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1992/11/05 第125回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第125回国会 本会議 第3号
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1992/11/05 第125回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第125回国会 本会議 第3号

#1
第125回国会 本会議 第3号
平成四年十一月五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  平成四年十一月五日
    午後三時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続
   )
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続
 )
    午後三時四十二分開議
#2
○議長(櫻内義雄君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(櫻内義雄君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。山下八洲夫君。
    〔山下八洲夫君登壇〕
#4
○山下八洲夫君 この国会は、我が国の政治の根源を問うものとして、かつてない国民の怒り、世界の注視の中で開会いたしました。その冒頭の宮澤総理の所信表明演説について、私は、日本社会党・護憲民主連合を代表し、質問をいたします。(拍手)
 まず最初に、本日の午後、東京佐川・稲川会ルート第四回公判についての報道がございました。
 竹下登政権が誕生した昭和六十二年の自民党総裁選をめぐり、右翼団体日本皇民党が竹下氏を褒め殺しで攻撃した事件で、金丸信前自民党副総裁の代理人が三十億円、森喜朗同党政調会長本人が二十億円を提供するので攻撃を中止してほしいと皇民党側に申し入れたことが、五日午後、東京地裁刑事六部で開かれた東京佐川事件稲川会ルートの第四回公判で朗読された検事調書で明らかになりました。
 また、竹下派新会長の小渕恵三氏と党国対委員長の梶山静六氏の各代理人や、浜田幸一、浦田勝、魚住汎英の各議員本人も皇民党側に接触を図っていたことも判明。政権取りの舞台裏で金丸信氏を中心とした自民党議員多数が右翼とのトラブル解決に動いた事実は、各方面に大きな衝撃を与えそうだ。
 宮澤総理、御存じでございましょうか。ぜひ後ほど御感想をいただきたいと思います。(拍手)
 宮澤総理、ちょうど五年前のあす、十一月六日は、竹下政権が誕生した日であります。私たち国民は、その政権が暴力団の力をかりて誕生したのを知って、言い知れぬ怒りと屈辱を感じています。(拍手)
 首相が施政方針や所信表明の演説で政界不祥事についてわびるのは、七六年九月の臨時国会で三木首相がロッキード事件について陳謝して以来ですが、今回は政治と金の問題ばかりではなく、今の報道にもありますように、政治と暴力団の問題にまで触れざるを得ないのは、極限の深刻さと言わねばなりません。
 元最高裁長官の岡原昌男氏は、ある新聞で、金丸氏が自浄作用ではなく民衆の力でやめざるを得なくなったこと、竹下氏はまず事実を明らかにし、国会での究明にも応じて、その上でけじめをつけるべきことなどについて語った後、「暴力団に頭を下げ、料理屋でごちそうしたというのは茶番劇だ。外国からどう見られるかと考えると恥ずかしい」と述べています。
 事態は、まさに国際的な軽べつを浴びる事態に展開しています。
 例えば、イギリスのフィナンシャル・タイムズは、大きなスペースを割いて事件の経過を追っています。パリのインターナショナル・ヘラルド・トリピューンは、政界汚職に対するブラジルと日本の対応ほど対照的なものはないと書き、ルモンドは、日本のスキャンダルは暴力団と与党との関係を白日のもとにさらけ出したと伝えるなど、今や日本のやくざは国際的に名が通ってしまいました。
 私たちは、その汚辱を払わなければなりません。しかし、これまでのあなたの態度で果たしてそれができるでしょうか。私たちも、町の声もみんな、総理は他人ごとのようだと感じているのです。御紹介した内外の怒りをどのように受けとめておられるか、まず初めにしっかりと承りたいと思います。(拍手)
 さて、もし総理が私たちと同じ気持ちでこの政治不信を受けとめ、これを今こそ解消しなければならないとお考えなら、私たちが求めている当面十人の証人喚問について、総理は他人ごとのように、国会に任せるなどと言わず、自民党総裁として、直ちに全員の証人喚問に応ずることを明らかにしていただきたい。これは総理・総裁としての指導力の問題であります。
 総理の指導性について、もう一つ伺います。
 去る十月十二日、山崎建設大臣が初めて金丸氏の議員辞職を求める発言をされました。その際、報道によると、社会党の田邊さんは金丸さんとの盟友関係を売り物にしている、健全野党を堕落させた本人、金丸さんとのバランスからいってもやめていただきたいと述べられたといいます。大変
ゆゆしい発言でございます。総理は、これが事実かどうかを当然調査されると思いますが、いかがですか。
 この発言は、第一に、公党の党首の政治行動に対するいわれなき中傷であること、第二に、みずからの党の幹部の不祥事に関連して他党にバランスなどという論理で責任転嫁をすること、さらに第三に、閣僚の発言として甚だしく公職の認識を逸脱するものです。到底許すことはできません。
 総理は、この閣僚の任命権者として、内閣を代表して我が党に陳謝し、山崎建設大臣を直ちに罷免すべきでございます。(拍手)私は、日本社会党を代表して、このことを強く求める次第でございます。
 あわせてこの際申し上げたいのは、金丸氏との政治的な関係を重視するならば、その金丸氏のおかげで総理につくことのできたのは、宮澤総理、あなたがついたのでございます。一番責任は重いのでございます。その上、副総裁就任を金丸氏に懇請し、この間、ずっと助けてもらってきたのであります。しかも、金丸氏が佐川からの五億円授受を認めて副総裁辞任を申し出たとき、宮澤総理は不見識にも、世論に逆らって懸命になって彼を引きとめようとしたじゃありませんか。これらの責任をとって、真っ先に総理大臣の職はもちろん、議員もやめなければならないとすれぼ、ほかならぬ宮澤総理、あなたなのです。いかがでしょうか。(拍手)
 これまで歴代総理は、政界スキャンダルが表に出るたびに政治改革を叫んできました。竹下総理は八九年二月の施政方針演説で、みずからのすべてをかけて、皆様とともに政治改革の実現に取り組むと言い、海部総理は九〇年三月、「政治改革を進め、「信頼の政治」を確立する」、改革の実現に不退転の決意で取り組むと言われました。ところが、政治改革は少しも前進いたしておりません。その上、宮澤総理の先日の演説では、これまで主張してきた十一月末の抜本改革には全く触れていません。これは一体どうしてでしょうか。
 あなたの先輩の福田元総理は、最近ある雑誌で「宮澤君は議員を前にして、機会あるごとに倫理綱領を読み上げるくらいの情熱を見せないといかぬ」と忠告をされ、さらに「組閣以来見ていると、何かオドオド、ピクピクしているような感じを受ける」と心配されています。
 この際、証人喚問だけでなく、抜本的政治改革の断行をどうなさるのか、率直にお伺いいたします。
 そこで、具体的に政治腐敗を防止する効果的な方策についてですが、私は、現在の中選挙区制を小選挙区制に改めても、金権腐敗の実態はほとんど改善されないものと思います。それよりも、企業・団体献金を一切禁止し、個人献金のみとすること、公職選挙法や政治資金規正法の公民権停止を含む罰則を強化拡大することなどを最優先して直ちに実行することだと考えますが、いかがでしょうか。
 私は、これと並行して、国会の機能の強化がぜひ必要だと考えるのです。国会本来の立法・調査機能の強化のため、国会の法制局や調査室の拡大充実、公設秘書の増員は当然でございます。また、これらの国会の機関が政府の法令検索システムを直接利用できるようにするなど、行政情報の国会への積極的な提供について政府の義務を確認しなければなりません。これは政治改革の第一歩と考えますが、総理、いかがでしょうか。
 さて、続いて、重要な幾つかの問題についてお伺いをいたします。
 まず、財政経済問題です。
 現在の深刻な不況の中にあえぐ中小零細企業と勤労国民の苦痛について、政府の姿勢の誤りをただしたいと思います。
 バブルの崩壊と一口で言われますが、私は、それを招いた政府の政策と国民の被害について、政府に猛反省がないことを強く責めなければなりません。このことは、現在の景気対策に端的にあらわれています。これによって中小零細企業と勤労国民は救われることはありません。
 特に国民が納得できないのは、政府の肝いりで設立される不良債権の担保不動産買い上げ会社です。問題の不良債権は、九月末で総額十二兆三千億円に達したと大蔵省が発表しています。これは、この半年間で実に五四%も増加したもので、このうち回収不能な債権額は五六%増の約四兆円と報告されました。一般にはその何倍かに達していると言われていますが、そもそもその実態を銀行自身が明らかにする努力がなく、それに対して宮澤総理は、公的資金を使うことを発言された経緯がございます。さすがに世論の強い批判を受けて、今回はその措置には至りませんでしたが、これは当然のことでございます。総理は、今後もこのようなお考えをお持ちになることがあるかどうかを伺っておきます。
 しかも、その税制優遇でさらに大銀行に恩恵が偏ることは、到底納得できるものではありません。金融機関はそれぞれ町の一等地に店舗を構えています。店舗は三階や四階以上へ移転をし、一、二階は市民、商店街に開放するなどして、まずみずからが自助努力を社会に明らかにすべきでございます。大蔵省はこうした指導を行う考えはございませんか。
 そして、政府の総合経済政策十兆七千億円は、本質的にバブルで甘い汁を吸い、不当利益と不当資産のストックを有する階層、業界への救済に重点を置いたものとなっております。その他、公的資金の指定単の制限を緩和し、資金運用事業の株取得などに一兆一千二百億円の追加支出をしたり、土地流動化のため、地方自治体等に公共用地の先行投資一兆五千五百億円を配分するなど、バブルの元凶である証券、金融、不動産等の業者の利益を保護する国民不在の政策であると言わざるを得ません。総理はこれについてどう考えますか。
 今、日本の経済は大きな転換期に直面しています。景気の調整局面などという難解な経企庁用語を避け、バブル経済を反省して新たな財政目標を立てるときです。政府の総合経済政策からは、そのグランドデザインは浮かび上がってきません。赤字国債の発行とか消費税の税率引き上げとか、その場しのぎの国民負担の増加だけの発想です。生活者を軸とする公平、公正、改革の財政経済政策はどうあるべきか、総理の御見解を伺いたいと思います。
 ここで、全国民的減税としての消費税について特にただしておきたいと思います。
 消費税は、その導入のときから構造的な欠陥が指摘されたのは、皆様御承知のとおりでございます。そのための緊急是正は与野党ともに認めると
ころであり、昨年、非課税範囲の拡大、益税の是正という改正が行われました。しかし、いわゆる逆進性など消費税の基本的欠陥は決して解決したわけではなく、私たちはその廃止を求めていますが、当面、引き続きその是正を進めるのは当然のことでございます。
 特に、税制問題両院合同協議会において「飲食料品の取扱については、税制問題等に関する両院合同協議会で協議を続けるものとする。」という与野党間の確認事項である飲食料品等の非課税化については、政府も飲食料品の生産・流通段階一・五%、小売段階非課税とする改正法案を提出した経緯もあります。今日、全野党が要求しています。これについて、自民党は逃げの一手でほおかむりをしているのは許しがたいことでございます。
 同時に、飲食料品の非課税化は一兆円規模の減税効果となり、景気対策としても有効な手段と考えます。総裁として、緊急是正を行うよう与党を指導する意思があるかどうかをお伺いいたします。(拍手)
 あわせて、消費税の税率について、直間比率云々といいますが、これは税政策の結果であり、初めに比率ありきは間違いであります。
 しかも、あれほど引き上げないと言っていた消費税の税率を近い将来に一〇%にすると与党税制調査会長は公言していることは、断じて許しがたい発言でございます。
 そこで総理、消費税税率アップは行わないとここで言明していただきたいと思います。
 次に、所得税減税についてお伺いをいたします。
 今、景気の現状を見るにつけ、有効な経済対策は何かと問われれば、所得税減税であると確信を持って言い切れるものであります。それは我が党だけではなく、他の野党も主張しておられます。
 この際、冷え切った国民の消費に活力を与えるため、所得税減税は、例えば税額控除で課税所得三百万円以下は三万円、三百万円から六百万円までは傾斜控除を本年度より実施し、あわせて消費税の、当面飲食料品の全段階非課税の実施等で少なくとも二兆円以上の国民減税を行い、消費の活性化による内需拡大策で、例えて言えば百貨店から新幹線など、あらゆる売り上げ低下を浮揚させるべきであります。
 これらの財源は、まず第一に、公益法人関係の税法上の不公平と抜け穴封じのための法改正を行い、収益事業については、少なくとも一般企業と同じ税率に改めること。
 第二に、政治家のパーティーなど政治関連事業の収益金への一定率の課税は当然ではないでしょうか。
 第三に、法人企業への特別な引当金、準備金等の逐次解消。
 第四に、租税特別措置法の中の特定業界品種の優遇措置の撤廃等により、減税分は十分賄えるのであります。
 これらによって、金融機関や大企業優先の不況対策ではなく、一億二千万人のための景気浮揚策が初めて展開されるようになるのであります。国民の皆さんが納得できる説明と御見解を羽田大蔵大臣にお伺いをいたします。(拍手)
 さて、ここで、地方の問題についてお伺いをいたします。
 「地方の時代」と言われて久しいのですが、相変わらず中央集権、しかも中央強権というべき状況が加速されています。私は、これを深く憂います。バブル経済は一層地域格差の拡大を生み出し、地域配分のアンバランスをもたらしました。生活者重視という経済の柱に、この地域格差是正、地域振興が特に大きく据えられなければなりません。中央集権ではなく、思い切った地方中心、分権の方向にかじを転換することにあります。地方が住民参加で大きな将来構想を立て、国がそれを支え、応援するような構造に転換する方法を提起しなければ、積極的な町づくり、国づくりは望めないでしょう。
 このような見地から、公共事業などにおいても福祉と環境を優先することとし、公園、生活道路、下水道、合併浄化槽等の整備、福祉や教育に関連する施設の整備が優先されるべきです。政府はこのような方向を目指すかどうか。さらには、生活大国構想の中に位置づけられる地域振興の具体的な中身をお伺いいたします。
 また、地方財政におきましても、補正措置ということで、交付税原資の落ち込み分を特別会計借入金で賄うほか、総合経済対策の実施に伴う地方負担分を地方債で負担することとしております。
 景気対策や地域経済の振興のために自治体の果たす役割は大きく、特に身近な生活関連社会資本の整備に重点を置いた住民密着型の公共投資の充実、高齢者保健福祉の推進、地域環境の保全を進めていかなければならないと考えておりますが、これらの措置によって、現在でも七十二兆円ある地方の借金の増加は避けられません。
 その上に、報道されておりますように、九三年度の予算編成におきまして、交付税の税率の引き下げや特例減額がなされるとするならば、景気対策も地域経済の振興もおぼつかないものとならざるを得ません。国の財政も厳しいが、地方財政も税収は悪化しており、もっと苦しいのでございます。
 そこで、私は、総理と自治大臣に地方財政に対する認識をお尋ねするとともに、地方交付税率の引き下げや交付税額の削減は厳に行わないことを強く求めるものでありますが、お考えをお伺いいたします。(拍手)
 次に、地方問題との関連で、最近、関心を深くする環境問題についてお伺いをします。
 総理は、この六月、ブラジルで開かれた国連環境開発会議に演説ビデオを送り、日本が「国際的にも最も厳格な環境規制」を実施してきたこと、企業も技術革新など努力を進めたこと、その両者が相まって「環境状況にはようやく顕著な改善が見られるようになりました」と胸を張ったのであります。
 ところで政府は、食物の残留農薬基準の新設、水道水の水質基準の見直し、自動車排ガスの窒素酸化物規制の実施、さらには環境基本法の立案など、私たちの日常生活と内外の環境に大きな影響を及ぼす課題に取り組んでいます。
 そこで、これら一連の取り組みにおいても、総理の言われる「国際的に最も厳格な環境規制」を適用または確立しようとされるのかどうか、まずその基本姿勢をお伺いしたいのでございます。
 環境関係の二つの審議会は、この十月に環境基本法制のあり方について答申しましたが、答申内容は、開発関係省庁や財界の働きかけによってか
なり消極的なものになってしまいました。例えば、事業者の開発行為や製品に関する環境アセスメントについては、「環境保全のための配慮を行うという考え方が重要」とされているだけで、そのための新たな法制度が必要とは書かれていないのであります。これは、肝心の環境庁自身が法制化を初めからあきらめていたためだと報道されておりますが、それは真実でしょうか。明確な御答弁をいただきたいと思います。
 総理のブラジル演説ビデオでは、「地球市民時代の構築を」と呼びかけておられますが、その「地球市民」とは、「地球規模で考え、地域で行動する者」と一般には理解されております。したがって、地域、自治体における積極的な取り組みに対して、国はこれを応援する側に回らなければなりません。しかし、それとは逆に政府は、大気汚染防止法のように特に法律で許されている場合を除いて、自治体は国より厳しい環境規制をしてはならないという態度を続けてきたのであります。環境基本法を立案する際、これまでのこうした方針を見直すべきではないでしょうか。ぜひお答えを伺います。
 ところで、アメリカ大統領選挙は、民主党クリントン氏の圧勝に終わりました。この選挙結果が我が国に及ぼす影響は極めて大きいものがあります。十二年ぶりの政権復帰であります。日本外交も大きな転換を求められると思います。ガット農業交渉の行方はもとより、日米貿易関係や安全保障の面を初め今後の変化をどのように予測しておられるのか、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
 その中でも、特に農業問題について伺いたいと思います。
 ガット農業交渉が大詰めを迎えたと伝えられていますが、この交渉は、農産物輸出国の利益追求に主眼が置かれ、各国が基礎食糧の自給率を高めようと努力することを否定的にとらえていることについて、日本としては大いに批判すべきであります。
 そればかりではありません。我が国伝統の水田農業が担っている災害防止や環境保全の重大な役割についても、政府は堂々と世界に訴えるべきではないでしょうか。これらの外交努力をどのように展開しておられるか、具体的に御報告を願いたいのであります。
 また、各国の食糧自給率を見ても、先進工業国と言われる国ほど自給率が高く、カロリーベースでアメリカやフランスは一〇〇%を超え、ドイツやイギリスも七〇%から九〇%近くという高い水準を保っています。これに対し、日本はわずか四七%までに低下し、世界百六十四カ国中百四十五番目と低迷しているのであります。仮に、今輸出国の圧力に負けて米の輸入自由化に転じたならば、この数字はさらに悪くなることは必至と言わねばなりません。今後も、従来の日本の立場を貫き通す方針なのかどうか、米国新政権の動向をにらんで、明確なお答えを求めたいと思います。(拍手)
 ところで、緊急対策が求められている問題の一つに、農村の崩壊が最も深刻な山間地域など、農業継続の条件が極端に不利な地域への対策があります。
 農林水産省が六月十日に発表した新しい食料・農業・農村政策、いわゆる新政策においては、当初、このような地域に対する直接所得保障、いわゆるデカップリング政策の可能性が検討されましたが、具体的には国民のコンセンサスが得られないとして見送られてしまったのであります。
 しかし、これらの地域で農業が営まれることが、国土や環境の保全の上で極めて重要であることについて、政府は大都市住民を初め国民に積極的に訴え、国民的な合意形成に努めるべきではないでしょうか。(拍手)
 終わりに、私は、今の政治の危機的状況についてもう一度付言いたします。
 今日の危機は、昭和初期に酷似しているとの警告を聞きます。当時、政治腐敗は、政治への信頼を失い、やがて軍部の台頭を許し、テロ事件が続発したという警告です。現に、我が国は、先進列国の中、ただ一国だけ依然として軍事費を増大させている国です。この深刻な不況の中、国民は、何ゆえなお軍備の増強かといぶかしんでおります。
 しかも、政治腐敗は権力の中枢を侵す中、自衛隊のある佐官が堂々と週刊誌に、クーデターの決起を語るという事態です。議会制民主主義を守り、今こそ疑惑解明と政治改革をなし遂げなければなりません。
 もし宮澤内閣がその意欲を国民の前に示さないならば、内閣総辞職をすべきです。満堂の議員諸君に呼びかけて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) ただいまの国民の政治不信は、かつて経験したことのないほど深刻なものと痛切に感じております。また、政治改革がその実を上げていない現状に対する国民の批判も強いものがあります。私は、一日も早く国民の納得が得られる政治改革を実現しなければならない、こういうふうに考えております。
 次に、国民の政治不信を招く事態が生じたことについて、国民の疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければならないと考えますので、そのための真相解明は重要なことと思います。現在、自民党としても真相解明に努力中でございますが、国会では既に各党間で真相解明のための場をつくるべく御協議中と承知しております。政府といたしましても、もちろん全力を挙げて国会の御審議に御協力をいたします。
 御指摘の山崎建設大臣の発言については、官房長官を通じ事情を聞きました。閣僚の発言としては適当でないと考えますので、本人にも厳重に注意をいたしました。
 金丸前副総裁について、このような事態になったことをまことに残念に思います。どんな困難に直面しようとも、政治改革をやり遂げ、一日も早く国民の政治に対する信頼を回復することが、私が今やらなければならないことであると心に誓っております。
 国民の政治に対する信頼を回復するためには、選挙制度の問題等を含めた抜本的な政治改革が必要でございます。自民党では、かねてから明らかにしているとおり、十一月を目途に抜本的改革の方向を政治改革の基本方針として取りまとめるべく、ただいま鋭意党内論議をいたしております。自民党における方針が取りまとまり次第、引き続き各党間で十分な御協議をいただき、できるだけ早期に具体化が図れますよう念願をいたしております。政府としても、このため最大限の努力を払ってまいります。
 政治腐敗防止のための小選挙区制云々ということで、企業献金のお話がございましたが、御指摘の企業・団体献金の禁止、罰則の強化等については、既に政治改革協議会の実務者会議で御協議をいただくことになっているものと考えておりますので、合意が得られ次第、今国会で実現されることを念願いたします。
 なお、国会の立法・調査機能の充実については、国会での御議論を踏まえながら、内閣としても国会と十分調整の上、適切に対応してまいっております。
 なお、次に、総務庁の法令検索システムについてお話がございまして、これは専ら行政機関の利用のために開発、運用しているものでございますが、国会御自身がその必要性に対応したシステムの開発、運用を行われる場合には、もちろん政府としてもでき得る限り協力を申し上げる所存であります。国会に対し、行政の現状等、資料の提供などについては、もちろんこれまで同様、できる限り協力をしてまいります。
 それから、不良資産問題の解決についてお話がございましたけれども、これは、もとより個々の金融機関を救済するというようなことを目的にして考えられたものではありません。資金需要がありますのにマネーフローがこれだけしかない、マネーサプライがこれだけしかないということは、やはり金融機関の側に貸し出しに応じられない事情がある、その原因を除去しなければ国民経済に血が流れない、血液が流れないという状況の中で、金融機関に対するいわゆる総合経済対策の方策を決めたわけでございます。現実の問題として、金融機関が自主的にこの問題の解決に当たっております。私自身は、必要があれば、公的資金と言ったのではありません、公的な援助を考えてもいいと、それは例えば欠損等の税法上の処理などを頭に置いて申しましたが、ただいままでのところ、それは必要としないということで金融機関の自主努力が行われております。これはもちろん、重ねて申しますが、金融機関を救済するためにやっておるのではございません、国民経済のために。資金需要のあります、殊に中小企業等々に一番密接に関係する問題でございます。
 現在、我が国の経済状況は御承知のように低迷をいたしております。しかし、これは、従来の事情とあわせまして、金融システムの安定性の確保等も必要とするものでございます。そういう意味で、先ほども申しましたような証券、金融等の問題も含みます総合経済対策を立てたわけでございます。
 それから、この政府の財政経済政策などの中で公平、公正ということをどのように考えるかというお話でございましたが、私どもが「生活大国五か年計画」で申し上げておりますように、やはり政策の運営に当たって、生活をする人々、消費をする人々、一般大衆と申しますか一般投資家、そういう立場からの経済政策の運営が大事だというふうに考えまして生活大国の計画を立てておりますが、こういうことは、やはり財政経済における公平、公正の実現につながるものと考えております。
 それから、消費税につきまして、飲食料品の扱いでございますが、これは、平成三年十月を目途に各党で御協議がありたわけですが、昨年十月に、各党会派の意見の一致は見られなかったという御報告でございましたので、政府としては、それを踏んまえまして、ただいまの法律の施行をいたしております。なお、景気対策といった見地から消費税の改正を行うという気持ちはございません。また、消費税率の引き上げは考えておりません。
 それから地方財政でございますが、地方財政はなお多額の借入金を持っておりますし、今後の国、地方を通ずる税収の落ち込みを想像いたしますと、厳しい環境にあるものと考えております。また、このたびの総合経済対策でも、非常に地方財政には努力をしてもらっております。社会資本の整備あるいは高齢化社会への準備等々、多額の財政需要があるというふうに思いますので、地方財政の運営に支障が生じないように地方財政計画の策定をしていかなければならないと思っておりまして、地方交付税については、財政の状況等を考え、地方財政の円滑な運営に支障があってはならない、支障を生ずることのないように、地方交付税法に基づいて適切に対処をいたしてまいりたいと考えております。
 それから、食品の残留農薬についてお話がございまして、残留基準について整備に努めておりますが、また、水道水の水質基準については、国民から信頼され、おいしい水を供給していくために、国際的動向や水道水に対する国民のニーズ等を踏まえまして、その水質基準の見直しに現在鋭意取り組んでおります。
 自動車の排ガスにつきまして、窒素酸化物の規制については、これまでも我が国は世界で最も厳しいレベルの単体規制を実施しているところでありますが、大都市における窒素酸化物による大気汚染の深刻化にかんがみまして、新たにいわゆるNOx法を制定し、より厳しい排出ガス規制をすることにいたしたわけでございます。これらを踏まえて環境基本法制の立案に取り組む考えでございます。
 それから、環境基本法制を立案いたします際に、自治体による上乗せ規制の問題でございますが、これにつきましては、環境基本法制のあり方についての答申の趣旨に沿いまして、国、地方公共団体等が共通の認識のもとに積極的に取り組むことにしてまいりたいと思います。
 なお、クリントン新政権になりまして、ガット農業交渉に対する態度でございますが、ただいまの段階で、選挙が済んだばかりで明らかではございませんが、クリントン氏は、一般的にはウルグアイ・ラウンド交渉を重視するという立場をとっておられました。
 この交渉は今最終段階に入っておりますけれども、我が国としては、農業につきましては、各国ともそれぞれ困難な問題を抱えておりまして、これまでの基本的方針のもとに相互の協力による解決に向け最大限の努力をしてまいりたい。従来の方針をこの際変更するということを考えておりません。
 残余の質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
     〔国務大臣羽田孜君登壇〕
#6
○国務大臣(羽田孜君) お答えを申し上げます。
 金融機関の店舗の有効利用、設置場所につきましては、基本的には金融機関の自主的な経営判断
によりまして決められるべきものであろうと考えております。
 なお、去る八月の「金融行政の当面の運営方針」でも申し上げましたように、今日の金融機関経営を取り巻きます厳しい状況の中で、金融機関には、経営組織全体を通じた厳しい自助努力によりまして最大限の合理化が求められておるところであります。私どもといたしましては、各金融機関に対しまして、最大限の自助努力を基本として経営の一層の効率化と安定化を図ることを要請しているところでございます。
 なお、所得税減税につきましてでありますけれども、現在の家計におきましては、この数年間の耐久消費財の需要が極めて好調であったことの反動といった現象が見られます。こうした消費の現状を考えますときに、巷間言われるような消費刺激策といたしまして所得税減税、この効果というものは余り期待できないものであろうと思っております。結果といたしましては、財政赤字の拡大につながるものであろうと考えます。いずれにいたしましても、今日の厳しい財政事情に思いをいたしますときに、特例公債を発行することはもちろんできないことから、所得税減税というものを実施することはできないと申し上げざるを得ません。
 なお、御提案の税額控除方式による減税につきましては、現行の所得税制の体系をゆがめることになってしまうということで、税制として極めて問題があろうと思っております。
 なお、消費税につきましては、ただいま総理の方からお答え申し上げたとおりであります。
 なお、減税の財源として、いわゆる不公平税制、これの是正を行うべきとの御意見というふうに受けとめたわけでございますけれども、税負担の公平確保のための努力は、減税するかどうかとは独立にやはり考えられるべきものでありまして、当面の景気対策としての減税の財源の確保を念頭に置いて行うべきものではなかろうというふうに思います。
 なお、公益法人の課税につきましては、収益事業にかかわる軽減税率について、六十三年の十二月の税制改革におきまして、法人税の基本税率が四二%から三七・五%に引き下げられました中で、二七%に据え置き、格差の縮小を図ったところでございます。今後とも、税制調査会の答申を踏まえながら、この問題については適切に対処してまいりたいと考えます。
 なお、引当金制度につきましては、これは費用収益対応の考え方に基づくものでございまして、制度自体を政策税制と考えることは適当ではないと考えます。個々にその趣旨、利用の実態などを踏まえまして点検を行い、必要に応じ実情に即した見直しを行っていくべきものであろうと考えます。
 準備金の制度を含む租税特別措置につきましては、個々の政策目的と税負担の公平性等の調和を図る見地から、常時、そのあり方につきましては吟味を行い、そして厳しい見直しを行ってきたところでございます。今後とも、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢の変化に即応しまして見直しを進めていきたいと思います。
 なお、政治家のパーティーなどの政治関連事業の収益金に対します課税問題につきましては、政治資金の基本的なあり方と関連する問題として、これからも検討を要する問題であろうというふうに考えております。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣田名部匡省君登壇〕
#7
○国務大臣(田名部匡省君) 御質問にお答え申し上げますが、米につきましては、ただいま総理がお答えになりましたとおりでありまして、これまでの基本方針のもとに対処してまいる所存であります。
 条件不利地域の農業に対する御質問でありますが、新政策の中で、立地条件を生かした農林業、あるいは地方都市へのアクセスの改善、生活環境の整備を図る、あるいは農林地の利用管理等を通じた方法で対処してまいりたい、こう考えております。
 いずれにしても、都市住民を含めて国民の理解と協力を得ることが極めて重要でありますので、都市と山村との交流を促進するほか、広報活動を通じまして努力をしてまいりたい、こう考えております。ECとは土地条件、基盤整備等大きな違いがありますので、さらに検討を要するであろうと考えております。(拍手)
    〔国務大臣塩川正十郎君登壇〕
#8
○国務大臣(塩川正十郎君) 総理が懇切丁寧にお答えになりましたので私から答える必要はないと思うのでございますけれども、なお、御質問でございますので、ちょっと要点だけ申し上げます。
 確かに、国税の落ち込みが反映いたしまして地方税も非常に苦しい状態になってまいりましたが、それでもなお、公共投資の基本計画であるとかあるいは高齢化福祉対策に必要な福祉事業の推進、あるいは地域整備事業等は積極的に進めていきたいと思っておりますので、御安心いただきたいと思うのであります。
 それと、なお、よく言われますが、地方単独事業をやっていけばいいが、しかしそのことは地方団体に大きい負担を増すことになり、地方の財政が窮迫してくるではないかとよくおっしゃいます。確かに財政ま楽でまございませんけれども、地方単独事業を積極的に推進して実行していただいたから、それがために財政上窮迫するということのないように、ちゃんと心配ないように手当てをしていきますので、御安心いただきたいと存じます。
 なお、お尋ねの中に非常に重要なことがございましたのは、地方交付税、財政が苦しい、国の財政が苦しいから地方交付税にいろいろしわ寄せがくるが、それについてどうかというお話でございますが、私たちといたしましては、地方交付税の税率など、見直しというものは一切しない。しかし、地方財政に必要な所要の財源はきちっと確保していくように全力を挙げて努力していきますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(櫻内義雄君) 不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
#10
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、宮澤総理並びに関係大臣に質問いたします。
 総理、佐川急便疑惑は、自民党政治の底知れない腐敗ぶりをさらけ出しました。国民の間には、真相の徹底解明を求める声が日増しに広がり、そのことを要求する地方議会の決議は既に八百を大きく超え、九百に近づきつつあります。この声に誠実にこたえることなしに、国民の信頼を回復す
る道はありません。ところが、総理は、所信表明演説で、真相解明の努力については、ついに一言も述べませんでした。
 私は、ここで改めて総理が国民の要望に率直にこたえ、可能なあらゆる努力を尽くして佐川疑惑の真相解明に当たる意思を持っているかどうか、端的に伺いたいのであります。
 自民党の中からは、真相解明は検察の仕事、国会の任務は再発防止の政治改革の立法化にあるといって、国会が真相解明の責任を負っていること自体を否定する議論さえ聞かれます。これは全くの暴論です。国会が決定した政治倫理綱領自体、「政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもつて疑惑を解明し、その責任を明らかにする」ことをすべての議員に義務づけているではありませんか。佐川事件のような重大な疑惑が起こったとき、国会が万が一にも真相解明の任務を放棄するようなことがあったら、政治改革についてどのような論議をしたとしても、そこからは国民の信頼に値する政治は生まれ得ないのであります。(拍手)
 昨日、この議場で、日本共産党にかかわる言及がありました。一九三九年、日本共産党の幹部である山本懸蔵氏がスターリンの弾圧の犠牲になったという問題です。当時、日本共産党は、侵略戦争と主権在君に反対し、民主政治を目指した主張と活動のために、不当にも非合法の状態に置かれていました。この事情が、スターリンの密室的な弾圧に利用されたことも歴史の上で重要な問題であります。山本氏の死の真相については、私たちは早くからソ連側にその解明を求めてきましたが、ソ連共産党も、これにかかわった野坂参三氏もずっと偽りの説明を行い続け、ソ連共産党の解体後に初めて事実が明るみに出たのでした。
 日本共産党は、たとえ五十三年前の過去の問題であっても、人間性と道義にかかわる基本の問題としてこれを重視し、現在、真相の全面的な解明に努力を尽くすと同時に、野坂氏に対しても、事の重大性に応じた厳正な対処をしていることをここで明らかにするものであります。(拍手)もちろん、この問題を金権事件と同列に置いて今日の国政調査の対象とするなどは、論外のことであります。
 話を戻して、私は、佐川疑惑の全容解明の課題にこたえるために、三つの角度から総理に具体的な質問を行いたいと思います。
 まず第一は、自民党の一部政治家と暴力団との結びつきの問題です。
 国民の安全と社会の平和のために、暴力団の反社会的な活動を封殺する問題は、この間、国政の重大問題として取り組まれてきたことで、昨年五月には新立法まで制定されました。そして、政府は、その基本目的が、暴力団の存在と活動をこの社会から一掃する暴力団の壊滅にあること、中でも山口組、稲川会、住吉連合会の三つの広域暴力団が最も危険であり、その封殺に特別な力を尽くすことを力説してきました。
 ところが、今回、政権政党・自民党の中枢にいる人物、竹下派会長の金丸氏が、事もあろうに広域暴力団の稲川会と密接な関係を結び、国政上の一連の問題の解決に稲川会会長の援助を受けていたことが明らかになったのです。金丸氏が稲川会会長の助けを受けた事件は、今確認できるだけでも八七年の自民党総裁選出問題、八八年の衆院予算委員長の進退問題、九〇年の金丸氏の北朝鮮訪問をめぐるトラブル及び山梨県でのリニアモーターカー起工式問題など、四つの事件にわたっています。
 特に重大なのは、八七年の自民党総裁選出にかかわる事件であります。中曽根首相による後継総裁の指名に当たって、竹下氏への指名を阻む右翼団体の活動を抑えるために稲川会会長に問題の解決を頼み込み、その稲川会会長を通じて示された条件を受諾することで竹下内閣を成立させることができたというのであります。
 相手は、国政の上で政府がその壊滅を目的としている団体、それと関係を持つこと自体が反社会的な行為として糾弾されている暴力団であります。ところが、この事件で金丸氏、竹下氏らは、自民党総裁の選出を竹下氏に有利にするために広域暴力団の首脳の力をかり、いわば日本の首相の選出の過程に暴力団を介入させたのであります。これは、首相を含む自民党首脳部が、法秩序の外にある反社会的な集団と手を結んだことであり、法治国家の根本を否定したことではありませんか。(拍手)
 しかも、この事件は、暴力団に巨大な資金源を提供する結果となった点でも重大であります。東京佐川の渡辺元社長が背任罪で告発された第一は、稲川会関係企業に約一千億円に上る債務保証を行い、経営を破綻させたことにあります。裁判での冒頭陳述は、さきの事件などでの稲川会会長の尽力に報いるために、渡辺元社長が、稲川会側から求められるまま債務保証を次々と重ねていったと説明しています。まさに金丸氏の依頼を転機に東京佐川から暴力団稲川会への黒い資金の莫大な流れが生まれたのであります。
 社会の敵を政治的な応援団とした上、その資金づくりを推進した、これが事実であるならば、このことにかかわった政治家の社会的、政治的な罪は極めて重大であり、国会としてそれを見過ごすことは絶対にできないのであります。(拍手)
 この反社会的な行為にだれが加わったのか。渡辺元社長の供述では、竹下内閣の成立の前夜、稲川会会長を通じて右翼団体の条件が持ち出されたとき、それを受諾するかどうかを相談するために、一九八七年十月五日、都内のホテルで会議が開かれたこと、この会議に参加した政治家は竹下、金丸、小沢の王氏だとされています。
 また、本日午後の東京佐川・稲川ルートの第四回公判では、この右翼団体との取引などに関係した政治家として、新たに六名の国会議員の名前が挙げられています。これが事実であるかどうかを含め、四つの事件を通じての暴力団と自民党の中枢部とのかかわりの全貌を明らかにすること、証人喚問を含む国政調査権を行使してこれに当たることは、国会の当然の責務であります。総理の見解をただすものであります。(拍手)
 第二は、佐川急便からの政治資金の流れの解明であります。
 その総額は、数十億円とも百億円単位とも言われますが、重大なのは、流れた資金の大きさだけではありません。冒頭陳述が、東京佐川の渡辺元社長の犯罪動機について、政治家や暴力団とも交際のある佐川本社に対抗して、みずからも有力な政治家や暴力団関係者との交際を深めて後ろ盾になってもらおうと考えた、こう述べているように、暴力団と政治家集団を企業活動の二つの後ろ
盾にしようというのが、佐川本社と東京佐川に共通する問題でした。暴力団と結んだ企業家が、政界をも後ろ盾にするための黒い献金だったという点が、とりわけ重大なのであります。
 それだけに、佐川献金の全体にわたって、黒い資金がどこに流れ、政界をどのように汚染したのかを解明することは、国会の政治責任として特別に大きな意味を持っています。
 もちろん、検察当局が政治資金規正法違反や収賄罪などの疑惑で、国税庁が脱税の疑惑で厳格に追及する責任を負っていることは明らかなことであります。東京地検が金丸氏に対してやったように、本人への事情聴取も抜きに一片の上申書で一件落着とするなど、政治家なるがゆえに特権的な扱いをすることは、絶対に許されないのであります。(拍手)
 さらに、佐川資金の流れの究明は、法的な追及の範囲に限られてはなりません。法的な追及の範囲と手段は、現在の日本の法体系では極めて限られています。それはロッキード事件でもリクルート事件でも、嫌というほど痛感されたことでした。だからこそ、どの事件の場合でも、刑事的な追及よりももっと広い立場から黒い資金の流れを明らかにし、政治的道義的な責任を問うことが、国会の独自の任務とされているのであります。(拍手)
 現在、数十億、数百億とも言われる佐川献金の莫大な流れの中で、確認されているのは、東京佐川から金丸氏への五億円の流れだけで、それも献金の趣旨やその先だれに分配されたかは不明のままであります。国会が佐川資金の黒い流れをやみの中に隠したままで済ましたとしたら、それは、国民に対する責任を投げ捨てたと批判されてもやむを得ないのであります。
 私は、この問題で、総理が二つの面でその責任を果たすことを強く要求するものであります。
 一つは、国政の責任者として、検察庁と国税庁が、法規を厳正に適用して、今日の法的な手段で可能な限り佐川資金の流れを追及し、政治資金規正法の違反、収賄罪、脱税などの違法行為に対して、世論の納得を得られるだけの厳正な処置をとるように事を進めることであります。(拍手)
 いま一つは、自民党総裁として、佐川資金の流れの解明にあらゆる手段を尽くすことであります。自民党が証人喚問に党略的な障害を設けるべきでないことは当然であります。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 第三は、東京佐川が経営危機に陥ったとき、自民党の有力者がその救援のための会合を開いた問題であります。
 この会合のことは冒頭陳述にも指摘され、渡辺供述、福島交通グループの小針供述には出席者の氏名まで明らかにされています。一九九一年六月十三日、東京渋谷で会合が開かれ、金丸、竹下両氏と渡辺秀央現郵政相が出席し、東京佐川渡辺元社長の要請に応じて、金丸氏は三和銀行への、竹下氏は住友銀行への仲介をそれぞれ約束し、金丸氏からはその後、銀行には話をつけた、融資については心配ないとの連絡があったとのことであります。
 これも、事実とすれば、極めて重大であります。もともと東京佐川の経営危機は、稲川会関係企業への巨額の債務保証の焦げつきから起こりたことであります。佐川から融資を求められた主力銀行の一つは、暴力団との結びつきを理由にして融資を拒否しています。その銀行に対して、自民党の中枢の地位にある政治家が、政治的な圧力をもって融資の仲介をすることを約束したり、実際にそういう介入を行ったりしたとしたら、それは暴力団と結んだ反社会的な企業に対する直接の支援行為ではありませんか。(拍手)しかも、金丸氏や竹下氏は、東京佐川の暴力団との関係そのものを大いに利用してきた人たちですから、暴力団のかかわりを知らなかったなどとの言いわけは成り立たないのであります。この問題についても、真相の解明が必要です。総理の見解を問うものであります。(拍手)
 ここで、渡辺郵政大臣にお伺いしたいと思います。
 あなたは、この会合に参加し、竹下氏の要請に応じて、大蔵省の銀行局長に話を通じることを約束したと供述されています。一つ、この会議が現実に存在したのか、二つ、あなたはそれに参加したのか、三つ、あなた以外に参加した政治家はだれだったのか、四つ、そこで東京佐川の救済が問題になったか、五つ、銀行への仲介を約束した政治家がいたとすればそれはだれか、六つ、あなた自身は大蔵省への働きかけを約束しなかったか、以上の六点について、はっきりした答弁を求めるものであります。(拍手)
 今質問したことは、佐川・暴力団疑惑について、国会で解明すべき問題点の第一歩にすぎません。これらを出発点として、真相解明のためにあらゆる努力を尽くす決意を述べて、次の問題に進みたいと思います。
 次は、政治改革の問題です。
 これまでロッキード、リクルートなど金権疑惑事件が起こるたびに、反省の言葉は各方面から口にされました。しかし、その言葉の陰で過去の事件を上回る新しい金権事件が起こってきたのが、日本の政治の現実でした。金権腐敗が性懲りもなく繰り返される大もとには、企業献金を当然のこととする政治風土がある、そのことを今こそすべての政党、すべての政治家が厳しく見詰め、企業・団体献金の禁止に踏み出すことを政治改革の中心に据えるべきであります。
 企業とは、言うまでもなく自社の利益の追求を最大の目的とする営利団体であります。その企業が、自社の利益とは無関係に莫大な資金を政治に投資するいわれはありません。この点については、企業献金はそれ自体が利益誘導的な性格を持っているとし、それなしに企業が無制限に金を出したら役員は背任罪になるとまで述べた経営者側の率直な告白さえあるのであります。実際、政府の施策が大企業中心に偏っていることと、自民党が政治資金を大企業、財界の献金に頼っていることとの間には、紛れもない利益誘導の関係があります。
 そのことは、今、日本経済最大の問題となっている不況対策にもあらわれています。経済が不況に襲われるとき、いつも最大の最も深刻な被害者となるのは中小零細企業です。日本共産党国会議員団は、大阪、愛知、埼玉、東京その他で実態調査を行いましたが、不況の直接の影響及び不況を口実にした親企業などの締めつけ、この二重の打撃を受けている各地の中小企業の実情は大変なものでした。緊急の融資を初め、国からの一刻も早い救援措置が待ち望まれています。
 ところが、不況対策が問題になったとき、政府の側で第一の緊急問題として持ち出されたのは、バブル経済の破綻による銀行の損害の救済でした。日本政府のこの対応は、国際的にも厳しい批判の声が上げられたほど異常なものでした。カナダのある有力な新聞は、わざわざ社説を書いて、これは問題になった証券業界の損失補てんと同じゃり方だと批判し、日本政府がこういう銀行援助策を平気でやる根底には、自民党政府と銀行との結びつき、絡み合いがあると書きました。その直後に発表された自治省の政治資金報告によれば、自民党に対する企業献金の上位十四社はすべて銀行で占められています。これは、カナダの新聞の批判を裏づけたものではありませんか。
 もう一つの例を挙げましょう。通産省が企業に提供している補助金の最大のものに、技術開発の補助金があります。これを受けている三大企業は、三菱重工業、日立製作所、東芝で、この十数年の間、それぞれ平均して毎年五十億円から六十億円もの巨額の補助金を受け取っています。これらの企業がすべて、自民党に対して年間四千万円台から五千万円台の政治献金を行っている大口献金者であることは、決して偶然のこととは言えないでしょう。
 これらは、自民党の政治のもとで、一部の大企業が特権的な優遇措置を受けていることのほんの一部にすぎず、同じような例は幾らでも挙げることができます。経済大国と言われる日本で、国民生活が多くの分野で国際的な水準から立ちおくれていることが今問題になっており、国際的にも批判の目が向けられていますが、これは、政治のこうしたゆがみにかかわる問題です。その土台には、企業献金で政治が動かされる金権政治があるのです。
 佐川疑惑から引き出すべき最大の教訓の一つは、企業・団体献金禁止という方向づけを明確にすることにあります。総理、金権事件がこれだけ繰り返された中でも、企業・団体献金をあくまで正当なものとしてこれに固執し続けるつもりなのかどうか、答弁を求めるものであります。(拍手)これは、金権政治に対する態度とともに、国民本位の立場に立つか、財界優遇の立場に立ち続けるか、政治姿勢の試金石ともなる問題であります。(拍手)
 次に、自衛隊のカンボジア派兵の問題です。これが、憲法の平和条項に対する正面切っての侵犯であることは、我が党が指摘したところですが、ここでは二点に絞って伺いたいと思います。
 第一、政府は、PKO法の条件は満たされているとして、自衛隊のカンボジア派兵を強行しました。ところがカンボジアでは、停戦状態が保証されるどころか、武装解除を拒否しているポル・ポト派の動きを中心に、武力紛争の拡大の方向にあります。UNTAC、国連暫定統治機構の明石代表は、昨日、軍事衝突の拡大について警告する声明を発表し、その中で、特にこの数週間停戦違反の件数が増加し、激化していることを指摘しました。政府は、何をもってカンボジアには停戦の合意があると主張するのか、戦争行動がどのように拡大しても、ポル・ポト派がパリ協定の破棄を明言しない限り停戦合意はあるとし続けるのが政府の立場なのか、責任ある答弁を求めたいのであります。(拍手)
 第二、政府はポル・ポト派への説得など、カンボジアの政治問題にも介入していますが、カンボジアの政治問題について語るとき、ポル・ポト派が政権についていたときに行ったみずからの国民に対する大量虐殺政策とその事実について、しっかりした認識と判断を持つことが不可欠の要件となります。私の記憶によれば、政府はこれまでこの問題で何らの批判的な見解を発表したこともないはずであります。今日、政府はどのような認識と判断を持っているのか、伺いたいのであります。
 最後に、宮澤内閣の責任の問題です。
 私は、さきのPKO国会において、自民党が提出した内閣信任案に反対し、議会制民主主義を踏みにじるやり方で憲法違反の暴挙を強行したことを理由に、宮澤内閣を信任しないとの態度を表明しました。それに加えて、佐川疑惑が表面化して以来の宮澤澤首相の行動は、清潔な政治を求める国民の目から見るならば、金権・暴力団疑惑に包まれた政治家の擁護と疑惑隠しに終始したものとして、言語道断のものがありました。(拍手)こうした行動は、宮澤内閣が今日の国政を担う資格を持ち得ないことを実証したものであります。(拍手)
 私は、内閣のこの責任を厳しく糾弾し、宮澤内閣の退陣を求める日本共産党の態度を表明して、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) 政治と金をめぐる問題や政治家のあり方の問題等を契機としまして、国民の政治不信はかつて経験したことのないほど深刻なものになっております。そのことを痛切に感じております。また、政治改革がその実を上げていない現状に対する国民の批判も強いものがあります。そこで、先日の所信表明において、私は、国民の政治不信を招く事態が生じたことについて、国民の疑念が解消され、政治への信頼が回復されなければならない旨申し上げたところであります。
 真相の解明な重要なことであります。現在、自民党としても真相解明について努力中であります。国会では、既に各党間で真相解明のための場をつくるべく御協議中と承知しておりますし、政府といたしましても、もとより全力を挙げて御審議に協力をいたします。
 東京佐川急便から多額の政治献金がなされたとの報道は承知をいたしております。報道の問題はともかく、検察当局としては必要な捜査を行ったものの、これまでのところ、金丸前議員に供与された五億円に係るもの以外には、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったというふうに承知をしております。
 この五億円の流れに関しては、検察当局が政治資金規正法違反及び所得税法違反の告発を受理いたしました。これまでの捜査結果を踏まえつつ、引き続き捜査中と承知をいたしております。また国税当局も、課税上の問題があると認められる場合には、適切に対処するものと信頼をいたしております。
 東京佐川急便から十数人の政治家に二十億円に上る政治資金が渡されたというような報道がなされていることは、承知しております。検察当局は、東京佐川急便の渡辺元社長その他の関係者について必要な捜査を行ったものの、これまでのところ、金丸前議員に供与された五億円に係るもの
以外には、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足る事実は確認できなかったとのことであります。なお、検察当局が捜査中の事柄については、その推移を見守ってまいりたいと思います。
 暴力団への資金援助の破綻から東京佐川が経営危機に陥ったときに、銀行融資の仲介を一部政治家が約束をした云々につきましては、いわゆる東京佐川急便事件として公判中の事件にかかわる事柄でございますから、私からお答えすることは差し控えます。
 それから、企業・団体献金の禁止についてですが、いつも申し上げることですが、企業等の団体も一つの社会的存在でありますから、政治活動の自由を有するものであります。政治献金を一概に否定するべきものではないと思います。もちろん、その献金の内容、額等について節度を持って行われるべきことは当然であります。
 なお、この問題、企業等団体献金のあり方については、政治改革協議会の実務者会議の協議事項となっておると承知をいたしております。
 カンボジアのことでありますが、ポル・ポト派が、今の停戦の第二段階、武装解除の段階で十分協力的でないということを承知しております。しかし、それは戦闘を再開するといった行動に出ているわけではありません。散発的に局地的な事件があるということで、それらは停戦の前提を危うくするものではないと思います。
 そのロケットのお話ですけれども、新聞の報道で言っていらっしゃるんでしょうが、首都へロケット弾の砲撃があったということは、UNTACが調査の結果、かかる攻撃はなかったということを正式に発表したということがございますので、申し上げておきます。
 停戦の合意が崩れたかどうかということについて、それは総合的に判断をすべき問題であって、私どもは、パリ和平協定の枠組みは壊れていないというふうに考えています。
 ポル・ポト政権の大量虐殺事件、これはもとより容認し得るものではありません。そのことは、政府はいろいろの機会をとらえてその立場を明らかにしておりますが、国際社会共通の認識でもございます。パリ和平協定前文においても、カンボジアの悲劇的な近年の歴史にかんがみ、過去の政策及び慣行の再現を防止することを確保するための特別な措置が必要であるということを、パリ和平協定前文においても述べているところでございます。
 残余の御質問については、関係大臣からお答えをいたします。(拍手)
    〔国務大臣渡辺秀央君登壇〕
#12
○国務大臣(渡辺秀央君) お尋ねの件につきましては、公判中の事案に関係する事柄であり、他の方々のことについて申し上げるのはいかがかと存じますので、私自身のことにつきましてお答えさせていただきます。
 私は、会合に一度出席いたしましたが、私は、当時、東京佐川急便が、暴力団関係も含め巨額の債務保証などの原因により経営危機に陥っていたということは存じておりませんでした。
 また、その会合におきましては、再建について具体的な話があったわけでもなく、私としても、何か働きかけを約束するというような場ではございませんでした。
 以上であります。
    ―――――――――――――
#13
○副議長(村山喜一君) 大内啓伍君。
    〔大内啓伍君登壇〕
#14
○大内啓伍君 私は、民社党を代表して、当面の国民の最大関心事である佐川問題と今後の政治改革並びに内政の最重要課題である景気対策に絞って質問いたします。
 その前に、新たな事態として、昨日明らかになった米大統領選挙の結果について一言お尋ねいたします。
 これまでの共和党政権以上に厳しい対日姿勢を示してきた今回の民主党クリントン氏の誕生は、今後の日米関係並びに米中関係に何らかの変化をもたらすことが予想されます。現に、クリントン氏は、私は多くの外交問題でブッシュ氏に反対すると言明し、なかんずく、対日、対中政策の転換並びに国際経済政策の全国的見直しを提唱しております。特に、今後の対日政策として、スーパー三〇一条の復活、お米の自由化等、国内優先の厳しいアプローチが予想されますが、宮澤総理はどのような見通しと基本姿勢に立って新たな日米関係を構築されるおつもりなのか、また、日本にも重大な影響のある米中関係の見通しをも含めて、宮澤総理の見解をまず冒頭にお尋ねいたします。
 そこで、本論に立ち返り、まず佐川問題について伺います。
 金丸事件に対して示された国民の政治不信は、今や大きな怒りに発展しております。今国会に課せられた最大の使命は、この佐川問題について明確なけじめをつけることにあります。それは、事件の全容を国民の前に明らかにし、政治責任に決着をつけることであります。
 国民の怒りがなぜ爆発したか、その理由は二つあります。
 第一は、五億円のやみ献金を受け取った金丸氏が、一般国民には絶対に許されない検察当局からの出頭要求を拒否し、検察との取引によって上申書の提出、略式起訴、二十万円の罰金で事を済ませ、あまつさえ違法に授受した五億円の没収も行われないという、法のもとの平等を踏みにじったことであります。(拍手)
 第二は、一国の総理・総裁選びに事もあろうに暴力団の手をかりたことであります。日本の議院内閣制の歴史の中で、このような不祥事は例を見ません。したがって、金丸氏が議員辞職に追い込まれたことは、けだし当然でありました。
 問題は、総理の政治責任であります。総理は、金丸氏の引責辞職によって責任問題はすべて解決したとお考えでしょうか。昨年十一月、宮澤政権がこの金丸氏を中心とする竹下派に支えられて成立したことは、国民のひとしく知るところであります。こんな重大な事件をみずからの党の中から発生させ、国民の怒りが爆発しているさなかに、あなたがまずとった行動は、金丸副総裁の辞任の慰留でした。さらに、あなたの口から発せられた言葉は、いわく、まことに残念です。厳粛に受けとめていますと、自分の生みの親である派閥への気兼ねの発言に終始し、政治の最高責任者として、不正があればこれを断固として正す姿勢を欠き、すべてを党任せ、派閥任せで、血の通った生きた言葉は国民に何一つ伝わってきませんでした。アメリカのワシントン・ポストさえもが、国民の怒りのさなかに佐川スキャンダルについて何
も語らなかった人物がいる、それは宮澤首相だと書いたことを御承知でしょうか。
 本来、この種の重大事件を内から発生させた場合には内閣総辞職に値するものと思われますが、あなたはこの責任を具体的にどうおとりになるのか、まず明らかにされたい。(拍手)
 金丸氏の議員辞職は実現したものの、事件の真相はますます深いやみの中にあります。真相究明はまさにこれからであり、宮澤総理はその先頭に立つ責任があります。しかし、あなたの優柔不断の姿勢と自民党の抵抗によって、証人喚問の実現を初め、真相解明について国会がその責任をもし果たせないとするならば、日本の民主政治は重大な危機に立つことになりましょう。我々は今こそ孫文の「依民意建国、逆民意亡国」(民意によって国を建て、民意に逆ろうて国を滅ぼす)という民主政治の原点を想起すべきであります。(拍手)
 この国会の論議を通じて最低限明らかにされなければならないのは、次の諸点であります。
 その第一は、五億円の性格であります。それが金丸氏個人の所得ならば、所得税を三億四千二百万円払うことになります。脱税なら四億七千八百万円の追徴となり、二十万円の罰金では到底済みません。ロッキード事件のときには、五億円を受け取った田中元首相に対し、約三億九千万円が追徴課税されております。
 第二に、五億円が政治献金であるというのであれば、その使途を明確にする責任があります。その資金は六十数人の自民党議員に配付したと言われますが、だれにいっ、幾ら渡されたのか、それによっては、金丸氏と同様、政治資金規正法違反の可能性を持つからであります。
 昨日、総理はこの点について、告発があったので目下検察当局が捜査中であるとかわされましたが、金丸氏の違法な五億円の行方を明確にすることは真相解明の第一歩であり、一定の段階でその氏名と内容を国会に報告するよう求めます。(拍手)
 第三に、いわゆる皇民党事件の真相についてであります。
 この点について、本日、新たに重大な事実関係が明らかになりました。すなわち、大島皇民党総裁の検察官への供述で、皇民党対策のために金丸氏だけではなく多数の自民党首脳や幹部が参画した事実が明らかになったことであります。そこには、金丸前副総裁の代理人が三十億円、森喜朗政調会長本人が二十億円の提供を申し出たと述べられており、もしそれが事実とすれば、全く唖然とせざるを得ないゆゆしき事態と言わなければなりません。その他にも多数の自民党幹部が動いた事実が明らかにされており、まさに自民党総ぐるみの対応と言わなければなりません。もしこれが事実とすれば、宮澤総理の責任は極めて重大であります。
 総理、はその事実関係を早急に調査し、速やかにその全容を国会に報告するとともに、金丸、竹下両氏はもとよりのこと、関係者全員の証人喚問を実現させる立場をとることが自民党の最高責任者としての責任を果たす道だと思いますが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 同時に、我々が看過できない問題は、今回の事件処理に対する検察当局の姿勢であります。
 金丸氏に対し、事情聴取をせず上申書による略式起訴で問題を処理したことは極めて重大であります。このことは、検察官が格別の理由なしに尋問しないのは重大な任務違反であると指摘した札幌高検検事長の投稿にも示されたように、内からも厳しい批判が起こっております。今回の金丸氏に対してとられた措置は、明らかに一般国民には到底認められないことであり、まさに法のもとの平等を踏みにじるものであります。
 今回の金丸事件の処理が国民に対し検察不信の認識を与えたことは、法治国家の根幹を揺るがすものであり、法務大臣並びに総理大臣の責任はまことに重大であります。法務大臣は昨日の答弁で、検察当局の処理は適切だったと強弁されましたが、しからば、一般庶民にも今度の金丸氏と同様の出頭拒否や上申書による処理を認めるのか、でなければ国民はこの答弁を到底納得しないでありましょう。改めて総理の明確な答弁を求めます。
 このこととあわせて、上申書での決着に当たっては、検察当局と小沢一郎氏との間に政治的取引があったと伝えられるが、裁判で堂々と争うことなくこのような決着を見た事実経過を明らかにされるよう要求いたします。
 問題の根本は、こうした金権腐敗政治をどう根絶するかであります。こんなことを繰り返していれば、国民は議会政治を見捨てることになりかねません。現に、さきの参議院選挙では投票率五〇%で、国民の半分が棄権しているのであります。
 私は、こうした事件をなくするためには、三つの改革が必要だと考えます。すなわち、政治制度改革、政界改革、そして官僚政治の打破がそれであります。
 第一の政治制度改革については、まず真っ先に思い切った政治資金規正法の改革が断行されなければなりません。具体的には、違法な寄附金の没収はもとより、それに加えて、第一に、違反者は五年間の立候補を禁止すること、第二に、秘書などが違反しても政治家本人の責任となるよう連座制を導入すること、第三こ、政治家の資金については一団体に制限し、政治資金の流れを透明化すること、第四に、個人からの政治献金については、所得税、住民税の税額控除制度を導入すること、この四点を実現しなければならないと考えるが、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 この制度改革について、政府・与党の中には、小選挙区制を導入すればすべてがよくなるという議論がありますが、これは事実に反する詭弁と言わなければなりません。日本においてこれまで六回小選挙区制が実施されましたが、その結果、小選挙区制には重大な欠陥があるというので今日の中選挙区制となったのであります。
 昭和二十二年、中選挙区制導入のとき、政府・与党はその提案理由説明で、小選挙区制の欠陥を列挙し、選挙区域が狭小で、地方的人物のみ多く選出され、大人物が当選困難になる、また、選挙抗争が激烈になり、情実と投票買収が横行したと述べています。自民党はこの苦い経験を故意に忘れたのでありましょうか。今の政治構造のもとで、いかなる形であれ小選挙区制を導入すれば、それは自民党の一党支配、今日の腐敗政治の固定化になることは、各種の世論調査やシミュレーションが示すところであります。(拍手)
 英国でも小選挙区制で腐敗がなくなったのではなく、政治腐敗防止法ができて腐敗がなくなった
のであります。隣の韓国でも前々回の総選挙から小選挙区制が導入されましたが、買収、供応などの政治腐敗はむしろエスカレートしているというのが偽らざる現実であります。
 総理は、こうした欠陥が立証済みの小選挙区制にあくまで固執するのか、それとも現行中選挙区制の改革を含め、幅広く検討しようとするのか、総理の見解を明らかにされたい。(拍手)
 第二は、政界の改革であります。
 坂田道太元衆議院議長は、昨今、自民党の現状を慨嘆し、今日の自民党は、まさに派閥あって党なく、党あって国家なき姿であると述べています。公の存在でないはずの派閥が日本の政治を聖断し、その大派閥の数の力がキングメーカーとして総理の生殺与奪の権を握る、そこにこそ不明朗な権力の二重構造と、今回の五億円のような派閥の不透明な資金の流れや腐敗などの根源があると言わざるを得ません。
 自民党はリクルート事件の反省から、平成元年五月に政治改革大綱を決定し、その中で「派閥の弊害除去と解消への決意」を党改革の第一に掲げ、これを国民に公約したはずであります。ところが、派閥解消の第一歩と位置づけた党の主要役員などの派閥からの離脱は、総理、あなたの内閣の手によって初めて破られました。最近の派閥騒動に際しては、あなたの内閣の主要な現職閣僚たちが連日公然と派閥活動に血道を上げ、しかも何らの処分も行われない。これこそ宮澤総理自身の国民に対する明らかな公約違反であり、国民に対する事切りではありませんか。
 総理、あなたがもし政治改革を口にされるから、まず隗より始めよで、今や諸悪の根源となっている派閥政治を打破するために、みずからの派閥を含めすべての派閥を解消し、公明正大な政治を行うと断言すべきときではありませんか。昭和三十二年、岸総理は、「派閥解消は天の声」と言ってその解消を提唱されましたが、総理にその決意があるのか、それとも、これまでどおり派閥の上に乗って、権力の二重構造と腐敗を温存する政治を続けるのか、明確な答弁を求めます。
 今こそ派閥政治にピリオドを打つ好機であり、この機会に、政策を中心に新たな政界改革、政界再編を与野党を通じて行わなければ、国民の政治不信を解消することはできません。その意味で、我々も、大義のためには身を捨てて政界改革に取り組む決意があることを表明するものであります。
 第三の改革は、官僚政治の打破であります。
 今日までの政治腐敗事件を顧みるとき、すべてと言っていいほど許認可行政と絡んでおります。最近では、運輸省の大型航空機の機種選定に絡むロッキード事件、労働省や文部省の就職情報誌の規制等に絡むリクルート事件、そして運輸省の運送行政をめぐる今回の佐川事件であります。各省庁は膨大な許認可権を持ち、業者はその規制の網をくぐり抜けるために政治家や役人を利用する、そこに金権と腐敗が生まれる温床があります。昭和六十年当時一万五十四件であった許認可数は、平成三年度末には一万七百十七件と、実に七百件近くもふえております。
 総理、あなたの先輩である鈴木元総理は、行革に政治生命をかけられました。先輩の意思を引き継ぎ、勇気を持って新たな行政改革の実行を決意し、抜本的な規制緩和と官僚政治の打破を断行すべきであると思いますが、総理の決意を伺います。(拍手)
 次に、景気対策についてお尋ねいたします。
 私は、今日の深刻な不況は、政府及び金融当局の重大な失政によって引き起こされた、宮澤総理及び三重野日銀総裁によるMM不況と断ぜざるを得ません。
 その理由の第一は、宮澤内閣の経済見通しの誤りであります。景気は既に昨年一−三月をピークとして下降局面に入っていたにもかかわらず、政府は一貫して経済の拡大基調を強弁し続けました。昨年四月には、機械受注、住宅着工戸数、家計消費支出ともに前年比マイナスを記録する段階においてもその姿勢を改めることなく、ようやくことし二月の月例経済報告で初めて景気後退を認めたのであります。
 その第二は、その結果、宮澤内閣の景気対策は常に後手後手に回り、景気の悪化を放置するところとなりました。ことし三月三十一日に決定した緊急経済対策は、公共投資の前倒しを中心とした、財政出動もない、一時しのぎの対策にとどまったのがそれであります。
 さらに、日銀は金利政策のタイミングを逸し、昨年七月からことしの七月まで五回にわたってだらだらと公定歩合を引き下げ、特に昨年十一月の公定歩合引き下げは完全に時期を失し、その不適当な引き下げ幅とともに、政策的効果を全く発揮することはできませんでした。
 この深刻な不況は特に中小企業を直撃し、業績低下の中で借入金の返済が重くのしかかり、その経営は極度に悪化しております。また、担保価値の下落で、金融機関の融資はストップ状態にあります。今日、明日の運転資金の確保にさえ困っているのが現状であり、貸付枠がふやされても、六百万円で頭打ちの無担保の貸付制度がそのままでは、事態を救済することは到底困難であり、その抜本的改革が切に求められております。さらに、不況の波は雇用面にも及び、一家の働き手である中堅サラリーマンが自宅待機など、雇用調整の標的になるという深刻な事態を招いております。まさに今日の深刻な不況の責任は、宮澤総理、あなた自身にあることを厳粛に認識すべきであります。(拍手)
 我が党は、昨年以来、折に触れて政府に警告を発し、ことしの六月には所得減税等を柱とする景気対策を提言し、政府に臨時国会の早期開会を求め、その実現を強く求めたのであります。しかるに、政府が総合経済対策を決定したのは、やっと八月二十八日になってからでありました。しかも、景気対策のための臨時国会の開催も、佐川急便事件の影響を見きわめる配慮から大幅におくらざれました。国民の生活を守ることより党利党略を優先させた政府・自民党の責任は、まことに重大であります。
 以上の私の指摘に対する総理の所見を求めます。(拍手)
 政府は、遅まきながら総額十兆七千億円に及ぶ総合経済対策を決定いたしましたが、そこには幾つかの容認できない問題があります。
 第一は、所得減税が盛り込まれていないことであります。今回の不況の特色は、設備投資の冷え込みに加え、個人消費が落ち込んでいることにあります。個人消費を拡大するには所得減税が不可欠であり、減税を見送ることは自動的に増税を強
いることになります。景気対策上も、税負担の公平を図る意味からも、今や所得減税は不可欠であり、この際、中堅所得層や、パート、内職者に重点を置いた二兆円規模の所得税減税を行うよう提言いたします。
 今回の不況と同様極めて深刻であった円高不況に際して、政府が一九八七年五月に決定した緊急経済対策には減税が含まれていました。当時、私自身、与野党協議の当事者として一兆五千四百億円の所得税減税の実施にこぎつけ、これが景気回復に有効に働いたことは事実の証明するところであります。五年前には減税を是認しながら、今回これを拒否することには説得力がありません。宮澤内閣は財源難を理由としていますが、約一兆五千億円の九一年度決算剰余金や歳出削減、予備費の活用等で賄うことは十分可能であります。
 第二は、総理公約の生活大国づくりを目指した計画的な社会資本整備の視点が全く欠落していることであります。十年前と全く変わらない現在の硬直した公共投資の配分率を根本的に見直し、今こそ大都市圏の公共住宅、地方の下水道整備、都市公園、福祉施設などを集中的に整備する平成版ニューディール政策を実現すべきだと考えます。
 第三は、サラリーマンのマイホーム獲得への支援策が不十分なことであります。
 昨今の地価の下落を一層助長し、首都圏でも年収の五倍以内で住宅を持てるというサラリーマンの夢を確実なものとしなければなりません。それには、政府が打ち出した公共用地の先行取得や担保不動産債権買い取り機関の創設が地価下落に悪影響を及ぼすことのないよう厳しく監視するとともに、政府はこの際、地価引き下げの具体的目標を国民の前に示すよう提言いたします。
 さらに、私は、国民の居住水準の向上を図るため、居住用資産の買いかえ特例制度の復活を求めるものであります。住宅を売れば譲渡所得税がかかり、また、新居を取得すれば不動産所得税が二重にかかる、家を住みかえればそのたびに縮小再生産になるといった税制は明らかに不公平税制であります。国際的にも英国、ドイツ、フランスなどでは完全に非課税、米国では買いかえ特例制度が設けられています。
 我が国の財政当局も、この国際的事例に倣い、過去二十四年間にわたって、ライフサイクルに応じた住みかえ、居住水準の向上を支援するとの理由で買いかえ特例制度を創設、存続させてきたのであります。今これを否定しようとする財政当局の姿勢は、公正な税制より既得の税収に固執し、過去にみずから強調した論理を今度はみずから否定するという無責任な態度と断ぜざるを得ません。
 私が過ぐる党首会談でこの問題を提起したとき、総理は反省の念を込めて、少し行き過ぎがあったように思いますと答えられましたが、総理が真に生活大国の実現を目指すのであれば、住宅、土地に対する公正な税制のあり方として、買いかえ特例の復活、ないしはそれにかわる何らかの具体的対策を講ずべきであると考えますが、以上の諸点について総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、今後の財政運営の基本姿勢について一言申し上げます。
 我が国の財政は、既に国債累積残高が百七十四兆円、その利払いや償還のための国債費は十六兆円にも達し、七十二兆円の予算も実質的には五十六兆円しかありません。加えて、今日の不況による税収減から、今深刻な財政難に直面しております。
 一九八八年十一月、消費税問題をめぐって我が党と自民党との間に徹夜の交渉が行われたとき、自民党は、今後行政改革を強力に推進し、消費税率水準については、極力その維持を図るよう努めると文書で約束されました。財政難に直面しているこのときこそ、政府・自民党は、この公党間の約束を重く受けとめ、安易な赤字国債や消費税率の引き上げを断固として排し、新たな決意に立って徹底的な行財政改革に取り組むべきであると考えますが、総理の明確な答弁を要求し、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣宮澤喜一君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(宮澤喜一君) クリントン次期政権の我が国に対する予想される態度、新たな日米関係についてどのように判断しているかということございました。
 御承知のように、日米両国の国民総生産は、合計いたしますと世界の国民総生産の四割に達するわけでございますから、この二つの国が、両方の関係が非常に悪くなるということは、両国ばかりでなく、世界にとって非常に大きな出来事になりかねませんし、また、それだけ大きなGNPを持っております両国が、したがいまして、世界全体に対して協調してしなければならない仕事の重要性もあえて申すまでもございません。このことは客観的な事実でございますから、日米両国とも関係者は当然認識せざるを得ないというふうに考えておりまして、この点につきましては、クリントン次期政権との間でもこの基本的な事実に私は変わることはな、と、うふうに考えるわけでございます。基本的な判断はそういうふうにいたしておるわけでございます。
 次期政権の対日経済政策につきましては、現段階では余りまとまったものがございませんので、必ずしも明らかでございません。だんだん政策担当者の任命等が行われますと少しずつ明らかになるかと思いますが、しばらく明確ではない時間が過ぎるかと思います。
 ただ、米国の保護主義圧力の増大につきましては、アメリカの経済が依然として雇用、生産面等に弱さが見られますので、これが今兆しが見えますような回復に向かっていくかどうかにかなりかかっておると思うのであります。我が国として.は、クリントン次期政権のもとで、アメリカの政府、民間の努力によって米国経済が回復することを強く期待いたしますとともに、我々としてもそのような努力を支持したいと思います。
 なお、お話しになられましたようなスーパー三〇一条の復活などいろいろ伝えられておりますけれども、米国政府及び議会が、自由貿易体制擁護の立場から、このような国内の保護的な動きに対して確固たる態度を示されることを期待いたしたいと思います。
 次に、クリントン政権誕生後の米中関係についてもお触れになりまして、これは非常に微妙な問題でもございますし、具体的に十分予測することが難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、我が国としては、従来、対中政策につきましてアメリカと基本的には共通の認識に立ちまして、中国に対して国際協調路線を慫慂する政
策を進めてまいっております。また、中国自身が改革、開放を成功させるという必要性を非常に感じておりますので、これらの我々の説得に対して傾ける耳を持っておるというふうに考えておりますけれども、今後とも米国とのこのような協力関係を我々としては維持していきたいというふうに考えております。
 そこで、東京佐川急便事件に関しましてですが、国民の不信がかつて経験したことのないほど深刻なものであると痛切に感じております。ここで政治への信頼が回復されなければ、我が国の将来に禍根を残すことになりかねない、政治改革の実を上げなければならないと思っております、このことは昨日も申し上げたところでございますが。
 金丸前議員が副総裁の辞任を申し出られましたときに、私がなぜ慰留をしたかということについて触れられました。実は、辞任を申し出られましたときに、どういう事情の中でということを説明を承っておりませんで、突然であったわけであります。その後、御自身がテレビでその後に会見をされて、それで事情がわかりました。私としては、事情を把握した上で判断をいたしたいと考えておりましたから、翌日辞表をお受けしたわけでございます。
 それらの時点で私が余り明確な発言をしていたいではないか、そのことが国民的に受け入れられないところだということをおっしゃいまして、それは、一つ一つの報道は私ももとよりよく承知をしております。ただ、私の立場で申しますならば、やはり事実関係を確認しない限り、軽率な発言は差し控えなければならないというふうに自分の立場を考えておりますので、そのように終始考えてきております。したがいまして、事実関係が明らかになりましたときには、適切な時期に自分の意見を申してまいっておるつもりでございます。
 金丸さんが受け取られました五億円について、六十数名の政治家が分配を受けたとされている政治資金規正法違反の問題につきましては、検察当局に告発がございました。告発を受けて引き続き捜査中であるというふうに承知しておりますから、ただいまはその推移を見守る必要があると存じます。この一連の事件の捜査が済みました後、国会から報告を行うようにとの御要請があれば、その時点において、法令の許す限りでもとより御協力をいたします。
 それから、真相解明はもとより重要なことでございますから、国会で各党の間で真相解明のための場をつくるべく御協議中と承っております。もとより政府としては、御審議に可能な限りの御協力をいたすべきことはもちろんでございます。
 それから、本日、東京佐川事件の公判がございまして、御指摘のような報道がございました。私は十分にその内容を、この議場に入りましたので、存じておりませんので、何とも申し上げかねますけれども、恐らく公判係属中に検察側から提出された検事調書のことであろうと思われますが、その具体的な点につきましては、これは政府としてコメントするということは、公判中の事件でございますから、差し控えるべきであろう。一般的に申しまして、検事調書に述べられておりますところが事実であるかどうかということは、これは裁判所が判断をすべきことだと思います。
 それから、検察は法の定めるところにのっとって必要な捜査を行い、証拠によって犯罪の嫌疑が十分認められるものについて、法定刑の枠内で適正に公訴権を行使することが職責でございますから、検察は金丸前議員に対する政治資金規正法違反についても、独立して適正にその職責を遂行したと思います。事件処理の方法等は、法のもとの平等に反するものではないし、政治取引をしたと言われるようなことはもとよりないものと確信をいたします。
 なお、政治資金規正法等の現行法制において、いわゆる罰金等々の扱いが国民感情から見てどうも感情に十分合わないという点の御指摘がございます。この問題に答えるためには、法制自体の改正を必要とすると思います。
 それから、政治資金規正法の改革について、具体的な方策をめぐって各党協議会において御熱心な御討議をいただいております。今国会で前国会の合意に加わるものがございましたらあわせまして結論を出していただいて、今国会で早急に成立をさせていただきたいというふうに考えております。
 これは、ただ、緊急改革でございますので、十一月に抜本改革を出すか、それに間違いないかということでございました。抜本改革を背景にいたしまして初めて今回の緊急改革の意味があると考えておりますので、十一月を目途に取りまとめのできるように、私どもの党内でただいま鋭意議論をいたしております。
 派閥の問題について御指摘がございまして、私どもの政治改革大綱にも、この派閥についてその弊害を述べて、その派閥についての政治改革の必要を述べておるところでございます。この問題は、従来何回か派閥解消ということが言われ、しかし、しばらくたちますとまたもとに戻ったというような歴史がござ、ますので、今回、文字どおり現実に行い得る、実行可能な改革は何であるかということをただいま私どもの党内で真剣に議論をいたしております。
 結局、党の公平な運営に支障を来すような、そういうものであってはならないということがこのたびのこの派閥問題についての改革の私は基本線であるというふうに考えておりまして、これは真剣に私ども自身の問題として党改革をやってまいりたい、こういうふうに考えております。閣僚は、在任中は派閥を離脱するという申し合わせにつきまして、今回の事態にありましても官房長官から注意を促すなど努力をいたしてまいりました。
 それから、規制緩和の断行につきましては、これは従来から臨調、行革審の答申に沿って、許可、認可の整理合理化などに努めてまいりました。物流、流通、金融等、規制緩和推進要綱を閣議決定をいたしまして、大店法の改正を初め過去において二十三件の関連法案が成立いたしておりますし、本年六月にはさらに、このような行政改革について、新しい、国民生活に関連の深い分野における緩和等々について提案が行われたところでございますし、また、「生活大国五か年計画」においても尊重をして推進を図ります。
 仰せになりますように、いわゆる行政における規制というものがいろいろな意味で行政なり政治の誤りにつながりやすいということは事実と思いますので、この問題についての規制緩和を図るということがやはり行政改革につながる、そういう意味でも大事な問題と思います。
 それから、景気がここまで悪くなったについ
て、政府の判断に誤りはなかったかということでございます。
 私は、昨年のこの時期に就任をいたしまして、平成四年度の予算編成に際して、かなり景気が悪いと考えまして、公共事業の拡充などを予算に盛り込んだところでございますが、そこに至りますまでの段階あるいはその後の段階でも、確かに、政府の経済予測について経済の実態の把握が十分でなかったということは事実であると思います。そのことは、やはり官庁とすれば統計等によって事態を判断せざるを得ない。しかし、統計そのものが何カ月かのタイムラグがあるということは当然関係者は知っております。知っておりますが、それ以外による方法がないといったようなことがやはり問題であったと思います。
 この時点で振り返りますと、一つは、やはり在庫調整の現状についての把握が間違っていた。これは、企業そのものも、実は企業によりましては多少の誤りがあったように思いますが、その問題と、あるいは今度、金融・証券といったような要素がこのたびの不況の原因に一つ加わっておった。その辺のところの判断に不十分なところがあったのではないかと反省をいたしております。
 所得税の減税についてお話がございました。
 これは、もう委員長よく御存じのとおりでございますが、ただいまのような財政状態でございます。昨年度の決算上の剰余金一兆五千億円余りすっかり不足財源に補正予算で充当をいたしてしまったような現状でございますから、二兆円といったようなオーダーの所得税の減税をいたすとすれば、その財源をどうするかということは避けて通れない問題でございます。
 しかし、御質問の末尾にございましたように、特例公債を発行するということはやはり避けなければならない、私もそう思うのです。消費税の値上げということは論外である、私もそう思います。そういたしますと、二兆円のオーダーの財源をどうするかという、そういうこと。平成五年度を展望いたしますと、なかなかこの税収に大きな改善が見られない。その後には見られると思いますが、しばらく見られないという状況の中でどうするのかということに実は苦しんでおりまして、私どもとしては、むしろ公共投資であるとかあるいは住宅投資の促進などによりまして、そこから生ずる波及効果を期待することの方が経済政策としては有効なのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それからもう一つ、それにしても公共投資について、生活関連の下水道であるとか公園であるとか福祉施設などの、いかにもシェアが動かないという御指摘は、私どもも事実として何とかして改善をしたいと考えてまいりました。今回の補正予算ではかなり目に見えて改善がなされておりますことを申し上げておきたいと思います。
 それから、年収五倍での住宅取得のための公共用地、これは値上げを防がなければならないということ、そのとおりと思います。このたびも総合経済対策で公共用地の先行取得を考えておりますけれども、これはあくまで不要不急のものは排除する、また地価動向には十分配慮して厳しくやつてまいりたいというふうに考えております。
 それから、居住用財産の買いかえ特例のことでありますが、党首会談におきましても委員長からお話がございました。一つの、私は、そういう有力な意見があることをよく存じております。
 ただ、他方で、これに対します反論は、現在まだ大都市圏の地価は決して十分下がったとは言えない、これは委員長も言われるとおりです。そこで、そういう状況の中で特例措置を復活することが、今ある高い地価の下支えになるのではないかという議論はまた傾聴すべきものがございまして、この点については、もう少し政府部内でも党内でも議論をしなければならない問題である、税調等々で議論をしていきたいと考えております。
 なお、特例公債の発行は何としても避けたいと存じておりますし、消費税の引き上げについては、そういう考えはございませんことを申し上げておきます。(拍手)
#16
○副議長(村山喜一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#17
○副議長(村山喜一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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