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1992/12/10 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 予算委員会 第7号
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1992/12/10 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 予算委員会 第7号

#1
第125回国会 予算委員会 第7号
平成四年十二月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     長谷川 清君
     島袋 宗康君     西川  潔君
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     栗原 君子君     三重野栄子君
     上田耕一郎君     聴濤  弘君
     井上 哲夫君     乾  晴美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤  要君
    理 事
                井上  裕君
                石川  弘君
                上杉 光弘君
                柳川 覺治君
                角田 義一君
                村沢  牧君
                山本 正和君
                白浜 一良君
                寺崎 昭久君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                大島 慶久君
                北  修二君
                志村 哲良君
                下稲葉耕吉君
                須藤良太郎君
                野間  赳君
                野村 五男君
                服部三男雄君
                林田悠紀夫君
                星野 朋市君
                前田 勲男君
                松浦 孝治君
                穐山  篤君
                及川 一夫君
                喜岡  淳君
                久保田真苗君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                清水 澄子君
                種田  誠君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                三重野栄子君
                荒木 清寛君
                猪熊 重二君
                木庭健太郎君
                長谷川 清君
                聴濤  弘君
                吉川 春子君
                磯村  修君
                乾  晴美君
                西川  潔君
                武田邦太郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  田原  隆君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
       農林水産大臣   田名部匡省君
       通商産業大臣   渡部 恒三君
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
       建 設 大 臣  山崎  拓君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣  塩川正十郎君
       (国家公安委員
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  岩崎 純三君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      伊江 朝雄君
       (沖縄開発庁長
       官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  野田  毅君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  谷川 寛三君
       官)
       国 務 大 臣  中村正三郎君
       (環境庁長官)
       国 務 大 臣  東家 嘉幸君
       (国土庁長官)
   政府委員
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       警察庁刑事局暴  廣瀬  權君
       力団対策部長
       総務庁統計局長  小山 弘彦君
       防衛庁参事官   上原 祥雄君
       防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁建設  黒岩 博保君
       部長
       経済企画庁調整  長瀬 要石君
       局長
       経済企画庁国民  加藤  雅君
       生活局長
       経済企画庁総合  田中 章介君
       計画局長
       経済企画庁調査  土志田征一君
       局長
       国土庁長官官房  藤原 和人君
       長
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       外務省条約局長  丹波  實君
       大蔵大臣官房総  日高 壮平君
       務審議官
       大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省関税局長  米澤 潤一君
       大蔵省理財局長  藤井  威君
       大蔵省証券局長  小川  是君
       大蔵省銀行局長  寺村 信行君
       国税庁次長    瀧川 哲男君
       文部大臣官房長  吉田  茂君
       文部大臣官房総  岡村  豊君
       務審議官
       厚生大臣官房総  瀬田 公和君
       務審議官
       厚生省保健医療  谷  修一君
       局長
       農林水産大臣官  上野 博史君
       房長
       農林水産省経済  眞鍋 武紀君
       局長
       農林水産省構造  入澤  肇君
       改善局長
       通商産業大臣官  石黒 正大君
       房審議官
       中小企業庁長官  関   收君
       運輸大臣官房総
       務審議官     向山 秀昭君
       兼貨物流通本部
       長
       運輸省運輸政策
       局次長      和田 義文君
       兼内閣審議官
       運輸省自動車交  土坂 泰敏君
       通局長
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省労働基準  石岡慎太郎君
       局長
       建設大臣官房総  市川 一朗君
       務審議官
       自治大臣官房審  佐野 徹治君
       議官
       自治省行政局選  吉田 弘正君
       挙部長
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
       自治省税務局長  杉原 正純君
   事務局側
       常任委員会専門  宮下 忠安君
       員
   参考人
       日本銀行総裁   三重野 康君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成四年度一般会計補正予算(第1号)(内閣
 提出、衆議院送付)
○平成四年度特別会計補正予算(特第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
○平成四年度政府関係機関補正予算(機第1号)
 (内閣提出、衆議院送付)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、平成四年度補正予算三案の締めくくり総括質疑に関する理事会決定事項について御報告申し上げます。
 締めくくり総括質疑は一日間分とすること、質疑割り当て時間の総計は九十二分とし、各会派への割り当て時間は、日本社会党・護憲民主連合四十九分、公明党・国民会議十四分、民社党・スポーツ・国民連合、日本共産党及び連合参議院、それぞれ七分、二院クラブ及び日本新党四分とすること、質疑順位についてはお手元に配付いたしておりますとおりとすること、以上でございます。
 ただいま御報告いたしました理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(遠藤要君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成四年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に、日本銀行総裁三重野康君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(遠藤要君) 平成四年度一般会計補正予算、平成四年度特別会計補正予算、平成四年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
 これより締めくくり総括質疑に入ります。山本正和君。
#7
○山本正和君 総理には大蔵大臣当時、当予算委員会の席上で我が国の経済問題等につきましていろいろと質疑を交わしました。きょうはひとつ、我が国経済が抱えている諸問題、なかんずく国際経済、極めてまた難しい問題がございますから、そういう問題を中心にじっくりと総理と論戦を交わしたいと思っております。
 しかしその前に、実は締めくくり総括でございますから、村沢委員からの質問に発しました今日までの予算委員会の論議の中で、これはどうしても国会として明らかにしておかなきゃいけない課題がございますので、その問題について初めに、ひとつ答弁者の方も要領よく御答弁願いまして、短時間にその問題についてのけりをつけたいと思いますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 まず、金丸前代議士の上申書の問題につきまして、法務省からいろいろと御見解がございました。しかし、私はそこでお尋ねをしたいのは、仮に当院が金丸さんの上申書をひとつ出してほしい、こういうふうに言った場合、どういうふうな見解を法務省当局はお持ちなのか、そのところをひとつ大臣からお答えいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 ただいまのお話の中にはいろいろ刑事訴訟法等の法律に絡む厳密な問題があると思いますので、まず政府委員から最初にお答えします。
#9
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 確定記録中の金丸前議員の上申書についてのお尋ねでございますけれでも、これはこれまでお答え申し上げておりますように、刑事訴訟法五十三条一項ただし書きの規定に基づきまして、現在、検察官の不許可処分によって、この不許可処分は最高裁の特別抗告審の決定によって是認されているというふうに考えているわけでございますが、公開されていないものであるということから、その写しを国会に提出するというようなことはいたしかねるということで御理解をいただいていると思うわけでございます。
 また、国会に提出して国会において御検討いただくということ自体は、今申しました記録の公開に関する刑訴法五十三条の趣旨あるいは司法権の独立との関係から、これまでお答え申し上げておりますように、差し控えさせていただいているわけでございます。
 ただ、今、委員仰せになられましたように、院の御決定で何がしかの御決定がございますれば、それはもう国会の国政調査権に御協力申し上げることはこれは法務当局として当然のことでございますので、どういう形で御協力ができるかはまた検討させていただきたいというふうに思っております。
#10
○山本正和君 答弁していない。答弁していないんだもの。だめだ。私の質問に答えていない。だめだ。いつもああ言ってごまかすからだめだ。答弁しないんだもの。
#11
○政府委員(濱邦久君) 先ほどお答え申し上げましたように、検察庁の事務に支障がなくなった時点において院の御決定なりで具体的な御要請がありますれば、その時点でどのような御協力ができるかについて改めて検討させていただきたいと、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#12
○山本正和君 答えていないんですよ。
 私は端的に聞いたわけですよ。院の決定があった場合にどうするのかと聞いた。院の決定があってから検討するとかなんとかじゃないんですよ。院の決定があったときにどうするのかということを大臣に私は聞いているんだから、ちゃんと大臣として、責任者としてきちっと答えてほしい。
#13
○政府委員(濱邦久君) 法律問題も絡んでいることでございますから私の方からお答えさせていただきます。
 院がどういう御決定をなさるかによりまして、法務当局でどういう御協力ができるかということを検討させていただくことになると思うわけでございます。
#14
○山本正和君 答えてない。だめだ。院が上申書を出せと決定したらどうかと聞いている。だめですよ。質問にならぬ。院が決定したときにどうするのか聞いている。
#15
○国務大臣(田原隆君) 国会は国の最高の機関でありますから、この決定は大事なわけでありますが、その大事な良識ある決定をなされる機関が刑事訴訟法に真っ向から反対するかもしれない決定はなされないと思いますし、お求めがあっても、その時点で刑事訴訟法等に照らしてみて御協力できる範囲で最大の御協力をするというのが刑事局長、政府委員のお答えした答弁でございまして、私もそのとおりと思います。
#16
○山本正和君 法務大臣、やっぱり勉強をされていると私は思うんだけれども、この問題はいろいろと国会でも論議してきているんです。さまざまな学説もあるんです。例もあります。そういうことに立ってもう一遍きちっと答弁してください。
#17
○国務大臣(田原隆君) ですから、国会が良識ある御決定を下されると思っておりますし、そのときにそれが法に照らしてどこまで最大限の御協力できるかということを担当部局である検察庁で検討、法務省で検討させていただくと、こういうことを申しておるわけでございます。
#18
○山本正和君 そんななまくら答弁でもって国会で済むと思っているんですか。だめだそんなの。ちょっとあれしてくださいよ。質問に答えないんだからね。黙秘権だ。
#19
○委員長(遠藤要君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#20
○委員長(遠藤要君) 速記を起こしてください。
#21
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員がおっしゃっておられますのは、国会法百四条に基づく国政調査権の行使としての資料要求という御趣旨でおっしゃっておられると思うわけでございます。決して、例えば議院証言法等に基づく内閣声明の問題とか、そういうことをおっしゃっておられるんじゃなしに、今お答え申し上げましたように、国会法の百四条に基づく資料要求というお尋ねだと理解いたしております。
#22
○山本正和君 それを聞いたんだ。
#23
○政府委員(濱邦久君) ですから、その点につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、この確定記録の全部または一部につきまして、これを提出して国会で御検討なさるということは、これは記録の公開に関する先ほど申し上げました刑事訴訟法五十三条の趣旨に反することになるわけでございまして、しかも司法権の独立を侵すおそれがあるということで、そこまでは国政調査権の範囲には属さないというふうに考えているわけでございます。
 したがいまして、先ほどお答え申し上げました刑事訴訟法五十三条の規定にありますように、検察庁の事務に支障がなくなった時点におきまして院で御決定がございますれば、その院の御決定の内容に従いましてどういう御協力ができるかということを検討させていただきたいということを申し上げているわけでございますので、その辺のところは御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#24
○山本正和君 わかっておってごまかしているのかと思ったら、どうもそうじゃないんで、わからないんですね、質問が。
 憲法六十二条というものに基づいて国会が機能を持っているんですね。その機能を持っていることに対して、これは国政調査権の範囲に属さないんだと、今、濱さん言ったけれども、だから、一体法務省としては、国政調査権の範囲に属さないものはじゃ何と何があるか一遍きちっと言ってみてください。そこからやらぬとわからぬよ。
#25
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員おっしゃっておられます国政調査権の問題でございますけれども、これはもう委員が十分御案内のところでございますので、私からそんなことを申し上げる筋合いではないと思いますけれども、国政調査権と申しますのは、国会が立法権あるいは予算審議権、条約審議権、その他国会が本来有しておられます機能を行使するために認められている補助的機能であるというふうに一般に理解されていると思うわけでございます。
 したがいまして、国会に認められておりますこのような国政調査権が認められております法の趣旨、またそれと同時に他方において憲法が認めております三権分立の原則、このような観点から、国政調査権にも一定の限界があるということはもう一般に異論のないところだと思うわけでございます。
 したがいまして、国政調査権の行使に、司法権との関係で申し上げますれば、司法権の独立との関係で国政調査権に一定の限界があることもこれはやむを得ないところだと思うわけ。でございます。
 私、法務当局が検察権の行使との関係でこれまでいろいろ、例えば職務内容の秘密に属することであるからとしてお答えを差し控えさせていただいておりますのも、このような観点から、司法権自体は憲法によってその独立が保障されている、また検察権自体はこの司法権と密接な関係があるわけでございまして、そういう意味から司法権が適正公正に独立に行使されるためには、その前提として検察権が独立、公正に行使されなければならないということもまたこれは当然のことでございまして、そういう意味合いから検察権の準司法的性格というものが是認されているものと思うわけでございます。検察権のこのような独立、公正が保障されるためには、職務行為の独立とともに、職務内容の秘密というものが強く要求されることもこれまた十分御理解いただけるところと思うわけでございます。
 したがいまして、基本的には今申し上げましたような国政調査権の認められております法の趣旨及び憲法が認めております三権分立の原則からする国政調査権の限界というものについても、十分御理解をいただきたいというふうに思うわけでございます。
#26
○山本正和君 今の刑事局長の答弁を私は聞きたかったわけだ。それを初めから言ってほしかった。それを、じゃ今彼が答弁したのは記録に残っていますから、はっきりしててくださいね。
 そこで、憲法四十一条の意味をひとつ、これは総理大臣、お伺いしたいんです。憲法四十一条の意味はどういうふうに解釈すべきですか。
#27
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 憲法の四十一条におきましては、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」と、かように規定しているところでございます。
 それで、ただいま委員の御質問の趣旨は、この国権の最高機関であるという点に関してのことと存じますが、そういう意味で申し上げますと、従来お答えしておりますところでも、憲法四十一条が「国会は、国権の最高機関」であると定めておりますのは、もとより三権分立という憲法の原則、これを前提としての規定でございます。国会の意思が国政のあらゆる面で他の国家機関の意思に優越する、こういう法的な意味を持つものでは必ずしもない。
 ただ、同条はそういう意味で、国会は主権者たる国民によって直接選挙された、そういう議員から成ります国民の代表機関でございますから、そういう意味でいわゆる国家機関の中で主権者たる国民に最も近い、したがって最も高い地位にあると考えるのにふさわしいものである、こういう趣旨を表明した規定であると、かように考えております。
#28
○山本正和君 ということは、行政機関や司法機関との関係でいうと、これは少なくとも論理的に先行し、実質的に優位に立つという解釈が成り立つと思うけれども、どうですか。
#29
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまお答えいたしましたところでございますが、国政のあらゆる面で他の国家機関の意思に常に優先するという法的な意味を持つものではない、これはもう三権分立という建前からしてそういうことだろうと思うわけでございます。
#30
○山本正和君 私の今言った言葉についてどうですかと聞いている。
#31
○政府委員(工藤敦夫君) 常に優越すると申しますか、そういうことでは必ずしも法的にそういう意味を持つものではないと、こういうことだと存じます。したがいまして、調整する場面があり得るということだろうと存じます。
#32
○山本正和君 これは、法制局長官ですからさまざまな学説も御勉強にまっていると思う。
 憲法でいうこの「国権の最高機関」ということの意味についていろんな説がありますよね。今の説は、今法制局長官の言われたのは学説の中でどの立場に立っているんですか。
#33
○政府委員(工藤敦夫君) 個々の先生の説を挙げるのはいかがかと存じます。多数説であり、また通説であると存じております。
#34
○山本正和君 多数説といえば、これはもう憲法学会あるいはほとんどの学者あるいは法曹界の人が皆言っているのは、「最高機関」というこの表現は政治的美称説だと、こういうふうに言っておりますね。その中に、今、長官が言われた言葉がずっと載っているわけだよ。その載っている後を長官はごまかしているんで、学説はその載っている後へ引き続きどういう言葉を使っているかといったら、「国会は、唯一の立法機関として、立法権を独占的に行使することにより、法律を執行・適用する行政機関や司法機関に対して論理的に先行し、実質的に優位に立つことである。」と、こう言っているんですよ、これはっきりね。だれでも皆そう言うんだ、憲法勉強する者は、まず。今の大学生はみんなこうやって学ぶんだ。恐らく司法試験、行政職の試験を受けた人はみんなこの説のもとに試験を受けてきておるはずなんだよ。どうなんですか、そこは。
#35
○政府委員(工藤敦夫君) 国家公務員になります場合、これは何も行政官に限らず、他の分野、司法官などは特にそうだと存じますが、当然憲法の種々の学説を勉強してまいっていることと存じます。
#36
○山本正和君 これは国会というものをどういう位置づけをするかということについて、ひとつ明快な解釈を求めたい。政府として、今法制局長官が言ったことをきちんとひとつ、私が今から質問をほかのものに継続していきますから、その間に文章としてきちっと提出することを要求します。
 委員長、ひとつ処理をお願いしたい。
#37
○委員長(遠藤要君) 後刻理事会で協議いたします。
#38
○山本正和君 それがないと本当は議論できないんですけれでもね。
 ちょっとそこで、じゃ総理大臣にお答え願いたいんですが、内閣総理大臣というのはどういう職責をお持ちでございますか。
#39
○国務大臣(宮澤喜一君) 「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」、憲法七十二条でございます。
#40
○山本正和君 結構ですが、となると、内閣は責任を負うべき場所はどこですか。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民に対して責任を負うということでございますから、具体的には国民を代表する国会に対して責任を負うということと存じます。
#42
○山本正和君 今、総理がおっしゃった、内閣は憲法上では国会に対して責任を負う、こうなっているんですね。
 その立場を忘れずに、ひとつ理事会までに法制局長官、先ほどの答弁をもう一遍きちんと調べていただいて、過去にもいろいろあります、この問題に対する国会論議も。それから、先ほど濱さんが答えた中にも過去の国会答弁と違ったところがあるかないかも十分精査して、濱さんの答弁に対する法制局の見解、それから「国権の最高機関」に対する法制局の見解というものを出してもらうようにひとつ要望いたします。
#43
○国務大臣(宮澤喜一君) 従来、国会の国政調査権と官吏の持っております守秘義務との関連につきましてはしばしばお尋ねがありまして、それにつきましてお答えをしていることは何度もございますけれでも、ただいま山本委員の御指摘の問題は、行政との関連のみならず、司法との関連に実は及んでおられるわけでございます。それでございますから、この点は慎重によく検討をいたしましてお答えを申し上げる必要があるものと思いますので、しばらく検討の時間をお与えくださいますようにどうぞお願いをいたします。
#44
○山本正和君 大体検討のめどをいつごろまでにつけていただけますか。この午前中では無理ですか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) これは将来の我が国にとりまして大変大事な問題の御提起でございますので、お願いを申し上げたいことは、十分誤りを将来に残しませんようにお答えを申し上げたいと思いますので、それに必要な時間を恐れ入りますがちょうだいいたしたいと思います。
#46
○山本正和君 それじゃ、総理のお言葉を信頼して、国会は国権の最高機関、こういう言葉の意味を本当に国民がよくわかるようにひとつお出しいただきたい、こう思います。
 なお、つけ加えて法務大臣に申し上げておきますが、今回のこの予算審議の中で法務当局の答弁が大変不親切であり、国民に対していろんな意味でわかりにくさを与えた、このことを私は指摘しておきたいと思うんです。それからなお、本来からいえば、法務大臣見解というふうなものも出して、この問題に対する国会の論議に対する扱い、こういうものに対しても国民の前に明快に説明をしていただく必要がある、こういうことも私は指摘をしておきたいと思います。
 それでは、その次のところへ質問入ってまいります。
 政府が総合経済対策をお出しになりまして、それに伴って補正予算をお組みになった。さらに現在、次年度の予算を編成中でございます。しかし、そのことをめぐって国民の間にさまざまな議論がございますし、議論というよりも不安、不透明さというようなものがたくさんあるわけであります。そういう立場に立って、ひとつ関係省庁の、総理は一番後で結構でございますけれでも、日本経済の現況についての認識をまず伺っておきたい。関係省庁、大臣、それぞれお願いしたいと思います。
#47
○国務大臣(野田毅君) 現在我が国の経済は、御案内のとおり、いわゆる景気循環論的に見ればさまざまな分野でストック調整が行われておるという過程にあります。同時に、資産価格の下落、特に株価あるいは地価の下落ということが、あるいは金融部門、あるいは企業部門、それから家計部門、それぞれの分野にも影響を及ぼし、そのことを通じてまた実体経済にも影響を及ぼしておる、これが重なっておるという局面にあると思っております。したがって、総括的に言えば現在厳しい調整局面にあるという状況にあると思っております。このことは先般の七月から九月のいわゆるQEによっても反映をされておるわけでして、内需の面で見ますと、既に本年度の四−六、それから七−九、続いて対前期比でマイナスということになっておるわけでございます。
 今後それぞれ資産価格がどういう動向をたどるのかなどについてもいろいろと分析をする必要があると思っておりますが、少なくともいわゆる在庫調整ということがかなりの分野で、緩やかではありますが進捗をいたしております。耐久消費財など一部の分野でまだずれ込みが見られますけれでも、総じて言えばかなり進んできておる。したがって、来年になりましてその山が見えるといいますか、めどがつくということによって、生産の方も緩やかではあるがその限りにおいて現在よりも改善していく。そのことがまた最終需要項目、特に所得とかいろんな面にも好影響を及ぼしていくであろう。
 さらに、御指摘のありました総合経済対策の効果がこの補正予算の成立ということによって一〇〇%フル稼働態勢に入るわけであります。この対策の効果が、やはり残念ながら年内よりも年明け以降においてより効果が出てくるということを考えますと、最終需要の伸びがそういったことで支えられていく、住宅については御案内のとおり既に回復の基調にある、こういうような明るい兆しもあるわけでございます。そういう意味で、今大変厳しいときではありますが、これをみんなで励まし合って乗り越えていかなければならないる面だろうと思っております。
#48
○国務大臣(羽田孜君) もう基本的には経済企画庁長官からお答え申し上げたとおりでありまして、現在厳しい調整局面にあるということがまず申し上げられます。
 今お話がありましたように、住宅の回復等の動きが見られること、あるいは機械受注で、特に民需でございますけれども、三カ月連続で、七月は七・五、八月は三・九、九月が七・九というふうにして、多少明るい兆しが見えてきておるということか言えます。公共投資、これは順調に伸びておるということが申し上げられます。在庫調整も、建設関係で四−九でおおむね完了しており、鉱工業生産についても少しずつ進捗しておるということが申し上げられると思っておりまして、景気回復に向けての今後の展望が、兆しが見えているということが言えるんじゃなかろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、今度の景気低迷というのは、単に循環的なものというだけではなくて、やっぱり資産デフレというものの中で金融関係あるいは証券市場というものも非常に低迷しておるというような状況でございますけれども、総合経済対策が着実に進むことによりまして内需中心にした持続可能な成長を何とか確保していきたいというふうに考えております。
#49
○国務大臣(渡部恒三君) 今、大蔵大臣、経企庁長官からお話がありましたが、我が国経済は今お話しのように、個人消費、設備投資といった民間需要が低迷して、例えば私どもが担当しておる製造業の生産動向を見ますと十三カ月連続で前年比マイナスとなっておりますし、また在庫調整も今お話しのように、生産財、建設財については進展しておるものの、耐久消費財、資本財では需要が依然として低迷しております。
 企業収益、これを見ましても、六十一年のあの円高不況の際は、やはり厳しい不況でしたけれどもデメリットとメリットがありまして、例えば産業の血液とも言うべき外国から入ってくる原油は非常に安く入ってくるというようなことで減収増益といったような企業もあったんですけれども、今回は基幹産業、主要産業の一部を除いて大部分が減収減益となっております。
 また一方、通商面、私ども担当をいたしておりますが、国内需要の減退などの要因から経常収支の黒字は大変高い水準で推移しており、四年四−十月では、年率換算で一千百五十四億ドルにも上っておるということで、今後の通商問題に大変心配される状況でございます。
 このような状況のもとで我が国経済が内需主導の安定的経済成長へと移行していくためには、総合経済対策の着実な実施が必要であり、多くの施策が既に実施に移されておるところでございます。今回提出しておる平成四年度補正予算には、公共投資の追加や中小企業対策など、本対策の実施のための経費が盛り込まれております。特に、中小企業の経営安定や構造改革の推進に役立っための低利融資のために七百四十五億円の中小企業対策費を補正予算に盛り込むとともに、一兆二千億円の貸付枠の追加等も行っておるところでございます。
#50
○国務大臣(近藤鉄雄君) 景気調整過程が進む中で、労働市場にも需給の緩和が見られております。ただ、完全失業率は依然として二・二と非常に低い水準でございますが、先日も発表いたしました有効求人倍率は四年五カ月ぶりで一を切っているわけでございますので、こういった雇用調整が今後余り進まないように、労働省といたしましては雇用調整業種五十一業種を指定いたしまして、この業種傘下の企業、大企業も中小企業も含めてでございますけれども、失業が顕在化しないように企業内である程度サポートしていただけるように、休業なり職業訓練または出向等の勤労者の雇用、賃金についての助成の措置を通じて、何とか解雇というものがふえないような措置を講じた次第でございます。
#51
○山本正和君 総理にはまた後ほどいろいろとひとつお答えいただきたいと思いますが、今の関係閣僚のお話を聞いておりましても共通点があるように見えますが、微妙にニュアンスの違いがあるわけでございます。各省庁それぞれ随分いろんなレポートが、あるいは何といいましょうか、今日の認識についてのいろんなものが、資料が出ておるわけでありますけれども、それを私もずっと拝見しておりまして、やっぱりかなり認識の違いがあるんじゃないかというふうに私自身思うわけであります。今の、通産大臣、かなり厳しく分析をされておられます前半の部分ですね。それに関連してちょっとお伺いしておきたいのは、消費性向の問題です。一体、今までの我が国の経済の流れの中で今日のような事態があったのかなかったのか、今日の消費性向の特徴をこれちょっとお示しをいただきたいと思います。
#52
○政府委員(石黒正大君) お答えいたします。
 消費性向の最近の動向、過去との比較ということでございますけれども、私直ちに今ここに資料をお持ちしておりませんけれども、ここ数年の動きを見てみますと、例えば消費関係で見ますと、耐久消費財、家電製品等がこの数年どういう普及状況であったかというのを見てみますと、昭和六十二年度と平成二年度と比べまして、例えばエアコンは一世帯当たり〇・九八、それが平成二年には一・三一と大幅に伸びております。また、車におきましては〇・九五であったものが一・一四という形で、ここ数年耐久消費財の普及といいますか、相当進んでいるという状況にあったのではないかと思います。このあたりの動向が、消費が物すごく強過ぎたのかどうかというあたりについてはいろんな議論がございますけれども、ストック調整という動きにつながってきているんではないかなという感じがいたしております。
#53
○山本正和君 QEが発表されましたですね。これちょっと説明していただけませんか。まれに見る〇・四%のマイナスというふうなのが出ている。これがまた今後に与える影響についてひとつ説明をお願いします。
#54
○国務大臣(野田毅君) 詳しくは後ほど政府委員からお答えをさせたいと思います。
 ただ、今回やはりマイナスの大きな要因は設備投資の分野でございます。消費の世界は対前期比ということで見ますと四−六月よりも七−九の方がプラスに出ております。今回、若干統計上のいろんな要素が入っていると思うんですが、前倒し効果がどういうふうに出てきておるのか。特に、昨年度の補正予算の効果が、本年度の四−六で公共投資の世界でかなり四−六が積み上がっております。そういう意味で、対前期比ベースで見ると公共投資の方が、いわゆる公的資本形成の方が七―九では対前期比でマイナスになっている。しかしレベルで見ると、対前年では二けたプラスになっておるわけですから、かなりのマイナス効果はある。しかし、そのことが多分十−十二の方で公共事業の方はプラスで出てくるのではないかというふうに見られます。
 それから、住宅投資の方も四−六がかなりよかったものですから、七−九において実際の着工件数ということとそれからGNP統計で出てくるときのタイミングのずれがあるということを考えますと、七−九がやはりマイナス要素になってしまっている。そういう点で、四−六のときには公共事業あるいは住宅というものが支えた姿になっておるんですが、七−九においては逆にそちらの分野の方がマイナス要素になって出ておるという実態、足元の感覚と若干統計上のずれがあるというふうには思います。
 そのことだけ申し上げて、さらに詳しいことは政府委員からお答えをさせたいと思います。
#55
○政府委員(土志田征一君) お答え申し上げます。
 数字的に申し上げますと、七−九月のQEは国内総生産で申し上げますと前期比マイナスの〇・四という形になっております。国内需要が同じく〇・四でございまして、外需の方は前期比ゼロでございます。
 需要の内訳でございますけれでも、民間最終消費支出、個人消費は前期比〇・七%の増加になっております。同じく民間住宅も〇・一%の増加でございます。これに対しまして設備投資、民間企業設備が二・二%減っておりまして、これが寄与度で申し上げますと〇・五%のマイナスの寄与をしております。さらに、在庫調整が進んでおりますので、民間在庫品増加が〇・一のマイナスの寄与。さらにもう一点、公的需要のうちの公的固定資本形成でございますが、公共事業が三・二%減っておりまして、これがマイナスの〇・二の寄与をしております。大体大まかにはそういう形でございます。
#56
○山本正和君 消費性向というのは経済の実態、いろんな形でやられできますが、そんなものも含めて本年度予算を編成されたときの経済見通し、それからまた三月期、それから今度の九月期のさまざまな対策、こういうようなものも全部含めてお考えいただければと思うんですけれでも、一体成長率は今年度どれぐらいというふうにお考えでございますか。
#57
○国務大臣(野田毅君) 現在、本年度の実績見込みを作業中でございます。確たることを今ここでまた申し上げる段階に至っておりませんが、残念ながら、本年度当初に私どもが望ましい姿と考えておりました三・五%程度の実質の成長ということを達成することは極めて難しい状況にあるということを率直に申し上げなければならぬと思っております。
 その要因はさまざまな要因があると思いますけれでも、やはり基本的にはいわゆる資産価格がどの程度下落していくのかそしてそのことがあるいは金融部門にどういう影響を与え、それがまた実体経済にどういう影響を与えるのか、それが企業収益、いわゆる企業部門の財務内容を直撃する、あるいは個人の家計部門にも影響を与え、そのことがまた消費行動にも影響を与える。そういったさまざまな、率直に申し上げて昨年の経済見通しをつくるときになかなか定性的、そういうことはあるだろうけれでも、具体的に実証的に計量的に当初からそのことを織り込むということは極めて難しい状況にあった。特に資産価格の下落が本年に入って急速に顕在化してきたということはかなり大きな要因になっていると思います。そのことは残念ながら率直に認めざるを得ないと、こう思っております。
#58
○山本正和君 成長率の見通し、数字で。
#59
○国務大臣(野田毅君) 本年度の成長率の実績見込みについては今作業中でございますので、したがって今ここで確たる数字を申し上げる段階にはまだ実はございません。そのことはお許しをいただきたいと思います。
#60
○山本正和君 いろんな観測がございますが、民間等でも大変な関心を持っていろんなデータを集めてやっております。しかし、民間の中では今年度の成長率、今から仮に落ち込みがとまったとしても〇・八%ぐらいにしかならないんじゃないかというふうな観測も出ているわけですね。
 私がここでこういうことを申し上げるのは、国民の間にある大変な今の不況感、その不況感に対して政府がどうリーダーシップをとるかということが非常に大きくかかわるから申し上げているんであって、したがって現在この段階でやっぱり政府としては、当初目標は三・五%を出したわけですよね、これが一体、見通しは狂ってきたけれでも少なくともこの程度はいくだろうというふうな数字ぐらいはお持ちだろうと思うんだけれでも、これはどうしても出せませんか今。
#61
○国務大臣(野田毅君) ただいま申し上げましたように、現在作業中でございます。したがって、あとそう遠くない時期に、この点は政府として実績見通しとして、予算編成と絡む話でありますから、当然公にお示しをする時点が間もなく参ると思っております。今現在作業中でございますので、御理解いただきたいと思います。
#62
○山本正和君 十一時になったら日銀総裁がお見えになるということでありますから、そこでまたちょっとこの問題――見えている、お見えになったか。ちょうどよかった。ちょうど問題の最中にお見えいただきましたので。たしか総裁、私が総裁就任されました最初の質問者だったと記憶しておりますが、きょうもまた難しい質問でございますが、ひとつ何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 まず、わかり切ったことを御質問して恐縮でございますけれでも、まず日銀の使命について、総裁ひとつ。
#63
○参考人(三重野康君) いろいろございますけれでも、大きなものは二つ、物価の安定と信用制度の保持育成、この二つというふうに心得ております。
#64
○山本正和君 大変なバブル期で地価の高騰、日本経済どうなるかというときに総裁に御就任でございまして、その後鬼平と言われたりして、経済の大変な手術に取り組まれたわけでございますが、今の現在の日本経済の状況の中で日銀がお考えになっている経済の状況につきまして御所見を伺いたいと思います。
#65
○参考人(三重野康君) 足元の日本経済というのは非常に厳しい調整局面にあると思います。この調整局面と申しますのは、一九八七年から四年続いた非常な好景気、このときにバブルを初めとして幾つかの行き過ぎの点が出てまいりまして、その行き過ぎを是正するという意味の調整局面だと考えておりますが、現在はその中でどういうことになっているかと申しますと、設備投資、個人消費、そういった最終消費は依然減勢が続いておりますし、企業の収益も悪い。それから企業マインドも非常に慎重である。
 そういう意味ではまだ厳しい局面が続いていると思いますけれでも、その中にありまして公共投資はかなり高い。住宅投資ははっきりと回復傾向を示しておりまして、これが下支えになっておりまして、在庫調整につきましてももちろんややおくれぎみではございますけれでも次第に進捗しつつございますので、そういう意味では調整局面のいわゆる景気の下落、調整圧力というのは少しずつ減ってまいりまして、次への回復の基盤が徐々にではありますけれでもできつつあるというふうに思っております。
 そこに現在当委員会で御審議をいただいております補正予算等が成立いたしますと、かつて政府が立てました十兆七千億の景気対策もいよいよ本当の意味で実績が上がってくるわけでございますし、日本銀行が金融緩和を進めております結果として、今週も短期プライムレートが〇・二五%下がる、長期プライムレートは先月〇・二%下がっております。こういった効果も引き続き出てまいりますので、いましばらくはこの調整局面は続きますけれでも、いずれ景気回復へ向かう、いわゆるインフレなき長続きのする成長路線へつなぐというシナリオは壊れていない。
 もっとも、ただ非常に強い牽引車がございませんので、景気の回復はかなりテンポは緩やかであろうとは思いますけれでも、そういう意味での回復への道はつながっていると思っておりますが、何しろやはり難しい時期でございますのでよく注意して、いわゆる思い込みなくよく注意して見てまいりたいと、かように考えております。
#66
○山本正和君 実は、日銀の任務を総裁から今お聞きしたわけでありますけれでも、また景気の状況につきましてお伺いしたんですが、現在国民の間にある大変大きな不安、これは金融システムの問題でございます。この金融システムの現状について総裁としてどういうふうに御判断なのか、まずこの点をお伺いしておきたいと思います。
#67
○参考人(三重野康君) 今回の景気調整がいわゆるバブルの崩壊を伴っておりますので、そのツケが金融機関のバランスシートへ出ている。具体的に申しますと、金融機関の不良資産の増大につながっているということは、これは事実でございます。したがいまして、内外にいわゆる金融不安に対する懸念が多いのもこれも事実でございますが、実際にはやや誇張されて伝えられている面もあるのではないかと私は考えております。グロスというか全体の数字は、先ごろこれは大蔵省から発表された数字ではございますけれでも、都長銀、信託二十一行のいわゆる六カ月以上利払いがとまっている貸し出しは約十二兆、その中で担保等がないものは約四兆と言っておりますが、これは二十一行の貸し出しは四百兆でございます。そのうちの三%、一%の数字でございますし、その数字はこの二十一行のいわゆる業務純益であるとか株式のリザーブであるとか引当金であるとか、そういう点から見て十分にこれはマネージできる数字だというふうに思っております。
 したがいまして、金融システム全体が非常に不安に陥るということはないし、またそうしてはならないと思っております。もちろんこれはそれぞれの個々の金融機関にとってはやはり相当な努力、時間と身を削る努力が必要だというふうには思っておりますが、全体のシステムに関してはさように考えております。
#68
○山本正和君 アメリカもちょうど我が国と同じような状況が五、六年前だったと思いますがありまして、金融機関の倒産等がかなり出た。我が国でも金融機関の倒産等の問題が議論をされておりますが、こういう問題につきまして日銀としてはどういうふうな対応をされようとお考えになっているか、それをお伺いします。
#69
○参考人(三重野康君) 委員御指摘のアメリカは一万二千ぐらい銀行がございまして、多いときは年に二百ぐらいの銀行がいわゆるデフォルトになっておりますが、日本の場合ははるかに少ないし、それに比べて体力もございますので、そういうアメリカのようなことになるというふうには考えておりません。
 しかし、先ほども申しましたように、それぞれの個別の金融機関にとってはほかに倍する努力を要するところもあるわけでございますが、そういう金融機関は、まず第一は、当然ではございますけれでも、自助努力だと思います。その次には、やはり合併ないし合併類似の方策というものを大蔵省、日銀も一緒に相談に乗ってやる必要があると思います。そういったことは、これは米国においても大体そのような行き方で問題の解決をしておりまして、いわゆる預金保険機構によるペイオフ、一千万円以下の預金者に対して支払いをする、そういうものは最後の手段であろう、そういう今の三段構えで対処すれば対処できる、かように考えております。
#70
○山本正和君 実は、国民の間といいますか、また各界各層の中に今度の経済の状況につきましてのいろんな不満や意見等が出ておりますが、その中には日銀に対するかなり厳しい批判もございます。私自身の判断からいえば、日銀の金利引き上げをしていった過程、これは私としては、相当批判を受けながらもあれがやっぱり今日のバブルに対する反省を生んだという意味で評価している立場でございます。
 しかしまた、今日この問題をめぐって日銀に対して、とにかく日銀の責任でこの問題を扱えというふうな声が随分出ております。そういう声に対して総裁はどんなお考えでございますか。
#71
○参考人(三重野康君) 私どもの金融政策の基本的なスタンスと申しますのは、先ほども申しましたように、一九八七年から四年間続いた好景気、これはいろんな利点ももたらしたわけでございますけれども、バブルその他の行き過ぎもあったわけでございますから、日本経済をそういうインフレなきバブルなき持続的な成長路線へ持っていくというのが基本的な路線でございまして、したがって金利を上げたのも下げたのもそういう理論に基づいて私どもは一貫して金融政策を運営してきたつもりでございます。
#72
○山本正和君 それでは、お忙しいところを来ていただきまして大変ありがとうございましたが、私の方から一つ要望だけ申し上げておきたいと思います。
 私は、やっぱり日銀の持っている本来の冒頭に総裁がおっしゃった二つの側面、これを守るために、いろんな波がかかってこようと暴風にさらされようと頑張るべきだと思うんです。それがともすれば、かつて我が国の経済政策が運用を誤った中に、政治や財界からの圧力の中に押されたというふうな印象を国民に与えた懸念がなくもないわけでございます。
 今、特に日本経済がどうなるかということに対して日銀の役割は極めて大きい。ですから、政治あるいは財界からのいろんな声といいますか、それに耳を傾けぬということをする必要はありませんけれども、日銀としての毅然とした姿勢を堅持されますよう特に強く要望いたしまして、総裁、大変お忙しい中ありがとうございました。
 それでは、ここで大蔵大臣に質問を戻すわけでございますが、今日の経済の見通し、先ほど大臣からもお話がございましたし、各経済官庁からもお話がございました。そして今、日本の国の経済が抱えているさまざまな問題、いろいろあるわけでありますけれども、率直に申しまして、本年度予算というのは、これはいろんなものを配慮はしたけれども、こういう今日のような状況を見通した本年度予算、補正予算じゃございません、そういうふうにお考えなのか。それとも、従来の要するに財政再建という観点からの予算であったのか。その傾向はどちらの傾向だったのか。本年度予算について、大臣、どういうふうに御認識でございますか。
#73
○国務大臣(羽田孜君) 本年度予算は、総じて申し上げますれば景気に配慮した予算であったということを申し上げることができます。これは公共事業あるいは地方の単独事業等についても相当大きなものが伸ばされておるということだろうと思います。そしてもう一つは、生活大国、これを目指そうということに配慮された予算であるということが申し上げられると思います。
#74
○山本正和君 そうすると、補正をしたのはどういうふうな傾向に持っていこうとしたわけですか。
#75
○国務大臣(羽田孜君) 補正の方は、総合経済対策の中で盛り込まれたもの、やっぱり景気に対して配慮しようということでございまして、特にその中におきまして、公共投資の内容でありますけれども、下水道ですとかあるいは公園ですとか環境衛生、こういうものを中心にしながら、そしてもう一方では内需拡大ということを重点に置きながら、もろもろの政策、例えば設備投資ですとかあるいは住宅を促進するとかそういった問題に配慮しているということを申し上げることができると思います。
#76
○山本正和君 ちょっと公共事業関係ですね、本年度予算で当初これだけ組んだけれども今度はこれだけふやしていますよというその合計額は、幾らでございますか。補正予算がもし通った場合に、もとが幾らで今度どれだけ上がるか。
#77
○政府委員(斎藤次郎君) お答え申し上げます。
 ただいま大臣が申されましたように、総合経済対策十兆七千億の具体化ということで補正予算を計上しているわけでございますが、その中身としましては、一般公共事業関係費一兆三千億、災害復旧事業費三千七百二十二億、その他施設費等二千九百億ということで、公共投資関係で申しますと合計一兆九千六百二十二億ということになっております。
#78
○山本正和君 大ざっぱに言うと、産業投資特別会計なんかを加えると、当初予算大体八兆二千億、これに補正予算一兆三千億ぐらい積まれている、こういうふうに見てよろしいか。
#79
○政府委員(斎藤次郎君) 大体そのようにお考えいただいて結構でございます。
#80
○山本正和君 来年度予算の中でこの公共事業をどれくらいの数字を前提にして議論しておるんですか。
#81
○政府委員(斎藤次郎君) 今、検討中の段階でございますけれども、来年度の公共投資部門につきましては、一般会計で申しますと、今年度の予算に対しまして生活関連化枠ということで二千五百億、それから公共投資臨時特別措置ということで二千億、そういうことで既に四千五百億の上積みをしておりますので、これを使いましてできるだけ景気に配慮して公共投資を伸ばしていきたいというぐあいに考えております。
#82
○山本正和君 お役所というのはなかなか答弁がしにくいんだろうと思いますけれども、大ざっぱに言って来年度も本年度当初予算の五%ぐらい乗せようという形での議論と違いますか。
#83
○政府委員(斎藤次郎君) 実はまだ編成過程でございますので、どのような姿になるか最終的な姿としては申し上げられませんけれども、大体委員がおっしゃるような形の方向になろうかと思います。
#84
○山本正和君 本年度当初が八兆二千億で、それに五%積んだ。ことしはこの八兆二千億に一兆三千億足した九兆五千億ですよね。来年はたから公共事業が減るわけであります。簡単に言うと、こうでしょうか。そういう形に流れるというふうになりはせぬかと思うんですが、それはどうですか。
#85
○政府委員(斎藤次郎君) これについても今編成過程中でございますので明確に申し上げられませんけれども、私どもが考えておりますのは、来年の公共投資についても景気に配慮するという必要がございますので、一般会計の公共投資、それから財政投融資、地方の単独事業その他公共投資全体をにらみまして、ことしの政府の公共投資、いわゆるIGでございますが、これのことしの見込みと来年の見通し、これとを比べてこれがマイナスにはならないようにいたしたいというぐあいに考えております。
#86
○山本正和君 それじゃ、ここでちょっと公共投資の波及効果、経済効果、これはやっぱり担当大臣の建設大臣、ひとつどれぐらいの波及効果が一体来るのか、この辺ちょっと御所見を伺いたいと思います。
#87
○国務大臣(山崎拓君) 公共投資の波及効果について御質問でございますが、生産誘発効果で申しますと公共投資は二・〇一ということになっております。例えば住宅で申しますと二・〇三、あるいは減税で申しますとたしか一・二程度の数字になっておったと思いますが、あるいは公共用地の関係で申しますと一・四程度の数字になっておったと思います。
#88
○山本正和君 言われるのは公共投資、特に公共事業の場合、これが土木とか建築とかいう分野には随分波及するけれども、経済全般に対する影響が一体どうなのかということがこの議論の中で余り出てこないんですが、その辺の問題についてはどうお考えですか。
#89
○国務大臣(山崎拓君) 私からお答えすべきかどうかわかりませんが、現下の調整局面にある経済の状況からいたしまして、個人消費も冷え込んでおる、あるいは民間設備投資も低調であるといった状況の中で、公共投資の役割が大きく期待されていることは事実であると思います。また、公共投資が果たしておる景気下支えの役割というのは非常に大きいのではないかと考えるわけでございます。
 建設経済全体で見ますと八十数兆円の規模でございますから、GNP全体から見ますと二割程度であろうかと思いますが、その中で実は民間の建設投資と公共事業、公共工事でございますが、この比率は現状では二対一になっております。過去におきまして民間工事が四、公共工事が一という比率のときもございましたし、一番普通のパターンは三対一でございますが、現行では二対一になっております。
 大手建設業者五十社からヒアリングいたしましたところ、対前年度比で十月におきましては七・三%減になっておる。これは公共工事の受注は大変大きくなっておるんだけれども、しかし、民間工事の受注が非常に落ち込んでおって、全体といたしまして落ち込みがある。こういう状況でございますので、いかに公共事業が占める役割が現下の経済情勢の中で大きいかを物語っていると存じます。
#90
○山本正和君 大蔵大臣、どうでしょうか、本年度予算そして補正予算、それから来年度予算、こういうものの一貫性の必要性というものはもう十分御承知だと思いますけれでも、公共事業のこの流れについてどういうふうにお考えでございますか。
#91
○国務大臣(羽田孜君) この全体の流れは、先ほどもちょっと申し上げましたけれでも、私どもも、公共事業という中におきまして先ほど申し上げました生活関連、こういったものを中心にしながら、例えば平成四年度にいたしましてもあるいは今度の補正の場合にも、また平成五年度の予算というものを考えていく場合にも、その流れをやっぱり追いかけていくべきであろうというふうに考えております。
#92
○山本正和君 これは総理の分野だろうと思いますが、日米構造協議というものの重要性、それに伴って四百三十兆という問題が出てまいりましたですね。それはもう国際的公約になっている。その中で、今、大蔵大臣が言われた生活関連という問題も議論されまして、生活開運枠等もこれで二年間継続で出てまいっております。
 しかし、一番日本の国が欠けている社会資本の確立、社会資本の確保という意味からいったら、公共事業の部分がどうしても強くならざるを得ないだろう。この流れを無視して我が国の経済運営はあり得ないだろうというようなことを私は思いますし、それからあわせて今のバブル後の不況回復、日本の国の経済の活力、こういうものからいったら、社会資本、公共事業、公共投資、こういうふうなものに対する政府のこれは単年度じゃなしに長期的展望に立った政策というふうに私は思うんですけれでも、その問題につきましてひとつ総理の御見解を伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的に私も御所見のように考えております。
 四百三十兆のお話がございましたが、これは日米間の協議の中で出てきたことでございますが、私の言葉で言えばそれはやっぱり生活大国の建設というようなことでございまして、いずれにしても、我が国はこれだけの経済力を持ち、また輸出などは実はよそから見ればし過ぎると言われる国でございますが、人の言葉をかりれば、そのくせウサギ小屋に住んでいると言われるような、残念ながらそういう実態が事実と遠からないことでございますので、やはりそこは本当に豊かな国づくりをするために国の資源、国民の勤労の成果を使っていくべきだと、そう考えます。
 と申しますことは、まさに御指摘のように、国としても地方としても生活関連の公共投資というのを今後何年間か辛抱強く続けていって、そして文字どおりの豊かな国づくりをする、地域づくりをする。また、それが同時に四百三十兆という我々の掲げております目標を到達していくゆえんであると、そういう考え方は私は御指摘のとおりに思っております。
#94
○山本正和君 社会資本の中には、我々の次の世代、子供の教育の問題があるわけでございます。そして教育といえば、結局、正直言いまして文部大臣というのは歴代、色男金と力はなかりけりといって、いつも文部大臣というのは予算で苦しむ大臣でございますが、やっぱりこの四百三十兆のこういう問題も含めて、文部省としてもいろんないわゆる教育を支えるための社会資本の充実というものをお考えだろうと思うんですね。
 また、そのことが実際に今の不況対策、結局通産大臣がおっしゃった、国内で黒字がどんどんふえて実は逆に大変な問題が起こっている、逆に産業そのものがですね。そんなものも含めて、例えば学校を建てるんでも思い切ってやっていけば土地を別に買わぬでもいいんだし、いろいろあるんですね。
 その辺で、文部大臣、遠慮せずにひとつ文部省としてはこれぐらいのものが欲しいんだというものがありましたら聞かせていただけませんか。
#95
○国務大臣(鳩山邦夫君) いや、それは財政の事情もございますから、その辺のバランスを考えながらいかなければいけないと思いますが、私も四百日余り文部大臣をやらせていただいて一つだけ疑問に思うことがございますのは、いわゆる例えば生活関連枠の中で公共とか非公共という分け方をいたしますと、学校とか大学とかそういうものは非公共の方になってしまうわけでございますが、教育は最大の公共投資ではないか、人的資源を育成するという意味ではまさに最大の公共投資であって、私が人づくりなくして国づくりなしと申し上げているのもそういう観点なのです。
 その学校をつくるとかあるいは大学の設備を改めるということが非公共だと。公共投資には入るんでしょうが、いわゆる公共事業という概念から外されているというのは、私は教育というものについての基本的な考え方を国全体で改めていただきたいなという、そんな私の希望につながっていくわけでありまして、実際これからの来年度の予算についても大変厳しい状況があろうと思いますが、精いっぱい頑張っていかなければならないと思っております。
 特に、総理が久保亘先生の本会議の質問に対して御答弁をされておられまして、これはよく読まれておられると思いますが、これが文部省として予算を大蔵省にお願いしていく最大の根拠になるのではないかと思っております。
 それは総理御自身がシーリングというものについて、これはもちろん外すわけにはいかないけれども、「シーリングは、建前は建前としまして、それに対してどのような是正措置ができるかということを現実に始めましたし、平成五年度でもそれをやってまいりたいと思っております。」、こうおっしゃっていただいておりまして、「何といっても教育というのは将来の我が国を決定するものでございますから、これについてはどれほど大事に考えても考え過ぎるということはないというふうに私は思います。」ということで、大変教育について予算上も御理解をいただいておりますので、総理に頼ってまた頑張っていきたい、こういうことであります。
#96
○山本正和君 そこで、私は率直にこれは大蔵大臣または総理大臣に申し上げたいし、特に与党の皆さんも中でいろいろ議論があるやに聞くんですけれども、与党も何かいろいろと組織がございまして発言も窮屈なような状況もないではないやに聞くものですから申し上げたいんですけれども、やっぱり今の日本の国のこの経済の状況を何とかしなきゃいけない、しかも流れがある、日本の国が今からどういう国づくりをするのか、経済運営全般を含めていわゆる発想の転換をしないことには対応できないんじゃないか、こういうことを私は思うんです。
 特に、かつて赤字公債、特例公債のために随分大蔵当局が御苦労願った、大変な苦しみがあったわけですね。また、日本の国家財政そのものも確かに随分いびつになりました。それがやっと九〇年に消えた。これはこれでいいんですけれども、しかし今の日本の経済の状況は、戦後五十年間の中で何遍かいろいろな危機があったけれども、そのうちでも特別大きい状況じゃないだろうか。
 そういう認識に立った場合、やらなきゃいけないことはやる、そしてそのやるときにのべつ幕なしにやるんじゃなしに、例えば特例公債を出すといっても出し方がいろいろあると思うんです、工夫の仕方が。それを初めからもう特例公債はなしと決めてしまって、さあその中でどうするかといって、狭い中を重箱の隅をほじくるような形で予算の分捕り合戦したのでは日本の経済はどうにもならない、私はそういう気がしてならないんです。
 減税問題を、これは野党ばかりじゃなしに与党の政調会長もテレビで、これは必要だ、本当はやらなきゃいけないということを言っているんですよね。ところが、いつの間にゃらそれが消えてしまった。どうもそういうことを含めて私思った場合に、本来、税金をどうするかというのは国会が議論する場なんですね。だから、本当からいえば、これは与党の中の皆さんも党議をひとつぶっ払ってもらって、来年度予算どうあるべきかというぐらいの議論を堂々とやらなければ日本の国はよくならない。そして、本当に与野党を超えて日本の財政問題を議論せんければ、大変な時期に今私は来ているという気がしてならないんです。
 そういう意味で、減税問題、特に財源とかかわって私は今から申し上げたいんですけれども、初めにちょっと櫻井委員の方からその問題、私が申し上げる前段として大変ささやかな減税の問題を申し上げますから、それを中心にひとつその後大きいやっをやりますから、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
#97
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。櫻井規順君。
#98
○櫻井規順君 山本正和委員と軌を一にいたしまして、サラリーマン減税、所得税減税の問題と、前段触れました佐川関連の問題ももう一つつけ加えまして、若干山本委員の時間をいただきまして関連質問をさせていただきます。
 締めくくり総括質問でございますので、冒頭総理に、各論的な問題に入る前に総括的な質問をさせていただきたいと存じます。
 私の問題意識でもあるわけではございますが、本院でたくさんの議論を展開してまいりました。はっきりしたことは、イギリスにおきまして一八八三年に政治腐敗防止法を制定した。我が国の民主主義、我が国の政治は、国政はちょうどイギリスに一世紀おくれていると言ってもいいのではないかという感を強くしているものでございます。
 これは一体どこにあるか。やはり長きにわたった与党政権、自民党政権、そして何といいますか、近代的、現代的な政党として民意をストレートに酌んでそれを国政の場に反映するというルールではなくて、自民党の派閥調整の中で総理大臣が選ばれ、閣僚が選ばれる。そしてまた国会審議を見ても、同僚議員が言いましたように、民と論議に欠ける国会になっておりまして、法案は内閣、行政側から出されるのが一〇〇%という目に余る現状であるわけであります。こうした点に大きな問題があろうと思います。
 ことしの九月にロンドンの「エコノミスト」、雑誌ですが、日本のことを評してエブリデースキャンダルという特集をされておりました。日々スキャンダルがつくられている国であるとイギリスからクールな批判を賜っているわけであります。この現状を、総理、どうごらんになるか。
 そして私は、端的に言って我が国も腐敗行為、違法行為をやったならば永久に立候補権を停止するというふうな腐敗防止法というすっきりした法律の制定が必要だというふうに思うわけでありますが、まず冒頭、総理の見解を伺いたいと思います。
#99
○国務大臣(宮澤喜一君) 英国の腐敗防止法のことは、たまたま昨日もこの場で申し上げておったところでございますけれども、民主主義の発展の歴史といえば、我が国は英国に比べて実は何世紀もおくれて出発をいたしたわけでございます。しかし、その英国でもその一八〇〇年のおしまいのころに腐敗防止法ができまして初めて今日の英国の政治が確立したようでございますので、そういう意味では英国自身も何世紀もいろんな問題を持っておった末にその到達点に来たということであろうと存じます。
 そういうことからいうと確かに百年でございますけれども、我が国の場合、何も数世紀かかる必要はありませんで、やはりそういうイギリスの例を見ながらここで抜本的な政治の改革をいたさなければならない、そういうふうに思っております。
 昨日もお尋ねがございまして、そのイギリスの政治改革の結果、いわゆる政治腐敗あるいは暴力との関連、スキャンダル、スキャンダルはまだ全部とはいきません、別の筋のスキャンダルがあるようですが、しかしイギリスの政治が一変したわけでございますので、我々もやはりそういうときに来た、そう考えなければこの状況というのはもう容易に救いがたい状態にある、政治改革が焦眉の問題だというふうに考えております。
#100
○櫻井規順君 いま一つ関連しまして、深追いをいたしませんが、結局、政治改革の根本は政党が、政党政治ですから政党が民意をストレートに聞いて、そして議員立法を含めましてもっと国会の中で論議を闘わせ、議員立法中心の国会運営にするような体制をつくらなかったならば根本的な政治改革はないというふうに思うわけでありますが、総理の見解を伺いたいと存じます。
#101
○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに我が国の今日の国会は、憲法のもとにおきまして議員立法というものがもっと多く期待されておるように私も思いますが、依然として政府立法の数が多うございます。
 これはおっしゃいますように、国会としてあるいはおのおのの議員お一人お一人が議員立法をされるような、それに必要なスタッフをお持ちになる、あるいは研究、助言のための機構を国会が持つというような、そういうことはもっともっと必要なのではないだろうか。国会の御運営について口を挟むつもりじゃございませんけれども、御指摘がありましたので、私もそういうふうに実は考えておる一人でございます。
#102
○櫻井規順君 それでは、サラリーマン減税、物価調整減税の制度を我が国でも導入されたいというひとつ提案をさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 最初に、サラリーマン減税の問題意識でございますが、サラリーマンの置かれている今の不公平税制と、そして何年にもわたって必要経費を認められないそういう状況というのは、もうサラリーマンが公平と減税を求めて反乱を起こす寸前のところに今日来ているという問題意識を私は持っております。そういう意味で、不公平税制を給与所得税についてしないということ、必要経費を認めた、少なくとも物価に調整した減税というものはもう具体的に導入する時期に来ているというふうに存じますが、サラリーマン減税の問題意識について、これまた総理に見解を伺っておきたいと存じます。
#103
○国務大臣(羽田孜君) 恐れ入ります。
 今、反乱が起きるような状態じゃないのかという実は御指摘があったわけでございますけれども、勤労者世帯の可処分所得、これは実質でございますけれども、非常に物価がこのところずっと安定しておるという現実があります。そういった意味で、可処分所得というのは堅調に推移しているということは申し上げられることじゃないかと思うんです。
 個人消費につきまして今いろいろとお話がありましたけれども、大型小売店の統計は、ストック調整の動きですとか、あるいは乗用車などの耐久消費財が伸び悩んでおるということがありますし、また消費者の志向というものが非常に堅実化しておって、衣料等も低迷しておるということがあるんじゃなかろうかというふうに思っておるところでございます。ただ、全体的のあれで見ますと、個人消費というのは大型店の場合には一〇%ぐらいということでございますから、いわゆる大型店の小売販売統計だけでは消費動向というものを判断するということは非常に難しいんじゃないかと思っております。
 またさらに、家計調査で見ますと、消費全体の四割を占めるサービス消費、これが堅調に推移しておりまして、こういったことから消費全体としては今後とも底がたさというものは維持していくものじゃなかろうかというふうに思っておりまして、景気の足を引っ張るような状態にないというふうに考えておるところでございます。
 こういったものを考えましたときに、今これまた財源を言いますとおしかりを受けちゃうんですけれども、非常に厳しい財政の中にありまして、私どもは今ここで減税をやる、またサラリーマン減税というものをやるということについては、そのお気持ちはわかることはわかりますけれども、しかし、私どもとしてはできないということを申し上げざるを得ないことをお許しいただきたいと思います。
#104
○櫻井規順君 何かお書きになったものを一通りお読みになったような感じですが、以下、具体的に質問をしてまいります。
 最初に、前回税制改革をやった一九八八年以降今日まで五年間、賃金所得の推移、それから給与所得税の推移、アップ類、上昇額でどうなっているか、そして消費者物価指数でわかればなお結構ですが、この三つの値上げ率をお答えいただけますか。
#105
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 最初に、給与所得者の平均給与収入の額を民間給与実態調査、これは国税庁の統計でございますけれども、取り出すことができるわけでございますが、夫婦子二人の場合で申し上げますと、御指摘がございました六十二年、これを一〇〇といたしますと、平成三年度で一一六・四に相当するレベルになっております。実額で申し上げますと、昭和六十三年度が平均給与収入額で五百七十四万円、平成三年度が六百六十八万円でございます。
 それから、給与所得に対します源泉所得税収、この数字で追いかけてみますと、同じ昭和六十三年を一〇〇といたしまして平成三年度が一三五に相当する数字がと存じます。実際の額で申し上げますと、昭和六十三年度が八兆六千億何がし、平成三年度で十一兆七千億強でございます。
 この間、消費者物価の上昇率を見ますと、昭和六十三年を一〇〇といたしますと、平成三年度が一〇八・九に相当する水準かと存じます。
#106
○櫻井規順君 今の消費者物価が、昭和でいいますと六十二年に対して平成三年が八・九、賃金所得指数は一六・四、それから給与所得税指数は三五ですか、それが平成四年の補正予算でいいますと四六なんです、給与所得税の税率アップは。賃金所得指数が同じ期間に一六・四で、そして給与所得税指数は四六、こういう数値になっているわけであります。
 そこで、可処分所得の動きについて、総務庁さん、この五年間の動きを御回答いただけますか。
#107
○政府委員(小山弘彦君) 家計調査の全国の勤労者世帯につきましてお答えいたします。
 可処分所得の昭和六十三年以降の動向でございますが、全体的には実質増加が続いております。昭和六十三年は、景気拡大の影響もありまして実質四・三%の増加でございます。その後、平成元年一・五%、二年一・四%、三年一・九%と実質の増加が続いているところでございます。
#108
○櫻井規順君 平成四年に入ってからの動きがわかったら御紹介くださいますか。
#109
○政府委員(小山弘彦君) 平成四年の件につきましてはちょっと時間をいただきたいと思います。
#110
○櫻井規順君 実は、可処分所得は、平成四年に入りまして今の実質可処分所得でいきますと前年に対してマイナスを記録するようになっております。平成四年四月、マイナス一・一という実質可処分所得になっているわけであります。
 それで、大蔵大臣、今言ったようなわけで消費者物価指数もそれなりに上がっている、何よりも賃金所得指数に対してこのように給与所得税の税率が上がっているという、こういう事態に対してどうごらんになりますでしょうか。
#111
○政府委員(濱本英輔君) 御指摘ございましたとおり、所得税は累進構造になっておりまして、所得がふえるにつれまして適用されます税率がだんだん高くなってまいります。したがいまして、所得水準の上昇に伴いまして所得の伸び率以上に税の水準が上昇するという現象は所得税に必然的な現象でございますが、我が国の場合、他の国に比べますと確かに所得税自体に特徴がございまして、累進の傾斜のカーブ自体も、中低所得層に低く高所得層に高い税率が適用される関係で急カーブになっているということが一つございますし、もう一つ累進構造を上げております理由としましては、課税最低限が非常に高いことが累進構造を高めているということも言えようかと存じます。
#112
○櫻井規順君 したがって、ごく控え目に私は、物価のアップに対応した減税をしたらどうかということを提起しているわけでございます。
 次に、国家歳入における給与所得税のアップの税額と税率を法人税と比べて、昭和六十三年度と平成四年の補正予算段階で御回答ください。
#113
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 所得税と法人税につきまして、六十三年度と平成四年度の補正後予算で比較いたしますと、六十三年度の所得税が十七兆九千五百三十八億円、これに対しまして平成四年度の補正後予算で申し上げますと二十五兆三千五百億円、この間の増産が七兆三千九百億円強になろうかと存じます。
 法人税を申し上げますと、六十三年度が十八兆四千三百八十一億、平成四年度の補正後予算が十四兆九千八百十億、増産が三兆四千億強となろうかと存じます。
#114
○櫻井規順君 お聞きのように、給与所得税は六十三年に比べて七兆円ふえているわけであります。そしてまた、法人税は三兆円というお話でありますが、そういう状況を呈しております。
 国家歳入における給与所得税と法人税の構成比は、六十三年と比べてどんな動きになっていますでしょうか。
#115
○政府委員(濱本英輔君) 構成比は、六十三年度、所得税の全国税収入に占めます構成比が三四・四%でございましたものが、平成四年度の補正後で四一・九になっております。そのうち給与分について計算いたしますと、六十三年度が一六・六%、これが平成四年度補正後で二一%、法人税は六十三年度が三五・三%でございましたものが、平成四年度補正後二四・八になっておろうかと存じます。――失礼いたしました。総理からただいま御注意いただきまして恐縮でございます。先ほどお答えいたしました中で法人税の増産と申し上げましたけれども、これは昭和六十三年度十八兆四千三百何がしと申し上げましたのが、平成四年度補正後は十四兆九千億何がしてございますから、三兆四千億強の減になっております。訂正させていただきます。
#116
○櫻井規順君 私も気づいていたわけですけれども、恐らく七兆円という数字も違うじゃないか、私は四兆円と見ているわけですが、多い分には結構です。
 問題は、法人税が我が国の歳入の中で六十三年の三五・三%が四年の補正では二五・三とマイナス一〇%、構成比ですよ。給与所得税の方は一六・六から構成比は二一%になり、今の御回答では給与所得税分がこの間に七兆円ふえて、法人税は三兆円減っているという御答弁なんです。しかし、この間の法人税の減税というものはうんとあったんですよ、いろいろな租税特別措置そのほか。しかし、給与所得税の減税というのは何があったんでしょうか。これは給与所得税の減税を大いに考えるべきときに来ているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#117
○政府委員(濱本英輔君) まず、法人税額が減じておりますが、その結果、全体の中に占める所得税のウエートが上がってくるという現象を生じておるわけでございますけれども、これは率直に申し上げまして近年の景気情勢を如実にあらわしておるものと考えております。
 この間、平成元年を少しさかのぼりまして六十二年、六十三年度当時に抜本改革が進みまして、所得税につきまして、たびたび大臣からも御答弁ございますように大幅な減税が行われた。その減税は、六十二年、六十三年、あるいは実際には平成元年度にわたっても効果を及ぼし続けたわけでございまして、その効果をどう見るかという問題がございます。
 ただいまの御指摘は、昭和六十三年度と平成四年度を比較して計数をお求めになったわけでございますけれども、抜本改革前の六十一年度という年と、平成四年度を比較いたしました場合には、例えば先ほどの給与所得税にしましても、構成比は依然として六十一年度の方が平成四年度補正後を上回っておるという状況にございます。
 所得税の減税は、これまで節目節目の年にいろんな情勢を勘案して実施されてきたわけでございまして、この節目が先ほど申し上げました六十一年度直後の六十二年、六十三年にございまして、その大きな節目の効果というのは今日なお生きているというふうに受けとめております。
#118
○櫻井規順君 問題は、六十三年の税制改革に至るには、やっぱりその前段の十数年という年月がありまして、六十三年を起点にしてきょうは論議を展開してまいります。
 国民所得に対して税率のアップというのは、その弾性値を一・一がふさわしいという、おおむねの学説なり行政側もそうお考えになっているんじゃないかと思うんですけれども、今の賃金所得と税率のアップというのは、もう五とか四という数字が出てくるわけですが、これはまさに異常じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#119
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 国税収入全体の推移をいろいろ観察をいたしますときに、経済成長に伴いまして税負担水準がじりじり上がっていく、それを全体としてとらえましてGNPの伸び率に対します税の伸びの状況を弾性値という形で把握します場合に、これは年々変動するものでございますから、ある一定の期間をつかまえまして大体成長率に対してどれぐらい税は伸びるものかということを御理解いただくべく、私どももこれまでいろいろ提出させていただきました資料等で一・一という弾性値を用いさせていただいてまいりました。これは比較的安定した時期における平均的な弾性値どお考えいただいて結構でございます。
 ただいま御指摘がございました給与所得の場合には、これに比べると弾性値が大きくなっているではないかと。そのとおりでございまして、先ほど来申し上げますように、所得税の中に累進構造というものが蔵されておる。その他の税、例えば消費税等におきましてはそういう構造が含まれておりません関係で、全体として一・一という弾性値になります場合でも、給与所得の弾性値はそれより高くなるという傾向は確かにございます。
#120
○櫻井規順君 今出てきましたように、たくさんの根拠を挙げれば幾らでも挙げることができるわけでありますが、給与所得者以外の納税者は必要経費というものを、その年その年の物価を反映して税金の申告をしているわけであります。しかし、給与所得者はそれが昭和六十三年以降ないわけであります。
 そこで、財源というのは、今言ったようなわけで弾性値一・一が理想なのを五とか四とかいう現状の中で、もう財源は給与所得者が出したその税金を原資にして、単年度という発想ではなくて少なくとも二年、三年という目盛りでもって物価調整減税というものを行うときに来ている。少なくとも物価は六十三年から九%から上がっているわけなんです。こういう基礎控除、人的控除あるいは給与所得控除、こういうところに目を据えて物価スライドを考えるときに来ているというふうに思うわけでありますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#121
○国務大臣(羽田孜君) 控除ですとか、あるいは収入の区分につきましても物価調整減税、この制度を導入すべきというお話もあるわけでございますけれども、この制度につきましては、やっぱり、これはもう何回も申し上げて恐縮ですけれども、みんな税を払ったものを原資にすればいいじゃないかということでありますすけれども、また必要なものがございますから、そちらの方に振り向けているという現状の中で、やっぱり財政事晴というのは非常に厳しいということを申し上げざるを得ないということであります。
 いわゆる歳出が物価上昇による自動的な要因やその他の要因によりまして増加する一方、例えば年金なんかでございますけれども、また物価上昇による自動的な減税の制度、こういったものを導入いたしますとやっぱり財政体質の悪化につながりかねないということを申し上げざるを得ないということ。それから、いわゆるインフレの影響を受けます減価償却費ですとか、あるいは酒税のように従量税の仕組みをとっております税目など、ほかの分野につきましても物価調整とのバランスをどう考えるかという問題があります。
 また、物価調整減税の導入というのは、税制の持ついわゆる景気調整機能といいますか、これを阻害するおそれがあるということがございまして、インフレを前提とした経済あるいは社会構造、これをもたらす効果というものがやっぱり出てきてしまうんじゃなかろうかというふうに思っております。私ども、今までもこの問題につきましては税制調査会、そういったところでも御検討いただいておるわけでございますけれども、いわゆる物価調整減税というものには慎重であるべきであるという実は御指摘があるところであります。
 それから、先ほど局長の方からも申し上げましたように、いわゆる日本の課税は非常に高い所得の方までかけなくて済んでいるというような現状があるわけでございます。そういったものを国際的にも比較したときに、私はここで今減税をやるということについてはやっぱり慎重でなければいけないということを申し上げざるを得ないわけであります。
#122
○櫻井規順君 これはまた山本さんに減税の問題はバトンタッチしまして、どうぞ御検討ください。
 次に、残された時間はほんのわずかしかないのですが、佐川関連で一つ質問しておきたいと存じます。
 佐川急便グループ中核六社の合併の認可をことしの四月におろしました。この申請の中身について、そして佐川全体の規模の中で何%くらい、主管府、営業所、営業収益でどれくらいの比率になるのか、御回答ください。
#123
○政府委員(土坂泰敏君) 佐川急便グループの認可申請は、昨年の十一月二十五日に運輸大臣に対して行われたものでございます。その内容は、いわゆる中核六社が合併をして新しく出発しようということでございまして、合併の理由としておりますのは、東京佐川がいろいろな経緯で巨額の保証債務等を抱えることになりました。単独で保証債務の償却がもうできない、そこを中核六社の合併によって救済をし、輸送システム全体を維持していこうというのが合併の理由でございました。
 運輸省では、関係の法令に照らしまして厳正に審査をいたしまして、四月二十八日に認可をしたということでございます。
#124
○櫻井規順君 全体の何%ぐらいになるんですか、主管府、営業所、営業収益で。
#125
○政府委員(土坂泰敏君) 佐川急便六社の平成三年度の営業収益は三千五百九十六億円強でございます。それからなお、佐川急便グループ全体の営業収益は合計で七千五百億円程度でございます。
#126
○櫻井規順君 運輸省が行った佐川の事業監査の結果を御報告ください。特別監査は一回、二回とやりましたが、そのことも含めまして、その後どの程度のことをやって、そして時間がありませんので、処分として車両の使用停止処分はどの程度出たのかということを御回答ください。
#127
○政府委員(土坂泰敏君) 二回特別監査をいたしております。一回目の監査は六十一年から六十二年にかけて実施をいたしまして、その結果、七十七社に対しまして五千七百二十五日、車両使用停止処分等を行いました。二回目の特別監査は平成元年に行っておりまして、その結果、十一社に対しまして延べ五百七十三日車の車両使用停止処分を行っております。
 さらに、特別監査以外の監査につきましては、昭和六十一年から平成三年までの間でグループの各社で確認されました道路運送法違反に対しまして、七社に対し延べで千二百九十八日車の車両使用停止処分等を行っております。
#128
○櫻井規順君 労働省に伺いますが、労働省の労働監督調査の結果はどんな結果になっていますでしょうか。
#129
○政府委員(石岡慎太郎君) 佐川急便グループ所属事業所に対しましては、自動車運転者の法定労働条件の履行確保を図るため、昭和六十二年から本年の十一月までの間に五回にわたりまして全国一斉監督を実施してきたところであります。
 このうち、平成三年十一月に実施した監督結果を申し上げますと、監督を実施した五十一事業所のうち四十六事業所において、労働基準法等関係法令に照らしまして何らかの法違反が認められたところでございます。
#130
○櫻井規順君 対象事業所の中で、違反の事業所はどのぐらいありましたか。
#131
○政府委員(石岡慎太郎君) 佐川急便グループの所属事業所は、全体で現在のところ二百四十三あると考えております。そのうち、平成三年十一月に監督実施をいたしました事業所は五十一事業所でございます。この五十一事業所のうち四十六事業所におきまして労働基準法等関係法令の違反があったということでございます。
#132
○櫻井規順君 昭和六十二年からずっと毎年労働省は一斉監督をやっているわけですが、今言ったような調査事業所と違反の事業所の数を教えてください。
#133
○政府委員(石岡慎太郎君) 昭和六十二年には、四十四事業所に対しまして監督をいたしましたところ、四十二の事業所で法違反がありました。平成元年は、十八に対しまして十二事業所で法違反があったわけでございます。平成二年は、十三事業所に対しまして十二の事業所で法違反がございました。
#134
○櫻井規順君 運輸省が六社合併の認可をおろすに当たって、この平成三年の労働省の一斉監督というのは参考にされましたか。
#135
○政府委員(土坂泰敏君) 合併認可に当たりまして運輸省は、独自に認可に必要な抜き打ち調査をやったわけでございます。その結果確認された違反についていろいろ是正を求めたわけでございまして、それについてまた改善のお約束をいただきました。その際に、実は労働省の方から先ほどお話がありました監査結果について情報をちょうだいいたしました。したがいまして、運輸省独自の調査と労働省の情報等とをあわせまして違反状況について是正をお願いし、その改善についてお約束をいただいた上で認可をした、こういう経緯がございました。
#136
○櫻井規順君 労働省の平成三年の調査結果は本年四月二十三日、認可は四月二十八日、この五日間で労働省の一斉監督の結果は参考にできましたか。
#137
○政府委員(土坂泰敏君) 労働省で御公表をなさいましたのが仰せの日にちでございましたんですが、私どもはその前に、四月に入りまして早い段階で情報の御連絡をいただきましたので、先ほど申し上げたような処理をいたしたことでございます。
#138
○櫻井規順君 合併をいたしまして、保証債務貸付金に伴う回収不能金というのはどのくらいございますか。
#139
○政府委員(土坂泰敏君) 合併に伴いまして保証債務等の額を東京佐川から引き継いだわけでございますが、全体の引き継いだ額は五千二百九億円でございまして、そのうち回収不能と見込まれました額は三千六百九億円でございました。
#140
○櫻井規順君 新しい事業体で、この三千六百九億円をどういうふうに返済していく事業計画になっていますでしょうか。
#141
○政府委員(土坂泰敏君) 新しい事業体では、当然のことながら、今後の成り行きにつきまして長期の収支見通しをつくって金融機関その他とも調整をしたわけでございますが、この長期収支見通しによりますと、一定の売り上げを前提といたしましていわゆる回収不能見込み額につきまして償却をいたしまして、長期的には収支がとっていけるということ、それからその間の資金繰りについても、金融機関からいわゆる元本の返済猶予なり金利負担の軽減について御支援をいただくということのお約束がございました。こういうことによりまして、いわゆるこの保証債務等についても回収というか償却が可能であるというふうに判断をした経緯がございます。
#142
○櫻井規順君 返済をする年の利益率は何%と読んでいますでしょうか。
#143
○政府委員(土坂泰敏君) 営業収益に対します営業利益の率といたしまして、一七%を前提として長期収支見込みをおつくりでございます。
#144
○櫻井規順君 通常の運送事業の利益率というのは四%から五%、それが一七%というのはまことに異常です。
 時間がございません。運輸大臣、こうしたもろもろの条件の中でどうしてこの六社の合併を認可したのか。これは認可するには余りにも無理があると思います。これはもう再検討を要する問題だというふうに思いますが、運輸大臣、いかがでしょうか。
#145
○国務大臣(奥田敬和君) 問題が指摘されておった大変重要な時期でもございました。十一月申請受け付け以来、三月認可という希望でありましたけれども、一カ月以上延びたのは、今申し上げておったように多額の不良債務があります。三千六百億という、回収不能という形の膨大な債務を抱えている現状でございました。したがって、これは金融機関、メーンバンク等々が果たして財務的に支援して再建でき得るのかどうかというのがいわゆる事業法に照らし合わせても一番重要な面でございました。もちろん労務管理の面あるいは施設の面等々で問題視される案件もありましたけれども、一番重要な点は、いわゆる売り上げ、そして金融保証、金繰り等々においてどれくらいの長期計画を持っておるかということでございます。
 一七%という数字は確かに委員の御指摘のように高い。他社から見ると問題にならぬくらい高い。ですけれども、これは過去三年間のいわゆる営業利益率というか佐川の利益率、まあ皆さんに言わせると、いわゆる過重労働なりいろいろな形が前提という形で言われると思いますけれども、これは金融機関もそういった点も考慮していわゆる金利をカットするとか、あるいはいろいろな形での金融措置を講じた上で、そういった収支計画で十五年くらいの長期計画を立ててきたというのが現状でございます。
 我々としては、過去の営業実績に照らして、なおかつ行儀のいい形の企業としてやっていけるかどうかという点も考慮しながら、金融支援が確実に行われるという保証を得た上で認可に踏み切ったということでございますので、その点、これから健全な新生佐川が、いわゆるそういった遵法精神に富んだ形で、労務管理においても批判を受けない形で何とか事業継続をした上で、この返済計画どおりにうまく再建してくれることを期待しているわけでございます。
#146
○櫻井規順君 これは、佐川という会社の内紛が今度の東京佐川のスキャンダルを起こした一因になっているわけであります。佐川清という人が会社の責任者でいるならば十四の銀行団も応援はできないということで社主になったようでありますが、院政がしかれているわけであります。佐川清さんは、税金を納めるよりも政治家に使えという、こういう精神の方であります。こうした人事とこういう経過の中でこの合併を認可したことについて、総理大臣、どうお考えになりますでしょうか最後に質問させていただきます。
#147
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま運輸大臣がお答えされましたように、いろいろなことを御判断の上のことであろうと存じます。
#148
○櫻井規順君 終わります。
#149
○委員長(遠藤要君) 午前の質疑はこの程度といたします。
 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二分開会
#150
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成四年度一般会計補正予算、平成四年度特別会計補正予算、平成四年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、山本正和君の質疑を行います。山本君。
#151
○山本正和君 同僚議員の櫻井委員から減税問題中心に関連質疑をいたしましたが、その減税に入っていく前に、ちょっとこれは我が国経済とかかわりがありますし、特に税収の見通し等の問題も関係いたしますので、今国民の間で大変不安感を持っている金融システムの問題、これを特に大蔵当局に少し初め伺っておきたいと思います。
 まず、今、金融システム、どういうふうに大蔵省はその安定度について御認識でございますか。
#152
○政府委員(寺村信行君) いわゆるバブル経済の崩壊に伴います資産価格の大幅な低下によりまして、金融機関の内部蓄積が減少いたしますとともに、不良資産が増大をいたしております。このバブル経済の崩壊が我が国の金融機関に与えた影響は極めて大きいという認識を持っております。
 ただ、このことにより金融システムの安定性に問題が生じているのではないか、あるいは経済活動に必要な資金の円滑な供給が行われなくなるのではないか、そういうような問題が種々論議をされておりますので、そうしたことのないように適切な対応措置を講じていく必要があると考えているところでございます。
#153
○山本正和君 この適切な対策を講ずる責任は大蔵省に当然あるわけですが、現在の認識ですね、業務純益大変いいけれども、経常利益はもうむちゃくちゃだと。特に中小金融機関、これ見ていぎますと本当に厳しいと言っても言い過ぎじゃない。一体この状況をどういうふうに判断しておられるのか承りたい。
#154
○政府委員(寺村信行君) 御指摘のような状況がございます。
 去る八月十八日に、大蔵省は「金融行政の当面の運営方針」を発表いたしました。その中で具体的に講ずるべき措置をいろいろ挙げているわけでございますが、まずこのように発生しました不良資産の償却を着実に進めていく必要があるということで、ただ現状認識としましては、その額が非常に大きいわけでございますので相当の調整期間が要るという認識をいたしておりまして、そのための種々の環境整備を図っていく必要があるということで、担保不動産の流動化措置あるいは税制上の措置、それから個別の問題に対します各金融機関の損失処理についての合意形成の努力の要請等々の措置を一方において講じているところでございます。
 ただ、そうした不良資産の償却を進めていく一方におきまして、経済活動に必要な資金の円滑な供給を図るということで、融資対応力の確保を図らねばならない。内部蓄積が減少したことによりまして融資対応力が減退しているのではないかという御指摘もございますので、自己資本の充実のための施策あるいは債権の流動化のための新たな施策等を現在講じているところでございます。
#155
○山本正和君 都銀、長期信用銀行、信託銀行、合計十二兆三千億、こういう不良債権が言われている。また、都市銀行十一行が中間期決算時点で株式の含み益は八兆六千四百七十五億、こういうふうなことが言われている。昨年よりも十兆からの減がある、こういう数字がありますが、この数字は事実ですか。もう少し詳しく説明してほしい。
#156
○政府委員(寺村信行君) 去る八月十八日の運営方針を受けまして、この十月三十日にその運営方針の実施状況を大蔵大臣より発表させていただいたところでございますが、それによりますと、ただいま御指摘のとおり、都銀、長信銀、信託銀行の六カ月以上の延滞債権が十二兆三千億円となっております。そのうち担保保証等でカバーされない額が四兆円程度という金額でございます。この金額自体は、八月の運営方針にも述べておりますように今日の事態からある程度想定されていることでございましたが、これらの金額につきましては、一方におきまして、ただいま御指摘ございましたように金融機関の基礎体力がございまして、それで対応できるという見解を十月三十日に示したところでございます。
 具体的に申し上げますと、金融機関の基礎体力と申しますのは、現在及び将来の収益力ということでございまして、たまたま四年度中間決算では
業務純益が一兆六千億円ございます。そういったもので今後償却に対応していくということが考えられるわけでございますが、一方で内部留保といたしましては貸倒引当金の残高が三兆一千億円、それからいわゆる株式等の含み益が十四兆六千億、こういう数字になっております。
 以上でございます。
#157
○山本正和君 銀行も自己努力して債権償却特別勘定への繰り入れを一生懸命やっているとかいろいろやっております。
 ただ、私はここで大蔵省の認識を聞きたいのは、銀行がこういうふうな状況になったのは戦後経済の中でこれは初めての経験だろうと思うんですけれども、こういうふうになっている原因をどういうふうに分析しておられるんですか。
#158
○政府委員(寺村信行君) 冒頭に申し上げましたとおり、いわゆるバブル経済の崩壊に伴います株価と不動産価格の大幅な低下が金融機関の内部蓄積の低下それから不良資産の増大をもたらした、こういうことが直接の原因で今日の状況が起きていると考えているところでございます。
#159
○山本正和君 いや、それは状況の説明なんですよ。
 それじゃ、なぜそんな放漫経営と言えるようなバブルに乗っかっちまったのか、あるいはリスク管理がなぜこんなに甘いのか、こういうふうなことについて一体なぜなのかということを私は聞きたいわけです。
#160
○政府委員(寺村信行君) 八月の運営方針におきましては述べていることでございますが、五十年代後半以降、金融の自由化、国際化あるいは証券化の動きが急速に進展した中でいわゆるバブル経済が発生し、そうした過程で今日の事態が起きてきたということでございます。
 そういった問題に対する対応といたしましては、先ほど申し上げましたように、金融システムの安定性の確保をまず図らなければならないということで、自己資本の充実方策あるいは不良資産の償却のための環境整備等の措置を講じておりますが、一方で、多分委員の御指摘はその点だと思いますが、金融システム自体今のままでよろしいのかという御質問ではなかろうかと思いますが、八月の運営方針では、もう一つの柱といたしまして金融システムの効率化を推進していくということで、大きな環境の変化に対応しましてシステム自体のあり方を見直していく必要があるという考えでございます。
 その具体的な措置といたしまして、先般国会で成立をいたしました金融制度改革の着実な実施を図っていくということと、それからさらに諸規制、諸慣行の見直しを進めていくとともに、一方、金融機関に対しましては、経営組織全体を通じました厳しい自助努力によります最大限の合理化を求めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
#161
○山本正和君 日本の国民は、戦後のこの五十年間の間、金融機関に対する大変な信頼を持って、信用金庫であろうと信用組合であろうと、もちろん都銀等は当たり前ですけれども、銀行に預けたお金は間違いないと思い込んできているわけなんですね。
 ところが、その銀行がこうなったという責任は、じゃ、だれにあるんだと、これは明確にせにゃいかぬ。ずっと長い間、国民は銀行に対する、金融機関に対する安心感できておったわけです。日本経済の基礎はそこにあった。金融機関に対するこれぐらい信頼の強い国というのは世界じゅうでないんですよ。それが今や銀行が世界ランクでいったら特Aからどんどんおろされていっておる。こういうふうな状況はなぜできたんだ、その責任はだれなんということは、これはやっぱり政府として明確に言ってもらわなきゃいけないと私は思う。どこに責任があるんですか。
#162
○政府委員(寺村信行君) 先ほど申し上げましたように、全体的に金融をめぐる環境の大きな変化がございまして、そのために一方で制度改革等の努力を進めてくる過程におきましてバブル経済に遭遇をしたということで、そこからさまざまの問題が現在生じているということでございます。
 それに対しましては、当然、昨年来いろいろな金融不祥事等につきましても金融機関の内部管理体制の徹底的な見直し等々の措置を講じているところでございますが、今後とも引き続きこうした金融システムの安定性確保と、それから一方におきまして資金の円滑な供給のために、まず金融機関みずからが総力を挙げてこれは取り組むべきでございますが、行政当局といたしましても、ただいま委員御指摘のございました国民の金融システムに対する信頼感がいささかも損なわれることのないよう最大限の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#163
○山本正和君 銀行局長としてはそこまでしか言えないと思うんですが、やっぱり大臣、このままじゃいかぬというのは銀行当局も知っている、銀行自身が知っていると思うんですね。
 私は、これ率直に言いますけれども、ずっと戦後の金融システム、今恐らくどこでも勉強しています。いろんな議論が出ています。しかし、明らかにおくれているのは、我が国の銀行というのは護送船団方式できちっとやってきた、そういう信頼感があった。護送船団というのは、護送船団ならばそれなりの責任をお互いに持ち合わなきゃいけない。
 ところが、バブルがばあっといったらいきなり財務、財務でもうどんどんどんどん金もうけするところで競争し始めた。そんなことを監督官庁が許したんですよ、簡単に言えば監督官庁が。私は、そこのところはやっぱり大蔵当局としてきちっとした反省を持ってもらわぬことには、これよくならないと思う。日本の国がこれだけ豊かになった最大の原因は国民の貯蓄ですよ。これが揺らぐようなことをやっぱりしたという大蔵省は、本当にこれ厳しい反省を持ってなきゃいかぬ。そういう反省お持ちですか。
#164
○国務大臣(羽田孜君) 確かに御指摘がありましたように、ちょうどバブル期、あのときの貸し付け姿勢といいますか例えば貸し出しについての審査ですとかそういったものなんかも割合と甘かった。あるいは本来だったら貸してはならぬようなところにも貸してしまったということ。そういう問題が確かに重なってしまったということで、今、局長から御答弁申し上げましたように、やっぱり内部管理体制というものが少し甘くなっていたなということ、これは私どもも率直にやっぱり反省すべきであり、そういうことをやっぱりもとにしながら、そういったことがもとで今度のような、国民からの絶対の信頼を持っていた金融機関がいろんな不信を持たれるようになってしまった。これを取り戻すためには、やっぱりまず内部管理というものをしっかりやりなさいということなんかを実は申し上げているところでございます。
 いずれにしましても、確かに金融の自由化という波が大きく寄せてきておるときでございますから、しかも非常に順調に進んできたということがあります。そういった中で、おまえさんたちもうちょっと何とか監督できなかったのかというおしかりは私たちもやっぱりこれを受けながら、今後こういったことのない、本当に信頼を取り戻す、そのための今環境整備というものをしていかなければいけないというふうに考えております。
#165
○山本正和君 大臣がかなり謙虚な形でのお話ございましたから今後しっかりやっていけると思いますけれども、ただ、今既に問題になっている不良資産の買い取り会社の問題にしても、公的資金は導入しないとはいうけれども、無税償却の部分で事実上の補助金を渡すような格好になってしまう。税金を取らない、無税でよろしいと、無税償却ですよね。それから、さらにディスクロージャーでも、この前から都銀と地銀でいろいろ話し合いをして、結局わけのわからぬ格好で、だれが見てもこれはディスクロージャーと言えるかというような形でこれも処理されようとしている。もっと言いますと、銀行の役員でだれ一人責任とって腹切った人がいますか。ボーナスは、役員賞与はそのままどんと高いんですよ。そういう甘い経営体質を銀行が持っておって、それで果たして国民が金融機関を信頼できるかと。私はここのところ非常に心配なんですよ。だから、今後の銀行に対する大蔵当局として、監督機関として、そういうものも含めて厳正に指導していくと、こういう決意をひとつ語っていただきたい。
#166
○国務大臣(羽田孜君) まさに八月十八日の日に私の方から発しました当面の金融行政というものにつきましても、今御指摘のあったようなことを私どもは腹に置きながら申し上げたわけでございまして、やっぱり金融機関というものは日本のこの経済というものを支えている一番の基礎でありますから、やっぱり絶対の信頼というものは確保しなければいかぬだろうと思っております。その意味で、これから私どもとしてもよく状況等を把握しながら対応していきたいということを申し上げたいと思います。
#167
○山本正和君 では、金融システムの問題はこれで終わりますが、ちょっと一言つけ加えておきますと、銀行の会計基準が我が国独特のものですよね。これはそれぞれ特色があるんです。アメリカの銀行の会計基準、ヨーロッパの会計基準、それでもってやがて国際的な国際会計基準というものができようとしているんです。それに対応し得る銀行が幾つあるかという議論も今されているわけでしょう。
 それから、もっと言うと日本の銀行は株をみんな持っている。会社の株どんどん買っている。アメリカの銀行は株の保有は禁じられているんです。それぐらい金融機関というものはいろんな意味での重みがある。そういう問題も全部含めてぜひこれ早急に、金融システムの安定化というその旗をおろさないできちっとした対策を立てていただきたい。また通常国会で乱やりますから、羽田大蔵大臣が留任されたらまた一つ徹底的にその問題を詰めますから、ひとつどうぞそれよろしくお願いいたします。
 次に、時間がだんだん減ってきまして、一番大切な減税のところがどうしてもこれ言わなきゃいけない。私は政府・自民党が、自民党というよりも自民党の税調でしょうか、与党の税調が今言っておられる議論、大変私は本当の意味で国民的な議論の上に立っているかということが心配でならないんです。要するに、減税をするには財源がない。そのとおりなんです。私もそうだと思う。財源がないって言うけれども、じゃ財源をどう見直したのかという議論はどういうふうにされたんだろうか。例えば赤字法人、ちょっと聞きますけれども、どれくらいの数があって年間の売り上げどれだけですか赤字法人。
#168
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 法人の数が例えば平成二年度でございますと二百七万社強ございます。そのうち欠損法人が百万社をやや超えております。
#169
○山本正和君 いやいや、売り上げ。
#170
○政府委員(濱本英輔君) これらに見合いました売上額というものはちょっと手元に計数を持っておりません。お許しください。
#171
○山本正和君 別に私、いじめるつもりで言うわけじゃありませんから言いますけれども、平成二年分の営業収入金額、赤字法人、百八十七兆ですね。これは税金納めないんですよ、法人税。それで、こういうふうなことが放置されている国というのはないんですよ。しかも、赤字法人というけれども、ちょっと黒字になったらこれすぐまた赤字法人になる。連続して赤字法人を三年も四年もやっていて、人を何百人も使っている会社がたくさんある。そういう会社は税金を納めないんでいいんですよ。そんな問題には手をつけない。
 もっと言うと、会社が使途不明金をぼんと出す。私がちょっと調べるだけで、資本金幾らだったか忘れたけれども、何社か調べたら何と四千億ぐらい使途不明金が出てきた。その使途不明金は、普通の税金を納めれば知らぬ顔の半兵衛ですよ。ヨーロッパなら使途不明金出したら課徴金をばさっと取られる。その使途不明金の中から妙な裏金が出ていって政治を腐敗させる。だから、税制そのものを見直したら、私は率直に言います、本気になって皆さんが税制を見直していただいたら何兆という金が出てくる。その辺の問題を一体本当に税務当局というか、主税局が特に今担当でしょうけれども、我が国の税制は国際的に見て恥ずかしくない税制というふうにお考えですかどうですか。その辺判断を承りたい。
#172
○政府委員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございました観点につきましては、政府の税制調査会等におきましても長く問題として意識されておりまして、例えば赤字法人に対応しますための適切な課税という手段が見つからないものかどうか検討されてまいりました。
 一つの方法としましては、法人税の世界で何かアプローチできないかという議論がございました。しかし、法人課税というのはやはり所得課税でございますから、所得なきどころ課税なしと考えざるを得ない。そういう意味におきまして、なかなかこちらの枠組みからの接近というのは難しい。
 もう一つの道としましては、公共サービスをこれら赤字法人も受けておるわけであるから、その公共サービスに対して何か適切な応益負担を求めるということができないかという議論がございます。この角度からの接近としましては、既に地方税の中に固定資産税でございますとか幾つかの税がございまして、そういったものとの関連をどう考えるかという論議になります。
 それからもう一つは、赤字法人の中に実際、先ほどちょっと先生がお触れになったように存じますけれども、黒字であるにかかわらず意図的な赤字申告を行っているものがないかどうか。この問題は、これは税務調査の充実によって執行面で対応すべき問題だというふうに思っておりまして、三番目の観点につきましてはまさに取り組んでおるわけでございます。しかし、最初に申し上げましたような接近というのは一つの壁にぶつかっているという感じが私はいたします。しかし、その壁というものが越えられないかどうか、税制調査会では引き続き問題意識として持って検討を願っておるわけでございます。
 ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、傍ら、平成四年度の税制改正におきましても、いろいろな赤字法人があり得ると存じますけれども、それを全体としてつかまえまして、例えば法人税の欠損金の繰り戻しによる還付制度というのがございましたけれども、これを一時停止するというような措置でございますとか、あるいは土地取引、法人が土地取引を行いました場合の赤字法人による土地取引の譲渡益をどうするかという問題に関しましても、特別な追加課税を行うというような方法が加わったということを御報告申し上げておきたいと存じます。
 また、先ほどお話ございました使途不明金につきましては、これはもちろん使途を解明するということが第一なのでございますけれども、どうしても解明し切らぬという場合には損金の不算入という形で処置をしておるという実態にございます。
 それらをひっくるめまして、日本の税制というものが諸外国に比べていかがであるかということになるわけでございますけれども、ただいまの使途不明金の処理あるいは赤字法人に対応いたします処理、先ほどちょっとお話がございましたけれども、使途不明金に対しまして特別な接近をしております国、フランスの例がございますけれども、あとの国の場合には日本と非常によく似ておりますし、全体的に見まして、今お話にございましたような観点からいえば、諸外国と比べてもバランスのとれた税制であるというふうに考えております。
#173
○山本正和君 大体、使途不明金なんか出したら会社首になるんですよ、普通の会社は、ヨーロッパでは。いわゆる自由な市場経済はそういうことを本来想定してないんです。日本の国みたいな使途不明金がこんなにごぼごぼ出るような国はないんですよ、世界では。市場経済になってないんです。税制からくる穴を幾らでも抜こうとするわけです。
 だからそんなものを含めて、私は率直にここで大蔵大臣並びに、特に総理は国際経済随分これは博学でいらっしゃいますからお尋ねしておきたいんですけれども、我が国の税制はいわゆるヨーロッパやアメリカ、こういう進んだ資本主義、市場経済を持った国の中で我が国の税制はそれに十分対応し得るレベルに達しているとお思いですか。いかがですか。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) よその国の税制をよく知っているわけではございませんけれども、私は比較的外国からも評価されている税制ではないかというふうに思っておるのでございますが。
#175
○山本正和君 大蔵大臣、どうですか。
#176
○国務大臣(羽田孜君) 私も全く同感でございます。
#177
○山本正和君 一つは、私は我が国税制も含めて、会社その他金融機関、政府も含めてディスクロージャーが進んでいませんから割合批判が出ません。しかし、外国ではこのディスクロージャーというのが当然民主主義の原点ですから、もっと違った意味での議論が我が国の税制の中ででも出ると思うんです。まあそれはいいです。
 しかし、税制の抜本改正の必要性はとにかくあるとお考えですか。それともこのままで少しずつ手直していいと思いますか。その辺どうですか。
#178
○国務大臣(羽田孜君) やはり税制は公正である、中立的である、あるいは簡素であるということを基本にしながら常に私どもは税制というものを見詰めていかなければいけないものであるというふうに認識をいたしております。
#179
○山本正和君 政府税調でも、党税調はちょっと私はよその党のことですから言いませんけれども、さまざまな議論がございます。しかし、抜本的な論議をしようにもなかなかできずに部分的な手直しをやらざるを得ない。これはずっと続いている歴史ですよね、これを読んでいきますと。特に、今度は租税特別措置も少し直しましたね。そうやって部分的にしか直ってきていないんですよ。だから、五十年間たった戦後日本の経済の中で税制というものはこれでいいのかと。シャウプ税制に一遍直してからのその体系がずっと続いている、その辺の問題を政権党として与党はもちろん考えていただかなきゃいけないけれども、その前に行政府としてこの税制は本当にいいのかということを考えてもらわにゃいかぬと思うんですが、もう一遍どうですかその辺。
#180
○国務大臣(羽田孜君) 私ども常にそれは心がけなければならないところでございまして、その一環といたしまして、六十二年でしたか、例の直間比率等を中心にしながら税についての大幅な検討というものをさせていただき、またそれを実施させていただいたということでありまして、しかし私たちは、今御指摘があったことも踏まえながら、本当に抜本的に、何が一体公正なのか、何が理解されるのか、国民に本当に理解されるものでなきゃならぬだろうということを基本にいたしましてこれからも検討をさせていただきたいと思います。
#181
○山本正和君 自治体はいろんな意味でまさに国民生活の基盤です。その自治体の財源ということについては、これは自治省はいつも苦労するわけですよ、毎年大蔵省との間で。自治省は、今の自治体の財政から見て今日の税制はこれでいいと思われますか。
 それから、特に地方税の問題ですね。盛んに議論になるのは、地方にいろんな企業を誘致してさまざまな税制でもって優遇いたします。そんなことをするんだけれども、赤字法人がこれだけふえてくるんだからどうにもしょうがない。また、外形標準課税等の話も出てきておる。その辺について自治省にひとつお考えを承りたいと思います。
#182
○国務大臣(塩川正十郎君) 地方税制につきまして完璧かと言われれば、私はまだやはりいろいろとあると思っておりますが、しかし昭和五十年代から六十年代に入り、特に六十二年、六十三年の間に地方交付税を中心といたしまして大幅な国と地方との税制の均衡を考えていただいたこと、このことは私は非常に大きい成果があったと。しかし、おっしゃりますように、地方におきましても、税が当然いただけるべきであるのにかかわらず税制上税が及ばないというところもいろいろあることは事実でございます。
#183
○山本正和君 標準課税の問題をちょっと質問したんですが。
#184
○政府委員(杉原正純君) お尋ねは、地方の税金でございます事業税に外形標準課税を導入しては、そういうことを検討してはどうか、こういう御趣旨かと思います。
 地方税は、全般的に地方団体の行政サービスに対します応益税という性格がございますものですから、所得に関係なくいただいている税金がほかにもいろいろあるわけでございます。固定資産税もそうでございますが、法人住民税の均等割でございますとか事業所税等がございます。事業税もそうでございますが、特にそういった地方税の本来的性格からいいますと、また地方税源の安定的確保という観点からいたしますと、御指摘のような例えば法人事業税に外形標準課税を導入するといったことは本来的には望ましいと考えております。現在も一部の業種につきましてはそれを導入しているわけでございます。
 しかし、事業税全体にこれを導入するという問題につきましては、一体いかなる基準をもって外形基準として導入したらよろしいか、あるいはその基準の導入の仕方によりまして経済に与える影響、あるいは業種間のいろいろ税負担の激変といった問題もございます。また、同じく導入するとした基準いかんによりましては制度が大変複雑になる、あるいは納税者に大変な負担をおかけするというような問題もあろうかと思います。
 そういった点、やはり解決すべき問題も大変多岐にわたろうと思っておりますので、今後とも幅広く税制全般の中で考えていく必要があろう、検討していく必要があろう、かように考えております。
#185
○山本正和君 今度は経済企画庁になりますか。やっぱり税金に関係しますから申し上げるんですけれども、国民の可処分所得、一体これはずっとふえてきているのか、とまっているのか、減っているのか、どういうふうに御判断ですか。
#186
○国務大臣(野田毅君) 可処分所得は過去二十年の間に着実にふえてきておるという数字にはなっております。総括的にはそういうことです。
 なお、四十六年と平成三年とを比べて、消費者物価が昭和四十六年と平成三年で二・八一倍、それから名目可処分所得が四・〇六倍、したがって実質可処分所得が一・四五倍ということになっております。
#187
○山本正和君 私は、ここで非常に端的な質問の仕方をいたしますが、減税に反対であるという理由を簡単に、一言でいいですから、総理並びに大蔵大臣に聞かせてほしい。
#188
○国務大臣(羽田孜君) まず一つは財源ということがございます。しかし、財源の問題だけじゃなくて、やっぱり所得税の負担率という観点から見ましても、最低税率一〇%の適用範囲を前回相当大幅に広げたということがあります。
 また、基礎控除あるいは配偶者控除、扶養者控除の引き上げですとかあるいは配偶者特別控除の創設、また十六歳から二十二歳までの扶養親族を対象とした割り増し扶養控除、こういったものを実施したということで、中低所得者層、これを中心とした皆様方の所得税負担というものは相当低い水準に現在でも各国と比較したときにやっぱりあるんだということを申し上げたいと存じます。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと一言でなくてもよろしゅうございますか。
 それは、減税は政治だと言われることは私も本当にそう思っているんです。ですから、やれるときは本当にやりたいのですが、今はやはり私は赤字国債を出せないなという気持ちが強いということをいっかも申し上げましたですけれども、先ほどからおっしゃっていることを私伺っていまして、昭和六十二、三年のときに今の抜本改正をしたわけでございますけれども、あのときにし残しましたことは、やっぱり累進構造の刻みをもっと本当は減らしたかったわけでございます。もっとアメリカみたいにこれをうんと減らしていきますと、サラリーマンの給与が上がるとすぐ税金が上がるというあの重税感が防げるわけでございますから、いずれはもっと刻みを減らしたい。そうすればそういう重税感というのがなくなるんですが、しかし、それはそれだけに、逆を言いますと非常にそこのところの減収が多くなります。
 その問題との関連でやっぱり直間比率という問題が私は本当は出てくるべきなのであろうと思うんですが、そうするとすぐ、ああそれはあれかと皆さんがお思いになることがあるんで、この話はすぐにまた言える話でもない。
 それで、しかしやがてあの国民年金の財政の再計算をしなければならない時期が、あれは平成六年でしたか間もなく来るわけでございますが、そういうことも展望いたしますと、やはりもう一度その時期に税制というものを考え直すことが必要なんではないかということは、私自身、六十二、三年のときのし残した仕事として感じておるというのが率直なところでございます。
#190
○山本正和君 総理はわかっておられて、結局、簡単に言えば赤字国債やりたくないからということが直接の原因のように承りますが、レーガン税制改革、これについての評価をひとつ総理並びに大蔵大臣から承りたいと思います。
#191
○国務大臣(羽田孜君) そうですね、今になってみますと、あれだけ大きな財政赤字、いわゆる減収になるということは見込まれてなかったということで、この間も実はG7に行きましたときに、あのレーガン減税というものが今日のアメリカの財政赤字をつくってしまったというような話がいろんな方からなされたということを申し上げておきたいと思います。
#192
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もあれはよくやったなと思います。今でも思うんですが、その後のアメリカの経済の運営がたまたまこういうことになったものですから、今、大蔵大臣言われたようなことが大変顕著になりました。しかし、理想としてはやっぱりああいう形にした方が所得税は本当はいいんだろうということは感じております。
#193
○山本正和君 私も総理の今の見解の方が賛成です。レーガン税制改革はねらった効果が出なかっただけの話で、消費にみんな回っちゃったというところに最大の問題があるだけで、要するに、法人税の全面的な軽減にしても所得税の軽減にしても、全体のバランスをきちっと調整しながらやっているんですよね。そういうやり方というのは私たちはやっぱり学ばにゃいかぬというふうに思うんです。
 ただ、後の財政をどうするか、国内経済の運営をどうするかという問題が残りますけれども、そんなものを含めて私は、これは補正予算の段階ですから、当然来年度予算の中では議論をしていかなきゃいけないと思いますけれども、いずれにしても我々は、我が国の経済の構造の根底にある市場経済そのものに絡む税制改正という立場からのどうしてもこれは議論が必要だろうと、こう思うんですけれども、大蔵大臣、再度どうですか。
#194
○国務大臣(羽田孜君) まさに税は本当に国民に直接かかわってくる問題でございますから、深い議論というものがやっぱり大変重要であろうと思いまして、先日ちょうだいいたしました資料の中でも本当に率直にいろいろと議論されておられるあれを私ども拝見いたしまして、今後ともこの国会の論議等、審議を通じながら議論を深めていくことが本当に税に対するまた理解を深めることにもなるんだろうというふうに考えております。
#195
○山本正和君 まだ質問を残している部分がございまして、特に本当は物流等の問題や通勤地獄等の問題で、その解消のために運輸大臣からも答弁をしてほしかったのでありますが、もう時間がございませんので、私から最後に総理に、私なりの今国会の締めくくり総括に当たりまして要望を申し上げておきたいと思います。
 国民は、私は正直に言いまして、宮澤内閣が誕生したときには随分大きな期待があったと思う。そして、私ども野党の支持者も、あの三人の候補者の中で宮澤さんがなってよかったなと思う人がかなりおった。また、宮澤さんがかつておかしな暴力に対してそれに屈せずに戦われたということもみんな国民は知っているんです。
 そういう中で私が思うのは、総理はまさに内閣の最高責任者、行政府のトップということ以上に、国民の生活あるいは自分たちの信念、さまざまな正義、そういったものの代表であってほしいと思う。そういう意味で、やっぱり毅然とした態度でもって今度の政治スキャンダル、暴力と絡んだというふうな問題に対しては対処をしていただきたい。
 そしてまた、今、組閣の問題がいろいろ議論されております。しかし、私はここで率直に申し上げますが、海部総理に対する国民の支持が圧倒的に強かったというのは、リクルートに関係したとうわさされた人をすべて外した、それぐらいの厳しさを政府・与党は一遍持っておったわけであります。
 今度は、あのときとは比較にならないぐらいの大変な状況になっている。特に、この前のときはお金の話ですけれども、今度は右翼、暴力が絡んでいるという大変な問題です。その中で総理がこれからどういう姿勢を示されるか次の組閣に当たって新しい内閣がどうなるかというのを国民が注視している。その内閣のもとで本当にこの佐川急便に示されるような政治スキャンダルを払拭する、こういうひとつ決意を持って頑張っていただきますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
#196
○委員長(遠藤要君) 以上で山本君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#197
○委員長(遠藤要君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭君。
#198
○木庭健太郎君 本日は締めくくりの総括でございます。私どもこの締めくくりに当たって、今国会通じてやっぱり一番大きな問題になった佐川の疑惑というのが、いずれにしても、証人喚問を通じ質疑を通しながらも、ますます疑惑が深まったというのが正直な感想でございます。今後、次の国会へ向けてもぜひ捜査当局も熱心にやっていただきたいし、国会もまたやっていかなくちゃいけないし、自民党も自浄作用としてやっていただきたい、そのことを強く思っている一人でございます。
 そこで、まず冒頭、総理にお伺いしたいんですけれども、総理は参議院の本会議で我が党の鶴岡議員の質問に対して、これは皇民党の褒め殺しの中止という問題で鶴岡議員が尋ねたのに対して、総理みずから、事実を解明するのはごもっともだ、本人の名誉、党の名誉にもかかわることである、私どもの党としても真相を明らかにしたいと御答弁なさっております。この自民党議員が多数関与したと言われる皇民党の褒め殺しの中止工作について総理はこうおっしゃっているわけですから、党が調べた真相を明らかにしていただきたいと思います。
#199
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま仰せられましたのは、供述調書にございました何人かの自民党の……
#200
○木庭健太郎君 七人ですね。
#201
○国務大臣(宮澤喜一君) はい、そうでございましたね。あれは、すぐに執行部が名を挙げられた方々について実情を調査いたしまして、ちょっと私、今非常に正確に記憶がないんですが、何人かの方は、実際自分は状況は違うにしてもこの事態をやめさせようと思ってそういう接触をしたと言っておられたと思います。それから、何人かの方は全く覚えがない、何かの間違いではないか、こういうことで、そのうち何人かの方はその旨を検察当局に対して書面をもって申し立てられたと承知をいたしております。
#202
○木庭健太郎君 総理、私が言いたいのは、少なくとも供述調書の問題については党の名誉、個人の名誉にかかわることだ、みずから真相を明らかにしたいとおっしゃったわけです。おっしゃったにもかかわらず、今のお話ですと、例えばこの問題、最初、検察当局を告訴する問題から始まって、個人がばらばらに記者会見する問題があった。そして、それを告訴するならば党で支えるというようなお話も党としてされた。これが自民党としての調査結果なのか。真相を明らかにしたいと総理はおっしゃったんですよ、この問題については。どうですか。
#203
○国務大臣(宮澤喜一君) 実はそれは、今、存じておりましたら書類でも取り寄せるべきであったのですが、きちんとしてございまして。
 ただ私は、そういう事実調査を党に申しましたときに、その結果として党として何か告発をするというようなことは私自身は実は考えておりませんでした。私の考えましたことは、党が調査をいたしましてそれを公にいたしますならば、その限りにおいて全く無実と申しますか、その思い当たりのない人の立場というものははっきりするであろうと。さらに、その上に何かそうであった場合の名誉回復の方法が行政的にあるかどうかは、これは行政の方に私が調査を命じたわけでございますけれども、告発というような、検察当局に対してそういう行為を党としてするというのは実は私の考えにはございませんでした。
#204
○木庭健太郎君 何でこんな問題しつこく言うかというと、金丸氏が証人尋問のときに、自民党の皆さん何人かが褒め殺しの中止に動いたということを質問されたときに、金丸氏本人からその中止工作の問題について、「三十万円なり二十万円なりという話は聞いていますよ。」とおっしゃっているんですよね、元副総裁が証人尋問の中で。
 そうすると、自民党の今のお話ですと、金の受け渡しなんかなかったということになっているわけですよ。ところが、図らずも元副総裁はそういうことをおっしゃっている。何なのかなと。真相を究明するならば、本当にそういうこともなかったのかどうかというのをやっぱり党としてきちんとやってもらわなければ真相究明にならないと思うんですが、いかがですか。
#205
○国務大臣(宮澤喜一君) いずれにいたしましても、党の記録を今持っておりませんで申しわけないのですが、金丸さんが言われましたところは、私の持っております印象は、私がこれを読みましたときの印象、これは私が間違っているかもしれないのですけれども、あの話は本人あるいは代理人を通してとか、二十億とか三十億とかいうことで、いかにもどうもその真実性に乏しいという印象を私どもの中では持った者が多いのですが、恐らく金丸さんもそう思われたのだと思います。
 そうして、その二十万、三十万とここで言われたのは、二十億、三十億ということはとてもということのいわば比較においてこれを言われたんではないかと、私はそういう理解であったのでございますけれども、なお党の方の調査がどうなっておりますかは一度私も調べておきます。
#206
○木庭健太郎君 それともう一つ、これは衆議院の予算委員会の締めくくり総括だったと思いますけれども、我が党の冬柴委員の方から金丸氏がまだ自民党籍を持っていることを指摘して、党としてきちんと決着をつけるべきだというふうにただしたと思います。そのとき総理は、重く受けとめるというふうに御答弁されました。その後、党総裁としてこの問題にどうけじめをつけられたか、御答弁をいただきたいと思います。
#207
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう御指摘が冬柴委員からございました。その後、金丸前副総裁から、病院に参りました党の執行部に対して離党したいという意思表示がございました。そのための書類等の手続を今手続中でございます。したがいまして、御本人の意思はそのように明白になったと考えております。
#208
○木庭健太郎君 総理、党総裁として、昨日、猪熊委員の質問に対して、この皇民党問題だけじゃなくて佐川問題全体を含んで自民党としてもできることは執行部に今言ってあるんだから、この真相についてはきちんと究明をして、ある時期が来ればきちんとそれはやっていくということを御答弁になりました。
 まさにそういうことをやっていただきたいんですけれども、私たちはやっぱりこれを次国会へつなげていきたいというふうに考えておるんです。そうなるとその時期という問題いろいろあると思いますけれども、何年も先にやられたんじゃこれは困るわけでございまして、例えば総理として時期というのはなかなか言えないにしても、次国会をめどにして、一回はそういう形を党として、あったなかったは別にして結論を出したいというお考えはございませんか。
#209
○国務大臣(宮澤喜一君) それは事件の捜査そのものあるいは国会における国政調査というものとどうしても事柄は関連いたしますから、そういうこととも考えあわせながらいたしませんと、御本人の秘密と申しますかを不必要によそに漏らすというようなことがあってもならぬのでございましょうから、そういうことは考えながらいたさなきゃならぬと思いますが、いずれにしても、党紀に違反するような行為があってそのままになっておるというようなことになりますと、これはそれなりの処理をいたさなければなりませんので、そのときには公にしなければならないと思っております。
#210
○木庭健太郎君 そういうこともございましょうし、ただ私としては、やはりこういう問題は何年も先というわけにはいかないわけですから、その辺はぜひ自民党としてもお考えになっていただいて、私たち次国会はそれこそこの真相究明の一番大事な国会だと逆に思っておりますので、そのことを総理にお願いをしておきたいと思います。
 ところで、渡辺郵政大臣、衆議院の予算委員会の集中審議で我が党の草川委員が、郵政大臣の平成元年五月五日から十五日までの間、日程を調べた上で、東京佐川急便本社などで渡邉被告に会ったかどうかというお尋ねをしたと思います。御回答をいただいていないので、ここで結果をいただきたいと思います。
#211
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 あのときは、草川先生の方が一方的におっしゃって、そして答弁ということでなかったものですから。
 私は、その前の質問のときに草川先生に御答弁申し上げたのは、いわゆるおっしゃられる日時はどうも記憶はございませんと、しかもまだ選挙というものを控えていますので新潟との行き来というようなことをたしか申し上げた記憶はございます。
 そこで、先生は日にちを拡大されまして、五日から十五日とおっしゃったんですが、十五日あるいはまたそれ前後を言われましても、実際問題、私の方は当時はもう既に選挙戦に入っております。十五日は告示でございました。したがいまして、決められた日程で動いているということじゃございませんので、正直に申し上げまして、実は記録がございません。私の記憶にもその時期に佐川急便にお伺いしたという記憶はどうしてもよみがえってまいりません。
 しかし、二十日過ぎに行ったというようなことも一部実は報道されたこともあるようです、後で調べてみましたら。その時期もそんなことがないのでありまして、どうもそこのところが合点がいかないで、すっきりした答弁できないで恐縮なんですが、現実、私の記録、それから記憶がどうも定かでないということを申し上げさせていただいて、ひとつ答弁にかえさせていただきたいと思っています。
 ただ、新潟をその時期は全くほとんど軸にして動いていましたので、それはひとつ御賢察いただきたいと思っております。
#212
○木庭健太郎君 それでは確認の意味で、新潟で、現地で渡邉被告及び金子前知事と三人でお会いになったことはございますか、その時期に。
#213
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げますが、それは先生、全くございません。そんな事実はございません。
#214
○木庭健太郎君 それともう一つ、郵政大臣は東京佐川の本社というのは何回もお訪ねになったことあられるんでしょうか。
#215
○国務大臣(渡辺秀央君) 簡単に御答弁申し上げますが、お伺いしたことは何回かございます。
#216
○木庭健太郎君 平成三年の六月という御記憶はございますか。
 郵政大臣がおっしゃった再建会議には出られたという話がございましたね、竹下氏と金丸氏と。その前の時期でございますけれども、そのころ本社をお訪ねになったことはございますか。
#217
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 これは何かの間違いじゃないかと思うんです。伺っていないということは申し上げておりませんが、六日ということとかあるいはまた事前に、六月ですね、おっしゃいましたのは。その六月の段階で、一部質問の中にも前に予算委員会でございまして、私、実はうかつにもその新聞を、その当時の新聞が実は夕刊だったそうです、その佐川の何か暴力団との関係だというのが。私は、本当に申しわけなかったんですが、そのときもお答えしたんですけれども、実はその新聞を見ていないんです。最近この問題が惹起されましてから実は拝見したというのが真実なんですが、その六日というのがどうしてもございません。また記録にもありませんし、私も伺ったのではない、電話か何かなのかと思ったりしております。外で会ったということの記憶もないんです。
#218
○木庭健太郎君 いや、もう渡邉被告の供述調書もお読みになっていると思うんですけれども、供述調書によると、渡辺郵政大臣があの再建問題がある前のときにわざわざお一人で来社された、同県人が来てくれたし本当に渡邉被告は涙が出るほどうれしかったというような供述調書があるわけですね。それだけ記憶に鮮明に残っていると。郵政大臣は残っていないと。私たちはやっぱり疑惑は、疑念といいますか、残らざるを得ないと思っております。この問題についてもまた今後やらせていただきたいし、郵政大臣、大臣として答弁できるのはきょうが最後でしょうからきちんと聞いておこうと思ったわけでございます。
 続きまして、中間報告について何点かお伺いしておきたいと思います。
 率直にお聞きしますけれども、検察庁、刑事局長で結構ですけれども、新潟のルートと言われる金子前知事の三億円の問題については、これを読むと捜査は終了したということなんでしょうか。はっきり答弁をお願いします。
#219
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員がお尋ねになっておられますいわゆる新潟知事選に絡む問題につきましては、昨日の中間報告でも申し上げましたとおり、金子前知事らを収支報告書虚偽記入罪により公判請求しておるわけでございますが、ほかに犯罪の嫌疑ありとして公訴を提起するに足る事実は確認できなかったということでございまして、現在までのところ、これ以上の捜査を行う予定があるとの報告には接しておらないわけでございます。
#220
○木庭健太郎君 これは、政治資金規正法違反事件について捜査をしてきた。そうすると、それ以外の問題、例えば脱税の問題、まあ贈収賄になるかどうかわかりませんけれども、そういった問題も含めて捜査はなさったようにお聞きしているんですけれども、その辺はどうなんですか。
#221
○政府委員(濱邦久君) 昨日の中間報告でも御報告申し上げましたように、政治資金規正法違反等を含めまして必要な捜査を行った結果の御報告をしたつもりでございます。
#222
○木庭健太郎君 私は、一言率直に、終わったか終わってないかと聞いているわけで、とにかくすべていろんなものを含めて終わったということなんですか。
#223
○政府委員(濱邦久君) 捜査を終わった終わらないということは、これはいろんな考え方があると思うわけでございますけれども、先ほどお答え申し上げましたように、現在までのところではこれ以上の捜査を行う予定があるというような報告は聞いていないということを申し上げたつもりでございます。(「日本語で言え」と呼ぶ者あり)
#224
○木庭健太郎君 ほんとわかりませんけれどもね、日本語で答えてほしいなという気がいたします。
 ところで、この十七億五千万円、これは裏金として渡邉被告が受領していたという事実の点でございますけれども、これについても同じようなことをお書きになっているんですけれども、そうすると十七億五千万円については、「その使途先につき必要な捜査を尽くした」とおっしゃっているわけですから、使途先、つまり受け取った方、受け取った金額、それはすべて把握はできたということでございましょうか。
#225
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします、
 今、委員が御指摘になっておられます約十七億五千万円の使途に関しましても、これは必要な捜査を行った結果、金丸前議員に係る以外には公訴の提起をするに足る事実はこれまでのところ確認できていないということを申し上げたわけでございまして、それ以上の具体的な事実については、捜査の中身にかかわってくることでございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#226
○木庭健太郎君 今の答弁を聞いておりますと、尽くしたと言いながら、この十七億五千万円についてはまだ検察では一生懸命やっていると聞こえるわけです。しかも、中間報告を読ませていただきましたけれども、これはわざわざ二つの件、三億円の問題と十七億五千万円の問題については書き方を変えていらっしゃる。例えば、残り二億円の問題、これは新潟ルートの問題ですけれども、残り二億円についても必要な捜査を行いましたが嫌疑ありと訴追する事実は確認できませんでしたと、ここはいわば終わったとおっしゃっている。ところが十七億五千万円については、その使途先につき必要な捜査を尽くしたものの、この関係では、これまでのところ、係る以外のものはないと、こう書かれている。わざわざ書き分けていらっしゃるんですけれども、これはどういうふうに読めばよろしいんでしょうか。
#227
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 これは先ほど払お答えしたとおりでございまして、今御指摘になっておられる十七億五千万円の使途につきましては、委員が今御指摘になられましたとおり、必要な捜査を行ったものの、先ほど申し上げた金丸前議員に係る五億円以外につきましては、公訴を提起するに足る事実はこれまでのところ確認できていないということを申し上げたわけで、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#228
○木庭健太郎君 そうすると、私がまたこれでわからなかったのは、現在の捜査状況についてでございます。
 これについては、告発したものしか書いてないんですね。告発したことだけで、これが終わってしまえばすべて捜査は終了するというふうに普通の人間が読めば読めるんです。これはそういう意味なのかそれも含んで一応この事件については捜査を続けているということなんでしょうか、はっきりしていただきたいと思います。
#229
○政府委員(濱邦久君) いわゆる東京佐川急便事件につきましては、今、委員が御指摘になられましたように、多岐にわたる告発を受けておるわけでございまして、その点についてもちろん引き続き捜査中でございますけれども、告発事実以外にどのような観点からどのような捜査を行っているかということにつきましては、これは捜査の秘密に属することになりますのでそれ以上のお答えは差し控えさせていただきたい、こういう趣旨でございますので御理解をいただきたいと思います。
#230
○木庭健太郎君 捜査の秘密上のことですからとおっしゃっていつも、決算委員会でもありましたけれども、同じ答えなんですね。ただ、国民の目から見れば、中間報告を読んでしまうと、これは中間報告じゃない、終了宣言だと、こうもとれてしまうんです。しかも、この五億円の告発については、もうきょうの朝刊あたりを見たら、二十日過ぎには最終処分だみたいな記事も出てくる。検察は一体何をやっているのかという話になってしまうわけです。私は、やはりこの問題、国会と検察・司法と両方が両輪のようにやっていかなければ疑惑解明はできないというふうに思っているわけです。
 この問題、法務大臣に一言聞いておきたいんですけれども、ようやくこの中間報告になって真相究明という言葉が初めて答弁の中に出てまいりました。真相究明のために必要な捜査を行いという言葉を初めて使われております。私は、法務大臣の立場は、真相究明のために必要な捜査じゃなくて、真相究明に全力を尽くす、そのために必要な捜査をと言わなくちゃいけないのが逃げているように感じられるんですけれども、真相究明に全力を尽くすという決意があるかどうかは聞かせておいてもらいたいと思います。
#231
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 私は、法務大臣としては検察庁を所管しております。検察庁には特捜部があって、検事が捜査しております。検事は疑わしきがあれば徹底的に捜査する、これが検事の立場でありまして、政治的な判断とかその他とか考えることはないわけでありまして、疑わしきを全部追及して、そして必要があれば公訴を提起する、そういうことになるのだろうと思います。したがって、私が独立性の強い検察庁に対してああせいこうせいとは申しませんが、検察庁の性格からして徹底的にやるものと、疑わしきがあればやるものと私は考えております。
#232
○木庭健太郎君 関連質問がございますので、同僚委員にかわります。
#233
○委員長(遠藤要君) 関連質疑を許します。荒木清寛君。
#234
○荒木清寛君 私からは総理に何点かお伺いをしたいと思います。
 政治倫理綱領によりますと、「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。」、そのようにございます。刑事責任につきましては有罪判決があるまでは無罪が推定される、そういう原則があるわけですけれども、事故治家に関しましては、こうしたみずからの政治姿勢に疑惑が持たれた場合には、その疑惑を晴らすために積極的に努力をしなければならない。その結果、なお重大な疑惑が残った場合には政治責任が生ずる、そういう趣旨だというふうに理解をしますけれども、どうでしょうか。
#235
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治家にありましては、法律の違反あるいは有罪、無罪ということと別に、政治倫理というものがなければならない。その政治倫理の尽くし方というものはこうなければならないというのが今お読みになられました政治倫理綱領の趣旨である、そういうふうに私も思います。
#236
○荒木清寛君 多くの国民は、竹下政権の誕生に暴力団が直接関与したのではないかそしてまた竹下氏も当初からその事実を知っていたのではないか、そういう重大な疑惑を持っていると思いますし、このことは各種の世論調査でもはっきりしていると思います。
 そこでお伺いしたいわけですけれども、この国会における二回にわたる竹下証言によって、私は国民の疑惑というのはいまだ晴らされていない、そのように考えますけれども、総理の御見解はいかがでしょうか。
#237
○国務大臣(宮澤喜一君) 竹下氏は、最初、この政治倫理綱領に従って疑惑の解明の場に臨みたいと思っておられたということも聞いておりますけれども、実際には予算委員会におかれまして衆参両院とも証人として喚問をされた、そういう場で御質問を交えての真相解明があったわけでございます。
 国会のそのような喚問の結果をどのように評価すべきかまたそれをどのように解釈すべきかというのは、これは国会御自身が有権的に御判断をなさるべきことであると思いますので、行政府の立場からは申し上げることを御遠慮いたしたいと思います。
#238
○荒木清寛君 綿貫幹事長は、十二月七日に、今回二度にわたる喚問で疑惑は晴れたと思う、そういう談話を発表されております。また逆に、自民党の中の党の信頼回復を考える会のメンバーの方は、竹下証言に関して明らかに多くの不自然な点が残った、そのように記者会見をされております。これはもう自民党の中の方がこうおっしゃっているわけですから、総理はリーダーとしてもっとはっきりと御自分の意見をお述べになるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#239
○国務大臣(宮澤喜一君) 党内にもあるいはいろいろな受け取り方があったのかもしれません。ただいま御指摘のようなことを私も新聞等で読んでおりますが、私がここで申し上げますことは、行政府の長としての責任者として申し上げますので、したがいまして、行政府としまして立法府のそのような国政調査の結果についての判断というのは、申し上げることは差し控えるべきだというふうに思うわけでございます。
#240
○荒木清寛君 では、行政府の長としてではなく、党の総裁としての御意見はどうでしょうか。
#241
○国務大臣(宮澤喜一君) 一人の人間が申しますことでございますので、そう申しましても、行政府の長、総理大臣としてのお答えにならざるを得ませんので、そういう意味で控えさせていただきたいと思います。
#242
○荒木清寛君 では、最後に一点ですけれども、近日中に内閣の改造また党の三役の人事があるというふうに聞いております。
 私がお聞きをしたいことは、政治倫理の確立を重視するという立場から、清廉潔白な人物を選ぶ、そういう基準に立ってこの人事をやっていただけるのか。少なくとも選挙違反あるいは汚職といわず、政治倫理と直接に関係する犯罪を犯して有罪になった人物、そういう方はこの人選から外す、そのように国民にお約束をいただけるかどうか、最後にお尋ねをしたいと思います。
#243
○国務大臣(宮澤喜一君) 今日現在において、政治倫理に反するような方にそういう重い仕事をしていただくつもりは、私はございません。
#244
○荒木清寛君 最後に質問しました、過去に有罪判決を受けた人を大事から外すというお約束はどうでしょうか。
#245
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般論としてしか申し上げることができませんけれども、政治倫理というものは、今日においてどう考えるかということが大事だと思います。
#246
○荒木清寛君 終わります。
#247
○木庭健太郎君 私が総理が言われていることでよくわからない点は、今回の問題の中で総理は、皇民党と竹下氏、金丸氏の関係について、どこまでが一つの事実だというふうにして掌握されているのかどうかというのが何回御答弁を聞いてもわからないんですけれども、総理がお言葉の中で疑いのない事実とおっしゃったこともありますけれども、この事件の中で何が総理として国民に向かって、これだけは私は認識しているということなんでしょうか。
#248
○国務大臣(宮澤喜一君) それは非常に難しいお尋ねだと思いますのは、行政の内部におきましては、この問題について捜査、調査をするのはおのずからつかさつかさがあるわけでございまして、私は広い意味での行政の最高の責任者でございますので、それ以外の判断を私が別途に持つということは、公の立場としては非常に難しいことでございます。
 私が個人的にどう考えているかということは、それはないと申し上げるわけじゃございませんけれども、公の立場では、やはり私のもとで働いておりますつかさつかさの到達いたしました判断をもって自分の判断としてここで申し上げるのが私の務めだろうというふうに、そういうふうにいつも申し上げております。
#249
○木庭健太郎君 そうすると、総理としては、初公判の冒頭陳述をいつもお挙げになりますけれども、それが私として言える、今回の事件に関する事実としてはそれしかないということになるわけですかね。
#250
○国務大臣(宮澤喜一君) それで私が気をつけて申し上げておりますのは、九月二十二日でございましたか、これを私はどういう言葉を使っていいかわからないものでございますから、ステートメントという奇妙を言葉で申し上げております。と申しますのは、そのこと自身はまた裁判所が最終的には判定をされることであると思いますものですから、事実という言葉を使いますと、それを先取りするようなことになっていけない。しかし、それだけ申し上げました上で、あれが今検察として考えております事柄の判断であると、そういうふうに思いますので、あれを引用させていただいておるわけでございます。
#251
○木庭健太郎君 私がこれだけ見ると、冒頭陳述だけ見ると、政治家としかない。団体がやったんだとある。そうすると、総理としては、現時点では皇民党というのもはっきりお認めにならない。政治家というのは、金丸氏は証人尋問で自分が最終的にかかわってしまったということをおっしゃっている。それも認められないということになってしまいはしませんかね。そうすると、国民の理解と余りに離れ過ぎて、総理、一体今回の事件で何を考えていらっしゃるんだろうかという国民の声になりませんか。
#252
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま皇民党というような固有名詞を挙げられましたし、またかねて交際のあった政治家というのは、それは金丸氏ではないかというようなことも言われました。それはその後のいろいろな調査あるいは国政調査等々国会における御審査から出てきたことでございまして、私はそのことを実は間違いだと思っているのではございません。
 ただ、国会のそういう喚問の結果につきまして記録がございますから、それを引用することも私にはできますけれども、それは国会の御審査でございますから、行政の立場だけで申し上げていることであって、ただいま申し上げましたようなことを私は知らないわけでもございませんし、それが事実でないと申し上げるわけでもございません。
#253
○木庭健太郎君 だから、いつもこの問題を論議するときに、私どもは総裁選にやっぱり直接暴力団がかかわっているというふうな全体の証言から認識をしているわけです。総理はそれと見解は違うというふうにおっしゃっているのか。評価できないとおっしゃっている。そっちの方が正しいかもしれません。
 しかし、事実として例えば金丸氏が石井会談ということで会ったんだとか、それから竹下氏はそのことを察知したとおっしゃっている。その両方の証言をあわせながら、ある程度事実と言える、ステートメントですか、という言葉でも結構ですけれども、そういうものが総理として、認識していてもわからなかったら、私は総理はまだ何もわかっていないと言わざるを得ないようになると思うんですけれども、そういうところはきちんとしなくちゃいけないんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
#254
○国務大臣(宮澤喜一君) 衆参両院を通じまして、こういう場でもう長いことこのお話は毎日毎日伺っておりますので、人並みには実は知っておるつもりでございますが、ただ、行政の長として固有名詞を出して申し上げることを慎んでおるということでございます。
#255
○木庭健太郎君 ところで、先ほど政治倫理の話をちょっと出しましたけれども、総理自身がお考えになる政治家の政治的、道義的責任とは何かということを教えていただきたいんですけれども。
#256
○国務大臣(宮澤喜一君) それはまず第一に、選挙民に対して常にその負託にこたえるべくまじめに努力をするということが第一と思います。第二は、公私をはっきり弁別するということであると思います。いろいろございますけれども、一つ二つ最初に頭に浮かびますことはそういうことでございます。
#257
○木庭健太郎君 そうすると、これまでの総理の答弁を聞いていて、刑事責任と政治家の道義的、それから政治的責任が何か同一のように聞こえることがございました。しかし、刑事責任を問われなければ政治的、道義的責任が問われないということじゃなくて、同一じゃないとお考えなんですね、総理としては。
#258
○国務大臣(宮澤喜一君) それはむろんそうでございます。刑事責任さえ逃れればそれで全部だというようなことは決して思っておりません。
 ただ、あえて申し上げさせていただきますと、倫理というものは私は根本的には個人的なものだと思っておりますので、それに対して刑事責任というようなものは個人的なものでございませんので、個人的なものをあるいは自分の心の問題を議論するときにはそういうものとして議論しなきゃならないという気持ちがありますことを御了解いただきたいと思います。
#259
○木庭健太郎君 そうすると、やはり総理としては、個人の問題であるけれども、例えば政治家そのものがどうこうしたということじゃなくて、秘書あるいは親族とかそういった人たちが重大な問題を生じた、そんなときでもやはり政治家がおのずから政治的、道義的責任をとるということがあり得るというふうにお考えですか。
#260
○国務大臣(宮澤喜一君) みずから判断してそういう判断に立ち至ることはあり得ると思います。
#261
○木庭健太郎君 もう時間があとちょっとですので、まず一点最後の方で聞きたいのは、野党が竹下さんの辞職勧告決議案を出しました。やはり私たちはまだぬぐい切れないということで勧告を出しました。この重みについて総理はどう受けとめていらっしゃるか、お聞きしたいんです。
#262
○国務大臣(宮澤喜一君) これにつきましての私の所見は、本日まで繰り返し申し上げてまいりましたから繰り返しません。しかし、野党がそういう結論に至られたということは重く考えなければならないと思います。
#263
○木庭健太郎君 最後に私どもの意見を言い、なおかつ私が一番言いたいのは、冒頭申し上げましたとおり、今国会は佐川疑惑の第一歩であるという認識を持っているということでございます。
 やはり私は、証人の証言を聞きながら、国会論議を通じながら感じた問題は、今までは竹下総理というのが結果責任ではないか、暴力団関与の問題で。そういう疑いがあったのが、いろんな問題、例えば青木秘書のかかわりの問題を金丸証人が指摘された、皇民党対策の二度の会合を竹下事務所が費用を負担した、そんな問題をどう考えていくかですけれども、私は竹下総理が暴力団とのかかわりについては以前から知っていたという疑惑もやはりぬぐい去れないと思っております。それから、まだまだいろんな問題がありますけれども、この問題、冒頭申しましたように、これから真相究明を徹底してやる必要があると私は思っております。
 まず大事なのは、検察当局、これまでのところというお話もありましたし、まだ捜査を続けるお考えはあるようですから、それを徹底していただきたい。それから国会としても、今後証人喚問などを通じてまだまだ疑惑の解明をやっていかなくちゃいけない。それと、自民党を含め政党としても責任を持ってこの問題に取り組まなくちゃいけない。この三つを重ね合わせていくことが大事だと思います。総理としてもその決意があるかどうかを最後にお伺いして、私の質問を終わります。
#264
○国務大臣(宮澤喜一君) 自民党といたしましても、先ほど申しましたとおり、真相を究明するために努力を続けてまいります。
 次に、国会の御審議に対して行政府としては誠心誠意を持って協力を申し上げることはもちろんであります。
#265
○木庭健太郎君 終わります。
#266
○委員長(遠藤要君) 以上で木庭君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#267
○委員長(遠藤要君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#268
○委員長(遠藤要君) 速記を起こしてください。
 次に、寺崎昭久君の質疑を行います。寺崎君。
#269
○寺崎昭久君 先般の政治改革協議会の中で民社党は、企業、団体の政治献金に関して、政治活動に対する公的助成制度の確立等を前提に、三年程度の経過措置を設けた上で禁止するよう求めてまいりました。しかし、この件は各党の協議が整わず、結局、解決は先送りということになったわけであります。こうした経過や佐川問題を踏まえまして、私は当面の政治献金のあり方を中心に議論を進めさせていただきたいと思います。
 そこで、まず総理にお伺いいたしますが、宮澤総理はかねがね企業献金を認める立場に立たれておられますけれども、その理由を御説明いただけますか。
#270
○国務大臣(宮澤喜一君) 企業も一つの社会的存在でございますから、そういうものとして政治に寄附をするということは禁止をしなければならないとは思わない。また、この点につきましては最高裁の判決もかってあったことでございます。ただし、企業は企業でございますから、社会的存在とはいいましてもその寄附にはおのずからやはり節度がなければならないだろう、こういう考えを持っております。
#271
○寺崎昭久君 今、総理がおっしゃられた話に完全に同意しているわけではありませんけれども、時間の都合がありますので、それに関連して次に法務大臣にお伺いいたします。
 今、総理は、多分昭和四十五年の八幡製鉄所政治献金事件に関する最高裁判決を意識されて御発言のことと思いますけれども、ところでこの判決の中に、法人が企業献金を行う場合、法人として留意すべき手続というものが言及されておりましょうか。国務大臣、政治家としてこの点について御所見を例えればありがたいのですが。
#272
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 政治献金の企業の献金のことでございますね。
 私は、多額の企業献金が行われると、確かに物理的には会社の財産が社外に流出しますから、株主から見ると非常に不利益感を持つわけでございますが、そのような観点から考えてみますと、会社内においても慎重な手続で取り扱うことが必要であろう、こう思います。商法にはいろんな規定がございまして、商法上の問題に最後はなるわけでございますけれども、取締役会の議決を要するというようなことにするというのがいいのかどうかという問題も、これは商法の規定から判断しなきゃなりませんので、専門的に慎重に検討する必要があると私は考えております。
 なお、会社法というのは会社や株主の保護が重点だろうと思いますが、政治献金は政治資金、政治の問題ですから、この兼ね合いの問題もあろうと思いますので、やはり両面から考えても専門的な法律的な検討が必要である、このように考えます。
#273
○寺崎昭久君 現在の法体系についてお伺いしたいと思いますが、まず自治省に伺います。
 一般に企業が政治資金規正法の量的制限を超えて政治家あるいは政治団体に政治献金を行った場合、どのような罰則が企業に科せられるのか。
 また、よく質的制限ということを言われますが、どういう規制を言うのか御説明いただきたいと思います。
#274
○政府委員(吉田弘正君) 最初のお尋ねは、寄附の量的制限違反に関する罰則の関係でございますが、現行政治資金規正法上、寄附の量的制限といたしましては総枠制限と個別制限が設けられております。これに違反をいたしまして寄附をした者は二十万円以下の罰金に処せられるということになっております。また、総枠制限に違反することを知りながらこの寄附を受けた者、それから個別制限に違反して寄附を受けた者につきましても、同様、二十万円以下の罰金に処せられるということになっております。
 それから、次が質的制限のお話でございますが、これにつきまして現行法制上寄附の質的制限には幾つかございます。補助金等を受けている会社等の寄附の禁止、赤字会社の寄附の禁止、それから外国人から寄附を受領することの禁止、匿名等の寄附の禁止がございます。
 この罰則の関係でございますが、補助金等を受けている会社等の寄附の禁止に違反して寄附をした者と、それからそのことを知りながらこれを受けた者につきましては三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金となっております。
 それから、匿名等の寄附の禁止に違反して寄附をした者及びこれに違反して寄附を受けた者につきましても、その罰則は同様に三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金ということでございます。
 次に、外国人からの寄附の禁止に違反して寄附を受けた者につきましての罰則でございますが、これも同様に三年以下の禁錮または二十万円以下の罰金でございます。
 赤字会社の寄附の禁止に違反をして寄附をした者、それからそのことを知りながらこれを受けた者についての罰則は二十万円以下の罰金ということになっております。
#275
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
 もう一つ伺わせてください。
 政治や政治資金に関する法律の中で、企業が政治献金を行うに当たって取締役会の決議や公開を企業に義務づけた法律ないしは条文はありますか。
#276
○政府委員(清水湛君) お答えいたします。
 政治献金自体を明示して会社法上公表すべきものとし、あるいはチェックをすべきものとする規定はございません。一般の監査役による業務監査、会計監査の対象として違法な政治献金はチェックされる、また場合によっては監査役からの差しとめ請求の対象になる、こういうことに現行法はなっているわけでございます。
#277
○寺崎昭久君 今は企業関係法の規定の御説明だったと思いますが、例えば政治資金規正法の中にも今申しましたような手続を決めた条文はないと理解してよろしいでしょうか。自治省にお伺いします。
#278
○政府委員(吉田弘正君) 政治資金規正法上、寄附の規制につきましては先ほど申しましたような寄附の量的制限、質的制限の規定はございますが、出し手側の企業等の手続について特にこれを定めている規定はございません。
#279
○寺崎昭久君 今、両省のお話によりますと、量的規制を守っていれば、あとはどういうふうにどこへ出そうとそれは企業の裁量に任されるということだったと思います。
 ところで、政治献金を行った企業が量的制限を守っているのかどうか、どのようにチェックされているのか、お尋ねしたいと思います。
 まず自治省にお伺いしますが、企業サイドからの企業献金についてどこまで把握されておりますか、伺います。
#280
○政府委員(吉田弘正君) 政治資金規正法上、政治団体あるいは政治家個人の保有金につきまして、その収支報告を自治大臣あるいは都道府県の選挙管理委員会に提出をしていただいているわけでございます。これについて私ども、自治大臣なりあるいは都道府県選管の持っている権限はいわば形式審査権だけでございまして、実質の中身に立ち入っての審査をするという建前にはなっておりませんので、そういう意味が一つ。
 それから、今お尋ねが企業献金が総額幾らかというようなことだとすれば……
#281
○寺崎昭久君 企業サイドから調べておりますかと。
#282
○政府委員(吉田弘正君) 政治資金規正法上は、出されました収支報告を国民の前に明らかにするというのが法律の目的でございますので、出されたものをそのまま公表いたしているということでございます。
#283
○寺崎昭久君 自治省では出した方の調査をしていないということだと思います。
 法務省に伺いますが、企業関係法の中で企業献金に関して量的制限が守られているかどうかを調べたり検証するための規定は設けられておりますか。
#284
○政府委員(清水湛君) 先ほどお答えいたしましたとおり、政治資金規正法に違反する政治献金をいたしますと、これは法令違反行為ということになるわけでございます。取締役が法令違反行為をして会社に損害を与えるということになりますと、商法二百六十六条一項五号によりまして会社に損害賠償をしなければならない、こういうようなことになるわけでございます。
 これは、そういうことが行われた結果どうなるかという場合でございますけれでも、そういうような違法行為が行われるというようなおそれがある場合には、先ほど申しましたように、監査役の方からその行為の差しとめを請求するとか、あるいは監査役は常時会社の業務あるいは会計についての監査をするという権限を持っておりますので、そういうような違法行為を事前に発見してこれをチェックする、こういうことが会社法上は期待されておるということになるわけでございます。
#285
○寺崎昭久君 企業献金に関して企業に対して定期的に調査をされているという事実はありますか、法務省にお伺いします。
#286
○政府委員(清水湛君) 企業献金ということで、定期的ということではございませんけれでも、政治資金規正法の範囲内の寄附ということであれば代表取締役の判断でこれを行うことができると、例外的な現象はあるかもしれませんけれでも一般的にはそう考えられる。そういう代表取締役の行為につきまして取締役会がこれを監督するということになっております。また、その監督権限を適正に行使することができるようにするために、代表取締役は三カ月ごとにそういう状況を取締役会に報告するということが二百六十条でしたかの三項で義務づけられていると思います。
 そういう業務状況の三月に一回の報告というようなものを通じまして、取締役会としても監査役のほかにそういうような代表取締役の行動をチェックするということが可能である、こういうふうに考えるわけでございます。
#287
○寺崎昭久君 法律上の取締役の権限という面からいろいろ御説明されておりますが、簡単に言うと余りやっておりませんというのが実態なんではなかろうかと思います。たまたまわかるのは何か不祥事が起きたとき、あるいは今回のような佐川問題が起きたときにわかるというのが実態ではないかと思うわけであります。
 つまり、政治資金規正法に基づいて収支報告を求めてはいるものの、それを反対側、出した側からの数字とチェックする、そういう仕組みになっていないというのが実態なんだろうと思います。そういう観点からすれば、法の不備というか、法体系に瑕疵があるということは言えるのではないかと思いますが、法務大臣の御所見を伺いたいと思います。
#288
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 先ほども申しましたように、商法と政治関係の法との関係のバランスの問題だと私は思いますので、ここに不備があるかどうかあるかもしれないし、ないかもしれません。これは専門家で十分検討してみる必要があるということが非常にはっきりしたということであります。
#289
○寺崎昭久君 国税庁に伺いますが、最近の法人の使途不明金の把握状況及びこの中に政治献金が含まれているか否かを御説明願いたいと思います。
#290
○政府委員(瀧川哲男君) 不覚にも風邪を引きまして、大変お聞き苦しい声になりまして申しわけありません。
 私ども国税局の調査課というところが所管しているいわゆる大法人といいますか、これは原則として資本金一億円以上の法人でございます。これにつきまして平成二事務年度に実地調査を行いました。これが合計四千九百八十三件ございます。これについて把握した使途不明金を申し上げます。
 使途不明金の把握された法人数が五百八十五、使途不明金の総額は四百七十六億円でございますが、このうち百六億円につきまして使途が判明いたしました。そのうちにお尋ねの政治献金と思われるもの、これには調査を行った結果明らかに政治献金であるということが確認できたものと、そのほか政治献金であろうと十分確認されるというもの、こういったものを含みますけれでも、合計十三億円でございます。
#291
○寺崎昭久君 資本金一億円以上の企業がおよそ三万二千社あり、そのうちの大体五千社を調べたところ、使途不明金の中に十三億円の政治関係のお金が含まれているということが明らかにされているわけであります。
 ところで、国税庁は、こういう事態がわかったときに、つまり税務調査等を行って量的制限を超えているということがわかったときにどういうような措置をとられるんでしょうか。
#292
○政府委員(瀧川哲男君) 私どもいわゆる任意調査というのが中心になっているわけですから、実は使途不明金の使途の解明というのは大変難しいことも事実でございます。ただ、私どもはやはり真の所得者というものに課税するというのが税務行政の基本だと思っているので、使途不明金につきましてもその使途の解明というものに一生懸命できる限りの手段を尽くしておるわけでございます。
 そこで、先ほど申し上げました十三億円のうち明らかに政治献金であることが確認できたもの、これにつきましてはいわゆる一般の寄附金であるというふうに取り扱いまして、したがって支出先にも課税するというようにしているわけでございます。しかしながら、支出先に課税できるほど十分に確認ができなかったというものについてはやむを得ず使途不明金として支出する法人に課税をするということにいたしております。
#293
○寺崎昭久君 今のお話では、税法上の措置をとっているにすぎないというように聞こえたわけでありますが、念のために、国税庁がその違反を告発したり、あるいは検察庁、自治省等に通報したことはありますか。
#294
○政府委員(瀧川哲男君) 税務調査によって知り得た事実等をいわば第三者に通報するということは、私どもから見るといわゆる守秘義務に触れるということもあるわけでございますけれでも、それも大事ですが、それ以上に、守秘義務を守るということによって培われてきました納税義務者との間の信頼関係というものが崩れてしまうというおそれもあるわけでございます。また、私どもの質問検査権の行使につきましては、これは「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。」という規定も一方ではあるわけでございます。
 こういったことをいろいろ考慮してみますと、私どもは税務調査によって知り得た事実等を関係御当局であっても通報することにつきましては、おのずから消極的にならざるを得ないということについて十分御理解を賜りたいと思います。
#295
○寺崎昭久君 総理に伺います。
 総理は、政治と金に係る問題、とりわけ法体系上の不備だとか執行上の問題点についてはよく御存じだと思います。
 先日、四日の当委員会における民社党の吉田委員の質問に対しましても、前途有為な青年政治家に毎月一千万円のお金をつくるために奔走させてはいけない、こうした状況を続けられないという実感がある、政治改革をやらなければいけないというようなことをおっしゃいましたが、私も趣旨には賛同するものであります。
 そこで、一つ提案をさせていただきたいと思うんです。
 この後、抜本政治改革に入るわけでありますが、その中でぜひ御検討いただきたいのは、一つは公的助成制度の実現の問題、もう一つは商法二百六十条の取締役会の権限に関する事項の中に政治献金の項目を設けていただきたい。これを設けますと、取締役会の決議を経ないで政治献金をした場合には、あるいは使途不明金に紛れ込ませて政治献金をした場合には特別背任罪が適用されるようになると私は思います。それが今回の佐川問題あるいはリクルート問題の再発防止の一つになるんではないかと思いますし、政治資金の透明性確保の大きな第一歩にもつながるんではないか、そのように考えておりますので、商法改正の件についてもぜひあわせて御検討を賜ればありがたいと思います。
#296
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、前段の問題でございますが、私どもの党内で抜本改革を検討しております政治改革本部でも、いろいろ問題を考えていきますと、公的助成というようなことに思い至らざるを得ないという意見が多いようでございます。したがいまして、この点は寺崎委員の言われますようなことをやはり考えてみるべきではないかと私も存じます。
 第二段目の問題は、先ほど御指摘になりました昭和四十五年の八幡製鉄事件の判決の要旨の中にも、とはいってもおのずから限度がある、節度が必要だということを述べられておるわけでございますが、それをどう具体化していくかということでございます。例えば法人からの寄附は個人が受けてはいけないとか、党であればともかくといったような、何かそこにいろんな制約の仕方もあるのかもしれませんし、また受け皿をどうするかというようなこともあるかもしれません。その中に一つ、今、商法の問題があるのかもしれませんけれども、私は実はこの商法の特別背任といったあたりのことを不案内でございますので、御指摘のことはよく事務当局に検討してもらうということを申し上げたいと思います。
#297
○寺崎昭久君 ありがとうございました。終わります。
#298
○委員長(遠藤要君) 以上で寺崎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#299
○委員長(遠藤要君) 次に、聴濤弘君の質問を行います。聴濤君。
#300
○聴濤弘君 まず、佐川問題について伺います。
 これまでの佐川問題の証人喚問で明らかになった一つの重大な問題は、竹下氏の証言は偽証の疑いが極めて強いという点であります。つい最近明らかになった一つだけの例を挙げさせていただきたいと思います。
 それは、竹下氏は八七年十月二十九日、東京の料亭で渡邉元東京佐川急便社長にお礼を言った問題について、証言で、当時だれに会ってもお礼を述べる心境だった、渡邉氏はその一人にすぎず、皇民党の褒め殺し宣伝中止とは無関係だとされました。ところが、二日前の八日に我々参議院の手で行われた渡邉氏への出張尋問で、我が党の高崎裕子議員が渡邉氏に礼を受けた理由をただしたのに対して、渡邉氏は、皇民党に関係があるので答弁はできない、このように述べ、皇民党の宣伝中止に関連したものであることを認めました。明らかに竹下証言は偽証ではないか、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。
 ところで、私、総理にお聞きしたいんですが、総理は竹下氏の第一回の衆議院での証人喚問が行われた際、記者団の質問に答えて、竹下氏は極めて誠実にはっきり答えられたと思う、こういう感想を述べられましたが、国民にとってはわからない、偽証という疑いさえあるこのような答えを、極めて誠実で極めではっきりした答えだというふうにお考えなんでしょうか。
#301
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段でお述べになられましたことは私は少し論理の飛躍があるのではないかと思いますけれども、それはしかし国会の御喚問、御尋問でございますので申し上げません。
 竹下証人が国会で証言をされたことにつきましては、私はテレビ等で少しずつ拝見をしておりましたが、まじめに証言をされたというふうに今でも思っております。
#302
○聴濤弘君 それではとても私は納得できませんし、国民も納得しないと思います。
 一番の問題となった八七年十月五日の東京プリンスの会合についてですが、この件について竹下氏は、結局、会合の日にち、場所、参加者、そして費用は竹下事務所が持ったという事実も否定できませんでした。竹下氏はこうして事件の外堀といいますか、外的な事実、これは認めるけれども、その会合の内容についてはこれは否定をする、こういう手法というのをとっているというふうに言わざるを得ません。こうしたことをすればするほど私は、この会合で石井会長が示した褒め殺し停止条件、これを金丸氏、竹下氏に伝えたという渡邉氏の検事調書の正しさ、正確さというものがますます明らかになり、竹下氏の逆に偽証というものが、疑いがますます強くなる、こういう関係にあるというふうに私は思います。
 我が党は、竹下氏を偽証告発すべきであるということを衆議院の予算委員会に提起しておりますが、総理は竹下氏をこの間ずっとかばってこられましたけれども、もしこの偽証が証明されれば総理は責任をおとりになりますか。
#303
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一に、私は竹下氏をかばってきたというようなことはございません。
 第二の問題は、これは国会の問題でございますからお答えを差し控えます。
#304
○聴濤弘君 かばってきたことはないと言われるのは、もうまことに私は心外であります、そのような答えをお聞きするのは。総理はこの間、金丸氏が五億円を受け取ったということを認めて以来、この間本当に結局何にもされなかった、そして金丸氏、竹下氏をかばうだけだった、どうしてもそう言わざるを得ないと思います。
 竹下証言の偽証の疑いが非常に強いという中で、国会が閉会中であっても、さらに次の通常国会でも竹下氏、金丸氏、生原氏、小沢一郎氏らを証人喚問し、徹底解明を続けることが国会と政府が国民に果たすべき当然の義務だ、このように私は考えます。このことについては異議がないと思いますが、総理、いかがでしょうか。
#305
○国務大臣(宮澤喜一君) 国会の運営につきましては、私から申し上げるべきことでないと思います。
#306
○聴濤弘君 きょうは総括質問の締めくくり総括ですので、最後に私は不況の問題についてお尋ねさせていただきます。
 私も現地調査を行いまして、今回の不況が極めて深刻である、特に中小業者は戦後最大の不況だ、少なくとも円高不況のとき以上のものがある、こういうふうに言っております。大蔵省にお尋ねしたいんですが、九二年度補正予算は景気対策が中心ですけれども、補正予算の中の景気対策予算は幾らで、そのうち中小企業対策の予算はどのくらいかお答えいただきたいと思います。
#307
○政府委員(斎藤次郎君) 今回の補正予算の内訳というのは、過日発表いたしました十兆七千億というものを具体化するものでございますが、公共事業の追加としましては一兆九千六百二十二億、これは先ほども御答弁申し上げましたけれども、そのほかに中小企業等の特別対策費として八百八十五億円というのを、これは出資のお金でございますが、そのほか輸入促進関連として産投会計繰り入れで二百七億というようなものでございまして、国費の総額としましては二兆七百十四億円でございます。
#308
○聴濤弘君 私もちょっと計算をしてみましたんですが、中小企業への対策費というのは約四%程度です。本当に困っているところを支援するというのが不況対策だと私は思いますし、特に日本経済の重要な役割を果たしているのは中小企業で促す。この中小企業が活性化してこそ日本の経済も活性化する、そういう関係にあるというふうに私は思います。
 中小企業対策が四%程度だと、これをもっと厚くする、中小企業対策を厚くするということについては御異存がないといいますけれでも、大蔵大臣あるいは首相、お答えいただきたいと思います。
#309
○国務大臣(羽田孜君) 今、局長の方からもお答え申し上げましたけれでも、中小企業に対しましての対策というものを厚くしたいということで私どもはやれる限りの中で対応してきたということ、この間に皆様からもいろんな御要請というものをいただいたわけでありますけれども、我々としてはやり得る限りのことをやったというふうに御理解をいただきたいと思っております。
#310
○聴濤弘君 いや、とてもそういうふうには思えないんです。
 政府の緊急特別融資というのは二千億円です、今度の補正予算で。ところが、大阪府一つでもって二千億円、これを出すという決定をこの十二月の八日にしております。それからさらに東京都ですけれども、東京都では二千五百八十億円、これを出すという。一県あるいは一府、これがこういう額を出している。ところが国が二千億円と。これはいかにも低い。これを大幅に引き上げることがどうしても必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#311
○国務大臣(羽田孜君) 今回の対策におきましては、中小企業者に対する一層の金融の円滑化を図るとともに、中小企業の構造改革を促進するために政府関係中小企業金融機関、これに対しまして私どもの方としても総額一兆二千億円程度の貸付枠の追加等を実施するとともに、中小企業の高度化等に資するためにいわゆる設備投資減税、こういったものも講じておるということでございます。
#312
○聴濤弘君 私の言っているのは利子の低い緊急対策、これが二千億円だということを言っているので、これでは本当に低いということを申し上げ、これを引き上げるということをぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それからもう一つ、中小企業の対策を厚くするということが必要であるということを認められるならば、最低限のこととしてもう一つ、中小企業への官公需の発注率、これを大幅に引き上げるべきだというふうに思います。
 地方公共団体の中小企業向け発注高がどのぐらいになっているか、お答えいただきたいと思います。
#313
○政府委員(関收君) お答え申し上げます。
 平成三年度におきます地方公共団体、これは実は私ども都道府県及び人口十万人以上の都市を中心に調査をいたしておりますが、その調査によりますと、中小企業向けの発注額は平成三年度十二兆八千八百六十六億円、こう把握しておるところでございます。
#314
○委員長(遠藤要君) 時間です。
#315
○聴濤弘君 わかりました。
 さらに質問を続けたいんですけれども、時間が来ました。それで、中小企業への官公需の発注率を高くする、そうすればそれだけで新たな財政措置をとらなくても中小企業への大きな対策ができる、これが統計で明らかになっております。詳しいことを今申し上げる時間がありませんが、それは明確になっております。
 通産大臣にぜひお聞きしたいんですけれども、そのような指導を都道府県にきちっとやられるかどうか、その決意をお聞かせいただきたいと思います。
#316
○国務大臣(渡部恒三君) 地方公共団体に対しては、いわゆる官公需確保法第七条において、国の施策に準じて中小企業者の受注機会の確保のための施策を講ずるよう定めるとともに、国などの契約の方針においても、国の方針を参考にして中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるように要請しております。特に地方公共団体の官公需における中小企業向け比率の実績は、平成三年度においては六五・二%となっております。
 今後とも地方自治の原則を尊重しながら、地方公共団体における中小企業者の官公需受注機会の一層の増大のために最大限の努力をしてまいるつもりであります。
#317
○聴濤弘君 質問を終わります。
#318
○委員長(遠藤要君) 以上で聴濤君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#319
○委員長(遠藤要君) 次に、磯村修君の質疑を行います。磯村君。
#320
○磯村修君 きのうも私の同僚議員が総理にお伺いしたんですけれども、いわゆる暴力団が市民社会の中にいろんな形でもってはびこってきている。そういうことによって善良な市民生活が脅かされる。こういうことから、彼らは一般の市民生活だけではなくて政治の中にも介入しようとし、あるいは介入してきている。非常にこれは憂うべき問題ではあります。こういう状況を許していけば、いわゆる善良な市民社会の存立というものは危ぶまれる。
 こういう意味合いにおきまして、まず総理にお伺いしたいんですけれども、こうしたアウトローに対する総理の対決姿勢と申しましょうか、そのお考えをぜひお聞かせください。
#321
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘のように、暴力団が今日でもなお国民の日常生活や経済取引に介入をいたしまして、我が国の国民生活の安全や社会経済システムの健全性に重大な脅威を及ぼしていることは看過し得ないところであります。先般、法律が制定され、その施行の効果も徐々にあらわれておりますけれども、このようなことは恥ずべきことでありまして、何としてもこれは排除しなければなりません。
 昨日も御質問がございましてお答えいたしましたが、イギリスの一八〇〇年の後半におけるいわゆる政治腐敗防止法、あれで政治の腐敗がなくなりましたと同時に、またいわゆるアウトローというものがイギリスの社会からなくなってきたということは極めて注目すべきことでございます。やはり我々はそういう例にならっていかなければならないというふうに思っております。
#322
○磯村修君 当委員会でこれまでずっと佐川問題あるいは政治と暴力の問題、政治と金の問題が論議されてきたわけなんですけれども、私の印象から申し上げますと、大変この問題の疑惑というものは深まるばかりで決して晴れた状況にはない、こういうのが私のこれまでの審議の中に加わってきた今日の印象でございます。
 竹下元総理の証言等を聞いておりますと、竹下政権が誕生するに当たって右翼あるいは暴力団の介入があった、当時は知らなかった、しかしその後一年くらいたってからそういう状況にあったということを察知した、こういうふうなことで、その存在が、右翼あるいは暴力団の存在というものがあったということをお認めになる発言と私は受け取っております。
 そうした中で、なぜ当時総理であったお方が敢然としてそうした言われているところの褒め殺しというものに対する対決をしなかったか、これがまず私は非常に疑問に思うわけでございます。今、宮澤総理が述べられましたように、そういう決意というものは、政治家あるいは総理のお立場にある方というものは大変強い悪に対する決意というものを持っているはずなんですね。しかし、それに対決しなかったという、大変私は疑問を持つわけなんですね。
 それから竹下元総理が、自分で調査を命じ明らかにすべきということに思いが至らなかったというのでありますけれども、なぜ責任ある立場にある方がそうした問題を察知したときに直ちに事の真相というものを調べでそれなりの対処ができ得なかったのか、私はこういう疑問も持つわけなんですね。
 そういう意味合いにおいて、その当時の元総理の責任というものは大変重大なものがあると思うんです。それをなし得なかったということは大変重大な責任があると思うんですね。そういう意味合いにおいても、今日こういう状況の中でも、政治家としてまた当時の元総理としての責任というものを国民の前に示すのが本筋ではなかろうか、こういうふうに私は思うわけでございます。
 そういう意味合いにおいても、宮澤総理はこうした問題に関連した答弁の中で、議員の責任というものは選挙民の負託を受け重い責任を持っている、もしその負託にこたえられないようになったときにみずから判断するべき問題であるというふうにお答えになっております。しかし私は、今申
し上げましたように、元総理が当時なぜその責任を果たし得なかったかという問題、それを今日国民の前に明らかにし、みずからの責任を示すべきである、こういう考えから、やはりもう竹下元総理に対する国民世論というものは信を失っているんだ、こういう立場に立ってその姿勢を示すべきであるというふうに私は感ずるわけなのであります。
 そういう意味合いにおいて、もしどこまでも宮澤総理は、それはみずからの判断によって決めるべきであるとおっしゃるのであれば、私はやはり宮澤総理自体が自民党の最大派閥である竹下派という大きな支えをもって今日の内閣が誕生したということを考えれば、またその責任の一端もあるというふうにもつながってくると思うんですね。そういう意味合いにおいても、私は、宮澤総理自体もみずからもその考え、政治家としてみずからに厳しい姿勢というものを国民の前に示す必要があるんではなかろうかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#323
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御質問になられましたその部分というのは、院における証人に対する御質問、証人のその答えをお読みになったわけでございますけれども、これは証人は証人として御質問にそのようにお答えになっておられますので、これについて私がどうも批評がましいことを申すことはいかがであろうか。院としては、証人をお呼びになって、その御質問をなさって証人が答えておられますので、それ以上のことを私が何か言うべきでないのだろうと、私はそういうふうに思っておりますが。
#324
○磯村修君 私、今お伺いしたかったことは、当時の竹下元総理が、その当時察知した時点でなぜ責任がとり得なかったか、そこなんです。私は、それをできなかったのかという指導者としての姿勢を非常に大きく疑問に思うんですね。
 そういうことを今日考えてこういう事態を考えてまいりますと、宮澤総理自体も竹下派という大きな力によって支えられて今日の内閣をつくったわけなんです。ですから、そういう意味合いにおいてはやはり宮澤総理自体もその責任の一端を感じて、みずからに厳しく、みずからの姿勢というものを国民に示す必要があるのではなかろうか、こういうふうに私は思うんですけれども、いかがですか。
#325
○国務大臣(宮澤喜一君) もう一度申し上げることですけれども、証人に対するそのような御質問と証人の答えは院において行われておるものでございますので、それについて私がとやかくつけ加えるような立場にはないと思うんでございますが、なおしかし、この問題は私どもの党内、党員、あるいは党でも有力な人々がいろいろな意味で御調査を受け、あるいは証人として呼ばれるというようなことでございますから、私どもの党に確かに関係のあることであって、党といたしましても、このことにつきましては党としての解明をやがていたさなければならないと思っています。
#326
○磯村修君 私ども時間がありませんが、もう一点お伺いしておきたいんですけれども、大変巨額のお金が左に行ったり右に行ったり、とにかく動く。一般の市民感覚からいったならば非常に考えられないことなんですね。何億というお金を何時間の間にぱんと持ってきて、それがぱっとどこかへ消えていく。私どもの市民感覚では考えられない事態が今日政治の世界に日常的に行われてきたということ、私は大変な問題だと思うんです。
 なぜそういうふうな巨額な金がもう日常茶飯事にこういうふうに動くのか、そういうことを考えたときに、やはりそういういわば法規制に違反する行為、法の甘さというものもあったんでしょう。そういう意味においても、これから本当に厳然として厳しいものに制度化していかなきゃならないという観点に立って、そういう規範に反した場合には政治家の政治生命をその時点で失うような厳しい法規というものをつくって制度というものを確立してやっていかなければ、私は日本の政治というものはよくならないと思うんです。
 そういう意味合いにおいて、宮澤総理にお伺いしたいんですが、政治資金規正法一つとってみても、今国会にも我々の案というものは示したんです。提案したんですけれども、もういかなるものに、規正法に反しても、公民権の停止とかいわゆる罰金の十倍とかというふうな、あるいは禁錮刑とかというような、そういういわば大変厳しい刑罰をもって違反者に臨む、それしかない、こういうふうに私ども考えます。
 そういう意味合いにおいて、これから政府・与党が抜本策をつくっていく中でもって、もう違反したならば政治家の政治生命は失われるんだという、こういう制度をぜひっくり上げてほしい。いかがですか。
#327
○国務大臣(宮澤喜一君) それは確かに抜本改革の大切な課題として、今後各党の協議会で御協議をお願いいたしたいところと私も思います。
#328
○磯村修君 時間が来てしまいましたので、私ここで終わります。
#329
○委員長(遠藤要君) 以上で磯村君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#330
○委員長(遠藤要君) 次に、西川潔君の質疑を行います。西川君。
#331
○西川潔君 どうぞよろしくお願いいたします。
 前回は総理に老人福祉の御質問をさせていただきました。私も二期目に入りまして、身近な福祉になお一層この六年まじめに頑張っていきたいと思いますが、宮澤総理が今日総理大臣になられるまでをずっと私なりに研究させていただいたんですが、リクルートのときに総理が、初心を忘れておりましたと。あのインタビューを聞いたときに、あ、すばらしい人だなというふうに思いました。現在は少し疑いを持っています。もう少ししっかりしてもらいたいなというのが私の正直なところです。
 まず冒頭に、通告はしていないんですがお伺いしたいんですが、最近、政治を取り巻く状況を見ておりますと、本当に一市民としてお伺いしたいんですが、総理大臣になられてお幸せですか。
#332
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の中に政治に対する異常な不信がございますから、どうしてこれにこたえていくかということに日夜心痛をいたしております。
#333
○西川潔君 ということは、総理大臣になられて、一政治家として最高峰をきわめられたわけですが、お幸せではないわけですか。
#334
○国務大臣(宮澤喜一君) 恐らくこの仕事は、どなたがおやりになっても幸せというような仕事ではないだろうと思います。
#335
○西川潔君 でも、いろんなものを今日まで見せていただいたんですが、書き物も見せていただいたんですけれども、総理大臣になりたかった、そしてなられたときのあの笑顔、僕はなられたときには本当にお幸せな方だなというふうに思ったんですけれども、僕の方が間違っているんでしょうか。
#336
○国務大臣(宮澤喜一君) やはり、どなたがやられましても、どういう時代にあっても、薄氷を踏むような思いでこの仕事をなさるんではないかと思います。
#337
○西川潔君 かしこまりました。一人でも多くの国民が喜ばれるような政治のリーダーシップをひとつおとりいただきたいと思います。
 百八十度変わりますが、僕は、身近な福祉で、きょうはエイズについてまず厚生大臣にお伺いしたいと思います。
 日本はもちろんですが、もう世界じゅうで今本当に最大の話題であります。患者が、そして感染者が急増しているわけですが、普通の生活をしている限り、まあむやみにうつるものではない。ひところに比べて知識として広がってきてはおりますが、やはり感染者はもちろん、国民すべてが何らかの救いの手を求めているのではないかと思いますが、今後どのようにエイズ対策を展開されていくのか、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
#338
○国務大臣(山下徳夫君) 二回に分けて御質問いただくんですけれども、今の御質問からすると一回で終わりでございますか。
#339
○西川潔君 はい、時間が余りないものですから。
#340
○国務大臣(山下徳夫君) それじゃ、あわせてお答えをいたしたいと思います。
 世界で最初にエイズの患者がアメリカに出まして、それが確認されましてからまだ十年しかたっておりません。日本で確認されましたのは、これもアメリカに当時いた日本人でございますが、それからまだ七年しかたっておりません。まさに、燎原の火のごとく世界じゅうにこれは荒れ狂って回っておるという現状でございまして、我が国におきましても、ついこの間、ことしの十月末で統計をとってみましたら、患者が五百八人に対して感染者が二千四百五十六名。感染者というのはまだ患者にはなっていない、感染してから大体八年ぐらいして症状が出てまいりますが、その感染者が大体四倍半から五倍ぐらいと推定して結構だと思います。患者になりますと入院しますから、わかります。今のような数字でございまして、しかも、地域的に大都市周辺じゃなくてまさに全国に広がりつつあるということでございます。
 それからもう一つは、異性間の性交によって感染するのがもう既に八〇%近くになっております。したがって、私どもはこういうことに対しまして、民族の将来を考えながら早急に真剣に対策を講じてまいりまして、最初の患者が出ましてから二年後には対策閣僚会議を設置いたしました。そして、現在まだ治療方法がございませんので、まずこの免疫不全という病気をはねのける人間の特有がなくなっているわけでございますから、どんなものでも受け入れる、肺炎を初めいろんな病気が入ってくる、それらの諸病に対してこれを撃退する、そういう面からの医療ということに対して非常に力を入れておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、集中的にこれからやっていくわけでございますが、何と申しましても今のところ治療方法がございませんから、これに対して正確な知識を持つことが予防の第一義的なものであると理解をいたしております。
 もう一つは、患者の方々に対して非常に誤解がある。何か疎外するという、社会とかあるいは一つの地域によって、そういうことがありますから、不必要な警戒心を持って患者を孤立化させないような、それがまた一つのエイズ対策としての重要な問題であるというふうに理解をいたしております。
 そこで、今申し上げました啓発普及、そういうことに大体今度の補正で八億円ちょうだいいたしまして、いろいろと予算を計上し、既に国際線の日本の飛行機の中のビデオですとかそれから成田の空港とか、そういう面でどんどんやろうとしておりますし、今後、テレビその他でどんどんもっと普及を、宣伝をしていかなきゃならぬと思っております。
 それからもう一つは、アメリカにおきましてはボランティアの活動が非常に活発であります。数も日本とけた違いに多い。したがって、それがGNPに非常に大きく影響しているというせいもありましょうけれども、日本はまだそこまで至っておりません。アメリカは、ボランティアとして民間の資金を集めたのが昨年度二兆円というんです。国の予算が五千五百億ぐらいでしたから、はるかに上回っている。日本は社会的にそこまでまだ、アメリカとはけたが違うくらい少のうございます。しかし、これからは官民一体となってこの問題にひとつ取り組んでいかなければとてもできないと思うのでございます。
 いろいろ申し上げましたが、今国会において、民族の将来を考えるともっとこの問題に対しましてたくさんの御質問をちょうだいするかと思っておりましたけれども、しかし、今国会の締めくくり総括で力強い御質問をいただいて、心からお礼を申し上げます。
#341
○西川潔君 今、大臣の御答弁を聞かせていただきまして、今ここでしっかり取り組まなければ、これはもうお年寄りの問題もしかりですが、大変なことになるなというのが本当に我々の素直な気持ちであります。
 お役所の書き物、PR等見せていただきましても、やはりまだ固いと申しましょうか、そして今大臣がおっしゃいました、いわゆる地域社会でどういうふうにして感染者の方々や患者の皆さん方と我々が共存共栄をしていくかというようなところが一番大切なところではないかと思うんです。いわゆる全国津々浦々の皆さん方にエイズというものを理解していただける、いろいろ地域の中でもやっておられますのでも、国として、そしてまた国から地方の行政に対して、どういうふうな指導を行い、そしてPR、本当に皆さん方に理解していただけるPRというのは今後どういうふうにしていこうと思っていらっしゃるんでしょうか。
#342
○国務大臣(山下徳夫君) 公的なPRにつきましてはさっき御答弁申し上げましたけれども、細部にわたってこういう手はないか、これはどうだという、もう細大漏らさず今検討して、次々に実行に移しております。
 例えば、文部省にもお願いいたしまして、学校でもいろいろと、中学でコンドームを配布するとか、そんなことは不純異性交遊を奨励するようなものじゃないかという一部の御父兄からお怒りもありますが、もうそんなことは言っちゃおれない。もうそれは奨励するんじゃない、とにかくいけないことですよ、しかし、いざというときがもしあった場合にという前提のもとにそこまで入っていって、もう国民総力を挙げて民族の将来を憂えながら守っていこう、こういうことでございます。
#343
○西川潔君 そしてまた、僕たちの友人の桂三枝さんなんかも、皆さんコンドームを持ってテレビで無料奉仕でそれぞれPRに一役買っているわけですけれども、もう時間がございませんので、最後に総理にお伺いしたいと思います。
 このエイズ対策については、国だけではなく、今、厚生大臣もおっしゃいましたように、学校、企業、地域、さまざまなところでの理解が不可欠だと思うんですけれども、私といたしましても単に行政が何をするかということではなく、一人でも多くの人々がこの問題に真っ正面から向き合って、社会全体で支え合っていける愛ある共存共栄、これこそが本当の福祉社会ではないかなと思います。
 最後に、総理大臣にエイズ対策についての所信をお伺いして、終わりたいと思います。
#344
○国務大臣(宮澤喜一君) 本年三月にエイズ対策関係閣僚会議を開きまして、エイズ問題総合対策大綱の改正を行いました。最近の今御指摘のような状況にかんがみまして、これは文字どおり本当に正念場になってまいりました。政府が中心になりまして、地方公共団体はもちろんですが、官民と申しますかもう国を挙げてこれに今対応しなければいけない、こう考えておりまして、先ほど厚生大臣が言われましたことを全面的にバックアップいたしてまいります。
#345
○西川潔君 よろしくお願いします。
 最後に総理大臣、どうぞひとつ日本に生まれてよかったなというような国をおつくりいただきますようによろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#346
○委員長(遠藤要君) 以上で西川潔君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#347
○委員長(遠藤要君) 次に、武田邦太郎君の質疑を行います。武田君。
#348
○武田邦太郎君 補正予算は間もなく成立すると思いますが、この補正予算の実施に当たりまして、少しでも早く今困っている生活の困窮者、あるいは倒産のラインを浮沈している中小企業者、零細下請企業、あるいはもう倒産してしまった人たちの再起、それからもう公共事業がほとんどやれなくなった東北、北海道の人たちのために出稼ぎの地帯に豊かな就業機会が早くできますように。
 それから、非常に困難かもしれませんけれども、いわゆる過労死のために、過労死として勤め先から認められないで路頭に迷っている人たち、年齢からいって幼子を抱えている人が多いんですね。勤務先では過労死は認めたくないというのは当たり前ですから、それだけに非常に複雑な問題を醸しておるわけでありますけれども、その数はもう当然政治問題視する価値のあるだけ数多くなっているではないかと思います。これはなかなか難しい問題ですから、今すぐにどうこうということは困難かもしれませんけれども、あるいは町内会でありますとか家庭裁判所でありますとか、ごく簡単に、公明正大に証明されさえすれば臨機に助ける手段ができないものか。
 これらは非常に難しいけれども、全体として今すぐ困っている人たち、弱い人たちに補正予算のメリットが少しでも早く行き渡ることができますように、総理の御指示をいただければと思います。
#349
○国務大臣(宮澤喜一君) 総合経済対策を策定いたしまして以来、この補正予算の成立を前提といたしまして既定予算のいわゆる前倒し等々で施策を進めてまいりましたが、何といっても予算が成立をいたしませんと最後の決め手がつきません。成立させていただきましたら直ちに配賦をいたしまして執行をいたしたいと存じます。
 過労死等の問題が特に最近際立って出ておりまして、景気が悪くなりますとまた余計そういうことが多くなろうと思います。十分対策等をとりますように注意をしてまいりたいと思います。
#350
○武田邦太郎君 よろしくお願いいたします。
 その次は、もう一度ウルグアイ・ラウンドについてでございますが、これは切迫した問題になっておりますけれども、これまで日本の姿勢は、国際間で農業は相撲をとれば負けるに決まっているというようなことで、ややもすれば受け身で逃げ回っている、こういう印象が強いわけです。こういう状態が続く限り、有能な若い世代が進んで農業と取り組むという状況にはなりにくいわけですね。のみならず、この前ちょっと申し上げましたけれども、日本の土地は絶対狭くない。一人当たりうんと広い土地がとり得る状況が高度成長の中からあらわれている。雨はよく降るし、太陽はよく照るし、農業者の能力は高いし、投入すべき資本は十分に持っている。そして、国内に豊かな食生活をやる一億二千四百万の国民のマーケットがあるわけです。農業にとってこれほど恵まれた条件を持っている国はほかにありません。
 にもかかわらず、農業はだめ産業だという迷信がこれは学界にもあるいは言論界にも、ひょっとして政界にも、行政はややそうでない人が相当おりますが、この迷信を完全に払拭しますのは、やはり高い良識によって国民より一歩前を歩くべき政治の責任だろう、こう思うのであります。
 簡単に言えば、農業というものは近代的イノベーションのまだ前夜にあるわけで、これからイノベーションをやらなければ都会とバランスはとれないし外国と相撲はとれないのです。イノベーションというのは、御承知のとおり水準の高い設備投資をやらなければイノベーションは実現いたしません。農業では、畜産の一部と施設園芸の一部だけがレベルの高い設備投資をやっております。当然国際競争力を持っている。
 ところが、農業全般で言えば、設備投資の大部分は農地基盤整備であります。農地基盤整備の高水準なものが一般化しない限り、日本の農業は永久に近代化しないのです。今やっている程度の機械化は近代化でも何でもありません。だから、土地生産性はまだ三倍ぐらいになるはずですね。資本効率は五倍から七倍になるはずです。この前申し上げましたように、労働生産性は二十倍以上になることは間違いありません。これほどまだ可能性があるわけです。そういう状況をしっかり胸に入れられてドンケル退治に行ってください。
 本当に自由貿易によって共存共栄するという理想を持つならば、そのプロセスにおいて極力犠牲、混乱のない道を歩んでくれと、これは当然の話です。それを、どこの国がどんな迷惑こうむろうと構わないという姿勢をまさかとらぬだろうとは思うけれども、日本から見れば、明らかに堂々たる自由化ができるのに、その時を待たずして要求するのはドンケル氏の姿勢としては余りてきた姿勢ではないではないかと、今度のガットの会議でははっきり言ってほしいと思います。
 これで終わります。一言お願いします。
#351
○国務大臣(宮澤喜一君) 前回、長年の御経験に基づいてこの問題についてのいわば序説に当たる部分を伺ったところでしたが、確かに我が国の場合、従来は兼業農家が多い、あるいは農地を資産として離さないというようなことがございましたけれども、ここへ来まして高齢化が進んできた、あるいは後継ぎが実際にいないというようなことから、いわゆるイノベーションの方へ向かわざるを得ないという状況があるというふうに考えるべきだというお話でございました。農林省としても、新しい食料・農業・農村政策の方向を先般定めまして、十分ではありませんがそういう方向に向かって進もうといたしております。
 ウルグアイ・ラウンドはただいま交渉中でございますが、そういう展望を持って交渉せよという、そういうお教えかと承りました。十分努力をいたします。ありがとうございました。
#352
○委員長(遠藤要君) 以上で武田君の質疑は終了いたしました。
 これにて締めくくり総括質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、平成四年度補正予算三案に対する質疑は終局したものと認めます。
 暫時休憩いたします。
   午後三時三十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後十時二分開会
#353
○委員長(遠藤要君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成四年度一般会計補正予算、平成四年度特別会計補正予算、平成四年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#354
○委員長(遠藤要君) この際、委員長より御報告いたします。
 日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、連合参議院から委員長の手元に提出されました所得減税実施に関する決議案の案文を申し上げます。
    所得減税実施に関する決議(案)
 「底ばい」状態が続く景気への対処策として、公共事業費等の追加をはじめとした総合経済対策が実施されてはいるものの、景気浮揚の兆しは見えない。堅調と言われていた個人消費も停滞傾向が顕著になっている今日、景気対策として欠くことができないのは、可処分所得向上のための所得減税の早急な実施であり、それはまた、公平な税負担を実現するためにも必要なごとである。したがって本委員会は、中・低所得者に配慮した相当規模の所得減税の早期実施を政府に要請するとともに、その実現のため最大限の努力を傾注する。
 右決議する。
 この決議案の取り扱いに関する理事会決定を申し上げます。
 所得減税実施に関する決議案について日本社会党・護憲民主連合、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合及び連合参議院から共同で所得減税の要求決議案が委員長の手元に提出されました。与党は、現下の財政及び税制のあり方から、この決議案に強い難色を示した。全会一致が困難な実情にかんがみ、採決は行わないで、委員長預かりとする。参議院においては野党が多数を占めている現状から、重い意味を持っており、政府はその趣旨を体すべきである。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#355
○委員長(遠藤要君) なお、この際、委員長から御報告申し上げます。
 東京佐川問題に関し、証人として出頭を求めておりました佐川清君から病気を理由に不出頭の申し出があった件につきましては、去る八日の本委員会で、同君の証人喚問または臨床尋問の実施時期等について参考に資するため、同君の現在場所に医師団を派遣し詳細な診断を求めることとしておりました。
 つきましては、今後も引き続きこれらの実現を図ることが必要であると考えますので、今国会閉会後も理事会において検討を続けるなど、努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#356
○委員長(遠藤要君) これより討論に入ります。
 討論の通告がございますので、これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。吉川春子君。
#357
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、一九九二年度補正予算三案に対する反対討論を行います。
 まず初めに、私は本委員会の運営について一言申し上げます。
 我が党と連合参議院の再三に及ぶ強い要求にもかかわらず、今国会の最大の課題である佐川急便、暴力団疑惑解明の核心である証人喚問問題の協議を初め本委員会の運営に関する協議から、私たちを一切排除するという非民主的な委員会運営を最後まで続けたことは極めて遺憾です。加えて、これについての私の本委員会での意見表明要求をも無視したことは議会制民主主義のルールを踏みにじるもので、この際、厳しく抗議します。
 佐川急便問題は、審議を通じて疑惑はますます深まっており、閉会中審査を含めて、徹底解明する本委員会の責務を果たすためにも、委員会の運営は全会派による協議で行うよう強く要求いたします。
 以下、反対する主な理由について具体的に述べます。
 第一は、公共用地の先行取得事業費一兆五千五百億円と、株価引き上げのための財政投融資計画の資金追加一兆千二百億円を組んでいることであります。
 これらはいずれも、バブル経済のもとで大もうけをした金融機関や大企業に対し、その崩壊による打撃を救済しようとするものにほかなりません。こういう姿勢こそ、佐川急便問題で問われている企業と政治の癒着を生み出し、政治を腐敗させる根源と言わねばなりません。
 第二は、長期・深刻化する不況に苦しむ中小企業や労働者の切実な要求にこたえない極めて冷たい補正予算であるからです。
 もともと少ない中小企業向け補助金は、さらに百億円も削減されています。中小企業向け融資は、地方自治体の緊急融資制度に比べて金利が高いなど、当面の緊急対策にはほど遠いと言わなければなりません。
 さらに、所得税減税を見送っていることも重大です。深刻化する不況の中で、雇用不安の増大とともに残業代など労働者の手取りが大幅に減っており、これが消費不況に拍車をかけるという悪循環に陥っているからです。
 第三は、不況のときこそ手厚くされるべき福祉、教育など、国民生活関連予算を軒並み削減していることです。
 すなわち、生活保護費の四百三十三億円を初め、保健衛生費二十八億円、私立大学等経常費補助金等二十四億円など削減しています。これらは到底容認することはできません。
 第四は、これら大企業本位の施策を地方財政への負担押しつけて乗り切ろうとしていることです。
 公共用地の先行取得は、地方に一兆円負担させ、直接の国費はわずかに二千四百八十六億円にすぎません。その上、政府の政策の失敗による地方交付税交付金の減額分や地方税減収などの穴埋めのことごとくを地方債増発や資金運用部資金からの借り入れで賄うなど、多大の負担を地方自治体に転嫁しています。
 第五の理由は、税収不足のもとでも米軍駐留経費は増額するなど防衛関係費をさらに増額しているからです。また、PKOに対する分担金についても、従来の活動範囲を逸脱し、武力紛争の当事者になっているユーゴPKOへの五十三億円やポル・ポト派を温存させるとともに、内政干渉的な性格を帯びつつあるカンボジア暫定機構への八十三億円を含むなど、憲法の立場からいっても認めることはできません。
 以上申し上げて、私の反対討論を終わります。
#358
○委員長(遠藤要君) 以上で討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 平成四年度一般会計補正予算、平成四年度特別会計補正予算、平成四年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#359
○委員長(遠藤要君) 多数と認めます。よって、平成四年度補正予算三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#360
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#361
○委員長(遠藤要君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#362
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#363
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#364
○委員長(遠藤要君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#365
○委員長(遠藤要君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後十時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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