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1992/02/26 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第2号
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1992/02/26 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第2号

#1
第123回国会 科学技術特別委員会 第2号
平成四年二月二十六日(水曜日)
   午前十一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                岡部 三郎君
                藤田 雄山君
                三上 隆雄君
                太田 淳夫君
    委 員
                鹿熊 安正君
                後藤 正夫君
                山東 昭子君
                永野 茂門君
                前島英三郎君
                吉川 芳男君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                松前 達郎君
                吉川 春子君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       谷川 寛三君
   政府委員
       科学技術政務次
       官        二木 秀夫君
       科学技術庁長官
       官房長      林  昭彦君
       科学技術庁長官
       官房審議官    山路 順一君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   岡崎 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   長田 英機君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    坂内富士男君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大平 芳弘君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (平成四年度科学技術庁関係予算に関する件)
 (派遣委員の報告)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、谷川科学技術庁長官から、科学技術振興のための基本施策について、その所信を聴取いたします。谷川科学技術庁長官。
#3
○国務大臣(谷川寛三君) 第百二十三回国会に当たりまして、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
 科学技術の振興は、二十一世紀に向けて我が国及び世界が安定的発展を遂げ、平和で豊かな社会を確立していくために欠くことのできない最重要課題の一つでございます。
 特に、近年は、地球環境問題、エネルギー問題を初めとする人類共通の課題を解決するための手段として、科学技術に対する期待が高まっております。また、国際社会における我が国の立場を踏まえ、科学技術によって国際社会と人類全体に貢献していくことがこれまで以上に強く求められております。さらに、国民の意識が、ゆとり、潤いといったものを求めるものに変化してきております。
 このような科学技術を取り巻く環境の変化を踏まえ、従来以上に科学技術の振興に積極的に取り組み、人類が地球と調和して共存し、人類共通の資産である知的ストックを拡大するとともに、私たちが安心して暮らせる潤いのある社会を構築していくことが重要でございます。
 平成四年度におきましては、かかる観点に重点を置きつつ、次のとおり各種施策の積極的展開を図ってまいります。
 第一は、新たな科学的知見を開拓し、次の世代の技術を培う創造性豊かな基礎的研究の充実強化を図るとともに、科学技術振興基盤の整備を積極的に進めることであります。
 とりわけ、基礎的研究においては、独創的個人研究育成制度の拡充や創造科学技術推進制度の充実等により、すぐれた発想を持つ研究者が主体的に研究できる環境を整備するとともに、研究交流の促進を図ってまいります。特に、研究交流の促進につきましては、今国会に研究交流促進法の一部を改正する法律案を提出し、御審議いただくことといたしております。
 また、先端的・基礎的研究のための大型放射光施設の建設、地域における研究開発機能の高度化促進、科学技術情報の流通促進等、研究開発の基盤の整備を図ることといたしております。
 第二は、より豊かで安全な社会を達成するための科学技術を推進することです。国民の意識が量的な充足から質的な豊かさを求めるようになった現在、人間そのものの本質に迫り、がん等の克服につながるヒト遺伝子解析等を積極的に進めるとともに、国民が安心して生活できる、災害に負けない国づくりのため、科学技術面からの積極的な貢献を行ってまいります。
 第三は、科学技術を通じて国際社会に積極的に貢献することであります。特に、地球温暖化等、人類の生存基盤に深刻な影響を及ぼすおそれがある地球環境問題については、グリーン・プラネット・プロジェクトの推進等、英知を結集してその科学的解明等を進めてまいります。
 また、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの推進、国際熱核融合実験炉計画や宇宙ステーション計画への積極的参加を初め、国際貢献型プロジェクトの推進を図ってまいります。
 第四は、科学技術振興調整費の拡充、科学技術政策推進機能の充実強化等により、科学技術行政を総合的に進めることであります。
 第五は、原子力の開発利用につきまして、我が国のエネルギーの安定供給に不可欠な基軸エネルギーとして、安全確保を大前提に、着実に進めていくことであります。このため、核燃料サイクルの確立、新型動力炉の開発、核融合の研究開発等を進めるとともに、安全確保対策の一層の充実強化を図ってまいります。
 さらに、国民の悲願でありますがんの撲滅のため、画期的な治療法である重粒子線によるがん治療装置の建設等、治療体制を整備いたします。
 第六は、一九九二年は国際宇宙年であり、大きな飛躍が期待される宇宙の開発利用を積極的に推進することであります。技術基盤の確立を目指し、信頼性及び安全性を確保しつつ、人工衛星、ロケット等の開発並びに宇宙環境の利用を総合的に進めてまいります。
 第七は、海洋開発につきまして、一万メートル級無人探査機の開発等による深海調査研究、地球規模の環境変動に大きなかかわりを有している海洋現象の実態解明のための研究開発等を総合的に進めていくことであります。
 第八に、人工衛星等を利用した地球観測技術の研究開発、地球規模で発生する諸現象の解明研究等を進めるとともに、首都圏直下型地震の予知のための広域深部観測施設の整備等、防災科学技術の研究開発に力を入れてまいります。
 第九に、技術革新の先導的役割を果たしていくことが期待されている物質・材料系科学技術に関し、超電導材料、インテリジェント材料等の研究開発を積極的に進めていくこととしております。
 第十は、広範な分野で人類の福祉の向上に資するライフサイエンスに関し、ヒト遺伝子解析、がん関連研究等、基礎的・先導的研究開発を積極的に推進いたします。
 このようなさまざまな領域における科学技術の振興を適切に図っていく上では、国民の理解と協力を得ることが重要であることから、原子力の分野を初めとして、きめ細かくわかりやすい広報活動等を一層充実強化してまいります。
 以上、平成四年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し述べましたが、我が国の科学技術のより一層の発展のために、私といたしましても誠心誠意努力してまいる所存でありますので、委員各位の一層の御指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。(拍手)
#4
○委員長(及川順郎君) 次に、平成四年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。林官房長。
#5
○政府委員(林昭彦君) 平成四年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 平成四年度一般会計予算において、科学技術庁の歳出予算額四千百十八億六千六百万円を計上いたしており、これを前年度当初歳出予算額と比較いたしますと、二百二十三億五千万円、五・七%の増加となっております。また、電源開発促進対策特別会計において、科学技術庁分として歳出予算額一千三百六十一億一千二百万円を計上するほか、産業投資特別会計から日本科学技術情報センターに対し三十八億円の出資を予定いたしております。以上の各会計を合わせた科学技術庁の歳出予算額は、五千五百十七億七千八百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、二百九十二億一千七百万円、五・六%の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為限度額として、一般会計一千三百五十八億七千四百万円、電源開発促進一対策特別会計五十九億六千二百万円を計上いたしております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆一千四百八十四億円とするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により政府が保証する借り入れ等の債務の限度額として百八十八億円を計上いたしております。
 次に、予算額のうち主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、創造性豊かな基礎的研究の充実強化と科学技術振興基盤の整備のため、二百六十六億九千五百万円を計上いたしました。
 まず、創造科学技術推進制度等の基礎的研究推進制度、若手研究者に対する特別研究員制度等の充実に必要な経費として百十二億百万円を計上いたしました。
 また、科学技術振興調整費を活用して、国内外の研究者が分野、組織等を越えて参集し、知的触発の機会を得ることにより新たな研究領域等の開拓を図る異分野交流研究創出制度を創設することとしております。
 また、科学技術振興のための基盤の整備のため、フロンティア研究の地域展開等、地域における研究開発機能の高度化のために必要な経費として十二億一千九百万円を計上するとともに、大型放射光施設については、加速器の製作、建物の建設等を推進することとし、これに必要な経費として七十億四千八百万円を計上いたしました。
 また、産学官の研究交流等を促進するために必要な経費として三十三億九百万円を計上いたしました。
 さらに、日本科学技術情報センターにおける科学技術情報の流通を促進するために必要な経費等として、一般会計に十九億二百万円を計上するとともに、産業投資特別会計から同センターに対し三十八億円の出資を予定いたしております。
 第二に、より豊かな生活を目指した科学技術の推進を図るため、百三十五億五百万円を計上いたしました。
 このうち、疾病の原因の根本的解明等につながるヒト遺伝子解析の総合的推進を図るための経費として十億七千九百万円を計上いたしました。
 また、科学技術振興調整費を活用して、地域住民の生活の向上に資する研究として生活・地域流動研究を実施するとともに、がん関連研究、地震予知関連研究を推進することとしております。
 第三に、科学技術による国際社会への積極的貢献を図るため、八百九十七億七千五百万円を計上いたしました。
 このうち、主なものを申し上げますと、まず、国際的に積極的な対応が期待されている地球温暖化問題の解決に向け、地球温暖化解明予測を総合的に推進することとし、このために必要な経費として百八十八億五千五百万円を計上いたしました。
 また、ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラムの各事業を着実に実施するための拠出金等として二十二億八千四百万円を計上するとともに、国際熱核融合実験炉(ITER)計画、宇宙ステーション計画等の国際貢献プロジェクトに積極的に参加することとしております。
 このほか、外国の研究者の受け入れ等、国際研究交流を促進するとともに、研究情報等の国際流通を図ることとしております。
 第四に、科学技術行政の総合的推進を図るための経費として百十七億二千百万円を計上いたしました。
 このうち、科学技術会議の方針に沿って重要研究業務の総合推進調整を行うため、科学技術振興調整費として百十億円を計上するとともに、科学技術政策推進機能の充実強化を図ることとしております。
 第五に、原子力の研究開発利用及び安全対策の推進のため、三千百五十二億三千万円を計上いたしました。このうち、一般会計において一千七百九十一億一千九百万円を計上しております。
 まず、原子力安全規制行政及び核不拡散対応に必要な経費として二十一億九百万円を計上いたしました。
 次に、日本原子力研究所においては、国際熱核融合実験炉(ITER)工学設計活動参加を初めとする核融合の研究開発、高温工学試験研究炉の建設、放射線高度利用研究等を進めることとし、これらに必要な経費として一千十七億一千百万円を計上いたしました。
 また、動力炉・核燃料開発事業団においては、新型動力炉の研究開発及び核燃料サイクル確立のための研究開発等を進めることとし、これらに必要な経費として五百十九億九百万円を計上いたしました。
 また、放射線医学総合研究所における重粒子線によるがん治療装置の建設等、治療体制の整備、理化学研究所における重イオン科学総合研究、国立試験研究機関等における原子力試験研究に必要な経費として二百二十七億二百万円を計上いたしました。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算額のうち、科学技術庁分として一千三百六十一億一千二百万円を計上しております。
 このうち、電源立地勘定においては、国民の理解と協力を増進し、原子力施設の立地を一層促進するための経費として三百十一億二千四百万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定においては、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設、核燃料サイクル確立のための研究開発等を推進するための経費として一千四十九億八千八百万円を計上いたしました。
 第六に、宇宙開発利用の推進のため、一千四百四十六億二千二百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団において、地球観測プラットホーム技術衛星等の人工衛星の開発を進めるとともに、小型派生型(JI)ロケット及び技術試験衛星Z型の開発研究に着手するほか、HUロケットの開発、宇宙ステーション計画への参加等を進めることとし、これらに必要な経費として一千四百七億八千九百万円を計上いたしました。
 また、航空宇宙技術研究所における宇宙科学技術の基礎的・先行的研究を進めるための経費として三十二億五千万円を計上いたしました。
 第七に、海洋開発の推進のため、百十四億円を計上いたしました。
 このうち、海洋科学技術センターにおいて、一万メートル級無人探査機の開発、深海環境研究開発、海洋観測技術の研究開発等を行うこととし、これらに必要な経費として百十一億七千八百万円を計上いたしました。
 第八に、地球科学技術の研究開発の推進のため、三百十六億四千八百万円を計上いたしました。
 このうち、人工衛星等を利用した地球観測技術の研究開発等の推進のため、二百七十二億八千三百万円を計上するとともに、首都圏直下型地震予知のための広域深部観測施設の整備等、防災科学技術の研究開発の推進のため、四十三億六千五百万円を計上いたしました。
 第九に、超電導材料研究マルチコア・プロジェクトの推進、インテリジェント材料の研究開発の推進等、物質・材料系科学技術の研究開発の推進のため、百四十億九千九百万円を計上いたしました。
 第十に、ヒト遺伝子解析、がん関連研究等、ライフサイエンスの振興のため、二百十三億五千万円を計上いたしました。
 最後に、革新航空宇宙輸送要素技術の研究等その他の重要な総合研究を推進するため、百九十八億五千九百万円を計上いたしております。
 以上、簡単でございますが、平成四年度科学技術庁関係予算につきましてその大略を御説明申し上げました。
#6
○委員長(及川順郎君) 以上で所信の表明及び予算の説明は終了いたしました。
 これにつきましての質疑は後日の委員会で行いますので、どうぞ長官退席されて結構でございます。ありがとうございました。
#7
○委員長(及川順郎君) 次に、先般本委員会が行いました委員派遣について、派遣委員の報告を聴取いたします。藤田雄山君。
#8
○藤田雄山君 それでは、私から委員派遣について、その概要を御報告申し上げます。
 派遣地は鹿児島県であり、派遣期間は二月二日及び三日の二日間であります。派遣委員は、及川委員長、三上理事、太田理事、吉川委員、星川委員及び私の六名であります。派遣先は、宇宙開発事業団種子島宇宙センターであります。
 以下、調査の概要を御報告申し上げます。
 宇宙開発事業団は、宇宙開発事業団法に基づき、我が国の宇宙開発の中枢的実施機関として、平和の目的に限り宇宙開発を進め、宇宙の開発及び利用の促進に寄与することを目的として昭和四十四年に設立されました。同事業団の種子島宇宙センターは、日本最大の射場であり、各種射場、追跡管制所、レーダーステーション、液体ロケットの地上燃焼試験場等を備えています。当センターでは、人工衛星の打ち上げ、発射後の追尾等の作業が行われ、実用衛星打ち上げの中心的役割を果たしています。
 まず、竹崎観望台において、施設の概要、地球資源衛星一号等について説明を聴取した後、大崎射場において地球資源衛星一号を搭載するHIロケットを視察いたしました。本衛星は、合成開口レーダー及び光学センサーによって、資源探査を主目的に、国土調査、農林、漁業、環境保全、防災、沿岸監視等に資する地球観測を行うとともに、高度な地球観測システムの開発と修得を目的とした重量約一・三トンの衛星であります。今回使用するHIロケットは、二段式、固体補助ロケット九本つきであります。本ロケットの打ち上げは、二月三日午前中に行われる予定でありましたが、地上の誘導制御点検装置の一部に生じたふぐあいのため延期され、視察できませんでした。
 次に、吉信射点において、HUロケット打ち上げ用の発射台等の各種施設を視察いたしました。本ロケットは、二トン級の静止衛星を打ち上げることができる二段式ロケットであり、一九九〇年代における我が国の主力ロケットとなるものであります。
 次に、大崎指令管制棟を視察いたしました。本管制棟には、指令管制室、計算機室等があり、人工衛星及びロケットの発射前整備作業、打ち上げ秒読み作業、追尾作業等に関するすべての情報が得られ、打ち上げ段階における島内の各施設及びダウンレンジ局における作業の中枢として指揮、調整、監視が行われます。
 次に、宇宙開発展示館を視察いたしました。本展示館は、宇宙開発に関する理解を深めるため、宇宙と人類のかかわり、人工衛星及びロケットの仕組みと働き、その打ち上げ及び追跡管制の状況等がわかりやすく展示されており、一般に公開されております。
 なお、その後の入念な点検を経て、二月十一日、地球資源衛星一号は打ち上げられました。同衛星の愛称はふよう一号であります。
 以上で御報告を終わります。
#9
○委員長(及川順郎君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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