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1992/03/04 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号
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1992/03/04 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号

#1
第123回国会 国会等の移転に関する特別委員会 第2号
平成四年三月四日(水曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     矢原 秀男君     中川 嘉美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         井上  孝君
    理 事
                柳川 覺治君
                稲村 稔夫君
                中川 嘉美君
                橋本  敦君
                磯村  修君
                足立 良平君
    委 員
                片山虎之助君
                野沢 太三君
                小川 仁一君
   政府委員
       国土庁大都市圏
       整備局長     西谷  剛君
   参考人
       帝京技術科学大
       学学長     八十島義之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○国会等の移転に関する調査
 (首都機能移転問題に関する懇談会中間とりま
 とめに関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(井上孝君) ただいまから国会等の移転に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に中川嘉美君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(井上孝君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国会等の移転に関する調査のため、本日、参考人として帝京技術科学大学学長八十島義之助君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(井上孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(井上孝君) 国会等の移転に関する調査を議題とし、「首都機能移転問題に関する懇談会中間とりまとめ」について参考人から御意見を承ることといたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 八十島参考人には、御多忙のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本日は、「首都機能移転問題に関する懇談会中間とりまとめ」につきまして忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人から三十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、八十島参考人にお願いいたします。八十島参考人。
#7
○参考人(八十島義之助君) ただいま御紹介いただきました八十島でございます。
 本日は、貴重なお時間をおかりしまして話をお聞きいただきまして大変ありがとうございます。
 まず、本日お手元にあります資料について御説明申し上げます。
 資料1は「「首都機能移転問題に関する懇談会中間とりまとめ」について」とありますが、その概要でございます。それから、資料2の冊子は「首都機能移転問題に関する懇談会中間とりまとめ」、これが本文でございます。それから、資料3の「首都機能移転問題に関する懇談会」、これは趣旨、構成、開催経緯といったようなものをまとめたものでございます。これをもとにしまして御報告申し上げたいと思いますが、大体資料1が要約してございますので、これに沿って御説明を申し上げたいと思います。
 これをごらんいただきまして、まず1に「懇談会の検討及び中間とりまとめの趣旨」とございます。
 本懇談会は、国土庁長官の求めに応じ、国会等
 の移転決議を受け、首都機能の移転を前提とし
 た上で最も効果的かつ望ましい方策について検
 試するため、平成二年一月より開催した。この
 たび首都機能移転に関する国民的規模での議論
 に資するため、検討結果を中間的にとりまとめ
 たものである。
こういうふうに書かれております。
 その懇談会でございますが、資料3をごらんいただきますと、1は趣旨でございまして、今申し上げたようなことでございますが、2に「構成」とありまして、「各界の有識者の出席を求めて開催する」ということで、メンバー三十名で、私、不肖座長を承りましたわけでございます。大体、平成二年一月から今日まで十二回懇談会を開催いたしました。初めのうちはいろいろな有識者にお話を伺うということで、その経過は3の「開催経緯」というところでございまして、本懇談会の十二回のうちの初めの方はいろいろな方のお話を伺いました。それで、後半になりまして、国会の移転決議も出ましたので、先ほど申しましたように、首都機能の移転を前提とした上で最も効果的かつ望ましい方策についての検討というのに取りかかったわけでございまして、今回それがまとまったわけでございます。
 それで、2の「首都機能移転の方法」ということで、その取りまとめの内容についてでございますが、まず最初に「首都機能移転の必要性と目的」、こういうことで、それぞれ関連はございますが、私どもとしてはその必要性と目的を三つに分けて関連を持たせながら考えたわけでございます。
 @首都機能移転により、二十一世紀にふさわし
 い国土構造の実現を図り、我が国の経済的豊か
 さに見合った真の豊かさを実感できる新しい社
 会を実現する契機となることが期待される。
これは、日本はよい意味での次の時代に入った、つまり、今までこの半世紀近くの間は経済成長に向かって皆が努力してきて、ここで一段落して次の段階に入るというそういう時期であると。それで、これは本文にもございますが、世界と友好を深め国際貢献をする開かれた経済大国ということが一応の目標として記されておりますが、それを
実現するために首都機能の移転をするというのが二つの目的であります。
 その次は、
 首都機能移転により、住宅問題、長距離通勤問
 題等の大都市過密問題の解決に寄与し、都市機
 能の発展と都市整備の進度がバランスすること
 が期待される。
これは、東京が現在抱えております住宅問題とか長距離通勤問題などをこの際首都機能移転によって解決の方向に向かわせよう、こういうことがやはり今回の首都機能移転についての必要性と目的になるというふうに考えたわけであります。
 それから三番目は、
 首都機能移転により、東京が地震等の大規模災
 害に見舞われた際に予想される国内外への影響
 が最小限となることが期待される。
これは、とにかく東京はいつ地震が来てもおかしくないような状況に置かれておりますので、これを無視するわけにまいりませんし、現在はただ単に物的損害だけでなくて、通信、情報といったようなことから考えますと世界的な影響もあるのでそれに対処する、こういう意味で首都機能移転ということも考えなくてはいけない。こういうふうに、それぞれ関連はございますけれども、必要性と目的を三つに分けて考えたわけであります。
 それで、それではどういう移転をするかということがAの「移転に際しての基本的考え方」にございまして、ここで、
 政治・行政機能と経済機能を分離し、政治・
 行政機能に純化した新首都を想定する。また、
 首都機能は原則として段階的・計画的に、最終
 的には全体的に新首都に移転することを想定す
 る。
そういうことで、新首都を考えるときにまず最初に整理した問題がこれでございます。つまり、いわば政治と経済を分離し、新首都は政治に、政治というのは政治、行政両方入りますが、それにできるだけ特化する、こういうことでいろいろ考えを整理しようと。ということは、一面、東京は経済、文化という現在の蓄積はそのままどんどん新しい時代に向かって伸ばしていく。東京はどうなってもいい、新首都だけ新しく政治、行政の都市をつくればいいというのではなくて、政経分離しながら新首都もそれなりに発展するし東京も発展するということをまず考えたわけであります。
 次に、(3)としまして、
 人口・面積・費用の想定 首都機能移転に当
 たっては行政機関を整理・縮小すべきとする意
 見等があるが、作業仮説として、全部の首都機
 能が移転する最大の場合を想定すると、新首都
 の人口は約六十万人、面積は約九千ヘクター
 ル、費用は約十四兆円と試算される。
これは試算ですから一つの試みとして考えていただかなくてはいけないんですが、今地方分権あるいは規制緩和といったような問題を行革審でいろいろ検討されておられまして、その結果がどういうふうにこの数字に反映してくるかわかりませんけれども、現在のところとにかく首都としての東京が機能している首都機能を数字の上であらわして、それを移転する。こういうふうに考えますと、約六十万人、九千ヘクタール、十四兆円、こういうふうに試算されたわけであります。
 六十万人と申しますのはどんなところから出ているかと申しますと、首都機能の従業者、つまり国会、行政機関その他の従業者、それからそういう首都機能に当然随伴する民間機能、例えば郵便局にしろ銀行にしろ、どうしても人が集まればそこについて回る民間の機能がございます。そういうものを念頭に置きまして、まず首都機能。厳密に言いますと、それはさらに分けて首都機能、準首都機能。例えば立法府、司法府、行政府の直接の機関のほかに、特殊法人、大使館、政党本部、地方公共団体の連絡事務所、そういうようなものまで合わせますとほぼ十万人の従業者が現在東京におられると見ております。
 十万人の従業者がおられますと、それの家族の方々を入れますとほぼ三十万人、こういうことになります。それで三十万人のそういう従業者とその家族を支えるとなりますと、そこにまた学校とか病院とか、それを支えるさまざまな人口がついて回ります。それが恐らく同数の三十万人。そういうところから六十万人という数字を推算したわけでございます。
 それで、六十万人の夜間人口があるということになりますと、その方々が満足な暮らしをするためにどのくらいの土地が必要かということを日本の現在の若干の例から試算いたしますと、九千ヘクタールという数字が出ます。九千ヘクタールというのはどのくらいの数字かと申しますと、最近開発が進んでおります筑波の研究学園都市の大体三倍、こういう広がりになりますが、その広がりが九千ヘクタールとなります。ちなみに、現在の国会あるいは霞が関の各官庁を合わせたこの地区、これはほぼ一キロ平方と言ってよろしいですが、一キロ平方というのは百ヘクタールに当たるわけでございますから、随伴するいろいろな機能を合わせましても、それに比べますとかなり大きい九千ヘクタール、こういうことになるわけであります。
 それから費用ですが、十四兆円。これも最近のいろいろな事例から出しました数字でございます。この辺は時代が変わればすぐ変わりますし、全くの試算とお考えいただいた方がいいと思います。ただし、これにはいろいろなインフラストラクチャー、道路とか鉄道とかそういうものは入っておりませんから、そういうものを入れますと、まだかなり大きくなると見なくてはいけないと思います。
 それから、新首都の開発方式を(4)に書いてございます。
 新首都の整備に当たっては、移転が実現するま
 での社会・経済情勢の変動に対応できるような
 自由度・弾力性を確保すること等のため、新首
 都に立地する機能を一定の地域内に立地するこ
 とがふさわしいものに分化し、計画の確定した
 地域から逐次整備に着手する「段階的クラス
 ター型開発方式」を想定する。また、国会及び
 国会開運部門から移転することが適当であり、
 中央省庁については、今後の地方分権・規制緩
 和の進展への対応等のため、国会とともに計画
 的・段階的に移転することが適当である。ま
 た、首都機能移転は災害対応の見地から緊急を
 要するものであり、現首都の非常時には新首都
 を現首都に対する代替・補完機能として活用し
 得るように配慮する必要がある。
こういうふうに書いてあります。要するに、新首都の開発の方式としまして、段階的クラスター方式ということをここで述べているわけであります。
 それで、段階的クラスター、大体クラスターというのはこの際どんな意味で使っているか。一部の専門家の中では割に使っております言葉ですけれども、一般にはまだ熟しておりませんので、最後に説明をつけまして、
 本とりまとめにおいては、新首都の全体像とし
 ては小都市群のイメージであり、その一つ一つ
 の小都市をクラスターと呼んでいる。
つまり、先ほど申しました九千ヘクタールを一団地にして開発するという方式が当然ございます。ところが、それは先ほど書いてありましたことを述べましたように、今九千ヘクタールの土地を一どきに準備して、そこに全体計画を最初からはっきり立ててつくっていくというのは、相当時間的なずれもありますし、無理もあるし、時代に即応しない。こんなような点もあるので、一団地としないで、幾つかの小都市群に分けて、それを適当な距離を離しながら次々につくっていく。それがここで言う段階的クラスター方式で、この方がより合理的であろうというふうに私どもは考えたわけでございます。
 それで、またそういうふうに段階的につくっていくということが時には現在の東京の機能と二重になることがあるが、それはかえって災害対応のためにはぐあいがいいこともあるであろう、こういうようなことを念頭に置きまして段階的クラスター方式ということをここで述べたわけでありま
す。
 問題は、一体どんな場所に首都を移転するのか、具体的にはどういうふうに考えたらいいかということであります。まず最初に、ここに述べてありますことを説明する前に申し上げるのは、既存の都市と分離するということを想定いたしました。つまり、何々大都市のすぐそばに隣接させるというやり方も片方でありますけれども、そうではなくて、既存の都市から離れたところにつくるということを念頭に置きましていろいろ考えました。
 それで、条件がどんなふうになるかといいますと、ここにありますように、「地震・火山による災害の危険の少ない地域であること」。これは当然、将来の長い期間の首都であるというためには、そういう危険があるところは避けたい。ただ、全く危険がないというところは日本の中にはほとんどないので、活断層地帯というところまで範囲を広げますと危険地帯というのは非常に広くなるわけで、何らかの調和をとりませんとこの問題は答えが出てこないと思います。
 それから「急峻な地形でないこと」。これも正直言って、日本は大体三分の二ぐらいは山地でございますから、その残りの三分の一で場所を探すということは相当困難でありますけれども、首都としてはやはりそういう条件が必要である。それから「十分かつ安定的な水供給を行える地域であること」。これは、人間が生活しますから当然のことであります。次に「均衡ある国土構造の実現のため少なくとも東京圏は避けるべきであること」。東京圏の中に、東京圏という言葉も金まりはっきりした定義はありませんが、普通首都圏と申しますと一都三県を申しますが、それに限定しないで、もうちょっと幅広く考えて、そこに新首都を移転するということは避けた方がいい、本文の中では、少なくとも六十キロ以上離すということを述べております。
 それから、次に「交通の利便性に優れていること」。これは当然のことでありまして、第四次の全国総合開発計画が数年前に決定されましたけれども、これも多極分散型であると同時に交流ネットワークを整備するということをうたっておりまして、それはここでも当然言えることであります。それから「土地取得が容易であるよう地価が比較的低廉であること」。これも当然でありまして、ここに書いてあるようなことが移転先に求められる条件としてごく一般抽象論ではありますけれども、こういうことを念頭に置いてしかるべき場所を選び出すということであります。
 その次に、(6)として「土地対策」であります。
 首都機能移転に伴う投機防止対策、土地取得
 対策、土地利用対策について検討する必要があ
 る。
これは当然でありまして、国土利用計画法の規制区域に指定することとか、市街地開発法をうまく運用すること、あるいは区画整理手法を用いること、単純買収でいく等、いろいろ方法がありますと同時に、それぞれまたつきまとう問題点がありますが、本文の中ではそういうことについての解説を若干しております。しかし、これは非常に難しい問題であるということが最後までつきまとってまいります。
 それから、三番目に「新しい首都像」ということでございます。
 新しい首都像は、全ての国民に開かれ、世界最大の国際都市である東京との連携を確保しつつ、我が国の国際社会における役割にふさわしい国際・外交機能を持ち、住み働く人々が快適に過ごすことができる新都市とすべきである。
とにかく東京から一刻も早く脱出する、いわば緊急避難的に都市をつくるということはこの際考えないで、新首都をつくるからには、にわかづくりではなくて、二十一世紀にふさわしい都市を考えたい、こういうことを盛り込んでおります。なおこのほかに、全国民に開かれている、潤いがあり美しいこと、職住近接、それから二十一世紀に向かって高度の科学技術を活用した都市というようなことが本文の中では盛られております。
 職住近接という点でございますが、先ほど段階的クラスターということを申しました。現在、東京はいわゆる働く場所がごく限られたところにございまして、それだけに逆に遠距離通勤を強いられるということがありますので、今度はクラスターごとに従業所、つまり国会機能、行政機能その他があると同時に、住居もそれぞれつけていこう。一つのクラスターの中に働く場所と住む場所をうまく組み合わせていった方がいい、そういうような考え方をこの中に盛り込んでいるわけでございます。
 その次に「東京の将来像」とあります。つまり、東京は後はどうなってもいいんで新首都さえできればという考え方はとりませんで、新首都もいいものをつくりたい、しかし首都機能が抜けた東京もいい東京であってほしいということをここで述べております。
 東京は、首都機能移転を契機として、諸機能の再集中を引き起こさないよう留意しつつ、ビジネス、文化面でその役割を果たすべきであり、このため東京圏の長期的ビジョンを検討する必要がある。
それで、東京はやはり国際都市東京でなくてはならないので、そういうことを中心にして経済、文化に特化する、そういうような世界の東京、日本の東京でなくて世界の東京になるということをここで考えているわけであります。そういうようなイメージを持って我々懇談会は議論をし、まとめてまいりました。
 しかし、懇談会の「中間とりまとめ」の最後に述べてございますけれども、実は今後に残された課題というのがまだいろいろございます。つまり、5のところに「今後の課題」として、
 今後、各界の意見聴取、大規模なアンケート等を通じ、首都機能移転に関する国民の意識を高める必要がある。また、皇居についての考え方及び具体的移転場所・移転時期の決定の問題等基本的かつ専門的事項については、本懇談会の場が検討を深めるには適当ではないので、それにふさわしい場の設定が期待される。
ということで本文の方も結んでおります用地方分権、規制緩和の問題も恐らく首都機能移転に相当大きな関連が出てくると思います。しかし、これは行革審の方で今鋭意御検討をなさっておりますので、私どもとしては触れる立場ではございません。その結果を十分しんしゃくさせていただくということでございます。
 それから、当然今後の問題として土地対策、先ほどちょっと申しましたが、これはいろいろな既成の手法を活用すればこうなりますということを述べてはありますけれども、とにかく九千ヘクタールの、しかも首都となる土地を確保するにはかなり大がかりな行政的、政治的な対策が必要かもしれません。そういう点は今後の問題でありますし、事業主体、財源、都市経営、こういうようなことも今回の懇談会の「中間とりまとめ」では触れておりませんけれども、いずれは何らかの方法でお決めいただく問題である、そういうようにここで書きまして結びといたしました。
 懇談会の「中間とりまとめ」に至る経過、それから内容のあらましを申しましたが、大体以上でございます。
#8
○委員長(井上孝君) ありがとうございました。
 それでは、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○稲村稔夫君 社会党の稲村と申します。
 八十島参考人には、きょうはお忙しい中ありがとうございました。大変参考になる御意見をこの「中間とりまとめ」ということで御提起いただいたわけでありまして、私どもも非常に大きな関心を持っているわけであります。ただ、その中で非常に難しい問題がいろいろとあるわけでありますけれども、特に二点ほど、この辺はどんなふうに御議論があったのであろうか、あるいは先生の方がお考えになっているのであろうかというようなことをお伺いしたいと思います。
 それで、第一は首都の移転の場所について御提
起をいただいているわけであります。それぞれもっともなことばかりなのでありますが、ただ具体的にということになりますと、こういう条件具備したところを見つけるということは非常に難しいような気もいたします。これは具体的なところをいろいろと御検討の話題にでもなったんでしょうかということが一つであります。
 それからもう一つは、政治と経済とを特化させることが望ましいということでありますが、しかし現実には、なかなか政治と経済とのかかわりというのは多岐にわたり複雑になっているということもございます。そういう中で、特化というのにはいろいろまた問題点があるのではなかろうか。特に特化をしていくに当たって留意すべき課題というものにどんなものがあるのであろうか。これは、今の段階的クラスター方式ということで一遍に移転をするのではなくて順次移転をするということになってまいりますと、やはりそれが経済的混乱といいましょうか、そんなものと結びついてもいけないのではないか。公共の部分がこっちへ移ってしまったら既成の経済機能とのかかわりでいろいろと出てくることもあり得ると思うものですから、その辺のところの御議論あるいは先生のお考えをお聞かせいただければありがたいと存じます。
 以上であります。
#10
○参考人(八十島義之助君) 三つほど御質問があったと思います。
 具体的な場所については、実は懇談会の前半においてはいろいろな有識者からヒアリングをいたしました。その段階では、具体的にこの場所がいいあの場所がいいという御意見も伺いました。ただ、懇談会としてはそれをどういうふうに煮詰めていくかということになりますといろいろ問題が起きまして、懇談会自身の作業にも影響しやしないかということもありまして、懇談会では一般抽象的な条件だけを先ほどのように議論をいたしまして、具体的な場所については正直言いましてやっておりません。それで今後の課題として残したわけでございます。
 それから次に、政治経済の分離が本当にできるかということであります。それで、私見でございますが、この問題は、実は現在の東京を見ますと大変な集中をしております。それは、恐らくいわば企業の論理で、お互いに集まることでのいろいろ情報の交換とかで、経営上集まる方が得であるという点で集まっている面がある。それとまた、やはり東京に中央政府があるから東京に本社を持ってきた方がいいというような場合もかなりあると思います。その二つと、そのほかいろいろやはり都市論的に東京がなぜ大きくなるかという議論も出ておりますが、今申しました大きなものの中の一つは、やはりこれは地方分権、規制緩和に関係がありまして、それがどういうふうにこれから動いていくかによって、それが結局新首都の政治経済の分離がどこまでどういけるかという問題にかかわってくるかと考えております。
 ですから、私どもとしては原則としてはとにかく政治経済を分離させようと。それがまた新首都の生きる道でもあるし、東京の生きる道でもあるということでありますが、どのくらいぴったり分けられるかどうかというところはなかなか煮詰め切れないで、純化というからには徹底的に規制をするかという意見もありますが、徹底的な規制もまた問題があります。そこで、その点は最終的には詰め切れませんが、ただ原則としては政治経済は分けていく。それから、土地利用などで無理がない範囲でやはりそれが実現できる裏打ちをしていくという議論でございました。
 それから最後に、段階的クラスター方式では、やっているうちにいろいろ初めの理想と変わってくるんじゃないかという御趣旨かと思います。その辺は、これは確かにそういう面はございますけれども、私どもはその点少しいい面をとりまして、つまり初めに考えていたことが時代とともに移り変わる、もっといい方法があるということもありますので、初めに余り九千ヘクタールぴしゃっと決めておきますことによる弊害の方が大きいんじゃないか、時代に即応できる柔軟性を持たせたいという気持ちで、次々にやっていくと。ですから、いい面と若干心配な面もありますが、心配な面はできるだけつぶして、いい面を伸ばしていきたい、こういう考え方で段階的クラスター方式をとった、こういうふうに御理解いただきたいんですが。
#11
○稲村稔夫君 ありがとうございました。
#12
○中川嘉美君 公明党の中川でございます。
 参考人には、大変きょうは御苦労さまでございました。三、四点ごく簡単な形でお聞きしたいと思います。
 今回の中間報告の果たす役割ですね、これが第一点。それから、地価対策の進め方は具体的にどういうふうにするかですね。それから第三点として、費用については民間の力をどの程度生かすかという問題。最後に、いわゆる政治、行政面だけが安全な地域に脱出するのかというような疑いを受けないように、東京の災害対策強化、それから防災事業のための財源確保など、そういったものをむしろ先行させるべきではないか、このように思いますが、この辺についてちょっとお答えいただきたいと思います。
#13
○参考人(八十島義之助君) 四つの御質問があったかと思いますが、この中間報告は先ほどもちょっと申しましたが、これは実は大分前から、第四次全国総合開発計画のときから首都機能移転ということは話題にはしておりましたが、結局国民的規模での議論あるいは国民的議論での合意というものがどうしても首都機能移転に対しては必要だろう。そういうようなことで、六月には本報告を出すつもりでございますけれども、この「中間とりまとめ」におきましても、やはりこれから我々自身が本報告までにやらなくてはいけないと思っておりますのは、各界の意見聴取、それから大規模なアンケート、こういうようなものを通しまして、この「中間とりまとめ」をもとにして各界でのいろいろな国民的な御意見が出てくることを期待しておりまして、その上でそれを本報告に反映できるものはするということで、ですから「中間とりまとめ」を今の時点で行いましたことは、むしろそうやって各界で御議論の種にしていただきたい、そういうような気持ちがございます。
 それから地価でございますが、これは実際問題としていろいろ騰貴も起こるかもしれない。それで、先ほど申しましたように在来の手法、つまり国土利用計画法の中で規制区域といった指定の仕方もございます。そのほか在来の手法の中でもかなりやれる分がありますし、それから恐らくこれだけのことになりますとやり切れないこともあります。そこで、事によったら何らかの、とにかく首都機能移転ですから、法制的な処置も必要じゃないかと思いますが、私どもの懇談会の枠の中では、これは恐らく土地問題もありますし税制の問題も入ってきますので、そこまでは議論が届きませんので、この問題は大事だという意識を持ちながら残してございます。
 それから民間の活力の導入のお話だったかと思いますが、これはできるだけやった方がいいのだろうと思います。ただし、民間活力の導入についてはこの十年間で我々いろいろ経験も積んでおりますし、その経験を踏まえてどういうふうにするかということもあります。今のは私見でございますが、これもやはり土地問題に絡めて今後のひとつ御検討にまちたいと思っております。
 それから最後のお話は、首都機能だけ出ていってしまって、東京はどうするんだという御議論がと思います。首都機能が出ていくと、たかだか六十万人だと東京の人口圧力は大して減らないぞという御意見も裏にあるのではないかと思いますが、これは東京から首都機能の六十万人の夜間人口が出ますれば、これは何が、いつ、どこにというところまでは申せませんが、やはり付随して減る分は減るということ。
 それから東京問題、実は私ども懇談会で議論したのは首都機能移転ですが、東京問題となりますと、恐らく東京がこれだけ膨張している理由は民
間サイドが非常に膨らんでいると。首都機能はそれほど変わらないけれども、民間サイドが非常に膨らんでいる。それで、もしも東京が膨らみ過ぎていけなければ、民間の方も何とかならないでしょうかと申し上げたいところだとは思います。しかし、政府、つまり官側が何もしないで民間だけ出ていけと言ってもこれはなかなか通用しないことで、ですから官と民が足並みをそろえて出ていくものは出ていくということで、今首都機能移転問題がここで議論されているのは、まず首都機能という官側のものが先鞭をつけて、民間でも特に東京になくていい機能は出ていってくださいと。それで、今いろいろ拠点都市に関する法制の企てもおありと聞いておりますが、これなどは民間が日本の各地の拠点都市にこれから出やすくするという一つの行き方かと思いますので、官と民と並行的に進めていくのが東京問題対策だろうと私は思います。
 それで、それはちょっと余談でございますが、東京は幾らか首都機能が出た後跡地があります。これをうまく有効利用して防災対策に活用するとか、いろいろ都市基盤として必要なものの整備に活用するとか、そういうようなことで防災対策にも寄与できるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
 そんなことでよろしゅうございますか。
#14
○中川嘉美君 ありがとうございました。
#15
○橋本敦君 参考人の八十島先生、きょうは御苦労さまでございました。共産党の橋本でございます。
 四点ほどお伺いしたい点がございますが、順次お伺いさせていただくことにしたいと思います。
 まず第一点は、先生もお述べになりましたように、この中間まとめは首都機能を移転することが是か非かという論議じゃなくて、国会決議などを受けて、首都機能の移転を前提とした上で、その首都機能の移転を具体的にどうやるかというそこのところの議論をなさったというのがこの中間まとめの基本である、こういうように理解をしておるのですが、それはそういう理解でよろしいわけでしょうか。
#16
○参考人(八十島義之助君) これはほぼそういう趣旨のことで本文も書いてありますので、ひとつ本文を御一読いただきたいと思います。
 先ほど、私が最初に述べましたこともほぼそういうような趣旨でございます。
#17
○橋本敦君 本文もあらかじめいただいておりますので、拝見させていただきました。
 それで、東京の一極集中という問題が大変深刻でございまして、私ども共産党としても東京一極集中は打開しなきゃならないという立場は一貫しておるわけでございますが、国会を含む首都機能の移転ということになりますと、即一極集中の打開そのものというようにはとらえていないところが私どもの立場なんですね。
 そこで、今日の深刻な東京一極集中が起こってきた原因は何か、まずここにメスを入れて、そしてそこのところから東京一極集中をどう打開するかということを導き出していかなきゃならぬというように考えているわけです。資料をいただきまして、この懇談会で何度も御議論をいただいておるようでありますが、この東京一極集中の本当の主たる原因は何かという点についての議論なりその点の見解なりということは特にお示しいただいておらないように思うんですが、その点はいかがだったんでしょうか。
#18
○参考人(八十島義之助君) 私、その点については本文でどこまで触れたかはちょっと今記憶にありませんので、私見を述べさせていただくということにさせていただきたいんですが、やはり企業活動が集まることがプラスになるという面が一つあると思います。それから、先ほども申しましたように、やはり政府に近いところにいた方がいいと。それからそのほか、どうもこれは数字などであらわせませんけれども、若い方々がこういう大勢集まっているところからいろいろなものを吸収する。その吸収するという意味でまた集まってくると。そういうようなことが複合して東京がこれだけ大きくなったというふうに私は解釈しております。
 懇談会の議論で理由はこれとこれというところまでは私は出さなかったと覚えております。
#19
○橋本敦君 そこで、私どもとしては、基本的には東京一極集中ということの原因をやっぱりもっと深く探るべきだという考えを持っておるんですが、先生の御意見もございましたし、私もまさに東京一極集中の大きな原因は、先ほどもお話しありました民間サイドの膨らみ、政策的に言えば、東京を国際的な金融都市、政治機能中心だけじゃなくて経済、財政の中心にもしていく、こういった総合的な膨らみが今日の一極集中をもたらしているというように見ているわけです。
 そういたしますと、先生がおっしゃった民間サイドの膨らみ、これをどう打開するかと。先ほど先生は官民並行的に行くのが理想だろうとおっしゃいましたが、まさにこの中間まとめではその民間サイドの膨らみをどう抑えていくかということについての具体的な展望なり方向づけが見られない感じがいたしましたのでそういった質問をしたわけなんです。
 その一つの問題として、先ほどお話がありましたが、人口六十万を移すということによって人口問題としての東京の一極集中がどれくらい解決できるかということになりますと、これは具体的には明確に出ていないだけではなくて、むしろこのまとめでおっしゃっている東京を今後とも国際的なビジネス、金融の中心都市あるいは世界的な文化を含む国際都市としてやっていくということになりますと、ある統計ではむしろ東京は首都機能を移転しても東京の人口というのはまだふえるというような資料も私拝見をしておりますので、そういう意味では、首都機能を今度の先生がお出しいただいた中間まとめの方向で仮に進めるとしても、東京一極集中ということの打開策として緩和改善策としてどれくらい機能するかという具体的な展望は、人口問題一つとってもなかなか明確に出てこない。
 だから、具体的には明確に出てこないということもあるので、この中間まとめではこの首都移転が新しい社会を実現する契機、あるいはそのインセンティブといいますかプロモートしていく先鞭といいますか、先生さっきおっしゃいましたが、そういうこととして位置づけられているのではなかろうか。つまり、具体的に一極集中がこれでどのように解決されるかという展望はやっぱりなかなか出てこないというのが実情ではないかというように私ども見ざるを得ないのかなと思っておりますが、いかがでしょうか。
#20
○参考人(八十島義之助君) 今の一極集中の問題ですが、六十万人という数字が大きいか小さいかは別として、数字を先に出してしまいました。それで、これはただ夜間人口の上のことで、東京の一極集中による弊害というのは、実は夜間人口だけでなくて、昼間人口もありますし、移動の問題もありますし、首都機能があるために動いている人も相当いるわけでございます。ですから、首都機能が出るということでそういう人の移動も出れば、夜間人口の六十万人以外のメリットがあるのではないかということが一つ考えられます。
 それから、東京の人口が将来どうなるかというのは、これもいろいろ推計がなされているようでございますけれども、放置すると数百万十年間にふえてしまうという数字も出ております。それで、これは御承知のように自然増がこのごろふえ出しまして、子供を産める人が大都市に集まっているということで、社会増を幾ら抑えても自然増だけでふえていくという非常に難しい問題があります。ですから、東京は今人口がふえることを何とか抑えていきたい。減らすことまで考えるのはなかなか大変だという説もあるくらいでございまして、首都機能問題とそれから東京問題というのは非常に近いんですが、東京問題になりますと少し視点を変えなくてはいけないだろうと思っております。
#21
○橋本敦君 わかりました。
 まさに私もそう思います。一極集中問題は、首都機能移転だけで解決しない東京問題としての根本を探った上で、先生もおっしゃいましたが、中央集権的体制の分権化ということもあり、全国的な国土政策、これをどう進めるかということとのバランス、結合もあり、大きなそういう総合政策でやっていく課題だというように思っております。その点は、先生もそういう趣旨をおっしゃいましたんですが、そういうことでよろしいのか、最後に伺って、質問を終わります。
#22
○参考人(八十島義之助君) 私、全く同じ問題ではないと思うんです、つまり首都機能問題と一極集中問題は。ですが、非常に密接であることも事実であって、先ほど東京の膨張を抑えるやり方、民間サイドも大事だということを申しましたが、しかしやはり一番何といいますか、やればやれるというのが、しかもやれば影響が大きいというのは首都機能の移転じゃないか。首都機能移転ですべてが解決するかどうかは別としても、首都機能移転が東京の一極集中是正に及ぼす影響は、ほかのいろいろな方法に比べまして、これがうまくいけばやはり一番大きい。それで、それをもとにして東京をもっとすんなりした、すばらしい二十一世紀の近代都市に持っていけるというふうには考えております。
#23
○橋本敦君 ありがとうございました。
#24
○磯村修君 私、連合参議院の磯村と申します。
 二つほどお伺いしたいんですけれども、一つは、この本の十ページの「費用の想定」のところでもって、「三大都市圏を除く全国の住宅地の平均価格に基づき想定」したというふうなことが書かれているんですけれども、その意味は、新しい首都というのは三大都市圏を除いて考えていくんだというふうな意味にもつながるんでしょうか。
#25
○参考人(八十島義之助君) 先ほど申しましたように、一応三大都市圏からは外れたところにつくる、つまり既存の都市にはくっつけないという趣旨で考えてまいりました。
#26
○磯村修君 もう一つ。
 そうしますと、新しい首都をつくっていくのに、新しい技術開発によって高速交通網を整備して、そして首都機能というものを、いわば展都論ですね、天野先生がこのメンバーにも入っておられるんですけれども、その展都論と今度まとめております新首都の構想というのはどういう関係になるのか。そしてまた、その懇談会で展都論というのは具体的に論議がされて、どういうふうな結論と申しましょうか、どんなふうな意見が出されたのか。また、私なりに解釈すれば、この本の意味からいっても、どうもこの展都論というのは解消されたのかなというふうな感じも受けるんですけれども、その辺をお伺いしたいと思います。
#27
○参考人(八十島義之助君) いろいろ展都論とか分一部論とかございましたが、そういうことももちろん頭の中にありましたが、今度は段階的クラスターということで、これはいろいろな見方があるかと思いますけれども、いろいろな見方に惑わされないために段階的クラスターということにしまして、クラスターを次々につくっていく、それで全体として首都機能を発揮できるというふうにしておりますので、ですから今までいろいろ提案されたものとまた別の発想で動き出したというふうにひとつ見ていただきたいと思うんです。
#28
○足立良平君 私、民社党の足立てございます。
 今、先生のお話なり資料をずっと拝見いたしておりまして、先ほどちょっと議論として出ておりましたけれども、東京の一極集中は、前段としてなぜ一極集中してきたのかということをやはりきちんと考えていかないと、後々かえってまた問題をそのまま残していくのではないか、こんな感じを実は私も持っております、この首都の移転問題というのは、ある面におきましては、私は現在の日本の例えば文化であるとかあるいは経済のシステムであるとかあるいは政治のシステムであるとか、そのものがすべてそこに集中的にといいますかあらわれてきているのではないか、こんな感じがいたしております。
 したがって、この懇談会の中間報告の中で、例えば先ほど先生御指摘のように、三大都市圏ではつくりません、あるいは東京から六十キロ以遠のところで考えていく、こういうことになりましても、権限の移譲であるとかあるいはまた政治と経済というものが分離するという前提を考えていても、今のような状態が仮に全体として進んでいきますと、企業の側というものも結果としてついていっちゃう。そうすると、新たに今のような東京をそのままどっかに移転するようなものではないか、こういうふうな感じもするわけなんですが、一点目に、そういう点について先生の考え方をひとつお聞かせを願いたい、このように思います。
 それから、時間もございませんのでもう一点だけちょっとお聞きをしておきたいと思いますのは、四全総で多極分散型国土というものを一応想定いたしまして、東京圏は国際金融あるいは情報機能面で世界の中枢的云々、こういう考え方、大阪は例えば経済、文化とか、あるいは名古屋は世界的な産業技術であるとかを中心にするという多極分散型の国土というものを考えているわけですが、そういう従来の三全総あるいは四全総のような一つの流れの中で今回のこの中間報告というのは一体どういう位置づけをされているのか、この点を二つ目にお聞きいたしたいと思います。
#29
○参考人(八十島義之助君) 多極分散といったようなことについては四全総と私は流れは同じだと思いますし、それから大都市圏の成長と首都機能移転というのは、これはやはり同時並行的に進み得ると思います。四全総は、今拠点都市の法制とか、あるいはいろいろなそういう地方分散の法律が運用され始めておりまして、この四全総の成果というものはこれから出てくるかと思います。
 それで、首都移転に関しての議論はこれからかなりまだ積み重ねられると思いますので、今の段階では四全総は四全総として一つ進めていくし、首都機能移転の御議論は御議論で進めていっていただくのがいいのじゃないか。これは、私見かもしれませんが、矛盾するところはないというふうに考えております。
#30
○足立良平君 先ほどの先生のお話の中で、これは中間報告ですが、六月に本報告が出されるということをお聞きいたしました。その報告の中で各界の意見の聴取あるいはアンケート等云々と、こういうお話も実はあったわけでございます。この方針を仮に貫いていこうとするならば、先ほどちょっと触れましたけれども、原則として政治と経済を分けていこうという、むしろこれは画期的で、今までの首都移転の議論の中からいたしますと一番その中心的な点にあるのではないかというふうに実は私は受けとめているわけなんです。
 そういう面で、例えば本報告の中でその種の問題について具体的に、これはちょっと行革審との関係も出てくるんでしょうけれども、少し触れていくということの考え方はございませんでしょうか。
#31
○参考人(八十島義之助君) それはひとつ我々よく承って、心していきたいと思っています。
#32
○片山虎之助君 それでは、簡単に三点ほどお伺いします。
 今まで議論が出ましたけれども、私、首都機能移転だけでは一極集中阻止や多極分散型国土にはなかなかならないと思うんです。しかし、そういうことに対する大変大きなインパクトを与える、官が先鞭をつけるという意味で、ただ、一極集中阻止をやるためには、やはり地方分権だとか、先生が言われました規制緩和だとか、あるいは各地域のプロジェクトをもっとしっかりやるとか、総合的なセットの政策が要ると思うんです。だから、それとの絡みでなければなかなか一極集中阻止にはならないのじゃなかろうかと思うのが一点です。
 それからもう一つ。この六十万都市が、キャンベラやブラジリアも言われておりますように、こういう公務員ばかりおるようなところが一つのコミュニティーたり得るんだろうかと。職住近接はいいんです、職場があり住宅がありと。しかし、
やっぱり人間というのは、第三空間というのか、人間性を解放するようなそういう遊び場みたいな空間が必要なんで、この六十万都市は無味乾燥な何かキャンベラみたいなああいうことになるのかどうか。また一つの自治体たり得るんだろうかと。その辺の御議論があったのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
 それから三番目は、やはりこれだけの大きな国家的大プロジェクトを、これは先生御自身のお考えでもいいんですが、大体のスケジュール、何年ぐらいでどうするのか、国民的なコンセンサスの形成がどうしても要るんですけれども、そのためには場合によっては法律を、法制的なお話がちょっとございましたが、基本法をつくるとか、いつまでにどうするとか、土地だけは確保する、どういう形で場所を決めるとか、そういう手順、スケジュールについて先生の御私見でも結構でございますけれども、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。簡潔で結構でございます。
#33
○参考人(八十島義之助君) 三点あったと思います。
 最初、これで一極集中が防げるかと。これについては、先ほどからも話題に出ておりましたが、一極集中是正即首都機能移転、首都機能移転即一極集中是正とまでは私どもは一対一の対応としては考えませんでした、そういうことを考えようとしたこともありましたけれども。ですから、機能移転の必要性と目的は単に一極集中是正だけではなくて、むしろ二十一世紀にふさわしい国土構造をつくるというようなこともあわせて我々の目的意識の中に持ち込んだわけでございます。ただ、一極集中と首都機能移転とは非常に密接な関係があると。繰り返しますが、人口六十万という数字だけですと大したことないようですが、いろいろな影響がおりますから、私はもっとあるいは質的には大きいだろうというふうに思っております。
 それから、六十万では都市にならないだろう、コミュニティーにならないだろうと。御指摘の問題は今もう日本の各地にありまして、これは私はこれからクラスターをどう配置するかという問題に多分に関係してくると思います。それで、確かに今二十万、三十万の都市は日本にたくさんありますが、それではコミュニティー、何か都市らしいにぎわいとか、そういうものはないだろうという御意見もあります。それではどこまでいったらあるんだろうかと。大体政令指定都市クラスになれば、どこかそういう町としてのにぎわい、あるいはよくこれは通俗的に言われておりますが、市民の匿名性とかそういう問題が出る、これは百万ぐらいかなとか言われて、どこが限界かということが問題だと思いますが、そこまで深くは議論しておりませんけれども、六十万をどういうふうに楽しく、豊かに暮らしてもらえるかというのは今後の問題として我々問題意識を持っております。ただ、今までの段階ではそこまで詰めて議論はしておりません。
 それから、最後のスケジュールですが、確かに地震等の大規模災害のことを考えますと、これはあした来るかもしれません。ですから、そういう意味ではぐずぐずできませんけれども、しかし何といっても首都機能の問題ですから、私は踏むべき手順はちゃんと踏んでいかなくちゃいけないと思いますし、それからまた、余り急いで何でもかんでもハードをつくってしまえというのも、今度は、生産力のないハードだけをつくるというのはこれはもう釈迦に説法ですが、インフレの問題、ブラジリアなんかはちょっとそういうきみがあったようでございます。ですから、そういう意味での速度もありますが、問題がたくさんありまして、まだ私どもは日限を限って正確な議論はしておりません。
#34
○委員長(井上孝君) 他に御発言もないようでございましたら、本日の質疑はこれにて終了させていただきます。
 八十島参考人には、大変お忙しい中、当委員会のために貴重な御意見をお述べいただき、また、質疑に対して御懇切にお答えをいただきましてまことにありがとうございました。一同を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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