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1992/12/08 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 内閣委員会 第1号
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1992/12/08 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 内閣委員会 第1号

#1
第125回国会 内閣委員会 第1号
平成四年十二月八日(火曜日)
   午前九時開会
    ―――――――――――――
  委員氏名
    委員長         守住 有信君
    理 事         板垣  正君
    理 事         田村 秀昭君
    理 事         穐山  篤君
    理 事         喜岡  淳君
                石川  弘君
                永野 茂門君
                藤江 弘一君
                村上 正邦君
                森山 眞弓君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                瀬谷 英行君
                大久保直彦君
                吉田 之久君
                聴濤  弘君
                高井 和伸君
                寺澤 芳男君
                赤桐  操君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     藤江 弘一君     世耕 政隆君
     小川 仁一君     上山 和人君
     瀬谷 英行君     山口 哲夫君
 十二月八日
    辞任         補欠選任
     世耕 政隆君     藤江 弘一君
     山口 哲夫君     瀬谷 英行君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         守住 有信君
    理 事
                板垣  正君
                田村 秀昭君
                穐山  篤君
                喜岡  淳君
    委 員
                石川  弘君
                永野 茂門君
                藤江 弘一君
                村上 正邦君
                森山 眞弓君
                翫  正敏君
                上山 和人君
                瀬谷 英行君
                山口 哲夫君
                大久保直彦君
                吉田 之久君
                聴濤  弘君
                高井 和伸君
                寺澤 芳男君
   国務大臣
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  岩崎 純三君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣  伊藤 博行君
       官房内政審議室
       長
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       内閣法制局第二  秋山  收君
       部長
       人事院総裁    弥富啓之助君
       人事院事務総局  丹羽清之助君
       管理局長
       人事院事務総局  吉川 共治君
       任用局長
       人事院事務総局  森園 幸男君
       給与局長
       人事院事務総局  山崎宏一郎君
       職員局長
       国際平和協力本  柳井 俊二君
       部事務局長
       総務庁人事局長  杉浦  力君
       総務庁行政管理  増島 俊之君
       局長
       防衛庁参事官   高島 有終君
       防衛庁参事官   河路 明夫君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁人事局長  秋山 昌廣君
       防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
       防衛庁装備局長  中田 哲雄君
       防衛施設庁労務  荻野 貴一君
       部長
       経済企画庁調整  柳沢  勝君
       局審議官
       外務省アジア局  池田  維君
       長
       外務省中近東ア  小原  武君
       フリカ局長
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省国際連合  澁谷 治彦君
       局長
       大蔵省主計局次  武藤 敏郎君
       長
   事務局側
       常任委員会専門  菅野  清君
       員
   説明員
       外務大臣官房人  谷内正太郎君
       事課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
 査並びに国の防衛に関する調査
 (国際平和協力業務の実施状況についての報告
 に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(守住有信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、瀬谷英行君及び小川仁一君が委員を辞任され、その補欠として山口哲夫君及び上山和人君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(守住有信君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(守住有信君) 御異議ないと認め、さよ
う決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(守住有信君) 一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府側から順次趣旨説明を聴取いたします。岩崎総務庁長官。
#6
○国務大臣(岩崎純三君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本年八月七日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府といたしましては、その内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与等に関する法律について所要の改正を行うこととし、ここにこの法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、俸給表のすべての俸給月額を、人事院勧告どおり引き上げることといたしております。
 第二に、初任給調整手当について、医師等に対する支給月額の限度額を二十八万五千円に引き上げること等といたしております。
 第三に、扶養手当について、子、孫等に係る扶養親族の要件を、満二十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までとすることといたしております。
 第四に、調整手当について、民間賃金等の極めて高い地域に係る支給割合を百分の十二とすることといたしております。ただし、平成五年四月一日から平成六年三月三十一日までは百分の十一とすることといたしております。
 第五に、住居手当について、借家等居住者に対する手当の支給月額の最高限度額を二万六千円に引き上げること等といたしております。
 第六に、通勤手当について、片道十キロメートル以上自動車等を使用して通勤する職員に対する支給月額を、自動車等の使用距離に応じて六千五百円から二万九百円までの範囲の額に引き上げることといたしております。
 第七に、宿日直手当について、所要の改善を図ることといたしております。
 第八に、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について、限度額を日額三万六千八百円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、施行期日、適用日、この法律の施行に関し必要な経過措置等について規定することといたしております。
 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職の職員の給与改定にあわせまして、特別職の職員の給与について所要の改定を行うこととするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額を、一般職の職員の給与改定に準じ、引き上げることといたしております。
 第二に、常勤及び非常勤の委員に支給する日額手当の支給限度額を、一般職の職員の給与改定に準じ、引き上げることといたしております。
 以上のほか、施行期日、適用日等について規定することといたしております。
 以上が、これらの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#7
○委員長(守住有信君) 宮下防衛庁長官。
#8
○国務大臣(宮下創平君) ただいま議題となりました防衛庁の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案の例に準じて防衛庁職員の給与の改定を行うとともに、自衛官俸給表の陸将、海将及び空将の欄または陸将補、海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官にも調整手当を支給することとする等、所要の改正を行うものであります。
 すなわち、参事官等及び自衛官の俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を一般職の職員の給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても改定することといたしております。
 また、自衛官俸給表の陸将、海将及び空将の欄または陸将補、海将補及び空将補の(一)欄の適用を受ける自衛官以外の自衛官には、これまで調整手当に相当する金額を平均化して俸給に織り込んでまいりましたが、近年、民間における賃金、物価及び生計費が特に高い地域における要員の確保が困難となってきていること等にかんがみ、これらの者のうち、当該地域に在勤する者にも一正の支給割合の調整手当を支給することといたしております。
 以上のほか、附則におきまして、施行期日、適用日、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定いたしております。
 なお、事務官等の俸給、扶養手当、医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、一般職の職員の給与等に関する法律の改正によって、同様の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#9
○委員長(守住有信君) 以上で三法案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○山口哲夫君 本来なら、私どもの理事の喜岡さんの方から給与法の基本的な問題について入るはずだったんですけれども、ちょっと日程の都合がございまして、最初に私の方から各論から先に入らせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 まず、官民較差の解消問題でございます。人事院の方にお伺いいたします。
 九二年の人事院勧告の最大の問題点は何かといえば、賃上げ率が二・八七%と極めて低額に終わったことだと思っております。その理由はたくさんありますけれども、二つほど申しますと、まず一つは、民間で行われている初任給の上昇に伴う在職者調整などの、春闘とは別原資で措置される賃上げ分の把握が昨年に比べて減っていることが一つ。もう一つは、期待されておりました官民比較方式の改善が不十分に終わったことだ、こんなように思います。せっかく昨年の人事院勧告で官民給与の比較改善が初めて実は触れられておりまして、非常に公務員にとっては期待されていたところでございますけれども、残念ながらことしの勧告、報告を見ますと、ほとんどそれが反映されてない。これはまことに残念でなりません。来年人事院勧告を行う場合には、この官民比較方式の改善が抜本的に行われることが私は絶対に必要なことでないだろうか、こう思います。
 最近、公務員の受験の状態を見ておりますと、非常に希望者が減っていることが目につきます。昭和五十五年、三十二万五千六百九十三人が、十一年目の平成三年度は何と四二%も減って十八万六千九百七十九名と、公務員希望者がこんなに極端に減っているということは、やっぱり私どもはこの給与の点に問題が非常にあるのではないだろうか、こんなように思わざるを得ません。
 公務員の社会的な価値というのは非常に私は高
いと思いますし、そういう点から人材の確保に常に努力をしていく必要があるのではないだろうか。そのためにも、この官民比較の企業規模、こういったものを再検討するべきである、こんなように考えますけれども、これに対する人事院のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#11
○政府委員(弥富啓之助君) 民間企業の調査対象事業規模、これをどの程度のものとすべきかということでございますが、これについてはいろいろと従来から御議論がございます。公務の組織や人員の構成等から見まして大企業と比較すべきであるという御意見、あるいは一方では、これは前にもございましたが、まあ小規模企業まで含めるべきではないかという御意見等もいろいろあったわけでございます。
 御承知のとおり、現行の企業規模百人以上、それから事業所規模に五十人以上という基準をとっているわけでございますが、これについて申し上げれば、まあ会社組織の民間企業の常雇いの従業員で約六割をカバーしているというところでございまして、これにつきましては大方の御納得を得ているものではないかと考えております。
 これは検討をしていかなければならない問題でございますけれども、仮にすぐ比較対象規模を五百人あるいは千人というようにいたしました場合に、県によりましてはそういう対象となる県内企業というものが非常に少ない場合、極端に減少する場合もあろうかと思われますし、また一方、国の官署が県内の郡部等にも多く立地をしているということをいろいろと考慮いたしましたときに、果たしてそのような対象による民間企業の準拠ということで、五百人あるいは千人というような規模で大方の納得が得られるかどうかといった問題もございまして、これについては、調査対象規模の問題についてはもう少し慎重に検討をさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
#12
○山口哲夫君 企業規模で百人、事業所で五十人、公務員は大体五十万人以上いらっしゃるわけです。これは比較対象するにしては余りにも小さ過ぎるんじゃないでしょうか。特に、郡部等の話も今ありましたけれども、公務員というのはもうしょっちゅう転勤するわけですからね。いつまでもその地域にとどまっているわけではないので、やっぱり大都市にも来るでしょうし、そういうことを考えると余りにもこの対象人員というのは少な過ぎる。私どもは最低でもこれは千人以上くらいの規模を対象にすべきだと言っておりますけれども、百歩譲ったとしても五百人以上くらいは対象にしなければならないんじゃないだろうか。
 しかも、企業規模百人というのは何にも根拠がないんですね、科学的な。三十年近く何にも変化していない。そして公務員の地位というのは年々向上しているわけですから、私は人事院勧告制度の信頼性を高める上からも、この辺について根本的にやはり改める必要がどうしてもある、そういうふうに思います。ぜひ来年度に向けて検討していただきたい、こう思いますけれども、検討する余地はあるでしょうね。
#13
○政府委員(弥富啓之助君) ただいま先生の言われました五百人以上の問題、これは御承知でもございましょうが、今年は一部につきまして、また昨年度は本省庁職員も、これは四級以上でございますが二十三区の五百人以上の本店の同職責の従業員と比較をしているというように、我々としても明白に比較対象においてちょっと差が出ているというようなところは、毎年毎年これは検討をしていかなければならないというふうに考えておりました。
 また、今言われました企業規模の問題、これは人事院におきましてもいろいろな参与会あるいは懇話会等で民間の有識者といろいろと御意見を聞く会を持っておりますので、その会の中におきましてもいろいろな御意見がございますから、それを取り入れて慎重に検討をしてまいりたい、かように考えております。
#14
○山口哲夫君 企業関係の意見を聞くのは、それはそれなりに結構ですけれども、一番肝心の対象になる公務員の意見を聞いておく必要があると思うんです。そういう点で公務員関係の労働団体だってあるわけですから、そういうところの意見も聞いて、三十年間全然変化がなかった世の中じゃないんですから、これは全然検討しないということにはならないと思うんですね。ですから、少し慎重にいろいろな分野から検討するという決意くらいはお聞かせいただきたいと思います。
#15
○政府委員(弥富啓之助君) ただいまの委員の御意見を十分に参考とさせていただきまして検討させていただきたい、かように考えます。
#16
○山口哲夫君 ぜひお願いしたいと思います。
 次に、官民比較の要素の中に、勤続年数というのを取り入れていただきたいと思います。例を係長職に求めてみますと、国家公務員の係長というのは平均して四十七・三歳、三十五万一千四百二十円。ところが、民間は何と六歳も若くて四十一・三四歳、六歳も若いのに逆に四十万五千百七十二円というふうに五万四千円も若い方が高いと、こういう非常に矛盾した問題があるわけです。民間というのは非常に若くして役職につくという、そういった傾向だと思うんですけれども、こういうふうに単に職種だけで比較するということになると、やっぱり差が出てくると思いますので、これは勤務年数も加味しまして、年齢も少しそろえて比較をしていかなければ矛盾が当然出てくると思うんですけれども、どうでしょうか。
#17
○政府委員(森園幸男君) 御承知のとおり、現在の官民比較に際しましては、給与決定の主要な要素になっております条件をそろえて比較するということでございまして、今御指摘のありました勤続年数は入っていないわけでございますが、職務の種類、責任の度合い、学歴、年齢、勤務地、そういうものを同じくする者同士を比べて積み上げていく、そして較差を出す、こういう方式でございます。それで、勤続年数の実質的なかわりをなす。ものといたしまして、年齢を用いているわけでございますけれども、同じ係長でも年齢が違えば官民ともに年齢も同じ者同士を比べる、そして積み上げていく、こういう方式でございますので、ある意味では入っているわけでございます。
 ただ、年齢と勤続年数というのはイコールではないというのも事実でございまして、何ゆえに勤続年数が取り入れられていないのかということでございますけれども、勤続年数といいますのは、賃金台帳の上でなかなか記載されているものではございません。私どもは、御案内のように早期勧告という要請もございまして、おおむね連休明けから六月半ばぐらいまでに調査を終えなければいけませんので、その中で七千七百事業所を調査するということからいいまして、個別の職員の勤続年数とか属性の隅々まで調べるのは、同じ帳簿でないものですからまた履歴書をひっくり返すとかいろんな作業がありまして、とても能率的に調査ができないということで年齢をもって代替させておると、こういう次第でございます。
#18
○山口哲夫君 全企業を対象にしてやるといえば、こういった係長職だけを取り上げて隅から隅まで検討するというのはそれは時間もかかるでしょうけれども、しかし今申し上げたように、これ常識で考えたって、同じ係長で六歳も民間が若いのに五万四千円も民間の方が高いといったらだれが考えたっておかしいなという感じがしますよ。適当な企業を幾つか取り上げて、一度対象を制限してもいいですから検討してみたらいかがですか。こういったことが結局人事院勧告そのものを低くする、そういった要素の一つにも私はなっていると思うんですよね。
 ですから、さっき言ったように、公務員希望者が少ないということは案外こういうところにも一つの原因があるのかもしれません。同じ大学を出て、企業と官庁に入ったけれども、企業の関係はもうすぐ係長になって給料も五万も高い、そんなような状態が続いたらこれはやっぱり公務員よりは民間の方がいいわということになりかねないと思うんですね。この辺の矛盾というものをもう少し洗い直してみる必要があると思うんです。それは大変だと思いますよ、膨大な検討をするといえ
ば。ですから幾つかの企業というものを対象に、こういう矛盾のあるような企業を対象にしてでも一度検討してみたらいかがでしょうかね。
#19
○政府委員(森園幸男君) 公務員の給与は職務と責任に応じてこれをなすという建前でございますから、私どもの調査の名目も、職種別民間給与実態調査というふうに称しているがごとくでございますが、したがいまして役職昇進が早い者と、いわば早く係長になった者とおくれて係員である者との間で違いが生ずるのはやむを得ないというのが建前でございます。
 今、いろんな角度から調べてみたらどうかということでございますが、一つの大きな調査の中で一部を調べて即何らかの反映をするということはなかなかできないわけでございますから、もしやるとすれば別に試みにやってみるということにしかならないわけでございます。時間的余裕なりその労力と能率というのがどういうものかということを想像はできるんですけれども、機会があればそういう手順もやってみる必要があるかなという感じは持っております。
#20
○山口哲夫君 ぜひ機会をとらえてやってみてください。何も民間の春闘が終わってからそこだけを検討しなくたって、割に暇なときを見計らって、こういう問題だけを特別に調査するということだってやって悪いごとではないと思います。そういう基本的な調査をしておけば、春闘が終わった後でどういう変化が出てくるかということはわかるわけですから、その辺、先ほどおっしゃったように一度ぜひ検討していただきたいと思います。
 それでは次に、配分の問題に入りたいと思います。
 ことしの配分というのは初任給と若年層に重点を置いたというふうに見受けられます。人事院に言わせますと、中堅層、三十五歳前後にも配慮したと、こう言っておりますけれども、実はそのもう少し上の中堅層以上、四十歳代に非常に問題があるということです。ちなみに、一九八八年と九二年の高卒初任給に対する三十五歳、四十五歳の指数を調べてみますと、一九八八年、十八歳の一〇〇、それを四年後の九二年も一〇〇としますと、三十五歳の方は八八年は二〇七・五が四年後には一九一・一と一六・四%も減っているわけですね。ところが、四十五歳になりますともっと減るんです。二九七・八が二六八・七というふうに二九・一、約三〇%も減っているということになります。四十五歳の人が四年間で三〇%も差が縮まるというそういう問題が出ております。
 四十五歳くらいの人というのは一体生計費はどうかと思って調べてみますと、教育費に一番金がかかっていますね。教育費の平均、昭和六十二年を四・三にいたしますと四十歳から四十九歳までが七・五で、これはもうずば抜けて年齢別には一番高い。それから平成三年度、これは平均が四・三に対して四十歳から四十九歳までは七・八というふうに、これまたほかの年代から見ると倍以上高いんですね。このくらい教育費に金がかかるということが言えると思います。
 それから、一世帯当たりの月平均の消費支出、これを調べてみますと、やはり昭和六十二年を平均一〇〇といたしますと、平成三年度が平均で一二八・四、二八・四%上がっていますけれども、年代別に見ますとこれまた四十歳から四十九歳というのは二九・四というふうにほかの年代よりもずっと高い。余り時間がないんでこの程度に資料はしておきますけれども、とにかく四十歳代の教育費に占める金額というのは大変大きいために一カ月の生計費もほかの年代から比べると非常に高いということが言えると思います。
 そういう点から見ますと、民間の初任給に追いつくことばかり重視するんではなくして、もっと生活の実態というものを見て配分してみてはいかがだろうかと思うんですけれども、どうでしょうか。
#21
○政府委員(森園幸男君) 各層の職員それぞれ自分たちの層のところという要求が強いわけでございますが、今先生おっしゃいました中堅層の四十歳代に対する対策ということでございますけれども、ここずっと民間の求人意欲が旺盛でございましたから初任給が異常な上昇、伸びてまいりました。したがいまして私どもも人材確保という観点から初任給についても相応の措置をせざるを得なかったわけでございます。同じ給与体系の中で初任給を上げますと、逆転もさせてはなりませんので、どうしてもそれに続く層に逆転しない程度の措置はやらざるを得ないわけでございます。そうすると、改善原資の中でございますからおのずとほかに回る分が少なくなってしまうという循環がございまして、同じような現象は大方の民間企業でも見られていると言われているわけでございます。
 そういう中でございますが、私どもも例えば、俸給表の上ではおのずと限度がありますけれども、昨年子供に係る扶養手当を各千円、仮に二人おりますと二千円引き上げたということでありますとか、本年は子供の扶養手当の支給年齢を上限十八歳から二十二歳に引き上げたというように、個別的な教育費なり生計費需要というものを諸手当を含めた給与体系全体の中で、できるだけ考えていこうという限りの手は尽くしているということでございまして、そういう配慮は今後とも必要であると、こういう認識をいたしております。
#22
○山口哲夫君 扶養手当を上げられたことに対しては私どもは高く評価をいたします。しかし、それはやっぱり一部分ですよね。一カ月五千円上がった程度でございまして、教育費を見ますと、何と教育関係費を含めると七万一千四百八十円もかかっているわけですから、やっぱりそういう点では扶養手当を上げたということはその一部にすぎないということに私はなろうと思います。
 ぜひひとつこれからも、今お話があったように、民間の方も確かにそういうところは低いかもしれないけれども、公務員給与というのはほかの民間企業に対しても非常に大きな影響力を持ってきますから、民間の方々もその辺の人たちが非常に苦しいということの不満があると思うんですよ。ですから、公務員が先鞭をつけてそういうところはきちっと直すことによって、一番働き盛りですからね、四十代といったら。そういう人たちが意欲を持って働けるような形をむしろ人事院の方から私はつくり上げていくためにも一度検討をしていただきたい、こんなように思います。
 それから、配分の全体像、将来像、そういうことをきちっと今申し上げたようなことも含めて示しまして、関係団体と十分話をして合意と納得を得ながら進めることを特にこれは希望をしておきたいと思います。
 せっかく官房長官いらしておりますので、官房長官に。
 超過勤務の問題ですけれども、人事院勧告の中で超過勤務をもっと縮減しなさいということが政府に提案されております。御存じだと思います。政府は現在のこの公務員の超過勤務の実態を、どうもきちんと把握していないのではないだろうかというように思われてなりません。政府の方としては専門家会議で検討するというふうに聞いておりますけれども、過去にも何回もこういうことは政府の口から言われてきたんですけれども、それが一向に効果が見られない。本当に真剣に取り組む気があるのかなというそんな心配が公務員の中に非常にたくさんあります。
 どうかそういう意味で、超過勤務の縮減目標をきちんと示して、各省庁が一斉にこれに取り組む方式をぜひ官房長官にとってほしいと期待をするわけですけれども、いかがでしょうか。
#23
○国務大臣(加藤紘一君) 山口先生御指摘のように、この問題は極めて古くて極めて新しい問題でございまして、いつまでも実態が直らないところがございます。しかし、人事院の方からこういうような御意見をいただきましたので、今度のようにはっきりと具体的なポイントを指摘されながら言われたことはまた初めてだったと思いますので、我々もそれを受けて真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
 現に、御指摘を受けた直後に、私みずから出席しまして各省の官房長に集まっていただきまし
て、この超過勤務の実態を、どうしても必要ならば仕方がないけれども、どうしてもでないような部分というのは少しあるはずだと。そこは徹底的に見直そうと。簡単に言いますと予算、各省合い議、国会待機、この三つが実は中央官庁の超過勤務の原因の最たるものなんです。予算のときには延々と徹夜するというのがならわしであり、また一種の誇りでもあったりする。しかし、本当に生活大国の時代ですからどこまで必要なのか。
 それからもう一つは各省合い議ですね。これは権限が絡むものですから、一字一句の文章づくりのために延々と係長、課長補佐レベルが三日、十日、一カ月とやるケースというのは時たまございます。したがって、やはりそういう権限の問題は係長レベルだったら何日までにはやってしまいなさいと。そこで決着しなかったらすぐ課長に上げなさいと。どうしても各省で決着つかなかったら内閣官房で引き取りますからというところまで具体的に今度は指示していこうと。そうしないと直らぬです。
 それからもう一つ、最後に国会待機というのがございまして、これは御質問をいただく事前にちょっと御説明いただくということは、緊張した国会審議という意味からはない方がいいのだろうと思います。しかし、現実にこう御質問を受けて事実関係にわたる部分を急にここで調べて御答弁しても、これは時間がかかりますから、ある種のそういう事実関係に基づくものは事前に調査させていただいた方がいい。できれば前の日のおてんとうさまが明るいときにやっていただきますと早く終わりまして、実はきょうの答弁のためにも朝七時まで徹夜した役所が膨大にあります。というのはこの委員会ではございませんよ。委員会が花盛りでございますので。そういった意味での国会での御協力もぜひお願いしたいと考えております。
#24
○山口哲夫君 ぜひ官房長官が中心になって、各省庁一斉にできるように、大分合意欲を持って検討されているようですから、努力をしていただきたいと思います。
 私、実はこの問題、二年前にちょうど内閣委員会におったときに取り上げまして、各省庁の超過勤務を見て実はびっくりしました。これが事実だったら過労死が出ない方が不思議だと思うくらい大変でした。それで、そのときに国会の方にもやっぱり責任もないわけじゃないんで、一時間でも二時間でも早く質問を出すようにしようじゃないかと呼びかけたこともあります。私もきのうあたりは、もう午後の、それこそ明るいうちに通告いたしましたけれどもね。そういうことで我々も努力しますけれども、ぜひこれはなくなるように努力してほしいと思います。
 それから、超過勤務はきちっとやったものは払ってください。ただ働きしているのが随分ありますからね。これは事実ですから、その点もぜひお願いしておきたいと思います。
 あと五分ぐらいしかありませんので、官房長官、せっかく御出席なので、国際先住民の問題についてちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 実は、私もアイヌ問題関係の仕事をやっておりますので、ぜひここだけは聞いておきたいと思います。
 来年は御承知のとおり国際先住民年です。それでアイヌの人たちが我が国の先住民であるということをきちっとまず認めることから始まらなければならないと思います。これはどういう角度から検討しても認めないわけにはいかない、そういう理由が三つあります。
 一つは、明後日十二月十日、ニューヨークの国連本部で一九九三国際先住民年の開幕式典が行われることになっております。そこに日本のアイヌ民族を代表して北海道ウタリ協会の野村理事長が招待を受けております、国連から。そして国連の席で各国の政府代表を前にして演説をすることになっております。ですから、国連自体が日本のアイヌ民族というものが先住民であるということをはっきりと認めているということがまず第一。
 二番目には、我が国も外務省の予算から国連の先住民基金というものに毎年支出をいたしております。これは外務省と交渉したときに、あなた方ちゃんとこうやって認めているじゃないですかと言ったら、まあそれは出していることは出しているんですけれどもというようなあいまいな返事でしたけれども、実際に先住民基金というものに出しているわけです。
 それから三つ目には、昭和六十二年五月十五日の衆議院の沖縄及び北方問題に関する特別委員会で、我が党の五十嵐広三議員がこういう質問をしております。「北方領土にはもともとアイヌの人たちが先住していたことは、だれしも認めているところであります。」と、どう考えるかということに対して、当時の山下国務大臣が「おっしゃるとおりで、これは定説になっております。」と、こう答えています。さらに五十嵐議員が「北海道本島についてもアイヌが先住していたということは、これもまあ否定すべきこともないと思うのですが、いかがですか。」ということに対して、これに対しても「それもまた定説であると認識しております。」と答えております。
 ですから、アイヌの人というのは、これは国連でも認めているし、我が国の政府の方としても、先住民であることはそれはもう当然のことでありますと認めているのに、今度の先住民年を明年に控えているのに、依然としてまだ政府の方としてははっきりと認めていないというのは、これはどういうことなんですか。
#25
○国務大臣(加藤紘一君) 御指摘でございますけれども、国連の方でも、先住民というのはどういう概念で、どういう定義であるかということを問い合わせると、そこがはっきりしていない、まだ決まっていない。そうすると、どうして先住民関係の式典、会議に招待状を出したりなさっているんですかということをまたぎりぎりとこちらも参考のためにお聞きしますと、かつていろんな会合にそういう意識であるとおっしゃって、オブザーバー参加された先例のある方に、いろんなルートを通じて御招待を出しておりますというようなことで、今度世界の先住民のための国際年の開会式典に野村さんがお呼ばれになっていますけれども、それも国連からの直接の招待状じゃなくて間接的なものである。
 そこまできますと、政府も今慎重に検討しておりますのは、先住民の概念て何だろうかといいますと、これはどういう権利義務との関係を議論するんだろうか、この両方が絡んでおりますので、今のところ結論が出てないような状況でございます。
#26
○山口哲夫君 それはおかしいですよ。残念ながら時間がもう来ましたので、アイヌ民族を先住民として認めないなんというのは、これは国際常識から逸脱しておりまして、世界先住民族会議一九八四年のコボ報告書にもちゃんとありますし、ILOの百七号条約あるいは百六十九号条約、これは全部きちっと国際的に先住民の定義というのははっきりしているんですから、国連に聞いたというのであれば、そんな回答が来るはずがないと思うので、いつだれがどなたに聞いたのか、これは後から教えてください、外務省からでも。こんな答弁じゃ納得できないですよ、これは。もう日本は笑い物になりますよ。野村理事長はあっちへ行ったら当然、残念ながらまだ我が国ではアイヌ新法も制定されておりません、我々がこんなに要求しているのに政府は全然動こうとしないという演説くらいは私はするんじゃないかと思うんですよ。これは国際の立場で、これは全く日本というのは一体何をやっているんだと笑い物にされると思うのです。まだ来年まで若干時間ありますから、これは私は急いでほしいと思うんです。
 そして、特にアイヌ新法の制定について三年かかっているんですよ、官房長官の下で内政審議室が中心となって。三年間一体何をやっていたかというんですよね。道庁の人たちの意見を聞きました。それで道庁だけ聞いたってだめだろうと、問題のアイヌ民族に聞きなさいと、学者に聞きなさいと随分言いましたよ。そうしたらようやく腰を上げてアイヌ民族の人に何回か聞いた。しかし、話を聞いたら全く幼稚な話しか聞いてくれないと
いうのですよ。何を勉強しているんだろうかといって聞かれた方がびっくりしていましたですよ。私この間会ったら、アイヌの地名を全然知らないですわ。本当に間違って発言している。
 だから、そんなことでアイヌ問題真剣に考えているなんてとても考えられない。三年かかっているんですからね。これは加藤官房長官に期待しますので、あなた在任中に、特に来年中にはぜひ私はこの新法の制定を、原案だけでもつくって、そしてなるべく早く国会に提案をしていただくように、その努力をされることを期待しますけれども、いかがでしょうか。
#27
○国務大臣(加藤紘一君) いろいろな御意見を承りながら慎重に検討してまいりたいと思います。
#28
○山口哲夫君 みんなそう言うのですがね、非常に残念でなりません。森山先生いらっしゃるけれども、あなたが官房長官のときにようやくこの問題に踏み切ってくれたんです。研究会をつくりましょうということでようやく踏み切ってくれた。これは一年ぐらいである程度の結論が出るんだろうなとみんな期待したわけです。国際的にも、今政府は検討しておりますということをおっしゃるようになった。あれから三年一体何をやっていたんですかね。これはもう不信感しか残らないでしょうね。こんなことで我が国が経済大国なんて、とても恥ずかしくて言えるものではありません。我が国が本当に国際的に誇れるためには、まずそういう人権問題だけはきちっと解決をしていくことが先決だと思います。その代表がこのアイヌ民族を先住民として認めること、そしてアイヌの人たちが本当に安心して生活できるようなアイヌ新法をつくることだと思います。決意をお聞かせください。
#29
○国務大臣(加藤紘一君) その点を含めまして検討してまいりたいと思います。そして、できることできないことの結論を引き延ばすことなくはっきり早く出さなきゃいけないということだろうと思います。
 また、アイヌ新法ということが仮に、今のところできてないわけですけれども、そういうことがなくても、また諸般のいろいろな検討がまだ結論できなくても、例えばアイヌ文化を広めること、紹介すること、それから人々の生活に関すること等につきましては、積極的に施策を講じてまいりたい、こう思っております。
#30
○山口哲夫君 終わります。
#31
○喜岡淳君 官房長官にお尋ねをいたします。
 通常国会が一月召集にかわっております。給与法案は今審議をいたしておりますけれども、ことしは臨時国会があるものですからここで給与法の改正審議をやっております。しかし、毎年毎年臨時国会が秋にあるかどうかというのは、これは確定した問題ではありません。
 そこでお尋ねをするのですが、国会が開かれていない場合に人事院勧告が出てきたとき、給与法改正を一体どうするのか。政府は、常会の一月召集に当たって、その措置について検討するという答弁をずっと続けておられますけれども、どのような検討状況にあるのか。この措置について検討されておると思いますが、どうですか、検討状況は。
#32
○国務大臣(加藤紘一君) 人事院勧告をいただきまして、そして政府部内でその取り扱いを協議して、さあそこで法案をつくったけれども国会がいつ開かれるのであろうかということが不明確な場合、一体どうするか検討してないのかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、そのときどきの国会情勢を見ながら総合的に判断していかなきゃならぬというのが結論だと思います。
 国会が開かれることがすぐ予想されずに、なおかつ年末支給のときが近づいているんだというときには、例えば国会の審議をなしにこれをやったらどうかと、そういうような一つの制度を考えたらどうかという御意見も聞きます。しかし、やはり税金の取り方と公務員の給与を何ぼにするかというあたりはそれこそ民主主義がスタートした当初の話かもしれません、大げさに言えば。やはり、それは国会の御審議を経ないでやっていいことではない。
 したがって、法案をつくる、提出する側の政府と立法府との間の本当に信頼に基づいた協議をし、事によってはそういう問題点がありますよということを我々の方から提起しながら国会審議を考えていただくということまでやっていかなきゃならない、そういう筋合いのものではないか。それだけの信頼感は、今、我々政府側と立法府との間に十分あって毎年この問題は処理されていると考えておりますが、それでやっていくしかないんじゃないかと思っております。
#33
○喜岡淳君 信頼関係ということでありましたけれども、臨時国会を召集するというおつもりでしょうか。給与法の改正案を審議しなければならない、年内支給はしなければならない。やっぱり臨時国会を召集すべきだというお考えですか。
#34
○国務大臣(加藤紘一君) そういう発想も一つにあろうかと思いますし、そのときどきの情勢にょっていろいろ判断しなければならないことだと思っております。
 いずれにしろ、ここ数年の経緯を見ますとおわかりいただけると思いますけれども、人事院勧告を実施し、そして年内支給をしてきたという経緯を踏まえて、またそのときどきの財政事情でそういかなくなるような特別のケースもあろうかと存じますが、そういうときも踏まえて我が方で方針を決定し、国会の方にいろいろ我々の方の御意思をお伝えするということで、そのときどきに処理をしていかなきゃならぬことではないかなと思っております。
 いずれにしろ行政府としては、この公務員給与の問題というのは公務員の士気にもかかわりますし、争議権を制限されている代償措置という基本的な問題もありますので、重要なこととして毎年考えてきましたし、今後もそのつもりであります。
#35
○喜岡淳君 給与法の改正というのは、国会の審議ということを手続としてやらなければなりませんから、つまり法定主義でありますから、やっぱり国会が開かれなければならないというのは当然だろうと思うんですね。そこで、臨時国会なりを召集するにせよ、いずれにせよ、国会を開催しなければならないための条件というものも一方では整備をしていく必要があると思います。
 そこで、総務庁長官にお尋ねをいたしますが、私は、九月三日の委員会でも、一つの例として法律上の整備が必要ではないかという提案をいたしておりますが、今、我が国の法律では、勧告制度を定めた法律が約三百近い法律の中に書かれておるようであります。そういう意味では、これら他の法律と同様に、国家公務員法の中に、政府は人事院勧告を早期に完全実施するように努力すること、そういう努力規定、あるいは政府は人勧を尊重する規定、そういったものを書き込むことはどうなのかということについて改めて見解を尋ねたいと思います。
#36
○国務大臣(岩崎純三君) 今、官房長官から給与改定の差額年内支給の問題についてるる御答弁があったところでございます。重ねて喜岡委員から、努力規定なりあるいは法案なりつくって対応すべきではなかろうか、こうしたお尋ねもございますけれども、今日まで総務庁といたしましても、また政府といたしましても人事院勧告を受けましてその完全実施に向けまして鋭意検討を行い、法案を国会に提出してきたという経緯と実績があるわけでございまして、これらを踏まえまして総務庁といたしましては、人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力をしていかなきゃならない。そういう法案ができた場合に、国会で御審議をお願いしておると、こういうことが長年の積み重ねの中で定着をしておるわけでございます。
 したがって、こうした長い経験を踏まえたやり方が、行政の最高責任者である内閣の制度あるいは労働基本権の代償措置をなす人事院勧告制度の趣旨からして最も望ましいものではないだろうか。こういう考え方で総務庁といたしましては、今日までの経緯、実績を踏まえて、そして人事院勧告が完全に実施をされる、しかも年内に支給さ
れるよう努力をいたしていきたい、かように考えておるところでございます。
#37
○喜岡淳君 昭和五十九年の参議院の内閣委員会で、そういった人事院勧告の義務規定、尊重規定、努力規定等々のやりとりをやっておったようでありますけれども、その会議録を読んでみましても、私は非常に疑問を感じております。法律上尊重規定とか努力規定を入れようが入れまいが政府としては何ら変わりはないんだ、きちっと尊重してやるんだからという答弁を当時から繰り返しておられますけれども、私は政治的な意味は全く違うと思うんですね、法律上で書くのと書かないのと。年内支給を尊重するといったってもう一月になっているんでしょう、通常国会は。やるから、信頼関係だから信用してくれと言われたって、凍結もありましたし、やはり値切りもありました。
 それともう一つ考えるべきは、仲裁裁定とのバランスということもあるんじゃないでしょうか。確かに仲裁裁定と人事院勧告とは原資のつくり方、その仕組みの違いはありましょうけれども、例えば昭和五十六年と五十七年を見た場合、次のようなことがはっきり言えます。昭和五十六年には仲裁裁定は完全実施されておりますけれども、人事院勧告は不完全実施でございました。昭和五十七年、人事院勧告は凍結された年でしたね、この年は。しかしこの年仲裁裁定は一時金が旧ベースであったとはいえ実施されております。
 こういった問題もありますから、やはりこの際政府としては、ぜひ総務庁長官、この年内支給のルールを確立させるために政府が人事院勧告を尊重するんだと、こういうことを明記していただきますように重ねて検討をお願いしたいと思います。
#38
○国務大臣(岩崎純三君) 総務庁といたしましては、今日まで人事院勧告制度尊重という基本姿勢に立ちまして、国政全般との関連を考慮しながらその完全実施に最善の努力をいたしてまいったわけでございます。したがって、人事院勧告の実施を見送るあるいは改善率を抑制する、そういったときもあったと思います。それは国政全般を考えて、各方面から論議し、議論した上での人事院の一つの提言であったと私は思います。
 また一方では、六十一年から平成二年まで予算に全く計上されておらなかった。しかし人事院からは完全実施の勧告をされました。それを受けまして、我が方といたしましては完全実施を行ったという経緯もあるところでございまして、あくまで人事院勧告は労働基本権の代償措置である、この考え方を基本的に尊重しながら人事院勧告の制度の完全実施に向かって、これからも総務庁といたしましては最大限の努力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
#39
○喜岡淳君 一月常会に伴って、公務員の中に士気が低下することのないように、ぜひ年内早期完全実施のルールづくりについてお願いをしておきたいというふうに思います。
 それから、今のお話の中にもありましたように、国政全般との関係ということがよく言われております。ことしの閣議決定は十月二十三日、去年より一月近く早かったと思いますから、早く支給されるのではないかというのが公務員の中にも期待感としてあったというふうに思います。しかし、審議はきょう参議院で行われておるという状況であります。そこで、どうしてこういうふうにおくれてくるのか。その理由についていつも財政事情が一つ挙げられておると思います。
 これは大蔵省にお伺いをしたいというふうに思いますが、給与改善費平成三年度は一・五%の当初計上でございました。この一・五%の改善費というものがあったために予算編成上はまあまあ余裕があったんではないか、当初予算に計上されておったためにそういう効果があったというふうに思いますが、この一・五%という数字のそもそもの根拠というのはどういうところから出てきたんでしょうか。
#40
○政府委員(武藤敏郎君) 給与改善費と申しますのは、公務員の給与改定に備えるための財源措置ということでございます。この財源措置をどの程度行うかということにつきましては、従来からその時々の予算編成時におきます財政事情、これを総合的に勘案いたしまして決定されてきたところでございます。
 なお、この給与改善費の計上額がどのようなものであったかということにかかわりませず、実際に人事院勧告が出ました暁には、政府といたしまして人事院勧告制度尊重の基本姿勢に立ちまして、給与関係閣僚会議等におきまして、財政事情、国政全般との関連から検討を行って対応を決定していると一こういうことでございます。
#41
○喜岡淳君 経済企画庁の方にお尋ねをいたしますが、平成四年度の「経済見通しと経済運営の基本的態度」というものを閣議決定されておりますね、ことしの一月二十四日に。あの中で、平成四年度一人当たり雇用者所得の伸び率はどういうふうに見込んでおられましたか。
#42
○政府委員(柳沢勝君) 政府の「経済見通しと経済運営の基本的態度」におきましては、先生今お尋ねの一人当たり雇用者所得という数字そのものではございませんが、我が国全体の雇用者総数とそれから雇用者所得総額が出ておりますから、その結果といたしまして一人当たり雇用者所得というものが計算されるわけでございますが、平成四年度におきましては四%を見込んでおりました。
#43
○喜岡淳君 今のお話で四%ということでありました。経済企画庁は勤労者の所得の伸びが四%という見通しのもとに我が国の経済運営を提案されておったようでありますが、公務員についての給与改善費は一・五%しか組まなかった。これは余りにも違い過ぎると思います。確かに経済の見通してありますから、不確定要素もたくさんあって、このとおりぴったり一致するものではない、それはよくわかりますが、四%の見通しで経済運営を政府はやるんだという企画庁の方針と、大蔵省は一・五%が給与改善費なんだと、余りにも違うと思うんですけれども、そこの整合性はどういうふうに考えればいいんでしょうか。
#44
○政府委員(武藤敏郎君) 給与改善費を計上いたします場合に、あらかじめどのような率で計上したらいいかということでございますけれども、翌年度の人事院勧告が具体的にどのようになるかということを当初予算編成期に予測することは困難でございます。また、仮に何らかの方法で予測して計上するということになりますと、民間部門におきます賃金決定にいわば予断を与えるというような問題もございまして、従来から当初予算におきましてはそのときどきの財政事情等を勘案してその取り扱いを決定するということでございます。
 したがいまして、なぜ一・五%かということになりますと、財政事情等を総合的に勘案した結果であるということでございまして、この一・五という数字と給与改善率との間に特段の意味はないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#45
○喜岡淳君 給与改定に影響を与えるということを今言われました。私、前から気になっているんです、この言葉は。九月三日の内閣委員会のときにも岩崎大臣おっしゃいました。人事院というものが独立した機関である限りは、どのようなことがあろうとも冷静に人事院は対応して、科学的にデータを集積して、独立した機関として機能すると思います。総裁、そうじゃないんですか。人事院は違いますか、独立した機関で、影響をいろいろ受けるんですか。
#46
○政府委員(弥富啓之助君) 今、喜岡委員の仰せられたとおりでございます。
#47
○喜岡淳君 私は当然だろうと思いますから、これから給与法の審議に当たって、予断を与えるなどという人事院に対する失礼な発言はこれ以降もう使わないでいただきたいというふうにお願いをしたいと思います。
 最後になりましたが、来年度、平成五年度の予算編成に当たって給与改善費は一体どのくらい計上されるのか。先般、十二月四日には羽田大蔵大臣もおっしゃっております。羽田大蔵大臣こうおっしゃいましたね、当初予算の計上について言うならば、あった方が勤労意欲が高まる。そのこ
とを念頭に置いて対処したい、こういう積極的な御答弁をされておりますが、どれくらい五年度は改善費を見込んで、当初予算に計上されるおつもりでしょうか。一・五%以上当然計上されるのかなと思いますけれども。
#48
○政府委員(武藤敏郎君) 従来の給与改善費の計上率について見てみますと、御案内のとおり三年度、四年度は一・五%でございますが、それ以前五年間は計上されておりません。さらにその前には一%とか二%、二・五%といろいろと区々な数字になってございます。
 先ほど申し上げましたとおり、給与改善費をどのように計上するかということにつきましては、やはりそのときどきの財政事情等を総合的に勘案して決定するということでございまして、平成五年度の当初予算における取り扱いにつきましても、今後の予算編成過程で適切に検討してまいりたい、かように考えております。
#49
○喜岡淳君 終わります。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#50
○委員長(守住有信君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山口哲夫君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。
    ―――――――――――――
#51
○大久保直彦君 初めに弥富総裁にお伺いいたしますが、総裁になられましてから二年間経過するわけでございますが、どのような考えに基づいてこの二年間を過ごされてこられたか、まず基本的な御見解を伺っておきたいと思います。
#52
○政府委員(弥富啓之助君) 人事院総裁に就任をいたしましてから既に二年半を過ぎまして、その間給与勧告も三回行わせていただきました。公務員の処遇改善を推進させていただいたほか、おかげさまで完全週休二日制の実施や育児休業制度の導入など、種々施策を実現させていただいたところでございます。これもひとえに本委員会の委員の皆様、あるいは政府その他関係者の御理解のたまものと、この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 昨今の社会情勢でございますが、我が国経済の情勢が非常に厳しさを増しているなど、公務をめぐる諸事情も変化をしてきているところでございますが、我々といたしましても襟を正しまして引き続き公務の公正かつ能率的運営の確保と、それから職員の利益の保護等の国家公務員法に決められました人事院の使命を達成するために努力してまいる所存でございますので、よろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと存じます。
#53
○大久保直彦君 各論に入ります前に、総務庁長官にお尋ねをしておきたいと思いますが、今、同僚議員からもお尋ねがありましたように、常会の召集が一月ということになりまして、年内支給云々の問題は非常に重大な今局面を迎えておると思いますが、本年を振り返りますと、八月七日に人事院勧告が出て、その閣議決定が十月二十二日、給与法改正の閣議決定が十一月十日、そして国会の提出が十一月三十日と、余りにも時間がかかり過ぎているやに思うわけでございます。非常にひねくれた見方かもしれませんが、会期末になってこういう給与法関係が国会に出てくると、何か国会運営上のてことしてこの給与法が扱われているのではないかということを感ずるわけでございますけれども、もっと速やかにこの給与法の改正案を作成、提出すべきではないかと、このように思いますが、改めてお考えを聞かせていただきたいと思います。
#54
○国務大臣(岩崎純三君) 今、大久保先生から給与改定、人事院勧告を受けて法案を国会に提出するまで大変な時間を要しておる、このことはその都度当委員会においても各委員の先生方から厳しい御指摘をちょうだいいたしておりまするし、また、後段で国会の関係も背景にあるんじゃなかろうかというようなお話等々も出ておるところでございますが、現実の問題として人事院勧告を受けましてから、総務庁といたしましては給与関係閣僚会議を開きまして、人事院勧告制度の趣旨を十分踏まえまして国政全般との関連を考慮に入れながら十分議論を尽くし、論議を行い、その上で取り扱い方針の決定をいたしておるというようなところでございます。
 なお、関係省庁における検討等につきましては、今年度におきましても、まず人事院勧告の内容につきまして人事院からその考え方を詳しく聞き取りました。関係省庁においてそれに基づいて検討を行い、さらに財政事情、国政全般との関連についても検討を加えたところでございます。
 また、今年度の給与改定につきましては、財政事情が大変厳しいものがございました。閣議後、私大蔵大臣にお会いをいたして、厳しい財政事情ではあるが、人事院勧告を完全実施するという面からも、また職員の士気を鼓舞し、生活の安定を図るという面からも、何とかひとつ御配慮、御検討をいただきたい旨、お願いをいたしました。大蔵大臣はせっかくの御要請であるけれども、まさに国家財政大変な状況にある、補正予算の財源等々、あるいは歳入の見通しを求めなければなかなか結論が出ない問題である。しかし、要請であるので精いっぱい検討していきたい、こうしたやりとりもその過程においてあったところでございます。その上で第二回目の給与関係閣僚会議を開き、ようやく関係閣僚の御了解を得ましてその場では決定をし、そして閣議の決定を見たわけでございます。その後に法案の作成作業を行うというわけでございますけれども、その間にまた厳しい経済情勢、したがって国民世論の動向あるいは来年度国家予算に与える影響等々も当然検討の対象にしなきゃならぬということで、手間暇というか、時間がそこで供されたわけでございます。
 そうしたことで、総務庁といたしましては、これからも可能な限り、取り扱い方針が決定されたならばこの法案作成作業に精いっぱい努力をし、一日も早く成案を見て、その上で国会で御審議をお願い申し上げたい、このように考えておるところでございます。
#55
○大久保直彦君 もう時間が半分終わりましたので、この年内支給のルールづくりに最大限の努力をされることを強く要請を申し上げておきたいと存じます。
 人事院総裁に伺いますが、先ほどの御発言の中にありました育児休業制度が本年四月から施行されておりますけれども、この制度を真に実効あるものにするためにはやっぱり所得保障制度を考えるべきである、このように思いますが、この点、人事院総裁としてのお考えを伺っておきたいと思います。
#56
○政府委員(弥富啓之助君) 実は、育児休業制度につきましてはやはり一番問題なのは休業期間中の所得保障の方法でございます。これは平成三年の労働省におきます婦人少年問題審議会、ここにおきましても広範かつ多岐な問題があって検討を要するというような御答申があったやに承っております。
 現在の国家公務員における育児休業制度につきましては、従来からの一部の職種を除きまして無給ということになっておりますが、これはやはり民間の支給状況等を勘案いたしまして、民間で有給というところは極めてまだ少ないということでございまして、またそのような導入にまでは至っておらないわけでございますけれども、これからのやはり家庭と職場との調和あるいは核家族の問題、いろいろ年少労働者の減少あるいは婦人の社会進出、そういうことを考えましてやはりふえてくる傾向にあるのかなというふうな感じも持っております。
 我々といたしましては、民間の動向を的確に把握をいたしまして適切に対処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#57
○大久保直彦君 まあこの制度を提唱された御本人でございますから、いわゆる所得保障というものが近い将来実現をする、その方向で努力をされておる、このように承ってよろしいでしょうか。
#58
○政府委員(弥富啓之助君) ただいまもお答え申し上げましたとおりに、一般の民間の事業所におきましてもそういう考え方が非常に普及してきて
いるのではないか。やはりそれに従いまして情勢適応の原則、あるいは我々といたしましては社会経済の動向を勘案しつつ対処してまいるわけでございますので、民間でも増加していくということを十分念頭に置きまして対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#59
○大久保直彦君 時間がありませんので二つ続けてお尋ねをいたします。
 一つは、高齢化社会を迎えましていわゆる介護休暇制度というものを率直に言いますと新しく創設すべきではないか、今こういう声が各界にあるわけでございますが、人事院におかれましてもこの介護休暇制度、こういったものについて、所得保障も含めまして、この制度の創設についての御所見を伺いたいと存じます。
 続けて、我が党で非常に前から関心を持っておりました骨髄移殖のドナーの問題で、入院をいたしますと大体検査、実施等で五日ぐらいかかるわけでございますが、これが現段階では年次休暇並びに病欠ということになっておりますけれども、この点についてもやはり特別休暇扱いをすべきである、こういうドナーの方々の強い要請もございまして、これは早急に解決をしなければならない問題である。年間十万人にも達すると言われておりますが、この点についての総裁の御見解を二点伺っておきたいと思います。
#60
○政府委員(弥富啓之助君) 御説のとおりに、高齢化社会の到来とか核家族化の進展、女性の社会進出、これを背景といたしまして介護休暇という問題が社会的に非常に関心が深まってきているというのは十分に承知をいたしております。ただ、本院が昨年行いました調査によりますと、介護休暇を確立した制度としている企業の割合はまだ極めて少ないというふうに承知をいたしておりますので、現在では公務員に直ちに導入するということはなおしばらく難しいのではないかと考えております。しかし、この必要性につきましては、先ほどからいろいろ申し上げておりますように、各方面から各種の意見や希望等があることは十分にこれは承知をいたしておりますので、人事院といたしましても引き続き民間の動向を注目してまいり、現在進めている法整備の中でも公務に導入することの可否について研究をしてまいりたいと考えております。
 その次にドナー休暇の問題でございますが、御承知のとおりに国家公務員の休暇、これは年次休暇と病気休暇、そのほか特別休暇といたしまして一正の事由がそろった場合の休暇が設けられておるわけでございますが、これらの休暇につきましては、たびたび申し上げますが、民間との均衡や公務運営との調和を図りながら認めているものでございます。最近、骨髄移殖療法が注目されてきておりまして、これに関して各種の要望が出ていることはこれも十分に承知をいたしております。今後の民間の動向と社会一般の情勢を見ながら法整備の検討の中でも研究をしてまいりたい、かように考えております。
#61
○大久保直彦君 終わります。
#62
○吉田之久君 初めに、総務庁長官にお伺いいたします。
 私つくづく最近思うことなんでございますが、最近というよりもこの十年、二十年思うことなんでございますが、政府をめぐる相も変わらぬ極めて大げさな延々たる年中行事、これは幾つかあると思うんですね。その最たるものは生産者米価の決定、それからこの人事院勧告の実施じゃないかと思うんです。この近代化、能率化社会の今日の日本にあってそれほど時間をかけなければならない問題なのかなといつも悩む一人でございます。まさに十年一日のごとく旧態依然たることがこの国会、政府を中心として繰り広げられている。もう少し何とかならないものかと思うんでございますが、いかがでございますか。
#63
○国務大臣(岩崎純三君) 先ほども各先生方の御質問にお答えを申し上げたわけでございますけれども、人事院勧告を受けて給与関係閣僚会議を開き、最近は同関係閣僚会議は二回程度で終わっておるわけでございますが、それ以前は三回行った例もございます。そして閣議決定を行う。その閣議決定の取り扱い方針を踏まえて、私どもといたしましてはできるだけ早急に所要の法案作成作業に入る。この場合も、先ほど申し上げたように国の財政事情あるいは国民の納得を得る結論を得るような努力をし、結論を得次第法案作成作業に入るという問題等もあるところでございます。そして法案作業が成案を見た段階において閣議決定をする。その閣議決定を受けまして、政府といたしまして、国会に提出するに当たりましては十分準備のために慎重な作業を進めておるものである、このように承知をいたしておるところでございます。
 この点についていろいろと見る角度におきましては議論のあるところでございますけれども、そうした一連の手続があるわけでございまして、法案作成作業をするに当たっても何週間か要する、また人事院勧告を受けて、給与関係閣僚会議を開いて閣議決定をするについても三週間ないし一カ月の時間を要するというようなことで、もうまさに大変な年中行事の一つであるこの人勧の問題、毎年毎年当委員会において先生方から御論議をされ、おしかりをいただいておるわけでございますが、そうした事情もございますので一正の時間は必要である。このことについて御理解をちょうだいいたしたい、このように思うわけです。
#64
○吉田之久君 大事な決定でございますから多少の時間のかかることはわかるのでございますけれども、これほど時間をかけなきゃならぬことなのか、しかも、そのことに対する関係者のいろんな陳情、請願、行動様式、大変でございますね。やっぱり国家として一つのロスじゃないかと私は思いますし、また人事院勧告がなされて、これもかなり精査、検討した答えを出されるわけでございまして、それとまるで違ったような決定を閣議がするはずはございません。そういうときは大論争すればよろしいけれども、このところ眺めましたら、もうほとんど初めから答えは決まっているんですね。それを延々として今日に至る。
 しかも、先ほどお話しのとおり通常国会が一月からということになりますと、臨時国会がなかったらこれはもうえらいことになるんですね。そういう不安定な要因を構造的に抱えたままでいいんだろうかと思うのでございまして、この点では、岩崎長官もあるいはその道の権威極まる弥富総裁もいらっしゃるわけでございますから、ひとつ新しい時代の新しい日本の政治と行政の展開の中で、一つの問題として取り上げられるべき時期に来ているのではないかというふうに思います。
 さて、今度の二・八七%の引き上げ、まずは平均二・九と見てよろしいんでしょうか。その内容でございますけれども、例えば行政(一)俸給表の三、四、五、六級とも一けた台では大体平均引き上げ率を上回っている中身になっておりますが、十号俸前後から軒並みに平均を下回っております。例えば四級、五級、六級あたりの十号俸以下の人たち、要するにいろんな事情等がありまして課長補佐とか課長職にすっと移っていけない人たち、かつしかし極めて今世帯盛りの、また実務的な有力な人たちがこの辺に固まっていると思うんですね。例えば労働組合の役員なんかしている人たちは七級、八級まで上がっていきにくいですね。
 そうすると、係長クラスの職でずっと号俸だけは数を数えていく。一番肝心なその辺が引き上げ率の平均より下回っておるというのが実情のようでございまして、これは、看板に偽りありと言えば言い過ぎかもしれませんけれども、本当に働いているその辺の層をよく配慮してないのではないかというふうな気がするんですが、総務庁長官と弥富総裁それぞれからお答えをいただければありがたいと思います。
#65
○政府委員(森園幸男君) ただいま御指摘にありましたとおり、引き上げ率で申しますと若いところに比べまして中間の級の上位号俸は率が低い、こういうことでございますが、形、結果といたしましては御指摘のとおりでございます。これは、日経連あたりも近年毎年警告を発しておりますように、いわば潜在能力にすぎない新規採用者の給
与か高過ぎるんじゃないかと。そこを上げますと、おのずと引き連れて若いところが上がっていく。そうすると、限られたベースアップの中ではどうしても中堅層にしわ寄せが来る、そういう問題認識だと思っております。私どもも、人材確保ということから、初任給についてそう大きく民間におくれるわけにまいりませんので、初任給の引き上げを民間に倣ってやりますと、それに引き続く若い職員層というのが俸給表の上で逆転をしないようにするためにはどうしても上げざるを得ない。こういうことでございまして、二・八七という改善原資の中での処理といたしましては、おのずと上位の級あるいは上位の号俸になると低減をしていくということはこれはやむを得ないことでございまして、給与の絶対額が大きいわけでございますから、低い率を掛けても、絶対額で負けるわけではございませんけれども、率で見ますとそういう現象を呈しております。
 そこで、中堅層をもっと大事にすべきじゃないか、生活その他の事情も考慮すべきじゃないか、こういうことでございますので、私どもも、俸給表の上での配分には限界がございますけれども、扶養手当等込みにした総合的な意味での給与改善ということで、できるだけ個別的な事情に対処できるような意図で配分はいたしておるわけでございますが、今後ともこの点についてはなおよく注意をしていく必要がある、こう考えておるところでございます。
#66
○政府委員(杉浦力君) 御答弁申し上げます。
 この勧告に当たりましては、ただいま給与局長さんの方からお話しいただいたとおりでございますが、私ども、これを受けましていろいろ検討させていただいた段階で、先ほど先生方御案内のように、昨年と比べますとことしは中間層まで配慮がされておるとか、あるいは看護婦さん等大変な職種のところについても大きな配慮がされておるということを一応認めておるわけでございます。何分、第三者機関で専門的な分野から検討していただきました人事院勧告を私ども検討させていただいた結果、これが適切な今回の措置であろうとこう判断したわけでございます。
#67
○吉田之久君 御説明、形の上ではそういうことになるんだろうと思うんですけれども、多く人が通らないところだけが上がって、肝心のところの率が低いんです。人の通らないところばかり舗装しないで、たくさん人が通るところの道を広げてきちんとしてやらないと、ちょっと中身がおかしいんじゃないかというふうに思います。なかなか難しいことではございましょうが、ひとつ今後さらに鋭意検討をしていただきたい。
 同時に、あと一分しかないんですけれども、超過勤務の問題がいろいろ先ほど来出ておりましたが、私はやっぱり部門によって非常にばらつきがきついと思うんです。特に、今国際化の時代と言いますけれども、入国管理局なんかは延々と外国人が並んでいます。外で雨が降ったって、雪が降ったって、中の職員はもう限られて、職員全然ふえないというんですね。仕事はふえているのに人がふえない。だから、この人たちの勤務の実態と総労働時間というのは大変なものがあるんじゃないかと。もちろん人をふやさなきゃなりません。やむを得ず働かせた超過勤務については万全の手当をしなければならない。病院の場合もそうだと思います。大蔵省あたりも大変だと思いますが、各役所みんなそうだと思います。ともかくちょっとその辺人員の再配備、行政改革の折ではございますけれども、よくひとつ再構築、再配備をしなきゃならぬのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#68
○政府委員(杉浦力君) お答え申し上げます。
 直接先生の御質問にお答えできる資料を手元に持っておりませんので、大変申しわけございませんが、公務員全体の超過勤務につきましては、先ほどお話のございましたように職種が違うとか、あるいは季節的に大変な業務の繁閑があるとかということで、全体的な把握というのは非常に難しゅうございますが、昨年、平成三年の一月から十二月までに人事院で把握した数字がございますので、御紹介申し上げたいと思います。各公務員の一番たくさん超過勤務をしていただいた月の平均値を全部集めました平均でございますが、三十二・一時間という数字がございます。
 先ほど官房長官からもお話ございましたのですが、私どもこういった超過勤務を減らすための措置を現在人事管理運営協議会で取りまとめておりまして、近日中に成案を得、そして関係省庁全部でこれを守っていこうという取り決めをさせていただくつもりでおります。そして、その中には先ほどお話ありました仕事の改善あるいは人の再配備は当然考えられると思いますが、いろいろな面からなるべく早く帰れるように、仕事が早く処理できるようにということでさせていただきたいと思っております。
#69
○吉田之久君 ありがとうございました。
#70
○聴濤弘君 人事院にお尋ねしたいと思います。
 ことしの人事院勧告は、官民給与の比較方法の見直しについて引き続き進めることとしたいと、そのように書いてありますが、まず最初に具体的にどういうことを考えておられるのか、そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。
#71
○政府委員(弥富啓之助君) お説のとおり、人材確保に当たって官民の競合が進む中で、民間企業と職員との均衡観などについて、近年いろいろな御意見が提起されるようになっております。昨年でございましたか、本省庁の職員問題などもその一つでございまして、検討の過程で公務員給与全体として民間企業に均衡させる中での原資の部内配分の問題だけではなくて、部分部分の官民の比較方法、すなわちどういう職員を民間のどういうところと比較すべきかという問題もあるという認識に立ちまして、昨年は比較する民間側の対応関係を一部改めることとした次第であります。
 ただ、民間におきましても、いろいろな職種がいろいろ変化して出ておりまして、今後この種の比較の対応関係を改めるべき部分は他にもこれはあり得るのではないかというふうなことを考えておりまして、見直しにつきましては、引き続き検討するという旨表明をいたし、引き続き本年も先生御承知のとおりに同様の表明をしたのは、昨年及び本年の官民の対応関係の見直しで終わったわけではなくて、今後もいろいろな対応関係の変化があるんではないかということを予定をしまして、いろいろな検討を行い、適正を欠くところがあればこれは見直しを進めていくという方針に変わりがないということを申し上げた次第でございました。
#72
○聴濤弘君 比較企業が現在の規模が百人である、こういうのを少なくとも今すぐ五百人にという問題、これはもうかなり前から言われているわけで、もう既に出ましたので繰り返しませんが、こういう点はぜひすぐ実施すべきだというふうに思います。経験年数、それから勤続年数、こういったものも当然考慮されなければならない、これらの点の改善をぜひ要望したいというふうに思います。
 時間がありませんので、次の問題に移らせていただきますけれども、ことしの人事院勧告に研究職へのフレックスタイム制の導入、これを勧告するということが出ております。これは、フレックスタイム制というのは慎重に導入しませんと逆に労働強化につながるということは民間のいろいろな経験が示しているところだというふうに私は思います。私の考えですが、その際、フレックスタイムを導入する場合にやはり重要な原則的な立場というのがあるというふうに私は思うのです。それは、一つには一日の労働時間というのはきちっと決められている、当然八時間労働とか、この中でのフレックスタイムという場合にはこれは非常に合理性があるけれども、何時間でも構わないんだ、一日の労働時間はどうでもいいんだというようなことではやはり人間の一日の循環というものを狂わせてしまう。だから一日の労働時間は当然八時間労働を前提としてこれがきちっと確保されているということ。
 それからもう一つは、やはり各人の自主的選択ということが非常に重要なもう一つの考え方だと
いうふうに思うのです。上から適当に割り振っていくという形でやりますとなかなかうまくいかない、こういう二つの点が特に私重要だと思うのですけれども、今度の人勧にはその点が出てないように思うのですが、フレックスタイムの導入に当たっての基本的な見解、原則的といいますか、根本的な立場としてどういうことを考えておられるのか、御説明願いたいと思います。
#73
○政府委員(山崎宏一郎君) 民間でも特に研究職を中心にフレックスタイム進んでおりまして、かなり好意的に迎えられているといいますか、そういう状況であります。
 ただ、フレックスタイムいろんな形のものがありまして、かなり裁量の程度が高いものからほどほどのものからいろいろあります。極端にいいますと、完全に自由といいますか、一日の勤務時間も何時間でもいいと、あるいはいつ出ていつ帰ってもいいというようなものもございます。
 今回、公務に導入を考えておりますのはちょうど中間的なものといいますか、公務にふさわしいものということで、一日の勤務時間につきましてはコアタイムというものを設けまして十時から十五時まで、これは必ず勤務する必要がある、それ以外につきましてはフレキシブルタイムというものを設けまして、その上下一定の時間帯を設ける。それから、週四十時間勤務ということになっておりますので、それをどう考えるかということでございますけれども、若干フレキシブルにするということで四週単位で平均的に週四十時間を確保する、そういうようなものにしております。
#74
○聴濤弘君 その場合に、四週間を単位にして一週平均四十時間になるようにという場合に、具体的には一日一体どのくらいになるという想定ですか。そこはもう完全にフレキシブルで、ある日は十時間、ある日はうんと短くという、そういう意味で非常に不規則な状況が起こるということは想定しておられるわけですか。
#75
○政府委員(山崎宏一郎君) 現在考えておりますのは、先ほど申し上げましたようにコアタイムというのは十時から十五時までです。それからフレキシブルタイムというのがありまして、これが七時から夜の十時までということですから、最長選択可能時間といいますのは十五時間ですね。最短は四時間、若干ふえるかどうか、五時間といいますか、そういう中で選択をしていくということになろうかと思います。
#76
○聴濤弘君 説明はわかりました。時間がありませんので、もう一つだけ。
 それで、この人勧ではさしあたって研究職にということですけれども、それ以外のところにも適用していくということを目指すと、たしかそういう表現だったと思いますけれども、その場合労働条件の強化、労働強化というようなことにならないようにということを本当に願うわけですが、やはりその場合にそこの各省庁の働いておられる方々の意見を聞く、何よりも労組の意見を聞くというようなことが非常に重要であろうと私は思いますけれども、そういう労組などの意見をよく聞いて実行していく、やっていくということがやはり当然の原則的な立場であろうと思いますが、その点の御見解を伺いたいと思います。
#77
○政府委員(山崎宏一郎君) 四月からフレックスタイムを導入いたしますけれども、その実施状況を見た上でさらに新たな職種に適用拡大をするとか、あるいはその他のいろんな形の勤務時間の弾力化を検討していくかということを考えておりますけれども、各省庁側あるいは職員団体側の意見も十分聞きながら進めていきたいと思っております。
#78
○聴濤弘君 私の用意しておりましたいろいろな問題、さきに山口先生がいろいろお尋ねになりました。ダブりますので割愛させていただきます。
 特に、最後にもう一つ要望させていただきたいのは、各省庁で上司の方がどんどん割り振っていくというようなやり方をやりますと本当に混乱を起こすし、フレックスタイム制の持っている積極的な意味もなくなってしまうというふうに思いますので、各人の自主的な選択というものを本当に尊重してやっていくことが重要だということをあえてもう一回申し上げて、私の質問終わります。ありがとうございました。
#79
○高井和伸君 まず、官房長官にお尋ねしますけれども、ことしの二月の閣議了解で、国家公務員第T種採用試験については特定大学の採用率を下げよと、簡単に言うと東京大学の採用者を下げよということで各省庁に指導なさったということを聞いておりますが、十月二日発表のT種の各省庁別の内定状況などを見ますと、そういった方向が各省庁、任命権者が各省庁だからというようなこともあるんでしょうけれども、かなり実践されてない、守られていないというようなことがございますが、現状はいかがでしょうか。
#80
○国務大臣(加藤紘一君) 具体的なデータは政府委員の方からお答えさせますし、委員もお持ちのようですが、我々は目標を五〇%以下にしたいと、こう言っているわけですね。それで、それは今毎年一、二%ずつでも下がっていけばそこにいくんですけれども、ことしは一%ぐらいしか下がっていないと。ちょっと足りないんじゃないかということですが、郵政省がちゃんと守ってくれれば二、三%いったと思います。
#81
○高井和伸君 実は、こういった話は私立大学の就職の責任を持っている教授の方々が悲鳴のような声を上げられるんですね。やはり一つのステータスとして、T種試験にうちの大学から何名入れたと、こういったことが都内の有名私立大学法学部の教授なんぞは大変な興味を持ち、この閣議了解あるいは閣議における官房長官の発言に大変な期待をされ、それがある意味では東京一極集中、あるいは東大一極集中という言葉かもしれませんが、いろんな側面での学歴偏重、そういった今の教育情勢を解体する非常に有効な手だてと、こういうふうな思いがいろんな面で認識できるし、私も同感だと思っております。
 そういう面で、五年の目標ということはやや遅過ぎるんじゃないかとも思いながらも、ないよりはいいという立場で、なおしっかり、すべてもう二ポイントぐらいずつ落としていただかないと間に合わない、こういうことでございます。そういった面で、各省庁の任命権者という立場との調整、それから省庁別によるとかなりでこぼこがありまして、何省がどうとは言いませんけれども、全体に下げていただかないと、各省庁全部を集めて平均すれば五八というような数字はまずいんであって、各省庁ごとに基本的にはバランスのいいパーセントにしていただかないと、でこぼこがあり過ぎる統計的な手法はややまずいんじゃないか。そういう思いを込めて、御決意をお聞かせ願いたいと思います。
#82
○国務大臣(加藤紘一君) この問題は、各省庁の人事担当官の人、また幹部の人もかなり正面から受けとめてくれておりまして、例えば大蔵省というところは役所中の役所と言われておりますが、そこでも努力してくれております。
 一、二の役所、特に郵政省かと申しましたけれども、事情があることもわからなくもないんです。と申しますのは、日ごろ郵政省では東大以外のところをかなり優先的に採っておったんで、ことしも大体内定していたんだけれども、ことし他大学を揺れという指示があったものですから、優秀な他大学の合格者に他省庁が物すごい勢いで集中しちゃって内定者をとられちゃったというんですね。しようがなくて、また東大の人が来てくれるというんで入れちゃったという説明でございましたが、それは半分信じて半分信じておりません。今度はしっかりとやってもらわなきゃいかぬ、来年は。
 それで、私たちがこれをやっております理由は、今、高井委員おっしゃいますように学歴社会の問題、一極集中の問題、非常に幅広いことをいろいろ考えて、そしてこういう問題点に集中してひとつやってみようと思っているわけで、単にマスコミ受けをねらうとかそういう話ではありません。学歴社会の基本問題に挑戦してみたい、つまり東大出が七割、八割もいるところで、ほかの大学の人たちが入ってきて出世できるとか意義ある仕事
をできると思うわけないんで、まず五割まで下げてほしいと。そして、ほかの私立だとか他の公立の人たちが、自分たちもやれるというような意欲を持てるような人事構成にしないと単一価値的な日本社会の基本は直らぬと思っております。
#83
○高井和伸君 今の御決意、大変心強く感じました。特に、各省庁平均じゃなくて、各省庁が五割を割るように御指導をお願いしたいと思います。
 続きまして、人事院勧告の問題に移ります。
 まず、人事院にお尋ねしますけれども、実はついせんだって、十一月二十七日に連合のシンクタンクである連合総研から賃金の問題で報告書が出ました。正確に言いますと「九〇年代の賃金―賃金決定の課題と政策」という問題が出ました。この問題は、経済成長に比べて賃金の上昇率が非常に低いと。なぜか。分配卒の問題を含めて低いその原因の中に、一つとして一人平均賃上げ方式、ベースアップというような感じになりますが、そういった平均方式が一つ理由としてあるんじゃないかと。個別賃金方式への転換を図らなきゃならないんじゃないかというような提言がございます。総括的にこの提言に対してお読みだったらば御感想をお聞かせください。
#84
○政府委員(森園幸男君) 残念ながら読んでおりませんので、今の課題についての感想を申し上げますが、私どもの官民の比較自体は、個別の職員ごとの似たもの同士といいますか、職種とか年齢とかという似たもの同士の職員個々の支払い額の比較に端緒があるわけでございまして、それを積み上げたものでございますので、極端に言いますと民間のベースアップ方式みたいなものがなくて、自然体で何か賃金が変化しておりましても公務員賃金をどうするべきかということが把握できる仕組みでございます。したがいまして、公務員の賃金決定の今の民間準拠方式自体は、平均的ベースアッブを追っかけるというものでも何でもございませんので、現在のやり方で妥当しているんであろうと、こう考えております。
#85
○高井和伸君 読んでおられないということについては、一応レクの段階で通告はしておきました。遺憾であります。
 しかしながら、今の御発言の話を聞きますと、民間との比較というような側面でこういった人事院勧告するときのスタンスとしては、基本的に、じゃ私の質問をこういたしますが、今回の人事院勧告の中に手当がございます。扶養手当、通勤手当、住居手当、もろもろのことが書いてございますが、こういったある種の付加価値的な、生活保障的なそういった給与体系を人勧の内容にする基本的な理由は何なのか。簡単に言うと、同じ四十歳の男性でも、独身の男性と結婚して子供がいる男性、そして借家にいる男性と自宅にいる男性がそれぞれいろんな側面で違ってくる。こういったものがどういう理念で勧告の上に反映されているんでしょうか。理念だけで結構です。
#86
○政府委員(森園幸男君) 手当の存在と高さといいますのは、やはり民間一般へのその普及度合いというのが相当意味を持っておりまして、企業の賃金というのは種類も非常に千差万別でございますから、そのまま応用するわけにまいりませんけれども、およそ扶養家族を抱えている職員に対して別の基本給と違った家族手当的なものを用意しているかどうかというようなものをずっと拾っていきますと、私どもが現在構成しております手当とおおむね類似してくる。その場合に、じゃ高さはどうかと、こういう意見がございますが、高さの方も逐一というわけではございませんが、総給与額で比較をしておりますので、手当への配分につきましてはすべて民間とイコールというわけにまいりませんけれども、おおむね大体そこを来さない程度の配慮はしておると、こういう構成でございます。
#87
○高井和伸君 人事院総裁に伺いますが、今のお話聞いておりますと、民間と歩調しているということでございますけれども、私の言いたかったのは、企業社会、法人社会あるいは会社一家思想、そういったものがこういった賃金体系の中でその会社に所属することが生活を保障されると。労働力の異動だとかいろんな面で横並びの発想が出てきにくい社会になっている。その原因が今のように単に民間との比較の問題だけでこういった給与体系が決められている側面に出てくるんだろうと思っております。そういう側面からの人勧の勧告方式について、完全仕事給的な発想は出てこないのか、そういうこと含めて御質問します。
#88
○政府委員(弥富啓之助君) 民間準拠方式についてのお話でございます。公務員は、御承知のとおり法令に基づきまして国民全体の奉仕者の地位にございます。その勤務条件決定の基準を民間企業の場合のように、これはいろいろ語弊があると思いますけれども、利潤概念というふうなものは公務の中に見出すことは非常に困難であるということが一つでございます。
 それから、公務員の勤務条件は、これは御承知のとおりでございますが、国民の税金によって賄われるものであるということでございますので、これは国民一般の理解と納得の得られるものであることが、ぜひこれは必要でございます。さらにその勤務条件、これはまた職員にとっても納得し得るもの、あるいは公務に必要な人材を確保するものに十分なものである必要がございます。
 これらの点を考慮いたしまして、先ほどから給与局長が申しておりますように、勤務条件決定の基本原則として民間における給与、勤務時間等の勤務条件に公務員のそれを均衡させるという方式を適当なものとして我々は考えておる次第であります。
#89
○高井和伸君 防衛庁長官にお尋ねします。
 今度の給与法の中の一つの新しい骨子として、調整手当を新規に採用したということでございます。今るる私の質問で官民較差の問題で民間と同一歩調ということからいうと、私の目から見た上では大変異質な、簡単に言うと民間と比べておくれている制度をゆっくりスタートさせたという雰囲気でございます。こういった発想の原点、私は一生懸命人事院の方にお聞きした理由もそこにあったんですが、かなり違っている。この根源は何なのかということだけを長官にお尋ねして終わりにします。
#90
○国務大臣(宮下創平君) 防衛庁の職員は、いわば自衛隊員はいわゆる特別職のグループに属しまして、人事院の一般職の勧告の対象外でございます。しかし、基本的には自衛官の俸給表も上位等級の方は行(一)の方と対応しておりますし、下位等級の方は公安ですね、警察官に適用させる公安等と基本的には対応しておりますが、自衛官の勤務の特性がございます。
 したがって、一例を申しますと、超過勤務手当は俸給表の中に平均率で算入してあります。それから管外手当というのがございます。曹士の場合には営内で食事をさせますから、糧食手当を控除してあります。しかし、その俸給だけで糧食を支給しないとアンバランスになりますので、管外手当という制度を設けだというような、自衛官の特殊性に応じた手当なり制度なりをとっておるところでございます。
 一方、調整手当の方は、これは今まで非常に異動が頻繁に行われる等々のいろいろな事情がございます。それから給与事情も簡素化するという点もございまして、平均的に一般職では、いわば昔の地域給でございますが、これを平均化して俸給の中に入れておりましたが、今般防衛庁でも審議会をつくりまして、その定着性が非常に強くなってきておりますが、都会地の職員と一般職の職員とのアンバランスがやっぱりはっきりしてくる。それは頻繁に異動があればよろしゅうございますが、そういう実態でありますから、やはりこういう大都会とかそういうところは物価も高いとかいろいろ条件がありますから、それを一般に広く押しなべて入れていたのを取り出しまして、そしてそういう都会地だけ調整手当を、これは今までは指定職といいまして、将補についてはやっておりますが、それ以下の自衛官にも今度適用することが勤務の実態に即応するだろうということで、今度防衛庁職員の給与法で審議をお願いしているわけです。
#91
○寺澤芳男君 ことしは非常に景気が悪いもので、民間のボーナスの支給も非常に厳しい状態であります。特に、NECとか三洋電機などは管理職に対しては現物支給であるということで大変話題を呼んでおります。公務員のボーナスは民間より一年おくれて反映されると聞いておりますが、ことしのこの民間の問題について人事院ではどのように受けとめておられるのか、また次年どのように対応されるおつもりなのか、御見解をお伺いいたしたいと思います。
#92
○政府委員(森園幸男君) ただいまおっしゃいましたとおり、私どもの特別給の調査は、前年の五月から当年の四月までで押さえております。調査時点で一番接近している支払い済みのものを押さえるという意味でございます。
 この冬のボーナスが大変厳しい状況にあるということは重々承知をしておりますが、仮に現物支給等のいろいろ新聞報道もございますけれども、給与として支払われたものにつきましては、これは的確に把握し反映をするということに今までもしておりますし、来年もそうしたい、こう考えております。
#93
○寺澤芳男君 次に、最近官民を問わず大都市への異動あるいは転勤を避けたがる傾向があります。地方から東京への転勤に困惑している人が多く出ている現状から考えて、一部の民間企業で実施している勤務地限定制度について、公務の部門にもこれと類似の制度の導入の可否について人事院の御見解を聞きたいと思います。
#94
○政府委員(吉川共治君) お答え申し上げます。先生御指摘の勤務地限定制度でございますが、これは従業員の地元指向等のニーズの多様化にこたえた人材確保、人材活用の方策として一部の民間企業で採用されているシステムであると理解をしております。
 公務員ではこういった勤務地限定制度はとられておりませんけれども、国家公務員採用のU種及びV種試験の行政区分、まあこの行政区分というのは非常に大まかな区分でございますけれども、この行政区分等におきましては、全国を幾つかの地域に分けまして、それぞれの地域につき地域試験を実施するというものでございます。この地域試験の実施結果に基づきまして、その合格者の中からその地域に所在する官署がそれぞれ採用を行う。また、実際のその後の異動につきましても主としてその地域内で異動していくということがあるわけでございまして、ある意味ではこれが勤務地限定制度に近いものかなという感じもいたしております。
 ただ、民間でやっております勤務地限定制度でございますと、これは非常に厳格なものです。ということになりますと、これはやはり他の地域に出していろいろ仕事をしてくる、あるいは東京に行ってそこで仕事をしてくるということによって人材の活用、育成が図られますから、そういった点あるいは公務の公正な執行、長いこと同じ地域におりますといろいろつながりが出てくるというような弊害もございます。あるいは地域の行政需要が変化した場合、それに対応して職員の適正配置をしなきゃいかぬ。そういった問題いろいろございますので、そういった観点からやはりこの問題は慎重に対応する必要があるのではないかというふうに思っております。
#95
○寺澤芳男君 どうもありがとうございました。
 それから、外務省の定員についてお伺いしたいんですが、去る九月三日の本委員会で外務省の定員についてお尋ねをいたしました。その際、外務省としては向こう五年間に千人さらに増員する必要があると言われ、当時外務大臣の臨時代理でありました官房長官も、極めて厳しい定員の問題にあってもできる限りの配慮をしなければならないというふうに答弁されたと記憶いたしております。しかし、調べてみますと一九八八年から九二年までの五年間に外務省の定員はわずかに三百七十四人ふえただけでありまして、来年度の要求も百五十三人であります。これでは今後五年間に千人といいましても非常に難しいのではないかと思いますが、この今後五年間に千人という目標と増員要求のあり方について、外務省の御見解を聞きたいと思います。
#96
○説明員(谷内正太郎君) 平成四年度の定員査定におきましては、百三十人の増員を得たところでございます。これは昭和五十年度以降最大の増員でございますとともに、アタッシェ等の受け入れを加えれば百五十八名の増員になります。この増員は、速やかに千人程度を目標に増員すべきであるとの外交強化懇談会の報告を踏まえたものであると評価いたしております。
 平成五年度につきましては、さらにシーリングが先生御承知のとおりに百五十三に引き上げられました。私どもといたしましては、現在、平成四年度の査定数、すなわち百三十でございますけれども、この数字を上回る増員査定を得られるよう鋭意折衝中でございます。また、アタッシェ等につきましても平成五年度を上回るように努力しておりまして、増員数は昨年度をさらに大幅に上回るということを目標としております。
 いずれにいたしましても、非常に厳しい行財政事情のもとではございますけれども、速やかに千人程度を目標に増員すべしという外交強化懇談会報告の速やかな実現に向けまして、今後とも努力してまいりたいというふうに存じております。
#97
○寺澤芳男君 現在、外務省の職員の定員は他の省庁と同様に総定員法によって管理され、定員削減がかかっていることはよく承知しております。人件費がふえるなど問題はあると思いますが、総務庁は、必要なところには人をつけると従来から言っているので、そしてまた総定員法を改正しなくてもやろうと思えばできると思うのですが、官房長官、この辺についての御見解をお伺いいたします。
#98
○政府委員(増島俊之君) 官房長官の御答弁の前に説明させていただきます。
 行政改革を推進するという歴代内閣の厳しい御方針ございますが、その中で国家公務員の定員管理といいますのは、行政改革の中での非常に主要な分野でございます。この基本的な考え方といいますのは、総数の膨張というものを抑制しまして、そして行政需要の変化に即してその適正配置を推進するということでございます。
 具体的には、各省庁のいろいろな御努力をお願いしまして、定員削減計画といいますものを、現在まで第八次定員削減計画がスタートしておるわけでございますが、いわばその原資に当たりますものをプールいたしまして、そしてそのプールしましたものを各省庁の行政需要に応じまして配分するということを繰り返してきているわけでございます。そしてその結果、臨調以降の昭和五十六年度末の定員と比較いたしますと、政府全体ですと四%の純減、これは三万五千八百十七人ということでございます。しかし、その中で外務省につきましては九百六十二人、約千人弱の純増になっているわけでございます。比率で言いますと二七%の増ということでございます。
 こういう厳しい情勢の中でございますけれども、外務省の定員につきましては、今、先生の御指摘のようなそういう背景がございまして、その重要性にかんがみまして対応してきているわけでございます。今後につきましても、当然そういうことも念頭に置きまして適切に対応してまいりたいということでございます。
#99
○国務大臣(加藤紘一君) 総定員法と申しますのは、日本の行政の施策の中で一つ自慢してもいいものではないだろうかなと思います。
 世界各国の政治と行政を見ますと、どうしてもパーキンソンの法則ではありませんけれども、肥大化しまたルーズになっている。そういう中でこれだけ長い間総定員を守り、今、政府委員が御説明しましたように三%ほどカットしている。そして、チープガバメントということを心がけ、その裏にはスクラップ・アンド・ビルドがあるわけですから、それを徹底的にやらない限りそれは守れないわけですから、それをやってきたことは全体的にはよかったんではないのか。
 そういう中で、外務省の定員の問題は、非常に重要な必要なところにはつけるというそういう部門として配慮されており、また今後も政府全体と
して必要な外交体制の強化には努力をしてまいりたいと思っております。
#100
○寺澤芳男君 最後に、九十二年度のすべての国家公務員の定員は四十八万六千七百人で、公務員の最高限度数は五十万九千五百八人であるというふうに承知しております。二万二千八百八人の枠があるわけでありまして、日本が本当に自主外交をやっていくためにぜひ外務省を強化していただきたいというふうに私は思っておりますので、よろしく御検討をお願いします。
#101
○委員長(守住有信君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○委員長(守住有信君) 御異議ないと認めます。
 午後二時に再開することとし、これにて休憩いたします。
   午前十一時十分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二分開会
#103
○委員長(守住有信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、国際平和協力業務の実施状況について政府から報告を聴取いたします。加藤内閣官房長官。
#104
○国務大臣(加藤紘一君) さきの国会で成立した国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律に基づく国際平和協力業務の実施状況について御説明申し上げます。
 国際平和協力法は、本年八月十日施行され、同日総理府に内閣総理大臣を本部長とする国際平和協力本部が設置されました。
 政府は、同法に基づく国際平和協力業務として、七月九日に国連から要請のあった第二次国連アンゴラ監視団、UNAVEMUへの選挙監視要員の派遣並びに国際連合から非公式に打診のあった国連カンボジア暫定機構、UNTACへの停戦監視要員、文民警察要員及び道路、橋等の修理等の後方支援を行う施設部隊等の派遣について、応分の貢献が可能かどうか検討し、派遣に係る準備を開始いたしました。
 その結果、国際連合から九月三日にUNTACへの我が国要員等の派遣の正式要請を受けた後、国際平和協力法に基づく初めての国際平和協力業務を実施するため、同月八日、アンゴラ人民共和国及びカンボジアに係る実施計画を閣議決定し、同日国会に御報告いたしました。
 アンゴラ国際平和協力業務実施計画は、UNAVEMUが行う同国の議会の議員及び大統領の選挙の監視業務に協力するため、我が国から三名の選挙監視要員を派遣することを内容とするものであります。
 この計画に基づき、我が国の派遣要員三名は、本部研修等を経て九月十六日本邦を出発し、同月十八日から十月五日までの間、UNAVEMUの選挙監視要員として九月二十九日及び三十日に行われた前述の選挙の監視業務に従事し、十月七日帰国いたしました。
 その国際平和協力業務の実施結果については、既に十月二十三日に国会に御報告したとおりであり、若干の不規則なことがあったものの、選挙そのものは全体として公正かつ自由に行われたと認められます。
 なお、最大野党たるUNITAは、選挙における劣勢が明らかとなるや態度を硬化させ、その後政府との間で再び武力衝突が発生したので、目下国際連合を中心に事態の収拾努力が行われております。
 カンボジア国際平和協力業務実施計画は、国際連合から要請のあったUNTACへの我が国要員等の派遣、すなわち停戦監視要員八名、施設部隊六百名、文民警察要員七十五名の派遣を実施すること等を内容とするものであります。この計画に基づき、我が国の各要員及び施設部隊は、本部研修等を経て、九月二十日以降逐次カンボジア入りし、各地に展開いたしております。
 まず、停戦監視要員八名は、九月二十日プノンペンに到着し、現在、武装解除兵士を収容するカントンメントやベトナム国境のチェックポイント等六カ所の勤務地域に配置されており、各国の停戦監視要員とともに武装解除兵士の監視、停戦状況の監視等を行っております。
 また、文民警察要員七十五名は、十月十四日にプノンペンに到着し、現在九つの地域に配置され、各地の警察署等において、各国の文民警察要員とともにパトロールを実施し、現地警察の指導監督等を行っております。
 施設部隊六百名は、十月十四日までに全員がカンボジア入りし、タケオを宿営地とし、現在、宿営地の建設、シアヌークビルに陸揚げした資器材のタケオヘの輸送等を行うとともに、十月二十八日からはカンボジアの国道三号線の道路の補修等を行っております。
 なお、施設部隊の輸送、補給等のため、現在海上自衛隊の輸送艦等がシアヌークビルに停泊しており、また週一便程度、航空自衛隊の輸送機が連絡便としてポチェントン空港まで補給品等の航空輸送を行っているところであります。
 なお、去る十二月四日、国際連合からの要請を踏まえ、カンボジア国際平和協力業務実施計画を変更し、UNTACのため、航空自衛隊の連絡便による物資等の輸送及び施設部隊による日常用水の浄化等を実施することができるようにしたところであります。これについても、同日国会に御報告いたしました。
 カンボジアにおいては、局地的あるいは散発的な停戦違反事件が発生していると伝えられており、また、カンボジアにおける民主的政府樹立のため、来年五月までに実施される予定の選挙に向けて準備が進む中、武装解除拒否の姿勢を崩さないポル・ポト派を非難するとともに、一定の措置をとることを主な内容とする安保理決議が十二月一日に行われたところでありますが、現在の状況としては、バリ和平協定に基づく和平プロセスの基本的枠組みは維持されており、また、紛争当事者間の停戦の合意も保たれていると考えられます。
 いずれにせよ、我が国の要員等の派遣が国際平和協力法に規定されているいわゆる五原則にのっとって行われるべきことは言うまでもありません。今後とも政府としては、国際平和協力業務の適切な実施に努めてまいる考えであります。
 また、前述のカンボジアにおける選挙については、国際連合は各国に選挙監視要員の派遣を求めることが想定されるところであり、政府としては、国際の平和と安定のための国際連合の努力に対し我が国としても人的な側面において積極的に協力を行っていく必要があるとの立場から、今後とも国際連合からの要請に対して、国際平和協力法に基づき、適切に対応してまいる考えであります。
 各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。
#105
○委員長(守住有信君) 以上で報告の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#106
○翫正敏君 官房長官に質問いたします。
 九月三日の本内閣委員会におきまして、私が湾岸戦争型の多国籍軍に我が国の自衛隊が参加、また協力ができるのかどうかという質問をいたしましたところ、官房長官の方から、武力行使と一体とならない限りの後方支援であれば可能である、また資金面での協力も可能であるという答弁がありました。
 この点について、私は大変大きな疑義を持ちましたので、その後少し調べてみました。政府の従来の自衛隊の海外派遣についての考え方と加藤官房長官の前回の答弁は大きく食い違っているのではないか、このように思ったのであります。
 そこで、昭和五十五年十月二十八日、内閣総理大臣鈴木善幸ということで政府の答弁書が国会に出されております。その一部を読みますと、「いわゆる海外派遣については、従来これを定義づけた
ことはないが、武力行使の目的をもたないで部隊を他国へ派遣することは、憲法上許されないわけではないと考えている。しかしながら、法律上、自衛隊の任務、権限として規定されていないものについては、その部隊を他国へ派遣することはできないと考えている。このような自衛隊の他国への派遣については、将来どうするかという具体的な構想はもっていない。」このときにはこういうことでありました。
 この昭和五十五年以後、自衛隊を海外に派遣するに当たっての法律上の措置としましては、この間の国会で採択をされました、正式にはあれですが、国連平和協力法と国際緊急援助隊の派遣に関する法律、この二つでございます。これ以外にはないのでございますが、官房長官が我が国の自衛隊が湾岸戦争型の多国籍軍に参加をできる、また協力をできる、後方支援ならばできるというふうにお答えになった、その法的根拠についてお示し願いたいと思います。
#107
○国務大臣(加藤紘一君) 重要な法律論でございますので、詳細につきましては政府委員の方からお答えいたしますが、いわゆる多国籍軍への協力問題は、憲法論と、それと同時に第二番目に現在の法律でそれが想定されているかという法律の読み方の二つがあろうかと思います。
 湾岸危機の際のいわゆる多国籍軍への我が国の関与については、当時も申しましたが、多国籍軍の武力行使と一体とならないような協力であれば憲法上は許されるものと私たちは解釈しております。これは憲法上の話であります。そして、武力行使と一体とならないという一つの条件があるわけでございます。しかし、具体的に湾岸危機の際のようないわゆる多国籍軍への協力を念頭に入れた法律は今あるかといいますと、それは今はないということではないかと思います。
 いずれにせよ、政府としては自衛隊をいわゆる多国籍軍に協力させることは現在考えておりません。
#108
○翫正敏君 政治的な判断として考えているかいないかということをお尋ねしておるのではありません。法律上可能かどうか、この昭和五十五年の鈴木善幸内閣総理大臣の答弁書、この答弁書の変更がその後あったのかどうかということも含めて、明確に法律上の根拠をお示し願いたいということを申し上げておきます。
#109
○政府委員(大森政輔君) 政府の従前の見解との関係での御質問でございますので、そういう観点から憲法上及び法律上の問題を分けて御答弁いたしたいと思います。
 まず、憲法上そのような合意ができるかどうかということでございますが、御指摘の昭和五十五年十月二十八日の稲葉誠一衆議院議員に対する答弁書においては、ただいま委員が読み上げられましたように、いわゆる「「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」と答弁したところでございます。
 湾岸危機におけるいわゆる多国籍軍、これはこの答弁書が指摘している「目的・任務が武力行使を伴うもの」などという域にとどまらずに、武力行使自体を任務・目的とするものであるというふうに評価できようかと思います。したがいまして、このようなものに自衛隊が参加することは憲法上許されない、現在もそのように解している次第でございます。
 ところが、ただいまのお尋ねは後方支援の問題でございますので、それとの関係について申し上げますと、平成二年十月二十六日の衆議院特別委員会における中山外務大臣の答弁にありますように、「「参加」に至らない「協力」については、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであっても、それがすべて許されないわけではなく、当該「国連軍」の武力行使と一体となるようなものは憲法上許されないが、当該「国連軍」の武力行使と一体とならないようなものは憲法上許されると解される。」このように答えてきているわけでございます。
 これは、当時審議中でございました、その後残念ながら廃案になりましたいわゆる国連平和協力法案に関連いたしまして、平和協力隊の国連軍への「「参加」に至らない「協力」について」の見解でございますが、そのことは自衛隊とただいまお尋ねの多国籍軍との関係についても同様であると考えております。したがいまして、武力行使と一体とならないものは憲法上禁止されているわけではないと、このように考えております。
 次に、じゃ法律上の根拠があると考えているのかどうかということでございますが、先ほど官房長官の答弁がございましたように、自衛隊が湾岸危機における多国籍軍のようなものへ協力することにつきましては、自衛隊法あるいは国際平和協力法等、現行法上はそのような任務を自衛隊に付与した規定はないから、これを行うことは法律上根拠がないからできないというふうに私ども考えている次第でございます。
#110
○翫正敏君 官房長官に再度お尋ねしますが、現在の自衛隊に任務を付与する法律として、湾岸戦争型の多国籍軍に参加することはもちろんのこと、それを後方支援することを許す立法上の法律はないと、こういう法制局のお答えなんですけれども一政治判断という問題じゃなくて、法律上できないということで明確に答弁していただけますか。
#111
○国務大臣(加藤紘一君) 法制局から答弁のあったとおりでございます。
#112
○翫正敏君 資金提供の問題につきましては、それは可能であるというお考えですか。
#113
○国務大臣(加藤紘一君) 可能と考えております。
#114
○翫正敏君 資金提供については、武器弾薬にはそのお金は使われないという条件つきである、このように理解してよろしいですか。
#115
○政府委員(大森政輔君) 先般の中東貢献策の実施としての資金の供与につきましては、そのような答弁がなされたとも記憶しているわけでございますが、憲法上あるいは法律上の純法理的な観点からお答えいたしますと、憲法九条が禁止している武力の行使というものは、要するに戦闘行動という実力の行使に係る概念である。したがって、単に資金を供与するということは、その観点から武力行使の概念には当たりませんから、憲法九条によって禁止されている武力の行使には該当せず、憲法上問題がないということは従前数次にわたる政府答弁書においてお答えしてさたところでございます。
#116
○翫正敏君 官房長官に確かめますが、前回湾岸戦争における資金提供において、武器弾薬にはこれを使わないという条件つきで支出したわけですけれども、これは政策、政治判断であって、憲法上や法律上の制約ではないと、こういう法制局の今の答弁だと思いますが、そういうことなんですか、政府の考え方は。
#117
○国務大臣(加藤紘一君) 法制局の答弁のとおりでございます。
#118
○翫正敏君 実際は、その湾岸戦争のときの日本の支援金であります第一回目四十億ドル、第二回目九十億ドルの支援金というもののうち、約百十億ドルというものはアメリカの金庫の中に入りまして武器弾薬に使われたということは明白だと私は考えております。そのことについて政府は、いやこれは武器弾薬には使われていないのだという三百代言を弄してきておるわけでありますけれども、これはあくまでそのときの政策判断として武器弾薬には使わないということを表明したのであって、今後とも変わらない政府の基本的な考えであるとは言えないと、場合によっては武器弾薬に使われると、今後は武器弾薬に使われるということで資金提供することもあり得ると、このように承ってよろしいんですか。
#119
○国務大臣(加藤紘一君) 資金提供というものが、それすなわち直接の武力行使に当たるかという問題点の御質問になります。その点につきましては武力行使には当たらないと思います。
#120
○翫正敏君 私が質問したのに対して答えてください。今後、政治判断として再び湾岸戦争型の多国籍軍、湾岸戦争型の多国籍軍というのはどういうものかという定義も難しいかもしれませんが、
一応前回ありましたからね。そういうように資金提供するということは、今後は武器弾薬に使われるということがあってもそれを容認するという方向を含んでいると、そういうふうにお答えになるんですか。
#121
○国務大臣(加藤紘一君) 資金提供したときに、それが武器弾薬に絶対使われないようにというようなことが憲法上要請されるかという問題につきましては今法制局からお答えいたしました。また、それぞれのそのときどきの政策判断がある場合もあろうかと存じますけれども、今後一切そういうようなことは、多国籍軍に提供することはしないというようなことはここで答弁いたしません。
#122
○翫正敏君 じゃ、武器弾薬に使われるような形で多国籍軍に資金提供することも今後はあり得ると、そういうお考えを官房長官が表明された、こういうことですね。
#123
○国務大臣(加藤紘一君) そのとおりでございます。
#124
○翫正敏君 ソマリアの方に多国籍軍を派遣する武力容認の決議が国連安保理でなされました。
 この決議の内容で重要なところは、国連憲章第七章に基づいて、事務総長と派遣各国に対して必要なあらゆる手段をとる権限を与えると。こういうことで、武力行使を含めてあらゆる権限を与えることになる決議が採択をされまして、いわゆるこれが湾岸戦争のときの多国籍軍と同じかどうかということについてはいろいろ議論のあるところかもしれませんが、ともかく多国籍軍が武力行使容認の国連決議に基づいて派遣されるということになるかと思います。
 これについて、我が国がどのような協力をするかについて新聞の記事を見ますと、官房長官は、「多国籍軍に対する日本の後方支援の可能性については「戦闘と直接関係のないものならできる。憲法や法律でできるということと、やるという政策判断は別。従って資金面での協力が中心になる」」と、こう述べられたんですけれども、現実に資金協力や人的な支援策というものも国連から要請があるかもわかりませんが、その場合に、ここに書かれておるような考えで政府は臨むと。先ほどから答弁されていることを踏まえて言うならば、資金面の協力については武器弾薬に使われるということも、これも容認して、そして資金協力をするということもあり得ると。
 それから、後方支援という問題については、これは自衛隊を後方支援させる法的根拠はないと。しかし、自衛隊でなければさまざまな多国籍軍への協力はできると。このような意味合いだとこの答弁書といいますか、その新聞の記事を読めばよろしいんですか。
#125
○国務大臣(加藤紘一君) 私が記者会見で申しました趣旨は、今ここで私ないし政府委員がお答えしているものと同じラインであります。憲法上可能であります。直接武力行使にならないものであるならば憲法上は可能です。で、法律上、その法律をつくれば可能です。しかし、今ありません。それと同時に、憲法上可能であり、また法律が仮にあって可能だったとしても、それでやるかどうかの政策判断はもう一つございますということを申し上げております。
 今度、私たちは何をやるべきかといったら、資金面での協力をやる心構えでおりますというところを申し述べたのであります。
#126
○翫正敏君 資金面での協力につきましては、先ほどからの答弁では武器弾薬に使われることも容認するというようなお考えのことを言われましたけれども、やはり日本の国の平和憲法、こういうことからいいましても、武器弾薬に使われるような形での資金提供は行うべきではないということを私はかたく信じておりますので、そう主張をしたいんですけれども、もう一度官房長官の方から、どういう考えなのか、繰り返しになりますけれどもお答えください。具体的に事態が迫っていると思いますのでお願いします。
#127
○国務大臣(加藤紘一君) 多国籍軍を派遣する組織などに資金を提供した場合、それがガソリンには使用されてもいいし、それから車両購入には使われてもいいけれども、武器弾薬の購入に使われてはいけないとか、そういう限定をつけることは資金協力の効率を極めて下げるという場合も往々にしてあろうかと思っております。
 したがって、私たちが申し上げたのは、そういう武器弾薬に使われる場合もあるかもしれぬ、しかし、それだからといって資金協力をしないとか、また極めて厳しい限定をつけるべきではない、こう思っているということでございます。
#128
○翫正敏君 今ほどの官房長官の答弁が政府の考え方であるということで受けとめておきますが、強く抗議をし、反対運動をやりたいということを申し上げておきます。
 次に、カンボジアのPKO派遣自衛隊員、自衛隊員で派遣されている人ですね、これの区分けをちょっとしていただきたいんですけれども、給与の面において、また手当の面について、給与の支給者、手当の支給者、そしてそのおのおのの任務に応じての手当の金額、こういうものの別に示してください。
#129
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の給与、手当の点でございますが、まず給与でございますけれども、文民警察の要員につきましては総理府から給与を支給しております。それから、停戦監視要員及び施設部隊の要員はいずれも自衛官でございまして、このような要員の給与は防衛庁から支給されておる次第でございます。ただ、停戦監視要員の国際平和協力手当につきましては総理府から支給をしております。
 次に、国際平和協力手当の支給額でございますが、これは国際平和協力業務が行われる派遣先国の勤務環境あるいは業務の特質等を考えまして、業務の困難性ということもございますが、これらを総合的に判断して算定したものでございます。具体的には、カンボジアにおきましての停戦監視要員、文民警察要員、施設部隊要員、それぞれに対する国際平和協力手当の支給額は地域に応じまして、停戦監視要員及び文民警察要員につきましては、一番困難なところでは二万円を支給しております。これは一日二万円ということでございます。そして、プノンペンの場合には八千円ということで、四千円刻みの四段階になっております。それから、施設部隊の要員につきましては一万六千円または八千円ということになっております。
#130
○翫正敏君 自衛隊員の給与について防衛庁が支出しているということは結構でございますが、手当ですね、国際平和協力手当についての支給が、停戦監視要員、現在八名ですか、これについては総理府が支出している。それから、施設業務に従事している六百人、これについては防衛庁が支出しているということでございましたが、どうしてこの違いがあるんですか、理由は何ですか。
#131
○政府委員(柳井俊二君) お答えを申し上げます。
 国際平和協力法第十二条の八項というのがございまして、この同じ十二条の四項の規定によりまして、「隊員の身分」、「隊員」というのは国際平和協力隊員の方の隊員でございますが、「の身分及び自衛隊員の身分を併せ有することとなる者に対する給与等」「に関する法令の適用については、その者は、自衛隊のみに所属するものとみなす。」ということになっております。ただし、「給与等」の後に括弧書きがございまして、「第十六条に規定する国際平和協力手当以外」の給与等というものにつきましては「自衛隊のみに所属するものとみなす。」こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、国際平和協力手当につきましては、総理府の方で支給をするという建前になっているわけでございます。
#132
○翫正敏君 六百人の施設業務に従事している自衛隊の部隊も、一人一人については自衛官との併任ということになっているが、その自衛隊から国際平和協力隊の方に派遣をされている、そういうことと理解してよろしいですね。
#133
○政府委員(柳井俊二君) 施設部隊につきましては、部隊として国際平和協力業務に従事するということでございます。
#134
○翫正敏君 国際平和協力隊に部隊としての個々
人、自衛隊員の個々人が派遣されてはいないんですか、平和協力隊員ではないんですか。
#135
○政府委員(柳井俊二君) 施設部隊の隊員につきましても国際平和協力隊の隊員の身分もあわせ有しております。
#136
○翫正敏君 国際平和協力隊員であるということには変わりないわけですよね。
 それで、ちょっとそのことに関連して思いついたんでお聞きしておきたいんですけれども、法案審議のときにも私、防衛庁長官が実施要領に従ってこの派遣される自衛隊の部隊の指揮監督をするということについて、かなりしつこくおかしいんじゃないかということを質問しました。これでいいんだということで採決になりましたけれども。私今でもこれ疑問に思っているんですが、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、防衛庁長官が自衛隊の部隊の指揮監督権を有しているという立法上の根拠は何なんでしょうか。
#137
○国務大臣(宮下創平君) これは本来的には防衛庁長官が指揮権を持っておりますけれども、平和協力法におきましてはその立て方の問題がございまして、今手当の問題との関連で御議論がございましたが、これは停戦監視員の八人は自衛官であることは間違いありません。しかしながら、それは私の直接の指揮に属さないで、平和協力本部長の指揮に属する業務に従事するという構成になっておりますしかるところ、部隊としての自衛隊の派遣は、平和協力隊員ではありますけれども、これは部隊として防衛庁長官の指揮系統のもとにある部隊をそれを併任するということでございまして、依然それらについては指揮権があるという見解を当時述べたと思います。
 今、平和協力手当の区分けの問題で先生御議論になっておられます。それからまた答弁もありましたが、端的にいいますと、平和協力隊員としてのグループは総理府の本府で平和協力隊の手当まで計上する。しかし部隊としての自衛隊については、これは給与並びに平和協力手当も含めて防衛庁に計上するという、これは仕分けの問題でございまして、必ずしもそうしなければならないという絶対的理由はないかもしれませんが、そういった一連の仕分け上の問題として、たまたま平和協力手当の計上にもあらわれてきているものと、こう私個人は思っております。
#138
○翫正敏君 自衛隊の部隊が平和協力隊に派遣されている、その部隊の指揮監督権を防衛庁長官が有するという法的な根拠は別にないんですね。ただ、そういうふうにしておるだけなんですね。法律的な根拠があるんなら示してください。
#139
○国務大臣(宮下創平君) これはちょっと、正確には条文を引用して防衛局長から答弁させていただきます。
#140
○政府委員(畠山蕃君) 国際平和協力法の第九条第四項でございますけれども、施設部隊が部隊として参加する場合には、防衛庁長官の指揮監督のもとに自衛隊の業務として当該平和協力業務を行う。これが今申しました法の第九条四項に「防衛庁長官は、実施計画に定められた第六条第六項の国際平和協力業務について本部長から要請があった場合には、実施計画及び実施要領に従い、自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせることができる。」こう書いてございまして、それが根拠でございます。
#141
○翫正敏君 とおっしゃるのではないかと思ったんですが、これを受けて第十三条の二というものがあるんではないんですか。第十三条の二では、防衛庁長官は、「自衛隊の部隊等に国際平和協力業務を行わせるときは、」、「行わせる」とさっき書いてあったでしょう、「行わせるときは、当該自衛隊の部隊等に所属する自衛隊員をこれは自衛隊員ですから、個々の自衛隊員ですよね、「期間を定めて協力隊に派遣するものとする。」こうなっていますからね。防衛庁長官の仕事は派遣したら終わりじゃないんですか、この法律上は。政策判断とか政治判断とかいうことは今ちょっと別として、立法上はそうじゃないんですか。
#142
○政府委員(畠山蕃君) 今、御指摘の十三条二項でございますけれども、これはその後のところをちょっとごらんいただきますと、「この場合において、派遣された自衛隊員は、当該期間を任期として隊員に任用され、自衛隊員の身分及び隊員の身分を併せ有することとなるものとし、隊員として第四条第二項第三号に掲げる事務に従事する。」ということでございますから、併有された身分としての、協力隊員としての業務というのは四条二項三号の業務を行う、こういうことでございまして、部隊としての参加につきましては先ほど申し上げた九条の規定によりまして自衛隊の業務として行う、こういうことでございます。
#143
○翫正敏君 自衛隊の部隊が業務を行うんですか、平和協力隊が行うんですか、どっちですか。
#144
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊の部隊として業務を行うということでございます。
#145
○翫正敏君 自衛隊の部隊が行うということは、それでは簡単に言いますと、現在カンボジアヘ派遣されている部隊は平和協力隊と自衛隊と二つ、六百人の自衛隊の部隊と、平和協力隊は八名と七十五名ですか、それだけの平和協力隊と自衛隊の部隊と二つあるんですか。それでいいんですか。
#146
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊の業務として二種類あるということでございまして、業務として、例えば今行われています道路の補修等を部隊六百人で行っております。これは、個々人は御指摘のとおり平和協力隊員としての身分と、それから自衛隊員の身分とを両方持っております。その施設業務を行っているその業務は自衛隊の身分としての業務であります、自衛隊員としての業務であります。そして、四条二項三号の業務というのも別途ございまして、こちらの方はいわば平和協力隊員としての業務を行っておる、こういうことでございます。
#147
○翫正敏君 六百名の橋や道路の補修をやっている部隊は自衛隊としてやっていると、念を押しますが、そういうことですか。
#148
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊の業務としてやっておるということでございます。
#149
○翫正敏君 私、毎日、自民党の本部の前を通りますが、あそこのところにこういう大きいポスターが張ってあります。平和協力隊がカンボジアで活躍している。こういう趣旨のことが書いてあるんですね。そして防衛庁長官が訓示をしておられる写真がありまして、平和協力隊に訓示をしていると、こういうふうになっています。それから、あなたは自民党の党員ではないかもしれないから、自民党の党員でない人はちょっとおいておいて、防衛庁長官は自民党の党員だと思います。自民党の自由新報というのを見ますと、自由新報の中に平和協力隊の主力を担う自衛隊と、こういうふうに書いてあるんです。書いてあるんですよ。自由新報を読んでください。
 そういうことによれば、あくまで自衛隊員というものはこの法律に基づいて、平和協力隊になってそして派遣されていると、自衛隊員の身分を持っていると。身分を持っているから給料は自衛隊から、防衛庁から支給されているということはいいんですよね。平和協力隊として派遣されている、そういうふうに少なくとも自民党の機関紙や宣伝のポスターには書かれているわけですがら、自民党を支持する人は、ある意味では国民すべてそういうふうに思っているんじゃないかと私は思いますが、ああいうものを見ると、自衛隊がそういう業務をやっているんじゃなくて、自衛隊が国際平和協力隊というものになってそうして業務をしているんだと、こういうふうに受けとめていると思うんですが、それはどうですか。
#150
○国務大臣(宮下創平君) 私、ちょっと自由新報はどのような表現になっておるかわかりませんが、今防衛局長が条文に則して言われたことはどういうことであるかと申しますと、平和協力隊、これは本部長である内閣総理大臣の指揮下にあります停戦監視要員、文民警察要員あるいは今後予定される選挙監視要員等でございます。そして、その停戦監視要員はなぜ部隊としての自衛隊とは別がといいますと、今防衛局長が答弁された四条の三号の調査その他効果の測定とかそういう業務
を根拠にして、それから停戦監視という特別な個人的な業務を中心にしているがゆえにそのようなくくりになっております。
 しかし、部隊としての自衛隊は、これは平和協力隊の隊員としての身分を併有するわけでございますので、あくまで形式的に申しますと平和協力隊員であると言って間違いはないわけでありますけれども、その指揮権とそれから活動の実態はおのずから違うということがございます。個人で参加している自衛隊員はそれぞれストレートに本部長の指揮を受けます。しかし、部隊としての自衛隊員は、四条三号に今書かれておることを言われましたね、十三条だったか、それはなぜそういうことが書いてあるかというと、これは併有するために任務がやっぱりなければ平和協力隊員になりません。
 そこで、率直に言いまして、併有するためにその任務をあわせ持つことも必要ですし、部隊としての隊員個々人もそういう観点が必要であるからそのように立法政策としてなされたものですね。しかし、部隊としての自衛隊はあくまで、先ほど指揮権の問題でもちょっと触れましたように、これは平和協力本部長のもちろん指揮権のもとに、平和協力本部長は何といっても自衛隊の最高指揮官ですからいいんですが、その指揮系統のもとに防衛庁長官が部隊としての自衛隊の指揮系統を持っているわけでございまして、そして併有はしておりますが、部隊独自の行動をやるがために必ず個人の自衛官の問題と、それからそれとあわせて海上保安庁の組織としての参加と自衛隊の部隊としての参加を並列的に法構成を構成しているわけでございます。
 この点は平和協力隊であると言って私は間違いないと思います。ただ、実態的に申しますと、今言ったようなことで機能が分かれるし指揮系統もおのずから若干異なってくるということでございます。
#151
○翫正敏君 わかりました。次の質問をします。
 その十三条の二の、防衛庁長官は、期間を定めて自衛隊員を平和協力隊に派遣するというのは、これはすべての自衛隊員について、個人的であろうが部隊で派遣する場合であろうがすべてについて適用される条文なんでしょう。これは個々人で派遣されるときにだけ適用されるというふうには書いてありませんよね。
 それで、派遣された自衛隊員は自衛隊の身分と協力隊の隊員の身分をあわせ有するんだと、こうなっているんですが、これは全員に係る条文なんでしょう。それは畠山さん、ちょっとどうですか。
#152
○国務大臣(宮下創平君) 先ほどの継続でございますから申し上げますが、十三条の二項は、これはあくまで部隊としての自衛隊の併有の問題を規定してあるわけですね。そういう構成になっています。ですから、これは監視要員のことは書いてないんですよ、自衛官の。そうお答えすればおわかりいただけると思います。
#153
○翫正敏君 要するに、説明を聞いておりますと、形としては、法律にのっとって自衛隊員を部隊として業務をさせる場合にも、平和協力隊に派遣をしてそして部隊としての行動をしているんだと、こういうふうに言われるんですけれども、そしてそういうことが自由新報とかポスターとかにも書いてあるということと整合性があるようではありますが、その指揮権について言うならば、ちゃんと防衛庁長官が指揮権を持っている。防衛庁長官は一体国際平和協力隊の何という役職なのかということを聞きたいんです。
 それから、自衛隊が名古屋からタイのウタパオ基地まで自衛隊員を輸送するためのチャーター便を民間航空会社と契約しましたときにも、契約した契約者は、政府機関は国際平和協力隊ではなくて陸上自衛隊だったわけですよね。そういうことを見ましても、実態としてはまさに平和協力隊という隊と自衛隊の部隊というものが二つカンボジアで展開をして、一方は停戦監視や文民警察の活動をしている。まあ自衛隊の人は文民警察はしません、自衛隊は停戦監視の活動を八名でやっている。それから、一方では六百名で橋や道路の修理をやっている。これはもう自衛隊でやっている、こっちは平和協力隊に行っているというそういうふうになっちゃっているんじゃないんですか。
 だからこそ防衛庁長官が指揮監督権を持つ、こういうようになって、これは結局自衛隊が生で海外へ出ているということの証明をしているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。役職は何かということもちょっとお答えください。
#154
○国務大臣(宮下創平君) 平和協力隊として出ているということを申し上げたわけでありまして、これはもう間違いのない、法構成でそうなっております。しかし実際は、部隊としての自衛隊は平和協力隊としての身分を併有はいたしますけれども、この指揮系統はどうなるかというと、先般の特別委員会でも御議論のございましたように、これはコマンダーのもとにあるということでもありますが、それは業務に関してのことでございまして、実際上は防衛庁の長官は内閣総理大臣の指揮監督のもとに部隊等を指揮監督し得るわけでありますけれども、同時にその隊員は平和協力隊の隊員であると、そのことを十三条二項で併有と書いてあるわけですから、この点は実際は矛盾はしていないと思いますよ。
 ただ、行動形態が同じ自衛官であっても、監視要員として各国とばらばらになって組を組まされてやっておるということでございまして、これは直接平和協力隊員としての参加について防衛庁長官は指揮監督権がございません。しかし、部隊としてのものは、これは各国と協調的にやるわけですけれども、業務それ自体は我が国の自衛隊が独自にその実施要領に従い、それからコマンドとの調整のもとにこの業務を実施しているわけで、形はそのように見えますけれどもあくまで単一の平和協力業務である、こう理解していただきたい。実態はそのとおりでございます。
#155
○翫正敏君 次に、先ほど官房長官が読み上げられました報告書の中身のことについてお聞きしますが、「カンボディアにおいては、局地的あるいは散発的な停戦違反事件が発生している」と書いてございますが、どのような最近の事例を把握しておられるのか、簡単に説明してください。
#156
○政府委員(柳井俊二君) 最近の事例といたしましては、例えば十月に発生いたしましたポル・ポト派の兵によると思われる橋の爆破のようなもの、あるいはUNTACのヘリコプターに対する地上からの、小銃によるものと思われますが射撃、そういうようなものがございます。
#157
○翫正敏君 ポル・ポト派がUNTACの停戦監視員六人を拘束した。それからポル・ポト氏直筆のUNTACが新たな敵であるというようなことを書いた文書がある。それから、プノンペン政権の国防相がUNTACに対してポル・ポト派が攻撃をしかけてくる可能性があるという警告を出している、このようなことは把握しておられますか。
#158
○政府委員(柳井俊二君) ただいまおっしゃったものの中で、ポル・ポト軍と思われますが、UNTACの停戦監視要員を一時拘束したという事件があったのは事実でございます。幸い、UNTACとポル・ポト派の交渉の結果、これらの六人の停戦監視要員は無事釈放されたことは御承知のとおりでございます。
 なお、ボル・ポト自身の手によると言われる文書につきましては、私どもとしてはその存在は確認しておりません。そのような報道があったことは承知しております。
#159
○翫正敏君 それで、業務の実施要領の概要を見ますと、「六中断に関する事項」ということがございまして、そしてこの二のところに、「次に掲げる場合にはその状況等を防衛庁長官を通じて本部長に報告し、指示を受ける。」こうなっております。これは中断に関する事項ですから中断をするという指示を受けるという意味に一応理解してよろしいと思いますが、「中断に関する事項」の一、二の二番目ですからね。その場合には、アとしまして「紛争当事者が停戦合意、平和維持活動及び我が国による国際平和協力業務の実施に対する同意を撤回する旨の意思表示を行った場合」とありまして、イとして「大規模な武力紛争の発生等により、
もはや前記の合意又は同意が存在しないと認められる場合」というのがあって、一つ飛ばしてエとして、「中立性をもって実施されなくなったと認められる場合」、こういうように書いてございますが、現状ではこういうふうになっていないというお考えだと思います。
 私は、現状は既にこういう事態になっている、非常にこれに近づいてきているので危険であるというふうに思いますが、政府の方は、この事態には達していないので防衛庁長官を通じて本部長に報告もしていないし、そしてその中断の指示も受けていないということで任務を継続している、こういうことだと思いますが、このア、イ、エのそれぞれについて今後の推移ということを見守っていく中で目安、基準、こういうものをお示し願えますか。どのような事態というものを目安、基準としてこのア、イ、エというものが書かれておるのか、これを具体的に例示していただけますか。
#160
○政府委員(柳井俊二君) この実施要領の第六項の二というところに書いてございますのは、ここに掲げているような場合にはその状況等を現地の方から防衛庁長官を通じて本部長に報告し、指示を受けるということでございまして、ウはその他という感じでございますが、ここにございますのは特にアとイでございますけれども、停戦の合意が崩れたかもしれない、そういう典型的な状況というものを掲げたわけでございます。
 ただ、この場合におきましても、このような状況が生じましたら現地の部隊は防衛庁長官に報告しまして、最終的には本部長と協議の上、政府からの指示を受けるという考え方でございます。と申しますのは、中断というような事態は最終的には長引けば業務の終了というようなことにつながる重大な決断でございますので、このようなことは現地限りで判断するということではなく、本国に報告し指示を仰ぐという建前をとったわけでございます。
 しからば、具体的にこれ以上にどのような場合があれば停戦の合意が崩れたかという御指摘でございますけれども、停戦の合意が崩れるあるいは停戦違反が非常に重大化するというような事態は大変千差万別であると思います。したがいまして、そのときどきの具体的な状況に照らしまして総合的に判断するという必要があると存じます。したがいましてあらかじめ具体的な状況を離れて、これこれの場合にはどうこうということをお示しするのは大変難しいわけでございます。
#161
○翫正敏君 官房長官は平和協力部隊の副本部長ですけれども、そういう立場から言いましても、こういう業務の実施要領に書かれておる、これは概要ですけれども、本式にはもっと細かく書いてあるのかもしれませんが、こういうようなことについて、現在示せる目安とか基準というようなものはありませんか。そのときになってみれば出たとこ勝負でそこで考える、こういうことでしょうか。
#162
○国務大臣(加藤紘一君) 出たとこ勝負で考えるわけではありません。
 私たちのカンボジアにおけるPKO活動というものは、戦後私たちの国が海外でいわゆる人的貢献をする初めてのケースでございます。したがって、その運用については私たちは非常に慎重であらなければならないし、それから出して活動してきてもらってよかったねと国民の大多数の人から思っていただかなければならないそういうケースであって、また東南アジア諸国の人々からも安心感を持ってもらうものでなければならないと思います。と同時に、諸外国からしっかりとした任務をやっていますねという評価も受けなければならない問題であります。
 例えば、ポル・ポト派がいろんなことを言います。ただ、それをどの程度どこまで額面どおり受けとめるのかという問題もあります。あれだけお互いにやり合っていた四派の間ですから、宣伝戦もかなりありましょうし、いろんな戦略もあろうかと思います。しかし同時に、本当にそこの真意を誤ってポル・ポト側がもう停戦協定を守らぬという気持ちになっているときに、その判断を誤ってもいけませんし、やはりここは非常に難かしい判断でありますけれども、総合的にということを言っておりますけれども、それは全体的にその情勢をかなり見て判断しなきゃいかぬのじゃないかと思います。
#163
○翫正敏君 私は、民主カンボジア派いわゆるポル・ポト派がパリ和平協定に調印して、そしてカンボジアめ中の内戦を終わらせようという意思表示を示しながら、その後決められた手順を踏まずに、先ほど柳井さんから御指摘になった、また新聞などに報道されているようなさまざまな違反行為を繰り返しているということはまことに遺憾なことであるというふうに思っています。
 一日も早く停戦と言いますか、パリ和平協定の枠の中にちゃんと入って、そして行動して、選挙にも参加してほしいということも願っているものです。ただ現実として、そういう武装集団がロケットを打ち込んだり橋を壊したり、さまざまなことをやって、また宣伝戦としてもかなり激しいことを言っているという事態は非常に厳しい状況に今カンボジアの国内状況は至っているというふうなことを心配する立場から申し上げているのだということは念のためですけれども、申し上げておきたい、そういうふうに思います。
 その上でちょっと確かめておきたいんですけれども、我が国のいわゆるPKOへの参加ですね、この同意、これを取りつけるというものは国連が行うと。どこの国でもいいですけれども、どこかの国がPKOに参加するということ、その同意を取りつける。いわゆる停戦の合意、参加の同意、そして中立性という三原則の二番目の同意ですが、この同意について、PKOの長年の慣行として国連がこれを取りつけることになっているという政府のお考えのようですが、そういうふうに承っていいんですか。
#164
○政府委員(柳井俊二君) ただいまおっしゃったとおりでございまして、長年の慣行、確立した慣行によりまして国連が取りつけるということになっております。
#165
○翫正敏君 私はやはりこの点については疑義を持っています。
 なぜかというと、PKO協力法においては、そのPKOの活動がその国において、その地域において行われることの紛争当事者の同意があることというのがあって、条文を変えて別のところに今度は我が国の参加の同意、紛争当事者の同意があることというふうにわざと条文を変えて書いてあるというところにこの法律の非常に厳格なところがある。厳格なところがあっても私は反対したんですけれども、厳格なところがあるというふうに理解をしているんですね。
 そういうことから考えてみますと、国連が現在、カンボジアならカンボジアでPKOの活動をしている、その国連が参加をしてくれと要請して、それで紛争当事者がみんないいと言っているから来てくださいというふうに言ったということを、はい、そうですかと行くだけなら、それだけならばやっぱりこの法律の趣旨に十分にマッチしているとは言えないんじゃないか、こう思うんですよ。
 我が国の独自の判断として、我が国がその紛争当事者、この場合は四派ですけれども、四派それぞれからその同意を取りつける。これはまた別のところへ行けば国同士の紛争とか戦争というようなものが停戦をした場合もあるでしょう、そういう場合には両方の国からちゃんと取りつける、我が国の外交努力で取りつけるということがあって初めて、このPKOに我が国が参加をできるというのがこの法律の条文の規定しているところではないか、こう考えるんですが、いかがでしょうか。
#166
○政府委員(柳井俊二君) ただいまの我が国の参加についての同意が六条に規定されているということにつきましては、まず第三条の方では国際連合平和維持活動というものの定義が一般的になされているわけでございます。そして第六条の方では、「実施計画」というタイトルもついておりますが、我が国が行う国際平和協力業務に関する規定をまとめて書いているわけでございまして、そういう意味でいわば立法技術上の整理がなされてい
るということではございますけれども、しかし、その結果、紛争当事者の同意取りつけをどういう方法で国際的に行うかというところまでこの法律で決めているわけではございませんで、先ほど先生御自身からも御指摘ございましたように、やはりこのPKO活動というものは国連の長年の慣行によっているものでございますから、そのような慣行に従った手続がとられたということでございます。
 具体的には、今年の七月の下旬に我が国の要員、部隊の派遣につきまして、明石特別代表が国連本部の訓令に基づきましてSNC議長たるシアヌーク殿下に通報いたしまして、同殿下はこれを歓迎するとし、これはSNCの総意であるとした旨国連側から連絡を受けているところでございます。このSNCの同意というのは、民主カンボジア、いわゆるポル・ポト派を含む各紛争当事者の総意としてのものでございまして、これに加えて我が国が直接同意を取りつけるということは不要と考えた次第でございます。
#167
○翫正敏君 要するに、SNCから同意があったからいいんだというあたりがどうも不十分なところだと私は思うわけでありまして、それはまた次回にもう少し機会があればやりたいというふうに思います。やはり紛争当事者それぞれの、この場合は四派というわけですから、この四派それぞれから我が国の参加の同意を取りつけるということがあって初めて安全に活動ができる、我が国はその紛争の当事者から攻撃を受けたりすることがないと、そういう条件がそこで初めて成立するんじゃないかと思いますのでそういうふうに主張しておきます。
 あと一点だけ質問して終わりますが、この実施要領では地雷に関する事項が書いてございまして、「隊員の安全を確保するため装備する地雷探知器セット、施設作業安全化器材等により、地雷の探知、処理等所要の措置を講ずることができる。」こう書いてございますが、我が国の自衛隊が海外において処理することができる地雷やまた機雷などの爆発物、この処理については放棄されたものであったり遺棄されたものであったりするものに限るというふうに理解をしております。
 それで、放棄されたり遺棄されていない地雷や機雷を処理することは、これはつまり生きている地雷とか機雷でありますとか、この場合地雷ですから地雷と言いますが、地雷が生きているということになりますと、それは作戦行動として働いているものでありますから、これを処理するということは海外における武力行使に当たるというふうに私は考えるものであります。したがって、この海外における武力行使は憲法上許されないというふうに考えるものでありますが、いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(宮下創平君) 今、先生のおっしゃられたのは地雷と機雷に分けて御質問がございましたが、まず地雷について言えば、このPKFと言われる中でいわゆる遺棄された地雷について規定がございます。しかし、これは凍結しておりますから地雷の処理自体本体の業務としてやることはいたしません。しかし、我が自衛隊が道路あるいは橋梁の補修等をやる際に、その周辺にそれらしきものがあった場合には業務の遂行の妨げとなりますからこれは当然処理をいたすということで地雷探知器等を持っていっているわけですね。このことは御理解いただけると思います。
 ただ、それではポル・ポト派が作戦的な意味でまた敷設するんじゃないか。そういう報道もありますね。しかし、遺棄されたものであるか敷設された意図的なものであるかの区別は私どもはつきませんと思います、実際問題として。理論上の問題として言えば、そういうものがはっきりして、それ自体を、作戦的な目的の手段として埋没された地雷をこれを本来的に処理していくということは、遺棄されたものでなければ理論上の問題としてはあるいは先生のおっしゃるような懸念が生ずるかもしれません。この点は具体的なケースでないと断定できません。
 一方、機雷の方は、これは湾岸戦争の後ペルシャ湾に参りまして、自衛隊法九十九条によって海上自衛隊に与えられた任務の条文規定に基づきまして、これは領海だけにとどまりません、公海上もよろしゅうございます。それから、ペルシャ湾に行けば、相手の同意が得られれば相手の国の領海にも入ることができるわけでございまして、そういう権限でやりました。これは遺棄されたものと言っていいでしょう、中東戦争が終わった後でございますから。これは何ら問題がなかったと思います。
 以上でございます。
#169
○翫正敏君 ちょっともう一点、今のことに関して。
 理論的だけでいいですけれども、実際どう見分けるか難しいということはこの次また方法を私説明しますが、理論的には、遺棄されたものや放棄されたものでない生きている地雷を処理するということは作戦行動に当たるということでよろしいですね。
#170
○国務大臣(宮下創平君) 生きているか生きていないかというこの表現がどういうことを意味されるのか。機雷としての爆発力を持ったものという意味だとこれはみんな生きているんですよ。
#171
○翫正敏君 いや、作戦行動として敷設されたもの。
#172
○国務大臣(宮下創平君) それは、部隊行動で設置されたかどうかは、その客観情勢が確実に認識できなければ私はそういう理論は成り立たないと思いますね。そのことだけ申し上げておきます。
#173
○田村秀昭君 国際平和協力業務の実施状況について加藤官房長官から御説明がございまして、現在文民警察七十五名、監視要員八名、施設部隊六百名。本当に御苦労さまである、大変厳しい状況の中でまだ生活環境も十分でないと考えておりますが、任務を遂行しておる姿を心から尊敬の念を持って評価したいというふうに思っております。
 特に二、三御質問いたしますが、時間がございませんので簡潔にお答え願いたいと思うんですが、山崎警視正以下文民警察七十五名の方は九カ所に分かれております。停戦監視員の方は六カ所に分かれております。こういう方々の後方支援、飲み水その他生活環境というのは、特にタケオの部隊の方々から比べるともっと厳しいのではないかというふうに考えておりますけれども、その辺政府としてどのような支援をされているのか、お聞きしたいと思います。
#174
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のように、文民警察要員あるいは停戦監視要員は一部の方は大変辺境に勤務しておられまして、厳しい生活条件のもとにございます。これらの要員につきましては、基本的にはUNTACが水などの供給を実施しておる次第でございます。勤務地域によって大分生活環境も異なるわけでございますけれども、比較的生活環境が厳しいと言われる地域におきましても水、食料等は確保されておりまして、生活のために必要とされる最小限のものは確保されているというふうに承知しております。
 また、我が国といたしましても、国際平和協力本部の事務局から現地に支援チームを派遣しておりまして、これはプノンペンにおりまして大使館のもとにあるわけでございますが、長期出張という形で派遣しております。この現地支援チームがUNTACの本部を通じまして隊員との連絡調整あるいは日用品の送付等の支援を行っております。特に、辺境におられる方々はUNTACのヘリコプターで時々プノンペンに出てこられるあるいはこちらから出向くということもございますが、そのような機会をとらえまして、いろいろ特に日本のものにつきまして、食料品その他をお届けするということをやっております。
 それからさらに、本部といたしましては留守家族に対する支援も行っておりまして、定期的な活動状況等を例えば「カンボディアだより」というような文書をお送りしましてお知らせをする、その他いろいろな機会に写真をお送りしたり、近況をお知らせし、また隊員と家族との間の連絡の便宜も図っておる次第でございます。
#175
○田村秀昭君 我が国では熱帯病対策というか、
特にマラリアについては長崎大学が権威であるというふうに聞いておりますが、我が国では防衛医科大学校も含めて余りマラリアの対策、病理を今まで研究していないと思っております。マラリアにかかった患者は、あるいは重い病気にかかった、風土病等にかかった隊員はまずどういうふうに処置されるのか、まだ今は元気だというふうに聞いておりますが、そうなった場合どういうふうに治療されるのかお聞きしたいと思います。
#176
○政府委員(柳井俊二君) 幸い現在皆さん元気で活動しておられますが、万一UNTACの要員、これは我が国の要員のみならず一般的なことでございますけれども、病気にかかった場合あるいはけがをした場合でございますが、これにつきましては、UNTACが緊急の輸送体制をとっておりまして、最寄りの野戦病院で治療をするということにしております。
 ただ、この野戦病院の能力につきましては限界がございますので、非常に重い病気にかかったというような場合につきましては、これもUNTACの輸送部隊がタイまで後送をいたしまして、タイの病院で治療を受けさせるという体制になっております。現によその国の部隊の隊員等につきましてこのようなことをやっているというふうに承知しております。
#177
○田村秀昭君 それはタイの陸軍病院ですか。
#178
○政府委員(柳井俊二君) 私、タイのどの病院かまでは確認しておりませんけれども、恐らく陸軍病院も使わせてもらっているものと思います。
#179
○田村秀昭君 今現在、協力隊員の家族との通信ですね、こちらから向こうへ行く手紙が必ずしも十分に、三分の一ぐらい着いていないとか向こうからはもっと着かないとか、電話は非常に回線が限られていて家族が非常に不安になる可能性が高いと聞いております。まだ二カ月間ですから、これから徐々に皆様の御努力でよくなっていくと思うんですが、その点いかがですか。
#180
○政府委員(柳井俊二君) 平和協力隊員と家族との連絡手段につきましては、主として手紙と電話によっております。その勤務状況、勤務の地域等によりまして、確かに手紙、電話の連絡が必ずしも十分できないという点がございますので、私どもといたしましてもこれを改善すべくいろいろ努力をしているところでございます。ただ、若干時間を要するという点を除きますと、一応家族との連絡はとれるような体制になっております。
 それから、先ほどお話しいたしました私どもが派遣しております現地支援チームを通じましても、家族と隊員との間の連絡をできるだけ円滑にするように努めているところでございます。
 郵便の場合でございますが、プノンペンで投函する場合には一、二週間程度、あるいはカンボジアの地方からUNTACの定期便を利用する場合にはさらに余計な時間がかかるというのが現状でございます。なるべく連絡がよくつきますように私どももいろいろ可能な手だてをしていきたいというふうに考えております。
#181
○田村秀昭君 PKOにつきましては最後に官房長官にお尋ねしたいんですが、現在向こうで汗を流している隊員の広報ですね、どうか国民によく理解していただくようにしていただきたい。私が非常に心配しているのは、今の人たちはみんなが関心を持っている、今行っている方々に対してはですね。だけれども今度四月か三月の末に交代いたしますね。それで今度は北海道から部隊が行かれる。非常に寒いところから物すごい暑いところへ行くというようなことも含めまして、ぜひ万全の体制をおとりいただくことをお願いしたいんですが、その点について官房長官のお考えをお伺いしたいと思います。
#182
○国務大臣(加藤紘一君) 今回、カンボジアのPKOに参加いたしました文民警察及び自衛隊員の皆さんの活動につきましては、私は比較的丹念に報道されているなと思っております。延べ人数にしますと二百人から三百人ぐらいの記者の人と、それからテレビカメラクルー、カメラマン等が現地入りをしてくれているわけですけれども、そういうある意味で国民の目を代表するメディアの人たちがつぶさに我々の活動を、自衛隊の活動を見てくれていると思うんです。
 それを通じて、自衛隊員の方でも活動を隠すことなく、はっきりとフランクな形で見てもらっておりますので、いずれにしても国民の皆さんの判断の資料は恐らく国民の皆さんの目に、耳に届いているんではないかなと思います。今後これが続きますように努力したい、自衛隊等の広報関係ではその点を重視していきたいと思っておりますし、防衛庁長官もその気持ちであられると思います。
 今度の交代要員の人たちの問題につきましては、先生御指摘の点十分心得て対処したい、こう思っております。
#183
○田村秀昭君 防衛庁にお尋ねいたします。
 東西対立の冷戦が終結をした。一部では、平和になった、軍縮だ、我が国の防衛費も削減すべきだという短絡した意見があります。(「いい意見じゃないか」と呼ぶ者あり)ちょっと聞いて。
 確かに、米ソ両陣営の対決による核戦争を含む人類を滅亡に導くような第三次世界大戦の勃発は当分の間回避される確率は高くなったと言えると思います。そして、対立から対話への時代を迎えたと言えると思います。米ソは現在いろいろな理由もありますが、一番経済的な理由から高いレベルの軍事力をより低いレベルの軍事力に移行して均衡を保とうというふうにしていると考えられます。特に大きな米ソの軍縮は、核戦力それからヨーロッパに展開した米軍の大幅な削減ということが伝えられております。
 私は、冷戦が終結をしたということはどういうことを意味するかといいますと、今までは対立していたので敵味方が極めて明確であった。終結、終わってからは敵味方が大変に不明確になった。きのうの敵はきょうの友であり、きのうの友はきょうの敵になる、大変流動性のある不透明な時代を迎えたと言えるんではないか。特に東西の枠内でいろいろ抑制されてきた各国は、領土とか宗教とか資源とかエネルギーとか、そういう問題でみずからの国益を主張する時代になった。
 特に、アジアはワルシャワ・パクトやNATOのようなそういう対立てはありませんが、中国、北朝鮮、韓国、ASEAN、極東ロシア、そういうところで今どこかの国が軍縮をしているかどうか、していないのに日本だけ軍縮をするとそれは力の空白を生ずることになりますので、特に中国、韓国、ASEANの最近の防衛費の伸び率の減少があれば教えていただきたいと思います。
#184
○国務大臣(宮下創平君) 今、田村先生の御指摘の点は大筋で私も同意できます。冷戦構造が終結したことは好ましいことでございます。そして同時に大規模な紛争も発生しない、これも事実でしょう。しかし同時に、冷戦構造があって対立の図式があったればこそ起き得ないような紛争が今起きていることも事実だと思いますね。ソマリアなんかもその要因が一つの引き金になっていると私は思います。ユーゴでもそうでございますけれども、民族的なあるいは宗教的な、地域的な対立、抗争というのは今後生起する可能性が十分あり得ると見るのがこれは客観的に正しい味方だと存じます。
 また、アジアにおいては、今委員指摘のとおりであります。私もこの点は大変興味深くといいますか、注意深くこれを見ておりますけれども、アジアで軍縮といいますか、防衛費を対前年度で減らしている国はまずない。まずないという意味は、フィリピンだけが若干この年度で見ますと、ミリタリー・バランスで見ますと落ちておりますけれども、あとはかなりな伸びて伸ばしておることも事実です。
 今、先生御指摘の韓国それから中国、ASEAN等でございますが、中国で申しますと、九二年度は一三・八%、その前が一二・二%伸びておりますし、また韓国でいきますと、同じく九一年一二・三、九二年一二・九%伸ばすというようなことですね。それからマレーシアなんかも去年一一・八、ことし五・七、フィリピンは今言ったように、去年は一三・九伸ばしていますが、ことしだけはマイ
ナス一・五という統計になっておりますね。タイなんかも去年一五・二、ことしは一三・六%と、おおむね一〇%以上の伸び率を見ているのが現実でございます。
#185
○田村秀昭君 防衛計画の大綱は、我が国の防衛力は新たな情勢の変化に対して、円滑にこれに移行し得る配慮をされた基盤的なものというふうに規定されております。それで、新たな防衛態勢に円滑に移行するためには、防衛産業の基盤の最低限の機能を維持する必要があると考えております。そういう意味で防衛費の正面削減というものは極めて慎重でなくてはならないというふうに考えておりますが、長官の御意見をお伺いします。
#186
○国務大臣(宮下創平君) 今、御指摘のように、今の防衛計画の大綱は我が国の防衛政策の基本になっておりまして、その中には基盤的防衛力構想というものが述べられております。そして、必要に応じてそれをエキスパンドすることも必要であるということが書かれております。それなるがゆえに基盤的防衛力と申すわけでございますが、その基礎にはやっぱり防衛生産のあり方とも非常に密接に関係しております。大綱でも国産に配意しつつというような文言をもって訓練あるいは即時の有用性とか修理の問題とか、いろいろそういう観点から検討すべきであるということは言われています。
 全体としては、一般輸入、FMS輸入を含めて一割くらいに達していると存じますけれども、防衛基盤、防衛産業の基盤をきちっとしていくことは、我が国の専守防衛の立場からいってもこの縦深性を確保するために私は重要なことだと考えております。ただし、今いろいろ中期防の修正問題その他もございますが、これらはまた中期防自体に定められた、何といいますか、枠組みのもとで今検討をいたしておりますが、国際情勢がこういう状況でございますから、安定的な中にも国際情勢を見て、そして効率的、適切な防衛力の整備を図っていくというのが基本であろうかと思っております。
#187
○田村秀昭君 最後に防衛庁長官にお伺いいたします。
 PKO、平和維持協力業務は非常に重要な任務であります。自衛隊法第三条に自衛隊の任務としてつけ加えるべきだというふうに私は考えておりますが、長官の御意見を伺います。
#188
○国務大臣(宮下創平君) この問題はしばしば過般の特別委員会におきましても、また各種の委員会でこのような見解を述べられる政党もございますし、見解を抱かれる議員も数多くございます。しかし、今私はやはり自衛隊法の三条というのは直接侵略、間接侵略に対応するのが本来の目的である、そして必要に応じて公共の秩序維持に当たるということでございまして、これがあくまで本務であることは私は間違いないことでございまして、今回の平和協力法も雑則ということで大変低く位置づけしているんじゃないかというように言われますけれども、決してそれはそういうことではございませんで、百条の七でやっておりますけれども、任務自体は極めて重大な、重要なことだと存じます。
 しかし、それは百条の七で書いてありますように、自衛隊の任務遂行に差し支えない範囲内でという制約もございましてこのような位置づけになっておりますが、将来問題としては、やはりこれだけの国際化時代に自衛隊の平和貢献がどのような実績を積み重ねられていくか等々を見きわめ、なお国民世論の動向等を見きわめつつ、それは十分将来的には検討に価する課題だということをしばしば私も申し上げたところでございます。
#189
○田村秀昭君 どうもありがとうございました。
#190
○大久保直彦君 ただいま官房長官から国際平和協力業務の実施状況について御報告をちょうだいいたしましたが、冒頭に今田村委員からお尋ねのあったカンボジアにおきますPKOの現状について二、三お尋ねをいたしたいと存じます。
 と申しますのは、今、官房長官並びに局長の方からも非常に元気にやっておるという御報告がございましたけれども、気候も違い、風土病等も非常に心配される状況の中で、大変な御苦労をされていることだと思いますけれども、今報告のあったように、元気いっぱいであるということで済まされない問題も多々あるのではないか。現在私のところに届いております声も、留守家族並びにこれから交代で赴任されようとする方々の中にも、決してもろ手を挙げて何も心配がないというような状況ではないように思いますが、重ねて今のこのPKOの皆さんの生活状況、現状についてお尋ねをいたしたいと思います。
#191
○政府委員(柳井俊二君) ただいま仰せのとおり、なかなか現地の気候その他の生活条件は厳しいものがございます。先ほども申し上げましたけれども、基本的な水、食料等の供給はUNTACの方で行っておりまして、私自身もいろいろ見てまいりましたけれども、そういう点はUNTACの方で確保していると思います。ただ、これはあくまでもいわば最小限度の生活必需品の供給ということでございまして、それ以上のことになりますと、なかなか不便も多いわけでございます。
 それから、いろいろ熱帯病のあるところでございますので、各隊員につきましては、派遣に先立ちまして必要な予防注射あるいは飲み薬、マラリアの場合は薬を飲んでもらっているわけでございますが、そういう予防措置をとっております。
 それから、私どもの事務局といたしましても、職員を、現地プノンペンでございますけれども、長期出張の形で派遣しておりまして、そこを通じて、また大使館の方にも協力をしてもらいつつ現地の隊員との連絡、それから日本の物を届けるというような便宜を供与しているところでございます。
 なかなか行き届かない面もございますが、できるだけ改善を図っていきたいと思っております。
#192
○大久保直彦君 一つには、間もなく二カ月になるわけでございますが、もう二カ月という受けとめ方もありましょうが、まだ二カ月という受け取り方もございまして、留守を守る家族の方々にしてみますと、先ほどいろいろ通信機関等が多数現場に赴いてそれなりの報道があるということでございましたけれども、しかし家族にしてみるとまだまだ情報が少ないのではないか、先ほどの「カンボディアだより」ですか、等ももう何回ぐらい出されたかわかりませんけれども、もっとこのPKOのスタートでございますから、きめ細かい配慮をいただいた上で、皆さんが安心してこの業務につけるような環境づくりにやはりもっと手間暇かけるべきではないかということを申し上げておきたいと思います。
 官房長官、このPKOは二カ月、特にタケオの六百名でございますが、大体当初の予定したプログラムは今どのような進展状況になっておるのか、どのような報告を受けておられますか。
#193
○国務大臣(加藤紘一君) いわゆる施設の建設等につきましては非常に順調な活動を展開しているという報告を受けておりまして、また手前みそでございますけれども、現地での評価も前向きのものを得ている、こう思っております。また、もっといろいろ手伝っていただけないかというような声も出たりしておりますが、詳細な点につきましては政府委員よりお答えいたします。
#194
○政府委員(柳井俊二君) タケオの施設部隊の活動状況でございますが、現在報告を受けているところは次のとおりでございます。
 まず、現在の第一次カンボジア派遣施設大隊はカンボジア到着後にUNTACとの調整あるいは宿営地の開設、それから採石場の開設等を行いまして、十月二十八日には国道三号線の道路、橋の補修を開始いたしまして、現在タケオにおける宿営地の建設、国道三号線の道路の補修等、さらには船舶によりましてシアヌークビルに輸送した食器材のタケオまでの輸送等を実施しているところでございます。
 このうちタケオにおける宿営地の建設につきましては、高床式の天幕の設置でございますとか、あるい厨房等のプレハブの建設等を進めているところでございまして、十二月半ばには大体でき上がるという予定でございます。
 それから、国道三号線の道路の補修等につきましては、現在タケオのちょっと北でございますけれども、西北になりますが、いわゆるアンターソムという町がございまして、その北側におきまして道路の補修等を実施しておるところでございまして、現在当面の工事区間のうち大体半分ぐらいが済んだというところでございます。
 それから、船舶によりシアヌークビルに輸送した食器材のタケオヘの輸送につきましては、コンテナ類につきましては輸送を終了しておりまして、残りのこん包類についても今月半ばまでに終了する予定でございます。
 今後、プノンペンとタケオの間の国道二号線の方の補修に取りかかることになろうと思われます。
#195
○大久保直彦君 UNTACを初め各国の一致した認識は来年の五月に総選挙を行うということで作業が展開されていることと存じますけれども、しかし今のポル・ポト派の動向については、極めてその辺の目標、五月ということについてはいかがなものかという声もなきにしもあらずということでございますが、このポル・ポト派の現状をどのようにとらえられておりますのか、また重ねて来年の五月の総選挙ということについての見通し、それについて今どういう御見解を持っておられるか、官房長官に伺いたいと思います。
#196
○政府委員(池田維君) お答え申し上げます。
 カンボジアにおきましては、当初の予定どおり来年の五月までに制憲議会の選挙を行うということにつきまして国際社会の総意があるわけでございます。その総意に基づいて十一月三十日に安保理が決議を行いました。したがいまして五月の線は変わらないと思っております。
 他方、ポル・ポト派に対しましてはその総選挙に参加するための門戸を開いていくということになっておりまして、先般の安保理の決議もそういうラインでつくられております。しかしながら来年の五月に選挙を行うとしますと、それまでに一定の準備が必要でございますからそのための措置はとっていくということでございます。
 いずれにしましても、我が国といたしましてもポル・ポト派の将来の総選挙への参加、それの実現をできるだけ図るように関係各国とも十分打ち合わせをしながら外交努力を続けていきたいというように考えておるところでございます。
#197
○国務大臣(加藤紘一君) 今答弁いたしましたアジア局長は、ごく最近もポル・ポト派とこの問題について直接交渉してきた担当の者でございますので一番事態をよく理解していると存じております。いずれにいたしましても、パリ協定の方向でちゃんと五月に選挙をやるんだと、そうしないとこの事態は解決しませんよという国際社会の厳しい声をポル・ポト派に十分伝えると同時に、余り追いやることなく門戸を開放しておく、こういう態度をしっかりと堅持しながら努力してまいりたいと思っております。
#198
○大久保直彦君 大変御苦労なことだと思いますが、今の御報告の中で総選挙に参加するように説得方これ努めておるということでございましたが、ということは現状においてはまだ総選挙に参加するという確約といいますか、状況下にはないというふうな認識にならざるを得ないと思いますけれども、そういう現状であるということでよろしいですか。
#199
○政府委員(池田維君) 現状におきましては、先生の御指摘のとおりの認識でよろしいと思っております。つまり、我々としましては門戸は開いておりますけれども、依然として武装解除には応じていないというのが現状でございます。
#200
○大久保直彦君 それでは、別の問題に移りますが、官房長官の御報告の中で実施計画を変更したという御報告がございました。新たに輸送の任務が追加されておりますけれども、具体的には何をどこからどういうふうに運ぶのかということについて御報告をいただきたいと思います。
#201
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の輸送にかかわる実施計画の変更でございますけれども、これにつきましては二つの要請がこれまでに参っております。
 一つは、UNTACそのものからでございまして、航空自衛隊の連絡便が現在大体週一便飛んでおりますが、これに余裕があればカンボジアのポチェントン空港からタイのウダパオ空港までUNTACの物資または人員を運んでもらえないだろうか、こういう打診があったわけでございます。
 それからもう一つは、これは時間的にはこの方が先なんでございますけれども、現在この自衛隊のC130H型機は行きがけにマニラに給油のために寄っております。そこでフィリピンの政府から、マニラからポチェントン空港、カンボジアの空港までフィリピンの要員が使っております車両のタイヤを運んでもらえないだろうかという非公式な要請があったわけでございます。
 これらにつきまして検討いたしました結果、こういう輸送という業務は御承知のとおり、国際平和協力法第三条第三号タというところに「輸送」として明記されておりますので、法律上これに応ずることは可能でございますし、また航空自衛隊のこのC130の能力からいいましても、余裕があれはこれに応ずることは可能であるということで、この輸送という業務をつけ加えたわけでございます。もともと輸送という業務も入っておりましたけれども、元来の実施計画におきましては現在タケオにおります施設大隊のための輸送、補給ということでございましたので、そのままではこういうUNTAC等からの要請には応じられないということで実施計画を変えたわけでございました。
 ただ、UNTAC自体からの要請につきましては、こういう打診はございましたけれども、まだいつどういうものを、あるいはどういう人を運んでほしいというような具体的な要請には接しておりません。
#202
○大久保直彦君 そうしますと、追加といいますか、計画は変更されましたけれども、その実施についてはまだ定かではない、こういう受けとめ方でよろしいんでしょうか。
#203
○政府委員(柳井俊二君) 国連側からは口上書をもちまして一般的な要請は正式に受けております。これは先週でございますが、十二月の二日でございます。このような要請は受けておりますけれども、先ほども申し上げましたように、まだ具体的にいつ何をどこへ、いつ何を運んでくれと、あるいはどういう人を運んでくれという要請はまだ来てないということでございました。
#204
○大久保直彦君 それはまた後日お伺いいたしたいと思いますが、時間がありませんので、官房長官に伺います。
 去る十二月の三日、国連安保理のいわゆるソマリア決議でございますけれども、人道上の問題であるということで、多国籍軍の派遣を全会一致で採択いたしたと。これについて、まず政府としての見解をお伺いした上で、さらに加えて、我が国としてこの問題、PKO協力法の枠内でなし得べきものは何であるのかということについて、まず御答弁をいただきたいと思います。
#205
○国務大臣(加藤紘一君) 今回採択されました安保理決議の七九四、これは全会一致で採択されたわけですけれども、これは現下の深刻なソマリアの状況を踏まえて、人道的な観点から国際社会でできる限りのことをしなければならないと、かなり決意の強い表明であろうと思っております。
 我々日本といたしましても、国際社会の責任ある一員として、あの現状を何としてでも一日でも早く改善できるように、その国連決議のラインに沿って協力してまいりたい、貢献してまいりたいと思いますけれども、もちろん今回のものの中には武力行使も含まれております。これは我が国の憲法上また現行法上できません。したがって、そういうことは除いてほかに我々が何をなし得るのか、今全力を挙げて検討しておりまして、できるだけ幅広く、また前向きに仕事ができないかと思って検討いたしております。
#206
○大久保直彦君 今、官房長官の会見等からうかがえます内容については専ら資金面の援助ではないかということですけれども、今の御答弁ですと幅広く協力することにやぶさかではないと、こう
いうお考えのようにうかがえますが、これは大体いつごろまでにそういった政府としての方針なり態度を御決定になる予定でございますか。
#207
○国務大臣(加藤紘一君) 現地の情勢が情勢でございますし、また、国連の動きもかなり緊急に行っていくだろうと思いますので、余り時間を費やしてもいかぬかな、できるだけ早くと思っております。
#208
○大久保直彦君 終わります。
#209
○吉田之久君 今、大久保さんの御質問がございましたが、私もソマリアの問題について、まさに人道的な緊急を要する問題だと思います。しかし、今も官房長官からお話がありましたとおり、こういう状況のもとでPKOを送ることはできませんが、それはできないとして、どんな支援の方法を日本はとり得るか。お金の問題もあります、あるいは食料を送るという問題、医薬品を送るという問題がありますが、そういう物を送る以外に何かその方法があるかどうか。自衛隊、PKOを送る。ことはできない。お金や食料品や医薬品や、そういうものは送れると思うんですが、それ以外に、いわゆる物質的なもの以外に、兵力を送る以外に何か考えられますか。
#210
○政府委員(澁谷治彦君) 今、先生御指摘のそのほかの形の協力のあり方につきましては、現在の時点では関係諸国と話し合いをしながら検討をしております。できるだけ早急に結論を出したいという心構えで話し合いを行っております。
#211
○吉田之久君 心構えはわかるんですが、関係各国と話し合いをしながらということは、そういう向こうの各国々からの要請がなければ、我が国から積極的にこういうことをしましょうかという姿勢ではないんですか、その辺を。
#212
○政府委員(澁谷治彦君) もちろんその点につきましては、まだ具体的な形での要請は来ておりませんけれども、それはあり得ることでございますし、我が方もできるだけイニシアチブをとって何らかの措置を考えていきたいと思っております。目下鋭意検討中でございます。
#213
○吉田之久君 何かいま一つ積極的じゃないと思うんですね。諸外国から要請されることも大事でしょうが、今の日本として、じゃこういう技術者を送りましょうかとか、あるいは医師を送りましょうかとか、看護婦さんを送りましょうかとか、やはり積極的にそういうものを持つべき時期に来ていると思います。官房長官も出られましたし、これは要望いたしておきますが、ただ何でも人道的な問題に受け身であればいい日本ではなくなってきた、お金さえ出せばいいんでしょうということではちょっと済まされない時代に入ってきていると思いますので、その辺はよく御検討をいただきたい。
 それから、PKOの補給業務についてお伺いいたしますが、PKOの実施計画の中に建設に係る輸送や保管の業務は定められておりますが、補給業務が定められていなかったために、UNTACから他国の部隊への水や、燃料もあるようですね、あるいはタイヤのことなんでしょうか、そういうことの補給の要請があっても応じられないという現状にあるということで、政府としては実施計画の変更、政令の改定等を検討され、既に三日には安全保障会議でいろんな実施についての決定をなさったようでありますし、四日には閣議も開かれたようでありますが、その辺の状況について少し御説明してください。
#214
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘の実施計画の変更でございますけれども、大きく分けますと二つの要請があったわけでございます。一つは航空自衛隊の連絡便による輸送でございました。もう一つはUNTACの工兵部から来たものでございますが、タケオにおります施設大隊に対しまして、タケオの周辺におります選挙監視部門の要員に対しまして燃料と水を補給してくれないかということでございました。
 輸送につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、従来の実施計画では施設大隊のための輸送ということでございましたので、こういうことに応じられなかったわけでございますが、今回の変更によりまして、国連側からの要請があればそれ以外の輸送にも応じられるようにしたわけでございます。
 それから、給油と給水につきましてですが、給油につきましてはUNTACの指図を前提といたしますが、この輸送という業務と、それから一時UNTACから油を預かってこれを届けるということでございますので、保管という業務をつけ加えたわけでございます。保管という業務はもともと法律の第三条三号に具体的に列挙されているものの一つでございます。
 それから、給水につきましては、基本的には給油と同じなのでございますが、一点違うところは、給水の場合には浄水という行為がございます。この浄水という行為は第三条三号に具体的に挙がっておりませんので、これは三条三号レというところに、いわばその他のそれまでに挙がっている具体的な業務に類するものとして政令で定めるものというのがございますので、これに基づきまして浄水という業務を新たにつけ加えた上で、これを踏まえて実施計画にもその旨規定したということでございます。
#215
○吉田之久君 その浄水についてでございますが、何か浄水セットというんですか、既にそういう装置が六台とかあるように承っておりますが、その能力、一日に何時間稼働してどのくらいのトン数の水をつくることができるのか。水にもいわゆる飲料水とその他洗濯やおふろなんかに使う水と二種種あるようでございますね。現に我が自衛隊が持っておるそういう能力、それがみずからの給水を果たしながら諸外国の要請に応じてどの程度応援できるのか、あるいはそういう必要に応じてなおその浄水セットというものを新しくふやしていかなければならないのか、その辺の事情について御説明をお願いいたします。
#216
○政府委員(中田哲雄君) カンボジアに派遣されております陸上自衛隊の施設大隊は、御指摘のとおり二種類の浄水器材を持参しているところでございます。一つは、現在国内の部隊で装備しております浄水セットでございまして、主としてろ過を主体といたしまして水処理を行いまして、処理能力は、一日八時間稼働するといたしまして約百七十トンのものがございます。このろ過式の浄水セットでは、ウイルスですとか、バクテリアあるいは有害物質等、非常に細かいものにつきましてはろ過が不十分でございますので、あわせましてもう一種類、〇・一ミクロン以下の有害物質の除去が可能な逆浸透型の浄水セットというものを持っていっております。こちらの方は、処理能力が一日八時間稼働で約九十トンでございまして、先ほど申し上げましたろ過型の方を洗濯、ふろ等に用いておりまして、今申し上げました逆浸透型の方を飲用あるいは煮炊きに使っているわけでございます。
 これらは、先ほど申し上げましたように、いずれも八時間稼働ということで計算をして必要な能力を持っていっているわけでございますので、仮に御要望が一定の範囲内であるということであれば、八時間のものを九時間動かすということによりまして可能な範囲があるというふうに思っております。ただ、水質あるいは水量によりましていろいろなエレメントや薬剤が必要でございますので、場合によりますとこのようなものを補う必要があろうかというふうに考えております。
#217
○吉田之久君 「とわだ」という補給艦があるようですね。これの果たす役割、あるいは今度のそういう要請に応じて対応できる能力、こういう点について御説明をお願いいたします。
#218
○国務大臣(宮下創平君) 補給艦と輸送艦二隻をシアヌークビルに今置いておりますが、今お尋ねの補給艦の方は、やっぱりタケオの施設が完備するまで浄水その他を含めまして、水でありますとかあるいは食料、こういうものをシンガポール等から輸送する、持ってくるという業務についておりますが、ここで水も持ってまいっておりましたけれども、ボーリングをいたしまして地下水を利用しようということで進んでおりますので、やがてそれができれば、今装備局長が申し上げたよう
な浄水セットによって対応は可能だと存じます。そうなれば補給艦の問題は機能を一応終了するということで十二月の半ば過ぎにはこちらに帰国するというような予定をいたしておるところでございます。
#219
○吉田之久君 先ほど翫さんの御質問にもございましたが、ポル・ポト本人がUNTACを敵視するような声明というんですか意思表示というんですか、しかも紛れもなくポル・ポトの直筆だというような記事を拝見いたしましたが、聞き置く程度なんでしょうか。やっぱり日本としてはPKO派遣の基本的な条件にかかわる大きな問題でございますので、防衛庁としてもあるいは外務省としてもかなりその辺を確かめていらっしゃるのかどうか。
#220
○政府委員(池田維君) 御指摘のような報道があったことは承知いたしておりまして、私どももその事実関係を調べるために現地に対しても照会をいたしました。ただ、今までのところはポル・ポト氏の書いたものだと言われる文書についての真偽を確認するような手だてはございません。したがって、それが本物であるかどうかということについては確たることは言えない段階でございます。
 ただ、ポル・ポト派は、現在のところいわゆる停戦の第二段階入りを拒否しております。つまり武装解除に応じていません。しかしながら、UNTACの活動そのものを否定しているわけではございません。それからまた、UNTACに対して敵対しているというような公式の発言をしているわけではございませんで、そういった意味では、依然としてポル・ポト派のパリ和平協定に対する基本的な遵守という姿勢は変わっていないというように考えております。
#221
○吉田之久君 私も数年前にカンボジアヘ参りまして、ポル・ポト派のまさに許しがたい残虐行為の跡をこの目で見てまいりましただけに、天人ともに許せないと思うんですね。その勢力がなお健在であって、パリ協定に沿っているかには見えますけれども、しかしいぶかしい動きがあるとするならば、さわらぬ神にたたりなしてはいかぬと思うわけでありまして、我が国のPKOの将来についても重大な問題でございますから、その辺は大胆に率直に確かめて、そういう事実がなければないということをやっぱりはっきりと国民に表明してやりませんと大変心配なものが残っておるというふうに思いますので、その辺もより積極的な姿勢をもって臨んでいただきたいと思います。
 防衛庁長官にちょっと自衛隊員の問題についてお聞きいたしますが、自衛隊の定年延長を検討なさっているように聞いております。防衛費の圧縮になるのかもしれませんけれども、退職金を三百億円程度削減することも一時のしのぎにはなるかもしれませんが、それは必ず残っていくものでございますし、そういうことで全体としての自衛隊の高年齢化が進んでいくということはやっぱり問題だと思うんですね。本当に若いぴちぴちした士気あふれる自衛隊、まして今はちょっと就職もだんだん難しいような全般的な情勢でございますから、こういうときにこそ大いに優秀な若い人に自衛隊に参入してもらうというようなことを積極的になさる方がいいんじゃないかと思うのでございますが、いかがですか。
#222
○国務大臣(宮下創平君) 定年延長問題につきましては、各種のいろいろ報道等がなされておりますが、検討をいたしておることも事実でございますけれども、これは単に財政的な見地から、今委員のおっしゃられたように、退職金の支払いを繰り延べしていくためにのみこういうものを活用しようというのは本末転倒でございまして、あるべき自衛隊の年齢構成、これはきちっと維持しなければなりませんし、それが自衛隊の活力につながると存じます。
 そういう点で、今まで定年延長も若干ずついたしてまいりましたけれども、そのような見地を一義的に考えつつ今日まで定年延長を若干やってまいりました。これからどうするかという基本的な問題は、人的資源の制約という問題が恒常的にございますから、それらを背景にして防衛力のあり方を検討しよう、中期防期間中に検討しようというのが基本でございます。
 しかしながら、今委員の仰せられたように、有効求人倍率も平均で一を割るというような状況でもございまして、若干募集状況もよくなってきておることも事実でございますから、そうした点も考えながら、定年延長を財政的な見地だけで処理することは絶対いたさないつもりでございます。
 ただ、一般論として申しますと、職種等によってはかなり技能を要し経験を要するというような点もございますので、自衛官の安定化の問題、それからオペレーターとしての機能というようなものもかなり高まってくる部門もございますから、そういった点を含めて検討していったらいかがかなと今考えておるところでございます。
#223
○吉田之久君 この間、委員長のお供をして我が内閣委員会は九州の自衛隊施設等の調査をさせていただいた次第でございますが、今長官からもお話がありましたが、本当に新しい人的資源といいますか人材をどう確保していくか、やっぱりその重要な一部分に婦人自衛官の参加があると思うんですね、実に優秀なようでございます。ところが、この間隊舎の中で婦人自衛官が一緒に過ごしておる部屋も拝見いたしましたが、今七人の婦人自衛官のベッドがあって鏡台が三つしかないとか、ちょっとこれはかわいそう過ぎますね。その辺やっぱり防衛庁長官自身がもっと細やかな配慮をなさって当然だと思います。
 ついでに申し上げますが、自動車の修理工場の一部分ですね、かわらは台風ごとに飛ぶようでありまして、それを押さえて上に土のおもしを乗っけてみたり、あるいはもう工場全体が非常に老朽化しておりまして、超経済大国を誇る日本の最も先端を行く自衛隊の施設にしては、極めて部分的な問題だと思いますが、全般的には正面装備もなかなか立派なものを見てまいりましたが、バランスがとれていない点が非常にあると思うんです。ちょっと恥ずかしいと思いますね、外国の人が見にでも来たら。その辺のところも細やかに配慮してやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#224
○国務大臣(宮下創平君) 大変防衛に御理解のある吉田先生の御指摘で、私も全く同感でございます。
 婦人自衛官につきましては、今大体一万人くらいおります。これは陸海空に分かれておりまして、今委員のおっしゃられたように隊員の居住環境その他必ずしも十分でない点は一般隊員にもございますし、また女子隊員には特別な配慮、特殊性に応じた配慮が必要かとも存じますので、そういった点は十分意を尽くしてまいりたい、いろいろ手当てをしてまいりたいと思います。
 それから、修理工場その他子細に御検討いただいた結果の御意見でありまして、これはまことにそのとおりでございます。私どもは、最近における防衛力の整備のあり方として、正面の装備だけに重点を置くのではなくて後方とバランスのとれたもの、より一層後方に重視したものでひとつ隊員の処遇を図っていきたいなと思っておりまして、着々とその方向で進んではおりますが、まだ十分ではございません。一層努力させていただきたいと思います。
#225
○吉田之久君 ありがとうございました。
#226
○高井和伸君 細かいことたくさん聞きたいと思いますが、選挙監視要員の派遣は将来的にはどのように今のところ読んでおられるんでしょうか。
#227
○政府委員(柳井俊二君) 選挙監視要員につきましては、全体としてUNTACといたしましては約千四百人ぐらい必要であろうというふうに考えていると承知しております。
 我が国に対する派遣の要請でございますが、これはまだ正式には要請がございません。ただ、これまで非公式に五十人ぐらい出してもらえないかというような打診はございました。
#228
○高井和伸君 そうした場合の人的資源は日本国。政府としては各省庁に協力義務はあるんでしょうけれども、基本的には地方自治体の方々にお願いするということになるんでしょうか。
#229
○政府委員(柳井俊二君) 選挙監視につきましては、御承知のとおりアンゴラに要員を派遣した経験がございます。ただ、アンゴラの場合は三名ということで大変規模は小さかったわけですが、国家公務員一人、地方公務員一人、それから民間の方一人、こういう構成でございました。
 カンボジアにつきましては、現在募集要領等を関係省庁間で御相談しているところでございまして、まだ結論は得ておりませんけれども、御指摘のごとく地方公務員の方々の中には選挙について非常に詳しい方も多うございますので、地方公務員も一つ有力な候補でございます。また、国家公務員あるいは民間の方にも多々人材はあるのではないかというふうに考えております。
#230
○高井和伸君 防衛庁にお尋ねしますが、ガンボシアに行った隊員の方々の健康状態、特に私の体験からいうと胃がやられるというか大変胃が下るような感じで、私も、カンボジアに行った三名のうち二名がやられました。こういった隊員の現状はどうなっているんでしょうか。
#231
○政府委員(河路明夫君) お答えいたします。
 カンボジア派遣の隊員の健康状態でございます。現在のところいわゆる風土病としてのマラリアあるいは日本脳炎、破傷風、狂犬病、ポリオ、そういった当初憂慮されました重篤な疾患が発生したという報告はございません。隊員の健康面で部隊の任務遂行に特段の支障は来していないというふうに承知をいたしております。
#232
○高井和伸君 細かいことになりますが、実施計画の中で、説明の中にある点てちょっと教えてもらいたいと思うのは、停戦監視の業務を挙げるについて法律を引用しながら、三条の三号のイロハと、イだけでいいんじゃないかと思うところをロハを挙げておる理由は何なんですか。
#233
○政府委員(柳井俊二君) 停戦監視の業務といたしましては、イといたしまして「武力紛争の停止の遵守状況の監視」等が挙げられております。これが一つ典型的な業務の内容だと思います。
 ただ、停戦監視と申しましてもいろいろな態様があるわけでございまして、ロでございますとかハでございますとか、こういうようなものも停戦監視に含まれるわけでございます。ロは、ここにございますように「緩衝地帯その他の武力紛争発生の防止のために設けられた地域における駐留及び巡回」。ハといたしまして、「車両その他の運搬手段又は通行人による武器(武器の部品を含む。ニにおいて同じ。)の搬入又は搬出の有無の検査又は確認」ということでございます。
 ロにつきましては、例えばカンボジアにおきましては、いわゆる監視所というところで監視する場合もございますが、ある程度広い地域を担当いたしまして、そこで巡回して監視するというようなことが現に行われております。
 それから、ハにございますようなことは、例えばベトナムとの国境にございます監視所がこのようなことをやっているわけでございますが、ベトナムからの武器の搬入というものがないようにチェックをするというようなこともございます。
 そういう意味におきまして、いわゆる停戦監視といいますものは、文字どおりの停戦監視ということのほかに、ここに挙がっておるようなことが広く含まれるということでございます。
#234
○高井和伸君 日本から派遣されています停戦監視要員八名でございますが、この八名の方、具体的にはよその国の停戦監視員とペアで何名か、数名でおやりだと思うんですが、要するにPKFの部隊と一緒に一部的に動かないと、今のイロハのハなんてやれないんじゃないかと思うんですが、本人は丸腰じゃないといかぬということはわかりますけれども、具体的に現地では今の八名の方の動きは、特にハとの関係ではどうなっていますか、そういった部隊との関係。
#235
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど簡単な地図をお配りしていると思いますが、この中で停戦監視は三角の印がついているところに配置されているわけでございます。例えば右の上の方にCVの10というのがございますが、CというのはチェックポイントのCでございまして、Vというのはベトナムとの国境という意味でございますが、ベトナムとの国境の第十号監視所という意味でございます。例えばでございますが、この地域はウルグアイのPKFが担当している地域でございまして、必要に応じて巡回するようなときに、危険がありそうだというようなときにはこのウルグアイのPKFの部隊が何人かついで警護をするというような形をとっております。
#236
○高井和伸君 わかりました。
 かなり当初の国会審議のときと比べると踏み込んだ部門に来ているなどいうイメージと、特に危険の高いのは今の方々、特にイロハのハのあたりをやっておられる方がかなり危険度が高いのじゃないか。
 もう一つは、文民警察のイメージをちょっとわからすためにお尋ねしますが、私が経験したキプロスによれば、キプロスの当地の警察官に引き渡すまで民間警察、文民警察がいろいろ説得的なことで非常に友好的な雰囲気でやって、司法権は持たない。しかしながら、それまでの非常に何というんですか、ボランティア的な雰囲気で損得なしでやるということなんですけれども、現実的にはクメール語ができない人が多いだろうと思うし、そういった現地の文民警察の実情はイメージとしてはどんなふうに描けばよろしいんですか。
#237
○政府委員(柳井俊二君) 御指摘のごとく、各国から派遣されております文民警察の方々で恐らくクメール語のできる方というのは非常に少ないと思います。
 現地の警察との関係でございますが、UNTACの文民警察の要員が直接、例えば取り締まりをするとか交通整理をするとか捜査をするということはございませんで、UNTACの文民警察の任務といたしましては現地の警察の指導監督ということでございまして、現地の警察と緊密に連絡をとりつつ、協力しつつそういう業務をやっているわけでございます。私も何カ所か拝見させていただきましたけれども、現地の警察との意思の疎通は通訳、ほとんどの場合は英語の通訳でございますが、カンボジア人の通訳がおりまして、そういう人を通じて連絡調整をしながら指導監督をしているという実態でございます。
#238
○高井和伸君 それで、先ほどは停戦監視も危ないと言いましたけれども、この地図をいただいたところを見ますと、非常に広がりのある文民警察の方々の散らばりようでございます。まあ、ここは四派がいろいろ占拠しているんですが、この地図を見るとどうやらプノンペン政府の支配下の部分の文民警察的な雰囲気なんですが、そこら四派との関連で言うと、地元の警察はみんなプノンペン政府の警察というふうに理解すればよろしいですか。
#239
○政府委員(柳井俊二君) 御承知のように、現実の問題といたしましては、プノンペン政府がやはり一番大きな行政組織を持っておりますので、基本的にはプノンペン政府の警察と協力するということが多いと思います。ただ、場所によりましてはそれ以外の派の行政区分もありますので、そういうところとの連携ということもあり得ると思います。ただ、具体的に私もちょっとこの地図に即してどこがというところまで情報を持っておりません。
#240
○高井和伸君 それから、ちょっとほかの世界にいきますが、この派遣先国の中に、カンボジアということで実施計画の中でございますが、その中にタイ、ラオス、ベトナムとの連絡調整に関する業務を行うことができる。こういうくだりがございます。具体的にはどんなことなんでしょうか。
#241
○政府委員(柳井俊二君) いずれもタイ、ラオス、ベトナムはカンボジアの隣国でございますので、またこの地図でもごらんいただけますように、この国境沿いに相当程度の停戦監視所が設けられているわけでございます。そのようなこともございまして、いろいろな人の動き、物の動き等につきましては、隣国であるタイ、ラオス、ベトナムの協力を得る必要がございます。
 そこで、UNTACといたしましては、これらの隣国たる三国に連絡将校を出して連絡調整に当
たらせるということがございますので、場合によってはそのような要請を受けて我が方の停戦監視要員がそのような連絡将校として三国に行くということもあり得ますので、このような規定が入っておるわけでございます。ただ、現在そのような指図を受けて赴任しているということはございません。
#242
○高井和伸君 UNTACは国連の機関であって、日本のPKO隊はその下に入るわけでして、UNTAC本部に国連職員として日本の明石さんのような方が入っておられることは別として、通常自衛隊からUNTACの本部へ連絡に行くことはあるとしても、その内部的なところにまで日本のPKO隊の隊員が入っているということはありませんですね。
#243
○政府委員(柳井俊二君) 現在、我が国から派遣されております自衛隊員のうち、三名がプノンペンのUNTAC本部、これは軍事部門でございますが、の工兵部と計画部というところに配置されております。工兵部に二名、計画部に一名ということでございます。
#244
○高井和伸君 今の方々は、簡単に言うと、日本のPKO隊の出向みたいなもので行っておると、こう理解すればいいんだろうと思いすが。
 そこで、先ほどのような新たな連絡調整役をやった場合、法律との関係で整合性でいうとどれに当たるんですか。三条の三項の何に当たるんですか。
#245
○政府委員(柳井俊二君) 現在、本部の方に基本的には詰めております三名の自衛隊員は、いずれも施設部隊の隊員でございます。したがいまして、施設部隊との連絡調整という形で、いわば施設部隊のしっぽと申しますか頭と申しますか、一部ということでございます。
#246
○高井和伸君 はい、わかりました。
 もとの実施計画の中に、今度はフィリピン、タイとシンガポールの国において輸送、補給業務などを行うことができる。こう書いてありますが、これもC130が飛んでいくときについでに国連の物資を積んでいってくれと、こういう要請があったから今度実施計画を変えてやると、こういうふうに理解すればいいんですか。
#247
○政府委員(柳井俊二君) 輸送につきましてシンガポール等が入っておりますのは、とにかくシンガポールにつきましては海上自衛隊の補給艦が参りまして輸送、補給を行うということでございます。タイにつきましても同様でございます。タイにつきましては航空自衛隊のC130H型輸送機もウダパオに着陸をしておりますが、そのほかフィリピンにつきましては現在は連絡便といたしまして大体週一便行っておりますが、これが行きかけにフィリピンで給油をしてまいります。そのような、ことでフィリピン、タイ、シンガポールというのが挙がっているわけでございます。
 そこで、実施計画の変更の経緯でございますけれども、御承知のとおりフィリピンからはフィリピンのUNTACに出ている要員が使う車のタイヤを運んでもらえるとありがたいというような非公式の要請がありましたことと、UNTAC自体からはプノンペンとウダパオの間でUNTACの物資または人を運んでもらえたらありがたいという非公式の打診があったわけでございます。それを受けまして、今回それに応じ得るように実施計画を変更したということでございます。
#248
○高井和伸君 形式論でいって申しわけないんですが、実施計画ではもうできると、こう書いておいたのが、本当に要請があったもんだから念のためにもう一回実施計画で決めたと、ついでにその際に水の浄化も入れたと、こういうふうに理解すればいいんですか、この変更ともとと。
#249
○政府委員(柳井俊二君) 輸送につきましては、もとの実施計画におきましてはこの(1)のウに掲げる業務のうち附帯する業務として輸送、補給等を行うことができるというふうにもともとは書いてあったわけでございます。砕いて申し上げますと、要するに施設部隊の建設業務の附帯業務ということで輸送が入っていたわけでございますしかるに、今度の要請は、建設業務の附帯業務としての輸送ではございませんで、フィリピンから物を運ぶとか、あるいはプノンペンからウダパオまで物あるいは人を運ぶということは建設と関係のない輸送でございますので、今度は広い意味の輸送を入れた、こういうことでございます。
#250
○高井和伸君 最後の質問ですが、防衛庁長官にお尋ねします。
 今までいろいろ難産のPKO法案のもとで実施が行われております。私が見ているところ、難民の帰還がそう思うようにいかないはずだし、来年の五月か六月までに選挙をしなきゃいかぬというリミットであり、さらにそれ以上のお金はUNTACが準備してないということであり、いろんな面で不都合が、まあ進んではいるけれども、最後の目的達成の場所はなかなか今のところ見えてないんじゃないか。一応一生懸命やっているけれども、当初もくろんだパリ和平協定におけるスケジュールがきっちりいってない。
 そういう中で、これからまた自衛隊の派遣期間が十月までというようなことでやや長過ぎるんじゃないかと思いながらも、それはそれなりに必要なら必要で結構なんですけれども、私の言いたいのは、こういった今度がなり変動部分がPKOの派適当初、法案成立の場面で言われてきたファクターがかなり変わってきているやに思うし、現にポル・ポトの方の地図が、当初停戦と言いながら、余り四派の色分けが変わらぬところを、何となしに近ごろの地図を見るとポル・ポト派の地図が広まっているという現状など、それで先ほど各要員の御指摘のときに危険性が高まっている。
 そういう中で、これからのUNTACの運用の中で自衛隊の位置というものは非常に、これはあちらに聞かなきゃいかぬ側面もありますけれども、自衛隊員の派遣の場面において、日本の防衛との絡みや隊員の健康状態だとか、主力部隊を担っている防衛庁長官としてはかなり覚悟をしていただかないと、現実的にはかなり困難な場面に直面するのではないか、こう私は予感しているんですが、そういう予感は御心配ありませんよと、当時の宮澤さん的を発想をすれば、平和のために安全なところへ行くんですからというような調子ではもういかないと私は思っているんですが、そこら辺に対する御決意やら、PKO隊を出している、本体部分を出している防衛庁長官としての今後の読みはどのようになっているんでしょうか。
#251
○国務大臣(宮下創平君) 実は私は、そういうこともいろいろ心配であることは事実でございますから、百聞一見にしかずということでカンボジアに行ってまいりました。そして、UNTACの明石さん、それからサンダーソン司令官とかなりの時間を割いていただきまして、司令官自体の今後のカンボジア内における見通しその他についてもお伺いすることができました。また、紛争が局地的、散発的なものが生起する可能性は否定しておられませんでして、むしろ乾季になりますので、雨季に比べて多少その度合いが高まるかもしれないというようなごく率直な意見はお伺いをしてまいりました。
 総じて言えば、私の感じでは、とにかく五月には選挙をやります、そしてまたポル・ポト派については説得を重ねながら門戸を開放してやるんですと。それから、継続的な全面的な紛争の生起の可能性は少ないという見通しもサンダーソン司令官は申されておられました。そして何よりも重要なことは、多少のそういうトラブルがあっても、国連はやっぱり公正な立場で伝統的なPKOの手法によって対応していきます、こういうことを申された点は極めて私は注目すべきだったと存じます。
 今後、情勢の推移いかんによってどのような展開になるかわかりませんが、ポル・ポト派もSNCのメンバーでございまして、パリの包括的な和平の枠組みを放棄したわけでもございません。そういうことでございまして、ただいろいろ本院でも議論のございますように、ポル・ポト派としてはベトナム人の兵士がいるのではないかとか、SNCが少し偏り過ぎているのではないかというような諸条件をつけておられますが、本質的にはパ
リの包括和平協定について、これを私は維持していこうとする意欲はあると思います。
 なればこそ、北京における会合におきましても、また池田アジア局長がタイに行ったときでもみんな、キュー・サムファン議長その他が出てきていただいてお会いをしております。ただ、五月の総選挙を迎えてポル・ポト派としては、これは推測でもございますけれども、いろいろの戦略的な目的その他はあるでございましょう。
   〔委員長退席、理事板垣正君着席〕
 そういう複雑な屈折したいろいろな状況というものは十分想像されると思いますが、基本的には私はやはりパリの包括和平協定に基づく本旨というものは達成されるだろうし、また達成されなければならないと思っております。
 私どもの自衛隊は意気極めて盛んでありまして、能力的には施設大隊としての機能は十分果たしておりますので、隊員の安全確保、それから情報収集等を通じて、いやしくも我が自衛隊の隊員の生命、身体に及ぶようなことのないようなことを考えていかなければなりませんし、私としてもそれじゃおまえ、絶対安心かと言えば、それは毎日、新聞を見るたび率直に言ってまず見るのはポル・ポト派の状況とかカンボジア情勢です。これは率直に言ってそれだけの私もやっぱり責任がございますし、そういったものに配慮すべきでありましょうし、私一人でもどうにもなりません。外交的な努力も必要でございましょう。そういうことを通じて当初の目的をぜひ達成していきたいと、このように思っているところでございます。
#252
○高井和伸君 終わります。
#253
○寺澤芳男君 来年五月のカンボジアの選挙で、我が国からも選挙監視要員約五十名を派遣するというお話なんですが、仮にポル・ポト派が選挙妨害を行った場合、国連平和維持活動の参加に当たっての五つの基本方針である中立性の原則というのは崩れるんでしょうか。
#254
○政府委員(柳井俊二君) ポル・ポト派が選挙に参加しないというふうなことを言っておりまして、この点につきましては大変世界じゅうが心配しているところでございます。今般安保理決議ができたわけでございますが、この決議の考え方といたしましては、選挙は来年の五月に予定どおり行うと。そういう国際社会の決意を強く訴えますとともに、ボル・ポト派にも参加を呼びかける、門戸は開放しておくという姿勢をとっているわけでございます。
 したがいまして、これから引き続き国際社会としてはポル・ポト派が選挙に参加するように説得を続ける必要があるわけでございまして、少なくとも国連側といたしましては、ポル・ポト派を排除して選挙をするというようなことではございませんで、ポル・ポト派も選挙に参加してもらうのが筋でございますので、そのように門戸を開放して呼びかけていくと。
 他方、現在選挙のためにはいろいろ準備が必要でございます。特に、選挙有権者の登録ということを去る十月から行っておりまして、この登録は現在順調に進んでいるようでございます。ポル・ポト派の支配地域ではそのようなことができないという問題がございますが、ただ、カンボジア全体といたしましては相当程度進んでおりまして、最近のUNTACの発表によりますと見積もられた選挙人の数の七五%程度、三百万人余りが既に登録を行ったということでございます。したがいまして、大多数のカンボジアの方々は選挙を待ち望んでいるという状況でございます。
   〔理事板垣正君退席、委員長着席〕
#255
○寺澤芳男君 ことしの六月十五日に国際平和協力法が成立して既に半年たったわけですが、実際に見直しをするとしたら、どのような点を見直すべきだとお考えですか。
#256
○政府委員(柳井俊二君) 去る六月に法律は成立したわけでございますけれども、この法律の施行は八月の十日でございまして、国際平和協力本部もその施行の日である八月の十日に設置されたわけでございます。そしていろいろな準備をいたしまして、九月に入ってから順次、最初はアンブラの選挙監視要員が行きました。それからカンボジアにも順次行ったわけでございますが、カンボジアにつきましては十月の十四日に予定されたすべての要員がカンボジアに到着したわけでございます。具体的には六百名の施設部隊の隊員、それから七十五名の文民警察の要員、それから八名の停戦監視要員でございます。
 したがいまして、本格的に業務を開始いたしましたのが十月の半ば過ぎでございます。まだいわば実際の業務は始まったばかりでございますので、これからいろいろ経験を積みまして将来の見直しの作業に活用したいと思っておりますが、現段階におきましてはまだ具体的にどこを直したらいいかというようなところまでは来ていない次第でございます。
#257
○寺澤芳男君 例えば二千人の隊員の粋なんですが、カンボジアで既に千人以上ということになりますと、今後この残った枠の中でどうなるのかとか、そういう点をお考えになっておられますか。
#258
○政府委員(柳井俊二君) まだ、先ほど申し上げましたように具体的にどこを直したらいいというところまでは検討していない段階でございます。ただいま御指摘の二千人という枠が将来ともこれでいいのかどうかという点につきましては、将来の課題として一つ検討の対象になる可能性のあるものだとは思いますが、まだ現段階ではこれで十分なのか足りないのかという具体的な検討を行う段階には来ておらない次第でございます。
#259
○寺澤芳男君 我が国から派遣されております隊員に対する支援、これで一つお伺いしたいんですが、去る九月八日の閣議でPKOの実施計画と自衛官等に対する国際協力手当の支給を決めた政令を定めるとともに、隊員が殉職した場合に、首相が最高一千万円の特別褒賞金を贈るのと合わせ最高五千万円の賞じゅつ金を遺族に支払うことを決めたようであります。もちろんそういうことはあってはならないわけですが、万一隊員が殉職した場合遺族の生活に支障がないようにすることが、PKOの賛否は別としても、国としてすべきことは当然であります。
 この賞じゅつ金というのは公務員法でもその性格が明確ではなく、かつて人事院総裁は表彰制度の関連事項のようなものと国会で答弁しておりますが、政府だけでこそこそと賞じゅつ金を増額するのではなく国家公務員災害補償法を改正してきちっと国が補償すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
#260
○政府委員(柳井俊二君) ただいま御指摘のごとく殉職というような場合につきましては、できれば考えたくないところではございますけれども、万が一ということにも備えまして、先ほどおっしゃいましたとおりいわゆる賞じゅつ金は五千万円、それから特別な褒賞制度一千万円と合わせて最高額六千万円を支給することができるようにしたものでございます。また、公務災害でございますので、国際平和協力業務に従事いたしまして公務上の災害を受けた場合につきましては国家公務員災害補償の制度がございますが、これの五割増し補償という制度を採用しておる次第でございます。そういう措置をとりまして、そのほか傷害保険、これは行く隊員個人が掛けるものではございますけれども、これもより手厚く保険金が支払われるように保険会社と交渉いたしまして、そのような保険も用意した次第でございます。
 これで十分かということになりますと、いろいろな考え方があると思いますが、現行の制度のもとで、また我が国のいろいろな補償制度の水準等を考えますと、一応十分な制度ができたのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#261
○寺澤芳男君 我が国から派遣されている隊員個人にも、そしてその家族に対しても十分なる支援体制を政府としてはしくべきであるということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
#262
○聴濤弘君 まず最初に、カンボジアヘの部隊派遣の実施要領についてお尋ねいたします。
 第一の質問は、なぜこれが公式に発表されないのかということです。私の手元には要領の概要というのがございます。それから、これは昨日部屋
の方に送られてきたものですけれども、武器の使用に関する要領というのが、これは要領となっているんですが、このくらいの短いもので、ワープロで十一行程度のものなんですが、この概要にしろ、短いこの要領にしろ、これはどういう性格の文章なのかということについてお尋ねしたいと思います。
 同時に、もしこれが本当の要領でないなら、なぜ要領は発表されないのかということです。
#263
○政府委員(柳井俊二君) 私の方は実施要領のことにつきましてお答え申し上げたいと存じます。武器の使用の要領につきましては防衛庁の方からお願いしたいと思います。
 実施要領でございますが、この性格は何かという点につきましては、一種の部内の訓令でございます。日本政府が派遣される隊員に対して出す訓令の一種でございます。また、派遣された我が国の要員あるいは部隊の安全という問題にかかわる部分もございますし、また派遣先国との関係等の内容も含んでおりますので、公表は必ずしも適当でないというふうに考えまして、これ自体を公表することは差し控えさせていただいた次第でございます。
 他方、我が国の要員、部隊が行います国際平和協力業務の内容につきましては、基本的なところは国会に御報告しております実施計画によってほぼ明らかになっていると考えておりますし、また実施要領につきましても、その内容に関しましては差し支えない範囲でできるだけ御説明をいたしたいというふうに考えております。
 なお、そのような趣旨から、実施要領そのものではございませんけれども、その概要を先ほど御指摘のような紙にいたしまして御要望に応じてお示ししているところでございます。
#264
○国務大臣(宮下創平君) 武器使用の点につきましてでございますが、お手元に要領はお届けしてございます。これは平和協力法の二十四条の三の規定に従いまして、自己の生命、身体を守るためということで、非常に限定的に法律では規定されております。しかし、実際の自衛官が行動するに際しては、いかに身に危険があろうともまず説得するとか、相手を直ちに殺傷するんじゃなくて、威嚇的な射撃をするとか、そういう余裕があれば、そういうことを通じてなるべく相手に被害を与えないでその場が切り抜けられれば一番よろしいわけですから、そういったことを書いてございます。これは、武器の使用をさらに抑制的にしようという趣旨に出るものでございまして、内容的にはお届けしたような骨子でございます。
 これは、私防衛庁長官の通達とか、そういうことではございませんで、次官名による私からの命による依命通達ということになっておりまして、今までの慣例に従いますと、自衛官の武器使用につきましては、これは内部通達として、公表はいたしておりません。今回もその例に倣いましてそのような扱いにさせていただいております。
 それじゃなぜ製本を出さないのかということでありますが、正式に出しますと、私のこれは案ずるところ、使用についての手の内を全部出してしまう。日本の場合は、もう説得がまずあって、そして威嚇があってどうだというようなことがやっぱり公然たる事実になることは好ましいことではございません。我が国自身が自衛官の生命、身体を守るために抑制的にやることは非常に必要で、そのことを定めたもので、そのような扱いにさせていただいたわけでございます。
#265
○聴濤弘君 加藤官房長長官にお伺いしたいんですけれども、我々はPKO法には反対ですし、この問題についてはちょっとわきに置きまして、政府はPKO法ができるときに五原則というのを定めて、この五原則があるから憲法違反にはならないんだということで説明をされ、さらにこの五原則というのは実施要領によって一層具体化され、そして歯どめがかかるんだという説明を国会でされてきました。
 御承知のとおり、国会ではどういうときに撤退するのか、どういうときに武器を使用するのか、どういう指揮に入るのかという、これはもう大変な議論になって、これはだから憲法違反じゃない、やっぱり憲法違反じゃないか、いやそうじゃないとかということでもう大変な議論になった。ですから、実施要領については、これは政府がそれを決めた場合には国会に報告をするということを明確に何回か述べておられます。引用すると時間がかかりますのでやめますが、そのことは国会で何回も政府が、総理大臣自身がそのことを約束されている。ですから、なぜ公表というか、国会にきちっと報告されないのかということについてお尋ねしたいと思います。
#266
○政府委員(柳井俊二君) 実施計画につきましては、国際平和協力法に国会に報告するようにという規定がございますので、私どもこれまで実施計画を閣議決定いたしましたときは直ちに国会に御提出しているところでございます。
#267
○聴濤弘君 実施計画でしょう、要領じゃない。
#268
○政府委員(柳井俊二君) 実施計画でございます。
 先ほど申し上げましたように、基本的なところは実施計画にすべて書いてあるわけでございまして、実施要領は、繰り返しになりますけれどもこれは部内の訓令の一種でございますので、それ自体を公表することは差し控えさせていただいた次第でございます。
 ただ、法案の審議に当たりまして御指摘のような問題につきましていろいろな御議論があったのは事実でございます。また、物によりましては実施要領の中で決めるというような答弁をしたこともございます。そのような意味で実施要領をそのままの形で公表することは私どもといたしましては適当でないと考えますけれども、その基本的な内容につきましては概要という形でお示ししており、また御疑問がございましたら、そういう点についてはできるだけ御説明をさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
#269
○聴濤弘君 先ほど武器使用に関する要領というのでワープロで十一行程度のものだということを申しましたけれども、ことしの十一月十一日の琉球新報に、武器使用の要領というのでかなり詳しいことが報道されているんですね。これは十一行です。我々国会議員には十一行です。
 それで、この琉球新報によりますと、武器使用をする前に威嚇射撃を行うこと、これはきのう受け取った要領に出ているんですが、それには四段階あると。第一段階は武器を構え警告を発する、二段階目は相手のいない方向へ威嚇射撃をする、三段階目は相手側近くに威嚇射撃をする、四番目、足などをねらった命中させる射撃を行う。その四段階を経て武器を使用すると、そういう威嚇射撃の内容についてもそこまで規定されている。こういうものが新聞に出ているわけですね。
 これは先ほど言いましたように、どういうところで武器を使用するか、撤退の問題は別の問題ですけれども、本当に国会で議論された問題ですね、憲法に抵触するのかしないのか、もう本当に議論されたことです。ところが、威嚇射撃を行うことという程度のものは我々は受け取りますが、こういう詳しい内容のものがある。相手の足をねらって撃て、そこでもって命中させる射撃をやって、それが最終段階で、それから武器を使えとかというようなことまで書いてある、こういうものがあるというのは、これは私にとっては驚きなんで、これは私たちになぜ見せてくれないのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#270
○国務大臣(加藤紘一君) これは武器使用についての内部の通達でございまして、そして、その大まかな基本的なところは今いろんな形でお示ししているわけですけれども、本来、隊員がどうやって武器を使用するかということを公表していいものかどうかということは、私は一つ大きな議論があるところではないかなと思います。
 それで、我々としては、武器使用をするような手順につきましても、本来最小限なおかつ護身用であると、したがってそれはかなりの手順を踏んでやらなければいけない。その文書が本式のものかどうかまだ私は見ていませんけれども、まず一番最初に、いろいろ自分たちの身に危険が迫った場合当然のことながら威嚇から始めるというのは
またこれ当然のことでございまして、したがってそれは特別のことが書いてあるわけではなくて、ただ、やはり武器の使用の手順というのはどこの国の部隊でも表に出さないのが当然じゃないでしょうか。
#271
○聴濤弘君 いずれにしましても、我々には簡単なもの、何か佐川事件みたいになってきてちょっとあれですけれども、新聞の方にはえらい詳しいものがいくというのでは、これはやっぱりおかしいんで、我々にきちっとしたものを公表されるようにしてもらいたいということをこの問題では要望しておきたいというふうに思います。
 二番目の問題は、現在カンボジアで、先ほども出ましたけれども、事実上停戦違反となるようないろんな事件が起こっている、橋が壊される等々。それで、政府はこれを今までずっと小競り合いということで説明をしてきた。私たちはこういうさまざまな停戦違反事件が起きているので今部隊の派遣というのはPKO法に反するというふうに思うんですが、この要領の概要によりますと、大規模な武力紛争の発生、これが起こった場合に撤退をするというふうに書かれています。今起こっているいろいろなさまざまな事件、さまざまな問題等々、これはみんな小競り合いだ。それで大規模な紛争が起こったときには撤退すると、こういうふうに出ております。大規模な紛争といえば、これは戦争、内戦ということにならざるを得ないと思うんです。
 ことしの夏の有馬調査団の報告書にも、まだ大規模な紛争が起こってないので自衛隊派遣しても構わない、こんな報告書であった。そうしますと、これは非常にPKO法そのものの根本的な立場と違ってくるんじゃないかということを私言いたいわけです。平たく言えば、PKO法というのは戦争が終了して平和になった段階でその後始末に出すんだと、こういうふうにずっと説明されてきた、だからノーベル平和賞ももらったんだというような説明はもうたびたび行われてきた。しかし、今のような概要の要領に出ているような考えでいきますれば、戦争が起こらないために出すということと逆になるわけです。そうすると、これはもうPKO法のそもそもの精神、立場ということと矛盾してくるというふうに思うんです。この点いかがですか。
 それで、時間がありませんからもう一つ質問させていただきますと、その御説明の上に立って、それじゃ今送っているのは何のために送っているんだということをお聞きしたいと思うんです。大規模な紛争に至らないために送っているんですか。
#272
○国務大臣(宮下創平君) 要領の扱いにつきましては先ほど事務局長の答弁したとおりでございますが、これは今委員は大規模な武力紛争の発生だけを特出されておられますけれども、私どもとしては、紛争当事者からUNTACまたは部隊に対して国際平和協力法に規定する合意もしくは同意を撤回する旨の意思表示があった場合とか、あるいは大規模な武力の発生や紛争当事者による妨害でありますとか、あるいは他の参加国の活動状況等によりまして、国際平和協力法三条一号に規定する合意または同意が存在しなくなったと認められるような場合というように包括的に全体的に書いてございますので、大規模紛争だけが判断基準でもございません。その点をまず申し上げておきたいと思います。したがって総合的に判断をされるべきものだと存じます。
 それからまた、国連と他の三十一カ国の軍事部門が参加しているわけでございますから、UNTACの判断あるいは現地の司令官の判断等々総合的にやっぱり見ていくべきものだと私は思います。
 それから、予防的措置ではないかと、大規模紛争だけならばということでございますが、停戦の合意、パリ包括和平協定の枠組みは守られているわけでありますから、これは決して予防的な、紛争防止のために我が国は出しておるわけではございません。あくまで停戦の合意が行われておると。しかし現実には多少のいざこざその他があり得るということは、これはもう乾季に入ると、サンダーソン司令官も言っておられましたが、多少頻発するおそれはあるということも認識としては述べておられました。
 しかしながら、決して紛争を防止するために我が国は出しているわけではございませんで、あくまでも五月の、カンボジア民主政府、政権を目的とした議会の選挙が無事行われるように、そして民主的カンボジアが自立されるような方向で、我が国としてはもうPKOその他を凍結いたしておりますから、道路その他の緊急暫定的な応急措置を講じようということでまいっておるわけでございまして、委員の御指摘のような目的で行っておるわけではございません。
#273
○聴濤弘君 あとわずかですから、最後に一つだけ質問させていただきます。
 政府は、カンボジアに自衛隊を派遣することを決めた後でポル・ポト派と武装解除の交渉をされた。で、成功しなかった。それから、先ほども出た問題ですけれども、ポル・ポト派は選挙には参加しないと、今のところそう言っている。自分の支配地域にはUNTACの要員も入れないという状況、こういう状況のもとではカンボジアに平和が来るわけがない。国連は最近事実上の経済制裁という、事実上のと私正確に言っておきますが、事実上の経済制裁を決めると、そういう状態。
 ですから、何か初めに自衛隊派遣ありきということじゃなくて、やはりこういう状況を根本的に直していく政治的な解決方法というものを日本政府あるいは国際社会が模索していかなければ、ただ軍事力で何か抑え込む、パリ協定を守らせるために軍事力で抑えているんだというんでは、まず第一に日本がそういうものに参加するということはおかしなことになってくると思うんです。先ほど防衛庁長官言われましたけれども、決して何か抑え込むために行っているんじゃないんだと言われています。しかし、実際には何か抑え込むために行っているような形になってきている。そういうことが続きますと、本当に国連は事実上の経済制裁まで検討をしてやろうと決定している。だんだんだんだん泥沼に入っていくという感じがいたします。
 ですから、私はそもそもPKO法の五原則から見ても、この派遣というのはやれないという立場でおりますが、そういう点で今後の展望をどのように政府として考えているのか、私たちは直ちに撤退すべきだと思いますけれども、政府の基本的なこういう問題についての認識をぜひお聞かせいただきたいと思います。
#274
○国務大臣(加藤紘一君) 衆議院内閣委員会で共産党の三浦議員から同じ趣旨の御質問がございました。最初に自衛隊の派遣ありきとかPKO派遣ありきとかというようなつもりは全くございません。最初にカンボジアに和平と安定をもたらさなければならないというテーマありきとあえて言いたいと思います。
 三浦さんの御議論を聞いていても、先生の御議論を聞いていても、では御主張なさる、カンボジアに平和をもたらすビジョンは何なのかということが明確でございません。
 最初に政治的な解決の道を模索すべきだとおっしゃいましたけれども、実はパリ協定というものがそういうものだったんではないでしょうか。そして、それを全員でどうやって実現するかということで、国際連合というものが中に入ってSNCのもとでみんなが努力し、UNTACが活動し、そして何とか選挙でカンボジア人自身の政権をつくろうという政治的な解決のためにみんなが努力しているんではないでしょうか。
 だから、今私たちがやらなければならないのは、そういう大きな目標のためにカンボジア人も、また世界各国も努力しているんですよということをポル・ポト派にしっかりとわかってもらう、そういう厳しい国際世論の圧力をポル・ポト派に感じてもらいつつ、同時に彼らを追い詰めることなく、この話し合いの場、今後のプロセスに入ってもらう窓口をオープンにしておく、そういうことが我々の今なすべきことだと思っております。
#275
○聴濤弘君 もう終わります。
 カンボジア問題についてぜひ一度官房長官と問題の経緯その他、ずうっと議論したいと思いますけれども、きょうは時間がございませんので終わります。どうもありがとうございました。
#276
○委員長(守住有信君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#277
○委員長(守住有信君) 先般本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。田村秀昭君。
#278
○田村秀昭君 委員派遣の報告をいたします。
 守住委員長、喜岡理事、大久保委員、吉田委員、聴濤委員、高井委員、寺澤委員及び私、田村の八名は、去る九月十六日から十八日の三日間の日程で、福岡県、熊本県における国の地方支分部局及び自衛隊の業務運営並びに国家公務員制度等の実情について調査を行ってまいりました。
 第一日目は、総務庁九州管区行政監察局、人事院九州事務局及び防衛施設庁福岡防衛施設局からそれぞれ概況説明を聴取いたしました。その後、航空自衛隊春日基地を訪れ、西部航空方面隊司令部において業務説明を聴取した後、営内隊舎及び装備品の展示を視察いたしました。
 第二日目は、陸上自衛隊健軍駐屯地の西部方面総監部において業務説明を聴取した後、営内隊舎を視察いたしました。次いで、北熊本駐屯地を訪れ、第八師団司令部において業務説明を聴取した後、管内隊舎及び装備品の展示を視察いたしました。
 第三日目は、熊本テクノポリスセンターにおいて、熊本テクノポリスの現状について説明を聴取し、次いで、テクノポリス内の電子応用機械技術研究所及び熊本大学地域共同研究センターを視察いたしました。
 以下、日程に従い、調査の概要について御報告申し上げます。
 まず、総務庁九州管区行政監察局は、九州七県を管轄区域とし、行政監察、行政相談、環境問題調査等の業務を行っております。その組織は、福岡管区局のほか、六県に行政監察事務所が置かれ、定員は百三十八人であります。
 平成三年度における業務の実施状況は、中央計画監察が、義務教育諸学校等行政監察等十五本、地方監察が、土地改良区の運営等地方監察等二十本とのことでありました。行政相談の受け付け件数は二万九千八百九十二件、また、環境問題について環境庁に報告した件数は二千四百二十六件とのことでありました。
 質疑では、中央監察テーマの決め方、郵政省の監察対象機関数が多い理由行政相談の効果等がただされました。
 次に、人事院九州事務局は、九州七県を管轄区域とし、各種国家公務員採用試験、民間企業の給与・勤務条件等の調査、各種の研修、給与簿等の監査及び公平審査を行っており、その組織は、局長の下に三課七係が置かれ、職員数は二十二人であります。
 平成三年度における業務実績は、国家公務員採用試験では合計十四種類十五回の試験を実施、民間調査では、管内九百八十の事業所を対象として給与実態調査を行うとともに、十事業所を対象として勤務条件制度等調査を実施したとのことであります。なお、単身赴任者の食生活や心身の健康管理等のソフト面の充実を図るための初の試みとして、単身赴任者生活管理研究会を開催し、また、国家公務員の育児休業制度等の適切な運用を図るために、育児休業等制度説明会を開催したとのことであります。
 質疑では、初任給引き上げが国家公務員採用試験応募者数に及ぼす効果、給与実態調査を行った九百八十の事業所のうち、労使交渉によって給与を決定した事業所数等がただされました。
 次に、防衛施設庁福岡防衛施設局は、九州七県を管轄区域とし、防衛施設の取得、管理及び建設主事並びに防衛施設周辺の生活環境の整備等の業務を実施しております。同施設局には、福岡本局のほか、熊本に防衛施設支局が置かれ、本局の出先機関として、小倉、佐世保、別府に防衛施設事務所が、支局の出先機関として宮崎に出張所が置かれております。定員は三百四十七人であります。また、局長の諮問機関として、防衛施設地方審議会が置かれております。
 主要業務としては、自衛隊施設関係では、霧島演習場の用地取得、航空自衛隊板付地区の移転等、駐留軍施設関係では、大村航空基地の一部提供、針尾住宅地区の整備等の課題に取り組んでいるとのことでありました。
 質疑では、福岡空港における自衛隊ヘリの使用目的等についてただされました。
 次に、航空自衛隊西部航空方面隊は、九州全域及び中国・四国地方の大部分の区域を担当し、防衛・警備、対領空侵犯措置、災害派遣を基本的な任務としております。主な部隊は、二個の航空団、四個の高射隊、七個の警戒群及び三個の移動警戒隊等であり、保有する航空機は約百機、人員は約六千人であります。緊急発進の実施状況は、昭和六十二年度以降平成元年度までは年間三百五十回程度実施しておりましたが、米韓合同演習チームスピリットの中止に伴い、平成二年度以降現在までの間は減少傾向にあるとのことであります。災害派遣は、平成三年度は十六件実施しておりますが、大部分は近傍火災対処、行方不明者の捜索となっているとのことでありました。
 質疑では、訓練空域における民間航空機との安全の確保、T4練習機の事故の有無、スクランブル回数が減少する中で現在の防衛態勢を維持する理由等がただされました。
 次に、陸上自衛隊西部方面隊は、九州及び沖縄県を警備区域とし、その防衛・警備及び災害派遣を基本的な任務としております。方面隊の編成は、二個の師団、一個の混成因、高射特科・施設・教育各一個団及びその他の方面直轄部隊をもって構成されており、健軍駐屯地には、方面総監部及び方面通信群等の部隊が配置されております。定員は、自衛官約三万人、事務官等約千五百人であり、自衛官の充足率は約八三%とのことであります。
 災害派遣活動については、昨年六月から雲仙・普賢岳噴火に伴って、第四師団を基幹とする部隊を派遣し、二十四時間の監視体制を維持しております。その規模は、九月十六日現在で人員延べ十万三千四十人、車両延べ三万七百両、航空機延べ三千四百機に達しており、陸上自衛隊史上、延べ派遣日数及び延べ派遣航空機数において最も長期かつ最大のものであるとのことであります。また、風倒木等による二次災害防止のための災害派遣は、自衛隊として初めての計画的かつ大規模な予防災害派遣であり、五月十二日から約一カ月にわたり、約五万七千五百本の倒木を処理したとのことでありました。
 質疑では、風倒木の処理率及び経費の負担、りゅう弾砲の特性、西部方面隊における自衛官の募集状況、自衛官の退職理由等についてただされました。
 次に、陸上自衛隊第八師団は、南九州三県の防衛・警備及び災害派遣を担任しており、師団司令部のほか十二の部隊で編成され、地区内六カ所の駐屯地に配置されております。人員は、定員約九千人に対し、現員は約六千四百人とのことであります。装備品の充足については、装輪車各種等を除きおおむね定数どおり充足されているとのことでありました。なお、北熊本駐屯地においては、施設の老朽化が著しく、建設年数が四十年以上経過している倉庫が約七一%、同三十年以上経過している整備工場が約三三%に達しているとのことであり、隊舎等を含め、その実態の一部を視察してまいりました。
 災害派遣については、創隊以来最大規模の派遣として、十一地区において約一万七千五百本の風倒木の伐採・搬出作業を実施したとのことであります。
 質疑では、宿舎に入居できない隊員に対する方策、婦人自衛官の採用の拡大状況等についてただされました。
 次に、熊本テクノポリスは、昭和五十七年の基
本構想発表、五十九年のテクノポリス開発計画承認以来、産業・学術・住環境の一体となった町づくりが着々と進められ、本年四月には第二期開発計画が承認されております。
 昭和五十九年度から平成二年度までの第一期の成果は、テクノ圏域における誘致企業数が八十五件、従業員数一万六百七十七人、うち先端技術企業が五十四件、八千五百十人となっております。第二期開発計画においては、これまでの基盤をもとに新分野開拓や新商品開発による地域企業の起業化のための環境を整えるためインキュベーションフィールド、創業の場づくりを目指すとのことであります。
 熊本テクノポリスセンターは、熊本テクノポリス財団が運営に当たり、テクノポリスの理念を県民とともに考え、推進していく中核的な拠点施設であり、情報の提供、人材の育成、広報交流などの役割を担っているとのことでありました。
 電子応用機械技術研究所は、産業界、学界、行政の協力のもと、第三セクターの研究開発機関として建設されたもので、主な業務は、研究開発、企業に対する研究施設、機器の開放、技術指導、相談、人材育成であります。
 熊本大学地域共同研究センターは、大学と民間等との共同研究により科学技術の発展に対応するため、国立大学の共同研究施設としては全国で初めて学外に建設された施設であります。年間約二十件の民間企業等との共同研究を実施しているとのことであります。
 質疑では、熊本テクノポリスが熊本空港に隣接していることの利点、宿泊施設の整備状況等がただされました。
 以上が調査の概要でありますが、御協力いただきました関係各位に御礼を申し上げまして、報告を終わります。
#279
○委員長(守住有信君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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