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1992/12/09 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 商工委員会 第3号
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1992/12/09 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 商工委員会 第3号

#1
第125回国会 商工委員会 第3号
平成四年十二月九日(水曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     村田 誠醇君     西野 康雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         斎藤 文夫君
    理 事
                合馬  敬君
                松尾 官平君
                吉田 達男君
                井上  計君
    委 員
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                前田 勲男君
                松谷蒼一郎君
                吉村剛太郎君
                谷畑  孝君
                西野 康雄君
                峰崎 直樹君
                村田 誠醇君
                藁科 滿治君
                浜四津敏子君
                和田 教美君
                市川 正一君
                古川太三郎君
                小池百合子君
    発  議  者     和田 教美君
   国務大臣
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
   政府委員
       公正取引委員会  小粥 正巳君
       委員長
       公正取引委員会  地頭所五男君
       事務局長
       公正取引委員会
       事務局官房審議  塩田 薫範君
       官
       公正取引委員会  矢部丈太郎君
       事務局経済部長
       公正取引委員会  植松  勲君
       事務局取引部長
       公正取引委員会  糸田 省吾君
       事務局審査部長
       法務大臣官房審  山本 和昭君
       議官
       中小企業庁次長  土居 征夫君
   事務局側
       常任委員会専門  小野 博行君
       員
   説明員
       社会部保険庁総務 池田  登君
       部経理課長
       建設省建設経済  風岡 典之君
       局建設業課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(第百二十三回国会
 内閣提出、第百二十五回国会衆議院送付)
○高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する
 法律案(和田教美君外二名発議)
○「不況」打開のための中小業者対策に関する請
 願(第一九四号外二二件)
○商店街の活性化に関する請願(第八三一号外二
 件)
○古紙回収業界の存続とリサイクル社会実現のだ
 めの「古紙リサイクル基金制度」等の確立に関
 する請願(第八五一号外一件)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○藁科滿治君 おはようございます。私、初めての発言の機会でございまして、多少緊張しておりますが、よろしくお願いいたします。
 私は、本件につきまして若干の意見を提起しながら幾つかの御質問をさせていただきます。
 率直に申し上げまして、今日まで公正取引委員会は、国民、格別一般消費者の側から見た場合、必ずしも信頼されその負託に十分こたえ得る存在とは言えなかった、私はそのように考えております。しかし今、公取委は内外情勢変化の中で改めて注目を集めております。言うまでもなく、その情勢変化の一つは日米構造協議に象徴される国際摩擦圧力であり、もう一つは国内における経済力と生活実感とのギャップからくる不信感であります。そのような情勢の中での公正取引委員会の今後の動向に私は期待を寄せながら、以下数項目の御質問をいたします。
 まず最初に、昨日来熱心な討議が行われておりますが、違法行為に対する抑止力の向上について御質問いたします。
 これまで我が国の場合、独禁法違反行為に対しては寛容さが目立つように思います。刑事告発されることは非常にまれであったように思います。しかし今、内外の情勢はそれを許さない状況となっているわけでありますが、この改正案をもって違法行為に対する抑止力はどのように変わっていくのかまずこのことについて公取委員長から御答弁をいただきたいと思います。
#4
○政府委員(小粥正巳君) ただいま藁科委員から御指摘をいただきましたように、内外の諸情勢の変化を背景といたしまして、独占禁止法遵守の重要性、この法律の運用、執行に当たる公正取引委員会の役割が極めて注目されているところでございまして、私どもも任務の遂行に当たりまして御指摘の点は強く心に銘じて仕事をしているつもりでございます。
 そこで、今のお尋ねでございますけれども、今回お願いをしてございます政府提案の独禁法改正、内容は御案内のとおり、制裁としての刑事罰の罰金刑の大幅引き上げでございます。これは現行の個人行為者との連動規定による五百万円という罰金額の上限を、その連動を切り離しまして二十倍の一億円にするという大幅な引き上げを内容としているわけでございます。
 あわせまして、我が国独禁法の特色でもございますが、独占禁止法違反行為に対する課徴金制度が併置されているところは御案内のとおりでございます。この課徴金の性格は、再三申し上げておりますけれども、カルテルによる企業の不当に得た利益を徴求する、こういう性格のものでありますけれども、企業に対して金銭的不利益、負担を課するという意味では制裁としての刑事罰と性格は異なるものではありますけれども、企業にとって負担であることは当然でございます。
 この課徴金制度につきましては、御高承のように昨年法律改正をお願いいたしまして、この課徴金の算定率を原則四倍という、これも大変大幅な引き上げをお認めいただいたばかりでございます。したがいまして、ことしこの政府案を国会で御成立を認めていただければ、刑事罰の大幅な引き上げ、それから昨年行ったばかりの課徴金の大幅な引き上げ、両々相まちまして総合的な抑止力という観点からは格段にその強化が行われるものと考えているわけでございます。
 この独占禁止法違反行為に対しましては、先進国を初めこの独占禁止法制を有しております諸外国では、それぞれの国の特有な制度によりましてこれに対して制裁を加える制度を持っておりますけれども、我が国のように制裁としての刑事罰と、それからカルテルによる不当な利得を徴収するという性格を持つ課徴金、これを併置しているという制度は恐らく我が国だけの特有な制度であろうかと思います。その意味ではやはりこの両者が相まちまして総合的な抑止力、しかも昨年、ことしと引き続きましてその大幅な引き上げを図っているというところに、申し上げました格段の強化という内容が込められているわけでございます。
 その点は、これは定量的な御説明はなかなか難しゅうございますけれども、我が国の現状あるいは諸外国の法制との比較等を考えましても大変大幅な引き上げであり、このことがもし独占禁止法違反行為を行えば極めて厳しい負担、制裁を受けざるを得ない企業に対して大変感銘力と申しますか、違法行為を思いとどまらせるような抑止力、これは非常に強まるものと私ども考えているわけでございます。
#5
○藁科滿治君 あわせて重要なことは、公正取引委員会自体の執行力の活性化、こういうことが非常に重要であるというように考えておりますが、その機能強化に向けての決意について、後ほど私が具体的な問題でさらに委員長に伺いたいと思っております。
 せっかく加藤官房長官お見えになっておりますので、私は内外の環境変化の中で公取委の使命、役割というのは非常に重くなっていると思っておりますが、ここでは特に体制強化の一環として要員強化、これからどのように考えていくのか、それは量的な問題だけではなく決断あるいは勇気、行動力というような問題を含めまして私は強力な体制強化が必要ではないかというように思っておりますが、そういう面についてのお考えがあれば、ぜひ伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(加藤紘一君) 従来から公正取引委員会は、公正な経済活動のためにしっかりとした運営をやってきたと思っておりますが、最近に至って日本の公正取引委員会はある意味では世界を意識した公正取引委員会にならなきゃならなくなってきたというような情勢に来たのではないかと思っております。
 日本のGNPがこれだけ大きくなって、特に日米のGNPを足しますと四割というようなところになりますと、この日米の経済関係、そしてそれからくるいろいろな摩擦を考えるときも、日本の市場それから経済活動がいかに公正であるかということは、単に日本だけではなく、単に日米だけではなく、アジア諸国もヨーロッパ諸国も含めて経済活動を一生懸命やっておる諸国の非常に強い関心事になってきたと思います。ある意味で監視のもとに置かれるようになってきたと思います。
 その意味で、今藁科委員御指摘のように、公正取引委員会の活動が従来にも増して国際的な視野を持ち、なおかつ決断力を持たなければならない時期になってきたということは、御指摘のとおりだと思います。その点を公正取引委員会の現場では十分自覚して仕事をしていってくれるものと期待いたしております。
#7
○藁科滿治君 次に、具体的なことで御質問をいたします。
 昨日来、罰金上限一億円をめぐってあるいは数億円をめぐって、かなり踏み込んだ論議がございました。昨日は、参考人の両先生のお話も聞かしていただきました。
 私は、参考人両先生の御意見を聞き、改めて罰金の上限を数億円、我が党が提案の五億円にすることの方がより説得力があるんではないかということをかみしめながら実は話を聞いておりました。
 この改正案の、旧来の制度、仕組みから脱却していこうという、その意欲と方向性については我々も十分理解をしております。また、参考人が指摘されたように、今回の改正は画期的なものであるという、そういう意義もわかります。しかし、今この法改正をめぐって留意すべきチェックポイントが三つあると私は考えております。
 その第一は、内外の期待とニーズにこたえる内容かどうかということであります。今政治資金規正法をここで引用するまでもなく、法律や制度の制度疲労ということが厳しく問われております。この改正をめぐっては、何はともあれ私は一般の消費者の立場に立ってこの改正が適当かどうかということが第一のポイントではないかというふうに考えております。
 それから第二は、この改正がこの先、来年、再来年じゃなくてある面で中長期的に有効な作用を及ぼすかどうかということだろうと思います。特に、我が国の今の改定は他の国よりもテンポがおくれているわけでありますから、それよりはこの先を見ていかなきゃいかぬいう意味で、私はその面の着眼というものは非常に重要な視点ではないかというふうに考えております。
 それから第三は、まさに国際化時代、国際的な尺度で見た場合にどうか。これはもう論議の余地はないと私は思っているわけでございまして、この法案の改正は過去に比べて画期的かよりも、今私が申し上げたような観点こそ重要ではないか、このように考えているわけでございまして、そういう私の主張も含めてこの上限一億円というものについて再度御答弁をいただきたいと思います。
#8
○政府委員(小粥正巳君) ただいま藁科委員から御指摘をいただきましたように、独占禁止法違反行為、特にその中でも競争秩序に対する侵害の程度が極めて大きいと考えられる法八十九条に違反する罪に対する刑事罰の引き上げでございますが、この引き上げがただいま御指摘のように、一つは消費者の利益につながるということ、それから中長期的な視点から行われているか、そして三番目に国際的な尺度から見てその批判にたえられるか、この三点の御指摘をいただきましたけれども、私どもも私どもなりにただいま御指摘いただきました三点について十分に考慮いたしまして、これにたえ得るものと、このように考えているわけでございます。
 お尋ねのこの刑事罰研究会の報告書、これは今回の改正案のいわばベースに、あるいはその基本的な方針を示されたものとして私ども大変大事に考えているわけでございますが、大幅な引き上げの基本的方向を示していただいた、そしてその具体的な結論として数億円の水準というお示しをいただいたことは、ただいま藁科委員がおっしゃられたとおりでございます。
 それで、私どもこの報告書の基本的な方向を踏まえて大幅な引き上げをという前提で政府部内で法案の取りまとめ作業にかかったわけでございますけれども、申すまでもなく独占禁止法は経済社会の基本的なルールを定めた法律でございます。したがいまして、この法律の内容を、しかもその重要な内容を大きく変更するという改正につきましては、当然のことながら経済秩序あるいは企業行動を規制する基本法であります独占禁止法の対象である経済社会あるいはそれを構成する企業、そして業界によりましてはそれぞれ監督の所管官庁もございます、広い意味でのこれら関係者にも今回の重要な改正の内容、趣旨を十分に理解していただき、そしてこれは端的に違反を行った企業に厳しい負担あるいは制裁を科する内容でございますから、企業にとって結構であるという反応をなかなか得られる代物ではございませんけれども、先ほども委員からも御指摘がありました現在の我が国経済が置かれている国際的な状況を踏まえましても、今回のような改正が避けて通れない、制裁を受ける立場にあります企業側としても少なくともやむを得ないという、その程度の理解は最小限必要である。そのようなことで、政府案として改正案をまとめます調整過程でいろいろな議論を重ね、あるいは関係方面の意見を十分伺ってきたわけでございます。
 やはりこの改正が何といいましても現行の制度に比べて大変大きな改正であるということ、何度も申し上げましたけれども、特にこの違反企業と、その違反を直接行った行為者個人それぞれについての刑罰はいわゆる連動規定によって運動しております。これは我が国の企業刑事法制におきまして、恐らく昭和の初期から六十年以上にわたって定着してきた行為者個人と事業者等の処罰規定の連動制を打ち破りまして、それを切り離して事業主についてのみ個人と区別をして、切り離して罰金額の上限を大幅に引き上げるという、こういう内容でございます。
 その意味では新たな制度を導入するということになりますから、その引き上げの大幅であるということだけではなくて、企業刑事に関する法制の枠組みを基本的に変えるという意味で大変大きな改正だということでございます。その点については、やはり先ほど申し上げました最小限の理解を得ることがどうしても必要であると考えたわけでございます。
 それから、最初の御質問にお答えしましたように、我が国にはカルテル行為を行った企業に対して、そのカルテルによって不法に得られた利得を徴収するという課徴金の制度があるということを申し上げました。この課徴金の算定率を原則四倍という、これも大変大幅な引き上げでございますが、それを昨年国会でお認めいただいたばかりでございます。いわばその直後の今度は刑事罰の大幅引き上げ、こういう事情がございます。
 それから、もう一つつけ加えさせていただきますれば、今回の罰金額の引き上げはもとより上限の引き上げでございます。したがいまして、具体的に違法行為を行った企業に対してどのような刑事罰を求めるかということにつきましては、それぞれ検察庁の起訴、そして最終的には裁判所の量刑の段階におきまして、この引き上げが認められたといたしましても、その上限の範囲内で求刑ないしは量刑が個別の事情に応じて検討されることは申すまでもございませんけれども、やはり我が国企業の中で、数から申しますと大部分を占める中小企業の方々にとりますと、罰金額の大幅な引き上げというのは非常に過酷な罰金が科せられはしないかという不安をお持ちの向きが多く見られる、この点も事実でございますし、その点についても政府案を詰めていきます場合に、やはり考慮すべき事情であると考えたわけでございます。
 このような事情を総合的に考慮いたしまして、現状において社会の大方の理解を得られるいわばぎりぎりの線といたしまして、政府案として一億円という水準を決定いたしまして御審議をいただいている、このような事情でございます。
 したがいまして、昨日、研究会の構成メンバーである参考人のお二人の学者の方から御意見もお聞きいただけたと存じます。私どももその研究会の御報告の結論が数億円ということはもちろん十分意識をしておりましたから、今申し上げましたような事情も含めまして政府案を決定いたします最終段階におきまして、この刑事罰研究会に、このような事情、背景のもとに数億円という報告をいただきましたけれども、政府案としてはぎりぎりの水準として一億円でまとめさせていただきますと、御了承をいただけますでしょうかということを実はお諮りをいたしました。
 これに対しまして、研究会のお考えとしては、これは数億円でないことは端的に申しまして必ずしも満足ではないけれども、しかし何よりも連動規定を切り離して大幅な罰金刑の引き上げを図るということがどうしても急がれる喫緊の急務である、したがって政府案取りまとめの状況がそのようなことであれば、現状において大方の理解を得るために一億円という水準がぎりぎりであるということであればそれはやむを得ないであろう、そのような御了承も最終的にはいただけたわけでございます。
 少し長くなって恐縮でございますけれども、そのようなことで一億円ということで政府案を提出させていただきました。
 しかしこの点は、先ほど三つの視点、消費者の利益、中長期的な観点、それから国際的な尺度、この三点から今回の内容、そして再三申し上げております課徴金の昨年の大幅引き上げとあわせて、総合的な判断といたしまして独占禁止法違反行為に対する抑止力がこれによって格段に高まるものと思っておりますし、それから先ほど官房長官からもお答えをいただきましたように、単に制度の枠組みだけを充実させたということではなくて、執行に当たります私ども公正取引委員会、これは機構、定員の最近の充実ということももちろん含めてでございますけれども、何よりも私どもの法運営の基本的な方針が今、藁科委員からも御指摘をいただきましたように、内外の最近の情勢を踏まえ、独占禁止法遵守というこのことが我が国の政府の政策といたしましても非常に優先順位の高い重要な政策になっているということを十分に認識して、法の運用、執行に当たっているつもりでございます。その点は何とぞ御理解をいただきたいと思います。
#9
○藁科滿治君 次に、水道メーターの談合疑惑事件について質問いたします。
 十二月六日、七日の新聞等で水道メーター疑惑について一斉に報道されております。つきましては、この疑惑の内容と対策、展望について質問をいたします。また、報道の解説によりますと、入札の形式自体にも問題ありというようなことが言われております。これらの問題について、公正取引委員会としてはどのような分析をされておるか、ちょっとあとの質問もありますので簡潔にお願いをいたします。
#10
○政府委員(糸田省吾君) ただいまお尋ねの、水道メーターの製造業者が、地方自治体が水道メーターを発注する際にいわゆる入札談合を行っていたのではないか、そういう疑いで現在公正取引委員会において調査を行っている段階でございます。この調査の方はほとんど大詰めでございまして、間もなく結論が出る段階でございますが、ただ何分にも結論が出ていないこの段階で調査の詳細についてお答えすることは何とぞ差し控えさせていただきたいと存じますが、近々結論を出す予定でございます。
 それから、今委員御指摘の、例えば入札方式の問題もございますが、これは本件に限った話じゃなくて一般論で申し上げさせていただきますけれども、私ども、こういう競争入札において例えば談合行為が行われた、それが独占禁止法に違反するものであるということで措置をとると、そういった場合にはその措置とあわせまして、そういう入札を行っておりました発注官庁に対しまして今回こういったような違反の事実が認められたということを絶えず御連絡しているところであります。それで発注官庁の方は、恐らく私どもから申し上げた御連絡を受けて、今後そういう談合行為が行われることのないよう十分な配慮が行われるものというように考えているところでございます。
#11
○藁科滿治君 次に、再販売価格問題について質問いたします。
 消費者の立場からいえば、こういった制度は禁止されるべきであるというふうに判断をしておりますけれども、現在その適用除外となっている指定販売品目、一般医薬品であるとか大衆化粧品、CD、レコードなど、こういった品目の見直しがなぜ進まないのかということについて御質問いたします。
#12
○政府委員(小粥正巳君) ただいま御質問いただきました再販適用除外制度でございますが、この点は御案内のように、最近見直しの方針を発表いたしまして、私どもとしましてはかなり思い切った見直しを行いつつあるところでございます。
 申すまでもなく、消費者の利益にもつながる政策でございますし、公正自由な競争を促進するという見地から再販指定商品、これは現行制度として存在するわけでございますけれども、できるだけこれを縮小していくという方向で見直しを行うべきと私ども考えまして、その見直し作業に取りかかってきているところでございます。ただ、再販適用除外制度にいわばかなり長い間なれてきた関係業界、特に対象品目が御案内のように比較的価格の低い化粧品、それとかなり一般になじみの深い医薬品と、こういう種類の商品でございますから、これを取り扱っておられる小売業者の方が非常に数が多いわけでございます。この小売段階の流通秩序に、これを一挙に取り消すということになりますと、率直に申しまして不測の混乱を招くおそれもあろうかと考えました。したがいまして、私どもが現在行ってきておりますこの再販指定の見直しにつきまして、いわば段階的に自由化を図っていく、こういう方向を打ち出したわけでございます。
 そこで具体的には、一つはメーカー段階における寡占の程度が極めて高く、かつ再販契約の対象となっております商品の出荷額の割合が高い品目につきまして、これは指定で認められてきておりますけれども、率直に申しまして独禁法の見地からすれば弊害が大きいではないかということ。それから、もう一つの部類といたしましては、再販契約の対象となっております商品の出荷額が比較的小さいものであれば、今度は先ほど申し上げました指定取り消しの影響も軽微であろう。この両面から取り消しの対象をチェックしてまいりまして、これらの条件に該当する品目、具体的には詳細にわたりますので省略をいたしますけれども指定を取り消しまして、具体的には平成五年の四月一日から実施することにいたしました。
 では、どの程度取り消すことにしたのかということでございますが、平成二年度のメーカー出荷額ベースで見ますと、これまで指定の対象となっておりました化粧品につきましては量的に約四割、一般用医薬品につきましては七割、合わせましても半分以上の指定対象商品がその指定を取り消されることになるわけでございます。また、これを品目数で見ましても、大体現在指定されておりますものの半分はこれで取り消される。今申しましたように、来年の四月一日からこれが実施される。
 ただし、一般用医薬品のうち混合ビタミン剤と二種類のものにつきましては、先ほど申しました特に中小零細な小売店に対する影響をやや段階的に緩和する必要も大きいと考えまして、この点は一年半ばかり延ばしまして平成六年末まで認める、これで完全に取り消す、そういうことでございます。
 しかし、品目数でも約半分と今申し上げたわけでありますが、残っておりますものが約半分あるということになります。この点につきましては、今回の再販指定商品の縮小をいたしましてその後の状況がどうか、あるいは流通実態がどのように変わってくるかこの辺を勘案しながら平成十年中に見直しを行う、そういう方針を既に明らかにしているところでございます。この平成十年中の見直しは、私どもといたしましては、先ほど自由化を段階的に進めると申し上げましたが、自由化を進め縮小していく、そういう方向で見直しを当然行ってまいりたいと考えております。
#13
○藁科滿治君 次に、いわゆる系列取引について質問いたします。
 今、諸外国から下請系列取引について大変注目を集めているわけでありますけれども、例えば八九年からの日米構造協議において日本の系列問題が大きな構造障壁として取り上げられました。アメリカの議会でもいわゆる系列問題というものが大変浮上しております。
 そこで、日米構造協議の中では日本側の二つの対応策について提案されておりますが、一つは簡単に言って公正な監視を強化する、二つ目は二年ごとに系列グループに関する調査を行うということだったと思うんですが、その調査と独禁法の適用実態について、報告できれば簡単に報告をしていただきたいと思います。
#14
○政府委員(矢部丈太郎君) 日本の系列問題につきましては、日米構造協議で大きな問題になったということは今委員御指摘のとおりでございまして、その中で公正取引委員会の取り組みとして二つの点が取り上げられているわけでございます。一つは系列内における事業者間の取引を監視するということと、それからもう一つは系列の実態を明らかにしてその調査結果を公表するという二点でございます。
 まず、その調査につきましては、日本の企業の間でのいろいろな取引の慣行につきまして、継続的な取引であるとか、あるいは取引先を選定するに当たってどういう基準で把握しているかというようなことを中心にいたしまして調査しております。
 それで、これは昨年でございますけれども、四業種ほど取り上げまして、これは家庭用電気製品、造船業、合成繊維、それから都市ガスでございますけれども、その調査結果を昨年六月に公表しております。この調査におきましては、調査対象のほとんどの取引関係を見ますと、五年以上にわたって継続的な取引が行われているという実態がございます。
 ただ、なぜそういう継続的な取引が行われているかということでございますけれども、やはり日本の企業は価格、品質ということだけでなく、デリバリーですとか供給の安定ということを重視しているためにこういう継続的な取引が行われているということで、むしろ取引先企業全体としての能力なども勘案いたしますとそれなりの理由があるわけでございます。
 それから、もう一つは、取引先との間で株式を持ち合っているという関係もあるわけでございますが、この点につきましては株式所有比率というのはほとんど一%未満であって、それほど影響はしていない。ただ、もちろん、その株式所有を背景にいたしまして、取引の開始や拡大を求めるとかあるいは株式を持っているかいないかでその取引条件に差をつけるとか、あるいは株式所有がない事業者の取引の機会を妨げる、こういう問題があれば独禁法上の問題になるわけでございますが、これまでの調査ではこういう事実は認められておりませんで、特に独禁法上問題になる事項ということは認められておりませんでした。
 それからもう一つ、事業者間の取引の監視の点でございますが、これにつきましては系列取引を背景とする事業者間取引が公正な競争あるいは透明性を阻害することのないように、昨年七月、独禁法のガイドラインというのを示しまして、この中で事業者間の取引についてどういう行為が独禁法違反になるのかということを明らかにいたしまして、この指針に基づきまして事業者間取引における独禁法違反行為の未然防止に努め、さらに独禁法の厳正な運用を図っていく、こういうことで事業者間の取引の監視を進めているところでございます。
#15
○藁科滿治君 内外価格差の問題について御質問いたします。
 日本の消費者は輸入品の自由な流入を妨げる構造的な壁によって不利益をこうむっているんだ、この発言は、九一年五月二十日、日米構造協議のフォローアップ会議の直後に行われた記者会見でのアメリカの代表の発言であります。
 しかも、その論議は日米の共同調査による内外価格差調査結果に基づくものでありまして、我々も重大な関心を持っているわけでございますが、その調査によりますと、日本の価格は米国に比べ平均で三七%高、酒類では六七・一、食品では四六・六というほどに高いわけでございます。
 日本政府はこれを受けて、豊かな国民生活の実現の観点からこういう状況は望ましくない、こういう見解を表明しながら規制緩和と独禁法の運用強化を打ち出しました。
 その後、当委員会の御努力もあって独禁法ガイドラインというようなものが打ち出されて今実際に入っているわけでありますが、内外価格差は一向改善されてない、私はそういうふうに思うわけでございます。また、時あたかもクリントン政権が誕生するわけでございまして、この問題は内、外両面から大変重大な問題として再浮上しつつある、このように思っているわけでございます。
 官房長官、もしか今の問題について何かお考えがあれば短い時間でも結構ですから一言、もしか時間がなければ委員長の方から言ってください。
#16
○政府委員(小粥正巳君) 内外価格差について御指摘をいただきました。確かに、内外価格差につきましては既に政府による調査も行われておりますが、いずれにしましても内外価格差の存在は、御指摘のとおり私どももこの問題は十分に意識をしております。
 そして、なぜこの内外価格差が発生をするかという要因といたしましては、私ども考えますのに、やはりいろいろな意味の公的な規制、それから流通機構が零細で大変段階が多いということ、この問題もあろうかと思います。それから、各種の取引慣行、さらには地価等のコスト上の要因。また、あえてつけ加えますと、我が国の消費者の購買態度、購買行動、このようなものもいろいろ原因があろうかと思います。しかし、少なくとも公正取引委員会といたしまして、内外価格差が生ずる背景にもし公正かつ自由な競争を妨げる何かの要因があるということであれば、当然のことながらそれを排除することが競争政策上大変重要であると考えております。
 実は、御案内の、政府が本年策定いたしました生活大国五カ年計画の中でもこの内外価格差問題に触れまして、特に流通についての規制緩和、そして独禁法の厳正な運用による競争条件の整備、こういうものをその一項目として掲げているところでもございます。さらに具体的には、価格についてのカルテル、それから先ほどお尋ねのございました再販売価格の維持行為、あるいは並行輸入の不当阻害等、これはいずれも端的な独禁法違反行為でございます。
 そこで、私どもこれに対して従来から厳正に対処をしているところでございますけれども、この違反行為に対する抑止力を高めるために、今回の刑事罰引き上げもこの抑止力を高める一環でございますが、先ほどお尋ねもございました審査体制の強化、あるいは既に行われました課徴金の引き上げ、さらに消費者サイドからの損害賠償請求制度、この活用等、およそ独禁法に関する考えられるあらゆる措置を動員していかなければならない、こんなふうに考えているところでございます。そのようなことで、公正取引委員会としては本来の自由かつ公正な競争を促進する、それを阻害する行為に対して厳しく対応する、このことが端的にこの内外価格差要因というものを取り除いていく、そういうことであろうと理解をしております。
#17
○藁科滿治君 いずれにしましても、この内外価格差の問題は今までかけ声先行でなかなか実効が上がらない。私も経済審議会で八年ほどこの問題に参加いたしまして、私の記憶では、八八年から政府は「世界とともに生きる日本」ということで、その他重要項目幾つかありますけれども、一つの重要項目として提起してその圧縮に努力をしてきたはずなんですが、なかなか効果が上がらない。ぜひ、今答弁がありましたけれども、実効を上げるように最善の努力を改めて要請したい、このように思っております。
 時間が迫ってまいりましたので、私は最後に公正取引委員会の体制強化に向けて個々に質問したかったんですが、時間の関係で総括的に御質問し、具体的に三つの点に触れたいと思っておりますから、ぜひ御答弁をいただきたいと思っております。
 既に触れてまいりましたように、客観情勢、内外の情勢は公取委の占める役割というものをますます重くしている、このように考えております。加えて、本臨時国会の冒頭における総理の所信表明におきましても生活大国ということが強調されてきたわけであります。
 そして、さらに加えて、最近、社会経済国民会議が実施いたしました企業行動調査によりますと、九三年の、ということは来年のということでありますが、日本の企業の経営課題は何かという設問に対しまして、後ほどゆっくり資料を御参照いただきたいと思うんですが、環境問題への対応五二・五%、これをトップに国際化への取り組み三八・九、企業倫理の確立三三・四、貿易摩擦への対応二七・四、社会的責任の具体化二四・九というように、今までの状況に比べますと国内外に対する企業責任といった理念が高揚しつつある、大変結構なことだと私は判断をしております。こういうような事情からいえば、繰り返し指摘しておりますように、公正取引委員会の活動を推進する客観的情勢はまさに成熟しているというふうに考えているわけでございます。
 しかし一方で、埼玉談合や先ほど指摘いたしました水道メーター談合の疑惑発生など、国民の目からすれば依然として日本の商取引に対する疑念が非常に強い、こういうふうに考えるわけでありまして、そこで法の改正は一方で極めて重要ですが、もう一方でやはり取引委員会の体制強化ということが改めて求められているのではないかというふうに考えております。
 そこで、冒頭の御質問に関連して幾つかの答弁はいただいておりますが、最近の状況では審決件数も非常に少数にとどまっている。多いのがいいという意味ではありません。違反行為に対する審決も必ずしも迅速とは言えない。こういうような状況で、要員の増加と委員会の活性化、執行力の強化について、先ほど答弁は一応伺っておりますが、新委員長の意欲も含めて何か大胆な改革を進めたいというような発想、アイデアがあればぜひ伺いたいというのが第一です。
 それから第二は、消費者の不信不満などの声を反映させる制度機能の強化について。ちょっと古くなりますが、日本弁護士連合会の意見書の中では、独占禁止懇話会の構成について余りにも消費者の代表が少ないんではないかと。私もこの連合会の顧問を四年やっておりまして、そういう討論に参加した記憶がございます。その後どういう状況になっているのか改善されていると思いますけれども、ぜひ報告をいただきたいと思っております。
 それから三つ目の質問は、情報システムの確立について。圧倒的な情報を持っている事業者、経営者というような状況に対しまして、一般消費者に対する情報サービスの提供というのは非常に質、量ともにおくれている、このように私は判断しているわけでございます。その面から消費者へのサービス提供という面、それから加えて公取委の使命、役割が非常に重くなっているわけでありますから、公取委の主体的な活動展開の面からも迅速かつ的確な情報をつかむということが非常に重要になっていると思うんですが、そういう面からどのような考え方をお持ちになっているかぜひ伺いたい、このように思っております。
#18
○政府委員(小粥正巳君) 具体的に三つの点についてお尋ねがございました。
 最初のお尋ねは、現在のように独禁法遵守意識が日本の企業社会にも醸成をされてきた、消費者の期待が特に高まってきた。その中で独禁法の執行運用に当たる公正取引委員会が単にこの法制度の改革だけではなくて、委員会の体制自体の強化充実、それにどのような意を用いているかこういうお尋ねと承ったわけでございます。
 先ほど来申し上げております課徴金あるいは今回お願いしております刑事罰の引き上げというのは、もとよりこの制度面での画期的な強化と抑止力の向上につながっているわけでございますけれども、これを運用いたします主体は私ども公正取引委員会、これを構成している事務局の人員でございます。現在、実は総数四百八十四人という、これは中央官庁といたしますとむしろ大変小規模であるかもしれませんが、私ども限られた陣容で精いっぱい充実した仕事に取り組んでいる、意欲に燃えているわけでございます。
 今四百八十四人と申し上げましたが、実は国家公務員の定員につきましては特に厳しい定員の抑制が行われていることは御案内のとおりでございますけれども、公正取引委員会につきましては、特に近年公正取引委員会の役割についての内外の要請の高まりを格別に関係方面に御理解をいただきまして、例えば平成元年から平成三年度の三年間に公取の中でも特に違反行為の審査に当たる審査部門の人員につきましてはほぼ四割増という、これは他の官庁の最近の例を見ましても大変例外的な人員増を実は認めていただいております。
 人員増だけではございません。審査部門の機構の充実もあわせまして、これは格段に実は配慮をしていただいているところでありまして、私どもこの近年の人員、機構の拡充ということ、これが私どもの仕事に対する期待の大きさでもあり、またそれだけに私ども余計心してこの与えられた機構、人員の中で精いっぱいの努力をいたさなければいけないという思いを新たにしているわけでございます。
 なお、平成五年度予算も間もなくその編成が行われる時期でございますけれども、私ども来年度につきましても引き続き審査部門の充実を中心にさらに一層の拡充を要求しているところでございます。
 それから、二つ目のお尋ねは、独禁懇話会についてのお尋ねでございます。この独占禁止懇話会は実はかなり設置は古うございまして、昭和四十三年からございます。ただ、これは通常官庁にある問題について諮問をしてお答えをいただく諮問機関の例がございますけれども、これはその諮問機関ではございませんで、有識者の御意見を求め、意見交換を行う場でございまして、いわば私的懇談会と申す性格のものでございます。しかし、私どもの独占禁止法の運用あるいは立法問題も含めまして広くこの懇話会にいろいろ自由に御議論していただきまして、大変有益な御意見をいただいているわけでございます。
 そこで、この独占禁止法懇話会のメンバーが、今の御指摘は消費者代表の人数が少ないのではないか、こういう御指摘でございます。実は、ちょうど本年四月にこの懇話会のメンバーの方々を一部改選させていただきました。それで実は、消費者代表と目されるメンバーの方はそれまで全体の中でお二人でございましたが、この四月の改選のときに一人ふやしていただきまして、お二人から三人にこの消費者代表をふやしてお願いをいたしました。全体では実は三十三人のメンバーの方がいらっしゃいまして、会長は館龍一郎東京大学名誉教授でございます。メンバーの中には学者の方、それからエコノミスト、評論家の方あるいは言論界の方がそのシェアとしては大変大きな割合を占めておりまして、もちろん産業界の方もいらっしゃいますけれども、消費者代表の方につきましては、先ほどの委員の御指摘と一般的に消費者の声をより反映するようにという御意見も十分念頭に置きまして、そのように対応させていただいたところでございます。
 それから、三番目のお尋ねは情報の問題、特に公取の仕事の中で消費者に対するサービス機能、これをもっと充実させるべきだ、こういう御指摘でございまして、その点も私ども公取の仕事というのは最終的には消費者の利益につながるものという認識を持っておりますので、消費者に対するサービスの提供ということにはそれなりに意を用いているつもりでございます。特に、私ども心しておりますのは、消費者の方からの広い意味の公正取引委員会への申告と申しておりますけれども、消費者の方からの情報の提供に対して非常に私どもこれを大事に、しかもフィードバックを十分に行うように心がけております。
 したがいまして、本日もお尋ねの中にいろいろと独占禁止法違反行為に対する審査なり、あるいは私どもの対応のあり方について御指摘もいただきましたけれども、違反行為を私どもが知り得る端緒、これも実は消費者の方からの例えば電話なりあるいはお手紙なり、あるいは直接役所をお訪ねいただきましての口頭でのお話等、そういう一般消費者の方からの申告が手がかり、端緒になることがいろいろございます。私どもは、このような申告がどのような形であれ、それを大変大事に受けとめまして、またそれに対するフィードバックも非常に心がけているつもりでございます。
 それからまた、もう時間もございませんのであとは簡潔にさせていただきますけれども、独占禁止法というものは大変実はわかりにくい法律ということをよく御指摘を受けます。その意味もありまして、消費者にとってできるだけわかりやすい制度、法律内容の解説なり、あるいは先ほども御答弁申し上げましたけれども、独占禁止法がどういう場合にどんな考え方で適用されているかということをなるべくわかりやすく示すためのガイドラインのようなものを、これをできるだけ独占禁止法の運用、適用に関しましてガイドラインという形で取りまとめ公表していく、そういう努力も近年特に心しているところでございます。しかし、まだまだ十分ではない面がいろいろあろうかと思いますので、よく御指摘を踏まえて対応させていただきます。
#19
○藁科滿治君 いずれにいたしましても、内外の公正取引委員会に対する期待は非常に高まっておりますので、ぜひ勇気を持って前向きに活動を展開されますように要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#20
○村田誠醇君 官房長官が公用でお帰りだということなんで、官房長官にかわって副長官なりどなたかがお答えいただけるのかと思うんですけれども、どなたか来ておられるんでしょうか。
#21
○委員長(斎藤文夫君) 先ほども理事会で御了解をいただいておりますが、御本人が十一時半にはこの席にお戻りになりますので、御質問に御協力をいただきたいと思います。
#22
○村田誠醇君 だから、それは了解しておりますが、官房長官が出れないときには官房副長官が出るという原則だということ、私どもが九月の決算委員会の理事会で官房副長官の出席を要求したときの官房側からの返事でございました。このことをきょう聞こうと思っておりましたので、官房長官が御出席いただけないのであれば、私は公務があるからそれをサボって出てこいとは言いませんが、かわって副長官が当然おいでになるものだと思って質問の準備をしてきたんですけれども、官房の方はどなたもいらっしゃらないのですか。
#23
○委員長(斎藤文夫君) はい。
#24
○村田誠醇君 この問題は、じゃ来てから官房長官に直接お聞きするようにいたします。
#25
○委員長(斎藤文夫君) お願いいたします。
#26
○村田誠醇君 まず、いろいろ論議されておりまして、一つお聞きをしたいのでございますが、これは各委員の方から質問がされておると思うんですけれども、刑事罰研究会の報告書の公表についていっとき待ったがかかったということに対してお聞きをしたいと思うんです。
 この刑事罰研究会なるものの性格について、先ほどちょっと公取委員長の御答弁がありましたように、これは私的な審議会なのか公的な性格を持った審議会なのか、なおかつどこに答申というんでしょうか報告をする義務があるのか。つまり、公正取引委員会の直属の研究会なのか、公正取引委員会委員長の諮問機関なのか、あるいはこれは全然別の法務省の方の所管なのがこの研究会なるものの性格についてお聞きをしたいと思います。
#27
○政府委員(小粥正巳君) 刑事罰研究会につきましては、先ほど来御答弁申し上げております昨年の課徴金の引き上げに関連いたしまして、課徴金の引き上げにとどまらず総合的な抑止力を向上させるという意味では刑事罰の引き上げもあわせて検討すべきである、そのような御意見が国会においても出されました。
 そのようなことを背景に、刑事罰について引き上げを行う場合にどのような方向で行うべきか、これについて独占禁止法及び刑事政策に関する有識者の方々にお集まりをいただきまして、これは例えば法令に基礎を置くという意味の公正取引委員会の公的な審議機関ではございません、その意味ではあえて申せば私的な研究会と申しますか、そのような性格であろうと考えておりますけれども、いずれにいたしましても刑事罰の引き上げに関して政府部内で法案を取りまとめる前提といたしまして、その刑事罰引き上げの内容について考え方、方向をお示しいただくために有識者の方にお願いをして設けたものでございます。
#28
○村田誠醇君 公取の中に法的根拠を持たないけれどもつくられたというのであれば、行政上の施策を考えるに際していろんなアドバイスをもらう、ただ単なるそういう性格を持った委員会ですよね。極端に言えば、ここの答申をそのまますべて、実際は別といたしまして行政上にすべて採用するというような性格のものではないはずでございます。そういった研究会の報告書が、中身において都合が悪いからといって特定の政党がクレームをつけて公表を延ばすというのは、これはちょっと性格としては理解できない。
 それは翻って言えば、例えば何らかの審議会で答申を出す、それが我が日本社会党にとって都合の悪いようなことが書いてあるなら、その公表を待ったと言ったときに果たして皆さん方はその公表を待ってくれるのかどうかということを問題を変えて考えてみればおわかりだと思うんです。
 法案をつくるときにこういうふうにしてもらっては困るというのは、それは提案される方の政府・与党の方で論議されるのは結構だと思うんですけれども、研究会の報告書そのものが公表しては困るというクレームがついて、前委員長がじゃしばらく待ちましょうとか、根回しが足りなかったから意見の公表を差し控えるとかという決定をするのは私は非常に不可解だと思うんですけれども、その点について委員長はどのようにお考えなんでしょうか。
#29
○政府委員(小粥正巳君) ただいまお尋ねの刑事罰研究会の報告が、昨年の暮れであったと存じますけれども公正取引委員会に行われましたが、そのとき、これは率直に申しまして前委員長の時代でございますけれども、私が前委員長からその引き継ぎを受けて、この件もその限りで承知をしているわけでありますが、独占禁止法違反行為についての刑事罰の引き上げについて、当然政府部内でもこの報告の内容を受けながら検討をする時期でございました。しかし、先ほども申し上げましたように、企業法制の枠組みを変え、かつ罰金刑の上限を大幅に引き上げるという方向でございますから、その点について法制の枠組みを大きく変える、そして大幅な罰金刑の上限の引き上げを行うということについて、まだ大方の理解がその段階でなかなか得られない、当時はそのような状況であったと承知をしております。
 そこで、公正取引委員会といたしまして、その段階でその研究会の報告書の内容をすぐ公表することがこの問題についての議論に一定の予断と申しますか方向を与えることになりかねない、その点を懸念して報告をしばらく見合わせる、このような判断を公取委員会としてした、こういうふうに承知をしているわけでございます。
#30
○村田誠醇君 だから、審議会の答申案の中身に沿って行政の施策をする、そのために法改正をする。その法律の中身についていろいろ異議があるというなら、それはクレームがついたって何したって私はわかりますよというんです。しかし、答申書そのものの公表を全部しちゃいけない、あるいは前公取委員長が記者会見で、自民党側からこの報告の内容について異議があり、公表を見送らざるを得ないとはっきり言っているわけですよね。法律案の提出を見送らざるを得ないとかというんなら話はまだわかるというんです。報告書そのものは別に公表されちゃ困るような中身では僕はないと思うんですけれどもね。いろいろ論議した結果、五億となっていたやつを一億にしましたとかというのは別にどうってことない話ですけれども、その点について私どもは大変疑義を感じざるを得ない。そのことだけを申し述べておきます。
 もう一つ、罰金の金額について一応お聞きをしておかなきゃいけないのは、日米構造協議のところで、独禁法の改正の問題あるいは運用の問題、いろいろ論議されていると思うわけでございますが、法人の罰金刑の金額について、アメリカ側から一定の水準というんでしょうか、金額というんでしょうかあるいは意向といっていいのか要請というんでしょうか、これは提示されているんでしょうか。アメリカ側としては大体このくらいの金額を考えているんですけれどもというような意味のやりとりがあるのかないのか、まずそのことをお聞きしておきたいと思います。
#31
○政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねは、日米構造問題協議におきまして我が国の独占禁止法違反行為に対する刑事罰の引き上げについて具体的な先方からの要請のようなものがあったかこういうお尋ねでございますが、私の承知しております限りで、それは全くございません。ただ、この独占禁止法違反行為に対する制裁あるいはその違反行為に対する防止措置のあり方についていろいろ議論があったことは、これは事実であります。
 それからまた、アメリカ側から、これは御案内のようにアメリカは専ら刑罰だけでございますけれども、自分の国ではこのような刑罰を伴う法的措置で対応している、そのような説明があり、日本側からはまた、申し上げましたように課徴金との併置制度を持っている、こういう説明があり、アメリカ側からは、自国の状況も説明をしながら独占禁止法違反行為を有効に阻止するためには日本の現在の罰則あるいは課徴金、そういうもので十分だろうか、そういうアメリカ側の意見が述べられたことは、これはあったように承知をしております。しかし、具体的にそれが幾らでなければいけない、あるいは幾らであるべきだという、そういう指摘あるいは要請のようなものは、これは私の知っております限りで一切なかったと存じます。
 それから、もう一つつけ加えさせていただきますれば、今回一億円という水準で罰金額の上限の引き上げの法改正をお願いしておりますが、これは申すまでもなく、もとより内外の国際的な視点も踏まえまして、内外の最近の情勢からいいまして競争政策の一層の推進というものが、これは大変重要な政策課題となっております。したがいまして、先ほど来消費者の利益につながるということもしばしば申し上げてまいりましたが、そのような展望も持ちながら、独占禁止法違反行為に対する抑止力の総合的な強化ということがどうしても我が国として避けて通れない、そういう観点から、昨年の課徴金の大幅引き上げにさらに続きまして、ただいまのような内容で罰金刑の大幅引き上げの法改正をお願いしておるわけでございます。これは米国がどういうふうに考えているかということとは、私はそれは全く別だと考えております。我が国の物の考え方として避けて通れない課題である、そういうことをつけ加えさせていただきます。
#32
○村田誠醇君 さきの独禁法の改正のときに課徴金が大幅に引き上げられましたね。そのときも今回の罰金刑と同じように、中小企業に厳し過ぎるんではないかとかいろいろな論議があったことは既に御存じのとおりだと思うんですが、その課徴金制度を大幅に引き上げたときに、業種別負担率と規模別の負担率という二つの制度を、業種別と企業別によって二つに分類ができているわけでございますが、今回の法人の罰金刑にこの考え方を導入しなかった、つまり規模別に大中小というんでしょうか、分けて罰金刑をかけるという考え方をとらなかった理由はどこら辺にあるのかお教え願いたいと思います。
#33
○政府委員(小粥正巳君) 昨年の課徴金の算定率の大幅引き上げに際しましては、確かに御指摘のような算定率適用についての区分をいたしております。
 しかし、今回御提案申し上げております事業主に対する罰金刑上限の引き上げについては、これは御指摘の例えば中小企業について、つまり企業の規模に応じた区別は特にしていないわけでございます。確かに、企業の規模なり資力と申しますのは、これは通常、違法行為に対して制裁としての罰金刑を科す場合に一つの考慮要素にはなり得ると思いますけれども、この罰金刑についての連動規定を切り離し、かつ引き上げを行うべきであるという議論をしていただきました法制審議会の刑事法部会での御議論、あるいは先ほど来問題になっております刑事罰研究会の御議論におきましても、この点はやはり一つの考慮要素であるとしても、この点について企業の規模、資力、つまり例えば中小企業であるからこの罰金刑の引き上げについてその点を区分して規定すべきである、そういう考え方はとられていなかったわけでございます。
 そこで、政府案につきましても規模、資力による区分をしないで一律に上限を引き上げたわけでございますが、その点は再三申し上げておりますように、これはあくまでも罰金額の上限の引き上げでございます。したがいまして、仮に中小企業者が独禁法違反行為に問われた場合を考えてみますと、この法律が成立をいたしますと、その上限額は企業に対しては一億円という上限額でございますけれども、仮に検察官が求刑をいたします場合、それからまた裁判の結果、いかなる罰金額が具体的に適用されるべきか、裁判官が量刑を考えます場合には、これはいろいろな要素を総合的に勘案するわけでございます。その勘案する要素の一つとして、その違法行為を行った企業の規模でありますとか、あるいは資力でありますとか、そういうものは当然に考慮されるべき一つの大きな要素になるであろうと思います。我が国の刑事法制の執行面におきましては、ただいま申し上げましたような量刑手続における総合勘案、その中でお尋ねの企業の規模、資力についての配慮は当然なされている、私どもそういう了解をしているわけでございます。したがいまして、この上限額の引き上げにつきましては、特に企業の規模、資力に着目をして区別をするということをいたしませんでした。
 なおつけ加えますと、その課徴金につきましては、このように上限であってその中で総合勘案するというそういう仕組みではございませんで、課徴金はそれぞれに定められた算定率をいわばそのまま適用する、徴収しなければならないというそういう性格のものでもありますので、その点も区別される一つの理由であろうかと思っております。
#34
○村田誠醇君 今の御説明を聞いていると、実際に検察なり裁判所が一億円の範囲内で資力、規模を考慮して適用されるはずだからいいんだと。それであれば、大企業に対して上限額をもっと引き上げておいても、大中小の区別をして上の方を引き上げておいても、裁判所は同じ行為に全部それを一律適用するわけじゃないんで、中小企業の負担を軽減するというのであれば規模別の上限額を決めてもおかしくはないし、その方がベターではないかと思うんです。ただし、それはここで論議していてもしようがありませんので、別のやつに入らせていただきます。
 これは、私だけじゃなく同僚の谷畑議員も一緒に陳情を受けたやってございまして、一体どこの行政官庁が担当なさっているのかよくわからないものでございますからお聞きをしたいんです。
 コンクリートの二次加工製品でありますヒューム管を製造している会社が、これはJISのマークをくっつけて売っているんですけれども、販売先の会社の工場で生産をしたという表示をして、これは具体的には栃木県にある葛生という工場でつくりましたよという表示をしてある製品が実は新潟県の長岡市で生産されていた。そこにJISのマークがぴしゃんと打たれていた、これは一体通産省の管轄で違反行為を取り締まるんでしょうか、それとも建設省の方でこれは公共工事に使うものですから取り締まるんですか、それともこういう表示そのものが違法なので公取なんでしょうかと聞いても、どこの省庁も私のところなのかどうかということはよくわからない。
 一体、こういう行為は私的な行為として、例えばOEMでうちの会社のブランドの販売元としてこういう名前をくっつけますよということはあり得るとしても、製造した現場のところまで、工場のところまで表示をされたものが全然違う表示になっていたということについては、これは公取の方から見たときに公取の取り締まりの権限の範囲に入っているんでしょうか。それとも、これはもう全然違う分野の、つまり通産省や建設省の問題なんでしょうか。その点について少しお聞かせをいただきたいと思います。
#35
○政府委員(植松勲君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の事例でございますけれども、一般的に不当表示ということでありますと、一般消費者向けの商品につきまして誤認されるような表示を行った場合には景品表示法で取り締まることになるわけでございますけれども、今お尋ねの件は恐らく一般消費者向けではなくて事業者向けの商品に係る表示であろうかと思われます。その場合におきましては景品表示法の規定は適用されないわけでございますけれども、その商品の内容について実際のものよりも著しく優良であると顧客に誤認させることによって競争者の顧客を自己と取引するように不当に誘引しているものと認められる場合には、不公正な取引方法に関する一般指定の第八項というのがございまして、「ぎまん的顧客誘引」ということに当たろうかと思います。そういたしますと独占禁止法第十九条の規定に反するということになるわけでございます。
 お尋ねは、JIS規格の表示を付すことができない商品にJIS表示が付されていたということだろうと思いますけれども、規格については実際のものよりも著しく優良であると誤認されるということで不当表示となるおそれがあるわけであります。一般的にはそういうことでございますけれども、このような場合にはJISにつきましては工業標準化法で第一義的には対応すべきではないかというふうに考えております。
#36
○村田誠醇君 私も、言っている意味はわからないわけじゃないんです。JISマークというのはこれは公正取引委員会の直接の所管じゃありませんけれども、工場ごとにあるいは製品ごとに出しているものですよね。ところが、ここの工場でつくりましたよという表示がされていてJISマークが打たれているのに、全然違うところで実際につくってその表示をしていたということについては、公取としてはこの商品がコンクリートのヒューム管ということであるから一般消費者を対象としていないので自分ところの所管じゃない、権限が及ばない、こういうふうな理解でよろしいんですか。
#37
○政府委員(植松勲君) 一般消費者向けではありませんので景品表示法の規定は適用されないけれども、一般法である独占禁止法に戻って不公正な取引方法に該当する場合として取り締まりの対象になり得るというわけでございます。ただ、JISの問題でありますれば工業標準化法で第一義的には対応された方がより効果的な規制が行われるのではないかというふうに考えております。
#38
○村田誠醇君 問題だけ指摘しておきます。ここに写真もあるし現場でこういうことが行われている。
 それで、我々が指摘しましたので今はこの取引が中止されていますから別に実害が出ているわけじゃないんでいいんですけれども、しかし翻ってみれば、不当に表示されたものですよ。確かに、相手が消費者か特定の事業者かというその違いはあるとしても、こういうことがもし仮に許されるんだとすれば、これからいろいろ問題になってくるであろうPL法の問題にしても、こんな行為を取り締まれないということになれば非常に僕は問題がいろんなところへ出てくるんだろうと思います。そこで、そういう点についても独禁法、一般法で厳しく取り締まっていただきたい、あるいは法律違反があれば厳しく対処していただきたい、そのことだけをまずお願いをしておきます。
 それと、これは昨日も同僚の谷畑議員が指摘されておりましたけれども、社会保険庁のシール談合、それからその前に起こりました高速道路公団の独禁法違反、この二つのうちダブっている会社があるというふうに聞いておるわけでございますが、ダブっている会社はどこなのか実名を挙げて教えていただけますか。
#39
○政府委員(糸田省吾君) 私ども、ことしの四月に勧告をいたしました日本道路公団及び首都高速道路公団の入札談合事件について勧告を命じた相手方の中に、御指摘のように今回社会保険庁のシールにつきます刑法違反で取り上げられている企業が幾つかございます。それを具体的に会社名を申し上げますと、小林記録紙株式会社、それから大日本印刷株式会社、トッパン・ムーア株式会社、それと株式会社ビーエフでございます。
#40
○村田誠醇君 社会保険庁の方は刑法の違反の方で、高速道路の方は独禁法違反ということですから概念が少し違うんだろうと思うわけで、そこでお聞きをしたいんですけれども、今挙げた会社の社内の組織として、大体こういう大きい会社というのは第一営業部から始まって第何営業部までずっとあるわけでございますけれども、高速道路の違反事件を起こした営業担当本部と今回シール談合を起こしたところとはセクションが違うんですかこの会社の中のセクションが。それとも会社の中のセクションは、公共事業発注本部というのでしょうか、受注本部というのか知りませんけれども、そういう形で同じところなんですか。そこら辺はおわかりでございましょうか。
#41
○政府委員(糸田省吾君) 社会保険庁関係につきましては、私どもまだその詳細をつまびらかにいたしておりませんので具体的なことを申し上げられませんが、社によってもいろいろと組織の違いがあろうかと思っております。具体的には現時点で把握していないということでございます。
#42
○村田誠醇君 それでは、高速道路公団の方の関係についてお聞きしたい。
 勧告をして直した、これはわかるわけです。その勧告の中身はいいです。特に、ここのところだけお聞かせください。重要なことは、もとへ戻したということと、ほかに独禁法違反の事件を再び起こさないために再発防止にどのような措置をとったのかということを公取の方からも要求してあるはずですし、この会社からも返答が来ているはずだと思うんですね。いかなる再発防止に関する施策をこの会社が行ったのか。四つ全部言うのは大変でございましょうから、一番でかいところの大日本印刷についてだけ言っていただければ結構です。
#43
○政府委員(糸田省吾君) 私ども、この春に勧告をいたしました際に、入札談合を行っていた、全部で十五社あるわけでございますけれども、これらの企業に対しまして、今後日本道路公団または首都高速道路公団によります競争入札におきましてこういったいわゆる談合行為を行わないようにということの、私ども不作為命令というふうに呼んでおりますけれども、こういった命令を課したところでございます。
 御承知のように、こういった命令が出て、その後にもし仮に日本道路公団あるいは首都高速道路公団の入札に際してまた同じような談合行為が行われたということになりますと、これは審決違反ということで罰則の対象にもなることでもございますが、そういう重い意味での不作為命令を課したところでございます。
 これに対して、会社側から二度とこういったことは行いませんということ、あるいは社内で社員に対して独占禁止法をきちんと守るようにといったような指導をしているという趣旨の反応が返ってきているところでございます。
#44
○村田誠醇君 抽象的で極めてわかりづらいんですよね。具体的にそれじゃお聞きします。
 埼玉の入札談合について、再発防止のために各社にそれぞれ具体的に公取がいろいろ再発防止の施策をしてますね。その中には独禁法遵守の社内通達を出して全社員の署名捺印をとりなさいというのも入っておるわけです。あるいは再発防止のために服務規定を改善しなさいとか、具体的に取締役会で独禁法に違反するような行為をしないという決議や議事録を残すことというのが、埼玉の事件に関して公取が対象六十六社にやった行為ですよね。
 道路公団の違反の事件のときにこれと同じような要求を相手方にしたんでしょうか。相手方というのは大日本印刷以下各社にしたんでしょうか。その辺はどうでしょうか。
#45
○政府委員(糸田省吾君) ただいま御指摘のありました埼玉県の入札談合事件に関しましては、その審決で私どもが取り上げました行為が独占禁止法に違反するものであるということを社全体にくまなく周知徹底するようにということを命じたところでございます。その周知徹底の仕方については各社によって若干の違いはあろうかと思いますが、そういう周知徹底を命じたというわけでございます。
 それから、道路公団関係につきましても、先ほど申し上げましたように、今後二度とこういったことを行ってはならないということを命じているところでもございますから、それを受けまして各社がそれぞれ上から下に至るまでその趣旨をくまなく徹底させたというように考えております。
#46
○村田誠醇君 だから、上から下まで趣旨を厳しく徹底させたという意味は、関係者の署名を求める行為も入っているわけでしょう。それを高速道路の案件のときには対象となった会社に要求したんですかということなんです。これが要求して出ている、あるいは守りますということであれば、今回の社会保険庁のシールの事件は、その徹底をしたにもかかわらず、あるいは本人が署名捺印したのか知りませんが、確認をしている行為を明白に違反したというもう一方の違反行為も出てくると思うんですね。していればという話ですよ。この点について公取の方としては明確に答えてほしいんです。
 高速道路の違反のときに排除勧告をしただけじゃなくて、再発防止をするために社内に徹底させた方法についてどういうふうに理解をしているんですか。つまり、埼玉県のように全社員の署名捺印を求めたんですかということです。求めていて今回の社会保険庁の事件が起こったとすれば、これは実はえらい問題が出るはずだという意味で聞いているんですよ。埼玉と同じような全社員の署名捺印を、高速道路の違反事件のときには相手方の会社に対して再発防止の要求をし、その点について返事があったんですか。表現を変えれば、具体的にどういう再発防止のための全社員に徹底するやり方をとったのか。全社員に徹底しましたというだけじゃわからないんですよ。
 これは具体的な名前を出して申しわけございませんが、おたくの今はかわられているのかどうか知りませんが、植松総務担当審議官が、こういうやり方はこれまでもしょっちゅうとっている、つまり全社員に署名捺印を求めて確認をするというやり方は公正取引委員会が従来とってきた方式であると、全部をとってきたかどうか知りませんが、談話で発表していることなんです。そうすると、このやり方を高速道路の場合は適用したんですかというのが私の質問です。だから、具体的に答えていただければ結構です。
#47
○政府委員(糸田省吾君) 道路公団関係の事件につきましては、先ほど来申し上げているように、社内における再発の防止についての周知徹底ということは強く申し伝えてありますけれども、具体的に、例えば全従業員の署名をとるといったようなことまでは申し渡してはおりません。
#48
○村田誠醇君 それじゃ埼玉の入札談合、これは刑事告発も何も受けてない。この排除勧告と再発防止の施策、今私が言いましたこれは新聞で報道されているんだから間違いはないと思うんですけれども、各社別に取締役会で議決しろとか社長名で独禁法遵守の社内通達を出しなさい、全社員の署名捺印をとりなさい、再発防止のための服務規定を改正しなさい。しかも、なおかつ三カ月以内、九月十日までにこれは実施しなさいということの指示を埼玉談合に関してはしているんじゃないですか。その点はどうですか。
#49
○政府委員(糸田省吾君) 埼玉の建設工事の入札談合事件につきましては同様に、先ほども申し上げましたように、その審決で取り上げられている事柄が独占禁止法に違反するものであるということを社内で十分に周知徹底するようにということを命令してございます。この命令を受けまして、各社がそれぞれ例えば取締役会においてそれの確認のための議決を行ったとか、あるいは社員一人一人に対して具体的に伝え、またそれを伝えたということについての署名をとっているとかあるいは会社として独占禁止法遵守マニュアルをつくるとか、そういった会社によって対応ぶりに若干の違いはありますが、徹底した独占禁止法の周知措置が講じられているというところでございます。
#50
○村田誠醇君 それじゃ、高速道路の違反のやつも全社員に周知徹底するように要求したんですね。そのことだけは確認したい。
#51
○政府委員(糸田省吾君) 私ども不作為命令を審決においてかけているわけでございますから、その趣旨は十分に社全体に通じているというように考えております。
#52
○村田誠醇君 のれんに腕押しみたいなのでやっていてもしようがありませんので、お忙しいところ官房長官済みません、二点ほどお聞きしたいんです。
 一点目は極めて事務的に、簡単なことでございますが、先般の九月の決算委員会で、私ども理事の中で出席要求大臣をだれにするかということの論議をしているところで、どうしても答弁が必要だからということで官房副長官の出席を要求いたしました。そのときに、そこにいらした官房の参事官室の方が言うには、長官が出ればすべて物事は解決するのでありまして、長官がいないときは副長官がかわりに出るんです、これが原則ですという答弁といいましょうか説明を一生懸命なさったんですけれども、我々はおかしいじゃないかと、こういうことで決算委員会理事会で大分もめまして、論議をした経過がございます。
 官房長官、大変お忙しい方でございますから、常にいろというわけには言えませんので、原則として確認をしたいのは、官房長官がいらっしゃらないときには副長官がかわって出席もしくは答弁をなさる、こういう役所内のシステムになっているということは確認していただけるのか。その所掌の問題については我々わかりませんけれども、そういうふうになっているのかどうかが一点目でございます。
 それから二点目は、ちょっとこれは大変問題は大きな話で、長官でしかお答えできないんだろうと思うんですけれども、この独禁法にしても、それからそれ以外の法律にいたしましても、我が国で基準をつくってそれを国内で適用する。独禁法で言いますと、要するに海外の業者がカルテルを結んで、日本の市場でこういうものを売るときには高くつり上げてやりましょう、特にブランド商品なんか高く高く売りましょうと。その方がもうかるからといって海外の業者が全部カルテルを結んじゃった場合は、日本の法律は今の段階でいくとなかなか適用しにくい。
 それと同じケースが、例えばこれは一九九〇年に起こった事件ですけれども、アメリカがメキシコ産のマグロの輸入を禁止した。その禁止した理由は、マグロをとるときにイルカも一緒に混獲しちゃうので、そういう漁法をとっているからけしからぬということでこれは輸入禁止をした。こういうケースは実はいろいろ出ています。
 我が国においても同じような問題が出ている。それは、大臣御存じのとおり輸入かんきつ類に対する防カビ剤、アメリカが使っているやつの基準と日本の基準が違う。ポストハーベストの農薬、残留農薬の基準についても同じなんです。こういうように国際的に複雑になってくればなってくるほど、その国の基準ですべて世の中が、海外の場合もそうですけれども、通らなくなる。
 一体こういった問題について、政府として国際摩擦あるいはガットの自由な貿易を取り扱うという原則と、その国がその国独自に決めた基準、独禁法なら独禁法が、国内だけで適用していたんではだめだ、国際的にも交流しなきゃいかぬということになりますと、国際的な基準が国内の基準と合わなくなってきたときに、一体どういうふうな基本的な対応をするのが政府の方針なんでしょうか。
 これはアメリカから言わせれば、食管法も輸入障壁の一つだという指摘を受けていることを逆に裏返していったときに、こういった問題が多数発生してくることが今後考えられるわけでございますので、一体政府としてこういった国内法の適用範囲とあるいはガットの一般的な貿易のルール、こういうものをどうやって調整していったらいいのか。
 ちょっと問題が大き過ぎるのかもしれませんし、逆に言えば官房長官でなきゃお答えができないということで、先ほどのと二つ、ちょっとお聞かせを願いたいと思います。
#53
○国務大臣(加藤紘一君) 政府委員とかそれから所管の大臣だとか、それから質疑通告大臣の出席の問題というのは、そのときどきの立法府の御意見で決まるわけでございますけれども、通常内閣官房についての御質問であれば私が出席いたします。そして、私が出席できない場合には政務次官という場合もございますけれども、つまり官房副長官というのは政務次官の一つでございますけれども、そういう場合もございますし、通常大抵の場合には、各役所は大臣がだめならば局長とか政府委員ということで御対応いただいているのではないかと思っておりますので、その辺は理事会で御協議いただければと思っております。
 それから第二段の御質問は、非常に基本的な、重要なところでございまして、実は政府の統一見解としてお答えするには、三日か四日ぐらい勉強してからでないとお答えできないほど大きな問題でございますが、一般的に独禁法にいたしましても、その他の法律にいたしましても、我が国がつくります法律というのは我が国に居住する個人ないし法人等に対する規制力を持つものと考えております。
 ですから、外国で仮に日本に物を売ろうとしている種々のメーカーが談合いたしまして、そして日本市場における価格についての取り決めでも行った場合は、これは日本の国民に対して大変影響があることですから、何か考えなければならないことのようにすぐ思いますけれども、それは外国の法人を規制するわけにはいかないから、同時に恐らくそれを輸入している代理店それぞれの間の問題をどう考えるかというような技術的な話になっていくんではないかと思います。その点につきましては、政府委員から今お答え申し上げたいと思っております。
 それから第二点の、いわゆる貿易に関する国境における障壁または認証・基準、検疫、こういったものについての各国間の調整、基準が違う場合の交渉はどうするのかという問題は、まさに今ガットのウルグアイ・ラウンドでみんなで国際会議で話し合われているところであって、そしてその話し合いがうまくいかなければうまくいかない部分についてはそれぞれの独立国がその主権を主張するということで、最終的にはそれぞれの国の主張が通るべきことなんであろうと思っております。しかし、これだけ密接な国際社会ですから、できるならばその基準というのは一つであった方がいいわけですから、その辺も含めてウルグアイ・ラウンドの交渉もありますし、それ以外のバイラテラルの日米だとか英仏だとかまた最近では時にはECとNAFTAだとかそういった地域間の交渉なんかも行われていくのだろうと思いますが、基本的には話のつかないものは独立国がその主権を主張するということでないかと思います。
#54
○村田誠醇君 大変漠たる質問で申しわけないんですけれども、本当はこれは特定有害廃棄物の方で質問しようかと思っておりましたんですが、そっちではできなかったもので、ちょっと官房の方にお聞きいたしました。それでもう私の質問は終わりましたので、お忙しいでございましょうからどうぞ退席をしていただいて結構でございます。
 それで、続けて公取の方にお聞きしたいんですけれども、独禁法違反事件、入札談合を一番起こしておりますところが建設の業界関係だというのが定説でございます。ここに対していろんなところから、入札談合が繰り返し起きている原因の一つとして、公共工事に係る建設業事業者団体の諸活動に関する独禁法の指針という公取がつくったこの基準がどうもあいまいである。つまり、事業者団体が官公庁から発注予定工事に関する情報だとかあるいは建設資材価格などの入札価格決定の基礎となる情報、こういったものを収集することを認めている、この指針は。それとともに、事業者間で各社の受注計画や営業実績を交換することをこの独禁法の指針、ガイドラインの中で認めていることが入札談合が繰り返し起こる原因であると関係者から指摘されておる。
 当然これを直そうという動きなり検討が公取の中で進められているというふうにお聞きしておりますが、どのように直すのか、どこを直すのか、あるいはいつまでに直すのか、あるいは直す意思がないのかも含めてちょっと御説明をいただきたい。
#55
○政府委員(矢部丈太郎君) 競争入札におきましてその受注予定者あるいはその入札価格を話し合いで決める、いわゆる入札談合が独占禁止法違反になるということは、公正取引委員会が昭和五十四年に公表いたしました「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」、これは一般ガイドラインと呼んでおりますが、この中ではっきり示しているところでございます。
 それで、一方建設業のガイドラインでございますが、これは建設業に中小企業が非常に多いというようなことから、公共工事における競争入札に際しましてどういった行為が独占禁止法違反となるか、あるいはどういった行為が独占禁止法違反とはならないのかということを具体的にわかりやすく示す必要があるということで、先ほどの一般ガイドラインを踏まえましてわかりやすくまとめたものでございます。この建設業のガイドラインにおきましても、競争入札において受注予定者あるいは入札価格を決定する場合は独占禁止法違反になるということを明示しておるわけでございまして、入札談合の防止には役立っていると考えているわけでございます。
 公正取引委員会は、従来から建設業界の入札談合事件につきましては厳しく対処してきておるわけでございますし、あわせて一般ガイドラインと建設業ガイドラインの周知徹底を図りまして独禁法の正しい理解を求めて独禁法違反行為の未然防止に努めているわけでございまして、今後もこういう努力を続けていきたいと考えております。
 それで、この建設業ガイドラインの見直しのことでございますけれども、私どもといたしましては、一般ガイドラインと建設業ガイドラインということの中身を正しく理解していただくことが重要であるということから、今のところ建設業ガイドラインについて見直しをするということは考えておりません。
#56
○村田誠醇君 それじゃ、この八四年に公取が作成された建設業のガイドラインですね、この中で一つ確認をしたいんですけれども、事業者間で各社の受注計画や営業実績を交換することもこれは独禁法の違反ではないということが書かれておるんですが、その中身についてお聞きしたいと思います。
#57
○政府委員(矢部丈太郎君) 情報交換にとどまる限りは原則として独禁法違反とはならないと確かに書いてございますが、その前の方に、競争入札において一定のルールを定めるというようなことによって受注予定者を決めたりあるいは入札価格を決めるということは独占禁止法違反になる、ですからそういうことのない限り、そういう情報交換があっても独禁法違反ではないというのがこのガイドラインの中身でございます。
#58
○村田誠醇君 あと残り時間も少なくなりましたので最後にお聞きしたいんですけれども、かみつかぬ番犬とかいろいろ言われておりましたけれども、何か最近は狂ったようにかみついているようでございまして、ただかみつかれた相手が極めて小さいところといいましょうか、弱いところといいましょうか、印刷用インキの製造だとか、業務用ラップだとか、粘着テープだとか、業界として極めて小さいと思われるようなところにしかかみついていない。そういう意味では、何か強きを助け弱きをくじくような感じもするので、一番強いと言われております金融証券のところについて一体公取の態度はどうなのか、ひとつお聞きをしたいと思うんです。
 これは、九一年の十二月二十四日、公取が調査した拘束預金の実態調査ということについて発表なさっておるわけでございますが、歩積み両建てを強制した優越的地位の乱用による取引という、あるいは拘束預金が総借入件数の四分の一を占めているという発表を公取がなさっているわけです。これは今の不況下でいくとあるいはもっと厳しく拘束預金というんですか、歩積み両建てがやられている可能性も考えられるわけでございますけれども、この調査をした結果、公取としては改善策を当然対応なさったと思うんですけれども、どのくらい改善されたのか、あるいは調査しただけなのかひとつお聞きをしたいのが一点目。
 それから二点目として、これは消費者なりあるいは独禁法を一生懸命勉強なさっている弁護士さんの方からいろいろ訴えがあると思うんですけれども、変動型の長期プライムレートの金利の決定方式がこれは疑似カルテルではないかという疑いがある、金利の決め方についてですね。あるいは消費者から、変動金利で契約したのに市場金利が下がってもなかなか契約金利を下げてくれないという、こういう優越的地位の乱用が訴えられていると思うんですけれども、こういったケースに対して実態の把握、あるいは先ほど言ったように把握した後改善策はどういうふうになされているのか、公取の方から御説明をいただきたい。
#59
○政府委員(植松勲君) 最初の拘束預金の問題につきまして、私からお答えさせていただきます。
 拘束預金の問題、かつて三十年代、四十年代初め非常に大きな問題になりまして、公正取引委員会としてこの問題に取り組んできたわけでございます。毎年かなり定期的に調査も行ってきたわけでございまして、今先生御指摘の昨年の公表データを私今手元に持ち合わせておりませんので記憶で申し上げるほかないわけですけれども、そのときの比率は、いわゆる狭義の拘束預金比率というのは数%に下がっていたんだろうと思います。かつて、四十年代のころはかなりの比率で拘束されていた。今は非常にある意味ではこういう金融自由化の時代でございますので拘束預金の比率は非常に下がってきている、一般的にはある意味で非常な改善がされてきているということで、かつては大蔵省と公正取引委員会が共同でこの問題に取り組んできたわけでございますけれども、大蔵省の方では既に定期的な調査はやめているというふうに聞き及んでおります。
 公正取引委員会がこの調査を通じて、一般的に拘束預金の問題について注意を喚起するということで対応してきておりますし、個別具体的に中小企業者から拘束預金で困っているというような相談がございました場合には、その問題につきまして適切な対応をしているところでございます。
#60
○政府委員(矢部丈太郎君) 銀行のプライムレートの件でございますけれども、銀行にとりましてそこの金利を幾らにするかというのは、今一般の商品における価格と同じようなものでございますので、そのプライムレートの決め方について銀行間の話し合いで決めるというようなことがあれば、これはもちろん独占禁止法違反ということになるわけでございます。ただ、こういう非常に同質的な商品でございますので、どこかの銀行が最初にプライムレートを決めてほかの銀行がそれに追随して決めるというようなことで結果的に同じような水準になるということであれば、直ちに独禁法のカルテルということは難しいのではないかと考えております。
#61
○村田誠醇君 時間も大分なくなってきましたし、私も準備する時間が大変少なかったので、たしか前に資料をもらっておったのですけれども、それを一生懸命捜したのですが整理が悪くてどこに隠しちゃったのかわからないのでお聞きしたいのですが、金融証券不祥事件が起こったときに、損失補てんなのか、それとも子会社の持ち株制限違反なのか、たしか公正取引委員会が大手四社に対して勧告書を出したはずでございます。その原文は、たしか私前にもらったのですけれども、いろんな資料の中に紛れ込んじゃってよくわからないんですが、それは今言ったように、子会社の持ち株制限違反、要するに独禁法十一条の五%ルール違反による排除なのか、損失補てんをしたことが要するに不公正な競争をしたという意味での違反だったのか、ちょっとその辺記憶が定かでないものですから、この辺について教えていただけますか。
#62
○政府委員(糸田省吾君) 実は委員御指摘の話は二種類の審決がございます。
 まず、最初の株式の問題でございますけれども、御承知のように証券会社が他の会社の株式を原則五%を超えて持ってはならないという規定がございますし、またこの脱法を禁止する規定もあるわけでございます。昨年、ある証券会社が具体的に申し上げればその制限を脱法する行為を行ったということで独占禁止法違反ということで審決を行いました。それから、損失補てんの方につきましては四大証券会社に対しまして、取引の維持または拡大のために損失補てんを行っていたということが、これは独占禁止法上の不公正な取引方法に該当するということで四社それぞれに対しまして審決を行ったということでございます。
#63
○村田誠醇君 そうすると、その持ち株制限違反の方はこれはある意味では形式的な部分でございますから一件処理でわかるんですけれども、損失の補てんについては大手四社だけじゃなく、その後にもどんどん出ているわけでございますね。それから、つい最近も証券業協会の調査でも出てきている。これに対して公取は大手四社だけの勧告で済ませている。やった行為形態は全部同じだと思うんですけれども、大手四社とそれ以外の会社とを区別する理由がどこにあるのか。そのことについてちょっとお聞きしたいと思います。
#64
○政府委員(糸田省吾君) 昨年、大手四社に対しましてこの損失補てんにつきまして、これももう少し詳しく申し上げれば、単に損失補てんが独占禁止法に反するということを言ったわけではありませんで、取引の維持または拡大のためにこの損失補てんが行われているということをつかまえて独占禁止法に違反したということを言っているわけでございますけれども、当時この四大証券につきまして勧告を行いました。それから、いわゆる中堅の証券会社十数社も損失補てんを行っていたというように伝えられておりましたが、この中堅の証券会社に対しましては、証券業協会を通じまして独占禁止法違反が行われることのないように厳正に指導監督されたいということを申し渡してございます。
 私ども、当時この損失補てんが、先ほど申し上げたような条件つきではありますけれども、独占禁止法でも問題となるんだということを審決の形で世の中に伝えたところでもございますので、当時この損失補てんが独占禁止法でどうなのかというような議論もあったところでもございますが、それに対して一つの明快な回答を出したということによって、この損失補てんが独占禁止法の観点からこの法律に違反することのないようにという形に改善されたというように考えておりますので、この四社に対する勧告が非常に意義のあったものであるというように考えております。
 もとより、それから後におきまして証券取引法が損失補てんその他に対する規制を一層強化するという観点で改正が行われているわけでもございますので、もう私ども、この損失補てんの問題につきましては証券取引法に基づいて適正的確な規制が行われるということによって本来解決されるべきものであり、またその解決の緒についているというように考えているところでございます。
#65
○委員長(斎藤文夫君) 恐れ入ります。時間です。
#66
○村田誠醇君 最後に、公取の委員長にお聞きしたいんです。
 これは私、物の本で読んだのでわかりませんが、独禁法の違反事件第一号というのが昭和二十二年の帝国銀行などによる貸出金利、預金金利の協定が第一号だったということが言われているわけでございます。これは私、ちょっと真実かどうかわかりませんけれども。金融関係と独禁法というのは今まで余り関係がないものというふうに言われてきたわけでございますが、前委員長のときから金融に関しても独禁法の適用があるんだということがかなり強調されるようになってきたわけでございます。
 そこで、いやしくもそういうことはないと思うんですけれども、金融関係を統括なさっておりました大蔵省の方から横滑りをなさってこられた委員長でございますので、決して手心を加えているとかなんとかいうことではございませんけれども、金融の分野、今の部長さんの御説明でいけば、改正証取法ができたのでもうそっちに任せたから独禁法はここの適用外ですよみたいな解説をなされますと、この部分だけは聖域で独禁法の適用の対象にはなっていないんですというような説明をされてしまうと極めて困る。そういう意味で、金融の部門と独禁法の適用についての委員長の基本的な考え方をお聞きして、もう時間が来ましたのでこれで最後にさせていただきます。
#67
○委員長(斎藤文夫君) 時間がオーバーしていますから簡潔に答弁を願います。」
#68
○政府委員(小粥正巳君) 簡潔に御答弁申し上げます。
 証券を含む金融の市場におきましても、自由かつ公正な競争が企業行動、金融機関行動の原則であることには何ら変わりがございません。
 したがいまして、これは前からそうでございますけれども、特に金融の世界に自由化の進展が極めて急速になってまいりました現在、従来ございました法的な規制も非常なスピードで取り払われ、自由な金融市場が実現しつつあるわけでございますから、私どもは従来同様、あるいは従来にも増して金融市場におきましても独占禁止法が当然のことながら誠実に遵守され、自由かつ公正な競争が貫徹されるように公正取引委員会としても十分意を用いて法の運用、執行に当たっていきたいと存じます。
 なお、御指摘でございますけれども、私が大蔵省で仕事をしていたということは事実でございますが、たまたま命を受けましてこの仕事をお引き受けいたしました以上、公正取引委員会の誠実な一員として職務を遂行するということを改めて申し上げたいと思います。
#69
○委員長(斎藤文夫君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三分開会
#70
○委員長(斎藤文夫君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、村田誠醇君が委員を辞任され、その補欠として西野康雄君が選任されました。
#71
○委員長(斎藤文夫君) 休憩前に引き続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#72
○和田教美君 官房長官がいらっしゃいましたから、早速官房長官に二、三お伺いします。
 まず、市場経済、自由貿易の恩恵をこうむってきた我が国は、今や世界でも有数な経済力を有する国となっております。それだけにいろんな形での国際的な摩擦が多くなっておるわけでございます。そこで、公正かつ自由な競争を促進し、それによって一般消費者の利益の確保、国民経済の民主的かつ健全な発展を促進しようという独占禁止法の存在意義は今後国際的にもますます重要な意味を持ってくるというふうに思います。つまり、国際化時代における独禁法という視点が重要になってくるというふうに思うわけです。
 そこで、そういう点についての政府の認識、どういう点が足りないかどういう点について注意していかなければいけないかというふうなことについて国際問題にお詳しい官房長官の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
#73
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど藁科委員との質疑の点でもこの問題は考えさせられたところでございますけれども、確かに日本の経済の力が世界のGNPの中で占めるシェアがこれほど大きくなりますと、私たちの国の経済の運営は単に我が国だけでなく世界経済全般に影響を及ぼすことになります。私たち日本人は、戦後極めて長い期間自分たちはまだ小さいんだ、まだ弱いんだというメンタリティーを持っておりましたので、我が国の予算審議が、また我が国の総合経済対策が世界にこれだけ注目されて影響を及ぼすということはなかなか認識できなかった、胸にずんとすぐ落ちてこなかったところはありますけれども、実体的にはもう大変な役割を果たすようになってきたと思います。
 その意味で我が国の独禁政策、つまり我が国が公正な市場であるのか、世界につながった市場であるのか、そしてその市場が公正に運営されているのかという点は、ますます日本だけの問題ではなく、世界の多くの国、人々が関心を持つものになってきたと思っております。公正取引委員の中に外交関係の股野委員を今度、去年ですか、任命をお許しいただいたわけですけれども、そういうような委員の構成にしなければならないような時代にもうなってきたというふうに思っております。そして、これからまた我が国の公正取引委員会が扱う一つ一つの問題がニューヨーク・タイムズに載ったりファイナンシャル・タイムズに載ったりするような時代になるんだと、もうなっているんだという認識を政府の方で十分持ちながら運営していかなければならぬと思っております。
#74
○和田教美君 国内では、カルテル、談合などの悪質な独禁法違反行為が世界に冠たる大企業においてさえ相変わらず行われているという現状でございます。こういう状況について、日米構造問題協議等でもわかるように、諸外国からは我が国独特の閉鎖的、なれ合い的経済システムにその原因があると指摘されております。既に世界的な経済大国となった我が国の企業活動がアンフェアであるというふうなことを指摘されるということは、大変残念なことであります。我が国は、事あるごとに我が国の市場は閉鎖的ではなくて経済システムも公正であるというふうに諸外国にPRをしておりますけれども、しかし現実には談合、カルテルなどが引き続き相変わらず行われておるというふうな現状を目の前にいたしますと、諸外国からなかなか理解されにくいのではないかというふうにも考えるわけでございます。
 この点について官房長官の御見解をお伺いしたいと思います。
#75
○国務大臣(加藤紘一君) 確かに、我が国は人間関係を大切にする社会でありまして、従来古い商慣行でありますと若干高くても知り合いの人から買うとか、それからグループ同士での経済活動をし合うとかということはございます。しかし、最近の世界の経済に関する機関、例えばOECDやガットなどの審査や報告なんかで、日本はかなり自由で公正な市場になってきているという認識は最近いただけるようになってきたのではないかと思っております。
 詳細につきましては、政府委員よりお答えいたします。
#76
○政府委員(小粥正巳君) ただいま官房長官から御答弁がございましたけれども、例えばOECDの経済開発検討委員会におきましては、特に我が国の独占禁止法違反行為に対して公正取引委員会が従来に比べて積極的により多くの法的措置をとり始めた、あるいは刑事告発を積極的に行っていく方針を公表した、さらに昨年のそのカルテルに対する課徴金の算定率を大幅に引き上げた等々大変具体的な摘示をいたしまして、今官房長官からお答えのように、我が国の独禁法適用状況が従来に比べて格段に推進されておるということを随所に、あるいはその会議の場その他で認められているところでございます。
#77
○和田教美君 現実には、談合の問題だとか、特に最近は不況のもとで政府の総合経済対策などを見ても公共投資などをこれから大いに盛んにやっていくということになったわけでございますが、そうすると、この建設事業費というふうなことについて不況下だけに工事の取り合いだとか、あるいは談合、不正行為というふうな方向を招かないとも限らないと私は思うわけでございます。
 そのような懸念があるわけでございまして、そういう点についてはそれに対応する監視体制をぜひ政府も考えてもらわなければならないというふうに思いますが、官房長官の御見解を聞きたいと思います。
#78
○国務大臣(加藤紘一君) 不況下で建設工事が少なくなった場合に、いわゆる談合がそれによって多くなるのか少なくなるのか経済状況等いろいろなことで変わってくるんだろうと思いますが、いずれにしてもいわゆる談合というものがあってはならないことでありますし、それに対して政府もいろいろな監視の仕組み等を、また改善のメカニズムを考えておる次第でございます。詳細につきましては、政府委員よりお答えさせていただきます。
#79
○政府委員(小粥正巳君) ただいま官房長官から御答弁がございました。もとより、公正取引委員会自体は、御指摘のようなおよそ談合行為が行われるということであれば、これは当然に独禁法に抵触をする重大な違反行為でありますから、これに対して厳しく対応してきておることは当然でございますし、今後ともこの法の厳正、適正な運用、執行に努めたいと考えております。
 それから、実は公正取引委員会が監視をする、違反行為に対して厳しく対応するということだけでは御指摘のようにいわゆる談合行為あるいは談合体質なるものが的確に改善をされるというわけにはなかなかまいらない向きもございます。そこで、一つの具体的な例としては、公共建設工事の世界におきまして、これは公正取引委員会も御相談を受けてもおりますけれども、独禁法に対する研修会、関係者、社員等の教育活動なども大変積極的に行われております。建設業界自体の動きといたしましては、本年の十月、つい最近でございますけれども、建設業適正取引推進機構という財団法人が設立をされまして、この機構の事業といたしまして独占禁止法違反行為の未然防止に積極的にその啓蒙なり研修活動に努めるということがうたわれておりますし、また当然のことながら談合がいかに現在の経済社会について重大な違反行為であるかということの啓蒙には特に意を用いていただくつもりでおります。
 それからさらに、入札制度そのものにつきましては根本的な改善、改革が必要であるとの見地から、本年の十一月でございますけれども、これは建設大臣の諮問機関であります中央建設業審議会から詳細な答申が出されているところでありまして、私ども、このような動きと相まって御指摘のような談合について、これが経済社会で行われなくなるような地盤の形成、涵養に政府全体として努めていかれるものと考えております。
#80
○和田教美君 官房長官、もう結構でございます。
 それでは、通産省にお尋ねいたします。
 今回のこの改正案にあります刑事罰の強化について、日米構造問題協議フォローアップの第一回年次報告でも独占禁止法に関する刑事罰研究会の検討状況が示されております。USTRのヒルズ代表が四月の末に通産大臣と会談した際に、アメリカ側が本法案による罰金の引き上げが一億円にとどまったということに対して不満を表明したとも伝えられております。さらに、七月の末に第二回年次報告がまとめられた際に、日本側は本改正案の内容と審議状況を米国に対して説明したということでございますけれども、米国側の完全な納得を得られたのかどうか。今後は国際関係上この罰金刑の問題、あり方の問題について何も問題は起きないというふうにお考えなのかどうか、その辺について通産省のお考えをお聞きしたい。――通産省、いませんか。
#81
○委員長(斎藤文夫君) 通産省は今現在来ておりません。済みません。
#82
○和田教美君 通告したのに来ないな。
 それじゃ、この問題、公正取引委員会で答えてくれますか。
#83
○政府委員(小粥正巳君) ただいまのお尋ねでございますけれども、ただいま御提案申し上げております罰金刑の上限の一億円への引き上げ、これにつきまして国内でいろいろな御意見があることは承知しておりますし、また海外からこれについてどのような評価が行われているか、これは私ども必ずしも十分に存じませんけれども、ただいま御指摘のように日米構造協議の過程ではこれは米国側から、現行の日本の独禁法の罰則の水準は低きに失する、そういう指摘が議論のさなかであったということは承知をしております。
 しかし、再三申し上げておりますように、現行の五百万円という水準から二十倍の一億円への引き上げでございますから私どもは大幅な引き上げということで、これは当然に成立をいたしますればアメリカを含めて外国の競争当局にも十分その結果を説明するつもりでおりますし、しかも我が国独自の制度でございます課徴金が昨年大幅に引き上げられたこととあわせて、抑止力の格段の強化という点は私ども十分自信を持って説明できると思っておりますし、またその点はアメリカを初め海外からもそれなりの評価を得られるものと考えております。
#84
○和田教美君 公正取引委員会は、昭和五十二年の独禁法改正以来、平成三年十一月六日にいわゆるストレッチフィルム事件、食品包装用のラップフィルムのメーカー八社による価格カルテル容疑で会社の担当部長クラス八人を告発したという事件ですけれども、ここで価格カルテル容疑で告発を行うまでは一度も刑事告発は行っていません。その理由は主として、昭和五十二年に創設された課徴金制度で対応することで独禁制度の定着を図ってきたからであると公取委では説明をいたしておりました。
 ところで、昨年七月に課徴金の引き上げが行われましたが、その効果はあるのかどうか。まだ時間がたっていないからわからないということかもしれませんけれども、見通しとしてこの課徴金制度による抑止的効果というのがあるのかないのか。あるとしてもどの程度なのかと、いうふうな点について公取委の評価をお聞きしたいわけでございます。
#85
○政府委員(小粥正巳君) 御指摘のように、課徴金は昨年国会で法律を成立させていただきまして、施行は昨年の七月からでございます。したがいまして、施行されましてからまだ一年半はたっておりません。したがいまして、課徴金引き上げの効果について、これは例えば定量的な評価というのは大変難しゅうございますけれども、ただこの課徴金の引き上げが、再三申し上げておりますように、その算定率を原則として四倍に引き上げたという大変大幅な引き上げでございますし、課徴金自体はもちろんカルテルによる不法な利得を吐き出させるという性格でございますから、原状回復以上に制裁を加えるというものではございませんけれども、しかしこれも御承知のように、昭和五十二年に導入されますまではこの制度は存在しておりませんでしたから、やはりこれが抑止力としてそれなりに大変重みを持っておる。特に、その算定率が昨年四倍に引き上げられたということは、これはもう申すまでもなく、カルテル違反行為を意図する企業に対しても、もしこれが摘発をされれば極めて厳しい課徴金による経済的負担をこうむるという意味では、未然防止につながる非常に強い抑止力を持っているはずと私ども考えております。
 何分、昨年七月からの施行でございますから、ごく最近勧告審決をいたしまして、そして課徴金納付命令を発したその事件にしか昨年七月以降の課徴金の適用はまだ例がございませんけれども、これはやはり引き上げ前に比べて格段の抑止力強化であると私どもは確信をしております。
#86
○和田教美君 私は、この課徴金はあくまでも不正行為による不当利得を解消させるだけのものにすぎない、実損は生じない、その意味ではやはり抑止力は刑事罰で達成するのが筋であるというふうに考えるわけでございます。
 実際、昭和五十二年以降の状況を見ると、今言ったように、課徴金制度の定着が図られているようであるけれども、違反行為の発生数、違反を繰り返す事業者の存在等が相変わらず続いておるわけでございまして、課徴金制度だけでは独禁法違反行為に対する抑止力はまだ不十分だというふうに考えております。
 公取委自身が刑事告発の体制整備をこれからの課題とすると言っておりますし、現に平成二年六月には既に「独占禁止法違反に対する刑事告発に関する公正取引委員会の方針」なども出まして、それによって告発を積極的に行うと、その態度を今までよりはかなり変えたように思います。
 それで、なぜそういうふうな態度に変わったのか。その点について、日米構造問題協議でアメリカ側からその必要性をいろいろ言われるから、だから外圧といいますか、そういうことで刑事告発をもう少し真剣に考えるというふうなことになったのか独禁法の抑止力がまだ足らないという認識のもとにやったのか、その辺の事情をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#87
○政府委員(小粥正巳君) ただいま和田委員の御指摘のとおり、課徴金だけでは独占禁止法違反行為に対する抑止力は十分ではない、やはり刑事罰の引き上げという措置が必要であるという点は、私も全く同じ考え方を持っているものでございます。ただ、課徴金それ自体がそれなりの抑止力あるいは抑止力の一環を担うものとして重要な、あるいは我が国に特有の制度であるということを先ほど強調させていただきました。
 ところで、ただいまのお尋ねでございますけれども、課徴金制度が昭和五十二年の法改正で導入をされましてから、私どもはこの課徴金制度の定着に公正取引委員会として当面全力を尽くしてまいりました。以来十五年という時間がたっているわけでございますけれども、課徴金制度は我が国の独占禁止法の運用、執行面でこれはほぼ完全に定着をした、企業側にとっても課徴金の存在というものが常に念頭にあって企業行動が行われている、私どもはこういうふうに定着を評価をしているわけでございます。
 さて、これも先ほど来御指摘をいただいておりますように、特に近年内外の情勢の変化のもとで独占禁止政策の一層の推進が求められているわけでございまして、私ども、カルテルに典型的に示されますような、独禁法違反行為の中でも特に国民生活に広範な影響を与え悪質かつ重大である、一昨年の告発方針に明示されましたそのような違反の性質が重大悪質であるというものについては、課徴金だけでは違反行為の是正が必ずしも十分にまいらないのではないか。あるいは、既に公正取引委員会が行政処分として排除措置を行い、あるいはカルテルであれば課徴金を徴求したにもかかわらずなお違反行為が重ねられるというようなことも間々ございます。この点につきましても、課徴金制度だけでは対応しかねる。さすれば、やはりこれはある意味で独禁法違反行為に対する制裁のいわば最終的な手段であります刑事告発をあえてしても、この行為の是正をどうしても基本的に求めざるを得ない、あるいはそうすることが今後の違反行為を未然に防止するゆえんでもある。
 そういう意味合いにおきまして、課徴金制度導入以来、事実上行っておりませんでした告発をケースによっては積極的に行っていくという方針を二年前に明示し、現に昨年末でございますけれども、お示しのいわゆる業務用ストレッチフィルム関連のカルテルについて告発を行ったところでございますし、今後ともこの方針に基づいて、事案によりましては積極的に告発を行っていくという方針を守ってまいりたいと思います。
 そこで、もう一つのお尋ねでございますが、このような方針、あるいは今回の刑事罰の引き上げについて、日米構造協議等でアメリカあるいは海外からの要請にこたえてそういう方針の転換を行ったのか、そういうお尋ねであろうかと思いますけれども、もちろん、例えば日米構造協議における独占禁止政策のあり方をめぐる議論も一つの契機ではございましたけれども、これはあくまでも我が国の競争政策、独占禁止政策のあり方として、日本政府の考え方としてただいま申し上げましたような独禁法の運用の強化、一層の推進ということを策定いたし、その一環として今回の法改正をお願いしている次第でございます。
#88
○和田教美君 次に、入札談合の問題についてお尋ねしたいと思います。
 独禁法違反行為には種々の態様のものがあるわけですけれども、中でも入札談合というものは、単に独禁法に違反するというだけではなくて、国民の税金をだまし取るというふうな行為と言ってもよいわけでございまして、独禁法違反行為の中でも特に悪質なものであると私は考えます。
 公取委員会は入札談合を重点的に取り締まるべきであるというふうに思うんですけれども、この入札談合事件に対する取り組みの基本的な方針、最近の入札談合事件の摘発状況などを御説明いただきたいと思います。
#89
○政府委員(糸田省吾君) いわゆる入札談合事件と申しますのは、独占禁止法で禁止しておりますカルテル、不当な取引制限の一態様のものであります。ただいま委員御指摘の面もございまして、独占禁止法違反の中でも特に悪質なものの一つであるというふうに考えておりまして、従来からこういったものに対する厳正な対処、規制をしてきているところでございます。
 ちなみに、最近の違反事件に対する規制のうちで、入札談合事件のウエートと申しますか、その割合を御紹介申し上げたいと思います。例えば昨年度、平成三年度でございますが、平成三年度におきまして法的措置をとった件数、いわゆる勧告の件数でございますが、これは全部で三十件ございました。このうち入札談合事件、これは決して建設工事に限らないんですけれども、各種の入札談合事件に対して勧告を行った件数は三件でございました。それが本年になりまして、きょう現在で考えてみますと、平成四年度につきましてはこれまで二十二件の勧告を行いました。そのうち十三件が入札談合事件でございます。こういった数字の推移から見ましても、私ども独占禁止法違反事件として入札談合事件に精力を大きく注いでおるということをおわかりいただけるかと思っております。
#90
○和田教美君 建設業界初の刑事告発になると見られておりました埼玉県の建設談合の刑事告発が結局見送られて、建設会社六十六社に対する排除勧告にとどまりました。この事件の告発を断念した理由はどういうことなのか。行為者等の特定が困難だということで見送ったというふうに解釈していいのか。その辺の実情をひとつ御説明願いたい。
#91
○政府委員(糸田省吾君) 埼玉県における建設工事の入札談合事件でございますが、これにつきましては、ことしの五月に独占禁止法違反ということで勧告をし、また翌月その審決を行ったところでもありますし、またこの秋にはこの事件に関しまして総額で約十億円余りの課徴金の納付命令を発出したところでもございます。
 一方、この事件につきまして告発はいたさなかったわけでありますけれども、その理由ということでございますが、先ほども委員からも御指摘もございましたが、私ども平成二年の六月に告発に関する方針を発表しているところでもございますが、この方針を発表した以降におけるこの埼玉県入札談合事件に関する事実について検討を行った結果、同日以降において独占禁止法の規定に違反する、犯罪ありと思料しまして告発を相当とするという具体的事実を認めるに至らなかったために告発は行わなかったということでございます。
 もとより、これは犯罪と思料して告発をするという問題でございますから、例えば入札談合に対しまして刑事責任の追及を含めて告発を行うということでございますから、例えば個人レベルでの事実関係についてもある程度明らかにするというような面もあるわけでございますが、そういった面も含めて検討した結果、犯罪あると思料し告発を相当とするという具体的な事実が認められなかったということでございます。
#92
○和田教美君 次に、社会保険庁のシール入札談合事件、これはさっきから議論になっておりますけれども、この事件については公取委は結局これまた告発をしなかったわけでございますけれども、それにもかかわらず検察庁は独自に刑法の談合罪で起訴したところであります。談合罪というのは刑法にも独禁法にもあると思うんですけれども、検察庁が独自に判断をして起訴したということの理由はどういうことかということを法務省にお聞きしたいのと、それからそういう検察の動きを見て公正取引委員会としてこの問題にこれからどういうふうに対応していくのか、お答えを願いたいと思います。
#93
○政府委員(山本和昭君) いわゆる社会保険庁発注の印刷物調達に関する入札談合事件につきましては、東京地検がことしの十月十三日に強制捜査に着手しまして、以後所要の捜査を遂げ、十一月二日に小林記録紙株式会社東京支店の営業部長ら五名を競売入札妨害罪により公判請求し、さらに十一月二十五日に同営業部長ら八名を競売入札妨害罪により公判請求したものでございます。
 刑法におきます談合罪というのは、刑法九十六条の三第二項に定められておりまして、その構成要件は「公正ナル価格ヲ書シ又ハ不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ談合シタ」というものでございます。
 そこで、先ほど申しました所要の捜査を遂げた上で収集しました証拠関係に基づき、話し合いによって落札業者をあらかじめ決め、各指名業者の入札金額を連絡し合い、そのとおりに入札し、落札予定業者に高額で落札させ、それによって得た利益の一部を分配したという事実関係を認定し、先ほど申しました談合罪の構成要件に該当するものと判断して同条項を適用して処理したものと承知しております。
#94
○政府委員(小粥正巳君) ただいま法務省御当局から御説明がありましたようないわゆるシール談合の問題が検察側から起訴されたというところまでは私ども承知をしております。もとより、刑法上の談合罪と独占禁止法違反行為とはその構成要件も異なるわけでございますが、これらの行為が独占禁止法上問題となり得る行為であるか否か、私ども公正取引委員会といたしましても重大な関心を有しているところでございます。
 したがいまして、今後、法令の許す範囲で検察当局と密接な連絡をとりながら、本件の処理については適切に対応してまいりたいと考えております。
#95
○和田教美君 私の質問、まだちょっとお答えいただいてないわけですけれども、法務省にお聞きしたいんですけれども、法域が違うから、公取は別として、要するに検察庁で独自にやれるというふうに考えていいんですか、談合の問題について。
#96
○政府委員(山本和昭君) 独占禁止法違反につきましては、御承知のように公正取引委員会に専属する告発権限というものがございまして、その告発が訴訟条件になっておるという関係で、公正取引委員会の告発がなければ起訴しあるいは処罰するということはできないことになっております。
#97
○和田教美君 ですから、刑法で起訴したというのは、それとの関係はどういうふうに説明されるわけですか。全く関係のないことだということですか。
#98
○政府委員(山本和昭君) 刑法上の談合罪は、先ほど私が申しました構成要件でございます。独禁法の八十九条に定めます構成要件とは若干ずれがございます。そういうことで、犯罪としては別であるというぐあいに理解しております。
 独禁法についてどうするかということでございますけれども、公正取引委員会の告発を待って検察庁は動くという仕組みになっております。その点について、公正取引委員会との間で平成二年十二月に通報の場を設けるという取り決めができておりまして、そのことにつきましては各検察庁に対しまして周知徹底しております。
 事実関係につきましては、捜査処理を行っている当該検察庁、この場合ですと東京地方検察庁でございますけれども、私どもが周知徹底していることに基づきまして、一番事実関係をよく周知している同地検におきまして通報するかどうかという検討を行うものと、そして適切に処理するものというぐあいに理解しております。
#99
○和田教美君 次に、厚生省にお尋ねします。
 社会保険庁のシール入札談合事件ですけれども、談合に参加した印刷会社は、十五億円とも二十億円とも言われる不正な利益を上げたと言われております。この不正な利益は国民の税金を盗み取ったというふうにも言えるわけでございますから、社会保険庁は談合に参加した印刷会社に対して損害賠償請求をすべきではないかと思うんですけれども、きのうの御答弁ではどうもその辺のところがはっきりしなかった。するようなしないような答弁でございましたけれども、それを明確に答えていただきたいということが一つと、それからシール入札について再び談合が行われることのないよう、どんなこれからの防止措置をとっておるのか、その辺もあわせてお答え願いたいと思います。
#100
○説明員(池田登君) お答えいたします。
 まず第一点目でございますが、損害賠償の請求の件でございますが、私どもは現在のところ、契約の当事者間の関係としてこの問題が解決できるのではないかというふうに考えておりまして、現段階におきましてはそういう考え方で契約の当事者、つまり関係の三業者でございますけれども、その業者との間で協議に入ったところでございます。
 なお、もしこの協議が整わないというような事態が生じますれば、所定の法に基づきまして損害賠償の請求というようなことを検討して進めてまいりたい、かように考えております。
 第二点目の今後の防止策についてでございますが、今回のシール事件の反省を踏まえまして、今後このようなことが起きないように私どもといたしましてもできる限りの措置を講じてまいりたいと考えております。そのため現在、社会保険庁内にシールに限らず物品の調達の契約につきまして入札方法等改善委員会というものを設置いたしました。発注者側として何ができるかあるいは何をすべきかという観点から契約事務の処理体制の全面的な見直しを進めておるところでございます。
 具体的に現在検討を進めておる項目を若干申し上げますと、第一に指名対象業者、これにつきましてはその実情に応じてできる限り拡大をしていきたい。それから、今回の事件では特にそうでございましたが、入札の予定価格の設定方法、特に見積書の徴収、これがやや狭さに失したというものがございましたので、そういう対象業者の拡大あるいは見積もりの算定根拠を明確に出していただくというようなことを考えていきたい。それから、広くその業界の実情を情報収集いたしまして事前のチェックを図ること、並びに事後の監視を厳格にすること。第四点目といたしまして、今回特に俗に丸投げと言われておりますが一括下請ということが行われておりましたので、こういった点については契約上これを禁止する方向が望ましいのではないか。
 こういうように私どもも常に考えておりまして、今申し上げましたようなことを中心にして検討を進めておるところでございます。
#101
○和田教美君 水道メーターを自治体が発注するに当たって、受注をめぐって談合が行われていた疑いがあるということで公正取引委員会が一部のメーター製造会社に立入検査をする、それから三十数社に対して近く独禁法三条違反の疑いで排除勧告をする方針だというふうな報道がなされております。
 ことし五月の埼玉県公共事業入札談合事件あるいは今取り上げました最近の社会保険庁のシール談合事件、さらに今申しました水道のメーター談合事件と、たび重なる談合事件の原因として公共工事の入札制度そのものに問題があるのではないか指名停止などの事後的な制裁措置では防止することはなかなかできないのではないか、入札制度にかわる何かコンペ方式といいますか、そういうような新しい制度が必要ではないかというふうなことも言われておるわけですけれども、いろんな役所にこれ関係があることでございますから、代表して建設省の御見解をひとつお伺いしたいわけでございます。
#102
○説明員(風岡典之君) お答えさせていただきたいと思います。
 私ども中央建設業審議会におきましては、去る十一月二十五日に建設大臣に対しまして入札・契約制度の基本的なあり方についての答申が出ました。
 この答申の内容でございますけれども、入札・契約制度につきましてより一層競争性、透明性を高めるというような観点から御検討をいただいたわけでございまして、例えば現行の指名競争入札制度につきましても指名基準の改善等々の御指摘をいただくとともに、さらに現行の指名競争入札の方式だけではなくて、民間の技術力とかあるいは民間の業者の参加意欲というもの、さらには価格だけではなくていろんな技術提案の内容を徴しまして、そういうものを総合的に評価して落札者を決定するような、いわゆる多様な入札発注方式というものの提案もいただいたわけでございます。
 今先生の方からコンペ方式の活用等につきましてお話がありました。私どもは、ただいま申し上げましたような中央建設業審議会におきましてさような入札発注方式の提案がございましたので、まずこれに基づいてできましたら来年度から、できるものから新しい入札方式というものを実施してまいりたいというふうに考えております。
 いずれにしましても、できるだけ技術力とかあるいは民間の業者の参加意欲というものをよく見まして、そういったことを中心に適正な競争が行われるような、そういう入札・契約方式の実施ということに努めてまいりたいと思っております。
#103
○和田教美君 これまで公取委が告発したり勧告を出したりしている対象は、どうも製造業に偏っているんではないかというふうにも思います。先ほどからも議論に出ておりますけれども、製造業だけでなくて、今の建設だとかあるいは金融、運輸といったサービス業にも積極的な対応をすることが独禁法の秩序を維持する上でも大変必要なことになってきているんではないかと思います。その意味で、去年のいわゆる証券スキャンダルで示された公取委の対応は、世論のバックアップというものがあったにしても一応評価できるものではないかというふうに私は思います。
 そうした政府規制が絡んだ分野及びサービス分野、こういったところに今後憶することなく積極的に独禁法の運用を行っていくという決意がおありなのかどうか、その辺についてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
#104
○政府委員(小粥正巳君) 公正取引委員会は、独占禁止法違反の疑いがあるとの情報、端緒に接しました場合には、当然のことながら必要な調査を行い、違反する事実であると認められる場合には適切な排除措置を講じているところでございます。
 広く政府規制分野あるいはサービス分野についてどうか、こういうお尋ねでございますけれども、最近の実例を見ておりますと、製造業における価格カルテル事件以外にもサービス業、通信業におけるカルテル事件あるいは建設、印刷、さらに広い意味でのサービス業における入札談合事件、御指摘がありました金融業における損失補てん事件など、製造業以外の分野における競争制限行為に対しても、当然のところながらひとしく厳正に対処しているところでございます。
 経済のサービス化ということも言われておりますけれども、私どももさらにこの複雑なあるいは広がりを持つ経済分野のあらゆる市場につきまして目を配りながら、法の厳正な執行に心がけていきたいと思っております。
#105
○和田教美君 もう私に割り当てられた時間はなくなりましたので、最後にひとつ独禁法執行体制の強化の問題についてお尋ねいたします。
 去年の課徴金の引き上げや違法なカルテルなどに関する事業者の今回の罰金刑の引き上げなど、独禁法の法制自体はかなり整備されるようになるんではないかと思います。問題は、これから法制の実効を確保するための法の執行に重点が移っていくんではないかというふうに思います。
 そこで、まず必要なのは公取委の体制の強化であります。先ほどからも質問に出ておりましたけれども、確かに平成五年度予算要求では審査部門の人員を十一名増加するなど強化の方向にあることは事実だとしても、なお現状は業務内容や権限から見てまだまだ不十分と言えるのではないかというふうに思います。
 そこで、この問題について公取委員長としてどういう御決意で臨むのか。それから、例えば的確な公正な審査のために審判官に裁判官出身者を入れるというふうな思い切ったそういう取り組み方もする必要があるんではないかというふうに考えるのですが、この辺のところをお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
#106
○政府委員(小粥正巳君) ただいま御指摘のように、この法改正をお認めいただければ、制度、法制面における法執行体制の強化拡充はひとまずその体制が整ったと言えると思いますが、これを運肝するのはもとより委員会及び事務局でございまして、その定員、機構の充実強化あるいは人材の育成についてさらに意を用いていかなければいけないことは全く御指摘のとおりでございます。
 政府全体としては極めて厳しい定員管理が行われている中で、幸い公取の活動についての強い要請を認められまして、特に近年、審査部門の機構、定員の充実を中心といたします公正取引委員会の陣容の着実な整備が図られてきたわけでございます。しかし、現状で十分かというお尋ねでございますけれども、もちろんこれは私ども現に来年度に向けて機構、定員の要求を精いっぱい行っているところでございますし、また人材の育成、研修についてもさらに意を用いていかなければならないことは当然でございます。
 そこで、その人材面でいま一つ具体的なお尋ねがございました。裁判官出身者を登用する意図はないか、こういうことでございますが実は、たまたま昨年四月付でございますけれども、公正取引委員会といたしましては二十数年ぶりに現職の裁判官幹部一名を審判官に配置するという人事を最近行っているところでございます。これはより的確、公正な審査、審判を行うためにも、私どもとしましても裁判所御当局の御理解をいただいてこういう人事が実現したわけでございまして、これはまた裁判官に限りません、公取全体の人材の育成、能力の向上を目指しまして、さらに他分野とも積極的な交流その他を図ってまいりたいと考えております。
#107
○井上計君 官房長官がまだお見えじゃありませんから、委員長に先にお尋ねをいたします。今回の独禁法の改正でありますが、罰金の一億円が低いのか、あるいは五億円ならさらに抑止効果があるのか論議もありましたけれども、現状からすると一億円でも十分抑止効果がある、私はそういう認識を持っております。といいますことは、罰することが法の目的ではありませんでやはり違反行為を起こさないようにするため、これが法の目的であるわけでありますから、そういう意味では一億円という罰金に改正することが現段階では妥当である、このように考えておりますから、特にこの法案についての質疑は省略をいたします。
 そこで、官房長官がお帰りになりましたので、順序として先に官房長官、早速で恐れ入りますけれどもお尋ねをいたしたい、かように思います。ただ、私の都合で事前の質問通告を十分いたしておりませんから、適当にと言うと語弊がありますけれども、私の意のあるところをひとつ御了承いただきまして、官房長官に御答弁いただければ結構でございます。
 実は、独禁法の問題等々いろいろと若干勉強してまいりますと、いずれ委員会でやりますけれども、私はこの際、予算決算会計令、これの見直しが必要ではなかろうかな、こんなふうに思っておるわけであります。現在の物価水準あるいは経済状況から考えますと、予算決算会計令の中にかなり今の情勢、時代に適合しないというふうな面がたくさんあるわけであります。
 時間がありませんから、もう詳しい質問は省略をいたしますけれども、例えて申し上げますと、第八十四条の「最低価格の入札者を落札者としないことができる契約」等々の中にも一千万円云々という金額があります。それから、「契約内容に適合した履行がされないおそれがあるため最低価格の入札者を落札者としない場合の手続」だとかというふうな項目があります。さらには、八十九条でありますけれども、「公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあるため最低価格の入札者を落札者としない場合の手続」というものがずっとあるわけであります。それから、第九十四条でありますが、「指名競争契約」の中に「予定価格が五百万円を超えない工事又は製造をさせるとき。」には云々というふうないろんな条文があるわけであります。さらに、「随意契約」の項目の中にも三十万とか八十万とかというふうな金額が明示されております。
 今実際の問題として、特に官公庁の入札の場合、建築あるいは土木等々の公共事業以外の物品の納入入札等々の場合に、要するに最低価格入札が原則でありますから、甚だしい場合には時価八十万円ぐらいのものを百円で入札するとかあるいはもっと極端な場合も最近随分とあるわけですね。それはもう競争のために、あるいは大企業がシェアを獲得するために拡充するためにまず競争入札者を全部排除してしまう、特に中小企業を排除するためにそのような戦略的ないわば無謀な入札をするというのがもう随所にあるわけですね。
 それが不公正な取引という面で大変問題になっているという状態がありますが、これらのことをやはり改善をしていかないと、ただ単に談合によってあるいは協定によって高い価格を入札云々じゃなくて、不公正な取引を排除するためにはそういうシェア争いだとか、戦略的ないわばダンピング入札ということも排除していかないと、正常なやはり商行為、経済行為はできないし、市場は守れないんじゃなかろうか、こんなふうなことも考えております。
 したがって、予決令等々の見直しもやはりこの際検討すべき時期に来ておるんではなかろうかな、こんなふうに考えておりますが、官房長官どういうふうなお考えでありますか。もし御見解があればお答えをいただきたい、こう思います。
#108
○国務大臣(加藤紘一君) 今、井上先生が御指摘の問題点は、現場の実情に立脚してかなり専門的な観点も含めての御質問でございます。
 井上先生の観点は、中小企業に対してどうやったら活躍する場所を与えられるかということを、空理空論じゃなくて現場のいろんな手続面で考えてみたらどうか、こういう御指摘だろうと思います。それは単に、いかなる人をも公平に扱うという単純な話ではなくて、実質的に公平に公正になるようにできないか。あるときには、力を持っている者が公平と称して実は正常でない、不公正なことをやる可能性もあるじゃないかというような御指摘であろうと思います。
 その点につきましては、本当に中小企業が活躍できるようなことを考えていくということは大変重要なことであると認識しておりますが、今御指摘いただきました点は、私にとりましても大変専門的で、もっとよくよく勉強していかなければならない具体的な問題も幅広く含まれておりますので、若干検討を要する問題でございますので、ここですぐ具体的な答弁をさせていただくことは控えさせていただいて、御指摘の点をよく勉強してまいりたいと思っております。
#109
○井上計君 先ほどお断りしたように事前の質問通告をいたしておりませんから、今の官房長官のお答えでやむを得ない、こう思っておりますが、ぜひ御検討いただきますようにお願いいたします。
 それで、今の問題と若干関連いたしますけれども、先ほどの和田委員の質問に関連しますが、実は大企業がもうわずかな金額のものでもどんどん応札をしておる、だからここである程度中小企業の分野を確保するためにも、一定金額以上のもの、一定金額以下のものあるいは中間のものというふうに、一定金額以上については大企業のいわば優先入札を認めるとか、あるいは中間では共通の土俵のものを認めるとか、あるいはこれ以下のものについては中小企業専門の入札分野であるとかというような、そういう指導も私は中小企業を育成するためにも、また正常な商行為を行っていくためにも必要ではなかろうかな、こんなことも思いますので、あわせてひとつまた御検討をお願いをいたしたい、こう思うんです。これは御答弁要りません。
 それから、先ほど社会保険庁のシールの問題について和田委員からの御質問がありました。私は御存じのように印刷業界の出身でありますから、大変お恥ずかしい頭の痛い問題だということで私も苦慮しておるわけでありますが、これらのことを個人的にそういう立場でずっと実情を調べますと、入札参加企業の条件が明確でないんですね。これは所管庁みんなそうだと思うんです。だから、ある官庁はそれがオープンになっていない点がありますので、むしろ入札の参加条件、これらのものをもっとオープンにしていただいて、そうしてだれもが参加できる、しかし資格のない者は最初から参加しないとか、というふうなことも考える必要があるんではなかろうかと思います。
 先ほど社会保険庁の経理課長の御答弁の中に見積もりの云々とかいろんな勉強云々とかありましたけれども、やはり業者団体をもっと利用したい、それで業界団体というものがいろんなことを研究、調査しているわけでありますから、そういうものを十分活用して適正な予定価格ができるように、その辺についても官房長官として御指導をお願いをいたしたい、こう思います。時間の関係で御答弁要りません。要望だけにしておきます。
 そこで、あと一問、これは公取委員長にお願いでありますが、中小企業団体の主たる任務というのは、組合員、業者に対する経営改善指導、これが主たる任務であることは当然であります。したがって、団体法による商工組合にしても、あるいは中小企業等事業協同組合にしても、経営改善指導が主たる組合の業務であるわけですが、経営改善指導といいますと、そこに多分原価管理、原価計算というものが当然あるわけであります。ところが、標準価格等々を想定するとすると、そこに価格協定だというふうなこととこんがらがってくることがあるんですね。それらの区分がなかなかできませんので、中小企業団体においてはかなり戸惑いがあるわけです。
 十三年前であったと思いますけれども、橋口委員長時代私がこのことをお願いして、中小企業のガイドラインを設定していただいたことがあるんですが、ところが当時と現在とは特に製造業のいろんな原価構成の構造がかなり変わっておりますし、今の情勢に合ったような、ひとつガイドラインを公正取引委員会としてお考えいただく必要があるんではなかろうかと思いますが、これについてはどうお考えでありましょうか。これはお答えをお願いします。
#110
○政府委員(小粥正巳君) ただいまの井上委員のお尋ねでございますけれども、昭和五十四年の公正取引委員会からのいわゆるガイドラインでございますが、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」というものを出しております。このガイドラインにつきまして、今具体的にその中小企業の実情から、特に現在の実情から見てどうか、こういうことでございますが、私ども基本的な考え方はこの五十四年の指針にそれなりに尽くされていると考えております。
 あくまで基本的な指針でございますから、具体的な中小企業の方々の行為、行動に対してそれをどう適用するのかという点で、確かに時におわかりにくいようなこともあるいはあろうかと思います。私ども積極的に何かなさる前に御相談をいただくということはもう大変歓迎をしておりますから、その点はぜひひとつお気軽に公正取引委員会を活用していただくように御指導いただければと存じます。また、実情につきましては、指針は基本的なものでございますからこれは動かせないものといたしまして、私どもその適用なりあるいはその適用についての御説明なりには十分意を尽くしてまいる所存でございます。
#111
○井上計君 ぜひお願いをしたいと思うんですが、十五年前、二十年前と比べますと、現在では製造業の物品製造のいわば原価のメカニズムといいますか構成が大幅に変わっているんですね。以前は製造業というのは、製造原価等出す場合には原材料プラス工賃プラス諸経費というふうなことで簡単に出しておったんですが、現在では、まあ印刷を例に挙げますと、企画からいろんなことがずっとなにして無形の原価構成要因がたくさん出ておるわけですね。したがって、その付加価値面での原価構成というのは非常に複雑でありますから、どうしてもお互いがそういうふうな共同研究等々せざるを得ないというふうなことが多いわけですから、それらの点を御勘案いただきまして、ぜひそういう面の御指導を十分していただきたい。
 そして、これ最後またもう一つお願いでありますが、公正取引委員会というのは中小企業団体から見ますと大変怖いとかうるさいとか、できるだけ近寄らないように、こういうふうな考えがあるわけですが、そうではなくして積極的に中小企業団体との交流をしたり十分御指導をしていただくように、最後にひとつ要請をして私の質問を終わります。
#112
○市川正一君 昨日は法案に即して質問させていただきました。きょうは公取行政についてお伺いをいたしたいと思います。
 今、戦後最大の不況の中で、それを口実にした下請の再編、切り捨てが起きております。特に単価切り下げについては、我が党国会議員団の全国調査でその深刻な実態が明らかになってまいりました。それによりますと、一〇ないし二〇%の切り下げは普通のこと、少なくないところで三〇%、四〇%削減されております。
 例えばクボタのVA方式、バリューアナリシスといって価値分析方式だそうですが、これは外注の部品の単価をすべてそこに表示して会議室に並べます。そして一週間かけて下請を個別に呼び出す。その単価の一〇%以上コストダウンできれば発注してやる、こう言って、一〇%以上の削減を提案すれば即決でその場で採用する、こういう手口で下請にコスト削減競争をさせておるんですね。下請は何とか仕事を確保したいものですから、自分の納品部分を一〇%、二〇%コストダウン、括弧つきですがそういう自主的値引きをさせられている。下請のこういう自主的な形態を装った単価切り下げ、買いたたきを巧妙に押しつけております。これは下請代金法違反の脱法行為であろう、こう思いますが、いかがでしょうか。
#113
○政府委員(植松勲君) 先生御指摘のような事例は、下請法上いわゆる下請代金の買いただきに該当するかどうかという問題になろうかと思います。下請法第四条第一項第五号では、親事業者が「下請事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い下請代金の額を不当に定めること。」を禁止しております。したがいまして、類似品または市価に比べて著しく低い下請代金を不当に定めるいわゆる買いただきを禁止しているわけでございますが、下請法に違反するかどうかは事実を調査して個々に判断することになるわけでございますが、今申されましたように、一〇%から二〇%あるいは三〇%というお話ありましたが、そういうことで一方的に親事業者が単価を引き下げ、その結果として通常の対価を著しく下回ることとなる場合には下請法上問題となろうかと思います。
#114
○市川正一君 今、植松さんの一番最後におっしゃったところが大事だし、また実態はそうなんです。
 これは大阪での松下電器の関係の下請の例でありますが、松下の一次下請である親企業から一方的に単価引き下げ、この場合一〇ないし二〇%を言ってきておりますのできないと言うと、ほかでやるとこはぎょうさんあると。そういうことでほかの社に回すかあるいは内製化する、いわば自分のところでやってしまうと言って引き揚げていきよるんです。 見積もり合わせが頻繁に来るが、不況で仕事がないために単価を引き下げなければ受注できない。見積もり合わせで業者間のコストダウン競争をさせている。どうしても仕事が欲しいときは、赤字覚悟で引き受けざるを得ぬというのが業者の切実な声なんです。あげくの果ては、仕事が欲しければ韓国並みの単価、大体韓国並みという意味は今の半額です、それでやってくれるなら仕事は何ぼでもあると言って押しつけられる。
 中小企業庁もお見えでございますが、中小企業庁並びに公取委員会がこういう手口を御承知なんだろうか、またこれにどう対処なさるんか、簡潔に伺いたいと思います。
#115
○政府委員(植松勲君) 私どもで下請法の運用基準というものを出しておりまして、そこでまさに先生御指摘のような買いたたきにつきまして具体的に事例としまして、「一律に一定比率で単価を引き下げて下請代金の額を定めること。」、こういう場合にはその買いただきに該当するおそれがあるというふうにいたしております。
 それから、その違反の具体的な事例もそこには紹介しておりますけれども、例えば四―二というところがございますが、「親事業者は、国際競争力を強化するためにはコストダウンをする必要があるとして主要な部品について一律に一定率引き下げた額を下請単価と定めたため、対象部品の一部の単価は通常の対価を大幅に下回るものとなった。」と。こういうふうな具体的な過去における違反事例なども掲げて、こういうようなことをしないようにというふうに運用基準で具体化しております。
 こういうふうなことは親事業者に対して周知徹底しておりますし、またこういうような違反が起こらないように毎年定期的に親事業者の調査、さらには下請事業者の調査をやって、違反の事例がありました場合にはさらに検査をするというようなことでこういう問題に対応しているところでございます。
#116
○政府委員(土居征夫君) 具体的な取り締まりの基準につきましては、公正取引委員会と十分協議をして統一の基準で実施しておりますので、今公正取引委員会からお話ししたとおりでございます。
#117
○市川正一君 これは大阪の松下電器関係の金属加工下請の問題です。
 さらにまた愛知にもありまして、トヨタ自動車関係の下請で実際に起きていることなんですが、単価は発注のときにも納品のときにも決めよらぬのです。そして、代金の支払いのときに一方的に決めてくる。代金をもらう段になって初めて単価が決まる。これは明白に下請代金法の違反になると思いますが、いかがでしょうか。
#118
○政府委員(植松勲君) 下請法の適用対象となる下請取引につきましては、発注の都度、下請事業者の給付の内容、下請代金の額、支払い期日及び支払い方法など、公正取引委員会規則で定めた記載事項をすべて記載した書面を交付しなければならないという規定になっております。この辺は、親事業者に対して発注内容などを明確に記載した書面を発注の都度下請事業者に交付するよう義務づけ、そのことによって取引条件を明確化し、下請取引にかかわるトラブルの未然防止を図るために設けられたものでございます。
 したがいまして、下請代金の額につきまして発注時点では算定不可能なため、やむを得ず仮単価として定める場合を除きまして、発注書面で確定額が記載されているべきでありますから、そうでない場合は下請法上問題となると思います。
#119
○市川正一君 ところが、現実にはこういう問題が続出しているのに、下請業者は下請代金法で申告いたしますと親事業所から仕事を打ち切られてしまう、そのために申告ができないというのが現実であります。
 公取委員会のことし十月に発表なさった文書がここにございますが、この三十八ページにもこう書いてあります。「下請取引の性格から下請事業者が親事業者の違反行為を公正取引委員会又は中小企業庁に申告することは余り期待できない」、こう述べております。
 そこで伺いますが、中小企業庁、公正取引委員会は毎年下請代金法の運用状況を発表なすっておるんですが、下請業者からの申告件数及び処理や措置した全体の件数がどうなっているのかお聞かせ願いたい。
#120
○政府委員(植松勲君) 平成三年度におきまして、親事業者一万二千六百八十社及びこれらの事業者と取引している下請事業者七万一千六百三社を対象に書面調査を行いまして、その書面調査に基づきまして事件としたものは千五百三十四件でございました。また、申告は少のうございますが、申告に基づいて事件としたものは平成三年度におきまして十五件でございました。一方、この平成三年度において違反被疑事件として措置した件数は千四百九十二件でございました。
 これら違反事実が認められた親事業者に対しては、当該違反行為を取りやめさせるとともに、下請代金の減額事件については減額分を返還させるなどの原状回復措置を講じてきておるところでございます。
 なお、平成三年度におきまして下請代金の減額を行っていた親事業者二十五社に対しては、総額四千五百三万円を延べ九十社の下請事業者に返還するよう指導を行ったところでありますし、また下請代金の支払い遅延事件につきまして、親事業者二十九社に対して遅延利息支払い総額二千二百九十七万円を延べ百五十一社の下請事業者に支払うよう指導を行ったところでございます。
#121
○政府委員(土居征夫君) 中小企業庁の場合、下請事業者からの申告にかかわります親事業者の検査というのは平成三年度は十二件でございます。こういう形でなかなか申告の数は少ないわけでございますので、行政機関が積極的に違反行為を探すということで、書面調査では中小企業庁の場合は平成三年度七万七百三十七企業について書面調査をいたしました。これは親企業、下請企業も含めた数字でございますが、その中から約三千企業、平成三年度は二千八百十二企業、これにつきまして立入検査等で具体的な問題点を探ったわけでございますが、その結果、即時改善等の措置を行った件数が千七百五十三件でございます。
#122
○市川正一君 ありがとうございました。
 公取委の場合千四百九十二件、申告は十五件。中小企業庁の場合は十二件の申告ということで、結局違反件数の一%そこそこなんですね。ですから、具体的に申告したとしてもなかなか解決しないというのも事実です。
 これは中部通産局の話なんですが、一万五千個の発注が何の予告もなしににわかに千個に減少したんで中部通産局に訴えたら、親企業に仕事を出すように言えば本当に仕事を切られますよと、こう言われたというんですね。その業者は、中小企業庁はだれの立場に立っているんかと、こう憤激いたしておりますが、よし仮に善意でそう言ったとしても、これではいわば恫喝になると言わざるを得ません。
 私は、下請代金法で中小企業、下請を守る中小企業庁の姿勢としてこういう事態でいいんだろうかという問題を問いかけたいんですが、いかがでしょうか。
#123
○政府委員(土居征夫君) 下請対策につきましては、公正取引委員会と一緒になって実施しております、下請代金支払遅延等防止法に基づきますいわゆる規制措置というものもあるわけでございますが、この規制措置にのります違反というのはやはり法律上非常に要件が厳格になっているわけでございます。
 今お話がありましたような下請取引契約の変更については、その法律の範囲を超えている面もございますので、別途下請中小企業振興法ということで振興基準というものを定めまして具体的に親企業を指導しているわけでございますが、できるだけそういう下請発注内容の変更とか条件の変更につきましては、予告期間を長くとってやるようにという指導を行っておりますので、具体的にそういう方向で通産局にも趣旨を徹底して指導に万全を期してまいりたいと思っております。
#124
○市川正一君 下請代金法に基づく下請業者へのアンケート調査で、毎年実施する件数は下請中小企業者の四分の一です。つまり、各業者への調査は四年に一回しか実施されていません。御承知のとおりです。それでは今戦後最大の不況と言われている今回の不況下の下請の実態を正確につかむことはできないと思うんです。
 公取は、八六年のあの円高不況の際には、毎年の調査以外に独自の特別の調査をなさいました。そのときの八六年五月二十一日付の文書をここに私持ってまいりました。今回のこの事態についてこういう独自の特別の調査を実施なさるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
#125
○政府委員(植松勲君) 先生御指摘の円高不況の際の調査でございますけれども、これは当時の状況にかんがみまして、一般調査の中にその円高調査も含めて調査をしたわけでございます。今の状況でございますけれども、現在の景気情勢下におきましては、下請法の厳正な運用ということに力を注いでおりまして、今のところ違反行為の有無にかかわる調査とは別に特別調査といいますか、一種のアンケート調査のような実態調査といったものをすることは考えておりません。
 違反行為の有無につきましては、電機、自動車などを含む下請法に規定する業種につきまして、親事業者の義務、遵守事項全般につきまして書面調査を行ってきておりますが、これに基づき厳正に対処しておりますし、今後とも各業種の状況も注目しつつ、厳正に対処していきたいというふうに考えております。
#126
○市川正一君 公取ともあろうものがそういう必要を認めないというのは、私は現状の認識がいかに実態と遊離しているかということの証左だと思うんです。あなたはおっしゃいますけれども、この円高のときには「円高の下請取引に及ぼす影響に関する特別調査結果について」と、ちゃんと文書出ています。僕は今の状況はそれに匹敵する、否それより以上に深刻な事態を特別に調査なさるべきだ。公取委員長、ぜひこの点は検討していただきたいということを私は申し添えて、前へ進みます。
 最近、自動車会社はデザイン・インに取り組んで、設計段階から一次下請を交えて先ほど申しましたVA、バリューアナリシス、それからVE、バリューエンジニアリング、これは技術分析と称しておりますが、これらを実施しております。その結果、これを口実にした下請の再編や二次下請以降の切り捨てが起きております。
 トヨタのある幹部は、我が党の議員団との交渉の中で、一次下請の協力会社、協農会、協栄会と言っておりますが、これについては面倒は見る、しかし二次から四次下請の実態はつかんでいないし、協力会社の下請の仕事についてはその会社の社会的責任で対応されたい、こう答えております。下請代金法で言うならば、確かに直接の発注者が親事業者になるために二次以降の下請に対する、この場合トヨタでありますがその法的な責任を問うことはできませんけれども、発注元の大企業者に対しても親事業者と同様に遵守事項を守らせるようにする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#127
○政府委員(植松勲君) 下請法の法律の適用対象にならないものにつきましても、下請法の精神にのっとってできるだけ遵守をしていく方向で対応したいと思っております。
#128
○市川正一君 今度は植松さん、なかなか前向きの御答弁だったんですが、実際そうなんですね。私も十一月十八日付の通達持ってまいりました。通産大臣、公取委員長、その名において親事業者や団体に要請をなすっています。ですから、今植松さん御答弁になったような積極的姿勢で、いわば発注元の大企業に対してもしかるべき指導をぜひ強めていただきたいということを重ねて要請いたします。
 そこで、トヨタの協力会員の日本電装、アイシン精機というのがございますが、ここでは一次下請までは仕事を出すが二次下請以降の仕事は知らない、二次下請以降に仕事を発注すればその分だけ仕事を引き揚げる、こう言って、トヨタから見れば二次下請になりますが一次下請をおどかしております。先ほど紹介いたしましたトヨタの言う、協力会の下請の仕事についてはその会社の社会的責任で対応されたいとするその実態なるものは、まさにこれであります。再度私は、こういう発注元大企業に下請を保護する本当の意味での社会的責任を果たさせる必要があるということを重ねて強調いたしておきたいと思います。
 次に伺いますのは、建設業法では元請責任を明確にしておりますが、下請代金法では発注元大企業の責任が免罪されている欠陥があります。今、系列の解消を大義名分にして下請の切り捨てが進行している中で、系列問題での調査をしていらっしゃいますが、家電などを対象にした第一次の調査では二次下請以下の実態が調査の対象になっておりません。発注元大企業の責任を明確にするためにも、自動車などを対象とした第二次調査ではこの分野もきちんと調査すべきであると思いますが、委員長いかがでしょうか。
#129
○政府委員(矢部丈太郎君) 今お尋ねの系列に関する調査でございますが、けさほど藁科委員にもお答えしましたように、第一次では四業種やりまして、今年度は自動車、自動車部品をつくる四業種を現在調査しております。
 この調査は、日本におけるそういう下請取引のような系列取引が外国企業の我が国市場への参入を排除する効果を持つかどうか、こういう観点から調査いたしておりまして、そのうち自動車部品につきましては部品の数が大変多いものですから、現在調査しておりますのは自動車メーカーと一次部品メーカーとの取引を中心にして調査しておるわけでございます。一応今年度末を目途に現在取りまとめ作業を行っているわけでございますが、下請法の定義によります親事業者と下請事業者との取引そのものは対象としておりませんけれども、この調査の過程で下請法上問題となる問題が出てくれば下請法に基づいて厳正に対処したい、こう思います。
#130
○市川正一君 そういう問題を遂行していく体制の問題なんですが、下請検査官が何人いらっしゃるか、資料をちょうだいいたしました。公取が二十八名、中小企業庁が四十一名であります。そうしますと、この人数で三十八万に上る下請中小企業の相談に乗ることは事実上不可能であります。
 そこで、我が党はかねてより増員を提起しておるんですが、増員はもとよりのこと、下請中小企業と日常的に接している地方自治体に下請代金法の監督権を与えていく、そしてきめ細かく対応できる。私、先日、大阪府当局と懇談いたしました際にも、下請代金法での調査、指導、監督権限を都道府県知事に与えてほしいという要望を受けました。これは広い世論になっておると思いますが、まさにこの方向での検討をなさるべきときであると思いますが、公取委員長の見解を求めたいと思います。
#131
○政府委員(小粥正巳君) ただいま御指摘でございますけれども、下請法に基づきます個々の法的権限につきましては、現在のところすべての都道府県がこれを適切に行使できる体制には必ずしもないと考えられまして、現段階での問題といたしますと、この下請法の権限を都道府県に移譲と申しますか、付与することは率直に言いまして難しい状況にあると考えられます。
 ただし、ただいま大阪府の例も御指摘になりましたけれども、かなり多くの都道府県におかれましては、それぞれの地域の中小企業対策として下請取引の適正化についての関心は大変深く、私ども公正取引委員会とも十分御協力をいただきまして下請法の普及啓発に関する活動を行い、下請取引の適正化を図ってきておられるわけでございますから、私ども今後とも実践的にこのような協力関係を通じまして、ただいま御指摘もいろいろいただきましたけれども、今後とも下請法の厳正、効率的な運用に努めてまいりたいと考えております。
#132
○市川正一君 時間が参りましたので、官房長官には大変お待たせいたしまして申しわけございません。
 今の問題なんですが、五月二十日付の公取の文書で都道府県との相互協力体制について言及しております。そして、委員長、誤解なすったらいかぬのやけれども、あなたところの権限を召し上げるいうんと違います。権限は権限で残しておくんですよ、ちょうど中小企業庁がそうであるように。都道府県の知事にも権限を与えるということであれば、私は本当に実効ある対応ができると思うんです。私は、そういう方向に向かって政府としても検討をしていただきたいということで最後に官房長官の御見解を承って、質問を終わります。
#133
○国務大臣(加藤紘一君) ただいま公取委員長が御答弁申し上げましたように、多くの自治体はこの下請法の効率的な運用というものに非常に強い関心を持っております。特に、不景気のときになりますと、またその関心は強くなるんではないかと思います。したがって、今委員御指摘のように、その権限をどこに置くかの議論もございますけれども、中央の方とそれから地方の方でこの問題について相互に緊密な連絡をとりながら本当に効率的な運用ができるように、委員の御指摘も含めて十分努力してまいりたいと思っております。
#134
○古川太三郎君 せっかく官房長官がおいでのようですから官房長官にちょっとお聞きしたいんですが、きのうからの参考人の御意見も、一億円ならば大体満足できるというようなお話もございました。しかし、書かれている論文なんかには五億円が妥当だという参考人もいらっしゃいました。また、数億という結論が出たものですから、それが一億になってしまったということには、学者としては確かに両罰規定が入ったからそれでいいんだと満足されたんだろうというような印象も受けたんですけれども、そしてまた委員に対する公取の答弁はとにかく今までから見て課徴金が四倍に修正されたんだし、また罰金も二十倍に上がったんだと、要するに過去を基準として物を考えていらっしやる。
 そういう中で、本来ならばこれは国際的に通用するものであるべきだということと、日本の現在の経済力、こういったものとを見合わせて考えていかなきゃならない。なおまた、日本の企業の大きな力、これが世界でどのくらいのランクになっているか、そういったことも考え合わせてみますと、一億円というのはやはり低いんじゃないか。
 初めに出たときには、国民の皆さんは、数億円というんだから大体五億円ぐらいだろうというように感じた人もたくさんいらっしゃったと思うんです。また新聞でも、数億円だから三億以上というような感じを持った人もたくさんいると思います。それが政府の案として出てきたときに一億円になってしまった。そこの落差といいますか、そういったことが本当に国民の皆さんにはわからないんですね。どうしてそんなに一億円というものになってしまったのか。この委員会でそういったことの議論があるのかと思いますと、自民党さんは政府と一緒ですが、五億円という意見と一億円という意見がもしあったとすればなぜ一億円が正しいのかそういう議論というのはこの委員会では全然ないんです。
 そういう意味から、政府がどうして一億円が正しいんだというように決められたのかを、本当に政治的な素人の質問かもしれませんけれども、官房長官の御意見を伺いたい。そしてまた、政府がどのような筋道を立てて一億円に到達したのか、このことを詳しくお聞きしたいと思います。
#135
○国務大臣(加藤紘一君) その辺の経緯の詳しいところにつきましては、またそこの結論に至ります過程につきましては公取委員長の方から詳しくお答えさせていただきたいと思います。
 しかし、いずれにしましても政府といたしましては、現時点の社会の大方の賛成を得られる金額という意味でこれまでの五百万から二十倍、一億円というのはかなりの重い金額でございますし、またそれが理解を得られるものなのではないかなと思っております。
#136
○古川太三郎君 先ほどもちょっと申しましたが、日本の経済力、日本の企業の体力の強大さといいますか、ならばアメリカとやっぱり匹敵するぐらいの大きなものであるだろうと私は思うんです、企業一つ一つを見てみても。問題は、国民の意識がどこまで来たかどうかというようなこともございますけれども、それよりも何よりも抑止力が働くというのならば、少なくとも国際水準、トップレベルに行っていいんではないかこのように考えますけれども、日本の経済力との比較で御答弁を願いたいと思います。
   〔委員長退席、理事松尾官平君着席〕
 いや、もう公取委員長のはさんざん皆さんもお聞きになって、公取委員長は言いたいこともなかなか言いにくいところがあるだろうと思いますし、なぜ一億円になったのか、一億円がなぜ正しいのか、そのことはやっぱり官房長官でなければ国民の皆さん納得しないと思うのでよろしくお願いします。
#137
○国務大臣(加藤紘一君) 私の答弁も同じだと思います。政府としてそこに至った経緯と、考えるに至った経緯につきまして、私と公取委員長が違ったらこれはまた大変なことでございますので同じ答弁になろうかと思いますが、先ほど言いましたようなキーワードはやはり現時点での社会の大方の理解を得られるところということかと思います。
 一億円という金額は、中小企業にとっては大変大きな金額でございます。しかし、日本の社会を構成している経済主体、特に大企業にとって一億というものは大した痛痒を感じない金額ではないか国際社会の中の横並び、特に米国の大企業なんかに対する負担等から考えればもっと重くてもいいんではないかというのが今先生の御指摘なんだろうと思いますが、これまでの経緯からいいまして五百万から一億という飛び方もかなりのものであろうと思います。それから、日本社会の構造の中で、企業全体の大きさから見れば一億というのはその年商から見れば大した金額ではないというふうに思われるかもしれませんが、それぞれ担当したセクションにとりましては、その一億というものを出すきっかけになったセクションにとりましては、これは大変な、責任者の処罰にも関係する大事件になる金額であろうというふうに思います。
 そういう意味で現時点では、この一億というのがまず社会的な重さと厳しさと、そして理解を得られるというバランスのとれたところでないだろうかと思います。
#138
○古川太三郎君 社会的にバランスのとれたということになれば議論がなかなかしにくいんで、数億というものが研究会でも発表された、これが一億になったという政治的な配慮、これは何と何を配慮されたか、どういったことを配慮されたかそのことをお聞きしたいんです。
 そしてまた今、中小企業なんかでは一億は高いですよ、こういう言い方もされましたけれども、課徴金とかそういったものならば、それはそれでいいんですけれども、これは罰金のことですからね。罰金というのは公取委員会で決めるわけじゃないんで、これはもう第三者である裁判所が決めることなんですね。一億が最高額だといえば、裁判で出てくるものというのは大体が五千万、六千万ぐらいなんです。一億の最高の判決をするというのは、これ以上悪い犯罪はないというときにするかもしれませんけれども、まずそれはないと思います。一億というのはないんです。
 ということであれば、これは刑罰なんですから、やっぱり真剣にやっているなという気持ちを出すためにもこれは大きくしたって別にどうということないんですけれども、なぜそれが一億だということに理屈が通ったのかどうか政府でどういう議論をされたのか。要するに、研究会とかそういった学者の発表でも大体五億円が基準だと言われていながら、政府でどうして一億にされたのか、その過程を聞きたいだけです。
#139
○政府委員(小粥正巳君) 実際に政府部内で法案作成の調整段階を担当いたしましたのは主として私ども公正取引委員会でございますから、官房長官へのお尋ねでございますけれども、なぜこの研究会報告では数億円であったものが政府案では一億円になったのか、そこの点のお尋ねでございますのであえて私から御答弁をさせていただきます。
 そもそも研究会報告で数億円程度とこういう表現をいただいておりまして、これは具体的に確定金額でのお示してはないわけでございます。その点は私どもの理解といたしましても、研究会では理論的な大幅引き上げの根拠を整理され、そして連動制の切り離しの前提の上で大幅引き上げが必要であるという基本的な方向をお示しいただいた。そして、その程度は数億円程度という表現で、必ずしも確定金額で研究会がお決めいただくまでもない、あるいは確定金額ではむしろ示しにくい、そういう意味で数億円という程度を、そして方向として大幅引き上げという方向を示されて、あとは政府部内で十分調整をして法律案に仕立ててほしい、こういう御意向ということでこの報告を承った次第でございます。
 そこで、政府案の調整の過程でございますけれども、大変繰り返しのようで恐縮でございますが、大づかみに三点のポイントがございます。
 一つは、恐らく半世紀以上にわたって我が国の企業刑事法制で定着をしておりました両罰規定で刑罰を定めております場合には、違法行為を行った行為者本人とその行為者個人の帰属する企業は、よく御存じのとおりこの両者は連動していたわけでございますけれども、この連動を切り離して、結果的に企業に対してより重い刑罰、罰金額の上限を引き上げてより重い刑罰を問うという、我が国刑事法制に定着したこの制度を大きく変更するという点が第一点でございます。
 それから第二点は、たまたま我が国の独禁法制に特有の制度、他の国には見られない制度として違法カルテルの不当利得を徴求するという課徴金制度がございますが、この制度をつい昨年算定率を四倍という大幅な引き上げを行ったばかりである、そういうある意味で現段階での特別の事情も直前にございました。
 そして、このような制度あるいは全体としての抑止力の大幅な格段の強化について、これが対象となる企業、経済社会にとりましてはいろいろな意味で非常に大きな変革である。これについて少なくとも、内外の情勢の変化に対応して国際社会に生きる日本の企業、経済社会としては、これを受け入れるのはどうしてもやむを得ないではないか、そういう最小限ぎりぎりのいわばコンセンサスを得る必要が、法律改正案作成の過程、政府案作成の過程ではやはりどうしても必要だったわけであります。
 加えまして、三点目をつけ加えますれば、ただいま委員御指摘のとおり、これはあくまで罰金額の上限でございます、したがいまして具体的な求刑、量刑に当たっては必ずしも上限額が適用されるわけではないわけでありますけれども、しかし我が国企業の大部分を占める中小企業におかれては、ただいま官房長官からもお答えがありましたように、この上限の大幅引き上げについてはやはり相当な不安というものが現実に私どもにも大変多数寄せられた、こういう状況もございました。その点についてもやはりそれなりの配慮が必要である。
 そのような状況を総合勘案いたしまして、しかし大幅引き上げであるというためには、これはもう端的に申しましてやはりどうしても億円という、一億円以上というこの線はどんなことをしても譲れない、少なくとも一億円以上でまとめたい、担当をしておりました私どもとしてはあえて申せばそのような考え方で結論として一億円が現段階では、先ほど官房長官が申されましたように、大方の理解を得られるぎりぎりの水準ということで政府案で決めさせていただいたわけでございます。その点を何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
#140
○古川太三郎君 私は、人が話しているところをもうそれでいいとか、それは聞いたとかいうのはなかなか気が弱いものだからよう言わぬですけれども、だから黙って聞いておればもう十分ぐらいになってしまうから本当に困るんですけれども。
 それはそれとして、日本の企業というのは非常に特殊だ、こう言われておりますし、日本人も企業人といいますか、もう企業に帰属しているような形で本当によく働く。こういったのが経済もよくしたんだろうと思いますけれども、事この企業の罰金、刑罰について考えてみますと独禁法違反、これはもう社長なんかみずからやらないんで、やっぱり従業員がやるんですね。そして、出世したいとかあるいは上司によく見てもらいたいというような形でやる場合と、上司から命令されてやる場合とあると思います。命令されなくても暗黙の了解を得ている場合もある。
 こういった中で今までは大体罰金も、従事者に罰金がかかっても、これは大体会社が払っていたんです。そういうような状況も十分あったわけですね。これが本来ならば、企業にぼんと大きな罰金がかかるんだったら、従業員の方も社長あるいは部長にそういったことをもししたらこれは会社自体が大変ですよと、こういう意見も具申できるんです。そうでない限り日本の社会は、今までに基本的には市民革命もございませんから、本当に会社に帰属して会社が一番大事だというようなことで来ていますから、私は、従事者の罰金とそして事業者の罰金と、この両罰規定を切り離したことについては非常に評価をします。
 しますけれども、それがたまたま二十倍ぐらいでは余り価値がないんじゃないかというような気もしているので、今申し上げましたように日本の特殊社会、企業社会、この方から見て、いやそんなものを払ってもええからやるよという企業が本当に皆無になるかどうかそういったことがない限り抑止力が働かないというふうに思うんですけれども、その点についての判断はいかがでしょうか。
#141
○政府委員(小粥正巳君) ただいま、日本の企業社会と申しますか、企業に属する社員のビヘービアにまで及んで御指摘をいただきました。確かに、御指摘のような面も従来はあったかもしれません。ただ、これも先ほど来申し上げているところでございますけれども、昨今の個々の企業あるいは業界におきましては、独占禁止法を守らなければこれからのビジネスはこれは日本国内でも外国でもなかなかうまくできないという、そういう意味での独占禁止法についての認識が最近とみに高まってきたように私どもも感じております。
 それは、詳しいことは省略をさせていただきますけれども、最近における調査でも、独占禁止法遵守マニュアルの作成を初めとして、独占禁止法の遵守体制に社内で本気で取り組んでいこうという動きが具体的に見られますし、また私どもも日豊かなり頻繁に真剣な御相談に応じているところでございます。
   〔理事松尾官平君退席、委員長着席〕
 これは例えばアメリカの企業の例でございますけれども、独禁法遵守マニュアルによれば、企業の寄り合いでもし価格等取引条件についての、たとえそれが雑談であっても何か話が出るようなときにはそれは危ないから、独禁法違反に抵触しかねないのでもうすぐにその会合の席を立ってしまう、そういうような具体的なマニュアル。これはアメリカでの話でありますが、我が国においても最近はそのように大変詳細にわたって、個々の社員のビヘービアについても具体的な判断基準になるようなマニュアルが作成をされつつあるのが現状でございます。こういうことがさらに浸透していけば、またそのために我々も努力をしているつもりでございますけれども、今御指摘の日本の企業社会の従来の慣行でありますとかあるいは意識でありますとか、そういうものは現に変わりつつある、そういう意味では私は決して悲観をしていないのでございます。
 それから、先ほど抑止力ということで刑罰の引き上げ、課徴金の引き上げということを繰り返して申しておりましたが、もう一つあえてつけ加えますれば、これは御存じのように独禁法の二十五条にも規定がございますけれども、独占禁止法違反行為によって損害をこうむった者は損害賠償請求を行うことができるという規定がございまして、それに関連をいたしまして公正取引委員会としても、裁判所あるいは原告からの請求があった場合には、これに対して、原告側の立証負担の軽減という趣旨でできるだけの協力をするというその趣旨の規定がございます。我々は、これを活用するためにも特に昨年来基準を設けまして、あるいはそれについての方針を明らかにいたしまして、損害賠償請求制度の活用ということにも意を用いているわけでございまして、このことはもうアメリカ社会の例を引くまでもございませんけれども、やはりこの制度上の刑罰、課徴金等と相まちまして、別の意味で独禁法違反行為に対する非常に強い抑止力の一環にもなり得る、そんなふうにも考えております。
#142
○古川太三郎君 もう時間も来たようですから、最後に、決して私は公正取引委員会をどうのこうのと言うんじゃなくて、むしろ本当に気張ってやってほしい、こう思っているんですよ。それだけに政府なりあるいは国会なりに公取委員長から、こういう制度をもし変えてもらえばいいんだとかいうような御希望があったら言ってもらえばそれで結構です。その御希望を聞いて終わります。
#143
○政府委員(小粥正巳君) 例えば、政府として提案をさせていただいておりますけれども、現在御審議をいただいておりますこの刑事罰の引き上げもまさに私どもの真摯な要望、希望でございますし、課徴金制度の昨年の引き上げと相まちまして、先ほども申し上げましたけれども、制度面、法律面での体制整備は、私は今回の引き上げをお認めいただければひとまず当面は整ったと考えております。
 それからまた、官房長官がいらっしゃいますけれども、政府部内で極めて厳しい定員抑制の中で公正取引委員会につきましてはそれなりのその機構、定員の拡充強化も認められてきているところでございます。予算編成はこれからでございますから、この点も官房長官がいらっしゃるのを幸いに改めてお願いをする次第でございますが、いずれにいたしましても本当に大事なのは制度、法制の整備あるいは人員、機構の強化だけではございません。やはりそれを担当いたします私ども自身の、この委員会で繰り返し強調されました競争政策、独禁政策の一層の推進に、私ども任務の重要性に改めて心して業務を推進してまいりたい、こんなふうに考えております。
#144
○小池百合子君 せっかくですから、議員として初めてここで官房長官の方から伺いたいと思います。
 先ほど古川議員が御質問になりました例の数億円から一億円ということなんですが、罰金が数億円か一億円かというのがこの法案の最大のイシューだというふうに思っております。そして、連日これについて議論がされているわけなんですが、どうも発想のスタンスが違うなというのがこの二日間考えたことなんですね。
 つまり、これまで課徴金などの引き上げもあった、それから五百万から一気に一億ではないか二十倍ではないか、大幅な引き上げではないかというふうにおっしゃるわけでございますけれども、もともとパイの小さかったところの二十倍であり、また国際的に見ましてそれを考えますと、まだまだ低いといったようなのが現状じゃないかというふうに思います。
 それから、一億円だったら払えるか払えないかというのは、罪を犯したときにはどうなのかというその議論といいますかその考えがまず先にあるということであって、この辺のところの発想がまずすれ違っていてなかなか議論の方が進んでこなかったなというふうにこの二日間思ったわけでございます。
 そこで、払えるか払えないかの問題ではなくて、むしろこれまでの日本的な企業構造をいかに改めるかというそのための抑止力でございますので、その辺のところの議論というのが一番見えなくなっているわけでございまして、このあたり、日本の企業の体質などにつきましてどういうふうに官房長官はお考えになっているのか、それについて伺います。
#145
○国務大臣(加藤紘一君) 大変大きな御質問でございますけれども、日本の企業といいましても、いわゆる中小企業、特に個人が指導力を発揮している中小企業のケースと、それから大きな企業と二つあると思います。
 やはり、こういういわゆる公取法違反のようなことをやったらいけないんだよという意識をみんなに持ってもらわなければならないし、それからまずそれに対して抑止力を持たなければならないという意味では、払える払えないの問題ではなくて抑止力が効くような、もうほぼ払えなくなるような金額を設定すべきではないか会社がつぶれてしまうような金額を設定しないといけないんじゃないか、そのアプローチから考えなさいというのが小池議員の一つの御意見のように思いますけれども、中小企業の場合には、私はこれは十分なる抑止力があると思います。
 それからもう一つ、大企業の場合には先ほどちょっと申しましたけれども、一つは金額の問題もあって、それぞれ担当しているセクション、セクションが自分のやった行為によって会社全体に一定の、数千万から一億の金額のものを払わなければならないとしたならば、社内的にまず立ち行かなくなるし、それからもう一つは、大企業の場合には名誉といいますか、会社の名が汚れるという部分を非常に気にしますので、そういった双方から私は抑止力が働くのではないかなというふうに思っております。
 したがって、確かに研究会の言っている数字と若干離れておりますけれども、私はこれをまず一回やらせてみていただいて、それで日本の社会の流れを少し見ていかせていただきたい、そんな観点でぜひ皆さんの御賛同を得たいと思っております。
#146
○小池百合子君 そうしますと、その流れを見た上で引き上げということ自体も考えられるということでございますね。
#147
○国務大臣(加藤紘一君) 引き上げを今考えるということではなくて、とにかく大方の御理解を得られるようなこの案でやって、そして日本の独禁政策が定着するように頑張ってみたいと思っております。
#148
○小池百合子君 それではもう一つ伺わせていただきたいと思います。
 この独禁法の刑事罰強化の問題でございますけれども、アメリカを含めまして諸外国からも大変注目されているということで、先ほど来幾つかそれについて御質問もあったと思います。
 そして、アメリカのクリントン新政権とのこれからの関係なんでございますけれども、陣容がいまだ明らかではないということでお答えにくいかもしれませんが、これまでのさまざまな民主党の政策など見ておりますと、またクリントン氏のこれまでの発言などを見ておりますと、極めて理念的な政策を言ってくるのではないかというふうに思うわけでございます。かつ、これまで以上の対日要求であるとか、日本への公正な競争をさらに求めてくるという可能性が非常に大きいんじゃないかというふうに見ております。その辺についての御見解。
 さらには、大統領選挙中でしたでしょうか、政権の中にブッシュ支持というそういうような発言もあったかと思うんでございますけれども……
#149
○国務大臣(加藤紘一君) どちらにですか。
#150
○小池百合子君 いえ、官房長官御自身の言葉ではございませんけれども、そういった形でブッシュ寄りに余りかけ過ぎてリスク分散してなかったんじゃないかというふうなことを感じます。
 それから、とにかく日本に対しましてはこれまでアンフェアだというアメリカからの一方的と言えば一方的なことがございましたけれども、これからの新しいこの政権との関係というのはどのように構築し、もしまた新たなアンフェアであるという、例えばこの一億円の刑事罰の引き上げというのがまだまだ不十分だというふうなときにはどのように対処なさるのか、お教えいただきたいと思います。
#151
○国務大臣(加藤紘一君) クリントン政権がどのような政策を打ち出すかということは、私たちも今模索中でございまして、よく十分なものをつかめておりません。またある意味では、クリントンチームといいますか、そのグループの人たちも今政策の形成過程の中にあって、まだはっきりとしたみずからの政策像をつくり上げていないとも言えるんではないかと思います。
 それから二番目に、選挙のときにいろいろ御発言になる、主張するということは、現政権とは比較的離れた政策を打ち出すというのが選挙の常道でありますが、それが現実に政権についたときに、じゃ本当にブッシュ政権と違った政策を打ち出すのかという点について考えるならば往々にして、世界どこの国でもそうですけれども、政権についてみると案外前の政権と似たようなことをするということはよくあるケースであります。
 ただ、今度クリントン政権の中枢に入るだろうという人たちの主張などをよく見てみますと、やはりアメリカの競争力強化ということを非常に強く言っております。今、小池委員は日本に対する非難、特に日本はアンフェアであるという非難が強くなるのではないかということをおっしゃいましたけれども、同時にあの陣営の方の中には、日本に対してアンフェアと言う前に、自分たちのコンペティティブネスをもう一回見直すべきではないかというような主張も大分強いように思われます。
 ですから、単に日本に対して厳しくなるだろうという観点だけではなく、アメリカが真の競争力強化をみずからに課題として課してだんだん強くなってきたときに、日本がそれに対してどう対応していくかということの観点で日本も考えておかなきゃいかぬのじゃないか。そうした場合には向こうもフェアな競争、フェアな市場という観点を国内でも強調してくると思いますから、それを日本に対してもより強調してくる可能性は十分あるだろう。
 そういう意味でも我々は、今後の独禁政策の運用に当たっては、日米関係のアングルも含めて運営する視点を持つようにしていかなきゃならぬのではないだろうかと思います。
#152
○小池百合子君 官房長官、ありがとうございました。
 続きまして、先ほど来官房長官の方から、会社がつぶれるほどの威力、抑止力を持たなくてはいけないというのが私の認識ではないかというふうにおっしゃったわけなんですけれども、別に私は会社をつぶそうと、そういうふうなことを申し上げているわけではなくて、その前にそれをいかに引きとめてフェアな競争をするかどうか、それが最大の問題であろうというふうに思っております。
 そして、委員長の方にお伺いしたいんですけれども、先ほどからも企業からの見た目であるとか、そういったことがこの刑事罰の引き上げにとりましてのいろんなブレーキになったように私は受けとめているんですが、けさほどもほかの委員が指摘なさいましたように、やはり消費者からの観点ということ、これをより強めていただきたいというふうに思っております。
 きのうも参考人の先生方に私一つのアイデアとして申し上げたんでございますけれども、独禁法につきましては皆さん毎日かかわっていらっしゃいますし、また大企業ですと、独禁法のチームなどをお持ちになって毎日それに取りかかっておられますのでよく御存じだと思います。また、中小企業の団体などについては、独禁法のそういったシステムであるとかその怖さであるとか、そういったことを周知なさっておられると思いますけれども、まだまだ一般の人の独禁法に対するイメージといいますのが定まっていないのではないかというふうに思います。それを妨げているのが非常にわかりにくい法律的な専門用語ではないかというふうに思います。
 その一番いい例が、例えばよく使われております排除勧告という言葉でございますけれども、これは一般の人々にとりましてどういうものなのか。排除命令といった言葉が、例えば駐車違反とかスピード違反とか、そういった形ですとみんなよくわかるわけでございますけれども、この言葉は非常にわかりにくいところがございます。新聞記事もこれがわかって当然ということで書かれているというふうに思います。
 ですから、皆さんは中にいらっしゃるとこの言葉は当たり前だというふうに思っていらっしゃるかもしれませんが、ちょうど永田町用語がなかなかわかりにくくなっているのと同じように、こういった専門用語、特に法律の用語、さらにはこれから独禁法についての認識を広く一般に広めようとするならば、こういった用語などの検討もぜひお願いしたいと思っておりますが、その点いかがでしょうか。
#153
○政府委員(小粥正巳君) ただいま小池委員から御指摘をいただきました。独占禁止法が大変難しい法律であるということも、私どもそれに携わっております身として痛感をしております。
 したがいまして、例えば先ほど来ガイドラインというような言葉がいろいろ答弁の中にも出てまいっておりますけれども、このガイドラインなるものも、独占禁止法を具体的にどう運用していくのか、どういう行為が独占禁止法に抵触し、あるいはこういう行為なら問題にならないかというような、例えばそういうことをそれぞれの分野について私どもとしてはできるだけわかりやすく公表したものがガイドラインでございます。
 これもささやかながら、今、小池委員御指摘のように、わかりにくい独占禁止法あるいは法制度というものを、運用の透明性というような言葉でも言っておりますけれども、少しでもわかりやすくするための努力の一端でございますし、それからまた特に一般消費者にわかりにくいというお話でございますが、これもささやかな試みではありますけれども、毎年各地方ごとに、ミニ懇談会というような名称を付しまして、私ども公正取引委員会が手分けをして各地方を巡回いたしまして、いろいろな場所で懇談会、独禁法について何でもお聞きくださいというそういう催しなども、これまたささやかでありますが、そんな努力も少しずつは重ねているつもりでございます。
 しかし、行政官庁の豊かもしれませんが、特に小池委員のお立場からごらんになりますとそれにしても言葉は難し過ぎるし、余りにもPRが下手である、こういう御指摘かと思いますが、その点は十分今の御指摘も承りましてこれから一層努力をしていきたいと思います。
 例えば、排除勧告という言葉がわかりにくいという御指摘がございました。これは、独禁法の中に規定をされております文字どおり法律上の用語でございます。公取が行います行政処分としたら最も重いものでございますけれども、もちろん小池委員はおわかりでお聞きになっていらっしゃると思いますけれども、要するに例えば違法行為、カルテル行為があれば、それをやめさせるというそういう処分でございまして、勧告という表現の持つ感触よりも実はずっと厳しい処分でございます。もし、この勧告が審決という形をとりまして、これに従わなければ審決違反ということで罰則の適用もあるようなそういう処分でございます。
 ただ、この排除勧告という言葉をもう少しおかりやすくその都度解説をするような努力もしたいと思いますけれども、この言葉自体を改めますというのは実は法律そのものをまた変えることでございますから、すぐにはなかなか対応できないということは御理解いただきたいと思いますが、少なくとも私どもの日常の活動、特に消費者との接点におきまして、御指摘のように、私どもの努力で少しでもわかりやすく私どもの活動を御理解いただけますようになお努力をしてまいりたいと思います。
#154
○小池百合子君 最後に一つ伺わせていただきます。委員長にお願いいたします。
 今、二番底を探るような、そういう景気の低迷が続いているわけでございますけれども、国際的な認識として、不況はカルテルの温床であるという言葉がよく使われております。ということを考えますと、こういった時期というのはカルテルが横行するということも考えられます。いろいろ景気とのバランスはございますけれども、しかしこれは企業犯罪ということでございますので、その辺のところ、こういった不景気の中での公取委員長としての取り組み、御決意のほどを伺わせていただきます。
#155
○政府委員(小粥正巳君) ただいま現在のような不況下においてカルテルが行われやすいのではないかというお尋ねでございますけれども、私ども仮にカルテル行為が行われているという何か情報、端緒に接しますれば、当然のことでございますけれども、これに対して必要な調査、審査を行って厳正な処分をいたすつもりでございますし、またこれは景気の好不況にかかわらずそのように対処してまいった、あるいはこれからもまいるつもりでございます。
 なおつけ加えますと、本来違法なカルテルとは別に、不況下に特別の厳しい条件をつけて法律上認められた、つまり独禁法適用除外としてのいわゆる不況カルテルという制度はございますが、かつての不況下には、不況カルテルが申請されそれが厳しい条件のもとに認可されたという例もございました。しかし、現在言われております不況下では、実は不況カルテルの申請には私どもまだ接しておりませんし、もちろん認可されたカルテルは現在ございません。そのこともつけ加えさせていただきます。
#156
○小池百合子君 ありがとうございました。
#157
○委員長(斎藤文夫君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について吉田達男君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。吉田君。
#158
○吉田達男君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 これより、その趣旨について説明申し上げます。
 近年、我が国経済の国際化に伴い、独占禁止政策の果たす役割は従来より一層増してきております。このような情勢下、独占禁止法違反行為に対する厳正な対処及び抑止力の強化を通じて、生活者、消費者の擁護と同時に、国際的に十分通用する独占禁止政策を確立することが求められております。
 今回政府が提出いたしております独占禁止法改正案は、事業者に対する罰金の最高限度額を余りに過少な現行の五百万円から一億円に引き上げようとするものでありますが、これでは国際的批判にこたえ得る水準にも達しておりませんし、特に巨悪をただすことを求められております独占禁止法違反行為に対する抑止力の効果という点でまことに不十分であります。
 したがいまして、我が党は、刑事罰研究会報告に示されております法人と個人の資力格差に関する試算結果及び主要先進国の罰金の水準等々を根拠として勘案し、罰金の最高限度額を一億円から五億円に引き上げる旨の修正案を提出する次第であります。
 何とぞ慎重な御審議の上、御賛同を賜りますようお願いいたします。
#159
○委員長(斎藤文夫君) それでは、修正案について質疑のある方は御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。谷畑孝君。
#160
○谷畑孝君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、内閣提出に係る私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党・護憲民主連合の提案する修正案に賛成する立場から討論を行うものであります。
 十一月二十七日の衆議院商工委員会での内閣提出の改正法案の可決、成立及び十二月一日の衆議院本会議での可決、成立を受けて、本委員会では十二月八日、九日の両日、集中的かつ精力的に審議を重ねてきたところであります。特に、衆議院で行われた附帯決議の趣旨を踏まえて、活発な審議がなされていると思います。
 さて、周知のように、独占禁止法は第一義的には経済活動における競争秩序を維持するためのものでありますが、同時にまた公正かつ自由な競争政策を通じて、消費者利益をも擁護するという国民的に大きな使命を担っています。さらに、経済活動や企業活動のすべてを法の対象としている点から見ましても、まさしく経済の憲法と呼ぶにふさわしい性格のものであります。
 ところが、振り返って見ますならば、残念ながらこの経済憲法の歴史は、日本国憲法、特に九条の歴史と同様に、戦後の復興、高度経済成長の中で骨抜きにされていった歴史であると言わざるを得ません。一九四九年の改正や一九五三年の改正を経る中で、日本の独占禁止政策は次々と後退を重ねていったわけであります。
 しかし、最近になってようやく日本の独占禁止政策にも明るい兆候が見えてまいりました。昨年十一月の、石油カルテル以来十七年ぶりに行われた業務用ラップメーカー数社に対する刑事告発の実施など、日米構造協議の追い風を受けて、公正取引委員会の活動も活発になってきているようであります。
 そのような中にあって、昨年のカルテルに係る課徴金の引き上げ改正に続き、今回の法改正が提起されたわけであります。もとより、私たち日本社会党・護憲民主連合は、違反行為に対する抑止力強化のための法改正を求め、独占禁止政策の推進に力を注いできたところでありますしかるに、今回の内閣提出の改正法案を見まするに、当初予想されていたものより極めて不十分な内容に後退しており、より一層の強化改正を求める立場から、本委員会に対して修正案を提起しておるところでございます。
 さて、内閣提出の改正法案に反対する理由を具体的に申し上げます。
 まず第一に、法人等に対する罰金の上限額の引き上げが、何の合理的根拠もなく現行の二十倍、一億円に圧縮されたことであります。公正取引委員会の独禁法に関する刑事罰研究会はその報告書で、「その金額は、事業者等に対し違反行為を思いとどまらせるに十分な金銭的苦痛を与えるに足り、また犯罪の重大性、犯情等に見合った制裁である必要がある。」として、「罰金刑の法定刑である五百万円を数億円程度の水準に引き上げることが必要である。」と結論づけています。内閣は、この結論を受け入れがたいというのであれば、その理由を明確にしなければなりません。そして、国民の納得する説明がなされなければなりません。
 本委員会の審議の中で、公正取引委員長自身、この一億円が刑事罰研究会の結論である数億円の水準にいまだ到達していないことを認めつつも、経済界や社会の大方の理解を得られる水準としては一億円が適当だと述べています。違反行為に対する罰金の額を理解してもらうとか、納得してもらうとの立場は一体どういうことなのでしょうか。理解や納得してもらうのは、独禁法の違反行為をしないという考え方なのではないでしょうか。
 私は、内閣提出の改正法案の内容は不十分であり、社会党・護憲民主連合提案の修正案の方が、独禁法違反行為に対する抑止力強化という法律改正の目的に沿っているものだと考えます。
 第二に、社会保険庁発注の年金通知用シールに係る印刷談合事件に対する公正取引委員会の姿勢の問題であります。この事件は、同じ業者が、談合事件で公正取引委員会より行政処分を受けた後も、並行して別の談合事件を行っていたという意味で、極めて悪質な事件であります。東京地検特捜部による刑法の談合罪を適用しての関係者の逮捕及び起訴、社会保険庁の損害賠償請求への積極的取り組みの中で、まさに公正取引委員会の姿勢そのものが鋭く問われています。
 私たちは、いかに刑事罰の罰金を引き上げようとも、公正取引委員会が告発しない限り、何の抑止力にもならないということは再三にわたり申し上げてきました。もし今回、公正取引委員会が企業犯罪を問う刑事告発を見送るようなことになれば、罰金刑の引き上げは全く絵にかいたもちになり、公正取引委員会に対する国民の信頼は一挙に崩れ去ることになります。今後の公正取引委員会の迅速な対応が期待されています。
 そのほかにも、損害賠償制度や公正取引委員会の委員長及び委員の選任のあり方などさまざまな問題がありますが、いずれにしても罰金刑の一億円への引き上げという政府の改正案では、独禁法の抑止力強化につながらないことは明白であります。以上の理由から、社会党・護憲民主連合の修正案への賛成、政府の改正案の見直しを要求したいと思います。
 これで私の討論を終わります。
#161
○委員長(斎藤文夫君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、吉田君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#162
○委員長(斎藤文夫君) 少数と認めます。よって、吉田君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#163
○委員長(斎藤文夫君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 合馬敬君から発言を求められておりますので、これを許します。合馬君。
#164
○合馬敬君 私は、ただいま可決されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・スポーツ・国民連合、日本新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法施行に当たり、独占禁止法違反防止の徹底を図る見地から、次の諸点について特段の配慮を払うべきである。
 一 カルテル等の違反行為に対する抑止については、事業者及び事業者団体に対する罰金刑強化の主旨を踏まえ、違反行為の動向、今後の運用状況等を十分見極めながら慎重に検討すること。
 二 刑事告発の権限がもっぱら公正取引委員会に属していることにかんがみ、独占禁止法違反の疑いのある事案に対し厳正かつ十分な事実関係の調査を行う一方、検察当局との間で一層の連携強化を図るとともに審査方法等の検討を行い、この権限の的確な行使に遺漏のないよう努めること。
 三 罰金刑の適用に当たっては、事案の性格、違反事業者の事業規模等諸般の情状を適切に勘案し、事案に応じた妥当な運用を行うよう努力すること。
 四 公正取引委員会の期待される役割が的確に遂行されるよう、引き続き、適切な委員長及び委員の人選を行うとともに、事務局の機構の拡充及び定員の増加を図ること。
 五 カルテル、入札談合等の独占禁止法違反行為を防止し、独占禁止法遵守精神の醸成を図るため、公正取引委員会を中心として、独占禁止法の啓蒙・普及を行うとともに、企業による独占禁止法遵守体制の確立を支援していくこと。
 右、決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#165
○委員長(斎藤文夫君) ただいま合馬君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#166
○委員長(斎藤文夫君) 全会一致と認めます。よって、合馬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、加藤内閣官房長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤内閣官房長官。
#167
○国務大臣(加藤紘一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
#168
○委員長(斎藤文夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#170
○委員長(斎藤文夫君) 次に、高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案を議題といたします。
 発議者和田教美君から趣旨説明を聴取いたします。和田君。
#171
○和田教美君 私は、ただいま議題となりました公明党・国民会議提案の高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案につきまして、提案者を代表しまして、その提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。
 人生八十年時代を迎え、急速に高齢化社会に進みつつある我が国において、今後ますます医療・福祉サービスの需要は増大するものと考えられます。そのような中で、近年、目覚ましい進展を続ける先端技術は、産業分野のみならず医療福祉分野においても少なからずその活用が期待されているところであります。
 中でも、先端的高度技術を活用した高度医療福祉機器の開発は、深刻化するがんや心臓病等の慢性疾患の診断、治療あるいは予防などに画期的な役割を果たすことが期待されておりますし、また、高齢者や障害者の低下し、喪失した機能を補い、これらの人々の社会参加や自立への道を開くことにつながるだけでなく、今後、増大する高齢者等の介護負担を大幅に軽減するものと期待されているのであります。
 しかしながら、高度医療福祉機器の開発は、需要が多品種、少量であるという特殊性に加え、先端的高度技術を内容とするものであるだけに、製品化までに長期の期間を要し、リスクも相当大きいものと考えられます。そのため、採算を重視する民間企業に研究開発をゆだぬていては高度医療福祉機器の開発の大幅な進展を期待することはほとんど不可能だと言わざるを得ません。
 現在、国としては、通産省工業技術院を中心にして研究開発を進めておりますが、研究テーマも少なく、その上、予算はここ数年ほぼ横ばいになっているというのが現状であります。このままでは、増大する高度医療福祉機器に対する需要に対応できないのみならず、財政難を理由に研究開発が先細りになるおそれすら十分に考えられるのであります。
 そこで、この際、国の施策として先端的高度技術を活用した高度医療福祉機器の研究開発を明確に位置づけ、その推進を強力に図らなければならないのであります。
 また、それとあわせて、高度医療福祉機器が広く普及されることも重要なことであります。先端的高度技術を活用した高度医療福祉機器は、製品価格も必然的に高額にならざるを得ません。これらの高度医療福祉機器を必要とする多くの人々が容易にこれらの機器を利用できるよう、国及び地方公共団体は、公共施設等における導入やその利用の促進を積極的に図ることがぜひとも必要とされるのであります。
 以上が本法律案を提案する理由であります。
 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、民間による研究開発に期待することが困難である高度医療福祉機器の研究開発について、国が研究開発計画を作成し、それに基づき研究開発を総合的かつ効率的に実施しなければならないこととしております。
 第二に、国及び地方公共団体は、高度医療福祉機器の製造を促進するため、高度医療福祉機器の製造の事業を行う者に対し、必要な金融上及び税制上の措置等を講ずるように努めなければならないこととしております。
 第三に、国及び地方公共団体は、その設置する医療・福祉施設等における高度医療福祉機器の導入に努めるとともに、国及び地方公共団体以外の者の設置する医療・福祉施設等における高度医療福祉機器の導入を促進し、傷病者及び障害者等の利用を容易にするために必要な財政上、金融上、税制上その他の措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
 第四に、通商産業大臣及び厚生大臣の諮問に応じ、高度医療福祉機器に係る重要事項を調査審議させるため、通商産業省に高度医療福祉機器研究開発審議会を置くこととしております。
 その他、必要な規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行は平成五年四月一日からとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#172
○委員長(斎藤文夫君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#173
○委員長(斎藤文夫君) 次に、請願の審査を行います。
 第一九四号「不況」打開のための中小業者対策に関する請願外二十七件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第八三一号商店街の活性化に関する請願外二件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一九四号「不況」打開のための中小業者対策に関する請願外二十四件は保留とすることに意見が一致しました。
 以上、理事会の申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 つきましては、審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#175
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#176
○委員長(斎藤文夫君) 次に、継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#179
○委員長(斎藤文夫君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業貿易及び経済計画等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(斎藤文夫君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(斎藤文夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十六分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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