たるのか、常勤的な非常勤の五百二十七名に当たるのか、これはどちらでしょうか。
#77
○清水(康)政府委員 四十年当時のデータ、ここにあるものによりますと、常勤が八十二人ということで総数の八・八%だ、こういうふうに先ほどお答えしたわけですが、先生おっしゃる五十何人という数字とこの八十三人という数字の間に差がございます。その理由は私ども今ちょっとつまびらかではございませんけれども、ここで言う八十三人の常勤というものの中には、若干先生が御指摘のようなものも含まれた数字かもしれないというふうに思います。詳しいことはもう少しよく調べてみたいと思います。
#78
○加藤(繁)委員 自治省も同じだというふうに答えているのですが、非常勤であろうが常勤であろうが毎日出勤して相談に応じているという状況、それから、あるときには夜でも家に電話がかかってきてどうしようかというようなことをしているという状況、それに対して待遇が余りにも悪い。
 先ほどお答えになりましたけれども、人口百七十万の標準県で、常勤は四人で年額八百四十万円、一人年額二百十万円、これは安いです。しかも、非常勤の場合は十人で月額十万二千四百円。これは自治省の地方交付税交付金の算定基準です。ですから、ぜひ厚生省として、非常勤で一人十万円で雇っている、しかも内容は非常に多岐にわたってやっているという状況から考えて、もう少しこれについては上げるように努力するべきではないか。それから、自治省としても、つかんでいる実態がもし同じだったら、同じようにこれについては値上げをするという方向でぜひ考えていただきたいということでございますが、いかがでしょう。
#79
○清水(康)政府委員 非常勤の方が実態としては常勤の方と余り変わらないような熱意を持って、あるいは勤務状況で対応していただいているということについては、私どももそれに報いるような努力をしていかなければいかぬと思いますけれども、先ほど先生御指摘の常勤四人で八百万云々というのは、これは一人八百何十万で、決して四で割って二百十万ということではございませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
 また、これからの交付税の基準財政需要額の算定のあり方につきましては、今後の問題として、自治省財政局の方にもよく御相談をしながら、特に非常勤の方々の処遇の改善という一とに注意をしながら努力をしていきたい、そう思います。
#80
○伊藤説明員 母子相談員の任用形態、報酬等につきましては、地方公務員法及び地方自治法の法令の規定にのっとりまして、各地方公共団体におきまして、その責任と判断において、またそれぞれの勤務内容に応じて適切に決定されるべきものと考えております。以上です。
#81
○加藤(繁)委員 今の自治省の答弁は冷たいですね。昭和三十九年の社会労働委員会でも、厚生省は待遇改善をやっていきたい、こういうふうに答えて、同じ質問を自治省にしたら、私どもはやる気がございませんなんという議事録があるのです。したがって、母子相談員というのは、厚生省もそうですけれども、実際は自治省の内部なのですから、そんな冷たく言わないで、一生懸命やっているのだから、もう少し温かい答弁をぜひお願いしたいと思うのです。これは蛇足ですけれども。
 最後に大臣、相談員についての待遇です。私が今質問いたしましたけれども、ぜひ厚生大臣として、実際に現場で働いている人たちが勇気が出るような答弁をひとつお願いしたいのと、それから制度の改善とか貸し付けの改善、幾つか申し上げましたけれども、それらについて大臣の考えをお願いしたいと思います。
#82
○丹羽国務大臣 まず、母子相談員でございますが、母子家庭の母や寡婦の自立のために大変大きな役割を果たしておるわけでございます。先ほどから御議論をいただいておるわけでございますが、現在全国で、平成三年でございますが、千百人の方が働いているわけでございます。常勤が三百三十人、非常勤が七百七十人、こういうことで局長からも答弁が出ておるわけでございますが、費用は、ただいま先生からも御指摘がありましたように交付税で措置されておるわけでございますので、よく自治省とも相談をいたしまして、その処遇の改善に努めていきたいと思っています。
 それから、母子、寡婦対策の改善でございますけれども、さまざまな原因からハンディを背負って子供を育てていらっしゃる母子家庭の方々やあるいは寡婦の方々、こういった方々の生活の安定と向上を図るということは、真の意味での公正な社会を実現する上にも大変重要な問題であるとまず考えておるわけであります。
 これまでにも貸付金制度の改善に努めるほかに、平成二年度にはホームヘルパーの母子家庭への派遣などの創設、法制化を行ってきたわけでございます。今後とも、母子家庭や寡婦の方々の経済的、社会的自立や母子世帯の児童の福祉の向上のために一層の努力を行っていくつもりでございます。
 それから、先ほどから大変難しい質問が出ておるわけでございますけれども、母子福祉団体との調整や、長い行政の歴史の中でなかなか難しい問題を抱えておるわけでございますが、私も基本的には男性が女性よりも所得が多いとか、こう決めつけるということは、まさに時代認識がややおくれているのではないか、こう考えておるわけでございます。大変いろいろなさまざまな問題を抱えておるわけでございますが、少し時間をかけさせていただきまして検討させていただきたい、このように考えている次第でございます。
#83
○加藤(繁)委員 終わります。
#84
○浦野委員長 網岡雄君。
#85
○網岡委員 それでは、今回提案されている診療放射線技師、また視能訓練士の改正法案につきまして、若干御質問を申し上げたいと思います。
 今回提案されております診療放射線技師法は、昭和二十六年に制定された診療エックス線技師法をその前身としております。昭和二十六年といえば、現在の医師法や保健婦助産婦看護婦法等が整備された昭和二十二年のすぐ後であり、昭和二十年代には既に診療エックス線技師は、医師や看護婦に加えて、エックス線関係の医療専門技術者といたしまして医療現場に登場していたわけであります。さらに昭和四十年代になりまして、エックス線だけではなく、広く放射線まで扱う専門資格に発展することとなったわけでございます。
 このように、診療放射線技師は歴史のある職種でありまして、現在、この業務に従事している方々は二万八千人もいらっしゃると言われております。まさに医療現場にはなくてはならない資格者でございます。
 一方、視能訓練士の方々は、現在、業務に従事しておみえになる方々は大体千五百名程度と言われておるわけでございます。従事者の数が診療放射線技師の従事者と比較をいたしまして少ない点もございますけれども、まだまだ視能訓練士の方々の資格については、余り世に知られていないということが考えられるわけでございます。
 しかし、この資格は大変大事なことでございまして、視能訓練士という職種は、眼科領域のリハビリテーションを担当する重要な職務を持った職種として、極めて大きな役割を担っているのでございます。この視能訓練士の重要性を再認識していただく上においても、今回の法律改正は非常に大きな意義を持っていると思うのでございます。
 そこで、まず診療放射線技師法の一部改正に関する法律案及び視能訓練士法の一部改正の法律案について、以下、若干御質問を申し上げてまいりたいというふうに思います。
 まず、今回の改正の趣旨に関してお尋ねをいたします。
 医療関係資格につきましては、新しい資格制度が創設されるということはこれまでも多くあったのでございますが、既存の職種の業務を拡大するといったような改正は、従来余り聞かなかったように思います。こうした意味で、今回の改正は、従来の医療関係資格やその業務に関する考え方を発展させたものがあるようにも思います。
 そこで、まず今回提案されている二つの法律改正において、一つ、診療放射線技師と視能訓練士の業務の範囲が拡大されていますが、この改正の厚生省としての基本的な考え方と、その内容をお聞きいたしたいというふうに思います。そして、あわせて、この二つの業種以外に業務の拡大を行う必要があると厚生省としてお考えになっているものがあるとすれば、この際お答えをいただきたいと思います。
#86
○寺松政府委員 先生のお話の中にもいろいろございました。近年、医療の分野におきます科学技術の進歩や医学医術の進歩というものに伴いまして、医療の現場におきましては、比較的安全に取り扱いができる医療機器を用いた業務が新しい業務として生じてきております。これらの業務の中には、既存の医療関係職種の業務と隣接する、そういうふうな領域にあるものも考えられます。こうした業務については、既存の医療関係職種がそれぞれ持っております専門性を生かしながら、効率的かつ適正に業務の役割分担をしていくことが今求められているのではないかと考えております。こうした観点から、今回、診療放射線技師及び視能訓練士の業務の拡大を行うというものでございます。
 具体的な内容でございますけれども、診療放射線技師につきましては、磁気共鳴画像診断装置、超音波診断装置、無散瞳眼底写真撮影装置というものを用いました検査を行うことができることとしておりまして、また、視能訓練士につきましては、両眼視機能に障害のある者以外の者に対します眼科検査を行うことができることといたしております。
 また、臨床検査技師でございますけれども、これは政令改正によりまして、磁気共鳴画像検査あるいは無散瞳眼底写真撮影などの検査を追加することを予定といたしております。
 なお、これらの医療関係職種の業務の拡大は、くどいようでございますけれども、医療関係者の合意を踏まえて行っておる、こういうことでございます。
#87
○網岡委員 そこで、今御答弁がありました視能訓練士の業務拡大についてのところで、重ねてちょっと御質問申し上げたいというふうに思いますが、今御答弁がございましたように、視能訓練士の業務は、今回の改正によりましてねらわれているものは、「両眼視機能に障害がある者以外の眼科疾患のある者等に対する眼科の検査を追加する」、こうあります。
 そこで、「眼科疾患のある者等」の「等」のところの中身について若干御質問を申し上げたいというふうに思うわけでございますが、この視能訓練士の業務拡大の中に、さっき言いました「眼科疾患のある者等に対する眼科の検査を追加する」、こうなっているわけです。
 これは、以下質問を申し上げていきたいと思うのでございますけれども、今日の眼科検査というものの領域は、単に病院や診療所といったようなところにおいて眼科の検査をするだけではなくて、例えば疾病の早期発見とか早期の疾患に対する治療とかあるいは予防医学への観点から、次のようなことが健康診断をされておるわけでございます。
 その中身と申しますのは、一つは、乳幼児の健康診査、それから学校健診、それから職場健診、これはVDTなどによる、非常に目を使っていくものですから、そのことに対する眼科検査というものが今職場健診の中で非常に重要視されているわけでございます。さらに農薬散布等に対する健康管理というところでの検査、あるいは成人病健診における眼科検査、それから老人保健法による健康管理の中にありまして行われる眼科検査というものがあるわけでございますが、これらの眼科検査は、厚生省が私どもに配付をしていただきました視能訓練士の業務の拡大のところにあります「眼科疾患のある者等」というその「等」のところに含まれているのかどうかこの際、省として考え方を明らかにしていただきたいというふうに思うわけです。
#88
○寺松政府委員 今先生御指摘の「眼科疾患のある者等」ということでございますが、私どもこういうふうに考えております。
 今回の視能訓練士法の改正によりまして、視能訓練士は、従来の両眼視機能障害のある者、これはもちろんでございますが、これに対する視能訓練以外の眼科検査を広く行うことができることとなります。こうしたことから、御指摘のような各種健診等におきまして行われます眼科検査、これにつきましても視能訓練士が担うことができるものと私どもは考えております。
#89
○網岡委員 それでは、そういうことで確認をさせていただきます。
 それでは、続いて質問に移りたいというふうに思いますが、今回の改正によって診療放射線技師、視能訓練士の業務が拡大され、さらに、今御答弁がございましたけれども、臨床検査技師も政令改正によってその業務が拡大されることとなったのであります。こうして数種の職種が相互乗り入れをいたしまして、共通の業務を担うことになっています。これは、従来余りに厳格な縦割りに定められてきた医療関係資格の業務を、今日の医療現場のニーズにこたえながら弾力的な対応ができるようにするものとして、私どもは極めて意義あるものだというふうに評価をいたします。
 そこで、これを現実の医療現場で円滑に進めていきますためには、医療関係者の適切な連携が必要であると存じます。中でも、医師が適切にリーダーシップを発揮いたしまして、医療関係者の連携のコーディネーター的な役割を積極的に果たしていくことが今後ますます重要なものとして求められていくことになると思うのでございます。
 そこで、こうした観点に立ってお聞きしたいと思いますことは、まず、医療関係者の中で適切にコーディネーター的な役割を果たすべき医師の養成を目指して、医学教育や卒後の臨床研修の充実に今後どのように取り組んでいかれるのか、この際お尋ねをいたす次第でございます。
#90
○寺松政府委員 これからの高齢社会におきましては、医療は、患者やその家族とよりよい信頼関係を築きながら、患者の持ついろいろな問題を全人的に正しく把握して、これを解決していくということが期待されておるわけでございます。このような望ましい全人的な医療を進めていくためには、さまざまな医療関係者の間の適切な連携協力が必要であり、また重要であります。このために、医師はその中で積極的な役割を果たすということは、今先生御指摘のとおりだと存じます。
 こうした望ましいチーム医療、さらには患者の求める望ましい全人的な診療を的確に担うと申すのでしょうか、そういう医師の養成が重要であるという私どもの認識のもとに、医師の卒後臨床研修の充実に従来から努めてきたわけでございます。
 特に、平成四年六月にまとめられました医療関係者審議会臨床研修部会の意見具申を私ども踏まえまして、平成六年度を目途に、研修の内容を重視した研修プログラム方式による卒後臨床研修への移行を今予定いたしておるわけでございます。その中で、特にチームプレーと申しましょうか、連携を重視いたしまして、それらを盛り込み、今後とも臨床研修の場で充実に努めてまいりたい、このように考えております。
#91
○網岡委員 今御答弁がありましたように、チーム医療を推進していく上におきましては、医師がまさにチーム医療を行っていく場合の中央司令塔の役割を果たしていくことになるわけでございます。そういう役割を担っていただく医師でございますから、ぜひその研修におきましては、万遺漏なきように体制を整えていただきたいということを付言をいたしておきます。
 第三でございますが、今回の改正におきまして、診療放射線技師法と視能訓練士法の中に医療関係者の間の連携規定が盛り込まれております。この改正の趣旨は、一体何を省としては求められようとしているのかという点をお尋ねをいたしたいと思います。
#92
○寺松政府委員 今先生がおっしゃいましたように、今回の改正の中で連携規定を設けることにいたしております。これにつきましては、医療技術の進歩あるいは医療の高度化というふうなものに伴いまして、高い専門性を有する業務やこれを担う職種が発生してくるとともに、医師を中心として多くの医療関係職種が連携して医療の提供に当たる、いわゆるチーム医療の考え方が不可欠なものだと考えております。
 こうした観点から、昭和六十二年に制定されました臨床工学技士法と義肢装具士法、さらに平成三年に制定されました救急救命士法におきましても、他の医療関係職種との連携規定が設けられたわけでございます。このような最近の新しい医療関係職種に盛り込まれた考え方を踏まえまして、今回改正いたします診療放射線技師法あるいは視能訓練士法におきましても、他の医療関係職種との連携規定を設けることにいたしたわけでございます。
#93
○網岡委員 今御答弁がありましたのは、それなりに私ども評価をいたしたいと思います。
 そこで、重ねて質問をしてまいりたいと思うのでございます。
 今御答弁がありましたようなチーム医療を、これから新しい二十一世紀に向けての医療体制を整える意味で積極的に進めていくことになると思うのでございますが、このチーム医療の規定が、今御答弁がありましたような救急医療の場合にも盛り込まれている。その部分的な医療の面のところではチーム医療の規定が入っておるわけでございますけれども、しかし、これから医療の全面、すべてのステージにチーム医療が積極的に推進されていく時代に今入っていると思うのでございます。
 そういうことからいきますと、医師法にこそこのチーム医療の規定を盛り込むべきではないかと思います。つまり、医師法というのは、医師が行うさまざまな診療行為に対しての基本法的な役割を果たす法律でございますから、その中にきちっとチーム医療の規定を盛り込んでこそ、初めて日本の医療がチーム医療に向けて全面的に前進をする体制になると思うのでございます。これがまだ盛り込まれていないようですけれども、省としてはどういうお考えであるのか、その点について今後どういうふうに進められようとしているのか。
 同時に、非常に重要なパートナーである保健婦助産婦看護婦法にもあわせてチーム医療の規定を盛り込んでいくべきだと思うわけですが、これらについてもあわせて御答弁をいただきたいと思います。
#94
○寺松政府委員 今までいろいろ申し上げましたが、医療の高度化や専門分化に伴いまして、多くの医療関係者が医療の現場で業務に従事するようになってまいっております。医師や看護婦を初めとする医療関係者が、お互いに連携協力しながら患者の求める医療サービスを提供していくチーム医療の考え方というのは、極めて重要なものだと私ども認識をいたしております。こうしたチーム医療を推進していく上で、先生も御指摘になりましたが、特に医師の役割は重要なものだと考えておるわけでございます。
 チーム医療に関します規定を医師法や保健婦助産婦看護婦法に盛り込むことにつきましては、今後、医師法などのそれぞれの法律の改正の機会をとらえまして、いろいろ検討した上で考えていくことになると思いますが、平成元年六月に医療関係者審議会臨床研修部会によりまとめられました卒後の臨床研修目標におきましても、チーム医療において、他の医療メンバーと協調し、協力していく習慣を身につけるということを重要な事項として取り入れ、チーム医療を的確に担える医師の養成にかかわる目標が掲げられているわけでございます。こうした卒後の臨床研修を通しまして、チーム医療を的確に担うことができる医師の養成に努力してまいりたい、このように考えております。
#95
○網岡委員 今日的な状況の中での御答弁としては、私はある意味で理解をするわけでございますが、先ほど御答弁ありました臨床部会における検討、同時にまた、並行して行われております医業関係職種の効率的業務分担に関する研究会というものの検討もなされているわけでございます。そういうところに全部出ているのは、やはり中心は司令塔の役割を果たす医師だと思うのですよ。そこの役割を果たす医師の人たちに対する基本法ともいうべき医師法の改正にこのチーム医療の考え方が一日も早く盛り込まれなければ、日本の医療が腰を据えて前へ進むということにはなかなかならないような気がいたしますので、おくれている事情につきましてはいろいろな問題点があると思うのでございますけれども、そういう問題点を速やかに整理をしながら、ぜひひとつ早い時期に体制を整えていただくように、これは要望いたしておきます。
 次に、厚生大臣にお尋ねをいたしますけれども、このチーム医療の重要性につきまして厚生大臣としてどのような認識で今後進められようとしているのかというような点について、御答弁をいただきたいと思います。
#96
○丹羽国務大臣 かつての医療現場というのは、医師と極めて限られた医療従事者、こういうことでございましたけれども、近年、医療の高度化さらに専門化が進みまして、多くの医療関係者が医療の現場で従事するようになってきておるわけであります。こうした中で、患者の求める良質でかつ適切な医療を提供していくためには、それぞれの医療関係者がそれぞれの分野での専門性を発揮しながらも、お互いに連携協力しながら、治療や看護などの医療サービスの提供に当たるチーム医療というものが大変重要になってきておるものとまず認識いたしております。
 その中でも、先ほどから先生が再三御指摘になっております診断、治療に当たります医師が、望ましいチーム医療の実現に向けて積極的な役割を果たしていかなければならない、こう考えているような次第でございます。先ほど先生から御提案がございました医師法でございますが、医師法にはいわゆるチーム医療を進める上での連携規定が入っていない、こういうことでございます。法改正の際には、この問題も導入する方向で前向きにひとつ検討をしていく用意がございます。
 そのほか、医師の卒後臨床研修の充実などを通じまして、チーム医療を的確に担っていくことができる医師の養成に努めてまいりたい、このように考えているような次第でございます。
#97
○網岡委員 厚生大臣からの御答弁もございましたが、一番中心課題になっている条件整備ということに向けて、ぜひ厚生省の積極的な対応を心から期待をするものでございます。
 次に、診療放射線技師と視能訓練士の需給の認識と今後の養成に関しまして、若干御質問申し上げていきたいというふうに思います。
 まず、診療放射線技師についてでございますが、この診療放射線技師については、各方面から非常に人が足らないという不足の声がしきりに聞かれているところでございます。今回の改正によりまして診療放射線技師の業務が拡大されるわけですから、その業務量の増大、そしてニーズの高まりなども予想されますので、今後、今回の業務拡大も含めて供給不足が生ずる可能性はないのかどうか。
 そこで、五つ目に御質問申し上げますけれども、診療放射線技師の現在の需給状況について省としてどのような御認識を持っておみえになるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#98
○寺松政府委員 今先生御指摘されました、診療放射線技師が不足しているという声をお聞きになっているということでございますが、私どもも、医療関係団体の間でも、また私ども現場に参っていろいろな医療機関のお話を聞きますと、不足ぎみだといいますか、不足しておるというふうな声をしょっちゅう聞くわけでございます。
 昨年、私ども、診療放射線技師等の関係者あるいは有識者というふうな方々から成ります診療放射線技師需給計画検討委員会というものを設置いたしまして、いろいろと御議論をいただきました。なかなか推計が難しいというようなお話もございまして、不確定要素もございます。したがいまして、その結果、明確な必要数の推計は示されなかったのでございます。しかしながら、少なくとも養成定員等が現在のままで推移するとすれば、将来的には診療放射線技師の不足という事態がだんだん大きくなるというふうな御指摘がございました。そして、緊急に養成定員増を図るべきだというふうなお話をいただきました。
 そこで、今回の業務の拡大が将来的にさらに診療放射線技師の需給の状況にどのような影響を与えるかは、現時点ではちょっと見きわめにくいのでございますけれども、先ほどの報告書が申しておりますように、将来非常に不足するというような御指摘も踏まえまして、私ども何らかのこれに対する対応をしていかなければならぬのではないかなと思い、いろいろ定員の増を図りつつあるわけでございます。
#99
○網岡委員 ぜひひとつ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、やはり診療放射線技師を養成していく教育施設というものが、将来の需要に応ずるような状況で今後確保されていかなければならぬと思うのでございますが、資料によりますと、平成四年四月一日現在におきます診療放射線技師の学校及び養成所の数というのが出ております。まず国の関係におきましては、施設数は十二、定員は一学年四百八十五名、都道府県は二校ありまして、定員七十五、あと公益法人とか学校法人とか医療法人といった法人の関係におきましては、合計十六施設、定員は千百八十七名、合わせて全体では三十一施設、定員の総数は千七百四十七名、こういうことになっております。
 今言ったような今日時点の施設では、今御答弁がありましたように不足の状況でございますから、これを解決をしていくためには、やはり学校、養成所の数をふやしていくということがやられなければならぬわけでございますが、そういう意味で、診療放射線技師会の方におきましてもそのことを非常に重視しておるところでございます。ぜひひとつ厚生省としても、今のような現状を踏まえられまして、技術者の養成について、財政の面も含めて積極的な推進を図っていただくようにしてもらいたいと思うわけでございます。この点についての厚生省の考え方をお尋ねいたします。
#100
○寺松政府委員 今先生がお話しなさいましたが、診療放射線技師の養成施設は平成五年四月一日現在で三十一校でございまして、一学年の定員は千七百四十七名を数えております。
 これもお話ししたことなんでございますが、昨年、有識者等から成ります診療放射線技師需給計画検討委員会におきましても、現行の定員のままで今後推移すると将来的には不足を来す、その不足の量も増大するというふうなお話でございます。したがいまして、緊急に養成定員増を図ることが必要であるというふうに言われておるわけでございます。私どもは、この趣旨を踏まえまして、地域の状況等も勘案しながら、必要な診療放射線技師養成所の確保に努めてまいりたいと思います。
 今、私どもが承知しております今後の新設の状況を、把握しておりますものに従いましてお話ししてみますと、新規に新設したいという希望を持っておりますのが、現在のところ六カ所でございます。それから、定員増を図ろうという学校も二カ所あるように聞いております。それから、まだ私どもの方に話は来ておりませんが、それぞれの地域で幾つか準備を進めておられるという話も聞いておるわけでございます。
 そこで、診療放射線技師をこれから養成していきます場合に、診療放射線技師の需給の問題を頭に入れた上でやっていかなければならぬということでございまして、先ほどから申し上げておりますように、どうも不足ぎみだというようなお話が多いものでございますので、私ども鋭意養成に努力してまいりたい、このように思います。
#101
○網岡委員 ぜひひとつ御答弁にもありましたような方向で、省として積極的な行政の推進をしていただきたいということを申し上げておきます。
 次に、視能訓練士についてお尋ねいたします。
 第一問のところで視能訓練士の業務の重要性ということはるる御質問を申し上げたところでございますが、これも今後業務が拡大をされまして、健康診断、健康検査というところまで一般の眼科検査の領域が広がっていくことになるわけでございますし、慢性疾患的なものを早期に発見していく非常に重要な手がかりとなる検査も、視能訓練士が行っている現状がございます。したがって、そういうことからいいましても、この視能訓練士の養成もまた大事だというふうに思います。
 今、視能訓練士の施設というのは、国がわずかに二校、定員が八十名、そして、公益、学校、医療その他の法人で八校、合わせて十施設、定員は三百二十五名、こういうことでございますから、非常に数が少ない状況にございます。今後業務の拡大に伴って、視能訓練士の需要といいますか、業務につかれる場所というのはますますふえてくるというふうに思うわけでございます。厚生省としてこの養成についてどういうお考えを持っているのか、お尋ねいたしたいと思います。
#102
○寺松政府委員 視能訓練士の養成施設については、先生がおっしゃいましたように非常に数が少ないわけでございまして、したがいまして、一学年の定員も三百二十五名を数えるのみでございます。
 ところが、今先生御指摘のように、視能訓練士の仕事もこれからだんだんと拡大してまいりますし、いろいろな業務で活躍をお願いしなければならぬということでございますので、最近の傾向といたしまして、養成施設のない地域、あるいは需要が多いと考えられます都市圏におきまして養成所の承認を積極的に進めていこう、こういうふうに考えております。私どもの認識では、需給の関係はそう逼迫した状況にはないとは存じますが、先ほども申し上げましたようなことを背景に、そのように考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、視能訓練士の需給の動向の把握を十分行いながら、必要な視能訓練士が確保されますよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
#103
○網岡委員 診療放射線技師の人員の需給から見ますと、視能訓練士はまだまだ余裕があるといいますか、そんなには逼迫していないという御答弁がございましたが、比較をすればそういうことだと思うのでございます。厚生省だけではなくて、国、都道府県の地方自治体でも、対策の仕方というのは、やろうとする仕事がにっちもさっちもいかないような状況になって、初めてその問題を解決する対策が少しずつ行われていくということでございまして、まさに公害対策に象徴的に出ているわけですが、後追いの対策というのが今日までの国、公的なところの対策の一つの実態であったと思います。
 したがって、せっぱ詰まったというところではないかもわかりませんが、需要が極めて高くなってくることだけははっきりいたしているところでございますから、ぜひひとつ、まだ多少余裕がある段階で積極的な対策をやっていただきたいということを付言しておきたいと思います。
 次に、今回の改正は、既存の医療関係者の業務を、その専門性は生かしつつも、弾力的、効率的かつ適正な業務分担を目指していこうとするものだと思います。
 確かに、いたずらに細分化した資格をつくると、専門性はそれなりに高くはなるかもしれませんけれども、その資格の魅力が逆に今度は低くなってしまいまして、質の高い人材を集めることも難しくなるというような局面もございます。こうしたことから、既存の医療関係職種の業務の幅を広げようという今回の考え方は、評価できるというふうに私は思っているところでございます。
 しかし、他方、医療界におきましては業務に専門的な独立性があり、真に新しい資格が必要なものも幾つかあることも、また事実でございます。こうした新しい職種についても検討をしていかなければならないときに来ていると思うのでございます。
 そうした観点から、議論、要望のある幾つかの職種について、厚生省として現状どのような取り組みをおやりになっているか、以下、若干御質問をしていきたいと思います。
 一つは、言語聴覚障害に関するリハビリテーションを担う職種である医療言語聴覚療法士の資格制度についての取り組みの現状はどうなっているのか。
 時間があと五分程度しかございませんから、三つまとめて質問をいたしますので、御答弁をいただきたいというふうに思います。
 次の点は、保健医療サービスに関して、患者やその家族などに対する相談や援助業務を行う医療ソーシャルワーカーの資格化ということが今非常に要望されているところでございますが、これについてどのような取り組みが行われているのか、どのような進行状況にあるのか、お尋ねをいたします。
 最後でございますが、精神保健の分野で、心理面接、心理検査、心理療法などの業務を行う職種として医療界から求められている臨床心理技術者という職種があるわけでございますが、これらの職種につきまして、資格の問題をきちっとしなければならぬ時期に来ていると思うのでございます。これらの三つの点について厚生省は今日の時点でどういう状況になっているのか、将来の見通しも含めて御答弁をいただきたいと思います。
#104
○寺松政府委員 私の方から先生がおっしゃいました前の二つ、医療言語聴覚療法士、もう一つは医療ソーシャルワーカーの資格化につきまして御説明をしたいと思います。
 今先生がおっしゃいました言語聴覚療法士につきましては、かねてより資格法制化を求める声が強かったわけでございますが、従来、資格のあり方につきましての関係者の意見が必ずしも一致しておりません。昭和六十二年三月に新たな医療関係職種の資格制度の在り方に関する検討会というものを設置したわけでございますけれども、その中間報告におきましても、関係者の意見調整を待って法制化すべきであるというふうに、まだ関係者の意見が調整がされていないというような御認識でございました。
 現在、言語聴覚療法士の資格法制化を推進するため、関係いたします二十六の関係学会等により構成されます医療言語聴覚士資格制度推進協議会が関係者の意見調整を図っていらっしゃるところでございまして、その辺の御努力を見守っておるところでございます。
 私どもは、このような経緯でございますけれども、そのような関係者の合意を得ながら、言語聴覚療法士の資格法制化を検討してまいりたいと思っております。
 それから、医療ソーシャルワーカーの件でございますが、これも昭和六十二年三月の新たな医療関係職種の在り方に関する検討会報告書、あるいは同年九月の精神衛生法改正の附帯決議及び平成四年の医療法改正の附帯決議においても、その制度化が課題だ、こういうふうに指摘されておるわけでございます。
 しかしながら、現段階におきましては、資格のあり方につきまして、いろいろの分野の方々の意見がまだちょっとまとまっておりません。そういうようなことでございますので、厚生省としましては、今後とも、関係者全体の意見を聞きながら、できるだけ早く合意の形成をしていただくように努めてまいりたい、このように考えております。
#105
○谷政府委員 臨床心理技術者の資格化のことについてお答えをさせていただきます。
 この問題につきましては、先ほど先生お触れになりましたような心理療法などの業務を行う職種として、現在、現場で二千人ぐらいの方が働いておられるというようなことを伺っておりますが、臨床心理技術者の業務資格につきましては、検討委員会を設けまして、具体的な業務の範囲あるいは養成課程と申しますかカリキュラム、そういうようなことについて検討をしていただいております。
 一方、他の職種とも同じことでございますが、やはり当事者あるいは関係者の理解を得る必要があるということから、その調整を今行っているということでございまして、そういう結果を踏まえて、具体的な資格問題ということについて厚生省として対応していきたいと思っております。
#106
○網岡委員 もう時間が一分しかないので、最後に大臣に質問をして終わりたいと思いますが、今の言語聴覚療法士、MSW、それから臨床心理技術者は、一番ポイントは、関係者の意見調整というところがどうもネックになっているようでございます。
 これは余り国がタッチするということは好ましいことではないかもしれませんが、しかし、それぞれの分野においてこれは大事な専門的な職種であることには間違いないわけでございまして、これから厚生省が志向するチーム医療を進めるというところに着目いたしましても、極めて重要な職種でございます。ぜひひとつ厚生省としても、大所高所の立場から関係者の意見の調整が行われるような積極的な御努力をいただいて、三つの職種が資格を得るような体制になるように、一日も早い準備の体制を行っていただきたいというふうに思います。
 最後の質問でございますが、厚生大臣に申し上げたいと思います。
 今度の改正によりまして、業務が新しく生じてきた場合について、同じような考え方で対応をしていく考えがあるのでしょうか。つまり、先ほどの話の続きになりますが、新しい業務が医療の現場で登場してくるということは、もうこれからたくさんあると思います。こういう場合に、今言ったような問題点を速やかに解決していくような立場も含めまして、厚生大臣がどのように対処されるか、この際お尋ねをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#107
○丹羽国務大臣 今回の改正の基本的な考え方は、医学の進歩などに伴いまして新しく生じてまいりました業務について、既存の医療関係職種の業務と隣接する領域にあるものについては、関係の職種がそれぞれの持つ専門性を生かしながら、効率的でかつ適正に業務の相互の乗り入れを行っていこう、こういうことであります。
 私は、新しい器械であるとか業務ができるたびに、新しい資格制度であるとか職種で対応するというやり方については、率直に申し上げていかがかと思っております。できるだけ既存の資格あるいは職種において対応していくことがより効率的な医療サービスにつながっていく、こう考えておるわけでございますけれども、しかし、そうは言っても既存の医療関係職種では対応ができない、こういうようなものも生じてくるわけでございますので、そういうような真に新しい資格の創設が求められるものについては、そうした方向もあわせて検討をしていく必要がある、このように考えている次第でございます。
#108
○網岡委員 質問を終わります。
#109
○浦野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――午後一時開議
#110
○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。五島正規君。
#111
○五島委員 私は、診療放射線技師法の改正を中心に、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 医学医術の進歩に伴いまして、医療の現場におきますさまざまな検査方法や手法は変わってまいってきているわけでございます。そうした中において、エコーとかMRIによる画像診断も極めて一般に利用されるようになってきているわけでございます。こうした装置を利用した検査について、医者は当然のこととして、これまでも臨床検査技師やレントゲン技師が当たってまいったわけでございます。
 今回のレントゲン技師法の改正に伴いまして、レントゲン技師に対してMRIあるいはエコー検査の取り扱いができるというふうに改正されようとしているわけでございますが、これまで放置してきて今にしてなぜこのような本法を改正するのか。言いかえれば、これまでレントゲン技師や臨床検査技師がこれらを取り扱ってきたことは違法な状態であったのかどうか、多くの公的病院においてレントゲン技師や臨床検査技師がこれらに従事してきたということに対して指導などをされてきたことがあるのかどうか、まずその点についてお伺いします。
    〔委員長退席、山口(俊)委員長代理着席〕
#112
○寺松政府委員 今の先生の御質問でございますが、医療の現場では実際的にはいろいろと法的に定められていないこともやっておるようじゃないかというようなお話は、そう言われると、そうだと言うわけにはまいらぬのでありますけれども、最近刑事事件とかそういうような話のケースは私ども聞いておりませんが、現実的にはいろいろとあるのであろうかと思います。しかし、法的には厳しくいえばぐあいが悪い、こういうことになるわけでございまして、私ども今回改正をお願いしておりますのは、いろいろな背景があるかと存じます。それをちょっと長くなりますが、お話ししたいと思うのであります。
 今回の改正の趣旨というのは、医学医術の進歩等に伴いまして、医療の現場で新たに生じております業務がある。そういう業務につきまして、一業務に一職種というような形で細分化していくのはいかがなものかということもございまして、マンパワーの効率的な活用というようなこともございますので、既存の医療関係職種の間で適切かつ効率的に業務を分担し合って、相互乗り入れと俗に言うのかもしれませんが、そういうような形で対応していくのが今のような時代にはふさわしいのではないか、このような考えでございます。そのような観点から診療放射線技師法等を改正し、業務の拡大を図ることにしたわけでございます。
 この改正の内容でございますが、これは実は昭和六十二年に設けました医療関係職種の在り方の検討会があるわけでございますが、その中でいろいろ検討が行われまして、昨年の三月に取りまとめられました。私どもはそれをいろいろと成文化しておったわけでございまして、さらに医療関係者の合意も取りつけて今回改正をお願いしよう、こういうふうにしたわけでございます。
 それで、この業務のことでございますけれども、人体におきます侵襲性というのが低いとかあるいは安全性も高い、そういうような業務であって、また診療放射線技師等が既に習得しております知識、技能によりまして基本的には対応できる、こういう業務ではないかと思っておるわけであります。
 しかしながら、従来はこれらの業務を当該職種が担うことができることが法律上明確にされてなかったということ、それで今回の法律改正によりまして、個々の医療現場の状況も踏まえながら、これは先生がおっしゃったようなこともあるのだと思いますが、広くこれらの職種の業務として適正かつ効率的に行われるようになるものと考えておるわけであります。
 以上、ストレートではございませんけれども、その背景を申し上げました。
#113
○五島委員 医療の現場と法律の世界とにはずれがある。とりわけ医療の現場は日進月歩でございますので、そういうことがあるのは当然だろうと思います。したがいまして、これまでもエコー検査については主として臨床検査技師が扱ってきたし、MRIについてはレントゲン技師が扱ってきたケースが多いかなという感じでございますね。
 しかし、これらは一々パラメディカルといいますか、コ・メディカルの業務の独占あるいは名称独占という形で指定していかなければならないとするならば、現在医療の現場の中でさまざまな形で入ってきております、例えば心理検査とかあるいは言語訓練、聴覚訓練、あるいは医療ケースワーク業務や老人に対する看護と介護の質と量を決定するコーディネーターといったような、医療やそういう現場において極めて重要な役割を果たしているスタッフがふえてきているわけですが、これらはいずれも身分法という形でもって規定されていないわけでございます。こうした問題についてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
#114
○寺松政府委員 今先生御指摘の内視鏡検査あるいは心理検査というふうなものについて、あるいは言語訓練、聴覚訓練というようなものを実施する資格者の話、それからケースワーカーの話等いろいろ出ました。ちょっと順番に私どもの考え方を申し上げたいと思うのであります。
 まず最初に、内視鏡検査につきましては、内視鏡を人体に挿入しまして診断等を行うわけでございます。これは医師の行為だということになるわけでありますが、内視鏡検査自身も高度に進歩いたしまして、分化してきておる。その器械が多種多様といいましょうか、複雑多機種にわたっておるというようなこと、そして、医師以外の医療関係職種が医師の行為を補助いたしまして、チーム医療を行う必要性もまた一方高まっておるというようなこともございまして、看護婦等がこれらの業務に従事しておるのが実情でございます。
 それから、心理検査については、医療の現場では、医師以外では臨床心理技術者が担当している場合が多いわけであります。また、言語訓練、聴覚訓練につきましても、医療の現場では、巷間言われております言語聴覚療法士というものが実質的に担当しておるというふうに認識いたしております。
 それからさらに、病院等の保健医療の場におきまして、患者の抱えます経済的、心理的問題の解決あるいは調整というふうなことを援助したり、あるいは社会復帰の促進を図るケースワークというふうな業務は、医療ソーシャルワーカーが主として担当しておるというふうに私ども認識しております。
 また、臨床心理技術者あるいは言語聴覚療法士及び医療ソーシャルワーカーの資格化というような問題については、かねがねいろいろと言われておるわけでございますけれども、現段階におきましてはそれぞれの関係者の間におきましてまたいろいろな議論がございまして、厚生省としては、今後ともこれらの関係者の合意形成というものに努めてまいる、そして必要ならば資格化していく、こういうことになるのではないかと考えております。
#115
○五島委員 現在の状況について局長はお述べなんですね。ただし、例えば内視鏡の検査にいたしましても、私どもが医者になった今から三十年近くも前を考えてみますと、ファイバーも非常に太くて、そして医師も一定のトレーニングを積まないと、内視鏡の検査というのは患者に対する侵襲が非常に強かった。ところが、最近ですと極めて径の細い内視鏡ができておりますので、十二指腸ゾンデをのむくらいの形で胃カメラ検査ぐらいはできる。十二指腸ゾンデをのますのは看護婦さんでもできるわけなんです。そういう意味で、侵襲性という意味においては随分軽減してきています。
 さらには、極めて近い将来に、いわゆるコードレスといいますか、ファイバーレスの内視鏡すら開発されそうだという状況になってきている。そうなってくると、こうした検査の補助者というのが、もちろん身体の侵襲を伴うという問題に着目するということは必要なんですが、それだけでいいか。すなわち、それに対する検査としての必要な知識、それが与えられているかどうかということが、同時に極めてより重要な問題になってくるのではないかというように思うわけです。
 そういう点から考えますと、レントゲン技師、臨床検査技師はこれまでエコー検査やMRI検査に従事してきている。それはカリキュラムの中で特別のそういう教育はないわけですが、医療の現場の中においてトレーニングするという形で、それをやってきたということだと思うわけです。
 そういう意味で、今の養成カリキュラムの中で、画像診断の補助技術に関する教育時間というのは、レントゲン技師や臨床検査技師、それぞれ一体どれくらいの時間数それに割かれているのか、また、それが適切とお考えかどうか、ちょっとそのあたりをお伺いしたいと思うのです。
#116
○寺松政府委員 今先生の御質問と申しますのは、診療放射線技師あるいは臨床検査技師においてそれぞれの教育のカリキュラムがあるわけでございますが、その中で今の画像診断等の技術についてどのぐらいの時間を割いているのか、それが適当かどうかというような御質問だと解釈いたしまして、お答えをしたいと思います。
 診療放射線技師につきましては、これはもう先生よく御承知なんでございますが、学校養成所指定規則におきまして、磁気共鳴画像検査等の放射線を用いない画像検査に関する教育時間を特に定めておりません。これらの検査に関しましては、各養成所とも専門科目でございます画像工学という時間があるわけです。三十時間ほどございますが、そういう画像工学等の中で教育を行っているということのほかに、各養成所が独自に内容等を設定できます五百時間ぐらいの時間を持っておる。その講義の中あるいは実習の中で二十から五十時間程度行われていると私ども聞いております。
 それから、臨床検査技師についてでございますが、やはり学校養成所指定規則というものがございます。それの中で超音波検査以外の画像検査の教育時間ということについては特に定めておりません。しかし、その他の画像検査に関しましては、臨床生理学等の中で教育が行われているほか、これも診療放射線技師と同様な感じなんでございますけれども、各養成所が独自に内容等を設定できる三百三十時間ぐらいの講義または実習の時間があるわけでございまして、その中で対応しておるというふうに聞いております。
#117
○五島委員 もちろん今の医療の方向性が、エコーであったりMRIの使用というのは頻度が多うございますから、学校によっては独自にそういう教育をしておられるところがあるというのは承知しています。同時に、これは具体的なカリキュラム課程の中に入っておりませんので、それは全くなされていないというケースもあるわけでございまして、そういう意味では、こうしたレントゲン技師や臨床検査技師の養成カリキュラムの中で、画像に関する検査ということでもっての教育時間というものをきちっと定めて、そしてやっていくべきでないかというふうに考えるわけですが、いかがでございましょうか。
#118
○寺松政府委員 先生おっしゃるとおり、医学医術は進歩いたしますし、科学技術は進歩するということで、安全性の問題が非常に確保されておりましても、いろいろ高度な医療機器も出てまいります。それに伴います業務が発生するわけでございますが、やはり私ども、これから日進月歩のそういう科学技術の進歩、医学医術の進歩に対応いたしまして、教育内容あるいは研修内容も変えていかなければならぬと思っております。その辺はいろいろと専門家の御意見も伺いながら、私ども必要なものについてはそういうふうなことを考えてまいりたい、このように思います。
#119
○五島委員 これは返事は要りませんが、現実問題として、エコー検査にいたしましても、別にエコーの検査というのは何の侵襲もないわけで、安全性はもう最初から確保されている。ただ問題は、我々も随分と医者を相手にでも、若い医者なんかにエコーのトレーニングをして、そして見せろとやってみますと、これは何だと、あるものが映らない。これはよくある話でございまして、胆管を撮影させたつもりが胆管が全然映っていないとか、膵臓を描写させようとしても膵臓が出ていないというようなことはざらにあるわけです。医者の場合はそれは厳しく指導する。
 臨床検査技師にさせる場合も、実際上はいわゆる局所解剖のガイダンスから教えないとだめだということなので、この問題は、やはり画像の検査を行うに必要な基礎的な知識が必要なわけですね。そういう意味では、ぜひこれらを取り扱わす職種については、カリキュラムの中で教育をしていただきたいというふうに要望をしておきます。
 もう一つ、今回レントゲン技師法の中で、こうしたエコーやMRIについて法によってその使用が認められるという形での内容となっております。一方、臨床検査技師については、政令改定でもってこれが扱えるようにというふうになったわけですが、そういう意味においては、レントゲン技師に対する業務独占ではなくて、言いかえれば、名称独占と言えるのかなという形で、レントゲン技師の業務として画像の診断補助ということが追加されるわけでございます。これは率直に言って実態からいうとかなり異常な感じで、なぜレントゲン技師にのみ名称独占を認めるのかということについては疑問があるところでございます。
 そこでお伺いしたいわけでございますが、診療放射線技師の医療機関の従事者数というのは、平成二年十月一日現在で二万八千二百七名であるというふうに厚生省の方からお示しいただいております。現在、臨床検査技師は何名いるのか、また、診療放射線技師の一年間の養成者数は何人いるのか、臨床検査技師の養成者数は年間何人ぐらいあるのか、それをちょっとお教えいただきたいのです。
#120
○寺松政府委員 臨床検査技師の医療機関従事者数でございますけれども、直近の数字が平成二年十月一日でございますが、四万七千三百五十三人でございます。
 それから、年間の養成者数でございますが、臨床検査技師につきましては七十カ所で養成しておりまして、三千四百八十九名を養成しております。それから、ちょっと先生御質問の中にあったかどうかあれでございますが、ちなみに診療放射線技師の方につきましては、養成所数が三十一カ所、それから年間の養成数は千七百四十七名でございます。
#121
○五島委員 この数字からもわかりますように、臨床検査技師とそれから診療放射線技師というのは、大体一対二の割合で臨床検査技師の方が多いわけですね。
 そういう意味では、今、生理学検査というのが、多くの場合いわゆる衛生研究所での検査が相対的にふえてきております。生理学的検査も、日本のハイテク技術の発達の中において、かってに比べるとその操作の扱いに関する作業量は軽減してきているという状況の中で、先ほどは局長、ちょっと生理学検査云々というようなお話がありました。画像検査が生理学と絡むというのは、ドップラー、心エコー、そういうふうなところぐらいであると私は思うのですが、それとは違った、いわゆる画像という形での検査というのがふえてきた。これをどういうパラメディカルスタッフに担ってもらうのが適当かということを考えますと、やはりその養成者数の多い臨床検査技師に期待する部分というのは随分大きいだろうというふうに考えるわけです。
 そういう意味で考えますと、今回なぜレントゲン技師に法の改正によって名称独占を認め、臨床検査技師は政令改定で済ますということにされようとしているのか、その辺について御意見をお伺いしたいと思います。
#122
○寺松政府委員 今の先生の御質問でございますけれども、診療放射線技師につきましては、新たに法律で明記しないことには、規定しなければ、そういうMRIとか超音波の検査ができないという格好になっております。
 ところが、臨床検査技師の方は、生理学的検査というもので一括法律には示されておりまして、したがいまして、それはすべて政令に任せられております。したがいまして、その政令の中で規定をすればそれでいい、結局は政令でもって各検査業務の名前が載ってくる、こういうわけでございまして、別に法律に規定するかあるいは政令のみでやっているかということで差があるわけではございませんで、現実的には同じでございます。
#123
○五島委員 同じということは、今回この法の改正があったからといって、画像に関しては別にレントゲン技師に名称独占を認めたわけではないというふうに理解していいわけでございますか。
#124
○寺松政府委員 したがいまして、臨床検査技師の方にもできますし、できると申しますか、政令改正をやる予定にいたしておりますから、できるということでございます。だから診療放射線技師のみではございません、こういうふうにお答えしたいと思います。
#125
○五島委員 業務が独占でないというのはよくわかっているわけでございまして、例えば今の助看法でいえば、看護婦さんもこれはできることなんですね。だけれども、これはあくまで名称上の問題であって、業務の問題はつながってこないという問題が実際上ある。そういう意味からいえば、業務独占でないということは私もよく理解しておりますが、医療の世界の中において、画像というのはレントゲン技師が名称独占的に、中心リーダーなんだという形になるのかどうか。
 例えば、レントゲン技師が五名、臨床検査技師が十五名いるというふうな病院というのはよくあるわけでございますが、その場合、レントゲン技師のもとで画像の検査というものは臨床検査技師がやっていかなければいけないということになるとすると、非常にそれぞれ矛盾もあるところでございまして、その辺が名称独占の問題として少し気になるところでございます。その辺が、単に両方とも業務ができるという取り扱いであって、特段名称も含めて独占的にやらすということでなくて、この臨床検査技師とレントゲン技師、平等にそれはやっていただくんだということであるとするならば、私はそれは結構なことだというふうに思いますので、その辺どうでございますか。
#126
○寺松政府委員 先ほどからお答えしておりますように、両者とも今先生御指摘のような業務ができる、こういうことでございます。
#127
○五島委員 この問題はそれほど現実問題として重要な問題ではないかもわかりませんが、問題があるということを指摘して、次に行きたいと思います。
 あわせてちょっとお伺いしたいわけですが、今回は診療放射線技師についてこの業務を認めるわけでございますね。診療エックス線技師はどうなるわけですか。
#128
○寺松政府委員 今おっしゃっております後半の……(五島委員「診療エックス線技師」と呼ぶ)診療エックス線技師はできない、こういうことでございます。
#129
○五島委員 診療放射線技師と診療エックス線技師は、診療エックス線技師はレントゲンを扱える、診療放射線技師というのはレントゲンも含むいわゆる放射性物質を被曝する検査に従事できる、こうなっておるわけでございます。いずれもエコーやMRIというのはそれに関係ないのは事実でございます。そして、扱っている部分が画像だからというのであれば、いずれもが画像でございます。これは診療エックス線技師はできないが診療放射線技師はできるんだ、これがMRIやエコーに適用されるというのはどういう理由なんでしょう。
#130
○寺松政府委員 今先生おっしゃったように、エックス線技師の方はエックス線しか取り扱えないわけですね。診療放射線技師はそれ以外にもいろいろ取り扱える。それで、今ちょっと手元のを開いてもらうとわかりますが、その中に、法律で定めて厚生大臣が政令で定める業務をできるということになっておる項目がございまして、それを今やっておるわけでございます。
#131
○五島委員 どうも何か今まで放置していて、慌ててつくったから、その辺の整合性がとれずに法案になったんじゃないかなという疑いがぬぐい切れないのですけれども、これは局長も御承知のように、冷静に考えてみれば、診療放射線技師というのはレントゲンも含めて放射性物質が扱えるわけで、エックス線技師というのはエックス線しか扱えない、こうなっているわけです。
 エコーもMRIも、いずれもそれらとは関係がない作業でございますね。したがって、これを放射線技師に扱わすということは、彼らは一応画像というものを扱いなれているということからやらすわけでございましょう。そうだとすれば、診療エックス線技師だってレントゲンでの画像を扱っているわけで、別にアイソトープを使っての技術がMRIやエコー検査に必要ではないわけでございますから、なぜ診療エックス線技師がそこから排除されるのかということについて、どうも今の局長の話では納得がいきにくいわけでございます。
#132
○寺松政府委員 私が承知しておりますのは、過去の職種といいますか、過去そういう資格も養成したことはもちろんございますが、五十八年からは一定の経過措置をもちまして、現在はエックス線技師というのは養成していないのです。
 今回、診療エックス線技師につきましてこの新たな業務を担わせない理由というのは、私どもこういうふうに考えておるわけでございます。
 診療エックス線技師は、コース二年以上の養成課程及び都道府県知事試験を経て免許が与えられていた資格制度、いたという過去になりますが、資格制度であり、その業務も、百万電子ボルト未満のエネルギーを有するエックス線を人体に照射することとされていました。これはもう先生の御承知のとおりです。したがって、診療放射線技師と比べかなり限定的な資格である。その身につけました知識、技能においても、今回業務を拡大しようとしておりますMRIとかあるいはその他超音波等に関する知識、技術は、身につけている資格とは言いがたいというようなことで、今回はこの業務を担わせない、こういうことにしたわけでございます。
#133
○五島委員 確かに現在養成されておりません。だけれども、現在まだ診療エックス線技師は三千名ぐらいが現実にお仕事をなさっている。これは厚生省の資料の中にも出ておりますね。
 そういう点から見ますと、その人たちにその作業を取り扱わせないということの合理性というのが問題になるわけでございますが、レントゲンの電圧量によって云々というのは、これはあくまでも例えばリニアックであるとか、そういうふうなものの操作の問題を意識してつくられたもので、この放射線やレントゲン線と関係のないエコーやMRIの取り扱いにその基準が入ってくるのはおかしいのじゃないかということを申し上げておきます。ここで押し問答してみても、頑張ってもいいけれども、どうも厚生省はそこまで検討していないのではないかというのが率直な感じでございますので、指摘をさせていただきます。
 最後に、ちょっと大臣にお伺いしたいわけでございますが、医療の現場における医療技術というのは、医学そのものの進歩だけではなくて、日本のすぐれたハイテク技術の応用が随分入っております。したがいまして、それに伴いましてさまざまな検査技術や検査手技が随分と変化してまいります。
 それについて一々、今問題になっておりますように、エコーはだれが、眼底はだれが、エコーといってもこれは一律にいかないので、心エコーなんかの場合に、私は本当にレントゲン技師にやらせて大丈夫かなという気がしないでもありません。生理学の基礎的な知識がない場合、それは無理だろうという感じもします。そういうような点について、そういう資格でもってそういうふうにしていくとするならば、これまでの資格は、人体に触れるとか、はりを刺すとか、そういう人体への侵襲だけでもって資格法が、パラメディック・コ・メディカルスタッフの身分法がその業務との関係で規定されている。これは抜本的に見直していただく必要があるのではないか。
 また、先ほど寺松局長も指摘されましたが、高齢社会に向けて、これまでなかったような職種の医療における役割が非常に大きくなってきている。そういうような中で、それらの身分の問題を一対一、一事業に対してどの職種がという対応軸だけでうまくいくのかどうか、その辺について大臣の御所見をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
    〔山口(俊)委員長代理退席、委員長着席〕
#134
○丹羽国務大臣 私も先生の考え方に賛同をするものでございます。
 基本的には、医療が日進月歩で進歩してまいりまして、新しい器械やまた業務の範囲が広がってくるわけでございますが、そのたびごとに新しい資格制度を設けて行うよりは、なるべく既存の資格においてそれに対応していった方がより効率的であり、患者に対する医療サービスの点からも迅速に進むのではないかと私は考えておるわけでございます。
 そういう中で、私個人といたしましては、新しい業務や新しい器械等を導入するごとに法律によってその業務を縛るのではなくて、できることならば、なるべく政令に落とした中でこの問題を解決した方がよりすぐれているのではないか、このように考えているような次第でございます。
 それから、先ほどから名称独占と業務独占の議論が出ておりますけれども、私の認識でございますが、名称独占はいわゆる名称の資格でありまして、無資格の者もその業務に従事することができる。例えば栄養士、こういうものが要するに名称独占でありますが、業務独占はあくまでも資格を持った者だけが業務ができる、こういうことでありますけれども、いわゆる業務独占の中での相互の乗り入れを今後行っていく考え方に立つものでございます。
#135
○五島委員 終わります。
#136
○浦野委員長 吉井光照君。
#137
○吉井(光)委員 私は、まず最初に准看護婦の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 全国に現在約七十四万五千人の看護婦さんがいらっしゃるわけですが、勤務先といえば、その約八〇%が病院でございます。ところが、最近特に問題になっているのが准看護婦のお礼奉公ということでございます。このお礼奉公というのは、御承知のように、准看の免許を取るために働きながら看護学校に通う学生さんに対しまして、勤め先の病院が数十万円の奨学金支給を盾に、卒業後も継続勤務を要求するものでございます。これは、どこの病院でも深刻化しているところの人手不足を食いとめる看護婦確保の苦肉の策でございますが、午前中、また夕方から、時には深夜まで仕事に追われて月一日か二日の休み、そして手取りが約四万から六万円の給料という極めて苛酷な労働条件、そして学生の人権を軽視した扱いに対しまして、社会的な批判を浴びているわけでございます。
 確かに、労働契約は当事者間の問題でございますので、学生側も自分の将来のことだから慎重に対応することが望まれるわけですが、しょせん学ぶ側、そして教える側の立場の違いは大きいと私は思います。現にこの問題につきまして労基署に改善を申し立てた准看がおるわけでございますが、この一、二年の間にどのくらいの申し立て件数があったのか、そしてその申し立てに対して労働省はどのように対処されてきたのか、お尋ねをしたいと思います。
#138
○戸苅説明員 お答えいたします。
 准看護婦の方々の奨学金の返還などに関しまして、労働基準監督署に行われました申告事案といたしまして私ども把握しておりますのは、昨年の四月から今日まで全部で二十一件ございます。こういった申告があった場合につきましては、申告の内容につきまして事実関係を調査いたしまして、労働基準法に違反するような事実が認められた場合には速やかに是正するようにということで、勧告なり指導なりを行っている状況でございます。
#139
○吉井(光)委員 現在までに勧告等をされた事例はございませんか。
#140
○戸苅説明員 その後の処理の状況について申し上げます。
 是正勧告書を交付したものは二十一件中八件でございます。それから、現在調査中のものが八件ございます。それから、そのほか話し合い等によって解決したもの等々が五件、合計いたしまして二十一件でございます。
#141
○吉井(光)委員 そこで、日本医療労働組合連合会では、昨年の十一月に看護婦一一〇番、これを設置いたしました。そして既に二百件以上の訴えが来ているということでございます。さらに、訴えることもできないで泣き寝入りをしている人は、やはり相当な数に上るのではないかと推測されるわけでございますが、この問題に対する対策といたしまして、私は、病院側には奨学金による引きとめ策ではなくして、もっと魅力ある職場環境づくりに力を注いていただきたい、このように強く要望をしたいわけでございます。
 そして国には、医療充実のため看護婦の確保が不可欠である、このように政府がおっしゃっている以上、養成学校の大半を民間運営に依存するだけではなくして、国にも施設整備やまた公的奨学金制度の充実、そうしたものを積極的に行って、そして、環境整備をもっと考えていくということも当然であると私は思います。
 ところが一方、日本看護協会、これはもう以前から准看制度の廃止を主張しているようでございます。これに対して医師会、これは反対ということでございます。その反対の理由は定かではございませんが、もしいわゆる低賃金によるところの労働力確保の面があるとしたならば、それは言語道断の問題でございます。特に、最近では全国的にこの准看護婦養成所への入学応募者が減少しておる、こういったことから、将来はこれが自然消滅をするのではないか、そういった可能性もあるわけでございます。であるならば、やはり看護婦制度の一本化ということも当然考えられると思うのですが、大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
#142
○丹羽国務大臣 准看護婦の問題でございますけれども、この問題については長い間いろいろ議論を行ってきております。今、吉井先生の方からも御指摘がございましたように、関係者の間でもさまざまな意見がございまして、率直に申し上げてなかなかまとまっておらないというのが現実でございます。
 また、あわせて申し上げさせていただきますならば、毎年この准看の卒業生が三万二千人を超えておる、こういうことでございますので、いわゆる准看の志願者もおるということもまた紛れもない事実だ、こう私は考えておるわけでございます。また、昭和六十二年の看護制度検討会の報告においても、結局、最終的には存続と廃止の両論が併記された、こういう経緯がございます。
 こういうようなこともございますけれども、准看護婦制度のあり方については、今後とも関係者の御意見も十分にお聞きしながら慎重に対応してまいりたい、こう考えております。
 それから、先ほど先生からお礼奉公の話を御指摘いただいておるわけでございますけれども、基本的には民事契約における当事者の問題である、こう私は考えております。ただ、このお礼奉公と言われるようないかにも前近代的な古いイメージ、慣行というものが行われていまして、これが仮に社会通念に照らして常軌を逸した契約であれば、これは適切に正していかなければならない、こう考えているような次第でございます。
 いずれにいたしましても、この准看の問題は大変難しい問題でありますけれども、私といたしましては、要するに、基本的には、准看の資格は取ったけれどもなかなか正看への道が閉ざされておるというのも現実であります。経験もあり意欲もある准看護婦の皆さん方が、いわゆる正看への道がとりやすいような環境づくりのために努力をしていく決意であります。
#143
○吉井(光)委員 では次に、インフォームド・コンセントの検討見通してございますが、御承知のように、昨年の五月に四十四年ぶりに医療法が一部修正の上、改正をされました。そして、この四月から施行されたわけですが、高齢化、そして医術の進歩、それから疾病構造や患者の受療行動の変化などに的確に対応するために、今までの医療の量的サービス中心型から、良質で効果的な医療サービス重視型に抜本的に見直されたわけでございます。
 注目されたインフォームド・コンセントについては、附則の第二条に「医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係をより促進するため、医療の担い手が、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう配慮することに関し検討を加え、」「必要な措置を講ずる」、このように検討規定として盛り込まれているわけでございますが、このことは我が国の医療史上画期的なことではないかと思うのです。
 そこで、検討規定として盛り込まれてからはや一年になろうとしているわけでございますが、このインフォームド・コンセントの導入について、どのような機関がどのような手順で検討を進めて、いつごろまでに検討結果がまとまるのか、その見通しについてお伺いをしたいと思います。
#144
○寺松政府委員 今先生御指摘のように、昨年の国会におきます医療法の御議論の中で、その結果といたしまして法律の附則に規定されたわけでございますが、その趣旨を踏まえまして、私ども今準備に入っているわけでございます。
 インフォームド・コンセントの考え方につきましては、これも先生がおっしゃいましたように、医師等と患者の信頼関係、これを確立しなければならぬということの一つの方法としまして、今後の医療提供の理念の中で重要な事項と私ども考えているわけでございます。
 そこで、私どもは、この予算成立とともに平成五年度の中で予算化を行いまして、インフォームド・コンセントの在り方に関する検討会という経費を計上いたしまして、設置することにいたしておるわけでございます。委員の選考等なかなか難しい問題でございまして、また御関心の分野もいろいろございますので、今その委員等の選任をいたしておるところでございます。できるだけ早く検討会を設置いたしまして、議論に入っていただこうと考えておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、なかなか難しい問題でもございますので、結論というのがなかなか明確にできないかもしれませんが、できるだけこの年度末までには何とか成案をいただけることにいたしたい、このように考えております。
#145
○吉井(光)委員 次は、空き教室の保育所等への転用についてでございます。
 児童福祉法に基づいて保育所がつくられて約四十五年がたったわけですが、最近女性の社会進出、それから核家族化など、いわゆる養育環境というものが大きく変化をしてまいりました。こうした変化の中で、女性が働きながら子育てができるためには保育所はどうあるべきなのか、もう一度見直す必要があると思うのです。
 その見直しを検討してきた厚生省のこれからの保育所懇談会、これが去る四月七日に「今後の保育所のあり方について(提言)」をまとめまして、児童家庭局長に提出をしたわけでございますが、この提言によりますと、これまで行政が主導する形で運営されてきたために、延長保育、それから夜間保育、一時保育など、いわゆる特別保育事業と呼ぶさまざまなメニューがあったにもかかわらず、おのおのの保育事業及び保育施設間に大きな格差が生じている、このように指摘をしているわけでございます。
 すなわち、全国の保育所、園で預かる子供が約百六十二万人、うちゼロ歳児はたったの四万四千人にすぎないわけでございまして、四歳児以上であるならば保母一人で三十人預かることができるが、ゼロ歳児であるならば三人までの基準になっているからでございます。全国に約二万三千カ所ある保育施設のうち、延長保育で千百四十六施設、一時保育で二百七十四施設しかないわけでして、このため提言では、行政側は今までのような特別な保育意識を捨てて、働く女性にも残業もあれば出張もあるといった、いわば保育所の一般の機能として受け入れる必要がある、このように言っているわけでございます。
 また、保育所に対しましては、子育て家庭への支援センターの役割を求めております。さらに、お年寄りや年長の子供たちとの交流センターになってほしい、このようにも言っているわけですが、そのためには、この保育所が地域の中核に位置するということが大事であります。しかも、老朽化した施設の計画的整備が必要であると指摘をしているわけです。
 そこで今、小中学校の児童生徒数が減少をしてまいりました。既に一万近い空き教室があるようですが、これを社会教育施設といったいわゆる文部行政の範囲内での転用だけではなくして、保育所であるとか、また高齢者、障害者の施設に利活用してはどうか。こうした利活用は、ベビーホテル等のいわゆる無許可の保児童福祉施設問題の対策にもつながってくると思いますし、また、既にあるものを活用すれば土地代は要りません。また改築コストも安く上がる。
 しかも複合施設になるならば、世代間の交流であるとか障害者交流、こうしたものも自然に生まれて育っていくと思うのです。さらには、働くお母さんたちへの支援がなければ、将来の出生率の向上も労働力の確保もおぼつかないことを考え合わせれば、まさに一石二鳥である、このように私も思うわけでございますが、文部省の御見解はいかがでしょうか。
#146
○遠藤(昭)説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、児童数の減に伴いまして、今余裕教室というものがかなり出てきております。
 文部省といたしましては、これまで、まず学校におけるそういう余裕が生じた場合には、学習効果を上げるような例えば学習方法の多様化に対応して、それをどう利用していくかというふうなことを指導してまいりましたが、こういった整備が既に十分図られているという場合には、さらにその余裕教室をどう利用するかという問題が出てくるわけでございます。
 その利用につきましては、住民のために例えば社会教育施設として利用していただくということも一方法がなというふうに考えておりますが、基本的には、保育所を含めまして、どのように利用するかということは設置者である市町村でお考えになることでございまして、当該地域の行政需要などを総合的に勘案して、判断をしていただくことではないかというふうに考えております。
#147
○吉井(光)委員 今、最終的には市町村でお考えいただくということでございますが、もし市町村の方からそのような要望がたくさんあるとするならば、文部省としてはそれに余り抵抗をせずに、それを認める方向で検討していただけますか。
#148
○遠藤(昭)説明員 同じ答えになって恐縮でございますが、学校ですから、第一義的には学校の用途に、その次には地域の需要に応じて設置者の方で御判断いただくということかと思います。
#149
○吉井(光)委員 では次に、今回の寡婦福祉資金の余る理由ですね。
 今回の母子・寡婦福祉法の改正案は、寡婦福祉資金貸付金に係るところの特別会計に全国平均で四十九・四カ月分の繰越金がたまっているので、母子の特別会計と統合して、そして資金の有効活用が主なねらいでありますが、寡婦の貸付金の繰り越しが母子のそれに比してなぜ著しく多いのであるか、融資を受けるお母さん方に聞いてみますというと、そもそもこの貸付制度そのものを知らなかったという家庭が非常に多いわけでございます。
 そうした意味で、今回専門的な助言、指導を行う事業を社会福祉事業に位置づけたこと、これは私は非常に高く評価をするわけでございます。しかしながら、申請手続上、民生委員の厳しいチェックがある、それから個人の触れてもらっては困るようなプライバシーにも踏み込まれる、したがって、どうも嫌だ。また、母子相談員は窓口業務に追われて個人相談に乗るところではない、このようにおっしゃる。また、提出書類が多い、時間がかかり面倒である、借りてもいずれは償還しなければならないので将来が不安になる、このようなさまざまな理由で、この貸付制度の利用を敬遠していることが非常に多いように感じました。
 それは当然公的資金の活用でありますから、その手続等についても、これが野放しというわけにまいらないわけでございます。しかし、利用するのは寡婦の皆さん方でございまして、であるならば、ただ単に利用者が減ったからという理由だけではなくして、やはり皆さん方が利用しやすい方途を考えてあげなければいけない。すなわち、利用者の側に立つ発想でなくては私はいけないのではないかと思うのです。せっかくこうしたいい制度をっくったわけでございますから、私は利用者の立場に立って何とか利用しやすい方途を考えていただきたい、このようにも思うわけでございますが、御意見はいかがですか。
#150
○清水(康)政府委員 寡婦資金の方に剰余金が生じている問題につきましては、これは実は都道府県ごとにかなり繰越金の程度にも差がございますので、個別にどこの県はどういう事情というふうなことについては、なかなか一概に言えないわけでございますが、一般的に申し上げますと、寡婦資金の中の貸付需要で一番大きいものはいわゆる住宅資金でございまして、これが全体の四〇%を占めているわけでございます。
 この住宅資金については、住宅の改築とか増築といった需要が毎年あるわけではなくて、ある程度、二十年サイクルとでもいいますか、そういう形で起こってくるので、過去に増改築に必要があってお借りした方が、その後はその需要が後退期に入っている。そういうところに過去に貸したお金が償還されてきますので、償還金よりも毎年の新規の貸し付けの方が少ない、それが繰り越しが生じた理由だと、簡単に言えば私どもはそう思っております。
 しかし、お話しのとおり、その啓発が不十分であるとかあるいは手続が煩雑だとか、いろいろなことでなかなか利用しにくい、利用したくてもなかなかできないというふうなことであっては、せっかくの制度が死んでしまいますので、私どもとしましては、母子相談員の方々の御協力をいただきながら、また実際に各市町村の窓口あるいは母子福祉センター等にリーフレットを置いたり、あるいは市町村社協にも協力をしていただいたり、母子寡婦団体が機関誌を通じて制度の概要をPRしたり、市町村の広報紙に制度を載せたりというふうなことで、いろいろ啓発にも努力しておりますので、今後とも、せっかくの制度がぜひ利用していただけるような姿勢でこの問題には対処していきたい、こう思っております。
#151
○吉井(光)委員 これと同じような問題でございますが、母子家庭の医療費助成制度についての適用拡大でございます。
 御承知のように、全国で約八十五万世帯と推定をされております母子世帯の年間収入を見ますというと、これは税込みでございますが、一般世帯の半分以下ですね。そして三百万円未満の世帯が八割以上を占めておるわけでございます。したがって、母子家庭の経済的基盤というものは極めて弱いわけでございます。その一方で、母子世帯で困っていることがあるという割合を見ますというと七五%、このように非常に高いわけです。その内訳の多くは、家計であるとか健康、そして住居、こういうことになっておりますが、この健康に対するところの不安に援助の手を差し伸べた制度が、現在県や市町村で行っているところのいわゆる母子家庭医療費助成制度でございます。この制度は大変好評でございます。
 そして、各自治体で対象者や年齢、所得制限、助成額等まちまちでありますが、私はせめて県レベルでは同一の基準とすべきではないかと思うのです。一歩自分の町を外れれば、隣接の市では非常にいいとか、また一歩離れれば全然そういった適用も受けないとか、非常に小さい範囲でこの適用がまちまち、非常に格差が大きいわけでございます。したがって、今言ったように、せめて県単位ぐらいで同一レベルのものにしたらどうだろうか、私はこのように思うわけでございます。
 また、非課税世帯を対象としておるために適用者が非常に制限をされておる。したがって、この適用範囲を拡大するよう厚生省の方で行政指導はできないものだろうか。
 さらに、国レベルでもこうした母子家庭医療費助成制度の導入というものをひとつ検討されてはどうかと思うのです。こうした問題についても、あれは地方自治体のやる仕事で国は一切口出しはしない、口出しはできない、このようにおっしゃるかもしれませんが、どうも今までの行政のあり方を見ますというと、口出しすべきところには口を出さずに地方に任せて、そして、口を出す必要のないところに口を出す、こうした行政姿勢というものがあちらこちらに見られるわけですが、ひとつ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#152
○清水(康)政府委員 さまざまの所得制限つきではございますけれども、現在多くの府県においてへ母子家庭等についていわゆる医療費の自己負担分の全部または一部を助成するという制度を実施しているという実態については、私どももよく承知しております。
 ただ、母子家庭の経済基盤が非常に弱いということはそのとおりでございますけれども、医療保険制度の基本的な原則との調整というふうな問題もございますので、私どもが現在やっておりますのは、母子及び寡婦家庭に対する医療費の自己負担分について、いわゆる療養資金という貸付制度で対応しておるわけでございます。
 自治体はさまざまの単独政策ということで、貸付金ではなくて公費による助成ということになっているわけでございますが、私どもがこれを一つの全国統一的な制度にするということにつきましては、例えば一定の最小限の制度を各都道府県に共通な制度としてつくりますと、国民の側から見てかえって福祉の後退になるといいますか、単独政策が後退していくというふうなことにつながるのではないか、そういう心配もございますし、また近年、地方分権の潮流の中で、地方単独政策の重要性ということも言われておりますので、現時点で、国として統一的な母子家庭等に対する医療費助成制度を指導していくということは考えておりません。
#153
○吉井(光)委員 全国統一ということは、今おっしゃったように非常に難しいものもたくさんあると思います。したがって、私は、先ほど申し上げましたように、もうそれこそ川一つ隔てて向こうに行けば非常に格差があるとか、せめてそういったことくらいはある程度平準化してもらいたい。それは各市町村の財政事情も違いますし、また、こういった福祉への取り組みの姿勢というものも違うわけですから、多少の格差はあるにしても、余りにも格差が大きい。したがって、県の方にできるだけ格差をなくすように配慮をしたらどうか、そのくらいの指導でもしていただけたら、このように思うわけでございます。ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で終わります。
#154
○浦野委員長 遠藤和良君。
#155
○遠藤(和)委員 最初に、母子・寡婦福祉法の関連につきまして質問をいたしたいと思います。
 厚生省は、父子家庭、お父さんと子供さんの家庭でございますけれども、この家庭の実態を現在どのように認識をしておりますか。
#156
○清水(康)政府委員 私どもは、父子家庭についての実態調査としては、ちょっと古うございますが、昭和六十三年にやったものがございます。十七万三千世帯ということになっておりまして、昭和五十八年の調査に比べますと少しふえている傾向にございます。そして、父子世帯の平均的な生活状況ということで見てみますと、持ち家率、家を持っておられる方が約六割、有業者一人当たりの年間収入は二百七十六万ということで、これは全世帯の平均と比べますと、余り遜色のないような水準にあるというふうに考えております。
 ただ、父子家庭の場合は、いわゆる育児とか家事に関する点で非常に困っているということを問題として挙げる世帯が多うございますので、いわば抱えている問題は母子世帯の方とは若干異なっているというふうには思いますが、私どもは毎年の予算措置あるいは法制の中で、この父子家庭に対してホームヘルパーの派遣ができるようにとか、育児や家事についての支援対策の充実を図っていくということに今努力しているつもりでございます。
#157
○遠藤(和)委員 この母子・寡婦福祉法というのがなぜ男性には適用されないのでしょう。
#158
○清水(康)政府委員 御案内のとおり、法律の制定経過が、最初は戦争未亡人などの福利を図っていくということなどなどから出てきたという経過も一つございますが、もう一点は、先ほど申し上げましたように、父子家庭については、経済面での困難を解消するという貸付金その他の需要ということよりも、いわゆる家事、育児に関する支援を求める、そういういわばニーズの違いといいますか、課題の違いがあるというふうなことがございます。
 したがって、経済的な支援を中心として自立促進を図っていくという母子家庭、寡婦対策と、父子家庭に対する対策とはおのずからどうも差があるというふうに私どもは認識しておりますので、現在の母子・寡婦福祉法を拡大して父子家庭にも適用していくという方向については、関係団体等の理解をいただくという問題等々もございますので、かなり難しい、相当時間をかけて検討しなければいけない問題ではなかろうか、そう思っております。
#159
○遠藤(和)委員 法律制定時の社会的環境というのは理解ができるわけですけれども、一現在の社会というものから、法律というのは絶えず見直しをするということは大変大事なわけですね。現在は、いわゆる男女雇用機会均等法あるいは育児休業法、こういうふうな法律の発想から考えると、これは男女とも同じ扱いになっているわけでございまして、法律というものが一たん制定されると、どうも時代はどんどん変わっているのに、つくったときの状況というものがいつまでも尾を引いておりまして、時代に合わせた発想の転換というものをしていかなければならないのではないか、こういうことを感ずるのでございます。
 今、社会の中で、不幸にして奥さんに先立たれた男性が子供さんと一緒に住んでいる、あるいは最近は女性の方から離婚を宣言される、こういったケースが大変多くなっている。あるいは家庭裁判所の調停を見ておりましても、どうもそういうケースが最近はふえておるようでございます。
 また、女性の社会的地位が向上するに伴いまして、女性の収入もふえているんですが、男性の方はそんなに変化がない、こういう状況もあるわけでございますから、ひとつこれは現時点で見直しをするか、あるいは今おっしゃいましたように女性と男性で対応が違うというのであれば、男性の方だけ法律によらないで予算措置で行う、女性の方は法律をつくって行う、これはやはり扱いに差があると思いますので、この辺の現時点における見直し、整合性を法律に求めていく、こういう考え方は当然あってしかるべきだ、このように思いますが、どうですか。
#160
○清水(康)政府委員 法律というものが、その法律が制定されるときの経過なり時代背景からつくられてきて、それが時代とともに世の中も変わってくる、あるいは法律制度そのものも時代の変化に対応していくべきだということについては、後追い的か先取り内かは別として、そういうことであろうというふうに私も率直に考えております。
 ただ、今回、現在の母子・寡婦福祉法をいわば準用するような形が、改正して父子家庭も対象に含めるというふうなことがいいのかどうか。あるいは先ほどお話しのように、母子だけは法律があって、父子の方は予算措置その他でやっているのは片手落ちではないかということからすれば、何か単独の父子対策法というふうなものを制定する方がいいのか、いろいろな課題があろうかと思いますので、私ども、この問題につきましてはぜひ時間をかしていただきまして、少し中長期的な課題として検討させていただきたいと思います。
 男女雇用機会均等法ができたり育児休業法ができたりして、その中では男女同等に扱っている、男女無差別であるということについては十分理解をしておりますが、それぞれの法の制定目的等もございます。この母子・寡婦福祉法については、経過が経過でございますので、今直ちに父子家庭を対象にして、いわば準用適用のようなことを考えていくということについては、関係団体の御理解をいただく必要が特にある、こう思っておりますので、少し時間をかしていただいて、中期的課題、長期的課題として検討させていただきたいと思います。
#161
○遠藤(和)委員 この問題、大変重要な問題でございますから、丹羽大臣は若い世代の代表ですから、過去にとらわれないで、これからの社会というものから考えれば当然こうあるべきだという姿で、抜本的な検討をぜひしてもらいたい。
#162
○丹羽国務大臣 私もどちらかというと女性を大変尊重する立場でございますし、また、最近の時代環境、時代の流れ、こういうものから考えますると、女性のみを対象とすることに対しまして先生から御指摘があったことは、大変重く受けとめております。
 今回はこういったような形で出させていただいたわけでございますが、ただいま児童家庭局長からも御答弁がございましたように、この問題につきましてに関係団体とも十分に調整をとりながら、ひとつ前向きに、いわゆる男女均等のバランスがとれる形で検討をさせていただきたい、このように考えているような次第でございます。
#163
○遠藤(和)委員 それでは、今予算措置でやっていると言っておりましたが、父子家庭に対するいろいろな支援策でございます。これは例えば経済的な支援というよりも、むしろ家事だとかあるいは育児だとか、そうしたいわゆるソフトパワーも含めた支援策であると思いますが、これはどのようにこれからさらに充実を考えておりますか。
#164
○清水(康)政府委員 現在、父子家庭に対しましては、いわゆる介護人の派遣をする事業であるとか、それからいわゆるトワイライトステイと言っておりますが、父子家庭において保護者がお仕事を終わって帰ってくるまでの間、児童養護施設等において子供さんを預かって、生活指導や夕食の提供等を行うといったような事業を行うとか、あるいは一般的な家庭養育支援事業といったようなものを行ってきております。また、保育所等への優先入所というふうなことについても努力しているわけでございます。
 父子家庭の必要とするニーズが、家事、育児であるということはそのとおりだと思いますので、現在やっている制度を量的にも質的にも充実しながら、サービスにおいて、必要なサービスを受けたいんだけれども受けられないという実態が起こらないように、鋭意努力をしてまいりたいと思います。
#165
○遠藤(和)委員 子供さんの立場から見ると、お母さんと一緒にいる子供さんよりもお父さんと一緒にいる子供、いわゆる父子家庭の方がいろいろ大変なわけですね。周りから見ておりましても本当にかわいそうな部分があるわけでございますから、これは何かやはりきちっと、単なる予算だけではなくて法律によってこのように支援をしていく、これははっきり今後やっていくべきだ、このように思いますが、そういう観点に立ってもう一回大臣、お願いします。
#166
○丹羽国務大臣 父子家庭というのは実は十七万世帯おりますが、年々増加の傾向にございます。先ほどから御答弁も申し上げておるわけでございますが、経済面では概して、概してでございます、母子家庭に比べまして余裕があるわけでございますが、育児や家事の面でいろいろ苦労がある。そういうことで、ただいま局長が答弁をいたしましたようなもろもろの事業を行っておるわけでございますが、法的な問題につきましては今後の検討課題にさせていただきたいと思っております。
#167
○遠藤(和)委員 それからもう一つ、これは大変古い法律があるんですが、母子保健法という法律がありますね。これは法律が制定されたときに審議会の意見がありまして、この水準は一番低い水準であるから、さらに高い水準にこれをさらに大きく育てていかなければならない、こういうふうなことがあったにもかかわらず、制定時以来法律の改定が行われていないのでございますけれども、この法律の改定というものは考えておりませんか。
#168
○清水(康)政府委員 母子保健法の改正問題につきましては、実は臨時行政改革推進審議会というところにおける提言とか、あるいは昨年五月のこれからの母子医療に関する検討会における報告、そういうところで、母子保健事業を都道府県と市町村と両方がやっているという現状を改めて、市町村移譲という方向で一本化できないかとか、それから小児慢性疾患対策をもう少し見直して、医療費助成にやや偏重している現状から福祉サービス、家庭支援といったものを充実できないかとか、そのようないろいろな御指摘をいただいております。御指摘を受けて、実は昨年、この母子保健法の改正が提案できないかどうか、いろいろ関係団体とも協議をしたわけでございますが、必ずしも団体によって意見の一致が見られなかったというふうなことがございまして、先送りになったというのが実情でございます。
 市町村の方へ母子保健事業を移譲するという問題につきましては、委員御案内のとおり、現在、公衆衛生審議会の総合部会のもとに地域保健基本問題研究会というのが設置されまして、地域保健の将来像といったようなことについて鋭意御検討をいただいておりまして、この地域保健の総合的あり方の見直しがどうなるかというところを横でにらみながら、その一環として母子保健法改正問題にも対応していきたい、そういうふうに考えております。
#169
○遠藤(和)委員 母子保健対策というのは、今いろいろやっているわけですが、法律によってやっているものと予算でやっているものがあるわけですね。
 例えば予算でやっているものとしては、今お話がありました小児慢性特定疾患治療研究事業あるいは一歳六カ月の健康診査、これも本来は法律でやるべきものだなと思うのです。そのほかにもたくさん、地域母子保健特別モデル事業であるとかいろいろな事業をやっているのですけれども、これは厚生省が幾ら継続を考えていても、大蔵省にある日突然すぱっと切られる可能性もあるわけですから、こういうふうな不安定な予算事業ではなくて、やはり母子保健法の中に根拠を求めるような書きぶりの法律というものをつくるということが大事だと思うのですね。これはぜひ検討してもらいたい。
 私ども公明党は、今度、今の点を含めまして議員立法を考えております。近日中に参議院の方に提出いたしたいと思っておりまして、法案もほぼまとまっておりますので、その法案等も一つの材料にしていただきまして、これから立法化を目指して検討する、こういう答弁をぜひ確認をしたい、こう思います。
#170
○清水(康)政府委員 今御指摘の一歳半健診につきましては、昭和五十二年六月から局長通知というふうなことで行って、予算措置でやってきているわけでございます。一方、三歳児の健診というのは、現在母子保健法の規定に基づき、都道府県あるいは保健所が中心になってやっているというふうなことで、よく一般の住民の方々からも、なぜ三歳児は法律事業で一・五歳児健診は予算事業で、片一方は市町村で片一方は県なのか、よくわかりにくいといったような御指摘もいただいております。
 私どもは、健診を含めた基本的な母子保健サービスを市町村の方に一元化するというふうなことについては、先ほど言いました臨時行政改革推進審議会からの御指摘もいただいておりますし、先ほど申し上げました地域保健の将来のあり方を検討する研究会が今行われておりますので、この検討の結果とあわせて、一元化の方向でその位置づけを明らかにしながら改正をしていきたい、こう考えております。
 改正の時期等についてはまだこれからでございますけれども、いろいろな諸答申等が順調にまいりますれば、次の通常国会には提出できないかなというふうな方向で検討したいと思いますが、その際には、公明党が提出されることを予定しているという母子保健法改正に関する提言を読ませていただいておりますので、これもぜひ貴重な参考にさせていただきたいと思います。
#171
○遠藤(和)委員 我が方は政府より早く今国会に出すつもりでございますから、よく検討してもらいたいと思います。
 それから、これは我が党が前から強く主張している問題でございますけれども、乳幼児の医療の無料化の問題です。これは全国の都道府県で実施が進んでおりまして、この間調査をいたしましたところ、一番おくれておりました沖縄も平成六年に導入するということで検討する、これで全国漏れなく都道府県がこの事業を実施するわけでございます。
 アンケートをいたしました。都道府県によってゼロ歳児だけのところもありますし、あるいは三歳未満児のところもあるし、あるいは入院の方だけのところもあるし、所得制限があるなし、随分いろいろと差があるのでございまして、それぞれ都道府県の担当者に国に対する要望を聞きましたら、ぜひ国としてもこの制度に対する一つの助成制度のようなものを考えていただけると、今都道府県で差がある問題が調整をされるのではないか、こういうような希望が大変多いのでございます。
 それで、我が党が勝手に計算をいたしますと、今やっている三歳児未満を対象にして、その医療費の自己負担分を国が例えば三分の一負担するということになると一年間で大体三百億円、二分の一負担ということであれば四百五十億円というくらいの金額でございますから、ここは、前にこの問題を予算委員会で私が取り上げましたら、前の大臣は積極的に検討したい、このような御答弁をいただいておるのでございますけれども、新しい大臣はこれについてどういう見解を持っておりますか。
#172
○丹羽国務大臣 まず、乳幼児の健康につきましては、生涯を通じて健康な生活を送る上におきまして大変重要である、そういうことで、先ほどからお話が出ております三歳児の健康診査など各種の保健事業というのを行っておるわけでございまして、今後ともこういった施策の推進を行っていきたいと思っております。
 今御指摘の医療費の問題でございますが、これは基本的な問題でございまして、まず私どもは、子供からお年寄りまで医療を受ける者と医療を受けない者とのバランス、このことを十分に勘案しながら、やはり医療を受ける受診者には一定の御負担をいただく、これが基本的な考え方であります。
 こういう観点に立ちまして、また私どもといたしましては、例えば大変お気の毒な難病の子供さんやあるいは未熟児あるいは障害児、こういった方々に対する治療などにつきましては手厚い援護がなされておるわけでございますけれども、既にこういった面を十分行っておる、こういうことでございます。
 ただ、乳幼児医療費一般につきましては、今先生がおっしゃったように、具体的に、三分の一を負担すれば三百億円であるとか二分の一の場合には四百五十億円、こういうようなことの推計をなされたわけでございますが、こういうような金額の問題ではなくて、一つの政策的な判断として、地方自治体で実施している無料化について、肩がわり的に国としてその無料化を考えるというのはいかがかと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては無料化を行う考え方はございません。
#173
○遠藤(和)委員 前の大臣から随分後退している印象を受けましたが、無料化を考えてないとすれば、例えば軽減化ですね。これは一つのアイデアではないかと思うのです。
 例えば今、老人医療という特別の保健制度がありますけれども、例えば乳幼児医療保険制度をつくる。乳幼児の方も、乳幼児にするかあるいは就学前児童にするか、それは考え方があれですけれども、そういうところで、例えば定率負担ではなくて定額負担にするという考え方は私はできると思うのです。
 それについて、現行の例えば医療保険制度の中の制度改正でできるのではないかという考え方もございますし、あるいは新しい医療保険制度をつくってやるという考え方もあります。この二つの考え方につきまして、現行の保険制度を変えれば、あるいは診療報酬だけ手直しすればそれはできる、こういう世界の話なのかどうか、これをまず保険局長ですか、聞きたいと思います。
#174
○古川政府委員 お尋ねの趣旨は、乳幼児医療の特質を踏まえまして、医療保険制度で老人保健のような定額自己負担ができるかとか、あるいは新しい別建ての老人保健制度のような制度ができないかということでございます。
 先生先刻御承知のとおり、別建ての老人保健制度ができたわけですが、これは増大する老人医療費をみんなで負担しようというようなこと、あるいは疾病構造が成人病にシフトしてきたことを踏まえて、健康管理を推進していこうではないかとか、あるいは老人医療の無料化、これは昭和四十八年にできているわけですが、これに伴うもろもろの問題を背景といたしまして、若年の方々との負担の均衡とかあるいはコスト意識を喚起するというようなことから、老人の方々にも無理のない範囲内で一部負担をお願いしようということで、老人保健制度ができているわけでございます。
 今のお話でございますけれども、定額という話もございましたが、ただいま申し上げたように、老人保健制度の場合は、老人の負担能力等を勘案して、老人の方々が安心して医療を受けられるようにするということで、定率ではなくて定額というやり方をやったという経緯がございます。
 そういった点でいいますと、一般の乳幼児の方々の場合は、いささか老人保健の場合とは異なるのではないかというようなことで考えておるわけでございます。
 現在、御案内のとおり、医療保険制度においては、乳幼児医療も含めまして、かかった医療費がわかることによってコスト意識を喚起するとか、受益の程度に応じた負担をするというふうなところで考えているわけでございまして、やはり定率一部負担というようなことで、老人保健制度のように定額化することは適当ではないのではないか。
 ただ、御承知のとおり、定率であることによって医療費が高額になる場合には、いわゆる高額療養費制度によって一定の額を超えるものについては医療保険で負担する、そして家計の負担の軽減に配慮するという考え方でございますが、私どもとしては、こういった方向がいいというふうに考えておるわけでございます。
#175
○遠藤(和)委員 そういう考え方は現在時点での考え方なので、そんなことはわかっている話で言っているのですが、いわゆる人口の高齢化とともにもっと深刻な問題は何かというと、少子化現象、子供が少ないという現象です。
 そうすると、本当に安心して生み育てられる環境づくりというものに厚生省は力を入れなければいけないわけでしょう。本当に子供さんを産んでも、例えば医療の問題も心配がない、あるいは育児の問題も心配がない、あるいは教育の問題も心配がない、そうした社会をつくっていかなければいけないわけでしょう。そういう意味で言っているわけであって、どうも考え方が後ろ向きなのです。もっと前向きに、こういうことをつくって、本当に子供さんがすくすく育てられる社会をつくるために、厚生省は今までの発想にとらわれないで新しい発想で頑張ります、こういうふうな目玉づくりにこの話はなるのではありませんか。そういう意味で言っているのです。
#176
○古川政府委員 御指摘のように、健やかに生まれ育つ、そういう環境づくりは大変重要なことであると、実は私も児童家庭局長のときに、そういった問題を海部内閣のときの所信表明の中にあえてお願いといいましょうか、取り上げていただいて、それを契機として政府の中に連絡会議ができている。したがって、健やかに生まれ育つという環境づくりは大変重要な問題である、私はこのことについては人後に落ちないわけでございます。
 ただ、今御指摘のような都道府県、市町村で、自治体で無料化にしているようなものを、大臣が申し上げたように、肩がわりという発想ではなくて、乳幼児あるいは母子保健というものについてもろもろの施策を講じていくということは、私は大賛成でございます。
 ただ、申し上げたように、単純なといいましょうか、そういった医療費の無料化、それが今先生がおっしゃったように、三百億とかあるいは四百五十億という負担が国にかかる。私はそういったことを踏まえて、仮にそういう財源があるならば、健やかに生まれ育つ、もっと広範な大所高所での御議論がいいのではないか。先生の公明党さんが健やかに生まれ育つ環境づくりを大変御推奨されていることについて、私は高く評価させていただいているところでございますが、そういった方向での対応に力を入れていこうということであるならば、私は大賛成でございます。
#177
○遠藤(和)委員 私は無料化に固執しているわけではなく、低減せいと言っているわけです。もう少し安くしろと。例えば定額負担というのはそういう発想です。無料にしろと言っているのではないのです。
 こういう制度を国はつくりましたという話は、今おっしゃいましたけれども、こういう会議をつくりました、ああいう会議をつくりましたといっても、国民から見れば何をやってくれたのか、上の方で会議してわあわあ言っているだけではないですか、こういう話でして、具体的に日常生活の中で、厚生省は実際に少子化社会というのをこんなに真剣に考えて、こういう制度ができたよとかいうものがなければ、何をやっても、何だ小田原評定ではないか、何も考えていないではないか、こういうことになるのではありませんか。
#178
○古川政府委員 そういった健やかに生まれ育つということは、先ほど申したようにあれでございますが、実は老人保健制度と比べてみますと、老人保健制度は、先ほど申し上げたように老人の負担能力ということを勘案したわけでございます。
 例えば児童のいる世帯で見ますと、世帯主の年齢が二十九歳以下の方々の一世帯当たりの平均所得額が平成二年度では四百十二万八千円、それから三十歳から三十九歳の方々が五百六十五万五千円ということで、平均しますと、二十九歳というように年齢を区別しないで議論しますと、大体五百九十六万六千円というふうに、六百万近くなっている。これに対して高齢者の方々は二百八十九万八千円ということで、大体半分とは言いませんけれども、かなり違う。
 そういう負担能力で老人保健制度ができたわけでございまして、私は趣旨においてはあれでございますが、医療保険制度というのは全国民を対象とする制度でございますので、そういった健やかに生まれ育つという関係での軽減ということの全体的な意味で、いろいろな施策で負担を軽減してということについては賛成でございますが、大臣が申し上げたように一つの基本的な方向がございますので、一般の乳幼児医療に関して、特に医療保険制度で低減を現時点でするというようなことについては、いかがかなというふうに思っているということを申し上げているわけでございます。
#179
○丹羽国務大臣 出生率の問題にも絡んでこの話を御提案なさっていると思いますが、出生率が現在一・五三ということで、私ども大変深刻に受けとめております。その原因といたしましては、最近の傾向といたしまして、とにかく結婚しない女性が非常にふえておる。しかも男性、女性とも晩婚化が大変進んでいる。さらに女性におきましては、働く女性が大変ふえておる。そういう中において、私どもは、安心して結婚して子供を生み育てやすいような環境づくりといたしまして、例えば企業の近くに保育園を設置するとかあるいは育児休暇制度、これも一年間、昨年から、二年前でしたか、認められたわけでありますけれども、こういったようなもろもろの環境づくりを行っておるわけであります。
 御主張の乳幼児の医療費の低減化がすぐに出生率の向上に結びつかないということは私は申し上げませんけれども、本質的な問題ではないのではないか。ただ、そういった先生の御意見があるということは、十分に承っておきます。
#180
○遠藤(和)委員 これは私の独断の意見ではなくて、厚生省の中にもそういうことを考えていらっしゃる方がいるのですよ。それを承知した上で私は言っております。今局長は公式発言に終始しましたけれども、やはり乳幼児医療という医療制度を考えたらどうかという議論は広くあることを承知しておりますので、今後推移を見守っていきたいと思っています。
 それから大臣に、もう時間になってしまいましたが、この間、我が党から人工内耳の申し入れをさせていただいたのでございます。この人工内耳という、いわゆる優秀な人工臓器と言ったらいいのでしょうか、これが開発されておりまして、東京医科大学の船坂宗太郎教授が第一人者でございますけれども、たくさんの方々にこの埋め込み手術をしておりまして、手術を受けた方々は喜びの声を「よみがえった音の世界」という本の中でつづっているわけでございます。
 これはもう先進国では特に幼児の方、小さい方に対する手術が普及しておりまして、リハビリテーションのシステム等も完備をしておるというようなことでございますが、日本では厚生省さんが理解を示してくださいまして、東京医科大学を初め現在六施設で高度先進医療の適用を受けているわけでございます。これをさらに今度特定機能病院の指定を受けた医療機関においては、省令がなくとも直ちにこの人工内耳を高度先進医療に指定することをぜひ進めてもらいたい。
 さらに、できれば、今この人工内耳の手術料というのが、高度先進医療になっておりましても自己負担が三百五十万円かかるものでございますから、安全な手術でございましてたくさんされているわけですが、これを一般保険適用ということをぜひ考えてもらいたい。船坂先生にこの間お伺いしたのですけれども、これが例えば全国の特定機能病院で手術ができるとしても、この手術に適当な患者さんというのはそんなにたくさんいらっしゃらなくて、一年間で百人ぐらいの程度ではないか、このように言っておりますので、これが一般保険適用になっても、そんなに金額としては大きなものにはならないのではないか、こういうことがございます。
 この二点、高度先進医療の適用を全特定機能病院において省令がなくても全部できるようにする、それからもう一点は、来年度の診療報酬の改定時にぜひ一般保険適用を考えていただきたい、この二点についてまずお伺いしたいと思います。
#181
○古川政府委員 第一点の高度先進医療の今度の特定機能病院に対する問題については、手続の簡素化ということを図っておりますので、それに従いまして対応していきたいと思います。
 それから、保険の一般的な全面的な適用の議論でございますが、先生御承知のとおり、高度先進医療から保険導入を図る場合には、従来から中医協に専門家会議というものが設けられておりまして、そこで普及性とか有効性、効率性、安全性、技術的成熱度ということについて総合的に判断していただいて、それをもとに中医協の御審議を踏まえて進めていく、保険導入が適当と認められる場合には通常の診療報酬の改定ごとに導入を図ってきている、こういうことでございます。
 この人工内耳が大変大きな福音になっているというようなこと等も承知しておりますし、私どもとしては、そういった所要の手続がございますので、普及性等々も検討しながら中医協にお諮りをし、御審議を賜って、通常の手続のもとで保険導入の是非について検討してまいりたい、かように考えております。
#182
○遠藤(和)委員 それでは、大臣に最後に、先般の申し入れのときにいろいろな項目があったのですけれども、特に幼児の専門リハビリ施設をつくってもらいたいとか、あるいは特にリハビリまで含めたチーム医療体制、そういうものをぜひお願いしたいとか、あるいは治療とか研究に対する助成であるとか民間施設に対する助成、こういった幅広い分野につきましても、この人工内耳がより普及されるように御配慮をお願いしたいと思いますが、大臣の答弁を求めて、終わります。
#183
○丹羽国務大臣 人工内耳につきまして先生から御紹介をいただきましたこの「よみがえった音の世界」、私も読ませていただきまして大変感動を受けたわけでございます。難聴の方々の大きな福音となっていることへの認識を新たにいたしたわけであります。
 現在、全国で二十七カ所ある難聴幼児の通園施設では、聴力や言語能力の機能訓練を担当する職員を配置をいたしまして、難聴幼児の訓練、さらに母親への指導を行っておりますが、これに必要な運営費につきましては国や地方自治体の公費で賄っており、今後とも一層の充実に努め、一人でも多くの子供たちが音を取り戻せるように、これからも先生の御指導を仰ぎながら頑張っていく決意でございます。
#184
○遠藤(和)委員 終わります。
#185
○浦野委員長 児玉健次君。
#186
○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 まず、母子・寡婦福祉法について、この制度での貸付金は、個人の場合年利三%または無利子、活用いかんによっては大きな役割を発揮するだろうし期待も強い、こういうものです。
 そこで、まずお聞きしたいのは、改正案の第十九条の六の二項、都道府県は剰余金が「政令で定める額を超えるときは、」いろいろ言っていますが「国に償還しなければならない。」このようになっています。「政令で定める額」とはどのような基準で設定していくのか、そして今回の改正によって新たにこの償還の規定をつくることで、貸し付けの業務に今後支障が生じないのか、そのことをまず伺います。
#187
○清水(康)政府委員 委員御案内のとおり、現行の制度におきましては、仮に寡婦福祉資金に剰余金が生じたといたしましても、事業そのものを廃止しない限りは、一般会計に返すとか国に返すという規定がございません。また、他の会計の方に融通するという規定もございませんので、結果としてはそこに相当のものが死蔵されるといいますか滞留するといいますか、そういう形になっておるわけでございますが、今回私どもは、この会計の統合を機会にしまして、都道府県の貸付実績などを勘案しながら、将来の貸し付けに当たっても必要かつ十分な資金の確保ができるという場合には、一定の額を超えるものについて国の方に返したり県の一般会計に返したりする道を開こう、こういうわけでございます。
 その場合の具体的な政令制定のめどでございますが、私どもは、現在のところ、都道府県の実績その他を調べながら、過去の貸付実績のいわば繰越金が確定した段階で見まして、おおむね二十四カ月ぐらいのものが保留されておれば貸し付けに支障が生ずることはないのではないか、そう思っておりますが、これは政令でございますので、今後、法律改正をしていただいた後に、大蔵省、自治省を含めて関係省庁で協議をして定めていきたい、こう考えております。
#188
○児玉委員 一番肝心な点は、今度の改正案の第十九条の六で、「国は、都道府県が福祉資金貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額を、当該繰入れが行われる年度において、無利子で、当該都道府県に貸し付けるものとする。」この点が遅滞なく、そしてこの規定にあるとおり行われれば今後の見通しが出てくると私は思うが、その点はどうでしょうか。
#189
○清水(康)政府委員 御指摘のとおり、この法律の規定は、地方が繰り入れをした場合に国はその倍を無利子で貸します、こういう建前になっておりますので、私どもとしましては、償還の規定が置かれることによって、同じ年度の中で、一方で返したり、また一方で新規の原資を追加したり、そういうことが通常起こってはいけないということだろうと思いますので、そういうことが一般的に行われないように、十分実情に即した政令案にしていきたい、こう考えております。
#190
○児玉委員 今度の改正案で、同じく新たに設けられたものに第十九条の六の四項と五項がありますね。その第十九条の六の四項です。皆さんが配ってくださったのでいえば十四ページ。そこでも、都道府県は、都道府県の発意によって、国からの借入金を国に償還することができると。なぜこのような規定を設けなければならないのか。先ほどの質問ともあわせてのことですが、貸し付けの原資に困難が生ずることはないかという危惧が生まれていますが、いかがですか。
#191
○清水(康)政府委員 今御指摘のとおり、この規定はいわゆる義務償還ではなくて任意償還でございますが、現実に貸付金制度を維持している間、任意に返すということを都道府県が行うとは通常は思えませんけれども、義務償還の規定を置いたこととの対応において、もし仮にどうしても一般会計に返したいということがあれば、それを拒否する筋ではありませんので、できる規定を置いたという程度の意味でございます。
#192
○児玉委員 今の論議の経過は大臣にもよく記憶しておいていただいて、第十九条の六のとおり進めていただくことを強く求めておきます。
 そこで、繰越金が多額になると、都道府県のそれぞれの状況も拝見したのですが、繰越金をどうやって国に償還させたり都道府県の一般会計に戻させるか、そのことよりも、むしろ都道府県がこの制度の存在について、制度の対象になる方々に対してあらゆる方法を使って周知徹底をする、私はこのことの方が本筋だと思うのです。いかがですか。
#193
○清水(康)政府委員 せっかく母子家庭や寡婦の方々の自立助長のためにこういう制度を設けているわけでございますし、無利子の資金という非常に有利な資金もございますので、御指摘のとおり、これを返すのが本筋では全くありませんで、積極的に御活用いただくということが非常に重要だと思います。
 したがって、私どもは、例えば貸し付けの条件に当たって保証人というような制度があるわけでございますけれども、そういう保証人などについても、先ほども他の委員の方に御答弁申し上げましたが、相互保証と言っておりますが、借り入れを行った方が別な方の借り入れについて保証人になるというふうな弾力的な運用も認めております。
 できるだけ広く活用していただくというのが制度の趣旨でございますので、運用に当たって積極的なPRも行い、母子相談員の方々の御協力もいただきながら、母子家庭の方々には、この償還金が次の方の貸し付けの原資になるのだということを真摯に御理解いただいて、かなり高い償還率になっております。そういう誠実な償還もしていただいておりますので、積極的にそのお金がむだにならないように配慮してまいりたい、そう思います。
#194
○児玉委員 もう少し貸付金の内容に立ち入りたいと思います。いただいた資料をゆっくり拝見しました」
 それで、この中にあります就学支度資金、それぞれ対象者が明記されています。これは修学資金とともに最もよく利用されているものだ、こう思います。
 私のところに札幌市の仮にKさん、四十二歳の方で、上の子が高校二年、その次がことし入って高校一年、中学生、小学生、四人の子供さんがいらっしゃる。昨年、上のお子さんが公立高校に入ったときはこの制度を利用することはなかった。今春二人目が入って、やはり大変だ、いろいろ聞いたらこういう制度がある。そこで、札幌市の貸し付けについての施行細則を取り寄せてみたのですが、合格証明書または入学許可証の写しが必要、こうなっています。
 大臣も御存じのとおり、入学許可が出たら、その許可の通知書の中で、大学も高校もそうだが、必ず何月何日までに納入すること、そのときまで納入がなければ入学の意思なきものとみなす、大体こういう仕掛けになっています。それで、このKさんが、せっかく公立て八万円という制度があるわけですから、間に合わせようと思って一生懸命やったけれども、とうとう納入期限に貸し付けが間に合わず、やむを得ず児童扶養手当を担保にして借金をして、とりあえず払って、そして後からその八万円を受け入れた。こういうことがないようにしなければならないのじゃないか。
 例えば受験をしたときに仮の手続をしておいて、そして合格したら、追加してそれを添付することで手続を早める。これは都道府県が行っていることです。厚生省としてもその点での指導といいますか、強めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#195
○清水(康)政府委員 今お話を聞いて考えていたわけでございますが、確かに就学支度資金の制度というものは、それを納付させる時期に間に合わないことにはその趣旨が半減するといいますか、結果的に後から借りたとしましても、せっかくの資金の趣旨が半減してくるということでございますので、できるだけ資金の性質に応じて貸付事務が迅速に行われるように、今の例でいいますと、納入通知の来る時期に間に合うような貸し付けができるようにやっていかなければいかぬと思います。
 具体的には札幌市なり道の条例その他で手続が決まっておりますので、今御指摘の具体的な例につきましても地方団体の方から聞いてみまして、どこをどう改めればそういう問題が起こらなくて済むのか、先ほど受験時に内定したらどうかという具体的な御提案もございましたけれども、よく事情を聞いてみたいと思います。
#196
○児玉委員 受験したときに合格が内定しているわけではないので、例えば受験をしたときに仮の手続をしておいて、合格の通知が来たらそれを追加すればいい。今の御趣旨わかりますので、そのように進めていただきたい。
 次は、同じく就学支度資金に関連してなんですが、一昨年でしたか、皆さん方はこの金額の限度額を引き上げられた、こう聞いております。現在は公立高校が八万円、私立高校二十二万円、大学についてもそれぞれ規定があります。調べてみました。なかなか最近の学校は細かで、水着の金額からキャップから教科書についてもずっと書いてあって、それらを入学時に納入する仕掛けになっている。北海道の公立高校普通科、ある場合です、十万七千二百円、工業高校の機械科、これは小樽市の場合ですが十五万四千百七十五円、私立の普通科、仮にA高校としておきますが、入学一時金だけで二十二万円です。今の就学支度資金がそれだけで消えてしまう。そういった状況にあるので、実態に合わせた検討が必要ではないか。
 さらに、これは大臣に私はお聞きしたいのですが、住宅資金は百二十五万円です。事業開始資金は二百四十二万円。貴重な金ではあるけれども、今百二十五万円で住宅の改修やないしは入手が可能かといえば、それは不可能ですね。それで、一気に十分なとは言わないけれども、実態を調べて速やかに見直していただきたい。そのことがこの制度を活用していく確かな道だ。いかがでしょうか。
#197
○清水(康)政府委員 この資金の貸付限度額の問題につきましては、御指摘のとおり、逐次他の制度の金額なども参考にしながら、例えば教育資金でありますと日本育英会の資金はどうだとか、そういうことなども参考にしながら、またいわゆる物価スライドといいますか、そういうことも考えながらそれぞれ努力してきておるわけでございますが、例えば今御指摘の就学支度資金につきましても、私立高等学校につきましては、昭和六十三年では十八万円ちょっとだったものを現在二十二万円に上げているということで、努力してきております。
 これからも貸付限度額が適正に引き上げられていくよう、関係方面と折衝して努力していきたい、こう考えております。
#198
○丹羽国務大臣 まず、母子家庭八十五万世帯、寡婦百四十二万人の方々は、いろいろな面でハンディを背負いながら生活をしておるわけでございますので、私どもはその生活の安定と向上を図るために努めていかなければならない、このように考えているような次第でございます。
 母子及び寡婦福祉資金の貸し付けにつきましては、これまでも貸付限度額の引き上げや貸し付けの対象を逐次広げてきておるわけでございます。平成五年度におきましては、住宅資金を、新しく建てる場合、要するに建設する場合、購入する場合も加えたところであります。
 先生の御意見もまた大変含蓄のある御意見として承っておるわけでございますが、今後とも福祉資金貸付金の貸し付けを一層推進するとの観点から、必要に応じて貸付限度額の引き上げや貸し付けの対象を広げていく、こういうようなことで、都道府県に対しましてこの制度の普及啓発を一層促進していく決意でございます。
#199
○児玉委員 そのようにお願いしたいと思います。
 では次に、診療放射線技師法についてお伺いをします。
 民間の中小病院、診療所を中心にして放射線技師の不足が現在極めて深刻だ、そのように私たちは承知しております。先ほども質問がありましたが、厚生省の診療放射線技師需給計画検討委員会の九二年八月十九日の報告書を拝見したのです。九五年の段階の不足数が三千百八十六名、非常に特徴のある推計法をなさっているようだけれども、そこに向けて養成を抜本的に強化しなければならないと私は考えています。
 伺いたいのですが、現在、一番新しいものでいいですが、国家試験の合格者、そしてその中で就職された方は何人でしょうか。
#200
○寺松政府委員 診療放射線技師の国家試験の合格者数でございますけれども、平成元年から平成三年ぐらいまで大体千四百五十人前後できたわけでございますが、平成四年はちょっと下がりまして千百八十三人、平成五年は千六百三十人、ここは多くなっております。
 それで、これは私どもの推測でございますけれども、これらの方々はほとんどの方が恐らく医療機関に就職されているだろう、こういうふうに思っております。
#201
○児玉委員 そのほとんどの方がというのは甘くないだろうか、こう思いますね。皆さん方が設置された検討委員会の報告書で、九五年といったらもう再来年になりますか、三千百八十六と。今局長言われたように、ことしていえば千六百三十人、この人たちがそのまま職場に入ったというのは実態に合わないのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#202
○寺松政府委員 平成五年はちょっと今まだ数字の確認はしておりませんのですが、平成二年にいろいろと数字を調べてみますと、平成二年から三カ年ぐらいの平均のものでございますけれども、国家試験合格者数が三カ年で大体四千三十であったわけでございますが、医療機関従事者数がふえておりますのが四千九十八でございますから、まあまあ大体就職しているのではないかな、こういう予測した根拠でございます。
#203
○児玉委員 私も病院に入られる率が高ければ高いほどいいと思っているのですが、そこのところの実態はさらにきちんとつかんでいただきたい、こう思います。
 養成課程の状況ですが、先ほどもお話がありました。入学定員千七百四十七名、圧倒的に私学に依存していますね。それから、養成課程が存在している地域は二十都道府県にとどまっていて、約半数の県には診療放射線技師の養成機関がない。この状態を放置していたのでは、さっき言いました中小の民間の病院と診療所に技師が決定的に足りないという現状に加えて、地域的なアンバランスがますます激しくなっていくと思う。厚生省としてはどのような計画、どのような指標を持ってこの後の養成強化に当たるのか、その点を端的にお示しいただきたい。
#204
○寺松政府委員 私ども、今先生御指摘のように、確かにどちらかというと私立のといいますか、民間の養成所に非常に依存しておるということは言えるわけでございますが、これからのいろいろの養成を予定しております施設を見てみますと、大体都道府県あるいは文部省というようなところがかなりの数を占めております。したがいまして、今後はだんだんと恐らく公立あるいは国立などのそういう施設の数がふえてくるのではないか、このように予測しております。
#205
○児玉委員 今度の法案の提案趣旨の中にもありますけれども、画像診断技術の高度化、そして医学の水準のレベルアップ、そういった中で、数々の職種のある医療従事者の中で診療放射線技師の果たすべき領域といいますか、そして他の職種とのオーバーラップの関係、そのあたりについて少し具体的に御説明いただきたいのです。
#206
○寺松政府委員 私ども、細かいお話はちょっとあれかと存じますけれども、今回の改正の基本的な考え方というのは、医学の進歩がどんどん進んでおります。それに応じまして新しく業務がいろいろ生じてきておるということでございます。
 そこで、既存の医療関係職種の業務とその隣接しておりますものにつきましては、関係の職種がそれぞれの持ちます専門性を生かしながら、効率的かつ適正に業務の役割分担をしていこう、こういう基本的な考え、もっと簡単に申し上げますと、それぞれの持っております専門的な技術を中心といたしまして、その隣接の領域についてはお互いに相互に乗り入れてマンパワーを効率的に活用する、こういう考え方でこれからは養成していきたいと考えております。
#207
○児玉委員 文部省に来ていただいていると思います。
 今の厚生省の質問と深く関連するのですが、診療放射線技師の医学領域で果たすべき役割というのはかなり広くなっているし、深くなっているし、重要性が増していますね。そういった中で、本年度から大阪大学において診療放射線技師の四年制の課程が発足をしたと聞いています。どのような経過でそうなったのか。
#208
○遠藤(純)説明員 今年度、大阪大学の医学部に保健学科ということで放射線技術科学専攻がで走るわけでございますけれども、この専攻は昭和二十七年に大阪大学医学部附属の診療エックス線技師学校として発足しまして、その後、昭和四十二年に看護あるいは衛生検査技師といったような学校と一緒になりまして、医療技術短期大学部ということに改組されまして、放射線技師の養成を行ってきたところでございます。
 大阪大学におきましては、昭和六十年以来、学内に検討委員会を設置しまして、四年制大学における医療技術教育のあり方あるいは教育、研究体制等について検討を行ってまいりまして、このたび、これらの長年にわたる自主的な検討を踏まえて、大学から文部省に四年制にしてほしいという要求が出たわけでございまして、国の行財政事情等を勘案しながら、平成五年度におきまして医療技術短期大学部を発展的に解消しまして、大阪大学の医学部保健学科、これは放射線技術科学専攻と看護学専攻と検査技術科学専攻の三専攻から成っておるわけでございますけれども、これを設置しまして、平成六年、来年の四月から学生を受け入れる、こういうことになっておる次第でございます。
#209
○児玉委員 大変注目をしていますし、期待も強い。現在、北海道大学、弘前大学、東北大学から、ずっといって九州大学、熊本大学まで、それぞれ診療放射線技師を短期大学といって三年の課程で養成していますね。今日の社会的なニーズからして、一つはそれぞれの大学で四年制に引き上げていくことの検討と、もう一つは入学定員の拡充ですね、そのあたりについて文部省に私は特段の努力をしていただきたい。どうでしょう。
#210
○遠藤(純)説明員 こういった放射線技師等の医療技術者の養成につきまして、近年の医学、医療の進歩に対応するために、四年制での教育というのはこれから非常に重要になってくるだろう、こう思っておるわけでございます。
 したがいまして、こういった医療技術者を養成します公私立の大学の設置許可に当たりましては、方針としまして、これから十八歳人口が減っていくわけでございまして、一般的には原則的に抑制ということでございますけれども、こういう医療技術者を養成する大学等につきましては、その方針の例外という扱いにしておるわけでございます。
 一方、国立につきましても、今回大阪大学を四年制と、大学の長年の検討を待ってそうしたわけでございますけれども、御指摘ございましたような国立大学の短期大学の昇格につきましては、かなり膨大な人と金が要るものですから、そういった行財政事情と、それから大学内での検討といったようなものを勘案しながら今後適切に対処していきたい、こう考えておるわけでございます。
 それから、定員の拡充の件でございますけれども、例えば法学部とか経済学部といったようなところと違いまして、こういった医療技術者につきましては、一人一人丁寧に教えるということでございますので、余り量をむやみにふやすということもできないんじゃないか、やはり適正な規模での教育ということでやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#211
○児玉委員 非常に率直な御発言で、その点はあえて言わないでおきましょう。
 最後に厚生省に聞きますけれども、私学では鈴鹿医療科学技術大学、藤田保健衛生大学、こういったものがありますね。厚生省としても四年制の課程を診療放射線技師の養成の中で進めていく、そのことが必要だと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#212
○寺松政府委員 文部省から力強いお話がございましたのですが、私どもの方はこういうふうに考えております。
 診療放射線技師の養成につきましては、医療技術の進歩による業務の高度化と対応して資質の高い有資格者を確保していく、こういう観点から、四年制大学の設置に取り組まれることは基本的には望ましいんじゃないか、このように考えておるわけであります。
 しかしながら、診療放射線技師の学校養成所の修業年限の問題でございますけれども、その年限の間に必要な知識あるいは技能を習得できるかどうかという観点から、法令土地の医療関係職種とのバランスの問題もございます。高等学校卒業後三年以上と定められておりまして、現在診療放射線技師の量的な不足も指摘されております。こういうようなことで養成力を増強しなければならない、この辺の状況も御勘案いただきたいと思いますが、そのようなことを踏まえまして、現在のところ四年制でなければだめだというふうな考え方にはなりにくいと申しますか、そういう状況にあるわけでございます。
#213
○児玉委員 終わります。
#214
○浦野委員長 以上で各案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#215
○浦野委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに各案について採決に入ります。
 まず、内閣提出、母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#216
○浦野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#217
○浦野委員長 この際、本案に対し、平田辰一郎君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。遠藤和良君。
#218
○遠藤(和)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    母子及び寡婦福祉法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 母子福祉資金及び寡婦福祉資金の充実等に努めるとともに貸付制度の周知啓発に努めること。
 二 居宅介護等事業、職業訓練の実施など母子及び寡婦に対する福祉施策の総合的な推進に努めること。
 三 家事及び育児の支援等父子家庭に対する支援策の充実に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#219
○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 平田辰一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#220
○浦野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#221
○丹羽国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#222
○浦野委員長 次に、内閣提出、参議院送付、診療放射線技師法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#223
○浦野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、参議院送付、視能訓練士法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#224
○浦野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#225
○浦野委員長 この際、両案に対し、山口俊一君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。網岡雄君。
#226
○網岡委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    診療放射線技師法の一部を改正する法律
    案及び視能訓練士法の一部を改正する法
    律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一 医学医術の進歩等に伴い生ずる業務に医療の現場で適確に対応できる能力を有する医療従事者を養成するため、医療関係資格の養成施設の教育内容を適切に見直していくとともに、各養成施設が魅力ある学校づくりに取り組めるよう配慮すること。
 二 近年、不足が指摘されている診療放射線技師について今後の需要見通し等を踏まえながら養成施設の確保に配慮すること。また、視能訓練士についても今後の需要動向の把握に努めながら、養成施設の確保に配慮すること。
 三 医師をはじめとする医療従事者が、適切に連携協力しつつ、医療の受け手との間で信頼関係を築きながら、求められる医療サービスを提供することができるよう質の高い医療関係職種の養成確保に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#227
○浦野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 山口。俊一君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#228
○浦野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり両案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#229
○丹羽国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#230
○浦野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#231
○浦野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#232
○浦野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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