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1993/04/28 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第24号
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1993/04/28 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第24号

#1
第126回国会 本会議 第24号
平成五年四月二十八日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  平成五年四月二十八日
    午後一時開議
 第一 商法等の一部を改正する法律案(内閣提
    出)
 第二 商法等の一部を改正する法律の施行に伴
    う関係法律の整備等に関する法律案(内
    閣提出)
 第三 気候変動に関する国際連合枠組条約の締
    結について承認を求めるの件
 第四 生物の多様性に関する条約の締結につい
    て承認を求めるの件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 商法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 日程第二 商法等の一部を改正する法律の施行
  に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内
  閣提出)
 日程第三 気候変動に関する国際連合枠組条約
  の締結について承認を求めるの件
 日程第四 生物の多様性に関する条約の締結に
  ついて承認を求めるの件
河野国務大臣の「モザンビーク国際平和協力業
  務実施計画」等についての発言及び質疑
    午後一時十二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 商法等の一部き改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 商法等の一部き改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)
#3
○議長(櫻内義雄君) 日程第一、商法等の一部を改正する法律案、日程第二、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長浜野剛君。
    ―――――――――――――
 商法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係
  法律の整備等に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔浜野剛君登壇〕
#4
○浜野剛君 ただいま議題となりました両法律案について、法務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 初めに、商法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢等にかんがみ、株主による会社の業務執行に対する監督是正機能をより強固にし、また、株式会社の監査役制度の実効性を高めるために必要な措置を講ずるほか、企業の社債による資金調達方法の合理化を図るとともに、社債権者の保護を強化しようとするもので、その主な内容は、
 第一に、株主の代表訴訟の提起を容易にするとともに、株主の会計帳簿等の閲覧謄写権の要件を緩和すること、
 第二に、監査役の任期を二年から三年に伸長すること、
 第三に、大会社について、監査役の員数を二人以上から三人以上に増員し、そのうち一人以上はいわゆる社外監査役とするとともに、監査役会制度を導入すること、
 第四に、社債発行限度に関する規制を廃止し、社債発行会社に、社債権者のために社債の管理を行う社債管理会社の設置を原則的に義務づけること等でございます。
 次に、商法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 本案は、商法等の一部を改正する法律の施行に伴い、社債発行限度暫定措置法等を廃止するとともに、関係法律の規定を整備し、所要の経過措置を定めようとするものでございます。
 両案は、三月九日内閣から提出され、三月三十日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。
 本委員会においては、両案を一括して議題とし、四月六日後藤田法務大臣から提案理由の説明を聴取した後、参考人の意見を聴取する等慎重審査を行い、昨二十七日質疑を終了し、討論に付したところ、日本共産党から反対の意見が述べられ、採決の結果、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、商法等の一部を改正する法律案に対し附帯決議が付されたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) 両案を一括して採決いたします。
 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(櫻内義雄君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件
#7
○議長(櫻内義雄君) 日程第三、気候変動に関する国際連合枠組条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、生物の多様性に関する条約の締結について承認を求めるの件、右両件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長伊藤公介君。
    ―――――――――――――
 気候変動に関する国際連合枠組条約の締結につ
  いて承認を求めるの件及び同報告書
 生物の多様性に関する条約の締結について承認
  を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔伊藤公介君登壇〕
#8
○伊藤公介君 ただいま議題となりました両件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、気候変動に関する国際連合枠組条約について申し上げます。
 近年、人為的に排出される二酸化炭素等の温室効果ガスの増加によって大気中の温室効果ガスの濃度が著しく増加し、自然の生態系及び人間社会に大きな悪影響を及ぼすようになりました。
 このような事情を背景に、平成三年以来、政府間交渉委員会のもとで、気候変動に関する嵐際条約作成のための交渉が行われた結果、平成四年五月九日ニューヨークにおいて本条約が作成されました。
 本条約は、大気中の温室効果ガス濃度の安定化を究極的な目的とし、地球温暖化に対処するための国際的な枠組みを定めるものであり、温室効果ガスの排出及び除去に関する自国の目録の作成、締約国会議への通報、温室効果ガスの排出の抑制、削減または防止に関する技術の開発等の促進、開発途上締約国への資金の供与等締約国の義務について規定しております。
 次に、生物の多様性に関する条約について申し上げます。
 近年、野生生物の種の絶滅が過去にない速度で進行し、生物の生息環境の悪化及び生態系の破壊に対する懸念が深刻なものとなってきております。
 こうした懸念を背景に、昭和六十三年以来、国際連合環境計画のもとで、既存の国際約束を補完し、生物の多様性の包括的な保全等のため、国際的な枠組みを設けるための作業が行われた結果、平成四年六月五日リオデジャネイロにおいて本条約が作成されました。
 本条約は、地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全し、生物資源を持続可能であるように利用し、及び遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衡平に配分することを目的としたものであり、生物の多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略もしくは計画の作成、重要な生物の多様性の構成要素の特定、保護地域の設定及び開発途上国に対する技術の移転並びに資金の供与等、締約国がとる措置について規定しております。
 両件は、三月十二日外務委員会に付託され、去る四月二十一日武藤外務大臣から提案理由の説明を聴取し、昨二十七日質疑を行い、引き続き採決を行いました結果、両件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 両件を一括して採決いたします。
 両件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、両件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(「モザンビーク国際平和協力
  業務実施計画」等について)
#11
○議長(櫻内義雄君) 河野国務大臣から、「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」等について発言を求められております。これを許します。国務大臣河野洋平君。
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#12
○国務大臣(河野洋平君) 昨日、閣議において決定をいたしました「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」について御説明申し上げます。
 モザンビーク共和国においては、国際連合モザンビーク活動、いわゆるONUMOZが、昨年十二月の国際連合安全保障理事会決議により設置され、現在活動をいたしております。
 この国際連合モザンビーク活動については、国連などから我が国に対し非公式に参加の打診があり、政府は、三月のモザンビーク調査団の報告などをもとに慎重に検討を行ってまいりました。その結果、国連から最も期待されている輸送調整の分野において応分の貢献を行うための準備を三月二十六日より行ってまいりましたが、去る四月二十三日付で国際連合から我が国に対し、司令部業務分野及び輸送調整の分野への要員の派遣について正式要請がありました。この要請を踏まえ、改めて諸情勢を総合的に勘案し、検討した結果、我が国としても、世界の平和と安定のために一層の責務を果たしていくに当たり、国際連合による国際の平和と安定のための努力に協力し、なし得る最大限の人的な貢献を積極的に果たしていくため、これらの要請に応分の貢献を行うことといたしました。
 このため、モザンビーク国際平和協力隊を設置することとし、これに司令部業務分野における国際平和協力業務を行わしめるとともに、自衛隊の部隊により、輸送調整分野における国際平和協力業務を実施するよう「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」を決定をいたしました。
 なお、この決定に当たり、国際平和協力法に規定する五原則が満たされているかどうか慎重に検討した結果、これらの要件は現ONUMOZにおいて十分満たされていると判断したところであります。
 次に、計画の内容についてでありますが、今申し上げましたような基本方針のほか、まず、実施する国際平和協力業務の種類及び内容としては、中長期的な業務計画の立案及び輸送調整に関する企画調整並びに輸送手段の割り当て、通関の補助、その他輸送に関する技術的調整に係る業務を定めております。また、派遣先国については、モザンビーク共和国とし、国際平和協力業務を実施すべき期間については、平成五年五月六日から同年十一月三十日までの間といたしております。
 また、モザンビーク国際平和協力隊の規模及び構成は、司令部要員である自衛官五名及び輸送調整業務を担当する自衛隊の部隊に属する自衛隊員四十八名であり、これらの要員、部隊の装備は、司令部要員については、九ミリけん鉄その他の個人用装備であり、部隊については、九ミリけん銃、六四氏七・六二ミリ小銃及び四輪駆動車などの車両その他の装備であります。さらに、同計画では、このほか、関係行政機関の協力、現地支援体制など、国際平和協力業務の実施に関する重要事項を定めております。以上が、「モザンビーク国際平和協力業務実施計画しの概要であります。
 なお、この機会に、昨日、同時に決定いたしました国際連合カンボジア暫定機構に対する我が国選挙要員の派遣等に係る「カンボディア国際平和協力業務実施計画の変更」について御説明申し上げます。
 カンボジアにおいて、我が国の停戦監視要員、文民警察要員及び施設部隊の諸君が既に国際平和協力業務を実施しているところでありますが、これらに加え、去る四月十二日付で、国際連合から我が国に対し、UNTACにより実施される制憲議会選挙のために、我が国選挙要員五十名を派遣するよう要請がありました。また、UNTACより我が国施設部隊に対し、食事の提供や宿泊・作業施設の提供等、選挙実施の支援を行うよう指図がありました。
 これらを踏まえ、現地の情勢を含め諸情勢を総合的に勘案し、検討した結果、我が国として、選挙が中立的かつ自由な政治的環境で適切に実施されるよう努力しているUNTACを可能な限り支援していくため、憲法制定議会の選挙の公正な執行の監視または管理に携わる選挙要員五十名を派遣することとするとともに、施設部隊が行う国際平和協力業務に、UNTAC選挙部門等のための飲食物の調製及び宿泊または作業施設の提供を追加するため、「カンボディア国際平和協力業務実施計画」について所要の変更を行いました。
 カンボジアにおいては、一部の地域での停戦違反事件や武装集団による襲撃、さらには、日本人の国連ボランティアが命を落とされるという痛ましい事件も発生しております。これら事件は、まことに遺憾なことと言わざるを得ません。
 しかしながら、カンボジアにおいて全面的に戦闘が再開されているわけでもなく、また、ポル、ポト派も累次の機会に、パリ和平協定を堅持する旨を明らかにいたしております。今後とも引き続きカンボジアにおける状況を注視していく必要はありますが、パリ和平協定に基づく和平プロセスの枠組みは維持されており、停戦の合意などの国際平和協力法上のいわゆる五原則は満たされていると判断をいたしております。
 長年にわたった紛争の後にやっと成立した和平にこうした脆弱だ側面があることは、遺憾ながらやむを得ないところでありますが、カンボジアにおける和平をより確固たるものとすべく、我が国としても、国際社会とともに積極的に貢献を行ってまいりたいと考えております。
 一方、我が国を含め各国から派遣され、国連の活動に参加している要員の安全確保については、第一義的には国連がそのための方策をとることとなっておりますが、政府といたしましても、国際平和協力業務に従事している我が国要員の安全に関して、あとう限りの努力をすることは言うまでもなく、要員に対する指導、必要な装備品の支給やUNTACへの働きかけなど、今後ともより一層要員の安全確保を図るために努めてまいりたいと考えております。
 以上、「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」等につき御説明をさせていただきましたが、関係各位の御理解と御協力をお願いを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(「モザンビーク国際平和協力
  業務実施計西」等について)に対する質疑
#13
○議長(櫻内義雄君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤敬夫君。
    〔佐藤敬夫君登壇〕
#14
○佐藤敬夫君 私は、自由民主党を代表して、ただいまの「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」等の発言につきまして、総理大臣並びに関係の大臣に質問を行い、その御所見を伺いたいと存します。政府発言の質問に入る前に、最近の国際情勢の一観点から、日米、日ロの二点についてお伺いいたします。
 まず、日米関係についてですが、先般の日米首脳会談は、冷戦後の新時代において自由と民主主義を共有し、世界のGNPの約四〇%を占める日米両国が、新たな平和と繁栄の秩序の構築に向け、いかに協力していくべきかを話し合う機会として、非常に重要な意義を持つものであったと考えます。
 戦後四十七年がたち、日米も、世界も大きく変わりました。両国の首脳が通訳なしでフランク、フェア、オネストを基調に話し合いができたことは、さぞかし内容のある密度の濃い意見交換ができたものと、私も高く高く評価をする一人であります。
 しかし、日本のマスコミの現地での共同記者会見あるいは帰国をしてからの報道でも、宮澤・クリントン会談は、経済、貿易だけの会談であったと受けとめたくなるような報道ばかりであります。総理、会談の内容は、世界情勢に基づく政治、安全保障及び世界的な協力についても十分なる協議が当然のことながら行われたものと思いますが、いかがでしょうか。
 日米の首脳がお互いに信頼をし、評価をし合えるということは、相手の要求に対してイエスの数をいかに多くするかということではなく、それぞれの主張を明確にし、相違点を浮き彫りにし、率直なるやりとりを繰り返す中で、その結果、共通の利益を求める道が存在することを確認し合うことがお互いの信頼をつくり出すものと考えます。
 しかるに、今回の日米首脳会談については、我が国が十分に我が国の立場を説明でき得なかったのではないかとの指摘が一部にありました。また、首脳会談後のクリントン大統領の発言により、円高傾向に向かったことをとらえ、成果についての疑問を持つ論調もございました。
 この際、総理から、会談の内容は実際どうであったのかを率直にお伺いしたいと思います。次に、日ロ関係について質問いたします。
 ロシアについては、エリツィン大統領の指導のもと、過去の全体主義から決別し、市場経済、民主主義及び法と正義の原則に基づく外交の実現に向けて改革が推進されています。G7諸国は、かかる改革努力に対して、先般の対日支援G7閣僚合同会合において、エリツィン大統領の指導のもとで推進されているロシアの改革を一致して支援していくとの姿勢を明らかにし、総額四百三十四億ドルに上る対日支援策を発表いたしました。
 さらに我が国は、G7の議長国として、エリツィン大統領を来る東京サミットに招待することを決定するとともに、G7閣僚合同会合に際して、新たに十八億二千万ドルという多額の新規支援策を発表いたしました。
 他方、我が国とロシアとの間には、未解決の北方領土問題という厳然たる事実の前に戦後四十七年が過ぎ、いまだに平和条約すら締結されていないという不自然な状態が続いております。昨日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、武藤外務大臣から、七月の東京サミットでは領土問題は取り上げないとの発言があったそうですが、それは何ゆえなのでしょうか。多くの我が国国民の中には、昨年のエリツィン大統領の突然の訪日中止や領土問題に関する発言等により、依然として釈然としないものが残っていることも事実であります。
 政府は、従来、対ロ外交を進めるに当たって、領土問題において進展のない限り経済面における進展もないという意味で、政経不可分という基本的な考え方に従ってきたと承知をいたしております。これも昨日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、今後、政経不可分は表現として使わないと答弁されたと聞いていますが、政府は、このような考え方を変更したのでありましょうか。また、拡大均衡という考え方と政経不可分の考え方はいかなる関係にあるのでしょうか。総理の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、国連モザンビーク活動への我が国の要員派遣についてお伺いいたします。
 総理、昨今の世界情勢は、その対応について、総理の瞬時の判断、瞬時の判断がしばしば要求されます。総理の決断は極めて重いものでもあります。なぜなら、その決断は、まさにその国の将来を、あるいは運命を決定づけるものであるからであります。
 昨日、閣議において、ONUMOZへの要員の派遣に関する実施計画が決定されました。今回のモザンビークヘの要員派遣は、事前に政府調査団を派遣し現地の事情を調査させるなど、十分な検討を慎重に行った上で、平和協力本部長たる総理が政治判断として決定されたものと承知しておりますが、まず、決定に至るまでの総理の考えを率直にお聞かせいただきたいと思います。そして、我が国がONUMOZに参加する意義をどのように考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 今回の実施計画の閣議決定を受けて、今後国連側とも調整しつつ、要員の派遣のための具体的な準備がさらに続けられるものと承知いたしておりますが、このような準備は十分に行われなければなりません。しかも、慎重に行われなければなりません。
 そこで、今後派遣までの具体的なスケジュールはどうなっているのか、そして我が国の要員の派遣時期はいつに、どのくらいになるのかについて御説明をお願いしたいと思います。
 他方、モザンビークは地理的に我が国よりはるか遠く離れており、マスコミ等を通じて入ってくる情報もカンボジアと比べて極めて少ないと考えられます。また、現地に大使館の実館がないことも承知をいたしております。
 そこで、モザンビーク政府、ONUMOZとの連絡、調整、関連情報の収集、派遣要員に対する支援等を行うために、現地の体制を整備する必要があると同時に、ジンバブエ、南アフリカ共和国や隣国等の協力も必要と考えますが、政府としては、現地の支援体制はどのようなものを考えているのか、御説明をいただきたいと思います。
 最後に、カンボジアのPKOに関する問題についてお伺いをいたします。
 カンボジアにおける永久的和平をパリ和平協定に基づいて実現する上で、総選挙、新憲法制定、新政府の樹立という重大な局面を迎えております。長年の戦乱に苦しんできたカンボジアの人々にとって、UNTACによる総選挙は、みずからの手でみずからの国家を再建するための第一歩であります。
 我が国もカンボジア和平実現のための国際的支援に積極的に関与してきましたが、これはカンボジアのみならず近隣諸国や世界じゅうから高い評価を受けてまいりました。私は、このことを喜ぶとともに、国際平和協力法を制定し、UNTACに要員を派遣できたことは極めて正しい選択であったと確信をいたします。
 今後、選挙妨害等も予想されますが、困難を乗り越えてカンボジアの将来のために引き続き積極的に貢献することが必要だと考えていますが、政府の決意を改めてお伺いいたします。
 しかし、先般、国連ボランティアの中田厚仁君がお亡くなりになるという事件があり、まことに悲しみにたえません。そして、この事件が今後PKO派遣に対しさまざまな問題を投げかけることは間違いありません。
 このような事態が再び起こることのないように、特に要員の安全対策の措置を図らなければならないことは重要な課題であります。今回新たに派遣される選挙要員を含め、UNTACの活動に従事されている皆さんの安全を確保するために、UNTACにおいてどのような具体策がとられようとしているのか、政府のお考えをお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 先般の米国のクリントン大統領との会談につきましてお尋ねがございました。
 アメリカに新しい政権が生まれまして、この冷戦後の時代の世界の中におきまして、御指摘のように、GNP四〇%を占める両国の間にどのような協力をすべきか首脳の間で話をしようということで、余人を交えずにかなり長い時間話をし合う機会もございました。私としては、個人的にお互いの信頼感を築くという意味でも収穫のあった会談と考えております。
 その会談におきましては、確かにアメリカ側の大きな関心は両国間の貿易・経済問題でございますけれども、しかし、それに限らず広く政治、安全保障の関係、それから両国が協力して世界に対して行うべき責任、いわゆるグローバルな協力、その三つの分野につきまして十分な時間をかけて話し合いをすることができました。全体としては、両国間の関係に今必要な各種の問題について、バランスのとれた会談ができたというふうに考えております。その結果、今申しました三つの問題について、今後とも協力関係を一層発展させようということで意見の一致を見たわけでございます。
 そこで、そういう機会でございましたので、私としても我が国の立場を十分話すことができましたし、大統領も遠慮なくアメリカの立場、また我が国に対するいろいろな要請についても話をされました。そういう点では、個人的にもいい、知り合う、信頼し合う機会であったと考えます。
 例えば、アメリカは経済面、貿易面で当然のことながら非常な関心を持っておるわけでありますが、それは、私は、両国間で、もう考えてみると十何年もお互いに最善を尽くしてきた問題であって、なおしかし、こうやって貿易の赤字、黒字の関係が直らない、さらにお互いに努力を続けなければならない問題だろうということで過去の事情を話もいたしました。
 クリントンさんとしては、過去の努力をさらにこの際もう一度、新しい、フレームワークという言葉を使われましたが、いわばそういう枠組みの中で両国の間で話していこうではないか、私は、それはこういう新しい状況の中でまことに結構なことでございますから、もちろん、貿易、経済だけでなく、例えばハイテクノロジーの問題もございますし、環境の問題もございます。あるいは職業訓練というような問題もございますから、そういうものを全部ひとつ含めて両国間の幅広い関係をこれからそういう仕組みの中で話し合いをしようではないか、いたしましょうということで合意ができまして、この七月に東京にサミットがございますが、そのときにクリントンさんが来られる、それまでに大体のそういう枠組みを相談しようではないかということになりました。
 私としては、それはもとより大切な、結構なことであって、貿易、経済が主たる関心であることはよく理解をするけれども、問題は、やはり双方のお互いの問題を議論し合うということでなければならないし、また、巷間伝えるところでは、日本に対するアメリカの輸出について、一定の数量的な目標を合意してそれを達成するというような話を巷間する人があるけれども、お互いに市場経済の立場の国でそういうことは適当ではない、適当でないのみならず、そういう約束をしても守ることができない、市場経済ではそういうことはできないし、また、ビジネスとしても、何年先に何を幾ら買いますということは、値段もわからず、品質もわからず、納期もわからないものを、そういうことはもともとできるはずはないわけでございますから、そういうことは私は考えるのは適当でないということを申したようなことでございました。
 かなり率直に話をいたしましたので、それはそれだけ両国の関係が遠慮のないものになったというふうに私は満足をしておりますが、その中で、為替のことをただいま御質問がありまして、これも報道等々でクリントン大統領が円高をいわば奨導されたのではないかという報道がございました。
 これは、実は私ども首脳会談の後、記者会見がございましたときに、クリントン大統領に向けられました質問に大統領が答えられたので、私はそれを横で聞いておりました。私に対する質問ではございませんで、聞いておりましたが、そのときに、両国のこの貿易バランスを改善する幾つかの方途として、アメリカとしては、例えばアメリカ自身の競争力の問題であるとか、あるいは為替の問題であるとか、あるいは日本における内需拡大のための経済政策、これはごく最近とられたのであるが、そういうものであるとか、また個々の品物のセクター別の交渉とか、そういう幾つかのものがあるという答えを大統領がしておられました。これは私、聞いておりまして、特に円高をどうという意図で大統領が言われたようには私は思いませんでしたし、またそのような質問も実はその場ではございませんでした。
 そういうふうに私は事柄を理解しておりますけれども、と申しますのは、もともと変動相場になりましてから、御承知のようにG5とかG7とかいう場で各国の蔵相・中央銀行総裁が為替の問題について協議をいたしております。御承知のように、そのために大蔵大臣、今立たれたところでございます。この月末に行われるわけでございますが、そういう伝統的な考え方は、やはり為替というものは各国の経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい、それでG7等の場でマクロ経済の調整をする、こういうのが伝統的な考え方で、アメリカ自身もそういう伝統的な認識に長年立ってきておるわけでございます。
 したがって、そういう為替のごく安定的な推移が望ましい、それが世界経済の振興に役立つということでありますが、万一、万一、為替相場が思惑等で短期的のうちに何か、あるいは投機的な不安定な動きを示すときには、これは当然のことであるが対応する、場合によっては、お互いに共同の上で対応する、これも伝統的な考え方でありますが、そのような伝統的な考え方は、もとより私は変化をしていないというふうに考えておりまして、このたびの会談そのものは、全体的にお互いに十分考えを交換し合う場であったというふうに考えております。
 次に、我が国の対日政策について、この際、はっきりしておくことが必要だという御指摘がございました。
 我が国の対ロ外交の課題は、第一には、領土問題を解決して、長年の懸案であります平和条約を締結する、それによりまして初めて国交が完全化する、正常化するということでございますが、第二に、現在、ロシアが行おうとしております改革について、我が国としてもこれを支持し、そのために応分の支援を行っていくということでございます。これにつきましては、先般、御指摘のように、対ソ支援のための七カ国の蔵相・外相会議を我が国が主催をいたした、これは御指摘のとおりのことでございます。
 第一の領土問題の点につきましては、今さら申し上げるまでもございませんが、第二の点を敷衍して申しますならば、今ロシアが努力しておりますいわゆる経済面での市場経済化、あるいは政治面と申しますか、政治、社会生活面での民主主義、そうして外交面でのスターリン主義による拡大政策への批判、修正、法と正義による外交という、その三つのロシアが志向しておりますところは、これが実現いたしますならば、これはもとより世界全体にとっての幸せでございます。多大な利益をもたらすものでございますし、隣国である我が国にとりましても、それが利益でありますことは申すまでもございません。また、いわゆるスターリン主義の外交、拡張主義の外交という点については、その具体的な残滓が北方領土問題である、そういうものとして北方領土問題が残されているというふうに考えておるわけでございます。
 以上が、我が国として、領土問題を解決して平和条約を締結することによって、両国関係の完全正常化を図ることを追求しながら、G7諸国との協力を密にして対日支援をする、そういう考え方の基本でございます。
 かつて政経不可分と言った、今は拡大均衡と言うようであるがということにつきましてでありますけれども、どの国でも政経不可分は本来基本的な関係だと思いますけれども、ソ連と我が国との間では、かつてソ連邦が、領土問題というものがあるということすら実は認めなかった、それを否定するという時代が長く続きました。そういう中で経済面だけをやろうというのは、それはゆがんだ関係であって、そういうことは無理ではないかというのが政経不可分という主張であったわけでございます。
 御承知のように、ゴルバチョフさんが来日されましてから、領土問題というものはあるということを現実にソ連側が確認をし、認めるようになりました。そして、エリツィンさんは、法と正義に基づいてその処理をしようと言っておられる方でございますから、この問題を認めないという問題はなくなった。したがって、政治、経済の両面でお互いの動きがお互いにいい影響を及ぼすという意味で拡大均衡という言葉を用いておりますわけであります。
 経済面における大規模かつ本格的な協力ということになりますと、これは国民の全体の大きな支援が必要でございます。そういうことを考えましても、政治面における関係が十分に考慮されなければならない、こういうことは当然であろうというふうに思っておるわけでございます。
 それから、モザンビークの問題についてお尋ねがございました。
 平和協力法によりまして、カンボジアにおきまして、自衛隊を初めたくさんの諸君が国づくりに大変に汗を流してもらって、国民の支持を受けていることは大変喜ばしいことでございますが、そういう経験はございますけれども、今度のモザンビークは、カンボジアとはいろいろ御指摘のように事情が違っております。第一、国民の多くが、それはどこにある国かなというぐらいの認識しか持っていないという点でも違いますし、我が国は、実は正常な大使館というものを置いておりませんで、隣から兼轄をしておりますし、在留邦人の数も少のうございます。したがって、そこで果たして我が国の部隊が有効な活動ができるかどうかということは、カンボジアとは違いまして、よほど慎重にしなければならないというふうに考えてまいりました。
 そもそも、国連の要請とはいえ、部隊なりたくさんの人を遠い外国へ出すということは、これは重大なことでございますから、軽々に考えていいことではない。そういう立場に立ちまして、何度か現地の調査をいたしました。またその中で、輸送調整とはどういうことであるのかということも知らなければならないと思って、そういうことも調査をいたしました。その結果、我が国としては、大使館の事務所を設けることができるというようなことのめども立ちましたので、このたび、この輸送調整を主として、我が国からこの平和協力業務に参画をしようということを決定をいたしたのであります。
 これによりまして国連の平和維持活動に貢献できると思いますが、カンボジアとはまた事情が違いますので、任務の有効的な遂行それから安全等々につきましては、十分配慮をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#16
○国務大臣(河野洋平君) 私に対しますお尋ねは、モザンビークヘの要員派遣の具体的なスケジュール、日程はどうかということでございました。先遣隊については五月十一日をめどに、本隊については五月十五日をめどに日本を出発させるという予定をいたしております。現在、五十三名の要員の最終的な選考を進めておるところでございます。
 以上です。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#17
○国務大臣(武藤嘉文君) 佐藤議員にお答えをいたします。
 私からは、まず、モザンビークヘの要員派遣に関連して支援体制をどうとっていくのかということでございます。
 現在、モザンビークは近隣の在ジンバブエ大使館が兼轄しておりますけれども、今回、国連モザンビーク活動への我が国の要員派遣が正式に決定されたことを踏まえまして、我が国の国際平和協力業務が行われる間及びその前後の期間、首都マプトに臨時に事務所を設けまして、モザンビーク政府やONUMOZとの連絡、調整や、派遣要員に対する適切な支援等に当たらせることにしております。さらに、南アにあります大使館、ジンバブエにあります大使館などの関係在外公館にも必要な協力を行わしめようとしております。
 次は、カンボジアの総選挙に対しましていろいろ妨害なども予想される、同国の将来のため引き続き積極的に貢献することが必要と考えるが、いかがかということでございました。
 現時点では、総選挙が予定どおり安全裏に実施されることが最も重要でありまして、我が国といたしましては、和平プロセスが予定どおり進められるように、シアヌーク殿下及びUNTACの魅力を全面的に支持していく考えであります。
 我が国といたしましては、従来よりカンボジアに対しまして、人道分野における二国間援助、国際機関を通じた援助を実施するとともに、経済社会基盤整備のための協力を実施してきております。今後とも、カンボジア側のニーズを踏まえまして、適切な協力を行っていく考えであります。さらに、カンボジアに対する国際的支援体制であるカンボジア復興国際委員会の議長国でもございますので、同国の復旧、復興を積極的に支援していくためのイニシアチブをとってまいりたいと思います。
 次に、新たに派遣される選挙要員を含め、UNTACの活動に従事している要員の安全確保に対して、UNTACにおいてどのような方策がとられておるのかということでございますが、UNTACにおける要員の安全確保のための措置としましては、例えば、情勢の厳しい地域を担当するUNTACの選挙チームにUNTACの歩兵部隊の要員を同行させ、また、UNTACの要員が情勢の厳しい地域に宿営する場合には、歩兵部隊の宿営地に宿営させる等要員の安全確保に努めていると承知をいたしております。
 また、UNTACは、要員の安全確保のために次の措置を決定ないし検討中と承知をいたしております。
 一つには、UNTAC要員の安全確保を含む総選挙のための安全措置について、選挙に参加するカンボジア三派との間で合意をした。二番目、国連ボランティア選挙要員の安全確保のために、同要員の一部地域からの配置がえ等の措置を決定した。三番目は、遠隔・過疎地などにおいては、固定投票所の設置にかえて移動投票所を設けることにより、選挙要員の安全を図ること。そんなようなことをUNTACは決定ないし検討中と聞いております。
 我が国といたしましては、我が国要員を含むUNTAC要員の安全確保は、何にも増して重要と考えており、従来よりカンボジア各派に注意を促すとともに、UNTACに対しましても再々申し入れを行ってきたところでございます。
 なお、緊急事態が発生した場合、我が国としてUNTACと緊密に協議を行うとともに、一定の地域に配備されているインマルサット等を利用して各地の邦人要員の安否を確認することとしていますが、さらに、大使館を通じて情報収集を行うなど、状況を的確に把握し、我が国要員の安全確保に努める所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(櫻内義雄君) 嶋崎譲君。
    〔嶋崎譲君登壇〕
#19
○嶋崎譲君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいま報告のあったカンボジア、モザンビークのPKOに関する閣議決定について、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。
 まず初めに、PKO問題に先立ち、先般行われた日米首脳会談に関連し、緊急質問を行います。
 日米首脳会談に際し、クリントン大統領の発言をきっかけに円高が急速に進み、日本経済に重大な影響を与え、さらに対日輸出の拡大のためのアメリカ側の具体的要求として、包括的協議機関の設定が具体化しつつあります。このような結果を招いたことは、クリントン政権の対日政策に対する宮澤総理の認識の甘さが露呈したものと判断せざるを得ません。
 総理、経済同友会の首脳らが、政治家が為替について勝手なことを言うのは、米国であろうが日本であろうが不謹慎だ、企業は今まで何度も円高を吸収してきたが、一ドル百円台になれば状況は違う、本質的な体質改善をしなければ間に合わないと発言し、今回の円高急騰を口々に非難しています。急速な円高が世界経済に与える影響を考慮に入れ、国際的な協調の新しい動きも見られますが、ようやく明るい兆しが見え始めた景気に水を差しかねないという見方が強いようです。総理はどのように判断されていますか、まず伺いたい。
 政府経済見通しは、一ドル百二十二円八十銭としていたが、一ドル百円台となった場合、九三年度経済見通しにどのような変化が予測されるか。民間の研究所では、一ドル百五円を前提とすると、実質経済成長率が政府の三・三%見通しに対し一%台に転落するのは確実で、貿易黒字もドル表示価格がはね上がることでさらに膨らんでしまうとし、円高が貿易不均衡を解消するのは望み薄と見ているが、どう判断されますか。
 さきの日米首脳会談とその後の米国の閣僚の発言によれば、クリントン政権の通商政策は、円高と内需拡大に加え、半導体など七つの分野で目標数値を定め、日本側の輸入拡大や市場開放を迫るという三段構えてあります。
 総理は、分野別の目標設定に対し、管理貿易につながると拒否されたやに聞いております。しかし、考えねばならないことは、これまで、例えば日米半導体協定で外国製半導体の日本市場シェアを、協定前八%だったものを二〇%に引き上げるために日本政府が努力することを内容とし、その実現に努力した経験に見られるように、日本政府が管理貿易的手法をとってきたことを考慮し、日本は人為的に管理可能な市場だと判断させているのではないですか。貿易不均衝を盾に強いられる面があると同様に、欧米の市場とは異なり、操作可能だと外国に思わせる異質性や閉鎖性を改革していくことが緊急なのではないかと考えますが、総理の見解を伺いたい。
 要するに、首脳会談を通じて日米政府間の認識の差が極端に大きくなっています。円高に伴うデメリットをどのように企業体質改善に生かすのか、メリットを生かし、輸入関連産業や政府が抑制している分野での円高差益還元や円高効果の積極的導入などの経済政策を、今こそ国民の前に明らかにすべきであります。総理の見解をお聞かせ願いたい。
 さて、PKO問題に入りたいと存じます。
 カンボジアで国連ボランティアとして活動していた中田厚仁さんが殺害されるという痛ましい事件が起きました。身の危険を感じながらも懸命に活動していた彼だけに、心から改めて中田さんとその御家族の皆さんに哀悼の意を表明いたします。
 今回の事件に関連して、国連カンボジア暫定行政機構、UNTACの捜査結果が近く発表される予定と聞くが、また報道によれば、殺害者はいわゆるポル・ポト派ではないと伝えられているが、政府は、真相の究明、犯人の特定、公平な措置がとられるよう、UNTACに強く求めるべきであります。今日まで政府がとってきた措置について報告をしていただきたいと存じます。
 政府は、昨日、モザンビーク共和国における国際平和協力業務の実施及びUNTACへの選挙要員の派遣等について閣議決定いたしました。国連モザンビーク活動参加のための専門調査団の宮澤総理への報告書によれば、PKO協力法に基づく参加条件である停戦の合意の原則は満たしているとした上で、任務の遂行は十分可能と結論づけています。
 報告書では、まず現状について、主力展開は当初予定より約一カ月おくれて五月になると予想し、政治状況では、紛争当事者間の停戦合意は守られていると強調しています。しかし、和平プロセスについて、政府とモザンビーク民族抵抗運動との具体的な交渉が進展しておらず、選挙実施の前提の武装解除が進んでいないとも指摘しています。選挙も予定の今年の十月は不可能で、早くとも来年五、六月ごろとの見方が一般的であるとしています。また、政治的意図での武装攻撃は発生していない、首都マプトの治安も安定していると指摘しています。
 このような情勢判断の中で、四月二十三日付で国連事務総長から我が国に対し、国連モザンビーク活動への輸送調整部隊四十八名及び司令部要員五名の派遣要請がなされ、活動期間は五月から六カ月間が想定されています。
 この実施計画の決定に当たって、政府はPKO五原則、特に停戦の合意、武装解除の可能性についてどのように判断されたか、改めて明らかにしていただきたいと存じます。また、軍事部門の中での輸送調整部隊の活動への派遣ということですが、その内容、範囲について明らかにしていただきたい。
 特に、司令部要員五名については、カンボジア派遣の場合は当初は明らかにされず、その後、連絡将校という日本側の解釈で派遣してきたが、今回の国連モザンビークの活動への派遣に当たっては、その要員を明記しています。この司令部はUNTACの司令部と同様のものなのか否か、またこの業務は、中長期的な業務計画並びに輸送に関する企画及び調整とあるが、その任務の内容を明確にされたい。
 さらに、軍事常識では、司令部での幕僚活動が後方支援業務と呼べないのは言うまでもないことであります。また、PKO協力法の附則二条で、PKFの本体業務は凍結されています。その意味で、国連モザンビーク活動の司令部への派遣は、個人参加とはいえ、PKF本体業務に直接関係するものであり、憲法の精神はもとより、PKO法との整合性を欠くものと言わざるを得ません。明確な答弁を求めます。
 カンボジア国際平和協力業務計画の変更として、選挙に関する業務を追加したが、これまで、他国部隊に対する物資輸送、医療などを追加した経緯があります。ここに言う選挙に関する業務の内容、活動地域の範囲、安全の保障などについて、明確な答弁を求めます。
 今日まで、なし崩しでPKO業務が拡大されています。国会審議の過程では、さまざまなケースを想定し、何をすべきか、何をすべきでないかが明らかにされ、それに基づいて政府は実施計画と実施要領を作成したはずであります。ところが、閣議決定による実施計画の変更については国会報告の義務があるにもかかわらず、紙切れが議員のもとに届いているのかどうかさえ不明確であります。このような傾向は国会軽視であるとともに、なし崩し的に法の枠組みを崩すおそれありと言わざるを得ません。総理の弁明を求めます。
 日本社会党は、カンボジアにおける深刻な情勢について、これまでも何回となく懸念を表明してきたところであります。カンボジア情勢がますます深刻になっている今、改めて政府の対応について質問をいたします。
 第一の問題は、カンボジアに関するパリ和平協定の合意内容と現在のカンボジア情勢をどのように見るかという問題であります。
 同協定にある武装解除は、完全には実施されておりません。加えて、停戦の合意に反する戦闘が各地で継続しています。総選挙の活動が始まり、五月の投票日が近づくにつれ、さらに不安定な要因が増加しつりあります。UNTACが最も重視している自由、公正、中立の総選挙が、現在の情勢の中で実施できる見通しを持っているのかどうか、PKO部隊を派遣した政府の責任において、政府みずからの判断を求めます。
 とりわけ、パリ和平協定の完全実施に重要なかぎを握っていると見られるポル・ポト派は、同協定を遵守し、SNCから離脱することもないとしながらも、最近、プノンペン事務所を閉鎖し、また、総選挙は安全な状態では実施されないであろうとして、総選挙を武力で妨害する意図を示唆したとも伝えられています。他方、SNC議長のシアヌーク殿下は、すぐに撤回はしたものの、挙国一致内閣の構想を提案しています。こうした流動的で緊迫した情勢にあって、パリ和平協定に基づく和平のプロセスが当初の計画どおり実施できる見通しを政府は持っているのでしょうか、明確な答弁を求めます。
 第二の問題は、PKO協力法に規定されている五原則との関係であります。
 同法案の審議に際し、政府や自民党の諸君は、PKO部隊は戦場に送るのではない、鉄砲の弾が飛ぶようなところに派遣するのではありませんなどと力説してきました。鉄砲の弾だけでなく、砲弾、ロケット弾さえ飛んでいるでは奉りませんか。また、外務省の担当者は、法案審議の答弁で、PKO活動での死亡者は事故や病気によるものがほとんどだと強調していましたが、現在のカンボジアの情勢を見れば、これらの政府の説明は、PKO協力法を無理やり押し通すために国民を欺く方便だったとしか言いようがないのであります。
 総理は、PKO部隊が応戦するような事態になれば、PKO本来の使命はなくなってしまうと答弁していますが、カンボジアでは憂慮すべき状況にますます近づいているのであります。あってはならないことですが、派遣の自衛隊部隊が戦闘に巻き込まれるとすれば、また万一、死者が出るとすれば、そのような政治的な責任は極めて大であります。
 政府がUNTACの状況判断に任せ、停戦の合意が崩れていないと繰り返すのは誤りであります。日本のPKO部隊の派遣は、PKO協力法に基づくものであり、PKO五原則を厳しく解釈して対応するのは当然であります。現在のカンボジア情勢からすれば、特に停戦の合意、UNTACがすべての紛争当事者から中立であるべきとの原則は満たされていないと見るのが妥当であります。政府はこの際、独自の検証と情勢分析により、派遣部隊の撤収を含め、慎重に対処すべきだと考えますが、総理の見解をお聞きします。(拍手)
 また、危険の度合いが高いと見られる選挙監視員五十人の派遣に関連し、辞退者が出ている現状のもとで、安全の保障について政府はどのような対策を考えているのか、確認しておきたいのであります。
 第三は、ポストUNTACに日本がどう協力するかという問題であります。
 五月選挙、九月UNTAC解散という計画は不動であると、ガリ事務総長も明石代表も再三確認しています。当初の計画どおり自衛隊をこの時期に撤収させるのかどうか、政府の判断を示していただきたい。
 総選挙後の政治情勢は極めて不安定となることが予想され、アンゴラと同様、新政府に対する内乱の再発の可能性も否定できません。このような情勢を政府はどのように見通しているか、お聞きしたい。
 また、ポストUNTAC情勢のもとで、数千人規模の新たな国連プレゼンスをカンボジアに置くことについて、明石代表も言及していますが、新たな国連プレゼンスを安保理事会が承認した場合、パリ協定に基づくUNTACではなしに、新政府のもとでの国連プレゼンスとなるため、PKO協力法による自衛隊の派遣と違った形式にならざるを得ないと思うが、政府の判断をお聞かせいただきたいと存じます。
 第四には、国連のガリ事務総長が、昨年六月の「平和への課題」という報告で、平和執行部隊の構想を提起し、一部で実行に移されていることについてであります。
 冷戦終了後、地域紛争が顕著になっているのは事実でありますが、問題は、カンボジア、モザンビーク、旧ユーゴスラビアなどを初め、これらは国際紛争というよりは、それぞれの国の国内問題であります。これに対し、紛争当事者のPKO受け入れの同意を条件としないで国連がPKOを派遣することは、国家主権の尊重、内政不干渉の原則から、途上国には強い反発があります。言うまでもなく、我が国の場合、憲法の武力の行使の禁止、PKO五原則からして、我が国がガリ提案の平和執行部隊に参加できないのは当然であります。政府はガリ報告について、日本は参加できないとしながらも、将来の構想としては評価しているようでありますが、総理の見解をお伺いしたい。
 さらに、河野官房長官が、アメリカ政府がまだ検討の段階にあるボスニア・ヘルツェゴビナへの空爆を支持すると発言したやに伝えられていることは、重大であります。政府はこの紛争に、平和的に解決すべきどのような姿勢をしたというのでしょうか、弁明を求めます。
 最後に、国際協力のあり方について、総理並びに外務大臣の見解をお聞きしたいと存じます。
 日本社会党は、PKO協力法の審議の際にも、非軍事、文民、民生を原則とする法案を提案し、初めに自衛隊の派遣ありきではなく、平和憲法の精神に沿う国際協力の実施を主張しているのであります。今ポル・ポト派は、カンボジアのPKO部隊がプノンペン政権派に偏るとして、日本を新たな敵であると公言しています。このような事態は、初めに自衛隊派遣ありきという政府の政策が、今や危機に直面していることを意味しているのであります。
 我が党は、冷戦後の国際情勢の変化に応じて、自衛隊を大幅に縮減し、別組織による平和的な国際協力を推進すべきだと強く主張してきましたが、PKO協力法の見直しを含め、総理の見解をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 円高の問題につきまして、クリントン大統領の記者会見の様子は先ほど佐藤議員に御説明を申し上げましたので省略をいたしますが、いずれにしても、急激な円高は、輸出産業の円建ての手取りを減少させることはもちろんであります。そういう意味から企業の収益を圧迫する、企業活動に悪影響を与えますから、我が国経済の内需拡大にはならずに、むしろその内需拡大のための努力を阻害する、短期的にはそういう結果になることを心配いたします。
 このような認識に立ちまして、先般の新総合経済対策におきましても、円高等の影響をこうむっております中小企業に対する低利融資の特別枠を設定するなどの措置を盛り込んでいるところでございます。
 なお、一般的には、先ほど申し上げましたとおり、伝統的にG7の考え方は、為替相場は経済のファンダメンタルズを反映すべきものであるから、そうして安定的は推移しなければならないので、各国のマクロ経済政策を調整をする、それによって世界のインフレなき経済の拡大を図るという、これが先進国の基本的な認識でありますし、また、数日中に開かれますG7におきましても、恐らくそういう流れての議論が行われるのではないかと考えております。もとより、短期的に投機的な動き等によりまして為替相場が不安定な動きを示しますときには、これに対応することもまたもちろんのことでございます。
 経済見通しの作成に当たりまして、一定の円の水準を確かに想定はいたしておりますけれども、為替レートが一時変動するというようなことが、その一年間の経済見通しの計数に直接にどういうふうな影響を及ぼすかということは、必ずしも正確に申し上げることが困難でございますことは、嶋崎議員にも御理解をいただけることだろうと思います。
 それから、貿易収支に与える影響につきましては、これももう申し上げるまでもないことですが、中長期的には、これはやはり為替の黒字を縮小する、当然そうなるべきものでございますけれども、短期的にはかえって、いわゆるJカーブ効果が働くということも、これももう申し上げるまでもない、御承知のとおりのことでございます。
 貿易不均衡を盾にいろいろ強いられる面がある云々ということにつきまして、やはり基本的には、我が国が内需拡大のための先般のような経済対策を立てまして、そして内需主導型の経済成長を定着させるということ、そして一般的な市場アクセスをさらに自由にするということが重要と存じます。今後ともそのような経済拡大、経済運営に努めてまいりたいと思いますが、なお、たまたま半導体につきまして二〇%という目標が達成されましたために、日本の市場というものはそのような政府による操作が可能であるという、これは明らかに誤解でありましたが、そういうことが今後あってはなりません。いろいろな機会にこの点は明確にいたしてまいりたいと思っております。
 為替レートにつきましては、先ほども申し上げましたプラス・マイナス、いろいろな面がございます。また、短期、長期にもいろいろな面がございますけれども、大きな変動というものはもとより、急激な変動は回避をしなければなりません。今回の経済総合対策におきましても、片方で中小企業等に対する低利融資の特別枠をつくりました。また他方で、円高効果が物価面に好ましい影響を与えるべく、状況を的確に把握する努力もいたしておるところでございますし、続けなければならないと考えております。
 モザンビークの問題でございますが、一九九二年の十月にローマにおきまして、モザンビーク政府と反政府民族抵抗運動、RENAMOとの間で停戦協定ができた、合意ができたわけでございます。それは今日でも保たれておりますし、国連のONUMOZについても、モザンビーク政府も反政府側も、いわゆるRENAMOの方も、双方とも受け入れております。また、ONUMOZは両方に偏ることなく活動いたしておりますので、国際平和協力法上の五原則は満たされておるものと考えております。
 武装解除などが当初の予定よりおくれておるようでございますので、今後、和平プロセスの中で各国の部隊、要員が展開いたしましたら、武装解除も進捗するであろう。つまり、国連の部隊が展開しておりませんものですから、片方だけが武装解除をするということに疑心暗鬼がございますので、国連が展開した後であれば、双方とも武装解除をしてもいいというふうに理解をいたしておりますので、国連の展開とともに進むであろうというふうに思っております。
 今度のモザンビークの活動の司令部への人員を派遣することについてでございますが、これは部隊でなく、国際平和協力法に基づく個人派遣でございます。個人派遣でございますけれども、もちろん国際平和協力法に反するような活動に従事しないということは、実施計画上も明らかにいたしてございます。
 これにつきましては、国連の方から要請がございました。輸送調整をするときに司令部の方針というものを知っておってほしい、それは無理もないことでありますし、また、我が国の活動といたしましても、業務の遂行上、司令部と連絡をすることは有効であると考えまして、そういうことをこの際いだそうと考えておるわけでございます。
 それから、国会への御報告の義務が怠りがちであるということにつきまして、実施計画の決定、変更がありました際には、法七条の規定に基づきまして遅滞なく国会に御報告をしておりますし、委員会等の御質疑にはお答えをいたしております。昨日は、モザンビークの実施計画及びカンボジアの業務実施計画の変更を決定いたしましたので、国会に本日御説明をさせていただいたところでございますが、今後十分この点、気をつけてまいります。
 それから、今のカンボジアの状況でございますが、ポル・ポトの武装解除が進捗をいたしませんで、全体に武装解除が計画の中途で中止されましたことは、まことに遺憾なことであります。その結果として、選挙の施行もいろいろ障害を受けますし、またポル・ポトは選挙への参加を拒否するというようなことで、それらのことはまことに遺憾なことですけれども、基本的に停戦の合意が破れたとは思っておりません。ポル・ポト自身もパリ和平協定は遵守すると言っておりますので、その点は、パリ協定の枠組みが壊れたとは思っておりません。
 今の段階としまして、パリ和平協定の目的は、要するに制憲議会をつくりまして、そして国づくりをする、そのための公正な選挙を行うということでございますので、ポル・ポトはこれに協力的ではございませんけれども、UNTACとしてはいずれの紛争当事者にも偏ることなく、この選挙がともかく平穏に行われるという努力をいたしておりますので、そういう意味でUNTACの活動の中立性は保たれておるものと考えております。したがいまして、法律上の五原則は満たされていると考えておるところでございます。
 それから、ブトロス・ガリ国連事務総長の提案に係る平和執行部隊についてお尋ねがございました。
 恐らく、世界各国で国連のプレゼンスが求められておりまして、なかなか有効にそれが機能いたしませんので、ブトロス・ガリ事務総長としては、あれを思い、これを思いしてああいう提案をされたものと思います。
 そのようなイニシアチブあるいはその背景は理解ができますけれども、しかし、かつて国連はそういう活動をしたことはございませんのですから、そういう新しい問題については、これから我々が国連で検討しなければならない問題である。もちろん、我が国もその検討に参加するのにやぶさかではございませんけれども、検討に参加するということと、我が国がそういう活動に従事できるかということとは、もとより全く別の問題でありまして、我が国としては、国際平和協力法のその枠組みでしかこういう協力はできない、それを超えてすることはもとよりできないというふうに思っております。ただ、この議論にはもとより参画することは有用であろうと思っております。
 それから、防衛計画の大綱のことでございますが、これは昭和五十一年につくられました考え方でございますが、仮想敵を置かずに、基盤的な防衛力を整備するという考え方そのものは、そのものは、私は今日でも恐らく間違っていないと思います。ただ、長い年月がたちました。殊に国際状況がこれだけ変わりましたので、それはそうであっても、やはり私は一度見直す必要がある。仮に似たような結果になるかもしれませんけれども、これだけ情勢が変わり年月がたっておりますので、見直すことが必要だというふうに考えております。
 それから、最後のところで、この平和協力について、自衛隊とは別組織を通じての協力の方がやはり適当なのではないかという御指摘がありました。
 この点は、法の御審議の際にも随分御議論のあったところでございますけれども、今度カンボジアでの活動を見ておりますと、やはり自衛隊が長年にわたって蓄積いたしました技能、経験、組織的な機能が私はよく生きておったというふうに考えております。恐らく国民もそう思っておられるのではないかと思いますので、ただいまのようなやり方の方がより有効に国際的な貢献ができるのではないかと考えております。
 残りの問題につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#21
○国務大臣(河野洋平君) 嶋崎議員のお尋ねにお答えをいたします。
 お尋ねがございましたONUMOZの司令部は、UNTACの司令部と同様のものだというふうに理解をいたしております。その具体的な任務は、本部の司令部におきまして輸送調整の業務または計画の業務を行い、地域司令部においては輸送調整の業務を行う、これが今回の司令部への派遣要員の任務でございます。
 カンボジアPKO実施計画の変更として選事業務を追加したが、ここに言う選挙に関する業務の内容その他説明しろ、こういうお尋ねでございました。
 UNTACより我が国施設部隊に対する指図の内容は、選挙のための人員及び物資の輸送、選挙のための物資の保管、選挙要員等に対する給食、選挙要員等に対する宿泊または作業のための施設の提供等の業務でございます。活動地域は、タケオ州、カンポート州などの実施要領に記載された地域が想定されております。
 安全に関しましては、我が国としてあとう限りの努力をすることは言うまでもございませんが、第一義的には、国連が、国連の活動として参加している隊員の安全確保のための方策をとることとされておるわけでございます。現在、UNTACにおきまして、選挙に向けて要員のさらなる安全確保について検討されていると承知しており、政府としても関連の情報収集に努めておるところでございます。
 危険の度合いが高い選挙監視要員の安全確保策についてお尋ねがございました。
 今申し上げましたように、これもまた第一義的には、国連の安全対策によるところでございます。UNTACにおきまして、選挙に向けまして、要員の安全確保策の検討が進んでおると承知しておりまして、この情報収集にも当たっております。
 さらに、我が国といたしましては、在カンボジア今川大使より明石UNTAC代表に対して、累次安全確保の申し入れを行っておりますが、我が国独自でも、要員の派遣に際しまして、事前の研修、安全確保のために必要な装備品の支給を行うとともに、現地の情勢等の必要な情報収集を行いつつ、安全確保に十分留意をしているところでございます。
 UNTACの活動予定期間終了後のカンボジアに対する国連の関与の有無等についてお尋ねがございました。
 関与の有無、その形態等につきましては、現時点では明確に申し上げることはできません。その時点で、国連より我が国に対し、さらに協力の継続の要請がなされるか否かについても、現在はまだ申し上げる段階ではございません。現時点におきましては、したがいまして、当初の計画どおり、すなわち、本年十月末までに派遣を終了させる予定をいたしております。
 カンボジアにおきまして、新政府が成立をいたしまして、UNTACの任務が終了した後の国連の関与についてお尋ねがございましたが、一般論としては、カンボジア新政府が希望をし、安保理がこれを承認する場合には、国連が何らかの形で関与し続ける可能性はございます。このような場合に、我が国がこれにいかなる形で協力するかは、今後の情勢の推移を見きわめつつ判断されるべきものと考えまして、現在申し上げる段階ではないと存じます。
 私の、ボスニア・ヘルツェゴビナに対します発言についてお尋ねがございました。
 現在、ボスニア・ヘルツェゴビナには経済制裁が行われておると承知をいたしております。現在の状況で、人道的な見地に立ちまして、いかなる状態の改善も見出せないということになれば、恐らく国連安保理でそうした問題解決のための議論が行われるというふうに想定をされる、その場合について発言をいたしたものでございます。いずれにせよ、そうした議論は、現在具体的にはなされておるわけではございませんので、誤解を招くような発言は今後気をつけたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#22
○国務大臣(武藤嘉文君) 嶋崎議員にお答えをいたします。
 まず、中田氏の殺害事件の真相究明についてUNTACに強く求めているが、我が国が今日までとってきた措置いかんということでございます。
 政府といたしましては、UNTACに対しまして、この事件の迅速な事実の究明につきまして、今川大使より直ちに申し入れを行いましたほか、このような痛ましい事件が二度と起こらないよう関係者に対し強く求めたところであります。UNTACとしては、鋭意真相究明に努めてきており、多分本日中にも捜査結果の発表が行われるのではないかと思っております。
 また、要員の安全確保につきましても、特段の措置を講じるよう直ちに今川大使より明石代表に申し入れ、これに応じ、UNTACは国連ボランティアの安全確保のための具体的措置について、御承知のとおり四月十四日に発表したところであります。
 次の御質問は、UNTACが最も重視している自由、公正、中立の総選挙が現在の情勢の中で実施できる見通しを持っているのか、こういうことでございます。
 カンボジアにおきましては、最近も暴力事件等が発生し、確かに不安定な要因はありますけれども、UNTACは自由かつ公正な選挙の実施、その前提となる中立的な政治環境の維持のために最大限努力をしておるわけでありまして、我が国もこのような努力を全面的に支持していきたいと思います。
 総選挙を予定どおり実施するとの国際社会の決意は、三月八日採択された国連安保理の決議並びに四月二十三日に発表されたパリ和平協定署各国の共同声明においても確認をされております。カンボジアの国内におきましても、四百七十万人に及ぶ有権者の登録が行われていること、選挙運動が現在各地で行われていることにも見られるとおり、選挙の実施はカンボジアの国民の大多数が熱望しているところでありまして、ぜひ実現する必要があると思います。
 我が国としましても、パリ協定署各国といたしまして、かかるカンボジア国民の希望にこたえ、予定どおりの総選挙実施のため、UNTAC、関係諸国とともに努力をしてまいります。
 次に、流動的なこのカンボジア情勢にあって、パリ和平協定に基づく和平へのプロセスが当初の計画どおり実施できるのか、こういうことでございます。
 我が国といたしましては、選挙を経て、新憲法の制定、新政府樹立に至る時期がカンボジアに永続的和平を確立する上で極めて重要な局面と認識をしております。このような状況のもと、種々の困難にもかかわらず、和平プロセスが予定どおり進められるように、UNTACの努力を全面的に支持するとともに、カンボジアの当事者間の対話の維持を図っていく考えであります。
 次に、カンボジアの総選挙後の政治情勢は極めて不安定になることが予想されるが、その情勢をどう見ているかということでございますが、我が国といたしましては、新政府樹立後のカンボジアの政治的安定を図り、永続的和平を実現する上でも、総選挙から憲法制定、新政府樹立に至る過程が迅速かつ安定的に推移することが重要であると考えております。かかる観点から、四月二十三日に発表されたパリ協定署各国の共同声明により、選挙結果を尊重するよう各派に呼びかけたところであります。
 また、カンボジアに永続的和平を実現するには、選挙後の時期においても、国民和解に向けた努力が継続される必要があり、この点においては、シアヌーク殿下の役割が極めて重要であると考えております。
 最後に、冷戦後の国際情勢の変化に対応して、我が国の国際協力のあり方、特にPKO協力法の見直しなどを含めてどう考えるか、見解を示せということでございますが、これは今総理から御見解が表明されました。私も内閣の一員として総理と全く同じでございます。(拍手)
    〔国務大臣中山利生君登壇〕
#23
○国務大臣(中山利生君) 嶋崎先生の私へのお尋ねは、ONUMOZにおける輸送調整部隊の業務のことについてであると思いますが、この輸送調整部隊は、輸送それ自体を行うものではなく、司令部の作成した輸送計画に基づいて、人員及び物資への輸送手段の割り当て、通関の補助その他輸送に関する技術的調整に係る業務を行うことと承知しております。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(櫻内義雄君) 東祥三君。
    〔東祥三君登壇〕
#25
○東祥三君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、今政府より報告がありました「ガンボディア国際平和協力業務実施計画の変更」並びに「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」に対して、若干質問を行うものでございます。
 質問に入る前に、過日、国連ボランティアとして選挙監視業務のさなか、凶弾に倒れた中田厚仁様の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
 私は、政治家になる前、国連の職員として、世界の各地で、中田さんのような国連ボランティアや民間のボランティアの多くの方々とともに仕事をさせていただいた経験がありますが、今日の人道支援、平和維持活動を含む国際鶴力の現場は、中田さんのような人々によって支えられていると実感いたしております。政治家として、これらの人々の平和活動に、襟を正すと同時に、心から敬意を表したいと思います。(拍手)
 また、昨年九月の派遣から六カ月間の平和維持のためのとうとい任務を終え、帰国された第一次の国際平和協力隊員の活躍に対しても、心からの敬意を表します。特に、第一次施設大隊は、主要業務である道路補修が七十八・六キロメートル、橋の補修が二十三カ所、後方支援の医療についても他国のUNTAC要員から大いに頼りにされたと伺っております。
 湾岸危機以来の国民的論議の末に成立したPKO協力法に基づき、我が国の本格的なPKOへの人的貢献としてその歴史的な第一歩をしるされたことは、極めて大きな意義があると確信いたします。(拍手)
 第一次の国際平和協力隊の活動に対する内外の反響、評価はどうか、冒頭、まず、国際平和協力本部長たる総理にお伺いいたします。
 UNTACが昨年三月より活動を開始して以来、和平プロセスの最重要局面を迎えているカンボジアについてお伺いいたします。
 第一に、カンボジア情勢と総選挙の見通しについてであります。
 カンボジアでは、既に約四百七十万人の有権者登録を終え、五月二十三日から二十八日まで実施される予定の制憲議会選挙に向けて、二十の政党による選挙戦が展開されています。カンボジアの和平達成と民主的国家の樹立は、長きにわたって内戦の苦汁をなめてきたカンボジア国民はもとより、国際社会全体の強い願いであり、ぜひとも総選挙を成功させなければなりません。
 しかしながら、実際のカンボジア情勢は、ポル・ポト派の総選挙への不参加の表明、同派によるものと見られる襲撃事件の頻発など、総選挙を間近に控え、にわかに緊迫化してきており、総選挙の実施を危ぶむ声も聞かれています。また、来月六日に予定されているSNC、カンボジア最高国民評議会本会合にも、ポル・ポト派のボイコットが濃厚であると伝えられております。
 政府は、カンボジアの現状をどう見ているのか、特に自由かつ公正な総選挙は可能なのかどうか、また、ポル・ポト派がSNC本会合及び総選挙に参加する可能性、そして、そのためのUNTACその他の国際社会の取り組みはどうなっているのか、お伺いいたします。さらに、ポル・ポト派が不参加のまま総選挙が実施された場合の、その後のカンボジア情勢について、どう展望されているのかもあわせてお答え願いたい。
 第二には、PKO参加五原則とパリ和平協定に関してであります。
 パリ和平協定に基づく四派の武装解除にポル・ポト派が拒否し、同派の武装解除がなされなかったこと、また、ポル・ポト派抜きの総選挙も必至の情勢になったこと等をとらえて、パリ和平協定が崩れたのではないか、あるいは、UNTACとポル・ポト派を除く三派との総選挙の安全確保のための合意がなされたことが、いわゆる中立原則に反するのではないかとの意見もあります。
 しかし、ポル・ポト派はこうした姿勢とは別に、カンボジアを代表する唯一の合法機関であるSNCのメンバーであり、パリ和平協定そのものは遵守すると一貫して表明してきています。したがって、私は、PKO参加五原則は大枠として守られていると考えますが、政府の明確な見解を伺いたい。
 私は、PKO協力法の作成に当たり、慎重の上にも慎重を期してきた経緯を重く受けとめております。その意味で、日本のPKO参加五原則は、明確に守られるべきであると考えるのであります。政府は、PKO協力法に基づく参加五原則に照らして、我が国が独自の判断でPKO部隊の中断及び撤収をできるのかどうか、そしてできる場合の基準、原則を具体的かつ明確にすべきであります。
 一部報道では、撤収の条件として、UNTACがパリ和平協定が崩れていると認定した場合、また、カンボジアにPKO要員を派遣している参加国のいずれかが撤収などを表明して参加国問で撤収を決める場合、さらに、和平協定内と言いつつも、大規模な戦闘が展開された場合などと伝えられておりますが、極めて不明確と言わざるを得ません。
 仮仁、停戦の合意に関するUNTACの判断と、PKO協力法に基づく我が国独自の判断との間に食い違いが生じた場合、我が国は、独自に中断または撤収すると考えてよろしいのかどうか、総理の具体的かつ明確な答弁を求めます。
 第三には、PKO要員の安全確保についてであります。
 これまで中田さんの殉職を初め、文民警察への強盗事件なども発生し、我が国を含めたUNTAC要員の早急な安全対策が必要になってきております。カンボジアに対しては、新たな五十人の選挙要員を含めて七百名以上の国際平和協力隊を派遣することになり、治安の悪化、気候、風土の違いを乗り越え、まさに体を張ってとうとい平和維持の活動に携わっておられる我が国要員の安全確保を図ることは、政府として当然の責務であります。
 我が国としてできる限りの対策を行うことは当然として、UNTACに対し早急かつ万全な安全確保を強く求め、二度と中田さんのような事件が起きることのないようにすべきであります。UNTACで活動している人々に対する我が国及びUNTACの安全対策はどうなっているのか、また、今後我が国の文民警察についても状況の変化によっては武器の携帯を認めることがあり得るのかどうか、お伺いいたします。
 第四には、カンボジア和平のための日本の一層の外交努力の必要性についてであります。
 ポル・ポト派抜きの総選挙の実施は、パリ和平協定が予定したものとはほど遠く、真のカンボジア和平達成のためにはポル・ポト派の総選挙参加がペストであることは言うまでもありません。
 総選挙への門戸は開いていると言うだけでなく、ポル・ポト派を含めた総選挙の実現のため、国際社会があらゆる外交ルートを通じて努力すべきであり、そのための国際会議の開催に日本もイニシアチブを発揮すべきであると同時に、この国際会議の開催のみならず、各国、特に中国、インドネシア、タイなどにポル・ポト派の総選挙参加への外交努力を促すべきであると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 第五には、カンボジア情勢及び我が国PKO要員に関する情報の提供であります。
 多くの国民は、現地での我が同胞の安全と活躍を祈るように見守っており、現地の情勢の変化について大変に敏感になっております。しかし、政府は、カンボジア及び我が国PKO要員の情報を積極的に国民に提供しているとは言えません。関係者は無論のこと、PKOへの派遣に関する国民の意識は極めて高く、こうした国民の要請にこたえていくためにも、政府からの正確なカンボジア状況報告、説明を定期的にかつ迅速に行われるべきであります。総理の見解をお伺いいたします。
 次に、モザンビークPKOについてお伺いいたします。
 モサンビークヘの我が国要員の派遣については、PKO参加五原則が堅持されており、調査団の十分な調査結果を踏まえて派遣を決定したことなどから賛成であります。
 ただ、私は、我が国の国際貢献が世界から注目されている中で、派遣の是非は別として、政府が消極的態度から一転して積極姿勢へと変わった、行かないと言っていたものを行くと言い直すなどといった印象を与える政府の対応の仕方は、国際社会から見て、日本の国際貢献への姿勢、外交感覚を疑われはしないかと強く危倶するものであります。政府の見解を賜りたい。
 次に、PKOに関連して、ブトロス・ガリ国連事務総長が提唱したいわゆる平和執行部隊についてお伺いいたします。
 去る二十一日の国連のPKO特別委員会で、我が国の国連公使が、例外的なケースで平和執行部隊を認めると発言されました。この発言は、今後の我が国の国際貢献を考える上で極めて重要な意味を持つものと考えます。我が国の憲法上、我が国の平和執行部隊への参加は可能なのかどうか、将来的には我が国の平和執行部隊への参加を検討しているのかどうか、総理の明確な答弁を求めます。
 本年に入ってから、PKOにつきましては、政府部内からPKF凍結解除やPKO参加五原則の緩和を求めるような発言が出されました。
 PKF凍結解除については、カンボジア及びこのモザンビークのPKO活動をまず成功裏に終了させることが重要であり、PKOに対する国民の理解が十分得られるまで凍結解除すべきでありません。
 また、PKO参加五原則の緩和は、目的としての武力行使を禁ずることを明確に掲げた我が国憲法を守るための命綱であり、到底容認できません。ゆえに、派遣に際し、常に厳格に五原則に照らし行動していくことが、法律を執行する行政府としての責任と考えるのであります。これらの点について総理の見解をお伺いしたい。
 最後に、本年一月の我が党の市川書記長の、アジアにPKO訓練センターを創設せよとの主張に対し、当時、渡辺外務大臣は、まじめに検討する必要がある旨御答弁されておりますが、その後どういう検討がなされているのか、外務大臣にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) カンボジアにおける施設大隊の活動の実績につきましては、本来の業務であります道路、橋等の修理など、国道二号線及び三号線の道路約七十キロ、橋約二十数カ所等の補修を行いましたほか、UNTAC構成部門への給油、給水等の活動も実施いたしました。停戦監視要員、文民警察要員につきましても、それぞれの分野においておのおの任務を適切に遂行され、精力的に活動を行われたと考えます。
 こうした我が国の要員、部隊の活動実績につきましては、御指摘のように現地でも高く評価をされておりまして、また我が国におきましても、その活動状況を報道等によって見ておられます、読んでおられます国民の大多数の理解と支援を得ておるものと思います。国際平和協力本部長として、私もこのことに感謝をいたしておりますし、また喜んでおります。
 ポル・ポト派にも平等に選挙の参加の機会が与えられて、我が国を含む関係国及びUNTACがそのために外交努力をきょうまでいたしてまいりましたけれども、ポル・ポト派は選挙への不参加を表明しております。いろいろなテロ、暴力事件もありますけれども、そういう状況のもとで、可能な限り自由、公正な選挙を実施することがただいまUNTACにとって最大の問題であると思います。
 国際社会におきましても、このことは全会一致で過般、安保理事会の決議でもあらわれました。また、共同声明においても確認されておりまして、四百七十万という、御指摘のような選挙登録でございますので、カンボジアの大多数の人はこれを希望しているということは明らかと思います。ですから、今の段階で一番大事なことは、この公正かつ自由な選挙がともかく安全裏に、できるだけ広い範囲で行われるということであると存じます。
 そして、この選挙を経て新しい憲法がつくられる、新政府ができて、そしてカシボジアがカンボジア人のカンボジアになるという、その一番大事な局面がただいまと思っておりますので、いろいろ困難はございますけれども、シアヌーク殿下あるいはUNTAC等の努力を我が国としても全面的に支持をして、パリ協定が終局的に目指すところに到達をいたしたい、それがただいまの一番大事な問題と思います。
 それから、停戦の合意につきまして、我が国に中断、撤収というようなことがあり得るかということにつきまして、そういう問題について、UNTACと、あるいは国連と我が国との判断が食い違うということは恐らく想像しがたいところでございます。
 もちろん、全く仮定の問題として、判断が異なった場合には、我が国としては、国連側に連絡の上、平和協力法の規定に従って行動をいたしますが、しかし、重ねて申し上げますが、現時点において停戦の合意は保たれておりますし、我が国の部隊、要員について、業務の中断、終了を行う状況はないというふうに私は判断をいたしております。
 それから、先ほど申しましたようなことでございますので、何とかポル・ポト派も選挙に入ってこないか、これが今としては一番外交努力の中心になるべきところでありまして、シアヌーク殿下、ポル・ポト以外の各派、UNTAC等々も、何とかそういう機会を持ちたいということでいろいろ協議をしておりますけれども、またその点について関係各国もほとんど同様の意見ですが、殊念ながら、ただいまのところそれがまだ実現をしていない、残念なことでございますが、そのような状況であります。
 それから、カンボジアのPKOに関して国民にもっとよく御説明をすべきであるということにつきまして、国会に対しましては、実施計画の決定、変更あるいはその他の委員会等における御質疑等でできるだけ御説明を申し上げておりますけれども、国民に対する広報活動につきましては、さらに御指摘のように心がけてまいらなければならないと思います。
 ブトロス・ガリ事務総長の「平和のための課題」という著書の中で平和執行部隊について述べられておることにつきまして、今日の世界情勢の中で、国連が平和維持についてあちこちから協力を求められて、それが必ずしも思うように進んでいないということについて、ブトロス・ガリ事務総長のそういう状況の中でのいろいろの発想、イニシアチブは、これは理解をいたしますけれども、国連の中でこれは初めての問題で、今まで議論されたこともございませんから、引き続き検討すべき問題だと思います。したがいまして、この考え方がどのように展開をするのかが今の時点ではわかりませんので、憲法との関係につきまして今判断を申し上げることは適当ではないというふうに思っております。
 それから、平和協力法の見直しについてでございますが、法律の施行後三年を経過した場合において、実施状況に照らし、あり方について見直しを行うとされておりますが、今カンボジアにおきましてこの活動が始まりまして、まだ長い時間がたっておるわけではございません。大多数の国民には理解をしていただいておると思いますけれども、長い年月がたっておるわけでもございませんので、一年にもまだ満たない状況でございますから、この法のもとでの協力の実績を積み重ねていくことが一番重要なのではないか、どちらかといえば、私はそういうふうな考えをいたしております。
 残りの問題につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#27
○国務大臣(武藤嘉文君) 東議員にお答えをいたします。
 第一の問題は、UNTACで活動をしている人々に対する我が国及びUNTACの安全対策ということでございます。
 国際平和協力業務に従事している我が国の隊員の安全に関して、我が国としてできる限りの努力をするということは言うまでもございません。第一義的には、しかし、国連が国連の活動として参加している隊員の安全確保のための方策をとることになっております。
 UNTACといたしましては、要員の安全確保のために、例えば、情勢の厳しい地域を担当するUNTACの選挙チームに対しましてUNTACの歩兵部隊の要員を同行させるとか、あるいはUNTAC要員が情勢の厳しい地域に宿営する場合には歩兵部隊の宿営地に宿営させるとか、要員の安全確保に努めていると承知をいたしております。
 他方、我が国としては、UNTACに対しまして、今川大使より明石代表に対しまして、累次、安全確保を申し入れるとともに、現地の情勢等の必要な情報収集を行いつつ、要員の安全確保に十分留意をしているところでございます。
 次に、ことしの一月、市川書記長が、アジアにPKO訓練センターを設立せよという御主張があったということに対しまして、現在どうなっているかということでございます。
 我が国の国際平和協力隊員につきましては、派遣に先立ちまして、国連平和維持活動の概要、派遣国の歴史、文化、風習あるいは保健衛生、語学等の必要な事項につきまして研修を実施してきておるところであります。
 御指摘のPKO研修センターの設置につきましては、国連への協力という観点をも踏まえ、国連平和維持活動への我が国の参加の経験、これまで我が国が実施してまいりました研修の実績等を十分勘案しつつ、引き続いて検討してまいるつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#28
○国務大臣(河野洋平君) PKO参加五原則についてのお尋ねがございましたが、これはもう先ほど総理がお答えになったとおりでございます。
 ただ、一つ補足するとすれば、四月十三日、キュー・サムファン・ポルポト派の議長はプノンペンを退去して、同派の事務所も閉鎖した、こういうことがいろいろ言われましたけれども、シアヌーク殿下あてに出した書簡の中で、あくまでも今回の退去は暫定的なもので、パリ和平協定は今後とも堅持するとその書簡に書いておられるということがはっきりしておりますし、また、四月十七日には、同派のスポークスマンが再度、パリ和平協定の遵守を確認をいたしております。こうしたことを考えますと、パリ和平協定の基本的枠組みは依然維持されておりまして、五原則は満たされているという判断ができると思います。
 もう一点、モザンビークヘの派遣決定に至る姿勢がどうであったかというお尋ねでございます。
 先ほど、これも総理から他の議員に御答弁がございましたけれども、ONUMOZへの我が国の自衛隊の参加については、十分慎重の上にも慎重に行われる、慎重に検討されるというのは当然のことであろうと思うわけでございます。
 在外公館として実館もないモザンビークのことでございます。二回にわたる調査団を出しまして、十分な調査をいたしました後で、関係者を集めて真剣な検討を加えた結果、結論を出したわけでございまして、バックアップ体制の強化でございますとか、その他国際社会からどういう評価を受けるか、要員の派遣が効果的であり、かつ安全に行われるかどうか、あるいは我が国が適切に対応するだけの能力があるかどうか、さまざまな角度から検討した結果、結論を出したわけでございまして、今後もこうした判断を下すに当たりましては、このような観点から、十分な検討を慎重に行った上で判断をすべきものというふうに考えている次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(櫻内義雄君) 古堅実吉君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔古堅実吉君登壇〕
#30
○古堅実吉君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました「モザンビーク国際平和協力業務実施計画」等について質問いたします。
 今やカンボジア問題は、我が国のみならず、国際的にも極めて重大問題となっています。国連ボランティアとして派遣された中田厚仁さん射殺事件は、全国民に大きな衝撃をもたらしました。派遣されている自衛隊員の御家族や関係者の皆さんが、今毎日大きな不安に駆られていることは申すまでもございません。
 選挙を前にしたカンボジアの事態はまさに深刻、緊迫した状況となっておるのであります。停戦合意は事実上存在しない状態です。特に、ポル・ポト派による協定違反は目に余るものがございます。それでも政府は、パリ協定の大枠は守られていると繰り返し強弁し続けているのであります。したがって、以下の諸点について、パリ和平協定の内容に沿って具体的な質問を行います。
 第一に、カンボジア各派は、陸上、水上及び空中におけるすべての敵対行為を慎むとしているにもかかわらず、至るところで戦闘行為を引き起こし、ますます激化の方向であります。これは明らかに協定違反ではありませんか。
 第二に、武装解除でありますが、ポル・ポト派は一貫してそれを全面的に拒否し、UNTACの車両に対戦車ロケット弾で攻撃するなど、強烈な武装をしていますし、それに対抗するため、プノンペン軍なども武装解除を中断したではありませんか。
 第三に、一月二十五日のガリ事務総長の第三次報告は、ポル・ポト派がパリ協定の義務履行を拒否しているので停戦の第二段階を実施することは不可能になっていると指摘していますが、事態は、その一月よりも一層悪化しているのが紛れもない事実ではありませんか。
 第四に、ポル・ポト派は軍隊の総兵力、配備、部隊の陣地等の文書報告も、また、武器弾薬、装備等の情報提供も一切拒否していますが、これも明らかな協定違反ではありませんか。
 第五に、すべての地雷についての情報を提供しなければならないように定められているにもかかわらず、和平協定に反してそれも拒否しているではありませんか。
 第六に、選挙はカンボジアの全域にわたって州を基礎にして行うよう明記していますが、ポル・ポト派は、和平協定の中心課題であり、不可欠のこの選挙さえ全面的に拒否し、ポル・ポト支配地域では実施できないことが明らかではありませんか。
 第七に、協定には人権尊重義務が明記されていますが、ベトナム系カンボジア人の殺害を繰り返し、今大変な事態の方向に向かっています。これはまさに重大な協定違反そのものであります。
 第八に、UNTAC要員に対する立ち入り拒否や攻撃、拘束、殺害などの敵対行為も明らかな協定違反ではありませんか。
 以上の質問で明らかなように、ポル・ポト派のパリ和平協定に対する重大な違反は明白であり、停戦合意そのものが実体としては存在しないことも明白です。一つ一つについて総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 総理は、これまでポル・ポト派の代表がSNCに参加し、会議にも出席しているから和平協定の枠組みが維持されていると説明してきました。総理御自身は、二月十六日の衆議院予算委員会の席上、それが和平の枠組みが崩れていないと私どもが考えている基本的な理由だとまで言われてきたのであります。しかし、ポル・ポト派は既にプノンペンの事務所を引き払い、プノンペンで開かれるSNCには参加しないと表明するまでに至っています。総理、あなたの答弁からいっても、協定の枠組みは崩れたことになるのではありませんか。はっぎりさしてください。
 指摘したように、ポル・ポト派の協定違反と、それによる協定の枠組み崩壊は明白ですが、総理が、ポル・ポト派が協定を遵守すると言っているから枠組みは崩れていないと言い張るなら、ポル・ポト派は協定の何を遵守してきたのか、どういう義務を履行してきたのか、説明していただきたいものであります。
 カンボジアの深刻な状況に照らし、今重要なことは、パリ和平協定をことごとく踏みにじり、選挙の失敗に向けた妨害のためにますます武力攻撃を激化させ、カンボジア和平への敵対行為に終始しているポル・ポト派に対してどのように対処しなければならないかという問題であります。
 第一は、ポル・ポト派の無法を断固許さないという国際世論の形成です。これが今極めて重要なことであります。そのために、日本政府としても積極的に各国に働きかけることでなければなりません。総理の具体的な答弁を求めます。
 第二に、国連安保理の経済制裁決議を完全に実施することです。ポル・ポト派は支配地域内の監視所設置を拒否していますが、タイ政府など近隣諸国が安保理決議を完全に実施するよう要請すべきだと考えますが、総理の御所見を求めたいと思います。(拍手)
 また、日本の企業のポル・ポト派との取引がことし初めに問題となりましたが、日本がこの経済制裁決議を完全に守ることが重要です。日本政府の経済制裁決議実施のための措置がどうなっているか、あわせて答弁を求めます。
 そこで、派遣されている自衛隊についてでありますが、パリ和平協定そのものが崩れている今、政府は、派遣五原則に違反していないなどといって自衛隊の撤退問題をあいまいにできる時期ではもはやないのであります。
 そこで伺います。
 第一は、ポル・ポト派のキュー・サムファン議長が、この選挙は流血の選挙になるだろうと述べるとともに、カンボジアの新聞インタビューでは、私が西側諸国と言うときは日本も含んでいると述べ、日本に対する襲撃も示唆しています。全面戦争ではないから被害者が出ても撤収はしないという従来の見地を直ちに改めるべきではありませんか。
 第二に、緊迫した情勢の中で政府は自衛隊に武器を携行させましたが、ポル・ポト軍が襲撃した場合は、自衛という名で部隊として応戦することにならざるを得ないことは明らかではありませんか。
 第三に、自衛隊が投票箱の輸送、保管も行うことにした問題でありますが、ポル・ポト派の選挙妨害戦略からいえば、投票箱の輸送、保管が危険にさらされることは自明であります。報道されているように、UNTACの歩兵部隊に護衛されたとしても、襲撃といった事態では、歩兵部隊と一緒になって応戦することになるのではありませんか。ましてや、配置された歩兵部隊ではすべてを護衛できないで、自衛隊が結局、投票箱の警備につくなら、投票箱を守るための応戦となるではありませんか。明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 このような状況に照らしても、今こそ自衛隊の撤退を含め、カンボジア問題全体を抜本的に検討すべきときに来ているのではありませんか。総理の明確な答弁を求めるものであります。
 モザンビークについて言えば、政府調査団報告でも明らかなように、カンボジア同様に、紛争当事者の間には信頼関係が全くないと言われているところであります。このモザンビークへの自衛隊派遣は、カンボジア派遣に加えてさらに一歩を進め、海外派兵を地球的規模にまで拡大するものであり、日本国憲法に明確に違反します。政府は、閣議決定を取り消し、派遣をやめるべきです。総理の所見を求めます。
 求められるのは、食糧援助であり、生活関連の援助であります。モザンビークからの要請がどういうものなのか、あわせ報告を求めます。
 国連は、地域紛争に対して軍事的対処に偏る方向も見られますが、第二次世界大戦の悲惨な体験と痛苦の教訓に立ってつくられた国連憲章の大原則は、民族自決権の尊重を基礎とした平和的手段による解決にこそその根本があるのであります。カンボジアの解決もモザンビークも、この原則に立って進められるべきであります。国際貢献といえば自衛隊派遣しかないといった考え方こそ、真に改められるべき重要問題であることを強く指摘して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) ポル・ポト派がパリ和平協定のいろいろな義務を完全には履行していないということ、あるいは散発的に戦闘行為が発生していることなど、和平プロセスが困難な状況に置かれていることは事実でございます。まことにこれは残念なことだと思います。
 しかしながら、他方で、パリ和平協定の履行につきまして全般的に見ますと、実に三十七万人以上の難民が帰還をいたしました。それからまた、四百七十万という予想を上回る有権者の登録がございました等々、UNTACの仕事は、これは非常な広い範囲で成果を上げているというふうに考えます。
 でございますから、今全面的な戦闘が再開されているわけではないので、和平協定の基本的枠組みが依然維持されておりますから、ポル・ポトがそのような態度を改めて、そしてパリ協定に定められたとおりのプロセスを進めるように努力をすることが、今大事なことだと思います。
 ポル・ポトは、プノンペンの事務所を一時閉鎖する旨シアヌーク殿下に通告しましたが、これは治安上の問題であると言っておりますし、SNCにはとどまると言っておりますから、パリ協定は遵守されておるものと考えます。
 それから、ですから、今のポル・ポトのそういう態度を批判をする、あるいは安保理決議を採択するなどして、総選挙を予定どおり実施する、そういう国際社会の意思を私は実現をしていくべきものであると考えております。
 それから、経済制裁につきまして、タイ政府はことしの一月一日からカンボジアよりの原木輸入を禁止するなど、必要な措置をとっておると承知をいたしております。我が国もまた、カンボジアからの原木輸入について、これを輸入承認の対象といたしました。一月一日以降、カンボジアから輸出された案件については輸入承認を行っておりません。
 カンボジアヘの武器の搬入については、UNTACが監視を行っておりますが、御指摘のようなことは報告をされておりません。
 以上のようなことでございますから、現時点においてパリ協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは依然維持されており、五原則は満たされていると考えておりますので、自衛隊の撤収を検討する状況にはないと考えております。
 モザンビークへの国連平和維持協力は、ONUMOZが中立。非強制の立場で、国連の権威と説得によりまして平和維持の任務を遂行しようとしております。まさに国際協調のもとで恒久の平和を希求する我々の憲法の理念にも合致していると思いますので、これに対する参加を取りやめる気持ちはございません。(拍手)
    〔国務大臣中山利生君登壇〕
#32
○国務大臣(中山利生君) お答えをいたします。
 ただいま古堅議員から、いろいろの想定をお話がございました。しかし、派遣されている部隊といたしましては、そのようなことの想定は一切しておりませんで、我が国際平和協力法第二十四条第三項というものを厳しく踏まえながら、先生が御心配なさったようなことのないように、厳しく対処をしていくという方針ております。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#33
○国務大臣(武藤嘉文君) 古堅議員にお答えをいたします。
 私に対する御質問は、モザンビークからの食糧援助や生活関連の援助要請のことだと思います。
 モザンビークからは、我が国に対して、これまで食糧、生活用水、水産などの分野で援助要請が行われてきておりまして、こうした要請を踏まえ、我が国は、昨年度だけでも約六十五億円の援助をモザンビークに対して行っております。今後は、モザンビークの復興も重要な焦点となりますので、我が国としてより一層の協力を行っていきたいと考えております。
    ―――――――――――――
#34
○副議長(村山喜一君) 塚本三郎君。
    〔塚本三郎君登壇〕
#35
○塚本三郎君 私は、民社党を代表して、我が国の国連平和維持活動への参加に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします、
 この四月八日に、カンボジアで凶弾に倒れたUNTAC要員である中田厚仁さんの訃報に接し、謹んでお悔やみ申し上げ、御冥福を心からお祈り申し上げます。
 中田さんは、世界の平和、そしてカンボジアの平和に身も心もささげた、真に勇気ある日本男児でありました。日本のPKO派遣が決まる前からカンボジアでボランティアとして活動を始め、「政府も人を送ってください。それまでは僕たちが頑張りますから。」とカンボジアを訪れた関係者に語ったと言われております。彼の死をむだにしないために、カンボジアに平和が訪れるまで、UNTACの構成国として、立派に我が国としての務めを果たすことが大切であると痛感するものであります。(拍手)
 私は、この年明け早々に、民社党のPKO調査団長として現地を訪問しました。タケオの自衛隊の諸君と同じ食事をし、ふろに入り、キャンプに泊まり、起床ラッパで起き、そして一緒に行動してまいりました。
 自衛隊の諸君は、UNTACの他の部隊と協力して三十七万人の難民の帰還を無事なし遂げ、停戦監視、道路や橋梁の補修、他国部隊の後方支援などにその真価を発揮して、炎天下で過酷な任務を果たし、我が国の名誉を高からしめて帰国しました。その自衛隊の諸君に対し、西元陸上幕僚長の訓辞が印象的でありましたので、ここに一部を引用いたします。すなわち、
  諸君は渡辺大隊長を初め各級指揮官を中心として心と力を合わせ、持ち前の明るさと平素から培ってきた献身の精神、高い技術、強健な体力、命ずる者と、命ぜられる者との揺るぎない信頼感を遺憾なく発揮して、カンボジアの荒廃した道路や橋の修復を主とし、UNTACの文民部門や他国の軍隊からの各種支援要請を受け、幅広い分野で本来の任務を立派に遂行しました。
 諸君は、諸君と関係のあったすべての人々の心の中に平和と安定の世界に通じる道路をつくり、橋をかけたのだと確認します。この意味で諸君はまさしく平和のオリンピックに参加したのであります、と述べておられます。(拍手)
 しかし、最近に至り、停戦監視や選挙監視に携わるUNTAC要員に何人かの犠牲者が出ているということはまことに遺憾であります。私がプノンペンで会った停戦監視のチームリーダーである福井二等陸佐は、「こちらが丸腰であることが相手の警戒感を解き、かえって安全である。丸腰のボランティアにテロを加えるはずはない。」と語ってくれました。しかし、相手はおよそ現代文明とは当然かけ離れている、人道的な配慮などのない異常な行動をとる連中であり、五月の総選挙を妨害するために、カンボジアに混乱を引き起こそうとねらっているのであります。
 PKOは、多かれ少なかれ何らかのリスクを伴うものであります。文民もボランティアも、軍人が保護してくれて初めて立派に活動できるのであります。世界の国々が軍人を派遣して、カンボジアの平和を確かなものにするために危険を承知で頑張っている中で、文民だ、休職出向だ、別組織だなどと叫んでいるのは、現実離れの一国平和主義と言うべきであります。(拍手)
 一方、政府の対応は、官僚主導による現地の実情無視、法律解釈論的な対応に終始し、自衛隊派遣反対論者の批判、攻撃を避けることにしか対応がなく、このため、万事が法律論的空論に走り、このため、派遣された自衛隊員にむだな努力を強いております。
 この政府の対応の誤りは、PKO協力法による実施計画ですべて自衛隊の活動を縛り、その都度の対応すら実施計画の変更、修正を閣議決定に持ち込んでいる始末であります。例えば、現地の自衛隊が給水のため井戸を掘ったところ、他国の軍隊からその水の補給を求められても、規定にないから応じられない、また、他国の軍隊が急病で自衛隊の医者の診断を求めても即応できない。このような人道的措置すら現地指揮官に裁量権がない。他国に水を補給してもいいとの閣議決定は、昨年十一月四日に現地指揮官から国際平和協力本部に要請、同十二月十一日にやっと決定をしております。つまり、水一杯他国に補給することすら、一カ月余の日時と東京−カンボジア間の通信連絡を必要としているのであります。
 このような非現実的な対応の典型は、UNTACに対する幕僚派遣と武器使用である。現在、UNTACの司令部に自衛隊は幕僚を派遣していない。それは、凍結されているPKFに抵触のおそれがあるとの解釈のためで、その結果、自衛隊はUNTACの決定をうのみにするだけであります。
 私は、現地の隊員と食事をともにしたが、その内容は余りにもお粗末であります。隊員は、日本から持ち込んだカップラーメンで空腹を満たしております。ところが、部隊の宿営地の周辺には新鮮な野菜が安く豊富にあり、住民が売りに来ているが、食料のすべてはUNTAC支給というしゃくし定規の規定で、プノンペンから運ばれてきた半ば傷みかけている野菜を自衛隊は調理しているのであります。
 最近は、UNTACの司令部に自衛隊から連絡要員を出している。これは、幕僚ではPKFに抵触するとの批判、攻撃を避けるこそくな官僚的発想以外の何物でもありません。
 これから五月の総選挙実施に伴い、自衛隊による投票箱の輸送がUNTACから要請されましょう。そうなれば、現地の様子から緊張が高まり、投票箱の輸送妨害も起こり得る。望ましくないことだが、武器使用の事態が皆無とは言い切れない。PKO法案審議の際、政府は、武器使用は個人の正当防衛権の行使に限定し、隊員個人に武器使用の判断を求め、部隊指揮官に武器使用の命令権を認めていない。しかし、集団行動に指揮は当然必要で、指揮官なき部隊は存在しない。この際、部隊として行動中の武器使用は指揮官の指揮のもとに行うと明確にすべきでありましょう。
 また、投票箱の輸送には他国の軍隊、つまりPKFの護衛が行われましょう。護衛してくれているPKFとは当然のことながら一体の関係であるから、万一にも護送中に不測の事態が生じ、PKFが応戦するようなとき、自衛隊は協力しながら投票箱を輸送するのが当然と考えます。政府は、危険なときは引き揚げる、危険なことはしたいと繰り返してきたが、現地の状況は、このような一方的な建前だけでは過ごせない。PKO派遣の自衛隊といえども、安全に任務を果たすためには、他国のPKFとの協力が必要であることを明確にすべきであります。丸腰であることの危険は、故中田青年の不幸が何よりも大きな教訓となっておるではありませんか。
 また、関係省庁の非協力を指摘したい。
 通産省は、武器輸出三原則を盾に、部隊のすべての装備に国外持ち出しの申請書類を作成させております。小銃からトラック、ブルドーザーまで個々の書類がなぜ必要なんでしょうか。政府派遣の自衛隊が武器輸出三原則で厳重監視の必要があるのでありましょうか。
 さらに、派遣隊員はパスポートの持参を求められております。部隊派遣でありながら、身分証明書だけで十分なのに、個人旅行者並みの手続であります。
 また、派遣隊員と家族間の通信連絡に対応する配慮がない。国家的事業であるPKO派遣に従事している隊員の家族が、現地の父や子に出す郵便料金の無料措置が図られなかったのか。電話は優遇料金を設定できなかったのか。
 また、国連平和維持活動に参加している公務員は、自衛隊のほか警察官、地方公務員がおりますが、これらの人たちに対する派遣手当がどのようになっているのか、国民に明確にされていない。
 例えば、自衛隊員は一日一万六千円から二万円の範囲で支給されるというが、休日や病気で作業参加できない日は支給されない。日本と異なる気候、さらに危険を伴う生活環境の中で、休日といってもただ作業を中止しているだけで、夜間外出禁止など生活そのものは二十四時間緊張状態にある。高温多湿の現地で、体調を崩して作業ができなければ手当を支給しないという非人間的な措置を放置していいのであろうか。通常、海外派遣手当とは、派遣された日から帰国までの日数が支給の対象となる。現に、外交官手当や民間の在外勤務手当は休日も支給対象としているではないか。また、近く派遣されるモザンビークでの手当の金額とカンボジアでの手当とがなぜ違っているのか、その根拠は不透明であります。
 単に自衛官にとどまらず、派遣される公務員すべてについて、手当、災害時の補償について、人事院も加えて再検討していただきたい。政府は、国連平和維持活動の意義を強調し、派遣隊員に献身的努力を求めるだけではなく、みずからこれらの処遇を改善すべきであります。それは、PKO活動に対する国家の評価のあらわれでもあります。
 最後に、宮澤総理に見解を伺っておきたい。
 カンボジア国民は従順で、領土は人口に比して広大で、かつ、肥沃の恵まれた大地であります。そして、首都プノンペンは戦後の復興と建築ブームに沸き返っております。中央市場は、日用品はもとはり、高いインフレ率のために、自国の通貨を持つよりも貴金属にかえるため、大変なにぎわいであります。それでいて、ほとんど盗難の心配もなく、平和そのものであります。デルタ地帯のために、建築に役立つ砂利を遠くの山から牛車で運ぶのどかな風景を見ているとき、停戦と選挙監視を妨害する一団のテロさえいなければと思う気持ちでいっぱいであります。
 UNTACは、必ず文民政権の樹立を協定どおりなし遂げてくれると信じております。問題は、政府樹立後であります。政権を維持するに必要な統治能力について、それを確立するのにはしばらくの時間が必要であると見なければなりません。正統の選挙された政権ができた以上は、いずれUNTACは引き揚げることは当然であるが、その政権が安定するまでしばらくは、経済と治安維持のために国連の後ろ盾を必要とすると見るが、いかがでありましょう。
 また、この国に行って気にかかるのは、シアヌーク殿下の存在であります。彼は、国民から多大の尊敬を受けている。なればこそ、彼の存在が気にかかります。彼は、ロン・ノル政権を倒すために北京に飛びクメール・ルージュと組み、ポル・ポト派のもとに身を任せ、その身辺が危なくなると再び北京に身を寄せ、今回再び四派協定でプノンペンに戻りましたが、自分の意のままにならねばUNTACさえ非難して、さっさと北京に逃れる態度が心配であります。
 きのうときょうと、そのときどきに言動は変化し、過日は朝鮮民主主義人民共和国に飛んで、核拡散防止条約を脱退したことを評価して、国連加盟国の善意に水をかけてまいりました。国連のUNTACあってのカンボジアであり、みずからを殿下と呼ばせながら、この態度と行動はわかりづらく、国際常識にもとるものと思い、この国の将来に暗い影を落としはせぬかと今なお心配されるが、いかがでありましょう。答えにくいことを承知しつつ、一言述べて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#36
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 現実に現地を御視察の上で、大所高所からの御質問をいただきました。私もいろいろ思い当たる節がございます。
 この法律の成立の過程におきまして、国会で長いこといろいろな角度から御質問があり、御審議があり、また法案の修正も行われました。そのような経緯もございますし、また、何分にも、我が国が我々の同胞を海外にこのような目的で出てもらうという最初の、戦後初めての経験でございますから、いろいろな意味で、何と申しますか、どちらかというとがんじがらめといいますか、そういう法の書き方あるいは法の運用になっておりますことは、これは、私は否定のできないところであろうと思います。今おっしゃいましたようなことが、私自身も実は、カンボジアから帰りました部隊の諸君と話をいたしておりまして現実に幾つか感じましたし、実施本部の諸君も、今その点を非常に勉強をいたしております。
 初めのことでございますので、幾つか思い違いもあったと思いますが、あのように何度も実施計画あるいは実施要領を書きかえなければならぬということは、やはりこれは最初であるとはいえ、厳しくいろいろ書き過ぎておったのであろうと思います。御指摘のように水を分けられないとか、医者が診断をできないとかいう現実のことが起こりまして、一年近くの間やってみて、利口になった点もございますけれども、十分これは今後にわたって注意をいたすべきだと思います。
 今度、いよいよ選挙になりますと、自衛隊が投票箱を輸送するということも、これも選挙関連物資の輸送ということでございますから、あり得ることかと思います。その場合には、フランスの歩兵部隊がタケオ州を管轄しておりますから、適切な協力をしてもらい、こちらも行うことが大事と思います。
 武器につきましても、何分にも、日本人が武器を持って海外に出るということ、それも組織として出るということは、これも初めてでございますから、法律でいえば、やはり通商産業大臣の武器三原則によりまして貿管令の許可を受けるということに、何も実質上の支障はございませんようですけれども、それもどうもおかしいことではないかとおっしゃいますと、今までこういうことを予想していなかったものですから、現行の法規の中でそういう処理をしたということでございましょう。しかし、これはやはり一つの、いろいろなことがしゃくし定規で困るじゃないかという例としておっしゃいましたこととして承ります。
 いずれにしても、初めてのことでございましたので、これからの実施につきまして、十分、行きました人たちの経験も聞きながら、改めるべきことは改めていきたいと思います。
 それから、シアヌーク殿下について御言及がございました。何分にも、いろいろ古い、しかも曲折した、入り組んだ歴史と伝統を持っておる、そのような風土の国のように思います。その中で、とにもかくにも、シアヌーク殿下ならばみんなが一応その下に集まれるという、そのような環境になっておるようでございます。願わくは、シアヌーク殿下が、カンボジアをもう一度新しい国として国づくりをされるに当たって、その中心になってお働きになることを心から祈念をいたしております。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#37
○国務大臣(武藤嘉文君) 塚本議員にお答えをいたします。私の場合はパスポートの件だと思いますが、これは、一般的にどこの国でも、入国をさせる場合にはパスポートを必要とするのは国際的慣行だと思うのでございます。しかし、こういう場合は特別ではないかということでございますが、やはりそういう点で国際的慣行を守らざるを得ないという形でやっておりますが、今後、パスポートの発給、あるいは現地における出入国が迅速にかつ簡便にできるように、手続の点で改善すべきところは改善していきたい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣中山利生君登壇〕
#38
○国務大臣(中山利生君) ただいま塚本先生から、カンボジア派遣の隊員の業務の遂行につきまして貴重な御提案をいただきました。
 かねがね、自衛隊あるいは国際平和協力隊の諸君につきましては大変御心配、御配慮をいただいておりまして、心から御礼を申し上げたいと思いますが、防衛庁といたしましては、国会で決めていただきました今回の諸法規、この趣旨を踏まえて、例えば、御質問にありました武器使用等につきましても、平和協力法第二十四条第三項、こういうものを厳密に守りながら業務を遂行していくということをお答え申し上げるほかないわけであります。
 また、外交官手当等を派遣自衛隊員に適用したらどうかというお話も、かねがね先生からお話がございまして御支援をいただいているわけでありまして、我々といたしましても、その御趣旨にのっとって隊員の処遇改善ができないものかということで、大変努力をしてまいりました。しかし、やはり外交官手当よりも現行の制度の方がまだ処遇的には上回っているという結論に達しまして、現在のところ、現行のままで行かざるを得ないという結論に達したわけであります。
 いろいろと御配慮をいただきましたことを心から感謝を申し上げまして、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
    〔国務大臣河野洋平君登壇〕
#39
○国務大臣(河野洋平君) 塚本議員御指摘のとおり、UNTACに対しましては司令部に要員を派遣しておりません。しかしこれは、我が国のUNTACへの参加が昨年九月のことでありまして、その時点においては、既にUNTACの司令部要員の枠がすべて埋まっておりまして、我が国から司令部への派遣の余地がなかったためでございます。国際平和協力法における凍結の規定との関係で派遣を見送ったものではないと承知をいたしております。
 議員からは、手紙、電話、手当と、いろいろ温かい御配慮といいますか、いろいろと御指摘をいただきました。
 一つ一つ、私からも確認をいたしましたが、郵便物につきましては、国際郵便の料金については、万国郵便条約上、料金免除の対象が点字郵便物等に限定されておりまして、なかなか議員御指摘のようなことが簡単にできないようでございます。しかし、これにつきましては、送達経路の変更等工夫を凝らしまして、でき得る限り家族とのやりとりの日数の短縮でございますとか、その他便宜をできるだけ図ろうという工夫を今いたしておるようでございます。
 電話につきましても、特定の者を対象とする優遇料金は料金のあり方としてなかなか難しい、こういうのが法律上の答弁でございます。これにつきましても、でき得る限りの工夫を凝らすつもりでおります。
 また手当の問題でございますが、国際平和協力法第十六条は「国際平和協力手当」を定めております。その派遣先国の勤務環境及び国際平和協力業務の特質にかんがみまして支給される特殊勤務手当は、法律上、国際平和協力業務に従事したときに支給されるいわば実績給となっておりまして、御指摘のような手当とすることは現在直ちには困難であるということでございます。(拍手)
#40
○副議長(村山喜一君) これにて質疑は終了いたしました。
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#41
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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