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1992/12/08 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 労働委員会 第2号
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1992/12/08 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 労働委員会 第2号

#1
第125回国会 労働委員会 第2号
平成四年十二月八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         田辺 哲夫君
    理 事
                大木  浩君
                星野 朋市君
                庄司  中君
                笹野 貞子君
    委 員
                関根 則之君
                坪井 一宇君
                平井 卓志君
                清水 澄子君
                篠崎 年子君
                千葉 景子君
                浜本 万三君
                三石 久江君
                武田 節子君
                中西 珠子君
                足立 良平君
                吉川 春子君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       労働大臣官房長  七瀬 時雄君
       労働省労政局長  若林 之矩君
       労働省労働基準  石岡慎太郎君
       局長
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定  齋藤 邦彦君
       局長
   事務局側
       常任委員会専門  佐野  厚君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働時間法制に関する件)
 (勤労者財産形成貯蓄制度に関する件)
 (雇用失業対策に関する件)
 (男女雇用機会均等に関する件)
 (介護休業制度に関する件)
 (賃金問題に関する件)
 (雇用調整助成金制度の運用に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(田辺哲夫君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○清水澄子君 私は、この九月に労働省が発表した労働基準法研究会の報告並びに中央労働基準審議会が検討しております労働基準法改正に関する問題について質問いたします。
 まず、この労働基準法改正の目的でございますけれども、これは当然宮澤内閣の政策課題である生活大国五カ年計画の最重点課題の一つに掲げられていると思います。それは、やはり労働時間の短縮というのは勤労者とその家庭にゆとりをもたらして、そして職業生活と家庭生活、地域生活との調和を図っていくんだと。そのことは、同時に国際的にも調和のとれた競争条件の形成にこれは資するものである、そういう認識に基づいた上で、この千八百時間というものを政府が積極的に推進していく、そのためには労働基準法改正をして早期に週四十時間制の実現を図っていく、そういうふうに私は理解をしておりますけれども、労働省のこの法改正に当たっての目的、その姿勢はこれに間違いありませんか。お答えください。
#4
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働時間の短縮は、先生御指摘のとおり豊かでゆとりのある労働者生活を実現し、生活大国への前進を図るためにどうしてもやらなければならない国民的な課題であると認識をいたしております。
 生活大国五カ年計画におきましても、先生御指摘のとおり早期に労働基準法を改正して経過期間のできるだけ早い期間中に千八百時間にできるだけ近づいていくということが明記されておりまして、そういう生活大国五カ年計画の趣旨も十分踏まえながら、今回労働基準法の改正に取り組んでいるつもりでございます。
#5
○清水澄子君 もう少し大きい声で簡潔にお答えください。
 そこで、この研究会の報告の中で、これは前回の法改正によって週四十時間労働制の原則が明記されてから既に十分な年月を経ている。そして、完全週休二日制適用労働者割合は四五・九%まで高まっていると述べているわけですけれども、本則における規定がいつまでたっても適用されないというのでは、これは本当に週四十時間と本則に規定した意味がなくなると思うわけです。
 そこで、暫定政令による四十四時間の「当分の間」というのはもう基本的に終了したと理解をして、そして本則の規定する法定労働時間週四十時間制を私は原則とすべきだと考えます。
 また、この報告には休日制度について何ら触れておられないわけですけれども、やはり土曜日は休みという連続した週休二日制の法定で完全週休二日制の定着を図らなければ、私は本当に千八百時間、週四十時間という体制は実現できないと思いますが、そのことについてはどのようにお考えになりますか。
#6
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のように、労働基準法研究会の報告におきましては、完全週休二日制が適用される労働者が、現在のところ約四五・九%になっていることなどから、早期に週四十時間制へ移行するということを提言しているわけでございます。
 この報告書も十分参考にいたしまして、現在中央労働基準審議会で御検討いただいているところでございますが、今回の改正におきましては、やはり法三十二条で既に四十時間制が原則になっておりますので、その四十時間制にいつ、どんな内容で移行していくかということが審議会における検討事項の中でも最大の課題となっておるところでございます。
 労働省といたしましては、先ほど先生御指摘のような生活大国五カ年計画に早期に四十時間制へ移行せよということも書いてございますので、それらを踏まえまして審議会の意見も十分お聞きいたしまして対処をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、休日の問題につきまして御指摘がございました。法定休日を週二日にするといった、そういうことを法律で明記している国は諸外国でも余り例を見ないところでございますが、完全週休二日制に相当する週四十時間制への移行は、先ほど言いましたように、これから我が国が取り組まなければならない重要な課題であると考えておりますので、週四十時間制への移行につきまして、先ほど言いましたように審議会の御意見も踏まえながら積極的に対応してまいりたいと思います。
#7
○清水澄子君 次に、報告によりますと、一九九四年の四月一日から労基法を改正する。そのときに猶予措置や特例措置を前提として週四十時間制へ移行することが望ましいとあるわけですけれど
も、現在猶予措置四十六時間、それから特例措置四十八時間の適用対象労働者は、全労働者の過半数以上を占めている、六三・七%を占めている、そういう現状にあると思うんです。
 そういう猶予措置をさらに続けていくということが本当に時短、いわゆる千八百時間達成にとってこれが矛盾しないのかということ。とりわけ、この猶予措置といいますのは、一九九三年三月三十一日まで一週四十六時間とされているわけですけれども、この内容を見ますと、運輸交通業では規模の大小にかかわらずすべての企業、そこに猶予措置が適用されています。そして、運輸交通業に属する企業を見てみますと、JRを初め大手の私鉄、日通など一部株式市場に上場されている企業や、現在問題になっている佐川急便等まで対象になっているという、本来考えられないような大規模な企業にも運用がなされているわけです。
 このような読みかえ規定による四十四時間さえ形骸化するような猶予措置の運用状況を見ますと、労働省は本気で四十時間への移行を考えているのかどうかという疑問がわいてくるわけですけれども、今回の改正においては、このように問題の多い猶予措置、特例措置は残すべきではない、それは別の方法で暫定的に処理したらいい、移行したらいいと考えるわけですが、いかがですか。
#8
○政府委員(石岡慎太郎君) 現在、過労働時間は四十四時間というのが原則になっておるところでございます。しかし、なかなかそうできない規模の企業あるいはまた業種の規模が存在するのも事実でございまして、猶予措置あるいは特例措置で週四十六時間とかあるいは四十八時間にしているところでございます。
 その比率は、先生御指摘のように、労働者ベースで見ますと、六三・七%の者がそういう特例あるいは猶予措置を受けているのは御指摘のとおりでございます。また、運輸交通業におきましては、すべての規模にわたりまして四十六時間が過労働時間となっているところでございます。
 そこで、このような猶予措置とか特例措置は残すべきではないという御指摘でございますけれども、労働省といたしましても、できるだけ四十時間制への移行をする企業が多い方が望ましいと考えておりますが、実態を見ますとなかなかそうできない現実もございます。それらを勘案しまして、労働基準法研究会の報告では、猶予措置及び特例措置はやはり残すべきではないか、残した上で漸進的に四十時間に近づけていったらどうか、こういう提言もいただいております。
 いずれにいたしましても、審議会でその辺含めまして今鋭意検討しているところでございますので、審議会の結論を待ちまして、労働省としては適切に対応してまいりたいと考えている次第でございます。
#9
○清水澄子君 猶予措置を残したままでということでは、本当に本来的な解決はできないと思います。
 中小企業に働く労働者が、大企業に働く労働者よりも労働時間が長くてもやむを得ないんだという、そういう考え方をこの労働時間法制の前提にすることそのものに私は問題があると思うわけです。ですから、それらを設けざるを得ないというその仮定に立っても、それはもちろんできるだけ限定をされなきゃならない。そして、それはいつまでにどうするというものがやはり明示されなければならないと思いますので、その点をよろしくお願いしたいと思います。
 次に、この報告では、週四十時間の法定労働時間を前提にして一年単位の変形労働時間の導入ということが述べられているわけですけれども、この変形制による労働時間というものに、この報告を作成している皆さん方は何ら問題がないという認識に立っている、そのこと自体に私はやっぱり問題があると思います。やはり人間は毎日一日の単位で生活をしている。そういう人間の生活を度外視して、年平均幾ら、忙しいときは働いて、暇なときはたっぷり休んでという、何か一日を平均して、トータルで休日を数量で合わせればいいというものじゃなくて、数量は合うかもしれないけれども、人間の暮らしはそういうふうに合わされないわけです。
 ですから、そういう変形労働時間のあり方を一年単位でやるというときに、じゃ途中で退社したり、または途中で入社する人たちの労働時間、賃金計算はどのようになるのか、また一日当たりの労働時間の上限制限はどうするのか、残業時間の計算はどうなるのか、こういう点についてはどのような検討をされておるわけでしょうか。
#10
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法研究会は、年単位で休日増を図ることが所定労働時間の短縮のために有効ではないか、そういう観点から、年単位の休日増による労働時間短縮が可能になるよう、週平均四十時間を超えないことを要件といたしまして、最長一年までの変形期間が認められる制度を設けることを検討すべきであると報告しているところでございます。
 現在、この報告を参考にいたしまして中央労働基準審議会でこの問題についてもいろいろ議論をしていただいているところでございますが、現在あります三カ月単位の変形労働時間制につきましても一週間に一日の休日を要件としております。また、一日十時間、一週五十二時間を限度とすることも定められておるところでございます。したがいまして、何ら問題がないと考えているわけではございませんでして、何らかの歯どめが必要ではないか、そういう方向で審議会でもいろいろ議論をされているところでございます。
 それから、残業時間については一体どうなるのかという御質問もございました。これも中央労働基準審議会で現在いろいろ検討されているところでございますが、現行の三カ月単位の変形労働時間制について、御参考のために残業時間の計算の方式を申し上げてみますと、労使協定で一日八時間または一週四十時間を超えて労働すると定めた場合には、その協定で定める時間を超える時間が残業時間となります。それ以外の協定を定めていない場合ですが、一日八時間または一週四十時間を超える時間が残業ということになるわけでございまして、これらにつきましては三六協定の締結届け出と三十七条の規定に基づく割り増し賃金が必要とされる、こういう取り扱いになっております。こういう現行の三カ月単位の変形労働時間制の考え方を基本的には踏まえながら、一年間の変形労働時間の残業時間の計算なども審議会でいろいろ検討されているところでございます。
#11
○清水澄子君 ちょっと時間が少ないので反論をしている時間がないんですけれども、残業なんかの計算というのは、これは本当の意味の一日八時間以上働いた者は本来は残業になるんですが、これらが全部ここでトリックに、一年変形になったときは非常にそういう問題が起きてくると思います。
 まず、今までの欧州の時短の歴史を調べましても、週四十時間制は変形制に頼って達成した、そういう例はないはずです。これは、まず達成すべきは完全週休二日制、そして週四十時間達成をどうするかというこのことが第一であって、そういう変形はそれらをさらに促進するために使われているものですし、そしてここにいろいろ諸外国の例が挙げられているわけですけれども、これらにつきましても実態的にも手続的にも厳しい要件がフランスやアメリカの場合ありまして、日本の現行法のように残業規制なし、所定時間規制も全く異なっているというものと対比できないものがありますので、その点は厳重に、やっぱり労働省が本当に時間短縮の立場に立つ、そして労基法というのは労働者の保護立法ですから、その立場で推進していただくことをお願いしたいと思います。
 次に、私はさきの通常国会の時短促進法の審査の際にも、残業時間を削減するには基準法にきちんと時間外労働の上限を規定すべきだ、それをしないと本当に実効性は上がらないということを主張してまいりましたけれども、この報告はその上限規定に否定的であると思います。ですから、このままでいきますと時間外・休日労働の割り増し賃金率についても、やはりここでも報告は一週八時間程度の段階的割り増し率を提示しているわけ
ですけれども、これでは年間四百十六時間は現行どおり二五%となってしまって、これは何ら効果がないと思うわけです。世界の状況というのは、もう今や先進国や途上国を問わず、時間外とか休日労働というのは通常五〇%、また深夜、休日は一〇〇%になっているわけですから、日本が本当に国際的な地位を持っていると自負されるならば、やはりこの点を速やかに改正されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#12
○政府委員(石岡慎太郎君) 先生御指摘のとおり、労働基準法研究会は現在目安制度で上限の規制を行政指導で行っておりますが、これの効果は認めつつも法律で上限規制するまでのことはさらに検討すべきであるということにいたしております。そのかわり提言しておりますのは、一定時間残業が続きました場合には、それ以降の残業につきましては現在の二五%より少し高い割り増し率にしたらどうかという提言を行っているところでございます。
 この時間外の規制につきましても、現在審議会ではいろいろ御議論いただいております。これにつきましては不況もございまして、賃金コストがさらに上がるのでこういう措置をとらないようにしてほしいという主として使用者側からの強い反対もございますし、労働側からは、諸外国の法制の例を見てこの際引き上げるべきだという強い意見もございまして、この問題については労使の意見が最も対立している状況にございます。
 労働省といたしましては、しかしながら審議会で十分御議論いただきまして、年末までには御建議をこの分についてもいただきたいと思っておりますけれども、審議会の建議を踏まえまして、この問題についても適切に対処してまいりたいと思っております。
#13
○清水澄子君 先に進みます。
 次に、ホワイトカラーの裁量労働制の採用ですけれども、現行法の裁量労働の範囲はごく限られた職種の業務になっていると思うんですが、今回の改正案では、ホワイトカラーへの裁量労働制の採用ということはどの範囲まで考えているのか、またこのホワイトカラーというのが法律上定義が可能なのかどうかについてお答えください。
#14
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法研究会の報告では、いわゆるホワイトカラーにつきましては裁量労働制による対応が考えられないかという提言をしているところでございます。この提言を参考にいたしまして、今いろいろ中央労働基準審議会で御指摘の問題も検討しているところでございますが、確かにホワイトカラーとは何かといいますと非常に定義が難しゅうございます。どういう人たちを対象にして裁量労働制を活用していくべきか、いろいろ議論があるところでございます。にわかに短期間でこの問題につきまして定義が成立するような状況にもございませんが、この問題につきましては時間を少しかけまして、どういう層に裁量労働制を引くべきか具体的に検討していただくといったような議論が審議会の中では非常に強くなってきている次第でございます。
 いずれにいたしましても、労働省といたしましては、そういう中央労働基準審議会の議論の結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいと思っております。
#15
○清水澄子君 はっきり聞こえなくて、ちょっと後から議事録を読んでまた次に質問をしますけれども、定義のできない難しいものを法律につくられるというのはいかがなものかと思います。ですから、何か労働基準法がむしろこれから私たちの暮らしによくなってくるというイメージじゃなくて、一体これはどこまで無制限にこういう裁量労働制が広がるのかという不安感の方がこの報告からは受け取れるわけですけれども、やはりその点では労働省はもう少し、労働時間の管理というのは、これはホワイトカラーであれ何であれやはり使用者の管理責任なんですから、これは労働法で明確な定義なり明確な労働時間への認識という立場でお進めいただきたいと思います。
 次に、年次有給休暇制ですけれども、これは非常に評価できると思いますが、最低付与日数の勤続要件を一年から六カ月に、ILO百三十二号条約並みの六カ月程度に短縮することが適当だとされた。私は、これはぜひ実行していただきたいわけです。しかし、その要件として八割の出勤率を挙げているわけですけれども、せっかく百三十二号条約の精神を取り入れるならば、その水準に倣って八割の出勤要件というものもやはり撤廃していくのが筋ではないかと思います。あわせて、付与日数をちびらないでやっぱり二十日間ぐらいには引き上げるべきだ。
 そして、同時にもう一つついでに質問しておきますけれども、有給休暇の付与につきましては、さきの一九八七年の労基法改正の際にも、参議院のこの審議のときに附帯決議で、出稼ぎ労働者や短期雇用労働者にも有給休暇の付与日数を働いた日数に応じて比例配分せよということが出されているわけですので、今度の有給年休制度の改正の中でその点をぜひ引き上げていただきたいと思いますが、いかがですか。
#16
○委員長(田辺哲夫君) 石岡労働基準局長、もう少し大きな声で願います。
#17
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法研究会は、年休につきましては六カ月程度を提言しているわけでございます。これの是非を今いろいろ審議会で検討いただいているわけでございますが、仮にこれができますと、先生が最後に御指摘いただきましたような出稼ぎ労働者で六カ月勤務をしているという方々にも年休が正式に付与される、そういう状況も生まれてくるわけでございます。その辺もにらみながら、現在審議会でいろいろ御検討賜っているところでございます。
 それから、先生は八割出勤の要件は見直すべきではないかとおっしゃいましたけれども、この八割出勤要件は日本の労働慣行のもとで長きにわたって維持されてきたものでございまして、出勤率の維持向上にも資してきたものであると考えております。そういうことを考えますと、この八割出勤要件を撤廃するのがいいのか悪いのか、確かにいろんな議論があるところでございますが、この点につきましても審議会の御議論をよく踏まえて適切に対応したいと思っている次第でございます。
 それから、先回の労働基準法改正におきまして、御指摘のように附帯決議で年休の日数を引き上げるということを検討するというのがついているのは我々もよく承知いたしているところでございます。しかしこの点につきましては、中小企業につきましていろいろ経過措置をとりながら六日をようやく十日に引き上げつつある現況でございまして、基準法研究会ではその辺の実態も踏まえながら、今回特に年休の給付日数を引き上げることまでは提言されなかったわけでございます。この点につきましても、それがいいのかどうか、今熱心に御議論いただいているところでございまして、審議会の結論をまって労働省といたしましてもこの問題には適切に対処してまいりたいと考えております。
#18
○清水澄子君 あと二つありますので、短く答えてください。
 ILO百三十二号条約では、疾病、傷害のために労働不能となった日はやはり各国が定めに従って年休にしてはならない、つまり病気休暇の制度化ということの必要性を言っているわけですけれども、今回の改正ではぜひ病気休暇を創設するべきと思いますが、簡単に一言伺いたい。
#19
○政府委員(石岡慎太郎君) 労働基準法研究会でもこの辺いろいろ御検討いただいたんですが、病気休暇を制度化すべきとまで御提言をいただいておりません。この辺も審議会でいろいろ御議論があるところだと思いますが、仮にできないといたしましても、労働省といたしましてはリフレッシュ休暇とかフリーバカンスとかいろいろ労働者の多様なニーズにこたえる休暇制度があるのは結構だと思っておりますので、病気休暇制度も含めまして、多様な休暇制度の普及促進に努めてまいりたいと考えております。
#20
○清水澄子君 最後に、労働大臣はまた次どうなさるのか分かりませんけれども、何かここで大臣
の御決意を伺いたいんですが、非常に複雑な心理です。
 以上、私は幾つかの問題点を申し上げながら、今回の研究会報告というのが一九八〇年以来の非常に大幅な改正のものになろうとしているわけですけれども、やはり本当の意味の労働者の権利としての保護立法かどうかということを見た場合に非常にたくさんの危惧すべきものが含まれているような感じがします。それからまた、実効ある時短をむしろ阻害しかねない、そういうふうな内容のものを含んでいるように見受けられるわけです。そしてその上に、これにはやはり使用者側の素見というのが強く反映されていると思いますけれども、使用者側はこの週四十時間移行にすら強い難色を示しているということが受け取れるわけです。それは、非常に今日の企業としての社会的、国際的責任感の欠如だと言わなきゃなりませんけれども、それだけに、この状況をどう打開して本当に実効性ある時間短縮に向けて立法化を進めるかというのは、これは非常に労働省の強い姿勢と主導的な意思が必要だと思うわけです。
 そういう意味で私は、ここで最後にこれをやっぱり労働省がぜひ推進していただきたいと思いますので、労働大臣の御決意をひとつお伺いしたいと思います。
#21
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間の短縮は、生活大国を目指す宮澤内閣の最大の内政課題の一つでございまして、これを速やかに実現いたしたい、こういうことでさきの国会では先生方に御議論をいただきまして労働時間短縮促進法の成立を見たわけでございます。
 これに基づきまして、具体的に労働時間の短縮が各産業において行われるように労働省としても御協力申し上げ、またある程度アドバイス、御指導を申し上げているわけでございますが、この労働時間の短縮を週四十時間ということでさらに一歩法制的にも担保する、こういう考え方で、今労働基準法の改正については中央労働基準審議会でいろいろ御議論をいただいているわけでございます。
 先生から御指摘がございまして、基準局長も答弁いたしましたが、いろいろな問題がございます。しかし、何とかこの御意見の差、特に労使の間の御意見の差を調整していただいて、そして合意を何とか年内に達成していただいて、そして我々としては答申を得たい、こう考えております。この答申を得れば速やかに法制定に取り組んで、次の通常国会には提出させていただく、こういうことでございますので、ぜひひとつまたいろいろ御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。
#22
○清水澄子君 終わります。
#23
○星野朋市君 私は、財形貯蓄について専らお尋ねをしたいと思います。
 労働省は、平成五年度の税制改革の重要課題の一つとして財形貯蓄の非課税限度額の引き上げというのを要望しております。これについては自民党もこれを実現すべく今大蔵その他と折衝中でございますけれども、この財形貯蓄の非課税限度額、財形一般について、概略改めて御説明いただきたいと思います。
#24
○政府委員(若林之矩君) 勤労者財産形成促進制度は、勤労者が退職後の生活の安定、住宅の取得その他の資産形成を目的として貯蓄を行いまして、事業主及び国がそれを援助する制度でございます。
 これは、財形貯蓄制度と財形給付金・基金制度、財形融資制度、この三つがこの制度の柱でございます。このうちの中心でございますのが財形貯蓄制度でございまして、これにつきましては、使途を限定しない一般財形貯蓄と六十歳以降の年金支払いを目的とする財形年金貯蓄、三番目には住宅の取得、増改築を目的とします財移住宅貯蓄、この三つから成っておるわけでございます。
 平成四年の三月末現在のそれぞれの契約者数、貯蓄残高、ちょっと数字を申し上げさせていただきますと、一般財形貯蓄は、契約者の数で一千二百四十万、貯蓄残高で七兆七千億でございます。財形年金貯蓄は、契約者数が三百五十五万、貯蓄残高が三兆五千億でございます。それから財移住宅貯蓄は、契約者数が二百八十四万人、貯蓄残高が三兆九千億でございまして、合計で契約者数は一千八百七十九万人、貯蓄残高が十五兆円に上っておる制度でございます。
 一般財形、財形年金、財移住宅と三つございますが、この三つのうちで財形年金貯蓄と財移住宅貯蓄につきましては、両方を合わせまして元本五百万円から生じます利子等につきまして非課税措置が講じられておるわけでございまして、この限度額は昭和四十九年以降五百万円に据え置かれているのが現状でございます。
 高齢化社会が進んでくるわけでございまして、人生八十年時代ということでございまして、その必要な老後の生活資金というものを自助努力によって確保していくということの必要性がますます高まっておるわけでございます。また、土地、住宅の取得価格も昭和四十九年以降の物価上昇を考えますと大変高くなっておるわけでございまして、少なくとも私ども、現在のこの五百万円という限度額をぜひ一千万円に引き上げる必要があるというふうに考えておるわけでございまして、ただいま先生御指摘のとおり、来年度の税制改正要望の重点事項というものに掲げまして、その実現に現在努力をしている状況でございます。
#25
○星野朋市君 私は、会社勤めが非常に長かったものですから、財形年金を満六十歳になったことしの三月から実はもう受け取っているわけです、恐らく議員の中では非常に少ない例だと思うのでございますが。これは、二年ぐらい前に銀行の計算で、これ以上になると要するに五百万円を超えてしまいますよというところで終わりまして、ちょうど六十歳になったことしの三月から大体毎月三万九千円弱ぐらい今受け取っているわけです。
 私どもがいわゆる会社に勤めておったときに人生の老後設計をしましたときに、公的年金では何とか夫婦二人は食えるだろう。ところが、それじゃ余暇を過ごしたり、それから趣味、そういうものをやる金がそれでは不足するだろう。財形年金で大体四万円弱ぐらい受け取るだろうけれども、まだこれではちょっと不足なんですね。それでどういう考えをしたかというと、現在孫が三人おりまして、子供がおじいちゃんおいしいものを食べさせてと言ってやってくるわけですよ。そうすると、じいさまは大体子供より孫がかわいいから一カ月に一回ぐらいはちょっと子供たちにごちそうしてやる、そういう資金がそれではないじゃないかということで、実は年金で受け取る生保に加入したわけです。大体こんな設計をしているわけです。
 それで、私の場合は大体そういう形になっておるんですが、労働省がいわゆる勤労者の退職後の人生設計において、モデルとしてどんなことを考えておられるか。その中でいわゆる財形というのはどんな役割を果たすのか。恐らく、今度限度額が一千万円になりますと大体七万円ぐらい月に受け取るようになると思うんですが、そういうことをお聞かせいただきたいと思います。
#26
○政府委員(若林之矩君) 勤労者の方が退職をしたときに、安定した生活を送るのにどのくらいお金が必要とお考えだろうかということを私ども調査いたしたわけでございますけれども、勤労者の五十歳から五十四歳時におきます可処分所得の六〇%程度が必要だというのがその調査の相当の部分を占めておったわけでございます。それを金額で申し上げますと約四百三十万でございます。
 そこで、この四百三十万につきまして、公的年金とかあるいは退職金、企業年金、こういったようなものでカバーできるのはどのくらいか。これはいろんな統計を使いまして推計をいたしますと、大体年間で二百九十五万円ぐらいはそういった公的年金とか退職金でカバーできる。そうしますと、四百三十万との差が百三十五万になります。これは何らかの格好で、自助努力で確保しなきゃならないということでございます。この百三十五万というものを毎年毎年二十年間仮に確保す
るということになりますと、退職時に千六百万ぐらいのお金が積み上がっていないとできない。金利と取り崩しで毎年やってきまして、二十年ということになりますと千六百万ぐらい要るということでございます。私どもの要求は、少なくともそのうちの一千万を財形でカバーしたいということでございまして、これはただいま先生御指摘のように、月で申しますと、毎月で大体七万ぐらいのものを財形で賄う、こういう考え方でございます。
#27
○星野朋市君 私の聞くところによりますと、いわゆる財形の住宅貯蓄の方ですね、これがまだ限度枠いっぱい使われておらないというように伺っておるわけですけれども、この点で今度非課税限度額の引き上げと、それからこの枠いっぱいなるべく使わせると、そういうことに関連してお伺いしたいと思います。
#28
○政府委員(若林之矩君) 現在五百万が限度ということでございますけれども、実態から申しますとそこに到達していないじゃないか、まだすき間が相当あるではないかという御指摘をよく受けるのでございますけれども、その点はぜひ御理解いただきたいのでございますけれども、幾つかの理由がございます。
 一つは、財形の積み立てと申しますのは毎年毎年、例えば一万円とか一万五千円とか二万円とか、こういうふうに毎月積み立ててまいりますものですから、五百万円というのは一番最後の目標になるわけでございます。したがいまして、その非課税の対象になりますいわばカーブの下の面積というものを併算いたしますと、当然のことながら五百万円を相当下回ったものになるわけでございます。
 それからもう一つは、今先生もちょっとお触れになりましたけれども、五百万を突破してしまいますと根っこから課税されますものでございますから、お勤め光とか金融機関なんかがその限度額を管理をいたしまして、うまく五百万円になるように積み立てていただくということになります。ですから、五百万円に近づいてまいりますと、それまで例えば一万円積み立てていた方に、もうこれからは毎月二千円にしてくださいというような格好で限度管理をいたします。
 そういったことも原因でございまして、いわば五百万円という限度に対しましては実態としてはそれを下回っているということでございますが、ただいま申し上げましたような理由があるわけでございまして、仮に限度額がもっと上がれば安心して積み立てていけるということになるわけでございます。ですから、限度額に対していわばゆとりがあるというのは、私どもは十分御説明できる問題であるというふうに考えております。
#29
○星野朋市君 私は、実は上場企業におりましたものですから、比較的こういう制度に加入しやすかった。一部には大企業優遇ではないか、大企業の勤労者優遇ではないかという指摘があるわけですけれども、今実態は中小企業についてもどういうふうになっているか、お伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(若林之矩君) 私どもの調査では、財形貯蓄制度の普及状況でございますけれども、大企業のみならず中小企業にも随分普及いたしております。大企業の場合には、例えば五千人以上でございますと九五%の制度の普及率でございます。しかしながら、確かに規模が小さくなってまいりますと、それに応じて普及状況は落ちてまいります。百人から二百九十九人のところで申しますと七〇%、それから三十から九十九人でございますと六〇%の普及でございます。
 いずれにいたしましても、やはりこれだけの差がございますから、私どもは、中小企業に対する、これは大変いい制度でございますので、その普及について一層努力をしなきゃならないというふうに思っております。
 なお、大企業の方でも中小企業の方でも、意外と無理なく積み立てられる制度ではないかというふうに思っております。現在、大体皆さん一万二千円ぐらいの平均で積み立てておられますけれども、仮に月一万五千円の積み立てをいたしまして、ボーナス時で五万円ぐらいの積み立てをいたしますと、二十年で一千万円になる、こういうような設計でございます。
#31
○星野朋市君 もともと日本は非常に貯蓄性向の高い国でありまして、いわば日本とアメリカが逆転すればうまくいくんじゃないか。アメリカはもっと貯蓄率を高め、日本はもう少し消費を高める、こういうような意見があるわけでございますけれども、この今の時期に、そういうことでさらに貯蓄率が引き上がってしまう、消費の拡大に相反するんではないか、こういう意見もあるわけでございますが、労働省はどういうふうにお考えでございましょうか。
#32
○政府委員(若林之矩君) 実は、非課税限度枠の問題、利子非課税問題というのが議論されますときは、必ずこの議論が出てまいるわけでございまして、五年前に非課税問題、この財形制度が問題になりましたときにも、やはりそういった議論がございました。
 確かに、そういったことについての論点というのはあろうかと思いますけれども、この財形制度と申しますものは、十年、二十年と長期にわたって積み立てていくものでございまして、最終的にはやはりマイホームの取得に回るもの、住宅ならばマイホームの取得につながるものでございますし、また財形年金貯蓄も定年後の生活費に充てられてまいるわけでございます。ためっ放しのものではございませんで、ためたものがその時点においていわば消費に回っていくというものでございますから、非常に大きいサイクルで見ますと、決してそういうようなただためてしまうというものではないと私どもは理解をいたしております。
#33
○星野朋市君 最後に大臣にお聞きしたいのでございますけれども、昨今、とうとう有効求人倍率が一を割って〇・九六になった。私は前から、日本の労働情勢では構造的な変化が起こっておるからまず有効求人倍率が一を割ることはない、こういうふうにずっと思っておったわけです。そのくらい今度のいわゆる不況は実は単純な景気サイクルではなくて、構造不況的な問題が起きている。それから、余り表には出ておりませんけれども、いわゆる雇用調整金の対象業種がこのところ月を追ってふえておる。来年の初頭においては、恐らく今申請中だと思いますから、さらに業種がふえるんではないかというようなちょっと懸念される状態にあると思います。こういう時期に当たりまして、労働大臣としては、労働行政のあり方、これについてどういうふうにお考えになっておるのか、御所見を伺いたいと思います。
#34
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、最近のいわゆる雇用調整の中で有効求人倍率が一を割りまして、〇・九六に下がったわけでございます。ただ、ストックで考えますと、いわゆる失業者ですね、これは全就業者、労働者に対して、いわばストックとしての比率を計算するとまだ二・二ということでございますから、この完全失業率二・二という数字は相当低い数字であることも事実でございます。
 ただ、今のような雇用調整が続いてまいりますと、有効求人倍率が〇・九六からさらに下がっていくということで、こういったことがたまってくると、当然今度は完全失業率にも影響してくるわけでございますので、失業者が、いわば会社から従業員が解雇されて失業者になって町へ出てくるという事態は、これは失業する個人の勤労者、またその家庭にとっても大変不幸なことでございますし、ただでさえ消費が冷えているわけでございますから、これが失業率がふえたというふうな形でさらに将来の見通しが暗くなって、消費が減退する。そうすると、景気がさらに一段と底割れをするというふうな懸念も私は懸念としてあり得ると思いますので、政府としては御案内のように総合経済対策、まさに補正予算を御審議いただいて、速やかな実行に入ろうとしているわけでございます。
 同時に、労働省としては各企業にお願いをいた
しまして、いわゆる企業内失業で、これは日本的な現象だと言う方もいらっしゃいますが、しかしやっぱり解雇されるということは大変なことでございますから、企業内に引きとめていただくという形で雇用調整が必要な業種を指定いたしました。先般も合計五十一業種を指定いたしましたが、そういった業種の中の企業の方々については雇用調整金というものをお出しして、休業もしくは職業訓練、社員の出向等々をされる方々の勤労者の賃金を大企業ですと二分の一、中小企業の場合三分の一助成をさせていただくという形で、現実に失業として顕在化することをできるだけ抑えていきたい。
 そういうことと同時に、積極的な求人開発というものを職安を通じてやらせていただいております。特に、御年配の方々、また御婦人の方々、バートの方々にこういったものがしわ寄せにならないように、高齢者の方々、婦人の方々、パートの方々を雇用していただけるような、そういう機会を全国の職安システムを通じて積極的に開発をしていきたいと、現実にやっておる次第でございます。
 しかし、全体としての経済の運営が基本でございますので、これは政府挙げて今の景気の調整をできるだけ早く回復に持っていくように努力をしていかなきゃならない。労働省も補正予算の中でもそのためのいろんな施設費を従来からの年次計画にさらにプラスして、五百億補正予算に計上させていただいております。こういうことからも内需拡大をしてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
#35
○星野朋市君 終わります。
#36
○武田節子君 私は本年七月、多くの支持者の方々の汗と涙の御支援をいただき、参議院に議席を得て、初めて本委員会で発言の機会をいただきました武田でございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 私は、働く婦人の会におきまして二十数年間、中高年働く女性の問題に取り組んでまいりました。特に、組合もない従業者三十人以下の小零細企業で働く女性の問題に一貫して取り組んでまいりました。
 御承知のように、現在働く女性は全雇用労働者数の四〇%を超えて千九百十八万人となりました。そのうち約六〇%が三十五歳以上の中高年女性であり、その約八〇%は労働組合のない中小零細企業で働いているのが現状でございます。
 労働省にお尋ねしますけれども、この現状認識には間違いはございませんでしょうか。
#37
○政府委員(齋藤邦彦君) 確かに、最近女性の方の職場進出が非常に多くなってきておりまして、特に今後人出不足が予想される時代になりますと、ますます女性の方々の労働市場における地位といいますのは高まってくるだろうというふうに思っております。
#38
○武田節子君 次にお尋ねいたしますけれども、雇用失業情勢の中で、女性の雇用動向について労働省はどのように認識されておりますか。有効求人倍率が一を割った今、今後女性についてはどうなってまいりますか、お尋ねいたします。
#39
○政府委員(齋藤邦彦君) 御承知のように、最近の雇用失業情勢、十月には求人倍率が一を割りまして〇・九六というようなことでございまして、労働力需給全般におきます緩和の動きが進んでおるというふうに認識をいたしております。
 これが、高齢者ですとかあるいは障害者、パートタイマーというような層に雇用調整の影響が集中しないようにということで、私ども事業主の方々にそれぞれ適切な指導をいたすことにいたしておりますし、特に最近パートタイマーの方の求職者というのが非常にふえてまいりました。そういう意味で、公共職業安定所におきましてそういうような方々に対します雇用促進、就職促進というものに努めるようにいたしております。
 それからまた、よく言われますのは、女子学生の方に影響が来ているのではないかというようなお話もないわけではありませんが、いずれにしましても新規の大学卒業者につきましても、私どもの学生職業センターというのがございますが、そういうようなところで就職促進を図ってまいることにいたしております。
 いずれにしましても、比較的弱い立場にある雇用者の状況につきましては、十分に注意を払って適切に情勢の把握に努め、あわせて適切な雇用対策を講じていきたいと思っておる次第でございます。
#40
○武田節子君 同時に伺っておきたい点ですけれども、男女雇用機会均等法についてであります。
 施行後六年を経過した現在、労働省としての目的は達成されたのでしょうか。その評価について大臣はどのような見解をお持ちでしょうか、お伺いします。時間がございませんので、手短に簡潔にお願いいたします。
#41
○政府委員(松原亘子君) お答え申し上げます。
 雇用機会均等法が施行されましてもうそろそろ七年になるわけでございます。先生方の御支援もいただきましてこの法律をスタートさせていただきまして、非常に効果が上がってきているというふうに私どもは認識しております。それは、女性が働くことについての社会の意識というのがこれによって随分大きく変わったというふうに思っていることがまずございますが、もちろん具体的には、企業の中における雇用管理におきましても、これまで男子のみの募集採用であったといったようなところが女子にも門戸を開いてきたというようなこともございますし、わずかながら残っておりました男女別定年制につきましても、もうほとんど解消されたといったようなことがございます。
 そういう意味での企業の雇用管理に与えたインパクトも非常に大きいものがあったというふうに思っておりますし、また女性自身にとりましても、この施行を契機に働くということについての意義を改めて見直すということにもなったという意味において、非常に大きな効果があったというふうに認識しているところでございます。
#42
○武田節子君 現実の状況とは大分違うようなお答えのように思いますけれども。
 次に、働く女性の介護休暇についてお伺いいたします。
 今日の急速に進む高齢化社会の中で、老親やまたは夫を介護しながら働く中高年女性が急増しております。特に、三十人以下の企業で働く女性は、低賃金、長時間労働など劣悪な職場環境の中で、介護と仕事の両立ができず、健康を害して働き続けられなくなって退職せざるを得ない人、あるいは介護のために退職をする人、あるいはバートにならざるを得ない人が続出しております。
 このような現状について、労働大臣はどの程度認識されておりますか、お伺いいたします。
#43
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。
 介護という問題は、非常に今後の高齢化社会におきまして職業と家庭生活を両立する上で、労働者にとっての大きな問題となってきているということは私どもも認識しております。調査などによりますと、家族に介護が必要な人が出てきたらどうしますかというような問いに対しまして、多くの方が仕事をやめなければいけないかもしれない、また仕事を変えなければいけないかもしれないといったようなお答えをされているわけでございます。
 そういう意味で、この介護の問題、今後私ども労働行政におきまして非常に重要な課題と認識しているところでございます。
#44
○武田節子君 非常に深刻な問題がたくさんございますので、私が独自に働く婦人の会で行ってまいりました実態調査を通して、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  中野区に住むUさん(独身女性・四十八歳)は、七年前母親がクモ膜下出血で倒れ、五カ月間に五回も大手術を受けた。完全介護の病院だったが重体のためUさんが付き添い、病院と会社をタクシーで高速道路を往復した。その上、交代で介護に当たっていた父親が心臓発作を起こし入院、その後脳梗塞になり失禁が始まった。
 退院した後、父と母の二人を自宅で介護しながら働く生活が七年間も続いた。現在は月二回の通院が必要で、脳外科、泌尿器科、皮膚科と一日がかりで、年間二十日の有給休暇は全部使い果たしてしまう。初めは理解していた会社や同僚も、長くなると冷たくなり、職場にいづらくなる。こんなとき、介護のために休める介護休暇や介護時間があったらと切実に思った。
こう申しております。
 大臣、このような具体例に対しどう受けとめられましたでしょうか。また、介護時間、介護休暇が制度化できないものだろうかとの思いに対してどう受けとめられましたでしょうか、お伺いいたします。
#45
○国務大臣(近藤鉄雄君) 御婦人の方々が積極的に職場に進出をされる、そのこと自体は大変すばらしいことであると私ども考えておりますけれども、問題は御婦人の方、特に家庭の主婦の方が積極的に職場進出をされた場合の家庭生活と職場との調和をどうするか、これがこれからの労働行政の非常に大きな課題であると私ども認識しております。
 その一つとして、ことしから実行させていただいておりますけれども、いわば育児休業、これは法制化をしてそして実行に移させていただいたわけでございますが、もう一つの大きな問題が今先生御指摘の介護の問題がございまして、お話の中にもございましたように非常に深刻な問題であることを私どもは十分に理解しております。
 ただ、育児休業の場合も実行するまでにいろいろ予備的な経緯もございましたり、またいろんな世論づくり、それから企業側の理解、態勢、そういった準備もございましたので、介護休業の場合もいろいろこの問題についてどういうふうに会社が取り組んでいただけるのか、また御理解いただけるのか、そういったようなこともございますので、先ほど局長もお話をいたしましたが、ことし七月に介護休業制度等に関するガイドラインというものを労働省が策定いたしまして、こんなことでひとつ企業はやっていただけないだろうかということで御検討いただいて、また実行していただくわけでございます。
 そういった状況も踏まえながら、いろいろ関係者の方々の御理解や御協力を得ながら、介護休業制度というものを育児休業と同じような形でこれから法制化を含めて推進することにひとつ努力をさせていただきたいと考えております。
#46
○武田節子君 では、次の事例について申し上げます。
  大田区に住むSさん(独身女性・五十三歳)、勤続二十七年、父(八十二歳)を介護、入院中。
 父親が平成三年一月に自宅で倒れ、近所の個人病院に入院した。この病院では医療費が一カ月六万円、付添料は十日ごとに八万円から九万円。したがって、一カ月で医療費と付添料の合計は三十万円を超し、非常に大変なので、区の「医療費貸出し」から限度額六十万円を二月末に借りた。返済は平成三年六月から始まり、月一万五千円で四十回払い、Sさんの給料ではとても払い切れないので約四カ月で現在入院している病院に移った。
 現在の個人病院は、医療費(平成四年四月)三万八千円と付き添いの布団代の雑費七千円を合計すると一カ月約四万五千円の自己負担になる。
 Sさんの一カ月の給料は、月二十時間以上の残業手当代を含めて手取り十五万円。したがって、収入の二九%弱が介護費用となっているため、経済的負担が非常に大きい。
こういう状態を訴えられております。
 大臣、所得保障を求める具体例を申し上げましたけれども、小零細企業で働く女性の年間所得がほとんどが二百万から三百万であります。老親介護の医療費がこれに重なりますから大変甚大で、生活上多大な負担が強いられております。大臣または事務当局でもよろしいのですけれども、御感想をお聞かせください。
#47
○政府委員(松原亘子君) 介護の問題につきましては、先生御指摘のように、人によっていろいろ形態は違うかと思いますけれども、一部の方には非常に経済的な負担も伴うということは御指摘のとおりだろうというふうに私も思います。
 先ほど、大臣から御答弁申し上げましたけれども、ことしの七月に策定いたしました介護休業制度等に関するガイドライン、このガイドラインは最低限のものとして企業に導入してほしいということでつくったものでございます。そこの中に、家族の介護を行う労働者に対する介護休業とか勤務時間の短縮以外の措置といたしまして、例えば入院費用や介護用品の購入など介護を行う労働者の臨時的な経済支出を援助するための融資制度を設けること、ホームヘルパーのあっせんや労働省が外部から家事や介護のサービスを購入した場合、その費用の一部などを補助する制度といったようなことも企業が導入することが望ましい制度ということで示しているところでございます。
 なお、介護休業に伴います所得保障と先生がおっしゃられた点につきましては、この同じガイドラインの中で休業中の賃金の取り扱いをどうするかということについては、労使で十分に話し合った上決定し、その決定事項を就業規則などできちんと定めて労働者に周知してほしいということは言っておりますが、具体的にその休業期間中の賃金の支払いの問題については労使にゆだねているというのが私どもの考え方でございまして、そういうものをガイドラインとして示しているというところでございます。
#48
○武田節子君 このほか、原職復帰の声などたくさんございますけれども、労働大臣にまだまだ知っていただきたいことがたくさんございます。私どもの行った実態調査にしっかりそういうものが含まれておりますけれども、例えば介護時間、介護休暇の確保については、先ほどの例のように介護者のための病院探し、入退院の手続や送迎あるいは公的サービスを受けるための手続などは一日休まなくとも短時間の休暇をとれば介護と仕事が両立てきるわけです。これについてはどうお考えでございましょうか。
#49
○政府委員(松原亘子君) 先ほど申し上げました介護休業制度等に関するガイドラインの中には、一日フルに休んでそれが継続するといういわゆる休業というだけではなくて、先生今御指摘の勤務時間の短縮といったような措置もこれと並行といいますか、選択肢として導入するようにということを書いてございます。
 例えば、通常の所定労働時間より短い所定労働時間で勤務時間帯を設定するとか、それも一種類じゃなくて数種類設定して労働者が希望するようなものを適用するといったような制度とか、それから一定の時間単位で労働者が個々に勤務しない時間を請求することができるような仕組みとか、勤務時間の短縮といいましてもいろいろなやり方があろうかと思いますけれども、御指摘のようなニーズにこたえるような意味で、勤務時間の短縮措置も介護休業制度と並ぶ措置として選択肢の一つとして用意してほしいということをこのガイドラインで示し、企業にその導入を啓発、指導をいたしているというところでございます。
#50
○武田節子君 もっともっと実態調査に目を向けていただきたいと思うんです。
 この実態調査から浮かび上がったことは、現在各自治体で取り組んでいるデイサービスのあり方として、その指定場所、送迎時間帯は朝九時から十時、夕方は四時から五時となっておりますが、これでは家族の勤務時間帯とぶつかって現実には利用できないシステムになっております。大臣は御存じでしょうか。行政のきめ細かな心配りのなさを私は指摘したいのです。また、これこそが労働省と厚生省の縦割り行政の弊害そのものではないかというふうに思うわけです。一人の人間を縦割りにはできませんので、よくその辺をきちっとバランスをとった、連携をとった考え方をしていただきたいと思います。
 早速、各自治体の実態を掌握し、せめてこの点の改善を中心に通達など検討していただきたいと思います。改善する具体的答弁ができなければこ
れ以上質問できないほど当事者には深刻な課題なのです。いかがなものでしょうか。
#51
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御承知のように、私は実は労働大臣になりましてからいろんなあちこちの福祉施設を視察してまいっておりますが、今先生御指摘のデイサービスなどは私はこれは非常にいい制度と思うんであります。デイサービスでお年寄りを預かってくれる時間帯がちょうど十時から何時までということですね。そういう点では介護する側の、これはお嫁さんでもだんなさんでもどちらでもいいわけでありますけれども、多少勤務時間どうまくいかない、その点は先ほど局長も話しましたようにフレックスタイムといいますか、そういったことを適用しながら導入する。
 私は、これは個人的な意見でございますが、もっともっとデイサービスのようなものを拡大いたしまして、身内が介護休業してお年寄りの介護をするというのも大事なことでございますけれども、同時にそういうデイサービスなりそういった第三者機関で介護についての専門的知識を持つところに年老いた方々をお預けして、そして仕事をしてまた夕方帰ってきてお迎えにいく、こういうこともあっていいと思うんです。
 ですから、局長から話がございましたが、この介護問題というのはこれからのまさに高齢化社会の最も大きな問題でございますので、先生から縦割りではいかぬとおしかりがございましたが、まさにその縦割りを排しまして、厚生省と労働省が一緒になっていろいろ協力しながら、いかにして社会的な介護問題というのを適切に解決するかということについて、これまでも努力してまいっておりますが、これからさらに一層努力してまいりたいと考えております。
#52
○武田節子君 今御答弁の中で、だんなさんと奥さんと、やっぱり世帯単位で物事を考えていらっしゃるように思うんですけれども、今結婚しない独身女性が親を抱えて生活の主体者となって働いているという問題が大変深刻であると思います。
 結局、労働省の行政視野には従業員三十人以下の職場で働く中高年女性の実態が全く把握されていないし、またその実態調査も皆無であると私は思うんです。ですから、私がここにきょう提起する理由がそこにあるわけでございます。介護問題一つとっても、今の労働行政は温かい血の通った行政にはなり切っていないなと言わざるを得ないと思います。
 時間がございませんので最後に、時間がありましたらこの具体的な問題を労働省にもっともっとお聞きしたいのですけれども、労働大臣、介護休暇、介護時間の法制化を求めるこうしたさまざまな声にこたえていくべきと思いますけれども、法制化に向けての御決意、時期、展望についてお答え願いたいと思います。
 また、十二月十二日には、何か大臣がかわられるようなうわさも聞いておりますけれども、明確に事務引き継ぎをしていただく約束ができますか、確認をして質問を終わります。
 以上でございます。
#53
○国務大臣(近藤鉄雄君) いろいろ私申し上げまして、婦人局長また職安局長からも御説明いたさせましたが、これからの高齢化社会に向かって介護という大事な仕事にどういうふうに我々取り組むかということが労働行政の中の非常に大きな課題でございます。
 ただ、これは先生御指摘ございましたようにケース・バイ・ケースでございまして、育児休業というのは比較的単純明快なんですが、もう介護の場合にはいろんな複雑なそれぞれの個別ケースがございますのでなかなか現実に難しいし、それから時間的にも育児休業の場合は一年ということですが、介護の場合には一年で終わるということでもないかもしれません。ですから、休暇がいいのか休業がいいのかフレックスタイムという形でいくのがいいのか、それから家族が面倒を見るのがいいのか、それとも介護の専門の方々を社会的に養成して、そしてそういうセンターでいわばプロフェッショナルな形で御年配の方、特に病気を持った方々に対応するのか、いろんな問題がございますので、これは厚生省、労働省がいろんな知恵を絞って社会的なニーズに相対し、それに対しまた必要ならばもちろん法制化を検討して、そして先生方の御審議をいただいてそれを実行に移す。この介護問題は繰り返しますが最大の我々の大きな問題でございますので、一生懸命これから取り組んでまいる。
 私の後はどうなんだというお話でございますが、それは大臣がどうこうじゃなしに、まさにもう組織として、労働省挙げてこれまでも取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでまいりますということを申し上げて御答弁といたします。
#54
○足立良平君 私、実は労働委員会はきょう初めてでありまして、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 まず、第一点目です。私、できれば大臣から御答弁願いたいんですが、先ほども同僚委員の方から出ておりますが、第二・四半期にGNPのマイナス成長が出てくる、あるいは実際的には求人倍率も一を割ってきているというふうな大変厳しい状況がある。我が国の今日の経済の実態というもの、これは労働経済という面を中心に、労働省として一体今日の我が国の経済の状況というものをどのように認識されているのか、まず冒頭にちょっとお聞きをいたしたいと思います。
#55
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、私実は労働大臣になりましたのは一年前でございますが、一年前と今とではさま変わりでございまして、労働行政の面からだけ申しましても、一年前はまさに人手不足対策をどうするんだと、人が足りないから外国人労働者でも考えたらどうだみたいな議論があったぐらいでございますが、それから一年たちますと、経済の実態は非常に深刻であってなかなか景気が回復しない、こういうことで最近の経済調整の中で雇用調整が進んでおります。
 先ほども御答弁申しましたけれども、完全失業率は依然として二・二でございますが、これは諸外国の中で最低の水準でございますけれども、有効求人倍率は四年四カ月ぶりですか一を割った、こういうことでございます。それで、私どもこの成り行きを非常に真剣に考えておりまして、そういう形の雇用が失業という形で顕在化しないための雇用調整制度というものを今業種を指定して積極的に展開しているわけでございます。
 政府の見通しの甘さという御指摘もございますが、確かに政府の対応がおくれたという面もあるかもしれません。しかし同時に、このような状況をもたらしたいろんな民間経済の対応ということもやはり一面あるわけでございますので、これはやっぱり政府ももちろんでございますけれども民間も、政労使挙げて取り組んで何としても雇用の確保を図っていきたいということを我々真剣に考えている次第でございます。
#56
○足立良平君 労働省の立場といいますか、経済という話源からいたしましても、経世済民という考え方からしても、何といいましてもこの経済問題というのは、やはり労働者といいますか日本の勤労者、働いている人たちの雇用をどのように確保するかということは、単にこれは労働省の課題だけでなしに我が国の経済運営のまさに中心的な課題でなければならないだろう、私はこのように考えております。
 そういう点からいたしますと、先ほどもそしてまた今回も、今大臣の方がいわゆる雇用調整助成金の問題であるとか、あるいはまた労働省として雇用をどのように維持していくのか。ある面におきましては、企業の中における潜在的な失業と言ったら言葉は悪いかどうかわかりませんけれども、そういうものを維持しながら、いろんな手当てをしながら顕在化する失業というものを防止しようというのは、労働省のある面においてはこれはカンフル剤的な施策になってくるのではなかろうか。
 本来的に言うなら、政府の経済政策あるいは政府として、これから我が国の経済構造も含めてどうやっていくのかということに労働省が一体どういうかかわり方をしてきているのかということが
私は大変必要なことなんだと。単に失業が出そうだ、不況だ、だからこれはそのときそのときカンフル的に調整金出してこうやりますよというのではなしに、労働省としてこれから失業問題が発生しないように、あるいはまた我が国の経済がバブル経済からソフトランディングしていくように、いわゆる経済の構造そのものを一体どのように変革していけば労働問題なり雇用問題というのは発生しないのか、そういう観点からの労働省なり労働大臣の関与というものが今後求められていくのではなかろうか、こんな感じを実はずっと先ほどの質疑を通じまして私は受けているわけなんです。
 したがって、そういう面で労働省としてこれからの我が国の経済運営というものについてどのようにお考えになっているのかということが一つと、それから月例経済報告閣僚会議といいますか、そういう経済閣僚会議の中に労働大臣は入っておられるわけですから、今日まで労働省として一体どういう姿勢でそれらに臨んでこられたか、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#57
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、まさに御指摘のとおりでありまして、私はこれは洋の東西を問わず、イデオロギーのいかんを問わず、政府の最大の課題は国民に安定した雇用を確保することであり、そして国民の生活を毎日向上させることが政府の最大の政策課題であって、すべてはそれに尽きるのだと言っても言い過ぎじゃないぐらいに思っておりますが、そういう点では雇用政策は非常に大事だ、こう思っておるわけであります。
 それから、先ほどちょっと私が申し上げたことにもう一回戻りますけれども、一年前の人手不足というものは、まさにバブルに基づいた非常に急激な投資に引きずられて、そして大都市、それから大企業を中心として全国から人を集めちゃったと、したがって逆に地方の中小企業なんかは人手不足になってしまった。結局、雇用の偏在があったと思うんですね。ですから、現在需要が減ったというので下請けの企業なんかを私が回ってみても、仕事は減ったけれども依然として人が足りない、いい人は採りたい、こういうことでございますので、今の雇用調整というものも、つまり大企業、それから大都市へ集まった労働力が地方の中小企業にいい仕事を求めて平準化していくという、そういう労働の再配分だというプロセスだということも私はそれなりに前向きにこれはとらえておるわけでございます。
 そういった中で、さあこれから日本の経済はどうするのだというと、具体的に商品を挙げてどうかと思いますけれども、例えば自動車とか家電なんかは今困っているけれども、それはもうこれまでの高度成長時代にどんどん設備投資をして設備能力を拡大しちゃったんだ。ですから、今すぐそれが売れるかといったらそう簡単ではないと思います。しかし、私たちの身近な例えば生活の中で、特に住宅などは依然として我が国は欧米先進国に比較しておくれているし、それから社会資本もまだまだ十分でございませんから、そういった生活関連、社会資本設備だとかそれから住宅だとか、そういったところにこれからの日本の経済発展の大きな可能性がある、道があると考えておりまして、そういった方向でこれから産業間の労働の再配置ということも我々は労働行政としても積極的にしていきたい。
 したがって、来年度の予算の中でも産業雇用高度化施策というものを予算項目で打ち立て、ぜひひとつ来年は実現して、そういうことで生計分野、社会に必要な分野への、労働者がうまく展開して高度雇用を確保するような施策を積極的に労働省は推進してまいりたいと考えております。
#58
○足立良平君 今大臣から答弁いただきまして、私もまさにそのとおりだろうと思います。特に、今日の労働雇用の問題は、いわゆる能力というようなミスマッチとそれから地域的なミスマッチ、この二つの問題がそこに絡んでいるわけですから、そういう面では今大臣が指摘されたような施策というものにこれから労働省としても強力にひとつ取り組んでいただきたい、このように申し上げておきたいと思います。
 私の与えられた時間が余りないんですが、もうちょっとこれ申し上げたいと思うんです。
 平成四年度の、先ほども大臣の答弁の中で、補正予算を早急に云々して経済の活気を、いわゆる回復という話もございましたが、これは各経済研究所等で民間予測をしますと、相当補正予算を含めても下方修正しているわけでありまして、そういう面からいたしますと、雇用問題というものは引き続いてやっぱり大変厳しい状況が少なくとも当分続いていく、このように実は私は思っておるんです。そして、現実的に、補正予算がいいか悪いかはまたこれはちょっと別のところで議論いたしますからここでは余り議論いたしませんけれども、やはり問題はGNP、経済の中心をなすのは個人消費の問題であります。民間の設備投資と個人消費を含めますと八割弱ぐらいだろうと思いますから、民間の設備投資は完全に落ち込んでいる、循環的であるかは別として。そして、個人消費も落ち込んできているということになってくると、ここである程度経済をもう少し活性化しようとするなら問題は個人消費の問題だろうというふうに思います。だから、そういう面からいたしますと、私は、これはちょっとマスコミでしか見ておりませんからはっきりわからないんですが、大臣が来年度の賃上げの問題を含めてやはりどうするかというようないろんな意見も発表され、また経済団体との議論もあったやに聞いているわけですが、まずその辺の真意をちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。
#59
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生まさにおっしゃったとおり、私はかつて経済企画庁長官をした経験があるわけでございますが、国民の総需要に占める公共事業は国と地方を通じて大事だけれども七%前後なんです。
 ですから、今の補正予算も大事だしお願いしているわけでございますが、これから財政で頑張っても国民総需要の七%をどれだけふやすかという問題になりますよね。それから住宅も大事で、先ほど申しました。しかし、住宅も国民総需要を国民経済計算で分析するとこれも大体六、七%。これは今百四十万戸だけですが、いっとき百七十まで行ったことがありますからもっとふやすべきだと思いますけれども、合わせて一五、六%ですね。そうすると、あとその他入れて結局国民総需要の八割は民間需要である。それが、二割が設備投資であと六割が消費だ、こうなりますと、国民経済発展の大株主である民間需要をいかにこれから拡大するかということが景気回復の決め手でございますから、補正予算を含めても政府の経済対策というのはまさにシンボリックに、これは国も責任を持ってやるよ、だから皆さんついてきてください、こういうための旗振りだと思うんですね、そういう面が非常に大きいわけであります。
 さあ、それじゃ民間設備投資がどうふえるかなといいますと、バブル時代に安い金利の金を使ってじゃかじゃか投資をして現在に来ているわけだから、さあ来年すぐに民間設備投資がもとどおりぐっと伸びるということはそう期待できないんじゃないか。そうなると、結局六割の消費が来年の景気を決める決め手だと、こう思うわけであります。
 そこで私は、春闘に関連して申し上げたことじゃないんですが、民間の消費が今後どうしたら活性化するか、これから来年にかけて、これに経済政策の戦略を立ててみんなで考えてみようということでございますが、その場合に、いや今景気が厳しいからもうボーナスもだめ、それから賃金もだめだということを余り皆さんが大きな声でしちゃうと、ただでさえもう我々いろんな物を買い込んじゃっているわけですね。だけど、暮れもボーナスも厳しいし、来年も厳しくなっちゃうとどうでしょう。なけりゃ買いますよ。だけど、みんな背広も靴もハンドバッグも、食べ物は別として、みんなもうある。ところが、それならばことしのボーナスは余りないんじゃ、買わないでおこう。来年もまあ少しやっていこう。こうなった
ら、先ほど言いましたその六割、それからGNPでいくと二百五、六十兆ですか、これがさらに抑え込まれたら、民間設備投資だってこれだめだ、余り期待できない。政府の役割も大事だけれども、量的に限度があるとなれば景気がよくなることはなくなるんで、そこは個別企業の論理として厳しいことはわかりますけれども、経済団体とかそれから労働組合とか、マクロで物を言う立場、そしてましてや政府、我々はマクロで物を言っているわけだけれども、多少強気のことを言っておかないと、これは経済本当に落ち込んじゃうよ、そういう危惧を実は申し上げたわけでございます。
#60
○足立良平君 終わります。
#61
○吉川春子君 私は、不況下の雇用問題、雇用調整助成金について伺います。
 我が党は、九月、十月にかけて埼玉、北九州、広島、神奈川、東京など、全国で不況調査を行いましたけれども、労働者や中小企業者が大変な影響を受けていることがわかりました。
 きょうは、不況下で雇用をどう確保するかという観点から伺います。
 この雇用調整助成金の目的は、さっき大臣もおっしゃられましたが、失業者を出さないための制度だ。特に、中小企業に手厚い制度で、中小企業労働者につき賃金の三分の二の支給、融資ではなくて助成金であることなどが内容となっていますけれども、一九八六年から九一年の雇用調整助成金の支払い実績を見ますと、一千二十五億のうち大企業が八百三十億、実に八一%を受けている。こういう実態を御存じですか。イエス・ノーでいいです。
#62
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用調整助成金は、御指摘のように事業主の方々の雇用維持努力をできるだけ援助するという趣旨で設けられたものでございますが、今お尋ねの一九八六年から一九九一年の支給実績、金額の総額で見ますと御指摘のようなことになります。ただ、件数別に見ますと、例えば昭和六十一年、合計でいきますと一万四千件ばかりの支給対象事業所がございますが、そのうち中小企業は一万二千件、大企業は千九百二十六件、こういうようなこともございます。
 やはり私どもとしましては、別に大企業の支給実績と申しますか、金額が確かに多いということはございますが、対象となる労働者数が多いというようなこともありますし、また賃金ベースが比較的高いというようなこともあるというふうに思っておりまして、特に中小企業を大企業と比較するのはそれほど問題になることはなかろうかというふうにも思っておる次第でございます。
#63
○吉川春子君 ちょっと時間が少ないので、限られた中で、質問したことだけに答えていただきたいんです。
 大企業の中で鉄鋼業に支払われた額は五百九十九億、調整金の五八%である。これはそうですね。
#64
○政府委員(齋藤邦彦君) 金額から申し上げれば、そのとおりでございます。
#65
○吉川春子君 国の莫大なお金がこういう形で支払われているという点から見れば、雇用調整助成金は大企業、なかんずく鉄鋼のためにあるようなものだ、こういうふうに数字からは言えると思います。
 それで、この制度の目的である雇用安定のため、労働省のパンフレットがそう言っているんですが、どう役立っているかということを具体的に聞きますが、この間、鉄鋼の労働者の数がどうなったか、大手五社について言いますと、一九八六年、五社トータルで十六万九千人、新日鉄では六万四千六十人、一九九一年には五社で十一万九千人、新日鉄では三万七千三百八十八人。つまり、五社では五万人、三割労働者の数が減少し、新日鉄では四割減ということになるんじゃありませんか。
#66
○政府委員(齋藤邦彦君) 過去の実績から申し上げますと、鉄鋼業の従業員の推移を見ますと、確かに昭和六十一年から平成三年まで比較いたしますと減少してきております。ただ、雇用調整助成金の役割は……
#67
○吉川春子君 ただはいいです、数字だけで。
#68
○政府委員(齋藤邦彦君) できる限り雇用維持をお願いしたいということでございまして、このような労働者数の減少自身は、それぞれ企業が適当と考えた合理化の結果だろうというふうに思っております。
#69
○吉川春子君 失業者を出さない、解雇者を出さない、そういう目的のために支払われるという雇用調整助成金を受けながら、これだけ三割とか四割とか労働者の数が減らされているということは、この制度の目的にかなった活用とは言えないんじゃないですか。どうです。
#70
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほどからも申し上げておりますが、雇用調整助成金、短期の景気変動に応じてできるだけ雇用を維持していただく、そのための事業主の努力を期待し、それについての助成をいだそうという趣旨でございます。
 したがいまして、ごく鉄鋼業ということについて例を挙げられてまいりましたけれども、鉄鋼業の従業員数が減ってまいりましたのは、新規採用の抑制ですとか別途の事情の手段において恐らく行われてきたんだろうというふうに思っております。そういう意味で、雇用調整助成金がなかりせば数多くのまた失業者という形での離職者が世の中に出てきたんではなかろうかと、若干手前みそかもしれませんけれども、そのように思っている次第でございます。
#71
○吉川春子君 数字が、私が今言ったようなことを証明しているわけです。
 大臣にお伺いいたしますが、膨大な内部留保があるところは雇調金をむやみに受けるというんじゃなくて企業努力が必要だというふうに私は思うんですけれども、今回も指定業種のイの一番に、十二業種の中に鉄鋼業が入っているわけですね。そして新日鉄など大手五社ももう申請しているんではありませんか。しかし、私たちの調査では、これらの企業は五年間に内部留保を大幅にふやしています。すなわち、一九八六年と一九九一年を比べますと、五社では六五・六%もふやしているわけですね。
 大臣も、十一月二十四日の閣議後の記者会見で、今お話がありましたように、企業がバブル時代に出した利益はどうなってしまったかを経営者に説明してもらいたいと、こういう趣旨のことをおっしゃっておられるわけで、こういう企業に対しては自助努力を促して、雇調金の支出については審査を厳しくするべきじゃないかと思いますが、大臣のお考えを伺います。
#72
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私が申し上げましたように、バブル時代に大企業は相当な蓄積をしたんじゃないかということは、これは議論がいろいろございますので、この議論はちょっとわきに置きまして、この雇用調整金の問題について端的に言いますと、今所管局長が申しましたけれども、鉄鋼業に限らず例えば自動車であれ何であれ、大企業が今後合理化を進めていく、それで生産性を上げていくと、そうすると勤労者がだんだん少なくて済むようになってくる。これは極めて自然なプロセスでありますから、そういう形で産業にいる労働者が減ってくるということは、長期化トレンドとして合理化が進めばそれはそういうことじゃないかと思うわけであります。ただ、雇用調整金を施行しておりますのは、さはさりながら当面短期的な景気の変動で失業者がふえるということは何とか抑えて、各企業内でバッファーしていこう、そういうことでございます。
 そう考えていきますと、もちろん中小企業も大事だし、我々は一生懸命やっておりますが、数からいいますと大企業の方が雇用者を解雇される絶対数は大きいということは事実でございますから、大企業だから雇用調整金を出さないということではなしに、大企業であっても雇用調整をしていただくようなバックアップはひとつぜひこの際労働省としては、政府としてはしていきたいと、こういうことでございます。
#73
○吉川春子君 大企業の雇調金の問題についていろいろ過去にも問題がありましたが、きょうは
ちょっと時間の関係でその点は触れませんが、やっぱり厳密に審査して対応していくべきだということを申し上げておきたいと思います。
 それで、具体的な問題に入りますが、例えば大企業では労働者の同意を得ない出向というのが大々的にやられているわけですね。雇調金の支払い条件としては、労働省のパンフレットでもおっしゃっておりますように、必ず同意を得た出向でないとその支払いの対象にならない。そのことをちょっと確認していただきたいと思います。
#74
○政府委員(齋藤邦彦君) 雇用調整助成金を支給するに当たりましての前提要件としまして、労使間でお話し合いがついているということは要件にしております。
#75
○吉川春子君 どういう話し合いがついているということですか。
#76
○政府委員(齋藤邦彦君) 出向の場合の条件でございますが、一つは出向元事業所の労使間の協定がございます。それから、出向労働者の同意を得たものであることというのが二つ目の要件に書かれております。
#77
○吉川春子君 中小企業の雇用調整助成金の活用の促進について伺いますが、私どもの調査によりますと、中小零細企業は制度の存在すら知らないということがわかったわけなんです。
 それで、十二月一日の職安局長の雇用対策についての通達でもこの点をお認めになっていらっしゃるわけですが、人手不足の折、零細企業は熟練の労働者を一度解雇してしまえば、また再び雇用するということが非常に難しいわけなんですね。それで、もちろん解雇される方も困るわけです。しかし、不況のもとで、もう人を雇っておくことが限界に来ている企業も調査して回った中では結構ありました。そういうことを救うためにも、この制度の周知徹底を図るための特別な手だてをとるべきだと思います。
 具体的に、ちょっと時間の関係で全部言いますので、答えていただきたいと思うんですけれども、一つは業者団体の地域、それから大小を問わずに説明会を開いてもらいたい。それから二つ目は、職安の窓口を拡充して相談に乗るとか、そういうのを拡充するためには職員の増員を行うことが必要です。私は、定則という政府の大きな政策、これをやめてもらいたいと基本的には思いますが、とにかく全労働も要求しているように定員増を図ってもらいたいし、当面不況対策要員としてOB職員の活用を検討していただきたい。それから、職安窓口に地域の実情に応じたマニュアルを作成して常置してもらいたい。この通達の中でもちょっと地域の実情に応じてということが書かれています。
 それから、提出書類の簡素化が必要だと思います。これは、新日鉄とか年じゅうもらっているところは直ちに出せるわけです、真っ先に。ところが、そういう人手さえもないようなところはなかなか大変ですので、こういう休業認定書などのマニュアルを窓口に置くということも必要だと思います。それから、申請されたら事務手続を迅速に行って、助成金の支払いをできるだけ早くしてもらいたい。
 こういうようなことをぜひやって、中小零細企業の雇調金の利用の拡大を図っていただきたいと思いますが、大臣いかがでしょう。
#78
○政府委員(齋藤邦彦君) 十月以来、要件を緩和いたしまして対象業種を指定してきたわけでございますが、それぞれ今回指定されました業種、非常に中小企業性が強い業種が多うございます。
 現実に、指定業種の中小企業の割合は大体九割を超えております。そういう意味で、中小企業の経営者の方々に十分利用していただくというのが我々にとっても重大な関心事でございまして、特に今までこういうような制度を確かに先生御指摘のように利用されておらない中小企業主の方は非常に多いだろうというふうに思っております。したがいまして、先生いろいろ具体的な手法を御指摘いただきましたけれども、この助成金の制度の趣旨の徹底ということが一つ重要な問題でございますし、これはあらゆる機会、あらゆる手段を通じて趣旨の周知徹底を図りたいというふうに思います。
 それからまた、実際に安定所に来られまして申請手続をされる場合にも、やはりなかなかふなれな点、確かに御指摘のようにあるだろうというふうに思います。私ども、十分に御相談に乗っていけるようにしなければならないというふうに思っております。懇切かつ丁寧な指導というのをやらなければいけないというふうに思っております。
 ただ、申請書の様式その他につきましては、やはり助成金の公平な支給という面も考えなければいけませんので、ある程度の様式は必要だろうというふうに思いますし、その辺、実際に書くに当たっての中小企業の皆さんに対する懇切丁寧な指導ということでやっていけるのではないか、このように思っております。
#79
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今、職安局長が申し上げましたけれども、雇用調整助成金制度、これを十分に御理解いただいて、趣旨を徹底して、そして大勢の方々、特に中小企業の方々が活用していただけるように、今局長申しましたように、省を挙げて取り組んでまいります。
#80
○吉川春子君 終わります。
#81
○笹野貞子君 ことしの臨時国会の首相の所信表明演説の中にも再三出てまいりましたけれども、日本は生活大国をつくるんだという首相の演説があります。私たち働く者に対して、生活ということは非常に具体的なものを連想させなければいけませんが、生活大国という大国をつけたら一体何を連想するのか、私なんかはちょっと戸惑いました。
 しかし、労働行政に対しましては、近藤労働大臣は非常に積極的にいろんなことをやられるというのは、生活というものを非常に大切に考えている一つのあらわれじゃないかというふうに思いまして、私などはとてもいいことだと拍手喝采をまず送りたいというふうに思っておりますが、さてそこで御質問をさせていただきます。
 と申しますのは、何といってもやっぱり生活を支えるというのは経済的なきちっとした保障がなければいけませんので、働く者にとっては賃金というのは大変重大なことです。しかし、ことしの一時金、そして来年の春闘に向けて、余りにも不景気だ不景気だということで、一時章の交渉などは大変低く抑えられていることは大臣も御存じだというふうに思います。
 そこで、先ほど足立委員の方からも御指摘がありましたように、この一時金と来年の春闘に関しまして、大臣は私たち働く者にとっては心強い発言を次々となさっているのは大変すばらしいことなんです。これに関連いたしまして、私は大臣の御発言は新聞でしか見ることができませんので、まず、先ほどもちょっと御説明がありましたけれども、大臣がつまり春闘に対する一つの国家としての御見識を持って御発言をなされているというそのくだりをもっと具体的にお話をいただきたいのと同時に、永野会長がこのように言っておりますね。近藤発言の早期訂正を求めて早く訂正しろと言ったのに対して、大臣は、それでは意見交換をしたいと果敢に会談を申し入れたのに対して、忙しくて会えないとこう言って、私など第三者から見るとこれは大臣に軍配が上がったような感じがいたしますけれども、その後永野会長は、こういうことは国家権力が介入すべきじゃない、当事者の交渉だという発言をなさっております。あわせて、私は確かに契約自由の原則という大原則はありますけれども、これはやっぱり労働契約という、労働条件というのは国家が介入することによって、つまり不平等を公平に直すという中立性が私は保たれるというふうに思っております。
 そこで、先ほどの大臣の非常に国家的な高い御見識の春闘の御議論と、労使の間の労働行政の中立性という観点からひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#82
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほどもお話を申し上げているわけでありますが、今私たちが取り組むべき最大の課題は、この景気がいかにしたら回復して再び活性化するか、こういうことでございま
す。これができませんと、先ほどこれもお話ししてございますが、雇用調整が進んで雇用調整助成金で何とか支えていますけれども、さらにこれが支え切れなくなって失業が町に出てくる、こういうようなことはぜひ避けたいと、こういうことが私たちが取り組むべき、政府としても取り組むべき最大の課題である。だから、補正予算もぜひひとつ早目に御審議をいただいて、何とか通していただきたいとお願いしているわけでございます。
 ただ、国民総需要を見てまいりますと、国、地方を通ずる政府の公共事業のウエートが七%前後であります。したがって、これを拡大することは非常に大事でありますけれども、これは全体の景気に対する旗振り役という効果もあるわけでありまして、量からいうと限られたものであるということでございまして、結局経済を活性化するためには民間需要をどうしたら活性化するかということでありますが、それはそのうちの八割のうちの二割が民間設備投資で残りが消費であると、こういうことであります。
 そこで、さあ民間設備投資はどうかといいますと、これはバブルの時代に相当な設備投資をやり、まさに我が国の先端産業と言われている自動車とかコンピューターとか半導体とか素材産業の鉄とか、そういったものがもう相当な設備投資をして、これが景気のいわば下降の今度は主役になっているわけでございますから、民間設備投資というのはそうきょうあすに拡大するということは期待できない。そう考えてまいりますと、結局残りは国民総需要の六割を占める民間消費をどうこれから拡大するかということであって、そのことを政府はもちろん先頭に立って考えなければなりません。
 しかし同時に、民間需要を拡大するためのメジャープレーヤーがそれは企業であり、労働組合であり、そしてその他の勤労者ということであります。そういう民間消費を拡大するためのメジャープレーヤーたちがすべては国の責任だよとおっしゃらないで、やはり民間のプレーヤーはプレーヤーでやるべき役割があるんじゃないでしょうかということを私は申し上げたのです。その場合に、いや、今厳しいからすべて抑制だなどというそういうムードが先行しちゃいますと、もうただでさえバブル時代にたんすの中はいっぱいになっている。それから自動車も買った、テレビも買った、コンピューターも買ったという家庭も多いわけでありますから、そういった方々が、厳しいなら何も今買わなくたっていいんだからしばらく待とうかと、こうなってくるとますますもって景気が下降するのじゃないでしょうか。こういうことを実は申し上げたわけでございます。
 ただ、そうはいったって、国が何と言おうが、労働大臣が何と言おうが、賃金というのはまさに企業レベルで、各企業で労使の方々がそれこそ真剣に話し合って毎年お決めになっていることでありますから、それをとやかくする気は全くないわけでございます。そういう点では民間の賃金の決定、ボーナスも含めて、それはもう我々はあくまでも厳正中立てあって、それは経営者の方に旗を振るわけでもなければ、組合の皆さんの方に旗を振っているわけでもない。
 ただ、私が今申し上げたことはもう極めて客観的な事実ですからね。もう国の総需要の八割は民間でありますと、二割は設備投資、六割は民間消費だ、これは客観的事実ですから。そして、この二割の設備投資が急に期待できないとすれば、六割の民間消費がふえなければ来年度の景気は余りよくならないのじゃないでしょうかというのは、これはイデオロギーの左右、内容を問わず、極めて単純な論理でございますから、そのことを申し上げて、そして個々の御判断は個々の御判断でそれぞれの労使がきちっとお考えいただいてお決めいただきたい。しかし、私は国務大臣としてというか、政治家としてマクロの話を申し上げているということでございますから、あくまでも厳正中立てございます。
#83
○笹野貞子君 本来でしたら、きょうは大変忙しいですのでここで質問を打ち切りたいんですけれども、せっかく大臣は大変経済や労働に御造詣が深いわけですから、もう一問、時間内に御質問させていただきます。
 先ほどの大臣の御回答にもありましたように、私たち連合は働く者のゆとり、豊かさというのを標榜しておりまして、そのゆとりの中に安全、安定、安心という要素があるわけで、その安心と安定の中に老後というのがあります。先ほど老人をどこかに預けてという、私は大臣の言葉、ネーミングは別としまして、託老所とでも言ったらいいでしょうか、託児所があるんだから託老所のようにという御発言を聞いたことがあります。その点で大臣は、これからのゆとりの社会でどのような託老所という計画があるのか、お教えいただきたいと思います。
#84
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほどもちょっと申しましたけれども、これから高齢化社会が進んでまいりますと、御老人の方々の介護というのが社会的な大問題でございまして、だれが介護するかということがこれまた非常に大事な問題であるわけであります。
 労働省としては、まさに介護休業なり介護休暇というふうなものを考えながら、御年配の方の身内が、それは息子さんであれ嫁さんであれ介護休業をとるなり、多少バートで、時間はある程度フレックス待遇で介護に当たる、そういうことについて、これは育児休業と違ってケース・バイ・ケース、複雑でありますから、それもひとつ指針を出して御検討いただいて、できれば速やかな法制化まで取り組んでいきたい、こういうことでございます。
 しかし同時に、率直に私申しまして、ある月に参りましたデイケアセンターがあって、そこで御年配の方々が休んでいらっしゃる。これもやっぱり一つの大事なことであって、身内が御年配の方々の介護をすることも大事だけれども、身内なるがゆえに多少お互いわがままになっちゃって、それこそ嫁としゅうとさんの関係なんかがだんだん悪化している面も現実にあるわけですね。だから身内も大事だけれども、すべて身内だというふうに言っていいかどうか。そうなると、むしろ第三者の機関で第三者がまさにそういう御年配の方々の面倒を見る、いわばプロですね、専門の方、昼は託児所じゃないけれどもそういうセンターで御老人を預かっていただいて、そして夕方、帰りにお年寄りを連れて家へ帰ってくる。毎日顔を見ていると、嫌な嫁がなんということを思わないでもない場合があっても、夕方お嫁さんが迎えに来て一緒に家へ帰れば、もううちの嫁はいい嫁だ、こうなっちゃうんですよ。だから、身内で見るということも大事だけれども、これはすべて身内で見ると決めないで、まさに多角的な対応をこれから考えさせていただきたい、こういうことを先生がこの間お話に来られたときにちょっと申し上げたのを私は覚えているわけでございます。
#85
○笹野貞子君 ありがとうございました。
 終わります。
#86
○委員長(田辺哲夫君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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