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1992/12/08 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 農林水産委員会 第1号
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1992/12/08 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 農林水産委員会 第1号

#1
第125回国会 農林水産委員会 第1号
平成四年十二月八日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
    委員長         吉川 芳男君
    理 事         浦田  勝君
    理 事         永田 良雄君
    理 事         菅野 久光君
    理 事         三上 隆雄君
    理 事         林  紀子君
                青木 幹雄君
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                北  修二君
                佐藤 静雄君
                高木 正明君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                風間  昶君
                矢原 秀男君
                新間 正次君
                星川 保松君
                喜屋武眞榮君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月四日
    辞任         補欠選任
     谷本  巍君     松前 達郎君
     星川 保松君     磯村  修君
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     松前 達郎君     谷本  巍君
     磯村  修君     星川 保松君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉川 芳男君
    理 事
                浦田  勝君
                永田 良雄君
                菅野 久光君
                三上 隆雄君
                林  紀子君
    委 員
                大塚清次郎君
                鎌田 要人君
                北  修二君
                佐藤 静雄君
                一井 淳治君
                稲村 稔夫君
                谷本  巍君
                村沢  牧君
                風間  昶君
                矢原 秀男君
                喜屋武眞榮君
                新間 正次君
   国務大臣
       農林水産大臣   田名部匡省君
   政府委員
       農林水産政務次  陣内 孝雄君
       官
       農林水産大臣官  上野 博史君
       房長
       農林水産省経済  眞鍋 武紀君
       局長
       農林水産省構造  入澤  肇君
       改善局長
       農林水産省農蚕  高橋 政行君
       園芸局長
       農林水産省畜産  赤保谷明正君
       局長
       農林水産省食品  須田  洵君
       流通局長
       食糧庁長官    鶴岡 俊彦君
       林野庁長官    馬場久萬男君
       水産庁長官    川合 淳二君
   事務局側
       常任委員会専門  片岡  光君
       員
   説明員
       外務省経済局国  北島 信一君
       際機関第一課長
       厚生省健康政策  今田 寛睦君
       局指導課長
       厚生省生活衛生  織田  肇君
       局食品保健課長
       厚生省生活衛生  牧野 利孝君
       局食品化学課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○農林水産政策に関する調査
 (当面の農林水産行政に関する件)
 (派遣委員の報告)
○農業農村整備事業の推進に関する請願(第五三
 号)
○我が国二百海里全面適用の早期実現を基本とす
 る資源管理水域の創設に関する請願(第一二七
 号)
○米の市場開放阻止及び水田農業政策に関する請
 願(第二五二号外三件)
○鯨の合理的利用等に関する請願(第六二二号外
 三件)
○米の輸入自由化反対に関する請願(第一一三三
 号外一〇件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、農林水産政策に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(吉川芳男君) 農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○菅野久光君 きょう、午後の飛行機で大臣が急速訪米、訪欧されるということがきのう私どもに伝えられて、急速、大臣の訪米、訪欧を前に、私ども委員会として、それぞれの会派から大臣に対する激励、頑張ってきてほしいという思いを込めて、短い時間ではありますけれども、大臣はきっちり十一時前には出発できると、そういうことを私ども委員会で確認いたしました。したがいまして、これからの質問は、私も簡潔にお尋ねいたしますが、大臣もひとつ簡潔に述べていただきたいというふうに思います。
 大臣の訪米の問題については時期を見てということであったというふうに思いますが、急遽、事務当局にお聞きしますと、昨日の朝になってから決まったというようなことでございますが、この急速、訪米、訪欧することになったのはどういうような状況が生まれたからなのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#6
○国務大臣(田名部匡省君) 今週後半からジュネーブにおきまして、各国の交渉官による交渉が再開
されるであろうという見通しが大変強くなってまいりました。この際、交渉に臨む従来からの私どもの立場というものを、交渉官にだけにこれを任せておくわけにはまいらぬ、閣僚レベルでアメリカとECに伝える必要がある。それは、従来と変わったのは、米とECがいろんな話し合いをされて、どうも修正につながるのではないかというところが今までと違った面が出てきた。出てきたにもかかわらず、私どもこのままにしておるわけにいかず、いよいよ本格交渉が再開されるというのに、現地に行っている交渉官に一切黙ってやらせておくということもどうかという判断に立ちまして決定をしたわけであります。
 従来からの基本方針というものがありますから、また国会決議もございまして、私どもこの日本の立場というものを十分説明しながら、困難な問題に真剣に取り組むよう、政治レベルで理解を求めたいということでございます。特に、急なことで国会の大変な御配慮をいただいたということに感謝しながら努力をしてまいりたい、こう考えております。
#7
○菅野久光君 とにかく、きょう昼過ぎから出かけられるわけですが、訪米、訪欧に当たっての基本方針、これは今までと変わらないとは思いますが、この場で再度基本方針といいますか、それをひとつお聞かせいただき、何をアメリカやECに行って主張なされるのかという点についてもお伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(田名部匡省君) 今申し上げたように、私どもは従来からの基本方針、特に私はかねがねこのことはもう十分委員会でも、あらゆる場を通じて包括関税化は受け入れがたいということを申し上げてまいりました。それは、輸出補助金に比してこの取り扱いというものは不公平だ、どう見ても承服しがたいということを申し上げてまいりました。そのことはもうはっきりしております。加えて、先ほど申し上げましたように、アメリカとECが本当にどこまでの話し合いをされたのかというのはいまだに公式の場で明確になっておりません。そのこともただし、それに応じて私どもの包括関税化、修正に値すると私は判断しているわけでありまして、その辺のことをきちっとさせてきたい、こう考えております。
 いずれにしても、方針は全然変わっておりませんので、その態度を貫き通してまいりたい、こう考えております。
#9
○菅野久光君 今回の油糧種子のアメリカとECとの合意案、これについてはドンケル合意案の修正ではないか、私はそういうふうに思うんです。何か合意案、あのドンケルの中だというようなことをアメリカやECが主張しているようですが、その辺のところが私は非常に重要な問題ではないかというふうに思うんです。
 今、例外なき関税化ということを何としても修正させなきゃいかぬというのが今度大臣が行かれる一番主要な課題だというふうに思うんですが、アメリカ、ECとの今回の油糧種子に伴う合意についてはドンケル案からはみ出しているというふうに農林水産省としては判断をされておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(田名部匡省君) 報道でも御案内のとおり、数量ベースの削減を六年間で品目別に一律二一%。これはダンケルの合意案では二四%だったんですね。そこが議論のあるところで、日本の場合は包括関税化というものは認められない。向こうは数字をいじっただけだ、だから中にあるんだと、こういう理屈を言っているんですが、しかし変更はあくまでも変更であって、あくまであの案というものは変える意思がない、こういうことで出されたものでありますから、そこの辺の理解の仕方というのは、米、EC、日本との違いというのはあると思うのでありますが、いずれにしても私どもはいろんなことの分析の中からこれは修正であるというふうに判断をいたしておりまして、その辺のところは相当議論をしなきゃいかぬ部分であろう、こう考えております。
#11
○菅野久光君 今回、訪米、訪欧されるに当たって、本当に大臣は大変な任務をしょって行かれるわけですが、きのう外務委員会で我が党の谷本委員が外務大臣に質問をいたしましたが、交渉だから全く一トンも入れないということはやっぱり問題があるんじゃないかというような、何というんですかね、条件闘争というんですか、我が国の農業に余り大きな影響を与えない程度ならば受け入れてもいいのではないかというような答弁がされたという報道がされているわけです。
 私どもも、いつもこれは閣内不統一ではないかというふうに言っているわけでありますが、いつも同じで、前の牛肉・オレンジのときもそうでした。何となく国民の間に受け入れやむを得ないのではないかというような空気をつくらせて、最後は受け入れてしまった。そのことが結果的に今酪農だとか肉牛の関係について大きな影響を与えているわけですけれども、これは酪農や肉牛の関係はもちろんあるわけですけれども、米の問題についてはそれ以上にこれはもう大変な問題になるわけですね。ですから、これは国内世論を誘導するとかなんとかということではない、私はそういう条件闘争的なものではないというふうに思うんです。そんな意味で、農林水産業の所管大臣である田名部大臣が、この問題に主体的に交渉に取り組んでいく。もちろん外務大臣あるいは通産大臣、関係していろいろあるわけでございますけれども、一枚岩が崩れるとこれは足元をすくわれかねない今重要な時期だというふうに思うものですから、毅然たる態度でぜひ臨んでいただきたいというふうに私は思うんですが、ここで再度大臣の決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#12
○国務大臣(田名部匡省君) おっしゃるような態度で全力を挙げて取り組んでいきたい、こう考えております。
 一粒たりともというのは、私もどういう内容の発言をされたか直接聞いたわけではありませんが、一粒たりともというのは印象的に、もう五万トン入っているわけですから、適切な発言かどうか。言っている趣旨もわからぬし、内容もわかりませんが、いずれにしても私は先ほど申し上げたような態度で交渉をきちっとやっていきたい、こう考えております。
#13
○菅野久光君 訪米、訪欧が決まってから、けさの日本農業新聞を見ますと、総理と大臣が会談をされたということが報道されております。大臣の記者に対する発表だと思いますが、「国会決議がある限りこれに反した行動はとらない。従来の基本方針は変えず、一律関税化は受け入れられない」ということが出ておりますが、総理との訪米、訪欧に当たっての会談、これはこの報道のような中身であったのかどうか。このごろちょいちょい実際になかったことがあったかのような報道がされているというふうにも思うものですから、そこのところを大臣から総理との会談の様子についてこの機会にひとつお話しいただきたいと思います。
#14
○国務大臣(田名部匡省君) 昨日、総理にお会いいたしまして、さっき申し上げたような、今週からジュネーブで交渉官による農業交渉が再開されるという見通しになりましたということを申し上げました。総理も大体いろいろ知っておられまして、これを支援する必要がある。そうでないと交渉官がなかなか相手にされないということになっては大変ですし、そういうことでの支援というのは私から各国の首脳に、閣僚同士でやっぱりきちっとしてやらないといかぬ。そのためには、日本の国会がどういう状況にあるかとかいろんなことがわからぬだろう。特に今予算委員会を通じて米の問題というものはどういう扱いになっているか、各党が質問されているかという状況等も伝えなきゃいかぬというお話を申し上げました。総理も全く認識が同じでありまして、やっぱり各国の閣僚との接触を図ることは必要だ。それで、国会の了解が得られるならばぜひ行くようにということでありましたので、それに基づいて各党、国会の各会派の了解をいただきまして、そして出発をする、こういう経過でありました。したがって、記者に私が申し上げたとおりの内容を私からもお伝え申し上げました。それで認識が一致した、こういうことであります。
#15
○菅野久光君 私どもも国会開会中に大臣がいろいろ外交問題を含めて外国へ行かれるということは、あくまでもやはり日本の国益を守るということが大前提で、そうであるからこそ、私どもも、きょうは特に委員会で大臣にいろいろ質問したいこともあったわけですけれども、大事な時期なんで、ぜひ大臣に頑張ってきてほしいということで私どもも了解をしたわけでございます。それだけに、大臣が行かれての皆さん方の期待、これはただ単に農民だけではなくて、今もう米の問題はまさに全国民の課題だと言ってもいいほど非常に関心の高い問題でございますので、ぜひ大臣の訪米、訪欧が成功されるように私は心から期待をしておるわけでございます。
 それにしても、このガットの問題については、例外なき関税化について反対しているのは日本だけではないわけですね。それは少数派ではあるかもしれないけれども、しかし非常に反対している国が幾つかあることだけは間違いがありませんが、それらの国々と十分に連携をとりながら、農業という問題は、本当に何というんでしょうかね、普通の貿易と何かなじまないというのはちょっと言葉が適切でないかもしれませんが、やはり自国の食料は自国でということが基本でございまして、自動車がなくても人間は生きていくことができますが、食べ物がなければ人間は生きていくことができない。
 だからこそ、自国の食料の自給率というものを上げるためにそれぞれの国が努力をしているわけでございまして、それだけにこの米の自由化の問題については、これは日本の将来にとっても、民族の存亡にかかわる問題ではないかというぐらいに私は考えておりますし、私だけではなくて多くの人がそう考えているというふうに思います。
 本当に忙しい日程の中で行かれるわけですけれども、どうか健康に気をつけられて、そして目的が達成されますように、私も心から期待をして大臣の交渉を見守っていきたい、このように考えております。
 若干時間を余しましたが、大臣も何か十一時はちょっときついというようなお話もございましたので、私は最後に大臣にそのことを強く御要請申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
#16
○浦田勝君 大臣の出発前に大変恐縮ではございますけれども、やはり一言だけ大臣に御意向を承っておかなければならないという思いから、きょう限られた時間の中でお尋ね申し上げたいと思うわけであります。
 先ほど菅野理事からもお話がございましたが、恐らく本日の質問なさる方々はそれぞれ重複する点が多いと思います。しかし、それぞれの立場で大臣の意向というものを国民の皆さん方、あるいは生産農家の皆さん方にお知らせしなきゃならないということであえてお尋ねをいたす次第でございます。
 大臣が八日、九日、アメリカのヒルズ代表、マディガン農務長官と緊急会談を行うことになったわけでございますが、国会開会中にわざわざアメリカ、欧州へ出向く目的は何なのか。また、一部マスコミは、先ほどもお話がありましたが、関税化を前提とした条件交渉のタイミングを図るのではないかと憶測記事が流れている昨今でございます。このような事実があるのかどうか、この点をお尋ね申し上げたいと思います。
#17
○国務大臣(田名部匡省君) ヒルズ、マクシャリーとの会談、全体は交渉相手がまだあるのかもしれませんが、主要閣僚との会談を予定しております。その目的はということではありますが、先ほど来お答え申し上げておりますように、従来は何か進むのかどうかというのが明確でない感じがあったんです。なかなか米・ECの交渉の内容も正確に出てこない。大体二、三日たつとその全貌というのは明らかになるものなんですが、今回に限ってそれが出てこない。一体何が話されたのかということが一つございました。
 前から私は必要があればやっぱり行ってこなきゃいかぬということは申し上げておったんです。それは、修正につながるという問題等が起きてくれば行かなきゃならぬのかなと、こう思っておったんです。それが明確でなかったわけでありますが、ここへきて交渉が再開されるという現地からの報告があり、私どももこの際我が国の立場というものを閣僚レベルでアメリカやECにきちっと伝える。特に、変化はそこが変化になっているわけですから、それを手をこまねいておって、このままずるずるいったんでは大変なことになるという判断、そういうことがございまして、理解を求めるために行くことになったわけであります。
 行くについては、もう従来から私どもの基本方針であります国会決議というのがあります。それから、国内の政治的に困難な問題というものもある。そういうことの理解を本当にしてもらわぬと困るわけでありまして、そのことをやってきたい、こう考えております。基本的な問題を理解して、その上で話し合いをしてもらわぬと交渉官も困るであろうということが一つございまして、今回の訪米、訪欧になったと、こういうことでございます。
 一部、今関税化のことをお触れになりましたが、これは全く私どもは考えておりません。もちろん検討もいたしておりませんし、交渉事でありますから、いろんな案を見せながら、それで別な交渉というのは、これはもうさまにも何にもなるわけないんで、そういうことで検討をいたしておりません。
 ただ、衆議院でも質問がありましたが、あるんじゃないか、検討しているんじゃないかという話は随分出ますが、ダンケル案についてこれでいくと一体どうなるんだぐらいのことはやっておっても、それ以外のことはございませんし、精いっぱい努力をしてきたいと考えております。
#18
○浦田勝君 渡辺外務大臣の条件闘争論や在日アメリカ高官による関税水準の話など、具体的な話がマスコミに報じられておるが、農水省、政府はこのような関税化の受け入れについて内部で検討しておられるのかどうか、この点お尋ねをしたいと思います。
 もし検討しているのであれば、なぜこのような話が同時期に一斉に出されるのか、御意見を承りたいと思います。
#19
○国務大臣(田名部匡省君) どういうところからどういう話が出てくるのか、むしろ私どもは戸惑いを感じておるんです。なぜこんなことを言ったりですね。
 私は、スポーツに例えてお答えするんで恐縮でありますけれども、野球をやるのにこれからスクイズをやる、やると教えてスクイズをやる監督というのはいないんですね。盗塁にしてもそのとおり。ですから、もう私どもの全く考えにないことがいろんなふうに取りざたされて、これから交渉に当たる者の身になってもらうと、そのことがどんなにつらい思いをするかということをなぜわかっていただけないのかなという気がしてならぬわけであります。
 選挙でも、落選する、すると言って選挙に出る人はないんで、当選すると。落選したらどうするかと、そんなことを考えてやっている先生方は一人もおらぬのと同じでありまして、全力でやっぱり事に当たるというのが大事な姿勢だ、こう考えております。
#20
○浦田勝君 もう時間がございません。
 ただ、私は先ほど大臣の答弁を聞いておるときに亡くなった佐藤隆農水大臣のことを思い浮かべたわけであります。彼が帰りましてから、おれはピエロかということを私に言いました。いわゆる日米交渉のさなかにマスコミ等々を利用した、あるいは一部の方々のリークされたものによってどんなに交渉で苦しい思いをしたかということであります。前回の十二品目から牛肉・オレンジに至るまで、市場開放によって大変な生産農家が不信感を抱いておるわけであります。
 しかし、今回は宮澤総理もきちんとしたことを言っておられますけれども、やはりこのようなことが一部マスコミで流れてくることは事実であります。したがいまして、前回と同じような形にな
るんじゃないか。どうか大臣におかれましても、堂々の論陣を張りながらこの大国エゴに対して闘ってきてもらいたいと、かようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。元気で行ってください。
#21
○風間昶君 風間でございます。
 田名部農林大臣が急速、訪米、訪欧することを昨日私も伺いまして、今各委員の先生方から訪米の目的を教えていただきました。問題は、ヒルズさん、またマクシャリーさんとの対談というふうにお伺いしましたが、そのほかに一体どなたと交渉していくのかもあわせてお伺いしたいというふうに思います。
 そして、これまでの主張の繰り返しで、例外なき関税化修正に理解が得られると当然考えていらっしゃるんでしょうが、その辺の具体的な進めのところをお聞かせいただけましたらありがたいと思います。
#22
○国務大臣(田名部匡省君) 当面ヒルズ通商代表とマクシャリー委員とはアポイントがとれております。そのほかもあると思いますが、今、現地の方でどういう人に会ってもらうかということをやっておると思いますが、基本的に大事なところはこの辺。マディガン農務長官は今ローマかどこかヨーロッパにおって、なかなか会える時間をとれません、この人とは。そういうことでヒルズ通商代表になるわけでありますが、そのことは向こうへ入るまではちょっと定かではありません。
 それから、私の従来からの考え方に理解が得られるか。よく、同じことを言いに行くのかということでございますが、同じことを言いに行くつもりもありまん、もうヒルズ通商代表とは今回が四回目でありますから。ただ、変わったのは、米とECとの間の交渉がダンケル案のとおりでないということ、このことが新しい交渉の部分であろうと、私はそう思います。
 いずれにしても、理解が得られるかどうか、理解してくれるかどうかということでありますので、理解してもらうように精いっぱいの努力をいたしたい、こう思っております。
#23
○風間昶君 大体理解させていただきました。
 きょうの日本農業新聞の報道でも、ECのアンドリーゼン副委員長との会談も予定されているやに報道されております。その前に、ECのアンドリーゼン副委員長が新ラウンド促進について協議するため、十六日に来日するという報道もありまして、そのときの目的がウルグアイ・ラウンド決着のために日本政府の指導性を求めているというメッセージを伝えるためだというふうに報じられておりますが、その事実関係についてお聞きしたいというふうに思います。
 もう一点、ECは既に米の関税化、例外扱いを認めないという姿勢であることを伝えられておりますけれども、これについてもどういう態度で折衝をされていかれるのか、再度大臣の御決意をお伺いしたいというふうに思います。
#24
○国務大臣(田名部匡省君) アンドリーゼン副委員長とのことはまだわかりません。来日されることは承知いたしておりますけれども、このことで来るであろうと。一部には米ばかりではなくて全体の交渉が難航しているというか交渉に入れないでいるということもありまして、全体をどう成功させるかという話もされると思います。当然農業問題についてもそうだと思いますが、例外扱い、認識の違いで、中で話し合いをして数字を変えただけだから基本的には変えていないという認識に立つ側と、変えないというものを変えたんだからやっぱり修正だというのと、意見というのはかみ合わないものですからそういう話がいろいろと言われるだろう、こう思います。
 しかし、いずれにしても日本の立場というのは前々から申し上げてまいりましたし、加えて新たなこういう動きがあったということでどういうふうに判断されるか、このことをきちっとしてやらぬと、どこの国からも全然交渉の窓口にならないということになると、さっき申し上げたように、現地の交渉官が何にもしないで黙っているしかない。こういうことではいかぬということで、私が今回出向く、こういうことでありますけれども、御了解いただきたいと思います。
#25
○風間昶君 大体理解させていただきました。
 大臣もスポーツをやられていらっしゃる方で、私もずっと野球をやっておりまして、個人的なことで申しわけございませんが、本当にディフェンスからフォワードへいく戦いをぜひお元気で行ってしていただきたいと思います。そして、今本当に、日本の国内のいわば農業だけじゃなくて、このことが大きな日本にとっての成果を得られるような御活躍をしていただきたいというふうに思います。ありがとうございました。
 質問を終わります。
#26
○林紀子君 今回の大臣の訪米、訪欧というのは大変慌ただしく急に決定されたことですね。一たん大臣は訪米、訪欧するという意思表明をなさいましたけれども、その後すぐに打ち消して内閣改造前は無理だとおっしゃっておりましたね。それからまた、きょうは農水委員会があるということは大分前から日程が入っておりました。それにもかかわらず急遠出発をなさるということは、高度の政治的な判断なるものがあったのではないかというふうに思わないわけにはいかないわけですけれども、きのうの夕方宮澤総理とお話をなさったということですが、どういうことを総理からは言われたのか。
 また、ドンケル事務局長は例外なき関税化を修正するにはアメリカやECの了解をとってくるべきだというふうに言っているわけですけれども、日本の主張に沿って了解を取りつけることができるのか、それともアメリカの圧力に屈するのか、どういうふうに訴えてくるのかということをまずお聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(田名部匡省君) 日程的に見て、私ももうここまで来ると無理であろう、こう思っておりました。いずれは米・ECの交渉がはっきりしたらこれは行かなきゃいかぬ、こう思ってもおりました。しかし、ここのところへ来て、さっき申し上げたように、交渉が今週始まるというときに、何にもしないで黙っていて責任を果たせるものだろうかとこう思いまして、総理にいろいろな情報をこういうことがあるがというお話を申し上げました。やっぱり閣僚レベルで交渉官が交渉できるように支援してやる。そのためには、日本の国会の事情とかいろんなことはあるし、まあ大変な時期だけれども行ってくれと、こういうお話もございまして、急速決まったわけです。本当に国会も終盤で大事な時期でございましたが、しかし米問題も国にとっては大事な問題だという判断に立って行くことを決めた、こういうことであります。
 また、米、ECの了解をとってこいと。まあどういうふうに言ったのかわかりませんが、そんな高飛車な話で交渉というものは得られるものではない。お互いの国内の事情というものをお互いが認め合ってテーブルに着くということが大事であって、私は基本的なことを話しできますが、その他の参るところは話し合いをしてもらう。世界がみんな集まってそれぞれの困難な問題があれば披瀝すればいい。そういうこともできないということになってはもう大変なことになる。こういう判断から実はいたしたわけであります。
#28
○林紀子君 今まで政府は外圧を利用して日本の農業政策を決めるというやり方をとってきました。先ほどもお話がありましたけれども、牛肉・オレンジの日米交渉、これが一番いい例だと思うわけですね。このときには決着した六月までに当時の佐藤農水大臣は二回訪来しております。そのときにマスコミは、アメリカ側の方針は崩せないとアメリカ側のかたい姿勢を強調して自由化の政治決断をする、こういう運びになったわけですね。ですから、今回大臣が訪来、訪欧なさるということは、またこういうことを繰り返すのではないかという心配があるわけです。しかし、もう牛肉・オレンジの二の舞は御免だというのは農民の声であり、国民の声だ、このことを肝に銘じて出発をしていただきたいと思います。
#29
○国務大臣(田名部匡省君) 肝に銘じて出発した
いとこう思っております。
#30
○喜屋武眞榮君 私がお尋ねしたい点は細切れで三問ございますが、時間の関係もございますので、その三問をまとめて申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 一点は、ウルグアイ・ラウンド、すなわちガットの新多角的貿易交渉は年内決着に向けてジュネーブでの交渉はいよいよ最終局面を迎えておりますが、政府は米の関税化は認められないとする基本方針をなお堅持する考えであるのか伺いたいということが第一点。
 次に、米を関税化の例外とするという政府の方針が実現されるという見通しはあるのかどうなのか。
 三点は、まとめといたしまして、いずれにしても日本の農業及び食料政策を誤らないようしっかり対応してもらいたいと考えておりますが、大臣の御決意を一、二、三、まとめてお願いいたしたいと思います。
#31
○国務大臣(田名部匡省君) ウルグアイ・ラウンドの最終局面に入っていることは、私どもそのように認識いたしております。
 お尋ねの基本方針を堅持するのかと、基本方針は堅持いたします。もう従来から稲作というものの格別の重要性にかんがみて、やっぱり国会決議等の趣旨を体して国内産で自給する、この方針にはもう変わりございません。その覚悟で交渉をいたしてまいりたい、こう思っております。
 それから、二点目の例外の見通しはどうか、こういうお尋ねでありますが、やってみないとわからぬというのが率直な気持ちです。しかし、何としても認めてもらうべく最大の努力をするということであって、今からどういう形になってどうなるかとか、全然認められないと思いますとか、あるいはこういう形ならいけますとかという見通しは、私は全く持っていない。とにかく当たって砕けるつもりで粘り強く交渉をするという気持ちでございます。
 食料政策につきましては、おっしゃるとおり農村社会が崩壊することはもう忍びないという気持ちであります。日本経済を、地域の経済を大きく支えてきた。それでなくてもだんだん農村人口が減っておるということに拍車のかかるようなことはしてはいけない、そういう考え方で、これもひとりで言っておったんではだめなんで、相手がどういうふうに理解をしてくれるか、その言い方にもあるし、本当に腹を据えて交渉していきたい、こう考えております。
#32
○新間正次君 新間でございます。
 ウルグアイ・ラウンドに関しまして大臣の訪米あるいは訪欧の御意見というのは十分お聞かせいただいたわけでございますけれども、聞きますところによりますと、大臣は大変ホッケーがお好きだそうでございます。今までの様子を見ておりますと、どうも日本側の態度というのが受け身に回っているような感じがして仕方がない。ここが一番正念場で、真っ正面からシュートを一発決めて得点を上げてきてほしいなというのが正直な感想でございます。その辺の大臣の決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
#33
○国務大臣(田名部匡省君) シュートを決めたいと思いますが、日本の今までの交渉というのは全部守りの交渉なんですね。要するに、自由化反対反対と言って全部守ってきた。ですから、こっちが攻め手を持っていない交渉なものですから、いつでもつらい立場に立たされる。攻める方が楽なんですね。守る方は大変なんです。
 そういうことでございますが、いずれにしても、こうして委員会で先生方から激励いただきまして、これを心の支えにしてとにかく頑張ります。一生懸命やってきますから、よろしくお願いします。
#34
○新間正次君 角度を変えて一つお尋ねしたいのでございますけれども、他用途利用米について、いろいろ視察に参りましたときも酒造元あるいは米菓製造業者の方々から、原材料となる他用途利用米の絶対量が大変な不足をしておるという大変不満の声も聞いてまいりました。
 これで必要なものを確保するためには、例えば法的にきちっと位置づけをするとか、あるいは助成を改善、拡充することが必要ではないかなというように思っておるんですけれども、その辺の大臣の御見解をちょっと伺いたいと思います。
#35
○国務大臣(田名部匡省君) 他用途利用米につきましては、加工用にとっては非常に大事な部分であるわけです。安定的に供給するということが大事なことなんですわ。特に、こういう米に関する限りはいろんな問題が起きております。しかも、良質米、自主流通というものがもう八割を占めている。やっぱりつくる立場から見れば同じ米をつくって高くも売れる、安くも売れるということは、私どもは農家の立場にすれば忍びないところがあるわけです。
 しかし、需給の調整から安定的な供給、米の管理をしていかなきゃならぬということからすれば、多少不満はあっても農家の方々にも御協力いただかないと、きのうあたりのテレビを見ても自由化してもらえばという話はそういうところから出てくるわけでありますから、このことは生産者と一体となって集荷努力を続ける。それにはいろいろ工夫があろうかと思いますので、そういうことで対応をしていかなきゃならぬ。米に関する限り、どの分野からも不平や不満が聞こえてこないようなことをやっぱり努力していくこと、これが大事だ、こう思います。
#36
○新間正次君 とにかく正念場でございますので、真っ正面から攻めて得点を期待しております。
 どうもありがとうございました。
#37
○国務大臣(田名部匡省君) どうもありがとうございました。
 一生懸命頑張ってまいりますので、よろしくどうぞ。(拍手)
#38
○委員長(吉川芳男君) 農林水産大臣に対する質疑はこの程度にとどめます。
 引き続き、政府当局に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#39
○稲村稔夫君 私は大臣には大いに頑張ってきていただきたいと念願をしているわけでありますが、きょうこの委員会の対応について、農水省当局の存念をまず伺っておきたいことになりました。
 といいますのは、きのう私はできるだけ早く皆さんの方でも整理しておいていただいた方がいいと思いまして、二時からこの質疑の内容の通告をしておきました。そのときに、大臣にもこういうことを聞きたいということで、大臣に対する質疑もきちんと申し上げておきました。そのときに、特に所管の委員会なんですから大臣は常におられていろいろとそのときの成り行きの中で答弁をされるのが当然であろうというような話もいたしました、質問をとりに来られた方には。
 急遽行かなければならなくなったという事情もわかりますし、またそれだけに大臣にも頑張ってきていただかなきゃならぬ、そういうことは私も同感なのであります。しかし、通告をいたしました質問に対して大臣から答弁をいただきたいということに対して、私のところには変更も何も一切の連絡がありませんでした。これはこれから質問をされるほかの委員の方に対してもそうだったのでありましょうか、それとも私だけなんでしょうか。まず、そのことを明らかにしてください。
#40
○政府委員(上野博史君) 大変今のお話は申しわけないというふうに思います。
 ほかの先生方への対応ぶりにつきまして私はまだ聞いておりませんので、その点は確認をいたして、またおわびを申し上げなければならないことがあればおわびを申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、その点について先生に十分お断りを申し上げなかったことにつきましてはお許しをいただきたいというふうに存ずる次第でございます。
#41
○稲村稔夫君 それにしましても、きのうのうちにできなかったというんならまだわかりますよ。きょう始まる前にも話がなく、私がここへ座っていてもだれも来ないじゃないですか。どなたが私の大臣に対する質問に対しては答えていただくか
も明らかにならない。これで質問ができますか。
#42
○政府委員(上野博史君) 大変申しわけない次第でございますけれども、先ほど大臣がいろいろと今回の出張についての必要性を述べたところでございます。その点につきましてぜひ御理解をいただきたいというふうに考える次第でございまして、大臣に対する御予定の御質問につきましては、恐縮でございますけれども、私どもの政務次官にお答えをお願いすることにいたしたいと考えておりますので、よろしく御質疑をお進めいただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。
#43
○稲村稔夫君 ただ単に謝られたって簡単に承知できませんよ。そうでしょう。じゃ、一体どうしてこういうことになったんですか。私は大臣に頑張ってきてもらいたいというその気持ちは皆さんと一緒ですよ。だから、きょうのこういう形になることがいいとか悪いとかというんじゃない。こういう形でやられるのもやむを得ないと思っているんですよ。思っているから初めから何も言わないで自分の質問のときにこう言っているんですよ。どうしてこうなったんですか、その経緯を明らかにしてください。
#44
○政府委員(上野博史君) まことに申しわけない次第でございますけれども、今私も承知をいたしたわけでございまして、私どもの十分なる指示が行き届いてなかったということにつきまして、改めておわびを申し上げたいと思います。
#45
○稲村稔夫君 指示が行き届かなかったって、その指示というのは何ですか。
 それじゃ、あなたは私のところへちゃんと連絡しろという指示をしたんですか。
#46
○政府委員(上野博史君) その指示も含めまして、きょうこういう状態で会議を開くことにつきましてはお許しをいただいているというふうに考えていた次第でございますけれども、それぞれの御質問の方に対しましてそういうお断りを申し上げることをいたしてなかったということにつきましておわびを申し上げている次第でございます。
#47
○稲村稔夫君 これで私は、私の持ち時間もそう多いわけじゃありませんから、こんなことでもめているのは嫌なんですよ。しかし、今後の問題もあります。そして、私は、今度とうしてそうなったかということの経緯をやっぱりはっきりさせてもらいたいと思うんですよ。経緯をはっきりしてもらわないと私だってそう簡単に納得というわけにいかないですよ。質疑はやりますけれども、この問題は、私は、私一人の問題ということにとらえないで、今後の問題ということもありますから、なぜこうなったかを理事会なら理事会できちんと報告をしていただけるような委員長の取り計らいをいただきたいと思います。
#48
○委員長(吉川芳男君) 今ほどのことにつきましては理事会で協議させてもらいます。
#49
○稲村稔夫君 それでは、最初に、輸入食料品の安全性のチェックの問題について伺っていきたいと思います。
 厚生省お見えになっていますね。
#50
○説明員(牧野利孝君) はい。
#51
○稲村稔夫君 今、厚生省では農薬の残留の基準づくりについていろいろと努力をしておられるようであります。
 そこで、この農薬残留の許容基準というものはいかなる根拠に基づいてつくられているものであるか。
 それから、その基準をつくるに当たっては、毒性試験、特に遺伝的な毒性の試験というようなものについては、これは当然化学的根拠が必要なわけでありますからやっておられるのではないかと思いますけれども、試験をしておられるならばどのような試験をしておられるのか。そしてまた、そのデータの公表などがどういうふうになっているのかということをまず教えていただきたいと思います。
#52
○説明員(牧野利孝君) まず、残留農薬基準の設定の考え方でございますけれども、残留農薬基準は、その農薬につきまして化学的に定められました一日摂取許容量、ADIと略してございますけれども、この一日摂取許容量とその農薬が使用されております各農産物の摂取量なりに基づきまして、各農産物ごとに設定されるものでございます。
 この残留農薬基準でございますけれども、この残留農薬基準は、仮に日本人が設定をされました基準値の上限までその農薬が残留した食品を摂取したといたしましても、農薬の摂取量はADI、一日摂取許容量以下となるように設定されてございまして、食品衛生調査会の審議をもとに設定されてございます。
 それから、データの試験のことでございますけれども、先ほど御指摘のございました遺伝毒性も含めまして、私ども厚生省で農薬に関する安全性の資料を収集いたしまして、食品衛生調査会におきまして御審議をお願いしているわけでございます。
 また、データの公表でございますけれども、当該農薬の毒性に係る食品衛生調査会の審議資料の件でございますけれども、これにつきましては、審議が終了いたしまして、答申が出された後であれば希望に応じまして閲覧を可能としてございます。
 以上でございます。
#53
○稲村稔夫君 一つは、日本人の許容量になるそれの上限値というふうにも私はちょっと今聞こえたんですが、個人差というのは、日本人の中だって随分個人差というのはあるわけでありますよね。そうすると、上限値というのはいささか問題があるんではないだろうかというふうにも思います。
 それから、今の御答弁ですと、調査会の答申に基づいてということでありますが、そうするとその調査会では具体的にそういう毒性試験などというものをやっているんでしょうか。問題は試験をやっているかどうかなんです。特に、人体についての影響ということを決めるわけですからね。そうすると、具体的な試験というものをやっていなかったら化学的な裏づけにならないということになるわけですが、そこの辺のところは具体的に例えば動物実験なりなんなりというものをきちんとみんなやっているんですか、独自のものをやっているんですか、こういうことを伺っています。
#54
○説明員(牧野利孝君) 先ほど上限値までと申し上げましたのは、設定をいたします各農産物の基準値の上限いっぱいまで実際に農薬が残留したと仮定いたしましての評価でございます。
 それから、試験の実施の有無でございますけれども、食品衛生調査会におきましては、私ども厚生省におきまして、遺伝毒性も含めましていろんな毒性実験データを収集いたしまして、その収集したデータに基づきましての御評価でございまして、食品衛生調査会が独自に試験を実施するわけではございません。
#55
○稲村稔夫君 その実験データの収集というのはどういうところからしておられるんですか。
#56
○説明員(牧野利孝君) 私どもが集めておりますのは、実際にその農薬を開発いたしました企業であるとか、あるいは国内での農薬の登録業務をやっております農林水産省在とを経由いたしましてデータを収集しております。
#57
○稲村稔夫君 企業のデータというのをもとにされている部分というのがもしあるとすると、これはもう一度きちんと本来であればテストのし直しをしてみるぐらいの姿勢が必要なんではないでしょうか。そうでなかったら、やはり企業というのはどうしても早く開発したい、早く売れるようにしたいというようなことをいろいろと考えるのが当然でありますからね。そういうふうにも思います。
 そしてさらに、これはWHOだとかFAOだとかのデータなどというのも基準の中に入れているんですか。
#58
○説明員(牧野利孝君) FAO、WHOにつきましては二種類ございます。一つは安全性の評価を行った場合に使用したデータがございます。もう一つはFAO、WHOの基準値がございまして、安全性に関するデータにつきましては当然収集いたしますし、また実際の基準値の設定に当たりま
してはFAO、WHOで設定してございます基準値も参考にしております。
#59
○稲村稔夫君 かつてWHO、FAOの基準値等についてはいろいろと問題があるということで議論になったことがございました。私もその議論の中に入ったことがございます。それは、一つはデータの大変古いものも随分ありますし、それから日本人の特性というものの上に立った必ずしもデータではない、そういう面もあります。またさらに、どうしてこういう基準値になっているんだろうかと不思議に思うぐらいの寛容な数値になっているものも中にはありました。
 そういうことでありますから、参考にしておられるということはわかりますけれども、参考にされても、私は当時からそう言っていますが、我が国独自できちんとテストをし、データをもとにして基準値はつくるべきであろうというふうに申し上げてきましたが、この辺はどのようになっていますか。
#60
○説明員(牧野利孝君) 繰り返して申しわけございませんけれども、私どもで現在残留農薬基準の設定につきましては、諸外国の基準、具体的にはFAO、WHOの基準も出ましたけれども、それ以外にあるいは諸外国の基準、もちろん国内での登録保留基準もございますけれども、そういった基準をもとにまずいたします。
 さらに、安全性の評価でございますけれども、厚生省当局で安全性に関するデータを収集いたしまして、それをもとに食品衛生調査会におきまして安全性の評価、それから基準値をまず設定していったわけでございますけれども、その残留基準につきましては、実際の基準値云々よりも、こういった基準値の上限いっぱいまでその農薬が残留いたしました食品を摂取したといたしましても、安全レベルでございます一日摂取許容量、ADI以下となるように基準値が設定されてございます。
#61
○稲村稔夫君 私の見解を申し上げますと、要はいろいろな薬品というものは我々の体の中に取り込まれていくのは単一ではない。いろいろなものが取り込まれていくわけですね、いろいろな食料を食べるわけですから。それが体内に蓄積をされる、それが重なっていく、複合と蓄積ということにもなります。
 そういうようなことなどもありますので、基準値の設定については単純なことにはなかなかいかないんではないか、かなり厳密なテストなり調査というものが必要である、このように考えているんですが、今の厚生省の体制では私は必ずしも十分ではない、このように認識をしているわけであります。これは、それこそ厚生省の政策担当の最高の方、責任者の方が出てきていただかなければ、その辺の議論は幾らしてみても仕方がありませんので、私はこの点はこのところでとどめさせていただきますが、ここでちょっと時間をとってしまいましたので、次にチェック体制の方に入らせていただきたいと思います。
 九一年における検査対象になった食料の輸入総数量とその検査実績についてどのようになっておりましょうか。
#62
○説明員(織田肇君) 九一年におきます食品の輸入届け出件数は七十二万九百五十件、輸入重量は二千三百七十万トンでございました。このうち届け出件数の約二三%に当たる十六万八千九百二十六件につきまして検査を実施しております。
#63
○稲村稔夫君 二三%は検査を実施した。そうすると、それ以外のものはどうなるんですか、検査していないんですか。
#64
○説明員(織田肇君) 検査をしておりますものは、従来から違反の実績のあったものでございますとか、あるいは初めて輸入されるようなもの、あるいは外国の事故情報等に基づきまして判断いたしまして、検査をする必要があると判断したものについてやるという方法を現在とっておるわけでございます。
#65
○稲村稔夫君 そうすると、違反件数もない、初めて入れるのでもない、それから外国の情報もないというものについてはフリーパスということになるんですか。
#66
○説明員(織田肇君) 先ほど申しましたように、違反の可能性がないといいますか、あるいは従来から特に問題のないものにつきましては検査を行っておりませんが、検査の必要性につきましては、届け出窓口で書類等を見まして問題のある可能性のあるものについての検査を重点的に実施しているところでございます。
#67
○稲村稔夫君 総数量の二三%程度しか検査がされていないということになりますと、信用の問題があるのかもしれませんけれども、今まで問題がなかったからそのものはもうみんなしないでもすっと通る、外国の情報もないからそれじゃこれも除外していますということになったら、途中でいろいろと変化があったってわからないまま我々はいろんな農薬の残留しているものをとらされているかもしれないんですよ。こういうことを考えていきますと、全部で二三%、随分心細い話なんですがね。
 そうすると、これはどうしてこの程度なんですか、検査能力の関係なんですか。
#68
○説明員(織田肇君) 先ほど申しましたように、輸入の届け出件数というのは七十二万件ということで相当な数に上っております。また、届け出件数もこの十年ばかりで倍に上っておりますが、この間、検査体制につきましても強化を図ってきたところでございますが、この検査、全体をやるという体制は難しいところでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、危険性が予知されるものについての重点的な検査ということで現在やっておるところでござます。
#69
○稲村稔夫君 それでは、現在厚生省の検査官は、全国に配置しておられるんだと思いますけれども、何人おられますか。
#70
○説明員(織田肇君) 検疫所に所属します食品衛生監視員の数は平成四年度で百六十五名でございます。
#71
○稲村稔夫君 私が伺ったころに比べれば、それは六年、七年くらい前ですかね、そのころに比べればそれはもう確かにかなりの増員になっていることは間違いありません。だけれども、そのころから問題なんですよ。農林水産省は検疫関係だけでもこれもまだ大分手が足りないでふうふう言っているようですけれども、かなりの人数が配置をされているはずです。ちょっと参考までに農林水産省は植物防疫、動物検疫の関係、何人おられますか。
#72
○政府委員(上野博史君) ちょっと手元に数字を持ち合わせておりませんので、後ほど御提出申し上げたいと思います。
#73
○稲村稔夫君 通告しておりませんでしたから資料がないと思いますので、それはやむを得ないですが、少なくとも農林水産省は五百名や六百名、両方合わせればその程度ではないはずであります。――ありますか。
#74
○政府委員(高橋政行君) 植物防疫所の職員の数でございますが、三年度で八百十八名でございます。
#75
○稲村稔夫君 動物はわかりますか。
#76
○政府委員(鶴岡俊彦君) 来てないです。
#77
○稲村稔夫君 動物の方はまだわからないそうですけれども、そうすると厚生省さん、植物だけで八百十八名いて、そしてこれに動物が加わるんですよ。ですから、食品の衛生管理の検査官というのは私はかなりの人数が本当にいなければならない、これはもう直接健康にかかわる問題ですからね、というふうに思うんです。
 現在、これで二三%やっておられるわけでしょう。そうすると、ざっと非常に単純な計算をすれば四倍強の人数で全体ができるという数になる、必ずしも単純にそうはいかないと思いますから、そうとは言いませんけれども。少なくともかなり大幅に増員をしていただかなければ、これはもう本当に輸入食品というのは心配でならない。特にポストハーベストというのがかなりやられているわけでありますからね。それから抗生物質が随分使われているわけですから、動物では。それだけに心配になりますということであります。
 このこともこれからゆっくりと議論をする時間をとった委員会でまたいろいろと、今度は政府委員の方にも出てきていただいて、御見解も伺いながら提起もしていきたいというふうに思いますから、厚生省はこの程度にさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 そこで、農林水産省に伺いたいのですが、今厚生省にいろいろと伺ったような状態の中で、そうすれば国内の問題もこれは農林水産省としては大変大事な問題なんですが、このことはまた、きょうは時間がありませんから、国内の体制の問題は別の日にやりましょう。
 それで、輸入食品については農林水産省としてはどのような体制をとっておられますか。こういう検査については僕らから見るとかなりお寒い今の実態だと思いますけれども。
#78
○政府委員(須田洵君) 輸入食料品の安全性確保につきましては、まず水際の問題としては食品衛生法に基づきまして、ただいまもお話しございましたが、厚生省の検疫所におきまして輸入届書の書類審査と、その書類審査によりまして必要と認められたものについての衛生検査ということで安全性のチェックが行われているところでございます。
 農林水産省といたしましても、食品の安全性に関する問題は重要な問題であるというふうに認識しておりまして、私どもの対応し得る限りで二つばかりのことをやっております。一つは、輸入食品を含めまして食品につきましての苦情相談の窓口につきまして、本省のほかに七つの地方農政局、さらに四十七カ所ございます食糧事務所、農林水産消費技術センターに十カ所設置しておりまして、そのような苦情処理を受け付けております。さらに、二つ目としましては、農林水産消費技術センター、これは私どもの所管の機関でございますが、そこにおきまして検査分析ということでできる限り行っておりまして、食品衛生法に抵触するような結果が出た場合におきましては、速やかに厚生省に連絡をしましてしかるべく措置を講じてもらうというような体制をしいております。
 輸入食品の安全性確保の重要性の問題は今後ともますます増大するというふうに考えておりまして、これからの取り組みの問題ではございますけれども、一つは輸入先国におきます生産状況なり安全規制の実態、これについて私どもなりにもきちっと把握をしていかなくちゃならぬ。あるいはこれらの情報につきまして消費者に対する提供をしていくことも重要かと思います。さらに、先ほど申しました農林水産消費技術センター、これが具体的にいろんな製品の買い上げをしまして、その残留農薬あるいは抗生物質等について、先ほど申しましたが、検査をしているわけでございますから、そのセンター自体の検査分析能力、これをやはり強化していかなくちゃならぬ。年次的に少しずつ整備を進めておりますけれども、今後も着実に取り組んでいくということでございまして、いずれにしましても、厚生省との密接な連携を図りながら輸入食品の安全性の確保を図るための体制整備に努めてまいりたい、かように存じております。
#79
○稲村稔夫君 例えば、随分古い話をして恐縮ですけれども、米の国内在庫が大変厳しくなって、そして韓国から返還米を求めたというあの時期にちょうど国内では臭素米問題などというのがいろいろと起こりました。そのときに韓国から返していただくという米については、特に重金属の類だとかそういうものが大変心配になるということを韓国の論文の中から私は見つけて警告をしたことがありました。
 いずれにいたしましても、農林水産省としても海外から入ってくる食品、輸入食料、特に穀物や生鮮野菜、生の肉類とかというようなもの、加工品じゃないものですね、これについては厚生省任せということではなくて、農林水産省自身が持っているノウハウも含めて、かなり全力を挙げた取り組みをしてもらわなければならない。これは縦割り行政の中で各省庁でキャッチボールをやっていられたんでは消費者の方、国民の方が大変な迷惑ということになりますので、農林水産省は特にその辺は神経質になっていただかなければならない、こんなふうに思っているんです。
 特に、隠れてふだん表面的にはなかなかわからない問題だけに面倒なんですが、例えば肉類とかそういうものについては抗生物質等については検出されてはならないものなのにもかかわらず、たまたま都道府県で検査をしたら出てきたとか、あるいは外国の情報にあったとか、調べたら出てきたということがありますけれども、こういうあれについては、農水省としてはこういう情報があったときにはかなり迅速な対応をして全体を防がなきゃならぬと思うんですが、どういう対応をしておられますか。
#80
○政府委員(須田洵君) 稲村委員御指摘のとおりでございまして、私ども先ほども申しましたみずからやっておりますのは、農林水産消費技術センターにおきましていろんな製品の買い上げをして残留農薬あるいは抗生物質等についてもチェックをするという、そういうやり方をしておるわけでございます。
 その結果において、例えば一例を申しますと、二年ほど前でございますけれども、タイから入った冷凍エビ、輸入物でございますが、それについて抗生物質がどうも出たという結果が出まして、それを直ちに厚生省へ通報いたしました。厚生省はそれに基づいてこれに対する監視体制といいますか、そういうものをより強化したというふうに承知しておりますが、そのようにできる限り厚生省さんとの連携といいますか、それが非常に大切でございますので、私どもとしても日ごろからの情報連絡も含めましてこれからさらに努めてまいりたい、このように存じております。
#81
○稲村稔夫君 この問題だけでそう時間をとっているわけにいかないわけでありますが、事健康にかかわる、場合によっては命にかかわる重要な問題でありますから、それこそ農水省としては厚生省が対応すればそれで済むということではなくて、むしろ厚生省の対応の足らざるものあるいはその問題点というようなもの、これは積極的に厚生省の方にも持ちかけていくということが必要なんだと思いますね。先ほど私が厚生省に伺っていた中で、例えば残留農薬の基準値の設定等の問題につきましても、今、環境庁が出しているもの、これはどうもちょっと問題ないわけじゃありませんけれども、しかし環境庁が出している基準というものと比べればまだまだ数も足りないわけですし、もっと幅広くやっていかなければもういろんなものが入っているんですからということがありますし、それからテストの問題、特に遺伝毒性等については神経質になり過ぎて困るということはないわけでありますから、神経質になっていただいて厚生省に対してもねじ巻きをどんどんしていただきたい、こんなふうに思うわけであります。
 これは意見として申し上げまして、輸入食品の安全性チェックの問題については一応終わりたいと思います。国内体制の問題はいろいろと問題ありますから、これは後ほどゆっくりとまた伺うことにしたいと思います。
 次に、大臣はもう出かけられましたけれども、ガット・ウルグアイ・ラウンドの農業グループの交渉についてマスコミ等でいろいろと言われていること以外のことで、私はどんな議論がされているのかということを伺いたいのであります。
 というのは、まず第一は飢餓国民、今ソマリアなんかが問題になっておりますけれども、それ以外に飢餓国民というのが地球上にはかなりいるということになるわけでありますが、この飢餓国民の救援体制についてガットの中ではどの程度の議論が真剣にされているんだろうか。ECとアメリカとのやりとりばかりが報ぜられておりますので、その辺がよくわかりません。その辺はどんなふうに情報としてはとらえておられましょうか。
#82
○政府委員(眞鍋武紀君) 世界の食料問題でございますが、一方で先進国を中心としました生産過剰の問題が、一つ深刻な問題がございます。他方で発展途上国を中心にいたしました今御指摘の飢
餓の問題が大変重要な問題でございまして、国際的な取り組みが大変急務になっておるというふうな認識を私どもも持っておるわけでございます。
 食料の問題に関連いたしましていろいろな国際機関がございます。主として食料の援助の問題、長期的なあるいは短期的な食料の問題につきましては、援助問題なんかにつきましては主としてFAOという機関がございますが、FAOでございますとかあるいは食料援助委員会、こういうふうな場におきまして検討が行われておるわけでございます。
 御指摘のガットにつきましては、主として貿易の自由化、各国が貿易を自由化することによりまして世界の貿易を促進しよう、こういうふうなことが目的でございまして、直接的にはどちらかというと食料援助の問題は他の国際機関が主として扱っておるということでございます。ただ、我が国といたしましては、この貿易の自由化を目指しますガットといえども、究極的には世界の食料問題の解決に資するような運用が必要であるというふうに考えておるわけでございまして、我が国の主張におきます食料安全保障の考え方、こういうものは発展途上の食料輸入国にも十分適応し得るものだ、こういうふうに考えておるところでございます。
 そういうふうなことで、今後ともこのような考え方が交渉結果に反映されますように、引き続き努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#83
○稲村稔夫君 そうすると、次に、ガット・ウルグアイ・ラウンドの交渉の中で環境問題の観点からどんな議論がされているんだろうかということがあります。これはブラジル・サミットなんかでも提起をされている問題でもあります。ということになりますから、特にそのことが気になりますし、また地球上の可耕地の問題、つまり耕作可能地の問題、これはいわゆる地球温暖化の現象、熱帯雨林の乱伐、今度はシベリアの乱伐も問題になり始めていますが、そういった乱開発ですね、言ってみれば、人口がふえていくからそういうことになるんでしょうが、そういう問題とのかかわりで耕作可能地というものが、これがだんだんと人口のふえていく割合に対して逆に減っていく可能性がある、こういう問題もかなり深刻な問題なんです、将来の問題としては。貿易の自由化と言うからにはその辺のところも踏まえながら議論をしなきゃおかしいんじゃないかと思いますから、当然議論されていると思いますが、どのような議論をされているでしょうか。
#84
○政府委員(眞鍋武紀君) ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきまして、農業生産の持つ特殊性でございますとか、あるいは食料安全保障、あるいは国土とが御指摘の環境保全等、農業が果たしております多様な役割が適切に反映されることが不可欠である、こういうふうな主張をこの交渉の場において我々主張しておるところでございます。
 この結果、ダンケル合意案におきましては、このような主張を考慮いたしまして、一つには環境保全に関する政策は原則として国内支持の削減の対象外とする、いわゆる国内支持を削減していくということで削減の対象と対象でないものとを分けるわけでございますが、環境保全に関する政策に要する費用につきましては削減対象外にする、こういうふうになっておるところでございます。しかしながら、ダンケル合意案におきましては、国境措置について環境問題を含む非貿易的関心事項についての配慮がなされていないという問題がございます。我が国において、米その他の農業が営まれることは、食料安全保障はもとよりでございますが、国土、環境保全等の観点からも重要な役割を果たしているというふうに考えられますので、このような観点が交渉結果に適切に反映されますように、引き続き交渉をしていく所存でございます。
 御指摘の人口問題あるいは環境問題、食料問題、これはいずれも関連をしておるわけでございまして、人口、環境、食料、この問題を一連の総合的な問題としてとらえて国際的に取り組んでいくことが必要なんではないかというふうなことで、環境問題につきましても、おくればせながらOECDでございますとかあるいはガットにおきましても、いろいろと貿易と環境の関係というふうなことの研究が始まっておるわけでございますが、ガットにおきましてはまだ先ほど申し上げましたこと以外に具体的な問題として取り上げられるところまでには至っていないわけでございます。
 いずれにいたしましても、御指摘のように、これからの二十一世紀を考えますと、環境、食料、人口、この問題については国際的な取り組みが急がれる問題だと思っておりますので、我々といたしましても適当な国際フォーラムにおきましてこの問題に真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
#85
○稲村稔夫君 もう私の持ち時間が来てしまいましたので、最後に政務次官にお伺いをしたいわけであります。
 特にガット・ウルグアイ・ラウンドの問題につきましては、今局長の御答弁にありましたように、いろいろなことが問題になり、あるいは議論をしているといたしましても、言ってみればアメリカとECとのやりとりということの中にほとんど政治的な流れが集中をしている形になっています。そうした中で、さっきもちょっと大臣にいろいろと要望が出ておりましたが、我が国内でも閣僚によっては何かちょっと私から言えば要らぬことを言う、けしからぬことを言うというようなのが出てくるわけであります。
 問題は、自由な貿易という観点から議論をされているというけれども、結果的に見ていけばこれはECとかアメリカとかといういわゆる先進諸国で、環境の影響を受けたり人口の影響を受けたり、いろいろそのために影響を受けるのは途上国でありアジア各国であるというような形になっているんじゃないかと思います、全体の図式は。
 ということになりますので、私はむしろ積極的に日本の外務省あたりも、どうせ農業の専門家じゃないんですから、農業のことで要らぬことを言うよりも、環境問題あるいはそれこそ食料問題、飢餓問題というようなことをとらえてガット加盟の各国にもっともっと積極的に働きかけるように、外務省はその辺のところをもっと集中して努力してくれるように農水省も働きかけをするべきではないか、そんなふうに思うわけであります。
 大臣のきょうの御答弁を聞いていましてもなかなか厳しいという状況ですけれども、それは周りの条件をつくっていかなきゃならぬ、その条件づくりの一つ大事なポイントとしてその辺のところがあるんじゃないかと思いますが、御答弁をいただいて、私は終わりたいと思います。
#86
○政府委員(陣内孝雄君) ただいま委員の御指摘がございましたように、開発途上国では特に爆発的な人口増加が起こっておる、あるいはまた消費水準が高まってくると、それに従いまして穀物の需要量がふえてくるというようなことがございます。また一方では、これまで品種改良とかあるいは技術の開発、こういうので増産が見込まれていた、これがだんだん限界に近づくんじゃなかろうか。また環境問題もしかりと。こういうことを考えますと、食料問題は、やはり世界の大きな人類の問題としてともに共存共栄できるような形をとらなきゃいかぬ、その今試練に立っているときだと思います。
 そういう観点から、我が国はまず食料の基本方針として国内で自給するという方針を貫きながら、各国に理解を求め、各国もまたそういう基本的な理念のもとにこれから取り組んでいかなきゃいかぬだろうと思いますが、そういうときに差しかかって、私ども農林省初め政府は一丸となってこの問題の解決に努めていると思いますけれども、委員のお話もございますので、なおそういう方針を貫くための最善の努力を続けていく所存でございます。大臣もその決意を持ってただいま皆様方にお送りいただいたものと存じております。
#87
○稲村稔夫君 政務次官、農林水産省ですからね。
#88
○政府委員(陣内孝雄君) はい、失礼いたしました。
#89
○一井淳治君 時間が限られておりますので、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。
 まず、ウルグアイ・ラウンド農業交渉に関してでございますけれども、三度にわたる国会決議を守り、米は自給によるというこれまでの国是をぜひとも農林水産省挙げて守っていくという決意をまずお聞きしたいと思います。
#90
○政府委員(陣内孝雄君) 我が国は、ウルグアイ・ラウンド農業交渉におきましてこれまで農業生産の持つ特殊性や食料安全保障、国土・環境保全等、農業が果たしております多様な役割、機能、こういうものが適切に反映されるとともに、交渉妥結を可能とするためには各国の最低限の利益を損なわないことが不可欠である、こういう主張をしてきたところであります。
 しかしながら、現在のダンケル合意案の農業部分におきましては、輸出補助金に比べまして国境措置の取り扱いにバランスを欠いておる、特に包括的関税化の考え方が示されているわけでございますが、こういう大きな問題を含んでおるのでございます。
 そこで、先般来・EC間で成立した合意内容につき米、EC双方からの十分な説明を現在求めているところであります。我が国としましてはその内容を踏まえて今後の対応を検討していくこととなりますが、今回の米・EC間の合意はダンケル合意案の修正につながる問題を含むと考えられるのでございますので、我が国といたしましても年来の主張が交渉結果に反映されるよう引き続き努力していく所存であります。
#91
○一井淳治君 今の答弁は、私は最初に簡潔に答えてほしいというふうにお願いしたのに、全く要領が外れてしまって質問に答えていないです。
 農林水産省は米を守るという決意があるかどうか、イエスかノーか答えてください。
#92
○政府委員(陣内孝雄君) 三度の決議を踏まえまして、そのようにしてまいります。
#93
○一井淳治君 日本経済新聞の十二月一日付の記事によりますと、自由化した場合には初年度の米の関税は六〇〇%から七〇〇%になるということを政府筋が初めて明らかにしたということを書いております。また、この七〇〇%ということは、たびたびその数字は使われておるわけでございますけれども、私はこれは数字とすれば八〇〇%以上にならなくちゃいけないと思いますが、それはともかくといたしまして、少なくともこのパーセントという問題は外交交渉によって決まる問題であって、まだ未定であるというふうに思いますけれども、その点はどうでしょうか、まだ決まっていないというふうに思いますが。
#94
○政府委員(鶴岡俊彦君) 政府としましては、従来からの基本的方針のもとに関税化の例外を求めるよう交渉していくこととしておりまして、そういう関税化を前提とするような試算は一切行っておりません。
#95
○一井淳治君 そういった中で、例えばアメリカ大使館筋からは三〇〇%以下が妥当なんだというふうな声が出てきておったりいたしまして、これまで何と申しましょうか、米を関税化にして輸入した場合でも日本の米に対しては余り影響はないんだという論議が行われておりますけれども、こういった論議は全く誤っておる。特に、包括関税化を受け入れた場合には、ダンケル合意案によりましても最低輸入数量というものがありますから、絶対に関税化は受け入れてはいけない。もし受け入れた場合には、本当に日本の未来を誤ってしまう、そういうふうに思うわけでございますけれども、その点の農水省の考えはいかがでございましょうか。
#96
○政府委員(鶴岡俊彦君) 私どもといたしましても、米につきましては従来から当院を初めとします決議もございまして、関税化は問題であるというようなことから、従来の基本的な考え方のもとに全力を挙げて交渉をしてまいりたいというふうに考えております。
#97
○一井淳治君 かつて牛肉そしてオレンジの自由化が行われましたけれども、これに対してはいろいろな対策がとられますが、例えば牛肉について見ましても酪農家は大変な打撃を受けまして、国内の酪農家の廃業が急速に進むというふうな状況になっていることは共通の認識でございます。そして、牛肉の自由化によって国内の消費者の利益があったかといえば、肉の値段はほとんど安くならなかったわけでございますから、消費者もいいことはなかった。結局、外国の輸出業者がもうかっただけであるというふうに思います。
 例外なき関税化によりまして実際に行われるところは、輸入国の方は国境措置がなくなってしまって丸裸になってしまう。そして輸出国の方は、補助金を八割も温存して、結局世界の食料市場をアメリカとECが独占してしまうと、そういうことになるんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、そういったふうな御認識は農水省もお持ちであろうというふうに思いますので、先ほどお話がありましたように、今後とも米を守るために国際交渉に熱を入れて努力していただきたいという要望をこの際申し上げておきたいというふうに思います。
 次に、十一月三十日の朝日新聞の朝刊を見ますと、政府が米の関税化を受け入れる方針を固めたという記事が載っております。これは誤報であるということは、きょうの先ほど来の答弁によりましてもはっきりしておるので、この報道は真実であるかどうかということはここでは聞きませんけれども、この新聞記事に対してどのような対応を農水省としておとりになったかということを質問いたしたいと思います。
#98
○政府委員(上野博史君) 朝日新聞に対しまして私の方から、政府がそういう決定をしたということは私どもはあずかり知らない、農林水産省の責任ある者の裏づけをとったのかということを私の方から迫ったわけでございますけれども、その点につきましては、向こうの方は明確な答えはございませんでした。
 私としては、そういう責任ある官庁の責任者の裏づけをしっかりとった上でやっていただかなければ世の中に大変な誤解を与えるということで厳重に抗議を申し入れるとともに、今後はしっかり裏づけのある報道をしていただくようにお願いをしたところでございます。
#99
○一井淳治君 朝日新聞がどのような社是として意見を持つかということは朝日新聞の問題でありますけれども、情報を誤って伝えるということは大問題であるというふうに思います。
 先ほど大臣も言われましたように、日本の国内のマスコミがこんな状態のもとで外交交渉を続けるということは非常に苦しいということを言われましたけれども、本当にマスコミ対策ということは大切であるというふうに思いますが、このマスコミ対策を一般論、抽象論として進めていただくということをまず要望したいというふうに思います。
 また、朝日新聞の今回の記事についても、一回申し入れをしたというんじゃいけないというふうに思いますね。私も、朝日新聞の誤報の問題についてはこれまで二回質問をいたしまして、馬場前官房長にお答えいただいたわけですけれども、馬場前官房長も申し入れをしたということでそれっきりになっておるようです。
 一回申し入れをしてそれで終わりというんではとてもとても効果はないようですから、官房長も優秀な方でございますから、いろいろ智恵を絞って、繰り返し繰り返し要望されるとか、あるいは関連しておかしな記事も出るわけですから、そのたびごとに上層部の人と会ってじっくりと相手が納得するまで懇談をされるとか、マスコミ対策をどうか十分にやっていただけるように要望いたしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#100
○政府委員(上野博史君) おっしゃられるとおり、私どもといたしまして、マスコミに十分な我々の意向、考え方を伝えるという、その必要性もあるというふうに考えております。そのような方向で日ごろ努力はいたしておるつもりでございます。
 先般、私がお話を申し上げましたときに、事実の報道という形で何か世論の誘導を図らんとするがごときことは、これは大変問題であるというこ
とを強く申し上げたわけでございますけれども、先方も、そういう私どもからの話がございますれば、その趣旨はそれぞれの担当の記者まで伝達はしているようでございますけれども、そこのところについての社としてのニュースの扱い方の方針というものでもあるのじゃなかろうかとまさに思うわけでございますが、一再ならずということでございまして、私も先般来既に二回朝日新聞には私どもの意向を伝えているところでございます。
 なかなかこれといって今おっしゃられるようなきちっとした対応がとりにくい、効果のある対応がとりにくいという感じも持つわけでございますけれども、さらに努力は続けてまいりたいというふうに考えております。
#101
○一井淳治君 新聞、テレビ、特に新聞の記事というのが非常に事実に相応していないことが多いということは、結果として非常に多く起こっているわけで、マスコミ交渉というものが非常に難しいということはよくわかるんですが、そこのところを、難しい難しいじゃ済まされませんので、どうか乗り越えて、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 それからもう一つ、次の問題ですけれども、閣内で、特に渡辺外務大臣あたりから米の関税化を受け入れた上での条件闘争論といいましょうか、いわゆる柔軟発言が飛び出してくるわけでございまして、これをまたマスコミがもてはやす、そして宮澤首相の国会での答弁についても、それを条件闘争のように持っていくようにマスコミがまた書くというふうなことが広まっておって非常に残念に思いますけれども、閣内で米問題、ウルグアイ・ラウンド交渉問題について意見を統一してしまうということが何といっても必要であるというふうに思いますけれども、どうか渡辺外相の柔軟発言が今後出ないように閣議等で適切な処置をお願いしたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
#102
○政府委員(上野博史君) 恐縮でございますが、私からお答えをさせていただきたいと思います。
 内閣の意向は私どもの省の考え方と全く一致をいたしておるというふうにまず理解をいたしております。そういう方向での意向の確認につきましても、先々週でございましたか、閣僚懇談会を開きまして確認をいたしたところでございます。
 外務大臣の御発言は、外務大臣の所管に関する事柄も踏まえた上でのお話だろうというところもあるわけでございまして、私どもといたしますれば、米の問題、農産物の貿易問題につきましては私どもの考え方を十分に踏まえておられるというふうに考えているところでございます。
#103
○一井淳治君 きょうの農林水産委員会でそういう強い要望があったということを、特に農水大臣がお帰りになりましたらお伝えいただきたいというふうに思います。
 それから、きょうの読売新聞を見ますと、きのうの参議院の外務委員会における渡辺外相の発言が載っておりまして、どうもいわゆる柔軟発言と受けとめられるような記事になっておりまして非常に残念でございますけれども、きょう現在内閣の方針というものは変わっていないわけですね。いかがでしょうか。
#104
○政府委員(眞鍋武紀君) この方針につきましては、先ほど官房長からお答え申し上げましたように、閣僚懇談会におきまして意思統一を図って、これまでの基本方針に基づいて交渉していこうということを確認し、そのようなことで現在交渉を行っておるところでございます。御指摘のように政府の方針は変わっておりません。
#105
○一井淳治君 ウルグアイ・ラウンド農業交渉について、私はこの農林水産委員会で、繰り返して大臣にぜひとも外国に行って陣頭に立って交渉してもらいたいという要望を重ねてきまして、きょうお立ちいただいて、非常にありがたく、有効な効果の上がる交渉ができることを心から期待しているわけでございますけれども、二国間交渉の問題、これについてどのように進めていくかということについてお尋ねしたいわけでございます。
 二国間交渉に踏み切るかどうかということが非常に重要な政治的な決断を要する課題であると思いますけれども、私は、こういうふうに押し詰まった時期であるから、ECとアメリカとの交渉待ちというふうな今までのような消極的姿勢ではなくて、積極的に出ていって交渉を重ねていく、そうしないと押し切られてしまうんじゃなかろうかというふうな心配を持つわけでございますけれども、二国間交渉についてのお考えをお聞きしたいと思います。
#106
○政府委員(眞鍋武紀君) ガットの交渉は多国間交渉ということになっておるわけでございます。ただ、多国間交渉ではございますが、この交渉の進め方につきましては、全体で集まった多国間の会合をやる、あるいは二国間でバイの会合をやる、あるいはプルリと申しまして複数国間で集まって会議をやるというふうに、いろいろな形式で進めてまいるわけでございます。最終的にはそれらが積み重なりまして多国間交渉として成立をしていく、こういうことでございます。
 そういうことで、各国ともいろいろな組み合わせの会合によりまして自国の利益が守られるようにぎりぎりの交渉をしていく、こういうことになっておるわけでございます。我が国といたしましてもいろいろな場を通じまして、我が国の主張が交渉結果に反映されますように頑張ってまいりたいと思っておるわけでございます。
#107
○一井淳治君 私は、先日参議院のお許しをいただきまして、国連の会議のために渡米いたしました。そのついでに、わずかな暇を見つけまして、ワシントンで次の農務長官の声のかかっております民主党の下院議員や農務省の局長さん、あるいは農民団体の方などに会ってまいりましたけれども、日本の米の問題についてはアメリカ国内では極めて理解が浅いという印象を強く受けました。
 水田について、日本の国土とか環境がどういう重要な意味を持っているのか、水田の重要性という問題について説明いたしますと、向こうの連中は、それなら水田をつぶしてゴルフ場にすればいいじゃないかというふうなことを言うような始末でございまして、私どもは思っていた以上に日本の米の重要性について、日本の主張自体もアメリカでは浸透していないということを痛切に感じたような次第でございました。
 したがって、今までの消極的な交渉ではなくて、特に大臣は任期間近ということでございますけれども、次の農林水産大臣になられるんじゃないかということも新聞に出ておるようなこともありますが、何回でも足を運んで、とにかく包括関税化の例外を何としてでも設けていくんだという気概を持って努力をする、そういったことのためには、二国間交渉も恐れずに、真っ正面からこの際当たっていくという強い気概が必要ではなかろうかという意見を持っているわけでございますけれども、意見を一応申し上げて、御参考にしていただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、包括関税化について多くの国が反対をしておるようでございますし、またウルグアイ・ラウンド農業交渉につきましてはフランスのソワッソン農相が強い反対意見を言う、そしてフランス議会もECに対しては拒否権を発動するということを議決したようでございます。そういったことに対してフランスやあるいはオランダ、ドイツ、イギリスの農業団体、ECの農業団体連合会なども強い反対をして、フランスの農林水産省の考え方、動きを応援するという態度が顕著にあらわれているように思います。他方、韓国は米の問題で日本と同じ態度をとっておられるようでございますし、カナダは牛乳や鶏肉、鶏卵について輸入を制限しようという強い意向を持っておるようでございます。
 こういった包括関税化あるいはウルグアイ・ラウンド交渉に対して反対する国々と共同しながら目的達成に努めなくちゃならないというふうに思いますけれども、そういった外国の方との十分な連携がとられておるのかどうか、あるいは外国のこういった運動、あるいは外国の意見というものがウルグアイ・ラウンドの場でどういう影響力を今後持っていくのかという辺についてお考えをお
聞きしたいと思います。
   〔委員長退席、理事永田良雄君着席〕
#108
○政府委員(眞鍋武紀君) ウルグアイ・ラウンド交渉につきましては、特に農業分野におきましては各国ともいろいろと難しい問題を抱えておることは御指摘のとおりでございます。
 そういうことで、特に我々が問題にしております包括的関税化に反対をしている国、カナダとか韓国、スイス等がございますが、これらの国といろいろな機会に集まりまして、あるいはまた個別に相談をする、あるいは意見交換をするというふうなことをやりながら、我々の主張が交渉結果に反映されますようにこれまでも努めてきておるわけでございますが、これからますますそういうことが大事になってまいりますので、これらの国ともよく連携を密にしながら交渉を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
#109
○一井淳治君 十一月二十日にアメリカとECとの交渉が成立をしたということで、アメリカとEC双方から合意内容について発表がございました。これについて農水省の方からいただいた資料によりますと、国内支持、輸出補助金、そして市場アクセス、この三分野について合意ができたという発表であったということであったのでございますけれども、実際に詳しい内容を見ますと、国内支持や輸出補助金の問題については詳細が出ているんですけれども、市場アクセスの分野については詳細がないわけでございまして、ひょっとすればミニマムアクセス等について何か裏取引でもあったんじゃなかろうかというふうな感じもいたします。
 それから、新聞記事などを見ますと、農産加工品を輸出補助対象から外すという密約があったんじゃないかとか、国内保護の大幅緩和が約束されておるんじゃなかろうかというふうなことも出てまいります。あるいは新聞記事によりますと、これから詰めていく課題もあるんだということも言われておるわけでございますけれども、ECとアメリカとの合意の詳細、その辺はどのようになっておるんでしょうか。
#110
○政府委員(眞鍋武紀君) 米国とEC間の合意につきましては、米、EC双方より現在までのところ十分な説明を受けていないわけでございます。その詳細はまだわからないわけでございますが、十一月二十日に行われました共同記者会見の際に記者からの質疑応答という格好で明らかになったことから推定をいたしますと、合意の概要というのはおおよそ次のようなものではないかと推定をしておるわけでございます。
 一つは、油糧種子につきまして生産量の制限は設けないで、ECの油糧種子の作付面積ベースを五百十二万八千ヘクタールといたしまして一定の削減を行うこととする。それによりまして米国はその制裁を解除するというものが一点でございます。
 二点目は、国内支持につきまして、ECの共通農業政策改革に伴います直接所得補償支払いというものは削減の対象外とするというのが二点目でございます。
 三点目は、輸出補助金の数量ベースでの削減は六年間で品目別に一律二一%とするということでございます。
 それからさらに、リバランシングにつきましては、ECへの輸入が共通農業政策に悪影響を及ぼす状態になった場合には再協議をすると、こういう中身になっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、両者の合意内容につきまして双方から十分な説明を現在求めているところでございます。その詳細を把握した上で対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#111
○一井淳治君 新聞記事によりましても、例えばミニマムアクセスの三%、五%枠は輸入義務ではなく、その程度の輸入が理論上可能ということで押さえていくんだというふうなことが、これは毎日新聞十一月二十八日のところに載っておりますけれども、いろいろなことが言われております。このEC・アメリカの合意内容をまずはっきりさせるということは外交交渉の手段としてもじっくりやっていかなきゃならぬというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#112
○政府委員(眞鍋武紀君) 先ほど来申し上げておりますように、現在ジュネーブにおきましてこの合意の内容を明らかにするようにというふうなことで両者に対しまして要求をしておるわけでございます。具体的に文書で内容を明らかにせよという要求を行っておりまして、我々としてはできるだけ早くそれが提示されることを期待しておるところでございます。
#113
○一井淳治君 それから、先ほど大臣の御説明によりますと、輸出補助金の数量ベースの削減がある、これはいわゆるドンケル合意案の修正なんだという御説明がございました。それ以外に国内支持の問題、ECの共通農業政策による直接所得補償とバランスをとるという問題がありますけれども、私はこれもダンケル合意案の修正ではなかろうかというふうに思います。ほかにもいろいろと今お話がありましたように、詳細を明らかにしていけば修正が出てくるんじゃなかろうかというふうに思いますが、その点どうでしょうか。
#114
○政府委員(眞鍋武紀君) 米・EC間の合意につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、今推定をしておるということで申し上げましたが、御指摘の輸出補助金の数量ベースの削減を六年間で品目別に一律二一%とする点は、ダンケル・テキストが二四%というふうなことになっておりますので、明らかに数字は修正をしなければならないというふうに思っております。
 それから、二点目の国内支持につきましては、共通農業政策の改革に伴います直接所得補償支払いを削減の対象外とする、こういう点につきましてもダンケル・テキストでは削減対象というふうになっておりますので、この点についても修正が必要なのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、少なくともこの二点については現在までのところダンケル合意案の修正につながる問題を含んでおる、こういうふうに我々思っておるわけでございます。
 今後とも、その中身の詳細を把握いたしまして適切に対応してまいりたいと思っております。
#115
○一井淳治君 アメリカ、EC側の言い分というのは、これは修正と見るべきでないという考えのようでございますが、しかし私どもは修正と考える。そして、包括関税化の例外を設けるというのも全く同じように修正である、同列の修正であるというふうに考えるわけでございますけれども、しかしアメリカ、EC側はそうは考えないわけです。
 そこで、同じ修正だという立場でアメリカ、EC側の考えを押し切っていかなくちゃならないわけでございますけれども、その点についての農水省のお考えはいかがでございましょうか。
#116
○政府委員(眞鍋武紀君) 今申し上げましたように、このアメリカとECの合意につきましてはダンケル合意案の修正を含んでおると我々思っておるわけでございます。そういうことで、我々といたしましても、包括的関税化について修正すべきであるという韓国等、我々と同じ考え方を持つ国ともよく連絡を密にしながら、我が国の主張が受け入れられるように交渉をしてまいりたいと思っております。
#117
○一井淳治君 そこの理屈の立て方がなかなかうまい理屈を立てて、そしてアメリカやECを納得させるように努力していただきたいというふうに思います。
 それから、十一月二十日のアメリカ・ECの交渉の成立の後、十一月の二十六日に貿易交渉委員会が開催されておるわけでございますけれども、私の方で調べたところでは、十一月二十六日に遠藤大使が貿易交渉委員会に出席されてお話をしてくださっておる。十二月一日に第一トラックの非公式会合があって朝海公使が出席してくださっておる。そして十二月四日に農業の非公式会合があって塩飽審議官が出席してくださっている。この三回の外交交渉がウルグアイ・ラウンド農業交
渉に関しては行われているというふうに思うわけですが、この三回でしょうか、ほかにもありますか。それから、そこの場できちんと私どもの基本的な要求は述べてあるのかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
#118
○政府委員(眞鍋武紀君) 米・ECの合意がございました後、このウルグアイ・ラウンド交渉が再活性化されたということで、御指摘のTNCの会合で、今年末の政治的決着を目指して交渉を進めていこうというふうなことで決まったわけでございます。
 そういう枠組みの中で、第一トラック、第二トラックというふうに幾つかのグループがございますが、その具体的な交渉日程につきましてはそれぞ札の議長さんが決めていく、こういうことになっておるわけでございます。
 そういうことで、現在ジュネーブでは公式非公式あるいはバイプルリ、いろいろな形で交渉が行われておるわけでございまして、御指摘のように、主要なものは今申されたようなものだと思いますが、そういう会議におきましても、我々は従来からの基本方針にのっとりまして、包括的関税化は問題である、例外を設けるべきであるという主張をきちんと行っておるわけでございます。
#119
○一井淳治君 ところで、十一月三十日付の農林水産省のおつくりいただいた報告書、これは十一月二十六日に行われた貿易交渉委員会の内容についての報告書でございます。これは私が直接もらったものじゃないですから遠慮なく使わせていただきますけれども、そこで我が国の遠藤大使の発言が要約してあるんですけれども、要するにきれいごとの外交辞令ばかり並んでいるんです。読んでみますと、基本的な問題については「我が国が抱える困難な問題について、今後の交渉プロセスを通じて適切な解決がなされなければならない。」というふうなことが書いてあるんですけれども、大体そういうふうなえんきょくな外交辞令で言われたんじゃなかろうかというふうに思います。
 私の考えでは、そんな外交辞令でうまいこと言っておるんではこの急場は乗り切れないんじゃないか。やはり日本の要求保を入れないとウルグアイ・ラウンドがもうまとまらない、ひっくり返ってしまうというふうな、そういったことが伝わるような、そういう何といいますか、場合によっては大きな声を出すとか、まあ机をたたいては失礼かもしれませんが、机をたたくようなモーションをするとか、それくらいやってもらわないといけないんじゃないか。塩飽審議官は立派にやってくださっていると思いますけれども、その報告書はまだいただいていませんけれども、何といいますか、外交交渉が本当に一体何をしておるんだろうかと、報告書を見るとそういうふうな感想を抱くわけでございます。その点いかがでございましょうか。
#120
○政府委員(眞鍋武紀君) ジュネーブにおきましては大変真剣な交渉が現在行われておるわけでございます。その中で、先ほど来申し上げておりますように、公式非公式にそれぞれの会合が行われております。交渉でございますので、その場の雰囲気といいますか、その場その場でいろいろな状況があろうかと思いますが、それぞれの場におきまして適切な表現のもとに強い態度で我々は交渉を行っておるわけでございます。この点につきまして御理解をいただきたいと思います。
#121
○一井淳治君 強い態度で何としてでも目的を達成する、日本は目的を達成しないとどうにもならぬということをわからせるように発言をお願いしたいというふうに思います。
 それから、アメリカ議会のファストトラックの関係についてお尋ねいたしますけれども、農水省の今までの御説明をいただきますと、三月一日までに関係法案を出さなくちゃいけない、だから三月一日より相当手前の段階でウルグアイ・ラウンド農業交渉がまとまらなくちゃいけないんだということを聞かされておりました。しかし、私は先日渡米いたしまして先方の関係者に聞きますと、基本原則といいますか、基本的なところが三月一日までに議会に報告されたらいいんだということを言う方が政府の部内におられました。
 ただ、下院議員の方は詳細も必要であるというふうに言われましたけれども、NAFTAというんですか、メキシコが加盟いたしましたその前例なんかを見ますと、議会への報告は本当に基本的な点だけの報告で終わったようでございます。それなどを見ますと、三月一日までのファストトラックの期限というこの問題について甘い判断をしておったらいけぬのじゃないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
#122
○政府委員(眞鍋武紀君) 米国のファストトラック、あるいは議会の審議の方式なりについては、私は必ずしも十分承知しておりませんので、的確なお答えができないかと思いますが、いずれにいたしましても、ウルグアイ・ラウンド交渉というのは十五分野というふうなことで大変幅広い分野におきましていろいろな交渉が行われておるということでございます。したがいまして、基本的な事項をまとめてからでもいろいろな作業に相当の時間を要する、こういう問題もございます。
 それから、米国におきましては政権が一月二十日に交代をする、こういうふうな事情もございましていろいろと不透明な面はございますが、現在のところ得ている情報では現政権においてウルグアイ・ラウンドを大筋まとめたい、こういうふうなことで今年末を目指してアメリカとしても交渉に臨んでおるというふうに聞いておるわけでございます。
 そういうふうなことでございますので、なお不透明な面もございますが、いろいろと的確な情報を把握しながら、適切に対処してまいりたいと思っております。
#123
○一井淳治君 今後の交渉でございますけれども、よく新聞にも書かれているところでございますが、政治的な取り決めといいますか、政治的な枠組みをまずつくられてしまって、日本が動きがとれないようにしてしまう、これを私どもは一番恐れるわけでございますけれども、そういったことがないように、他の日本と同調できる国とも協力しながらぜひとも外交交渉において成功されるように力を入れていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから、ウルグアイ・ラウンド交渉に関して農水省の方がたびたび海外に出張されておるわけでございますけれども、出張のたびに自腹を切ってえらい大変だというふうなことがないように、またおつきの人をつけるとか、本当に十分な思い切った外交交渉に専念できるように予算的な裏づけも十分にしていただきたいというふうに要望しておきます。
 もう一つ、ウルグアイ・ラウンド農業交渉というものは、日本にとりましては本当に大切な問題でございますから、政府だけでなくて国会議員も、あるいは野党も一緒になって総力を挙げてかかっていかなくちゃならない問題であるというふうに思いますので、どうか私ども野党の国会議員がこうした方がいいんじゃないかということがあった場合は、全力を挙げて応援させていただきたいというふうに思いますので、そういった御意見もあればその段階でお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 最後に、この国会は佐川国会でございますので、佐川問題に関連してちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。
 今回、佐川の設けたターミナルあるいは営業所の関係の用地取得を調べてみますと、農地を転用している。非常に疑問の多い点が少なくありませんでしたけれども、その一つで埼玉県の三郷市の農業委員さんが佐川の一〇〇%出資の子会社のターミナル用地を取得するために、地権者の農家に働きかけて用地買収の取りまとめを行った。そして農業委員としての職分もなさったようでございますけれども、それで三千万受け取ったという事案が新聞記事に載っているわけでございます。
 農業委員というものは職務上地権者との交渉とか、あるいは農業委員会にかけるとか、農業関係の仕事を手広くやるわけでございまして、こういったことについて報酬をもらう。この件は報酬であるという理由で収賄罪にはならなかったようでございますけれども、しかし、これまでの判例からすれば報酬であっても収賄罪に該当するという判例もあるわけですから、簡単に見過ごしたらいけないと思いますけれども、特に農地転用が使途を駐車場ということで農地転用しておきながら、後にターミナルとして使うというふうな非常な不自然があったわけでございますし、また宅地建物取引業法違反の関係も問題になるような案件であったというふうに思います。
 私はここでその案件を一々聞くんではなくて、今後の農水省のお考えをお聞きしたいわけでございますけれども、私自身本職の弁護士といたしまして、農業委員会の方が贈収賄に関係したということを何件も経験いたしております。そして、農水省が最近お調べいただいても毎年数件の農業委員の収賄ということが起こっているようなわけでございますけれども、今後農水省は大規模化、農地の流動化を進めていくというお考えのようでございますけれども、農業委員の信用ということが非常に大事であるというふうに思います。そこで、今後農業委員の信頼を高めるために農水省として農業委員の綱紀について指導してほしいというふうに思うわけでございますが、三十秒ぐらいで簡単にお答えいただきたいと思います。
   〔理事永田良雄君退席、委員長着席〕
#124
○政府委員(眞鍋武紀君) 農業委員会は農地法に基づきます大変重要な仕事をやっておるわけでございます。農業委員は、非常勤とはいいましても特別職の地方公務員でございまして、職務に関し金品を受け取った場合には収賄罪が成立する場合もあるところでございます。このような罪に当たらない場合であっても、国民の誤解を招くようなおそれのある行為は慎まなきゃいかぬというふうに思っておるわけでございます。
 農業委員会は、御案内のとおり独立した行政委員会であるというふうなことでございますので、なかなか難しい面はございますが、基本的には個々の農業委員の自覚によらざるを得ないところがあるわけでございます。いずれにいたしましても、そのような誤解を受けることのないように、研修等を通じまして農業委員の自覚を促してまいりたいと思っております。
#125
○委員長(吉川芳男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十分開会
#126
○委員長(吉川芳男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#127
○菅野久光君 しばらく国会が開かれていなかったものですから、きょうは一般調査ということで聞かさせていただきました。
 まず、農林水産省でありますので、今度は逆に水産の方から先に質問をしたいというふうに思います。
 我が国の二百海里内のサケ・マス漁業のあり方について初めにお聞きしたいと思います。
 日本、ロシア、アメリカ、カナダ、この四カ国条約に基づいて本年からサケ・マス漁業の公海操業が禁止されて、我が国及びロシア二百海里内を対象に操業が行われました。しかるに、本年五月に、アメリカのコーストガードの指摘によって、太平洋小型サケ・マス漁船、十九トン型船でありますが、これによる集団的な公海での越境操業が発覚いたしました。加えて、地元新聞を中心に、クオータオーバーの疑惑が報道されて、漁獲管理についても問題が指摘されております。国際信義上、サケ・マス漁業の秩序面からそのあり方が厳しく問われていると言っても過言ではありません。事件そのものについては、これから公判に入るので、質問は差し控えさせていただきますが、今回の事件並びに今後の対応についての水産庁の所見をただしたいと思います。
 まず、今回の事件について、水産庁としてはどのように受けとめ、今後どのように対応する考えか、お伺いいたします。
#128
○政府委員(川合淳二君) お話しの北洋サケ・マス漁業につきましては、従来から操業秩序の維持に努めてきたところでございます。特に、今お話がございましたように、本年は公海の沖取りの禁止となった初年度でもありますので、関係業界には事前に指導の徹底を図ってきたところでございます。
 しかしながら、非常に残念なことに、本年五月下旬に米国から二十二隻の我が国の漁船が公海での操業の疑いがあるという通報を受けまして、その後、写真の提供などもございました。海上保安庁が中心になりまして捜査を続けてまいりましたけれども、九月二十七日と二十九日に太平洋の小型サケ・マス漁船六隻の操業責任者六名が逮捕されたということを初めといたしまして、現在までに二十四隻の操業責任者が区域外操業などの容疑で送致されております。なお、このほかに、道庁において二隻行政処分を行っております。
 今お話しのように、これから公判ということでございますので、これを注意深く見守っていかなければいけないわけでございますが、私ども水産行政を預かるものといたしまして今回の事件は極めて遺憾な事態というふうに考えておりまして、明年以降こういう事態を招くことがないよう、道庁とも十分協議の上で、違反の再発防止あるいは漁獲量の適正管理などの操業の秩序のために必要な措置を実施してまいりたいと思っております。
#129
○菅野久光君 このような事態が生じたことはまことに残念でありますが、太平洋小型サケ・マス漁業は、関係漁民はもとより、北海道の地域経済にとって極めて重要な産業であるわけです。ぜひともその存続を図る必要があるというふうに私は考えておりますが、業界としてはみずから襟を正し、今後の二百海里内のサケ・マス漁業の存続のため、明年以降十九トン型船の我が国二百海里内でのサケ・マス漁業からの撤退もやむなしというような方向も決めるというようなことで検討を進めているというふうに聞いております。
 水産庁としては、本漁業の存続のために、減船の実施だとかロシア二百海里内操業の可能性などを含めて、今後の太平洋小型サケ・マス漁業のあり方についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
#130
○政府委員(川合淳二君) お話がございましたように、太平洋小型サケ・マス漁業は、関係漁業者だけではなくて、北海道の道東を中心とした地域社会においても重要な産業であるというふうに私ども従来から理解しているところでございます。この漁業の明年以降の操業の存続を図るためには、今回の事件を踏まえまして、このような事件が起こらないように、このような事態を招くことがないように、操業秩序の維持ということが、まずこの確立が非常に必要であると考えておりまして、そのための必要な措置をまず実施することが不可欠と考えております。この点については道庁ともよく相談をしていかなければいけないと思っております。
 また、漁業そのもののあり方につきましても、今御指摘がございましたように、業界あるいは道庁において検討が進められていると承知しておりますけれども、水産庁といたしましても、やはり基本的に見直す必要があると考えておりまして、現在の隻数あるいは船型、こうしたものが適当かどうか、これはなかなか難しい点を含んでおりますけれども、操業水域の拡大の可能性などにつきまして、早急に道庁とも協議の上で検討を進めていかなければならないというふうに考えております。
#131
○菅野久光君 先ほども言いましたように、何とか存続できるような方策を考えてもらいたいというふうに強くこの点については要請をしておきます。
 北洋サケ・マス漁業は、毎回国主義によって、小
型サケ・マスに限らず、漁獲量、協力金額は日ロ間の合意に基づく操業となっているわけですね。したがって、明年の日ロサケ・マス交渉に当たっては、本漁業存続の観点から、応分の負担はしながらも、経営の維持が可能な漁獲量の確保のために強力な漁業外交を行うべきと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#132
○政府委員(川合淳二君) 今回の事件が起きましたことによりまして、明年の日ロのサケ・マス交渉などに影響が出てくるんではないかということを懸念しているわけでございます。なかなか困難な交渉が避けがたいんではないかと思っているわけでございます。しかしながら、こうしたルールに従った適正な操業を確保するということを前提といたしまして、違反の事実につきましては厳正な処分をとり、また、このような事件を繰り返すことのないように必要な措置を講じまして、ロシア側の理解を求めていきたいと思っております。
 また、毎回国主義が定着いたしまして、四カ国条約にも署名しているという状況の中で、ロシア系のサケ・マスを我が国漁船が漁獲するということにつきましてはいろいろと難しい点があるわけでございますけれども、今お話しのような小型サケ・マス漁船の存続につきまして、どのような形で存続が可能となるかというようなことにつきまして、明年二月あるいは三月に開催を予定しておりますこの交渉におきまして私どもも全力を挙げて対応してまいりたいと思っております。
#133
○菅野久光君 次に、日韓漁業に係る資源管理水域の問題について質問をいたします。
 韓国漁船による本土周辺での漁具被害、資源乱獲を防ぐためには、対韓二百海里法の設定以外にないと、私はこの問題にかかわるたびにそのことを主張してまいりましたが、いまだ実現していないことは非常に残念でございます。この問題については一方的な被害者が本土の漁民、北海道の漁民ということで、本当に極めて遺憾であります。
 現在、当面の対策として、これ以上の漁具被害と漁場荒廃を食いとめるためには、我が国周辺水域に資源の保護、管理の実効が上がるような新たな枠組み、資源管理水域を設定する必要があると私は考えております。ついては、この考え方について民間・政府間の協議事項として早急にその実現を図るべきと考えております。全漁連などもこのことを強く要望しているわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#134
○政府委員(川合淳二君) 先生御承知のように、昨年から一年にわたりまして協議を続けてまいりましたが、本年の三月に自主規制の改定ということを行いまして、本年から三カ年、新しい取り決めのもとで両方の漁業関係が進められることになっております。
 今御指摘がございましたように、資源環境、資源状況の悪化などを背景にいたしまして枠組みの見直しを要請されていることは、私どもも十分承知してこの交渉にも臨んだわけでございますが、現実的な対応として今申しましたような形をとらざるを得なかったわけでございます。
 ただ、その交渉の中から、今後両国監視水域での水産資源の維持、管理、増大の問題について、実務者で協議の場を設けまして協議をしていくということを取り決めております。実は、本日からこの実務者協議の第二回目が開かれておりまして、最近の違反状況などを踏まえまして、私どもの方から強くその是正方を求めるとともに、今お話がございました共同の管理水域というような考え方、これにつきましては、今お話がございましたように、民間団体同士でつい最近もその話し合いが持たれておりますけれども、私どももそうした考え方が業界にあることを十分踏まえまして、この実務者協議に臨んでまいりたいと思っております。
 この実務者協議は、年二回やることになっておりますが、そのほかにもこういう場を設けましてこの問題の糸口を見出していきたいと思っております。
#135
○菅野久光君 ぜひひとつ、資源管理水域を設定できるように努力をしてもらいたいというふうに強く要望をしておきます。
 次に、資源管理型漁業推進のための沖合底びき網漁業のあり方についてでありますが、去る八月、指定漁業の一斉行使によって沖合底びき網漁業の駆け回しとオッタートロールの分離が図られましたが、これに伴って漁法的に資源管理になじまない沖合底びき網漁業について全国的にも種々対応が図られていると聞いております。
 またその一環として、沖合底びき網漁業モデル化事業が実施されておりますが、これに対して北海道では沿岸漁業者を中心として強い反対があるというふうに聞いております。法定されたオッタートロールラインの内側で沖合底びきを操業させるという本事業の目的は何なんでしょうか。
#136
○政府委員(川合淳二君) 今お話がございましたように、沿岸漁業と沖合底びき漁業との間の調整問題というのは、各地域でなかなか難しい問題でございます。
 底魚資源の適正利用あるいは沿岸漁業等との紛争の防止ということが非常に大事でございますので、私どもそうした状況に対応するために、海域ごとの最適な操業パターンモデルというものを策定いたしまして、それを全国に普及していきたいということを目的といたしまして、沖合底びき漁業の適正な操業体制を検討するということを目的にこの事業を本年開始しているところでございます。本年は全国三カ所でこれをやろうというふうに考えているところでございます。
#137
○菅野久光君 これは資源の維持培養だとかあるいは管理を図る上で、単に底びき網漁法の一部改善手直しだけでは、これは済まないというふうに思うんです。
 基本的に、モデル化事業実施結果に基づいて、漁獲努力量の削減を基本とした操業隻数の見直したとか禁止ラインの見直しなどに取り組む考えはないのか。このことについては、やっぱり沿岸漁業者の人たちは強くこういったようなことを考えておるということでございますので、この点についてはいかがでしょうか。
#138
○政府委員(川合淳二君) 三カ所で実施しているわけでございますが、北海道周辺水域におきましても三年間計画でやっております。
 私ども、今お話がございましたように、オッタートロールの操業区域あるいは操業隻数あるいは漁獲努力量に関係します船型などを、この調査を行うことによりまして検討のための資料を把握していきたいと思っておりますので、そうしたことを目的としてこの事業に取り組んでいるところでございます。
#139
○菅野久光君 いずれにしても、沿岸の漁民の方々にも十分理解が得られるような努力をして、この事業の結果が生かされるような、そういうことでひとつやっていただきたいというふうに要望しておきます。
 それから、これは質問じゃなくて、いろいろ今やっておられると思いますので、私の強い要望にしておきますが、漁協の合併助成法の期限切れが来年の三月末ということになっておるわけです。これは漁協経営基盤強化のためにこの合併助成法でやっているんですが、なかなかこの事業が遅々として進まないという状況だというふうに思うんですね。
 漁協系統の組織においても、厳しい漁業情勢に対する危機感から合併組合に対する租税措置などから合併助成法の存続を強く要望しているというような状況でありますので、この点についてはこの要望に沿うようなことで対応してもらいたいということを要望して、水産庁の関係については終わります。
 次は、林野庁の関係でございますが、森林の施業方針の関係で一ヘクタール当たり八立方ということが、人工林の施業と天然林施業ですか、そことの境目みたいなことでやられておるわけですね。昭和四十八年には、これがヘクタール当たり五立方であったわけですが、昭和六十三年の二月に経営基本計画が改定されて、この中でおおむねヘクタール当たり八立方として天然林施業、既往の人工林にあっても複層林施業とする森林の整備
方針の転換が行われたわけですが、この五立方からおおむね八立方とした根拠は一体何なんでしょうか。
#140
○政府委員(馬場久萬男君) 先生がおっしゃる国有林のいわゆる拡大造林の基準として、伐期の平均成長量がヘクタール当たり年八立方メートル以上のものというのが現在の国有林野事業におきます判断基準になっておるというお話でございますが、これは、実は国有林野事業はこれまで非常に拡大造林に積極的に努力してきておりまして、おっしゃる昭和四十八年ごろにおいてはかなりその目標が達成されつつあるということで、これからの拡大造林をする地域を確定するのに一つの判断基準として五立方メートルという判断があったことはそのとおりでございます。
 ただ、それからその後においてさらに人工林が進みまして、今おっしゃいました六十二年当時になりますと、国有林野におきます人工林面積がほぼ全体としては目標面積に近くなってきているということでありますと同時に、一方では広葉樹に対する国民の希望あるいは森林全体の他の多面的機能を生かすということもありまして、拡大造林というのは、技術合理性等から判断して人工林の造成がかなり確実であり、かつ森林生産力の確保が期待されるものにしようということになったわけであります。
 したがって、それは時代背景としては、今申し上げたように人工林がだんだん目標に近くなってきたという我々の努力の結果であるわけですが、そういう意味で、最近におきましては、森林生産力の確保が十分期待される株分のめどの一つとしておおむね八立方以上ということにしようということになっているわけでございます。
#141
○菅野久光君 施業基準がおおむね八立方以上ということで、これは樹種だとか地域に関係なく全国一律に適用させているわけですね。木材の持つ性質だとか強度は、樹種、すなわち地域ごとに異なっておって、成長量が大であればよいかという点、これは考えてみる必要があるんじゃないか。年輪幅が強度に大きく影響するものあるいはしないもの、成長量は少ないけれども硬質材が収穫されるもの、パルプ材等木材の形質より成長量を重視するものなど、地域の樹種や用途、需要傾向等によって樹種選定や仕立て方法が異なるのがやっぱり造林だというふうに思うんです。
 全国北は北海道から南は沖縄まで、まあ沖縄があるかどうかは別にいたしましても、全国一律にヘクタール当たり八立方以上ということになりますと、林野庁の計算ではどうなんでしょうか、鹿児島とそれから北海道、これは大体ヘクタール当たりどのくらいの成長量があるんでしょうか。
#142
○政府委員(馬場久萬男君) 先生のおっしゃるように、樹種により成長量が違うということはあろうかと思います。ただいま鹿児島と北海道の比較をにわかにお尋ねになりましたが、たまたま手元に数字がございませんので申し上げるわけにまいりませんが、それは確かに樹種によって、また仕立て方によって成長の違いがあろうと思います。先ほど申しましたように、我々の認識としては人工林というのは大体もう目標まで来ている、したがって拡大造林、つまり広葉樹等を切りましてそこに新しい木を一斉に植えていくというようなことについてはかなり絞っていいんではないかというふうに考えているわけであります。
 国有林施業の管理のあり方としては、先生も御案内のとおり、それぞれの国有林野の発揮すべき機能というものに着目しなければいけません。これは既に我々としても国有林の機能を四つの分類にしまして、国土保全林、自然維持林、森林空間利用材、そして木材生産林というふうに分けているわけです。それで、今の御指摘は、木材生産林という性格づけをされたものの中でいわゆる一斉造林をするのにどういう地域を選ぶかという問題でございます。
 これは今一つの考え方として、年間の成長量が八立方以上という株分であるということをおおむね置いていますが、さらにそのほかに、公益的機能の発揮に配慮しなくちゃいかぬとか、投資の効率性を確保することももちろんであるとか、あるいは天然自然の力によって天然林施業をすることができるかどうかとか、いろんな要件があって拡大造林をする地域を選んでいるわけでありまして、樹種による違いとか地域による違いということよりも、そういう全体の中で拡大造林をする必要があるかないかということを判断してまいりたいと思っているわけでありまして、この八立方は一つの目安ではありますけれども、これ一つで地域を選んでいるわけではございません。
#143
○菅野久光君 私もあちこち現地調査に行っておりますが、全国一律に八立方以上ということになった、そういうことで指導しているわけですね。そうなると、北海道などはもうほとんど造林の必要はないというふうに林野庁はお考えなんですか。
#144
○政府委員(馬場久萬男君) 先生方が熱心に現地調査をされていることも聞いております。
 北海道におきまして拡大造林をする必要があるかどうかということになりますれば、今言いましたような基準に照らしてできるところ、できないところもあろうかと思いますが、そのほかに、例えば北海道の広葉樹に対する需要が強いわけでありますから、いわゆる育成天然林施業であるとかいろいろな形での造林、育林というものはあろうかと思います。あくまでも今の八立方というのは拡大造林をしていく上の基準でございまして、いわば皆伐をしてその地域に新しい樹種を全部植えていくというような場所を選ぶには、それなりの生産力のあるところ、投資効果のあるところというのを選んでいかなくちゃならない、そういうふうに考えております。
#145
○菅野久光君 天然林施業を始めてからことしで何年ぐらいになりますか。
#146
○政府委員(馬場久萬男君) 天然林施業という手法は古くからあるわけでございますが、林野庁の国有林野事業の中で積極的に取り入れるということを言い始めましたのは、先ほど先生もおっしゃいました昭和四十八年の方向転換したときからでございます。
#147
○菅野久光君 約二十年近くたっているわけですね。この間に天然林施業での除伐だとか間伐等の人工的作業を行うということになっておりますが、実際に行われておりますかどうか、お伺いいたします。
#148
○政府委員(馬場久萬男君) 手元にどのくらいの割合というところの数値は持っておりませんけれども、我々の施業の内容としまして必要なところは除・間伐を行うということになっておりまして、現地においても当然対応していると考えております。
#149
○菅野久光君 そういうことにはなっているんです。なっているんだけれども、実際に行われているかどうかということを聞いているんですよ。
#150
○政府委員(馬場久萬男君) 私どもは現地で一つ一つ、ここは行われている、ここは行われていないということを見ているわけじゃございませんが、先生も御案内のとおり、我が方としては施業の方針を出し、営林局、営林署で毎年計画を立ててやっているわけでございますので、当然行われていると思っております。
#151
○菅野久光君 当然行われていると思うって、そんなこと。長官、私は現地へ行っていろいろ聞いているんですよ。だから、こうなっているからなっているだろうというのは、これはだめですよ、そんなことで言われたって。ほとんどこれはもうなされていないと言っても私はいいと思うんですよ。いや、調べてみてください。私が間違っていたらまたこの場で私が謝罪をいたしますが、私の調査ではもうほとんどなされていない。そして、更新の補助事業の地がきたとか刈り払い、除草剤の散布などを行っても、稚樹の発生というのは五割程度ぐらいしか出てこないというような状況ですね。一番先に生えてくるのはカンパだ、あれは一番丈夫なものですから。しかし、それをきちっと大きくするまでには、相当な年数がかかるわけなんですよ。そういう意味での造林というのはやっぱりある程度必要ではないかというふうに私は思う
んですが、このことばかりやっているわけにもいきませんが、おおむねですからおおむねなんですね。
 ところが、林野庁の指導はおおむねじゃなくて八立米以下のところはだめ、八立米以上でなかったら拡大造林はやらないんだ、そういうような指導であるように私は聞いておりますが、そこのところはどうでしょうか。
#152
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるように、我々の施業方法のところで記述しておりますのは、伐期平均成長量がおおむね大立米以上のものについて拡大造林、それから再造林についてはおおむね五立米以上ということで示しているわけでありますが、これは何も数字だけということでございませんで、拡大造林を行う上で八立米以上あって、かつその上に先ほど申しましたようにいろいろな要件があるということもあります。
 じゃ、この八立米以上の林部というのはどういうものだということになりますと、森林の機能別調査におきまして地位級八以上ということになっております。さらに、その上に地利ですね、林道からの距離等の。その地利条件のいい悪いについて、それが一等以上というような要件がかかってくるということで、八以上あれば必ずいいということでもないという意味でのおおむねだというふうに理解しております。
#153
○菅野久光君 いや、だから、おおむねということで、森林の機能別にこれからやっていくだとかいろんなことがありますよね。ところが、私のところへきのう説明に来た人の話によれば、八立米以下のところはやらないんですと、こう言っているわけ。だから、このおおむねという言葉を外すということを考えているのかどうか。
 今長官がお話しのように、そこの森林の状況だとか地域の状況だとか、いろんなことをあわせておおむね八立米という一つの基準を設けながら、幅を持った考え方で出づくりをしていきますということだと思うんですが、その辺きちっと八立米、どうやってはかるのか私はわかりませんけれども、もうその八立米というのは決まっていることですからそれ以下のところはやりませんと、こうなっていくともう北海道は全然これはだめですね、全然やらないということになってしまうんだが、その辺はどうなんですか。
#154
○政府委員(馬場久萬男君) 先ほど申しましたように、おおむねというのは、八という数字のおおむねというよりは、八立米以上のところでもまたいろんな要件があるという意味で私どもおおむねと言っているんじゃないかと思っております。
 それは、先生がおっしゃるように、八という数字に絶対こだわって、何が何でも八以下は絶対だめで、またそれ以上は全部いいんだということではない。しかし、先ほども言いましたように、基本的認識はあくまでも、人工林の造成というのはもうかなり目標に近くなっているので、生産性の高い地域、これから施業していって将来確実に木材生産林として効果を上げ得る地域というものを選んでやっていかなくちゃいかぬということは経営の基本でございます。したがいまして、どこの地域でどうという議論を、北海道で全くあるかないかとかいうような議論は別といたしまして、方法としては森林生産力の将来の見通しということから見て八立米以上ということは基準として十分に有効ではないかと思っております。
#155
○菅野久光君 とにかく林業労働力を確保していくとかなんとかという、こういうようないろんなことがあるんですよ、それぞれの地域地域で。だから、一つの目安としてのことはいいけれども、その数字にこだわる。八立米以上であってもということは、それはそれで私はいいんですが、八立米以下のところはどうも全くやらない、それはもう基準が満たされていないんだからだめだというようなことを強く係の人が言うものですから、それは私はおかしいんじゃないかということで今質問しているわけですよ。そこのところはどうなんですか。
#156
○政府委員(馬場久萬男君) 八という数字に絶対的な基準を持っているかどうかということになれば、いろいろな御議論はあろうかと思いますが、基本的に拡大造林をこれからさらに進めていくということについては先ほど言いましたような方向の転換がありまして、これからはむしろもっといろんな広葉樹林も育てていかなくちゃいかぬというようなことを言っているわけでございますから、八立米以上のところでもむしろいろんな要素を考えて、拡大造林をする地域はそれなりに投資効果のあるところを選んでいこうということで考えているわけであります。
 したがいまして、絶対的に八の数字の、何かこれ以下はだめとかいいとかという議論じゃなくて、いろいろな要素の判断の一つなわけでございまして、だから八を下回ってもじゃいいのかと言われれば、我々はやはり八以上はせめてなければこれから投資するにはどうかなという感じでございます。
#157
○菅野久光君 八立米を下回っても、何というんでしょうか、そこの地域としてやっぱりここはやった方がいいんじゃないかというようなところについては、それぞれの地域の判断の中でそういうこともあり得るというぐらいに考えていいのではないかと思います。
 そういうことで、一定の基準を、むやみやたらに全く基準をなくしてしまってやれというんじゃないんですよ。それぞれの地域地域の実情というものもあるだろう、それから出づくりの目標もあるだろう、そういうようなことなどを考えてやるべきではないかと。一定の基準は基準ですよ、それは目安ですから。しかし、そこに余り固執してしまうと、これはやっぱりおかしいんじゃないですか。同じ山へ行ったって、同じときに植えても大きくなる木もあればそんなに大きくならない木もあるわけですよ。だから、余り八立米というところに固執されると非常に私は問題があると思うんですが、そこはどうですか。
#158
○政府委員(馬場久萬男君) 先ほどから申し上げていますように、拡大人工造林をしていく上での判断の要素というのが幾つかございまして、その一つとして八立米以上ということを示しているわけであります。数字に出ているものですから、議論を始めますと大変こだわらざるを得ない部分もあるわけでございまして、全体としては拡大造林をしていく上で必要な、そしてまた今後そこで十分な生産力が見込まれる地域を選んでいくんだということだと思っております。
#159
○菅野久光君 何ぼ言ってもあれなんですが、かたい割にはなかなかうまくいかないんですよね。変えたとおりになっていかないんです。だから、その辺、余り柔軟になり過ぎるとこれも基準がなくなっちゃうという問題があるんですが、もう少し山の実態に即した、そしてある程度の基準の、そういう目安に応じた、そういうことで少し、もう八立米以下は絶対だめみたいな言い方を指導部がしているわけですよ、だから私は言っているので、その辺は、ひとつもうちょっとそこのところを考えてもらいたいというふうに私は現地を見て思っているわけです。
 この問題はまた時間があったらやりますが、もう私の時間もなくなってきましたから、最後に乳製品の問題で、これもいつも米の陰に隠れてしまって乳製品、でん粉の問題があるんですが、この問題はきょうも大臣のときの話に出ましたけれども、牛肉・オレンジの輸入自由化で今酪農は大変な状況になっているわけですね、肉牛も含めて。そんなことで、この点について米と同じように、もう酪農でなきゃやっていけない地域もあるわけですから、これの自由化、でん粉の問題もそうですが、ぜひ自由化阻止のために頑張ってもらいたいということを、これはもう要望だけ申し上げて、私の時間が来ましたので終わります。
#160
○浦田勝君 午前中に引き続いての質問でありますけれども、一部マスコミを中心に、日本は米の関税化を受け入れざるを得ないような状況に追い込まれているとの主張がなされ、政府部内においても誤解を招くような発言が出ているところであります。油糧種子等の問題で正式合意したとされるアメリカとECでも、それぞれの国内において
農業合意の強い反対勢力があり、またラウンド以上に他の重要な問題を抱えているこのような中で、ラウンドが失敗するとあせっているのは日本ばかりの感があるわけであります。
 ここでお聞きを申したいのは、自由貿易の最も恩恵を受けておると新聞などで書かれている我が国が、今回のガット・ウルグアイ・ラウンドの合意でどれほどの恩恵を受けるのか。失敗すればどのような悪影響があるのか、具体的な試算があれば示してほしいと思います。
 また、本ラウンドで問題となっている金融の自由化、米の関税化、外国弁護士の参入などはどれほどの貢献をするのか、できれば数字で説明をいたしてもらいたいと思います。
#161
○政府委員(眞鍋武紀君) ウルグアイ・ラウンドでございますが、これはけさほど来御答弁申し上げておりますように、十五分野というふうな大変幅の広い分野において交渉が行われておるわけでございます。我が国はこのウルグアイ・ラウンドが成功裏に終結するようにというふうなことで現在努力をしておるわけでございます。
 このウルグアイ・ラウンドの交渉によってどれほどの利益があるかということにつきましては、外国の機関等においていろいろな試算が行われているのは事実でございますが、ただいまちょっとその試算を持ち合わせておりませんので、数字を挙げて御説明できないわけでございますが、いずれにいたしましても、大変幅広い分野で交渉が行われておるというふうなことでございますし、それからまた、ただいま世界的な不況というふうな状況の中で景気刺激効果といいますか、そういうものが大いに期待をされておるというふうなことでございます。それからさらには、いろんな分野におきまして自由化をすることによりまして相乗効果が発揮されるというふうなことで、効果が期待をされておるということも事実でございます。
 しかしながら、やはりこれは交渉でございますので、それぞれの国の立場がございますし、それから我が国等にとりまして、特に農業等については大変困難な問題を抱えておることはこれまで御説明申し上げてきたところでございます。したがいまして、我が国の抱えております困難な問題について諸外国の理解を求めまして、また我が国の立場がこの交渉結果に十分に反映されるように今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
#162
○浦田勝君 どうも抽象的な答弁で私はさっぱりわからぬ、頭が悪いから。もっと具体的にひとつ説明してください。
#163
○政府委員(眞鍋武紀君) 各国においていろいろな貿易刺激効果というものは試算があるわけでございますが、今ちょっと私は手持ちしておりませんので、後ほど調べまして御答弁させていただきたいと思います。
#164
○浦田勝君 今度わかりやすく説明をしてほしいと思います。
 それでは次に、さっきから林野庁、本当に何回もお気の毒だと思いますけれども、もうこれは仕方がないからお尋ねしなけりゃなりませんし、またお願いもしなけりゃならぬということであります。
 一九九一年の九月二十八日の台風十九号、それから台風が二回ほど来たわけでありますが、今回の災害というのは非常に風が強かったということであります。場所によりましては風速六十メーターも記録いたしておりますように大変な被害が当時もたらされたわけでございます。
 私ども九州、なかんずく熊本、大分というのは林業県でもございますし、特に人工林の被害というのは極めて大きかったわけであります。自衛隊その他が出てまいりまして、要請出動に応じて自衛隊が献身的に風倒木の撤去等に努力をしてくれました。さらにまた、伐根等の作業等も行っていただいたわけでありますが、今なお風倒木の残骸というのはまだ残っておりますし、それから根の撤去というのもなされていないところもたくさんあるわけであります。
 幸い雨も少なかったわけでありますけれども、梅雨期になりますと大変な二次災害が起きるんじゃないかということは非常に予測されるわけであります。過去に豪雪、豪雨等もございまして、豪雪でも随分被害も出ましたけれども、今回の被害というのは極めて大きかったということであります。したがいまして、その撤去木材というものに対して、あるいはまた、大変な材木が切り倒されまして市場に持ち込まれてきたわけでありますが、特に木材価格が低下をしてしまう、非常に売れ行きが鈍化してしまう、こういうこともありまして林業農家にとっては非常な大きな痛手を受けておるわけであります。
 特に、林野庁もいろいろと御配慮いただいてやっていただいたわけであります。いろいろと今までの人工林に対するそれなりの植林のあり方等々は今まで話があったわけでありますけれども、皆さん方がそれなりの技術的な立場で御指導なさっておると思いますが、風の災害というものに対しての研究というものがなされておったのかどうか、そこらあたり非常に、これからそういうものもまた発生するおそれもありますから、そこらあたりの研究もひとつぜひしていただきたいということであります。
 と同時に、御案内のとおり労働力がございません。しかも高齢化でありますし、今回も人的な応援等々がありながらもやっておるところでありますが、特に高性能機械というもの、やっぱり機械の開発、改良、作業仕組みの確立とか、こういうものが必要ではなかろうかというふうに思うわけであります。
 それから、今申しましたように、これは本当に起債等の措置も拡充してやってほしいという現場の声もございます。災害地域における受益者負担の廃止を含めた軽減措置も欲張ったようだけれどもぜひひとつお願いできないものだろうかというふうな考えもあるわけであります。
 と同時に、今申しましたように、木材が過剰になって価格の低迷を来しておるわけでありますが、これに公有林の払い下げをやられますと、また価格がさらに低下するというようなこともございますので、ぜひひとつこの供給過剰の現状からして歯どめをかけていただきたい、こういうことであります。
 この件に関しまして林野庁の御見解をお聞きしたいと思います。
#165
○政府委員(馬場久萬男君) 先生がおっしゃられますように、昨年の特に九州地方を中心としました台風十九号の被害というのは非常に大きなものでございました。
 今お話のありましたような風害というのは土地の古老も今まで経験したことがないというような大変なものでございました。その結果として、被害木をおっしゃるように置いておきますと二次災害等を招きますので、特に人家の上にあるところ、あるいは国道の上にあるところ等は早急に整備をしなくちゃいかぬということで搬出をしたわけでございますが、それが結果的に局地的な木材の需給バランスを崩しまして、昨年の十一月以降かなり九州の特に杉材、ヒノキ材の値段が下がりました。
 そこで、我々これに対しては地域的な需給バランスを図るということで、一つは、国有林につきまして九州北部の被害の大きかった営林署におきましては、今年度、平成四年度の伐採予定量を前年の六割ぐらいに抑制しろということを示しました。また、県、市町村等が持っている公有林、それから民有林につきましても、そういう被害木が出てきている段階において正常木の伐採はなるべく抑制するのがいいんじゃないかということで、そういう指導を行ったところでございます。
 幸いこの秋以降住宅着工戸数が回復基調にあるというようなこともありまして、木材、丸太の価格はやや上昇に転じておりましてはっとしているところでございますが、そういう災害による局地的な需給バランスということについて、今後も流通状況等を的確に把握しまして、国の営林局、営林署はもちろんでございますが、都道府県、関係団体に対しても指導、協力をする形で対応してまいりたいと思っております。
 また、先生お触れになりました風害の研究等、これは確かに未曾有の風害だったものですから、後追いになるんですが、これからの問題として森林総合研究所などで検討をしております。それから機械の導入、これも従来はどちらかといいますと大型の林業機械は北海適を中心に導入されておったんですが、この災害を契機としまして九州地区にもかなり入るようになってまいりました。もちろん我が国の地形に適した機械の開発等まだまだ不十分な点はございますが、今後さらにそれを進めまして、労働力問題としても機械化を進めたいというふうに考えております。
#166
○浦田勝君 大変御努力いただいておることには感謝いたします。
 ただ、最近は異常気象のもとで、どうも九州は台風の銀座みたいになってまいりまして毎年のようにやってくる、重ね打ちというのが多いわけでありますから、できるだけ速やかにそういうことの配慮をしてほしいということ。
 それから、もう一点お尋ねしたいのは、労働力。これは災害にやっぱり人なんですから、自衛隊をただでいつまでも使うわけにはいかないし、またいろんな作業等においては専門的な労働力というのが必要になってくるわけでありますが、この点について、御迷惑でしょうけれども、お答え願いたいと思います。
#167
○政府委員(馬場久萬男君) おっしゃるとおり今の日本の林業というのは、御案内のとおり森林所有あるいは作業単位が非常に小規模な経営が多うございまして、他産業に比べても就労条件も必ずしも十分でないというような状況にございます。したがいまして、最近この労働力の確保に大変苦労しているところでございます。
 ただ、そういう中で、我々今後の林業を振興していく上で、林業事業体の経営を維持育成するということが必要でございまして、特に労働力の問題はその中心であろうかと思います。したがいまして、事業体におきましてその労働する方の雇用の長期化、安定化、あいは広域の就労を促進する、あるいは雨が降ったときなどに別の仕事をする就労施設を整備するというようなことが必要かと思っていますし、これは言うまでもありませんが、機械化を進めることによってある程度そういう労働力不足に対応しようと思っているわけでありますが、その際の労働災害の防止、あるいは労働強度の軽減というようなこともしなきゃならぬと思っております。
 そのほかに、山村の全体の振興あるいは定住条件の整備等、周辺部分の施策もする必要があると思っておりますが、労働力問題について言いますと、現在我々は流域管理システムということを推進しているわけでありまして、その施策の一環として林業事業体の体質の強化、機械化の促進というようなことを図ってまいりたいと思います。そこで、平成五年度の予算要求におきましても、流域林業サービスセンターというものの設置運営を図っていきたい、あるいは木材産業等の高度化推進の資金をつくりまして、いろんな仕事につける労働の人材を育てていきたいというふうに思っております。
 なお、これは労働省の関係でございますが、林業労働者については従来労働基準法適用除外になっておりますけれども、これは労働基準法を林業労働者にも完全適用するようにして労働条件の整備に努めてまいりたい、このように考えております。
#168
○浦田勝君 山は本当に我が国にとっては大切な資源でありますから、ぜひひとつ御配慮いただいて、応分の措置をとっていただきますように重ねてお願いいたしておきます。
 時間がございません。次に移りますが、畜産局長お見えですか。
 自由化が成りまして、その影響がだんだん出てきたわけであります。和牛の価格というのはひところずっと高い値で堅持されてきたわけでありますが、乳雄を初めとするすそ物は大変価格が下落をしてまいりました。畜産農家にとっては非常にこれは大きな打撃であります。情熱をかけてきた畜産農家が価格の低迷で畜産を放棄するというようなところもございましたし、年々減少しておるのも事実であります。
 ところで、赤牛の価格が保証基準価格を大幅に下回っているにもかかわらず、制度と補給金の交付が受けられない。またこれに連動して、国の政策である子牛生産拡大奨励事業の対象ともなっていない。その結果、農家の先行き不安の思いから飼養の戸数も頭数も約一〇%程度の減少が見られ、憂慮される現況であります。
 そこで、今年度より国の指定助成事業として地方特定品種緊急総合活性化対策事業が実施され、資源確保対策として一頭当たり一万五千円交付されております。また、熊本県としましても国の対策に呼応して褐毛和種優秀資源確保対策事業が実施され、一頭当たり七千円が交付され、さらに県畜産団体においても独自の対策費として、肉用牛繁殖農家経営の維持安定を図るため、生産者特別補給金として一頭当たり一万五千円が交付されております。
 今後の対応として、平成四年度において国、県及び団体がこれらの各種対策を実施したことから飼養農家の不安はある程度解消され緩和されてきましたものの、依然として現在の子牛価格は約二十六万円程度で推移していることから、農家の将来に極めて不安を醸しておるわけであります。このことからしまして、赤牛資源の維持確保と経営の安定を図る必要があり、総合的な対策を実施する必要があります。これらの方策につきましてどのようなお考えを持っておるのか、畜産局の御見解をお示し願いたいと思います。
#169
○政府委員(赤保谷明正君) 昨年の四月に牛肉の輸入数量制限が撤廃されたわけですが、その自由化後、輸入牛肉と競合度合いの高い品質のものから枝肉の価格が低下をしておるわけですが、その中で褐毛、赤毛は枝肉の規格等級が中程度のものの割合が多い。そういうことで、黒毛和種に比べて価格の低下が大きくて、これと連動しまして子牛の価格差が拡大してきている、そういう状況にあるわけでございます。
 このため緊急対策として、褐毛和種はいろんなメリット、いろんな利点を持っている、そういう和種でございますので、今お話もありましたが、その資源確保を図るという意味で奨励金の交付をしているところでございますけれども、基本的には品質のよいものを品ぞろえをいたしまして販売する、こういうことが重要でありますので、今の奨励金の交付とあわせまして優良子牛の生産の促進、あるいは生産者と販売業者を結ぶいわゆる産直事業、そういったものを進めておる。つまり、生産から流通、消費にわたる総合的な対策を講じているところでございまして、今後ともこれらの対策を効果的に講じてまいりたいというふうに考えております。
#170
○浦田勝君 時間が参ったわけでありますが、褐毛牛、赤牛は、非常に増体が速いというようなこと、そして肉質もいいというわけであります。しかしながら、どうも黒に押されて非常にイメージ的に損をしておるわけでありますが、皮をはいで中身を見れば余り大した違いはないわけでありますけれども、どうも赤牛に対する認識が低いような感じもするし、増俸量の速い赤牛の方が生産者にとって一番いいわけですけれども、価格が下がってはどうにもならない。低いということでは余りにも格差がある。基準価格を下回ってくるというのは、これは非常に生産者にとってもダメージを受けるわけであります。
 ただ、先般、委員の派遣の折に熊本県の畜産試験場に参りまして、赤牛の改良のためにやっておったわけでありますが、これが農水省のこういう指導のもとで逐次改善をされていくものだと思いますが、やはり何といったって畜産をなくすわけにいきません。ですから、どうかひとつ畜産に対しては一層の情熱を持って御助力をいただきたい、予算確保にも努力をしていただきたい。また、新たな考え方の発想を転換しながら、畜産農家を守ってほしいというふうに思います。
 酪農を初めいろいろありますけれども、時間の
関係で以上でとどめて、要望だけ申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#171
○政府委員(眞鍋武紀君) 先ほど浦田委員からお尋ねの数字でございますが、今手元に届きました数字によりますと、ダンケル合意案が完全に実施された場合における経済効果の試算でございます。
 これにつきましては世界全体ということで試算が行われておるわけでございますが、米国の試算ではGNPが十年間で約五兆ドル増加をする、こういう試算でございます。これは百二十五円で換算いたしますと六百二十五兆円ぐらいになります。それからもう一つ、OECDの試算がございます。この試算によりますと、年間千九百五十六億ドルの所得増大が得られる、こういう試算がございます。
 日本においては試算をしておりませんが、外国におきましてこのような試算が行われているということを報告させていただきます。
#172
○浦田勝君 ありがとうございました。
#173
○風間昶君 先ほどの午前中の大臣にお聞きしたのと若干重なり合う部分があると思いますが、ダンケル・ぺーパーが提示されておよそ一年経過しておりますが、政府はこれまで例外なき関税化阻止のためにどのような交渉をしてきたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 つまり、ダンケル・ぺーバーが昨年十二月に出たときに、例外なき関税化に反対している国は何カ国あって、それが交渉のいわば対話の中で現在何カ国になっているのかということをお聞きしたいと思います。
#174
○政府委員(眞鍋武紀君) ダンケル合意案が出てまいりまして、我が国は包括的関税化は受け入れられないというふうなことで、ガットのウルグアイ・ラウンドの交渉の場はもちろんでございますが、農林水産大臣も、けさほど御答弁申し上げましたように、アメリカのヒルズさんとだけでも四回、あるいはECにも参りましたし、各国に参りまして、その都度我が国の立場を表明し理解を求めたわけでございます。そういうことで、いろいろな場を通じて我が国の主張が盛り込まれますように努力をしてきておるところでございます。
 例外なき関税化に反対している国は何カ国か、こういうお尋ねでございますが、全体に集まって決をとったというあれがないわけでございまして、昨年の十一月末に行われました三十六カ国の非公式会合、あるいは公式の会合におきまして包括的関税化に反対の意見を表面いたしました国はカナダ、韓国、スイス等十四カ国でございます。その後若干の国が意見を変えておるのではないかという可能性もございます。さらには、最近インドネシア等反対であるという新たに加わった国もございますが、現在のところ正確な国の数はそういう機会がございませんのでありませんが、大体その程度の国が反対をしておるという状況でございます。
#175
○風間昶君 だから、少なくなってきているのではないかということからしても、我が国だけが単独で孤立化していくようなことを避けるためにも、ぜひともその間、いわばおのおのの事情があるかとは思いますけれども、例外なき関税化阻止のためのさまざまなテーブルでの話し合いが必要じゃないかというふうに思えてなりません。
 次に、先ほどの大臣の訪米それから訪ECに関してですが、交渉がいわば多国間交渉から二国間交渉に変わったというふうに考えていいんでしょうか。
#176
○政府委員(眞鍋武紀君) ガットの交渉は基本的に多国間交渉でございます。この交渉のやり方はいろいろございまして、公式非公式、あるいは二国間、それから複数国間、あるいは多国間というふうなことで、いろいろな場、いろいろな形式で交渉を行いまして、それを積み上げていって最後に多国間で全体で合意をする、こういうふうなことでございます。
 したがいまして、我々も適宜その状況に応じまして、二カ国でやってみたり、あるいはプルリと申しまして数カ国で集まって交渉なり話し合いをするというふうなことを積み重ねてきておるわけでございまして、今回の大臣の訪米、訪欧も広い意味の多国間交渉の一環としての二国間の話し合いであるというふうに受け取っていただきたいと思います。
#177
○風間昶君 わかりました。
 先ほどから何人もの委員の方が危惧されているのと同じく、私はやっぱり牛肉・オレンジのときと回しように、国民の間には、政府が頑張って頑張って、ここまで頑張ったんだけれども力が足りなかったというその不安が非常に強いというふうに思うわけです。したがいまして、政府が例外なき関税化阻止に一致して臨むべきであるにもかかわらず、きょうの新聞でもまた外務大臣の御発言があったわけでございますけれども、本当に日本全体として一丸となっていかなければならない今の時期に、いわば肩透かしに遭うような、農民の方々にとってはそういう思いがあるのではないかというふうに思うわけです。
 したがいまして、外務大臣の御発言の真意はどういうことだったのか明らかにしていただきたいというふうに思いますし、またその御発言について農水省ではどういうふうに考えていらっしゃるのか、いま一度お返事いただきたいと思います。
#178
○説明員(北島信一君) 外務省の国際機関一課長でございます。
 外務大臣の一連の発言についての御質問でございますけれども、私ども、外務大臣の一連の発言は、ウルグアイ・ラウンド交渉が最終段階を迎えている現状で、各国とも農業問題に関してそれぞれ困難な問題を抱えているけれども、相互の協力による解決に向けて最大限の努力を傾注してとにかく交渉に臨んでいくことが必要であるという政府の基本的な立場、この立場に沿ったものであるというふうに考えております。
 外務大臣も農水大臣と緊密な連絡をとられていますし、ウルグアイ・ラウンド関係閣僚懇談というような機会を通じまして内閣の間の意思疎通も十分にされているわけですけれども、私ども上から下まで、私自身もこれまで農水省の幹部のお供でジュネーブ等にもたびたび伺っておりますけれども、農水省と外務省との間で二人三脚で一生懸命交渉してきているということで、その間の違いというものはないというふうに認識しております。
#179
○政府委員(眞鍋武紀君) ただいま外務省から御答弁があったとおりでございます。
 ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉に関する関係閣僚懇談会というもので、我が国の従来からの基本方針にのっとって交渉をしていこうというふうなことで意見の統一が図られ、農林水産大臣がいろいろと苦労して交渉しておるので、それを政府一体として応援していこうというふうに意思統一がされたところでございます。そういうふうなことで交渉に臨んでおるところでございます。
 外務大臣の発言につきましては、今御説明があったとおりでございまして、なおウルグアイ・ラウンドは先ほど来御答弁申し上げておりますように、幅広い交渉でございます。事農業分野の交渉に関しましては、こういう従来から御説明しております基本方針で一致して事に当たっておるということでございます。
#180
○風間昶君 ありがとうございました。
 私の質問はこれで終わりでございます。
#181
○矢原秀男君 まず最初にお伺いしたいことは、この二十一世紀以降日本海時代と言われているわけでございますが、なかなか関係各省庁それぞれの政策があるわけですけれども、非常に顔が見えない現況にございます。
 先般も別な委員会で、富山、金沢、新潟、こういうところは空の場合はソ連との電波の競合の問題、そうしていろんな文化交流の問題、いろいろあるわけでございますが、特に私がきょうは質問したいのは、山口県、島根県、鳥取県、兵庫県、こういう日本海に向かった西側の方でございます。農水省としてやるべき問題というのは、まず栽培漁業というものは将来計画でやらなくちゃいけな
いと思いますけれども、魚種の問題、そして水温との問題、そういうふうな研究というふうなのはどういうような形でやっているのか。そしてまた、農水省として隣国との交流活性化についてできる問題、この面を私はまず伺ってみたいと思います。
#182
○政府委員(上野博史君) 沿岸漁業の関係につきましては、最近の二百海里体制に伴ういろいろの問題等にかんがみましても、我が国の沿岸の漁場を大切にして、これを使ったつくり育てる漁業を発展させていかなければならないということはそのとおりでございます。そういう方向に向かって私ども努力をいたしているつもりでございます。
 それからまた、この面で関係国との共同作業というのも、非常に大きい場面でいえば国際的な交渉の場面もございましょうし、あるいは近隣の韓国等との関係もあるというふうに思っておりますけれども、特に韓国等につきましては、我が国の近海の漁業水域でのいろいろな問題もございますが、沿岸漁業の面で協力をしていける事柄も多々あるわけでございまして、先方の漁業関係者との定期的なお話などを通じまして努力をいたしている状況でございます。
#183
○矢原秀男君 この問題は非常に日本海沿岸としては大きな期待を持っておりますので、当省庁においてもやはりいろいろな面で今後とも政策立案をして努力をしていただきたいと思います。
 次に、きょうも午前中からガット・ウルグアイ・ラウンドの問題について農水大臣や皆さん方に委員の皆さんから御質問されておりますけれども、きょうは農水大臣がアメリカに向かって行きましたが、午前中から重複した話になりますけれども、私も思い起こすのは一九八八年の六月二十日、米国の圧力に押されて日米牛肉・オレンジ交渉が妥結し、三年及び四年間の輸入枠期間を経て、ことし四月一日のオレンジ果汁の輸入枠撤廃を最後に完全自由化はされたのでありますが、こういう圧倒的な輸入量の増加と価格の低下で生産農家にとっては生産意欲がかなり減退をしている。
 こういうことで、まず伺いたいことは、その後の輸入量の推移、あらあらで結構でございます。また、今もお話等もございましたが、乳牛、和牛、そして子牛の値段の推移。それから三番目には経営状況等について、まず具体的に伺いたいと思います。
#184
○政府委員(赤保谷明正君) お答えを申し上げます。
 牛肉の輸入量は自由化前の平成元年度が三十六万四千トンでございましたが、二年度には三十八万四千トンでございました。自由化の初年度であります平成三年度には、それまで輸入牛肉の輸入量が多くて輸入牛肉の在庫がたまっておった。その在庫の取り崩しが行われまして、輸入量は前年度に比べて減りまして、三十二万七千トンとなっております。ことし四年度はこれまでのところ三年度に比べまして増加傾向で推移をしているという状況でございます。
 また、子牛の価格につきましては、輸入牛肉と品質的に競合しやすい乳用種等の枝肉価格の低下を反映いたしまして、乳用種等の子牛の価格の低下が見られるところでございます。こういうような状況のもとで、子牛の育成農家につきましては、子牛の価格の低下により収益性が低下をいたしておりますために、乳用種とそれから黒毛と褐毛を除いたその他の肉専用種、和牛ですが、そういう種類の牛につきまして肉用子牛の生産者補給金を交付しているところでございます。
 また、肥育農家につきましても、枝肉価格の低下等による肥育経営の収益性の悪化に対しまして、緊急対策として助成金を交付するといったように、もろもろの対策を講じまして酪農経営の安定を図っているところでございます。
 今後とも牛肉をめぐるいろんな情勢を考慮しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
#185
○矢原秀男君 今お話しございましたような牛肉・オレンジ、日米合意による急激な自由化の波、自由化に対する免疫性のない我が国が牛肉やオレンジ農家に壊滅的な打撃を与えたのは事実でございます。米国との交渉の最終段階において米国の圧力に屈し、非常に抵抗してもやむを得なかった。こういうふうなことで、きょうも農水大臣を送り出す立場において二度と同じような轍を踏んだらいけない、こう思うわけでございます。
 私もかつて佐藤農水大臣が当時お元気に向こうへ行かれたときに、絶対に屈してはいけない、こういうふうなことで農協の各決起大会にも出させていただいて、今度は佐藤農水大臣は大丈夫である、安心してくださいと僕も言い切ったものでございます。ところが、当時の大臣も、一つは輸入数量制限をめぐる厳しい国際の世論に負けた、二番目には日米友好関係の維持、発展の重要性を考慮した、三番目には新たな国境措置や国内措置により代替し得る可能性も探求した結果、自由化に踏み切らざるを得なかったと、こういうふうなことで白旗を上げられたわけでございます。
 こういうふうなことで、きょうも私は複雑な思いでございました。我々が団結をして、アメリカやECに対して関係者の皆さんがなぜもっと今までにいろんな形で交渉の努力をしていかなかったか、そういう厳しい見方を私はしております。今日に至っては何とか生産者の皆さんの期待にこたえて、やはり国際的なきちっとした戦いをしていかなければいけない。そういうあれで農水大臣にも頑張っていただきたい、こういうふうに思っているわけでございますが、佐藤さんのときはそういうような残念な結果があるわけでございます。
 今後の農水省の交渉、自由化阻止、この方針について伺いたいと思いますけれども、十二月一日、市場アクセス交渉のドゥニー議長がドンケル合意案に対する反対意見聴取を提示しております。農水省はこの機会を最大限生かし、自由化への道を断固阻止すべきと思いますけれども、どのような対抗方針で臨むのか。
 大臣がおられませんので、かわりの方にお願いしたいと思いますけれども、一つは、生産調整をしている農産物の関税化を除外すべし、二番目には、自給権を保障した食糧安保条項、ガット二十一条の二の新設の提示、三番目には、ガット十一条二項(c)の輸入数量制限条項を維持強化することを求める、四番目には、米・EC合意案とドンケル・ペーパーとの整合性に伴う修正を認めるなら、同様に日本の米関税化阻止、修正をと、こういうふうなものがいろいろカードとしてあるんではないかなと思っておりますけれども、こういう具体的な問題についてはどういうふうに考えて臨まれようとしているのか、伺いたいと思います。
#186
○政府委員(眞鍋武紀君) 我が国としましては、米のような基礎的食料や国内で生産調整を行っている農産物につきましては、安定供給や生産制限の実効性を確保する、こういう観点からいずれも量的な管理が必要であるというふうに考えておるわけでございます。そういう意味で、包括的関税化は受け入れられないというふうな主張を行ってきておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、国家安全保障に関しましては、ガットの第二十一条にその例外を定めているところでございますが、我が国としてはこれに並ぶ規定といたしまして、食料安全保障の観点から基礎的食料につきまして所要の国内水準を維持するために必要な国境措置を講じ得るように、平成二年の八月でございますが、農業交渉グループ会合におきましてガットの条文の追加を提案したところでございます。
 また、ガットの十一条二項(c)というのがございまして、農業生産が自然の変化に左右されること、あるいは農業経営体は多数小規模で組織化が困難なこと、という農業の特殊性を踏まえまして、政府による生産制限措置の実効性を確保するために規定されているわけでございますが、この条項の的確な実行がなされない場合には、過剰農産物を処理するために補助金つきの輸出が行われたり、あるいはひいては世界の農産物輸出に多大な混乱を生じさせることにもなりかねないというふうなことから、我が国はこの条項が的確に運用されるように、この条項の見直し、明確化というふうなものも同時に提案をしておるところでございま
す。
 いずれにいたしましても、このような我々の考え方が交渉結果に反映されますように、引き続き努力してまいりたいと思っております。
#187
○矢原秀男君 今度は、国会決議との関連についての質問をちょっとしたいと思います。
 米の輸入自由化問題関係の国会決議については、昭和五十五年の四月、衆参で「食糧自給力強化に関する決議」、全会一致、二番目には五十九年の七月に衆参で「米の需給安定に関する決議」、全会一致、三番目には六十三年の九月、衆参で「米の自由化反対に関する決議」、全会一致等々三回にわたり衆参ともに全会一致で可決をされております。
 ここで、内閣法制局の見解というのは、国会決議については、衆参の議決の形で行われた意思表示でありますが、法律とは異なり、効力及び拘束力については法律と同一視することはできないと言っておりますけれども、政府は国会決議というものはやはり非常に尊重し、また対外的な交渉にも非常に大きな力になっている、こういうふうに私は信じておるわけでございます。
 そういう意味で、今後の交渉過程の中で農水の該当の皆さん方がこれだけ、御承知だと思いますけれども、国会決議をして本当に一生懸命に皆なっている。そういう意味で皆さん方が、さっきの農水大臣、午前中は守りの闘いなので非常に苦しいと言われておりましたけれども、バックにこういうふうに国会の決議というものもある。そういうようなことで一面では非常に力強い闘いができると思っておりますけれども、そういう点についてはいかが考えているか、伺いたいと思います。
#188
○政府委員(陣内孝雄君) 午前中大臣も申し上げましたけれども、国会決議等の趣旨を体して国内産で自給するというこの基本方針を貫くことで臨んでまいります。
#189
○矢原秀男君 十一月二十日にアメリカ・EC農業交渉が急転直下合意、フランスは強硬に反対をしている一部農民の方がございますして、内容の見直しを要求しているように伺っておりますが、米・EC合意案とドンケル・ペーパーとの整合性を図るためにはどのような点が抵触あるいは修正すべきことになるのか。これは外務省から御答弁願いたいわけですが、一つは輸出補助金の問題、二番目は平和条項、三は国内支持の問題、こういうふうな三点についての修正が加えられると予想されているわけでございますが、この点についてお伺いをしておきます。
#190
○説明員(北島信一君) 米・EC間の合意につきましては、その概略がこれまでジュネーブの場でも紹介されておりますが、文書という形での提示がまだないわけです。これは恐らく米国、EC双方において内部の最終的な調整というのが先週末あたり、ないしは今週の初めにかけて行われていたのではないかと考えますが、いずれにしましても、恐らく今週中には文書による詳細な説明があるということだと思います。
 もちろん、この米・EC間合意というのが、これから本格化されるジュネーブにおける多国間交渉においてどういうふうに受けとめられるかというのは全く別の問題でございますけれども、仮に今後の多国間交渉の中で認められていくということであれば、次のような点についてはダンケル・ぺーパーが修正されることになるのではないかと思います。
 先生の方から三点指摘ございましたけれども、少なくとも輸出競争と国内支持のこの二カ所については修正の問題が出てこようかと思います。輸出競争につきましては、数量ベースによる輸出補助金の削減の数字、ダンケル・ぺーパーでは二四%という数字があったわけですが、これが二一%に修正されるということが一つでございます。それからもう一つ、国内支持の関係では、国内支持の削減を産品ごとから農産品全セクターに変更するという点と、さらに一定の条件のもとでの直接支払いを削減の対象から除外する、この二点については修正が必要になってくるのではないかというふうに考えております。
#191
○矢原秀男君 先ほどからもお話が出ておりましたが、閣僚のそれぞれの立場の柔軟発言というものが非常に出ている。だから、農水大臣が今から頑張ったって後ろから味方に鉄砲を撃っているというような感じの柔軟発言がいろいろ出ているわけでございます。
 政務次官、この点について私は非常に残念だなと思っているわけですが、ともあれ対外的に今は断固従来の方針を堅持して閣僚の人たちは闘うべきではないか、こういうふうに思うのに、新聞紙上を見ると非常にいろんな発言が出ているわけですが、そういう点について見解を述べていただきたいと思います。
#192
○政府委員(陣内孝雄君) 関係閣僚懇談会で内閣としての見解はすべて一致しておりまして、農水大臣は農水省の立場で主張しているところでございます。
#193
○矢原秀男君 最後に、ちょっと確認をしておきたいと思いますけれども、日本提案の主な内容が一九八九年十一月、これは七点ございますけれども、一つは「農業の支持・保護の削減交渉を行うに当たっては、各国における政策選択の弾力性を確保する上で、国境保護・国内支持を包括的にとらえた指標である保護の総合的計量手段を用いることが望ましいと考えていること。ただし、土地・気象条件の制約を受けるという農業の特殊性及び食料安全保障、国土・環境の保全等農業が果たしている多様な役割にかんがみ、農業保護の撤廃は受け入れられないこと。」、この点について、いやこの点はさらに修正を強硬にしているんだとかいうふうなことがあれば、まず答えていただきたいと思います。
#194
○政府委員(眞鍋武紀君) ただいま御指摘いただきました交渉でございますが、けさほど来御論議いただいておりますように、ダンケル・テキストというのが出てまいりまして、それにつきまして、特に我が国としましては包括的関税化が受け入れられないということで、この点を修正すべしというふうなことで、この点に焦点を当てて交渉しておるわけでございます。
#195
○矢原秀男君 二番目のこれはさらに変更はありませんか。「基礎的食料については、食料安全保障の観点から、所要の国内生産水準を維持するために必要な国境調整措置を講じ得るものとすること。」、それともう一つは「ガット十一条二項については、その運用をより機能的なものとするため、同条項の要件の見直し・明確化を行うこと。」、この二点はどうですか。
#196
○政府委員(眞鍋武紀君) 我が国は、基礎的食料でございますとか、国内で生産調整を行っておる農産物につきましては包括的関税化の例外とするよう要求をしておるわけでございます。そういうことで、先生が今御指摘の点につきましては、引き続きこの点の修正を求めるように努力をしておるところでございます。
#197
○矢原秀男君 次の「ウェーバーによる輸入制限や可変輸入課徴金等についても、公平性の見地からガットの規律の下に置くこと。」、その次は「貿易に対する歪曲効果が最も著しい輸出補助金については、段階的な削減を通じ最終的に撤廃すべきであること。」、この点についてはこのとおりでいっているわけですね。
#198
○政府委員(眞鍋武紀君) 輸出補助金につきましては、このガット・ウルグアイ・ラウンド交渉が始まりますときに、やはり農産物の過剰というふうなものを背景といたしまして、補助金による輸出競争ということを背景にして、これを何とかしなきゃいかぬというふうなことでスタートしたという経緯もございます。
 そういうことから、世界の農産物貿易を混乱させる大きな要素、基本的な要素として輸出補助金競争があるというふうな認識のもとに、我が国としてはこの輸出補助金は撤廃すべきである、こういう主張を行ってきておるわけでございます。これにつきましては、米・EC間の合意によりまして、ダンケル・テキストで削減率二四%というのが二一%に引き下げられたというふうなことも踏まえまして、輸入国と輸出国のバランスと申しま
すか、そういうものが図られるよう我々の主張を強くしながら、我が国の主張が通りますように努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
#199
○林紀子君 私は、まず初めに外務省にお聞きしたいと思います。
 ドンケル・ペーパーに対して外務省はどのように考えているのかということなんですけれども、例えば、初めアメリカやケアンズ・グループが主張していたのは、関税化した場合、十年間で七五%以上の削減率、最高五〇%まで削減しなければならない、そういう案だったものが、ドンケル・ペーパーになりましたら、六年間で平均三六%の関税の引き下げ、最低一五%とすると、こういうことになったわけですね。
 ですから、こういう数字から見ると、輸入国に対して大変配慮されたものだと、そういう認識をお持ちなのではないかと思うのですが、その辺はいかがですか。
#200
○説明員(北島信一君) ダンケル・ぺーバー全体につきましての外務省の評価は、いいところも悪いところもあるということですが、今の御質問は農業部分について外務省がどういうふうに見ているかということだと思いますが、確かにダンケル・ペーパーに出てまいります関税化の部分は、それまで米国それからケアンズ・グループが提案してきました関税化提案とは、同じ関税化という言葉を使っていますけれども、かなり中身が違うということはあろうかと思います。
 ただ、外務省も政府の一員として包括的関税化については一つのきちっとした態度を持っているわけですが、一つだけ御紹介すれば、ダンケル事務局長が九月の初めに訪日した際に、国内の関係者に対して、自分が出した関税化提案というのは、それまでの米国、ケアンズの関税化提案とは非常に違うものであるということを強調していたわけで、少なくともペーパーを取りまとめたダンケルさんはそのように見ているということだと思います。
#201
○林紀子君 それから、ドンケル・ぺーバーでは特別セーフガードという部分がありますね。改革期間内に二五%以上の輸入数量増大あるいは一〇%以上の輸入価格の低下があれば、代償なしで百四十三品目に関税を引き上げることができるということだと思いますけれども、これについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#202
○説明員(北島信一君) 特別セーフガードの問題につきましては、要するに関税化されるという前提で、その中で特別セーフガードについてはこういうことがあり得るということで、今先生御指摘がありましたように、例えば輸入数量が最近三年間の平均輸入量よりも二五%ふえる場合に、そのときの関税を三〇%――三〇%というのはそのときの関税の一・三倍ということですけれども、上げることができるということで、それはそれなりに工夫はされているという印象は持っておりますが、あくまでもこれは関税化された場合にこういうことがあり得るということでございます。
#203
○林紀子君 それから、二国間協議ということについてどういうふうにお考えになっているかということもぜひお聞きしたいと思うわけですね。
 それは、先ほど来話題になっております牛肉・オレンジの輸入自由化のときのことを考えますと、例えばこれは八八年に自由化されて七〇%から関税率が出発いたしまして、六〇%、五〇%と下げられてきた。しかし、もしドンケル方式というものを当てはめたら、これはそのスタートそのものが七〇%などというようなところから出発しないで、一〇〇%以上であっても当然じゃないかと。で、六年間で一五%下げるということになりましたら、最終でも当初の七〇%よりもっと高い段階で関税というのを保っていることができるというようなことを考えると、二国間協議というものは非常に不利であるというふうにお考えになっているのかどうか。ですから、牛肉・オレンジ輸入自由化のときにああいうやり方で二国間で踏み切ったということについては誤りであった、大変日本にとって不利であったというようなお考えを持っているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
#204
○説明員(北島信一君) 当時の牛肉・かんきつ交渉のときに私は直接携わっていませんのではっきりしたことは申し上げられませんが、いずれにしましても先ほど来議論されていますように、当時の牛・かん交渉は日米の二国間という形で行われたわけです。当時、私どもの先輩も含め、それから農水省の方、それから政府全体として非常な御苦労をされて、あの時点で、いろいろ不満は残ったにしても、それなりの最善の結果を得たのではないかというふうに考えているわけです。
 二国間交渉とウルグアイ・ラウンドの関係でございますけれども、ウルグアイ・ラウンドの交渉というのは多国間の交渉で、私どもは各国の抱えている困難な問題とともに一緒に解決したいということでやってきているわけです。その場合、日本の抱えている難しい問題、例えばアメリカのウエーバーといった問題、カナダの酪農といった問題、こういった問題を一緒に相互の協力による解決でやっていきたいということでやっているわけですから、二国間で交渉するのと比べればそこは性格づけはかなり違うのではないかという気はいたします。
#205
○林紀子君 今、私は外務省のドンケル・ペーパーに対する態度といいますか評価というのをいろいろ伺ったわけです。
 きょうは北島さん御本人を責めるというつもりはないんですけれども、財団法人の食料・農業政策研究センターというところでこのウルグアイ・ラウンド、ドンケル提案について研究会といいますか学習会をなさっていて、そこで北島さん御自身が座談会で御発言なさっているものを「食料政策研究」という本で見せていただきました。その中で北島さん御自身が今のようなお話をなさっているわけですね。ですから、私は、きょうは北島さん御本人ということよりも外務省の本音というのをぜひ聞かせていただきたいと思ってお願いをしたんですが、きょうは北島さんに出てきてくださいというお願いは別にしなかったんですけれども、北島さんが出てきてくださったということは、やはり外務省の中でこのガット・ウルグアイ・ラウンド、農業問題について一番責任ある立場といいますか、一番政策を考える中心の立場にある方だというふうに思うわけですね。
 北島さんはこの座談会の中では、「アメリカ、ケアンズグループがそもそも言っていた関税化の中身、程度と、実際に出てきたドンケルペーパーの中の関税化というのは似て非なるものである」ということだ、「なおかつ特別セーフガードというのが」ついている、「皆で渡れば、この程度のことなのかなということなんだろうと思う」というふうにおっしゃっていらっしゃるわけですね。
 そういうことではやはり今まで農水省が言っているところとかなり食い違いがあると思いますし、また最近といいますかことしの初めから、ドンケル・ペーパーが出てから渡辺外務大臣がいろいろおっしゃっているわけですね。それはこの委員会でも今までいろいろ問題になりましたけれども、外相が関税化受諾を提唱するとか、条件闘争に入るとか、そういうような渡辺外務大臣の意向といいますのは、渡辺外務大臣の個人的な考え方、見解ということではなくて、外務省がこういうことを研究して、その結果こういうものだということを考えて、それが外務大臣の発言に反映をされているものではないかというふうに思うんですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#206
○説明員(北島信一君) 御指摘の新農政センター、これは小倉武一さん、それから並木正吉さん等が会長、理事長をされている団体でございますけれども、そこでダンケル・ぺーパーについての勉強会があったわけです。
 それから、外務省は外務省としても当然ダンケル・ペーパーについての勉強をしてきているわけですけれども、私自身は、その本の内容というのは事前にチェックしたわけでも何でもございませんけれども、そのような趣旨の発言をした配慮は
ございます。これはあくまでも勉強ということで、つまり、敵を知る者はみずからを知るというような言葉を使うつもりも必ずしもないわけですけれども、とにかくダンケル・ペーパーの中身は何かということについて研究するというのは当然のことでありまして、いわば中身を十分に知らずして議論していてもしょうがないということで、外務省も一生懸命勉強したということでございます。
 その勉強会に私と一緒に出ていましたのは、別に外務省の関係者だけではなくて、全中の関係者もあり、それから与党、野党の先生方が非常に親しくつき合われておられる農業関係の学者の方もたくさん入られておりますし、農水省の方も出られているということで、私自身そこでは政府の一員としての立場を離れて、ダンケル・ペーパーの中身をいろいろと議論すればどうかという立場で、いわば勉強ということで参加したということでございます。
 それから、外務大臣の発言等について、外務省がいろいろ勉強して下から上に云々という趣旨の御指摘ですけれども、要するに外務大臣も、いろんなことをよく勉強して、勉強してなおかつみんなでその勉強した成果を分かち合って、それでとにかく日本の国益のために、つまりウルグアイ・ラウンドを成功させるということは、これは日本全体にとって非常に重要であるという認識は皆さん共有されているわけですけれども、その中で日本の農業の将来も見据えて日本の農業の将来のため、それから日本の農民のため、それから翻って日本全体のために何が一番いいのかという観点からとにかくいろんなことを勉強して考えなくちゃいかぬという問題意識は外務大臣は従来から持たれているわけで、私もそういうつもりでダンケル・ペーパーについても一生懸命勉強してきている、そういうことでございます。
#207
○林紀子君 確かに勉強することは必要ですし、研究することも必要だと思います。しかし、外務大臣がお互いに譲歩をし合ってまとめていかなければならないとか、例外なき関税化受け入れへの政治決断が必要だというようなことになりましたら、もうこれは閣内まさに不一致になるんじゃないかと思うわけですね。そこで私は、そういうことは本当に今重大な時期に来ているこの日本の国の交渉の足を引っ張るものだということもここで強く申し上げておきたいと思います。
 農水省に続いてお聞きをしたいんですけれども、今勉強という話が出ましたけれども、農水省の方では、ドンケル・ペーパーに従ってこれをもし日本に適用するようになったら、日本の国内の農業、農民というのがどんな大変な状況になるのかと、そういう試算というのはしていないんでしょうか。
#208
○政府委員(眞鍋武紀君) 現在、ドンケル・ペーパーにつきましては修正が必要であるということで交渉をしておるわけでございます。そういうことで、そのドンケル・ペーパーを前提にした試算は行っておらないところでございます。
#209
○林紀子君 今の座談会に出ていらっしゃる北原さんとおっしゃる経済局ガット室長は、この中でまた、「皆それぞれ当然、当てはめた場合はとうなるかということ」は考えている、しかし「基本論の対象範囲の問題が未決着」だから「そこは外にはそのまま出て行かないという状況」だという発言もしているということもあわせて申し上げたいんです。
 確かにこれはまだ交渉事です。しかし、アメリカなどでは例えばドンケル・テキストに従った場合のアメリカの一九九八年の農業輸出予想ということで、穀物については二十四億ドルから二十八億ドル輸出がふえるんだ、そして純農家所得では八億ドルから十二億ドルふえるんだというような計算をしてアメリカの国民にアピールする、農民にアピールするということをやっているわけですね。ですから、私も当然このドンケル・ペーパーがもし実施をされるようなことになった場合どんな大変なことになるのかと、そういう立場で国民にアピールをしていくということは重要なんじゃないかと思うわけですね。
 外務省の方は一生懸命勉強し研究し、こうなったらこうだということを言っているのに、農水省の方がそれを反論するような形できちんと国民に知らせていかないということはかえってマイナスだし、また先ほど来話になっておりますように、マスコミで、いよいよ米だ、いよいよ米だというような中身を伴わない報道、国民が読んでも、消費者が読んでも何だかわからないような、そういう報道が先走りをしていく一つの原因になるんじゃないかと思うわけです。
 これはまたマスコミですけれども、十二月一日の日経、十二月六日付の東京新聞、それから私は地元の中国新聞で見たんですけれども、「高関税でも自由化阻めぬ」、「関税化なら自由化必至」と、こういうことで、これは政府筋の「コメ関税化の政府内部文書」ということで「要旨」ということまで書いて報道されているわけですが、これはどういう文書なんでしょうか。
#210
○政府委員(眞鍋武紀君) 先ほど来申し上げておりますように、関税化を前提にしたような試算は我々農林水産省として行っておらないところでございます。
 御指摘のようにいろんな数字が新聞等で報道されるわけでございますが、一つには、委員御指摘の、外国が試算をした数字がそのまま報道されるというふうなこともあろうかと思いますし、それから勝手にそういう報道機関がいろいろと推計をしたというものが出ておるのがあるかと思いますが、我々としてそのような思い当たる数字を持ち合わせておるわけではございません。
 いずれにいたしましても、そのような報道がなされるというふうなことは、諸外国に対しまして我が国の方針について誤った認識を与えて、今後のラウンド交渉における我が国の立場に影響しかねないというふうなことで好ましくないことであるというふうに思っておるところでございます。
#211
○林紀子君 今紹介をいたしました報道によりますと、この内部文書では、「「関税化と同時に品質が平均以下のコメは輸入ものに置き換わる可能性が高い」」、毎年定率で関税が引き下げられていくために、「国内のコメ価格を関税率の削減と同じペースで引き下げない限り、外国産のコメが割安となり米国やタイなどからの輸入によって日本のコメは価格面で競争力をなくすと分析」しているというふうに書いているんですね。
 私も北海道などに参りまして、今農水省が進めようとしている大変大規模な農家では今の米の値段でどうにかやっていけるけれども、これ以上米の値段が下がっていったら十五ヘクタールというような大規模の農家でももうやっていけないというお話も聞いてまいりました。ぜひ、こうなったら大変だという警鐘を鳴らす意味でも、計算はしないというようなことにこだわっていないで、国民の世論を喚起するという立場でそういうことも大いに発表していただきたい。そして、私たちは宮澤首相に対して申し入れを行いましたけれども、あくまでことし一月に修正要求した内容で今後も交渉に当たっていただきますように強く要請をいたしまして、質問を終わります。
#212
○喜屋武眞榮君 米の自由化の問題は、私はこう考えます。
 まず、国民生活の需給のバランスの面から一つは考える。その点から減反政策がとられてきたわけですが、その減反政策が現状はどういう方向に来つつあって、またどこまでその減反政策は延びるのか、この点。
 それからもう一つは、需給の関係から食管法が生まれたわけでありますが、食管法を見直すべきであるという声もちらほら出てきておる。その食管法の見直し、改正についてはどのように考えておられるのか。
 以上の点をまずお聞きしたい。
#213
○政府委員(鶴岡俊彦君) 減反問題につきましては、四十六年以来これの需給均衡を図るというようなことでやってきたわけであります。その間、過剰からの回避というようなことを主眼に置きまして、それ以後、転作の定着化でありますとか水田営農の確立とか、そういう、その時点時点で所
要の政策を加味しながらやってきたわけでございます。
 今回、現在の対策が今年度で終わります関係上、来年度以降の問題につきまして、過日、生産者団体等に参加してもらっています中央協議会の了承を得て目標面積を決定して、各都道府県に減反面積それから限度数量を内示いたしまして、現在各県で末端におろしてもらっているわけであります。
 その際、私どもがいろいろと議論しましたところからしますと、米作自身が当初ずっとやってきたこととは若干さま変わりしているのではないか。これは、例えば農地の壊廃が中山間を中心に想定した以上に深刻になっているんじゃないか、あるいは稲作農家の担い手が惰弱化しているのではないかというようなことが一万あります。それから、需要面でも減少傾向は続いておりますものの、最近見込んでおりましたよりそれが鈍化しておるのではないかというような、需給をめぐる情勢がかなり変わってきているんじゃないかというようなことを踏まえまして、むしろ過剰からの回避というのではなくて、水田の稲作を今後どうやって持っていくのかということを主眼に置いて論議いたしました。
 減反面積につきましては、これを緩和いたしました。それからまた、その際、単なる減反面積だけではなくて稲作生産について、参考資料ではございますけれども、それぞれ幾らぐらいを目途にやるのか、そういう目標もあわせて参考としてお示しいたしまして、それで水田営農を活性化させていこうという視点で対応することにいたしたわけでございます。
 それから、食管法の関係でございますけれども、食管法の目的は、やっぱり国民に安定的に安定した価格で米を供給するということに主眼があるわけでございますけれども、食管法自身五十六年の改正によりまして不足の事態あるいは過剰の事態へ対応できる仕組みになっておりまして、私ども現在のところそれを改正するという考えはございません。
#214
○喜屋武眞榮君 減反については考えないとおっしゃるんだが、減反は実行しておられるんでしょう、年々。
#215
○政府委員(鶴岡俊彦君) 減反は緩和しております。
#216
○喜屋武眞榮君 その場合、大事なことは、作物の転用を何に転換するのかということ、このことが最も大事であると思うんですね。転換をして雑草園にするようだったらこれは意味のないことである。どういう作目に転換していくかというそこまで具体的に政策として打ち出してもらわなければ意味がないんじゃないか。
 こういう点からもう一遍お聞きしたいんですが、減反政策に対する考え方とその実践、どういう方向に、このように今進めつつあるというその点が聞きたいんです。
#217
○政府委員(高橋政行君) 減反政策につきましては、今回も水田営農活性化対策ということで来年度から三年間にわたってやることになっておるわけでございます。
 それで、いつまでこれをやるかとか、どういうような作物をどうするのかという御意見だろうと思いますが、我々といたしましては、現在の状況の中では、米につきましては、その需要に応じた生産をいかに確保していくかという形での政策といいますか、制度でやっていくのがやはり農家の側から見ても望ましいのではないかということで、現在そういう政策をとっておるところでございます。
 それで、将来的にはそういうような減反であるといたしましても、生産者あるいは生産者団体の皆さん方がより自主性を発揮して自分たちの営農をどういうふうにしていくかという観点から、自主的に減反ができるようにということにしていくのが最も望ましいのではないかというふうに思っております。
 それから、どんな作物に対して転換をしていくのかということにつきましては、従来から現実問題といたしまして、麦とか大豆だとかあるいは主要作物であるとか、そういったようなものに転換をしてきております。特にまた作物として見ますと、果樹とかそういった定着性の転換作物、そういったものにつきまして特に定着性を高めるという意味では力を入れてやっていきたい。それからまた、定着性を高めるという意味では野菜ですね、そういったものについてはかなり定着性を見ているんじゃないかというふうに思っております。全体といたしましては、現在転作面積のうちの約三分の一程度、面積で言いますと二十五万ヘクタール程度、そんなところはかなり定着をしてきつつあるというふうに思っております。
#218
○喜屋武眞榮君 それから、もう一点の食管法に対する見直し、国民の中にそういう声が出ておるということは御存じだと思うんですが、その食管法の改正について、まあ言葉は見直しでもいいでしょうがね、それについてはどう考えておられるか、また、どのように手をつけておられるのかを教えてください。
#219
○政府委員(鶴岡俊彦君) 食管法、特に対象になっています米につきましては、自主流通米制度の導入でありますとか、価格形成の場の導入でありますとか、そういう米の安定供給という立場からさまざまな工夫をしまして、いろんな方面で言われています競争原理の導入でありますとか、あるいは需要に見合った米の生産、供給というふうな点で対応してきておるわけでございます。
 それから、食管法自体につきましては、五十六年に改正いたしまして、その際、安定供給という立場から過剰の事態あるいは不足の事態に対応できるような仕組みにいたしておりまして、現在のところ食管法自体を改正するという考えは私どもにはございません。
#220
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいことは、農水省もラウンド成功のためには譲歩は避けられないという判断を強めておると十一月三十日の朝日新聞には報じておりますね。避けられない、やむを得ないという御心境だと拝察いたします。ならば、現時点でのこの点に対してどのようにそのことについて認識しておられるか。国際情勢とともにこの米の自由化の問題は日々あるいは時々刻々変わりつつある、こういった動きの中で現時点で農水省はどう考えておられるか、お聞きしたい。
#221
○政府委員(眞鍋武紀君) ガット・ウルグアイ・ラウンドにつきましては、米・EC間の合意が成立をして多国間交渉の場に移されてきたわけでございます。そういうことで、けさも大臣から御答弁申し上げましたように、我が国の従来からの主張を本格的に展開していこう、こういう段階でございます。そういうことで、大臣も米、ECに対して我が国の基本的立場を働きかける、こういうことで参ったわけでございますので、農林水産省としてはその基本方針のもとに交渉を進めているという段階でございます。
#222
○喜屋武眞榮君 私は、譲歩のお気持ちをマスコミでも報じておる、このように受け取りまして、その譲歩の内容の問題になりますが、内容として関税化導入の時期をある時期まで引き延ばしていく、延期する、これも一つのあり方なんですね。それから、関税率の削減の幅を緩和する、これも内容を整理すると一つの方法だと思うんです。こういう案を考えておられるのであるかどうか、今私が申し上げたその二つの点ですね。
#223
○政府委員(眞鍋武紀君) 今、御答弁申し上げましたように、例外なき関税化は受け入れられないという我が国の基本的立場をジュネーブであるいは関係各国に対して本格的に働きかけていこうというふうなことで行動を起こしている段階」でございまして、関税化やむなしというふうな判断は現在しておらないところでございます。
 いずれにしても、そのような報道がなされることは諸外国に対しまして我が国の方針について誤った印象を与えまして、今後ラウンドの交渉における我が国の立場に悪影響を与えかねないものでございますので、大変好ましくないことだ、こういうふうに思っておるわけでございます。したがいまして、関税化時期の延期とか関税等の削減
幅の緩和など、こういうことを現在考えているわけではございません。
#224
○喜屋武眞榮君 自由化が実現した場合、国民生活の中で大混乱が起こるということは、これは火を見るよりも明らかであるわけですが、その場合、自由化によって日本の農業が、農は国のもとというこの柱はれっきとして揺るぎない、この国のもとの農業が自由化の風によって大混乱、あるいはなぎ倒されるといういろいろなことが想像されるわけですが、具体的には自由化によって我が国の農業はどのようにゆがんでくる、混乱を起こしてくると認識しておられるか、もう一遍お聞きしたい。
#225
○政府委員(上野博史君) 先ほど来あるいはけさほど来、大臣初めここにおります一同お答え申し上げておりますように、この米の問題あるいは農産物の貿易問題につきましては国会決議の趣旨を体して交渉しているということでございます。今の御質問は、そういう我々の交渉の対応の状況、対応ぶりからいたしまして非常にお答えがしにくい、それによりますいろいろな影響の問題があるわけでございまして、お答えがしにくいわけでございます。それからまた、現実的な問題といたしましても、どういうような条件を考えてそういうような計算を行うのかというふうに考えてみても、問題は必ずしも簡単ではないわけでございまして、非常に想定のしにくい問題だというふうに考えております。
 ただ、今、委員お話がございましたように、極めて一般的、定性的に申し上げますれば、食料の安定供給であるとか、今お話のございましたような長い伝統のある我が国の農業あるいは農村あるいは地域経済というものに対しまして多くの問題を生ずるだろうということは懸念をされるわけでございます。
#226
○喜屋武眞榮君 どうもすっきりした満足のいく御答弁がないことを残念に思いますが、時間ですのでこれで一応終わりたいと思うのでありますが、どうかこの問題真剣に、だれがどう聞いてもそれはこうなんだ、こう考えているんだとずばりと言ってもらえる、その真剣さが欲しいんです。何かしら生暖かい風がそよいでいる、こういう印象がいたします。もっと真剣に、国民の声をしっかり受けとめて答えてもらいたいということを要望いたしまして、終わります。
#227
○新間正次君 ガット・ウルグアイ・ラウンドに関しましては諸先生方からいろいろとお尋ねをいただきましたので、私は簡単に触れさせていただきますけれども、アメリカとECの交渉の結果の中で、ダンケル案の中で合意した駆け引きの中に、ECは極東地域の牛肉の輸出に補助金を使わないというアメリカとECの何か秘密協定が取引材料にされたのではないかなというようなうわさを耳にしておるのでございますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#228
○政府委員(眞鍋武紀君) そのような報道がなされておるようでございますが、けさほど来御答弁申し上げておりますように、米・EC合意の内容につきましては新聞発表等で把握した限りの情報でございます。現在ジュネーブにおきましてその詳細について説明を求めている段階でございます。できるだけ早く正確な情報を把握して、把握した段階で適切に対処してまいりたいと思っておるところでございます。
#229
○新間正次君 ぜひそのことはよろしくお願いしたいと思います。そして、くどいようでございますけれども、日本としてはあくまでも米の市場開放には反対するという態度で対処していただきたいと思います。
 さて、私のふるさとであります愛知県にはきんさんぎんさんという大変有名な双子のおばあちゃんがいらっしゃるわけでございますけれども、あのお二方の生き生きとした生活をしていらっしゃる様子というのにこれだけ世間が関心を持っているということは、すなわち来るべき高齢化社会への関心の高まりと全く無関係ではない、そういう感じがするわけでございます。
 中でも全国の農山漁村地域における高齢化というのは都市部よりも二十年早く進んいると指摘されておりますし、愛知県もその例外ではないわけでございまして、事態を大変深刻に受けとめているわけでございます。老人医療もその分充実させていく必要もあるわけでございますけれども、無医地区の多くは過疎化の進む農山漁村に集中しているような気がするわけでございます。
 もちろん、関係各位の御努力によりまして、厚生省の資料をいただきましたところによりますと、昭和五十九年から平成元年の五年間で無医地区というのは全国で百八十八カ所の減少があったことは承知しております。しかし、愛知県のように逆に八カ所増加してしまった県もあるわけで、愛知県以外にも無医地区の減少が見られなかった都道府県というのがかなり存在している。ということは、地域によってかなり格差があるということなんですね。
 そういう意味において指導と助成を行うべきではないだろうか。また、そのような地域において都市部以上にホームヘルパーの派遣あるいは福祉サービス、これは大変重要な課題だと思いますけれども、この二点について厚生省の方の御見解、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#230
○説明員(今田寛睦君) お答え申し上げます。
 山村それから離島を含めました僻地におきます医療の確保につきましては、昭和三十一年から順次僻地保健医療計画を策定いたしまして、僻地中核病院あるいは僻地診療所の整備、それから巡回診療の実施、僻地勤務医師等の確保などの施策を講じてまいったところでございます。
 平成三年度からは第七次僻地保健医療計画に基づきまして実施をしておるわけでございますが、新たに診療所がございましても診療時間が限られておりましたりあるいは診療日数が少ない、実質的には十分な医療が確保されにくいという地区につきましては無医地区に準ずるという形で確保の充実を図っておるところでございます。また、医師の確保が大変に困難でございまして、大学病院などから一定の期間医師を僻地診療所へ派遣いたします僻地勤務医師等確保事業というものを始めることにいたしまして、医師の確保にも努めることといたしたところでございます。今後ともその推進方努力をしていきたいと考えております。
#231
○新間正次君 もう二点お尋ねいたします、これは農水の方で結構でございますけれども。
 就農政策についてなんですが、農村部の高齢化の問題の一端として、当然のことながら若い農業後継者の方の不足の問題があるわけです。フランスでは青年農業者自支援助金制度、DJAという制度、奨学金のようなものだと思うんですが、これを導入して若年農業者の就農促進に積極的に取り組んでみえる、かつ一定の成果を上げておるわけでございます。日本においてもこの制度に倣うようないわゆる自支援助金制度を創設すべきであると考えておりますけれども、その御意見をお伺いしたいということ。
 もう一点は、他業種から農業への転職を希望する方が最近少しずつではありますけれどもふえてきております。そのような方々に対して地域によっては役場あるいは農協を中心に積極的に情報を提供してみえるわけでございますけれども、農水省においてもそのような方々への情報提供サービスをされておるそうですけれども、余り一般的に知られていない、PR不足もあるのではないかなということ、そして全国各地の情報をオンラインで結ぶということにして、さらに充実したものをお考えいただけないだろうかということでございますが、いかがでしょうか。
#232
○政府委員(高橋政行君) まずお尋ねの、フランスには青年農業者自支援助金というようなものがあるではないかということでございますが、確かにこういうような制度がございまして、直接就農青年に交付するということが行われております。これについてでございますが、我が国のこういった農業助成体系がどんなふうになっているかということでございます。
 補助金は集団とか組織、そういうようなものに大体助成をしておりまして、そのほか個人経営と
いいますか、個人に対しては融資であるというような助成政策を今までとってきているということ。それから、これと裏腹の関係にありますが、したがいまして、我が国では特定の職業につくことに対しまして国が直接個人補助をするというような制度が今までなかったということ。それから、助成金の交付を受けるということが就農青年者あるいは納税者という観点から見て、いわゆる心理的にもなるほどというようなことになるのかどうかというような問題がございまして、我が国ではなかなかなじみがたいということではないかというふうに思っております。
 我々といたしましては、そもそも青年農業者を育成確保していくためには、何といいましても青年にとって農業、農村を魅力あるものにしていくということが大切であると思っております。このために、従来から農地の集積等を進めていくとか、あるいは生活環境の整備を行うとか、あるいはいろんな生産施設の共同利用施設に対する助成をするとかというような形での施策を講じてきたところでございます。
 今年度においては、さらに個々の青年の皆さんの就農を促進するという観点から、農外からの新規参入青年も含めまして意欲ある青年を対象にいたしまして無利子の青年農業者等育成確保資金というものを創設したところでございます。
#233
○政府委員(入澤肇君) 後段の御質問に対してお答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたとおり、農業従事者が減少するとか高齢化の進展の中で、私ども農政の担当者としましては、農業の担い手の確保というのが一番大きな問題であります。農業が単に農家の後継者のみによって担われるのじゃなくて、職業として国民一般に選択されるようにするためということで、新規就農者の参入を大いに歓迎しているところでございます。
 このために昭和六十二年に全国農業会議所内に全国新規就農ガイドセンターというのを設置いたしました。それから各都道府県農業会議に窓口をつくりまして、新規就農に関する農地情報、売り情報、買い情報、あるいは貸し借りの情報、そういう情報の収集整理をする機能を付与し、新規就農希望者に対する情報提供をするほかいろんな相談に乗っております。新規就農ガイド事業と言っておりますが、やっております。
 この結果、昭和六十二年度には相談件数が延べで九百九十四件、相談者数は六百五十七件、これは初年度少なかったんですが、年々増加してまいりまして、平成三年度には相談延べ件数が二千百八十九件、それから相談者実数は千二百四十八名というふうに増加しております。ただ、この中から就農しましたのは五年間で百四十名と非常に少ない状況でございます。
 このように新規就農が、相談は来るんだけれども必ずしも円滑に進んでいないというのは、一つはPRが十分なされていなかったということもございます。ことし初めて各中央紙に「農業をやってみませんか」というような新聞広告を出したようなぐあいでございまして、PRが十分でなかった。
 それからもう一つは、新規就農を希望する者に応じた取得可能な農地、これは農地情報が適切に提供されなかったということ、それから農業というのは相当な研修が必要なんですが、そういう意識がなくて、ただ農地を取得すればすぐ農業に入れるんだというふうな軽い気持ちで来たというふうな方もかなりあります。そこで、研修等のフォローアップ体制も十分に整備しなくちゃいけないということでありまして、平成五年度からはこういう情報を今御指摘のとおりオンラインで結ぶような予算も要求中でございます。
 一層PRの強化に努めると同時に、対策を強化して新規就農者の便に資してまいりたいと考えております。
#234
○新間正次君 大変よくわかりました。ぜひPRを徹底してやっていただきたいと思います。
 それから、愛知県の野菜の現状と課題についてお話をお伺いしようかなと思っておったんですが、いろいろ聞いてみますとこれだけで二時間ぐらいかかるという話だそうでございますので、これは割愛させていただくことにいたしまして、とりあえずアクロポリス構想でございますけれども、これは現時点までの進行状態で結構でございますので、簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。
#235
○政府委員(入澤肇君) アクロポリスというちょっと聞きなれない名前なんですけれども、農業支援機能集積構想というふうに言っています。
 これは、農業を支援する諸機能、研究開発機能、例えば食品の加工に関する研究、それから情報通信機能それから教育研修機能、こういうものを地域的に集積することによりまして先進的な農業の核とするような地域振興対策を図ろうというものでございます。
 この構想につきましては、平成三年度から各都道府県が行うアクロポリス構想の策定を支援するための調査予算を組みまして、全国十八地域で現在実施しております。まだ調査が完了した地域がございませんので、この調査の完了を待ちまして各都道府県の構想の取りまとめを行い、その後で具体的には構造改善事業等既存事業の積極的な活用によりまして事業の推進を図っていきたいというふうに考えております。
#236
○新間正次君 いずれにいたしましても、このアクロポリス構想というのは大変広大な計画だと思いますけれども、ぜひ実現に向けて努力をしてほしい、そう願って、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#237
○大塚清次郎君 私は、質問通告をいたしておりましたが、順序をひっくり返しましてガット・ウルグアイ・ラウンドの農業交渉に関連して簡単にお聞きをいたしたいと思います。
 実は、ただいままで委員会の中でこの問題は集中的に質問があり、議論を聞いておりました。かなり重複部分がございますので、質問通告事項とは少々かけ離れますが、このガット・ウルグアイ・ラウンドに対して我々がなぜ三度の国会決議に裏打ちされた米の自由化阻止を一生懸命やっているかというと、今度の例外なき関税化というのは、私は非常に将来不安で、そして大きな禍根を残す、どうかすると日本の農業が安楽死するという結果をもたらすと思います。
 これは決して私の思い過ごしでもないと思います。先ほど林さんから出ましたあのわけのわからないいわゆる政府の内部文書、これを見てみますとよく解説してあると思うんです。こういうことは、私は外務省のさっきの本よりも、これはやっぱり私どもがよくPRしなきゃならぬ。我が国のいわゆる米を中心にしたそういう農産物を守るという立場から、私は褒めてさしあげたい。
 そしてまた、農水省の事務方は、塩飽さんにしましても事務次官初め農水省にしましても、このスタンスはしっかりしておると思うんです。非常に御苦労なさっておるということに私は本当に感銘してずっと見詰めておるわけでございますが、一つ、渡辺外務大臣の発言、これが非常に波紋を呼んでおるようでございます。また、どうも確信犯じゃないかと思われる節がある。こういうのは一粒も入れないではいかぬじゃないか。一粒もという言葉を外務大臣が使っておるが、我々は使っていないんです。もう五万トンぐらい入っているでしょう。そんなものはみんな承知なんですよ。それを殊さらに強調するのは何か意図があるのかということ、条件闘争への。こういうことが考えられます。
 それから、関税の壁をつくればいいじゃないか、ミニマムアクセスだって三%から五%でなだらかにやっていけばいいじゃないかという議論が非常に世論形勢になっているというようなことがあるわけでございます。そういう意味では五項目に要約してありますこの政府の内部文書というのは非常に正鵠を射ておる、こう思います。ですから、そういうスタンスであくまでも貫いていくべきだと思います。
 外務省があればいいんですが、逃げたのか帰っ
たのか今おりませんけれども、実はそういう政府部内が意思統一をしてありますと言いながらなかなかそうは見えない。いろいろな発言なり、いろいろなそういったような漏れ出てくることからいたしますと、特に外務省にしっかりしてもらわなきゃならない。貿易のインバランスがあるから、それによって米を開放しないと今後報復を受けるんじゃないかとか、そういったようなバランス感覚があり過ぎて非常に困る。それがあり過ぎると米を私は守れないと思います。
 そういう意味で、そこまではいいんですが、私は非常に不安がそのほかにあるということを申し上げたい。これは農林省はお気づきであるかどうか。恐らく知っておられると思いますが、この内部文書の要旨のほかに、日本人の食生活に向く好適米は割合カリフォルニアの一部とどことかに限られておる。あとは全部長粒米だ、東南アジアとか。それからもう一つ、ミシシッピ湾岸は長粒米であって、これはなかなか余計はできぬ、マイナーな食料だ。だからそう恐れることはないというようなことが喧伝されておりますが、これはすぐできるんですね、好適米は。戸を日本があけたらすぐできるということでございます。
 というのは、欧州の日本食はほとんどスペイン米、スペインにいいのができる、日本米とちっとも変わらぬのが。日本より以上のものも場合によってはできる。そういうのが世界各国につくられている。アメリカだけじゃない、これが問題。ここの非常な懸念というものを我々はよく持ち続けなきゃならぬという問題。
 それからもう一つは、先ほど触れられましたが、これにも書いてあります低品位米、低品位米は化け物の材料として、調製品としてこれは入ってくるおそれがある。これはもう早急に入ってくるおそれがある。もう開放すればすぐに入ってくる。これは今ありますのは数は知れておりますけれども、まずモチ米二十五万トン、それから他用途利用米等でつくっておる五十五万トンですか、恐らく百万トンぐらいすぐこれは入ってくる。これは関税を高くしても関税では防ぎ切れないという問題がある。
 関税払ったらいいわけでしょう。そして、結局内外価格差もフレートで操作できる。いろいろ為替相場も変わるから非常に不安定ということがあるわけでございます。C&FでCIF価格で入ってくるのと日本の卸価格の対比ですから、これがどうなるかという問題。これには触れてもありますが、もっと潜んでおるのは、私は今度のECとアメリカの間の油糧種子を中心にした秘密交渉、これがまだどういうところが隠れておるか出てきません。出そうともしません。恐らくこれは外に出せないいろいろな何かがあるんじゃなかろうかと。
 そういう点もあわせ考えますと、公正なるべき、公平なるべき、ガラス張りであるべきマルチ交渉の中に秘密交渉とはこれは何事ぞ。そういうウルグアイ・ラウンドを、世界の自由貿易を表に出して非常にきれいごとに見えるわけでございますけれども、実際はアメリカの穀物メジャーの世界穀物市場支配の意図がこの秘密交渉の中に見えてきている。私はそう考えます。
 私も外国にもしょっちゅう行きまして食品取引等にも携わっております。これは今思い出すと日本にも関係があることが過去にやられておる。昭和三十八年のレモンの自由化で瀬戸内のレモンは全部だめになった。これはレモンをコストを無視してディスカウントして一遍に持ってきた。そして日本のミカン産地を、レモンの産地をつぶしておいて、だんだんだんだん価格を調整していったという、いわゆる生産者から中間業者そしてメジャーと、この垂直の体系なんですね、向こうは。こっちのように家族経営じゃございませんから。そういう面から言うと今度の例外なき関税化、これは非常に危険だ。あれ、しまった、あら、しまったということになりかねぬという非常に不安が残るわけでございます。
 そういったようなことで、私はこの際内部文書なるものもしっかり表に出して、そしてしっかり国会議員にもみんな知らせ、そして今のような隠れた懸念、そういうものもよく分析しながらこれには対応しないといかぬのじゃないか、こう思います。外務大臣はそういうことを恐らくおわかりだと思いますが、どうして条件闘争なんて言われるのか腑に落ちません。農水省は条件闘争じゃない、あくまでも初志を貫くという立場で、例外なき関税化反対を本当に固く武装して構えてもらっておりますので、最後までひとつやっていただきたい。
 時間がないので答弁を求めません。私の言うことにもし違うことがあればひとつ官房長答えてください。
#238
○政府委員(陣内孝雄君) ただいま大変農政の専門家としての御卓見を拝聴いたしました。よくこれを心にしまいながら今後の農政に誤りのないように努めてまいりたいと思います。
#239
○大塚清次郎君 今度は本題に入りますよ。
 一つは新農政プランでございます。これも立派な労作ですね。そして長い間農水省の内部検討会、それから懇談会、あるいは農政審という正式機関、そういうもので苦労されて出されました六月のいわゆる新農政プラン、これが公表されました。これはやっぱり基本法農政からの転換として私どもは非常に期待を持っておる。またそういうつもりでおつくりになったと思いますが、これは「二十一世紀に向けての農政の道しるべ」というサブタイトルがございます。
 しかし、中身を見てみますと、体系的に、あるいはその中のバランスを見てみますとコンパクトなものとは言えない。欠けるもの、足りぬもの、それはこれから検討していくんだ、それで検討しながらつけ加えていって、そして政策は重要度、緊急度をはかりながら継ぎ足していくんだよ、いきますよ、政策、制度を。こういうことでございますので、今後にずっと続いていくと、私はこの新農政プランを一読してそういう受けとめ方をいたしております。
 しかし、これは初めから完璧なプランがあって、そしてわかりやすい道しるべが示される方が一番望ましいわけでございますが、今のようないわゆるプランは継ぎ足し、そしてそこから出てくる実際の制度、政策は五月雨手法でいくんだよというようなこと。だから、受け側にとっては非常に全体像としてそのものずばりでつかみにくい嫌いがあるんではないかと思いますが、これは官房長はどうお考えになりますか。
#240
○政府委員(上野博史君) 今、大塚委員のお話しございましたように、この新政策の考え方というのは、十年ぐらいの先を見通して今後の我が国農業の置かれている環境条件であるとか、いろいろな基本的な要素というものを考慮に入れて進めるべき方向を示したというものでございまして、極めて大筋についての政策体系を並べ立てたものだということはそのとおりでございます。
 この体系でございましても一年余りの時間をかけて、私の口から言うのもあれでございますが、やっとまとめ上げた次第でございまして、もちろん、願わくは全体としての政策体系を細部にわたってお示しできるということが好ましいということは言うをまたないというふうに思うわけでございますけれども、何はともあれ新しい政策の方向づけをはっきりさせて、国民の皆様の御批判も仰ぐということを急ぐ必要があるだろうということでこういうまとめ方をさせていただいたという次第でございます。
#241
○大塚清次郎君 わかりました。
 それで次に、質問の本論に入る前に一つ伺っておきたいのは、このプランは現在の国境措置をほぼ維持していくということを前提にしてつくられておりますか、どうですか。
#242
○政府委員(上野博史君) そのとおりでございます。我々の主張を背景にいたしております。
#243
○大塚清次郎君 それでは、まずプランニングの問題に入りますが、先ほどから言っておりますように、この「政策の展開方向」というのが大体主になっておりますけれども、これは水田を軸とします平場農業に非常なアクセントをかけてあります
ね。そして、しかも望ましい経営像なり経営体像を示しておられますが、我が国の急峻な地形からして分散錯圃の縮図になっております中山間地帯、この展開方向には余り触れられていない。この大きなポケット、偏り、これをどのように埋めていくかが今後のプランニングのポイントだと思いますし、もう一つ、今のような中山間地、都市近郊、それから平地、これだけの類型でとらまえていく。
 一方ではそれとクロスする作物類型についても、水稲作の望ましい経営像というものほかなり出ておりますけれども、例えば経営規模をこれだけにするとか、複合の場合はこうするとか、あるいは担い手はこうする、営農手段をこうするということでありますが、一方、畑作、畜産、果樹、野菜、こういうものについてはこれからだよということをちょっと書いただけなのでございます。
 だから、そういう二つの面からのプランニングはやっぱり今後早急に整えていかなきゃならぬということ、これについてはどういうお考えですか。
#244
○政府委員(上野博史君) 今のお話は大体そのとおりでございまして、私ども、今の我が国農業の現状を見ました場合に、土地利用型の農業というのがやはり高齢化の現象によりまして先行き非常に心配があるという、そこに一番不安を感じているわけでございまして、この点についてとりあえず早急に対応策を考えていかなければならぬだろうというふうに考えだということが、今お話のございましたようなこの新政策の特色にあらわれているというふうに考えます。
 しかしながら、畑作その他畜産、畑作は土地利用型農業でございますけれども、これについては、北海道と南九州、沖縄というこの地域の畑作を頭に置いた畑作の生産性向上指針というようなものをつくりまして、自民党と一緒になりまして鋭意勉強をした成果もございますので、これをその一つの位置づけとしてやってまいりたいと思っておりますし、あと畜産、野菜等につきましては、さらに追っかけて必要な作業をいたすというつもりでおります。
#245
○大塚清次郎君 そういうことであればぜひそういうふうに進めていただきたいと思いますが、今の答弁の中からちょっと気になることが一つ。
 今の畑作、中山間地、これはこの程度の施策で救えましょうか。恐らく私は、これでは農業は林業ともどもどうかすると安楽死すると見ております。この程度の弱いプランあるいは施策ではとてもやっていけない。ですから、せっかく今からやるならば、今までの既存のものを一遍はっきり見直して、例えば社会保障的な視点、これを入れていかないととてもやっていけないと私は思います。荒れてしまってからでは遅いと思いますので、そこは例えば中山間地帯は景観地帯で残す、国土保全地帯で残すということであれば、ドイツにも軽いデカップリングという制度がありますね、私も勉強に行きましたが。何かそういうひとつ所得政策に社会保障的な視点、これを組み入れないと私は中山間地は生きていけないと思います。それをひとつぜひお考えいただきたい。
#246
○政府委員(上野博史君) 先ほどの私の答弁で申し上げるべきことだったのが落ちたわけでございますけれども、私ども確かに中山間地域の農業のあり方というものを真剣に考えなければならないというのは委員の御主張のとおりだというふうに考えております。言うなれば平場の土地利用型の農業をどうするかという問題と双壁の大きな問題だというふうに理解をいたしておりまして、農政審議会の中に二つの小委員会をつくって今検討いたしておりますけれども、一つの小委員会の方をこの問題のために当てているという状況でございます。
 確かに、農業だけで今後中山間地域の活性化が図っていけるのかどうかということにつきましては問題もあるわけでございまして、林業をあわせて考えていく、あるいはそれ以外の就業の場を導入していく、あるいは地方都市とのアクセスもよく推していくという、事と次第によりましては私どもの所管を超えまして各種の施策にまで検討の対象を広げて考えてまいりたい、かように努力をしているところでございます。
#247
○大塚清次郎君 どうぞひとつよろしくお願いします。
 それからもう一つは、今までいろいろ申し上げましたけれども、このプランは平成二年を基準にして、それで平成四年はもうじき過ぎますね。あと八年でしょう。非常に短期なんですね。二十一世紀につなぐためにこの体制をとってしまうということは、これはなかなか容易じゃないと私は思います。容易じゃないというのは、そういう方向に行くについてかなりのタイムラグがある、農林省の考え方に。それから、財政的に今のシーリングの中で果たしてやれるかという問題がある。二つの大きな阻害要因があります。これからの八年間ずっとプランと政策を継ぎ足していかれるのか。いつごろまでに、どういう段取りで、それからこの政策体系づくりをいつごろまでに、どういうように。
 また、その優先順位等がありますね。優先順位というのは、経営体をつくるにしても、経営体像を描くにしても、受け手にとって例えば平地農業だと面積の集積、構造政策が先行しないとやっていけない。今非常に農家が困っておる。そしてここまで日本農業が追い込まれたのは、価格政策、切り下げ政策をどんどん進めて、並行して構造政策も進めようとしたけれども、やっぱり日本特有の財産の保有観念、それから分散錯圃を集約するということはなかなか難しいといったような点から構造政策が進んでいないんです。しかし、これを進めないと経営体ができない。経営体ができないと経営像は描けないという問題がある。
 ですから、この点をこの期間の中でどうするかということについては、やっぱり現場感覚をよく吸い上げて、農政審議会だけじゃなくして、今の農水省の事務方以上にベテランはいないのだから、現場感覚を十分プランと政策に反映させる手だてを講じてもらいたいと思うんですが、どうですか。
#248
○政府委員(上野博史君) 政策の具体化のスケジュールについてでございますけれども、私ども予算的に申し上げれば、平成五年度の予算というのが最初のチャンスでございます。これにつきましては、概算要求の中にかなりなものを盛り込みまして、特に構造政策的な見地からの施策に重点を置いて予算要求をいたしておりまして、この年末の予算編成に当たりましても最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 ただ、新政策の方向づけというのはなかなか幅が広く、かつ奥行きの深いものがございまして、来年度予算あるいは次の通常国会に出すことを予定して今検討いたしております法制度、こういうもので及ばないものについてはさらに中山間地域の関係を中心にしまして、これは難しいものですから時間がかかるということをお許しいただきたいわけでございますが、さらに今平成六年度をにらんだ作業も必要だというふうに考えて取り組んでいる次第でございます。
 その際、具体化につきましては、それぞれの地域の状況というものを十分に把握して対応して考えていかなければならないということにつきましては、まさにそのとおりでございまして、これまでも大臣初め我々の省の幹部が各地に出向いて直接農業者の方々の御意見をいただくというような努力をいたしております用地方農政局という組織もございますので、今のようなお話に沿うようにできるだけの努力をしてまいりたい、かように考えております。
#249
○大塚清次郎君 最後に要望です。
 実は、あと八年の間にどうしても曲がりなりにも望ましい経営体を、経営像をつくっていかなきゃならない。地帯類型別に、あるいは作物類型別にしていかなきゃならないという大きな制約があるんです。その制約の中で、プランニングをずっと継ぎ足していく、それから施策を五月雨式に出していくということになると、たちまち八年は過ぎてしまう。そうすると、その間に農家はだんだん参ってしまうと思うんです。高齢化は進ん
でいく。担い手はふえません、今の状況では。
 ですから、なるべく急がねばなりません。せっかく「二十一世紀への道しるべ」が出たんですから、これは期待しておりますよ、農家は。出なきゃ期待しないのに、出ましたから期待しております。この切実感を踏まえていただき、特に担い手のやるせなさというのをよくわきまえていただきまして、シーリングを外した別枠予算をとっていただかねばなりません。どうぞそういう気概で官房長、頑張ってください。
 以上です。
#250
○委員長(吉川芳男君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#251
○委員長(吉川芳男君) 次に、先般本委員会が行いました農林水産業の実情調査のための委員派遣につき、派遣委員の報告を聴取いたします。
 第一班の報告をお願いいたします。永田良雄君。
#252
○永田良雄君 委員派遣の御報告を申し上げます。
 去る九月十六日から十八日までの三日間にわたり、新潟、福島両県におきまして、農林水産業の実情を調査してまいりました。派遣委員は、吉川委員長、三上理事、佐藤委員、谷本委員、新聞委員、星川委員、それに私、永田の七名であります。なお、新潟県において稲村委員が現地参加されました。
 以下、調査の概要について申し上げます。
 最初に参りました新潟県は、米、大麦を初めとする農産物供給基地として全国的にその地位は高く、特に米に関しては、コシヒカリなど良質米の産地として知られ、その収穫量は全国第二位であり、県の農業粗生産額の約七割を占めるなど、県農業の中心を担っております。一方、水田の整備率は全国水準より低い状況にあります。このため、県は、圃場整備事業の進展に努めるとともに、広大な耕地や高速交通体系等の優位性を生かした良質米を中心とする総合食料供給基地の確立を目指しております。また、地域はもとより都市住民からもオアシスと言われるような魅力あるふるさとづくりを目標として、高生産性稲作システムの確立、複合営農の推進、活力と安らぎのある地域づくり等の施策を推進しております。
 林業につきましては、造林及び林道等の生活基盤の整備がおくれており、また、県内に新潟港、直江津港等の外材輸入港があり、外材と競合することや、資源的制約などから、木材の生産は停滞傾向に推移しております。このため、県では健全で生産性の高い森林の育成、林産物の需要拡大と産地化の推進等に努めております。
 水産業につきましては、漁業経営体数、就業者数とも年々減少し、就業者の高齢化も進んでいるため、県では資源培養型漁業を基調とする水産業の振興を柱に施策を推進しております。
 これらを踏まえ、県当局から、米の市場開放阻止、総合的な構造政策の推進、次期水田農業確立対策の、ゆとりある需給計画に基づく策定と、転作等目標面積の良質米生産県に配慮した配分、農村地域の定住条件の整備、中山間地域等条件不利地域に対する自然的、経済的な制約を緩和する施策の充実強化等の要請がありました。保次に、視察いたしました主な箇所について申し上げます。
 まず、大和町藪神地区におきまして、圃場整備事業及び稲刈り状況を視察いたしました。本地区は既整備地でありますが、湿田が多く、機械化に対応できない状態であったため、大型機械化体系の促進と農地の集団化による経営構造の改善を図ることを目的に、平成元年から平成八年までの予定で事業が行われております。今回は、稲刈り状況も視察してまいりましたが、本年八月現在の新潟県の水稲の作柄は、作況指数一〇一の平年並みであり、生育状況は、五月から六月にかけての低温によりおくれぎみで経過しましたが、その後の好天により回復、草丈が短目でありますが、穂数は平年より多目であるとのことです。
 次に、こしじ農協力ントリーエレベーター及び大豆加工処理施設を視察いたしました。当農協には、現在二基のカントリーエレベーターが設置され、ブロックローテーションを組んでいる米、麦、大豆が一括処理されております。また、転作作物の加工による高付加価値化と規格外大豆の処理を図るため、平成三年度に大豆加工処理施設が導入され、豆腐、豆菓子などを生産しており、町の小学校や保育所にも供給され、地域の特産品として評価が得られているとのことであります。
 次に、豊栄市の圃場整備事業を視察いたしました。本地区は、大区画の汎用化水田を造成するとともに、土地利用の集積を図り、安定した農業経営の確立と近代化を図ることを目的とし、昭和六十二年度から平成四年度の工期で行われたものであります。ちょうど稲刈り作業が行われているところを調査することができ、農家の話では、稲の生育状況は順調とのことでありました。
 本調査団は、新潟県での日程を終えた後、福島県に入りました。
 福島県では、積雪地域から冬期間温暖地域までの気象差や、中山間地域等の標高差など、変化に富んだ豊かな自然環境のもと、多様な農業経営が展開されており、国内有数の農業県としてその地位は高く、農業は県の基幹産業として位置づけられております。農業粗生産額の内訳では、米が約四割を占め、依然、基幹作物となっておりますが、近年、野菜、花卉等収益性の高い作物への転換を積極的に進めているところであり、また、古くから葉たばこ生産や養蚕業も盛んで、全国の主要生産県となっております。
 林業につきましては、林野面積が県土面積の約七割を占める全国第四位の森林県であり、県では、林業生産基盤整備の推進、国産材産地づくりなど各般の施策を総合的に推進するとともに、キノコや山菜等の特用林産物の振興を図るため、バイオテクノロジーを活用した新品種育成事業等を推進しております。
 水産業につきましては、海面漁業、養殖業の生産量は全国第七位に位置づけられますが、近年、漁業関係者の高齢化が進むとともに、漁業経営体数が減少傾向にあり、加えて国際規制が強化されるなど厳しい状況にあることから、とる漁業から。つくり育てる漁業への転換を積極的に進めております。
 これらを踏まえ、県当局から、新しい食料・農業・農村政策の確立、次期水田農業確立対策への円滑な移行、酪農及び肉用牛の経営安定、農業農村整備事業の推進、林野公共事業の推進についての要請がありました。
 次に、視察いたしました主な箇所について申し上げます。
 まず、会津桐本工場を視察いたしました。只見川流域などに生育する会津桐は、冬の寒さのため木目が密で美しく、高値で取引されてきましたが、そのほとんどが他県に移出され、桐材の産地でありながら桐製品の産地になり得ない状況でありました。当事業は、過疎対策とふるさと立て直しを目的とする「ふるさと運動」をもとに樹立された「三島町振興計画」の中核的事業として、伝統的な生活工芸品づくりと、地域資源を生かした地場産業づくりを目標に、昭和五十八年度から実施されたものであります。近接の物産館では、工場で生産された桐製品が販売されており、会津桐の美しい木目を生かした見事な桐たんすが並んでおりました。
 次に、磐梯カラー生産組合を視察いたしました。当組合は、ホウレンソウの連作障害を回避するため、高冷地に適し、ホウレンソウ用のハウスも使用できるカラーを、その組み合わせとして導入したことに始まります。ハイブリッド品種として様々な種類のカラーを育成しており、その技術は高く、万国花と緑の博覧会に出品した作品は最優秀賞を獲得し、また、ハーグで行われた国際博覧会では第三位に入賞したということです。
 次に、福島市西部農協管内のリンゴ団地を視察いたしました。当団地では、昭和五十八年に転作促進対策事業、転作定着化促進事業を導入、リンゴ園の集団化と経営規模拡大を進め、農業生産増大による所得の向上を図っております。近年、鳥獣類による農産物被害が各地に広がっております
が、当団地では、猿等による被害防止のため、共同で電気牧さくを設置しておりました。
 最後に、福島市野田農協管内の西洋ナシ生産農家を視察いたしました。西洋ナシは昭和の初めごろ福島県に導入されましたが、調査農家では、昭和三十五、六年から先駆的に導入、当地区の西洋ナシ栽培のリーダーとして活躍されております。当農協においては、商品価値のない小玉、変形果の有効利用を図るため、缶詰の生産を行うとともに、西洋ナシを原料とするワインの製造を酒造会社に委託、本年三月から生産を開始し、高い人気を得ているとのことであります。
 以上が、今回視察してまいりました新潟、福島両県における農林水産業の実情の一端でありますが、本報告の中で詳細に触れることができなかった現地の要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただくようお願いを申し上げます。
 最後に、今回の調査に当たって特段の御配慮をいただきました方々に心から感謝申し上げ、報告を終わります。
#253
○委員長(吉川芳男君) 次に、第二班の報告をお願いいたします。浦田勝君。
#254
○浦田勝君 引き続きまして、第二班の委員派遣の御報告を申し上げます。
 去る九月八日から十日までの三日間にわたり、菅野理事、林理事、鎌田委員、稲村委員、矢原委員、それに私、浦田の六名で、鹿児島、熊本両県におきまして、農林水産業の実情を調査してまいりました。
 以下、その概要について御報告申し上げます。
 最初に参りました鹿児島県におきましては、まず、県当局から本県農林水産業の概要について説明を聴取いたしました。
 農業については、温暖、多雨な気象条件と広大な畑地を生かし、近年、畜産、園芸を中心とした農業生産が伸びており、特に、カンショ、豚、ブロイラーは全国第一位、茶、肉牛は全国第二位の地位を占めております。しかし、農家戸数の減少は全国平均の減少テンポを上回り、本年三月策定の「鹿児島県農業・農村のビジョン」により、二十一世紀に向けて農業が明るい展望を切り開き、「食の創造拠点かごしま」の形成を目指すとともに、若者が自信と誇りを持って定着できる活力あふれる農村の建設を進めることとしております。
 また、林業については、森林面積が県土の六四%を占め、全国一の竹林面積を有する本県では、平成二年、竹材が全国第一位、タケノコも全国第二位のシェアを占めております。しかし、外材を初めとする産地間競争の激化、林業担い手の減少・高齢化、多様化する森林へのニーズなどの諸問題に対し、本県林業の振興を図るため、林業経営の活性化、木材産業の振興と木材需要の拡大、特用林産物の産地づくり、新たな技術開発の推進、多様なニーズにこたえる森林づくりの諸施策を推進しております。
 水産業については、本県では、カツオ、マグロの遠洋漁業、イワシ、アジ、イセエビ等の沿岸・沖合漁業、ブリ等の養殖業であり、また、本県の特に伝統的水産加工品であるかつおぶしは全国第一位であります。しかし、国際漁場の規制の強化や水産資源の減少、漁業従事者の減少・高齢化、水産物に対する消費者ニーズの多様化や海洋性レクリエーションの関心の高まりなどに対応し、本県水産業の振興と漁村の活性化を図るため、つくり育てる漁業の推進、多様な流通加工体制の整備、これからの漁業を支える新技術の確立、漁業経営の安定と活性化、活気に満ちた漁港・漁村の整備の諸施策を推進しております。
 鹿児島県におきましては、「新しい食料・農業・農村政策の方向」の展開、農産物の市場開放阻止と農業振興施策の強化、桜島火山対策の充実強化等について要望がありました。
 以下、視察先の概要について申し上げます。
 まず、最初に参りました鹿児島県バイオテクノロジー研究所は、バイオテクノロジーを核とした地域の発展を目指す「大隅バイオポリス構想」の一環として、本県農業バイオテクノロジー研究の先導的かつ中核的役割を担う機関として平成二年四月に設立されました。国際研究プロジェクトにも参画し、積極的に取り組んでおります。
 次に、一市二町に広がる笠野原地区畑地かんがい事業は、畑地かんがいの実施とともに、集中豪雨から農地を守るため農地保全事業と農道整備事業を総合的に実施し、経済性の高い作目を計画的に導入して生産性を高め、畑作農業の飛躍的発展を図るものであります。昭和三十年、国営第一号として採択された本事業実施の結果、現在、花木の栽培面積が飛躍的に伸びております。
 次に、昭和四十八年に制定された活動火山対策特別措置法等に基づき、活動火山周辺地域防災営農対策事業が実施されておりますが、参りました桜島町では、主に桜島特産の小ミカンが果樹ハウスで栽培され、木骨ハウスが積極的に導入されております。
 次に、三町にまたがる鹿児島県県民の森は、昭和五十九年第三十五回全国植樹祭を記念して設置されました。千ヘクタールの園内には、森林学習展示館、屋久杉が提示されている巨木の館、自然薬草の森やレクリエーション施設等多くの施設が設置され、杉、ヒノキの人工林、シイ、カシの天然林が茂り、年間約十五万人の人々がここを訪れているとのことであります。
 最後に姶良郡中央家畜市場に参りました。昭和三十一年に誕生した姶良郡畜産農業協同組合連合会が本年三月の広域合併であいら農業協同組合となったことに伴い、本年八月、あいら農業協同組合畜産事業部として合併発足しました。現在、営農指導業務、家畜市場業務、牛・豚肥育センター運営、養鶏業務、農用馬業務が行われておりますが、視察当日も牛の競り市が開催されて活況を呈しておりました。なお、平成三年度の家畜取扱額は約八十七億円であります。
 鹿児島県を後にして熊本県に参りました。
 熊本県当局から説明聴取した本県の農林水産業の概要につきましては、中核農家数が北海道に次ぎ全国第二位、基幹的農業従事者、農業専従者も全国第二位と恵まれておりますが、近年、青年農業者、新規学卒就農者数とも大きく減少し、農家戸数も減少を続けております。
 農業粗生産額では、近年、野菜、花の伸びが大きく、平成二年、野菜の粗生産額が一千億円を超えましたが、水田の圃場整備に比べておくれている畑地の整備が今後の課題とのことでありました。
 林業については、本県は、杉、ヒノキの素材生産量が大きく、林業県の地位を占めておりますが、杉、ヒノキがそのほとんどを占める人工林は、十六年生から三十五年生が約八割と偏り、間伐が重要課題となっております。また、木材需要拡大の方策として、くまもと型新木造住宅「郷の匠」の工法普及、新JASの普及促進や乾燥材の安定供給体制の確立等により、県産材の需要拡大に取り組んでおります。
 水産業につきましては、有明海、不知火海及び天草西海の三海域に区分され、それぞれ特色ある漁場を形成しておりますが、漁業就業者の高齢化と後継者不足が深刻化しております。海面漁業及び板ノリ、クルマエビなどの海面養殖業の生産額は、平成二年度で六百六十八億円でありますが、今後はぜひとも一千億円の大台に乗せたいとの発言がありました。
 熊本県におきましても、新しい食料・農業・農村政策の確立、米の市場開放阻止、平成三年度台風十九号による風倒木被害等の二次災害防止対策等について要望がありました。
 以下、視察先の概要について申し上げます。
 最初に参りました本県球磨郡錦町は、本年八月に襲来した台風十号の直撃を受けた地域であり、本町被害総額は、実に六億二千四百万円余りとなっております。現地では、台風被害を受けたリンゴ、桃、クリを目の当たりにしましたが、昨年の台風十九号と二年続けて台風被害を受けた関係者の落胆は大きいものとなっております。
 次に、熊本県森林組合連合会球磨事業所は、既存の系統木材販売市場の施設がないばかりか、本地域には五万ヘクタールの要間伐株分があり、こ
れら間伐外分から生産される木材の案出荷体制を整え、系統森林組合の林産事業の推進と地域林業の振興に資するため、昭和五十七年度から木材共販所が設置されております。しかし、住宅建築戸数の減少、台風被害の風倒木による供給過剰等により、ことしに入り杉、ヒノキとも価格が大幅に下落しております。
 次に、熊本県農業研究センターは、それまでおった十一の試験場と二つの研究指導所を組織的に一元化し、試験研究を総合的かつ効率的に推進する研究体制として平成元年に発足したものであります。これまでの主な研究成果として、水稲の優良品種の選定や果樹、イグサ、畜産等の育成を初め、全国でもトップクラスにある受精卵移植技術の開発を行ってきております。
 最後に視察いたしました熊本県農業公園は、県農業研究センターに隣接し、県民の農業理解の場の創出、自然・緑に親しむ憩いの場の提供、農業情報発信基地の創出の三つの機能を通じて、本県農業の振興に寄与することを基本理念として、昨年八月に開園されました。二十三・二ヘクタールの園内に四つのゾーンから成っておりますが、特に、アグリ・パビリオン(農業館)において、農業の重要性を理解し、また、本県の農産物のよさを認識してもらうための展示を、小学校高学年程度を対象とした内容で行っております。既に満一周年で約六十六万人の利用がありましたが、これは開園七年後の五十七万人という目標を大きく上回っております。
 以上が今回の調査の概要でありますが、なお、両県における要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載していただくようお願い申し上げます。
 最後に、今回の調査に当たり、特段の御配慮をいただきました方々に心から感謝の意を表しまして、御報告を終わります。
#255
○委員長(吉川芳男君) 以上をもちまして派遣委員の報告は終了いたしました。
 なお、ただいまの報告にありました現地の要望につきましては、それぞれを本日の会議録の末尾に掲載することといたします。
    ―――――――――――――
#256
○委員長(吉川芳男君) 次に、請願の審査を行います。
 第五三号農業農村整備事業の推進に関する請願外二十件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会で協議いたしました結果、第五三号農業農村整備事業の推進に関する請願外九件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一一三三号米の輸入自由化反対に関する請願外十件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#257
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(吉川芳男君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(吉川芳男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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