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1992/04/06 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第4号
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1992/04/06 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 科学技術特別委員会 第4号

#1
第123回国会 科学技術特別委員会 第4号
平成四年四月六日(月曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         及川 順郎君
    理 事
                岡部 三郎君
                藤田 雄山君
                三上 隆雄君
                太田 淳夫君
    委 員
                岡野  裕君
                鹿熊 安正君
                後藤 正夫君
                山東 昭子君
                水野 茂門君
                前島英三郎君
                吉川 芳男君
                穐山  篤君
                稲村 稔夫君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                吉川 春子君
                星川 保松君
                小西 博行君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       谷川 寛三君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      林  昭彦君
       科学技術庁長官
       官房審議官    山路 順一君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   岡崎 俊雄君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   須田 忠義君
       科学技術庁科学
       技術振興局長   長田 英機君
       科学技術庁研究
       開発局長     井田 勝久君
       科学技術庁原子
       力局長      石田 寛人君
       科学技術庁原子
       力安全局長    坂内富士男君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大平 芳弘君
   説明員
       科学技術庁原子
       力安全局原子力
       安全課防災環境
       対策室長     漆原 英二君
       科学技術庁原子
       力安全局核燃料
       規制課長     大森 勝良君
       外務省国際連合
       局原子力課長   貞岡 義幸君
       資源エネルギー
       庁長官官房省エ
       ネルギー石油代
       替エネルギー対
       策課長      上田 全宏君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   篠原  徹君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電安全管
       理課長      荒井 行雄君
       特許庁総務部国
       際課長      植村 昭三君
   参考人
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事
       長        石渡 鷹雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出度要求に関する件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について(総理府所管
 (科学技術庁))
○研究交流促進法の一部を改正する法律案一内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(及川順郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 去る三月二十五日、予算委員会から、本日一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(及川順郎君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成四年度一般会計予算外二案の委嘱審査のため、本日の委員会に動力炉・核燃料開発事業団理事長石渡鷹雄君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(及川順郎君) 本件の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○岡部三郎君 平成四年度の科学技術庁の予算についての委嘱審査でございますが、総額で五千五百十七億円余ということで、対前年比にしますと五・六%のアップ、一般会計だけだと五・七%のアップということで、これは何か十一年ぶりの高い伸び率だそうでございまして、科学技術を中心とした国際貢献、あるいは基礎研究を中心とした日本の科学技術の振興といった国民的な課題にこたえるためにも大変喜ばしいことである。こういうことで、大臣初め科技庁の皆様方の御努力に対して心から敬意を表する次第でございます。
 しかしながら、一方で、民間企業における研究開発投資というものは平成元年度が一三・四%、平成二年度が一六・九%というすさまじいばかりの高い伸び率でございまして、このままの状況でいくと、この官民格差というのはさらに拡大するばかりでなくて、先進主要国の中における研究費の政府負担割合は国防研究費を除いても日本が最低であるわけでありますが、さらにこの差が大きくなって技術摩擦が激しくなるということになりかねないわけであります。
 また、大学や国立研究機関の研究施設が大変荒廃しておりまして、そのため優秀な人材の育成確保にも重大な支障を来しておるというふうに聞いております。大変御苦労をいただきましたが、決してこれだけで満足すべきものではないわけで、さらに一層の御尽力を賜りたく存ずる次第でございます。
 大臣はお若い時分に大蔵省の科学技術担当の主計官もされました、いわば財政通であられるわけでございます。こうした状況を今後どのように打開して日本の科学技術の振興を図っていくべきか、お考えをお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(谷川寛三君) 豊かな経済力と世界有数の科学技術力を有するに至りました我が国といたしましては、持てる経済力と科学技術力を活用いたしまして、あるいはそれらを一層強化しながら、科学技術によりまして国際社会と人類全体のために貢献していかなければならぬ、こう考えております。
 このために、今お話がありましたが、まず大学、国立試験研究機関等の研究環境を改善いたしまして、その研究開発能力を強化するなどによりまして我が国の基礎研究を拡充強化し、その成果を世界に向けて発信し、人類全体の知的な財産の蓄積に貢献していくことが、これは大変重要な我々の使命であると考えております。また、各国とも協力しながら、人類の生存を脅かしかねない地球環境問題とかエネルギー問題、食糧問題等の解決に科学技術面から積極的に取り組んでいく、こういう覚悟でございます。
 このような認識のもとに、今後の科学技術政策を積極的かつ総合的に展開していきたいと考えております。
 今予算のお話をいただきましたが、及川委員長さん初め諸先生方の大変なお力添えを賜りまして、厳しい財政状況の中でございましたが、平成四年度の予算もめり張りのきいたものができまして大変感謝申し上げておるところでございます。一月に出ました科学技術会議の十八号答申によりましても、この科学技術投資の中での政府の、国の役割をもっと認識してやっていかなきゃいかぬ、できるだけ早く国民総生産の中に占める科学技術研究費の割合も倍増していかなきゃいかぬ、こういう意味の答申をいただいております。なかなか財政事情、そのときどきのありますけれども、私ども今申しましたように格段の努力をこれからしていきたいと思っております。
 特に私、これはやれるからと思って事務当局に指示してございますが、国立大学それから政府関係研究機関の施設の改善でございます。これは全体の老朽度と申しますか、そういうあれがわかりますから、これを公共事業並みに何年計画で改善を図っていく、これをひとつ各省庁と協力しながらやっていこうじゃないか、こういう計画でおりますので、またいろいろ御支援を賜りたいと思います。
#8
○岡部三郎君 そういうことで、ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。
 次に、原子力開発について若干御質問をしたいと思います。
 先般、原子力安全委員会は美浜の事故につきまして最終的な結論を発表されました。その中で、今回の事故の直接の原因は、振れどめ金具の不適正な施工であり、これが経年変化の結果こうした事故につながったものとしておりまして、原子力発電所の経年変化を踏まえた維持基準の見直しをすべきだと指摘をされておられるわけでありますが、具体的にはこのことはどのような内容を考えておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#9
○政府委員(坂内富士男君) お答えいたします。
 美浜の原子力発電所の事故でございますが、幸い環境に影響を与えることがなく、原子炉の健全性にも影響がなかったということで、安全は基本的に確保されたものというふうに考えておりますが、ただ、原子力の安全確保におきましては、それのみならず、製作、運転、保守、管理等、あらゆる段階で細心の注意を払いまして予防、保全等を行うということで高い信頼性を確保することが重要というふうに認識しております。
 このような観点から、今般、原子力安全委員会におきまして、同種の事故の再発防止あるいは今後の安全対策の一層の向上というためにその対策について結論が取りまとめられたところでございまして、先生御指摘のとおり、高経年炉が今後増加するということを踏まえまして、施設の維持基準の一層の充実、定期検査項目の見直しを援言しております。
 それで、これまでも原子力安全委員会としましては、個別の定期検査の実施について行政庁から逐一報告を受けております。各機器の経年変化、保修状況、そういったものを報告を受けて把握してきたところでございますが、今回の美浜の事故を踏まえまして、例えば蒸気発生器の技術基準の整備、定期検査における振れどめ金具の挿入、据えつけ状況の確認、伝熱管の管支持板部における変形にかかわる検査の実施、こういったものを行っていく必要があるというふうに考えております。
 現在、これらを含めまして行政庁において具体策の詳細な検討が行われているというふうに承知しておりまして、原子力安全委員会としましては適宜その実施状況を確認していくとともに、経年変化に対応した維持基準、それから定期検査項目の見直し、そういったものの基本的な考え方について審議していくということで積極的に対処してまいりたいというふうに考えております。
#10
○岡部三郎君 具体的には行政庁の方で早急に対応策を立てられるということでございますけれども、安全委員会としても今回の事故の教訓を十分フィードバックして安全性の一層の向上に資するように適切な御指導をお願いしたいと思います。
 次に、三月二十四日にチュルノブイルと同型式の黒鉛減速軽水炉であるロシアのレニングラード発電所で事故が起きたということで大変心配をいたしたわけでございますが、幸い環境に放出された放射性物質もわずかであり、周辺環境に大きな影響を及ぼすようなものではないということがわかりまして安心をいたしたわけでございます。現在日本からも調査団が現地に赴いているようですから、さらに詳細な状況がわかると思います。
 昨年のロンドン・サミットでも議論されたようでございますが、現在旧ソ連あるいは東欧諸国内の原子力発電所の中には、このように相当安全性の面で懸念されるタイプのものがあるというふうにも聞いておりまして、これについてはIAEAでも安全評価を今進められておるようでありますけれども、我が国においてもこれは万一事故が起きたら大変でございますから、その安全性確保のために資金、技術両面でやはり積極的な協力をしていくべきである。また、中国等近隣諸国の原子力施設の安全性に関しても同様な扱いをすべきだと思います。これについて御意見をお伺いしたいと思いますが、時間も限られておりますので、このことを強く要請しておきたいと思います。
 この事故の報道に当たって、当初レベル三と言われ、その後レベル二と修正されたわけでありますが、いずれにしても、IAEAの国際的な評価尺度で直ちに世界に報道されたということによりまして、チュルノブイルのような深刻なものではないということがわかって無用の混乱が起きなかったということは大変によかったと思うわけであります。
 原子力施設の事故というのはこれはあってはならないことでございますが、万一生じた場合には、このようにわかり。やすい形で的確に評価をし、迅速に公表するということが極めて重要だと思うわけであります。聞くところにょりますと、我が国の影響度評価尺度というものがこうした国際的な基準と若干異なる点があるということで、国際尺度を導入する方向で今検討しておるというふうに聞いておりますが、ぜひ一日も早くそのような対応をしていただきたいと思います。これについても強く要請をいたしておきます。
 そこで、東西冷戦の終結によりまして今や世界は核軍縮の方向に向かっておる。これはまことに歓迎すべきことであると思うわけでありますが、一方で核兵器や核兵器の解体に伴って発生するプルトニウム等の核物質を適切に管理、消滅させる、あるいは関係の科学者、技術者の流出により関連技術が拡散することを防止する、こういうことが十分にできるかどうかということが、今や世界の平和と安全を左右するまことに重要な問題になっておるわけであります。
 そこで、特に核兵器関連の科学者、技術者に平和利用の分野に転換してもらって活躍をしてもらうために国際科学技術センターという構想が提唱され、我が国も資金面でこれに協力する方針が既に決められているわけでございますが、私は資金面だけでなくて、やはり我が国がこれまでに培ってきた平和利用の技術をこの際積極的に提供して、その面における日本の実績と決意を世界に示すべきだと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#11
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のございましたように、技術の面をもって協力するということにつきましては極めて重要なことであろうかと認識しておるところでございます。大量破壊兵器に関係します技術と知識を有します旧ソ連の科学者、技術者に対しまして平和的活動に転換する機会を提供することを目的といたしました国際科学技術センターでございますが、ここで行われる具体的プロジェクトにつきましては、現在のところ原子力分野のプロジェクトを含めまして具体的な議論は行われていないところでございまして、今後センターが正式に発足いたしまして理事会が機能する段階で議論されていくものと承知しておるところでございます。
 今後、具体的なプロジェクトに関しましては、まさに今先生御指摘のような、我が国のこれまで培ってまいりました技術等をも踏まえまして私どもの立場からいかなる協力が可能となるかということにつきまして検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#12
○岡部三郎君 それでは、原子力に関する質問はこれで終わりまして、次に宇宙関係について御質問したいと思います。
 本年は国際宇宙年でありますし、宇宙開発の分野においても我が国に対する国際的な期待というものは大変大きなものがあると思うわけであります。本年九月には毛利さんがスペースシャトルに搭乗して各種の宇宙実験を行うことになっておりますし、また来年初めには国産技術によるHUロケットでの大型衛星の打ち上げが始まる。また、数年後には地球観測プラットフォーム衛星、ADEOS等の打ち上げも予定されておるわけでございますが、こうしたスケジュールは今回の予算においても予定どおり実施できるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
 先ほどの理事会で、この二月十一日に種子島から打ち上げられましたふよう一号の合成開口レーダーアンテナが、これはなかなか展開をしなかったわけでありますが、九十度まで展開をしたという御報告がありまして、これは大変にうれしいニュースだと思っておるわけでございます。やはり私はこういう宇宙開発というのは、国民に夢を与えるという面において非常に大事なものであるばかりでなくて、我が国の将来にとっても最も重要な先端技術開発分野でありますし、特に人類最大の課題とも言える地球環境問題を解明して世界に貢献する大事な使命を持っておるものでありますから、ぜひ強力に推進をしてもらいたいと思います。
 このふよう一号の状況等もできましたら御説明をいただき、今後の推進方針について御説明いただきたいと思います。
#13
○国務大臣(谷川寛三君) せんだっての二月十一日の最後のHTロケットの打ち上げには、委員長を初め理事の皆様方、種子島へお越しいただきましてまことにありがとうございました。その節は残念でございましたが、今お話がありましたように、それで打ち上げましたふよう一号もどうやら完全な格好で動き出したようでございまして、おかげさまだとうれしく思っておるところでございます。詳しくは後でまた事務当局からお話しいたしますが、今回部先生お話しのように、宇宙は私も人類の夢と希望の源泉であると思っております。その開発は国民生活の向上に大いに役立つばかりではありません。我が国の科学技術発展の牽引力ともなるものであること、申し上げるまでもございません。
 こういった観点からいたしまして、今後とも地球的規模の環境問題の解決に向けました地球観測の推進、二トン級の静止衛星を打ち上げる能力を持っておりますHUロケットの開発等、社会や国民のニーズに適切に対応していく所存でございます。また、宇宙ステーション計画等、我が国の国際的地位にふさわしい国際協力を積極的に推進していきたいとも思っております。それからまた、日本版のスペースシャトルでございますHOPEの開発も進めてまいります。それからまた、先のことにはなりますが、私も夢として督励をしておりますが、東京−ワシントン間を一時間で結ぶスペースプレーンの研究開発にも取り組んでおるところでございます等々、積極的に宇宙開発を推進していく所存でございます。
 さらに、今お話しのようにことしは、人工衛星を用いた地球観測等による地球環境問題への取り組み、それから次世代を担う若者を対象としました宇宙に関する教育普及活動等の推進、こういったことをテーマといたします国際宇宙年ということになっております。我が国におきましても、この間プレ会議をやりましたが、アジア・太平洋地域の宇宙開発関係者が一堂に会しますところのアジア・太平洋国際宇宙年会議も主催したい。こういうことなど、各種の行事を予定しておるところでございます。
 私は、国際宇宙年であります本年を宇宙開発元年といたしまして、決意も新たに我が国の宇宙開発利用の一層の発展を図ってまいりたいとかたい決意を持っておるところでございます。
#14
○政府委員(井田勝久君) ふよう一号の現状について御説明申し上げたいと思います。
 地球資源衛星ふよう一号につきましては、合成開口レーダーのアンテナの第一段階の展開が予定どおり行われておりませんで、大変御心配をかけたところでございますが、四月四日に至りまして第一段階の展開が行われたとの信号を得たところでございます。このため四月四日、五日にかけまして姿勢データ等も詳細に解析いたしました。そして、この解析によりまして間違いなく第一段階の展開が行われたと判断されるに至ったわけでございます。
 今後、衛星の状況をよくチェックいたしまして次の段階の展開の作業に入りたいと思っておりまして、ふよう一号が当初の目的を達成できるよう努力していきたい、このように考えているところでございます。
#15
○岡部三郎君 最後になりましたが、最近新聞紙上等でよく話題になっております知的所有権の問題についてお聞きをしたいと思います。
 最近、日本のカメラメーカーがアメリカの企業から特許料の支払い訴訟を起こされて一億三千万ドルという大金を払って和解したというケースがありますが、このほかにも特に日米間で知的所有権紛争が多発しておるわけでございます。この背景を考えますと、基本的には日米間に基礎技術の面で大きな格差がある。アメリカで発明された基礎的なアイデアを利用して日本のメーカーが製品をつくり大きな収益を上げておるケースが少なくとも今までは相当あったと思うわけでありまして、米企業や発明家がこれに対して知的所有権に着目してその分け前を要求してくるということは、ある意味では当然のことかもしれないと思います。
 ただ、この問題は、もう一つの大きな原因として両国の特許制度の違いがあるように思います。日本は御案内のように先願主義であるのに対して、アメリカは先発明主義である。しかも、外国人に対しては出願日をもって発明日とすると決められているように、先発明の権利を認めていない。また、特許の範囲が非常に広くて、ちょっとしたアイデアでも特許の対象になる。さらに、陪審制に持ち込むことによりまして技術なり特許制度のいわば素人が審判することになりがちだとか、また訴訟費用が非常に高いためによほど勝てる見込みのあるものでないと今回のように示談になりがちな傾向がある等々、どうも我々の目から見ますと芳しくないことが多いように思うわけであります。
 こういう状況下でこの紛争がますます激化するということは、これは日米関係にとっても決して好ましいことではないわけでありますので、政府としてもいろいろ対策は講ぜられていることだと思いますし、特に昨日から浦安で、国際工業所有権保護協会というんですか、AIPPIの世界大会が開かれておるという時期でもありまして、そこでも当然議論されることだと思いますが、ぜひひとつ強力な交渉をしていただきたいと思います。
 このことにつきまして、特許庁の御説明なり長官の御意見がございましたらお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#16
○説明員(植村昭三君) 知的所有権の役割が高まるにつれまして日米間で特許権をめぐる紛争が生じていることは承知しております。かかる紛争は一義的には民間企業間の問題ではございますが、これらの背景の一つといたしまして、先生御指摘のとおり、日米間の制度あるいは運用の差が挙げられていることも事実でございます。このような各国間の特許制度あるいは運用、こういったものをできるだけ調和のとれたものとするために現在ガットあるいはWIPO、世界知的所有権機関の略称でございますが、こういった場におきまして精力的な交渉が続けられているところでございます。
 現状でございますが、ガットにおきましては、主としまして途上国におきます保護水準の引き上げを目的とした、例えば特許期間であるとかあるいは特許対象等に関する規定と同時に、先生御指摘のございました米国における先発明者主義の差別的適用の是正、こういった項目の是正を求める規定も含まれておりますいわゆるダンケル提案が昨年の暮れに提示されたところでございます。このダンケル合意案、これは参加各国の五年間にわたる交渉の妥協の産物でございまして、いずれの参加国にとりましても不満の残るものとなっているわけでございます。
 具体的には、我が国にとりましては、先願主義の規定が合意案に盛り込まれなかった、こういった点が非常に不満なところでございますし、また米国にとりましては、先願主義の義務化は免れましたものの、現行の米国特許法のもとでの先発明者主義の、これも先生御指摘の差別的適用、こういった問題点の撤廃が求められた点も不満となっているところでございます。
 一方、WIPO、世界知的所有権機関におきましては、一九八五年以来国際的に調和のとれた特許制度あるいは運用の実現を目指しまして条約づくりの議論が続けられておりますが、ここではガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、TRIP交渉でございますが、ここに規定されております特許期間であるとか特許対象に加えまして、まさに先生御指摘の先願主義への統一、また合理的審査期間等、厳しい審査期間の設定、こういった議論がされておりまして、この条約採択のための外交会議の日程がことしの秋までに決定されることになっております。
 政府といたしましては、今後ともこれらの国際的な制度あるいは運用の調和への取り組みに積極的に貢献いたしまして、先願主義への移行も含む国際的な特許制度の調和の実現に向けて努力してまいりたいと思っております。
#17
○国務大臣(谷川寛三君) 知的所有権の取り扱いにつきましては、ただいま特許庁の方から説明がありました。
 これまで我が国は欧米の科学技術の成果をベースにしながら積極的な研究、開発、利用を行いまして今日の経済力と豊かな国民生活を実現した、こう思っておりますが、今後は二十一世紀に向けまして基礎研究の推進に格段の力を注いでいくことが必要ではないか、このように考えております。
 基礎研究の推進によりまして我が国から新しい原理、現象や理論、独創的な新技術等、こういった人類共通の知的な財産を多くの世界に向けて発信いたしまして広く国際社会から高い評価を得ることが可能になる、こういうふうに考えております。それとともに、国際間で生ずる科学技術面のさまざまな問題の緩和にも資することができる、こう考えているところでございます。このために関係省庁が協力しながら基礎研究の主要な担い手であります大学、国立試験研究機関等の研究環境を先ほども御答弁申し上げましたように改善いたしまして、その研究開発能力と人材養成能力を強化していかなければならぬ、このように考えております。
 こういった考え方に立ちまして、当庁といたしましては今後とも基礎研究の強化に最大限の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#18
○岡部三郎君 終わります。
#19
○三上隆雄君 それでは私から、一応通告では四件ぐらいの通告を申し上げておりましたが、時間の範囲内で質問していきたい、こう思っております。
 その前に、先ほど報告がありました地球観測衛星一号、ふよう一号の合成開口レーダーアンテナの故障の状況が好転して一時進展したという朗報を聞きまして、将来に大きな期待を寄せるわけであります。どうぞ関係者一層努力されて、成功を期待したい、こう思います。
 それでは、具体的な質問に入るわけでありますけれども、日本が経済大国をなした大きな基はやはり日本の科学技術の発展、それが寄与したことが大なりと思うわけであります。特に電力関係の、エネルギー関係の開発が世界の先端を行っているという、そういう情報すらあるわけであります。しかしながら、石油エネルギーから原子エネルギーに、いわゆるクリーンなエネルギーにかえようとしている国の政策に若干疑問がありまして、具体的に地元のことを含めて質問を展開してまいりたい、こう思います。
 実はさきの質問で、三月六日に私が、国民の合意を得る、地元民の合意と理解を得るために科技庁及び県あるいは事業者が一体となって県民のPA活動をしているわけでありますけれども、私はPAとは判断しがたいわけでありますけれども、その方法について確認をしました。その質問については、三月いっぱいで御回答を願いたいというような公開質問状が青森県の婦人団体から県に出されておりました。
 それを私は、その質問自体を科学技術委員会の名において私の立場から質問をしたわけでありますけれども、その後の経過が私にも回答がございません。三月末から、もうきょうは六日であります。回答がないわけでありますが、その点の経過についてお尋ねをしたい、こう思います。
#20
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘の公開質問状、「放射線の扉を開いてみませんか」というパンフレットに対する一部の方々の御質問、それが公開質問状という格好になっておるわけでございますが、これに対する回答ぶりといいますか、対応をこの場でも先生が御質問なさいまして、それにつきましては、三上先生と私どもで御相談しながら取り計らうということにした次第であることは今先生おっしゃったとおりでございます。さらに、私ども三上先生と御相談いたしまして、本公開質問状は団体の方々から青森県に対しまして出された公開質問状でございまして、三月の期限と申しますのはその公開質問状の中に記されておる期限であるわけでございます。
 青森県に対しまして出されておる公開質問状であるわけでございますので、私ども先生にいろいろお答え申し上げるに際しましては、青森県の対応の様子を見ながら、県の回答の状況を踏まえながら対応させていただきたいということを先生にも申し上げ、先生もさようでよかろうということをおっしゃったところであろうと認識しておるわけでございます。
 現在、青森県の状況を私ども見守っておるところでございますけれども、今県の回答の時期につきましては確たる見通しはないようでございますけれども、少なくとも今後数週間を要するというような状況であろうとも承っておるところでございます。
 以上のような状況を踏まえさせていただきまして私どもとしましても対応させていただきたい、かように考えておるところでございます。
#21
○三上隆雄君 一口で言えば三十秒ですぐ回答できるものを大分言っていますけれども、実はこの「放射線の扉を開いてみませんかしというこれをテキストにして、いわゆる県民の知識のそう高くない層を対象に、そう言ったら失礼かもしれぬけれども、そういう方たちに説明している。私は、基本的には、日本の原子力政策に対して異論を唱えている学者を説得することが国民の合意を得られる一番手近な方法だと思うんです。それをあえてしなくて、末端の県民を抱え込もうというか、そういう考え方に私は問題がある、こう思うわけであります。
 それで、この本の内容について、技術的に世界の最高の技術者が集まっている科技庁の皆さん方と議論する必要もないし、これは議論してもどうにもならぬわけでありますけれども、政治的というか、その手法に私はいろいろ問題がある、こう思うわけであります。
 しからば、これに対する回答を三月三十一日で出せないというその最たる理由はどこなんですか。私はこの委員会で、科技庁として私にお答えくださいよということを言ったわけですよ。そのことに答えない。じゃ答える部分はどの部分があるんですか。
#22
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 先ほども申しましたように、この公開質問状は一部の団体の方々から青森県に出された公開質問状でございますから、その内容をそっくり私どもが先取りいたしましてこの場でお答えしますことにつきましては必ずしも妥当ではないんじゃないかと判断したところでございますけれども、この公開質問状に書かれております内容のうち、一般的な内容のものにつきましては当然いかなる場においてもお答えすべきものと、私どもかように認識しておるところでございます。
#23
○三上隆雄君 一々この内容についてやったらきょうの時間では間に合いませんから、次の問題に入りたいと思います。
 これも前回の質問にさかのぼっての質問になりますが、米軍機F16が実弾を投棄された事故はこの間の質問である程度答弁がありました。しかし、あの施設に対して実弾もしくは飛行機本体が墜落してもあの施設は耐え得るような、安全を確保できるような設計になっているのかという質問には、なっているというお答えがありましたけれども、その施設ごとにお答えをいただきたいと思います。
#24
○政府委員(坂内富士男君) 六ケ所の原子力関連施設の航空機に対する安全対策いかん、こういう御質問というふうに承ります。
 これは従来御説明申し上げているとおりでございますが、原子力施設のあるところと、いわゆる航空機の関連する施設あるいはまた空港、基地、こういったものの位置関係でございますが、これにつきましては、まず南方約二十八キロ離れたところに三沢空港、三沢基地があるということ……
#25
○三上隆雄君 いや、位置はどうでもいいんです。その施設に墜落した場合どうかと聞いているんです。
#26
○政府委員(坂内富士男君) それから南方約十キロメーター離れた位置にはいわゆる天ケ森の射爆場があるということでございまして、まず三沢空港と基地につきましては、関連の施設から距離が離れているということと加えて、離着陸の方向、それから航空機が原則として原子力施設上空を飛行しないというふうに規制されるということで、その影響がその施設に及ぶことは考えられません。
 それから、天ケ森の射爆場につきましては、非常に多数回の訓練飛行が行われているわけですが、その可能性は極めて小さいわけですが、多数回行われているということを配慮しまして、仮にエンジン故障を起こして航空機が衝突したとしても壊れないように設計するというふうになっております。
 また、この安全審査におきましては実弾の搭載というものを想定してございませんが、これは訓練で使用するのは模擬弾であるということを関係機関から確認しているということでございまして、こういったトータルの審査内容から航空機に対して安全上問題ないというふうに考えているところでございます。
#27
○三上隆雄君 飛行機が飛ばないとか実弾が爆発しないとか、そういうことを聞いているんじゃないんです。もしあの施設に実弾が落ちた場合にどうか、飛行機が墜落したときにその建物が安全なのかという、それに耐える建物なのかということを聞いているので、簡単に言ってくださいよ。
#28
○政府委員(坂内富士男君) エンジン故障を起こした訓練機が衝突しても壊れない設計ということでございますが、防護方法としましては、航空機の構造的特徴を考慮しまして、エンジンの衝突による貫通を防止でき、航空機全体の衝撃荷重による鉄筋コンクリート等の全般的な、全体的な破壊を防止するための堅固な建物、構築物で防護対象施設を適切に保護する、そういった方法を用いることにしております。
 なお、設計条件としましては、航空機全体の衝撃荷重、エンジン重量等については、航空機にかかわる条件をもとに余裕を見て設計しておりまして、衝撃荷重としましては、航空機総重量二十トン、速度百五十メーター・パー・セックから求まるものを用いております。
 なお、防護設計の方法としましては、実績のある機関でなされた実験で確認された評価式を用いまして、適切と認められる文献及び規格によりまして航空機の構造特徴を考慮し作成するとされておりまして、また防護設計に当たっては開口部等に適切な配慮がなされておる、こういうことで航空機に対する防護設計は妥当なものというふうに判断しております。
#29
○三上隆雄君 なかなか早口で、我々もともと知識のない者にそんな答弁をされてもわかりませんけれども、じゃ実弾が落ちても飛行機が落ちても、それは絶対安全だということなんですね。じや例えば屋根の厚さが幾らで外壁の厚さは幾らなんですか。
#30
○説明員(大森勝良君) ただいまの御質問に少し説明を加えさせていただきたいと思います。
 今局長からの答弁がありましたような設計条件になっているということを安全審査におきまして確認したわけでございますが、それが具体的な数字として設計に反映されているということの確認は、指定を受けた後にございます施設の設計、詳細な設計でございますが、それと工事方法の認可という規制の段階がございますが、その段階におきましてそのとおりになっていることを確認するという形になっておりますので、現時点でまだ設工認の段階に入っておりませんことから、具体的な数字につきましては現時点ではお答えできない状態になっております。
#31
○三上隆雄君 具体的な設計がまだできていないということ、これは予算的にも何も試算できないじゃないですか。ただ文法的な今のような説明、防護に耐えるような、速度に耐えるような、その荷重に耐えるような、それで安全審査で合格した、審査のパスを受けたんですか。
#32
○説明員(大森勝良君) 具体的に総予算がどれくらいであるかということは事業者は推算しておるところでございますが、安全規制の側といたしましては、安全審査申請書におきまして記載された条件、これを確実に履行しているということを先ほど申し上げました後段の規制でもって確認するということでございます。その申請書自身がまだ出てきておる段階じゃない、すなわちまだ再処理につきましては指定を受けていないわけでございますが、そういう段階におきましてはまだ私どもの手元に来ていない、具体的な数字は来ていないということでございます。
 ただ、ちなみに参考程度に我々思っておりますところだけを申し上げますと、一メートル前後の壁厚、天井厚というふうなことに当然なっていくだろうというふうには思っております。
#33
○三上隆雄君 例えば一メートルのその壁の厚さで、実弾が投下された場合、これは安全装置を解除していないから爆発しないという前提だからそうだけれども、爆発した場合には一メーターで耐えるものなんですか。私は素人です、少なくともあなた方は我々よりも専門家でしょう。断言できますか。
#34
○説明員(大森勝良君) 局長からの答弁にありましたとおり、実弾を持って訓練飛行しているということではありませんので、それは想定しておりません。
#35
○三上隆雄君 じゃ確認しますけれども、実弾ではそれに耐えるとは断言できませんね、実験していないんだから。
#36
○政府委員(坂内富士男君) 先ほどの答弁でるる御説明申し上げましたように、周囲の飛行機の飛行状況等から見まして実弾がその施設に飛来するということは想定していない、こういうことでございます。
#37
○三上隆雄君 私の答弁に確答してくださいよ。そこに落ちる落ちないは別なんですよ。落ちた場合には、それは想定していないということなんでしょう。落ちないということを想定しているんでしょう。落ちた場合は答弁できないんですね。
#38
○政府委員(坂内富士男君) この原子力施設の安全審査におきましては、どのようなことが起こるかどのようなことが起こらないか、可能性がどうであるかということを逐次検討しまして、そしてその可能性のあることに対しましていかなる防護措置がとられておるか、あるいは周辺の環境ないし住民に対してどのような影響があるか、こういった審査の段階になろうかと思います。
 そういうことから、この実弾に関しましてはその可能性がないと、こういう。ことでございます。
#39
○三上隆雄君 いや、事故というものは可能性があって起きるものじゃないですよ。可能性がないところに起きるのが事故なんです。ですから、私は国民の一人として、その施設は爆弾が投下されても飛行機が墜落しても絶対に爆破されないようなそういう頑強なものをつくっていただきたいことを強く要望しておきます。
 それから、四月の三日に高レベルの放射性廃棄物貯蔵管理施設が認可されましたけれども、これについて簡単明瞭に説明してください。
#40
○政府委員(坂内富士男君) 御質問の趣旨は、廃棄物の管理事業の許可に相当するものと思いますが、これにつきましては、再処理を海外に委託しまして、フランス及びイギリスでございますが、そこから高レベルのガラス固化体が返還されることになっておりますが、それのいわゆる貯蔵施設と申しますか、管理施設、その施設の許可を行ったというものでございます。
#41
○三上隆雄君 それじゃ私から項目ごとにお尋ねしていきたい、こう思います。
   〔委員長退席、理事太田淳夫君着席〕
 五月下旬着工ということですけれども、それに相違ありませんか、五月下旬。
#42
○政府委員(坂内富士男君) 現段階では許可を行ったわけでございまして、その後の行為としまして、申請者からこの許可後に原子炉等規制法に基づきまして設計及び工事の方法の認可申請といったものが次の段階としてあるわけでございまして、その申請をまだ私ども受け取っておりませんものですから、今後のスケジュールにつきましては今何ら具体的なことを申し上げる段階にございません。
#43
○三上隆雄君 科技庁からの報告ではそのように書かれておりますけれども、それも定かでないようですが、それでは、ガラス固化体がこの保管の方法として世界で最もすぐれた方法だと言われておりますね。日本が今イギリス、フランスへ委託している廃棄物、それがどういう形で今保管されているんですか。ガラス固化体となって今保管されているんですか。返還廃棄物はいつの時点でガラス固化されるんですか。
#44
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今の先生の御質問でございますけれども、我が国の原子力発電所からの使用済み燃料をイギリス及びフランスの再処理施設に向かいまして運び出しておるということは御承知のとおりでございます。それでイギリス、これはイギリスのBNFL、原子燃料公社、あるいはフランスの場合COGEMA、フランス核燃料公社でございますが、の再処理施設に入りまして、入ってしばらくの間はずっとそこで、プールの中で冷却されも、そういうことになるわけでございます。そのときはずっと使用済み燃料のままの形であるわけでございます。
 それが御承知のように機械的に切断され、あるいは科学的に内容物が分別されまして、ウランが燃えて発生いたしますプルトニウム、あるいはウランの分別片たる核分裂生成物、これはストロンチウム90、セシウム137等々といった、非常にたくさんございますが、それと燃え残りのウラン、いわゆる元素ウランでございますが、等々に分別されるわけでございます。その再処理が行われまして、再処理の中で高レベル廃液ができるということになるわけでございます。
 その高レベル廃液を、これは廃液ができましてすぐのタイミングでガラス固化するということもございますし、それから高レベル廃液を一部そのまま……
#45
○三上隆雄君 簡単に言ってくださいよ。
#46
○政府委員(石田寛人君) そのまま高レベル廃液を保管しておきまして、ガラス固化プラントに入れるということになるわけでございます。ガラス固化につきましては、以上のようなプロセスをもちましてガラス固化体になるというように御認識いただければ幸いでございます。
#47
○三上隆雄君 今回の計画によりますと、当面千四百四十本の施設に対する許可をしたということでしょう。そして七年から操業するということでしょう。もはやガラス固化の状態でフランスにあるということでないと冷却して運搬するという状態にならぬでしょう。ですから、現在ガラス固化したものがフランスとイギリスに何本あって、どういう状態であるのかを答えてください。
#48
○政府委員(石田寛人君) 現在、御承知のようにフランスでは再処理が進められておりまして、そこから出てきます高レベル廃液につきましては一部ガラス固化体になりつつあるところでございます。したがって、今フランスに何体のガラス固化体、特に日本から参りました使用済み燃料から出ました高レベル廃棄物を溶かしたガラス固化体が何体ありますか、それは私ども承知していないところでございますけれども、御承知のように、我が国がこの施設におきまして受け入れますがラス固化体の数は一千四百四十本であるわけでございます。
   〔理事太田淳夫君退席、委員長着席〕
#49
○三上隆雄君 それでは、現在フランス、イギリスに何本あるかわからぬですか。フランス、イギリス自体の廃棄物のガラス固化体はその実績としてどのぐらいあるんですか。
#50
○政府委員(石田寛人君) 先ほど私は我が国からのものにつきまして何体あるかはっきり認識していないと申しましたけれども、今の状況は、我が国の使用済み燃料を再処理して出てきました高レベル廃液につきましてはいまだガラス固化していないものと認識しておるわけでございます。
 ただし、フランスの再処理施設におきましては、我が国以外のものにつきましてのガラス固化体をそれぞれ現在ガラス固化中であると認識しておりまして、その詳しい本数につきましては承知いたしておりません。
#51
○三上隆雄君 それならガラス固化する、固化体にする技術が確立していないんじゃないですか。少くなくとも青森県六ケ所で再処理したものについては、永久貯蔵するために三十年から五十年も冷却しないと永久保存できないような状態のものなんでしょう。それを輸送船で、恐らく船で持ってくるんでしょう。今のうちにつくっておいて冷却したものを持ってくるという状況でないと移動できないじゃないですか、これからつくるのであれば。
#52
○政府委員(石田寛人君) 御質問でございますけれども、ガラス固化体はずっと発熱し続けるわけでありますけれども、直後はかなり発熱するものであるわけでございます。今御質問のように、ガラス固化体は施設に受け入れましてから御質問のように三十年ないし五十年貯蔵するわけでございますけれども、それほどの長い期間貯蔵しなければならないようなガラス固化体しかつくれないから我が国のあるいは世界の再処理技術あるいはガラス固化技術が確立していないかというと必ずしもそうではございませんで、フランスはフランスの方法で、我が国は動力炉・核燃料開発事業団が開発いたしました方法で高レベル廃棄物のガラス固化の技術はそれぞれ確立しているものと認識しておるところでございます。
#53
○三上隆雄君 このような状態では、私どもは少なくとも素人の考えで確立しているとは思えませんね。
 それからもう一つ、これは政治的なことですけれども、少なくとも青森県知事は最終処分地を決めないうちは許可しないという考え方を持っているわけであります。最終貯蔵地の選考はどうなっていますか。
#54
○政府委員(石田寛人君) 高レベル廃棄物の最終処分地のことにつきましてお答え申し上げますと、実際今申し上げましたように、ガラス固化体が発熱しておるものである関係上、三十年ないし五十年の間冷却することが必要でございまして、その後最終的な地層処分を行う、そういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、その六ケ所村の高レベル放射性廃棄物の貯蔵施設はあくまで冷却のための貯蔵を行うということのための施設でございまして、最終的な処分場とは関係のないものでございます。
 なお、最終処分地の選定につきましては、現在動燃事業団が進めておりますところの地層処分技術の確立を目指しました研究開発の成果等を踏まえまして、適切な時期に風が決定する実施主体より将来慎重に行われることになるものと承知いたしておるところであります。
#55
○三上隆雄君 今までの答弁を聞く範囲ではまだその最終貯蔵する技術も確立していないということなんだ。したがって、最終保存はできないという代物なんですよ。
 ですから、この原子力政策というものに各国が、エネルギーそのものは、おこす自体そのものには、これは経済性もあるし、あるいは温暖化に寄与する部分では、少ないかもしれない、そうとも言えないけれども、そう言われておりますね。やっぱり廃棄物が一番問題なんですよ。その廃棄物を処理するということが私は一番重要な課題だと思います。
 それからもう一つ、電力新報社というこの雑誌社は、これはどこのものですか。これは何という雑誌社なんですか、電力新報社という。これは私が買ったものじゃないんです。私に送ってきたものです。恐らく電力関係者の本だと思いますけれども、この中にこんなことを書いているんですよ。著名なある国立大学の先生でございます。この先生が語ったことですよ。
 「“事実”は事実として語ること。説得は反対派には通じない。「公正さ」「フェアネス」の態度が必要だ、と何処へ行っても言っているのだが、実らないのは残念だ。」この教授が言っていることですよ。その次に、「原子力は“必要悪”などの言動を採ったらいかがだろうか。原子力しかテがないのでやっているのだと、“必要悪”のことを言ったら大衆の同情が得られよう。それなのに「安全だ」「安全だ」と言うので反発をかってしまうのだ。(電力会社の中堅幹部の人々は)私の意見を理解しているのだが、“上の人”は判っていないようだ。意識改革が必要である。」こう言っているんです。
 必要悪なんだ、日本のこの科学文明を謳歌するためには原子力エネルギーも必要なんだと。しかし廃棄物は大変なものが出てくるんだ、それはどこかを犠牲にしなきゃならぬのだ、そのことを言ったら、犠牲にならない地域は賛成に回って、そこの一部の人は反対に回るという論理なんだよ。これを青森県の人が知ったらどうですか。
 原子力というものがそういう問題があることだから、私はシンポジウムをやるのに少なくとも反対者の学者を入れてシンポジウムをやっていただきたいということをいつもいつも言っているんですよ。なぜそれをやれないんですか。
#56
○政府委員(石田寛人君) 今の先生の御質問に対してお答え申し上げます。
 まず、電力新報のその先生の言い方でございますけれども、これにつきましては、いろんな専門家、いろんな言い方はあろうかと思います。私どもは原子力エネルギーは我が国の将来のエネルギー供給の上から非常に重要な役割を果たすべきものと考えておるところでございます。それで、必要悪というよう宣言い方で今先生おっしゃいましたような、一部の地域に危険性をしわ寄せするというようなことは厳に慎むべきことと、かように考えておるわけでございます。
 高レベル廃棄物の貯蔵ということにつきましても、これは説明の仕方がなかなか難しいわけでございますけれども、広い意味におきます安全な貯蔵ということにつきましては、全く見通しのないものとは認識していないところでございます。ただ、具体的な貯蔵の道に向かいまして動燃事業団が一歩一歩研究開発を進めていっておる、かように御理解賜れば幸いであるわけでございます。
 賛否の学者がいろんな格好で議論を闘わせます、シンポジウムでございますが、これはこれまでにもいろんな試みがなされました。非常に議論の形成上有効なときもございますし、そうでないときもあろうかと思います。それは具体的な個々のケースによりまして判断すべきこと、かように考えておるところでございます。
#57
○三上隆雄君 ですから、その学者を説得し得ないものを、子供だましのような説得をして県民の合意を形成させるというそういうやり方はやめて、やはりそれは大変なエネルギーの損失なんですよ、青森県にとっては。こんなことに我々も神経費やしたくない、エネルギーも費やしたくないんですよ。ですから、反論する人が反論できないようなそういう手だてを科技庁がやることです。そうすると皆さん合意しますよ、それでないとだめですよという状況ができますから。
 これについても回答できないということは、そういう陰に面倒なことが、複雑なことが介在しているから回答できない、即答できないんでしょう。私はそう思いますよ。この機会に、時間も過ぎましたけれども、その後にはっきりした回答を提示していただきますことを要望して終わります。
#58
○竹村泰子君 私はプルトニウム関連の質問を幾つかさせていただきたいと思います。
 十キロあれば原爆がつくれると言われるプルトニウムですけれども、これは長崎の原爆がプルトニウムであったことはそのとおりなんですが、これを日本は大量に扱う社会になりそうですね。秋にはフランスから最初の荷が着くわけですけれども、あと十年にわたって英仏から計三十トンぐらいのものが戻ってくると言われているわけですが、国内で再処理が進めばどのぐらいの量になるんでしょうか、後でお答えいただきたいと思います。
 プルトニウムに関しては、経済的な見通しが立たない、核拡散につながりやすいということから、アメリカはもう既に計画を放棄しています。現在、プルトニウム利用に熱心なのは日本とフランスとイギリスぐらいと言われておりますけれども、新聞報道によりますと、イギリスの核燃料会社が建設中の新鋭の再処理施設THORP、日本の電力会社十社が再処理を委託しているとされておりますが、事実ですか。
#59
○政府委員(石田寛人君) イギリスのBNFLのTHORP工場には日本の電気事業者がそれぞれ委託契約をしておるところでございます。
#60
○竹村泰子君 十社ぐらいが再処理委託をしているというのは事実ですか。
#61
○政府委員(石田寛人君) 十社と申しますのは、九電力に加えまして日本原子力発電のことであろうかと思いますが、いまだ原子力発電を開始していない会社もございますけれども、それぞれ将来のことを考えまして委託契約をしておる、かように認識しておるところでございます。
#62
○竹村泰子君 イギリスのサセックス大学の研究員でありますバークボウトさんという方、この方が英仏の再処理施設は九〇年代に米ソの核弾頭の量に匹敵する、つまり約二百トンのプルトニウムを産すると言っています。フランスのスーパーフェニックスも増殖はやめて燃やすだけに変える方針であるというふうに聞いておりますけれども、しかるに、私この問いただきました核燃料リサイクル専門部会の九一年八月にお出しになった報告書によりますと、「核不拡散への取り組み」というところがあるんですね。この核不拡散への取り組みということで、もちろん日本は核不拡散条約あるいは国際原子力機関などに、誠実に履行してきたということから、核燃料のリサイクルの利用は回収されたプルトニウムの利用を前提としているというふうになっているんですね。
 我が国における今後の核燃料のリサイクル計画、そういうものをちょっと簡単に説明してください。
#63
○政府委員(石田寛人君) 先生御承知のように、我が国の核燃料リサイクル政策と申しますのは、原子力発電所で燃えて出てまいりました使用済み燃料を再処理いたしまして、そこでできますプルトニウム及び残っております減損ウラン等をさらに利用していく、そういう基本的な方向で位置づけられておるわけでございます。
 それで、全体の量的バランスでございますけれども、とりあえず二〇一〇年ごろまでのプルトニウムの需給について申し上げますと、一つといたしまして、高速増殖炉実験炉の「常陽」及び原型炉「もんじゅ」におきまして十二トンないし十三トン程度のプルトニウム、これはいずれも核分裂性プルトニウムでございますが、プルトニウムを必要とする。それから高速増殖炉実証炉及び実証炉以降の炉におきまして十トンから二十トン程度、それから新型転換炉原型炉「ふげん」及び実証炉におきまして十トン弱、それから軽水炉によりますプルトニウム利用で約五十トンということになりまして、都合総需要量は八十トンから九十トン程度ということになるわけでございます。
 一方、二〇一〇年ころまでのプルトニウムの累積の供給量といたしましては、動燃事業団が運転しております東海再処理工場から約五トン、それから六ケ所再処理工場からは約五十トン、それから海外の再処理委託から先ほど先生がおっしゃいました約三十トンということでございまして、総供給量は約八十五トンということになるわけでございまして、需給はバランスしておるわけでございます。
 ただ、これは現在八十五トンあるものをぱっと使っていくというわけではなくて、それぞれの時点におきましてバランスしながら推移していくものと、かように考えておるところでございます。
#64
○竹村泰子君 この報告書を拝見しておりますと、八ページのところにも今おっしゃったように、いわゆる高速炉、FBRを将来の原子力発電の主流にすべきだというふうに御報告があるんですね。私がきょうプルトニウムの質問をさせていただこうと思いましたのも、つまりプルトニウムは冒頭に申しましたように十キロで原爆が、原爆の規模にもよりますけれども、つくれるほどの大変危険なものですが、つまりプルトニウムは原発の運転に従って生成されるわけですね。そして使用済み燃料を再処理することによって取り出されるわけですね。
 その後の核のごみをどこへ持っていくのか。これは今三上さんの御質問にもありましたとおり、最終処分地は決まっていないわけです。危険なものは遠くへ持っていこうということで北海道がねらわれているわけですけれども、幌延の周辺町はほとんどすべて反対の決議をしています。アメリカは再処理の困難性、コスト高、あるいは安全技術上の問題でこれをもうあきらめているわけです。
 きょうは動燃の石渡理事長に無理を言ってお願いしておいでいただきましたけれども、理事長が福井県で発言をしておられます、増殖炉を宣伝し過ぎたかと。これは昨年の十一月一日のことですけれども、将来的に増殖炉の技術を確保するため開発は進めていくが、これまで日本が燃料を燃やすと言い過ぎたかもしれない。日本の高速増殖炉開発の路線見直しともとれる発言をなさったというふうに出ております。
 そしてまたことしの二月十五日にも、これは日経ですけれども、同じく理事長が、「もんじゅ」について臨界がおくれる、時期未定というふうに言っておられるんですね。そして同時に、旧ソ連の核兵器転換に日本も積極的に賛成すべきだというふうなことを発言なさっておられますけれども、理事長、これはあれですか、高速増殖炉をアメリカもやめているし、コストも高いし、安全技術上も問題だし、ちょっとどうかなと揺れておられるんですか。
#65
○参考人(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 まず、増殖ということを余りに強調し過ぎたのかなという発言についてでございますが、我々動燃事業団は高速増殖炉の開発も含めましてある使命を持って設立された機関でございまして、高速炉の開発を進めている、また現在その原型炉「もんじゅ」が完成した段階にあるということは事実でございます。ただ、高速炉の特質は高速中性子を十二分に有効に使うという炉でございまして、その一つの副次的な効果として増殖ができるということがございます。
 高速増殖炉の開発の初期におきましては、世界的に核分裂性の燃料、すなわちウランが非常に不足してくるであろう、その時期に備えてプルトニウムの利用ということを考えて高速増殖炉を開発するんだというのがそもそものスタートでございました。資源が足りなくなるかもしれない、したがって炉によってふやしていくんだ、そういうことで非常に夢の原子炉と言われたわけでございます。
 ところが、先生御高承のように、世界的な原子力開発利用が当初よりはその程度が低く進んでいるというようなことのために、現在ウラン資源は豊富な状態にあるわけでございまして、そういうふうに大きく時世が変わってきておるのに、我々は増殖増殖と、本来業務でございますから言い過ぎたのかなということを申し上げたわけでございます。それは昨年の十一月一日の発言でございまして、当時別の要因でソ連等のプルトニウムが大量に出てくるというようなことは予測していたわけではございません。
 そういう意味で、基本的に、長期的に見ればやはりウラン資源の枯渇ということを考えていかなければならないと思いますけれども、増殖一本やりということでなくて、少し幅をもって対応すべきであろうなということを考えているわけでございます。ただ、開発路線そのものは原子力委員会でお決めいただくわけでございまして、たまたま長期計画の見直しの時期でもございますので、我々の考えも申し上げて御判断をいただきたいというふうに考えている次第でございます。
 次に、ソ連の核兵器の廃棄に伴うプルトニウムの問題でございます。
 我々、兵器クラスに使われるプルトニウムについて知識はないわけでございますが、ただ一般論といたしまして、廃棄をされたそのプルトニウムがどうなるんだろうということは我々にとっても非常に関心事でございました。兵器から外されたプルトニウムがどこかで貯蔵されるという状態、非常に純度の高いと想像されるプルトニウムがただ貯蔵されているという状態は、我々、非核保有国または核の脅威を感ずる国として甚だ好ましくないというふうに思うわけでございまして、その貯蔵の状態、さらにはそれを燃料という形に変えて炉に入れてしまえば、そのプルトニウムは再び核兵器に戻っていくという危険がより少なくなるわけでございますから、そういう意味でそのような方法で処理されるのが好ましいということを考えておりました。
 その一環として、プルトニウムなるものを核不拡散という観点から炉に入れて、そして燃料として燃してしまう、その辺の技術については高速増殖炉開発を進めてまいりました我々の技術が役に立つということを申し上げた次第でございます。
#66
○竹村泰子君 核兵器の廃棄のために日本の技術や知恵がお役に立つのは大変結構なことです。私はそのことにどうこう言っているのではありません。問題はプルトニウムなんですね。この記事の中でも、これから二十年の高速増殖炉に何をなすべきか、原点に戻って考える必要があるというふうに理事長は言っていらっしゃるのですけれども、そのとおりですか。
#67
○参考人(石渡鷹雄君) 先ほど、そもそも日本が高速増殖炉開発に取りかかった時期、昭和四十二年でございましたが、その時期における見通しては、もう我々はそろそろ高速増殖炉の時代に入っているというような想定であったわけでございますが、御高承のように、現在の世界的なコンセンサスといたしまして、高速増殖炉の実用化時期は二〇三〇年ごろになるであろうというふうに言われております。すなわち今から四十年先の話でございます。
 そうしますと、この四十年という時間を我々は有効に考え、今まで高速増殖炉一本やりで進んできた路線というものをもう一度見直して、相当な時間があるわけでありますから、再びその原点に返ってより幅広い高速炉の開発ということを、日本のみでなく世界で力を合わせて考え直し、そして着実に進めるべきではないのかという問題意識を京都会議で提案した次第でございます。
#68
○竹村泰子君 理事長が原点に戻って考えるべきだとおっしゃったことは、私大変結構なことだと思います。すべて原点を忘れちゃいけないと思いますが、ただ先輩の、既にもう歩き出している、走り出しているフランスのスーパーフェニックス、これは八六年一月十四日に運転開始して以来、定格出力運転はたったの百五十三日です。利用率七・三五%、世界最低の記録を出しているわけです。ほとんど動いてないという状態ですね。
 しかるに、また違う報道によりますと、これはことしの二月に入ってからの報道では、高速増殖炉を官民で開発しよう。民間主導から転換をして動燃が軸となって国と民間の共同開発方式に切りかえようということが報道されているわけですね。これは矛盾しませんか。理事長の原点に返って考えようじゃないか、諸外国の例を見てもいろいろリスクが伴うじゃないかということと、このこととはどう見ればよろしいんですか。
#69
○参考人(石渡鷹雄君) 原点に返ってということにつきまして先ほども触れましたが、ある目標、すなわち高速増殖炉一本やりで開発を進めるという姿勢から、より幅広く構えて、例えばアメリカで試みられております方式等々も十分お互いに配慮し合いながら世界で力を合わせてやっていくべきではないかという趣旨でございまして、高速炉そのものを、実用化時期はやや遠のいたものの、開発していこうという姿勢については変わらないと思っております。ただ、それに対する開発のあり方というものをもう一度振り返って考え直してみようということでございます。
 次の官民共同でという、協力してということは、これは終始一貫していると思っておりますが、約五年前に、原型炉「もんじゅ」に継ぎます次の実証炉については民間主体でやっていくんだ、動燃はそれに協力していくんだということでありまして、主と往の関係が少しウエートが変わったというふうに理解をいたしております。
 そして、先生御指摘のリポートにつきましては、その辺の基本線は変わっていないと思うのでありますが、少し力の入れ方が、国と申しますか動燃と申しますか、もう少し分担をふやしたらどうかという程度の御提言かと私どもは理解しております。この辺はお役所の御判断をちょうだいしたいところでございます。
#70
○竹村泰子君 お答えいただきましたけれども、この科技庁の出しております報告書、リサイクルの報告書を見ておりますと、やはりFBRとそれから新型転換炉ATRですか、ATRでその特性を生かしつつリサイクルを進めていくことが適当だというふうに書いていらっしゃいますね。今後のプルトニウムの供給源としては、六ケ所の再処理工場がその中心的役割を担うこととなると。
 そうなるであろうと思って、私どもは日仏原子力協定を外務委員会で二十六時間かけて、そうなる、危険なプルトニウムをどんどん運んでくることになるといって審議をしたわけですけれども、その回収プルトニウムの用途としては、「FBR及びATRの研究開発及び軽水炉へのリサイクル利用」というふうに報告をしておられる。これを「実現していくためには、特に、六ケ所再処理工場の建設計画を地元の理解と協力を得つつ進める」というふうになっているわけですね。これは「理解と協力を得つつ」ということで、非常に強い反対があることは御存じのとおりでございます。このことは非常に前途は多難だというふうに私たちも見るわけです。
 私も素人ですけれども、いろいろ読ませていただきますと、FBRは非常に技術的にも難しい。実験炉から原型炉そして実証炉となるわけですね。「もんじゅ」は原型炉の段階で、そしてコストも軽水炉の六倍くらいというふうに非常に高いものにつくというふうに聞いておりますが、その辺のコストの面はいかがですか。
#71
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 高速増殖炉につきましては、今先生御指摘のように難しい技術じゃないかということでございます。これは確かに、現在実用化されております軽水炉の技術に比べまして非常に出力の密度が高いこととか、あるいはナトリウムを冷却材に用いること等々、各種の技術がございますから、それはそれとして克服していくべき問題点があることは事実でございましょう。ただ、それにつきましても、これまでの動燃の開発努力によりまして、あるいは関係各機関の研究の蓄積によりまして将来的には高速増殖炉の道が開けていくものと、さような展望を持っておるところでございます。
 ところで、今御質問のコストといいますか、特に建設費のことでございますが、御承知のように、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の建設費は約六千億円ということでございまして、非常に出力の割には高いではないかということでございます。
 これは先生今おっしゃったように、この炉は実証炉でもない原型炉でございまして、したがいましてこの炉をもって実用の炉のコストと云々するというものではございません。ここにおきまして確立いたしました技術を用いまして、今後実証炉、実用炉とつないでいく、そういうことでございますので、今のところ建設費あるいは発電コストを試算いたしますならば非常に高いものになるということはさようでございましょう。ただ、この「もんじゅ」の経験等を踏まえまして長い将来を見通した場合、我が国全体の核燃料サイクルコストあるいは原子力発電コストが安定化していくものと、さように期待しておるところでございます。
#72
○竹村泰子君 大臣、お伺いいたしますが、いかがですか。こういう大変な膨大な費用をかけて、しかもプルトニウムという危険なものを、やはり日本が出したものですからこれは引き取らないというわけにはいかないのかもしれないですけれども、どんどん日本へ持って帰ってくるわけですよね。今三十トン戻ってくる。それから日本でこれから再処理されていくというところで合計八十五トンぐらいとさっきお答えがございました。大変な危険物質を八十五トンも抱え込むわけです。
 その辺はどうお考えになりますか、責任大臣として。御所感で結構です。大臣に聞いているんです。御所感を聞いているんです。
#73
○政府委員(石田寛人君) 大臣の御答弁、御所感に先立ちまして、簡単に一言だけ申し上げさせていただきます。
 八十五トン抱え込むと先生今御指摘でございますけれども、先ほど申しましたように、八十五トンがばっと持っておって、そのがばっと持っておる八十五トンを使っていくというわけではございませんで、御承知のように、できましたプルトニウムを、もちろんランニングストックはございましょうが、余剰のプルトニウムを持たないで使っていく、そういうことで計画しておるということにつきましてぜひよろしく御認識賜れば幸いでございます。
 なお、御承知のように、プルトニウムは原子力発電を運転する限りにおきまして、ウラン湖が原子炉にあります限りにおいてできるものでございますから、それにつきましてぜひプルトニウムを有効に使っていくということで極めて重要なことと認識しておるところでございます。
#74
○国務大臣(谷川寛三君) 今局長、動燃の理事長さんからいろいろ話がありましたが、原子力発電所で発生します使用済み燃料に比べますとプルトニウムは技術によって生み出される我が国の貴重なエネルギー資源である。これは申し上げるまでもありません。エネルギー資源に恵まれない我が国としましては、ウラン資源の有効利用を図りまして原子力発電によるエネルギー供給の安定性を図っていくという観点からしまして、使用済み燃料を再処理して回収されるプルトニウムを核燃料として積極的に利用していく、これは重要な課題ではないか、こう考えております。プルトニウムの利用につきましては、高速増殖炉での利用を基本としまして、その実用化を目指し、開発を推進していきたい、こう考えております。
 また、高速増殖炉の実用化までの間におきましても、九〇年代半ばごろから軽水炉におきまして徐々に規模を拡大しつつプルトニウムの利用を進めていきますとともに、核燃料利用面で融通性に富む新型転換炉での利用も図る方針でございまして、いろいろお話がありましたが、今の計画を推進していきたいと考えておるところでございます。
#75
○竹村泰子君 大臣、どのくらいのプルトニウムが実験炉「常陽」と原型炉「もんじゅ」で必要かというのをちゃんと報告を出していらっしゃいますね。毎年〇・六トンですよ。二〇一〇年まで二十年かかって十二、三トンですよ。そして、二十年ぐらいで戻ってきたり、きちんと再処理ができたらの話ですけれども、日本で八十五トン、世界では核兵器の弾頭などでアメリカが百トン、ソビエトが百トン、そして英、仏が二百トン持っているとしますと四百八十五トンぐらい。もっと少ないですか。その計算はいろいろあると思いますけれども、実験炉「常陽」と原型炉「もんじゅ」を利用してフルに燃やしていってもわずか〇・六トン。これ立派に余っているじゃないですか、余るじゃないですか。
 プルトニウム過剰時代とマスコミも報道しています。この危険なものを、こんなふうな計画のもとにプルトニウムをどんどん抱え込んでしまう。今大変な世界になっているわけですね。もちろん核ジャックの問題もあります。船で運んでくるには非常な危険もあると指摘をされております。核兵器の材料でもあります。私なんか見ていると、大変な時代になってきたんだなと、一体人類に将来はあるのだろうか、未来はあるのだろうかというふうなことを考えてしまうんですけれどもね。
 この報告書を拝見しますと、六ケ所再処理工場が本格操業に入った場合、毎年四・五トンから五トン程度のプルトニウムが回収される見通しであるというふうに書いていらっしゃいますね。そうすると二〇一〇年までには、もしもできたら、六十トンぐらいのプルトニウムがここからもまたできてくるわけでしょう。本当に大変恐ろしいことになってきたものだなというふうに私は思うんですね。そのことについてどう考えていらっしゃいますか。私の計算が間違っておりましたら訂正してください。
#76
○政府委員(石田寛人君) 御所感は大臣からということにいたしまして、私から先生のおっしゃっておりますことにつきまして、量的関係につきまして思うところを述べさせていただきます。
 米ソの解体核兵器から出ますプルトニウム量の推定につきましては、オーダーとしては先生のおっしゃったようなオーダーが巷間言われておるようでございます。ただ英、仏等から出ますものにつきまして、今先生二百トンと多分おっしゃったのではないかと思いますが、恐らくオーダーは、例えば昨年のウラン協会等の報告書によりますとそれより一けた小さい数字ではないかと思われます。
#77
○竹村泰子君 二十トン。
#78
○政府委員(石田寛人君) ではないかと思われます。
 いずれにいたしましても、解体核兵器からプルトニウムが出てくるということもおっしゃるとおりでございましょうが、これとて一挙にどっと二百数十トンのプルトニウムがいきなり出てくるというものではございませんで、徐々に解体されていくと、そういうことであるわけでございます。そういうことでございますし、先ほど私が御説明申し上げたようなことでございますし、その取り扱いにつきましては、これも外務委員会で何遍も御説明申し上げましたように、動燃事業団の現場の技術者はその取り扱いにつきましては安全に取り扱い可能なものという自信も持っております。
 そういうことで、ぜひ関係の皆様方の御理解を賜りたいと考えているところでございます。
#79
○国務大臣(谷川寛三君) 核弾頭の解体によりまして出てくるプルトニウムをどう処理していくかということは、一義的には当該核兵器保有国の判断すべき問題だと思いまして、我が国の国内のプルトニウム利用計画とは全く別の問題だと、こう思っております。我が国のプルトニウム利用計画は、ウラン資源の有効利用を図り、原子力の発電によるエネルギー供給の安定化を図るという観点から進めていかなければならぬ問題であると私は、考えております。
#80
○竹村泰子君 もう時間が参りましたのでやめますけれども、本当にプルトニウムの過剰時代というか、一度にわっと来るわけじゃないとおっしゃいますけれども、しかしそれをうまく処理できる方法がきちんと技術的に可能でなければ、やはり非常なプルトニウムを世界は抱え込むことになるわけです。軍縮の時代に核兵器の材料をたくさん持つことになるわけで、私たち人類の全体の問題として、狭い我が国のことだけではなくて、全体の問題としてこれからもお考えいただきたいと強く要望して終わります。
#81
○太田淳夫君 それでは、最初に大臣にお伺いいたしますが、大臣は所信表明の中で、「新たな科学的知見を開拓し、次の世代の技術を培う創造性豊かな基礎的研究の充実強化を図る」と言われて基礎科学の重要性を指摘されているわけでございます。科学技術庁として、基礎研究に関する新しい制度として三つのことを創設して整備を計画していると聞いておりますが、そのうちこの予算で実現されたのはどれでございますか。
#82
○政府委員(長田英機君) 基礎研究の振興のためには、いろいろな分野の研究者が集まりましてそこでディスカッションが行われて知的触発が行われるということが非常に重要だというふうに考えるわけでございます。
 こういうような点から、私どもは平成四年度の予算要求に当たりまして異分野交流研究制度というものを創設しようということで考えたわけでございます。現在の予算案の中に入っておりますのは、科学技術振興調整費を活用いたしまして、いろんな分野の人が集まりましてそこで知的触発を行うという異分野交流研究創出制度、これをつくることにいたしまして、これは予算折衝を通じて実現いたしました。そのほか、知的触発の場合には、具体的な場と申しますか施設と申しますか、そういうものをつくる必要があるんではないかということで予算を要求いたしました。これにつきましては平成四年度で調査費三千万円を計上するということになっております。これはいわゆる知的触発国際プラザというような言い方をしております。
 以上でございます。
#83
○太田淳夫君 当然それは基礎的研究の充実強化と密接に結びついていかなきゃならないんですが、その新しい制度が実現されますとどれほどの、皆さん方目指すものとその成果が結びついていくのか、その点ちょっとお伺いをいたします。
#84
○政府委員(長田英機君) 先生の御質問の具体的な成果の点でございますが、数量的に申しますのは実は非常にこれは難しいわけでございまして、知的触発といいますのは基本的にはひらめきということではないかと思うわけでございます。したがいまして、人が集まった場合でも、それが具体的な成果としてすぐ何かなるというふうに申し上げるのがなかなか難しい性質を持っておりまして、特にまた数量的にどうかというような点が難しいわけでございます。
 そういう意味で、ある意味におきましては具体的な成果を特に目指さなくても、そこで集まって一つのひらめきが研究者の間に生じてそれがその人の研究活動を通じて実っていくということで、定量的には難しいのでございますが、効果は非常に持っているんじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#85
○太田淳夫君 それで、今その二つの、異分野交流研究創出制度と知的触発国際プラザについては今年度の予算で予算措置あるいは調査費がついておるわけですが、やはり皆さん方がいろいろと研究し、こういう制度ということでいろいろ考えておみえになったもので知的触発交流制度というのがあったと思いますが、これはどういう方向になったんでしょうか。
#86
○政府委員(長田英機君) 先生の御質問は、知的触発のための一つのやり方として、研究者が一定期間現在やっている研究を離れてそしてほかのことに従事する、そういうことを通じてまたその研究者に触発がいろいろ発生して研究のためになる、こういう御質問だと思いますが、この点につきましてはこれからの検討課題としてまだ残っている問題でございます。
#87
○太田淳夫君 大臣、私ども科学技術庁さんのお考えをお聞きしましたときに、この委員会でもいろいろと議論されている各委員の方々のいろんな御意見ともこの制度というのはマッチするものでありますし、ぜひともこれは実現をしていただきたいと思っていたわけですが、今年度予算ではその措置がされていないわけです。今お話を聞きますと、これについても引き続き検討していくということでございますが、ぜひともこの制度の実現を目指して大臣からも御努力願いたいと思いますが、いかがですか。
#88
○国務大臣(谷川寛三君) 格段の努力をしてまいりたいと思っております。
#89
○太田淳夫君 次に、先ほど委員の方からも御質問ありました原子力の問題について何点がお聞きしておきたいと思うんです。
 幸いこの事故は、旧ソ連レニングラード原発事故につきましては被害がそう多くないというお話でございますが、外務省あるいは科学技術庁にはどのような情報が入っておりますでしょうか。
#90
○説明員(貞岡義幸君) 御説明いたします。
 我々どもが承知しております情報では、レニングラード原発の三号炉で燃料チャンネルが損傷し、その結果原子炉内の圧力が高まり緊急停止装置が作動したということでございます。その結果不活性放射性ガスが外部に放出されましたけれども、周辺の環境に対する悪影響はないというふうに承知しております。
#91
○太田淳夫君 今外務省さんからお話がございましたが、科学技術庁としては直接的な情報の入手はされてないわけですね。
#92
○政府委員(坂内富士男君) 大筋におきましては今の外務省からの答弁に尽きると思います。私どもの情報としましては、外務省の公のチャンネル以外に国際原子力機関、IAEAを通じての情報もございますが、これらを総合しましても、今外務省から答弁ありましたような内容というふうに御理解いただきたいと思います。
#93
○太田淳夫君 この原子炉は八六年に事故がありまして国際的な問題になりましたチュルノブイルの原発と同じ炉型だというように聞いておりますし、周辺の住民及び従業員の被曝についてはどういう状況になっていますか。
#94
○政府委員(坂内富士男君) 先ほどの事故の概要にもありましたように、IAEAの事故尺度によりましてもレベル二ということで、周辺の環境及びその周辺住民に対して、今まで私どもが得た情報では何ら影響ない、こういうふうに聞いております。
#95
○太田淳夫君 近隣諸国あるいは日本に放射性物質が飛来し、影響が及ぶことはございませんか。
#96
○政府委員(坂内富士男君) 今までの情報が正しいということであるならば、そのような事態は考えられません。
#97
○太田淳夫君 新聞にはいろいろと出ておりまして、ロシアの原発は全部危険だなんという発言も報道されているわけでございます。外務省の方からも情報を的確に収集して、速やかに対応をいろいろと図っていただきたいということを要望しておきます。
 ソ連邦の消滅ということで専ら関心が集まっているのは核兵器の管理ということです。しかし、考えてみますと、原子力発電所の管理、運営というのもこれに劣らず重要な問題ではないかと思って私は今御質問をしているわけでございます。
 核技術者とかあるいは研究者というのが国外に流出をしていく問題については、日本学術会議が非軍事的協力、支援を行うべきである、こういう見解も出しておりますし、科学技術庁も通産省といろいろとこの問題については協力あるいは支援ということも考えておみえだと聞いておりますが、その点どうでしょうか。
#98
○政府委員(石田寛人君) 先生今御指摘のように、旧ソ連邦で核兵器の製造等々に携わっておりました科学者、研究者に平和利用の分野に転換していただく、そのために必要な助力を行うことと並びまして、原子力発電所の安全な運転のための協力ということも極めて重要なことであろうと認識しておるところでございます。
 そういうことで、私どもは、前者の方につきましては御承知のように国際科学技術センターに対しまして協力していくということもございます。それから、原子力発電所の安全確保に関しましては、御承知のように、今後我が国で関係の技術者あるいは研究者を受け入れまして研修等を行うということとか、あるいは我が国の専門家を現地に派遣いたしまして、それぞれの原子力発電所の管理、運転の参考にいろいろしていただくようなことを申し上げる等々の協力によりまして、ぜひこれからの旧ソ連の原子力発電所の運転が安全に行われるように協力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#99
○太田淳夫君 確かに、今お話ありましたように、チェルノブイルの事故が起きましてから三年たちまして、八九年四月、全ソ連原発運転研究センターというのが設けられて、ブルガリア、ハンガリー、ポーランド、チェコ、東独、またそれにキューバが後から加わったと聞いておりますし、さらに英国電力庁マーシャル総裁の提案で西側もこれに加わることになって、翌月の五月、二十九カ国百三十の企業が参加して、いわゆる原子力発電事業者国際協会というのが発足しているわけです。その活動の一環として、日本の電力業界もソ連側の要請にこたえて発電所の運転員の訓練を行うことになった、こう聞いているわけです。
 このチュルノブイルの教訓の一つとしまして、このような原子炉運転を国際協力事業の対象としたということは、これはまことに結構なことだろう、私たちもそう思っておるわけでございます。
 ソ連のいろんなエネルギー事情を見てみますと、ソ連の原子力というものはこのチュルノブイルの事故以来不振に陥っておるわけです。それで、エネルギーの多角化ということもいろいろ考えてみえると思いますが、やはりその一番大きな原因というのは、建設されているあるいは建設予定の発電所の周辺の住民の原子力発電に対する不信感というのが非常に大きいわけです。国際的にもそういう問題をこれから克服していきませんと、各国の原子力政策にもいろんな影響が出てくるんじゃないかと思うんです。
 そういうことを考えますと、このチュルノブイルの被災者の問題、この委員会でも取り上げられていろいろ議論されておりますけれども、こういった原子力発電所で被災を受けられた方々の救済をどう進めていくか。これは軍事的な面ですけれども、カザフ共和国でも事故がありました、これは軍事施設だと思いますが。あるいはウラルの山脈のところでも三十年前に事故があったことが、これも核の施設、軍の方だと思いますが、そこで事故があったことが三十年後に衛星によって明らかにされてきて、三十の町村が地図の上から抹消されたということもあるわけです。
 これは軍の方ですから原子力発電所とは関係ないわけでございますが、いろんな被曝の実情というのが明らかにされて、そういうところの被曝者の皆さん方の救済ということも国際的に行われていきませんと、これからの原子力発電所の建設その他につきまして問題があろうかと思いますし、ソ連のいろんなエネルギー状況を見ますと、そういう問題を国際的にどう支援していくか、どう解決していくかということが、やはりソ連においてもエネルギー問題解決の重要な問題になろうと思うんですが、局長、どうお考えですか。
#100
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、特にチェルノブイリの事故に伴います関係の方々につきましては、いろんな状況からそれぞれ不安に思っておられる方が多いという報道にも接するところでございます。
 それから、今先生御指摘になりましたような、これは記録に余りないとか、詳しいことはわかりませんけれども、軍事施設のいろんな事故の結果といたしましてのいろんな問題点も最近報じられておるところでございます。これらにつきましては、今御指摘のように、我が国が持っております経験と知識を活用して旧ソ連、今のロシアあるいはウクライナ等々の国々と協力していくことは極めて重要であると認識してございまして、これまでも私どもは放射線医学総合研究所等の専門家を旧ソ連に派遣いたしますとか、あるいはいろんな放射線被曝に関します科学的な知見を提供するというようなこともやってきたわけでございます。
 旧ソ連との間には、二国間の協力といたしましてソ科学技術協力協定ということがあるわけでございまして、これに基づきいろんな協力もやってきたところでございます。それからそれ以外にも、特に国際原子力機関、IAEAを通じましていろんな活動が行われておるわけでございます。
 そういう二国間あるいは多国間の協力を通じまして、我が国が旧ソ連のチェルノブイリの事故に関しましてもしかるべき対応ができますよう今後とも努力してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#101
○太田淳夫君 やはりソ連のエネルギー事情から見ますと、原子力発電の部分を増加させる必要が必ず生じてくるんじゃないか、私はそう思って御質問させていただいたわけです。
 と申しますのは、いろんな報道から見ますと、沿海州の方面に原子力発電所の建設というのが予定され、進められてくるという報道もあるぐらいですから、もしもそこで万一のことがありましたら、これは日本にも影響なしとはしないわけです。そういった意味から、国際協力によりますところのそういう被曝者の救済であるとか、あるいは運転管理能力の向上について、これはもう日本はそれなりの、世界でも有数の技術、知見を持っておるわけでございますから、ぜひともそういう立場での協力が必要になってくる、私はそう思いまして質問させていただきました。長官、いかがお考えでしょうか。
#102
○政府委員(石田寛人君) 一言だけ先立ちまして申し上げます。
 今も申し上げましたように、確かに原子力発電所の事故に伴いまして非常に多くの方々が不安感をお持ちであるという状況というのは極めて重大なことでございまして、私どももその解消のために努力していかなければならない、かように考えておるところでございます。
 それから、沿海州の件につきましては私ども事実関係は詳しく存じておりませんが、もし将来そのようなことがあり、あるいはもし万が一にもトラブルがあったりいたしますと、それは我が国のみならず、当然ロシアの地元の方々も大変であるわけでございます。そういうことがないように、私どもとしましてもいろんなルートを通じまして全力を挙げて対応すべきものと、かように考えておるところでございます。
#103
○国務大臣(谷川寛三君) 今局長からもお答えを申し上げましたが、さっき申し上げたとおり、専門家を派遣するとか資金的な支援等もやりましてIAEAの旧ソ連製原子炉の安全性に対する評価活動への貢献を行う。それと同時に、安全規制情報の交換とか、我が国の原子力安全に関する技術、知見を利用した旧ソ連、東欧の技術者等の資質向上等によりまして、これらの地域における原子力安全の確保に積極的に貢献していきたいと思っております。
 ちょうど八日から十日まで原子力産業会議の年次大会が横浜で開かれます。その際にロシアの科学アカデミーの副総裁ベリホフさんという人が来ますので、その際にこういう問題も含めまして、それから一般的に旧ソ連の科学者、学者が大分うろうろしておりますから、そういう人たちをどうするが、それからまたさっきお話がありました核兵器の廃棄に伴う技術者、学者の取り扱いをどうするか、広く相談をしたいと計画しておるところでございます。
#104
○太田淳夫君 終わります。
#105
○吉川春子君 原子力施設事故防災対策について伺います。
 政府は、原発事故などにより放射性物質の大量放出のような異常事態が発生した場合もその防災対策は自然災害によるものと同列に扱い、災害対策基本法の体系の中で位置づけています。自然災害と企業などの人災から起きる原子力施設の事故を同一に扱うことは、そのこと自体問題ですが、さらにその後発生したスリーマイル島原発の事故、旧ソ連チェルノブイリ原発の事故の教訓を十分に酌んだ原発事故対策になっているとは言いがたいと思います。万一事故が起きれば住民の健康、生命に重大な被害を起こすことになりかねません。私は、北海道、福井などを視察してみて、緊急時にこれで大丈夫かと疑問を持ったことも多かったわけです。
 それで、以下質問いたしますが、まず災害対策基本法によると、国は防災に関し万全の措置を講ずる責務を負い、地方公共団体が処理する防災に関する事務の実施の推進、その総合調整を行い、指定行政機関の長は都道府県や市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように勧告、指導、助言その他適切な措置をとらなければならないことになっていますが、政府はこれに沿ってどのように責任を果たしておられるのか、簡潔に説明してください。
#106
○政府委員(坂内富士男君) 先生今述べられましたこの災害対策基本法でございますが、そこの第三条に国の責務が書いてございまして、指定行政機関の長は、この法律の規定による市町村の地域防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、その所掌事務について、当該市町村に対し勧告し、指導し、助言し、その他適切な措置をとらねばならないと、こうなってございます。そして、そういった責務に応じてその業務を実施しているというところでございます。
#107
○吉川春子君 私が法律を申し上げましたので、具体的にどういうふうにおやりになっているかということを説明していただきたかったわけなんです。どういうふうにやっているんですか、その法律に基づいて。
#108
○政府委員(坂内富士男君) まず、国におきましては防災基本計画を定めるわけですが、その防災基本計画に基づきまして都道府県の防災会議が都道府県の地域防災計画を作成し、そしてまた、いわゆる下部機構であります市町村がこれらの計画とそごを来さない形で市町村の地域防災計画を策定する、こういう仕組みになってございます。
#109
○吉川春子君 じゃちょっと具体的な質問をしますが、災害対策基本法の四十二条に、都道府県だけではなくて市町村も地域防災計画を作成しなければならないことになっていますが、九州電力の佐賀県玄海原発の立地点の玄海町に防災計画に基づく避難計画がありません。原発ができて約二十年間、どうしてこういう状態を放置されてきたんですか。
#110
○説明員(漆原英二君) 玄海町では、避難計画というのは、資料編の中にいろんな施設とかそれからそういうようなものも定めておりますので、特に必要ないというふうに聞いております。
#111
○吉川春子君 玄海町に避難計画は必要ないと、これが国の判断ですね。確認します。
#112
○説明員(漆原英二君) 避難計画が必要ないのではなくて、原子力防災計画の資料編の中に必要なことは書き込まれておりますので、それで十分だというふうに聞いております。
#113
○吉川春子君 避難計画があると、こういうふうに認識していらっしゃるということですか。ちょっとはっきりしてください。
#114
○説明員(漆原英二君) 玄海町に地域防災計画はございます。
#115
○吉川春子君 いや、避難計画について聞いているんですよ。
#116
○説明員(漆原英二君) 避難場所が明記されておらないというのは承知しておりますけれども、避難について適切な指示ができるというふうに聞いております。
#117
○吉川春子君 そういうもので十分なんですか、いざというときに。
#118
○説明員(漆原英二君) 玄海町では、そういうことが起こってもそれで十分に対応できるというふうに言っておると聞いております。
#119
○吉川春子君 ここは町議会じゃないんですよ。国会なんですよ。国の見解を聞いているんです。町議会が何と言っているかということを聞いていません。国はどういうふうに思っていますか。
#120
○説明員(漆原英二君) 玄海町においてそういうふうに適切にできるということであれば、国としても特にコメントはないというふうに考えております。
#121
○吉川春子君 それでできるのかどうかということを聞いているのであって、町当局の見解を聞いているんじゃないんです。町当局がそういうふうに言っているけれども、それでいいというふうに国は判断しているのかどうかと聞いているんです。そのことを答えてください。
#122
○政府委員(坂内富士男君) 各地域の防災計画の作成者、そしてまたその責任といったような質問というふうに受け取りますけれども、先ほど国の防災計画または都道府県の防災計画それから市町村というふうに三段階の御説明を申し上げましたが、その繰り返しはやめますけれども、こういったものの計画、それから修正、こういったものにつきまして、今市町村の場合のお話ですが、そういったものは、要するに市町村の防災計画に当たりましては当該市町村の防災会議が責任を有するということでございまして、これがいわゆる都道府県ないしは国の方の計画とのそごを来さないようになっておるということであるならば何ら問題ないのではないかと、こういうふうに考えます。
#123
○吉川春子君 答弁が全部仮定なんですよ、何々であるならば何々であるならばと。私は通告しておきましたでしょう。それでいいのかどうかという国の判断を聞いているのであって、仮定で、こうであるならばいいとかなんとか、そういうことじゃないし、最初おっしゃったように国は勧告したり指導したりする責任があるじゃないですか。もうそれ全く無責任ですね、国も。
 続いて聞きますが、この原発の周辺市町村の防災計画、玄海原発の周辺一市四町と県で策定している原子力防災計画はかなりいいかげんなんですね。
 佐賀県議会で明らかになったことですけれども、例えば呼子町の幾つかの地域の避難場所になっている唐津市体育館は、四年以上前に解体されて今は青空駐車場になっている。さらに、加部島、片島の人は、まず船着き場に集結して海上からやはりその体育館に避難することになっているんですけれども、ここには橋ができている。橋があるのにわざわざ船で避難するようになっている。こういう事実は御存じですか。
#124
○説明員(漆原英二君) 御説明いたします。
 これまでに佐賀県に確認したところでは、佐賀県内の呼子町の原子力防災計画において実態と異なるものがあるということを承知しております。先生御指摘のように、具体的には避難の際に集結する場所となっております呼子中学校が昭和六十年四月に改築されまして西方約一キロメートルの地点に移転されております。また、呼子町の加部島と東松浦半島との間には平成元年四月に呼子大橋がかかっているということでございます。また、現行の計画において呼子町、松浦地区の住民の一部の避難先となっております唐津市体育館が昭和六十二年四月に取り壊されているということでございました。
 これらの点に関しまして、国としても佐賀県を通じて早急に実態に即したより実効性あるものに修正するよう指導しておりまして、現在市町村において最新のデータに基づいて見直しの作業を実施しているというふうに承知しております。
#125
○吉川春子君 防災計画というのは、毎年見直して必要があれば修正しなきゃいけないんじゃありませんか。四年も五年もほっておいて、あるいは十年以上はっておいてそのままというのはおかしいんじゃないんですか。
#126
○説明員(漆原英二君) そのとおりでございまして、国としても早急に是正するように指導しているところでございます。
#127
○吉川春子君 住民が参加して避難訓練が行われていればこういうようなことが長い期間放置されるということは防げるわけです。こういう点からも住民参加の防災訓練というのは必要じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
#128
○政府委員(坂内富士男君) 原子力防災訓練の住民参加ということですが、これはいわばそれぞれの地域の実情に応じまして、実施の主体である地方公共団体が判断して計画するということ、そういうふうに私ども認識しております。ただ当庁としましては、そういった地方公共団体が実際に防災訓練を行うに当たりまして種々のいわゆるアドバイスを行うということは当然考えられるわけでして、私どもこういった住民参加の防災計画というものにつきましては今後とも関係機関と協力をしながらその充実に努めてまいりたい、そういうふうに考えます。
#129
○吉川春子君 私各地を回りまして、例えば泊でも避難路が冬になると雪で通れなくなっちゃうというようなところが予定されていたり、いろいろあるわけなんですね。この際、やっぱり全国の原子力施設関連の防災計画をよく点検して、そしてその不備の点などは県や市町村を指導して、緊急に本当に非常事態のときに有効に機能し得るそういう防災計画にしていかなきゃならないと思いますが、いかがですか。
#130
○政府委員(坂内富士男君) 先ほど佐賀県の例がございましたが、これも私どもそのときどきに応じまして佐賀県を指導しております。かつまた、佐賀県からも各市町村に対しましては原子力担当課長会議の場などで数回にわたって指導しておりまして、私どもこういった指導につきましては今後とも続けていきたい、こういうふうに考えます。
#131
○吉川春子君 大臣、お伺いします。
 今お聞きのように、避難計画がないというのはそれは認めませんでしたけれども、避難計画のあるところでも体育館がもうなくなっていて駐車場になっていたり、橋があるのに船で逃れるようになっていたり、いろいろあるんですね、具体的に挙げれば。だから、そういうこともきちっとしたものにするためにぜひ適切な指導をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
#132
○国務大臣(谷川寛三君) もちろん安全でなきゃいけませんから、十分注意してやります。
#133
○吉川春子君 時間の関係でちょっと次の沃素剤の問題に移りたいと思います。
 いわゆる防災指針で、政府は、「原子力防災において特に考慮すべき核種は希ガス(クリプトン、キセノン)及び揮発性核種(ヨウ素)である。」として、緊急時の医療活動、沃素剤取り扱いを指導していますし、ICRPの沃素剤の勧告もあるわけですけれども、この沃素剤というものの重要性について政府はどのように認識しておられますか。
#134
○政府委員(坂内富士男君) 沃素剤に関しましては、万が一の原子力発電所等の事故によりまして環境中の放射性沃素量が増加し、施設周辺の住民に甲状腺被曝による障害が懸念される場合にその適用について考慮する必要があるということでございまして、そういった場合に備えて周辺住民それから防災業務関係者に迅速、的確に沃素剤を配布する、そういった体制を準備しておくということが必要である、こういうふうに認識しております。
#135
○吉川春子君 沃素剤の服用などということになると、恐らく事故の大混乱の中でパニック状態に陥りやすい状況にあると思うんですけれども、そういうときに効果的に薬剤が配布、服用される必要があると思います。そういうときの対策はどういうふうに考えておられますか。
#136
○政府委員(坂内富士男君) 各地方自治体におきまして保健所等に沃素剤を配備してございまして、ただどこに配布するかということにつきましては一義的には各自治体の問題であるというふうに考えております。
#137
○吉川春子君 分けて伺いますけれども、例えば沃素剤配布の事前の住民への知識を徹底するためのパンフレットとかを使った知識の普及であるとかあるいは服用のための訓練とか、そういうものも必要ではありませんか。
#138
○政府委員(坂内富士男君) 周辺住民等へのPAということの中に入ろうかと思いますが、十分に心がけて実施しておるところでございます。
#139
○吉川春子君 このICRPの勧告によりますと、「放射性ヨウ素にさらされる前、あるいはさらされた後できるだけ早く、錠剤を服用することによって、安定ヨウ素の最大の効果が得られる。ヨウ素131の単一摂取のあと六時間目の投与でさえ、潜在的な甲状腺(の被曝)線量を約二分の一に減らすことができるが、投与がおくれて摂取の一日後になると、減少はほとんど期待できない。」、こういうふうにされています。
 各地を見ますと、大体保健所とかそういうところに沃素剤が何万人分とか保管されているわけですね。ところが、保健所というのは今まで人口十万人当たり一カ所の規模でつくられてきていますから、首都圏みたいに人口密度の高いところも大変ですけれども、人口密度の低いところはすごく広い範囲に一カ所の保健所、そこに何万人かの沃素剤が配備されていまして、いざというときにいち早く、本当は放射線が届く前に服用した方がいいんでしょうけれども、そういうことをするためにはもっと身近なところに置かないと十分効果ある服用ができないわけですね。そのために例えば、九州の例はさっき悪い例だけ言いましたけれども、保育園とか幼稚園とか学校とか、保健所よりはもっとたくさんあるそういう公共施設のところに分散して保管するというような方法も最近行われる見通しになってきたと聞いておりますけれども、そういう形で、一カ所の保健所だけあるいは大病院だけという形ではなくて、そういう方法もぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#140
○政府委員(坂内富士男君) 先ほどもちょっと述べましたように、この沃素剤を具体的にどこに配備するかということにつきましては、一義的には各自治体の問題であるということでございます。それからなお、この沃素剤の使用に当たりましては、心理的動揺、混乱を引き起こさないように医師などの専門家のいわゆる指導のもとに服用するということが必要でございますので、こういったことも考えてどこに配備するかということを考慮する必要があるというふうに考えます。
#141
○吉川春子君 沃素剤というのはそんな創業じゃないんです。それはお医者さんの指導があって服用した方がいいかもしれませんけれども、創業じゃないわけで、そういうことを考えますと、一義的に市町村というのはもう二度伺いましたから結構ですが、国としてそういう学校や幼稚園や保育所など、そういう施設に分散して置くということについてもそれは可能だと、そういうことでよろしいですね。
#142
○政府委員(坂内富士男君) 繰り返しになりますが、これに関して国が一義的にどこに配備すべきであると、こういうことは申し上げるのは筋違いであろうかと思います。
 なお、繰り返しですけれども、やはりこれはみだりに服用といったことは避ける必要がございますので、現体制といったものがやはり一番いいのではないかということを私は考えます。
#143
○吉川春子君 何万人分もの沃素を保健所だけに置くと、一カ所で集中して配備しておくのがいい、こういう考えですか。
#144
○政府委員(坂内富士男君) いわゆる非常に細かい話になりますと、住民の地域分布等々いろいろ検討しなきゃいけないというふうになると思いますけれども、現在この沃素剤の保管場所を見てまいりますと、いわゆる原子力発電所等の立地市町村近くに相当の病院とか保健所等々がございますので、この辺のところでの沃素剤の配備状況を見てまいりますと、現状から見て極めてこれは問題があるというふうにはなかなか思えない、こういうことでございます。
#145
○吉川春子君 時間がなくなりましたので、最後に大臣にお願いいたします。
 チェルノブイリ事故でも、子供たちに甲状腺の障害というのが物すごく出まして深刻な社会問題になっているわけです。だから、いろんな放射線の問題はありますけれども、その沃素剤をいち早く特に子供たちに服用させるということが非常に重要な問題で、お母さんたちの大きな要望もあるわけなんで、この沃素剤配布の問題についてぜひ国の方でも検討していただいて、私は地方自治を侵害せよと言っているんじゃありませんよ。そうじゃなくて、国として柔軟に適切な検討を加えていただきたいと、そのことを最後に大臣にお伺いして終わりたいと思います。
#146
○国務大臣(谷川寛三君) 今局長から御説明申しましたように、一義的には自治体の問題でございますけれども、今先生お話しになりましたように、とにかく迅速、的確に配らなければなりませんから、国としましても、どういうふうにしたらいいか十分注意してやっていきたいと思っております。
#147
○吉川春子君 終わります。
#148
○星川保松君 我が国のこれからのエネルギー計画、特に電力を中心にして需要がどのように伸びていくのか、それにどのような形で供給計画を立てておるか。その電力の供給計画の中で、いわゆる発電の種類等、それについてひとつ説明をしていただきたいと思います。
#149
○説明員(篠原徹君) お答え申し上げます。
 長期の電力需要についてでございますけれども、平成二年六月の電気事業審議会需給部会中間報告によりますれば、国民生活の多様化あるいは国民のアメニティー志向等を反映いたしまして、民生用需要を中心に今後ともある程度高い伸び率が継続するものと見込まれておるところでございます。
 具体的には、電気事業用の需要電力量及び最大需要電力は、二〇〇〇年度までにおのおの二・八%、三・〇%、それ以降二〇一〇年度までにはともに一・六%の年平均伸び率が見込まれているところでございます。
 今後のこうした電力需要の増加に対しまして、発電設備容量及び発電電力量といたしましては、二〇〇〇年度にはおのおの二億二千七百七十万キロワット、九千四百六十億キロワットアワー、二〇一〇年度には同様に二億六千七百万キロワット、一兆一千九十億キロワットアワーの供給力を確保していくということになっております。
#150
○星川保松君 需要がそのように伸びていくということはわかったんですが、供給の方で水力とかあるいは原発とかあるいは化石燃料の発電とかという、その構成はどのように変わっていくか、どのように伸びていくか、その点についてひとつ。
#151
○説明員(篠原徹君) 二〇〇〇年度及び二〇一〇年度の年度末の電源構成についてお答え申し上げます。
 二〇〇〇年度末におきましては原子力が二二%、石炭が二二%、LNGが二二%、水力が一九%、石油等が二二%となっております。二〇一〇年度末におきましては原子力が二七%、石炭が一五%、LNGが二〇%、水力が一九%、石油等が一五%でございます。
#152
○星川保松君 需要に合わせて供給もふやしていかなければならない。その供給の方の発電所の種類を組み合わせてやっていくということでありますけれども、今問題になっておりますように、いわゆる石油燃料の火力発電の方はCO2の問題が出てきておるわけでありまして、それにまた原子力の方は使用済み燃料の問題がある、そして放射性廃棄物がどんどん出てくるということを考えれば、やはり発電の仕方もそうした後始末のことをも考慮して組み合わせを考えていかなければならない、こう思うんですが、その点はどのように考慮しているんでしょうか。
#153
○説明員(篠原徹君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、私ども一昨年の十月末に閣議決定されました石油代替エネルギー供給目標に従いまして今後のエネルギー計画を推進しているところでございます。
 この石油代替エネルギー供給目標計画におきましては、御指摘のとおり、石油エネルギーへの依存度の低下あるいは省エネルギーあるいはCO2を排出しない、より少ないエネルギー源への転換、こういった観点が入ってございまして、これらを総合的に推進することによって御指摘のような問題を解決してまいりたいというふうに存じております。
#154
○星川保松君 そうしますと、端的には、原子力発電のような放射性廃棄物をたくさん出すというような、あるいは火力発電のCO2のたくさん出るような、そういう発電電力というのは比率として減らしていって、そしてそういう後始末の比較的大変でない、それから公害の比較的出ない、CO2がたくさん出ないような天然ガスとかなんかあるそうですけれども、そういうふうなことを考えて、公害の少ないものをふやし、そして公害や廃棄物のたくさん出るものは減らすという、この比率を今後考慮していくということになっているんでしょうか。
#155
○国務大臣(谷川寛三君) 今先生お話しになったとおりでございましょうね。エネ庁からもお話がありましたが、とにかく我が国の供給不安定なエネルギーの状態を解消しますために、いろいろさっきから話がありますようにエネルギー源を探していくわけでありますが、何といいましても供給安定性、経済性、今のお話の環境影響等考えていきますと、原子力の平和利用が、原子力発電が一番いいのではないかということで、私どもそれを中心に進めておるところでございます。
 ただいま御案内のとおり、総発電電力量の三割までを原子力発電で賄っておるところでありますが、これからもこの原子力発電を積極的に進めていきたいと思っておるところでございます。
#156
○星川保松君 原子力が大変いいというようなお話でございますけれども、今のところ、いろいろ論議になっておりますように、最終的にどうやって処分したらいいかわからないという廃棄物がどんどんたまっていくと。それを構わずに、後世代で何とかするだろうというようなことで我々が今の世代で使いほうたい電気を使っていくというのは、これは大変後世代にとって無責任なような気がするわけですね。そういう最終処分も決まらないというようなものはやはりできるだけ後世代に残さないようにやっていくというのが私はエネルギーの全体的な中で考えていかなければならないことじゃないか、こう思うんですが、その点はどうでしょうか。
#157
○政府委員(石田寛人君) お答え申し上げます。
 今の星川先生の御指摘は、原子力発電所を運転する結果、いろいろなことはありますけれども、最終的に高レベル廃棄物が蓄積され、それが非常に始末に困るのではないか、そういうものをどんどんつくるようなそういう発電方式はいかがなものかという、そういう御指摘であろうかと存じます。
 これにつきましてはいろんな御議論があるわけでございますけれども、先ほども別に御説明申し上げましたように、高レベル廃棄物の処分につきましては、ごく一般的、広い意味で申しましての取り扱いの仕方、処分の仕方が全然見当もつかないというものではございません。ただし、それを具体的に一歩一歩処分の格好に近づけていくという、そういうために必要な各般にわたる研究開発を動燃事業団あるいは関係機関で鋭意実施しておる、そういうことであるわけでございます。
 それから、先生御指摘の高レベル廃棄物の量、それから取り扱いの可能性等々を総合的に勘案いたしまして、原子力発電はやはり二十一世紀の電力需要、エネルギー需要の大きな部分を担う有力なエネルギー源と私ども認識しておるわけでございまして、もちろんこれからさらに研究開発を進めていくべき課題もあるわけでございますけれども、それを含めまして私ども鋭意取り組んでおるところであることを認識賜りたいと存じます。
#158
○政府委員(坂内富士男君) 若干高レベル放射性廃棄物の安全研究につきまして補足いたしますが、これにつきましては年次計画を定めまして、ただいま御説明ありましたけれども、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団、こういった研究所を軸に種々の研究をやっております。
 例えば、地層処分の安全性の研究につきましては、人工バリア要素の安全評価に関する研究あるいはまた地層処分システムの総合安全評価手法などの研究、こういったものを逐一実施して将来の放射性廃棄物の処理処分に万全を期しているというふうに御理解いただきたいと思います。
#159
○星川保松君 とにかく放射性廃棄物等がどんどん出てくるということについての研究をどんどん進めながらやっていきませんと、後でだれか何とかしてくれるだろうなどということになれば大変なことになるというふうに心配するわけでございます。
 それで、いわゆるこうした放射性廃棄物あるいはCO2などの後始末に困るもの、そういうものをなるべく出さないエネルギーの開発ということもどんどん進めていかなければならない、こう思うわけですが、いわゆる新エネルギーの開発研究の現状と展望をお聞かせ願いたいと思います。
#160
○説明員(上田全宏君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のありました新エネルギーでございますが、先生御指摘のとおり大変クリーンなエネルギーでございまして、エネルギーの安定供給の確保あるいは地球環境の保全という観点からは極めて有効なエネルギーと理解をしております。ただ、現時点におきましては、コストが割高であるとかそもそも自然条件に左右されるとか、いろいろな問題も抱えておりまして、現在ないし近い将来にエネルギー供給の大宗を占めるということはなかなか難しいと認識しております。
 一昨年十月の供給目標の閣議決定に際しましては、官民挙げての最大限の努力というものを前提といたしまして、新エネルギーを二〇一〇年におきまして一次エネルギー供給の五・三%までシェアを引き上げたい、こういうふうに考えております。
 こういう考え方に基づきまして、通産省といたしましては従来より技術開発をサンシャイン計画などに基づきまして実施しております。また、実用化に少しでも近づけようということで従来からモデル事業をやるとかあるいは税制、財投上の措置を講じておるわけでございます。また、新たに平成四年度より公共施設等で太陽電池あるいは燃料電池のデータ収集ということを目的といたしましたフィールドテスト事業を開始しておるわけでございます。
 こういった事業を種々行いまして少しでも新エネルギーの導入、開発の促進に邁進してまいりたいと存ずるわけでございます。
#161
○星川保松君 この新エネルギーでは、私の山形県に由良海岸というところがありまして、そこに海明という船を浮かべて波力発電というのをやっておったので、私たちも大変期待をしておったんでありますが、その後お聞きいたしますと、余り設備にお金がかかり過ぎてどうも将来性がないということでやめてしまったようなお話でありますが、なかなか新エネルギーといっても難しいようでありまして、その中でこれから新エネルギーとしての主力になるものはどういうものだというふうにお考えでしょうか。
#162
○説明員(上田全宏君) 私どもいわゆる需給見通しで二〇一〇年までの見通しを持っておるわけでございますが、その中で太陽エネルギーにつきましては、太陽電池いわゆる太陽光よりはむしろ太陽熱の方がなおウエートが高いんであろうというふうにまず考えております。これで大体全体が三千四百六十万キロリットル、石油換算のものでございますが、その中で太陽エネルギー約八百八十万キロリットルを見込んでおります。
 また、代替燃料といたしまして、これはほとんどメタノールを念頭に置いておりますが、七百八十万キロリットルというものを念頭に置いております。その他温度差エネルギー、ごみ処理発電廃熱ないしは従来から紙ハ工業なんかで使われております黒液などを入れまして、全体として二〇一〇年で三千四百六十万キロリットル、つまり全体の五・三%のシェアを見込んでおるわけでございます。
#163
○星川保松君 九〇年の総理府の調査によりますと、いわゆる原子力発電について「必要である」というのが六四・五%、「必要でない」が二〇・七%、それから「安全でない」が四七%で「安全である」が四四%というふうになっておるということだそうでございます。それで、その後に美浜発電所の二号炉の事故が起きたわけでありまして、我が国で初めて非常用の炉心冷却装置が実作動したというようなことがあったわけでございます。これでまた国民の原子力発電についての考えというものも変わってきているのではないかというふうに思いますけれども、「安全でない」が「安全である」よりも少し上回っておるわけです。
 やはり方々で事故が起きるたびに国民の心配が高まっていくんじゃないか、こういうふうに思いますが、加圧水型と沸騰水型という二つの実用炉があるそうでございますけれども、これを比較してその安全性といいますか、それに差が出てきておりますでしょうか。
#164
○説明員(荒井行雄君) お答えいたします。
 PWRとBWR、これはPWRは加圧水型原子炉、BWRは沸騰水型原子炉といっています。両方ともいわゆる軽水を冷却材及び減速材に使用して、燃料の核分裂によって発生した熱を蒸気に変えてタービンを回転させ電気を発生させるという構造でございまして、基本的には同様のものでございます。
 ただ、一点大きく違いますのは、PWRにつきましては蒸気発生器を介在させてタービンへ蒸気を送るということに対しまして、BWRでは蒸気発生器を介在させずに直接蒸気をタービンに送るということでございます。という違いはございますが、基本的な原理において違いがあるわけではございません。
 これに関連して故障、トラブルでございますが、PWRに関係しましては、この蒸気発生器についての故障、トラブルがPWRの全体の故障、トラブルの中ではかなり特徴的なものでございますが、これにつきましてもいろんな保修なりあるいは修理、それからいろんな検査等によりまして対策を講じているところでございまして、基本的にPWR、BWRで大きな安全上の違いはないと考えております。
#165
○星川保松君 時間が来ましたので終わります。
#166
○小西博行君 きょうは時間が二十分ということで、大変時間が少ないものですから、簡潔にひとつお答えをいただきたいと思います。
 これは大臣にもちょっとお聞きしたいんですが、技術ただ乗り論というのがもう前々から、諸外国、特にアメリカあたりから言われております。最近では、先ほど岡部先生の方からもありましたように、いろんな特許に対しての訴訟というのが民間企業に対して非常に盛んであります。民間企業というのは利益を中心に頑張っているわけですけれども、その後の訴訟の問題で恐らく大変だろうというふうに考えます。そういう意味で、この基礎研究のただ乗りというんですか、これはもう従来からいろんな分野で、これは科学技術庁だけの問題じゃなくて、大学関係でも相当いろいろ議論になっていると思うんですけれども、そういう問題に対してどのように感じておられるのか。前々から比べますと相当進歩している、あるいはそういうことはもう全然ない、そのように認識されているのか。
 あるいはもう一つ、これは予算、いよいよ予算ですから、科学技術庁は日本の科学技術分野の全体を総括して、そして各省庁の、まあコントロールといったら大げさですけれども、そういう分野も含めてきちっとやっていかなきゃいけない。そういう面からいきますと、予算が非常に少ない。少ないだけの機能しか果たしていないということかもしれませんが、そういう二つの分野についてまずお答えを願いたいと思います。
#167
○国務大臣(谷川寛三君) 確かにお話しのように、基礎研究ただ乗りという海外の批判があることは承知しております。しかし、技術水準はもう大変なものでありまして、私は実は、これは何という雑誌でしたか、日経サイエンスですか、これにペンシルバニア州立大学材料研究所の初代の所長さんのロイさんという人が投稿しているのを見まして、確かにこの人はよく見てくれていると思っておるんですが、必ずしも基礎研究ただ乗りというのは当たっていない、こう思っております。
 例えばこの論文の中に出ておりますが、セラミックスの分野で、一例でございますけれども、日本の科学者の論文数は六六%のシェアを持っている、大変なものじゃないかと言っています。それから、サンフランシスコで集積回路をテーマにしたIEEE国際会議というのがあったようでありますが、そのときにアクセプトされた十その論文があった、そのうち実に十五論文が日本人の科学者。によるものであったといって、この人自身が、決してただ乗りじゃない、アメリカ人の方が日本の基礎研究ただ乗りだということを言っておられまして、この人の意見でございますけれども、私も基礎研究ただ乗りという批判は必ずしもそのままいただくわけにはいかぬ、こう思っております。
 しかし、今お話がありましたように、日本の科学技術の研究費は決して多いとは思っておりません。殊に、先ほども御質問がありましたが、全体の研究投資の中で国の投資が一八%ぐらいですね。アメリカは四四%ぐらい、ドイツでも三三%ぐらいある。そういうことを考えますと、やっぱりもっともっと研究投資を、国の研究投資をふやさなきゃならぬ。一月に出ました科学技術会議の十八号答申でもそういう国の役割をもっとしなきゃならぬという意味の答申が出ておりますので、これは今後とも格段の努力をしていかなきゃならぬと思っております。国の投資が少ないということは、やっぱり基礎研究が不十分だということではないかと思っております。
 例えば、ノーベル賞ができましてから九十年になりますが、日本の学者の方はたったの五人。アメリカは百六十人近いでしょう。ドイツも六十人ぐらい。毎年というわけにはいかなくとも、二、三年に一人はノーベル賞をいただくようなことにしなきゃならぬ、そのためにはやっぱり基礎研究の充実をもっともっとやらなきゃならぬ、こう思っておりまして、今後とも格段の努力をしていきたいと思っております。
 殊に、基礎研究を担う国立大学それから国の研究機関の投資が少ない、非常に老朽だと言われております。これにつきましては、私は、さっきも御答弁申し上げましたが、全体の老朽度を調べ上げまして、道路とか港湾とか空港のように公共事業として何年計画でこれを改善するという予算要求をしようじゃないかと指示をしているところでございます。
 今後とも、今の批判は当たりませんと思っておりますが、今のままでは不十分だ、もっともっと充実していかなきゃならぬ、また科学技術庁としましても総合調整の能力をもっと発揮するように制度的にも将来見直していく必要があるのじゃないか、こう思っておるところであります。
#168
○小西博行君 確かに科学技術白書なんか見ますとかなりいろいろ基礎研究という分野三言われておるわけです。今長官が言われたように、論文というのは非常にあいまいな部分が私はあるだろうと思います。点数だけで何件出ているからということになりにくい分野だと思うんです。
 第一、科学と技術というのは定義を与えますとまたこれ非常に、何が科学で何が科学でないかという分野、あるいは技術というのは、日本が非常に得意なのは応用技術だろうと、私はそういうふうに思うんです。
 やっぱり先端技術ということになりますと、例えば材料の先端技術というのは新しい素材を開発するという非常に大きな命題があるのではないか。これは私の持論なんですが、日本は将来を考えますときに、製品輸出をして大国になってきた今までのやり方というものをどうしても抜本的に変えなきゃいけない時代が来るんじゃないか。つまり、製品を出しますとその国のその製品をつくっている産業というのは大変大きな壊滅的な状況になってしまう。日本は大量生産型というんですか、品質が非常にいいというようなことから、どうしても海外にあるそれぞれの企業というのが競争しますと日本にはなかなか勝てない、こういう状況が今後も続いていくんだろう。その結果が米の問題とかいろんな問題にしわ寄せになってくるというような感じがいたしまして、私は何としてもそういう先端技術というこの領域を何とかして頑張らなきゃいけない。
 日本の今の産業の中で、例えば自動車であるとかあるいは電気製品とかいうようなものが、コンピューターもそうでありますが、非常に発展しているわけであります。これは一番基本ということになりますと、ICとかLSIというようなこういう本当にすばらしい基礎の成果をアメリカからいただくことによって今日のように大きな発展をしている。そういう分野を何かこれからやっていかなきゃいけないんじゃないか。
 例えば放射光という非常に大きな研究が日本はどうもトップらしい、それから原子顕微鏡というのは世界のトップクラスじゃないか、超電導もまあいい線行っている、こういうふうにずっと言われております。一時はこの委員会でも超電導の委員会みたいな感じが実はあったわけですが、最近は割合静かになっておりまして、最近またちょこちょこ論文が出て非常にいい状況だ。そういういろんな分野が言われておるんですが、今長官が言われたように、日本はもうすばらしい、アメリカの方がむしろ悪いんだ、そういうことには実はならぬのではないか、そういう最先端という分野で考えますと。その点が私は一番気になるところでありまして、いろんな予算のことも時間があればじっくりやりたいんですけれども、予算も非常に少ないと思います。
 それから、特に今も言われましたように、国の予算、国の研究機関でやらなきゃいけないのが私は基礎研究だろう、そう思います。というのは、企業は、産業はいろんな研究をやりたいんですが、やっぱりリスクを伴うようなことはできるだけ避けたい、利益団体といいますか、そういうのが基本にありますから。どうしても国の方が中心になってやらなきゃいけない。そういう意味では、各行政機関で徹底的にそういう研究体制というものを組んでやらなきゃいけない。行政の中では、縦割りとかいろんな問題がありましてなかなか研究が進まない、やりにくい、一つのいい設備が入っても共同でなかなか利用できない、こういう分野が私はあるという気がいたします。なぜそういう行政関係では今のような目標を明確にした研究がお互いの協力関係でスムーズに進まないんだろう。十年前から比べると大分いい状況だろうとは思いますが、その点の実情についてお伺いしたいと思います。
#169
○政府委員(長田英機君) 先生今御指摘の点でございますが、私どもは、創造的、基礎的な研究というのは、少し大げさになるかもしれませんが、人類のために切り開いていくといいますか、国際貢献というような意味で取り組んでいかなきゃいけない、こう思っておるわけでございます。
 具体的な点でございますけれども、私どもとしましては、例えば五十六年度に創造科学技術推進制度というのをつくりました。さらに六十一年度には理化学研究所のフロンティア研究システムというのをつくりました。また、最近におきましては、平成三年度にいわゆるさきがけ二十一というような新しい一つのひらめきをもたらすような制度をつくり、また平成四年度では異分野交流研究の制度をつくるというふうに、毎年毎年この制度面の充実には努力をしてきているわけでございます。また、先生御指摘の各研究組織間の交流の問題につきましては、研究交流促進法改正を今国会に提案させていただいております。
 このように、毎年毎年制度を充実するとともに、何とか基礎的、創造的な研究が進んでいくように努力をしてきておりますので、もちろんこれは今後とも非常に重要な問題でございますから、ますます一層の努力が必要だ、そういうふうに考えております。
#170
○小西博行君 やる気を十分持っていただきたいというように思いますが、しかし、どうやら最近は研究員も国の方の研究者になりたくない、むしろ民間の方で頑張りたいというようなことがよく話題になります。国の研究機関の方も何としても優秀な人材を採りたいということでいろんな方策をとっているようですが、なかなか効果的ではない。
 私は、一つは国の研究機関というのはもう施設が非常に古くて、本当に用を品さないと言ったら語弊があるかもわかりませんが、どうもそういう部分があるのではないか。私自身も多少そういうものにかかわった経験がございますから、いろいろ県内の企業の診断とか指導ということもやってまいりましたが、実際は設備が全然話にならない。民間はもうすばらしい設備が入っているというようなことが随分ありまして、県の段階の研究者の皆さんと一緒に診断に行くのですが、むしろ驚きばっかりでして、民間にこんな立派なのがあるのかということで、指導どころじゃなくて逆に指導されるという分野が私はあるのではないかな、そういう感じがいたします。
 これも実は前の文部大臣が東京大学へ視察に行った記事がちょっとあったわけですが、実は入ってみますとびっくりして、非常に古い施設でやっておる。マスコミ関係でもこういう分野は時々やられておるんですが、なかなか思うようにそういう研究施設が整わない、そういう分野がありはしないだろうか。
 だから、科学技術庁というのは、各省庁でも研究機関があるわけですから、一々細かく入り込んで、通産省の研究機関はここがちょっと古いじゃないかとか、そういう言い方はなかなかしにくい分野だろうと思います。当然予算の請求もそれぞれのところからあるのではないかと思うんですが、相当おくれているのではないか。一部非常に先端的なものをやっているところはそれ相応の設備があるんだろうと思うんですが、民間の設備と比べて大分劣っているんじゃないか、そういうように思うんですが、どのように認識されていますか。
#171
○政府委員(須田忠義君) 科学技術庁は二つの性格を持っていまして、一つはオールジャパンとしての科学技術会議、この今後の日本の基本的な方策を議論する場と、実際的に毎年毎年先生おっしゃるような予算の見積もり方針の調整、そういう権限を持っておるわけですが、せんだって一月、今後十年間を見通した我が国の科学技術の政策の展望、それが答申として出されたところでございます。
 その中で一番今重要視されて強調されているのは、まさしく今先生御指摘の日本の大学、国研、この設備の老朽化、陳腐化、これはもう相当のところまできているという認識でございます。したがって、人材問題も含めましてここを整備しなきゃいかぬ、これによって日本は基礎研究の成果を世界に発信していく、そういう気持ちになってここを整備していけ、こういうことでございます。
 なお、老朽化だけでなく、大学の教官、国立研究所の先生の身分、給料、そういう体系、いわゆる環境、その辺もこれからずっと改善していかなきゃいかぬという御指摘でございますが、設備関係、全く重大な関心を持って指摘しているところでございます。
#172
○小西博行君 データによりますと、この十年間で民間の研究費用というのは大体三倍ぐらいになっております。それに比べまして、これは文部省の管轄になるのかもわかりませんが、大学の施設整備費というのは逆にこの十年間で千五百億から八百億円と半減している、こういう具体的なデータが、これはもう現実問題であります。恐らく、これは大学だけではなくていろんな国の研究機関でも決してそんなに大きく予算が伸びているわけじゃ私はないだろうと思います。
 これはもう大蔵省の判断も必要なんですけれども、その辺の意気込みを十分伝えて、そして思い切った予算取り、あるいは人材の育成というものを思い切って考えていくような科学技術庁であってほしい、こういうように思うんですが、その決意のほどをお聞かせいただきたい。
#173
○国務大臣(谷川寛三君) いつも申しておりますが、人類、社会の発展のためにはまず科学技術の振興がなされなきゃならぬ。殊に日本は国土も狭い、資源も小国だ、人口も他国に比べますと速いスピードで老齢化しつつある、働く若い人口が減りつつある。さっきからお話もあったんですが、中でもエネルギーの問題とかそれから環境の問題は大変深刻な問題である。そういうことを考えますと、やっぱりこれは科学技術立国でいく以外にないと思っております。
 そういうことで、従来とも当庁としましては一生懸命頑張っておるところでございますが、今お話しのように若い研究員が不足しておる、これはやっぱり研究施設が魅力がないということもあります。それから、予算が殊に基礎研究につきまして伸び悩んでいるというようなことも魅力のあるところでないというふうになっているんじゃないかと思いまして、今後とも格段の努力をして予算の獲得に邁進したい。それから大学、国の研究施設の老朽化の改善につきましても関係省庁と協力いたしまして全力を尽くしてやる、こういう覚悟でおります。
 また、いろいろ御支援も賜りたいと思っておるところであります。
#174
○小西博行君 時間がございませんから、最後にちょっとだけ苦情を申し上げたいんですが、きょうの委員会の皆さん方のずっと御質問をお伺いしながら、その答弁を聞きながら、もうちょっと的確な答弁、そしてよく中身を理解した上での答弁をぜひいただきたいなと。私自身の質問に対してはかなりいい答弁をしていただいたと思うんですが、やっぱりもう少しきちっとしていただきたい。
 科学技術というのは、さっき私が申し上げたように、非常に大きな期待を私だけじゃなくて皆さんしていると思うので、その点を万全を期していただきたい。そのことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#175
○委員長(及川順郎君) 他に御質問もないようですので、質疑は終局したものと認めます。
 これをもちまして平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査一は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#176
○委員長(及川順郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#177
○委員長(及川順郎君) 次に、研究交流促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。谷川科学技術庁長官。
#178
○国務大臣(谷川寛三君) 研究交流促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 研究交流促進法は、国と国以外の者との交流を促進し、国の試験研究を効率的に推進することを目的として、昭和六十一年に制定されたものであります。法制定後約六年がたち、この間、我が国の科学技術を取り巻く情勢は大きく変化いたしました。近年、科学技術面での我が国の国際貢献の必要性が高まるとともに、科学技術の一層の高度化、複合領域化等が急速に進み、基礎的、創造的な研究の積極的推進が内外から強く求められるようになっているところであります。このような状況に適切に対処していくためには、産学官及び外国との間の研究交流を一層促進していくことが重要であり、このため、国の研究活動を取り巻く種々の制度的制約をより一層緩和していくことが必要であります。
 本法律案は、このような状況にかんがみ、国と国以外の者との研究交流を一層促進するために必要な新たな措置について定めるものであり、以下の事項をその内容といたしております。
 第一は、国の研究への外部からの人材登用を促進するため、研究公務員の採用について任期を定めることができる旨規定することであります。
 第二は、国の委託に係る国際共同研究の成果に係る特許権等について、諸外国との制度的調和を図り、国際共同研究への外国研究機関の参加を円滑にするため、その取り扱いの特例措置を講ずることであります。
 第三は、国有の試験研究施設を外部の者が廉価で使用できるための要件を緩和し、その利用の促進を図ることであります。
 以上、本法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#179
○委員長(及川順郎君) 以上で本案の趣旨説明は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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