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1992/11/06 第125回国会 参議院 参議院会議録情報 第125回国会 本会議 第3号
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1992/11/06 第125回国会 参議院

参議院会議録情報 第125回国会 本会議 第3号

#1
第125回国会 本会議 第3号
平成四年十一月六日(金曜日)
   午前十時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成四年十一月六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、参議院の組織及び運営の改革に関する協議
  会についての報告
     ―――――・―――――
#3
○議長(原文兵衛君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#4
○鶴岡洋君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました宮澤総理の所信表明演説に対し質問をいたします。
 初めに、政治のあり方について総理の御見解をお伺いいたします。
 今回の佐川急便事件は、かつてない規模の深刻な政治腐敗事件であります。政治資金規正法違反をめぐる金丸自民党前副総裁の有罪確定と金子前新潟県知事の起訴は、事件の一角にすぎません。政界に流れた佐川マネーは空前の額と言われております。しかも、総裁選に暴力団が関与するという日本の政治史上最大の汚点が明るみに出されております。国民の政治不信は頂点に達しております。国会は、今度こそこの事件の真相を徹底的に究明し、その上に立った政治改革を行わなければ、我が国の議会制民主主義は崩壊の危機に至ると言っても過言ではありません。
 金丸氏は議員を辞職しましたが、今回の事件の重大さや国民の憤りから見れば当然のことであり、辞職したからといって真相究明をあいまいにすることは断じて許されるものではありません。疑惑はむしろ深まる一方であります。
 例えば、東京佐川急便の渡辺元社長が自民党代議士らに贈ったと言われる計二十二億円について、金丸氏以外の政治家は一体だれなのか。総裁選に絡み、暴力団、右翼団体が関与したと言われる詳細な事実関係はどうであったのか。さらに、金丸氏は五億円を何に使ったのか。同志に分配したのであれば、受け取った政治家たちも政治資金規正法違反の疑いがあり、金丸氏辞職の陰に隠れて逃れようとするならば、これらの政治家に政治改革を語る資格はないと断ぜざるを得ないのであります。
 また、昨日の東京佐川急便事件稲川会ルート第四回公判で、竹下政権誕生に絡む皇民党事件で自民党の要職にある議員が、庶民感覚とは余りにもかけ離れた三十億円とか二十億円といった膨大な金額を提供することで右翼の攻撃中止を要請していたことが明らかにされました。これは、まさに自民党の右翼、暴力団との不明朗で根深い関係を裏づけるものであります。竹下政権誕生の経緯にますます大きな疑惑を持たざるを得ません。徹底的に究明し、その真相を明らかにしなければなりません。
 総理、あなたは国政を預かる総理として、また自民党総裁として、この副総裁が議員辞職をせざるを得なかった今回の事件の責任をどのように認識されているのか。特に、今申し上げた総裁選に右翼、暴力団が関与するという重大事件をどう認識し、自民党総裁としてみずから調査をなし真相を究明する決意がおありになるのか、最初にお伺いをいたします。
 私は、政治腐敗を根絶するために、特に今回の事件では国会としての真相究明が極めて重要であると思うのであります。金丸氏周辺に対する検察当局の事情聴取がようやく再開されましたが、事件の真相は全くわかっておりません。金丸前副総裁、竹下元首相を初めとした関係者の証人喚問を実現し、国会の場で国民の前に真相を明らかにすることは、政治に携わる者の当然の責務であります。総理・総裁として、証人喚問の実現についての決意のほどをお聞かせいただきたい。
 次に、金丸氏の政治資金規正法違反をめぐる処分のあり方は、二つの点で国民に大きな不信と怒りを巻き起こしております。
 一つは、金丸氏の処分を事情聴取も行わず上申書で済ませたことであります。このような処分のあり方は、法のもとの平等の原則を無視し、法の適用をゆがめるものと言わざるを得ないのであります。金丸氏が五億円を政治活動に使ったとなぜ認定できたのでしょうか。事情聴取を行わなかったことについては検察内部からも批判が上がったところであります。
 もう一つは、五億円もの違法な献金を受けながら、罰金わずか二十万円で処分が確定し、没収も追徴もされなかったことであります。まさに政治資金規正法の欠陥が浮き彫りにされたものでありますが、このような法律を野放しにしてきたことが国民の政治家への怒りとなっているのであります。
 総理は、今回の検察当局の対処のあり方及び政治資金規正法の欠陥についてどのように考えておられるのか、お聞かせ願いたい。
 さらに、金丸氏の言葉どおり、五億円は同志への陣中見舞いに配られたものであるとするならば、派閥の運営、維持のために巨額の金の必要なことが浮き彫りにされ、派閥の金集めのために政治家と企業との癒着、不正な資金集めの構図がまさに露呈したものであります。派閥解消の問題は今日まで何度も繰り返し指摘されておりますが、総理はこの問題にみずから取り組む考えがあるのかどうか、あわせてお聞かせいただきたい。
 ロッキード、リクルート、共和事件と政界疑惑事件が相次いできた中で、今回の佐川急便事件が国民に与えた衝撃ははかり知れないものがあります。これを契機に、政治家と金の問題に徹底したメスを入れ、再発防止への実効性のある具体的な改革が急務であると思うものであります。政治改革協議会では、既に政治倫理、政治資金、公職選挙法、国会改革など十八項目が合意されております。私は、まずこの十八項目は速やかに処理すべきであると思いますが、この点、どうされるおつもりですか、お伺いしたい。
 さらに、今回の金丸問題で浮き彫りになった政治資金規正法の欠陥を改善するために、今国会で、最低限、次の緊急改正は必要であります。具体的には、一、政治家の指定団体を一人一団体に制限する。二、政治家の指定団体に対する監督義務を規定し、監督義務に違反した場合には五年間公民権を停止する。三、この法律に違反し刑罰が科せられた者は、その裁判が確定した日から五年間の公民権停止など、罰則を強化する。
 この点について総理のお考えを伺いたい。
 我が党は、かねてより、抜本改革の柱は第一に企業、団体からの献金の禁止であると主張してまいりました。これを一挙に実施することが困難であるならば、政党と政治資金団体への献金を暫定的に認める具体策も提示しております。政治家と企業との不正な関係を断ち切ることが何よりも肝要かと思います。
 いま一つの柱は、国会の自浄能力を強化することであります。そのために、政治倫理法を制定し国会議員の行為規定を定めるとともに、政治倫理に反する行為を審査する政治倫理委員会を設置し、議員辞職勧告を行使することが必要であると強く主張するものであります。この二点につきお答えいただきたい。
 総理、あなたは、十一月をめどに抜本的な政治改革に取り組むお考えを示されました。しかしながら、いまだ何らの具体的な見解も示されておりません。さらに、所信表明では、思い切った政治改革を実施するため、不退転の覚悟で取り組むとも明言されております。政治改革は国民注視の最大かつ緊急の課題であります。かけ声だけ、決意だけではなく、今こそ国民の前に具体策を明らかにすべきであると思いますが、明確なる答弁を求めるものであります。もしこれができないとするならば、総理に重大な政治責任が生ずることを申し上げておきたい。
 次に、今国会のもう一つの最重要課題である景気対策についてお伺いいたします。
 現在、日本経済が置かれている状況は極めて深刻であります。九月二十三日に発表された本年四月−六月期の実質GNPは、年率換算わずか一・一%の低い成長率にとどまり、個人消費や企業の設備投資などの停滞を象徴する結果となっております。企業倒産も増加し、特に中小企業の置かれた状況はまことに厳しい実情にあります。
 現在の景気の低迷は、従来の景気循環による不況に加え、バブルの崩壊による資産デフレが複雑に絡み合った複合不況と指摘されるところであります。しかしながら、政府はこれまでの従来型の景気対策に終始し、複合不況についての認識が著しく不足しているように思われてなりません。所信表明の中でも、「我が国経済は、引き続き低迷しており、」と言っておりますが、不況という言葉はどこにもありません。このような総理の認識が対策のおくれを招き、不況をより深刻なものにしている感を深くするところであります。今回の不況に対する総理の認識をお伺いいたします。
 本年八月末、政府はようやく総合経済対策を決定されました。事業規模で総額十兆七千億という史上最大規模ということもあって、心理的な効果が大きかったことは事実であります。しかしながら、その内容を詳細に見ると、生活者の視点に立った具体的施策は乏しいのであります。生活大国を標榜するのであれば、特に公共投資は、住宅、上下水道、福祉、文教施設、環境対策など生活関連に重点を置くべきであります。私は、このような生活関連公共投資の拡大のために、公共投資の予算配分を思い切って見直すべきであると思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 また、政府の経済政策には消費の喚起という視点が全く欠落しております。個人消費は景気後退期においても堅調に景気を下支えすると言われてきましたが、今回は、昨年秋から一年にわたって消費の伸び悩みが継続しており、これは円高不況のときにもなかったことであります。
 その主な原因は、生産調整や企業の収益悪化による残業やボーナスの減少等、さらに、所得の伸びが鈍化していることや、先行き不安から生活防衛意識が生じていることにあります。また、サラリーマンなどの税負担が増加していることも見過ごすわけにはいきません。平成三年の民間サラリーマンの給与総額に占める所得税の割合は、六・三四%と三十四年ぶりの高水準となっているのであります。
 こうした要因が重なれば消費が低迷するのは当然であります。個人消費の喚起と過重となった所得税の負担軽減のためにも、今こそ、パート減税の拡大を含め、二兆円規模の大幅な所得減税を行うべきであると思いますが、総理の御見解をあわせてお伺いするものであります。
 この所得税減税実施をめぐって、サラリーマンなどは昭和六十三年以来所得税減税が見送られ実質増税が押しつけられているにもかかわらず、消費税の税率を引き上げる増減税セットでなければならないという全く筋違いの論議が出ております。この点、私は到底容認できません。
 また、近年の家計における教育費の負担は著しく増加しております。東京都の調査によると、一世帯当たりの一カ月の教育費は約九万七千円で、家計の消費支出の実に二三・六%が充てられているという調査結果が出されております。また、厚生省の調査では、家計の支出がふえる原因に教育費の増加を挙げた人が第一位を占め、中でも三十歳から四十歳代の中堅層の負担が最も重いという結果になっております。もはや教育費の問題を避けて生活大国の論議はできないものと思います。
 我が党は、かねてより教育減税を柱とした教育費の負担軽減についての提言を行っております。具体的には、一、所得税の特定扶養控除を現在の十万円から二十万円に引き上げること。二、教育財形貯蓄制度を創設すること。三、入学金、教育資金の融資制度を充実すること。四、日本育英会に入学金を対象とした貸付制度を創設することであります。
 教育費の負担軽減策に速やかに取り組むべきであると思いますが、大蔵大臣並びに文部大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
 景気対策の最後に、最も厳しい立場に立たされている中小企業対策についてお伺いいたします。
 中小企業向け融資の拡大は当然のこととして、中小企業の省力化や環境対策のための設備投資に対する減税、下請代金支払遅延等防止法の運用強化、倒産対策など、積極的に取り組むべきであると思いますが、総理の見解を承りたいのであります。
 次に、生命と健康を守る立場から何点かお伺いいたします。
 まず、国民健康保険事業に関してでありますが、今日、国民健康保険は保険料負担が重く、加入者からその軽減を望む声が強く寄せられている状況であります。現に、平成二年度実績で見ますと、一世帯当たりの年間保険料負担が政管健保で十一万八千円、組合健保が十二万一千円なのに対し、国保は十四万二千円と一番多い負担額となっております。国保の保険料負担の軽減を図り、その構造的な問題を解決するためには、国の支援強化がより一層必要であります。
 さらに、国民がみずからの健康管理や予防を進める上で、国民健康カードの全国的導入を早期に図るべきであると考えます。厚生大臣の御所見を求めるものであります。
 次に、医療‘福祉機器の研究開発等の促進についてであります。
 がんを初めとする難病や慢性疾患等を正確に診断し、適切な治療を行い、また、高齢者、障害者の自立や社会参加を支援したり、寝たきり老人等の介護負担を軽減する上で、医療・福祉機器の果たす役割は極めて大きいものがあります。我が党は、こうした観点から、今国会に、我が国の進んだハイテク技術を活用した医療・福祉機器の開発などを促進する高度医療福祉機器の研究開発等の促進に関する法律案を提出する予定でありますが、厚生大臣はこうした課題にどう取り組むのか、御所見を求めるものであります。
 次は、エイズ対策であります。
 エイズ予防対策は、現在、爆発的感染の拡大を食いとめるかどうかの分岐点にあり、まさにここ数年が正念場であります。この問題はこれまで我が党が率先して取り組んでまいりましたが、厚生省も平成五年度予算の概算要求においてエイズストップ作戦として約百三億円を要求し、さらに補正予算において十一億円を計上しております。しかし、事態の深刻さを考えれば、内容、額ともに不十分であります。私は、まず、依然として根強い国民のエイズに対する誤解、差別を打破するための必要条件として、血液凝固因子製剤によるHIV感染者の救済を本年度の補正予算において措置すべきものと考えます。厚生大臣の見解をお伺いしたいと存じます。
 もう一点、環境基本法についてであります。
 総理は、本年四月の環境賢人会議やさきの予算委員会等で、新しい地球環境時代にふさわしい法律の整備を行い、国際社会に通ずる基本法の制定を表明されました。そして、十月二十日には、中央公害対策、自然環境保全の両審議会から環境基本法の答申が提出されました。しかるに、地球サミット後この答申に沿って環境基本法の早期制定を望む声が高まっているにもかかわらず、この臨時国会への法案提出を断念することがささやかれております。今こそ、総理が先頭に立って、世界に向け日本が環境問題にリーダーシップを発揮するチャンスでありますが、環境基本法制定に関する総理のお考えをお聞かせください。
 次に、外交問題について二点お伺いいたします。
 注目のアメリカ大統領選挙は、民主党のクリントン候補が地すべり的な大勝利をおさめました。クリントン氏の勝利は、アメリカ国民が景気の低迷、深刻な財政赤字など冷戦後に抱えるアメリカ国内の問題をより重視し、その改革を求めた結果であったと言えます。したがって、これからのアメリカは、国内改革に重点を置く余り、内向き、保護主義的志向が強まってくることが懸念されます。今後、このことが、国際社会のみならず日米関係に大きくはね返ってくることは必至であります。クリントン氏及び同氏の政策をどう評価しているのか、まず総理にお伺いいたします。
 さらに、私は、新政権の誕生に伴い新たな日米関係の再構築の必要性を強く認識し、その取り組みと対応を早急に開始すべきであると考えるのでありますが、総理の御理解を伺いたい。
 次に、日ロ関係についてお伺いいたします。
 九月のエリツィン大統領訪日延期はまことに遺憾であり、一時的に日ロ関係の進展がとんざしたことは否めない事実であります。総理は大統領の訪日延期という事態をどう認識し分析しているのか、日ロ関係の現状をどう考えているかについてお伺いいたします。
 また、私は、大統領の訪日、日ロ首脳会談は来年の東京サミット前に実現し、北方領土返還への道筋をつけるべきであると考えますが、大統領の訪日の予定、北方領土返還交渉の方針もあわせてお伺いします。
 過日の東京での旧ソ連支援国会議において、支援についての一定の合意がなされました。したがって、我が国は今後一層の対ロシア支援の拡大を求められることは確実であり、北方領土返還問題と日ロ関係の構築などとのかかわりから見て、我が国としての原則を示すべきであります。総理の見解をお伺いいたします。
 終わりに、佐川急便事件について改めて申し上げたい。
 総理は、所信表明演説で、今日の国民の政治不信はかつて経験したことのないほど深刻なものと痛切に感じていると言われております。しかし、総理は、佐川急便事件発覚から金丸氏の議員辞職まで何をなされてきたのでしょうか。総理が手をこまねいていることに対し国民の強い怒りが爆発しているのであります。諸外国からも日本の政治に厳しいまなざしが向けられております。総理、あなたが政治改革の実現に一身をささげて取り組むというのであれば、まず佐川急便の真相究明に全力を挙げるべきであります。そして、企業献金の禁止など、思い切った政治改革を断行することであります。国民は、言葉ではなく、この決断を心から期待しているのであります。
 改めて総理の決意を促し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) 東京佐川急便事件のような政治と金をめぐる問題、政治家のあり方の問題を問われる事態が生じました。国民の深刻な政治不信を招いたことに対して、政治家の一人として、また国政を預かる立場にある者として責任を痛感しております。今こそは、ここで国民の疑念が解消され、政治への信頼を回復すべき時期であります。そうでなければ将来に大きな禍根を残すことになりかねないと厳しく考えております。
 東京佐川急便から多額の政治献金がなされたとの報道については承知をいたしております。検察当局としては、必要な捜査を行いましたが、これまでのところ、金丸前議員に供与された五億円に係るもの以外には、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったというふうに聞いております。
 この五億円の流れに関しては、検察当局が、政治資金規正法違反及び所得税法違反の告発がございましたので、これを受理して、これまでの捜査結果を踏まえつつ引き続き捜査中でございますので、その推移を見守りたいと思います。
 また、政治家と暴力団とのかかわり合いについて種々報道があり、国民の間に大きな疑念があることも承知いたしております。
 金丸前副総裁、竹下元総理の証人喚問等につきまして、国会において真相解明のための場をつくるべく御協議がなされておることを承知しておりますが、もちろん、政府といたしましても御審議に当たりまして十分御協力をいたすことは当然のことであります。
 次に、昨日の法廷におけるいわゆる供述調書につきまして御質問がございました。
 本件は、現在裁判所において公判係属中の事柄でございます。そして、裁判の一過程において供述が明らかにされたという報道でございます。そこで、この供述をした人は一体どういう人なのか、この供述に言われた人々は反論の機会は与えられておるのか。というようなことは、この供述の真偽が後日裁判所によって認定されるべき事柄なのです。供述の内容があたかも事実であるがごとき前提に立ってここで論評することは妥当でないと思います。事実の、(発言する者あり)今お話がありましたが、これは供述調書であって、この供述調書のことが事実であるというようなことは検察当局は言っておりません。それは事実関係は裁判所が判定をすべきことである。
 そこで、事実の解明をどうするかというお尋ねは、まことに私はごもっともなお尋ねだと思います。このようなことを言われました本人の名誉にもかかわることである。私どもの党の名誉にもかかわることである。私どもの党としても真相を明らかにいたしたいと思います。
 次に、検察の金丸氏処分が法のもとの平等に反するかどうかというお尋ねがございました。検察は、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠により犯罪の嫌疑が十分認められたものについて、罰則の法定刑の枠内で適正に公訴権を行使することを職責としております。金丸前議員に対する政治資金規正法違反においても、検察は適正にその職責を遂行しており、事件処理の方法等は法のもとの平等に反するものではないというふうに確信をしております。
 次に、いわゆる違法な寄附金の没収につきましてお尋ねがございました。これは、御承知のように政治改革協議会において既に与党と大方の野党との間で合意を見ているところでございますので、今国会で早急に立法化されることを念願いたします。
 また、罰則の強化については政治改革協議会の実務者会議で御協議をいただくことになっておるものと承知をいたしておりまして、合意が得られ次第、今国会で実現されることを念願いたしております。
 いわゆる私どもの派閥の問題について御指摘がございました。私どもの政治改革大綱においても派閥の弊害についてはいろいろに述べ、その除去について述べておるところでございますが、このような事態が起こりまして、私ども自身の派閥の弊害の除去、資金を透明化することについて、私どもの党内において党改革の問題として、実行可能な具体策を今検討いたしております。少なくとも、派閥の活動が党の公正な運営に支障を来すようなことがあってはならない、そういう意味での弊害を除去しなければならないと考えております。
 次に、政治改革協議会においての十八項目について鶴岡議員から御指摘がございまして、この合意された十八項目については今国会で早急に実現されることが大事であると御指摘がございましたが、私もまさにそのように考えております。これにつきましては、既に前国会の末期におきまして事実上大方の与野党間で合意があったものでございました。しかし、御承知のような事情によってこれについての議決がついに行われませんでしたことはまことに残念なことでございます。これは衆議院のことでございますが、まことに遺憾なことでございましたから、できるだけ早くこの国会で早急に実現されることを強く念願いたします。御指摘のとおり私も考えております。
 次に、企業献金の問題でございますが、私どもは従来から、企業も一つの社会的存在でございますから、政治献金を行うことを一概に否定すべきものではないというふうに申し上げてまいりました。ただ、これにつきましてま、もとより、国民の批判を招くことのないような節度、限度があるということも当然であろうと思います。この企業等団体献金のあり方については、政治改革協議会の実務者会議の協議事項とされておると承知をいたしております。
 政治倫理法の制定についてという御指摘も、やはり政治倫理の確立という意味で議会制度協議会、政治改革協議会において熱心な御協議が行われておるところでありまして、合意が得られましたら早急にその具体化を図っていただきたいと私どもも考えております。
 次に、政治改革の抜本的な改革について、十一月を目途に考えておるが、その点はどうであるかということでございますが、ただいまお願いをいたしております緊急改革も抜本改革を背景といたしまして初めて意味を持ち得るものでございますので、抜本改革はぜひともお願いをいたしたい。私どもの党内で十一月を目途にまとめるべくただいま熱心な議論が行われておりまして、早急に具体化を図りたいと思っております。
 次に、経済問題でございますが、このたびの経済の実情、政府は、引き続き低迷している云々と言っておるのは認識が十分でない、これは複合不況とでも呼ぶべきものではないかと言われましたことは、まさに私はそのように考えております。殊に、従来の経済循環に加えまして金融あるいは証券面での要素が入っておりますことは、事態を非常に複雑にいたしております。複合不況と呼ぶに値するものかと考えておりまして、したがいまして、八月の末に十兆七千億円に上ります総合経済対策を決定したところでございます。
 これによりまして、公共投資が拡大をしておることはこれは当然のことでございますが、住宅投資につきまして回復の兆しが見えておりますので、そこから個人消費あるいは省力化投資等々への波及効果があることを期待いたしておるところでございます。我が国の経済はもとより民間主導でございますので、この政府の呼び水によって民間経済の順調な回復を期待しておるというのがただいまの状況でございます。
 そのような公共投資をいたしますときに、生活関連についての公共投資の配慮というものが十分ではないではないかということは、実は私どもも従来から非常に留意をしているところでございます。長年のいろいろしきたりあるいは考え方がありまして、なかなか生活関連投資の方に思い切った重点を振り向けるということが難しい実情がございますけれども、このたび御審議をいただくことになっております補正予算におきまして、環境衛生、住宅、下水道、公園、福祉あるいは文教施設等々につきまして思い切って重点を置いて配分をいたしました。今後もそのような考え方に従って、重点的、効率的な配分に極力努力をいたしてまいりたいと思います。この点につきましての御指摘はまことにごもっともなことであって、私ども行政の努力をもっといたさなければならないところと考えております。
 それから、所得税の減税につきまして御指摘がありまして、これは昨日も申し上げたことでございますけれども、所得税の減税ということは、本来ならば望ましいということはもちろん私も異存があるわけではございませんけれども、現在の財政状況の中で、果たして例えば二兆円規模の所得税減税というものがいかにすれば可能であるかということにつきまして、それはもとより歳出のぎりぎりの削減という努力は当然のことながらいたさなければなりませんが、私自身、消費税の増徴をするという気持ちがございません。消費税の税率を上げるつもりはございません。他方で、特例公債というものは何とかして発行いたしたくない。一度これをやりますと過去に経験したようなことになりますので、そういう状況の中で所得税の減税というものが可能であろうか。
 御承知のように、昭和六十三年の際に大幅な所得税の改正をいたしまして、中低所得層の重税感というものはかなり改善されましたし、課税最低限は先進国の中では非常に高い方でございますので、何とかここは我慢をしていただけないか。私どもとしては、むしろ公共投資あるいは住宅投資等の刺激によって経済の回復、消費マインドの好転を期待する方が有効ではないかという判断をいたしておるところでございますが、御理解をいただきたいと思います。
 中小企業対策、これはもう申すまでもないことでございまして、ただいまのようなマネーサプライがむしろマイナスになっておるというようなことは、資金需要がないのではなくて、現実に政府関係の国民金融公庫とか中小企業金融公庫等々には非常な資金の申し込みがあるわけでございますので、したがってそれはむしろ一般金融機関の融資能力の問題であるというふうに考えましたのが、このたびの総合経済対策につきまして金融面、証券面についても施策をいたしたゆえんでございます。そこで、政府関係中小企業金融機関に対しては総額一兆二千億円の貸付枠の追加、これは思い切った措置をいたしたところでございます。その関連でこれらの機関等に対する出資の増加の必要がございまして、補正予算で措置をすることにいたしまして御審議を仰いでいるところでございます。
 支払遅延防止法等の厳正な運用については、御指摘のように十分に気をつけてまいります。
 それに加えまして、中小企業対策としての設備投資関連でございますが、今回の総合経済対策の一環といたしまして、中小企業の効率化、省力化、高度化、あるいは環境関連でのエネルギーの有効利用及び研究開発等々を新たに投資促進税制の対象にいたしました。十月一日から実施いたしましたのは、御指摘のような中小企業を主たる対象として考えておるものでございます。
 環境基本法制の制定に関しまして、先般、中央公害対策審議会及び自然環境保全審議会からの答申がございました。私から、関係省庁が協力の上で、この地球環境時代にふさわしい環境基本法制の取りまとめを行うよう指示をいたしました。御指摘のように、いろいろ問題がございますけれども、できるだけ早い機会に政府部内において法案化をいたしたい、こう考えております。
 それから、クリントン知事の大統領選挙当選につきまして御指摘がございました。
 今朝、クリントン知事と電話をいたしまして、私から祝意を伝えました上で、今後の良好な日米関係の維持増進と、それから両国を合わせますと世界のGNPの四割を占めるわけでございますので、世界の諸問題に共同で対処する責務、この二つの問題について話をいたしました。常時連絡を密にとり合おうということで合意をいたしたところでございます。
 このような両国の世界に持っております大きな経済の比重ということから考えますと、両国間の関係というものは、それは大統領がかわるということは大きなことではございますけれども、客観的に両国がなさなければならないことというのはやはり存在をしておる。そういう意味で、クリントン知事がアメリカのリーダーシップということを選挙中に言われておりますことは心強いことだと思っております。
 そこで、両国間の経済政策の問題でございますけれども、アメリカの中に御心配のような保護主義の圧力がある。それはアメリカの経済が雇用面、生産面でやはり弱いところがあるということに非常に影響されておりますので、米国経済の回復が早く促進されることが大事だということをけさもクリントン知事に申し上げたところでございますけれども、そういうことの中で、米国政府乃び議会が、自由貿易体制擁護の立場から国内の保護主義的な動きに対して確固たる態度を示されることを期待いたしておるものでございます。
 次に、ロシアのエリツィン大統領のことでございますが、訪日延期になりましたのは極めて遺憾なことでござ、ます。私に、電話によりまして、ロシア内の国内事情でこういうことになった、しかし当然のことながら訪日の準備はなお進めるということでございましたので、国内事情が早急に改善され、取り除かれることを期待いたしておるわけでございます。
 日ロ関係について、ロシア側の動向には十分今後とも留意してまいりますが、たまたま九月に国連総会で両方の外務大臣の会談がございました。訪日延期がこれ以上日ロ関係に影響を及ぼさないよう、今後の対話と関係改善の努力継続の必要性について両方の外務大臣の認識が一致いたしました。我が国としては、いわゆる拡大均衡のもとに日ロ関係を構築していく。北方領土あるいは平和条約等につき粘り強い姿勢で一貫した交渉を続けてまいりたいと思います。
 ただ、ソ連崩壊後のロシア連邦の動向は、やはり冷戦後の国際秩序の帰趨にも非常に重大な影響を及ぼしますから、内政、経済、外交すべての面にわたって改革路線が推し進められることを強く期待いたしております。先般の対ソ支援会議においてもそのようなことを議論いたしたところでございますが、その中で緊急人道援助、冬も近づいてまいりますのでこれは着実に実施していきたいと考えまして、ただいま補正予算につきましてその関連について御審議をお願いいたしたいと思っておるところでございます。
 なお、その他の問題につきましては関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(羽田孜君) 三点についてお答えを申し上げます。
 先般の税制改革、六十三年十二月の法改正でございますけれども、働き盛りで収入は比較的多いものの、教育費等の支出がかさみ生活にゆとりのない世代の税負担の一層の軽減を図る趣旨から、年齢十六歳から二十二歳までの扶養親族については、一般の扶養控除三十五万円より十万円多い四十五万円を控除することとされたところでございます。このような特定扶養親族に係る割り増し扶養控除額につきましては、一般の扶養控除に比べまして大幅な優遇措置を講じておるところでございまして、現下の厳しい財政事情を考えますとその引き上げということは困難であることを申し上げざるを得ないことをお許しいただきたいと思います。
 なお、教育財形貯蓄でございますけれども、勤労者の自助努力によります貯蓄制度として重要であるとは考えております。勤労者のニーズに沿ったものとなるよう配慮しておるところでございますけれども、現在の財形制度におきまして、教育資金の確保につきましては、一般財形貯蓄制度の活用に加えまして特別に財形教育融資制度を設けて対応しているところでございまして、いずれにいたしましても、今後ともこれらの制度の活用を通じまして教育費の負担軽減に努めてまいりたいと考えております。
 なお、入学金と教育資金の融資制度を充実することについてでございますけれども、この制度は、その前身でございます進学資金貸付制度といたしまして昭和五十三年発足いたしまして以来、延べで百二十二万件、七千九百六十億円この利用がございます。広く国民の間に定着しているものであろうと思っております。
 教育資金貸付制度につきましては、これまでも、政策金融機関として民間の金融機関を補完するとの立場を踏まえつつ、ときどきの国民のニーズに応じた貸し付け条件改善を行ってきております。平成四年度におきましても、貸付限度額につきましては、在学資金に係る内枠を撤廃するとともに、所得制限額、これの引き上げを行ったところでございます。今後とも、教育資金貸付制度につきまして、民間金融機関の教育ローン、日本育英会の奨学金制度等との関係にも配慮しながら、国民のニーズにこたえられるようさらに努めてまいりたいというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣鳩山邦夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(鳩山邦夫君) 平成四年六月十九日に公明党の皆様方からいただきました「教育費の負担軽減についての提言」につきましては私もよく読ませていただきましたし、大学へ入ると国立でも六十数万かかる、あるいは私立ですと百十万以上かかるというようなこと、あるいは教育費が安計を圧迫するというような現状は、教育の機会均等という観点からも望ましくありませんので、できるだけ改善をしたい。そういう意味では、公明党の皆様方の御提言と私の考えてることは全く同じことだろうと考えておりますが、財政状況もありまして、すぐにできること、あるいは時間がかかること、いろいろあろうと思いますが、これからまた御相談をしてまいりたいと思っております。
 大蔵大臣からほとんど御答弁があったと思いますが、特に育英奨学制度の問題につきましては調査研究協力者会議を設けて検討をお願いしておりまして、今回の入学一時金を対象とした貸与制度についても検討してもらいたいと思っております。
 なお、大蔵大臣から御答弁もありました、いわゆる伸び盛り減税というんでしょうか、十六歳から二十二歳のお子さんの特定扶養親族に係る特別の割り増し控除につきましては、財政状況との御相談でありましょうが、文部省としては今後ともに財政当局にはお願いを続けてまいりたいと思っておりますし、それとまた別に、所得がまだ十分高くなっていない若いお父さん、お母さん方にとって幼稚園の負担の問題というのもあろうかと思っておりまして、こうしたものすべて財政との御相談ですが、いろいろ努力をしてまいりたいと思っております。(拍手)
    〔国務大臣山下徳夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(山下徳夫君) 国民健康保険制度につきましては、今日まで、老人保健制度の創設を初めとする改革を通じて財政の安定化を図ってきた次第でございます。また、平成四年度における一連の地方財政措置と国庫補助により、市町村国保財政は一層安定化するものと考えております。厚生省といたしましては、今後とも、国民健康保険制度の安定的な運営が図られるよう努力をして主いりたいと思っております。
 また、国民健康カードにつきましては、国民一人一人の健康管理を進めていく上でカードを利用した健康システムは有効な方法の一つと考えておりますが、患者のプライバシーの保護を初め検討課題も多うございますから、その導入につきましては、現在行っている研究開発の進捗状況を見守っていきたいと考えております。
 次に、医療・福祉機器の研究開発等の促進についてのお尋ねでございますが、医療・福祉機器は、診断、治療、高齢者や障害者の自立と社会参加、介護を行う人の負担の軽減等のために重要な役割を担うものでありまして、すぐれた機器を開発し、その普及を図ることはますます重要となってきております。このため、厚生省といたしましては、難病等に用いる医療機器の研究開発の促進に努めるほか、福祉機器の基礎研究や開発メーカーに対する支援、福祉機器の無償または低額の給付、地域における各種の展示・相談センターの整備等の施策を総合的に進めているところでございまして、今後ともその充実に努めてまいりたいと思っております。
 次に、エイズの対策についてのお尋ねでございますが、御案内のとおり、現在エイズにつきましては効果的な治療方法というものは全くないのでございます。そこで、まず国民がエイズに関する正しい知識を持つことによって感染を予防するとともに、患者、感染者の方々に対して理解ある行動がとれるようにすることがエイズ対策の基本であると認識をいたしております。
 このため、啓発普及活動をさらに強化するため、本年度の補正予算におきまして約八億円を計上されておるのでありますが、私は、民族の将来を考えますときに極めてこれは重要な問題と認識をいたしておりますので、来年度は思い切った予算の増額をお願いいたしたいと思っております。去る十月二十日に厚生省といたしましてエイズのストップ作戦本部を設置いたしまして、私が本部長となりまして、省を挙げての啓発普及に取り組んでいるところでございます。
 血液製剤によるHIV感染者の救済につきましては、法的責任問題とは切り離して、企業の社会的責任に基づく拠出により実施しているところでありまして、補正予算での措置は考えておりませんが、国としても救済事業の円滑な運営が図られるように指導をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(原文兵衛君) 猪木寛至君。
   〔猪木寛至君登壇、拍手〕
#10
○猪木寛至君 私は、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、総理の所信表明演説並びに大蔵大臣の財政演説に対して質問をいたします。
 世界が注目する中、クリントン新大統領が誕生、第二次大戦を知らない四十代の若さ、英国のメージャー首相も四十代であり、国際的な若い世代の中、世界は大きく流れ始めています。
 総理は演説の中で、「政治は国民のためにあるという民主政治の原点を片時も忘れることなく、かりそめにも一党一派の利害にとらわれて行動しているとの批判を受けることのないよう心がけて」云々と述べておりますが、私は、言葉の揚げ足をとるつもりはありませんが、現状認識において余りにもずれがあるのではないでしょうか。今回の金丸事件に端を発した政治スキャンダルは、現実に一党一派の利害によって国の政治が動かされ民主政治が危機に瀕しているからこそ、かつてないほどの国民の怒りが爆発したのです。
 国民の代表が集まり、国民のリーダーとしての役割を担わなければならない国会において、総理の演説に見られるように、血の通った言葉も人の心を動かす言葉もない、そんな無感動で味気のない言葉のやりとりで終わっていいのでしょうか。人間には怒り、喜び、悲しみがあります。人間が本気で物事をなし遂げようとするとき、必ず人の心を揺さぶるものがあるはずです。
    〔議長退席、副議長着席〕
しかし、戦後の政治の中で、いつの間にか慣例や慣習という目に見えないかせによって縛られ、政治家がみずからの言葉を失ってしまったのではないでしょうか。そして、そのことに対しだれもが疑問を感じることなく、儀礼的、場当たり的な空虚な発言になれてしまったのではないでしょうか。
 そこで、総理に素朴な疑問をお聞きしたいと思います。今回の所信表明演説は、役人がつくったものを、総理がただそれを棒読みしているだけなのか。それならば仕方ないでしょう。しかし、もしこの演説草稿を総理御自身がおつくりになったとするならば、あなたは新聞を読んだことがありますか、テレビを見たことがありますかとお尋ねいたします。
 さて、素朴な質問の第二点として、総理は政治家と暴力団との関係について、およそ政治家がこのような集団とかかわり合いを持つべきでないことは言うまでもないことですと指摘されていますが、暴力団と右翼の関係についてお伺いいたします。
 先ごろの暴力団新法施行以後、暴力団は組の看板をおろし、民間企業に衣がえしたり、あるいは政治結社として右翼団体に登録するなどその実態をカムフラージュしているケースが多々あると聞いております。こうした暴力団の抜け道が公然と行われている状態をどうお考えになるのか。そして、総理は、暴力団と右翼をどこで区別し、その見分け方、その線引きをどこでしているのか、ぜひお伺いしたいと思います。その線引きがはっきりできないのであれば、総理の言うあってはならないことが何度でも繰り返されるおそれがあります。その点を明確にお答えいただきたいと思います。
 さて、佐川事件についてお伺いいたします。既に各党から事件の真相究明についての質問が繰り返し出されておりますので、私はできるだけ重複を避けて質問したいと思います。
 国民が今回の事件で一番怒っているのは、金丸前副総裁が検察の事情聴取を受けず上申書だけで済ませてしまったことです。政府閣僚の中で、これは交通違反みたいなもので問題はないと発言した議員がいました。金丸氏の五億円をスピード違反に例えたらどうなるか試算した人がいます。政治資金規正法が定める量的制限は百五十万円で、それを四億九千八百五十万円もオーバーしたわけです。百五十キロ規制の道路を時速五万キロで暴走したのと同じであり、その暴走者を反則切符だけで済ませてしまったことになります。こんな不公平な処分がまかり通り、政治家だから許されるとするなら、法のもとの不平等を検察みずから認めたことになります。
 さらに、金丸氏の五億円問題で、実はもう一つの五億円が金丸氏に渡り、その金が外国に流れ、それがある野党に還流しているといううわさがあります。そういう事実があるとするならば国際スキャンダルにもなりかねない問題と思いますが、事実関係について御答弁を願いたいと思います。
 次に、竹下内閣誕生の際に暴力団が関与したという問題は既に議論されておりますが、もう一つ、日本では報道されませんでしたが、ノリエガ裁判での記録に竹下氏や青木建設の名前が出ているという事実を総理は御存じでしょうか。
 この二十年来、自民党最大派閥による政治支配の中で、数は力、力は金という派閥の害悪がまかり通ってきたことを指摘しなければなりません。金丸氏の議員辞職に伴う経世会の新会長選びにおいてのごたごたも、国民不在、派閥のエゴむき出しの権力闘争そのものであります。総理はみずからの内閣を巻き込んだこの派閥闘争をどのように考えておられるのか、そして、政治の諸悪の根源と言われる派閥を解消させる決意がおありなのか、お聞かせください。
 私は、金権腐敗政治の改革のために一つの提案をしたいと思います。今回のスキャンダルにおいて国民が最もいら立ち、もどかしく思っていることは、その怒りの持っていき場のないことです。その場限りの政治改革がこれまで何度となく出されながら、一つも実を結ぶことなく政治家の汚職が繰り返されてきたことによって、もはや政治家に政治改革を任せておけないという思いが国民にあります。そこで、イギリスの腐敗防止法のような厳しい法律を制定するために、国会から独立した腐敗防止法制定国民委員会の設置を提案いたします。
 同時に、現在の自民党の派閥間の話し合いによって一国の総理が選ばれる状況では、総理に強いリーダーシップを求めることは期待できません。このため、私は、今後の検討課題として、国民が直接かかわることのできる首相公選制を提案したいと思います。総理の御見解をお聞かせください。
 さて、医療対策について私は一つの提案があります。現在ある遊休地や河川敷、例えば多摩川の河川敷などを有効に利用することによってスポーツ環境の拡充をするとともに、医療と予防医学、そしてスポーツ医学の併用により、薬づけの医療から離れて自然治癒を高める健康な国民づくりを目指すことであります。総理、これにより国民の意識が高まれば、現在医療に頼っている三〇%の人が健康になれば、二十一兆円の三〇%分、約六兆円の医療費の削減ができるわけです。総理の御見解をお聞かせください。
 次に、景気対策についてお尋ねをいたします。
 現在、日本経済は円高不況に直面しております。宮澤内閣は楽観的な景気分析を国民に流し、結果として景気悪化を放置してきました。この責任は重大であります。しかも、おくればせながら行った景気対策に至っては、総理の公約である生活大国とは名ばかりで、政府の経済、財政運営に国民は失望しました。
 私は、政府の景気対策について二つの問題点か指摘したいと思います。
 第一点は、バブル経済によって国民は預貯金金利の目減りに泣き、地価高騰によってマイホームの夢が絶たれ、固定資産税のアップに泣かされてきました。こうした国民の苦しみをよそに、今回の景気対策は、バブルがはじけて売れなくなった土地や焦げついた不動産融資などを買い上げるという全く国民不在の対策であると言わざるを得ません。今やマイホームを手に入れるために片道二時間も三時間もかけて通勤しなければならないという事態にまでなっている現実を、総理はどうお考えでしょうか。宮澤総理の言う年収の五倍でマイホームを買えるという場所など、一体何時間かけて通う距離になるとお考えですか。大都市圏に住むサラリーマンに限ってお答えいただきたいと思います。
 今回の経済対策には三兆四千億もの一般公共事業費が盛り込まれていますが、この際、公共事業費は大都市圏の公共住宅建設だけに思い切って重点配分するなど、大胆な発想が必要です。日本が世界の経済大国となっても、国民がウサギ小屋に住み遠距離通勤に泣かされているうちは、世界に誇れる経済大国とどうして言えましょう。総理公約の生活大国を単なる口約束に終わらせず、国の内外に向けた絶対的な公約とすべきです。
 さて、第二点は、環境と調和した経済ルールが確立していない点であります。バブル経済の波に乗って全国各地にゴルフ場建設やリゾート開発が相次ぎ、環境破壊が問題になりました。また、経済活動の結果環境が破壊されているという事態についても深刻に受けとめなければならないと思います。これは、環境保全のために膨大な費用がかかり、それもまた経済活動とみなされGNPに換算されている問題があります。そこで、経済と環境の調和を目指すために、GNPにかわる経済・環境指標を策定するべきであると考えます。また、景気対策と環境対策を共立させるために、環境対策に取り組む企業への投資減税及び環境基金への補助金を盛り込んだ環境基本法の早期策定を実行すべきだと考えます。
 以上の提案に対する総理の明快な御所見を求めます。
 次に、外交問題についてお伺いいたします。
 まず、カンボジアのPKO問題ですが、私は、この六月と九月の二回カンボジアを訪問しました。幸いに、昔、私とモハメド・アリとの試合を少年時代に見たという隊員たちが各部隊におり、おかげで彼たちの協力で危険な地雷原など現地の状況をつぶさに視察してまいりました。カンボジアは長年の戦禍のために荒れ果て、人間が生きる最低限必要な安心して飲める水さえないのが現状です。今こそ、日本国民からカンボジア国民へ血の通った顔の見える援助が必要であります。PKO派遣もその一つです。
 自衛隊がカンボジアに派遣されて約一カ月たつにもかかわらず、依然として、日本国内はもとよりアジアの一部の国々から日本の軍事大国化を懸念する声が続いています。こうした懸念を払拭するためにも、私は総理のカンボジア御訪問を提案いたします。総理がプノンペンで演説され、その中で、アジアの国々に対して、現在の日本は平和憲法を擁し二度と侵略への道は歩かないことを明快に打ち出すならば、自衛隊にまつわる誤解や偏見は解消していくことと思います。総理御自身は、カンボジアを訪れ平和演説を行うお考えはおありでしょうか。
 自衛隊のカンボジア派遣に関して国論を二分する議論がありました。この中で政治家が、日本は国際貢献が必要だとどんなに声高々に叫んでも、今日のように金権腐敗、政治の汚職に対して国民の怒りが爆発しているときに、それは何の説得力も持ち得ません。そうしたときこそ、総理が身をもってカンボジアに飛び込み、顔の見えるところで国民に訴える覚悟がなければならないでしょう。政治家が国民の信頼をかち取るために、百の公約よりも一つの実行が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 私は、国民の政治不信を一掃し、政治への信頼をいま一度回復するために、政治家が命がけでぶつかっていく覚悟があるかどうか、私心を捨てて事に当たることができるかどうか、今それが試されているときであると申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの所信表明演説で、何世紀に一度という歴史的転換点にありまして、世界も我が国もかつてない変革を迫られているとの認識に立ちまして、我々が取り組まなければならない内外の課題につきまして私自身の考えでおりますところをお訴えしたつもりでございます。人の書きました作文を朗読したというようなことはございません。
 何としても、しかし、このような国民の政治不信の事態の中で政治改革を実現するために一身をささげたいと思っておりまして、御理解と御協力をお願いいたしたいと思います。そうして、常に国民の声に耳を傾け、国民の心をはかりながら、与えられました責務を微力ではありますが一生懸命努めてまいりたいと考えております。
 それから、暴力団対策法の施行以来、暴力団が民事事件に介入して引き起こすいわゆる民事介入暴力事件の被害状況はかなり改善されつつございますが、御指摘のように、暴力団の一部には会社や政治結社の設立を標榜する動きが見られます。こうした動きに対しましては、取り締まり当局が十分活動実態を把握して、いわゆる偽装であるかどうかということについては厳重に取り締まりを行っております。
 暴力団であるか右翼であるかということでございますけれども、取り締まり当局がその組織の沿革、組織活動の実態等を総合的に判断して的確に対処しているものと存じます。
 金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件におきましても、検察は適切にその職務を執行しておりまして、事件処理の方法等は、法のもとの平等等に反するというようなことはないと思っております。
 なお、この政治資金規正法等の現行の法制におきましていわゆる国民感情に合わないような点がありはしないかという御指摘は、世間でもよく言われているところでございます。そうであるといたしますと、これは法自体の改正が必要でございますが、与党と大方の野党との間で合意を得ております緊急改革が実現されればこれにこたえることができるというふうに思うわけでございます。
 いわゆる竹下内閣誕生の際の暴力団の関与云々につきまして、現在公判係属中の事件に関係する事柄でありますので答弁は差し控えますが、先ほども申しましたように、一般的に申しまして、供述調書に述べられていることの信憑性というものについては裁判所が判断すべきことと存じます。
 それから、イギリスの腐敗防止法のような法律につきまして、これもそういうことを考えながら実務者会議で御協議をいただいておるところでありまして、イギリスはその後百年このようなことが後を絶つに至りました。我が国としてもこれは学ばなければならない先例である、ケースであるというふうに考えております。
 それから、総理大臣の公選制ということについてお述べになったわけでございますけれども、これは憲法の規定がございますから、総理大臣の任命について国会の議決による指名でなく国民投票による直接公選まどうかということでございますれば、現行憲法はそういうふうには考えていないというふうに思っております。
 それから、薬づけでなく自然医療を高める健康な国民づくりということはまことに同感でありまして、高齢化社会というものを明るく活力あるものにするためにはますますそれは重要であると思います。御指摘のとおり、医療費の適正化にも資するものでございますから、今後とも施策の推進に努めてまいりたいと思います。
 それから、いわゆる年収の五倍で買える住宅というのはどういうことを想像しているのか、どういう住宅なのかというお話がございまして、これはしっかりした定義があるわけではございませんけれども、私が各省庁に言っておりますのは、例えば首都圏について申しますならば、民間で供給される平均的なマンションで、イメージとしては七十平方メートルぐらいの新築、これは首都圏について申しておるのですが、そして通勤時間が、一時間ならいいですが、まあ一時間半程度までということで、この目標を達成いたしたいというふうに関係省庁に言っているところでございます。
 それから、環境保全の観点から、環境と調和した持続可能な経済社会の構築を図ることは重要な課題でございます。殊に、企業については、公害防止、廃棄物再生処理、省エネルギーに資する設備について特別償却等の特別措置を講じておりますし、今回の総合経済対策の一環といたしましても、省力化、合理化等の民間設備投資を促進するように、現行の投資促進税制の対象に追加をいたしたところでございます。
 環境基本法制につきましては、政府部内において法案化の作業を進め、できるだけ早い時期に成案を得たいと存じております。
 それから、カンボジアの問題でございますが、まさに、国づくりをいたすことについて、我々も自衛隊の派遣等についてその手伝いをいたしておるところでございます。これについては国民の御理解も大分深まっておると考えておりますが、私自身もカンボジアを訪問すべきであるという御示唆がございました。貴重な御意見として承っておきたいと存じます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(赤桐操君) 市川正一君。
   〔市川正一君登壇、拍手〕
#13
○市川正一君 私は、日本共産党を代表し、宮澤総理並びに関連大臣に質問いたします。
 今、最大の政治問題になっている佐川急便疑獄は、その規模や性格、暴力団との癒着などからいって史上空前の大疑獄事件であり、国民の大きな怒りを引き起こしています。総理は、所信表明演説で、再びこういうことが起こらないよう不退転の覚悟で取り組むと述べ、昨日、我が党不破委員長へは、真相の解明は重要なことだと答弁されました。
 そうであるならば、あなたが直ちに解明すべき第一の問題は、金丸氏五億円問題の核心となる金の流れであります。金丸氏は、同志への陣中見舞いとして受け取ったと言い、同氏の秘書は、金丸氏と竹下氏が相談して派閥の六十数人に配ったと供述しています。これが事実なのかどうかは、検察庁の捜査とはかかわりなく、自民党の最高責任者として、また内閣総理大臣として、疑惑解明の意思があるならば、金丸氏、竹下氏らにあなたが直接事実を確かめればいいのではありませんか。検察当局が捜査中だから、あるいは国税当局が適切に処理すると信頼しているからといった傍観者的な態度ではなく、国民の政治への信頼を回復するための政治的、道義的責任の究明として、総理・総裁としての率先した行動が今求められているのであります。なぜそれをなさらないのか、伺いたいのであります。
 総理は、先ほど、供述調書で出された疑惑を国会で取り上げることについて気色ばんで答弁なさいました。総理は、国会が決定した政治倫理綱領が「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにする」と明記していることまで無視して疑惑をもみ消そうとするのですか。供述調書で出された疑惑について、国会が進んで国政調査権に基づいて真相解明する責務を果たすのは当然のことであると厳しく指摘しておきたいのであります。
 さらに、日本の政治にとって極めて重大なことは、竹下内閣成立に暴力団が介在したとされている問題であります。
 とりわけ、竹下内閣の成立にかかわる日本皇民党事件で、竹下氏が田中邸にあいさつに行くという条件が持ち出されたとき、一九八七年十月五日、東京プリンスホテルにおける会議に金丸氏のほか竹下氏本人と小沢一郎氏も参加していたことは、同席していた東京佐川急便の渡辺元社長の供述として指摘されているところであります。その際、竹下氏が、先日も面会を拒否された、もう一度面会に出向いても同じだろう、おれはどうせだめだ、総理にはなれないと言ったのに対して、金丸氏から、田中のおやじから反逆者と言われながらつくった経世会じゃないか、これも皆竹下を総理にするためだ、今さら弱気になるなと言われ、稲川会会長から伝えられた条件をのんだというのであります。もしこれが事実なら、まさに暴力団に助けられて政権が誕生したという異常な事態であります。
 しかも、昨日明らかにされた日本皇民党大島総裁の供述によれば、金丸氏のほかにも新たに六名の自民党議員本人または代理人が、三十億、二十億という想像を絶する巨額の金の提示も含め、皇民党に対し街頭活動の中止を申し入れていたとのことであります。この皇民党事件には、稲川会初め、同じく広域暴力団の会津小鉄、さらには山口組の幹部らが介在していたもので、これら暴力団と自民党中枢の政治家らが群がるように政治の暗黒部分にうごめいた異様な状況、その裏に何があったのか、日本の政治の名誉のためにも絶対にあいまいにすることの許されない問題であります。
 総理は、指摘されている暴力団と自民党の中枢政治家とのかかわり合いの事実、関係する政治家の全容を明らかにする先頭に立つべきであります。見解を求めたいと思います。
 さらに、一九九一年六月十三日に東京渋谷で金丸、竹下、渡辺郵政大臣と渡辺東京佐川元社長らが佐川救済対策を協議し、大手銀行への仲介を相談したと言われる問題もまことに重大であります。
 そもそも、東京佐川の経営危機の発端の一つは、佐川公判での冒頭陳述でも明らかなように、八七年総裁選挙における竹下元総理への褒め殺し街頭宣伝中止の要請を稲川会会長に頼んだことにあります。それを契機に、渡辺前社長が稲川会会長から求められるままに巨額の債務保証を重ね、ついに経営を破綻するに至ったのであります。このような経営危機の発端をつくった竹下、金丸両氏らが、暴力団と企業と政治家との醜い癒着には全く無反省に、今度は政治家としての影響力を行使しようとしたことになるのであります。
 東京佐川の渡辺元社長の供述によれば、この会談の席上、竹下元首相が渡辺郵政大臣に対し、渡辺先生は銀行局長をよく知っているのだから根回しされたらどうですかと言い、渡辺郵政大臣は、銀行局長なら私が官房副長官をしていたときから知っているので根回しをさせていただきますと述べたとのことであります。渡辺郵政大臣は、昨日の不破委員長への答弁で、会合には出席したが具体的な話はなく、私は何も約束しなかったと述べられた。しかし、関係当事者らの供述とは大きく食い違っています。あなたは東京佐川救済の話には一切関係ないと断言するのですか。それでは、あなたが出席されたのは一体何の会合だったのかを明らかにすべきであります。明確な答弁を求めます。
 総理、渡辺郵政大臣は宮澤内閣の現職閣僚です。また、金丸氏はあなたが自民党副総裁に選んだ人物であります。総理が真相解明に不退転の覚悟で取り組むというのならば、竹下、金丸両氏、渡辺郵政大臣らの政治的、道義的責任をどう認識されているのか、改めて問いただすものであります。答弁を求めます。
 今回の佐川事件を見ても、金権腐敗政治の大もとには企業、団体の政治献金があります。今や、企業献金禁止は広範な国民的世論となっています。かつて財界の代表は、企業が政治に金を出せば必ず見返りを期待すると語り、三木元首相も、企業から多額な献金を受けた候補者は企業の代弁者となりやすいと述べております。出す側も受ける側も、企業献金とのわいろ的性格を認めているのであります。
 今、金権腐敗政治の一掃、政治改革を口にするならば、選挙期間の短縮、政治資金集め。パーティーの公認、政倫審規程の改悪などを含む反動的政治改悪案を白紙撤回し、企業、団体献金の禁止、衆議院定数の格差二倍未満の抜本的定数是正を実現することこそが緊急課題となっているのであります。総理は、企業も社会的存在などと企業献金を合理化しようとしていますが、企業は選挙権を持っていないのです。主権者は国民であります。この国民主権が今や金権によって侵されているという、まさに憲法原則にかかわる問題であります。総理は、企業献金禁止という緊急課題を棚上げにして、これをあくまで正当化されるのか、踏み込んだ見解を伺いたいのであります。
 政治が金でゆがめられている問題は、財界、大企業奉仕という自民党政治の基本姿勢に根差しております。通産省関係の大企業への補助金は、毎年四千万円から五千万円の自民党への政治献金を続けている大企業上位十社だけでも、この十年間に約三千六百二十億円がつぎ込まれています。これに対して、日本経済を底辺から支える中小企業関係の技術開発補助金は、十年間の総計五百四十億円、大企業一社分にしかすぎません。
 今日ますます深刻さを増している不況対策にも、この姿勢が貫かれています。政府は、バブルを引き起こした張本人である大銀行、大企業の不良債権の買い上げに無税償却などいわゆる公的資金による便宜を図り、証券会社による、かの損失補てんと同じことを政府みずからがやろうとするなど大盤振る舞いの一方、自殺者が生まれている中小零細企業や、首切り、出向、賃下げなどの大波にさらされている労働者などは置き去りにしております。
 我が党国会議員団は先ごろ各地の中小企業業者の実態調査を行いましたが、悲痛な状況に苦しむ中小零細企業の救済はまさに緊急を要します。
 そのために、一つは、不況に苦しむ業者が安心して融資が受けられるように、少なくとも激甚災害並みに、金利三%、二兆円規模の中小企業向けの緊急融資制度をつくること。
 二つは、大企業、親企業の単価切り下げや仕事減らしの横暴な強要をやめさせるため、違反大企業名の公表を初め、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用、下請中小企業振興法の振興基準の厳守など大企業への指導を強め、中小企業の仕事を守ること。
 三つは、日本経済を支えている中小企業に対し、国の官公需発注率を現行三七%から五〇%以上に引き上げるよう各省庁に計画を具体化させること。これだけで一兆円の仕事が確保できます。
 四つは、国民の購買力を向上させるため、消費税廃止を目指し、食料品非課税、所得税減税など一兆五千億円の緊急減税を行うこと。
 以上、四点について、総理の決意のほどを伺いたいのであります。
 最後に、自衛隊のカンボジア派遣問題であります。
 第一。パリ平和協定でいう停戦とは、第一段階の戦闘停止とともに、第二段階の武装解除をも含めて合意したものであります。ところが、紛争当事者の一つであるポル・ポト派は停戦違反を繰り返しており、国連UNTACの明石代表も、一昨日の声明で、停戦違反の件数の増加と重大化を言わざるを得なくなっております。それでも、総理は、現在カンボジア停戦の合意は満たされていると言い張るのですか。
 第二。総理自身、カンボジアヘの自衛隊派遣の条件として、武装解除という第二段階に入っていけるかどうか見届けるのが先決と参院選挙中も繰り返し発言していたいわば選挙公約であります。また、PKO法自体、武力紛争の終わった後の活動と定義しており、PKO法案審議の際にも、政府は、紛争当事者間での停戦合意が崩れた場合は独自に中断、撤収するので憲法に反することはないと言明してきました。これらを一切ほごにされるんですか。
 このように、カンボジアヘの自衛隊派兵は憲法上はもとよりPKO法に照らしても断じて許されないものであり、政府は直ちに自衛隊を撤収すべきであります。以上について責任ある答弁を求めます。
 私は、当面の緊急問題をめぐって質問いたしました。既に、我が党は、佐川疑獄が表面化して以来の宮澤首相の対応から、宮澤内閣の退陣を要求してきたところであります。私は、佐川疑獄の全容解明並びに金権、暴力団疑惑の政治家の政治的、道義的責任の追及を求める国民世論と運動の先頭に立って引き続き国会内外で奮闘する日本共産党の態度を表明し、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の五億円の流れにつきましては、検察当局が、政治資金規正法違反等の告発を受けましたので、これまでの捜査結果を踏まえつつ、ただいま調査中であるというふうに承知をいたしております。
 それから、次に、七人の政治家云々というお話がございました。国会におきまして、政治家の政治的、道義的責任を明らかにするという観点から暴力団とのかかわりの事実を調査される、もとより、政府としてもできる限りの御協力をすることは当然でございます。
 しかし、公判廷で明らかにされました関係者の供述、先ほども申し上げましたけれども、その内容は、供述したことを正確に調書に示しているということでございまして、そのことの信憑性そのものは、これは後日裁判所によって認定されるべき事柄でございますから、それがあたかも確定された事実として私が国会に意見を申し上げることは適当ではないということを申し上げておるわけでございます。もとより、このような事態に関して国会が解明のために御審議をなさるということは、これはもう私が云々すべきことではございませんで、そのような御審議については、政府としてはあとう限りの御協力を申し上げるということは、これもまた当然のことでございます。
 それから、それとは別に、しかしこういう中で名指しをされました個人あるいは党の名誉ということも私はあると思います。私どもの党としては、そういう意味で真相を明らかにしてまいりたいということを考えております。
 それから、金丸、竹下さん等々何人かの政治的、道義的責任ということについてお尋ねがございましたが、これは公判係属中の事件にも関係するもので、裁判所が認定すべき事柄ですから、それを前提にしたお尋ねについては、同じように答弁は差し控えるべきものであろうと思います。
 それから、企業、団体の献金の問題は、これはいつも御意見を承り私が違うことを申し上げるようなのですが、企業もやはり一つの社会的存在でございますから、その政治献金が一切いけないというふうに考えるのはどうであろうか、節度はあると思いますけれどもというのが私の考えなのでございますが、これは政治改革協議会の実務者会議の協議事項とされておると承知をいたします。
 それから、中小企業に対してはできるだけのことをいたさなければならないという点では同感でございますし、このたび、総額一兆二千億円の貸付枠の追加等々、あるいは特別償却の追加等々、思い切った措置をいたしました。また、関係政府機関の出資等につきましても補正予算で措置をいたしたいと思ってお願いをしておるところでございます。
 下請代金支払遅延等防止法等々の運用につきましても同様でございます。
 それから、官公需の確保につきましても、法律がございますが、これは逐年上がってまいりまして、中小企業向けの官公需発注額はほぼ四割という線に達しておりますが、なお努力を続けなければならないと思います。
 消費税の飲食料品の非課税のことは、各会派、党派で御意見がありまして、昨年の十月まで御議論があったわけですが、結局、専門者会講座長から各党各派の意見の一致は見られなかったという御報告がございましたので、政府としてはその経緯、結果を踏まえて措置をいたしておるわけでございます。
 なお、所得税減税につきましては先ほども申し上げました。これという財源をなかなか見つけにくいという状況である、さりとて、特例公債を発行することは将来に累を及ぼすであろうというようなことを考えておるわけでこざ、ます。
 それから、カンボジアの問題でございますが、確かに、停戦の第二段階に至りましてポル・ポト派の協力が十分でないということはおっしゃるとおりでありますけれども、ただ、ポル・ポト派はパリ協定を遵守するということは明らかにしておりますし、また、何か戦闘を全面的に再開するというようなふうでもありません。したがって、和平プロセスの基本的枠組みは維持されておる、紛争当事者間の停戦の合意も事実問題としては保たれているというふうに考えております。
 ポル・ポト派が第二段階の武装解除に積極的に協力をしてほしいということは、我が国もタイ国等々と続いて説得に当たっておるわけですが、また、その後北京においても会議が開かれることになっております。そういう状況の中で、自衛隊による業務の中断または終了を必要とする状況にはないというふうに考えております。
 カンボジアヘの自衛隊派遣は憲法違反でないということは、もう前国会でしばしば申し上げましたし、また、この国際平和協力法に規定する五原則の条件は満たされておるものというふうに判断をいたしております。
 残りの問題につきましては関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣渡辺秀央君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(渡辺秀央君) お尋ねの件につきましては、私が出席いたしました会合におきまして、最初に東京佐川急便の実情について聞いたり、経営の状況についての話は出たように思います。しかし、それは極めて抽象的で具体性のない話でございました。
 あとは昨日衆議院本会議で答弁いたしましたとおりでございます。
 以上であります。(拍手)
#16
○副議長(赤桐操君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開議
#17
○議長(原文兵衛君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。笹野貞子君。
   〔笹野貞子君登壇、拍手〕
#18
○笹野貞子君 私は、連合参議院を代表して、総理の所信表明に対し質問をいたします。
 冒頭に、私たち連合参議院は、全国民を代表する議員によって組織されたこの国会におきまして腐敗政治、腐敗政治家を追放することを決意し、与野党の立場を超えて、国会議員として、佐川事件の真相究明、再発防止を緊急に実行するよう呼びかけます。
 真相究明には、金丸自民党前副総裁、竹下元総理を含めた方々の国会証人喚問が不可欠です。さらに、昨日、東京地裁におきまして、昭和六十二年の自民党総裁選をめぐり多数の自民党議員が右翼団体との調整役として暗躍していた、その過程で金銭による解決策を提示していたという衝撃的な検事調書の内容が明らかになりました。私たちは関連議員の国会証人喚問を要求しますが、現時点で宮澤総理・総裁が知り得たこの件に関するすべての情報をここで明らかにしてください。
 腐敗政治の再発防止には、今、各党間で合意され協議されている政治改革に加え、腐敗政治家に対する厳しい罰則規定を定めた腐敗防止法の制定が必要です。今や、政治そのものが国民の信頼を失っているわけですから、政府も速やかに具体的な政治改革に着手されますよう強く求めるところであります。
 宮澤総理は、就任に際して次のことを表明されました。一つは政治改革、もう一つは生活大国の実現です。総理は、我が国の政治を改革し、そして、国民の一人一人が生活の豊かさを実感できる社会を実現したいとおっしゃいました。本院での首班指名が昨年十一月五日ですから、まさに一年が経過したことになります。しかし、その間、自民党の金権政治の実態が国民の前に明らかになり、政治改革は大幅に後退し、今や、改革されるべき対象は政治ではなく政治家なのではないかと多くの国民から疑われています。生活大国も、バブル経済の崩壊から業界を守ることに必死で、かけ声だけに終わっています。宮澤総理が、政府・与党の長として国民の前にお約束されたことを一年間放置し、何ら抜本的対策を講じていないとすれば、一体何のための宮澤政権でしょうか。
 今、国民の実感は、国民の目に見えないところで実質的な決定が下されているのではないか、総理の上に総理を生み出し意のままに動かす人がいるのではないかという点にあります。佐川事件の内容が明らかになり、金丸氏への五億円提供が発覚するに従って私たちはその実感が現実であることを知り、民主主義の危機を感じたのです。そして、一内閣の誕生が暴力団によって左右されたのではないか、組閣の内容が莫大な献金をする一支持者の電話一本で変更されたのではないかということを聞き及ぶにつれ、国民の怒りが爆発したのです。
 そこで、宮澤総理にお伺いします。国民の胸に残っている疑問なのですから伺わざるを得ません。宮澤政権誕生に当たって、国民に知らされていない約束はなかったのでしょうか。宮澤内閣の組閣に当たって、最高実力者である宮澤総理以上に実力を発揮した方がいませんでしたでしょうか。ささいなことでも、正直に過去の御経験をお話しになり、今断行すべき政治浄化、政治改革について具体的決意を明らかにしていただきたい。
 この内外とも激しく揺れ動く時期に、物を言わない、何もやらないリーダーは不必要です。政府・与党の長として、宮澤総理がみずからを語られ、この国会で政治浄化への具体的な御覚悟を示されないのであれば、私たちは直ちに内閣総辞職を要求します。そして、選挙管理内閣のもとで衆議院を解散、国民に政治改革のあり方を問うべきであります。
 次に、政治改革の具体的な点について伺います。
 宮澤総理は、リクルート事件とのかかわりについて、私の不行き届きから皆様に御迷惑をおかけいたしましたと反省の弁を述べられました。それでは、今日の佐川事件とそれに引き続く政治的空白について、総理はどう責任を感じておられますか。
 現職閣僚が連日深夜まで派閥抗争に奔走し、政治改革や景気回復の日程がおくれなかったと言えばうそになりましょう。そこで、宮澤総理御自身の心づもりとして、抜本的政治改革について具体的な日程をお示しいただきたい。御忠告申し上げますが、改革の内容と日程をお示しにならなければ、内閣支持率は一けたとなり、形だけの内閣となることは必至であります。
 普通の市民社会では、どんな企業であれ団体であれ、体質改善を怠った時点で生き残れなくなります。政治に責任を持つ個人や集団が、自己改革、自己浄化に怠りがあってはなりません。私たち連合参議院は、与野党間で合意済みの十八項目の緊急改革に加え、早急に政治腐敗防止法を制定する方針を決めております。政治浄化のためには腐敗政治の温床そのものを解消する必要があります。違法な金権選挙を行ったり、汚職をしたり、悪質な政治資金規正法違反をした政治家からは、議席と同時に、公民権を例えば最高十年程度は剥奪する政治腐敗防止法をつくり金権政治家を追放することこそ政治改革の抜本策だと考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 さて、金丸氏の場合、五億円の政治資金を違法に手中にしていながら、罪が明らかになると上申書を提出し二十万円の罰金を郵送するだけでした。そして、国民の一般的感覚からかけ離れた脱法行為に国民の怒りが集中したのです。抜本的な政治改革と並行して、既に各党から追加の項目も提案されているようですが、罰則の強化を含めて改正すべき点を順次改正していかなければ国民の納得はいただけません。特に、今国民が不信感を募らせているのは企業が莫大な政治資金を提供している点です。この際、企業、団体の政治献金を廃止し、個人だけが政治資金を寄附できる制度への移行を図るべきです。その方針を政府も早急に打ち出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 また、国会をガラス張りにし、国会議員の仕事ぶりが国民に見えるようにしなければなりません。その第一歩として、いわゆる国対政治を廃絶すべきです。国会の議院運営委員会の上に国対政治がのしかかっている現状を、与野党ともに改めるべきです。
 また、本院の問題ですが、私たちは、緊急の定数不均衡の是正と比例区選挙の廃止を主張しています。総理のお考えを伺います。
 宮澤総理は、今、我が国の進路に誤りなきようそのかじ取りをするという自負を本当にお持ちでしょうか。政治改革は一日も待つことのできない懸案ですから、私たちの提案を受け入れ改革を断行すべきであります。
 次は、景気対策と所得税減税について伺います。
 景気低迷の結果、国民生活にも深刻な影響があらわれています。政府は、総合経済対策と補正予算の実行により景気浮揚を考えておられるようですが、景気低迷の背景には政府の施策への国民の不信があるのではないでしょうか。政府の不況対策が主に業界救済策であり、国民の生活に基本を置いたものではないからです。その端的なあらわれが、所得税減税を無視していることにあります。私たちは二兆円の所得税を中心とした減税を要求しますが、総理の御見解を伺います。
 現在、連合の試算で、サラリーマンの可処分所得は大変低い伸び率です。さらに、景気後退を理由に冬のボーナスが抑え込まれると、可処分所得はマイナスになる可能性すら考えられます。二兆円減税は、ここのところ所得税減税が行われていないことから当然の措置と考えます。また、可処分所得をふやし個人消費を拡大することによって、景気回復を図ることもできるわけです。このような所得税減税を政府が率先しておやりにならない理由があれば伺いたいと思います。宮澤総理の目指す生活大国は、サラリーマンの可処分所得が年々減少するような大国なのでしょうか。重ねて、総理に、サラリーマンの二兆円減税を強く要求いたします。明確な御答弁をお願いいたします。
 そもそも、総理の所信を伺っておりますと、生活大国とおっしゃる際に、生活にではなく大国であることに重心を置かれているのではないかと危惧いたしました。いわば生活感覚抜きの生活大国が総理の机上で推進されたのでは心配です。政府、企業、個人の意識や行動を生活者、消費者重視へ変革していくと総理は表明されましたが、宮澤総理御自身が変革された、生活という視点からの意識や行動とは具体的にどのような点でしょうか、お伺いします。
 さて、政府の景気対策の中に、公共事業関連投資があります。公共事業については、国民の生活の質に直接結びつくものを中心に行うべきです。その限りにおいて補正予算でも増額すべきでしょう。公共投資の予算配分につきましては、今後、単純に建設関係へ重点を置くのではなく、生活関連予算への幅広い柔軟な配分が不可欠と考えますが、生活者、消費者重視の観点からいかがでしょうか。
 加えて、一点、お伺いします。生活者の視点から政治を行っていれば、バブル経済は発生しなかったのではありませんか。バブル経済は国の政策的失敗によって起きたと考えますが、国の政策的失敗であったとお認めになるかどうか、お尋ねします。
 次に、消費税についてただしておきたいことがあります。最近、自民党内に、消費税の税率を例えば一〇%に上げようという議論があると聞きます。その点について政府はどうお考えでしょうか。宮澤総理は、総現在任中消費税の税率を上げるおつもりがあるかどうか、明確なお答えをいただきたい。私たちは消費税の税率アップには断固反対であります。消費税率を上げるおつもりなら、公式にそう表明されたらいかがでしょうか。
 消費税についてはその欠陥が既に明らかになっております。飲食料品への非課税、そして、税金が国庫に納まらないいわゆる益税をなくするためインボイス方式の導入を図るべきです。この点についても重ねて総理の御見解を伺います。次に、労働時間短縮と、介護休業制度について伺います。
 生活の豊かさに結びつく制度改正につきましては重要な課題が山積していますが、その中で特に労働時間短縮について伺います。我が国の実態を見ますと、政府の資料でも、昨年の年間総労働時間は二千八時間と二千時間を超えています。労働時間短縮はもはや必要性の論議の段階ではなく、いかにそれを実現するかの段階になっていると考えます。週四十時間労働、週休二日を我が国の社会の常識にしていくために、政府としてはどのような措置をお考えでしょうか。このままでは総理の公約する生活大国の第一歩すら実現が危うくなります。
#19
○議長(原文兵衛君) 笹野君、時間が超過しています。簡単に願います。
#20
○笹野貞子君(続) 先ほど述べました可処分所得の向上とこの労働時間の短縮を同時に実現させられるかどうか、本当に生活中心の政治を展開できるか、見解をお伺いします。
 最後に、総理に介護休業制度の問題をお伺いします。労働省の婦人労働白書を見ましても、将来、親に介護の必要が生じた場合、退職せざるを得ないと感じながら働いている女性が非常に多いのです。これは女性の社会参加の視点から見ても非常にわびしい統計です。総理、あなたがもし将来介護される必要が生じた場合、御家族がその仕事をやめなければならないとしたらどのように感じられるでしょうか。
#21
○議長(原文兵衛君) 笹野君、簡単に願います。
#22
○笹野貞子君(続) 御心情をお答えください。
 以上で私の質問を終えます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 政治家と暴力団とのかかわりについて国民の間に大きな疑念があることは承知をいたしておりまして、この疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければならないことはもとよりであります。真相解明は大変重要なことと思っております。私どもの党としてもそれに努力中でございますが、国会でも各党の間で解明のための場をつくるべく御協議がなされていると承っておりまして、その場合、もとより政府は御審議に全面的に協力いたすべきことは申すまでもありません。
 それから、自民党総裁選をめぐる疑惑について最近いろいろと報道されていることは承知しておりますけれども、今朝も申し上げましたが、裁判所において公判係属中の事柄でございます。御指摘のように裁判の一過程において明らかにされた関係者の供述の内容につきましては、その真偽が後日裁判所によって判定されるべき事柄でございますから、その内容があたかも事実であるかのごとき前提でここで論評いたすことは妥当でないというふうに考えるものであります。
 政治と金をめぐる問題や政治家のあり方の問題等を契機として、国民の不信が高まっております。ここで政治への信頼が回復されなければ我が国の将来に禍根を残すことになりかねないのでございますから、政治に対する国民の信頼を回復するとともに、国民一人一人の意見や選択が正確に国政に反映されるような政治システムを何としても築き上げなければならないと思っております。
 それから、派閥の問題について御指摘がありましたが、閣僚の派閥離脱につきましては各閣僚とも十分に認識していると考えております。内閣の公務に支障を及ぼし、あるいは一党一派の利害にとらわれて行動しているというような批判を受けることのありませんように、今後ともこの趣旨を徹底してまいります。
 それから、政治改革の具体的日程でございますが、緊急改革を前国会でぜひともお願いをいたしたいと考えておりましたが、事情がありまして衆議院でそういうふうにまいりませんでした。したがいまして、この国会でぜひとも早期にお願い々いたしたい。その後に抜本改革をお願いいたしたいと考えております。
 政治腐敗防止法につきまして、連座制や公民権停止規定の強化などについては、協議会の実務著会議で既に御協議いただいているところでございます。今後、具体化のために、各党間で御協議をいただきまして、できるだけ早く結論をお願いいたしたいと思うものでございます。
 企業、団体の献金の禁止につきましては、これはけさほどもお話があったところでございますけれども、私自身は、企業も社会的存在でございますから献金を一概に否定すべきものでないと考えておりますが、もとより、それには節度も限度もあることでございましょう。いずれにしても、これは政治改革協議会の実務者会議の協議事項になっておることでございます。
 それから、国対政治というのをやめたらよかろうということでございますけれども、私ども自民党の政治改革大綱でもこのことはいろいろに検討されているところでございますけれども、余りに事前調整が行き過ぎるということになりますと国会での審議は形骸化する、言論府の本来の機能を損ねることになりかねないという弊害が指摘されておるわけでございます。他方で、与野党の話し合いによって国会が運営されるということは、つまり、多数党だけの意思で運営されない、話し合いで運営されるということは議会政治には欠かせないものであると思いますので、そういう弊害に陥らないように、しかし、国会の運営をどうやつて与野党あるいは関係会派で運営するかという工夫が入り用であろうというふうに、私、考えるものでございます。
 それから、参議院の定数是正、比例代表区廃止についてでございますが、一票の価値のあり方については、最高裁の考え方も衆参ではやや異なったものになっていると承知をいたしております。また、比例制のあり方については、衆議院がどのような選挙制度をとるかということにも関連をしておると思いますが、これは実は私ども自民党でもただいま非常に議論をしているところでございます。いずれ各党間で御協議をいただきたいと考えておるところでございます。
 それから、経済政策といたしまして、二兆円規模の所得税減税を考えるべきではないかということは、昨日もけさほども申し上げたところでございますが、減税というものは、できればそれはそれにこしたことはないわけですが、今の財政状況の中でそれが可能であるかどうか。後でお触れになりましたが、消費税については私は引き上げるつもりがございませんので、特例公債を発行することは何としてもいたしたくないということの中で、こういう税収の中で二兆円というような規模の所得税減税ま、実際問題として財源をどこに求めるかという問題がございます。この点は、けさほども申し上げましたが、実は大変に私ども苦慮しているところでございますことを御理解いただきたいと思います。
 生活大国の生活というのは、私は何もごてごてしたいわばロココ式のような生活大国というものを考えているのではありませんで、生活環境が美しくて、ライフスタイルは簡素で、しかし入り用なものはあってくれなければ困りますので、その中で、一人一人が心に余裕があって、自分自身の生活設計、多様な価値観をみんなが持つということが大事ではないかというふうに思っておるわけでございます。
 労働時間を千八百時間にするということも、これは労使にいろいろ問題があるわけですけれども、やはり暮らしを豊かにするということにつながるであろう。年収の五倍程度で住宅を欲しいということもそうでございますし、また、中学校区ぐらいでデイケアセンターを欲しいということもやはり生活内容を豊かにいたしたい、東京一極集中是正もそうだと思います。そういうことで生活大国五カ年計画を推進してまいりたい、こういうことが実は私の生活というもののイメージでございます。
 そういう立場から見て公共投資の生活関連への配分が十分でないということは、実は確かにそういう問題がございまして、伝統的な配分の方式を破ることがなかなか現実に難しゅうございますが、このたびの補正予算あたりからかなり思い切って、生活関連、環境衛生でありますとか住宅、下水道、公園等々に配分を厚くしておりまして、何とかこれは今後そういうことで改めてまいりたい、一生懸命努力をいたすつもりでございます。
 それから、今のバブル経済というのは、宮澤、おまえに責任があるのではないかという御指摘がありました。
 そう申し上げなければならない点も確かにございます。それは、一九八五年の例のプラザ合意がございまして、そこから急速な円高になっていきまして日本経済が対応できないということになったことは御承知のとおりですが、その間に大きな緊急財政経済措置をやって内需を起こして、そしてそれは当然金が出るわけですが、しかも、どんどんドルが下がるものですから場合によっては買い支えなきゃならない。つまり、ドルを買うということは円を売るということでございますからそういうところからも円が出ていった。両方のところから過剰購買力というものが、過剰流動性が生じたという嫌いは確かにございます。
 結果として、そういう緊急対策をやりまして、その後内需を中心として四年を超える景気拡大が実現をして円高の危機というものは乗り越えたわけです。そのことは私は認めていただきたいと思うのですが、その結果として過剰流動性があって地価、株価にそれが影響したということは、これも事実ですから、前のことはそれでいいとして、過剰流動性はあるときに取り上げることを考えればよかったではないかということは、反省材料として、これは私も今後考えなければならない問題であるとは思っております。
 それから、消費税の税率、これは、消費税の税率を引き上げる考えはありません。つもりがあるのなら早く言えというようなお尋ねでございましたけれども、そういうことは考えておりません。
 飲食料品の非課税化ということは、各党で御議論がございまして、昨年の十月まで両院合同協議会で御議論がありましたが、結局、専門者会議の座長から各党会派の意見の一致は見られなかったということで、そういう結論になりましたために政府としてはただいまのようなことでやらせていただいておるわけです。
 インボイス方式のことですが、これは、消費税の仕入れ税額控除の方法について、初めに提案いたしましたいわゆる売上税、この法案のときには税額票方式をやったのでございますが、その御批判が非常に厳しかったので、事業者の事務負担に配慮する観点等から帳簿方式を採用したということでございます。インボイスという方式は、西欧ではやっているところがございますけれども、このインボイスという言葉が示しますとおり、どうも我々の中になじんでこないので今のような方式を採用いたしました。
 労働時間、これは、千八百時間ということは先ほども申し上げたとおりで、生活大国をぜひ目指す上に大事なことと思います。
 それから、介護でございますが、高齢化が進むと、確かに介護を必要とする家族を抱える勤労者にとって大変な問題でございますから、それは何とかして支援をしなければならない大事なことでございます。
 そこで、介護休業制度につきまして法制化はどうだとおっしゃいますが、この介護休業制度というものの普及促進、一般的にそういうことが普及促進されることはぜひとも大事なことだと思いますが、法制化というのはその段階で考えるべきことではないだろうか。方向はよろしいのですけれども、いきなり法制があることによってそれが進むというよりは、むしろ普及促進ということを先にやりたい。これは、殊に女性が社会に出られるために大事な問題であるということをよく存じております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間につきましては、もう総理からお話があったわけでございますが、計画期間中に千八百時間をぜひとも達成したいということで私ども努力しておりまして、そのためには、さきの国会で、先生にもお世話になりましたが、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法を通していただいたわけでございますが、これに基づきまして、業種ごとの労働時間の短縮に向けての自主的な努力を援助するなどの措置を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 なお、この関連で労働基準法の問題もございますが、これは労働時間法制全般の問題として、今、中央労働基準審議会で週四十時間への移行等について検討を進めていただいておりますので、成案を得次第、次期国会に関係法案の提出をさせていただきたいと考えております。
 問題は、時短はするけれども所得が減ってはいかぬのじゃないか、こういうお話でございますが、まさにそのとおりでございまして、そのためには時短と生産性向上を同時並行的にどうするかということが大きな問題でございまして、特に中小企業の場合には難しい問題がございますのでいろいろ労働省としても指導をさせていただいておりますけれども、特に省力化、ロボット化のための投資につきましては低利融資等その他の促進助成措置をこれから積極的に推進してまいりたい、かように考えております。
 介護休業法につきましては、総理からお話がございましたが、総理のお話にもございましたように、まず法制化の前にやはり社会的な機運の醸成が大事だということで、平成二年以来いろいろなシンポジウム等をやってまいっておりますが、特にことしになりましてから七月に介護休業制度等に関するガイドラインを策定いたしました。これに基づいて企業の方々がいろいろやっていただくということでございますが、そういった実績を見ながら法制化を含めていろんな促進の措置を検討させていただきたい、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(原文兵衛君) 及川一夫君。
   〔及川一夫君登壇、拍手〕
#26
○及川一夫君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、さきに行われました総理の所信表明及び我が党の田邊委員長を初め各議員の質問に対する総理の御答弁につきまして質問をいたします。
 昨日の東京地裁東京佐川急便事件の公判で、いわゆる褒め殺し街頭宣伝をやめさせるために自民党の現職国会議員が少なくとも七人は関与していたという検事調書が明らかになりました。国民はあきれて物が言えないほどのショックを受けております。竹下元総現実現にまつわる暴力団あるいは右翼団体とのかかわりについて、総理はこれまで一貫して、あってはならないこと、関係を持つべきではないという一般論的な表現にとどめてこられました。もはや、国民の多くはこんな言い方では納得しないと思います。
 検事調書によれば、一つ、金丸氏の代理人という表現になっていますが、解決のために三十億円の金額を提示したこと。二つ、竹下氏を後継者として指名する条件として、中曽根氏が褒め殺しを解決するよう示唆したこと。三つ、稲川会の石井会長に解決、仲介を頼んだ結果、渡辺広康東京佐川急便社長はむちゃな融資や連帯保証などの対価を要求されると覚悟したこと。四つ、その結果経営危機に陥った東京佐川にてこ入れするため、金丸氏、竹下元首相、渡辺秀央郵政大臣らがかかわったことなどが明らかになったわけであります。
 総理、極めて信憑性の高い検事調書でこのような事実が次々と明らかになった以上、総理として、竹下氏と暴力団との間にかかわりがあったことを前提としてあってはならないことと批判されたのかどうか、はっきりさせていただきたいのであります。これだけ事実解明に通ずるかぎが明らかになったわけですから、国会の御審議に協力しますなどという他人事のような言い方をやめて、事実解明のためにどうすればいいか、あるいはどうすべきかを考え、真相解明のためには証人喚問は絶対必要という認識を表明すべきであります。総理、いかがですか。
 総理は、先ほど、昨日の公判廷において朗読された供述調書は信憑性に問題があるかのごとき答弁をされました。しかし、検察官に対する供述調書は、弁護側が同意したものであり、証拠能力を持っております。だからこそ裁判長が全文の朗読を検察官に命じたのであります。したがって、総理が供述調書の信憑性を疑うかのような答弁をされたことは、みずから行政庁たる検察庁に重大な不信の表明をしたことであるばかりか、裁判に対しても影響を与えかねないと断ぜざるを得ないのでございます。見解を求めたいと思います。
 同時に、金丸、竹下両氏と暴力団、特に稲川会との関係については、このほかにも疑惑が指摘されております。一つの例を挙げれば、昭和六十三年、浜田幸一当時の衆議院予算委員長を事実上解任するに当たって口添えを依頼したという件であります。もう一つは、平成二年、朝鮮民主主義人民共和国から帰国した金丸信氏に対し右翼の攻撃が高まったときにも、これをやめてもらうよう助力を依頼したというものであります。ここまでくると事態は余りにも深刻であります。自民党総裁として何らかのけじめをつけるべきではございませんか。我が党であれば、こうした行為は除名、議員辞職の対象となるはずであります。何もしないということになれば、暴力団との関係が今後も続く可能性があるということになりますが、それでよいのでしょうか。
 ところで、総理の所信表明及び答弁内容に対する国民の皆さんの評価は厳しいものがあります。マスコミ等の論調は、総理の反省、おわびの姿勢はわかった、不退転とか一身を挺するとかの決意の表明も確かに聞いた、しかし、疑惑解明のために何をしようとしているのか、政治改革の具体的内容はいわゆる十八項目程度で十分だと思っているのか、これらの課題を実行するために日本の最高権力者としていかなるリーダーシップを発揮しようとしているのかそれがさっぱり見えてこないという点に尽きるのであります。私も同感であります。国民も私も、一体総理の本音はどうなのかということを聞きたいのであります。国民のいら立ち、欲求不満は限界にきていると思いますが、総理はそのように認識しておられますか、お聞きしたいのであります。
 ただいま、私は国民の声と申しました。国民の政治不信がかってない高まりを見せ、議会制民主主義に対する絶望感さえ出ております。野党に属している私としても、この政治不信に対する責任の一端は担わねばならないと反省し自覚しているところですが、我が国の政治の現状は、国内のみでなく外国においても批判あるいは憂慮の対象になっていることを指摘せざるを得ないのであります。
 総理はふだんから英米の新聞を読んでおられるようですから余り多くは引用しませんが、例えば、アメリカの代表的なクオリティーペーパーであるニューヨーク・タイムズ国際版の十月十六日付社説には次のようなことが書かれているのであります。記事は、金丸氏への裏献金や竹下氏の首相就任直前の暴力団とのかかわりなどを説明した後、結論部分で、日本国民は政治に対し長い間受け身であったが、今や、より清潔で公正な競争、政権交代が可能な政治を要求して立ち上がった。アメリカもその一員であるが、日本の同盟国は日本国民の願いが成功することを望んでもよいはずであると言っています。
 これは、間接的な表現ながら、日本の政治のあり方、特に、自民党の一党支配とその中で続発する政治腐敗に対するアメリカ人あるいはアメリカ政府の違和感または不快感の表明だと言えるのであります。日本政府は、国連の常任理事国になりたい、経済大国にふさわしい国際貢献が必要などと強調していますが、日本政治の現状がこのように低い評価しかされていないことをどう受けとめられますか。また、最近、欧米のマスコミは、やくざとか暴力団という日本語をそのまま使っているのであります。悪いイメージの日本語が外国でも通用している現状について、総理の所見を伺いたいのであります。
 昨年の十月、あなたは自民党総裁を目指すレースの渦中にいたわけですが、最大派閥である竹下派の当時の会長代行小沢一郎氏の個人事務所に行かれ、巷間、まるで小沢氏による口頭試問ではないかと失笑を買った面接を受けられました。あなたにとっても生涯忘れることのできぬ屈辱的な出来事であったと思います。
 これには大きく分けて二つの問題点がありました。一つは、日本の最高権力者となるはずの人物に対し、その裏でこれを操る陰の権力の存在が明らかになったこと、つまり二重権力または三重権力の問題であります。もう一つは、国民の手の届かない派閥の論理が日本の政権を聖断しているという問題であります。現実に、竹下派の会長ポストをめぐる抗争はその裏権力を持ち続けようとする行動であり、国民の激しい怒りを買っています。
 しかも、宮澤内閣の主要閣僚である羽田大蔵大臣、奥田運輸大臣、渡部通産大臣は公然とこの抗争に参加し、派閥活動をしています。さすがの総理も、官房長官を通じて、あるいはみずから電話でも注意されたようですが、中でも大蔵大臣は、公務はおろそかにしていないと語り全く反省の色を見せず、派閥活動を中止しませんでした。総理、これは明らかな任命権者に対する命令違反であり、職務怠慢と言うほかなく、特に大蔵大臣については、補正予算編成の責任者でもあり、解任に値すると思いますが、いかがですか。
 羽田大蔵大臣、公務と派閥活動の関係について、国民の素朴な疑問に率直に答えてください。
 総理は、政治と金にまつわる問題で国民にわび、政治改革に関する与野党協議が、政治資金の入りと出を透明にし、違反者には罰則の適用を拡大するとの方向を出していることに期待感を表明されました。その言やよしです。しかし、それを実現するには現在の政治と金の関係を相当程度明らかにしなければ、まともな政治改革ができるとは思いません。総理は、国民の政治不信をとらえ、かつて経験したことのない深刻なものとの態度も表明されました。同感であります。では、どのようにしてこの深刻な政治不信を払拭されようとするのですか。
 繰り返すようですが、金丸氏の五億円問題や政治と暴力団の関係について、その真相を明らかにすることから始めなければならないと思うのであります。これまでの代表質問に対する総理の御答弁は抽象論に過ぎるのであります。国民がどうしても知りたい、明らかにしてほしいと強く望んでいることを私は指摘しながら、もう一度整理してみたいと思うのであります。
 まず第一は、五億円の性格であります。政治献金としての陣中見舞いなのか、それとも新潟県知事候補一本化に努力をした金丸氏への謝礼なのか、それとも佐川急便の事業拡大のための先行投資、つまり許認可の推進や法違反発生時における問題処理を期待してのいわばわいろなのか、はっきりさせるべきであります。
 第二には、五億円の使途の明確化と、政治資金ではないとすれば所得税や贈与税の関連も明らかにすべきではありませんか。
 第三に、検察当局に対しては、金丸氏の出頭拒否をなぜ許したのか。略式起訴から罰金支払いまでわずか四日間しかかかっていないのは特別扱いであり、法のもとの平等が守られたとは言えないのではないか。上申書のみの略式起訴で五億円をめぐる事件が終了したというなら、拒否することなく一連の裁定文書などを閲覧させるべきではないか。
 第四に、政治と暴力団のかかわりでは、竹下政権誕生の際の経過や、暴力団工作を協議したメンバー、皇民党の褒め殺しという街頭宣伝を恐れた理由なども明らかにならない限り国民の気持ちはおさまらないと思うのであります。
 総理、私が指摘をした事項について、その徹底究明の必要性をお認めになりますか、そして、総理・総裁としてその解明に努力をなされますか、お答えいただきたいのであります。法務省の官僚の作文を棒読みするだけの総理に国民は失望しています。どうか肉声を聞かせてください。
 私は、ここで、企業献金について総理にお尋ねいたします。
 財界のある有力者が、企業経営者が何の見返りも期待せずに政治献金をするとすればそれは背任行為となる、もちろん、何らかの見返りを期待していればそれは贈賄行為と言われてもやむを得ないという意味のことを言っています。私は、まじめな経営者の苦悩がよく理解できます。総理はこの言葉をどのようにお聞きになりましたか、率直な感想をお聞きいたしたいと思うのであります。
 去る九月、平成三年度の政治資金収支報告書が発表されました。これはもちろん自治省届け出分のみであり、いわゆる裏献金や報告されないパーティー収入などもありますから全貌ではないわけでありますが、それによると、自民党の総収入は二百九十二億円余、宏池会関係は計十二億円余となっています。これだけの大金が入っていながらどの企業から入ったかわからないのが実態であります。この企業名隠しは政治資金規正法の不備につけ込んでいることは天下周知の事実であります。
 また、ここに一つのデータがあります。平成元年三月に、自民党若手の政治改革グループ、ユートピア政治研究会が、その二年前、昭和六十二年の政治資金収支を正直にまとめて発表された数字であります。メンバー十人の平均で、一人当たりの年間収入が一億二千余万円、内訳は、大ざっぱに言って歳費など国からの分が二千万円弱、党や派閥からの分が一千万円、残りの九千万円強は何らかの自己努力による集金の累積となっています。一方、使途の方は、人件費、交通通信費、事務所費など運営経費的なものが七千万円強、政治活動費四千五百万円となっており、これをさらに細かく見ると、政策活動費はわずか九百二十万円で、他はすべて冠婚葬祭費と後援会活動費に消えているのであります。
 問題は大きく言って二つあります。一つは、一億二千万円強も政治資金を集めていながら、政策活動費と言うべきものはその一割にも満たないということ。政治資金と言われるものの大部分は、後援会という我が国独特の活動に使われているわけであります。もう一つの問題は、一議員が九千万円ほどを独自に一年で集金しているとすれば、自民党国会議員を四百人として三百六十億円が動いていることになります。自民党本部が集めた二百九十億円とごく一部ではダブっているでしょうが、それでも六百億円以上が動いており、その大部分は企業や団体からの献金ではないかと思うのであります。
 いかがでしょうか。企業献金は企業としての政治参加のあかしであり、献金禁止は企業の政治参加を拒むものだとする意見もありますが、論理的に成り立つでしょうか。なぜ献金をしなければ政治に参加できないのでしょうか。我が党は企業及び団体献金の廃止を提唱しています。政治と金の問題をすっきりさせるためにも廃止すべきだと考えますが、この点に絞って総理の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、景気対策についてであります。
 このたびの総合経済対策については、政府は事業規模が十兆七千億円と史上最大であるとして自画自賛しておりますが、果たしてこれが実体経済に即応した措置と言えるのでありましょうか。特に、豊かさを実感するといいますか、個人消費を拡大して景気を浮揚させようとする視点が欠けている点が極めて私は不満であります。
 公共投資中心の今回の対策について、政府は経済への波及効果は大きいと主張していますが、果たしてそうでしょうか。確かに建設業を中心とする業種についての直接効果はあるでしょうが、手当てをしなければならないと言われている業種にまで波及するかどうかは大いに疑問と言わざるを得ません。また、自民党内に地価税の税率見直しや居住用財産の買いかえ特例の復活を主張する向きがあることを考え合わせると、今まさに問われている政治と金の問題を連想せざるを得ないのであります。生活大国を標榜する宮澤総理としては、今回の公共投資の追加のどこに特色があるのか、これまでの資金配分とどこが違うのか、そして来年度予算での公共事業についての基本的スタンスはどこにあるのか、明確にしていただきたいのであります。
 また、大蔵大臣には、不動産業界を初め一部業界に配慮したと判断せざるを得ないようなバブル復活につながる税制改正が行われないことを確約していただきたいのであります。
 さらに、今回の総合経済対策のうち、とりわけ土地の買い上げ機関の措置は、総理の言う生活大国構想とどう整合性があるのか理解に苦しむところであります。土地の担保つき買い上げ機関を制度として設けるということは土地の流動化を促すものであることは間違いないし、流動化を期待するということは、需要と供給の関係があるとはいえ、土地の価格は上昇することがあっても下がることはないと考えるのが日本の常識であります。ということは、現状でも首都圏などでは年収の五倍でも持ち家を持つことができないのに、せっかく下がりかけた地価が再上昇に転ずることは生活大国実現に逆行するものではありませんか。地価の一層の引き下げ策を実施することはもとより、この買い上げ機関に公的資金の投入をしてはならないと思いますが、総理の御所見を求めるものであります。
 次に、減税についてであります。
 消費税導入後四年が経過し、さきの税制改正の本当の姿が明らかになってきております。政府は消費税の導入を中心とした税制改正の目的を、中堅サラリーマン中心の税負担軽減と消費税の実施により差し引き二兆六千億円の減税を行ったと主張してまいりました。しかし、給与所得者の税額の割合は六・三四%と高水準になっており、税負担は増加しています。まさに、我々が主張したとおり、先般の税制改正は結果から見ても法人税の減税であり、そしてその財源対策として消費税創設が主眼であったことは明らかであり、サラリーマンの所得税の重税感は何ら解消されるどころか募るばかりなのであります。消費税を導入した竹下内閣は暴力団との約束は守っても国民との公約は破ったのであります。
 総理は、減税の財源がないと言われますが、それは政策の優先順位を変えることによって捻出できないものではないはずであります。まず所得税減税の必要性を認めるかどうかです。公約を果たすためにもサラリーマンに対する相当規模の減税を行うべきであると考えますが、御見解をお聞かせください。
 また、大蔵大臣は、消費税の見直しを中長期的課題だとしておりますが、具体的に何が課題であり、どの程度の期間を言うのかお答え願いたいのであります。
 ところで、消費者の立場に立った不況対策の一つとして、私は、個人の住宅ローンの元本返済を二年間程度一律に猶予すべきだということを主張したいのであります。平成三年の銀行扱い住宅ローン返済額は約八兆円と言われています。そして国が所管をしている住宅金融公庫の分が五兆円近くあり、合わせて十三兆円ということになります一が、そのうち利子分は五兆円、元本分が八兆円ということになります。私はこの元本分について二年間返済を繰り延べできるように政府は指導すべきだと考えるのですが、いかがでしょうか。
 なぜなら、住宅ローンを抱えている人は、可処分所得の目減りによって耐久消費財はもとより食費まで切り詰めた生活をしており、個人消費の伸び悩みの要因となっているからであります。二年間でも返済が猶予されることは、すべてが可処分所得の拡大につながらないまでも、毎日の生活にいささかなりとも余裕が持てることになると思うのであります。大蔵大臣の所見を求めたいと思います。
 次に、金融問題についてであります。
 我が国の金融政策は、八四年の日米円・ドル委員会協議以来、金融の国際化と利用者の利便の向上を掲げ、金融の自由化を推進してきております。そして、この路線の総仕上げとして、さきの国会において金融制度改革法が成立し新たな金融制度がスタートすることになったのであります。しかし、この間、銀行は何を行っていたのでしょうか。先を争って土地融資にのめり込み、バブル経済をつくり出し、そのバブル崩壊後は十兆とも三十兆とも言われる不良債権の山を築いているのであります。銀行業界は政府に対して、保有する不良債権を処分した際に生ずる損失についてその償却を無税で行えるように税制の優遇策を要望しております。大蔵大臣はこの要求にこたえるつもりでしょうか。明確な答弁を求めます。
 さらに、今回の対策では、郵便貯金、厚生年金、国民年金あるいは簡易保険という国民の零細な、かつ貴重な資金を使って証券市場の活性化を図ろうとしておりますが、このようなことを果たして国民は望んでいるのでありましょうか。郵貯など公的資金は将来にわたって安全確実な運用が最も求められ、株価対策のために市場に持ち込まれることは本当に適切なのか疑念を持つものであります。現状において株式組み入れ比率に制限を設けない総額二兆八千二百億円もの公的資金を投入することは、銀行の土地買い上げ機関構想と同様、機関投資家がもてあましている株式を肩がわりする性格のものとなることは容易に考えられ、この点について、大蔵大臣、そして郵政大臣の見解をただしたいのであります。
 また、NTT株の四年度及び五年度の売却凍結、JR東日本株、JT株の四年度売却凍結を打ち出しましたが、これは明らかに、政府にとって保有株式を財テクの手段に使おうとしていることを如実に示しております。株価が高いときは売り出し、低いときは中止するという手法では、あたかも政府が株価を保証するかのような印象を与え、いわゆる政府の御用相場をつくり出すおそれがあります。昭和六十二年、第一次NTT株の売り出しにおいて、市場はまさに国策に売りなしの状況となり、その後の株式市場をあおり立てる一因となったことを改めて思い起こさなければなりません。時の大蔵大臣は首相である宮澤総理でありました。政府としては、市場の動向を見つつ、より多くの売却収入を得ようとする方針を改め、冷静かつ計画的な売却を行うべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 次に、労働時間の短縮がなかなか進んでいない問題であります。
 ことし六月に閣議決定された新経済五カ年計画でも冒頭に時短の目標が掲げられ、いわゆる生活大国実現への目玉政策として位置づけられているように見えますが、実態はどうでしょうか。日本の経営者は、景気がよいときは人手不足のため時短などできないと言い、むしろ残業をふやしてくる。景気が悪くなったらなったで、西欧諸国のようにワークシェアリングをするのではなく強引な人減らしに走り、残業や土曜、日曜出勤が減るぐらいで、年間一千八百時間の達成はいつのことかと思われます。これでは貿易摩擦、国際摩擦もなくならず、日本に対する批判は厳しくなるばかりであります。
 したがって、日本の場合は、新経済計画の目標を確実に実現できるような法的措置が必要であります。経営者の意識を変革させるという観点も含め、労働基準法改正や、中小企業、特定業種については時短助成金などの支援措置を強化する必要があると思いますが、労働大臣の所見を伺います。
 最後に、私は、ぜひ総理にお考えをいただきたいことがあります。それは、我が国民主主義の根本をなす三権分立制度の危機の問題であります。
 一つは、司法権の独立の危機であります。報道されているような自民党権力と司法権の癒着は、健全な民主政治にとって自殺行為であることは論をまちません。
 二つは、立法権の形骸化であります。この問題については、私も立法機関の一員ですから自戒を込めて申し上げるのですが、立法権の具体化とも言うべき議員立法が全く振るわないなど枚挙にいとまがありません。
 さらに、議院内閣制の危機の問題であります。総理の執行権は議会を通じて国民から負託されたものであるはずですが、あなたの政治行動を見ておりますと、国民の目に見えない幕の向こう側にもう一つの権力があって、どうもそちらの方が本当の権力ではないかと思われる点であります。
#27
○議長(原文兵衛君) 及川君、時間が超過しております。簡単に願います。
#28
○及川一夫君(統) マスコミでは二重権力などという表現を使っておりますが、これは議院内閣制を柱とする我が国民主制のシステム上あってはならないことであります。幸か不幸か幕の向こう側で内紛めいたことがあり総理の顔色が少しよくなったという声もありますが、総理大臣としてのリーダーシップを制限されているなら潔く退陣すべきだし、そうでないと思われるなら議会と国民の負託にこたえる政治を決然と行うべきであると思います。
 総理の率直かつ熱意のある御答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) お答えを申し上げます。
 政治改革実現のための具体的方策につきましては、政治改革協議会において各党間で御協議をいただいているところであります。選挙制度の問題等を含め、やがて抜本的な政治改革が必要であると思っております。私どもとしても政治改革の基本方針として取りまとめるべく鋭意論議を重ねているところでございまして、抜本改革につきましては十一月を目途に取りまとめの上各党にお示しをして御協議に入りたいと考えておるところでございます。
 次に、昨日の公判廷における供述調書について御指摘がございました。これは、けさほども申し上げたところでございますけれども、裁判の一過程において明らかにされた供述の内容につきましては、その真偽が後日裁判所によって認定さるべき事柄でございますから、その内容が全部事実であるような前提に立って論評を申し上げることは適当でないと、こう申しておるのでございます。
 なお、ただいまお尋ねがございましたので、私、気がつきましたのですが、これはけさほど正確に申し上げたつもりでございますが、供述調書はその供述の中身を、内容を誤りなく伝えてあるものだというふうに思っておりまして、その点を私は疑ってはおりません。そういう意味で、検察の仕事に疑問を呈しておるのではないのでございます。そのこととは全然別に、その供述の内容そのものが真実であるかどうかということであれば、それはその関係者の意見も聞かなければならぬわけですが、そのことは検察の仕事ではなくて、それは必要があれば裁判所の仕事であると、こういうふうに私は考えて申し上げておるのでありまして、役割が違うのでございますので、検察の仕事に私は疑問を呈したというのではございませんから、この点は誤って報道されることのありませんように重ねて申し上げておきます。
 それから、佐川急便事件をめぐっていろいろ国外で報道があるということを気がついておりまして、残念なことに思います。また、やくざであるとか暴力団とかいう日本語が時々使われておるということも気がついておりまして、我が国のイメージからいえばまことに残念なことですが、何より大事なことはこのような事実をなくすことである、そういうふうに思います。
 それから、政治家が暴力団とかかわりを持つべきではないということを一般的に申したのでありますけれども、報道されていることは承知をしております。そうしてそれは裁判所において公判係属中の事柄であるというふうに存じておるわけであります。
 政治への信頼を回復するためには真相解明は重要なことでございますから、私どもの党もそれをいたしております。国会でもそういう場をつくるべく御協議中で、もとより、政府としては御審議に対して全面的に協力を申し上げることは当然のことであります。
 それから、派閥のことについて御指摘がございまして、閣僚は派閥を離脱するということで、去る十月にも官房長官から改めて閣僚に注意を喚起したところでございますから、十分に認識をされていると思います。内閣の公務に支障を及ぼすことがありませんように、この上にも徹底をしてまいります。
 それから、五億円の問題につきまして、略式命令において渡辺元東京佐川急便社長から金丸前議員個人に対する政治活動に関する寄附であるという認定をしたものと承知をしております。これは略式命令においてそのような寄附であると認定したものと承知しておりますが、いずれにせよ、この使途については、告発がなされておりまして、政治資金規正法違反の告発を検察が受けておりますから、引き続き捜査を行っているところでございます。
 検察当局は、金丸前議員から提出された上申書、それまでに収集された証拠等を総合勘案して政治資金規正法の嫌疑が認められたということから、罰則の法定刑の枠内で公訴提起をするとともに略式命令を請求したのであります。法の定めるところに従って必要な捜査を行い、法と証拠に照らして適正に事件を処理したものというふうに考えます。
 なお、金丸前議員にかかわる確定記録の一部については、関連事件の捜査に不当な影響を及ぼすおそれがあるとして検察当局がこれを閲覧させないこととしたものと聞いております。
 それから、一般に政治献金そのものが背任、贈賄的な性格を持つかどうかということについて、一般論として申し上げるならば、それはやはり個々の事案に即して、それぞれの構成要件に当たる当たらないというようなことが証拠により認められる認められないということから判断をすべきものではないであろうか、一律に犯罪性を議論するということは、一般論としては私は難しいのではないかというふうに考えております。
 それから、経済問題になりますが、このたびの総合経済対策の中で公共投資の追加をどういう観点からやっておるかということは、申すまでもなく、生活関連、住宅、下水道あるいは環境衛生等々生活関連を中心にいたしておりまして、なかなかこの配分を思い切ってすることが難しいということを私も痛感しておりますが、今度の補正ではかなりはっきり重点をつけたつもりでございます。
 それから、次に、土地買い上げ機関というものは地価の上昇を招くおそれがあるということは、そうなってはいけないと考えておりまして、そうなりませんように十分に注意をいたしております。また、この買い上げ機関につきましても、これは銀行救済のためにやっておるのでないことはたびたび申し上げておりますが、自主的にそういうことが行われることを、ただいまそういう作業が進んでおります。
 なお、地価まこれで十分下落したかということは、平成四年七月一日の都道府県地価調査によると大都市圏を中心に顕著な下落傾向はございますけれども、中堅勤労者が取得する能力に比べましてなお高い水準にある、こういうふうに判断をいたしております。先ほども申し上げましたが、年収五倍ぐらいのところで自分の家を、マンションを取得するということから申しますと、まだ地価は十分にそのところへ入ってきていない。射程内に入りつつございますけれども、十分だとは申せないのではないか。
 それから、買い上げ機関に公的資金を導入してはならないではないかということは、幸いにして自主努力によって行われているようでございます。私が八月の経済対策のときに申しましたのは、これは本来金融機関の救済のためにやることではないのであるから、仮に、例えば税法による無税償却というようなことは場合によって考えてもいいのではないかという頭がありまして申しましたけれども、現実には、民間金融機関が自助努力で、自己責任でやる方に進んでいるように思います。結構なことであると思います。
 所得税減税は、何度も申し上げましたとおり、これはやれることなら結構なことだと思っておりますけれども、御承知のような財政事情で、どれだけ歳出を削減しましても二兆円というオーダーの金はなかなか出てこない。消費税を上げるつもりはございませんし、特例公債はやりたくないという、そういう非常に苦しい財政事情にあることを御理解をお願いしたいと思っておるのでございます。
 それから、NTTの株式につきましては、毎年度五十万株程度を計画的に売却したいということを考えておるのでございますけれども、国有財産中央審議会の答申を得て、株式市場全体に悪い影響のないように円滑に売却をしたい。本年度においては明らかにこのような円滑な売却は困難でございますから売却を見送ったものでございます。
 それから、二重権力というようなことについてもお話がございました。議院内閣制のもとで、私は国民と国会に対して責任を負って、微力ですが、国政を遂行しております。何世紀に一度という大事な転換期でございますから、政治が今ほど大きな役割を期待されているときはございません。国政を預かる責任者として、政治改革を実現しながら、今後とも内外の諸課題に真摯に取り組んでまいりたいと存じますので、引き続き御叱正のほどをお願い申し上げます。
 なお、残りの問題につきましては関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣羽田孜君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(羽田孜君) まず、公務と派閥活動について申し上げたいと思います。
 閣僚としての立場にある以上、公務を公平公正に遂行すること、これが重要であるという御趣旨から、派閥次元の行動は慎むべきであるということにつきましては私も十分に承知をいたしております。ただ、今日の政治状況の中にありまして、新しい活力のある政治を実現する、そのために政治家としての考えから活動しなければならない、そういったことにつきましては御理解をぜひいただきたいと思います。
 しかし、現職の閣僚であるという立場を十分認識しておるところでございまして、これまでも公務をないがしろにしたことは一切なく職務に精励していることを、これは申し上げさせていただきたいと存じます。
 地価税の問題について申し上げたいと思います。
 大都市圏の地価は依然として高い水準にございまして、土地問題の解決は我が国の経済社会にとりまして引き続き重要課題であるというふうに認識をいたしております。土地神話を打破して二度と地価高騰を生じさせないためにも、御指摘の土地税制を初めとする総合的な土地対策の着実な実施、これは必要であろうということを認識いたしております。
 地価税につきまして、先般の土地税制改革の重要な柱といたしまして、土地に対する適正公平な税負担を確保しつつ、土地の資産としての有利性、これを縮減するという観点から創設されたものであることを踏まえまして、来年以降の本則税率〇・三%移行を含め、着実に実施していくことが重要であろうというふうに考えております。
 なお、買いかえ特例につきましてでございますけれども、居住用財産の買いかえ特例は地価高騰の波及の原因となったということで六十三年に廃止し、かわりに軽減税率、これを導入いたしたところであります。現行の制度のもとで、三千万円の特例控除によりまして居住用財産の譲渡者の八割強が非課税となっておりまして、買いかえ特例制度の復活によりまして恩典を受けるのは譲渡益がかなり高額になる場合に限られようというふうに考えます。買いかえ特例制度を復活させるとすると、再び高い地価を下支えしてしまうということと、さらには将来における地価高騰の再発につながるおそれがある大きな問題であろうというふうに認識をいたしております。
 消費税の見直しでございますけれども、このことにつきましてはただいま総理からお話があったとおりでございます。
 ただ、今後の税率の問題ということでございますけれども、私どもは、何らかの具体的な方針、これは今念頭にないことを申し上げます。基本的には、今後の財政需要の動向ですとかあるいは税制全体としての負担のあり方などを踏まえ、そのときどきの経済社会の条件のもとで国民が選択する事柄でございまして、国民の御理解なしには安易な税率の変更を行うことは考えられないということであろうと思っております。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、昨年十月から実施されております法改正の円滑な実施、これに努めているということを改めて申し上げさせていただきます。
 なお、住宅ローンの返済につきまして、元本の八兆円を不況対策として二年間返済を延ばすように指導するようにというお話があったわけでございますけれども、この問題につきましては、金融機関と借入人、この間におきます契約に基づくものでございまして、その変更を行うかどうかはこれは当事者間の問題であろうというふうに思っておりまして、私どもの方といたしまして行政上の指導、これにはなじまないであろうということを申し上げざるを得ません。
 なお、金融自由化に関しての問題でございますけれども、自由化の進展に伴いまして、金融機関はこれまで以上に、自主的な判断に基づきまして選択した経営路線に従って経営上の創意工夫を行い、みずからの特性を生かしつつ、金融環境の変化に応じた業務展開を行う必要があろうというふうに思っております。このような観点から、民間の金融機関が今後とも自助努力によって不良資産問題の処理ですとかあるいは一層の合理化に努めていただくことを私どもは期待をいたしておるところであります。
 なお、保有する不良債権を処分した際に生ずる損失についての御指摘でありますけれども、今般、民間の金融機関が設立いたしますところの買い取り会社が金融機関から不動産担保付債権を買い取ることなどを内容とする構想の骨子が明らかにされたところでございますけれども、税務上の観点から申し上げますと、金融機関がその保有する不動産担保付債権を譲渡したことによって生ずる損失は、税務上、本来、損金の額に算入されるものでございまして、したがって、この構想におきまして不動産担保付債権の譲渡損を損金の額に算入することにつきましては、税務上、金融機関だけを特別に優遇するというものではないことを申し上げさせていただきます。
 なお、株価の対策のために公的資金の投入ということの御指摘があったわけでございますけれども、今回の総合経済対策の一環といたしまして、証券市場の活性化に資するという観点から臨時異例の措置といたしまして、公的資金の簡保事業団等を通じる指定単、これへの運用につきまして、その株式の組み入れ比率を制限しない新たな指定単を設けるとともに、財政投融資資金によりまして所要の資金手当てを行ったところでございます。
 これは、従来と同様、簡保事業団を通じまして、かつ信託銀行の判断によりまして運用がなされる指定単の形で公的資金が運用されるものでございまして、公的資金の安全確実な運用との見地からも問題がなく、証券市場活性化のための適切な措置であるというふうに考えまして、このことが国民経済全般にいい影響を与えていくものであろうというふうに認識をいたしております。
 以上、今御質問があったことについてお答えをいたしました。(拍手)
   〔国務大臣山崎拓君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(山崎拓君) 及川議員のお尋ねの件についてお答えいたします。
 住宅金融公庫における住宅ローンの元本返済を二年間一律に猶予した場合でございますが、まず、借り手たる消費者の立場に立った場合、一時的に返済負担額の軽減は図れますが、元本の支払いが後年度に先送りされるため利子負担がふえ総返済額が増加することを考慮すれば、利用者にとりまして必ずしも有利とはならないと考えます。また、住宅金融公庫にとりましては、元本が回収されないことによる貸付原資の不足を補てんするため改めて巨額な資金を手当てすることが必要となるほか相当な補給金の増加が必要となり、財政上対応することま困難であると存じます。
 以上の理由により、御提案に賛同しかねるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺秀央君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(渡辺秀央君) お尋ねの件につきましてお答えを申し上げます。
 簡保事業団を通じまして行ってまいりました現行の指定単運用につきましては、毎年の利払いが株式の中長期保有を難しくする障害となっていたため、この条件の緩和を図った新たな指定単枠を設けまして、これに補正予算で御審議をお願いしている分を含め、郵貯、簡保合わせて二兆二千七百億円を充てることといたしたわけでございます。
 株式は中長期的には安定的に収益性のある資産であると考えておりますが、今回の措置については郵便貯金事業及び簡易保険事業の健全経営の確保を図るものであると考えております。したがいまして、郵便貯金の預金者及び簡易保険の加入者のサービス向上を図るためにとった措置であることを御理解いただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣近藤鉄雄君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働時間でございますが、及川議員から御指摘がございましたけれども、実は近年着実に労働時間短縮が進行しておりまして、年率大体三十数時間でございますから、これを年率四十時間にいたしますと、五年間で二百時間、千八百時間達成になるわけでございますが、問題は中小企業でございます。
 そこで、先般本院でも成立させていただきました労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法、これに基づきまして先般も労働時間短縮推進計画を閣議決定していただきました。それに基づきまして、関係各省それぞれ御協力を得ながら具体的な時短の推進に取り組んでまいるわけでございますが、特に中小企業の場合、地域間また同一業種間の横並びの問題もございますので、こういった問題を解決するためのきめ細かな指導、援助に努める等、また個々の企業に対しましても具体的な時短関連融資を推進するとか、いろんな形の支援措置を積極的に講じてまいる考えでございます。
 労働基準法でございますが、これは現在中央労働基準審議会において労働時間法制全般についての検討を行っていただいておりまして、私どもといたしましては、本年末までに結論を得た上で次期通常国会に労働基準法改正案を提出する考えでございます。
 いずれにいたしましても、労働時間短縮は大事な問題でございますので、私、全力を挙げてこれに取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
#34
○議長(原文兵衛君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#35
○議長(原文兵衛君) 議院運営委員長から、参議院の組織及び運営の改革に関する協議会について発言を求められております。この際、発言を許します。議院運営委員長井上孝君。
   〔井上孝君登壇、拍手〕
#36
○井上孝君 参議院の組織及び運営の改革に関する協議会について御報告申し上げます。
 本院の組織及び運営の改革につきましては、昭和五十二年以降、歴代議長のもとに改革に関する協議会を設置し、協議を重ねた結果、幾多の改善策を取りまとめ、その成果を上げてまいりました。
 このたび、さきの通常選挙により院の構成が改まりましたので、本協議会の取り扱いにつきまして議院運営委員会理事会において協議をしてまいりました。
 その結果、本日の議院運営委員会において、参議院改革のこれまでの成果を受け継ぎさらに発展させるため、議院運営委員長及び各会派から推薦された二十名以内の議員をもって組織する参議院の組織及び運営の改革に関する協議会を改めて設置することに決定いたしました。
 以上、御報告いたしますとともに、本院が良識の府として真に国民の負託にこたえるため、本協議会の成果を上げることができますよう、各位の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#37
○議長(原文兵衛君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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