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1993/04/13 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第19号
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1993/04/13 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第19号

#1
第126回国会 本会議 第19号
平成五年四月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  平成五年四月十三日
    午後一時開議
 第一 阪神高速道路公団法の一部を改正する法
    律案(内閣提出)
 第二 船舶安全法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六
  君外二十三名提出)、衆議院議員選挙区画定
  委員会設置法案(梶山静六君外二十三名提出
  )、政治資金規正法の一部を改正する法律案
  (梶山静六君外二十三名提出)及び政党助成
  法案(梶山静六君外二十三名提出)並びに公
  職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観樹
  君外二十四名提出)、衆議院議員小選挙区画
  定等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四名
  提出)、政治資金規正法の一部を改正する法
  律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政党交
  付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君外二
  十四名提出)、政治倫理法案(佐藤観樹君外
  十八名提出)及び国会法の一部を改正する法
  律案(佐藤観樹君外十八名提出)の趣旨説明
  及び質疑
 日程第一 阪神高速道路公団法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第二 船舶安全法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    午後一時三分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出)、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案(梶山静六君外二十三名提出)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出)及び政党助成法案(梶山静六君外二十三名提出)並びに公職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政党交付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政治倫理法案(佐藤観樹君外十八名提出)及び国会法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外十八名提出)の趣旨説明
#3
○議長(櫻内義雄君) この際、梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案並びに佐藤観樹君外十八名提出、政治倫理法案及び国会法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。提出者塩川正十郎君。
    〔塩川正十郎君登壇〕
#4
○塩川正十郎君 冒頭、昨日、徳仁親王殿下と小和田雅子さんの納采の儀が滞りなく行われ、まことにおめでたく、心から慶賀の意を表します。(拍手)
 このたびの正式の御婚約により、御結婚の儀が六月の九日に行われることに相なりますが、お二人におかれましては、何とぞよき皇室の伝統を継承され、国の内外から親しまれ、幸せな御家庭を築いていただきますことを心から祈念申し上げます。(拍手)
 公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案、以上四件につきまして、趣旨とその内容の概略を御説明申し上げます。
 まず、我が党が抜本的な政治改革を目指すこれら四法案を提出するに至った基本的な考え方について申し上げたいと存じます。
 政治は、国民の信頼がなければ成り立ち得ません。「政治と金」の問題に端を発した国民の政治不信は、今やその頂点に達しており、議会制民主主義の土台を揺るがしかねない深刻な事態に立ち至っております。
 一方、今我が国は、二十一世紀を目前に控え、これまで通用してきたもろもろの制度の改変が迫られております。とりわけ、特定のイデオロギーを挟んで政党の対立が続いた時代は過ぎ去り、自由主義と民主主義を基盤とする政党間で、政策の競い合いを通じ政権交代を可能とする新たな政治システムの構築が求められております。
 一日も早く国民の政治に対する信頼を回復し、活力ある健全な議会制民主政治を揺るぎないものとするためには、今こそ、政治構造の根源にさかのぼった抜本的な政治改革を断行しなければならないと考えるのであります。
 「政治と金」をめぐる問題や政治家のあり方の問題に関して国民の不信を招かないようにするためには、何よりも政治家個々人の政治倫理の確立が重要であることは申すまでもありませんが、それとともに、制度面の見直しも不可欠であります。
 現在のような中選挙区制のもとでは、政権政党を目指す限り、同一選挙区で同一政党の候補者問の同士打ちが避けられず、選挙は政策本位というよりも候補者のサービス競争になりがちであります。このため、選挙や政治活動も、またそれに要する政治資金の調達も、候補者個人が中心となって行わざるを得ない状態になっております。このような個人中心の選挙制度を残したままでは、「政治と金」の問題の根本解決にはなりません。
 また、この制度における与野党の勢力も長年固定化し、政権交代の可能性を見出しにくくなっており、これが政治の活力をそいでいるのが現状であります。
 このため、我が党は、衆議院の選挙制度について、民意を総括的に集約した形で反映し、安定した政策遂行能力と不断の緊張感を政権に与える単純小選挙区制に改めることを決断するとともに、その改革とあわせて政治資金も政党中心に調達する仕組みとし、透明性を高める等の政治資金制度の改革、さらに政党に対する公的助成制度の創設を一体として実現することとし、関連四法案を提出するに至った次第であります。(拍手)
 以下、四法案について御説明いたしますが、初めに、公職選挙法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この改正法案は、政策本位、政党中心の選挙を実現するため、衆議院議員の選挙について、小選挙区制を導入することとし、総定数、候補者届け出政党の要件、政党の選挙連動等に関する規定を整備し、あわせて、連座制の強化、政治活動用ポスターの規制の強化等を行うことといたしております。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概要につきまして御説明申し上げます。
 まず第一は、衆議院議員の選挙制度に関する事項であります。
 その一は、選挙制度の基本的仕組みとして小選挙区制を採用することといたしております。
 その二は、衆議院議員の定数について、五百人とすることといたしております。
 その三は、衆議院議員の選挙区について、別に法律で定めるものとし、各選挙区において選挙すべき議員の数は一人とすることといたしております。
 その四は、投票についてであります。衆議院議員の選挙の投票については、候補者の氏名が印刷された投票用紙に○の記号を記載して投票する記号式投票の方法によることにいたしております。
 その五は、立候補についてであります。衆議院議員の選挙における候補者の届け出については、所属国会議員五人以上を有すること、直近における衆議院議員の総選挙もしくは参議院議員の通常選挙の得票率が百分の三以上であること、または当該選挙において所属候補者を五十人以上有することのいずれかに該当する政党その他の政治団体が行うことができるほか、本人届け出または推薦届け出もできることといたしております。
 また、一定の要件に該当する政党その他の政治団体の候補者の選定の手続の届け出、供託等に関し、所要の規定を整備することといたしております。
 その六は、当選人について有効投票の最多数を得た者をもって当選人とすることといたしております。ただし、有効投票の総数の四分の一以上の得票がなけれはならないとするものであります。
 その七は、再選挙等特別選挙についての規定を整備することといたしております。
 その八は、選挙運動についてであります。衆議院議員の選挙においては、候補者個人のほかに、候補者届け出政党についても選挙運動を認めることといたしております。具体的には、候補者届け出政党は、原則として候補者を届け出た都道府県ごとに当該都道府県における届け出候補者の数に応じて、自動車の使用、文書図画の頒布及び掲示、新聞広告、政見放送等を行うことができることといたしております。また、今回、候補者個人について立会演説会を復活することといたしております。
 その九は、政党その他の政治団体等の衆議院議員の選挙における政治活動に関する規定等を整備することといたしております。
 その十は、選挙訴訟及び当選訴訟に関する規定を整備することといたしております。
 その十一は、候補者の選定権限の行使に関し、請託を受けて、財産上の利益を収受した者等について罰則を設けることその他罰則に関し所要の規定を整備することといたしております。
 第二に、衆議院議員の選挙区と都道府県議会の議員等の選挙区の調整に関する事項であります。
 都道府県の議会の議員または指定都市の議会の議員の選挙区とされている一の郡・市または一の区の区域が二以上の衆議院議員の選挙区に属する区域に分かれている場合には、当該各区域を郡市または区の区域とみなすことができることといたしております。
 第三に、連呼行為に関する事項でありますが、運行中の選挙運動用自動車等の上において、選挙運動のための連呼行為をすることができないことといたしております。
 第四に、公職の候補者等及び後援団体の政治活動のために使用されるポスターの掲示の禁止に関する事項であります。
 公職の候補者等の氏名等または後援団体の名称を表示するポスターについては、選挙ごとに一定期間これを掲示することができないことといたしております。
 第五に、予想報道等に関する事項であります。
 選挙が選挙人の自由に表明される意思によって公明かつ適正に行われることを確保するため、選挙に関する公職につくべき者の予想報道等については、慎重に配慮しなければならないことといたしております。
 第六に、連座制に関する事項であります。
 立候補予定者の親族並びに候補者及び立候補予定者の秘書を連座制の対象とするとともに、当選無効に加えて、連座裁判の確定等のときから五年間、立候補制限を課することといたしております。なお、この立候補制限については、連座制の対象となる者の行為がおとりまたは寝返りによるものであるときは、連座制は適用しないことといたしております。
 第七に、罰金額の引き上げを行うことといたしております。
 なお、この法律は、衆議院議員の選挙区に関する法律の規定が適用される最初の総選挙から施行することといたしておりますが、政治活動用ポスターの掲示、予想報道等及び罰金額の引き上げに関する事項は、この法律の公布の日から起算して三月を経過した日から、衆議院議員の選挙区と都道府県議会議員等の選挙区の調整、連呼行為及び連座制に関する事項は、衆議院議員の選挙区に関する法律の公布の日から施行することといたしております。
 次に、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案について御説明申し上げます。
 衆議院議員の選挙区の改定に関し調査審議し、その改定案を作成して意見を提出させるため、衆議院に衆議院議員選挙区画定委員会を設置しようとするものであります。
 以上が、この法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。
 第一に、設置及び所掌事務に関する事項であります。
 この委員会を衆議院に置くものとし、委員会は、衆議院議員の選挙区の改定に関し調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案を作成して衆議院に意見を提出することといたしております。
 その改定案の作成に当たっては、総定数を、まず都道府県に一人ずつ基礎配分し、残りを人口に比例して都道府県に配分することとし、また、各選挙区間の人口の格差が一対二以上にならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行うことといたしております。
 なお、十年ごとの国勢調査が行われた場合における意見の提出は、その結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に行うことといたしております。
 第二に、組織及び委員に関する事項であります。
 委員会は、委員七人以内をもって組織することとし、委員は、国会議員以外の者のうちから、衆議院の承認を得て、衆議院議長が任命することといたしております。
 任期は、五年とし、委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならないことといたしております。
 第三に、資料の提出その他の協力等について所要の規定を設けております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとし、最初の衆議院議員の選挙区の画定に係る意見の提出は、委員が任命された日から六月以内に行うことといたしております。
 次に、政治資金規正法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 この改正法案は、政治資金と密接な関連を有する選挙制度が政策本位、政党中心に改められることと軌を一にして、政治資金制度についても、政治資金の調達を政党中心にするとともに、政治家の資金面における公私の峻別の徹底を図り、あわせて、政治資金の透明性を高め、さらに政治資金についての規制の実効性を確保するための改正を行うものであります。
 以上が、この法律案の提出の趣旨であります。
 次に、この法律案の内客の概要について御説明申し上げます。
 まず第一は、政治資金の調達を政党中心とするための改正であります。
 その一は、選挙制度の改革と相まって、選挙や政治の活動が政策本位、政党中心となることに伴い、政治資金の調達も政党中心とするため、企業等の団体の寄附については、政治家が指定した二以内の資金調達団体に限り年間二十四万円を限度とした少額の寄附ができることとするほかは、政党に対するものに限ることといたしております。この場合における政党は、所属国会議員五人以上を有すること、直近における衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙の得票率が百分の三以上であることのいずれかに該当する政治団体といたしております。
 なお、経過的に、五年間に限り、政党及び資金調達団体以外の者に対して寄附することができることとするとともに、資金調達団体に対しても年間二十四万円を超えて寄附ができるものとし、それぞれの限度を逓減する措置を講ずることといたしております。
 その二は、政治資金の調達を政党中心とするため、寄附枠の区分を改め、政党に対する寄附枠を独立させるとともに、企業等の団体の政党に対する寄附枠の限度を現行の二倍といたしております。また、政党以外の者に対する寄附枠については、その限度を、個人の寄附にあっては政党に対する寄附枠の二分の一、企業等の団体の寄附にあっては政党に対する寄附枠の四分の一といたしております。
 第二は、政治家の資金面における公私の峻別の徹底のための改正であります。
 政治家の資金面における公私の峻別を徹底するため、政治家は原則として金銭等による政治活動に関する寄附を受けてはならないものとし、政治家の政治資金はその資金調達団体で取り扱うことといたしております。これに伴い、指定団体及び保有金の制度は廃止することといたしております。
 また、政党中心の政治資金制度の確立に資するため、政治家間の資金提供を禁止することとし、その実効性を確保するため、政治家間のみならず、政治家の資金調達団体とそれ以外の政治団体との間の資金提供を禁止することといたしております。
 第三は、政治資金の透明性の強化等のための改正であります。
 その一は、政治家がその者のために政治資金の拠出を受けることができる政治団体として資金調達団体を二つ以内に限り指定することができることとし、政治資金の拠出を受けることができる政治団体の数を制限いたしております。
 その二は、政党以外の政治団体に対する寄附の公開基準を現行の年間百万円超から、資金調達団体については、企業等の団体の寄附にあっては年間十二万円超、その他の寄附にあっては年間六十万円超に、また、資金調達団体以外の一般の政治団体については年間一万円超にそれぞれ引き下げることといたしております。
 なお、政党に対する寄附の公開基準については、事務処理の簡素化を図るため、現行の年間一万円超から年間十万円超に改めることといたしております。また、政治資金パーティーの対価の支払いの公開基準については、一の政治資金パーティー当たり現行の百万円超から六十万円超に引き下げることといたしております。
 第四は、政治資金の規制の実効性を確保するための罰則の強化に係る改正であります。
 政治資金の規制の実効性を確保するため、罰金額の引き上げを行うとともに、企業等の団体の役職員または構成員が、政治資金規正法違反をしたときは、その行為者のほか、その団体に対して刑罰を科することといたしております。
 また、政治資金規正法違反の罪により禁錮の刑に処せられその刑の執行猶予中の者は、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しないことといたしております。
 以上のほか、政党の名称を保護するため、これと同一の名称またはこれに類似する名称を他の政治団体が使用することができないことといたしております。
 また、法人が政党に対して寄附をした場合においては、当該寄附については、法人税の課税について特別の措置を講ずることといたしております。
 なお、この法律は、選挙制度の改革と一体のものでありますので、原則として、衆議院議員の選挙区に関する法律の公布の日の属する年の翌年の一月一日から施行することといたしております。
 次に、政党助成法案について御説明申し上げます。
 議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対する助成を行う制度を創設することとし、これにより政党の政治活動の健全な発達を促進するとともに、その公明と公正を確保し、もって、民主政治の健全な発展に寄与しようとするものであります。
 以上が、この法律案の提出の趣旨であります。
 次に、この法律案の内容の概略について御説明申し上げます。
 第一は、助成の対象となる政党についてであります。
 政党助成の対象となる政党は、国会議員を五人以上有する政治団体または国会議員を有し、かつ、直近における衆議院議員の総選挙もしくは参議院議員の通常選挙のいずれかの選挙の得票率が百分の三以上の政治団体といたしております。
 また、政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年の一月一日現在で、所定の事項を自治大臣に届け出ることとし、その年中において衆議院議員の総選挙または参議院議員の通常選挙が行われた場合も同様の届け出を行うことといたしております。
 第二は、政党交付金に関する事項であります。
 政党交付金の総額は、直近の国勢調査の確定人口に二百五十円を乗じた額を基準として予算で定めることといたしております。
 各政党に対して交付すべき政党交付金の額は、各政党の所属国会議員数及び国政選挙の得票数に応じて一月一日現在において算定した額とし、総選挙または通常選挙が行われた場合には再算定することといたしております。
 第三は、政党交付金の使途の報告及び公表等の措置であります。
 政党交付金については使途を制限しないこととし、各政党は政党交付金の使途を記載した報告書を提出し、これを公表することといたしております。
 なお、収支報告書には、公認会計士または監査法人が行った監査報告書を添付しなければならないことといたしております。
 第四は、政党の解散等に関する措置であります。
 政党が合併または分割により解散を行った場合には、所要の措置を講ずることといたしております。
 第五は、政党交付金の返還等の措置であります。
 政党がこの法律に違反して政党交付金の交付の決定を受けた場合、政党が提出すべき報告書を提出しない場合などには、交付すべき政党交付金の交付を停止し、またはその返還を命ずることができることといたしております。
 その他この法律の規定に違反する行為については、所要の罰則を設けるとともに、偽りその他不正な行為により政党交付金の交付を受けた場合には、その行為者のほか、政党に対して刑罰を科することといたしております。
 なお、この法律は、選挙制度の改革と一体のものでありますので、衆議院議員の選挙区に関する法律の公布の日の属する年の翌年の一月一日から施行することといたしております。
 以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案の趣旨とその内容の概要であります。
 何とぞ慎重に御審議賜り、速やかに御可決あらんことを心から期待いたします。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) 提出者佐藤観樹君。
    〔佐藤観樹君登壇〕
#6
○佐藤観樹君 私は、日本社会党・護憲民主連合及び公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案並びに衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案につきまして、提案理由並びにその内容の概略について御説明申し上げます。
 昨年来の佐川急便事件、さかのぼればロッキード事件、リクルート事件と相次ぐ政治腐敗のスキャンダルに加えて、金丸自民党前副総裁の巨額蓄財・脱税事件の発覚は、国民の政治に対する不信を極限にまで高めており、もはや一刻の猶予もできない事態に立ち至っております。したがって、この議会制民主主義の復権のためには、政治腐敗行為防止のための法案とともに、政党中心・政策本位の選挙を実現するための法改正が不可欠であります。私たちは、そのための制度は小選挙区併用型比例代表制しかないと考え、これを公職選挙法の一部改正として提案することにしたものであります。(拍手)
 また、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案につきましては、公職選挙法の改正に伴って、小選挙区の区割り及びブロックの定数の変更等の問題が生じますが、これらは公正な第三者機関にゆだね、その改定案を作成させる必要があります。これが本法案の提案理由であります。
 次に、法案の概要について御説明いたします。
 まず公職選挙法の一部を改正する法律案についてでありますが、新たに御提案いたします制度の概要は、次のとおりであります。
 選挙制度の基本的な仕組みは、ブロックごとの小選挙区併用型比例代表制を採用いたします。衆議院議員の総定数は五百人といたしますが、この法律に基づく選挙の結果、五百人を超えることを妨げない、いわゆる超過議席を認めることにいたしております。選挙区等につきましては、全国を十二に分けたブロックを設け、また各フロックを分割して総計で二百の小選挙区を置きます。都道府県がどのブロックに所属するか、各ブロックの定数及び都道府県における小選挙区の数は別表第一で定めるものとします。投票につきましては、一枚の投票用紙を第一欄と第二欄に分け、第一欄に政党等の名称を、第二欄には小選挙区の候補者名を記載するものといたします。
 立候補は、ブロックで行う選挙の場合は政党等が名簿を提出して行うものとし、その政党等の要件を定めます。小選挙区の場合は、政党等または本人の届け出、推薦による届け出により立候補するものとし、その届け出に必要な要件を定めております。
 当選人につきましては、政党名投票の結果により、各ブロックの定数から無所属等当選人の数を差し引いた議席数を、各政党等の第一欄の記載数から無所属等当選人に係る数を差し引いた獲得記載総数をもとにドント式で配分し、各政党等の配分議席数のうち小選挙区で当選した者の数を差し引いた残りの議席数を名簿登載者からあらかじめ定められた順に従って充当するものといたします。なお、小選挙区に立候補する者は、名簿上では同一順位とすることができるものとし、同一順位の者にかかわる当選の順位については、当該小選挙区における第二欄の記載総数の比率が高いものから順に決定するものといたします。また、小選挙区における当選者は、第二欄の記載総数の最多の者とし、記載総数の六分の一以上がなければならないものといたします。さらに、議員等の欠員が生じた場合の繰り上げ補充、再選挙、補欠選挙などの特別選挙についての規定を整備することといたしております。
 選挙運動に関しましては、政党と小選挙区の候補者に認められるものとし、自動車等の使用、文書図画の頒布及び掲示、新聞広告、政見放送、立会演説会等々についての規定を置いております。
 次に、小選挙区併用型比例代表制の創設以外の改正部分についてであります。
 第一は、戸別訪問の自由化に関してであります。戸別訪問は、すべての選挙において行えるものとしますが、時間については、午前八時から午後九時玄でに限るものといたしております。
 第二は、公民権の停止の要件の強化及び立候補制限の制度の新設についてであります。
 その一は、公職にある間の収賄罪に関する公民権停止に関してであります。現行では、執行猶予がつけば公民権が停止されますが、さらに、刑の執行を終わりまたは執行を受けなくなった日から五年間、選挙権及び被選挙権を有しないものといたします。
 その二は、公職選挙法違反に伴う連座制の強化に関するものでございます。
 まず、連座対象の拡大についてでありますが、次に掲げる者が買収等の罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられたとき、執行猶予を含みますが、連座制の適用があるものといたします。すなわち、一、公職の候補者等に使用されている者で当該公職の候補者等の政治活動を補佐するもの、主に秘書をいいます。二、公職の候補者等の父母、配偶者、子または兄弟姉妹で当該公職の候補者等、総括主宰者、地域主宰者または秘書と意思を通じて選挙運動をしたものであります。
 次に、選挙区の区域の一の市町村の区域を含む地域の選挙連動を主宰すべき者として公職の候補者または総括主宰者から定められ、当該地域における選挙運動を主宰した者を新たに地域主宰者とすることといたしております。
 また、秘書もしくはこれに類似する名称を使用する者または公職の候補者等の政治活動のために使用する常設の事務所に所属する者であることを示す名称を使用する者について、当該公職の候補者等がこれらの名称の使用を承諾しまたは容認している場合には、秘書と推定するものとして連座対象といたしております。
 連座制が適用され、当選無効になった場合、新たに立候補制限を課することといたしております。すなわち、連座裁判の確定のときから五年間、参議院選挙区選出議員については七年間、当該選挙に係る選挙区において行われる当該公職に係る選挙において、公職の候補者となり、または公職の候補者であることができないものといたしております。ただし、連座制の対象となる者の違反行為が、おとり、寝返りによるものであるときには、立候補制限については免責するものといたしております。
 第四に、公職の候補者等の寄附の禁止の強化に関する事項であります。公職の候補者等は、当該選挙区内にある者に対し、政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする寄附についてもしてはならないものといたしております。
 第五は、その他事項といたしまして、罰金額の引き上げを行うこと、及び選挙権に係る年齢の満十八歳以上への引き下げ及び電子式投票の導入については、政府は公職選挙法の施行の状況等を考慮して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることを求めております。
 なお、この法律は、衆議院の小選挙区に関する法律の規定が適用される最初の総選挙から施行するものとし、他に各項に関する施行期日を定めております。
 次に、この衆議院小選挙区画定等審議会設置法案の概略についてであります。
 この審議会は総理府に置き、小選挙区の改定等に係る勧告を行うことを所掌事務といたします。衆議院議員の選挙における各ブロックの定数、各都道府県の衆議院議員の小選挙区の数及び衆議院議員の小選挙区の改定に関し調査審議し、必要があると認めるときは、その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとするものであります。
 改正案の作成の基準につきましては、各小選挙区の人口の均衡を図り、最大格差が二倍以上にならないようにすることを基本とし、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないこととしております。勧告の期限については、今後、国勢調査が行われた場合における勧告は、その結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に行うものといたしております。なお、内閣総理大臣は、審議会からの勧告を受けたときは、これを尊重しなければならず、かつ国会に報告しなければならないものとしております。
 審議会は委員七名をもって組織することとし、委員の資格、任命、任期等について規定することとしております。施行の期日は、公布の日からといたします。その他、特例に関する事項についても定めております。
 以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案並びに衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案の内客の概要であります。
 これで二法案の提案理由の御説明を終了いたしますが、引き続き、公明党・国民会議の渡部一郎氏より提案があります政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案が一体となって初めて国民の期待する画期的な政治改革が実現をし、日本の政治はよみがえると私は確信をいたしております。(拍手)
 政権交代とは、基本的に、政権が与党から野党に移ることであります。単純小選挙区制という、民意の反映を極めてねじ曲げ、議席を引き続き独占しようという時代おくれの選挙制度に自民党の皆さん方が固執することなく、虚心坦懐に国民の声に耳を傾け、後世に残る政治改革を実現し、未来に新しく清潔な政治を引き継いていくことが、お互い、本院に議席を持つ者の責任であり、誇りの持てる政治を実現していこうではありませんか。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げ、私の提案理由の説明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(櫻内義雄君) 提出者渡部一郎君。
    〔渡部一郎君登壇〕
#8
○渡部一郎君 私は、公明党・国民会議、日本社会党・護憲民主連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議共同提出の政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案及び政治倫理法案並びに国会法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 同僚議員の諸君、まず、日本国民の政治家不信、政党不信が今日ほど高まったことはかってなかったと思うのであります。議会制民主主義の破滅と言っても過言ではありません。私どもは今、その全国民の怒りと絶望に直面して、何らかの回答を示さなければならない立場にあることを深刻に認識したいと存じます。
 戦後の我が国の政治を振り返ってみましても、残念ながら、数々の疑獄や疑惑を生むたびに、言葉だけの反省の弁が横行してまいりました。「政治改革」「抜本的な改革」「血を流す改革」などもう聞く方の国民はただただあきれ返っているわけであります。
 その中にありまして、一九八八年六月にリクルート事件が発覚して以来、共和、佐川と大規模な政治スキャンダルが相次ぎ、さらにこのたびは、権力の中枢にあられた金丸元副総理が政治資金を資金源とした巨額の脱税事件によって逮捕されるという未曾有の構造汚職が明らかにされ、まさに金権腐敗まみれの日本の政治はここにきわまれりというべき異常事態に立ち至っているのであります。
 この期に及んで根本的な政治改革を断行しなければ、我が国の議会制民主主義の崩壊を意味することは申すまでもありません。今、議会人として国会に籍を置く私どもが、現状を深刻に受けとめ、腐敗政治と決別し、活力のある議会制民主主義を再構築することが歴史的な使命と責任であると思うのであります。少なくとも、時間を引き延ばせばやがて国民の非難は静まるだろうなどというような悪質な態度があってはならないのであります。(拍手)
 かかる認識から、我が党としての回答を出すべく、多年にわたり法律、制度の改正案を用意してまいりましたが、このたび日本社会党・護憲民主連合との協議が調い、先ほど趣旨説明のございました衆議院の選挙制度の改革などの二法案とあわせ、共同で政治改革六法案を国会に提出するに至ったのであります。
 この際、これらの法律の制定、改正を行い、民主主義の原点に立ち返り、透明で清潔な政治を実現し、国民の政治に対する信頼を取り戻し、真の議会制民主主義を確立することが緊急な課題であります。
 まず、政治資金規正法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 第一に、従来、腐敗政治の温床となってきた法人、団体の政治活動に関する寄附は禁止することにし、法人、団体が負担する党費、会費は寄附とみなし、同様に禁止することにいたしております。
 第二に、政治家個人に対する政治活動に関する寄附は、政党がするものを除いて禁止し、これに伴って、現行の指定団体及び保有金制度は直ちに廃止いたします。
 第三に、政治活動に関する寄附の量的制限を厳しくし、個人の寄附であっても、政党及び政治資金団体に対するものは年間で一千万円を超えることができないものとし、その他のものに対する政治活動に関する寄附は年間五百万円を超えることはできないことといたしました。
 第四に、政治資金の透明度を高めることは至上命題であります。政治資金の入りと出の公開基準を大幅に引き下げることにいたします。同一の者からの寄附に対しましては、一律に年間一万円を超える場合、氏名、住所、金額等を公開することとし、支出は一件当たり三万円以上のものは公開することといたしました。
 第五に、政治資金規正法の違反により禁錮刑及び罰金刑に処せられた者に対しましては、公民権を一定期間停止して選挙に関与をさせないことといたしまして、また、罰金額の引き上げ等を行うことにいたしました。
 このほか、不明朗のうわさの高い政治資金パーティーの対価の支払いは政治活動に関する寄附とみなすこと、政党交付金にかかわる収支は他の政治資金と収入、支出を別の帳簿に記載すること、法人、団体による寄附への関与の禁止、株式等による寄附の禁止、政党の定義の改正、政党等の名称の保護を定めております。
 次に、政党交付金の交付に関する法律案について御説明申し上げます。
 この法律は、政党が議会制民主主義において重要な機能を果たすものであり、その健全な発達が国民の利益に資するものであることにかんがみまして、選挙を通じてあらわされた国民の意思を反映した政党に対する公的助成としての政党交付金制度を創設することを目的とし、国は、この法律の定めるところに従って、政党に対して政党交付金を交付することといたしております。そのための政党の要件、政党の届け出、その他必要な手続等を定めることをその内容といたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、政党の定義につきましては、政治資金規正法第三条第一項に規定する政治団体で、次のいずれかに該当するものといたしております。
 その一つは、総選挙または通常選挙の結果、所属する議員を三人以上有することであります。二つには、所属議員を有するもので、直近の総選挙でその政治団体が一%以上の記載総数があるか、またはその政治団体に所属する候補者の記載総数の合計数が各候補者の記載総数の合計数の一%以上であるものです。三つには、所属議員を有し、直近の通常選挙の比例代表選挙または選挙区選挙でその政治団体が有効投票の一%以上の得票総数を得ているものとしております。また、政治資金規正法第六条第一項の規定により政党である旨の届け出がなされていないものは、この法律に言う政党ではないものといたしております。政党要件は、いわゆる自民党案よりも大幅に緩和し、政治参加への道を閉ざすことのないように配慮をいたしております。
 第二に、政党の届け出に関する事項として、名称、主たる事務所の所在地、代表者、会計責任者、所属議員の氏名等、政党の綱領、規約などを届け出ることを定めております。
 第三に、政党交付金の算定等につきましては、毎年分の交付金の総額は、一月一日現在における、直近の国勢調査人口に二百五十円を乗じた額を基準として予算で定めるものといたしております。また、毎年分として各政党に対し交付すべき政党交付金の額の算定方法を定めております。
 このほか、政党が交付を受ける際の請求の手続、各政党に対する政党交付金の額の通知及び告示、政党交付金の使途の報告に関する事項及び報告書の公表、さらには政党交付金の返還に関する事項、この法律の違反に対する罰則及び違反者に対する公民権停止その他の事項について定めております。
 次に、政治倫理法案について御説明を申し上げます。
 今ほど政治倫理の確立が求められているときはありません。国会議員が国政に関し国民の厳粛な信託を受けた特別の地位にあることにかんがみ、その職務の廉潔と公正を確保するために、政治倫理の基本理念を明らかにし、国会議員の行為規範、資産・所得・兼業の報告公開措置を定め、国会の自浄能力を高めようとするものであります。既に国会議員の資産等の公開に関する法律は実施されておりますが、その条項を本法に繰り込み、本法の制定に伴って廃止するものといたします。
 この法律は、ロッキード事件を契機として設立されました政治倫理審査会が事実上機能不全に陥っており、それを改めようとするものであります。すなわち、各議院に常任委員会として政治倫理委員会を設置することとし、この委員会におきましては、国会議員の行為規範の違反、資産・所得・兼業等の報告書の不提出または虚偽の記載、各議院の議長が定める法令の違反について審査することとしております。衆議院においては四十人、参議院においては二十人以上の賛成で審査を請求することができることとし、審査請求に対しては、政治倫理委員会で審査するようにいたしております。審査に当たっては証人喚問もできるようにし、違反等をした議員に対する措置として、国会議員の辞職勧告、一定期間の登院自粛勧告などを行うようにいたしております。
 政治倫理法の制定に伴いまして、国会法の一部を改正する法律案をあわせて提出をいたしております。
 なお、政党交付金の交付に関する法律は、衆議院議員の小選挙区に関する法律の公布の日の属する年の翌年の一月一日から施行することとし、政治資金規正法の一部改正は、政党交付金の交付に関する法律の施行の日から施行することといたしております。また、政治倫理法並びに国会法の一部改正につきましては、第百二十七国会の召集の日から施行することといたしております。
 最後に、本法律案の審議につきましては、格別のお計らいをもちまして、ぜひとも国民の多年にわたる宿願にこたえ、世界の目に恥ずかしからぬ日本の政治を確立いたしますためにも、今国会で必ず御可決いただきますよう心からお願いを申し上げまして、趣旨の説明とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出)、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案(梶山静六君外二十三名提出)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(梶山静六君外二十三名提出)及び政党助成法案(梶山静六君外二十三名提出)並びに公職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政治資金規正法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二、十四名提出)、政党交付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政治倫理法案(佐藤観樹君外十八名提出)及び国会法の一部を改正する法律案(佐藤観樹君外十八名提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(櫻内義雄君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。小渕恵三君。
    〔小渕恵三君登壇〕
#10
○小渕恵三君 冒頭、去る五日前、カンボジアにおいて献身的にUNTACの奉仕活動を続けておられた中田厚仁さんが、無念にも無法集団によって殉職を余儀なくされました。日本青年の純粋な無償の行為を思うと、何としてもこの怒りを抑えることはできません。
 御家族の御悲嘆を思うにつけ、「私たちも覚悟していた。国際貢献という強い希望が全うできて、本人も思い残すことはないでしょう」という父親武仁さんのお言葉を伺い、深く感銘いだすとともに、悲しみを新たにいたしております。
 このとうとい青年の死を無にすることなく、総選挙が無事に行われることを祈りつつ、謹んで哀悼の意を奏させていただきます。(拍手)
 さて、私は、本国会に日本社会党・護憲民主連合及び公明党・国民会議より上程された政治改革関連法案に対しまして、自由民主党を代表し、選挙制度を主に質問を行うものであります。
 諸点につき質問の前に、私は率直に、今この胸に去来しておりますことを申し上げさせていただきたいと思います。それは、私が何ゆえにこの壇上に立っているか、その理由にも当たることであります。
 今を去る五年前、私は官房長官の職員にあり、当時、リクルート事件をきっかけに怒濤のごとく押し寄せる政治不信の真っただ中で痛恨の日々を送っておりました。
 昭和六十三年暮れ、竹下総裁は、後藤田正晴氏を長とする政治改革委員会をみずからの直属の機関として設置する一方、その一月後には民間有識者から提言をいただくため、総理のもとに政治改革有識者会議を発足させました。私は、その意を体して、これらの準備、円滑な滑り出しに最大限の努力を傾けたところであります。
 数カ月後には、有識者会議からは「政治倫理の確立は、政治家全体の行動原理に帰着する問題ではあるが、制度面からの改革も不可欠である。」とする結論をちょうだいし、後藤田委員会からは、現行中選挙区制度を抜本的に改革することが政治改革の核心課題であるとの答申を受けました。すなわち、すべての改革課題に処方せんを示した政治改革大綱であります。
 その後、我が党は、この大綱の方針にのっとり、さらに二年余にわたる議論を交えて法案化作業を進め、平成三年夏、政治改革三法案を海部内閣より国会に提出したのであります。そのとき、私は自由民主党の幹事長でありました。前回は、残念ながら審議日数が足りずに審議未了となりました。その緊急事態を受け、政治改革与野党協議会の設置に奔走したことなども克明に思い起こされるのであります。
 さらに、私は今、いわゆる派閥と言われる議員集団における会長の立場を継承した身にあります。現下の政治不信を一層増幅した直近の出来事には、これまで政治改革の発進地点からかかわってきた身であるだけに、深い責任をだれよりも感じているつもりでありますし、この機に、なお一層のこと、身を挺して、政治改革を実りある着地点に導かなければならないと強く決意を新たにいたしておるところであります。(拍手)
 この思いを胸に、本日は質問に立たせていただいた次第であります。
 さて、我が党が提出している四法案のうち、中心をなすものは衆議院議員の選挙制度の改革であります。本来であれば、参議院並びに地方の制度改革もともに国政選挙に問うて、その望ましい姿に改革していくべきところでありますが、現今の政治に対する国民の強い批判にかんがみ、いち早く衆議院の改革を先行させたことをまず御理解いただきたいと思います。
 ここで一言、私は、政治改革の課題は、単に一つの内閣に責任を負わせて済むような問題ではないことを申し上げたいと思います。もちろん、宮澤総理の気構えのほどは、我が党四百名になんなんとする両院議員総会の席上、明確に「もし、この機を逃せば抜本的政治改革の実現は再び遠のく」と不退転の決意を語られたことからも明らかであります。
 しかし、私は、政治改革の問題は、内閣や政権の問題であるよりも、それこそ憲法第四十一条に規定される国権の最高機関たるこの国会自身が決すべき問題であると申し上げたいのであります。なぜなれば、議会制民主主義を支えるものは紛れもなく選挙であり、その制度を改革することは、現行中選挙区制が大正十四年に起こったように、今後半世紀ないし一世紀にわたって我が国民主政治を牽引していくものでありますから、この決断を下すのは、ほかでもない、国会自身でなければならないと思うからであります。(拍手)
 我々自由民主党がこのたび提案した衆議院の選挙制度改革案は、一選挙区一議員制、すなわち小選挙区制であります。
 我が国二院制のもとにおける衆議院の最大の役割は、憲法第六十七条の内閣総理大臣の指名における優越性に象徴されるように、あるいは六年間議席が保証される参議院とは異なり、即解散があるように、選挙を通じて直近の国民の意思を吸収した政権を打ち立てることにほかなりません。そして、政権とは、公約や政策の実行と、それに伴う責任を負うことをもって真価をなすものであります。
 その政策の是非や可否は、主権在民の近代国家では、当然のことながら選挙を通じて国民が審判を下すものであります。これが議院内閣政治、政党政治の本旨でありますのであるにもかかわらず、残念ながら今日の中選挙区制は、時代の移ろいとともに、政党政治の意義を発揮するには、ほころびが随所に目立つところまで疲労を来してしまいました。
 根本の原因と言えば、全国百三十選挙区で衆議院議員の過半数である二百五十七議席を制し、政権を目指そうとする政党は、どうしても一つの選挙区に複数の候補者を擁立しなければならない点にあります。いわゆる同士打ちの宿命であります。我が身、我が地元をもって深く痛感いたしておるところであります。(拍手)その生き残りのために発生する弊害は、政策不在の選挙戦、金の問題、政治倫理の逸脱、派閥の公然化等々、近年非常にあらわであり、それぞれに国民の政治不信を買っているところであります。
 しかし、これらに増して何よりも国民にとって不幸なことは、この選挙制度のもとで与野党勢力が固定化し、政治に、国会に緊張感が失われてしまったことであります。今や野党で、二百五十七人の候補者を出している党はどこにもありません。そのことが、今日、政治全般に綱紀の緩みを生んで、国全体にはかり知れない損失をもたらしているのであります。
 水はとばしる川がいつも清例であるように、政党政治は、緊張感に満ちた政権交代があってこそ健全に機能します。張り詰めた感覚の中に自浄能力が生まれるのであって、決して罰則の強化に頼ることが万能なのではありません。
 そして、政権交代の可能性が高い選挙制度としては、小選挙区制がその第一であることは疑いを入れません。よく、小選挙区制肯定論としてのイギリスのジェームス・スミスの三乗比の法則、すなわち、獲得した得票率よりも議席占有率の方が上回るとの説を逆用し、この制度に反対する向きがあります。しかし、仮に民意を鏡のごとく議席に反映するとした御提案のような比例制にした場合、今日、野党各党は政権を獲得するチャンスが得られるのでありましょうか、お尋ねいたしたいところであります。むしろ得票差を増幅して議席差に変換する三乗比の法則を秘めた小選挙区制の方において、失政批判などを通じ、野党の政権獲得のポテンシャルは一挙に高まると思われますが、いかがお考えでありますか、お答えを願いたいのであります。
 現に、マスコミの試算によれば、平成元年の参議院選の数値を定数五百の単純小選挙区制に当てはめた場合、実に野党第一党の社会党は四百二十三議席を獲得できるという結果が出ているのであります。
 このように、政権交代を可能とする一選挙区一議員の小選挙区制は、国民にとっても政治に対する関与の意識をいやが応でも高めざるを得ないこととなるでありましょう。自分の持つ一票を国政に反映させるためには、各党えりすぐりのどの候補者を選べばいいか。有権者はおのずと気持ちが張り詰めるとともに、候補者が政権を託すにふさわしい政策と見識を持ち合わせているかどうか、自然と投票を吟味し、その行為からは、国家の意思の形成に参画したとの意識が育つでありましょう。
 今、日本は、内外政とも大きな転換期に直面しております。激動の時代に足を踏み入れた今日、政治は指導力を発揮し、国民意思の集約を的確に図り、機敏に政策を立案し、実行していかなければなりません。こうした現下の政治を取り巻く状況に深く真剣に思いをいたすならば、国民の意思を総括的かつ明確に集約した形で反映し、安定した政策遂行力と不断の緊張感を政権に与える小選挙区制が最も今の我が国に求められている制度であると判断するものであります。(拍手)
 繰り返して申し上げますが、単純小選挙区制は、野党各党にとりましても、どんどん国民への浸透を図れば、政権の獲得を十分に可能にする制度でありますのでありながら、何ゆえにこの制度を採用しようとしないのでしょうか。政権を握られる意思ありやとの疑問に端的にお答えをいただきたいのであります。(拍手)マックス・ウェーバーも指摘するように、まさに、政治とは政権に近づくことでありましょう。
 かりそめにも政権獲得の目標、すなわち第一党たらんとする意欲を放てきしているとしたら、それこそ支持者に対する背信以外の何物でもないと申し上げたいのであります。我々自由民主党は、明確に「政権交代可能な政界再編成をも視野に入れこという文言を党内外に宣明し、第一党の座にこだわらぬ捨て身の覚悟で、単純小選挙区制を打ち出しているのであります。保さて、今般、両党は小選挙区比例代表併用制案を提案されたところでありますが、もちろん、現行中選挙区制に対して完全なる決別を告げたという点では、我々自由民主党と同じく、大いに評価するものでありますけれども、なぜ、連立政権が不可避の他者依存型の政権を構想しようとするのか、疑問に思うものであります。(拍手)
 このことは、政党の自律性、国民に対する責任のとり方に深くかかわる重大な問題だと思えてなりません。すなわち、比例代表制が基本である社会党、公明党案では、連立政権の場合、第一に、政権を担当する政党がどこなのか、選挙を通じて国民が直接に選択することができません。選挙結果を見渡した各党が、自分の利害得失を第一に置いた交渉で決めてしまうのであります。これでは選挙民は安心して投票できません。事実、交渉が難航し、これと同様の比例制度をとる国では、組閣が一カ月以上かかることも珍しくないのであります。
 また、恐らくこの制度下でも我が党は、比較であれ、第一党であり得ましょう。我が党を軸に連立政権を形成するというのでは、野党の皆さんは何を目的にこの制度を導入しようというのでありましょうか。(拍手)
 このたび、社会、公明両党は法案を共同で提案されました。しかし、例えばPKO法一つとっても、両党の政策は大きな隔たりを見せております。国の基本政策について認識を異にする両党が、政治の根本である選挙制度についてのみ共同歩調をとっていることには野合との批判も出ております。そこでお尋ねしたいことは、併用制実現の暁には、両党で連立・連合政権をつくる覚悟がおありかどうかということであります。この点も明確にお答えいただきたいのであります。
 第二には、政権樹立に際し、政策の妥協が行われることになりますが、では選挙で国民に問うた公約との整合性はどうなるのか。それは政策を貫徹するという強い意思の退化にほかならないのではないか。すなわち、だれの意思でもないから責任の所在が不明確になり、腰が定まらない政権のために国民が被害を受けることになるのではないか、こうした疑問がわきます。
 第三は、比例代表制は、制度の本質において、総合政策体系を持たない小党の分立を促し、政権の統治機能を骨抜きにしてしまうのではないかという懸念があります。
 第一次大戦後、ドイツで、ワイマール理想憲法下、比例代表制を採用し、結局小党分立の果てに政権は責任能力を欠き、ヒトラーの登場を許しました。イタリアでは、十年前、得票率わずか四%でキャスチングボートを握った第七党の党首が、他の上位六党に条件をのませて首相になりました。フランスでは、戦後間もなくから十二年間続いた第四共和制の問、何と組閣が三十六回試みられ、そのうち十四回は断念されたのであります。この反省の上に立って、続くドゴール第五共和制では、小選挙区二回投票制に移行したことは、御承知のとおりであります。
 また、最近のイタリアでは、長い間の連立のなれ合いが巨大汚職を生んだ原因と言われ、ニューヨーク・タイムズ紙が伝えるところによれば、交代する二党による政治のような仕組みを求める声が国民の間に大きくわき起こり、近々、制度改革に向けた国民投票が行われる予定であるとのことであります。
 以上、比例代表制がその基本である社会党、公明党案の小選挙区比例代表併用制について、制度の本質に関する疑問を数点申し上げました。
 私は、いよいよ混迷を深める時代状況において、不向きであるばかりか、危険すら感じる制度であると思うのでありますが、どのような認識をお持ちか、改めてお答えをいただきたいのであります。
 最後に一言申し上げたいことがあります。
 私は、不肖の身ながら、この三十年間、本院に議席をいただいてまいりました。その経験から申し上げまして、本日このように、政治に強く責任を感ずる各党が、ただし現行中選挙区制に固執する守旧派一党を除いてではありますが、現下、現実の事態を踏まえ、これを変えようとする大法案を議員提案として出し合ったことは、かつて例がありませんでした。(拍手)
 今、国会は、全国民に、耳目を凝らしてこの国権の最高機関のありさまを注視していただかなければなりません。画期的なことに、委員会審議では、答弁者が質問者に逆に疑問をただすことが可能となりました。議員同士の活発な討論ができるのであります。ぜひ、これが国会だ、ジス・イズ・ザ・国会と胸を張れるような、そして目の覚めるような質疑を最後まで尽くしたいものであります。
 このたびの政治改革法案では、今ここにいる我々が、これから半世紀あるいは一世紀先までの制度を決めることになるのであります。我々が全員引退した後まで、議会制民主政治の基本が担保されるのでありますから、ぜひとも一人一人の議員が政治家としての良心において、この問題に対し、見解を表明し、堂々意見を申し述べるべきであります。政治改革特別委員会の委員だけの職員だと考えるべきでないことは、申し上げるまでもありません。
 政治について、一部やゆすることをもって評論となす風潮の中、過日、テレビで実に建設的な提言を視聴しました。「再び国会議員の皆様へ」と題して、会期末まで十分時間がある、一日六時間の審議であれば優に二百七十時間ある、せめて審議を尽くす意味で衆参各百時間以上の審議を行ってはどうか等との趣旨でありましたが、全く同感であります。
 さて、幕末の我が国には四隻の黒船が渡来し、二百六十年の鎖国を打ち破りました。これにより我が国は、近代国家への道を歩み始めたのであります。
 今、現代日本には大きな二隻の黒船が押し寄せております。一隻は、冷戦構造の崩壊という黒船であります。米ソ二大超大国の対立の中、アメリカの庇護のもとで我が国は経済成長を続けてまいりました。政治も効率を求めていればそれで済むという時代が続いてきました。しかし、今や日本がどのような国際貢献を果たし、どのような国家像を志向するのか……
#11
○議長(櫻内義雄君) 小渕恵三君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
#12
○小渕恵三君(続) 私たち自身が決め、切り開いていかなければならない時代となりました。政治にかつてないリーダーシップが求められております。
 もう一隻は、相次ぐ不祥事に対する国民の厳しい批判であります。この批判を真摯に受けとめ、政治の再生を果たさないならば、国民は政治に対して決定的に絶望してしまうでありましょう。私は、この事態を民主政治の危機であると極めて深刻に受けとめております。私たちは今、与野党の壁を越えて何としても政治改革をなし遂げなければなりません。(拍手)
 我々自由民主党は、ほぼ四年半を費やし、公式会議だけで六百回近いという熱心な議論を積み上げてまいりました。無論のこと、我が党の案が最善と思うものであります。が、なおかつ、これを上回るものがあるのであれば、我々の英知を結集し、歴史にたえ得る成案をまとめ上げ、ぜひとも国権の最高機関としての責任を果たすことを心から念願するものであります。
 私も、本院の一員として、今国会決着のため、渾身の努力を傾けることをここにお誓い申し上げて、質疑を終わります。(拍手)
    〔佐藤観樹君登壇〕
#13
○佐藤観樹君 ただいま小渕議員の方から、政権交代に最も可能性が大きいのは小選挙区制ではないか、こういうことで、なぜ我々がそれをとらなかったかという、まず冒頭の御質問がございました。
 しかし、皆さん方御承知のように、皆さん方が小選挙区制が最もいいということで模範とされますイギリスにおきまして、一九七九年、労働党に対しまして、サッチャー首相率いるところの保守党が当選をし、それ以来三回選挙がございましたけれども、今はメージャー首相に継がれ、政権交代はないのであります。また、フランスにおきましては、最近、ことしにおきまして保守連合と社会党との政権交代がございました。つまり、政権交代ということは、選挙制度だけで起こる問題ではないのでありまして、民意がそこで変わるときに初めて政権交代ということが起こるわけでございます。(発言する者あり)
#14
○議長(櫻内義雄君) 静粛にお願いします。
#15
○佐藤観樹君(続) 政治学者が言っておりますように、小選挙区制の場合の政権交代というのは、選挙結果が一方的な勝利になる、あるいは地すべり的な勝利になるという、そういう劇的な、あるいはトラスチックな政権交代が小選挙区制の場合には起こります。比例代表の場合だって、一党が過半数をとるか、あるいは政党の組み合わせで内閣をつくるか、どちらかで政権交代が静かに起こるかの違いでありまして、比例代表でも、ヨーロッパの各国で行われておりますように、政権交代というのははっきりと起こっているわけでございます。
 私は今、小渕議員のお話を聞いてみて、いろいろ騒いでいる方がいらっしゃいますけれども、自民党のこの前の総選挙の得票率というのはどうだったでしょうか。今議席率が、ここまでございますが、我が党の議員が三人いらっしゃいますけれども、過半数に議席率はなっておりますけれども、皆さん方のところの得票率は四七%でございます。過半数を超えているわけではないわけであります。それが怖いから、私は、小選挙区制ということを極めて声高に言っていると言わざるを得ないのであります。
 議会制民主主義にとりまして大事なことは、国民の多様な意見をどうやって反映をさせるかということでございまして、今小渕議員言われましたように、単純小選挙区制というのは、民意を正確に反映をしない過大な代表制でございます。小渕議員も指摘をされましたけれども、衆参ダブル選挙のときの結果を使いますと、自民党は九九・四%の議席を占有するという、これが一体民意を反映をしたものと言えるのでありましょうか。全く民意を反映をせず、反対意見を抹殺するような、こういう議会の行政政府に対しますチェック能力というものを著しく減殺をした制度というのは、お互いに議会人として、議会の自殺行為だ、こう私は言わざるを得ないと思うのであります。(拍手)
 、それから、小渕議員の方から、比例制の場合には小党分立になり、あるいは政権の統治機能や責任能力の低下をもたらすのではないか、あるいはリーダーシップを求められる時代にふさわしくないのではないか、こういう御質問もございました。
 しかし、皆さん方御承知のように、我々が提案をしておりますいわゆる併用案をやっておりますドイツにおきまして、御承知のように四党が中心になりまして政権は十分機能しておるのでございまして、決して、政権の統治機能や責任能力が低下をしているということは全くないのでございます。今や冷戦構造が終わったときに、政治の課題というのは、社会的な要因、つまり安全保障や国家体制などという選択から生活的な課題に政策の重点が移っているのでありまして、こういった多様な国民の価値観を反映してこそ、日本の政治の責任を果たせる時代になりつつある。日本もこの方向に対応を迫られているのであります。
 小渕議員の方からリーダーシップのお話がございましたけれども、御承知のように、議院内閣制におきます総裁の、ましてや、一党で過半数の議席を持っております総裁の権限、機能というのは大変強いわけでございます。リーダーシップを問われるとき、これはかなり総理・総裁の資質の問題に多分に問われる問題があるのでございまして、宮澤内閣あるいは宮澤総理がリーダーシップを欠いている、これは制度の問題ではない。アメリカの大統領制におきますところの議会の共和党、民主党、今度は民主党の議会と民主党の大統領になりましたけれども、今までのように共和党の大統領、民主党が支配をする、参議席を持っております議会との関係とを比べてみますと、議院内閣制におきます総理・総裁の権限、機能というのは大変強いわけでございます。御承知のように、ドイツにおきましても、コール首相というのは十分にリーダーシップを発揮をしておるわけでございまして、決して、比例代表になったからこれが変わるということはないのでございます。
 民意の反映なく、少数意見を抹殺をした結果の上にリーダーシップを発揮をするということは一体どういうことか。それは、民主主義を否定する独裁につながるわけでございまして、私たちは、このような危険な発想というものはとらない、このことをはっきり申し上げておきたいと存じます。(拍手)
    〔渡部一郎君登壇〕
#16
○渡部一郎君 お静かにどうぞ。
 私は、今、小渕先生が丁寧におっしゃったことのうち、二点についてまず褒めたいと思います。
 というのは、小渕先生は、中選挙区制が制度疲労を起こしたよ、それに対して取り組んで、これはもうだめだから新しい制度を施行しなきゃならぬよ、苦心惨たんしながら自民党がそこまで決断されたということをるる述べられました。これは、私は、偉大なことだと心から敬服します。(拍手)
 それはなぜかといえば、ここから始めないとわからないから、ちょっと待ってください、これはなぜかというと、自由民主党は中選挙区制に安住しておれば、今までと同じように政財官の癒着構造に安住することができたし、政権を担い続けることが可能であった。どんなにマスコミに批判されても開き直ることは可能であった。みずからその温床から出てきて、私の方から言えば穴蔵から出てきて、直そうというその決意だけは褒めなきゃならぬ。私は敬意を表します。(拍手)
 ただ、悪いのは、その出てきた穴蔵よりもっと大きな穴、小選挙区制という穴を掘って、その中に逃げ込もうとしている。それは問題だと私たちは申し上げたいのであります。(拍手)
 第二番目。もう一つ褒めたい、聞いてくれ。
 それは、小渕先生は、我が党の案は最善だと思うけれども、これに上回るものがもしありとするならば、我々の英知を結集し、歴史にたえ得る成案をまとめたい、そして、国権の最高機関としての責任を果たしたいとおっしゃった。これは普通の人の言えることではない。さすが自民党の一党一グループを率いるだけの方であると、私は敬意を表したい。ただし、これは忘れないようにしていただきたい。
 私は、今回の論戦は、両方の案が議論しているというだけではなくて、かなり明快な部分があると思うのであります。それは何かというと、小選挙区制になったらお金がかからないとか、かかるとかという議論の前に、今までの中選挙区制で何で制度疲労が起こったのか。それは、定数改正を怠ったこと、もう一つは、選挙資金を幾らでもかけ続けてきたからであります。かかったのではない、かけたのである。ここに重大な失敗があった。だから、昭和六十二年の政治資金報告書によれば、(発言する者あり)まあ聞きたまえ、そう難しいことを言っているわけじゃないんだから。その六十二年の政治資金報告書によれば、全党挙げて政治献金で使った金は千八百億に上る。アメリカは七百億段階ではないか。イギリスは百四十億円段階ではないか。何でこんなばからしい金を使うのか。かかったのではなくて、かけた人が悪い。それを反省するところから始めなければ、国民に対して、たくさんお金がかかるのです、もっとお金をちょうだいなどと言って、どうしてテレビを聞いている国民は、そういう愚かな話を快く聞くでしょうか。諸君。(拍手)反省しよう。反省しよう。もう金はかけない、今度は貧しくいくんだ、こう決意をしなければならないと思うのでありますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 次に、私は申し上げたい。比例制というのは、それこそえげつない強烈な変化を私たちの選挙区に見舞うものであります。小選挙区併用型の比例制というのは、皆さん、申しわけないけれども、選挙民が四〇%支持すると、座席は四〇%しかとれないのです。五〇%といったら五〇%しかとれないのです。ところが、今までの中選挙区制だったら、四十何%の、悪いけれども自民党の場合ですよ、四十何%とりながら六〇%の座席とれたじゃありませんか。小選挙区制だったら、まずいことに、小選挙区制だったらどうなるでしょうか。三〇%の投票を得たとしたら、九〇%とれるじゃありませんか。そういう、国民の民意と違う、それこそ国会をつくることによって、どうして日本国民がそれに納得するでありましょうか。だからこそ我々は、小選挙区併用型比例制というものによってこの難局を開かなければならない。四〇%の政党は四〇%であるべきです。三〇%の政党は三〇%であるべきです。一〇%の政党は一〇%であるべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。(拍手)
 そして、その結果、どういうことが起こるでしょう。先ほど小渕さんがおっしゃいましたように、自民党は、今まで公明党がこの座席を占めるようになって拝見しておりまして、五〇%を超したことがない。そうすると、自民党は、比較第一党にはなれても、恐らく絶対第一党は難しいでしょう。自民党は、そうしてその涙の出るような決断をしなければならないでしょう。そうすると、自民党は、比較第一党になったとしても、どこかの党を選んで政策協定しなきゃならぬでしょう。今までのように、自分たちだけでうまいこと言って、自分たちの部会だけでいろいろなお話し合いをしたなどというようなやり方は不可能になるじゃありませんか。ここに議会制民主主義の活性化が始まる、日本の民主主義は始まると思いますが、いかがでしょうか、皆さん。(拍手)
 その間に、自民党と社会党との間に、私たちは思うのです、政権について話し合いができるでしょうか。政策についてのお話し合いができるでしょうか。じゃ、自民党と公明党との間でお話し合いができるでしょうか、できないでしょうか。社会党と公明党との間でできるでしょうか、できないでしょうか。御質問者は、社会党と公明党の分だけ大変御心配をしていただきました。私も心配です、本当言って。PKOのときのことをお話しいただきました。それだけじゃありません。ここ十年がかり、いろいろな論争をやってまいりました。これからこういう制度が通過したら、今までのようなあいまいな社公協議はやめて、徹底的に議論しなければならぬと、もう覚悟いたしております。それが新しい時代をつくるための当然な出血である、その犠牲である。その犠牲にたえない者が、どうして新しい政治改革を論ずることができるでありましょうか、皆さん。(拍手)
 政策の妥協はするか。するのが当たり前。政策の妥協をしない政党などというものは政党ではないのであります。自分の政策だけを人に押しつけて自由にやってこれた、それは中選挙区時代、何もかもが制度麻痺を起こしていた当時の名残なのであります。制度を変えるのではない、人が変わらねばならない。議員が変わらなければならないのです。新しい時代に私たちは、自分たちの態度を変えなければならないのであります。気に入らなくても協議は続けなければならないのであります。
 米ソ交渉を見ていただきたい。世界の冷戦構造が崩壊したのは、米ソという強大な大国ですら、それこそ嫌な顔をしながら、長期間にわたって相手の善意を信じつつ交渉したからではありませんか。
 まだたくさんお話ししたいことがございますけれども、多くの論者もいることでございますので、諸君の良識を期待したいのです。どうか、私たちは明るい気持ちで、自民党だけではない、社会党の皆様にも心から訴えたい、私たちは善意を信じて、お互いの協議を進めようではありませんか。
 終わり。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(櫻内義雄君) 川崎寛治君。
    〔川崎寛治君登壇〕
#18
○川崎寛治君 今、日本の民主主義が世界から問われております。
 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、自由民主党の政治改革関連法案に対して、意見を交えながら質問をいたします。
 質問に入ります前に、去る四月八日、カンボジアで殺害されました国連ボランティアの中田厚仁さんの御冥福をお祈りをし、御家族の御心中を察し、心から哀悼の意を表します。政府は、カンボジアにおける状況を正しく把握し、PKO協力法五原則を厳格に解釈して、今後対応するよう強く求めます。
 まず、戦後政治の負の遺産としての政治腐敗についてであります。
 アメリカの新聞ロサンゼルス・タイムズは、ことし三月、ともに政治スキャンダルに揺れる日本とイタリアを比較する興味深い記事を掲載いたしました。その中で、同紙は、どちらの国も腐敗の源は同じようなものであるが、両国の間には決定的な違いがあると論じております。それは、イタリアには自己浄化作用があるが、日本には自浄作用がなく、日本の見通しは暗いというのであります。
 日本とイタリアの政治には確かに大きな共通点があります。両国とも、戦後の冷戦構造の国内的投影としての左右の対立の中で、企業が「自由主義社会を守る」と称し、保守の各政党に極めて寛容な資金提供を行ってきました。
 しかし、冷戦の終結した今日、もはや腐敗に目をつぶる必要のなくなったイタリアでは、御承知のとおり、「清潔な手」作戦と呼ばれる、検察官たちの断固たる違反政治家の摘発が進んでおり、既に二千人近い人が捜査通告を受けております。これにより国内政治は大混乱に陥っていますが、それは、見事な自浄作用と見ることができます。
 これに対して、我が国はどうでありましょうか。金丸前自民党副総裁が逮捕されたのは、議員を辞職したからではなかったでしょうか。議員を辞職することなく、厳しい国民の批判を浴びながら、なおその地位にしがみついている政治家には、依然として検察は捜査の手を伸ばすことをちゅうちょしているではありませんか。
 私は、思い切った自浄作用を示しているイタリアに対して、自浄作用が不足している我が国の現状を憂慮するものであります。保守支配の戦後政治の負の遺産である政治腐敗を終わらせることを目的とする社会党及び公明党の政治改革案に比べて、逆にこれを隠ぺいし、これまでの責任についてはおかぶりしたまま、なお支配の永続を目指す自由民主党の政治改革案について、幾つかの疑問点をお尋ねしたいと思います。(拍手)
 改めて言うまでもなく、保守支配のもとでの我が国の戦後政治は、疑惑と腐敗の歴史でありました。
 昭和二十九年の造船疑獄では、後に総理となった佐藤栄作氏が、法務大臣の指揮権発動で逮捕を免れたのを初め、与党の政治家のかかわる汚職事件は、売春汚職、武州鉄道汚職、田中彰治事件、大阪タクシー汚職などと続いたのであります。昭和五十一年にはロッキード事件が発生をし、さらにダグラス・グラマン事件が続きます。また、昭和六十三年にはリクルート事件、その後、共和、佐川、そして今回の金丸事件と、腐敗が極めて大規模で、悪質化し、かつ発生のサイクルが極めて短くなりました。政治腐敗が構造化しているとさえ言えるのが、今日の自民党支配下の政治なのであります。
 自民党の腐敗政治の構造がどのようなものであるかは、金丸前自民党副総裁の事件が如実を示しております。
 金丸事件が明らかにしたことの第一は、後に自民党副総裁に就任したとはいえ、基本的に政府及び国会の何らかの公的地位にない一政治家が、政界の実力者として君臨することにより、庶民には想像もつかない巨額の金が流れ込んでいたという事実であります。ここには、公的な権限と責任を有しない者が、派閥の数の力を頼りに、いわはやみの支配力を握るという構造、そして、そのやみの支配力に対して、大企業を初め多くの企業が政治家、財界、官僚の癒着構造のもとで巨額の政治献金を、しかも裏金で提供する仕組みなど、いわば今日の保守政治の統治のからくりが露呈をされております。
 民主政治は、何よりも主権者たる国民の意思が政治を決める仕組みであるはずであります。このような民主主義の理念からすれば、金丸支配はまさに民主主義に対する挑戦であり、冒潰であったと言わなければなりません。
 金丸事件が明らかにしたことの第二は、巨額のやみ献金が金丸被告の私財に化けていたということであり、それが公共事業などのバックマージンである限り、国民の税金によって不正蓄財をなしていたということであります。
 金丸被告は、常々、政治は国家国民のためにある、政治家のためにあるのではないとい三言葉を口癖にしていたのであります。その金丸被告がこのような行為に及んでいたことは、政治に対する国民の信頼を徹底的に打ち砕くものであり、しかも国民の多くは、このような行為が金丸被告一人のものだとは信じておりません。これもまた、今日の政治腐敗の構造の一端であり、戦後の保守支配の負の遺産なのであります。
 塩川氏の提案理由説明にも、小渕氏の質問にも、自民党一党支配による腐敗政治の原型を示した金丸事件に一言も触れておりません。
 このような構造化された腐敗政治を見れば、まずしなければならないことは明らかであります。それは、引き続き存在する疑惑を徹底的に解明すること、同時に、責任の所在を明らかにし、けじめをつけることではありませんか。(拍手)
 衆議院及び参議院における東京佐川事件、皇民党事件、そしていわゆる金屏風事件に対する自民党の消極的な姿勢は、決して許されません。このような姿勢で政治改革を提唱することは、国民の目から政治腐敗の現実を覆い隠し、責任を負うべき者を免罪し、そして腐敗を今後に生き延びさせることにほかならないのであります。(拍手)
 私は、ロッキード、ダグラス・グラマン、リクルート事件等の腐敗政治を追及してまいりましたが、残念ながら、今日なお腐敗防止の制度をつくり得ないております。
 アメリカの議会は、強力な調査能力を持ち、事実の解明を行って、国民の知る権利にこたえております。ウォーターゲート事件は、一九七二年の大統領選挙において、ニクソン大統領の選挙スタッフが民主党本部に盗聴器を取りつけ、逮捕された事件でした。上院本会議は、共和党を含め、全会一致で調査のための特別委員会設置の決議をいたしました。共和党政権の基盤を揺るがしかねないものであったにもかかわらず、賛成したのであります。
 アメリカにおける企業献金の禁止は、今世紀初め、一九〇七年のティルマン法で定められております。ウォーターゲート改革では、個人献金の限度額を定めるとともに、連邦選挙委員会という第三者監視委員会をつくったのであります。アメリカの議会人の民主主義を守るための態度を自由民主党の諸君はどのように受けとめられますか、伺いたいのであります。(拍手)
 上院の予備金から五十万ドル出し、九十人のスタッフを抱えて調査の体制を整備し、偽証罪適用の強い権限を持って調査を行い、千二百五十ページに及ぶ報告書を刊行し、国民の知る権利にこたえておるのであります。
 小渕氏の言うとおり、国会こそ国権の最高機関であります。我が国の国会も、今こそ腐敗防止の制度を確立し、アメリカ並みの調査能力を持つことこそ、国民にこたえる国会改革ではありませんか。佐川急便等調査特別委員会の設置に、宮澤総理も提案者も御異論はないと思いますが、いかがでありますか、はっきりとお答えいただきたいのであります。(拍手)
 宮澤総理、あなたはたびたび国務大臣の要職につかれましたが、竹下内閣では、リクルート事件で副総理並びに大蔵大臣を辞任されました。そして一昨年の秋、金丸信氏の一声で自民党総裁になり、総理大臣になられたのであります。戦後政治の腐敗構造にまず責任を負うべき自由民主党総裁として、一体これまでの責任をどのようにとられるのか、そしてどのようにけじめをおつけになられるのか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)次に、政治改革そのものに対する基本的な考えについてお尋ねします。
 これまでに述べました我が国の政治の問題点を前提とすれば、今、我々が政治改革においてやり遂げなければならないことは明らかであります。何をおいても、我々は、戦後保守政治の腐敗構造から決別しなければなりません。自由な民主主義を健全に発展させるためには企業献金が必要だと三好経団連事務総長は言っておりますが、何をもって自由な民主主義と言うのでありましょうか。やみ献金がわいろの性格を持っていることは言うまでもありません。
 自由民主党への政治献金は、表の国民協会、裏のやみ献金から成っております。平成三年度の国民協会からの政治献金は百七十四億六千万円であります。大手ゼネコンのやみ献金については、金丸事件で明らかになったとおりであります。国税庁の調査では、使途不明金は五百数十社で五百五十八億円ありました。企業献金を廃止せよというのが国民の世論であります。(拍手)
 そのために、社会党、公明党両党案では、政治改革の最も重要な柱の一つとして、政治資金規正法の改正により、政治腐敗の温床である企業、団体の献金を禁止することを打ち出しております。
 これに対して自民党案では、逆にその温存を図っているのであります。自民党案においても、一定の経過措置を講じた後、政治家は二つの資金調達団体を通じて、一企業からそれぞれ年間二十四万円、合計四十八万円しか受け取れないこととなっております。しかし、政党への献金は野放しで、しかも、その献金枠は従来の二倍に増大されているのであります。これは、企業献金の禁止を求める国民世論への挑戦ではありませんか。(拍手)
 自民党案は、もはや政党間のイデオロギー対立が意味を持たなくなった冷戦終結後の今日においても、なお「自由主義経済を守るため」と称して、企業から潤沢な資金の提供を受けたかつてのやり方を、そのまま踏襲するどころか、むしろ拡大さえしようとしているのであります。これは、今回の政治改革の意義を全くわきまえない、これまでの腐敗政治の巧妙な生き残りのための戦略にすぎません。自民党の皆さんは、国民の求める企業献金を禁止せよという世論に挑戦し続けるつもりなのかどうか、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、今日のような政治腐敗を許してきたいま一つの大きな要因は、戦後の一時期を除いて、政権交代がなかったということであります。この点については、政権獲得を至上命題として最大限の努力を払わなかった野党にも大きな責任があります。そこで、社会党、公明党両党統一案においては、民意を正確に反映させることにより、確実に政権交代が生ずるように、選挙制度については、小選挙区併用型比例代表制の導入を提案しているところであります。これに対して、自民党は、完全小選挙区制を提案しております。
 過日発表されたこれまでの選挙結果をもとにした新聞社のシミュレーションによれば、自民党案では、自民党は、総定数五百のうち、実に九九・四%、四百九十七議席を獲得することが可能となるのであります。これは、これまで述べた戦後政治の腐敗構造に対する自民党の責任を隠ぺいし、逆にその政権独占を永続化させるための謀略としか言いようがなく、我々は絶対に認めることができないのであります。(拍手)
 自民党政権は完全に行き詰まっております。マスコミの世論調査によれば、国民の七〇%以上が、自民党政権は終えんすべきものと答えております。
 我が国の歴史を振り返れば、御承知のとおり、足利幕府は十五代で終わりました。徳川幕府もしかりであります。二百六十余年にわたる長期政権の果て、大政奉還を行ったのは第十五代将軍徳川慶喜でありました。ところで、くしくも、宮澤総理は自由民主党第十五代総裁であります。内閣支持率が二〇%に低迷する今日においては、まさしく大政を奉還すべきときに至っていると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 しかるに自民党の単純小選挙区制案は、既に民心の去った自民党政権を生き延びさせるための案でしかありません。このおよそ非民主的な案を速やかに撤回すべきであります。価値観の多様化した時代に、さまざまな民意を反映させて、国会を国民の意見の縮図の場とし、そこで白熱の論議を行うことにより、真に国民のための政治の選択が行われることを可能にする社会党、公明党両党の小選挙区併用型比例代表制に同調されることを強く望むものであります。宮澤総理のお考えはいかがでありましょうか。
 単純小選挙区制については、さらに疑問を禁じ得ない点が幾つもあります。
 全国を五百の小選挙区に割れば、一選挙区当たりの人口は約二十五万人であります。私の選挙区である鹿児島市の人口およそ五十四万人ですから、これが二つあるいは三つの選挙区に分割されるわけであります。市会議員より狭い選挙区から選出される議員は、決して国民の代表ではなく、地域代表にすぎません。果たして、大所高所から日本と日本国民の未来について論じ、そのための立法に携わる者として、ふさわしい存在になり得ましょうか。むしろ、現在よりもはるかにきめ細かに、日々利益誘導に明け暮れる政治となることは、火を見るよりも明らかであります。(拍手)
 また、このような狭い選挙区における選挙運動は、いみじくも自民党内からも「自転車選挙運動」という声が出ているように、現在の中選挙区制に輪をかけた地盤培養型の選挙運動となることでありましょう。当然、買収、供応などの腐敗行為は、減るどころか、ますます横行をきわめることになるでありましょう。これでは、一体何のための政治改革でありましょうか。提案者の明確なお答えをお願いをいたします。(拍手)
 最後に、宮澤総理に、政治改革実現の決意のほどをお伺いします。
 総理は、政治改革に関して、何度も「不退転の決意」を口にしております。
#19
○議長(櫻内義雄君) 川崎寛治君、申し合わせの時間が過ぎておりますから、なるべく簡単にお願いします。
#20
○川崎寛治君(続) 百年前のイギリスの腐敗行為防止法に言及し、我が国でも、そのような思い切った腐敗防止策を講じる必要性を強調されたこともありました。イギリスは、百年前に、非常な覚悟を持ってこの画期的な法律を制定したのであります。そして、冒頭に申し上げましたように、イタリアでは、現在、大規模な浄化に取り組んでおります。
 それならば、我が国において、総理はどのような覚悟を持ってこの政治改革に取り組むおつもりですか。さらに重要なことは、何を実現しようとし、そして、万が一実現できなかった場合にはどのような責任をとる覚悟なのか、しかとお答えをいただきたいのであります。世間では、与野党の政治改革案の隔たりが大きいことを理由に、今国会における政治改革の実現を困難視する見方もあります。しかし、今、国民の政治への不信はその極に達しており、何としても、政治改革、国会改革をやり遂げなければなりません。
 社会、公明両党案こそ、日本の政治を再生させ、真の民主主義を花開かせる唯一の道であると確信をいたします。(拍手)
 日本の民主主義の未来のために、我々と力を合わせるおつもりはないか、総理と提案者にお尋ねをして、私の質疑を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) いわゆる東京佐川急便事件あるいは金丸前議員に係る脱税事件につきまして、政府の側におきましては、検察・国税当局において捜査あるいは調査をいたしましたことは申し上げるまでもないことでございますが、公判係属中のものもあり、また、捜査中のものもございます。いずれにいたしましても、これらの調査、捜査が厳正に行われたことについては疑いを入れないところでございます。
 なお、ウォーターゲート事件を御引用になられまして、我が国としても、特別委員会のようなものを国会に設けるべきではないかというお話でございました。国会におきましても真相究明にいろいろ努力をなさっておられますが、さらにどのような調査機能が必要かということにつきましては、これは国会においての御判断によるべきものだと考えます。どのような場合におきましても、政府といたしまして可能な限り協力をいたしますことは、申すまでもないことでございます。
 次に、自民党長期政権ということについてお話がございました。我が国は、戦後今日までほとんど一貫いたしまして自民党が政権を担当してまいりましたが、この間、国民の努力によって、今日の我が国の安定と繁栄が生まれてきたということは、私は事実であると思います。もとより一党による長期政権がみずからを省み、みずからを点検、改革いたしませんと、政治的沈滞や腐敗を招きかねないということも、おっしゃるとおりでございます。昨今の国民の政治に対する不信につきまして、私は、国政を預かる者として、まことにこの状態は申しわけないものだと考えております。
 このような意味で、私は今、党運営や選挙制度、政治資金制度を抜本的に改革して、従来どおり国民に信頼され、国民のニーズにこたえる新しい政治を確立しなければならないというふうに考えておりまして、政治改革を断行して時代の流れを的確に読み、国民の声に謙虚に耳を傾け、この政治不信を払拭しなければならないときと考えております。
 なお、各党が御提示されました抜本的な選挙制度改革案は、各党それぞれのお立場において最も理想とされ最善とされる改革案でございますから、それを実現したいとお考えになることは当然のことと思います。各党間におかれまして、それぞれの案について審議を尽くしていただくことが肝要と存じます。各党の御努力によりまして、それぞれの立場からの改革案が提示されておりますが、その内容は違いましても、この際、抜本的の改革が必要であるということについては、各党が共通の認識をお持ちになっておられますから、各党問で十分御論議をいただく中で、必ずや合意点を見出していただけるものと考えております。私といたしましても、その実現のため最大限の努力を払ってまいります。(拍手)
    〔塩川正十郎君登壇〕
#22
○塩川正十郎君 川崎さんにお答え申しますが、随分と専門的な事項がございまして、自民党は多士済々、随分人材がおりますので、追ってその専門のことにつきましての御質問のお答えをいたすと思いますが、私からは、政治システムに関する点二、三お答え申し上げたいと存じます。
 まず第一点、川崎さんのおっしゃっておる中で、戦後四十年の間にたび重なる汚職事件、腐敗事件等があったではないか、この際、これを根本的に直さなければならない、おっしゃることは当然でございまして、我々はそのたびごとに自浄作用を働かし、懸命の改正はしてまいりましたけれども、これは制度に基づくところが多分にあるということがいろいろ学識者の間に出てきております。そして、この改革を、今回は本格的な、抜本的な改革をしようということで、皆さんとともどもにこれに取り組んでおるところでございまして、皆さん方もやっとそこに気がついたんじゃないかと私は思うのであります。
 なぜかと申しまして、やはり一つの重要な問題は、政権交代がないところにこの日本のいわば政治の欠陥があるということにやっとお気づきになった。だからこの中選挙区制を変えて新しい制度に変えよう、そうしなければ日本の政治の近代化は図れないということが出てきた、こういうことであろうと思うのであります。
 その一つとして川崎さんは、イタリーの自浄作用のことを言っておられますけれども、私の考えから申しますならば、ロサンゼルスの新聞はどう言ったか知りませんけれども、ニューヨーク・タイムズでは、これはおかしいんじゃないかということを言っておるのでありまして、そしてイタリーの国民の皆さん方も、現在のような比例制度はおかしいじゃないか、だから一回国民投票をやって政治の制度を変えようとしておられるということを聞いておりますが、どうお聞きになっておるかどうか。なぜイタリーの国民がこの制度を変えようとしておられるのか、反省されたこと、検討されたことあるのでしょうか、私は逆にお尋ねいたしたいと思っておるのであります。
 それからもう一つ非常に重要なことをおっしゃっておりますことは、この政治改革をする前に、この議論をする前に、まず自民党が中心となって政治の腐敗を、これを徹底的に国会で審議しろとおっしゃいます。
 確かに、国会におきまして、この政治腐敗の関係する問題、例えば佐川問題等、一連の問題を審議し調査することは当然でありましょう。しかしながら、その調査と審議というものは、こういうことが起こらないようにどうするかということが国会の使命でありまして、これをどうするかということは、これは検察庁の問題でございまして、検察庁が今鋭意努力しておるところでございます。それを国会でこの真相を究明しなければ政治改革はできないとおっしゃることは、国会と検察庁と間違っておられるのではないか。
 我々は、こういうことが起こらないように改革をしよう、そのためにはやはり政権交代が可能なようにしよう、こういうことを言っておるのでございますので、どうぞその点、十分に御理解いただくように心からお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
    〔大野明君登壇〕
#23
○大野明君 先ほど、川崎先生からのお尋ねの中で、調査特別委員会の設置についてのお話がございましたが、この問題につきましては、先ほど総理からも御答弁がございました。
 我が党、現在、あらゆる角度から検討しながら、今調整中でございます。ただ、先ほどの御意見の中で、アメリカの事例をとっておられましたが、社会党さんも、アメリカのことも例に出すというふうに、随分時代は変わったなあという感慨にふけりながら聞いておりましたけれども、いいものはいいとして取り入れることもやぶさかではないのではないかというような考えを持っております。
 いずれにいたしましても、昨年暮れに、緊急改革におきまして、社会党及び公明党さんの共同提案によって、国会の倫理法あるいはまた一部改正法等々が出ました。これは、共産党を除いて昨年の十二月に既に与野党合意を見まして、そして倫理審査会の機能の強化をする、あるいはまた国会法の一部改正、昨日までに書類を皆さんも提出したはずでございますけれども、この資産公開法、このようなことでひとつ我々はみずからを律していこうということであります。
 これらをきちんと実効性を持たせるためには、やはり制度まで踏み込まなければならない、それには小選挙区制、皆様方も良識ある国会議員ですから、当然今の国会の機能において、ただ法案を上げるというようなことのみに狂奔するのでなく、本当に国家国民を考えた国会の機能を発揮しなければならない、国会の権威の失墜を、これを回復しなければならない、こういうことに思いをはせた制度を、これからますます議論が出るでありましょうけれども、選挙制度にまで大きな関心を寄せておる国民のためにもひとつ私どもは頑張りたい、こういう考えてあります。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#24
○石井一君 選挙制度に関連いたしまして、川崎議員にお答えをさせていただきたいと存じます。
 選挙で個々の議員を選ぶというにとどまらず、国民に政権の選択を求めるということが貴重な意義ではなかろうかと思います。
 東西の冷戦構造も終わりまして、我が国に決定的なイデオロギーの対立というものはだんだんとなくなっております今日、少数派を少数派としてとどめることでなく、できればさまざまな意見を統合して多数派になることを競い合うという選挙制度を導入するべきではないかと考えるわけであります。
 洋の東西を問わず、選挙制度がその国の政治体系というものを構築しております。二大政党を持っております国は、やはり小選挙区制ということの背景がございますし、比例代表制の場合は多党化というのが一般的常識でございます。
 我が国の歴史をひもといてみましたときに、大正十四年、護憲三派、政友会、憲政会、革新倶楽部がみずから生き残るために、三人から五人の選挙区を構築したのであります。また、そうして昭和二十二年にこの制度を復活したとき、その当時は進歩党、自由党、そうして社会党、国民協同党、これらがみずからの立場を守るためにこの制度を復活したのでありまして、これは世界的に見て、一党制度でもなければ多党制度でもございません。その後、一党がすべての政権を支配するという中に、一カ二分の一政党と言われておる特殊な変形の形であります。基礎を固めるということがその国の政治体系を構築していくということを考えていただきたいと思うのであります。
 社公の御提出になっております、少数意見を反映させるということも理解できるわけでありますけれども、これから政権を担うという気概が見られない。そうして、どうして常に現状維持だけを追い続けられるのか。二〇%の社会党、八%から一〇%の公明党、五、六%の民社党等々、今の状態のままの政権を続け、三度目にまたも現状維持の生き残りをやったかということを後世の人々から批判されないように、新しい改革を断行するべきではないかと思います。(拍手)
 来るべき二十一世紀は、実力の伯仲した、そうしていつでも政権の交代できる、そういう体制をつくるということが、私は新時代の新しい政治の構築であるということを確信してやまないものであります。
 選挙のいわゆる予想の中から、どうして四〇%の得票で九七%というふうなことを言われますが、古い別の制度のデータを新しい制度に当てはめて、そうなるんだというふうなことを言われますけれども、これは、まさにスポーツで言うなれば、サッカーの試合にアメリカンフットボールのルールを当てはめるようなものでありまして、全くお話にならない考えではないかと思います。さらに、私から申しましたら、なぜ負けることばかり言われるのか。いかなるルールであっても勝ってみせるという、政権をとるぞという気概をひとつ見せていただきたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、鹿児島市が二つに分かれるというのは当然の帰着てございます。しかしながら、そこで本当に自転車の選挙が行われるのか。これまでは一〇%、一五%の得票で通った中選挙区が、五一%を求める、選挙は個人中心でなく、政党中心で行われる、こういう状況の中に、勝つためには、だれよりも負けない候補者を政党が見識を持って選ぶのは当たり前じゃないですか。今までのような勝手な立候補はできなくなる。もう少し次元が違うという新しい感覚を持っていただきたいと思います。(拍手)
    〔津島雄二君登壇〕
#25
○津島雄二君 政治資金に関する川崎議員の御質問にお答えいたします。
 本来、議会制民主主義は、国民が自発的にコストを負担しながら政治に積極的に参加することによって機能するものでございます。政治と金をめぐる問題で国民の不信を招かないようにするためには、何よりも政治家個々の政治倫理の確立が重要ですが、それとともに、なぜ多額の政治資金が必要なのか、その原因となる選挙の制度や政治資金の仕組みそのものを見直さなければならないわけであります。
 すなわち、現在のような中選挙区制のもとで個人中心の選挙制度を残したままでは、政治と金の問題の根本解決にはならないのであります。このため、選挙制度を政策、政党中心の仕組みに改めようではないか、政治資金も政党中心に調達する仕組みに改めようではないか、その透明性を高めようではないか、罰則を強化しようではないか、こういう政治資金制度の改革を公的助成の創設と一体として提案したものが私どもの提案でございます。
 この中で我が党は、何よりもまず政治家個人が政治資金を受けてはならないことを明らかにいたしました。この点で、先般宮澤総裁の指示に基づきまして、我が党はこの趣旨を法案成立を待たずして所属国会議員によって実施に移すことといたしましたことを申し添える次第でございます。
 さて、企業献金についていろいろのお話がございましたが、この点につきましては、昭和四十五年六月二十四日の最高裁判所大法廷判決に触れなければなりません。この判決によりますと、憲法の基本的人権は内国法人にも適用される、企業がその社会的役割を果たすため相当な程度の寄附を行うことは企業の目的内行為として許される、そして、企業も一つの社会的実在でございますから、企業がその社会的役割を果たすため相当な程度の寄附を行うことは、これは当然許される、こういうふうに判示をしておるわけでございます。
 また、皆様方御理解をいただきたいのは、先進諸国、イギリス、フランス、ドイツも企業等の献金を禁止していないわけでございますし、またアメリカは、連邦レベルでは禁止されておりますが、政治活動委員会いわゆるPACを通じて事実上献金を行っているほか、州法の管轄する分野におきましては、かなり広範に企業献金が認められているのでございます。もとより、企業等の政治献金が節度を持って行われなければならないわけであります。今回の自民党案は、政策本位、政党中心の選挙制度、そしてまた政党に対する公的助成を導入するということとあわせまして、企業等の団体献金は原則として政党に対するものに限るとして、一層の適正化を目指しておるものでございます。
 最後に、川崎議員は、政党に対する献金についていろいろ疑念を差し挟まれましたが、そもそも各党の政策の普及、宣伝を積極的に行って、草の根の有権者に届かせていくということが民主政治の基本的な要請ではないでしょうか。そのために必要なコストは、これは円滑に調達する必要があるわけでございます。私どもがこのような趣旨から、政党の財政基盤の強化、確立を図ることを目指して、政党に対する公的助成制度の導入とあわせて、政党に対する分に限りその限度を引き上げるということといたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、政党に対する献金につきましては、厳しい公開義務がございますこと、そしてまた、政治資金の収支は党大会の承認等、その適正な管理について政党自体の公的責任が問われていることも留意しなければならないわけでございまして、政治資金としては最も問題の生じない分野であると考えているところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(櫻内義雄君) 矢追秀彦君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔矢追秀彦君登壇〕
#27
○矢追秀彦君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となりました自由民主党提案の政治改革四法案に対し、総理並びに提出者に対し質問をいたします。
 質問に入ります前に、去る四月八日、カンボジアにおいてボランティアとしてUNTACの活動に献身的に参加されていた中田厚仁さんの痛ましい殉職に対し、衷心より哀悼の意を表するものであります。そして、深い悲しみの中におられます御両親を初め御家族の方々に対し心からお悔やみを申し上げますとともに、二度と再びこのような犠牲者の出ないよう、特に文民の方々に対し万全の安全対策を講じられることを総理に強く要請申し上げるものであります。(拍手)
 総理、あなたは、平成三年十一月、海部前総理の後を受け、総理に就任された最初の所信表明において「政治改革はこうした時代の要請であります。海部前総理は、その実現のため心血を注いでこられました。私は、前総理のこの御努力に深い敬意を表するとともに、その志を継いで、真摯に政治改革に取り組んでいく決意であります。」と述べられました。そして、今日まで一年半が経過いたしました。
 総理、このわずか一年半の間に、共和事件に始まり、次いで佐川急便事件と皇民党事件、そして金丸自民党前副総裁の巨額脱税による逮捕と、実に大きな政界不祥事件が相次いで明るみに出たのであります。その結果、国民は、今政治不信の極にあります。最近の総理府の世論調査では、「民意が国政に反映されていない」が過去最高の七〇%を記録し、その他マスコミの多くの世論調査もすべて、政治不信、政治家不信、政党不信が高まっております。これでは、我が国の議会制民主主義は危機的、末期的症状にあると言っても過言ではありません。
 振り返りますと、昭和三十年の保守合同以来、自民党政権は腐敗と汚職の歴史を続けてまいりました。その主なものでも、東独カリ輸入事件に始まり、共和製糖事件、ロッキード事件、そして佐川急便事件、金丸事件と、実に三十七年間で主なものだけでも四十件に上るという汚職・疑獄事件を数えるのであります。その都度、政治倫理の確立、政治改革が叫ばれながら、自民党政権はその金権体質を改めることなく、今日まで政界浄化の実を上げることができなかったのであります。この責任似、挙げて総理、あなたの率いる自民党ではありませんか。このたび、与野党で選挙制度を含む政治改革法案を国会に提出し、本格的に議論するに至ったことは、いまだかつてなかったことであります。
 総理、昨年十月の所信表明で、「今日の政治不信を招来した根本的要因にさかのぼった思い切った政治改革を実現するため、不退転の覚悟で取り組んでまいります。」と述べられ、本年一月には「今や政治改革こそがすべての変革の出発点であります。」と決意を披瀝されました。よもやお忘れになってはいないと思います。今こそ正念場であります。もし、今国会で選挙制度を含めた政治改革が実現しなかった場合、その責任は重大であり、内閣総辞職にも値すると思いますが、総理の御所見をお伺いしたい。(拍手)
 佐川急便事件が発覚し、金丸氏が五億円の政治献金を不正に受け取っただけでも大きな衝撃でありましたが、さらに金丸氏は、所得隠し総額十八億四千八百万円、脱税総額約十億四千百万円で、二度にわたり起訴されました。しかも、ゼネコンを初めとする企業、団体からのやみ献金を元手に割引金融債、株券などで蓄財しただけでなく、金の延べ棒までも蓄えるに至っては、もはや怒りを超えて、あいた口がふさがらないのであります。しかも、昭和六十二年、六十三年、平成元年分であります。このとき既に、政治倫理綱領、行為規範は議決されており、以来、全国会議員はこれを遵守することを決意し合ったばかりではありませんか。
 金丸氏は、自民党の最高幹部として政権の中枢に存在し、しかも、宮澤政権誕生に大きな役割を果たしてきた人であります。NHKの全衆議院議員に対するアンケート調査によりますと、金丸事件の原因は、癒着を生むシステムが五三%、自民党の長期政権二二%であり、個人の問題とする人はわずか一八%にしかすぎません。政官財癒着の自民党政治の体質そのものが問われているのであり、金丸氏個人の問題として、議員辞職をもってすべてが終わりでは済まされません。党総裁でもある総理に極めて重大な責任があると考えますが、いかがですか。
 さらに私は指摘しておきたい。政治倫理審査会は、野党の再三にわたる申立書提出にもかかわらず、自民党の反対で今までことごとく開会が見送られてまいりました。全く政治改革への前向きの姿勢が見られません。いかに選挙制度を変えようと、政治資金規正法を厳しくしようと、政治倫理の確立が根底になければ、ますます悪質、陰湿になってしまうことは、過去において、規正法が厳しくなっても、汚職、不祥事が絶えないところか、ますます巨額化、陰湿化している状況にあります。したがって、政治倫理綱領、行為規範のみでは不十分であります。
 先ほどの御答弁でも、政治倫理審査会は強化をされた、あるいはまた資産公開法がこのたび成立をしたと言われておりますが、昨日の締め切りでなおこの中の数十人の方がまだ出していないのであります。なぜ守られないのですか。隗より始めよではありませんか。
 だから、私は、政治倫理確立のためには、政治倫理法を制定し、国会の自浄能力を高める必要があると主張する次第でございます。アメリカで一九七六年成立した政府倫理法は、その実を上げております。このたび、社会、公明両党は政治倫理法案を提出いたしました。政治倫理の確立をどう考えておられるのか、お答えいただきたい。
 次に、選挙制度についてお伺いいたします。
 一昨年、海部内閣は小選挙区比例代表並立制を提案いたしましたが、廃案となり、その結果、海部内閣は総辞職に追い込まれたのであります。今回自民党提案の全国一律単純小選挙区制は、前内閣の提案した小選挙区比例代表並立制よりもさらに改悪され、その上、全く時代逆行のものであり、これを臆面もなく提案されてきた提出者の神経を疑うものであります。(拍手)
 私も、中選挙区制が、選挙区内の同士打ちにより、政策本位の選挙が行われず、地元サービス合戦、利益誘導など、かえって金がかかる選挙になり、その結果、派閥、族議員を生み、腐敗政治の要因ともなり、既に制度疲労を起こしているという認識は持っております。しかし、単純小選挙区制になればそれらの解決が可能になるでありましょうか。私は、ノーと答えざるを得ないのであります。
 単純小選挙区制は、四割の得票率で八割の議席を占めるときもあれば、立候補者数によっては三割の得票率で九割の議席を占める場合もあります。多くの死票が出、民主主義の基本である少数意見の尊重が抹殺されると指摘されております。この制度は、現在の日本の政治状況の中では、自民党の一党支配がますます強化され、衆議院においては三分の二以上の議席獲得が可能となり、参議院の現在の逆転状況にもかかわらず、あらゆる法案をも成立させることができるという、自民党の党利党略優先の意図をむき出しにした法案ではありませんか。そして、絶対多数の権力を背景に、憲法改悪でも福祉切り捨てても、あらゆることが可能となり、議会制民主主義はその機能を失い、独裁政治となり、日本は破滅の道を歩むであろうことを憂うるものであります。この点をまずお伺いしたい。
 次に、単純小選挙区制と金の問題であります。
 単純小選挙区制は、中選挙区制と比較して金がかからないとかねてから言われてまいりました。しかし、単純小選挙区制によって金がかからないという保証は全くありません。単純小選挙区制は、既に帝国議会において多くの弊害が指摘され、その反省の中から、大正十四年に廃止されたのであります。一昨年の本会議におきましても、私は次の文章をもってこの弊害を指摘をいたしました。もう一度申し上げます。このときの第五十回帝国議会における選挙法改正理由書の中に、「小選挙区制に在りては選挙競争区域狭小となるが為に選挙運動余りに周密激甚となりて動もすれば之に伴う種々の弊害を誘起するの虞多く又候補者の濫立を促すの感あり」また、「小選挙区制に於ては選挙費用を減少せしめるの利ありとの説あるも従来の実績を見るに必ずしも然りと云うことを得ず」と明確に弊害を述べております。
 以上述べたごとく、単純小選挙区制の導入は金がかかり、弊害のみ多いものであり、この導入には断固反対であります。(拍手)
 単純小選挙区制の実施のモデルであるイギリスにおいては、今小選挙区制度の見直しの議論が起こり、一九九一年五月のオブザーバー紙の世論調査を見ても、比例代表制に賛成する人は全体で五〇%、反対は二三%となっており、保守党支持者でも賛成三九%、反対三六%、労働党支持者は賛成五三%、反対一八%、自民党支持者では賛成七〇%、反対一二%と、すべての政党支持者が比例代表制に賛成し、現在の単純小選挙区制を変えようとする世論が巻き起こりつつあります。アジュダウン自民党党首は、単純小選挙区制は民主政治の理想を損なう現在の信用できない制度であり、これによって成立する強い政府を、多数の意思に反して、少数者の意思を強制するような強さと批判しているのであります。
 小選挙区制というのは、少なくとも実力伯仲の二大政党が存在し、得票率においても両党の実力は僅少差であり、しかも、両党が外交、防衛など国の基本政策で大枠が一致しているという条件や前提を満たして初めて機能する制度であります。
 さらに、カナダ、韓国などほとんどの国において選挙制度がうまく働かず、地域分断を助長している現状は、もはや単純小選挙区制自体が、国民各層のさまざまな民意を反映できない時代おくれの制度であると言わざるを得ません。歴史の流れに逆行し、現実の日本の政党のあり方を無視する単純小選挙区制の導入を国民は決して望んでいないのであります。これでも強引に単純小選挙区制を導入したいとお考えになっているのかどうか、お伺いしたい。
 ここで私は、日本の現状においては、比例代表制を基本とした社会、公明両党提案の選挙制度こそ最もすぐれたものであると強く主張するものであります。現に世界で十四カ国が比例代表制を採用し、そのほとんどはEC参加国であります。ドイツにおいては比例代表制の歴史は長く、民意の的確な反映のため比例代表制と小選挙区制を併用し、顔の見える選挙を行い、今日まで政権交代可能な安定した政治を行ってまいりました。
 社会、公明両党提案の小選挙区併用型比例代表制は、ニューマイヤー方式とドント方式との違いはあっても、おおむねドイツ方式を取り入れております。この制度が現在の日本の政治状況の中でベストであるという主な理由の第一は、政策本位、政党本位の選挙が行われること、第二は、多様な民意をそのまま国政に反映できること、第三は、政権交代が可能になることであります。
 特に、比例代表制の場合、先ほども議論が出ておりましたが、小党分立連立政権になるので政局が不安定になるとの説が長い間信じられてきたのであります。しかし、テキサス大学のローレンス・ドッド氏の調査研究により、それは神話にしかすぎなかったことが証明されたのであります。すなわちドッド氏は、議院内閣制をとる西欧十七カ国について、第二次世界大戦前の二十年と戦後三十年のすべての内閣の寿命を調べた上で、単独内閣で不安定な政権もあるし、連立内閣で安定した政権もあるということが明らかにされ、平均寿命では連立内閣が短いとは言えるが、五十カ月かそれ以上続いたすべての内閣のうち、平均六〇%は多党制議会から生まれた連立内閣であったと指摘しており、比例代表制によって不安定な政権ができるという批判は当たらないのであります。以上、私が指摘したように、単純小選挙区制は時代逆行であり、自民党がどうしてこのようなものにこだわるのか。思い切って自民党提案の単純小選挙区制の導入を撤回し、社会、公明両党提出の小選挙区併用型比例代表制に賛成されてはどうでしょうか。これこそ国民の期待にこたえられる政治改革への第一歩であると思いますが、いかがでしょうか。お答えいただきたい。(拍手)
 次に、政治資金規正法改正案についてでありますが、最も根本的で重要な問題は、企業・団体献金を容認したことであります。
 今ゼネコンからの膨大なやみ献金、公共事業費の中からのバックマージンなどが国民の大きな批判の対象とされているとき、政治腐敗の根源ともいうべき企業・団体献金の禁止こそが、政界浄化、国民の信頼回復の第一歩ではありませんか。自民党案では、政治家個人に対する献金を禁止し、企業献金も政治団体には禁止し、資金調達団体には二十四万円を上限とするなど、一歩前進は見られますが、政党への献金については、従来の枠を二倍に広げるなど、後退が見られます。その上、政党助成を国民の税金から行うとなれば、なおさら企業・団体献金はこの際、禁止することが道理であると考えますが、いかがでしょうか。お答えいただきたい。(拍手)
 最後に、総理にいま一度申し上げたい。
 今度こそ政治改革は待ったなしであり、ラストチャンスであります。今、日本の政治が国民の信頼を完全に失っておりますとき、今国会で選挙制度を含めた政治改革が実現できなければ、議会制民主主義は事実上崩壊し、国際社会において名誉ある地位を目指す日本の権威は音を立てて崩れてしまうのであります。
 総理、あなたは、サミット主催国の首脳としてどのような顔をして参加国の首脳と相まみえるのでしょうか。
 政治改革の中心課題は選挙制度の改革であります。自民党も、政治腐敗、金のかかる政治の原因は現行の中選挙区制にあると再三指摘しております。ここに、現行中選挙区制度を改めなければならないという共通認識が生まれていることは極めて重要であります。私は、現行の中選挙区制を廃止し、今国会中に必ずこれにかわる新しい制度をつくり上げることを、この際、与野党の決議あるいは宣言を行うべきであると提案するものでありますが、提出者の御見解を伺いたい。(拍手)
 ここで私は、全議員の皆さんに訴えたい。イギリスの政治学者マコーレーは、「政治はただ国民の福利のためのみに存在する」と言い、アメリカ大統領ジェファーソンは、「あらゆる権威は人民に属する」と言っております。政治改革、特に選挙制度は、選ばれる側の利益を優先にしてはなりません。選ぶ国民の側に立って決めるべきであります。政治家一個人の利益や派閥の利益、党利党略を優先したのでは絶対になりません。あくまでも国民の立場に立って議論を展開し、おのおのの政党がおのおのの身を削ってでも、この際、合意点に達しなければなりません。公明党は、党利党略を乗り越えて、今国会において必ず選挙制度を含めた政治改革法案を一括して成立させ、次期衆議院選挙より新たな制度で選挙を行い、日本の政治変革に全力を挙げて取り組む決意であります。もはや、これ以上国民を欺くことは断じて許されるべきではありません。
 今、私は、腐敗防止法制定当時のイギリス首相グラッドストーンの「政治の目的は、善をなすに易く悪をなすに難しき社会をつくるにあり」との言葉を思い起こすのであります。
 総理、今こそ真の政治改革を断行し、公正で信頼のある民主的な政治を実現し、二十一世紀へ向けて新しい日本の黎明を告げる鐘を鳴らそうではありませんか。総理の勇断と決意を促し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、カンボジアにおける安全対策についてお尋ねがございましたが、このたびの中田厚仁氏の痛ましい殉職に対しまして、日本政府といたしまして、心から故人の御冥福をお祈りするとともに、中田氏の御遺族に対し、衷心より哀悼の意を表します。
 事件にかんがみまして、政府といたしましても、UNTACに対して、迅速な事実の究明につき直ちに申し入れを行いましたが、なお要員の安全確保のため特段の措置を講じるよう、在カンボジア今川大使より明石代表に申し入れた次第でございます。
 UNTACといたしましては、今事件を踏まえて、特に文民要員の安全確保のために、UNTACの軍事部門を最大限に展開すること、投票所は治安維持の観点に基づいて設置をする方針を検討すること、UNTACが投票所に対する直接の保護を与えること等々の措置をとることになったという報告を受けております。
 次に、この国会で政治改革法案が不成立になった場合、内閣としてどう考えるかということでございますが、この深い国民の政治不信を回復するためにも、そして国民の負託にこたえていくためにも、抜本的な政治改革はぜひとも早急にこの国会でお願いをしなければならないと考えております。各党の御努力によりまして、それぞれのお立場からの改革案が提示をされておりますが、その内容は同一ではございませんが、しかし、改革が必要であるということについては深い共通の認識を各党とも持っておられますので、十分な御討議があれば、今国会中に必ず成案が得られるだろうと念願をいたしておりますし、私といたしましても、そのために最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
 金丸氏の所得税法違反事件についてお尋ねがありました。まことに残念なことで、私も、国政を預かる者として申しわけのない事態だと考えております。
 検察・国税当局が法に従って厳正に対処しつつございますが、やはり事件のよって来るところは、一つは政治と金の問題でありますので、政治改革を実現して、透明で、疑惑を招かない政治資金の仕組みをつくり上げていくことが緊要であると思います。各党の間でこの国会で議論を尽くされて、政治改革の実を上げて、国民の政治への信頼を回復いたさなけれはならないときだというふうに考えております。(拍手)
    〔西岡武夫君登壇〕
#29
○西岡武夫君 矢追議員の御質問にお答えするに当たり、私は、近年続発した不祥事が政治の信頼を著しく傷つけたことに対し、国民に選ばれ、政治を託された者の一人としてその責任を痛感し、改めて国民の皆様に深くおわびいたすものであります。
 政治倫理の確立について政治家の立場として特に大切なことは、第一に、政治家がみずからを律すること、第二に、不幸にして不祥事が生じた場合には、事態を解明し、敏速な自浄作用を発揮すること、第三に、政治に関して公私を峻別することであります。これらの問題は、既に八年前、衆参両院で定めた政治倫理綱領の冒頭において、「政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。われわれは、主権者たる国民から国政に関する機能を信託された代表であることを自覚し、政治家の良心と責任感をもって政治活動を行い、いやしくも国民の信頼にもとることがないよう努めなければならない。」と明記されていることを想起しなければなりません。私は、この一言一言をみずからの心に改めて刻みつけなければならないと考えております。
 第二の点につきましては、衆参両院に設置されております政治倫理審査会の適正かつ積極的な運営によって対応できると考えます。
 第三につきましては、昨年十二月に制定した資産公開法によって、国会議員在職中の資産等の動向をすべて公表することとしているところであります。
 政治倫理の確立は、基本的には政治家一人一人の心がけの問題であります。我が党は、政治倫理それ自体を法律化することはなじまないと考えます。したがって、我が党としては、選挙制度や政治資金制度において政治倫理の確立を担保する改革を今回提案しているところであります。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#30
○石井一君 矢追議員の御見識に敬意を表する次第でございます。
 まず、イギリスの自由党の問題でございますが、最近の二大政党制度に挑戦するように自由党の台頭ということが挙がっておりますことを私も関心を持って見守っておりますが、しかし、私の個人的な結論としては、イギリスの国民は最終的に二大制をとるであろう、そのように思っております。
 制度にはそれぞれ長所と欠点がございますから、最終的には国民が判断をする、こういうことになろうかと思うわけであり、本日ここに出しておるこの案を、日本の国民が見識を持って決めていただきたいというのが私たちの願望でございます。例えば、平成元年のあの参議院の、消費税の、リクルートの後で起こりました日本の国民の見識、二十六の小選挙区とも言えるべき参議院のいわゆる選挙区で、二十三の選挙区を連合、社会党に勝たせたということは、圧倒的な勝利を野党に与えたということは、日本国民の良識は生きておる、立派な見識を持っておるということではないかと思います。どうか、その点につきまして、もう少し自信を持っていただきたいと思うのでございます。
 イギリスに関連をいたしましてアメリカのことを申し上げますが、最近クリントン政権が誕生いたしました。これは二億の国民、日本に比べて人種も言語もあるいは宗教も大変違う国におきまして、やはり国民がそういう選択、イッツ・タイム・フォー・チェンジということを決めておるわけでありまして、私は、これこそ本当の民主主義の真髄ではないかというふうに考えるわけであります。
 テキサス大学のローレンス・ドッド教授の調査結果につきましても、一つの考え方だと思います。六〇%も成功しておるかな、私、きょう帰りましてもう少し調べてみたいと思いますが、ただ、私が知っております例としては、先ほど小渕議員も申しておられましたように、イタリーの第その政党が四%とって首相になったとか、政権が、選挙が終わってから一カ月以上組閣ができないとか、たった十年のうちに二十六回政権がかわったとか、こういうのも多党化における一つの現象でございまして、いろいろの結果があるということであり、これは日本の国民の見識によって、繰り返すようでございますが、決定するべき問題であると申し上げさせていただきたいと存じます。
 それから、金の問題につきまして、野党の皆さん、よく聞いていただきたい点があるのでございますが、先日のNHKのいわゆる全議員のアンケートを見ておりましたときに、与党と野党とのお金の使い方が一けた違っておるように思いました。私は、本当に残念なことだなというふうに拝見をしたわけでございますが、つくづく考えてみますと、小選挙区ではお金がかからない、そして中選挙区では同士打ちでべらぼうにかかるという典型的な例なのでございます。小選挙区では、皆さん方はほとんど小選挙区で戦っておられるのであります。公明党の矢追さんのところは大体六十名ぐらいの候補者で、どこでもその選挙区では一人でございます。民社党の方は四十名ぐらいで、やはりそこでは一人でございます。社会党の場合は、二人立っておられるのが二十八か三十ございますけれども、それにしても四分の三は一人しか立っておられない。言うなれば、定員が四とか五とかという中選挙区であったところで、皆さんは一人だけで戦っておられる。
 そこで、よく聞いてください。政党と組織と個人とが一体になりまして、別に野党と戦う必要もない、それを守ればいい。しかし、こちらのサイドの皆さんはどうですか、政権を守るために、三名のところは二名以上、四名のところも三名、五名のところも四名、五名立ちまして過激な戦いをやっておる。こういうことをやっておって、政権は維持できますけれども、国民にとっては不信行為であります。
 我々は、だからこの際、中選挙区を抜本的に改正し、新しい制度に向かおうということを決断したのでありまして、皆さん方は小選挙区を勝手にやっておつて、政権も何もとらずに、まさにネズミをとらぬ猫のような形になってしまって、そうして小選挙区はだめだ。しかし、皆さんは全部小選挙区をやっておるじゃないですか。そういう反省をしっかりしたらどうですか。いかに金がかかるかという問題についても、もう少ししっかりと考えていただきたいと思うのであります。(拍手)
 なお、最後にもう一つ申し上げたいことは、矢追さんの言われますように、いわゆる比例代表の併用制を行いました場合に、そのパーセントごとに出てまいります。自民党はまず四十数%でありますから二百名そこそこ、社会党は百名、公明党は五十名、そうして民社党は二、三十名、共産党も二、三十名、あとの百名は、今の状態なら、新党か何か知りませんが、入ってくるでしょう。たちどころに政党は十になる。一体だれが中心なのか、話し合うのに時間がかかる、政策はどっちに行くかわからぬ、こういうことをやっていいのですか。もう少し将来に対するビジョンを持ちなさい。
 以上でございます。(拍手)
    〔津島雄二君登壇〕
#31
○津島雄二君 矢追議員の企業と団体献金、そして政党への助成の問題についてお答え申し上げます。
 本来、議会制民主主義というものは、民間各層が自発的にそのコストを負担しながら、政治に参加することによって機能していくものでありますから、一つの社会的存在でございます企業等の団体献金そのものを、よくないと頭から決めてかかるのはどういうものでございましょうか。例えば、例えばですよ、労働組合員のカンパはよくて商店街組合の企業の献金は悪いということは、矢追さんはどういうふうにお答えるになるのか、私には理解ができないのであります。
 もとより企業等の団体献金にありましても、これが節度を持って行われるべきは当然でございまして、行き過ぎや弊害を防止する見地から、寄附に一定の量的制限が行われていることは事実でございます。今回の制度改正では、選挙や政治活動を個人中心から政党中心へ移行させることを目指すものでございまして、これに伴いまして政治資金の調達も政党中心に改めていくこととし、企業等の団体献金は、資金調達団体に対する少額なものを除いて、政党に対するものに限ることとしたわけでございます。
 一方、議会制民主主義、わけても政党政治を維持、発展させていくために、各党が有権者に必要な情報を提供する、政策の普及、宣伝をやる、草の根の国民の支持や理解を求めていくということが、これが基本でなければなりませんので、そのためにコストがかかるのは当然であり、党財政を安定させるということは、国民の政治への参加を円滑にするための不可欠な要件であると言っても差し支えないと思います。
 今回、我が党が提出をいたしました政治改革案は、選挙制度の改革とあわせて、政治資金も政党中心に調達する仕組みといたしまして、政治資金の透明性の確保、政治家の資金面における公私の峻別の徹底、違反に対する罰則の強化などを行うことといたしましたが、その上で、議会制民主主義のコストを負担していただくことについて、国民の理解を得ながら、政党に対する公的助成を導入することを提案したものでございます。どうか御理解をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(村山喜一君) 山原健二郎君。
    〔山原健二郎君登壇〕
#33
○山原健二郎君 私は、日本共産党を代表して、自民党より提出された政治改革四法案及び社会、公明両党提出の政治改革六法案について、総理並びに提出者に質問をいたします。
 法案の質疑に先立ちまして、カンボジアにおける中田厚仁氏の痛ましい犠牲に対し、謹んで哀悼の意を表明いたします。同時に、ポル・ポト派の言動を見ましても、既にパリ協定はほごにされています。また、PKO法発動の前提そのものが崩れていることは明白であります。同時に、ポル・ポト派は、日本人要員への攻撃さえ口にしているのでありまして、極めて重大と言わなければなりません。この際、自衛隊の即時撤退をすべきことを強く総理に要請するものであります。(拍手)
 佐川急便事件に端を発した金丸脱税・不正蓄財事件は、自民党政治の底知れぬ金権腐敗体質を白日のもとにさらし、今や国民の怒りは頂点に達しています。この事件の真相の徹底究明と腐敗防止策の確立は、今国会に課せられた最大の責務であり、今にして金権腐敗を根絶し、政治と暴力団との癒着を断ち切らざれば、悔いを千載に残すと言わなければなりません。(拍手)
 金丸氏の七十億円とも言われる巨額の不正蓄財の原資が、東京佐川急便ルート、山梨建設業界ルート、大手総合建設会社ルートなどからのやみ献金であったことが明らかとなり、そのやみ献金は公共事業の発注額の一%とも三%とも言われ、その金額を上納するということが制度化されていたのであり、言うならば国民の税金で行われる事業を食い物にし、私腹を肥やすという最もあくどいやり方だったのであります。(拍手)
 それどころではありません。金丸氏は、建設業界の公共事業の入札をめぐる不正談合の際の口きき役、行司役を務め、東京臨海副都心計画、長良川河口堰建設、東京湾横断道路など社会的批判を浴びている公共事業に推進役として介入し、大手ゼネコンの利権確保に奔走してきたのであります。
 この間、大手ゼネコンが毎年の盆暮れに百名近くの政治家に五つのランクに分けて献金を行っていたという報道に示されるように、金丸事件は氷山の一角にしかすぎず、このようなやみ献金のシステムが政財界の間に広範に広がっていると見るべきであります。国及び地方自治体の公共事業が建設業界のやみ献金によって左右されてきた事実は重大であり、直ちに是正しなければならない緊急課題であります。
 総理、政治改革を口にするならば、何よりもまずこれら腐敗政治の真相を徹底的に明らかにし、その上に立って腐敗防止に当たるべきではありませんか。また、公共事業の発注と建設業界のかかわりについても徹底した調査を行い、その結果を国民と国会に報告すべきでありますが、明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 また、国会がまずなすべきことも、これらの問題の徹底した究明に当たることでありますが、各党提案者の見解を求めるものであります。一連の腐敗事件は、企業献金こそ政治をゆがめる根源となっていることを余すところなく明らかにしました。最近の朝日新聞の世論調査によれば、企業献金は条件を厳しくしてもだめ、「一切禁止すべきだ」と答えた人が六五%に上っております。今や企業・団体献金の完全禁止は国民の声、天の声であります。
 ところが自民党は、八幡製鉄事件の最高裁判例をもとにして、企業も社会的存在であると言い、この企業献金を容認し、自民党提出の政治資金規正法の改正案なるものは、これまでの限度粋が一億円であった政党への献金を二億円に引き上げていものであります。まさに国民世論を逆なでするものではありませんか。企業は社会的な存在であっても、主権者ではありません。献金を出す側の経済界の代表は、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待する、企業献金はそれ自体が利益誘導的性格を持っていると述べており、選挙権を持たず営利を目的とする企業が巨大な資金力に物を言わせて政治に影響を与えることは、国民主権に対する重大な侵害であります。(拍手)
 アメリカでも、連邦議会や大統領選挙についてはすべての企業・労組献金を一九〇七年のティルマン法以来禁止しており、イタリアでも全面禁止の法制化の方向が出ていることは御承知のとおりであります。今こそ国権の最高機関として、政治資金規正法を抜本的に改正し、企業・団体献金を禁止し、これに違反した者には、出した企業の側にも、受け取った政治家の側にも厳しい罰則を科するとともに、公民権を停止して政治家の地位を剥奪するなどの厳しい措置をとるべきであります。これが政治改革の出発点ではありませんか。総理並びに自民党案の提出者に見解を求めるものであります。(拍手)
 あわせて、不正の温床となっている使途不明金に抜本的にメスを加えることが、この際、重要であります。やみ献金の裏金づくりの主要な手口が企業の使途不明金である以上、その規制は不可欠であります。例えば、資本金一億円以上または売上高五十億円以上の法人の使途不明金が一千万円を超えた場合、その企業名を公表し、その超過分に一〇〇%の追徴課税を課するとか、不明金が一億円を超えた法人には公共事業の発注を行わないなどの措置をとるべきであります。総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 さて、何よりも許せないのは、こうした金権腐敗の徹底究明もやらず、企業・団体献金粋を二倍化する一方で、国民の怒りを逆用して、現行選挙制度では金がかかる、政権交代が行われないなどと、選挙制度の改変という次元の異なる問題に意図的にすりかえて、みずからの絶対的多数を保障するという小選挙区制を導入しようとしていることであります。(拍手)
 自民党提出の小選挙区制法案なるものは、これまで歴代自民党内閣が改憲のため執拗に追求し続け、そのたびに否定されてきたものであり、近くは海部内閣時代に全会一致で廃案となり、葬り去られたものではありませんか。国会の意思が明確に小選挙区制ノーという結論を出しているにもかかわらず、恥知らずにもまたもやこの小選挙区制が自衛隊の海外派兵の憲法改悪論と軌を一にして持ち出されてきたことは、まことに重大であります。まさに国民世論と議会に挑戦する反動性をまざまざと示すものとして、断固糾弾するものであります。(拍手)
 小選挙区制こそは、我が党の試算では、四〇%台の得票で実に九七%の議席を獲得するという驚くべき制度であります。先日の朝日新聞の試算でも、三〇%台の得票で九〇%の議席を獲得するという結果を出しています。しかも、六〇%を超える票が死に票になるという、民意を反映しない、およそ民主主義とは無縁の乱暴きわまる選挙制度であります。まさに自民党の一党独裁の道を開くものであります。
 海部内閣時代に出された小選挙区比例代表並立制に対しまして、当時、自民党の一部の諸君も、戦前二回行われた小選挙区制が目に余る腐敗が原因で廃止された例を引き、小選挙区制こそ金がかかる制度、アメリカでも韓国でもそうだなどと言って反対をしましたが、まさに小選挙区制になれば、小さい選挙区で買収、供応が緻密に行われるようになり、一層深刻な様相を生み出すであろうことは、過去の経験や奄美群島区の例を引くまでもなく明瞭であります。民意を反映せず、買収選挙が横行する小選挙区制がなぜ政治改革なのか、伺いたい。(拍手)
 また、同時に提案されている政党助成法では、国民の税金が結果として自民党に大量に注ぐ結果になることは明瞭であり、税金を腐敗政治の資金とするものであります。小選挙区制導入を柱とした自民党の政治改革四法案の本質は、自民党政権の永続を図り、軍国主義復活の憲法改悪を行うということに直結し、民主主義の根幹を踏みにじろうとするものであり、断じて許すことはできません。自民党総裁として総理の見解を伺うものであります。(拍手)
 社会、公明両党の小選挙区比例代表併用制法案について伺います。
 自民党の首脳は、野党との接点を求めていく、単純小選挙区制、併用制、並立制にこだわらないと発言し、両者間のすり合わせを言明しています。自民党と社会、公明党案の共通項は小選挙区制であり、すり合わせをして合意に達するとすれば、それは小選挙区制中心の制度にしかならないのではありませんか。その意味で、社会、公明両党案は自民党の土俵にのるものであることを指摘をせざるを得ません。そうでないとするならば、その根拠をここに明確にすべきであります。両党の提案者の答弁を求めるものであります。(拍手)
 今、国会がなすべきことは何か。それは一九八六年に提案者各党が決めた定数の抜本的改善、すなわち二人区・六人区をなくし、定数格差を一対二未満に抑える定数抜本是正の国会決議を実現することであります。自民党の現幹事長であります梶山静六氏が、自治大臣のときに、「何よりも大切にしなければならないのは、衆議院本会議の決議でございます」「衆議院の定数是正、これはまさに焦眉の急、一番重要な課題でございます。決議の中身に忠実でありたい、これがまず第一の原則」と述べたものであります。この原則をかなぐり捨てて、今、自民党は単純小選挙区制法案を出し、社会、公明両党が小選挙区比例代表併用制なるものを持ち出してきているのであります。
 提案者諸君に伺いたい。国会が国民に公約した国会決議はどこへ行ったのか。それはすべての党派を拘束するものではありませんか。中選挙区制度のもとで抜本是正が行われておれば、一九六七年以来、得票率で過半数を割った自民党が議席占有率でも過半数を割り、政権交代もあり得たのであります。選挙制度の改革を云々するならば、国会決議の実施こそ最優先すべきではありませんか。まず国会で決議をした定数の抜本是正を実施して、現在の不公正を解消し、民意を一層正確に反映した新しい国会において選挙制度の改革問題について検討することが筋道でありますが、各党提案者の見解を伺うものであります。(拍手)
 現行中選挙区制のもとでの定数抜本是正という国民の願いにこたえることこそ、政治改革でなすべき緊急課題であります。宮澤総理は、カンボジア情勢を偽り、歴代内閣で初めて自衛隊の海外派兵を行いました。今また、みずからの党の腐敗に対する国民の怒りと真相究明を求める声にこたえようとしないばかりか、真相解明を妨害し続け、あげくの果ては小選挙区制を持ち出し、一党独裁体制をしこうとしていることは、まさに大罪を再び犯そうとするものであります。直ちに小選挙区制法案を初めとする四法案を撤回されんことを強く要求するものであります。(拍手)
 また、あわせて、小選挙区制の土俵にのる社会、公明両党の法案の撤回を求めまして、日本共産党を代表しましての質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) カンボジアにおきまして、一部の地域で武装集団による襲撃事件、停戦違反事件が起きておりますけれども、全面的に戦闘が再開されているわけではございません。パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的な枠組みは維持されておると思います。また、国連平和維持活動に協力する前提でありますいわゆる我が国の五原則は満たされていると考えておりますので、我が国から派遣しております要員、部隊の撤収を行うことは考えておりません。
 それから、政治資金は、政治活動を支える財政的基盤であり、選挙制度と密接な関係を有しておりますから、政治資金制度の改革と選挙制度の改革とは、違反行為に対する制裁措置の問題も含め、相まっていくことが重要と考えます。
 企業献金でございますが、企業も一つの社会的存在であり、政治活動の自由を有するものでありますから、団体献金は一概に否定すべきものではないと思いますけれども、もちろんそれにはおのずから節度があるということは申すまでもないことであります。
 公共事業のことについてお尋ねがございました。公共工事の入札、契約につきまして、さらに透明性、競争性を高めるため、現行の指名競争入札制度に係る所要の改善措置を講じていく考えでございます。
 それから、税法上の使途不明金ということですが、税務当局におきましては、できるだけ使途を解明して、支出先に対して適正な課税を行うことにしております。どうしても使途が不明の場合には、これは損金に算入しないという処理をしておるわけでございますが、法人税制の枠内の措置としては、これが精いっぱいの措置ではないかというふうに思っております。
 それから、小選挙区制というものをどう考えるかということですが、これは、民意の変化が微妙に議席数の変化としてあらわれますから、政権の選択について有権者の意思が明確な形で示されるという特色を持っております。したがいまして、内外の情勢に非常に大きな変化がございましたときは、それを反映いたしまして、政権交代が起こりやすい制度であるというふうに考えております。(拍手)
    〔西岡武夫君登壇〕
#35
○西岡武夫君 お答えいたします。
 山原議員御承知のとおり、昨年の臨時国会において、緊急改革の一環として、不幸にして事件が発生した場合の対応措置として、政治倫理審査会が十分機能するようこれを改正したところであります。今後は、政治倫理審査会の適正かつ積極的な運営を通じて事件の究明が行われるものと考えます。
 再発防止策の確立につきましては、今回我が党が提出している法案において、政治資金規正法違反には、公民権の停止を含む厳しい罰則を科することといたしております。
 企業の使途不明金につきましては、一義的には、本来、財務の適正化や株主の利益保護の観点から、今後企業自身の改善努力にまつべきものと考えます。
 一方、昨年十二月の政治資金規正法の改正により、量的制限違反に対する禁錮刑の導入及び違法な寄附の没収措置が既にとられたところでございます。
 さらに、今回提出いたしました法案において、政治資金規正法の違反行為については、行為者のみならず、その者が属する団体にも罰則を科することといたしております。
 以上、お答えいたします。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#36
○石井一君 共産党の山原議員にお答えさせていただきます。
 共産党の主張は、現行中選挙区制の維持と、それから定数の抜本改正というふうなことのようでございますが、しかし、国会決議が行われましたのはちょうど七年前でありますけれども、それから後、選挙制度に関します議論も深まりまして、与野党でも新しい考え方を出し、国民も、今回こそはという期待がございます。自社公民、四つの政党は現在の中選挙区制の問題点ということを共通に認識をいたしまして、今、二つの違う案でございますけれども、両案を提示しておるというときに、なぜ共産党だけがひとり自分の主張をされるのか、一体、国民に対して何という態度を示しておられるのかということを、私は非常に遺憾に考えるものでございます。
 今回、この改正に当たります前に、九増十減でございますとかあるいは七増八減、こういうふうな形で何年か後に定数是正というふうなことをやってまいったわけでございますが、そのたびごとに大変な騒動でございます。しかし、今回は、社公の案も自民党の案も、できるだけ格差を二対一に近づけようという努力の中に抜本的定数是正をやろうとしておるのでありますから、本来、定数是正と言われるのなら、共産党さんもそれにのられるべきだと私は思うのでございます。まことに支離滅裂、意味不明快、こう申さなければならないというふうに考えるわけでございます。(拍手)
 なお、この点もひとつ申し上げさせていただきたいと思います。
 前回、共産党は中選挙区全区で立候補をされております。これは非常に御努力の跡が見えますが、当選者十六人、その中で上位に当選されておりますのは、不破委員長と沖縄だけでございまして、あとの十四名はほとんどすれすれの滑り込みでございます。言うなれば、まあ中選挙区しか共産党はもたないのではないか、言うなれば党利党略以外の何物でもないのではないか、もう少し、自分たちの言うことが通らなければ反対だという態度を、国会におられるなら改められるべきだと私は思います。(拍手)
    〔津島雄二君登壇〕
#37
○津島雄二君 山原議員にお答えを申し上げます。
 企業・団体献金の禁止に対する考え方は、先ほど社会党、公明党・国民会議の議員代表にお答えをいたしましたが、昨年の十二月のいわゆる緊急是正と今回の我が党の提案によりまして、政治資金の規制が格段に強化されているという事情は、西岡提案者から既に御説明のとおりでございます。
 いずれにいたしましても、政党中心の政治の仕組みを築いていくということが、我々が今目指しておるところでございまして、その場合に党運営のコストをどうするかということは、御見共産党を含めていろいろ苦労があるわけでありますが、毎年の報告によりますと、国会議員一人当たりの党収入は共産党が最も多いということに私は非常に注目をしております。
 各党ともそれぞれの事情はあると思いますけれども、党財政を明朗にして、安定した仕組みで構築していく必要性については、山原議員も特段の反対はないと思う次第でございます。(拍手)
    〔小澤克介君登壇〕
#38
○小澤克介君 山原議員に対して三点お答えいたします。
 まず、佐川急便疑惑事件、金丸前自民党副総裁の巨額脱税・不正蓄財事件、及び、これらの根底にある許認可や公共事業の発受注に政治家が介入してやみ献金を受け取るなどの構造的政治腐敗について、徹底した事実究明とそれに基づく再発防止の確立が重要であることは言うまでもないと考えております。我が党は現にそのための努力を継続しております。そして、そうであるからこそ、私たちは今般、政治家個人の政治献金の受領の禁止、企業、団体の政治献金の禁止、政治資金規正法違反者に対する、執行猶予となった場合も含めての公民権の停止などを柱とする規制強化の法案を、政策によって争う選挙を可能にする選挙制度改正案や政治倫理法案などとともに提出したのであります。
 次に、政治改革の実現は、本来、それが政策以前の問題であるにもかかわらず、現下の最大の政治課題となっており、必ずなし遂げなければなりません。そうでなければ国民の期待を大きく裏切り、政治に対する信頼を回復することが不可能ともなりかねない、まさに民主政治における危機的な状況にあると認識しております。したがって、今国会において各党各会派が互いに血のにじむような努力を重ね、必ず一致点を見出していかなければならないと考えております。
 ところで、御質問は、社会党、公明党共同の小選挙区併用型比例代表制について、その基調は小選挙区制であるとの認識を前提とされるものと思われますが、これはその前提において誤りであります。
 社公案は、各ブロック別にまず有権者の投票における党名の記載数の集計に基づき、各党の議席数を比例配分により定めます。その意味で、比例代表制そのものと言えます。その上で、全体の四割の議席について行われる小選挙区選挙の最多得票者を各党の配分議席の枠内で優先的に当選者とし、残りについて、届け出名簿の上位者から順に配分議席に達するまでを当選者とするもので、有権者の政党に対する支持率が議席に正確に反映し、しかも候補者の顔の見える、最もすぐれた制度であると考えております。
 今後どのような方向で各党間の合意が形成されていくかはまさにこれからの議論の積み上げにかかるところですが、いずれにせよ、社公案は比例代表制を本質とするものですから、小選挙区制中心の制度でしか合意に達し得ないとか、自民党の土俵にのるしかないなどということは全く当たりませんし、またそのようなことは考えておりません。
 それから、一九八六年の国会決議は、当時なされた暫定措置としての定数是正に伴って、それがなされた経緯及びその内容それ自体からも明らかなとおり、もっぱら現行のいわゆる中選挙区制度における定数配分の問題にのみ着目し、その限りにおいて抜本改正の検討を行うこと等を決議したものであります。
 ところで、その後の状況の推移の中で、さきの国会決議が当然の前提としていた現行の中選挙区制度それ自体がいわゆる制度疲労に達し、もはや維持しがたいとの認識が国民各層に定着するに至りました。このような現下の状況においては、選挙制度それ自体の抜本改革を図ることこそが国民の期待に沿うものであると確信しております。したがいまして、社公案についての撤回の意思は全くないことを申し上げておきます。(拍手)
    〔日笠勝之君登壇〕
#39
○日笠勝之君 山原議員にお答え申し上げます。
 三点の御質問かと思います。
 まず第一が、不正蓄財事件ややみ献金事件などの究明と、再発防止をまず確立すべきではないかというお尋ねでございます。
 金丸前自民党副総裁の巨額脱税・不正蓄財事件、やみ献金問題、さらには政財官の構造的な癒着体制などの徹底究明、再発防止の確立を行うことは当然であります。その必要性や決意は、共産党だけのものとは存じません。我が党も一貫して各委員会でこれらを追及し、究明を急いでおるところでありますし、公明党といたしまして、近々再発防止策の援言を行う予定でもございます。
 が、同時に、政権中枢の首脳が代々、ロッキード、リクルート、共和、東京佐川急便、また金丸巨額脱税事件等々の疑獄事件を引き起こしているという現実を前に、制度、仕組みそのものヘメスを入れ、抜本的に、再発防止のための企業・団体献金の禁止をうたった社公提案の政治資金規正法の改正等を行うことは、あたかも車の両輪のでとき関係であろう、それを促進をしていくことこそが肝要であろうと考えております。
 二点目の、自民案と社公案の基調は小選挙区制であり、社公案は自民党の土俵にのるものではないかという御質問でございます。
 選挙制度は、確かに自民党案は小選挙区制、社公案は比例代表制でありまして、水と油と言われております。しかし、同じ土俵にのっていることも事実でございます。第一は、政治改革をしなくてはならないという点、第二は、現行中選挙区制は制度疲労を起こし、もはや日本の政治システムには適応しなくなったという点、第三は、次の総選挙は新制度を適用するという点でございます。
 我々は、国民の多様な意見をくみ上げる社公案の併用制が最善と強く確信はしているところでございますが、本日から広く国民の前で白熱した大議論を展開し、世論の盛り上がりと相まって、結果的にはおのずと一点に収れんされることのあるやもしれません。
 いずれにしても、自分の議席を守るためや政党が生き残れることを中心にした党利党略、個利個略にとらわれることなく、極限に達した政治不信を回復し、子孫に夢を与えられるような政治改革をなし遂げるために、各人各党が身を削り、血を流す思いで臨むならば、一点に収れんされることもあり得るという意味であります。その一点が小選挙区制にしかないということは、余りにも短絡的ではないか。いかがなものかと思う次第でございます。(拍手)
 問い三は、国会決議に基づき定数是正を行い、民意を反映した国会で選挙制度を検討するのが筋道ではないかというお尋ねでございます。
 確かに、昭和六十一年五月二十一日の衆議院議員の定数是正に関する決議以来七年の長きに至りますが、この間、リクルート事件、共和、佐川事件、そしてまた金丸巨額脱税事件と相重なり、構造的な癒着、金権体質を排除するためには、政治改革、なかんずく現行中選挙区制を改革することが肝要であるということは、共産党を除く各党の一致しているところでございます。今回、自民党も、社会、公明両党も、政治改革関連法案を国会に提出したということは、立法府のこの決議をそんたくしたものであると思うものであります。社会案を撤回する意思は毛頭ございません。
 なお、社公案は、併用制により民意を正確に反映され、かつ、定数不均衡が制度的に生じないよう特に配慮していることもつけ加えておきたいと思います。
 以上です。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○副議長(村山喜一君) 米沢隆君。
    〔米沢隆君登壇〕
#41
○米沢隆君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となりました自由民主党提案に係る政治改革関連四法案並びに社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議提出に係る政治改革関連六法案について質問を行いたいと存じます。
 質問に入ります前に、さきにカンボジアにて犠牲になられました中田厚仁さんの御冥福を心からお祈り申し上げ、御家族並びに御親族の皆様に衷心より哀悼の意を表するものであります。
 さて、我が国の政治は今閉塞状態にあると言っても過言ではありません。本来、政治は内外の歴史的な変化に対応し、進むべき進路を示し、その実現に国民的な合意を形成しつつ邁進することが政治の責務であるにもかかわらず、それに十分に対応できず、我が国では金権腐敗・汚職政治がまかり通り、国会の権威はまさに泥まみれの状態にあります。先ほどから各党よりるる御指摘がありますように、ロッキード事件やダグラス・グラマン事件、リクルート事件、共和事件、佐川急便事件と相次ぐ汚職腐敗事件が発生し、そのたびごとに国会は機能停止、国民生活は顧みられず、政治の停滞が続くという状態に陥っているのであります。
 しかも、これらの事件はいずれも偶然にたまたま発覚しただけのもので、政治腐敗の氷山の一角にすぎない。うまくやった政治家は陰に隠れて、巨悪は眠り続けている。これが残念ながら今の政治の実態でありましょう。政治資金規正法という合法的な金の流れの裏に、表ざたにはできないやみの資金ルートが確立され、それが長年にわたる保守政権のもとで恒常化し、そして権力中枢を支える役目を担ってきたという疑念を私は払拭できません。相次ぐ政治スキャンダルの発覚に、国民はあきれるを通り越して、政治は汚いものと断定され、政治家の信頼は地に落ちたも同然というような、極めて憂慮すべき事態に立ち至っているのであります。
 先般発覚した金丸脱税事件に至っては、政治活動、選挙運動には金がかかると言いながら、金を集めては不正蓄財に励むという、国民から見ればやっぱりそうだったのかという、やり場のない怒りを惹起し、政治には金がかかるという現実論をも陳腐なものにおとしめたのであります。
 今日まで政治改革という言葉がむなしく響き続けたことはありませんでした。これまで何年この言葉が語られ、期待外れに終わったことでありましょうか。いつも不祥事件が起こるたびごとに政治の危機が語られ、反省がなされ、政治改革が云々されましても、一向に何も変わらない、何も前進しない。新しい反省をしているうちに金権腐敗の不祥事がまた始まっている。この繰り返しが今日までの我が国政治の実態だったと言わなければなりません。
 しかし、事ここに至れば、政治改革の問題はもう待ったなしのところに来ているのであります。今こそ与野党の枠を超えて、この議場に同じ議席を共有する議員が一体となって、今国会において政治改革の実現を期すことこそ、すべてに優先して対処しなければならない緊急課題だと確信いたします。もう国民は待ってはくれません。国民の政治不信を払拭するためには何がなされねばならないのか、その一環として位置づけられる、今国会に提出された政治改革のための関連法案の成立を図るために、どのような決意で臨まれようとしておるのか、総理並びに提案者各位にそれぞれ御見解をお聞かせいただきたいのであります。
 さて、その中でも最大の課題は、義挙制度の改革であることは言うをまちません。公正に民意が反映され、政策本位の政治、質の高い議員の選出、金のかからない選挙の仕組みをつくることが議会制民主主義の原点であります。選挙制度の改正は議会制民主主義の根幹にかかわり、我が国政治と国民生活の未来をも決定づけることになります。それだけに、各党は虚心坦懐、党利党略を捨て、最善の制度をつくり上げなければなりません。
 御承知のとおり、選挙制度は世界各国さまざまであります。それはどの制度も一長一短あり、それぞれの国情に合わせ、その国の歴史的経緯も踏まえて制度を選択しているからにほかなりません。したがって、その選択に際しては、新しい選挙制度の導入がどのような政治効果をもたらすのかを慎重に考察することが何よりも必要であります。すなわち、制度改正によって我が国の政治はどう変わっていくのか、果たして政権交代可能な土壌ができるのか、腐敗政治と決別できるのか、果たして民意は生かされるのか、国民生活の進展につながるのかなと、新しい日本政治の展望につながるビジョンが制度改正に込められていなければならないと思うのでありますが、それぞれどのような検討がなされ、どのような見通しを持っておられるのか、選挙制度改正を提案された自民党、社会党の忌憚のない御所見を賜りたいのであります。
 自民党は、単純小選挙区制を提案されました。この制度の導入が我が国政治にいかなる影響をもたらすのでありましょうか。全国を細かく分けた選挙区で、たった一人当選するこの制度は、死に票が多く、投票した国民の民意が公正に議席に反映されないという致命的な欠陥を持っております。しかも大政党に有利で、学者の間では、得票率が二対一の場合、議席は何と八対一の大差になるという定説が確立しているのであります。また、多くの選挙区で、この選挙区はこの人という既定概念が定着し、各国の例を見ても、議席が固定化し、新旧交代の機会は少なくなるという事態が現出しております。一たん決まったら、新人候補者がそれに挑戦するのは至難のわざであります。しかも、小さい選挙区の代表でありますから、ライバルをけ落とすためには小まめに選挙区を回らねばならず、そのことのために、国家百年の大計よりも地元の利益優先に偏り、大切な国政への貢献が忘れられるという危惧があります。
 また、小選挙区制になれば政権交代が容易になるという認識はどう見ても誤りであります。現に、代表的な小選挙区制をとっているイギリスにおきましても、保守党が十八年間政権を担当し続けることになっており、昨年の総選挙では、選挙制度の改正が重要な争点の一つとなっております。今我が国にこの制度を導入すれば、半永久的に自民党の単独政権が固定化することは火を見るより明らかであります。果たしてそれが国民の望む政治体制なのでありましょうか。今や国民は多種多様な価値観を持っており、その意見の正確な議席への反映こそが急務の課題であります。有権者の意見の縮図を議会につくり出すことが、公正な選挙制度のかぎとなるものと信ずるところであります。
 さらに指摘しなければならないのは、定数格差の問題であります。これまで我が国の選挙制度は、人口の増減に伴って一票の重みの問題が常に係争のもとになってまいりました。幾度となく定数をめぐる違憲訴訟が繰り返され、政府はそのたびごとに苦しい弁解を繰り返してまいりました。選挙の公正を図るためには、国民すべてが投じた票の重みが同等でなければならない、これが選挙制度をつくるに当たっての前提条件となるべきであります。小選挙区制のもとでは、国勢調査のたびごとに定数論議が繰り返されることになりましょう。しかも、選挙区が小さいほど問題が発生しやすく、取り扱いも複雑になるでありましょう。この区割りが果たして時代の流れに機敏にかつ合理的に行われるという保証はあるのでありましょうか。
 以上の諸点について、自民党の提案者の真摯な御答弁をお願いするものであります。
 このように問題点を指摘するまでもなく、単純小選挙区制は多くの欠陥を抱えております。しかも、三、四割の得票率で八、九割の議席を確保するという制度であってみれば、このような小選挙区制を提案した自民党の真意は、自民党の現状を最大限に議席につなげようという、党利党略的、一種のゲリマンダーではないかと言わざるを得ないのであります。自民党の中からも反対論が噴出しておるというこの単純小選挙区制を、なぜさきの国会で提案した小選挙区比例代表並立制にかえて提案するに至ったのか。国会対策の駆け引きで単純小選挙区制を提案し、最後は並立制で妥協したいというのであれば、政治改革にかける自民党の熱意を改めて問い直さなければならないと思いますが、提案者の御意見を承りたいと思います。
 社会、公明の両党は、小選挙区比例代表併用制を提案いたしております。有権者の意見の縮図を議会につくり出す比例代表制を採用するという点で、我が党の考え方と同じベースに立つものであり、この案をまとめられた両党の皆さんの御努力を多とするものでありますが、この案では、小選挙区で落選した議員が名簿で救われて当選するという、有権者から見て割り切れぬ思いが残ることになり、また、名簿登載部分の当選議席数よりも小選挙区の獲得議席が上回った場合、超過議席が発生する、さらには、自民党案と同様、人口の変動に応じて絶えず区割り変更を行わなければならず、これを怠れば国民の間に一票の格差が生ずるといった問題が出てくると思うのでありますが、これらの点について提案者はどうお考えになっておるのか、お答えをいただきたいのであります。
 我が党は、残念ながら法案提出に必要な議席数を満たしておりませんが、都道府県単位の非拘束名簿式比例代表制を提案いたしております。この制度は、各政党が順位を定めない候補者名簿を原則都道府県ごとに作成し、これをもとに有権者は政党名か個人名で投票し、全国での合計票によって議席数が決定されるというものであります。
 これにより、国民の政党支持率がほぼ正確に議席に反映され、死に票が防止できる、同一党内の共倒れがなくなり、政党本位、政策本位の選挙ができる、非拘束名簿式のため、政党幹部の独裁にならず、候補者の資質が問われ、政治家のレベルアップにつながる、オランダ、ベルギー、オーストリア、デンマーク、ノルウェーなど先進国で最も多く採用されている普遍性を持つ制度である、人口の移動があっても定数是正や区割り変更の必要がなく、ゲリマンダー的な制度の悪用が一切排除されるなど、多くの長所を持ち、我々はこの制度こそ我が国が採用すべき選挙制度であると考えているところでありますが、この制度についてどのような見解を持たれるか、自民、社会、公明三党の提案者から御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、選挙制度改正に加えて重要なのは、政治資金制度の適正化の問題であります。
 今日、相次ぐ政治と金のスキャンダル事件が続出し、ために、政治と金の関係はすべて悪、汚いとの思潮さえ生まれかねない状況にあります。したがって、国民の最大の関心も、今国会で政治資金制度にメスが入れられるかどうかを注目していると言っても過言ではありません。
 問題は、今回の一連の改正で、政治資金制度のきれいごとの裏に隠れて、やみの資金がやみからやみに流れるという悪循環を断ち切ることができるかどうか、政治資金については、その出と入りにつき厳正な透明性を確保する措置がとられるかどうか、資金の実態を国民に披露し、不正な運用には厳しい罰則を加えるという厳正な制度が確立てきるか、公費助成を導入するならば、企業・団体献金を廃止するプロセスを明らかにすべきである、などの問題が問われていると考えます。
 この点、自民党案で果たして解決できるのか。自民党の政治改革案では、政党から政治家個人への寄附を認めており、その使途については何の規定もありません。政治家の資金調達団体を複数認めており、収支が不明朗になるおそれがあること、資金調達団体への政治家の監督義務がなく、政治家が言い逃れできる余地のあること、政治資金規正法に違反し、罰金刑を受けた者への公民権停止がないことなど、肝心な点が骨抜きにされ、手ぬるいと言わざるを得ませんが、この批判にどうこたえられるか、自民党提案者にお尋ねしたいと存じます。
 最後に、総理にお尋ねいたします。
 総理は、政治改革に不退転の決意で臨まれるという強い意志をお示しになりました。しかし、建前はともかく、今の衆参の議席数にかんがみれば、選挙制度問題で合意が成立しない限り、一体となって取り組まれる政治改革法案はすべて相打ち、共倒れになる可能性があります。政府・自民党が本気で今国会に政治改革を実現しようとするならば、野党案に同調するか、第三の妥協案を模索するかしかありません。それは、野党がこぞって求めている比例代表ベースでの選挙制度改革に自民党が応ずることであります。各党が政治改革に向け努力した結果、選挙制度で折り合いがつかず、政治資金規正法改正を初めとするすべての法案が廃案となり、問題はすべて先送りされ、宮澤さんはうそをついたという最悪の事態を招かないためにも、総理の英断を強く求めておきたいと思うのでありますが、この点について総理の御所見をお伺いして、私の質問を終わります。
 以上。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#42
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 政治に対する国民の信頼を回復するためにも、また、政治が内外に山積する課題に的確に対応して国民の負託にこたえますためにも、抜本的な政治改革がぜひとも早急になされなければならないと思います。
 各党の御努力によりまして、それぞれのお立場からの改革案が提出をされました。それにつきましての御討議が始まるわけでありますが、各党とも最善と信じられるところを御提案をされたわけでございますので、その中で御審議が深まっていくことを期待をいたしております。
 先ほどから御提案の理由を伺いましても、また、いろいろ御質問の趣旨を拝聴しておりましても、この際何かをしなければならないということは、この点だけは各党同じように考えておられるということは確かでございますので、そういう中から、必ずや改革実現のための具体案が出てくるに違いないと思っております。もちろん、私としましても、改革実現のために最大限の努力をいたす覚悟でございます。(拍手)
    〔塩川正十郎君登壇〕
#43
○塩川正十郎君 時間がございませんので、米沢書記長に、簡単で失礼でございますが、簡単にお答え申し上げたい。
 第一問は、民社党の提案をどう評価するかということでございまして、私もこれは一つの見識のあるものだとは思いますけれども、これは教科書に書いておいたら立派なものだと思いますけれども、現実の問題としてこれを採用するとなりますと、いろいろな問題が実は出るであろう。
 一つは、府県単位の大選挙区制じゃないかということが一つ。こういう大きい、広い範囲の選挙になりますと、どうしても、政策中心に選択するよりも、フィーリングの選択の方に優先権が入るような、そんな感じがいたしますので、現実的な問題といたしまして、評価はいたしますけれども、この採用はとれないということでございます。
 それじゃ、自由民主党はなぜ小選挙区制をとったのかということでございますけれども、これは再三申しておりますように、今求められておりますことは、政権の責任を明確にするという、そういう政治を国民は希求しておるのであります。
 そのためには、一つといたしましては、政治と金の関係を、これが自浄作用ができるようにしたい。それから、政治に絶えず緊張感を与え、国会が活力ある活性に満ちたものにしたい。そうして、またさらには、政策の決定が遅滞なく、国の意思決定として実現したい。こういう点を勘案いたしますならば、やはり選挙に際しまして、政権をあるいは政党を選ぶ明確な、簡単なシステムがいいのではないか。そのことは、やはり小選挙区制によりまして国民の意思がここに明確に出てくるということでございますので、我々は小選挙区制を採用した。
 そして、比例制はどうしても連立内閣になってまいりますので、責任が不明確になってくる、こういう点を我々は非常に危惧しておるものでございます。
 最後に、海部内閣のときに小選挙区比例代表制を提案したではないか、そうであるのに、今回は単純小選挙区制をとるのはなぜかということでございますが、先ほど申しましたように、海部内閣当時の小選挙区比例代表制、これは非常に立派な案であるとは私たちも評価いたしておりましたけれども、これはあくまでも政府が提案されたものでございまして、第八次選挙制度審議会が提案された。しかし、この議論というものは非常に貴重なものがたくさんございましたので、これを踏んまえまして、この上にさらに責任ある政権をつくるのには、政権の責任性をより以上追求するのにはどの制度がいいかということで、小選挙区制に踏み切ったということでございますので、御理解いただきたいと思う次第であります。(拍手)
    〔大野明君登壇〕
#44
○大野明君 答弁時間が一分間でございます。
 このような大きな問題をすべてお答えするわけにはまいりませんが、今、塩川議員からお答えございましたように、私も同様のことを言うのでございますけれども、いずれにしても、これからの真摯な議論こそ、小選挙区制にするか否か、いろいろなことがこれから出てくるわけでございまして、私どもは、そういうことにもっと真剣に対処していこうという気持ちできょうから始めたことを、心に銘じておることをひとつ御理解賜りたいと思います。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#45
○石井一君 既に御答弁が大分ございましたので、多くを申し上げません。
 私たちは、将来に向かって、願わくは政権交代可能な、そうして現実的な制度をつくりたい、御堂のような、穏健にして立派な人材はどんどんと政権に参画をしていただきたい、直ちにそうはまいりませんけれども、そういう願いを込めて現在の制度を提示いたしておりますことを申し上げたいと思います。
 死票が多くなりますとか、あるいはそのほか固定化につながる等々、いろいろの御指摘がございましたが、そういう点、納得のできるところもございます。制度には長所と短所があるというふうなことでございますけれども、ただ、一の票が八になるとか、三、四割が八割になるとかというふうにおっしゃいますけれども、これは三乗の法則なんというのもございますが、二大政党が機能しております国におきましては、これがダイナミックに、こういう格差が起こらずに機能しておるということも世界の現実の姿であるということを申し上げておきたいと思います。
 なお、最後に、民社党が熱心に御研究になりまして出された案でございますけれども、我が党といたしましては、大変なことになると思います。私の場合、神戸、兵庫一区でございますが、それが三倍か五倍か、大きな選挙区になりまして、競争相手も一人か二人でなく、もっと何十人になる。そうすれば、今よりもっと金がかかるというようなことにならざるを得ません。
 そこから一人だけ出されるというお考えでございましたら、問題は少のうございますけれども、我が党のように多数を占めておりますときには、この制度は全く機能しないと申し上げても、ちょっと言い過ぎかもわかりませんが、そういう一面がございますし、また、民社党のお立場といたしましても、そこの県の方がその方に投票する、そこでは通っていないのに、リストか何かで後で通るということになれば、社共が言われております、何となく納得できないという気持ちは、同じようにこの民社の案にも入っておるのではないかな。この辺は、中選挙区の問題点というものをもう少し深く御研究をいただきました後に、ひとつ今後英知を絞って何か妥協点というものをお考えいただきたい、こう考えるわけでございます。(拍手)
    〔津島雄二君登壇〕
#46
○津島雄二君 政治資金関係の若干の点について補足説明を申し上げます。
 自民党案についてどう評価するかという点でありますが、公私の峻別、政治資金の透明性、罰則の強化という点で非常に大きな改正であると評価をいたしております。
 それから、政党と個人の間の資金についてどうなんだという御質問がございましたが、政党から政治家個人に対する資金につきましては、これはまさに政党の公的責任において適切に処理をすべきであるというふうに考えております。
 それから、資金調達団体に対する政治家の監督責任についてはどうかという点につきましては、政治家が主宰する団体が資金調達団体になった場合には当然監督責任を負うことになりますが、政治家が推薦を受けるタイプのものについては、責任主義の立場から監督責任を負わせるのは無理ではないかと考えます。
 以上でございます。(拍手)
    〔佐藤観樹君登壇〕
#47
○佐藤観樹君 米沢議員から、今国会におきます我々の決意についての御質問がございましたけれども、もう私たちも今の情勢というのが待ったなしである、国民の皆さん方は何とかしてくれという悲鳴が出ているということは十分認識をしつつ、したがいまして、きょうのこの審議から、あるいは特別委員会の審議を通じまして、国民の皆さん方には、新しい政治をつくるためには、社会党、公明党で提案をいたしましたこの併用案しか即効薬はないんだ、ぜひこれを実現をしていこうということを、私たちとしましては、今後とも審議を通じて明らかにして、ぜひ今国会に実現をさせていく、そして、次の選挙からこの新しい選挙制度で新しい政治をつくっていこう、この決意でございます。
 それから、新しい制度に基づいていろいろな要件が満足できるのか、あるいは新しい日本の政治の展望はどうなるのかということで、これはもう米沢議員大体おわかりの上で御質問でございますので、言うまでもなく、民意を正確に反映をすることはもちろんでございますし、腐敗の防止につきましては、恐らく世界一厳しいであろう腐敗防止の諸施策を私たちはつくったわけでございます。
 しかも、腐敗の温床でございます企業・団体献金の禁止ということをもって、各政党とも政治資金の面においてはイコールフッティングでいこうではないか、政策の争いにしていこうではないか、金の争いはもうやめようではないかということに基づいてで音でおるわけでございまして、当然この制度ができるならば、私たちの案のいわゆる併用案が通るならば、これは自民党が恐らく過去の経験値から言えば過半数を割り、そして新しい政治体制ができてくると私は確信をしておるところでございます。
 それから、民社党さんの都道府県別の非拘束名簿の比例代表でございますけれども、今米沢議員お話がございましたように、小選挙区は大変な問題がある、とてもとるべきでないということはもう言われているとおりでございますし、また比例代表が一番いいだろう、そして、今米沢議員が幾つかの非常にすぐれた案につきまして御説明がございましたが、私たちも、その点につきましては高く評価をしておるところでございます。
 ただ、民社党さんの案によりますと、全県一区の方以外は選挙区が全県にわたって大変大きくなる。三百万以上のところは二つに分けるということがございますが、全県一区以外は大変選挙区が大きくなるということ。それともう一つは、たくさん個人名を書いてもらった者を当選者とするということになりますと、これはまた個人選挙的な要素が大変入ってきて、今、同士打ちということが問題になっているときに、その解決にならないのではないかということで、我が党としては採用しなかったところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔井上義久君登壇〕
#48
○井上義久君 米沢書記長御指摘のように、国民の政治不信は極に達しており、今国会で抜本的な政治改革が実現できなければ、日本の議会制民主主義は崩壊することになりかねません。その意味で、私どもは、文字どおり政治改革は待ったなしの強い決意でございます。
 そのために、公明党といたしましては、先ほど提案理由説明がありましたように、社会党と共同で、選挙制度を小選挙区併用型比例代表制に改革することを基本に、企業・団体献金の禁止を初めとする抜本的な腐敗防止策を盛り込んだ政治改革関連六法案を提案しており、各党の御理解を得てぜひとも今国会で成立させたい、このように決意をいたしております。
 政治改革は、党利党略や自己の立場だけに固執していては実現はできません。お互いに身を削る覚悟で取り組むことが必要だと思います。いずれにいたしましても、今国会で抜本的な政治改革を必ず実現をさせるということを与野党の合意として、国会全体として国民に公約すべきだ、このように考える次第でございます。
 次に、小選挙区併用型の比例代表制につきまして、問題点を御指摘になりました。
 まず第一の国民が落とした候補者が当選するという点でございますけれども、私どもの提案しております制度は、基本は比例代表でございます。各党の得票数によって獲得議席数が決まる制度でございます。しかも、候補者が選べるようにすること、さらに無所属候補者の立候補の権利を保障する必要があることなどの要請にこたえるために小選挙区を併用しております。
 小選挙区における選挙の意味は、したがいまして、比較多数をとった候補者に優先的に議席を配分するということであって、一般的に言う当落とは意味が違うわけであります。小選挙区で比較多数をとらなかった音あるいは小選挙区で立候補しない者であっても、各党が提出をした比例名簿によって議席を得ることができます。同じような制度をとっているドイツでは、コール首相も、前々回までは小選挙区では比較多数をとっておりませんけれども、比例名簿で当選となっている次第でございます。
 次に、超過議席の発生ということでございますが、超過議席は、小選挙区併用型の比例代表制という、民意が正確に反映する比例代表を基本にした、しかも候補者の顔が見えるという、すぐれて民主的な選挙制度の根幹を維持するために制度として認めているわけでございます。しかも、小選挙区を全体として二百としていること、また、我が国のこれまでの選挙実績、また実態等から見まして、超過議席はほとんど出ないのではないか、このように考えております。
 さらに、区割り変更の必要性が生ずるということでございますけれども、もちろん小選挙区を設け、しかも国民の選挙権の平等を確保するためには、この区割りはどうしても必要でございます。しかしながら、今回提出をいたしております法案で、画定審議会を設置をいたしまして、国勢調査に基づきまして適正に区割りの変更を行うことになっております。
 最後に、民社党の御提案になっております県別の非拘束名簿式比例代表制でございますが、私どもも検討をした案の一つでございまして、一つの見識として評価をいたしております。特に、比例代表制を基本としている点では一致しており、共通点もあるのではないか、このように考える次第でございます。
 ただ、現状の日本の政治土壌というものを考えますと、比例代表をとりながら都道府県を単位とした非拘束であることから、現行の中選挙区制の問題点の一つとなっております同じ政党内の争いという問題点が残るわけでございまして、イタリア等の例を見ましても、買収等が横行する等検討すべき点があるのではないかというふうに思います。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、社公案がペストである、このように考えて国会に提出しておりますので、これを十分に審議、検討していただきまして、ぜひとも民社党の皆様にも御賛同いただきたいと考えているわけでございます。十分接点はあるのではないか、このように思うわけでございますので、御検討をぜひともよろしくお願いいたします。
 以上でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#49
○副議長(村山喜一君) 日程第一、阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長野中広務君。
    ―――――――――――――
 阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野中広務君登壇〕
#50
○野中広務君 ただいま議題となりました阪神高速道路公団法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、京都市内及び京都−大阪間における自動車交通の円滑化を図り、都市の機能の維持及び増進に資するため、阪神高速道路公団が京都市の区域のうち大阪市及び神戸市の区域と自然的経済的社会的に密接な関係がある地域等において業務を行うことができることとするとともに、役員に関する規定の整備等所要の措置を講じようとするものであります。本案は、二月九日本委員会に付託され、四月七日中村建設大臣から提案理由の説明を聴取し、去る九日質疑を終了、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○副議長(村山喜一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#52
○副議長(村山喜一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 船舶安全法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#53
○副議長(村山喜一君) 日程第二、船舶安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長森田一君。
    ―――――――――――――
 船舶安全法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔森田一君登壇〕
#54
○森田一君 ただいま議題となりました船舶安全法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、近年における海洋性レクリエーションの普及、活発化に伴い、プレジャーボート等が増加するとともに、生産技術の発達により量産化が進行し、その結果、小型の船舶の形状が変化して、長さ十二メートル以上でかつ総トン数二十トン程度までの船舶につきましても構造、設備の比較的簡易なものが多く見られる状況にかんがみ、小型船舶検査機構に検査事務を行わせる船舶の範囲を、長さ十二メートル未満の船舶から総トン数二十トン未満の船舶に改めようとするものであります。
 本案は、去る二月十六日本委員会に付託され、同月二十三日越智運輸大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月七日に現地視察、同月九日質疑を行いました。その結果、同日質疑を終了し、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#55
○副議長(村山喜一君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#56
○副議長(村山喜一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#57
○魚住汎英君 十案の趣旨説明に対する残余の質疑は延期し、明十四日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#58
○副議長(村山喜一君) 魚住汎英君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#59
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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