くにさくロゴ
1993/04/23 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第9号
姉妹サイト
 
1993/04/23 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 法務委員会 第9号

#1
第126回国会 法務委員会 第9号
平成五年四月二十三日(金曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 浜野  剛君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 善之君
   理事 田辺 広雄君 理事 星野 行男君
   理事 小森 龍邦君 理事 鈴木喜久子君
   理事 冬柴 鐵三君
      石川 要三君    鯨岡 兵輔君
      伊東 秀子君    小岩井 清君
      沢田  広君    渡辺 嘉藏君
      中村  巖君    木島日出夫君
      中野 寛成君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 後藤田正晴君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 則定  衛君
        法務大臣官房審
        議官      森脇  勝君
        法務省民事局長 清水  湛君
        法務省刑事局長 濱  邦久君
        法務省保護局長 杉原 弘泰君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      西方 俊平君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   渡辺 裕泰君
        大蔵省証券局証
        券市場課公社債
        市場室長    東  正和君
        国税庁調査査察
        部調査課長   藤井 保憲君
        建設省建設経済
        局建設業課長  風岡 典之君
        法務委員会調査
        室長      平本 喜祿君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十二日
 辞任         補欠選任
  愛知 和男君     桜井  新君
  石川 要三君     葉梨 信行君
  中村  巖君     小谷 輝二君
同日
 辞任         補欠選任
  桜井  新君     愛知 和男君
  葉梨 信行君     石川 要三君
  小谷 輝二君     中村  巖君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五
 二号)
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
 法律の整備等に関する法律案(内閣提出第五三
 号)
     ――――◇―――――
#2
○浜野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺嘉藏君。
#3
○渡辺(嘉)委員 では、議案に基づきまして質疑を行います。
 まず第一に、恩赦について大臣の御見解を承っておきたい、こう思います。
 先日、二十日の閣議後に法務大臣から、六月九日の皇太子殿下の結婚の儀に伴って恩赦を「まだ骨組みなどは決まっていないが、当然、実施するということを前提に、検討を進めている」、こういうふうに発表、発言をしていただいておるわけなのですが、この恩赦を、過去の例その他も勘案いたしながらどのように行われるつもりなのか明らかにしていただきたい。
#4
○後藤田国務大臣 恩赦の問題につきましては、かねがね申し上げておるのですが、大変重要な、慎重に扱わなきゃならぬ制度でございます。
 それで、今閣議後の云々、こういうお話がございましたが、それは恐らく何かの記事の筆が走っておるのではないかなと思います、もしそれが閣議の発言であるとするならば。(渡辺(嘉)委員「閣議後」と呼ぶ)閣議後にしましても。
 実はけさの新聞にいろいろ出ておりまして、新聞によって多少ニュアンスが違う。ところが、事柄は極めて重要な問題でございますから、きょう初めて、閣議後の発言ということで聞いてもらいたいということで私が申し上げましたのは、恩赦の制度というのは刑事政策的な観点から最近は行われるべきものと理解をしておる、終戦後しばしば先例もあるといったようなことで、恩赦は実施をしたいという方針である、しかしながら事柄が事柄であるだけに抑制的な見地に立って事務当局に検討してくれということを指示してある、しかしその内容については事務当局からまだ詳細、報告は聞いてないし、今準備を進めておるさなかである、さようにひとつ了解をしておいてほしい、したがって特定の罪種等について特定の扱いでどうこうといったようなことは考えてはいないといった点を先ほど閣議後に申し上げたのが実情でございます。
 委員の御質疑がその内容にわたることでありますと、これは実は私のところまでまだ案が上がっておりません。要は、要するに抑制的に、刑事政策的な観点に立って従来の先例を考えながら勉強してもらいたい、こういうのが現状でございますので、御理解を賜りたい、こう思います。
#5
○渡辺(嘉)委員 この恩赦という事案は、これは重大な問題、影響がありますので、当然慎重におやりいただけると思うわけです。
 そこで、今までの戦後の例を見てみますと、昭和二十一年の日本国憲法公布を第一回といたしまして今日まで十回行われておるわけですね。その中には平和条約の発効であるとか国際連合に加盟したとか沖縄が返還されたとか、本当に国民的にも歴史的にも非常に有意義なこともあり、その都度行われています。
 しかし、恩赦法を見てみますと、どういう場合に行うということは一切決めてないわけですね。だから政府の裁量になるわけですね。それだけに、一度確定した刑を、これを破壊と言うたらおかしいですけれども、打ち消していくわけですから、これは大変な行政行為だと思うのですね。
 その中に皇室関係で行われた恩赦が四回あるわけですね。今度を入れますと五回になるわけですね。私は、天皇一家のお祝い事、まして今度の皇太子と小和田雅子さんの結婚については心からお祝いを申し上げたい。しかし、こういう天皇一家の行事で、前例があるからということでその都度恩赦をすることがいいのかどうか。少なくとも行政行為は法律に基づいてやる。当然これは国事としてずっと行ってきたいろいろな行政行為を、これを一発ではんと打ち切るわけなんですから、私は喜びを分かち得るという意味で気持ちはわかるのですけれども、こういうことは慎重でなければならぬし、余り皇室の行事に当たってその都度やるということは、日本の憲法の概念から見ても、理念から見ても果たしていかがなものか。
 いま一つは、今問題の政治改革が叫ばれておるときだけに、その中にそういう選挙違反関係まで入れていいのかどうか。このことを考えたとき
に、この際法務大臣としては、事務当局に任せるのではなくて、自分はこういうつもりなんだ。
 法務大臣が死刑を執行されたことについてもいろいろな意見はあります。私は、やはり法務大臣の職務としてやられたことに共感を持っております。しかし、これをひっくり返すわけなんですから、それだけに法務大臣として自分の考え方を明らかにして、そして検討をした上でこれが実施されるべきではなかろうか。だから、考え方をこの際明らかにしないと事務当局がむしろ困るんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
#6
○後藤田国務大臣 申し上げるまでもなく、恩赦というものは、司法作用あるいは国の刑罰権そのものを行政作用によって消滅させるとか変更する、こういうことですから、三権分立といったような立場から考えましても、これはよほど慎重に扱わなきゃならぬということは当然のお話なんですね。したがって、そのことはきちんと事務当局にも私から考え方を指示してある。
 それから、国の行事はこれはよくわかるが、皇室行事については、お喜びはお喜びとして結構だけれども、こういう問題については果たしていかがなものだろうか、大臣の見解を聞きたい、こういうことですが、これは戦後の十回の先例の中に既に数回行われておることですし、同時に、やはり天皇というものあるいは皇太子というものは、これは国の象徴たる憲法上の立場を持っていらっしゃる方である、しかもこれは天皇の国事行為ということで、もちろん内閣が決めるわけですけれども、国事行為として憲法上存在をしておる制度でもあるといったようなことを考えますと、私はやはり皇室の特別の御慶事については実行してしかるべきもの、さように考えております。
 それじゃ、どこまでやるかということになると、これは先例をやはりよく見なきゃなりませんし、事柄の中身もよく検討しなきゃならないといったような考え方でやるべきであろう。それと同時に、恩赦というのは、戦前は君主の恩恵といったようなことですね。今はその点は違いまして、国の刑事政策の一環ということでやるわけですね。そうしますと、何といいましても法律というものは固定的、画一的といったような面からくる必然的に避けがたい欠陥というものもあるわけですから、そういうものは、やはりそういう際に、刑事政策的な観点から恩赦というものの中で検討してしかるべきであろう、かように考えます。
 それから、よく皆さん方おっしゃるのは、選挙違反だけを云々と、こうおっしゃるのですが、私は選挙違反だけをやるとか、選挙違反だけはやらないとかといったような考え方に立っておりません。これは全体の刑事政策的な観点を見て、やるべきものはやればいいし、やっていかぬものはやらなくてよろしい、こういうような考え方でやっておる、準備を頼んでおる。
 それで、ただ抑制的におまえさん方やってくれよと言っただけではわからぬではないか、これはそのとおりなんです。しかし、それはそれぞれのつかさ、つかさがございますから、それには私自身の気持ちというものをわかってくれておる、それによってしかるべく準備をしてくれておる、かように私自身は確信をいたしておりますので、いささかも実は心配をいたしておりません。皆さん方がなるほどなと思うようなやり方でやらなきゃならぬ、かように考えております。
#7
○渡辺(嘉)委員 引き続いて、商法改正について質疑をいたします。
 まず、株主の代表訴訟の手数料を、財産権上の請求にあらざる訴えとみなして八千二百円の手数料、こういうことにされたわけですが、今日の企業の株主のみならず社会的責任の立場からも、これは大きな前進の改正だと私も思います。また、勝訴した場合の措置等もそうなんですが。
 ただし、ここで危惧されるのは、このように会社の業務執行に対する訴えの原告としてはよほどの証拠を整えなければならないと思うわけですが、表見事項だけで、表に出た事項だけでとても勝訴の材料は整えられるものではないと私は思うのです。無理ではないか。株主はどのようにしてこの業務執行上の具体的な事実を知るのか。その方法があるということを前提にしてこれを改正されたのか。
#8
○清水(湛)政府委員 今回の代表訴訟制度に関する改正は、従来いろいろと問題が指摘されていた点を解消する、こういう意味でこの内容が定められているわけでございます。
 先生の御指摘は、代表訴訟が提起しやすくなったということは結構なことなんだけれども、具体的に勝訴し得るだけの証拠資料を収集するということは非常に難しいのではないか、こういう意味だろうと思います。
 これは一般の訴訟についてすべて言えることではないかとは思いますけれども、商法上準備されている制度といたしましては、これは今回の改正の一つの中身にもなっておりますけれども、株主による会計帳簿の閲覧、こういうのが一番重要な制度だと思います。百分の三という要件になっておりますけれども、これは一人の株主が百分の三を持っている必要はないわけで、数人の者が合わせて百分の三の持株要件を満たすということも可能でございますので、そういうような方法で会社の会計帳簿を閲覧して事実をチェックするということも商法上は可能であります。
 それからまた、株主は当然会社を構成する最高の機関ともいうべき株主総会の構成員でございますから、株主総会の機会に適宜会社の業務執行状況等について質問をするという質問権が法律上の権利として認められております。そういうような質問をする、事前に書面によってそういう質問を通告することも可能ということになっております。
 そういうようなことも一つの方法でございましょうし、その他、一般の会社の行動に関する各種の情報、新聞等の情報もございましょうし、あるいはそれに絡んで犯罪の疑いありということでいろいろな捜査をされるというようなこともあるわけでございます。刑事の裁判等がされますと、その訴訟記録を民事の裁判の方に一部証拠として申請するというようなことも認められているわけでございます。
 そういうような一般的な証拠収集の方法によってやらざるを得ないというふうに考えているわけでございますが、各種の方法を効果的に実施することによりまして効果的な代表訴訟が提起できるということを私どもは期待をしているということになるわけでございます。
#9
○渡辺(嘉)委員 今おっしゃった株主の会計帳簿の閲覧謄写権の改正の問題あるいはまた株主総会における質問権の問題、マスコミ情報その他いろいろ。
 そこで、まず、会計帳簿閲覧謄写権の従来の発行済株の十分の一以上という制限を今度は百分の三以上というふうに改正された、これは数人でもよろしい、こういうことになったわけですが、これは前進と見えると思うのです。
 今交際費の支出を九一年度で見てみますと、法人のそれは六兆一千四百七億円あるわけです。資本金が百億円以上の企業は、一兆百七十八億円の交際費、一六・六%を占めておる。法人の総数は二百二十一万六千八百社あるわけですね。この二百二十一万六千八百社のうちで、百億円以上の会社はわずか九百二十二社しかない。九百二十二社のうちで、有限会社が一社、医療その他の法人が二社ですから株式会社が九百十九社を占めておる、これが実情なんですね。〇・〇四%なんです。全会社の〇・〇四%ということを頭に置いて私は考えておるわけですが、そうすると、百億以上の大会社、超大会社が、一社当たり交際費は十一億円支出をしておる。
 寄附金については、九一年年間総額で五千六百三十三億円出ております。百億以上の会社は二千七百八十一億円支出して、約五〇%。五〇%は〇・〇四%の九百二十二社が寄附をしておる、これが実情だということですね。こういう寄附の中には当然政治献金も含まれて、今のようないろいろな問題が世上を騒がせておるわけです。
 こういう実態から見て、こういう寄附金、交際費の実情についてどう思われますか。
#10
○清水(湛)政府委員 先生の御指摘になったような数字がいろいろな資料等に出ておるということは私どもも間接的には承知しているわけでございますが、それが企業の経営規模の中でそれぞれどのようなウエートを占めておるのか、あるいは具体的にそういったたぐいの金がどのような用途に支出されておるのかということは法務省の立場からは把握できませんし、全体的な経営状況というのがわかりませんので、それが著しく妥当性を欠いているものであるかあるいは不法なものであるかということについてはちょっと私どもコメントをすることができませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#11
○渡辺(嘉)委員 後で大蔵省にも意見を聞きますが、私はなぜこういうことを質問するかというと、要するにこういう巨大企業に対するメスが入るか入らないかということの前提で聞いておるわけです。二百二十万社の寄附金の総額の半分はわずか九百社の超大企業が行っているというこの事実。交際費でもしかり。そして、この寄附金のうち、建設業が六百五十八億、化学工業が五百億、機械工業が七百四十億。金融保険は七百六十九億、これは最高なんです。サービス業が七百六十七億、東京佐川等を含めて運輸が五百四十九億、合わせて三千九百八十八億。すなわち、先ほどの五千六百億の七〇%はこの六つの業種から出ておる、こういう異常さなのです。
 金丸事件でも明らかになったわけですが、建設業は政治献金を下請に負担させて、ずっと子会社、孫会社にいっておる。これは社会の常識で、私どもも常に見聞きしておるわけです。それでも六百五十八億もしておるわけですね。金融保険は最高であります。
 交際費に至っては、六兆一千四百億の中で建設業は一兆二千億支出しております。二〇%なのですね。交際費は、全会社、法人の二〇%は公共事業で潤う建設業が支出をして、交際費と寄附金とは相関関係にありますから、直接的には結びつきませんけれども、質的には非常に近似性を持っておるわけですね。こういうような意味で、今回の金丸事件の脱税の温床の資金源がここらにもかなりあるのではないか。
 これに対して、今度会社の帳簿を調べる場合には、会社の帳簿閲覧謄写権を百分の三にしました。これは結構なんです。ところが、百分の三で果たしてこれが可能かどうかということ、これを私は聞きたいのです、百分の三の株の所有者によって可能かどうか。
#12
○清水(湛)政府委員 建設会社のそういった寄附金とか交際費の額が具体的な事案に即して適当であるかどうかということはちょっと私ども申し上げかねますが、一般論として申しますと、商法上は、会社の財産状態あるいは経営成績というものを正確に把握するために、会計諸帳簿あるいは計算書類等に会社の財産及び損益の状況を明確にするということが要請されているわけでございます。ですから、この委員会でもしばしば議論がございましたけれども、例えば使途不明金というような概念は会社法上は認められておりません。したがいまして、会社の計算書類上は交際費なり寄附金なり諸会費なり、そういう形で何らかの費目に分類されて決算がされておる、こういうことになるわけでございます。
 そこで、問題は、そのような費目として計上された費用が適切な支出であるかどうかということが問題になるわけでございまして、それをチェックするのがまず第一次的には監査役である。監査役は日常の会社の業務執行の監査をするわけでございまして、そういった細かい帳簿書類等も調査をする、あるいは報告も求めるという権限がございますので、その段階でチェックをするということがまず第一に問題になります。
 さらには、そういう正確なチェックを怠り、そのために会社に損害が生ずるということになりますと損害賠償責任も生ずる。もちろん監査役の前に、まず取締役がそういうことをやってはならないという責任があるわけでございまして、取締役の責任が生じ、さらにそれをチェックし得なかった監査役の責任が生じ、さらに大会社については外部監査と言われるいわゆる公認会計士あるいは監査法人の責任が生ずる、こういうように法体系的にはきちっとした権限と責任が明定されているわけでございます。
 そこで、問題は、しからばそういうような権限なり責任をきちっとした形で追及しないということになりますと、例えば株主の方で会社に対して取締役の責任なり監査役の責任を追及せよ、会社がそういう責任追及をしない場合には、株主が会社を代表してそういう責任追及訴訟を起こすことができる、こういう株主側からのチェックシステムというものも商法は用意しているわけでございます。
 その前提として、例えばそういう不正経理を行った場合に、それに関する責任を追及するということになりますと、まさに先生が御指摘になった会計帳簿の閲覧ということが非常に重要な問題になってまいります。そこで、今回の改正におきましては、現行法は十分の一ということでございましたけれども、これを百分の三に改めた、こういうことになるわけでございます。
 これは一つには、先ほど申しましたように、我が国の会社の経営執行部の違法あるいは不当な行為をチェックするシステムとしては、商法が監査役制度というものを用意している、あるいは外部監査としての会計監査人制度というものを用意しておる、こういうようなことを前提といたしまして、まずそういう機関に十分に不正を監視していただくということを考えておりますので、株主の権利としては十分の一程度の要件に絞ってもよろしいのではないか、こういうことであると理解いたしております。
 しかし、現実に十分の一の株式を保有することはなかなか困難であるという状況もございますし、アメリカ側もこの点について非常に強い問題意識を持っていたというようなこともございまして、今回百分の三ということにしたわけでございます。これによっても相当程度の株主の監視機能は期待できるのではないか。
 もちろん、議論としてはいろいろな議論がございまして、この要件を百分の一程度にもっと緩めたらどうかというような議論もございましたけれども、中小企業等の面から見ますとこれはまた問題が生ずるというようなこともございまして、商法のいろいろな規定が百分の三というものを基準としているものがあるものでございますから、それに倣いまして最終的に百分の三という線に落ちついた、こういう経緯があるわけでございます。
#13
○渡辺(嘉)委員 横並びの百分の三ということは好ましくないが、そういうつもりではなかろうと思います。
 これは、私の地元でもあったのですけれども、ある会社が倒産をした。この倒産は粉飾決算であった。二百億の売り上げを三百六十億で売り上げを計上してバランスを合わせておるから、これはもう日ならずしてつぶれることは当たり前ですね。そして、莫大な政治献金もまた行っていらっしゃる。配当も当然それに基づいて行われていたわけです。監査役もわからなかった。公認会計士、会計監査人もわからなかった。そして、これが十年続いた。一年や二年じゃない、十年続いた。こういう事実がある。これは小さな会社ですね、売り上げ二百億ですから。これが何千億という大会社になったら、果たしてそういうことはチェック機能として可能かどうかということ。
 先ほど申し上げたように、九百二十二社の日本経済に占める地位は、重ねて言いますが、売り上げの中の三二%はこの〇・〇四%の会社が占めておる。全二百二十一万社で資本金七十二兆三千三百億円あるわけです。そのうちの三十九兆六千八百億、五二%の資本金をこの〇・〇四%の九百二十二社、この巨大企業が持っておる。先ほどの、寄附金の半分だとかまた交際費の一六%だとか、こういう多額なことが行われておる、ここにメスを入れたい。この中に不正不当があったとして
も、しからばこの百分の三の規定でいいのかどうか。このことは、今申し上げた三十九兆六千八百億円が九百二十二社ですから、単純に平均を出しても一社当たり四百三十億の資本金になる。四百三十億の百分の三といえば十二億九千万なんです。十三億円集めなければ会計帳簿の閲覧謄写権は出てこないわけです。果たしてこういうことが可能かどうか。
 こういうような意味から、この百分の三という規定が中小企業にはぴしゃり適用できるのです。一億の会社なら三百万とか、ぱっと出てしまう。ところが、今言うたように百億以上の巨大企業九百二十二社、単純平均で資本金が四百三十三億、こういうところにはとても百分の三の権利行使は、大きな法人企業ならともかく、そうでなかったらなかなかできることではない、こう思うのです。そういう巨大な法人企業になりますと、それぞれの癒着もありますから、やはり真正な株主がその立場から閲覧したい、そしてその閲覧の結果によって訴訟を提起したい、その訴訟の一番基礎になる閲覧権がこれでは実際に行使することができない、こう思うのですが、どうですか。
#14
○清水(湛)政府委員 確かに巨大企業で、例えば百億の資本金ということになりますと三億の株式を持っている株主を集める必要がある、こういうことになるわけでございます。これが現行法ですと十億ということになるわけです。そういうような巨大企業と中小企業、いろいろな立場の違いがあると思いますし、また株主構成も、大会社の場合には、むしろ経営に参加するという意識を持っている株主とは違うようないわば一種の投資をするという意味での株主、そういうようなものも多数おられるというような状況があろうかと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、基本的には、我が国の会社におきましてはそういった個々の株主の直接のコントロールということが現実の問題としては非常に難しいという認識のもとに、大会社についてはやはり監査役制度あるいは公認会計士による強制監査というような形で不正をチェックするということを主体に法律が整備されてきたということになるわけでございます。
 そういうような観点から、今回大会社につきましては監査役の数を二人以上から三人以上にふやさなきゃいかぬとか、あるいは監査役会という制度をつくりまして組織的にこの会社の業務内容をチェックするというような監査制度の強化の方向を打ち出しているわけでございます。
 アメリカの会社法のように、これは州法によって違いますけれども、一株の株主でも会計帳簿を閲覧することができるというふうにアメリカはなっております。そのためにまた逆にいろいろな問題が非常に出てまいりまして、一種の濫訴と申しますか、訴訟社会的な様相を呈する一つの大きな原因になっているというふうに指摘されているわけでございます。しかし、アメリカでは日本の監査役制度というものがありませんので、株主の直接コントロールというような色彩がどうしても強くなってくるというようなことからそういうことが言われているわけでございます。
 我が国のこれからの会社制度のあり方の問題として、アメリカのように一株株主でもその帳簿閲覧が原則としてできるというような方向に持っていくのがいいのかどうか、百分の三では到底それとはまだ開きがあり過ぎますけれども、そういうような一つの会社制度のあり方のポリシーの問題というものが背後にあるのではないか。
 いろいろな条件というものを考え、しかも我が国では、先生が御指摘のようなまさに巨大企業、百億以上の会社は本当にわずか〇・〇四%しかいない。一方では、中小会社までを含めますと百三十万社の株式会社がある、こういうような実情を踏まえて考えますと、今回の百分の三というのは妥当な線ではないか。さらに、株主の権利を強化するという観点からこの要件を将来緩和するということがあるいは考えられるかもしれませんけれども、それによってまた起こる弊害というようなものについても十分な注意を払わなければならないというふうに実は考えているわけでございます。
#15
○渡辺(嘉)委員 だから、私が先ほど申し上げたように、監査役会があっても効果がない場合が事例として往々にしてあるということなのですよ。今までの事件を全部見ておると大体そうなのです。監査役会がチェックして、直したというようなことは本当に百に一件もないのですね。一分もないのです。こういうようなことから、監査役機能は、また後ほども申し上げますが、今のような状態では今度の改正案でも私は無理だと見ております。
 先ほどの百分の三の問題ですが、アメリカのように一株でも直ちにあるというような極端なことは僕は言わないのです。五億以下の資本金のところは百分の三でも百五十万ですから、この程度なら何とかなるのですよ。ところが、先ほど申し上げたように、九百二十二社は平均が四百三十億の資本金になる。そうすると、先ほども申し上げたように、十何億という金を集めなければ、資本を集めなければ、所有者を集めなければ会社の閲覧はできない。
 しかし、またここに巨悪がある。大きな悪がここにあるとするなら、資本金に応じて逓減方式をとるべきだ。なぜこれをやられなかった。優秀な日本の官僚機構の皆さんが、僕らより数倍も頭がいいのですから、当然これは逓減方式で、そしてこの場合には百分の一、この場合には百分の〇・五、百億以上なら百分の〇・一ぐらいにする、せめて百分の〇・三でもいいのですが、この程度にすることによって企業のディスクロージャーが図り得るんじゃないか、こうすることによって本当にコントロールできる。
 今の企業のあり方というのは全く密室なんです。企業の巨大な壁に突き当たろうと思ってごらんなさい。とてもじゃないが善良な市民が太刀打ちできるものじゃない、また訴訟みたいなものは起こせるものじゃない、こういうことをお考えいただくといい。これも三年も五年もかかる訴訟ですから、とてもじゃないが息が続かないんです。こういうような意味で仏つくって魂入れずというような気がするので、私は百分の三の規定は資本金に準じて逓減方式をとるべきだということが一つ。
 もう一つは監査役会の問題ですけれども、ドイツの共同決定法によります監査役会の規定、これを日本に直ちに導入するということは私は無理だと思う。これは従業員二千人から一万人までのところは監査役は十二人、そして一万人から二万人のところは十六人、二万人以上の会社は二十人監査役を置きなさい、そしてそのうちの半数はそこの従業員でやりなさい、労働組合で出しなさい、こういうことになっておるわけですね。このくらいの監査役会があってもなかなか大変なんです。ドイツの労働組合は御承知のように横断的な労働組合で、日本のような企業内労働組合じゃありません。それが入っておるということですね。そして、それの上部機関も入っておる。これではもう不正不当、政治献金のべらぼうなことなんかできっこない。
 私はこの際、監査役会を改めるなら抜本的に変えて、バブル時代のような東京佐川だとか金融・証券のああいう事件、金丸のゼネコン事件等々のああいう不正不当は、株主、従業員そして国民不在の業務が密室で進められておる結果なのであって、監査役を今三人以上にしたぐらいでは不可能だ、私はこれは断言できる、今までのいろいろな実績を私も持っておりますから。だから、この際監査役の員数も資本金に順応して、先ほどドイツの例を申し上げたが、従業員の数によって監査役をふやしておりますから、これは資本金に順応した逓増方式をとるのが当然のことなんです。今ほど企業のディスクロージャーが要求されておる時代はないわけですから、当然これが行われるべきなんです。
 いま一つは、社外の、五年間従業員でなかった、そこの使用人でなかった、役員でなかった者
を一人入れますが、私はこんなものは一人では無理だと思うのです。少なくともこれは二人以上あってペアでいろいろ仕事がやれる、こういうふうにしてやらないと。これは会社のふためになるのではなくて会社のためになる、むしろそう見ておるのです。だからこの意味で、私はこの改正案は、一歩前進したように見えるけれども、実質的には余り前進の効果はあらわれないんじゃないか、こう思うのですが、今申し上げたような意見に対してはどういう御見解ですか。
#16
○清水(湛)政府委員 先生、まずドイツの例をお引きになりました。これは日本では監査役会というふうに訳されておりますけれども、実はこれは日本の取締役会よりさらに上位の機関でございまして、いわば最高の決定機関、もちろん株主総会はございますけれども、その監査役会で実は取締役を選ぶということになっているわけでございます。そういう意味で日本の監査役会とはちょっと機能が違うし、まさに最高意思決定機関である。そこで、ドイツでは実は労働者の経営参加というような問題もございまして、一定の比率で労働組合の推薦に係る監査役をそのメンバーの中に入れる、こういうような形になっております。
 日本ではそういう意味での監査役会というのはございませんで、実は日本の会社法の立て方は、そういうドイツの監査役会のような機能を取締役会に昭和二十五年改正で期待したわけでございます。それまでは取締役会という制度はございませんで、会社にはそれぞれ代表権がある取締役若干名、それを全般的に監査する監査役というものがあったわけでございますが、二十五年改正におきましてアメリカ的な取締役会という制度をつくりまして、取締役会が業務執行を担当する代表取締役を選んでこれを監督する。つまり、そういう意味では、我が国の会社法をドイツ法と対比して考えるならばむしろドイツの監査役会というのは日本の取締役会に近い、こういうような実態だろうと思います。
 したがいまして、会社の業務執行の適正化を図るということのためには本当は取締役会の機能が十分に働くということが必要なわけでございますけれども、これが必ずしも実はうまくいかない。取締役会で選ばれた代表取締役を取締役会が監督しなければならないにもかかわらず、実は代表取締役の支配下に取締役会というものがあるという実態が生まれてきてしまったという事実がございます。
 そこで、それではということで、改めてまた戦前の姿に戻そうということで監査役制度の強化ということがうたわれまして、そして昭和四十九年改正によって監査役の権限の強化が図られる、また会計の監査だけじゃなくて業務執行の監査もするという形でこの監査役制度の強化という方針が打ち立てられてきたわけでございます。それと同時に、この会社の内部の機関である監査役だけでは不十分であるから、大会社についてはいわゆる監査法人、公認会計士等の外部監査を強制するということになったわけでございます。
 さらに、昭和五十六年改正等によりまして、常勤監査役の制度だとか監査役の報酬の独立性を確保するとか、あるいは会社の使用人に対して直接監査役がいろいろな調査権を発動することができるという形で監査の強化を図ってまいったわけでございます。
 さらに、今回の改正は、今までの累次の改正によって強化された監査役の権限、実は責任も非常に重いのでございますけれども、そういうものを行使しやすくするという意味で今回の改正をお願いするわけでございます。
 ただしかし、そういう状況の中で大会社については監査役の員数増をする。これも、適用になる大会社は実は約八千社あるわけでございますけれども、八千社の会社というものの実態を考えますと、先生のおっしゃるように巨大企業についてはもっとたくさんの監査役を、資本に応じて監査役の数を変えたらどうかというのは、一つの御提言として私は全く傾聴に値する御意見だと思います。
 しかしながら、そういうような会社の現行法制というものを前提といたしますと、いわば最低限の要件として商法の中には規定せざるを得ない。あるいは、外部の監査役につきましても、公平な立場から会社の経営状況を見るという意味でいわゆる社外監査役をもっと人数をふやすべきだというような議論も実はあったわけでございますけれども、そういうものにつきましては、やはりこの適用を受ける企業八千社の実態というものを考えますと、法律の予定するような監査役を得るのは必ずしも容易ではない。名目的に社外監査役を置くというようなことになってしまいますと、かえってせっかくの社外監査役制度というのが形骸化してしまうという危険も生むというような問題もございまして、いろいろな現在の実情というものに合わせて考えますと、一人、しかも五年間の要件をつけるというようなことに落ちついたわけでございます。
 そういうことによって本当の意味での会社業務の適正化が図られるかどうかということになりますと、今回の法律改正後にこの改正法の趣旨というものを踏まえて各会社がどの程度これに対応する行動をしてくれるかということにも実はかかわるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現段階においては関係方面の意見を集約し得るいわばベストの案、将来の問題は別といたしまして、そういうような形で改正案を用意させていただいた、こういうことになるわけでございます。
#17
○渡辺(嘉)委員 行政はいろいろな意味で私は後追い行政が多いと思うのです。と同時に、立法もまたその行政機関からいろいろ出されるこういう閣法によって後追いをやっておる。だから、今ベストだと思っていらっしゃることは過去のデータに多分に依拠しておると私は見ておるのです。こういうような意味で、先ほど申し上げたように百分の三は資本金の額に応じて百分の一にする、百分の〇・五にするという逓減方式を採用する、と同時に監査役は資本金に応じて逓増方式をとる、これは当然のことなんですね。
 一律に大会社も小さな会社も――大会社を全部五億、八千社と規定されたが、その中の九百社は超大企業なんです。こんなところを三人と決めて、とてもじゃないがだめなんです。だから、こういうところは十人とか五人以上とか、その中には社外を二人入れよとか、法というものは当然そういう配慮をして決めなかったらおかしいと私は思うのです。一束からげにしてそういうところまでひっくるめた、八千社をひっくるめたやり方は好ましくない。
 こういうような意味で、先ほど申し上げたドイツのやり方を直ちに日本で導入することはまだ無理ですが、将来あの方向がいいと私は思っておるのです。監査役会は企業運営そのものはしません。取締役を選任したり、あるいは重要事項の同意権は持っております。しかし業務執行権はありませんからね。その意味で、ああいうものがいいと私は見ておるのです。執行はやはり取締役がやりますから。だから、これを混同はしておりませんけれども、あそこでも人員に応じての逓増方式をとっておる、だから逓増方式をとりなさい、こういうことを申し上げたわけです。
 この二つについて、局長の方からも一遍きちっと考え方を明らかにしてください。将来についてこの改正だけでは私は不十分だと見ておるのです。
#18
○清水(湛)政府委員 実は、会社法の改正というのは、昭和四十九年改正の際に当委員会あるいは参議院の法務委員会等で附帯決議がされているわけでございます。大会社、中会社、小会社という会社の規模に応じた、それにふさわしい法規制というものを考えるべきだ。
 日本では百三十万社というような株式会社がある。ドイツでは純粋な意味での株式会社というのは三千社程度しか存在しない、こういうふうに言われております。我が国では、戦後のいろいろな税制等の影響もあることだと思いますけれども、とにかく百三十万社という株式会社が存在して、
ほとんど家族会社みたいなものから、先生のおっしゃるような資本金何百億、何千億というような巨大会社まである、こういう実情がございます。そういうような会社の規模に応じた、それにふさわしい法制を整備するべきではないか。中小企業という立場から見ると、今の会社法はいろいろなことを細かく決め過ぎておるというようなことも実は指摘されているわけでございます。
 そういうような意味での大小会社の区分という問題が昭和四十九年の附帯決議におきましても指摘されておりまして、合併とか分割の問題も問題として残されておりますけれども、これが今後に残された一つの大きな問題でございます。そういう議論の過程の中で先生の御提案のような意見というものも十分にしんしゃくされなければならない、こういうふうに私ども実は考えている次第でございます。
#19
○渡辺(嘉)委員 考えているだけでなくて実行してもらうことが大事だと思うので、その点特にお願いをいたしておきます。
 次に社債発行の改正について質問をいたしますが、時間がだんだん迫っておりますので少しはしょります。
 まず、社債発行の限度規制を廃止されたわけですが、現在既にこれは限度を超過しておる、私はそう見ておるわけです。
 これはまた水かけ論になるかもしれませんけれども、昨年の三月の報告書によりますと、もう既に限度がないところが六・一%、七十八社ある。平均ロットが三百四十三億ですから、平均ロット以下は七〇%が既に限界に来ておる、こういうことなんです。これは去年の三月ですから、ことしの三月になれば、株の値下り、土地の値下りその他を含めて純資産は当然減少しておる。こういうような意味で、では現在どの程度この枠をオーバーランしておる実態であるか、これをひとつ明らかにしてください。
#20
○西方説明員 企業の国内の無担保社債に係る社債発行限度枠の使用状況でございますけれども、昨年の状況は先生から今お話がございましたとおりでございます。
 ただ、最近の状況につきましては、決算内容等に基づく計算可能な資料がまだ十分でないということでございまして、確かに先生がおっしゃるように、資産が目減りしているような状況で余裕枠のない企業がもっとふえているのではないかという推測は可能かもしれませんけれども、確たることは今ちょっと申し上げることができないということでお許し願いたいと思います。
#21
○渡辺(嘉)委員 こういう規定を廃止する以上、確たる一定の資料に基づいて、こういう実態なんだ、だからこれは撤廃しないと企業運営上、資金調達上、あるいはまた社債の募集上行き詰まるのだという実態をこの際明らかにして出さないと、私は、こういうものは国会審議の資料としてはちょっと、こういうときだけに好ましくないのではないか。
 あわせて、これの裏返しの形で、従来は受託会社として社債の募集の受託をしていたわけです。そういう会社を受託会社として、そして三百九条の適用を受けて、そして社債管理をやっていたわけですね。こういう管理機能を持った受託会社が、現在は既に一〇〇%近く、担保附社債信託法に基づいて認可を受けた銀行等が社債管理を行っておるわけですが、部分的な改正はいいのですよ、強制規定によってこれを設置しろ、こういう必要性が果たしてあるのかないのか。これはむしろいろいろな意味で行政が介入する余地を与えるだけのもので、決してプラスではない、こう私は思っておるのですが、どうですか。
#22
○清水(湛)政府委員 まず第一点の、社債発行残高が現在の制限額にもう満杯になってしまって余裕がなくなったから今回限度を撤廃するのではないか、こういう御趣旨のお話があったかと思いますけれども、これは実はそうではないわけでございます。
 企業の方からの要望の一つとして、限度があるために一般の市場から社債という形で資金を調達するのが非常にやりにくいというような要望はございましたし、それが一つの背景になっていることは私どもも否定するわけではございませんけれども、そもそも社債発行限度規制というものの合理性について、これは既に昔から実は指摘されていたところでございます。
 この委員会でも既に述べましたけれども、このような発行限度規制をとっているのは先進国では日本とイタリア商法だけでございます。そして、イタリアの影響を受けた若干の国がこの発行限度規制をとっています。
 これとても、当時の明治政府がそういうような形で非常にドラスチックな形で社債権者保護を考えたのだろうと思いますが、実は、社債を発行する際にはそうなんですけれども、社債というのは普通は長期のものでございますから、その後に資産状況が悪くなった場合にはどうなるのかというようなことについての規定は全くないし、それから企業が銀行とか特定のものから資金を借りるということについての規制は何もないしということで、そもそも社債が大衆というものを対象にするということではあるけれども、そのような規制をする合理性はどこにあるのかというまず根本論がございまして、こういったたぐいの規制的な商法は速やかに改むべきであるということが従来からも強く主張されていたわけでございます。
 ただしかし、私どもは、そういうことはあるけれども、現実に今商法にあって、少しでもそれが社債権者の保護という面で機能し得る要素があるということであるならば、これをそう簡単に廃止するということはやはり問題であるだろう。もし廃止するとするならば、少なくとも商法が考えていた社債権者保護の趣旨より以上に強い社債権者保護のほかのシステムを考えないとそう簡単に発行限度の撤廃ということはできない、こういうことを従来法務省は主張していたわけでございます。
 それからもう一つ、社債権者保護と申しますか投資家保護と申しますか、そういう意味で、企業のディスクロージャーだとか、あるいはこの社債は信用できるものであるか危ない社債であるかというようなことについて一般国民が知り得るシステムを確立するということがやはり必要であろう。これはもう証券取引法の方の問題である。こういうようなことから、従来相当長期にわたっていろいろ議論がされてまいりました。
 そういうことの結果として、証取法上のディスクロージャー制度とか格付制度というものもかなり定着してまいりましたし、というようなこともありまして、この際商法にきちんとした社債権者保護の規定を設けて、そして限度撤廃をするということにいたしたわけでございます。したがいまして、ちょうど今バブルの崩壊で例えばエクイティーファイナンスができない、新株発行が事実上難しくなっているとかあるいは転換社債の発行が難しい、こういうような状況がたまたま今出てきておりまして、また商法の原則に戻って普通社債というもののウエートが非常に高まっているというような状況があるということが生じているわけでございますけれども、これはここ一、二年の状況でございます。私どもの社債発行限度撤廃についての議論というのはもう昭和五十年代から始まっているわけでございまして、そういうような長い歴史的な経過を踏まえて今回こういう改正をすることが適当だ、こういう判断に到達したわけでございます。
 それから、第二点の社債管理会社の問題でございますけれども、御指摘のように、担保付社債を発行する場合には、受託会社というのがありませんとこれは発行できません。というのは、この受託会社というのは社債権者のために、本来社債権者がそれぞれ担保権者なんですけれども、多数の社債権者個人個人で抵当権者になるということは不可能でございますから、銀行あるいは信託会社が社債権者にかわって抵当権を行使するという意味でこれは必要でございます。
 しかしながら、一般の無担保社債については委託を受けて募集をするという会社を置くことはで
きるわけでありますけれども、これは強制されていないということに無担保社債についてはなっているわけでございます。のみならず、無担保社債の場合の現行法の募集の委託を受けた会社は、直接社債権者に対して損害賠償責任を負うということにはなっていないわけでございます。不法行為をすれば不法行為責任は負いますけれども、直接の損害賠償責任を負うという関係は、契約関係がございませんので、ない。こういうようなことがございますので、それでは社債権者の保護にならない。
 社債権者の保護のためには、そういう債権管理会社を設置を強制するとともに、債権管理会社は社債権者に対して善良な管理者としての注意義務を負うという義務を法定するとともに、一定の場合にはさらに強い損害賠償責任を課するというような、いわば社債権者と社債管理会社の権利義務関係、損害賠償責任等の関係を明確にしてこの社債権者の保護を全うする、こういうことになるわけでございまして、どうしても社債権者保護のためには、これは無担保債についてでございますけれども、社債権者のための権限と責任を負う機関を設置するということはこれは強制せざるを得ないということでございます。担保付社債であれば、これは当然そういうものは置かなければそもそも担付社債が成立しないという関係がございますので、問題は無担保社債についてある、こういうことになるわけでございます。
#23
○渡辺(嘉)委員 余りいろいろな説明をずっとやられるとちょっと質疑応答の時間が制約されますので、余り懇切丁寧過ぎないようにひとつお願いをいたします。ある程度のことはお互い承知しながらやっておるわけですから。
 そこで、今、社債権者のためにかくかくしかじかとおっしゃった。私はこれから一つ一つ聞いていきますが、今おっしゃったように、無担保については非常に危険だとおっしゃる。
 ここに一つの受託会社の契約例があるのです。大体これが一つの普遍的なものなんですね。これには明らかに第二条によって、「乙は、」この受託会社は、「本社債の社債権者のために債権の弁済を受けるに必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する。」それから「特約」として第二十四条で「甲は、本社債発行後、甲の他の国内債務のために担保を提供する場合」、甲は相手ですね、発行者。「場合には、本社債のためにも担保附社債信託法に基づき担保権を設定しなければならない。」こういうふうにだんだんにやっておるのですよ。
 そんなもの野放しにやっておるわけない。だから、今までみんなそれぞれ社債を安心して買ってきたのですよ。ですから、今度これを強制規定しなければならぬそんな必要はないんだ。もう一〇〇%に近い、私募債は一番に除きますから一〇〇%と言っていいのです、公募する場合は。これはこういうきちっとした契約に基づいてこういうことをやっておるわけなんです。こういう意味合いから見て、強制規定をもって全部やりなさい、こういう規定は実情に合わない、実態上必要ない。
 いま一つは、この契約書の第四条に、手数料は「別に定める」と書いてあるのですね。だから手数料は載ってないのです。
 この手数料についてはではどうか。日本の場合は高いんじゃないかとかいろいろと先日も論議があって、あなたの方からの御答弁があったわけです。証券団体協議会の「「わが国社債市場の現状と課題」より」からの引用で、こういうもので答弁をいただいておるわけです。私も聞きました。
 これによると、受託手数料の当初の費用は、〇・一%で五百億の社債を発行した場合には五千万円だ、そして期中費用は〇・〇三%で七年間で一億五百万である、トータルして一億五千五百万、英米に比べると四倍から十倍である、こういうふうな説明なんです。ところが、私が業界を調べ大蔵省にじかに聞いたときには、業界の実態は当初の無担保の場合には社債の手数料はざっと並べて〇・一九だと、こう言うのです。〇・一じゃないのです。大蔵省の方からの答弁では、〇・一から〇・二までの幅がありますと言う。そうしたら一番低い〇・一をとってきて五千万だ。こういう出し方は私はおかしいと思う。
 この実態を私が調べたら、業界では、これは無担保の場合には当初〇・一九です、期中は年に〇・〇四ですと、こう言うんだ。だから、これで計算をし直してみると、あなたの方でおっしゃった一億五千五百万は二億三千万になるのです。二億三千万を今度、アメリカであるとかユーロ円であるとか、この計算が妥当かどうか私は知りません、証券団体からきたものですから妥当かどうかは知らぬけれども、これに置き直すと、アメリカに対して四・六倍ではなくて六・八倍になり、ユーロ円に対しては十一倍ではなくて十六倍になるのです。
 こういう手数料の実情から見て果たしていいのかどうか、こういうべらぼうなことが。この点、こういう資料を出してこれでいいんだという姿勢は、私は行政官としては不適切な国会審議の資料だと思う。
#24
○西方説明員 受託制度につきましては、受託がいろいろな機能を持っているということにつきまして、それがコスト高になっているというような指摘もかねてからあったりして、かなりこの間こういう実情についての指摘がございます。
 例えば、平成二年の証券取引審議会の報告の中のポイントをちょっと御紹介させていただきたいと思います。
 我が国の受託会社というのは「法律上設置を義務付けられていない無担保社債についても例外なく設置され、起債に際しては、担保の有無を問わず、適債基準等の策定のほか、償還期間等の決定や財務制限条項の設定等に関与するなど、起債の仕組みや実際の起債に深く関わっている。」こういったことから、我が国の市場というのは非常に効率性がどうだ、それから国際性でどうだという点で問題があるのではないかということでございます。
 例えば受託会社が発行の可否に関与している状況というのは、引受証券会社の間の役割とか責任の分担というものをちょっとあいまいにしているのではないかというようなこと、それがいろいろな意味での自由な商品の阻害要因になっているのではないか。それからまた、こういったことがコスト面で非常に高くなっているのではないかというようなこと、これがまた海外に起債を追いやっているのではないか、こういうような指摘があるわけでございます。今度の法律では、そこの受託機能につきましては、いわば機能について純化する、再構成するというようなことが図られているわけでございます。
 先ほど委員から御指摘がありました手数料は、本来的には相対で、交渉で自由に決まるものでございますので、一定の幅があろうかと思います。しかしながら、全体的には海外と比べても大変高い水準にあるわけです。このたびこういう法律改正が行われるということになりますと、受託についての機能がかなり純化、分化されるということになって、これが結果的に市場関係者の間でコスト低減の機運になるということを私どもは期待しているところでございます。
#25
○渡辺(嘉)委員 むしろ逆であって、今までのように自由な場合でもこれだけ高いのです。今度強制的に設置しなさいということになれば、そんなものは一定の水準以下に下げる必要はなくなってくる。逆なんです。だから、そういうような意味で、私はこの手数料についても下がると期待しておらない。ただし、発行事務については分けるということがあれば、その分の手数料も加算すれば結局は同じになってしまう、私はそう思う。だから、これについてはよほど大蔵省も厳しく目を光らせておいていただかなければいけないのではないか。
 それから、三百十一条ノニの管理会社の損害賠償の規定が出てきたわけですが、これは利益相反の事例なんですが、管理会社が取引銀行の場合に、仮に二千億発行会社に貸し込んでいた。今度
は無担保社債を五百億発行を引き受けた。この会社は千五百億の残債に対する担保ならあるという場合に、この五百億を銀行に償還してしまった。そうすると、銀行は千五百億の担保は保全してあるから、これで安心だ。しかし、会社の方は運営資金に回らなかったから、これは行き詰まってしまった。これは三カ月以内に行われたら、三百十一条ノニ第二項によって損害賠償の責任を持ちなさい、こういう意味で罰則規定がある、適用になるわけですね。しかし、三カ月超えていればいい、こういうことになるわけですね。では、三カ月をちょっとでも超えたらいいかどうか、どうなんです。
#26
○清水(湛)政府委員 この三百十一条ノニというのは、従来は、社債の募集の委託を受けた会社についてこういったたぐいの責任規定はなかったわけでございます。今回、この社債管理会社というのは、社債権者のために専らその管理を行うということに純化をいたしました。そのために、社債管理会社が社債権者に対して善良な管理者の注意義務をもってその義務を行わなければならないといった一般規定がまず二百九十七条ノ三にあるわけでございます。そういうものを前提といたしまして、まず一般的に社債管理会社が違法な行為をして社債権者に損害を与えるということになりますと損害賠償責任が生じますというのが三百十一条ノニの一項の規定でございます。
 先生の御指摘のこの二項、三カ月以内の特別な行為について管理会社の責任を重くしているわけでございますけれども、おっしゃるように、例えば銀行が債権管理会社になっておる、それで銀行自身も社債の発行会社に金を貸し付けている、同時に社債権者のためにも債権を管理しているということになりますと、いわば銀行固有の立場と管理会社の立場というものが競合することになります。競合する場合に、どうしても銀行の立場として自分の債権を先に回収してしまう、その結果として実は発行会社が倒れてしまったということもあり得るわけでございます。
 そこで、そのようなことにつきまして、もしその銀行が自分の債権の回収なりあるいは担保の提供というものを三カ月以内にしたという場合には、その三カ月間の行為については、それによって発行会社が倒産をするというようなことになった場合には、むしろ銀行の方で注意を尽くして、自分たちの債権を回収したのだということを積極的に立証しない限り、債権管理会社たる銀行に損害賠償責任が生ずるということにいたしたわけでございます。
 実は、現行法にはこういった規定が全くないわけでございます。しかも、現行法は任意だとは法律上言っておりますけれども、募集の委託会社というのは事実上、強制するとかしないとかにかかわらず、これは存在しないと社債を発行することができないというのが現実の姿でございます。そういう状況のもとで、現行法では、銀行が現実には募集の委託を受ける会社になりながらそういう責任を負わないということになっておりますので、これは非常に問題であるということで、実はアメリカの信託法等の規定に倣いまして三カ月ということにいたしたわけでございます。
 御指摘のように、三カ月の期間は短過ぎるのじゃないか、もっと長くしたらどうかというような御議論もあろうかと思いますけれども、大体三カ月の範囲内であれば、銀行がそういうことをすることによって会社がどういう状況になるかということは一応推測し得る。しかし、それ以上長期の期間を置くと、必ずしも銀行の行為が社債権者を害するということになるかどうかということはこれははっきりは言えないのではないかというようなことから三カ月というふうにしたわけでございます。具体的にはアメリカ法を参考にしたという結果になっているわけでございます。
#27
○渡辺(嘉)委員 妙なところではアメリカ法を参考にして、前のときにはアメリカは一株でも会計帳簿閲覧権はまあさておきと、僕はそういう手練手管は好ましくないと思う。いいところ食いではなしに、悪いところ食いのような気がするわけですね。
 では聞きますが、三カ月の問題ですけれども、社債管理会社たる銀行が、社債発行会社に三カ月以前に設定してあった担保権を三カ月以内の期間の中に実行して、そして自分の債権に充てた、その会社の債務に相殺した、こういう場合は当然違法じゃないですね。いいですね。
#28
○清水(湛)政府委員 これは、銀行が金を貸すときに担保権を設定するということがあるわけでございますから、その担保権の実行としてその債務の弁済を受けるということは違法ではないわけでございます。
 ただ、一般論として、先ほど申しました善良な管理者の注意義務というものが社債権者に対してあるわけでございまして、それが当てはまるかどうかというのはケース・バイ・ケースでございますけれども、三百十一条ノニの第一項の方に該当するということも全くないとは言えないというふうには考えております。
    〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
#29
○渡辺(嘉)委員 ないとは言えないというような、そんなことではだめなんですよ。こんな修羅場で、生きるか死ぬかの今自由競争の世の中で企業は運営しておるわけです。だから、三カ月なんというような規定では、これは実際空文化しておるのです。メーンバンクのような立場のものなら、そこの会社がどの程度でどうなるかということはわかる。だからこの規定は、三カ月以前に設定したら三カ月以内には実行してもいいというようなことなら、そんなのしり抜けと一緒ですよ。これはどう見たって、この際は、こういうメーンバンク的なところは外さなければいけない。
 しかし、外すということが難しければ、二つのことがまず要求される。一つは、この三カ月という期間を十カ月か一年にしなければいけない、そうすればこういうことはできない。いいですか。最低でも六カ月は必要なんです。ずっといろいろな事例を見ても最低六カ月は必要なんです。だから、これはせめて六カ月に置き直すようなことをしないと実質的に効果がない。
 社債権者と管理会社との間で利害が相反したときには発行会社に社債権者集会を開かせて、いろいろな代理人を置く権限がありますが、これも十分の一です。十分の一の社債権者を集めるということは大変なことなんです。三百億出していたら、十分の一なら三十億以上です。まして無記名なんですからね。だから、こういう文章はあるけれども、実効のないような中身で改正した改正したというようなことではだめなんです。こういうような意味で、これで果たして本当に社債権者の保護になっておるかどうか。これは形式だけであって、先ほど株主の権利の問題でもずっと申し上げてきておるけれども、明文はあるけれども実効性のある中身ではないのではないかと私は思うので、この際こういう点については見直したらどうですか。
#30
○清水(湛)政府委員 社債権者保護のための機関として社債管理会社の設置を義務づける、その社債管理会社は銀行または信託会社でなければならないというふうにいたしたわけでございます。実は、前にも申しましたとおり、現在でも現実に社債を発行する場合には銀行または信託会社が募集の委託を受ける会社になっておる、しかし現実には信託会社だけというのはございませんから、銀行が募集委託を受ける会社になっているわけでございます。
 なぜそういうような状況になっておるのかということでございますが、大量の社債権者のために社債の償還とか元利金の支払いをするとか、あるいはこれに関して生じたいろいろな損害賠償責任を社債権者に対して支払い得る能力がある、あるいはそういった社債の管理その他については、これはいわば金の貸し借り等に絡む問題でございますので、そういうものについて十分な知識、能力、経験があるということはどうしても必要なものとして求められるわけでございます。
 さらにまた、現実にはメーンバンクが債権管理会社になるのが通常であろうと思いますけれど
も、メーンバンクはメーンバンクとして発行会社の経理事務内容をきちっと把握し得る立場にある。しかも、銀行は銀行法に基づきまして大蔵省の厳しい監督下にあることを考えますと、社債管理会社として考えられるのは、これまでもそうであったのでありますけれども、これからも銀行しか考えられないのではないかという状況にあるわけでございます。
 今までの銀行の位置というのは、募集の委託を受けるという意味におきましては発行会社の仕事もする、同時に社債権者の仕事もするという意味でいわば中間的な存在でございましたけれども、今回の改正法におきましては、銀行が社債管理会社として行う義務は専ら社債権者の利益を守るという立場での行動ということになりますので、それだけ責任も重くなっているわけでございますが、これまでの沿革あるいは銀行のそういう意味での債権管理能力を考えますと、銀行が適切に社債権者のための管理をし得ると思うわけでございます。
 その場合に、三カ月と法律に書いたわけでございますが、三カ月が短いか長いかということにつきましてはいろいろな議論があると思いますけれども、少なくとも今までこのような規定は全くなく、銀行の責任があいまいだったものにつきましてこういうような制度を導入した、今後これがうまく機能するかしないかということはある程度法律を実施してみなければわからない面があるわけでございますけれども、私どもとしては、これによって債権管理会社、実際は銀行でございますけれども、その責任は非常に重いものになってきておると考えていいのではないかと考えているわけでございます。
#31
○渡辺(嘉)委員 銀行はそういう重い責任があると私どもは期待しておる。しかし、銀行は全部が全部それにこたえたかどうか。バブルの時代をお考えいただけば、もう今さら私は説明をしない。それにこたえていない事例がたくさん出てきた。あるいはまた、変額保険の問題でもそうです。あれに悪乗りしたのが銀行なんですが、これはまた別な機会にやります。そういうようにいろいろな意味合いで期待に反しておることは事実なんです。実際、銀行は自分が生きるか死ぬかのときにはこの三カ月を上手にやれば何とでも逃げられる。冗談じゃないですよ。だから、私はこれは最低六カ月持たなければだめだと見ている。いざとなればこれは修正してでも直さなければいかぬ。そうしておかないと実効性がないと私は思っている。
 と同時に、証券界と金融界との相互参入が今スタートしたわけです。社債管理会社は銀行が主でやるわけですから、当然今度は銀行が主流になる。そうすると、この巨大な銀行が、機能もいろいろな、資金的にも日本支配の実態にあるわけですが、私は今度のこの流れに対して証券界は指をくわえて見ておるような気がするのですね。この際、証券界もこれに参入できる余地を、今度子会社の形式でやるわけなんですが、子会社の場合にはそれぞれが相互参入をさせるつもりでおるのかどうか、これはどうなんですか。
#32
○西方説明員 この四月から銀行と証券の制度改正が行われたわけでございます。証券会社も銀行の子会社を持つことが可能になるということでございますので、一定の資格要件を持つ子会社につきましては、こういうような受託機能を持つ可能性があると理解しております。
#33
○渡辺(嘉)委員 引き続いて、この新しい商法の改正が海外にどのような影響を与えるかという問題です。
 時間があと三分か四分しかないところへ来たので、この点については後ほど鈴木先生の方にもある程度やってもらうつもりですから余り触れませんけれども、実際問題として今、昨年度でも国内四兆六千億、海外市場で三兆九千億、国内に匹敵するだけの社債を発行しておるわけなんですね。こういうときにこの法律の適用が、社債管理会社は絶対的に海外も設けなければならぬというようないろいろな規定が出てきますと、これは外国の場合には適用できるはずがない。実態論としてはあり得ぬということも私は今まで聞いてきたのです。この中身についていろいろ聞きたいことがあったのですが、この点について、外国において起債をする場合にはそこの行為地あるいはまた契約上そこの法律を適用させるということになると、これは一応除外になるかどうか。
 と同時に、そういうふうになりますと、日本の法律に基づいて外地で起債を行うことは、日本のシェア、いろいろな意味でのシェア、アメリカだとかイギリスだとかの従来の既存勢力に日本の円も入って、日本の法律も入っていって、日本の法律で日本の企業は外地で起債ができるということは非常に有利になるわけです。簡単に言えば、日本語がアメリカでもイギリスでも通用すれば一番便利ですからね。こういうような意味合いで、日本の法律で外地で起債をするときにどういう適用になるのか。これが外地における起債、募集の足かせになるようなことになったら、これもつまらぬ話ですね。
#34
○清水(湛)政府委員 日本の企業が外国で社債を発行する、こういう場合法律の適用関係がどういうことになるのかという御質問だと思いますけれども、会社の内部組織に関する事項については、これは日本の会社であれば日本の商法が適用される。例えば社債を募集するには取締役会の決議が必要である、これは日本の商法によってやらなければならないのは当たり前でございます。
 ただ、問題は、日本の会社がヨーロッパならヨーロッパの特定の国で社債を募集するという場合には、これは日本の会社と応募者、その国の国民の方との間の一種の社債契約になります。社債契約というのは法律行為でございますから、法律行為の成立あるいは要件についての準拠法をどこにするかということが問題になります。その際、例えばスイスで発行する場合には、スイスの社債法に従って発行するかあるいは日本の社債法によって発行するかという準拠法の選択がまず行われるはずでございます。
 準拠法の選択が、その場合、日本で選択した方が日本に有利なのか、日本の国家にとって有益なのかどうかというのは、私はこれは必ずしも一概に言えることではないと思いますけれども、少なくとも、例えばスイスの国民にとってはわかりにくい日本国法よりかスイスの法律を準拠法として日本の企業がそこで社債を発行するということの方が、これは応募者の立場から見れば非常にわかりやすいし、その国の社債権者保護の法制というものにのっとって保護されるわけでございますから、それはそれでいいということになるわけでございます。
 したがいまして、この準拠法をどうするかということは、これはやはり発行企業体とそのマーケットにおいて募集をしようとする、あるいは募集代行機関等とのいろいろな話し合いの関係によって決まる問題である、一律に日本国法にした方が日本のためであると言える問題ではないというふうに実は思うわけでございます。
 問題は、その準拠法をどうするかということは、これは発行体とその現地の募集、どういう機関があるかわかりませんけれども、それによってやるということになろうかと思います。そしてさらに、日本国法によって例えばスイスで社債を発行するということになった場合には、これは原則的に日本の法律というものが適用される。社債管理会社がどんぴしゃりという形でその国にないということになりますと、あるいはそれに相当する機関、いわばこの社債管理会社というのは社債権者のためのエージェント、代理人でございますので、社債権者の利益を保護、代弁するための機関、それに相当する機関を設置していただくということになるであろう。
 しかし、そういう国が現実にあるかどうか知りませんが、それに該当するような機関が何もないというようなことになってきた場合には、これは設置を強制いたしましても現実には設置できないという問題が起こることになろうと思います。ただしかし、そういうものが設置できないような国
で、そもそも一体日本国法を準拠法として社債を発行するということがあり得るのかあり得ないのか、これはやはり国際間の取引の問題であって政府があれこれ言うべき問題ではない、こういうふうに実は考えている次第でございます。
#35
○渡辺(嘉)委員 いろいろ実態と私の考え方とは少し食い違っておるけれども、時間もありませんので、あとは後に譲りまして、以上で終わります。ありがとうございました。
#36
○星野委員長代理 鈴木喜久子君。
#37
○鈴木(喜)委員 かわって鈴木からまたいろいろと御質問させていただきます。先ほどの問題の続きだと社債からやらなければならないのですが、その続きがら入ると何か私の頭が混乱しそうですので、もう一回初めの方からやってまいります。
 この間、私が質問したところを少し復習というか念を押しておきたいと思うのですけれども、まず会社の使途不明金についてなんですが、国税が調べられたときに、資本金一億円以上の会社で、過去五年間ぐらいにさかのぼって、その使途不明金というものがどのくらいあるかということをこの間伺ったのですが、もう一度、申しわけありませんが、もし今お手元に資料がありましたら、平成四年度の不明金の額、それからその中で調査の結果使途が判明した分、そのうち政治献金に回されたというふうに判明した分がどのくらいあるか、教えていただきたいと思います。
#38
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 平成四年度というお尋ねでございましたが、私どもは一番新しいものが平成三事務年度ということで、その数字でお許しいただきたいと思います。
 把握いたしました使途不明金の総額は五百五十八億円でございます。そのうち使途が判明いたしましたものは百三十九億円でございます。このうちに政治献金と認められますものは二十四億円、このようになってございます。
#39
○鈴木(喜)委員 これはたしかこの間も聞きましたけれども、資本金一億円以上の会社のうち、調べたところが何社ぐらいで、そのうち何社ぐらいがそういった形でこの五百五十八億円という使途不明金がわかってきたのか、その点もお知らせいただきたいと思います。
#40
○藤井説明員 同じ平成三事務年度の数字、昨年の六月までということでございますが、私どもの所管いたします法人が三万三千七百二十八社ございますが、調査いたしましたものが一四%に当たります四千七百二十二社、このうち使途不明金を把握いたしました法人が五百五十四社、このようになってございます。
#41
○鈴木(喜)委員 約一四%の会社が調べられて、そしてその中から約一割強に当たりますか、そういう会社から使途不明金がわかったわけですけれども、いろいろと新聞等で取りざたをされております大手のゼネコン各社については、この一四%の中にいつも入っているんでしょうか。この間、そういうところは特別に厚いというようなことを、調査については密度を濃くやられているというふうに伺いましたけれども、入っているんでしょうか。
#42
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 私ども、調査いたしましたものにつきまして全体として計数を把握いたしているところでございまして、委員お尋ねの個々の企業がどうかという点につきましては、大変恐縮でございますが、答弁を控えさせていただきたいと思います。
#43
○鈴木(喜)委員 必ずそうなっちゃって、ここで調べたか調べないかすらもはっきりわからない。もちろん、そこから出てきた使途不明金がどの会社にどのくらいあったかということはなかなか知らせてもらえない。政治献金がやみ献金で幾らあったというのは、私たちは、それが本当か否かわからないけれども、新聞報道で知らされるのみであります。こういうような状況では、本当に企業の責任というものが浮き彫りにされ、国民の目にさらされて、そして果たして正しいものかどうかという審判を受けることもできないのではないかと思うのですね。こういうことについての監査の結果の報告ということについては、私たちこれからも非常に望んでいかなければならないことだというふうに思うのです。
 建設省に伺いますけれども、こういったゼネコンでやみ献金があったなかったということが取りざたされている。そしてまた、こういった税務調査というものが、前回の質問の中でも、かなり密度濃くされているというようなことを伺いましたけれども、そういうことから、建設省としては各社に対してどのような指導をされているのでしょうか。
#44
○風岡説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のやみ献金について建設省としてどういうような調査とか指導をしているのかというお尋ねでございますが、まずこれは三月二十九日でございますけれども、建設大臣の方の談話というのを出しまして、今回のこういった事態につきまして非常に遺憾なことであるという趣旨の談話を出しました。そこで、業界に対しましては、企業倫理の確立あるいは事業活動の適正化ということについて大臣としての見解を述べたわけでございます。
 業界団体におきましては、これを受けた形でありますけれども、日建連あるいは全建等におきまして申し合わせとか決議を行っておりまして、今後の活動方針というものを示しているわけでございます。
 建設省といたしましては、まず自主的にそういった形で、団体において申し合わせとか決議が行われておりますので、それが速やかに徹底されるよう私どもとしても大いに期待をして、またそういうお願いを引き続きしていきたいと思っております。
 それからまた、個別的な建設省としての調査というようなことでございますが、正直申し上げまして、やみ献金の実態というような形の調査というのは、建設省は限界があるというふうに考えております。ただ、私どもといたしましても、建設業団体とか業者につきまして今後事業活動の適正化とか倫理の確立というようなものを指導するという観点から、一般的でございますけれども、団体に対しましてとりあえず今週からヒアリング調査というものを実施させていただきました。
 ここでは、団体の事業活動というものがどういった形で今まで行われているのかということとか、あるいは団体につきましては会費等の徴収ということがありますが、その会費の徴収というのがどんな考え方、どんなルールで決められているのか、あるいは今後団体として事業活動の適正化ということについてどう取り組むのかというようなことについて、今ヒアリングを団体から始めたところでございます。建設省としましては、そういったヒアリング結果等を踏まえながら、必要があればまたそういう指導を行っていきたい、こう思っておるところであります。
#45
○鈴木(喜)委員 それは一つの前向きな形としてやっていただきたいと思いますけれども、今度の商法の改正と同じように、果たしてそれで実効性があるのかどうかということになると、またいま一つ食い足りないなという分が出てくるわけでございます。今こういうところで仮にやみ献金があった、または税務調査の上で使途不明金がこれこれあったということがわかったような企業に対しては、どのような形で指導なり、またはもっと言うならばペナルティーを与えるのかということについて、建設省はどういうふうに考えておられますか。
#46
○風岡説明員 建設業法の規定をちょっと申し上げますと、建設業法の二十八条という規定がございまして、これは建設業者がその業務に関連しまして他の法令等に違反して建設業者として不適切である、こういったことが認定できる場合には監督処分を行うことができるという規定がございます。これは行政処分でございますので、従来その運用といたしましては、そういったことの事実、判決とかそういった形で確定した時点で、その建設業法の要件を満たしているかどうかということを判断して監督処分を行ってきているところであ
ります。
 今先生の方から、例えばやみ献金というようなことがはっきりしているようなところは処分を行うべきではないかというような考え方でございますが、こういった例えば政治資金規正法というような議論になりますと、これはやはり私ども建設省の立場での事実の認定につきましては限界がありますので、一般的にはそういったしかるべき機関の判断というものを踏まえながら、先ほど申し上げましたような考え方に基づいて建設業法上の対応はすべきである、こういうふうに考えているところであります。
#47
○鈴木(喜)委員 もう一つ、脱税はどうですか。
#48
○風岡説明員 脱税につきましても、基本的には建設省の方では、やはりしかるべき機関の判断というものも尊重しながら、なおかつ、先ほど申し上げましたような建設業法上の要件に該当しているかどうかということで判断をしていきたい、こう思っております。
#49
○鈴木(喜)委員 だから、該当するかどうかというところに、脱税という問題があった場合にはこれは法令に違反しているわけですね。使途不明金が出たというだけで、それだけで税法上の違反ということにはならないでしょうけれども、これは法人税法違反とかそういうことがはっきりしているようなときに、税務当局としては脱税ということになっても、それが脱税の罪ということになって司法のちゃんとした判決があるまでは何もしないということなんですか。それとも、脱税ということも建設業として適切な業務ではないというふうに判断される場合があり得るのでしょうか。
#50
○風岡説明員 建設業法の運用につきまして先ほど二十八条の規定を申し上げましたけれども、これは監督処分ということで、例えば指示処分とか営業停止とか、あるいは別の条項では許可の取り消しとかというのがありますが、こういったものはいわゆる行政処分ということでありまして、私どもといたしましてはその事実の確定、例えば一つ判決でございますが、そういったものをもって建設業法上の処分を検討する、こういった運用をしておりまして、引き続きそういった考え方でやっていきたいと思っております。
#51
○鈴木(喜)委員 何も建設だけの問題ではありませんけれども、いろいろと今ここで出てきました問題が、建設業界というのがこうした非常に不明朗な、それも超多額なお金というものが動くという現実に合わせれば、税務の問題であろうとも行政処分の対象として、そこで脱税というようなことがあった場合には、ぜひ建設省としても指導監督を怠りなくお願いをしたいと思います。
 それで、こういった使途不明金というものが一年間に一四%しか調べられなくて、それでも五百五十八億というものが出てくるような現状から見ますと、こういうものがもっともっとたくさんある可能性がある。たくさんあるものについて全部調べるというのはなかなか国税の調査能力というのもあるでしょうから、毎年それを一〇〇%とか八〇%調べなさいとか把握しなさいと言ったってこれはなかなか無理な話だと思うのですが、これをなくする、見えない部分も余りやらないようになるというためには、見つかった場合のペナルティーを物すごく大きくするか、またはこういうことをやった会社の社名を公表するか、それからもう一つはうんと罰則を重くすることと似ていると思うのですけれども、一四%というのは大体平均の調査率だとするならば、過去七年間については必ずその分についても全部の調査の上、そこについて同じような課税をするか、私が考えるとそのぐらいのことしか考えられないのですけれども、この点大蔵省、国税庁のお考えはいかがでしょうか。
#52
○渡辺説明員 お答えをさせていただきます。
 使途不明金をなくすために制度面、執行面で何かできないかということでございますが、制度面につきましてまず私の方からお答えをさせていただきます。
 使途不明金につきましては、真実の所得者に課税するという観点から、できるだけその使途を解明しまして、支出先に対して適正な課税を行うということが原則でございます。ただ、どうしても使途が解明できない場合には、その支出した法人に対しまして経費としての損金算入を否認するということによって課税しているのが現状でございます。
 この使途不明金をなくしますために、制度面でさらに何かできないかというお尋ねでございます。
 この問題につきましては過去にも議論がございまして、私どもも勉強したことがございますが、そもそも使途不明金は経営のあり方とかあるいは企業取引の開示といったいわば経営者のモラルの問題でございまして、こうした問題の解決に税制を利用するのはなじまないのではないかといった基本的な問題があるというふうに考えております。
 この問題につきましては、税制調査会でも過去に御議論をいただいております。五十八年の十一月の答申でも「本来、何らかの経費としての性格を持つ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。」というふうにされているところでございます。また、外国でもアメリカ、イギリス、ドイツ等では、日本と同様に経費としての損金性を否認して損金不算入とするという取り扱いになっておるわけでございます。こういった観点を踏まえますと、使途不明金に対しまして税法上特別な重課制度を設けるといったことはいかがかなというふうに考えておる次第でございます。
#53
○藤井説明員 執行面の方の問題についてお答えいたします。
 ただいま委員から、執行面の強化に関連いたしまして、七年間さかのぼって課税すべしという御指摘をいただきました。私どもたびたび御答弁さしていただいておりますとおり、国税当局として、真実の所得者に課税するという観点から考えまして使途不明金は大変問題があると考えておりまして、その使途の解明に全力を尽くしておるところでございます。
 調査をいたしまして使途不明金を把握するという場合を考えてみますと、その支出の過程におきまして仮装・隠ぺいなどの悪質な行為を伴う場合が一般的でございます。こういった場合にはもちろん重加算税を課しておりますが、その場合、更正決定の期限七年間ということになりますので、その期限いっぱいにわたりまして当然十分な調査をする、こういうふうにいたしておるところでございます。
 社名の公開につきましては、執行のレベルを超えると思いますので、私どもの方からコメントは差し控えさしていただきます。
#54
○鈴木(喜)委員 社名の公開だけ、ちょっと一言だけ大蔵省お願いします。
 執行ではないということになればやはり制度上の問題ということになると思うのですけれども、それについてはどうお考えですか。一言だけでいいです、長いことは要らないですから。
#55
○渡辺説明員 現在、いろいろな所得あるいは税金の額について公表するという制度はございます。納税金額が一定額以上あるいは所得が一定額以上の方について公表するという制度はございますけれども、その中で例えば使途不明金の額が一定額以上というものを公表するということ、あるいは脱税の額が一定額以上のものを公表するというのは、いわゆる税制の公表制度というのは、その申告が正確であるかどうかということをみんなで知ろうという趣旨から考えましたときに、それに果たしてなじむのかなという気がするわけでございます。
#56
○鈴木(喜)委員 なじむと思いますけれどもね。果たしてなじむのかななんて言っているようでは、そんな脱税なんというのはなかなかなくならないわけだし、使途不明金というものもなくなっていかないわけで、それをただ会社の企業倫理だのそれはディスクロージャーの問題でございますなんて言っていたのでは、この際荒療治が必要な
んじゃないですか。今ここは大蔵ではありませんけれども、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
 それでは、その次にいきます。
 監査役のことについては前にも申し上げましたし、それからまた渡辺委員の方からも御質問がありましたので、代表訴訟について一つ、二つだけまず伺います。
 先ほどからの議論でも、代表訴訟制度については、これを活発化するために訴額を九十五万円に統一して、訴訟費用としては一万円足らずのものでできるということ、費用の支払い義務というものを相手方に課すこともできるということ、それから一応の閲覧謄写要件を緩和するということもある一定の評価はできると思うのですが、先ほどのお話の中で、非常に大きな企業については物すごくたくさんの株を持っていなければ、たくさんのお金を集めなければ、閲覧謄写というような、代表訴訟をするその前提になる調査ができないではないかというお話がありました。
 特に渡辺委員も指摘されたと思うのですが、超大企業というものだけがこの場合になかなか閲覧ができないという状況になるとすれば、これは非常に平等に反する、企業の中で比較的規模の小さいものであれば何とかその株主が見ることができるからいいんだけれども、超大の会社にはなかなか一般の株主がそこへ入っていって見ることができない、これは不公平ではないかということの御質問に対して、パーセンテージからいうと超特大という企業は少ないんだ、ほかの中小の、もっと小規模の企業の方がパーセンテージからいってずっと大きいんだからこれで大体いいじゃないかというような御答弁がさっきあったと思いますけれども、私はそれは清水局長のお言葉とも思えないというふうに思うのですね。
 ここで今問題にしなければならないのは、日本の大きな、基幹産業といいますか、日本を動かすような大きな会社については国民は知ることができなくて、大多数の小さな企業はわかるけれども、日本を動かしていくような大きな企業については触れることもできないというような制度で、これで事足れりというふうに本当にお考えなのかどうか、もう一度伺いたいと思います。
#57
○清水(湛)政府委員 大企業と中小企業をどうするかということでございますけれども、私の答弁がちょっと、あるいは先ほどそういった趣旨で私申し上げたわけではございませんが、要するにやはり比率で考えていかざるを得ない。
 大企業には多数の株主がいるわけでございまして、多数の株主はそういう例えば会計帳簿の閲覧ということについて、特にいろいろな動機というものを持っていないということもあるわけでございますから、全体の中の何%の人がそういうことを希望しておるかという点でとらえるとすれば、それは大企業であろうと中小企業であろうと変わりはない、こういうことになろうと思います。
 ただしかし、株式の持分割合と申しますか、例えば大企業で多数の人が百分の三以上の株式を持っておるということはあるいは言えないかもしれませんけれども、私どもが、これはこの間も答弁いたしましたが、例えば「会社四季報」なんかで上場会社について百分の三以上の株主というのはどのくらいおるだろうかという、これは概算でございますけれども、百分の十、つまり現在の十分の一を百分の三に改めることによりましてこういった帳簿を閲覧することができる株主の数は約十倍になるというような結果も出ているわけでございます。
 中小企業についてはそういった資料がございませんので、私どもどの程度の株主の数がふえてくるのかと…うことは何とも申し上げることができないのでございますけれども、中小企業の場合には、同族会社とかいろいろな関係がございまして、十分の三とか十分の五程度の株式を持っている株主というのはたくさんいるんだろうと思います。全体の株主の数がそもそも少ない、こういうようなことがあるかと思います。
 そういう中小企業の方から見ますと、余り会計帳簿を閲覧請求されたのでは会社経営が混乱するというような反論が実はございまして、この百分の三の要件についても種々議論があったところでございますけれども、全体的に見ますと、そういった上場企業だけにつきましても株主の数が現行に比べて約十倍になるというような点がございますので、それはそれなりに、大方の意見の集約されたところとしては現段階においてはこの程度の案でいくのが妥当である、こういうふうに考えているわけでございます。
#58
○鈴木(喜)委員 必ずしも妥当とは考えてなくて、本来ならば一人ずつ単独の権利として帳簿を閲覧謄写する権利ぐらいはあってもいいと思いますけれども、段階的な問題もあるし、これで実行されて、またその後これが不都合が多い、またそういった意味での超大企業にディスクロージャーがどうしても必要になってくるんだということがあれば、これで事足れりで十分であるということでは決してないと思いますので、またぜひ次の機会にこれを改正ということで検討していっていただきたいと思います。
 もう一つだけ、ほかの質問とともに伺ってしまいますが、先ほどから単独の株主にこういう閲覧権を与えないのは濫訴の危険が多いからだという。この濫訴の危険というのは一体どういうことを思っておられるのでしょうか。要するに代表訴訟をだれかが起こすということ、一つの会社についてこういうところがおかしいじゃないかと言って訴訟を起こす、ほかの人はそれに入っていくかどうかということだけですよね。濫訴というのはその会社がこういうことがおかしいんだよと最初に一回起こすことが濫訴だ、起こし過ぎになるんじゃないかと。現状から見るとまだまだそんなところまでいっていない日本ですからそれは杞憂じゃないかとは思いますけれども、そういうことを言っておられるのかどうかということ。
 それからもう一つ。現行法上では商法の二百六十七条で代表訴訟の及ぶ範囲というのは取締役に対してだけの訴訟になるわけなんですが、実際には取締役が自分で懐に入れてしまうというような不届きなことでこういった代表訴訟が起こるということよりは、例えばそのことによって相手方、どこか他の会社、M&Aとかいうようなことがあるときなどが多いのかもしれませんけれども、相手方に利益を与えるという意味でその会社に損失を与えるようなことが多いわけですが、こういったときの利益を得た第三者、こういうものに対しても代表訴訟を及ばせるということにしなければ、せっかく九十五万円の訴額に統一したということによって訴訟を起こすということの意味合いがかなり減ってしまうのではないかと思うのです。今回はこの点についての改正がなされていないのですが、この点はいかがでしょうか。
#59
○清水(湛)政府委員 私、先ほど十分の一の持株要件を百分の三に改めたということで濫用の弊害が心配されるというようなことをあるいは申したかもしれませんけれども、そもそも基本的には、これは渡辺先生の御質問にもお答えしたと思いますが、アメリカは一株の株主でもそういう請求権がある。日本ではなぜ十分の一というような要件に絞っておるのかということは、結局日本では監査制度というものが会社の機関としてあって、いわば監査役が株主にかわって帳簿を閲覧してチェックをするというシステムをつくり上げておる。ところが、アメリカにはそれがありませんので、株主の直接コントロールみたいな思想が背後にあってそういうような一株の株主でも閲覧請求ができるという形になっている、こういう意味で申し上げたつもりでございます。
 ただ、アメリカではこういう一株の株主でも閲覧請求ができるということになっておりますために、これが非常に濫用される。会社側ではそれに対抗して、いろいろな正当事由を掲げてこの閲覧請求を拒否するというような形での紛争も起こっておるというようなことが言われているわけでございまして、そういうような意味で、どちらがいいか悪いかという問題は別の問題といたしまして、それぞれ制度の背景が違う、こういうことで
はないかというふうに思うわけでございます。
 それから、株主の代表訴訟制度について、取締役の違法行為によって利益を得た第三者に対してもこれを提起することができるようにしたらどうか、こういう御質問でございますけれども、そもそも代表訴訟制度というのは、本来会社が取締役に対してその責任を追及する、会社側でその取締役に対して損害賠償請求なりなんなりの訴訟を起こすべきだということがまず前提にありまして、しかしながら実際問題としては会社と取締役の間には特殊な関係があるわけでございますから、かつての仲間をいわば会社が訴えるということになりますので非常に訴えにくいというような事情がある。逆に言うと、そういう会社自身が積極的に取締役の責任を追及するということが期待できない事情があるというようなことを考慮いたしまして、株主が会社にかわって取締役の責任を追及するということで認められた制度でございます。
 ですから、これを一般的に、取締役の不法行為というものが一つの契機になっているにせよ、それによって利益を得た第三者に対して株主が直接請求を起こすということになりますと、この当該第三者の方から見ますと、非常にまたいろいろな問題が出てくるのではないか。民法の規定による債権者代位によって訴訟を起こすというような、代位の基礎たる保全すべき債権があってそれに基づいて何か訴訟を起こすということであれば、これはまた一つの理論構成が可能かと思いますけれども、一般的に株主たる地位に基づいて第三者に対して直接そういった訴えを提起することができるというふうにするについては、これは問題が大き過ぎると思います。今の商法ではそういうことは考えていない。
 ただ、問題となりますのは、取締役がそういう第三者に対して損害賠償請求をすべきであるにもかかわらず、第三者と通謀して第三者に対する責任追及もしないということになりますと、これは今度は取締役の任務違背ということになって、それによって会社が損害を受けるということになりますと代表訴訟の問題にこれが還元されてくる。つまり、第三者に対してそういう損害賠償請求訴訟をすべきことを怠った取締役に対して会社が今度は任務懈怠による損害賠償請求をする、これをしなかった場合には株主が代表訴訟を起こす、こういうことには間接的ではございますけれどもつながってくる、こういうことになろうかと思います。
#60
○鈴木(喜)委員 最後で言われたところでも、それだからといって第三者に対して幾ら幾らの請求をするということにはちょっとなりそうもないので、いずれ実効性を持たせるためには、そのあたり確かに難しい問題もあり、今回の商法の改正の範疇ではないのかもしれませんが、ぜひ御検討をよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、社債の問題に入りたいと思いますけれども、今度社債の限度枠を撤廃するということの必要性の問題が幾つかあると思います。企業に円滑な資金調達をさせたいというために、上限について取っ払えばもっとできるじゃないかということが一つあろうかと思ったのですが、先ほど幾つかの理由、それは先ほど伺いましたから同じことは必要ないのですが、一点だけ。
 今現在枠がいっぱいになっていてこれ以上の資金調達がこの枠があるためにできない状況では余りないのだというように清水さん言われたのじゃないかと思うのですけれども、大体今三百億が一つのロットだと考えると、まだ三百億の枠が余っているという会社が上場企業の中でも三〇%しかない、七〇%が三百億より下で、そのぐらいしかもう余ってなくて、だからワンロットももう出せないような現実の状況があるということは、もう一度確認だけさせていただきたいと思います。
#61
○清水(湛)政府委員 特に最近の状況で、かつては普通社債を発行するということはほとんど、ないというのはこれはちょっと語弊がありますけれども、多くは新株の時価発行とか転換社債の発行とかそういうような形、あるいはワラント債の発行というような形で社債を発行していました。しかしながら、最近そういうものは非常に難しくなって、いわゆる普通社債の占める比率が企業の資金調達の方法として割合的に非常にふえておる、こういう状況があるということがまず一つございます。そういうことが影響しているのかどうかわかりませんけれども、最近になってこの社債発行限度にもう余裕がないというような企業がふえておるということは私ども承知いたしております。
 ただ、私が先ほど申し上げましたのは、最近のそういう特殊な経済状況が背景になって、その窮境を救済するということを直接の目的として発行限度規制を撤廃するのではない、あくまでもこういうような明治以来の規制が合理的であるかどうか、こういう観点から私どもは検討してきた。ただ背景にそういう事情があって、なるべく早い結論を出すことが望まれていたということは間違いない事実でございます。
#62
○鈴木(喜)委員 それで、今の発行限度枠の規制を撤廃するということになるわけですけれども、債権者保護の仕組みができ上がってきた、それから証取法上のディスクロージャー制度もある程度整備されてきた、それから格付制度というのも一応定着してきた、こんなようなことが撤廃をするということの不安を取り除くものとして一つあるんだというような説明が、これは法務委員会の調査室の参考資料という中に書かれているわけなんですけれども、この格付制度、これは大蔵省の告示だろうと思うのですが、大蔵省、この定着の状況というのはどういうふうなことを定着したというふうにとらえられるのか、それから現在利用をされている状況とか、そういうことについて簡単に御説明をいただきたいと思います。
#63
○西方説明員 ただいま御質問の格付でございますけれども、ディスクロージャーと並んで格付というのは資本市場でも大変重要な道具立てたというふうに思っております。
 格付につきましては、この利用の促進で、関係の方々の御努力で最近かなり推進が行われております。例えば六十二年でございますけれども、社債の適債基準への格付の導入というものを行いました。特に無担保社債の場合は六十二年の七月、それで平成二年の十一月には格付のみということで格付に一本化した。それから、昭和六十三年でございますけれども、CPにつきまして格付の導入を行った。それから、平成二年でございますけれども、証券会社の自己資本規制につきまして格付の利用というものを導入いたしました。それからさらに、平成四年には、社債の発行登録制度というのがございますけれども、これにつきましてもこの格付の利用を導入した次第でございます。
 こういうようなことで格付が関係者方の理解で次第に定着してきている、そういう実態があるというふうに考えております。
#64
○鈴木(喜)委員 平成四年七月の大臣告示というので、九社ですか、格付機関というのがずっと名前が挙がっているのですけれども、その格付機関というものとそれに入っていない格付機関というのでやはりその信用の度合いに違いがあるのですか。
    〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
#65
○東説明員 御指摘のように、平成四年七月に大蔵省令に基づきまして、先ほど御答弁申し上げました証券会社の自己資本規制、それから発行登録の利用適格基準、この二つのメルクマールといたしまして格付を導入し、その場合の格付につきまして格付機関それから具体的な格付内容、これを大蔵大臣が告示する、こういうシステムを導入したわけでございます。それで、この省令に基づきます指定に当たりましては、それぞれの格付機関からの申請に基づきまして、当該格付機関が市場において信頼性のある格付をしている、そういうふうに市場関係者から受けとめられているかどうか、受容されているかどうか、独立して中立的な業務遂行をしているかどうか、そういった点を勘案いたしまして指定しているところでございます。
 したがいまして、格付機関として指定したもの
とそれ以外との関係でございますが、一つには、まずは申請に基づくということ、それからこの指定制度は、大蔵省がいわば利用者としての立場に立ちまして先ほど申しましたようなシステムの中にビルトインした個々の格付機関あるいは格付の内容につきましての評価、そういったものはあくまでも市場関係者がみずから下すものである、そういうふうに理解している次第でございます。
#66
○鈴木(喜)委員 この格付機関について、そこでの判断が誤ったのは、それはそこの能力の問題でしょうが、そうではなくて、不都合なことをやったような場合の監督というのは大蔵省がやっておられるのでしょうか。
#67
○東説明員 先ほど申し上げましたように、この格付制度は、いわば大蔵省が利用者としてみずからのシステムに格付を組み込んだものでございまして、この指定によりまして当該格付機関に特別の地位を付与するとか、大蔵省がその関係に基づきまして特別の監督者としての地位に立つとか、そういったものではございません。
 ただし、これは、先ほど申し上げましたようないろいろなメルクマール、基準に基づきまして、そういった点を勘案いたしまして指定するわけでございますから、そういう勘案事項が果たして具備されているかどうか。それは、一つには指定の有効期間がございまして、有効期間の切れる前にそれを再度しんしゃくするとか、あるいは有効期間内におきましても特別に、そういった勘案事項を具備しているかどうかを疑わしてしかるべきような事情が生じた場合にはそれを改めて勘案するとか、そういったことはもちろんあるわけでございます。
#68
○鈴木(喜)委員 それでは、次の問題にいきます。
 社債権者を保護するということで受託管理会社の原則的強制ということになっているのですが、原則的強制という中の例外は果たして何かということを、一言で結構でございますからお願いいたします。
#69
○森脇政府委員 社債管理会社の設置の例外とされておりますのは、発行する社債の最低金額が一億円以上の社債について設置義務が免除されております。さらに、社債のいわば口数でございますが、口数が五十口未満のものについてもこの設置を義務づけない、こういうことにいたしております。
#70
○鈴木(喜)委員 この例外は一応条文上あるわけですけれども、そのほかに例外というのは、先ほどの渡辺委員の質問との関連で、海外の問題などについて考え得るかどうか、このあたりは次の議論になってくるだろうと思いますけれども、その前にもう少し管理会社というものについて伺っていきたいと思うのです。
 大蔵省だろうと思いますが、まだ法律ができる前ですけれども、今現在、無担保の普通社債を発行するときの受託率というのはどのくらいかということについては把握をされているのでしょうか。
#71
○東説明員 正確な状況につきましては確たる資料を持っていないわけでございますが、達観して申し上げますと、国内普通社債に関する限りほぼすべてのケースについて受託銀行がついているのではないか、そういうふうに理解しております。
#72
○鈴木(喜)委員 海外へ日本の発行体が資本を求めるというときに、海外のユーロ市場などではどうなんでしょうか。
#73
○東説明員 海外で発行する場合は、第一義的にはそれぞれの市場におきます投資家をターゲットとして発行しているものと理解しております。したがいまして、それぞれの発行のケースによって実態は区々に分かれると理解しております。場合によっては、それぞれのマーケットにおけるエージェントとか、そういった形で我が国の受託に対応するような機能を備える、そういったケースもあるのではないかと理解しております。
#74
○鈴木(喜)委員 ここらあたりが現実だろうと思うのです。いろいろな場合が海外ではあり得ると思うのです。その国その国の形での、発行の手続その他についての問題もあるでしょうし、その国の国民の方々のなれ、ふなれということも非常に勘案されると思うのです。そういう場合に、だから日本国の商法の適用をなしにして、ほかの準拠法でやるというふうにするのが果たしていいのか、それとも、商法の適用はしたいけれども、今ここで設置の強制がされるために、これを日本法でないもので、外国の準拠法でやらなければならなくなるということになるのか、このあたりは企業としても大変悩むところだと思うのです。
 また、受託会社としての銀行等についても、それは設置義務があるかちということで日本の法律でやりたいという発行体があるとしても、その中で銀行が果たして本当にやり切れるのか。ただ単に発行事務だけでなくその後の管理もずっとですから、そういうことを果たしてそれがやり切れるのかということになると、かなりまた銀行の方でもちゅうちょするところもあるし、経費の点も要らざる経費を出さなければならないという面もあるかもしれない。こういったことについて柔軟に、商法の中の先ほどの原則と例外の問題ですが、そこらあたりの適用ということも海外においては考えるというような余地はないものでしょうか。
#75
○清水(湛)政府委員 これは先ほど渡辺委員の御質問に対しても私からお答えしたところでございます。
 社債契約というのは、発行会社と現地の、例えばスイスならスイスあるいはイギリスならイギリスの国民の方との間の社債契約というのは、これは法律行為ですから準拠法がどこになるのかという国際私法一般の問題でございます。その際に、日本法にするのかイギリス法にするのかあるいはスイス法にするのかフランス法にするのかドイツ法にするのかというのは、これは発行体がその国において発行する場合に純粋に何が一番その発行体のために、発行会社のためになるのかという観点から決めるべき問題ではなかろうかと思います。
 例えば日本の銀行がたまたまそこに支店を出しておって、日本の弁護士事務所等もそこにあって、そこで日本法を準拠法にして発行すれば日本側の人にとっては非常にわかりやすいという問題があるかもしれませんけれども、逆にそれを買う当該国の国民から見ますと、日本法なんというのはよくわからない、自分たちの国の法律を準拠法として社債を発行してほしい、そうでないと応募しがたい、こういうようなことも当然のことながら出てくるわけでございます。
 ですから、それはいい悪いの問題ではなくて、あるいは法律上かくあるべし、かくなければならないという問題ではなくて、やはり発行する企業とその市場関係者との間における話し合いと申しますか選択の問題であろう、こういうふうに思うわけでございます。
#76
○鈴木(喜)委員 時間が本当にないのでそこら辺が余り議論できませんけれども、今日本の法律家たちも、いろいろと外弁問題等々によりまして、そういう形で海外に進出して、その中で日本の弁護士たちもそこで海外での業務を行いながらやっていこうという一つのそういった日本の法曹界の姿勢というものもあるわけでございます。そういう人たちが例えばロンドンに行く、例えばニューヨークに行く、そこで非常に激烈な競争の中で自分たちの日本のローファームをやっていこうというふうにやっている。そこで、例えば企業体が何かユーロ市場で集めようというときのそういった法律事務を請け負おうというように気概に燃えた法曹関係者たちが海外に出ていっている、採算を度外視しても出ていっている。
 そういう現状があるのに、郷に入れば郷に従えでそちらの法律でやるから結構でございます、日本の法律はそのときはとらなくても結構でございますというような形で法務省がもしも考えておられるとするならば、それはやはりもう少し国際的な視野というものも入れて商法の改正なりまたは解釈、運用なりというものもされていかなければならない。例えばそういうところのローファーム
は、日本法に準拠して、日本の発行体がそういうところで海外の社債を買う人たちを集めるという業務の中での法律なら法律をやろうとしているわけですから、ぜひその点を考えて、国際市場というものについての観点まで入れた体制、運用というものもこれからお願いしていきたいと思います。
 もう一つこの社債の問題については、受託銀行の設置強制の問題について、どうしても利益相反の問題には触れておかなければならないと思います。
 先ほどは挙証責任の転換ということで三百十一条の二が取り上げられておりましたけれども、私は銀行の立場というものを考えますと、この三百十一条の二またはそれに近いところ、いろいろな形でこういった管理会社は情報が入ってくるわけでございます。この会社がどうなるかという運命についても入ってくるわけですけれども、社債権者のためにこうしなければならないという公平誠実義務または善管注意義務を負っているその会社自体が、今度は銀行は銀行自体の株主も抱えているわけです。
 銀行自体の株主やその銀行の債権者にとってみればその銀行自体が損を負うようなことがあるということはまことにけしからぬことになるわけでありまして、今度は、発行体の社債権者の利益を考えて善管注意と公平誠実をやってもたもたしている間に銀行自体の債権がここで不測の損害を受ける、不測じゃないのですね、わかっているのだけれどもできないという損害を受けるようなことになったら、まさにこれは利益相反、悲劇の中心は銀行だということになってしまうわけですけれども、こういったときに銀行は受託会社としてどういう立場をとるのですか。法文上はもちろんそこで辞任をするとかいろいろなことが出てくると思うのですけれども、そういうことと利益相反に対する現在の法文上の問題はもうわかっておりますから結構でございますけれども、そういう立場があるのじゃなかろうか。
 私はこういうときに、一つはやはり初めに銀行が管理会社としてやるというときに、そのときの取引というものについていろいろこういう状況だよということは開示しておかなければいけないのじゃないか。社債権者を集めるに当たって、その集める業務をやる管理する会社がそういった発行体との間でどんな取引があったかということについて、どのぐらい多い債権を持っているかとかそういうことについてもわかっていなければいけないだろうと思うのですが、現在の社債を買おうとするときの買い主の知ることのできる情報については、そんなものは申込書には書いてないわけですから、こういうあたりについてどのようなお考えを持っておられるか、もう時間がありませんから本当にかいつまんでお願いいたします。
#77
○清水(湛)政府委員 最初の、外国で活躍される弁護士の問題につきましては、これはいわゆる外国法事務弁護士になるような、いわゆる相互主義の規定によりまして、日本の弁護士が外国に進出する場合には日本法についてしか扱えない、こういうことに当然なると思います。その際、日本の企業が外国で社債を発行する場合に準拠法を日本法とすれば、例えばユーロ市場ならユーロ市場に進出している日本の弁護士が大いに活躍できる、こういう問題があろうかと思います。そういう意味では私ども大いに日本法を準拠法にするということが望ましいとは思いますけれども、しかしこれは結局、発行企業と当該社債市場の問題であって、弁護士だけの立場を考えて議論をするというわけにはなかなかまいらないということも御理解いただけると思います。
 それから、銀行が同時にメーンバンクの地位を占めて発行会社とのいろいろなつながりがある、これは御指摘のとおりだと思います。今までも現実に募集の委託を受けた銀行というのは大体メーンバンクでございまして、事実上社債の管理も行っておる、こういうことになるわけでございます。
 そういう過去の経緯に照らしまして、銀行がそのような相互矛盾の関係に陥るということは普通今まではなかったということが一つあるわけでございますけれども、もう一つは、社債管理会社になるに当たって銀行の方で発行会社に対してどれだけの資金の貸し付けをし、どれだけの担保をとっておりということを開示することは、ある意味においては企業秘密を銀行との関係において開示するというような問題にもつながってくる、あるいは信用秩序全体に影響を及ぼすというようなことも、つまり企業と銀行との関係をオープンにするということは信用秩序の維持というような面でも問題があるのではないかというような指摘もあるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、従来のように社債管理という面について、実際上管理会社になるのは銀行でございましょうから、銀行の権限と責任というものをきちんとした形で法律で整備することによって、これを忠実に銀行が履行していただく、それは今の厳しい銀行業法その他の関係で十分に担保し得るのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#78
○鈴木(喜)委員 時間が来たので、一言大臣に伺いたいと思いますけれども、今のやりとりの中でも、信用が今地に落ちているところでの銀行にそういった過大な義務を負わせるとか、または倫理的な問題まで負わせていくというのは非常に大変なことだと思うし、それだけ国民が信用をおけるかということが一番問題になってくると思います。
 今回の商法の改正ということでは、さまざまな形で企業の責任というものを追及していく上で、中からも外からもいろいろな意味での監督・監視を強化できるようにしよう、そういった形での改正だろうと私は全体を見て思っているわけですけれども、こういったことを通じてもなかなか実効性がないじゃないかという議論も生じながら、こういったことの最後には、やはり企業と政治との癒着というものを断ち切らなければ、商法で幾らどんな改正をしても、税法をどういうふうにやろうとも、なかなか解決がつかないと思うのですが、最終的にどうしても行き着くのは、現状の政治の改革というところになると思うのです。その点も踏まえて、一言だけ大臣の御所感を述べていただきたいと思います。
#79
○後藤田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。そういうつもりで政治の改革に取り組んでいきたい、かように考えます。
#80
○鈴木(喜)委員 どうもありがとうございました。
#81
○浜野委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#82
○浜野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。伊東秀子君。
#83
○伊東(秀)委員 今回、社債の発行限度額の撤廃、担保付社債ではなく、商法上の無担保社債の発行を強化して広めていこうということに踏み切った背景には、マーケットのルールの状況等を大蔵省では十分把握の上で一応のこういう法改正に踏み切ったのではなかろうかというふうに思うわけでございますが、社債、担保及び無担保あるいは普通社債、転換社債、ワラント、こういったものの発行状況はどういうふうになっているのでございましょうか。
#84
○東説明員 最近の我が国企業の内外の市場を通じます社債の発行状況でございますが、公社債引受協会の資料によりますと、平成元年度でございますが、この時点では過去最高の社債発行総額二十兆三千億円を記録しておりますが、その内訳につきましては普通社債が九%、転換社債が四六%、新株引受権付社債が四五%、これはいずれも金額ベースでございますが、このようにいわゆるエクイティー関連債、転換社債とか新株引受権付社債でございますが、これが九一%を占める、
こういう状況でございました。
 その後、株価が低迷する中で、このようなエクイティー関連債の発行が大幅に減少いたします一方で普通社債の発行が急増しておりまして、国内普通社債発行市場におきましては、特に一般事業法人によります普通社債の発行も増加しておりまして、状況がさま変わりになっております。平成四年度におきましては社債の発行総額が十一兆円でございますが、その内訳は普通社債が七八%、転換社債が七%、新株引受権付社債が一五%、こういう状況でございます。
 さらに、担保付と無担保との別でございますが、国内公募社債の最近五年間の合計、六十三年度から平成四年度でございますが、この合計を見ますと、無担保債が大半を占めております。ざっと六六%という状況でございます。
 社債の種類別に見てまいりますと、普通社債につきましては完全無担保債が二〇%、ただしこの数字につきましては、無担保社債の発行の大半をいわゆる電力会社とかNTT等が占めております。これらはそれぞれの法律上一般担保付で出されますから、これらは担保付に分類されます。したがいまして、勢い無担保の数字が低くなる、こういう状況で.ございます。
 ちなみに、先ほどの電力会社等を除いたベースではほとんどの企業が無担保で出している、こういう状況ではなかろうかと思っております。
 次に、転換社債につきましては完全無担保が九一%、新株引受権付社債につきましては完全無担保が七九%、こういった状況でございます。
#85
○伊東(秀)委員 社債の購入者の状況と言えばいいのでしょうか、消化状況と言えばいいのでしょうか、一般投資家と言われる個人と法人との割合、こういった方面ではいかがでしょうか。
#86
○東説明員 いわゆる消化構造でございますが、これを国内公募普通社債について見てまいりますと、一般的なトレンドといたしましては、近年におけるいわゆる機関化現象の進展とかあるいは発行額がそれほど従前多くなかった、こういった事情を背景といたしまして金融機関等のいわゆる機関投資家が消化構造の中で中心となる、こういう状況でございました。他方で、最近におきましては、発行額が相当程度増加してきている。さらには、私ども商品性と言っておりますが、発行の年限が多様化しております。例えば二年債とか三年債とか四年債とか、中短期のものが出てまいります。こういう状況もございまして、個人あるいは一般事業法人さらには年金基金等の、機関投資家以外の投資家の方々の割合がふえている、こういう状況でございます。
 他方で、国内の転換社債でございますが、こちらにつきましては個人中心の消化、こういう状況でございます。
 ちなみに個人だけを取り出した状況を平成四年中について見てみますと、国内公募普通社債につきましては約一五%、国内転換社債につきましては約六四%、こういう状況でございます。
#87
○伊東(秀)委員 今発行状況はお伺いしたわけでございますが、個人やいわゆる機関投資家中心から消化構造が変わってきて、個人や年金基金、一般法人、そういった方向に変わっているということなんですけれども、とすれば、投資家保護あるいは投資家に正確な情報を開示して投資の際のマーケットのある程度のルールを確立していくということが大変重要になるのじゃないかと思うのですが、先ほど格付の状況についてはお答えが出ていたと思うのですが、もう一度そういったディスクロージャーの問題、格付の整備の問題、そのほかマーケットのルールの整備の状況をお願いいたします。
#88
○西方説明員 資本市場におきまして、今お話がございましたように、格付を充実するとかディスクロージャーを充実するというのは大変大事な問題だと私ども思っております。
 格付につきましては、最近その利用の定着を図るということでいろいろな施策が行われているわけでございます。先ほどもちょっと御紹介したところでございますが、例えば六十二年以降社債の適債基準につきまして格付の導入を図るとか、六十三年からはCPの発行の適格基準を導入するとか、それから証券会社の自己資本規制や社債の発行登録制度についてもこの格付を利用するということで、近年この格付の利用というものが急速に拡大してきております。これは関係の皆さん方のやはり努力というものがあったというふうに思っております。
 それからもう一方、ディスクロージャーの方でございますけれども、これは資本市場においで適正な企業評価が行われるための前提といたしまして、多数の市場参加者に対しまして企業の評価というものが必要かつ十分な情報を提供するという重要な機能を果たしているわけでございます。このため、ディスクロージャー制度につきましてもいろいろな充実を図らなければならないということでございまして、近年においては、企業会計審議会というものがございますが、そこの答申なども踏まえまして、例えば事業の種類別とか所在地別等のセグメント情報、市場性ある有価証券及び先物、オプション取引に係る時価情報、関連当事者間の取引に係る情報などの開示を義務づけるというようなことをやっておりまして、ディスクロージャー制度の充実に努めているというところでございます。
 今後とも、これにつきましてはまだまだいろいろ努力する余地があろうかと思いますが、私どもも努力してまいりたいというふうに思っております。
#89
○伊東(秀)委員 そのディスクロージャー、具体的にどういう形で投資家の目に触れるような手だてをなさっていらっしゃるのか。
 それから、証券取引法上の有価証券報告書等では外形的な基準だけが問題になって、その正確性の担保とかそういうことは問わないというような法の建前になっているようですけれども、ディスクローズというのは本当に正確な企業情報を投資家に与えて、本当に自分が自己責任の原則、社債というのは大変リスクキャピタルなわけで、その辺、自己責任をやはり負わなければいけない。その前提になるものは国としては整備しなければいけないわけですけれども、具体的にどういう形でなさっていらっしゃるのか、それからディスクローズをするのは何を基準になさっていらっしゃるのか、その辺はいかがでしょうか。
#90
○西方説明員 ディスクロージャーの実際の具体的なやり方と申しますか、そういうことでございますけれども、証券取引法におきましては、一般投資者が合理的な判断に基づいて証券投資が行われるように、有価証券届出書、有価証券報告書、その他半期報告書とかいろいろございますけれども、そういったものの大蔵大臣への提出を義務づけているわけでございます。
 こうして提出されました書類は大蔵省、例えば本省、それからそれだけじゃなくて、提出会社の本店所在地を所轄する財務局、こういったところにおきまして一定の期間公衆の縦覧に供されるということでございます。これは株主だけじゃなくて、それ以外の方でも自由に縦覧できるという仕組みになっております。それから、その写しは提出会社の本店とか主要な支店、それから上場会社の場合には証券取引所、いわゆる店頭登録会社の場合には証券業協会におきまして同様の縦覧制度があるわけでございます。
 それで、大蔵省におきまして平成四年中の縦覧状況を見てみますと、縦覧者数で一年間で約一万二千人、縦覧冊数では約八万二千冊というような状況になっております。
 それから、ディスクロージャーのいろいろな意味での中身の充実、担保ということでございますが、これは先ほど言いましたように、大蔵省の方にいろいろな報告書なり届出書を出していただくわけでございます。ただ、これの受理につきましては、形式的な不備があればともかくでございますが、そのまま受理するということでございまして、これが受理があったからといってそれが真正なものであるという保証はないわけです。資料は大変多数に上りますし、それが真正なものである
かどうかということを審査することは現実問題としてなかなか難しいわけでございまして、審査を直ちにやるというような建前になっておりません。
 しかしながら、決算が組まれた後にいろいろ問題が起こるということになりますと、そこではいろいろな罰則なり行政処分の問題なり、そういうことがとられるというような建前になっておって、そういうことによって真正なものが出されるような担保が行われておるというふうに考えております。
#91
○伊東(秀)委員 この前の参考人の意見陳述を伺っておりましても、やはり商法が提供する商品と市場の側との有機的な連携というか関係が非常に重要な段階を迎えている。つまり、商法と証券取引法のきちんとした充実といえばいいのですか、それぞれが別々ではないことが重要だというようなことをおっしゃっておられましたので、今回こういう形で社債、特に無担保社債が一般投資家へ広がっていく。そうすると、それに向けてのマーケティングルールの確立ということに、ぜひとも今後も法改正、それから行政指導も含めて充実させていただきたいというふうに思います。
 次に、監査役の問題に移りたいと思うのですが、今回監査役の機能を強化していくということに法改正されて、私もそれは大変いいことであるとは思うのですが、これは立法論にわたるかと思うのですけれども、現在は取締役会も執行機能とそれから代表取締役の監督機能、つまり会社の経営の監督機能を二つあわせ持っている。そしてさらに、監査役会というのが今回できたわけですが、どうしても監査役というのは、これまでの日本では会計監査に間違いがないというような、そういったことだけに終わってきている状況というのがあったんじゃないか。
 ですから、この数年間、証券・金融の不祥事、損失補てんから、銀行のさまざまな不祥事、さらには今回は土建業界のさまざまなやみ献金、使途不明金の問題とか、企業財務としては非常に問題なことが社会問題化されているわけで、監査役の機能を一層強化するということが必要ではないか。そうすると、取締役会を経営体としての機能に純化させてしまって、監査役というものが本当に企業の全面にわたって監査する、チェックするというふうな状況をもっときちんとしなければいけないのじゃないかと思うのです。
 その辺、この前盛田参考人が監査役の第三者性を確保しなければ、そこの会社から禄をはんで、お給料をもらっている監査役は組織体の一員みたいなもので、十分な監査というのは望まれないのじゃないかというような御意見が開示されていたのではないかと私は理解したのですけれども、その辺についてはどういうふうにお考えでいらっしゃるか、これはどなたに伺えばいいのでしょうか。
#92
○清水(湛)政府委員 会社の業務の適正な執行を期すという意味で、会社法はいろいろな制度を設けているわけでございますけれども、一つは取締役会の監督機能、もう一つは監査役あるいは今回の監査役会による監査機能、それから大会社については、外部監査と言われる監査法人あるいは公認会計士による監査という三本立てになっていると言っていいと思います。
 業務の適正を確保するという場合に、いわばチェック機関だけがそういうことについて機能をするというのじゃなくて、業務の執行機関自体が、執行機関みずからも法令を遵守して行動をすることができるようにという趣旨から取締役会という制度ができているというふうに私どもは見ているわけでございます。
 昭和二十五年改正時のことを私はしばしば申し上げておりますけれども、二十五年の改正前には取締役会というのはございませんで、取締役だけがいました。その二十五年前の取締役というのは、実は今で言う代表取締役でございます。全部が代表取締役であった。
 ところが、二十五年改正で取締役会というものをつくりまして、その中から代表取締役という業務執行取締役を選ぶというシステムに改めて、業務執行取締役である代表取締役を取締役会が監督する。実は、この考え方はアメリカ法の考え方でございます。そういう意味で、アメリカ法的な発想で取締役会が十分に機能するということを期待し、当時は監査役の地位をある意味においてはぐっと下げてしまいまして、監査役というのは会計監査だけだというふうに位置づけたわけでございます。
 しかし、いろいろな歴史的な経緯がございまして、どうもそれではうまくいかないということで、戦後、高度成長期に起こった大型企業倒産というようなものを背景にいたしまして、監査制度の強化ということが再びまた戦前と同じように浮かび上がってきたということになるわけでございます。そういう意味では、アメリカ法と、またがってのドイツ法的な考え方の両者が現在の会社法の中にはあるいは併存していると言っていいのかもしれません。
 そういうことでございますので、その際例えば取締役会の業務監査機能というようなものをやめてしまうというようなことになりますと、それだけまた日本の会社の適正な行動をチェックするためのシステムというのは弱まるということにもなりますので、私どもとしては、つまり現在の商法の考え方としてはやはりまず執行機関である取締役からきちんとする。取締役の責任というのは監査役あるいはそれ以上に重いわけでございますから、会社に対して忠実にその業務を執行するとか、あるいは誠実に善良な管理者の注意義務をもって業務を行わなければならないとか、あるいは法令、定款に違反する行為をしてはならないとか、そういう意味での義務を取締役自身に課しているわけでございます。そういう意味での取締役会の監督、是正機能というものに私どもとしては大いに期待をいたしたい。
 ただ、そういうふうに業務執行決定機関がかなり注意をしてもなおかつ法令、定款に違反するような行為というものが起こり得る、これは意図的に起こすということもありましょうし、結果的にそういう状態になってしまうということもあるかもしれませんが、そういうものをチェックするために第三者的な立場である監査役制度というものを強化していかなければならない、こういうことになってくるわけでございまして、さらにそれに加えて、外部監査である外部の監査法人のチェックというものが大企業に要求されているわけでございます。
 ですから、立法論的な考え方として、取締役会の機能というのはむしろ弱めて、監査役あるいは監査役会に集中すべきだというのは、一つの考え方としてとり得る考え方であるかもしれませんけれども、日本の株式会社の実情という面から申しますと、やはり取締役会の強化も必要であるし、監査役あるいは監査役会の強化も必要であるというふうに今のところ考えるべきであろうというふうに思っているわけでございます。
#93
○伊東(秀)委員 前回も私、質問いたしましたけれども、今回、公認会計士である会計監査人の監査の適正さを監査役会がチェックするという構造になっておりますよね。そうすると、この前の家近参考人も一番の問題は人選である、一にいい人間を監査役に得るかどうかにかかっているというような意見陳述があったかと思うのですけれども、それだけの監査役の供給源が今のところは親会社の取締役だったり、会社の相談役や顧問とかいうような形であったり、それで今回そういう方々は社外監査役ということで入ってこられる、社外監査役の位置づけになっているわけですね。
 それで、法務省のお考えというか、今回の法の考えの中には、会社の状況をよくわかり、にらみをきかせられる人を据えることがいいのだという一つの視点もあるかと思うのです。それは一つの面ではあるかと思うのですが、企業が一体となって不祥事があればそれを隠したがるという体質、そういうことを考えると、この社外監査役としてこういう方々も含めるような状況の法改正であれば、本当に不祥事があったときにそれを開示して
いくという、会社はだれのものかと言えばいいのでしょうか、株主のものだけでもない、やはり会社といろいろな形で利害関係を持つ非常に社会的なものなんだという今後の視点に立ったときに、不祥事を隠すような体制で、それで社外監査役になるという今回の法改正は、非常に中途半端じゃないかなと思うわけでございますが、その辺はいかがでしょうか。
#94
○清水(湛)政府委員 今回の改正は、私しばしばお答え申し上げておりますように、何回にも及ぶ商法の改正によりまして、監査役の権限とか責任というのは非常に重いものになっているわけでございます。商法を素直に読んでまいりますと、実に取締役の責任も監査役の責任も重い、ちょっと間違うと直ちに損害賠償責任ということになるようなシステムになっているわけでございます。実は、そういうものになっていながら現実にはそういう与えられた権限等が行使されないというような実態もあるという指摘もございまして、そういうものを行使しやすくしようということでございます。そういう意味では、制度としてはかなり整備されてきた、現時点においてはいろいろな意見がありまして、ある程度妥協せざるを得なかった面もございますけれども、制度としては整備をされてきたというふうに私どもは思うわけでございます。
 ただしかし、先ほど先生御指摘のように、制度はよくてもそれを運用する人の問題というのは最後まで残ります。立派な方がきちんとした行動を監査役なら監査役の立場でとっていただく、適時適切な判断をして行動していただくということが多面においてどうしても重要なことだと思うわけでございます。例えば企業がある法令違反行為をする、それをみんなで隠すというようなこともあり得ることだと思いますけれども、それが長い目で見ると、結果的には企業が大きな社会的な非難を受けるということになって会社に大きな損害を及ぼすということにもなることがあり得るわけでありますから、そういうものを勇気を持って整理する、整序するというような方が監査役になっていただければというふうに思うわけでございます。
 そこで、今回の社外監査役というのも、実は監査役の給源をどう考えるかというのは大変難しい問題でございますが、現実の我が国の企業の実態というものを見ますと、社内で育った人が、社員として入社した者が監査役というところに選ばれてなっていくというような実態がかなりの部分、あるいはその大部分であるかもしれません。そういう方々は社内の事情をよく知っているという意味において非常にまた能力を発揮し得る場面があろうかと思います。
 しかし、同時に、会社の執行部との上下関係というものは、これは入社以来の因縁があるわけでございますからそう簡単に切れるものではない、したがって言いたいことも言えないという関係が同時にそこに出てくるというような問題があるわけでございます。そこで、今回はそういうような方たちばかりじゃなくて、会社の執行部に対してある程度遠慮なく物が言えるようなものを入れなければならないということからいわゆる社外監査役というような制度を導入しようといたしたわけでございます。
 そういうような考え方から申しますと、五年に限らず、一昨日の太田委員の御質問にもございましたけれども、ずっと関係のなかった有能な有識者がなるということがあるいは望ましい姿であるということが言えるわけでございますけれども、現実のいろいろな関係方面の実態というものを考えますと、今回は五年ということで、五年程度たてば上下の支配関係は切れることも考えられるのではないかということからこういうふうになっているわけでございます。
 そういう意味で会社の執行部との上下関係という面をいわば離れた公正な立場から意見を述べるということでございますので、例えば親会社の取締役であった者が子会社の監査役になるということは、これはそういう意味での上下関係はございませんので、むしろ親会社の立場から子会社の経営実態を厳しく批判するということも考えられますので、そういう人についてはこれは社外監査役としての要件を欠くことにはならない、そういう人が社外監査役として選ばれることは構わないということになるわけでございます。給源の具体的な実態が今後どうなっていくかというようなことにつきましては、私どもはこの法律の施行後、運用の実情等に十分に注目して研究、検討はしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
#95
○伊東(秀)委員 午前中に使途不明金の問題がいろいろ出ましたけれども、使途不明金というのが現実には賄賂であったりあるいは今回の金丸さんの事件に見られるように脱税の資金になったりという非常に反社会性を帯びるものとして使われて、だからこそ使途不明という形で届け出ていると思うのですが、使途不明という形というか明確にしないで出していると思うのですけれども、こういったことが生まれるのは、監査役の監査が十分でない、こういうものは監査役としては、商法の二百八十一条ノ三で、取締役の職務遂行に関し不正の行為または法令、定款違反があるとか、あるいはそこまでいかなくても、会計監査人がこれを見逃したら、見逃しているよというふうに報告を出すとか、そういった監査役の責任追及の問題になるのじゃないかと私は考えますが、その辺はいかがお考えでしょうか。
#96
○清水(湛)政府委員 使途不明金という概念は商法の上ではないということは、繰り返しお答えしたところでございます。これは税務当局に対する関係で支払い先を明らかにしない。支払い先を明らかにすると支払い先の方が税金を納めなければならないというようなことになってきて、例えば住民対策等のために支出した金で、住民側に税金がかかるということになるとまた問題であるというようなこともあるというふうに私どもは聞いているわけでございます。そういう意味で、税務当局に対する関係では支払い先を明らかにしない。しかし、会社の会計帳簿等の関係におきましては使途不明金という形で会計処理が行われるわけではなくて、いろいろな交際費だとか寄附金だとか何とか対策費というような形で必ず計上されているものでありますから、それ自体使途不明金ということにはならないわけでございます。
 問題は、そういう何とか対策費、何とか寄附金とかいろいろな費目に分類されて記載されている中身が実はそのとおりのものではなかったということもこれはあり得るのだろうと思います。そういうことについては、これは監査役なり会計監査人がチェックをしなければならない。取締役はそういう会計処理に不実の記載、虚偽の記載をしてはならないことになっておりますので、これは虚偽記載でございますから取締役にも罰則の制裁、これは過料だと思いますけれども制裁がございますし、また損害賠償責任等の責任問題が生じ得る。
 これは同時にまた、法令違反行為でございますから当然監査役の監査の対象となり、会計監査人の監査の対象となり、御指摘のように二百八十一条ノ三の規定による報告等の問題が生ずる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、商法上は使途不明金に対するいわばチェックシステムというのは一応完備している、こういうふうに考えているわけでございます。
#97
○伊東(秀)委員 午前中鈴木議員も少しお聞きになったかと思うのですけれども、今使途不明金を何とか明るみに出して、なくしていく立法政策というものが新聞紙上でも国民の声の欄にかなり、法で取り締まれというかとにかくなくす方向への法規制を考えよという声が起きているわけですけれども、企業財務という観点から、こういう反社会的なお金、反社会性の温床になるようなお金をなくしていくという観点でどのように、政策論で結構ですけれども、今どうしているということはもう何度も前に伺いましたので、その辺はいかがお考えでいらっしゃいましょうか。大蔵省にちょっとお伺いします。
#98
○西方説明員 既に現状のディスクロージャーのあり方については、委員はよく御存じだと思います。その趣旨と申しますのは、ディスクロージャーというのは、基本的に投資家保護の観点から企業の財務内容とか会計の内容を明らかにして開示をすることを目的としているわけでございます。その場合に、この支出の中身と申しますか、どういう目的で出されたかということにつきましては、企業の経済活動というのは基本的に自由なわけでございます。
 それが公正を確保するためのいろいろな法令というのがあろうかと思いますが、その法令と照らしてみてどうかということについては、先ほど清水局長さんの方からお話がございましたように、会社の業務執行という問題で監査役の問題になるとは思いますが、ただ企業会計のディスクロージャーの観点から申しますと、不実の記載がない、虚偽の記載がないということであれば、これは証取法上のディスクロージャーにはかなっているというふうに言わざるを得ない、こういうのが現状でございます。
 したがって、今までもいろいろ議論を重ねてきて現在のディスクロージャー制度というのはできておるわけでございますけれども、恐らく先生のお話は、不正支出防止を目的としたいろいろな意味でのものを、会計法の観点から支出を抑えることができないかという御趣旨じゃないかと思いますけれども、今お話し申し上げたように、法の趣旨とか目的ということを考えますとなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
#99
○伊東(秀)委員 次に、社債管理会社のことに移らせていただきます。
 社債管理会社、今回銀行や信託会社その他、参入するということになったわけですけれども、銀行は発行会社のメーンバンクである場合もあるであろう、むしろメーンバンクである方がいいんだというようなことをおっしゃる方もいらっしゃるわけですけれども、これは非常に社債権者の利益と管理会社となった銀行の利益の相反の可能性もある。倒産するんじゃないかというようなときに、いち早くどこがどういうふうに押さえるかというようなことが非常に問題になる場合に、社債権者の利益よりも、自分の、銀行として預金者の利益の保護ということも本来の業務に持っているわけですから、そちらの方を優先する可能性がある。
 その場合に、いえ、それは公平誠実義務というものを定めてあるからいいでしょうというふうにおっしゃるかと思うのですけれども、公平誠実義務に違反したときは損害賠償責任という形の事後責任の問題になってくるので、それをやってしまった場合の社債権者というものの利益というのは事後的に救済されるかされないかの問題で、事前の、やはりそういうことをさせない状況というものをどうきちっと法的に担保するかが重要じゃないかと思うのですね。その辺が今回の利益相反を生まないための法整備というのでは非常に不備ではなかろうかというふうに考えるわけです。
 そこで、その辺をまず法律上どういうふうになっていると考えているのか。あるいは事後の救済ではない、事前に利益相反行為を防止するための運用の手だて、そういったようなことをどう考えているのか。ちょっと御答弁をお願いします。
#100
○清水(湛)政府委員 社債管理会社の資格を銀行、信託会社、または担保附社債信託法五条の免許を受けた会社に限定しているわけでございますが、現実にこれを受け得るものとして存在するのは、銀行あるいは信託業を経営する信託銀行、こういうことになろうかと思います。あるいは銀行とみなされる機関も入る、こういうことでございます。
 こういう会社は、個々の社債権者にかわって相当の長期間にわたって巨額の社債の管理を行うということになりますから、やはり債権管理の知識とか経験とか能力とか、あるいは場合によっては高額の損害賠償責任を負わなければならないというようなこともありますので、今までの経緯からいってもまず銀行しかない、銀行にかわり得るものはないというふうに私どもは考えているわけでございます。現実に、任意とは申しましても、また法的な性格は違いますけれども、社債募集の委託を受ける会社というのはほとんど、ほとんどというかこれは銀行が全部ついているというのが実情でございます。
 そういう際にどこの銀行がそういうものになるかというと、メーンバンクというか発行企業体と非常に近しい銀行がそういうものになるというのが、またこれも今までの実例でございます。
 そういうメーンバンクになりますと、実際問題としては発行会社の財務内容も知り得るし、場合によっては発行会社の企業経営のあり方についていろいろな注文をつけて、その会社の経営状況が悪化しないように、実際、同時に融資先の銀行でもありますから、そういう面での注意を十分に尽くすということも期待されるわけでございます。そういう意味におきまして、いわゆるメーンバンクというか発行会社と関係のある銀行が社債管理会社になるということは、ある意味においては非常に社債権者にとって有利と申しますか、利益であるということは否定することができないと思います。
 ただ、御指摘のように、その会社が危機的な状況に陥る、倒産寸前というようなことになってくることも、今までこれはほとんどないことなのですけれども、そのために社債の償還がされなかったということはないのでございますけれども、あるということになりますと、このメーンバンクみずからもその発行会社に対して相当額の債権を有するということになりますから、そこで一種の利益相反的な状態が出てぐる、これは確かに考えられ得ることでございます。
 そこで、一方におきまして、社債管理会社は社債権者に対して誠実に義務を行う、善良なる管理者の注意をもっていろいろな義務を行わなければならないし、これに違反すれば損害賠償責任を負うというようなことにいたしておりますし、また社債権者に先駆けて自分の銀行の債権の回収を図るとか担保をつけさせるというようなことにいたしますと、三カ月の期間内という限定はつきますけれども、自分が注意を怠らなかったということを積極的に立証しない限り損害賠償責任を負うというような形で、メーンバンクの責任を重くしているわけでございます。
 そうすると、逆に今度は預金者の債権、権利はどうなるんだ、こういうことも出てくるわけでございますけれども、それは銀行全体の法制の中で適切な行動をとることが期待できるというふうに私どもは思うわけでございます。
 これは、現実に損害賠償義務が生じてしまったというような場合の話でございますけれども、事前にそういうような状況が起こるということも考えられないわけではございません。そこで、三百九条ノ四という規定を置きまして、「社債権者ト社債管理会社トノ利益相反スル場合二於テ社債権者ノ為二裁判上又ハ裁判外ノ行為ヲ為ス必要アルトキハ裁判所八社債権者集会ノ請求二依リ特別代理人ヲ選任スルコトヲ要ス」ということで、特別代理人を選任して社債権者のための行為をするというようなことも制度として新たに設けているわけでございます。そういうような特別代理人をあらかじめ選任して社債権者の利益を守るということによって解決すべき問題もあるということでございます。
#101
○伊東(秀)委員 特別代理人選任ができる制度になっているとはいえ、これは社債権者集会の請求になっているわけですね。ですから、社債権者集会を開くこと自体が、これから社債が株式のように非常に分散して、それこそ顔の見えない投資家、一般投資家がそういう形で社債を買っていく状況になれば、この三百九条ノ四というのが現実に行われるのはなかなか難しいのではないかと思うわけです。そうすると、管理会社自身もみずから、誠実義務の一つとして、利益相反のときにこういうことができるようにするとか、集会のような形をとらないで社債権者でもできるようにするとか、あるいはメーンバンクと発行会社との関係
を、債権債務関係ですけれども、きちんとディスクローズするとか、そういうことをやらないといけないのではないかなと思うわけですが、その辺はいかがですか。
#102
○清水(湛)政府委員 社債権者集会がなかなか招集しがたいというのは、社債権者が非常に数が多いというような問題もございまして、現実の問題としては確かにあり得るかと思います。しかし、社債権者の利益を守るためのものでございますので、この決議の要件等につきましてもいわゆる普通決議でできるようにいたしております。つまり、普通決議というのは出席した社債権者の過半数でいいということで、社債権者全体の何分の幾つという特別要件はございませんので、そういう意味では比較的決議をしやすいということが言えようかと思います。
 それから、そういうことをあらかじめ防ぐために、社債の募集に際しては、発行会社と社債管理会社、具体的には銀行との関係というものをあらかじめディスクローズさせるべきではないか。つまり、メーンバンクと発行会社の金の貸し借り関係とか担保の提供関係等々をあらかじめディスクローズすべきではないかという御指摘でございますけれども、社債管理という面を離れまして、いわゆる取引銀行としてどのような取引を発行会社としているか、どのような債権債務関係があるかというようなことまで開示をするということは、これは一つの企業秘密といいますか、そういうことが社債発行を契機としてオープンになるということになりますと、金融機関を中心とした信用秩序の維持という面からもいろいろ問題が起こると考えられるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、今回の商法の改正におきましては、社債管理会社の責任と義務というものをきちんと明確にする、能力のある銀行及び信託会社に限定する、後はそれぞれ銀行法あるいは信託業法による厳しい監督がある、そういう前提の上で社債管理会社の業務が適正に行われることを期待する、こういうふうに今考えているわけでございます。
#103
○伊東(秀)委員 債権債務関係の金額の明細まで開示しないにしても、メーンバンクであるそこが発行企業に何%出資をしているとか、そういった大まかな発行会社との関係がわかるようなディスクローズというのは必要じゃないかと思うのですよ。
 それともう一つは、子会社とか系列会社を通じての利益の提供であれば形の上では利益相反にならない、しかし現実には社債権者の利益は害されるということも起こり得るわけで、そういうこともきちっと何らかの手当てをしなければいけないのじゃないかと思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
#104
○清水(湛)政府委員 銀行が社債管理会社になるという前提でのお話だと思いますが、銀行に子会社がある、あるいはいわゆるノンバンクと称される銀行が出資した系列の会社がある、そういうものと社債権者との関係が一体どうなるのかということなんだろうと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、銀行の信用とか銀行の実力とか、銀行の能力というものを前提にして社債管理会社たり得るものを原則銀行に限定しておるということでございますので、その銀行がどういう子会社を持ち、あるいはどういう関連のノンバンクを持ち、あるいはどういうメーンの取引先を持っているかというようなことについては、社債管理会社としての責任を果たす上において必ずしも重要な要素にはなっていないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
#105
○伊東(秀)委員 開示の中身じゃなくて、例えば発行会社が危機的状況になったら子会社とか系列会社に債権回収をさせる、そしてみずからは損害賠償責任を負わないような形をとることもできるわけですよ。そういうことをきちっと防止する手だてというものを運用上でもやらなければ社債権者の利益が守れないじゃないかということなんです。
#106
○清水(湛)政府委員 銀行が自分の債権を保全するために抜け駆け的にまず自分の債権を回収してしまう、その結果一種のデフォルト状態が起こって社債権者が不利益を受けることがあってはならないということで特別の規定が今回設けられているわけでございます。
 ですから、問題は、銀行は一見それには関係ないような顔をしているけれども、実は系列の会社とかノンバンクを使って銀行の持っている債権を回収させた、こういうようなことになってきますと、それは実質的には銀行の行為ということで評価し得るという場合も出てこようかと思います。しかし、それは、子会社との関係、例えば銀行の持っている債権を子会社にわざわざ移して子会社から取り立てをさせるというようなことが場合によっては考えられるのだろうと思いますけれども、そういうようなことがございますれば、やはり実質的に銀行の責任が生ずるということになろうかと思います。
 それと同時に、先ほど来申し上げておりますように、銀行は社債権者に対して善良な管理者の注意をもって義務を行わなければならない。いやしくもそういう公的機関である銀行が、自分の子会社とか関連するノンバンクを使って自分だけ得をするようなことをするというのは、やはりこれは善良な管理者の注意義務を果たしたことにはならないのではないか。直接規定があるのは二項でございますけれども、三百十一条ノニ第一項の方の善管注意義務違反等による一般の損害ということにもつながってくるのではないか、こういうふうに思います。
#107
○伊東(秀)委員 つまり、今の御答弁を伺いますと、実質的に管理会社と系列会社なり子会社との実質的な関係を見て、そして全体としてそれが善管注意義務に反しないか反するかで判断するというふうにとらえてよろしいでしょうか。
#108
○清水(湛)政府委員 個別の事案に応じて判断すべき事柄でありますけれども、一般論とすればそういうことであろうというふうに考えます。
#109
○伊東(秀)委員 それから、最後になりましたが、この前の参考人の御意見を伺っていても、代表訴訟というのは義人のなすことだ、つまり義を見てせざるは勇なきなりというような気持ちじゃないと代表訴訟、お金も時間も使ってやるような、そんな人はなかなかいない。だから、会社のいろいろな不祥事がそのまま法的な網にかからない。そして、裁判ということにもならないままに、代表訴訟が余りなされてきていないという実態がこれまであると思うのですね。
 そういう意味で、今回の法改正で九十五万円、つまり財産上の請求とみなさないということですか、そういうふうにしたことは、代表訴訟をしやすくしたという意味で大変よかったと私は思うのですが、もっと本来的に、やはり会社というものが単に経営者のものでもない、もちろん従業員のものでもない、それから株主のものでもない、もっともっと社会的なものなんだということを考えたときに、そういった会社の不祥事をいち早く法の中の網できちっと問題解決の方向へ向けていくという意味では、代表訴訟というのはもっともっと強化する方向ヘインセンティブをつけてもいいんじゃないか。
 つまり、濫訴の危険ということもおっしゃいましたけれども、日本は余り訴訟社会でもなくて、濫訴については、こちらの法の中にも費用を回収できないというような条文がございましたよね。だから、そういう形で抑えればいいわけで、その辺はもっと代表訴訟というものをインセンティブを強化していいんじゃないかと私は思うわけでございますが、その辺はいかがでしょうか。
#110
○清水(湛)政府委員 取締役の責任とか監査役の責任というのは、商法の条文を見れば本当に厳しいという形で法律ができ上がっているわけでございます。ただ、それの現実の追及が行われていない、それはどこにあるのかという問題でございます。
 アメリカあたりでは、もちろんそういう責任が厳しく規定されて、それが代表訴訟という形でどしどし責任追及をされておる。したがって、取締
役になるためには損害賠償保険に入らないと取締役になれないというような話、私は現実にそういうデータを承知しているわけではございませんけれども、そんな話が話として伝わっているというようなこともございます。そういう意味では、アメリカでは非常に代表訴訟が機能を発揮している、逆にある意味においては濫訴の問題が起こっておるというような指摘がございます。日本ではそれに引きかえほとんど起きていない。これは日本人のいろいろな物の考え方というか、そういうものとも深くつながっている問題で、単なる法律上の問題ではないという、訴訟というものに対する考え方の問題というものが大きな影響を持っていると思います。
 しかし、それにしてもそういう形での責任を追及することがしにくいというようなことでは非常に困るということで、訴訟費用についてもいろいろな議論があるわけでございますが、こういった形でそれを低い方の解釈に統一をする、あるいは勝訴した場合の訴訟費用の請求の範囲を広げるとかというような形で今回の手当てをいたしたわけでございます。いろいろ論者の中には、もっと代表訴訟を起こしやすいような方策を考えるべきだというようなことをおっしゃる方もおりますけれども、さしあたって今回の改正はこういう改正で、今後の推移を見守る必要がある。
 今回こうすることによって濫訴の弊が生ずるのではないかという心配を指摘する方もございますけれども、私はそれは、例えば現行法でも認めておりますような、悪意のある訴訟提起権者に対しては裁判所は担保の提供を命ずることができるというような規定を適切に活用することによりまして、いわゆる濫訴は防げるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#111
○伊東(秀)委員 これで終わります。
#112
○浜野委員長 小岩井清君。
#113
○小岩井委員 私は最初に、日米構造問題協議との関連で伺いたいと思っております。
 SII協議のフォローアップの第二回協議、これは去年の七月二十八、二十九両日、東京で行われたわけでありますけれども、この第二回の年次報告書が七月三十日にまとめられておりますけれども、ここに、日本側の措置として「系列関係」として、その五に「会社法の見直し」として「法務省は、このような法制審議会における審議の促進に努め、その答申が得られ次第、関係省庁との調整を図った上、商法改正法案を国会に提出する予定である。」とされております。さらに、「日本政府は、商法の改正が速やかに実現するように最善の努力を尽くすとともに、次のSII会合の際にその進行状況を報告する。」こういうことになっていますね、このフォローアップの年次報告では。
 このときのアメリカ側の要求についての内容とそれに対する日本側の具体的対応、それに今回の商法改正で提案をされた改正点、この点について具体的にそれぞれ明らかにしていただきたい、このように思います。
#114
○清水(湛)政府委員 日米構造問題協議の過程におきましては、アメリカ側が、いわゆる系列問題の一環として会社法についても問題があるのではないかといって、幾つかの問題点を指摘いたしました。
 私どもは、アメリカ側の問題点に対する指摘に対しまして、日本側でも現在商法の改正作業を進めておるところであり、日本側も問題意識を持っているものについてはかくかくしかじかの問題について現在検討中である、こういうことを申し上げました。アメリカ側から出された問題について、これは法改正をする必要がないとか、あるいは日本側としてはそのような問題を取り上げることは不適当であるというようなことについては明確な拒否の回答をいたしたわけでございます。
 いろいろな論議があったわけでございますけれども、例えばアメリカ側といたしましては、株主の会計帳簿へのアクセスを改善せよとか、株主総会への招集通知の発送期限を延長しろとか、社外取締役制度を導入せよとか、自社株取得の保有規制の緩和をせよとか、その他幾つかの問題についていろいろな問題を取り上げてまいりました。
 そういう状況の中で、私どもとしては当時の法制審議会において検討している事項として、幾つかの点を挙げて説明をしたわけでございます。
 一つは合併法制の弾力化の問題、二番目は会社法におけるディスクロージャー制度の拡充の問題、三番目は代表訴訟制度の合理化の問題、四番目は株主の会計帳簿閲覧制度の改善についての検討状況は現在こうなっておるということを報告書に記載することにいたしました。それから、なお法制審議会では自社株取得の保有規制の見直しについても検討を開始したところである、これはアメリカ側が自社株取得の保有規制を緩和しろということを問題として取り上げる前にもう日本政府としては法制審議会で検討しておりますので、そういう状況を素直に申し上げた、こういうことになっているわけでございます。
 そういう状況の中で、合併法制の弾力化につきましては現在法制審議会で審議、検討中でございまして、合併についての法制はある程度煮詰まっているのでございますけれども、分割の問題が一つ残っておりまして、これが非常に厄介な問題をはらんでいるという状況で、今回の商法改正には取り上げられていないということになります。
 それから、ディスクロージャー制度の拡充の問題については、実は平成二年度改正で、資本金三千万円以上の株式会社については計算書類等を登記所に提出するという意味でのディスクロージャー制度の提案が法制審議会からされたわけでございますけれども、これが実は法案に盛り込むことができないというような状況になりまして、なおそれを引き続きディスクロージャーの問題として現在検討中でございます。
 代表訴訟制度については、今回私ども改正案を提案いたしました。しかしながら、具体的な代表訴訟制度の合理化ということの中身についてはアメリカは別に注文をつけているわけではございませんで、もっと代表訴訟制度を活用できるような方法を考えたらどうかという程度の問題提起だったことを申し添えておきたいと思います。
 それから、株主の会計帳簿閲覧制度の改善、これはアメリカ側もかなり強く言っていた問題でございますが、今回十分の一から百分の三に改めた、こういうようなことになっているわけでございます。
 社外取締役の問題につきましては、これはなかなか難しいということで、私どもはそれは一応アメリカ側に対して説明して、報告書に取り上げることを拒否したわけでございます。その際、説明の仕方として、日本では監査役制度というのがあってむしろ監査役がそういうチェック機能を果たしている、監査役制度の充実強化の問題として前々から議論している問題であるというようなことも申し上げた経緯もございます。そこで、社外監査役についてはこの七月の年次報告、フォローアップの報告書にはございませんけれども、そういう協議の経過もございますので今回の改正に盛り込んでおる、こういう状況になるわけでございます。
#115
○小岩井委員 フォローアップで日本側の措置として出ている問題について、合併法制の弾力化について、ディスクロージャー制の問題について、この点については今回改正案として提案をされていない、こういう今の御答弁、これでいいですね。
 とすると、このときの内容によると、次のSII会合の際にその進行状況を報告するということになっていますけれども、アメリカへどう報告しその後どう対応するのか、この点が少し明確ではないので、説明していただきたいと思います。
#116
○清水(湛)政府委員 第二回のフォローアップの会合は、たしか昨年の七月二十八、二十九日でしたか、開かれました。ただ、ことしはどうするのかということは、私どもまだ何も聞いておりません。もしその時期にフォローアップの会合を今までと同じように日米構造協議の名のもとにやるということでございますれば、その際に、こういう
状況になっているということは向こうの方に申し上げる必要がある、こういうふうに考えております。
#117
○小岩井委員 あるいはこれは法務省に対する質問としては適当かどうかわかりませんけれども、クリントン政権になって日米構造協議そのものが質的に変化するのではないかというふうに言われているのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
#118
○清水(湛)政府委員 新聞報道等でいろいろそういったたぐいの報道がされているということは承知しておりますけれども、一体この日米構造協議がどういうふうになっていくのかということについては、私ども今のところ皆目わからない状況でございます。
#119
○小岩井委員 ちょっと法務省に質問するのは無理だったのかもしれませんね。
 具体的内容に移りたいと思います。
 今回の改正について、一昨年来の金融・証券不祥事、これが契機だと言われていますけれども、これらの不祥事に関して、自治的監視、それから監督体制としての取締役会、監査役、会計監査人等は適正にその職務を果たしていたのかどうかということが一つありますね。そういう点から具体的に質問いたします。
 取締役会の業務監督機能の内容とその実情について伺いたい。
 それから二点目として、監査役の業務監査の内容とその実情について伺いたい。違法、不当な行為を認識した場合について、監査役及び会計監査人がとるべき措置、そしてその責任問題について伺いたい。
 あわせてもう一点伺っておきますが、これはあらゆる角度からいろいろな質問が出ておりますけれども、税務上いわゆる使途不明金があった、これが判明した、しかし代表取締役が課税当局に使途を明らかにしない、それだけじゃなくて、監査役にもその使途を明らかにしない、この場合の監査役の責任はどうなるのか。決算に至る前に判明した場合あるいは前年度以前の行為であった場合。特にこのケースとしては最近起こった金丸巨額脱税事件、建設会社、ゼネコンのようなやみ政治献金、これは使途不明金の中から出ているというふうに言われているのですけれども、この場合の監査役の責任はどうなるのか、今具体的に三点指摘いたしましたが、この点についてもお答えいただきたいと思います。
#120
○清水(湛)政府委員 まず、いわゆる証券・金融不祥事等について、取締役会なり監査役あるいは会計監査人がどのような機能を果たし得たかということでございますけれども、その点につきましては、私どもとしては、個別の具体的な事情というものはよく承知しておりませんので、個々の企業、証券会社、銀行においてどういうようなことが具体的な形で問題になるかということにつきましては、ちょっとお答えすることはできません。
 一般論として申しますと、まず取締役会の業務執行でございますが、取締役会は取締役の全員をもって構成されて、その会議における決議によって業務執行に関する会社の意思を決定する。それから、業務執行が代表取締役によって行われるわけでございますが、その業務執行を取締役会として監督する、こういうことになっているわけでございます。こういうような監督権限を有効適切に行使するために、代表取締役は三月に一回以上は業務執行の状況を取締役会に報告をしなければならない、こういうことになっております。業務執行が適切に行われているかどうかについて代表取締役からの報告を受け、必要に応じて適切な措置をとることが必要となる、こういうことになるわけでございます。
 取締役は、会社に対して忠実義務を負い、善良な管理者としての行動をとる必要がありますので、忠実義務違反をし、あるいは善良な管理者としての行動を怠ったということになりますと、それによって会社に生じた損害について損害賠償責任を負うことになるわけでございます。
 なお、取締役会の監督権限の一つとして、取締役会は代表取締役の選任権及び解任権を有している。この代表取締役は少しくぐあいが悪いということであれば解任の決議をして代表取締役をやめさせることができる、こういうことになるわけでございます。一般に、取締役の数が大企業では非常に多いものですから、適時開催するという、三月に一回じゃなくて本来ならもっと開催すべきだろうと思いますけれども、あるいは常務会とか経営委員会というような中間的なものを取締役会の中に設けまして、そこである程度の業務執行を決定しているというような実情があるようでございますけれども、法的な面から申しますと、取締役会の権限というのは非常に強く、かつその責任も重くなっているということが言えるわけでございます。
 それから、監査役の業務監督でございますけれども、監査役は、昭和四十九年改正によりまして取締役の職務の執行を監査するということになっております。それまでは会計だけを監査するということでございましたが、職務執行の監査権というものが与えられました。取締役に対しまして営業報告を求めるとか、業務財産状況の調査をするとか、子会社についていろいろな報告を求め調査をするとか、取締役会へ出席して意見を述べるとか、あるいは必要に応じて取締役会をみずから監査役が請求、招集するとか、あるいは監査役の任免自体についての意見の陳述、報酬に関する意見陳述とか監査費用の請求とかいうようなことのほかに、取締役の違法行為の差止請求、各種の訴え提起権、さらには非常に重要な業務でございます計算書類等の監査権限等非常に広範にわたる権限が認められているわけでございまして、これらの義務を怠るということになりますと、それによって会社に損害が生ずるというようなことになりますと損害賠償責任を負うということになるわけでございます。
    〔委員長退席、星野委員長代理着席〕
 そこで、このような取締役なり監査役の権限なり責任というものを前提にいたしまして、では、いわゆる使途不明金について一体どういう責任を負うことになるのかというのが第三番目の御質問かと思います。
 商法上は使途不明金という概念はないわけでございます。税務当局に対しまして会社の方が使途先というか支出先を明らかにすると、明らかになった方に税金がかかるということになって、例えば住民対策経費等でそれが明らかになると住民の方に税金がかかっていく。そういうことでは非常にぐあいが悪いので使途不明ということにして会社側で税金を支払うというようなことが税務当局に対する関係においては行われるようなことがあるということを聞いているわけでございます。
 しかしながら、商法の面では使途不明金という支出項目はないわけでございまして、必ず交際費だとか寄附金だとか何とか対策費というような形で計算書類上は明記されているわけでございます。取締役としてはまずそういうふうなものについて計算書類に虚偽、不実の記載をするということはできない。これは取締役の方にそういう義務づけがございますから、取締役がそういうものを虚偽の記載をいたしますと、実際上、例えば交際費ではないのに交際費という費目である金を処理したということになりますと、虚偽記載ということで、これは百万円以下の過料だと思いますが制裁がございます。また、そういう取締役の違反行為について監査役はいろいろな会計商用書類等を調査して、これをチェックするということによってもし不正を発見いたしますと、監査報告書あるいは株主総会等においてその事実を指摘して報告をするということになるわけでございます。
 事前にそういうことがわかったということでございますと、監査役はみずからの権限に基づきましてそういう行為の差止請求をする、こういうことも監査役に認められているわけでございます。たまたま事前にわかればそういう差止請求をするということになるわけでございますが、それらの権限の行使については、監査役はやはり善良な管理者の注意をもって適正にそういう権限を行使す
る義務を負っているわけでございますから、それを怠るということになりますと、またその結果会社に損害を与えたということになりますと監査役にも損害賠償責任等が生ずる、こういうことになってまいるわけでございます。ですから、監査役の面から見ますと使途不明金というものがないわけでございますが、それが不正経理であったというときにそれを見破ることができなかった、相当の注意を尽くしても見破ることができなかったという場合に監査役の責任問題が生ずるということでございます。
 なお、前年度ということになりますと、これは現実にそういうような不正経理が行われてしまったことになりますので、それは損害が生ずれば損害賠償責任の問題として解決をするしかないということになるわけでございますし、さらに、そういうような監査役あるいは取締役の行為が不適切であるということになりますと、任期満了の際における株主総会における取締役解任、監査役解任、あるいは重任の否決、こういうような形でまたコントロールをされる、こういうことになるわけでございます。
#121
○小岩井委員 一遍に質問三点聞いたので、かなり時間長くなりましたが、なるべく簡潔に答弁してください。
 使途不明金が事前に明らかになった、要するに虚偽記載行為があった、これは取締役の違反行為について事前の差止請求をする。事後について、要するに決算したその後、いやその前ですか、今回のやみ献金のような状況の場合に不正経理を見破ることができなかった、監査役の責任が生ずる、しかしこれは監査役が再任されるかどうかということの責任である、今のはそういう内容ですか。もう一度。
#122
○清水(湛)政府委員 それによって会社に損害が生ずるということになりますと、監査役は損害賠償責任を負います。私が申し上げましたのは、そういう監査役として任務を適正に遂行し得ないということになりますと、それは解任なり再任の議案の否決、こういうことにもなる。最終的には株主がチェックをするというシステムは残されておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
#123
○小岩井委員 具体的に聞きますけれども、今回のゼネコンのケースはどうですか。
#124
○清水(湛)政府委員 私どもは、いわゆるゼネコンと言われる企業が、政治献金なのかあるいは工事に絡んだ謝礼なのか、それはちょっとわかりませんけれども、そういった寄附をしておるということは新聞で承知いたしておりますけれども、具体的にそれがどういう形で行われ、監査役はそれをどういう形でチェックをし、あるいはチェックをしなかったかということについては承知をしておりませんので、ちょっとその問題については申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
#125
○小岩井委員 幾ら聞いても答弁出ないでしょうから次にいきますが、企業の自治的監視と監視体制、これは制度的にはかなり整備されているということになりますけれども、現実には十分に機能していないんじゃないんですか。これは今回の改正で十分機能することになって会社不祥事を防止することができるのかどうか、この点についてはどうなんでしょうか。
#126
○清水(湛)政府委員 私ども、いろいろな不祥事が起きるたびごとに、例えば上場会社の監査役さん、ほとんど上場会社である会社の監査役で構成されている例えば公益法人である日本監査役協会あたりで監査役さんの意見を聞くのでありますけれども、権限はあるんだけれども、なかなか行使しにくい。その一つのあれが、自分たちの身分が不安定であるということが一つの訴えとして出てきているわけでございます。だから、二年ごとに任期が来る、これを三年ないし四年にしてもらえればかなり安心していろいろなことが言えるのではないかというような問題がございまして今回任期を延長する。
 それから、大会社につきましては、多くの会社が三人、あるいは場合によっては四人、五人の監査役を置いているわけでございますけれども、一般的にそこまでいっていない会社もあるということから、人数をふやしますればある程度発言権も強くなる。さらに、監査役会という組織にすれば組織的な監査もできるし、組織的な行動もできることになるというような監査の現場を踏まえた監査役さん方の意見を聞きまして、今回の改正案にいたしたわけでございます。
 ただ、こういうふうに制度さえ整備すれば会社がすぐよくなるということではございませんで、制度の整備とあわせまして、そういう地位につく監査役に適材がおるということが実は同時に非常に重要な問題であるというふうに認識しているわけでございます。今回の改正法の趣旨に従ってそれぞれの企業が適材を選ぶということに私どもとしてはぜひ期待をいたしたいというふうに思っているわけでございます。
#127
○小岩井委員 ちょっとあいまいですけれども、次に移ります。
 先ほどもちょっと出ておりましたけれども、監査役の選任、解任権、これは現行法上株主総会の権限とされていますね。監査役候補は代表取締役が決定をして、それからまた委任状は社長が掌握している。したがって、実質的には代表取締役などが監査役の人事権を握っている。このようにして、監査を受ける者が監査をする者を選ぶということになりますね。また、それを解任するという仕組みですね。この現行法の中の仕組み、これに根本的に問題があるんじゃないか、これは改善する必要があるんじゃないかと思いますけれども、どうですか。これは外国はどうなっているのか、外国の例も挙げながらちょっと御答弁ください。
#128
○清水(湛)政府委員 御指摘のように、現在日本の会社法では、監査役の選任議案、これは株主総会への提出を要する選任議案でございますけれども、取締役会において決定するということになっております。その議案に基づいて株主総会で監査役が選任されるわけでございますけれども、取締役会におきましてその選任議案について監査役は自分の立場から意見を述べる、あるいは株主総会において意見を述べるという形で、監査役として適任者が選ばれるようなシステムには一応なっているわけでございます。
 外国でも、これはイギリス、アメリカには監査役制度というのはございませんからちょっと除外をいたしますけれども、ドイツでは監査役は株主総会において選任されるということになっておりますが、これは選任議案というのは恐らく監査役会が決定するということになっていると思います。ただしかし、ドイツの監査役会というのは、日本の取締役会と監査役会を兼ねたような強大な権限を持っている機関でございますので、日本の監査役会とは全く性格が違うということに留意する必要があるんじゃないかと思います。
 それから、フランスは監査役会が業務執行の監査を行うことになるわけでございますが、これは株主総会で選任をされるということになっております。選任議案については、これは取締役の方でそういう議案を提案するということではないかというふうに一応考えております。
 御指摘のように、ある一部と言っては語弊がありますけれども、例えば監査役の選任議案は監査役の方でつくって出すというのを原則にして、それに対して取締役会の方で意見があれば意見を述べる、逆転させたらどうかというような意見がないわけではございませんけれども、日本の会社法の立て方という面から見ますと、やはり取締役会がそういう業務執行決定機関であって、すべての人事を決定するという建前になっておりますので、現行法のような、取締役会で決定するけれども、それについて監査役が意見を述べる、さらに取締役会の決定について不満であれば、株主総会においても監査役が意見を述べるというような形にせざるを得ないという要素があるというように私どもは思うわけでございます。そういった先生御指摘のような意見も、多数とはちょっと申し上げかねますけれども、そういうような問題提起も
あるということは私どもは承知しているところでございます。
#129
○小岩井委員 問題提起があるという答弁がありましたけれども、法務省当局はどう考えますか。
#130
○清水(湛)政府委員 いろいろ議論もあるわけでございますが、私どもとしては、まだちょっと時期尚早ではないか、現状においてはまだそういう状況ではないというふうに考えております。
#131
○小岩井委員 ということは、この選任、解任権を事実上代表取締役が握っている、こういう現行法はやはり問題がありますよね。一部に問題があるという認識ではなくて、この辺の法の仕組み、この点に問題がある。これはこの仕組みを変えなければ、この監査役の機能というんですか、持つ機能というのが十分に発揮されないのじゃないかというふうに思うんですよ。これはあらかじめ大臣には質問すると言っておりませんでしたけれども、大臣いかがですか、この点。
#132
○後藤田国務大臣 小岩井さんのおっしゃる意味は、私にはそのようによく理解ができるのですけれども、やはり株式会社というものの所有権者は株主だ、こういうことになっているものですから、その意味において最終の決定は株主総会で決定する、こうせざるを得ませんね。すると、これは大勢おるといったようなことで、執行を任されるそれぞれの機関がある。
 そこで、実質はどうかということになると、おっしゃるように、会社の社長とかそういったのが選定をしておる、株主総会は形だけだということになりますと、おっしゃるような問題点が出てくる。そこらを私どもは考えまして、商法の部会の意見等も聞きながら、今回の改正では、ならば監査役がある程度自分なりの立場で監査ができるといったようにするためにどうすればいいんだ、ならば任期が余りにも短過ぎるではないかとか、あるいはまた社外の人間か、つまり五カ年間勤務しておった関係者もいかぬ、そういうような形の上から、ともかく監査役が監査役らしい仕事ができるような環境づくりをやろうではないか。今回はそこまででやろう、おっしゃるような意味はわかりますけれども、今回はその程度でやって、おっしゃる御意見はまだ時期が早いのではないかなというお答えを局長がした趣旨はそれにあろう、私は、そういうことではなかろうかな、かように考えておるわけでございます。
#133
○小岩井委員 大臣も局長も問題意識を持っているということで理解をさせていただきたいと思います。
 それで、現実に今監査役の置かれている立場について伺いますけれども、監査の場において、監査をするという立場に立って、監査役にとっての情報の収集は極めて困難な状況にあるのじゃないか、少なくとも会社の重要な情報が自動的に監査役に流れてくる、こういうシステムになっていないのじゃないかというふうに思うのです。ですから、この重要な情報が自動的に監査役に流されるというシステムについて、これは法制化が必要じゃないでしょうか。どうでしょうか、この点についても伺っておきたいと思います。
#134
○清水(湛)政府委員 会社の実情を監査役が常時把握をするということがないとこれは適正な監査ができない、こういうことはまことにおっしゃるとおりだと思います。
 そこで、システムをつくるかという問題でございますけれども、実はそういうような問題意識から、監査役は、その職務を行うために、いつでも取締役とか支配人とかその他の使用人に対して営業の報告を求めることができる。例えば部長、課長を呼びつけて報告を求めることができる、あるいは会社の工場に出かけて財産の状況を調べるとか会計帳簿を調べる、こういうような業務、財産の状況の調査権、こういうようなことができる、あるいは子会社に対しても営業の報告を求める、あるいは必要がある場合には、子会社の業務及び財産の状況を出向いていって調査することができる、こういうようなこともございますし、さらにその職務に要する費用の前払いの請求をすることもできるというような形で、監査役の権限の方から商法は規定を置いております。
 こういう権限をいわばけんか腰で行使するというのじゃなくて、そういう権限があることを前提にして、会社の方では常特例えば重要な書類の決裁は監査役にも回すとか、そういうような形で対応している会社も最近かなりあるというふうに聞いております。それからまた、現実には、これはかなりの大企業ではございますけれども、監査役のスタッフとして二十数名の社員をそこに配置して、常時情報の収集に当たらせているというような会社も最近は多くなってきておるというような状況がございます。
 商法の立場としては、そういう例えば何人以上の職員をもって構成する監査室をつくれとかというようなことはちょっと書きにくい。これは、監査役の権限というものを法律上明らかにすることによってその権限を行使するという前提で、社内規則等によりまして監査役の手足を会社が自律的に整備をしていくということが期待されておるし、法律の考え方としてはそういうことになっているというふうに申し上げていいのではないかというふうに思います。
#135
○小岩井委員 わかりました。
 監査役の任期の三年の理由と社外監査役制度を導入するとした理由について先ほど大臣から答弁をいただきましたので、この社外監査役について若干伺いたいと思います。
 社外監査役の要件ですが「就任の前五年間」こうなっていますね。この理由を伺いたい。それから、社外監査役が選任されないでなされた監査について有効なのかどうか、この点についても伺っておきたいというふうに思います。
#136
○清水(湛)政府委員 社外監査役の要件について五年というふうにいたしましたのは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、要するに、会社の代表取締役を初めとする会社の執行部の影響を受けるということでは適正な監査ができないという観点から、社外監査役というものの制度の有効性が説かれているわけでございます。その際に、いわば執行部と対等にいろいろな意見を言うことができるような関係ということを考えますと、なるべく長期間にわたって関係がなかった者であることが望ましいということが言えるわけでございますが、一方では、そういう人をそうすべての企業がたやすく迎えることはできない、逆に、形式的に合わせるために会社の実情に疎い人を監査役に据えて、かえって形骸化を促すというようなことにもなりかねないというような問題の指摘もあるわけでございます。
 いろいろ意見があったわけでございますけれども、例えば三年ぐらいでいいじゃないかというような意見も実は経済界には強うございまして、いろいろ研究、検討がされたのでございますが、最終的には五年、五年ぐらいたてば会社の業務執行担当者との関係が希薄になって、ある程度独立した立場に立って監査を行うことができる、こういうことになるのではないかということにいたしたわけでございます。
 それから、いわゆる社外監査役は、特例会社についてはこれは強行規定でございますから、社外監査役が一人もいない、あるいは五年以上という要件があるのに五年以上の要件を満たしていないというようなことになりますと、これは適法な監査があったということにはならないわけでございます。
 例えば外部監査である会計監査人の監査報告について、監査役がそれと同意見であるというようなことになりますと、計算書類は株主総会の決議を経ないでも確定をするわけでございますが、監査役の適法な監査がなかったことになりますので、そういう計算書類の確定の効果も生じないということになります。したがいまして、確定したことを前提として例えば利益配当をしてしまう、株主総会で利益処分の決議をするということになりますと、その決議は瑕疵を帯びる、つまり取り消し得べき瑕疵を帯びるということになるというようなことが考えられます。
 それからまた、取締役会の承認決議が必要だと
いう場合でも、これは招集通知に監査報告書を添付するわけでございますけれども、適法な監査報告書が添付されてないことになりますので、招集手続が違法であるとかあるいは決議の方法に瑕疵があるということにまたつながっていく、こういうことになろうかというふうに考えております。
#137
○小岩井委員 よくわかりました。
 監査役会制度について伺いますけれども、監査役会制度を導入した理由と、監査役会と監査役の権限の振り分けについて、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
#138
○森脇政府委員 お答えいたします。
 まず、大会社に監査役制度を設けた趣旨でございますが、これは、五十六年に大会社については監査役二名以上という規定を設けたわけでございます。その後におきましても、大会社における会社の規模等が拡大いたしまして、組織的な監査あるいは効率的な監査ということが二名以上という人員では行われにくくなってきたといったような事情がございます。そこで、効率的な監査を行う三名以上という形にしたわけでございますが、三名以上ということになりますと、今度は、それぞれの監査役が単独で監査をするのではなくて、組織的な監査あるいは効率的な監査ということが目指せるような実情ができたわけでございます。
 それで、それによって監査の客観性を高めるために、複数の監査役が、あるいは調査を分担する、あるいはその各人が調査した結果を監査役会に持ち寄って情報を交換する、それぞれの監査役がその情報を共有することによってお互いの監査の意見を批判し合うというようなことによって監査意見が高められるということを目指したわけでございます。こうしたことから、監査役全員で監査役会を組織するという監査役会の制度を導入することとしたわけでございます。
 次に、監査役と監査役会の権限の振り分けでございますが、監査役会は、取締役から報告あるいは計算書類を受領する、会計監査人から報告を受けるあるいは監査報告書の提出を受ける、こういった受動的な行為を行うということにいたしてございます。それから、監査役会で監査報告書を作成する。これは今申しましたとおり、合議をしてその中で高められた意見に基づいて監査報告書を作成し、これを取締役に提出する、こういうことにいたしております。
 そのほかに、監査役会の役割といたしまして、監査の方針であるとか会社の業務及び財産の状況の調査、その他監査役の職務の執行に関する事項についても決定できることにいたしてございます。この監査役の職務の執行について監査役会が決めるということでございますが、これにつきましては、監査役の独任制のよさを損なうことがないように、個々の監査役の権限を制約することはできない、こういうふうにいたしてございます。
#139
○小岩井委員 株主権の強化について伺いますけれども、代表訴訟の申立ての手数料について一律八千二百円となって訴訟に伴う株主の負担が軽減された、また勝訴した株主は訴訟に要した費用で訴訟費用でないものの相当額の支払いを会社に請求できること、こうされていますね。これによって代表訴訟は現行よりも起こしやすくなるということになりますけれども、訴訟の費用と時間を要する。改正案によっても提訴株主の負担は少なくないと思いますけれども、株主が会社のために訴訟を提起して会社に損害を回復させ、利益をもたらすことになる、こういうことになりますけれども、株主が勝訴した場合には一定の報酬を与える、こういうことが必要ではないかという見解もありますけれども、この点についてどうでしょうか。
#140
○清水(湛)政府委員 株主の代表訴訟の改善方法としていろいろな議論があるわけでございますが、その一つとして御指摘のような、勝訴の株主に報酬を与えることを考えたらどうかという御意見も実はあるわけでございます。そうすれば代表訴訟を積極的にやるということになるのじゃないのかということでございますけれども、このような制度について、一方では、報酬を与えるというようなことまでやることがいいのかどうか、訴訟費用にならない費用について、準備的な費用、交通費とかいろいろなものがかかるわけでございますけれども、そういうものは今回請求することができるようにいたしたわけでございますが、さらにそういう自分が使った費用とは別に成功報酬的な報酬を与えるということになりますとこれはもう少し検討する必要がある、いわば報酬目当ての訴訟を起こすようなことも考えられるということを言う人もいまして、これはちょっと慎重な対応が必要ではないかということになりまして、今回の改正案では採用し得ないということに実はなったわけでございます。
 私どもとしては、代表訴訟というのは会社の業務の適正化を図る最後の手段、決め手だというように思っておりますので、今回の改正後における運用状況というものを十分に見て、さらに活性化方策というものが必要であるかどうか見守ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#141
○小岩井委員 必要かどうか見守っていくということでありますけれども、検討するという問題意識は持っているというふうに理解していいのですか。
#142
○清水(湛)政府委員 そういう意見が提出されたこともあり、問題意識としては持っている問題でございます。
#143
○小岩井委員 代表訴訟についてさらに伺いますけれども、なれ合い訴訟を防止する、そういうことで訴訟参加の制度を設けられておりますけれども、会社が訴訟提起をした場合、株主に対してその事実を知らせる公告等の措置は要求されておりません。これでは株主の訴訟参加の機会を失わせる、そういう指摘がある。この点についてはどうでしょうか。
 それから、代表訴訟については和解や訴えの取り下げは認めるべきではない、こういう見解もありますけれども、この点についてはどうでしょうか。
#144
○清水(湛)政府委員 現行法で二百六十八条の第三項でございますけれども、この代表訴訟を「提起シタル株主ハ訴ノ提起アリタル後遅滞ナク会社二対シ其ノ訴訟ノ告知ヲ為スコトヲ要ス」、つまりこれは取締役を相手取って訴訟を起こすわけですから、一応会社は被告にはならない。会社には、会社の取締役に対してこういう訴訟を起こしましたよということで、訴訟の告知をすることになっているわけでございます。会社の方でほかの株主に対してそういうような訴訟の告知をする、あるいは株主の方で他の株主に訴訟告知をするということにはなっていないわけでございます。
 特に会社の方から、自分の会社の取締役に対してこういった訴訟が起きましたということを株主に通知をするということは、これはその訴訟が結果的に見て正しい訴訟であると申しますか、請求どおり会社が負けた訴訟であれば結果論としてはそれでよかったのかもしれませんけれども、そうでない訴訟もあるわけでございまして、会社の方で積極的にそういうようなことを公にするというようなことにつきましては会社の信用という面から非常に問題があるのではないか、そう簡単に採用できる制度ではないのではないかというふうに現在考えているわけでございます。
#145
○小岩井委員 質問項目が多岐にわたっておりますので、引き続き伺います。
 株主の会計帳簿等の閲覧請求権、この点について伺いますが、今回の改正案は持株の要件の比率、十分の一から百分の三、このように緩和するということになっていますね。これは上場会社の上位十位の大株主であっても、その持株が発行済株式総数の百分の三以上の会社はわずかに三・一%だ、したがって九六・九%の会社は百分の三未満ということ。この数字は正確かどうか御答弁の中で伺いたいのですが、これを基準とする少数株主権は有名無実、こうなると思うのですけれども、この点についてどうでしょうか。お答えいただきたいと思います。
#146
○清水(湛)政府委員 これは百分の十から百分の
三にしたことによる要件緩和というものについての評価の問題だと思いますけれども、先ほど先生が三・一%というような数字を挙げたのは、これは正しいかどうか、私ちょっと資料を持ち合わせておりませんのでわかりませんが、私どもは上場会社約二千百社について調査いたしましたところ、これは公刊の書物を丹念に繰っていったという程度でございますが、百分の三以上に当たる株式を有する株主というのは約一万一千人でございます。それが十分の一ということになりますと約千三百人しかいないということになりますので、帳簿閲覧権を有する株主が約十倍にふえたということになるわけでございます。
 これも前々から申しておりますが、会社の会計帳簿、これは日記帳とか種々の当座勘定元帳とかいろいろ重要な帳簿があるわけでございまして、そういうものを閲覧するということでございますからかなり重大な権利でございます。日本では本来の会社の会計の適正チェックというのは、先ほども申し上げましたけれども、監査役に期待をしているという面がございますので、株主の方からのチェックというものについてはある程度要件を厳しくしてもいいのではないかというのが商法の根本的な考え方だろうと思います。
 そういう監査制度を強化するという前提の上に立ちつつ、なお十分の一を百分の三に要件を緩和したということでございまして、しかもこの百分の三の要件というのは、一人でやるにも百分の三を持っている必要があるということではございませんで、何人かの株主が集まって百分の三の要件を満たすということは可能でございますから、相当程度の効用を期待することができるのではないか。つまり、会社側とすれば大事な会計帳簿を閲覧の対象に供するということになりますので、逆に言うと相当慎重な計算処理を行うということにもつながっていくということになるわけでございますから、決して効果がないとかそういうことではない、相当評価し得る改正であるというふうに私どもは考えているわけでございます。
#147
○小岩井委員 大分経過が違うようですけれども、次に移ります。
 社債制度の改善について伺います。
 まず一点目は、普通社債の発行手続の概要について説明をいただきたいのと、適債基準、財務制限条項、格付制度、この点についても御説明いただきたいと思います。
 それから二点目、社債発行限度規制を改正案は原則として廃止する、こういうふうに言っていますね。現行商法についてはこの規制を設けているわけですけれども、廃止をするといったことについての具体的な理由について伺いたいと思います。
#148
○森脇政府委員 お答えいたします。
 まず、普通社債の発行手続でございますが、これを条文に従って追っていきますと、おおむね次のようになると思われます。
 まず取締役会において社債の発行の決議をする、次に社債申込証を作成する、募集行為を行う、次に社債応募者から社債申し込みによる申し込みを受ける、申し込みに対して社債を割り当てる、これによって社債契約が成立するわけであります。その後、社債権者から社債金の払い込みがなされる、発行会社において社債権者に社債券を交付する、こういう手順になろうかと思われます。
 次の御質問であります適債基準につきましては、大蔵省の方からお答えいただきたいと思っております。
 次に、現行法が社債発行限度を定めている理由、またこれを廃止する理由でございます。
 現行法は社債発行限度額としまして純資産による制限を設けているわけでございます。この発行限度を設けました趣旨は社債権者の保護のためでございまして、社債権者の担保となるべき会社の資力以上に社債を発行させないという意味合いを持つわけでございます。
 このたびこの社債発行限度規制の廃止をします理由でございますが、昭和五十二年に制定されました社債発行限度暫定措置法、これは将来社債発行限度を廃止するということを前提として、これにかわる社債権者保護の措置がとられるまでの暫定措置ということで立法をされたものでございます。
 この社債限度規制につきましては余り実効性がないのではないかといった批判もございましたが、当時におきましてはこの発行段階における規制、これ以上のいい規制方法がない、それだけの環境が整っていないという状況にあったわけでございます。その後におきまして、証取法上のディスクロージャー制度の整備あるいは格付制度の定着、充実といったような社会的事情が整いまして、このたび、より社債権者保護の合理的な方法でございます社債管理会社を原則的に設置するということを商法で規定することにいたしまして、これによって社債発行限度による規制を廃止しようとするものでございます。
 この社債発行限度規制につきましては、もはや諸外国においてはイタリアを除いては例がないといったような形になっておりまして、国際的なハーモナイゼーションの面からもこれの撤廃が望まれていること、また企業の側における廃止の必要性ということもあったわけでございます。
#149
○西方説明員 適債基準等につきましてでございますけれども、現在、社債を発行する場合には無制限ということではございません。ある意味で社債権者を保護するという観点で適債基準等を定めています。この適債基準というのは企業が公募社債を発行する場合に充足しなければいけない基準でございまして、ついせんだって私どもの方で緩和をいたしましたけれども、例えば無担保社債を国内で発行するというような場合には格付をBBB格以上を得たものにするというようなものでございます。それから、財務制限条項等につきましては、例えば担保制限条項とか純資産の額を維持するとか利益の維持とか配当制限、こういったようなことが財務制限条項ということになっているわけでございます。
 いずれにいたしましても、資本市場というのはマーケットメカニズムを基本として自由に投資家と発行体の相談で行われるというのが基本だと思います。現在、財務制限条項なり適債基準というものがございますけれども、格付とかディスクロージャーとかこういったものを基本としてこれから充実を図っていく、それによって適債基準等については順次緩和をしていくというのが姿ではなかろうかというふうに考えております。
#150
○小岩井委員 残り時間が短くなりましたけれども、最後に伺います。
 新聞報道なのですけれども二月十六日の日本経済新聞に、政府は企業の自社株取得と保有を条件つきで認める方針を固めた、こういうことがありました。この報道の真偽について伺いたい。もしこれが事実であれば、この検討状況と問題点、さらに今後の見通しについても伺っておきたい。これは局長から伺った上で、最後に大臣からも御答弁いただきたいと思います。
#151
○清水(湛)政府委員 先ほど、日米構造協議との関係でも自社株取得の話が出ましたし、日米構造協議で取り上げられる前に既に法務省におきましては、法務大臣の諮問機関である法制審議会におきまして自社株取得の制限の緩和の問題について議論をしておりました。しかしながら、自社株取得の制限を緩和するということになりますと、資本充実の原則との問題、あるいは株価操作とかインサイダートレーディングの問題等々、いろいろな弊害が生ずるのじゃないかということから議論がなかなかまとまらないという状況でございましたので、ことしの二月に自社株取得の制限に関する問題点を十三項目にわたりまして整理をいたしまして、これを関係各界に意見を照会中でございます。この照会に対する回答が五月じゆうには戻ってくると思いますので、それを踏まえてさらに検討を進める、こういう状況に現在の審議の状況はなっているわけでございます。
 あとは大臣の方から。
#152
○後藤田国務大臣 御質問の件でございますが、
四月十三日に経済対策閣僚会議で総合的な経済対策の推進というものの閣議の決定をいたしました。その中に「企業の資金調達環境の整備」という項目で「自己株式の取得及び保有に関する規制の見直しについて、次期通常国会までに結論を得、所要の対応をすべく検討を促進する。」こういう決定をしたわけでございます。
 そこで、この点については今局長が申し上げましたように長短それぞれの問題点がございますので、現在はまだ学識経験者に各方面にわたって意見を聴取しておるわけです。その聴取が終わりますれば、それを基礎にしながら法務省としては、この自社株取得の規制の見直しという問題について、ただいま申し上げましたような閣議決定、これを踏まえながら適切に処理をするというところでひとつ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
#153
○小岩井委員 どうもありがとうございました。
 終わります。
#154
○星野委員長代理 冬柴鐵三君。
#155
○冬柴委員 公明党・国民会議の冬柴鐵三でございます。
 金丸巨額脱税事件、これを機に再び会社の使途不明金という問題が脚光を浴びております。同僚委員からも再々にわたりお聞きしたわけでございますけれども、事柄は大変重要なので、私もこの点について突っ込んでお伺いをしておきたい、このように思います。
 この問題は古くて常に新しい問題と言われるものでございまして、企業経営者の倫理が問われる面でもあると思います。今、日本経済が国際社会のなかえで他国と伍して共存していく上におきましても、どうしても使途不明金というようないわば前近代的と申しますか、こういうような慣行は改めなければならない、私はそのような認識に立っております。
 まず、その使途不明金でありますが、後の調査によってそれが明らかになるという部分は、大変少ないわけですけれども、ございます。今回の金丸事件もそれでありまして、この捜査によって白日のもとにさらされたやみ政治献金、これは大変な違法なものでありまして、そのような資金源が使途不明金に求められていたということになりますと、これは非常に犯罪性の強いものであります。
 本日は、商法の一部改正の審議を行いまして、その中で監査役の地位の安定、ひいてはその権限の実質的強化ということも提案されているわけでありますが、一部上場のいわゆる大会社において、表に出れば犯罪性の強いこのような使途不明金というものが、監査役の監査あるいは会計監査人の監査をパスをしまして、株主総会においても問題にされず、また株主等からの代表訴訟の対象にもされずに、どうしてこの国ではこういうものが大手を振ってまかり通ってきたのだろうか、こういうふうに考え込まざるを得ないものでございます。
 今回の改正法案はその改善のための一歩前進と私は思いますので評価はするわけでありますけれども、これで改められないのではないか、そのような疑念も持たざるを得ないわけでございます。
 そこで、同僚議員もいろいろ聞かれたのですが、国税庁から若干聞いていきたいと思うのですが、使途不明金、これは税務の実務用語だ、こういうふうに理解しているわけでございますけれども、その意義とか税務上の扱い、それについて簡単にわかるように説明をいただきたいと思います。
    〔星野委員長代理退席、委員長着席〕
#156
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま使途不明金の意義とか税務上の取り扱い、こういうお話でございます。
 税法には使途不明金という言葉はございませんが、私ども、法人税の基本通達で「法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭でその費途が明らかでないもの」ということで規定をしておりまして、そうした場合には「損金の額に算入しない。」、このような取り扱いを定めておるところでございます。
#157
○冬柴委員 ところで、奇妙なことに、監査役から聞かれても言わないけれども、法人税確定申告のときにはみずから進んで、実はこれこれは使途不明金として扱ってもらって結構ですということで、余分な税金を納める。みずから首服すると申しますか、そんなことが行われるのですけれども、なぜそういうことが起こるのか、その点も簡単で結構ですから御説明いただけますか。なぜみずから自己否認というような形をして、余分な税金を払います、そういう申し出をするんでしょうか。
#158
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 私ども、使途不明金というものに接しました場合は、その使途の解明に全力を挙げるわけでございまして、そうした使途の解明で精いっぱい努力いたしましても、最終的に法人が使途を明かさない、こういう状況でございます。したがいまして、どういう理由でかというところにつきましては、私どもコメントできないところでございます。
#159
○冬柴委員 私ははっきりしているのであって、法人税確定申告期限、こういうものが決められているはずでございまして、これは決算期終了後ニカ月以内、大法人等特にあらかじめ申告をすれば三カ月以内に申告をしなさい、この時点までに言わなければ、この日限に言わなければ、もし脱税というものがその中に含まれておれば狭義の脱税犯の既遂になってしまうのですね、その時期を越えたとたんに。後から見つけられると犯罪になってしまう。それから、税法上ペナルティーとして不申告の加算税がたしか三五%ほど余分に払わされる。
 こういう非常な不利益があるがために、みずから、調べられたらばれそうな費途を、すなわち支払い先、支払い理由というものを明らかにしたくないものをあらかじめ一覧表にして法人税申告書の後ろに第二表としてつけて出すんじゃないですか。あなたの方が幾ら調べても言わなかったのが使途不明金なのであって、これは口にチャックでございますという一覧表をつけて出すんじゃないですか。その実務、どうでしょう。
#160
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 ただいま委員から御指摘がございました、法人が税務申告に当たりまして、計算書上では交際費あるいは雑費、そういった費目になっておりましてもその使途が明らかにできない、あるいは支出先を明らかにできない、こういう理由で、そうしたものを使途不明金として益金として加算して申告してくる、こういう事例はございます。
 先ほど申し上げましたのは、そういうふうに加算してまいりましても、私どもの方では、私どもの問題意識はやはり真実の所得者に課税するという観点からこの使途不明金は課税上大変問題がある、こういう認識でございまして、その使途の追及に努力をする、こういうことでございます。そういって自己加算したものにつきましても使途の解明に全力を尽くしておる、こういう事情にあるわけでございます。
#161
○冬柴委員 後からずっと聞きたかったのですけれども、商法では、決算期が過ぎまして、それから三カ月以内に株主総会を開く、こういうことになっていますね。税務の確定申告時期も三カ月以内ですから、総会が終了して、利益金処分案等が総会において承認された後じゃないと申告ができないということで、どうも三月期決算であれば六月の末に、ことしは二十九日ごろになるのですか、総会が集中して行われる。株主総会が荒れないために、総会屋対策としても、そういう役割も果たしているのですが、ほとんどの会社が同じ日に総会をやられる。そしてその一日後には、ことしでしたら六月三十日に税務申告をされる。その中に、実は交際費と帳簿には挙げてありますけれどもこれは自己否認をいたします。いわゆる白状するわけですね。
 この流れを見てみまして、商法上は、株主総会の七週間前に取締役は株主総会に提出すべき決算書類、すなわち貸借対照表、損益計算書、財産目
録等を調製して監査役に提出をして、監査役はそれを詳細に監査した上四週間前に取締役に監査報告書を提出する、こういう流れになっていると思うわけです。そして、二週間前にはその決算書類と監査報告書が株主に総会資料として配られる。そしてまた、会社にも備えつけて閲覧に供される、これは総会終了後五年間、会社の本店に備置、備えつけられる、こういう流れだと思うのですね。
 ですから、総会直前には監査役はいろいろ調べているわけですから、貸借対照表、損益計算書あるいはその前の書類等に使途不明金がいろいろな名目で織り込まれているということはわからないはずはないわけですけれども、わからない場合はだまされていることになるわけですが、総会が終わった翌日税務署にはその真実が告げられる、これはいかにも不道徳な感じがしてしようがないわけですけれども、民事局長、私の説明した商法の流れというのはそのとおりでよろしいですか。
#162
○清水(湛)政府委員 御指摘のとおりの流れになるということでございます。
#163
○冬柴委員 それはまた後に譲りまして、また国税の方にお伺いしたいのですが、その使途不明金として取り扱われる典型例、先ほどちょっと交際費とかいろいろ言われましたけれども、どういう費目で計上されているものが大体そういうものになっているのですか、典型例でいいですから数例挙げていただけますか。
#164
○藤井説明員 先ほど御説明させていただきましたのは、法人が交際費等々の費目で出しておりますが、実はこの使途が明らかでないということでこれだけの金額がありますということで益に加算してくる自己否認の場合を申し上げたわけでございますが、税務調査をいたしまして、そこで例えば外注費あるいは労務費あるいは手数料、そういったことで計上しているわけでございますが、それは架空であるということが、事実が把握された、当然その場合に私どもはその実際の使途を追及するわけでございますが、いろいろ追及いたしましても最終的にその使途を明らかにしない、こういうものがございます。したがいまして、自己否認で出てくるものとそういう調査で出てくるものと、この二種類が典型的な例でございます。
#165
○冬柴委員 そうすると、それが帳簿に書いてあることと違う、すなわち虚偽の帳簿の記載があるという場合もあるというわけですね。
 では、そのような使途不明金のグロスですが、平成三事務年度だけで結構です、一年間の分で結構ですが、先ほど来いろいろ同僚も聞いておられるのですが、一体幾らあったのか。これは資本金一億円以上の大企業についてのものだと思うのですが、それは何%を調査した結果判明したものなのか、その点について数字をお示しいただきたいと思います。
#166
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 使途不明金につきまして、資本金一億円以上のいわゆる大法人で実際に調査をいたしましたものについて計数を把握しておるわけでございます。平成三事務年度、最新の事務年度ということで申し上げますと、私ども、そういう形で一億円以上の大法人として把握しておりますのは三万三千七百二十八社ございまして、そのうち一四・〇%に当たります四千七百二十二社調査をいたしました。その結果把握いたしました使途不明金の総額は五百五十八億円、このようになってございます。
#167
○冬柴委員 非常に巨額な金がそれから先は課税されていない、ブラックマネーといいますか、そんなことになって非常に不健康な社会のように思われて仕方がないわけですが、ただ、税法上使途不明金と扱ったものが全部法令違反とか定款違反であるとはもちろん申しませんけれども、非常に不健康な感じがするのですね。この使途不明金の多い業界、これはどういうものなのか、そしてそれがその業界で五百五十八億円のうち何%までしているのか、上の方だけで結構ですけれども御説明ください。
#168
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 先ほど申し上げました平成三事務年度に把握した使途不明金五百五十八億円の内訳ということで業種別に申し上げますと、うち建設業が三百八十二億円で、率にいたしますと六八%、続きまして卸売業が六十七億円でございまして、率にしますと一二%、続いて製造業が四十四億円でございまして、率にして八%、残りが小売業その他、このようになってございます。
#169
○冬柴委員 建設業がダントツですね。非常に金丸事件等を裏づけるような、それまでこういうことになっているのじゃないかと言われておりましたけれども、この事件によって白日にさらされてしまったわけですけれども、建設業がこういうものをやみの政治献金に使っていたということは非常に重要だと思いますし、それからもう一つは談合、これも海外からも非常によく指摘されている。この業界だけではありませんけれども、非常にこの業界に多い。もちろん談合は談合罪という、刑法にもありますし、政治献金も政治資金規正法では量的規制がかかっているわけで、これは非常に違法なものだと思うわけでございます。
 続いて、この使途です。法人は口を閉ざして言いたくないと言っていたけれども、税務署の努力によって明らかにできた使途、そういうものも大体どういうものが何%ぐらい明らかになって、そしてどういうふうに使われたのか、それをちょっと説明いただきたいと思います。
#170
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 先ほどの五百五十八億円の使途不明金総額のうち、私どもの調査によりましてその使途が判明した金額は百三十九億円でございまして、その割合は二五%、このようになってございます。
 なお、判明いたしましたものの内訳について申し上げますと、うち六十億円、判明したものの四三%に当たりますが、六十億円が交際費ということで処理をいたしております。また、四十二億円がリベート、手数料という内容でございまして、率にいたしますと三〇%になります。残り三十七億円はその他ということでございまして、率にいたしまして二七%でございます。なお、このその他三十七億円のうちに二十四億円、政治献金と見られるものが含まれておるわけでございます。
#171
○冬柴委員 交際費という課税も見てみると、これもちょっと特殊ですね。
 資本金五千万以上の会社は交際費は一切認めない、そういう扱いをしていらっしゃるというのは、それはいかがなものかという感じもするのですけれども、きょうの話とは違いますから、その交際費が、わかったもの、正式にやったものとか、総額で六兆円ですか。巨額ですね。日本というのは非常に特殊な国、自分も日本人ですけれども、そんな感じを受けます。
 さて、そういう使途が解明された場合、これは使途不明金課税しておったものは返戻するのですか。そして、新しい受け取った人に課税する、こういうことが起こると思うのですけれども、累年どれぐらい先から徴税しているのですか。これは不申告加算税等も当然つけて徴収するものなんですか。その点についてもお知らせいただきたいと思います。
#172
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 私どもが使途の解明に努めた結果使途が解明できたという場合につきましては、その支出先に当然課税をいたすことになるわけでございます。その場合にその金額は幾らかということの御質問がまずございましたが、私ども課税処理をするということになりますが、実際にこれを処理するということになりますと、個人、法人それぞれ担当部署が行うことになりますので、その課税を実際に行うまでに時間がかかる、あるいは時期もまちまちであるということで、私どもそれをずっとフォローして計数把握するという体制はとっておりませんので、その計数は御容赦いただきたいと思います。いずれにいたしましても、相手が法人でありますれば収入金ということになりますし、個人の場合は収入の性格に応じて課税をされる、お尋ねのように無申告であれば無申告加算税、こういうことになるわけでございます。
 なお、その支出が明らかになった経費につきまして、支出側の問題でございますが、これは損金性のあるものについてはそこで損金として益金から控除される、このようになるわけでございます。
#173
○冬柴委員 今回も、大きなゼネコンという言葉で、新聞ですからあれですけれども、相当大きな金額が金丸氏に行っていた、金丸氏はそれを無申告でやったということから、金丸氏に対する、これは雑所得になるのですか、何か知りませんけれども、そういう税目で無申告加算税もつけて徴収をするという新聞報道があるわけですけれども、これはされたのですか。そしてその場合、贈った方からは還付請求というものが出ているのですか。その点はどうですか。
#174
○藤井説明員 お尋ねの件で、個別の事柄につきまして、私ども税務行政の性格上答弁を控えさせていただきたいと思います。
#175
○冬柴委員 そのように新聞に書いてありました。確かに個別事情ですので、それ以上はお尋ねはしないことといたします。
 しかし、本来、税というのは公正であり公平であるべきものであります。それを、ある人が渡した先も金額も日にちもその理由も全部知りながら口を閉ざすことによりその先の人は税を免れている、そういう事実が明らかになるわけですが、これは国民にとってはたまらない気持ちになるのは当たり前でして、現在非常な政治不信というのもそういうところからきていると思うわけであります。
 そういう場合、現在は使途不明金と言えばその不明金の額そのもので法人税が課税されていますけれども、例えばフランスでは、これに対して、使途不明金の額、こんな単純なものじゃないです、聞けば聞くほど非常に難しい話ですが、どうも課税対象額を大きくして課税をしている、こういう制度があるようなんです。ただ、これは制裁課税ではなしに、その渡った先から本来取るべきものを、代替課税といいますか、口を閉ざす人からいただく、こういうことで合理的なように私は思うわけなんです。そういう導入を検討されたこともあるようですし、それに対して消極意見が出たことも知っているのですけれども、今回このように金丸事件を見てみますと、秘書さんにしても非常に大きな金額があからさまに、これは起訴されているわけですが、これは国税があのように調査をし、検察が捜査をしなければそのままになっていた、社会的に非常な不公正が行われたということになると思うのですね。
 その意味では、税務当局及び検察当局が非常に熱心にやっていただいたことについては非常に高く国民も評価している。ですけれども、わからなかった人もたくさんいるのじゃないか、そういう推定が働いているのですよ。ですから、一〇〇%だけを課税対象額にしていいのかな、もう少し工夫がないのかな、この事件を契機にそういうことを再検討されるという雰囲気はあるのですか、その点についてお伺いしたい。
#176
○渡辺説明員 お答え申し上げます。
 使途不明金につきましては、先ほど国税庁からも御答弁申し上げましたように、真実の所得者に課税するという観点から、何とかその使途を解明いたしまして、支出先と申しますか、受領した者に対して適正な課税を行うということが最も重要なことだというふうに考えておる次第でございます。先ほどお話にもございましたフランスにおきましては、お説のとおり使途不明金に対しまして損金算入を否認いたしますとともに、制裁税と申しますか代替税と申しますか、それを課しておるわけでございます。これは大変大胆な発想でございますけれども、税の世界では、先ほど申し上げましたように真実の所得者を探して課税していくということが基本でございますので、受領者の所得を支出者の所得とみなして制裁税あるいは代替税を課すということは、税制上はかなり問題があるというふうに考えておる次第でございます。
 それから、当のフランスにおきましても、この制度は企業の状況によっては適用が困難となることもしばしばだったということがございまして、当初は自己支出額の一五〇%を制裁税として課していたものが、現在では一〇〇%と負担が軽減されているという事情がございます。それから、アメリカ、イギリス、ドイツでは、日本と同様に経費としての損金性を否認して損金不算入とするという取り扱いになっているわけでございます。
 これについて過去に検討したことがあるかまた新たに検討することがないかということでございますが、過去にもいろいろ御議論がございまして、私どもも勉強したことがございます。昭和五十八年には税制調査会でも御議論をいただいて答申もいただいておりますが、それによりますと「本来、何らかの経費としての性格を持つ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。」という答申もいただいているわけでございます。私どもとしても、問題の所在は承知しておりますが、法体系全体の中で何らかの対応ということが必要かなという考えも持っておりますけれども、税制でやれることには、ただいまの答申にございますように限界がございまして、現行のものが限界ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#177
○冬柴委員 大臣に所感を伺いたいのですけれども、予算委員会に証人として出てきていただいて今アメリカに行っていらっしゃる小針暦二さん、有名な方ですが、この人が福島交通不動産という会社を持っていらっしゃる。資本金はたしか四千万円だと思いますが、これは七三年から八三年まで、ちょっと古いですが、十一年間に実に九十九億五千万円の使途不明金を計上した。それで、税務当局に使途を追及されても頑強に口をつぐんだ結果、解明は不能であった、こういうことが当時の新聞に書いてあるのです。税務署の方に確認しましても、個別事案ですからそれは殺生なので確認はいたしませんけれども、当時の新聞に書いてある。恐らく間違いないと思うのですね。
 こういうことを見てみますと、これは税務の問題としては無理だからという話もありますし、商法は手を打つだけは打ってあるからとか言われるけれども、結局こういうことがこの国では行われている。四千万円の資本金の会社が九十九億五千万円の使途不明金を、十一年間にですけれども計上した。そういうことが法律問題にならないのかな。私はこういう悪質な事例を見ますと、やはり今やっていることだけではだめなのじゃないかなという感じが強いわけでございます。株主、債権者株主は恐らく小針さんなんでしょうね、その一族かもわかりませんけれども、会社というのは公器ですし、債権者もいるわけですから、その利益が無視された。小針氏のする業務執行権を取締役も監査役もチェックができなかったという事実は非常に大きい、重い、このように思うわけでございます。
 まず大臣、突然ですから答えにくいでしょうけれども、こういうことは何とかしなければいけないと私は思っておるのですが、同感でございますか。
#178
○後藤田国務大臣 新聞の記事でのお話ですし、それからまた個々の具体的な問題ですから、私がとやかく言うのはいかがかな、こう思います。
 ただ、お話を承っていまして、ともかく、使途不明金というのは税法上の扱いの問題のようですが、いずれにせよ、税金というのは真に所得を得た人に課税するということでしょうね。だから本来、これにこれだけ渡した、こう言えばそれで済むこと。それを、使途がわからぬ。
 会社経営ですから、言うべきことでないことにお金を使ったということは、会社経営上あり得ると私は思います。だから、一概に全部否定するわけじゃありませんけれども、そうすると会社はどうかというと、その部分はきちんと言えば本来課税せられないわけですね、経費で見てくれる。それを会社がかわって税金を払うということですから、そうなってくると、株主の立場に立つと、本当に支払ったのだから本来そちらの人から税金を取ってもらえばいいものをこちらが負担する、こ
ういう形になりますから、株主とすればおかしいじゃないか、こういうことにもなろうかと思いますが、そういう理屈はともかくとして、税務当局としてもできるだけそういうことの、使途不明の金のないように一生懸命やっていると私は思います。
 これ以上一体どうするのだということになりますと、これはやはり何らかの措置はいるのかなという気がせぬでもないのですね。しかし、これは国庫の立場に立ちますとどちらから税を取ってもやはり税は取っているわけですから、それほどのこともないのかな。同時に、会社経営から見ると、本当に必要な場合に言ってはいかぬことはありますね。日照権の問題とか土地の買い上げなんかのとき、話をするわけにいかぬ。といって、工事はやらなければならない。いろいろありますからこれは大変難しいことですが、冬柴さんの言わんとするところは、政治にそんなに金が行っているのではないかということでしょう。
 そうなってくると、そこはまさにおっしゃるとおりで、やはり何といいますか、政治に何でこんなに金がかかるのか、かけるのか、そこらにメスを入れまして、やはりここらで政治の改革ということを、与党、野党を超えましてお互い政治家として考えなければならぬ時期にきているのではないかな、これが率直な感じでございます。
#179
○冬柴委員 そういうところに行き着くのではないかと思います。これは企業経営者だけをいじめてもしようがないわけです。ただ、日本の土壌というか、何か前近代的な感じがして仕方がないわけで、こういうものをやはり改めていかなければいけないなと思います。
 商法の審議に刑事局長にお出まし願って非常に申しわけなかったのですけれども、使途不明金をめぐる問題について、犯罪との関係を若干伺っておきたいと思うのです。
 税務当局も一生懸命捜査をされていることははっきりしているわけですけれども、どうしてもわからないということで終局をせざるを得ないという事案でありますが、今回の金丸事件もそうですけれども、使途不明金を端緒とした事件の立件というのは過去にもいろいろあったものかどうか。そして、そういう場合にはどんな犯罪が考えられるのか。あるいは、その捜査上いろいろな困難が伴うと思うのですね。例えば特別背任というのがすぐ頭に浮かぶのですが、会社の利を図ったのであって自己や第三者の利を図っていない、図利という点がないのだとか、いろいろな面で非常に困難をきわめるとは思うのですけれども、使途不明金を端緒とした事件でもし思いつかれるものがあればお述べ願いたいと思うのです。
#180
○濱政府委員 お答えいたします。
 突然の御質問でございますので手元にそういう資料は持ち合わせておりませんけれども、今委員が御指摘になられましたように、例えば会社の帳簿捜査等を行っておりまして、使途が解明できない、わからない資金がどういうふうに流れたかということをたどって捜査を行っていくうちに、例えば今委員御指摘になられました会社役員の特別背任罪とか、あるいはそれがさらに贈収賄罪を初めとする刑法上の犯罪の端緒が得られていくということで摘発した事件というのは、これは相当数あるものと理解しているわけでございます。
#181
○冬柴委員 特に、企業の政治献金はやめるべきだということをずっと我々は一貫して言っているわけですが、企業献金もいいじゃないかという根拠にいつも使われる最高裁の大法廷判決、昭和四十五年六月二十四日のいわゆる八幡製鉄政治献金事件の判決がありますね。
 周知のとおりですけれども、取締役が会社を代表して政治献金をする場合、会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位及び寄附の相手方など諸般の事情を考慮して、合理的な範囲で行った場合は取締役の忠実義務に違反しないというような趣旨が、民事の判決ではありますけれども示されて、これが今回の、政治献金というのは、企業献金はもうやめるべきだという主張に対する反論といいますか、いや、こういう考え方もあるというふうによく使われるわけです。
 ただ、取締役の忠実義務というふうにこれで一くくりにすることはできなくて、この判決にもおのずと射程距離はある、こういうふうに思うわけでございます。
 例えば使途不明金、いろいろな操作をして、例えば簿外資産にしてしまったりして、それを政治献金にするという場合は、この判決の射程距離の外になって、これはやはり違法なものではないか。いわんや政治資金規正法の量的制限違反、制限を超えているとかあるいは選挙のときの陣中見舞いというような形で出されたという場合、これがもしゼネコンの場合は、公選法百九十九条一項で「衆議院議員及び参議院議員の選挙に関しては国と、」「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」という規定があって、これには「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金」という刑罰があります。
 そうすると、先ほど平成三事務年度だけしかお聞きしませんでしたけれども、私は十年前ぐらいずっとさかのぼって調べてみますと、選挙とこの使途不明金に有意の関連が認められるのですね。金額が非常にあらわれるのですよ。これは疑いですけれども。こういうことが今回金丸事件ではっきりしてきて、十八社のゼネコンと新聞は書いてあるわけですけれども、この場合、先ほどの最高裁判例、大法廷判決というのは射程を超えた問題じゃないかな、この十八社は。要するに、こういう言いわけをしても通らない事案じゃないかなというふうに僕は考えるのです。
 余り十八社と言うとこれはまた生々しくなりますので一般論で結構ですけれども、もしこういう違法な献金、それ自体が今の公選法とか政治資金規正法とか、もちろん刑法とかいろいろな問題に抵触するような献金であった場合は、当然犯罪が成立し捜査をされるべきものだと私は思うのですが、このような考え方はどうでしょうか、刑事局長の御答弁をいただきたいと思います。
#182
○濱政府委員 一般論としてお答えさせていただくわけでございますが、これは委員十分御案内のとおり商法上の特別背任罪は、株式会社の取締役等が自己もしくは第三者の利益を図りまたは会社に損害を加える目的をもってという図利加害の目的が必要なわけでございます。それから「其ノ任務ニ背キ」という任務違背、「会社二財産上ノ損害」を与えたりという財産上の損害、こういう要件を満たした場合に成立するものでございます。
 いわゆる今委員が御指摘になっておられます使途不明金との関係について考えてみました場合に、この特別背任罪が成立するかどうかということにつきましても、つまるところは、今申し上げた特別背任罪の要件が認められるか否かということを商法関係に照らして具体的に判断することが当然必要になってくるわけでございます。使途不明金、例えば今委員が例を挙げられました政治資金の原資を使途不明金として処理したという場合につきましても、その取締役等が先ほど申し上げた図利加害の目的を持って、しかもその行為が会社に財産上の損害を加えるものであるということを認識しながら行ったものというふうに認定できるかどうかということが結局問題になるのであろうというふうに思うわけでございます。
 それから、先ほど委員が御指摘になられました最高裁の判例との関係で、忠実義務違反との関係を御指摘になられたわけでございますが、この特別背任罪の要件の一つでございます今申しました任務違背につきましては、これは、一般にその当該事務の性質上、信義誠実の原則によって要求されるところの会社との間の信任関係に違背する行為をいうというふうに解されておるわけでございます。
 取締役の行為がその任務に違背しているかどうかということは、今委員が御指摘になられました、その行為が商法上の忠実義務に違反しているかどうかということをも検討した上でもちろん判断されることになると思うわけでございます。それが忠実義務に違反していないとされる場合に
は、通常は任務違背性も否定されることが一般であろうと思われるわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、任務違背があったかどうかということは、これは刑事法の観点から、単に商法上の観点からだけではなしに刑事法の観点から、御指摘の今の判例の趣旨をも踏まえて、総合的と申しますかあるいは実質的と申しますか、に判断する必要があるのではないかというふうに思うわけでございます。
 それから、最後に委員がお尋ねになっておられます公選法違反との関係についてでございますけれども、結局法令に違反する行為は忠実義務に違反する、任務違背に該当するということが一般であろうとは思われますけれども、任務違背があったかどうか、ひいては、先ほど申し上げました特別背任罪の構成要件を満たすかどうか、特別背任罪が成立するかどうかということにつきましては、忠実義務に違反するということだけではなしに、それぞれの具体的事案に即して、今申し上げましたように総合的、実質的に判断する必要が結局あるわけでございまして、一概には申し上げられないのではないかというふうに思うわけでございます。
#183
○冬柴委員 非常にハードルは高いのですけれども、しかし我々の庶民感情として、法律家の常識じゃなしに考えたときに、結論的にやはりおかしいものはおかしいのですよ。会社の金を特定の政治家に、儀礼行為とはいえ何千万というものを持っていくというのはまだちょっと、何ぼ幾ら大きな力を相手がお持ちであっても、儀礼の範囲とは思えないし、またそういうことは社会通念でも認められないように私は思います。そういう意味でひとつ検察頑張っていただいて、金丸さんを起訴されてこれは終わったわけじゃないので、贈った方も僕は悪いと思いますよ、贈った方もやはりきちっと襟を正してもらわないといけないと私は思います。そういう意味で、きょう商法の審議に刑事局長、本当にありがとうございました。どうぞ、もう結構でございます。
 本論に入ります。
 民事局長、この監査役これはずっと見ましても法的には完璧に規定されてあるわけです。要するに、その責めを監査役が果たしていないだけの話。まあだまされているのかもわかりません。また、不能を強いることになっているのかもわかりません。しかし、今申し上げましたように、株主総会の日まで、ことしでいえば六月二十九日ですかな、その日まで監査役はだまされているのですよ。翌日三十日に税務署には、監査役にはこう言っていましたけれども、実はこうでございますと言うのですからね。舌の根も乾かぬうちにという言葉があるけれども、まさに総会が終わった翌日に、この決算書には書いてあることと違う処理がしてありますよということを言うわけですから、これはどこかで株主に知ってもらう担保がなければいかぬと思いますね。商法上ありますか。
#184
○清水(湛)政府委員 いわゆる使途不明金というのがすべて法令に違反する支出である、こういう前提ならばこれが一つの問題でございますけれども、少なくとも商法上は使途不明金という概念はないわけでございます。税務当局に対する関係においては、支出先を明らかにすると支出先の方でまたいろいろと迷惑を受けることもあり得るということで、支出をしたということは会社の決算処理の上では明らかなのだけれども、税金申告上はこれを伏せるということもあり得ることなんだろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、監査役としては日々日常の計算書類というものはチェックする、どこまで現実にチェックしているかというのはまた別な問題があると思いますけれども、チェックをしているわけでございまして、その中で一応監査役として相当と認められる使途先というものが出てきておる、そういうことを前提として監査報告書をつくる、こういうことになるんだろうと思うわけでございます。
 しかし、取締役の方から監査役の方に出されてきた書類に、例えば交際費と書いてあったけれども、実はそれは交際費ではなかった。いわゆる税務署に対する関係では使途不明金として処理せざるを得ないような違法な金の支出であった。にもかかわらず、通常の交際費であるかのごとく、あるいは、例えば先ほどリベートという言葉が大蔵省の方から出ましたけれども、普通の一般の取引の過程の中で取引先にリベートを払うということは必ずしも違法とはいえないのだろうと思うのでありますけれども、そういうような支出として監査役は認めた。認めたけれども、税務署に対する関係においてはリベートということで申告するとぐあいが悪い、こういうようなものもあるわけですから、必ずしもその使途不明金として処理されたものが違法であるということにはならないのではないかなというような感じがいたします。
 しかし、違法なものである、それは真実に反する記載であるということであれば、監査役としてはそういうものを発見した段階において取締役なりあるいは使用人に対し説明を求め、その是正を求めるということが必要でございますし、それに応じないということであれば、監査報告にその事実を指摘し、さらに株主総会においてその事実を報告する。さらには、事前にそういうことがわかるということになりますと、差止請求をするとかあるいは訴えを提起するという法的な手段を講ずるということになろうかと思います。
 しかし、そういう虚偽の事実であるということがわからないまま監査役がそれを見逃してしまったということになりますと、監査役として果たして責任を果たしたかどうか、善良な管理者の注意義務として監査役の職務を忠実に行ったかどうかということが当然問題になるわけでございまして、それはまた別途監査役の損害賠償責任等が生ずるということになろうかと思います。
 したがいまして、商法の面から申しますと使途不明金という処理はあり得ないわけでございまして、虚偽の書類が作成されているかどうかということに尽きる。これを監査役としてはチェックをする、それが不十分だった場合の責任が生じ得る、こういうことではないかと思うわけでございます。
#185
○冬柴委員 その面は万全にできていると僕は申し上げているわけですね。要するに、決算総会で承認された財務諸表に書かれたことと違う処理をしていましたということを翌日税務署に言った、これは株主に損害を与えてないじゃないかということではなくて、本来使途を明らかにすれば払わなくてもいい税金を余分に払うわけです。これは株主から預かったお金から払うわけですから、株主は明らかにしないことの利益とてんびんにかけられると思うのですけれども、いずれにしても本来は払わなくてもいい税金を払うということと、それから先ほどちょっとおっしゃったことは、リベートと書かれているけれども、だれだれに払ったと言うけれども、裏づけしたらその人は受け取っていない、これはどうなっているんですかと言ったら、それは先は言えません、こういうのがあるわけですよ。
 ですから、そういうふうにして帳簿をごまかしているわけでして、商法上は、商法三十二条に営業の財産及び損益の状況を明らかにする会計帳簿を備えつけろと書いてありますし、またその会計帳簿のつくり方としては公正なる会計慣行がしんしゃくされなければならない。ということは、複式簿記で書けということなんです。私も商業学校へ行ったからわかりますけれども、複式簿記は、一つ一つの支出について貸方と借方に仕訳をして、支出した日と支出先、そしてその金は当座預金から出したとか現金から払ったかどうかとかを書く。支出の相手方、日と目的、そういうものが書かれてこそ商法の求める日々の会計帳簿になるわけでして、それにうそを書いてはだめです。
 これは犯罪にもなりますが、そういう形でごまかした集積が決算書類になってくるわけですから、監査というのはこれを期ごとにすればいいわけですから、決算総会で承認されてしまえば、それをもう一遍さかのぼって調べ直すという義務は監査役にはないと思うのです。しかし、その次に始まる年度でまた同じことをやるんじゃないかと
いう目を持って、事前差止のために、過去にどういう形でこういう簿外資産をつくったのか、使途不明金を捻出してきたのか、そういうことは監査役は調べなければいけないと思うのですよ。そうじゃないと義務違背が生ずるし、損害賠償の責任も生ずる。
 ただ、私が聞きたい一点は、そのように決算総会が終わった後に、翌日か翌々日に明らかになった使途不明金、これは株主にとっては重大なものです。例えば、これも新聞報道ですが、鹿島建設では九〇年度に十五億九千万円、九一年度には十六億円の使途不明金を計上した、こういうことが報道されています。もしそれが事実であったとするならば、鹿島建設の取締役は、株主から預かっている資産から、十五億円に対する法人税とか事業税、数十%以上の余分な税金を払っていますよ。そういう事実をどこかで株主に報告するような手だてがしてありますかということを申し上げているのです。株主にですよ。株主にどこかで報告する手だてがありますか。
 私が幾ら調べてもそれはないのです。全く欠落しています。そう思うのですが、もし欠落しているとするならば、この手当てはしてもいいのじゃないかな。次の年度の監査報告書に、前年度の経理についてその後使途不明金としてこういうものがありましたということは次年度の決算総会で報告させたらどうだろう、このように思うのです。これは提案ですが、どうでしょう。
#186
○清水(湛)政府委員 確かに御指摘のように商法の二百七十五条で「監査役ハ取締役が株主総会二提出セントスル議案及書類ヲ調査シ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ著シク不当ナル事項アリト認ムルトキハ株主総会二其ノ意見ヲ報告スルコトヲ要ス」という規定がございますし、監査報告書にも、法令、定款に違反する重大な事項があればそのことを明らかにして報告する、こういうことになっております。ところが、当該株主総会で決算処理が承認されてしまった後で、先生の御指摘によれば翌日そういう事実がわかったということでございますから、その場合に監査役としてはどういう対応をとるべきか、こういうことだろうと思います。
 それが虚偽の記載ということで、監査役としてある意味においてはだまされていたということであるならば、それは過去の事実であっても、会社に損害を与えるということであれば、それに基づいてさらに調査をして、取締役に対して必要な損害賠償の責任を追及する。これは、過去の事実からあらかじめ差止ということはもうできないということになろうかと思います。損害賠償責任を追及するという問題が一つある。それからもう一つは、いわばそういう過去の経験というものをベースにして次年度以降の計算書類について注意をすると申しますか、そういうことに十分な配慮をして監査をする必要がある、当然こういうことになってくるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
#187
○冬柴委員 ちょっとやはり食い違っているのですよ。それはもう当然なんですよ。前のことであっても調べて、時効にかからぬ間、会社の監査役が代表訴訟を起こしてきちっとやらなければいけない、これははっきりしているのですが、株主に、過去ではあるけれども、前期のことではあるけれども一だから、そこに言う株主総会、二百七十五条とか二百八十一条のことは、当期の、当該年度についてのことが物すごく詳細に書いてあるけれども、ぽこっと抜けた、その前年度に起こったことを次の年度の株主総会でこういうことがありましたということを、要するに株主一般にディスクローズするということを、そういうのがそれだけ詳しく書いてあるけれども、どれだけ調べてもないので、それは置いてもいいんじゃないですか。
 それを置くことによって、鹿島建設にこんなものがあった、十六億五千万あったというのは、検察に調べられ、税務署に調べられ、そしてマスコミに追及されてやはり言われたわけであって、これは、何もなかったらすっと通っていますよ。ですから、会社の人にとっては使途不明金で計上してこれだけ税金をようけ払ったということは全部わかっているわけですから、その次の年度に、それの内容がいいか悪いかは別として、使途不明金という税務処理をしたものはこれだけありましたという報告を一項目入れてはどうであろうか、こういうふうに私は思うわけでございますが、どうでしょう。
#188
○清水(湛)政府委員 商法の中では使途不明金という概念がないわけですから、税務申告上はそういう取り扱いをしましたということを何らかの形で報告をするということはどうか、こういうことなんだろうと思いますけれども、そうなってきますと、では、そもそも一体その使途不明金、先ほど申しましたように、必要やむを得ずして支出先を明らかにすることができないということを監査役自身も例えば認めた上で決算書類を承認するというようなこともあり得るわけでありますから、そういうものとの関係をどうするか。
 あるいは、もし純粋にだまされていたということでありますと、つまり承認した決算書類とは違った形での決算書類というものを税務申告用につくって税金を払ったということになりますと、税金の支出は、これは決算終了後に支出するわけですから、当年度の、つまりこれから監査の対象となる年度の支出ということになりますので、当然監査役の監査の対象にもなってくる。だから、逆に言うと支払うべきではない税金を、前年度の税金として本年度に支払った、こういうようなことがもし出てくるということになりますと、これは監査の対象にもなってきて、場合によってはその監査報告書に記載をしなければならないというようなことも考えられるのかな、こういうふうに思うわけでございます。
 しかし、ここのところはもう少しちょっと、私、実はそこまで深く考えておりませんでしたので、少し勉強させてもらう必要があると思いますけれども、そんな感じがいたします。
#189
○冬柴委員 私は、監査役を強化するとかなんとかいったって、これは前途、今からずっと先のことになってしまうと思うので、とりあえず使途不明金というものは、そういう形で株主に次の期にはこう処理したことが知られるんだという、そういうことが明らかになることによってそういう支出が事実上抑制されるという効果を私は期待したいわけでして、ぜひ前向きに一遍考えてください。
 それで、私は、もう一つは、大蔵省の方にも同じようなことを聞きたいわけですけれども、ゼネコンが十八社ということで、名前いろいろ調べたら十六社までしか新聞もわからない、いろいろ調べましたけれども。それで、十六社の有価証券報告書を全部見ました、過去三年にさかのぼりまして。全然使途不明金が出ていませんね。どこにも書くところがないわけでして、金額莫大ですよ、これは。
 個人株主を拡大すると言っているけれども、株主はこういうものを手がかりにみんな投資しているわけであって、そこにも出てこない。そこには公認会計士あるいは監査法人の報告書がきちっとついていまして、この決算は適正に財産状況をあらわしているものと認めますという、ばあんと判を押してあるのですが、これは使途不明金の処理も終わった後でしょう、これを書くのは。要するに、税金も余分に払った後に監査報告書、この会計監査人の報告書がつくられて一般に売られていると思うのですよ、本屋で私どもも買えるわけですから。こういう重要な事実がなぜ記載事項にならないのだろうかなという感じがするのですけれども、その点についてコメントをいただきたいと思います。
#190
○西方説明員 お答えいたします。
 先ほど来の答弁と重複する点があるかもしれませんけれども、私どもの立場をちょっと御説明させていただきたいと思います。
 いわゆる使途不明金でございますけれども、その使途を明らかにすることができないために税法上損金算入されない性格の費用を指すものだとい
うふうに思っております。先ほど来ございましたように、これは税法上の概念のようでございまして、企業会計上はこのような概念はないわけでございます。このような使途不明金というのは、いずれかの支出項目によって現実に支出されたものであるわけでございますが、その支出の裏づけ資料を税務当局に対して明らかにすることができないという性格のものでございまして、企業会計上はいずれにせよいずれかの費用として扱われるものだというふうに思っております。
 私どもの有価証券報告書等のディスクロージャーでございますけれども、これは御案内のように、投資家保護の観点から企業の財務内容を正しく報告するということで、いわば企業の財政状況とか営業成績、こういった情報を開示することを目的としているわけでございます。したがいまして、いわゆる使途不明金につきましても、その支出金の性格に応じていずれかの費目、例えばそれが交際費であれば交際費に、寄附金であれば寄附金にということで適切に経理される必要があるということでございます。
 このディスクロージャー制度につきましては、投資家保護の観点から、公認会計士に対しまして、企業が作成した財務諸表が会計基準に沿って重要な虚偽記載の有無等のチェックを行って適正に作成しているかどうかを監査することを求めているわけです。ただ、企業の支出についてその適否がどうであったか、当不当がどうであったかということについては、そこまでなかなか求めるのは難しいというふうに考えております。
 使途不明金の関係で申しますと、その支出が有価証券報告書の財務諸表に反映されていない場合には虚偽記載の問題が当然生ずることになるわけでございますが、既に申し上げましたように、当該支出金がその性格に応じて適切に経理されている、それが財務諸表に反映されていれば企業会計上の問題はないということになるわけでございます。したがって、税法上の概念である使途不明金というものをこの監査報告書に記載させるというのは、先ほど申しましたように、財産上の問題とか営業成績ということを主に目的としているディスクロージャー制度の趣旨からいいましてどうかなという感じがするわけでございます。
 公認会計士につきましては、こういった会計基準に沿って適切な費用に処理されているかどうか、あるいは虚偽記載が行われていないかどうかをチェックする必要があるわけでございますが、当該支出が適切な規模であるかどうか、また他の法令との関係で適切かどうかということは会計の業務執行上の問題ということで、業務監査を担当する、先ほどから問題になっております監査役の使命ではないかというふうに考えております。
#191
○冬柴委員 私は、いろいろ説明を聞いても納得できないのですよ。要するに投資家保護、そしてその財産状況等、投資をする決断をする資料としてそういうものが広く頒布をされ、そしてその会社の営業状況が正確に把握されている、記載されているというふうにみんな信用するわけですけれども、このゼネコンの問題、十六億五千万、あの会社から見れば大した金額じゃないのかもわかりませんけれども、十六億五千万は大きいですよ。そういうものが帳簿に、日々の仕訳等がきちっと要求されたとおり書いてあればそんなことにならないわけですから、先ほども国税の方から御答弁いただいたように、いろいろな手だてがそこに加えられてそういう金がつくられた。
 使途不明金というふうに私言ったから、そういう税務上の問題でありましてということを皆言われるのですけれども、せんじ詰めれば、その支払い先あるいは支払い理由というものを自分はわかっているけれども秘匿しなければならないという、それがばれると犯罪が発覚するかもわからぬ、そういう部分を多く含んだ支出なんですね。こういうものは、もしわからなければ別ですけれども、決算の翌日に税務署に自分から言っているものがあるわけでしょう。せめてその金額ぐらいどこかに痕跡が残らなければ、株主が見てわかるようにしておかなければ、幾らいろいろなことを書いたって、僕は誠実じゃないように思われて仕方ないわけでございます。
 私は、一つ提案しておきます。監査役の監査報告書の中へ、前年度のことではあるけれども、そういう使途を明らかにしなかったものがあった、そのために税金がこれだけ余分にかかるわけですから、そういう金額がこれだけありましたということを書く欄をつくってほしい。それから、有価証券報告書の中にもそういうものを書くような手だてをひとつしてほしい、このように思います。
 使途不明金はそれぐらいにしまして、あと二つほど。
 この間参考人に、ここヘソニーの会長に来ていただきまして、私聞いたことは、経団連としても、一〇%を百分の三に引き下げるにはいろいろ内部で抵抗があったということをおっしゃいました。ソニーは、はっきり申し上げまして三億七千万株発行しているわけですよ。それで、これの百分の三になりますと、これは四千二百円もしていますけれども、時価四千円と見ても四百四十億円持っていないと帳簿閲覧権が行使できませんよ。これは、僕はちょっとおかしいなと思います。同僚もいろいろ指摘しておられました。
 ソニーでは上位三社だけが三%を超えている株を持っている人であって、四番目以降、四番目が二・九%しか持っておられません。そういうことを考えますと、三%一つだけではおかしいんじゃないか。例えば三%と一万株のどちらか低い方を選択できるようにしておくとか、金額では法令上できませんけれども、株数を表示するとか、何か先ほどの同僚は逓減法という非常に示唆に富む提案もしていらっしゃいましたけれども、やはりこれは将来の問題として考えるべき課題ではないかなというふうに私は思います。
 それから、社外重役ですけれども、社外重役、大変結構ですが、なぜ子会社の役員だけにして親会社の役員を、親会社の役員が子会社の監査役に入ってくるのは社外重役になるんじゃないですか。どうですか。
#192
○清水(湛)政府委員 親会社の取締役は当然に社外監査役になれる、こういうことでございます。
#193
○冬柴委員 法務大臣、そういうことはあります。これはおかしいですね。これは一番利害関係がありますよ。親会社の役員が子会社の監査役に入ってきてもそれが社外監査役になるというのは、私の常識からはどうも納得できない。そういうこともありますけれども、今回は一歩前進だからいいですが、子会社と書けば当然親もあるわけでして、親会社も、親会社の役員に五年前云々ということがかかってこないと、これは整合性を欠くのじゃないかな、こういうふうに思います。指摘だけしておきます。次の改正のときにはぜひ論議をしていただいて、似て非なるものですな、これは社外じゃないですね。それから、時間が迫りましたのでもう一点だけお尋ねしたいのです。前回、不動産登記法の一部改正法をやられて、私は質問の機会がなかったのですが、手数料を納付して地図に準ずる図面の閲覧を請求できるという制度を創設されました。今までこういう閲覧請求権が認められなかったわけですから、私は大いに歓迎をし、こういうことでこの図面がきちっと保管されていくということは、今までその根拠がなかったものですから、非常に結構だというふうに思うわけでございますが、これは有料ですね。登記印紙で納付することにされると思うのですが、一筆の閲覧は幾らなんですか。
#194
○清水(湛)政府委員 現在のいわゆる十七条地図の閲覧手数料は、一枚について四百円ということになっております。今回有料化する公図につきましても、維持管理等に要する費用はこれと変わりませんので、同額を考えておるということになっております。
#195
○冬柴委員 その二十四条ノ三は「何人ト雖モ」ということで、手数料を納めて請求できる、こう書いてあるのですが、手数料を納めなくてもいい人がおるんじゃないですか。
#196
○清水(湛)政府委員 現在の手数料令によりまし
て、国と地方公共団体、国の出資に係る公団とか公庫、つまり不動産登記法上は国と同一とみなされるような法人でございますが、そういうのが三十一ございます。
#197
○冬柴委員 この閲覧頻度ですけれども、これは予想ですが、民間人が見る件数よりも、今の国、地方公共団体及び三十一の団体が見られる方がはるかに多いと思いますよ。いかがですか、粗雑な聞き方ですが。目の子算でも結構です。
#198
○清水(湛)政府委員 今度有料化される地図については、実は市町村には同じような図面がありますので、市町村が見るのはどのくらいあるかということはちょっとわかりませんし、有料化される地図自体についての国あるいは国に準ずる機関の件数と一般との閲覧の割合というのはちょっと推計しがたいところがございます。
 ただ、今まで一般に言われている閲覧件数は市町村が圧倒的に多いのです。これは前にも御説明したと思いますけれども、固定資産課税台帳と登記簿とを突合しませんと納税義務者を特定することができないというか、そこでトラブルが起きるというようなことがございまして、市町村職員が登記所に出張りまして全部の登記簿と固定資産課税台帳を突合するわけでございます。そうすると、一筆について一件見たということになりますから、登記所の登記簿を全部見たことになりますので、何万件という数になります。そういう意味で、登記簿の閲覧件数については物すごく数が多いのですけれども、これは実は市町村の職員が来て見ておりますので、登記所としてはほとんど手数がかかっていない、こういうのが実情でございます。
#199
○冬柴委員 法務大臣、今の答弁を聞いていただいたように、そういう図面を保存したりあるいは移しかえたりする費用がかかるからということで、四百円ですか、費用を納入して閲覧を求める権利を認めていただいたわけですが、国とか地方公共団体、あるいはそういうところは、公用ということでただなんです。ですから、これはただでも見られたら減るわけでして、やはり費用を分担するという意味では、僕はそれは、官尊民卑なんという言葉は古くて嫌な言葉ですが、これは閲覧だけじゃなしに、登記簿謄本とか、これはゼロックスなのに、公用という判をぽんと押したら全部ただなんですよね。それだけじゃなしに、六十三年に、そういうものについての値上げは、公用のことをきちっと解決してからでなければ一般人の値上げをしてはいけませんよということを僕は言ったつもりですけれども、一顧だにされませずに二回値上げされているわけです。
 ですから、副総理でございますので、閣議で、自治省なりあるいは大蔵省も非常に抵抗あると思いますけれども、これはそこから幾らか取ればそんな値上げなんか全然しなくたっていいわけですから、どうかその面で頑張っていただきたいと思うのですが、一言だけお言葉をいただいて、きょう私は終わりたいと思います。
#200
○後藤田国務大臣 おっしゃること、わからぬわけではないのです。だけれども、国とか地方団体ですか、この請求というのは公益性の問題がありますね。あるいは官公署間の昔からの相互の協力問題とか、あるいは登記所のお金というのは、手数料だけでなしに国民の一般に納めている税金、つまり一般会計、それからお金が入っている。こういうことですから、それから手数料を取ったら二重取りだなということも出てこぬわけでもない。だから、なかなか難しいお話だと思います。
 それで、話はこれはまるで違うのですけれども、大体、課税団体そのほかというのは、税金取りませんよね、昔から。そういうようなことの長い物の考え方が官公署間にはあるんじゃないでしょうかね。しかし、御意見はわかりました。
#201
○冬柴委員 これで終わりますけれども、とにかくそれは、やはり拝見する以上は受益者が負担する、そういうふうにやってもらいたい。そんな理屈言い出したら、国家公務員から所得税取るのはおかしいですよ。ですから、私はやはり考えていただきたい問題であると思います。
 どうもありがとうございました。
#202
○浜野委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト