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1993/05/18 第126回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第27号
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1993/05/18 第126回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第126回国会 本会議 第27号

#1
第126回国会 本会議 第27号
平成五年五月十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程第二十号
  平成五年五月十八日
    午後一時開議
  一 国務大臣の演説
    …………………………………
 第一 流通業務市街地の整備に関する法律の一
    部を改正する法律案(内閣提出、参議院
    送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
林大蔵大臣の財政についての演説及びこれに対
  する質疑
 日程第一 流通業務市街地の整備に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院
  送付)
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説
#3
○議長(櫻内義雄君) 大蔵大臣から財政について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣林義郎君。
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#4
○国務大臣(林義郎君) さきに国会に提出いたしました平成五年度予算につきましては、去る三月三十一日に成立を見、既に着実に実行に移されているところでありますが、今般、さきに決定されました総合的な経済対策を受けて平成五年度補正予算を提出することとなりました。その御審議をお願いするに当たり、補正予算の大要を御説明申し上げます。
 まず、今般、新たな経済対策を策定するに至った背景として、最近の経済情勢について申し述べます。
 我が国経済は、昨年八月の総合経済対策に盛り込まれた公共投資の本格的な実施や二月に行われた第六次の公定歩合の引き下げ、景気に配慮した平成五年度予算の成立等により、現在、景気回復の兆しを示す動きが徐々にあらわれてきております。しかしながら、景気はいまだ予断を許さない状況にあり、政府としては、今後の景気の足取りを一層確実なものとするため、去る四月十三日、予算の成立直後という極めて異例の時期ではありましたが、史上最大の事業規模の総合的な経済対策を決定いたしました。
 今回の対策においては、厳しい財政事情のもとではありますが、公共投資等の拡大、政府関係金融機関の活用、住宅取得促進税制の拡充や設備投資減税など、実効性の高い内需拡大策を盛り込んでおります。また特に、厳しい経営環境に置かれている中小企業に対しては、その金融の円滑化を図るための諸措置を実施するなどさまざまな面での配慮が払われております。さらに、今回の対策における社会資本の整備に当たっては、社会経済情勢の変化や将来への展望を踏まえ、景気の現状に的確に対応していくという観点から、さまざまな分野に幅広く投資を行うことにより、その効果が景気に対し、より広範にかつ速やかに及ぶよう、その新たな展開を図ることとしております。
 なお、対策に盛り込まれた住宅取得促進税制の拡充、設備投資減税などの税制上の措置につきましても、租税特別措置法の一部を改正する法律案を提出し、御審議をお願いすることとしております。
 政府としては、今回の対策が、昨年夏の総合経済対策、景気に配慮した平成五年度予算と相まって、我が国経済の内需中心の持続的成長の実現に資するものと確信しております。
 先日ワシントンで開催されました先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議においても、このたびの経済対策は、内需中心の持続的成長を達成するための貢献として歓迎されたところであります。
 また、為替相場につきましては、為替相場は経済の基礎的諸条件を反映すべきものであり、過度の変動は望ましくないということに合意し、従来からの政策協調と為替市場における協力の実施が改めて確認されました。我が国としては、今後とも、主要国との政策協調及び為替市場における協力を通じて、為替相場の安定を図ってまいりたいと考えております。
 極めて厳しい財政事情のもとで、今回の総合的な経済対策を実施するためのやむを得ざる措置として、公共事業関係費等の投資的な経費の追加に対応するものにつきまして、建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することといたしました。この結果、我が国の公債残高は平成五年度末には約百八十四兆円にも達する見込みであり、巨額の国債費が政策的経費を圧迫するなど構造的な厳しさはますます深刻さを増しております。今後検討が開始される平成六年度予算におきましては、このような状況を踏まえ、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本とし、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことを目指して、従来以上に、制度の基本にさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行い、財政改革を強力に推進していく覚悟であります。
 次に、平成五年度補正予算の大要について御説明申し上げます。
 さきに御説明いたしました総合的な経済対策の一環として、一般会計につきましては、歳出面において、公共事業関係費の追加として、一般公共事業関係費一兆二千億円、災害復旧等事業費四千十七億円を計上するとともに、一般公共事業等に係る所要の国庫債務負担行為の追加を行うこととしております。また、教育、研究、医療、社会福祉等の各種施設整備費等の追加として六千二百億円を計上しております。さらに、中小企業等特別対策費八百七億円を計上するほか、民間における社会資本整備のうちでも特に緊要なものの促進を図るための産業投資特別会計への繰り入れ百六十五億円等を計上しております。
 また、ロシア連邦等における市場経済や民主主義に向けての改革を支援するとの観点から、人道支援、技術支援、核兵器の廃棄への協力等を行うための経費として、四百十一億円を計上しております。
 他方、歳入面におきましては、税収について今回の対策に盛り込まれた税制上の措置を実施する
ことに伴う減収見込額一千四百六十億円を減額するとともに、皇太子殿下御成婚記念貨幣の発行に伴う増収として貨幣回収準備資金受け入れ六百二十五億円を計上するほか、建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することとしております。
 また、年度開始直後ではありますが、今回の補正予算における財源を捻出するためのやむを得ざる措置として予備費二千億円を減額することとしております。したがいまして、今後、年度途中に予想される追加財政需要につきましては、厳に慎重な態度で臨む必要があると考えております。
 なお、地方財政につきましては、さきに申し上げました税制上の措置の実施に伴い、地方交付税の算定の基礎となる所得税及び法人税の収入見込み額が減少することになりますが、平成五年度の地方財政の円滑な運営に支障を生じることのないよう当初予算額どおりの地方交付税総額を確保することとし、このため、当初予算において講じた地方交付税の年度間調整としての特例措置を縮減することとしております。
 これらの結果、平成五年度補正後予算の総額は、歳入歳出とも当初予算に対して二兆一千八百八十七億円増加して、七十四兆五千四百三十五億円となっております。
 以上の一般会計予算補正に関連して、特別会計予算及び政府関係機関予算につきましても所要の一補正を行うこととしております。
 財政投融資計画につきましては、今回の総合的な経済対策を実施するため、この補正予算におきまして、住宅金融公庫、中小企業金融公庫等三十一機関に対し総額三兆一千五百六十七億円の追加を行うこととしております。
 以上、平成五年度の補正予算の大要について御説明いたしました。我が国経済の足取りを一層確かなものとするためにも、何とぞ、関係の法律案とともに、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#5
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。松浦利尚君。
    〔松浦利尚君登壇〕
#6
○松浦利尚君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、ただいまの財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 総理、本年度予算は過ぐる三月三十一日に成立したばかりです。予算執行も緒についたばかりです。しかも、本院審議に当たって、補正予算を提出することはないのかという質問に対し、宮澤内閣は、不況克服、景気回復のためには本予算案がペストのものであり、そのような考えはない、何としても年度内成立をと主張して譲らなかったのであります。なぜ、今異例とも言える本国会に補正予算案を提出されるのか、予算審議での総理答弁は食言なのか、見通しを誤った予算案だったのか、その理由を明らかにしてください。予算審議が、国民に対して無責任の汚名をそそぐためにも、責任ある総理の御答弁を求めます。(拍手)
 今日提案された補正予算案は当然本予算に組み込まれるべきものであり、予算提出後に補正が予見された場合は、編成権を持つ政府が当然修正するのが政治の常道だと思いますが、御意見を承りたいと存じます。
 さらに、本予算成立過程における与野党間の約束として所得減税実施がありましたが、今回の補正でも見送られています。公党間の責任者による約束は、予算成立のための方便だったのでしょうか。政権党のおごりなんでしょうか。自民党総裁としての総理の答弁を求めます。
 さて、一月以来、政府は、日本経済は調整過程にあり、引き続き低迷しているという認識を示してきました。一方、景気動向指数が改善傾向を示してきたことを取り上げ、総理みずからも、今年一−三月で景気は大庭を打ったとの見方も出されてきております。しかし、企業業績の悪化、不況型倒産の増大、雇用調整の進展に伴う失業者増といったことに加え、円高が輸出依存度が相対的に高い基幹的産業部門に影響を及ぼすことが懸念されており、景気の先行きはそれほど楽観できるものではないとも思われます。
 景気が回復基調にあるときに、不必要な規模の財政出動を実施すれば、バブル経済の二の舞を演じかねませんし、逆に、深刻な経済不況期であるにもかかわらず、適切な対策を講じなければ無策のそしりを免れません。したがって、今日の経済状況をどのように政府が認識しているのか、厳しく問われておるのであります。史上最大規模と銘打った総合経済対策を実施しようというのですから、経済の現況に対する総理の認識を御披露いただきたいと存じます。
 また、九二年十−十二月期の国民総生産の実質成長率は、前期比で〇・一%、年率換算で〇・五%の低成長となり、七−九月期のマイナス成長からは抜け出すことができたものの、当初見通しの三。五%を一・六%に修正した政府の九二年度GNP実質成長すらも達成困難になってきております。当初予算審議過程での答弁と大幅な落差を生じています。したがって、九二年度の税収も補正後約一兆円の不足を生ずるとも言われていますが、関係大臣の国民に対する反省の答弁を求めたいと存じます。(拍手)
 次に、総合的な経済対策に関連して質問いたします。
 昨年の総合経済対策を上回る十三兆二千億円余の規模の大きさが宣伝されておりますが、今回の対策も昨年同様がなり水増しされているのではないかと指摘されています。九三年度の実質的な公的支出増を示す真水分は、五兆四千億円前後ではないかと考えられます。
 経済企画庁は、一年間でGNPを二・六%押し上げると予想しておりますが、民間研究機関にとどまらず、米国政府もかなり控え目な予測をしています。政府は、今回の経済対策の効果をどのように認識しておられるのか、根拠を明らかにして説明をしていただきたいと存じます。また、第二次補正ということも念頭にあるのかどうかもあわせてお尋ねをいたします。
 また、経済対策によって景気が上向き、経済見通しの達成は本当に可能になったと判断しておられるのか、内需拡大によって大幅な貿易黒字、経常収支黒字の削減ができると考えておられるのか、総理の見解を求めます。
 今回の総合経済対策の柱は、相変わらず公共事業の拡大となっています。公共事業については、金丸自民党前副総裁の脱税事件に関連して、建設業者・業界からの不正献金の実態が発覚し、事業の発注のあり方など、その全般にわたり見直しの
必要性に迫られています。そうした公共事業の抜本的改革が行われないまま、今回の事業の拡大が実施されることに疑問を禁じ得ません。
 今回、新社会資本整備の名のもとに学術研究や情報化関連投資などを重点的に推進しようとする構想が出てきましたが、従来の公共事業を具体的にどのように改革し、今後推進していくのかということについて、いまだ判然としていないと言わざるを得ません。公共事業の抜本的改革は避けられないことであり、その硬直的な配分の見直し、そして発注の透明性、公正性の確立など根本的な改善はもちろんのこと、ただ単に情報化関連などを生産基盤拡充の観点から行うのではなくて、生活基盤拡充を最優先に構想すべきです。総理の御答弁を求めます。
 このたび建設省は、入札改善策を発表しましたが、その中身は、指名制度を温存し、一般競争入札を採用せず、役所の裁量を残すものになっています。総理にお尋ねをしますが、今回公共事業を拡大するに当たって、改革は十分に実施したと考えておられるのか、明確にお答え願いたいと存じます。
 また、この際、中島科学技術庁長官問題についてお尋ねします。
 建設次官当時、都有地払い下げに関連して、建設企業から二千万円を秘書らが「受け取った」と報じられています。改めて証拠をお示しして委員会でも質問をいたしますが、政官財の癒着構造をなくすことは国民の声であり、まさしく政治腐敗防止の基本だと思います。国民の税金が談合によって建設業者の超過利潤となり、一部がやみ献金になる。これでは国民の政治不信とともに納税意欲も減退します。政治家として責任のとり方はどうあるべきか、国務大臣としての責任等、総理の厳しい姿勢を望み、お答えを求めます。(拍手)
 次に、新たな経済対策に関連し、大幅な所得減税の実施が見送られたことについて質問します。
 雇用状況の悪化で賃金の引き上げも思うに任せず、内需の相当部分を占める個人消費が低迷を続けています。雇用対策を拡充するのは当然のことでしょう。九二年度に比し消費が確実に悪化の方向にあるとき、個人消費拡大のために大胆な刺激策が景気対策上絶対に必要であり、大幅な所得税減税の早期実施は避けられないことと言わざるを得ません。現在のところ、住宅取得減税など一千数百億円の政策減税しか取り上げられておりませんが、消費性向の高い中低所得者を重点にした相当規模の減税を直ちに実施すべきであります。公党間の約束であります。総理の御決断を求めます。」さて、経済が低迷期にある中で、我が国の貿易は大幅黒字を拡大し、九二年度の黒字額は政府見通しを上回り、一千二百六十億ドルと過去最高を記録しました。欧米主要国は軒並み経常赤字に陥っており、戦後初めて経済量優先を掲げて登場したクリントン政権のアメリカとのあつれきが強まるのは避けられないことです。結果重視という管理貿易的傾向を強めるアメリカに対抗できるだけの準備が政府にはあるのですか。総理、場当たり的な総合経済対策や相互理解が進むよう話し合いを継続するというだけでは済まないのではないでしょうか。日米間の経済対立を回避できるいかなる方策を持っているのか、明らかにしていただきたいと存じます。
 次に、政治改革について質問いたします。
 リクルート事件、金融・証券不祥事、共和事件、東京佐川急便事件、金丸脱税事件等々、長らく続いてきた自民党の一党支配に由来する政治腐敗問題は後を絶たず、政治改革が待ったなしであることは周知のとおりであります。与野党間でそれぞれ法案を提案し、政治改革調査特別委員会で国会議員同士が熱心に論議を行っており、よりよい政治改革の早期の実現のために、今後とも与野党間の論議を進めていくことは大切であります。
 しかし、それにしても気がかりなことがあります。自民党に、政治改革の最大の眼目である政治と金の問題を後ろに追いやろうとする姿勢がかいま見れることであります。一つの具体的な例を取り上げましょう。自民党の政治資金規正法改正案では、政治腐敗の温床である企業献金が廃止されるどころか、逆に、年間の献金の上限が一億円から二億円に引き上げられております。
 総理、あなたは政治改革にどのような考えをもって臨んでおられるのか、政治と金の問題は、自民党案で必ず解決できると判断をしておられるのか、お聞かせいただきたいと存じます。
 次いで、カンボジアPKO問題についてお尋ねします。
 亡くなられた中田さん、高田さんのお二方、御遺族の皆様には、衷心より哀悼の意を表したいと存じます。
 PKO協力法の国会審議やPKO要員を派遣する際は、戦闘が行われるような危険なところに派遣するわけではないからといった趣旨の発言を繰り返しながら、今回の事態を招来した政府並びに私ども国会の責任は重大です。PKO協力法に明記されている停戦の合意、我が国のPKO参加の前提となる五原則は事実上崩れており、派遣要員の安全確保や一時退避にとどまらず、撤収することも真剣に考えるべきです。ポル・ポト派は、総選挙に参加しませんし、総選挙の結果を受け入れないことや、その妨害さえ公言いたしております。SNCの会合にも欠席しており、UNTAC批判を日増しに強めております。同派抜きで強引に総選挙を実施することによって新政権を樹立したとしても、混乱が続くことは目に見えて明らかなことです。また、選挙自体の公正性や民主性も疑われることになりかねません。
 そもそも、プノンペン政権の対抗武装勢力として最も強力であったポル・ポト派を排除したままでは、和平協定の意義が問われることになりはしないかと懸念いたします。武力衝突を回避し、カンボジアの平和実現のために、引き続き外交努力を重ねることは大切です。しかし、安全保障理事会に対する犠牲者覚悟のガリ事務総長報告、また現地の情勢から見て、これ以上血を流してはなりません。総理、一度派遣したものを撤収することは大変な勇気が要ります。一時的な国際批判を受けたとしても、既成事実の積み上げたけはやめなければなりません。直ちに撤退させる総理の決断を求めます。(拍手)
 最後に、青森県六ケ所村の核燃料サイクル基地の問題についてお尋ねします。
 核保有国以外では初の大規模なプルトニウム生産施設となる使用済み核燃料再処理工場の建設工事がスタートしました。これに関連して、日本が核兵器への転用が容易なプルトニウムの大量確保
に本腰を入れ始めたことで、国際的に風当たりが強くなるのではないかと思いますが、政府の見解を求めます。
 また、一九九二年の第十八回ミュンヘン・サミットの政治宣言は、核拡散防止条約、NPTの無期限延長について、九五年の再検討会議におけるNPTの無期限延長は、この過程、核兵器の緊急抑制における重要な一歩となると表現されていますが、ミュンヘン・サミットにおける我が国の態度がアジア・アフリカの意見を代表したという立場はあったにしても、無条件延期に大変厳しかったために、こうしたミュンヘン・サミットにおける抽象的表現になったと伝えられています。
 我が国にも、NPTが核保有国を優遇する不平等条約だという意見があります。不満もあります。北朝鮮との関係を含めて、東京サミットにおける議長国として、重要議題になるであろうNPTの無期限延長についてどう対応するのか、お聞かせいただきたいと存じます。
 逆に、二〇一〇年までにプルトニウム需給量八十ないし九十トンという政府方針が、国際的に核兵器保有への疑いを持たれかねないとも思います。総理の御答弁を、特に、東京サミット議長国としての総理の答弁を求めて、私の代表質問を終わりたいと存じます。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 平成五年度当初予算は、厳しい税収動向、財政事情のもとで内需中心の持続的成長を図るために、予算編成時における経済情勢等を勘案して景気に十分配慮するなど、最善の施策を織り込んだものと信じております。すなわち、公共事業関係を中心に、財投におきまして一二%余り、地方単独につきましても一二%という大きな公共事業の予算を中央、地方で計上させていただきました。
 ただ、景気の動向を見ますと、必ずしも予断を許さない状況が続いておりましたことから、政府としては、今後の景気の足取りを一層確実なものといたしますために、先般、予算成立直後という極めて異例の時期ではございましたが、総合的な経済対策を策定いたしたものであります。今回の補正予算は、これを具体化するために御審議をお願いしておるものでございますが、まことに異例なことではございました。ただ、現在の経済状況というものは、これも戦後初めてといういろいろ複雑な要素を持っておりますので、回復を、足取りをしっかりさせたい、一層確実なものにしたいという配慮からいたしましたもので、その点、どうぞ御理解をお願いをいたしたいと存じます。
 今回の対策及び補正予算が、昨年以来の対策、平成五年度当初予算と相まちまして、内需中心の持続的成長の実現を一層確実なものにするというふうに考えております。
 なお、所得税減税の問題でございますが、平成五年度予算案の審議の過程におきまして、三月四日に不況対策に関する各党協議会の設置が合意をせられまして、御協議が続いております。昨日も御協議があったというふうに考えておりますが、もとよりこの問題につきましては、各党の御協議のいかんということが大切な影響を持つものでありまして、予算成立のための方便といったようなことは、私ども全く考えておりません。
 それから、今日の経済状況をどう判断するかということでございました。
 一般的に申して、調整過程にある、なお低迷を脱し切れないとは申しますけれども、住宅建設にもかなりの回復が見られます。また、在庫調整も、多少業種によって違いますが、かなり進んだと思われる。株価も上昇などいたしまして、一部に回復の兆しを示す動きがあらわれているというふうに考えております。
 しかしながら、何分にもバブル経済の崩壊という、かつて経験したことのない状況を背景にいたしておりますので、これからの景気の足取りを確実にいたしますためにも、今般のような総合経済対策が必要である。そのために補正予算を提出いたしまして、御審議を仰いでおるところでございます。
 いわゆる二次補正というものについてどう考えるかということでございますけれども、ただいま御審議をいただいております補正によりまして今後の景気の足取りをしっかりさせたいと考えておりまして、今の段階で二次補正について申し述べ得る状況にはございません。いずれにいたしましても、この補正予算を御審議をいただきまして、成立をさせていただいて施行をいたしたいと考えておるところでございます。
 それから、今回の総合経済対策によって経済見通しの達成がどうなるか、あるいは、いわゆる貿易経常収支の黒字等々をどう見るかというお尋ねでございました。
 今回の、昨年三月以来の施策、あるいは昨年八月にも総合経済対策をいたしました。それを受けましての五年度の予算であるわけでございますが、公共投資は確かに高い水準にございます。また、住宅投資が堅調である、その中からやがて個人消費など内需を中心とする持続可能な成長経路へ円滑に進むものというふうに信じております。経常収支につきまして、景気が回復いたしますならば、輸入の伸びが輸出の伸びを恐らく上回るということが従来の経験法則でございますので、短期的には、ただ御承知のように、いわゆるJカーブ効果というものがあるとは存じます。あるとは存じますが、大勢的には、輸入の伸びが大きく輸出の伸びが減りますので、五年度の我が国の経常収支は、その限度において縮小の方向に転ずるものというふうに考えております。」
 それから、予算の配分が硬直的である、新しい事態に、殊に生活基盤の拡充に対応すべきであるということにつきましては、従来から公共事業の配分につきましてはそういう御指摘があって、いろいろ苦労をいたしておるところでございますけれども、今回の経済対策におきまして生活大国の実現を展望し、社会経済情勢の変化を踏まえつつ、景気の現状にも的確に対応するという観点から、住宅、下水道等々には、いわゆる生活環境の形成に資する部分にはかなり思い切った傾斜をいたしました。また、そのほかに、情報化関連の施設、あるいは研究施設、福祉施設等々に重点的、効率的な配分をいたしたところでございます。
 その関連で、入札の問題について、契約の問題について御指摘がございました。
 これは、確かに改善を要する一つの問題と考えておりまして、昨年の十一月に建設大臣の諮問機関である中央建設業審議会から答申がございました。それによりますと、やはり一般競争入札という方法には、手抜きであるとかダンピングである
とか、あるいは審査や監督のための事務量が非常に大きくなるとかいう問題があるということから、指名競争入札制度を運用の基本とすべきだというのがその答申の趣旨であったわけであります。
 しかしながら、指名競争入札制度につきましても、やはり手続がもっと、御指摘のように透明でなければならない、競争性を確保することが重要である、技術力を重視しなければならないといったようなことから、新しい入札・契約方式の導入、指名基準の具体化など、大幅な改善に建設省当局が取り組んでいるところでございまして、これを周知徹底いたしまして、従来の、ともすればありました批判にこたえなければならないと思っております。
 中島科学技術庁長官の問題について御指摘がございましたが、官房長官が中島大臣から直接説明を伺いましたところによりますと、陳情を受けて紹介がなされたということですが、中島大臣自身が全く関知をしておられないということでございます。したがいまして、それ自体は特に問題にすべきものだとは考えておりません。
 それから、もう一度、所得税減税の問題について御指摘があったわけです。
 今回の対策で、特定の扶養控除の引き上げ、あるいは住宅取得促進税制の拡充など、政策的に緊要性のある減税を一部盛り込んでおりますが、所得税減税そのものについては、各党間の御協議の対象になっております。その推移、経緯を私どもとして見守っておりますけれども、財源をどういうふうにするのか、あるいは税制全体との関係をどう考えるかなど、検討すべき問題も多々あるというふうに思っております。
 次に、日米関係についてお尋ねでございました。
 日米両国は、世界の二大自由市場経済であります。日米間の経済問題の解決は、当然、したがって自由貿易主義の観点から市場原則にのっとって行われるべきものと考えます。いわゆる人為的に市場を管理するといったようなことは好ましいことでもありませんし、また実際、実行可能なことでもありません。政府としては、このような基本的な考えに基づきまして、日米間の経済問題に対処してまいる考えであります。
 先般クリントン大統領と会談をいたしましたときにも、米国の朝野の一部にいわゆる管理貿易という主張があることに対しましては、私としては懸念を表明をいたしたところであります。なお同時に、しかし、米国内に、日本の市場がまだまだ閉鎖的であるという印象がありますことは、まことに残念なことでありまして、政府としても、市場の開放性についての説明をさらによくいたしますとともに、また一層の市場アクセスの改善にも努めなければならないと思います。
 そのような見地から会談を行いましたが、その結果といたしまして、日米間の新しい協議の枠組みをひとつつくることを日米首脳の間で合意をいたしました。七月のサミットにクリントン大統領が来日をされるまでぐらいの間に、新しい協議の枠組みを両国間で合意をいたしておきたいというふうに考えております。
 政治改革につきましては、しばしば申し上げてまいりましたが、政治資金は政治活動を支える財政的基盤であります。選挙制度と密接な関係を持っておりますことから、自民党案では、選挙や政治活動を個人中心から政党中心へ移行させるということと相まちまして、政治資金の調達も政党中心ということを考える、企業等の団体献金は、ごくごく少額のものを除きまして、原則として政党に限るということにいたしておるところでございます。
 政治に対する国民の不信がこのように甚だしいときでございますので、政治改革を一日も早く実現する必要がございます。各党間で御熱心に審議をしていただいておりますが、ぜひとも今国会中に成案が得られますように念願をいたしております。
 次に、カンボジアの問題につきましては、先日の本会議でも詳しく御説明を申し上げましたが、ただいま御質問の趣旨はいわゆる五原則との関連でございました。
 まず、その停戦の合意につきましては、確かにいわゆる武装解除が十分に行われずに、あるいは選挙への不参加をクメール・ルージュが表明するなど、当初予想しておりました事態と違った事態が生じておりますことは、これは事実でございます。ただ、クメール・ルージュといえども、パリ和平協定そのものに反対ではない、むしろそれを忠実に実行すべきだという立場に立っております。それからまた、UNTACの受け入れについても、これはSNCを通じてUNTACの活動を否定するという立場にはない。最後に、UNTACの活動そのものの中立性につきましては、これは非常にUNTACもよく気をつけて中立性の維持に努めておると考えますので、国際平和協力法上のいわゆる五原則は満たされておるものと政府は考えておりまして、我が国の派遣要員・部隊を撤収させるようなことは考えておりません。
 それから最後に、プルトニウムの問題につきましてお話がございました。
 六ケ所村の再処理工場から供給されるプルトニウムは、すべて将来の我が国の原子力平和利用計画に使用されるものでございます。国際的には、核不拡散条約加盟国といたしまして、その義務と責任を我が国は誠実に果たしております。厳格に平和目的に徹して原子力活動を営んでまいっておることはよく知られておるところでございまして、これらの我々の態度について、国際から一層の理解が得られるように努力をしてまいりたいと存じます。
 それから、NPTの延長に関しまして、我が国は、NPTを国際的な核不拡散体制の重要な柱だと考えております。したがいまして、九五年以降もできる限り長期間の延長が望ましいとの立場をとっております。
 なお、これに関しまして、この条約がいわゆる核兵器国、核兵器を持っております国に対して核軍縮についての特別な義務を課していることにかんがみまして、我が国としてすべての核兵器国に対し一層の核軍縮努力を促すべきものと考えております。
 我が国のプルトニウム平和利用計画は、これから本格的に進められてまいりますが、今の計画でまいりますと、二〇一〇年ごろまでに利用されるプルトニウムの累積量がおおむね御指摘のような数字になります。
 我が国としては、今後とも平和利用に徹しまして原子力開発利用を進めていく所存でありまし
て、国際的にも十分理解を得られるように、さらに努力をいたしてまいります。
 残りのお尋ねにつきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#8
○国務大臣(林義郎君) 松浦議員の御質問にお答え申し上げます。
 二つだと思いますが、質問、大別して申しますと、一つは昨年の十−十二月期のGNP実質成長率が前期比で〇・一%であって、修正した政府見通しの達成さえ困難となっているけれどもどうだというお話でありまして、そういったことに関連いたしまして、九二年度の税収も補正後相当な不足が出てくるのではないか、蔵相はどういうふうに考えているかという御質問だと思います。その次にありましたのは、いわゆる真水論でございまして、五兆四千億円前後の真水だということであるが一体どうだ、こういうお話でございます。
 まず最初の問題でございますが、昨年の十−十二月のGNPの実質成長率の問題に関連いたしまして、政府見通しの達成はどうかということでございます。
 昨年は確かにそういったことでございましたが、ことしに入りましてから、昨年の総合経済対策に盛り込まれました公共投資の本格的な実施等の効果もありまして、鉱工業生産は二月、三月と二カ月連続で前月比プラスになっておりまして、また景気動向指数も好転するなど、景気回復の兆しを示す動きがあらわれてきたものでありますが、四年度の成長率を一・六%にするということについては、機械的な計算を行う限りそう容易な話ではないというふうに考えていることを率直に申し上げておきたいと思います。いずれにいたしましても、一−三月期の数字を見る必要がありまして、現段階では確固たることは申し上げることができないことであります。
 税収の見通しにつきましては、三月末の数字では、税収の数字が出ておりますが、進捗割合がまだ七割強程度でございまして、確たることを申し上げる段階にありません。九二年度の税収というのは、四月ないし五月になって出てくるところもありますし、四月分、五月分の税収動向を十分に注意していく必要があるものというふうに考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今大切なことは、先ほど総理からも申し上げましたように、また私も財政演説で申し上げましたように、まだ予断を許さない状況にあるこの景気の今後の足取りを確かなものにすることが必要であるし、そうしたためにも、今回提出いたしました五年度補正予算の速やかな御審議、御成立をお願いしたい、こういうふうに考えているところでございます。
 次に、いわゆる真水論で五兆四千億というお話がございました。
 この真水という概念につきましては、実は明確な定義がなくて、言われる方によりまして使い方がいろいろでありまして、したがって、真水が幾らかという議論は無用の混乱を招くので、そのような整理はしておらないところでございます。景気浮揚という観点からいたしますと、事業規模全体が重要でありまして、今回の対策は史上最大規模のものである。また、その内容につきましては、実効性の高い内需拡大策を積み上げているところでありまして、こうしたことから、今回の対策が、我が国経済の内需中心のインフレなき持続的成長の実現に大きく寄与するものであると考えております。
 対策の効果につきましては、具体的な内容の確定を待ってやる必要がありますし、経済状況いかんによりましてはその効果が異なってくるようなこともありますので、今これを具体的、定量的にお示しすることはなかなか難しいと考えておりますが、対策の中で最終需要に結びつくところの項目につきましては、もしこれが実行された後一年商の波及効果ということを名目ベースであえて試算してみますと、GNPの二・六%になるというふうな計算が出ております。
 さらに、算定の根拠には含まれておりませんけれども、対策の中には、雇用対策であるとか、住宅取得促進税制の拡充とか、設備投資減税、電力事業等の設備投資の追加なども盛り込まれておりまして、これらはいずれも景気浮揚効果を有する実効性の高い施策であります。こうした対策が相まちまして、前回の対策、景気に配慮した五年度予算と相まちまして、我が国経済の内需中心のインフレなき持続的成長を実現するものと確信をしているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣武藤嘉文君登壇〕
#9
○国務大臣(武藤嘉文君) 松浦議員にお答えをいたします。
 私の関係はもうほとんど総理から御答弁がございましたけれども、NPTに関係をいたしまして、東京サミットではどうするかということと、北朝鮮に対することだと思います。
 北朝鮮の問題につきましては、私どもとしては、この脱退の意思を一日も早く撤回をしていただくことになるように努力をいたしております。
 それから、東京サミットにおけるこの延長の問題につきましては、総理から御答弁の趣旨で対処してまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣船田元君登壇〕
#10
○国務大臣(船田元君) お答えをいたします。
 まず、経済成長の政府の見込み違いであったのではないか、こういう御指摘でございます。
 今回の景気調整局面の特徴である資産価格の大幅な下落、これは安定成長期以降初めて経験をした事態である、こう申し上げても過言ではないと思います。その経済に与える影響の見通しが非常に困難であった、もちろん、見通しが甘かったということについては、既に過去の予算委員会等で御答弁申し上げているわけでありますが、やはりそのような状況は否定できない、こう思っておるわけでございます。
 また、四年度の実績見込み一・六%の達成という点につきましても、これも先ほど大蔵大臣からお話がありましたように、私自身も厳しい状況にある、このように認識はいたしております。ただ、四年度の全体の成長率がどのようになるかということについては、一−三月期のQEを待つべきでございまして、現段階としては確たることは申し上げられないという状況でございます。
 もう一つの、今回の総合経済対策の効果についてのお尋ねでございました。
 今回の対策の総規模は、史上最大の約十三兆二千億円であり、このうち需要追加措置としての公的支出による事業規模として定量化できる十三兆五百億円をペースとして、その波及効果も含め、一年間の効果ということであえて申し上げますれ
ば、名目GNPの約二・六%程度に相当するものと試算がされております。なお、今回の対策では、この試算のペースに含んでいないものとして、先ほど大蔵大臣が御指摘をいただいた種々の点があることもお含みおきを願いたいと思っております。
 こうしたことから、今回の対策は、これまでの財政・金融両面からの諸施策の効果と相まって、我が国経済を内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路へ円滑に移行させるものと確信をいたしております。
 なお、真水につきましては、大蔵大臣の御指摘のように、私どもとしても、真水の概念というものは特に設定をしておりません。そういう点で、その整理もいたしておりませんので、御容赦をお願いいたしたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(櫻内義雄君) 関谷勝嗣君。
    〔関谷勝嗣君登壇〕
#12
○関谷勝嗣君 私は、自由民主党を代表して、ただいまの大蔵大臣の財政演説に関連して質問を行います。
 御承知のように、我が国経済は、通常の好景気あるいは不景気といった景気循環の要因に加えて、いわゆるバブルの崩壊という状況を受けて、非常に厳しい状態に直面をいたしております。すなわち、個人消費は、バブル時代に過剰とも言える消費を行ったことの反動から、自動車や家電装品といった耐久消費財の需要が落ち込み、低迷をいたしております。また、設備投資も同様に、一部に過剰な資本設備を積み上げてしまったことのツケから、現在では減少をいたしております。
 こうした状況に対して、政府においても、昨年三月の緊急経済対策、八月の総合経済対策、さらには景気に特段の配慮をいたしました平成五年度予算を編成し、かつまた、年度内に予算を成立させるなど、大変な努力を傾注してきたところであり、その効果もあって、景気に明るさが見られるようになってきております。しかしながら、世帯当たりの消費支出や在庫調整の動向、有効求人倍率等々を見ましても、我が国経済の先行きはまだまだ楽観することはできないと考えます。
 今回の補正予算は、こうした経済情勢を背景として、政府・与党一体となって、さきに策定された新しい総合的な経済対策を実施するために必要な公共事業関係費等の追加が盛り込まれており、景気に対する迅速な対応を行うために、政府において最大限の努力が行われ、早急に提出されたものであります。しかし、このことに対しまして、五年度予算が成立した直後に補正予算を出すのは問題であるという批判の声も聞かれますが、経済は予測しがたい面もあり、そのときどきの状況に応じて、臨機応変な対応を行うのは適切なことであると思います。
 また、六十年度から始まりました概算要求基準、いわゆるシーリング制度の見直しを行う時期だと考えますが、いかがでございましょうか。
 そこで、まずお伺いいたしますが、今般、予算成立直後という異例のタイミングで新総合経済対策を策定し、本予算が成立したのと同一の国会中において補正予算を提出せざるを得なかった背景と、最近の経済情勢をいかに認識されておられるのか、また、今回補正予算を提出するに当たっての基本的認識がどのようなものかを総理にお伺いをいたしたいと思います。
 また、今回の補正予算は、総合的な経済対策を実施するための経費が大半を占めるものであり、これを早期に成立させることがぜひとも必要であると思います。
 補正予算成立のおくれは、例えば公立小中学校や国立大学の施設整備などのように、工期に制約のある公共事業等の円滑な執行や年度内消化に悪影響を及ぼします。また、中小企業向けの新たな融資制度の創設がおくれて、中小企業が切望いたしております低利の運転資金が借りられなくなるとか、雇用調整助成金についての中小企業の助成率の引き上げや下請事業主への適用拡大などがおくれますと、雇用を維持するために大変な努力が行われておりますが、その中小零細・下請企業等に悪影響が出るのは必至であります。
 加えて、今回の補正予算では、景気への配慮という観点のみならず、社会福祉施設や国立病院など、国民生活の質の向上に資する緊要性の高い施設の整備にも配慮しており、こうした施策についても早急な実施が望まれるところであります。
 また、補助事業については、六月議会に所要の補正予算を提出すべく準備を進めている地方公共団体も多くあり、こうしたことを考えますと、一日も早い補正予算の成立が必要であります。
 このように、私は、今後の景気の足取りを一層確かなものとする観点から、一日も早い補正予算の成立が必要と考えますが、大蔵大臣の御意見を伺います。
 さらに、せっかく景気に明るさが見え始めてきている現在、何とも懸念されるのは、最近の急激な円高が国内経済に与える影響であります。このところの円高については、世界的に見れば、我が国だけが主要な黒字国となっている状況もあり、諸外国の首脳から当然であるとの発言が相次いております。我が国はこれまでも、世界経済の安定的な発展に貢献しなければならないという観点から、輸入障壁を除去するための構造改善や内需拡大に真摯な努力を費やしてきたところであり、このような発言は的を射ていないものと私は思います。最近の急激な円高に対し、G7においてどのように対処をしているのか、また今後、為替市場においてどのように対応していくつもりなのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。また同時に、急激な円高が我が国経済に及ぼす影響についても大蔵大臣はどのように認識をされているのか、お伺いいたします。
 円高差益の業界はいいといたしましても、円高差損を生ずる業界は、これ以上円高になりますと、いかに企業努力をいたしましても、その企業の存続すら危ぶまれる状況にあります。その的確なる対応を私はぜひお願いをいたしたいと思います。
 次に、歳入についてでありますが、減税分が一千四百六十億円あるとはいえ、その歳入の大部分が公債金で賄われております。当初予算の二・二%に加えまして、公債依存度は補正後は一三・九%にもなります。平成二年に赤字公債からは脱却いたしましたが、いかに国家予算とはいえ、景気回復のためとはいえ、公債依存にはおのずから限度というものがあると私は考えます。このことについて大蔵大臣はどのようにお考えでしょうか。
 世界の中で我が国経済に求められる期待はますます高まっております。このような状況において、一刻も早く我が国経済を内需中心の持続的成長経路に戻すことは、政治改革と並ぶ内閣の必須命題と言っても過言ではありません。今後の経済運営に対する総理の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#13
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 平成五年度予算に当たりましては、御案内のように、昨年の補正予算に続きまして、公共事業を中心に、中央、地方とも思い切って景気振興の策を盛り込みまして編成をいたしました。成立をさせていただきまして、既に施行に移っておるところでございますが、この間、景気の現状を見ておりますと、例えば住宅建設であるとか、あるいは業界における在庫調整であるとか、株価の上昇であるとか、景気の好転を思わせる一部の指標も出ております。公共事業の水準は当然のことながらかなり高いところにございますが、しかし、何分にも今回のこのいわゆる株価、不動産の暴騰、暴落によるバブルの効果というのは戦後初めての経験で、かなり経済の病状としては重いと判断せざるを得ませんので、やはりここは大事をとる必要がある、そう考えまして、先般、総合経済対策を、かなり大きなものでございますが、いたしまして、その補正予算の御審議を仰いでおるところでございます。
 先般、本予算が成立したばかりで、その直後にこういうことは、一体、政策としての一貫性はどうだという一部の御批判がございます。まことにこのようなことは確かに異例なことではございますが、しかし、そういう対策を急ぎ、かつ、そのための補正を秋を待たずに御審議をお願いしているということ自身が、また経済界に非常にいい心理的な影響を与えておることも私は確かと思いますので、その点も御勘案をいただきまして、ひとつ御審議の上、成立をさせていただきたいというふうに存じております。
 それから、円高についての御心配、これはごもっともなことでございます。輸出産業については円建ての手取りが減少をいたします、企業収益を圧迫する、内需拡大の全体の努力に影を差すというような要素もございます。このようなデメリットに対しましては、一般的にこのように内需拡大を図って国内景気の需要を起こすということが大事であろうと思います。この平成五年度の補正予算もそのような役割を果たすことを期待しておりますが、この補正予算の中におきまして、円高等の影響をこうむっております中小企業者に対して低利融資の特別枠を設定をいたしておりまして、これも中小企業に利用してもらえる施策であろうというふうに考えております。
 本来、為替相場というものは、申し上げるまでもなく、経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましい。市場攪乱的な要素があれば、これに適切に対応するということも当然と考えております。
 それから、これからの経済運営に対する考え方でございますが、このようなまことに異例のことではございますが、補正予算を御審議し、成立をさせていただきますと、十三兆円余りの総合経済対策がフルに発動をいたすことになります。それは、多少おくれぎみでありました、昨年の八月補正予算のおくれに伴う残った分と合わせまして、かなり大きな影響を我が国経済に与えることは、これは間違いのないところでございます。何といっても十三兆といいますと、やはり外貨に表示いたしますと千百何十億ドルでございますので、それはさすがに大きなものでございますので、必ずやこれから、あるいは住宅投資あるいは個人消費がだんだんに回復をして、経済がほぼ円滑な軌道に乗っていくであろうと考えておりますが、殊に、まことに異例な御審議を煩わせることは恐縮でございますが、秋を待たずにこのような対策がとられたということ自身が、これからの経済に非常に大きな影響を、好ましい影響を与えるということを期待をし、また、そのように努力をしてまいりたいと考えております。
 残りの問題は、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#14
○国務大臣(林義郎君) 関谷議員の御質問にお答えを申し上げます。
 いわゆるシーリング制度の見直しを行うべき時期ではないかというのが御質問の中にあったというふうに思っておりますが、この問題につきましては、概算要求基準というのは、その枠内で各施策の緊要性を考慮して制度、施策を根本から洗い直して、優先度の選択を行い、効率的な要求をしていくというのが制度の趣旨でございまして、近年におきましては、概算要求基準をてこにいたしまして財政改革を推進してきたところであり、平成二年度予算以降、特例公債を発行することなく予算編成を行ってきたところでございます。今後とも、いろいろな点におきまして、従来の方法を踏襲しながら財源の重点的、効率的な配分に努めてまいらなければならないと考えておるところでございます。
 さらに、第二番目の問題として、今後の景気の足取りを一層確かなものにする観点から、一日も早い補正予算の成立が必要と考える、特に中小企業対策であるとか社会福祉、国立病院などの建設の問題もある、また地方県議会の問題もあるというお話がございました。
 全く私もそういうふうに考えておりまして、平成五年度補正予算は、先般の総合経済対策を実施するための経費が大半を占めておりますし、おくれればその分だけ追加事業の実施がおくれ、事業の円滑な執行及び年度内消化に悪影響を及ぼしかねないなど、影響は大きいものがあると思っております。いずれにいたしましても、今後の景気の足取りを一層確実なものにするためにも、本補正予算の円滑な御審議と速やかな成立を期待申し上げたいところでございます。
 円高の問題につきましては、私に対する御質問がありましたが、総理から先ほど御答弁がありました。全く同じでございますから、私からの御答弁は、重複を避けたいと思っておるところでございます。
 最後にもう一つありましたのは、公債依存にはおのずから限度があると考えるかどうかと、こういうことでございます。
 私も、我が国の財政の厳しい状況からすれば、財政改革の推進は引き続き重要な課題であるけれども、先般決定された総合的な経済対策は、このような財政改革の基本的方向を踏まえた上で、現在の経済情勢にかんがみ、臨時異例の措置として決定したものでございます。
 先般の対策を実施するために、やむを得ざる措置として建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することにいたしました。公債残高が百八十四兆円にも上る、こういうことでございますが、今後の財政運営に当たりましては、このような状況を踏まえまして、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことを目指して、従来以上に制度の基本にさかのぼった見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行い、財政改革を強力に推進していく必要があるというふうに考えていることを申し上げておきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(櫻内義雄君) 宮地正介君。
    〔宮地正介君登壇〕
#16
○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました財政演説につきまして、今後の経済政策並びに当面する政治課題とあわせ、総理並びに関係大臣に質問をするものであります。
 初めに、カンボジアにおけるPKO問題についてであります。
 カンボジアでは、高田晴行さんの五月四日の痛ましい殉職事件の後も、ゲリラ活動が引き続き多発し、五月二十三日から始まる制憲議会選挙が近づくにつれ、ポル・ポト派による選挙妨害活動がますます活発化し、一部地域では死傷者も出ております。
 カンボジアにおける国連平和維持活動は、戦乱にじゅうりんされてきたカンボジアが自由と平和の民主国家として生まれ変わるための崇高な活動であります。このとうとい活動がスムーズに進まなければ、和平はさらに遠のき、カンボジアは再び戦乱の国土と化すととは必至であります。
 総理は、五月十三日のこの衆議院本会議におきまして、文民警察官の殉職について、部隊の要員の派遣を決めたのは私であり、深く責任を感じると述べられましたが、カンボジア情勢の分析においては、パリ和平協定の基本的枠組みが崩れていないので、一時中断や撤収は考えていないと断言されました。
 そこで、国民の抱いているカンボジアにおけるPKOの展開に対する不安と心配に対して、率直に総理にお伺いをいたしますが、まず第一に、PKO五原則は厳正に守られているのかどうか、具体的にいかなる手法でチェックをしているのか。また、PKO協力法が前提としていた状況とカンボジアの現状に大きな違いが生じてきているのです。政府が国民に説明したとおりの厳正な法運用が行われるべきであります。
 第二は、状況いかんによりますが、今後不測の事態が発生した場合、あるいは不測の事態が起きる可能性が予想されるとき、危険な地域については、派遣要員の任務中断を政府判断として決めることを検討すべきであると思うかどうか。総理の明確な方針と要員の安全対策をお示しいただきたいのであります。
 次に、政治改革の問題についてであります。
 六月二十日の会期末まで残すところ一カ月有余となり、この国会の最大の課題である政治改革もいよいよ最終段階に入ってまいりました。焦点の選挙制度改革に関し、与野党の合意が成立しなければ、自民党の単純小選挙区制と社会、公明両党による小選挙区比例代表併用制はともに廃案になり、政治改革は実現できなくなってしまいます。
 何としても与野党の相打ちは避けなければなりません。政権交代可能な政治システムをつくり上げるためにも、与野党が妥協すべきであります。総理は、政治改革に全力を挙げると常々明言しておりますが、今国会で選挙制度を含めた政治改革を断行する決意があるのか、総理みずからがリーダーシップを発揮して、断固とした姿勢で取り組むのか、総理の決意を伺いたいのであります。その際、物理的に日程が厳しくなってきた場合、今国会の会期延長もやむなしの強い姿勢で政治改革に取り組むのか、あわせて総理の所見を伺いたいのであります。
 ところが、ここに来て唐突に、自民党の梶山幹事長や中曽根元首相から、衆議院は単純小選挙区制、参議院は完全比例代表制による衆参一体の選挙制度改革をやるべしとか、汚職の追放と腐敗防止対策を選挙制度改革より優先すべきなどの発言が相次いております。しかし、こうした発言は、政治改革に水を差し、改革の流れをとめようとする、いわゆる改革つぶし以外の何物でもありません。まさに国民の政治不信への怒りに逆行するものであり、到底国民の理解は得られないのであります。
 今国会で選挙制度の改革について与野党の合意ができなかった場合、結果として国会が何もできなかったということでは、国民の政治不信はさらに高まることになります。選挙制度の改革と政治腐敗防止法は一体であるべきです。
 しかし、選挙制度と政治腐敗防止法を分離して今国会で成立させようという動きも水面下で強く働いております。総理は、こうした分離論の動きをどのように見ておられるのか、今国会で再三にわたり一体論の立場を表明した総理は、今後とも貫いていくお考えに変わりはないのか、御見解を再確認しておきたいのであります。
 一方、総理は、民間政治臨調が提案した小選挙区比例代表連用制について、わかりづらいと述べておられますが、第三の折衷案として与野党の合意づくりの検討の対象に値すると考えておられるのかどうか、あわせて見解をお伺いしたいのであります。
 第三は、補正予算と不況対策についてであります。
 政府は、平成五年度予算成立後の四月十三日に十三兆二千億円に上る事業費の新総合経済対策を決定し、また、補正予算を五月十四日、本予算成立後わずか一カ月余りで閣議決定をいたしました。
 これまで政府は、平成五年度予算について、ペストの予算、不況対策に十分に配慮した予算であると再三国会で述べてまいりました。実質三・三%を予測している政府経済見通しについても、十分達成可能である旨の発言をしてまいりました。それほど適切な予算であり、経済見通しに自信があるのなら、予算が成立してわずか一カ月程度しかたっていないのに、かくも早く総合経済対策や補正予算を国会に提出して不況対策を追加しなければならないのか、理解に苦しむのであります。
 我が党は、平成五年度予算は、景気対策に関し、甚だ不十分であると再三申し上げてまいりま
した。そのため、社公民三党で予算の共同修正要求を提出したのであります。
 こうした経緯を考えますと、平成五年度予算は、景気対策について明らかに欠陥があり、また、当初予算を前提とした政府経済見通しも適切なものではなかったと言わざるを得ません。政府の責任は重大であります。平成五年度予算はベストの予算であったとの認識に総理は変わりがないのか。そうとするならば、宮澤内閣の責任についてどのように考えておられるのか、総理の所見を伺いたいのであります。
 また、政府の発表した十三兆二千億円の総合経済対策は、確かに規模としては過去最高であります。しかし、補正予算の規模はわずかに二兆一千八百億円にすぎず、その上、冷え切った消費を喚起する肝心の所得税減税が盛り込まれておりません。
 今回の不況は、資産デフレが加わった深刻な複合不況であり、特に消費や設備投資の停滞は大きく、公共投資の拡大だけでは、冷え込んでいる民間需要の増大を図ることは不可能であります。特に、勤労者の可処分所得は、超過勤務手当の削減傾向により大幅に目減りしているだけでなく、過去四年間における政府の所得税減税の見送りに伴い、インフレ要因だけが増加し、家計負担を深刻にしている現状にあります。
 所得税減税については、三月四日の与野党幹事長。書記長会談において、梶山幹事長が、誠意を持って前向きに検討すると言明した経緯からも、補正予算に盛り込まれなかったことは極めて遺憾であります。さらに、昨日の与野党幹事長・書記長会談においても、梶山幹事長は、引き続き前向きに検討すると発言しております。総理は、この幹事長の発言の重みをどう認識されているのか。与野党幹事長・書記長会談の約束が守られないようでは、政党政治は形骸化され、民主政治の危機につながります。総理は、所得税減税を本気で実施する考えでおられるのか、具体的方針をお示しいただきたいのであります。
 また、九三年度の経済成長率は、IMFの予測は実質一・六%にすぎません。今回の総合経済対策によって、政府経済見通しの三・三%は達成できるのか、また、平成五年度のGNPの押し上げ効果はどの程度になるのか。さらに、この補正予算は、財源の大部分を建設国債の増発に求めておりますが、歳入に占める国債費の割合は一四%と、八七年度以来の高水準にあります。政府は、「財政の中期展望」において、平成七年度に公債依存度を五%以下にすることを目標にしておりますが、この目標の達成は可能なのか、あわせて大蔵大臣の所見を伺うものであります。
 また、公共事業は、九二年度の繰り越し分も含めますと、補正後のGNPベースは相当大規模になります。そこで、公共事業の発注はしたけれども消化はできるのかという問題であります。例えば、最近における地方自治体は、財政悪化や用地の取得難、その上、労働力不足の状態にあり、スムーズに執行されるのか、不安要因が多々あります。公共事業の消化は大丈夫なのか、大蔵大臣に所見をお伺いするものであります。
 一方、最近の経済動向は、一部の指標に明るさが見え始めたとはいえ、底ばい状況にあり、景気の先行きは予断を許しません。中小企業の倒産は激増し、百貨店やスーパーにおける消費需要はかつてないほど冷え込んでおります。企業収益も九三年度を通じ減益が必至と言われ、企業の設備投資も、九三年度は大幅なマイナスを示しております。雇用調整は、生き残りをかけた企業のリストラが積極化し、これからさらに本格化し、子会社への配置転換や人員整理など厳しい状況にあります。
 こうした中、国民は、景気回復を切実な気持ちで見守っております。経済企画庁は、五月の月例経済報告の中で、景気は「一部に回復の兆し」との発表をしておりますが、景気は底を打ったと判断したのか、実際は、なべ底をはうような状況にあるのではないのか。景気の現況及び先行きについて、総理の所見を伺いたいのであります。
 また、最近、円高が著しく上昇しております。我が国は、膨大な一千億ドルを超える経常黒字の状況からして、なお、円高基調にあり、一ドル百円へ向かう展開も十分あり得るのではないかと言われております。その意味で、クリントン米大統領の発言に見られるように、我が国に対する内需拡大、市場開放への国際社会からの要請はさらに強くなると見られます。この際、政府は、円高基調の経済を国民生活の質の向上に生かすことこそが肝要であります。
 そこで、円高差益の還元について、電力・ガス料金、石油製品価格への反映を政府はどのように取り組んでおられるのか。自動車、家電、洋食器など輸出産業に対する、とりわけ中小企業対策は万全なのか、通産大臣の所見をお伺いしたいのでございます。
 以上、総理並びに関係大臣の誠意ある答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) カンボジアの問題につきましては、先般の本会議におきまして御説明も申し上げましたが、さらに五原則との関係でお尋ねでございますので、改めましてその点を申し上げたいと存じます。
 五原則との関連では、第一は、停戦の合意が維持されておるかということ、第二は、UNTACの活動の受け入れの同意がなお間違いがないかということ、第三は、UNTACそのものの活動が中立的であるかどうか、あとの二つは、業務の中断と武器使用に関するものでございますので、この三つにつきましてであります。
 それで、確かにカンボジアにおきまして、武装解除が中途で、十分に行われていない状況であるということ、それから、そこから武装集団による襲撃事件等が起こっておるわけでございますが、それから選挙について、クメール・ルージュが選挙に参加をしないといったような事態は、当初期待していた事態とは確かに異なっております。
 それはそのとおりでございますが、さればといって、クメール・ルージュがパリ協定を全体的に否認をしているかと申しますと、むしろ、パリ協定が忠実に実行されていない、たくさんのベトナム人が残っているではないかというようなことを指摘しておるわけでございまして、パリ協定そのものを否定してしまいますと、クメール・ルージュも立つ立場がないということになりますから、この協定を基本的には否定していない、その枠内でいろいろな批判をしておるということと思います。
 それから、UNTACの活動が受け入れられておるかということにつきましては、これはカンボジア最高国民評議会、SNCを通じまして受け入れておりますし、ポル・ポト派としても、UNTACの活動そのものを全面的に否定するような行動に出てはいないということ。
 それから、UNTACの活動の中立性自身は、これは非常に苦労の上、維持されておるというふうに考えておりまして、したがいまして、五原則はなお満たされておる。当初予想された事態とは異なってはまいりましたけれども、五原則そのものは維持されておるというふうに考えておるわけでございます。
 したがって、業務の中断等を検討すべき現段階ではないというふうに考えておりますが、他方で、この業務を遂行するに当たりまして、派遣要員の安全確保に万全を期すべきことは言うまでもございません。村田大臣に出張していただきましたことは前回御報告をいたしましたが、これを受けまして、ヘリコプターによる輸送等を増強いたしますために、国連に百万ドルを目途として緊急支出をいたしました。それから、柳井平和協力本部事務局長その他の関係者をカンボジアに続いて派遣をいたしました。
 それで、柳井事務局長による協議におきましては、選挙を控えましての安全対策の強化につきましてUNTAC側からの説明があるとともに、また、懸案でありました山崎隊長の各地の巡回が具体化される等々の成果が見られておりまして、UNTACにおきましても、非常に真剣に安全の問題を取り上げつつあるということを前回に続きまして御報告をいたしておきたいと思います。我が国といたしましても、政府のあとう限りの努力を続けてまいらなければならないと考えております。
 政治改革につきまして、このような国民の政治に対する信頼を回復いたしますためには、何としても抜本的な政治改革をぜひとも、しかも早急に実現しなければならないと存じておりまして、この国会でぜひともお願いをいたしたい。各党それぞれのお立場から改革案が提出されておりまして、特別委員会で御熱心な御論議が続いておりますが、今国会中に成案が得られますように念願をいたしておりますし、私といたしましても、もとよりそのために最大限の努力を払ってまいります。
 政治資金制度は、いろいろ詰めていけばいくほど、選挙制度とは不可分の密接な関係にございますので、腐敗防止策も含めて、改革は一体として実現する必要があるという判断に変わりはございません。(拍手)
 それから、いわゆる小選挙区比例代表連用制という案につきましてどう思うかというお尋ねでございました。これを取りまとめられました関係者の御努力に敬意を表しますが、この国会では、各党それぞれのお立場から、各党が最もペストとする改革案を提示されておるのでございますから、そのような真剣な御論議を通じて、各党の案についての御論議を尽くしていただくことが肝要ではないかというふうに考えております。
 それから、このたびの補正予算の提出につきまして、本予算が成立早々に総合経済対策をつくった、あるいは同じ国会ですぐに続いて補正予算を出すというようなことはまことに異例ではないか、政府は見通しを十分に持っていないのではないかというおしかりがございました。
 御指摘のように、このたびの不況というのは、いわゆる複合不況という非常に複雑な状況を呈しておりますので、多少回復の兆しはございますけれども、なおそれを確かなものにいたさなければならないということから、まことに異例ではございましたが、このような措置をとりましたことを御理解を仰ぎたいと思います。
 なおまた、政府、国会がこのような異例な措置、異例な御審議をいただいておるということ自身は、非常にやはり経済界には好影響を与えておる。それ自身の効果もまた大きいということもございますので、ひとつ速やかにこの御審議をお願いをいたしまして、成立、施行をさせていただきたいと思います。
 その次に、所得税の減税の問題につきましては、今回の総合経済対策の中で、特定の扶養控除の引き上げ、いわゆるこれは教育の関連というふうに一般に理解されておりますけれども、その引き上げ、あるいは住宅取得税制の拡充など、政策的な緊要案件の減税は盛り込んでおります。
 所得税につきましては、なお各党が協議会において御検討中のところと承知をいたしております。これについては、財源をどうするか、あるいは税制全体との関係をどう考えるかといったような、検討すべき問題が多いものというふうに考えております。
 それで、これから後の経済の見通しですが、三・三%等々についてのお話がありました。先ほど経済企画庁長官からの御答弁があっておりましたけれども、今度の規模は十三兆を上回っておりまして、波及効果は一年間でGNPの名目で二・六%というふうに試算をされております。
 ただ、この試算の中には、住宅取得促進税制あるいは設備投資減税、それから電力等公益事業における設備投資の促進等々は入っておりませんし、金融・証券に関する施策も計算が難しいのでいたしておりませんが、これはかなり大きな経済に対する、株に昨年来の施策の継続でございますので、影響を及ぼすものと思います。
 そういう意味で、政府の経済見通しで想定されております経済の姿の達成は、これによってより確かなものになるというふうに私は考えます。
 それから、景気は底を打ったかどうかということ。私自身は、底を打ったという感触を持っております。ただ、正確に申し上げなければならぬといたしますと、それは今後発表されます経済指標の動きを見て、事後に判断をして申し上げるべきことだと思いますが、感触としては底を打った。
 ただ、八〇年代の後半に二けたの設備投資を何年も続けてやっておりますので、そういう意味では、ここから設備投資が急速に動き出すということは、私は、なかなか期待ができないであろう。したがって、底は打ちましたが、回復の過程というものは、確実ではありますけれども、急速にV型の上昇をする、そういうコースをたどるということは、この際は、一応しばらくはないのではないか、こういう判断でございます。
 残りの問題は、所管大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#18
○国務大臣(林義郎君) 宮地議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私に対する御質問は、IMFの世界経済見通しで一九九三年の経済成長率一・三%という予測をしているけれども、日本の見方とずれているのではないか、こういうふうなお話から始まりまして、経済運営全体についてのお話が続いてありましたが、IMFの世界経済見通しというのは、IMFというのは、各国の政策にそう責任があるわけじゃありませんし、国内的な諸条件は考慮することもありません。経済予測を行っておるのでありますから、各国政府に対する期待を込めていろいろとつくられるという傾向がございます。
 こうしたことから、実は、短期的には、経済が弱いときにはさらに悲観的になる、中期的には、経済の成長率について高めの水準を設定してもらいたいという期待があるときには少し高めになっていくという今までの傾向があるわけであります。
 それからもう一つは、IMFの見通しは、いわゆるGDPの数字であります。日本はGNPであります。それから、IMFの方は暦年でありますが、日本の方は年度である、こういった点での差があります。
 IMFの見通しにおきましては、九三年の一・三%から九四年の三・五%へと成長が非常に高くなってきておる、そこはやはり日本でも高くなるわけでありますけれども、下期の方にやはり重点が置かれているということを、IMFの見通しも物語っているように思っているところであります。
 そこで、今回の景気対策によりましてGNPの押し上げ効果はどの程度であるのか、先ほど総理からも御答弁いたしましたように、あえて計算いたしますと、GNPの二・六%程度、こういうことでございますし、そのほかのいろいろな雇用対策、住宅取得促進税制、設備投資減税、あるいは電力事業等の設備投資の追加など、いろいろと織り込まれておりまして、こうしたものが相まって景気浮揚効果を有する実効性の高いものだろうと思っているところでございます。
 そうしたことで、政府経済見通しの三・三%の達成につきましても、先ほど総理から御答弁いただきましたようなことで、我々としては、三・三%の成長に向けた内需中心の持続的成長の実現が一層確かなものになっていくものだというふうに確信をしておるところでございます。
 それから、この問題に関連いたしまして、平成七年度公債依存率を五%以下にするという政府目標を立てているけれども達成できるのかという御質問がございました。
 今回の補正予算におきましては、二兆二千四百六十億円を別途建設国債を発行しておりまして、その結果、公債残高が百八十四兆円にも達するような見込みになっておりまして、大変難しい状況になってきていることは御指摘のあったとおりでございますが、今後の中期的な財政運営につきましては、財政が弾力的に対応していくためにも、後世代に多大の負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、公債残高が累増しないような財政体質をつくり上げていくことが大切であると考えますし、このような考え方に立って、旧来以上に制度の基本に立ち返って、見直しや施策の優先順位の厳しい選択を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
 最後に、これだけの公共事業の発注をするけれども、公共事業の消化は、労働力不足など不安要因があるけれども大丈夫か、こういうふうなお話でございました。
 公共事業の執行に当たりましては、設計、積算等、種々の事前準備や事務手続の簡素合理化等を進めるほか、建設労働力及び建設資材の計画的確保を図ることによって、円滑かつ着実な執行が可能であるというふうに考えております。
 以上、御答弁申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣森喜朗君登壇〕
#19
○国務大臣(森喜朗君) 宮地議員御指摘の電力・ガスの差益還元の問題につきましては、為替レートの円高による影響のみならず、原油価格上昇による影響をも勘案する必要がございますので、現段階では、差益還元を具体的に議論できる状況にはないものと考えております。
 いずれにいたしましても、今後、仮に大幅な差益が生じるに至った場合には、電力・ガス事業の特性や収支状況等をよく考えながら、適切な対応をしなければならぬと考えておりまして、今後とも為替レート及び原油価格の動向等を十分注視してまいりたいと考えております。
 また、石油について申し上げれば、石油製品の仕切り価格は、各石油会社がみずからの判断により設定しているところでございますが、多くの石油各社は、原油価格、為替レート等の変動に合わせて仕切り価格を設定しておりますので、円高等による原油価格の変動は仕切り価格に反映されることになっている、このように承知をいたしております。通産省といたしましても、今後の石油製品の価格動向を注視してまいりたいと考えております。
 次に、御指摘ございました輸出産業における中小企業対策につきましては、急激な円高が景気に与える悪影響に対しましては、内需拡大を図り、国内景気の早期回復を図り、輸入を促進することが一番の処方せんであると考えておりますので、そのために、ただいま御審議いただいております新経済対策の着実な実施等を通じた景気の一日も早い回復が重要であろうと考えております。
 また、中小企業対策といたしましては、政府関係中小企業金融機関の貸付限度額の引き上げ等を既に実施をいたしておりますし、特に、最近の急激な円高等による影響を受けている中小企業者に配慮いたしまして、都道府県と国が協力して実施する緊急経営支援貸付制度を拡充し、特別枠を創設をいたしますなど、補正予算に盛り込んでいるところでございまして、これらの措置の適切な、かつ機動的な実施のための補正予算の早期成立を切望いたしております。
 今後とも、中小企業の動向を注意深く見守りつつ、適時適切な対応をしてまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(櫻内義雄君) 正森成二君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔正森成二君登壇〕
#21
○正森成二君 私は、日本共産党を代表して、政府の財政演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 財政演説への質問に先立って、緊迫するカンボジア情勢について伺います。
 ガリ国連事務総長が国連安保理事会に五月十五日付で提出した報告書によれば、ポル・ポト派が「投票所や有権者を、砲撃と小火器、地雷埋設や手投げ弾で攻撃しようとする強い兆しがある」、「幾つかの地域では、有権者や選挙の実施、監視にあたっている要員に死傷者を出すかもしれない」という厳しい現状認識を示した上、「激しく反撃することを許可」と明記しています。
 これに符合するように、ポル・ポト派のキュー・サムファン議長は、十四日ラジオ放送で、「UNTACが不公正な選挙を強行すれば、再び戦火がもたらされるだろう」、「タケオにベトナムが侵略を続けている」と演説し、武力対決、しかも自衛隊施設部隊や日本の選挙監視要員の集中するタケオもその対象にすることを示唆し、公言しています。
 総理、これは新たな一層の武力紛争エスカレートの重大な情勢変化を示すものです。政府のこれまでの、パリ協定の枠組みは維持されているという虚構は完全に崩れているのではありませんか。既往にとらわれず、憲法の精神に従って、自衛隊、文民警察官その他の協力要員をカンボジアから即時撤退させるべきだと思いますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。(拍手)
 次に、日米首脳会談、G7など、政府の経済外交の姿勢について伺います。
 四月中旬の日米首脳会談における共同記者会見でのクリントン米大統領の一方的な円高歓迎発言が引き金になり、一時百十円を切るという急激な円高となりました。同席した宮澤総理は一言も反撃せず、円高容認と受け取られました。その後、円高は、G7の合意で一時持ち直したものの、また百十円台を切るという異常な傾向が続いています。
 大統領が記者会見で、他国の通貨の上昇をよいことだなどと発言すること自体、異例、異常の出来事であります。日米首脳のみで、しかも外国語である英語で行われたクリントン大統領と総理、あなたとの会談で、さらなる円高容認の合意があったのか。なかったとすれば、なぜあなたは得意の英語を駆使して反論しなかったのか。民間のモデル試算では、一ドル五円の円高でGNPの実質成長率を〇・二六%引き下げます。二月からの十五円の円高の景気に与える影響は決して軽視できません。総理の真意と、現下の円高問題への対処方針についての見解を求めます。(拍手)
 そもそも、今回の補正予算の基礎となった新総合経済対策は、政府が最良のものと野党や国民に説明、自負し、一切の修正を拒否して、三月末予算を通過させてから二週間足らずのうちに作成されました。そのこと自体、対米首脳会談を意識し、自主性を欠いた異例のものであります。総理が「史上最犬の規模」と胸を張って持ち込んだこの新総合経済対策は、クリントン米大統領に、「最初の一歩」として軽くあしらわれました。
 さらに、首脳会談に先立って訪日したクリストファー米国務長官は、八〇年代後半の日本の姿に戻っていくことが望ましいと、バブル経済待望の発言を行っています。これは我が国経済に対する言語道断の干渉であると言わなければなりません。民間研究所はもちろん、大蔵省財政金融研究所関係の研究会の報告書すら、バブル経済について反省し、「米国の協調要請にこたえた低金利政策と金融緩和が長期化したこと」を真っ先に挙げ、「国内経済の安定成長があって初めて国際協調が可能になる」と述べているではありませんか。
 また、貿易不均衡是正の新たな協議機関の設置について、米側は、個別品目ごとの輸入目標設定を要求する場としてこの機関を位置づけ、米側独自の指標として、一方的に日本の輸入目標を設定する意向とまで言われています。これは管理貿易主義そのものであり、しかも、米側の利益を一方的に主張する不当きわまりない要求であります。
 今回の首脳会談を通じて、米側の不当な要求に対し、宮澤総理は専ら対米譲歩の姿勢を強調するに終始したと言われても仕方がありません。現に金融界からさえ、「史上最大の規模」と自慢する十三兆二千億円もの新総合経済対策というお土産まで持って訪米しながら、市場開放や円高など言われほうだいでは、何のための首脳会談だったのか、宮澤外交は失敗などの声が聞こえています。アメリカの不当な内政干渉的要求に対しては、国益を守って毅然として反撃し、我が国経済主権を確立するのが一国の総理として当然ではありませんか。総理の見解を求めます。(拍手)
 次に、新総合経済対策と、今回の補正予算案について伺います。
 景気回復の兆しなどと言われていますが、明るさが見えるのはリストラクチャリングで人減らしを強行し、増益の見通しを出しているごく一部の大企業だけです。民間信用調査機関の発表では、九二年度の負債総額一千万円以上の企業倒産は前年比二二・七%増の一万四千四百四十一件で二年連続一万件を超え、そのうち資本金一千万円以下の中小企業が四分の三を占めています。負債総額は七兆円を超え、昨年、一昨年とも史上最高の水準です。注目すべきことは、不動産業者や財テク業者などのバブル型倒産が減少しているのに対し、販売小振など、不況型倒産が過半数を占めているだけでなく、前年比六三%と急増し、連鎖型倒産も二三%と大幅に増大していることであります。一−三月期の中小企業景況調査によると、業況判断指数、DIはマイナス三六・穴と、七期連続のマイナスを記録しています。
 これらの冷厳な事実は、政府が昨年来行ってきた大型公共事業や公定歩合引き下げなどの一連の従来型不況対策が、一部の大企業や銀行の救済に主眼を置き、事業者数の九九%、従業員の八割近くを占める中小企業を含む我が国経済と国民全体の利益を考慮していなかったことを明白に示しているではありませんか。総理の見解を求めます。
 総務庁発表の二月の家計調査報告でも、全世帯の実質消費支出は前年同月比三・四%減と、三カ月連続マイナスを記録し、百貨店の売上高は実に十三カ月連続マイナス、スーパーの売り上げも低下するなど、個人消費低迷は深刻です。ところが、今回の補正予算案は、若干の政策減税を盛り込んだだけで、肝心の所得減税を故意に拒否しています。
 総理、所得減税をなぜやらないのか。所得減税は、国民購買力の引き上げを中心とする真の内需拡大と国民生活擁護の大本であり、不可欠ではありませんか。
 現在、我が国では、経済のサービス化が進展し、国内総生産額に占める第三次産業のウエートは、一九六〇年代の四七%から変化し、九〇年代では実に六〇%を超えています。
 民間のシンクタンクも、政府の公共投資は波及効果が建設業と製造業に偏り、全産業への効果が小さいことを指摘しています。他方、所得減税は、生産誘発効果が公共投資と大きな差がない上、その効果は製造業、サービス業、卸、小売業など全産業に広がり、雇用は公共投資より増大するとして、景気対策に最大限の効果を発揮させるためには、所得減税も含め、経済の構造変化に対応した政策を果断に行うことが必要としています。
 今こそ、赤字国債を財源にしない二兆円の所得減税を実施し、また政府・自民党の公約でもあった消費税の食料品非課税を緊急に実施すべきであります。
 軍事同盟の一方が解消するなど、世界情勢の変化に対応して軍事費を削減し、また、大企業の過大な減価償却比率の削減など、内部留保にメスを入れるなら、財源は十分に存在することを我が党は主張するものであります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 今回、目先を変えた新社会資本整備として、大学、研究所などの老朽化施設、医療・社会福祉施設の整備などの改善が盛り込まれました。これらは従来から我が党が主張し、また国民の要求にこたえたものでありますが、切実な要求から見て、まだまだ部分的なものでしかありません。我が党は、公共・公営住宅の大量建設など、生活基盤整備に比重を置いた公共事業に抜本的に転換することを主張するものであります。生活関連の公共投資こそ、中小企業への発注率が高く、景気対策としても効果的であることは広く指摘されています。総理の見解を求めます。
 また、官公需発注に当たっては、中小企業への国の発注率を五〇%以上に引き上げること、中小企業が受注しやすいように分離・分割発注、一定金額以下は中小企業に発注する逆ランク制の導入、公共事業受注大企業に、契約金額の半分以上は地元下請中小企業に優先発注させることなどの施策を早急に実施することを求めるものであります。
 指摘しなければならないのは、新社会資本の整備と称して、公立小中高校への教育用パソコン導入の前倒しなどを国の補助金なしの地方単独事業で押しつけようとしていることです。結局、これは電機・ハイテク関連大企業のてこ入れ策を地方自治体の地方債、借金で行うものではありませんか。それでなくとも、相次ぐ政府の景気対策は地方単独事業の比重を高め、このため地方自治体は地方債の増発を強いられ、その財政は悪化しているだけでなく、今回の景気対策でも、地方自治体の消化能力に疑問が持たれるという論評がふえているではありませんか。
 経済対策の財源の大半を、新たな建設国債約二兆二千五百億円の増発、財投からの借金、特に地方自治体への借金押しつけなどで賄うことは、国債・地方債依存の借金づけ体質をますます進行させ、将来の国民にツケを回すものであり、財政再建はますます遠のくばかりではありませんか。見解を伺います。(拍手)
 その上、年金再計算と年金制度一元化に関連し、また所得減税を行う場合の財源と絡めて、来年にも直間比率の見直し、すなわち、消費税の税率アップが論議されています。海部内閣が公約した食料品等の非課税を行わないだけでなく、逆累進構造で低所得者に重税を課す消費税の税率を引き上げるなど、もってのほかであります。この際、消費税の税率アップを絶対に行わないかどうか、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 最後に、日本共産党は、我が国経済主権の確立と国民本位の景気対策の実現のために全力を尽くすとともに、自民党政府の小選挙区制法案と、それに続く憲法改悪の企てを打ち砕くため、国民とともに奮闘する決意を表明し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 最初に、カンボジアの事態に対しまして、国連事務総長、ガリ事務総長の報告についてお話がございまして、ガリ事務総長が、ポル・ポト派への反撃を許可するということを報告で言っておるとおっしゃいましたが、この報告は今朝未明に公にされまして、私どもの見ておるところでは、そのようなことはございません。
 それから、この間も申し上げましたが、パリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは維持されておるというふうに私どもは考えております。
 それから、日米首脳会談についてでございますが、私とクリントン大統領との会談の中で、円高で貿易収支不均衡に対処するというふうな話は、もちろん全くありません。あれば私が私の意見を言ったはずですが、そういうことはもちろんありません。
 それから、首脳会談後の記者会見でクリントン大統領が為替のことについて発言をされました。私はそれを隣で聞いておりましたが、それは円高誘導を意図したというようなものでは、私は、そういうものではなかったと聞いております。これはクリントンさんが記者に答えたことですから、私がそれに反論するというような場ではございません。私に対してなされた発言ではございません。
 その後、ワシントンでG7の会合がございまして、やはりこれはいわゆるファンダメンタルズによって決めていくという合意がなされております。これはもとよりそれが本当のところでありまして、そういうふうにして為替市場で引き続き緊密な協力を行っていくということが大切と思います。
 それからもう一つ、クリントンさんとの会談で、いわゆる管理貿易のような話、これはアメリカの内外に少しずつございますので、私は、それはよくないことだし、また、実際できないことだということをお話しをいたしました。日米の間で新たな協議の枠組みをつくりましょうということも申しました。率直な会談をいたしまして、意見の違っているところも一緒のところもございましたけれども、私としては、いい会談であった、日米関係の成熟ぶりを反映したものだと思います。何かそのようなことを、内政干渉というようなことを先ほどおっしゃいましたが、どうもそういう見方はまことに残念なことだと思います。
 それから、現在の経済状況の中で、中小企業の倒産、これにつきましては最も警戒をしなければならないところでありまして、中小企業に対する資金の調達の円滑化、設備投資の促進等々、このたびの補正予算でもそういう内容を盛っておるところでございます。
 それから、二兆円の所得減税を赤字国債を財源にしないでやるというお話は、できますならば大変結構なことでございましょうけれども、どのようにすればそういうことになりますか、私にはちょっとお答えをいたしかねる。防衛関係費を削ればいいとおっしゃいますけれども、防衛関係費は、要るものをぎりぎりに組んでおりますので、そういうものは要らないという立場は、私どもはとりません。
 それから、減価償却資産を切ってしまえぱいいと言いましても、これは、物理的にあるいは技術的に償却をすべき、陳腐化をするわけでございますから、それを勝手にしないというわけにはいかない。それでは市場経済が成り立ちません。
 それから、公共事業につきまして、その配分をきめ細かにやれと言われることはまことにそのとおりであります。住宅、下水道あるいは研究施設、福祉施設など、今度はかなり細かくいたしております。
 それから、中小企業向けの官公需発注を確保せよ、五〇%以上にしろということは、かねがねの御主張であって、ごもっともなことと思います。一生懸命その努力をいたしておりまして、地方公共団体の官公需を合計しますと、今五六%というところに届いておるところでございます。
 それから、消費税の税率でございますが、これは国民各層の論議、国民の意向によって、それを尊重して決めるべきものであって、安易に引き上げるというような考えを持っておりません。
 残りの問題は関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#23
○国務大臣(林義郎君) 正森議員の御質問にお答え申し上げます。
 御質問は、景気対策の財源の大半を建設国債の増発による、あるいは財投からの倍金による、また自治体への借金押しつけ等で賄っていることは、借金づけ体質をますます進行させるのではないか、財政再建は遠のくばかりだと考えるけれどもどうだ、こういうふうな御質問だと承りました。
 我が国財政の厳しい状況からすれば、財政の対応力を回復するために、財政改革の推進は引き続き重要な課題であることは申すまでもありません。先般決定されました総合的な経済対策は、このような財政改革の基本的方向を踏まえた上で、現在の経済情勢にかんがみて、臨時異例の措置として決定したものであります。
 今回の補正予算におきましては、極めて厳しい財政事情のもとで、やむを得ざる措置として建設公債二兆二千四百六十億円を追加発行することにいたしまして、百八十四兆円にも達する公債残高になりましたが、今後巨額の国債費が政策的経費を圧迫するという構造的な厳しさはますます深まってきているということがあります。
 今後の財政運営に当たりましては、こうした状況を踏まえ、後世代に多大な負担を残さず、再び特例公債を発行しないことを基本として、そうした財政体質をつくり上げていくことを目指して今以上にやっていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣村田敬次郎君登壇〕
#24
○国務大臣(村田敬次郎君) 正森議員の御質問のうち、地方財政に関するものについてお答えいたします。
 今回の経済対策においては、さまざまな分野に幅広く社会資本の整備を行うことが要請されております。このため、文化会館や博物館などの各種施設の大規模改造や、高齢者、障害者に優しい町づくり、さらには、情報化に対応した行政機関や学校、試験研究施設等の整備や、電線類の地中化などを地方単独事業として推進することができるよう、地方債を活用した地方財政措置を講ずることとしております。自治省といたしましては、このような財政措置を通じて、各地方団体において、自主的な判断に基づいて事業が実施されるものと考えております。
 また、地方団体の消化能力についてのお尋ねでございますが、今回の地方単独事業の追加二兆三千億円は、昨年度の実績等を勘案して、地方団体にその実施を要請しようとするものであります。
 なお、地方債の残高が増加することにつきましては、近年において、地方財政の中期的な健全化を図るための措置を講じてきているところでもあり、今後とも、各年度の地方財政計画の策定に当たって、公債費を適切に見込み、地方財政の運営に支障が生じないよう対処してまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○副議長(村山喜一君) 小平忠正君。
    〔小平忠正君登壇〕
#26
○小平忠正君 私は、民社党を代表し、ただいまの林大蔵大臣の財政演説に対し、宮澤総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず初めに、宮澤内閣の経済運営についての政治責任に関してお尋ねをいたします。
 宮澤内閣が甘い経済分析を続け、対策を後手後手に回してきた結果、日本経済は深刻な不況に直面をいたしております。生産、消費ともに落ち込み、大量の勤労者、パート、内職者が職場を追われ、中小企業の倒産が相次いております。バブル経済は崩壊し、金融不安が生じております。不景気で貿易黒字は逆に拡大を続け、我が国に対し、諸外国から厳しい非難が集中をいたしております。
 政府は、昨年八月二十八日になってようやく経済対策を決定し、そのための補正予算成立は十二月十日に相なりました。今年度は昨年度の轍を踏まないよう、民社党は当初から、景気に配慮をした予算を編成するよう主張してまいりました。平成五年度の政府予算案は、我々から見れば不十分なものでありましたが、国民生活を守る見地から審議促進に協力をいたした次第であります。佐川問題等究明のための喚問並びに減税をめぐる与野党の対立から予算審議が一時中断しましたが、二十二年ぶりに予算の年度内成立を見たということは一歩前進と考えます。
 にもかかわらず、当初予算が成立して間もない今日、政府が補正予算を提出するとは、言語道断のきわみであります。同一会期内に本予算に続き補正予算案が提出されたのは、昭和三十四年度以来の実に三十四年ぶりの出来事であり、景気対策を盛り込んだ本格的な補正予算案となったのは今回が初めてであります。このことは、本来なら内閣が総辞職をするか、最低でも大蔵大臣が辞任をして責任をとるに値するものであります。宮澤内閣は、かかる事態に対しいかなる方法で責任をとっていかれるのか、総理大臣から納得のいく御
答弁を賜りたいのであります。
 第二に、政府提案の総合経済対策、補正予算案の内容について質問いたします。
 政府は、四月十三日、総額十三兆二千億円規模の総合経済対策を決定し、この実施のための補正予算案を編成いたしました。公共投資の拡大、前倒しや、教育、福祉、情報など、生活に配慮をした社会資本整備、中小企業や住宅対策に資する政府系金融機関の融資拡大、民間投資促進、雇用対策、金融・証券対策、輸入促進策などについては、全面的に民社党提案が取り入れられておりますが、以下の二つの点で問題があると考えます・
 一つは、我々が実施を強く求め、自民党の梶山幹事長が、前向きに検討すると約束をした所得税減税が盛り込まれなかったことであります。今回の不況はまれに見る消費不況となっております。百貨店販売額は昨年三月以来伸びがマイナスとなり、家計の消費支出も低迷が続いております。今年三月の一世帯当たりの消費支出の実質伸び率は三・四%減少し、三カ月連続のマイナスを記録いたしました。
 民社党が提唱をいたしました住宅取得促進税制の控除額引き上げ、特定扶養控除の引き上げ、中小企業などの投資減税、社員旅行非課税枠拡大などの約一千五百億円規模の政策減税が盛り込まれたことは当然でありますが、これでは消費刺激効果を期待することはでき得ません。我々は、直間比率の見直し、高齢化社会に対応できる税体系の確立など、本来の税制改革にも真剣に取り組んでいく決意であります。しかし、現在の深刻な消費不況を打開するため、まず大幅所得税減税を実施すべきと考えます。
 所得税減税なしの経済対策では、今日の深刻な不況を克服するのは困難であり、政府公約の実質三・三%の経済成長は到底不可能と考えます。不況をさらに長引かせ、国民生活を悪化させるのか、景気回復への足がかりをつくるのか、そのかぎを握るのは総理、あなたであります。所得税減税をいち早く決断すべきと考えますが、明快なる御見解を承りたい。あわせて林大蔵大臣の見解も求めます。
 二つ目の問題点は、去年の対策と同様、今回もその相当部分を財投に依存する数字の水増しが行われている点であります。このような数字のまやかしは、国内のみならず、日本の国際的な信用をも著しく失墜するものと考えます。このようなつじつま合わせをやめ、いわゆる真水の金額のみを明らかにすべきと考えますが、総理及び経企庁長官の明快なる御答弁を求めます。
 第三に、円高問題についてお尋ねをいたします。
 総理が四月十六日の日米首脳会談でクリントン大統領の円高容認発言を誘発し、一時急激な円高が進み、景気回復をさらにおくらせることと相なりました。その後、円高には歯どめがかかりましたが、円高基調は依然として変わっておりません。政府の経済対策にも有効な円高対策は盛り込まれておりません。我々は政府に対し、安定した円相場維持のためのアナウンスメント、日銀による機動的市場介入、各国への一層の協力要請など、為替政策の実施を求めるとともに、以下の総合円高対策を提唱いたします。
 まず、円高差益の還元を前提とした内外価格差是正アクションプログラムを策定し、九四年度から九八年度の五カ年間で日本の物価を欧米諸国並みの水準とすべきであります。特に円高を好機として、大店法等の各種公的規制緩和、ブランド商品の価格引き下げ指導、輸入総代理店に対する競争促進、物流効率化、独禁法の厳正運用などの流通改革に取り組み、円高が商品の価格引き下げにつながるよう必要な政策を実施すべきであります。あわせて、円高メリットを受けている産業、業界については実情を調査、公表させ、国民の目に見える形で早急に円高メリットを消費者に還元するよう所要の措置を講じるべきと考えます。
 また、円高の被害を受けている産業・中小企業対策を怠ってはなりません。公共事業の執行に当たっては、円高の被害をこうむっている地域への重点配分に配慮をするとともに、官公需の中小企業向けの発注比率を大幅に引き上げるべきであります。円高の影響を受けておる絹織物や陶磁器、洋食器等の地場産業の救済に重点を置き、中小企業金融公庫など政府系中小企業金融機関等の貸付限度額を引き上げ、金利を引き下げるなどの政策をとるよう提唱いたしますが、政府はどうこたえるのか、総理並びに林大蔵大臣の御所見を伺います。
 最後に、対外経済問題についてお尋ねをいたします。
 貿易黒字は、九二年度一千二百六十億ドルに達し、ジャパン・パッシングのあらしが吹き荒れております。現在の輸出依存、国民生活軽視の経済構造が根本から改められない限り、巨額の貿易黒字は解消されず、円高を求める諸外国の声がやむことはないと考えます。現に、四月二十九日、ワシントンで開催された先進七カ国蔵相・中央銀行総裁会議では、円高抑止と引きかえに、日本に対してはマクロ対策による内需拡大を通じた輸入の増加や構造改革、市場開放を進めて黒字を減らせよとの宿題が出されております。
 今こそ、我が国は外需依存から内需主導へ、成長・市場シェア至上主義から国民生活重視への経済構造の転換に取り組んでいかねばなりません。政府は、「生活大国五か年計画」を手直しをして、第二次前川レポートともいうべき日本経済改造計画を作成し、これに総力を挙げて取り組むべきだと考えます。
 次に、対外経済交渉について提案をいたします。
 テレビで中継された宮澤総理と一緒のクリントン大統領の厳しい表情、またG7での林大蔵大臣の姿を見て、国民は、通商問題における日本政府の力量不足に大いに不安を感じております。さらに、国益よりも省益を優先する各省庁のぱらぱらの縦割り行政もお粗末な対外経済政策の一因となっている、こう考えます。一元的な対外経済政策実施のため、かつて福田内閣で牛場信彦氏が務めたような対外経済大臣を任命するよう提唱いたします。
 次に、サミット前までに開かれる日米包括経済協議について提案をいたします。
 米国は、自動車、自動車部品、半導体、通信機器、電算機、スーパーコンピューター、建設などの分野について、個別品目ごとに購入目標の設定を日本に求める姿勢を示しておりますが、両国が世界の自由経済、自由貿易の安定のため協調をして努力をする体制を確立をし、米国に対しては、財政赤字削減、貯蓄や企業投資促進などについて
きちんと注文をつけ、管理貿易につながる分野別の購入目標の設定には応じないよう強く求めます。しかし、我が国としては、所得税減税実施など、さらなる内需拡大策を講じるとともに、市場の需給調整を目的とした規制や行政指導の全面廃止、公正、透明な市場経済ルール確立に全力を尽くすべきだと考えます。
 以上の諸点に関し質問いたしました。総理並びに関係大臣の御答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#27
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 本予算が成立するとともに、間を置かずに総合経済対策を考え、また同一会期に補正予算を出すというようなことは言語道断であるというおしかりがございました。
 まことに異例のことであることは、私もよく認識をいたしております。このたびのいわゆるバブル崩壊という経済の実態が非常に経験したことのないものでありましただけに、政府としても十分手抜かりのないように対応をいたしたい、多少好転の兆しはありますけれども、景気の足取りをしっかりさせたいと考えましてこのようなことをいたしましたので、その点はどうぞ御理解をお願いしたいと思います。またしかし、国会がこのような予算の審議をしていただいておること自身、経済界には非常にいい影響を与えておりますことも事実でございますので、どうぞその点も御了察の上、御審議をお願いをいたしたいと思います。
 それから、所得税減税につきましては、既に今回の対策で、特定扶養控除の引き上げあるいは住宅取得促進税制の拡充など、経済効果のあるものを盛り込んでおりますが、所得税減税につきましては、各党の御協議がなお続いております。財源をどうするか、税制全体との関係をどうするかといったような難しい問題を含んでおると思いますが、御協議がなお続いておるということと承知をいたします。
 それから、真水のことは、先ほどからも関係大臣の御答弁がありまして、実は、この真水という話はちょっと正体のつかめないところのある話でございます。私どもとしては、史上最大規模の十三兆円を上回る事業規模を確保した、それをこの対策の目的を達成するとの観点に照らして、十分な規模、内容となっているものと考えておるところ、こう申し上げておきます。
 それから、円高の差益還元について、内外価格差是正のアクションプログラムを策定したいという御提言がありまして、確かに円高の効果というものをもっと浸透させたいということは、私も一生懸命考えておりますが、一番大切なことは、管理価格のものは別といたしまして、市場メカニズムが働いて、自由に競争があって、輸入も輸出も自由にあって、流通も自由である、その中で差益が還元されるという、それが私は一番の理想的な姿と思います。政府としては、そのためのモニターをする。内外価格差の対策推進本部を設けておりますのも、いわゆる市場経済が自由に競争の中で行われることによって差益が還元されるのが本来の政策だというふうに考えます。
 それから、総合円高対策の中で中小企業対策、これは官公需確保法によりますもの、あるいは中小企業者に対する低利融資等々、いろいろな施策をこのたびも盛り込んでおりまして、中小企業に対する円高の影響は十分に注意をいたしてまいります。
 それから、「生活大国五か年計画」は、むしろやり直すよりは、各般の施策をさらに推進をいたしたいと思っているところであります。
 それから、対外経済大臣を任命すべきではないかという御示唆に対しては、そういうことをただいま考えておりません。
 それから、日米会談でございますが、結局、この両国の間の貿易のインバランス、それを中心にしまして、構造問題もあろうし、分野別の問題もございましょう。しかし、もっと広く、環境とかテクノロジーとかいうものもございますから、会談後三カ月以内にひとつ新しい枠組みを設定をいたしたい、そうして、これは日米両方の問題をお互いに取り上げるということと、数字で目標を定めるような管理貿易の手法には、私は賛成でないということをお話をしてきたわけでございます。
 所得税減税につきましては、先ほどお答えをいたしましたので、重複を避けさせていただきますが、なお、公共事業等々の競争入札につきましては、十分建設省を中心に透明性を確保いたしますように努力をいたしてまいります。
 なお、残りの問題につきましては、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣林義郎君登壇〕
#28
○国務大臣(林義郎君) 小平議員の御質問にお答えを申し上げます。
 最初は、所得税減税を大幅に実施すべきだと思うがどうかということでございますが、総理から再三にわたり御答弁を申し上げておるところでございまして、私も、景気対策としての効果に疑問があるほか、巨額の財源をどうするのか、さらには、税制全体との関係をどう考えるのかといった広範な点について検討が必要であり、克服すべき課題が極めて大きい問題だと考えているところでございます。
 また、次の問題といたしまして、中小企業金融公庫など政府系中小企業金融機関等の貸付限度額を引き上げ、金利を引き下げるなどの政策をとるよう提唱するが、大蔵大臣の見解はどうかということでございました。
 御指摘の政府関係中小企業金融機関等の貸付限度額につきましては、中小企業の資金調達の円滑化を図る観点から、国民金融公庫等の緊急特例限度貸付制度の貸付限度額の倍増などを行うこととして、既に実行に移しているところでございます。
 また、貸出基準金利につきましては、原則として、民間長プラと同水準に定めておりますけれども、昨今、民間の長プラが四・九%から五・一%に改定された場合に、中小企業に対する金融の円滑化等の観点から基準金利を据え置いたために、現在、長プラを下回る既往最低の低金利を維持しているところであり、公的金融機関は民間金融の補完という原則にかんがみれば、これ以上引き下げるのはなかなか適当ではないと思いますが、御趣旨に沿うような方向でやっているということでございます。
 それから、御質問ではございませんでしたが、お話の中にございました、アメリカのG7で話があって、円高について協調するかわりに、日本に対して内需拡大を求めたのではないかというような御趣旨のお話がございました。
 これは明らかに事実と違うわけでございまして、日本の内需拡大の政策につきましては、G7
各国とも大変称賛の眼をもって見てくれたわけでありますし、為替レートの問題につきましては、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移をするということが望ましいという形で意見の一致を見たところであることを改めて申し上げておきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣船田元君登壇〕
#29
○国務大臣(船田元君) 対策における真水の議論につきましては、先ほど総理から御答弁を申し上げましたとおりでございます。
 今回の経済対策におきましても、国費、地方公。共団体の負担、財政投融資資金、さらには国庫債務負担行為、こういったものを適切に組み合わせるということによりまして、史上最大の総規模十三兆円を上回る事業規模を確保するとともに、景気の現状に的確に対応した即効的な景気浮揚を期待いたしまして、社会資本整備の新たな展開を図るなど、きめ細かな対応を行うことといたしております。
 こうしたことにより、これを着実に実施するということによって、我が国経済は、内需を中心とするインフレなき持続可能な成長経路へ円滑に移行するものと確信をいたしております。
 以上であります。(拍手)
#30
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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 日程第一 流通業務市街地の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#31
○副議長(村山喜一君) 日程第一、流通業務市街地の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長野中広務君。
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 流通業務市街地の整備に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
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    〔野中広務君登壇〕
#32
○野中広務君 ただいま議題となりました流通業務市街地の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、物流を取り巻く経済社会情勢の変化に対応し、新たな視点に立って流通業務市街地の整備を一層促進するため、整備の対象都市を拡大するとともに、主務大臣による基本指針及び都道府県知事による基本方針の策定に係る規定を整備するほか、流通業務の効率化に資する一定の事業を行う者に対し、産業基盤整備基金による債務保証等の措置を講じようとするものであります。
 本案は、参議院先議に係るものでありまして、衆議院においては、去る四月九日本委員会に付託され、五月十二日中村建設大臣から提案理由の説明を聴取し、十四日質疑を終了、討論の後、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#33
○副議長(村山喜一君) 採決いたします。一本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#34
○副議長(村山喜一君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#35
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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