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1993/03/25 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第2号
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1993/03/25 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第2号

#1
第126回国会 法務委員会 第2号
平成五年三月二十五日(木曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 浜野  剛君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 善之君
   理事 田辺 広雄君 理事 津島 雄二君
   理事 星野 行男君 理事 小森 龍邦君
   理事 鈴木喜久子君 理事 冬柴 鐵三君
      愛知 和男君    石川 要三君
      奥野 誠亮君    鯨岡 兵輔君
      塩崎  潤君    中西 啓介君
      野田  毅君    小澤 克介君
      小岩井 清君    沢田  広君
      谷村 啓介君    鉢呂 吉雄君
      渡辺 嘉藏君    中村  巖君
      山田 英介君    木島日出夫君
      中野 寛成君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤田正晴君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 濱崎 恭生君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省入国管理
        局長      高橋 雅二君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局給与第一
        課長      大村 厚至君
        人事院事務総局
        職員局職員課長 石橋伊都男君
        国税庁課税部所
        得税課長    古出 哲彦君
        国税庁調査査察
        部査察課長   石井 道遠君
        文部大臣官房審
        議官      小林 敬治君
        農林水産省構造
        改善局農政部農
        政課長     菊池 俊矩君
        運輸省自動車交
        通局貨物課長  鈴木  朗君
        労働省職業能力
        開発局海外協力
        課長      都築  讓君
        建設省建設経済
        局宅地開発課民
        間宅地指導室長 榊  正剛君
        建設省河川局治
        水課都市河川室
        長       貞包 秀浩君
        会計検査院事務
        総局第四局農林
        水産検査第二課
        長       高山 丈二君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  上田 豊三君
        最高裁判所事務
        総局民事局長
        兼最高裁判所事
        務総局行政局長 今井  功君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  島田 仁郎君
        最高裁判所事務
        総局家庭局長  木村  要君
        法務委員会調査
        室長      平本 喜祿君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月九日
 辞任            補欠選任
  小岩井 清君        小川 国彦君
  谷村 啓介君        上田 卓三君
同日
 辞任            補欠選任
  上田 卓三君        谷村 啓介君
  小川 国彦君        小岩井 清君
同月十日
 辞任            補欠選任
  伊東 秀子君        元信  堯君
同月十一日
 辞任            補欠選任
  元信  堯君        伊東 秀子君
同月二十五日
 辞任            補欠選任
  伊東 秀子君        鉢呂 吉雄君
  大内 啓伍君        中野 寛成君
同日
 辞任            補欠選任
  鉢呂 吉雄君        伊東 秀子君
  中野 寛成君        大内 啓伍君
    ―――――――――――――
三月二日
 消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
 る請願(岡崎トミ子君紹介)(第三五五号)
 同外一件(田中恒利君紹介)(第三五六号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第三八二号)
 同外一件(貴志八郎君紹介)(第四〇四号)
 同(日野市朗君紹介)(第四〇五号)
 同(日野市朗君紹介)(第四三六号)
 同(日野市朗君紹介)(第四六九号)
 夫婦同氏別氏の選択制の導入と続柄欄の廃止に
 関する請願(沖田正人君紹介)(第四六七号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第四六八号)
 夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸
 籍法の改正に関する請願(伊東秀子君紹介)(
 第五〇六号)
同月十日
 消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
 る請願(戸田菊雄君紹介)(第五四八号)
 同(日野市朗君紹介)(第五七九号)
 同(五十嵐広三君紹介)(第五九九号)
 同(伊東秀子君紹介)(第六〇〇号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第六〇一号)
 同(宇都宮真由美君紹介)(第六四六号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第六四七号)
 同(松原脩雄君紹介)(第六四八号)
 夫婦同氏別氏の選択制の導入と続柄欄の廃止に
 関する請願(竹村幸雄君紹介)(第五七八号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第五九八号)
同月二十三日
 消費者のための製造物責任法の早期制定に関す
 る請願(児玉健次君紹介)(第七五九号)
 同(中沢健次君紹介)(第七六〇号)
 同外四件(佐々木秀典君紹介)(第八二八号)
 同外八件(小林恒人君紹介)(第八四五号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第八五八号)
 同外五件(小林恒人君紹介)(第八五九号)
 同(五島正規君紹介)(第八七五号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第八九二号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第九二三号)
 同外四件(小林恒人君紹介)(第九二四号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第九二五号)
 非嫡出子差別を撤廃する民法等の改正に関する
 請願(木島日出夫君紹介)(第七六一号)
 同(土井たか子君紹介)(第七六二号)
 同(徳田虎雄君紹介)(第七六三号)
 同(倉田栄喜君紹介)(第八四三号)
 同(谷村啓介君紹介)(第八四四号)
 同(長谷百合子君紹介)(第八七六号)
 同外十四件(常松裕志君紹介)(第八九三号)
 同(菅直人君紹介)(第九二六号)
 同外九件(常松裕志君紹介)(第九二七号)
 夫婦同氏別氏の選択制の導入と続柄欄の廃止に
 関する請願(五島正規君紹介)(第八二七号)
 佐川急便事件に関し、検察当局の厳正な捜査、
 追及に関する請願(伊藤茂君紹介)(第八六〇
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第二二号)
 不動産登記法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二三号)
     ――――◇―――――
#2
○浜野委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所上田総務局長、今井民事局長、島田刑事局長、木村家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
#4
○浜野委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
#5
○沢田委員 裁判所の定員について、後でいろいろな問題に行きますが、件数で見ますと、五十六年は刑事が一万件ぐらい、民事の方は二万件だったのが平成三年は二万三千件で、刑事の方は六千六百件と減っているのです。人が足らぬということは我々も認めます。認めますが、その因果関係といいますか、五十六年のときにまできていたものが今になったらできなくなったという原因はどこにあるのか、どこの部分が不足をしてきているのか、その点ちょっと御説明いただきたいと思います。
#6
○上田最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。
 委員の御質問は、五十六年当時に、当時の人員でこれだけの事件が処理できたのが、事件がそれほどふえていないのにどうしてそれが処理できないか、こういう御質問だろうと思います。
 私どもとしましては、今増員をお願いしているわけでございますが、国民の皆様方の要望にこたえて、できるだけ適正迅速な裁判を実現したい、こういうことを考えておりまして、そういった観点から増員をお願いしている、こういうことでございます。
#7
○沢田委員 それだったら、一件当たりの日数の比較表を出して、そして一件当たりにこれだけ前はかかった、百日なら百日かかった、今は一件当たりが百三十日になった、やはりそういうことが明らかにされる必要があると思いませんか、どうですか。
#8
○上田最高裁判所長官代理者 ただいまの御質問は平均審理期間ということかと思われます。
 お手元にお配りしております法律案関係資料の二十五ページをごらんいただきますと、それぞれ裁判所別に、昭和五十六年以降でございますが、ここに平均審理期間というものを掲げております。ここには掲げてございませんが、昭和五十年の前後におきましては、例えば地方裁判所におきましてこの審理期間というものがこれよりももっと長くかかっておりまして、十四カ月ないし十七カ月程度かかっていたわけでございます。
#9
○沢田委員 これを見ればなお減っているのですよ。反対はしませんよ。必要だと思いますよ。例えば、昔よりこれだけ休暇がふえた、稼働日がうんと少なくなった、だから全体的に人をふやさなければ穴埋めができないとか、やはり国民にわかりやすく、説得できる材料を、ここで僕に言っているだけじゃ意味ないんだから。こういう条件でこうふえざるを得ないんですということをやはりきちんと、そう回りくどい言い方をしないで、提案する以上はこういうわけだからと。何とはなしに必要になったからという提案の説明というのはないでしょう。だから、やはりこういう条件でこうなったということをはっきり、私は冒頭だから、基本原則だけ明らかにして入りたいと思うから言っているわけです。
 これだって減ってしまっているでしょう、この二十五ページで見たって。そうすると、あと何が要因だったのかということを国民は何で理解したらいいのかということになりますから。時間を上げますからその点もうちょっと考えて、今慌てて言うとまた今と同じようにわけのわからない答弁をするようになるから、これはやはり法案の根本だから、こういうことでこれこれですということを、あなたら頭がいいのだから、もう少し利口に返事してもらわないと時間がむだになってしまいますからね。ここは返事は要りません。要りませんけれども、もう少し考えていただいて後で答えてもらいます。
 それと、人事院来ていただいていますね。いわゆる公務員の分限についてどういうふうに理解をしておられますか。昔は官吏分限令、いろいろあったわけですが、今分限という表現は公務員法にはありますが、その中身としては分限をどういうふうに理解をしているか、まずこれが一つ。公私の区分というものについてはどういうふうに押さえて指導をしているのか。その二つ。
#10
○石橋説明員 お答えいたします。
 分限という言葉の意味につきましては、公務員法に確かに分限という言葉がございまして、公務員の地位の変動ですとかあるいは身分保障ということで考えさせていただいております。
 それから公私の交わりの問題でございますけれども、国の行政運営が公正かつ適正に行われているということに対します国民の信頼というものを確保する見地から、国家公務員には種々の厳しい服務規制がかけられおりまして、例えば官職の信用を傷つけ、官職全体の不名誉となる行為をしてはならない、これは信用失墜行為の禁止と言っておりますが、こういう規制がございます。それから、公務の内外の者との交際でございますけれども、それ自体を法令上規制するものはございませんが、交際の仕方あるいは相手方ということの関係で、職務上の秘密を漏らすというようなことは守秘義務に違反いたしますし、関連業者等から酒食の供応を受けるというようなことになりますと、今言いました信用失墜行為の禁止に該当するということになろうかと考えております。
 いずれにいたしましても、公務員が公務の適正な運営に疑惑を招くような行為は厳に慎むべきもの、かように考えておるところでございます。
#11
○沢田委員 そういうことは、職員が初級であれ中級であれ上級であれ、入職したときには何の方法でそれを相手に伝達するのですか。通常なら就業規則を見せて、こういうことになっていますよと民間的にはなりますが、人事院としては例えばどういう場面でそういう中身を相手に告知するのですか。
#12
○石橋説明員 お答えいたします。
 新規採用職員を採用いたしました場合に、各省庁で新規採用職員研修ということをいたしておりまして、その中で、服務上の規制はこういうことがあるよということを周知しておるはずでございますし、私どもといたしましても、研修の教材等の中にそういうことを含めまして、各省庁にもお知らせしておるという状況でございます。
#13
○沢田委員 時間を余りとりたくないのですが、今言われたのは、これも非常に不明な答弁でしたが、これは民間でも同じですからね。就業規則の内容を相手に告知する義務というものを負っているわけですから、やはり公務員といえども同じようにその内容を告知する義務があって、それを犯してから知らなかったということになると、使用者側の違反ということになるわけですからね。これは御承知でしょう。
 さっき交際の仕方と相手と関連業者、こういう言葉を言いましたね。ではどこまで、だれとっき合ったらいいのか、だれとつき合っては悪いのか、もう少し明確に、わかりやすく言ってくれませんか。
#14
○石橋説明員 お答えいたします。
 相手方それから交際の仕方につきましては、例えば秘密を漏らすということであれば確実に違反いたしますが、具体的にどういう相手とどういう状況で交際をするとそれが服務上の違反になるかということにつきましては、ケース・バイ・ケースで社会常識に照らして考えていくより仕方がないのではないかと思っております。
#15
○沢田委員 これは法務大臣もきのうも関連して答弁されていたようですが、そうすると公務員なり最高裁判所の職員なり裁判官なり、あるいは検事であれだれであれ、今のは概略の話で、もう少し時間をかけて詰めれば別なのでしょうが、要すれば常識的な範囲内における交際というものはすべて、すべてという言葉はまたあれですが、秘密を漏らしてはならないということはある、それ以外については自由である、社会慣行上の交際は一切限界がありません、それは自由ですと。きのうも出たマージャンじゃないが、マージャンもゴルフも、そういうものはだれとやっても構わないのだ、ただ供応とかそういうことを受けないようにしなければいけないということが一つの筋だ、結局人事院としてはこういうふうに言っているのですが、その点どうですか。昔の官吏の経験のある法務大臣としては、それですっと了解がつきますか。
#16
○後藤田国務大臣 なかなかお答えに難しい御質問だと思いますけれども、常識的に、自分の職務を行うについてこれは悪影響があるといったようなつき合い方は避けたらよかろう、それ以外の普通の社会人としての当たり前の交際の範囲ならやかましく言うこともなかろう、私はそう思います。
 しかし、そのけじめが非常に難しい。そこらを絶えず気をつけて、ともかく中立公正に仕事をしなければならぬ公務員の仕事ぶりにこの人とのつき合いは悪影響があるなといったようなことはできるだけ避ける。昔の言葉で言えば、李下に何とかという言葉がありますから、そこらをよく考えて、やはりここらは常識的な判断でつき合うべきか避けるべきかということは決めたらどうでしょうか。そういうふうに思います。
#17
○沢田委員 今、私の方の見る限り、公私の区分なしに極めて厳しく判断していると思うのです。いわゆる無定量、無定限の奉仕の精神というものが前提になって、それが脈々と続いてきている。だから、例えば千円か千五百円ぐらいのものをもらったとしても送り返さなければいかぬ、そういうふうに忠実に履行している人たちも多いわけです。人事院もその辺は社会慣行上の常識の範囲内と見るのか見ないのか、その辺はどうなんですか。お中元であるとかお歳暮であるとか、結婚式のお祝いであるとか返礼であるとか、いろいろありますね。例えば今裁判官みたいな職にある者はとかく疑われがちですから、この程度は許されるのだという基準をやはりきちんと示してやらなければいかぬ。これは一般公務員も同じですが、あなたの方にあるなら一ないのだったら、こういうことは重大なことなんだから、あなたたちではしようがないのだから、本当は人事院総裁が来てきちんと答えてもらわなければいけないことなんだ。答えられたら答えてください。
#18
○石橋説明員 お答えいたします。
 どういう場合が服務義務違反になるかということを一般的にこういうことでございますと言うのは大変難しゅうございまして、やはり公務員が今やっております仕事の内容ですとか常識的な範囲であるかどうかというようなことで、社会通念に照らして考えざるを得ないというふうに思います。
#19
○沢田委員 だから、今が余りに厳し過ぎるように見ているから、例えば、下手をするといただいたものよりも余計に郵送料をかけて返さなければならぬ、郵送料だけでもばかにならないと言うと大げさになりますが、かえって家庭の経費に差しさわる、こういうことになるわけで、我々なら、昔の場合はなるべくみんなで分けてしまったのですね。一人でやるといけないから、みんなで分けてごちそうになってしまった。こういう時代がなくはありませんでした。一人でもらうと何か収賄になりそうだから、ではみんなで職場で分けてしまおう、こういうことで処分してしまいました。一々返している金の方が余計かかってしまうのだから、それでは困る。
 それで、私は、それが難しいというなら、給与であるとか手当であるとか、何らかでその分をカバーしなければいかぬ。どこまで制限されるのか。今の状況がこのまま続いていいのかということをやはり問わなければならない。これは法務大臣、また人事院の方もそうなんですが、年金なんかこれから一元化をしていけば同じになるわけです。私はよく言うのですが、追いかけるお巡りさんと逃げる泥棒が同じ年金だということになってくるわけですから、そういう意味においての対応をきちんと考えなければならぬだろう、こう思うのです。
 だから、そういう点、今の説明みたいにその場その場で適当に、人事院ではどこまでなのかはっきりしてないのですね。これはいけませんよという箇条書きはないのですか。何もないのですか。人事院では、自分の責任の範囲内において、こういうことをしてはいけませんということは何も規定がないのですか、示されないのですか。では、何をやってもいいのですか。飲んでもいいのですか。旅行してもいいのですか。旅行しても分担金を払えばいいのですか。そういうことをきちんとしてやらなければ、世論によってどんどん規律が厳しくなっていく、こういう形になります。
 もう余り時間をとりたくないのです。もっとさっと出てくると思ったのですが、さっぱりわからない。委員長、わからないでしょう。答弁、わからないでしょう。委員長が公務員になったって勤められないでしょう。はっきりしてくださいよ。最高裁でもどこでもいいです。この裁判官の場合の身分の保障に当たって、これは罪になるか罪にならぬか本人が考えろといったって無理な話ですよ。そう思いませんか。
#20
○石橋説明員 お答えいたします。
 大変恐縮でございますけれども、やはりケース・バイ・ケースで考えざるを得ない。ただ、公務員法の中に秘密を守りなさいとか、先ほど申しましたような、信用を落とすような行為をしてはならないということが書いてございますので、具体的にどのケースが信用を失墜することになるかどうかということは、やはりその職員が占めておりますポスト、仕事の内容等との絡みで個別に考えていかざるを得ないものというふうに考えております。
#21
○沢田委員 こんなので時間をあれしてもしようがないですからね。やはりこの辺で一回、全部昔の発想というものを転換して、個人と公人との区分、こういうものを分けられるように、やはり何らかの措置を公務員にも、それから裁判官にも全部つけていく、こういう必要性があると思うのですね。特に、司法に携わる人たちは、公人と私人との区分を明確にする、これが大切な要点だと思うのですね。だから、個人の時間はあくまでも自由であってしかるべきですよ。
 要するに、公人の場合と私人の場合との線引きをきちんとしてやるということについて、これは法務大臣に答えてもらう以外にないのですが、全く、人事院で何をやっているのかと思いますよね。決まりがあるんだかないんだか何もわからない。常識で考えなければならぬ、ケース・バイ・ケースだと。ケース・パイ・ケースなんかだったら無限ですよ。本人はどこを物差しにして考えたらいいのかわからないじゃないですか。こんなもので時間をとりたくないのです。
 法務大臣、これはひとつつくってくださいよ。公人と私人の区分を明確にすれば社会慣行上のつき合いは可能である。それは自由でいいです。飲んでもいいでしょう。何してもいいのですよ。それが今、非常に厳しい条件の中にあるように追い込まれている。私たちも同じ気持ちを持ちますよ、勤めていた時分に。それは李下に冠を正さずで、何かそういう気分に押し込められるものなんです。だから、公人の場合と違って、私人の場合は自由である、それから社会慣行上の交際については認める、この程度のことはきちんとしてもらいたいのですが、いかがですか。
#22
○後藤田国務大臣 公人の立場に立っている者の一番の心得は、やはり公私の区別ということじゃないでしょうか。その区別は何ぞやということになると、それぞれの仕事の内容その他によっても違うでしょうが、これは抽象的にお答えをする以外にはないんじゃないでしょうか。やはり社会通念とでもいいますか、そういうことで区別せざるを得ない。それについてはやはりおのずからなる常識というものがあるだろう。そういうことで、これは、やはりこういうつき合いをすれば自分の仕事、公の立場に悪影響があるなというようなことはそれぞれが判断をして避ける、こういうことじゃなかろうかな。大変抽象的なお答えで恐縮ですけれども、それ以外にないのではないかな、こう思います。
#23
○沢田委員 逆にこれを見ますと、ある意味において神経質な人は極度に緊張した物の発想に立つでしょうし、おおらかな人はおおらかな立場に立つでしょうし、やはり個人差が生まれてきますね。
 ですから、各省庁そういう立場で判断してもらうのですが、今度はあなたの答弁を含めるのですが、裁判所の職員とかなんかというのは、何か非難されてはかなわない、何か隣近所から見張られているような気分もなくはない、そういうことで慣習的に贈り物を返す、結果的にはこういうようなものが生まれてきているんだと思うのですね。いわゆる職務についている者の、平気で受け取れる人と、それからやはり一歩譲ってまた考え直して受け取らなければならぬ人との差は何で考えていくかというのが一つあると思うのです。格子なき牢獄という言葉もあるが、一つは世間の目を気にしながら、島帰りじゃないが気にしながら生活しなくちやならぬ。こういうことはやはり一つのつらさだと思うのですね。大臣は人情家だからそういう点はよくわかるだろうと思うのですが、やはりそういうことで給与というものも考えなければならないだろう。人事院はそういうものをどう判断しているのですか。
 それから、もう一つ申し上げる。
 いわゆる物価差、地域給というのがあった。昔はCPSと言ったのです。十三次までやってきたけれども、いわゆる東京で生活している者の生活の高さと都城で生活している者の高さ、それを比較しながらCPSで給与の中にランクをつけてきたわけです。ただ、今は生活の苦しさ以外に環境の苦しさがある。いろいろな住みにくさもある。それから暮らしにくいという問題もある。それから空間がない。大臣、空間がないというのはわかりますか。例えば、子供とか孫とかが遊ぶといったって石っころを投げる場所もないくらいでしょう。空間がない。そういうものに対して人事院としてはどういう評価をして、東京で勤務することのつらさと地方に勤務することのつらさ、どういう評価をしていくのか。もしあれば、どうせないのでしょうけれどもね。だから、これは必要だ。
 この間、私も金沢と石川に行ってきました。行ってきましたが、それはとにかく違いますよ。健康的にも違う。それから、いわゆる伸び伸びさといいますか、そういうものも違う。それから、買い物に行く車の交通量ももちろん違う。そういう狭苦しさ、住みにくさというものをどういうふうに評価して、人がかわってしまえば構いませんけれども、国会が移転しない間はその苦しさが残っている。それは人事院としてはどう考えているのですか。私は大体三割くらいの差があるかなと思うのです。
 私はよく言うのですが、ちょっと隣の家へ行ってお茶菓子をもらってお茶を飲んで、その辺の野菜をつまみ食いしましても別にお金を取られないけれども、こっちへ来れば八百円なり六百円のコーヒーになったり紅茶になったり、缶で飲んだって話はできるけれども、なかなかそうもいかないということもあるわけですね。
 そういう生活環境の差というものをやはり給与の上で見てやらないと、結果的には悪いことすることになるのですね。お巡りさんにしたってしかりですよ。大阪にしたって東京にしたって、そういうことなんです。それは、身を持したいと思うけれども、なかなかそうはさせてくれない。やはりそういう環境がそういう事件をつくっていくわけですね。
 だから、人事院はそういうところを適正に、東京にいるときは、そういうものがあるなら加給金をやる。田舎へ行けば田舎へ行ったようにもとに戻す。私は、二、三割くらいの差があるような気がするのです。これは奥さんに聞いてみればわかるわけですがね。それは大臣も、地元の生活と東京へ来たときの生活を奥さんに聞いてみるとわかると思うのですが、やはり高いなとか苦しいなとか面倒くさいなとか、そういうのはあるだろうと思うのですね。人事院はそういう意味においての調査なりそういうものをやる気がありますか。答えてください。
#24
○大村説明員 お答えします。
 まず第一点の、服務上の規制について給与上どう評価していくのかという点でございます。
 公務員の給与というのは、やはり国民の負担にかかわるものでございますから国民の理解と納得を得る必要がある、そういうことがございまして、現在私どもにおきまして、官民に共通してある職種について比較しまして、それを合わせるという情勢適応の原則ということを基本にしてやっておるわけでございます。これは行政職を比較対象としてやっておりまして、これと違います、例えば公安職の方々とか税務職の方々につきましては、その職務の特殊性を評価いたしまして、例えば勤労の強度でございますとか職務の複雑困難性、それから職務を遂行していく上での危険性、そういうものを評価いたしまして行政職と差をつけて若干高くしている。それとともに、必要な場合には手当をもって処遇をしているということでございます。
 第二番目の大都市と地方の差でございますが、大都市の関係につきましては、現在、調整手当制度というのを設けておりまして、これは民間におきます賃金、物価、生計費が特に高い地域に在勤する職員に出すという形になっております。この趣旨につきましては、地域におきます職員の給与水準と民間の賃金水準の均衡を図りまして公務員、人材を確保する、それから地域間の給与の均衡を図ることを趣旨としてこういう手当が設けられておるわけでございます。
#25
○沢田委員 今の現状は私は知っているのですよ。それで不十分だと思うから、その上に加えていかなければ東京勤務は厳しくなるし、あるいは四国なり九州なりの勤務の方の気楽さと東京の勤務の厳しさというものが存在しているのではないですかということを言っているわけですね。それが今や空間だとか暮らしにくさとか、そういうような問題にあらわれているではないですか、それを調べる気があるかと言っているのですよ。今あなた方にその結論を出せと言っても無理だろうから、そういうものを見ていく必要がある。それならみんなから聞いて歩いたらいいではないですか。そのぐらいのことはやったっていいでしょう。どうなのですか、とりあえず、やるかやらぬかだけ言ってください。
#26
○大村説明員 先生おっしゃる点につきまして仮に調べまして、それを給与上どう評価していくかという点につきましては、技術的にも非常に難しいですし、国民全体の納得を得ることもなかなか難しいというふうに私ども考えておりまして、今のところ、調査することはなかなか難しいのではないだろうかというふうに考えております。
#27
○沢田委員 そんなことを言っているから悪いことばかりが繁盛するので、結果的には東京勤務とか都市的勤務というものは大変厳しいのです。厳しい条件を、中身をきちんと判定しなければそれはだめなんです。一時間半もかけて新幹線で通っている人がだんだん多くなっているという現状は何かということで、家がないということもありま
すが、それはやはり周りの環境もあるのですよ。子供のこともあるのです。ですから、そういう認識不足でこれから対応しようとすることは、僕は人事院が極めて怠慢だと思っている。だから、国会の何かを考えるなんというのはそういう意味もあるでしょう。
 もう一つあなたの言ったことで気になったのは、税務職員と司法職員等には勤務的に危険があったり、それから職務上のというのは中身は何ですか。それだけ別扱いにする意味は何ですか。
#28
○大村説明員 これは例えでございますが、職務の複雑困難性でございますとかそれから勤労の強度、こういうものを評価して別建ての俸給表にしております。
#29
○沢田委員 そんなことは皆同じですよ。職務の難易性なんていったら、何も税務職員だけが骨が折れるわけでも何でもないですし、仕事は皆骨を折っているのですよ。そうでしょう。ほかの者は遊んでいて、税務職員だけ働いているわけじゃないでしょう。司法の役人だって同じでしょう。そんなものは理由にならないじゃないですか。どこに差があるというのですか、もう一回言ってみなさいよ。
#30
○大村説明員 例えば税務調査とかそういう点で嫌がる人のところに行くというのですか、そういうところに行って精神的な負担とか、そういうものを感じる点を少し高く評価するということも含めて考えておるつもりでございます。
#31
○沢田委員 そんなことを言っているから、それだったら土地を買収する人だって嫌がらせを受けながら買収しなければ、交渉しなければならないのだし、同じような職場はいろいろありますよ。清掃の業務に当たっている人だって同じですよ。それは皆同じではないですか。
 それはさっき私が言ったように、社会的な監視の中でいろいろ一般的な社会慣行上の交際に制限を受けるから、特にそういうものについては考えてやろう、こういうことで二九二〇ベースのときにそういう問題が出たのですよ。スト権がないということもあるけれども、とにかくそういう形でいろいろの社会慣行上の交際に制限がある、だから特別に考えなければならぬだろうということで出たので、そんな問題ではないのですよ。だから、私も裁判官なんかの問題について、きちんとその分離、公私の区分がどこまでできるか、それを詰めて詰めて、その可能性を詰めてみて、そうすればあれも要らないかもしれないのですよね。しかし、なかなかそこまではいけないから、やはりそういう公私の区別を区分して解放してやらなければならぬだろうという提案をしているわけで、全く認識不足も甚だしい。
 僕も二九からずっと十三次までの地域指定をやってきたけれども、やって参画させてもらったからそれは知っているのかもしれませんけれども、東京の生活困難な状況というものはもう少し認識をして、やはり税務職員ら何かが一割五分の、一五%の加給金をつけたり何かしたのは取り立てが苦しいからということじゃないですよ、それは。生活の周りが厳しいということなんで、もう少し勉強してきなさいよ。だめだ、これ以上。
 大臣、とにかくこういう行ったり来たりがあったということだけひとつ、きょうはもう時間がないですから、もう少しあなた自身も勉強し直して出てきてください。
 それから、最高裁判所、この人数の増員の理由をもう一回きちんと言ってください。
#32
○上田最高裁判所長官代理者 本年判事補七名ほど増員をお願いしておりますが、これは資料に書いてありますとおり、地方裁判所における民事訴訟事件の審理の充実を図りたい、こういうことでございます。つまり、民事訴訟……
#33
○沢田委員 わかりました。いいですか。
 ただ、こんなに時間をかけたくありませんでしたからですが、こういう法案を提案する場合には、やはり社会に認知されるようなきちんとした経過を説明して、こういうことでありますのでこれだけふやしていただくのですと。一方では行革をやれと言って減らしているのだし、一般の経費も節減しているのですからね。その中であえてふやすというときには特別の理由がなければふやす理由にならないのですね。ですから、それだけの説明根拠を持って出席をしてほしいと思いますね。それはお願いをしておきます。
 続いて、ちょっとこれとは関係ありませんが、佐川さんの問題で、さんなんてつける必要もないのですが、佐川事件の問題で、これは農林省関係と建設省関係なのでありますが、法務大臣との関係もありますから、限られた時間の中で。
 法務大臣も御承知かもしれぬが、先般私が東京佐川急便KKの埼玉県の新座市における農地転用に関する質問主意書というのを政府へ出したのですよ。
 一つは、場所は言いませんけれども、昭和六十年に農政局に事前審査を出して昭和六十三年に許可をされているのです。それで、この後の細かいことはやりませんが、農地法の中で、農地法第五条を除いては農地の権利移動を制限するもの、いわゆる市街化区域と調整区域に分けた理由というのは、調整区域はあくまでも緑を守りあるいは緑地として保存をしていく、そしてまた生産の方に寄与していく、こういうことが前提であり、農地を確保していこう、そしてまた市街化区域は十年以内に、これも大臣、覚えておいてください、都市計画税取られているのですから。
 下水道をやりますよなんて言ったって、これも後で言おうと思っているが、三十年たったって下水のゲの字もない、濁点もない。いまだにくみ取りやっているところも、徳川時代と同じような場所もある。こういうことは政府として反省してもらわなくちゃならぬのでありますが、その中で、この転用はいわゆる法律外の転用をやっているのですよ、極端に言うと。これわかりますか。
 農林事務次官通達の四四農地B三一六四号の第二の2の(2)のAにより許可したとされる。これで一般の国民にわかりますか。何が二、2、(2)、Aなんだかわかりゃしませんが、これはまた後で言います。要すれば、項目をずっと外していっちゃって何もなくなっちゃったところへいって、わかりやすく言うと、第一種農地、それから第二種農地がある、第五条による第二種農地の転用を申請してきた場合には、その転用申請をされた人を第三種農地に移しなさいという趣旨なんです。第三種農地の方でどうしても、委員長はいろいろそういうことでわかっているでしょうけれども、そういう努力をしてみたけれどもだめな場合に限りその点について考慮することができる、こういうことになっているのですよね。それを安直にこういうものに許可をしたということには、佐川事件の一つの裏があるというふうに疑われるゆえんがある。
 それで第二番目は、「第二種農地を対象とする農地の転用は、第三種に立地することが困難であるかまたは不適当と認められるものに限り許可することができる。」というのがこの次官通達なんです。一応言っておきますが、なぜこの乙種農地に該当すると認めたのか、こういう質問を出したわけです。回答は回答でありますがね。
 その次に、これはまあ違反だと認めておりますが、四条の申請をしまして貸し駐車場でこれを転用して、それを佐川に貸しちゃっているのですよ。これはいわゆるトンネルというかかご抜け、こういうことになるのですが、これは後で撤回をする、こういうことのようでありますから、これはそうかどうかは後で答弁してください。
 それから面積が、都市計画法の申請の面積とそれから転用の許可面積と皆数字が違ってきている。これはどういうことなんですか。これは私も全部謄本を集めて計算したのですがね。
 その次の五番目は、市街化調整区域における農地転用許可基準というのは昭和四十四年十月の農林事務次官通達があって、「一般国道等の沿道において該当道路に接続して、又は高速自動車国道等のインターチェンジから至近距離の区域内において、流通業務施設等を建設する場合」が挿入されたのです。これはこれの許可があった後なんです。この許可があったときにはこの項目はなかった。それで、なかったものが平成二年になって入ってきた。この前にこの許可をしたわけなんですが、平成二年に許可されることが予想されたかされなかったかは別として、そういう不可能なものをなぜ許可していったのか。これもその次の疑問なんです。
 それから、これはまあ直接ではありませんが、六番目は、建築確認に当たっての事前指導で、敷地の二〇%を緑とする、それから一日の営業用車両の出入台数は大型が百二十台、小型が二百六十台、こういう事業計画を出しているが、現実はこれは守られていない。そのことについてどう考えているのか。
 それから次に、佐川急便の配送センターの敷地面積は、これはここに登記簿謄本の面積とあります。
 それから、営業許可の問題は重複しますから省略します。
 それから八番目は、これは運輸省の方から答えてもらいましょう。
 それで、これは行政権の濫用だ、こういうことが言える。農地法というものができていて、その農地の転用については厳しい制限をしてある。法律の中にこんなことは一つもない、これはみんな政令、通達なんです。法律ではこういうことはできないことになっているのです。法律ではできないことになっているものを次官通達とかなんとかというそういう通達で、こういうものの底抜けを、穴をいっぱいあけて、そしてこれもでき上がってきた。
 これに対する回答は、これも政府から来たことでありますから言っておきますが、さっきの質問の一及び二は、調整区域許可基準の「記」の第二の2の(2)のまたAに該当すると判断した。いわゆるどうにもこうにも第三種農地に見つからないからやむを得ないとこれは判断をした。言うなら、全然我々立法府と無縁の状態の中でのやり方なんですね。農地法も無視、それから建築基準法も無視、どんどん無視していって、次官通達の中の一番最後の底抜けのところでこの許可をしている。こういうのを違法行為と言わずして何だと言いたくなる。
 それから、三について申し上げますと、一番最後の方になりますが、この第四条で許可をもらってやったものは、これは今後直します、こういうことだと思うのですが、そう解釈していいですか。
 それから次に、都市計画法の関係でいきますと、これは新座市長の関係と建築基準法の問題でありますが、ずっと長くなりますから、時間がなくなりますから、省略していきます。この合計が合わないというものの答弁です。
 それから、調整区域の中の農地転用の取り扱いについて、これも五については同じように回答がありました。
 それで最後になりまして、「許可の条件に従った利用が行われず、また同法に違反する行為が行われたことは遺憾であり、これについて適切な是正措置を講ずるとともに、農地転用許可制度の運用に当たっては、許可処分後の転用履行状況の把握、違法転用の早期発見等について的確に対処」する。これは宮澤さんが答えた答弁ですからね。この九については、会計検査院も含めてひとつお答えをいただきたい。
 大分時間をとっちゃったので、大ざっぱに、細かくは言いませんでしたけれども、農林省、運輸省、建設省、会計検査院、それぞれお答えいただきたいと思います。なるべく手短に結論だけ言ってください。
#34
○菊池説明員 お答えいたします。
 農地法の四条、五条におきまして農地の転用の制限の規定を置いてあるわけでございます。この規定は、農地を農地以外のものにするために自分でやる人あるいはそのために権利移転をする人は、大臣なり都道府県知事の許可を受けなければならないということになっておるわけでございまして、そのときどきの必要性に応じて許可をするということでございます。これを恣意的に行わないために、私ども次官通達で方針を定めまして、それに従って運用を図っているということでございます。
 佐川急便の御指摘の土地につきましては、市街化調整区域内の土地であるということで、特に都市計画法上、土地利用規制をきっちりやっている地域内でございますから、市街化調整区域につきましては、一般の転用許可基準とは別の基準を設けております。その基準が市街化調整区域における農地転用許可基準でございますけれども、その基準に基づきまして、当方、申請のありました土地を審査いたしましたところ、その土地は一級河川(黒目川)、関越自動車道あるいは県道等に囲まれました生産力も低い、それから団地としてのまとまりもない農地であるということで乙種第二種農地と転用基準上判断いたしました。こういうものにつきましては、乙種第三種農地に立地することが困難であると認める場合にはその土地を転用することができるという取り扱いにいたしておるところでございます。
 それで、私ども、審査に当たりましてはかに適地がないのかということも検討いたしたわけでございますけれども、トラックターミナルという性格上、幹線道路沿いに立地することが適当だということでございまして、そのような土地を、駅とか市役所とかそういう至近距離にあるところ、いわゆる第三種農地に該当するようなところの立地の可能性についても審査いたしましたけれども、なかなかこのような配送センターが立地できるような用地はなく、三種農地に立地することは困難ということで第二種農地である今回の土地に立地することもやむを得ないということで、私ども許可したものでございます。
 その許可した土地とあわせまして、事実上トラックターミナルをつくった土地の一部に佐川急便が許可を受けずに転用した土地がございます。六百五十三平米の農地でございますけれども、許可を受けることなくトラックターミナルとして整備し使用しているということでございまして、これはその土地所有者が農地法五条に違反しておりますし、佐川急便自体も農地法四条及び五条に違反しているということでございます。したがって、これらに対しまして適切な是正措置を講じていくということでございます。私どもといたしましては、土地所有者、東京佐川急便に対しまして文書をもって原状回復の勧告をする予定でございます。
 なお、既に土地所有者それから東京佐川急便、現在は佐川急便でございますけれども、トラックターミナルの整備に際しまして農地法に抵触する行為があったということを認めておりまして、原状回復等の措置を講ずるという申し出がありました。したがいまして、それがその申し出どおりきっちり行われるかどうかということもあわせて見守っていきたいというふうに考えております。
#35
○沢田委員 途中ですが、「生産力も低い」と言うその生産力が低いというのは、全国的に見て低いということなのか、その付近を見て低いということなのか、またどういう基準で、低いのはどの程度低ければ農地転用は可能になるのですか。
#36
○菊池説明員 実際上の転用に当たりまして、全国平均で見るというよりか、いわゆるその地域でどれだけの農地が必要なのか、どういう農地を確保していく必要があるのかということでございますので、転用される当該地域におきましての平均的な生産力との比較で見ております。
 具体的に申し上げますと、新座市におきます水稲の平均の生産高は三百十四キログラムでございますけれども、該当地は三百キログラムということでございまして、特に生産力が高いという土地ではないということでございます。したがいまして、そういうことも勘案して第二種農地であるという判断を下したところでございます。
 それから、数字の関係でございますけれども、私ども、農地転用とかそういう農地制度上の地籍は、登記簿に記載してある地籍によるということになっておりまして、それに基づいて許可の判断をしておるわけでございます。したがいまして、それぞれの法律といいますか、それぞれの必要性に応じて実測で判断するといいますか、実測に基づいてやるようなものについてはそういう取り扱いをされているということじゃないかと思います。
 いろいろ面積の差があるわけでございますけれども、開発当時の面積、農地の関係で申しますと、許可申請がありました時点では、二万六千平米というのが申請の土地にかかわります許可をした登記簿上の面積でございます。その後実際上そこで転用行為が行われておりますので分合筆等も行われたということで、現在の登記簿上の地籍というのもその当時のものとはまた変わってきているということでございます。
 答弁漏れがあるかもしれませんけれども、一応これで終わります。
#37
○鈴木説明員 運輸省から、質問主意書の六から八までについてまとめてお答え申し上げます。
 トラックターミナルの敷地に占めます緑地の割合でございますとか、それから新座市と東京佐川急便との間の協定書で取り決められました営業用車両の出入り台数、これにつきましては、私どもが所管しております貨物自動車運送事業法で規制はしておりません。したがいまして、営業許可者としての私どもとしてはこれを承知しておらないわけでございまして、御指摘の点について特段の措置を構ずるという立場にはないというふうに私ども考えているところでございます。
 それから、佐川急便の新座の営業所の配置車両数は、営業所の新設を認可いたしました平成元年四月の段階においては七十五両でございまして、その後増加いたしまして現在百八十両となっております。これに対して自動車の車庫の面積は、新設の時点から現在に至るまで五千八百九十五・九二平方メートルでございまして、車両数がふえた現在の百八十両でも十分収容できる能力がある、このように理解しているところでございます。
#38
○榊説明員 都市計画法の施行規則に基づきます面積の関係でございますが、建築確認の建築敷地面積が三万一千平米程度となってございまして、農地法関係の約二万六千平米との違いでございますけれども、農地以外に宅地、雑種地、道路、水路等の公共用地がございますほかに、登記簿と実測の差もあるのではないか、かように考えております。
#39
○貞包説明員 新河岸川の支川黒目川につきましては、流域の都市化の進展に対応いたしまして、昭和五十四年から総合治水対策の河川事業ということで河川改修を開始してございます。現在、下流の朝霞市内におきまして改修を進めておるところでございますが、黒目川の中流部になります新座市のトラックターミナルにつきましては、近接いたします黒目川の改修計画区域外でございまして、直接の関係はございません。そういったことで、黒目川の改修計画には支障がないということでございます。
#40
○高山会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 先生の御質問は、九の部分に関連いたしまして検査院は検査を行うのかどうかということではないかというふうに考えております。
 先生御承知のように、会計検査院は院法の規定に基づきまして会計経理を監督いたします、あるいはその適正を期す、かつ是正を図るということがその職務でございます。したがいまして、今回の場合、農地転用許可の適否の判断等につきましては、基本的には検査院の検査になじまないものではないかというふうに私ども考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。
#41
○沢田委員 一番最後の会計検査院に、市街化調整区域における農地転用許可基準について一番問題になっているのは、開発許可申請をするに当たって、一般的な農地転用の甲種の農地については八項目の規定がある、それから次に掲げるというのに、甲種農地以外の土地についての不適当なものはこうだ、それから乙種農地に対する農地の転用の取り扱いはこうだ、こういうふうにいろいろ規定をされていて、その中のいわゆる2の(2)のAというものなんですが、「第二種農地を対象とする農地の転用は、第三種農地に立地することが困難であるかまたは不適当と認められるものに限り許可することができるものとする。」というのは、我々として見れば立法府の決めていないことを農林がやっているということなんですよ。
 だから、開発許可申請があった分についてだけは、五百平米以上の、開発許可申請の必要なものについてだけ全国的に調べて、そして会計検査というか、こういうものが、いわゆる都市計画法が底抜けになっていることなんですから、そういうことは立法府なら立法府が改めてきちんと決めるまでは調査して報告する義務があると思うのですよ。これは行政で勝手にやっていることなんですから、我々立法府は知らぬことなんですから、しかも除外例の除外例を使ってやっているのですから、だからその点についてはきちんと会計検査をして行政府としての立場をはっきりしてください、こう言っているわけですから、それをやらないなんてとんでもない話ですよ。
#42
○高山会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 私ども検査院の職務と申しますのは、国費がむだに使われているものがないか、あるいは効率的、効果的に使われているかいないかということを検査するのが職務でございまして、現在御質問の農地転用許可の点につきましては、私ども会計検査院の検査にはやはりなじまないのではないかというふうに考えております。
#43
○沢田委員 私も土地改良をやって会計検査を三回も受けているのですよ。決済金がいいとか悪いとか、面積が足りるとか足りないとか、農地転用がいいとか悪いとか、五年分の農地転用を五万分の一の地図の中に全部色づけして出しているのですよ。そんなものができないなんて、そんな話があるかい。我々は現実にそれをやってきているのですよ。甲種農地の転用はこうだというのを全部色づけで三年分出しているのですよ。僕は大変じゃないけれども、職員は大変ですよ。そういうことをやっていて、そんなものは対象にならないなんて、何をぬかすんだ。冗談じゃないじゃないですか。農林係なんて何のために置いてあるのだ。
 こういう大規模な農地転用についてだけやりなさいと言っているので、一筆やれなんて言っていない。開発許可申請があった分についてだけチェックしてみなさい、こう言っているのだ。それができないなんて何だ。
#44
○高山会計検査院説明員 お答え申し上げます。
 開発許可申請の分につきましては、一義的にはまず行政府の判断ということがあろうかと存じます。私ども、国の経費がどういうふうに使われているかということを趣旨として検査を行っておりますので、それに関連する部分かどうかということを逐次見きわめた上で検査を実施するということでございます。
 今の開発許可申請等の問題につきましては、行政上の判断ということもございますので、私どもそれに対してやはり会計検査院の検査になじむものではないのではないかというふうに考えております。
#45
○沢田委員 出直してこいと言いたくなるけれども、時間がないから言えないけれども、こんなばかな答弁がありますか。行政上のものをチェックするのが会計検査院で、違法だったら検察庁がやりますよ。そういうことをやるのが会計検査院の仕事じゃないですか、行政上のやり方がいいかどうか。とにかくあなたの答弁では甚だ不満だが、時間がないから、三分だからしようがない。もう一回何とかを洗って出直せという言葉になる、上の方は言わないけれども。
 それから、検察庁もこういう状況を見て、こういう農地転用がまかり通っているということは法律違反なんですから、法律違反になることを、第四条の部分は認めているわけですから、それではそういう認めているものはいつ直すのですか。最後にそれだけ聞いて、後は検察もそれなりに対応してもらうことを願って、いつこれは直るのかを聞いて、終わります。
#46
○菊池説明員 是正の勧告は三月中にと思っております。それに対しまして、佐川急便、土地所有者につきましては、五月半ばぐらいには是正したいということを言っております。しっかり行われるかどうか、見守っていきたいと思っております。
#47
○沢田委員 終わりますが、また五条の申請を出して許可することのないように念を押しておきます。
 終わります。
#48
○浜野委員長 渡辺嘉藏君。
#49
○渡辺(嘉)委員 渡辺嘉藏です。裁判所職員定員法の一部を改正する法律案等の審議に関連いたしまして、まず質問を行います。
 まず、現在、裁判官は、判事補を含めまして、一人当たりどの程度の案件を抱えて裁判を行っているのか。この件につきまして、できるならば、六十一年以後の歴年にわたって調査したものがあればひとつ明らかにしていただきたい。
#50
○上田最高裁判所長官代理者 委員御承知のとおり、裁判所は全国にたくさんの数がございます。そして、そのたくさんの裁判所の中でいろいろな仕事を担当しているわけでございまして、全国的に一人当たりの裁判官が平均してどの程度の事件を抱えているかということを把握することは大変困難でございまして、統計をとっておりません。そこで、大変恐縮でございますが、便宜、東京地方裁判所における最近の状況について取り急ぎ調べましたので、それを御報告させていただきます。
 最近の東京地方裁判所における状況でございますが、まず民事訴訟事件につきましては、一カ部当たり合議事件が七十件前後、これも部によって多いところ少ないところもございますが、大体七十件前後を持っております。さらに、裁判長と右陪席の裁判官が単独事件を担当いたしますが、これが一人当たり二百三十件前後という状況になっております。それから、刑事訴訟事件につきましては、一カ部当たり合議事件が二十件前後、単独事件につきましては三十件前後を持っている、こういう状況でございます。
#51
○渡辺(嘉)委員 今の御答弁は直近のものをお調べいただいたわけですが、今度は判事補を七人ふやしたい、その他増員があるわけですが、とするならば、過去の歴年の中で一人当たりがこういうふうであると。いろいろなデータはこの資料で見ましたので、だから裁判時間を短くしたり、あるいはまたいろいろ合理化努力の跡は私もよくわかります、努力していらっしゃるなと。
 しかし、事件の件数を見ますと、これも直近でこの資料に基づいて調べてみますると、民事事件が、高裁、地裁、簡裁合わせますると、昭和六十一年が二百四十三万一千件ある。刑事事件は二百八十九万件ある。これを元年、二年、三年と比較してまいりますると、六十一年を一〇〇%とすると、元年は七五%、二年は七〇%、三年は七六%、百八十四万八千件と民事事件はなっております。それから刑事事件は、六十一年を同じく一〇〇%とすると、五九%、五八%、五七%と下がってきておる。そして、今最後に申し上げた平成三年の件数は百六十五万四千件なんですね。だから、六十一年のときの二百八十九万件から見ると五七%、こういう数字になるわけです。
 それから、裁判官の定員はこの三年間に二十三人増員になっております。書記官は五十八人、事務官は百十九人増員になっています。これもそれぞれの必要によってやられたと思いますので、私は実態を一つ一つ見た状態でありませんが、かいま見た状況からいきますと、これだけの増員がなされておりながら、今回のこの増員は果たして適当なものかどうか、これは甚だ疑問を持ったのです。
 現在、判事補の欠員が十四人あるわけですね。そうすると、欠員が補充されておれば増員しなくてもいいわけですね、今仕事ができておるわけなんですから。事件量は減っておる、と同時に今のように欠員はある。こういう状態から見て、この七人の増員は果たして必要なのかどうか疑わしいと思うのですが、この点についてはどうなんですか。
#52
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、判事補に十四人の欠員があるわけでございます。ただ、これは資料をごらんいただきますとおわかりのように、昨年の十二月一日現在の欠員でございます。判事補は、四月になりますと司法修習生から判事補へ採用になっていくわけでございまして、ことしの四月の段階ではこれが全部埋まるという見込みでございます。
 なお、本年は七人の判事補の増員をお願いしておりますが、これを認めていただかないと司法修習生からの判事補希望者が採用できない、こういう事情もあるわけでございます。ぜひ増員をお認めいただきたいと思っております。
 なお、委員御指摘のとおり、確かに民事訴訟事件、刑事訴訟事件は過去に比べまして若干と申しますか減っている傾向があるわけでございます。しかしながら、民事訴訟事件につきましては、私どもいろいろな工夫をいたしまして、あるいは事前準備を徹底いたしますとか、あるいは民事訴訟事件の審理を充実いたしますとか工夫をいたしまして、その解決に力を注いできたところでございます。したがいまして、おかげさまで平均的な審理期間はだんだんと改善されつつある傾向でございます。
 しかしながら、依然としましてちょっと難しい事件になりますと、その解決までに数年を要するあるいは十数年を要する、こういつだ事件も実際あるわけでございまして、諸外国に比べまして我が国の民事裁判は時間がかかり過ぎる、こういう御批判を受けているところでございます。そこで、私どもとしましては、こういった御批判にこたえるために裁判官を増員させまして、なるべく民事訴訟の促進を図っていきたいと考えているところでございます。
 端的に、民事訴訟事件の審理を促進させるためには判事を増員することが一番手っ取り早いわけでございますが、御承知のとおり、判事になるためには一定の資格が要るわけでございまして、例えば原則的には判事補を十年間やらないと判事になれないわけでございます。そこで、まず私どもは、司法修習生からの判事補の任官を確保しまして、十年後に判事になっていく方を育てていく、こういうことをお願いしているわけでございます。
#53
○渡辺(嘉)委員 先ほども申し上げたように、判事、判事補合わせまして、この三年間に二十数名ふえておるわけなんですね。そういうような観点から見て、先ほども申し上げましたように訴訟の平均審理期間は、率直に申し上げて昭和六十一年が地裁の場合ですと十二・一カ月、平成三年は十二・二カ月、こういうことなんですね。だから、本当はそう短くなっていないのですよ。今度ふやされる、果たしてそれが実効性があるのかどうかちょっと疑問を持ったのです。これは今の説明ではちょっと解消できない。
 と同時に、書記官、事務官についてもそうなんですが、全体で二十四人を増加したいと言うが、書記官については五十一人の欠員があります。事務官については二百四十七人定員より多くおります。このアンバランスですね。これは研修中だ、こう言うのですね。二百数十名については研修中だ、だから実務的に間に合わない。果たしてそういうことで、私どもこの数字を見ておってちょっと合点がいかない。
 これも欠員を充足する。先ほどのお話のように、期中にやめる人、四月から十二月までの間にやめた人、それは当然あると思います。あると思いますけれども、しかしその程度の余力というものは当然見てあるわけなんですから、私は、今の事件数から見てこのように増員をする必要はなくて、むしろ欠員補充と、そしてできるだけやめないように、病気をしないように、転職しないように、こういうふうにしていくのが大事なことではなかろうか、こう考えます。
 そこで、破産事件についても、これは明らかに倍増いたしておりますので、今のクレジット時代の関連もあると思うのです。自己破産も多くなっております。これは私も実感でよく知っております。ですから、この面の十一人の増加はやむを得ないかと思いましたが、そのほかの件については必要ない、こう思ったのですけれども、この点についても簡単にひとつ御答弁をお願いします。
#54
○上田最高裁判所長官代理者 欠員がある場合にまずその欠員を補充していくべきだという委員の御指摘は、まことにごもっともでございます。
 先ほどもお答え申し上げましたとおり、例えば判事補につきましては、この四月には欠員が全部埋まる見込みでございまして、さらに増員七名をお認めいただかないと、司法修習生からの判事補希望者を採用することに支障を来す、こういう状況でございます。
 それから、書記官等につきましてもほぼ四月の段階では補充できる、こういう見込みでございます。
#55
○渡辺(嘉)委員 次の質問に入りますが、御案内のように、今大きな政治不信が渦巻いております。また、その中にも多額の金で選挙を行って当選を果たす、それがために違反に問われる、そして事件となる。次点者の繰り上げは三カ月以内。違法でなった人は当然好ましくないので排除をする。そうすると、次点者は当然繰り上がるべきなのです。そこで百日裁判という問題が出てくるわけなんですね。ところが、次点者の繰り上げは三カ月以内なのですね。こういうような意味で、この百日裁判については努力するという公選法の規定が入ったわけですね。
 そこで、この公選法の違反事件の新受人員という人員を見ますと、平成元年が五百八十九人、これは参議院選挙の年です。平成二年は千百十四人、衆議院選挙の年です。三年は千百二人、地方選挙の年なんです。こういうふうに見てきますと、その中で今の百日裁判に該当するかと思われるのが、平成元年で四人、二年で一人、三年には三十三人、こうなっています。それに対する解決案件は、一件、一件、十九件、こうなっておるわけですね。
 こういうように見てみますと、先ほどの裁判の迅速化、合理化、そして早く判決を出して早く正常に置き直す、こういうことに対してはこの数字を見る限りにおいては半分程度しか行われておらない、百日裁判に該当する件でも半分程度である、これしか行われておらないのですね。
 では、今度このように補充した、そして定員もふやす。果たしてこれでこの法の趣旨に、これは義務規定になっておりませんので、努力目標なものですからあなた方のおやりになる範囲内で処理されていくわけなんですが、これならばこの努力目標に一〇〇%近く期待できると言えますか。
#56
○島田最高裁判所長官代理者 百日裁判といいながらなお百日を超える事件が幾つかあるということは、まことに申しわけないことと存じております。
 ただ、統計で見ますと、例えば昭和五十二年から五十六年までの五年間というものでは、百日裁判の平均値が五百七十一日かかっておりました。これが次の五年、五十七年から六十一年までの五年では二百九十七日とおよそ半分になりまして、続く五年、昭和六十二年から平成三年までの五年間になりますと、平均値が百二十八日と短縮されてまいっております。
 私どもとしては、百日裁判であるからにはぜひ百日以内での実現ということでいろいろ努力してまいったところでございますが、先ほど委員御指摘の新しい法律、法改正もなされたところでございますので、この新しい法律を大いに活用してなお努力してまいりたいと存じております。
#57
○渡辺(嘉)委員 裁判官は、言うまでもなく司法の中枢を担当していただくわけなんですが、だから司法そのものだと思いますが、法務省の職員、検事あるいはまた国の代理人となる訟務検事等、これは行政職員であると思うのですね。立法、司法、行政、三権分立、これは今さら私が申し上げるまでもなく画然と分離されるべきなんです。
 そこで、裁判官と検事との交流、これは従来から一つの習慣的に行われてきておる、これも御案内のとおりです。最近のデータを見ただけでも、平成二年には裁判官から検事になった人が十三人、検事から裁判官になった人が十二人、同じく平成三年は前者が十四今後者が十四人、平成四年は前者、後者とも十一人ずつ、こういうふうに裁判官と検事とが交流していらっしゃる。
 私は、長良川の水害事件のときのあの訴訟で痛いほどこれを痛感したことがある。これは御案内のとおり、五十一年に長良川の堤防、本堤が切れまして、多数の死者、負傷者、そして住民に物的な被害を与えたわけですが、あのときに裁判上の手続の関係で地元住民は二つに分かれて訴訟を起こしたのです。一つは安八町を単位として訴訟を起こした、一つは墨俣町を単位として訴訟を起こした。こういうふうに自治体の関係で裁判を二つ起こした。同じ中身の裁判。
 ところが、安八町の場合には住民が勝訴した、墨俣町の場合には住民は敗訴した。同じ事件で同じように起こした裁判です。前者の裁判官お二人は長年裁判官をやっていらっしゃった。後者の墨俣町の裁判官は、その前までは法務省の訟務検事をやっていたのです。国を代理する立場です。この方が裁判長になった。途端に今度は住民敗訴。同じ中身のもので違う判決が出た。私はそのよってもって来るものは、三つ子の魂百までと言うのですけれども、やはり検事をやっておると検事の気持ちになる、国の代理人になると国の気持ちになる。これはなかなか払拭できるものではない、同じ人間ですからね。チャンネルをかえたら1と3と別なものが出てくる、そんなわけにはいかない。このような意味で、訟務検事と裁判官の交流、こういうことはこの際やめるべきではなかろうか。
 特に、先日の多摩川水害訴訟でもそうですが、高裁では、これは住民が敗訴いたしました。ところが、最高裁に移りましたら、今度は住民が勝訴含みの差し戻し、こうなっておるのですね。そのときの国の代理人に出てきた人が前の多摩川訴訟の高裁の裁判長。前は敗訴にした人が、その裁判長が今度は最高裁のときには国の代理人になって出てくる。こういうことは、前の件でもそのほかのいろいろな事件でも、私もまだデータはこれしかとっておりませんが、いろいろなデータで出てくる危険があると思うのです。
 このような意味で、こういう裁判官と検事との交流は一つ間違うと癒着状態ではないか、国民あるいはまた国を相手取って訴訟を起こす立場の者はこういうふうに受け取るわけなんです。ですから、この際こういうことは断ち切るべきではなかろうか、そうでなかったらまた別の方法を考えなければならぬのではないか、私はこう思うんですが、この点はどうですか。
#58
○今井最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 裁判官と訟務検事との交流、これは実は戦後の裁判制度が始まってからずっと行われてきたわけでございます。
 どうしてそういうことが行われておるのかということでございますけれども、これは二つ理由がございまして、一つは訟務の方の都合といいましょうか、こういう民事事件に詳しい方が代理人になるということが必要だということ、それからもう一つは裁判所の側の事情もございます。
 それはどういうことかと申しますと、裁判官といたしましては、いろいろなところの経験を経た人が裁判官になるということが望ましいわけでございます。また、現在の裁判所法の建前を見ますと、判事補それから検察官、弁護士、いろいろな階層の方が裁判官になるということになっておるわけでございます。また、その裁判官の一番のスタートでございますけれども、司法修習生、これは二年間全く同じ教室で一緒に勉強して、それぞれ裁判官、検察官、弁護士というふうに分かれていく、そういうこともございます。
 それからまた、私どもが訟務検事から帰ってきた裁判官にいろいろ話を聞くわけですけれども、訟務検事をやっておりますと当事者という立場で裁判に関与するわけでございまして、そうしますと裁判官席にいたのではわからないような当事者の悩みといいましょうか、当事者はこういうときにはこんなことを感じるんだなというようなことを痛切に感じたと。それから、いろいろな人の法廷に行くわけです。裁判官としましてはなかなか自分以外の法廷には行くチャンスがないのですけれども、そういうことで、いろいろな人の訴訟指揮というのはそれぞれ違うわけですが、そういう勉強ができる、こういうようなメリットがあるわけです。
 それからもう一つは、裁判官は法曹という立場でございますけれども、それぞれの立場立場で、裁判官になれば裁判官としての立場で、今までのその立場を離れまして公正中立な判断をする、弁護士になればまた弁護士として原告代理人あるいは被告代理人として必要な活動をするということでございまして、訟務検事をやっておったから、その方が裁判官になった場合に国の利益になるような行動をするということは決してないものだ、裁判官というのはそういう誇りをもって仕事をしておるんだということをぜひ御理解いただきたいと思います。
#59
○渡辺(嘉)委員 今の答弁を聞いておりますと、法務省と裁判所、そして裁判所と法務省、法務省にとっては一つのメリットがあると。そのメリットがいけないのです。
 大臣に聞きますが、こういうメリットは法務省にとってはメリットであり、国の立場にとってはメリットかもしれぬが、国を相手に訴えておる住民にとってはデメリットになるわけです。だから、こういうことはいけないと私は言うのだ。まして長良川の事件は、これは今最高裁に行っております。今すぐに何らかのものが出てくると思っておるが、高裁の流れその他いろいろな流れに対して出てくると思いますが、少なくとも同じ事件で、裁判官を長年やっておった人は住民側の勝訴へ訟務検事から、法務省から来て裁判官になった方がおやりになったらばんと今度は国が勝訴。この例から見ても決して好ましくないのですが、大臣、どうですか。これはもう減らすか打ち切ると、こういうことは。決意を。
#60
○後藤田国務大臣 確かに委員の御質問を聞いておりまして、やはり何といいますか、同じことについても立場の違いによって結果が、結論が違うといったようなことが出てくることもあり得るなということは、私は委員の御質問を聞いて、その点はよくわかる気がいたします。
 ただ、法曹三者というのは、これは何といいますか、それぞれのこれまた立場は違いますけれども、同時に専門的な立場、そしてまた国民の権利の保護とでもいいますか、あるいはまた秩序の維持といったような大きな目的のためには、三者それぞれが立場は違うけれども、お互いにお互いの仕事を理解し合うということは、かえってそれによって中正な結論が出てくるような面も多いのではないかな、私はそのような見方もするわけでございます。
 そこで、やはり今行われておる法曹三者の間の人事の交流というのは、そういった意味において、委員の御意見もわかりますけれども、やはりこれは引き続いて交流というものの制度は残しておくべきではないのかな、こう私は現時点においては考えておるわけでございます。御理解願いたいと思います。
#61
○渡辺(嘉)委員 大臣の答弁、甚だ理解できないわけです。合点できない。それは大臣ですから、立場があるものですから、皆さん。そして前歴も前歴ですから。ですから、その気持ちはわからぬではないけれども、何回も私は申し上げます。三つ子の魂百までなんです。だから、やはり訟務検事をやって裁判長になる、国を相手取る事件にはできるだけ避けるのが当然なんです、こんなことは。当然これの配慮はされるべきだと思うのです。国を相手取った問題については訟務検事を充てることは避けるべきじゃないでしょうか、訟務検事を裁判長にするというのは。これはどうです。
#62
○後藤田国務大臣 私は余り詳しいことは承知しないのですけれども、例えば調べた検事が今度は裁判官に帰りましてそして同じ事件を扱うということは、これは回避というのですか、何かできないようになっているんでしょう。そういうような意味合いにおいて、そこらは私は運用面できちんと現在の制度の上でも弊害が出ないようになっておるのではないかな、こう考えておるのですが。
#63
○渡辺(嘉)委員 甚だ歯切れの悪い、大臣らしくない答弁を聞いておるわけなんですが、押し問答をしておってもしようがないので、これはまた将来を見守りたいと思っております。
 次に、昨年の秋に私は国税庁に、金丸被告の五億の佐川よりの献金の問題のときに、政治資金規正法の届け出だけではこれはわかるわけはないんだから、資産、負債のBS勘定を調べて、中小企業その他に税務調査をやるときにはPL勘定、損益勘定と資産勘定と両面から調べるわけだから、だから私はBS勘定の調査を徹底的にやるべきじゃないかと申し上げた。国税庁がきょうは来ていらっしゃらないので、今見ておると、私が一番聞きたかった課税部長が来ておらぬので甚だ不愉快なんですが、課税部長に僕は申し上げたかった。ところが、今度これが脱税事件としてそういう資産調査の上から出てきた。これは私は、国民の大きな期待にこたえた国税庁と東京地検特捜部の努力の成果だと敬意を申し上げる次第です。
 そこで、問題は、金丸被告は三月六日、これはくしくも当初予算が衆議院を通過した日なものですから、予算は通った、まあここで金丸と、こういうことになったのかどうかは知らぬけれども、その日に逮捕。そうすると、その間に二回の勾留延期がありましたので、三月二十七日、あと二日間で期限が切れるわけなんですが、この場合には当然保釈になるのかどうか。この点をまず聞きたいのです。
#64
○濱政府委員 お答えいたします。
 今委員御指摘になられましたように、金丸前議員及び生原元秘書につきまして、現在検察当局において所得税法違反の事実によりまして捜査を進めておるわけでございまして、これも今委員御指摘になられましたとおり、勾留期間は三月二十七日に満了するわけでございます。その勾留している事実につきまして今全容解明のために検察当局において鋭意捜査を進めているわけでございます。
 これはまだ処理が行われていないわけでございますから、例えば一定の処理を前提としてのお尋ねには、ちょっと仮定の問題としてはお答えいたしかねますけれども、それから今委員がお尋ねになられました保釈云々の問題も、これは最終的には裁判所が御判断になられることでございますし、一般的に申しまして。ですから、今の段階で今委員のお尋ねに対して的確なお答えはちょっといたしかねるわけでございます。
#65
○渡辺(嘉)委員 当然裁判所が判断するものなんですけれども、この起訴事実、全体像がきちっと整えば当然そういう条件はそろうわけなんですね。私はそう思うのです。
 そこで、あと二日しかないのですね。そうすると、現在この起訴の全貌においてこういうところまで進んだ、あと二日なんですからもうかなり進んでおるはずなんです。ですから、これはもちろん捜査に差し支えない範囲内ですが、この全体像をこの際明らかにしていただけませんか。これは脱税事件それから政治資金規正法違反の問題それから収賄の疑い、これにまたがっておるはずなんですから、この点についての全体像をお示しいただきたい。
#66
○濱政府委員 お答えいたします。
 検察当局におきましては、現在、先ほどもお答え申し上げましたように、鋭意その全容解明のための捜査を進めているところでございまして、今委員も御指摘になられましたように、勾留期間の満了日である二十七日までもう残り日がないわけでございます。それだけに一生懸命やっているわけでございます。したがいまして、事件の捜査がどういうふうに進んでいるかということについては、これは具体的事件の内容に立ち入ってお答えすることはいたしかねることは御理解いただけると思うわけでございます。
 ただ、それだけではお答えになりませんので若干御説明をさせていただくわけでございますが、所得税法違反事件の捜査につきまして、これは一般論として申し上げるわけでございますが、所得税の逋脱は、本来納付すべき所得税を不正な手段によって免れることをその内容とする犯罪であるわけでございます。したがいまして、課税の対象となる当該年分の所得の確定、これを確定するということとその所得の帰属等を明らかにすることが必要不可欠なところでございます。
 現実の所得の立証方法といたしましては、非常に大ざっぱに申し上げますと、一年間の収入から当該年度内の支出を控除して所得を計算するといういわゆる損益計算法という方法と、それから年末の純資産額から年初の純資産額を控除して所得を計算するという財産増減法という二つの立証方法があるわけでございまして、これは釈迦に説法でございますけれども、実務ではそのいずれかの方法を主とし、他の方法をもってその裏づけとしているところでございます。
 ところで、損益計算法による場合について申しますと、各対象年度における被疑者の一年間の収入が何であるのかという立証が当然必要になるわけでございますが、収入一つをとりましても、これを確定するための捜査量は膨大なものでございます。一方、財産増減法によります場合におきましても、把握された隠匿資産がいずれの年の所得によるものであるかということを結びつける作業、こういう捜査が必要になるわけでございまして、この関係の捜査もなかなか容易なことではないわけでございます。
 検察当局におきましては、今申し上げましたような観点から、各年分の所得額やこれに課せられる所得税額の確定のために、金丸前議員それから生原元秘書はもちろんでございますけれども、その他関係者の取り調べ、それから押収した多数の証拠物の検討等の捜査を現在鋭意続けているところでございます。
 現時点におきましては、今申しましたように、所得税法違反の事実が認められたか否か等について、今委員のお尋ねにありました点について具体的にお答えを申し上げることはいたしかねるものでございますから、そこはひとつ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#67
○渡辺(嘉)委員 ある新聞には、脱税の捜査は終結したというような見出しで昨日出たわけですね。その中身については、八八、八九年、二年分で十六億、八七年分の二億を加算して十八億だ、こういうふうに出ておるわけなんですが、こういうふうに出ておる以上は、八九年までについては、これはおおよその脱税事件としてはもうある程度終わったのではないか、こういう印象を持つのですが、これは検察庁とともに、国税庁の方はどうなっておるか。あわせて、しからば九〇年、九一年はゼロなのか、それから九二年はどうなったか、これについてひとつお伺いしたい。
#68
○石井説明員 お答え申し上げます。
 先ほど来法務省からも御答弁がございますように、現在、お尋ねの問題については国税当局と検察当局との間で共同で調査、捜査を行っておるところでございますので具体的な内容を今お答えすることはできかねるわけでございますけれども、一般論として申し上げまして、一般に査察調査が進んでいく過程におきまして、当初嫌疑対象となりました年分につきまして、先ほど御答弁ありましたようにPL面あるいはBS面からのいろいろな証拠書類の検討を行い、それが犯則に当たるかどうかという調査を査察官はやるわけでございますが、当然その対象年分以外のさまざまな問題につきましても、どの年分の所得であるのか、その帰属はどうであるのかというような調査を行っておるわけでございまして、その過程でその他新たな犯則の事実等が浮かんでくれば、それはまた当然それとして私ども国税当局から検察庁に告発をし、検察庁においてまたしかるべき処理をされるというのが一般の査察調査で行われているところでございます。
 本件につきまして現段階で具体的にどうなっておるのかという今のお尋ねでございますけれども、それはまだ今の段階で申し上げる状況にないことは御理解いただきたいと思うのでございますが、基本的な考え方は、そういうような考え方で査察調査を行っておるということでございます。
#69
○渡辺(嘉)委員 何回も言うように、あと二日なんですね。もっともそれは延長が不可能だというわけじゃありませんけれども、原則的には二日。国税庁は、当然もうざっと粗づかみの仕事は終わったはずであります。八八年、八九年はもう終わっておるはずなんです。あなたのところの能力から見てそれはできておらぬはずはない。私は信じない。できておる。
 そうすると、八八年、八九年には脱税金額、案件、事件としてあったかどうか、この点はどうなんですか。
#70
○石井説明員 本件につきましては、御案内のとおり、昭和六十二年分、八七年分は既に告発、起訴をされておるわけでございますけれども、繰り返すようで恐縮ですが、他の年分につきましてはまさに今調査をしておる途中でございますので、査察調査としては現段階で具体的なことを申し上げられないということを御理解いただきたいと思います。
#71
○渡辺(嘉)委員 全くこういうのを、何というかベルリンの壁を押しておるようなものかもしれぬけれども、ベルリンの壁でも崩れたんだから、これはあなた方ももう少し国民に知らせることを考えなきゃいかぬですよ。
 それなら今度は、九〇年、九一年、九二年と、あともあるわけなんですけれども、九二年分については金丸被告は申告しましたか。三月十五日が申告期限なんだから。
#72
○古出説明員 今議員のお尋ねの九二年分すなわち平成四年分の申告に関してでございますけれども、申告の有無あるいはまたありました場合どういう額になっておるかということにつきましては、個別にわたることでございますから答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
 ただ、平成四年分の公示税額が一体どうだ、もし仮にそのようなお尋ねでございますと、平成四年分の所得税につきましては五月に公示されることになっておりまして、現在まだその公示期間に至っておりませんために、現時点におきまして金丸前議員の申告の有無につきましてお答えすることはできないということを御理解願いたいと存じます。
#73
○渡辺(嘉)委員 三月六日に逮捕されたんです。だから、三月十五日までの間は拘置中ですから本人が申告に税務署へ行くわけにいかぬですね。だから、九二年分、平成四年分は申告したかどうか、また申告をさせるべき手段を講じたかどうか。九二年分はまだ申告期限来てないのですから、これは本人にも申告する権利がありますから、義務と権利があるわけですから、申告をさせましたか、させるような手段を講じたか。また、申告したら何も五月まで待っておらなくたってこういうことは早く示せばいい。これが大事じゃないですか。
#74
○古出説明員 今のお尋ねにつきましては、金丸前議員の申告期限との関係でどうなっておるかということでございます。
 平成四年分の所得税につきましては、もちろんこれは御案内のとおりこの三月十五日が申告納期限ということになっておりまして、ここで所得税につきましては確定申告期限ということでございます。ただ、金丸前議員の個別につきまして申告があったかどうか、またそれについて一体どのようにやったかということにつきましては、先ほど申し上げましたように個別にわたる事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存ずる次第でございます。
#75
○渡辺(嘉)委員 それはだめだよ。個別案件じゃないのです。申告をさせるべく手段を講じたかどうか、これを聞いておるのです。だから、それをしたならした、してないならしてない、簡単に
言ってください。一言で言えばいい。
#76
○古出説明員 確定申告そのものは、これは代理人によりまして申告することも可能でございまして、仕組みとしてはそのようになっております。ただ、金丸前議員御自身の申告自身が現実にどうであったかということについては、先ほど来申し上げておりますように、答弁については御容赦願いたいと存じております。
#77
○渡辺(嘉)委員 甚だ不愉快な答弁ばかり聞いておるわけなのですが、そういう態度では国民はこの問題を、一億二千万人が注目しておるわけなのですから、やはりきちっとしたことを明らかにしていただく、私は今度は検察庁にも国税庁にもその点の義務があると思うのです。
 この点を申し添えて次に移りますが、あと時間がありませんので、この四月一日から実施を予定されておる技能実習制度の導入について質問をいたしたいと思います。途中で大臣にもお聞きいたしますので、ちょっとお聞きいただきたいと思います。
 これは、一定の研修の上で一定の研修評価をした上で一定期間同一企業での実習という名のもとで労働を認める、簡単に言えばこういうことになるのですね。これは単純労働者の導入に道をあける画期的な一つの出来事ではないか、スタートではないか、私はこう思っておるわけです。
 昨年法務省が出されました出入国管理の基本計画によりますと、外国人労働者問題への対応としては、いわゆる単純労働者の受け入れについては出入国管理行政上も受け入れ範囲の調整、外国人の滞在期間の長期化への対応等の問題がある、また受け入れの是非の検討に当たっては国民的合意の確保が必要であり、政府の基本方針どおり今後とも多様な角度から慎重に検討したい、こういうふうに言っておりながら、今度これが出てくるわけなのですね。じゃ、果たしていかなる国民的合意を取りつけたのか、また政府の基本方針というのは、今までは単純労働者は入国をさせない、こういう基本原則で来たはずです。これは変更されたはずはないはずなのです。まずこの点について、時間がなくなるからできるだけ簡単に御答弁をいただきたい。
#78
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。
 技能実習制度と申しますのは、これは開発途上国の人材育成というものに貢献するという観点から考えたものでございまして、現在の研修制度を拡大して、広義の研修制度ということで発足させるものでございます。それで、一たん研修で入ってきた人をある程度研修をいたしまして、それで特定のある段階まで技術等のレベルが達したということを試験いたしまして、その試験にパスした人を今度技能実習というところで雇用関係でもってさらに技術を磨いていく、こういう仕組みでございます。
 そういうことでございまして、決して単純労働を認めたということではございません。技術を磨くということで、技術を前提としたものでございます。そういうことで、この単純労働については現在認めておりませんし、今後これについては慎重に多角的な面から検討するという基本原則を変えるものではございません。そういうことで御理解いただきたいと思います。
#79
○渡辺(嘉)委員 いや、きれいな言葉で言うとそういうことになるんです。技術移転の問題、国際交流の問題、そして研修の範囲内なんだ。研修の範囲内なら実技研修で十分なんです。技能実習まで踏み込む必要はない。技能実習については、労働省にも後ほど答弁いただきますが、労組法の適用を受ける、一切の労働関係法規の適用を受ける、そうすると憲法の労働基本権の二十七条、二十八条のあの規定も受けるわけです。この部分だけは認めませんよというふうに制限した労働法規の適用ですかと労働省に私は聞いたら、そうじゃない、全部、オールマイティー認めます、こう言うのです。とすれば、転業とは言いませんけれども、転職の問題から、相手がつぶれた場合の問題、あるいはまた自己の勝手な生活、あるいはまた宿泊その他が自由に行われる、と同時に残業、アルバイト、時間外勤務、これも自由になってくるわけです。
 一つの例でいうと、わずか九カ月の研修の上に立って、後十五カ月の技能実習という名のもとの労働を行いますと何が起きるか。これは私は現場でいろいろなことを扱っておるだけにいろいろな問題を危惧しておるわけですが、一つ一つ例を挙げておると時間がないので、この点についてひとつ両方から御答弁いただきたい。
#80
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。
 技能実習の段階に移りますと、雇用関係のもとで報酬を得て働くということになりますが、先ほど申し上げましたとおり、これはあくまで広義の研修の一環として行われるわけでございますので、当然制限が出てくるということはございます。例えば宿泊施設をきちっとしていることとか、それから帰国の担保をとっているとか、そういうことで制約が出てくるのは当然でございます。その点入管法上いろいろ手当てといいますか、そういう担保を考えているわけでございます。
#81
○都築説明員 お答えいたします。
 先生御指摘の労働関係法令の適用の問題でございますけれども、労働省といたしまして技能実習制度についていろいろ行革審の答申等いただいた上で検討を進めてまいりました。これは法務省等関係省庁と十分協議をしてやってきたわけでございますが、技能実習制度につきましては、先生御案内のとおり、研修制度の拡充という観点から行うということでございまして、これは一昨年十二月の行政改革審議会第二次答申におきましても、現行の研修制度につきまして、例えば実際には労働力不足対策として使われているとか、あるいはそういうことからすれば研修生としての保護が十分でないとか、こういう指摘がございました。
 そういう上に立ちまして研修制度の改善あるいはこの技能実習制度の導入ということが指摘されたわけでございまして、一定の仕組みとして研修を経た上で一定の水準の技能に達しているという要件を満たす場合には、その後雇用関係のもとでの技能の熟練度を高める機会を与えようということでございまして、単純労働力の問題というよりは、あくまで研修生の保護とかあるいはそういう労働関係の面からの保護を及ぼすという観点で導入するものでございまして、私どもとしても、先ほど入管局長からお答えございましたように、あくまで研修制度の拡充でございます。
 ただ、研修期間が長くなりますと、実際にはその熟練度が達してまいりまして、その生産物等が実は商品価値を持ってくるようになる。そうすると、実際には日本の労働者と同様の作業をしながら、自分は研修ということで研修手当ですよとか、あるいは労災保険も適用にならないのですとか、そういうことでは果たして本当にその人たちの保護という面から十分であるのか、こういう問題もあるわけでございます。
 ということで、労働関係法令を適用するということになるわけでございますが、労働関係法令を適用いたしますと、基本的には内外の差別と申しますか、国内人であるあるいは外国人であるということで差別をするわけにはいかないわけでございますので、そういうことで労働関係法令も適用するということにいたしている次第でございます。よろしくお願いします。
#82
○渡辺(嘉)委員 だから問題なんです。私も岐阜県で十数の協同組合の参加でこの研修生の学院をつくりまして、私はその会長をやっております。そして一命五百人近い方々の実態をきちっと把握し、見ながらこの十年間、私はやってきたわけなんです。
 ところが、今のような労働法規の適用を受ける。その基本原則のもとに労働法規の一切の適用を受けてくると、わずか二年のうちの十カ月とか十二カ月とか十五カ月、最高十五カ月以上はないのですが、その間はそれだけ適用するというようなことになると、雇用保険の適用を受ける、厚生年金の適用、健康保険の適用。健康保険はいいのです。ところが、雇用保険等は掛け銭の恩恵があるかどうか。まさに恩恵がないのに掛け銭だけは掛けなきゃならない。
 と同時に、生活単位も、一定のところに宿泊しなさいという規定からは外れる。抑えたらおかしいのです、今度は労働法規の立場で。そうでしょう。各人が勝手なところへ下宿し始めるのです。夜ちょっとアルバイトに行きます。五時に終わって六時に部屋へ入って勝手に食事をやってという。あるいはまた、ちょっとどこかの出前持ちのお手伝いに行く。休日、土曜日、ゴールデンウイーク、どんどんとそこでやれる。これはまさに労働の延長であり、そしてよその業種にまでアルバイトということではみ出す危険が多分にある。
 まして、生活の単位が個々になってきますから、だからあなた方が予想しているようなそんなものじゃない。まさに、行方不明の不法就労者が今二十六、七万おるというのを、むしろ助長することはあってもこれを減らす手段にはならない。あくまでこういうまやかし的なことを、これは私の推測ですが、政府・与党そして一部の業界とこれをやられたということを聞いておるのです。これは決して好ましいことじゃない。
 と同時に、これを省令で決めるということにまた問題がある。これは間違いなく外国人の単純労働者受け入れのスタートの一歩であると私は判断をしております。こういうことを省令で決める、これはもってのはほなんだ。国民合意を図るというなら法律行為として出してくる。みんながよく検討して、そしてなるほどこうだということになったら初めて法律として国会で成立する。これが国民合意なんだ。そうでなしに一方的に省令で、また去年こういうことを言いながら、この一年間に国民合意を受けた覚えがない。
 こういうような意味合いからいろいろな問題を含んでおりますので、この四月一日実施のこの省令は延期して、もう一度国民合意を得た上で、いろいろな意見を聞いてその上で法律行為として扱う。そして、外国人労働者に対して日本のこれからの国策、国是、国の政策はいかにあるべきかということをきちっと決めるべき段階に今来ておる。だから、四月一日の実施は延期すべきだ、こういうように私は思うのですが、大臣を含めて御答弁をいただきたい。
#83
○高橋(雅)政府委員 お答えいたします。
 この技能実習制度は、先ほど申しましたように、私たちとしては研修の一環、広義の研修ということで位置づけておりまして、単純労働者の導入というふうには考えておりません。したがって、まだ単純労働者の導入問題については国民的合意を図るという政策を変更したというふうには考えておらないわけでございます。
 それで、この技能実習制度の実施につきましては、いろいろな考え方があるかと思いますが、今私たちが来年度から実施しようとしているのは、現行法の範囲内においてやっていこうということでございまして、この実施を見た上で、これを法的な仕組みに変えていった方がいいということであればまた別途法律案としてお願いすることもあるかと思いますが、現行の考え方は、この現行法令の範囲内で技能実習制度を実施していこうということであって、また単純労働の導入ということではないということを御理解していただきたいと思うところでございます。
#84
○後藤田国務大臣 るる局長からお答えをしておりますように、やはり現時点で単純労働者を受け入れるということは、これはよほど慎重でなければならぬ。ヨーロッパ等における先例もこれあり、やはり日本として今やるべきことは、発展途上国の技能、技術に対する援助といったような意味合いから、今までの研修制度を現行の枠の中でできるだけ拡張してみて、それがためには、専門的な実習制度というものを従来の研修の中に取り入れて、そして技能の訓練というものの幅と質を高めて発展途上国に寄与したい、こういうことでやっておるわけでございますから、御質問のような単純労働者の受け入れではないのかといったようなことは、我々としては今の時点では考えておりません。
 また、法律でやったらどうだといったような点についても、これまた今回のような措置でやってみまして、将来さらなる検討の、勉強の課題にはなるかと思いますが、現時点においては四月一日からの発足をぜひひとつ御了解願いたい、こう思います。
#85
○渡辺(嘉)委員 終わります。
#86
○浜野委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後雰時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
#87
○浜野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小森龍邦君。
#88
○小森委員 午前中の質疑に続きまして、裁判所職員の定数法の一部改正に関連をして若干の事柄をお尋ねしてみたいと思います。
 まず、今日の我が国における民事、刑事の裁判において、それぞれ判決に至るまでの所要の日数、その現状をお尋ねしたいと思います。
#89
○上田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 民事訴訟事件の第一審の平均審理期間でございますが、昭和五十年前後におきましては、地方裁判所におきまして十四カ月から十七カ月の間でございました。簡易裁判所におきましては五カ月台で推移してきておりました。ところが、ここ数年、増員をお認めいただきました効果等もございまして、地方裁判所におきましては十二カ月台、それから簡易裁判所におきましては三カ月台で推移しております。
 それから次に、刑事訴訟事件でございますが、刑事訴訟事件の第一審の平均審理期間は、昭和五十年前後におきましては、地方裁判所におきまして五カ月から六カ月の間、簡易裁判所におきまして三カ月台で推移しておりましたが、ここ数年、地方裁判所におきましては三カ月台、簡易裁判所におきましては二カ月台、こういう状況になっております。
#90
○小森委員 我が国の憲法には、すべて国民は迅速にして公平な裁判を受ける権利を有する、こういうことがございます。当然のことなんでありますが、裁判所はこの憲法の規定の、公平ということはもちろんでありますが、迅速な公開裁判、この迅速なということについてはどの程度の目安を入れておられるかということをお尋ねしたいと思います。
#91
○上田最高裁判所長官代理者 大変難しい御質問でございまして、民事事件にしましても刑事事件にしましても、どの程度の期間で審理を終えて判決を言い渡すかということでございますが、これにつきましては明確な答えを申し上げることができない状況でございます。
 と申しますのは、それぞれ民事事件にしましても刑事事件にいたしましても、裁判所だけが当事者ではございませんで、裁判所のほかにも、民事事件でございますと原告側、被告側、特に代理人たる弁護士の方々、それから刑事事件で申しますと検察官側、被告人側ということでございまして、その関係者の間でどのぐらいにしたらいいかというコンセンサスを得る必要があるわけでございますが、それについてのコンセンサスがなかなかいまだ得られていない、こういう状況でございます。
#92
○小森委員 私がそういう質問をいたしましたのは、先ほどの回答だとどうも裁判所に確たる一つの見通しがないということになるんですが、こうして毎年裁判所の職員の定数を、判事を含めて行っておるわけであります。しかし、これには一定の目標といいますかトータルな計画といいますか、そういうものがあってしかるべきだと思うのでありますが、毎年少しずつふやしておるけれども、例えば十年とか七年間のうちにあるべき姿に、裁判所としてはほぼ満足すべき状況にこの時点で到達できるんだというようなトータルなものがありましたらお知らせをいただきたいし、現状
は裁判をするのに迅速な状況とは言いがたいと思うのでありますが、現状、ギャップと感じられていること、そういうことと関係して、トータルなプランはこうだというものがありましたらお示しいただきたいと思います。
#93
○上田最高裁判所長官代理者 裁判所のあり得べき理想的な定員という御質問でございますが、これも大変難しい問題でございまして、まず、これを算出するためには、事件数がどの程度あるのかということを予測する必要があるわけでございます。さらにまた、それを前提にいたしまして、どのような審理形態で裁判を行うかということを考える必要があるわけでございます。
 しかしながら、まず事件数についてでございますが、これは委員御承知のとおり、経済情勢その他の社会状況の変動に応じまして事件の増減の波が大きく変わっているというのが現在の状況でございまして、将来の平均的な事件数を想定することはなかなか難しいわけでございます。さらに、あるべき審理形態につきましても、先ほどの委員の御質問に対してお答え申し上げましたように、一体どのくらいの期間で解決するのがいいのかということについて関係者の間でなかなかコンセンサスが得られない状況でございます。
 例えば民事訴訟につきましては、委員も御承知のとおり、現在民事訴訟法の改正作業が進行中でございまして、その中でも訴訟の審理形態のあり方ということが議論されているところでございますし、また私どもも、改正を待たずに裁判所の方でいろいろと民事訴訟の審理の運用面におきまして、弁護士会等の協力を得ながら審理の充実改善方策を実行しているところでございます。
 したがいまして、あるべき理想的な裁判所の定員ということをお答えできないのを残念に思うわけでございます。したがいまして、その理想的な定員と現在とのギャップということについても御説明できない、こういうことでございます。
#94
○小森委員 そうすると、毎年その都度その都度思いつきの、少しずつふやしていかぬと格好つかぬからというような格好で裁判所がやっているのかなというふうに思うのですが、なるほど二割ないし三割くらいの、刑事でいえば犯罪件数とかあるいは民事では民間のもつれたこと、上下があると思うけれども、しかしそれはそれなりにやはりそれだけの増減を見込んで、なおかつ我が国の憲法の規定に基づく迅速なしかも公平で公開の裁判を行うということになっておるわけですから、これはなるべくそういうトータル的な計画のもとに毎年逐次定員の問題を考えてもらいたい、こう思います。何も今回のことに私は反対するという意味じゃないですけれども、何だかその場その場のことをやっておるということでは、審議する我々も非常に心もとないものを感じますので、それをお願いしておきたいと思います。
 裁判にかかる日数との関係でお尋ねをするのでありますが、昨年でしたか、広島県比婆郡高野町の山本さんという人が再審請求を出されておりまして、この人は、私が昨年質問したときは九十四歳でしたからことし九十五歳だと思います。これは普通ならいつどういうことがあるかわからぬ。かなり健康な方だと思いますけれども、いつどういうことがあるかわかりませんが、これが延々ともし延びて、この再審請求に対する法律的な節目節目の手続というか段取りが延びますと、この人が受けるいわば裁判上の、この人の主張が通ったとしても裁判上の利益がない、こういうふうに思いますので、ちょっと余計なことになりますけれども、もちろん冤罪を主張しておるから再審請求を出しておるのでありますし、しかもこの人は拷問された事実を赤裸々に述べておる。その拷問の結果、私は以前写真を持ってきてこの場で提示をいたしましたが、足が湾曲しておる。昭和の初年のことなんですね、拷問されて。
 しかも、昭和初年のことで、昭和天皇の御大典というのか、皇位継承の儀式の前後でありましたので、あの期間ある一定のところを調べてみるとかなり、犯罪の取り締まりは性急にやれというような通知も出ておって、私はそういうことの犠牲者ではないのかと推測しておるのです。だから、やはり年のことも考えてしかるべき裁判の進行というものを進めてもらいたいと思うのですが、現状のところどういう、審理の中身はもちろん私知ろうと思いませんけれども、どういう段階まで来ておるのかということをお知らせいただきたいと思います。
#95
○島田最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の事件は、昨年の四月に二回目の再審請求があったわけでございますが、現在広島高裁の方で鋭意検討を進めている段階であると聞いております。
 具体的に申しますと、弁護団と検察官側で定期的に集まり合い、進行予定に関しても打ち合わせを行っておる。検察官からは再審請求に対する意見書も既に提出されたという段階のようでございます。
#96
○小森委員 わかりました。逐次進んでおるということであれば、再審請求というのはかなり時間が、物が動いてないという状況で続く場合のことを私も多少承知しておりますので、そういう、動いておるということになれば、かねてから申し上げておりますように、年齢を考慮して速やかにひとつ物事を進めていただきたい、こういうふうに要望しておきたいと思います。
 それから、つい先般、これは民事訴訟でありますけれども、広島県の豊田郡の安浦町というところですが、まことにこれも残念な話でありますが、小学校六年生の子が卒業式のあった数日後に、もとの担任の教師が呼び出してその子を殺害をした、こういう事件が起きました。これは裁判所側にも尋ねたいと思うのですが、時間の関係がありまして、裁判所というよりは文部省の方へちょっと尋ねたいと思うのです。
 かかる事件が起きてくるということの文教行政上の問題が一つと、それに対する総括的な考え方を聞かせてもらいたいということと、もう一つは、まことにこれは残念なことなんでありますが、広島県教育委員会の幹部職員が、このことが大々的に報じられた、民事訴訟の賠償の訴えをほぼ全面的勝訴という形で、訴えた方の勝訴という形で広島地方裁判所呉支部の判決が出たときの教育委員会側のコメントが、文教行政上もあるいは人道上も非常に問題ではないか、こう思うのです。
 そのコメントを読み上げてみますと、「被害者は卒業式をすませており理念的にも法的にも職務行為とは認められない。教諭をどこかに監禁しておくこともできなかった。今後のことは弁護士と相談して決めたい。」その一番最後の「今後のことは弁護士と相談して決めたい。」というのは当たり前のことなんでありますが、何か開き直ったような、卒業式が済んだ後で、子供はもう卒業しておるんだし、先生を監禁しておくわけにいかぬから、こんな事件が起きてもどうもやりようないんだと言わんばかりのことを言っておりますが、文教行政の立場から、文部省は一体この事実とこういう見解に対してどういう考え方を持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
#97
○小林説明員 お答えを申し上げたいと思います。
 本件は、ただいま先生おっしゃられましたように、学校の先生がみずからの教え子を殺害するという、あってはならない極めて残念な事件でございます。まことに遺憾なものというふうに考えている次第でございます。文教行政上も、こういうことがないように、職員の服務監督あるいは資質向上等に努めまして、今後二度とこのようなことがないように留意してまいりたいと考えております。
 それから、先生御指摘の新聞の県教委の幹部のコメントでございますけれども、実は私どももこれを読ませていただきまして、ちょっと合点のいかない話だなというふうに考えまして、広島県の教育委員会に確認をいたしたところでございます。その結果、この記事に載っておりますことは、実は判決のありました前日に記者の求めに応じて、それまで裁判で主張してきた教育委員会としての考え方を申し述べたものであるということがわかったわけでございます。
 ただ、今先生御指摘のように、新聞を見ますと、判決の内容が数段にわたって紹介されておりまして、その直後にその県教委幹部の話という形でただいま先生お読みいただきましたようなことが載っておりますので、そうなりますと判決内容に対するコメントであるかのような書き方になってございますので、既に広島県教育委員会といたしまして新聞社に対して抗議をいたしました。新聞社側から陳謝があったというふうに伺っております。
#98
○小森委員 前日のコメントというのと、それから判決があった後なお開き直ってというのでは大分違うと思いますから、大分私の気持ちも和らいできました。
 ただ、文部省の前段の答弁で、こういうことがあってはならぬことだということだけではいかぬのでありまして、文教行政のどういう欠陥から出たか。例えば兵庫県の高等学校の、鉄の門扉を閉めて頭蓋骨をやられて死んだ。あれももとをいえば広島県の関係者ですけれどもね。ああいうことがあったり、それから今言うような事件があったり、まだ詳細は申し上げませんけれども、先般広島県でやはりもとの教え子を、中学の教師ですけれども、相手の女性は高校生になっておるのですけれども、恋愛関係になって、君は部落民だから結婚できないというような意味のことを言って、相当深い関係にあったのに、そういう絶望的な話をしたために首くくって死んだという事件もあったのです。したがって、文教行政上、そういう問題についてもっと根本のところにさかのぼってお答えをいただきたかったのですけれども、きょうは私の方の気持ちだけ申し上げておきましょう。どうもありがとうございました。
 続きまして、それでは質問を次に移すといたしまして、これは法務大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、昨年来の東京佐川急便金丸五億円事件、ごろがいいから東京佐川急便金丸五億円事件と言っているのでありますが、この事件をめぐりましていろいろ議論が行われておることは既に周知のところであります。
 そこで、先般参議院の予算委員会におきまして、下稲葉議員の質問に対する答弁として法務大臣が次のようなことを言っておられます。議事録を読みますと、つまり、自民党の森政調会長など何十億の金を積んで自民党のあのほめ殺しをやめさすとかやめさせないとかということが話題になった、ああいうことに関係して、後藤田法務大臣は、
 いかに裁判長の法廷指揮に従ったとは言いましても、やはり公開のああいう法廷でそれ以外に方法がなかったのかということになると、これは要旨ということだってあり得ますね。だから私は、裏のとれてない、しかも後になってみてそういう事実無根であるといったことがああいうところで読み上げられて、大変な名誉棄損とでもいいますか、その立場に立った人に非常な私は迷惑をかけたということについてはこれはおわびをしなければならないことだと思います。
こういうことを言っておられるわけであります。
 私は、この問題につきまして昨年の十二月にも質問いたしまして、要するに、事実無根ならばこれは大変なことであるし、政治家の場合はまだテレビなどに出ておれはやったことないというようなことも言えるけれども、一般庶民だったら全くこれはやられっぱなしということで名誉毀損、その逆に、検察側の恣意的な捜査なり恣意的な言うなれば検察調書を書くというようなことについては深く物を考えて取り組まねばならぬのではないか、こういう趣旨で私は質問したと思うのですけれども、後藤田法務大臣にお尋ねをしたいのは、法廷指揮というのは、その場で例えば検察側が防御できることなのかどうか。私は防御できないと思いますけれども。
 そうすると、いや、それは要旨で済ませてもらわなければいかぬのじゃというようなことは、それは検察側は自分が書いておることであるし、できる道があるのかもわかりませんけれども、私はできないと思います。法廷指揮に従わなければならぬと思うのでありますが、その法廷指揮に従わずに要旨ということでやったらどうかなというような意味のことを法務大臣が言われたその真意をちょっとお尋ねしたいと思います。
#99
○後藤田国務大臣 ああいった場合に、原則的に私は全部読み上げるのが法律的には求められていることであろうと思いますけれども、法廷での従来の経験等から見ますと、ああいった場合には、具体的な裏のとれてない、場合によれば大変な名誉を毀損するおそれがあるといったような内容のものについては、別のやり方でやっておる場合も従来からあるのではないかな、そういうことを頭に置きまして、余り精密な、法律的な実務の取り扱いを頭に置いて必ずしも言ったのではありませんけれども、私は、そういう道があったのではないかな。
 これは後で専門の局長から答えてもらいますが、そういうことを踏まえますと、やはりいかなる場合でも個人の名誉とか人権というものは尊重しなければならぬのではないか。だから、法律的には何ら間違いのないことではあったにしてもやはり慎重さに欠けておるのではないか。しかも、それは同時に、今度は慎重さには欠けておったと思うけれども、それじゃ意図的に検察側がやったのかということになると、それはそんなことは全然考えられない。だから、そういう意味合いにおいて私は最後の締めくくりのところで、これは平たく言えばチョンボとでも言うべきものではないのか、検察としては十分そういう点については、今後いろいろな場面があるでしょうから、あくまでも名誉、人権に関することについては慎重な配慮でやってもらいたい、こういう私の率直な感じを述べたわけでございます。
#100
○小森委員 慎重ということについてはもちろん私も賛成をするわけでございますが、この具体的な事例からいくと、裁判所が全部読み上げなさい、こう言ったから検察官は読んだものであります。そうすると、行政府の法務大臣は、ほかの大臣だって私は慎重に物を言わなければならぬと思うけれども、特に検察を掌握しておる法務大臣がそういうことを言うということになると、裁判所の訴訟指揮権が間違っておる、こういうふうにとられかねないですね。そういう意味で私は、後藤田法務大臣、これは最後の言葉もチョンボではなかったのかということで大ざっぱに言われておりますが、これはやはり法務大臣の答弁も大ざっぱ過ぎたのじゃないですか、その点はどうですか。
#101
○後藤田国務大臣 私は、わかりやすくあくまでも慎重でなければならぬという考え方、しかし同時にこれは検察としては意図的に言ったものでもないといったようなことでああいう平たい言葉で申し上げたわけでございますが、もちろん私は裁判官の訴訟指揮、こういうものについてとやかくの批判をするつもりは毛頭ありません。しかしながら、これはそうは言いながらも、人権とか名誉ということはいかなる場面にあろうともそれぞれの持ち場持ち場の人も真剣に考えなければならぬ事柄である、かように私自身は考えておるわけでございます。ただ、重ねて申しますが、裁判批判ということを私は言うつもりではありません。
#102
○小森委員 ちょっと裁判所の方にお尋ねをしますが、裁判所の訴訟指揮に基づいてあれを朗読したということについてはみんなよく知っているところでありますが、先般の私の質問に対する裁判所側の答弁は、要旨の説明の方がむしろ例外であって、要するに朗読が通常でやることなのだ、だから通常の措置でやったという意味のことを答弁なさったと思います。そうすると、裁判所とすれば刑事訴訟法に基づいて通常のことをやった、通常のことをやったことが、法務大臣の真意はどこにあるにせよ、それが最終的にチョンボという形で結論づけられるということになると、検察側がその段階で、これはちょっと裏をとれてないことで名誉毀損にかかわるような問題だから要旨にさせてもらいたいというようなことを言う余地があるのか、あるいは裁判所側はその朗読の中身を
知っておって訴訟指揮をとられたのか、その辺はどうでしょうか。
#103
○島田最高裁判所長官代理者 この間、今委員が言われた昨年の十二月八日だったと思いますが、この問題について委員から質疑がございまして、私お答えした際に、朗読が法律上原則である、裁判長はその原則に従ってなされたわけですということを申し上げ、そのときに、しかし調書の朗読により人の名誉やプライバシーが無用に傷つけられることもあってはならない、したがって運用上の工夫としてそういう場合に調書の重要性等にかんがみ朗読にかえて要旨の告知をすることもございますということもお答えしたと思います。
 今委員が御質問のように、例えばある段階で立ち会いの検察官の方からその調書の証拠の重要性と、それからそれを朗読した場合のいろいろな影響等を勘案しまして、これは要旨の告知で済ましてもらいたいというような申し出があった場合には、裁判長としては訴訟指揮においてその辺のところはやはり考慮に入れることだろうと思います。その結果、どういう結論に出るかは、これはまた別問題でございます。
 ただ、御承知のように、裁判所はいわゆる起訴状一本主義でございますので、審議の当初においては事件の全貌は全く存じません。したがって、出された証拠の価値とかあるいは証拠の内容がどれほどまでに傍証を経ておるものかどうかというような点については、当初の段階ではともかく裁判所の方はある意味で白紙の状況でございますので、その辺は検察官の方からの御意見をかなり尊重しながら訴訟指揮を行うということになろうかと思います。
#104
○小森委員 そういうことならば、私は、最終的にチョンボと言われたことも、検察側がちょっと配慮しなきゃならなかったということのチョンボ性があると思うのですね。それなら大体法務大臣の言われることも整合性が出てくると思いますが、防御できないことならば訴訟指揮権でやらなきゃならぬということになる、検察側のチョンボというのは文書を書いたときが問題で、そこで読んだときのことが問題ではない、こう思ったのでありますが、概略のところ、私としては理解できました。
 それから、この法務大臣の発言と、私は十二月八日の濱刑事局長の答弁とが多少そごを来しておるのではないか、やや矛盾が出ておるのじゃないかというふうに思うのです。その点についてちょっと、時間も余りありませんが、濱刑事局長からの答弁を聞いておきたいと思います。
 これは要するに、裏づけ捜査をしていない、刑事局長の言われたことをそのまま読みますと、「それが真実であるということを立証あるいはそれを確定しようとしているものでない限りは、その点について必ずしも裏づけ捜査をとる必要がないということは刑事手続上通常あり得ることであるわけでございます。」ということで、つまりあそこへ記述した中身、ああいうことを書くことは通常あることですという濱刑事局長の答弁でありますが、それが後藤田法務大臣のところまでいくと、結局読んだということの事実行為もそれに加わりますけれども、やはりチョンボが出てくる、こういうことになりますと、これは刑事局長、ちょっと食い違うんじゃないですか。
 その食い違いが、実は私は揚げ足をとろうと思って言うのではなくて、国会の法務委員会の審議上、私はあなたにあのときソニー・オートマチック・テープレコーダーじゃということを言いましたが、ちょっとこれもこの言葉は過ぎておるのですけれども、言い過ぎなんですけれども、我々とすれば、国会議員とすればいらいらするのですよ、本当の問題が出てこないということで。だから、揚げ足取りという意味でなくて、この点について、もう一度刑事局長の方から聞いておきたいと思います。
#105
○濱政府委員 簡単にお答え申し上げたいと思います。
 今委員がお尋ねになっておられます、裏づけをとる必要があるかどうかの問題について私がお答え申し上げたお答えの趣旨はこういうことでございます。
 要するに、例を挙げた方がおわかりいただけるかと思いますが、ある人物が他の人物からある話を聞いたということを立証することと、そのある話の内容が真実であるということを立証することとは別の事柄だと申し上げたわけでございます。したがいまして、ある人物が他の人物からある話を聞いたということを立証しようとする場合にはもちろんその裏づけ捜査は細大漏らさずする必要があるわけでございますけれども、聞いたとき、ある話が真実であるということを立証することでない場合にはその点の裏づけを必ずしもする必要はないというのが訴訟法的には言えるのではないかということを申し上げたわけでございます。
 ただ、その私の答えと、大臣がおっしゃっておられました、先般の予算委員会でお答えになられたこととの関係を今委員は後段でお尋ねでございますけれども、大臣がお答えになられましたことは、供述調書が朗読された過程には先ほどの裏づけをとるとらないの問題も含めまして法的な問題はないけれども、その一方で、そういうものが証拠調べ請求が必要な場合でも、他方で第三者の名誉を侵害するおそれが高いときにはその点について十分配慮した取り扱いをすべきである、そういう慎重な、十分配慮した取り扱いをすべきであるのに、その点について慎重さが足りない点があったのではないかという御趣旨のことをおっしゃられたと思うわけでございまして、私がお答え申し上げたことと大臣が御答弁されたこととは同じことを申し上げたつもりでいるわけでございます。
#106
○小森委員 そのことについて議論する時間がもうございませんが、濱刑事局長の先ほどの答弁ではもう少し理解しかねる点がありますから、またの機会にこれは譲らせていただきたいと思います。
 最後に、もう時間が余りないのですけれども、現在、東京佐川急便金丸五億円事件に引き続きまして、大変な政界の暗い部分が表に出されつつあります。法務大臣、ひとつ閣僚の一員として、政治改革といっても選挙制度の問題などでなくて、倫理面において法務大臣としての政界を浄化する決意なり所見をちょっと伺っておきたいと思います。
#107
○後藤田国務大臣 今回の事件は同僚としまして私は大変遺憾な事件であって、国民に対してやはりおわびをしなければならぬ事件であったと思います。
 ただ、検察の方としては、この事件の刑事上の責任を追求するという意味合いにおいて懸命の努力をしていずれ結論を、適正な結果を出してくれるもの、私はかように思いますけれども、私は政治家として考えた場合にはそれだけでは足らぬのではないかな。こういう事件が繰り返されるのは一体どういうところにあるんだろうかということを考えますと、こういう事件を契機にして、本当に不祥事件の再発をどう防ぐかという意味合いにおいての政治の抜本改革、これに真剣に取り組まなければいかぬのではないか、しかもそれは私はまさに待ったなしの最後の機会ではないか、かように考えておるわけでございます。
 そういう意味合いにおいて、自由民主党としてもこの国会に何とか政治改革に関連する法律案を整備して御審議を願おうというようなことを党としても考えているようでございますが、私は、いずれにしてもこういう問題は政党政派を超えて、個々の代議士の利害得失を超えて、今政治が国民から何を問われているんだということを真剣に反省して、本当の意味で政治の抜本改革にこういった不祥事件を教訓として生かしていただきたいな、かように考えておるわけでございます。
#108
○小森委員 終わります。ありがとうございました。
#109
○浜野委員長 中村巖君。
#110
○中村(巖)委員 本日は裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の審議でございますけれども、それに先立ちまして、先般、金丸元自由民主党副総裁の逮捕、そして第一次的な起訴、こういう大きな事件があったわけでございますので、これについてお尋ねをしないわけにはまいらないわけでございます。
 第一次起訴がありまして、引き続き第二次の起訴があるように新聞でも書かれております。また、事件としても大変大きな事件であります。それだけではなくて、新聞の報ずるところによると、金丸元副総裁が百億円からの蓄財をしていた、こういうことでございまして、まだその真偽のほどはわかりません。脱税自体だって、私ら法律家から申し上げますならば、これが判決で確定して有罪とならない限りは果たして実際に脱税があったのかないのかもわからないわけでありますけれども、新聞の報ずるところ等々によりますれば、甚だ確からしい。まあ確かだからこそ検察庁も起訴をしたんだと思います。
 しかし、こういう百億円も蓄財をするということは、国民の立場からすればまさに驚天動地の事柄でございまして、こんなことがあり得ていいのか、こういうふうに思っているに違いない。私も思っているわけでありますから、皆思っているわけでございましょう。この事件、さらにはまたその以前において金丸元副総裁は東京佐川急便から五億円のやみ献金を受けて既に政治資金規正法違反ということになっている、こういうような状態。いわば企業からのやみ献金というようなものが横行をする、そういう事態だというふうにとらえざるを得ないわけです。
 その以前にもさまざまないわゆる政治スキャンダルというものがあった、こういうことでございますけれども、大臣もいろいろなところで見解を聞かれているとは思いますが、このような事態に対してどういうふうにお考えになっておられるのか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。
#111
○後藤田国務大臣 先ほど小森議員の御質疑に対して最後にお答えしたのが私の基本的な考え方でございます。
 いずれにいたしましても、事件は的確な捜査を遂げて、そして結論が近く出されるのであろう、かように考えておりますが、問題はやはりそれだけでは政治の場においては済まないのではないか。やはり、これを政治改革という抜本的な、今日までのいろいろな弊害を生んでおりますから、それを是正するという意味合いでの取り組みがなされなければならない。党においてはそういう立場に立って、今鋭意これまた党としては結論を出すべく努力をしておるさなかである、かように私は考えておるわけでございます。
 もちろん、こういった問題は、やはり基本は政党あるいは個々の政治家、これのモラルが基本になければならぬのは当然なんですね。しかしながら、モラルが大事だ大事だといって何十年来たわけですよ。とするならば、それだけでは改善ができない。やはりシステムそのものの中に欠陥があるのではないのか。そのシステムにメスを入れて、そしてこういった不祥事件の再発を何とか防がなければならぬのではないかな。そしてまた、国民の方はそれを求めておるのであろう、かように考えておるわけでございます。
#112
○中村(巖)委員 こういう事件が起こると、すぐ短絡的に政治改革、政治改革。政治改革という言葉と結びつけてしまえばすべてが済むように思うわけでありますけれども、もう少しきちっと物を考えなきゃいけないんじゃないか。つまり金丸元副総裁の脱税事件というようなものが起こってくるゆえんのもの、何でこういうことが起こるんだろうかということを考えていかなきゃならない。
 確かに今大臣はモラルという問題をおっしゃいましたけれども、私は何といっても御当人の倫理観というものが非常に欠如しておったということが最大の原因であろうと思いますけれども、こういうことを可能たらしめる背景というか原因、そういうものを大臣はどうお考えになりますか。
#113
○後藤田国務大臣 だから、私はモラルがなければこれは抜本的な改革にならぬと、これは基本的に考えているんですが、しかしそれだけを唱えてみてもだめだよ、やはりこれは現在の政治のシステムにあるのではないかな、こう私は考える。そうしますと、やはり今日のこの政治のシステムというのは、言うまでもありませんが、五五年体制で来ているわけですね。この五五年体制が、私はさびついてしまったな、金属疲労を起こしてしまっておるんではないか、ならばこの五五年体制を直さなければならぬ。
 その体制を直すときに基本は何かといえば、私は議会制民主主義の活性化であろう。議会制民主主義の活性化ということを考えますと、やはり何といいますか、健全な野党がまず存在するということが一つですね。そして同時に、政権政党の中に腐敗現象なりあるいは政策の誤りがあるといったことになれば、これは野党が政権を取ってかわって担うというような意味合いにおいて、建設的な健全な与野党間の厳しい政治の緊張感の中に私は国民の期待しておるような政治ができるのではないかな、それを生み出すためにはどうするかということになろうかと思います。
 私は端的に言いますと、やはり改革の切り口は、今の政治に金がかかり過ぎる。かけ過ぎるということももちろんありますよ。しかし、システムとして考えた場合に、私は政治に金がかかり過ぎる。政治に金がかかり過ぎるということは、その背景に日本の選挙制度がある。個人の戦いを中心にやらざるを得ない政権政党というもの、これは私はもう少し政策と政策の争いなり党と党の争い、もちろん個人がそういった選挙制度の中で埋没してしまうとは思いませんが、現在のような個人中心の戦いのあり方から政党中心の戦いに持っていくべきではないのか。
 そういうことを考えますと、やはり現在の選挙制度そのものに、これは大変長い間なれた日本の制度ですから、私、この制度全部悪いとは思っておりませんが、ここまで弊害が出た以上は、いま一度根本にさかのぼってこの制度そのものにメスを入れて、そして先ほど申しましたように、時に政権の交代があるといったような政治システムの構築をやるべきであろう、私はさように考えているわけでございます。
#114
○中村(巖)委員 政権の交代が可能であるような状態がない、つまり自由民主党が長い間政権政党として君臨をしてきた、ここにこの種の問題が起こる根があるということは私も賛成であります。しかし、それだからといって、選挙制度を今自由民主党がおっしゃっているように変えてしまう、そのことがいいのかどうかということは全く別問題であろうというふうに思うわけでありまして、選挙に金がかかり過ぎる、これはよく言われることで、大臣もかけ過ぎるという言葉も使われましたけれども、実際問題として、じゃ、こうやって金丸元副総裁の事件が発覚をしてみると、選挙に金がかかる、かかると言って実は私腹を肥やしているのではないか、こういうことになって、ほかの国会議員だって何だかんだと言って蓄財をしているのではないか、私腹を肥やしているのではないか、世間からそういう疑惑の目をもって見られる、こういう事態になってしまうわけであります。
 だから、私はその面で、やはり選挙制度を離れてもこのような事件が再発をしないような対策というものが必要じゃないか。そういう意味で、自由民主党が確かに今度政治改革のための法案をお出しになるようでありますけれども、選挙制度の点を除いて、政治資金の問題あるいは公選法の問題等々あるいは政治倫理法の問題という点から考えて、今の自由民主党がおやりになられていることで十分なのかどうかということをただいま疑問としないわけではないわけであります。何らかこれを、選挙制度の点は大臣の見解はわかりましたけれども、抜本的に再発防止策というものは立てられないものなんでしょうか。その辺、いかがでしょうか。
#115
○後藤田国務大臣 まあ、なにじゃないですか、政権争奪というのは、本当これは厳しい戦いですからね。やはり、私は根源をきちんとしないできれいな水が流れるかというとそうはいかぬのではないか。だから、私は根っこにさかのぼらなければしようがない。それにはやはり政治のシステムではないか。その政治のシステムは、これはいろいろなものがありますが、やはり大きなファクターは選挙のあり方、ここに私は根差しておるのではないかな。
 これは先生の場合と私の場合と経験が違うのですよ。大体、先生の場合は一つの選挙区でお一人じゃないですか、公認候補は。我々は四人も五人もおるわけですよ。これは同士打ちなんですよね。同士打ちだって金を使わなくたっていいじゃないか、それは当たり前の話なんだけれども、なかなかサービス合戦になりますね、これは。そこらがあるから、私は根っこと一緒にすべて直した方がよかろう。ただ、できるものから先にやった方がいいよという見解がありますから、そこらは各党協議でよくお話し合っていただければいいな、かように思っております。
#116
○中村(巖)委員 何か議論するようでありますけれども、大臣はあくまで選挙制度という言葉に拘泥をしておられるけれども、しかし今私が申し上げたように、それは確かに今の選挙制度、中選挙区という制度は制度疲労を起こしているかもしれません。しかし、金丸さんの例を見れば、選挙に金がこれだけ要るからこれだけ集めてきたという話と違うのですよ、これは。それは大臣もおわかりのとおりで、冒頭申し上げましたように百億円からの蓄財をした、こういうんですから、こういうようなことを可能にしている政治のシステム、それを何とかしなきゃならないのじゃないか、その点はどうなんだということをお伺い申し上げているわけです。
#117
○後藤田国務大臣 私は、金丸さんがどういうようなことをおやりになって、どうなさっておったのか新聞でしかわからぬわけですよ。これは事件として今検察が調べておりますから、その結果を見た上で、これは政治に金がかかる、それがためにああいう、実力者ですからそれ相当の準備を整えておったのか、それとも私的蓄財であったのかといったことは結果を見てひとつ判断をしたい、こう思います。
#118
○中村(巖)委員 それ以上はこの問題については議論をいたさないことにいたしまして、次に裁判所の職員の定員法の問題でありますけれども、主として私は裁判官の数の問題を論議していきたいというふうに思っているわけでございます。
 今回の法案によりますと、判事補の定員をふやす、七人増加する、これはこれでわかるわけであります。というのは、端的に申し上げれば、今年度の司法修習終了予定者の中からそれだけの裁判所を志望している修習生があって、全員それを採用するとなるとやはり判事補の枠が足りない、こういうことであるわけですから、それだけ司法修習終了者の中から裁判官を志望する人がおるということは大変いいことであるわけで、その意味でその人たちを採用するために枠をふやすということに対しては大変賛成であるわけでございます。
 そこで、具体的に、もう間もなく卒業でありますけれども、本年度の司法修習生の人数はどのくらいで、裁判官あるいは検察官、残余が弁護士でありますけれども、志望者はどのくらいおるのか、現在の時点でおわかりになっている限りで教えていただきたいと思います。
#119
○上田最高裁判所長官代理者 裁判官志望者は九十八名だと承知しております。それから、検察官志望者は四十九名だというふうに聞いております。
#120
○中村(巖)委員 九十八名もの多数の人が裁判官を志望する、これは大変画期的なことで裁判所にとっては喜ばしいことではないかな、こういうふうに思います。それはその方々が全部採用になるのかどうかわかりませんが、大体採用になるんでしょう。
 それはさておきまして、今、ここ何年にもわたって判事の増員というものはないわけでありますけれども、判事は現在員がどのくらいいるのか、そして判事の定員枠はどのくらいあるのかということを教えていただきたいと思います。
#121
○上田最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。
 昨年の十二月一日現在でございますが、判事の定員は千三百六十、現在員は千三百三十九でございます。
#122
○中村(巖)委員 その定員に満たない部分があるということは、それは順次退官してくるから当然であって、十二月一日現在で調べればそういうことになるんだろうと思います。
 そこで、問題は、裁判官の数が足りないのか、足りているのか、こういう問題になりますけれども、これはなかなか難しい問題で、どれだけあればそれはいいのかということは言えないわけで、数の上では言えない。つまり、裁判官の数が多ければ多いほど審理は充実したものができるということになるわけでありますから、それだけ事件に手がかけられる、俗に言えばそういうことになるわけで、ある意味では多々ますます弁ずというのが現状だろうと思います。したがって、どれだけあればということは言えないと思いますけれども、問題は事件の数の推移との関連であって、大きな意味で言えば裁判官の数の推移というものも年々あるわけでありますし、それに応じて大きなトレンドとして事件が減っているのかふえているのか、こういうことになるわけです。
 じゃ、例えば、昭和三十五年に私が弁護士になりましたけれども、昭和三十五年ごろに比べてどういう状態なのか、あるいはその中間の時点をとらえて見たときにどういう状態なのか、それから最近二、三年というかその間の状況はどうなのか、それを考えていかなければならない。日本の裁判というかそういうものが、言ってみれば審理の充実をも含めてよくなっている、裁判所の状況がよくなっているのか、それともこの歴史、歴史と言えば短い歴史ですけれども、近年の歴史の中でだんだん悪くなっていくのか、その辺のところを私どもは一番知りたいわけでございまして、事件数の推移、さらには裁判官数の推移というようなものを重ね合わせて、その辺のところを御説明いただきたいと思います。
#123
○上田最高裁判所長官代理者 委員が修習を終わられたのが三十五年でございますか、三十五年で申し上げますと、地方裁判所の民事訴訟事件でございますが、新受事件が七万四百八十五件でございました。それから十年たちました四十五年になりますと、十万七千五百九十一件となっております。さらに十年たちまして昭和五十五年でございますが、十二万九千六百七十六件、こうなっております。さらに十年たちまして平成三年でございますが、十二万七百七十三件、こういう状況でございます。
 それで、事件の処理状況がよくなっているのかどうかという御質問でございますが、一つのメルクマールといたしまして、平均審理期間というもので考えてみたわけでございますが、これで考えますと、残念ながら昭和三十五年ごろの平均審理期間がちょっと手元にございませんので、昭和五十年の平均審理期間を見てみますと、地方裁判所の民事通常第一審の事件で十六・三カ月という数字が出ております。それから、十年たちました昭和六十年になりますと十二・四カ月、それから平成三年ですと十二・二カ月、徐々によくなってきつつあるというふうに理解しております。
#124
○中村(巖)委員 裁判官、つまり判事、判事補を合わせた数の推移というものはどういうふうになっておりましょうか。
#125
○上田最高裁判所長官代理者 昭和五十年でいいますと、これは簡易裁判所の判事も全部合わせまして二千六百九十六人でございます。それから、十年たちました昭和六十年で二千七百九十二名、それから平成四年で二千八百三十五人、こういうことでございます。
#126
○中村(巖)委員 それを伺うと、昭和三十年ごろから見れば、事件数というものは、倍増まではいかないまでもかなりの。パーセンテージでふえている。しかし、裁判官の数はふえてはいますけれども、それほどふえてないという状況ではないかなというふうに思われるわけでございまして、そのこととの関連でいうと、今民事の事件数だけおっ
しゃいましたけれども、刑事の事件数というものが最近では今度は逆に相当減っているじゃないか、そういうふうに思われますけれども、その辺の数値はいかがでしょう。
#127
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、刑事の事件は減っております。昭和五十年で申し上げますと、地方裁判所の刑事訴訟事件の新受事件数でございますが、七万六千五百四十八件、それから十年たちました昭和六十年は九万九百四十一件、これはふえております。さらに、平成二年になりますと六万三千七百六十三件、こういうふうになっております。
#128
○中村(巖)委員 それに関連いたしまして、東京地裁を例にとった場合において、地裁の民事、刑事、単独、合議のそれぞれの大体の持ち事件数というものがどのくらいあるのか。ある時期より、私が見る限りにおいては減っているのじゃないか。私が弁護士になってしばらくしたころというのは、民事で三百何十件というような持ち事件を持っておられた裁判官がおられるわけですけれども、今かなり減っているのじゃないかと思いますけれども、その辺わかったら教えていただきたいと思います。
#129
○上田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
 取り急ぎ東京地裁の状況を調べてまいったわけでございますが、これはそれぞれ部によってまた人によって違いますが、おおよそのところでございます。
 まず、民事訴訟事件について申し上げますと、一カ部あたりの合議事件が七十件前後でございます。それから単独事件、これは委員御承知のとおり裁判長と右陪席裁判官が担当いたしますが、一人当たりおおよそ二百三十件前後、こういう状況でございます。
#130
○中村(巖)委員 刑事事件の方はどうですか。
#131
○上田最高裁判所長官代理者 刑事訴訟事件につきましては、一カ部あたりの合議事件がおおよそ二十件前後、それから単独事件が三十件前後、こういう状況でございます。
#132
○中村(巖)委員 持ち事件としては随分減っているんじゃないかなと思いますし、民事は数が多いようですけれども、生きている事件と死んでいる事件とあるわけですから、それである時点でとって二百三十件あったとしても、それだって取り下げになる事件もあれば休止になる事件もあれば、あるいは認諾になる事件もあれば欠席の事件もある、こういうことですから、実際に回っている事件というのはそんなにはないわけで、その程度ならばそれほどめちゃくちゃに裁判所が忙し過ぎて困るというほどではないんじゃないかなという気がしますけれども、現在裁判所の部内で言われていることは、事件数が多過ぎるということなのか、必ずしもそういう不平というものは裁判官の間にはないものなのか、その辺はいかがでしょうか。
#133
○上田最高裁判所長官代理者 民事訴訟事件につきましては一時期少しずつ減り始めたわけですが、平成三年ぐらいからまた新受事件がふえ始めておりまして、特に昨年度あたりもかなりふえつつあります。したがいまして、私の聞いている限りでは、民事事件については多少手持ちが多くなりつつある、こういう状況でございます。しかし、刑事訴訟事件につきましては、率直に申し上げましてそれほど負担ではないというふうに聞いております。
#134
○中村(巖)委員 言葉は荒っぽいかもわからないけれども、東京地裁あたりなんか、刑事の裁判官は暇てしようがないという話もあるわけでありまして、暇だったら民事の方へ回せばいいのになというようなことを思うわけであります。
 それと同時に、裁判官が民事で必ずしも多くない、持ち事件数が結構多い、こういうふうになると審理というものはやはりいいかげんになってしまうのですよね。検証へ行ってくれと言っても検証は行かない、証人はこれだけ調べてくれと言ってもこれはだめだ、こういうことになってしまうわけですし、さらにまた裁判官は、第一回の期日から、次回期日は弁論兼和解だと言って強引に和解をしよう、こういうふうに試みて件数を減らそうとするわけで、こういうことでは当事者の立場からすればたまったものではないわけですから、何とか裁判官をふやして審理を充実するということが非常に大切なことだろうというふうに思っているわけでございます。裁判所もそれなりに御努力はされているのだと思いますけれども、なかなかふえないというのが実情なのではないか。
 今年度は判事補になろうとする人が九十八人もいて、画期的なことで大変よかったわけでありますけれども、一般的には給源が修習生じかないわけですからなかなかふえない。ふやそうとすれば弁護士からの任官者をふやす以外にはないわけでございまして、その点で弁護士会と裁判所との間に、弁護士からの任官者をふやす方策というか、任官者をできるだけ入れようということで話し合いがなされて、それが実行に移されているわけですけれども、現在までどのくらいの成果が上がっておりますか。
#135
○上田最高裁判所長官代理者 委員御承知のとおり、平成三年の十月に最高裁判所におきまして、弁護士からの任官に関する新しい選考要領を定めさせていただきました。そして、従来よりもより任官しやすいような状況をつくったわけでございますが、その後、任官していただきましたのが六名でございます。
#136
○中村(巖)委員 六名ぐらいじゃこれはどうしようもない。本当はもっとふえなければしようがないだろうと思います。法曹一元という見地からいってもふえなければしようがないだろうと思いますけれども、弁護士以外にはなりたくない、弁護士の方に、なりたいという人が少ないということかもわかりません。弁護士会もそれなりに努力はしていると思いますが、裁判所の方でも御努力をお願い申し上げたいというふうに思います。
    〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
 そこで、その点を除いては、先ほど申し上げましたように、裁判官の給源は司法修習生つまり司法試験合格者でありまして、この問題について先年来、何とか若い合格者をとろうではないか、こういうことでいろいろ努力がなされているわけでございます。平成二年十月に法曹三者の合意もできているわけでございますけれども、その平成二年の合意の後、三年、四年と司法試験が二回あったわけであります。その二回の試験で、平成二年以前と、年齢別あるいは受験回数別ということで変化が見られたのかどうか、その辺、数字を含めてお聞かせをいただきたいと思います。
#137
○則定政府委員 お答えいたします。
 平成二年と三年ということですけれども、参考までに四年の数字もわかっておりますので、傾向を読むという意味でお答えをさせていただきます。
 まず、平成二年は、合格者が約五百人、四百九十九人、この体制の最後の年でございまして、合格者の平均受験回数が六・四七であります。平成三年に初めていわゆる六百人合格者体制が発足しまして、そのときの合格者の平均受験回数が六・四三と若干下回っております。それから、平成四年度は合格者が六百三十人、合格までの受験回数の平均が六・一七ということで、これも少し回数が低減しております。
 一方、年齢別に調べますと、合格者総数がふえておりますので絶対数は平成二年から平成四年まで各階層ともそれぞれふえるわけでございますが、率で申し上げますと、例えば二十四歳までの合格者の占める割合は、平成二年では二一・四、平成三年では二二・六、平成四年では二三・八とこれも若干の若返り傾向が見られると思います。また、二十五歳から二十九歳について申しますと、平成二年では四三・七%、平成三年度は四二・五%、平成四年度は四六%、こういうふうにこの層もふえてきております。
#138
○中村(巖)委員 平成二年十月に法曹三者の間で、法務省の言うところの丙案を採用するかどうかについての合意ができているようでございます。その内容は、第一には司法試験の改革協議会をつくって、そこで抜本的な改革の方向性を決めていきたい。それはそれとして、現在の制度の中で検証を行って、一定の基準をクリアできなかったならば五年後の平成八年度から丙案を実施して合格枠を別々にする、こういうことになっているわけでございます。
 ただ、今官房長の数字を伺いますと、このままでは平成七年度の検証基準をクリアできないのではないかという気がするわけです。検証基準では、合格者のうち初回受験から三年以内の者が三〇%以上、あるいはまた五年以内の者が六〇%以上だ。こうなると、今の数字ではちょっとクリアできないのではないかという気がするわけです。そうなりますと、抜本的な改革協議会の進行ぐあいはどうなのかということになるわけですが、この点はいかがでしょう。
#139
○濱崎政府委員 御指摘のとおり、現在法曹養成制度等改革協議会で、より抜本的な司法試験制度さらには法曹養成制度の改革案の策定のための研究をしております。それとあわせて、委員御指摘のいわゆる丙案、合格枠制と呼んでおりますけれども、それを実施する必要があるかどうかについての検証の作業もその改革協議会の仕事の一番目としてやっているわけでございます。
 私ども、改革協議会で、より抜本的な改革案の策定ができればということで協議しているわけでございますが、委員も御案内のとおり、司法試験の改革につきましては、先般平成三年に法改正を実現していただいて、それとあわせて合格者の若干の増加という改革を実現したわけでございます。これは緊急の対策ですけれども、それまでにも大変紆余曲折を経て時間がかかったということでございます。そういう経験を踏まえて考えますと、平成七年の検証時点までにこれにかわるべき抜本的な改革案が策定できるかどうかは、これからの協議会の協議の進展に期待するほかはない、今のところできそうかどうかを申し上げるのはなかなか難しい状況でございます。
#140
○中村(巖)委員 この丙案実施となると、弁護士会の中にもいろいろまだ議論があるようでございまして、しかし今のところの必然的推移としては丙案実施に至るのではないか、こんな感じがいたしているわけでございます。いずれにしても、裁判官をふやすことは急務でございますので、何らかの形での法曹養成制度の改革は必要ではないかと思っているところでございます。でき得れば抜本的改革を実現させてほしいと思うわけでございますが、それはそれとして、この問題にこれ以上は触れないことにいたします。
 次に、別の問題を伺うわけでありますけれども、民法の親族、相続つまり家族法の改正についてでございます。
 一昨年、法制審議会の民法部会の身分法小委員会で婚姻及び離婚の部についての審議が開始されまして、昨年の暮れに中間報告が出されているわけでございます。そして、今各界からの意見を集めるという段階にあるわけでありますけれども、その後この改正問題の進行はどういうスケジュールで進もうとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#141
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、法制審議会の民法部会におきまして、平成三年一月以来、民法中の婚姻及び離婚に関する規定の見直し作業を進めているわけでございます。昨年の十二月に、御指摘のように「婚姻及び離婚制度の見直し審議に関する中間報告」というものを公表いたしまして、現在関係各界に意見照会中でございます。この中で取り上げられている問題点は、婚姻最低年齢とかあるいは再婚禁止期間の問題、夫婦の氏の問題、裁判離婚原因の問題あるいは離婚における財産分与制度の問題、さらには離婚後の親子の面接交渉等に係る問題等でございます。これらにつきまして問題の所在を明確に指摘しまして、それぞれにつきまして積極、消極の意見があるということも明らかにして、関係方面の意見を現在伺っているところでございます。
 私どもの希望といたしましては、ことしの五月じゅうには各界の意見をいただきまして、それを踏まえてさらにこの検討を進めるということにいたしたいというふうに思っております。
 いずれも先ほど申しましたように積極、消極の意見がある問題でございますので、どのような形で、あるいはどのような意見が多数という形で寄せられてくるかということについて私ども非常に関心を持っておるわけでございますけれども、そういうものを踏まえた上で、今後の審議の方向なりあるいは結論を出す時期というものを考えてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#142
○中村(巖)委員 ちょっとはっきりおっしゃらないのですが、具体的にはいつごろになったら法案になりそうだという見通しで法務省は進めておられるのですか。
#143
○清水(湛)政府委員 恐らくことしの五月までに各界の意見が出てまいりますので、それを踏まえて一つの試案的な、つまり方向性を持った案を出すという作業が一つあろうかと思います。
 この間の中間報告は、法制審議会としてあるいは法務省としてどういう方向に持っていきたいということは一切無色透明の形で中間報告を出しておりますので、これに対する回答を踏まえた上でのある程度の案というものをつくるという時期があろうかと思います。回答に対する意見が非常にまとまった形で、ある種の方向をはっきり示すということでございますと比較的簡単に試案的なものもつくりやすいということになろうかと思いますけれども、恐らくいろいろな意見が出てくるのではないか。
 問題によっては簡単に解決と申しますか結論が出るものもあろうかと思いますけれども、そういう状況でございますので、もちろん私どもといたしましては、法制審議会の審議を速やかに、できるだけ早くするようにということでの努力はいたしますけれども、内容が内容でございますだけに、今の時期で直ちにいつごろの国会に法案が出せるということを公に申し上げるのはちょっと困難な状況にあるのではないかというふうに考えている次第でございます。
#144
○中村(巖)委員 今局長おっしゃられたように、私も中間報告を拝見しますと、積極、消極ある。A案、B案、C案、D案がある、こういうようなことが書いてあるだけで、一体どっちの方向へ進もうとしているのかこれは全くわからないという状況でございます。また、民法というのはやはり何といっても基本法でありますから、どっちの方向へ進もうとして、いつごろになったらそういうことになるのかということをやはり国民としては一番知りたい、そういうことだろうと思うわけでございます。
 その中でも、いろいろな重要な改正点というか問題点というものが挙げられておりまして、再婚禁止期間の問題であるとか夫婦財産制の問題とかいろいろな問題があるわけでありますけれども、やはり社会的に一番大きな問題だなと思われるのは夫婦別姓制度の問題でございまして、夫婦別姓を推進しようという婦人団体も多々あるわけでございますし、あるいはまた最近の新聞の世論調査を見ましても、かなりの部分が夫婦別姓、選択的別姓制度というか、同じ名前でもいいし別々の名前でもいいではないか、こういうような意見というものが大変に多くなってきておる、ある調査によればもう半数を超えたんだ、こういうふうに言われておるところでございます。
 そこで、夫婦別姓制ということになると、戸籍の問題なかんずく子の氏の問題等々が出てまいりまして非常に困難があろうかと思いますけれども、夫婦別姓制はどういうところが問題なのか、そういう問題というものは法技術的に対応可能なのかどうか、この辺について御意見を伺いたいと思います。
#145
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、今回の中間報告の中では夫婦の氏をどうするかということが非常に大きな問題でございまして、そのために、わざわざ夫婦の氏に関する考え方について、法制審議会に提出した資料まで特別に添えまして、いろいろな御意見をする際の御参考にということで公表いたしているわけでございます。
 この夫婦の氏の制度につきましては、選択的にこういう別氏の制度を導入するのがいいという意見と、いや、やはりこれは我が国における制度としては夫婦親子は同一氏であるという一つの実体がもう社会的に形成されておる、そういうような状況の中でそういうような新しい別姓制度というようなものを導入いたしますと、いろいろな意味でいろいろな混乱が生じ問題があるのではないかというような意見も強くあるわけでございます。
 こういう夫婦の氏に関する問題というのは、私ども、私も法律家の一人だと思っておりますけれども、法律家だけの議論ではなくて、国民の日常の生活、社会生活、あるいは、社会と言わないまでも家庭内における生活に密着する問題でございますので、法律論以前の国民感情とかそういうようなものについて十分な配慮をして、そういうものを十分に考慮して意見をまとめる必要があるというふうに思うわけでございます。そういう意味で、それぞれについての考え方、積極説に立てばこういう考え方、消極説に立てばこういう考え方という考え方を対比した表もつけております、先ほど申しましたとおり。それを一々説明すればいろいろな問題点をすべて説明することになるのでございますけれども、これは大変慎重に考えていかなければならない問題が多々ある、多方面にわたってある。単に夫婦間だけの問題ではなく、子供の問題、あるいは対社会の問題等々非常に多くの問題があるということだけを申し上げさせていただきたいというふうに思います。
#146
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたけれども、夫婦別姓制の場合に、戸籍法的にはこれは対応できる方法というものは考えられるわけですか。
#147
○清水(湛)政府委員 戸籍法というのは、民法で決まった夫婦親子というものの実体関係あるいはそれをめぐる身分関係というものを明らかにするために設けられた技術的な制度でございますので、技術的な観点ということから考えますと、対応することは可能でございます。
 ただしかし、身分関係を公示する制度としてわかりやすくて利用しやすい制度ということもまた制度の存在理由として要請されるわけでございますから、それが非常に複雑になって、それがために夫婦親子の身分関係が混乱をするというようなことがあってはならないというふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、この夫婦別姓制度をどういう形で――そもそも導入するかどうか、あるいは導入するとしてもいろいろな導入のぐあい、程度についての考え方があるわけでございまして、そういうものの大筋が決まった上で、それに対応する戸籍のあり方というものも研究、検討をする必要がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
#148
○中村(巖)委員 私としては、やはり諸外国のこともこれあり、夫婦別姓というのが実現をすべきものではないかな、こういうふうに思っているものでありますけれども、時間がなくなりましたのでこれ以上の議論はいたしません。
    〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
#149
○浜野委員長 木島日出夫君。
#150
○木島委員 今回の定員増は、判事補が七名、それから裁判官以外の裁判所職員については、書記官が三十一名、事務官十二名の増員、技能労務職員、行(二)職員十九名の減員で、差し引き二十四名の増員ということです。
 最初にお伺いしたいのですが、最高裁判所は九三年度予算概算要求においてはどのような増員要求を財政当局にしていたのですか。
#151
○上田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 当初の概算要求は、判事補は七名、それからその他の職員六十名、合計六十七名でございます。
#152
○木島委員 今回の増員は、判事補七名に裁判官以外の職員は五十六名の増員です。減員が三十二あるので、裁判官以外の職員が純増二十四ということです。
 それでは、財政当局に増員要求するに当たっては、まず裁判所部内において増員要望を全国の裁判所から取りまとめて、これを集約して上げているのではないかと思うのですが、その部内の、全国の裁判所から上がってくる増員要望の総数、その職員別内訳はどのようなものか、教えてください。
#153
○上田最高裁判所長官代理者 増員要求をするに当たりまして、裁判所の各高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所から何人の増員の要求があるかということを取りまとめて要求するというシステムはとっておりません。これは、いろいろな機会を通じ絶えず各庁からどういう状況にあるかということを聞きながら、どこに手当てをすべきかということは把握しておりますが、増員要求をするに当たって改めて要求をとるということはしておりません。
#154
○木島委員 まことにおかしなことだと思うのですね。本当に増員が必要かどうか、現場が一番よく知っておるわけであります。
 それでは、現場の裁判所の職員でつくっている労働組合、全司法労働組合では、昨年、九三年度についての増員要求としてどのような数字を最高裁に上げているのか。総数とその主な職種別内訳数を教えてください。
#155
○上田最高裁判所長官代理者 職員組合からは、総数千十四名の要求を出されております。
 主な職種で申し上げますと、書記官三百十七人、家庭裁判所調査官百四十六人、それから事務官二百六十一人、速記官につきましては百十八名でございます。
#156
○木島委員 実際に裁判所で日々仕事をしている職員の皆さんでつくっている労働組合から出されている現実の増員要求が一千名を超えている。しかし、現実に最高裁当局が財政当局に出した増員要求が三けたにもならない。そして、実際に財政当局の理解を得て今回定員増として法律改正になってきた数字は、純増わずかに二十四名、裁判官、判事補が七名。非常に大きな数字の落差、格差について、私は不思議で仕方がないのですが、本音のところ裁判所当局としては、実際こういう事件数がこういう分野でふえているのでこのぐらいは本当のところは欲しいんだ、財政当局には言えないけれどもこのぐらいは欲しいんだという本音の部分があるはずなんですね。それを率直に言ってください。
#157
○上田最高裁判所長官代理者 本音の部分を言えという御質問でございますが、これは、例えば裁判官について申し上げますと、委員も御承知のとおり給源というような問題がございまして、ことしは判事補七人、こういう要求をいたしております。それから一般職につきまして、先ほど答弁申し上げましたように職員組合からは合計一千十四名という要求が出されておりますが、これは庁によりまして非常にアンバランスでございまして、同じような規模の庁でも非常に少ない要求の庁もありますし、物すごい数の要求を出している庁もございまして、私どもが常日ごろいろいろ裁判所の当局から聞いている数字とはかなりかけ離れたものだということを考えております。
#158
○木島委員 職員の皆さんでつくっている労働組合から出された要求というのは、これは恐らく職場の実態を踏まえて切実な増員の要求の数だと思うのです。
 きょう私に与えられた時間は非常に短いので、例えばバブル経済が崩壊して今破産が激増しておる、破産事件と競売事件が非常にふえておるとお聞きをしております用地点をちょっとピックアップしてお伺いしたい。和歌山地裁本庁それから名古屋地裁本庁、この破産事件の平成元年と平成四年度の事件数の違い、それに対する担当書記官数について御報告ください。
#159
○上田最高裁判所長官代理者 まず、和歌山地裁でございますが、破産事件の平成元年の事件数七十九件でございます。それから担当書記官数は一応二人となっておりますが、実際の実働は〇・六人というふうに聞いておりまして、これは平成元年当時は破産専門の書記官がおらず訟廷管理官、主席書記官が担当していた、こういうふうに聞いております。それから、平成四年になりまして破産事件は四百七十二件でございます。これは書記官は二人となっておりますが、実際に担当しているのは一・五人、一人が専属しておりまして、あと一人は訟廷管理官が担当している、こういう状況でございます。
 それから、名古屋地裁におきましては、平成元年の破産事件数三百三十七件、書記官数は五人、これは実働も五人でございます。それから平成四年一千二十二件、書記官数は六人、実働も六人でございます。
#160
○木島委員 和歌山地裁本庁では破産事件が五倍になっている。配置された書記官数は実質変わりなし。実働がわずかに一名弱、〇・九名ふえているだけ。名古屋地裁でも事件数三倍、書記官数は五人が六人になっただけ。大変な事態だと思うのですね。
 では次に、執行関係事件で東京地裁本庁と大阪地裁本庁の執行事件総数、平成二年、三年、四年、それからそれに対応する書記官数、平成二年、三年、四年、いずれも数字だけで結構ですから述べてください。
#161
○上田最高裁判所長官代理者 平成二年執行事件総数一万五百十八件、書記官数三十三人。平成三年一万三千七百七十二件、書記官数三十三人。平成四年一万九千九百七十六件、書記官数三十三人、これは四月一日でありますが、十一・月二十五日から三十四人でございます。
#162
○木島委員 大阪地裁を言ってください。
#163
○上田最高裁判所長官代理者 失礼いたしました。
 大阪地裁、平成二年執行事件総数五千九百二十四件、書記官数二十五人。平成三年七千六百五十一件、二十四人、平成四年一万二百六十三件、二十五人でございます。
#164
○木島委員 今答弁がありましたように、東京でも大阪でも執行事件総数が倍になっておる、しかし、書記官数はふえていないという状況です。例えば和歌山の、先ほど破産事件数が五倍になったということですが、現実に破産係の職員は月五十時間以上の残業が続いているという状況です。それから、名古屋地裁でも先ほどお聞きしたとおりでありますが、非常に仕事がふえて大変になっている。担当弁護士からは早く破産の審尋期日を決めてくれと言われても、年内には入らないとかいうことですね。そうすると、担当弁護士としては驚いて、労働者の給料が差し押さえにかかっているから審尋期日をしっかり入れて事件を進展してもらわなければ大変だという要求にもこたえられないという状況が生まれているようです。
 また、執行部でも、今東京、大阪のことを聞きましたが、東京地裁の執行部なんかでは月平均の超勤時間が四十時間を超えている、夜十時過ぎの仕事が当たり前という状況が生まれているようであります。東京地裁執行部で、多い人で月六十時間から七十時間の残業、超勤、休日出勤も生まれてきている。大阪でもそのような状況であります。
 こういう職場の実態を踏まえて、先ほど来現場の労働者、労働組合から増員要求が出されているのだと思うのですね。やはりこれをしっかり受けとめて増員をしないと、国民の裁判を受ける権利だけでなくて財産権の保全にも重大な事態が生じていると思うわけでありまして、さらなる増員が必要ではないかと思うわけであります。どうなんでしょう、率直にそういう感じを持たれておりませんか。
#165
○上田最高裁判所長官代理者 例えば破産事件、執行事件につきましては、財政当局の理解も得ましてパソコンを整備したりして、そちらの方でもかなり効率化を図るように努力をしているところであります。なお、委員御指摘のとおり、今後ともこの人員の充実につきましては最大限の努力をしてまいりたい、このように考えております。
#166
○木島委員 次に、家庭裁判所の調査官の人員の問題についてお伺いしたいと思うのです。
 ことしの一月からテレビで「家栽の人」というテレビドラマが放映されまして、非常に国民的な話題を呼んでおるようであります。家庭裁判所の役割、機能、特に家庭裁判所のかなめともいうべき家庭裁判所調査官の職務についての国民の理解が非常に大きくなっていると言われておりまして、まことに結構だと思うわけです。御存じのように、家庭裁判所は「家庭に愛を、少年に光を」という理念を掲げて戦後出発したわけでありますが、正直言いまして、今の調査官の人数ではとても具体的な少年事件また家庭事件に対してこの理念を貫徹することができないような状況になっていると私は伺っているわけであります。
 最近、働き盛りの家庭裁判所の調査官において在職中死亡という大変不幸な事件が続いているやにお聞きをしておりますが、その実態を最高裁はつかんでおりますか。現状を御報告ください。
#167
○上田最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおり、最近、家庭裁判所調査官の現職での死亡が続いております。いずれも病気によるものでございまして、平成四年の七月にお一人、それから平成四年の十一月にお一人、以後十二月、平成五年の一月、平成五年の二月にそれぞれ一人ずつ死亡しておられます。
#168
○木島委員 実は、家庭裁判所の調査官の具体的な職務が非常に大変になっておるとお聞きをしております。例えば少年刑事事件については、日本語の話せない外国人の少年事件もふえているのですね。これはブラジルの少年、日本語を話せない少年の身柄事件を家庭裁判所の調査官が担当することになるわけです。本当にこの少年を少年法の理念に基づいてしっかり調査をする、そして処遇を考えるということをやろうとすれば、この少年を理解するにはブラジルの現状を知らなければならぬというような職務になるわけです。
 これは一件抱えただけでも大変なことですが、少年の身柄事件を一件だけではなくて、同時に三件から五件家庭裁判所の調査官が担当することもある。残業や持ち帰り、休日出勤は当たり前、深夜までワープロを打つのがざらだというような状況も私はお聞きをしているわけであります。いつ過労死が起きても不思議ではないという状況が今全国の家庭裁判所で働く調査官を襲っていると聞いております。労働組合からの要求ですと、先ほど御答弁がありましたように、家庭裁判所調査官の要求が百四十六名です。
 ところが、家庭裁判所調査官につきましては、現行定員が千四百七十名で、現在員が千四百三十一名で、何と三十九名の欠員が生まれているのですよ。欠員が補充されない状況が続いているわけであります。こんな状況ではとても財政当局に増員要求できないのは当たり前なんですが、定員増がどうなされたか経年的に見ますと、何と昭和四十九年に五名の増員、それからずっとしばらくなくて、昭和五十九年になって三名の増員、六十年になって三名の増員、昭和六十一年から今日まで全く増員なし、こういう状況なんですね。欠員を埋める努力を速やかにやること、そしてその上に立って現場の声を聞いて増員要求を行っていくことは当然だと思うわけなんですが、現状と対応をどうなされるのか、御答弁を求めたいと思います。
#169
○上田最高裁判所長官代理者 昨年の十二月一日現在で家庭裁判所調査官に欠員があることは委員御指摘のとおりでございます。この点につきましては、私どもも最大限充員に努めてまいりたいと考えております。
#170
○木島委員 大臣に所見をお聞きしたいのですが、現実に働いている現場からの要求ですと、増員要求は千名を超えているのですね。しかし、現実に定員法の一部改正という形で出されてきた増員はわずか職員については二十四名、裁判官については七名だけです。やはりもっともっと現場の声を吸い上げる努力が足りない、下から数字をとっていないという答弁ですからね。もっともっと現場の声を聞いて、そしてこれは国民の権利に直結する職場で働いている皆さんですから、思い切ってこれに見合う増員をやっていく必要があるのではないかと思うのですが、時間が来ましたの
で、大臣の御所見を聞いて、終わります。
#171
○後藤田国務大臣 裁判所関係の予算なりあるいは人員、こういう問題は最高裁当局が現地の実態をよく調査なさって、現地の声も聞きながら適切に対応をしておる、私はさように考えますが、私としては、裁判所のことでございますから別ではありますけれども、親類づき合いの役所でございますから、御要望等があれば国務大臣として御協力は申し上げたい、かように思います。
#172
○木島委員 終わります。
#173
○浜野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#174
○浜野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#175
○浜野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#176
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#177
○浜野委員長 この際、内閣提出、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。
    ―――――――――――――不動産登記法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#178
○後藤田国務大臣 不動産登記法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、建物の合体に関する登記手続を整備し、閲覧に供するため登記所に地図に準ずる図面を備えること等により、不動産登記手続の適正迅速な処理を図るとともに、不動産登記制度の利用者の利便に資するため、その一部を改正しようとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
 第一に、数個の建物が合体して一個の建物となった場合には、建物の所有者は、合体前の建物の抵当権者等の承諾書等を添付して、合体による建物の表示の登記を申請することを要するものとし、この場合に、登記官は、合体後の建物の表示の登記をした上で、その建物の登記用紙に合体前の建物の抵当権等の登記を移すこととしております。
 第二に、登記所に不動産登記法第十七条の地図が備えられるまでの間、これにかえて地図に準ずる図面を備えるものとし、何人も手数料を納付してその閲覧を請求することができることとしております。
 第三に、委任による登記申請のための代理権は、本人に死亡等の事由が生じても、消滅しないこととしております。
 第四に、登記済証が滅失した場合にこれにかえて登記申請書に添付することを要する保証書について、当該申請に係る不動産所在地の登記所以外の登記所で登記を受けた者も保証人となることができることとしております。
 第五に、地図を作製する場合において必要あるときは、登記官は、土地の所有者に異議がないときに限り、分筆及び合筆の登記をすることができることとしております。
 第六に、地役権の登記がある土地について合筆の登記を申請する場合において、合筆後の土地の一部に地役権が存続することとなるときは、その部分を示す図面の添付を要するものとしております。
 第七に、予告登記がされている場合において、確定判決等により確定した登記の抹消または回復を請求する権利を放棄したことを証する書面が提出されたときは、裁判所書記官は、予告登記の抹消を嘱託することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいまするようお願いを申し上げます。
#179
○浜野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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