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1993/03/30 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第13号
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1993/03/30 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第13号

#1
第126回国会 本会議 第13号
平成五年三月三十日(火曜日)
    ―――――――――――――
  平成五年三月三十日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う
  関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出
  )の趣旨説明及び質疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び商法等の一部を改正する法律の施行に伴
  う関係法律の整備等に関する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明
#3
○議長(櫻内義雄君) この際、内閣提出、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、趣旨の説明を求めます。法務大臣後藤田正晴君。
    〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕
#4
○国務大臣(後藤田正晴君) 商法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢等にかんがみ、株主による会社の業務執行に対する監督是正機能をより強固にするとともに、株式会社の監査役制度の実効性を高めるために必要な措置を講ずるほか、株式会社の社債による資金調達の需要の増大の状況にかんがみ、企業の資金調達の方法の合理化を図るとともに、それに伴い、社債権者の保護を強化するため、商法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律及び担保附社債信託法の一部を改正しようとするものでありまして、その改正の要点は次のとおりであります。
 まず、商法につきましては、第一に、株主の代表訴訟の遂行に伴う株主の負担を軽減するため、この訴訟の目的の価額を九十五万円とみなすこととするとともに、代表訴訟に勝訴した株主は、この訴訟に要した費用で訴訟費用でないものの相当額の支払いを会社に対して請求することができる改正をすることとしております。
 第二に、株主が会社の会計帳簿等を閲覧謄写することができることを容易にするため、閲覧謄写することができる株主の持ち株要件を発行済み株式の総数の十分の一から百分の三に緩和する改正をすることとしております。
 第三に、株式会社の監査役の地位の強化を図るため、監査役の任期を二年から三年に伸長する改正をすることとしております。
 第四に、企業の資金調達の方法の合理化を図るとともに、それに伴い、社債権者の保護を強化するため、社債発行限度に関する規制を廃止し、これにかえて、社債を募集するには、会社は、社債管理会社を定め、社債権者のために社債の管理を行うことを委託することを原則的に義務づけるとともに、社債管理会社の社債権者に対する義務及びその権限を明確にし、また、社債権者集会における社債権者の議決権の行使を容易にする改正をすることとしております。
 次に、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律につきましては、大会社における監査役制度を充実強化するため、第一に、監査役の員数を二人以上から三人以上に増員する改正をすることとしております。
 第二に、監査役のうち一人以上は、その就任前五年間、会社またはその子会社の取締役または使用人でなかった者でなければならないとする改正をすることとしております。
 第三に、監査役の全員で監査役会を組織し、監査役会において監査役の協議により監査の方針等を定めるとともに、監査役の報告に基づいて監査報告書を作成しなければならないとする等の改正をすることとしております。
 最後に、担保附社債信託法につきましては、担保付社債の募集の公告の制度を廃止して、社債申込証により募集及び申し込みをさせる等の改正をするほか、商法の社債に関する制度の改正に伴い所要の改正をすることとしております。
 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、社債発行限度暫定措置法等を廃止するとともに、非訟事件手続法はか六十八の関係法律について規定を整備し、所要の経過措置を定めようとするものであります。
 以上が、商法等の一部を改正する法律案及び商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の趣旨であります。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 商法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及
  び商法等の一部を改正する法律の施行に伴
  う関係法律の整備等に関する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。鈴木喜久子君。
    〔鈴木喜久子君登壇〕
#6
○鈴木喜久子君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、内閣提出、商法等改正案について、政府に対し質問いたします。
 今月、私たちの生活は、企業を抜きにしては考えられなくなっております。それだけに、企業の社会的責任は重大であります。また、昨今は、企業の社会的貢献活動とか文化援助などという言葉が多くの企業の経営理念の中に取り入れられ、事業活動を方向づけるようになっております。
 こうした企業の公共的活動としての出費が正当性を持つのとは全く反対に、企業の政治献金は、政治の腐敗の温床であり、かつ、本来は株主や企業の従業員等にもたらされなければならない利益を、株主全員の同意によらずに、一定の政治家に献金するものであり、これによって国の政治的意思形成に作用するものであります。したがって、憲法上も民法上からも許されないという根本的な反省の上に立って、これを全面的に禁止すべきものであります。
 企業の政治献金は、今日まで自民党の長期政権を支えてきた最大の支柱であります。このような政治を動かす企業献金が政治腐敗の温床となっていることは、戦後だけでも、昭和電工事件、造船疑獄、ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件など、後を絶たないことを見ても明らかであります。
 昨年八月の金丸氏の五億円受け取り事件以後は、次々と明るみに出される金権腐敗政治の事実に、今や国民の政治不信はそのきわみに達しています。特に、三月六日、空前の大脱税容疑で金丸氏が逮捕されて以降、連日報道される企業献金の実態は、まさに目を覆うような、利権と結びついた政治の金まみれの汚染状況を明らかにしています。総理は、このように政治が金に汚染されている現状をどのように考えておられるでしょうか。
 金丸事件は、金丸氏のみの特殊事情では絶対にあり得ません。なぜならば、今回の脱税事件で金丸氏が約七十億円という途方もなく巨額の蓄財をした原資は、建設業界を中心とした企業の政治献金として、しかも大部分が、使途不明金、仮払金など、裏献金処理をしたものであることが明らかになっているからです。
 国税当局が一九八九年から九一年までの三年間に資本金一億円以上の企業を調査した結果では、千七百三十七社が合計千五百九十七億円の使途不明金を支出しており、そのうち、使途解明率は約二三%とわずかになっています。また、業種別で最も多いのが建設業で、千九十五億円で全体の六八%に上っています。この膨大な使途不明金が、金丸氏のみに渡ったのでないことはだれの目からも明らかです。
 企業が政治的影響を及ぼす政治家に多額の政治献金をしていた構造的腐敗の一例として、三月二十六日付の毎日新聞では、清水建設の献金リストのメモが報道されました。金丸氏と竹下元首相が最高のSAランクに、そして、宮澤総理を含む現閣僚数名などがAランクにと、合計政治家五十七名が五段階にランクづけされ、盆暮れなど定期的に、またそれ以外にも特別のときに、これに基づいて献金がなされていたことが関係者の話で明らかになったとされています。
 総合建設会社、いわゆるゼネコンは、昨年の褒め殺しに次いで、構造的腐敗の温床たる政治献金を象徴する流行語となりつつあり、国民のだれ一人として、これが金丸氏個人の問題であると考える者はありません。総理はいかがお考えでしょうか。(拍手)
 そして私は、総理に、今述べた献金リストは、総理御自身の分について、これは事実か否かを伺いたいと思います。お答えは、恐らく否定があるいは調査中というようなことになってしまうかもしれませんけれども、その場合には、もし後日お答えと異なる事実が判明した場合どうなさるお考えか、また、あるいは調査結果は必ず公表されるかをもあわせてお答えいただきたいと思います。
 次に、右リストに登載された法務、建設、現職各大臣に同様の質問をしたいと思います。
 さらに、ゼネコンからの政治献金は、公共事業の受注が主たる目的であるところから、お金には色がついていなくても、その大部分が明らかに国民の血税であるという点で、国民にとっては二重の怒りを覚えているのですけれども、これについて総理はいかがお考えでしょうか。(拍手)
 さて、今回の商法改正においては、株式会社の監査機能の強化が打ち出されています。ただいま述べましたように、企業のやみ政治献金、その捻出方法としての使途不明金扱いなどについてのチェックは、企業内においては監査役の重要な任務のはずであります。これまでにも問題視され、何回もその強化が図られながら、今までどの企業においても全くこうした役割が果たせなかったのはなぜなのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
 監査役は株主総会で選任されますが、実質上、人事権は監査を受ける側である社長や会長が握っているため、たとえ不祥事を予知できても、辞表を出す覚悟がなければとても事前に防止できないというのが実情です。このような事態が変わらない限り、社外監査役を導入しても役に立たないのではないでしょうか。真に監査役の独立性を確保し、監査の実効性を図るためには、監査役の人事権を監査役会に与えるなどの抜本的な改革が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 今回の改正が、果たして今後の監査機能の強化に実効性があるとお考えなのか否かもあわせて伺いたいと思います。政府が真に使途不明金処理を企業から放逐しようと考えるならば、監査役の権限強化とその実効性の担保を図るために抜本的に改正をする必要があると思います。
 さらに、今回の改正には含まれませんでしたが、企業献金については会計監査も問題があります。九二年からさかのぼって六年間、大手ゼネコンの三社の監査報告を見ましたが、何の問題点も指摘されていませんでした。裏献金が明らかにならないような会計監査システムは抜本的に改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、取締役の責任を追及する代表訴訟の改正について伺います。
 株主の業務執行に対する監督是正権の強化は、日米構造問題協議事項の一つとして、日本が対応を迫られた問題であります。動機はどうであれ、株主の機能強化は望ましいことでありますから、改正の内容に異を唱えるものではありませんが、これもまた実効性に疑義があるのは大変残念なことであります。
 すなわち、株主の会計帳簿等の閲覧謄写権が、従来の発行済み株式総数の十分の一から百分の三の株式を有する株主に改められ、緩和されるということですが、果たしてどの程度企業のディスクロージャーが実現することになるのか、甚だ疑問です。現在上場されている会社の発行済み株式総。数は、東京の場合、最低でも四百万株であり、その百分の三といえば十二万株ですから、千株単位の一般の株主には全く無縁のものです。大会社では普通億単位の発行済み株式数ですから、ますます縁が遠くなってしまいます。
 単独株主が代表訴訟を起こす道が、訴額や費用負担の上で容易になったのが今回の改正点ですが、株主が会計帳簿等を自由に閲覧謄写できなければ、実質的に訴訟をするにしても資料が入手できず、株主の機能も全く絵にかいたもちにすぎません。
 さらに、会計帳簿の閲覧謄写権は、企業の経済的な不祥事、すなわち取締役の特別背任や裏政治献金などの防止にも実質的に有効な武器となります。にもかかわらず、持ち株要件が百分の三ではどうしようもありません。
 以上の点につき、政府はどのように考えていらっしゃるのでしょう。
 次に、代表訴訟の目的の価額を一律に九十五万円とみなすという改正は、裁判所によって多額の訴額となる可能性もあるという現在の民訴法上の課題を解決し、訴える者の負担する印紙代を八千二百円に一律とするというもので、確かに代表訴訟を容易にするという意味では、その趣旨に賛意を表します。しかし、なぜ商法上の株主代表訴訟のみが恩恵をこうむるのでしょうか。
 私は、かつて湾岸戦争の際、九十億ドルの援助について国民が国を相手に提起した集団行政訴訟や、住民がその地域の道路工事を差しとめるために国に対して起こした集団住民訴訟を思い出しま
す。こうした訴訟において、訴額は一律ではなく、裁判所によりさまざまで、高額に及ぶ場合もあり、かつ、当事者の頭数が乗ぜられるから、億単位の訴額となり、印紙代もそれによって大変な高額となってしまいます。私は、かつてこれを法務委員会において質問したことがありますが、法律の定め上やむを得ないとのけんもほろろの回答でございました。
 集団訴訟も、会社に対する代表訴訟と同様に、原告の手元に一円の全員が入る性質のものでもありませんし、主権者たる国民の国政に対する一つのチェックであり、また国民の意思表示としてこれを保護すべきこと、企業における株主と何ら変わるところはないものであります。
 日米構造協議という、いわば外圧によって、株主の代表訴訟については定額化され、安定化され、集団行政訴訟についてはこれが行われないというのは不公平きわまりないものと考えられます。政府としては、今後この点についての見直し、整備など計画されているのか否か伺い、ぜひとも実現に向けて御努力を願いたいと思います。
 次に、社債に関する改正について伺います。
 改正案では、社債発行限度規制を撤廃することとしています。純資産額による規制については合理性に乏しいとの批判もありましたが、現に財務内客の悪化している会社による社債の発行を禁止するということを通じて、それなりの社債権者保護の機能を果たしてきたのではないかと思われます。
 規制を撤廃することとした一つの要素として、証券取引法上の改正によるディスクロージャー制度の整備及び格付制度の定着に伴い、投資家の自己責任原則を容認する環境が整備されてきているなどの事情を考慮したとされているようでありますが、証券取引法上のディスクロージャー制度が改正により果たして整備されたのか否か、その信頼性については、前に述べたように会計監査との関連により、まだ十分とは言えないのが実情です。
 投資家保護の立場から、企業の格付をする民間の機関を大蔵省告示によって現現九社を指定しているということですが、こうした格付機関に対する信頼の定着性もいまだ十分とは言えないと思いますが、いかがでしょうか。
 また、社債を発行する際には社債管理会社の設置が義務づけられていますが、この管理会社には銀行、信託銀行等が当たるとされています。昨年の証券・金融スキャンダル以来、銀行、証券会社など金融機関に対する一般国民の信頼は極度に低くなっています。銀行がバブルの元凶の一つであることは、不況にあえぐ国民の周知の事実です。本改正によって、銀行は社債管理会社として莫大な手数料が入るであろうことは明らかであり、この不況下で、なぜ銀行ばかりを保護するのかという国民の声を政府は謙虚に聞くべきだと思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
 また、管理会社は、多くは、当該企業に多額の融資をしているメーンバンクが当たることになると思われますが、こうした大債権者が社債権者の利益のために公平誠実義務や善管注意義務を担保できるのか否か、大いに疑問です。公平な第三者機関を何らかの形で設置すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 最後に、企業の非行が目立つ中で、企業の社会的責任、倫理的責任を確立していくために政府はどのような方策を考えておられるのでしょうか、これを伺って、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 金丸前議員が所得税法違反の疑いをもって起訴をせられましたことは、国民の政治に対する不信を極めて深めたものとして、まことに申しわけないことだというふうに思っております。
 事は政治家一人一人の倫理の問題ではありますが、しかし同時に、倫理を担保するための制度改革の必要をも意味しておると思います。昨年、既に緊急改革につきまして国会の御承認を得て実施をいたしましたが。さらに抜本改革が焦眉の急務になっておることは申すまでもないことであります。自由民主党では既に、改革案につきまして、企業献金の問題を含めましてはぼ成案を得ております。やがて国会に御提案をいたしまして御審議を得たいと思いますが、各党におかれましても種々の改革案を御検討中でございますので、どうぞこの国会におきまして議論を尽くし、政治改革の実を、本会期において成立をいたしますように、そうして国民の政治への信頼を回復いたしたい。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。(拍手)
 なお、いわゆるゼネコンの問題につきまして報道がございました。御指摘もございました。これは事実関係を確認いたし得ませんので、報道によればと申し上げますが、本来、公共工事は国民の税金を使う工事でございます。その発注、契約、入札等々につきまして、伝えられるようなことがございますと、これはゆゆしい問題であります。
 これは、行政の側におきましても、やはりそのような過ちが起こりませんような万全の措置をとらなければならない。もし事実でございますと、それは明らかでございますから、既に建設大臣におかれて、所管大臣におかれてそのような措置をとられつつございますが、行政の側からも、そのようなことの起こりませんように十分に注意をいたさなければならないと思います。
 なお、一建設会社からの盆暮れのつけ届けについての報道について、私についてのお尋ねがございましたが、そのような事実は全くございません。(拍手)
    〔国務大臣後藤田正晴君登壇〕
#8
○国務大臣(後藤田正晴君) 鈴木議員にお答えを申し上げます。
 清水建設の政治献金リストの新聞報道がなされたことは承知をいたしておりますが、私としては、そのようなリストの存在を含め、いわゆるゼネコンの政治家に対する政治献金の実態を承知をしておりませんので、これについて所見を述べることは差し控えたいと思います。
 また、毎日新聞の報道の真偽につきましても論評する立場にはございません。なお、報道された献金のリストの押収の有無及びその内容等については、捜査の秘密に属することでございますので、答弁はいたしかねます。
 また、後日、真実であることが明らかとなった場合にどうするのか、こういうことでございますが、リスト自体について、その内容を承知しておりませんので、これについてコメントすることは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、政治献金の処理については、政治資金規正法によって処理をしておるものと心得ております。
 ゼネコンからの政治献金については、公共事業を受注した企業から政治献金を受けることが直ちに問題であるとは思いませんけれども、政治資金の透明性、公正性を高めることは、政治の抜本改革の中での重要課題の一つとして十分議論されるべき問題であると考えます。
 次に、監査役が企業のやみ政治献金などの使途不明金をチェックできなかったのはなぜだ、こういう御質疑でございますが、監査役は、会社の業務及び会計を監査するために必要にして十分な権限を有するものでありますから、使途不明金について、粉飾経理などの不正な経理が行われないよう監査する責務がありますが、特定の会社において監査役の監査が十分になされず、不正な経理が見逃されたとすれば、まことに遺憾なことであると考えます。
 次に、今回の改正で監査の実効性が上がると考えておるのか、こういう御質問でございますが、監査役は、株式会社の最高機関である株主総会において選任される会社の機関であって、既に強力な監査権限を有しておるのでございます。今回の改正によって監査役の任期がさらに伸長され、大会社につき監査役が増員をされる、いわ降る社外監査役及び監査役会の制度が導入されることに
よって、株式会社の監査役制度が充実強化されるものと考えております。
 次に、裏献金が明らかにならないシステムは抜本的に改めるべきであるとの御指摘でございますが、個別の会社の監査報告書については、その適否を述べる立場にはありませんけれども、商法上、会社の経理に関して不正な処理を行うことは、既に現行法で禁止されているところであり、また、監査役は、善良なる管理者の注意義務をもって監査報告書を作成すべきものとされております。この監査報告書に虚偽の記載があるとするならば、監査役は、過料の制裁を受け、場合によっては損害賠償責任を負うことに相なっておるのでございます。このように、不正経理の防止及び監査報告書の適正の確保については、商法上の必要な規制がなされておる、かように考えております。
 株主の会計帳簿の閲覧謄写権の持ち株要件の緩和についての改正は不十分ではないかとの御指摘でございますが、会計帳簿の閲覧謄写権を有する株主の持ち株要件は、現行法では発行済み株式総数の十分の一でございますが、この要件は厳し過ぎますので、改正案では、株主による会社の業務執行に対する監督是正機能を強化するために百分の三に緩和するものであって、現行法以上に株主の権利を強化する措置を講じておるわけでございますので、十分なる効果が上がるものと考えております。
 次に、国政をチェックする集団訴訟についても、訴訟の目的の価額を一律九十五万円とみなすよう改正すべきではないかとの御指摘については、株主の代表訴訟は、全株主の利益のためにその代表者として取締役の責任を追及するものでございますが、今回の改正は、その訴訟の訴額に関する疑義を解明するためのものでございます。
 なお、その他一般の民事訴訟等の申し立てに要する手数料のあり方については、御指摘の点も含め、いろいろな御意見があることは承知をしておるわけでございますが、そのような御意見をも踏まえまして、慎重に検討すべき問題と考えております。
 次に、社債管理会社の資格を銀行とか信託会社等に限るのは、金融機関の利益のみを図るのではないか、こういった御指摘でございますが、改正案における社債管理会社とは、発行会社のためではありませんで、社債権者のために社債の管理をする会社のことでございますが、大規模、長期にわたる社債の管理については、債権管理能力に長じ、責任負担能力のあるものが適当である、かように考えておりますが、そういった観点から考えますと、これまでも主務官庁の監督のもとに社債の償還の事務を担当してきた実績を持っておる銀行、信託会社などが社債管理会社として最も適任であると考えられるところでございまして、さしあたって他に適任者を見出すことは困難であると考えます。
 次に、社債管理会社には当該企業のメーンバンクが当たることとなるときは、社債権者の利益を害するのではないかという御疑問でございますが、改正案では、社債管理会社は、社債権者に対し公平誠実義務、善良な管理者の注意の義務及び特別の損害賠償責任を負うことになっておりまして、メーンバンクは当該社債発行企業の財務内容を一番正確に承知をしておるわけでございますから、社債管理会社として社債の管理を効率的、実効的に行うことができ、かつ、その責任を十分に負担することができるものと私は考えておるのでございます。したがって、メーンバンクが社債管理会社になるとしても、社債権者が不当な損害をこうむるというおそれはなくて、公平な社債管理を期待することができると考えるわけでございます。
 最後に、企業の社会的責任を確立するための方策については、企業の社会的責任、倫理的責任を確立をするということは、私は極めて大事なことであると考えておりますが、法務省といたしましても、会社法の面からその規制のあり方については今後とも研究を怠らないで、そのための必要な努力は続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 以上でお答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣中村喜四郎君登壇〕
#9
○国務大臣(中村喜四郎君) お答えをいたします。
 まず第一番目の質問は、献金ランクのメモが報道されて、ゼネコンが多額の献金をして政治的影響を及ぼす一例があり、この問題は金丸氏個人の問題を超えているのではないか、このような御質問でございました。
 建設省としましては、政治献金の実態については現在承知していないところでありますが、総理が答えられましたように、建設業界に対しては、住宅、社会資本の整備の担い手として果たすべき役割が極めて大きいということを踏まえ、国民の信頼にこたえるべく、企業活動の適正化を図り、企業の倫理の確立を強く要請してまいりたい、このように考えております。
 二番目は、毎日新聞の報道が事実か否かということでございますが、報道された毎日新聞の記事については、私としては全く関知していないところでありまして、コメントを差し控えさせていただきます。
 なお、建設業界を含む企業からの献金については、これまで適法に、また、私の信条として、薄く広くという考え方で対応してまいりましたので、報告を受けた結果、複数の企業から献金を受けているということでありますが、いずれも政治資金規正法等により適正に処理されていると報告を受けております。
 ゼネコンからの献金が、国民の血税による公共事業受注に影響を及ぼすことを考えると、国民は二重の怒りを覚えているというような御質問でございましたが、建設省といたしましては、公共事業の執行を、会計法令に基づき、適正かつ厳正に行ってきたところでありますが、御指摘の件につきましては、法的判断が示されたものの、建設業界が国民の厳しい批判を受けていることになり、あわせて公共工事の入札・契約制度の運用について不透明な点があったのではないかという指摘が行われているところであり、まことに遺憾であると考えております。
 建設省としては、公共工事の発注に関し、一層厳正な執行を図るとともに、公共工事の入札・契約制度については、さらに透明性、競争性を高めるために、平成四年十一月の中央建設業審議会答申を踏まえ、平成五年度に、まず建設省直轄工事について、技術を重視した新たな入札方式の導入や、指名基準の具体化など、現行の指名競争入札制度に係る所要の改善措置を実行に移す考え方であります。
 今後とも、国民の信頼にこたえて、さらに一層適正かつ厳正な公共事業の執行に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#10
○国務大臣(林義郎君) 私に対する質問は二つありまして、いわゆる九社の格付機関、これの信頼性はどうかという問題が一つでございます。もう一つの問題は、金融不祥事がたびたび起きているのだけれども、なぜ金融機関だけ保護するのか、一体どうだ、もっと第三者機関をつくったらどうかというのが第二の御質問だ、こういうふうに受けとめております。
 資本市場の問題でございますが、開かれた自由な市場をつくっていくというのが、私は、資本市場の基本的なねらいだろうと思います。そのためには、信頼に足る格付の定着というものが、市場関係者の自己責任原則のもとで適正な市場運営を確保するための前提として極めて重要なことであることは申すまでもありません。大蔵省としては、今までもこのような基本的な考え方に基づいて、信頼に足る格付の定着に向けて環境整備に努めてきたところであります。
 格付機関の指定制度につきましては、平成四年七月以降、大蔵省令に基づきまして、証券会社の自己資本規制において、有価証券保有に係るリスク相当額を算定するための基準及び有価証券の発行につき、発行登録制度を利用し得る発行者の適格基準として格付を位置づけた上で、大蔵大臣が具体的格付機関及び格付を指定することといたしたものであります。
 この格付機関の指定に当たりましては、大蔵省令上、広く市場関係者により信頼性のあるものとして受け入れられていること、中立性の確保、的確な業務遂行等の確保等を基準として勘案をしているところでございまして、御指摘の九格付機関につきましては、このような基準に基づきまして、十分精査した上で指定したものでございます。
 第二の問題でございますが、昨今の金融不祥事件にもかかわらず、なぜ金融機関ばかり保護するのか、また、第三者機関をつくったらどうかということでございますが、この点につきましては、先ほど法務大臣からも御答弁がありましたとおりでございまして、今回の法律では、社債管理会社の設置の義務づけ等の改正が行われることになっておりますが、これは社債発行限度の規制が撤廃される中で社債権者の保護をより一層実効あらしめるためのものでありまして、いわゆる受託会社としてこれまでも社債管理の機能を果たしてきた銀行、信託会社等が社債管理会社として適当とされたものであるというふうに承知をしております。
 銀行は、その業務の公共性にかんがみ、公共的・社会的役割を目指して業務運営を行っていく必要がありまして、今回の改正案が成立、施行される際には、これまでのノウハウを生かして、社債管理会社としての明確化された権限及び義務、責任のもとで、社債権者保護の役割を十分果たしていくものと期待をしているところでございます。(拍手)
#11
○議長(櫻内義雄君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#12
○議長(櫻内義雄君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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