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1993/04/06 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 地方行政委員会 第7号
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1993/04/06 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第126回国会 地方行政委員会 第7号
平成五年四月六日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 中馬 弘毅君
   理事 岡島 正之君 理事 小坂 憲次君
   理事 福永 信彦君 理事 古屋 圭司君
   理事 増田 敏男君 理事 小川  信君
   理事 谷村 啓介君 理事 山口那津男君
      井奥 貞雄君    石橋 一弥君
      田邉 國男君    谷  洋一君
      中谷  元君    西田  司君
      吹田  ナ君    穂積 良行君
      星野 行男君    宮里 松正君
      渡部 恒三君    五十嵐広三君
      加藤 万吉君    北川 昌典君
      北沢 清功君    小林  守君
      佐藤 敬治君    小谷 輝二君
      斉藤  節君    吉井 英勝君
      高木 義明君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   村田敬次郎君
 出席政府委員
        警察庁長官   城内 康光君
        警察庁長官官房
        長       垣見  隆君
        警察庁警務局長 井上 幸彦君
        警察庁刑事局保
        安部長     中田 恒夫君
        警察庁刑事局暴
        力団対策部長  廣瀬  權君
 委員外の出席者
        国税庁課税部資
        料調査課長   朱雀井 亮君
        地方行政委員会
        調査室長    前川 尚美君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月六日
 辞任         補欠選任
  田邉 國男君     星野 行男君
  神田  厚君     高木 義明君
同日
 辞任         補欠選任
  星野 行男君     田邉 國男君
  高木 義明君     神田  厚君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三
 号)
     ――――◇―――――
#2
○中馬委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井奥貞雄君。
#3
○井奥委員 暴力団対策法ができましてからちょうど一年を経たわけでありますけれども、その間に、この法律ができたおかげということもありますけれども、警察庁その他、それぞれの関係各位の御努力、その大きな成果の一つだろうと思っておりますけれども、大変いい傾向になってきておるわけであります。指定暴力団の団体が十六団体、そして組員が約四万二千人、約七〇%でありますけれども、これに網をかぶせることができましたし、昨年一年でありますが約一万五千人を逮捕した。そして百五十八の組織が解散して、組員が約二千入減少していった。これは新聞報道でも報じられているわけであります。
 しかしながら、山口組、そして住吉会、稲川会、重点というんでしょうか重要三団体は逆にふえておりまして、その構成が約六五%となって、だんだん寡占化の傾向にある。これもまた一つ考えていかなければならないのではないかな、こういうふうに思うわけであります。
 こういった意味で、市民社会に暴力団が深く浸透していった、これを壊滅していくのには、この暴対法ができました一番の大きな目的は、この組織を壊滅して組員を更生させる、このことが第一義でありまして、この第一義を越えまして今日の状態を迎えたわけでありますけれども、今回の暴力団対策法の改正の理由あるいは背景、期待される効果について御説明をお願い申し上げたいと思います。
#4
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。
 警察といたしましては、ただいま議員御指摘のとおり、暴力団対策法の施行を中心といたしまして、暴力団対策に懸命に取り組んでまいったところでございます。
 この一年間の成果といたしましては、この暴対法に定められました行政命令を積極的に発出いたしまして、民事介入暴力あるいは脱退妨害等の事案を規制するということをやってまいりました。そういうことで、民事介入暴力に一定の抑止がかかった、あるいは組員の脱退傾向が顕著になってきた、さらには対立抗争事件が減少したというような一応の成果が上がったというふうに考えておるところでございます。
 しかし、議員御指摘のとおり、まさに山口、稲川、住吉の重点対象三団体の寡占化率が高まっているところでございまして、今後の課題といたしましては、そういう寡占化する暴力団に対する取り締まりの徹底、あるいは残念なことではありますが、国民の一部には依然として暴力団を利用する、容認する、そういう土壌が強くあるということでございます。こういうものに対する対策というのも重要でございまして、委員御指摘のとおり、今後とも継続的な努力を続ける必要があるというふうに考えております。
 今回御提案申し上げました暴対法の改正の理由でございますが、暴力団対策法を施行いたしましたところ、暴力団の情勢に幾つかの変化が出てまいっております。とりわけ顕著なのは、組織を離脱しようとする暴力団員が大変多くなるという変化が出てまいっております。その反面といたしまして、今度はそういう人間を抱えております暴力団側が何とか組織の維持を強化しようということで、脱退を妨害するという事案も多くなっているところでございます。また、組織を離脱しようといたしましても、入れ墨あるいは指詰めがあるということで社会復帰がなかなか簡単にはいかないという現状でございまして、そのような組織離脱、ひいては社会復帰に関します障害を速やかに除去するということが肝心であるというふうに考えまして提案申し上げましたのが、第一の理由でございます。
 もう一方、これも暴力団が最近におきまして株式の取引あるいは競売妨害等への不当介入による資金獲得活動を行っている実態にかんがみまして、これらの行為による国民の被害を未然に防止するため、これらの不当な資金獲得活動を暴力的要求行為として規制をする、そういう必要性が出てきた。以上二点が改正を提案いたしました理由でございます。
 以上のようなことから、このたびの法改正をお許しいただきますと、その効果というものにつきましては、暴力団員の組織離脱を促進して暴力団の勢力を弱体化させる、あるいは暴力団員による新たな形態の不当な資金獲得活動を封じ込める、そのようなことが期待されるどころでございます。
#5
○井奥委員 暴力団員の組織離脱というものを促進して、今お答えをいただきましたように真に社会復帰を願う者に対しての手を差し伸べることは、暴力団対策上もまた我々の社会の問題としても、大変重要な施策と考えるわけであります。改正法では社会復帰対策について新しい施策を講じ、ている、こういうことでありますので、私は次の三点を御質問をさせていただきたいと思います。
 第一点でありますが、脱会希望者に対する援護の措置等、これは法の二十八条の一項として「講ずるもの」としているものの具体的な内容をお示しいただきたいというのが一点であります。
 二点目でありますけれども、暴力団の離脱の意志を有する者に対する援護の措置等というのがありますが、これは二十八条であります、これと労働行政との関係は一体どういうふうになっているのか、この二点。
 そしてもう一点でありますが、多少景気の見通しも少し明るいかなということは感じられるわけでありますけれども、まだまだ厳しい不況下におきまして、就業の促進を図るということは大変困難だと思いますが、今も御説明がありましたように、入れ墨をしている者あるいは指詰めをさせられた者、そういったそれぞれの組員が脱会をして社会復帰をする、こういうときに、大変難しいものでありますから、やはり何か特別な対策を考えておられるのかどうか。
 また、社会復帰対策協議会というのが、全国に呼びかけをいただいて現在二十四都道府県に生まれたわけでありますけれども、就職先の、特に大都市にはできていないというのが現況であります。ありましても、その協賛企業が非常に少ないわけでありまして、そして特に大企業はそっぽを向いているのが現状でございます。人間関係が濃密な地方都市というものはなかなか再就職、復帰ができにくいわけでありますので、特に私は大都市の受け皿というものをさらに大きくして、更生をしたい、社会復帰をしたい、こういうふうに考えているそれぞれの組員たち、これに温かい手を差し伸べていかなければならないと思っておりますけれども、警察当局としてはどういう形でのお考えなのか。
 この三点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#6
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま議員御指摘のとおり、真に暴力団を離脱したいという者に対しましては、これに対しまして援護の措置をとるということが殊のほか重要であると考えております。そこで、改正法二十八条一項におきまして、公安委員会がその援護の措置をとるということを公安委員会の責務として規定したわけでございます。
 具体的にどのような措置の内容かということでございますが、やや細かくなりまして大変恐縮でございます。手短に重立ったところを申し上げますと、一つは、離脱者を雇用する事業者、これを大いに募集していこうということでございます。そして、その事業者に対しまして、離脱者をそこへ連れていきまして面接があるわけでございますが、その面接のときに警察職員が同道するというようなことも考えております。それから、お話しの社会復帰対策協議会、これは民間組織であるわけでございますが、これの活動を支援するというようなことも考えております。さらには、これは離脱希望者が刑務所に入っている場合でございますが、よく出所する際に暴力団等が出迎える、これがまた本当に離脱したいという者の妨げになりますので、そういう行為をしないように暴力団に警告を与える。さらには、離脱希望者あるいは受け入れてもいいという企業の保護対策、そういうことに努めてまいりたいというふうに思います。
 ちょっと変わったところでは、離脱の交渉の場所としまして警察施設を利用させるというようなことも考えております。それから、指を詰められている者が大変多いわけでございますので、手指の再生手術を行うお医者さんに対しまして、この者がどのような経過で離脱したかということを、安心して施術ができるようにそういうことの御説明もいたしたい。さらには、暴力団でいたときに住んでいたところで就職をするということになりますと、これはその後、仕返しをされるというようなこともございますので、他府県へ転出して、その転出先で就業をする、その転出先の公安委員会との連絡、そういうこともやってまいりたいと思います。
 以上申し上げましたのが、細かくて恐縮でございますが、措置の内容でございます。
 次に、労働行政との関係いかんということでございますが、効果的な暴力団離脱者の就業対策の推進のためには、殊のほか職業安定行政機関との協力関係が不可欠でございます。警察庁と労働省との間で協議をいたしました結果、それぞれの行政分野で補完し合えるような協力の仕組みについて既に合意がなされているところでございます。
 具体的には、例えば警察といたしましては、受け入れ企業の募集、離脱希望者が組織を離脱したことの確認、それから離脱者や受け入れ企業の保護対策、こういうのは警察の仕事としてふさわしいものであろうと思いますし、また職業紹介につきましては職業安定行政機関にやっていただくということでございまして、このように切り分けしていくということが労働省と警察庁との間で意見が一致して、それぞれ関係府県あるいは警察機関に流しているところでございます。
 それから三番目の、不況下における受け入れ企業等の増加のためにどのようなことをしているかということでございます。仰せのとおり大変難しい仕事でございまして、大変苦労しているわけでございますが、離脱者の社会への受け入れということは、行政と民間が一体となった総合的な施策を推進することが重要であると考えております。とりわけ地方自治体の行政部門におきまして、暴力団関係企業の公共工事からの排除ですとか、あるいは暴力団から真に離脱をしたいという者に対しては、住民の間でそういう者を温かく迎える、そういう機運が盛り上がるように手助けをしていただくことを要望してまいりたいというふうに思っております。
 先ほどの社会復帰協議会でございますが、今日ただいまでございますが、その後どんどんできておりまして、現在は二十七都府県及び旭川方面、全部入れますと二十八、社会復帰協議会があるということでございます。そして、受け皿、受け入れ企業の数でございますが、これも徐々に伸びてまいりまして、三月三十一日現在でございますが、全国で一千二百八十八社になっております。この社会復帰協議会を通じまして社会復帰が成功した者が三十六名ということでございます。大変難しい状況でございますが、いろいろアンケートをして受け入れに応じてくれるかどうか、さらにはセンターの職員等が小まめに歩きまして、受け入れのお約束をいただいている、そういう地道な努力をしているということでございます。
#7
○井奥委員 大変な御努力を重ねていただいているというのは本当にありがたいことだと思っております。しかし、こういったことを踏まえていただいて、大都市にはやはり受け入れ企業というのも、私は就職の機会が大変多いというふうに考えるわけでありますから、大企業にもそういった形で、何らかの形で打診をいただきながら、ぜひともひとつ一層の御努力をお願いいたしたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、暴力団というのは市民社会あるいは企業活動の隅々に根をおろしておりまして、資金獲得を行っているのが現実の問題であります。特に、最近の暴力団の一般経済取引への介入、これは現在それぞれが調査をされておられると思いますけれども、一兆三千億ぐらいなものが、それぐらいなお金が経済活動をしているのではないかということを推定されておりますが、実態はこれの五、六倍もあるのではないかな、こういったことが今言われているわけであります。こういう株式とか信用取引あるいは不況による不動産の売買あるいは競売、こういうところに暴力団が侵入をしていって大変な経済行為をしているということ、これも私どもはあらゆるところからそういうものを耳にするわけでありますし、実態も何点か私は承知をいたしております。そして、こういったことが経済、社会に大きな脅威を与えているものでありまして、暴力団対策法というのはこれらの実態に対してこれで十分に対応していけるのかどうか、このことにつきまして再度御質問を申し上げたいと思います。
#8
○廣瀬政府委員 昨年六月、山口組等三団体を指定したのに始まりまして、二月末まで十六団体を指定してまいりました。この団体に対しましてそれぞれ暴力的要求行為に対する命令を出してまいりました。これは三月三十一日までに百八十一件に及んでおりますが、この命令によりましてかなりな程度民事介入暴力の抑止に成功してきたのではないかというふうに思っております。
 ただし、議員御指摘のとおり、本法成立後、広域暴力団の幹部が株の取引に関与したという事案で大変大きな社会問題になりましたし、また暴力団員が株の取引を行う過程で証券会社、その他株式会社に不当な要求行為を行ったという事実もございます。また、不況下におきまして倒産会社の抵当不動産の競売事案に暴力団が介入いたしまして、抵当権者等に対して不当な金品等の要求を行っているという実態も明らかになっているところでございます。
 このような暴力団員の一般経済活動への介入、関与に対しまして的確に対応するため、今回の法改正をお願い申し上げる次第でございます。これができますと、有価証券の取引に係る一連の不当な行為あるいは競売の対象となっているような土地等に関して不当に明け渡し料を要求する行為、こういうものに対して的確な規制ができるものと考えております。
 ただ、暴力団は常にいろいろな資金源を求めましていろいろ巧妙に画策するという実態にございますので、今後とも資金源活動の実態の解明に努めまして、その変化に十分対応していけるようにしてまいりたいと思います。
#9
○井奥委員 暴力団の存在は、我が国が先進国ということを言われておりますけれども、大変恥ずかしい病弊だな、こんなことを、私自身だけではないでしょうが思っておりますけれども、特にそれぞれの企業体が暴力団とかかわっている、この現実の一点としましても過日報道されましたが、暴力団員に金を渡して前の社長を追い落としていく、こういう大阪の家電業界の社長の実態もあるわけであります。
 それから、暴力団に私的な紛争の解決を頼んだり暴力団を利用するというのは、過日も報道されましたが、東京に本社のある大手の建設会社でありますけれども、九州の石油備蓄基地の建設で、暴力団の関連企業であることを承知している上においてその下請をさせていった、こういったことが暴力団員に対してあるいは暴力団自身に対しての資金の供与になっていくわけでありますから、一般市民や企業が暴力団を利用するといった行為あるいは風潮を根絶させていかなければ暴力団の壊滅は非常に難しいというふうに思うわけであります。また、そのような風潮がある限り、暴力団による不当な金品要求というのは全くなくなっていかないわけであります。
 このような暴力団を利用する行為に対して、どういうふうにこれから対処していこうとされておられるのか、また今後の問題として、何か規制を考えておられるのか。例えばでありますけれども、飲食店のツケというようなもの、高利ではない債権の取り立てについて暴力団員が依頼を受けて暴力的な取り立てをしている、こういうことも耳にしているわけであります。こういった行為を規制するということにつきましてはどういうふうに考えておられるのか、お考えをお尋ねしたいと思います。
#10
○廣瀬政府委員 議員御指摘のとおり、残念ながら、一般市民や企業が暴力団を利用するという行為がいまだかなりあるという実態でございまして、これは暴力団の勢力を伸長させる結果にもなりますので、このような暴力団利用行為につきましてはいろいろな対策をとってまいりたいというふうに思っております。特に、本年は暴対二年ということになりますので、この暴力団を利用する者に対する対策、これに従来以上に力を入れてやってまいりたいということであります。
 その中身といたしましては、事件検挙、お示しにありました某家電メーカーにかかわる事件、暴力団を利用する最たるものでございますが、そういう事件検挙に努めていく、それから、現行法で十条一項というのがございまして、何人も指定暴力団員に対して暴力的要求行為をすることを依頼するあるいは要求する、そういうことをしてはいけない、いわゆる暴力団を利用してはいけないという規定がございます。残念ながら、この十条はいまだ適用件数が一件でございまして、しかも暴力団が他の暴力団に要求したというものでございますので、今後この規定を大いに活用いたしまして、暴力団以外の者が指定暴力団を利用するという行為に対しまして、この規定をさらに活用してまいりたいというふうに思っております。
 また、今回の改正におきまして十条二項というのがございまして、これは、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会って、これを助ける行為を規制するという内容のものでございますが、これは暴力団を利用する行為を新しく規制していこうという趣旨のものでございます。
 今後の問題として、何か規制を考えているかという御質問でございますが、今回の改正案について意見を聞きました暴力団対策研究会からも、一般の市民、企業が暴力団を利用する行為の規制を強化する方向で検討することという提言をいただいております。それをも踏まえまして、今後とも暴力団を利用する行為の規制の強化につきましていろいろ検討をしてまいりたいというふうに思います。
 現行の九条六号は高利の債権の取り立てを規制いたしておるわけでございますが、実際には高利でない債権の取り立て、お話にありました飲食店のツケのようなものもございますし、さらには暴力団の威力を示す以外の暴力的な手段方法による取り立てというのもございまして、こういうものがかなりあるのではないかということでございます。
 現行法は、ひとまず法律的な整理のできました高利債権取り立て、これだけを規制したものでございますが、先ほどの研究会の提言にもありますように、そうした高利でない、あるいは暴力団の威力を使う以外の暴力的な手段方法による債権取り立て、こういうものについてどのような規制が可能であるかどうか、今後しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。
#11
○井奥委員 いろいろお尋ねをしたいことがたくさんあるわけでありますが、あと四分ぐらいしか時間がないわけでございますので、はしょってお尋ねをしたいと思います。
 後で時間があればお聞きをしたいと実は思っておりまして、きょうの産経新聞にも出ておりましたが、中国から日本の犯罪組織がお互いにドッキングをして、暴力団がだんだん中に潜って、そしてまた違った形の行為をしている、このことも時間がありましたらお聞きをしたいと思っております。
 こういうふうに暴対法ができて、そのプラスの面と、逆にそれがどんどん陰に入っていくというマイナスの面というのと二つあるわけであります。こういった面を踏まえながら、何となく私たちが暴力団といいますと粗暴犯という、乱暴するということでありますが、その乱暴に加えて知能犯というのも加わるわけでありますから、こういった面を双方、これは警察だけの御努力ではとても解決できるものではありません。ですから、時として国民を挙げて、それぞれがもう一度、この暴力団というものの壊滅のためにどういうふうな形で受け皿をやり、我々は監視をしていく、そして時としては大変痛みを伴うものであっても、これはしっかりやっていかなければならないという国民的な運動というもの、監視の目というものが大事だろうと私は思っております。
 そういったことも含めまして暴力団の壊滅を図るための抜本的な対策というものは、その暴力団が、今も申し上げましたように、株だとか信用取引とかあるいは不動産の競売によって多額な利益を上げていくという問題のお答えをいただきましたが、暴力団の不正収益を剥奪するということが私は必要だろうというふうに思うわけであります。現に暴力団対策法ができる際にも検討をしていたわけでありますけれども、その後の検討状況というものを実はお聞きをしたい。
 私は大蔵の質問でも申し上げたわけでありますけれども、アメリカのFBIみたいな、テレビで見る「アンタッチャブル」、エリオット・ネスがばちゃばちゃとやっていくわけでありますけれども、何か国税と一緒になって、今本当に国税が消極的であって、警察の方が積極的であって、それから車の取得税をごまかした、それは百万円以内のものだって摘発をしていくというのは、私は本当に警察の御努力を多とする以外にはないわけでありますが、国税庁と一緒になって一回これを考えてもらう、こういうことも私は城内長官にもこれはお伺いをしたいなというふうに思っておるわけであります。時間がありませんので、もう一点だけ申し上げて、この二点をお答えをいただければありがたいというふうに思います。
 そして、この暴力団の壊滅というのは今は本当に国民の願いであり、そして私たちがなさなければならないものでございますけれども、こういった問題につきまして当局の大変な御努力、これに私どもはより一層支援をしていきたいと思っておりますけれども、これは城内長官と村田国家公安委員長の御答弁をひとつお願いを申し上げたい、このように思います。
#12
○城内政府委員 まず、不法収益の剥奪に関してでございますが、私どもの気持ちとしては、これを何とか一つの法的な形にしたいものだというふうに考えております。しかしながら、いろいろと法律上の論点が広範かつ多岐にわたっております。例えば、その不法収益とは一体何か、あるいは金の流れがどうなっているか、それから既に制度としてあります刑事上の没収あるいは追徴、こういったものとの関係はどうか、こういった幾つかの点についていろいろと細かく詰めていかないと、私どもの気持ちだけでは物にならない、こういうふうに考えております。さらにこの点については、必要性ということは私ども十分わかっておりますので、研究してまいりたいと思います。
 それから、もう一つは国税庁との関係でございますが、私ども、これは非常に大事なことだと思っております。
 本来、暴力団というのは、暴力団対策法にも定義がございますが、「構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」、法律的にはこういう定義でございますが、社会経済的に見ますと暴力を手段あるいは背景として金もうけをたくらむ企業でございますので、そういった面からお金の面を攻めるというのが一番大事なことでございます。
 従来、国税と警察との間にもいろいろな連絡がとれております。ごく最近の動きでございますが、私ども警察におきまして昨年十一月十七日に全国本部長会議を開催したわけでございますが、そのときに国税庁長官においでを願いまして、いろいろ課税通報の問題などを中心にして話をしていただきました。それから、逆に今度は、ことしになりまして一月二十一日に私の方から国税局長の会議に参りまして、暴力団取り締まりの実情、課税通報などに対する相互の協力などについて私の方からいろいろお話を申し上げました。管区警察局と地方の国税局との間にもそういった定時的な会議が開かれております。
 と申しますのは、いろいろな特別法を適用して、一般刑法以外の特別法を適用して取り締まりをやっているわけでございますが、御承知のように特別法は罰則はそんなに重いものではございません。そうなりますと、得た収益、不法な収益に課税する、これは大変効果の大きなことであると私ども考えておりますので、そういった面について努力しておるわけでございます。御質問の趣旨を踏まえまして、さらにまた取り締まりをやってまいりたい、こんなふうに考えております。
#13
○村田国務大臣 暴力団問題は国政上の緊要な主要課題である、こういうふうに認識をしております。暴力団は国民生活の平穏や経済システムの健全性に重大な脅威を及ぼしておりまして、国民は暴力団の壊滅を強く求めているというふうに私は感じておるわけでございます。
 今、個々の問題について城内長官から御答弁を申し上げたわけでございますが、国家公安委員会といたしましても、暴力団犯罪の取り締まりを初めとする暴力団総合対策の実効を上げるよう警察当局をしっかりと督励申し上げまして、それとともに、国民各界各層で高まりを見せている暴力団排除の運動がさらに飛躍的に展開されるよう、関係方面にも働きかけてまいりたいと思います。まさに、警察あるいは国家公安委員会、これはもちろんこれからの大きな分野を担っておると思いますので、心を引き締めて対応したいと思います。
#14
○井奥委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
 国家公安委員長並びに城内長官から最後に御答弁をいただきまして、感謝を申し上げます。我が国の国民が平和で、そして安心して社会生活が送れる、これは警察のそれぞれのお役割が今日こういう社会の安定に寄与されておられるということでありますから、少ない人数で大変大きな成果を上げておられますが、どうぞ今後ともより一層激励をしていただいて、国家国民のため一層の御努力をお願い申し上げまして質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#15
○中馬委員長 次に、北川正典君。
#16
○北川(昌)委員 おはようございます。
 暴力団対策法が昨年施行されまして、一年を経過したわけでございますが、先ほどもお話がございましたが、これまでの対策法が上げた効果、成果と申しますか、この点についてどのように評価をされておるのか、長官の方からお聞きしたいと思います。
#17
○廣瀬政府委員 暴力団対策法施行後ちょうど一年過ぎたところでございますが、二月末までに十六団体を指定したところでありますし、また二月末までに三百四十二件の行政命令を出しまして、民事介入暴力の抑止に努めてまいったところでございます。対立抗争事件も大変減ってまいりまして、暴対法ができる前の平成二年に比べますと三分の一に減って、一般の市民が被害に遭うのも大変少なくなったという状況でございます。また、暴力団員の組織離脱化の傾向も大変顕著になってきているということでございまして、一応の成果があったというふうに考えております。
 ただし、大きな暴力団の寡占化が大変進んでおるというようなこと、さらには、そういう大きな暴力団の中枢部に対する打撃につきましてはまだ十分なものを加えるに至っていないというようなこと、それからまた、暴力団を利用する層も根強く存在しているということもございます。そういうことから、今後ともなお継続的に、警察の最重点課題の一つといたしまして鋭意努力する必要があるものと考えております。
#18
○北川(昌)委員 今お話がございましたように、かなりの成果というものが徐々に上がってきておるということは私どもも評価をいたしたいと思います。
 ただ、この法律は暴力団を撲滅するというのが最終目標だろうと思うのでございます。そういった点で考えてみますと、確かにお話がございましたように組員の減数、数が減ったということも一面ではあります。資料によりますと、組を解散したものが百五十八組で、二千五十一人が減った。さらに、対策法の適用対象暴力団からの離脱者が七千二百人、それだけ減った。こういう数字の上からはかなりの減少が出ておりますけれども、一方で、暴力団勢力が九万六百人ですか、これが横ばい、減っていない、こういう数字も出ておるわけでございます。片や暴力団は、暴力団の中で離脱して組員が八千人近く減った、しかし一方では暴力団勢力は相変わらず減っていない。その点、私どもどういうふうに数字の上から理解すればいいのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#19
○廣瀬政府委員 ただいま議員御指摘のとおり、平成四年末の暴力団勢力でありますが、約九万六百人でございまして、平成三年末の勢力の状況と比べまして、ほぼ横ばいの状況でございます。そのうち、構成員は約五万六千六百人でございまして、平成三年末と比べますと約七千二百入減少している。それに対しまして準構成員が三万四千人になっておりまして、これは平成三年末と比べまして約六千八百人増加になっているということでございます。
 構成員が減ったのになぜ勢力が減少しないかということでございますが、この数字があらわしておりますように、準構成員が増加したということのためでございます。なぜ準構成員が増加したかということでありますが、これは、いわゆるフロント企業の取り締まりを昨年強力にやってまいりまして、フロント企業といいますのは暴力団の構成員あるいは暴力団の関係者がつくっている企業でございますが、そのフロント企業の実態を解明いたしますと、暴力団の周りにいる準構成員が新たに判明した、そういう新たに判明した者が相当数いるというものでございます。また、暴力団側も、フロント企業強化のために組織を離れて活動させた方がいい、組から離させまして、そしてフロント企業のメンバーとして活動させる、そういう者も中にはいる。そういう結果によりまして準構成員がふえたということでございます。
#20
○北川(昌)委員 準構成員がふえたということは、予備軍ということで理解ができると思うので、将来的にはこれが構成員の中に組み込まれていく、こういう危険性を持ったものであると私は思うわけでございますけれども、そういったものを含めて今後強力な対応をお願いを申し上げておきたいと思うのです。
 同時に、組員の減少、離脱した組員七千何がし、私が統計上から見てみますと、八千人ぐらいではなかろうかと思うのですけれども、この組を離れた、社会復帰をしたいという希望者も中にはおると思うのですが、八千人近くの元組員は今どのような状況になっているのか。例えば、社会復帰した者が何人ぐらい、あるいは離脱はしたけれどもまだ職につかずにおる者とか、あるいは組は離脱したが一方からさらに別の組に準構成員という形で入るとか、いろいろあると思うのですけれども、そこあたりの把握はされておられるのでございましょうか。
#21
○廣瀬政府委員 構成員が七千二百入減少したわけでございますが、その中には、暴力団から離脱をいたしまして社会復帰をしている、そういう者、すなわち暴力団から完全に離脱をしているという者が一つのジャンルでございます。もう一つは、フロント企業強化のために暴力団組織から離れて活動をしている者、組織から離れましてフロント企業強化のために働いている者、さらには、死亡ですとか老齢等によりまして自然減になったという者も相当いると承知をいたしております。それぞれの内訳がどうであるかというのは、残念ながら警察庁で統計をとっておりませんので、お答えいたすことができませんことをお許しいただきたいと思います。
#22
○北川(昌)委員 社会復帰をした人間の把握ができていないというほど、この暴力団を離脱した者の社会復帰というのが難しいということを逆に物語っておるというふうに私は考えるわけでございます。
 そこで具体的に、警察と、暴力追放運動推進センターが設置されて、そこに離脱についての相談があった、それを受け付けた件数が千九百三十五件に上っておる、こういう資料でございますけれども、これは前年の二百六十件に比べますと大幅な相談増加だと思いますし、それだけ暴力団の中には離脱をしたいという、ここから離れて正業につきたいという気持ちの人が多くあるということもうかがい知れるわけでございますが、この千九百三十五件の相談の処理はどういうふうになっておるのか。
#23
○廣瀬政府委員 千九百三十五件の相談、これは警察と暴力追放運動推進センターへ寄せられたものでございます。この相談がもとになりまして、これは平成五年三月末まででございますが、三十六名の暴力団離脱者を社会復帰対策協議会を通じまして就業させることに成功いたしております。その他の警察や都道府県センターの相談活動によりまして、約二百数十人を離脱、就業させているところでございます。そしてまた、このセンターに相談がありましたものから、離脱を妨害しているというものにつきましては、警察の方で脱退妨害の中止命令を出しているところでございます。
#24
○北川(昌)委員 千九百三十五人の離脱希望そして相談があって、その中で二百四、五十名でございましょうか、一応正業につける、こういう結果が報告されたわけですけれども、二割足らずの処理ですね。ですから、千九百三十五名のうち千六百から七百の間というものは、気持ちはある、そしてそういうふうにしたけれども、まだ社会的に認知されないという状況にあるというふうに思うわけです。
 そこで、今度の改正の中で、そういった非常に受け入れ側の難しさということから法の改正がなされるというふうに思うわけですけれども、その中で、暴力団からの離脱と社会復帰を促すために、希望者に対しての「離脱と社会経済活動への参加を確保するために必要な措置」をとるという、受け皿をしっかりするんだという法律だと思うのですけれども、この「必要な措置」とはどういう内容なのか、お聞かせいただきたいと思います。
#25
○廣瀬政府委員 この二十八条一項でございますが、まさに公安委員会が離脱者に対しまして援護の措置をとるということを責務としてやってまいりたいということを表明しているものでございます。先ほど井奥議員のところで御説明申し上げましたが、やや細かくなりますが主要なところをもう一度繰り返させていただきますと、まず、受け入れ企業、これをどんどん募集をしていくということでございます。そして、その受け入れ企業に離脱希望者を連れてまいりまして、面接のときに警察官が同道するというようなこともやってまいりたいというふうに思います。それから、社会復帰対策協議会、これも先ほどから出ておりますが、この社会復帰対策協議会を公安委員会として支援してまいりたいということであります。さらには、出所の際に出迎えをする暴力団に対しまして警告をする。そして、大変大事なことでございますが、離脱希望者あるいは協力をいただいております企業をしっかりと保護していく。さらには、離脱希望者が自覚を持って社会を構成する一員としてしっかりやっていくというようなことにつきまして、いろいろな助言というようなこともしてまいりたいということでございます。それから、離脱者の中には親族と大変トラブルになりまして絶縁状態というような者もあるわけでございますが、そういうことの復縁の橋渡しというようなことも考えてまいりたいというふうに思います。それから、先ほどの手指の再生手術、さらには他府県に就職するという者についての公安委員会との連絡等々をやってまいりたいというふうに考えております。
#26
○北川(昌)委員 指の復元とまた入れ墨の消去が行われなければ、なかなか社会復帰への障害を除去することができない、こういう今社会的環境にあると思うので、そういった意味では、この指の復元ができること、あるいはまた入れ墨を取り去ることといいますか消去する、このことは大事なことであると思うのですけれども、これに要する経費はどのくらいか、入れ墨によっては、面積とかいろいろ場所とかによって違うだろうと思うのですが、指の復元については大体同じだろうと思いますけれども、どのくらいかかるものなのでしょうか。
#27
○廣瀬政府委員 指詰めをしたときの指の再生手術の費用でございますが、およそ七十万円から百万円というふうに聞いております。それから入れ墨も、先生御指摘のとおり、場所によって違う、あるいは全身入れ墨、あるいは部分的入れ墨、いろいろ費用も違うようでございますが、場合によっては百万円以上かかることもあるというふうに聞いております。
#28
○北川(昌)委員 そこにはまた一つのハードルが出てくるのではないかと思うのです。今まで組におりまして、社会的な活動をしていない。したがって、余り金も持っていないと思うのですね。しかし、社会復帰はしたい。そのためにはいろいろな目で見られる指詰めの復元、入れ墨直しをしたい。ところが、金がこれくらいかかるということになると、なかなか実行できないという状況になる。そうなりますと、本人としては、気持ちとして、これができない状況ならまたもとの古巣に帰ろうか、こういうような気持ちになることもあり得るのではないか。この経費については医療費、いわゆる保険は適用にならないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#29
○廣瀬政府委員 この治療につきましては、医療ではあると思いますが、保険制度の建前は、自己の故意による負傷については保険の適用ができないというのが現在の保険制度でございます。したがいまして、指詰めや入れ墨の再生手術のみを保険給付可能にするということは、現行制度からはできないものと承知いたしております。
#30
○北川(昌)委員 とするならば、これに対する何か援護措置というものはお考えになっておるのか、また検討の余地があるのか、お尋ねしておきたいと思います。
#31
○廣瀬政府委員 指詰めあるいは入れ墨の消去の医療費をどこからか補助できないかという御質問でございますが、警察あるいは公安委員会がこれを補助するというのはややふさわしくないのではないかと思っております。
 そこで、全国に昨年九月までに暴力追放運動推進センターができ上がったところでございますが、このセンターとして何らかの支援ができないかどうか、今後検討してまいりたいというふうに思っております。その場合に、被害者に対する見舞金あるいは訴訟の費用の貸付制度というのがございまして、そういうものとのバランスということもよく考えなければならないと思います。御指摘の点も含めまして、今後センターの仕事としてできないかどうか、大いに検討してまいりたいと思います。
#32
○北川(昌)委員 せっかく更正しようという気持ち、これを助けるという面から、助成とまではいかなくても、正業につくわけですから、ある程度、一定の期間を決めて返済するような貸付制度とかこういったものも当然とって、本当に踏ん切りがつくような状態というものをつくり上げていって初めて受け入れ態勢というものができるし、本人たちもそこにある程度抵抗を少なくして社会復帰ができると思うので、そこらあたりの御検討をまたお願い申し上げておきたいと思います。
 それと関連してでございますが、私も今度の法律を見て自分の勉強不足にもびっくりしたわけですけれども、少年に対する入れ墨の強要の禁止というものが盛り込まれております。入れ墨の強要禁止を少年に限定した理由というのが何かあるのでございましょうか。
#33
○廣瀬政府委員 入れ墨は、身体を損傷して極めて回復困難な身体的特徴を生ぜしめる行為でありまして、暴力団からの離脱や社会復帰の阻害要因となるものでありますが、伝統的に日本では暴力団以外にも広く行われてきたということもございますし、また現在も一部の若者の間などで行われている実態もございます。指詰めと比べますと、入れ墨の方は社会的不当性は指詰めよりは低いというふうに考えております。
 しかし、少年につきましては、是非弁別能力が未熟でありまして、環境等の影響を受けやすいため、無思慮に入れ墨を入れてしまい、暴力団とのかかわりを断つことができなくなってしまうなど、将来にわたり禍根を残すこととなる可能性も少なくございませんので、少年に対する入れ墨の強要等に限ってこれを禁止することとしたものでございます。
#34
○北川(昌)委員 確かに芸術的な面もございましょうし、文化的な面等もおっしゃる方もいらっしゃるのですけれども、しかし、一遍彫りますと、体に入れますと、これが暴力団と間違えられるという今までの社会状況、そして抜けるときにはこれをまたとらなければいかぬ、とるという何か矛盾したような問題もあるわけです。
 しかし、それはそれにいたしまして、ただ、少年までこれを認めておったというのは、私がちょっと勉強不足と言ったのはそこなんですけれども、強要を禁止するというだけでなくて、やはり今度、彫り師に対しても、少年に入れ墨を彫ったならばこれは罰則を与える、これくらいのものをしないと、彫った後でわかったではこれはいかないわけですから、そういったことは検討をされる考えはないのかどうか。
#35
○廣瀬政府委員 今回の法改正では、暴力団がみずから入れ墨を施す、あるいは入れ墨を入れることを強要するというものにつきまして、これを規制いたしたいというものでございます。今回のこの法律改正が成りましたならば、暴力団の依頼を受けて少年に入れ墨を入れてはいけないということが彫り師の間にもかなり広まる、そういう改正の波及的効果も期待できるところだと思います。
 しかし、御指摘のとおり、彫り師が入れ墨を暴力団の依頼を受けまして少年に入れるということになりますと、本法の禁止規定の趣旨が全うされないということになりますので、御趣旨の点も含めまして、彫り師がそのような依頼に応じないように、啓発活動に積極的に努めてまいりたいというふうに思います。とりあえずは、その啓発をしっかりやりまして、彫り師がそういう暴力団の依頼に応じないように努めてまいります。
#36
○北川(昌)委員 飲酒では、青少年は飲酒できない、してはならないというふうに決まっています。飲ました人、売った人は罰せられるわけですね。それと同じように考えるならば、この彫り師に対しての罰則というものも当然許容されるのではないかと私は思っておりますので、そこの検討方をお願いしておきたいと思います。
 次に、いわゆる受け皿の問題、先ほど御答弁いただきましたが、雇用する企業を募集する、あるいは更正施設については警察の施設等を利用するとか、こういったいろいろな具体的な御答弁がございましたけれども、やはり職業あっせん、就職をあっせんするためには、そこに技術というものが身についておることが一つの条件にもなり得ると思うのですが、長い間別な世界で過ごしてきた人たちでございますから、すぐにその仕事に入っていけないという状態もあるでしょう。そういった点を考えるならば、ある一定の期間を設けて職業訓練というものも必要ではないか、このように思います。
 それともう一つは、それぞれ遠隔地に、こうおっしゃいましたけれども、一応社会に出てまいりまして、社会に出ていくというと語弊がございますけれども、一般の経済活動に参加をするということになれば、善良な市民の中に住むわけですけれども、そうした場合に、その周囲の皆さん方がやはり今の概念、観念としては恐怖心があると思います。また、好奇心もあると思います。そして、敬遠をするという状況というものも生まれてこないとも限りません。現に、この暴対法ができまして、私の近くに組を抜けた人が住まいまして、やはり周囲が、ちょっと事件があるとあの人ではないか、こういうような見方をするわけなんですね。
 そういった点からいきますと、社会が温かく迎える、こういう状況というものもつくっていかなければならない。そのためには、御本人もいろいろ悩むこともあるでしょう。相談相手が遠いところにある、復帰協ですか、県のセンターまで行くということもなかなかあれですから、したがって、そういった面で相談相手になる人、保護司というようなもの、こういった人たちとの連携というものも必要ではないだろうかとも思いますが、そういった点についてどのようにお考えなのか。
#37
○廣瀬政府委員 まず、離脱者の就業のための環境整備、これは総合的な行政配慮を必要とするものでございまして、警察の努力だけでは困難でございます。関係行政機関や民間団体あるいは企業と協力しつつ今後とも進めてまいりたいと思います。
 御指摘のとおり、離脱者の社会復帰のためには職業訓練が殊のほか重要でございます。公共職業訓練校あるいは民間の職業訓練法人、さらには、矯正行政機関が行う職業訓練の場を暴力団離脱者の社会復帰のために活用することが可能であるかどうか、可能であるとしたらどういうふうにすればよいか、労働行政などの関係行政機関と連絡をとり合いまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。
 それから、本当に離脱した者が周りの人間から冷たい目で見られる、そういうことがあると真の社会復帰ができないという御指摘、そのとおりでございまして、私どももそのように考えまして、今回の法改正、法二十八条の第二項というところでございますが、住民及び事業者に対します広報啓発活動、暴力団を本当にやめたという人に対しましては温かく迎え入れることが大事だということを広報啓発する活動をやってまいりたいというふうに思っております。
 具体的な内容といたしましては、住民や事業者に対しまして、真に更生じてまじめに働いている暴力団員の実例、受け入れ企業の現状、警察の暴力団離脱者の社会復帰対策に対する取り組み等を講演等によりまして一般に訴えるというようなことも努めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、相談相手ということでございますが、特に保護司の御協力を得るということが殊のほか大事でございます。既に各都道府県センターにございます相談員の中には必ず保護司の方が入っておりまして、離脱者のいろいろな相談に応じる体制ができているところでございます。今後とも、保護観察所あるいは更生保護会あるいは保護司等更生保護関係者につきましていろいろ御協力を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。
#38
○北川(昌)委員 時間が参りましたが、最後の質問を申し上げたいと思います。
 今、非常に離脱者の社会復帰が困難な状況にある、難しい状況にあるということは私どもも十分認めますが、法改正によってこれが少しでも前進することを期待したいと思いますし、暴力団撲滅のためにも、ぜひこの法をさらに効果あらしめていただきたいと思います。そのためには、警察だけでどんなに頑張っていただいても壁がございます。法務省の関係もございましょうし、労働省の関係もございましょう、厚生省との関係もございましょう。さらには、金融・証券スキャンダルのように、暴力団が中に介入して利益をむさぼっていくという問題も出てまいっております。そうなると、大蔵省とか通産省とか、こういったところの企業との関係からも出てくると思うのですけれども、本当に先ほど国を挙げてとおっしゃいましたが、まさに全省庁を挙げてこの問題についてはそれぞれの分野で取り組んでいただく、それ以外に撲滅に向かっての道はないと思うのです。その点、国家公安委員長の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
 同時に、企業側が依頼をするという分野も先ほどお話がありました。特に政治家も、そういった極めて私ども憤りを覚えるようなああいう暴力団活用の場もあったわけでございまして、そういったことがやはりなくなるようなこともしていかなくてはならない。その点について国家公安委員長の御所見、決意をお聞かせいただきたいと思います。
#39
○村田国務大臣 北川委員にお答え申し上げます。
 先ほど来の非常に熱心な御質疑をいただきまして、政府委員から個々に具体的に御答弁申し上げたところでございますが、今委員御指摘になられましたとおり、暴力団員の社会復帰対策につきましては、関係省庁との連絡、協力が必要不可欠な課題だと認識しております。例えば、労働省では既に社会復帰対策のための体制づくりにおいて協力をいただいておりますし、今後、例えば法務省とか大蔵省とか、いろいろ他の関係省庁との緊密な連絡をとり合いまして、必要な協力を得ながら暴力団員の社会復帰対策のために体制づくりを進めてまいりたいと思います。
 まさに総合対策でありますから、委員の御指摘のとおり、努力をしなければならないと思います。
#40
○北川(昌)委員 終わります。
#41
○中馬委員長 続いて、山口那津男君。
#42
○山口(那)委員 公明党の山口那津男でございます。
 暴力団対策法の施行後一年を経過いたしまして、関係当局の努力によりまして、その成果が着実に進展してきているということを率直に評価したいと思います。
 ところで、本法の目的を達成するためには、最終的にはこの暴力団組織の壊滅といいますか、組織の解体にまで至らなければならないと思います。そこでまず、山口組、稲川会、住吉連合等の重点対象三団体と言われるものにつきまして、平成四年中解散された組織の構成員の数が千二百二十名である、こういう御報告があります。同年中のこの三団体の減少した構成員の数が千四百人である、こう言われます。解体組織の構成員千二百二十人が、この千四百人のうちの内数と言えるのかどうか。言い方を変えますと、組織が解散して、それが即離脱に結びついていくのかどうか。これはどうもそうなってないような気もするわけでありますが、この実態がどうなのかということと、その理由について御説明いただきたいと思います。
#43
○廣瀬政府委員 お答え申し上げます。
 三団体の傘下組織の解散でありますが、これは百四組織で、その百四組織が抱えております構成員は千二百二十名でございました。この解散、壊滅した組織の構成員が、そのまますぐ完全に暴力団を離脱して社会復帰になるのかといいますと、必ずしもストレートにそうなりませんで、ある者は暴力団から完全に離脱してまいる者もございますが、傘下組織が解散、壊滅いたしますと、その上部団体が預かるという手がありまして、上部団体の中に入ってしまう、あるいはほかの傘下組織に入れられるというような者もございますし、また上部組織を離れまして全く別個のグループの暴力団、そういうところにも入ってしまう、三つぐらいのグループに分けられてしまうというのが実態でございます。
#44
○山口(那)委員 それから、重点対象三団体につきまして、準構成員も含めたいわゆる勢力というとらえ方がありますが、この勢力については法律施行後も増加傾向にあります。そしてまた、構成員に限って見た場合、若干減少はしているものの、その減少率というのも暴力団一般の減少率よりも低率にとどまっている。つまり、余り減っていない、こういう実態があるようでありますが、これはどういう理由なんでしょうか。
#45
○廣瀬政府委員 重点対象三団体の勢力が増加傾向にありまして、かつ構成員減少率が他の団体よりも低いのはどういう理由かという御質問だと思いますが、重点対象三団体の構成員は約一千四百入減少になっておりますが、それ以外の暴力団構成員は約五千八百入減少になっております。これは山口組、稲川会、住吉会の重点三団体の傘下組織の解散、壊滅による構成員の減少もあったのでありますが、それ以外の暴力団で重点対象三団体に組み込まれた、これは昨年は特に東北方面で多かったわけでございますが、「寄らば大樹の陰」ということで、弱小組織がそういうものに組み込まれたということが原因でございます。
#46
○山口(那)委員 今のような実態でありますから、三団体の寡占率というのが鈍化してきているようではありますけれども、依然その寡占化傾向は進んでいる。つまり、寄らば大樹で吸収していって、いわばこの三団体が余り弱まっていない、こういう実態が明らかに見てとれるわけですね。そうだとしますと、この施行一年たってはみたものの、努力はあったものの、重点対象三団体については勢力の激減とか弱体化という現象は必ずしも起きていないということになります。
 そこで、今回の改正法の実施を見込んだ上で、今後どのような対策をとるべきかということについてのお考えを示していただきたいと思います。
#47
○廣瀬政府委員 私どもが今一番重点的にやらなければならないのは、寡占化を強めております重点対象三団体に対する対策でございます。昨年も取り締まり等では山口、稲川、住吉に重点を置きまして、特に山口組の取り締まり件数はかつてないほど多かったわけでございます。しかし、御指摘のとおり、弱小団体をどんどん吸収して、結果的にはそれほど大きな勢力の減になっていないというのが実態でございます。今後とも、犯罪の検挙という面では山口組を最重点に取り組んでまいりたいというふうに思います。
 また、今回の暴対法の改正をお認めいただければ、やはり一番強い団体から命令をたくさんかけていく、しかも集中的にかけてまいるということが肝要であろうと思います。その旨努めてまいりたいと思います。
#48
○山口(那)委員 私は、指定暴力団の勢力が衰えない原因の一つに、資金源が温存されているというか、資金源の壊滅にも至っていないという問題があるだろうと思うのですね。この点、私自身、以前に、不法な利益を直接剥奪する、こういう立法措置を検討願いたい、こういう質問をしたことがあるわけでありますが、別途、その利益の移動そのものに着目をいたしまして、課税を強化するということも有効な手段の一つであろうと思います。
 そこで、警視庁が実態調査をした内容が公表されているわけでありますが、この調査によりますと、風俗営業等に対する指定団体の関与率が約半分、五〇%程度である、こう報告されております。ところが、全国の暴力団の指定率というのは七割に及んでいる、こういうわけですね。ですから、東京都におきまして指定率が七割に至ってないから、関与率も半分程度にとどまっている、こういうことになるのだとすれば、東京都における指定作業というのを急ぐ必要があるだろう、こうも思うわけですね。この点についての実態と対策についてお伺いしたいと思います。
#49
○廣瀬政府委員 先ほど申し上げましたように、二月末までで十六団体を指定いたしました。さらに三月、今日現在では十八団体になっておりますが、この指定を今後どういう方針でやっていくかということでございますけれども、これは従来とも大規模なかつ悪質な団体から指定をやってきたということでございまして、現在そのほかの団体をどうするかということで検討中でございまして、追って次のグループの指定ができていくというふうに思っております。
 御指摘のとおり、東京にはまだかなり大きな暴力団が残っておりまして、この中には大変悪質なものがございますので、これは指定の作業を急がなければならないというふうに理解しております。頑張ってまいります。
#50
○中田(恒)政府委員 お答えいたします。
 都内の風俗営業適正化法で対象となります各種の風俗営業等の業種でございますが、各業種についての関与のうち、指定暴力団とそれ以外のものの割合についてのお尋ねがございましたのでちょっとお答え申し上げますが、警視庁の調査によりますと、暴力団のうち今御指摘のように指定暴力団が関与している割合が五〇%というふうになっております。そして、全国の指定暴力団の構成員の割合が七〇%ということでございますけれども、これは東京都内の暴力団員のうち指定暴力団の構成員は、東京に限りますと約半数でございます。そのような事情があろうかと思っております。
#51
○山口(那)委員 全国では指定によって七割カバーしたと言われている。ところが、東京ではそれが半分にとどまっている。この原因は、東京には山口組の勢力がそれほど大きくなくて、その結果半分にとどまっている、こういう実態もあるようでありますけれども、結局、暴力団の有力な資金源がこの風俗営業等でなされている。その中で半分が暴対法の網がかかっていないということは、やはり取り締まり上は非常におくれた部分だろうと思いますので、先ほどおっしゃられたように指定及び取り締まりの強化ということに力を入れていただきたいと思うのですね。
 同じく、警視庁の調査によりまして、本来ほっておけば暴力団に流入すべきであったお金を適切な指導によってカットした、こういう実績があろうかと思います。このカットの金額が二十二億円と推定されております。中でもパチンコ営業からの流入カット金が十八億円だ、こういうことですから、かなり高率である。つまり、主な資金源がパチンコ営業であると言っても差し支えないわけですね。そして、全体の暴力団の流入金の推定額が百五十億円、これはパチンコ営業からの流入額が百五十億円に上る、こうも推定されておるわけであります。
 ところで、この推定というのがどれほどの根拠をもってなされたのか、この百五十億という多額の金額がどういう根拠をもってなされたのかということがよくわからないということと、それから、この主な資金源であるパチンコ営業について、指定団体の関与率が全体と同じように五〇%なのか、それとも、とりわけこのパチンコ営業についての指定団体の関与率が高いのか低いのか、この点の実態についてお伺いしたいと思います。
#52
○中田(恒)政府委員 先ごろ警視庁が公表いたしました風俗営業者等からの暴力団への資金の流入といいますか、金銭の出捐の関係のお尋ねでございます。
 この調査の結果判明したものにつきまして、資金カットのいろいろな措置を講じたわけでございますけれども、その際に、出捐を拒否したと具体的に見られる金額が二十二億円ほどであったと聞いております。この金額をもとにいたしまして、暴力団の関与が認められる、一万八千店舗ほどあったのでございますけれども、これにつきましてそれぞれの業種ごとに一店舗当たりの平均の排除額といいますか、カット額を算出いたしまして、そこから逆に割り戻して推計値、試算値を出したというものでございます。そのようなことから、年間百五十億ないし百六十億円ほどの金銭が流れておるというふうに警視庁では推計したわけでございます。
 なお、パチンコ店についての問題でございますが、これにつきましては他の業種に比べまして、東京の場合でございますけれども、パチンコ業界から暴力団への流入金額あるいは率というものが、他の業種と比べて一般的には、全国的に見ますと特に高いということはないのでございますけれども、今回の警視庁の調査結果に基づきますと、確かに非常に高い率を占めておるということが今回の特徴かと思います。東京におきましては、暴力団がパチンコに根深く関与しておりまして、その有力な資金源にしておるということの証左かと思います。
#53
○山口(那)委員 パチンコの営業の実態から見て、多額の現金が動くということで、ここに暴力団がたかるといいますか、主な資金源にするというのは当然と言えば当然の実態だろうと思います。
 東京都ではこのような大規模な調査をいたしまして結果が出てきておるわけでありますが、各県警本部等で、各警察本部の調査でいろいろやっておるとは思うのですが、東京と比較をしてどのような傾向があらわれているか。これは一般化することは必ずしもできないかもしれませんけれども、とりわけ暴力団の占有率の高い大都市、大阪とか兵庫、京都、愛知、福岡等について、もしわかりますればその全国的な傾向についてもお伺いしたいと思います。
#54
○中田(恒)政府委員 お答えいたします。
 風俗営業等に対する暴力団の関与状況でございますけれども、警視庁以外の全国の各道府県警察におきましても調査をいろいろとやっておるところでございます。暴力団がみかじめ料の支払い要求とかあるいはおしぼり等の物品の納入の要求等を通じまして風俗営業等をその資金源としていることは、全国的な傾向としては見られるところでございます。
 しかしながら、調査対象の数とかあるいは方法とか、各県によりまして差がございまして、直ちに比較することはできませんけれども、全国的に見た場合、今委員御指摘のパチンコ業界からの暴力団への流入金額とか率が他の業種に比べて特に高いという傾向は全国的には見られませんが、今回、警視庁につきましては、その点が特徴であろうかというふうに私ども判断しております。
#55
○山口(那)委員 ぜひ緻密な調査に基づいて、各地域の特色に応じた具体的な実行策というものを講じていただきたいと思います。
 さて、いずれにしてもこの風俗営業、とりわけパチンコ営業が主たる資金源になっている、これが推定でも相当多額に上る、これは調査であらわれてきた数字でさえこの程度ですから、実際にあらわれない暗数というものも相当あるのではないかとも思われるわけであります。そこで、暴力団の資金源に対する課税というのが有力な措置であろうと思いますが、この課税が新法施行後どのように強化されてきたのか、この点について警察庁及び国税庁、それぞれお答えいただきたいと思います。
#56
○廣瀬政府委員 警察といたしましては、犯罪の検挙はもとよりでありますが、あわせまして暴力団の資金源を封圧するということが殊のほか重要でございます。そして、警察として暴力団の不正収益、そういうものを把握をいたしました場合には、積極的に国税当局に課税通報をするというふうにいたしております。この手法は実はもう従来からやってまいったわけでございます。
 ただ、この暴対法ができましたときに、不正収益の剥奪の規定がないということで、それにかわるものといたしまして、できるだけ課税通報によって不正な収益を課税して取り上げていくということで、私どももこの課税通報を今までのやり方ではなくて、もっと徴収に結びつく実のある課税通報にいたしたいということで中身のある課税通報、これは国税からもいろいろ御指導を受けながらやってまいったところでございますが、そういうことに努めているところでございます。
#57
○朱雀井説明員 お答え申し上げます。
 暴力団の資金源に対する課税が適正に行われているかという観点からお答え申し上げますけれども、暴力団に対する課税につきましては、いろいろ所得の確定等、課税上困難な面もございますけれども、国税当局といたしましては、従来から納税者の適正な課税を実現するという観点から、暴力団等についてもあらゆる機会を通じまして課税上有効な資料、情報の収集に努め、課税上問題があると認められる場合には、実地調査を行うなどにより適正な課税の実現に努めてきているところでございます。
 また、今後ともこのような考え方に基づき、警察当局等と緊密な連携を図りつつ適時適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#58
○山口(那)委員 今の国税庁のお答えですと、本法施行後どれだけ課税が強化されたかという実態が明らかではないわけですね。
 ところで、警察庁としては、従来から課税通報をやってこられた、こういうお答えでした。平成三年までの数字を見ますと、件数及び通報額というのは年々ふえてきているというように思われますけれども、平成四年つまり本法施行後の通報の実情というのはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
#59
○廣瀬政府委員 過去の課税通報の件数あるいは通報額につきましては、白書等で公表しているところでございますが、平成四年につきましてはもう一回考え直そうではないか、いかに件数が多くまた通報額が多くても、実質徴収できないという課税通報では全く実がない、したがいまして、今後どのようにカウントしていくか現在検討中でございますので、しばらく時間の猶予を与えていただきたいと思います。
#60
○山口(那)委員 この施行一年の警察庁の実態の報告によりますと、警察庁は税務当局と連携をして暴力団に対する課税措置の強化を図り、効果的な課税通報が増加した、こういう報告になっているわけでありますが、今いろいろ工夫をされているところだとおっしゃいますので、ぜひその工夫がよくわかるような、そういう御報告、公表を期待したいと思います。
 ところで、この課税通報というもの、つまり警察側から国税当局へ情報を提供する、これはもうやってしかるべきことは当然だろうと思いますけれども、これが当り前のようでありますけれども、しかし、しかるべき法的根拠があるのかどうか。例えば、警察が職務に基づいて得た情報を自由自在に他の行政機関に流すということが果たして妥当なのかどうか、これは法的根拠があればそれはそれで説明がっくことだろうと思うのですが、その点について、まずその情報を受け取る側の国税の方としては法的根拠があるとお考えですか。
#61
○朱雀井説明員 お答え申し上げます。
 官公庁間での協力規定といったものがございますので、根拠という話になりますとそういう話になろうかと思います。
#62
○山口(那)委員 今おっしゃられましたように、例えば所得税法の二百三十五条二項におきまして「官公署又は政府関係機関に、当該調査に関し参考となるべき簿書及び資料の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。」こうあるわけです。ですから、この規定に基づいて警察からこの課税通報等を受け取っている、とりわけ暴力団に対する課税についての情報は綿密に受け取っている、こういうふうに理解いたします。
 さて、警察側としては、同じ理解でよろしいですか。
#63
○廣瀬政府委員 突然のお尋ねでございますが、警察の責務の範囲内で、公益性があると判断すれば許されることであろうと思います。
#64
○山口(那)委員 暴力団というのは、これは存在そのものが許されない団体、組織である、こういうコンセンサスに基づいて取締法ができている、対策法ができているわけでありますから、これは国を挙げてこの取り締まりの強化に当たるべきことは当然だろうと思うのですね。ですから、警察サイドの任務の限りだけやっていればいいということではなくて、やはり情報の交換を緊密にやって、国税当局とも連係プレーでこの資金源の壊滅に当たっていく、こういうあり方が望ましいあり方だろうと思うのですね。
 そうすると、国税当局でこの暴力団に対して得た情報を今度は警察サイドに提供する、こういうことも、つまり逆の情報の流れということもあってしかるべきだろうと思うのですね。これについて国税はどうされておりますか。
#65
○朱雀井説明員 国税当局が例えば税務調査の過程で暴力団が法律違反行為を行っているというような事実を把握した場合、捜査当局に通報すべきではないかという御趣旨に承りまして御回答申し上げますと、御承知のように、税務職員には所得税法等によりまして国家公務員法よりも重い守秘義務が課されております。したがいまして、税務調査によって知り得た事実等を第三者に通報するということは、守秘義務に触れるという問題が生ずることになります。
 また、それ以上に私どもといたしまして重要なことは、守秘義務を守ることによって培われてきた納税者との信頼関係、これが崩れてしまうというおそれがあろうかというふうに考えております。
 さらにもう一つ、捜査当局への情報提供につきましては、税法上の質問検査権の行使については「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」というふうな規定がございます。所得税法二百三十四条二項等、そういう規定がございます。
 そういった観点から、税務調査によって知り得た事実等を関係当局に通報することについては、おのずから消極的にならざるを得ないということを御理解いただきたいと思います。
#66
○山口(那)委員 一般論としては、納税者から得た大事な情報をいたずらに公表ないし他へ流すということは慎重でなければならない、これは当然であろうと思うのですね。しかし、事暴力団については、これはもう組織の存在そのものを許さない、こういう法の態度でございますから、これはやはり例外的に扱う必要性もあるだろうと思うのです。犯罪捜査のために、得た情報を利用してはならない、これも原則でありますが、しかしそれは主としてその当事者から得た情報を当事者の犯罪捜査のために利用することはいけないというのが主たる目的でありますから、これを、その関連する暴力団についての情報をどうするかということはまた別個の考慮があり得るはずですね。
 先ほど国税庁は、警察から受け取る情報は税法の協力規定に基づく、こうおっしゃいました。暴力団対策法の二十五条四項、ここにも税法と同様の官公署への協力要請という規定があります。税法と対応しているわけですね。ですから、この規定に基づいて、つまり暴対法の二十五条四項に基づいて警察側も国税に対する情報提供を要請できる、国税はそれにある程度従うべきである、このように私は思うわけですが、この点についての御見解を伺いたいと思います。
#67
○廣瀬政府委員 第二十五条四項でございますが、これは指定並びに行政命令をかける場合に官公署に照会するというものでございますので、犯罪捜査その他、税の関係では直ちにこの規定は働かないというふうに思っております。
#68
○山口(那)委員 今おっしゃったように、暴対法の例えば二十二条三項にも、いろいろと情報提供、立入検査等ができるという規定に基づいて、これが犯罪捜査に使われてはならない、こういう規定があるわけですね。ですから、この命令を発する前提として立入調査ができる、そこで得る情報、活動というのは犯罪捜査の目的ではないんだということですから、税務調査で得た資料も中止命令等を出す前提として活用するのであれば、これは犯罪捜査のための情報提供とは言えないわけですから、国税当局もこの情報提供をしてしかるべきなんですね。
 ですから、これは一方的ではなくて、やはり税務当局もこの情報提供に協力する義務があるというふうに思うわけであります。ですから、今警察側から御回答のあったことは当然のことだろうと思うのですね。国税庁、御意見どうですか。
#69
○朱雀井説明員 ただいま一般論ということで申し上げたわけでございます。「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という質問検査権の行使ということで御説明申し上げ、おのずから消極的にならざるを得ないという一般論という形で申し上げたことを御理解いただきたいと存じます。
#70
○廣瀬政府委員 先ほどの委員の御質問のとおりの場合もあるいはある可能性が、「指定並びにこの法律の規定による命令をするについて必要がある」、そういう場合には資料の提供を官公署に求めることができるということですので、あり得る場合もあると思うのでありますが、ただいまの現状ではこの指定並びに命令をかけるというときに税務関係の資料が必要になってきたというのは、今までのこの一年間やりましてそういう必要性を感じたことがちょっとないものでございますから、可能な場合もあろうと思いますが、ちょっと現実にはまだそういう必要性を感じてないということでございます。
#71
○山口(那)委員 今警察庁がお答えになったことは、その情報交換が緊密になされていないということの証拠なんですよ。国税当局がきちんと調査をすれば、お金がいろいろな事業者から暴力団に流れているということは解明される場合があるわけであります。しかし、それを積極的に警察側に知らせていない。そういう情報をとればもっといろいろな指導や取り締まりができるにもかかわらず、それをやっていないから、その必要性を感じなかったという結果だろうと思うのですね。もっと情報交換は緊密にやれば、一層の効果が上がることは間違いないわけです。
 ただ、そこで配慮しなければならないことは、やはり納税者との信頼関係ということもあるでしょうし、また、警察がいろいろな市民の方の御協力をいただくための情報提供というかパイプですね、これは大切にしなければいけないということもあるでしょう。ですから、法的根拠があるからいたずらに、情報管理がおろそかになってはいけないという配慮も必要だろうと思うのですね。
 そこで、大臣に伺いますけれども、この点については、一般論としては情報の交換というのは、それぞれが強制権を持った主体でありますから慎重でなければならない。しかしながら、暴力団についてはやはり例外的に当たる必要があるだろう。そういう点で、この情報交換、連係プレーにおける法的規定がやや未整備なのではないかと私は思うわけですね。これからの法の運用とそれから立法措置等も含めて、これからの対策についての御所見を伺いたいと思います。
#72
○村田国務大臣 暴力団の資金源を封圧するということのために、暴力団の資金獲得活動に絡む犯罪を徹底検挙すると同時に、課税措置それからまた例えば公共工事などからの排除など、あらゆる措置を講じる必要があると私は思います。そのために、警察においては国税当局等関係機関との連携を図っているものと承知をしております。
 ただ、法律に定められた守秘義務というものもまた尊重しなければなりません。そういう規定と同時に、暴力団の資金源封圧に一層の成果が上がるように、関係省庁がよく相談をして対応したいと思います。
#73
○山口(那)委員 守秘義務というのも、これは行政機関外に公表することについては慎重でなければなりませんが、行政機関相互においては例外もあり得るはずでありますから、その点の一般と例外をきちんと立て分けた上で、積極的な措置をお願いしたいと思います。
 これで終わります。
#74
○中馬委員長 吉井英勝君。
#75
○吉井(英)委員 私は、現行法十条それから改正案の十条、この点についての「何人も」という規定のところについてまず最初に伺いたいと思います。
 まず、現行法では、何人も暴力的要求行為を指定暴力団に依頼することの禁止ですね。これに今度は追加して、今度の場合には「何人も、指定暴力団員が暴力的要求行為をしている現場に立ち会い、当該暴力的要求行為をすることを助けてはならない。」ということで、ここは追加なんですが、この追加によって、この規定に違反した場合には警察が中止命令を出すことができるようにするということで、ですから、こういう点では、規制の範囲が「何人も」、つまり一般人にまで拡大してくるわけですね。それだけに、この点については少し厳密性も求められると思うので、伺っておきたいと思うのです。
 警察庁の方から幾つかの事例について資料をいただいておりますが、一般人が示談交渉を指定暴力団員に依頼しみずからも交渉に立ち会った事例というのをいただきました。これも読んだわけですが、こういうものであれば現行法でも規制できるのではないか。だから、こういう点では、規制の一般人への拡大というのはできるだけ避けた方がいいのじゃないかというふうに思われるわけですが、この点はどうでしょうか。
#76
○廣瀬政府委員 この現行十条、何人も規制ということで、暴対法で、もう一カ所ほどありますが、「何人も」が出てくる数少ないところでございます。現行の方は、何人も指定暴力団に暴力的要求行為をすることを依頼し、要求し、そういうことをやってはいけないということでございまして、新十条二項の方が、暴力的要求行為をしている現場に立ち会ってこれを助けてはならないということでございます。この「何人も」といいますのは、指定暴力団員であろうとあるいは指定暴力団員以外の一般人であろうと、両方規制の対象になるというものでございます。
 現行の十条一項でございますが、これは何人も依頼し唆してはならないということでございまして、実はこの依頼し唆す行為というのは、大抵の場合が、「何人も」というのは暴力団を利用する者、依頼者でございますので、暴力団の方はこれは金づるになるということで、その依頼行為がその場で終わってしまうということになります。そうしますと、これは中止命令の対象ではございませんで、もう一回別の人に要求する行為を依頼するというような、反復して同じような行為を行うという場合に、一項の場合が再発防止命令をかけて規制できるというものでございます。
 ところが、二項の方は現場におきまして立ち会って助けてはならないということでございまして、一般的に、指定暴力団員あるいはそれに一般人がくっついていきまして相手方にいろいろな要求をする場合に、相手方がすぐその場で要求をのむということは、そういう場合もありましょうけれども、大変少のうございまして、要求行為が継続するということでございます。要求行為が継続いたしますと、それは中止命令の対象になるということでございますので、それぞれ一項と二項では規制の仕方が違うということでございます。
 いずれにいたしましても、この二項を特に設けましたのは、最近暴力団を利用する行為が大変多いということで、その利用行為全体というわけにはなかなかいきませんけれども、少なくとも現場に立ち会って要求する行為を助けてはならない、そういう利用行為を規制してまいりたいというものでございます。
#77
○吉井(英)委員 そうすると、いずれにしろ、この「何人」というのは、現行十条の方では暴力的要求行為を依頼した人ということになりますね。今度の改正案の方の「何人」というのは、指定暴力団から同席をして話をするように依頼をされ、それに応じて同席して暴力団員を助ける行為で、この場合いろいろなことがあり得ると思うのですね。
 依頼した人が、例えばトラの威をかりるキツネのように、暴力団員を座らせておいてかわって自分が発言することで暴力的行為を助けるというふうなことにもなるでしょうし、この「何人」の後半の部分ですね。少し厳密に言うと結局どういうことになってくるかという、その辺を改めてもう一遍聞いておきたいのですが。
#78
○廣瀬政府委員 この二項で考えておりますのは、暴力団に暴力的要求行為を依頼する者、これが指定暴力団と一緒にその現場に行きましてこれを助けるということでございますが、暴力団に依頼する者でございますので、その現場におきましては暴力団員の方が威力を用いる、威迫をする、そして一緒についていきます依頼人の方は詳しい契約内容を説明するとか、そういう役割分担というのが出てくるのではないか。ここは本当に指定暴力団を使って暴力的要求行為を依頼するその者を規制してまいりたいというのが趣旨でございまして、全然関係ないやじ馬が応援をしたとか、たまたまその部屋に入ってしまったとか、あるいは逆に暴力団からおどされてついていくことを余儀なくされた、こういうものは念頭に入れていないということでございます。
#79
○吉井(英)委員 そうすると、依頼者でない人が暴力団から逆に同席してくれと依頼をされて、そして座って何もしゃべらなかった、あるいはしゃべったとしてもおどされて暴力団の求めることを話をした、そういう場合は当たるのですか。
#80
○廣瀬政府委員 これは現場に同席して助ける行為という積極的な行為がないといけないと考えておりまして、特に一般人の人がただその場に立っているだけというようなものは、この規定の念頭にはございません。
#81
○吉井(英)委員 ですから、助けるという積極的行為、積極的意志が必要ということですね。そういう点では、依頼者以外の他の人であっても、暴力団から依頼されて、仮に事情がよくわからなくて座ったとしても、座っただけとか黙っている限り、あるいは仮に話をしても暴力団からおどされて仕方なしにしゃべった、こういう場合は「何人」といえども当てはまらないというふうに理解しておいていいですね。
#82
○廣瀬政府委員 お説のとおりでございまして、あくまで暴力的要求行為を依頼する者を主に念頭に置いて考えている規定でございまして、おどされた者とか何もしないというのは考えておりません。
#83
○吉井(英)委員 次に、改正案の二十八条に関連して少し聞いておきたいと思うのですが、ここで「必要な措置」というここの問題なんですが、これは組を離脱した元暴力団員の就職先を警察が紹介するという意味にもとられかねないというか、そういう要素があると思うのですが、そういう記事等も出ておりましたけれども、職業紹介となると、これは職安の仕事になるわけですね。
 この点ではまた、都道府県でつくられる社会復帰対策協議会、資料がついておりますが、この中には県の労働部とか職安も入っておりますし、民間の協力企業、協賛企業等も入っております。ですから、この「必要な措置」には、職安の仕事、職業紹介という仕事は入らないで、警察の従来どおりの役割の範囲内に限られるものだというふうに理解していいわけですね。
#84
○廣瀬政府委員 先ほどよく議員の御質問にもございましたが、この職業紹介といいますのは職安の業務でございます。私どもの方はそのほかの業務、例えば保護対策とか離脱者を雇ってもいいよという事業者の募集はいたしますけれども、職業紹介の業務は職安にお願いするという形でございます。
#85
○吉井(英)委員 当然のことながら、従来からの警察の権限が認められている分野での役割を果たすという今の説明ですから、そういうことで理解しておきたいと思います。
 次に、警察庁の方でこの二月に、暴力団対策法施行一年の成果と今後の課題ということについて発表しておられますが、全体として対立抗争が減った、これらはこの資料にも載っているわけです。
 そこで、この機会に伺っておきたいのですが、指定三暴力団、重点対象三団体、これらの構成員と準構成員が一九九一年度と九二年度の両年にわたってどういうふうに推移していっているか、ここのところだけ数字を挙げて御説明をいただきたいと思うのです。
#86
○廣瀬政府委員 まず重点対象三団体の平成三年末の数字を申し上げたいと思います。
 山口組につきましては、構成員が約二万三千百人、準構成員が約一万二千三百人、稲川会につきましては、構成員が約七千四百人、準構成員が約二千四百人、住吉会につきましては、構成員が約八千人、準構成員が約二千九百人でございます。これら三団体の合計は、構成員で約三万八千五百人、準構成員で約一万七千六百人でございます。
 暴対法施行後の平成四年末の状況でございますが、山口組が、構成員約二万二千二百人でマイナス九百、準構成員が約一万五千人でプラス二千七百、稲川会が、構成員約六千九百人でマイナス五百、準構成員約二千九百人でプラス五百、住吉会が、構成員約八千人でプラマイゼロ、準構成員約三千四百人でプラス五百人でございます。三団体の合計では、構成員が三万七千百人でマイナス一千四百、準構成員が二万一千三百人でプラス三千七百人となっております。
#87
○吉井(英)委員 まず最初に伺っておきたいのは、暴対法施行一年で、いただいている資料を見ておりましても、九一年末と九二年末で全構成員数に対する重点対象三団体の構成員数の割合で見ると、絶対数は確かに減っているのですが、六〇・三%から六五・六%へと逆に寡占率が高まっている。だから、暴対法というのは、小さな暴力団といいますか、そこには非常に効果があったんだけれども、三団体については必ずしも大きな効果があらわれていないのじゃないかとも受け取られかねない面があるわけです。この点についてはどういうふうに評価をしておられますか。
#88
○廣瀬政府委員 御指摘の寡占化が進んでいるわけでございますが、この寡占化といいますのは構成員と準構成員を含んだ勢力で出しておりまして、平成四年の寡占化率が六五%、平成三年が六二%になっております。
 これは先ほど来御説明してまいりましたが、一つは弱小の暴力団がここへ吸収されたというのもございますが、警察におきましてフロント企業の取り締まりを昨年かなりやりました。このフロント企業の発掘をいたしますと、そこに新たな準構成員の把握ができた、そういうこともありまして寡占化率がさらに高まったということでございます。
 いずれにいたしましても、昨年、暴対一年で頑張りました。そして、その結果、今日一番大きな問題と考えておりますのは、この寡占化対策に対しまして取り締まり等を強力に推進してまいりたいという問題意識を持っております。
#89
○城内政府委員 一点補足させていただきたいと思います。
 先ほど寡占化の伸びの話がございましたけれども、実は、先ほど確かに平成四年について見ますと三%の伸びということでございますが、その前の年の平成三年末で見ますと、対前年比の伸びがそのときは一四%なんですね。プラス一四%ということでございますので、明らかに寡占化傾向の鈍化の兆しが出ておる、こういうことでございます。それまでは、大きな暴力団が小さな暴力団をどんどん吸収する動きがあったわけでございますけれども、暴対法ができまして、これは一つの暴対法の効果ではないかと思いますが、ややそこに寡占化の伸びが鈍化するという動きが出てきておる。これを何とかひとつ定着させたいものだと私ども努力しておるところでございます。
#90
○吉井(英)委員 いただいた資料によりましても、今おっしゃったように九〇年末と九一年末にかけては伸びているのが、九二年の末は減少。だから、絶対数では確かにおっしゃったように効果が出ているわけです。それを否定するものじゃないのです。ただ、全構成員に対する比率、これが、いただいた資料によりますと、六〇・三%から六五・六%となっているわけですね。この点では寡占化率が高くなっている。これはやはり一つの問題だと思うのです。
 あわせて、先ほどお答えいただきました構成員と準構成員を合わせて見ていきますと、山口組の場合には九一年末から九二年末にかけて千八百人ふえているわけですね、構成員は九百入減ったが準構成員が二千七百人ふえているわけですから。稲川会は、構成員が五百人減って準構成員が五百人ふえたということは、これは上手に名簿をすっと横へ移したんかいなという感じがせぬでもないわけですが、プラス・マイナス・ゼロ。住吉会の場合には、構成員はふえも減りもしていないが、準構成員がふえている。ですから、三団体の合計で見ますと、実はこの一年間で、せっかく暴対法を施行したのに、構成員と準構成員を合わせた合計では二千三百人ふえているわけですね。ですから、構成員に関しては、おっしゃったように確かに効果は出た。しかし構成員、準構成員を合わせると逆にふえているということは、やはりここのところはかなり考えなければいけない問題があるなというふうに思うわけです。
 私は、こういう点で、今後三団体壊滅に向けて、国家公安委員長もまた警察庁長官も、暴力団壊滅が基本原則なんだ、方針なんだということを従来より言明してこられました、それだけに、こういう構成員、準構成員を合わせたこの傾向を見たときに、頑張ってもらっているんだけれども、一層の効果を上げていくという、こういう点が今非常に大事な課題になっていると思うのです。この点についての国家公安委員長のお考えと、なお壊滅に向けての取り組み強化についての警察庁長官の決意のほどを伺って、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
#91
○城内政府委員 ただいま委員の御質問にありましたように、現在、警察における最重点として暴力団対策というものを進めておるわけでございます。
 私どもはこれを三本柱で進めておるわけでございまして、一つは強力な取り締まり、二つ目は暴対法の効果的な運用、それから三番目が暴力団排除機運の醸成、このことは就業対策とかいうところまで含めて、私どもとしては、取り締まりはやるけれども足抜けの相談には応じないというようなことでは困りますので、そこら辺まで含めてやっておることでございます。暴力団対策としてはまだ緒についたばかりでございまして、これからさらに持続的な努力をしてまいりたいと思います。
#92
○村田国務大臣 御指摘になられました三団体は、暴力団の中でも殊のほか国民生活の平穏や経済システムの健全性に重大な脅威を及ぼしてきておるところであると認識しております。
 警察におきましては、ただいま城内長官から決意の表明がありましたように、これら三団体に対して従来から集中的な取り締まりを行ってきたところでございますが、実際に暴力団の活動をしっかりと抑えるというのは国家的な使命でもございますので、私もしっかりと警察庁を督励いたしまして、御指摘の点については今後努力をしてまいりたいと思います。
#93
○吉井(英)委員 終わります。
#94
○中馬委員長 御苦労さまでした。
 高木義明君。
#95
○高木委員 日ごろより、社会正義を貫くための諸活動を進めておられる当局の皆さん方には敬意を表する次第でございます。
 これまでの質疑と若干重複する点もございますが、お許しをいただきまして、我が党の立場から基本的な点について質問を申し上げます。
 まずは、何と申し上げましても、暴力団対策の総合的、効果的な推進を図ることを目的とした暴力団新法が施行されましたが、一年経過をするわけであります。国家公安委員会の資料によりますと、この一年間、全暴力団の構成員数が約七千二百入減少した、平成四年末には約五万六千六百人という状況である。また、重点対象の三団体の構成員数は、これは前者に比べますと極めて減少率は低いという問題点を残しながらも約千四百入減少し、現在約三万七千百人という状況である。一方、対立抗争の発生回数は、この一年間、八回減少しておる、平成四年の実績は三十九回、銃器発砲の発生回数は、これまた八回減少しまして百七十四回という報告がございますが、この暴力団新法がどれほどの効果があったのか、もちろん社会の機運の盛り上がりを含めてでございますけれども、その点について当局としての認識の把握について御説明をいただきたいと思います。
#96
○廣瀬政府委員 暴対法施行一年の経過という御質問でございますが、議員から御指摘がありましたように、この暴対法によりまして暴力団を反社会的集団と定義いたしましたことによりまして、国民各界各層の暴力団許すまじという暴排機運がかつてないほど高まったところでございまして、また、そういう機運に基づきましていろいろな暴排活動が全国各地で積極的に展開されたということでございます。暴対法の直接具体的な効果というものではございませんけれども、暴対法が施行されたということによりまして、世の中の関心が大変高まって、それが厳しく暴力団の行為を監視する、そういう結果にもつながったのではないかというふうに思っております。
 具体的にどういう成果が上がったかということでございますが、まず第一に暴力団の民事介入暴力、いわゆる民暴、さらには九条各号に掲げております暴力的要求行為でございますが、これに対する抑止効果がかなり出てきたということでございます。二月末までで三百四十二件の命令をかけたところでございまして、こういう民事介入暴力の被害の未然防止が一定程度図られたということが第一の成果と言えると思います。
 第二の成果は、暴力団の対立抗争の激減並びに銃器発砲事件の減少ということであろうと思います。これも暴対法で指定された暴力団同士が対立抗争をやりますと、事務所の使用制限等がかかるというようなことも影響したのだと思いますが、抗争事件の発生回数が減ったということでございます。
 それから三点目は、お話にありましたように、暴力団の組織離脱化傾向が一段と顕著になってきた、そして暴力団の内部も大変動揺しているということでございます。そういうことを端的に示す事件といたしまして、けん銃をロッカー等に放置していくというようなものもかなりあったわけでございます。資料にも提出しておきましたのですが、平成四年で、これは傘下組織が主でございますけれども約百六十組織が解散になっているところでございまして、これは暴対法ができます前の平成二年中は八十組織でございましたので、約二倍解散組織がふえたということでございます。また、昨年中できました暴追センターあるいは警察に対しまして寄せられました離脱の相談、これも一千九百三十五件でございまして、前年が二百六十件でございましたので、七倍の増加ということでございます。
 このように一応の成果が上がったのではないかというふうに思っておりますが、まだまだ暴対法の施行あるいは暴力団総合対策は緒についたところでございますので、むしろこれからが正念場ということで、懸命に頑張ってまいりたいと思っております。
#97
○高木委員 暴力団新法の施行によりまして、新たに暴力団が株式会社あるいは宗教法人、各種団体へと名称を変更するケースが目立っておると言われておりますけれども、これらの現状の動きについてどのように把握され、認識をしているのか、お尋ねをいたします。
#98
○廣瀬政府委員 まず、暴力団による会社設立の動向でございますが、特に五代目山口組でございますけれども、これは暴対法の施行前の昨年一月初めでございますが、各直系組長に対しまして会社設立を指示したところでございます。この指示に基づきまして短期間に多数の会社が設立されたということを確認いたしております。
 また、宗教法人につきましても、五代目山口組の直系組長が既存の宗教法人の代表役員に就任している、これは一件でございますが、そういうものを確認いたしております。
 さらに、暴力団による政治団体の届け出につきましても、自治大臣または県の選挙管理委員会に届けを出していることを確認いたしております。
 こうした動きは、暴力団対策法に基づく規制から逃れることを企図したものではないかというふうに見られるわけでありますが、会社としての設立の経緯あるいは経営実態、宗教法人の代表役員の変更の経緯及びその手続、政治団体としての活動実態等を十分に検証いたしまして、これまでこの会社設立あるいは宗教法人の代表者就任、そういうものにつきまして犯罪行為がございましたので、そういうものは速やかに検挙したところでございます。今後とも、この種偽装行為といいますか、そういうものにまつわる犯罪があれば的確に検挙してまいりたいというふうに思っております。
#99
○高木委員 最近の暴力団の資金獲得状況の実情を踏まえて、今回、法第十条に新しく加えられました、何人も、指定暴力団員が暴力的要求行為を行う現場に立ち会い、この暴力的要求行為を助けてはならない、こういう項がありますが、これについて、これまでより新しく規制される行為というのは具体的にはどういうものを指すのか、御見解をお伺いしておきます。
#100
○廣瀬政府委員 法十条第二項では、何人も現場に立ち会って助けてはならないというふうにしておりますが、これは暴力団対策法の命令の運用を今までしてまいったところでありますが、その実際のケースを見ますと、暴力的要求行為の現場に立ち会いまして助ける事例が相当見られるというのが実態でございまして、そこで新たに規制する必要があると判断したものでございます。
 ちょっと具体的に幾つかのケースを御紹介させていただきたいと思いますが、指定暴力団員の立ち会い助ける行為という例でありますけれども、指定暴力団員によるパチンコ店に対するみかじめ料の要求行為の現場に同じ組の組員が同席して要求行為者と一緒にどなるなどしたというような場合、あるいは指定暴力団の傘下組長が配下の組員と一緒に縄張り内の事業者を訪れまして、組長がまず名のりを上げまして、いいつき合いをしたい、そういう旨だけ告げまして立ち去っちゃった、そして組員が組の威力を示して具体的に金品の要求をしたというような事例がございます。
 また、一般人の立ち会い助ける行為といたしましては、例えば会社役員が愛人関係のもつれから、その相手方に損害賠償を要求しようとして知り合いの指定暴力団に依頼し、その暴力的要求行為の現場に同席して、一般人の方が借用証を書かせたというような事例がございます。また、会社社長が会社の倒産にかかわる損害賠償をめぐる交渉で、指定暴力団に依頼して暴力的要求行為を行わせ、みずからもその場に同席して要求金額の明細を告げた上、相手方をどなりつけるなどした事例がございまして、このようなたくさんな事例があるということでございます。
#101
○高木委員 暴力団員の暴力団からのいわゆる離脱の問題、これが重要な問題でありますが、こういった暴力団員の離脱と社会復帰を促進するために、今回公安委員会が、暴力団からの離脱を希望する者に対しては暴力団からの離脱と社会経済活動への参加のために必要な措置をとることとしておりますが、この点について具体的にはどのようなことを考えておるのか、お尋ねをしておきます。
#102
○廣瀬政府委員 まず法二十八条一項の規定によります援護等の措置ということでございますが、これは暴力団離脱希望者の社会復帰のための施策のうち、離脱者を雇用しようとする者と離脱者との面接に警察職員が立ち会う、あるいは暴力団離脱者の経緯等を事業者に対して説明する、離脱者を雇用した事業者の保護対策をしっかりやる、こういった警察でなければ実施が困難と思われますことを実施してまいりたいということでございます。
 また、同条二項の規定がございまして、これは啓発等の規定でございますが、離脱者の就業一つとりましても、この二十八条一項の援護等の措置を推進し実効あらしめるために、この二項の啓発措置は必要不可欠なものと考えておりまして、二十八条一項、二項はそれぞれ密接不可分の関係に立つものと考えております。とりわけ元暴力団員であっても、真に離脱した者を社会復帰させるため雇用しようという気持ちを多くの事業者の方々に持っていただくということが前提になるわけでございますが、そのように誘導するといいますか啓発をしていくためには二項の啓発を大いにやってもらわなければならないわけでありますが、これは、実際に警察が暴力団に対して警告する、あるいは離脱者を保護する、そういう仕事をやっている者が二項で啓発の仕事に当たるということが説得力もあり、また世の中の理解も得られるというふうに考えまして、二項を規定したわけでございます。
 今後、この対策をやっていくためには民間あるいはいろいろな行政機関の協力が重要でございますので、法務省矯正局あるいは保護局ともよく連携をとりながら、この規定の実効が上がるように努めてまいりたいと思います。
#103
○高木委員 これで終わります。ありがとうございました。
#104
○中馬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 午後三時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十分開議
#105
○中馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 本案は、先ほど質疑を終局いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#106
○中馬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○中馬委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#108
○中馬委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣提出、地方交付税法等の一部を改正する法律案審査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#109
○中馬委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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