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1992/11/04 第125回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第125回国会 本会議 第2号
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1992/11/04 第125回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第125回国会 本会議 第2号

#1
第125回国会 本会議 第2号
平成四年十一月四日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成四年十一月四日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員岡田利春君に対し、院議をもつ
  て功労を表彰することとし、表彰文は議長に
  一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(櫻内義雄君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました岡田利春君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(櫻内義雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員岡田利春君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められたよって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(櫻内義雄君) この際、岡田利春君から発言を求められております。これを許します。岡田利春君。
    〔岡田利春君登壇〕
#6
○岡田利春君 ただいま、院議をもちまして永年在職議員表彰の御決議を賜りましたことは、まことに身に余る光栄であり、感謝にたえません。心より厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 顧みますと、この二十五年間は、激動する内外情勢の中、私にとりましてもまさに波乱に満ちた人生でありました。この間、数多くの試練を乗り越えて本日の栄誉に浴することができましたのは、先輩、同僚議員各位の御指導、御鞭撻はもとより、我が郷土北海道の多くの方々の多年にわたる温かい励ましと御支援のたまものであり、今はただ感謝の念でいっぱいであります。まことにありがとうございました。(拍手)
 私が本院に議席を得ましたのは、六〇年安保闘争を受けて池田内閣が成立し、我が党の浅沼委員長が右翼の凶刃に倒れるという中で行われた第二十九回総選挙であります。翌年には所得倍増計画がスタートし、農業基本法及び新産業都市建設促進法が制定され、我が国のエネルギー消費は石炭と石油がフィフティー・フィフティーとなり、国際収支の改善に向けて本格的な産業経済政策が展開されたのであります。
 今日、我が国は、冷戦構造の終えんから新しい国際秩序の再構築が求められる中で、経済大国として国際社会の中で積極的にその責任を果たすことが期待されています。また、我が国経済も、効率優先の経済から、社会的公正と共生を柱とした新しい経済運営への転換期を迎え、集中から分散、そして、資源循環・環境保全型の均衡ある国土の発展の実現が期待されておるのであります。
 私は、これまで、戦争体験を持つ者の一人として、我が国の平和と民主主義を守り高めることがみずからに課せられた使命であると考え、微力を尽くしてまいりました。
 しかし、今我が国の議会政治は、疑獄事件が相次いで発覚する中で、その威信はまさに地に落ちたと言わなければなりません。日本の議会制民主政治そのものが今内外から厳しく問われているのであります。まことに遺憾のきわみでございます。
 今こそ、政党、党派の違いを乗り越えて、民主政治の初心に立ち返り、政治に対する国民の信頼を取り戻すために、我々みずからがその捨て石となる決意を持って、政治腐敗防止法を制定し、真の政治改革を実現して、議会制民主政治の再生を図ろうではありませんか。
 「団結により小国は栄え、不和により大国は破滅する」と言われます。私は、今日の栄誉と感激を深く心に刻み、平和と公正を愛し、ゆとりと豊かさの実感できる社会を築くために、新たな決意を持ってさらに全力を尽くすことをここにお誓い申し上げ、御礼の言葉とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#7
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。田邊誠君。
    〔田邊誠君登壇〕
#8
○田邊誠君 私は、日本社会党・護憲民主連合を代表して、さきに行われた宮澤総理の所信表明に対する質問を行います。
 宮澤総理、私はあなたの所信表明を聞いて、深い失望を抱かざるを得ませんでした。今国民の間では、政治の現状について「複合汚染」さらには「複合憤怒」という言葉が語られております。それは、ロッキード疑獄以来、リクルート、共和、佐川と、とどまるところを知らない政治スキャンダルに対する怒り、それをみずからの力で正すことができないで来た、我が党を含むすべての政党政治、議会政治に対する不信、そして、私たち政治家のあり方にまで及ぶ国民の厳しい批判にほかなりません。そこに込められた国民の絶望にも似たやりきれない気持ちを思うとき、私は、ここに、最大野党としての重大な責任を自覚するとともに、何としても今日の議会政治と議会制民主主義の危機を打開し、国民の信頼を取り戻すための決意を新たにするものであります。(拍手)
 私は、その痛切な思いを込めて、以下の質問を進めたいと思います。総理の明快な答弁を求めます。
 第一は、佐川疑惑に関する問題であります。
 金丸信前自民党副総裁が五億円を佐川から受け取った時期は、あのリクルート疑惑を受け、当時の海部首相が、政治改革に命をかけると公約したさきの総選挙の直前でありました。国民を欺き、愚弄するも甚だしい振る舞いと言わなければなりません。
 しかも、その事実が隠しおおせなくなったとき、上申書と二十万円の罰金で済ませたことに対する国民の憤激がどれほど激しいものであったか、総理にはおわかりでしょうか。法治国家の初歩的な原則である法のもとの平等が公然と無視された事実は、まさに権力の私物化であり、形を変えた指揮権発動とも言え、我が国の検察と司法はかつてない不信と怒りを買っているのであります。(拍手)
 金丸氏側は、その五億円を竹下派の同志に配ったと言明している以上、だれにどれだけ配ったのか、その氏名と金額を明確にする責任があります。我が党は、既に市民の皆さんとともに、その配付先の氏名を特定せず、告発の手続を済ませました。もし配付の事実そのものがなければ、今度は所得税、贈与税にかかわる脱税の疑惑が生ずるのであります。
 こうした疑惑にこたえるために、当然金丸氏はこの国会に証人として出席し、責任ある証言を行うべきであります。総理大臣であり、自民党総裁であるあなたの責任に基づいて、金丸氏の証人喚問を実現すべきであると考えるが、明確な見解を述べていただきたいと思います。(拍手)
 第二に、竹下登元首相の問題であります。
 自民党総裁の地位につくに当たって、右翼、暴力団が深くかかわっていたという恥ずべき事実は、我が国憲政史上かつてない不祥事であります。この事実がどれだけ国民の政治不信をかき立て、国際社会の信頼を傷つけているか、はかり知れないものがあると言わなければなりません。
 東京佐川急便事件の裁判における冒頭陳述が事実とすれば、竹下氏が一地方の右翼の街頭宣伝にあれほどおびえて、二度までも田中元首相邸を訪れ、門前払いをされた裏に何があったのか。あの右翼団体は、何かもっと巨大な力によって操られていたのではないか。竹下氏は、表ざたになっては困る何かもっと重大な弱みを抱えていたのではないのか。まさかと思うが、暴力団への単なる説得の依頼だけではなく、その裏に巨額の金銭が動いたのではないかとさえ国民が疑っているのは当然であります。(拍手)
 総理、あなたは、所信表明において、「およそ政治家がこのような集団とかかわりを持つべきでない」と人ごとのように言われましたが、あってはならないことが現実にあった以上、まずやるべきことは真相の徹底的な究明であります。私は、総理の演説を聞いていて、「真相究明」の言葉が言もないのに唖然としました。竹下氏がこの国会に証人として出席し、疑惑に答えるのは当然であります。あなたは、みずからの手で総理大臣の権威を取り戻すためにも、竹下氏に対して証人喚問を受け入れるよう直言なさるべきではないか。なぜ直ちにそれをおやりにならないのですか。伝えられるところの政治倫理審査会でお茶を濁すなど、断じて認めることはできません。(拍手)私は、いやしくも総理の重責にあった者がこのような疑惑を受けた以上、議員辞職を求める圧倒的な世論に従い、みずから責任をとるべきであると思うが、総理・総裁としてどう対処されるのか、明確な答えを求めるものであります。(拍手)
 第三に、佐川事件に関しての疑惑は、単に金丸氏だけに限られるものではありません。違法の疑いのあるいわゆる佐川マネーのうち、明るみに出された金丸前副総裁への五億円以外に、十七億円の黒い資金が、三人の総理経験者を含む十数人の有力政治家に配られたと言われております。このことは、東京佐川急便の渡辺元社長による検察当局への供述として報道されていたのであります。総理は、自民党総裁として、進んで実態を調査し、国民の疑惑に答える責任を負っています。だれにもはばからず真相を徹底的に調査、究明すべきでありますが、総理はどのように対処されるのでしょうか。(拍手)
 第四には、宮澤総理御自身の問題であります。
 国民は、既に、宮澤総裁・総理の誕生に際して、あなたが一派閥の事務所に呼びつけられ、ひざを屈して屈辱的な面接を受けたこと、宮澤総理の地位は竹下派によって事実上与えられたことをく知っています。あなたが金丸氏の副総裁辞任をあえて慰留したり、二カ月近くも不可解な沈黙を続けた姿は、そのことを一層強く印象づけたのであります。(拍手)総理自身、いまだに未解明のリクルート事件の疑惑を残したままであり、共和事件にまつわる疑惑も、主としてあなたの派閥の政治家に向けられております。国民は、宮澤総理も同類であることについて深い疑念を抱かざるを得ないのであります。それは違うとおっしゃるなら、この際、きちんと解明していただきたい。(拍手)
 総理、「信なくぼ立たず」と申します。今や佐川スキャンダルにかかわる政治不信の解消は、我が国における議会政治の存在意義が問われている重大事であります。したがって、以上四点に集約した私の質問に対しては、国会がお決めになる問題などと責任を回避することなく、明快な回答を要求したいと思います。(拍手)
 次に、同じく所信表明で総理が「不退転の覚悟」と明言された政治改革についてお尋ねいたします。
 私は、佐川事件の全容解明、責任の明確化を前提とした上で、まず、できるところから、国民の目に見える政治改革の課題を着実に推し進めるべきだと考えます。
 既にさきの国会において、与野党協議の結果、政治改革に向けた十八項目について合意されています。しかし、それだけでは極めて不十分であり、国民の不信をぬぐえないものであることは明らかであります。したがって、今国会では、この十八項目の法案化に加え、一つには、政治資金規正法、公職選挙法の違反者に対する罰則の強化、贈収賄など腐敗行為者に対する公民権の停止、議員資格の剥奪、二つには、連座制の拡大による公民権の停止及び衆議院五年、参議院七年の立候補制限、三つには企業・団体献金の禁止と政治資金の透明化の三つを重点に実現を図る必要があります。一挙に全部が無理でも、具体的なプログラムを立てて、国民の納得できる、目に見える改革を積み上げるべきであります。(拍手)
 私はまた、企業・団体献金禁止の実効性に見合って、政党活動への公的資金による助成の方策を考えることは、国民に理解と協力をお願いできるだろうと思います。そうしたプログラムと方策について、総理の具体的な構想をお聞きしたいのであります。
 国民の不満が大きく、また最高裁が違憲と断じている衆議院の定数是正は、極めて重要かつ緊急の課題と言わなければなりません。我が党は、既に二倍以内を原則とする抜本的な是正案を策定し、自民党からは九増十減案が提示されました。違憲状態の解消は国民が大きく期待しているところであり、我が党は違憲状態解消に向けて積極的に協議に応ずる用意があります。その際、一五八六年の国会決議を守ることを基本に二人区、夫人区の解消に努めることを再確認したいと思います。(拍手)
 次に、国会の改革について総理の所見を求めたいと思います。
 総理、国民の政治に対する大きな不信を取り除き、国会への期待感を取り戻すためにも、現在の国会の制度と運用を根本から変革しようじゃありませんか。国権の最高機関としての機能をよみがえらせ、充実した審議が行える体制を整えてこそ、国民の信頼を回復することができるのであります。
 ところが、これまで私たち政治家が慣例とし、当たり前としてきたことが、国民の気持ちからいえば、わかりにくい、不明朗という批判の対象となっています。したがって、この批判にこたえ、市民の常識が通用し、国民が理解できる国会に改革することは、政治改革の重要な柱と言わなければなりません。(拍手)
 私は、密室政治、国対政治と言われてきた過去の反省に立ち、その弊害を除去するため、国会のすべての機構をガラス張りにし、正規の委員会はもちろん、政党間協議を含めて、この際、一気に完全公開に踏み切るべきであると提案いたします。(拍手)
 これとあわせて、国会が国民注視の中で開かれることを考え、国会の節目節目で各党首脳による、議論を一切制約しないラウンドテーブル方式の政治改革首脳会議を随時開き、徹底討論を行うことを提唱します。総理の所見をお聞きしたい。(拍手)
 今自民党内には、疑惑解明という政治家個人にかかわる責任の問題を選挙制度の問題に流し込み、しかも、その制度をさらに小選挙区制の問題に絞り込もうとする動きがあります。つまり、政治に金がかかるのはすべて現行の中選挙区制度のためだという議論でありますが、これが問題のすりかえであることは言うまでもありません。(拍手)およそ議員たるものは、いかなる選挙制度のもとであれ、法とルール、市民の常識の範囲内の資金で活動を行うのは当然のことであります。
 私は、念のためそのことを申し上げた上で、数年間の具体的なスケジュールを設けて、選挙制度の抜本的改革に至る各党間協議を進めるべきであることを考えております。その際、民意を最も的確に反映できる、金がかからない、各党が一致できるという三つの原則を生かすため、比例代表制を軸に協議すべきだと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。(拍手)
 総理、この臨時国会のもう一つの課題は、バブル経済の破綻以来、長引く不況に対して一刻も早く適切な施策を確立することであります。しかも、それは同時に、経済の宮澤を自認してきたあなたの就任一年間の実績を問い直すことでもあります。それは一言で言って、残念ながら惨たんたる実績と言う以外にありません。国際公約でもあった三・五%成長は既に破綻し、たび重なる景気刺激策はその都度市場に裏切られ、政府の経済政策は不信任を突きつけられているも同然ではありませんか。今日の「複合不況」と呼ばれる状況の根底には、政治不況が横たわっていると指摘せざるを得ないのであります。
 もともと現在の不況の原因は、八〇年代後半のバブル経済そのものの中にあり、そのバブル経済を招いたのは、かつての中曽根内閣における宮澤大蔵大臣、あなたが進めた経済運営の結果であります。(拍手)財政再建至上主義から金融政策に過度に依存し、その超低金利政策によって株や土地の投機を横行させ、その中でいかがわしい企業や暴力団までが仕手や地上げに進出してぼろもうけをする、そこに政治権力が絡むといったゆがんだ構造をつくり出したことが、今日の佐川事件にも尾を引いていると言っても過言ではありません。そのミスリードを少しも反省せず、責任をとることもなく、今になって不況対策に取り組むと言っても、果たしてどれだけ国民の信頼を得られるでしょうか。(拍手)
 宮澤内閣は、いわゆる総合経済対策を不況対策の決め手にしようとしています。だが、その手法は、バブルを招いた手法の焼き直しでしかなく、相も変わらず従来型の公共事業へのてこ入れに偏り、不況の最も深刻な被害者である国民の生活を考えるよりも、不良債権を抱えた金融機関の救済の方に異常な熱心さを示しています。このような施策が宮澤総理の掲げる「生活大国五か年計画」と一体どのような整合性を持つのか、率直にお尋ねしたいと思います。(拍手)
  総理が五カ年計画の目玉とされておる住宅政策、平均年収の五倍程度で買える良質な住宅取得を容易にするには、何よりもバブルで異常に高騰した地価を以前の適正な水準に引き下げるのが早道であります。普通のサラリーマンの感覚で言えば、大都市圏の地価はまだまだ手の届くところにはなく、職場から一時間程度のところにマイホ――ムをというささやかな願いも見果てぬ夢にとりまっております。ところが宮澤内閣は、資産デフレ対策を口実として、地価の下落をとめることに政策の方向を定めようとしております。
 私は、資産デフレに立ち向かうには、市場への強引な介入ではなく、減税や購買力水準の引き上げによって実体経済での需要の回復を誘導することが先決と考えるが、この点、総理はどのような見解をお持ちでしょうか。(拍手)
 とりわけ、大胆かつ大幅な減税の実施が必要であります。(拍手)我が国では、所得税減税は一九八八年度に消費税導入の見返りで実施されたのを除けば、八四年度以降八年間も見送られております。そのため、昨年のサラリーマンの所得税負担率は実に三十四年ぶりの高水準を示し、この実質増税による重税感が消費意欲を減殺させていることは明らかであります。我が国GNPのほぼ六割が個人消費に依存していることを考えるならば、その需要を誘導する所得税減税こそ、景気浮揚のニーズにかなう第一の政策手段でなければなりません。(拍手)
 また、バブルの直接の被害を受けてきた庶民のための住宅減税、生活費の中で避けることのできない重い負担となっている教育費への減税など、いずれも国民の切実な要望となっているのであります。宮澤内閣は、何ゆえそうした当然の減税政策から顔を背けられておられるのか。財源がないとおっしゃるのですか。
 我が党は、既に現実的な視点で減税財源について検討を加え、成案をまとめていますが、要は、総理がやる気になり、防衛費など不要不急経費の縮減や、行財政運用の簡素化に踏み切るならば、そこから減税財源は捻出できるはずであります。ただ、一部で取りざたされておる消費税率の引き上げは断じて認められません。(拍手)消費税は、少なくとも飲食料品の全段階非課税など、緊急是正を速やかに実施すべきであります。総理はどうお考えか、御見解を求めたいと存じます。(拍手)
 宮澤内閣の「生活大国五か年計画」は、その冒頭に、ゆとりある生活を掲げています。けれども、今国民生活の実態にどれだけのゆとりを見ることができるでしょうか。東京都の調査では、都民の四六%が自分を過労状態だと思い、六〇%以上は身内の過労死を恐れています。この調査が示す都民の不安は、アメリカに比べて一年間に百七十六時間、ドイツに比べれば五百二十六時間も長く働かされている我が国労働者の偽りのない実感であります。しかも最近は、不況の中で倒産件数が記録的に増大、雇用不安も深刻化して、生活実態からも心理面でもゆとりを失いつつあります。
 これからの高齢化社会を控えて、お年寄りからもゆとりは奪われようとしております。既に総理の諮問機関である社会保障制度審議会の専門部会は、九四年度以降二〇一〇年までに、厚生年金などの支給開始年齢を六十歳から六十五歳まで引き上げるとの意見をまとめました。総理は、この意見どおり受け入れるつもりはないと思うが、どうか。
 また、今のお年寄りにとって一番大事なのは、家庭や地域で暮らしを営むため、必要なとき、必要に応じて地域介護者が派遣されることですが、そうしたマンパワーの深刻な不足を解消する手だては整っていますか。
 総理、あなたの描く生活大国は、関連予算の編成を見ても、一律漸増のシーリング方式による財政構造は旧態依然であり、しかも縦割り中央集権、縄張り主義の弊害が目に余るのであります。
 そこで総理、私は、今こそ思い切って地方分権、自治体重視の予算編成に転換すべきと考えるものであります。(拍手)住宅、土地、町づくり、そしてコミュニティーに根づいた高齢化社会の方策など、生活に密着した施策を本当に実効あるものにするには、自治体を中心とする市民参加が不可欠であり、それがまた政官財の癒着による利権構造を根本から断ち切る道でもあります。この際、総理のお考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 また、地域経済を支え、国土保全に大きな役割を果たしてきた日本農業は、今危機的な状況にあります。ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の最終段階に当たって、我が国の米を初めとする農産物の市場開放圧力に屈することなく、これまでの基礎的食糧の自給体制を守る基本方針を貫くべきであると思うが、総理の確固たるお考えをお聞きしたいと思うのであります。(拍手)
 私はここで、軍縮の問題についても触れておかなければなりません。
 今冷戦の時代が終わり、世界の大勢は和解と協調、軍縮の時代に向かっています。ところがアジアを見るに、アメリカとロシアの北太平洋における海洋核戦力の削減はまだ緒についておらず、北方領土問題、南北朝鮮問題、台湾問題など、冷戦時代の後遺症ともいうべき対立要因も完全には取り除かれておりません。こうした状況のもとで、アメリカ、ロシアを初め軍事強国はアジアを不要な武器の乱売市場とし、それが新しい緊張さえ呼び起こしかねない様相となっています。
 総理、今我が国に問われていることは、アジア・太平洋地域にポスト冷戦の新しい平和と安全のため、国際秩序を打ち立てるリーダーシップの発揮であります。
 そのため、第一には、私たち日本国民が戦後一貫してみずからの生き方としてきた憲法第九条と前文の精神によって、すなわち国際紛争の解決に当たって決して武力を用いず、話し合いによって諸国民の調和を図らなければなりません。この大原則を、アメリカ、ロシアを含めたアジア・太平洋地域全体の合意にまで高めていくための積極的な外交の展開が必要であります。(拍手)
 第二に、それを説得力あるものにするには、まず、我が国がみずから率先して思い切った軍縮を実行しなければなりません。防衛庁当局者でさえ、旧ソ連の脅威は消滅しつつあることを認めざるを得なくなっている今日、宮澤内閣はなぜ、事実上旧ソ連を仮想敵国とした防衛計画大網にこだわり、防衛費の削減に踏み切れないのか、その理由をお聞きしたいのであります。(拍手)
 第三に、防衛費削減を実行し、それによってもたらされるいわゆる平和の配当を、アジアの新しい平和と繁栄、国内の生活大国実現のために積極的に活用するプログラムを明らかにすることであります。これこそ二十一世紀の人類社会に向かって我が国がなし得る最大の国際貢献であると考えます。(拍手)
 今日、ポスト冷戦の新しい国際関係の中で、新時代に即応した経済、文化の積極的貢献を含む総合的な安全保障構想が求められています。それは、我が国民の合意できる憲法の許容範囲を明確にしたものでなければならず、私は、この構想をアジアと世界に対するメッセージとして、積極的な平和外交の展開を図るべきであると考えています。総理の見解を求めます。
 一九九五年は、第二次世界大戦の終結五十周年に当たります。そのときまで残された時間はわずかしかありませんが、この間、我が党が提唱してきた「国権の最高機関である国会において過去の侵略戦争についての反省と謝罪の決議」を行うとともに、従軍慰安婦、強制連行の問題を初め戦後補償の問題に決着をつけるよう、すべての努力を集中しようではありませんか。(拍手)その上で、この一九九五年にアジア諸国の首脳を胸を張って東京に迎えて、アジア・サミットを開催することができれば、それこそ総理、本当の意味でアジアの戦後を終わらせて、二十一世紀に立ち向かっための歴史的な出発点にすることができると考えます。総理の見解を求めます。(拍手)
 宮澤内閣は、第百二十三回国会でPKO協力法を強引に成立させ、早速自衛隊をカンボジアに派遣しました。しかし、自衛隊の組織ごとの派遣に対しては、現在なお憲法上の疑念が払拭されず、加えて、国民世論は二分されたままであり、しかも周辺諸国の懸念は根強く残っているのであります。
 PKO協力法には、紛争当事者の停戦合意を含む、いわゆるPKO参加五原則というものが取り入れられています。政府は、自衛隊のカンボジア派遣に当たって、国際平和協力業務実施計画を発表し、武力紛争の停止及びこれを維持するとの紛争当事者間の合意は満たされているとの現状認識を示しました。だが皆さん、現在、ポル・ポト派は武装解除を拒否し、総選挙のボイコットさえも想定されています。また最近では、ポル・ポト派のゲリラ部隊が首都近郊の都市を攻撃したとの報道も流されました。紛争当事国の停戦合意は既に崩れ去っています。このことは、政府の自衛隊派遣の前提条件が失われたことを意味しますが、総理はこの現実にどう対処されるのか、所見をお聞きしたい。(拍手)
 もはやカンボジアヘの平和協力を政府だけにゆだねることはできないと考えます。したがって、国会が各党推薦の民間人を含めた合同調査団を派遣し、カンボジアの現状を把握すべきであることを、この際、提案したいと思います。(拍手)
 最近、政府内には、自衛隊の国際貢献業務を自衛隊法三条の本来業務に加えるべきだという意見もあります。しかし、本当に必要なのは、自衛隊の一部を切り離して総合的な国際協力業務を行う組織をつくることであり、この考え方は一昨年の自公民三党の合意とも一致するものであります。この方向に沿って、自衛隊派遣方針とPKO協力法そのものを抜本的に見直すことを要求します。総理の明快な答弁を求めたい。(拍手)
 総理、アメリカ大統領選挙は、ブッシュ大統領の敗北、クリントン氏の圧勝の結果が伝えられております。我々は、この際、対米外交に新しい思考が求められるところへ来たと思いますが、総理のこの大統領選挙の結果についての所見をこの際お聞きしておきたいと思います。
 さて、質問を終えるに当たって改めて申し上げます。
 総理は所信表明で「志は易きを求めず、事は難きを避けず」と述べられましたが、あなたのこの間の言動は、むしろ、志はやすきを求め、事はかたきを避けているのではありませんか。(拍手)
 今問われているのは、憲法に定められた国権の最高機関たる国会に対する内外からの根底的な不信であります。この不信の解消なくして内外の政策も成り立たない地点に今私たちは立たされており、政治家としての存在意義そのものが問われているのであります。
 したがって、もし総理のお答えが不十分であれば、私にはあえて再質問の用意があることを申し添えて、終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 政治と金をめぐる問題、あるいは政治家のあり方の問題等を契機とした国民の政治不信は、御指摘のようにかつてお互いが経験したことのないほど深刻なものである、痛切に感じております。また、政治改革がその実を上げていない現状に対する国民の批判も強いものがあると思います。今ここで政治への信頼が回復されなければ、我が国の将来に大きな禍根を残すことをお互いに憂えるものでございます。この点は委員長の御指摘、私もそのように考えております。
 次に、金丸前議員に対する政治資金規正法違反の問題についてでございますが、検察は、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠により犯罪の嫌疑が十分認められたものについて、罰則の法定刑の枠内で適正に公訴権を行使することを職責としておることは申すまでもないことでございます。金丸前議員に対する本件違反においても、このような検察の職責を適正に果たしたものであり、これが法のもとの平等に反するものとは考えておりません。
 なお、本件について、いかなる意味においても指揮権発動その他の政治的影響を受けたことはないものと確信いたします。
 次に、先日の所信表明において、私は、国民の政治不信を招く事態が生じたことについて、国民の疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければならない旨申し述べたところであります。
 真相解明は重要なことであります。現在、自民党としても真相解明について努力中でございますが、国会では既に各党が真相解明のための場をつくるべく御協議がなされていると承知をいたしております、政府としても、御審議に全面的に協力をいたすべきことはもちろんでございます。
 次に、金丸前議員は五億円を政治資金として受領したということでございますが、その使途については検察当局が捜査中であると承知をいたしております。その推移を見守る必要がございます。
 次に、竹下元総理の進退について御言及がございました。
 本件は、事実関係の解明にまたなければならない問題と思いますが、いずれにしても、議員の出処進退、長い間の有権者との信頼関係に基づいておるものでございますから、これは御本人と有権者との、第一義的にはそういう問題であると思います。
 次に、いわゆる十七億円の資金についてお尋ねがございました。
 金丸前議員への五億円以外にも東京佐川急便から十七億円が十数人の政治家に配られたと言われ、このことが東京佐川急便の渡辺元社長による検察当局への供述として報道されたことは承知をいたしております。検察当局としては、東京佐川急便の渡辺元社長その他の関係者について必要な捜査を行ったものの、これまでのところ、金丸前議員に供与された五億円に係るもの以外には、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足りる事実は確認できなかったと承知をいたしております。
 なお、いわゆる共和事件及び私自身のことに関して御指摘がございましたが、もとより、私自身深く反省、戒慎をいたしております。
 次に、政治改革の問題につきまして、いわゆる十八項目に加えまして、公選法等の罰則強化等を実現すべきであるということについて御質問がございました。
 この政治改革実現のための具体的方策をめぐりましては、これまで政治改革協議会において各党間で熱心な御協議をいただいてきているところでございます。既に与党と大方の野党の間で合意を見ている緊急改革のための具体策が、前国会で御承知のような事情で成立をいたしませんでしたので、今国会で早急に実現されることを念願いたします。
 御指摘の諸事項のうちには、政治資金規正法の罰則強化、連座制及び公民権停止規定の強化、企業・団体献金の禁止など、既に政治改革協議会の実務者会議で御協議いただくことになっているものが含まれていると承知しております。これらにつきまして各党間で十分に御協議をいただき、合意が得られ次第、今国会で実現されることを念願をいたします。
 なお、これはいわゆる緊急改革に関するものでございますが、選挙制度の問題等を含めた抜本改革については、自民党では、この十一月を目途に政治改革の基本方針として取りまとめるべく、ただいま党内論議を重ねているところでございます。このことを踏まえまして、引き続き各党間で十分な御協議をいただき、できるだけ早期に具体化が図れますよう念願をいたします。政府といたしまして、改革実現のために最大限の努力をいたしますことはもちろんでございます。
 次に、衆議院の定数是正についてお尋ねがございましたが、衆議院議員の定数是正は、格差の現状、最高裁の考え方等に照らしまして、ただいま緊急にぜひともなし遂げなければならないという考え方に立ちまして、自民党として、政治改革協議会に九増十減案を提案しているところでございます。今国会の実現に向けて各党各会派の御理解と御協力を切に念願をいたします。
 なお、抜本的な定数改正につきましては、選挙制度のあり方との関連も含めて、今後、各党間で十分な御協議をいただきたいと存じます。
 政治は国民のためにあるものであり、国会は市民の常識が通用し、国民が理解できるものでなければならないとの委員長の御指摘には同感でございます。
 国会改革については、これまで議会制度協議会等の場において与野党間で協議が行われており、テレビ中継の充実等の成果を上げておりますが、今後とも実りある成果が得られるように期待をいたします。
 なお、ラウンドテーブル方式の政治改革首脳会議についてどう考えるかということでございますが、政治改革の課題は、政治倫理の問題を初め政治資金制度や選挙制度の改革、国会の改革など、広範多岐にわたるものでございます。したがいまして、各党間で十分御協議をいただいており、またいただくことが必要でありますが、しかるべき段階において首脳間の意見交換をお願いすることは極めて有益なことであると考えます。
 なお、選挙制度について、比例代表制を軸に数年間の具体的スケジュールを設けて協議すべきと思うがいかんということでございましたが、選挙制度のあり方につきましては、各党におかれてもいろいろお考えがあるということは承知をいたしております。私どもも、党内の考え方をいわゆる抜本的改革として近くまとめたいと考えておりますが、その上で各党間で十分御協議をいただいて、早急に具体化が図られるように念願をいたします。
 次に、経済問題でございますが、いわゆる「生活大国五か年計画」におきましては、個人が文字どおり豊かな生活、生活の豊かさを実感できる、そういうことを目指すことを重要課題として位置づけております。このたびは、この五カ年計画で示された考え方を総合経済対策の中に実現をいたしまして、公共投資等について、国民生活の質の向上に重点を置いた分野にできる限り配分をいたしました。総事業費八兆六千億円に上る追加を行うこととしておりますほか、民間設備投資の促進の中で、いわゆる労働時間の短縮を考えておりますから、それによる省力化、あるいはエネルギーの現状にかんがみまして、省エネルギー化等々の設備投資を特に優先的に促進したいと考えております。これらは生活大国の実現というものの線に沿った配慮であります。
 なお、このたびの対策における金融面での諸施策は、金融機関等の救済を目的とするものではなく、金融機関の自助努力を基本としながら、我が国金融システムの安定性の確保あるいは資金の円滑な供給を図る、何といっても金融というのは国民経済の血液でございますから、国民経済的観点から盛り込まれているものでございます。金融機関の救済をするといったようなことが目的であるわけではございません。
 次に、資産デフレ対策は不動産市場への介入ではないか、あるいは減税等についてお尋ねがございましたけれども、このたびの総合経済対策で、もとより私どもは、いわゆるバブル経済への逆戻りあるいは地価への悪影響等々、そういうことがありませんように当然考えておりますが、このために、公共用地の先行取得は、地価動向に十分配慮しつつ、現在の地価を反映した適正な価格で行われるように所要の措置を講じておりますし、また、民間金融機関による担保不動産の流動化のための方策につきましても、客観、公正な価格を厳しく考えまして不動産担保つき債権の買い取りが行われるように、そのように指導をいたしてまいります。
 また、公共投資等の拡大や民間設備投資の促進のための施策などは、景気浮揚効果が期待され、またその波及効果が個人の消費の拡大に影響を及ぼすと考えておりますが、なかんずく住宅投資につきましては、これは良質な住宅ストックをつくるということももとよりでございますけれども、総合的な消費需要を起こすという点で大きな力を持つものと考えております。
 なお、これらの施策を実施いたしますために、今回、平成四年度補正予算の提出をいたしました。予算の一刻も早い成立ができますように、御審議をお願いいたしたいと存じます。
 次に、所得税の減税についてお話がございました。
 所得税減税をどう考えるかということは、いろいろ確かに御議論のあるところでございます。これは、各党各派の中にも、また一般に、世間にも賛否両論あるところでございますが、私が従来、今日まで考えてまいりましたことま、何といっても今財政事情というのは非常に厳しゅうございまして、大きな所得税減税をいたしました場合の財源をどうするかということは、もとより私自身は消費税の増徴ということを考えておりませんので、したがって、この財源措置をどうするかということは、やはり特例公債を考えるかということになっていきます。そのことの将来にわたる影響を考えますと、なかなかこれは簡単に踏み切れないということは、その点は御理解がいただけるであろう。
 むしろ、先般の昭和六十三年度における大幅な税制改正の結果として、いわゆる中低所得者層を中心とした重税感あるいは負担の累増感というものは大幅に軽減されましたし、今の我が国の課税最低限というのは、御承知のように先進国の中で非常に高くなっておりますから、決して我が国の所得税負担は重いとは申せないということがございますし、また、ただいまの景気対策であれば、例えば住宅建設を促進することによって、そこから起こる総合的な需要の方が景気浮揚対策としては効果があるのではないかというふうにも考えておりまして、そういう意味で、この際の所得税減税ということに、私は、いわばこれはよほど考えなければならないという立場をとっておりますわけでございます。
 この減税財源でございますけれども、まあ防衛関係費等々もあるではないかということがございまして、それは防衛関係費も十分に切り詰めまして、徹底した制度、施策の見直しもいたしますけれども、それでも現在のような厳しい税収のもとでなかなか所得税減税をするという大きな財源を見つけることは難しい。
 消費税率の引き上げということがよく言われますけれども、これは簡単に、私は消費税の税率を変更することはすべきではないというふうに思っております。
 昨年の十月から法改正がございました。これを円滑にやってまいりたい。消費税の飲食料品の問題につきましては、昨年十月の各党協議会において各会派の意見の一致は見られなかったということでございますので、それを踏んまえて今日まで円滑な実施に努めてまいっておるところでございます。
 ただいま税率を引き上げるというようなことを考えておりません。
 厚生年金などの支給開始年齢を六十歳から六十五歳に引き上げる点につきまして社会保障制度審議会の提言があった、どう考えるかということでございますけれども、高齢化が急速に進展をしてまいります。しかも、給付水準は適切なものでなければならないし、また、高齢化を見込まれる今の段階で後代の負担というものも、これも限度がございます。といたしますと、段階的に支給開始年齢を引き上げていくことは、まことに残念ですが、私は避けて通れない課題ではないかというふうに思っております。
 なお、これは、今後の年金財政の問題にとどまらず、長寿社会における高齢者の方々の生活のあり方とも関連をいたします。そのような雇用の状況も勘案しながらよく検討を進めてまいります。
 老人のための地域介護の問題との関連でホームヘルパー等のお話がありまして、確かに、高齢者が自分の住みなれた地域あるしは家庭にできるだけ暮らしてもらいたい、これが高齢者保健福祉、いわゆるゴールドプラン十カ年戦略の考え方ですが、在宅ケアの必要性がますます高まってまいります。その重要な担い手は、おっしゃるようにホームヘルパーでございます。この確保ということは非常に確かに難しい。難しい問題ですが、手当額を大幅に引き上げる、あるいは人材確保のための法的整備を先般行ったところでございまして、これはもう全力を尽くして必要なマンパワーを確保いたしたいと存じます。
 地方分権、自治体重視への予算編成の転換につきましては、仰せられるとおりであります。
 住民に身近な事務はできるだけ住民に身近な地方公共団体に処理をしてもらいたい、また行財政改革からいいましても、中央がたくさんの権限を持たずに、できるだけ中央から地方へ分権をするということは大切なことだというふうに私どもも考えております。
 それから、今後のアジアの地域、いわゆる冷戦が終わりました後、我が国こそは、従来、憲法の掲げる平和主義、国際協調主義を実践してきた国として、この冷戦後の時代に積極的な外交をアジア・太平洋地域の諸国に対しても展開をすべきであると思います。このような新しい変化がございましたので、今後のアジア・太平洋地域の平和と安定のために何をすべきか、あるいはどのような構想を持つべきかについて、新たな観点から真剣に検討をいたしつつございます。
 なお、防衛費の問題につきまして、旧ソ連の脅威が消滅しつつある中で防衛費についての削減の配慮が足りないという御指摘でありました。
 我が国の防衛計画の大綱は、御承知のような基盤的な防衛力を整備することにございますから、そういう意味では仮想敵国を持っていたわけではありません。しかし、このようなソ連の解体に見られるような、情勢は激動しつつございますから、昨年末、中期防の修正につきまして前向に所要の検討に着手をいたしました。現在検討は精力的に進められておりますが、既に湾岸戦争当時の削減措置が一千億円ございましたが、それに加えましてさらに下方修正の方向で検討を進めてまいりたいと思っております。
 所信表明に述べましたとおり、歴史の大きな流れが平和へと向かっていることは間違いございません。新しい平和秩序の構築において、平和、自由、繁栄という世界共通の目的に向かって各国がこれまで以上に協力を行っていくべきだと思います。
 その場合に、我が国の過去の侵略戦争についての反省の問題について御指摘がございました。前国会でもいろいろに御議論があったところでございます。
 いわゆる従軍慰安婦等につきまして、筆舌に尽くしがたい辛苦をなめられた方々に対して、我々としてこの気持ちをどのような形であらわすべきかについて、各方面の御意見を聞きながら誠意を持って検討をいたしておるところでございます。
 なお、カンボジアの問題につきまして御指摘がございましたが、散発的なあるいは局地的な事件が伝えられますけれども、いずれも停戦の前提を危うくするようなものではないというふうに考えております。また、ポル・ポト派自身がパリ和平協定を遵守する旨を明らかにいたしておりまして、全面的に戦闘を再開するといった行動に出ているわけではございませんので、客観的な状況が変わっておるとは思っておりません。
 なお、先般、首都近郊ヘロケット砲撃をポル・ポト派が行ったという報道がございましたが、このたびUNTACは、そのようなロケット弾の攻撃はなかったということを公式に発表をいたしましたことをつけ加えておきます。
 自衛隊が今カンボジアで活動をしておりますことにつきまして、やはり私どもは、自衛隊が長年にわたって蓄積してきた技能、経験、組織的な機能を活用することが大事であると考えておりまして、もとより法律の運用につきましては慎重にこれを行ってまいりますが、ただいま自衛隊の活動につきましては、大多数の国民の理解と支持を得ているものと考えております。
 最後に、米国の大統領選挙につきましてお尋ねがございました。
 つい先ほど、ブッシュ大統領が敗北を宣言されたという報に接しました。クリントン知事が当選されましたことを心からお祝いを申したいと思います。
 クリントン知事は、選挙の期間を通じて、いわゆる今の世界情勢におけるアメリカのリーダーシップ、指導力ということについて非常に強く強調をしてこられました。まさに激動する国際情勢の中で米国の指導的役割を期待をいたしたい。その知事に米国民の信託が与えられたものというふうに考えております。
 日米関係は、我が国外交の基軸でありますから、政府としては、日米関係の、両国関係の今後とも円滑な運営に努めるとともに、両国が共通して持っております国際的な責務につきましても相協力して努めてまいりたいというふうに考えております。
 ブッシュ大統領の残任期、まだございます。ブッシュさんが国際情勢の激動期にすぐれた指導力を発揮されたことに敬意を表しますとともに、その残任期の間も日米関係を着実に進める所存でございます。(拍手)
#10
○議長(櫻内義雄君) 田邊誠君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。田邊誠君。
    〔田邊誠君登壇〕
#11
○田邊誠君 宮澤総理の答弁を聞いて、私は一年間宮澤さんに持ち続けてきたわずかな期待というものを絶たれた気がいたします。
 あなたは、今日の政治に対する大きな危機感というのをお持ちでしょうか。しかも、今、日本の民主政治の根底が揺らいでいるということに対して、あなたは十分な御認識を持たないことを私は大きな悲しみと憤りを覚えざるを得ません。(拍手)
 宮澤総理、あなたが国権の最高権力者としてこの状況の中で一つの決断を示せば、我々はあなたと痛みを分け合って、今日の事態の打開に向かってともに邁進しようと思ってまいりました。しかし、このような、あなたの相も変わらない官僚型の答弁をもってしては、今日の事態を解決することは到底不可能であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 我々は、この国会において宮澤総理が大いなる決断を示さなければ、国民の名におき、国民とともに宮澤内閣の退陣を求めた行動を展開せざるを得ないと思うのであります。(拍手)
 私の発言に対して再びおざなりの答弁をしても何の役にも立たない。私はあえて、皆さんとともに、この国会における使命に目覚め、断固として頑張り抜くことをお誓いし、宮澤内閣の早期の責任を明確にすることを……(発言する者あり)
#12
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。
#13
○田邊誠君(続) あえて求め、宮澤内閣の……(発言する者あり)
#14
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。
#15
○田邊誠君(続) 退陣まで断々固として行動することを通告をして、私の発言を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 田邊委員長から御質問の冒頭に、ただいまの政治危機について国民の持っておられる根深い政治不信について御指摘があり、そうして、いかにそれが我々にとって緊急の問題になるかというお話がございました。その点は私も思いを同じくいたしますし、委員長が言われましたように、まさにこれは一党一派を超えて、お互い政治に身を奉ずる者全部にとっての危機である、我々がお互いにこの問題に力を合わせて対処しなければならないと言われましたことは、私の深く共鳴をいたすところでございます。
 私といたしましては、この危機を打開し、政治改革を果たし、国民の信頼を回復いたしますために、一身を挺して努力をいたす覚悟でございます。どうぞお力添えをお願いを申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(櫻内義雄君) 亀井静香君。
    〔亀井静香君登壇〕
#18
○亀井静香君 私は、自由民主党を代表して、宮澤内閣総理大臣に質問を行いたいと思います。
 総理、総理は、まさに歴史の大転換期のさなかに、郷党と国民の輿望を一身に担われて登場されました。自来一年、世界は激動に激動を重ねております。今や、銀河系の小さな惑星に我々人類がいつまで住み続けることができるか、そうした命題を突きつけられながら、世界の同時不況、新たな南北問題、旧ユーゴ、中東等に見られるような人種、宗教の対立に伴う紛争、さらには飢えと貧困といったさまざまな困難な状況があります。
 今世紀は、資本主義経済の発達とともに、社会主義思想が多くの人々の心をとらえ、幾多の革命運動、民族解放闘争がしょうけつをきわめ、多くの悲劇を経験いたしました。そうした中で、今日、ソ連邦を初めとする社会主義体制が崩壊、米ソの対立による核戦争の恐怖から解放され、人類は新しい価値観と展望を迎えるに至りました。私たちは、そうした未来を切り開く上で、過去の歴史に学ばなければならないと思います。自由と公正を旗印とする自由主義が勝利をしたとは言え、いたずらに過去の革命運動を批判、冷笑して、市場経済への賛歌をうたいとげるだけではなく、資本主義体制に内在する弱肉強食の非人間的な側面を冷静に見据え、いかにそれを克服をしていくかということが重要であります。(拍手)
 今や我が国は世界のトップランナーの立場にあります。総理、あなたはただ単に我が国のリーダーというだけではなく、人類のより豊かな社会への実現を目指す世界のリーダーとしての歴史的な使命を帯びておられます。(拍手)まずもって総理の決意のほどをお伺いをいたします。
 総理も所信表明で、何世紀に一度という歴史的転換点にあって、世界も日本も、かつてない変革を迫られており、今ほど政治が大きな役割を期待されているときはないと述べておられます。そのとおりでありますが、残念ながら、今日、国民の政治不信は頂点に達し、今ほど政治改革を求められておるときはありません。
 そのさなか、去る十月十九日、長谷川峻自由民主党政治改革本部長が逝去されました。恩師中野正剛先生より引き継がれた憂国慨世の情熱と不撹不屈の信念で、さまざまな利害と障害を排し、健全な議会制民主主義の確立に生命を燃焼し尽くされました。故長谷川本部長の御冥福を心からお祈りを申し上げます。私どもは、志半ぱでの戦死ともいうべき長谷川先生のしかぼねを乗り越えて、今こそ政治に対する国民の信頼を回復する思い切った改革を断行しなければなりません。
 今、政治と政治資金の関係が厳しく問われております。政治資金として絶対に受け取ってはならない三つの原則があります。外国及び外国人からの政治資金、それ以外の違法な政治資金、道義的に非難される政治資金であります。
 政治家に一般国民以上の強い倫理性が求められることは当然のことであります。しかしながら、近年、極めてアブノーマルな状況が起きております。かつてリクルート事件に関連し、あの清廉の士である故長谷川峻先生が、法務大臣に就任してわずか一週間で辞任するという事態が起こりました。
 社会的にも評価を受けている企業や個人が政治家の予期しがたい事件や問題を起こした場合、はるか遠い過去にまでさかのぼって政治家との問題を追及する、いわば魔女狩りのような風潮が蔓延をしていることであります。とのことは、政治倫理の実質的基準をあいまいなものとしております。一見、政治倫理という社会正義のやいばを振りかざしながら、その実、人を見れば泥棒と思えに類する暗い人間観を前提とした政治活動を要求するものであり、このことは善意に満ちた明るい社会を目指す政治には逆行するものであります。
 東京佐川急便事件に絡んで、我が党の金丸前副総裁が政治資金規正法違反で略式命令を受けたことは、まことに遺憾なことであります。金丸氏は、みずから党副総裁の職を辞するのみではなく、議員まで辞職するというまことに重いけじめをつけられました。
 また、いわゆる皇民党問題に関し、政界と暴力団の関係が取りざたされております。総裁選挙に関し、候補者またはその周辺が暴力団を意識的に使ったのか、あるいは自民党支持者と見られる渡辺元社長が、個人の善意からいわゆる褒め倒しを抑え、総裁選挙をスムーズに運ばせようとしたのか、真実は一つであります。政争によって重大な事実をねじ曲げることは許されません。国民の前に一日も早く事実関係を明確にし、疑いを解消すべきであると考えます。(拍手)
 過日、我が国の公党が旧ソ連邦に対し、巨額な政治資金の提供を要請していたという報道がありました。国民にとってまさに青天のへきれきの衝撃であります。かつて赤軍派や京浜安保共闘といった極左暴力集団が外国から資金援助を受けておりましたが、かかる報道が正しいとすれば、政治資金規正法違反というだけではなく、我が国の自主独立を危うくする憲政史上許すべからざることであります。(拍手)政府は、この事実関係を速やかに徹底的に調査し、国民の前に公表すべきであります。我が党もこれに対して協力をする用意があることを申し添えます。
 さらに、極めて不幸なことでありますが、日本共産党の最高幹部で、指導的立場にあって、国会に長く議席を有していた野坂参三氏の証言によって、我が国国民の山本懸蔵氏が銃殺刑に処せられていたことが明らかになりました。国会に多数の議席を擁する日本共産党の最高幹部の手によって我が国同胞が葬られていたとすれば、まことにゆゆしき問題であります。政府は、旧ソ連邦の崩壊により情報公開が進んでいる今日、この事実関係について調査を行い、国民の前に明らかにすべきであります。
 このような政治倫理上極めて重大なことが国民の前にさらされている今、私どもは直ちに思い切った政治改革を実施し、国民の政治に対する信頼を取り戻さなければなりません。
 このたび、定数是正を含む緊急的な政治改革の諸項目が与野党協議の上で今国会に提案される運びになっております。主要な中身は、政治倫理審査会の改組、国会議員、政令市以上の議員及び地方自治体の首長の収入、資産の公開、パーティー開催の適正化、違法な寄附の没収、追徴、選挙運動期間の短縮、定数の九増十減などの制度改正であります。
 我が党は、本年三月、これを抜本改革までの部分改革と位置づけ、前国会で成立させる手はずでありました。しかしながら、社会党議員などの辞職願に遭い、いたずらに会期を空費し、成立を見なかったことは極めて残念なことであります。(拍手)今国会において一日も早く成立させることはもちろんでありますが、同時に、長期的展望に立った議会制民主主義の活性化、健全化につながる抜本改革を推進する必要があります。総理は、この緊急改革と、総理みずからが十一月と公約をされた選挙制度を含む抜本改革の取りまとめについてどのように取り運ぶおつもりか、明確にお示しをいただきたいと思います。
 私は、政治改革の進め方について、特に総理に申し上げたいと思います。
 第一には、政治活動の実態に即した改革を行うことであります。
 金もうけをするために政治家になる者はありません。また、花咲かじいさんのように金をばらまくことに生きがいを感じ、そのために資金を集める政治家もおりません。政治活動に伴う政治資金の支出、すなわち出について、公費による負担の強化や、また公民権停止、連座制の強化といった適正な措置を行わずして、入りについての形式的な制限のみを強化をした場合、要領のいい人、ごまかしのうまい人がクリーンであり、不器用な人がダーティーな政治家という指弾を受けるおそれがあります。政治資金については、出と入りの双方について、同時に適切な措置を行わなければなりません。
 第二は、さまざまな事件の起きるたびに法律や制度の改正が行われましたが、その運用が適切に行われなければ政治改革は絵にかいたもちにしかならないのであります。
 平成二年の公職選挙法改正で寄附行為が全面的に禁止になり、町内会の行事や催し物への一万円の寄附であっても、二十万円以下の罰金及び公民権の停止が科せられることになりました。しかしながら、過去三年間、いまだにそうした慣習的違法行為が蔓延をしておるにもかかわらず、これに対する検挙はわずか三十七件であり、しかも起訴されたのはただの一件のみという状況であります。また、選挙の際に、何々食堂、何々レストランというような、バスで選挙民を動員した接待等が半ば慣習化されている地域があります。また、労使協調路線のもとで、従業員が有給で選挙運動を行っているという実態があります。いずれも公職選挙法違反であります。選挙違反は、議会制民主主義の根底を覆す重大な犯罪であります。これを放置して何が政治改革でありましょうか。
 捜査の実態について申し上げますと、時効が成立する前、おおむね一カ月で捜査本部が解散されてしまうのが一般的であります。政治改革を行っても、その運用が適切に行われなければ何の意味も持たないということでありましょう。
 かつて、ケネディは、民主主義が堕落しているというが、制度は堕落しない、問題は人だと述べました。今後、総理は抜本的政治改革を進めるに当たって、具体的にどのような方針で臨まれるおつもりか、お伺いをいたします。
 我が国経済は、現在大変厳しい状況にあります。特に、中小企業、零細企業の不況はかつてないものがあります。設備投資の伸びの鈍化や在庫調整などに伴う実体経済の落ち込みに加えて、従来の景気後退局面と異なり、いわゆるバブル経済の崩壊によって土地や株式など資産価格が大幅に低下したことを背景として、金融システムの安定性の問題や、それが実体経済にも悪影響を及ぼすのではないかといったことが懸念されるに至っておるからであります。かつて経験したことのないこのような事態を放置すれば、国民生活に重大な影響を及ぼすとともに、国際的な役割を果たすことも困難になりかねません。
 このような事態を踏まえ、去る八月二十八日、宮澤総理は、勇断を持って総額十兆七千億円に上る史上最大規模の総合経済対策を決定されました。すなわち、一般公共事業の大幅な追加、科学技術振興、ふるさと創生の活動を強化する公用地の取得を初め、地方単独事業の画期的な強化、中小企業金融のてこ入れ等、金融システムの安定性の確保、証券市場の活性化などを幅広く盛り込んだ総合的な対策であり、まことに当を得たものであると考えます。
 総合経済対策には、八兆六千億に及ぶ公共投資等の拡大が盛り込まれておりますが、その内容について、生活大国の実現という観点から、国民生活の質の向上に資する社会資本整備を中心に実施をしていく必要があるのではないでしょうか。また、今後これが確実に消化されていくのかと心配する声も聞かれます。
 したがって、公共事業については、引き続きその施行の促進や必要となる手続の簡素化、迅速化を図ることにより円滑な実施を確保するとともに、対策の一層の実施が可能となるよう、補正予算を各党の協力のもとに一日も早く成立させることが重要であります。(拍手)
 補正予算の早期成立が当面最大の景気対策であります。これが一日延びることによって、一カ月の景気回復のおくれにつながると言っても過言ではありません。マスコミの報道の中には、野党幹部が、人質にとっても云々という極めて不穏当な発言が散見されておりますけれども、国民の窮状をいかに考えているか、非常識きわまると言わざるを得ないのであります。(拍手)総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、地方単独事業の追加について、これを確実なものとするため、地方団体の対応についてもあわせてお尋ねをいたします。
 また、今回の対策には、公共用地の先行取得や、金融機関の担保不動産の買い取り機関の設置といった政策が盛り込まれており、これが低迷している土地取引の流動化にも資することが期待されておりますが、その際は、地価の下げどまりやバブルの再燃といった事態が起きることのないよう十分留意することが必要であります。
 中小企業対策については、金融機関の融資対応力の低下が懸念されている中で、政府関係中小企業金融機関の思い切った貸付規模の拡大が行われましたが、さらにこれの強化をお願いするものであります。
 金融システムの安定性の確保のための諸施策については、バブルを引き起こした金融機関を救済するための施策ではないかとの批判があります。したがって、これらの措置の実施に当たっては、まず金融機関の不良資産の実態を明らかにし、金融機関自身の徹底した反省と合理化努力及び業界自体の相互扶助が必要でありますが、これに対して総理はどのようにお考えか、お伺いをいたしたいと思います。
 低迷している証券市場についても、公的資金による株式運用を初め、個人投資家の株式保有の促進策等の着実な実施により、市場の活性化を図る必要があります。
 健全な社会は健全な経済によって成り立ちます。補正予算の早期成立と総合経済対策に盛り込まれたこれらの諸措置の着実な実施によって我が国経済の回復が達成されるものと期待されますが、もしその回復の足取りがおくれるようであれば、さらに思い切った追加措置も考えていかなければならないと思います。今後の景気回復と日本経済の見通しについて、総理にお伺いをいたしたいと思います。
 また、景気の低迷により、お年寄りや恩給・年金生活者、障害者、母子家庭、そうした社会的弱者の立場にある人々に対して生活不安が起きないよう、きめ細やかな施策を特に求めるものであります。(拍手)
 最近、PKO派遣などに反対すると称して極左暴力集団によって行われるいわゆるゲリラ事件は、まことに目に余るものがあります。市民生活の安全の確保と、来年予定されている沖縄植樹祭や東京サミットなど、国際的信用にもかかわる重要な国家行事の開催を考えるとき、警察、検察、公安調査庁の治安維持能力について思い切った強化を行うべきであると考えます。
 次期米国大統領にクリントン氏が選ばれることが確実となりまして、明年一月には新政権が発足することとなりました。心からお祝いを申し上げたいと思います。
 日米の友好協力関係は日本外交の基軸であり、新政権のもとでもその重要性は変わらないものと認識をしております。我が国と米国は、自由と民主主義、市場経済と、つた共通の価値観の上に、堅固な日米安保体制と経済面を中心に、揺るぎなきパートナーとして緊密な相互依存関係を維持しております。また、日米の経済が世界の総生産の四割を占めることからもわかるように、両国は世界の平和と繁栄のために大きな責任を有しております。
 冷戦の終結後初の大統領選挙を経て米国大統領に選ばれたクリントン氏が、米国及び世界の人々に対し、二十一世紀へ向けいかなる展望を示すのか、また、国内経済の立て直しゃ競争力の強化に向けてどのような施策を打ち出すのか、注目をされるところであります。
 さらには、今回の選挙戦を通じ米国の国内問題について多くの議論がなされたこともあり、米国の政策が内向きになるのではないかと懸念する向きもありますが、米国の国際的なリーダーシップは冷戦後の国際社会においても引き続き必要であり、米国がその国際的責務をいかに果たしていくか、注目したいと考えます。そのためには、我が国としても米国の国際的関与を支援し、協力していくことが重要であります。
 文字どおり、日米関係は新しい時代を迎えると思いますが、総理は、新政権の誕生をどのように評価されるのか、また、今後の日米関係の進展と新しい時代の日米安保体制の意義をどのように考えるのか、お聞きいたしたいと思います。
 クリントン新大統領は、選挙戦を通じて、日米間の貿易はもとより、自由貿易を支持することを表明しておられますが、米国経済の景気動向いかんでは米国内の保護主義圧力が高まり、日本を含め他国に対する貿易政策が厳しくなるのではないかとの見方もあります。日米経済関係の円滑な運営についても、あわせてお尋ねをいたします。
 本年六月、いわゆる国際平和協力法が成立をし、我が国もようやく国連の平和維持活動及び人道的な国際救援活動に本格的に協力する法体制が整備をされました。この法律に基づいて、我が国からアンゴラへ三人の選挙監視員が派遣され、九月末に行われた大統領選挙の監視に当たりました。これに次いで、今七百名に及ぶ多数の自衛官、警察官などがはるかカンボジアの地で献身的な活動を続けておられます。心から敬意を表したいと思います。(拍手)
 総理は、歴代総理の果たし得なかった画期的な成果を上げられました。まさに歴史的に特筆をすべきことであります。
 しかしながら、世界はさらに混沌とした複雑な様相を示すことが予想され、世界の人々の平和と幸せに貢献する道も多岐多様なものとなります。現在の憲法の枠内で世界の期待にこたえられるかどうか、大いに疑問のあるところであります。
 現行憲法が制定され、はや半世紀がたちました。時代も大きく変わりました。この際、現憲法の平和主義、基本的人権尊重の理念をさらに強化しながら、新しい時代にふさわしい、民族の魂と英知を込めた新憲法を制定するおつもりはないかどうか、総理にお伺いをいたします。(拍手)
 先月、ロシアのエリツィン大統領の訪日が直前になって突然延期となったことは、非常に遺憾なことであります。
 私は、エリツィン大統領の訪日が、いまだに平和条約すら結ばれていないという不自然な状態にある日ロ関係の完全な正常化に向けての第一歩となることを期待していただけに、今回の訪日延期によって日ロ関係に一定の悪影響が及んだことと心配をしておりますが、これからは、双方が冷静な対応をとることにより、これ以上の影響が出ないことを希望しております。
 国際経済協力についてでありますが、経済的に困難を来している国家に対し援助を行うのは当然のことであります。しかしながら、援助を受ける国家がいたずらに軍備増強に走り、あるいは兵器を他国に売却する等の状況がある場合、我が国憲法の立場から見ても、そうした援助は行うべきではないと考えますが、総理はどう思われますか。(拍手)
 対ロシアとの経済協力においても、北方四島の回復は当然のことでありますが、永遠の隣人であるロシアとの友好関係を強化、発展させる上においても、ロシアの軍事的脅威を削減させるという目的を達成する見地から、私がただいま申し述べましたような方針を経済援助の出発点としてやるべきではないかと思うわけでありますが、どのようにお考えでございますか。
 ウルグアイ・ラウンド交渉を早期かつ成功裏に終結させ、戦後約半世紀にわたり世界経済の継続的成長と我が国の経済的繁栄の基盤となってきた多角的自由貿易体制を維持、強化することが、我が国にとって極めて重要な課題であることは論をまちません。万一にもウルグアイ・ラウンド交渉が失敗すれ工、ガット体制への信頼が損なわれ、一方的措置に基づく二国間貿易問題の解決、アンチダンピングなど貿易ルールの恣意的運用、地域主義への傾斜などに歯どめがかからなくなり、その結果、保護主義への台頭につながるおそれが極めて大きいものと考えられます。かかる事態は、歴史も示すとおり、我が国はもちろんのこと、世界経済全体にとっても何としても避けなければならないことであります。
 現在、ウルグアイ・ラウンド交渉は重要な節目にあります。その交渉の場に当たっては、我が国は米・ECとは異なり、食糧の五割以上を輸入に依存し、また、国土は狭隘で傾斜地が多く、国土保全上からも農業の果たす役割の極めて多い国であります。国民の主食であり、かつ我が国農業の基幹作物である米の自給を堅持するという国会決議に基づき、粘り強く交渉に当たるべきであると考えます。
 総理は、ウルグアイ・ラウンド交渉、特に農業交渉についてどのような対応をとられるおつもりか、お伺いをいたします。
 最近最も明るい話題は、宇宙飛行士毛利衛さんの快挙であります。向井千秋さんのスペースシャトルヘの搭乗も決まりました。先日、我が党は、土井隆雄さんも含め三名をお招きし、宇宙のお話をお伺いいたしました。真っ暗な宇宙から、青白く光る小さな地球を見たときの感動、日本が非常に美しかったこと、いずれも宇宙から見て初めてわかることでありますが、とりわけ子供たちに与えた夢と感動ははかり知れないものがあります。(拍手)
 次世代の我が国の発展と世界平和の担い手となる若者に夢と希望を与えるとともに、科学技術による国際貢献を積極的に進めるためにも、宇宙開発を初め、国内の研究開発基盤の強化が必要であります。これについて、総理はいかに取り組まれるおつもりか、お尋ねをいたします。
 私は、子供は未来への使者であり、また文化の伝承者であると思います。と同時に、資源小国の我が国にとっては、子供は唯一の誇れる貴重な人的資源でもあります。日本人のすぐれた資質とひたむきな努力が今日の発展をもたらしましたが、二十一世紀の日本を確かなものとするためにも、世界に通ずる人づくりを進めることは、我々の重大な責務でもあります。
 そのためには、現在の偏差値重視、知識偏重の教育から、個性を伸ばし、人間性を尊重する教育へと改めることも必要ではないかと思いますが、総理は、教育についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。
 総理みずからの手で、教育の種を植え、それを社会に根づかせ、育て上げ、大輪の花を吹かせ、人類の未来に貢献をしていただきたいと思います。
 宮澤総理が、内外ともに多端な今日、ますますのリーダーシップを発揮され、歴史に輝かしい一ページを残されることを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 亀井議員にお答えを申し上げます前に、お許しをいただきまして、先ほど田邊委員長のお尋ねの中で、ウルグアイ・ラウンドに関するお答えが落ちておりました。補足をさせていただきます。
 農業につきましては、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりますけれども、我が国といたしまして、これまでの基本的方針のもとに、相互の協力による解決に向けて最大限努力してまいる考えでございます。
 次に、亀井議員から、世界のリーダーとしての我が国の役割についてお話がございました。
 冷戦と呼ばれました時代が終わりまして、大きな流れとしては世界は平和に向かっておりますけれども、他方で、民族や宗教の紛争等々がございまして、多くの不安定要素が見られます。
 しかし、その中で、我が国は、やはりこれまで平和国家、国連中心主義を進んでまいりました、実践してまいりました国として、この世界平和の秩序の新しい構築に積極的に貢献をしていく、これこそは我が国にふさわしいリーダーシップであるというふうに考えております。
 そういう中で、確かに我が国は、政治改革を極めてただいま必要としております。政治家一人一人がみずから襟を正し、自粛自戒すべきはもとよりでありますが、制度面の見直しも不可欠であり、政治資金の透明性の確保、政策を中心とした選挙の実現など、政治改革を私は不退転の覚悟で実現したいと思っております。
 政界と暴力団の関係につきまして、九月二十二日のいわゆる検察の冒頭陳述におきまして、被告人がかねて交際のあった政治家が右翼団体の活動に苦慮していることを知り、この件の解決を依頼し云々ということがございまして、それを冒頭陳述で述べられておりますけれども、これにつきましていろいろの報道があり、国民の間に疑惑があることもよく承知しております。ここで、国民の疑惑が解消され、政治への信頼が回復されなければ将来に大きな禍根を残すことになりかねないと思っております。自民党としても、この点の真相解明について努力をしておりますが、国会でも各党間で真相解明のための場をつくるべく御協議がなされておると承知しておりまして、もとより政府としては、御審議に全面的に協力をいたさなければならないと思っております。
 外国からの政治資金の提供につきまして、御指摘のように政治資金規正法では、我が国の政治あるいは選挙が外国の勢力によって、外国によって影響を受けることがあってはなりませんので、これを禁止していることは御指摘のとおりでございまして、先ほどおっしゃいましたような件につきまして、事実関係を十分に承知しておりません。もとより、しかし外国から政治資金の提供を受けるようなことがあってはならないことは申し上げるまでもないことでございます。
 山本懸蔵氏の銃殺刑につきまして、御指摘のような報道をよく存じております。事実関係が十分明らかでありませんので、そのことについてただいま言及することは差し控えたいと思います。
 それから、九増十減を含む緊急改革、抜本改革、政治資金あるいは抜本改革でございますが、これまで政治改革協議会において各党間で御熱心な協議をいただいてきたところであります一既に与党と大方の野党の間で合意を見ている緊急改革のための具体策、さらには定数是正や実務者会議で協議が進められております事項についても、合意が得られ次第、今国会で早急に実現されることを念願をいたしております。
 また、これはいわゆる緊急改革分でございますので、抜本改革といたしまして、政治改革の基本方針として、この十一月を目途に党内で取りまとめのための御議論をいただいておりまして、これがまとまりましたら各党間の協議をお願いをいたしまして、具体化ができるだけ早期に図られるように、私どもとしても最大限の努力を払ってまいります。
 それから、総合経済対策でございますが、個人が豊かになることを目指して、生活大国を目指すことを重要課題として「生活大国五か年計画」で位置づけたところでございますが、このたびの総合経済対策では、御指摘のように、こういう考え方を踏まえまして、国民生活の質の向上に重点を置いた分野、地域の実情に即しまして、道路であるとか下水道であるとかあるいは一般廃棄物処理施設等々、そのような身近な社会資本の整備を推進するための地方単独事業の追加も行いまして、公共投資等について八兆六千億円の追加を行うことにしたわけでございますが、このたびのはいわば緊急の総合経済対策でございますが、それはあくまで生活大国を将来築いていくための生活関連の社会資本の充実という、そういう線に沿って施策を盛り込んでおるところでございます。
 それにつきましても、これまで補正予算措置によらずに実施可能なものから実施してまいりましたけれども、今回提出いたしました補正予算は、これを実施するための経費を大きな柱とするものでございますので、景気への影響は極めて大きゅうございまして、一日も早く円滑な御審議をお願いいたしたいと思います。
 今仰せられました、まさに地方単独事業につきましては、今回も非常に大きな重さを、ウエートを持つに至りまして、自治省を通じまして地方団体から十分な協力をいただいておりますし、また所要の地方財源措置も講じたところでございます。九月補正予算等において積極的に地方団体側の対処がございまして、現在までのところ、都道府県で九千億円、市町村で一兆円、合わせて一兆九千億円程度の追加計上がございますので、これは非常に大きな威力になると考えております。
 それから、土地取引等々につきまして、バブルの再燃に留意すべきことはもちろんでございます。バブルの再燃あるいは地価がまた逆戻りをするというようなことがあってはならないということから、不要不急の用地を取得するつもりはございません。公共事業等の円滑な執行を確保するための観点から、また地価動向に十分留意しつつ、各種の情報を収集し、また活用して、適正な価格で行われるように留意をいたしてまいります。また、民間金融機関の自助努力による担保不動産の流動化のためにも、この価格の公正化については十分に注意をいたしてもらうつもりでございます。
 それから、政府関係中小企業金融機関の貸付規模でございますが、中小企業側には資金需要があると思われますが、なかなか市中銀行等々はそれに応じ切れないと申しますか、現実にはなかなか思うようにいっていない状況で、それが政府機関に対する資金需要になってきておるということは御指摘のとおりでございますから、ここはやはり政府関係中小企業金融機関がそれに十分に対応しなければなりません。総額一兆二千億円の貸付枠の追加をいたしました。また、これは将来にわたりましてそういうような資金需要があるようでございましたら、十分に考えていかなければならないことだと思います。
 それから、金融システムの問題でございますが、八月に「金融行政の当面の運営方針」を出しました。それから総合経済対策を八月の二十八日に決定をいたしましたが、その一環として、今般大蔵大臣から、中間決算時点における延滞債権、六カ月以上の延滞でございますが、公表をされたところでございますし、またその実施状況を説明されました。政府としては、各金融機関に対して、このような趣旨から、最大限の自助努力を基本として、経営の一層の合理化と安定化を図ることを要請いたしております。
 証券市場につきましても、その活性化のために、安定的で活力ある市場の確立に向けまして、個人及び機関投資家の市場への参加を促進するために、新たな株式投資信託の開発、従業員持ち株制度等の弾力化の諸措置等を盛り込みました施策を現在実施をいたしておるところでございます。
 今後の景気回復でございますが、今御指摘のように、我が国経済はまだ低迷を続けておりまして、資産価格の下落も手伝いまして、厳しい状況を脱しておりません。過般の十兆七千億の総合経済対策の効果がこれからあらわれることを期待いたしておりますが、公共投資の拡大、住宅投資の回復が見込まれます。また、設備投資あるいは消費志向などもそれに伴いましてやがて回復することを期待をいたしておりまして、この総合経済対策の効果がただいま浸透しているところと考えております。これによって、やがて民間部門の自助努力によりまして在庫が正常化をする、あるいは経営革新から設備投資が起こってくる、そして内需を中心とする成長路線に消費が回復をしてつながっていくということを庶幾をしているところでございます。
 お年寄り、社会的弱者に対するきめ細かな施策を講ずべきことももとよりでございまして、いわゆるゴールドプランの実施によりまして、きめ細かな福祉サービスの展開を行ってきているところでございますし、今後ともお年寄り、障害者、母子家庭の方々などに十分の注意をいたしまして、安心して生活をしていただけるようにいたしたいと思います。
 極左暴力集団のテロ、ゲリラ対策でございますが、社会の安全、生活の安全ということが生活大国の基本でございます。いろいろなゲリラ事件は、自由と民主主義に対する重大な挑戦でもあります。従来この事件の根絶に努力をしてまいりましたが、来年はたまたま重要な国家行事がたくさんございます。さらに一層、警察、検察、公安調査庁の連携を深めるようにいたしたいと思っております。
 次に、御指摘のようにアメリカのクリントン知事が当選されました。心からお祝いを申し上げたいと思います。
 そこで、これからの動向でございますが、クリントン知事は選挙戦の中で、アメリカが引き続き国際情勢の中で指導力を発揮しなければならない、リーダーシップということはよく認識をし、またそれを主張しておられました。この点についての米国民の信託が与えられたと思っております。我が国としましては、二国間の関係はもちろんでございますけれども、二国間が共同して果たすべき国際的な役割につきましても、十分に今後ともクリントン大統領の理解を得てまいりたいと思います。
 それとの関係で日米安保体制にお触れになりましたが、これは我が国のやはり安全の基軸でございますし、また、国際関係が依然として不安定である中で、米国の抑止力というものは極めて大事なものだというふうに考えております。このような日米安保条約を中核とする日米関係というのは、国際関係におきましても、アジア・太平洋地域における安定要因としても大事なものであるというふうに考えております。政府としても、今後とも新政権に対してこのような意義と重要性を、十分に従来と同じ立場を堅持してまいる考えであります。
 なお、ブッシュ大統領が国際情勢の激動期にすぐれた指導力を発揮されましたことに、この際、改めて敬意を表したいと存じます。
 それから、憲法につきましてお尋ねがございまして、現行憲法はもちろん改正手続の規定を設けておりますから、法理的に永久不変だというふうには考えておりません。国の基本法でございますから、これを改正するについては極めて慎重な配慮を要するものと思っておりまして、現在、国民の世論がこれについて成熟をしてきたとは判断をいたしておりません。政府としては、現在、憲法を改正する考えを持っておりません。
 次に、軍備増及び兵器売却につきましては、御指摘のように、ここに来まして兵器がかなり大量に、いわゆる冷戦後の事態の中で売買をされるようになっておりますことを私も実は心配をいたしておりまして、やはりそれについては、一定の節度がなければならないというふうに思います。我が国が開発援助をいたしますときに、援助の受け取り国が軍備について過大な負担をしないように、支出をしないようにということは、一つの重要な要素として考えておりますが、また、御指摘になりましたロシア連邦につきましても、いわば軍需産業から民需への転換ということにつきまして、我が国としても、現に、要請がありまして技術的なアドバイスもいたしておりますが、そういうことを続けてやってまいることが必要であると思っております。
 それから、ウルグアイ・ラウンドにつきましては、先ほどもお答えを補足して申し上げましたが、これまでの基本的な方針のもとに、農業につきましても、我が国も相互の協力に向けて、これまでの基本方針のもとにやってまいりたいと思っておりまして、日本時間の今朝までシカゴで続いておりました米とECの油糧種子をめぐる交渉は妥結に至らなかったという報告を先ほど受けたところでございます。
 それから、宇宙開発につきましては、私も毛利さん等々の話を聞きまして、今御指摘のような感じを深くいたしました。
 この問題といい、あるいは教育の問題といい、今日の我が国がございますのは、やはり我々の先輩がこういうことについて意を用いてくれたおかげだと思いますが、技術開発等につきましては、大学の国立試験研究機関あるいは国内の研究基盤整備等々に、難しい財政の時代ではございますけれども、できるだけ特別な配慮をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 教育につきましても、二十一世紀を担う子供たちが、豊かな人間性や個性を持ってほしい、創造的に生きていってほしいと考えておりまして、新しい学習指導要領にもそのことを申しておりますが、学校が週五日制になりました。その結果として、塾に行くのではなくて、家庭や地域社会においても、このような子供をつくっていくというために時間というものは使われなければならないものというふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(村山喜一君) 石田幸四郎君。
    〔石田幸四郎君登壇〕
#21
○石田幸四郎君 私は、公明党・国民会議を代表して、宮澤総理の所信表明演説に対し質問を行います。
 今回の佐川急便事件ほど深刻な政治腐敗事件は他に類を見ません。
 私ども公明党に寄せられた国民の声は、民主政治のルールが全く崩壊しようとしている現状を見て、いても立ってもいられないほど腹が立つ、何ゆえ上申書だけなのか、法のもとの平等はどうした、議員辞職だけで許すな、なぜ右翼や暴力団絡みなのか、なぜ五億円の不法献金に二十万円の罰金だけなのか、全くばかにしているなど、厳しい怒りとなって問題の本質を提起しております。また、派閥争いなどをやっている場合かなど、厳しい叱吃の声が政界全体に矢のように浴びせられていることは御承知のとおりであります。
 その意味で、今国会では、全議員が粛然として襟を正し、この腐敗事件の真相究明を行い、政治改革を何としても果たさなければなりません。
 一八八一年一月、イギリスにおいて腐敗行為違法行為防止法が下院に提出されたとき、法務長官ヘンリー・ジェームズは「今こそ腐敗行為を根絶しなければなりません。我々は長くこのテムズ川の川辺で暮らしてきましたが、腐敗し、汚れた流れは一向に改められません。世界に誇ってきた我が国の議会が世界じゅうの物笑の種になっているのです。国民の代表である我々議員一人一人の誠意が今問われているのです。」と演説をしました。
 日本の戦後政治も、遠くは昭和電工、造船疑獄、保全経済会事件、近くはロッキード、リクルート、共和事件など汚職の連続であり、そして今また、佐川急便事件であります。まさしく日本の政治は、百年前のイギリスと同じ局面に立たされています。今にして国会が政治腐敗防止に結論を得ることができなければ、一体、いっ政治家が胸を張って国民の代表と言える日が来るでしょうか。我々の責任はまことに重大であります。
 我が国の政治を真に民主政治とすることができるのか、あるいはその崩壊を見るのかの瀬戸際に立たされているという思いで、私は質問を展開しようとするものであります。
 国政の内外にわたる多くの課題はあるにしても、臨時国会の最重要課題である政治腐敗問題、不況対策に絞って、以下、質問をいたします。
 初めに、佐川急便事件の基本的問題について伺います。
 渡辺元東京佐川急便社長らによる商法違反事件は、政界への多額の献金事件へと発展し、国民の厳しい批判に耐え切れず、金丸自民党前副総裁が議員辞職に追い込まれるという空前の政治腐敗事件になりました。
 この事件は、昭和六十三年六月、リクルート事件が発覚し、竹下内閣が退陣に追い込まれるなど、政治家と企業の癒着が厳しく問われている議論沸騰の中に、何の反省もなく、痛みもなく、民意をあざ笑うかのように巨額の政治献金の授受が行われたというものであり、まことにゆゆしき事件であります。しかも、金丸前副総裁が五億円を受け取った時期は、自民党がリクルート事件の反省から政治改革を最大の公約の一つに掲げた平成二年二月の衆議院選挙の直前であり、反省どころか、まさに国民を裏切る許しがたい事件と言わざるを得ません。宮澤総理は総理・総裁として、佐川急便事件の重大性についてどのように受けとめ、どう責任を感じておられるのか、この際、明確にしていただきたいのであります。
 事件発覚後、金丸氏の自民党副総裁辞職から議員辞職に至るまで、宮澤総理はこの事件に関し、こちらから何を言おうという気持ちはありません、まだ聞いていないと繰り返すばかりで、真っ正面から取り組む姿勢が見られず、一国の最高責任者としてのリーダーシップがみじんも感じられなかったことは極めて遺憾であり、信じられない思いでありました。
 去る十月三十日、総理の所信表明演説を伺いました。この臨時国会の最大の命題は、本事件の徹底究明、そして、それに連なる政治改革ではないでしょうか。にもかかわらず、所信表明で本事件に触れた部分は、総合経済対策、生活大国、外交問題に比較して、質量ともに余りにも乏しいものでありました。深刻、おわび、不退転の決意などの言葉だけが踊っています。事件の本質をどう分析しているのか、その真相究明はどうあるべきなのか、本事件に学んでとりあえず対処すべきものは何か等、突っ込んだ議論は何一つありませんでした。この総理の消極的な姿勢は極めて不可解であり、所信で述べられた「志は易きを求めず、事は難きを避けず」との決意とは全く逆ではありませんか。
 宮澤総理は、自民党の総裁として、今回の事件を日本の民主主義の危機と感じておられるのか、さらに、事件の真相究明と政治改革に政治生命をかけるだけの情熱をお持ちなのか、率直な所信を伺うものであります。(拍手)
 今回の問題について地方議会には、佐川事件の徹底究明や政治改革の断行、さらには、金丸、竹下氏の議員辞職などを求める決議、意見書が次々に採択され、その数約八百議会に達しております。これらの国民の厳しい声に総理はどうこたえられようとしているのか、あわせて御答弁をいただきたい。
 佐川急便事件は極めて根の深く、かつ自民党政治の本質に根差した重大事件であり、金丸氏が議員辞職をしただけで済まされるものでは決してありません。
 捜査は、金丸前副総裁と金子前新潟県知事の起訴に至ったものの、疑惑は次から次へと浮かび上がってきております。本問題は、単に東京佐川急便の特別背任罪の告訴から露呈された事件に矮小化されるべきでなく、佐川急便グループ全体が金融界、暴力団を巻き込んだ極めて悪質な構造腐敗事件として受けとめなければなりません。そのために国会は国政調査権を行使し、徹底した真相究明が必要であります。
 そこで、具体的に伺います。
 まず第一に、今日まで川急便からの巨額な政治資金の流れ、この問題について伺います。
 東京佐川急便から十数人の政治家に総額二十数億円に上る政治献金が渡されたと言われていますが、金丸氏以外は、いつ、だれに、どのような目的で支払われたのか全く不明であります。また、金丸氏に渡された五億円についても、金丸氏の言うように六十数人の政治家に渡されていれば、受け取った議員にも政治資金規正法違反が存在する疑いが濃厚であります。総理、法務大臣の見解を伺います。総理は、自民党総裁として責任を果たすために、自民党内を調査し、氏名や受け取った額を公表する決意が必要でありますが、どうなされますか、この点、伺います。
 第二に、昭和六十二年、竹下政権誕生に当たって、暴力団、右翼が関与していたいわゆる皇民党事件の真相についてであります。
 かりそめにも総理・総裁になろうという政治家が右翼からおどかされ、裏で暴力団の力をかりて抑えるなどということは、民主主義国家としてあるまじき姿であり、東京佐川急便事件第一回公判において検察側の冒頭陳述で述べられていることを、我々は断じて見過ごすことはできません。なぜ暴力団を使ってでも右翼の動きを阻止しなければならなかったのか、日本の政治史上最大の汚点と指弾されるべきであり、徹底して事の真相を究明しなければなりません。竹下元総理は、私は被害者などと弁明しておられるようでございますが、全く説得力のあるものではなく、徹底究明が必要であります。竹下氏の発言を含め、この問題に対する総理の所信を伺います。
 第三は、今回の事件の捜査に当たって東京地検が、五億円をもらった金丸氏本人を、事情聴取もせず、上申書の提出で略式起訴による罰金で済ましたことについてであります。
 交通違反でも出頭が要求される中で、法のもとの平等に照らし、政治家に対する措置は甘いのではないかという国民の批判の声が高まっています。また、何らかの理由で捜査が不十分で、資金の流れの徹底解明が十分行われてこなかったのではないかなど、今回の事件に対する検察の対応に対しては、国民の多くが疑問を持ち、批判が出ています。検察庁幹部からも、検察官が格別の理由なしに、国民が知りたい、聞きたいと思っていることについて尋問をしないというのは、重大な任務違反になると指摘しているほどであります。検察、司法に対する信頼にかかわる問題だけに深刻であります。これらの点を明らかにしない限り、国民は納得できないと思います。総理並びに法務大臣のお考えを伺いたい。
 金丸氏が今回授受した五億円は、政治資金規正法による届け出のないやみ献金であったが、全額政治活動に使われたとしておりますが、検察庁は、事情聴取もせず、なぜ五億円を政治資金と認定できたのかについても法務大臣の所見を伺いたいと思います。(拍手)
 我が党は、以上の点を解明し、関係者の政治的道義的責任を明らかにするために、予算委員会に金丸自民党前副総裁並びに竹下元総理等の証人喚問を強く要求するものであります。(拍手)
 総理は、証人喚問を含め、国会の真相究明に進んで協力される意思があるのかどうか、明快にお答えいただきたい。事は、自民党最高幹部であった人々の中に起こっている問題であり、宮澤総理は総裁としても責任があり、少なくとも証人喚問等に党を挙げて協力すべきだと思うが、その決意のほどを伺います。
 国民の怒りと政治不信は頂点に達し、日本の民主政治自体が大きな危機に直面しているときに、事件に対する反省や疑惑解明どころか、金丸氏の派閥会長辞任、議員辞職をめぐって派閥の後継者争いに明け暮れてきたことは、国民不在そのものであり、国民から厳しく指弾されています。
 平成元年五月十九日の自民党の政治改革大綱でも、党幹部、閣僚の派閥離脱が決められており、宮澤内閣も発足時に、閣僚の派閥活動の自粛を申し合わせていたはずであります。にもかかわらず、総理は、いいことではないが無理もないと派閥活動に理解を示し、最近でこそようやく、派閥活動に対して、公務優先だとの批判的な発言をされているものの、何の効果もありません。総理は、自民党の政治改革大綱や申し合わせに反した閣僚の派閥活動をなぜ容認されるのですか。このような姿勢で自民党の派閥政治を改め、政治改革が実現できると考えておられるのか、この際、明確な姿勢を示していただきたいのであります。
 第百二十三国会の政治改革協議会で合意された十八項目が各党間で再び確認をされたこと、衆議院の定数不均衡を是正するため九増十減が検討されていることを私は評価します。しかし、これだけではなりません。今回の佐川急便事件に対する国民の声に今国会で明確な答えを出さなければ、政治の責任を果たしたとは言えません。それが、公明党など野党が要求している追加事項であります。
 具体的に挙げれば、政治資金関係では、政治献金を受け入れる指定団体の一本化、寄附の公開基準の引き下げ、政治資金規正法違反者に対する公民権の停止、政治家の指定団体に対する監督義務の創設、公職選挙法関係では、連座制及び公民権停止規定の強化などであります。この臨時国会で、これらの措置を含め、緊急改革を行い、国民の期待にこたえるべきだと思いますが、総理の決意のほどを伺います。(拍手)
 次に、政治の抜本改革について伺います。
 今回のような事件を二度と繰り返さないための抜本改革への認識が重要であります。公明党は、金権腐敗の温床となっている企業、団体からの献金こそまず禁止すべきであることを何度も申し上げてきました。
 これまでロッキード、リクルート、共和、佐川と、政治家と企業の金をめぐる汚職腐敗事件が繰り返されてきたことでも明らかなように、問題は、政治家と企業献金の関係です。この企業、団体からの献金を禁止しない限り、政治腐敗の根絶は不可能であります。
 政治献金には善悪二面があり、個人はもちろん企業も社会的存在で、善意ならばこれに参加し得るとの議論がこれまで何回も繰り返されてきました。しかし、この議論を百万遍繰り返しても何の解決にもなりません。善意か悪意か、事件が起こってから判断するより、汚職事件の深刻な影響に学び、政治改革の基軸として、まず企業、団体の献金を禁止することを決定すべきであります。大多数の国民の期待も、まさにこの一点にあると信じます。では、政治資金はどうするかなどの反論が出てくるのは必至でしょうが、弊害を除く軸を決めないで次の策を論じてみても、問題は複雑になるだけで意味がありません。余りにも弊害の顕著な過去の事例に照らし、公明党は、改めて企業、団体の政治献金を禁止することを提案します。少なくとも、当面、政党及び政治資金団体に一本化し、企業と政治家との癒着を断ち切るべきであります。この問題に踏み込まない限り、政治腐敗の根絶はあり得ないと思いますが、総理の所信を伺います。(拍手)
 また、国会の自浄能力を高めるため、政治倫理法を制定し、議員辞職勧告や証人喚問もできる政治倫理委員会を設置すべきであります。また、イギリスの例に倣い、公職選挙法の違反者に対する罰則の抜本的強化についても進めるべきであると考えます。
 次に、総理は、政治改革の全体像を本年十一月を目途に示すことを公約された問題について伺います。
 海部前総理は、政治改革が実現をしない責任をとって辞任され、その重大な責任を宮澤総理は継続されております。この公約は必ず実現できますか。実現されないときにはどうされますか。
 私たち公明党は既に改革案をまとめており、他の野党も同じであります。抜本改革が進まないのは自民党だけではありませんか。もし実現されなければ、この一年間の怠慢のそしりは免れず、重大な責任が生じます。宮澤総理が真相究明に非協力、不熱心、抜本改革にリーダーシップなしと判断をすれば、私どもは、直ちに総辞職を要求する決意であります。
 また、私は、自民党の考えがまとまった時点で、政治改革をテーマとして公開の場において賞首会談を開き、将来の政治のあり方について、この是非を討論すべきことを提案をいたします。各党首が国民の前にその内容を明らかにするために公開の場で政治改革を論議することは、極めて重要だと考えます。総理の見解を伺います。
 経済問題に移る前に、アメリカ大統領選挙についてお伺いをいたします。
 注目されていたアメリカ大統領選挙は、民主党のクリントン候補が圧倒的な大差で当選をいたしました。今回の選挙は、雇用や財政赤字など経済問題が大きな争点となり、現政権に対する強い不満が変化、改革を求め、クリントン氏の勝利を導いたものと思うのであります。現政権に対する不満、不信や改革を求める国民の声は、アメリカや各先進諸国だけのものでないことを深刻に認識をすべきであります。
 総理は、今日のクリントン勝利をどう判断をされているのか。伝統的に保護主義的色彩の強い民主党政権により、特に日本への経済的な風当たりが強まるのではないかと思われますが、総理は、クリントン氏の政策をどう評価しておられるのか、日米関係への影響も含めて明らかにしていただきたいと思います。
 次に、深刻な情勢にある景気、経済問題について伺います。
 景気は、ここに来て一段と混迷の様相を色濃くしております。九月末に発表された本年四−六月期のGNPは、年率で一・一%と低迷し、民間設備投資や個人消費などの民間需要は、年率二・七%のマイナスと、第一次石油危機以来十七年ぶりの大きな落ち込みとなっております。このままでは、本年度の実質成長率は政府経済見通しの三・五%を達成することは到底不可能であり、二・五%程度の成長さえ容易ではないと見られているのであります。
 私は、このように不況が深刻化し、かつ長期化しているのは、今回の不況が、景気循環による不況に加え、株価の低落、地価の値下がりなど、バーブルの崩壊による資産デフレが複雑に絡み合った新型不況、まさに「複合不況」にほかならないと思わざるを得ません。
 政府は、昨年秋以来、実体経済が悪化しているにもかかわらず、経済はなお高水準にあるとし、景気後退を過小に評価してまいりました。総理自身、本年四月十三日の記者会見では、四−六月期に底を脱しつつあると述べていたほどであります。そこには、従来型の景気循環に伴う調整という程度の認識しかなかったことは否めない事実であります。私は、政府の景気判断や認識の誤りが、景気対策の発動時期のおくれや小出しの対策につながり、景気を必要以上に悪化させたと言わざるを得ません。その意味では、政策不況と言っても過言ではないのであります。
 まず、総理に対し、現在の不況の性格についての認識と景気判断の誤りについて御所見を伺います。あわせて、景気回復の見通しをどのように立てられているのか、伺いたいのであります。
 政府は、八月二十八日に総合経済対策を発表し、今国会にはそれを実行するための補正予算を提出しております。その内容について一定の評価をいたしますが、幾つかの問題点を指摘せざるを得ません。私は、次の三点に絞って質問をいたしたいと思います。
 第一は、今回の不況を克服するには、資産デフレの実体経済への悪影響を最小限度に抑えていくことが重要であり、そのためには大胆な内需拡大策が必要でありますが、所得税減税が見送られているのは極めて問題だと思います。
 最近の個人消費の低迷は極めて深刻であり、日用品、食料品など生活必需品の消費まで落ち込んでいる状況にございます。先月二十八日発表された経済企画庁の月例報告でも、消費の落ち込みが指摘されております。所得税の減税は、昭和六十三年に実施されて以来、既に四年間見送られ、そのためサラリーマンを中心に物価上昇による実質増税が押しつけられております。
 景気回復のためには、GNPの約六割を占める個人消費の喚起が最も重要であると言わなければなりません。私は、サラリーマンの実質増税を解消するとともに、景気回復を図るために二兆円規模の所得税減税を実施すべきだと考えますが、お答えをいただきたい。政府がもしこれを否定するのであれば、政府はどんな政策手段をもって個人消費を回復させようとしているのか、この点を明確にしていただきたいと思います。
 内需の拡大を図るためには、公共事業の拡大が重要であることは言うまでもありませんが、問題は、事業規模では八兆六千億の公共事業の追加を予定しているというものの、年度内にどの程度の効果が期待できるかということであります。また、生活関連社会資本整備にいかに重点的に配分するかという点が重要であります。総理に対し、今回の総合経済対策は年度内に景気をどの程度押し上げると考えておられるのか、また、生活大国実現の立場から、住宅、下水道、福祉・文教施設などにどのように振り向けられようとしているのかの方針を伺うものであります。
 第二に、資産デフレ対策についてであります。
 総合経済対策においても資産デフレ対策として金融・証券市場対策がとられておりますが、資産デフレ対策の根本は、市場機能を重視した行政への転換を図るとともに、公正で健全な金融・証券市場の確立に置くべきであります。金融機関の自己資本の充実やディスクロージャーの徹底、証券不祥事の経験などを踏まえた証券市場における自己責任原則の確立が急務と言わなければなりません。金融機関の不良債権の増大は、迂回融資など、経営者の規律の欠如の結果として生じている問題で、経営の基本姿勢の見直しが重要であります。
 こうした見地から、金融機関の不良債権を処理するための担保不動産の買い上げ機関につきましては、私は、あくまでも金融機関の自助努力によるべきものであって、公的資金の活用は考えるべきではないと思っております。また、不良債権の無税償却などを行うのであれば、金融機関別に不良資産の実態など資産状況を公開すべきだと思います。総理の資産デフレ対策の基本的な考え方及び金融機関の不良債権の処理についての方針を明確にしていただきたい。
 また、金融機関の不良債権の処理や公共用地の先行取得が地価を下げどまりさせるようなことがあっては断じてなりません。これらの対策によって、現在の地価の値下がり傾向がとまるようであれば、年収の五倍で住宅の確保という政府の計画は、絵にかいたもちになりかねません。総理の所信を伺っておきたいと思います。
 第三は、中小企業対策であります。
 中小企業は、不況が長期化する中で、かつてない厳しい事態に追い込まれております。中小企業倒産は大幅に増加し、東京商工リサーチの調査では、本年一月から八月までの負債総額一千万以上の倒産件数は八千九百十九と、昨年に比べ三七%もふえております。我が国経済の活力の源泉である中小企業を守るためには、政府系金融機関の貸付枠の一層の拡大や貸付金利の引き下げ、連鎖倒産防止のための貸付制度の拡充を早急に実施すべきです。特に、金融機関の貸し渋りに中小企業は苦しんでおり、これらの対策が急務と言わなければなりません。
 また、中小・下請企業を救済するためには、中小企業向け官公需の拡大、下請企業振興協会の指導員の大幅増員、下請代金支払遅延等防止法の運用の強化などが重要な課題であります。中小企業は著しくその対策がおくれていると言わざるを得ませんが、それぞれに対する政府の方針を伺うものであります。
 質問の終わりに当たり、私は再度申し上げたいと思います。
 今回の佐川急便事件ほど国民の怒りと政治への不満を高めている事件はありません。今日ほど政治と国民の間に乖離が生じてしまった時期はありません。この事件をあいまいにするようなことがあれば、それこそ我が国の民主政治は崩壊してしまうと言っても過言ではないのであります。
 選挙制度に諸悪の根源があると自民党の諸君が主張されるならば、選挙制度改革を目指しての議論を私たちはいたします。この議論を、私たちは、決して避けるようなことはいたしません。同時に、政治腐敗の根源である政治家と金の問題も、自民党は避けてはなりません。
 本年十月、フランスでも企業献金禁止の提案がなされ、委員会で可決されております。これは、政府・与党から提案されているということを重視すべきであります。
 私は、さらに、一九〇五年、アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトが企業献金禁止立法のときに行った発言を引用したいと思います。「自由な政府にとって、腐敗ほど危険で油断のならない敵はない。腐敗を擁護する者はいないし、許す者もいない」「いかなる政党に対するものであれ、いかなる目的であれ、すべての企業による献金は法律で禁ずるべきである」「企業献金の禁止は腐敗行為関係の法律のねらいであり、害悪をなくす効果的な方法である」と。
 政治腐敗の本質は、戦後四十数年間変わっていませんし、また、明治以来一世紀以上変わっていないと言っても過言でないのであります。
 我が国政治がこの政治腐敗を根絶し、内外からの信頼を回復するためには、今回の問題の徹底解明が不可欠であると同時に、企業献金の禁止によって企業と政治家の癒着を断ち切ることが政治改革の原点であることを主張して、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 佐川急便事件の重大性の受けとめ方、その責任、また事件の真相究明等についてお尋ねがございました。
 政治と金をめぐる問題や、政治家のあり方の問題等を契機としまして、国民の政治不信はかつて経験したことのないほど深刻なものであるというふうに私も痛切に感じております。また、政治改革がその実を上げていない現状に対する国民の批判も強いものがあると思います。御指摘のように、地方議会の議決などにもそれが反映されているというふうに考えます。
 政治に対する国民の信頼を回復するためには、政治家個々人の倫理の確立と同時に、制度面の見直しを行うことが不可欠と思います。政治資金の透明性の確保、政策を中心とした選挙の実現など、思い切った政治改革を実現するため、私としては、不退転の覚悟で取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、具体的な事件についてお尋ねがありました。
 この東京佐川急便事件に関して、事実関係を究明し、国民の疑念を解消することは極めて重要であると思っております。金丸前議員が受け取った五億円について、その分配を受けたとされている六十数名の政治家に対する政治資金規正法違反の問題については告発が行われました。検察当局がそれを受けまして引き続き捜査中と承知をいたしておりますので、捜査中の事件でありますので、しばらく捜査の結果を待ちたいと考えております。
 次に、皇民党事件に関し、徹底調査が必要ではないか、金丸前副総裁、竹下元総理の証人喚問など、国会での真相究明に対する政府の協力がどうであるかというお尋ねでありました。
 九月二十二日のいわゆる東京佐川事件の冒頭陳述において、東京地検は、被告人渡辺が、かねて交際のあった政治家がいわゆる右翼団体の活動に苦慮していることを知り、この件の解決を石井に依頼し、同人の尽力により、同団体はその活動を中止した旨述べております。
 政治家と暴力団とのかかわりについて、これに関連していろいろの報道がございました。また、国民の間に大きな疑念があることもよく承知をいたしております。このような国民の疑念が今こそ解消され、政治への信頼が回復されなければ、我が国の将来に大きな禍根を残すことになりかねません。自民党としても、この点の真相解明について努力をいたしておりますが、国会でも既に各党が共同で真相究明のための場をつくるべく御協議中と承知をいたしております。もとより、その御審議に際しまして、政府が全面的に御協力をすべきであることは申し上げるまでもないことでございます。
 なお、このたびのいわゆる上申書の提出あるいは事件の処理等々につきましてお尋ねがございましたが、この金丸前議員に対する政治資金規正法違反事件における検察当局が行いました捜査、その具体的な進め方、手法等については、後ほど法務大臣から詳しく御答弁を申し上げます。
 検察としては、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、法と証拠に照らして適正に処理したものと思料をいたしております。
 次に、閣僚の派閥離脱のことでございますが、初閣議に私から各閣僚に説示をいたしました。また、去る十月には、官房長官から改めて私の説示を徹底するよう各閣僚に注意を喚起したところであります。この点は、各閣僚とも十分認識をしていると考えております。かりそめにも、一党一派の利害にとらわれて行動しているとの批判を受けることのないよう、今後とも閣僚の派閥離脱の趣旨を徹底してまいりたいと思います。
 次に、いわゆる政治改革の十八項目に加えて、指定団体の一本化等の緊急改革についてお尋ねがございましたが、この点は、既に実務者会議で御協議をいただくことになっておりますので、合意が得られ次第、今国会でこれらの改革が実現することを念願をいたしております。
 なお、企業からの献金についてのお話がございましたけれども、企業も一つの社会的な存在である、政治活動の自由を有すると思いますので、それが行う政治献金を一概に否定するものではないと私は考えておりまして、もとより、その団体献金が、国民の批判を招くことのないように節度を持って行われるべきことは当然でございますけれども、企業であるから献金をしてはならないということでは、私はないのではないかというふうに思っておりまして、いずれにしても、これはまた実務者会議において十分に御議論を尽くしていただきたいと思っておるところであります。
 それから、政治改革の実現のために、政治倫理法の制定あるいは政治倫理委員会の設置についてお話がございました。具体的な協議事項については既に各党間で御協議が行われておりまして、行為規範の改正、政治倫理審査会のあり方、あるいは国会議員の資産公開等について合意がなされておりますが、その内容につきまして、できるだけ早くこの国会で具体化を図っていただきたいと思っております。
 イギリスが公職選挙法の違反者に対する罰則の抜本的な強化をいたしました。百年余り前のことでございますが、まことに長い間のイギリス民主主義の苦悩の結果がこの腐敗防止法になりまして、今日、イギリスの政界に絶えてそういう話を聞かないということは、我々が範とすべき例であるというふうに考えております。それに近づいていかなければならないと思っております。
 今、緊急改革を各党協議会に御協議を願っておるわけですが、抜本改革について忘れ去ることがあってはならない、それを決して忘れてはならないと言われることは、私はそう思っております。今お願いしているのは緊急改革であって、これだけで国民の政治に対する信頼を回復できるとは私は思っていません。したがって、もっと基本的な抜本改革をしなければならないということで、私どもの党内では既にかなり回を重ねまして、激しい議論が行われております。私どもの党内でも、いろいろ実は、非常に痛みを伴うことでございますから、問題もございますけれども、とにかく十一月を目途に、これならば国民にわかってもらえるということをまとめようではないか、今一生懸命努力をしておりまして、決してこの努力を放てきするつもりはございません。何とかまとめてみたい。その結果、各党の御協議にお願いをしたいと思っております。
 また、この問題につきましては、確かにおっしゃいますように、あるしは各党党首間の意見の交換というものが必要になるかもしれない。それは必要に応じましてお願いを申し上げたいと思っております。
 経済問題に入ります前に、アメリカの大統領選挙についてお尋ねがございました。クリントン知事の当選を心からお祝いをいたすものでありますが、クリントン知事としては、選挙戦を通じて、アメリカが引き続き国際社会において指導力を発揮しなければならないということを強く主張しておられる、そのことはまた事実でありますから、そのような主張を米国民が受け入れた、その信託が与えられたということは慶賀すべきことと思います。
 日米関係としては、両国間の、いわば二国間の問題というものはたくさん、申すまでもなくございますけれども、同時に、ともに手を携えて、国際的な、グローバルな務めを果たすという問題がございます。その両者について努めてまいりたいと思っております。
 経済面でございますけれども、貿易、投資、技術交流、産業間協力等幅広い分野で大変な、お互いに努力をしておるところでございますが、そういう努力をさらに続けていかなければならない。クリントン次期政権の経済政策については、詳細は必ずしも今明らかでございませんけれども、今度の選挙でクリントン候補が主張してきたところによりますと、社会的公正の実現あるいは競争力強化、財政赤字の削減及び雇用の重視等々を柱とした政策を打ち出しております。今後の現実の政権の誕生を見なければなりませんが、このようなことは基本的にアメリカの経済にとって必要なことであろうと思いますから、このような観点をクリントン次期政権が政府、民間の努力によって実現をしてもらうことによって、アメリカの経済が力強く回復することを期待いたしますが、同時に、米国政府、議会が、自由貿易体制擁護の立場から、国内の保護主義の動きに確固たる態度を示されることを期待いたします。
 我が国から申しますと、今年は貿易黒字、経常黒字ともかなりまた大きくなる傾向がございまして、したがって、対米黒字というものもやはり依然として問題として残ることになると思います。やはり我々が内需中心の経済成長を順調な路線に戻すことによって、この問題に対処していくというのが基本的な政策でなければならないと思います。
 そういう意味で、国内の経済問題でございますが、史上最大規模の十兆七千億円に上る総合経済対策を先般決定したところでございます。その後このフォローアップをいたしておりまして、何とかこれが定着をして経済の立ち直りを図りたいと考えておりますが、今のところで見ますと、公共投資が拡大したことは、これは当然でございますが、住宅投資に多少回復の傾向が見られます。さだ設備投資、消費等は必ずしも敏感に反応しておりません。こういうところから、しかし、徐々に民間の自助努力につないでいきたいというふうに考えているわけでございまして、その観点からも、今回御提出いたしました補正予算の一刻も早い成立をお願いを申し上げたいと思います。
 所得税減税につきましては、先ほど申しましたとおり、委員長もおっしゃいました、これについては、それが必要であるという強い意見もございますし、またそれについて反論もあるという現状と思いますが、やはり一つの問題は、財源の問題であろうと思います。消費税の増税をするということを私は考えておりませんので、したがって、減税の財源をどこに探すか。いろいろ歳出を削減いたしましても、兆、二兆というような財源はなかなか容易なことではございません。特例公債ということを考えることを私はどうしても避けたいと思っておりますので、どういうふうにして財源を調達するかというところで、減税そのもののメリットがわからないわけではございませんけれども、苦慮をいたしておりまして、それならどういうことで経済の刺激をするのかとおっしゃいました。私は、やはり住宅投資を促進することが一番いいのではないか。それは、良質な住宅ができるということはもとより好ましいことですけれども、住宅ができることによって総合的な需要が生まれるということをお互いは経験をしておりますので、やはりそういうことで経済の立ち直りを促すことがいいのではないかと私としては思っております。
 なお、総合経済対策の効果がどのぐらいであるかというお尋ねでございましたが、数字そのものはGNPの二・三%でございますが、乗数効果で言えば、施策が行われてから一年間の乗数効果はGNP換算で二・四%に相当するというふうに計算をされておりますので、相当な効果が一年間の間にはあるものというふうに考えております。もちろん、この公共事業、公共投資の中で、かねて生活大国で考えております住宅、下水道、福祉・文教施設等々、要するにそれらの事業に重点的に配分をするようにいたしております。
 それから、今回の総合経済対策で資産デフレ、不良債権の処理についてどういう考え方をしているかということでございますが、もちろんバブルに戻ってはいけないということは、当然のことながら考えております。
 それから、金融機関の不良資産の問題については、これは特定の銀行なり金融機関を救うという考えではもちろんありませんで、銀行が金を貸せなくなったという事態、他方で、しかし資金需要がないかといえば、政府関係機関には資金需要が出てきておるわけでございますから、資金需要があるが銀行が貸せないという状態は、まあいわば血液の結滞のような状況であって、これは何とか直さなければ経済の立ち直りは難しいということから、いわゆる不良資産の流動化ということを考えました。したがって、おっしゃいますように、それは銀行自身が、金融機関自身が自分をきちんとしてもらわなければならないということが前提でございます。ただこれを救済するという意味ではございません。
 ディスクロージャーも、おっしゃいますように、そういう意味で考えられているところでありまして、先般、大蔵大臣が、中間決算時点における六カ月以上延滞債権の概況をおっしゃいましたが、もっと本格的には、金融機関自身の資産内容のディスクロージャーについて、どういう基準で金融機関にそれを促すかということ、基準を決めまして、平成四年度の決算には間に合うように金融機関自身のディスクロージャーを求めてまいりたいというふうに考えております。
 そういう種類のことでございますので、今度の不動産担保つき債権の買い取り会社に公的資金そのものを導入するということを今前提にはいたしておりません。これは金融機関自身の努力によって基本的には行われるべきものというふうに考えております。
 「生活大国五か年計画」では、いわゆる年間所得五年で住宅を確保できるようにしたいというこ〉を言っておりますわけですが、これがまた土地のバブルになっては実現をいたさないのでございますから、その点は十分注意しておりますし、言た、公共用地の先行取得につきましても、不要なものを買うつもりはもとよりございません。地価についても厳しくいたしていくつもりでございます。ジレンマがございまして、非常に厳しくしていくことによって、この不良債権が流動化しないという問題はないわけじゃございませんが、しかし、バブルに戻るようなことがあってはならない。そういう意味で、もとより総量規制という、そういう伝家の宝刀も持っておりますけれども、そういうことがありませんように注意をしてやつてまいります。
 先ほども申しましたように、民間の資金需要がないわけではないというのは、政府関係の金融機関に対する需要が出ておりますわけですから、それについての貸付枠を拡大する、あるいは金利を引き下げる等々、中小企業金融機関に対する総額一兆二千億円の貸付枠の追加をいたしたところでございます。
 中小企業の問題につきましては、指導員によるあっせんの強化等々、あるいは下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用をやっておりますが、今後とも十分に注意をしてやってまいりたいと思います。
 なお、残りのお尋ねにつきまして、法務大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣田原隆君登壇〕
#23
○国務大臣(田原隆君) 石田議員の質問にお答えします。
 いわゆる東京佐川急便事件について、検察当局は、東京佐川急便株式会社の巨額な債務保証等に関係する資金の流れやその使途について捜査を行う過程で、金丸前議員に係る政治資金規正法違反の事実を把握し、必要な捜査を行った上、九月二十八日に金丸前議員を公訴提起するとともに略式命令の請求をしたものであります。
 そこで、まず、今回の事件の捜査に当たって、東京地検が、五億円をもらった金丸氏本人を事情聴取もせず、上申書の提出で略式起訴による罰金で済ませたことは、交通違反でも出頭が要求されるのに、法のもとの平等に照らし、政治家に対する措置が甘かったのではないかとのお尋ねですが、検察は、あくまで、刑事事件について、その被疑者が政治家であるか否かにかかわらず、犯罪の嫌疑が認められるかという観点から事案の真相を解明するため、法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠により犯罪の嫌疑が十分認められたものについて、罰則の法定刑の枠内で適正に公訴権を行使することを職責とするものでありまして、今回の検察当局の捜査処理は、このような検察の職責を適正に果たしたものであり、これが法のもとの平等に反するものとは考えておりません。
 次に、金丸氏が授受した五億円を、検察庁は事情聴取もせずになぜ政治資金と認定できたかとのお尋ねですが、検察当局は、金丸前議員から提出された上申書を含め、収集した証拠関係を総合勘案した結果として、これが金丸前議員に対する政治活動に関する寄附であると認定し、これが裁判所にも認められたものと理解しております。
 次に、今回の事件に対する検察の対応に対しては、資金の流れの徹底解明が十分行われていないと国民の多くが疑問を持ち、さらに検察庁幹部も指摘しているほどであり、捜査が不十分ではないか、また、金丸前議員に渡された五億円が六十数人の政治家に渡っているとすれば、受け取った議員にも政治資金規正法違反が成立するのではないかとのお尋ねですが、金丸前議員の五億円受領に係る政治資金規正法違反の捜査の過程においては、その収支に関して、それまでに収集された証拠関係を踏まえ、必要な検討を加えたものの、事件処理の段階では、起訴したもの以外には、金丸前議員の余罪として訴追すべき犯罪の嫌疑が認められるものは確認できなかったと聞いており、刑事事件について、刑事責任の有無等を明らかにするという捜査の目的から見て、検察当局の捜査が不十分であるとの指摘は当たらないものと考えております。
 また、御指摘の五億円を受け取ったと取りざたされている六十数人の政治家に係る同法違反については、その処罰を求める告発が既になされているところであって、検察当局において、これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査を行っているところでありますので、犯罪の成否について答弁することは差し控えさせていただきますが、いずれにせよ、この点についても検察当局は適切に対処するものと考えております。
 最後に、東京佐川急便から十数人の政治家に総額二十数億円に上る政治資金が渡されたと言われているが、金丸氏以外は、いつ、だれに支払われたのかとのお尋ねですが、東京佐川急便から十数人の政治家に総額二十数億円に上る政治資金が渡されたのではないかとの点について、そのような報道がなされていることは承知していますが、そのような報道との関係はともかく、検察当局としては、東京佐川急便株式会社の渡辺元社長その他の関係者について必要な捜査を行ったものの、これまでのところ、金丸前議員に供与された五億円に係るもの以外には、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったと聞いており、起訴されなかった事実関係については、答弁を差し控えさせていただきます。
 以上、石田議員の御質問にお答えいたします。(拍手)
     ――――◇―――――
#24
○自見庄三郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明五日午後三時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
#25
○副議長(村山喜一君) 自見庄三郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(村山喜一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決しました。
本日は、これにて散会いたします。
   午後四時散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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