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1993/04/06 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第4号
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1993/04/06 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第4号

#1
第126回国会 法務委員会 第4号
平成五年四月六日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 浜野  剛君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 善之君
   理事 田辺 広雄君 理事 津島 雄二君
   理事 星野 行男君 理事 小森 龍邦君
   理事 鈴木喜久子君 理事 冬柴 鐵三君
      愛知 和男君    奥野 誠亮君
      川崎 二郎君    鯨岡 兵輔君
      塩崎  潤君    中西 啓介君
      野田  毅君    伊東 秀子君
      小澤 克介君    沢田  広君
      谷村 啓介君    土肥 隆一君
      渡辺 嘉藏君    中村  巖君
      山田 英介君    木島日出夫君
      中野 寛成君    徳田 虎雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤田正晴君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省矯正局長 飛田 清弘君
        法務省入国管理
        局長      高橋 雅二君
        建設大臣官房会
        計課長     木下 博夫君
 委員外の出席者
        衆議院法制局第
        一部長     内田 正文君
        国土庁土地局地
        価調査課長   藤田 博隆君
        国土庁土地局国
        土調査課長   段本 幸男君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   渡邊 博史君
        農林水産省構造
        改善局農政部農
        政課長     菊池 俊矩君
        建設大臣官房技
        術調査室長   城処 求行君
        法務委員会調査
        室長      平本 喜祿君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月六日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     川崎 二郎君
  小岩井 清君     土肥 隆一君
  中野 寛成君     大内 啓伍君
同日
 辞任         補欠選任
  川崎 二郎君     石川 要三君
  土肥 隆一君     小岩井 清君
    ―――――――――――――
四月六日
 夫婦同氏別氏の選択制の導入と続柄欄の廃止に
 関する請願(伊東秀子君紹介)(第一二三四号
 )
 同(岩田順介君紹介)(第一二三五号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一二三六号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第一二三七号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第一二三八号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第一二三九号)
 同(辻一彦君紹介)(第一二四〇号)
 同(外口玉子君紹介)(第一二四一号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一二四二号)
 同(日野市朗君紹介)(第一二四三号)
 同(吉田和子君紹介)(第一二四四号)
 同(伊東秀子君紹介)(第一二五八号)
 同(岩田順介君紹介)(第一二五九号)
 同(大畠章宏君紹介)(第一二六〇号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一二六一号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第一二八二号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第一二六三号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第一二六四号)
 同(辻一彦君紹介)(第一二六五号)
 同(外口玉子君紹介)(第一二六六号)
 同(中西績介君紹介)(第一二六七号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一二六八号)
 同(日野市朗君紹介)(第一二六九号)
 同(吉田和子君紹介)(第一二七〇号)
 同(伊東秀子君紹介)(第一二八五号)
 同(岡崎トミ子君紹介)(第一二八六号)
 同(岡崎宏美君紹介)(第一二八七号)
 同(鈴木喜久子君紹介)(第一二八八号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第一二八九号)
 同(辻一彦君紹介)(第一二九〇号)
 同(外口玉子君紹介)(第一二九一号)
 同(長谷百合子君紹介)(第一二九二号)
 同(日野市朗君紹介)(第一二九三号)
 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一三五五号)
 夫婦別氏・別戸籍の選択を可能にする民法・戸
 籍法の改正に関する請願(日笠勝之君紹介)(
 第一二九四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 不動産登記法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二三号)
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五
 二号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五三
 号)
     ――――◇―――――
#2
○浜野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、不動産登記法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊東秀子君。
#3
○伊東(秀)委員 まず、不動産登記法十七条に関することで伺いますが、この十七条の「登記所ニ地図及ビ建物所在図ヲ備フ」という規定は、国の義務を定めた規定と考えてよろしゅうございますでしょうか。
#4
○清水(湛)政府委員 昭和三十五年の不動産登記法改正の際に条文として初めて規定されたものでございますが、そういう義務的な規定であるというふうに私どもは考えております。
#5
○伊東(秀)委員 現在備えつけの地図の測量及びその作製時期はいつごろでしょうか。
#6
○清水(湛)政府委員 法十七条の地図として、それに該当する地図として取り扱っているものにつきましては、戦後の国土調査法に基づく地籍調査事業による地籍図とかあるいは土地改良、土地区画整理の図面あるいは法務局がみずから作製した、これはわずかでございますけれども、法十七条の地図がございます。
 しかし、そういうもののほかに、現在約三百万枚に達する圧倒的多数のいわゆる公図と言われるものがあるわけでございまして、これは法十七条の地図には該当しないということになっているわけでございます。今回これを「地図ニ準ズル図面」ということで法的な位置づけを明らかにしたいということでこの改正案の御審議をお願いしているわけでございますが、このいわゆる公図の大半を占める、旧土地台帳附属地図と言っておりますけれども、これは明治六年から明治十四年までの間にされました地租改正に際して作製された改租図を基礎としてつくられたものであるというふうに言われております用地租改正というのは、要する
に地租、土地の税金を取るためにつくった図面であるということになるわけでございますが、この改租図につきまして若干全国的な統一がとれていない、備えつけ方法等について問題があるというようなことから、明治二十年から二十二年の間にかけて再度測量いたしまして更正図をつくった、これが現在の土地台帳附属地図の基本になっているというふうに言われているわけでございます。
 当時これは大蔵省の監督のもとにつくられた図面でございます。その後、明治二十二年に土地台帳規則が制定されましたことに伴いまして、土地台帳附属地図として正式にその正本が税務署、副本が地元役場にそれぞれ保管されることになりましたが、昭和二十五年に台帳事務は登記所において取り扱うということになりまして、税務署で保管していた土地台帳附属地図が登記所に移管された、そして土地台帳附属地図としてその時点におきましては法的な根拠があるものとして備えつけられた、こういうことになるわけでございます。
 しかしながら、先ほども申し上げましたが、昭和三十五年に不動産登記法が改正されまして、この十七条で地図を備えるという規定が置かれたわけでございますけれども、そこで言う「地図」は非常に精度の高い、国家基準点との結びつきのあるいわば現地復元性を持った地図でなければならないというような考え方がとられたわけでございまして、そのとき以来、いわゆる土地台帳附属地図の法的な根拠がなくなってしまったということになるわけでございます。そういう意味で、いわゆる公図と言われるものの法的な備えつけの根拠を欠いたまま現在に至っておるという実情にあるわけでございます。
 しかしながら、これが土地の位置・配列関係を知る唯一の公的な資料でございますので、法十七条の地図が現在備えられていない地域におきましては、これを法的な位置づけを明らかにして取り扱いを明確にする必要があるということから今回の改正案になったわけでございます。
#7
○伊東(秀)委員 今の御答弁を伺っていますと、地図が精度の高いものでなければならない、しかしそれができていない、それで公図が唯一の土地の位置・配列を知る公的な資料になっているということでございます。
 ということは、十七条が国の義務であるにもかかわらずそれが果たされていないというふうに考えてよろしいわけですか。
#8
○清水(湛)政府委員 義務ということでございますけれども、昭和三十五年当時は、登記所にそういう正確な地図を備えたいという非常に強い願望を持って、我が国の登記行政を的確に推進していくためには一筆ごとの正確な地図が必要である、こういういわば理想に燃えてこの法律の中に地図を備えるという規定を初めて置いたわけでございます。
 しかしながら、現状におきましては、全国の登記所にある約五百万枚の地図のうち、法十七条の地図としての適格性を有するものと認められるものは二百万枚しかない。二百万枚でも相当なものでございますけれども、まだ残りの三百万枚の地図に相当する地域につきましては、十七条の地図がない、明治以来の公図を唯一の公的資料として登記行政を行わなければならないという実情にございます。
 私どもの希望といたしましては、昭和三十五年の法改正当時理想とした正確な地図をできるだけ速やかに登記所に備えられるように各般にわたって努力を重ねていきたい。現在、その主たる給源が国土調査法の地籍調査事業による地籍図でございますけれども、法務局みずからも正確な地図づくりをしていきたいということで、そのための職員の教育訓練も現在やっているわけでございます。非常に面積は少のうございますけれども、法務局独自の地図づくり作業もモデル的に現在やっているという状況でございます。しかし、残念ながら今後とも十七条地図が全国的に完備するまでには相当の期間が必要であると思っているところでございます。
#9
○伊東(秀)委員 この地図は余りに不整備、不正確なために、地図といいましょうか、公図すらも不正確なために国民の生活に非常に大きな支障を来していると言える現状にあるのじゃないかと思われるのですね。
 まず、建築確認申請を出そうと思うときでも、この位置関係が非常に不明確であるし、無分筆の私道の範囲も不明確であるということで申請の代理人が大変迷惑をこうむっている。それから、今回不況対策として公共事業、公共投資が大変拡大されているわけですけれども、新しく道路をつくる場合や拡張の際、公図に線を引いても、それが買収や補償の必要な土地と権利者の確定にならないとか、そういうことで現場の人たちが大変な作業の困難を来しているというような問題もあるわけで、昭和三十五年からもう三十数年経過しているにもかかわらずまだこういうような状況に至っているというのはどういう原因に起因しているのか、その辺はいかがでしょうか。
#10
○清水(湛)政府委員 地図と申しますか、地図と土地の位置あるいは境界を考える場合には二つの面からの問題があると思います。
 まず第一の問題としては、地図の精度が高くて、例えば現地が大水とかあるいはそういった天災等により全く地上の地物が流れ去ってしまって昔どこに自分の土地があったかわからない、こういうような状態が生じたときに、地図をもとにしてこの範囲のものであるということがある程度復元できる、こういう性格を持っているものでないと地図とは言えない。そういうものになるためにはやはり国家基準点、これは天文測量によって位置が決まる点でございますので不動のものでございますが、そういう国家基準点との連結をしたものでなければならない、こういう意味での地図の精度が一つ問題になります。
 それからもう一つの面といたしましては、具体的な土地の境界の問題があるわけでございます。地図が正確であれば境界が認定しやすいということは間違いなく言えるわけでございますけれども、では、地図が正確でありさえずれば常に境界は正確に認定できるかというと、これは必ずしもそうではない面があるわけでございまして、地図というのは必然的に現地の五百分の一とか千分の一という縮尺を持った図面でございますので、必ずそこに誤差というものが出てまいります。また、技術的な制約による幅というものが出てまいります。したがいまして、地図を現地におろしただけで直ちに境界が決まるということにはなりませんので、具体的な現地における境界の線というのは、不動の境界ぐいを設置してそこで境界線を明確にするということがどうしても要請されるわけでございます。そういうような精度の高い国家基準点と結びついた意味での地図と、それから所有者がそれぞれ境界にきちっとした境界標を埋めるということによって現地の特定等の紛争が防止できるということになるわけでございます。
 その一つの面である私どもの方の地図の面、これは確かに先生御指摘のように、昭和三十五年、理想を掲げた法律ができ上がっているわけでございますが、相当長期間経過したにもかかわらず、全国的には完全な形ではまだそろっていないというのが私どもとしては大変残念ではございますけれども、しかし一つには、非常に膨大な金がかかる問題と膨大な時間がかかるという問題がございまして、ある意味においては国の財政事情等を勘案いたしますとやむを得ない面もあるというふうに考えているところでございます。
#11
○伊東(秀)委員 本来なら五百万枚の地図のうち二百万枚しかなくて、三百万が公図で補っているということのようですけれども、この公図が固定資産税の課税資料になっている。それで、それが実際の土地の形状や地積をきちんと反映したものではない、つまり登記簿上の地積や形状と課税の資料になるべき現実の不動産とが異なっているために、非常に国民の課税の不平等にもつながっているのじゃないか。そういう意味では、何といっても、土地が国民にとって大変貴重なものである今日、たとえ、膨大な予算が必要だからできない、時間と費用を要するといっても、それはちょっと
問題ではなかろうかと思うわけですが、その辺の課税の不平等につながっているということについてはいかがお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#12
○清水(湛)政府委員 この問題は課税という面から見ますと、現在では固定資産税ということになろうかと思います。それから、不動産取引に伴う不動産取得税、これは価格に準拠するということでございますが、面積等を直接に基準とするものでございますと固定資産税が第一義的には問題になりますし、あるいは相続の際の相続税等もまた影響を受けることになると思います。
 明治の初期に地租、うまり現在の固定資産税の前身である地租を取るために土地を測量して図面をつくったという経緯がございましたために、これは一般に言われていることでございますけれども、できるだけ税金を少なくするために面積を少なく測量して、地図も小さくつくった、こういう経緯があるというふうに言われているわけでございます。そういうようなことから、現実の登記簿の面積あるいはそれに対応する地図の地積というものが現実の土地の面積とは違う、少ない、こういうようなことが一般的に言われており、それがいわゆる縄延び現象というような言葉で言われているわけでございます。
 そういう現象をなくそうということで始まったのが、一つには国土庁を中心とする地籍調査事業であり、これが県の費用負担あるいは市町村の費用負担において地籍調査事業ということで現在されているというふうに私どもは承知しているわけでございます。
 そういうことでございますので、これは税務行政を担当するところでお答えすべき問題だろうとは思いますけれども、できるだけ土地の現実の面積と公簿上の面積の食い違いというものを解消して負担の公正を図るということは重要な問題であり、そのためにいろいろな、先ほど申し上げましたような国土調査法による地籍調査事業というものも行われているのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。
#13
○伊東(秀)委員 そういった課税の負担の不公平から売買におけるトラブル、国民生活上いろいろ支障を来している。正確な地図の備えつけ、地図以前の公図は今回法律上の根拠を与えるわけですけれども、公図のきちんとしたものを国の事業として備えつけるための予算づけということが非常に重大なことになっているのじゃないかと思うのですが、法務大臣、そのあたりについての御見解をお伺いいたします。
#14
○後藤田国務大臣 おっしゃるように、国民の権利関係をきちんと整えなければならない、それがまた同時に固定資産税等を賦課する場合の基礎になるというようなことで、これはやはり十七条の図面の整備も急がなければなりませんし、それからまた、それが税制法上の課税の基礎にも合致するといったようなことを一日も早くやらなければならないなということを、今伊東さんと政府委員との応答の中で私も痛切に感じておるわけでございます。そういう点についてはさらなる努力を政府内でも進めるように、私としても努めてまいりたい、こう思います。
#15
○伊東(秀)委員 それから、今回の改正の中に、「第八十一条ノ二に次の一項を加える。」というのがございまして、「地図ヲ作製スル場合ニ於テ必要アルトキハ第一項ニ掲ゲタル者ノ申請ナキ場合ニ於テモ其者ノ異議ナキトキニ限リ登記官ハ土地ノ分筆又ハ合筆ノ登記ヲ為スコトヲ得」というような規定が加えられるわけですけれども、これは職権で、地図を作製する場合に、必要な場合に所有者または所有権の登記名義人の異議なきときに限り分筆や合筆の登記をすることができるという趣旨だと思うのですが、「必要アルトキハ」という場合はどういう場合を想定しているのでしょうか。
#16
○清水(湛)政府委員 この規定は、先ほど十七条の地図の主たる供給源は国土調査法により登記所に送付される地籍図であるということを申し上げたのでございます。法務局においても、予算事情の許す限り独自に地図づくりをしていこうということで現在やっているわけでございます。
 そういう過程の中で、例えば非常に極端な例を申しますと、一つの道路がある、これは全部所有者は同じである、しかし道路をつくるについて少しずつ買い取って、あるいは買収をして、非常に細かい土地がそれぞれ分筆された形で連なっているというようなものがございます。そういう地域について新たに地図をつくるという場合に、その細かい小さな土地の分筆の形のままで一筆ごとの地図をつくるというのは非常にわかりにくくなりますし、余り合目的的でもない、こういうようなことがございます。そこで、そういう場合には、所有者の方で特に異議がないということであれば、職権で合筆をしてしまう、こういうようなことができるようにしよう。あるいは逆に分筆をした方がいいという場合がございます。そういう場合にも職権で分筆をすることができるようにするという趣旨でございまして、この分筆、合筆というのはある意味においては土地所有権の処分でございますので、土地所有者の意思を無視するということはできない。しかし、その所有者に異議がないということであれば、登記所の方で地図づくりの際に職権でそういうふうなことをし、円滑かつ合理的な作業を実施することができるようにする、こういう趣旨の規定でございます。
#17
○伊東(秀)委員 私も今の趣旨には大変賛成なんです。例えば用途が同一の場合には、それがはつりした合理的な理由のない場合に合筆するとか、道路とか鉄道の軌道あるいは公共用地などの場合にも、一度合筆して、必要な場合に再分筆するような、土地の範囲の確定というのですか、それをもう少しきちんとそういう形でし直すということが必要じゃないかと思っているのです。
 借地権の場合に、広大な土地に、例えば千坪なら千坪にいろいろな借家が建っている、そしてその借家ごとに不動産登記法九十三条ノ三あるいは九十三条ノ四に基づく敷地権の登記がなされているけれども、分筆はなされてないのが今の現状ですね。借地権を買い取りだいとかいう場合でも、分筆がなされてないために測量して分筆しなければいけない、測量の費用が莫大にかかる。そのために、売買の話が測量の費用の点でしぼんでしまうとかいうような問題も出てきている。ですから、せっかく九十三条ノ三、四というような規定で敷地権の登記ができるようになっているのであれば、借地権についてもなるべく分筆をしていくような政策が私は必要ではなかろうかと思うのですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
#18
○清水(湛)政府委員 区分所有建物の敷地についての敷地権の登記をどうするかということになりますとまた別な問題が出てまいると思いますけれども、敷地権という形でみんながその土地を共有している、こういうような状況に現在なっている、それをいろいろな事情があって、共有状態ではなくてそれぞれの土地所有に分けよう、つまり土地を数個に分筆いたしまして、それぞれの人間が一筆の土地を所有するという形にしようということが恐らく御質問の趣旨だろうと思います。
 そういう場合には、これは一筆の土地の一部分についてそれぞれ分筆をしていくということになりますので、その地域について測量いたしまして、そういう登記の申請書には、いわゆる地積測量図と申しておりますけれども、測量図を添付して登記の申請をする必要がある、こういうことになっているわけでございます。
 こういう地積測量図の作製及び分筆の登記手続につきましては、土地家屋調査士という専門資格業者がいるわけでございまして、これは国家試験で土地家屋調査士になるのが原則でございますけれども、そういう資格を持った土地家屋調査士でないと業としてそういうようなものをすることができない、こういうことになっております。
 その費用が非常に高いというようなお話でございましたけれども、この土地家屋調査士の報酬につきましては、これはそれぞれの会で会則として定めまして、これについて法務大臣が認可をする
ということにいたしておるわけでございます。
 この報酬の認可につきましては、土地家屋調査士の業務の公共性、非常に公共的な性格が高いということと同時に、独立営業の自由業者であるという営業性、そういうものを考慮いたしまして、一般の国民に必要以上の負担をかけないようにこの報酬等の規定を調整しているところでございます。
 しかし、測量の専門家が土地を測量するということ、それから非常に土地が高価になりまして、測量ミスでわずか十センチぐらいのミスが生じたということでも大変な賠償額になるというような地域もあるわけでございまして、ある程度そういう専門技能を使うという面から費用がかさんでくるということは、これは否定することができないと思います。しかし、法務大臣認可の報酬規定によって費用を請求している限りにおいては、それほど不合理な測量費用額になっているというふうには私ども考えてないわけでございます。もし不当な費用を請求するような土地家屋調査士あるいはその他の者がいるということでございますと、これはまた厳しい懲戒処分が待っているというようなことにもなっておりますので、そういうことで不法な事例というのは防止できるのではないかと考えているわけでございます。
#19
○伊東(秀)委員 それから、先ほどおっしゃいましたように地図や公図は大変不正確である、現在備えつけのものが。そのために地積が現況と縮尺のその登記簿上のものとが異なっていて、そのことを当事者が申し出た場合に、不動産登記法上は八十一条ノ九ですか、地積の変更というような形での届け出を申請人がしなければいけないということになっていますが、それは国の責務としての地図の方が間違えているわけですから、こういう場合には、境界を接する両当事者から地積の錯誤であるというような場合の申し出があった場合には、その測量の費用等を国民に負担させずに、二十五条ノ二の職権による登記に基づいてなすべきだと思うのですけれども、その辺の取り扱いがなかなか現実にはなされていない。地積更正の登記手続の申請をしなさいというようなことを指導しているということなんですが、これは私は、十七条が国の義務であるとするなら、ちょっと不当な負担を申請人というか土地の所有者ないし権利者に強いていることになると考えるのですが、いかがでしょうか。
#20
○清水(湛)政府委員 本当に正確に土地の面積なりあるいは地図をつくるということは非常に大事なことでございます。確かにそういう面については表示に関する登記として登記官は職権でもできるという規定が御指摘のようにございます。と同時に、一方では、そういう登記については所有者にも申請しなければならない義務というものを実は課しているわけでございまして、地積の更正等につきましては八十一条ノ五でそういう申請義務を課しております。
 なぜこういうようなことになっておるかと申しますと、例えば登記簿に記載されている地積の表示が実際の地積と異なっているという場合には、まず土地の測量をして、その測量で正しい面積を出して、それに基づいて登記簿の記載を直すという意味での申請をしていただくわけでございますけれども、そういうことについて一番事実を正確に知っているのは土地の所有者であると同時に隣地の所有者であるということになるわけでございます。したがいまして、現実の問題として、地積を更正するという場合には、必ず隣地の所有者に立ち会っていただいて、隣地との境界はここである、この範囲を測量すればあなたの土地の地積になるというようなことになるわけでございますので、隣地所有者の境界についての確認の書面とかそういうようなものがどうしても必要になってまいります。
 そういうことからいたしますと、私人にとって最も大事な財産である面積の確定という問題、これは観念的には表示に関する登記の一種として登記官が職権でし得るという場合もあり得るわけでございますけれども、具体的に測量して公簿を直すというようなことになりますと、これは困難であるというより、実際問題としては不可能でございます。そのようなことから、これまでも土地の所有者あるいは隣地の所有者が利害関係人としてその承諾書をつけるというような形で面積の訂正なり図面の訂正をするということにならざるを得ないというふうに思うわけでございます。またそうすることが、ある意味において登記官が職権で誤った処理をするというようなことを防ぐためにも必要であるというふうに考えているわけでございます。
#21
○伊東(秀)委員 不動産登記法にまつわることはちょっとこれぐらいにしておきまして、国政調査権について、主に法務大臣を中心にお伺いしたいと思うのです。
 国政調査権というのは、各議院が憲法上与えられている諸機能を実質的に裏づける、そしてその機能の実質的な行使を可能にするという大変重大な、唯一の立法機関であり国権の最高機関である国会に与えられた機能であるというふうに私は考えるわけでございますが、まず法務大臣、この国政調査権についての法務大臣の御見解をお願いいたします。
#22
○後藤田国務大臣 その点はお答えするまでもなく、やはり国権の最高機関として必要な国政調査権、これは最大限に尊重しなければならない大事な国会の機能であろうと私は思います。したがって、これは至るところで私はお答えしておるのですけれども、国政調査権に対しては、政府としましては、これは法令上のいろいろな制約がありますけれども、その限度の中でできる限り政府はこれに協力すべきものである、かような認識を持っておるわけでございます。
#23
○伊東(秀)委員 国政調査権の中には、行政監督権、国会が持つ行政監督機能も含まれる。そうしますと、その行政作用が合法的にかつ妥当に行われたか否かというのも当然調査の対象になるわけで、検察事務も行政作用である以上、当然過去の起訴や不起訴の妥当性を、妥当であったか否かも国政調査の対象になると考えますが、法務大臣、
 いかがでございますでしょうか。
#24
○後藤田国務大臣 まさに検察も行政権の一部でございますから、おっしゃるような御意見は当然あり得ると思います。しかし、同時にまた検察の仕事というのは、後に続く裁判との関係がございまして、準司法的な役割も担っておる、ならばその点については三権分立の関係もあるといったようなことでございますので、先ほどお答えいたしましたように、できる限り検察の仕事といえども国政調査権には協力しなければなりませんけれども、しかし一方、そういった検察の特殊な準司法的作用といった点もございますので、法令上の制約が相当多いということはひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
#25
○伊東(秀)委員 今大臣がおっしゃいましたように、後に裁判にかかったとか、現在裁判に係争中であるということであれば、当然そういう司法権との調整の問題が出てくるかと思うのですが、不起訴処分にしたことが妥当な行政作用でなかったということが今問題になっております金屏風事件、それについて先回私は、詐欺罪として告訴したいというふうに、昭和六十一年当時、この金扉風事件で特別背任罪の被告人になった伊坂氏が検察官に対して申し出た、そして告発調書をつくってくれということを言ったにもかかわらず、検察官は刑事訴訟法に基づく義務を果たさず、告発調書を作成せず不起訴処分のままになったということをきちっと調べたいということで、こちらで検察に対して、六十一年の八月十日前後に作成されたであろう彼のそういった意向を供述した供述調書を出してもらいたい、これは不起訴処分にした検察の行政作用が妥当でなかったという問題点を調べるためのものであるということを申し上げたわけですが、それについて何ら今日まで、不問と言えばいいのでしょうか、そのままになっているということなんです。私は、当然この問題も行政作用の一部であり、国政調査に服するべきであると考えているわけですが、法務大臣の見解はいか
がでしょうか。
#26
○後藤田国務大臣 具体的な点は私、承知をいたしておりませんので、その点については、刑事局長から後で御説明申し上げさせるようにしたいと思いますが、不起訴処分になりました件につきましては、やはり検察の仕事というのは、犯罪があればそれを調べて証拠の積み重ねの上に立って、そしてこれならば有罪の確信が持てるといったようなことについて、その調べの過程においては強権を使ってでも調べておるわけでございますから、一方、肝心なことは、不起訴処分等についてそれを公にするということは、今度はまた憲法上の個人の名誉、人権といったものに極めて密接な関連がございますから、そこらはお含みおきを願わないと、不起訴処分になった件について何もかも全部報告をしろと、こう言われましても、一方そういった立場からの制約があるということはこれまた御理解をしておいていただきたい、私はかように思いますが、具体的な点については局長から答弁させます。
#27
○濱政府委員 お答えいたします。
 委員が先ほど御指摘になられましたいわゆる金屏風事件の捜査の過程で、当時被疑者として取り調べを受けておりました伊坂重昭氏と検察官との間で、捜査の過程でどういうやりとりがあったかということにつきましては、これは具体的事件の捜査の内容に立ち入ることでございますので、お答えはいたしかねるわけでございますが、ただ、今委員がお触れになられました、当時伊坂被告人と申し上げますか、伊坂被告人の方から詐欺罪で告訴がなされたということは承知していないというか、報告を受けていないわけでございます。
 それから、この当時の捜査資料を国会にもう明らかにしていいではないかという御趣旨のお尋ねも含まれていると思うわけでございますが、これは大臣から今お答えがございましたように、もともと捜査資料そのものは、捜査機関が法令上の権限に基づきまして、人の名誉や秘密にわたる事項を含めて、刑事裁判での証拠とする目的で収集するものでございます。仮にこれを裁判以外の目的に使用したりあるいはそのことが、捜査の結果あるいはその内容が外部に明らかになることになりますると、これは関係者の名誉、人権の保護はもとよりのことでございますが、裁判一般に対する不当な影響の防止という観点、あるいはまた今後における捜査一般に対する国民の協力を確保する上からも重大な支障を生ずることになるわけでございます。刑事訴訟法の四十七条におきまして訴訟関係書類の公判開廷前における非公開の原則を定めておりますのもこの趣旨にほかならないわけでございまして、そういう意味で、委員の先ほどおっしゃいました捜査資料の国会提出ということにつきましては差し控えさせていただいているわけでございます。
#28
○伊東(秀)委員 今のは答弁になっていないと私は考えます。プライバシーとおっしゃいますが、当時の被告人自身が告発してそれを立件したいと申したというふうに先回も東京地方裁判所で証言しておりますし、何ら被告人のプライバシーの擁護ということは問題にならない。さらには、裁判へ影響すると言っておりますが、裁判になってない、その問題は。結局不起訴処分にしたその行政作用が妥当性を欠くということで問題になっておりますし、さらに今回金屏風事件を不起訴処分にしたこと自体が、やはり政治的な圧力があったのではないかという国民の疑惑にさらされているという問題でございまして、行政作用つまり検察官の検察事務の取り扱いに対する国民の疑惑がわいているとき、今の答弁は何ら理由にならないというふうに私は考えます。
 もう一つ、法務大臣にどうしても伺いたいことがございますが、先回、三月十一日に小針暦二氏を、衆議院で、病床での臨床尋問をしたわけでございますが、そのわずか一週間後に彼は十数時間かけてロサンゼルスに行きまして、現在も、私が調べましたところでは入院もしていない、さらにあるテレビ局のカメラに映し出されたホテルにも滞在していない、所在不明であるというような状況でございます。
 そのときに、その十一日に臨床尋問を行った根拠になる診断書を見ますと、「不整脈が多発し、かつ、血圧の動揺が激しいため厳重な管理・治療が必要である。」だから、「国会への出頭は不可能と診断する。」という診断書が三月八日付で出ておりまして、そして十一日の臨床尋問となったわけでございますが、そのわずか一週間後にこういう形で国外へ脱出しているというような状況を見ますと、これは先ほど大臣がおっしゃいました国政調査権の重大性、それを非常に愚弄するものである。こういうような一枚の診断書だけで、臨床尋問を行って、国会の通常の喚問も行わなかったことに不備があったんじゃないかということが一般に考えられるわけでございますが、この件につきまして大臣はいかがお考えでいらっしゃるか。
 さらに、二つ目には、今後こういうようなことが多発しないために、出頭が不可能というふうな認定についてはもう少し厳格にするべきであるし、さらに、それに疑義があるのに出頭しなかった場合の制裁措置についてももっと厳格にするべきではなかろうかと私は考えるわけでございますが、その点についての御見解をお願いいたします。
#29
○後藤田国務大臣 伊東さんのおっしゃる意味合いは、常識的には私も理解ができるところでございます。
 しかしながら、これは、国政調査権の運用の問題は、国会と当人との間の問題であって、政府の立場に立ってこれをとやかく言うべき筋合いのものでは私はないのではないか。具体的に小針さんの問題について政府としてこれに対してとかくの論議はできないのではないか。
 といいますのは、政府との関係において云々という問題ではなかったわけでございますし、ましてや我々の立場に立ちますと、これは言葉が適当かどうか少々疑問があるのですが、小針さんは全くの自由人でございますから、これが国外に出ようとどこへ行こうと、我々の方の捜査の関係でいろいろ問題があったんなら別として、国会に出るとか出ないとかという問題でございますから、これは国会の中でぜひひとつ議論をしていただきたい。
 それからまた、そういった際における今後の国政調査権についての罰則云々の点についても、これはやはり国会運営の問題として議院の中でひとつ御論議を願いたいな、こう考えるわけでございます。
#30
○伊東(秀)委員 アメリカ等においては議会侮辱罪ということで、コモンローにおいてもさらには制度上においても大変厳しい罰則が付されることになっている。コモンロー上では逮捕もあるというようなことになっておりますので、ぜひその点についても今後国会の中で論議を深めなければいけないんじゃないかと思いますし、法務大臣としても重大なる関心を寄せていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終えさせていただきます。
#31
○浜野委員長 山田英介君
#32
○山田委員 今回の不動産登記法の一部改正法案でありますが、御案内のとおり六十三年に同じく法改正がございまして、種々の議論がなされたところであります。それらを踏まえまして附帯決議がつけられておりまして、特段に第五項目めにつきましては、「登記の真正を確保するため、保証書制度の見直し等制度・手続の改善、審査事務の充実、専門家の能力の活用等の諸施策を推進するとともに、登記申請の代理の制度の整備について検討すること。」このようになってございます。
 それで、今回の法改正のポイントは七点ほどあるわけでございますけれども、それを子細に検討さしていただきますと、附帯決議を受けまして今回実現をした事項が、例えば予告登記抹消手続についての規定の新設、それから附帯決議を受けまして今回その一部として実現をさせ、一部の積み残し、次期以降の法改正において結論等を得なければならない、こういう事項としては、保証書制度の見直しの中で保証人適格の要件を緩和した、あるいは登記申請代理権の不消滅の規定を新設さ
れた、こういうようなことが言えると思います。このたびの法改正では実現されなかった事項も何点かあるわけでございまして、これらをベースにして以下の質問をさしていただきたいというふうに思っております。
 最初に、いわゆる不動産登記制度、不動産公示制度、この制度の担い手というものをもうそろそろこの辺で明確にしていく必要があるのではないかと私は考えるわけであります。今申し上げました六十三年法改正時における附帯決議の第五項目、あるいは代理権の不消滅規定を新設された、これは民法の例外規定を置かれたわけでありますから、登記専門家というものを念頭に置かれておる規定の新設、こう言えると思いますし、申し上げましたとおり、制度の担い手というものをこの不動産登記法という手続法の中でできる限り明確にしていく必要がある。
 こういうことから、登記代理人規定の法制化につきまして、次期不動産登記法改正時において行う考えが基本的に法務省にございますかどうか、お伺いをしたいと思います。
#33
○清水(湛)政府委員 登記手続の専門代理人制度として司法書士制度、土地家屋調査士制度というものがあるわけでございます。それぞれ代理権限についての実体法とも言うべき司法書士法、土地家屋調査士法に規定が置かれておる。民法が不動産登記法の実体法ならば、代理権限については不動産登記法の実体法に当たるものが司法書士法であろう、こういうふうに私どもは見ているわけでございます。そういうようなことから、現在、不動産登記法においては登記申請の代理人となり得る者の資格についての規定が設けられていない、こういうことになっておるわけでございます。むしろ司法書士法あるいは土地家屋調査士法の中で、司法書士会に入会している司法書士あるいは土地家屋調査士会に入会している土地家屋調査士以外の者は登記に関する手続について代理する等の事務を業として行うことができない、こういうふうになっているわけでございます。
 そういうことではございますけれども、登記申請の代理人のほとんどが現実には司法書士あるいは土地家屋調査士によって行われておるということ、また、不動産登記制度の本来の理念といたしましても、法律に明文の規定はあるわけではございませんけれども、まずもって司法書士、土地家屋調査士が登記の専門家であるということは、これは制度的に認められているところであり、私どももそういうふうに考えているわけでございます。そういうようなことが法文の上にきちんとあらわれていないから、司法書士法とか土地家屋調査士法の中だけではなく、不動産登記法の中にもそういった趣旨の規定を何とか入れてもらえないか、こういうような要望が司法書士会から現実にあるわけでございます。
 その専門性、つまり代理人が司法書士でなければならないとかあるいは土地家屋調査士でなければならないというような法律でございますと、それはまた比較的いろいろなテクニックがあるわけでございますけれども、最も代表的な代理人ではあるけれども、司法書士でなければならないとかあるいは土地家屋調査士でなければならないということになっておりませんがために、その点が非常に書きにくいという問題が実はあるわけでございます。司法書士法という代理権限に関する実体法と代理人の扱いを定める不動産登記法という手続法の性格という面、そういう意味での立法技術と申しますか、法律の立て方の問題もありまして、慎重な検討を要することではないかというふうに思っております。
 しかし、ストレートに司法書士、土地家屋調査士が専門職能人であるということを不動産登記法に正面から書けないにいたしましても、その位置づけみたいなものを書くことができるかどうか、これは私どもとしても何かいい知恵はないかということで研究をさせていただきたいと考えているわけでございます。
#34
○山田委員 民法の口語化作業それから刑法の口語化作業、これらが進められておると伺っておりますけれども、あわせまして不動産登記法の口語化作業、これにつきましての作業の現状につきまして、一点お伺いをしたいと思います。
 と同時に、今御質問申し上げましたが、次期不動産登記法の改正時期につきまして、御答弁できる範囲で結構でありますが、見通しなどお示しいただければ幸いでございます。
#35
○清水(湛)政府委員 既に委員御承知のように、現在の民法は明治二十九年に制定された法律でございまして、片仮名漢字まじり、こういうことになっているわけでございます。この民法の口語化作業につきましては、平成三年から、法務省民事局内に民法典の現代用語化の基礎的な研究のための非公式の研究会を設けまして、これで現在検討をしていただいているわけでございます。それとあわせまして、不動産登記法の口語化についても、現在研究、検討作業を進めております。民事法務協会に研究委託をするというような形で具体的にもうこの作業を始めているわけでございます。
 この民法典の口語化も不動産登記法の口語化も、単純に例えば現在の漢字片仮名まじり文を現代語に置きかえるということであれば、それほど問題もないのかもしれません。しかし、それだといたしましても、用語が非常に古いとか、あるいは現在の世の中にはないものを規定しているものも民法の中にはあるというような問題もございます。そういう意味で、どういった形で口語化をするのかということが一つの大きな問題でございます。民法については特にその点が問題になります。口語化と同時に、やはり現在の世の中に合わせて修正するというような実質的な内容の改正を伴う作業も、いずれこれは並行してやっていかなければならないのだろうというふうに思うわけでございます。
 不動産登記法についても、単純に今の不動産登記法を口語化すればそれで済むかというと、そうではないわけでございまして、専門家の人が読みますと、むしろ不動産登記法は非常にわかりやすいと言う方もおられるわけでございますけれども、まず一般の方々が読んで理解ができるような法律の形になっていないというようなことがございますので、この不動産登記法の口語化につきましては、単純に現代語化するということに加えまして、その内容をわかりやすいものに変えていくということが必要なのではないか。例えば先ほど先生御質問の登記申請の代理人の取り扱い等につきましても、不動産登記法の中でもっときちっとわかりやすい形で書いたらどうだろう、こういうような議論が内部にあるわけでございます。
 私どもの希望としては、刑法の口語化については私どもの所管外ですから申し上げることはできませんが、刑法の口語化がされるということになりますと、それとそれほど離れない時期に民法の口語化をお願いいたしたい、それとあわせてあるいはそれに接着して不動産登記法の口語化もお願いをいたしたい、こういうふうに今のところ考えておるわけでございます。具体的にその時期がいつになるかということについては、ちょっと現段階では申し上げかねるわけではございますけれども、鋭意その作業を進めておるということで御理解をいただきたいと思います。
#36
○山田委員 不動産登記法の口語化作業につきましては、既に開始をしておられるということであります。したがいまして、この口語化が完了したときに、それはまさに次期法改正ということを局長は答弁なさっておられるのだと理解しておりますが、表現等、正面から登記代理権、登記代理人を、登記専門家を念頭に置いた、活用したそのやり方はいろいろ難しい面もあろうかと思いますが、重ねて恐縮でございますけれども、局長もお認めになっておられますように、我が国の不動産登記制度、不動産公示制度の担い手は間違いなく司法書士であり、また表示に関する等の登記の担い手は土地家屋調査士であるということでありますから、次期法改正におきまして、ぜひこの制度の担い手としての登記専門家を活用した形で、しっかり念頭に置いた形で規定の整備あるいは新設をお願いしたい。重ねて御見解をお尋ねしたい
と思います。
#37
○清水(湛)政府委員 代理権についての実体法としての司法書士法、土地家屋調査士法がございますので、これを不動産登記法とどういうふうにうまくマッチさせるかという技術的な問題がございます。しかし、先ほども御説明申しましたとおり、司法書士、土地家屋調査士が登記制度を担っている専門家集団である、そういう人たちに期待して登記制度の運用がされておるという事実は、これは紛れもない事実でございますので、そういう実態を踏まえた形での法案というようなものがつくれるということであれば、これは大変望ましいことだと思っています。しかし、その面については十分な研究をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
#38
○山田委員 次の点に関して御当局の見解を簡潔に承りたいと思っておりますが、このいわゆる登記代理規定というものを不動産登記法上に整備をする、それに当たりまして、まず本人申請の道はあけておくべきではないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#39
○清水(湛)政府委員 本人がみずから申請する道というのは禁ずることはできないというふうに思います。どういう代理人を選ぶかという問題は別の問題としてあるかと思いますが。
#40
○山田委員 一般の方々の代理、一般登記申請代理、一般登記手続代理と、登記専門家による登記代理、登記手続代理というのは、やはりこの際できるだけ明確になさる必要があるのじゃないでしょうか。
#41
○清水(湛)政府委員 例えばドイツのある州ではそうだと言われておりますけれども、訴訟手続について弁護士を強制する、弁護士を必ずつけなければならないというような制度があるところがあるわけでございますけれども、登記手続については、先ほど申しましたように、我が国の社会実態から申しますと、代理人を必ずつけなければならないというところまではまだいっていないというふうに思うわけでございます。
 そこで、代理人を選ぶということがあり得るわけでございますけれども、現在の制度のもとで、司法書士あるいは土地家屋調査士がそのための代理人、専門職業軍団として用意されているわけでございますから、そういう方々を利用するという場合と、それから全くの個人、そういう資格がない人で、しかも業としてするのではなく単発的にそういう代理人になる、こういうことも恐らくあろうかと思います。家族の者が代理人になるとか、親戚の者がたまたま当該登記の申請について代理人になる、こういうようなこともあろうかと思います。
 そういう場合の代理のあり方についての規制を違えるということが、あるいは専門家集団の代理の重要性というものを特色づける何かになるのかもしれないというようなことが考えられるわけでございますけれども、これもどこまでそういうことができるのかということも検討してみなければならないと思います。それからもう一つは、弁護士というまた別途の法律専門家集団があるわけでございまして、それとの関連も当然のことながら大変重要な問題になってくる、こういうふうに思います。
 いずれにしても、御指摘の点も参考にさせていただいて、研究させていただきたいというふうに思います。
    〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
#42
○山田委員 一般申請代理にしても、局長おっしゃいますように、その申請人が特段の信頼関係に基づいて御親戚の方あるいは信頼できるそういう方に申請手続あるいは申請代理を依頼するということ自体あり得ることでありまして、私も、実はそこに道を閉ざすというような趣旨では全くございません。
 ただ問題は、そういう仕組み、制度というものを悪用しようとしてかかる、そういう不心得な者あるいはそういう登記申請というものがいかにして有効にチェックできるか、排除できるか。そして不動産登記法の最大の目標、理想であります国民の権利、財産を守るために真正をどう担保、確保するかというところが実は一番問題なわけであります。
 私は、次に申し上げようと思ったところも局長の御答弁にあったのですが、弁護士のお話が出ましたが、法令により登記手続等の代理人となることのできる者というものを当然排除すべきではないと思います。それは、法律の表現の仕方、書き方というのはいろいろ先例等もあるわけでありますから、そういうふうに私は思っております。
 それから、特に前段申し上げましたそういう一般の方々の申請代理というものを考えた場合に、これは一つの私の考え方ですが、今後の検討の中で御参考にしていただければ、そういう意味で申し上げるわけでありますけれども、特に権利の得喪あるいは物権の変更、権利の変更・消滅、こういうものが実は不動産登記の中でも極めて重要な種類の登記である、権利の得喪等を伴うそういう登記というのは際立って重要な登記である。
 そういうふうに考えた場合に、不心得な者を排除する、そういう不実あるいは虚偽の登記申請というものを排除する一つの考え方として、こういう権利の得喪・変更一消滅を伴う登記と伴わない登記があるわけですね。いわゆる所有権の保存の登記とか、これは明確に自分の所有だよというものを公示するという意味においては、必ずしもそういう言い方でくくれないかもしれません。例えば住所変更とか名称の変更とか、そういうものとある意味では明確に立て分けができるのではないか。
 そして、特段に不実、虚偽の登記等を一般代理による申請から排除するということを考えた場合には、その辺の一つの区分けというものを、したがって権利の得喪を伴うものは例えば司法書士、登記専門家にやらせたらどうなのか、そうでないその他の登記については一般の申請代理も認めてあげたらどうなのか。無差別にやっておくということが、道を開いておくということが登記の真正確保のために果たしていいことなのかどうかという点は吟味する余地があるのじゃないでしょうか。
#43
○清水(湛)政府委員 権利の得喪・変更という実体上の権利の帰趨にかかわる登記と、そうでない、例えば住所変更、名称変更というようないわば実体とはかかわりのない公示技術上の要請から出てくる登記手続、こういうものを区別して、例えば前者の方については登記専門家である司法書士が必ず代理人にならなければならない、それ以外のものについては一般の者も申請人になれる。ただ、一般の者が申請人になれるという場合に、業として申請代理をするということになりますとこれはまた問題ですから、あくまでも単発的に、個人的に特別な事情から頼まれて代理人になるという意味だろうと私思いますけれども、そういうような使い分けをするという議論も一つの考え方ではないかなというふうには思います。
 ただしかし、この点につきましても、住所変更、名義変更、一見手続は簡単なようでございますけれども、実は不動産登記における真実性担保の手段として、登記義務者の印鑑証明書を出させるあるいは住所証明書を出させる、そういうものによって、登記簿に記載されている登記義務者と、住所証明書、印鑑証明書に記載している住所の一致を確認することによって真正を担保しようという一つの技術的な仕組みを持っておりますので、なるほどその登記の目的自体は形式的なものであっても、登記手続的にはかなり重要な登記でございます。そういうような意味で、両者を区別していいかどうかということはまた別な意味で問題があるかもしれません。
 しかし、この辺も、物権変動に伴うものについては、業とするあるいは単発であると否とにかかわらず、弁護士の問題はさておきまして、司法書士を必ず代理人にしなければならないというふうにすることがいいかどうか、この辺は社会の実態を踏まえまして相当考えてみなければならない。
 ただ、おっしゃるようにそういう議論をいわば一つの契機として、現実には、例えば絵にかいた
ような本当に単発的に頼まれた代理人という方が出てくるわけではなくて、大部分は非司法書士、実際上は司法書士でない者がそういう形で業務を行うというのがほとんど社会の実態でございまして、そういうような非司法書士をどうやって取り締まるか、どうやって登記所の窓口でチェックするか。これは登記所だけではなくて、司法書士会あるいは調査士会等とも協力して、現にそういう実際的な非司法書士対策を講じているわけでございますけれども、やはりそういうような面からの検討もまた必要になると思います。一つの御意見として拝聴させていただきますけれども、これからの問題としてやはり研究をさせていただきたいというふうに思います。
#44
○山田委員 ちょっと一つだけ申し上げておきたい点がございます。
 それは、例えば次期改正で登記代理人等の規定の整備を図るということに際しては、一方においては、例えば他の法令で代理をすることができる者を排除しないという立場において例えば日本司法書士会連合会と日弁連との間で定期的にいろいろなお話し合いというものがなされておる、非常に大事なことだと思うのです。
 そこで、登記手続については司法書士が登記専門家なんだから、そこの部分を手続法上に明確にしていくということはまあそういうことだろう、ただ、我々が本来的に持っている代理権というか権限というもの、これは侵してもらっては困りますよ、これはけだし当然のことでありまして、一方においてその話し合いというもの、あるいはそこで合意が形成されていくという過程あるいは結果というものを非常に御当局が重視されるということは、それはそのとおりだと思うのでございます。
 と同時に、私はそれだけではなくて、法務省は、特に民事局におかれては、いかにして我が国の不動産公示制度というものを信頼性を高め、その結果国民の権利、財産というものを一層擁護していくのかどうかというまさにそこのところを大目標として、あるいは所管官庁として、この制度を充実させ発展させるために当局としてはこういうふうに決断しますよ、こういうふうに判断しますよ、登記専門家は登記手続においてこういうふうに活用しますよという、そういうやはり主体的あるいは積極的な大きなイニシアチブを当然とられるという御判断があってしかるべきだというふうに私は思うわけでございます。どうぞ一言。
#45
○清水(湛)政府委員 大変重要な問題を指摘されたというふうに私ども考えております。
 弁護士の職域と司法書士の職域をどうやって調整するか。私どもは、弁護士も法律の専門家ですから、弁護士会の方々が自分たちも登記申請手続ができるのだとおっしゃるのもわからないわけではございません。しかし、一つの国の制度として、登記手続の専門家集団として国家の制度として司法書士制度、土地家屋調査士制度というものがあるわけでございますから、それを最大限に活用するということがまず重要な問題であるというふうに思うわけでございます。そういうような観点から、司法書士会あるいは日弁連の方でいろいろお話をされる、これは大変結構なことだと思います。
 ただその際に、一つの非常に極端な主張として、司法書士会がそういう主張をしているということを私は申し上げるわけではございませんけれども、一切弁護士は登記手続から手を引けとか、あるいは逆に今度は弁護士の方から、弁護士は司法書士と全く同じようなことを全部できるのだ、こういうような極論の中で話し合いをするということになりますと、これはなかなか話がつかない問題だろうと思うわけでございます。また、あるいは恐らくほとんど不可能な話かもしれません。
 ただしかし、そうではなくて、そういう専門家集団というものの司法書士あるいは土地家屋調査士というものの位置づけの中で、それではこの範囲だったら例えば司法書士がやってもいいのではないかというようなこと、そこまで弁護士が言うことはないのではないかというような、細かく詰めていきますといろいろな妥協点と申しますか線というものが出てくるのではないかというような気もいたします。
 そういうことである程度煮詰まってくるというようなことがあれば、これはやはり私ども、登記制度の担い手である司法書士、土地家屋調査士制度のより充実強化ということは私どものまた念願でもございますから、そういうような観点から司法書士会、弁護士会の両会の間に入って両者にとっていい線を探る、こういうことは当然しかるべき時期にやらなければならないことだと考えております。今がその時期として適当であるかどうかということはちょっと申し上げかねますけれども、現在非常に熱心にやっておられますので、その傾向をよく見きわめた上で、私どもとしてもこれを見守っていきたいというふうに考えている次第でございます。
#46
○山田委員 この問題だけやっているわけにはいかないのでございますが、不動産登記法の口語化作業が今着手されておる、やがてそう遠くない将来に恐らくこれが完成を見るのであろうと思います。そういたしますと、次期法改正というのは、口語化作業が完了する、まずそのこと自体が一つの次期の法改正、その折に登記専門家を念頭に置いてどう登記代理人に関する規定を整備していけるかを検討するというふうに局長はずっと御答弁なさっておられるのだ、こう理解してよろしゅうございますね、一言だけ。
#47
○清水(湛)政府委員 非常に難しい問題をはらんでおりますけれども、そういうような意見が述べられておりますし、いろいろな技術面を研究、検討してみる必要があるのではないか、研究させていただきたい、こういう趣旨で述べているものと理解していただきたいと思います。
#48
○山田委員 後藤田大臣、大変恐縮でございますが、今局長とるるやりとりをさせていただきました。私は、不動産登記制度、あるいは不動産公示制度と言ってもいいわけでありますが、この制度を一層発展させ国民にその果実を還元していくという観点から、制度の担い手としての登記専門家をこの手続法たる不動産登記法上に明確に位置づけをしていく、あるいは位置づけをする最大限の努力を法務省としてしていただくということは極めて重要なことだと思いますけれども、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。
#49
○後藤田国務大臣 国民の権利保全、大変重要なことでございますし、そのために土地家屋調査士とか司法書士とかといったような専門家集団、この役割が極めて重要ですし、同時にまた登記簿上に表示するといったときには事実と合わなければいけませんね、したがってそういうところについてもきちんとやらなければならぬし、それがために専門家集団の研修、こういうものも私は当然必要であろう、こう思います。こういうことは大変大事だなと。
 ただ、問題は、不動産登記法というのが手続法でございますから、果たしてこの手続法の中に今言ったような、実体的とでもいいますか、そういうことを書き入れるということが果たして立法上適切なやり方なのかどうかといったような問題もあろうかと思います。そういったようなことをあれこれ考えて、先行きの一つの我々としての勉強の課題ではなかろうかな、私はかように考えるのです。
 それといま一点。私は常々思っているのですが、どうもそういったときに、国民の権利保全あるいは国民の利益を守るということ、これは基本でなければなりませんね。しかし同時に、それがために専門家も必要だ。といいながら、どうも日本の社会は少し士が多過ぎるな、士が。何もかも士をつくってしまって、そこらと国民の本当の利益というものと一体どういう関連になるのであろうかといったようなこともお互いに真剣に考えなければならぬのではないかな、私はかように考えておりますが、いずれにいたしましても、山田さんの御意見についてはこれからの我々の課題であろう、かように考えておることをお答えいたしておきたい、こう思います。
#50
○山田委員 次に、登記の真正担保、あるいは登
記の真正であることを確保するために、実際に司法書士などは、特に権利に関する登記に携わるわけでありますので、職務遂行に当たりまして、例えばその登記の適法性、権利の変動について虚偽もしくは架空のものでないこと、あるいは当事者の、権利者、義務者の人違いがないこと、あるいは登記原因につきまして当事者の意思の一致があったこと、これらを調査確認した上で、登記申請意思の有無、ありやなしやということをさらに確認して、登記申請あるいは登記手続代理を現実に行っているわけでございます。
 したがいまして、これは職能法、実体法といいますか、司法書士法の次期改正の際に、実体的に司法書士がこういう調査確認という作業を登記真正担保のために、確保のために長いことやり、積み上げてきているわけでありますので、この際、それらの作業あるいはそれらの業務につきまして司法書士法上に法的根拠を与えるべきではないのか。もうちょっと端的に言えば、司法書士の真正担保を目的とした調査確認の義務規定を、次期司法書士法改正に当たって行うべきではないのか、こう申し上げたいわけでありますけれども、明快な御答弁をいただければと思います。
#51
○清水(湛)政府委員 司法書士が登記申請の代理人として事件を処理するという場合に、現行法上一番大事なことは、依頼者が本人であるかどうか、本人の意思に基づく申請であるかどうか、これは現在の司法書士法におきましても確認をしなければならない最低限の義務である、こういうふうに思うわけでございます。現実に、そのためにそれぞれの司法書士さんは大変神経を使っている。間違った、偽りの人間のために登記をするということになりますと大変なことになりますので、この点はきちんとやっていただいておる。たまたま、いろいろな策を弄されて、本人でない者が本人と称して司法書士事務所に来た、それにだまされるというようなことも、本当にわずかではございますが、ないわけではございませんけれども。本人確認というのはしっかりやっていただかなければならないし、これは現在も法律上の義務であるというふうに私どもは考えております。
 ただ、今度はその上に、本人の意思は一致しているのだけれども、その原因、これは売買なのか贈与なのかあるいはそれ以外の原因なのかというような、原因についての真正の確認というのは、さらに本人確認から一歩突き進んだ調査確認義務であるということになるわけでございます。この点につきましても、現実の司法書士業務においては、登記の真正確保という観点から司法書士さんがそういう面についてのことを現実には行っておるというふうに私どもは承知しているわけでございます。
 ただしかし、これを今度は調査確認義務、売買契約があったかどうか、あるいは贈与契約であるかどうかというような原因について法律上の調査義務を課するということになりますと、逆にそれだけ責任もまた非常に重くなってくるということも否定することができないわけでございます。
 特に、原因行為についての確認というのは、場合によっては当事者の意思とは違う形での原因確認ということもないわけではございません。当事者は売買でやってくれと言っているのに、いや贈与じゃないか、だから贈与という原因でやらなければならないのだ、こういうふうに言えるのかどうか、こういうような問題もあるわけでございまして、この辺をどうするか。登記の真実性を担保するということのためにそういう調査確認の義務を課する、こういうことと同時に、そうなってまいりますと、職責の重要性にかんがみまして、確認を怠った場合においては過料の制裁とか懲戒処分とか、あるいは民事上の損害賠償責任等々を生んでくる問題がございます。
 そこで、実は従来からこの点についての議論が司法書士会内部においても行われております。そういうような問題についてどう対応するか、日弁連との間でもいろいろな意見の交換があるようでございます。そういうような、現実に実際上は司法書士がやっているような事柄について法文化するということについては、これは余り抵抗はないかもしれません。しかし、置く、そういうものを法律上の義務として法律に規定をするということの意味づけは、非常に重大なものをはらんでおるということがありますので、従来から日司連の方から私どもの方にも出されている意見でございますけれども、十分にこれは検討してまいりたいと思います。
 次期の司法書士法改正につきまして、現在司法書士会内部でも真剣に協議、検討がされているようでございますけれども、そういうものとあわせまして、私どもも研究、検討を積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。
#52
○山田委員 もう一点、いわゆる司法書士の業務に関する相談あるいは助言というものも実際に実務の現場では日常的にあるわけでございまして、これらにつきましてもぜひひとつ、これは義務規定というより、権限というのでしょうか一むしろそういう次元の話なのかもしれません。一方において調査確認の義務規定というものが整備される。他方において司法書士業務に関する相談、助言というものも現実にあるわけでありますので、この部分も司法書士法上明確にすべきではないのかというふうに私は考えますが、いかがですか。
#53
○清水(湛)政府委員 司法書士の業務に関する助言、相談というようなことを法律の中に明記すべきであるという御意見が司法書士会内部に非常に強いということは、私ども承知しているところでございます。その程度とか内容とか、どの程度の責任を負うかというような問題はともかくといたしまして、現実に報酬規定の中では、そういう相談業務に対応するものとして相談料を取ってよろしいという規定を現に置いているわけでございます。問題は、法務大臣認可の報酬規定の中にあるものをさらに高めて、司法書士法の中に司法書士の業務として相談、助言業務というようなものを加えるということになりますとやや問題が出てくるということが実はあるわけでございます。
 例えば、登記に関する相談ということであればあるいは比較的通りやすいのかもしれませんけれども、司法書士は裁判所に提出する書類の作成をすることができるということになってまいります。その書類の作成に関する相談ということは一体何であるのか。これは結局、法律の禁じている、弁護士法で禁じている他人間の訴訟その他の事件に関与することになるのではないかというような疑問も出てまいりまして、それについてのいろいろな反発もある、弁護士会等からのいろいろな反論もあるというようなことが実情でございます。そういうような問題がないような形で、これもまたうまく法律の中に書き込むことができるかどうか。
 私の説明によれば何か司法書士と弁護士が常に対立しているような感じになりますけれども、そうではなくて、現実の世界では弁護士さんと司法書士さんというのはむしろ相協力して一緒に仕事をしているというのが実情でございますので、その辺は十分に話し合えば理解ができる、つまり共通の認識に立ち得る部分があるのではないかというような気もいたします。
 これも法務省だけの考え方ではできない問題でございまして、現在、日本司法書士会連合会と日本弁護士連合会との間で定期的に、こういう業務範囲のガイドラインについて話し合いをしているということでございますので、それをもにらみながら何かいい線が出ることを期待いたしたい。そういうものを踏まえて、次期司法書士法の改正にもし盛り込むことができるのであれば、これもまた一つの従来からの宿題でございますので、重要な研究課題として研究をさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#54
○山田委員 次に、司法書士となる、あるいは開業する前提として国家試験に合格をしなければなりません。次に日本司法書士会連合会のしかるべき機関に登録をしなければなりません。
 一つお伺いしたいのは、日本司法書士会連合会において、登記の真正担保という重要な職責を担い、非常に高い職業倫理というものが要求されている、
そういう登記専門家としての司法書士、その資質の向上に努めるということは非常に重要なことではないのか、私はそう思います。現在日司連が自主的に実施しておりますところの新入会員、新しく司法書士となられる方々に対して、正確に言いますとなった方々ですね、自主的に研修を行っているわけでありますが、これを局長どのように御評価されておられますか。
#55
○清水(湛)政府委員 まず、現時点の研修に対する評価はどうかということでございますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、司法書士は登記等に関する手続の円滑な実施に資する、そしてこれをもって国民の権利の保全に寄与するという非常に大事な職責を有しているということでございまして、不動産登記制度の支え手である、こういう位置づけがされているわけでございます。そういう意味で、このような重大な職責を担う司法書士が研修を積みまして、法律知識のみならず、いろいろな社会行動倫理の面においてもこれを高めるということは大変重要であり、大変有意義なことであるというふうに思っているわけでございます。
 お話のように、現在日本司法書士会連合会におきましては、このような観点から積極的に研修制度の充実に取り組んでおりまして、現実に研修を行っております。また、法務省の方でも講師の派遣について協力をするとか、あるいは最高裁判所の事務総局におかれましても講師の派遣を積極的にするというような形でこの研修をやっておられるわけでございまして、そのこと自体については私どもは大変結構なことであり、大いにこれからも協力をしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#56
○山田委員 司法書士として業務を行い得るためのシステムというのは、現行では試験に合格する、登録する、それで開業できる、こういうことになっております。これは極端な言い方をすれば、登録した翌日からでも開業ができる。こういうシステムで重要な職責を十分果たし得るのか、また不動産公示制度の担い手として十分なのか、ひいては、国民の権利、財産を守る、その一翼を担う、そういうことについて十分であるのかというのは一度吟味してみる必要がある、こう思います。
 確かに国家試験に合格をしてくる、あるいは長年登記官としての経験を積んでその素養とか経験というのは、これは法務大臣の特別認定の方々を、後者を指しているわけでありますが、そういう経験というものは私は評価ができる。とはいえ、どうなんでしょうか。実際にそういう重要な職責というものを踏まえてみたときに、開業前に、いわゆる登録の前というか開業する前に何らかの研修の必要性があるのではないか。
 今、局長は、研修は非常に重要なことで、自主的にやっている、それは支援もやぶさかではない、そういう趣旨の御答弁がありましたけれども、仮に登録前の研修を法律で司法書士法上に明確に位置づける、法制化をする、そうした場合にどんな問題点がありますのか、具体的にひとつ御指摘をいただければ今後のために大変参考になるのではないか。
#57
○清水(湛)政府委員 現行法では、司法書士試験に合格をしあるいは法務大臣の資格認定を得て、それから日本司法書士会連合会に登録をすればその翌日から司法書士の業務を行うことができる、こういうことになっているわけでございます。それを例えば、試験に合格した人につき、あるいは法務大臣の資格認定を得た人につき、一定の期間研修を受けることを法律上義務づけ、かつこの研修を終了しないと登録をすることを認めない、したがって研修を受けないと結果において司法書士の業務を行うことができないようにすることはどうか、こういう御質問だろうと思います。
    〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
 大変難しい問題でございまして、現在いろいろな資格制度の中で研修を義務づけているものとしては、弁護士があるわけでございます。司法試験に合格しただけでは弁護士の仕事はできない。若干の例外はございますけれども、基本的には司法研修所で二年間の実務研修あるいは理論研修をしなければならない。これを終えないと弁護士としての登録をすることができない、こういうふうにしているわけでございます。恐らく弁護士という仕事の非常に高度な公共的な性格というものを考えまして、国費でそのような研修所を運営するということになっているわけでございます。
 しかし、それ以外の、例えば税理士、行政書士あるいは弁理士等については、このような法的な義務づけとしての研修制度はないわけでございます。公認会計士につきましては、試験に合格いたしますと、まず公認会計士補という資格を与えまして、一定の制限はございますけれども、他人から報酬を得てその業務を行うことができる。そういう公認会計士補としての業務を積み重ねる、あるいは自分で報酬を得ながら一定の指定研修を受けるというような形で、最終的に公認会計士たる試験を受験する資格を与える、こういうふうな形になって、若干の特色がございますけれども、要するに基本的には試験に合格すればすぐ仕事ができる、登録は必要でございますけれども、すぐ仕事ができるということになっております。
 そこで、司法書士についてそのような制度を導入することができるかどうかという、つまり、そういうものを法律をもって強制しなければならないというような必要性が税理士、弁理士、公認会計士等との対比において合理性を有するのかどうかというような問題が一つあろうかと思います。
 それからもう一つは、やはりその間の費用をだれが負担するのか。公益的な必要性からそういう研修が必要であるというなら、国費負担という問題が当然のことながら出てまいります。それは司法書士会の方でいろいろな会費を積み立ててその経費を負担するということでもいいのかもしれませんけれども、仮に例えば東京で集中的に研修をするということになりますと、その間の旅費、宿泊費をどうするのか。司法修習生の場合でございますと、月給を支払うという形で、かつまた修習地までの旅費も国で負担をするということになっておりますのでその点に問題がないわけでございますけれども、この司法書士の問題について、そういうような純粋な法律論というものを考えてみますと、法律で強制するということについては、これは相当研究しなければならない難しい問題があるのではないかというふうに率直に言って思います。
 そういうような形ではなくて、できるだけ研修の実を上げる、できるだけ多くの人たちが、費用は負担しても喜んでそういう研修にほとんど全員、一〇〇%の人が参加できるようなことにするということが第一次的には大事なことではないかと思いますけれども、そういうような方策をやはり考えていただく必要もあるのではないかというふうに思います。
 今、私どもこの研修を法律上義務づけるという問題についてイエスとかノーとかという答えを持ち合わせているわけではございませんけれども、いろいろ考えただけでも相当問題があるなということだけを率直に言って申し上げておきたいというふうに思うわけでございます。
#58
○山田委員 研修そのものは非常に大事なことだ、自主的にやっていることは非常に評価されておる。これを法制化する、法律上明確に義務規定を置くということになるとかなり厳しいというような御答弁、にじませておられたように受けとめましたが、おっしゃっている意味は私もよく理解できるわけであります。
 ただ、国民の特段に貴重な財産権というものを擁護していく、またそういう一つの制度の重要な担い手であるということを一方念頭に置いた場合には、今局長が何点かに分けてクリアしなければならないさまざまな障害といいますか問題点をお示しになっておられますが、将来において司法書士会が努力を積み重ねてそういう信頼を得、あるいは納得というものが得られ、そしてさまざまな旅費とか生活費とかそういう財源の問題においても会内のコンセンサスを得ながら実績を積んでいく、そういうもろもろの課題をクリアできたその
暁には、司法書士法上登録前の研修の義務づけを法制化することについては、その場合はあり得る、考えられることである、こう理解してよろしゅうございますか。
#59
○清水(湛)政府委員 いろいろな前提条件を考えなければならないと思います。果たしてその前提条件だけで足りるのかどうかという問題もあろうと思います。しかし、司法書士会内部におきましてその義務づけ制度までも含めて今大変熱心に御議論がされておるということも承知しております。
 そこで、私どもといたしましても、そういう御議論を踏まえて、できる限りの対応措置は考えてあげたいというふうに思っております。今の段階で登録前の修習を法律で義務づけるということになりますと、これに従わない者は司法書士としての業務を行えないということを意味するという意味での義務づけでございますけれども、そうではなくて、もっと軽い意味での宣言的な義務づけというのもそれはあり得るのかもしれません。非常に強い意味での義務づけということになりますと、今の段階で直ちにどういう条件を満たせばこれが肯定できるということはちょっと申し上げかねますけれども、先ほど申しましたとおり、せっかく皆さん方今内部で議論されておりますので、十分そういう意見も参考にさせていただきたいというふうに考えております。
#60
○山田委員 関連してちょっと御見解を伺いたいのですが、例えば司法書士試験、国家試験の受験資格の一つとして、あるいは登録要件の一つとして、実際に司法書士事務所に補助者という形で勤務をして、一定の年限その事務所の業務をお手伝いすることによっていろいろと学ぶことができるわけでありますが、そういう経験というものを受験資格あるいは登録要件に、これは現実的な一つの措置として、そういうことは考えられますでしょうか。
#61
○清水(湛)政府委員 司法書士の補助者に何か法律上特別の地位を与えるかという問題、これは実は昭和五十三年の司法書士法改正のときにも議論がございました。司法書士の事務所に長年勤務をして、現実の登記書類の作成等についてはもうエキスパートの域に達しておるという方もかなりおられるわけでございます。ただしかし、一方において司法書士試験というのは大変厳しい倍率の試験でございまして、恐らく司法試験と同じ程度の倍率、あるいはそれを超えることもあるかもしれないというくらい激しい、競争率の高い試験でございますので、そういうようなものとの絡みでどうしたらよろしいのかという問題があろうかと思います。
 その当時も議論されたことではございますけれども、例えば司法書士会内部におきまして、そういう補助者について相当程度の系統立った権威のある研修システムをつくるというようなことがもし実現できるならば、そういうものを前提として特別の取り扱いをするということも理論的に不可能ではないわけでございます。一方では、法務局職員として、登記官として長く勤務した者を、大臣の資格認定によって司法書士の資格を与えるという制度もあるわけでございますから、理論的に不可能な問題ではないと思います。ただ、政策的にどのような要件とか条件が満たされればと、これは少し研究してみる必要があると思っています。
#62
○山田委員 それはそれで、お考え方はわかりました。
 もう一つの側面なんですけれども、いきなり司法書士法上登録前の修習の義務づけというのはいろいろ問題があるという、そういう話の流れで、それが非常に難しいのであれば、例えば開業前――登録前に登記官を経験して大臣の特別認定を受けて出てこられる方ばかりじゃないわけですから、司法書士試験には合格をした、しかしそこに実務ということについての研修なり経験がないわけでありますから、それはまたそれで一つの職責を果たす上でどうかということにもなるわけであります。そういう意味で、一定の年限司法書士事務所等で補助者として実務に携わったということを、例えば現実的な研修の成果を上げるための方策の一つとして考えられますかという、むしろこちらを聞いてみたいなという気持ちがあったのですが。
#63
○清水(湛)政府委員 恐らく先生の御発想は、公認会計士法における会計士補みたいなものにヒントを得られたのかなというふうに私思います。
 本来公認会計士の重要な仕事は、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査または証明をすることでございます。これは会計士補はできないのです。しかし、報酬を得てそういう会計書類をつくるということはできる、監査あるいは証明はできないけれども、財務書類をつくることができるというふうに公認会計士法はなっているようでございます。
 これと同じようにするかどうかという問題ですけれども、例えば、実務経験のない補助者について、一定の期間司法書士事務所に雇っていただいて、そこで収入を得ながら、月給をもらいながら一定期間を過ごすということにするというのは一つのアイデアだろうとは思います。これもしかし、その理論的な説明を十分考えなければなりませんけれども、今直ちに結論を申し上げることはちょっとできませんが、一つのおもしろいアイデアではあるなという感じを率直に言って受けましたので、これもまた研究、検討させていただきたいと思います。次期の司法書士法の改正に間に合うかどうかわかりませんけれども、研究はさせていただきたいと思います。
#64
○山田委員 大臣から御所見を賜りたいのでありますが、お話を申し上げましたように、司法書士会連合会の方では自主的に職責をよりよく果たす、そういう資質の向上を目指して研修をやっております。この司法書士制度あるいは不動産登記制度というものを置かれた趣旨等いろいろ踏まえまして、この資質向上のための研修ということについては大臣はどのように受けとめておられますのか、そして、いずれこの研修の、義務化というのは今の段階ではちょっと言葉として言い過ぎなのかもしれませんが、いずれにしても研修ということを避けて通れない、また避けるべきではないというように私は思うのでありますが、そこらのところを法務大臣に一言、ひとつ御感想を。
#65
○後藤田国務大臣 司法書士制度、これは士制度の中でも私は大変重要な制度の一つであろう、こう思います。それだけに、さらなる研修等について司法書士会の中で自律的におやりになることは、これは当然やらなきゃならない仕事であろう、こう思いますが、問題は、それを義務化して国の制度としてどうやるかといったようなことになりますと、先ほど来局長が答弁いたしておりますように、他の横並び、いろいろな問題もありましょうから、これはさらなる研究をしなきゃならない、にわかに結論の出にくい問題であろうと私は思います。しかしいずれにせよ、研修そのものの重要性、これは仕事の中身から見て当然やっていただかなければならぬことであろう、私はかように考えております。
#66
○山田委員 ありがとうございました。
 今までの議論を通して一つ申し上げてみたいことがあるのですが、当事者出頭主義、共同申請主義、これはたしか不動産登記法第二十六条の規定から読み取ることのできるといいますか、出てまいります登記の真正を確保するための制度の根幹である、基本的な仕組みである。当事者出頭主義、共同申請主義は、真正担保を機能させる極めて重要な仕組みである、こう理解をいたしております。それで、当事者出頭主義、共同申請主義、一言で言うと何にねらいがあるのかということを、済みません、簡単で結構です。
#67
○清水(湛)政府委員 当事者出頭主義、共同申請主義、これはいずれも登記の真正を確保する、こういうところに意味があると考えております。
 当事者出頭主義は、現実には代理人出頭という形になるわけでございますけれども、代理人ということになりますと、これは実際上そういうことを一々チェックするわけではございませんけれど
も、登記所に出入りする司法書士さんということでその信頼性がある程度保たれるということになりますし、共同申請というのは、これは登記によって利益を受ける者と不利益を受ける者、この二人が共同で申請をすることによって初めて正しい登記がされる、こういうことでございますので、共同申請主義というのは、より基本的に真実性担保の基本原則でもあろう、こういうふうに考えております。
#68
○山田委員 実際の登記の現場では、なかなか法の理想どおりにいっていない、必ずしもそれが真正担保機能を果たしておらないという点を指摘しておかなければならないと思うのですけれども、今後の重要な課題の一つとして位置づけていただきたいと思うのです。
 先ほど議論させていただいた、司法書士が基本的に代理する登記手続というのは、司法書士が前段階において実体調査、確認をやっていますから、代理人が出頭してという先ほどの答弁はこれはクリアできるのです。それを先ほど私は、法的に実体が調査確認をやっているわけだから、法制化をして明確に義務づけをしたらどうなのか。これは登記専門家ですから、義務づけといったって驚いたりなんかしたら専門家じゃないわけですから、これは明確に真正担保のためにやる。したがって、基本的に司法書士が代理する登記手続、申請については、これは真正が基本的に担保される、こう見てよろしいわけです。
 問題は、本人申請と一般の方々による代理人による申請について、要するに、これは直接登記所の窓口、受付に本人あるいは本人と称する者、一般の代理人が行くわけでありますけれども、そこのところは前段階における要するに事前の確認調査というのができていない場合があるわけです。それが真正な本人申請であり、真正な一般人の代理申請であればいいのですが、そうではなくて、ためにする、虚偽、不実の登記をやろうなどという不心得な者を排除するという観点からすると、実際登記所の受付のところでは、本人確認あるいは本当に代理権があなたにあるのですかというこの確認は、登記の迅速性という一方における重要な要請があるということもわかりますが、実際にはなされていないわけですね。要するに、受付のボックスに出せばそれで受け付けということになるわけでありますから、その後のいわゆる書面を通しての形式審査というものはしっかりなされるわけでありますが、その前段部分が欠落するわけですよ。
 当事者出頭主義、共同申請主義といういわゆる大きな真正担保のための不動産登記法上の考え方、仕組みというものを置いても、その次元で見ると、それは全体の件数から見ればきっと小さいのだと思います。ただしかし、真正を担保する、要するに国民一人一人の権利、財産を守る、あるいは公示制度の信頼性を確保するために、実体の取引の経過というものをその不動産につき如実に登記簿にあるいは登記システムに反映させるということが大きな要請としてあるわけでありますので、件数が小さいから、大きいからの問題ではないのですね。まさに不動産登記の根幹にかかわる話なんです。したがいまして、申し上げたいことは、この当事者出頭主義、共同申請主義のいわば空洞化というものを何らかの手だてを講じて是正をしなければならないということもまた大きな課題の一つである、私はこのように申し上げてみたいと思います。
 したがいまして、本人申請を私は否定するものではありません。それから、申請人との信頼関係のある一般の方の代理人による申請を否定するものでは全くありません。ただしかし、そうではなくて、この両主義、出頭主義、申請主義というものの空洞化というこの実態を是正していかないと、これを逆に悪用する、つけ込んでくる、そういう申請を排除することはできないのではないか。これは登記官のいわゆる書面を通しての形式審査権というか、審査をするということとのかかわりにおいて、じゃ、窓口で一定の時間をかけて本人申請が本当に本人であるのか、一般の代理申請というものが本当に真正な代理人であるのか、一般の代理というのは、委任状といういわゆる書面の審査しかある意味でまたできないわけですから、本人の、特に登記義務者の本人確認というのは一層ある意味では妨げられるということも言えるわけであります。ここのところを、今後の重要な一つの仕組みでありますので、是正のための御検討をすることが必要である。そういう必要であるという、また是正をするという御決意がございますかどうか。
#69
○清水(湛)政府委員 当事者出頭主義というのが、本来の目的は登記の真正確保ということでございますけれども、現実的な行政の機能といたしましては、書類の補正をする場合に当事者に登記所に来ていただくということのいわば理論的な根拠というか、そういう形として機能しているというのが現実の姿なんだろうと思うのであります。
 その当事者出頭主義の空洞化というようなこともあるわけでございますけれども、ではこれを出頭しなくても郵便でいいようにするということになりますと、ますます乱れるという心配もあります。現実には、登記所に出入りする代理人というのは司法書士が圧倒的でございますので、登記所の方でも安心して申請書の受付箱にそのまま書類を入れていただくということで、そのままにしておるというようなことがあると思います。そういう意味で、長年の運用の中で、大量に事件を処理するという中で実際問題としてそれほど問題が出ていない。補正をさせるために出頭を求める一つの根拠規定になっているわけでございます。
 しかし、中にはやはり先生御指摘のような、一般の代理人がためにする登記を申請する手段として、登記所が本人を面と向かって直接チェックをしないことを奇貨として不正な行為をするということもあるわけでございます。年間二千五百万件の登記申請事件の中でそれはごく何件かというものかもしれませんけれども、そういうものをチェックするための方策というものもまた考えなければならないと思うわけでございます。
 しかし、大量事件処理の中でどうしたらいいかというのは難しい問題でございますので、これも一つの課題としての指摘があったということで承らせておいていただきたいと思うわけでございます。
#70
○山田委員 中間省略登記についてお伺いをしたいと思うのですけれども、時間が迫っておりますので、問題点だけ先に申し上げます。
 それで、これはどうしたらいいのかということは第一義的には法務省に考えてもらわなければならないことではありますが、我々としても一緒に知恵を出すような気持ちで問題提起をさせていただきたいのですが、どうしたら排除できるかということが一つあるのです。したがって、司法書士の立場からすれば、調査確認の義務規定というものを次期法改正でぜひ法制化していただいて、法的根拠を与えていただいて、司法書士が実務の現場で、取引の実体に即した登記申請をしなければだめですという形で粘り強く中間省略登記を排除していく。
 限りなく取引実体に近い形の登記申請を、司法書士が日常の業務の中で時間がかかるけれども、それにはいわゆる法的な根拠というのが必要なわけです。調査確認というものをしっかり法律上明定してもらわないと、ある事務所では、実体はそういうことになっているけれども、法的な根拠がないことを奇貨としてというか、そこのところで、こっちは厳しく排除するために努力するけれども、こっちでは受託増を期待して余り厳しく言わない、そういうばらつきなんということを考えてみても、そういう次元の話からでも、いわゆる調査確認の義務規定というのは整備すべきである、法制化すべきである。それはそれとして、一つはそういうことしかないのかな。
 それからもう一つは、法務省のお立場というのは、如実にその物件についての取引の実体を正確に登記簿に、登記システムに反映させるということがともかくこの制度の眼目であるわけですから、これはきっと議論の余地がないところだと思
います。
 そういうふうに考えていった場合に、これはちょっと大臣にも見ていただきたいのですが、中間省略登記というもの、建設省所管の宅建事業者の方々が用いますところの売買の契約書には、通常中間省略を認めておる、あるいは不動産登記法上の要請なんというのは全く関係なしにモデル売買契約書というものが示され、そしてそれが使われておる、ここのところをどういうふうに整備するのかという問題があると思うのですね。
 例えば「不動産売買契約書」「(登記および残代金支払義務) 第二条 取引期間は平成何年何月何日までと定め、期間内に双方協議のうえ、取引場所を決定し、」次が重要です、「売主は買主または買主の指名する者に対して所有権移転登記申請に必要な手続を完了し、これと引換えに、買主は売主に対し、手付金及び中間金を差引き、その残代金を支払わなければならない。」ここで言う「買主または買主の指名する者に対して所有権移転登記申請に必要な手続を完了し、」これは、まさに売主、買主でしたら真正な取引の実体を登記簿に反映できる登記になる。買主が指定するということになると、指定する者の登記名義にするということを認めなさい、こういう契約ですから、そうするとまさに、甲から乙ではなくて、甲から乙という買主が指定する丙に所有権移転をすることについてちゃんと了解をし、あるいは書類等を全部完備しなさい、これが大体普通のモデルですね、ひな形です。
 このベースになるのが、財団法人不動産適正取引推進機構、建設省の関連の機関でありますが、この「標準売買契約書の解説」というところで、「(所有権移転登記の申請) 第九条 売主は、売買代金全額の受領と同時に、買主または買主が指定する者の名義にするために、本物件の所有権移転登記の申請手続きをしなければならない。」これはまさに法務省所管の不動産登記、公示制度の理想などというものは全く関係のないところで、「買主または買主が指定する者の名義にするため」、これはまさに中間省略登記なんですよ。この機構でもそこのところはちゃんと認めているというか、そういうことなんですね。
 三十六ページにありますように、「買主とは異なる名義に直接移転登記(中間省略登記)を行うこともある。「買主または買主の指定する者の名義にするために」とあるのは、そのような場合にも対応できるようにという趣旨である。実際の取引ではこのような中間省略登記を可能とするものが多いので、本条もこれにならった」、こういうことです。これは後でごらんになっていただきたい。
 ですから、私が申し上げたいのは、不動産登記、公示制度の基本的な要請からくる取引実体を限りなく正確に映し出すというこの要請と、こういう一つのあり方、モデル売買契約書、実際にはそれでなされている。それが僕はいい悪いということは即断できないと思います。民法の意思主義、契約書、要するに書面を要請していないという大原則も一方にあるわけでありますから、いきなり今けしからぬとかけしかるとかという話を僕はしたくない。そうじゃなくて、国の一つの政策として、あるいは国の一つの目標としてこれは極めて整合性に欠ける、法務省の見解と、あるいは建設省の実際にやっていることとの間に整合性がない。
 一度、法務省として中間省略登記に対する見解をおまとめになって、それから建設省とこの部分についても当然調整をなされた上で、中間省略登記をどういうふうに位置づけておられるのか、またどういう見解をお持ちなのか、これを排除すべきだということであるならば、そういう基本的な法務省の見解、排除のための方策、これらを一回整理していただいて、委員長、できましたら当委員会に整理をされた結果をぜひペーパーで御提出をいただきたい。
 コンピューター化ですよ、今世紀中に全国ネットワークで簿冊主義からブックレスシステムへ大きく移行させよう、そういうタイミングでありますので、これを見る限りは、これは不動産登記制度のある意味では病理現象ですから、法務省の中間省略に対する見解あるいはその是正策、建設省との調整の結果どういうふうにするのかということを一回整理しておくということは制度発展を期す上で極めて大事であると思われますので、局長の御答弁を求めます。
#71
○清水(湛)政府委員 先生も御指摘のとおり、不動産登記法の面から申しますと、中間省略の登記というものは認めていないわけでございます。申請書類から中間省略の登記であるということがわかればこれは却下をする、こういう扱いをいたしております。したがって、登記官の目から見ますと、中間省略の登記というものはあり得ないわけでございます。
 しかし、これもまた御承知のように、最高裁判所の判例は、民法の解釈として、中間省略の登記も中間者の利益を害さない限り有効である、また中間者の利益を害しない限り中間省略の登記を請求することもできる、こういう判決を重ねて出しているわけでございまして、我が国の民法の解釈としてはこのような登記も有効である、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、問題は、そういう民法の解釈、この登記の効力というのは民法百七十七条で決まっているわけでございますから民法の解釈の範囲内になるわけでございますが、そういった最高裁判所判例で積み重ねてこられている解釈との関連においてどう考えるかという大変難しい問題をはらんでいるというわけでございまして、登記制度の理想と申しますか、登記手続の面からいえば問題であると申しましても、しかし登記手続の面にはそういう現象はあらわれてこないというまた難しい面があるわけで、つまり登記手続の面からは中間省略の登記であるかどうかがわからない、こういうシステムになっておる、こういう状況でございます。
 別にこれは建設省でつくったわけではなさそうで、建設省の外郭団体で一つのモデル約款としてつくっているようでございますが、建設省ともいろいろとどういう事情なのか、事情を調査いたしまして、法務省としてどういう対応をとるべきか、これは少し考えさせていただきたいというふうに思っております。
#72
○山田委員 大臣、これは局長の御答弁のとおり、登記事務上は出てこないのですよ。それは書面審査でもってわかれば却下するわけですから、それは局長のおっしゃるとおりなんですが、実はその次元のお話じゃないわけです。これをどうするかという、根幹にかかわる話でありまして、今局長も御答弁なされましたが、建設省所管のそういう一つの委員会、機構なりあるいは宅建事業者の団体というのがあるわけでありましょうから、ぜひそこと一回調整をして、今おっしゃったことも含めて、書面審査上問題ないからこう考えています、問題ありませんというそんな皮相的な見解ではなくて、中間省略登記というものに対する、もうちょっと腰を据えた、責任のある、そういう基本的な見解をぜひひとつおまとめいただいて、お示しをぜひいただきたい。一回整理する必要があると思います。大臣ぜひ一言。
#73
○後藤田国務大臣 御意見わかりまするけれども、直ちに果たしてお答えができるかどうか、にわかにお答えしにくい面があるように思いますので、しばらくこれは勉強させていただきたい、こう思います。
#74
○山田委員 以上で終わります。
#75
○浜野委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時五十四分開議
#76
○浜野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。沢田広君。
#77
○沢田委員 おいでになっておる方の関係もありますから、農林省、来ていますか。順不同で悪いですけれども、いいですね。
 これは大臣にも聞いておいてもらうことなんですが、先般ちょっと質問しましたことで、農地法がある、政令がある、省令がある。それに事務次官通達があった。それの除外例を利用して農地転用
をしたということなんです。時間をちょっとあれすると、法律に何も関係ない、法律のその他にもない、しかも政令にもない、その政令の以下の省令、それにもない。それで、次官通達のしかも除外例。わかりやすく言うと、第三種農地に移転を勧めなさい、それがだめだった場合に、第二種農地でやむを得ない場合は認めます。法律でも何でもない。しかも、できたものが御存じのとおりトラックのターミナル。それで、平成二年にこれは改めて、だれの力があったかわかりませんが、政令の方へ入り込んできた。だから、その前の元年のときにはこれは当然除外例。除外例というか除外されていたのですね。これは明らかに脱法といいますか、該当項目がなくて許可をしたのですから。
 これは私は一応今回の場合と同じような例がほかにあるかどうかだけは調べて報告してもらいたい、これが第一の質問です、この前の。必要なら文書でまだ質問書を出しますがね。一応そう言ってレクチャーしておいたのですから、それに対する農林省のお答えをはっきりさせて、それから先へ進めたいと思います。お願いします。
#78
○菊池説明員 お答えいたします。
 農林水産大臣が市街化調整区域におきます農地転用許可基準に基づきまして乙種第二種農地の転用を許可した件数でございますけれども、昭和六十三年から平成四年までの五年間で、市街化調整区域内の農地転用許可総数五百六件ございますが、そのうち三百三十七件、六六・六%となっております。
#79
○沢田委員 あとはまた別の機会にしますが、そのぐらいに、法律にもありませんよ、それから政令にもありませんよ、それ以外の大臣から出したものはない。しかし、事務次官通達の中の除外例にある。それを利用して今言ったような数が転用されたということは、これは国会無視といいますか、法治国家としての役割を果たしているのかどうか、こういうことにおいては極めて疑問の点なしとしないんですね。これはここで終わりますが、一応念頭に置いておいていただきたい、こういうことを申し上げておきます。
 次に、建設省の方をしますが、河川の登記の実績はどのぐらいになっているか。一級河川だけでも結構ですが、河川というのは極めて動きやすいし変わりやすいし、そういう条件の中でどの程度登記が、だから昔は、砂利とりなんというのは、川が移動してしまったから民地が中に入ってしまった、そこで砂利の採取をたくさんしていろいろな犯罪の温床ともなったわけですが、そういう意味において、河川の登記がどの程度進行しているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#80
○木下(博)政府委員 お答えさせていただきます。
 多少前置きになりますが、御案内のとおり、明治初期におきましての地租改正のときに、我が方で担当しております河川を初め道路につきましては、いわば公共用財産として地番を付しておりませんので、御案内のとおり登記されていないところが大変多いということは我々も十分承知しております。したがいまして、最近では新しい河川工事等を行いますときはできるだけ登記を行ってやっていきたいと思っておりまして、それによってのそれなりの実績が上がっておりますし、また、あわせて河川台帳というのをいわば登記の前段階の作業といたしまして現在整備させていただいて、これをベースにいたしまして、極力今登記を進めております。
 ただ、残念ながら、河川台帳の整備率は一級河川で七割を超えるぐらいになってきておりますが、登記そのものについては、我が方では今数字が把握できておりませんので、また機会をとらえまして整備させていただきたいと思っておりますが、台帳の整備率ということでお答えさせていただきます。
#81
○沢田委員 では、失礼なことを言って悪いけれども、今のあなたに答えられるかどうかわかりませんが、相続中の場合、それから借金をして抵当権が設定されている場合、果たしてあなた、登記は可能ですか。どうですか。
#82
○木下(博)政府委員 お答えいたします。
 個々のケースによって若干違うのじゃないかと思いますが、少なくとも私の知り得る知識ではなかなか難しいのではないかと思っております。
#83
○沢田委員 それで、今度は法務省の方へ伺いますが、私も土地改良をやりましたが、用地買収したのが甲から乙に移る、乙から丙に移る、そのときには丸ごと買収地も含めて移動していっちゃうのですね。そうすると、乙はもう知らぬと言う。まあ知っていて知らぬと言っているのかもわからない。丙も知らぬと言う。そうすると、丙になると、十年ぐらいたちますと占有権が発生するからおれのものだと言う。どうですか、そういう議論に対してあなたの見解は。
#84
○清水(湛)政府委員 御質問の趣旨は、恐らく、土地の所有権が移っていったにもかかわらず、そういうことが登記されないままもとの所有者がそこで占有をしておる、こういうような場合が一つの場合として考えられるわけでございます。実際は売っているのにそこに依然として住みついてしまって、住みついている者は自分に占有権がある、こういうようなことを主張し得るかということでございますけれども、売るときの条件として、そこに自分が住むとかなんとかということを前提にして売っているわけじゃございませんで、完全に所有権を移すという趣旨のものであれば、これは一種の不法占有ということに当事者間においてはなるということになろうかと思います。
#85
○沢田委員 結論を言っちゃいますと、この前、三年か四年ぐらい前、分科会で私はこの問題をしたのですよ。そうしたら、だめです、こういうことの結論になった。それはまずい、公共の福祉に反せざる限り個人の財産は尊重されるのであって、やはり道路になるとかあるいは河川になるとかいうことで買収されたものは登記簿に何らか記載をする必要があるのじゃないか、してもらえないか。これは何年何月どこそこの市町村に売りました、あるいはどこそこの土地改良区に売りました、こういうものを記載して、承知の上で売買をさせるということをすれば、そのことを知らなかったとは言わせられないから、後で争う場合にも十分証拠になり得る。しかし、どこでいつ売ったかわからないで移動しているものは、後で気がついたらほかの者の手に渡っていた、これではどうにもならない。だから、それを証明するものを登記簿に何らか記載する方法はないかということを詰めたわけです。ところが、そのときの答弁はないのです。これも、きょうも検討ぐらいなものでしょうけれども、検討でもいいですよ、一歩前進ですから。
 河川の方でも、金を払っちゃってあるのですね。下手やると二重払いしているところもたくさんあるのですよ。昭和二十何年、三十年なんというときに買収したものをやる場合には、もう一回買い直してやっているという例もたくさんあるわけです。ですから、これも税金ですから、そういう意味においては何らかそこに、公共用にでもいいですが、どこそこにいつ、やはり事実がいいでしょうから、いつ市役所が買ったとかあるいは県が買ったとか、そういう事実を処理しておいて、何坪買ったとか何平米買ったとか、それをちゃんと記載させるという方法が登記法の改正に必要なのじゃないか。今直せとは言いません。しかし、そういうことをしておかないと、そうやって時代とともにどこへ行っちゃうかわからなくなってしまう。
 それで、もうそれが、例えば第三の人なんかが持ったら絶対に動かなくなってしまう、買い戻す以外に。もう拡張もできなくなってしまう。こういうことですから、この点は今返事を求めるのも、昔よりも幾らか話がわかるようになったかもしれぬけれども、検討して、これに何らか活路を見出すようにしなければならぬと思いますから、返事は聞かなくてもわかっているのですが、一応検討してほしいと思うのですが、いかがですか。
#86
○清水(湛)政府委員 いろいろな形態があると思いますけれども、例えば甲が現在所有者で登記名
義人である、それが河川敷あるいは公道の用に供するということで市なら市に売った。市の方に移転登記がされていればそこで問題ないのですけれども、それが何らかの理由でされないうちにもとの地主がほかの第三者に売ってしまう、こういうことになりますと、いわゆる民法で言う二重譲渡の関係が出てくる、こういうことになります。そうすると、これは民法原則で、先に登記をした方が、つまり先に対抗要件としての登記を備えた方に権利が帰属することになってしまう、こういうことになるわけでございます。
 私どもの貧しい経験と申しますか、えてして戦前は市なり国が私人から土地を買いながらその登記をしないでほうっておく、それが長い間にその売り主が死んでしまって、相続人などの代になって、それを知らないまま今度は善意の第三者に売ってしまう、登記名義は第三者に移ってしまうというようなことがよく行われたというように聞いておりますけれども、最近は市なり国もそういう権利についての感覚が非常に厳しくなりましたので、最近の事例ではかなりきちっとした登記をする、むしろ登記が励行されていて、そういう第三者に二重に譲渡されるというようなケースは少ないというようなことも聞いているわけでございますけれども、実証的にそういうデータを持っているわけではございません。
#87
○沢田委員 私は実証的に持っているんですよ。分筆ができるかどうかということが一つ決め手になるのです。ところが、分筆をするのに判こをもらわなければ分筆できませんからね。例えばお父さんの相続関係がもめて、お父さんが亡くなったりなんかしたらもう途端に、あるいは銀行の抵当権に入っていれば、今度は銀行の判こをもらわなければ分筆できない、こういうことになるから、全部が移動するわけですから、だからそういう意味において、今あなたのおっしゃったような可能性が多いなんて認識していたら間違いなんで、それでみんな悩んでいるのですよ。河川とかそういうものは一括登記できるわけですからね。みんな司法書士へ頼んで一括登記できるのですよ。ところが、そういうものだけが残ってしまう、残ったものがなかなか解決が困難になる。これはどこも恐らくそういう状況だと、河川の方も同じだと思うのですね。首を縦に振っているのは、知っていて縦に振っているのか、なるほどなと思って振っているのか、それはわかりませんけれども、もうこれも余り詰めません。
 しかし、そういうので地方団体やその他は非常に苦労している。それをただしゃくし定規に、登記法が改正できないために公共財産が、あるいは税金がむだになっていくということはゆゆしい問題ですから、この点は何らか活路を見出すようにひとつ考えてみてください。もし実際に見たいというなら見せてあげますから、そういう場所を。川を広げてしまいますから、川にはなってしまっている。しかし、川の中に他人の財産が依然として河川の方と同じように残っていく、こういうことになっていくわけですね。しかし、登記しようと思ってもできないということになるわけで、その点は、あなたの在任中にできるかどうかは別問題として、異動時期に近づいているからわからないけれども、ひとつ検討してください。それでちゃんと引き継いでください、もう一回私がやらないでも済むように。その点いかがですか。
#88
○清水(湛)政府委員 登記というのは、売買の当事者が元気であるというような場合には余り問題なくすっといきます。ところが、その後死んで相続人になるとなかなかこの登記を移すのが面倒くさくなる。さらに、その前提として土地の一部を買って分筆をしてその所有権移転登記をしなければならない、その前提として例えば面積の地積更正をしなければならない。そうなってくると隣地の所有者の承諾書も必要である。こういうような形で複雑に関係者がふえてまいりますとなかなか判こがもらえないということで、登記事務がおくれるということがございます。
 しかし、ではそれを関係者の意思を無視して手続をどんどん進めればいいかというと必ずしもそうではないわけで、関係者にとっては正当な権利主張というのは当然あり得るわけでございますので、その辺をどういうふうにうまく調整していくか。言うならば具体的に売買をする際あるいは買収をする際に権利関係を十分に調査して、その辺についての事前調整がスムーズにいくように配慮した上でいろいろな手続をするということがやはりどうしても必要なのではないか、こういうふうに思います。
#89
○沢田委員 私は言質をとろうなどとは思っていないのです、検討しなさいということを言っているのですよ。そういう逃げ口上みたいなことをやって前向きにはならぬですから、みんなそれは、それで地方が困っていることは現実なんですから、やはりそれをどうやって解決するかを考えるのがあなた方の給料をもらっているゆえんなんだから、そんな答弁じゃなくて、やはりそれは真剣に取り組んで解決するように努力しなさいよ。大臣には聞きませんけれども、そんな逃げ口上でこういう問題片づくわけじゃないから。
 もう一つは、国土調査法の中に、代位登記ができますね。ただし、この場合は、「地方公共団体又は土地改良区等は、」というのは、これはほかの団体も含めてなんですが、「土地の合併があったものとして調査を行う場合」だけになっているのですね。これは国土庁が答える問題だと思うのですが、この解釈を今言った分筆の買収の面積みたいなときにも適用するようにできれば、可能になるのですね。これは代位登記ができるわけです。抵当権があろうとなかろうとできるんだと思うのですね、この意味は。国土庁、その点はどうですか。
#90
○段本説明員 お答えいたします。
 ただいまの件につきましては、分筆の場合は可能でございますが、合筆の場合はできないというふうなことになってくるかと思います。
#91
○沢田委員 逆じゃないですか。ようく見てくださいよ。第三十二条の二は、「前条の」というのは「分割又は合併があったものとして行う地籍調査」、これが前条ですね、三十二条。その「前条の規定により土地の合併があったものとして」、こうなっておるんですね。「前条の規定により」というのは、「分割又は合併」なんですね。それによって「合併があったものとして」というのは、そういうみなし方なんですね。分割も入るんだと思うのですが、「あったものとして調査を行う場合において必要があるときは、」云々、そういうふうに登記できると書いてあるのですから、この解釈はできるという意味じゃないですか。
#92
○段本説明員 私どもで解釈しているやり方は、分筆の場合は、抵当権があれば、それを分筆してもどちらにも抵当権がつくという格好でわかりますが、合筆の場合はどういう形になっているのかわからないということで、合筆の場合はできないというふうに解釈して運用いたしております。
#93
○沢田委員 そうすると、分筆していれば代位登記は可能になる、こういうふうに解釈して、ここで解釈確認したからといって、あなたの答弁で実効力があるかどうか極めて疑問なんだけれども、一応それは大丈夫だ、こういうふうに理解していいですか。
#94
○段本説明員 可能であると考えております。
#95
○沢田委員 ひとつ局長、そういう道も開かれておるということで、今までのように公共が優先するという方へ前向きに――だから、分筆するのにも債権者の判こをもらわなければ分筆できないんですよ。例えば、銀行の抵当権に入っている場合は、銀行の用紙に判こをもらわなければ分筆もできない。しかし、その分筆ができた場合は代位登記が可能である、こういう道が開けたという答弁なんです。それはそういう手があったかなと、あなたどうです、納得しますか。
#96
○清水(湛)政府委員 先ほどの規定は国土調査の場合の規定でございますけれども、一般の売買の場合でも、買主が売主の土地の一部を買ったという場合に、売主の方が分筆に応じないという場合には、所有権移転請求権を被代位の債権として、買主が売主に代位して分筆の登記を申請するということは可能なんです。そういう意味では先ほど
の答弁の趣旨と同じなんでございますけれども、先ほどの場合には、本来買主とか、そういう立場には立たない土地区画整理組合とか、そういう事業を行う者についてそういう特別の代位権を認めたというところに意味があるのではないか、一般論としてもそういう代位登記は十分に可能ではないかというふうに思うわけでございます。
#97
○沢田委員 これはまた一応検討してもらうことにして、登記法の解釈の方へ行きます。
 地図というのは、本来これは立体的になりあるいは平面的になりあるいは断面的になる、そうでないと地図としての効果というのは出ないんじゃないかと基本的に私は考えるのですね。それが、がけ崩れのあるようながけのあるところが、平面にかけば平らになっちゃう、崩れていけば広くなっちゃうかもしれない、あるいは崩れてしまえばなくなっちゃうかもしれない。そういうことなんですが、地図というものについては、少なくともその三つを備えたものが地図ということになるのではないか、それがいわゆる公図になっていかなければ本物でないんじゃないか、こういう気がするのですが、その点は国土庁と両方でひとつお答えをいただきたいと思います。簡単にお願いします。
#98
○清水(湛)政府委員 地図というものにはいろいろな概念があると思います。現在不動産登記法で考えている地図というのは、要するに権利の客体である土地の範囲を特定する、こういうのを機能の要件としているわけでございまして、そういう意味では、境界を明確にするということと地積を明確にするようなもの、これが地図である。しかも、その境界の位置は国家基準点、国家三角点と結びついた形での境界でなければならない。こういうのが本来の地図だと考えているわけでございます。
 それからもう一つ、先生御指摘のように、地図の境界、面積にプラスして、当該土地の特質と申しますか、そういう土地が物理的にどういう特質を持っておるか、こういう問題が一つあろうかと思います。その面で、現在不動産登記法で予定しておりますのは、田であるとか畑であるとか宅地であるとか、そういうような用途による区分はいたしております。しかし、それががけ地であるとかあるいはでこぼこの台地であるとか、そういった特性までは登記簿にあらわすことは予定していない、こういう意味でございまして、どこまで地図に表示するのが適当かというのは、やはりそれぞれの行政の目的に応じて判断すべき事柄ではないのかというふうに思います。
#99
○段本説明員 お答えいたします。
 国土調査におきましても、今法務省の方からお答えになったと同じ考えでございまして、我々は、その土地につきまして所有者、地目、地番、境界、地積等をあらわして、一応そこまでの範囲で国家基準点に基づく位置をきちんとあらわすという格好で整理いたしております。
#100
○沢田委員 だけれども、理想としては、川の中にあるか、海岸べりにあるか、そういうものを把握することが望ましいと思うでしょう。どうですか。そういうものは要らないという解釈ですか。
#101
○清水(湛)政府委員 登記制度の理想が、その土地についての権利関係と並んで土地の物理的状況を公示するという観点からいきますと、できるだけ広くそういうようないろいろな状況、要素を地図なり登記簿に示すことができるのがあるいは望ましいのかもしれませんけれども、現実の問題としては、現在しておりますような土地の区画、境界、それから登記簿における用途である地目、実際問題としてはその辺で精いっぱいではないか。理想を語るということであれば、それはいろいろな理想を語ることができると思いますけれども、私ども現在の行政需要としてはその辺が限界ではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
#102
○沢田委員 司法書士の人なんか現地にいるわけですから、あなた方の足らないところを税理士さんは税金の方でそういう補てんをしているんだし、司法書士さんは司法書士さんでそういうところ、やはり測量士さんもいるんですし、そういう補てんができる社会構造になっているわけですね。いつまでも平面で見ているだけではないんです。だから、なるべく実態に即した登記ができるようにしていくことが、例えば湖沼であった、沼であった、そうしたら沼でかいてもらうようにしていくべきだと思うのですね。あるいはがけであったらがけであったとかいてもらうようにしていくべきだと思うのですよ。もっと前向きに世の中の近代化に備えてそれに対応していく。幾ら法務省が古い省だってそこまで古くなる必要はない。近代化に備えて対応していけるシステムをつくればつくれるのですから、前向きに検討しますということが必要だと思うのですね。局長、答弁はいいよ。そういうことがこれからの時代は必要なんですよ。
 だから、今までも高度成長時代の中にいろいろなものが、田んぼがいろいろ変わったりなんかしたわけですから、その点は地図の整備についてもこの前の附帯決議についておりますけれども、保存、管理、変更、訂正、墨入れ、それから抹消とか削除というようなことまでそれぞれ可能にしていこうということまで言っているわけですから、そういう意味で、その形状まであらわせるようにしていくことが望ましいことだ、将来そういう方向に向けて努力していきたいというのが答弁じゃないですか。あなたの方じゃなくて、国土庁はせめてそのくらいの希望を持っているでしょう、予算が大したことなさそうだからそれ以上言えないのでしょうが。
 これは大臣の方にちょっと言っておきますが、この程度のものは予算をつけて、日本国民の財産なんですから、きちっと全部把握ができるように、昔だってやったわけですからね。それが今になってこんなことでそれ以上進まないなんというのは、旧態依然としているのは全く情けないですよ。ですから、もっと把握ができるようにして、争いをなるべく少なくするようにして、今は、境界だ、いや、そうじゃなかったという争いばかりなんですから、それを未然に防いでいくということが役人を置いている意味なんですからね。ですから、それを効果あらしめなければならない。
 予算が足らなかったら、後藤田さんに頼んで大蔵省から一兆円くらい予算をもらってやれば、大臣、ちょっと耳をかしてください、全国で四〇%くらいできているといったって、田舎ばかりやっている。こういう都市関係は、一筆調査、きちんとした地籍調査はちっともやっていない。やりにくいところはおっ放してしまって、やりいいところだけ勝手にやっている。これじゃ話にならない。答弁は要らないですが、もうちょっと今日の紛争を未然に防止するように、予算だって一千億程度じゃ――一千億もいかないのか、三百億くらいだったか。せいぜい三千億くらい食わしてぴしっとしたものをどんどん進めていく、司法書士の皆さんを使ってどんどん進めていくということをぜひこれは進めてもらいたいと思うのですね。それはいわゆる社会秩序を守るためですから、これは法務大臣の最大の仕事ですから、ぜひお願いします。
 それで、三角点と言いましたが、三角点というのは果たして正しいのかどうか、その点国土庁の方からお答えいただきたい。
#103
○城処説明員 建設省の国土地理院におきましては、すべての測量の基礎でございますし、その基準となる点ということで全国に三万九千点の一等、二等、三等三角点を配置しているわけでございます。今お話しの地籍調査を実施されているわけでございますが、これに必要な四等三角点につきましては、今申し上げました三万九千点の一等から三等までの三角点に基づいて整備が進められているという状況でございます。
#104
○沢田委員 我々も境界の争いとかそういうものの相談をいろいろ受けることもあるのでありますが、まことにこれが当てにならない。そこからはかってみると百メートルくらい違ってしまうのですね。ですから、実際にこれは当たってみてもらいたいのですね。例えば私の土地が三角点から一キロ、
千メートルのところにありますと地図上でなる。ところが、実際には三百メートルくらい先へ行かないとぶつからない。だから、この三角点の確認もきちんとやってもらわなかったら争いは消えないのですよ。これがきちんとして、何度何分あるいは経度何度というふうにわかれば、それはぴしゃっといつも決まるのです。これが極めてあいまいなんです。境界の争いというのははかりようがないのですよ。要するに、公図は形を示しますが、その位置がどこにあるかということを証明するものは何もない。その点はどうですか。局長の方はその意見についてはどう思っていますか。
#105
○清水(湛)政府委員 先ほど建設省の方からお答えになりましたように、国家基準点自体は、最終的には経度、緯度、さらには天文測量にまでリンクした正確な地球上の位置を示すものだろうと思います。そういうものを基点にして、いわばスモール緯度、スモール経度というような形でそれぞれの土地の位置が示される、こういうのが正確な十七条の地図だと私どもは思っているわけでございます。
 ただしかし、いわゆる公図というのは土地の形状は示しておりますけれども、国家基準点とは結びついていない。むしろ明治以来の公図の沿革を見ますと、具体的に埋設された土地の境界とか地表上の地物みたいなもの、橋とか川とかそういうようなものとの関係において、土地の位置、形状をあらわすというようなことが行われていたと思われるわけでございます。したがいまして、現状が大きく変わりますと、その図面に基づいて土地の位置関係を復元することができないということになってくるわけでございます。
 そういうようなことから、現場の地物、地表にあるいろいろな恒久的な地物が大きく変わっていくというような過程の中で見ますと、公図だけでは土地の位置が特定できないで、大きくずれ込むようなことも現実の問題としてはあり得ると思うわけでございます。
#106
○沢田委員 国土調査法の施行令では、基準点網図として名称、縮尺、図郭線及びその数値、与点及び与辺、新点及びこれを決定するための方向線、主要な地物、これだけを挙げてありますね。首都圏あたりは一番土地の問題の多いところですが、首都圏に及ぶのはいつごろですか、ぴしゃっとした国土庁の調べる地籍図ができるのは、見込みは。
#107
○段本説明員 お答えいたします。
 基準点の設置につきましては、その地籍を実施する直前に、地理院の既に打っておられる大きな基準点、三等基準点までを参考にしながら、私どもは四等基準点をさらに密に打たないとそれらの地区の調査ができないということで設けるものでございまして、それらにつきましては、地籍をやる直前に実施する……
#108
○沢田委員 だから、いつやるかということを聞いているのです。
#109
○段本説明員 それらについてはもとの地籍調査をいつやるかということになってきますけれども、これらにつきましては、先ほど先生の方からお話がありましたように、都市部が大変おくれておりまして、首都圏を初め都市部を積極的に進めたいというふうなことでまいっておりますけれども、これらの点については、今後直接実施いたします市町村を啓蒙しながら、できるだけ早期に実施できるように努力してまいりたいと考えております。
#110
○沢田委員 啓蒙じゃなくて、金がないということでしょう。だから、金を持ってきちんとやるように努力する、そういうふうに解釈していいですね。
#111
○段本説明員 地籍調査の実施に関しましては、一つは、先生おっしゃるように、お金の面で大変不足しておりまして、先ほど先生の方から三百億という話がありましたが、実はそんなにございませんで、平成五年度で年間八十五・三億円、わずかな予算しかついておりませんが、これでも近年土地の情報整備とか都市の地籍が大事だという理解を得まして、平成四年度及び平成五年度につきましては公共事業を上回る予算をやっとつけてもらっているというふうな状況にございます。
 このほか、地籍調査につきましては、先ほど来先生がおっしゃっているように、一筆地の難しさ、境界の確認の難しさがございます。これは市町村の職員がその地権者と一緒に立ち会って境界を逐一確認していく、いわゆるマンパワーに負う面が多うございまして、この部分もやはり都市部の地籍を行う場合になかなか進まない一因になっていると考えておりまして、人とお金と両方をうまく整えながら計画的に実施していきたいというふうに考えております。
#112
○沢田委員 これは私に対する答弁じゃなくて、大臣に対する答弁というふうに聞いて、ひとつ御協力をいただきたいと思います。
 それから、代理権の問題で若干質問させていただきます。
 本人が委任状を出して司法書士の方に登記を委託する、司法書士の方はそれを持って登記所に行って登記をする。時間がなくなりましたから簡潔にしますが、そこでもし間違った場合、まず第一は、本人が地番を間違えたり何かした場合は、本人の責任は明らかであります。それから、例えば司法書士さんが間違った場合に、弁護士は時効期限は三年ということになっていますが、司法書士さんは何年の時効ということになっているのですか。まず、それから伺いたい。
#113
○清水(湛)政府委員 時効とおっしゃる意味は、司法書士に対する損害賠償請求権という意味でございますか。――これは民法上の一般債権と同じように、損害賠償請求権は、債務不履行ということでございますと十年、不法行為ということになりますと三年の消滅時効になろうかと思います。
#114
○沢田委員 今不法行為という言葉を使われましたが、不法行為と錯誤とは同じですか、違うのですか。
#115
○清水(湛)政府委員 司法書士の場合には不法行為というのは普通ないのだろうと思いますけれども、故意過失に基づいて他人の権利を侵害するという要件を満たす場合に不法行為になるわけでございます。本来、委任状による委任契約があるわけでありますから、受任者は善良な管理者の注意義務をもって受任義務を履行する義務があるわけでございますが、それを怠ったということになりますと、一般の債権の契約による損害賠償責任が生ずる。そういう意味で損害賠償請求権の消滅時効は十年、こういうことになろうか、こういう意味でございます。
#116
○沢田委員 それから次に、登記官の方で間違って登記した場合、時効は何年ですか。一
#117
○清水(湛)政府委員 間違った登記は当然是正されなければなりませんけれども、この是正を請求する権利についての消滅時効ということはないと思います。
 ただ問題は、それによって損害を受けたということになりますと、国家賠償法による損害賠償請求権の行使ができるということになるわけでございまして、これはたしか会計法の規定の適用がないと理解されておりますので、十年の消滅時効ということではないかというふうに思います。
#118
○沢田委員 私の方で調べた限りにおいては、やはり錯誤の場合三年、故意があった場合には十年、これは普通の場合ですね。
 それで、司法書士さんが、委任状を受けて二人保証人を立てる、その保証人を引き受けることは可能と解釈していいわけですか。
#119
○清水(湛)政府委員 今回の改正案に則して言うならば、司法書士が保証書の保証人になることはできるというふうに考えられます。現に多くの司法書士あるいはその関係者がこの保証人になっているという実例がございます。
#120
○沢田委員 時間が極めて短いですから、続けてやりますが、権利証の紛失というよりも、うちの中でわからなくなったという場合は、保証書をもって売買とかその権利の移動について代行することができる。そのかわり、保証書をもらうに当たって、だれでもというよりも、登記を使っている人ならよろしい、法律の改正はこうなった。
 そこで、今言った賠償責任の問題とあわせて、
結果的に最後の登記がされたものが司法書士さんに戻って、その司法書士さんに戻ったものが本人に来るという仕組みというものは確認できますか。例えば、本人はちょっと前に司法書士さんに頼んだ、司法書士さんが登記所に行ってやった、そしてその結果、登記したという報告は聞いたが、その写しはきちんと本人のところへ来ることになっているのですか。
#121
○清水(湛)政府委員 それぞれ登記済証というものが登記所の方で作成されまして、それが代理人である司法書士を通じて本人の方に手渡される、こういうことになっているわけでございます。
 また、間違いなく登記簿に記載されたということを確認するために、念のために登記簿の謄抄本を取り寄せてそれを確認するということも可能でございます。
#122
○沢田委員 そうすると、保証人になった司法書士の人は、今までの業務が間違った場合はさっき言ったような手続が必要になってくる。もしそうでなかった場合は、それによって完結をして登記済証をもらった、それぞれの司法書士の人の時効期限とか登記官の時効期限とかはそのときから発足するのか、間違いが見つかったときから発足するのか、どちらですか。
#123
○清水(湛)政府委員 損害賠償請求をする方は、先ほどちょっと登記官の国家賠償について十年と申しましたが、これは原則三年でございますので、訂正させていただきます。
 そういう司法書士に対する損害賠償請求、あるいは登記官の故意過失による行為ということでの国家賠償請求の消滅時効期間が一体いつから進行するのかということでございますけれども、登記官の場合には登記を完了したときからということになろうかと思います。それから、司法書士の場合には、登記済証が司法書士に返されたときというふうに見るのか、あるいはそれでは時間的におくれるということも考えられますので、同じく登記を完了したときというふうに原則はなるのだろうと思います。ただしかし、損害を受けた方ではそういう事実を知らないということもありますので、具体的にはそういう事実を知ったときから損害賠償請求権を行使することができる、そのときから三年、こういうことに現実の問題としてはなろうかというふうに思うわけでございます。
#124
○沢田委員 時間が来ましたが、最後に、地図と称するものが世の中で確実なものとして動いていくためにはいかにいろいろな条件が整備されなければならないかということを幾らか御理解いただけたものだろうと思うのです。また後の人から説明されると思いますが、余りこういう法律は法務大臣としての仕事上関係ないかもしれませんが、関係あるのですから、ぜひひとつ御認識を改めていただいて、さらに国民経済の安定のためにひとつ適切な努力をしていただきたい。
 言いいですか、頑張りますということでも結構ですからお答えいただいて……。
#125
○後藤田国務大臣 国民の権利保全というのは我々の重要な役割の一つでございますので、御説のような趣旨に沿いまして今後努力をしたい、こう思います。
#126
○沢田委員 終わります。
#127
○浜野委員長 小森龍邦君。
#128
○小森委員 まず、建物の合体の件について、これまでの経過といいますか、そういうものについて若干お尋ねをいたします。
 我が国のこれまでの不動産登記法の欠陥の中の一つとして、いわゆる建物を合体することによって一方の建物についておる権利というものをうまく飛ばしていくというようなことが行われておったことをこの際是正するというわけでありますが、従来そういう事件が裁判ざたとなった際、本来ならこれは裁判で救済されるべきものだと思いますが、今までは裁判で救済されたと見てよいのか、その点簡単にお答えいただきたいと思います。
#129
○清水(湛)政府委員 合体あるいは当時合棟とも言っていたわけでございますけれども、そういう場合の登記手続を明らかにいたしましたのが昭和三十九年の法務省民事局長通達でございます。理論的な結論として、当時その通達の合理性というものは是認されていたわけでございまして、多くの場合その通達にのっとって処理がされており、別に不都合も生じなかったということでございました。
 しかしながら、そういう処理がされるということがだんだん知られるに従って、そういう登記の手続を悪用して、御指摘のような既に登記をされておる抵当権の登記を一たん消してしまうというような手段としてこの合体手続あるいは合棟手続が悪用されるようになってきたわけでございます。これは昭和五十年代以降、その前にもございましたけれども、目につくようになってきたというのが実情でございます。
 その際、裁判所で幾つか争われたわけでございますが、裁判所の一つの流れといたしましては、そういう登記事務の取り扱いの方法そのものは違法ではない。違法ではないけれども、具体的にその時点において果たして建物が合体したと言えるかどうかという事実認定の問題として問題を解決する。つまり、登記官の認定では、建物が合体し、あるいは合棟したと言っているけれども、まだまだ合棟・合体している状況ではない、したがって、まだ抵当権は消えない、こういうような形で救済をするというような考え方。あるいは附属建物として他方の建物に吸収をされた、つまり、抵当権の対象となっていない方の建物は抵当権の対象となっている建物の方に吸収されたという事実認定をして抵当権が飛ばされるのを救済したというようなこと、あるいは登記手続の悪用で重大な瑕疵があるというようなことからこの取り扱いを否定したというような例がございます。
 いずれにいたしましても、登記実務の取り扱いそのものを違法としたものはございませんけれども、具体的な事実認定として、建物の同一性が失われてはいないというような見地から抵当権者を救済しているケースが目立つということが言えるのではないかというように思います。
#130
○小森委員 続いて、そのことについてお尋ねをいたしますが、私がもらっております、法務省から配っていただきました参考資料の中に判例として、一・八メートル幅の土壁を取り、〇・九五メートルの木の階段をつけて、つまり一つの建物から一つの建物に行き来のできるようにした場合、これは合体とは見られないという判例が資料の中にございます。これは先ほど局長の答弁を聞いておりまして、その程度のことをしていわゆる飛ばしをやられては困るというような気持ちがあって、実際は通行できるのですから一つの建物だと私は常識的に思いますけれども、そこを厳格にしたと見るべきなのか、そうではないかというようなことを思いながら聞いたのでありますが、その点はどうでしょうか。
 それからついでに、今提案をなさっております不動産登記法の合体の条文に基づくと、この程度のこと、つまり一・八メートルの土の壁を取って、そこに障子をつけて行き交いできるようにするぐらいの場合に、今度の新しい法律では建物の合体ができたと見るかどうか、この点についてはどうでしょうか。
#131
○清水(湛)政府委員 この最高裁の判決は、要旨としてはそういうような簡潔な要旨になっておりますが、具体的な建物の大きさとかその他いろいろな事情があって、そういう全体の事実認定の中でこのような結論がされたものと考えられるわけであります。したがいまして、事実認定に属する問題でございますので、これだけの事実からこの事実認定が正しいとか悪いとかということは、私どもとしてはちょっと申し上げかねる点があるようにも思います。
 ただ、合体したかあるいは合棟したかというのが従前の取り扱いにおいては最大の争点であるということでございまして、これをめぐってまさに裁判で長い間争われておるというような実態がございました。しかしながら、今後におきましてはそれほど重要な争点にはならなくなるのではないかということが一つ考えられます。
 そういう前提で考えますと、法律が変わったか
ら事実認定が変わるというのもおかしな話ですから、そういうふうに私ども申し上げたくはないのでございますけれども、基本的な事実認定のあり方としては変わることはないといたしましても、当事者の最大の争点ではなくなるという意味において、あるいは違った事実認定もされる可能性もあるのではないか、こういうふうに今考えておる次第でございます。
#132
○小森委員 局長の答弁で、やはり権利を守ろうという観点からこういう改正案が出されたわけでありますから、そういう趣旨に基づいて見るべきであろう、こういうふうに私なりに理解をいたしました。
 そこで、次の質問でありますが、いわゆる十七条の地図と、十七条以外の地図で地図に準ずる図面、この問題であります。今度手数料を取るためにこういう法の一つの統一的な理解のようなことになったんだと思いますが、これははっきり言って、今までのまことに不正確な図面、江戸時代から続いておる図面を言い方を変えただけということになるのではないでしょうか。その点いかがですか。
#133
○清水(湛)政府委員 地図の実体は、もちろんこれから整備保存、維持管理等に相当の金をつぎ込んでしていくということはあるわけでございますけれども、実体は御指摘のように変わるということはないわけでございます。
 もちろん法十七条の地図というのは、繰り返し御答弁申し上げておりますように、国家基準点、三角点を基礎として土地の境界が測量されているものであるということでございまして、これが現在のところ全国の登記所で約四三%にしかすぎない、こういうことになっているわけでございます。
 他方、登記所には今回御審議をお願い申し上げております「地図ニ準ズル図面」という公図その他の図面があるわけでございますが、この法十七条の地図がない地域におきましては、この「地図ニ準ズル図面」が土地を特定するための唯一の公的な資料でございまして、不動産の表示に関する登記あるいは今後地図をつくるという場合の基礎的な資料として非常に重要な機能を果たしているという実態がございます。
 しかも、これらの地図につきましては、極論をいたしますと、本来の十七条の地図の維持管理以上に金がかかるというのが実態でございます。和紙でつくられておる、その規格も不統一である、そういうような問題がございまして、従来も相当の金をかけてきたわけでございますが、今後とも相当巨額の金をこれに投じなければならない。かてて加えて登記特別会計制度というものが発足いたしまして、そのようないわゆる公図等今回「地図ニ準ズル図面」といたしたものにつきましても、その維持管理費用は手数料の収入からこれを賄っておるというような問題にもなってくるわけでございまして、手数料の負担の公平を図るという見地からもやはり問題であるということで、今回こういうような改正をお願いしているわけでございますけれども、名称は変わっても中身は変わらないのではないかと言われますと、そういうことはそのとおりだと申し上げざるを得ないわけでございますが、今後ともそういう基本的なこの性格を変えるわけにはまいりませんけれども、維持管理等に力を尽くして、少しでもいい状況に持っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#134
○小森委員 ちょっとしたインチキだと私は思いますが、局長の今言われた言葉の中で一つだけ、行政側の側面から見ればそうかなと私は思ったのは、十七条地図以外の地図ですね。二百九十四万枚あると統計に出ておりますが、これのつまり管理というか、それには十七条地図よりも余計に金がかかるんだというのはちょっとした説得力ですけれども、しかしそれは行政側のことなんであって、実際はこれを使う方はまことに不正確な、その図面をもって、現地のあの田地がどうだ、しかしちょっと格好が違うなとか、あるいはこっちより小さいのにこっちが大きいなとか、本当にこれは困った地図なんですね。つまり、国民の側からすると余り頼りにならないものでありますからね。
 私が思うのは、その手数料ですな。完備されておるものと完備しておらないもの、これは差をつけられるつもりなんですか。その点ちょっと聞かせてください。
#135
○清水(湛)政府委員 手数料は、そういう地図を維持管理するのに必要な実費を勘案して決めるということになっているわけでございます。中身に精粗の差がありますけれども、維持管理をする手数、これは人件費も含めてでございますけれども、そういうものの実態は、法十七条の地図として指定されたものも、今回の「地図ニ準ズル図面」とされるものも変わりはない、こういうふうに言わざるを得ないわけでございまして、そういう意味では、手数料額に違いを設けるのはむしろ不適当である、こういうふうに考えておるところでございます。
#136
○小森委員 それはしかし、利用する方からいえばまた逆に、まことに変なことなのでありまして、もしそういうことで突っ張られるならば、それは先ほど来ずっと言っておるし、またきょうのこれから採決前の附帯決議でもそういう問題が盛り込まれると思いますが、いかにして速やかにこれを整備するかということが重要な課題になりますので、そこはひとつ行政担当者として十分に頭に入れておいていただきたいということを申し添えたいと思います。
 それから次は登記、あるいはその登記のことについてこのたびコンピューター化が進んでおりますが、それをいわゆる民事法務協会なるものに下請させておるというか委託をさせておるということがございますが、私は尋ねたい焦点は、何でも民事法務協会には千七百四十名の職員がおられるそうですが、これだけの大勢の人を抱えておる民事法務協会なる一つの組織、これは何か法律的な裏づけのある団体ですか。その点ちょっとお答えいただきたいと思います。
#137
○清水(湛)政府委員 法的な裏づけというふうに申しますか、このために特に用意された法律というのはございません。この民事法務協会は、民法の規定による財団法人として設立された公益法人でございます。
#138
○小森委員 そこがまた私は法律的な整合性というか、ちょっと納得がいかないのですね。やはり登記事務というのは国の重要な仕事ですから、それが財団法人民事法務協会というものができたら、便宜上それに委託をするというようなことは、ほかの省庁の行政とちょっとバランスが崩れておると思いますね。しかし、それはここで今言ってもすぐには直らぬことですから、私はそういう考え方を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、さらに尋ねたいことは、千七百四十人の民事法務協会の職員は、いわゆる法務省の下請の仕事をしておるということであって、この人たちの身分の安定性とか待遇、労働条件、そういうものが、同じ仕事を、法務省がやるべき仕事をしておるんだが、法務省の正規の職員とは相当格差があるのではないかと私は思いますが、その辺の実態はどうでしょうか。
#139
○清水(湛)政府委員 先生お尋ねにはなりませんでしたけれども、要するに民事法務協会にいろいろな下請の仕事をしていただいておりますけれども、本質的な例えば登記事件の審査というようなことではございませんで、登記簿の謄抄本をコピー機にかけて焼く、こういうようなある意味においては物理的な業務を委託する、こういうようなこと。それからもう一つは、コンピューター化する場合には、登記簿に記入してある事項を磁気ディスクにインプットをしなければならないわけですけれども、そういうものについての機械的な作業を委託しておる、こういうことになっているわけでございます。
 御指摘のように、この民事法務協会の職員は、謄抄本作成業務職員関係で千百五十五名、それからコンピューター移行作業関係で五百一名、その他事務職員というような形で、合計千七百四十名
の職員がいるわけでございます。この職員の給与等につきましては、これは民事法務協会が決めておるということでございまして、私どもといたしましては直接これに関与する立場にはございません。
 ただしかし、民事法務協会に私どもが支払う下請業務の対価、あるいはコンピューターの移行作業の対価、そういうものの単価を決めるにつきましては、従業員の処遇というようなことも十分考慮しながらこれを決めているということでございます。
 現実の問題といたしまして、民事法務協会におきましては、一般の国家公務員の給与等のバランスなどをも含め総合的に考慮して、相当程度の給与が支払われておるというふうに聞いておるところでございます。
#140
○小森委員 時間の関係がありますから、また後ほどレクチャーを受けてその実情というものを私頭に入れておきたいと思いますので、その際はひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこでもう一つお尋ねをしたいことは、過般新聞紙上で私は見たのですけれども、宮澤総理大臣と、総理大臣の弟さんの弘さん、広島県知事をしておったから私はよく知っておるのですが、軽井沢の別荘の土地を買って弟さんに分筆登記をした。しかし、一見したところ、息子さんに譲っておるのだろうと思いますけれども、総理大臣の屋敷の方が大きいのに、登記上は小さくなっておる。それはもとの図面というものから分筆したこちら側の、譲った方だけは正確に測量するが、残ったところは測量しないからそういうことになるのだと思うのですね。だから、あえて言えば、わしはよう知らなんだ、わしは悪気はない。しかし、それは固定資産税やその他国に納める金はたくさん違ってくるらしいですけれども、悪気はない。悪気はないと言うなら、それも一応そうかなと私は思うのですが、こういう分筆登記をするときに、残った土地も分筆をした者が責任を持って正確に測量して登記するようにすれば、自然に物が進むということも考えられるのですが、それは新法ではどうなっていますか。
#141
○清水(湛)政府委員 分筆をするという場合には、分筆をして、いわば出ていく方の土地について正確な測量をする必要がある、分筆後の残地については測量をする必要がない、従来からこういう取り扱いをしているわけでございます。この取り扱いは今回の法改正においても変わるところはございません。
 そういうふうにしている理由の一つとしては、非常に広大な土地がある、それを隅の方から少しずつ分筆をして処分をしていくということがあるわけでございますが、そのたびごとに大きな土地の全体を測量しなければならないということになりますと、測量経費が膨大なものになるというような問題がございます。したがって、分筆の際に分筆地だけを測量するというのは、例えばこれを処分することが当然前提となっているというのが普通でございますけれども、売った土地の面積が幾らであるかとか贈与した土地の面積が幾らであるかということを最小限正確に確保しなければならないというような観点から、分筆地だけの地積測量をすれば足り、分筆後の残地についての測量はする必要がない、こういうことで従来も指導してきておりますし、今後ともそういう考え方でやっていこうということになっているわけでございます。
 なお、宮澤総理の土地に関連いたしまして、新聞では八百十平米の土地であるのに登記簿上十五平米ふえているというような記事がございましたけれども、これは間違いでございまして、八畝十歩を八百十平米と新聞の方では読んでいるわけでございまして、そこに計算上の間違いがございます。登記手続といたしましては、面積計算には全く誤りがない。手続上の、つまり公簿上の面積には全く誤りがございません。この点は新聞の記事の完全な誤りでございますので、申し添えておきたいと思います。
#142
○小森委員 今宮澤さんの例を出したわけですが、私はこれを例として、つまり残った方の土地も測量をするようにしたら物が早く進まないかということを言っているのですが、広大な土地をやるということは、分筆の方の面積が少なくて、あと残ったのは広大ということになると、経費その他で不合理な面も出てくると思いますが、やはりこれは一疋の基準みたいなものを定めてやられれば、先ほどの十七条以外の地図二百九十四万枚が二百万枚になったり、だんだん少なくなって自然に解決がつくものもありますので、これは一考を要する問題だ。今局長は極端なことを言われたから私もちょっとそうかなと思ったけれども、こんな宮澤さんの場合のようなときには簡単なことですから、だからそこらをひとつ工夫を凝らしてもらいたい、こういうふうに申し添えておきます。
 では、時節柄というか、非常に国民の間でショッキングな死刑の執行ということがつい先般行われておりますので、この機会に、残された時間余りありませんが、死刑の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 これは先般刑事局長の方から答弁がございました、鈴木委員に対する答弁なんですが、なるほどと思って私は聞いておったのですが、「死刑の執行につきましては、今申しました刑事訴訟法自体が再審の請求、恩赦の出願等がなされている場合にその推移を参酌して慎重に対処すべきものとしている、」そういえ考え方に基づいて、いろいろと気配りをすべきところを気配りをして、最終的に法務大臣が執行命令の判を押した、こういう意味だと思うのです。今度三名が死刑を執行されたように思うのですが、実はその中の一名がいわゆる精神分裂症の疑いがあると診断されておったということが私の方に情報として入ってきているわけであります。精神分裂症、幻覚、妄想状態が非常に激しかったということでございますが、そういうことについては事実は法務当局としてはどういうふうにとらまえておられたわけですか。
#143
○濱政府委員 お答えいたします。
 まず初めにお断りをさせていただきたいわけでございますが、委員のお尋ねは死刑の執行があったという前提でお尋ねをいただいているわけでございますけれども、従来これは、死刑の執行があったかどうかをも含めまして公にさせていただかない取り扱いをさせていただいていると思うわけでございまして、そういうことで、具体的にその死刑の執行があったかどうかということを離れて、一般的なお答えとしてお答えすることをお許しいただきたいと思うわけでございます。
 まず、委員も御承知と思いますけれども、一般的に申しまして、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」こととされているわけでございます。したがいまして、死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうかということにつきましては、これは当然に考慮をされているところでございまして、心神喪失の状態にある死刑囚に対しましては死刑を執行することはあり得ないということをお答えさせていただいて、今の委員のお尋ねのお答えとさせていただきたいと思うわけでございます。
   〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
#144
○小森委員 局長の答弁は非常に物事の徹底的な議論をあらかじめガードするような答弁になっておると思うのでありますが、それならば、言いたいことがたくさんあるけれども、一つちょっと簡単に申し上げておきます。
 東京拘置所では死刑が執行されたということを抹消せずに閲覧させておる、読ませておるという事実があるという情報が私に入っておりますが、あなた御存じですか。
#145
○飛田政府委員 突然のお尋ねなのではっきりと東京拘置所に確認したわけではございませんが、関係者からの話ですと、新聞についての記事は特に抹消していないというふうに聞いております。
#146
○小森委員 私は、刑事局長の先ほどの答弁を不満としますのでさらにもう一つ申し上げたいと思いますが、名古屋と熊本の拘置所ではその執行を伝えるラジオのニュースをそのまま流したという
事実がまた私の方に情報として入っていますが、それはどうですか。
#147
○飛田政府委員 その事実は承知しておりません。
#148
○小森委員 先ほどの矯正局長の方の答弁を聞いてもらって、刑事局長、この場は国権の最高機関の議論なんですよ。私も少し遠慮して、今私が問題としておる人物の名前も私は知っているけれども、それは議事録等に残るとまた活字はどういうふうにひとり歩きするかわからないからそれを差し控えておるのですが、あなたは一般論として答えると言うけれども、名前は出さなくてもよいですけれども、今回死刑執行した三名の中で、心神喪失というか、今私が申しましたような精神的な、法律が処刑の執行を停止せいというような立場の人はいないと断言できるのですか。
#149
○濱政府委員 まず最初に、私が申し上げたことで委員の方であるいは御疑念をお持ちかと思いますのでお答えするわけでございますが、死刑の執行について公にしないというか公表しない理由は従来からも御説明申し上げまして、国会の場でも、死刑の執行状況について、執行があったかなかったかをも含めまして、お答え申し上げることは従来御遠慮させていただいているわけでございます。これはひとつ御理解いただきたいと思うわけでございまして、死刑を執行された者の家族その他の関係者に与える影響、特にこれらの者の名誉、心情を殊さらに傷つけないようにするということを考慮いたしますことと、また、他の未執行の死刑囚の心情の安定に留意すると、死刑の執行は公表しないというのが相当であると考えておりまして、従来そういうお取り扱いをさせていただいているわけでございます。
 もとより国政調査権の行使として死刑の問題について御議論いただくことは当然のことでございまして、それに必要な情報提供をどこまでするかということにつきましては、当委員会あるいは参議院の法務委員会等でもたびたび御議論があるところでございます。
 これは改めて申し上げるまでもないことでございますけれども、死刑の判決が確定した経緯につきましてはすべて公開の裁判によって国民の前に明白になっておるわけでございまして、刑罰権行使の適正を図るという見地に立ちましても、死刑の執行状況までを公にする必要はないというふうに考えておるわけでございます。もちろん、例えば検察統計年報あるいは矯正統計年報という公刊されている文献等によりまして、公にできる範囲のことはお答えをさせていただいているわけでございます。
 それから、それは前提でございますけれども、今の委員のお尋ねは、要するに特定の死刑囚について死刑の執行があったかどうか、あるいは今言われる心神喪失の状態にあったのではないかというようなお尋ねをしておられると思うわけでございますけれども、この点も、先ほど来お答え申し上げましたように、一般的にお答えさせていただくことでひとつお許しをいただきたいと思うわけでございまして、心神喪失の状態にある死刑囚に対しましては死刑を執行することはあり得ないわけでございます。そういうことでひとつ御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#150
○小森委員 刑事局長、あり得ないということと、あったとかなかったとかということは、これは概念の違う問題ですよ。つまり、あり得ない、あってはならないことがありはしないかという心配の議論ですよ。それを、要するに論理で言うところのザインとゾルレンをごちゃまぜにして答えられたのではちょっと承服できませんよ。そういうふうな、つまり国際法でもあるいは我が国の刑事訴訟法でもやってはならぬとなっておることをやったのではないかということを心配する一つの疑問、質問の投げかけに対しては、ないのならないと、あることはないというような言い方というのは余りに尊大ぶっておるのではないですか。あなた方の方は全く過ちがないということになるのじゃないですか。人間のやることですからね。しかし、情報はいろいろありますよ。
#151
○濱政府委員 重ねてのお尋ねであるわけでございますが、私どもの方でお答えできますことは、死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうかということにつきましても、これは当然に考慮された上で死刑の執行というものが一般的に行われるということを申し上げているつもりでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によって執行を停止する。」こととされているわけでございますから、今申し上げましたように、死刑確定者が心神喪失の状態にあるかどうかということにつきましても当然に考慮されるということでございます。
#152
○小森委員 そういう議論は、先般金丸五億円事件のときに、これは政治資金に使った金だと言うけれども、だれに出したか、それはわからぬのじゃという議論と一緒ですわ。国民は納得しませんよ。議論が中途半端ですよ、それは。やるべきはずはないということと、やったとかやらないとかということは別の次元の問題なんですから。だからこれは、どっちかというと否定的なことを今言われておるのですが、いろいろ情報がありますので、きょうは時間がないからこの程度にとどめておきますが、私は続いて追及させてもらいたい、こう思っております。
 それから、あなたの鈴木委員に対する答弁の中に、「再審の請求、恩赦の出願等がなされている場合にその推移を参酌して慎重に対処すべきもの」である、こう言われておったので、私は、なるほど、なかなか合理的な答弁だな、そうでなければならぬなと思っておったのですが、三名のうち他の二人――三名されたということは新聞でも報道されておるわけですからね。しかも、あってはならぬことだけれども、先ほど矯正局長が言っておるように、東京の拘置所ではそれを抹消せずに新聞を見る機会があったわけですからね。だからお尋ねするのでありますが、再審の動きがあった他の二名、そういうことも記録上いろいろあるのですが、その点についてはどういうお考えですか。
   〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
#153
○濱政府委員 これも、委員のお尋ねは特定の死刑確定囚についてのお尋ねでございますので、この点はやはりお答えを御遠慮させていただきたいと思うわけでございます。
 ただ、今の委員のお尋ね、御疑問としておられるところについて、これも一般論としてお答えをさせていただきたいと思うわけでございます。
 改めて申し上げるまでもなく、死刑執行のもたらす重大な結果にかんがみまして、死刑執行命令を発するに当たりましては、法文上は刑の執行停止事由に当たらないとされている再審の請求あるいは恩赦の出願につきましても、それがなされている場合にはその事情について十分参酌することとしているのであります。
 他方、国の司法機関たる裁判所におきまして言い渡され、最終的に確定した裁判につきまして、速やかにその実現を図るということも、これまた刑の執行の任に当たる者の重要な職責であることは申すまでもないわけでございます。仮に、再審請求の手続中はすべて執行命令を発しない取り扱いとするものというふうにいたしますと、死刑確定者において次々と再審の請求を繰り返す限り、永久に刑の執行をなし得ないということにもなるわけでございまして、刑事裁判の実現を期することは不可能となるものと言わなければならないわけでございます。再審請求の準備中であるからと申しまして、死刑の執行ができなくなるというわけではないわけでございます。
#154
○小森委員 刑事局長の今の答弁に関連して私はお尋ねしますけれども、今私の承知しているところでは、五十数名の死刑の判決を受けた人がおりますね。そのうち皆が皆再審請求していますか。今のようなことをやられたら困ると言うけれども、皆が皆再審請求していますか。何人くらい再審請求しているのですか。
#155
○濱政府委員 これは平成四年十二月末日現在の死刑確定者で、未執行者のうち再審請求をしている者は十二名でございます。
#156
○小森委員 だから、単に延命のために再審請求をするというような一番極論をもって、再審請求の準備をすればみんな延命策をとれるからというようなことは事実に合ってないのですよ。本当に自分はこの犯罪についてはやってない、長らく反省の時間があって、やってないということについて、せめてこれだけでも晴らしたい、こういう人間の切なる願いから再審請求というものは出るものと私は思っているのです。
 そうすると、やはり準備をしておるとか、何回か再審請求をされて却下されておるけれどもまたやりそうだとかいうようなのは、私は、そう簡単にこの機会に死刑執行せい、しようということでは、言われた答弁の趣旨と刑事訴訟法自体の法の意思、法意ですね、それをちょっとたがえておるのじゃないですか。どうですか。
#157
○濱政府委員 今の委員のお尋ねにつきましてもう少しお答え申し上げさせていただきたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、死刑執行のもたらす重大な結果にかんがみまして、死刑執行命令を発するに当たりましては、刑の執行停止事由に当たらないとされているところの再審の請求あるいは恩赦の出願につきましても、それがなされている場合には、その事情について十分参酌することとしていることは、これまで繰り返し申し上げたとおりでございます。
 ただ他方、国の司法機関である裁判所が言い渡し、また最終的に確定した裁判につきまして、速やかにその実現を図るということも刑の執行の任に当たる者の重要な職責であるということも、これまた否定できないところだと思うわけでございます。もちろん、先ほど申し上げましたように、死刑の執行停止事由にはなってはおりませんけれども、再審の請求や恩赦の出願等がございましたときに、それがなされている場合にその事情について十分参酌することは、これは当然行い、慎重に執行するかどうかを検討しているというのが実情なわけでございます。
 ただ、例えば死刑確定者が再審請求準備中ではなしに再審請求中であったといたしましても、それが例えば数回目であって、その理由とするところがおおむね従前の請求理由と同一であって、当然棄却することを予想せざるを得ないような場合、そういうような場合におきましては執行を命ずることもやむを得ないというふうに考えられるのではないかと思うわけでございます。
#158
○小森委員 もう時間が来ましたから、法務大臣とちょっと議論をしたいと思っておりましたけれども、やむなく省略をいたします。
 そこで、もう一つだけ尋ねますが、今まで再審請求でシロとなったのは、そう簡単になったのじゃないのですよ。生涯、おおよそ半生をかけて再審請求でシロとなっておるのですよ。一回や二回や三回、皆けっちん食っているのですよ。しかし、当初出した理由とほぼ変わらないのですよ。ただ、それを裏づける証拠というものが、丹念に調べてその証拠を出した。しかも、同一のものだって裁判官によっては全く逆に評価しているのがあるのですよ。だからそういうことも考えて、つまりおたくらの、いわば行政の都合だけで見るのでなくて、たとえこの地球上の一人の人間であれ、一億二千五百万の一人の人間であれ、うっかり無実でやられたのでは、これはやりようがないでしょう。
 法務大臣よく御承知だと思うけれども、間違うて死刑にしたら金目は何ぼですか、賠償金額は。私が言いたいのは、二千万や三千万で命を取られたら大変ですよ。だから何ぼか、法務大臣知っておられると思うけれども、法務大臣の目の前でちょっと言ってください。
#159
○濱政府委員 お答えいたします。
 今委員のお尋ねの点は、当委員会でも御審議いただきました刑事補償法の一部改正によりまして、昨年、死刑執行の場合の慰謝料と申しますか、そういう形のものを三千万円という金額に引き上げていただいたと思うわけでございます。
 それから、これは言わずもがなのことでございますけれども、委員が今御指摘になっておられます裁判に誤りがあるではないかという点につきましては、これは確かにそういう御意見には十分耳を傾けるべきでございまして、現に誤判の可能性というものが死刑廃止論の論拠の一つとなっていることは、委員も御案内のとおりでございます。
 ただ、死刑事件の事実認定という問題につきましても、これは裁判実務におきましては、三審制の保障のもとで、被告人に有利なすべての証拠を十分に考慮した上で、極めて慎重に行われているものと承知しているわけでございます。その上に、先ほどもちょっと申し上げましたように、死刑の執行に当たりましても、法務省部内において、刑の執行停止あるいは再審、恩赦の事由等があるかないかということについて極めて慎重に検討しているということを十分御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#160
○小森委員 時間を超過してどうも済みません。
#161
○浜野委員長 塩崎潤君。
#162
○塩崎委員 私は、不動産登記法の一部改正法案について質問をさせていただきたいと思います。
 幸いに私は、昭和六十三年のあのコンピューター化の不動産登記法の改正の際にも、藤井局長さんでございましたが、質問をさせていただき、いろいろ御指導をいただいたことを今思い出すわけでございます。
 そこで、まず第一は、私は、六十三年のときの国会のここにおける審議、そしてまたあの際付せられた附帯決議、このような過去の歴史、その経過から見ると、国民の不動産に関する権利を保全する不動産登記制度の発展を図るものとしてどうも不十分なような気がしてならないのでございます。附帯決議の趣旨を十分に実現されていないような気がするのですが、この原因はどこにあるのでしょうか。
 私は、やはりこの不動産登記法が明治三十二年の古い片仮名の法律で、そして昔の旧スタイルのあの法的表現でございますから、清水さんが幾ら勉強されても、なかなか木に竹を接ぐような、制度が取り入れられない、あるいは仕組みにならない、こういったところにあるのかと思ったりするのですが、大方の皆さん方が質問された中に、今のような附帯決議の中に盛られたところの、特に登記の真正を担保するための制度の改正、これが余り見られない、その原因はどこにあるとお考えでしょうか。
#163
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 今回の改正は、先生御指摘の昭和六十三年の附帯決議の趣旨に沿うべく私どもが努力してまとめ上げた法案でございます。保証書制度の見直しとか、あるいは登記申請代理権の不消滅に関する規定を整備する、あるいは地図整備の諸方策の一つといたしまして、非常に小さい問題ではございますけれども、職権分合筆の規定を設ける、こういうようなことにいたしたわけでございます。
 ただしかし、この昭和六十三年の附帯決議の中では、そのほかにも、審査事務の充実だとか専門家の能力活用等の諸施策を推進する。具体的には、登記の申請のためのいわば専門家集団でありますところの司法書士とかあるいは土地家屋調査士の能力をフルに活用して登記制度の運用の改善に資する、こういうこともあるわけでございますけれども、これはまた司法書士法なり土地家屋調査士法の改正の問題とリンクして議論しなければならない、こういうふうな問題ではなかろうかと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のように、登記の真正を確保するためにどうしたらよろしいのか。いろいろなそのための手続構造の整備、非常に端的に申しますと、共同申請主義とか、あるいは印鑑証明書の添付とか、あるいは必要な添付書類等の規定を整備する等のもろもろの手段を講じまして、登記の真正を確保するための手続を工夫しているわけでございますけれども、見ようによってはまだそれが一〇〇%実現されてはいないという点もあろうかと思います。
 そういうような面から申しますと、今回の改正によって登記の真正の確保が十分にされておるというふうには私ども考えておりません。そういう
問題については、さらに今後もいろいろな場面において研究、検討を続けてまいらなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
#164
○塩崎委員 清水局長さんは今そういう答えかもしれません。しかし、例えばこんなことが前の六十三年の国会では言われました。登記の真正を担保するために原因証書の活用を検討する、こんなふうな御答弁があったのですね。しかし、今度の法案を見ましてもどこにも見つからない。
 どのように活用されようとしているのかということも聞きたいのですけれども、法文に出ておりませんから、私どもは、登記の専門家が立ち会いの結果として真正な原因証書である旨を証する確認書を原因証書または申請書と合綴して登記申請を行うという方法を行えば原因証書の活用ができ、しかも登記の真正の担保の上においても有効と思われる。これも私どものふだん聞いていることでございます。
 登記原因証書については、法の規制も何もない、民法上の解釈から出てきたような制度で、人によってこの原因証書が何かということについてもいろいろと見解の相違がある。しかし、これは一番難しい。これが同時に登記済証にかわるわけでございますから、大事なものであることは間違いありません。このようなことについて全く今度の改正で触れられていない。私は、前回の審議の際にこれぐらいの議論があったのにこの問題について触れられていないことは、今の保証書だけの問題じゃありません、ほかにもたくさん私は申し上げたいことがあるのですけれども、まずこの点についてどのように考えられるか教えていただきたいと思います。
#165
○清水(湛)政府委員 原因証書の問題につきましては、六十三年の改正の際に先生の方からいろいろな御指摘があって議論がされておるということは、十分私承知しているわけでございます。また、このことにつきまして司法書士会内部等でいろいろな議論が展開されておるということも承知いたしておるわけでございます。
 結局、登記の真正を確保すると一口に申しましても、いろいろな場面における真正確保ということが問題になろうかと思います。何と申しましても一番大事なのが、やはり登記の申請をする当事者、本人が、間違いなく本人の意思に基づいて登記を申請しているということ、これがまず絶対に欠かすことができない最低限の要件だろうと思います。
 それに加えてさらに、ではそういうふうに間違いのない申請人同士、権利者、義務者同士、登記の申請を間違いなくしているというこの当事者間における物権変動の原因について、どこまで追及をするのかということが次の問題だろうと思うわけでございます。
 ところで、我が国の民法、これは本当に申し上げるまでもないことでございますけれども、いわゆる物権変動について意思主義をとっているわけでございまして、物権の得喪・変更について書面を要求するということをいたしておりません。これが明治時代に民法をヨーロッパに倣って導入した際の解釈といたしまして、法律上もそうなっているわけでございますけれども、具体的な実務におきましても、当事者間の、売買でございますと売買の意思が合致しさえずれば書面はなくても所有権は移転する、こういうことになっているわけでございます。その結果として、いろいろな売買等の物権変動につきましても原因証書そのものがない、こういうことが制度の前提として予定されておる、こういうようなことが一つはございます。
 さらには、当事者間において所有権移転なら移転の登記の意思はあるのに、その原因について、当事者の意思とは異なった形での原因というものを追求するということが果たしてどこまで可能であるかどうか。当事者が例えば売買と言っているのに、これは贈与ではないかと言ってこれを否定し得るだけの資料というものが他にあり得るのかどうか、こういうような問題もあるわけでございまして、現実のこれまでの登記の実務の上におきましても、純粋な意味での本当の売買契約証書というような、本来これは原因証書だと思うわけでございますけれども、そういう原因証書が必ずしもこの登記の申請に添付されないという実例が多いというふうに承知しているわけでございます。
 そういうような我が国の明治以来の登記制度、これは民法を前提とした登記制度の運用というものを考えますと、必ずまさに直接の売買契約証書等の作成を義務づけて、それをもって登記原因証書とすべきであるということは非常に難しいのではないか。いろいろそういう議論があることは承知しておりますけれども、原因証書に関する規定を整備するということはなかなか難しい問題を持っておるということから今回は改正の対象にはならなかった、こういうことになるわけでございます。
#166
○塩崎委員 私も、古い時代に、物権の変動は意思の合致によるということを習いました。しかし、今の清水局長さんのお話では、それでは原因証書なんて要らないんだというふうに聞こえて、では登記は実際どうなるんだ、これは大変疑問が出てくる。しかし、何といっても意思による物権変動でありながら、長い間の慣行法で、司法書士さんらが開発された意思の表現としての原因証書を苦労して見つけ出して、これを利用し、これを基礎にしている。そしてこれを登記所へ持っていって、これを登記済証にかえて、これを後生大事に持ってきているわけでございます。
 私は、そんなこといえば、登記が第三者に対する対抗要件だから、登記は必要がないというようなことにまでなってきたら大変だと思うのです。やはり登記をするために客観的な原因証書を見つけてきたこの苦労、これをもう少し活用することを――私は民法は民法でいいと思うのてすよ。しかし、明治三十二年のこの不動産登記法を、今の実際慣行法としてでき上がっておるところの、しかも原因証書についても慣行的に、例えば私ならその登記は遺産の分割協議書だ、こう言いたいところなんですけれども、いや、そうじゃなくて、死亡相続でも法定相続人の登記原因があるのだ、こう言われたりしておるところを見ると、どっちが正しいのかまだまだはっきりしていないようですけれども、こんなようなことをしているのだったら、ひとつやはり不動産登記法を、片仮名の法律を改めて、明瞭にして、庶民にわかるようにしていただけませんか。そういったことが不動産登記を発展させていく、登記によって権利を守っていこうという国民の期待が大きくなってくる、こういうふうに私は思うのです。いかがです。
#167
○清水(湛)政府委員 物権変動についての先生の御指摘、これは本当に立法論としてはある意味においては傾聴に値する面が多々あると思います。現実に、例えば日本の民法の母法とされているフランスとかドイツにおきましては、不動産の売買等は必ず公証人のところへ行きまして公正証書をつくりまして、それを登記所に持っていくという形で登記が行われておるというのが実態になっているわけでございます。我が国では残念ながらそういうような状況になっていないということから、そういうすべての契約をきちっとした書面でやるという慣行は必ずしも確立していない、こういうことになろうかと思います。
 そういう民法の面の問題と、もう一つ、これは手続法という、具体的に登記制度という制度を動かすわけでございますから、制度の中でそれが正しく原因証書としてチェックされるということがまず保証されなければならない。理論的な問題と手続的な保証という問題があるかと思います。
 そういう面で見ますと、確かに原因証書が必要だということを言いましても、例えば登記官の審査権限の面から見ますと、果たしてこれが本当の意味での原因証書であるかどうかということの認定は甚だ困難でございまして、当事者が原因証書として持ってくるものをもって原因証書と認定せざるを得ない、こういうようなことにもなってくるわけでございます。そういう意味では、確かに手続的にもいろいろと難しい問題をはらんでいるということがあるわけでございます。
 そういう問題はございますけれども、最後に先
生が御指摘になった、今の不動産登記法が非常にわかりにくいと申しますか非常に専門的に簡略化された形で法文ができ上がっているということも、これはまた事実でございます。そういう意味で、国民にわかりやすいような形で不動産登記法を書き直して登記の手続をきちんと守ってもらう、こういうようなことは確かに非常に重要な問題だというふうに思っております。そういう意味で、今までも質問がございましたけれども、私ども、不動産登記法の口語化と、それを単に口語化するだけではなく、代理の規定その他もろもろの規定について国民が見てもわかりやすい法律というものを用意すべきではないか、こういうふうに実は考えているわけでございます。
#168
○塩崎委員 前回の附帯決議の第五に、登記申請代理人の規定の整備の問題を挙げております。私ども聞いておりましたあの六十三年には、非常に重点の置かれた、そしてまた論議の行われたところでございます。今清水局長さんが申されましたように、あの片仮名の法律で、しかも大部分は民法の解釈でいく代理の制度、これは恐らくいろいろの欠陥がある。それを解釈で補っているのでしょうけれども、私などは、民法を習って、あの解釈で楽しむよりも、本当に法律できちっと書いてもらって、素人にわかりやすいようなことを国民に理解させるような法律としてやるべきだ。我妻民法を私も持ってきましたが、まさしくこうも解釈できる、ああも解釈できる、私はこちらの説だとか、前はそうだと思ったが今度は考えを変えたとかいうようなことが書いてありますが、そんなことはやはり明治三十二年時代の考え方で、今の法律はぴしっと書いて紛議が起こらないようになっておると思うのです。
 そこで、登記申請の代理人の権限を証明する規定を新設したり、あるいは代理権の範囲に関する規定を設けたり、それから登記申請の取り下げに関する規定を新設したり、民法では不十分なところを公法であるところの不動産登記法上の根拠を与えて登記申請代理権の権威をつくっていく、そして規制をしていく、そして申請代理人に対して登記の真正さを確保させる、こういった仕組みが私はなければいかぬと思うのです。
 今の法律ではできぬということだろうと思うのですけれども、私は早くこういったわかりやすい――民法の解釈だけではまだ不十分だ。今度の消滅の場合は、これは判例で当然になったからこれも変えただけだという改正なら余り必要はないと思うのですね。もう少し、読んだだけですべてわかるような、そして代理人の権限は何か、不動産登記法でどのような規制が加えられるのかというような制度にすることが私は登記制度に対する国民の信頼を高めるものだと思いますが、どうですか。
#169
○清水(湛)政府委員 登記申請の代理につきましては、代理権限法と申しますか、代理権についてのいわば実体法として司法書士法なり土地家屋調査士法があるわけでございます。その中には司法書士あるいは土地家屋調査士はどういうことについて代理権限を持っているかということが明定されておる。それを受けまして、今度は手続法の中でそれを行使する場合の手続を書いておる、こういう仕組みになっているわけでございます。
 しかしながら、確かに先生が御指摘になりましたように、例えば代理権限を証する書面というものにつきましても、そういうものにはどういうことを記載しなさいとかということが書いてない。いきなり法律の中に申請書に代理権限を証する書面をつけろ、こう書いてあるわけでございます。これは、当然代理権限は書面によって証明しなければならないし、申請の際にそういうものは出さなければならないという当然の解釈を前提としたこういう規定になっておる。しかし、一般の国民の方々から見ますと、代理権の委任状にどういうことを書いていいのかよくわからない、こういうことにも確かになってこようかと思います。
 それから、代理権限の実体法として司法書士法の規定があるということを申しましても、ではその中のどういう代理権限を行使するのかというようなことについても不明確ではないかという先生の御指摘、確かに一々そういうことを明文で明らかにすればわかりやすいということは、これは否定することができないと思います。
 ただしかし、明治以来一定した解釈のもとにこれらの問題については運用されてきたという実態がございますので、今回の改正ではそういうようなことは、今までの不動産登記法のスタイルに合わせるという意味においてこれは明確にしなかったわけでございますけれども、将来口語化をして、いろいろなわかりやすい規定を設けて、国民の一般の方々が読んでも登記手続構造というものがわかる、こういうようなことにする場合には、そういったような、若干くどくなるかもしれないという心配はありますけれども、国民と代理人との関係に関する規定というようなものもあるいは盛り込むということも考えなければならないかなと現在思っているところでございます。
#170
○塩崎委員 今回の保証書制度の改正も、単に他の登記所にある人でもいいんだというような珍しい書き方の法文だと思って私はびつくりしたのです。つまり、その他の登記所に適当な保証する人がいなければこういうふうなところでするというふうに、なぜ例外を並立して書いているのかよくわからない。
 しかもまた、単に保証書と書いてあるものですから、こんな制度よりも、よく言われますように、専門家による確認制度といった形の保証――本当に権利証をなくしてしまったら大変なことになるんだから、この保証書制度というのは非常に大事だ。今はその地域の登記所に登記している人ならだれでもいいように書いてあるのですね。今度広げたところでは、ほかの地域の登記所にしている人ならだれでもいいと書いてある。そうじゃなくて、やはり保証書の必要になるゆえんから来る仕組みの法文にすべきじゃないですか。そして、私は、それは専門家による確認制度の方が保証書よりはるかにましじゃないか。権利を昔からずっと洗ってこられるような人は、私は司法書士のような専門家しかいないと思っています。いかがですか。
#171
○清水(湛)政府委員 今回の保証書制度の改正の趣旨は、保証人の資格について、その申請に係る登記所において登記を受けた者でなくてもよろしい、こういうことで、全国のどこかの登記所で登記を受けた者であればよいということにしたわけでございます。
 その際、申請をしようとする登記所に適当な人がいなければという要件をつけるという御意見ですけれども、いなければということをどうやって証明するかという問題もあるわけでございます。現実の問題といたしましては、俗に我が国における地域社会の崩壊ということが言われておりますけれども、実際の問題としては、地方から多数の人が出てきておる、自分がその住居地の登記所で登記をしようと思っても知り合いがだれもいない、しかし田舎に行けば父親もおれば兄弟もおる。そういう本当に信用することができる、つまり登記義務者について確実に知識を持っている者が、その登記所の管内にはいないけれども地方にはおる、あるいはその隣の登記所の管内には親戚がいて、そういう人たちが本当に登記義務者をよく知っていて保証人になってくれる、こういうこともあるわけでございます。
 そういう意味におきまして、従来の法律は無理やりにその登記所における登記を受けた者ということになっておりましたので、登記義務者について本当に確実な知識を有するかどうかというようなことで問題がある場合でございましても、保証人として頼むということにならざるを得ないというようなことがあるわけでございます。
 それからまた、現実の問題としては、司法書士がかなり保証人になっている、あるいは司法書士の関係者が保証人になっているという問題があるわけでございますが、その司法書士の方々にいたしましても、当該登記所の周辺だけで業務をしているということではなくて、いろいろな地域に出向いて登記の申請代理をしているということがあるわけでございますが、その際に、そこでは登記
を受けたことがないからその司法書士あるいはその関係者は保証人にもなれない、こういうような問題も出てきておりまして、その辺は外す方が本当に信頼のできる、登記義務者について確実な知識を有する者を求めやすいということになるのではないかということから、こういうような拡大を図ったわけでございます。
 それとともに、例えば司法書士がその点について調査確認をするということでかえればいいじゃないかということでございますけれども、これはちょっとまた問題が違うわけでございまして、この保証書というのは登記済証にかわるもの、登記済証というのは過去に登記をしたその際に当該本人に交付されたという一つの歴史的な事実をもって証拠とするものでございますから、それにかわるものとしてこの保証書を採用するということでございます。
 それと別に、さらに登記の真正を確保するための手段として、原因関係についての調査確認を司法書士に義務づけるということは、これはそれ自体に問題はございますけれども、それは別の問題として検討に値する、あるいは考え得る問題であるというふうに思います。調査確認をすればこの保証書は要らないということではないんじゃないか。つまり、保証人の責任という問題が後に問題になるわけでございますけれども、そういうことで代替し得るものではないというふうに考えているわけでございます。
#172
○塩崎委員 だんだん時間がなくなりましたが、とにかく清水局長さんの答弁では、中間省略なんというのは認めていないんだ、登記簿を見れば不動産の権利の歴史がずっとあらわれるということが当然だと言われる。しかし、実際はそうなっておりませんね。中間省略はあり、実体と違う登記、それはどこから来るかというと、いろいろ理由がありますけれども、これは我妻さんの本を見ると、税金の関係から仮登記ということが出て、私も大蔵省へ入って初めて我妻さんの本を読み出しまして、なるほど税金の圧力というものはひどいものだな、こう思ったのですね。今度はまたその要素が大きく出そうであります。
 つまり、来年、平成六年からは固定資産税の評価額、つまり登録免許税の課税標準価額である固定資産税評価額が十倍くらい上がるというふうに言われるのですね。さあ、これなら大変なことになりはしませんか。固定資産税の方は何年で調整することにしたのですけれども、これは必ず毎年するものじゃありません。偶然その年に登記したりしなかったりするわけですから、恐らく平成六年から、これを自治省が統括する基準価格みたいなものに変わってしまうおそれがあるのですね。そうすると、大変な大増税になる。今でも登録税の収入が登記所予算を上回っていて、私は登録税の性格がよくわからない、権利の保護に対する代償としては取り過ぎじゃありませんかね。私は、だから、これならもう少し登記所の費用もふやしてもらわなければならぬ、あるいは地図の作製も予算をふやしてもらわなければならぬ、こういうふうに思うのですが、そこで、その登録税がだんだん、その課税標準価額である固定資産税の評価額が高くなったことによって、中間省略をやるか、あるいはまた仮登記でいくか、安い登録税の登記形態を選ぶことになる。移転の登記が百分の五で、保存の登記、仮登記が千分の六、それから相続でも千分の六なんていったら、移転の高い登録税の登記はだれもしないことになるおそれがあります。相続の登記しないことは余りにも有名です。どうしたのですかね。登記は第三者対抗要件程度の効力だから、このように高い登録税をかけて少々真実の登記は表示されなくてもいいんだといった、まさかこんなようなお考えではないでしょうね。
#173
○清水(湛)政府委員 中間省略の登記というのは、登記手続の面では認めていないわけでございます。ただ、最高裁判所の判例等によりまして中間省略の登記の有効性が承認されておるということになっているわけでございまして、登記手続の面からは、中間省略の登記であるということがわかればこれはチェックすることになっているわけでございます。
 しかし、現実には先生御指摘のように中間省略の登記が行われる。その一つの原因として登録免許税の問題もあるというふうな指摘があることは私どもも承知はしているわけでございます。ただしかし、登録免許税ということになりますと、これはむしろ先生の方が専門家でございまして、私の方なんかで説明する必要はないと思うのでございますけれども、やはり一つの性格として、所得税を一種の、補完すると申しますか、本来なら所得税とか法人税で国家の税収は全部賄うべきでございますでしょうけれども、それだけでは全部所得を正確に把握することができない、そういうことからいろいろな形での税金が考えられているというふうに言われているわけでございますが、そういう意味で、登録免許税も財貨の移転、権利の設定変更の背後には一定の所得があるだろうという推計のもとにそういう税金が取られておるいうふうに説明がされているというふうに承知いたしております。
 しかし、そうなってまいりますと、この登録免許税のあり方も、所得税あるいは法人税制度全体、税制のあり方等の問題としてこれは税制当局がお考えになる問題ではないか。私ども税金は全く暗いものでございまして、税制全体の中で登録免許税をどのような位置づけで持っていくかということにつきましては、やはり税制当局でお考えいただくほかはない。私どもとしてはちょっと力及ばざるところであるというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
#174
○塩崎委員 清水局長の答弁、私はまだまだ満足できないのです。やはり登記は進めたいんでしょう。なるべく登記を喜んで、しかも真実な権利を表示するような登記をさせたい。そういった観点から登録税はどのような影響を受けているか、あるいはどのようないい影響をもたらしているかということを私は常に研究すべきである。大蔵省が所管ではありますけれども、それは歳入という見地の方が中心であり、あるいは税体系の中の一環であるというようなことぐらいであって、今の各省の税制改正のつくり方を見ますと、運輸省なら船舶問題、交通問題についてこの税制をこうしてくれああしてくれ、中小企業庁は中小企業の発展のためにこうしてくれああしてくれということで、大蔵省にいろいろな意見が出されて調整されていく。
 ですから、仮登記に対してほとんど登記と同じ税率にしたのは、やはり当時を考えてみると大蔵省的な考え方で、歳入増加の観点ばかりからやったのかなと思って、今もだんだんその点が大変心配になるわけです。つまり、売買の移転の登記と保存登記と仮登記と相続登記、これが果たしてこれだけの差があっていいのであろうか。このような問題は法務省が一番わかっておられる。殊に司法書士の方々が納税者の反応を見て、こんなに税金が高いのならこの登記をしてくれ、第三者対抗で権利証を持っていれば通用するのですから、これはひとつそういう観点から見ていただかないと登記制度が税のために曲がってくると私は思いますから、これはひとつ御研究しておいていただきたいと思います。
 特に、今大蔵省の問題だと言われましたので、渡邊税制第三課長さんが来ておられるので、一言御質問しておきます。
 この登録免許税は極めて古い税金で、相続税がなかったころに、これが相続税のかわりだと言われた時代もあるのです。相続税は明治三十八年ぐらい、日露戦争のとき。登録税は早くも明治二十九年ですか、そんなような沿革があるわけです。そのときには今のような付加価値税、消費税のないころですね。消費税ができたらすべての段階の付加価値に課税するのだから、あらゆる間接税、物品税はやめてしまう。印紙税にしても登録税にしても、もう課税の根拠は失われていると私は思うのです。
 権利の保護としていくとすれば、どの程度でいいかというのは大変議論がある。登記所の予算な
んかを賄う以上に取っておる。単に沿革的な税の理由しか私にはわからないぐらいになっておることを考え、しかも一番大事なことは、登記の真正さを保証したいのですね。だから、今売買の登記なんてやるのはありはしませんよ。大体保存登記あるいは仮登記でいく、権利証だけで譲っていく。
 こんなような事態が行われておることを考え、これがまた固定資産税の評価額の引き上げでさらに倍加されようとしておる今日、登録税について大蔵省はどう考えられるのか。殊に、付加価値税ができた後、登記を保護していく観点からどのように考えられるか、ちょっと御意見を聞かせてください。
#175
○渡邊説明員 非常に多岐にわたる御質問を受けまして、どういう順番で御説明しようかと思っております。
 登録免許税の課税の根拠につきましては、既に委員の方が熟知されているところでございますが、財産権の創設、移転、あるいは現在は免許税が入っておりますので、人的資格の取得、それぞれにつきまして背後にある担税力に着目して課税しているということで、それぞれの性格に応じまして受益に対応する税率を定めてきているというところでございます。
 現行の所有権の移転登記の五%というのは昭和二十一年からの税率でございまして、大分長きにわたって定着しているものでございますが、物の本によりましては、これが中間省略登記の一つの原因になっているということが書かれていることは承知はしておりますけれども、それ以外のさまざまな実体的あるいは手続的な理由もあって、現在そういう実態にあるという状況ではないかと考えておりますので、それだけの理由で税率をどうこうというふうに考えるということは今のところ考えていないわけでございます。
 それから、先ほど御指摘ございました固定資産税の評価の適正化に伴いまして、従来公示地価の大体二〇%前後であったものを今回七〇%に上げるということで、平均で三・五倍、あるいは地域によっては御指摘のように十倍あるいはそれを超えるという状況がございますが、それについてどのような対応をとるかということにつきましては、固定資産税評価の適正化が六年度に実施されますので、その数字を見た段階で、どのようなことが必要なのか、あるいはどのような措置をとるかということはこれから検討する必要があるのではないかという認識は我が方としても持っているわけでございまして、自治省の方の不動産取得税の問題もございますので、それらとの関連であわせて検討していきたいというふうに考えているわけでございます。
 それから、消費税との関係を委員御指摘になったわけでございますけれども、消費税が入ったときにこのような登録税あるいは免許税のようなものがなくなるべきかどうかということにつきましてはいろいろ考え方がございまして、所得、消費、資産、全体にバランスのとれた課税を行う。その中で、不動産の登記に関していえば、資産に対する課税の一環として考える余地があるのではないか。資産に対する課税と広くいいますと、所得に対する課税という問題もございますし、あるいは無償で移転されてきた相続税、贈与税のようなものもあります。それから、今回の不動産取得のように対価を払って行われた有償の移転の場合もあるわけでございます。そういうさまざまな段階でどのような負担を求めていくのかということは、単に付加価値税がサービスあるいは消費に対して課せられたからといって直ちになくなるという性格のものではないと考えているわけでございます。
 例えば、現在付加価値税を導入している外国におきましても、イギリス、フランス、イタリア、欧米の場合にはVATという形の付加価値税が入っているわけでございますけれども、これもそれぞれの必要に応じまして、例えば酒類の卸売の免許、あるいは賭博場の免許、不動産の譲渡の登記、会社の設立、増資の登記などについて、登記あるいは免許を行うものが国である場合は国税として、地方公共団体である場合においてはそれぞれの地方公共団体で課しているところでございます。日本の方が全体として課税対象範囲が広範であるということが委員の御指摘でございますけれども、そのような点を踏まえて今後検討していくべきものであろうと思っておりますので、現在直ちに、消費税が入ったからといって登録免許税の課税の必要がなくなったというふうには我が方としては考えていないところでございます。
#176
○塩崎委員 時間が参りましたので、一つ第三課長にお聞きしますが、例えば相続ですね。なかなか遺産の分割もできない、したがって話がまとまらない、相続登記は大変おくれる、しかし千分の六も取られる。ですから、ほとんど金を借りるような場合にしか登記をしないのですね。私はそれは大変危険なことだと。その間、また火事があったりしたときどうなるのか。そのようなことを考えれば、例えばもう相続はやめて、それから移転の登記と保存と仮登記の間の差を縮めて、安いからこっちへ行くという、真正な登記を阻害するような税率は一遍考え直していただきたい。
 こんなことを申し上げて、最後に大臣、登記推進の熱意を大変持っておられる大臣だと伺っておりますので、ひとつ税制まで含めて、真正なる権利が登記簿で保証されるような発展の方向の改正を、これで、五年目でやっとあれになった。しかし、私は、今度の改正ぐらいでは登記制度は発展せぬと思う。今私どもが、皆さんたくさん心配されて質問されておる。六十三年でもまた大きな質問があったのです。ひとつ大臣の在任中にでも計画するぐらいの御意図でやっていただけるかどうか、ちょっと御意見を承りたい。
#177
○後藤田国務大臣 塩崎さんから、大変専門的な立場に立ちながらも、しかも高い見地でのいろいろな御質疑を承りましたが、確かに今回の不動産登記法の改正は、私は、当面の改正に過ぎないな、もう少し根本的な問題が残っておる。しかも、仰せのように、この決め方というものは税制と大きな関係があるなと。こういうような点も考えながら、しかもこれは国民にわかりにくいですよ。法務省の法律というのは、千六百ばかりある法律の中で一番基本的な法律なんですね。それだけに、民法だってまだ親族、相続しか変えてないですし、あとはみんなベカラズの法律でしょう。刑法がそうですし、商法がそうだし、この不動産登記法もそうだしといったようなことで、基本的な問題であるだけに勉強して検討しているんですよ。だけれども、ちょうど刑法改正案が、改正草案はできたけれども一向に法律は直らない。これくらい基本的な課題であるだけに面倒なんですね。そこらはひとつぜひ御理解を願わなければならぬなと思いながらも、本当に私はこのままではこういう面が立ちおくれているなと思います。
 私は、法務大臣に就任しまして、各局から説明を聞きましたよ。ところが、非常に歴史の古い堅実な役所ですよ。しかし、それだけに時世の進展から見るとすべての面で少し立ちおくれていやせぬか。またそれに対し、あなたも大蔵省におられた、財政当局の理解が不十分だ、これは。もう少し国民の基本的な権利に関係をし、人権を尊重せにやならぬという、大変これは社会の基盤を支えている仕事なんですよ。ならばそれに対していま少しく、予算にしろ、人にしろ、施設にしろ、どんどん充実をしてもらわなければならぬな。
 しかし、私は責任者ですから、評論家じゃないんですよ。私はいつまでこれをやっているかわかりませんよ。わからぬが、少なくとも私はもう少し皆さんの御支援も得ながら、法務行政の本当の意味での発展をやらなければならない。そういった中で、今この問題についても検討をして、もう少し抜本的な見直しの時期が来なければならぬな、私はかように考えておりますが、どうぞひとつそういうときには御理解、御支援を願いたい、こう思います。
#178
○塩崎委員 大臣の大変希望の持てる御答弁がありましたので、私はこれで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#179
○浜野委員長 木島日出夫君。
#180
○木島委員 最初に、法十七条の地図の問題についてお伺いをしたいと思います。
 その前に、不動産登記制度の根本問題、基本問題についてでありますが、これは有斐閣の法律学全集の幾代さんの「不動産登記法」ですが、「登記制度の理想は、一言にしていえば、実体的物権変動を正確かつ迅速に公示することにより不動産取引の安全と円滑とに奉仕するにある。」とあります。そういう基本から、「登記簿の記載を実体関係に符合せしめるための配慮 これは、登記手続法における最も中心的な課題をなすものである。」とあります。
 それで二つ指摘していまして、一つは「不動産の物体的状況」、地形とか形状、これに関する「登記簿の記載が実体と符合することが必要である。」二つ目が、所有権移転、中間省略があっちゃいかぬということもあるのですが、「権利変動じたいについての登記と実体関係の符合の問題」、こう言っております。まさに私はそのとおりだと思うので、これを単なる理想だけじゃなくていかに現実化するかというのが法務省民事局に与えられた基本的な責任だと私は思うわけであります。
 そこで、最初にお聞きしたいのですが、今回の法改正で、いわゆる公図、これを法十七条の地図に準ずるものとする、要するに格上げするということでありますが、現行法でいわゆる公図がどのような社会的、法的役割を果たしていると考えているのか、まず基本的な法務省の認識についてお伺いしたいと思います。
#181
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 法十七条の地図というのは、これは先ほど来答弁しておりますように、国家基準点と接合した形の地図であり、現状が変更いたしましても地図に基づいて、厳密に申しますと完璧ということではございませんけれども、ある程度現地に所在位置を復元することができる、こういうものであるというふうに考えているわけでございます。
 ただしかし、そういう十七条で想定しているような地図が全国の登記所にまだ四十数%程度しかそろっておらないという状況のもとで、いわゆる公図と言われるもの、今回の改正で「地図ニ準ズル図面」という形で法的な位置づけを明確にしようとしておる図面があるわけでございます。この図面につきましては、明治の初期から作成され、あるいは修正が施されてきたものでございますけれども、しかしこの法十七条の地図が備えられていない地区にございましては、土地の配列とか位置関係、地番というようなものを知る唯一の公的な資料でございます。その精密度については若干のバラエティーはございますけれども、そういう意味で今まで法的な位置づけは明確ではございませんでしたけれども、現実の登記行政の面におきましては非常に重要な図面として利用され、また登記所でも多数の利用者によってこれが利用されてきたわけでございます。そういうような実情にかんがみまして、法務省では、当初から、法的な位置づけはされていない公図ではございますけれども、その維持管理、保存整備というものに力を尽くしてまいりました。そういう意味で、法十七条の地図がない地域においてはまさに唯一の公的な資料として大変大事な図面である、こういうふうに考えているわけでございます。
#182
○木島委員 御答弁あったとおりだと思うのですね。非常に重要な図面として利用されてきた。衆議院の法務委員会調査室の皆さんが苦労なされて作成していただきました参考資料によると、その重要性について三点にわたって記載していますね。登記官が不動産の表示登記に関する登記事務を処理するときに大変重要、それから一般社会人が不動産取引をする場合の現地確認等に非常に重要な面がある、土地の境界線の確認訴訟などの証拠資料として非常に重要、この三点を挙げている。まさにそのとおりだと思うのです。
 それじゃ、続いてお聞きします。
 今回の法改正で不動産登記法二十四条ノ三がつくられて、いわゆる公図が「地図ニ準ズル図面」となることによって、今まで果たしていた公図の法的、社会的機能や効力、役割、これに変化は生ずるのでしょうか。法務省はどう認識しているのでしょうか。
#183
○清水(湛)政府委員 地図ではございませんけれども、「地図ニ準ズル図面」ということで法的な根拠を与えたわけでございますけれども、これによって中身と申しますか精度が高まるということであるわけではございません。つまり、公図としての従来の価値というものが変わるわけではございませんから、今回の法改正によって訴訟とかあるいは境界画定とか、あるいは登記事務の処理の面において違いが出てくるということにはならないと思います。
 ただしかし、私どもといたしましては、この維持管理というのが非常に大事な問題になっておりますので、閲覧手数料等の収入をさらに積極的にそういう整備に向けて使う、例えば現在登記所の中にはほとんどぼろぼろに近い和紙の公図なるものもあるわけでございますが、速やかにポリエステルフィルムに書き写すということも積極的にやっていかなければならない、こういうような状況がございますので、そういう意味での管理のしゃすさ、利用のしゃすさというものは出てくる、こういうふうに期待をしておるわけでございます。
#184
○木島委員 今回の法改正で不動産登記法にきちっと位置づけるからといって現に公図が果たしている非常に重要な役割、法的効果や社会的機能には何ら変わるところはないという答弁ですね。法律で位置づけて格上げされたからといって、境界争いの裁判なんかに証拠として出される公図の証拠力ですか、証明力が高まるものじゃない、全然機能は変わらない、効力も変わらない。
 それでは何のために法律にわざわざ規定しなければならぬのか。今答弁の中にちょっと出てきましたが、国がお金を国民から取り上げるためだけの目的で法改正したんじゃないんですか。
#185
○清水(湛)政府委員 ちょっと金の話が先に出てしまいましたけれども、今までは事実上閲覧に供する、だから逆に申しますと、登記所の都合によってはこれは閲覧させない、こういうような措置を講ずることもできたし、現にそういうことをしていた登記所もあるわけでございます。特に昭和三十五年以降、一時期は、公図の維持管理状況が悪いものについては閲覧に応じないというようなこともしておりましたし、それは利用者の方から見ますと閲覧請求権があるわけではない、こういうことが法的な根拠になっておりました。
 しかし、そういうことでは本当の意味での国民に対して行政サービスを提供することにはならないということから、先ほど申しましたように相当額の金を投じてその整備保存を図ってまいりまして、その成果が相当出てまいった、こういうような状況にあるわけでございます。そこで、この際法的な位置づけを明確にして閲覧請求権を関係者に与える、それがむしろ法律の今回の改正の目的であるということでございます。
 そういう維持管理あるいは閲覧に供するためにも相当の人件費を要するわけでございまして、そういう実費を勘案して手数料を徴収することができるという不動産登記法の規定に倣ってこのような制度もあわせて整備をした、こういうことになるわけでございます。
#186
○木島委員 単なる手数料を徴収するためだけではなくて、国民に閲覧請求権を付与するんだ、そのための法律改正なんだとおっしゃられていますが、それでは今まで一体、管理状況が悪いということを理由にして公図を閲覧拒否してトラブつたような事例がどのくらいの件数あったのですか。
#187
○清水(湛)政府委員 最近は、かなりそういう質の悪いいわゆる台帳附属地図の整備を終えておりますので、閲覧を拒否するというようなことはない。しかし、かつては閲覧を拒否して、そのためにいろいろなことが問題になって、本省にまで問題が持ち込まれたというようなケースもございました。具体的なケース、最近承知しておりませんけれども、なるべく閲覧に応ずるようにしておるというのが実情だというふうに思っております。
#188
○木島委員 私は、最近閲覧拒否でトラブつた例なんて聞いたことないわけですよ。そうすると何ら変化はないのですよ、今回法改正することによって。変化があるのは、閲覧手数料が取られるということだけなんですよ。今まで、現行法でいえば、いわゆる公図を見たい、写したいという国民は実際幾ら費用負担していたんですか。
#189
○清水(湛)政府委員 公図の閲覧については無料でございます。それを自分で書き写していくということも自由にできるということにいたしているわけでございます。
#190
○木島委員 閲覧費は無料だ、自由に書き写すかわりに、事実上七十円払って謄写する、コピーをとるというのが実態だったようであります。じゃ、今度法二十四条ノ三で、十七条地図に準ずるものとして位置づけられたことによって、手数料を取れることになるわけですね。その手数料は政令で決めると思うのですが、先ほど同僚議員からも質問されていたようですが、幾らにすると今お考えですか。
#191
○清水(湛)政府委員 現在、法十七条の地図として指定されているものが、閲覧について四百円でございます。この手数料というのは、そういう地図を維持管理しあるいは閲覧に供するための人件費等の実費を勘案して決める、こういうことになっております。
 対象となる地図が十七条の地図であるかあるいはそうでないかという、内容の正確性については違いがございますけれども、要するに実費という面においては違いが出てきておらないというようなことから、我々としては、これは政令で決めるわけではございますけれども、現段階においては同額とすべきもの、それが合理的であるというふうに考えておるところでございます。
#192
○木島委員 そこが私はどうしても納得できないのですよ。法十七条の地図、これは非常に精度の高いことが作製の段階から担保されている図面ですよ。これについて閲覧するのに今、後から経過についてはお聞きしますが、本年一月一日から四百円に値上げをされました。そこまでは精度も高くない、今まで無料だったそういういわゆる公図を同額徴収するというのは、いかに何でもちょっと行き過ぎじゃないか。今まで七十円で事実上コピーとれていたのですよ。見るのは無料。それを精度が要求されている法十七条の地図と同じ金額を取るというのは、これはいささか行き過ぎじゃないかと思うのですが、それは法務省の考えですか、それとも大蔵省がそこまで値上げせいという要求をされているのですか。
#193
○清水(湛)政府委員 手数料は、いわゆる登記特別会計の特定財源として、その収入は法務局が使える金、こういうことになるわけでございまして、主体的には法務省が考える問題だ、こういうふうに思うわけでございます。
 委員御指摘のように、精度が低いから安くてもいいんじゃないか、精度が高いものは高く、こういう考え方もあるかもしれませんけれども、実費を勘案していただくということになりますと、これは逆に言うと、いわゆる公図の方の維持管理の方が具体的には経費としては高くかかるというような問題も現実にはあるところもあるわけでございまして、そういうような手数料という、税金であれば負担能力に応じてということが出てくるかもしれませんけれども、実費、手数料、それに要する費用というものを勘案して手数料を決めるという制度の趣旨からいたしますと、むしろこれは同額にしない方が不自然ではないか、こういう考え方に私どもは立つわけでございます。
#194
○木島委員 古くなった公図を整備する、そして国民のサービスのために閲覧に供する、そういうのに金がかかる、だから法十七条の地図と同じ金額を徴収してもいいではないかというお考えが披露されましたけれども、昨年四月七日の参議院法務委員会の議事録の中に、清水民事局長の答弁としてこういうのがあるのですね。登記特別会計のことについて答弁しているのですが、いわゆる甲号事務、登記審査事務については一般会計からの繰り入れ経費で賄う、乙号事務、いわゆる謄抄本交付事務、こういのは乙号手数料で賄う、こういう答弁をしていて、それに続いて「地図に関する経費等につきましては一般会計からの繰り入れ経費で賄う、こういうことになるわけでございます。」そういう議事録があるのですが、そういう御答弁をされた記憶があるでしょうか。あるいは一実際そうなんでしょうか。甲号事務の経費は一般財源から繰り入れ、乙号事務の費用は手数料で国民からいただく、地図に関する経費については一般会計からの金でやるんだ、そういう登記特別会計の大まかな基本原則なんでしょうか。そして、それを答弁されたのでしょうか。
#195
○清水(湛)政府委員 答えた趣旨は、要するに地図を法務局がみずからつくるということを実は念頭に置いて答えたものでございますが、地図をつくるという面における経費というのは、これは一般会計の方からの経費で考えなければならない。ただ、登記所が持っている図面を閲覧に供したり写しを渡す、例えば登記簿の写しを渡す、あるいは登記簿を閲覧に供するという面で見ますと、この地図の閲覧はいわゆる乙号事務でございまして、そういうものは手数料で賄う、こういうことになるわけでございます。そういう意味での区分けを申し上げたつもりでございます、やや不正確な表現だったかもしれませんが。
#196
○木島委員 法務省があるいは政府が当然やらなければならぬ法十七条の地図の作製という責務を長い間怠り、やむなく精度が低い、精度が悪い公図を十七条地図に準じて今まで事実上国民にサービスを提供していたわけでしょう。そうすると、地図に関する費用、地図を作製する費用は基本的には一般会計からの繰り入れの金で賄うんだという理屈だとすれば、それは本来やるべきだったのをやらずに放置しておった、それをつくらないために今回こういういわゆる公図の法十七条に準ずる地図としての格上げがなされたのだから、民事局長の今までの答弁、登記特別会計の基本原理といいますか、そこから見るとお金は取れないのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#197
○清水(湛)政府委員 地図をつくる経費ということになりますと、これは大変な経費を必要とするというふうに思われるわけでございます。現に、先ほども前の議員の方に国土庁の方がお答えになっておりますが、国土調査法による地籍調査事業、毎年八十億から九十億のお金がつぎ込まれております。これはもちろん一般会計の予算が使われておるということでございまして、そういうふうにつくられたものが登記所に送られてきて法十七条の地図として活用される、こういうことになっておるわけでございます。
 私どもがもし地図をつくるとすれば、当然これは一般会計に負担していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、現実にやっておりますのは非常にごくわずかな、一平方キロにも満たない面積のところを毎年一カ所ないし二カ所をやっておるという程度のものでございまして、金額的にも二千万程度のものでございます。
 将来の問題としてこの地図づくりをどうやっていくか、国調の地籍図が都市及び都市周辺部に順調に入ってくるということであれば問題はございませんけれども、そうでないということになりますと、法務局みずから相当額の予算を要求して手をつけなければならない時期もまた来るかもしれない。これは現在既にそういう状況になりつつあるということを申し上げているわけではございませんけれども、一つの理想的な考え方としてそういう考え方を私どもは抱いておる、こういう状況に今現在はあるわけでございます。
#198
○木島委員 実は、登記のコンピューター化の法律が法務委員会で審議される、同時に大蔵委員会では登記特別会計の設置に関する法律が審議されるということが昭和六十年にあったわけです。そのとき、昭和六十年四月十九日の衆議院大蔵委員会の登記特別会計法案に対する附帯決議の第二項に、「特別会計への移行に当たっては、登記所における事務処理の現状にかんがみ、受益者負担が過大にならないように配慮しつつ、その迅速、適正な事務処理体制の整備・充実を図るよう努めるこ
と。」とあるのですね。やはり過大な負担を与えてはいかぬ。しかも、これは精度が非常に悪い、今まで無料だった、そういう公図を、法律で位置づけたからといってすぐ四百円の閲覧手数料を取るなんというのは、この衆議院大蔵委員会での昭和六十年四月十九日の附帯決議の趣旨からいってもちょっと許されないんじゃないかと私は思いますので、これから金額を具体的に決めるのでしょうから、ひとつそれを十分配慮して考えていただきたいと思います。
 続いて、なぜ法十七条地図の整備が遅々として進まないのかについてお尋ねします。
 私は、基本的には政府が人と金を出さないからだと思うわけです。法務省はほとんど手をつけないで、国土庁所管の国土調査と農水省所管の土地改良とか建設省所管の区画整理、それに全面的に依存して、そこでつくられた図面を、成果を受け取って、それを十七条地図にしているだけなんですね。
 国土庁、国土調査の予算はどんな状況になっているか、昭和五十七年、登記特別会計ができた昭和六十年、それから平成元年、平成五年度、そのぐらい言っていただけますか。
#199
○段本説明員 お答えいたします。
 地籍調査関係の予算につきましては、昭和五十七年に国費で約九十億の予算がつきましたが、それをピークに、その後国の方の歳出抑制というふうな影響をもろに受けまして、昭和六十年では八十一億、一番低い昭和六十三年で七十三億まで落ちたわけでございますが、その後、今先生おっしゃったように地籍調査の重要性、特に都市部地域での地籍調査の促進をやらなければいかぬ、土地情報としての整備をしなければいけないというふうな点が認められまして、平成四年度、平成五年度では公共事業を上回る伸びの予算をいただきまして、平成五年度現在八十五億二千八百万ということになっております。
#200
○木島委員 続いて法務省に。
 登記特別会計に一般会計から繰り入れられた額、これで本来地図なんかもしっかりしなければいかぬということをさっきおっしゃられたので、登記特別会計がつくられた翌年の昭和六十一年、それから昭和六十三年、平成五年度、どんな数字なのか、答弁願います。
#201
○清水(湛)政府委員 一般会計からの繰入額でございますけれども、昭和六十年度が三百七億三千百万でございます。六十一年が五百七億六千七百万、六十三年が五百六十六億八百万、それから平成元年度が五百八十億一千四百万、こういうことになっております。
#202
○木島委員 今の昭和六十年度の三百七億というのは、実は一年じゃないんですよね。登記特別会計が途中からつくられたから、だからこれは全然参考にならぬ資料で、昭和六十一年の五百七億、それに対して平成五年六百八十六億……
#203
○清水(湛)政府委員 失礼いたしました、平成五年度を申し落としました。平成五年度の予算でございますけれども、これは六百八十六億七百万、こういうことになっております。
#204
○木島委員 伸び率は余り高くないです。
 では続いて、それに対して登記特別会計の登記手数料収入がどんな推移なのか、登記特別会計ができた翌年の昭和六十一年、それと平成三年、二つだけ言ってください。
#205
○清水(湛)政府委員 昭和六十一年の登記手数料収入が三百七十一億九百万でございます。平成三年度が六百四十億三千八百万、こういうことになっているわけでございます。
#206
○木島委員 登記特別会計の一般会計からの繰り入れの伸びがほとんど伸びていないのに対して、登記手数料収入が非常に、倍近く伸びている。これはなぜかといったら、手数料が値上げされたからなんです。昭和五十四年の閲覧手数料は百円。昭和六十年、登記特別会計ができて二百円になりました。それが、平成二年に三百円になり、平成五年一月から四百円になる。私どもは、コンピューター化が行われて登記特別会計が導入されたときに反対しました。それは、値上げされるからだ、値上げが非常に激しくなるからだ。それが露骨に出ているわけですね。
 法十七条地図の整備がなかなか進まないのは、先ほど指摘したとおり国費が投下されないからであります。国費を投下しないで、十七条地図の整備がなかなか進まないのを放置しておいて、片や登記手数料をどんどん値上げして、国民の負担がふえている。今回それに加えて、今まで無料だったものを、法律で位置づけて四百円の閲覧手数料を取る。まさに国民から金を吸い上げるためにのみこういう法改正が行われたと言わざるを得ないわけです。重ねて私は、精度の高い、それが作製のときから担保されている法十七条地図と同じ金額を徴収することだけはやめてもらいたいとお願いをしておきます。
 時間がありませんから、一つだけ、次の質問。
 登記制度に課せられた二つ目の問題は、権利変動を実体に合わせなければいかぬ。しかし、日本の法制は、登記所は形式審査主義です、実質審査主義じゃないのですね。そうすると、本当に実体に符合した登記手続が行われるにはだれかが責任を持たなければいかぬ。その責任を持っているのは、職能団体である司法書士であり、土地家屋調査士だと私は思うのですね。それだけ重要な役割を職能団体の皆さんは果たしている。私は、それにふさわしい権限と責任と地位を与えることが形式審査主義である日本の不動産登記制度から見ても求められるのではないかと思うわけですが、これに対する法務省の意見をお伺いして、質問を終わります。
#207
○清水(湛)政府委員 ちょっと最初に、登記手数料収入が伸びてきたというのは確かに値上げが原因でございますけれども、この伸びの額というのは、これまた同時にコンピューター化の展開経費とほとんど一致しておる。つまり、値上げによる収入というのは、コンピューター化の展開によってコンピューター化経費が毎年膨れてきておりますので、それに対応する関係のものであるということを御理解いただきたいと思います。
 それから、登記の真正確保ということのために、不動産登記手続の中で、例えば登記済証の制度だとか、あるいは印鑑証明書の添付を義務づけるとか、あるいは住所証明書の添付を義務づけるとか、さらには共同申請という形、登記によって利益を受ける者、不利益を受ける者の共同の任意の申請によるという形によって登記の真正を確保しようとしていることは御存じのことだと思います。ただ、そういう手続を的確に履践するということのためには、そういう手続の専門家である司法書士なり土地家屋調査士という専門家集団というのが非常に重要な意味を持っておるというふうに私どもは考えているわけでございます。
 どんな立派な手続法をつくりましても、それを運用する人たちが十分にそれを理解して運用してくれないということになりますと絵にかいたもちになるということは、間違いないわけでございます。そういう意味で、司法書士あるいは土地家屋調査士制度の充実強化、そういう人たちがきちんとした仕事をして国民の期待と信頼にこたえるというような形に持っていくということが非常に大事なことだというふうに考えているわけでございまして、日ごろからそういう面での努力も怠りなく続けてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#208
○木島委員 終わります。
#209
○浜野委員長 中野寛成君。
#210
○中野委員 この法案を審議しながら、自分自身の過去を懐かしく思い出しておりました。学校を卒業してからしばらく税理士兼司法書士の事務所に勤めたことがあるものですから、現場の事務の煩雑さや苦労、そういうものを実は思い起こしておりました。
 今もちょうど指摘がありましたけれども、このような登記制度というのは国民生活に極めて重要な意味を持つわけでありますし、名実ともに充実させていかなければならない、こう思うのであります。そういう意味では、それを担う専門家を積極的に養成していく、そしてまたその職能団体を
積極的に育てていく、そのことによってこの制度の充実と運用の充実というものが図られていくのだ、こう思うのでありまして、やらせてやっているという感じではいかぬと思うのです。これからも積極的にそういう態度で法務省が臨んでいただきたいということを冒頭に御要望申し上げておきたいと思います。このことについては先ほど来同僚議員がるる指摘をしておりますので、重ねては申し上げません。
 さて、まず現場で一番悩む問題について、通告した質問から若干ずれるかもしれませんが、具体的な内容ですのでお答えいただけるかと思います。
 コンピューター化に関して、登記済証に暗証コード、聞くところによりますと四けたの数字をアトランダムに並べるとかいうことのようでありますが、そういうものを記載する方針を法務省として検討しておられるということでありますけれども、これはどういう目的でございますか。
   〔委員長退席、田辺(広)委員長代理着席〕
#211
○清水(湛)政府委員 現在、登記済証を作成するということにつきましては、登記原因証書、これは申請書副本であることもあるわけでございますが、それに、申請書受付年月日、受付番号、登記済の旨等を記載の上、登記所印を押捺するという形で行っております。これ自体については従来のやり方でございますから、全く問題はございません。
 しかし、登記事務のコンピューター化庁がどんどん広がってきておりまして、そういうコンピューター化庁については、せっかくコンピューター化をしながら従来スタイルのような登記済証をつくるというのはむだではないか。そういうことから、これらの事項を記載した書面をコンピューターの端末を用いて作成して、これを申請人の方で出した登記原因証書と合綴して登記済証を作成することにしたらどうか、こういうことで今研究を開始しているわけでございます。その際、コンピューターにより作成する書面には、偽造を防止するという意味で、法務省の地紋入りの用紙を用いると
 いうようなことで、いろいろなことを考えているわけでございます。
 その一つの方法として出てきた意見の中で、登記済証の偽造を防止するという観点から、登記済証ごとに暗証番号を入れる。登記済証というのは、その次に登記を申請する際に必ず登記所に出さなければならないものですから、もしそれが出てきて、暗証番号が一致すれば、これは間違いない登記済証である、申請人に人違いはないということがチェックできる、こういうことになるわけでございます。
 しかしながら、そういうことになりますと現実には、登記申請の手続を代理している司法書士さんの方から見ますと、一見、間違いない登記済証だ、権利証だというふうに見えても、暗証番号まで確認しないと本物であるかどうか安心できない。そうなってきますと、暗証番号について登記所に照会する、いや登記所の方では忙しいから
 一々そんな照会には応じられない、というようなことになってきますと、お互いに疑心暗鬼が生じてかえって不安になってくるのではないか。こういうような問題点の指摘が司法書士会の方からございました。
 まことにもっともな御心配であるというふうに私どもは思うわけでございまして、何かそういうものを解消するいい方法でもあれば偽造防止という点では非常に威力を発揮する制度ですけれども、偽造というのは本当に何万件のうちの何件という程度のものでございますから、そのためにそれだけの苦労をしなければならないということも余り合理的ではないというようなこともございまして、これは司法書士会の皆様方の意見も十分に聞いて、実務に支障がないように、場合によってはそこまで、暗証番号というようなことまでは考えないというようなことでもいいのではないかというような議論が内部でされているわけでございます。
 まだ結論が出たわけではございませんが、司法書士会側の要望はまことにごもっともという点が多々ありますので、十分にそれを参考にさせていただいて結論を出して、お互いにいいものをつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
#212
○中野委員 今局長お答えのように、お客さんもそういう数字が入っていれば、これは何の数字ですか、いや実はこれこれなんですよ、偽造防止ですよ、それじゃ前もって確認してくださいよ。これはお客さんの心理としては言いたくなりますよね。ですから、やるとすればこれは事前照会に応ずるというシステムをつくらないと現場がますます混乱をするということだろうと思います。十分司法書士会とも御協議のようでございますから、このことについてはぜひ局長御答弁のように、十分現場が混乱しない方策を講じていただきたい。やるとすれば事前照会にも応ずるという体制をやはり整えるということが必要だろうと思いますので。
 法務省としてはぜひやりたいのですか、それとも意見を聞いて全く白紙でそれ次第なんですか、どうなんですか。
#213
○清水(湛)政府委員 偽造の件数、割合等を考えますと、まあそこまでやらなくてもいいのではないかなというような議論もございまして、ぜひやりたいということではないわけでございます。しかし、せっかくコンピューターでそういうものができるものですからやりたいなというふうにコンピューター関係の専門家は言うわけでありますけれども、しかしそこまで何も頑張ることもあるまいということで、どうしてもやらなければならないというような考えは今のところはないと言って差し支えないと思います。
#214
○中野委員 そこで、せっかくコンピューター化しているわけなんですよね。それから、国民生活の利便に供する、こういうことなんですが、ならば登記情報も登記所以外の場所でも取り出せないかという声が出てくる。例えば、コンピューターの端末を備えたところではどこでも自由に簡単に、しかも迅速に利用できるような手だてを講じることはできないだろうか。これは即座にはできないかもしれませんが、将来展望としてはそういう要請は強くなってくるだろう、こう思うのです。今出ました偽造防止であるとかプライバシー保護の問題であるとかいろいろな問題が出てまいりますが、せっかくコンピューター化したとなるといろいろな要望がそれに加わって出てくる。
 そこで、そういうものを長期的な課題として検討する必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。また、せめて謄本、抄本の交付や公図等の閲覧謄写など登記官の慎重な判断を伴うようなものは別にいたしまして、もっと単純な登記情報の公開については、登記所以外の国の機関とか自治体の窓口とかを利用したりファクス等を利用するなどの措置を講ずるというふうなこともこれからは要望が大きくなってくるのではないか、こう思うのでありまして、コンピューターの利用に伴う新たな要望にどうこたえるか、この検討についてはいかがですか。
#215
○清水(湛)政府委員 現在のところは、正直申しまして現在の登記所をコンピューター化するということで本当に精いっぱいという状況でございます。ことしの三月末で全国の登記所六十庁がコンピューター化されておりますし、本年度末、来年の三月末には九十庁ぐらいになるのではないか。全国の登記所の登記事務量の十数%、二〇%近くはコンピューターによって処理されるということになるのだろうと思うわけでございます。さらに平成十年あるいは十一年あたりになりますと、登記事務量の六〇%ぐらいはコンピューターによって処理されるというようなことを我々は期待して今具体的な計画を練り上げているわけでございます。
 そういう状況でございますけれども、将来的に、コンピューター化がある程度完成をしてくるという時期になりますと、御指摘のようにせっかくのコンピューターをもっと、まさにコンピューターの利便というかそういうものを積極的に活用するということを考えなければならないと思います。
例えば端末装置をもっと多数のところに置く。どこに置くかという問題もございますけれども、そういう端末装置を置いて、そこから例えば登記事項証明はとれる。今の謄抄本に相当するものではございますけれども、そういうものもとれるというようなことにいたしたいというようなことも考えているわけでございます。
 もちろん、この点については先生も御指摘になりましたけれども、データの不正入手、端末を利用して勝手に登記簿を書きかえるような入力をされては困るというような問題だとか、あるいは不正な利用をされては困るとか、あるいは端末を余り置きますと中央の処理装置の負荷が大きくなるというような問題、これはしかしコンピューターの性能が大変高まっておりますのでそれほど大きな問題にはならないと思いますけれども、今後そういったような問題も考えていかなければならない。今直ちにというわけにはまいりませんけれども、私どものコンピューター化の中の一つの視野の中に十分に入っておるということだけは申し上げていいのではないかと思います。
 それから、謄抄本のファクスの利用なんかももっと積極的に考えるべきではないか。例えば、登記所の数を今のように多く置かなくても、ファクスなんかをもっと利用できるようになれば、そういう形で住民に対するサービスというか利便をもっと手厚くすることができるようになるのではないかというような問題も指摘されているわけでございまして、ファクスをどういうふうに利用することができるかというような問題も研究、検討を、一部ではあるけれどもいろいろな形でしているわけでございます。
 ただ、このファクスなんかにつきましては、登記簿の謄抄本なり登記事項を送りましても、ではそれをそのままほかの官庁に提出する書類の一部としてこれは登記簿謄本ですという形で出せるかどうか、それだけファクスで受信したデータが信頼されるかどうか、途中で改ざんされているのではないかとかというような心配もまだ現在の問題としてはあるわけでございまして、この辺が将来いろいろな機械の改良等によってどの程度までよくなっていくかというような問題もございます。
 いずれにいたしましても、コンピューター化を契機として近代的な機器の能力を住民に対する行政サービスのためにフルに活用したい、そういう点で私どもは臨んでおるということだけは御理解いただきたいと思います。
#216
○中野委員 どうか時代に乗りおくれないようにといいますか、先取りして、せっかくあるもの、しかもコンピューター化したのですから、それをフルに活用するということを考えることがコストの上でも効率の上でも大切だろうと思いますので、積極的に御検討いただきたいと思います。
 さて、コンピューターの話をしているときに、不動産登記法を読みますと、何回も指摘されていると思いますが、片仮名まじりの何とも古いものでございまして、法務省の建物もたしか新しくなったはずだが中身は一つも新しくならぬ、こういう感じがするのですね。何か古い片仮名書きの文章を見ると、法務省らしいなという感じがしないでもない。法務省というのは何かそういう権威主義的なところがあるのかなと思ってみたりもするのであります。
 そこで、利用者の利便に十分配慮するという指摘があるんだけれども、やはり法律もわかりやすい方がいいですね。そういう意味で二つのことが必要ですね。
 一つは、不動産登記法を含めて、商法とか刑法とか民事訴訟法などいまだに片仮名まじりの難解な漢字を使ったものはいつときも早くやはり新しくしていくということが必要でしょうね。
 それからもう一つ、今この審議しているものでいえば、現在の不動産の登記簿の謄本及び抄本、これはいずれも縦書きですな。それから、「金銭其他ノ物ノ数量、年月日及ヒ番号」は漢字の「壱弐参拾」、これを用いるべきものとされているのですね。どうもこういうのを見ると、せめて横書きにして、アラビア数字でいいということにしたらどうだろうか。
 あわせまして、何か官庁のペーパーは統一するんだそうですね、大きさを。A4の横書きにするとか。これなんかは、実に煩雑なようですが、やはりコンピューター化した場合にはこれらのことなんかも整えないと何か矛盾がやたら出てくると思いますが、いっそのこと、我々に何回も附帯決議させないで、抜本改正やっちゃったらどうですかね。見通しどうですか。
#217
○清水(湛)政府委員 法務省の法律が大変古臭いというのは全く御指摘のとおりでございまして、私どもは、現在、民法の口語化についてはもう既に二年間をかけて作業を継続して、かなり立派な報告が最近のうちにいただけるものと思っております。民事訴訟法については、これはある程度口語化の前提作業を終えまして、今度は中身について継続的に審議しているわけでございますが、平成七年には民事訴訟法は、本当にわかりやすい、口語化したものに全部改めたい、こういうように思っております。
 会社法あるいは商法につきましては、ことしの一月から口語化の研究会を発足させまして、これは東大名誉教授の鴻教授を座長としてこの研究グループを発足させております。それから、不動産登記法につきましても、そういうものとの関連におきまして研究会を発足させまして、現在口語化の問題点を研究いたしております。
 そういう意味で、できるだけ早い時期に口語化法を、口語化と同時にわかりやすい法律にしたいということで、現在作業を進めております。
 しかし、そういう状況に達するまでの間でございますけれども、例えば現在不動産登記法では、金銭の文字等についてはいわゆる多画文字を使え、もちろん縦書きでございますけれども、漢字の難しい壱、弐、参でなければならぬ、こういうことになっております。これは、一、二、三という漢数字を使いますと、一の上にちょっと棒を一本加えますと二になってしまう、二の真ん中にちょっと一本人れますと三になってしまう。例えば抵当権の債権額が、百万円がすぐ三百万円になってしまう。
 登記簿というのは原本を一般の閲覧に供しますので、閲覧のさなかにボールペンなんかで書き入れるケースが間々あるわけでございますが、そういうものを防止するという意味におきましてもこういう多画文字を使わなきゃならぬし、それから申請書の段階でもそういうものを使っていただきませんと、一体百万円なのか三百万円なのかわからないというような問題が生じますので、そういう文字を使うことを、これはむしろ強制をしているわけでございます。
 そういうようなことでございますけれども、登記事務をコンピューター化するところではそういう字はなかなか使えないということでございまして、コンピューター化庁ではわざわざ不動産登記法に規定を置きましてアラビア数字によって作成することを認めておりますので、いずれコンピューター化の進展とともにアラビア数字の点は期待におこたえすることができるのではないかと思います。
 それから、現在の登記簿はB4判二つ折りという用紙が使用されておりまして、官庁文書一般にA4判とすることになったわけでございますけれども、これは、登記簿につきましては横書きということが非常に無理ですし、縦書きで当面はいかざるを得ない。私どもの概算するところによりますと、登記所に備えられております登記用紙、登記簿でございますけれども、約八億枚ございまして、これをB4のものをA4に書きかえて、さらに横書きにするということは物理的にほとんど不可能な状況に近いと言っていいと思います。コンピューター化すればそういう問題も解決することになると思いますので、そういうことでやるしかないのではないか。
 ただ、今までのコンピューター化もB4判を前提にしたコンピューターシステムを考えておりました。これは現に運用しておるわけでありますけれども、これをA4判化するということになりま
すとまたシステムの変更を加える必要がある。そういうところにかなりの研究投資額を投ずる必要があるのではないかという問題もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、時代おくれの最たる例として不動産登記制度が挙げられるということは非常に残念でございますけれども、同時に、権利関係を間違いなくするためにはやはりうるさく、難しく手続をつくらなきゃならないという面もまたあるわけでございまして、その辺は御理解をいただきたいと思います。
#218
○中野委員 行政の効率化というのは、正確でそして間違いがなくて、安全でしかも簡便であるということが望まれるわけで、簡単であることが正確を期すことの要素になったりするわけですから、そういう意味で、ひとつまず頭の切りかえから始めてやっていただきたいな、こう思います。
 それから、時間がないので、入管局長見えているのですが、私の質問に対してだったら、ちょっときょう北方領土までいけそうにないので、失礼いたします。
 国土庁にお越しいただいているのでお尋ねしたいと思いますが、せっかく今土地家屋についての登記の話をしているのですが、公示地価は国土庁、固定資産税評価額は自治体、路線価は大蔵省国税局、実勢価格は別にある、一物四価とよく言われるわけでありますけれども、ことしからは公示地価を基準に固定資産税評価額とか路線価が決められていく、こうなるわけですね。
 この法十七条地図をだんだん、といってもあと何十年かかるのかわかりませんが、この整備も含めまして、やはり日本の地価対策、土地対策を講ずるためにはできるだけ一本化していく、整えていく。法務省も国土庁も自治体も大蔵省も言うならば協力し合って、よりわかりやすく統一化を図っていくということが大事だと思うんですね。そういうことについての協力関係というものをどう考えているのかということを調整役官庁としての国土庁にまとめて、各省庁に来ていただいて聞いている暇ありませんので、国土庁としての見解を聞いておきたいな、こう思うわけであります。
 それからもう一つは、法務大臣に北方領土の問題で。
 ソビエトはなかなか態度がかたくて遅々として進みませんけれども、自治省の関係では、数年前にこの北方領土について、それぞれの自治体の範囲の中に加えたり、また地方交付税の計算の対象に入れたりいろいろ工夫をしてきているのでありますが、この不動産登記についても、返ってきたときのこと、もしくは本当は日本国有の領土だという前提に立ちますと、やはりこれは整備をしておく、そういう姿勢が必要だろう、こう思うんですね。これらのことについてどうお考えか。
 時間がなくなったのでまとめてお聞きをして大変恐縮ですが、二つお答えいただきたいと思います。
#219
○藤田説明員 公的土地評価の均衡化、適正化という御指摘でございますけれども、先生御承知のように、公的土地評価につきましては各制度の趣旨などを踏まえて、平成元年に制定されました土地基本法十六条では相互の均衡と適正化を図るようにするということで、平成三年一月の総合土地政策推進要綱において、この考え方に基づきまして、課税評価につきましては地価公示価格の一定割合を目標として均衡化、適正化を推進することにされているところでございます。
 具体的に申し上げますと、相続税の評価でございますが、平成四年分の評価から、評価時点を地価公示価格の評価時点、一月一日に合わせますとともに、地価公示価格の八割程度で評価が行われたというところでございますし、また固定資産税評価につきましては、平成六年度の評価がえから地価公示価格の七割程度を目標とするということで、評価の均衡化、適正化を今後とも一層充実してまいりたいと思っておるところでございます。
 なお、国民への情報提供等につきましては、やはり制度の趣旨それぞれございますので、例えば地価公示価格につきましては官報へ公示をいたしまして、また閲覧のために市町村の役場等に備えるというふうな形で、制度の趣旨に従いまして国民への情報提供に努めてまいりたいというふうに考えております。
#220
○後藤田国務大臣 北方四島の問題については、これは日本の固有の領土でございますから、当時の旧島民の不動産関係の所有権その他は当然そのまま、消滅しているわけではありませんから、登記簿等はたしか釧路法務局の根室支局で保管をしておるはずでございます。そして、それに基づいて閲覧とかあるいはまた必要な証明とかは発行しておる、かように私は承知をしておりますが、何しろソ連が過去半世紀近く占領しておりまして、ソ連人の権利関係というものはまた別にできておりますので、実際問題としては、私どもとしては、北方領土問題の交渉がどうなるかということを見詰めながら、関係省庁と協議をして、そして検討を進めておる段階である。いずれにしても、領土交渉の成り行きを私どもとしては注目をしておる、こういうことでございます。
   〔田辺(広)委員長代理退席、委員長着席〕
#221
○中野委員 終わりますが、民事局長、御答弁の予定あったのかもしれませんが、いずれにいたしましても、国土庁、法務省等々連携をしながら、せっかくのこの登記制度、それから日本の土地対策、地価問題等を、できるだけお互いに情報を交換しながら、また統一のシステムをつくりながらやっていくことによって、全体が管理しやすくなり、そしてまた土地対策もそれだけ充実をしたものになっていく。あらゆるシステムを有機的に結合させて活用していくということに御努力をいただきたい、こう思いますし、今法務大臣からお答えがありましたけれども、返還されるときの混乱を防ぐためにも、そしてまた、御答弁の中にありましたように、新しいロシアはロシアとしての権利関係が生まれていると思いますので、その調整も図っていかなければなりません。我が国の主張は主張として述べつつ、しかし返還されたときの混乱を最小限度に食いとめるためにも、常に研究を進めていただきたい。
 御要望を申し上げて、終わります。
#222
○浜野委員長 星野行男君。
#223
○星野委員 私は、今回の不動産登記法の改正案は、現段階における改正案としてはおおむね妥当な内容である、そう評価をいたしたいと思います。特に、数個の建物が合体して一個の建物になった場合の、合体前の建物に設定されておりました抵当権等の登記の扱いを明確にしたことや、あるいは登記申請の代理権が本人の死亡等の事由が発生しても消滅しないこととされたこと、さらに、登記済証を紛失または滅失した場合の保証書による申請について、当該申請に係る不動産所在地の登記所以外の登記所で登記を受けた人も、登記簿謄本を添付することなどによりまして保証人になれるとしたことなどは、大変よかったのではないかと思います。とりわけ、不動産取引が広域化して、知り合いのない地域で保証人を見つけるのに大変苦労している現状から、申請に係る不動産所在地以外の登記所で登記を受けた人も保証人になれることは、当該当事者にとってはまさに福音である、そう思うわけであります。
 ただ、問題は、以前から改善が求められておりました保証書制度について、何も基本的には変わっていない、登記の真正を確保する上で依然として問題を残していると言わざるを得ないのでありまして、残念ながらこれはいわば画竜点睛を欠くうらみを残した、そんなふうに申し上げざるを得ないと思うのであります。
 そこで、まず保証書制度について二、三点御質問を申し上げてみたいと思います。
 昭和六十二年から平成三年までの五カ年間における土地家屋関係の詐欺事件について、各年別の検挙件数とその合計件数をお示しいただきたいと思います。
#224
○清水(湛)政府委員 これは警察庁の統計でございますけれども、昭和六十二年には……
#225
○星野委員 時間がありませんので、私から申し上げます。
 これは警察庁の犯罪統計調書の抜粋であります
が、これによりますと、昭和六十二年、土地の関係の詐欺事件でございますが、いずれも検挙件数、六十二年が七百二十六件、六十三年が一千三十件、平成元年が千四百七十件、平成二年が七百三十八件、平成三年が四百四十九件、合計四千四百十三件、土地関係の詐欺事件が検挙されているということであります。それから、家屋の関係では、同じく検挙件数でありますが、昭和六十二年に六十六件、六十三年に五十六件、平成元年には三十五件、平成二年には四十件、平成三年には四十五件ということで、五カ年間の合計検挙件数が二百四十二件でございまして、単純にこの土地関係の詐欺事件、家屋関係の詐欺事件、五カ年間の検挙件数を合計いたしますと、四千六百五十五件に上っているわけであります。
 そこで、恐らくこのような土地家屋の関係の詐欺事件は、中には登記済証の偽造というのもあるかと思いますけれども、大方は保証書による申請の場合が多いのではないか、そんなふうに思うわけでございますが、この点について、清水局長さん、何かコメントをいただけますか。
#226
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 不動産取引に係る不正事件につきましては、御指摘のように登記済証の偽造とか、あるいは真実に反する保証書の利用等の事例が考えられます。
 登記所の窓口において不正事件が発覚するという事例は、必ずしも全体の中で多くはございませんけれども、時に登記済証の偽造を登記官が書類審査の過程の中で発見するというようなこともかなりの数あると言っていいと思います。それから、保証書についても同じように、所有権に関する登記については事前通知という制度があるわけでございますけれども、事前通知を出したところ、その者がそういう登記の申請をした覚えはないというようなことを申し出る例があるわけでございまして、保証書制度を悪用したような不動産犯罪というものも相当数あるのではないか。ただしかし、私どもとしてはこの数はちょっと把握できない、こういう状況でございます。
#227
○星野委員 このような悪らつなやからによる不動産関係の詐欺事件が大変多いということは、それによって善良な権利者が権利の侵害を受けている、こういうことになるわけでありまして、これはやはり深刻に受けとめるべきであろう、そう思うわけであります。
 今さら申し上げるまでもなく、不動産登記は、不動産に対する権利の第三者対抗要件といたしまして個人の財産保護に極めて重要な役割を果たしているものでありまして、いわば憲法第二十九条の私有財産権保障の裏打ちをしている、こう申し上げてよろしかろうと思うわけでありますが、このようなことを考えてみますと、前から言われております登記の真正を確保するという意味について、この保証書制度の抜本的な見直し、改善が必要であろう、そう思うわけでありますが、何か当局におかれまして、この点、現在検討しておることがありましたらお伺いをいたしたいと思います。
#228
○清水(湛)政府委員 この保証書制度は、登記の真正を確保する一つの手段でございまして、いわゆる権利証にかわるものでございます。
 登記の真正の確保という点からいきますと、先ほど来申し上げておりますように、まず本人の申請意思を間違いなく確認するということが大前提でございます。本人であると称する者の依頼を受けて登記の申請代理人になったけれども、実は本人でなかったというケースもかなりあるわけでございまして、そういう意味での本人意思の確認ということが非常に大事でございます。それについて、この登記権利証が偽造されるとか、あるいは印鑑証明書が偽造されるということになりますと、非常に問題であるという認識を持っているわけでございます。
 ただしかし、今の保証制度を前提としてこの制度を考える限り、やはり登記義務者をよく知っている人に保証人になってもらうというのが基本的な目的であろう。よく知っている人というのはだれかというと、それはやはり親族ということもあるし、友人ということもあろうかと思いますけれども、あるいは日ごろからおつき合いをしている司法書士さん、あるいはその関係者ということも考えられるわけでございます。そういう状況の中で、例えば一定のグループの者に保証人となり得る者の資格を限定するというようなことも理論的な問題としては考えられるわけでございますけれども、それを例えば司法書士だけに限定するあるいは司法書士の関係者に限定するということになりますと、やや問題かなということで、その辺についてはちょっとはっきりした結論は出しにくいという状況でございます。
 今回の改正案は、とにかく登記義務者をよく知っている人を幅広く選べるようにして保証書の信用性を高めようということでこのような改正案になったわけでございます。
#229
○星野委員 今回の改正案の趣旨はよく承知をいたしております。しかし、いずれにしてもいろいろな手は尽くしているはずでありますけれども、このような不動産関係の詐欺事件が多発をしておる、しかもそのほとんどがやはり保証書絡みである、こう私は思うわけであります。
 そういう点から見ると、提案でありますけれども、この登記の真正を確保するという意味で今局長さんからのお話もありましたが、保証人資格を司法書士に限定する、そして司法書士さんから、必ず本人、人違いでないことを確認し、さらに登記意思の確認もしていただくというようなことにするより仕方がないのではないか。司法書士さんも全部知っているわけじゃありませんから、例えば町内会長さんとか自治会長さんとか、いろいろと地域の組織があるわけでありますが、そういう方を通じて確認をするということも手だてとしてはいろいろとあろうと思いますが、ただその場合に、いずれにしても時間と費用がかかるわけでありますから、そういう点についてのいわゆる保証料、そういう経費を償うだけの保証料を認めてさしあげる、権利証がなくて登記をするわけでありますから、そういう点はやはり当事者からある程度負担をしていただく、そういう形でしっかりとやっていくより仕方がないのではないかなと思うわけでありますけれども、これは御検討をお願い申し上げたいと思います。
 実は、きょうはほかの問題についてちょっと質問時間をとらせていただきたいと思いますのでこのことはそのくらいにさせていただきまして、十分次回の改正までに御検討を賜りたい、そう思うわけでございます。
 さて次に、法務局の統廃合問題についてお伺いを申し上げてみたいと思います。
 実は、新潟県の岩船郡山北町にございます新潟地方法務局山北出張所が本年七月から村上支局に統合されると聞いておりますが、そうでありましょうか。
#230
○清水(湛)政府委員 山北出張所につきましては、これを村上支局に統合するということで、新潟地方法務局長以下関係者が関係市町村にお伺いしまして、いろいろと統合の趣旨、目的等をお話しいたしたわけでございます。非常に地域住民としては不便になるということで統合について強い抵抗があったわけでございますけれども、最終的には、やはり国の施策として行政機構の簡素合理化とか、あるいは行政サービスの適正化という観点について御理解をいただいておるというふうに私ども報告を受けているわけでございまして、今のところ、七月に統合するということで手続を進めたいというふうに考えておるところでございます。
#231
○星野委員 山北出張所の統廃合について地元の理解を得ておるということでありますが、それは局長さんのおっしゃるように法務省の御説明について協力をするという意味での理解よりも、むしろ現在の山北出張所の建物が役場の道路を挟んだすぐ前にあるわけでありまして、これを安く払い下げをしていただける、またそれを役場としては活用したい、そういうことで町長が、言うなればそういうえさと言うと語弊がありますが、利点に着目して決断をされた、こんなふうに聞いておりますが、山北出張所の平成元年から三年までの間
に受理した甲号事件、乙号事件の件数はどのくらいございましたか。
#232
○清水(湛)政府委員 山北出張所の平成元年から三年までの、一時的な国土調査事件というものがございますけれども、そういうものを除く甲号事件数の平均は約二千五百件であります。最近いろいろな事情があって大きく減少してきておりまして、平成三年はおよそ千九百件ということになっております。なお、一般申請人からの登記申請事件の平均は約千三百件ということで、しかも平成三年は千件を下回っている。ということは、逆に申しますと、地方公共団体等からの嘱託登記事件がかなり多数のものを占めておる、こういう状況であるということになるわけでございます。
#233
○星野委員 私も御質問を申し上げるからには、現地に行って調べてまいりました。元年から三年までの三年間、甲号事件の合計件数が五千三百九件、乙号事件、同様元年から三年までの三年間でありますが、合計で七万九千五百二十五件ということでございました。
 そこで、さらに、現在の山北出張所から統合される村上支局までの距離と所要時間はどのくらいございますか。
#234
○清水(湛)政府委員 山北出張所から村上支局までの距離は約四十キロメートル弱ということでございます。その所要時間は鉄道利用の場合も自動車利用の場合も同じで約六十分、こういうふうに承知をいたしております。
#235
○星野委員 いずれにしても片道約一時間、こういうことでございます。
 現在は役場のすぐ前にありまして、町民は役場で用事を足してすぐまた法務局で用事も足せる、あるいは法務局に行った際に役場にも寄れる、こういうまことに利便な位置にあるわけであります。山北町は昭和三十年に一万四千九百人あった人口が現在九千人台、こういうことで、いわゆる過疎と豪雪の町でありますが、町当局を中心に、美しい日本海の海岸線や山や川などの自然を生かした地域の活性化に真剣に取り組んでいるわけでありますが、こういう住民生活に密着をし、それこそ財産、生活を支え、経済活動を支えている法務局を廃止して、例えば登記簿謄抄本をとるとかあるいは法人の資格証明をとるというのに、片道一時間でありますから半日がかり、こういうことになるわけで、時間的、経済的な負担を住民に強いる結果になるわけで、結局これは過疎に拍車をかけるのではないか、そう危惧をいたしておるところでございます。
 したがって、この統合の理由、さらにまた廃止後の住民サービスについてどのようなことを考えているか、お聞かせをいただきたい。
#236
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 山北出張所は現在職員が二人しかいない、事件数の割からいたしましても二人分の仕事の量もないという状況でございます。そういう意味での非常に規模の小さい庁でございます。一般的に登記所は明治時代に当時の交通事情を前提として配置された、こういう小規模庁分散機構ということになっているわけでございますが、このために、人員配置とか予算の効率的な執行とか、事務の適正処理、二人だとなかなかその事務の間違いもチェックすることができないというような点で、種々の問題があるわけでございます。最近交通事情が大きく変わってきたというようなことも踏まえまして、能率的な行政サービスを提供するということからも、登記所の配置のあり方を見直して登記所の統合を推進する、こういうことになっているわけでございます。
 だからといって、一方的に登記所の整理統合をするというわけではございませんで、先生御指摘のように、登記所というのは明治以来地域の住民に愛され育てられてきたという面があることは、私ども十分承知しているわけでございます。そういうようなことから、統合については、まことに申しわけない点があるわけでございますけれども、行政サービスの向上とか機構の簡素合理化という点からぜひ御理解をいただきたいということで、地元住民の理解を得るためにかなりの努力を重ねまして、やっと理解をいただけたのではないかと私ども現在のところ考えているわけでございます。
 登記所を統合したからといって、私どもは過疎が進むとは考えておりませんが、統合後の行政サービスのあり方といたしましては、例えば郵送による謄抄本の交付申請とか、あるいは登記簿の謄本についてあらかじめ電話をいただいて予約をしておいてもらう、それに応じてこちらで謄本を交付するとか、あるいは謄抄本の交付申請書は役場の窓口に備えておいていただきまして、そちらで記入してすっとこちらの方へ郵便で送っていただくというようなことも考えられるのではないか。
 具体的な統合後の住民サービスのあり方については、十分に地元関係者と協議をいたしまして、決して統合して大変不便になったということにはならないように私どもも最大の努力をしたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
#237
○星野委員 局長さんはそうおっしゃいますけれども、実際に役所をなくせばだめなものですよ、それは私らよく経験していますが。
 例えばコンピューター化を進めていった場合、例えば市町村役場に端末をつけて謄抄本がとれるようにするというようなことも考えているという事務方の話も聞いたわけですが、そういうことはいかがですか。
#238
○清水(湛)政府委員 コンピューター化を進めてまいります場合には、相当に事務能率がアップするということはございますし、また、無制限に置くわけにはまいりませんけれども、多数の端末を配置することも可能というようなことがございます。
 そこで、逆に、登記所というかコンピューターの本体は今の登記所の数よりもっと少ないものにして、端末をふやして、地域の方々が売買等による所有権移転登記をするというよりも謄抄本をとることの方が実際問題としては多いわけでございますから、それは端末で十分に対応できるというような面もございます。先ほども中野委員から御質問ございましたけれども、コンピューター化が相当程度進展した暁には、そういうような端末を市町村に置くのかあるいは司法書士会の支部に置くのかとかいうようないろいろなこれからの問題はございますけれども、住民サービスを深めるという意味でのそういうもののあり方についても十分に研究、検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#239
○星野委員 ありがとうございます。
 コンピューター化が進んだ場合そういう対応ができるということで、それは大変結構だと思うのでありますが、ただコンピューター化が、現在千百庁余り全国で法務局がある中で六十庁余り、二年か三年後には九十庁ぐらい、こういうお答えがさっきあったわけでありますが、今回の政府あるいは自民党で検討しております景気対策、その中で新社会資本整備ということが言われておりまして、これについては情報通信基盤の整備が言われているわけでございます。私は、この法務省で進めているコンピューター化の事業はまさにそういう国民の生活に密着した情報通信のネットワーク、こう申し上げていいのではないか。そういう点から見れば、まさに今回のそういう景気対策の中に新社会資本整備として当然盛り込んでいいのではないか、そのように思いますが、局長さんにまずお聞きしましょう。法務省あるいは担当の方でそういう検討をされたことはありますか、ありませんか。
#240
○清水(湛)政府委員 もちろん私どもはそういう形で一般会計の方からコンピューター化経費が捻出できるということであれば大いに期待したいところでございますが、一方では先ほど来議論になっておりますように昭和六十年に登記特別会計法というものがつくられまして、コンピューターについては受益者負担、登記制度によって利益を受ける者の負担によってコンピューター化をするということが国の方針として法律で決められてお
ります。そういう意味で、受益者負担システムによるコンピューター化という路線を今走っておりますので、さらにプラスしてそれに一般会計からの経費をコンピューター化経費としてつぎ込んでいただけるかどうかということになりますと、相当問題であるというふうに実は考えるわけでございます。
#241
○星野委員 そういうお考えだからなかなか予算がとれないので、登記特会にもちゃんと一般会計からの繰入金を受け入れる仕組みになっているわけでありますから、遠慮なく要求をすべきである、それは法務省の省益ではなくて国民の国益である、そう考えるわけでありますが、大臣から一言お答えをいただきたいと思います。
#242
○後藤田国務大臣 具体的な事情のことは私よくわかりませんが、星野さんがおっしゃることはよくわかるのです。鈴木内閣以来これは行政調査会の勧告でやっているわけですけれども、登記所の整理統合という問題で各地から大変な、今おっしゃるようにこれは過疎化に拍車をかけるとか、それから登記所をつくるときの、あれはたしか土地は大体村が寄附しているのですよ、あるいはまたそのまま無償で貸しているとかいろいろな問題がありまして、随分私もえらい目に遭いました。だから、それだけにおっしゃることはよくわかるのですが、やはり行政の効率化というか近代化といいますか、そういうことになると、一人勤務の登記所とか二人勤務の登記所というのはこの際もう少し、これだけ交通機関があれになったんだから整理統合したらどうだという大義名分の前には、どうしてもやはり役所としては、それに対応しながら、ではできるだけ当該町村の住民の方の御満足をいただけるようにするには一体どうサービスを改善するんだ、これが一番大事なわけですね。
 だから、そういう点につきまして、今星野さんがおっしゃるように、これは今度は予算の編成がある。そういう点もよく頼みます、私もやりますけれども。だから、そういう点でよく御意見はわかりますから、しかし問題になっているところについてはひとつぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
#243
○星野委員 大臣の前向きのお答えがございましたので、これから予算獲得について私どもも微力でありますが、応援をさせていただきたいと存じます。そして、せっかくでありますから一年でも早くコンピューター化を実現して、そういう切り捨てられた過疎地についても役場なりなんなりに端末をつけてサービスができるようにしていただきたい、そう思っております。
 そこで、大臣からお話が出ましたので、便乗するようで恐縮でございますが、実は統廃合の計画にのっていると聞いております新潟県の中魚沼郡津南町の登記所、それから松代町の登記所、これは十日町を将来支局にしてこれに統合したい、こういう計画だと伺っておりますけれども、このそれぞれの建築の年次、建物の構造、建物の耐用年数、それから用地をどういうふうにして手に入れられたか、この四点についてお答えください。
#244
○清水(湛)政府委員 これは、松代出張所と津南出張所を十日町出張所に統合いたしまして、これを十日町支局という大規模な法務局の出先機関にしようということを一応考えて進めているものでございます。
 まだ話は具体的に進んではいないという状況でございますが、津南出張所につきましては、これは昭和五十八年に現在地に新営されたものでございます。この経緯は、昭和五十六年に津南町役場駐車場が狭隘であるということを解消するために新営するということにしたものでございます。それから、土地、建物はいずれも国有でございます。
 それから次に、松代出張所、これは職員数二人でございますが、庁舎は五十四年建築のものでございます。土地は松代町の町有のものを借り上げております。建物は国有、こういうことになっております。
#245
○星野委員 まさに大臣がお見通しのように、土地は町に提供させたのですよ。そして、昭和五十八年には津南の庁舎を建て、五十四年には松代の庁舎を建てている。いずれにしても十年あるいは十年ちょっとというようなことで、鉄筋コンクリートでありますから当然耐用年数は三十年、四十年、こういうことであります。そこで、恐らく役場との話し合いでは、そういう施設をつくるからには数十年はここで登記所として活動しますよ、こういう前提があったと思うわけでありますが、それが今そういう統廃合の対象になっているということについては、全く法務省当局の地元に対する不信行為、こう申し上げざるを得ないと思うわけであります。
 大変僭越でありますが、まずこの津南町というのは日本一の豪雪地帯、昭和五十六年には平均最大積雪値が四百四十五センチですよ。五十九年が四百五十八センチ。六十年が三百三十センチ。六十一年が三百五十八センチ。平成三年が、小雪でしたけれども二百三十九センチ。それから松代町は、五十六年が四百二十センチ。五十九年が四百五十五センチ。六十年が三百四十五センチというようなことで、いずれにしてもこういう豪雪地帯で住民がどのように冬の暮らしをしているかということは、全く想像を絶することですよ。しかも、松代の役場とかあるいは津南町の役場からはそう大した距離はない、十数キロ、二十キロ弱ということでありますが、最も遠い集落からは四十キロ以上もある、こういうようなところであります。
 こういうすごい豪雪地帯の住民サービスを切り捨てる、まさにこれは、絶対過疎にならぬよなんて言うけれども、そういうことはありませんよ。それは僕ら経験していることで、まさに国の施策と各省庁の努力の足を引っ張るような、あるいは地域活性化の努力の足を引くような結果になることは間違いないと思うわけであります。それが結局は国の行政に対する不信を生むことになるわけでありますから、いろいろな地域の問題ありましょうけれども、このまさにすごい豪雪地帯の法務局の統合なんかを絶対にやらないように、ひとつ再検討をお願いいたしまして、時間でありますから私の質問を終わります。よろしくお願い申し上げます。
#246
○浜野委員長 田辺広雄君。
#247
○田辺(広)委員 もう時間も最後になりましたので、ごく簡単に要点だけ絞って御質問を申し上げますので、簡単に御質問にお答えをいただきたい、と思います。ただ、申し上げますことは、本案につきましては決して異議を申し上げる立場ではございませんので、その点だけはひとつ御了承いただきたいと思います。
 まず第一に、これは素朴な質問なんですが、十七条の地図をつくってということで先般来いろいろ当委員会で御質問がありましたが、大体整備がされておりますが、三六とか四〇%とかいう状態、その間にはやはり売買もあれば贈与もあり、また相続もあるというようなことで、中身は非常に多くの変化を来しております。また、それに加えて未整備のものがたくさんあるのですね。例えば年間五十ずつ整備をされましても、あと千二百の登記所があるわけです。計算しますと、大体二十四年間かかるのじゃないか。
 私はこれを言おうというのじゃなしに、こういう現実的な立場で、今まで我々国民の財産が維持管理をされてきた、そして事件もなしにと思っておりましたら、今詐欺事件は四千五百件あるとか言われますが、それでも私どもが自分の財産を保全してまいりましたその大きなもとは、何といっても公図だと思うのです。公図につきましても大変な作業がこれから要ると思います。特に整備作業には、基本地図をつくっていろいろな地図を整理統合しながら、そしてそれを大体、大体じゃいけないかもしれませんが、納得のいくような地図にするということで、そのときに、公共嘱託登記事務の協会というのが実はありまして、それが大きな力になっておるということを聞いております。
 私は、十七条の地図もさることながら、これもどんどん進めなければいけませんが、一面において、この公図をいかに早く整備して大差のないよ
うにするかということをどうお考えかということをお伺いしたいと思います。
#248
○清水(湛)政府委員 お答えいたします。
 いわゆる土地台帳地図、公図が、十七条の地図が整備されていない地域におきましては唯一の公的な資料でございまして、本当に大事な図面でございます。そういうものについての維持管理をとにかくしっかりやっていかなければならない、こういうことで従来からかなり多額の金をつぎ込んでまいりました。
 しかし、これをやっていく上にも、法務局の職員だけでやるというのは大変難しいわけでございまして、私どもとしては、この登記制度を支えるもう一つの制度である土地家屋調査士会の皆様方の協力を今まで仰いでまいりました。今後とも、この土地家屋調査士会の会員の皆様方に公図の整備、一口に言って整備でございますけれども、その維持管理を含めまして、積極的な協力をお願いいたしたい。その具体的な受け皿といたしまして土地家屋調査士で構成する社団法人としての公共嘱託登記土地家屋調査士協会というものがあるわけでございますが、今後とも積極的にそこに委託をして、早急にその整備を図ってまいりたいというふうに考えております。幸い土地家屋調査士会の皆様方はこの点について大変理解を持っておられまして、従来も協力をしていただきましたが、今後とも積極的な協力をお願いいたしたいというふうに思っております。
#249
○田辺(広)委員 それでは、今の社団法人公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託をされる、これにはたくさん払ってみえるのですか。どのぐらいの料金というか、半分ぐらいが奉仕じゃないかなというふうに私は思うのですが、どうですか。
#250
○清水(湛)政府委員 実は、まことにおっしゃられるとおりといえばそうかもしれないのですけれども、やはり登記制度の担い手としての土地家屋調査士の皆さん方に私ども期待するところがあるし、ある意味においては甘えというのもあるかもしれません。御指摘のように、確かに通常の営業ベースでの謝金、謝礼というのは必ずしも払えない。そういう意味では、サービスとして法務行政に協力をしていただくという意味でこの仕事に協力をしていただいている面が多々あるということは、もう否定しようもない事実であるというふうに考えております。
#251
○田辺(広)委員 これはサービスであろうとも、自分の事業にも関係しますから当然のことでございますし、私の近くの土地家屋調査士だとか司法書士などは自分の家に随分地図を持っておりまして、お客さんの注文を受けるたびにそれを調べ、測量したものを全部資料にして持っておる。そういうものが恐らく皆さん方の資料の参考になるだろう、こう思っております。これからも十分ひとつ協力をし合いながら皆さん方にやっていただきたいと思います。
 それから、問題は変わりますが、今地図の混乱地域というものがありまして、これは私の方でもやってみえますが、図根点というのをつくって、そこにくいを打ったりいろいろやっておられます。私は名古屋市ですが、名古屋市の周辺部へ行きますと、その図根点をせっかくつくっても、現状はどれぐらいそれが残っておるかといいますと、七〇%消滅して三〇%ぐらいしか残っていない。これを何とか維持しないと、せっかく投資したものが意味ないんじゃないだろうかということで、私どもの名古屋市じゃないのですが、ある市においては、土木工事の請負工事の契約書の中にもしそれを消滅した場合には復元せよという契約が入れられておるということを聞いたことがありますが、そういうようなことについてはどう思われますか。これは本当に何年もたたずに七〇%が消滅しています。
#252
○清水(湛)政府委員 ある一定時期に非常に乱開発が進みまして、公図が不備なところと申しますか、もともと山林原野だった地域については公図というのは余り精度が高くないのでありますけれども、そういうところが事情の変更によりまして住宅地に急変貌する、こういうようなこととの関連におきまして、地図を無視した宅地造成等が行われる、しかも地図の境界を無視して現況に即して土地の位置を決めるというようなことがございますために、地図と現在の土地の位置関係が全く合わない、特に私どもはそういうものを地図混乱地域と申しております。
 地図混乱地域における台帳附属地図というのは、全くこれは用をなさないわけでありますけれども、そういうものを何とか収束しようということで、あれは昭和五十四年でございましたか、基準点設置作業というものを始めたわけでございます。これは、土地家屋調査士会にお願いしてこういった作業を始めました。ところが、せっかく基準点を置いたものが、先生御指摘のように年が経るに従って非常に亡失してしまう、道路の掘り返しとかいろいろな工事の関連でせっかくの基準点がなくなってしまう。確かに、一つの調査によれば七〇%もなくなっているというようなところもあるわけでございます。
 そこで、平成四年度から、この基準点についてもう一度点検をして、復元できるものは復元作業をしようということで始めました。昨年度は公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託して実施したわけでございますが、予算はわずか年間約二千万円程度でございますけれども、これも実情を踏まえながら今後拡大してまいりたい。土地家屋調査士会の先生方の協力を得なければなりませんけれども、そういうものについても努力をしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#253
○田辺(広)委員 次に、コンピューター化の問題です。
 それぞれ委員からいろいろの強い要望が出されておりますが、私どもの名古屋市の中でも五つの登記所がありまして、その中の二つがコンピューター化されております。ですから、できるだけ早くあと三つの登記所を整備していただきたいというお願いと、それからまた、働いている人にちょっと聞きましたら、インプットするのに大変な作業と労力が要って、また何か職業病のようになるんじゃないかなんという心配をしているということで、四十分働いて十五分休んでというようなことがあるんですが、その点はどういうふうにお考えになっていますか。
#254
○清水(湛)政府委員 特に名古屋市はコンピューター化に非常に熱心でございまして、かなりの部分が御指摘のようにコンピューター化されております。恐らくあと二、三の登記所のコンピューター化が完成いたしますと、名古屋市内全部コンピューター化ということになるのではないかと思います。そういう意味で、今後とも順調な展開が名古屋については図られるのではないかというふうに考えております。
 それから、コンピューター作業を長時間行った場合に、指とか目等に障害が出るというような問題がございます。この点につきましては、実は職員の健康管理ということが非常に重要な問題になっておりまして、いわゆるVDT作業というふうに私どもは呼んでおりますが、この作業時間中に小休止をとらせる等の指導を行っております。これは労働省等の定めた一定の基準等があるわけでございますが、そういう基準を現場の職員に徹底をするということが必要でございます。
 そのために、実はVDT作業従事職員を直接管理監督する職員に対しまして、そういった点での知識とかそういうものを十分に徹底する必要があるというようなことから、毎年全国の法務局職員を本省に集めまして、この点だけを集中的に講習するというような研修会を行っているわけでございまして、特にコンピューターの画面を見る作業に従事する職員につきましての健康の保持増進及び安全の確保のためには、支障が生じないように十分な配慮をいたしておるつもりでございます。今後ともそのような努力は続けたい。また、必要な健康診断等も積極的に受けさせるような措置を現在も講じておりますので、問題は生ずることはないのではないかというふうに思っております。
#255
○田辺(広)委員 今後とも十分御注意をいただきたいと思いますし、またコンピューター化してう
まくいっておっても、やはり働く人が難儀をしたのではいけませんので、このことを強くお願いしておきます。
 最後に、合棟の問題についてお伺いをいたします。
 従来の建物を合棟する、そして、かつてはその建物についておりました担保が合棟することによって全部抹消されてしまったという事件があって、国の方が債権者から訴えられておったという事件があったと思います。これは国が敗訴したということです。その後の問題についてはどういうふうに措置をされてみえるか、お聞きをしたいと思います。
#256
○清水(湛)政府委員 建物の合体による登記に関しまして国を相手方としてされた訴訟事件は、過去において十数件ございます。その内容は、担保権のある建物について合体を原因とする滅失登記がされたことによって、担保権者が結局登記を一たん消されたために抵当権の実行ができなくなってしまった、こういうようなことを理由とするものでございます。
 多くの裁判例では、まだ合体とは言えない、したがってまだ抵当権の登記は残っているというような形で、そういう意味でまた国が負けているという意味もあるわけでございますが、そういうようなものについては登記用紙を再び回復する、もとのとおりに戻すというようなことをいたしておるわけでございます。大体負けた事件についてはそういう措置をとることによって終了し、場合によっては国家賠償、抵当権の実行ができなかったことによる損害賠償請求というようなものもあるわけでございますけれども、それはごくわずかである、こういう状況だというように承知いたしております。
#257
○田辺(広)委員 時間が参りましたので、最後に。
 この合棟ということについては、現場の人たちは、今までのそういう問題が今度の法改正で全部解決するんだということで大変将来に期待を持っております。喜んでおります。
 そこで、問題がもう一つありますが、合体によって従前の建物の滅失、合棟後の建物の表示登記、合棟前の一部建物に権利の登記がされていない場合等はその建物の保存登記を一つの申請書で行うようになっておる。この場合、登記済証の作成は所有者ごとにやる方法はないだろうかということなんです。どうですか。
#258
○清水(湛)政府委員 非常に専門的な、技術的な問題でございます。合棟前の建物のどれか一つに所有権の登記がある場合には、所有権の登記のない分については同時に所有権保存登記の申請をしていただく。しかし、その結果として、合体後の建物は共有になるわけでございますので、共有の登記を新たにする、こういうことになります。
 例えば、甲、乙、丙、三人が共有者であるという形の登記があります。恐らく御質問の趣旨は、甲、乙、丙ごとに別々に登記済証をつくるということは考えられないかということだろうと思いますけれども、今までの登記の取り扱いにおきましては、そういう共有の登記の場合も登記済証は一通しかつくらない、それでその一通を三人が共用する。つまり、甲の持ち分について処分をする場合には甲がその登記済証を使い、乙がその権利を処分する場合には乙がその登記済証を使うという形で、一通の登記済証を三人が共用するという形になっているわけでございますが、今回の合棟の場合も、合体の登記をすることによって所有権の登記がされた場合の登記済証は、共有になる場合にはやはり共有というで形でつくらざるを得ない。所有者ごとにつくれば便利であることは想像できるのでありますけれども、またそれはそれなりに別な問題を生む可能性もありますので、今回の改正法による法律の取り扱いとしては、共有の形で登記済証を作成するということになっております。
 この点はちょっと先生の御質問には沿えない回答になりましたが、御理解をいただきたいと思います。
#259
○田辺(広)委員 そこで、例えばA、B、Cの建物を合体した場合に、Aには担保がついておる、また共有になりますとその担保が全部ついてしまうわけですか。
#260
○清水(湛)政府委員 A、B、Cの建物がございまして、Aの建物に抵当権がついていたという場合には、もちろん建物の大きさがA、B、Cそれぞれ違っている場合は問題でございますが、仮に同じ大きさの建物だったということになりますと、合体後の建物はA、B、C三者が三分の一の割合で共有をするということになります。そして、Aの建物についていた抵当権はAの持ち分三分の一の上に存在する抵当権として登記が移される、こういうことになるわけでございます。したがって、抵当権を実行するということになりますと、Aの持ち分三分の一分を競売にかける、こういうことになるわけでございます。
#261
○田辺(広)委員 民事局長、これはだめでしようとおっしゃいましたが、そういう水臭いことを言わないで、ひとつ今後とも御検討いただきたい、これを申し上げて終わります。ありがとうございました。
#262
○浜野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#263
○浜野委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 不動産登記法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#264
○浜野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#265
○浜野委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、太田誠一君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。小森龍邦君。
#266
○小森委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 本案の趣旨につきましては、既に当委員会の質疑の過程で明らかになっておりますので、この際、案文の朗読をもってその説明にかえさせていただきます。
 それでは、案文を朗読いたします。
    不動産登記法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一 不動産登記法の現代語化を図ること。
 二 不動産登記法第十七条の地図の整備の一層の促進を図るとともに、地図に準ずる図面についても、更にその整備を図ること。
 三 地図等の閲覧手数料等の登記に関する請負担は、国民に過度の負担を与えることのないように十分に配慮し、適正に設定すること。
 四 登記の真正を確保するため、今後とも、登記申請手続の改善・整備、審査事務の充実、司法書士・土地家屋調査士等専門家の能力の向上・活用等の諸施策を推進し、国民の権利の保全に遺憾なきを期すこと。
 五 前項の諸施策の実施に当たっては、日本司法書士会連合会・日本土地家屋調査士会連合会等関係諸団体の意見を十分聴取すること。
以上であります。
 何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願いを申し上げます。よろしくお願いします。(拍手)
#267
○浜野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#268
○浜野委員長 起立総員。よって、本動議のとお
り附帯決議を付すことに決しました。
 この際、後藤田法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田法務大臣。
#269
○後藤田国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#270
○浜野委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報員書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#271
○浜野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
    ―――――――――――――〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#272
○浜野委員長 次に、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。後藤田法務大臣。
    ―――――――――――――商法等の一部を改正する法律案商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備等に関する法律案
   〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#273
○後藤田国務大臣 商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢等にかんがみ、株主による会社の業務執行に対する監督是正機能をより強固にするとともに、株式会社の監査役制度の実効性を高めるために必要な措置を講ずるほか、株式会社の社債による資金調達の需要の増大の状況にかんがみ、企業の資金調達の方法の合理化を図るとともに、それに伴い、社債権者の保護を強化するため、商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律及び担保附社債信託法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は、次のとおりであります。
 まず商法につきましては、第一に、株主の代表訴訟の遂行に伴う株主の負担を軽減するため、この訴訟の目的の価額を九十五万円とみなすこととするとともに、代表訴訟に勝訴した株主はこの訴訟に要した費用で訴訟費用でないものの相当額の支払いを会社に対して請求することができる改正をすることとしております。
 第二に、株主が会社の会計帳簿等を閲覧謄写することができることを容易にするため、閲覧謄写することができる株主の持株要件を発行済株式の総数の十分の一から百分の三に緩和する改正をすることとしております。
 第三に、株式会社の監査役の地位の強化を図るため、監査役の任期を二年から三年に伸長する改正をすることとしております。
 第四に、企業の資金調達の方法の合理化を図るとともに、それに伴い、社債権者の保護を強化するため、社債発行限度に関する規制を廃止し、これにかえて、社債を募集するには、会社は、社債管理会社を定め、社債権者のために社債の管理を行うことを委託することを原則的に義務づけるとともに、社債管理会社の社債権者に対する義務及びその権限を明確にし、また、社債権者集会における社債権者の議決権の行使を容易にする改正をすることとしております。
 次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、大会社における監査役制度を充実強化するため、第一に、監査役の員数を二人以上から三人以上に増員する改正をすることとしております。
 第二に、監査役のうち一人以上は、その就任前五年間、会社またはその子会社の取締役または使用人でなかった者でなければならないとする改正をすることとしております。
 第三に、監査役の全員で監査役会を組織し、監査役会において監査役の協議により監査の方針等を定めるとともに、監査役の報告に基づいて監査報告書を作成しなければならないとする等の改正をすることとしております。
 最後に、担保附社債信託法につきましては、担保付社債の募集の公告の制度を廃止して、社債申込証により募集及び申し込みをさせる等の改正をするほか、商法の社債に関する制度の改正に伴い、所要の改正をすることとしております。
 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、社債発行限度暫定措置法等を廃止するとともに、非訟事件手続法外六十八の関係法律について規定を整備し、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 以上が、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいまするようお願いをいたします。
#274
○浜野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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