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1993/01/26 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第3号
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1993/01/26 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第3号

#1
第126回国会 本会議 第3号
平成五年一月二十六日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成五年一月二十六日
    午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
    午後二時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。水田稔君。
    〔水田稔君登壇〕
#4
○水田稔君 私は、二十二日に行われました宮澤総理の施政方針演説に対し、日本社会党・護憲民主連合を代表して質問いたします。
 ことし一月にはECの市場統合が発足し、アメリカではブッシュ大統領にかわってクリントン氏が大統領に就任、韓国でも金泳三氏が大統領に当選されるなど、我が国を取り巻く情勢は、新しい時代への転換点に立っていると言えます。
 また、本年七月、サミット、先進国首脳会議が日本で開催されます。ここでは、昨年一千億ドルを超す貿易黒字を出した我が国経済運営について、安定した経済成長、内需拡大、そして国際経済への寄与、貢献などが求められることが予想されます。
 こうした情勢にもかかわらず、我が国経済の現状は、バブル経済崩壊後、政府は公定歩合の引き下げ、十兆七千億円の補正予算などの景気対策を講じてきたのにもかかわらず、今なお個人消費、民間設備投資は回復せず、企業の三月期決算では、企業収益が悪化の見通しとなっています。今必要なことは、生活関連社会資本の充実、低迷する消費回復など、一人一人の暮らしを大切にし、また国際経済に寄与できる実効ある不況対策であります。
 このような施策を進める上でも、総理は、政治改革はすべての改革の出発点と言われましたが、私は、政治と金、暴力団とのかかわりが明らかになった佐川問題の徹底解明こそ政治改革の出発点にしなければならないと思うのであります。(拍手)
 こうした問題を基本に置いて、以下、具体的な質問をいたします。
 まず、総理の政治姿勢と当面の緊急課題となっている政治改革についてお伺いいたします。
 国民の政治不信と政治に対する怒りは、今や頂点に達しています。その原因の第一は、長年政権交代のない中で、立法、行政全般においてよどみや停滞を招き、政治と官界と業界等の癒着の中から繰り返されるスキャンダルにあることは明白であります。このことは、一党独裁とも言うべき状態を許してきた私たちにも責任があると言わなければなりませんが、国民の政治不信を解消し、民主主義をより発展させるためには、政治にかかわる者が、与野党を問わず一丸となって国民が納得する具体的なあかしを示すことでなければなりません。
 そこで宮澤総理に伺いますが、あなたは、佐川問題で金丸元副総理に対し国民が議員辞職をすべきであると大きな声を上げたにもかかわらず、あえて金丸氏の副総裁辞職についても強く慰留されました。しかし、結局、国民の声で金丸氏は辞職せざるを得ませんでした。そして今、政権樹立に暴力団が関与したと、国民の大多数が竹下元総理に対し同じように議員辞職を求めています。
 昨日の我が党の山花委員長の質問にも具体的にお答えになりませんでしたが、総理は今でも、竹下氏の議員辞職については、あくまで個人の問題として逃げるおつもりでしょうか。国民の政治に対する信頼回復のため、総理・総裁として、この問題に対して一定のけじめをつけるべきだとは思いませんか。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 また、我が党は、既に政治改革の具体策として政治腐敗防止関連三法案を提唱しており、選挙制度についてもこれまで具体的な提言を行ってきました。
 最高裁は、さきの総選挙での一票の格差について、多数意見として、三・一八倍は違憲状態ではあるが合憲であるという不可解な判決を下しました。これに対し宮澤総理は、違憲状態は既に解消されているとの認識に立たれているとのことでありますが、率直に言って、国民感情と大きくかけ離れていると言わざるを得ません。我々は積極的な提案をすべく準備を急いでおりますが、総理は、今国会で選挙制度の抜本改正を本気で行うつもりはあるのでしょうか。この場で明言していただきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、国民の政治不信を買ったものに、選挙の際の公約が守られず、ほごにされた問題があります。その一つが消費税の問題であります。
 自民党は、さきの総選挙で消費税の見直しを公約いたしました。選挙後、自民党政府は一兆一千三百五十億円の減税案を、私どもは消費税廃止法案を提出しましたが、いずれも廃案になりました。その後の協議で与野党で合意し、実施されたのは、わずか一千六百億円の減税にすぎません。それ以降の協議は打ち切られ、政権政党の見直しの公約さえ守られないことに、国民は不満と政治不信を増幅しているのであります。
 これまでの経緯から、我が党は当面、飲食料品の全段階非課税を実施すべきだと考えますが、この点を含め、自民党の公約であった消費税の見直しを行うべきだと思いますが、宮澤総理、また自民党総裁として、これをどうされるつもりか、お伺いをいたします。(拍手)
 次に、経済政策についてお伺いいたします。
 我が国経済は、一昨年四月ごろから既に下降し始め、一昨年末から昨年初めには複合不況に突入していたにもかかわらず、政府は十月、緩やかに減速しながら引き続き拡大、そして昨年一月の百二十三国会における経済演説においても、これまでのやや過熱ぎみの高い成長から、堅実な消費、健全な企業活動に支えられ、インフレなき持続可能な成長経済に移行する過程と報告しています。この政府の認識判断が実体の経済、国民の生活実感といかにかけ離れたものであったかは明らかであります。
 政府は、昨年三月の緊急経済対策に続き、八月には、金融対策、内需拡大のための総合経済対策を打ち出しましたが、時期的なおくれとその内容が不十分であったため、今日まで十分な成果は上がっておりません。宮澤総理は、経済の宮澤と言われながら、総理就任以来一年三カ月、景気は低迷したまま、毎月一千件を超す倒産が続いておるのに、効果のある対策をとり得なかった責任は重いと思いますが、まず、この点どのようにお考えか、伺いたいと思います。(拍手)
 政府は、総合経済対策において金融システムの安定性の確保などの措置を講じ、また、景気回復のため五回にわたる公定歩合の引き下げを行いましたが、結果は、民間設備投資も個人消費も回復せず、景気は冷え切ったままで、金融機関の利ざやを拡大することになっただけではないでしょうか。景気対策として今必要なことは、公共事業だけでなく、冷え切った個人消費をどう回復するか、どういう形の民間設備投資を起こすかということであります。
 個人消費をふやすためには、勤労者の収入をふやすこと、また、実質収入をふやすためには、所得減税が不可欠であります。
 不況が続く中で、勤労者の賃金は、時間外が減り、賞与、一時金が抑えられるなど、実質収入が減っています。これも景気回復のおくれの一因となっています。今、春の労使賃金交渉を前に経営者側は、不況だからと賃金抑制を強く打ち出していますが、私は、経済が厳しいからといって賃上げを抑えると、消費が下がって景気をさらに悪くする悪循環になると思います。労働分配率を見ても、アメリカ、ヨーロッパの工業先進国に比べて日本は七一%と低く、高度成長の中での蓄積もあるのですから、倒産しそうな企業までとは言いませんが、そこに働く勤労者の生活と景気回復のためにも、経営者側も賃金引き上げに努力すべきだと思います。もちろん、これは本質的には労使の問題ではありますが、総理の御所見を伺っておきたいと思います。(拍手)
 次に、所得減税についてお伺いいたします。
 九三年度政府予算案に盛り込まれた税制改正は、所得減税が見送られるなど、国民の期待を裏切る内容となっています。また、懸案であった利子、株式譲渡益等の総合課税化も先送りされるなど、資産所得に対する優遇、有利性は依然として放置され、不公平税制是正に取り組む宮澤内閣の消極的な姿勢があらわになったものと指摘せざるを得ません。
 政府の各種統計は、国民総生産の六割を占め、景気の下支えが期待されている消費部門が逆にその足を引っ張りかねない深刻な実態を鮮明にしています。また、平成三年分民間給与の実態は、一人当たりの所得税額が前年比九%、二万五千円もふえ、給与の伸びの五%を大きく上回るとともに、給与所得に占める所得税の割合も三十四年ぶりの高水準を記録するなど、勤労者の重税感を数字の上で裏づけています。このように重税感が強まり、不況下で収入も伸び悩んでいる中で、物を買えと言う方が無理であります。旧態依然とした公共投資一辺倒の姿勢を改め、景気回復の最も現実的な選択として大幅な所得減税が実行されてしかるべきだと考えますが、大蔵大臣の御見解をお尋ねいたします。(拍手)
 次に、投資減税についてお伺いいたします。
 民間設備投資が回復しないのは、これまで高成長を見込んで安い金利で過剰の設備投資がされており、消費が冷え、在庫調整も進まず、そのため、公定歩合を下げても下げても、景気循環型の不況と違って設備投資は起こってこないのであります。民間設備投資が動くようにするためには、これまでの量的なものから質的なものに変えていく必要があるのではないでしょうか。例えば労働時間の短縮、職場環境の改善、二十一世紀へ向けての新規の事業、そのための研究欄発などに思い切った投資減税といった施策を考えるべきだと思いますが、宮澤総理の御見解を伺いたいと思います。(拍手)
 次に、経済見通しについてお伺いいたします。
 平成四年度の実質国民総生産の伸びは、政府目標の三・五%を大きく下回る一・六%となりました。その上、政府は、平成五年度の伸び率を三・三%としています。この数字は、多くの民間調査機関が二%台に集中していることを考えれば、かなりかけ離れた数字と言えます。しかも、民間の調査機関は大幅な所得減税を加味しての数字でありながら、政府は減税なしで三・三%という数字を表明しています。三・三%という数字が政府の努力目標と受けとめますが、総理は一体どのような経済見通しを持っておられるのか、そしてどのような努力をされるのか、その具体的な内容をお伺いいたします。
 特に、総理は、補正予算について言及しており、補正含みの当初予算と見られていますが、補正の時期と規模についてどのようなお考えを持っておられるか、お伺いをいたします。
 さて、昨年、総理の打ち出しました「生活大国五か年計画」についてお伺いいたします。
 私は、「生活大国」の「大国」という言葉を使うのはどうかと思うのでありますが、五カ年計画そのものは評価しています。しかし、その実施のための具体的な施策が何ら明示されておらず、その目玉とも言える年収の五倍での住宅の取得も実現の可能性の薄いものになっています。
 また、この計画の基本は、年平均三・五%の成長を見込んでの計画でありますが、その初年度である九二年度の成長率が一・六%、そして九三年度の政府見通しは三・三%であり、しかも実際にはさらにこれを下回ると思われるのであります。これでは当然税収が不足となり、「生活大国五か年計画」の達成は困難で、絵にかいたもちになるのではないかと心配されます。達成の見通しを総理はどのように見ておられるのか、お伺いいたします。(拍手)
 また、総理は、消費者や生活者重視が生活大国づくりの基本理念であると言われていますが、私は、消費者保護とそのための製造物責任法についてのこれまでの政府の取り組みを見て、甚だ疑問に思うものであります。
 御承知のとおり、製造物責任法については、既に昭和五十年、十五年以上も前から国民生活審議会消費者政策委員会で立法化の必要性が指摘されてきたのであります。そして昨年十月十九日、同委員会は「総合的な消費者被害防止・救済の在り方について」の報告を行っております。
 そこでは、「いったん製品の欠陥に起因する事故が発生した場合には、消費者被害の迅速かつ十分な救済が行われる必要がある。」としながら、「産業界でその必要性、経済・社会に対する影響等について疑問や懸念が強い」として、再び結論を一年間先送りしたのであります。これでは、宮澤総理の唱える消費者優先の生活大国は看板倒れであります。年内には必ず何らかの結論を出すことができるのか、総理にお伺いいたします。(拍手)
 さて、今回の税制改正がいかに国民の期待から遊離したものであるかを端的に示しているのが居住用資産の買いかえ特例の復活であります。都市部だけでなく周辺地域にまで地価高騰を波及させたバブルの元凶として廃止されたのが五年前であります。それを、地価が適正水準まで下がり切ったとは思えないこの時期に、条件つきとはいえ、突如復活しようとする意図、目的が私には全く理解できません。資産譲渡者の八〇%が現行三千万円の特別控除の枠内におさまっています。安定的であるべき土地税制の朝令暮改はかえって土地の売り惜しみを招くと政府が繰り返し力説してきたことを忘れるべきではありません。買いかえ特例復活を撤回し、地価税の維持、拡充こそが、宮澤内閣の掲げる生活大国実現に寄与するはずであります。大蔵大臣の率直なお考えをお示しいただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、外交政策についてお伺いいたします。
 アメリカで、四十六歳のクリントン氏が大統領に就任しました。クリントン大統領は、財政赤字削減など国内問題を初め、イラク、旧ユーゴ、ソマリアの問題など多くの課題をブッシュ政権から引き継ぐことになります。この中でも、アメリカのイラク再攻撃に対して、国連決議を逸脱するものとの内外の批判があります。政府は、いち早く空爆支持を表明しましたが、その根拠は一体何なのか、明らかにしていただきたいのであります。
 アメリカの再攻撃を見れば、イラクをめぐる状況は何ら改善されたわけではなく、湾岸戦争とは一体何だったのかと再び疑問を提起せざるを得ないのであります。憲法の平和主義の精神に沿って平和的解決に努めるのが日本外交の第一の責務であります。
 湾岸地域の平和を回復するため、またイラクが国際社会の一員として復帰するために、武力行使の悪循環を断ち切る外交努力が必要だと思います。宮澤総理は、平和へ向けた調停に立つ用意があるか、お伺いをいたします。(拍手)
 ODA予算が初めて一兆円の大台に乗ったことは評価されますが、GNP比〇・七%の国際目標にはまだ遠く、またODAの質が問われています。一方で、途上国の武器の製造、武器移転の問題が地域紛争との関係で憂慮されています。海部前総理が提案した政府のODA四指針を一歩進め、顕著な軍拡を行う途上国に対しては援助を薄く、軍縮を行い、例えばGNP比二%以下に軍事費を抑制する途上国には援助を厚くするという平和原則の基準を設定する考えはありませんか。軍事支出の大きな国への援助は、国民感情からいっても納得のいくものではありません。また、地域紛争の予防にも役立つと思うのでありますが、外務大臣の見解をお伺いいたします。
 次に、農業政策について伺いたいと思います。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉においては、米を犠牲にするような妥協を行う必要は全くなく、今後ともガットの場で米の自給と農産物の輸入制限を認めているガット十一条二項(C)の存続を強く訴えていくべきであります。
 しかし、米の市場開放を阻止することだけが我が国農業の再建に資するわけでは決してありません。過疎化、高齢化、後継者不足といった現在の
我が国農業、農村の状況を見るならば、これは外圧だけでなく、内側から崩壊し続けていると言っても過言ではありません。とりわけ、我が国耕地面積の四二%を占める中山間地域農業の危機は深刻であり、緊急かつ重点的な施策の実施が必要とされています。今月十四日に発表された農政審議会の中間取りまとめでは、中山間地域における生活環境整備や高付加価値型農業への転換、新たな融資制度の導入などがうたわれていますが、これでは従来の政策から踏み出したとは言いがたく、農村崩壊の進む中山間地域への緊急対策としてはいかにも不十分と言わざるを得ません。我が党は、これらの条件不利地域に対して、ECなどで導入されている直接的な所得補償、いわゆるデカップリング政策を柱とする特別な定住政策を講ずべきであると考えますが、農水大臣の中山間地域対策についての考え方をお聞かせいただきたいのであります。(拍手)
 次に、森林・林業政策についてお聞きします。
 衰退する森林・林業の再建を目指し、昨年、民有林・国有林一体となった流域管理システムがスタートしました。御承知のように森林は、木材を供給するだけでなく、水資源の涵養、土砂崩壊防止、保健休養、大気浄化など、多くの公益的機能を有しており、その評価額は、林野庁の試算で年間約三十二兆円と言われています。森林・林業の再建は国民的願望でもあります。しかし、森林整備を推進するためには、解決しなげれぼならない問題が山積しています。
 一つは、費用負担のあり方の問題であります。森林を社会資本、公共財と位置づけ、森林整備に対する費用への財政措置の拡充や、森林所有者への税制上の優遇措置等を図るべきであります。
 そして、いま一つは、担い手対策であります。森林整備計画の推進を図るには、林業労働者に対する他産業並みの労働条件の確保、技術の伝承、若年就労対策などのきめ細かい助成を柱とする新たな立法措置が必要であると考えます。
 林業再建に向けての費用負担のあり方、担い手の安定確保に関して農水大臣のお考えをお示しいただきたいのであります。(拍手)
 続いて、環境問題についてお尋ねをいたします。
 昨年六月、リオデジャネイロで地球サミットが開かれ、リオ宣言、アジェンダ班並びに地球温暖化枠組み条約など、地球環境を守るための合意がされました。我が国は、この合意を率先して実行すべきだと考えますが、政府は具体的にどのように取り組まれようとしているのか、まず伺います。
 また、今国会に環境基本法を提出する予定と伺っておりますが、私は、この基本法には、市民参加を保障するアセスメント法、情報公開制度、自治体の権限拡充などが不可欠であると思うのでありますが、総理はどのような御見解をお持ちか、お伺いいたします。
 また、本年六月には、渡り鳥にとって重要な湿地の保全のためのラムサール条約第五回締約国会議が我が国で開かれます。現在、我が国の登録湿地は釧路湿原を初め四カ所ですが、せっかくの機会ですから、ぜひ登録湿地をふやしていただきたいと思いますが、そのようなお考えはおありでしょうか。あわせて総理にお伺いいたします。
 イギリスのシェトランド諸島沖で起きた原油流出事故からまだ半月しかたたないのに、スマトラ沖で日本企業のチャータータンカーと日本へ原油を運ぶ途中の大型タンカー、マースク・ナビゲーター号が衝突し、ナビゲーター号は火災を起こして、今なお大量の油が流出しているのであります。
 油流出による海洋の汚染は取り返しのつかぬほど広範囲に生態系を破壊し、その回復には膨大な費用がかかるのであります。今、タンカーの船底を二重にすることが義務づけられましたが、船体強化だけでなく、事故を起こさぬ安全航行が一番の防止策であります。世界で有数の石油輸入国である日本が、安全な航行と敏速な処理のための国際協力体制をつくるためイニシアチブをとるべきだと思いますが、総理はどう考えられるのか、お伺いいたします。
 また、地球規模の環境保全をより一層進め、また無秩序に推し進められてきたモータリゼーションへの反省という観点からも、物流全体の見直しの中で、特にモーダルシフトを積極的に推進する必要があると考えますが、いかがでしょうか。あわせて御答弁を願いたいと思います。
 最後に、小泉郵政大臣の発言についてであります。
 小泉郵政大臣は、就任以来、新旧の政務次官との確執をあからさまにしてまで、もうかる事業をどんどん民間に移し、預貯金の利子引き下げや過疎地域のサービス低下につながる三事業の分割・民営化をねらった発言を繰り返しています。これらの発言は、これまで官民の切磋琢磨した競争を通じて国民サービスの向上に大きく寄与してきた郵便、貯金、保険事業を瓦解させようとするものであり、断じて許すことができません。この際、発言の重大さを指摘し、今後、関係各委員会で追及していくことを申し上げておきます。
 私は、経済、国際問題に強いと言われた宮澤総理が実現したとき、バブル崩壊後の経済の立て直し、政治改革、また激動する国際社会への対応などに大いに期待した者の一人でありました。しかし、宮澤内閣発足後今日まで、景気は低迷したまま、また佐川問題の解明には積極性を欠くなど、期待は全く裏切られたのであります。これは私だけでなく、多くの国民からも失望と不信を買ったのではないでしょうか。
 私が質問いたしました各項目について、かつて私どもが期待した宮澤総理の持ち味で、国民が聞いて、なるほど、それなら景気は確かに回復する、政治は信頼できるものに変わる、また国際貢献のためにお金を出し、汗を流すことが納得できるという具体的な答弁を要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 水田議員にお答えを申し上げます前に、お許しをいただきまして、昨日の本会議における石田委員長の御質問に対する私の答弁を追加させていただきとうございます。
 御質問は、早期に金泳三新韓国大統領と意見交換する機会を設けるべきであると考えるがどうかという、こういう御趣旨でございました。
 お答えを申し上げます。
 日韓関係の発展は、両国にとってのみならず、アジア・太平洋地域における平和と繁栄にとっても極めて重要でございます。私としては、このような日韓関係をさらに発展させるため、金泳三新大統領と緊密に協力してまいりたいと思います。そのためには、同大統領との間で十分な意見交換を行っていくことが重要であり、御指摘のとおり、早期に同大統領との間で意見交換を行う機会を得たいと考えております。
 水田議員にお答えを申し上げます。
 政治不信について最初に御指摘がありました。
 ただいまの国民の政治不信は、私自身がつて経験したことのないほど深刻なものだと痛切に感じております。もとよりこの信頼を回復するためには、政治家個々人の倫理の確立が大事であることは申し上げるまでもございませんけれども、さきの国会で成立しました緊急改革に引き続いて、政治の構造にまで立ち入った抜本的な改革をぜひ実現しなければならないと考えております。この国会におきまして立法を得て、この抜本改革をぜひとも実現をいたしたい、私としても強くこのような決心をいたしておりますし、またよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、選挙民に選ばれました議員の責務は、選挙民から信頼され、その負託にこたえて国政に従事するということでございます。選挙民の信頼があるか否か、また、選挙民の負託にこたえて活動ができるかどうかは、最終的には本人によってのみ判断される問題だと思います。したがいまして、議員の身分に関することは、基本的には議員自身が判断すべきものと思います。
 なお、さきの国会で成立いたしました九増十減による定数是正は、もはや放置できない選挙区間の定数格差をあくまでも緊急の措置として是正したものというふうに認識しておりまして、自由民主党が作成いたしました「政治改革の基本方針」におきましては、小選挙区制の導入に当たりまして、「選挙区間の人口格差は二倍未満とすることを基本原則とする。」このように考えておりますことを申し添えておきます。
 それから、消費税の見直しについて御指摘がございましたが、政府といたしましては、平成二年の三月に飲食料品の小売段階における非課税化等の特例措置を含む消費税見直し法案を提出いたしました。御審議をお願いいたしましたが、これは結局廃案となったこと、御記憶のとおりであります。
 そのような結果を踏まえまして、立法府としての結論を得べく国会において税制問題等に関する両院合同協議会が設置されました。そして、この点についての与野党間の御協議が行われたわけでございます。その結果、与野党間で合意が得られた事項については、平成三年の五月、議員立法によりまして消費税法の一部改正案が全会一致で成立いたしました。同年十月から実施されたわけでございます。この際に、御指摘の飲食料品の問題について引き続き協議が行われましたけれども、平成三年十月の協議会において、専門者会議座長から、各党会派の意見の一致は見られなかったとの報告がなされました。政府としては、こうした立法府における御議論の経緯、結果を踏まえてまいりたいと考えておるわけでございます。
 いずれにせよ、非課税を含めまして、消費税に係る特別な措置を考えます場合に、消費税そのものが課税ペースの広い間接税としての基本的な性格を持っているということ、また、経済取引への影響ということも忘れてはならない問題であるというふうに考えておるところでございます。
 次に、景気の現状について御心配、御指摘がございまして、私もその点はやはり憂いを同じくいたしております。在庫調整が、ある部分はほぼ終了いたしましたが、まだある部分は終了いたしておりません。引き続き低迷をいたしておりますし、資産価格の下落によりまして、家計、ということは消費ということでございますが、家計も、企業も設備投資等の面で大きな影響を受けておるのが現状でございます。
 昨年八月の総合経済対策、暮れには補正予算を通していただきましたが、平成五年度予算もその線上で、この不況克服、不況からの脱出のための施策を盛り込んでおりまして、平成五年度予算について申しますなら、財政投融資、公共事業関係の実施機関の投融資は一二・四%の伸び、地方単独は一二%、また生活関連の公共事業は七・一%という相当大きな伸びをこの平成五年度予算でも組み込んでおりまして、政府投資額は、その結果、平成五年度におきましては、四年度の補正後の実績見込みに対してなお九・五%増でございますから、住宅投資がやや堅調であることもあわせまして、これは今年のこれから何カ月かに必ず相当大きな影響をもたらすことは、これは間違いないところだと思っております。けれども、今回の不況が御指摘のように従来のいわゆる循環的なもののみではございませんので、景気の動向には注意深く、殊にこの数カ月、細心の注意を払う必要があると思っておりまして、機動的な対応を怠らないつもりでございます。
 それとの関係で、春闘にお触れになりました。
 おっしゃいますように、春闘における賃上げは、労使が自主的に交渉して決定するものでございますので、水準について私どもがかれこれ申すべきではございませんけれども、願わくは春闘に際して、労使が、町民経済的な観点も含めまして自主的かつ真摯に話し合いを行い、合理的な解決を図っていただくことを期待をいたしております。
 次に、設備投資についてお話がありまして、投資減税というものを政策手段として使うということは、私も御指摘のように賛成でございます。労働時間の短縮あるいは職場環境の改善等についても投資減税というものが有効である、中小企業等基盤強化税制であるとか、あるいはメカトロ税制などで十分配慮をいたしております。昨年秋に、総合経済対策の一環としていたしましたものは、中小企業の効率化、省力化、高度化、それから環境に配慮したエネルギーの有効利用、研究開発等々、それらに関する百三十設備を投資促進税制の対象として追加をいたしたようなわけでございます。
 それから、経済見通しをどう考えているかということでございますが、先刻申しましたような総合経済対策、さらに平成五年度の予算というものが作動をいたしますと、かなりの景気てこ入れの効果があることは明らかでございますが、それによりまして民間経済活動につなげていきたいと思っております。
 三・三%という実質成長率は一体達成できるのかということでございますけれども、そもそもこの三・三%というのが、昨年の四−六月期は成長率はゼロでございます、七−九月期はマイナス〇・四でございますから、そのような低いペースの上に三・三%ということは、実は余り大きな数字ではない、これくらいのことができなければいけないんだというふうに私は実は思っていまして、大変高いところからの三・三%でございますと、それはなるほど問題でございますが、ゼロ、マイナスというものを前年に持っているのでございますから、その上の三・三%ぐらいは、これは何とかやりませんといけないというふうに思っておりまして、まずこの景気の足取りを確かなものにするために、平成五年度予算の速やかな成立をお願いを申し上げたいというふうに思います。
 それから、補正予算というようなことを言われましたけれども、平成五年度予算、先ほど申しましたように景気に十分な配慮をいたしておりますし、また、中小企業あるいは雇用対策、住宅投資等の促進にも努めておりますので、この予算を早期に成立させていただいて、年度当初から施行をいたしますならば、必ず効果があるというふうに考えておるところでございます。
 それから、「生活大国五か年計画」の達成の見通しにつきまして、このような経済状況であると、この見通しのベースになっております年平均三・五%程度の成長というものは難しい、そうなれば生活大国の原資がなくなるという、そういう趣旨のお尋ねはごもっともなお尋ねと思います。そもそも、今のようなこういう経済状況でありましたら、実際、なかなかこれという施策は十分に行いがたい、むしろ、こういう経済状況そのものを何とか直さなければならないというふうに思っております。日本経済の、私は、潜在力というのは、高齢化社会に突入いたしたわけではございませんので、まだまだ相当な潜在力がある、それを顕在力に実際引き出すという、そういう経済運営がぜひともなくちゃならないんで、今のような状態は、これはまことに異常な状態で、これではいけないんだ、もっと正常な状態は、もう少し我が国の潜在力があらわれていかなければならないというふうに思っております。
 製造物責任制度につきまして御批判がございました。実は、これは生活審議会で非常な議論をしていただいておりまして、中には、外国、殊にアメリカにおけるような、いわば行き過ぎた弊害というものについての指摘があったりいたしまして、いろいろ関係者の間で合意形成に努めていただいております。今年中には結論を出していただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。
 それから、アメリカのイラク攻撃について御指摘がありまして、これは、イラクの再攻撃というのは国連決議を逸脱するものという御指摘でございましたけれども、イラクは停戦決議の受諾以降も安保理決議に対する違反を繰り返しております。最近では、航空機の国連特別委員会による使用を禁止する、あるいはイラク、クウエート間の非武装地帯からの武器等の奪取など、一連の決議違反がございました。それに対しまして、我が国としては、イラクに対する安保理事会決議の履行を確保するために、このたびとられました措置に支持を与えたわけでございますし、また、イラクに対して直接に、決議を履行されるように我が国としても説得をいたしておるというのが現在の立場でございます。
 地球サミットの合意事項につきましては、我が国は、リオの会議では非常に明確なコミットメントをいたしまして、我が国の態度は各国によく理解をされたところでございますが、今後とも開発途上国における環境問題への取り組みにつきまして、支援につきまして、率先して努力をいたします。
 また、環境基本法につきましては、中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会の答申におきまして、御指摘のように環境影響評価、アセスメントです、事業者、国民への情報提供、地方自治体の役割等について述べられておりますが、この答申を踏まえまして法案策定作業を進めているところでございます。
 それから、ラムサール条約について御指摘がございまして、この締約国会議が我が国で開催され
ますので、これを機会に、おっしゃいますように登録湿地を増加するように努力をいたしたいと思っているところでございます。
 それから、タンカーの安全航行につきまして、我が国は世界有数の石油輸入国でございますので、これまでタンカーの航行安全確保及び海洋汚染防止のために大きな関心を払ってまいりました。政府はかりでなく、タンカーのオーナー、海運界でも各種の協力を行ってまいりました。最近の事故の頻発を踏まえまして、安全航行並びに事故処理を敏速に行う体制について、IMO、国際海事機関を含む国際的な場で積極的に我が国も対応をしていきたいというふうに思っております。
 それから、モーダルシフトについてお話がございましたが、環境保全の立場から申しますと、例えばトラックよりはより環境への負荷が少ない、また輸送効率のよい鉄道あるいは海運へと輸送機関をできる限り転換していくということが必要である、そのように努めてまいりたいと思います。
 なお、残りの質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#6
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。
 ODAの予算が非常にふえたが、ODAを実行する上においては、軍事費をたくさん使うようなところには援助しない、そういうようなことで、平和原則の基準というものをつくったらどうですかと。私は、考え方は賛成です。賛成ですが、実際は難しい。
 と申しますのは、国によってやはり他国の軍事的脅威というのが違いますから。かつての韓国がかなり多額の軍事費をかけざるを得なかった、だからこれはODAの対象外だとはなかなか言えないし、イラクの場合、イラクの周りの国ですね、軍事費が三%、四%かかったから、これは援助の対象外だとなかなか言い切れない。しかしながら、考え方としては賛成ですから、できるだけそういうことも考慮してやっていきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#7
○国務大臣(林義郎君) 水田議員の御質問にお答えいたします。
 私に対する御質問は二つありまして、所得税減税の問題と借りかえ税制の話でございます。
 最初の所得税減税の話は、総理からいろいろとお話がございました。私も同じような考えでございますが、もう一度繰り返して申し上げますけれども、昨年の八月に史上最大の規模の十兆七千億円という総合経済対策を確立いたしましたし、昨年の暮れにはその柱となる補正予算が成立したところでありますし、今その本格的な実施に入っているところです。また、今お願いをしております予算案につまましても、景気に十分配慮しましたものといたしたところでありまして、この昨年来の総合経済対策が本格的に効いてくると思いますし、その後、平成五年の予算の効果が重なって出てくるのではないかと思っております。
 こうしたことによりまして、切れ目なく公共投資が執行され、政府投資額は五年度も、四年度補正後の実績見込み額に対しまして九・五%の増と相当の伸びとなる見込みでありますし、既に回復が見られました住宅投資も一層増加するものと考えられます。
 このように、政府投資と住宅投資が景気を緩やかに引き上げる過程で、消費は徐々に拡大していく、設備投資も徐々に回復に向かうというふうに期待をしておりまして、平成五年度予算の早期成立が最も重要なことではないかと私どもは考えております。
 一方、消費の現状を見ますと、所得税減税を行っても貯蓄に回る可能性が大きく、消費刺激策としての効果が期待できないのではないかと考えております。
 仮に所得税減税を特例公債の発行によって行うとすれば、現世代は確かに減税という利益を享受することになると思いますが、後世代、子や孫の時代には元利払いという大きな負担を強いなければならないということになるのは当たり前のことでありまして、それが果たして責任ある態度と言えるかというのは極めて疑問だと思います。また、一たび特例公債が発行されますと、歳出増の圧力に対する歯どめがなくなる、財政状況の急速な悪化への道を開くことになりかねないという心配をしておるところであります。
 また、お話の中で、重税感というお話がございました。
 先般の税制大改革がありましたけれども、そのときの減税によりまして、夫婦子二人の標準世帯の税負担の変化を計算してみますと、中低所得者層を中心とした所得税、住民税の負担は大幅に低下をしたところであります。また、その後の給与上昇を勘案いたしましても、抜本改革前に比べまして、税負担の水準はまだ低いものであります。さらに、主要諸外国と比べましても、中低所得者層の所得税負担は相当まだ低い水準にあるという点に御留意をいただきたいと思っております。
 いすれにいたしましても、現下の極めて厳しい財政事情にかんがみまして、代替財源もなしに所得減税の実施は困難と考えております。(拍手)
    〔国務大臣田名部匡省君登壇〕
#8
○国務大臣(田名部匡省君) 水田議員の御質問にお答えをいたします。
 一点目の中山間地域でありますけれども、これはお話しのように、生産面ばかりではありません、国土の、あるいは環境保全、そうした面でも重要な役割を果たしておるわけでありまして、その発展を図ることが重要であると考えております。
 このため、農林水産省では、地域の活性化のための施策の拡充が急務と考えておりまして、昨年取りまとめた新農政でお示しした方向や、あるいは農政審議会からいただきました報告を踏まえて、それぞれの地域の特性を生かすということで、農林業の振興あるいは農林地などの地域資源の適切な利用、管理等のための施策を強化してまいりたいと考えております。このため、新たな法案を今国会に提出することといたしておるわけであります。
 なお、ECで行われております直接的な所得補償を我が国に導入してはどうかということでありますが、これにつきましては、地域全体の活性化や定住につながるかどうかという問題があります。また、国民的なコンセンサスを得ることができるかどうか、いろいろと難しい問題がありますので、さらに勉強をさしていただきたいと思っております。
 林業再建のための費用負担と担い手の確保の問題でありますが、森林は、木材生産ばかりではなくて、国土の保全、水資源の涵養など、国民生活にとって大きな役割を果たしております。森林の整備は林政の重要課題と考えておりまして、このため、平成五年度においても、造林の推進でありますとか林道の整備等のための予算措置や、金融、税制上の措置等各般の施策にわたって推進を図ることにいたしております。
 お尋ねの林業の担い手の確保のためには、高性能林業機械の導入を考えておりますし、就労条件の改善等必要な対策を総合的に講じているところでございます。
 さらに、関係省庁との連携による公的造林の推進等、森林、山村対策の充実を図ることとしております。
 このような施策によりまして、今後とも、林業、山村の活性化の推進等に積極的に取り組んでまいることといたしております。(拍手)
#9
○議長(櫻内義雄君) 内閣総理大臣から、答弁を補足したいとのことであります。これを許します。内閣総理大臣宮澤喜一君。
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#10
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 水田議員から、補正予算の規模と時期というお尋ねでございましたが、先ほども申し上げましたように、平成五年度予算に精いっぱいの努力を盛り込んでございますので、これを早期に成立させていただきまして、新年度から施行いたしますことが最も有効な景気対策と考えておりまして、したがいまして、補正のことをただいま考えておりません。(拍手)
#11
○議長(櫻内義雄君) 大蔵大臣から答弁を補足したいとのことであります。これを許します。大蔵大臣林義郎君。
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#12
○国務大臣(林義郎君) 答弁を補足させていただくことをお許しいただきたいと思います。
 地価税の問題と買いかえ特例復活の問題でございますが、まず、地価税等につきましては、「生活大国五か年計画」で、「土地の資産としての有利性の縮減、土地の有効利用の促進、税負担の公平の確保等」を図るため、地価税等、「土地税制を着実に実施する」というふうに書いてあります。税制調査会の平成五年度税制改正に関する答申でも、「土地政策を引き続き総合的に推進する中で、」地価税創設の趣旨を踏まえ、「着実な実施に努めていくことが必要である。」とされているところであります。
 これらを踏まえまして、地価税の税率につきましては、平成五年度から本則税率〇・三%に移行したところであり、今後とも土地神話を打破し、二度と地価高騰を生じさせないためにも、長期的・体質改善的措置としての地価税の実施に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 なお、買いかえ税制の問題でございますが、一般のサラリーマンを初めとする国民の住みかえによる居住水準の向上を図る等のために、居住用財産の買いかえについて一定の措置を講ずることにいたしましたが、その際には、土地政策との整合性を図る観点から、一、土地の対価の額が適正であること、二、譲渡資産の所有期間は十年間を超えるものであること、三、譲渡価額が一億円以下のものであること、四、譲渡者の居住期間は十年以上であること、五、適用期限は二年間とするという厳しい適用条件を設けてこれを実施することにしたところでございます。御理解をいただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(櫻内義雄君) 金子満広君。
    〔金子満広君登壇〕
#14
○金子満広君 私は、日本共産党を代表して、総理の施政方針演説に対する質問を行います。
 総理、今政界の流行語になって大きく広がっているのが「改革」「変革」という言葉であります。総理の新春インタビューも、また今回の施政方針演説でもこの言葉が強調されました。これほどまでに改革を言わなければならないほど、自民党政治に対する国民の批判と怒りは厳しいものになっているのであります。したがって、今「改革」を言うなら、まずこの悪政にこそメスを入れるべきであります。(拍手)
 しかし今、この「改革」「変革」の言葉の中で公然と進められているのが憲法の改悪、改憲論であります。小選挙区制の導入であります。憲法制定以来四十六年、このような形で憲法改悪の意図が露骨に出てきたことはいまだかつてなかったことであります。
 言うまでもなく憲法は、国の政治の基本、内政、外交の根本を規定する最高法規であります。しかも、我が国憲法は、あの十五年に及ぶ悲惨な侵略戦争の惨禍と犠牲の上に、恒久平和、主権在民の原則を踏まえて、戦争の放棄、戦力の不保持を内外に宣言したのであります。
 そこで総理、改憲論者は、憲法が国際情勢に合わなくなったとか、古くなったとか言いますけれども、戦争や武力の行使が合法的なものとされていた十九世紀とは違います。二十世紀は、国連憲章に見られるように、国際紛争は武力によらず、平和的に解決することが加盟国に義務づけられたのであります。この国際法の流れに沿ってこそ、日本は積極的な役割を果たすべきではありませんか。(拍手)
 日本国憲法の平和原則は、この人類の進歩をさらに発展させたものであり、人類史上最も先駆的なものであります。ところが、武力行使が公然とできるように憲法を改正せよと言うことは、改革どころか、まさに十九世紀の古い時代の思想への後戻りであります。憲法は古くなったどころか、最も先駆的であると考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 総理は、現在、憲法を改正する考えはないと述べておりますが、そうであるならば、内閣の副総理でもある渡辺外務大臣が、国際貢献の邪魔になるのなら憲法を変えよと発言していることに対して、厳しい態度をとるべきではありませんか。総理の発言と副総理の発言と、どちらが内閣の真意なのか、この際、はっきりさせていただきます。(拍手)
 また、自民党はこの国会に、改憲のための協議機関を設置することを提案しておりますが、憲法によって改憲の発議権を唯一与えられている国会に、このような機関を設けることは極めて重大であり、私は反対であります。それは結局、なし崩し的に憲法改悪の具体化に進む第一歩となるからであります。総理のはっきりとした見解を伺います。(拍手)
 そこで総理、東西の軍事ブロックの対抗という古い枠組みが崩壊した以上、また総理の言う改革が真剣なものであるならば、今こそ憲法の平和原則に基づく外交努力を行うべきであります。これこそ真の国際貢献の道であります。
 そこで、第一は、すべての軍事同盟の解消であります。政府が、冷戦は終わったということを言っている以上、日米軍事同盟のもとで、日本に依然として在日米軍基地が置かれているのはおかしなことであります。フィリピンでは軍事基地はなくなりました。ヨーロッパでは六十九以上の軍事基地の撤去が計画をされています。横須賀と佐世保の核装備艦船の母港化の解消、在日米軍基地の撤去を要求すべきだと考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 第二は、大量殺りく兵器の一つである化学兵器の全廃条約の締結を歓迎するとともに、唯一の被爆国の政府として、さらに進んで、最も残虐な核兵器の緊急廃絶のために積極的な役割を果たすべきであります。同時に、被爆者援護法の制定であります。なぜこれができないのか、この際、はっきりと答えていただきます。(拍手)
 第三は、大幅な軍縮に踏み出すことであります。今、多くの国々が軍事費を前年度より減らしております。ところが、日本だけは、中期防を減額したと言いづつ、実際には前年度より軍事費をふやしています。なぜ軍事費を削減しないのか、その理由を明確に答えていただきます。
 米の輸入の自由化問題も、我が国外交が国民の利益に沿ったものになるかどうかの試金石であります。既に我が国の食糧自給率は激減しており、穀物の自給率に至っては、何と二九%にしかすぎません。欧米諸国には例のない憂うべき現状であります。総理は、我が国のこうしたゆゆしい現状をどう解決しようと考えているのか、まず伺います。
 しかも、この上に米の輸入の自由化は絶対に許されません。八八年のこの国会の決議は、米及び稲作は国民的関心事とした上で、「米国内の我が国に対する自由化要求の動きは、極めて遺憾であり、認められない。」「よって政府は、」「断固たる態度で臨むべきである。」と述べていますが、政府の外交は、議論の余地なくこの国会決議を厳格に守ることであります。改めて総理の見解を伺います。(拍手)
 憲法の原則に基づく真の改革が必要なのは、外交路線だけではありません。佐川疑惑に象徴される企業・財界主権を許さず、憲法に明記された国民主権の立場で、その原則を貫く政治改革を本格的に行うことであります。
 そのためにも、佐川・暴力団疑惑の真相解明は箱対不可欠、急務であります。自民党首脳部と暴力団との結びつきの実態や、数百億円とまで言われる黒い資金の流れも、金丸氏が受け取った五億円を配った六十数人の名前という基礎的な事実さえも解明されていないのが現状であります。
 ところが、昨年末、東京地検は、対象者の一部から事情を聞いただけで、全員を嫌疑不十分で不起訴、不問に付したのであります。国民の怒りが高まるのは当然であります。こうした中で今月十三日、東京第一検察審査会は、捜査は厳正かつ十分に尽くされたとは言えないとして、地検の処分を不当とする決議を行いました。総理はこの決議をどう受けとめているのか、率直に伺います。
 問題は、検察の結論がどうであれ、国会は独自に調査を行い、関係者の政治的道義的責任を明確にする責任があります。国民世論は、暴力団の助けで政権が誕生したという、あの疑惑の核心にいる竹下元首相の議員辞職を強く求めているのであります。竹下登、金丸信両氏の再喚問を初め、小沢一郎氏など関係者の徹底した証人喚問、その他必要なすべての措置をとるべきであります。
 日本共産党は、予算委員会での徹底した審議及び調査特別委員会の設置を提案してまいりました。総理は真相解明が必要と言うなら、これを推進、促進すべきでありますが、答弁を求めます。(拍手)
 同時に、金権腐敗政治の大もとになっている企業、団体からの政治献金の禁止であります。
 言うまでもなく、企業は社会的存在ではあっても、営利を目的とする存在であり、ましてや主権者ではありません。莫大な金を使って、主権者である国民とは比べ物にならないほど大きな影響力を国政に及ぼすことであり、まさに国民主権の原則を踏みにじるものであります。
 議会制民主主義の根本は、国民一人一人が平等の立場で国政に参加することであります。多額の政治献金を行う者が、国政上特別な便宜、配慮を受けるようなことがあっては、民主主義は成り立たないのであります。(拍手)
 だからこそ、佐川事件発覚以来昨年末までに、全国の三千三百六地方議会のうち約八割の二千五百六十三議会が徹底解明を求める決議を行っているのであります。総理は、この地方議会の決議に示された国民の声にどうこたえますか。総理の言う「変革と実行」が議会制民主主義と主権者の立場に立つものであれば、今こそ企業、団体からの政治献金の禁止に踏み切るべきであります。総理はこの点をどう考えているのか、改めて伺いたいと思います。(拍手)
 自民党は、今、金権政治温存の根本の枠組みをそのままにしたままで、四割台の得票で実に九七%の議席を独占する小選挙区制を、改憲路線と並行して導入しようとしていますが、我が党は、主権者である国民の圧倒的多数の意思を封殺するこのたくらみに断固として反対するものであります。(拍手)
 選挙制度について、それぞれの党がどんな見解を持とうとも、国会と政府に実行が義務づけられているのは、五年ごとの定数配分の見直しを明記した現行の公職選挙法、さらに、現行中選挙区制のもとでの一票の格差の抜本的定数是正、二人区、六人区の解消を求めた八六年の国会決議であります。これを放置することは国民への公約違反であると考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 さらに、昨年の九増十減によっても、なお四千六百万人の住む選挙区が格差二倍以上の不平等状態に置かれているのであります。直ちに現行制度のもとで抜本是正を行うことを強く要求いたします。
 さて、次に不況の問題であります。この不況対策をどう立てるか。この問題でまず第一にやるべきことは、大企業の利益中心の従来型の政策を転換し、中小企業を守る対策を早急に打ち立てることであります。中小企業に融資と仕事を保障するということであります。
 昨年の末、政府予算案が発表されましたが、この大不況にもかかわらず、中小企業対策費が前年度より減額されています。千九百五十一億円にすぎないということがわかったとき、中小業者から、必死で頑張っているのにこの仕打ちは何事かどの怒りの声が上がりましたが、全く当然のことであります。総理、一方で、在日米軍に対する思いやり予算、米軍とその家族のために住宅をつくる、学校をつくる、診療所、病院までつくってやる予算は、前年度より一五%もふえて、実に二千二百八十六億円にも膨れ上がっているのであります。これでは、思いやりするところがあべこべじゃないですか。日本経済の中で中小企業は、事業所総数の九九%以上と圧倒的多数を占めております。大企業はわずか一%にすぎません。一%以下ですよ。日本経済の中で中小企業が大きな役割を果たしていることを意識的に無視するものと言わざるを得ません。
 今やるべきことは、政府系金融機関の中小企業に対する融資の枠を広げること、融資条件を緩和して、その金利をせめて輸出入銀行などの大企業向け金利並み、三%に引き下げるということであります。さらに、地方自治体の無担保・無保証人融資制度を拡大するため、国の出資を大幅に増額することであります。固定資産税を緊急に引き下げることは国民的な要求であります。また、低下し続けている国と自治体の官公需の中小企業向け発注を今こそ大幅に引き上げるべきでありますが、総理の見解を求めます。(拍手)
 ここで、公共投資、特にその中身についての問題であります。
 我が国の予算に占める公共投資の比率は、欧米の二倍に達しています。ところが、日本の住宅の広さはアメリカの二分の一であります。そして、都市公園の面積に至っては、欧米の五分の一、十分の一であります。これは、日本の公共投資が、額は多くとも、その内容は大型プロジェクト中心で、国民生活密着型の住宅や福祉や教育施設などがけた外れに少ないからであります。投資を住宅促進に移しただけでも、大工さんや畳屋さんや電気・ガス工事、建具など、三十数業者の仕事が一度にふえるのであります。雇用もふえる、生活水準も向上させることになります。一石二鳥とはまさにこのことであります。今や最高時の三分の一、四分の一に落ち込んでいる公営住宅、公団住宅の建設戸数を少なくとも倍にすべきであります。また、多くのお年寄りが願っている小規模の特養老人ホームもつくれるよう、国の基準を緩和すべきでありますが、このことについても総理のお答えを求めます。(拍手)
 自民党政府の従来型の公共投資は、来年度予算で満額回答となった東京湾臨海部副都心の開発、そしてまた、長良川河口堰のような大型プロジェクト中心であります。しかも、この二つの計画は、莫大な国費をつぎ込み、環境破壊を引き起こすものであり、地域住民も反対し、国際的にも重大問題になっています。ここには従来型投資の害悪が集中的にあらわれています。直ちに中止して、再検討することを求めたいと思います。(拍手)
 不況対策の第二は、内需拡大、つまり消費の拡大であります。
 GNPの六割を占める家計消費をふやし、購買力を高めることです。そのためには、所得税と住民税の減税を、赤字公債を発行することなく、二兆円規模で行うことであります。なぜ減税をやらないのか。来年度予算では、減税はゼロ、全く計上されておりません。また、政府も、一度は公約した、食料品にかかわる消費税の非課税化を緊急に実施すべきであります。総理の答弁を求めます。(拍手)
 一九三〇年代の世界大恐慌の中でつくられた国際労働機構、ILOの条約は、生活水準を低下させずに週四十時間労働を導入することを義務づけました。それは、労働時間の短縮によって雇用をふやすこと、賃上げで消費をふやすこと、この両方を抜きにしては不況は打開できないのだということが国際的な流れとなったからであります。それから数えて六十年もたっています。しかも、当時と違い、今、バブル経済が壊れたといっても、この日本では、大企業四百三十三社で八十八兆を超える内部留保という名のため込みが行われているのであります。賃上げと労働時間の短縮が両立てきないわけはないのであります。政府は、今準備している労働基準法改正案に、このような国際的な基準を盛り込むべきでありますが、総理の見解を求めておきます。(拍手)
 さきのアメリカ大統領選挙において、アメリカの国民は、レーガン、ブッシュ政権のあの軍備拡大路線を痛烈に批判しました。また、大企業を優遇すれば中小企業や労働者もそのおこぼれにあずかれるというような経済政策を、あれはおこぼれ経済学だとして厳しく断じ、中小企業と労働者の営業と生活を守る政治への転換を強く求めたのであります。我が国においても、国民は、大企業だけを中心にそれを潤す従来型の政治の枠組みを根本的に変えることを強く求めているのであります。
 さて次に、障害者対策の問題であります。
 昨年末で「国連障害者の十年」が終わりました。十年は終わりましたが、我が国の障害者対策が、雇用の面でも教育、医療の面に至るまで国際的にも大きく立ちおくれていることが事実によって明らかになりました。この中で、すべての障害者に働く場をとしてっくられた共同作業所は、全国で三千カ所です。在籍者は四万五千人へと急増しています。障害者の社会参加のための重要な役割を現在果たしているのであります。ところが、共同作業所全国連絡会の調査によりますと、この大不況の中で仕事の打ち切り、減少、そして工賃の引き下げが広がり、障害者の家族、関係者は、仕事がなく、子供が無気力になっている姿を見ると、やり場のないせつない気持ちになると訴えております。
 今緊急対策に乗り出している自治体もありますが、政府は共同作業所の仕事をふやすため緊急の対策を講ずべきであります。同時に、一作業所で年間わずか九十万円にすぎない国の補助です。それも三分の一の作業所だけ、総額で来年度予算ではわずか十億八百万円であります。これを大幅にふやし、すべての作業所を補助すべきでありますが、今関係者も注目しております。明確な総理の答弁を求めます。(拍手)
 なお、今国民の切実な願いになっている、保険適用でよい入れ歯を、この早急な実現を要求しています。あわせて総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 ここで、釧路沖地震の問題であります。私は、まず犠牲者の方々にお見舞いを申し上げると同時に、激甚災害指定を行い、速やかな復旧に取り組むよう政府に要求するものであります。
 同時に、この問題を通じて、気象庁の職員が削減されてきたために、現在全国九十九の測候所のうち二十五カ所、実に四分の一以上が夜間は無人になっているという驚くべき実態が明るみに出たのであります。一体、その責任はどこにあるのか、はっきりさしていただきます。直ちに夜間の無人体制を解消するために、大幅な増員を図るべきであります。この点についても、責任ある具体的な総理の答弁を求めるものであります。(拍手)
 最後に、私は、広範な国民とともに、憲法のいかなる改悪の企てに対しても断固として反対し、金権政治の打破、不況の克服、国民生活向上のために全力を尽くす日本共産党の決意を表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 国際社会におきまして国家間の紛争が発生しました場合、これを平和的に解決するのはもとより国際関係の基本でございますし、国連憲章にもこのことを定めております。我が国としては、戦後一貫して平和主義、国連中心主義をとってまいりました。国際的努力により紛争を解決することが重要であるというふうに考えております。我が国自身、カンボジアの平和プロセスにおいても積極的な外交努力を行ってまいったところでございます。
 我が国の憲法の掲げる平和主義の理念についてお尋ねがございましたが、これは国際連盟規約あるいは戦争抛棄ニ関スル条約、いわゆる不戦条約から現行の国連憲章に至る一連の国際法の考え方を背景としたものでございますから、国際の平和と安全の維持を目的としている国連憲章等の考え方と理念的には軌を一にするものと存じます。
 それから、改憲論につきまして、渡辺副総理の発言と私との間に矛盾がある云々ということでございましたけれども、我が国が国際協力をいたしますときに、我が国の憲法は少しもこれの邪魔になるとは私考えておりません。したがって、副総理との間に考え方の矛盾はございません。
 それから、横須賀、佐世保の母港の問題のお話がございましたけれども、冷戦後と申しましても、なお国際社会が不安定要因を内包しておりますから、いわゆる米国の日米安保条約による抑止力というのは、我が国の平和と安全のために大切であると思います。そればかりでなく、今後のアジア太平洋地域の安全保障を考えますと、やはり米国の、あるいは米軍の存在を確保するということがアジアの国々にとって大切なのではないかというふうにも思います。
 したがいまして、米軍艦船の寄港を含めまして、米軍による施設、区域の安定的使用を確保することは大切なことであると思いますので、ただいまお話しのような在日米軍基地の撤去に取り組む考えはございません。
 それから、核兵器廃絶でございますが、実現可能な具体的措置を一つ一つ進めてまいりました。また、今日それだけの進展があったわけでございますので、今後もジュネーブの軍縮会議等におきまして、段階的に核実験を禁止することを提案する、そのような核軍縮促進のために積極的に努力をいたしてまいりたいと思います。
 被爆者援護法はなぜいけないのかというお尋ねでございましたけれども、この援護法案の主張するところは、原爆死没者ばかりでなくその遺族に対しても補償を行え、それから、被爆者全員に、障害があってもなくても年金を支給せよという、そういうことでございますので、そういたしますと、いわゆる一般の戦災者との均衡上、基本的な問題があると思います。政府としては、今原爆二法がございますので、これを中心に被爆者の保健、医療、福祉の各般の施策を講じることが、これが一番いい方法である、その充実に努めたいと思います。
 なぜ我が国の防衛費を前年度より減らせないのかというお尋ねがございましたが、我が国は仮想敵を持って防衛計画をつくっておるのではありませんで、いわゆる基盤的防衛力を大綱により整備をしておるということをまず申し上げておきたいと思います。
 そして、具体的に平成五年度の予算について見ますと、平成五年度防衛関係費の四二%は人件費、糧食費でございます。これは人を減らさない限り減らせません。それから、いわゆる、御承知のように後年度負担、前から約束しておりましたものがその年の歳出になって後に出てくるという部分が三七・七%ございます。これだけがございますから、これは動かせないということになれば、そう簡単に前年度より減らすというわけに急にはまいらないということは御理解がいただけると思いますし、中期防につきまして減額をいたしましたことは、先般の所信表明で申し上げたとおりでございます。
 それから、食糧の自給率でございますが、先般農林省が「新しい食料・農業・農村政策の方向」、新政策を出しました。これによりまして食糧自給率の低下傾向に歯どめをかけていきたいと思います。
 それから、米についてお尋ねがございましたが、国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを基本方針としてまいります。
 検察審査会のことでございますが、検察審査会が不起訴不当の議決をしたことは承知をいたしております。検察当局におきましては、この議決を受けまして、事件を再度立件しました上、適切に対応するものと思います。
 それから、議員の身分に関することは、基本的には議員自身が判断すべきものであると思います。
 また、国会における証人喚問の進め方、委員会での御審議の方法等、これは国会において御判断をいただく事項と考えますが、もとより国会の国政調査につきましては、政府は最大限の協力を申し上げます。
 地方からも政治不信に対する議決がたくさんなされておるということは、このような深刻な国民の政治不信のときにそれが反映をしておると思いますが、それにいたしましても、抜本的な政治改革をぜひ実現いたさなければならないと思います。
 企業、団体の献金でございますが、企業等の団体も一つの社会的な存在でございますから、政治について意見を申すということは排除すべきものではない。ただ、献金の額等についてはおのずから節度を持つべきであろうと思います。
 自由民主党が「政治改革の基本方針」と先般定めましたところでは、政治資金も政党中心に調達をすべきだという考え方から、企業、団体の献金は、ごく少額のものを除き政党に限るということに考えておりますことを申し上げておきます。
 それから、昭和六十一年の国会決議でございますが、このとき、八増七減の定数是正が行われた際に、この決議がございました。それ以後、定数是正に向けて各党で真剣な御論議をいただいております。さきの国会では九増十減による定数是正をお願いいたしましたが、これもそのような経緯の上に立って実現されたものでございますので、こういう御論議をいただくこと自身が、国会決議の方向に反するとは考えておりません。
 なお、九増十減でも格差二倍以上になるではないかということにつきましては、これは緊急措置として是正をしたものと考えておりまして、自由民主党の「政治改革の基本方針」では、「選挙区間の人口格差は二倍未満とすることを基本原則」といたしております。
 それから、中小企業につきまして、中小企業の経営安定のために、政府関係中小企業金融機関等に対する貸付枠の追加は一兆二千億円でございますから、非常に大きなものでございます。平成五年度予算におきましても、中小企業金融公庫の貸付規模の拡大、新たな低利融資制度の創設等、中小企業金融には殊に重点を置いております。
 それから、自治体の無担保・無保証人融資をもっと活用、拡大すべきであるということはそのとおりと思いますが、その前提になりますのが、普通、国の中小企業信用保険、この保険を利用することによって自治体から無担保・無保証人融資を受ける、これが通例でございますので、今回、国の中小企業信用保険の限度額の引き上げを平成五年度予算に盛り込んでおります。これによりまして無担保・無保証人融資を受ける可能性が大きくなった、そのための中小企業信用保険の限度額を引き上げたところでございます。
 それから、固定資産税の評価がえは、これは定期的に、資産価値が変動いたしますので、その見直しを行うのでございますので、それはほうっておきますと、かえって不公平を生ずる問題ではないかと思います。
 それから、中小企業の国と自治体からの官公需の受注の確保、官公需確保法がございまして、毎年毎年注意深く、国も地方もこの法律の精神に沿うように最大限の努力をいたしておるところでございます。
 それから、「生活大国五か年計画」の中で、公共投資の推進の中で、公営住宅、公団住宅等につきまして、御指摘のように民間賃貸住宅の借り上げ方式や借地方式等を活用いたしまして、公共賃貸住者の供給の拡充を図ってまいりたいと思います。
 それから、特別養護老人ホームでございますけれども、小規模のものについてお尋ねがございました。確かに、普通、原則として五十人以上というのが定員でございますけれども、お話しのような過疎地であるとかあるいは離島、山村につきましては、例外的に三十人以上という小規模の特養老人ホームの整備を認めております。
 それから、東京臨海副都心開発でございますが、首都圏全体の整備の方向を踏まえて、東京の都市構造をいわゆる多心型に再編をしようという試みでございます。開発者負担を原則として進めておりますし、環境面におきましても、事業主体である東京都において環境保全計画を策定するなど、十分に配慮しておると承知をいたします。
 長良川河口堰は、水害の危険に脅かされております長良川沿川の住民六十七万人の生命財産を守るために、治水対策上なくてはならない施設であると同時に、中部圏の水資源もあわせて確保したい、こういうことで、このために岐阜県、三重県、愛知県を初めとする三市七町一村の関係自治体の長からも強い事業促進の要望がございます。行政の責任者として、こういう状況はしっかりと受けとめてまいらなければならないと思います。もとより環境調査を行うなど、環境保全には万全を尽くしてまいります。
 それから、所得税、住民税の減税につきましては、昨日もこの議場で申し上げたところでございますが、結局財政が負担をいたしますときに、それを減税という形にするか、あるいは公共投資等でするかということ、いずれが景気回復のために有効であるかという、そういう判断をいたしまして、平成五年度には公共投資等々をかなり大幅に増額をいたしております。また、減税となりますと、あらゆる歳出を切り詰めておりますので、その財源は歳入補てん国債によらざるを得ない、そのことはそのことでまた問題を持っておるというふうに判断をいたしたわけでございます。
 それから、飲食料品の消費税の非課税化の問題でございますが、これも国会におきまして、立法府として税制問題等に関する両院合同協議会が設置をされて、御協議が行われたのでありましたけれども、各党会派の意見の一致は見られなかったという専門者会議の座長の御判断に従いまして、そういう経緯を踏まえて今日の状況にいたしておるところでございます。
 それから、ILO四十七号条約は、労働時間を一週四十時間に短縮するとの原則を規定しておりまして、これは生活大国への重大課題の一つと思いますので、このための移行の法律案を労働
基準法改正案として今国会に提出をしたいと思います。
 障害者の共同作業所につきましては、平成五年度予算にも補助対象施設数の増加を盛り込んでおります。予算額にいたしますと、八億八千万から十億八百万に増加をいたしております。
 それから、入れ歯のことでございますが、診療報酬におきまして技術料を重視する考え方に立っておりますので、報酬が改定されますたびに、義歯に関する点数を含めまして技術料の引き上げが行われております。したがいまして、保険医療において良質な義歯が作製できるよう、適切な評価が行われているものと考えます。
 それから、釧路地域の激甚災害の問題は、実は災害の被害状況に応じて行う必要がございまして、ただいま被害状況について鋭意調査を進めております。
 地震観測監視体制につきましては、防災体制強化の観点を十分に配慮して人員配置を行ってまいっております。今後とも、引き続き適切に対処いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。
    〔大内啓伍君登壇〕
#17
○大内啓伍君 私は、民社党を代表して、宮澤総理の施政方針演説について質問いたします。
 質問に先立ち、このたび皇太子殿下と小和田雅子さんとの御婚約が決定いたしましたことを、国民とともに心より祝福申し上げるものであります。(拍手)時まさに冬、政治不信の異常な高まりと不況の長期化という暗雲の中に、春の到来を思わせるお二人の御婚約は、必ずや国民に明るい希望と未来への期待を与えるものと確信いたします。(拍手)
 さて、今国会はまことに重大な使命を帯びた国会であります。この一年有半、国民が深刻な不況に苦しむ中で、我が国の政治が共和事件や佐川問題などの相次ぐ腐敗事件を繰り返していることに対し、国民の怒りといら立ちは頂点に達し、最近の世論調査では、今の政治を信頼しない人が八〇%にも達しております。昨年、経済と生活危機に直面した米国民がクリントン政権を誕生させたように、国民は今、これまでの自民党政治の根本的転換、すなわち日本の政治変革、チェンジを強く求めております。私は、今こそ、すべての政党、政治家が襟を正し、国民から信頼される新しい清新な政治を打ち立てるために、一大決意を持って立ち上がらなければならないときだと確信いたします。(拍手)
 新しい時代に向けて新しい政治が目指すべきものは何か、それは次の諸点に集約されると考えます。その第一は、腐敗政治と決別する思い切った政治改革の断行、第二は、生活先進国を目指し、官僚主権から生活者主権への転換、第三は、世界から信頼される国際貢献国家への脱皮、第四は、一極集中を打破するための大胆な地方分権の断行、の四点がそれであります。総理は、政治、行政の最高責任者として、国民の期待にこたえる新しい政治の基本方向を一体どのようにお考えなのか、まずその基本について総理の所見をお伺いいたします。
 私は、以上の基本認識に立って、以下具体的に質問いたします。
 その第一は、さらなる佐川問題の真相究明と政治改革についてであります。
 さきの臨時国会において、竹下元総理の証人喚問や金丸前自民党副総裁の臨床尋問を通じ、真相解明は一定の前進を見ることができました。しかし、金丸氏の五億円配分に関し、検察当局が不起訴処分を決めたことに対し、検察審査会は、捜査は厳正かつ十分に尽くされたとは言えないと、真っ向からこの処分の不当性を批判いたしました。昨年末の世論調査でも、国民の九四%が、疑惑は解明されていないと答えています。
 こうした事態の中で、今国会において我々が既に要求している関係者の証人喚問を実現することは、事件の真相解明にとって不可欠であり、総理に対し、自民党総裁としてその実現に努力することをまず強く求めるものであります。(拍手)
 また、昨年末の党首会談で、総理は自民党としても独自の調査を行うことを約束されましたが、五億円の授受の問題はもはや捜査に影響を与えるものではなく、その政治的道義的責任を明らかにする立場から直ちに調査結果を公表すべきであると考えますが、総理の答弁を求めます。
 同時に、竹下元総理の議員辞職を求める国民の声は七八%にも達していますが、総理はこの問題にどう対処されるのか、あわせて総理の答弁を求めます。
 佐川問題の本当のけじめは、事件に直接かかわった人々の責任だけを追及することによって解決される問題ではありません。金権腐敗を生む政治的構造そのものを根本的に変えることが不可欠であります。そのためには、三つの改革が必要であります。一つは、英国の腐敗防止法にも匹敵する政治資金の透明性や連座制の強化、違反者に対する公民権の停止など罰則強化等、政治制度の改革、二つは、利権政治、腐敗政治の根源である派閥の解消と政権交代体制の実現を目指した政界改革、三つは、国民主権、生活者主権を大きくゆがめている官僚政治の打破、の三つがそれであります。
 総理は、盛んに政治改革を口にされますが、以上の重要な三点について、明確かつ具体的な答えをいまだ示しておりません。
 特に、政治改革と称して与野党の合意が全く不可能な単純小選挙区制の導入を提案しようとしていることは、政治改革そのものをぶち壊す暴挙以外の何物でもありません。(拍手)単純小選挙区制は、小選挙区比例代表並立制以上に多数党が圧倒的に有利で、民意が圧殺される選挙制度であります。中曽根元総理も、小選挙区制は党の独裁政治になると指摘しているではありませんか。学者の間ではこの制度を三乗比の法則と呼び、得票差が二対一の場合、議席差は何と八対一の大差になるという定説が確立しております。現にこれを採用しているイギリスでは死に票が四八%、カナダでは四七%、韓国では実に五三%にも達しております。それは、まさに総理が施政方針演説で述べられた「民意が的確に反映される政治構造の実現」に全く逆行するものであり、まじめに政治改革を考えている者の提案とは到底思えません。(拍手)
 一昨年、海部内閣が小選挙区比例代表並立制の導入に固執して政治改革法案をすべて廃案にした道を宮澤総理は再び歩もうとするのか、それがあなたの政治改革の答えなのか、責任ある総理の答弁を要求いたします。
 我々は、この際、民意を正しく反映し、有権者の顔も見え、しかも政策論争を促進する選挙制度として、都道府県単位の非拘束比例代表制を真剣に検討すべきであると考えますが、これに対する総理の所見をあわせて求めます。(拍手)
 第二の問題として、景気対策及び生活先進国づくりについて質問いたします。
 今、我が国の政治に要請されている緊急かつ最大の課題は、一刻も早い、かつ実効性ある景気対策の確立てあります。既に景気の悪化は、中小企業の倒産を初め、パートの打ち切りや大量解雇など深刻な経営・雇用不安を招来し、十月以降は有効求人倍率も一を下回る深刻な事態に立ち至っております。また金融面においても、マネーサプライの伸びが史上初めてマイナスを記録するなど、異常事態が発生しております。
 かって大蔵当局は、金融機関が財テクや土地投機に狂奔したとき、これを黙認し、バブル経済を助長しました。そして今回も金融機関に対する指導を怠り、不当な貸し渋りを放置し、不況の深刻化を助長しております。もし平成五年度予算で抜本的な景気対策を講じなければ、今日の不況はひとり我が国の不況にとどまらず、米国、欧州をも巻き込んだ世界同時不況へと拡大発展していくことは火を見るよりも明らかであり、既にその兆候もあらわれております。その意味で、国際的にも我が国の責任はまことに重大であります。
 私は、この認識に立って、景気対策を次の三点に集中して取り組むよう提案いたします。
 その第一は、所得減税であります。
 今日の不況が未曾有の消費低迷を招いていること、九〇年以降、減税なしの実質増税が続いていること等にかんがみ、我々は中堅サラリーマン、パート・内職者に配慮した所得減税の早期実施を強く要求してまいりました。しかし、政府は、本格的な行財政の改革に背を向け、減税実施には赤字国債発行しかないとのレトリックを打ち立て、すべての野党、産業界、労働界がこぞって要求する減税を頑迷に拒否しております。実効ある景気対策の確立こそが今日の政治に課せられた最大の課題であるという認識に立つならば、総額七十二兆円余の予算案全体の中で政策の優先順位を明確にし、まず減税の実施を最優先させるべきであります。(拍手)
 財源難を理由に減税を拒否することは、政府みずからが招いた財政危機の責任を転嫁するものであり、宮澤内閣の指導性と政策調整能力の欠如を示すものと断ぜざるを得ません。八七年の緊急経済対策の確立に際し、私自身も関与いたしましたが、与野党協議に基づいて実施した一兆五千四百億円の所得減税がその後の景気浮揚に大きく寄与したことは紛れもない事実であり、この際、総理はこのことを想起し、最低二兆円以上の所得減税並びに住宅対策等を柱とした二兆円規模の政策減税の実施を決断するよう強く求めるものであります。(拍手)
 中長期的に財源の枯渇が予想される中で、我々が取り組むべき最も重要な課題は、再度の思い切った行革の断行であります。
 かつて、亡くなられた土光さんが行革に取り組まれたとき、我々はこれを全面的に支持し、国鉄、電電の民営化など、まさに行革与党として行革の推進に全力を尽くし、財政の再建に協力いたしました。今重要なのはこの行革への再挑戦であります。実質的に官僚が持つ予算や補助金の配分、許認可権等を通じ、一部の業界や族議員、派閥の利益に奉仕する官僚主権の行政から、国民全体に奉仕する国民主権、生活者主権の行政に、行政のあり方を根本的に改める必要があります。
 私は、この見地から政府に対し、中央省庁の再編、原則廃止をペースにした許認可事項の大幅削減、補助金の大幅整理などを内容とした新行革五カ年計画を策定するとともに、この際、地方分権推進基本法の制定といった法的措置を講じ、地方分権を思い切って進めることを強く求めるものであります。(拍手)
 以上の諸点について、総理の具体的な答弁を求めます。
 景気対策のもう一つの柱は住宅対策であります。
 土地・住宅の円滑な回転のないところに国民生活の向上も経済の発展もあり得ません。今日の不況がまさにそれを実証しております。宮澤内閣は、年収五倍での住宅取得を「生活大国五か年計画」の目玉と言っておりますが、それを裏づける政策はほとんど示されておりません。大都市圏を中心に、サラリーマンのマイホーム取得は依然深刻な状況にあります。このたび、我が党の提言により、政府が居住用資産の買いかえ特例復活を決めたことは一歩前進と考えますが、住宅対策はまだまだ不十分であります。
 政府は、都市圏の農地を宅地として供給するための法改正を行いましたが、我々の調査によれば、農地を宅地に転用したくとも譲渡益課税が高いため、宅地並み課税を払ってでも農地を保有した方がよいと答えた人が四二%以上にも達しております。財政当局は、特例措置を講じていると言いますが、現実に農地がサラリーマンの住宅地として供給されていない事実をどう説明されるのでありましょうか。それは明らかに税制に欠陥がある証左であります。
 この事態を打開するため、三大都市圏で、もはや農業を続ける意思のない農地については、時限措置として譲渡益課税を大幅に軽減し、広大な住宅地の供給を図ることを提案いたします。さらに、住宅ローンの所得控除、家賃控除制度の創設など、住宅対策を大幅に強化することをあわせて提唱いたします。
 以上の諸点について総理の答弁を求めます。
 第三は、不況の直撃を受けている中小企業に対する対策であります。
 政府予算案の中小企業対策費は何と前年度より削減され、千九百五十一億円と予算全体のわずか〇・二七%を占めるにすぎません。これでは、この不況に最も苦しむ中小零細企業の経営者、勤労者のことなど宮澤内閣は念頭に置いていないと言わざるを得ません。この際、中小企業対策費を倍増し、政府系金融機関による無担保融資制度の拡充、事業主控除の引き上げ、中小企業に対する一層の相続税減税など中小企業事業承継税制の改革等の抜本策を講ずるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。(拍手)
 次に、外交・防衛問題について伺います。
 当面する最も重要な問題として、ガット・ウルグアイ・ラウンドに対する対応と、農業活性化問題について質問いたします。
 この十二日、日仏両国は、交渉妥結に向けては米国が農業分野で譲歩することが必要との認識で一致したと伝えられております。米国に求める譲歩とは具体的に何を指すのか、明らかにしていただきたい。
 世界経済の健全な発展のためには交渉の成功が不可欠でありますが、それぞれの国の農業の持つ特殊性も十分配慮されなければなりません。特に、米国・ECという農産物輸出国同士の交渉で、輸出補助金を七九%も温存したまま、日本等の農産物輸入国に対して一方的に例外なき関税化を求めることは、まことに不合理かつ不当であります。真の国際協力は、痛みの公平化を原則とすべきであります。政府は、フランスや韓国など共通の立場に立つ各国と協力し、米問題について我が国の主張が取り入れられるよう最善の努力を尽くすべきだと考えます。総理の決意をお伺いいたします。
 なお、この際、我が国としては、国際化時代に対応した新農業ビジョンを早急に策定し、農地法の改正による農地の流動化と経営規模の拡大など、農業活性化に具体的努力を傾注すべきだと考えますが、あわせて総理の答弁を求めます。
 外交問題の第二は、国連の平和維持活動についてであります。
 冷戦終結後三年を経過した今日、世界では、最近のイラクを初めソマリア、旧ユーゴスラビアなど十数カ所において民族的、宗教的、経済的対立に基づく紛争が多発しております。九〇年五月以降、国連の活動に関し拒否権が一度も行使されていないという事実が示すように、世界は国連主導の新世界秩序構築に対する期待を強めております。これに伴い、国連の役割も変化し、強化されようとしております。
 特に、昨年九月の国連総会でガリ国連事務総長は、従来の国連のPKO派遣の枠を超え、紛争の予防から、当事者の一方からの要請に基づくPKO派遣や重武装部隊の創設など、国連の平和維持活動の抜本的強化策を提唱しております。これは極めて重要な提案であり、日本政府としてこれを支持するのか否か、総理の見解をまず伺います。
 資源の乏しい我が国は、どの国よりも世界平和と自由貿易を希求する立場にあり、この見地から、国連の平和維持活動には、日本の自主性を堅持しつつ積極的に貢献すべきであります。もはや、憲法問題を口実にして国連の活動には協力できないとか、我が国のみが平和であればよいといった考え方は世界に通用いたしません。それは孤立と不信を招くのみであり、我が国のとるべき道ではありません。
 そこで総理にお伺いいたします。
 第一に、私は、今こそ憲法の問題を含め、世界平和と我が国の国際貢献のあり方について、国民的な論議を呼び起こし、国論の統一を図っていくべきだと考えます。既に米国などでは、日本は憲法を理由に国際責任を回避しているという非難が高まっております。特に、集団的自衛権の解釈について政府は、その保持は主権国家である以上当然であるとしながら、その行使は我が国を防衛する必要最小限度の範囲を超えるものであって許されないとしてきましたが、これは欺瞞であると言わざるを得ません。集団的自衛権について、権利はあるが行使はできないなどということは、権利そのものの否定であります。集団的自衛権を行使するか否かは政策上の問題であり、憲法上の問題ではありません。現に憲法にそれを禁止する明文規定もありません。
 この際、国際貢献のあり方や国連憲章との整合性を含め、憲法論議をタブー視せず、堂々と国民的論議を行うべきと考えるが、総理の見解をお尋ねいたします。(拍手)
 第二に、政府は、世界平和により重い責任と役割を持つ安全保障理事会における常任理事国入りを求めていますが、重い地位には重い責任が伴います。米国のクリントン新大統領は、昨年行った演説で、国連の役割強化と集団安全保障の義務の再配分を主張し、日本とドイツを常任理事国に加えるべきだと述べております用地位を与えるかわりに責任分担を求めているのであります。日本は、常任理事国となって果たしてその重い責任を今のままで果たせるとお考えでしょうか。既に、渡辺外相や柿澤政務次官はPKFの凍結解除を提起しているが、総理はどうお考えなのか。また、PKFへの参加を凍結したままで常任理事国としての責任を果たせるとお考えなのか。また、国連安保理事会の改革について、具体的にどのような提案を持っているのか。
 以上の諸点について、総理並びに外務大臣の答弁を求めます。(拍手)
 次に、アメリカ新大統領選出に伴う日米関係について質問いたします。
 クリントン新大統領は、十八日、ワシントンで演説し、クリントン外交の柱として経済安全保障の重要性を強調し、健全な米国の国内経済がない限り海外への積極的関与はできないとして、その最優先課題が貿易の是正であることを明らかにしております。この見地から、今後日本に対しスーパ三〇一条の適用や、外国企業課税、米問題、さらには防衛分担などで厳しい態度に出てくる可能性があると思いますが、政府としては、アメリカの新しい外交政策をどう予測し、どう対処しようとしているのか。また、総理は、新政権との意思疎通を図るために訪米計画をどのように考えているのか。それらの諸点について、総理の答弁を求めます。
 質問の最後として、対ロシア支援とアジア・太平洋の平和秩序の確立について質問いたします。
 昨年九月、訪日を予定していたエリツィン大統領が、わずか四日前になって突然その中止を通告してきたことは、外交儀礼上、極めて非礼なことでありました。しかも、その上、エリツィン大統領は、訪日延期の理由は日本側にあると発言していることも、到底承服することはできません。政府は、ロシア政府に対して、明確な釈明を求めるべきだと思いますが、総理の答弁を求めます。
 ロシアの市場経済化と民主化は、世界の平和にとって重大な関心事であり、我々もその改革を支援するにやぶさかではありません。しかし、今日、ロシアでは経済改革自体が行き詰まり、価格統制の強化など市場経済化に逆流する動きも出てきております。昨年のミュンヘン・サミットで約束した二百四十億ドルの資金協力の前提条件は、今や大きく崩れております。国民の血税である我が国の経済援助は、感謝され、効果が期待できるところに行われるべきであり、感謝もされない、自助努力もないところになすべきではありません。この見地から、ロシアに対する本格的経済援助は今行う状況にはないと考えますが、総理の見解を求めます。(拍手)
 総理は、七月に予定されている東京サミットの議長国として、エリツィン大統領の訪日を招請される方針がどうか。北方領土の解決に向けた進展もあり得ず、本格的経済支援が行えるような客観的条件にもないとするならば、その招請には慎重を期すべきだと考えます。むしろこの際、インドネシアのスハルト大統領の要請にこたえ、何らかの形で中国やASEANの代表を招致し、アジアでのサミットにふさわしいものにすべきだと考えますが、総理の答弁を求めます。(拍手)
 また、この際、我が国は、冷戦終結、ソ連邦解体という新しい情勢を踏まえ、米欧の理解を基礎として、アジア・太平洋に新たな平和秩序を構築する機構をつくることに努力すべきであると考えます。既にヨーロッパでは、NATOの上にCSCE、全欧安保協力会議を創設し、軍縮と緊張緩和への話し合いが前進しております。アジア・太平洋でも新たな機構を設置するときであります。
 既に、アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国が加わったAPEC、アジア・太平洋経済協力閣僚会議が設置されておりますが、これを拡大し、ロシアも加え、経済だけでなく政治、安全保障についても協議するアジア版CSCEの設置を提唱すべきだと考えるが、総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、総理は、その施政方針演説の中で「きょうの後にきょうなし」と述べられ、きょうにかける決意を披瀝されました。もしそれが本当であれば、私も大賛成であります。後になっての言いわけや説明ではなく、今日の実行こそ国民の待ち望んでいるものだと確信いたします。「ノット イエスタデー、ノット トゥモロー、トゥデー オンリー」、人間として努力すべきは「きのうではない、あしたでもない、きょうだけである。」世界的に著名なジョンズ・ホプキンス大学、ウィリアム・オスラー教授の名言を総理に進呈し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 何百年に一度という歴史的変動の中にあって、我が国の国際環境あるいは国民意識は大きく変化をいたしております。我々は、この時代に対応した変革をなし遂げ、新たな発展の礎を築かなければなりません。これに関連いたしまして、大内委員長から、新しい時代に向けて新しい政治が目指すべきものとして、四つのポイントをお挙げになりました。いずれも時宜を得た御指摘と思います。
 第一に言われました政治改革について、経済社会システム全体の変革を求められております今こそ、政治がそのリード役を果たすことが期待されておるわけであります。その政治が一日も早く国民の信頼を回復し、期待される機能を発揮するためには、抜本的な政治改革を断行しなければならない、まさにきょうの問題であるというふうに思います。
 それから、第二の、生活先進国を目指し、官僚主権から消費者、生活者主権への転換という点につきまして、生活大国についての御説明でも申し上げましたが、国民の意識が、ゆとり、安心、公平あるいは公正というようなことを重んずるものへ変化しつつございます。経済運営の重点ももう少し、より生活の質の向上の方に向けることが求められつつありまして、「生活大国五か年計画」は、まさしくこのような需要に応じて、個人と企業の意識や行動の変革を通じて生活者重視の社会づくりを進めたいと考えておるわけでございます。
 第三の、国際貢献国家への脱皮につきましては、冷戦後の新たな平和秩序の構築の時代にあって、我が国としては、その持っております経済力、技術力を活用し、また、人的貢献やノウハウをもって国際社会の抱えるもろもろの問題の解決について、その責任と役割を積極的に果たしていかなければならないと思います。
 第四に御指摘になられましたのは、大胆な地方分権の問題でございました。
 振り返ってみますと、我が国は明治以来、富国強兵ということで中央集権が行われ、戦後の復興の時代にもまた国土が荒廃いたしておりましたから、中央が地方の世話をしなければならないことは多々ございました。しかし、今やここへ参りまして、国民生活の基盤でありますいわゆるシビルミニマムというものは全国に行き渡ったのでございますから、中央がそれほど干渉がましいことをせずに、むしろ生活に身近な行政は地方の創意と工夫によって進められる方がいい、いわゆるふるさと創生というようなことが非常な歓迎を受けておるのも、私はそういうことであろうと思います。そういう事情から、今後とも地方分権、地方自治の確立に最大限努力をすべきであると思います。
 次に、佐川急便事件についてでございますが、国会において今後証人喚問等々をお進めになる、その問題につきましては国会において御判断をいただくべきものと存じますが、いわゆる佐川急便事件について、一部には関係当局が捜査、調査を続けている部分もございます。また、裁判所において公判係属中の事柄もございます。いずれにしても、真相解明は重要なことでありまして、さきの臨時国会におきましてもそれに向けて各党が大変な御努力をされました。また、自民党におきましても、その節御説明申し上げましたように、自民党独自の事情聴取をいたしました。この点は、その後記者会見が行われておりますので、国民の前にその結果は明らかになっておると思います。政府といたしまして、今後とも真相解明のために可能な限り協力をいたす所存でございます。
 次に、選挙民によって選ばれた議員の責務は、選挙民から信頼され、その負託にこたえて国政に従事することでございますから、選挙民の信頼がなお健在であるかどうか、また選挙民の負託にこたえて活動ができるかどうかは、最終的には御本人によってのみ判断されることであると思います。したがって、議員の身分に関することは基本的には議員自身が判断すべき問題と思います。
 小選挙区は、各政党が一人の候補者を立てて選挙を争いますから、自然に政策中心の選挙となります。また、政権を選択するについても、有権者にとっては極めて選択は簡単でございますから、有権者の意思が明確な形で示される、そういう特色を持っております。わかりやすい制度だと思います。現行中選挙区制度を抜本的に改革するとすればこの導入が最も望ましいものと思います。
 御指摘になりました都道府県単位の非拘束比例代表制。比例代表制は、多様な民意がそのまま選挙に多様なままに反映をされる、そういう意味で少数勢力も議席を確保し得るという特色を持ちます。また、御意見のように、それが都道府県単位の非拘束式であれば、いわゆる顔の見える選挙になる。顔の見えない選挙でなく顔の見える選挙になるという、そういう特色を持っていると思いますが、比例代表制の一つの問題点として、小党分立となりやすい、そして連立政権となる可能性が非常に大きい。でございますから、政権は常にそういう意味では不安定になりやすい、そういう問題点を持っておると思います。
 いずれにいたしましても、選挙制度の改革はいわばお互いの土俵づくりの問題でございますので、各党ともいろいろな御意見をお持ちになっておられます。したがって、各党問で十分論議を尽くしていただいて、合意点を見出していただくべきものと考えます。
 それから、二兆円以上の所得減税、あるいは住宅等の政策減税についてお話がございました。
 前国会でもこの点についてはいろいろ申し上げたところでございますが、昨年、総合経済対策を八月にいたしました。先般、補正予算を通していただきまして、今回御審議いただいております平成五年度予算はその延長線上にありまして、公共事業関係費では四・八%、財投では一二・四%、地方単独事業で一二%、住宅、下水道、環境衛生等は七%以上の前年度に対する伸びでございます。したがって、政府投資額で申しますならば、補正後の平成四年度よりもこの五年度の予算は九・五%伸びておりますので、これは相当大きな政府投資でございます。これから何カ月間かに必ずそれだけの効果を持つものと考えております。
 ただしかし、今度の不況は、御存じのようにかなりいろいろ、殊に金融関係、証券関係等々、いわゆるバブルが壊れました、そういう部分がございますし、また、それが家計にも、これは消費ということに結びつきますが、企業にも、それは投資に結びつきますが、そういう影響を与えておりますだけに、よほど注意をしていかないといけないと思っておりまして、政府といたしまして、殊にこれから数カ月、この景気の動向には絶えず注意を払っていかなければならないと思います。そして必要に応じて対応していかなければならないと思っておりますが、減税の問題でございますが、結局、財政がある負担をいたしますときに、それを減税という形で負担をするか、あるいは公共投資等という形で負担をするか、いずれが景気回復に役立つかという、そういう判断の問題になっておったと思います。平成五年度では投資、先ほど申しましたような公共投資を中央地方を中心にやることの方が有効であろうと考えたわけでございますが、なおもう一つ財源の問題もございまして、公共投資であればそれらの投資効果が将来資産として残ります。しかし、歳入補てん公債でございますとそれが残らない、いわゆる赤字公債になるという問題もございました。そういうこともございまして先ほど申しましたような選択をいたしたわけですが、しかし、経済の動向には絶えず注意を払ってまいる必要がございます。事態は、私ども決して安易に考えておりません。
 それから、住宅対策等を柱にした二兆円の減税でございますが、御承知のように既に住宅取得促進税制がございます。これは相当大きな住宅取得のための促進の税制を、恩典を与えておるわけでございますが、そのほかに勤労者財形のときの貯蓄非課税、あるいは新築貸し家住宅に対する割り増し償却等々、たくさんの住宅取得に対する税制上の措置を既にいたしておりまして、それらは相当に住宅促進に役立っているものと思います。
 それから、行革について一つの五カ年計画のようなものをつくったらどうかというお尋ねでございました。それも一つのお考えでございますけれども、今現実に政府は、例えば平成五年度行革大綱を閣議決定しましたが、この行革の大綱は平成五年度だけに実施するというものではございません。中長期にわたって取り組むべき課題を盛り込んでおりますから、そういう意味で、中長期かつ計画的に改革に取り組んでおるという意味では、御指摘と基本的に同じ効果を生むのではないかというふうに思います。
 それから、一極集中を是正して地方分権を強力に進めよということについては、冒頭にも申し上げました理由から、地方分権を推進する時期であると思います。中央から地方に対して行財政の再配分を行うべきときであるというふうに考えて、一層推進をいたします。
 それから、土地等の譲渡について、御指摘の宅地化すべき農地を含め、優良な住宅地供給のための軽減税率や特定住宅地造成事業等のための特別控除が認められ、税制上、住宅地供給の促進のための優遇措置が講じられております。
 なお、平成五年度改正におきまして、ただいま申し上げました軽減税率が適用されることとなる
開発許可対象の土地につきまして、現在、その範囲拡大の作業を考えております。御指摘のように、これは大変に効果のある施策と思いますので、適用範囲を少し広げたい。開発許可の対象面積を、つまり緩くする、仮に千平方メートルであったものを五百平方メートルにするといったようなことにつきましての政令を改めることを今考えております。
 それからなお、住宅取得を促進する観点から、住宅取得のための借入金の一定割合を所得税額から控除する制度がございますことは御存じのとおりでありますが、最大は年間二十五万円、六年間にわたりまして控除する制度がございます。これは今の税制上の措置としては恐らく最大限の、私は限度きりぎりではないかと思います。これ以上この制度を、年間に二十五万円という税額でございますから、拡充いたしますと、住宅を取得してない人との間の一種の不公平につながるのではないかと思います。これは限度いっぱいのことをやっておると思いますが、なお、家賃につきましては、以前にも申し上げたことがございますけれども、食費あるいは被服費等々と同じような意味での生計費ではないかというふうに思われますから、家賃だけを取り出して特別の控除をするということは、やはり税制としては基本的な問題があるのではないかと思います。
 それから、中小企業事業の承継税制につきまして、これもよくお尋ねがございますが、相続税につきましては抜本的な減税を昭和六十三年に行いました。平成四年度の税制では、事業用の小規模宅地等の相続税の課税の特例を拡充いたしました。また、今年度の税制改正では、不動産等に係る延納利子税の引き下げ措置を講ずることにいたしました。これらは主として中小企業の事業承継の円滑化を考えてのことでございます。
 なお、御指摘のありました個人事業税における事業主控除額は、平成五年度から引き上げたいと考えております。御指摘のように引き上げたいと考えておりまして、現在そのための法案の提出を準備をいたしておりますことを申し上げます。
 それから、ウルグアイ・ラウンドにおきましては、米につきまして政府は、国会決議等の趣旨を体し、国内産で自給することを基本方針としてこれまでやってまいりました。交渉は最終段階に入っておりますけれども、やはり輸出補助金に比べまして国境措置の取り扱いにバランスを欠いておるということは事実であると思います。我々はそれを実は指摘をしておりますので、いずれにいたしましても、従来の基本方針のもとで対処をしてまいりたいと思います。
 農政ビジョンにつきましては、「新しい食料・農業・農村政策の方向」いわゆる新政策によりまして、経営感覚にすぐれた意欲的な農業者が生産を担う、そういう農業のあり方を考えてまいりたいと思っております。
 次に、最近、国連のガリ事務総長がいろいろ提案しております「平和のための課題」という中の国連の平和維持活動あるいは平和執行活動についてどう考えるかというお尋ねであったわけでございます。
 ガリ事務総長が、国連の仕事がこれだけ非常に大きくなりまして、そういう中でイニシアチブをとらなきゃならない、それについてはあれもこれもと考えておられることは、それは評価をいたしますけれども、例えば平和執行部隊と言われるもの、この提言は、従来国連がやったことのない新しい考え方でございます。また、今まで国連の平和維持活動として我々が理解しておったものとも違います。国連が新しくそういう役割を果たすかどうかということについては、加盟国の間で議論を尽くす必要があるであろうと思います。政府としては、したがって、そのイニシアチブは評価いたしますが、引き続き検討すべき問題であるというふうに申し上げておるわけでございます。
 なお、先般、マケドニアからの要請がございまして、そこで国連組織の事前展開が紛争の未然防止に役立ったという例はございます。これは在来の関連国からの要請に基づく問題でございますので、安保理において我が国もこれに賛成をいたしました。
 そのような新しい国連の平和維持あるいは平和の創設とでも申しますか、ピースメーキングと申しておるわけでございますが、そういうことにつきまして、いろいろな議論に我が国も積極的に参画をしていきたいと思っておりますけれども、我が国自身がどのような任務に参加し得るかどうかということは、これはもう一つまた次元の異なる問題であるというふうに考えています。
 集団的自衛権について、国際法上集団的自衛権というのは持っておる、これは当然であるけれども、憲法九条下において許容される自衛権の行使にはおのずから制約があるというこの考え方、政府は長年そのような見解を積み重ねてきておるのでございます。要するに、武力行使というものを海外において行うということは、やはり我が国の自衛、国土が侵された場合の自衛ということとは異なるのではないか。海外において武力行使を行うということはやはりいろいろな、戦争への危険に極めてつながりやすいという現実のそういう判断から、今年まで政府は、今に至りますまでそう
いう見解を積み重ねてきたものであるというふうに考えます。
 それから、国際平和協力法でございますが、国会で成立をお認めいただきまして、最初にアンゴラ、次にカンボジアにおいて業務の実施をいたしております。現在、自衛隊初め多くの諸君が、七百人の諸君がカンボジアの国づくりに汗を流してくれておりまして、これは国民からも支持を受けておるものと考えます。
 なお、昨年の国会審議の際、いわゆる平和維持隊本体業務については、別に法律で定める日まで実施しないというふうにお決めになられたところでございます。今の段階で、実際の協力が開始されてまだ間ものうございますので、現在の法律による協力の実績を積み重ねていくことが重要であると思います。法律の見直しを行うに当たりましては、このような経験を踏まえてさまざまな議論が行われていくものと考えます。
 大内委員長の御指摘になられましたのは、我が国の国際貢献のあり方に触れる本質的な問題提起というふうに承りましたが、いずれにしても今この時点では、将来の法律の見直しについて予断を与えることをせずに、現実に自衛隊の諸君のやっていてくれる仕事に対する国民の理解、受け入れ方等々をもう少し注意深く見てまいりたいというふうに考えております。
 次に、PKOへの参加を凍結したままで常任理事国としての責任を果たせると考えるかどうか、そういう趣旨の御指摘であったと思いますけれども、我が国が常任理事国になるという問題、これは仮定の問題でございますが、それとPKOの問題とを直接結びつけて考えているわけではございませんが、国連憲章に照らしてだけ申すなら、常任理事国は必ずPKFへの参加をしなければならないということは別段ございません。ただ、常任理事国になりましたらやはりそれなりの責任と地位を持たなければならないということは、これが御指摘の趣旨だと思うのであります。
 この国連憲章の問題は、我が国として現実に国連加盟国の中では過去七回非常任理事国に選ばれておりますし、現在もまたそうでございますが、このような地位と責任を自覚をしながら国連に対する一層協力を強化しなければならない、そういうふうに考えるとともに、こうやって重い仕事をにわかに担うようになりました国連、殊に安保理事会の改組の必要性を我々としても訴えてまいりました。
 この安保理の改組の問題につきましては、昨年十二月の国連総会において、我が国も共同提案国になりまして安保理議席の衡平配分と拡大に関する決議が全会一致で可決されましたので、国際社会の関心が高まることになりました。そして、本年六月三十日までにこの総会決議を受けて具体的な意見を各国が提出をすることになっております。それから国連の場において議論が深まっていくことになると思いますが、いずれにしても、これは国連憲章の改正を必要といたします。
 そういたしますと、国連憲章は非常に古くなっておりますから、実は随所に改めるべきところが出てくるであろうということは必然だと思いますし、その間にかなり複雑な問題がいろいろ出てくるであろう、したがいまして多少これには時間がかかる、時間がかかりましても取り組んでいかなければならない問題だ、こういうふうに考えております。安保理事会が機能を失うことなくしかも、国際社会の期待に沿うようなどのような改組をしていくかという問題であるというふうに考えております。
 クリントンさんに対しては、両国合わせましてGNPの四割を占めておるわけでございますから、世界の平和と繁栄のために協力していたすべき仕事は多うございます。当選されて早々に電話でそういうことをお話をいたしましたけれども、先方の御都合がつくようになりましたら、できるだけ早く会いまして、話をいたしたいというふうに考えております。
 エリツィン大統領が突然訪日をおやめになったということはまことに遺憾なことでございますが、私に対しましては、電話で、これはロシア内の国内事情によるものである、決して日本の事情ということではないということを言っておられましたけれども、極めて遺憾なことでございました。本年、これは御本人からお答えがあるかもしれませんが、一月の十三日にパリで渡辺外務大臣とコズイレフ・ロシアの外相が会われて、エリツィン大統領が早期に訪日を実現することが日ロ関係に弾みをつけるために有益である、こういう合意があったというふうに伺っております。そのようなことを希望をし、期待をいたします。
 ロシアに対する経済援助の問題でございますが、昨年の人民代議員大会後、ああいう人事異動がございまして、新しい首相が選ばれました。その後、ロシアの改革路線がどのようになるのか。一応ことしの四月に国民投票があるということ、その辺のもう一つ詳しい内容がはっきりいたしませんが、それに向かってどのように政治情勢が変わっていくのか。あるいはIMFとの協議、密接な関係は我々の援助のためにどうしても必要だと考えておりましたけれども、それも余りはかばかしく進展をしていないというようなことがございますので、内政、経済、外交の全面でややどうも見通しが明白でない、そういう状況にございます。我々としては、開放改革路線に入っていってほしい、そのための支援はいたしたいというふうに考えておることに変わりはございません。
 なお、東京サミットにエリツィンさんを招待するかどうか、これは我が国が議長国になったばかりでございますので、まだ関係国の意見も聞いておりません。これから決定をいたすべきことであります。
 それに関連いたしまして、インドネシアのスハルト大統領が、非同盟百八カ国の議長として非同盟の考え方をこのG7に伝えたいと言われますことは、これは理由のあることと思います。どういう形が可能でございますか、その非同盟のせんだっての会議の考え方を何かの形でこのサミットの機会に反映をさせたい、そういう努力を、何かの方法を探したいと思っておるところでございます。
 それから、最後に、アジアにおきましてこれからどういう安全保障の機構が考えられるであろうか。ヨーロッパにおいてはCSCEのようなものがある、アジアにおいても、こういう御指摘でありました。
 ヨーロッパの場合には、かつてソ連といういわば脅威がございまして、それに対してNATOというようなものができておりましたから、CSCEというものがその上に成長していく、いわはそういう同質性、連帯性があったと思いますが、アジアの国々はそういう意味では大変に開放的であり、多様的である。それがまた強みでもございますが、そういう意味で、簡単に一つの傘と申しますか、総合的な安全の仕組みが急に短絡的にできるというふうにはなかなか考えにくい。ただ、これらの国々も世界の情勢を反映して自然に政治・安全保障の対話について関心を持つに至りました。例えば、ASEANの拡大外相会議等がそういう関心を持つようになりました。
 ロシアにつきまして将来どういうふうにこの安全の仕組みに関与してもらえるかということは、これからの問題だと思います。
 そうして、APECは本来経済協力を目的としてできた場でございますけれども、オーストラリアのようにこの首脳会議を考える国もございます。いずれにしましても、こういう問題については、主としてASEANの国々が自分たちの問題として自分たちの地域の安全保障、そういう対話の中で議論をしていってもらう、我が国もそのような議論に積極的に入らせてもらう、イニシアチブはこの域内諸国にとってもらう、そういうことが大事ではないか。
 大内委員長の言われましたこの問題意識は、私も十分に持っております。このたび四カ国を訪問いたしましたときにも、そういうことを頭に置きながら話してまいりましたが、やはりこれから対話を重ねていって、ともに考え、ともに行動するというような種類の、一番いわば高次元の問題ではないかというふうに考えております。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔にお答えをいたします。
 ウルグアイ・ラウンドに関して、日仏間で話し合って、米国に求める農業分野での譲歩について何を一致したのかという御質問ですが、これは外務大臣と大統領との会談ですから、大体ロシア問題が中心でありまして、ウルグアイの話もしましたが、米国も、やはり自分に都合の悪いところは棚上げして都合のいいところだけぎしぎし言われても困りますねというふうな話では一致はしましたが、具体性は余りありません。
 それからその次は、常任理事国になって、日本はうまくそれになれるのか、今までのような状態で常任理事国になって重い責任を果たせるかという御質問ですから、これに対しましては総理がいろいろともうお答えになってしまったので、同じことになりますから、総理のお答えと同じでございます。
 ただ、御承知のとおり、国連憲章上、安保理の理事国になると他国にない権利があるのですね。一つは何かというと拒否権、これは第二十七条ほか、及び軍事参謀委員会への参加、これは四十七条にあるのですが、しかし常任理事国の資格とは別に書いてはありませんが、常識的なことではなかろうか、そう思います。
 分担金の点では、日本はアメリカに次いで多いわけですから、一二・四五、それはイギリスよりもフランスよりも中国よりも多いし、ある国の、大国の数倍以上払っているわけですから、その点からいえば資格は余って返るほどあるのだけれども、それ以上の問題についてバランスがとれてないというところがございますので、結果的には何とも言えないが、国際責任が果たせるように今後も努力をしてまいりますということでございます。
 それから、国連の安保理の改革、どんな提案をしたかということですが、これはいろいろございますけれども、十二月の総会では安保理議席の衡平配分と拡大という決議がなされておりまして、それらのことについては我々の主張したところによるものでございます。
 以上でございます。(拍手)、
#20
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#21
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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