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1992/03/06 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第3号
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1992/03/06 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第3号

#1
第123回国会 科学技術特別委員会 第3号
平成四年三月六日(金曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                岡部 三郎君
                藤田 雄山君
                三上 隆雄君
                太田 淳夫君
    委 員
                岡野  裕君
                鹿熊 安正君
                後藤 正夫君
                山東 昭子君
                前島英三郎君
                吉川 芳男君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                吉川 春子君
                星川 保松君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       谷川 寛三君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      林  昭彦君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   長田 英機君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       科学術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    坂内富士男君
       科学技術庁原子
       力安全局次長   谷   弘君
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
   事務局側
       第三特別調査室
       室        大平 芳弘君
   説明員
       防衛庁教育訓練
       局訓練課長    河尻  融君
       防衛庁装備局武
       器需品課長    相沢 史郎君
       環境庁企画調整
       局地球環境部環
       境保全対策課長  柳下 正治君
       外務省北米局地
       位協定課長    原田 親仁君
       工業技術院総務
       部研究開発官   後藤 隆志君
       資源エネルギー
       庁長官官房省エ
       ネルギー石油代
       替エネルギー対
       策課長      上田 全宏君
       労働省労働基準
       局補償課長    出村 能延君
       労働省労働基準
       局安全衛生部労
       働衛生課長    下田 智久君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○藤田雄山君 現在の我が国を取り巻く状況を見ますと、ソ連邦の解体、欧州統合への着実な進展といった世界の構図の転換の一方で、民族紛争や核拡散への懸念が高まり、また地球環境問題、エネルギー問題など、人類が共同で取り組むべき課題も増大するなど、激動の時代の様相を示しております。
 我が国は、このような時代の中で、二十一世紀に向かって世界がより平和で豊かな社会を築いていくための方策を模索していかなければなりません。幸いにして、我が国は今や欧米と比肩し得る世界の技術先進国の一つとしての地位を築いております。我が党は科学技術立国への道を歩むことを最重点課題に挙げておりますが、科学技術は新しい物を生み出す力であり、経済社会の活力の源泉であります。二十一世紀に向けて、我が国の誇れる資産である頭脳資源を生かし、科学技術を発展させ、我が国の発展の基盤を確立するとともに、人類共通の知的ストックを拡大することにより世界に貢献することこそ今の我々に与えられた使命であると考えます。このような方向は、政府におかれましても去る一月に科学技術会議が取りまとめられました今後新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本政策についての答申の中におかれましても指摘されており、まさに時宜を得た答申として高く評価したいと思います。
 先日、大臣は所信表明におかれまして、科学技術振興の上の重要課題について述べられておりましたが、本日はこの中でも特に重要なプロジェクトにつきまして質問させていただきたいと思います。
 まず、がん撲滅のための方策について伺いたいと思います。
 現在、我が国におきましては四人に一人ががんによって亡くなられている状況でございまして、死因の第一位となっておりますがんの撲滅は、国民のあるいは世界人類の悲願であります。これに対応して、現在、科学技術庁の放射線医学総合研究所において、重粒子線によりがんの治療を行うという画期的な方法を完成させるべく、重粒子線がん治療装置の建設が進められていると聞いております。
 まず、その重粒子線がん治療の特徴についてお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 放射線によりますがん治療につきましては、既にエックス線とかガンマ線、これは先生方御承知のように光の仲間みたいなものでございますけれども、みたいなものを使う、あるいは電子線の利用が実用化されておりまして、外科の療法それから化学療法と並びましてがんの重要な治療方法の一つとなっているところでございます。また、近年、治すことが難しい難治がんの治療に効果的な速中性子線あるいは陽子線等によります治療方法がそれぞれ開発されまして、現在、放射線医学総合研究所あるいは筑波大学等におきまして治療が行われているところでございます。
 御質問の重粒子線でございますけれども、重粒子と申しますのは、光の仲間よりももっと重い電子線、あるいはそれよりももっと重い中性子、陽子よりももっと重い炭素とかネオンとか珪素とか、そういう重粒子を加速する、そういう装置であるわけでございまして、速中性子線あるいは陽子線の持っております長所を兼ね備え、より一層すぐれた治療効果を有するものというふうに期待されているものでございます。
 具体的に申しますれば、これら重粒子線によりますがんの治療方法は、従来の放射線による治療方法に比べましてがん以外の正常組織の損傷が少ない、すなわち照射いたしますと一定の深さのところでエネルギーをぐっと出してがん細胞を破壊するというそういう性質がございます。そういう性質を有しておること、それから先ほど申しましたように、非常に重い粒子でございますからがんに対するパンチが強い、すなわちがん細胞の殺傷力が強いということもございます。そういうこともございまして、従来の放射線では治療が困難でありましたところのがんみたいなものにも画期的な効果を発揮すること等々の特徴がございますので、がん撲滅のための有力な治療方法の一つとして期待されておるところでございます。
 現在、放射線医学総合研究所におきまして対がん十カ年総合戦略の一環といたしまして重粒子線がん治療装置の建設を鋭意進めておるところでございます。
#5
○藤田雄山君 我が国が世界に先駆けでこのような画期的な方法を確立することは、単に我が国のためのみならず、人類全体に貢献するものでありまして、我が国が世界に誇れる知的資産として世界に向けて発信できるものだと思います。今後、重粒子線によるがん治療の研究につきましては従来以上に積極的に取り組むべきものと考えておりますが、大臣のお考えをお伺いいたします。
#6
○国務大臣(谷川寛三君) 申し上げるまでもないところでございますが、がんの撲滅は国民の悲願でございます。科学技術庁といたしましては、がん撲滅のためのすぐれた治療法として期待されております、ただいま局長からお答えいたしましたが、重粒子線によるがんの治療法を開発いたしますために、対がん十カ年総合戦略の一環といたしまして、放射線医学総合研究所におきまして重粒子線がん治療装置の建設を進めておるところでございます。現在、装置の建設は平成五年度の完成を目指しまして順調に進行中でございます。これと並行いたしまして、関係医療機関の協力を得まして臨床試験を行うための治療体制の整備にも着手しておるところでございます。
 当庁といたしましては、平成四年度予算政府原案におきまして重粒子線がん治療の推進に必要な経費として約八十一億円を計上しておりますが、これは前年度比約十四億円、約二割の大幅な増額でございまして、これでも政府のこの問題に取り組んでいる姿勢をお酌み取り賜れるかと思っております。当庁といたしましては、このプロジェクトを最重点施策の一つといたしまして今後ともその推進に最大限の努力をしてまいる所存でございます。
#7
○藤田雄山君 次に、宇宙開発、我々の夢をかき立てるものでありますけれども、宇宙の開発についてお聞きしたいと思います。
 近年、宇宙開発は、宇宙からの気象観測に基づく正確な天気予報でありますとか衛星放送の普及などを通じまして国民生活とますます密接な関係を持つようになってきております。また、世界的な課題といたしまして人類が共同で取り組まなければならない地球環境問題についても、その解決のために科学的知見の蓄積が不可欠であります。人工衛星による地球観測がその重要な手段としてクローズアップされておりますが、宇宙開発が夢の領域から実社会の領域の中に確実に根づきつつある今こそ宇宙開発を従来以上に強力に推進していくことが必要だと思いますが、大臣の御意見、御決意をお伺いしたいと思います。
#8
○国務大臣(谷川寛三君) 宇宙は人類の夢と希望の源でありまして、その開発は国民生活の向上に大いに役立つばかりではなく、我が国の科学技術発展の牽引力になるものと思っておりまして、広範かつ多様な宇宙開発活動を一層強力に推進していかなきゃならぬ、こう考えておるところでございます。
 こういった観点から、まず地球的規模の環境問題の解決に向けました、今もお話がございました地球観測の充実、放送衛星の高出力化等、多様化し高度化する社会や国民のニーズに的確に対応していきたいと考えております。
 それからまた、必要な国際的水準の技術基盤の確立に努めまして、これらの技術蓄積を行いまして宇宙ステーション計画等、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力を積極的に推進していくことも考えております。また、我が国が宇宙開発活動を安定的に遂行していく上で不可欠な効率的な宇宙輸送システムを確立していきたい、こう考えております。HUロケット打ち上げ型の有翼回収機、HOPE、それからスペースプレーン、こういったものの研究などもやっておりまして、先導的な研究開発をこれから積極的に進めてまいりたい、こう考えております。こういうようなことで、引き続きまして積極的に宇宙開発に取り組んでいく所存でございます。
 また、本年は御案内のとおり国際宇宙年でございまして、宇宙開発元年として決意も新たに我が国の宇宙開発利用の発展を図っていきたい、こう考えておるところでございます。よろしくお願いいたします。
#9
○藤田雄山君 大臣から、ことしは国際宇宙年だというお話がございました。これは宇宙開発に関する国際協力を一層進めるとともに、宇宙開発に関する国民の意識の高揚をもたらし、我が国の宇宙開発の一層の推進に弾みをつける絶好の機会と考えております。国際宇宙年にどのように取り組もうとしているのか、その辺のお考えを伺いたいと思います。
#10
○政府委員(井田勝久君) ことしは今お話しのように国際宇宙年でございます。ことし、一九九二年はコロンブスのアメリカ大陸の発見から五百年、そしてまた国際地球観測年及びスプートニク一号の打ち上げから三十五年に当たります。そういうことで新たな宇宙航海時代、こういうことをこれから目指していこう、こういうことで各国が賛同いたしまして、一九八九年の国連総会でございますが、そこで支捺を得て決まったものでございます。
 このテーマといたしましては、「地球へのミッション」、こういったミッションをまず確定しようと。人工衛星を用いまして、地球観測等による地球の温暖化、異常気象、森林破壊、資源探査、災害等の地球環境問題への取り組みを積極的にしよう、そしてさらに、次世代を担います若者を対象といたしまして宇宙に対する教育普及活動をしよう、こういうことでございます。
 我が国におきましても、こういった趣旨、これをさちっとやろうということでございまして、アメリカ、ヨーロッパにも設立されておりますような日本ISY協議会、これは民間企業の多数の参加を得てつくりまして、この協議会を中心に活発な活動をしよう、こういうことでございます。
 具体的に申しますと、この十一月には多数の国の参加を得まして、アジア・太平洋ISY会議、こういうものを開くことにしておりますが、こういった会議を開催して積極的にアジア・太平洋諸国と今後の宇宙開発、地球環境への宇宙の利用、こういったものを話し合いたいと思っております。さらに、ヨーロッパやアメリカで開催されますISY関係会議へ参加します。それとともに、作文コンテストでございますとか記念切手を発行いたしますとか、各種の行事をいたします。こういったことを通じまして、宇宙の開発利用、こういったものに対します国民の理解を深めたい、特に青少年の理解を深めたい、そして国際協力も大いに推進したい、このように考えているわけでございます。
#11
○藤田雄山君 次に、国民生活に密着したプロジェクトについてお伺いしたいと思います。
 がん、アルツハイマー病などの難病を治療、予防できるようになることは我々国民すべてが願うところであります。そのためには、もちろん対症的な治療法の改善を図っていくことが重要ではありますけれども、根本的にその解決を図るために、なぜ、どのようにしてこれらの病気が起こるのか、これを明らかにすることが重要だと思います。このような病気の本態を理解するためには、人間を遺伝子のレベルで理解することが欠かせないと聞いておりますが、そうした意味で、現在、国際協力のもとで進められております人間の全部の遺伝子を解明しようとする野心的な計画は非常に重要な意義があると考えております。我が国が世界に率先してその推進を図るべきではないかと考えておりますが、そうした計画に対する今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
#12
○政府委員(井田勝久君) ただいまお話にございましたように、ヒト遺伝子解析でございますが、これはがんとかアルツハイマー等の遺伝子の異常に起因する疾病の診断・治療、あるいは生物の進化のメカニズム等の生体機能の解明、こういったものに資する極めて重要な研究でございます。しかし、それに取り組むとなりますと、ヒト遺伝子は約三十億個と言われます膨大なDNA塩基配列、これを解析するということがその仕事でございますので、これは大変な仕事でございます。
 したがいまして、ただいまお話がありましたような我が国の研究機関の全部の協力、さらには国際的な協力、こういった協力のもとに推進することが大変重要であろう、このように考えているわけでございます。このため、まず我が国の大学の先生方、あるいは厚生省とか農水省、それから科学技術庁の研究所、こういった方々が一致した取り組みができるということがまず大事だ、こういうことでございますので、科学技術会議にヒトゲノム解析懇談会、こういうものをつくりまして検討しまして、昨年の八月でございますか、「ヒトゲノム解析の推進方策について」、こういった報告書を取りまとめまして、関係機関、関係省庁協力してこの問題に当たろう、こういうことになったわけでございます。
 この中で、科学技術庁がやはりそういったものの基盤的なところをきちっと推進しよう、こういうことでございまして、科学技術庁といたしましては、まず、先ほど申しましたその三十億個と言われます塩基配列でございますが、塩基配列の解析技術の高度化、これはなかなか大変でございます。人手でやっていると大変でございますので、どうしてもそれを自動化してきちっとできるような高度化の技術を併発しなきゃならぬ。さらに、そういった塩基配列を進めてまいりますと、研究者に資料がいつでも調達できますような解析材料を開発して、これを調製してきちっと配れるような体制を整えなきゃならないわけでございまして、こういったものの研究を進めよう、こういうことで、そういった基盤の整備の充実によります研究もこれから進めようとしているわけでございます。
 それともう一つは、これは世界の協力のもとでしなきゃいかぬということ、国際的な協力が重要でございます。そういう意味で、世界のヒトゲノムに関するデータベース、これは今中枢がアメリカにございます。米国のゲノムデータベース、こういうものがございますが、こういったものへ参画する、こういうことも考えているわけでございます。
 こういった取り組みを今後進めることによりまして、我が国、米国あるいはヨーロッパ、こういったものの国際協力を積極的に進める、また国内的には関係省庁、関係機関一致した協力体制をとる、こういうことで全体といたしましてヒト遺伝子解析の推進を図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
#13
○藤田雄山君 国民の安全に直結する問題といたしまして、地震についてお伺いいたします。
 地震は過去多くの大災害を引き起こしておりまして、我々日本人にとって昔から最も怖いものの代表例とされております用地震国である我が国の国民生活に対する大きな脅威となっておりますが、関東大震災を初め多くの犠牲者を出す大災害は実際に我々が経験してきているところであります。このような被害を少なくすることは多くの人々の願いであろうと思いますが、そのためには地震の予知が重要でございます。特に首都圏の直下において発生する地震については、その影響の大きさを想像いたしますと、その予知に全力を挙げることが国としての責務であると考えております。
 地震の予知はなかなか困難とも伺っておりますけれども、首都圏直下型地震の予知についてどのような対応を考えておいでになりますか、お伺いいたしたいと思います。
#14
○政府委員(井田勝久君) 地震は、一たび発生しますとこれはもう大変な被害をもたらすわけでございます。そのため地震対策ということが重要でございますが、その中でもとりわけ、予知がきちっとできればこれは大変いいわけでございまして、そういう意味では予知は一番大事な仕事ということで私ども取り組んでいるわけでございます。これは政府全体として、国土地理院でございますとかあるいは気象庁でございますとかそれから大学でございますとか、さまざまな機関も協力して行われておりますが、科学技術庁といたしまして特に力を入れておりますのは首都圏の直下型の地震でございます。
 首都圏地域は大変厚い堆積層に覆われているわけでございます。それから、人間活動、都市活動、こういったものが大変活発でございまして、ノイズが大きいということで地震波を正確にとらえることが大変難しゅうございます。そういうことで、この予知を進めるということは従来もなかなか進んでいないというのが現状でございます。
 しかしながら、近年確立した技術といたしまして、深層部に観測井を掘りましてそこに観測機器を据えつける、そういうことによりましてこういった首都圏におきますような微小地震、そういったものの波動も正確にとらえられるということで、こういったものの整備を進めますれば地震予知も可能になってくるというようなことが明らかになってまいりました。そういうことから、私どもといたしましては首都圏を対象といたしました広域深度の観測施設、こういうものの整備を図ろうということにいたしているわけでございます。
 その第一弾といたしまして、平成三年度から三千メートル級の深層観測施設を整備することといたしました。東京都の江東区の埋立地のデルタ地帯、ここは大変複雑な地形でございまして、こういった首都圏の地震観測のために大変重要な地域でございますが、平成三年度からここに三千メートル級の深層観測施設の整備に着手いたしまして、平成四年度にはその掘削を終了するということ一で整備してまいりたいというふうに考えているわけでございます。さらにこういったものにつきまして深層観測井を整備していく。千葉県でございますとか神奈川県西部でございますとかそういった地域でございますが、そういったところはそんなに深く掘らなくていいということで二千メートルくらいの観測施設を整備していくということを考えているわけでございます。
 そのほか、さらにこういった首都圏の直下の地震予知手法、これについてはさらに高度化を図る必要があるということでございまして、そういう意味で、科学技術振興調整費を使いまして関係省庁、科学技術庁の防災科学技術研究所ばかりではなく、国土地理院でございますとか海上保安庁でございますとか、こういった関係機関の協力を得まして地殻構造調査、それから観測システムの高度化、こういった研究に取り組んでおります。こういう面からもさらに一層地震予知がきちっとできますよう努力してまいりたい、このように考えているわけでございます。
#15
○藤田雄山君 次に、原子力についてお伺いいたします。
 原子力船「むつ」につきましては、地球二周を超える距離を原子力で航行し、先月、すべての実験を無事終了し、所期の目的を達成したと聞いております。これまでの関係者の御努力を多とするところでございます。これまで原子力船についてなされた研究の成果がこのまま埋もれてしまうということは、未来に対して大きな損失であります。原子力船の実用化についてはまだ先のことであろうとは思いますけれども、それまでの間、原子力船「むつ」の貴重な成果を生かし、育てて、将来に備えること、それがこれまで原子力船の研究開発に取り組んできた政府の責務であろうと考えます。
 まず、原子力船「むつ」によりどのような成果が得られたのか、またそれをどのように活用していくのか、お伺いしたいと思います。
#16
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、「むつ」は、平成三年二月下旬から十二月中旬にかけまして実施いたしました四回の航海によりまして、東はハワイ諸島沖、南はフィジー諸島沖、北はカムチャツカ半島沖まで航行いたしまして、通常海域それから高温の海域、荒れた海域等におきます実験を順調に進めまして、陸上では得られない貴重なデータ、経験等を取得したところでございます。その後、本年一月の関根浜港岸壁におきます基礎データの測定を経まして、本年二月十四日をもちまして「むつ」はすべての実験を成功裏に完了することができたわけでございます。
 「むつ」は、洋上試験及び実験航海を通じまして、原子動力で地球を二局余りするのに相当する距離、すなわち約八万二千キロメートルを航行したところでございますが、この間ウラン脇を約四・二キログラム燃焼したところでございます。これは重油に換算いたしますと約五千トンに相当するところでございまして、ウラン一グラムで重油約一トン強をいわば節約したことになるわけでございます。
 実験航海の成果を現時点で取りまとめまするならば、一つといたしましては波浪、風等の自然の外力によります船体の動揺、傾斜等が原子炉プラントに与える影響等、陸上では得ることができない貴重なデータを取得することができたことが一つ。それからその次には、国産技術によります我が国最初の原子力船が厳しい海洋環境下で設計どおりにその機能を発揮することを実証できましたこと。それから三つ目には、原子炉が船舶の推進機関といたしましてすぐれた性能を有することが実証できましたこと。さらには、我が国初めての原子力船によりまして、いろいろの海洋環境のもとにおきまして航海を行い、貴重な原子力船の運航経験を得ることができましたこと等が挙げられようかと考えるところでございます。
 このように、「むつ」によりまして原子力船を自国において建造、航行するための技術基盤を確立するとともに、陸上では得がたい貴重なデータ、経験等を取得することができたわけでございまして、「むつ」の所期の目的は達成されたものと確信しておるところでございます。原研では、このデータに基づきましてさらにいろんな研究を行っておりまして、「むつ」の原子炉におきますいろんな経験は、原研におきますいわゆる中・小型のそれほど大きくない原子炉、あるいは固有安全炉の研究にも結びつくものと考えておるところでございます。
 このようにいたしまして、「むつ」の実験航海で得られましたデータ、経験等は、今後の舶用炉の研究開発に用いますことは無論のこと、我が国におきます各種の原子力利用の研究にも稗益するものと私ども考えておるところでございます。
 なお、「むつ」のその後でございますけれども、「むつ」は炉内におきます燃料の冷却をしました後、解役するということになるわけでございます。解役いたしました原子力船「むつ」をその後どう使うかということでございますけれども、「むつ」のいわゆる後利用につきましては、地元青森県知事から御要望もいただいておるところでございます。それで、地元の意向、御要望等も踏まえまして、海洋研究等に利用することを検討するために科学技術庁、日本原子力研究所及び海洋科学技術センターによります原子力船「むつ」後利用共同検討チームというタスクフォースを昨年十二月に発足させておるところでございまして、現在、鋭意検討を進めておるところでございます。
#17
○藤田雄山君 原子力に関連いたしまして、世界に目を向けますと、本年一月の米国、ロシア両大統領の核兵器削減提案等に伴い、ソ連邦解体後の旧ソ連の核兵器の問題が大きな課題となっております。旧ソ連の核兵器は二万五千とも二万七千発とも言われておりますけれども、もしそれらに関連する膨大な量の核物質が適切に管理されず、第二者に渡るというようなことになった場合には、世界の平和と安全そのものを脅かしかねない重大な事態になってしまうとも思われます。我が国は原子力を既に平和利用に限って進めてきておりますが、核兵器を取り扱う知識については全く持っていないところであります。世界に貢献する日本の立場として、我が国の原子力平和利用の技術をもってこの課題に対して何らかの形で貢献をしていくべきではないかと考えるのでありますけれども、この点について科学技術庁としてのお考えをお伺いしたいと思います。
#18
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 旧ソ連におきます核兵器の削減につきましては、一日も早くこれが実現されることを強く願うとともに、核兵器解体に伴います核物質あるいは核兵器関連の技術に関しまして核拡散の懸念が生ずることのないよう、核兵器保有国が厳格に対応することが基本であるというふうに認識しておるところでございます。
 我が国といたしましては、核兵器削減の進展を見ながら、国際的な連携のもとに、我が国として貢献できる協力を検討すべきものと認識しておるところでございます。このために、平和利用の堅持を大前提にいたしまして、これまでの我が国におきます蓄積された技術あるいは関連機関が持っておりますいろんな知識等を使うことによりまして、核兵器の解体に伴いまして発生いたしますプルトニウムを原子炉の燃料として利用し、核兵器に再び利用できないように処理すること等につきまして、核不拡散の観点から技術的な検討を行っておるところでございます。
 この検討は、まだ私ども事務的に、内々に勉強しておるというものでございますけれども、これにつきましては、一部報道されておりますように、例えば高速増殖炉の技術を活用いたしまして、これは高速炉を用いますけれども増殖するわけではなく、高速中性子を核分裂連鎖反応に用いながら、プルトニウムを効果的に燃焼し、電力を発生させ得るようなそういう原子炉、そのような概念が成立しないかなというようなことにつきまして、内々検討しておるところでございます。
 もちろん、解体核兵器から出てまいりますプルトニウム、これは御承知のようにかなり高純度でございまして、軽水炉から出てまいります使用済み燃料を再処理して得られますプルトニウムよりもプルトニウム湖の割合がかなり高いものであると言われております。もちろん、私ども核兵器につきまして全く勉強しておるわけではございませんので、よくはかからないわけでございますけれども、ごく一般的な、何といいますか、原子物理的な知見によりますと、恐らくプルトニウム純度が九三、四%というようなことも言われておるわけでございますけれども、このプルトニウムの燃焼につきましては、ひとり高速炉、ファストリアクター系統にとどまるものではございませんで、もちろん場合によりましてはそれ以外の原子炉、例えば軽水炉で燃やすことの可能性、あるいは加速器を使いまして消滅させること等、あるいは混合いたしましてどこか地下に貯蔵すること等、いろんな処理の方法があろうかと思うわけでございます。
 これにつきましては、私どもといたしましては科学技術的な勉強を深めるとともに、実際、先ほども申しましたように具体的な対応ということになりますと、我が国一国で何ができるわけでもなく、あくまで国際的な枠組みのもとに各種の議論を重ね、解体核兵器から発生しますプルトニウムを平和裏に処理、使っていくという、そういう努力を重ねることが必要であろうかと思うわけでございます。
 これと同様に、今のはしたがって物の方でございますが、物とともに人の流出も憂慮されるところでございます。これにつきましては、御承知のように、現在、国際科学技術センターなる構想が関係国で議論されておるようでございます。こういう議論に対しましても我が国として参画していくということも非常に大事であろうかと思います。また、十一日、十二日に開かれますOECDの科学大臣会合等におきましても、このようなことに関連いたします議論もあるいは行われることになるかもしれないと考えておるところでございます。
#19
○藤田雄山君 次に、我が国のエネルギーの確保の観点から幾つか質問し光いと思います。
 資源に乏しく、また今後とも着実なエネルギー需要の伸びが予想されております我が国においては、エネルギーの安定供給を図ることが極めて重要であります。しかしながら、一昨年の中東情勢の不安定化等の経験からすると、改めて我が国のエネルギー供給構造の脆弱性について思いをいたすべきだと思います。また一方で、石油、石炭などの燃焼による地球の温暖化、酸性雨などの環境問題も顕在化してきております。
 このような情勢の中、現在、電力の三割を賄い、国民生活に不可欠な存在となっております原子力の重要性がますます高くなっていくものと考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(谷川寛三君) 申し上げるまでもございませんが、我が国はエネルギー源の八割までを海外に依存しております。しかも、その大宗をなします重油につきましては、先ごろの湾岸戦争の際にも危惧されましたように、極めて供給不安定でございます。こういう我が国の不安定なエネルギーの供給構造から脱却いたしますためには、これはもちろんのことでありますが、省エネをやらぬといかぬ。それと同時に、石油代替エネルギーの開発等に向けて努力しなければならないわけでございます。
 特に、今お話がありましたように、総発電電力量の約三割を賄っておりまして、国民生活に不可欠なエネルギー源であります原子力は、供給の安定性、それから経済性にすぐれておりますとともに、二酸化炭素等を発生しないことから、地球環境問題の解決におきまして重要な役割を果たすことが期待されておるところでございます。原子力を我が国のエネルギー供給の安定性の確保を図る上での重要なエネルギー源として位置づけまして、今後とも安全の確保に最大限の努力を払いますとともに、国民の皆さんの理解と協力を得つつ、その開発利用を着実に推進していきたいと考えておるところでございます。
 なお、この際申し上げておきますが、ウラン資源の有効利用を図りまして、原子力発電の一層の供給安定化を図ることが必要でございまして、そのために自主的核燃料サイクルを確立していきますことは極めて重要と認識しておりまして、そういう点でもこれから着実に開発利用を進めていきたいと考えておるところでございます。
#21
○藤田雄山君 近年の中東情勢、石油資源の有限性、我が国の資源状況から考えると、やはり今後エネルギーセキュリティーの観点からエネルギー確保の主力を原子力に置くことになる七思います。我が国においては、既にウラン資源を有効に利用する核燃料サイクルの確立が着実に進。められており、原子力発電が総合的な発電体系として確立しつつあると思います。
 しかしながら、このような原子力開発利用を円滑に進めていくためには、国民の方々の理解と協力を得ることがまず第一に重要だと思います。チェルノブイリ原子力発電所の事故を契機といたしまして、これまで原子力に関心の薄かった都市部の方々、特に御婦人や若い方々を含め、全国的に国民一般層が原子力について疑問や不安を感じるようになっているように思います。
 そこで、原子力について国民の協力と理解を得るための方策についてお伺いしたいと思います。
#22
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 原子力の開発利用を円滑に進めていきますためには、国民の理解と協力をいただきますことが第一でございまして、そのためには、今ほど大臣から御答弁のありましたように、原子力施設、原子力発電所などを安全に運転していくということがまず何より大事であろうかと思っております。私どもといたしましては、それを踏まえまして、原子力施設の立地地域のみならず全国を対象とするということ、それから直接対話によりまして草の根的に行っていくこと、それから主婦層それから若い方々を対象にわかりやすくやること等を基本的な考え方といたしまして広報活動を行っておるところでございます。
 具体的には、パンフレットの配布等の活動に加えまして、各地で開催されております勉強会に専門家を派遣し、国民の疑問に直接お答え申し上げる対話を重視した事業をやること、それから身の回りの放射線を実際に測定するための簡易な測定器を貸し出す事業、あるいはパソコン通信を利用いたしまして情報提供、質問受け付けなどを行う事業といった草の根的体験型の広報活動を実施しているところでございます。さらに、電源三法を活用し、立地地域の公共用施設の設備等による立地地域振興を図り、地元理解の増進に努めておるところでございます。
 今後とも、先ほど申しましたように、安全の確保に最大限の努力を払うとともに、適時的確で懇切丁寧な広報活動を実施いたしまして、国民の原子力に対する御理解と御協力の増進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#23
○藤田雄山君 そうした既存の原子力発電を着実に進めていくことも非常に大事なことであると思いますが、人類の将来のためには、長期的な観点に立って考えてみますと、従来以上に恒久的なエネルギー源を確保していくことが非常に重要だと思います。そこで、これから二つの先端的エネルギー技術について質問させていただきたいと思います。
 まず、高速増殖炉についてお伺いいたします。
 エネルギー確保の大部分を海外からの輸入に頼っております我が国にとりまして、発電しながら消費した以上の燃料を生み出す原子炉である高速増殖炉は、科学技術の力によって国内で新たなエネルギー資源を生み出すものであり、大きな意義があるものと考えております。したがって、その開発に積極的に取り組むべきだと考えておりますが、所見をお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 高速増殖炉は、高速中性子すなわち核分裂の結果発生した直後の非常に速い中性子でございます、これに対する言葉は熱中性子という、いわゆる普通の熱と、熱振動と平衡にありますようなゆっくりした中性子であります熱中性子と対応する言葉でございます高速中性子を核分裂連鎖反応の媒介として使いまして、発電しながら消費した以上の核燃料、正確には核分裂性物質とも言いますが、核燃料を生成する画期的な原子炉でございまして、将来の原子力発電の主流にすべきものというふうに認識いたしまして、その開発を鋭意推進しておるところでございます。
 すなわち、核燃料サイクルを確立し、高速増殖炉によりますプルトニウム利用を本格化することによりましてウランの持ちますエネルギーを最大限に引き出し、ウラン利用効率を飛躍的に高め、化石燃料を凌駕するエネルギー資源とすることが可能となるわけでございまして、その結果、資源に乏しい我が国におきましては天然ウランの対外依存度を大きく低減させ、核燃料の資源問題を基本的に解決し得るものと考えておるところでございます。また、世界有数のエネルギー消費国でございます我が国が、高速増殖炉を実用化することによりまして世界的なエネルギー需要の安定化に貢献するものであると認識しておるところでございます。
 このため、現在、高速増殖炉による発電技術の実証を目的といたしまして、動力炉・核燃料開発事業団が平成五年三月ころの臨界を目指しまして高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設を進めておるところでございます。その後は、「もんじゅ」の成果を踏まえまして、経済性と安全性において軽水炉と競合し得ることを目的にいたしました複数の炉を建設、運転する。これらの建設、運転の経験を経ることによりまして、あるいはさらに所要の研究開発を重ねることによりまして技術的基盤の確立を図りまして、二〇二〇年代から二〇三〇年ごろを目標に高速増殖炉によりますプルトニウム利用の技術体系の確立を図っていくということを考えておるところでございます。
 今後とも、高速増殖炉の早期実用化を目指しまして、官民の総力を挙げて努力してまいろう、かように考えておるところでございます。
#25
○藤田雄山君 次に、核融合についてお伺いいたします。
 燃料が事実上無尽蔵と言われておる核融合の研究開発を積極的に進めまして、恒久的なエネルギー源を確保することは、さらに長期的な課題であることと承知しておりますが、やはり忘れてはならない極めて重要な分野であると思います。このような先端的な分野において、将来の豊かな世界の構築のための裏づけとなるエネルギーの確保に我が国として貢献すること、これこそが科学技術立国をうたう我が国にとってふさわしい国際貢献だと思います。
 そこで、核融合の研究開発の意義、現状、そして今後の進め方についてお伺いしたいと思います。
#26
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 核融合をエネルギー源として利用いたします核融合炉でございますけれども、これは原理的に高い安全性を有すること、それから燃料がほぼ無尽蔵に存在すること等々、多くの特徴を有しておる技術でございまして、これが実用化されました場合、人類が恒久的なエネルギー源を確保するということを可能にするものでございます。特にこの中で核融合の最終生成物たるヘリウムは、核分裂生成物と違いまして放射性を持っていないということも非常に大きな特徴であるわけでございます。
 我が国の核融合の研究開発は、原子力委員会が定めました第二段階核融合研究開発基本計画に基づきまして着実に進められているところでございます。この計画が主な目標として定めております臨界プラズマ条件につきましては、日本原子力研究所の臨界プラズマ試験装置、JT60と呼んでおりますが、これは茨城県の那珂町にございます原研の那珂研究所にございますが、このJT60によりまして、昭和六十二年九月、これを達成したところでございます。
 この次の段階はどうなるかということでございますが、これは、言うところの自己点火条件等を達成することでございます。このため、日本、アメリカ、EC、それから今はロシアでございますが、当時のソ連の四極によります国際熱核融合実験炉計画、ITER計画の概念設計活動を三年間にわたりまして実施したところでございます。これからは、この成果に基づきまして工学設計活動を進めるという段階になるわけでございます。
 昨年は、この工学設計活動に入りますための四当事者、アメリカ、日本、ECそれからロシア、当時はソ連でございましたが、四当事者によります交渉をずっとやっておりまして、昨年の十一月の交渉で、この工学設計活動の進め方を決めましたアグリーメントにイニシアル、仮署名を私自身も参加いたしましてしてきたところでございます。現在、このイニシアルされました工学設計活動に関します協定の調印に向けまして努力中でございまして、本活動ができるだけ早期に開始できるよう最大限の努力を払っておるところでございます。ただし、旧ソ連があのように体制変革になりましたので、若干思っていたよりは時間がかかっておるというそういう状況であろうかと思うわけでございます。
 我が国といたしましては、エネルギーの安定供給を目指しまして、恒久的なエネルギー源として期待されております核融合の実用化に向けまして、長期的観点から着実にその研究開発に取り組んでいくということを考えておるわけでございます。
 ちなみに、今ほど申しましたITERは、まさにその国際的枠組みで世界の核融合の先進国がそれぞれ力を出し合うということでは非常にすぐれた国際協力プロジェクトと認識いたしております。これにつきましては、例えば工学設計活動段階では、そのITERの意思決定機関でございます評議会、この評議会のトップは、例えばソ連の科学アカデミーの副総裁でありまして、今でも非常にロシアで活躍しておられますベリホフさんがなられる。あるいはその共同議長には原研の吉川理事というふうに内定しておるということ。あるいは共同設計チームのヘッド、所長は、御承知のヨーロッパのJETという共同研究機関がイギリスのカラムという場所にございますが、このJETの所長でございますレブーという人がおりますが、これはフランス人でございます。レブーさんに共同設計チームの所長になっていただくように考えておること。あるいはそのもとの首席副所長に原研の下村安夫という俊英の研究員を充てることが考えられておること。あるいは各種の諮問委員会等にアメリカの専門家等々いろんな方々を充てるという、国際的にバランスのとれた、しかも第一級の人々をそろえましたそういう枠組みでもちまして鋭意工学設計活動の進捗に向かいまして努力をしてまいりたい、かように考えておるところでございまして、可及的速やかにこの工学設計活動段階に関します協定が正式署名できますように努力をしておるところでございます。
#27
○藤田雄山君 高速増殖炉や核融合の開発には、その実現を目指して最大限の努力を払っていただきたいと思います。
 それでは最後に、我が国として今こそ原子力を初めとしその他の新エネルギーを含めましたエネルギーの研究開発全般について重大な決意を持って取り組むべきであると考えますが、エネルギーに関する研究開発について今後どのような基本姿勢で臨まれようとしているのか、大臣に御決意を伺いまして、多少早目でありますけれども、大臣のますますの活躍を期待しつつ、私の質問を終わりたいと思います。
#28
○政府委員(石田寛人君) その前にちょっと訂正をさせていただきます。
 先ほど私、OECD閣僚会議を三月十一、十二と申し上げたようでございますが、三月の十日、十一日の両日開催されるようでございますので、訂正させていただきます。
#29
○国務大臣(谷川寛三君) 先ほどから御質疑があっておりますように、エネルギーの安定供給を確保いたしますことは我が国の最重要課題の一つでございます。このため、政府といたしましては従来から積極的にエネルギーの研究開発を推進してまいっております。
 ところで、近年、地球温暖化問題の顕在化等によりましてエネルギーをめぐる状況が大きく変化してまいりました。こういうことからいたしまして、政府におきましては昨年七月に新たなエネルギー研究開発基本計画を決定いたしました。その中では、エネルギーの安定供給の確保、それから省エネルギー型社会の構築、また地球環境問題への対応、さらには国際社会への貢献といったことを取り上げまして、そういった要請に対応した研究開発課題を提示しておるところでございます。
 この基本計画に基づきまして、原子力の開発利用を初めといたしまして、太陽、地熱等の自然エネルギーの研究開発、それから石炭エネルギー等化石エネルギーの研究開発等、それぞれのエネルギーの特性に応じて多様な利用ができるよう長期的観点から幅広く取り組んでいるところでございます。今後とも、関係各省庁とも連絡を緊密にいたしまして、エネルギーの研究開発を一層強力に推進してまいりたいと考えておるところでございます。
#30
○稲村稔夫君 最初に、もう時間が十分にありませんので、いきなり質問に入らせていただきます。
 きのうの新聞に、韓国の科学技術処というんでしょうか、長官が科学技術庁で記者会見をして、原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理について、自分の国では再処理施設はつくらない、将来の可能性として英仏や一九九九年に再処理工場が稼働する日本への再処理委託もあり得るという記者発表をしたということなんでありますが、科学技術庁はそういうことについて話し合いをしたんですか。そして、そのことについてどう考えているんですか。
#31
○国務大臣(谷川寛三君) 三日からきのうまで、第三回目になりますが、アジアの原子力関係の国際会議がございました。その際に金長官がお越しになりまして、四日に私もお目にかかっていろいろ科学技術協力等を中心にしましてお話し合いをしました。しかし、今のお話は全く出ませんでした。ただ、新聞報道によりますと、先ごろ韓国の国会で金長官に今の問題の質問がございまして、長官がこう答えておられます。今お話しのように、韓国にはそういった再処理の施設はない、アメリカそれからフランスとか日本にはそういう施設がある、だからそういうところへ必要が起これは頼むこともあるかなという意味のお答えをしたということは聞いておりましたが、先日の会談では全く出ませんでした。
#32
○政府委員(石田寛人君) 簡単に補足いたします。
 基本的には、事務的にも、昨年十一月の例えば第二回の日韓の原子力協議におきましても、韓国側からの説明によりますと、韓国においては使用済み燃料は当面貯蔵する方針であるというふうに聞いておるところでございます。
 それから、谷川大臣と金韓国科学技術処長官の会談におきましても出なかったことは今大臣から御答弁になったとおりでございます。今、大臣がアメリカ、フランス等と、こうおっしゃいました。これはむしろ、ヨーロッパのイギリス、フランス等、あるいは日本、再処理施設を持っている国、そういう意味であろうかと思っておるわけでございます。
#33
○稲村稔夫君 私は軽々にそんな御返事はなかったというふうにそれは受けとめますけれども、しかし既にイギリスのセラフィールドでもいろいろともう物議を醸しているんですよ。これは我が国の再処理だって今は地元でも大変いろいろと問題になっているんでしょう。そういう中で外国のものまで引き受けるなどということが万が一にも起こるなどとは私は科学技術庁は考えていないと思いますけれども、だがこういうふうに言われたということは、やはり日本の事情を十分に相手の韓国の方にも理解をしておいていただくことが必要だと思いますので、知らなかったということだけで終わらせないで、ちゃんと韓国側と話し合ってくださいということを要望しておきます。
 それでは次に、科学技術会議から諮問第十八号に対する答申というのが先ごろ出されておりますけれども、ことしの一月でしたか、これにかかわってのことを少しお聞きしたいと思います。
 基本方針でありますから具体的なことがいろいろと盛られないのはこれは当然なんでありますが、しかしやはり具体的なことがいろいろと気になるわけなのでありまして、これからその幾つかについてお尋ねをしたいと思います。
 最初に、この中で、「知的ストックについては、近年、我が国の民間がその蓄積と拡大に大きく貢献するようになってきておりこ「国際的にみても見劣りしない。」、だけど一方、基礎研究の方はこれは「未だ弱体である。」、あるいは「必ずしも十分とはいえない。」というようなことを書いておられるんでありますが、そういたしますと、これはどういうことを意味しているんでしょうか。基礎研究のただ乗り論などというのが外国からいろいろと言われたりしておりますけれども、それを認めるということなんですか。まず第一にそういうことがあります。
 それから、独創性よりも日本の国民は応用の方に強いんだみたいな国民性の問題にする意見などもちらほらと聞くことがあります。これらについては、いろいろと聞こえますけれども、一体科学技術庁はこの辺をどのように理解をしているのか、評価をしているのか、このことをまずお聞きしておきたいと思います。
#34
○政府委員(須田忠義君) 基礎研究の成果である知的ストック、これについての国際比較、国際的に日本はどういう地位にあるのかという問題でございます。
 知的ストックのいろいろな問題は、まずはアウトプットといたしまして論文数、世界的に日本から発信されている論文、その論文がどう引用されておるか、そういうもので、アウトプットで基礎研究の知的ストックの度合いを評価する評価の仕方。これには一つはノーベル賞の受賞者、そういうものもアウトプットに入る、そういう問題。並びに、現在、各国で基礎研究にどのくらいの研究資金を投入しておるのか、これの比較。これは日本では御存じのように大体一三%くらいを基礎研究に充てておるということでございます。それと、やはり基礎研究はどうしても国の役目、民間と政府と考えていった場合は政府がこれについて責任を負うべきものだということで、政府の投資割合、そういう問題が一つの指標になるということでございます。
 そのほかに、今の基礎研究は政府の役割でございますので、大学、国研、これが各国の基礎研究の担い手でございますので、そういうところの施設、設備、研究費、そういうものを総体的に評価いたしまして、我が国は基礎研究についてはまだ世界的に劣るという考えを出しておるわけでございます。
 それと、二番目の御質問でございますが、創造性の問題でございます。先生御指摘のように、本来的に日本人は諸外国の人たちよりも創造性が欠けているんじゃないかという意見はございます。これは何を根拠としているかといいますと、やはり稲作民族で、水の問題等でみんなが一緒になってやらなきゃいかぬ、しかし人の和を重んずれば重んずるほど飛び抜けた人が少なくなる。いわゆる大発明をした人は仲間外れ扱いされかねない例がいっぱいあるごとく、競争の仕方がどうしても和を重んずるという主張をされる方もございます。
 しかし、我々は、創造性、独創性において日本人が決して劣っているものじゃないというふうに考えております。なぜならば、開発研究、応用研究でこれだけの赫々たる成果を上げている日本人、その中においていろいろ独創性、創造性が発揮されております。それを見れば決して本来的にも劣っているものじゃない。もっと研究の環境基盤、こういうものを強化してやることによって日本からも新たな成果が多々出てくるであろうというふうに期待しておるところであります。
#35
○稲村稔夫君 多分今のような内容のお答えが来るんだろうと思っておりましたので、次の質問もちゃんと準備しているわけであります。
 それにしましても、私の意見を申し上げるよりも、例えば「科学朝日」の一月号に、アメリカの社会科学者が日本人は本当に独創性がないんだろうか、あるのかないのかというようなことを長い間日本に滞在されて研究をされていた結果というのが出ておりまして、そこで今の稲作民族説などについてもちょっと否定的な、これは外国人が見てですよ、否定的な御意見が出ているということもあわせて理解をしておいてもらいたい。
 そこで、あなたは今、独創性が決してないわけじゃない、確かにいろいろとあると言いながら、片方では基礎研究が劣っておる事実があると言う。じゃ、なぜそうなるんでしょうか。持っているものがなぜ発露できないんですか。ここの辺のところにやっぱり大きな問題があるんじゃないでしょうか。
 例えば、研究費が足りないといってふうふう言っている学者、研究者というのは非常にたくさんいますよね。それで研究費の問題、金額もありますし、それから研究費の配分の仕方、あり方というようなことなどもあるんじゃないでしょうか。それから設備は一体どうなっていますか。特定なところはそれは当然図抜けたものを持っているところもないわけじゃありませんけれども、押しなべて、例えば大学の研究施設だとかなんとかというのは、大学というのは今の知的ストックをつくる上で非常に重要な役割を果たしていますからね、そんなことを考えていったら。あるいは人間の組織として、あなたがいみじくも言った、稲作民族とかいうふうに言われたけれども、むしろ古い形の組織的な伝統というんでしょうか、そういうふうなものがかなり支配的なんじゃないでしょうか。こういうことを取り除くということが必要ではないかと思うんですが、そのためには何をしたらいいんだと、こういうことについてどのようにお考えになっていますか。
#36
○政府委員(須田忠義君) 一言で言えば研究環境の整備。研究環境の整備は、例えば施設、設備等は大学を含めて今相当荒廃しているといいますか、陳腐化している。これは大問題として指摘されております。したがって、まずそういう施設を整備し、そこで伸び伸びと競争的な環境において研究に専念できるその環境の整備、それが一つ大きな問題であります。
 それと、ここ数年研究費は伸び悩んでございます。非常に伸び悩みでございます。この辺の研究費を増額してやらなきゃいかぬ、そういう問題。それから人の問題というか組織の問題。研究者に対する研究支援者、サポーティングされる方々の充実、これは御存じのように人員削減計画等で相当支援部門が減っているということで、これについても強化しなきゃいかぬという問題。それから大学の講座制等の見直し、それも指摘されています。
 したがって、どうすれば一番いいのかというのは、今後大きな検討課題だということでございます。大筋そのようなことでございます。
#37
○稲村稔夫君 そういう御認識でいらっしゃるんであれば、私は、このコールマン助教授ですか、提起されているこれをちょっと読み上げますと、最後に近いところですが、「私のインタビューノートは、日本の科学者たちの不満の声でいっぱいになった。大学での研究費の乏しさ、科学分野出身の」、ここをよく聞いてくださいよ、「科学行政官が皆無に近いこと、研究者が一人前の科学者として扱われるようになるまでの年月の長さこ、これは組織の問題ということにもなってくる等々、いろいろとある。「科学者たちの声が聞き届けられ、その提言が真面目に受け取られることなしには、日本はその基礎科学の能力を」、いいですか、持っているんですよ、「基礎科学の能力を十分発揮できないだろという印象にも、強く彩られている。」。この提言は私は非常に重要だと思うんですね。
 ところが、科学技術庁の予算を見ますと、本当に予算の見方が僕はよくわからぬくらいになるんですよね。そういう本当に大事なあれなんですが、基礎研究についてのことで今のようなことを解決していくための対策経費などというようなものが一体どの程度盛られて、どういう対策をされているのか。この辺のところが極めて、私はこの中で言ったら本当に形式的なものだけのような感じがしてならないんです。これはもう科学技術庁というものは独立して長いんですから、その辺のところはリーダーシップがとれるような体制もしっかりとつくらなきゃいかぬのじゃないかと思いますが、その辺いかがですか。
#38
○政府委員(須田忠義君) 我が国の基礎研究の強化についての科学技術庁の役割、これは二つございます。一つは各省庁の見積もり方針の調整といいますか、それを科技庁は任務としているのと、みずから基礎研究を実施している、その二面がございます。
 一つ目の調整の問題については、例えば人当研究費のアップを足並みをそろえてやるとか学会への出席旅費を確保するとか、そういうものは関係各省庁と地道に相談しながら努力はしてきています。努力が足りないということは十分あれしているんですが、それなりに努力はしてきているというのと、もう一つは、科学技術庁独自の、例えば創造科学技術推進制度、これは基礎研究の相当重要な役割を果たしていると我々は認識しておりますし、「さきがけ研究21」、いろいろ基礎研究の新しい枠組みを毎年創設すると同時に、その充実に努めてきているということでございます。ただ、財政厳しき状況でございますので、抜本的な大予算を組むというのはなかなか難しい状況でありますが、それなりに努力してきている、こう考えております。
#39
○稲村稔夫君 努力をしているということは伺いましたが、ただ、私はやり方もいろいろ工夫する余地がいっぱいあるんじゃないかというふうに思うんです。
 先ほど、原子力局長は、国民の原子力についての理解を深めるために草の根の取り組みなんというようなことを言われた。私は、決して草の根になっていないと思うから、与党の先生には申しわけありませんでしたが、こっちでもってちょっと不規則発言などをさせていただいていました。まさに学者、研究者というものの声を聞くようなそういう草の根運動ぐらいのことを、運動と言ったら言葉が悪いかもしれないけれども、草の根会議をもう無数に開くぐらいの努力を科学技術庁が進んでやっていく。これは大した経費ではないですよね。そのぐらいのことをやりながら、その声を全部集めて、そして各省庁にみんなぶつけていくというようなことはやれないことはないはずです。いろいろな工夫があると思いますので、そういう工夫を積み重ねていただきたいということも要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 その次に、同答申の中では、地球と調和した人類の共存を目指すということで、地球環境の問題やらエネルギーの問題、食糧問題等を解決する、そのために我が国は持てる科学技術力を最大限に活用をする、こんなふうに書かれているんですけれども、最大限に活用するその中身をさっぱり書いていないものですから具体的なことがわからぬのであります。そこで、たくさんあるでしょうが、その中でひとつ絞りまして幾つかについて私は伺いたいと思います。
 地球の環境問題ということになりますと、やはり温暖化問題、これが今一番喫緊の課題ということになります。その中で、CO2の排出量削減というのが大きな問題になっている。IPCCでも、第一部会の気象科学者の提言の内容というのは本当に危機感を持って書かれている、こういう状況になっているのであります。この排出削減のために今どういう現状認識をされてどういう努力をしておられるのか、そしてこれからの我が国の見通しということで、これは環境庁がいろいろとやっておられると思いますから、まず環境庁の御見解を伺いたい。
#40
○説明員(柳下正治君) お答え申し上げます。
 地球温暖化問題につきましては、人類の生存基盤に対する脅威との認識のもとに我が国としても対処しております。我が国といたしましては、一昨年の十月に地球温暖化防止行動計画を策定いたしました。その中で、二酸化炭素の排出量を二〇〇〇年までにおおむね一九九〇年レベルに安定化させる、こういった目標を掲げまして、その達成のために産業エネルギー部門から都市構造、ライフスタイルといったところまで、非常に広範な対策に着実に取り組むということといたしました。現在、この行動計画に盛り込まれました各種の省エネルギー対策の促進、あるいは新エネルギーの導入等々の対策に着手したところでございます。環境庁といたしましては、関係省庁ともどもこの行動計画の推進に努めてまいりたいと思っております。
#41
○稲村稔夫君 おたくから資料としてこれが今一審新しい対応ですということでいただきました地球温暖化防止行動計画というのがありまして、これを拝見いたしましたけれども、私から言わせればそれぞれみんな精神訓話みたいなものでありまして、なかなか具体的にはならないというふうに思っています。そして、さらに皆さんに知らせるためのこういうパンフレットも環境庁の方からいただきました。この表紙を見て私は愕然としたのであります。「あなたの行動が地球を守るために必要です」、こう書かれています。地球は人類が住むのに適当な環境を維持できるのか、あるいは人類の生存を拒否するように変質をするのかという変質の問題はありますけれども、地球そのものが滅びるわけではありません。むしろ、地球を守るんではなくて人類を守るという観点が必要なんですよ、生命を守るという観点が必要なんですよ。私は、地球を守るというのは少し、思い上がりと言ったら言葉が悪いけれども、そういう感じがしてならないわけであります。
 というのは、この行動計画を拝見して、その中に既にIPCCの報告書がある。その報告書の第一部会の「科学的知見」の中で、人為的な排出ガスの六〇%以上を直ちに削減する必要があるという定義までしているわけですよ、全世界で六〇%なんですけれども。そして、我が国は確かに省エネルギーだとかいろいろな努力をして今のところ二酸化炭素の排出量は横ばいだと仮定いたしましても、優等生であると仮定をしても、全地球で六〇%以上これを削減しなきゃならないという時期に、何で一九九〇年で凍結したら済むという考え方になるんですか。むしろその辺のところに随分問題がある。
 ということは、あなたの方で出されたこのパンフレットを見ても、これを見てまだ驚いたんですよ、ちゃんと正直に書いておられるだけに。環境庁というところは何事も正直に出されるからこういうことなんだろうなと思って見ましたけれども、ドイツだとかフランスだとかオランダとかイタリアとかデンマークとかオーストリアとか、ヨーロッパ各国は少ないところで五%、多いところでは二五%削減を目指してみんな今努力している。ちゃんと一覧表になって出ているんですよね。我が国だけは九〇年で、外国に比べてうんと少ないから、優等生だからということがあるんでしょうけれども、我が国だけは何か現状で凍結をするという感じに受け取られる。私ちょっと声を大きくして申しわけありませんが、要するに、我が国自身が積極的にみずからができるだけのことを最大限やらなかったら私はこの六〇%は到底できないと思うんです。まさに人類滅亡への道を歩くことになると思うんですよね。その辺のところをしっかりと環境庁には腹に置いていただいて対応をしてもらわなきゃならない。
 そうすると、この行動計画というのはこれじゃなまぬるいですよ、こんなことじゃどうにもならぬですよ、こう言いたくなるんですよ。第一あなた方のところで、地球温暖化問題研究会というのが編集してNHKブックスで出されている。これは環境庁の幹部の方も執筆をしておられる。その中で、六〇%とは言わないけれども、今不確定要因が物すごく多いから必ずしも計算は十分できないけれども、しかしここ十年間で四〇%削減というのは最低の目標だろうというようなことまで書かれているんですよ。それなのに、なぜそれがこの行動計画の中にあらわれてこないんですか。これは官庁の仕組みのせいなんですか、それとも産業界とのかかわりだとかいろいろなことがあるからなんでしょうか。その辺のところもちょっとお聞きしたい。
#42
○説明員(柳下正治君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、IPCCでは、人為的な悪い影響を排除するためには最低限現状レベルでは不十分だ、最終的には直ちに六〇%以上の削減が必要だというような提言を出しております。本行動計画におきましては、そのような認識のもとに、第一段階として我が国としてとるべき行動を定めたものでございまして、まず、今現在実施可能な対策の全体像をもって国民の理解を得て着実に実施していくための当面の行動計画という位置づけをしてございます。
 なお、現在、国際的には本年六月のアースサミットにおきまして温暖化防止条約を締結すべく国際条約交渉を行っているところでございます。その中におきましても、今御指摘のとおり、最終的には人為的な悪い影響を排除するための大気中の濃度に抑えていくという目標を持ちつつも、当面は、まず先進国は九〇年レベル、二〇〇〇年安定化という線が果たしてできるかどうかというのが最大のポイントになってございまして、国際的にも現実にはその点で合意形成に大変苦しんでいるというのが実態でございます。我が国といたしましても、この行動計画をまず第一のステップといたしまして、最終的には御指摘のようなところに到達すべく引き続き努力してまいる所存でございます。
#43
○稲村稔夫君 環境庁が今までも一生懸命努力をしておられたことは、その努力は努力として評価いたします。そして、そういう中で特にアメリカがなかなか問題があることも十分に承知した上で私は申しているんです。私はこれからほかのところに対しても質問をするわけでありますから、環境庁にはこれ以上のことは申しません。ただ、もっと自信を持って積極的に、国内でも国際的にも、それこそ人類がもう生存できない状況ができてしまってからでは遅いんですから、積極的に行動してもらいたいということを要望申し上げておきまして、余りほかに遠慮することは必要ないですよということを特に申し上げて、環境庁に対する質問を終わります。
 あと、これ科学技術庁にも見解を聞きたいと思ったんですけれども、実は時間がなくなってまいりましたので、ここのところの見解はちょっと科学技術庁の方は飛ばさしていただきます。
 次に、CO2の排出問題と絡んでおりますから伺いたいんでありますが、原子力発電とそれから再生可能なエネルギー、ソフトエネルギー、新エネルギー等とのかかわりで、これの投資効率を比較検討したということが科学技術庁で、あるいは主として直接担当するのは通産省の資源エネルギー庁でしょうが、その辺のところで御検討なさったことがありますか。コストの比較です。
#44
○説明員(上田全宏君) お答え申し上げます。
 我が国におきましては、新エネルギーの実用化のため従来からサンシャイン計画におきまして技術開発を行っております。ただ、残念ながら現段階におきましては新エネルギーの、各種ございますが、発電コストはいずれも原子力等の既存の電源と比較して割高になっているのが実情でございます。例えば原子力、キロワットアワー当たり大体九円ぐらいが現在の既存電力のコストと言われておりますが、例えば太陽光発電につきましては、私どもが持っております試算によりますと、現段階では七十円程度ということでございますし、風力発電につきましては三十二円程度ということでございまして、いずれも割高になっておるわけでございます。
#45
○稲村稔夫君 現状はわかりましたけれども、どういう見通しになっているかということを聞いているんです。
 それで、っいででちょっと悪いですけれども、私はきのうのレクチャーの際に、こういう資料を、あるいはこれに類した資料を読んだことがございますかということで外国の文献のリストを差し上げました。これを差し上げた意味は、我が国の研究と外国とのかかわり、国際的にいろいろとされている今のコストについての将来の見通し等がみんな含まれているものですから、それで読んだことがありますかと、こう聞いているんですから、それとのかかわりで我が国の見通しについてはどう考えておりますか。
#46
○説明員(上田全宏君) お答え申し上げます。
 例えば太陽電池を一つとりますと、私どものサンシャイン計画の方におきましては、二〇〇〇年で大体二十円から三十円程度のコストの実現を目指したいというふうに考えております。これにつきましては、例えば現在家庭用の販売電力料金がこのレベルでございますので、このぐらいになれば一般家庭においても十分に活用可能というようなレベルで考えておるわけでございます。
 それから外国との比較でございますが、私どもいろいろ先生の御指摘もありまして従来から承知しておるものも整理いたしましたが、それによりますと、アメリカにおきまして、現在のレートで換算しますと大体四十円から五十円ぐらいのキロワットアワーのコストといった現状になっておるわけでございますが、将来、DOE、アメリカ・エネルギー省の試算によりますと、例えば九五年で二十円前後、それから二〇一〇年から三〇年ぐらいで十円を切るというようなレベルの見通しで技術開発等を進めておるということを承知いたしております。
#47
○稲村稔夫君 アメリカで九五年といったらいつですか。――今何年ですか。
#48
○説明員(上田全宏君) 九二年でございます。
#49
○稲村稔夫君 そうすると、我が国のこのサンシャイン計画で二十円になるのはいつですか。
#50
○説明員(上田全宏君) 二〇〇〇年でございます。
#51
○稲村稔夫君 随分そうすると我が国はのんきなんですね。アメリカの方が随分早く安くなる見通しを立てている。
#52
○説明員(上田全宏君) 実は、私は今余り詳しく申し上げませんでしたが、あくまで彼我の試算でございまして、いろいろ条件が異なるということは現実にはあるわけでございます。そういったもののほかにもう一つ、太陽電池でありますと、例えば日照時間というのが多い少ないによって、いわゆる稼働率の問題がありまして、日本に比べましてアメリカの方が一般的に日照時間が長いというような実態もございますので、その辺の稼働率の差によってコストが相当に影響されるというような実態もございますので、その辺が影響しているのじゃないかというふうに思っております。
#53
○稲村稔夫君 きょう同僚議員の質問に政府委員の御出席の都合等があって私が途中でバトンタッチをすることになりますので、それで午後にまた伺う形になりますので、ちょっと組み立ての方が変わっていきますことをお許しいただきたいと思います。
 たまたまそういうふうになって今出てまいりましたから、そこのところに続いてまいりますが、そうするとサンシャイン計画で二〇〇〇年に二十円、アメリカで九五年にもう実用化の価格になるということで、それとの差が、仮に今の御答弁のようにいろんな周囲の事情等があるにいたしましても、実用化の段階の価格になるという理解の仕方をしていけば、二〇〇〇年までに二十円、現在七十円と伺いました。そうすると、何で二〇〇〇年までかかるんですか。コストが下がらない理由というのは何か。時間がかかるというのはどういう理由があるんですか。
#54
○説明員(後藤隆志君) お答えいたします。
 私どものサンシャイン計画におきましては、これまでも太陽電池の変換効率の向上とかインバーター等、太陽光発電システムの構成機器の低コスト化ということで研究開発を進めておりますけれども、さらに今後十年間かけまして、現在、例えば太陽電池の値ですと一ワット当たり六百五十円程度しておりますけれども、これを百円から二百円、すなわち六分の一から三分の一ぐらいまで下げていく必要があるということでございます。非常に技術開発としてもまだまだ難しい点が多々あるということで、まだ今後十年ほど、実用化の段階といいますか、コスト的に実用化の段階になるまでには時間がかかるということでございます。
#55
○稲村稔夫君 ちょっとそこのところもう少し私が理解できるようにお答えをいただきたいんです。
 コスト的に実用化になる段階というのは、技術的には一定程度もうクリアされておるということですよね。だけど技術的にまだ開発をしなければならないというのは、そこのところはどういうことなんですか。要するに、実用的に使用するということはもうできるようになっているけれども、例えば量産についての技術がまだ確立されていないとか、そういう場合もあるわけですね。だから、技術的にクリアしなきゃならない障壁というのはどういうところにあるんでしょうか。
#56
○説明員(後藤隆志君) コストを下げる手段といたしましては、当然大量生産ということが一つの大きな手段でございますけれども、例えば太陽光発電の場合には太陽電池の変換効率、すなわち太陽エネルギーをいかに電気にかえられるかという効率もコスト低減に大きく寄与いたします。変換効率が例えば二倍になった、太陽のエネルギーを利用して二倍のエネルギーがとれるようになった、たとえそのときに生産コストが一・五倍になっても、全体として見ればコストは下がるというような技術でございます。したがいまして、今後とも変換効率の向上という点を含めまして技術開発というものが必要だということでございます。
#57
○稲村稔夫君 それはわかりました。
 私は、今のお話を聞けば聞くほど、これから打つべき手だてといいましょうか、そういうものが本当に有望なものがあるような気がいたしますので、そのことはまた午後にお聞きをするといたしまして、こういう問題についての認識を科学技術庁はどの程度しておられますか。
#58
○政府委員(須田忠義君) 科学技術庁のエネルギー研究開発に当たっての考え方でございますが、特に新エネルギーについては、実用化までの研究開発期間が非常に長期にわたるものについては新たな技術的可能性の発見や技術のブレークスルー、こういうものの達成を重視した研究開発を進める必要があるということが一点でございます。またもう一点は、既に実用化されている技術または実用化されつつある技術については、コストの低減等を重視した研究開発を進めていく必要があるものと認識いたしておるわけでございます。
#59
○稲村稔夫君 コストの低減というのは、技術の問題もありますが、経済的な理由というのもかなりあると思います。物によってはかなり経済的理由の方が大きいんではないかというふうにもとられるものがあります。そうすると、科学技術の普及、向上というそういう観点から考えていったときは、そういうコストだけの問題になったものというのはかなり政策的に誘導していくことが必要なんではないかというふうに思いますけれども、そういう御検討はなされたことがありますか。
#60
○政府委員(須田忠義君) 本件は主として通産省の所管でございますが、我々もそういう問題意識は、エネルギー基本計画の策定等において議論され、問題意識は持っているつもりでございます。
#61
○稲村稔夫君 通産省はどうですか。
#62
○説明員(上田全宏君) お答え申し上げます。
 ただいまの先生の御指摘でございますけれども、私どもも同感でございます。単に技術開発を営々としてこつこつと進めていくというだけではなかなか進まない面があるというような理解のもとに、むしろ一般への普及の素地をつくるという観点から、運転データを具体的に整備して一般の利用者に対してかくかくしかじかのものであるというようなことをよりわかりやすくするというような観点から、いろいろな施策を、従来から助成制度を持っておったわけでございますけれども、平成四年度の予算案におきまして新しく公共施設、そういったものを中心といたしましてフィールドテストをやるということで、太陽電池につきましても例えば八億円ほどの補助金を用意いたしまして補助率三分の二ということでデータ整備に着手する。いろいろのタイプの公共施設に具体的に置いてみて、それがどういう需要パターンにおいてどういうような使い方がされるか、どういう問題点があって、それをどう克服すべきかというようなことを研究いたしておるわけでございます。
#63
○稲村稔夫君 それのまた具体的な提案が私の方にもございますし、そういうことについては申しわけないけれども午後に譲らせていただくとして、もう一つ、この諮問にかかわって、食糧問題を解決するために科学技術政策をと、これどういうふうに食糧問題解決のために科学技術政策が役割を担うということになるんですか。
#64
○政府委員(須田忠義君) 食糧の安定的、持続的な生産のためには、育種、栽培、加工、流通等、各段階があるわけでございますが、これら各段階における技術の高度化、それから農用地なり森林なり海洋等の生産力の増強など、さまざまな面において科学技術の果たす役割は極めて重亜じゃなかろうかというふうに認識してございます。
#65
○稲村稔夫君 それは育種だとかいろいろな、今例えば農林水産省が中心でやっている、それはそれで科学技術の適用ということでよくわかりますよね。だけど、食糧問題の解決ということでいきますと、そうすると必ずしもそっちの方だけのことじゃないと思うんです。例えば、食糧として新しい動物をつくってくるとかなんとかということになってきますと、植物でもそうですけれども、それに伴って新しい病気だとかなんとかの危険性であるとか安全性の問題であるとか、いろいろ派生じてくる新しい問題というのがほかの分野でもいろいろと出てくるんですが、そういうことはこの中へ入らないんですか。
#66
○政府委員(須田忠義君) もちろんそういう問題も全部含みます。含みまして、今先生の御指摘の、我々一番食糧問題の解決というのをここで論じたのは、まさしく来世紀世界人口が百億になる、今の低開発国における食糧危機の問題、そういう問題をずっと視野に入れてございまして、そういう意味では、それを現在の状態で賄っていくには技術の進歩がなけりゃ到底不可能という認識でございまして、これについての技術開発を進めるということでございます。
 もう一方、食生活といいますか、日本の生活における安全性の問題も含めまして食糧のいろんな問題、これは農水省が農業研究所等でいろいろやっている、それのバックアップ、それも大いに進めなきゃいかぬ、そういう二つの考え方でございます。
#67
○稲村稔夫君 もうこれで私は午前中の分を終わりますけれども、今大変いいことを言っていただきました。人口が爆発するなどと言われるくらいの中でありますから、食糧の生産のためにそれこそ全力を挙げていかなきゃならぬ、こういうことになるわけであります。そうすると、余力を持っている国は最大限努力しなきゃならぬので、そういう国で食糧の生産を制限するようなことが絶対にないように、これは科学技術庁も大いに働いてもらわなきゃならぬ、そう思いますので御意見を申し上げました。これは米だけじゃないですよ。
 次にかわります。
#68
○三上隆雄君 それでは、私は午後の質問の予定でございましたけれども、外務省の政府委員の都合の関係から、繰り上げてただいまから若干の質問をさせていただきます。短い時間ですから前段を抜きにいたしまして具体的な質問に入らせていただきたいと思います。
 実は、先般の十一月二十二日の委員会でこの問題を取り上げたわけでありますけれども、その結末が議事録に掲載されない、記録されないということもございまして、しかもそれからの事態がいろいろまた変わってございますから、そのことも含めて質問を続けてまいりたい、こう思います。十一月二十二日の委員会で、私は、米軍基地と核燃の施設は併存することが無理である、そういう観点から質問を申し上げたわけであります。これは最初は防衛庁になりますかな。防衛庁の方御出席ですか。――実は、私の質問は、F16機が実弾を搭載して、あの時点では投棄した、その事件に絡んでの核施設の問題の質問でございます。
 実は、我々は、今まで米軍機は実弾は積んでいないというそういう情報のもとにいろんなものが進められてきたわけでありますけれども、現実に積んで飛来しているという実態を考え、そしてこれほど事故、トラブルのある状況をかんがみた場合に、果たしてあの近辺に核施設があっていいのかどうか。そういうことから、もしその実弾が核施設に投下された場合に絶対安全と言えるのかどうか。それから、もう五十歩譲って、模擬弾は常に搭載して訓練しているわけでありますから、その模擬弾が投下された場合にどうか。そしてまた、飛行機が墜落したときに、一連の核施設にもし落ちた場合に安全と言えるのかどうか。そのことを文書で提出を願ったわけでありますけれども、文書では確答できなかった。その旨を再現しながら、その後進展がございましたら、付加してもよろしいので御答弁を願いたいと思います。
#69
○説明員(相沢史郎君) 先生の今の御質問は、爆弾を落としたと。実弾と言われましたが爆弾というふうに理解しております。それで、一般的に申しまして爆弾には信管がついておりまして、信管には二重三重に安全装置が施されているということであります。爆弾が爆発するというためには、その信管の安全解除機構が作動しましてそして安全解除される、それに衝撃が加わって初めて爆発する、爆弾はそういうような仕組みになっております。
 それで、今回のように爆弾を投棄する場合、このときには安全解除機構でありますアーミングワイヤというのがあるんですが、それを外すことなく機体から落とすということで通常やっております。そういうようなやり方をやっておりますので、安全解除機構が作動しません、そして下に落ちても爆発しない、そういうような仕組みになっているわけであります。
 それで、先生から御質問がありましたのは、核燃料サイクルのコンクリートのところに落ちた場合のことかと思いますが、その場合はどうかといいますと、自衛隊ではそういうような実験はやっておりませんので、もしこれで絶対爆発するかしないかと言われますと、絶対にそうかというと、ちょっと申し上げられないところがあるということでございます。
 ただ、一般的な話としまして砲弾について申し上げますと、砲弾、大砲ですけれども、これを撃つときには発射時には数万Gの加速度が加わる、さらに毎分数万回転というふうな回転を弾はするわけですけれども、そういうような大きな力が加わっても、その砲の中とかあるいは発射してすぐには爆発しない、そういうようなことになっております。そういうふうに普通の場合には非常に大きな力が加わってもなかなか爆発しないというふうなものであるわけであります。
 そこで、仮にそういう爆弾が高空から落ちてコンクリートや何かに当たったときにどうだろうかというと、例えば五千フィートくらいのところから落ちますと、爆弾というのはコンクリートに当たったときに、いろいろな条件にもよりますけれども、数千Gぐらいの衝撃が加わるだろうというふうに推定されるわけですけれども、それと先ほどの砲弾のような例を見ますと、爆発するという可能性は極めて低いんじゃないかというふうに考えております。
 それから、模擬弾につきましては、これは火薬を入れておりませんので落ちても爆発しないということでございますし、また飛行機そのものが落ちた場合には、これは燃料やなんか積んでおりますので燃えるということも考えられることはあると思います。
#70
○三上隆雄君 ただいまお答えがありました。それは確認いたしました。
 ところで、もう一度防衛庁に伺いますけれども、飛行機の速さが時速二千何キロですか、それから爆弾を投下しても安全装置をしている関係から爆発はしないということ、実験をしていないから言えないというだけですか。常識的にその速度で一定の硬度があるものに爆弾が激突したときに爆発しないんですか。そのことをもう一度聞きたいと思います。
#71
○説明員(相沢史郎君) 爆弾を高空から落とす場合には、飛行機の速度がございますけれども、自然落下状態でいきますので時速何千キロというふうなスピードではいかないというふうに思います。
 それから、そういう絶対に爆発するかしないかということについては、私どもそういうような実験をしたことがないものですからこれは何とも申し上げられませんけれども、先ほど申しましたように、砲弾などの例を見ますと、やはり相当な衝撃が加わっても砲弾の場合爆発しておりません。そういうことを考えますと、今回、もしこういうような場合にはどうかといいますと、爆発する可能性は極めて少ないんじゃないかなというふうに推定されるということでございます。
#72
○三上隆雄君 ただいま防衛庁の見解を聞いても、極めて爆発の可能性は少ないと言うけれども、絶対爆発はしないという断言はできないわけですよ。
 そこで、長官、そういう危険な施設があるわけですから、そういう実験もやっぱりやってみないと私はその安全性は確保できない、こう思うわけですけれども、科技庁長官、いかがでしょう。簡略にお願いします。
#73
○国務大臣(谷川寛三君) 私は先生とは別に考えておりまして、私もアマコスト大使に抗議をしたんですが、いや、絶対あの上は飛びませんと、飛行機が。まずそれ、飛行機は飛ばない。この間の、去年の暮れに爆弾を誤投しましたのも、あそこへ行くんじゃなくて、鳥島へ行くので全く違う方向へ、飛行場からもうすぐ海に出させております、そうして故障がわかったから投下の安全地域に落とさせたのでありましてと言っておりまして、絶対あそこは近づかない、飛ばないことになっておりますから、そういう点で、私はこの施設は予定どおり進めてもいいと考えておるところであります。
#74
○三上隆雄君 ただいま長官は、あそこには飛行機が飛来しない、そういう断定をしたもとに物を判断していますけれども、しからばその後また、これは燃料タンクですけれども、十和田湖にまた同じく投棄されているんですね。あれは予定のコースですか。事故というのは予定されないことが起きるから事故というんだよ。ですから、核の施設だけは絶対でないとだめなんだよ。もしも万分の一でもあったらだめだということなんだよ。その意味で実験をしなきゃだめですよ。この施設へもし投下されても爆発しないぐらいの強度のある施設でないとだめですよ、これは。
#75
○政府委員(谷弘君) ただいま御説明を大臣の方からも申し上げましたけれども、ここは非常に入り組んでおりますので頭の整理をさせていただきたいと思います。
 まず、今回の六ケ所村の近くにおきましては、御案内のとおり、今の三沢空港、これは共用空港でございまして、いろんな飛行機が離着陸をしているという状況と、それからそのお隣に三沢の訓練空域がございます。ここではいろんな訓練をやって、射爆訓練をやっているという二っがございます。
 私ども審査に当たりましては、まず三沢空港から離着陸します状態につきましては、非常に距離が離れているということでこれを審査の対象に入れる必要はないだろうと。ただし、三沢の訓練空域につきましても非常に離れておりまして、過去の実際のトラブル等を勘案いたしますと墜落する可能性というのは非常に低いという評価をいたしておりますけれども、訓練回数が多いということから、それについては一応審査の段階では評価をいたしておりますということでございます。
 ただ、その二つに分けて考えました場合に、前者の、実弾を積んでいるかどうかという問題につきましては三沢空港の方でございまして、先ほど大臣から御説明もありましたようにい直接三沢空港を飛び立ちまして、先般のトラブルの場合には鳥島の方へ飛んでいったわけでございまして、この施設の方へは全く参っておりません。
 一方、訓練空域におきましては、先般来外務省等からも御説明がありましたように、実弾は搭載しないで訓練をやっておるわけでございますので、模擬弾の状態での訓練ということでございます。これにつきましては、先ほども言いましたように、非常に頻度は低うございますけれども、一応そういう要素を入れまして、米国等におきまして種々の実験をいたしまして、その結果も踏まえて安全評価をしているということを先般来御説明しておるところでございます。
#76
○三上隆雄君 外務省がせっかく来ておりますから、外務省の方を先に進めたいと思います。
 この間、米軍の資料がある筋に入りまして、これが東奥日報なり全国紙にもほとんど掲載されたわけでありますけれども、米軍の訓練の事故の予想の実態、これを考えてみたときに、これは大変恐ろしい感じがするわけであります。そこで、米軍あるいは自衛隊の事故の状態を数字的に発表してください。
#77
○政府委員(佐藤行雄君) 私の方は米軍の事故についてのみ承知しておりますのであれですが、何を事故ととらえるかということによって数字の数え方は変わると思いますが、ここ二年で、墜落事故は昨年一件起きております。また、そのほか実弾や模擬弾の落下事故、燃料タンクの落下事故等で、平成二年も五件、平成三年も五件起きております。それ以外に、住民の方々に不安をお与えしたようなことでは、これを事故と呼ぶかどうかは別問題といたしまして、ソニックブームの問題等も報告されております。
#78
○三上隆雄君 この新聞によりますと、大きな事故は六千万円以上の損失があった場合を言うと。これは新聞記事ですよ。そういう考え方でいいんですか。
#79
○政府委員(佐藤行雄君) 私が今申し上げましたのは、そういう特定の基準で定義したものではございませんで、我々の今承知しているところに従って、米軍関係の航空機の事故として我々が承知しているものを申し上げたものであります。物事の性格によって申し上げております。
#80
○三上隆雄君 この新聞によりますと、九〇会計年度で予想が二十一件で発生が十三件、九一会計年度では予想二十一件にしてまだその実態が出てないわけであります。九一会計年度の実態はもう出ているんでしょう。その実態を教えてください。
#81
○政府委員(佐藤行雄君) まことに申しわけないのでございますが、先生のおっしゃっておられる資料がどのようなものかよくわかりませんので。私、実は御質問の趣旨をいただきましたときに、我々が承知している米軍の事故ということで、空軍の事故ということでそれを数えてまいったわけであります。今御指摘の資料が何であるかお示しいただければ、また改めて御説明いたしたいと思います。
 ただ、私今伺いまして、事故の予想というのがよくわからないのでございますが、それは予算上の資料がどうか正確にお教えいただければと思います。
#82
○三上隆雄君 実は、きのうレクチャーに来たときに、この問題を質問するということで政府委員の出席をお願いした。そして質問しているわけですが、これでは時間的にできませんから、きのうレクチャーのときに外務省にお願いしたその件数と抗議の状況、抗議の内容、それを午後までに、先ほど外務省の関係者が資料を持ってきましたから、その資料を私に示してください。それによってまた続けたいと思います。
#83
○政府委員(佐藤行雄君) はい。
#84
○三上隆雄君 問題なのは、戦闘機の訓練ですから事故があるということを前提の訓練なんですね。そこに私は問題があると思う。
 新聞ではこういうことを書かれております。「戦闘機は敵を撃ち落とすのが任務だから、相手より性能の優れた機体を求め続ける。そのため、安全性をある程度犠牲にして設計される。従って、戦闘機に無事故を要求するのは」どだい無理なのであって、レーシングカーに事故のないことを期待するようなものだと。それから、「米軍全体の墜落総数は年間二百機に上るが、米軍はそれを逆に、猛訓練の表れと自慢しておりこ、その姿勢に根本的な問題があると。ですから、米軍に対して安全性を求めること自体無理なことだということですね。そして、これは県の見解です。「こういう資料があるのは初めて知った。予算要求のためにこうした予想数値を出しているのかこどうか、その事実関係をはっきりしないと何とも言えないと。さすが行政ですよ。
 ですから、先ほど言ったような資料を昼休み時間に出してください。それによって午後もう少しこの問題を取り上げたいと思うんです。
#85
○政府委員(佐藤行雄君) 先生のおっしゃった資料の点は我々も調べますが、その前に我々の方で申し上げておきたいことは、この間来外務省の方からも御説明しているかとは思いますが、事故はいかなる形のものであれ起きてはならない、あるいは住民の方に不安を与えるようなことがあってはならないということでございますので、我々も累次合同委員会の場あるいはそれ以外の場を通じてもアメリカ側の注意を喚起しているわけであります。アメリカ側も事故を回避するように万全の努力をしているということは繰り返し言っておりますし、我々も今後ともそういうふうに努力してまいりたいと思います。
#86
○委員長(及川順郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#87
○委員長(及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査のうち、科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#88
○稲村稔夫君 午前中に引き続いて、いろいろと伺いたいと思っておることを残しておりましたが、ちょっと時間計算を間違えましてもうほとんど残り時間がありませんので、同僚議員の時間を若干いただくということを御了解いただきながら、まとめとして私の意見をいろいろと申し上げ、それに対する長官の御所見を伺うということにさせていただきたいというふうに思います。
 午前中私がいろいろとお伺いをいたしましたのも、実はエネルギー政策の一大転換を今していただかなければならない、そういう時期に来ているんではないかというふうに考えたからであります。いろいろな新しいソフトエネルギー等のことがありましたけれども、特に太陽光発電につきましては、一般家庭で利用をするのにも非常に有望な形に相なっております。例えば、「科学朝日」などにも紹介されておりますし、新聞でもいろいろと紹介をされておりますが、一般の家庭で秋葉原で買ってきた太陽電池パネルを使って商業電力を買うことが三〇%節約できているというような事実などがいろいろと紹介をされたりしているわけであります。
 先ほどの工業技術院や資源エネルギー庁の答弁を聞いておりましても、もう実用化の時代に入っておって、問題は量産の技術等が多少残るでしょうけれども、しかしそれも問題は余りないと思います。量産ができるかできないかという経済的な理由というのはかなりあると思うんです。これは需要がたくさんあれば必ず量産が行われる、こういうことになるわけであります。
 ここで重要なのは、三〇%節約できたという、あるいは三〇%でも四分の一でもいいですよ、各家庭で全部それができたら、そうしたらそれこそこれからの火力発電を減らすことができる。つまりCO2、二酸化炭素の放出量を減らすことができるんです。この分を一挙に原発でもって補おうとしたら、とてもじゃないけれども、原発はかなりの時間がかかりますし、経費がかかるということになります。したがいまして、私はそういうことを見通して、エネルギー政策としてむしろ積極的に電源を分散させて、各家庭でもってもう一定程度のものを確保できる、そして炭素の放出量を早急に現在よりも落としていく、現状凍結ではなくて。そのくらいのことは今の科学技術の水準でいけばできる。ただし、それには政策的に誘導していくための経費だとか補助金だとか融資だとかいうこともありましょう。いろいろな工夫が必要だと思います。
 まさに科学技術庁としては、政府の方針を全体にそういうところへ持っていって、人類生存の危機に直面しているこの難局を乗り切ると、そのくらいの重点的な経費の使い方をしてもいいんではないか。そして閣内でもって積極的にそういうことを各省庁に働きかけていく。科学技術庁長官がそのリーダーシップをとられるということは非常に大事なんじゃないかと思うんです。その辺のところをお聞きしたいと思います。
#89
○国務大臣(谷川寛三君) 先生の御意見よくわかりました。これ、各家庭の太陽熱の利用は通産省でやっているようでございますから、通産省ともよく話し合いをいたしまして、考えていきたいと思っております。
#90
○稲村稔夫君 長官に申しわけありませんが、通産省なりあるいは環境庁なりという縦割り行政の範囲を超えて集中的にやらなかったら地球は大変なんですということなんですよ。その意識を持って長官が取り組んでもらわなきゃ困るということで私は申し上げているんですよ。通産省がやっているからそっちの方を促進すると、これだけじゃ済まないんです。どうですか、その辺は。
#91
○国務大臣(谷川寛三君) 全体の電力の消費量をそれでこなすということは、これはなかなか経済性等も考えたら難しゅうございまして、よくこれから研究させてもらいますから。
#92
○稲村稔夫君 あともう一つ私が大事な提起をしておきたいというのは、エネルギー問題、本当に本気になって取り組んでいただかなければ、先ほどのようにもう直ちに六〇%二酸化炭素を削減しなきゃならないという状況なんですから、この辺を本当に踏まえてください。
 それからもう一つは、バイオテクノロジーの発達、これに余り触れられませんでしたけれども、これは非常に心配される面が出てきていると思います。心配というのは、言ってみれば技術はどんどん進んでいくんですけれども、それに対応する社会的体制といいましょうか、そちらの方が必ずしも十分ではないということがいろいろと問題になってくる、もうなってきていると思います。したがいまして、これは生命の倫理にかかわるもの、生命にかかわるもの、例えば薬品をつくるために人の遺伝子をマウスにあるいは豚に、羊に、牛にと移している。もう移しているんですからね、現実に。そういう動物ができてきているんですから。というようなことなども含めて、生命にかかわる遺伝子工学についての倫理というものを、ちょうど脳死臨調が行われましたけれども、まさに社会的なきちんとした対応ができるようにということで、倫理確立をしていくその道を、これも科学技術庁がリーダーシップをとって開くべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
#93
○政府委員(須田忠義君) 先生のおっしゃるとおり、ライフサイエンスの振興、技術開発が高まったので、人間の尊厳、倫理の問題と非常に深くかかわってきているわけであります。したがって、今回の科学技術会議の十八号答申においても、「科学技術と人間・社会との調和」を図る項目は大きな項目として位置づけてございます。これの中心はやっぱり倫理問題です。この倫理問題を十分考えながら進めていけ、こういうのが提言の骨子でございます。
 なお、ちなみに人間の尊厳、倫理問題は、研究開発をしている過程における倫理問題と、その成果が実用化されていく段階における倫理問題の二つございますが、この二つとも十分勘案しながら科学技術を進めていきなさい、こういう提言で、我々もその実現方に努力してまいりたい、その趣旨に沿って進めていきたい、こう思っております。
#94
○稲村稔夫君 すぐ何か具体的に対応するんですか。どうですか。
#95
○政府委員(須田忠義君) これはもういろいろな意見がございまして、例えば極端に言えば、研究開発、基礎研究においてはいろんな制約を設けるべきじゃないという意見もある。非常に多彩な意見が分かれてございまして、これのコンセンサスづくりといいますか、これは御存じのように厚生省の脳死臨調もあんなにかかってああいう評決が出たわけですけれども、これは十分各界の方々と今後議論を詰めていくことになろう、こう思っております。
#96
○三上隆雄君 それでは午前中に引き続きまして、いろいろ通告はいたしましたけれども、大分同僚の稲村委員の質問で総合的なエネルギー政策についての問題等については指摘があって、それなりのいわば我が党の考え方を示されておりますから、午前中の事件からもう一度確認しながら私の質問を進めていきたいと思います。余りくどいお答えをしないでください。まず簡単に質問していきたいと思います。
 午前中の質問で申し上げましたが、じゃ自衛隊と米軍機を分けましょう。自衛隊の年間の事故数はどのぐらいになっていますか。
#97
○説明員(河尻融君) お答え申し上げます。
 年間の……
#98
○三上隆雄君 きのうの通告では六十年度と六十一年度と言っていましたから。
#99
○説明員(河尻融君) 九〇年と九一年に起きた自衛隊機の墜落事故あるいは人員の死亡を伴った事故ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、平成二年に四件、平成三年に五件、計九件発生しておりまして、そのうち墜落事故は七件でございます。
#100
○三上隆雄君 じゃ今度は外務省にお尋ねいたします。
 米軍機の事故、トラブルはどういう状況でしょうか。
#101
○説明員(原田親仁君) お答申し上げます。
 米軍機の日本における事故の件数につきましては、事故の定義いかんにもよりますが、米軍機の墜落につきましては一九九一年に一件、模擬弾や燃料タンク等の物体の落下につきましては九〇年、九一年ともに五件起きたと承知しております。また、九一年には林業用のワイヤロープ切断事件が一件起こっております。
#102
○三上隆雄君 午前中にも質問いたしましたけれども、それでは、この東奥日報なり朝日、いろいろ何社かの新聞に掲載されたこの数字についてはお答えできないわけですか、現時点では。
#103
○説明員(原田親仁君) 先生御指摘の資料につきましては、我々現在持っておりませんので、取り寄せたいと考えております。
#104
○三上隆雄君 それでは、休憩中にお願いしましたとおり、資料でこれから委員長あてに提示をしていただきたいと思います。私でなく委員長あてに提示をしていただきたいと思います。
 そこで、問題になることは、いろいろ事故の発生と同時に、地域住民、政党あるいは行政機関がいろいろな形で外務省なり防衛庁なりに申し入れをしているわけでありますけれども、その申し入れの実態と内容について簡単に説明願います。
#105
○説明員(原田親仁君) お答え申し上げます。
 米軍機の飛行に関係します地方自治体や民間団体、政党の外務省に対する陳情等の数を合計いたしますれば、平成二年が十二件、平成三年が三十一件でございます。陳情等の内容については、事故の再発防止策等を申し入れる内容等になっております。
 例えば、昨年五月のF16の墜落の際には六件、昨年十一月のF16の実弾投棄の際には七件の陳情をいただいております。これに対しまして外務省としては、かねてから我が国における米軍の円滑な駐留を確保するためには地域住民の方々の理解と協力が得られることが重要であると考えておりまして、特に在日米軍の諸活動に関係します地元関係者、関係機関等からの要請、意見等についてはこれを真摯に受けとめまして、米側等に対して安全確保の徹底等について働きかけてきておる次第でございます。
#106
○委員長(及川順郎君) 答弁者にお願いします。
 もう少し大きい声でこちらに聞こえるようにお願いしたいと思います。
#107
○三上隆雄君 今いろいろ件数と申し入れについてのお答えがありましたけれども、一向に事故が減らない。そしてまた、午前中に提示したアメリカの予想件数ということを考えるときに、戦闘機の訓練に事故が伴わないという前提で住民、国民の理解と協力を求めるということを皆さん方は言っていますけれども、米軍はこのくらいの事故は発生するという予測のもとに訓練されているわけでしょう。あなた方は誠心誠意を持って米軍へ我々住民の申し入れをしているんですか。例えば、三沢の市長があのような態度で抗議をしているでしょう。そのことが米軍に伝わっているんですか。そのことについての外務省の見解をお聞きしたいと思います。
#108
○説明員(原田親仁君) 先生御指摘のように、地元の方々の懸念、申し入れにつきましては、米側もこれは十分承知しておりまして、米側としても、住民の方々の安全には最大限の配慮をして最善の努力を払ってきているけれども、今後とも再発防止のあらゆる努力を払っていきたいという立場をとっております。
#109
○三上隆雄君 これは水かけ論になるけれども、米軍はそういう態度で対処しているんだけれども、このような事故が起きているし継続されるし、それでしかもまた米軍の訓練というのはそういう性格のものだとすれば、あの地帯に施設をつくるということは私は相入れないと思うんですよ。長官、そのことをわかってくださいね。施設を管理する長官として、米軍に対してもっと強く抗議する気はありませんか。
#110
○国務大臣(谷川寛三君) けさほどからお話を申し上げておりますように、外務省がその都度厳重に抗議をしておりますし、それから私も、これは外務省がやることであるとは思ったんですけれども、アマコスト大使に申し入れをいたしまして、厳重に飛行してもらうように頼んでおるところでございます。
#111
○三上隆雄君 この資料に拘泥し過ぎるけれども、米軍の想定する事故というのは、さっきも言ったように六千万円以上ということなんだな。あなたの報告は、それはどういう分類の仕方での事故ですか。
#112
○説明員(原田親仁君) 先生御指摘のその資料を私どもは持っておりませんので、直接その資料についてコメントするのを差し控えたいと思いますが、私が先ほど申し上げた件数というのは実際に起きた事故の件数でございます。
#113
○三上隆雄君 それでは、角度を変えまして、これもまた新聞情報に基づく質問になりますけれども、三沢と沖縄の両基地の訓練の状況と結果を踏まえての質問になりますが、三沢における米軍機の事故が、件数ではなく率からいって二倍以上になっている、そういう実態があからさまになっているわけでありますけれども、こういう実態をどう受けとめますか。これは防衛庁の方がいいのかな。防衛庁、沖縄の基地より三沢の基地の事故が二倍も多いということはどう受けとめますか。
#114
○説明員(河尻融君) お答え申し上げます。
 ただいま三上先生の御拾摘にございました三沢の米軍機の方が嘉手納の米軍機より二倍以上の事故率であるということを私実は承知いたしておりませんので、また事故の実態、内容等も承知いたしておりませんので、ちょっとこの場でお答えすることは困難でございます。
#115
○三上隆雄君 それもわからぬこれもわからぬでは話にならぬけれども、これも新聞の資料ですけれども、三沢では総数で事故数が二十七件、嘉手納では三十七件、それを率にすると二倍ということになるらしいんです。それをどう見るかということなんです。その基地の性格は影響ありませんか。
#116
○説明員(河尻融君) この場で今聞いたものでございますので、ちょっとお答え申し上げることは困難でございます。
#117
○三上隆雄君 我々は、あくまで素人が考えると、自衛隊というのはどこの基地でも同じ形態の訓練をしているとは思わない。その地域の特殊性、性格、必要性に応じて訓練の内容も違うと思うんですよ。そうすれば、同じ飛行機を使って訓練して事故が多いということは、それだけ厳しい訓練が強いられているというか求められているというか、そういうことだと忌んですよ。したがって、戦闘に対しての基地の性格があるのではないか。それについての御見解はいかがですか。
#118
○説明員(河尻融君) 嘉手納におきましては、駐留しております米空軍につきましてはF15主体の部隊であるかと思います。他方、三沢につきましてはF16等が駐留しておるところでございます。
 そういった航空機の違い、またその航空機の違いによる訓練の違い、そういったものがあるいはあろうかとも思いますけれども、ちょっとこの場での御質問でございますので、私、責任を持てるお答えをすることは困難でございます。
#119
○三上隆雄君 そのことについても後ほど正確な資料を御提示願いたいと思います。
 それでは、次の問題に入らせていただきます。
 先ほど来いろいろ質問なり議論がございましたけれども、やっぱり原子力を私どもはこれ以上ふやしてはならない、将来別ないわゆる新ソフトエネルギーというものの開発を進めて、この危険な原子力エネルギーというものを徐々に廃止していかなければならないというスタンスで我々は物事を進めているわけであります。その意味において、いろいろこれもまた国民の合意と協力がなければ進められないということを盛んに言いますけれども、その合意を得るためにいろんなPRを進められておりますけれども、その一部のものについて質問をしたいと思います。
 実は、むつ小川原開発室で「放射線の扉を開いてみませんか」という一つの資料を提示しながら勉強会をやっているわけであります。そのことについて、市民団体である、女性の団体ですけれども、そこから質問状がむつ小川原開発室に行っているはずでありますから、それについてどういう御認識でいられるか、お答えをいただきたいと思います。
#120
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 この「放射線の扉を開いてみませんか」というパンフレットに関しまして、公開質問状が青森県のむつ小川原開発室あてに出ておりますことにつきましては承知いたしております。
#121
○三上隆雄君 この資料については、科技庁が、政府がという言い方をしましょう、科技庁も通産省もいろいろ末端へ行くと分かれていますから。政府が指導してつくったものですか。
#122
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘になりましたこの「放射線の扉を開いてみませんか」というパンフレットでございますが、これは国の委託を受けて青森県が制作、発行したものでございます。
#123
○三上隆雄君 ですから、国が編集に当たってこの内容を指導したのか、あるいはできたのを審査したというか。そしてこれをつくる予算はどこから出ていますか。
#124
○政府委員(石田寛人君) 今申しましたように、国が委託いたしまして青森県が制作、発行したものでございます。したがいまして、予算は国の予算でございますが、PA誌の内容につきましては、委託先でございます青森県にお任せしておるところでございます。
#125
○三上隆雄君 そこで、これを資料にした勉強会の席上でいろいろ講師になられた方が発言していること、あるいはこの資料そのものの内容についての質問状が行っていますから、これについての御回答をこれまた委員長あてにお示しいただきたいと思います。どうですか。
#126
○政府委員(石田寛人君) 本件につきましては、公開質問状が関係の方々から青森県のむつ小川原開発室あてに出ておるところでございますので、私どもとしましては青森県の方の回答ぶりを見守らせていただきたい、かように考えておるところでございます。
#127
○三上隆雄君 私は、国会で国会議員の一人としてこの正式な場で政府にそれを要求しているんですよ。ですから、出すか出さないか、それを言ってください。
#128
○政府委員(石田寛人君) 重ねて申し上げますけれども、この公開質問状は、今申しましたように、関係の方々から青森県あてにその内容につきまして公開質問という格好で出されておるものでございます。そういうものでございますので、具体的な回答ぶり等につきましては青森県の方の対応にゆだねさせていただければ幸いでございます。
#129
○三上隆雄君 じゃ質問を切りかえましょう。
 私の名前においてこれと同じものを科技庁に質問状として提出しますから、御回答をいただきたいと思います。それについての御見解はどうですか。
#130
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 そういうことでございましたら、これにつきましてどういうふうな回答がどうできますかにつきまして私ども検討させていただきたく存じます。
#131
○三上隆雄君 誠意ある御回答をお願い申し上げます。
 それでは次に、損害保険に関する件についてお尋ねしたいと思います。
 これは、我々は絶対事故があってはならない、補償する事態が生じてはならないという立場で質問するわけでありますけれども、現実に原燃産業がこの保険制度に加入しているのかどうか。極めて基本的だけれども、案外やっていないかもわからぬしね。それはどうですか。
#132
○政府委員(石田寛人君) 原燃二社を含みますもろもろの原子力事業につきましては、まさに原子力損害の賠償に関する法律、いわゆる原賠法に従いまして損害賠償の措置を講じておる、あるいは将来講ずるであろう、かように存じておるところでございます。
#133
○三上隆雄君 加入しているんですか。
#134
○政府委員(石田寛人君) 重ねてお答え申し上げますが、原賠法に従いましてそれぞれの措置を講じておるところでございます。
#135
○三上隆雄君 勘違いしました。
 そこで、いろいろ今までの事故とその補償と因果関係等で問題になるわけでありますけれども、やはりこの保険というものは、被災者をいかにして救うかというそういう建前の補償制度だと思います。そうだとするならば、もし事故があって被災に遭ったという人がそういう申告をした場合に、何というか、被災者がそれを立証するのではなく、いわゆる原因者である、加害者と言ったらこれは厳しいけれども、原因をつくった側がそれを立証するという建前にしたらいかがなものでしょうか。この制度そのものはどういう仕組みになっていますか、内容になっていますか。
#136
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 この原賠法につきましては、制度自身の内容を詳しく申し上げることにつきましては、非常に時間もとりましてかえって先生の御質問の御趣旨には沿っていないと思うわけでございますが、御承知のように原賠法におきます原子力損害と申しますのは、原子核分裂の過程の作用によりまして生じた損害、核燃料物質等の放射線の作用により生じた損害、あるいは核燃料物質等の毒性的作用により生じた損害であり、それぞれの作用と生じた損害との間に相当因果関係がある限り原子力損害であるとされておるところでございます。こういう原子力損害に関します賠償の規定等を定めておるわけでございますが、先生今おっしゃいましたように、もちろん原子力事故と申しますのはあってはならないことでございます。
 それで、今先生の御質問の御趣旨でございます、何といいますか、先生加害者じゃなくて原因者とおっしゃいましたけれども、原因者が損害の立証を行うこと等々に関する考え方でございますけれども、これにつきましてはこういうことになろうかと思うわけでございます。すなわち、原賠法は基本的には被害者保護の観点から原子力事業者の無過失損害賠償責任制度を導入しておりまして、被害者の立証責任の緩和を図っておるところでございます。因果関係につきましては原告がこれを立証するというのが民事賠償制度一般におきます建前でございまして、原子力損害賠償法、原賠法もこれに従っておるところでございます。
 しかしながら、御指摘のように、時として被害者が原子力損害につきましての因果関係を立証していきますことにつきまして、これは容易ではないという事態が生ずることも考えられるところでございますので、この原子力損害賠償法第十八条におきまして、実際に紛争が生じた場合、損害の調査及び評価を行う原子力損害賠償紛争審査会の設置が規定されておるところでございます。こういう制度で、法体系全体といたしまして被害者救済に努めるようなそういう仕組みとなっておりますので、今後、因果関係の推定に関しまして特に規定を設けますことは、原子力損害賠償問題だけではなくて民事の賠償制度全体のあり方にかかわる問題ということになろうかとも存じます。推定に関します学説もまとまっていないという段階と承っておりますので、これまで具体的な適用例もない原子力損害賠償法の分野でこのことを先行させまして、特にこれを法制化するということはなかなか困難な問題ではないかと考えておるところでございます。
#137
○三上隆雄君 結局は、その被災者がまた立証しなきゃならないという建前の法律であれば、これはまた力関係で、あるいは経済的な負担等々からいって泣き寝入りをしなきゃならない。いわゆる水俣病の立証と同じような状態が予想されるわけであります、これは事故はあってはならないけれども。ですから、被災者をあくまでも救済するという立場からいって、立証する、それは法的にはどの法律をどういう部分で変えていくかということは私は今申し上げませんけれども、やはり政府自体が本当に被災者を救済するというのが主たる目的であったとするならば、やはり原因者がそれは原子力によって被害を受けたんではないということを立証すればいいけれども、その点やっぱり被災者の立場で、原因者がはっきりこれは原子力に伴った被害ではないということを立証するという意味なんですよ、私が言っているのは。ですから、それを救済するような制度に変えてもらうことをまず希望しておきたいと思います。それについての長官の御見解はいかがでしょうか。
#138
○政府委員(石田寛人君) 大臣の御答弁の前に簡単に申し上げます。
 今先生、原因者の立証という仕組みに変えたらどうかということでございます。私今ほど御説明申し上げましたように、原賠法全体の体系といたしまして、因果関係の立証が容易ではない場合が発生いたしました場合の原子力損害賠償紛争審査会のことも申し上げました。したがいまして、現行法でこういう制度もございますので、私どもはこれらの機能を十分活用いたしまして対応することは可能であると、かように考えておるところでございます。
#139
○国務大臣(谷川寛三君) 今局長が答弁したところで御理解いただきたいと思います。
#140
○三上隆雄君 それからもう一点、賠償法の問題点について、たしかその賠償の限度額が二億円という額が示されていたけれども、今十億円に改定されております。この十億円では大きな事故があったときは当然私は償い得るものではないと。したがって、これは国家賠償の責めにおいて規定がございますけれども、その点についての政府の御見解をお聞きしたいと思います。
#141
○政府委員(石田寛人君) 今先生おっしゃいました二億円、十億円等々のことでございますけれども、これにつきましては、まさに損害賠償措置として強制的に措置すべきものとされておる額が一定額であるということでございます。
#142
○三上隆雄君 その一定額が十億ということ。
#143
○政府委員(石田寛人君) それは施設の種類によって違うわけでございますけれども、その額を超えましたものにつきましても原子力事業者がその賠償の責めを負うものであることは当然でございます。ただ、先生御指摘のように、原賠法の規定によりまして、それを超えますものにつきましていかに対応するかということにつきまして政府の援助という規定もあるわけでございます。決して、例えば一定額を超えましたものにつきましてはすべてもう全く事業者は関係なしということにはなっていないということを御理解賜りたいと存じます。
#144
○三上隆雄君 それはあくまでも政府の責任で出すということですね。
#145
○政府委員(石田寛人君) これは、御承知のように、まさに法律によりまして一定額の原子力損害賠償措置を講ずることを原子力事業者に要求しておるわけでございます。
 それから、先生これまた御承知のように、別にいわゆる一般的な原子力保険等の対象になり得ないようなそういうこともあるわけでございまして、例えば地震、噴火、津波等によります原子力損害等々でございますれば、これはそれに相当いたします政府の補償契約という制度がございまして、この補償契約と損害賠償措置、これらでもちまして対応はいたします。ただ全体、事業者の責任額には制限がないということも御理解いただきたいと存ずるところでございます。
#146
○三上隆雄君 最後になりましたが、長官に再三お願いしますけれども、青森県六ケ所に置かれているその立地的条件からいきますと、六ケ所はこれほど原子燃料サイクル施設に適さない場所がないと思うぐらいの悪条件があるわけであります。
 そこで、もう一度最後に、米軍機のこれほどの事故があるところにあの施設をつくるということは私は相入れないものであると、そう思います。しかし、長官は再三にわたって飛行機はそこに飛来しないからと言うけれども、事故は想定しないところで起きるわけでありますから、その点を十分考慮して、まず飛行機が墜落してもいいような施設にしてもらいたいということ。最大限譲って、あそこにつくるとするならば、飛行機が墜落しても事故の起きないような、爆発しないようなそういう施設にしていただきたいということを要望申し上げて、最後にそのことにだけお答えをいただきたいと思います。
#147
○政府委員(坂内富士男君) ただいまの御質問につきましては、既に安全審査におきまして、この天ケ森の射爆場で訓練している飛行機の墜落の可能性といったことについて、極めて小さいけれども、仮に故障を起こしましてその訓練機が衝突したとしても壊れないように安全上重要な建屋の屋根、外壁を設計することとしております。
#148
○三上隆雄君 最後の方をちょっと聞き漏らしたけれども、何と言ったんですか、最後は。――最後の部分がちょっと聞き取れませんでしたので。
#149
○政府委員(坂内富士男君) 仮にエンジン故障を起こした訓練機が衝突したとしても壊れないように安全上重要な建屋の屋根、外壁、そういったものを設計することとしております。
 以上でございます。
#150
○三上隆雄君 することにしているのですか、これからするのですか。
#151
○政府委員(坂内富士男君) 事業者が設計するということを安全審査書において私ども確認した、こういうことでございます。
#152
○委員長(及川順郎君) これまでの三上君の質疑の中で、委員長あてに提出を求められました資料要求につきましては、本委員会終了後に理事会で協議をいたしますので、その協議に従って対応をお願いしたいと思います。
#153
○太田淳夫君 それでは、与えられました大臣の所信に対する質問ということできょうは対応させていただきたいと思います。
 大臣も所信で述べられておりますように、科学技術の振興というのは、これから二十一世紀に向けて我が国及び世界の安定的発展、豊かで平和な社会を確立するためには欠かすことのできない課題の一つとなっているわけでございますが、特に我が国は国際社会の一員としまして、また経済大国として科学技術によって国際社会と人類全体に貢献していくこと、これは当然今まで以上に強く求められていくんじゃないか、こういう認識のもとで何点か質問させていただきたいと思います。
 さて、科学技術白書平成三年版によりますと、「科学技術活動の地球規模化」、いわゆるグローバリゼーションということがどんどん進んでくるということでございます。また、外国人の受け入れ等の、白書でおっしゃっている「内なるグローバリゼーション」、これらへの取り組みの必要性が指摘されているわけでございます。この点は非常に重要だと思いますけれども、最初に、我が国の国際研究交流の実態、人数と内容はどうなっているか、あるいは我が国の基礎研究の水準を国際比較しますとどうなっているか、あるいは将来の先端的分野における国際水準の比較はどのようになると予測をされているのか、その点お聞きしたいと思います。
#154
○政府委員(長田英機君) 我が国の研究者の交流のデータでございますけれども、一つは法務省の出入国管理統計というのがございます。ただ、この統計では留学や社会科学の分野も含まれているのでございますけれども、この統計によりますと、近年、出国、入国とも数はふえてきておりまして、具体的に申しますと、出国は平成二年は十八万五千人、入国は平成二年は十万七千人ということになっております。
 また、研究分野だけ、国立試験研究機関に限定して科学技術庁が調査したデータで申し上げますと、これでも同様に、近年、派遣、受け入れともふえてきておりますが、平成二年度は派遣の方は約二千七百人、受け入れの方は八百六十人というふうに順調にふえてきているということであります。
#155
○政府委員(須田忠義君) 後段の我が国の基礎研究の国際水準並びに将来の先端的分野における国際水準の予測についてお答えいたします。
 現在の我が国と欧米の基礎研究水準については、科学技術庁が昨年五月にライフサイエンスと物質・材料、情報・電子及び海洋・地球科学分野において先端科学技術研究者、これはアンケート調査でございますが、その筋の専門家の意識調査を行いました。この結果を白書に取りまとめておるところでございます。
 これによりますと、米国との比較においては、若干の研究課題は日米同等と認められるものもありますが、分野全体ではすべてについて米国優位との回答が多数を占めでございます。また、西欧との比較においては、全体的にほぼ同等との認識でございます。なお、これは三年ごとにやってございまして、三年前に実施された同様の調査と比較すると、ここ三年の間に日本の基礎研究水準は国際的にやや向上したという結果が出てございます。
 また一方、将来の先端的分野における国際比較については、今後重要となる新規有望技術について、米国の商務省及び科学技術庁の調査結果を白書に取り上げでございます。これは、結果的にはほとんど大差がない結論になっております。全般的には現在の両国の技術レベルはほぼ拮抗しているとの調査結果が示されてございます。技術別では、ライフサイエンス分野では米国が優位、物質・材料系では日本と米国が同等ないし日本が優位、情報・電子系技術では半導体デバイス等で日本の優位、人工知能等で米国優位と指摘しております。
 今後の水準について、両調査のずれが若干あるものの、多くの新規分野、新規の技術について双方とも日本が若干差を縮めてきている、相対的に上昇傾向にあると予測してございます。
 以上でございます。
#156
○太田淳夫君 この「内なるグローバリゼーション」という言葉は結構なんですけれども、それに関連しまして、外国人研究者の受け入れの状況、人数的なことになると我が国の研究環境という点から見ましたところの問題点がいろいろとあろうと思うんですね、国際比較いたしたりなんかしますと。その点はどうでしょうか。
#157
○政府委員(長田英機君) 外国研究者の受け入れ状況でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、出入国管理統計あるいは科学技術庁の調査によりましても非常に入国者がふえているわけでございます。
 なお、科学技術庁におきましては六十三年度にいわゆるフェローシップという制度を創設いたしまして、外国研究者を長期にわたって国立の研究機関に受け入れるというような制度をつくりまして、その受け入れ人数も平成三年度は百八十名でございますが、逐次増加してきているわけでございます。
 また、平成元年の十月には、新技術事業団で外国人研究者受け入れのための宿舎の運営というような環境整備もやることにいたしまして、これからもなおこういう外国人の研究者の受け入れ体制を整備していきたいと思っております。
 なお、先生今御指摘の研究環境の問題でございますが、申すまでもないことですが、基礎研究を推進する上ではいろいろな面の研究環境を整備しなきゃいけないわけでございまして、例えば研究資金の確保の問題、研究施設や設備の充実の問題、研究者の処遇の問題、さらにいろいろな諸制度を弾力化するなど、いろいろな面で制度の充実強化を図っていかなければならないと思うわけでございます。こういう点から、今申し上げましたいろいろな面につきまして、過去におきましてもいろいろな努力はしてきているわけでございますが、今後ともなお一層の努力を図ってまいりたいと思うわけでございます。特に、制度面の弾力化の点では、研究交流法の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいているということでございます。
#158
○太田淳夫君 大臣、科学技術活動につきましては、白書によりましても、この委員会でも今までも再三いろいろと論議になっておりますけれども、民間負担の研究費が大きくて政府負担が非常に少ない。国際的な視点から見ても政府研究開発費の対GNP比が〇・五四%という数字になっている。先ほどの政府負担のあれは一八%。そういった両方の数字を見ましても先進国の平均以下になっているわけであります。また、我が国の特許出願件数につきましては三十六万八千件と欧米諸国の二、三倍。一方、特許、実用新案などの権利譲渡、実施許諾等のいわゆる技術貿易の実績においては、輸出が三千六百億円、輸入が八千七百億円と輸入超過になっている。あるいは海外からの論文の被引用回数あるいは国際共著論文数、ノーベル賞受賞者数がいずれも少なくて基礎研究面が弱いこと、この不均衡が目立っているわけでございますけれども、こういったバランスを欠いた科学技術開発というのは国際的にもひんしゅくを買っている。今後早急に改善すべきじゃないかと思うんですが、大臣としてどのように対策を考えておられますか。
#159
○国務大臣(谷川寛三君) お説のとおりでございまして、これまでの状況を振り返ってみますと、お話のように全体の研究投資額の中で国の役割、一八%ぐらいでございますね。これに対して、アメリカは五割近いし、ドイツは三三%、それからフランスは五割近い、イギリスも四割近い。こういうことから基礎研究ただ乗りという非難を受けております。私は必ずしもそうとは思いませんが、これから見ますと、やっぱり民間投資はお金がかかる基礎的な研究よりも応用面に力を注ぐでありましょうから、私はバランスのとれた基礎研究、応用・開発研究投資をやっていかなきゃならぬと思っております。
 御案内の一月に出されました十八号答申、科学技術会議でもそういう点を強く取り上げられておりまして、これからは基礎研究を中心にうんと精出してやっていこうと。
 ノーベル賞のお話が出ましたが、ノーベル賞の制度ができましてから九十年たちますが、日本はたったの五人だと。アメリカは百五十九人、ドイツも六十人も出しております、イギリスは六十五人。毎年というわけにはいかぬかもしれませんが、二年に一遍ぐらいはノーベル賞の学者さんが出るような体制に持っていかなきゃならぬ、持っていく、こういう所存でやっておる次第でございます。
#160
○太田淳夫君 今科学技術会議の十八号答申のことにちょっとお触れになりました。この第一章に、「新世紀に向けてとるべき科学技術政策の基本的な方向」として、科学技術による国際社会と人類全体への貢献、これを基本的な考えとされまして、一つは「地球と調和した人類の共存」、二つ目は「知的ストックの拡大」、三番目は「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」、この三つの目標を掲げて、「積極的かつ総合的な科学技術政策を展開」することとしているわけです。一番目の「地球と調和した人類の共存」においては、地球環境問題等の人類共通の課題の解決あるいは開発途上国等への技術協力、研究協力への取り組み、これが問題となると思うんですけれども、この点につきましてはどういうような対策をとられるんでしょうか。
#161
○政府委員(須田忠義君) 人類共通の課題に対する取り組みということで、白書や十八号においては、代表的な人類共通の課題といたしまして、一つは地球の温暖化問題、オゾン層の破壊問題、砂漠化等のいわゆる地球環境問題、二つ目はエネルギー問題、それから三番目は食糧の確保の問題、これは二十一世紀初頭には百億になるといういわゆる地球人口増加に対する食糧の確保、それからあと資源の確保やリサイクル、こういう問題を人類共通の課題として挙げでございます。
 先生のおっしゃる、具体的に今何をやられているかということにつきましては、例えば地球環境問題への当庁の取り組みといたしましては、地球観測衛星の開発などによる地球の観測、監視、こういうものを強固に今推進してございますし、地球的規模の諸現象の解明研究、これは海洋開発の研究等でございます。それから、炭酸ガス等を発生しない原子力の開発なり炭酸ガスの固化の問題、そういうものを推進してございます。特に、地球温暖化の問題については、科学技術庁はグリーン・プラネット・プロジェクトとして、人工衛星や海洋からの観測、監視、諸現象の解明のための調査研究、観測データなどの交流促進を図っているところでございます。
 なお、エネルギー問題への政府の取り組みについては、昨年七月に内閣総理大臣が定めたエネルギー研究開発基本計画に基づきまして、関係省庁と連携しつつ、原子力を初めとする太陽、地熱、風力等の自然エネルギー等の研究開発に対する問題、これはエネルギー源の多様化の問題でございます。それから、各種省エネルギー技術の開発等によるエネルギー利用の効率化の問題などを推進してございます。
 なお、先ほど申しました食糧の問題、これについてもバイオを活用した食糧の増産の問題、それから資源のリサイクルの問題、こういう問題を実施してございますし、今後これをさらに発展させていくべきだというのが十八号の考え方でございます。
#162
○政府委員(長田英機君) 開発途上国への技術協力、研究協力にどのように取り組むのかという御質問でございますが、開発途上国の社会や経済の発展のためにはそれぞれの国情に合致した科学技術の振興発展を図っていくことが必要であるわけでございまして、こういう点から、我々といたしましては、完成された技術の移転ということのみでなく、研究段階からいろいろな協力をしていくことが必要だというふうに基本的に考えております。
 こういうような見地から、科学技術庁といたしましては、独自の制度でアジア各国の研究者を招くセミナーを開催しましたり、あるいは先方の研究機関との人材交流、共同研究を実施いたしましたり、さらに原子力分野、宇宙分野におきます協力を行うというようなことをやっております。
 また、国際協力事業団でございますが、ここの制度を活用いたしまして、研修員の受け入れとか専門家の派遣というようなことを実施しておるわけでございます。今後ともなお一層こういう面の仕事に科学技術庁として一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
#163
○太田淳夫君 六月にブラジルで環境サミットが行われますけれども、環境庁とか外務省が先頭に立ってやっておるようですが、これには科学技術庁としてはどういうような体制で取り組んでいるんですか。
#164
○政府委員(須田忠義君) 環境庁、外務省中心でやってございます。なお、科学技術の面については環境庁と科学技術庁が十分相談し、調整しながらいろいろの作業を進めでございます。
#165
○太田淳夫君 それから、「知的ストック」はちょっと飛ばしまして、「安心して暮らせる潤いのある社会の構築」、こういうことでありましたけれども、科学技術庁としてはどの点を重視して取り組む考えでみえるんでしょうか。人口高齢化問題の対応としていろいろと考えなければならない点がたくさんあろうと思うんですが、その点どうでしょうか。
#166
○国務大臣(谷川寛三君) 急速に高齢化社会を迎えつつあります我が国におきましては、科学技術の積極的活用を図ることによりまして今お話しの活力ある社会、経済を維持していくことができる、こう考えております。そのために、政府におきましては全般的な対策の基本となります長寿社会対策大綱を定めまして、これを踏まえまして当庁といたしましても研究開発を積極的に推進しておるところでございます。
 具体的に二、三例を挙げて申し上げますと、老化やリューマチ等、高齢者に対する病気の原因解明及びこれらの診断・治療技術等の開発に関する基礎的研究を理化学研究所でやっておるところでございます。それから、動脈硬化、高血圧等の発症の研究に使用するモデルになる動物、こういったものの開発を科学技術振興調整費を通じまして行っているところでございます。それから、アルツハイマー病等、遺伝子の異常に起因する難病の根本的解明に資するためのヒトの全遺伝子の解析、ヒトゲノムですが、これを理化学研究所でやっておるところでございます。
 こういうふうに、共通的、基盤的分野の研究開発を推進しておりまして、今後とも関係省庁と協力いたしましてこの分野における研究開発の一層の推進を図ってまいりたいと思っております。
 私は、実は方々で話をします際に、今までは宇宙開発とか原子力の平和利用、海洋の調査、こういったビッグサイエンスを中心にしてやっておりますが、二十一世紀はそれに今申しましたような研究が入ってくる、二十一世紀は人間科学の時代だと、こう言っておりますが、意を体しまして一生懸命この面で頑張る所存でございます。
#167
○太田淳夫君 今、理化学研究所でヒトゲノム解析を進めてみえるということでございましたが、このヒトゲノム解析における我が国の取り組みあるいは国際貢献はどういうような方向で取り組んでおられますか。
#168
○政府委員(井田勝久君) ヒトゲノムの解析というのは、ただいま大臣からお話がございましたように、がんでありますとかアルツハイマーでございますとか、こういった遺伝子の異常に起因する病気の診断・治療、あるいは生物の進化メカニズム等の生態機能の解明等に資する極めて重要な研究でございます。
 このヒト遺伝子でございますが、約三十億個と言われます膨大なDNA塩基配列をすべて解析するものでございます。従来、この解析につきましてはアメリカが一歩進んでおりまして、これまで我が国のこれを使った研究というのはアメリカ等の海外の解析材料や情報に頼っている部分が非常に多かったわけでございまして、こういったもので論文で成果を上げるというようなことがあったわけでございますが、三十億個と言われます膨大なDNA塩基、これを解析するということになりますと、やはり米国、さらにヨーロッパ、日本、こういったところの協力が必要になってくるわけでございます。
 そういう中で、我が国といたしましては、やはりまず基盤となります解析材料の開発とか調整、これをどういうふうにきちっとするか、あるいは塩基配列等の解析技術の高度化、機械化でございますが、自動的にできるようなシステムをどう開発するか、こういったことをきちっと進めていかなきゃいかぬ。そういうことで、長期的には我が国も三十億個のうちの相当部分を分担してこの読み取りをしていくとともに、こういったDNA塩基配列のデータベースというものを構築いたしまして、我が国のみならず世界の研究者に提供できるようなシステムが必要であろう、こう思っているわけでございまして、そういったための必要な基盤的第一段階の研究を本年度から理化学研究所を中心に進めようとしているわけでございます。
 それとあわせまして、現在のところ何といい幸してもヒト遺伝子の世界のデータベースはアメリカにございますが、それを積極的に支援するような活動、これも進めたいと思っているところでございまして、国際的な視点に立って、しかもこういった形で我が国におけるヒトゲノムに関する研究を進めたい、このように思っているわけでございます。
#169
○太田淳夫君 先ほど大臣からお答えいただきましたような研究をやはりこれからもどんどん進めていっていただきたいと思うんです。特にリューマチでも悩んでおられる方が非常に多いわけでございますし、ぜひとも研究の実を上げていただきたいと思います。
 ただ、この三つの目標の実現のためにはやはり政府が果たしていく役割は極めて大きい、こういうふうに私たちも認識を持っております。今後、政府の研究開発投資の拡充を図ること、これはいつもこの委員会でも論議されているところでございますけれども、それも大事でありますし、基礎研究の主要な担い手であります、また人材養成機関、国際的な科学技術活動の核であります大学、国立試験研究機関における研究費の問題、伸び悩みの問題もあります。あるいは施設、設備が老朽化している、あるいは陳腐化している。私たちもいろいろと各研究機関、大学等を視察させていただきましてそのことも痛感しております。あるいは要員の不足、研究者の高齢化等の問題、これもさきの委員会のときに私も申し上げたと思いますが、非常に早急に取り組んで改善することが必要であるわけでございますけれども、何分にもこれは予算が絡んでくる問題でございます。
 そこで、答申の中を見ますと、「時々の財政事情等を踏まえつつ、政府の研究開発投資額をできるだけ早期に倍増するように努める。」、こういう表現をされているわけですけれども、現在のような毎年数%という予算の伸び率で見ますと、特段の措置を講じない限りなかなか早期、数年というのは難しいんじゃないかと、その期間に倍増するというのは非常に困難ではないかと思うんですが、逆に考えますと、今後政府が研究開発に何らかのプライオリティーを置くことを暗示しているのかなとも思えるわけでございますが、この点はどのように考えたらよろしいんでしょうか。
#170
○政府委員(須田忠義君) 先生御指摘のとおり、これから科学技術政策、基礎研究の強化、国際貢献を非常に強力に推進していかなきゃいけないというのは、まさしく科学技術会議もそういう同じ認識でございます。ただ、この早期倍増という、先生の御指摘のプライオリティーを科学技術に置いていくのかということについては、早期に国家予算が倍増されるはずはないんで、科学技術関係にそれを早期に倍増しろということは、国の政策として科学技術にプライオリティーをもっと置けという意味と解釈しております。なかなか財政も厳しい折ですけれども、そういう方向に政府としても努力したい、そういうふうに思っているところでございます。
#171
○太田淳夫君 そこで、がん対策十カ年計画等ございますね。私たちの党もいろいろと今提言、提案をしているわけでございまして、せんだっても大臣に申し上げました。例えば、基礎研究につきましては基礎研究振興法というのをつくって、一つは基礎研究の定義、位置づけをする、二番目は研究者の育成、三番目は予算の確保を明確にする、そういった法律をつくって、そのもとで基礎研究振興十カ年計画というのをつくったらどうだろうかという褒言を申し上げておりますし、あるいは大学、国立研究機関の問題につきましては、大学・国立研究機関再建十カ年計画というのを策定して十分な研究費あるいは施設の整備、大学間の教育交流、あるいは大学、国立研究機関との相互交流などが柔軟にできるような体制をっくってやることが必要ではないか、こういう提言を申し上げているわけですが、その点はどのようにお考えになりますか。
#172
○政府委員(須田忠義君) 基礎研究の振興十カ年計画、また大学、国研等の施設整備十カ年計画、非常に検討に値する計画だと我々は高く評価しておるところであります。ただ、若干といいますか、もっとあれしたらかなり議論があるのは、基礎研究振興法で基礎研究の定義をどうするか。これはなかなかコンセンサスが得づらい。今の基礎研究というのは、概念は何かというと、特定の目的を持たない研究を基礎研究と称するといいながら目的基礎研究という言葉があったり、その辺いろいろな人からも今褒言されていまして、この概念も整理していこうというふうなことになっておりますので、そのこと一つとってもなかなか難しい問題があるということと、あと人文系をどうしていくのか。人文科学ですね。自然科学だけの基礎研究なのか、人文科学はどうするのか。基礎研究は理学部でやっているとすると、工学部関係はどちらかというと応用研究をやっているという説もあるんですが、そういうところをじゃどうしていくのか。いろいろ詰めなきゃいかぬ問題もあります。
 そしてもう一つは、先ほど申しました国立の研究施設、それについてもその部分だけの増強だけでいいのか。もっともっとやらなきゃいかぬことを研究しろと。例えば、施設のみならず研究費の増額、そういうことも全部指摘されているわけですが、それを全体的にどう考えていくのか。いろいろ議論しなきゃいかぬ問題が山ほどありまして、一つの選択肢として長期的に検討してまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#173
○国務大臣(谷川寛三君) 先ほど来から御質疑に出ておりますが、私どもは一月に出ました「新世紀に向けてとるべき科学技術の総合的基本方策について」という科学技術会議の答申を旨としましてこれから一層基礎研究の充実に努力していく在所でございますが、そういう折しも公明党から大変貴重な御提言をいただきました。この御提言の旨も十分参考にさせていただきまして施策を凝らしていきたいと思っております。
 問題は予算でございますが、今お答えしましたように、何年のうちに倍増するということもなかなか言いかねるのでありますが、来年度の予算も科学技術関係には若干ひいき目に財政当局も査定をしてくれておるように思うんであります。私は腹の中に持っておるのでまだ事務当局とも話したこともありませんしどことも相談したことがございませんが、例えばお話に出ている国立大学とか国の研究機関の施設の改善も、総体の額がわかりますから、これは何年間で改善していくということを、川とか道路とか空港なんかと同じようにできないものだろうかなと考えておりますが、そういうこともあれしながら、とにかく予算でございますから、できるだけプライオリティーを科学技術の面に置いていただきまして、できるだけ早く答申の旨に沿うような格好に持っていかなきゃならぬと思っておるところでございます。
#174
○太田淳夫君 予算要望はいろんなものがありますからなかなか難しいと思いますけれども、どうかめり張りをつけた予算編成というのを、大臣も大蔵省の御出身でございますので、これからいろいろと研究していただきたいと思っております。
 最後になりますけれども、十八号答申の中で、基礎研究を強化し、世界レベルの研究拠点、COEを構築すること等で国際貢献に資するということが重要な案としてありますが、我が国のCOEに世界のすぐれた頭脳が集まれば我が国の研究能力向上につながるわけです。その意味で我が国自身のためにも意義のあることだと思いますけれども、このCOEを国内で形成していくことについて政府としてはどのような構想をお持ちですか。
#175
○政府委員(須田忠義君) 十八号答申の趣旨は、我が国の基礎研究を強化していくためには当然大学、国立試験研究機関等、この辺の研究環境の改善を図れ、いわゆる総体的に基礎研究について強化していきなさいということが一つの柱でございまして、もう一つは、その一つの方法としてCOEを全国的に設置していって、そしてそこに設備を投入し、そこで研究の成果が上がるならば世界的に優秀な人もそこに集まってくる、それが国際的な研究交流の一つの手段だということが念頭にございます。したがって、それについて計画的に日本でその設置を図っていくということでございます。我々もその答申を受けて具体的にCOEの日本のこの後の展開の計画について議論していきたい、こう思っております。
 なお、我が国におけるCOE、センター・オブ・エクセレンスというのはどんなものかと、どういうイメージかということにつきましては、例えばこういうものじゃなかろうかというのが議論をされてございまして、一つは理化学研究所におけるリングサイクロトロンを中心としたいわゆる加速器の科学部門、あれなんかは日本が誇れるセンター・オブ・エクセレンスだと言えるんじゃなかろうか。それから、文部省の高エネルギー物理学研究所、これなんかもいわゆるトリスタンを中心とした一つのセンター・オブ・エクセレンスだと思いますし、あと分子生物系では文部省の岡崎の国立共同研究機構の中の分子科学研究所、あれなんかも一つの代表的なCOEかなというふうに考えております。いずれにしても、各省庁と今後相談しながらそういう展開をしていくことに努力したい、こういうふうに思っておるところでございます。
#176
○太田淳夫君 終わります。
#177
○吉川春子君 まず、国際機関の勧告の受け入れについて質問します。
 一九九〇年六月二十二日、ICRP、国際放射線防護委員会は、原子力発電所や医療施設で働く放射線作業従事者の年間被曝線量限度を現行の五十ミリシーベルトから二十ミリシーベルトに引き下げるようにIAEAとかあるいは日本など各国政府に勧告することを決めました。チェルノブイリの原発事故による地球規模の放射能汚染が世界じゅうの人々に放射線の危険について改めて考えさせたり、またイギリスのセラフィールドの核燃処理施設の周辺で子供の白血病がふえている問題とか、放射線被害が現実に引き起こされておりますけれども、同時に、そういうこととの絡みで原発に反対する運動が大きく盛り上がった。こういうことがICRPにも一定の影響を与えたのではないかと考えられますが、日本政府はこの勧告の受け入れについてはどういう態度で臨まれますか。どこまで作業が進んでいますか。
#178
○政府委員(坂内富士男君) ICRPの九〇年勧告に対する質問というふうに受け取りました。
 これの勧告でございますが、一九九一年四月に出されております。それで私どもとしましては、放射線審議会というものがございますが、その放射線審議会でICRP新勧告を国内法令に取り入れるに当たりまして、そのための検討を放射線審議会基本部会において行うこととしておりまして、この基本部会は勧告が出されるに当たりまして既に相当回数打ち合わせをやっておるところでございます。
#179
○吉川春子君 諮問されているということですね。
#180
○政府委員(坂内富士男君) 諮問ではございませんで、今その中身について鋭意検討を行っているというところでございます。
#181
○吉川春子君 例えばある報道によると、福井県では八八年度に原発作業従事者の〇・六%に当たる百十二人が年間二十ミリシーベルト以上、すなわち新しい基準値を超える被曝をしていると県が報告しているわけです。日本全体では新しい基準より被曝線量がオーバーしている労働者の数、率はどれぐらいになりますか。
#182
○政府委員(坂内富士男君) 今の御質問ですが、少しさかのぼりましてICRP九〇年勧告についてちょっと御説明したいと思います。
#183
○吉川春子君 いや、いいです、中身はもうわかっていますから。
#184
○政府委員(坂内富士男君) この九〇年勧告では二つの条件がございまして、五年間の平均値が年当たり二十ミリシーベルト、つまり五年間に百ミリシーベルト。それからいかなる一年間にも実効線量が五十ミリシーベルトを超えるべきじゃないということでございます。この今の条件でおわかりのように、現在はこういうデータの集積は行っておりません。
#185
○吉川春子君 ちょっと語尾が聞き取れなかったんですけれども。
#186
○政府委員(坂内富士男君) 失礼しました。
 この新しい勧告に基づくものによりますと、先ほどの御説明の繰り返しですが、結局五年間に百ミリシーベルトというような計算の単位になりますものですから、現在そのような集計を行っておりませんということを申し上げました。
#187
○吉川春子君 じゃ、それは集計を行って、今の被曝線量でどれだけそれをオーバーする労働者がいるのかという資料を別途提出してください。
 とにかく、ICRPは、日米合同調査会がまとめた広島、長崎の健康影響調査などを再評価して、低レベル放射線が遺伝的障害や発がんなど確率的な影響を起こす危険性というのは七七年当時考えていたよりも三倍も高いことがわかった、こういうふうに報道されているわけですが、七七年の基準を日本は八九年に受け入れているわけですね、十二年かかって。それもまた安全ではないということなんですけれども、七七年あるいはそれ以前の基準によって働いてきた労働者の健康状態というのは本当に心配なんです。こういうものに対する対策はどういうふうに考えておられますか。それとも何もしないんですか。
#188
○政府委員(谷弘君) 御案内のとおり、このICRPが出します限度基準というのは、これを超えると直ちに危ないというような状態ではございませんで、むしろ原子力活動をやっていきます際に、保守的に仮定をしてこれ以下で管理をしていこうという基準でございますので、過去にやってまいりました基準について国際的にもこれをさかのぼって見直す、あるいは医療的な措置が必要ということは考えておりません。
#189
○吉川春子君 全く冷たい答弁ですね。
 つまり、ICRPが決めたのはこれ以上絶対に超えてはならない、まずいんだという基準で、しかもそれを超える労働者が日本にはいっぱいいるんですよね。危険でなければその数値を三分の一以下に減らすとかそういうことはしないわけで、そういうものについて全く考えてないというのは、本当に日本の国民のためにある政府なんだろうか、こういうふうに私は思うわけなんです。
 大臣、今そういう統計の方法をしてこなかったとおっしゃられましたけれども、それは正確な数字が出されないということであって、今度の新しい基準にはいろんな矛盾もあり問題点もあるので、私たち一〇〇%ICRPがいいと言っているんじゃないんですけれども、しかしその基準値が確実に下げられますと、やっぱり今まで基準値をオーバーした放射線を浴びている労働者というのもいるわけだし、一日も早くできる限り低い被曝線量で働く条件というのもつくられなきゃならないと思うんです。そういう労働者に対して、被曝の障害を受けないようにするように政府は今後どういう対策を考えていかれるのか、国際基準の受け入れの問題とも絡みますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#190
○国務大臣(谷川寛三君) ICRPの勧告につきましては、従来より放射線防護の基本的な考え方を示すものといたしまして尊重してきておるところでございます。今お話がありました原子力発電所の放射線作業従事者の被曝総量につきましては、これを低減させることを基本方針として考えておるところでございます。このために原子炉等規制法等の関係法令に基づきまして事業者に対しましては厳しい被曝管理を義務づけておるのであります。今後とも被曝管理対策の適切な運用が図られるように努力してまいる所存でございます。よろしくお願いします。
#191
○吉川春子君 九一年の原子力安全年報によりますと、九〇年度の各原子力発電所の放射線業務従事者の線量当量実績はすべて年間五十ミリシーベルト以下であるというふうになっていますね。そして、これは電力会社並びに下請業者からの報告によるものですけれども、この数値は原子炉施設ごとのトータルの社員、下請労働者の被曝線量とその平均値が書かれているわけなんです。放射線影響協会、これは個人の被曝線量の登録業務をしている財団法人ですが、そのニュースによりますと、一人の労働者が年間二カ所以上、多い人だと六カ所以上原発の放射線業務に従事しているわけで、幾つかの原発で働くたくさんの労働者の個人の被曝線量のデータはここには出てないわけなんです、これは輪切りのように横割りで出ているわけですから。
 私は、特に幾つかのところを回って歩いて被曝線量の高い何人かの労働者の個人のデータを提出していただきたいと思うんです。これはもちろんプライバシーの問題ありますから氏名は全く必要ありません。全員出せと言っているんじゃなくて、何人か高い人を抽出して、個人のデータを出していただきたいと思います。
#192
○政府委員(坂内富士男君) 中央登録センターの管理している被曝データについてでございますが、中央登録センターとそれから被曝データを提出していただく原子力施設等の事業者でございますが、これにつきましては民事上の契約という形でデータを出していただくことになっておりまして、そういったことからデータをお出しできないということを御理解いただきたいと思います。
#193
○吉川春子君 そんなことは理解できませんよ。この後聞きますけれども、疫学調査も科技庁は委託している団体でしょう。その団体が国会議員が要求するデータを出せない。それで、はいそうですかということで科技庁は引き下がるんですか。
#194
○政府委員(坂内富士男君) 先ほどの繰り返しの答弁にならざるを得ませんが、中央登録センターの行っている被曝線量の登録管理業務、これは原子力事業者等と中央登録センターとの間の民事上の契約に基づいているということでもって、提出は差し控えさせていただきたいと思います。
#195
○吉川春子君 そんなお粗末な答弁で国会議員の質問に対する回答と言えませんでしょう。全く合理的な理由も何にもないじゃありませんか。
 放射線量の測定は原発の敷地内で行われて、そこに記録も残してくるわけですね。そして本当に被曝した量が正しくはかられて、そしてまたはかられたものが正しく記録されているということが担保される必要があると思うんです。かつて労働者が鉛筆で書かれた被曝線量を改ざんされることを恐れてボールペンで記入させよという運動を起こしたことがあったと聞きますけれども、被曝線量の改ざん、あるいは正しくはかられている、そういうことは絶対自信を持って言えますか。
#196
○政府委員(坂内富士男君) いわば被曝データの信懸性がどういうふうにチェックされておるかという質問と思います。
 これは、従事者の被曝管理につきましては、保安のための措置の一環としまして事業者が責任を持って行うように原子炉等規制法に定められております。そして、それにより事業者がこの規定を遵守しまして被曝管理を行っているということでございまして、当庁としましては、各施設における放射線管理の状況について定期的に事業者から報告を受けるとともに、職員を派遣しまして放射線管理が適切に行われていることを確認しておる、さらに必要があれば法令に基づく報告の徴収、立入検査等、必要な措置を講じていくこととしております。
 以上でございます。
#197
○吉川春子君 仕組みがそうなっているということでしたけれども、実際にそういうことがちゃんとチェックされているということじゃなくて、とにかく設置者側からの報告を信用していますということでしょう。過去にそういうものがちゃんと記録されていないので手入れをしたり改めさせた例なんかあるんですか。
#198
○政府委員(坂内富士男君) ただいまの規制法等に基づきます報告の徴収あるいは立入検査等によりまして被曝線量の管理方法の実態、それから放射線管理にかかわる記録の保存状況、放射線測定器の整備状況等について調査を行っておりまして、そういった放射線管理が適切に行われているということを確認しております。
#199
○吉川春子君 一度もごまかされたことはなかったという答弁ですね。私は放射線管理手帳のコピーを持っています。ある特定の方のものを持っています。これには健康診断の記録が書かれているわけなんですよね。
 それで、これはちょっと前になりますけれども、五十六年九月二十一日に健康診断しましたら、総合判定で血色素量増だと、そういう判定が下っているわけなんですね。つまり異常の判定が下っている。そしてその五日後にまた検査しました。そうしたらそれには異常なしということが書かれています。そして、最初の異常ありという総合判定をしたところの医療機関と二番目の医療機関とは違うんですよね。そして、これは当事者のお話を伺いましたら、この二番目の異常なしということを結論として出した医療機関は架空なものだったんです。こういう事実があるんです。これに限らないと思うんですけれども、たくさんある中の一つと思うんですけれども、こういうものをチェックする方法というのはあるんですか。
#200
○政府委員(坂内富士男君) 今の調査といいますか、そういったものにつきまして私はここで初めてお伺いしましたわけで、どこのどういった事例であるかということについて確信がございませんものですから、ちょっとお答えは控えさせていただきたいと思います。
#201
○吉川春子君 私が聞いているのは、こういう捏造された、でっち上げた医療機関によって異常なしという結果が記入されているものが現にあるんですね。これ、お渡ししてもいいですけれども。こういうものをチェックすることは、一般論としてでいいです、こういうものをチェックする方法というのはあるんですか。だれがするんですが。
#202
○政府委員(坂内富士男君) 先ほど職員を派遣しまして立入検査等を行うということを申し上げましたが、そこでわかるのではないかというふうに思われます。
#203
○吉川春子君 さっきいろいろ言われましたけれども、こういうことだって一件も発見していないじゃないですか。専門家をちゃんと派遣していると言っているけれども、一件も発見していない。今まで全部正確に行われたと言っているじゃないですか。だから、そういうチェック機能がちゃんと働いていない、そういうことなんですよ、私が指摘したいのは。大体これだけたくさんの、二十五万人から登録センターに登録されているわけでしょう。その人のあれが今まで一回も、そういうデータの改ざんもつかんでない。これはもう何もやっていないのと同じじゃないですか。
 私はちょっと労働省に伺います、時間の関係で。労働省お見えですか。――定検の際、立入検査を行いますね、臨検を行いますね。このときに事前通告なしで入った例がどのぐらいあるのか、その数を教えてください。
#204
○説明員(出村能延君) 原則として事前に通告して監督を実施するということはしておりませんが、一般的に入れないところ等がございますので、その直前に了解を求めるといいますか、そういうことはあると思いますけれども、原則としては事前に予告をして臨検監督を実施するということはございません。
#205
○吉川春子君 どちらが原則なのか、ちょっと確認します。
 原発の定検をやりますね。その期間中に入るわけですね、労働基準監督官が。そのときに事前通告なしで入るのか、事前通告をして入るのかということを聞いています。どっちが原則ですか。
#206
○説明員(出村能延君) こういった原子力発電所に限らず、事前に予告をして入るということはないというのが原則でございます。
#207
○吉川春子君 ちょっと、きのうレク受けたんですよ、ちゃんと。労働基準監督官の方が五人ぐらい来てやって、大体事前通告しなければ放射線の管理区域に入れないから全部事前通告するんだ、こういうふうにレクで言ったのに、その答弁を覆すんですか。レクで言ったこととこの会議場で言うことと全く反対のことを言うのはなぜなんですか。その理由からまず伺います。
#208
○説明員(出村能延君) 今申し上げましたのは、原子力発電所について監督を行う場合も一般的に言いまして予告はしないということを申し上げたんで、ただ、発電所の炉心付近等の管理区域内に入る場合、そういう場合には関係法令に基づきます原子炉設置者の管理規制もございまして事前に連絡をするということになろうかと思います。
#209
○吉川春子君 時間がないんですからね。労働省、労働者の立場に立つお役所でしょう。ごまかすような答弁はやめてください。
 炉心の近所に入って、被曝の線量の測定がちゃんと行われているかどうか、そういうことを定検でやるわけでしょう。だから大体全部事前通告をして入っているというきのうのあなたの部下の方の説明が正しかったわけですよ。そういういいかげんな答弁はやめてくださいね。
 それで、その定検のときの検査によって被曝線量がオーバーしているとかあるいは被曝線量によって死亡その他の例で労災が認定された件数がどれぐらいあるのか。数だけ言ってください。
#210
○説明員(出村能延君) 現在までに原子力発電所における被曝によります放射線障害として労災認定をいたしました事例は一件ございます。これは昨年、平成三年末に認定をしたものでございます。
#211
○吉川春子君 既定の放射線を、国際基準をオーバーして被曝しているとか、そういうもので摘発した例はありますか。
#212
○説明員(出村能延君) 私どもの監督指導の中でそういう事例は今までございません。
#213
○吉川春子君 ちょっと時間の関係で私が言いますけれども、労働基準監督官の数もきのう出してもらいました、各施設ごとの。もう本当に数が少ないですね。そして専門家もいませんね。だから、そういう状態の中で本当に原発で働く労働者の健康が守れるのか。もうそういうものを熟知している電力会社やそれをくぐろうとしているようなそういう人を相手にして本当に労働者の健康が守れるとは私は思えないわけなんです。
 それで、事前の安全教育の問題についてもう一つ労働省にお伺いしたいんですけれども、原発で働く労働者に対する事前教育のあり方にも私は疑問を持たざるを得ないんです。
 これは敦賀の原発の労働者からちょっとお借りしたものなんですけれども、ごく最近にその仕事をするために教育を受けた内容なんです。これは労働省の通達によると二時間、実技が一時間半やるというふうになっていますよね。私はこれを読んでみたんです。私もそんなに専門家じゃないですけれども一応科学技術委員会で何回か原発の質問をしている者ですが、非常にこれは読んでも難しいんですよね。それで、経験不問という形で集めてきた農村や漁村や一般の労働者に説明する内容としてはこれはなかなかわかりにくいんじゃないか。本当にその人の健康を、被曝から健康を守るための安全教育としてはちょっとどうかなという印象を持ったことと、それからこれを受けるために何時間かかかるわけです、労働省で基準を示していますけれども。それでほぼ一日終わっちゃうわけなんです。
 実は、この労働者は、このときはわからなかったんですけれども、同僚に相談したら一次系に入るのは危険だと言われてやっぱりやめたんです、入るのを。そうしたら今度その登録を解除するためにもう一日必要なんですよ、日にちが。だから少なくとも二日あるいは三日間そういうことで日にちをとられるんですが、原発の労働者というのは御承知のように日給月給のような形、日当ですよね。しかし、これについては一切お金が払われないわけなんです。その安全教育を受けるための日は日当も何も払われないわけなんですね。
 私が労働省に伺いたいのは、どういうような形で安全教育をされるのか、その責任が一体どこに、あるのか、その費用の問題も含めて。その件についてちょっと端的にお伺いしたいんですが。
#214
○説明員(下田智久君) ただいま御指摘の安全衛生教育につきましては、昭和五十九年六月に原子力発電所における放射線業務に係る労働衛生教育推進要領、こういうものを定めまして実施をいたしております。
 今お尋ねの労働衛生教育の実施主体者はだれかということでございますが、原則として放射線業務を行う事業の事業者、こういうことになっております。対象者はもちろん原子力発電所で管理区域内に業務上立ち入る労働者ということになっておりまして、先生御指摘のような時間数でわかりやすく教育をするというふうに考えております。ただ、教育効果を高めるという観点から、講師等につきましても十分に放射線防護に関する専門的知識を有している人、それから現場の状況を熟知していること……
#215
○吉川春子君 ちょっと簡単にお願いします。
#216
○説明員(下田智久君) そういった十分に経験を積んだ方に講師としてなっていただく。さらに実技等が必要でございますので、実物大の模型等を使いながら実際にやっていただくという格好をとっております。
#217
○吉川春子君 日当の点はどうですか。要するに、電力会社が責任を持つということですか、それとも労働者を送っている下請が責任を持つということですか。わかりやすく言ってください、どっちなんですか。それからその費用はだれが負担するんですか、そのときの日当です、労働者の。
#218
○説明員(下田智久君) 先ほど申し上げましたように、責任者は事業者ということになっております。したがいまして、事業者が責任を持って行うことになるわけでありますが、事業者にその能力がない場合には、元方でありますところの事業者でありますとか、あるいは設置者等にいろいろ援助をいただくというような形で実施をいたしておりまして、費用の点につきましては、事業者責任ということから、時間内に行うように指導しているところでございます。
#219
○吉川春子君 この点について大臣に一言お伺いします。
 今、教育の問題でも電力会社とかそういうところは責任を全く持っていないわけですよね。しかし、実際には原発のいろいろな問題についてやっぱりそこが第一義的に責任を持つべきで、下請業者に今一義的に責任を持たしているというのが労働省のお答えですけれども、これはまずいと思うんです。
 それで、やはり下請労働者というのが一番被曝もするんですよ。被曝線量がオーバーすると今度職場を失うわけなんですね。そういう矛盾と困難さを抱えているんです。だから、こういう人たちに被曝もさせないようにする、そしてその生活もちゃんと保障する、少なくとも教育の日当も個人持ちなんというようなそういう劣悪な条件はやっぱり改めていかなきゃならないと思うんですけれども、こういう労働者について、本来労働大臣の方がいいかもしれませんが、内閣を代表して科学技術庁長官に答弁を――いや、事務局じゃだめです。大臣の答弁を最後に伺いたいと思うんですが。
#220
○国務大臣(谷川寛三君) さっきお答えいたしましたけれども、労働大臣が所管でございますからなんでございますが、さっきも申しましたように、適切な運用が図られるように努力してまいりたい、こう思っております。
#221
○吉川春子君 最後に、放射線影響協会の疫学調査ということについて、放射線影響協会に疫学調査を科技庁が委託したんですけれども、先ほども答弁がありましたように、国会にも資料を提出しないようなそういう財団法人ですよ。役員の名簿を提出していただいたら、みんな原発推進の電力会社とか大企業とか、そういう方たちが集まっておられるわけです。そういうところに二十億前後のお金をかけて疫学調査をされるということなんだけれども、本当にこれは働く人たちの今後の、いろいろ放射線の害から身を守るためのそういうデータにしなくちゃならないと思うんです。原発の推進のためのデータ集めのためにこういうことをやっては絶対にならないと思うんですね。私は、この放射線影響協会の組織、目的、そこから非常に疑問を持つんですけれども、そういう本当に国民のために役に立つ調査になるんでしょうか。その点最後にお伺いします。
#222
○政府委員(坂内富士男君) まず、この放射線影響協会ですが、ここは公益法人でございます。それから、本会の目的はいろんな放射線の生物、環境に及ぼす影響等の知識普及云々ございますが、端的にこの疫学調査にあらわれていると思いますので、疫学調査の概要を少し御説明したいと思います。
 一口に申しまして、約二十三万人の原子力発電所等で実際に仕事に従事した人を対象にしまして、それらの方がどういうふうに一体被曝したかということを追跡し、そして死亡した場合にはその原因をとらまえまして、非常に低い線量の放射線の人体に与える影響について科学的知見を得るということを目的とするものでございまして、こういったことを行うことによって労働者の安全といったものが一層高められるものというふうに確信しております。
#223
○吉川春子君 時間ですので終わります。
#224
○星川保松君 私は、豪雪の中に生まれて、豪雪地帯で六十年を過ごしてまいりました。豪雪の問題について科学技術庁が取り組んでおるわけでありますから、豪雪の問題を質問してみたいと思います。
 夕べの天気予報などを見ておりましても、テレビにいわゆるお日様の書かれている太平洋側、それから雪だるまがずらっと並んでいる奥羽山脈の日本海側というふうにはっきり分かれて出ておるわけであります。きょうも私はその雪だるまの書かれているところに帰るわけでありますが、どのぐらいまた雪が積もっているかわかりません。私のところは山形県の尾花沢というところでありますが、多いときには積雪が二メートルございます。ひどいときはふぶきますと一週間ぐらいぶっ続けにふぶきまして、一メートルぐらいの雪がたちまち積もるというような状況のところでございます。
 それで、いわゆる災害の中にも、豪雪災害、それから風水害とか地震とか火山とか、いろいろな災害があるわけでありますけれども、雪以外の災害というのは大体一過性のものでありまして、惨たんたるその状況が報道されまして、その対策がとられるということが目に見える形で行われるわけでありますが、雪というのは我々があそこに住みつく前からもう何千年も降っておるわけでありまして、火山活動はいつ終わるかわからない、それは地下のマグマのことだからと、こういうことでありますけれども、いっ終わるかわからないのではなくて、もう終わりがないだろうというのがいわゆる豪雪災害であるわけでございます。そうしたことから、どうも豪雪災害に対して地域住民はもうあきらめが強くなってまいりまして、それから行政の方ももうなれっこになってしまって、どうもだんだん研究、対策等がおろそかに、薄くなっていくのじゃないかと懸念するわけでございます。
 それで、私たち日本のいわゆる豪雪地帯というのはどういう特徴を持っておるのだろうということを前々から関心を持ちまして、実は私は豪雪の年に北半球を一周したことがございました。それで、旧ソ連の方から入っていきまして、スウェーデンに行って、それからずっと南下してスイスまで行きまして、スイスから今度はフランスを通りましてアメリカのシカゴの方に行きまして、それでぐるっと回ってきたわけでございます。
 それで確認できたことは、日本のような豪雪地帯は、国土面積の五二%が豪雪地帯に日本はなっておるわけでありますから、こういう豪雪の降るところは世界に類がないということを確認してきたわけでございます。一世界どこに行きましても、山形は日本の豪雪地帯の大体真ん中だと思いますけれども、北海道から富山あたりまでをエリアにしますと。山形は北緯三十八度でございます。そういう低緯度で、しかも私どもの町は標高は百二、三十メートルしかありません。標高の高いところで豪雪の降るところはありますけれども、いわゆる平地で、しかも緯度がこんなにまだ低いところでこういう豪雪が降るというのはまず世界に類がないというふうに確かめてきたわけであります。そのために日本の雪というのは、緯度の低い暖かいところの雪でありますから、寒中は非常に軽い雪が降りますけれども、あとは極めて重たい、いわゆる重量としての害を及ぼすような雪でもあるということです。そういう大変な豪雪地帯を抱えている日本として、やはり世界一の豪雪地帯であるならば、その豪雪対策というものもやはり世界一でなくちゃ引き合わないわけでありますから、そういうものでなくちゃいけないというふうに考えてまいったわけでございます。
 そういう見地から、科学技術庁の雪対策の体制といいますか、それが果たして十分なんだろうかということを今まで大変疑問に思ってきたわけでございますが、まずその世界一の豪雪に対して科学技術庁はどういう体制で対策をしていらっしゃるか、そこからひとつお聞きしたいと思います。
#225
○政府委員(井田勝久君) 雪の研究につきましては、科学技術庁にございます防災科学技術研究所の新庄の雪氷防災研究支所がございます。それと長岡の雪氷防災実験研究所とございます。この二つを中心にして進められてきておるわけでございます。
 こういったことで、今お話しのように、雪害は大変大きな問題でございますので、この両支所におきましては、低温実験室でございますとか大型の雪崩の実験シュートでございますとか、屋根雪の処理実験施設等の大型の研究施設でございますとかあるいは積雪観測露場と、こういったものの観測施設を持っておりまして、雪害に関しまして基礎から応用、開発と幅広い研究をしているわけでございます。また、この両支所のほか、筑波に防災科学技術研究所の本所がございますが、ここの気圏・水圏地球科学技術研究部、こういう部におきまして地吹雪等の研究を各支所と協力して行うなど、防災科学技術研究全体として取り組んでいる、こういうのが現状でございます。
#226
○星川保松君 今お話ありましたように、長岡に研究所があって新庄にも研究所がある。私は新庄の研究所には近いものですから何回か行ったことがございます。前に行ったときの中村所長さんという方が今長岡の方の所長さんをなさっているそうで、大変熱心な方で、中谷宇吉郎先生の孫弟子ぐらいになるんだそうでございます。そういう中でいろんな研究を行っておるということでありますが、私はこの長岡の資料をちょっと見て大変気になることがあるわけでございます。
 それは、昭和四十一年度一研究室新設されまして、定員十四名になったわけです。それで、その後四十四年には十二名にこれ二名減っているわけです。それから今度四十七年に十一名、五十八年は十名というふうにだんだん減っているんです。これでは研究に差し支えるんじゃないか、拡充強化するんじゃなくてむしろだんだん減らしているというのはどういうわけか、そこのところをひとつ説明していただきたいと思います。
#227
○政府委員(井田勝久君) ちょっと詳しい当時のこと、四十四年となりますとかなり前でございますのでちょっとわかりませんが、ちょうど四十四年といいますと新庄の支所ができたときになろうかと思いますから、そういったことの兼ね合いもあったのではないかと思っております。ただ、私どもとしては、この雪の研究も非常に大事でございますので、長岡につきましては最近特別研究員という制度ができまして、優秀な方をある期間、二年ぐらい切りまして研究員として定員のほかに採用できるという制度ができました。こういった方も長岡には入っていただきまして、やはりこの雪の研究は大事でございますので、拡充強化しなきゃいかぬということで最近そういう措置をとったところでございます。
#228
○星川保松君 雪の研究というのは非常に大事だと私は思うんでありますけれども、私のところでことしは雪が少ないということだったんですが、屋根の雪がだんだん積もってまいりましてもう危険だということでこの間雪おろしをやりました。それで、やはり大変かたい重い雪が積もっておったわけでありますけれども、人夫さんを頼んで、それからおろした雪は、道路にしか落とすところがないわけですから、道路では車の邪魔にならないようにすぐ片づけなければなりません。それで機械も頼んで一回で八万円かかりました。これを多い年は三回か四回やらなければならないんですよ。
 私のところは市で大通りの両わきに流雪溝というのをつくってありまして、これでいわゆる農業用水を各分土地改良区から分けていただいて流して、雪をそこに流しているわけですよ。それがあるからよっぽどいいんですけれども、道路からトラックに運んで雪捨て場まで持っていかなくちゃいけない方もいるわけです。そういう人は恐らく一回十万ではおさまらないんじゃないかと思います。それがこの豪雪地帯全体に及ぶということを考えました場合、これは国民の、いわゆる豪雪地帯の住民の負担というのは大変なものなわけですね。それから今度は、各自治体ももう除雪のために何億円という金をつぎ込まなければならないわけです。これもつぎ込んだ金が何にもならない。雪が消えるとあの金は何だったのだろうというような金になるわけですね。
 そういう苦しみを豪雪地帯の人々は味わっておるわけでありますから、国土面積のうちの豪雪地帯の占める割合が五二%、そういうふうに高いというものの、人口比率はどうなっているか調べたことはありませんけれども、恐らく日本の人口もこの豪雪地帯から雪の降らないところに大移動しているんじゃなかろうかと。それに漏れずやはり私の住んでいる市はどんどん毎年人口が減っておりまして過疎指定されておるわけでありますけれども、出ていく人は、うちのところよりももっと雪の降るところに行った人は一人もおりません。全部やはり雪の少ないところに行っているわけですね。そういうこと老考えますとこれは大変な問題だなと、こう思うわけでございます。
 私どももこの研究所の視察に行ったりしまして、それぞれいろんな工夫をしているんですよ。それで、私も実は屋根の雪を片づけるのに何とかうまい方法はないかと思って三つの方法を試みていずれも失敗いたしました。
 一つは、この新庄の資料にありますけれども、雪がするすると落ちてきて道路とかほかの土地に行かないようにするには、屋根の傾斜角度と雪の走りがどういう関係にあるかというところが出ておりますけれども、これやってみて驚いたことは、いわゆる降り始めの雪、それから寒中の粉雪、それから今度春近くなってから降る雪、これは雪質が全部違うわけですよ。それによってこの走りが全く違うんですね。それで、あるときは滑ってきたのが全部ここでこう当たってその軒下に落ちるように設計してあったんですよ。ところが、はね越えてそれが道路へ行ったり、それから今度は落ちないでここへつかえたり、全然使い物にならないで、これはただ損をしましてもうやめました。
 それから、今度は屋根の上にパイプを通してそれに地下水を揚げたんですよ。それで雪が降ったら屋根からだっと水が流れるようにと思ってやってみたんです。そうしたら今度は、いわゆる屋根の水というのは上から下にすっと流れる分にはいいんですね。ところが、途中で雪でとめられてたまるんですよ。そうしますと、トタン屋根というのはこういうふうにつないであるんですね。このつないであるところが水につかりますと逆流しちゃう、全部。そしてうちじゅうがじゃんじゃん水浸しになったんですよ。それでこれもやめました。
 それから今度は、落ちた雪を解かそうと思ってうちの軒下にパイプを通しましてそこから水を落としたんですよ。そうしたら、隊とうちの間にそれをやったものですから、ところが雪というのは解けて固まって解けて固まってなくなっていくわけですね、春に。そのときに物すごい圧力がかかるんですね。それでそのパイプ、頑丈にしたはずなんですけれども全部ばらばらになってしまいました。
 全部もうお手上げで、結局大昔からの雪崩どめとうちの方で言いますけれども、雪どめをっくって人力でそれをおろしているわけですよ。いろんな工夫をしています。
 私のところに法務局の出張所がありまして、仙台の法務局の方で設計をして平らな屋根でつくったんですよ。それで幾ら降ってもそれに耐えられるという設計だったんです。そしてやりましたところが、初めの一、二年はよかったんです。後になったら、その平らな屋根に亀裂が生じましてこれはまた雨漏りですよ。それから一生懸命雪おろしをやっていました。いろんな工夫をやって、どうしようもないということで伝統的なやり方にみんな戻ってしまっているわけなんですね。
 そういう立場からこの研究のことをずっと見ていきますと、これでは私たち豪雪地帯での活用に到底たえられそうもないなという感じがするわけですよ。ですから、人員を減らすどころかもっとふやして、いろんな試験施設をつくって、それでもっといろんな場合を想定してやっていただきませんと、もう到底豪雪地帯の皆さんの頼りになるような防災研究施設にはならないんじゃないか、こう思いますが、これについてはどうお考えですか。
#229
○政府委員(井田勝久君) この防災科学技術研究所の雪害研究でございますが、大きく分けますと地域密着型の研究とそれから地球科学技術的な基礎研究、この二つに分けておりまして、今御指摘の点は地域密着型の研究をもっとやれと、こういう御指摘かと思っておるわけでございます。
 私どもとしては、今までこの新庄研究所で今お話のありましたような屋根雪及び家屋周辺の雪処理技術に関する研究、こういったものをしております。そういった研究で、最近増加しつつある大型建造物の雪氷防災対策に資するような研究ということで、そういった屋根上と地面の風速特性とか堆雪形状の相関あるいは大型屋根におきます屋根雪の積もり方、落ち方の特徴に関しまして研究を行いましたり、あるいは今関係省庁一緒に共同で降積雪対策技術の高度化をどうしたらいいかということで研究を進めておりまして、これにつきましては関係省庁協力いたしまして進めているところでございます。
 そういったことで、この研究を何とか充実させたいと思っておりまして、そういう形で今後とも、やはり地元の要望というのは何にしても大事でございますので、地元の方々の要望を聞きながらこういった地域密着型の研究というのを推進してまいりたい、このように考えているところでございます。
#230
○星川保松君 そのほか、予想しないといいますか、雪国の体験をしないともうわからないようないろんな問題がございます。
 もう一つ例を挙げますと、うちの方で最初消雪装置というのをつくったんですよ。いわゆる雪を消してしまうということで、井戸水の熱を利用してパイプで道路の両側に噴き出すわけです。これは非常によくきくことはきくんですよ。ところがそれをやりましたら、今度は銀行のような金のあるところは自分の屋敷に深井戸を掘ってそれで自分のところでやっちゃうわけですよ。そうすると、それよりも浅い近所の井戸は全部もう枯れてしまったわけですよ。そういうふうになると、やはりそれは干渉はできないし、権利はあるんでしょうし、自治体としてもこれは何とも言いようがないわけですね。それでもう枯渇状態で、消雪という装置は限度です。
 で、やはり先ほど言いましたような流雪溝ですね、今これが一番いいと思っているわけですけれども、これとて非常に運用が難しいんですよ。といいますのは、寒中になって気温がマイナス十度ぐらいに下がってまいりますね。そうしますと、入れた雪がゼリー状になってくるんですよ、さあっと。最初流しているうちに両方にこぶがつくんですね。二メーターぐらいの溝ですけれども、それの両側にこぶがついてくるんです。それでゼリー状になってぴたっととまるんですね。それを知らないでおりますと、その上に水を流したのが洪水になるわけですよ、物すごい。その洪水が今度床下浸水になるわけですね。私が市長のときにもこれで住民から怒られたんですけれども、もう大変な雪の質の変化、気温の変化によってそういうふうに変わってまいりますので、やはり溝さえつくれば、もう水を流しさえすれば雪が流れていくというような単純なものではないんです。ですから、そういうことで雪というのは非常に姿を変える。
 前に、私の町じゃないんですけれども、隣の町の学校の体育館がつぶれたことがありました、雪の重さで。そのときに県の教育委員会の方では、何センチでしたかちょっと忘れましたが、一メートル何ぼぐらいでしょう、積雪があったら雪おろしをしなさいという通知を出してあったんですよ。ところが、そこまでいかないうちにつぶれちゃったんです。それでその雪をよく調べてみたら、建築基準法じゃ一平方メートル二百十キログラムですか、それに耐えられるようにつくっておきなさいとなっているんですけれども、その冬の途中に雨が降ったんですね。降った雨が全部雪の中にしみ込んで凍っているわけです。だから比重がどんどん高くなっていったわけです。それでその指導の積雪量に達しないうちにそれがつぶれた、幸い犠牲者はありませんでしたが。そういうことで、私はそれ以来県の方に、それは雪に対する全くの無知じゃないかと、雪というのは単なる高さではかるなんというものじゃない、これはやはり比重を加味して警戒も出すようにしなくちゃいけないんじゃないかと言ったことがあったわけです。
 そういうふうに、もう降った雪はさまざまに変化をして、さまざまな害を及ぼすわけですよ。ですから、そういう事例はまだその所によって違うわけですから、住民が本当に使えるようなそういう研究というのは、やはりまだまだ広範囲にわたって広範な研究をしていきませんと本当に物になるような研究ができないんじゃないかという気がするわけです。
 それで、時間がとても三十分じゃなになんですけれども、雪の問題というのはもう各省庁にわたっているんですね。これは科学技術庁に聞いてもわからないと整言われたんですが、これから雪がだんだん降らなくなってきているのか。いわゆる温暖化によって雪が降らないのか、あるいは周期説によって降らないのか。それは科学技術庁のあれじゃ答えできませんというのでやめたんですが、それは気象庁の分野だというんですね。それから今度は道路の除雪、河川の融雪災害とか、災害が何にもないときでも融雪災害というのは必ずあるんですから。それからいわゆるダムの問題です、山の雪を利用する。それから住宅の問題、これは建設省。それから今度は、いわゆる農水省の林業と雪です。それから果樹なんかと雪の問題があるわけですよ。それから国土庁もやはり地域開発となれば豪雪の問題は当然出てくるわけです。それから今度、豪雪地を指定していろんな特例措置をしているわけですが、そうなると何か総務庁あたりも関係してくる。
 それから今度、雪国の小中学校あたりの子供たちにどういう雪の教育をしているかということで私は教科書から抜粋して調べたことがあるんです。大変これは寂しい限りでありますけれども、そういうことからしますと教育と雪の問題もある。それからスポーツと雪の問題もある。そうすると文部省ですね。それから今度は、豪雪地帯というのは保存食がなかなかできないわけですよ。それで漬物とか何かいろいろなものをつくる。簡単に保存食をつくるのはやっぱり塩漬けな人ですね。そうすると塩分を余計とるということで健康問題が出てくるわけです。そうするとこれは厚生省も関係してくるわけです。それから今度は、さっき私が言いましたように雪おろしに大変な金がかかる。そういうことについていわゆる税控除をしてくれるとかなんとかなりますと、それは大蔵省も関係してくるわけです。それから自治体についてのいわゆる交付税とか特別交付税とかという対象になっていますけれども、自治省が関係してくるわけです。ざっと見ただけで十の省庁が関係しているわけです。
 ですから、私はこれがみんなばらばらに雪対策、豪雪対策をやっているというのではやはりまずいんじゃないかという気がするんですが、これはどこか調整しているようなところがあるんでしょうか。
#231
○政府委員(井田勝久君) 現在、政府全体としては、豪雪地帯対策基本計画というのをつくりましてこれに基づきまして関係省庁協力してやる、こういう体制になっております。
 現在の豪雪地帯対策基本計画と申しますのは昭和六十三年の三月閣議決定されたものでございまして、全体から申しますと、「交通、通信等の確保に関する事項」でございますとか、「農林業等の振興に関する事項」でございますとか、「生活環境施設等の整備に関する事項」、「国土保全施設の整備に関する事項」、「雪に関する調査研究の総合的な推進及び気象業務の整備・強化に関する事項」、それから「特別豪雪地帯に関する事項」となっておりまして、これにつきまして政府全体として進めておりまして、全体の取りまとめは国土庁がやっているかと承知しております。私どもはこの中にあります第五項の「雪に関する調査研究の総合的な推進及び気象業務の整備・強化に関する事項」というような項目の中の一つとして研究開発の推進ということをやらしていただいているわけでございます。
 ただ、私どもといたしましては、いろいろこういったところでやっておりますが、新庄の支所にいたしましても長岡の研究所にいたしましても、雪に関する研究所としては非常にその地域にとって大事なものでございますし、それからそういった専門的なものというのは非常に少ないわけでございますから、その研究所自体は雪に関する有益なデータを持っておりまして、そういうものをいろいろな形で活用してやはり地域にお役に立つようにしなきゃいかぬということを考えております。そういう意味で、これからやはり地域の、例えば新庄の場合ですと周辺市町村の集まりのようなものがございますので、そういったところでいろんな御意見を聞きながらやはり地域に密着した研究をこれから進める必要があるのじゃないか、このように考えているところでございます。
#232
○星川保松君 今までいろいろ言ってきましたことは、いわゆる雪の害の方でありますけれども、これを生かしていこうではないかというようなことを今いろいろ言われているわけです。ただ、そっちの方もなかなか進んではおらないようでありまして、日本全国で何億トンの雪が降るか私は存じませんけれども、そのうちの果たして何十トン利用しているかわかりませんけれども、まだ本当に微々たるものだと思うんですね。いろいろ克雪とか和雪とか利雪とかという言葉を使いながら、何とかしようというような動きもあるわけですよ。
 確かに雪というのは、例えば山に降る雪というのはこれはもう春まで高いところに蓄えておくことのできる水資源なんだというふうに考えれば、これは利用しないはずがないんですね。ところが、それが今のところはどんどん解けて一挙に流れますから、結局川の堤防やいろんな施設をぶっ壊しながら、災害を起こしながら海に捨てられているわけですよ。そういうこともありますし、それからあるところではいわゆる雪室などをっくりまして、冷蔵庫の中に苗木なんかを入れておきますとこれは乾燥してだめになる、ところが雪室の中は湿度も非常にいいので眠ったまま苗が保存できる、それを適当なときに出して、季節外れのイチゴとかいろんなものを出すことに利用するとか、いろんな工夫をしておるようですね。ただ、そういうことをやっておるのもみんな個々はらばらにやっておるようなんですよ。だからそういう雪の利用、活用ということについても、私はできるならば科学技術庁あたりが中心になって、それで連携をとりながら、基礎的なデータを提供しながら、またそれを集めながら研究をしていくということをやっていったらかなりのものができるんじゃないか、こんなふうにも考えておるわけでございます。
 でありますから、いわゆる世界一の豪雪に対してはやっぱり世界一の対応をしなくちゃいけないという認識に立ってこれから科学技術庁は頑張ってほしいということが今回の質問の趣旨でございますが、長官から一言感想をお伺いして終わりたいと思います。
#233
○国務大臣(谷川寛三君) 私も何年か前に豪雪の時期に青森県へ雪害調査に参りました。私は高知県でございますが、南の者には想像もできないような状態でございました。豪雪地帯に住む多くの人々の御苦労につきましては、ただいま星川先生からるる承りました。そういうお話も承りながら、豪雪につきましての研究を進めていくことが本当に大切なことだと改めて認識をしているところでございます。御指摘がありましたことも十分踏まえまして、今後とも一層雪害の研究には力を注いでいきたいと考えておるところでございます。
#234
○委員長(及川順郎君) 本件に対する本圧の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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