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1993/04/14 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第20号
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1993/04/14 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第20号

#1
第126回国会 本会議 第20号
平成五年四月十四日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十四号
  平成五年四月十四日
    午後一時開議
 第一 貿易保険法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
    …………………………………
  一 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶
    山静六君外二十三名提出)、衆議院議員
    選挙区画定委員会設置法案(梶山静六君
    外二十三名提出)、政治資金規正法の一
    部を改正する法律案(梶山静六君外二十
    二名提出)及び政党助成法案(梶山静六
    君外二十三名提出)並びに公職選挙法の
    一部を改正する法律案(佐藤観樹君外二
    十四名提出)、衆議院議員小選挙区画定
    等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四
    名提出)、政治資金規正法の一部を改正
    する法律案(佐藤観樹君外二十四名提出
    )、政党交付金の交付に関する法律案(
    佐藤観樹君外二十四名提出)、政治倫理
    法案(佐藤観樹君外十八名提出)及び国
    会法の一部を改正する法律案(佐藤観樹
    君外十八名提出)の趣旨説明に対する質
    疑
                (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 貿易保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静六
  君外二十三名提出)、衆議院議員選挙区画定
  委員会設置法案(梶山静六君外二十三名提
  出)、政治資金規正法の一部を改正する法律
  案(梶山静六君外二十三名提出)及び政党助
  成法案(梶山静六君外二十三名提出)並びに
  公職選挙法の一部を改正する法律案(佐藤観
  樹君外二十四名提出)、衆議院議員小選挙区
  画定等審議会設置法案(佐藤観樹君外二十四
  名提出)、政治資金規正法の一部を改正する
  法律案(佐藤観樹君外二十四名提出)、政党
  交付金の交付に関する法律案(佐藤観樹君外
  二十四名提出)、政治倫理法案(佐藤観樹君
  外十八名提出)及び国会法の一部を改正する
  法律案(佐藤観樹君外十八名提出)の趣旨説
  明に対する質疑       (前会の続)
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます

     ――――◇―――――
 日程第一 貿易保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#3
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、貿易保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長井上普方君。
    ―――――――――――――
 貿易保険法の一部を改正する法律案及び同報告
  書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔井上普方君登壇〕
#4
○井上普方君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、本邦法人等による発展途上国等に対する事業資金の貸し付け及び出資等が減少している状況に対処するため、貿易保険制度の拡充整備を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、本邦法人等が行う外国法人等に対する長期資金の貸し付け等について、当該貸付金の回収不能に伴う損失等をてん補する海外事業資金貸付保険を新設すること、
 第二に、海外投資保険について、てん補率の上限を引き上げること等であります。
 本案は、去る二月十五日当委員会に付託され、四月七日森通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以来、慎重に審査を重ね、昨十三日質疑を終了し、討論の後、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案(梶山静
  六君外二十三名提出)、衆議院議員選挙区画
  定委員会設置法案(梶山静六君外二十三名
  提出)、政治資金規正法の一部を改正する法
  律案(梶山静六君外二十一二名提出)及び政党
  助成法案(梶山静六君外二十三名提出)並び
  に公職選挙法の一部を改正する法律案(佐
  藤観樹君外二十四名提出)、衆議院議員小選
  挙区画定等審議会設置法案(佐藤観樹君外
  二十四名提出)、政治資金規正法の一部を
  改正する法律案(佐藤観樹君外二十四名提
  出)、政党交付金の交付に関する法律案(佐
  藤観樹君外二十四名提出)、政治倫理法案
  (佐藤観樹君外十八名提出)及び国会法の一
  部を改正する法律案(佐藤観樹君外十八名
  提出)の趣旨説明に対する質疑(前会の続)
#7
○議長(櫻内義雄君) 梶山静六君外二十三名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員選挙区画定委員会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党助成法案並びに佐藤観樹君外二十四名提出、公職選挙法の一部を改正する法律案、衆議院議員小選挙区画定等審議会設置法案、政治資金規正法の一部を改正する法律案及び政党交付金の交付に関する法律案並びに佐藤観樹君外十八名提出、政治倫理法案及び国会法の一部を改正する法律案の趣旨の説明に対する質疑を継続いたします。加藤紘一君。
    〔加藤紘一君登壇〕
#8
○加藤紘一君 私は、自由民主党を代表して、昨日の小渕恵三議員に続き、日本社会党・護憲民主連合及び公明党・国民会議から上程された政治改革関連法案に関する質問を行います。
 選挙制度については小渕議員が質問いたしましたので、私は、主として政治資金についてお伺いしたいと思いますが、それに先立って、昨日行われました本会議における野党の質疑と答弁に関して若干の質問を補足させていただきます。
 昨日の討論は、さすがに我が党及び社会党、公明党がエースを繰り出しただけあって、聞きごたえのあるものでございました。同じ問題に関して議員提案された法案をめぐり、交互に質疑、答弁を行うというこの方式は、問題の所在を明らかにする上で極めて効果的でありました。さらに、テレビ放送と相まって、国民の政治に対する関心を著しく高めるに違いありません。
 率直な感想を申し上げれば、我が党の塩川さん以下の弁論は、論旨明快、つばを押さえた見事なできばえでした。(拍手)これに対して、社会党、公明党の提案者の弁論は、それぞれ個性的な魅力はありましたけれども、よく聞くと、あいまいで矛盾した点が多く、これではまだ政権をお任せできないと感じました。野球に例えれば、攻めはまずまずでも、守りはいまいちだなと感じました。とはいえ、この国会は、国民が税金を支払って鑑賞するに足るゲームを展開する場となりつつあります。今後、特別委員会で一層活発な審議が行われることを期待してやみません。
 さて、昨日、社会党、公明党の連立政権に関する弁論を聞かせていただきましたが、私には大きな疑問が残りました。それは、野党があくまで自民党の補完政党になることを考えているのか、それとも、野党諸党が連立して自民党と政権交代を行うことを考えているかということでございます。この点があいまいでございました。一体、野党は今回の政治改革法案で、どの程度政治のダイナミズムを期待しておられるのか、ぜひともこの点をお伺いしたいと存じます。(拍手)
 社会党、公明党の提案者は、連立政権を組む場合には、勇断を持って政策の提携を求めるとの決意を表明されました。しかし、それは言うはやすく行うは極めて難しいと思います。最大の障害は、野党第一党の社会党が、過去の遺物となった社会主義理念にいまだに固執しているという事実だと思います。(拍手)
 争点の少ない政策については、どの党も他党と妥協し得るものであります。しかし、連立政権を組むには、対外政策、自衛隊、原発、PKOなど、重要な国家の基本政策についてすべて一致していなければなりません。そのためには、党の理念において相通じていることが必要であります。
 振り返ってみますと、左右両社会党は、昭和三十年、社会主義平和革命を旗印として統一いたしました。その後の社会党は、かなり複雑な道を歩んできましたが、いずれにせよ、社会党は社会主義を捨てることはなかったのであります。
 しかし、冷戦の終えんとソ連邦の崩壊は、イデオロギーとしての社会主義に終止符を打ちました。私は、内外情勢の激変の中で、社会党が党理念の修正に苦慮してこられていることをよく存じております。しかし、昭和六十一年採択の「新宣言」では、「人間解放を目標とする社会主義は、人類普遍の原理」と述べ、その後、これを否定してはおりません。しかも、冷戦後の今、社会主義が人権を踏みにじり、自由民主主義が人権を守ってきたことは、だれの目にも明らかであります。(拍手)にもかかわらず、社会党が社会主義に固執するのは、党内にまだ社会主義を信奉する隠然たる勢力が存在しているためだと思えてなりません。
 社会党は、党理念としての社会主義を明確に否定されたのでしょうか。もしそうなら、いつどこでどのように総括されたのでしょうか、お知らせいただきたいと思います。質問いたします。また、公明党はこの問題についてどう考えておられるのか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
 では次に、政治資金に関する問題の質問に入ります。
 「政治と金」は、今日、国民の最大の関心事であります。国会の外においても、さまざまな議論が行われております。しかし、建前でなく本音の議論こそ真の解決への出発点です。何よりも、当事者自身が率直にこの問題に関する実態を明らかにしなければなりません。
 第一に、現在の金にまつわる政治腐敗をどう考えるかという問題であります。
 我が党は、自由民主主義と市場経済の大義という旗のもとに、志を同じくする人々や団体から、政治活動や選挙に必要な資金の提供を受けてまいりました。その過程で、我が党は何度か重大な行き過ぎゃ過ちを犯してまいりましたが、ほかに政権担当能力を有する政党がないことから、国民は、その都度結局我が党を許し、支持を続けてこられたのであります。このような状況の中で生まれた甘えとおごりこそ、最近の金丸前副総裁にかかわる弁明の余地のない事件の根本原因であります。今我々は、国民各位に対して申しわけない気持ちでいっぱいであります。
 我々は、公私の混交を含むこうした政治腐敗の重要な原因の一つが、選挙や政治活動が個人中心に傾き過ぎていたことにあると考え、政治資金の問題についても、政治家個人が政治資金を扱うことを禁じました。法案の成立に先立って、これを我が党に適用するため、一昨日、党内に公私の峻別委員会を設置して、具体的な検討に入ったところであります。法案では、また、政治家同士が資金調達団体間を通じて資金のやりとりをすることも禁止しました。私は、これによって、かねてから我が党の弊風とされてきた金による派閥支配、例えば派閥の領袖のもち代配りなどが一切できなくなり、党運営の民主化が画期的に推進されるようになるものと確信いたします。
 他方、野党においても、大義を口実に、正当と言えない献金を受け入れるという誘惑に負けたことがあったように思われます。最近のロシアにおける秘密文書の公開や、旧ソ連の要人たちの談話などから、社会党が当時の友党だった旧ソ連共産党から献金を受けたという話が取りざたされるようになりました。もしそれが事実ならば、それは悪質な政治腐敗であり、国民に対する重大な裏切り行為であります。政治資金規正法が外国人及び外国法人から政治献金を受け取ることを全面的に禁じているのは、それが日本の独立や主権を脅かすからにほかなりません。(拍手)
 旧ソ連にまつわるスキャンダルは、共産党の野坂元議長の例もあります。疑惑が生じている以上、社会党は徹底的に調査した上、みずから事実関係を明らかにすべきであります。たとえ献金が日本国籍の団体や企業を経由した合法の装いをしていようとも、それが外国の意図に基づくものであった場合には、政治的にも道義的にも決して許されるものではありません。この点に対する社会党の見解をお聞きしたいと思います。(拍手)
 第二は、金の入り、つまり政治資金の寄附に関する問題であります。
 社会党、公明党は、企業献金こそ政治腐敗の元凶であるとの主張に立って、このたびの法案に企業や団体からの献金の禁止を盛り込みました。それは、政治献金は個人からのものに限るということでありましょう。しかし、我が国では、個人による政治献金の前に厚い壁が立ちはだかっているのが現実です。個人献金だけで資金を賄おうという理想に燃えた政治集団が、目標のごく一部しか達することができず、この壁の前で立ち往生じています。せっかく所得控除の制度がありながら、個人献金をして、その申請をした人の数は、平成三年に有権者九千万人中一万六千人、つまり、一万人につき二人もいませんでした。
 その原因は、子供のころから献金をするならわしのない我が国の風土にあるのかもしれません。累進率の高い我が国の所得税制によって、献金する余裕のある人が少ないからかもしれません。さらに、政党や政治家は自分たちより金持ちだという国民の通念のせいかもしれません。恐らくいずれも真実でしょう。私は、国民各界各層の大勢の人々からの個人献金が政治活動を支えるようになることを望ましいと考えますが、個人献金システムを育成するためには、まだまだ時間と努力とそして工夫が必要だと考え、政治改革特別委員会の場でじっくりと話し合っていくべきだと思います。野党の諸兄の意見をお伺いしたいと思います。
 本来、政治活動や選挙の自由は政治に活力を生むエンジンであり、政治資金はそのエンジンを動かすエネルギーであります。エネルギーの供給を余りに規制して、政治家の意欲を萎縮させ、手足を動かなくしてしまえば、角を矯めて牛を殺すたぐいの結果になりかねません。
 我が党は、企業も一つの社会的存在であって、政治活動の自由を持つものと考えています。企業や団体がその支持する政党や政治家に献金したいと思うのは自然の流れと言えましょう。先進諸国のほとんどにおいてこの種の寄附が認められておりますが、それは、企業からの節度ある寄附が政治活動を支える望ましい方法の一つだという考えによるものだと思います。
 アメリカは、確かに連邦段階では企業献金を禁止していますが、PAC、ポリティカル・アクション・コミッティーと呼ばれる組織を生みました。これは個人献金の受け皿ですが、実態としては、企業がその幹部の給料をかさ上げしてPACに供出させ、その分を政党や政治家に寄附しているため、企業献金の抜け穴となっていると聞きます。我が国の場合にも、もし企業献金の全面禁止によってこのPACのようなものができてしまえば、政治資金の透明度は、その意図とは逆に低下することでしょう。今最も重要なのが政治資金の透明度の確保であることを考えれば、政治改革の本旨と相反すること甚だしいと言わなければなりません。これらの理由から、我が党は、企業・団体献金の全面禁止には賛成しかねます。野党諸兄の見解をお聞かせください。
 第三は、いわゆる金の出、すなわち支出の問題であります。
 金のかかるものの一つとして、後援会などが催す三千人集会、五千人集会などの大集会があります。私は、政治家と有権者が触れ合うことができるこのような集まりは、一種の祭りであり、頭から否定してはならないと思います。しかし、問題は、これに対する金のかけ方です。例えば、人集めのポスター張りにかかる経費が一枚当たり二百円とすると、一万枚張れば二百万円になります。会場費が最低数十万円、音響設備のいいところを借りればぐっとはね上がります。バス代が一台十万円とすると、六十人乗りとして三千人動員すれば五百万円です。そして、昼食のお弁当代が、一人当たり八百円ならば、三千人分で二百四十万であります。そのほか、人件費、印刷代などがあり、一回の集会で優に一千万を超えてしまいます。参加費は徴収しても、往々にしてそれで賄えるのは一部にしかすぎません。残りの費用はずっしりと主催者の肩にかかってきます。このほか、自分の名前を有権者に知ってもらうために広い地域にポスターを張りめぐらせれば、それだけで一千万円以上かかるなど、金は本当に湯水のように出ていきます。これでは、どんな金にでも飛びつきたくなる病的心理状態に落ち込むのは当然であります。
 我が党及び社会党、公明党の両政治改革法案のいずれにも、政党に対する公的資金の助成案が盛り込まれていますが、その資金の源は国民の貴重な税金であって、このような病気の治療費ではないはずです。我々は、単純小選挙区制の実現がこの病状を軽くするものと考えておりますが、それを完全に直すには、政治家の健康回復への強い意志が必要であることは申すまでもありません。
 対策はただ一つ、それは、政治家の理念や見識、政党の政策や活動に賛成して手弁当で活動するボランティアの組織化だと私は思います。先進諸国のほとんどにおいては、このようなボランティア組織が政治活動や選挙の母体であり、民主主義を国民の側から担保する力となっています。我が国が他国に対して真に民主主義を誇れるのは、このボランティア組織が草の根レベルで生き生きと活躍するようになってからのことのような気がしてなりません。
 社会党など組織政党の場合は、政治活動や選挙に労働組合という形のボランティア組織が働いているように見えますが、事実は、動員されている労働組合員に対して、組合から何らかの形の手当が支給されているケースがあると聞きます。労働組合の経理が公開されない限り、我々はそうした事実の有無を確認することができません。社会党には関係労働組合経理の一般公開を促進する意思があるかどうか、お伺いしたいと存じます。
 私は、恥を忍んで、金のかかる具体例について申し上げました。野党の諸君とこのような支出の現実について話し合いたいと存じますが、いかがでしょうか。
 私が国会に籍を置くようになってから二十年余がたちました。この間、まだ子供が小さいころには、毎年、学校から家庭調書というものが回ってきましたが、私は、その中の「父親の職業」という欄に何と書くのかいつも戸惑いを覚えつつ、「衆議院議員」と書いてきたことを思い出します。今から考えれば、本当は、議員とは職業ではなくて身分ですから、その欄には「政治家」と書くべきところでありました。にもかかわらず、「衆議院議員」と書いたのは、議員という身分にいささかの誇りがあったせいかもしれません。しかし、最近のように毎日マスコミから茶化され、国民から疎まれている現在の国会議員は、自分の仕事に対する誇りはおろか、自分が何であるかのアイデンティティーすら次第に失いつつあるように感じられます。国会議員の使命は、行政では吸収できない人々の声を敏感にキャッチしてそれを政治に反映すること、国民各界各層間の利害調整をスムーズに行うこと、そして、その上に立って国の基本的な指針を決定することにあります。国民の信を得てこの重大な任務を遂行するには、政治家自身がみずからを変革し、誇りを持てる人間に生まれ変わることが何より必要だと思います。
 政党もまた、似たような状態にあります。東西対立を背景とした保守対革新の時代は終わりつつあります。我々は、首相官邸に赤旗を立てさせるなというようなかってのスローガンを過去のものにしたいと思っています。野党にも脱ぎ捨てるべき古い衣があるのではないでしょうか。政党にも、みずからが何であり、いかにあるべきかを闘い直すべきときが来ておると思います。
 今日我々が進めようとしている政治改革は、単に法律や制度の改革だけではありません。政治家と政党の改革をも含めた新しい時代への全面的な改革です。また、我が国の風土への問いかけでもあるかもしれません。そのような時代に国会に籍を置いていることを考えるとき、私は、言い知れぬおそれと一種の震えのようなものが体の中を走るのを感じるのであります。
 ぜひとも、野党の皆さんからも本音の話を、生の言葉でお聞かせいただきたい。最後に、政治改革にかける野党各党の決意のほどをお尋ねして、私の質問といたします。(拍手)
    〔佐藤観樹君登壇〕
#9
○佐藤観樹君 ただいま加藤議員の最初の御質問は、社会党は社会主義を捨てていないのではないか、こういう質問でございました。
 総理になる機会もあるのではないか、あるいは前官房長官の、あるいは今与党の幹事長代理をしていらっしゃる加藤さんの御質問とは、私は正直言って思えないのであります。
 加藤さんが学生運動をやっていらしたころの社会主義とい三言葉、この言葉の中には、多分に日本のマスコミというのは、社会主義という言葉と共産主義という言葉を大変混同して使っておるわけでございます。
 我が党の基本理念は、御指摘がございましたように、昭和六十一年の党規約の前文にも明示してありますように、「社会主義の最も民主的な姿である社会民主主義を選択する。」ということを新宣言で言っておるわけでございます。この社会民主主義の理念というのは、皆さん御承知のように、自由、公正、連帯、これを基本理念としておるのでございまして、ヨーロッパの各国ではこの社会民主主義の理念にのっとって政権を幾らでもとっておるのであります。(拍手)まさか自民党の皆さん方がそのことを知らないわけはないと私は思うのでございます。もし、皆さん方が社会主義という言葉を、ソ連型の一党独裁とか、市場原理を使わないとか、そういうことで御理解をいただいているとしたら、これは全くの間違いでございまして、一九八六年の新宣言ではっきりとこれは完全に決別をつけている、このことをよく御理解をいただきたいと思うわけでございます。(拍手)
 次に、加藤議員から、ソ連から政治資金が出ていたのではないかという御質問がございましたけれども、言うまでもなく、自国の政治活動に外国の政治資金を使用することは、あってはならないことであることは当然言うまでもありません。
 議員御指摘のように、私たち社会党は先月ちゃんとソ連の方に調査団を派遣をいたしまして、結論を一言で言えば、全く御心配をいただくような、ソ連から政治資金が渡っているという事実はない、このことを、この場をかりましてはっきりさせていただきたいと思います。(拍手)元ソ連共産党の国際部日本課長でありますセナトロフ氏、それから元ソ連共産党国際部の副部長でありますコワレンコ氏、こういった関係者と我々調査団はじかに会って、ちゃんとこのことを聞いてきておるわけでございます。
 それどころか、なぜこの問題を今ごろ出してくるのか。佐川なり金丸の大脱税のもみ消しとして自民党はこういった問題、古証文を持ってきたとしか私たちは思えないのであります。(拍手、発言する者あり)おいおい今翻訳をしておりますから、さらに発表させていただきますけれども、今自民党の皆さん方はやじっておられるけれども、加藤議員の所属しております派閥の前議員、この名前もはっきり文書には出てきておるわけであります。それを皆さん方の資料は全部消しておるわけでございます。このことをはっきり申し上げさせていただきたいと存じます。(拍手)
 加藤議員の方から、個人献金というのは日本の社会になじまないのではないか、こういう御指摘がございました。確かに個人献金というのは、まだ政治活動に十分というほどなかなか機能していないことは、私たちも十分存じております。
 したがって、おのおの政党として、党費なり事業収入なりあるいは個人の寄附なり、こういったものをもっともっとやはり集めるということもしていかなければなりませんが、あわせまして、加藤議員御指摘のような日本の風土でございますから、足らざる点は、政治スキャンダルを呼ぶような企業・団体献金ではなくて、公的な助成、いわば国民の皆さん方の御理解をいただいて、民主主義のコストとしてひとつこれはぜひやっていく必要があるのではないかというふうに思っているわけでございます。(拍手)
 加藤議員から、そう法律で縛るだけ縛ったってお金は下に行くだけではないか、こういう趣旨の御質問がございましたけれども、一体、今の金権政治、腐敗政治というものを皆さん方はどれだけ理解をしているのでしょうか。(拍手)こういうことでは本当に、私たちは、国民が要望しております政治改革というのはできないと思うのであります。
 法律を守れない人は、公民権の停となりあるいは立候補制限なりという腐敗防止のちゃんとした法律がセットをされておって、したがって、私たちは、こういった立候補制限あるいは公民権停止ということを通じて一定の限られた資金の中で政治活動をする、このことが守れない人は政界を出ていっていただく、こういう法律になっておるのであります。これは、自民党の案でも公民権停止がついておるわけでございます。(拍手)
 盛んに、企業、団体は社会的存在だと言います。私たちも、社会的存在ということを決して否定はしておりません。しかし、それによって、企業献金がなされたことによって今腐敗の温床はこのようになっておるのじゃないでしょうか。しかも、自民党案によれば、加藤議員御指摘になりましたように大変な、三千人集会とか五千人集会で一千万円以上かかるという具体的な例を加藤議員からお話がございましたが、皆さん方の法案では、政党を通して、今の企業、団体から、政党を通せば今までの倍以上集まるということをやれるようにしておるわけでございまして、逆に、御質問があったように、一千万円以上かかる三千人集会とか五千人集会というのを、どんどん自民党さんの方が党を通したお金でやろうとしているんじゃないでしょうか。これで一体政治改革というのができるのか。結局金の力によって政権を維持しよう、こういう発想に立っている、こう私は言わざるを得ないのでございます。(拍手)
 御指摘をいただきました労働組合の関係の問題でございますけれども、我が党が選挙を行う場合には、労働組合が大会あるいは執行委員会を通じまして、民主的な手続で御推薦なりあるいは御支持をいただいておることは事実でございます。私たちは、非常にこれは感謝をしておるところでございます。
 御指摘のように、どういう手当が出ているのか、具体的なことは私たちわかりません、労働組合の中でやっていただいていることでございますから。したがいまして、我が党がそれに対してお金を払う、こういうようなことはないわけでございます。皆さん御承知のように、労働組合法の第五条によりまして、労働組合の会計というものは全部公開されているわけでありますから、そのことを申し上げておきたいと存じます。
 最後に、政治改革に対する我が党の決意について御質問がございました。
 昨日、御答弁申し上げましたけれども、この政治改革、まさに国民の皆さん方はもう何とかしてもらいたいという、まさに大変な議会制民主主義の危機感の中でお互いにこれは議論をしておる状況でございます。したがいまして、一日も早く、一日も早く十分討議を重ね、そして二十一世紀の日本の政治、いや、あすの日本の政治をお互いによみがえらせるために、何としてでもこれは一括提案をし、一括成立をさせ、そして一日も早く日本の政治をよみがえらせるために、お互いに議員諸公の十分なる討議と、そして成案を得ることを私たちの決意として申し述べさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
    〔渡部一郎君登壇〕
#10
○渡部一郎君 加藤紘一議員の御質問に対してお答えしたいと存じます。
 先生から質疑の御要旨はいただいておるのでございますが、質疑の御要旨とただいまお話しになっていることと相当ずれがございますので、なるべく漏れのないようにはいたしますが、また漏れている点がございましたら御指摘をいただきたいと存じております。
 お答えの前に、昨日の質疑の中におきまして、私、答弁につきまして補強しておいた方がいいと思う点がございます。時間が、きのうはテレビの中継が入っておりましたので、割愛させていただきました。
 社公案によりますならば、直接政権が選べないという御質問が何回も繰り返されておったわけでございます。余り単純な御意見でございますか
ら、これはもう、そんなことを申しますならば、総理大臣も直接では選ばれてないわけでございますし、直接選はないものが全部悪いとはなり得ないからでございます。ただ、比例制の場合にはどういうことが特徴になるかと申しますと、明らかに選挙におきましては、政権の大多数の場合は比較第一党を選ぶことにならざるを得ないと存じます。
 今までの選挙戦のデータから類推いたしますのは大変失礼でございますが、この強大な自民党においてすらも比較第一党でやっとだろうと思われます。そうしますと、国民の選ぶのは、その党に入ったといたしましても、政権の軸を選んだということになると存じます。その軸として選ばれた党がどの党と政権協議をするかは、その比較第一党の力量によるのが第一だろうと私は思うわけでございます。したがって、国民は政権の軸をここにする、あそこにするという選択を選挙のときにおやりになることになると存じまして、その意味では国民の意思が極めて明快にあらわれてくるものと思います。
 また、第二に、今度は連立を組んだ場合にどこが主体がわからなくてもめるじゃないかというので、某国の例を挙げて議論を自民党の方がなさいました。尊敬すべき同僚議員にまことに恐縮な言い方ではございますが、各国の例を挙げられる場合に、罵倒の言辞にかかわるような例をお述べになる場合には、お気をつけて発言をしていただきますようお願いします。といいますのは、その国おのおの事情がございまして、そして、しょっちゅうそういうのか、たまたましくじったケースがあったのかというのでは用例が違うからでございます。
 おおむねは、現在ECにおける連立のやり方というのを見ておりますと、連立のためにはあらかじめ協議をするのが普通でございます。というのは、国民から見て、選挙が終わって突発的にどこかとどこかが組むなどというのは耐え得ない、選挙民としてはどこの見とどこの党が組む可能性があるかということについては情報を得たいという要望にこたえるために、主要な党では、党の間で政権協議についてコンタクトをして打ち合わせをするわけであります。そして、その打ち合わせをした結果、何とかグループ、かんとかグループ、場合によっては右翼グループとか左翼グループとか、あるいは国民グループとか、いろいろな名前がついているわけではございますが、そのグループによっての打ち合わせを国民に公開した上で選挙をするというふうになるわけでございますから、御心配いただいているように、初めから政権協議をしたくないというかたくなな政党が存在しない限り、特に比較第一党になりそうな党がそういうことを事前に拒否するということがない限りは、そう混乱したことはあり得ないと私たちは考えておるわけでございます。(拍手)
 さて、加藤先生の御質問にお答えしたいと存ずるわけでございます。
 今回、政治改革関連法案の一括成立を期するつもりかというお尋ねであります。公明党・国民会議を代表して申し上げますが、心からそうしたいと思っております。委員長あるいは書記長のたび重なる説明あるいは会見等において、その決意は申し述べておりますとおりでございます。
 と申しますのは、この改革にかける国民の大きな、もう期待なんという言葉ではない、ニヒルな、そして不愉快感を込めた国民の批判というものを、私たちは身にしみて感じているからであります。与党が悪いとか野党が悪いとかというような段階のレベルの話ではないのでありまして、深刻にこれを何とかしたいと思っているのであります。
 しかし、ことで申し上げなければならないのは、その一括という言葉を言われる方の中に、時に変な表現があるわけであります。それは、妥協を拒否して一括成立だぞと言ってこられる方があるわけでございます。それは違うのであります。
 一括成立というためには、おのずから両案の妥協点を模索する血のにじむような決意が胸の中になければならない。単純小選挙区制という、もうそれこそはしにも棒にもかからないようなものを、断固ここだけは譲らぬなどと言ったら、話し合いができるでしょうか。これは私は違うと思う。そして、私の尊敬する自民党の議員の方々の中にそんな石頭的な発言をされることが多くないことを私は肌身で知っている。だからこそ私は申し上げるのであります。(拍手)
 どうか自民党の議員の諸君、ここのところだけは突破していただかなければならない。一括成立の前提として単純小選挙区制でなければならず、それだけは一点も許さぬなどという、そういう挑発的なことだけはどうかやめていただきますよう、心からお願いし、嘆願するものであります。まずは議論しようではありませんか。(拍手)
 それから第二番目でありますが、次に、社会党の基本理念は社会主義であるが、社会党以外の野党はそこと連立、連合政権を組む用意はあるのかというお尋ねでございます。この辺は社会党を攻撃するためにおっしゃっているのかもしれませんから、自民党と社会党としっかり二党間討論をやっていただきますよう、お願いしたいと存じます。
 ただ、私どもとしては、歴史的な経緯がございまして、これまでも社会党と何回か政権協議で公然と議論をいたしまして、二回やったことがございます。ところがその協議は、最終的には細目に至るまではまとまらなかったのが実情でございます。それは残念ながら、今次の法案のような選挙制度ができていなかった時代のときでございまして、きのうも申し上げましたように、今度我々の原案が通りますならば、社会党との間でも、もちろん自民党との間でも、政権協議につきまして十分お話をする用意があり、そしてそれは何でもお話をしたいと存じます。もちろん自民党と社会党との間でも協議が行われ、先ほどのような党名に関する議論が行われるような低レベルの段階でないお話し合いができるものと私は信じているわけでございます。
 そして、私どもに、申し上げるわけでございますが、今度法案を一緒に出しているからといって、そんなにやきもちをやかないようにお願いしたいのであります。自民党の方は、公明党がどこへ行くと思われているのか。きのう私が壇上に立った途端のやじは、最初、社会党と手を組んでどこへ行くというやじでございました。だけれども、PKO法案のときは、我々は自民党と組んでやりましたが、それで政権をつくったなどと言われる筋はございません。法案ごとに態度が、いろんな組み合わせがあることは当然であります。
 その法案、今の法案で何をしようとしているか、政治の土俵をつくろうとしている。政治の基盤になる土俵をつくろうとしているのであって、その土俵づくりをいいかげんにしておいて、政策連合を、政策の話をいきなりしようとしてもめちゃくちゃになってしまう。政治の信用を取り返すためにいかにあらねばならぬかということを今切に申し上げているわけでございまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 また、社会党の皆様方には、今のが愛想尽かしと聞こえたならば、これはもうひどい誤解でございまして、今後ともこの法案成立のために徹底的なスクラムを組んで闘うことをお約束しておきたいと存じます。
 さて、その次に、先生は大変御丁寧に、公明党は、今回の野党は、今度の政治改革法案でどの程度のダイナミズムを期待しているか伺いたいと仰せになりました。
 政治のダイナミズムは、まさにこの議場における論議においても明らかなように、大変なレベルのものになると存じます。党内で議論をしておれば済むという時代ではなくなると存じます。そして、政治への信頼性がこうした形で取り戻されるならば、国民の議会制民主主義の再建設ができる
ものと喜んでいる次第でございまして、まことに難しい道でございますが、頑張りたいと存じます。
 言うはやすく行うほかたしと仰せになりました。確かに、言うはやすく行うほかたしかもしれない。しかし、五十年失敗したことが肝心かなめなことで、そう簡単ではないと私も思います。しかし、困難だからといって話し合いを避けていて、どうして前進ができるでありましょうか。困難だからこそやる、困難だからこそ一歩前進をする、それこそ未来の日本人に対する私たちの世代の回答でなければならぬと思うわけでございます。
 また次に、先生は、現在の金に係る問題につきまして大変率直なお話をしてくださいました。重大な行き過ぎが何回もあった、そして、ほかに政権担当能力を有する政党がないから、その都度結局我が党を許したと述べられました。本当に許したのかどうかは問題だと私は存じます。
 ただ、公私の峻別委員会を設置して具体的な検討に入ったとお述べになりました。今ごろになって公私の峻別委員会をつくられたことは、私は重大な欠陥だと存じます。しかし、その立ち向かう勇気に対しては敬意を表したいと存じます。つまり、この法案の、自民党案の中には、公私の峻別がいいかげんであります。これでは、この法案が通ったとしても、決して国民の理解は得られないだろうと私は存じます。
 また、先生は、本当に直接的に、いろいろ苦心をせられまして、自分の一つの後援会の例を、五千人集会の例を挙げられまして、率直なお話をなさいました。私は、この率直なお話に率直にお答えしたいと存じます。
 犬集会をやるにはお金がかかります。もう何と言おうともかかります。それを放置しておけばどんなことになるか。ボランティアの青年たちに大きな負担がかかるか、あるいはどこかからお金を持ってきてそれを片づけるか、あるいは踏み倒すか、その三つしかないでしょう。それを無視して議論するわけにいかない。まさにおっしゃるとおりだと私は存じます。だからこそ私たちは逆にどうしているのか、私たちは率直に言いたいのです。
 これにお金をかけるのは間違いなんだ。まず金をかけるのだけはやめましょうや。そして、昼飯の弁当代を出す、昼飯の弁当代が一人当たり八百円ならば三千人で二百四十万ですとおっしゃった。これは具体例でおっしゃっていただいたから話がしいいのです。八百円の弁当を配るのは、これは買収であります。最高裁の判決によれば、きんぴらごぼう事件というのがございまして、きんぴらごぼうを一つまみずつ村の人に上げて有罪にされた例があるではありませんか。やっていけないことをやっちゃいかぬ。弁当代などを出すのはやめる、それぐらいの規制は当然決意すべきなのが本当だと思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
 パス代もいけません。バス代もいけません。バス代を選挙時に使うことは買収罪であるという判決が既にあるではありませんか。バスを出してけいけません。そんなことぐらいは、法律を順守する我が国会議員としては当然の良識でなければからない。
 そうすると、残るのは会場費だけなんです。全場費だけなら数十万円とここに書いてある。数十万円なら出せるじゃありませんか。どうして出せないことがあろうか。
 私は、その意味では、議員は今や清貧に甘んじる決意が必要なのであって、そしてその清貧とは、運動における清貧がなければならない。きのう申し上げましたように、お金がかかるのではかく、かけ過ぎるのが問題なのであります。国会議員の演説会、ああぼろい会だな、国会議員の会だな、ああ弁当が出ないな、これが常識化されるように、我々は論議の間ではありますが、やろうではありませんか。(拍手)
 先生はこうもおっしゃいました。政党に関する公的な助成案がこの社公案には盛り込まれているが、その資金の源は国民の貴重な税金であって、こうした大集会の料金に対して払うというような、病気の治療費ではないという話であります。僕は、金丸副総理がおっしゃった言葉をまだ覚えています。政治資金に関して、恐縮だけれども、こういう政党助成などというのが安易に行われるならば、泥棒に追い銭と言われることだってあり得るとあの方はおっしゃったのです。私はすばらしい意見だと思います。
 私たちは、選挙運動について、自分たちの政治活動について、清貧に甘んじる態度をもってこれに応じなければならない。そしてそれと同時に、この論議の間にお互いの合意を詰める決意がなければならぬと存じます。その意味で、私どもは大きくみずからを戒めるとともに、合意に向けてさらなる努力をしていきたいと存じまして、尊敬すべき自民党議員の御質問にお答えさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#11
○議長(櫻内義雄君) 堀込征雄君。
    〔堀込征雄君登壇〕
#12
○堀込征雄君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、自由民主党梶山静六氏外二十三名提案の政治改革関連四法案について質問いたします。
 さて、言うまでもありませんが、相次ぐ政治腐敗事件は、国民の政治に対する怒り、不信となってあらわれ、まさに日本の政治は危機的な状況にあります。今や政治改革の実現は、私ども国会に籍を置く者にとって国民への責務であり、是が非でも実現しなければならない命題であります。
 今日、私どもは、戦後半世紀にわたって積み上げてきた体制を全面的に見直し、新しい時代を展望し、切り開かねばならないときにあり、私どもは今度の政治改革を通じて、腐敗と汚職の構造を断ち切るとともに、内外の課題に的確に対応できる理念と理想に燃え、リーダーシップのある政治を実現しなければなりません。
 しかも、政治腐敗の根深さは、金丸事件で明らかになったように、公共事業を請け負う業界、業者がその請負額の一定額を政治献金として、あるいは裏金として納めるという、あきれるばかりの実態が明らかになったのであります。私どもは、こうした政官財癒着の構造を根底から変えなければなりません。地方分権を推進するとともに、国会を国民の目に見える開かれたものにする国会改革など、課題は山積しています。このたびの政治改革法案は、そうした戦後の政治、経済、社会全体の改革の第一歩であることを確認し、どうしても実現しなければならないことを、まずともに肝に銘じたいと思うのであります。
 さて、自民党の法案について幾つか伺います。
 まず、政治改革に対する姿勢と熱意についてであります。
 政治改革をどうしても実現しなければならない課題としてこの法案を提出されたことと思います。しかし、そのためには、今日の腐敗政治を招いたみずからの深い反省と、改革のための自己犠牲の精神と、党利党略、私利私欲を超える高い政治理念が必要であります。とりわけ、政権与党として長年にわたって政権を担当してきた自由民主党こそが、謙虚な立場に立って、国民や野党の声に耳を傾け、譲歩し、少数党に配慮する姿勢がなければ、政治改革は実現しようはずもありません。
 しかるに、自由民主党が今回提出された法案は、四法案一括処理を前提とし、単純小選挙区制を柱としております。みずからの議席が大幅にふえ、少数党は大幅に議席が減る制度を持ち込むなどということは、当初から政治改革を実現する熱意と決意を持ち合わせていないと断ぜざるを得ませんが、いかが考えますか。(拍手)
 しかも、政府提案ではありますが、海部内閣のときに小選挙区並立制を提案したのは一昨年八月のことではありませんか。わずか一年余りの間に単純小選挙区制に変えた真意はいかなる事情によるものか、伺いたいのであります。
 今日の日本の政治に対する国民からの不信を思うとき、議員自身が身を切る覚悟、身を切っても改革を実現する決意がなければなりません。にもかかわらず、五百の小選挙区をつくって、自分が長年培ってきた地盤にしがみつき、自己の議席、自己の利益だけを守ろうとする単純小選挙区制を語ることは、改革とは無縁の自己保身、自己利益のためのものと言わざるを得ないのであります。政権党として、多数党として、真に日本の政治の歴史的改革の実現を望むならば、あるいはまた真剣にこの時期を失してはならないと思うならば、まず党利党略、私利私欲を捨て去ることであります。すべての野党が反対し、成立するはずもない単純小選挙区制を取り下げることであります。
 そこで、伺います。四法案一括ということですから、単純小選挙区制が通らなければ、せっかくの政治政章が、そしてまた時代の改革が流産するということになります。この四法案は、単純小選挙区制が通らない限り、廃案にする決意なのかどうか。たとえそのとおり廃案になっても構わないと考えているのかどうか。もしそうだとすれば、提案者の政治改革は見せかけのものであり、国民を欺く以外の何物でもないと思いますが、いかが考えますか。
 次に、小選挙区制の制度そのものについて伺います。
 顔が見える、政権の安定が図れる、政権交代が起きやすいと主張されました。しかし、実際に政権交代が起きやすいかどうか、詳細に検討されなければなりません。きのうの答弁で、参議院の一人区の例をとって、小選挙区制は政権交代が起きやすいと主張されました。しかし、参議院の一人区での結果は、昭和五十八年、第十三回選挙、自民党が二十四名、野党二名の当選であります。昭和六十一年、第十四回選挙、自民二十三名、野党三名、平成四年、第十六回選挙、自民二十四名、野党二名という結果であります。たった一度、平成元年の第十五回通常選挙だけ自民三、野党二十三と逆転しているだけであります。
 つまり、一人区での選挙結果は政権交代が起こりにくい。圧倒的に政権与党に有利である。仮に政権交代が起きるとしたら、八九年選挙などのように、消費税導入など政権党の失政があった場合のみ極めて劇的に起こるということを示しているにすぎません。むしろ、小選挙区制は圧倒的に政権与党に有利であり、政権交代は起こりにくい制度であることを示しています。しかも、八九年の選挙結果だけを見れば、併用制でも比例代表制でも政権交代が起きていたのであります。小選挙区制だから政権交代が起きやすいという理由にはなっていないのであります。
 もう一つ、諸外国の例を見ても、例えばきのう石井議員が答弁をされました、クリントン政権への大統領制での政権交代の例をお取り上げになりました。しかし、アメリカの下院では、一九五四年以降四十年間、民主党が多数を占めているのであります。議院内閣制であれば政権交代は起きていないのであります。イギリスにおいても、一九七九年以来政権の交代が起きていません。しかもイギリスでは、北部が労働党、南部が保守党と地盤化が進んでおり、政権交代に実際に参加できるのは一部の伯仲した選挙区の選挙民のみという実態があります。つまり、小選挙区制は、アメリカでもイギリスでもうまくいっていない、いわば時代おくれの制度になりつつあるという実態を見る必要があるのではないかというふうに思うわけであります。(拍手)
 小選挙区制ならば政権交代が起きやすいというのは、一体どんな論拠で言われるのか、具体的、実証的に明確な答弁をいただきたいと思います。
 次に、小選挙区制の欠点は、宿命的な弱点として、多くの死に票を生み、国民の声が適正に議席に反映されないという点であります。五一%の得票で完全に当選するだけでなく、多党化のもとでは三〇%台の得票で当選可能であり、六割から七割の国民の声が国政に反映されないことになります。しかも、三乗比の法則と言われる、得票数に比して議席数は多数党に三乗に加算され、過大議席が生ずるという結果となりますから、ますます多数党に過度な議席が集中することになり、一党独裁が進むことになります。マスコミのシミュレーションでも、九二年の参院選をもとに試算すると、仮に五百の単純小選挙区制を実施すると、自民党が四百五十以上の議席を占めるだろうと予測をしています。これでは日本の民主政治を推し進めることにはなりません。
 こうした多数党に過大な議席が集中することについて、あるいは少数党の議席がほとんどなくなることについて、それは全く問題ないと考えているのかどうか、明確な答弁をいただきたいと思います。
 小選挙区制の持つこうした欠点を補うため、世界各国で比例代表制もしくは両者の組み合わせ型に進展してきたのが、世界各国の選挙制度の歴史であります。現在、小選挙区制が採用されてきたイギリス連邦諸国でも見直しが検討され、特にニュージーランドでは、国民投票により単純小選挙区制から比例代表併用制への移行が多数を占める事態になっているわけであります。
 もともと選挙は、国民の声を代表する代表機能と、その国民の政治的意思を政権として統合していく統合機能が必要であります。社公両党提案の併用制こそ世界の趨勢であり、政権交代可能な、国民の多様な意思を政権に統合していく意味でも、顔の見える小選挙区の長所を生かし、理想的な制度だと思うのであります。
 そこで、比例制についての考え方について伺います。
 参議院の比例選挙の結果を見ますと、昭和五十八年選挙で自民党の得票率は三五・三%、議席は五十人中十九名、昭和六十一年、三八・六%で二十二議席、平成元年選挙、二七・三%で十五議席、平成四年選挙、三三・三%で十九議席と、いずれも過半数を割っています。これほど民意が正確に反映される制度はないわけであります。
 こうした実態を考えますと、比例制を取り入れることについて、自由民主党は、民意が反映される制度では困る、みずからの議席数が過半数を割ってしまうという党利党略から否定しているとしか思えないわけですが、なぜ比例制を否定するのか、明確な理由を示してください。
 きのう石井議員は、野党に、少数党でも自信を持って選挙を戦えばいいではないかと言われました。どうぞ自民党の皆さん、比例制でも政権がとれますから、比例で過半数をとって安定政権をつくられたらどうですか。そのままきのうの石井先生の言葉をお返しを申し上げたいと思います。(拍手)少なくも比例制こそ日本の実態からいうと政権交代を可能にする制度だと思いますが、いかが考えますか、明確な見解をお示しをいただきたいと思います。
 次に、政権の安定を図れるのは小選挙区制だ、連合政権は不安定で単独政権は安定するという考え方でありますが、これにも幾つかのごまかしがあります。比例制は得票率と議席数が一致する制度であり、有権者の選択、判断が反映される制度であります。民主政治のもとでは、もとよりこの国民の声を全く無視してよいということにはならないと思うのであります。
 政権が安定しないから少数意見は切ってしまえという自民党の論理は、余りにも乱暴な見解であります。しかも、ドイツでの五%条項を初め、世界各国でこうした弊害を除く知恵が生み出され、実際に実行されている実態を見ると、小党分立になり、政権が安定しないという論理はいかにも飛躍したものであり、小選挙区制を加えて比例制一の欠点を補完する措置を講ずることで十分であ
り、だから小選挙区制の方がすぐれているという理由にはならないと思いますが、いかがでしょうか。
 さらにまた、単独政権が安定的で連合政権が不安定だとする論理も全くわからない論理であり、なぜそうなのか、わかりやすく説明をいただきたいと思います。
 きのう以来、イタリアの例を持ち出されています。しかし、イタリアにおいては個人名投票を含めた独特の制度であり、社公提案の併用制とは大きく異なることをまず理解されたいと思います。また、連合政権のイタリアで大腐敗事件が起きている、単独政権の日本でもイタリアに負けないくらいの腐敗事件が相次いでいることについて、具体的になぜなのか、御説明をいただきたいのであります。
 区割りについて一つだけ質問をいたします。
 全国五百の小選挙区の区画を行うことになります。格差二倍以内といたしますと、最小選挙区が十六ないし十七万人、最大選挙区が三十二ないし三十四万人ということになります。実際に区割りを行う場合、多くの市や区を分割した選挙区にしなければならないと思いますが、どのくらいの市や区を分割しなければならないか、伺いたいと思うのであります。
 また、市や区によっては七つにも八つにも分割しなければなりません。例えば、札幌市は四つの選挙区に、仙台市は二つか三つ、横浜市は七つか八つ、名古屋は五つ、大阪は六つぐらいに分けなければならなくなります。このような制度が実際に選挙民になじむものかどうか、実際として可能と思っているのかどうか、明確な見解をお示しをいただきたいと思います。
 次に、政治資金について伺います。
 私は、自民党にはさすがに立派な識見を持った、政策にも精通された方がたくさんおられると感じている一人であります。しかし、事故治と金の問題になると、これほどだめな政党もないと感じているものであります。これほど腐敗とスキャンダルを繰り返してきた政党もないのであります。今回の自民党提案の政治資金規正法の改正案も、これほどの腐敗とスキャンダルの中では全く不十分と言わざるを得ないのであります。
 戦後、腐敗事件が起きるたびに政治改革が叫ばれてきました。しかし、その都度、自民党の消極姿勢もしくは反対で、徹底した腐敗防止や政治資金の規制ができなかったのであります。昨年の第百二十五回臨時国会では二十一項目の処理を行いましたが、企業・団体献金の禁止、指定団体の数の制限、政治資金規正法違反の罰則強化、連座及び公民権停止規定の強化など、野党の提案事項はいずれも自民党の反対で引き延ばされたのであります。今度こそ国民の期待する政治資金の規制を行わなければなりません。その国民の批判にこたえる形でようやく自民党も重い腰を上げ、今度の提案にこぎつけたわけであります。まずは、相次ぐ腐敗事件を起こしてきたのは企業であり、企業献金をどうするかが国民の関心事であります。
 自民党案では、企業・団体献金を政党及び政治資金団体に限定をする、五年間の経過措置を置いて年間二十四万円までを資金調達団体に認めるとしていることにつきましては、不十分ではありますが、一歩前進であります。しかし、政党への寄附限度額を、事もあろうに二倍にふやしているのは何としても納得できないのであります。一方で公的助成を導入するわけでありますから、この際、献金枠を減らしこそすれ、ふやす道理はないと思うのですが、いかが考えますか。
 次に、企業・団体献金そのものの考え方について伺います。
 昨日、津島議員から説明がありましたとおり、確かに昭和四十五年の最高裁判決がありました。企業もまた自然人たる国民と同様に、国や政党の特定の政策を支持、推進し、または反対するなどの政治的行為をなす自由を有すると判断されて以来、企業による莫大な献金がなされてきました。しかし、今日の日本は企業社会と言われるほど企業の社会的影響力が強く、莫大な資金力と影響力を有する企業が国政を左右しかねない実態を見るとき、この判決は、私ども国会の手によって実態的に見直されるべきときではないかと思うのであります。
 また、企業や団体は政治的行為をなす自由を有すといっても、参政権の主体ではそもそもありません。少なくとも個々の政治献金が政治家や政治を動かすことのないよう、厳格に規制されなければならないと思うのであります。ロッキード、リクルート、佐川と続いた歴史の反省に立つならば、そしてまた、企業献金が本来的に何らかの見返りを期待してなされるものである以上、これを禁止すべきときではないかと思うのであります。
 なぜ、この際、企業・団体献金の禁止に踏み切れないのか、その理由を明確に示してほしいと思うのであります。あわせて、社公提案の政治資金規正法改正案が成立した場合、自由民主党としては何かお困りになる点があるのでございましょうか。具体的にお答えをいただきたいと思うのであります。
 次に、政党交付金法について伺います。
 この法律によって、三百億円を超える金額が各政党の得票率等によって配分されようとしています。にもかかわらず、自民党案では企業・団体献金を温存し、政党への寄附枠を倍増しようとしています。小選挙区制になれば身内同士の争いがなくなり、地元のサービス合戦もなくなり、金がかからなくなる、だから単純小選挙区制がよいと一方で言っておきながら、政党交付金ではまだまだ足りないから企業献金を温存するという理屈は、だれが聞いても通らないものであり、金権腐敗事件を引き起こした反省を全くしていないと言わざるを得ません。(拍手)
 政治にはコストがかかる、そのとおりであります。しかし、そこにはおのずと限界があります。一体、自民党の皆さんはどの程度の政治献金を必要としているのか。この交付金法の額は、全体の政治資金の何分の一程度を想定しているのか、また小選挙区制を導入することにより、現在の政治資金のどの程度の割合で減少を見込んでいるのか、具体的にお答えをいただきたいものだと思います。
 最後に、この法案は、国民の厳しい政治不信の中で、注視と期待を集めています。私どもは議会人として、そうした国民の期待にこたえ、どうしても成立させる責務を負っています。政治家一人一人が、良心の問題として、この腐敗きわまった政治構造にどれほど深い反省と痛みを持ち、改革への決意と理念を持ち合わせているかこそが問われています。私どもは、金丸事件に至った野党としての責務に深い反省を持ちつつ、この法案を提出しているのであります。
 しかし、何といっても、長い間政権与党にあった自由民主党の諸君が、個々の政治家の良心として、どれだけこの金丸事件に至った政治構造に深い痛みと反省を持っておられるか。そのためにリーダーシップを発揮して、どんな譲歩もするという姿勢を持ち合わせているかどうかこそがかぎであることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔塩川正十郎君登壇〕
#13
○塩川正十郎君 堀込さんにお答え申し上げます。
 まず、一連の政治改革の位置づけについてお尋ねがございました。
 その中で、私はちょっとがっかりしたのでありますが、社会党さんが何でもかんでも反対されるのに、今回の政治改革については一緒にやろうという意気込みを示していただいた、私は非常にいいことだと思っておりました。ところが、この政治改革の位置づけを、地方分権だとかあるいは行政改革の、このレベルにおいて見ておられるということに対し、私は、非常な悲観を感じるものであります。そうではなくして、この政治改革、我々が今進めていこうとする政治改革は、長年にわたりました日本の政治のシステム、構造を変えようということなのであります。
 すなわち、戦後の政治は安定が必要でございました。だからこそ、自由民主党に安定政権をつくらせ、そして日本の国が繁栄をしてまいりまして、その役割が立派に果たされてきたのであります。(拍手)ところが、冷戦後の時代になってまいりまして、イデオロギーの対立がなくなりました。今や自民党だけが政党ではない、それにかわるべき政党をつくって国民に新しい選択の機会を絶えず与えろ、政治に刺激を与えるというのが現在の国民の要望なのであります。そのための改革をするんだ、ここをしっかりとひとつつかんでいただきたい、こう思うのであります。(拍手)
 したがいまして、先ほどの答弁の中にございましたように、社会党と共産党とは違うということを盛んに言っておられました。けれども私は、親元は一緒じゃないか、親から分かれた兄弟がお互いにそんなことを言っておったって始まらぬじゃないか。それよりも、きっちりと、あれとは違うのだ、親元も違うのだということをはっきりとしていただかなければならぬのではないか。そして一刻も早く、社会主義、革命を目指すんだということを新宣言で言っておられますが、そういうことではなくて、もっと国民政党になっていただくというのがこの政治改革の一番のねらいでございますので、どうぞそういう改革に向かっていただきたい。地方分権だとか行政改革は私たちも一生懸命やりますけれども、根本をちゃんとしていただきたい、これをお願い申し上げます。
 そして、その中で話がございました、日本とイタリーとが同じように汚職ばかりやっているじゃないか、こういうことでございますが、これはしかし、大分事情が違います。というのは、イタリーは比例制でございまして、そこから出てきますのは小党分立なんです。小党分立は、その結果といたしましていつでも連立政権。連立政権は、責任が無責任なことになってまいりますので、意思決定ができません。そこで内閣は短命でございまして、短命であるから、それが続いてくると絶えず選挙をやっておる、選挙に金がかかる、そこで汚職がはびこる、こういう構造がイタリーであります。我々がやっておりますのは中選挙区からくるものでございまして、中選挙区で同士打ちをやっていかなきゃならぬ。そこに金がかかる。だから、金がかかるということの発生の原因が、システムが違うということ、これを変えなければいかぬ、こういうことでございますので、この点も十分御了解していただきたいと思うのであります。
 それから、政権交代が、小選挙区にあって政権交代が行われないではないか、こうおっしゃいます。社会党さんはいつでも、これはできないじゃないかということをよくおっしゃる。大体政権の交代というものは、その政党が政権をとる意欲がなければ政権はとれません。意欲を示すということはやはり立候補者をたくさん出すということで、そういうことでございますので、そういう準備と意欲を持たない限り、制度をどのように変えても政権はとれないんだということを銘記していただきたい。
 それから、小選挙区制であればいつでも死に票が出るとおっしゃいます。死に票なんて言ったら、投票した有権者は怒りますよ。問題は死に票ではなくして、怖いのは、我々が一番恐れますのは、棄権がふえるということなんです。棄権がふえるということが一番怖いのです。見てごらんなさい、この前の参議院選挙でも四十数%が棄権しておる。この棄権が怖い。なぜ起こっておるか。政治に緊張がないからなのであります。その緊張をつくることが今回の改革の制度です。
 しかも、死に票というのは、決して死んでしまった無意味の票ではございません。有効に投票していただいた意味は、その死に票は絶えず当選者に対する反対を表明しておられるか、あるいはその批判がインパクトとしてこもっておるのでございますから、でございますから、ちゃんと死に票ではなくしてそれだけの意味がある、投票の意味があるということを、これを正確に判断をしていただきたいと思うのであります。
 それから最後に、海部内閣のときに比例並立制を出しておいて、今回はなぜ小選挙区制にするのかというお話でございますが、これは昨日も私からお答え申しましたように、海部内閣時代に政府が第八次選挙制度審議会というものを設けまして、いろいろと御意見を有識者にお聞きいたしました。そして、貴重な答申をいただいたと私は思っておりまして、それを受けまして海部内閣は法案を提出いたしました。しかしながら、野党の方の反対も強かったものでございますからこれは廃案となってしまったのでありますが、しかし、それを受けて、我々自由民主党が、自由民主党としてはその基礎の上に立って、つまり海部内閣のときつくられたあの貴重な御意見を基礎として、より政治に、政権に責任を明確にする制度は何か、そして国民がわかりやすい制度は何かということからこの単純小選挙区制というものを採用したということでございますので、あくまでもあの議論を尊重して、あの貴重な資料の上に立っての自由民主党の独自の判断を示して法案を出した、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
 以上であります。(拍手)
    〔大野明君登壇〕
#14
○大野明君 小選挙区制というのは、選挙を通じて民意が鋭敏にこれは議席数に反応するわけでありますから、そういうことを一つとっても、私は、社会党さんが考えているのと違って、政権交代は容易になると考えております。現実に、平成元年の参議院の通常選挙におきまして……(発言する者あり)その話はさっきやったのなら、あなた方は十分知っているのなら、それじゃ、それは言いませんけれども、それでは、私は、それよりも、今の御質問は、そういうものをまず前提にして話をしないと御理解賜れないと思うから言おうと思っただけで、そんなに十分理解しているんだったら、この制度をもっと理解していると思って私はおらなければならないわけです。
 それで私は、そんなことを言う以前に、大体社会党の皆さん方も、この議論をやる上において、政権の交代、こういうことまで真剣に考えておられるかどうか。私は、何の議論を聞いてもまず言うことは、負けの発想からじゃないですか。(拍手)こういう制度によってこういうことができるんだとせっかく自民党が提案しているのですから、それじゃ勝ちの発想に転換して我々も頑張ろう、立派な政策を掲げ、そうして努力をし、勉強をして政権を担うだけの政党になろうという気持ちにならなければならないというのが今の国会議員としての使命ですよ。皆さん方が頑張ってくれれば、国会も活力を生んで立派な日本が生まれると確信をいたしております。(拍手)
   〔石井一君登壇〕
#15
○石井一君 既に塩川議員、大野議員からかなりの部分が答弁されましたので、重複を避けさせていただき、本日から行われます特別委員会においてじっくりとお話をさせていただきたいと思うわけでございます。
 短い時間で十分堀込議員のしっかり勉強されましたことにお答えできない点もございますが、選挙制度の問題は、お互いに長所があり短所があるということはもちろんでございます。
 第一の問題点は、制度によって政権を選択するという意義がある。小選挙区の場合は、この政権を国民が選ぶんだという問題意識があり、連合政権なり比例代表を行いました場合には、どうなるかわからないという不安がつきまとうというのが一つでございます。
 その次に、民意の集約か、あるいは民意をしっかりと反映するかという問題でございます。
 この点も意見の分かれるところではなかろうかと思いますけれども、今堀込議員は、アメリカ、
イギリス、西ドイツのことにつきまして、イタリーのことにつきましても一言ずつお触れになったわけでございますけれども、結局、アメリカのように、まあアメリカも民主党の議員の勢力は続いておりますけれども、大統領選挙もやはり、議員の制度ではございませんが、一人を選ぶ、どちらかの選択をするという制度でございます。十分それはお考えをいただかなければいかぬと思いますけれども、二億人の人口の中、人種も宗教もすべて変わっております中におきましても、やはりそれらを集約して一つの見える選択をする、ここに民主主義の妙味というのがあるのであります。選べて、だれが出てくるかもわからぬような制度をやっておってはいけない。
 そういうことから考えますと、日本の国民は賢明であり、共通の民族であり、共通の言葉、宗教を持っており、十分そこには集約できる余地というものがあるというふうに私は考えます。
 要は、将来、我が国の政党政治を政権交代可能な二つの勢力に集約するのか、あるいはたくさんの、今五つでございますけれども、これを七つ、八つ、十にするのかというその選択の基本方針をここで決めなければいかぬということ、これが非常に重要な問題ではないかと思うのでございます。
 一番問題は、国民が求めておりますのは、今回自民党に対して鉄槌を下したいが、その政権を野党に渡すことができないというのが非常に大きな問題ではないかと思います。
 皆様方は、批判勢力であっても、現実に政権をとるというビジョンを示されない。今皆さんの言われるような状態で議員を選出をいたしましても、どこが中心で何の政策をまとめるのか。憲法にしても、PKOにしても、あるいはそのほかすべての国内政策についても、どこへ行くのかわからぬという政権を決して選挙では選べないのでありまして、この点につきましても、基本的な制度の問題点があるということを御理解いただきたいと思うのであります。
 ドイツの五%の状況につきましても、一部お話がございましたけれども、この阻止条項を導入すれば、相当程度の阻止条項をここに挿入するということになれば、連立政権がどうなるか。このことによって相当の政党が整理されたというふうに聞いておりますけれども、それじゃ我が国にこれをあるいは導入するということになりますと、例えば民社党さんのようなお立場に対してどのような取り扱いをするのか、これは違憲の状況が出てくるのではないかというふうな考え方がございます。かといって、これを入れないということになりますと、どれだけの多数の党が出てくるかという大変大きな問題が出てくるわけでありまして、まあ社公の皆さんは今回こういう条項を入れておられませんけれども、これに関しましてはやはり友党に対する、あるいはその違憲状況に対する一つのお考えが含まれておるのではないかな、そのように推察をいたすわけでございます。
 なお、最後に五百の区割りの問題について御議論がございました。もともと区画の特別の委員会におきまして第三者で公正に御決定をいただくということでございますから、議員はこれに関与せず、私たちの立場でこれをとやく言うべきではないと思いますけれども、五百の区画を提案いたしました者といたしましてあえて申し上げるといたしますならば、お説のとおり、各市を分割しなければいかぬというふうな現実的な問題が出てくる可能性があるわけでございますけれども、これはこれなりに小選挙区、例えばイギリスの小選挙区などは、我が国の基本の人口が二十五万でございますけれども、九万か十万、その三分の一でありますから、小選挙区は十分にその目的をもって機能する、こう申し上げていいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    〔津島雄二君登壇〕
#16
○津島雄二君 堀込議員の政治資金に関する部分について御答弁申し上げます。
 まず最初に、今回の改正が政治腐敗に対応するのに十分な防止策が講ぜられておるかということでございます。
 この点について、まず先決として考えなければならないのは、政治資金をめぐる公私を峻別するということでございます。この点につきまして、私どもはこのたび、政治家個人は一切金銭による寄附を受け取らないということに踏み切らせていただいた次第でございます。これは、振り返ってみますと、昨年の与野党の緊急是正の会合におきましてまず我が党から打ち出したものでございますけれども、今回、社会党、公明党両党においてもこれに同調していただいたことは、まことに結構なことであると考えておるところでございます。
 次に、政治献金の適正化を図る上でルールを強化しなければならない、こういう点でございます。
 ルールについて振り返って申し上げますと、まず第一に質的制限というのがございますね。これは、先ほどからちょっと御議論がございました、外国から献金を受けてはならないというのが質的制限の第一のものでございまして、この点につきましても、この機会に厳正に私どもはこれを守っていかなければならないということを強調しておきたいと思います。
 次に、量的制限の問題がございます。
 いわゆるやみ献金というのはこの量的制限違反でございますけれども、この点につきまして、昨年まで量的制限についてはわずか二十万円の罰金で済むという国民の大きな批判にこたえまして、既に禁錮刑を導入をし、その結果として公民権停止ということが決まったわけでございます。
 また、量的制限に違反をいたしました献金は没収をされる、もう最初からなかったと同様の形になるわけでございまして、私は、同僚議員皆様方も、これによりまして、昨年の緊急是正によりまして、政治献金をめぐる事情というのは別の世界に入ったんだ、新しい時代が始まったんだ、そのような認識をお持ちになっていただきたいというふうに感じておるところでございます。
 今回、私ども自由民主党といたしましては、さらにこれを進めまして、企業献金は、政治家個人は受け取ることはできませんが、政治家個人が二つの資金調達団体を設けまして、これは中央と地元という考え方で二つということでございますが、これに対して一年間に限られた二十四万円という会費程度の企業献金を受けることができる、そのほかの献金は政党に限るものとする、こういうことにいたしましたし、さらに、ほぼ必要にして十分な透明性を確保するという改正を提案をしておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
 次に、企業献金の問題について申し上げたいと思います。
 昨日から申し上げておりますけれども、議会制民主主義というものは、本来国民が、そのコストの負担を含めて、自発的に、積極的に政治に参加をしていただくということが基本でございます。この意味におきまして、社会的存在でございます企業献金を頭から否定するということは、私どもはどうしても理解ができない。昨日も申し上げましたけれども、労働組合員の方のカンパはいいけれども、商店街組合メンバーの献金はだめだということは、私にはどうしても理解ができないのでございます。
 ただ、一つ申し上げられることは、この企業献金が節度を超えて政治をゆがめてはならないということでございまして、その点では、今私が申し上げましたように、政治家に向けられる企業献金というのは、二つの資金調達団体に対する会費程度のものに限る、そのほかは政党に対するものに限定をするということにしたわけでございます。
 そこで、皆様方に申し上げますが、政党の財政の確立ということは、私ども自由民主党だけではなく、社会党におかれましても公明党におかれま
しても非常に重要な問題であろうと思います。政党が積極的に草の根に働きかけ、みずからの政策の普及を図るということは、国民が誤りない判断をしていただく上で絶対に必要なことでございます。そのような政党の基盤の確立のために、既に二十年近く据え置かれております献金の限度額を、この際、物価の高騰ということも頭に置いて、ひとつ改めていただきたいということを御提案申し上げているわけでございます。
 そして、皆様方に申し上げたいのでありますけれども、腐敗行為、腐敗行為とおっしゃいますが、私は、政党に対する正規の献金におきまして腐敗行為のような事実が今まで余りあったとは聞いていないのでございまして、私は、政治資金の中で最も適正なものであると確信をしておるところでございます。
 さて、先ほど御指摘がございました、新しい選挙制度が採用された場合に、一体政治資金はどの程度減少するのかということでございますけれども、これは、これまでの御議論で明らかなように、今の中選挙区制でございますと、同じ有権者に対しまして、例えば我が党の場合には、数人の候補者が同時に広報宣伝活動をしなければならない。ところが、これから小選挙区制になれば、政党が中心に三分の一あるいは四分の一のコストでこれをすることができるという一点を挙げましただけでも、これは相当の資金の節約になるということはおわかりだと思います。
 しからば、政党助成制度をもって約三百億円の助成をするということをどういうふうに考えるか、全体の政治資金の必要性の中でどのようなウエートを占めているかということにつきまして、私どもも種々検討いたしましたが、これからの政治資金を賄っていく上で、政党に対する助成金と政党に対する寄附と、そして政治家個人が努力をして会費程度のものを一生懸命集める、この三つを三本柱として賄っていくというふうに考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、これまでの不祥事はまことに遺憾でございますけれども、その反省の上に立って、本当にしっかりした政治資金制度を今こそつくらなければならないということを御提案しているわけでございまして、よく言われますように、ルール違反があったから企業献金を全部やめてしまえということは、例えば、スポーツに例えては申しわけないのでありますけれども、オフサイドがあったからサッカーはやめてしまえということに等しい話ではないかと感ずるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(櫻内義雄君) 草川昭三君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔草川昭三君登壇〕
#18
○草川昭三君 私は、公明党・国民会議を代表し、自由民主党提案の政治改革四法案に対し、質問をいたします。
 自民党の金丸前副総裁の巨額脱税事件は、政治には金がかかるという従来の自由民主党の主張が国民の目を欺くもので、結局は、政治家が私利私欲のため金集めに狂奔していたことを広く知らしめ、国民の間に未曾有の政治不信を引き起こした出来事だったと言えましょう。ここで改革ができなければ、日本の政治はもはや再生できないというところまで追い込まれています。金丸前副総裁の事件の反省を国民の前に示すためにも、政府・自民党が、今この場で政治改革断行の決意を明らかにされんことを強く望むものであります。
 今、選挙制度改革をめぐって、自民党は単純小選挙区制を提案していますが、自民党がみずからの利益のためだけに主張をしているとの印象を国民は持たざるを得ないというのが率直な実感であります。自由民主党の選挙制度改革案は党利党略にすぎず、これを認めることは、絶対我々はできません。自民党はこれまで、小選挙区制になればサービス合戦がなくなり、選挙に金がかからなくなると先ほども主張しておられました。それなら、金がかからなくなるとする根拠を具体的に明示していただきたいのであります。先ほどの答弁のように、小選挙区制だから、単数になったからPRの費用が少ないという程度のことでは、私は納得をいたしません。
 戦後行われました選挙制度をめぐる議論の中で、政府・自民党は、小選挙区制を導入しようとたびたび画策をしてきましたが、多くの国民の反対により、一度として成立は見ておりません。全国一律の単純小選挙区制は今回が初めてであります。臆面もなくこのような提案をするということは、今この時期に国民が単純小選挙区制の導入を望んでいるとでも思っているのでしょうか。見解を明らかにしていただきたいものであります。
 自民党は、社会、公明両党が提案をした併用制では小党乱立になる、野党は単純小選挙区制におびえることはない、一九八九年の参議院選挙を例にとれば、社会党が多数派になると主張しました。しかし、その八九年の例をシミュレーションすれば、我が公明党はわずか二議席で、共産党、民社党は議席ゼロになり、自民党が主張する単純小選挙区制では、少数党を切り捨て、死に票が多く出ることになります。すなわち、わずかな得票差が大きな議席差につながるため民意が反映されないことは言うまでもありません。
 昨日の自由民主党の答弁でも、死に票という言葉をはっきり、その発生をはっきり認めています。このことは、議会政治の基本である民意を切り捨てることになり、これでは到底納得ができないのであります。自由民主党の主張は、死に票を無視する態度だと理解せざるを得ませんけれども、先ほどの答弁では納得しないということをあわせて申し上げ、真意を伺うものであります。
 自民党は、たとえ死に票が出ても、単純小選挙区制を導入することによって二大政党制が生まれ、政権交代が可能になると先ほども言いましたが、国民の意識が多様化した日本においては、中小政党の意見をくみ上げることは極めて重大であり、この意味から、中小政党の存在は民主主義の健全性を示すものと考えますが、お答え願いたいわけであります。
 選挙制度の改革は、党勢の消長に直接かかわるだけに、各党の意見調整が必要であります。自民党内にも、与野党勢力が逆転している参議院の現状からすれば、自民党の提案している単純小選挙区制の導入にこだわるべきではなく、野党と話し合うべきとの声があります。この点について見解をお伺いしたいものであります。
 社会、公明両党が提出をした政治改革関連六法案が成立をした場合、政治腐敗防止のためにも次の総選挙は新たな制度で行うべきだと思いますけれども、次の総選挙を新しい選挙制度で行うためにはどの程度の準備期間が必要なのか、自治大臣にこの際見解をお伺いいたします。
 金丸前副総裁の巨額脱税事件は、政治家のモラルにかかわるだけでなく、政治資金を個人の蓄財に回した疑いがあります。自民党は、政治資金の公私混同についてどう反省をしておみえになるのか。先ほど、党内に公私峻別委員会を設置されたと言われていましたが、これは極めて泥縄式な答弁と私は受けとめました。基本的な反省の上に立っての見解をこの際明らかにされたいと思うわけであります。
 これまでに金丸前副総裁に多額のやみ献金が行われていたことは先ほども申し上げましたけれども、政権政党の大物政治家の政策決定や行政に対する影響力を期待した政治献金は、職務権限がないため罪に問われないとしても、これを放置すれば、政策決定の透明性そして公正さは失われます。この問題についての自民党の考えをお聞かせ願いたいわけであります。
 また、特定の利益を目的とする政策を実現させるため、政党に働きかける政治献金に対しても一定の規制策を講ずべきだと考えますけれども、見解をお伺いしたいわけであります。
 自民党案では、政治家の資金調達団体を二つに限定をしておりますけれども、二つに限定した根拠は何でしょうか。その根拠を明らかにしていただきたいものであります。
 政治資金の規制強化のため、社会、公明案は自民党案よりも厳しい内容になっています。自民党は、この際、社会、公明案に同調できないのか、お伺いをしたいと思います。
 続いて、政治倫理法案について伺います。
 社会、公明両党は、国会議員の職務の廉潔と公正を確保するため、政治倫理に関する基本理念を明確にした政治倫理法案を提出しています。その内容は、国会法を改正し、常任委員会として政治倫理委員会を設置することとなっています。しかし、自民党案にはこれがありません。昨日、自民党は、現行の政治倫理審査会で対応する旨と答えましたが、このような消極的な態度であっては、金丸前副総裁の脱税事件を真剣に受けとめていないと批判せざるを得ません。社会、公明両党の政治倫理法案に同調する考えがあるのか、お伺いをしたいと思うわけであります。
 選挙犯罪での連座制の強化が自民案、社会、公明案とも盛り込まれていますが、社会、公明案では、執行猶予を含めて禁錮以上の刑に処せられたとき、連座制の適用があるとしています。しかし、自民党案では、執行猶予の場合を除外しています。これでは事実上、買収行為を容認する結果になるのではないでしょうか、明快にお答え願いたいと思うわけであります。
 自民党が提出をしました公選法改正案の中に、予想報道に関する事項があります。これは報道の自由にかかわる問題で、報道統制、言論統制に当たるとの批判がなされています。このような批判に対して、納得のいく見解を示されたい。
 この中に、「選挙が選挙人の自由に表明される意思によって公明かつ適正に行われることを確保するためことありますが、予測報道が「公明かつ適正」な選挙を妨げることになるのかどうか、お伺いをしたいと思うわけであります。
 また、「慎重に配慮しなければならないものとすること。」とありますけれども、ここにある「配慮」とは、だれが行うべき配慮なのか。配慮する主体は一体だれなのか、政府・自治省なのか、それとも報道機関なのか、明らかにされたい。さらに、配慮すべき範囲は一体どこまでなのか、これも具体的に明示していただきたいと思うわけであります。
 選挙制度の改革なしに政治改革はあり得ません。そのためには、関連法案をワンパッケージとして一括処理するのが本質的な政治改革であると考えますが、自民党の決意をお伺いいたします。
 今や政治に対する国民の怒りと不信は頂点に達し、日本の政治はまさしく危機に瀕しています。我々は、議員の職を賭しても法案成立に努力をすべきだと考えております。最後に、その決意を自民党にお伺いをし、私の質問を終わります。(拍手)
    〔国務大臣村田敬次郎君登壇〕
#19
○国務大臣(村田敬次郎君) 草川議員の、新しい選挙制度についての準備期間の御質問にお答え申し上げます。
 法案が成立した場合の新たな制度の実施については、準備が整い次第、できるだけ速やかに実施することが望ましいと考えております。
 ただし、実施までには、社会、公明両党が御提案の小選挙区併用型比例代表制では、全国十二ブロックで二百の小選挙区に分ける作業が必要となりますし、一方、自民党案の単純小選挙区制においても、五百の小選挙区に分ける作業が必要となります。また、これらの新たな選挙区割り案に基づく選挙区を定める法律の制定が必要でありますし、さらに、この法律を広く国民に周知するための期間も必要になると思われます。新制度は、これらの準備が整い次第、できるだけ速やかに実施されることが望ましいと考えております。
 なお、準備が整うまでの期間がどの程度になるかを現時点で具体的に申し上げることは困難でありますが、政府・自治省といたしましては、新制度に基づく選挙の時期がいつになろうとも、それが直ちに円滑に執行できますよう、準備の万全を期したいと思っております。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#20
○石井一君 草川議員にお答えをさせていただきたいと存じます。
 まず、過去の経過につきましてでございますが、選挙制度が本院において審議されましたのは、まず三十一年の鳩山内閣のとき、それから、これは衆議院を修正可決いたしましたが、参議院で審議未了ということになっております小選挙区制を軸にする内容、改正案でございます。また、昭和四十八年にも、田中内閣におきまして並立制を主体とした案が検討されましたが、これはまとまるに至らなかったということは御承知のとおりであり、なお、平成三年、第八次選挙制度審議会の答申を踏まえて、海部内閣におきまして三法案が提出されましたけれども、審議未了というふうなことに相なっておるわけでございます。
 当然こういう野党のお立場もあり、また、与党の中での意見のまとまりも悪く、それぞれのケース・パイ・ケースによりまして事情は違ったと思いますけれども、野党が小選挙区なりあるいは制度改正に対してはやや後ろ向きであったのにかかわらず、今回、社公を中心に案をまとめられまして、また四党が中選挙区廃止ということで共同の立場になりましたことは、有史以来初めてと申してもいい一つの出来事でございます。この時期に、国民の声は、いずれにしても改正を断行してもらいたいということではなかろうかと思いまして、共通の認識を持ってひとつ今後この審議を進めてまいりたい、このように念願をいたしておるわけでございます。
 次に、死に票に関連をいたしまして御疑問を提起されたわけでございまして、答弁者は私でございました。
 私は率直に、死に票の、コインの両面のような面の一面を昨日申し上げたわけでございますけれども、例えば、四九%をとったけれども当選をしなかった、五一%をとった人に道を譲ったという場合には、まず単純な考え方といたしましては、四九%はむだになった、これは死んだんだ、こういう感覚になる一面もございます。しかしながら、五一%をとった議員は、議員になりましても四九%の存在というものを常に考えるでありましょう。あと一%やられれば、次には必ず入れかわらなければいかぬ、こういうふうなことになりますと、この四九%の存在というのはまことに大きなものでございまして、これが死んでおるとは決して言えないという一面もあるわけでありまして、その両面を考えつつ、弾力的に御判断をいただきたいと思うわけであります。
 参議院の状況が逆転の状況であるというふうなことでございますけれども、今回私たちは、参議院の選挙を議論しておるのでなく、衆議院の選挙を議論いたしておるということをまず最初に基礎に置いていただきたいと思うのであります。そうして、参議院は良識の府であります。我々が慎重に審議を進め、そうして結論を得た場合には、私は、当然参議院は良識の府としての見識を示されるということを確信をいたしておるわけでございます。
 ねじれ現象は起こっておりますけれども、直前の昨年の参議院の選挙においては、自民党に多数を与えてくださったいわゆる国民の世論もあるということも考え合わせながら、これは両院のその調和の中に参議院の良識を期待し、衆議院の本当に情熱を込めた結論を導くことによって、この機会にこの制度の改正を行いたいというのが私たちの考えでありますことを御理解いただきたいと思います。
 公職選挙法の違反者に関する罰則の問題でございますけれども、私たちとしましては、鋭意検
討をし、ここまでやれば必ず大きな効果が上がるというふうなことで、選挙の浄化は間違いないという自信を持った案を提示いたしておるわけでございます。社公の皆様方の案を検討いたしておりますが、やや整合性の問題等がございますけれども、これらにつきましては、委員会の審議を通じてひとつ話し合いをさせていただきたいというふうに考えております。
 それから、選挙の予測の報道の問題に関しましては、公選法第一条に、「日本国憲法の精神に則り、」「選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明且つ適正に行われることを確保しこというふうなことが書いてございます。これが基本でございますけれども、また同時に、報道、評論の自由は可能な限り保障すべきであるということも当然考えていき、この調和を図っていかなければいけないということでございます。
 最近、マスコミの予想報道に関しまして、やや行き過ぎと散見できる点、また予想が必ずしも的中していないというふうなことがしばしば見られるわけでございまして、これは予想が当たっておらないのか、あるいはその後のアナウンス効果が出て、予想をしたときには的中しておるのだけれども結果は違っておるのか、いろいろ議論の違っておるところでございます。学者の間にも甲論乙駁いろいろの主張があるわけでございますけれども、昨年の与野党の協議におきましては、与党も、また野党の多くの皆さんも問題意識として認識をされたわけでございまして、今後ひとつ、これは引き続きの検討事項というふうなことになっておるということでございます。
 いずれにいたしましても、選挙の結果はマスコミが御決定されるのでなく、国民が御決定をされるという方向に持っていきたいというふうに念願をいたしておりまして、そういう意味におきまして、公明かつ適正な選挙を志向したい。また、慎重に配慮をしていただきたいというのは、マスコミの皆様に罰則を与えず、マスコミは正々堂々とした中立の公器としての職務を全うしていただきたいということを希望いたしておるわけでございます。
 なお、最後に、先ほど自治大臣から御答弁のありました施行の問題でございますけれども、各党にはそれぞれの事情がございます。私は昨日、自民党の選挙の責任者といたしまして、我が党の中選挙区の金に関する悩みというものをここで率直に申し上げました。野党は一人で戦っておられる方が多いわけでありますが、我々の複数にはこれだけの苦痛があるんだ、そこにけたが違うんだというふうなことを申しましたけれども、同時に、施行時期におきましても、地域の中で複数の候補者を持っております政党といたしましては、もし制度が決定をいたしましたら、直ちにそれを実施しなければ選挙はもたない、選挙は戦えない、選挙ということを課題に選挙戦を戦うというふうなことは、我が党の、多数の候補者を持っておる政党としては耐えられない、この点につきましても、私の見解を申し述べさせていただきたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    〔津身雄二君登壇〕
#21
○津島雄二君 草川議員に、政治資金についてお答え申し上げます。
 最初に、公私混同の問題でございますけれども、最近までの政治腐敗の問題に強い反省の気持ちを私どもも持っておるところでございまして、そのような立場から、今回、政治家個人は金銭による献金は一切受け取らないということに踏み切らせていただいたことは、先ほども御答弁申し上げたとおりでございます。
 これとあわせまして、政治家に対する献金は二つの資金調達団体を通じて、専らその二つを通じてやっていただく。二つといたしましたのは、中央と地元に一つずつつくる必要があり得るであろうということからでございますが、企業献金については、この二つの団体に対しまして限られた会費程度のものを認めるということでございまして、企業献金は、そのほかは専ら政党に対するものに限定をすることでございます。そしてまた、ほぼ必要にして十分な透明性を確保する提案も行っておるところでございます。
 私どもは、このような規制によりまして、献金の公正さが十分に保たれるというふうに考えておりますが、特に政党に対する政治献金につきましては、公開がほほ全面的に求められておるところでございますし、また、党の公的責任において対処することによって、不公正な問題は回避できるというふうに考えております。
 最後に、社公両党案について、同調できないかというお話でございますが、両党の案は企業献金を認めない等、基本的な問題がございまして、我が党としては、我が党案を最善のものとして御提案申し上げておりますので、どうかよろしく御理解をお願い申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
    〔伊吹文明君登壇〕
#22
○伊吹文明君 草川先生にお答えを申し上げます。
 価値観が大変多様化している現代において、中小政党とおっしゃいましたが、比較少数の政党の存在あるいは主張を認めるべきではないか、これは、民主政治である限りは、いかなる選挙制度においてもそのとおりでございます。
 現制度におきましても、予算編成あるいは予算修正の際、公明党・国民会議から税制改正や福祉について大変建設的な御提案をいただき、我々はそれを反映させてきたということは、事実としてお認めをいただいていると思います。
 ただ、御主張が、制度をもって連合政権を促進するとか、あるいは多数の政党の存在を促進するという制度をつくった方がいいということになりますと、私は、いささか見解を異にするのでございます。
 というのは、そもそも選挙の意味というのは、多様な国民の価値観を最終的にはただ一つの国家の決定に集積する作業であります。したがって、御理解をいただきたいのは、日本の外交あるいは日本の福祉、日本の税制というのは、最終的には一つしかないということであります。もちろん、少数意見は尊重しなければなりませんが、そこに連合政権という形でそのようなものをつくっていこうということになりますと、先般来、いろいろ御意見がございます比例制なのか、それとも単純小選挙区なのかという議論に、もとへ戻るのでございます。
 要は、歴史の大きな流れの中で、長所も短所もある制度の中から、どの長所を伸ばし、どの短所をのみ込むかということを考えながら政治決断をしなければなりません。我々は、小選挙区制度が一番いい判断だと思って提出をいたしておりますので、この点については、委員会で大いに議論をさせていただきたいと思っております。
 第二に、各法案はワンパッケージでないかという御発言がございました。
 これは、全くそのとおりでありまして、我々も、自由民主党の最高意思決定機関である総務会で、ワンパッケージにおいて処理するようにという決定を受けて国会に提出したものでございますので、お互いに一部をつまみ食いをしてこの改革を終わらせようということがないように協力し合いたいと思っております。
 以上です。(拍手)
    〔武村正義君登壇〕
#23
○武村正義君 残りました四つの質問につきまして、お答えを申し上げます。
 一つは、単純小選挙区制度になれば本当に選挙に金がかからなくなるのかというお尋ねでございますが、私どもは、制度が変わって金がかからなくなるとは申し上げておりません。当然一定の金はかかります。たとえかかりましても、これまでのように政治家個々が金にかかわるのではなく、政党中心に金の出入りをシフトさせていきたい。
したがって、個人の負担は大幅に減る、そういう制度を確立いたしたいと考えている次第であります。
 我々は、イギリスがかつてお金の面におきましても、猛烈な買収・供応型から、いわば政策形成・政策啓発型の資金のかかわりに大胆に変えていった歴史の経験を大いに学びたいと思うのであります。
 次は、国民は単純小選挙区制を本当に望んでいると思うのかというお尋ねでございました。
 消費税あるいはPKOを思い起こしていただきたいのでありますが、やはり国民の世論は、最初はかなり厳しいものがございましたが、だんだん議論を積み重ね、あるいは施行がされた後、だんだん世論は肯定的な方向に変わってきております。そのことを考えますと、この選挙制度につきましても、国民の皆様の認識が深まってくれば、私どもの小選挙区制に対する支持は着実にふえてくるものと考えております。
 何よりもそれは、私どもの案が単純でわかりやすいということでありますし、再三御答弁申し上げておりますように、政権の責任の所在を明確にする選挙の制度だからであります。特に衆議院の選挙制度は、個々の選挙区で、おらが代表をお決めをいただく選挙であると同時に、日本国というこの大きな国の政治の責任をどの政党に向こう四年間預けるか、そのことを国民にお決めをいただく選挙だと思うからであります。
 次は、単純小選挙区によって死に票についてのお尋ねがございました。石井議員から御答弁がございました。
 いずれにしましても、死に票という言葉は適当ではありません。真剣な一票一票であります。たとえ代表を選ぶことができなくても、これは次回を考えますと、まさに健全な批判票でありますし、現職の議席を絶えず監視をし、脅かし続ける、そしてまた、次回は容易に生き票に生まれ変わることのできる票であるというふうに認識をいたしております。
 最後に、政治倫理法については、自由民主党としましては、きょう現在、この法案に対する賛否は保留をいたします。今後、議院運営委員会の審議で十分論議に応じてまいりたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(村山喜一君) 木島日出夫君。
    〔木島日出夫君登壇〕
#25
○木島日出夫君 私は、日本共産党を代表し、自民党及び社会、公明両党がそれぞれに提出している政治改革関連各法案について、法案提出者に質問いたします。
 今国民が政治改革としてこの国会に求めている最優先の課題は、金権腐敗政治を根絶することであります。自民党の最高実力者であった金丸前副総裁は、大手ゼネコンや地元山梨県の建設業者などから莫大な額の金を集め、行政をねじ曲げ、私腹を肥やし、巨額の脱税をするという不正、不法の限りを尽くしていました。
 この根源に企業・団体献金があったことは明らかです。日本国憲法は、「主権が国民に存すること」を高らかに宣言しており、この国民こそ主人公の立場からすれば、企業が金の力で政治をねじ曲げる金権腐敗政治を断じて許してはならないのであります。
 政治改革を口にする以上、金権腐敗の大もとにある企業・団体献金禁止を本気になって、最優先の課題として取り組むかどうかこそが最大の試金石ではありませんか。主権在民を貫くのか、それとも金の力で政治をねじ曲げる主権財界を許すのか、民主主義の根本にかかわる重大な問題であると考えますが、それぞれの法案提案者は、この基本問題についてどう考えているか、改めて明確な見解を求めるものであります。(拍手)
 自民党は、相次ぐ金権腐敗の原因と責任を、中選挙区制度が疲労したなどと称して、単純小選挙区制を導入しようとしています。これは全くのすりかえであります。選挙制度と政治の腐敗が何の関係もないことは、今日の世界の政治を見ても明らかであります。
 小選挙区制のフランスでは、前首相まで巻き込んだ金権腐敗事件が起こり、小選挙区比例代表併用制のドイツでは、副首相が企業との関係で辞任、比例代表のイタリアでは、政財界人が千三百人も逮捕されています。企業献金が野放しのところでは、どこでも金権腐敗が後を絶たないではありませんか。(拍手)
 自民党は、かつて党の選挙調査会が監修した「選挙制度の基礎知識」の中で、「中選挙区制で最も大きな弊害とされている点は、この同士討ちである。しかし、この同士討ちは党内の事情である。その党内事情の同士討ちをなくすために小選挙区制にしようというのでは、党利党略のそしりをまぬがれない」と、みずからはっきりと述べておりました。これは、一九八〇年に内部資料として再版されたパンフレットであります。金権腐敗政治の責任と原因についてどう考えているのか、改めて明確な答弁を求めます。
 自民党の答弁者は、昨日、政治家が有権者に政策を知らせるためには膨大な金がかかり、企業からの政治献金は当然だと居直りました。しかし、自民党は、戸別訪問の自由化を総務会で取りやめ、立会演説会も二回に制限し、事前ポスターの禁止、選挙報道に対する制約、いわゆる法定ビラの廃止や配布の制限など、有権者国民が政党の政策を知る機会を奪うという、ますます暗やみ選挙にしようとさえしているのです。自民党の企業献金擁護論は全くの詭弁というほかありません。
 自民党案は、単純小選挙区制の導入と、政党などに対する企業献金の枠を今の二倍に拡大すること、さらに、政党に対する公費助成を一括のものとしています。これは、国民の批判の前に、政治改革と言いながら、その本音は、何がなんでも小選挙区制を導入しようというものであり、金権腐敗の体質はそのままにして、一層の金権腐敗政治を進めるものにほかなりません。企業の金の力で国民主権をさらに侵害しようというものではありませんか。企業献金を個人でなく政党が受けるようにするのだからよいではないかと自民党の答弁者は主張しましたが、これは、自民党がみずから進んで企業に丸抱えされようという意思の表明にほかなりません。(拍手)
 社会、公明両党は、企業・団体献金の禁止をうたっています。しかし、この改正法案は、他の関連三法案とかたく結びつけられています。小選挙区比例代表併用制が導入されなければ、そして政党への公費助成が成立しなければ、企業・団体献金は存続させるということになります。これでは国民の期待を裏切ることになるのではありませんか。なぜ、小選挙区制導入を柱とする選挙制度の改悪や公費助成と切り離して、企業・団体献金禁止を最優先して実施しようとしないのか、明確な答弁を求めます。(拍手)
 自民党に、単純小選挙区制について質問します。
 過去三回の総選挙の結果による試算をしてみても、単純小選挙区制が導入されると、自民党が四〇%台の得票率で九七%、四百八十三議席をひとり占めすることになるのです。選挙制度が変わるのだから過去の数字は参考にならないと、昨日の自民党代表は答弁しましたが、今日の我が国の政党の力関係で単純小選挙区制で選挙が行われれば、自民党が少なくとも三分の二を超える圧倒的多数の議席を独占することは明らかでありましょう。
 そうなれば、多数派の気に食わない議員を除名して排除すること、議会公開の原則を踏みにじって本会議を秘密会にすること、参議院で否決されても衆議院の議決だけで法律を成立させることなど、野党の存在を全く無視したオールマイティーの権力を自民党は持つことになるのです。参議院選挙制度も自分の都合のよいようにつくり変えて、参議院でも三分の二を独占することさえ不可
能ではなくなります。そうなれば、憲法改正の発議権さえ手にすることができるのです。
 憲法の平和的、民主的条項を改悪して、何らの制約なしに自衛隊を海外に派兵すること、消費税率の大幅な引き上げ、米の輸入自由化、福祉・教育の切り捨てなど、国民に痛みを伴う政策を次々と強行すること、どんなに金権腐敗の大事件を起こして居直り続けることなどこそ、提案理由で言う、安定した政策遂行能力を備えた政権の確立の本当のねらいなのではありませんか。議会制民主主義と平和、国民主権の破壊につながる小選挙区制導入は、断じて認めることができません。明確な答弁を求めます。
 社会、公明両党の小選挙区比例代表併用制について質問します。
 民意を正確に反映した国会を実現することが、小選挙区比例代表併用制導入の理由とされています。しかし、各政党への議席の配分について、小選挙区当選者を最優先させるため、超過議席が避けられないだけではなく、加えて、この法案にはいやしがたい重大な欠陥があります。
 それは、小選挙区において、無所属の候補者が当選したときは、その無所属候補に投票した有権者の比例代表選挙での政党への投票がすべて排除されてしまうことです。無所属候補者が無投票当選したときには、その地域では比例代表選挙の投票そのものがなくなってしまうのです。これは、比例代表選挙の根幹を破壊するものであるだけでなく、有権者の投票権をも侵害するものではありませんか。なぜこのような制度にしなければならないのですか。明確な答弁を求めます。
 日本共産党は、金権腐敗政治を根絶するために、企業・団体献金を直ちに全面的に禁止することを提案し、現行中選挙区制における定数格差を最大一対一・五以下に抑えるための抜本是正などの具体案を提起しました。
 我が党は、将来の衆議院選挙制度として、都道府県単位の比例代表制を今から二十年も前の一九七二年から提唱しています。八六年の国会決議に基づく定数の抜本是正を行った上で総選挙を実施することです。国民に対する公約、まずこの義務を果たした上で、公正に民意が反映された新しい議会で、それぞれの党の持っている選挙制度改革案について議論をすべきなのです。
 ところが、昨日、自民党の提案者の一人は、この国会決議を実行せよという我が党の主張を誹誇するだけでなく、我が党の当然の提案を党利党略だなどと言うに至っては、まさに暴言であり、議会制民主主義の立場から、絶対に許せないことを厳しく指摘しておきます。
 金権腐敗勢力が国会の絶対多数を独占する小選挙区制の導入策動を阻止し、金権政治を根絶するための企業・団体献金の禁止を最優先とする政治金規正法等の抜本改正と衆議院定数の抜本是正のために、日本共産党は全力を尽くすことを表明して、質問を終わります。(拍手)
    〔塩川正十郎君登壇〕
#26
○塩川正十郎君 議運の理事から、答弁は簡単にせよという命令でございますので、できるだけ簡単に申し上げたいと存じます。
 それともう一つ。実は堀込さんの質問に対する答弁の中で、何でも反対する社会党ということを私は言いまして、今御注意ございまして、社会党さんにも賛成されることもあるので、そのことを言っておるのでございまして、発言を取り消しいたします。私の発言は、先ほど言ったように、取り消しいたします。(発言する者あり)
 共産党さんの質問でございますが、主権在民……(発言する者あり)主権在民の問い合わせがございました。私は、共産党さんは、その政治理念から申しまして、一国一党の独裁政治でありますから、実は主権在民というよりも……
#27
○副議長(村山喜一君) 静粛に願います。
#28
○塩川正十郎君(続) 主権在党ではないか、こう思うのでありまして、自由民主党こそ、まさに主権在民の政治をしておるということでございます。
 それから、お尋ねの中に、選挙制度と政治家の資金との間には何の関係もないということでございますけれども、共産党政権ではすべて独裁政治でございますから、言論は統制されて、こういう政治腐敗とかいうようなものは、言論の自由がございませんから、表に公表されないことがあるのではないかと思われます。
 したがいまして、我々は、自由民主党あるいは自由社会におきましては、こういう国家では、選挙に必要な資金は非常に選挙制度と密接な関係があるということでございまして、したがいまして、できるだけ政治資金を使わない、政治資金を必要としないような制度に改めるべきであるというのが今回の政治改革の一番大きいねらいであるということをお認めいただきたいと思います。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#29
○石井一君 共産党の御質問に対しましてお答えをさせていただきたいと存じます。
 小選挙区を導入して、それによって金権政治をさらに追求するのかということに関しまして、基本的な質問、十分理解できないところがあるのでありますけれども、私たちといたしましては、単純小選挙区制を導入いたしますとともに、政治資金に関しましても、公私の峻別をきっちりし、政党を中心の流れにし、また罰則等も強化し、さらに公的助成というふうなものを創設することによりまして、資金の流れ、金に対する感覚というふうなものをもう百八十度転換せしめ、そういう中から新しい政党政治、二十一世紀の政治を構築していきたい、こういうことを考えておりますことを御理解いただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    〔額賀福志郎君登壇〕
#30
○額賀福志郎君 木島議員の御質問の内容につきましてお答えをいたします。
 この問題につきましては、塩川議員、津島議員が懇切丁寧にお答えをいたしておるのでありますが、答弁者がかわっておりますから、改めて丁寧に御答弁を申し上げさせていただきたいと考えます。
 この問題につきましては、社会党、公明党案ばかりでなく、共産党も、企業献金は悪で、個人献金だけが善であるとの主張をなさっておりますけれども、我が党は、企業献金は悪であるとの単純な主張に対しましては、極めて非現実的で、しかもなおかつ、皮相的、短絡的な見方であり、完全に間違いであるとはっきりと明言をさせていただきたいと思います。
 なぜならば、一つは、企業はれっきとした社会的存在であり、労働組合と違ってきちっと税金も払っており、憲法を読んでも法律を読んでも、政治参加の自由は正式に保障をされているのであります。企業は、健全な市場経済のルールのもとに、自由な社会を守ろうということで立派な行動を展開しているのでございます。
 また、諸外国を見ましても、我が国の議会政治の発展としてモデル的な存在でありましたイギリス、フランスあるいはドイツにおきましても、一部制限はしておりますものの、企業献金を認めているのであります。これが世界的な趨勢となっていることは、皆さん方も御承知のとおりであります。
 また、アメリカにおきましては、先ほど加藤紘一幹事長代理が申し上げましたように、PAC方式によりまして献金活動が大幅に上昇しておりますけれども、これは企業が陰に陽にバックアップしていることであり、また、各州におきましても企業献金は認められていることでございます。したがって、アメリカにおきましても、一概に企業献金は反対をされているということが一般化されているとは思えないのであります。もとより、企業集団の団体献金は節度を持って行われるべきでございます。
 今回の我が党の制度改正は、選挙や政治活動をこれまでの個人中心主義から政党中心主義に改め
ることによりまして、企業献金のほとんどは政党への寄附となるために、確実に透明性が保たれ、政治と金にまつわる話、不信というものは、政治家の自浄能力と相まって必ず国民の理解を得られるものと確信をするものであります。
 以上で終わります。(拍手)
    〔武村正義君登壇〕
#31
○武村正義君 小選挙区制によって安定した政権が生まれますと、国民の痛みを伴う政策を次々と強行することになるという御指摘でありますが、そんなことは起こるはずはありません。およそ、国民に支持されない政策を強行すれば、次の選挙は必ず負けます。負ければ政権は交代をいたします。直ちに、強行した政策は変更されることになるからであります。旧共産主義の国ならいざ知らず、選挙が厳正に執行されている国では考えられない御質問だと思います。(拍手)
    〔日笠勝之君登壇〕
#32
○日笠勝之君 木島議員のお尋ねの中で、私からは、政治改革を口にする以上、金権腐敗の大もとにある企業・団体献金禁止を最優先課題として取り組むべきではないかというお尋ねでございますが、お答えいたします。
 私たち公明党は、かねてより一貫して企業・団体献金の禁止を主張し、みずからも自浄能力を発揮し、そのように律してきているところでございます。
 今回、ロッキード、リクルート、共和、佐川、金丸巨額不正蓄財等の金権腐敗体質を政治の世界から一掃するため、また、政財官の構造的癒着を是正し、もって国民の政治不信を回復するために、社会党とともに国会に政治資金規正法の改正案を提出しているところでございます。この社公案では、条文で「法人その他の団体(政治団体を除く。)は、政治活動に関する寄附をしてはならない。」と明確化しているところでございます。
 さらに、これにとどまらず、地球が太陽の周りを自転しながら公転しているごとく、選挙制度の改正、腐敗防止、政党交付金の交付、政治倫理法等もあわせて制定し、一括処理し、真の抜本的な政治改革を実現しようとするところであります。共産党もぜひ御賛同いただきますようにお願いする次第でございます。(拍手)
    〔細川律夫君登壇〕
#33
○細川律夫君 木島議員の質問は、企業献金、団体献金の禁止の問題と、選挙制度や公的助成は切り離して、企業献金、団体献金の禁止を最優先すべきではないかという質問であります。今の日本の議会民主主義はまさに崩壊寸前だと言われております。なぜそうなったのか。それは、いわゆる権力は腐る、長期政権は絶対的に腐敗をする、そのように言われておりますとおり、自民党の長い間の一党支配によって現在の金権腐敗のきわみに達しているところでございます。その象徴的な事件は、最近では佐川急便問題であり、また、前自民党副総裁金丸信前代議士の巨額不正蓄財そして巨額脱税事件であります。
 したがって、今やこの腐り切った政治構造を根本的につくり直さなければならないと思います。単なる政治資金だけの問題ではなくて、現行の選挙制度、そして政治資金、そして、これらと一体となった政党交付金の制度を導入して、抜本的な政治改革を実現をしなければならない、このように考えているところでございます。
 まず、金権腐敗の温床となっております企業献金、団体献金を全面的に私どもは禁止をすることにいたしました。そして、政治家個人は、個人からも献金を受けてはならないということにいたしております。これは、公私混同を避けるためでございます。したがって、政治家の政治活動の費用は、政党からもらう以外にはすべて個人の資金で賄うものになります。これほど私どもの法案は政治家の収入を厳しく規制をし、峻別をしているところでございます。
 しかし、一方では、政治活動にはお金もかかるわけであります。特に、情報化社会に伴いまして、政治活動、政治運動も一変をいたしまして、大規模かつ組織的な運動には多額の費用もかかるわけでございます。したがって、政治資金を厳しく律したとしても、これが実行されずに、脱法行為ややみ献金が横行するようになれば、いわゆる理想倒れになってしまうわけでございます。そこで私どもは、政治資金に厳しい規制を加えるとともに、これを実効あらしめるために、政治活動にかかる費用の一部を民主主義のコストとして国民の皆さんに負担をしてもらおうとしたのであります。これが政党交付金の制度でございます。
 また、同時に、現在の政治構造を変え、そして政権交代が可能な政治状況をつくるためにも、選挙制度を変えなければなりません。そのために、私どもは、制度疲労がきております今の中選挙区制度を変えまして、国民の多様な意思が反映をされます小選挙区比例代表併用制を採用することによりまして、現在よりも政策で争われる政党本位の選挙を可能にする選挙制度にいたしたところでございます。
 木島議員の方は、私ども社公案に対しては、小選挙区制の導入を柱とする改悪だというふうに言われましたけれども、しかし、逆に比例代表制を基本とするものでありまして、まさに抜本的な改善というものでございます。
 言うまでもなく、議会制民主主義のもとでは、政党は国民の多様な意思を国家意思に高める、そういう公的な性格を有しております。このような政党の運営費用の一部を国民の皆さんの公的な負担ということで負担をいただくことは、民主主義政治をよりよく、健全に発展させるためにも、ぜひとも必要なものでございます。もちろん国から政党への助成制度を導入することは、政治と金、そして政治家と金の結びつきを根本的に改めなければなりません。それが国民の納得の得られる、そういうものでございます。
 したがって、私たちは選挙制度、そして政治資金、そして公的助成は一括して、政治腐敗を戒める政治倫理法も含めて、抜本的な政治改革を今国会においてぜひとも実現をしなければならない、このように考えているところでございます。
 以上であります。(拍手)
    〔菅直人君登壇〕
#34
○菅直人君 木島議員にお答えする前に、一言申し上げます。
 現在、社民連は、社会党との間で統一会派を形成しておりまして、また、小選挙区比例代表併用制など、社公案に近いものを従来より主張してきた立場より、社公両党の理解を得まして、今回、社公案に社民連の本院議員も提案者及び賛同者に加わった次第であります。こうした立場から、社公案の成立を通して今国会で抜本的な政治改革が実現するよう全力を尽くす覚悟であることをまず表明しておきたいと思います。
 木島議員の質問は、小選挙区において無所属の候補者が当選したときに、その無所属候補に投票した有権者の比例代表部分の政党名投票が排除されるのは重大な欠陥であるという、こういう御指摘であります。
 しかし、このことは、おわかりかもしれませんが、比例代表制というものは、本来は政党間で競い合う選挙を想定しておりますけれども、同時に、憲法四十四条の選挙人の資格という規定からいたしまして、無所属の立候補というものも認めないわけにはならないわけであります。この無所属立候補と政党名とを記載された票の扱いがそういった点でややわかりにくくなった制度であることは私も感じておりますけれども、しかし、こういった扱いをしなければ逆に不公平になるということを今から説明を申し上げさせていただきます。
 つまり、政党所属候補が第二欄の個人名記載により小選挙区で当選した場合を考えてみますと、そのブロックでの第一欄の政党名の記載の総数のうち一議席分は小選挙区でその政党の当選した人に対して優先的に振り向けられるわけでありま
す。例えば、共産党の木島さんが長野の小選挙区で当選した場合は、長野を含む北信越のブロックで共産党と記載された第一欄の記載総数のうち一議席分は木島さんに振り向けられ、残余の記載数でその共産党の他の人が名簿から当選をする、つまり政党候補の場合は、第一欄と第二欄の記載が合わさって一票の効果を持つわけであります。
 これに対して、無所属候補が小選挙区から当選した場合、第二欄の個人名記載だけで当選者が決まるわけですから、第一欄の政党名記載が振り向けられることはありません。そのため、もし当選した無所属候補に投ぜられた票の第一欄記載の政党名を、それはそれとして有効として認めると、第一欄と第二個がそれぞれ一票分の効果を持つことになりまして、政党候補の場合に比べて逆に不公平になる。そこで、無所属候補が小選挙区で当選した場合には、その第一欄の記載の政党への議席配分については、この第一欄の記載の数は計算から排除することとして、政党候補の票と公平な扱いとしたものであります。もちろん、無所属候補が第二欄の個人名記載によって小選挙区から当選ができなかった場合には、第一欄の政党名の記載は有効とされ、その政党への議席配分に寄与することになることは申し上げるまでもありません。
 以上、答弁を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#35
○副議長(村山喜一君) 中野寛成君。
    〔中野寛成君登壇〕
#36
○中野寛成君 私は、民社党を代表し、政治改革についての我が党の考えを示しつつ、自民党提出及び社会、公明両会派共同提出の政治改革関連法案に対し質問をいたします。
 政治改革の第一の理由は、国民の政治不信の解消であります。佐川問題に続く金丸前議員の政治資金の私的流用、不正蓄財事件は、国民の政治不信を決定的にしました。信なくば立たず、国民の政治不信の解消が急務であります。
 しかし、それは立法や制度改正のみでできることではありません。現に、金丸事件を初め過去のスキャンダルは、そのときの法律を破ったことばかりであります。全力、権力、暴力を排し、法律を守り、襟を正す政治家の反省と決意こそがまず必要であります。
 第二は、内外の諸情勢の激変に対応できる政治体制をつくることです。
 国民の価値観の多様化は、きめ細かな政治の展開を必要とし、急速な高齢化は、福祉における受益と負担の新たな調整を迫っております。一方、冷戦構造の崩壊は対米依存外交の脱却を迫り、自由貿易の一層の伸展は、我が国の産業間の調整をさえ不可避としております。今日ほど、的確な時代認識と未来への展望に立った政治のリーダーシップが求められているときはありません。硬直化した官僚機構にあぐらをかき、主体性のない非民主的な現在の自民党政治と、自社両党による二大政党制もどきの五五年体制こそ、根本的に打破されるべきであります。
 我が党もこの見地から、昨日、米沢書記長が述べました独自の政治改革案を提起したのでありますが、このことも含めて、政治改革の基本的視点と実現への決意について、自民党及び社会、公明両会派の提出者の見解をお伺いいたします。
 次は、国民の価値観の多様化と二大政党制の問題についてであります。
 自民党案は、単純小選挙区制の導入であります。小選挙区制は、その性格上、多様な民意を切り捨て、大政党に有利に作用し、二大政党制どころか一党独裁に結びつくものであります。ましてや、民主政治の原則の一つである少数意見の尊重などは、先ほど来の自民党の発言を聞いておりますと、完全に抹殺されております。
 我が国においては、国民の価値観がますます多様化し、幅広い選択の機会が与えられる心豊かな生活先進国づくりが求められております。二大政党制は、国民の多様な要求を無理やり二つの鋳型にはめ込み、単純小選挙区制は、白か黒かの選択を迫るやり方であり、価値観の多様化を前提とする新しい政治の建設に明らかに逆行いたします。また、宗教や良心、信条の違いも大切にしなければなりません。むしろ現代社会では、健全な少数政党の存在こそ、民主政治のバロメーターだと言わなければなりません。
 政権安定の立場から、二大政党制や小選挙区制を望む声がありますが、英米の二国を除き、先進諸国のほとんどが、複数政党から成る連立政権を持ち、政権も安定をいたしております。政権の安定と二大政党制の関係は薄く、政権の安定の是非は、政党間の対外政策を柱とした政策の距離にかかわっております。自民党案の提出者の見解を伺います。
 次は、単純小選挙区制の基本的な問題点についてお伺いします。
 第一は、金のかかる選挙となり、政治と金をめぐる国民の政治不信の解消にならないということであります。
 実質上の小選挙区である各地の首長選挙においては、公共事業や補助金の配分をめぐって選挙区を二分する、手段を選ばない激しい選挙戦が展開されております。選挙区が小さくなればなるほどこの傾向は増幅されます。また、各選挙区で公認をとることが当選の決め手となり、公認をめぐって派閥問の激烈な争いが生じることは避けられず、この段階でこそ、最も汚い裏金や利権にまつわる腐敗を生み出します。
 第二は、議席独占及び政権党幹部の独裁の可能性についてであります。
 単純小選挙区制は、多様な民意を切り捨て、三割の得票率で九割の議席を確保できる可能性を持つ制度であります。朝日新聞が昨年の参議院比例代表区の得票データをもとに、小選挙区の定数を三百として試算した結果、自民党は、三三%の得票率で三百分の二百七十七議席と、実に全議席の九二%を占めるに至ります。野党は全部でわずか二十三議席であります。このように単純小選挙区制は、時の政権党に圧倒的に有利であり、その導入は自民党の議席独占につながります。しかも、この制度のもとでは、さきに指摘したごとく、公認権を持つ党幹部が絶大な権力を持つことになり、中曽根元総理がいみじくも、小選挙区制は党独裁の危険を生じると指摘されたとおりであります。
 よって、単純小選挙区制の導入は、政治改革を求める国民の声を逆手にとり、自民党の永久政権化を目指す策謀であると断じざるを得ません。昨日からの自民党案提出者の高飛車な、しかし断末魔の叫びにも聞こえる答弁を聞いておりますと、一層その感を深くするものであります。(拍手)
 第三は、議席の独占化は立法府の完全な形骸化を招くことであります。
 与党が議席の九割以上を占め、野党が一割というのでは、国会はなきに等しい存在となり、チェック機能も働かず、国政は与党の思うままとなりましょう。政権党の政策が誤っていれば、次の総選挙で政権を交代させることによってチェック機能が働くという声があります。しかし、解散権を持つのは議席を独占している政党の内閣であり、政権党の最も都合のよい時期に解散が行われることを忘れてはなりません。
 第四は、仮に政権交代が行われることを認めるとしても、わずかの得票率が議席の差に大きく影響する単純小選挙区制は、政治を逆に不安定にするということであります。対外政策などの政策面で大きな距離がある政党間で政権交代がもし行われた場合には、我が国の国際的信用も、安定と平和も、国民の繁栄も失う危険があります。
 我が党は、以上の見地に立って、小選挙区制を排し、比例代表制に徹するとともに、候補者の顔が見える、民意を公正に反映する、区割りの変更を必要としない、都道府県単位の非拘束名簿式比例代表制を提案しているのであります。
 社公両会派の案は、比例代表制をベースとしていることは評価するものでありますが、たとえ選挙の方法論とはいえ、かかる問題を含む小選挙区制が加味されていることを非常に残念に思うものであります。これも社公錯誤、いや試行錯誤の一環なのでしょうか。
 以上、諸点について、自民党及び社会、公明両会派の見解を伺います。
 最後は、政治と金、民主主義のコストの問題についてであります。
 国民の声を聞き、政策にまとめ、その政策を国民に伝えるためには、文書通信費や調査費、人件費など多くのコストが必要であります。仮に、一枚のはがきで選挙区の十万人に政策を伝えるとしても、一回で四百十万円のはがき代を含め、およそ一千万円の経費がかかるでありましょう。
 国民はこの事実を正しく認識し、国民全体でそれを支えていくという意識が必要であります。それなくしては、金や権力を持つ政党、組織力を持つ政党のみが有利となり、健全な草の根の民主主義は育ちません。我が党が、国民の行う政治献金について、所得税などに税額控除方式を設け、政治活動に国民から広く浄財を集めようとする主張は、まさにこの見地からであります。
 問題は、金の使い道であり、金丸事件のように、政治献金を隠れみのに私的な蓄財に励むことは断じて許されません。また、買収により民意をゆがめることや、献金の見返りに特定の企業に奉仕することも断じて認めるわけにはまいりません。民主主義の健全なコストと政治腐敗の問題とを混同し、金はすべてこれを悪とし、排除しようとすることは危険であり、全体主義の道を開きかねません。したがって、政治と金について、透明性を確保し、ルールを明確にし、これに違反した者にはこれを厳罰に処すことによってルールを守らせる措置が必要不可欠であります。
 我が党は、この観点から、政治資金は政治団体のみに集中させ、政治資金の私的流用の禁止、政治家個人への献金の禁止、寄附の公開基準を年間一万円超に引き下げ、連座制の強化と違反者に対する実刑プラス五年間の公民権停止などの総合的政治腐敗防止対策を提案しておりますが、自民党及び社会党、公明党の提出者の見解をお伺いいたします。
 この際、政治改革は断じて実行しなければなりません。しかし、政治改革に名をかりた政治改悪は断固として粉砕しなければなりません。
 終わり。(拍手)
    〔塩川正十郎君登壇〕
#37
○塩川正十郎君 中野さんにお答え申し上げます。
 中野さんは、現在は多党化へ向かっている、そういう時代の趨勢にあるということをおっしゃっておられますけれども、しかし、価値観の多様化は確かに進んでおりますが、だからといって多党化がいいということは言っていないと思うのであります。
 そうではなくして、要は、国民が選挙で選ぶ、何を選ぶのかといいますと、やはりその政党の政策能力や、あるいは対策に対する能力、あるいはまた政党の責任感、さらには、時代の先見性をどのように実行していくかという、政党のトータルに対しまして選択をするのでございます。ただ単に政党の宣伝や、単に、あるいはまた国民に迎合した発言だけで政権を選択しようとはしておりません。
 したがいまして、今後の政治におきましては、そういう政権担当能力を持った有数な政党が、少数でもいい、交代可能な状態において政治が競争され、活力を持っていくことが国民の望んでおるところだと私は思っております。(拍手)
    〔大野明君登壇〕
#38
○大野明君 中野さんにお答え申し上げます。
 今、二大政党になった場合に、この国民の多様化した価値観、吸収できるかどうかというお尋ねでございました。
 既に、塩川議員からお答えがあったと同様のことでございますけれども、いずれにいたしましても、二大政党によしんばなったとしても、やはりその政党の体質あるいはまた候補者の努力、こういうものが、必ずや国民の価値観というものを十分反映さしていく、それが政治家の務めであろうと思っております。(拍手)
    〔石井一君登壇〕
#39
○石井一君 民社党の中野議員から、四点ほどの問題につきまして、選挙制度に関連をしたものがございますが、既に他の代表の皆様にお答えをいたしましたところと重複するところが非常に多いわけでございます。
 要約いたしまして申し上げますが、まず我が党は、今の中選挙区が行き詰まったから新しい制度を導入しようとしておるわけではございません。曲がりなりにも、戦後四十七年継続して政権をとってきた与党でございます。また、今後も同士打ちさえ耐えれば、ある程度続くという自信もございます。
 我々は、しかしながら、この際、国民の世論にこたえて、仮に政権から引きずりおろされても構わないという覚悟のもとにこの制度を導入しておるわけでございまして、この点につきましては、我が党の悲壮な新制度に対する決意ということを御理解いただきたいと思います。
 第二点目は、選挙を現状追認型にするか、あるいは未来志向型に決定するかということでございます。
 今の五つの政党の現状を維持するということになれば、いろいろの知恵も出てまいりますけれども、それは国民の期待にこたえるということにはならないと思います。幾多の変遷の中に新しい形態をつくっていく、そのためには何がいいかという観点からこの制度を導入しようといたしておりますことを御理解いただきたいと思います。
 金が選挙にかかるという問題でございますが、これは自民党に大きく反省をしなければいけないところがありますけれども、現在の制度では、個人後援会を中心にした個人の選挙が行われておるわけでありまして、民社党さんのように、政党と個人とが一体になってやれないというところに大きな問題がある、これをひとつ改正していきたいということでございます。
 党の独裁の可能性というふうなことはございますけれども、二大政党がうまく機能しております各政党におきましては、それぞれの組織を強化し、中央と地方との連携のもとにしっかりとしたリーダーシップをつくっておるわけでありまして、これも今後の課題として解決をしていきたいと考えております。
 また、国会の形骸化につきましても、例えばイギリスの例を見ましても、影の内閣は十分に機能いたしております。フロントベンチャーとバックベンチャーがどのような形で議論を進めておるか。我が国の国会よりもはるかにはるかに形骸化の少ない中に二大政党が機能しておるわけでございまして、これも今後の努力によってすべてが解決をするというふうに考えております。
 三割が九割とか一割が九割とかという御心配は要りません。そういうところはほとんど見たことがないわけでありまして、二大政党におきましては、スムーズに政権が交代するというのが原則でありますから、そういう御懸念はひとつ御容赦をいただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    〔額賀福志郎君登壇〕
#40
○額賀福志郎君 中野先生にお答えをいたします。
 質問の内容は、民主主義のコストと政治の腐敗についてであります。
 私は、今度の政治改革の論議におきまして最も論議を展開しなければならないことは、これまでの反省を踏まえながらも、今後、議会制民主主義をどういうふうに発展をしていくかという未来志向型の議論であろうと考えるわけであります。その意味におきましては、本来の政党政治の機能というものは、一つは国民の意思をさまざまな価値観のある中でどういうふうに調整をして、どういうふうに統合していくかということであります。
 また、あるときは、やはり十年、二十年先をよく見通しまして、強力なリーダーシップをもとに世論形成を図り、政策の意思決定を図っていかなければならないということであります。
 いずれにいたしましても、責任ある政党は、国民の意思の吸収、世論形成、政策立案、普及宣伝、民主主義というものを活力あるものにしていくためには、どれをとっても相当の多額の金を要するものであります。だから、問題は、政治に対してどういう金を集めて、どういうふうに使われていくかをチェックすることであります。我が党は、政治家の倫理観の向上はもとより、腐敗行為の防止策の強化、それに有権者の皆様の一層の自覚など、さまざまな面で努力を続け、政治の透明性を図るとともに、それらを担保するために、今回、選挙制度や政治資金制度を抜本的に大改革することで、自由と民主主義を敢然と守ってまいりたいと期しているのであります。
 答弁を終わります。(拍手)
    〔早川勝君登壇〕
#41
○早川勝君 先ほどの塩川議員の発言に関しまして、社会党は何でも反対する政党だ、それを訂正されて、時に賛成することもあるという訂正をされましたが、社会党は、毎国会八〇%の法案に賛成をいたしておることをぜひ御存じいただきたいと思っております。
 中野議員の御質問に二点お答えをいたします。
 まず第一点は、小選挙区制にかかわる問題でございます。
 小選挙区を併用、活用することによって金がかかるのではないかとの御指摘でございます。
 先ほどの、評価というお言葉をいただきましたが、社公案の提案いたしております選挙制度は、比例代表制を本旨とするものであります。政党本位、政策中心の選挙となりますので、いわゆる単純小選挙区制と異なり、巨額な金が必要になる、こういったことと根本的に異なることを御理解いただきたいと思っております。
 ところで、どのような選挙制度でありましても、選挙運動とは、有権者に投票を求める行為であります。金で汚染されるおそれが全くなくなるということはないと思います。したがいまして、政治と金の関係を断ち切るには、選挙制度と、それとは別に腐敗防止のための法制度が必要であることは申すまでもありません。とはいいましても、金によって汚染されやすい選挙制度と、金をつぎ込んでも効果の薄い選挙制度があることも事実でございます。その点からいえば、自民党の単純小選挙区案では、一選挙区当たりの有権者の数が少なく、平均二十五万人ということでございます。むしろ地盤培養行為がやりやすくなり、かえって腐敗を招く結果となることは、奄美群島区の実態から見ても明らかでございます。
 その他、小選挙区制の問題点で三点御指摘になりました。得票率と議席率の関係で、独占の問題、また、幹部独裁の問題が指摘ございました。その点は全くそのとおりだと私たちも認識いたしております。また、国会の形骸化の指摘もございました。そしてまた、政党に対する有権者の支持率がわずかな変化で大きく増幅されて、それが議席の変化にあらわれる、つまり政治の振れや振幅が大きくなり、政治の不安定をもたらす結果となる、こういった点を御指摘されましたが、全くそのとおりだと認識を一にいたしております。したがいまして、単純小選挙区制、この制度は認めがたいという考え方でございます。
 第二点は、政治と金、民主主義のコストの問題についてでございます。議会制民主主義は、実質的に政党によって担われております。そして、政党において国民の政策的な要求を酌み取り、これを整合性のある政策にまとめ上げ、議会制度を通じて実現していくことや、あるいは、その政策について国民の理解を求めていく、その活動には多くの費用がかかることはどうしても避けられないと思います。このような民主主義のコストにつきましては、本来、個々人の浄財を広く薄く集めることによって賄われるべきこと、全く御主張のとおりでございます。
 現在において、企業は大きな組織と巨大な経済力を持っており、その力に任せて政党や政治に介入することを許すならば、政治がゆがめられることは明らかでございますし、ましてや、裏献金などによる政治腐敗を許してはならないと思います。そこで、政治資金の規制を強化し、企業・団体献金を禁止すると同時に、政治資金についての透明度を飛躍的に高める必要があります。したがいまして、御提案の、個人の政治献金に対する税制上の配慮も検討課題でございますし、総合的政治腐敗防止対策については賛同いたします。一致協力して実現を図りたいと存じます。
 なお、付言させていただきます。
 高名な社会学者の言葉でございますが、政治を天職と考え、政治に一生をかける有能な職業政治家を育てる条件を整備することがこの際必要だと私は考えます。国際化、地球化時代に求められる現代的な政治家は、副業政治家でもなければ、族議員化する金権政治家でもございません。かたい信念と高い志、激変する事象に対する冷静な判断力、加えて、現在はもとより、未来に対しても責
任を持つ歴史観と洞察力ある政治家こそ、国民が求め、期待するものであります。かかる政治家と政党、そして政治に対して、国民は民主主義のコストとして経済的負担をいとわないと確信いたします。金に毒され、金にむしばまれてきた金権腐敗の政治に決別し、高潔、高淡泊な政治を築くことが私たちの責務であると考えております。
 今こそ、勇気と決断が求められていることを強調いたしまして、答弁にいたします。(拍手)
    〔井上義久君登壇〕
#42
○井上義久君 政治改革の基本的な視点と実現への決意についてのお尋ねがありました。
 一九八八年にリクルート事件が発覚して以来、共和、佐川、そして今回の金丸問題と、この十年間は大規模な政治スキャンダルが相次ぎ、その都度、真相解明と腐敗防止が叫ばれてまいったわけでございますけれども、主として自民党のサボタージュによりまして、ほとんど進展してこなかったことは、議員御承知のとおりでございます。政治の場に身を置く一人として、まことにじくじたるものがございます。
 この間、世界は冷戦終結という歴史的な転換期を迎え、新たな平和システムの構築や世界経済の活性化、ソ連、東欧支援、あるいは地球環境の問題等が惹起しております。国内にあっても、バブル経済崩壊後の日本経済のリストラや国民生活の質の向上をどう実現するのか、また、高齢化社会への対応など、さまざまな課題を抱えており、これらの山積する問題に政治がどのように対応するのかということが迫られております。
 しかしながら、国民の目から見ますと、政治は、スキャンダルに明け暮れ、これらの内外の重要課題に全くと言っていいほど対応し切れていないというのが実態であり、何のための政治なのか、そのような怒りが渦巻いております。こうした政治の構造を今こそ抜本的に改革しなければならないと思います。
 日本の民主主義はがけっ縁に立っており、政治改革は待ったなしてございます。これ以上現状を続けることは許されない、そういう厳しい認識、また、危機意識を私どもは持ちまして、今回政治改革関連六法案を提案した次第でございます。
 党利党略を排し、各党各人が身を削り、血を流す決意で、今国会でどうしても国民の納得できる抜本的な政治改革をなし遂げ、政治腐敗と決別をしなければならないと思います。そして、内外の激変に対応できる新たな政治システムを構築しなければならないと深く決意をいたしておる次第でございます。
 私どもの提案をしております小選挙区併用型比例代表制は、民意の反映という選挙制度の基本にかなうものであることは、これは当然でございますけれども、自民党の一党支配を打破して、政権交代可能な日本の民主政治を確立する突破口を切り開くものであり、あわせて、政治腐敗と決別し、政党本位、政策本位の選挙を担保するという、今選挙制度改革に求められているすべての条件、課題を十分にクリアできるものであると確信をいたしておる次第でございます。ぜひとも私どもの提案をしております法案に御賛同いただいて、今国会で政治改革を実現をしたい、このように重ねて要請するものでございます。
 以上でございます。(拍手)
#43
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#44
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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