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1992/11/05 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 本会議 第2号
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1992/11/05 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 本会議 第2号

#1
第125回国会 本会議 第2号
平成四年十一月五日(木曜日)
   午前十時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成四年十一月五日
   午前十時三十分開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る十月三十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。久保亘君。
   〔久保亘君登壇、拍手〕
#4
○久保亘君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、第百二十五回臨時国会に対する総理の所信表明について質問いたします。
 「巨額の裏金が流れ、派閥が政治を支配し、政権づくりに暴力団が関与する。こんな現状の政治を改革するのは国会の責任である。臨時国会冒頭の宮沢首相の所信表明演説に、まずその点で注目した。はっきり言って、失望である。」。これは、所信表明の翌日「「決意」だけでは政治不信は解けぬ」と題したある新聞の社説の書き出しであります。この議場で直接あなたの所信を聞いた私も同じ思い、多くの国民の皆さんも同じ思いだったのではないでしょうか。政治改革に不退転の覚悟で取り組み、そのために一身をささげるあなたの決意はわかりました。しかし、何をなすべきかの決断は何一つ語られていません。
 最近の世論調査によれば、宮澤内閣の支持率は一四%から二三%、不支持率は六六%から七二%となっています。この数字は内閣の存立を否定するに等しいと思うのでありますが、総理はその原因をどのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。
 今日、極限に達している国民の政治不信は、政党と政治家に向けられたものであります。ロッキード、リクルート、共和、佐川とやむことなく続く汚職腐敗は、自民党長期政権の中で生まれ、今や利権集団と化した派閥を軸に政治構造化しています。その意味で、政権交代による議会制民主主義の機能を失わせてきた野党、とりわけ日本社会党の責任を重く感じながら、この臨時国会の使命を果たす決意を込めて、総理の決断の上に立つ政治改革の具体的方針を伺います。十一月は、総理就任に当たって、抜本的政治改革の方針を示すと国民に公約されたときであることをしかと思い起こして答えてください。
 去る十月十日体育の日に、総理は作家城山三郎氏と横浜でゴルフをなさったことを新聞で知りました。私も城山さんと二度ほどお目にかかったことがございます。城山さんの宰相論を感銘深くお聞きしたこともあります。城山さんは宰相の条件として、高い安定、高い感度、高い淡泊さを挙げておられますが、特に濱口雄幸首相の言葉を引いて、宰相たるもの「信念が兎の毛ほどもゆらいではならぬ」、そして「首相が国民に約束したことを破ったら、国民は何を信じて生きて行けばいいのか」と述べられています。宮澤さんも御存じのことと思います。
 憲法のもとで自衛隊の海外派遣はできない、国民の合意のない増税はできない、平均年収の五倍で良好な環境の住宅取得を可能にするなど、幾つもの信念を述べ、約束をなさっています。そして、今回の所信表明において、「今ここで国民の疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければ、我が国の将来に大きな禍根を残す」と信念を述べて、佐川事件に対する真相解明を国民に約束されています。総理の国民への約束はいかなることがあっても守るとお答えいただきたいのであります。
 次に、佐川事件の解明について具体的にお尋ねいたします。
 第一に、首相は就任以来、最初の所信表明において、みずからのリクルート事件を国民に深くおわびし、本年一月、施政方針において、みずからの派閥事務総長であった阿部文男氏の共和事件を深くおわびし、今回の所信表明において、佐川事件について同じように国民の皆様に対し深くおわびすると述べておられますが、具体的には何をわびようとされたのか、主語が明らかでありません。宮澤政権の生みの親であった金丸前副総裁や竹下元首相のやみ献金や暴力団関与をわびられたのでしょうか。これらの事件が明るみに出ても的確に対応できなかったみずからのことをわびられたのか、お答えください。
 第二に、自民党の最大派閥として政権を左右した経世会の会長であった金丸氏が、特別背任罪に問われている東京佐川急便の元社長渡辺氏から五億円の違法なやみ献金を受け取ったことを認め、世論の厳しい批判の中で議員を辞職するに至ったことは、政治家の犯罪として当然のことと首相はお考えでしょうか。やむを得ないことであったとお考えなのですか。金丸氏がみずからその事実を認めて副総裁の辞任を申し出たとき、あなたは総裁としてこれを慰留し、事件そのものについてはノーコメントで終始されたのは何ゆえですか。
 第三に、この事件について、事情聴取を求める東京地検の出頭要請が拒否され、上申書によって略式起訴となったことは憲法十四条に定める「法の下に平等」の原則に反するという国民の強い批判に対し、憲法のもとに国政を預かる首相としてどのように御判断なさいますか。また、このことに関し、札幌高検の佐藤検事長が「検察官の役割とは何か」として見解を発表したことについて、十月三十日、岡村検事総長は「組織の一員として相当でない」との注意を行ったとのことでありますが、このことについて行政のトップにある首相の見解を求めたいのであります。
 第四に、五億円のやみ献金の法的決着が略式裁判による二十万円の罰金で終わったことに対し国民の怒りは極限にありますが、このことは、検.察、司法の問題以上に、政治資金規正法をざる法のまま放置した国会の責任を重く見なければなりません。三木内閣のもとで法改正を行ったとき、企業献金の五年後の見直しを約束しながら放置してきた政府の責任をどのようにお考えになりますか。
 第五に、五億円の使途を明らかにすることは国民の疑惑を晴らす上で重要なことであることは論をまちませんが、未解明な状態に対して税法上の措置はどうなっているのか、国税当局の調査の状況について総理に御報告いただきたいのであります。
 最後に、渡辺広康氏らの公判において明らかになっている、竹下政権の成立に暴力団が関与した問題についてであります。このことは、国際的に日本の信頼を失い、議会制民主主義の根幹を揺るがす極めて重大な事件と言わなければなりません。
 この事件については、昨年九月、参議院証券金融問題特別委員会において我が党本岡昭次議員によって指摘され、政府は日本皇民党の介在を明らかにしており、当時の海部首相は市民生活の脅威となる暴力団活動の根絶を表明しています。宮澤首相も今次所信表明において、暴力団は依然として市民生活に脅威となっていると述べています。
 しかるに、渡辺氏らの公判において政権の誕生に暴力団が介在したことが明白にされ、そのことが、稲川会の石井前会長らの経営する企業への巨額な融資、証券市場の不祥事、そして渡辺前社長らの特別背任の発端となったとされており、首相の言われる、あってはならないことで片づけられる問題ではありません。少なくとも、竹下政権が存在したこと自体否定されなければならないほどの政治的事件であります。暴力団の関与したこの自民党総裁選挙は、あなたも候補者の一人であり、中曽根裁定で生まれたこの政権にあなたは大蔵大臣として連なり、あなたの政権もまた、金丸、竹下氏ら政治に暴力団の関与を許した経世会領袖らの支持によって生まれた政権である事実を否定できないと思います。
 政治は結果に責任を負うべきです。首相はみずから事件の解明に全力を尽くすべきであり、国会の調査に全面的協力を表明すべきだと思います。金丸、竹下両氏を初め、関係者の証人としての証言を求めることは、国会の使命であることに御同意いただけますか。総理・総裁としてお答えできないなら、一人の政治家として答えてください。あわせて、証人喚問に先立って、証言の公開のための法改正を行うことについて見解を求めます。我々は、佐川事件の全容を解明することによって初めて政治腐敗の構造に迫り、改革の道を明らかにすることが可能だと考えるからであります。
 次に、事件に対する首相の認識と責任について伺っておきたいと思います。
 佐川事件が明るみに出てからの首相のとられた態度は、不可解の一語に尽きるのであります。金丸氏の副総裁辞任に際して慰留されたことは先ほど申し上げました。罰金刑に応じて政治活動を再開されようとしたとき、高まる世論の中で議員辞職を決意されたとき、ノーコメントを貫き、時につき合いの義理も考えなければならないと言ったり、経世会が内紛、混乱に陥るまで擁護の立場に立たれたように見えるのは何ゆえですか。
 あなたはマスコミ関係者との会合でドゥー・マイ・ベストと繰り返されたと聞きますが、あなたにとって尽くすべきベストは何だったのでしょうか。もし、宮澤政権の支持基盤を守ることにベストを尽くしてノーコメントに終始されていたとすれば、もはや政治改革を論ずる資格はない。そうではない、私の性格的不決断のゆえだとおっしゃるなら、今国会における真相解明に毅然たる態度を総理・総裁としてお示しいただきたいのであります。
 次に、この国会においてなすべき政治改革についてお尋ねいたします。
 総理は、民主政治の原点を忘れず、かりそめにも一党一派の利害にとらわれて行動しているとの批判を受けてはならないと申されました。私も賛成いたします。なすべき改革について、国会全体の責任として協力すべき課題は多いと思います。残念ながら、政治倫理の確立を叫び続けても百年河清を待つに等しいことは、造般疑獄以来佐川事件に至るまでの絶え間ない汚職腐敗が物語っています。政治権力の持つあしき宿命とすれば、立法府の責任において法制度をもって規制する以外にありません。
 しかし、政治構造の上で改革を迫られている緊急の課題について、我々は直ちに改革を実行すべきだと思います。
 その第一は、政治腐敗の温床と化した利権集団たる派閥の解消であります。派閥は、今や自民党の党内問題としてでなく、日本の政治全体の信頼にかかわっていると思うからであります。総理は、国民の厳しい批判を正面から受けとめ、派閥解消に積極的に取り組むべきだと思いますが、決意のほどをお聞かせください。
 第二は、国会の改革であります。本来、政治改革は、立法府の機能を高め、議会制民主主義の実を上げることにこそ主眼を置くべきと考えるからであります。議員立法の重視、審議権の保障と審議の公開、公聴会の重視、国会対策委員会の役割を限定し、委員会審議を充実させる、政治倫理審査会を常任委員会として政治倫理の確立に努めるなど、国会改革を推進することであります。特に、二院制の持つ意義を生かすため、参議院からの閣僚、次官の起用をやめ、参議院の行政府に対する独立性を高めることが重要と考えますが、総理の御見解を承りたい。
 次に、緊急の課題である政治資金規正法、公職選挙法の改正による腐敗防止策についてお尋ねいたします。
 既に党間合意のある十八項目を起点として、昨日、衆議院において我が党田邊委員長が提唱した法違反者に対する罰則の強化、立候補の制限、政治資金の透明化のための指定団体の一本化、一万円以上の寄附者の届け出などのほか、政治資金口座の指定と公開など、必要な改革を実現することが重要であると考えますが、この臨時国会において、合意十八項目に加えて改革を行うことに総理は御同意いただけますか。
 なお、この際、公的政治資金助成を検討するとともに、企業、団体の献金禁止を行うことが重要であり、特に公共事業関連企業、補助対象団体などの献金を速やかに禁止すべきだと思いますが、御見解を承りたいのであります。
  次に、定数是正についてであります。
 衆議院の定数是正についてま、一九八六年五月二十一日に全会派の合意による国会決議が行われており、この方針に沿って違憲状態を解消すべきであると考えます。しかも、昭和六十年国調の確定人口公表を待って速やかにその抜本改正の検討を行うことを決議しており、九増十減は明らかに国会決議にそぐわないものと言わなければなりません。違憲状態解消を大義名分にして内閣の解散権の障壁を取り除くことを目的とするならば、これを認めるわけにはまいりません。九増十減が当面やむを得ざる措置として合意されるためには、一回限りの時限措置を法に明文化し、次々回以降の抜本的定数是正または制度改正の具体的方針を提示する必要があると思いますが、いかがですか。
 選挙制度改正については、政権交代可能な結果を得やすい制度として小選挙区制が論ぜられてきた傾向が強いのでありますが、政権の交代は主権者の選択の問題であり、政党の選挙への対応が第一義的に問われるのであって、選挙制度が直ちに政権交代を容易にするわけではないと思います。したがって、制度改正については、公平、公正に民意を反映し、選挙区ごとの人口格差を二倍以内にできることを基準に検討しなければなりません。我々は、そのような原則の上で、実現可能な提案に対しては、中選挙区制定数是正にこだわらず、協議に応ずる用意があります。総理は、制度改正に当たってどのような選挙制度改正を想定しておられるのですか、お答えいただきたいと思います。
 次に、政府の決定した総合経済対策は、国民経済の血液である金融が動かなければ迷惑するのは国民だという宮澤流の論理によって、土地の流動化と株式市場の活性化をねらいとして進められています。バブル崩壊による複合不況と呼ばれる不況の中で、金融機関の保有する四六%の上場株をつり上げ、不良債権救済のため買い上げ会社をつくって、一時は公的資金投入までほのめかし、資産デフレ救済を進めたのではなかったのでしょうか。反論があればお聞かせください。
 もともと、バブルの形成は、金融機関の乱脈経営とも言える貸し出しと輸出増大による手元流動性の肥大化に政策的対応を怠り超低金利政策を続けた当時の宮澤大蔵大臣を初め、政治責任があることをどう考えておられますか。
 バブル崩壊後の不況に対しては、景気動向に対する警戒の提起に対し、甘い判断と対応のおくれが続いた責任も大きいのであります。確かに、総合経済対策は、アナウンス効果によって株価を一万四千五百円から一万八千円に引き上げ、土地の下げどまりによって金融機関救済のねらいに効果をあらわしています。しかし、生産と消費はなお低迷を続け、国民の生活はよくなっていません。政府は、景気の底入れと回復の時期をどのように見通しておられるのか、国際公約ともなっている成長率三・五%達成の可能性をどう見ておられるのか、お伺いいたします。
 さらに、今回の対策の特徴は、地方単独事業一兆九千億円を初め用地先行取得など地方の負担が大きく、政府自身の責任が軽くなっていることであります。将来、地方の財政負担に政府はどう対応されるおつもりですか。
 経済対策が国民経済を守り生活大国に根差したものとなるためには、第一に、国民の可処分所得をふやす大規模な減税と、年金生活者に対する金利低下分を補償することであります。
 昭和六十三年の消費税導入決定のとき以来減税が行われていないことによって、国民の租税、社会保険の負担は平均三十万円、二六・九%も上昇し、この間物価も一〇・六%上がっているのであります。消費税の負担も加わっています。国民経済を守り、景気の最大要因である消費を拡大するため、所得税、住民税を初め、中小企業の設備投資、住宅、教育などの政策減税に二兆円を要求いたします。財源については、前年度決算剰余金、軍縮による防衛費削減を初め、歳出の見直し、不公平税制の是正によって対応できます。
 次に、生活大国の目指す平均年収五年分で住環境の良好な住宅を取得できる宮澤政権の公約は、地価において達成されたと考えておられるのですか。宮澤政権発足以来の地価対策は、一貫して下げどまりの方向をたどっていませんか。現在の東京の地価は、五十八年対比、依然として三一七%にあることを御承知でしょうか。地価はまだ下がるべきだと考えておられるのか、もう十分に下がったと考えておられるのか、明確にしてください。
 地価税は本則どおり〇・三%となさいますか、お伺いいたします。次に、公共事業を住宅、公園、上下水道など生活関連重点に投入することはもちろんでありますが、一極集中排除のキーポイントと言える新幹線、高速自動車道など地方の高速交通体系の整備促進に、地方の活性化と投資効果の面からも重点を置くべきだと考えますが、いかがですか。
  最後に、消費税について伺います。
 消費税は、導入のとき、財源確保をねらいとするものではなく、直間比率の是正が目的と言われてきました。しかるに、今日、直間比率に全く変化を生じていないばかりか、その制度上の欠陥も原因して、国税庁の調査では、半分以上の企業で五百四十九億円の申告漏れがあり、六百二十二億の追徴が行われ、とりわけ資本金一億円以上の企業では八割以上が申告漏れ、追徴となっているのであります。
 消費税は、制度そのものの欠陥も含め見直すべきであり、安易に税率引き上げなどやるべきではありません。総理は、就任以来、消費税の税率アップには否定的見解を表明されてきました。国民の合意なき増税はできないという約束を守り、宮澤政権下では税率アップは行わないことを明言していただきたいのであります。
 昨日、アメリカではクリントン大統領のもとに民主党政権が誕生することになりました。我が国の外交、経済、安全保障にとって、日米関係が今後も重要であることは言うまでもありません。しかし、政権の交代によってアメリカの対日戦略が変わるのか、変わるとすればどう変わるのか、今後の日米関係を考える上で極めて重要と思われますが、総理の御見解を承っておきたいのであります。
 クリントン氏は、日本とドイツを国連安保理の常任理事国にと、四月、ニューヨークの外交政策審議会の講演で提唱しています。だが、クリントン氏の周辺は、日本が常任理事国になろうとするなら、ガリ事務総長が六月に提出した国連の改革案「平和への課題」に提案している国連緊急展開部隊に参加することも期待するだろう、責任なしに力を持つことはできない、責任と力はいつも一つだと言っています。日本が常任理事国入りを目指す目的と理由について総理にお尋ねいたします。また、国連緊急展開部隊は、予防的に国境近くに待機し、紛争が起きれば武力を行使する軍隊のことです。政府は、常任理事国入りと緊急展開部隊の関係をどのように御説明なさいますか。
 次に、財政赤字削減はアメリカの最大の政治課題ですが、クリントン氏はブッシュ大統領と比へ、四年間で四百億ドルもの大幅な軍事費削減を提唱しています。このことは、極東における米軍の肩がわりと軍需部門からの日本への経済的協力要求と重なって、日本の軍事費拡大への圧力となるおそれはないだろうか。政府はどのように対応されるおつもりですか。
 第三に、クリントン政権は、時代は軍事をてことするのではなく、外交のてこは経済だと言っているそうです。彼は、アメリカ通商法スーパー三〇一条の復活を主張しており、緊急輸入制限を定めた二〇一条とあわせて、国内産業保護を重視していると言われています。また、ブッシュ政権時代の巨額の財政支出を約束させられた日米構造協議にかわる日米間の包括的経済問題協議でも、日本への要求がさらに強まるのではないかという見方がありますが、政府はどのように見ておられますか。
 第四に、総理は、これからの世界の経済と平和を左右する存在としてアジア・太平洋地域を重視し、アジア外交の新たな展開を提唱されていますが、その具体的な構想がおありですか。それは経済を外交のてことするアメリカのアジア戦略とどんな絡み合いになりますか、総理の御見解を承っておきます。
 次に、国際協力と軍縮の推進についてであります。
 最初に、カンボジア現地情勢と北京会議の見通しについてお尋ねいたします。
 政府は国会閉会中に自衛隊のカンボジア派遣を行ったのでありますが、ポル・ポト派の武装解除拒否、首都攻撃などに対し、政府軍は武装解除に応じた四万五千人の再武装・原隊復帰を決定したと言われていますが、ポル・ポト派と他の三派との間に決定的対立を生む状況にあるのではないか、派遣に当たっての五原則に反する状況ではないのか、その判断はどこでだれが下すのか、お答えいただきたいのであります。
 首相は、中期防は修正について前向に所要の検討を行うと通常国会で約束しておられますが、検討の経過と現在における首相の判断を伺いたいのであります。一部報道によれば、大蔵省は来年度は防衛費を前年度当初比減額の方針と聞きますが、国際情勢変化の中で当然とはいえ、支持できる方針だと思います。クリントン新大統領の周辺では日本を不沈空母と考える時代は終わったと言われているが、AWACSは防衛計画としてはもう外すべきではないのでしょうか。首相の見解を求めます。軍縮は自衛隊の縮小と防衛費の削減で示されるべきだと思うからであります。そのことを通じて自衛隊の派遣によらない平和協力の組織が可能になると我が党は主張しているのであります。
 また、国際平和協力を国連中心主義で進めるためには、政府は経済協力のあり方の理念を明確にして主張することだと思います。その一つは、国連に軍縮基金を創設し、軍需から民需への転換に国連を通じて援助することであり、もう一つは、軍拡を進める国及び武器輸出をする国には援助を保留することであります。日本として、そのようなことを国連に求め、実行する考えはありませんか。
 最後に、北方領土に関連して、エリツィン大統領訪日中止の真相と対ロ交渉の今後の見通しについて首相の御答弁を求めるものであります。
 総理の所信表明は、前回の施政方針に比べて、「我が国の米については、」の部分が「我が国としても、」に改められ、「米について」は削除されています。また、鳥居原駐米公使は十月二十七日、IMFにおいて「岐路に立つ国際貿易」と題して講演し、ECと米国の交渉が決着したら、日本政府、国民は農業問題の決断をしなくてはならないと言っています。日本政府の農業交渉に対する基本方針に揺らぎはないと思いますが、首相の国会決議を守る基本方針に変わりはないことを明言していただけますでしょうか。
 そもそも、アメリカとECの農業交渉は巨大輸出国同士の対立であり、ガットにおいて我が国のような食糧輸入国の立場は顧みられず、食糧輸出国の利害に交渉が左右されていることを見逃すことはできません。ドンケル合意案も、輸出補助金は存続を認めながら、一方では、食糧安全保障上の権利である国境制限措置は例外なき関税化に置きかえようとする不公正きわまるものであります。米などの農産物市場開放は農業の崩壊につながり、広く関連産業と地域経済に深刻な影響と被害を及ぼすのであります。
 また、ドンケル合意案は、食品安全基準においても、残留農薬、食品添加物の危険を高めるものとなっています。自国の農業を崩壊させ、国民の健康を犠牲にする自由貿易が認められてよいのでしょうか。
 政府は、ガット農業交渉において、食糧輸入国の農林業を守り、各国の食糧安保の権利を前提とした国際ルールづくりを主張すべきであります。重ねて、交渉に臨む総理の決意を伺いたいのであります。
 第十四期中教審答申は、偏差値に基づいた学歴競争社会では個性及び創造性ある日本人を育てることは極めて困難であると指摘しています。子供たちがゆとりを失い、本来なら楽しかるべき学校生活に疲れ、人間関係を損なっていることは、登校拒否六万七千人、高校中退十二万人という結果にもあらわれています。
 このような状況の中で、九月十二日、学校五日制がスタートしたことは、子供たちの週休二日制の実現に向かう学校教育の画期的改革の第一歩として評価いたします。政府は、学校五日制の完全実施に至るどのようなスケジュールを考えておられるのか、生活大国五カ年計画との関連を含めて明らかにしていただきたいのであります。
 また、学校五日制を子供たちの週休二日制として位置づけるならば、指導要領の弾力的運用をも含めて、指導要領の改訂にいつから着手されるおつもりか、お伺いいたします。
 次に、教育予算のあり方についてお尋ねいたします。
 一九八三年以来、概算要求におけるマイナスシーリング方式がとられて今日まで継続されていますが、教育費においても全く同じ考え方がとられていることは極めて問題と言わなければなりません。アメリカでは、教育など人的資源への投資を未来への投資と位置づけ、教育に必要な財源を、社会資本への公共投資と同じように赤字という形で将来の世代に求めるのは理にかなったものという政治哲学に基づいて教育費が考えられています。私はこの考え方に賛成でありますが、総理はどのようにお考えでしょうか。あなたの教育についての哲学、理念をお聞かせいただきたいのであります。
 人件費が八割以上を占める教育費を一般的消費的経費として一律シーリング方式を適用することは、公立学校施設整備費などに大幅なしわ寄せとなるだけでなく、学校事務職員、栄養職員を義務教育費国庫負担法の適用外に考えようとしたり、私学助成を削減したりすることにつながり、生活大国にふさわしい教育環境と条件を子供たちから奪うことになります。教育費のあり方について、総理の積極的な見解を承りたいのであります。
 次に、本年五月、総務庁の発表によれば、十五歳未満の子供の人口が前年より五十七万人減少したことが明らかにされています。出生率の低下が直接原因であることは言うまでもありませんが、出生率は平成三年には一・五三に低下し、記録を更新し続けているのであります。このことは、子供の健やかな成長に影を落とすだけではなく、将来の労働力不足、働く世代の社会保障負担の増大など、国の未来にかかわる深刻な問題が憂慮されるのであります。
 このことについて、平成三年十一月の総理府の行った「女性の暮らしと仕事に関する世論調査」の結果は、子供を欲しくない理由として「経済的負担が増えるのは大変だから」と答えた者が七〇%と最も多く、年々ふえる教育費の負担が出生率低下の直接原因であることを示しています。文部省は、毎年、教育費の調査結果を発表していますが、この調査結果に基づく改善の対策を講じたことはありません。まことに不可解であり、教育費負担の肥大化は、出生率の低下を招くだけでなく、教育を受ける権利を奪うことにもつながるのであります。教育費負担増大の源流をたどれば、塾、家庭教師の費用など今日の偏差値主義教育に行き着くのであります。
 今日の我が国の教育の根幹を揺るがす教育費負担の肥大化に対し、政府は速やかに対策を講じ、教育費負担軽減を具体的に進めるべきだと考えますが、総理の御見解を求めます。
 フランスのシェルブールから日本へ使用済み核燃料のプルトニウムを輸送しようとしているあかつき丸について、政府は一切を秘密にしておられますが、人間と環境に対する高い危険性をはらむ問題であり、求められる資料は公表すべきものと考えるが、公表を拒否する理由を明らかにされたい。
 あかつき丸については、中南米五カ国で構成する南太平洋常任委員会が十月二十六日、各国への入港と領海通過を認めないことで合意したことにより、中南米海洋諸国のほとんどが公式に反対したことになります。
 なお、南太平洋常任委員会は日本政府にパナマ運河及び南米最南端のホーン岬沖通過を控えるよう求めたと言われているが、政府はこの要求を受け取ったのか、またこの要請にどう対応するつもりか承りたい。あかつき丸の日本への航路は決定しているのかもあわせてお答えいただきたいのであります。
 また、フランス原子力庁の原子力安全防護研究所から、あかつき丸の安全対策に疑問があるとして日本の運輸省に説明を求める書簡を送ったと言われるが、書簡の内容と回答の内容を明らかにしていただきたいのであります。
 なお、フランス側は、回答を待って、運送途中の火災と難破の危険性についての報告をまとめ原子力問題閣僚会議の事務局に提出し、報告書は公表されるとのことであるが、この報告によって出港に関するフランスの決定に変更があり得るのか、お答えいただきたい。
 以上で私の質問を終わりますが、最後に、宮澤さんに申し上げたいことがございます。
 昨日、新聞は「宮沢さん、もっと前へ」と題する社説を掲げました。国民の首相に対する物足りなさ、不満をずばりあらわしています。所信表明からあなたの決意は聞こえても、易きを求めぬ志は響いてこなかったからであります。「吾が鴻鵠の志、汝燕雀にして知る能わず」と言われるかもしれません。しかし、戦後政治の証言者を自負し、美しき日本への挑戦者を目指す宮澤さんも、トップリーダーとして残された時間は少ないのではないですか。
 変革を求める疾風怒濤のとき、アメリカは、戦後世代、四十六歳のビル・クリントンを新しい時
代の指導者として選んだのであります。あなたの党内からも、リーダーシップに疑問の声を聞きます。宮澤さん、前へ出れば総選挙、出なければ総辞職、あなたの選択の道は限られています。それだけに、凛たる本音で私の質問に答えてくださることを強く希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) 多岐にわたる御質問でございましたので、一つ一つお答えを申し上げます。
 まず、最近の世論調査によって内閣の支持率が低下しているということをどういうふうに考えるかというお尋ねでございました。
 政治と金をめぐる問題あるいは政治家のあり方の問題等を契機として、国民の政治に対する不信がかつて経験したことのないほど深刻なものになっておると考えております。また、政治改革がそれに比してその実を上げていないということについて国民のいら立ちがあるということも事実であると思います。私は政治の責任者でございますので、そういう意味で、これは私の責任に帰すべきものということが今の世論のあらわれではないかというふうに考えております。したがって、私としては、一日も早く国民の理解と納得が得られる政治改革を実現し、政治に対する国民の信頼を回復しなければならない、基本的にそのように考えております。
 次に、十一月にその政治改革について抜本改革の方針を示すということであったがどうであるかというお尋ねでございました。
 既に、緊急改革につきましては政治改革協議会において与党と大方の野党の間で合意を見ているわけでございまして、これは定数是正を含めましたところで今国会で早急にひとつ御審議をいただき実現をさせていただきたいと思っておりますが、それは緊急改革でありまして、御指摘のように、その背景には抜本改革がなければなりません。そういたしませんと本当の改革というものは完成しないと考えております。
 その抜本改革につきまして、ただいま私どもの党内で議論を重ねております。非常に濃密な議論をいたしておりますが、大変に難しい選挙区等の問題が当然入ってまいりますので、非常に議論も熱心に行われておりますが、早急にこの結論を得たいと思います。その上で各党間で御協議をいただいて、そして改革実現のためにひとつ御審議をいただきたい、このように考えておるところでございます。これは非常に急ぐ問題でもありますし、また、緊急改革は大事でございますが、それは抜本改革という背景のもとに初めて緊急改革の意味がある、このような考え方をいたしております。
 そこで、総理大臣は国民にお約束をしたことは誠実に守らなければならないということ、そのとおりでございますが、具体的に三つの例をお引きになりましたので、一つ一つについて考えておるところを申し上げますが、まず、自衛隊のいわゆる海外派遣という問題であります。
 これは、前国会でもいろいろに御議論がございましたが、私は、国権の発動としてのいわゆる武力行使、そのいわゆる武力行使の目的で自衛隊を海外に派遣することは許されない、こういうふうに考えておりますことは前国会でも申し上げたと一おりでございまして、政府はこのことは忠実に守っておるつもりでございます。
 それから、増税についてはどうかということでございました。
 国民の税負担にかかわる問題でございますから、これは十分な国会における御議論を踏まえて検討すべき問題であることは当然でありますが、やはりちょっと長い目で見ますと、国民の理解していない、納得できない税制というものは結局実現ができない、定着しないということをお互いに経験しております。この点はよく世論の動向に注意をしなければいけないというふうに考えております。なお、後でもお答えをいたしますが、消費税の問題について御言及がありました。消費税の税率をどう考えるかとおっしゃいましたが、消費税の税率を変更する、引き上げる考えはございません。次に、平均年収の五倍、いわゆる勤労者の年収の五倍で住宅が取得できるようにということでございますけれども、これは東京を初め大都市圏においてそういうことを実現したいということで、経済大国五カ年計画もこれを目標といたしておりまして、地価の面及び住宅そのものの面から、これは何とか実現をしたいというふうにただいま努力をいたしておるところでございます。
 それから、私が所信表明において国民におわびをした、これについて何をおわびしたのかということがございましたけれども、これは、冒頭に申しましたようなこのような政治不信、政治家のあり方あるいは政治と金をめぐる問題、そのような政治不信を招いたことについて、私としての責任についておわびをいたしたものであります。
 それにもかかわらず、金丸前議員が副総裁の辞任を申し出られたときに、私が何か慰留をしたのはなぜかということでございましたけれども、これは、実は辞意の表明がございましたときにその説明がなかったわけでございます。それから後で御当人がテレビ会見をされまして、テレビで事情の話がありました。したがいまして、その翌日、私は辞表をお受けしたことになったわけでございます。
 なお、この一連のいろいろな事件の中で私がなかなかはっきり物を言わないではないかという御批判が、これは久保議員ばかりでなく、私も気がついておりますのですけれども、一つ一つの報道があって、大体報道が同じ流れを示しておるときでも、しかしやはり事実というものはきちんと確かめてからでございませんと、総理大臣としてはそのコメントは控えなければならないというふうに考えておりまして、これはどういう問題にも、やはり人権という観点もございますものですから、そういうふうに心がけております。したがって、申していい、申さなければならないと思う時期には意見を申しておるつもりでございます。
 それから、いわゆる金丸事件の捜査の処理、それから佐藤札幌高検検事長がこれについて意見を発表されたことについてでありますけれども、検察は、申し上げるまでもなく、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠によって犯罪の嫌疑が十分認められたものについて罰則の法定刑の枠内で適正に公訴権を行使する、それが職責でございますから、この金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件につきましても、検察は適正にその職責を遂行したと考えております。事件処理の方法等は法のもとの平等に反するものではないと私は確信をいたしております。
 なお、これについて、佐藤札幌高検検事長に対して、検事総長が検察内部の問題として注意をされたということは承知をいたしております。政府としては、これは検察組織内における判断を尊重すべきものであると思っております。
 次に、企業献金につきまして、実は昨年、第百二十一国会に提出申し上げました政治改革関連三法案では、これは選挙制度の改革と相まってではありますが、企業等団体献金については原則として政党に対するものに限るとしておったわけでございましたが、これは審議未了となり廃案となったわけでございます。なおこれからの政治改革協議会の協議事項の御議論にゆだねたいと思っております。
 それから、金丸氏が収受したと言われる五億円に係る国税当局の調査状況のお尋ねがございました。
 国税当局としては、もとより、常に納税者の適正な課税を実現しなければならないという意味で有効な資料等々の収集に努めておりまして、課税上問題があると認められる場合には適切に処理をするものと考えておりますが、しばしば、納税者関係では事実関係を調査するために、関連する関係者の、納税者の協力を必要とする、前提とするという税務行政上の性格がございますから、そういう意味で個別にわたる事柄について御答弁を控えさせていただくことがございます。しかし、課税上問題がある場合には適切に処理をするものと確信いたしております。
 次に、いわゆる金丸、竹下両氏の証人の問題でありますが、政治家と暴力団とのかかわりについて国民の間に大きな疑念があることを承知いたしております。このような疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければならないと考えております。そういう意味で、真相の解明は重要なことと思っております。自民党としても真相解明に現在努力しておりますが、国会では既に各党間で真相解明のための場をつくるべく御協議がなされていると承知をいたしておりまして、もとよりそのような場合には政府といたしまして御審議に全面的に協力いたすべきことは当然のことでございます。
 佐川事件についてどのような認識を持っておるかということでございましたが、先ほども申しましたように深刻な政治不信を招いていることを痛切に感じており、今国民の疑念が払拭されませんと将来に大きな禍根を残すことになりかねません。私がすべきことは、政治改革を実現してそのような信頼を回復することであるというふうに考えておりまして、その関連において国会の御審議に政府として十分協力すべきことは、先ほど申しましたとおり当然のことでございます。
 なお、私がつき合いの義理云々と言ったような報道が一部にございましたが、そういうことを申したことはございません。
 それから、派閥の問題でございますが、私どもがかねて議論して定めました政治改革大綱には、やはり派閥というものは、一部に活力を評価する向きもあるけれども、派閥と政治資金のかかわり、派閥のいわゆる人事との関連あるいは派閥本位の選挙応援などいろいろな弊害があると述べておりまして、これが基本的な認識でありますが、今回こういう事態になりまして、私どもとしては、政治改革ばかりでなく党改革について真剣に協議をしております。
 派閥の弊害をどうやって除くのか、資金をどうやって透明化するか。実は、派閥の解消というのは何度か過去何十年の間に試みられまして、長続きせずにまたもとに戻っておるような経験がございますので、具体的になし得ることは何かということをきちんと今回は解明してそれを実行したい。少なくとも、派閥の活動というものが党の公正な運営に支障を来すようになっては、これはやはり問題があるというふうに考えていまして、そういう原則のもとに、それでは何をどうすべきかということについてただいま真剣に私どもの党内で検討いたしておるところであります。
 次に、国会改革につきまして、あるいは参議院の改革について御所見がございました。
 二院制の持つ意義をどのように生かすかということは、もとより極めて大切なことと存じます。参議院におかれまして十分な御議論をいただくことが大事と思いますが、また、既にそのような御討議が自由民主党の中でも行われておるというふうに承知をいたしております。
 次に、いわゆる十八項目についてでございますが、十八項目に加えまして、法違反者に対する罰則の強化等の幾つかの御提言がございます。全部で八つあったと思いますけれども、その中で、実務者会議でどのような合意を得られるか、得られますものについて、十八項目に加えていただければいいというふうに思っておるわけであります。
 それから、企業献金というものを基本的にどう考えるかということでありますけれども、企業もいわば一つの社会的存在でありますから、政治献金を一概に否定するということは私はいかがなことであろうか。ただ、そこには一つの節度がおのずからあるだろうというふうに思います。それから、これは公的助成とも確かに関係をいたすわけですが、それらの問題を含めまして、政治改革協議会の実務者会議の協議事項とされているところというふうに存じております。
 それから、この九増十減というものは一回限りであるということをはっきりしろというお話でございましたが、いわゆる一票の格差について最高裁の考えもございますので、この際、緊急にしておかなければならないことは九増十減であろうと考えたわけでありますが、先ほど申しましたように、この緊急改革というのは抜本改革を背景にしてこそ初めて意味を持つものである そういうふうに私は考えておりますので、抜本改革の結果をまた私どもの党としてもまとめまして、各党の御協議にゆだねたいというふうにただいま考えておるところであります。投票価値の格差是正は、どういう制度を考える場合にも実現しなければならない課題であるというふうに思っております。
 次に、政府の決めました総合経済対策について、これは金融機関の救済を目的としているものではないかという御批判がございました。
 今回の不況の一つの特色は、いわば金融、証券等々における一種の異変とでも申しますか、そういう要素があるわけでございますが、御承知のようなマネーサプライがマイナスになるというようなこと、これは民間に資金需要がないのであればやむを得ないわけですが、現実には、政府関係の中小公庫であるとか国民金融公庫であるとかには非常な資金の申し込みがあるわけでございますので、資金需要がないわけではない、むしろ金融機関がこの資金需要に対応できないでいるというのが事実ではないかというふうに考えております。
 そうだといたしますと、その原因についてやはり対処をしなければならないであろうと考えまして、金融機関に対するいわゆる諸施策について、債権の流動性であるとか不動産の問題とかに焦点を当てなければならないというふうに考えたわけでありますが、現実には金融機関が自主的にいろいろなこれについての対応を考えておられます。
 私が、場合によって公的な援助も辞さないと申しましたのは、政府が金を出すということを安易に申したわけではございませんでして、そういういわば国民経済の血液が流れないような状況は、個々の金融機関の救済と申しますよりは、国民経済全体、中小企業を含めました全体の問題であるという認識で申したわけでありますが、幸いにしてただいまのところ金融機関の自主的な努力によってそのような対応が考えられつつあるというふうに聞いておりますので、これは重ねて申しますが、銀行を救済するとか信用金庫をどうとか、そういう発想から出たものではございません。
 次に、このようなバブル経済になったことについては、実はおまえがかつて大蔵大臣の時代にやったことであって、そのいわば責任をどう考えるかということでございます。
 それは、確かにそういうかかわり合いがございます。それは、一九八五年にいわゆるプラザ合意がなされました後、急激な円高が生まれましたことは御記憶のとおりでありますが、円高が非常に急でございましたから日本の企業がこれに対応できないという、いわば円高不景気というかつて経験したことのないような状況が昭和六十一年、二年あたりに顕著になりましたことは御記憶のとおりです。それに対して政府は緊急経済対策をいたしまして、公共事業等々を中心にいわば内需の振興を図った。そのためのいわば政府の財政措置もいたしたわけですが、これは当然に民間にそれだけの資金の流出をいたしました。また、円の上がりが非常に急でございましたから、しばしば政府はそれに対してドルを買わなければならなかった、為替操作をいたしました。そのための資金も非常に流出をいたしました。
 それだけの結果として、我が国経済はこの円高不況に結局対応することができて、その後経済の体質が強まり、四年間にわたる長い好況が続いたわけですが、しかしこの間に生まれた過剰流動性というものが、結局御指摘のように土地が上がり、株にそれが行ったという結果になりました。その結果は私は否定いたしません、現実にそういうことが起こりましたから。したがって、今反省いたしますと、あのような緊急経済対策は恐らく急激なプラザ合意以来の円高の中でどうしても必要であった、私はそこは間違いなかったと思いますが、ある段階からこの過剰流動性を何とか吸収する側に実は政策が行われなければならなかっただろう、今振り返りますとそういう反省をいたしております。
 それから、それにしてもこのたびの総合経済対策はどのような効果を生むであろうかということですが、現在のところ、公共投資がふえておることはこれはもちろんでございますが、住宅投資が多少順調に回復を始めておると思いますので、そこからだんだんに設備投資あるいは消費に波及効果があることを期待しております。
 この波及効果としては、投資効果として二・四%ということが一年間の乗数効果として言われておりますが、これは施策が行われましてからの一年間でございますので、それとこの平成四年度の成長率とは必ずしも同じ時期にわたっておるわけではございませんが、いずれにしても、このような波及効果を求めながらインフレなき持続可能な経済成長に日本の経済を戻すために、目的の達成に向かって努力をいたしておるところで、それによりまして民間の大きな経済活動につなげていきたいというふうに思っております。
 このような総合経済対策の中で、御指摘のように地方に非常に大きな役割を果たしてもらうようになっております。地方の単独事業というのはこの数年間で非常に大きくなりました。今回の場合にも地方の単独事業も非常に大きな役割を果たしてもらっておりますが、そのためには、やはり地方のそのような負担に対して、あるいは地方債であるとか、あるいは一定の場合に利子負担に対して所要の財政措置を講ずるとか、国もできることをやりまして対応をいたしておるところでございます。
 あと、所得税減税等々についてお話がございまして、防衛関係費等々、その他諸経費を合理化、節減して減税をすべきではないかという御所論であるわけであります。
 減税というものができますならば、この経済状態の中で私は非常に有意義だということを決して否定するものではございませんけれども、総合的に考えて、現在の財政状態の中で、御承知のように今回の補正予算でも前年度の決算剰余金全部を投入いたしておるような状況でございますから、仮に防衛関係費等々を削減いたしましても、二兆円とかいうオーダーの所得税の減税のための財源はどうしても見つからないということを心配いたしております。
 消費税を云々するということは、私は先ほども申しましたように考えておりませんので、それならば特例公債かということになりますが、この特例公債というのはやはり何としても私はいろいろ考えますと避けたいと思っておりまして、結局それならば何を考えているかといえば、このような総合経済対策等々で、これは住宅投資なんかを中心にかなり総合的な需要を呼びますので、そういうところから景気の立ち直りのきっかけをつかんでいくということがいいのではないかというのが私の実は判断でございます。
 その場合に、しかし今の土地の価格はこれでいいのかねというお尋ねでございました。私は、まだまだ土地の価格水準は高い、下げる余地があるものというふうな判断をいたします。
 地価税のことでございますが、これは土地を持っているともうかるんだという、いわゆる土地神話というものがござ、ました。二度とそういう神話を生じさせたくないという気持ちがございますから、来年以降は本則の〇・三%に移行するわけでございますが、私はこれは着実にやっていくことが大事ではないかという意見でございます。
 それから、公共事業の中で新幹線、高速自動車道路なんかが一番地域の活性化に役立つじゃないかということは、私もそう思っています。高速交通体系の整備というのが一番役に立つ、その御判断は自分も同意でございます。
 それから、消費税の税率の引き上げにつきましては、そのようなことを考えておりません。先ほど申し上げましたとおりでございます。
 次に、クリントン政権が誕生することになりましたが、アメリカの経済を含む日本との関係はどうかというお尋ねでございました。
 今、アメリカと日本のGNPを合わせますと世界の四割でございますから、この両国の間が円滑にいかなければ世界が困るということは客観的な事実でございますし、また、合わせて四割を持っておる両国が世界のために果たさなければならない共同責任が大きいということも、これももう客観的な事実と申してもよろしいと思いますので、そのような認識はだれが政権をとろうと変わるわけはないというふうに私は考えておりますし、またクリントン氏自身がそのようなアメリカの世界へのリーダーシップということを、指導性ということを選挙の中で言っておられます。
 ですから、この点は基本的な動きはないと思っておりますが、対日経済政策がどういうことになるかは、選挙中の演説等々を聞いておりましても必ずしも明白でございません。これからだんだん人事が進んでまいりますと少しずつわかってくるかもしれないと思いまして、注意深くは見ております。我々としては、何としても米国経済が早く回復をしてもらわなければなりませんし、また同時に、米国政府あるいは議会が、自由貿易体制擁護の立場から国内の保護主義的な動きに対してきちんとした態度をとってもらいたいということを強く考えております。
 次に、いわゆる国連の常任理事国の問題でございますが、本年一月の安保理首脳会議のときに、私は、新しい時代になったので国連が新しい時代に適合したものとならなきゃならない、安保理の機能、構成も含めてそう考えるということを一般的な考え方として申し述べたのでございますけれども、その後になりまして、これは関連はございませんが、ガリ事務総長という人が御指摘のような緊急展開部隊ということを提言いたしました。このことは安保理改組の問題と直接には関係がないのでございますけれども、久保委員の御指摘は、そういう問題と安保理の常任理事国との問題が密接に関係するとすれば、それは一つの問題ではないか、そういうお尋ねと思います。
 私は、それはごもっともなお尋ねと思います。私も、いわゆる緊急展開部隊というのは、内容は不明確でございますけれども、これは我が国の憲法等々から考えて注意をしてやはり見ておく必要のある話だろうというふうに思っておりますものですから、御指摘のことはよくわかっております。いずれにしましても、この安保理事会の問題というのは、結局国連憲章全体にまで及ぶ可能性のある問題でございますから、慎重かっ綿密な検討を要する問題と思います。
 それから、クリントン政権が国防予算の削減をする、あるいはそれについて日本に対する責任分担を重視するというような傾向にないかということでございますけれども、必ずしも明白ではございませんが、我々としては、防衛力の問題は、先ほども申しましたように、この変化する国際情勢の中で我々自身節度ある判断をしていくべきですし、また在日米軍の駐留費負担につきましても、我々としては最大限の努力をしつつあるというふうに考えております。
 日米の経済関係について、アメリカの雇用、生産面にはまだまだ、多少の回復がございますけれども、望みたい余地がございまして、潜在力は大きい潜在力でございますから、早く力強く回復をしてほしい。その間に、保護主義の動きには断固として政府も議会も対応してもらいたいと思っておるところでございます。
 それから、このような冷戦後の時代になったときに、アジア・太平洋地域についてやはり一つの新しい構想を持つべきではないかと言われることは、私も実はかねてそう思っておりまして、識者等から、私自身も一緒になりまして、長いことかなり回を重ねまして意見を聞いておるところでございますが、そうは申しましても、例えばヨーロッパのCSCEのようなそういう背景がこの地域にあるわけではございませんから、安易にそういうものをまねしてもいいというわけでもない。各国がおのおの自分自分の非常に特色のある文化なり歴史を持っておりますから、開かれた形でこの地域にお互いにどういういわば共通の傘を持てるかというようなことが問題意識と思いますが、これは真剣に、多少時間がかかりましても、将来のことに非常に関係がございますから大事に考えていきたいと思っております。
 しかし、いずれの場合にも、アメリカの存在というものは恐らく不可欠である。それは非常に複雑な心理をこの各国がみんな持っておりますので、いろいろそれを総合いたしますと、米国の存在というものが不可欠なのではないかというふうに考えておるわけであります。
 それから、カンボジアの問題でございますが、ポル・ポトが、いわゆる第二段階におきまして武装解除が順調に進んでいないということは事実でございますけれども、しかし、ポル・ポト自身はパリ協定は遵守すると言っております。全面的に戦闘を始めているというような状態ではございません。
 それから、先般、首都へのロケット弾攻撃があったという報道が広くなされまして、ただいまもそういうお尋ねがございましたが、これはその後の調査によりまして、このようなロケット弾の攻撃はなかったということをUNTACが発表いたしております。
 いずれにいたしましても、ポル・ポトの動向については、我が国もタイ国等々と一緒に長いこと説得に努めてまいりましたし、まだこれからもいろいろな努力がなされますが、全体としては、パリ和平協定に基づく和平プロセスの枠組みは維持をされておるというのが政府の判断でございます。
 中期防でございますが、国際情勢が変わってまいりましたので、我が国の防衛計画はいわゆる基盤的防衛力の整備ではございますけれども、見直しを弾力的に進めております。現段階でまだまだ先を見通して申し上げられませんけれども、湾岸戦争のときに千億円の削減をいたしましたが、さらにそれに加えまして下方修正をしてまいりたいと思っております。
 AWACSのことについてもお尋ねがありまして、我が国のように専守防衛の国には情報収集機能というのは一番大事でございますから、そういう意味でこのAWACSというようなものは私は大変に大事だ、これこそ防衛的な性格を持つものでございますから非常に大事だと思っておりますけれども、実は取得の単価等々にいろいろ最近変化がございまして、当初考えておりましたような状況と違ってまいっておりまして、今、専門家がアメリカに赴きましてその点の交渉と申しますか、調査なりをいたしております。
 その問題と、中期防における情報収集の優先順位、どういう位置づけをするかというようなことがございますので、今これは鋭意検討いたしておりますが、なおしばらく時間をおかしいただきたいと思います。
 武器の輸出ということが確かにこの冷戦後の時代に出てきておりまして、これは新しい問題になりかねないと思っておりますが、それとの関連で我が国の援助政策については、援助を受ける国が非常に過大な武器購入をする、あるいは軍備をするというようなことについては、援助の決定の際にそれを我々の考慮に入れるということは既に政府の大綱にも盛られておるところで、そのようにやっております。
 エリツィン大統領が訪日を中止されました。これは電話で私に対して、ロシアの国内問題である、自分も残念に思うということを言われました。極めて残念なことであったと考えておりますが、それはそれとしておいて、我が国は拡大均衡の考えのもとで日ロ関係を、しかも粘り強く交渉を継続していきたいというふうに考えております。
 ウルグアイ・ラウンドにつきましては、各国とも農業については困難な問題を抱えておりますが、我が国としても、これまでの基本方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力してまいる所存でありまして、従来の政府の基本方針に変わりはございません。
 なお、それについて、輸出補助金と国境措置にいわゆるダンケル・ぺ一パーにはアンバランスがあるではないかという御指摘があって、その点は私も同感でございます。
 学校の週五日制でございますが、それによって子供が自分から考え、主体的に判断し行動できるような余裕をつくりたいという考えでございますが、これから、ただいまのような月一回実施というところから次の段階にどう進むかというのは非常に難しい問題だろうと思います。文部省でいろいろ検討しております。これから現在の月一回の実施状況あるいは月二回という実践研究などを積み重ねまして検討してもらいたいと思っておるところでございますが、これを段階的に拡大していきますと学習指導要領を直さなきゃならぬだろうと言われましたことは、私もそうではないかと思っていまして、それも文部省で検討してもらいたいと考えております。
 それから、教育費あるいは研究費等々が、いわゆる文教予算というのは人件費が非常に多いわけでございますから、シーリングのもとで非常な犠牲になっているのではないかということは、このシーリングも長いことやってまいりました。非常なメリットも御承知のようにあるわけですが、場合によって、シーリングが非常に長く続いておりますといろんな弊害が、まあ弊害と申してはいけないかもしれませんが、思わざる問題が起こるということは、これはあることであって、それは文教予算について私はかなり顕著になっているということを自分も思っています。
 ですが、このシーリングというものを、ですからやめる、ここから外すというふうにもまいりませんで、むしろ、そういう状況の中で文教施設あるいは教育研究について特別にどういう措置を講じたらいいかということを財政当局に、大蔵大臣にも考えていただきまして、平成四年度予算、それから今度の補正予算、平成五年度予算でもそれをやってまいりたい。問題があることを認識しておりますので、シーリングは、建前は建前としまして、それに対してどのような是正措置ができるかということを現実に始めましたし、平成五年度でもそれをやってまいりたいと思っております。
 それから、教育費の負担が確かに大きいということで、それについては、例えば予算面で幼稚園の就園奨励費であるとか育英事業、私学助成、税制面では十六歳から二十二歳までの特定扶養親族には扶養控除の割り増しをしております等々、国も教育費の負担については歳出面、税制面でいろいろ補助をいたしておりますが、何といっても教育というのは将来の我が国を決定するものでございますから、これについてはどれほど大事に考えても考え過ぎるということはないというふうに私は思います。
 それから、プルトニウムにつきましてお尋ねがありまして、輸送中のプルトニウムというのは、もとより施設内にあります場合よりもいろんな脆弱性を持っておりますから、国際的にも適切な対応を求められております。我が国としてもそれをやっておるわけでございますが、秘密ということ、これは必要最小限の場合に、核物質をやはりそういう脆弱性から守らなければなりません。そういうことをいたしております。その結果として不必要な程度に情報の管理をするというつもりはもとよりございません。輸送ルートにつきまして、そのような観点から公にしていない。ただ、いかにももっともで、そういう御心配は要りませんというようなことが言えるようなケースについては相手国にそういうことを申し上げておる場合もございますが、全体のルートにつきましては、先ほど申しましたような理由から公表いたしておりません。御了解をいただきたいと思います。
 それから、フランスの政府、原子力庁から疑問があったという照会ですが、これは、船舶の隔壁構造及び消火装置の配置など、プルトニウム運搬船自体の具体的な構造設備の内容についての問い合わせであったよしであります。これに対して、動力炉・核燃料開発事業団は十月二十三日にフランス原子力安全防護研究所に詳しく回答を行った旨報告を受けております。
 なお、火災と難破の危険性に関する報告書によって出港に関するフランスの決定に変更があり得るかというお尋ねでございましたが、この報告によってプルトニウム輸送の出港予定に変更があったとは聞いておりません。(拍手)
#6
○議長(原文兵衛君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#7
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。下条進一郎君。
   〔下条進一郎君登壇、拍手〕
#8
○下条進一郎君 本日は、宮澤政権が誕生して一周年の記念すべき日であります。この日に当たり、私は、自由民主党を代表して、現下内外の緊急課題について宮澤総理に質問いたします。
 かつてない未曾有の歴史的な転換期にあって、総理は、就任以来、日米会談を初めとして韓国、国連安保理、欧州及びサミットなど、国際国家日本としての積極的な首脳外交を展開され、世界の平和と繁栄のために尽くされました。
 一方、内政面では、冷戦後の国連を中心とした国際協調のもとで、日本の国際責務として懸案の国際平和協力法案を成立に導き、その具体的な人的貢献が緒につきました。そして、今、佐川急便事件等政治不信に対し、不退転の覚悟で政治改革に取り組まれるとともに、バブル経済の崩壊による景気後退に対処して、総合経済対策を推進するための補正予算を国会に提出されております。
 まさに、この一年、だれが総理になられても大変な難局でありながら、総理はよく、国際社会における我が国の責務や長く定着した政治体制の改革など極めて厳しい難題に立ち向かっておられ、これを高く評価するものであります。平和国家日本の戦後政治史の大きな流れに参画した総理として、今後の対処すべき方針につき忌憚のない所見をお述べ願いたいと存じます。
 平和国家を築き上げ、世界のGNP一割五分を創出するまでになった善良で働き者の日本国民が今最も慨嘆し憤りの極に達していることは、近時頻発する政治家の不祥事件が後を絶たないことであります。しかも、どの事件もその究明が不十分で、対応処理が必ずしも国民の納得を得られていないことが怒りを増幅しております。また、暴力団の介入など国民感情から絶対に許し得ないことが発生し、その怒りに油を注いでいると言えましょう。
 政治の任務は、国民のために公正なルールにのっとり行うことにあることは申すまでもありません。また、国民一人一人の意見をできるだけよく酌んで政治を行っていくことが、民意を反映した民主主義の原則なのであります。今日、国民から糾弾されている不祥事は、国民常識からかけ離れ、余りにも大きく、かつ暗く、そして深刻であります。今や国民の政治への信頼が根底から揺さぶられていることはまことに残念至極であり、政治に直接携わる者として責任を痛感するものであります。
 政治家は、常に国民の立場で見聞きし、謙虚に受けとめ、行動しなければなりません。それはまさに政治家の倫理の自覚であります。今問われている政治家と金との関係の問題を真正面からしっかり受けとめて、一つ一つを全力を挙げて解決すべきであります。今こそ、国民の政治への信頼を回復するために、政治改革を最優先して今国会で解決への大きな前進を図らなければ国民への責任は果たせません。
 総理は、国政を預かる者として国民の皆様に対し深く深くおわびいたしますとまことに率直に言われましたが、最高責任者として、今回の事態をいかに受けとめ、具体的にどのように対処しようとされるのか、国民にわかりすくお聞かせ願いたいと存じます。
 そこで、まず緊急に措置すべきことは、政治改革協議会において与野党間で既に合意を見ております十八項目及び九増十減の定数是正など緊急改革関連法案を速やかに成立させ、金権政治の温床を一掃できるようにすることと思います。
 さらに、次の抜本改革等について三つのことを特に配慮されたいと思います。
 その第一は、国民が一番不信を抱いております政治資金について、まず金のかからない政治構造をつくり、その資金の透明性を確保することであります。
 しからば、次々と事件となる政治資金はどうあるべきなのでありましょうか。まず、何よりも、政治資金をめぐる動きを透明にして、国民の目から見て一切の疑いをぬぐい去るようにすることであります。もとより、政治資金は政治に携わる者の政治活動を保障する大事な要素であることは自明の理であります。しかしながら、今日、通常の政治活動を支えるためにはかなりの政治資金を要し、およそ国民の一般の感覚からほど遠いものがあるのであります。しかも、その資金がどこから入り何に使われたのか余りよくわからない、よく見えないことでは、国民が疑念を持ち理解できないのではないかと存じます。
 この点について、政治資金はできるだけかからないように、まず、することであります。次いで、収入支出は公正明朗で透明度を高めることを目標にして、法制度をさらに整える必要があると考えます。そして、必要な政治資金の流れをガラス張りにして、出入り一つ一つがはっきりと国民の目にもわかるようにすることが何よりも先決であると考えます。この点、どうお考えでしょうか。政治資金規正法の改正をどう進められるのか、所見を明らかに願いたいと存じます。
 私が第二番目に申し上げたいのは、派閥活動の自粛ないしは禁止であります。
 この数カ月間、新聞やテレビを通じて国民の目の前に派閥活動の実態が明らかにされましたが、厳しく批判されても仕方がないことでありましょう。派閥あって党なし、国なしで混乱している事態はとても理解できないことであり、政治不信を強める結果となっていると言っても過言ではないと思います。総理、今こそ、勇気を持って率先して派閥を解消し、党を一枚岩にして難局に当たるべきではないでしょうか。決断と実行を強く求めるものであります。
  第三に、選挙制度の改革であります。
 政界の浄化と政権の交代を容易にするためには、現行の衆参の制度でできるのでしょうか。それができないならば、どのような改革を期待しておられますか、その筋道を明らかにしていただきたい。政治改革は、まさに天の声として重く受けとめなければなりません。私は、政治家として、この場にいる重大さをひしひしと感じます。満堂の諸君とともに全力を挙げて政治改革に取り組む決意でありますし、宮澤総理が所信演説で政治改革の実現に一身をささげて取り組んでまいる決意であると述べられましたが、その御決意を積極的に支持いたします。
  次に、景気問題であります。
 今、日本の経済は深刻な不況の真りただ中にあります。バブルの崩壊とその調整という経済変革の中にあって、その深刻さと、期間の長期にわたることについては前例を見ません。そのような環境にありながら、まことに奇異な現象として、私の郷里の長野県みそ工業界の売り上げが伸びております。総理はその原因がおわかりでしょうか。業界に尋ねてみますと、不景気で社用や外食が減ったかわりに自宅で食事をすることが多くなった結果、みその消費量がふえたことによるのであります。経済がまさにそこまで落ち込んでおるのであります。このみそ業界の話は、日本経済が難しい局面にあることをうかがわせております。
 実体経済を見ると、景気が調整過程にあり、経済活動の減速が各部門に波及しております。また、企業収益は引き続き減少しております。企業の業況判断は減速感が続いており、八七年の円高不況時より悪化し、第二次石油危機の水準まで落ち込んでおります。
 金融部門を見ますと、いわゆるバブル崩壊により不良債権が累増し保有株式の評価損が拡大する中で、金融機関の財務体質が悪化し金融システムの安定性への懸念を引き起こすなど、厳しい状況が続いております。政府としてはその都度適切な対応をされてこられたことは承知しておりますけれども、世界第二位の規模の日本経済はそう小回りがきくわけではありません。経済停滞の長期化は認めざるを得ません。
 長引く景気停滞脱出に、宮澤内閣は、特に総理御本人の勇気ある御決断によりまして、かってなかった十兆七千億円の思い切った大型の総合経済対策を策定されました。株式市場はこれを評価し、一万四千円台を底に、今日では一万七千円台前後で推移するまで回復しております。しかし、経済全体は、前述いたしましたように底ばいに近い状態を続けていると見られておりますが、今後の経済の動向をいかに見ておられますか。
 地方の問題について触れますが、総合経済対策に盛り込まれた各種措置の着実な実施について、国の果たすべき役割が大きいことは当然でありますが、同時に、地方公共団体においてもその役割を果たすことが期待されております。特に、道路、下水道、一般廃棄物処理施設等の住民に身近な社会資本の整備については、生活大国の実現という観点からも、より積極的な対応が求められているところであります。
 本対策において、総規模十兆七千億円に上る財政措置のうち、地方単独事業は一兆八千億円、地方公共団体等の公共用地先行取得の事業費が一兆円とされているほか、国の追加事業に見合う地方公共団体の予算措置も行うこととされていることを考えれば、地方公共団体に期待されている役割は極めて大きいものであります。
 私は、こうした施策に対する各地方公共団体の積極的な取り組みに大きな期待を寄せておりますが、同時に、政府としても、地方公共団体の努力を積極的に支援し、その事業の推進が円滑に行われるようできるだけの措置を講じることが必要でありますので、政府としてどのような態度で臨んでおられるのか、そして今後の見込みについてどのようなお考えをお持ちですか、お伺いいたします。
 諸般の難しい政治課題も多い国会ではありますが、国民生活の安定、景気回復のため、陣頭指揮に当たっていただくことを強く要望いたします。
 バブルの崩壊に伴って、私が耳にした教訓があります。
 一つは、東京都内のある有力金融機関であります。バブルの最中に得意先の優良企業から、その本業にない新規事業を企画し、そのために借り入れの申し込みがあり、大変うまい話ではありましたが、これを断って、両者は一時、気まずい間柄になりました。しかし、バブルが去った後、当の企業家は夢から覚めた顔をしてその金融機関を訪ね、借り入れを拒絶されたことが事業の失敗を免れたことになり、心からの感謝の礼を言われたとのことであります。しにせのその金融機関は、右のような健全な貸し出しのしぶりでバブルの影響は受けず、不良な貸し付けを行わず、極めて健全な経営を続けることができたのであります。要は健全経営哲学の遵守ということでありましょう。
 もう一つは、ドイツのシュツットガルトにあるべンツ社から聞いた経営方針であります。同社の経営は、長期的健全性の見地から毎年の生産量を算出し、好不況に関係なく一定量の車の生産を維持し続けているとのことであります。不況になっても減産の必要なく、好況になったからとて増産するわけでもなく、顧客に待ってもらう時間が長くなることでカバーするのですから、同社としては経営は常に安定であります。サイクル的に訪れる不況にもたつくこともないそうであります。
 日本において、高度経済成長が続いたりバブルの間は、まさに借り入れに依存して生産規模拡大や新規事業に進出した企業のたくましさがありましたが、今やバブル去って安定成長に移るに従って大いに反省されなければなりません。右二つの事例は、他山の石として、これからの日本企業にとって堅実経営の指針になるのではないでしょうか。
 確かに、総合経済対策は、公共事業費の追加や公共用地取得等の施策によって、財政機能を活用してそれ相応の効果を上げ得ることは間違いありません。しかし、その効果を引き続いて景気の恒常的回復を図るには個人消費をどう力づけるかが重要であり、個人消費に弾みをつけるために、一人一人がお金を手にして物を買うという気持ちをどうしたら引き出せるかにかかっております。中長期的には潜在成長力に見合った所得の増加が図られるべきでありますが、当面、所得税の減税を考慮すべきという声があります。
 さらに、現在の税構造を見ますと、直間比率是正による税構造改革を目指した平成元年消費税の導入後も、その比率は約八対二のままに放置され、改善されずに推移しております。税制構造改革の経緯を踏まえ、かつまた、その間に所得税が減税されないままにきた結果実質増税となっておりますので、所得税を含めた税構造全体の見直しが必要であるという意見があります。この点については、総理はいかにお考えでしようか。
 さらに、その減税については、給与からの年末調整措置等ではなく、現金の減税還付制度がより効果的でありましょう。納税者一人一人が確実にお金を手にすることによって減税と、う臨時収入があった実感がわいて、これまで購入を差し控えていたものを買う気持ちになり、こうした目に見え手に触れる減税方法がこの冷え切った個人消費に活を入れることになるという考え方がありますが、いかがでしょうか。
 ただし、所得税減につきましては、その財源をどのように調達するかの問題があります。赤字国債発行で減税財源を賄うことは、十五年かかったせっかくの財政再建が水泡に帰してしまうことになりますので、建設国債、赤字国債とは別の第三の短期国債とすべきだという考えがあります。
 すなわち、国債の期間を短縮し、景気が回復したら最優先的に償還する景気ワンサイクル国債発行制度とも言うべきものでありましようか。国債発行が野方図に流れないよう、国民一人一人がしっかり自覚した同世代償還の負担つき減税を実施するならば無用な懸念は解消しますが、ただ、短期償還の国債といえどもその償還のための財源がまた必要になってまいります。結局は従来の赤字国債と何ら変わらぬ問題を引き起こす懸念がなきにしもあらずであります。その点、どのようにお考えでしようか。
  景気対策と関連して、金融政策で伺いたい。
 異常なマネーサプライの推移を、資金需要が弱いからと楽観してよいでしょうか、大変疑問であります。バブル時の後遺症の不良債権処理が難問題であることは承知しておりますが、仕事があり、人も場所も決まったのに、金融機関の貸し渋りによって金の工面がつかないといった話を耳にいたします。あつものに懲りてなますを吹くということに陥ってはいないでしょうか。ニューマネーの供給が滞って景気がよくなるはずはありません。政府は積極的な金融政策転換への指導をされるべきと思いますが、いかがでございましょうか。
 経済、景気問題の最後に、中長期的視点の質問を行います。
 まず、景気動向に対する対応と、対策の早期発動についてであります。
 今回の不況について、昨年秋ごろから、景気は何かおかしい、変だとちまたで問題になっておりましたのに、経企庁や日銀は、景気の基調は底がないものがあるなどと判断をしたのではありませんか。もしあのときといった発想は後ろ向きと言われるかもしれませんけれども、当時的確な判断と適切な施策がとられていれば、景気をここまで悪化させ、対策を後手後手にすることはなかったと言わざるを得ません。病気は早期発見、早期治療が決め手ですが、経済も同じで、危険な兆候を早く発見し、肌で感じる景気動向を大事にすること、特に、実体経済の動きを早く的確につかんで経済予測と判断の中に生かす方策を真剣に検討していただきたいのであります。今回の失敗は、経済統計優先で、生きた経済の動きから遊離した面がなかったかと思います。
 次に、景気の底固め機能を果たした総合経済対策を踏まえ、ポスト総合対策についてであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 宮澤総理は、総裁選立候補に当たり資産倍増論を提唱され、先ごろ生活大国五カ年計画の新経済計画を閣議でお決めになりました。経済大国の我が国が、地球社会との共存を目指し、ゆとりと豊かさの実感できる国づくりを進めることは大変時宜を得た政策であります。不況脱出後の我が国経済との関連で、五カ年計画をどう位置づけ、どう推進されようと考えておられますか、お伺いいたします。
 以上、経済の実体は総じて不況のただ中にあり、国民は一刻も早い回復を期待しております。よって、景気対策に対する総理の力強い御指導を期待するとともに、国民が待ち望んでおります補正予算を、政争の駆け引きの具とせずに、ぜひ早期成立することを強く望むものであります。また、(発言する者あり)よく聞いてください。また、来月には平成五年度の大蔵原案の編成が予定されておりますが、その中でも引き続き景気対策についても十分な配慮を強く要望いたします。
 そのことに関連して、これからどういう編成方針をお持ちですか、お示しいただきたい。
  次に、外交問題であります。
 今日、国際情勢は新たな段階を迎えております。すなわち、昨年の湾岸戦争終結、旧ソ連邦の崩壊に象徴される世界新秩序づくりの動きは本格化し、国連を中心にした世界全体の平和と繁栄をつくろうとする機運は確実なものとなってまいりました。しかし、旧ユーゴスラビアを初めカンボジア、中東等々、その結果として生まれている具体的な模索はいまだ続いております。このような状況のもとで、日本はいかなる責任と役割を担っていかねばならないのでしょうか。従来のように、事態の推移を見守っているだけではなりません。日本の国際協調の基本方針をお尋ねいたします。
 ところで、現在世界がブロック化する動きにあるように見られます。米国、カナダ、メキシコによるNAFTA、マーストリヒト条約によるヨーロッパの政治・経済統合、ASEANに根強い対抗措置としてのAFTA構想があり、自由貿易体制を脅かしかねません。こうした動きをどう見ればよいのか、そして日本はそれらにどう対応するのでありましょうか、お尋ねいたします。
 こうした国際潮流の中で何よりも大切なことは日米関係であります。
 去る三日の米国大統領選挙の結果、冷戦終結後の最初の大統領として民主党のクリントン氏が選出されました。明年一月に発足するクリントン政権が、米国及び世界の人々に対し二十一世紀に向けてどのような展望を示すのか。また、国内経済の立て直しゃ競争力の強化に向けての方策が注目されるところであります。
 日米両国は、自由、民主主義、市場経済原理といった基本的価値観を共有しており、これを基盤に、強固な日米安保体制と経済面を中心とした緊密な相互依存関係を維持してきております。さらに、日米の経済が世界の生産高の約四割を占めることからもわかるように、両国は世界の平和と繁栄のために大きな責任を有しております。このように見てまいりますと、新政権のもとでも日米間の協力の重要性はいささかも変わるものではありません。日米関係の維持と強化が、冷戦後の今日にあっても我が国外交の基軸であるべきであります。
 今次選挙戦を通じて米国の国内問題について多くの議論がなされたこともあり、一部には米国が内向きになるのではないかと懸念する向きもありますが、米国の国際的なリーダーシップは冷戦後の国際社会におしても引き続き必要とされており、米国がその責務をいかに果たしていくか注目したいと考えます。そのためには、我が国としても米国の国際的関与を支援し協力していくことが重要でありますが、総理は新政権をどう評価され、また、今後日米関係をどのように進展させていこうとしておられますか。また、今後の日米安保体制の意義をお伺いいたします。
 また、経済問題の相対的重要性が高まっており、日米二国間の貿易不均衡が拡大する中で、米国経済の景気動向いかんでは保護主義の圧力が高まり、米国の対日貿易政策が厳しくなるとの指摘もあります。今後、我が国としては日米経済関係をいかに維持していくか伺いたい。
 特に、来年度には先進国首脳会議が東京で開催される運びになっているだけに、日米間の意見調整が最重要になってまいりました。そこで、日米の首脳会談を早期に持たれることを大いに期待申し上げます。
 なお、サミット開催地は、いつも東京ということではなく、日本には地方のよいところもたくさんありますので、来年ではなく、その次の次、今から準備しておかれてはいかがでございましょうか。
 次に、アジアに目を向けると、中国、ロシアの動きが各国の注目を集めております。特に、中国の活発な動きは日本としても軽視できません。本年は日中国交正常化二十周年に当たり、中国側から江沢民総書記、万里全人代委員長の訪日があり、また我が国からはさきの天皇御訪中があり、両国の友好親善関係を促進するのに大きく役立ちました。新たな両国関係をつくる礎となりますよう、政治、経済、文化にわたってさらに関係促進を図るよう要望いたします。アジア各国の中国に対する目は決して生易しいものではありません。各国を安心させ、この地域の平和と安定を図るためには、日本は積極的に働きかけねばならないのではないかと思います。
 中国との関係において見逃せないのは、韓国との国交樹立てはないでしょうか。そのことが、台湾、ロシア、北朝鮮等の周辺国ばかりでなく、アジア全体を揺さぶっております。経済関係が重視されておりますが、それだけではなく、朝鮮半島の平和と安定という観点からどうとらえ、いかに対応していくか、御所存を伺います。
 来る十一月八日の日韓首脳会談において、いかなる点をただされようとしておられますか。我が国が、アジア全体の動きをにらみつつ、韓国の外交関係が円滑にいくように祈ってやみません。これに関連して、ロシアのエリツィン大統領の訪韓についても無関係ではいられない点を率直に伝えていただきたいと存じます。
 次に、日ロ関係でありますが、現在、日ロ間には二つの大きな課題があります。一つは、言うまでもなく、北方領土問題を解決し平和条約を締結して日ロ関係を完全に正常化することであり、もう一つは、現在、民主化、市場経済化を目指して改革努力を行っているエリツィン政権に対していかに支援を行っていくかということであります。日本政府が、従来、この二つの課題に対処するに当たり、拡大均衡という基本的考え方に基づいて種々の外交努力を行ってきていることは私もよく承知しております。
 しかるに、先々月、ロシアのエリツィン大統領の訪日が直前になって突然延期されましたことは、この訪日が、戦後四十七年間いまだ平和条約すら結ばれていないという不自然な状態にある日ロ両国関係の完全な正常化に向けて大きな弾みとなり得る機会と考えていただけに、極めて遺憾なことであったと思います。しかし、これに過剰に反応せずに、あくまでも慎重に、我が国の国益をいかに貫くかの観点から対応してもらいたいと思いますが、お考えを以下お尋ねいたします。
 ロシアの経済立て直し、自由市場経済への移行が円滑にいくように、我が国独自の対応をどのように用意されますか。去る十月末の旧ソ支援の東京会議の成果を踏まえての展望をお示しいただきたいと思います。
 北方領土問題は、国民の関心が極めて高い問題であります。外務省は従前からの政経不可分の原則をあくまで貫くとしておりますけれども、世界全体の流れ、ロシア国内の動きを見てどうとらえ、いかに活用していくかを忘れてはならないと思います。御判断をお聞かせ願います。エリツィン大統領が早期に来日し、交渉が進展する見通しがありましょうか、お伺いいたします。
 北方領土をめぐって最近無視できないのは、部外国企業が勝手に契約を結び、漁業、観光、地下資源活用などのビジネスを始めようと伝えられていることであります。一体、この事態をどうとらえ、いかに対処しているのでしょうか。少なくとも、各国に対して北方領土が我が国固有の領土であることを機会あるごとに表明し、協力を求めるべきではありませんか。また、いやしくも、我が国の企業が、たとえ一部といえども、そうした行為に走らないよう厳重に措置すべきだと思います。
 世界経済の現状を守っていくために何よりも大切なのは、さきに触れましたように自由貿易体制を守っていくことであります。ブロック化がこれから強まることがあっても、弱まることはないだろうと考えます。その点で最も大切なのは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉を、当初の計画どおり、できるだけ早く決着させることだと思います。米国とECはいまだ合意に達しておりませんけれども、現状と見通しはいかがでしょうか。我が国としては、農業問題に対してその関連でどう取り組むつもりでありますか、総理の御意見を承りたいと存じます。
 冷戦構造の崩壊後、今日の国際情勢は、世界の新秩序の形成に向けて模索している時期にあると言えましょう。世界のGNPの約一五%を占め、自由貿易体制の恩恵にあずかる我が国は、これまで以上に世界の平和と安定に貢献することが求められております。
 宮澤総理は、就任後初の所信表明演説の中で、世界情勢について「新しい世界平和の秩序を構築する時代の始まり」であるとの認識を示され、国連の役割が増大しつつあり、我が国としても国連に対して「最大限の貢献をしなければならない」と述べられました。私も同様の見解を持つものであります。
 さて、重要なことは、国連中心の平和維持活動に対して我が国がどこまで貢献できるかであります。幸い、さきの国会でPKO協力法が成立したことは記憶に新しいところであります。このPKO協力法の成立によって、初めて本格的な人的貢献、いわゆる汗を流す国際貢献が可能になったと言っても過言ではありません。私も、国際平和協力特別委員会の委員長の任にあった者としていささかの自負を覚えるものであります。ただ、残念ながら全治三週間のけがをいたしまして、それを考えると、むしろカンボジアより院内の方が何か危険なような感じがいたします。
 我が国のPKOへの参加は国際的に評価され、カンボジア国内にも快く受け入れられていることは、各種報道を通じて明らかになっております。ただ、残念なのは、この国連中心の平和主義というものが、我が国民の間で必ずしも十分にまだ理解されていない向きがあります。PKO活動は、憲法九条に反しないばかりか、憲法に定められている我が国の国際平和に寄与するものであるということを、この際、総理からもう一度鮮明にしていただき、我が国が世界にあって平和を求める国であることを内外に高らかに宣言していただきたいと考え、ぜひお願いいたします。
 自衛隊諸君の現地での活躍には目覚ましいものがあります。その陰にあって支えている家族の御協力と御理解に対して、心から感謝と敬意を表するものであります。また、カンボジアの人々も喜んでいると聞くたびに胸が熱くなります。隊員の諸君がけがをせず健康で無事に任務を終えられることを祈念し、かつ、カンボジアに真の平和が一日も早く確立されることを祈ってやみません。
 UNTACの活動において、ポル・ポト派の武装解除が緊急のテーマになっております。このことについて、政府がタイ国と協力して、パリ協定の実施についてたび重なる交渉を通じて大変な努力をしておられることは心強いと存じます。今後もぜひ円滑に妥結するよう一層の努力を期待いたします。
 総理、国連における我が国の責務についてどうお考えでありましょうか。分担金は米国に次いで二位と世界有数の地位を占めるようになり、今は非常任理事国にはなっておりますけれども、依然として敵国条項は残っております。一方、加盟国の中には、分担金の支払いにおいて延滞が多く、必ずしも日本のようにまじめに取り組んでいるところばかりではないと伝えられております。国連の役割はますます高まっていく以上、我が国としても、こうした問題点を率直に指摘し、改善を呼びかけ、真に世界平和を実現できる体制をつくっていくべきではありませんか。
 また、国連における日本人職員の数も必ずしも十分とは言えません。適材適所で世界に通用する優秀な人材をどしどし送り込むよう配慮すべきではありませんか、お考えを伺います。
 外交における情報活動というものについてお尋ねいたします。
 ロシアのエリツィン大統領訪日延期が直前になってわかったというようなことは、あり得べからざることではないでしょうか。外務省は、来年度、機構を改革して対処するといいますが、本当にそれによって国民の期待にこたえることができるのでしょうか。また、世界の主要国の外交官の数と比較した場合、日本はかなり少なく、ちなみに、在外勤務者を含めた職員総数を調べてみますと、日本の四千四百人に対して、何と米国は一万六千人で約四倍、英国、フランスは約八千人と二倍となっておりまして、早急に増員の必要があると思います。
 過去をあげつらっても仕方がありませんけれども、古くはインドネシアのスカルノ大統領失脚、中国の国連加盟、米中頭越し外交、中韓国交樹立など、情報不足についても反省させられることが相次いだのはまことに遺憾であります。問題は、外務省にあって余りにも純血主義的人事が行われ過ぎているのではありませんか。今こそ、国際社会に通用するすぐれた人材を外交の第一線に積極的に登用すべきではないでしょうか。
 同時に、我が国大使は、相手国にじっくりと腰を落ちつけて仕事に取り組む期間が比較的短いようであります。しかも、英仏独語以外の言葉は十分ではないと言われております。わずか短期間で交代したり、通訳を通じてしか交渉できないといったような状態を一刻も早く解消すべきではありませんか。外交に力をかけようとする総理の決意を伺います。
 以上、私は、宮澤内閣が当面する緊急課題を中心として、総理の確固たる信念を伺いました。
 今、我々は、相次ぐ不祥事により国民の政治不信を招いたことを厳粛に受けとめ、二度とかかることのないようみずからを厳しく律し、政治倫理に徹するとともに、金権的政治体質の仕組み、根源を一掃し、信頼の政治を回復するために、たとえ痛みの伴う改革であっても全党一致してこれを克服し、実効ある政治改革を断行しなければなりません。
 また、補正予算は、総合経済対策の裏づけとなる財政措置のみならず、内需主導型の経済により対外不均衡を是正して世界経済回復の役割を負うものであります。その意味から、補正予算の早期成立は今や国際的要請であります。
 以上二つの命題を帯びた今国会の使命はまことに重かつ大であります。総理、どうかこの目標達成と、同時に一億二千四百万人の日本人に明るい夢ある生活大国の実現に向けて身を挺してのリーダーシップを発揮されることを強く期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 政権発足以来一年を経過いたしましたことにつきまして御言及をいただきました。
 この間、まことに微力ではございましたが、皆様方の御支援と御叱正をいただきまして国政に全力を傾注いたしてまいりました。幾つかの首脳外交の展開あるいは国際平和協力法の制定、生活大国五カ年計画の策定など具体的な成果を上げることもできましたが、何と申しましても、現在の深刻な経済状況につきましてまだまだ十分な明るい光を見ることができません。このことは国民が非常に心配をしておられることでありますので、全力を尽くして、早期の経済、景気回復を図りたいと思います。
 そして、何よりも、御指摘がありましたように国民の政治に対する根深い不信、そしてそれに対するただ一つの答えであります政治改革の実現、これにつきましては身を挺して努力をいたしてまいりたいと思いますが、今後ともよろしく御理解と御協力をお願い申し上げます。
 ただいまも申し上げましたように、政治と金をめぐる問題あるいは政治家のあり方の問題等を契機として、今日の国民の政治不信はかつて経験したことのない深刻な、またがって経験したことのない性質を持っておる、そういう国民の不信を痛感いたします。この国民の疑念が解消され、政治への信頼が今ここで回復されませんと、将来に大きな禍根を残すことになりかねないと私も痛感をいたしております。
 そのために、第一に、個々の政治家がみずから襟を正して、自粛自戒して日々の政治活動に当たること、第二に、政治は国民のためにあるという民主政治の原点に常に立ち返らなければならないということ、第三に、政治構造に立ち入って制度面の見直しを行うことが必要であると存じます。
 政治改革実現のための具体的な方策としては、前国会以来、政治改革協議会において精力的な御審議をいただき、いわゆる緊急改革の実施について与党と大方の野党との間で合意が得られまして、前国会でほとんど御審議をいただけるところまでいったのでございましたが、不幸な事情で成立をいたしませんでした。ただいま、これに加えまして、指定団体の数の制限その他幾つかの項目について協議が行われておりまして、これらをあわせまして緊急改革が今国会で早急に実現されることを念願いたしております。
 しかし、これはいわゆる緊急改革でございまして、この背景にありますのは抜本的な政治改革でございます。また、国民の期待にこたえるためにはこの抜本改革に触れなければならないと考えておりまして、これは今、私どもの自由民主党の中で抜本改革の具体策について連日非常に熱心な討議をいたしております。私どもの党における案が調いましたならば、各党にごらんもいただき、御協議もいただいて、国民の納得が得られる抜本的な政治改革をできるだけ早く実現いたさなければならない。政府としても最大限の努力をいたすことはもちろんでございますが、さように考えております。
 政治資金制度につきましてお話がございまして、政治資金制度の抜本改革については、おっしゃいますような透明性、よそから見て明らかであること、それから出の問題が極めて重要だ、何に使うのかそれが重要だということ、これは御指摘についてまことに同感でございます。これらを含めまして、現在、鋭意、党内論議を自民党としても進めておるところでございます。案が成りましたときには、各党間で十分な御協議をいただきまして成案を得たいと念願いたしております。
 次に、派閥解消について御指摘がございました。
 自民党の政治改革大綱には、「一部には、派閥による活力を評価する向きもあるが、派閥と政治資金のかかわりや派閥の内閣、国会および党の全般にわたる人事への介在、派閥本位の選挙応援など、さまざまな弊害を生んでいる。」と述べております。多少のメリットはありますにしても、弊害が大きいということは明らかであると思います。したがって、ただいま、政治改革の問題と並びまして、私どもの中では党改革について真剣に討議中でございます。
 過去において、派閥解消ということは何回か試みられ、何回か失敗をしておるわけでございますが、一体、実行可能な方策は何であるのかということについて、今度こそは徹底的な、しかも必ず実行できる方途を発見しなければならないと思います。基本的なラインは、党の公正な運営に支障を来すようなことがあってはならないということであろうと思いますが、それを基本原理にいたしまして、党内において必ず派閥弊害の是正についての結論を得て実行いたしたい。真剣に私も考えておりますことを申し上げておきます。
 次に、衆議院、参議院の選挙制度についてもお触れがございましたが、現行の選挙制度におきまして、政策中心の選挙を実現する、あるいは政治や選挙に非常に大きな金のかかるというようなそういう問題、またあるいは、御指摘のように政権交代がいかにスムースに行われるかというようなこと、それらの観点から見直す必要があることは御指摘のとおりと思います。
 また、衆参両院という観点からは、衆参両院の選挙がおのおの異なる面からの民意をくみ上げる、異なる面からの民意を代表するといったようなことについても考慮されるべき問題があるであろうと思います。
 自民党におきましては、十一月を目途に衆参両院の選挙制度のあり方を含めた抜本改革を取りまとめるべく、ただいま党内で鋭意論議を重ねているところでございます。これを踏まえまして各党に御協議をいただきまして、改革の実現を図りたいと考えておるところでございます。
 次に、経済の問題でございますが、我が国経済は引き続き低迷をいたしております。資産価格の下落もあって厳しい状況にございますことは、ただいま下条議員が種々の具体的な例を挙げて御説明なさいましたとおりで、私はその御所見に同意でございます。そのとおり考えております。
 そのような状況の中で、政府は八月末に総合経済対策を決定いたしたところでございます。現在の段階で、実需面におきまして公共投資が拡大しつつある、これは当然のことでございますが、加えて住宅投資に回復が見込まれるに至りました。
 それらの波及効果が、一定の時間を経まして、所得面の安定あるいは設備投資、これも、人手不足でございますから省力投資ということはやはり企業はできるときにはやりたいという気持ちを持っておりますので、そういう波及効果を期待しまして、そしてそれが民間の経済活動を軌道に乗せていくということを考えておるところでございます。今回の総合経済対策によりまして、また金融面での諸施策を加えまして、実体経済に好ましい影響を持つに至るものと考えておるところでございます。
 これに関しまして、地方の単独事業について御指摘がございましたことは、まことに当を得た御指摘であったと思います。今回の総合経済対策で見ましても、地方公共団体の持っている力が非常に大きい、寄与が大変に大きゅうございまして、したがいまして、地方公共団体に積極的な対処方を要請いたしました。また、極めて進んでこの要請に応じてもらっておりまして、殊に地方単独事業は大変に大きなものになっております。
 それにつきましては、後年度の地方の財政負担も考えながら、国としての地方債の積極的な活用、あるいはまた、公共用地の先行取得を推進するために、例えば市街化区域の農地など一定の用地の先行取得につきましては利子負担について所要の財政措置を講じる等々のことを国としてもいたしまして、地方のそのような努力を国としても援助するという体制をとっております。
 地方団体におきましては、九月の補正予算等において地方単独事業の追加に、現在までのところ、都道府県で九千億円、市町村一兆円でございますので、ほぼ二兆円に近い程度の追加計上が行われておりまして、これは非常に大きな額でございます。地方単独に追加目標として見込みましたところは十分達成をしてもらっておりまして、地方公共団体の御協力に心から感謝をいたしておるところでございます。
 そのようなバブル崩壊後の経済の中で、先ほど下条議員が幾つかの例を御指摘になりまして、いろんな対応をしている企業があるということをお話しになられました。それはまさにそういう例もこの際大いに参考とすべきでありまして、企業の経営というのは、もちろん市場経済でございますから経営者が自主的に判断すべきものでございますけれども、国民経済全体、あるいは雇用機会の創出等国民経済に及ぼす影響というものもやはり企業の活動のあり方について適切な一つの節度があるということ、これは御指摘のとおりであろうと考えるわけでございます。
 次に、所得税の減税につきまして、半ばいろいろな御意見をお出しになりながら、どう考えるかという御指摘であったと思うのでありますけれども、我が国は、基本的には、消費税を創設いたしましたときに抜本的な所得税の減税を御承知のようにいたしました。それによりまして中あるいは低というところの層の重税感というのはかなり直っておりますし、また、我が国の課税最低限は先進国の中ではかなり高い方である、これは御承知のとおりでございますが、このようないわゆる経済不況の中で所得税の減税というものが果たして可能であるか、どのような効果を持つかということについていろいろ論のありますところは私も存じております。
 ただ、これも御指摘があったとおりですが、今の財政状況は、このたびの補正予算が減額補正をいたしましたところでもおわかりのように、非常に難しい財政状況にある。仮に二兆円というようなオーダーの減税を考えますと、あちこちの節約では到底かないません。さりとて、今朝も申し上げましたが、消費税の増徴をすべきときであるとは私は思わないものでございますから、それでございましたらこの財源を特例公債に求めるかというようなことになってまいります。どうも私は、特例公債を発行するということについて、将来のことを考えますと消極的な気持ちを持っておりまして、先ほども申しましたように、できるならば公共投資あるいは住宅建設等々から波及効果で経済の立ち直りを図りたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、それにつきまして、短期償還の公債ということの可能性について御指摘がありましたことは、一つの目新しい御指摘でございますが、仮に短期の公債を発行して、そして、外国で時々議論されますように、それが近い将来に増税が予定されておって、その増税の財源で償還をしてしまう、つまり、そういう意味での段階的な財政措置というようなことが可能であろうか。あるいはこれが自然増を目当てにするということになりますと、これは非常に危険があることでございますけれども、そういったような説もございますけれども、我が国の場合近い将来増税を考える状況にないと私自身は思いますので、そうなりますと、短期公債の償還財源はどうするのか、特に見合う資産が残るわけでございませんので、そういう問題がやはり残ろうかと思います。これは一つの御示唆でございますけれども、私としてはそういう気持ちを持ってお話を承ったところでございます。
 金融機関の貨し渋りということは、確かに、非常にマネーサプライが低い、あるいはマイナスになっておるということについて、それは私は確かに資金需要がないわけではないのだろうと思います。現実に、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とか、あるいは開銀もそうですが、政府関係機関には資金需要が随分殺到しているのでありますから、資金需要がないということではない。金融機関側にその需要に応じられないいろいろな事情があるということだとやはり考えておくべきだと私は思っていまして、先般の総合経済対策で金融機関等々につきましてあのような措置を、不良資産への対応等を考えましたのも、そのような事情によるものでございます。
 いずれにしても、この緊急経済対策に加えまして金融面での措置もさらに必要になっておりますことは御指摘のとおりでございますが、なお、このような総合経済対策をいたしましたにつきまして、これに関連いたします補正予算の成立につきましては、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 このような不況脱出のための総合経済対策は、もとより長期計画であります生活大国五カ年計画の方向に向かってとられつつある。これはむしろ、五カ年計画が生活関連の公共投資、インフラストラクチャー等々、住宅を含めましてを志向しておりますから、当然、このたびの総合経済対策がその方向で行われているということはむしろ当然のことでございますけれども、そういう形で経済が巡航速度に入りますならば、さらに生活大国五カ年計画を推進していくことができるというふうに考えております。
 平成五年度の予算をどう考えるか。ただいま申し上げましたような状況で、今回ごらんをいただいております補正予算についても減額補正をしておるようなことでございますから、平成五年度の予算の歳入面について楽観できる材料は、残念ながらまだ見つからないと考えておいた方が私はよろしいだろう。ある時期には経済が好転をしてまいりますから、そういう非常に長い時期だとは思いませんが、まだまだ今考え得る平成五年度の歳入というものを楽観するわけにはいかないだろうと思いますので、できるだけ歳出面の工夫もいたしながら、しかし特例公債を発行することなく編成をいたさなければならないということで、大蔵大臣ともいろいろ御相談をいたしておるところでございます。
 次に、国際問題につきまして、新しい国際情勢の中で、世界の経済大国となり、かつ平和の道を実践して歩いてまいりました我が国に期待されますところは大きゅうございまして、いわゆる平和の配当というものが、我々当事国はもとよりですが、南北問題を中心に与えられるようなそういう世界になってこなければならない、そういうふうに我々の進路を考えておるところでございます。
 そういう中で、ECはやがてさらに統合を進めようとしておりますし、先般、アメリカ、カナダにメキシコが加わりましたNAFTAが誕生をした。下条議員の御指摘は、これらのものが内向きにならないように、ブロック化しないようにという、これはしばしば国際的にも心配され論じられているところでございますから、これは二十一世紀を展望して極めて大事なことでございます。
 ですから、やはりここは、ガットであるとかOECDで絶えずお互いがそういうことを注意し指摘をし合うことが大事であると思いますが、同時にまた、我々自身が、このアジア・太平洋地域の国々、ASEANの国に我が国などが加わりまして、一つの、二十一世紀に向かっての大きな明るい成長地域であるということは間違いのないところですが、この我々の地域自身が内向きにならないように、外に開かれた地域でなければならないということ、このことが二つの地域に対する私は一番大事ないわば警告であるというふうに考えますから、我々自身の地域についての努力も大事なことであると思います。
 それから、クリントン政権につきまして、確かに日米両国で世界のGNPの四割を占めるわけでございますから、この両国関係が円滑にいくことが世界に非常に大きな影響を持つばかりでなく、両国が共同して果たさなければならない国際的な責任が大きいということは、政権が交代をいたしましても変わることではない。また、そのことは、クリントン候補が選挙中にしばしば国際的なアメリカの指導力ということを言っておられることでも明らかであるというふうに考えております。
 そういう意味での基本的な関係について私は変わるところはないというふうに思っておりますが、また他方でこれからのアジア・太平洋地域を考えますと、なおさら、日米間の協力関係あるいは日米安保体制、あるいは米国のこの地域における存在というようなことも大事であるというふうに思います。
 日米間の経済関係につきまして、貿易、投資、あるいは技術交流、産業間協力等、幅広い分野でこれだけの協力関係がございます。これを良好に維持しなければならないことはもちろんである。それは世界経済全体のためにも大事なことと思いますが、アメリカの中に確かに保護主義圧力がございます。それは、雇用、生産面に弱さが見られるために回復がおくれていてそういう圧力が大きくなるわけでありますから、クリントン政権のもとに、やや回復の兆しがある米国経済が力強く回復することを期待いたしますし、また、そうでない場合に起こってくるような保護主義的な動きに対しては、米国の政府及び議会が自由貿易体制擁護の立場から強い態度をとってもらうことを心から期待いたすところでございます。
 東京サミットが来年の七月にはございますが、その前に日米の首脳で隔意なき意見交換をすることが大事だという御指摘がございまして、私どももそれはそのように考えております。具体的な日程は立っておりませんけれども、その必要は十分に感じております。
 過般、天皇皇后両陛下の御訪中が日中両国民間の友好親善の促進に大きな成果を上げられましたことはまことに喜ばしいことでございます。中国との間で良好な安定した関係を結びますことは極めて大事なことでありまして、中国が引き続き政治、経済面にわたって改革・開放政策を推進しているということは、両国間の安定した関係のために極めて好ましいことと思っております。
 そういう立場で、中国が開放・改革政策を引き続き推進していきますためには中国自身がこのアジア・太平洋地域における平和を必要としているということは、中国首脳部の言うとおりであろう、掛け値のないところであろうと私は考えますので、そのような改革路線の推進の中でこの地域の平和と発展が保たれるという姿は望ましい姿と思います。
 また、日中間の話し合いの中でそのような、中国が日中ばかりでなく世界的な、中国と我が国との間の共通のなし得る貢献というようなことを両国間の政治の対話の中で私どもよくするわけですが、軍備管理・軍縮などについても、中国が例えばNPTへの加入をしたというようなことは一つの私は進歩であると考えます。中国が改革・開放路線を進めて平和勢力であり続けることを、我が国としてもできるだけそれに協力してまいるべきだというふうに思っておるところでございます。
 韓国は、韓中間の外交関係の樹立ができたことは結構なことでございますし、韓国のいわば北方外交というのは大変に具体的な成果を上げておると思うのですが、南北の統一というのは、一義的には南北間の問題でございますけれども、我が国としても、朝鮮半島の平和と安定という見地からはこれにできる限りの貢献をいたしたいと思っております。
 それにつきまして、この十一月、間もなく韓国の大統領が京都に来られまして私と会談をされることになるわけでございますが、これはそもそも、一月にソウルで会見しましたときに、余りお互い形式張らずに行ったり来たりしようではないか、首都でなくて地方の町の方が気軽でいいというようなお話がありました。その実現であるのでありますから、アジェンダを設けて大変かた苦しい議論をいたすというよりは、国際情勢あるいは二国間の問題について、いわば大所高所からの忌憚のない意見交換をいたしたいというふうに考えております。
 ソ連のエリツィン大統領が訪日を中止されましたことはまことに遺憾なことであります。電話によりまして、これはロシア側の事情であるということを承りましたけれども、しかしまことに遺憾なことであって、ただ、ロシア側としても訪日の準備は引き続き行っていくつもりであるということを言っておりまして、我が国としても、この事態に適切に対処していくとともに、領土問題等々につきまして一貫した姿勢で粘り強く対ロ外交を進めてまいります。
 ロシアの経済立て直しの中で市場経済への移行でございますが、確かにこれは先ほどの武器の問題とも関連をいたしておりまして、市場経済への移行について我が国も、技術的な、あるいは経済的な協力をいたしておるところでございます。先日の対日ソ連支援の東京会議でもそういうことが議論になってまいりました。もちろん、政経不可分の原則を続けてまいりますが、ただ、また冬が参りますので食料、医療品等の緊急人道的な援助はいたすべきであろうと考えまして、このたびの補正予算に一億ドルの支援を計上して御審議をお願いいたしておるところでございます。
 いわゆる外国の企業が北方領土の開発をするというようなことは、これらの島は我が国に属するものでございますので、それがロシア連邦に帰属することを前提とするような契約等々は、これは我が国として認めることができません。このことは関係方面に立場を明快にいたしております。
 ウルグアイ・ラウンドは、農業につきまして各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますが、我が国として、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力によって解決に向けて最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、国際平和協力法につきまして、この成立につきましては当時の下条委員長に大変なお力添えをいただ、いたわけでござ、ますが、カンボジアにただいま自衛隊の諸君が派遣をせられまして、ごらんのように、橋梁、道路の修理あるいは停戦監視等々を行っておるところでございます。
 御指摘のように、これは国連の権威と説得によって、中立、非武装、非強制ということで平和維持、平和回復の活動をいたしておりますのでございますから、国際協調主義を掲げます我が国にとりましては、まさに我が国の憲法の理念に合致しているところであるというふうに考えておりまして、また、この派遣以前にはいろいろ国民の間にも懸念等々も散見せられましたけれども、現実に活動の状況をテレビ等々で国民はごらんになっていて、内外の理解は日とともに深まっているようでございまして、まことに御同慶にたえないところでございます。
 その間のポル・ポト派の動きでございますが、ただいまのところ、一言で申しますならば、武装解除という第二段階に入りまして、ポル・ポト派の武装解除が順調になかなか進んでいないという問題がございます。それにつきまして我が国は、国連安保理事会の決議もございまして、タイと共同で何度か説得を試みておりますし、またやがて、今度は、北京におきまして、パリ会議の共同議長国を中心に我が国も加わりまして、この問題についての話し合いをさらに進めていきたいというふうに考えております。
 なお、先般、プノンペンに対してロケット砲撃がポル・ポト派によって行われたという報道が非常に大きくなされましたけれども、これはその後の調査で誤りであるということが判明をいたしております。私どもとしては、ポル・ポト派がパリ和平協定の枠組みを破る、あるいはそうして新しく戦闘を開始するというような兆候を読み取っておりませんで、したがいまして、基本的にはパリ協定の枠組みが実行されつつあるというふうに考えておるところでございます。
 そのような国連の役割が大きくなったにつきまして、国連自身にいろいろ問題があるであろうということは御指摘のとおりであります。私もそういうことを指摘したことがございますし、また第四十七回の国連総会において、先般、渡辺外務大臣も、演説において旧敵国条項等に触れておられます。
 国連の憲章を直すということは大事業でございますから、それは簡単に行われるとは思いませんけれども、ただ、現在の国連のあり方についてあちこち改善の余地があることは確かでございますし、また日本人の職員数が必ずしも十分でないということも御指摘のとおりです。政府としては、各界の協力を得て、政府及び民間から優秀な候補者を推薦して採用してもらいたい、その努力を続けてまいります。
 また、それとの関連におきまして、外交機能が十分でないことについての御指摘がございました。外務省自身の機構改革あるいは定員等の問題につきましても、鋭意努力をいたしてまいりたいと思っております。(拍手)
#10
○副議長(赤桐操君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○副議長(赤桐操君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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