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1992/05/07 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第4号
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1992/05/07 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第4号

#1
第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第4号
平成四年五月七日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     野村 五男君
     穐山  篤君     喜岡  淳君
     角田 義一君     谷畑  孝君
     堂本 暁子君     田  英夫君
 四月三十日
    辞任         補欠選任
     篠崎 年子君     角田 義一君
     井上  計君     猪木 寛至君
 五月六日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     石川  弘君
     谷本  巍君     國弘 正雄君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     鎌田 要人君
     仲川 幸男君     斎藤 文夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                上杉 光弘君
                岡野  裕君
                田村 秀昭君
                藤井 孝男君
                佐藤 三吾君
                谷畑  孝君
                矢田部 理君
                木庭健太郎君
                吉川 春子君
                井上 哲夫君
                田渕 哲也君
    委 員
                石川  弘君
                板垣  正君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                合馬  敬君
                鹿熊 安正君
                鎌田 要人君
                木宮 和彦君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                関根 則之君
                仲川 幸男君
                永野 茂門君
                成瀬 守重君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                星野 朋市君
                真島 一男君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                喜岡  淳君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                田  英夫君
                細谷 昭雄君
                太田 淳夫君
                常松 克安君
                中川 嘉美君
                立木  洋君
                磯村  修君
                猪木 寛至君
                喜屋武眞榮君
   委員以外の議員
       発  議  者  野田  哲君
       発  議  者  久保田真苗君
       発  議  者  篠崎 年子君
       発  議  者  村田 誠醇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  田原  隆君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
       農林水産大臣   田名部匡省君
       通商産業大臣臨
       時代理      渡辺 秀央君
       郵 政 大 臣
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
       建 設 大 臣  山崎  拓君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣  塩川正十郎君
       (国家公安委員
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  岩崎 純三君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      伊江 朝雄君
       (沖縄開発庁長
       官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  野田  毅君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  谷川 寛三君
       官)
       国 務 大 臣  中村正三郎君
       (環境庁長官)
       国 務 大 臣  東家 嘉幸君
       (国土庁長官)
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣  荒田  建君
       官房会計課長
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣  有馬 龍夫君
       官房外政審議室
       長
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣  野村 一成君
       官房参事官
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       内閣法制局第二  秋山  收君
       部長
       警察庁長官官房  大森 義夫君
       総務審議官
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
       防衛庁装備局長  関   收君
       防衛施設庁長官  藤井 一夫君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁施設  大原 重信君
       部長
       防衛施設庁労務  荻野 貴一君
       部長
       環境庁長官官房  森  仁美君
       長
       法務省訟務局長  加藤 和夫君
       外務大臣官房領  荒  義尚君
       事移住部長
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       局長
       外務省情報調査  七尾 清彦君
       局長事務代理
       文部大臣官房長  野崎  弘君
       文部省生涯学習  内田 弘保君
       局長
       文部省初等中等  坂元 弘直君
       教育局長
       文部省学術国際  長谷川善一君
       局長
       厚生大臣官房総  大西 孝夫君
       務審議官
       厚生省援護局長  多田  宏君
       海上保安庁次長  小和田 統君
       郵政大臣官房審  金澤  薫君
       議官
       労働省職業安定  若林 之矩君
       局長
       労働省職業安定  伊藤 欣士君
       局次長
       自治省行政局公  秋本 敏文君
       務員部長
       消防庁次長    渡辺  明君
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
 法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改
 正する法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施
 等に関する法律案(野田哲君外三名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に谷畑孝君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(下条進一郎君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○竹村泰子君 私は、きょう初めに国際化、国際貢献に関する質問をする予定でございますけれども、そこで冒頭、宮澤総理はフランス、ドイツ、それから渡辺外務大臣はロシア、カザフスタン等、それぞれ歴訪なさいました。まず、その御所感と御報告をお伺いしたいと思います。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) 連休の期間を利用いたしまして、かねてフランスのミッテラン大統領、ドイツのコール首相と話をしたいと考えておりましたので、両国を訪問いたしました。短時日の日程でございましたが、両首脳と会談をいたしてまいりました。
 いつもさようでございますが、このような場合、会談の内容といたしましては、二国間の問題とそれから一般的な国際問題、二つに分かれるわけでございますけれども、一般的な国際問題といたしましては、いわゆる冷戦後の旧ソ連及び東欧をめぐる世界の大きな変化の流れといったようなもの、並びにECが新しい統合に向かっております、そのことにつきましての見方、その二つがあるわけでございます。それから、二国間の問題につきましては特に緊急な問題というのはございませんでしたが、それにあわせまして、間もなくサミットがございますので、そのことにつきましても触れたわけでございます。
 サミットの関連で私が申しましたのは、新しいことしのミュンヘンのサミットの課題になると思われるでありましょう旧ソ連、ロシアを中心とする旧ソ連の問題について、我が国としてはG7の国々とともに、ロシアを中心とする旧ソ連が、まず第一に国内的に民主化の路線並びに核兵器の管理について十分な責任を持ってもらいたいということ、第二に経済問題についてIMFとの協調のもとに市場化への路線を進んでもらいたいということ、第三に外交の問題として、かつてのスターリンのような侵略主義というものを改めて、スターリン路線を改めて法と正義による外交をしてもらいたい。この三つの観点において、G7はロシアを中心とする旧ソ連への援助をすべきであると我が国としても考えている。
 その際、第三の外交の問題について、いわゆる法と正義に基づくスターリン主義の否定、法と正義に基づく外交という中において、我々は北方領土問題というものを単に日ソあるいは日ロの問題としてでなくG7全体の問題として考えるべきであると思う、そういうことを申したのでございます。それはすなわち、我が国の北方領土についての、そのような物の考え方についてのG7全体の合意というものに関してコール首相並びにミッテラン大統領と話をいたしたのでございます。
 その点につきましてごく簡単に申しますと、ミッテラン・フランス大統領は、もとよりこの問題は日ロの両国による協議の問題であるけれども、しかしロシアを中心とする旧ソ連もここ二年ぐらいが非常に大事なところであって、さっき申しました三つの方向に向かってみんなで支援をしてやる必要があると思う。そういう状況の中で、この領土問題をめぐって話し合いの環境というものは自分は存在しているように考える。フランスとしてもできることがあればお助けをしたい、助力をしたいと思うと、こういうことでありました。
 コール首相は、この領土問題についての日本の考え方は自分はかねてよく理解しているし、ゴルバチョフ前大統領の時代にも、北方領土についてのソ連の立場というものは正当化できないと自分は述べたことがある。今でもその点は同じ意見を持っているので、エリツィン大統領と会う機会に自分の意見を伝えることにしたいということでございました。コール首相はミュンヘン会議のサミットの議長になる立場の人でございますので、特にこの点については念を入れてお話をしてまいったということでございます。
 総じて、世界全体の冷戦後の流れにつきましては、両首脳とも先ほど申しましたような方向に向かって全体が流れるために協力をし、助力をしなければならないと考えておられますけれども、事態が落ちついていくのにはかなり長い年月がかかるであろう、そういう心構えでいかなければならないであろうという見解でございました。また、ヨーロッパの統合については、もはやさらに進んだ統合への方向というものはほとんど決定的になりつつある、そういう事態に積極的に対応していかねばならない、そういうお考えのように会談をいたしました印象を持って帰ってまいりました。
#7
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡潔に申し上げます。
 実は、宮澤総理がことし春、ニューヨークを訪問してエリツィン大統領と会ったときに、九月の半ばごろ日本を訪問をするという話があったんですが、その後、少し早めていただいてはというような外交筋からのお話もありました。そこで、日程をまず確定してもらわないと、こちらも行事がいろいろございますので、第一はエリツィン大統領訪日の日時の確定、これが一つの目的です。それは九月の十四、十五、これを公式会談に当てるということで確定をいたしました。
 第二は、実はエリツィン大統領にじかに具体的な問題について日本の考え方等を初めて申し上げるわけでございますから、向こうの主張を聞くと同時に、こちらの言い分をはっきりと申し上げるという目的であります。
 エリツィン大統領の方は、いわゆる五段階論というものを相変わらず展開をいたしておりましたが、しかしこれは早めたい、早める努力をしましょうということで、我々は中身がそのままで早めると言われてもそれは困るわけでございますが、一つは五段階論を早めるということはよいことですし、問題は中身の話でございますから、それにつきましては、とにかく平和条約を結ばなければ二国間の本当の信頼関係は確立しないと。平和条約を結ぶに当たっては、やはりその条約というものは守られるという保証がなければ、幾ら結んでも意味のないことであって、今まで日本とロシア帝国あるいはソ連邦との間に条約が幾つかありましたが、そういう条約の有効性というものをしっかり確認してもらわなければ、また条約結んでもどうなるかわからないんでは困るんであって、その証左として有効性を確認するということ。
 並びに、じゃそういうふうなことについていつやるか。国内的には四十年間も過去の歴史や何かということはよく知らされていないわけですから、そういうものを正しい知識を与える、そのためには共同資料というものをお互いが作成をする、そして確認し合ったものは公表をして、両国で大いにPRをする、こういうようなことの中で世論形成についての手助けをやっていこうと、こういうようなことなどでございます。
 私どもとしては、北方四島の主権が一括して日本の主権であることが認められれば、今までのように四島一括即時返還ということでは、四十年間やってきてだめなわけですから、それは現実的な対応をしなければならない。そのためには、それはまあ五段階になるか、二段階になるか、三段階になるかは今後の話でございますが、返還の時期、それからやり方、条件、住民に対するいろいろな生活の問題等々のことについては柔軟に話し合いをする用意がありますということを伝えてきたわけでございます。
 結論的に言って、結果がはっきり出たわけではございませんが、そういう違った立場にはあるけれども、しかしこれは根気強く、静かに、両国外交当局の間で話し合いを進めてほしいと大統領から、我々両大臣の前でロシア外務大臣に対してエリツィン大統領からはっきりした御下命があったわけです。
 と同時に、我々、五段階のうち一段階はもう既に終わっている。つまり、島の存在が、北方四島問題というのが平和条約を結ぶに当たって未解決だということを示唆する領土問題の存在、これがあると。それから島の自由往来、これも一部もう実現しかかっている。そのほかに、島からの軍事の撤退については、一両年のうちに警備隊を除き全部の軍隊を撤退させるという明言があったわけですから、五つのうち三つは大体実現したではないか。あと残る問題だ、こういうようなことになって、これは話し合いによって粛々とひとつ決めていこうと。
 そういうような、宮澤・エリツィン大統領会談の地ならしといいますか、せっかく訪日になったらば前進をしなきゃならぬわけですから、これは四十年も固定的状態にあったものですから、一挙に解決するというようなことはそれは期待できませんが、着実に一歩一歩前進していくことができるような環境づくりをやってきた。
 私は、結果は大変よかったと、満足をいたしております。
#8
○竹村泰子君 大変結果はよかったということですが、それはもう少し先を見てみないとわからないと思いますけれども、御苦労さまでございました。
 ちょっとついでにお伺いします。ついでにと言ったら大変あれなんですが、地球サミットが開かれますね、六月十日からですか。宮澤総理が御出席をなさるかどうか。これは今これから私どもがお伺いしてまいります国際貢献、国際協力ということでも非常に大きな地球温暖化防止条約などなど、地球環境を守るということでは非常に大きな国際貢献であると思います。その日本の取り組み方の何というか決意のほどがこれで見られると思うんですけれども、ブッシュ大統領も二日は出席する方向というふうに聞いております。とりわけ冒頭の何日間はジャパンデーというように私ども聞いておりますけれども、宮澤総理、一日でも二日でもこれに御出席をして、そして地球環境を守るため日本は本気なんだということをお示しになってはいかがですか。
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) 事の重大さから申しますと、出席をいたしたいと考えておりますけれども、御承知のように、国会の開会中でございますので、国会のお許しか得られるかどうかということと、得られるような環境にあるかどうかということ、それによりまして決めなければならないと思っております。
#10
○竹村泰子君 行って本気でやろうという意気込みはおありになるわけですね。
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) 事の重大さからいたしますと、出席をいたしたいという希望を持っております。
#12
○竹村泰子君 ぜひ御検討願いたいと思います。
 国際貢献という言葉なんですけれども、国際貢献もしくは日本の国際化ということで、私は国際貢献という言葉は余りよくないと思うので国際協力というふうに言った方がいいのではないかと思いますが、何をどうすることが国際貢献なのか、協力なのか。言葉は美しいんですけれども、美しい言葉はしばしば危険も伴います。例えばあの太平洋戦争は、幾つもの美しい、正しいと見られる言葉で埋められておりました。これはアジアへの貢献がうたわれていたわけですけれども、御記憶だろうと思います。
 湾岸戦争のとき、日本は軍事的協力をしないかわりに気前よくお金を出しました。また、日本の経済力、技術力を使って国際貢献をという発想は一つの世論づくりともなったと思います。九十億ドルの追加支援は多国籍軍への支援に使われた。これはもう周知の事実でありますけれども、政府はこの責任をどうとっておられるのか、その後お聞きしたことがない。自国ではなく他国の武力行使にかかわる経済的援助は憲法に違反しないと言い続けてこられました。憲法で禁じられている集国的自衛権の行使というのは、実際に日本がよその国に行って援助をするということであって、費用の分担についてはその限りではないと繰り返して国会で述べてこられました。
 九〇年十一月に出された政府の統一見解でも、集団的自衛権とは国家による実力の行使にかかわる概念であり、我が国が費用を支出するということが集団的自衛権には当たらないというふうにおっしゃっております。これに対して多くの反論が国民の間にありました。例えば、資金協力や物資の輸送も、それが武力行使を財政的、物質的に支えるものとして軍事的に不可欠な意味を持つとすれば、これは直接的な武力行使と同様に集団的自衛権の行使に当たるじゃないか、あるいは他国の軍事行動を援助する資金を供与するのは、日本が誇りにしてきた武器輸出禁止政策も水泡に帰すのではないかと国会の中でも問われ続けました。これらの反論をよそに政府は多国籍軍への支出を実行されました。九一年一月二十六日、ベーカー国務長官は、日本、サウジアラビア、クウエートからの追加資金援助計三百六十億ドルはすべて米国の戦費に充てられると発言しております。政府は、資金の拠出先であるGCC、湾岸アラブ諸国協力理事会に対しても、国会の論議に使い、当時中山外務大臣は食糧、生活関連、事務、医療費などに使われるよう求めると説明をなさるなど、対応に苦しまれました。
 そういった経過があったわけですけれども、あの湾岸戦争への非常に多額なお金の支出は実は多国籍軍への軍費であった、こういうことをお認めになりますか、どうですか。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、我々は国連中心主義の外交、国連に協力しよう、こういうふうな基本方針でやってきたわけです。
 そして、国連としては、安保理において再三にわたりクウエートからフセインの軍隊が撤退することを何度となく助言、勧告をしてきました。それで聞かないので仕方がないから経済的な制裁を加えざるを得ない。そしてまた、それでも聞かないときは日時を限って、約半年後の一月十五日を期して、どうしても占領状態を続ければ武力行使もしますよということを警告してきました。当時、ソビエトはそういうふうなことをしたくないから、シェワルナゼ外相等が何回も何回も走り回ってイラクの説得をしてきたことも事実であります。しかしながら、どうしてもそれも聞かないということで安保理で採決したところが、御承知のとおり、ちっちゃな国が二つ反対したところがありますが、大国はすべて賛成、一国だけ棄権した国がありますがそれは反対じゃないんですからね、棄権したということは。したがって、安保理のほとんど大部分はもうやむを得ない、こういうことになってあの行為が行われる。
 日本は、多国籍軍に兵隊を出すことはできない、人的貢献はやらない、また資金の援助もやらない、そういうことで国際社会において通用するわけがないんですね、だれが考えたって。こんなことは常識の問題なんだ。
 そこで、我々としては、直接の武器弾薬、そういうものの調達のお金は出しませんが、後方的な民生援助やいろいろなその他の問題について間接的な支援をせざるを得まい、こういう判断に基づいてやったことでありまして、そのお金がそれじゃどこへどういうふうに使われたんだといっても、それは我々の方の意図は今言ったような意図で出したんですが、しかしある費用がかかって一部の費用が負担軽減になればそれだけ全体の費用は少なくなるということは言えるでしょう、それは金に色がついているわけじゃありませんからね。
 しかしながら、我々は、湾岸諸国に対する窓口をつくって、そういう趣旨で出すんですよということを言ってちゃんと国際的な分担、役割というものを果たしたということでありますから、これはもう考え方の相違でありまして、それ以上説明することは私はないだろう、そう思っております。
#14
○竹村泰子君 そういうことを言っていただいちゃ困るんですね。日本は平和憲法を持っているわけでして、戦争を放棄しているわけです。ですから、武力行使を財政的、物質的に支えるということに使われるかどうかわからなかったけれどもとにかくお金を出した、それはどういうふうに使われるかわからなかった、しかし後で聞いてみればそうであったと。そんなことでは私たちは何のために平和憲法を守ってきたのかわからないじゃありませんか。そういうことを言っていただいては、大変外務大臣としては無責任きわまりないと私は思います。
 国会の中でもこの問題はずうっと取り上げられ、議論がされてきたわけですけれども、戦争のために出費をしてしまったんですよ、結果的には。人殺しのためにお金を出しちゃったんです。そういうことをどういうふうに私たちは考えるか。
 憲法記念日が四日前でございました。四十五歳になりました、憲法は。人間で言えば非常にいい年ごろであります、働き盛り。しかし今、憲法は大変な危機的な状態にあると私は思います。前文にある「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」、「名誉ある地位」というのは、宮澤総理、どう理解しておられますか。
#15
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま、ガルフ戦争に対して我が国がGCCに出しました金を人殺しのために金を出したとおっしゃったように聞こえましたが、そもそも侵略をしたのはサダム・フセインでございますから、それに対して国連の安保理事会が十何回の決議を重ねてこのサダム・フセインの侵略を排除するということを決めたわけでございますので、私どもは国連安保理事会のそういう十何回にわたる決議に賛成する意味でこの活動を財政的に支援したということでございまして、人殺しのために国民の税金を使ったというふうに私は考えておりません。
#16
○竹村泰子君 どうあろうと戦争のために使われれば、戦争は人殺しですよね。それは禁じられていると思います。
 「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということに対するお返事はどうですか。
#17
○国務大臣(宮澤喜一君) 憲法の前文及び憲法の本文に書いてありますところを実践いたすということでございます。
#18
○竹村泰子君 ちゃんと答えてください。「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」のは、具体的にはどういうことを考えておられますか、一国の総理として。
#19
○国務大臣(宮澤喜一君) 世界の平和と正義のためにそれを実践し、またそれに対する責任を果たすということと考えております。
#20
○竹村泰子君 ほかの国と同じ大国意識を持つことか、あるいは安保理事会の常任理事国になることか、サミット参加国であることなのか。湾岸戦争以来の国会での議論、いわば国連信仰とも言うべき議論の中で、憲法前文の規定、これはむしろ国連よりもさらに先行する平和的な国際協調主義というか、「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しよう」という、これは国連よりも先んじている、そういう力強い活動を示しているというのが趣旨なのではないでしょうか。
 そのためには、目的も見定めずに気前よくお金を出す、アメリカの後追いしか考えないかのような貧困な外交姿勢では到底達することはできないじゃないでしょうか、この前文の高邁な「名誉ある地位を占めたいと思ふ。」ということは。
 今回のPKOの論議も、また国際貢献論議も、古い安全保障観に縛られて車事主義に傾斜しているのではないかと思います。議論がPKOの局部に集中していて全体像が見えてこない。特に、私は女性の集まりなどにも行っていろいろお話を伺いますけれども、一体国会は何を議論しているの、よくわからないじゃない、そういうお話が出てくるわけですよ。それは、全体像が見えてこない、そういう政府の姿勢が見えてこない。安全保障で守られるべきは民衆の命と自由です。紛争を事前に予防して、終結させ、事後の救援を支える外交、経済、政治の総合力が新しい安全保障と私は考えます。
 総理は、二十八日のフランスの新聞社とのインタビューに答えられて、世界の新秩序づくりに、日本は軍縮で貢献、それから国連の機能強化、環境保護と難民への援助というふうに言っておられますけれども、今回の独、仏の御歴訪でそういった日本の外交の新秩序づくりの模索はおできになりましたでしょうか。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお話を伺っておりますと、サダム・フセインがクウエートに侵攻した、それをほっておけばいいと、こうおっしゃっておられるように承りました。
 私どもはそうは思っていないし、国連の安保理事会はそうでない、これは防がなければならないと言ったということを私は理解しております。
 フィガロに語りましたようなことはそういうふうに考えております。
#22
○竹村泰子君 今、最後のところがよく聞こえなかったんですが、フィガロのことは何とおっしゃったんですか。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 冷戦後の新しい世界の平和の秩序づくりに日本も貢献したい、こういうことを申しております。
#24
○竹村泰子君 どのように新秩序づくりを模索されましたかというふうに私はお尋ねしたつもりだったんですが。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) 我々が毎日やっておりますことが、この新しい平和の新秩序づくりへの貢献であるというふうに考えております。
#26
○竹村泰子君 毎日やっていることがというのも大変難しいお答えですが、ちゃんと答えてください。
 私は、今度の御歴訪が新秩序づくりにどういうふうにお役に立たれましたか、何か新しい構想をお持ちになりましたかとお聞きしているんです。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 本会議の施政演説の中でも申し上げましたように、冷戦後の時代というものは、いわゆる新しい自由と民主主義による願わくば市場経済をもとにした新しい平和を構築する、そういう時代が来た。いわゆるそういう意味での平和の配当というものが、我々ばかりでなく、殊に南北問題等々に用いられなければならない。我が国はそういうことを戦後実践をしてきた国でございますから、そのような流れの先頭に立ってこれを大きく推進しなければならない、そういうふうに考えておるわけでございます。
#28
○竹村泰子君 そこで、それでは軍縮について伺います。
 それでは、今、宮澤総理がお答えになられましたとおりだとすれば、世界第三位の軍事費を誇る自衛隊をどう削減するのですか。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、まさに世界の新秩序と将来的には大いに関係のある話だと私は思うんです。
 今、応答の中にございましたが、サダム・フセインがクウエートを占領した。だけれども、しかし強い者が弱い者を乗っ取るのは仕方ないじゃないか、何も日本はそんなところへ口出しすることもないし、やはり安い石油が買えれば、クウエートから買おうがサダム・フセインから買おうが買えればいいんじゃないかと言う人もいますよ、それは、数のうちですから。いますけれども、しかし、そういうことを見逃しておくと、アラビアの一部ももとはクウエートのものがあったなどと彼はうそぶいているわけですから、またそこに手を出してくる。そういうことになれば、今度はそういうふうな不正義がどんどん実力によって拡大されるということになれば、それぞれの国が自国防衛のために軍備の増強をしていかなければならない、こうなってくるんですよ。
 しかし、そういうような、国連が集まって情理を尽くして説得をまずする。外交的なことをやる。それでも聞かなければ経済的なこともやる。それでもどうしてもだめだという場合には、それを放棄してしまうのか、それともそれについては、やはりサダム・フセインのようなことをやると世界じゅうからとっちめられるよと。とっちめられるという言葉はちょっとぐあいが悪いか知らぬが、結局世界じゅうから非難、攻撃をされますよということの一つのあれはお手本なんですよ。
 そうすることによって、だれもが個人で原子爆弾を開発してみたり、軍備増強をどんどんやったりしたって、それを不正に利用するようなことはむだだよと。世界じゅうを相手にそれは戦うようなことに結果的になるよということは、かなりのこれはブレーキになるんですよ。それによって、将来米ソの間でも軍縮がどんどん行われていったときに、サダム・フセインのような人が世界の各国に必ずいるに違いないんだから、いなければいいけれども。そのときにはやはりだれがやるかということになれば、各国家が軍備拡大をするのでなくて、各国が、国連に加入した人がみんな少しずつ力を合わせて、そして防衛してやろうというのが集団安全保障的な物の考え方でしょう。日本はそこにまでは乗っているわけではありませんが、こういうことが将来の軍縮につながる物の考え。これがわからぬと軍縮のことはわからぬのですよ。
 だから、そういう点で、そういう考え方に立って、我々は世界の軍縮をだんだん進めていこうという運動をやっているわけですから、そのことを御理解願いたいんです。
#30
○竹村泰子君 ちゃんと聞いたことに答えてください。
 サダム・フセインが戦争を起こして、それをほっておいていいのですかというのと、軍縮をどうやっていくのですかと、どういう関係があるんですか。私は、そんな人はほっておいてもいいです、勝手に戦争しなさいと言っていると言っているんじゃありませんよ。それは平和憲法を持った日本の貢献の仕方があるでしょう、とめる方法が、これはできるけれどもこれはできないという方法があるでしょうと言っているわけで、何でもかんでも気前よくぽんとお金を出すことがいいことなのですか、憲法に抵触しないのですかと言っているのと、もう一つは軍縮をどうやってつくっていかれますかと聞いているんですよ。ちゃんと答えてください。全然答えていない。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) 答えますからよく聞いてください。
 物の考え方なんですよ、これは。軍縮というものは、みんなが過剰反応で一つの国が軍備を持つからそれに負けずにこちらでも軍備増強をする。エスカレートしてくるわけですよ。その結果が、要するに米ソが人類を何十回も殺すだけの原子爆弾を持つちゃったという結果になったんでしょう、これ現実が。
 その考え方が間違っているんだから、だからみんな攻めないということになってくればここで大きな軍縮が行われるが、そういう方向をつくり出していくためには、今私の言ったような考え方にならなければ軍縮を提唱する資格はないんですよ、日本に。だから日本は必要最小限度の軍備しか持ちませんと。
 だから、軍縮を進めるためには、例えば通常兵器の移転にいたしましても、ある国が知らない間にどんどんどんどんやみでミサイルとか戦車とか買い集める、気がついてみたら戦争が始まった、こういうことは困るということなので、やっぱり軍縮のためには、武器がどうしてどこの国に流れたのか、何のためにそれは買ったのかというようなことも登録して透明性を明らかにしておこうと。そして、ともかくあなた何でそんなに武器が必要なのという、外交努力がそこにあるわけですから。
 だから、そういういろんな手段を通じて軍縮というものはやっていかなければならないのであって、そうでなければ、口でだけ幾ら言ったって軍縮にはならぬのですよ。
#32
○竹村泰子君 だから聞いているんですよ。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから言っているんですよ。
#34
○竹村泰子君 だから聞いているんですよ。
 世界第三位の軍事費を持つ自衛隊をどう削減しますかと具体的に聞いているんです。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは問題は比較の問題で、多いとか少ないとかというのは比較の問題なんですよ。その身分相応の、要するに軍備を持っているかどうかというだけのことなんですよ。例えば、金持ちはともかく塀をつくって鉄条網をつくってやっているじゃないですか。だけれども、わしらは金がないから金網ぐらいにしているわけですよ。
 だから、日本はやはりGNPの一%程度ということで今までやってきておるわけです。しかし、さらに今度は米ソの軍縮がどんどん進むということになれば、日本の将来の軍備の問題についても、それは多いか少ないかという議論は出てくることはあるでしょう。しかし、今のところは日本は国力に見合って、GNPの一%というのは、ほかの国が五%だ、やれ一〇%だとかけているときから見て、それは決して多いとは言えない。だから、将来は日本も軍縮の方向に、世界の大勢を見ながら、それはブレーキがかかるということは私はあり得る将来の話だと思っています。
#36
○竹村泰子君 身分相応なのですね。今の日本に身分相応な軍備をしているわけですか、GNP一%であるからと。日本のGNPは幾らで、世界第何位ですか。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは何を基準にするかといったって、領土の面積を基準にするのか、人口割で決めるのか、いろいろあるでしょう。あるけれども、一応の目安がGNPの何%というようなことは世界的に通用した言い方をしているんですよ。
 私が大蔵大臣の当時集まったときに、日本はたった一%か、わしらはともかく五%も出しておるんだ、こんな日本が自由陣営の一員として国際貢献が足らぬじゃないかと、軍事費が足らないと随分言われましたよ。しかし、そのときは私はあなたと同じことを言うわけですよ。そうは言いましても日本のGNPは大きいんですよ、一%といったってこれぐらいに何十億ドルとかなんかになるんですよという話をすると、ああそうですかといって初めてわかったような顔をした人がいましたが、それはやっぱり確かに日本のGNPは大きい。大きいからといって、じゃ今の日本の軍備が過大であるかどうかということは別問題だということを言っておるんです。
#38
○竹村泰子君 何を基準にするかということで、経企庁長官、GNP一%、日本のGNPは幾らで、世界第何位ですか。一%は幾らですか。
 それから、私の質問は自衛隊をどう削減するのかと聞いているんです。
#39
○国務大臣(野田毅君) 急なお尋ねなのでなんですが、おおむね四年度の経済見通しで名目値でいえば四百八十兆弱ぐらいであったかと思っております。
#40
○国務大臣(宮下創平君) ただいまGNP比の話につきましては、四百八十兆円弱、そういうことでございますから一%を割っておりまして、四兆五千五百十八億円でございます。
 先ほど先生が世界第三位というようなことを当然のようにおっしゃっておられますけれども、これについてまずちょっと申し上げておきたいんですが、これはNATOの分類等によりますとそう言うことも可能でございます。NATOの場合は我が国と違いまして、我が国では旧軍人恩給費、これは我が国の防衛費に入っておりません。これも含めておりますし、コーストガードと言われる海上保安庁の経費等も含まれております。
 そういったことがございまして、防衛費の比較をする場合にはその範囲、種類等をどう規定していくかという国際的な必ずしも統一した基準はございません。そういうことと、それからまた円価による換算の仕方、為替レート等によって異なります。
 ちなみに、NATOではそうでございますけれども、ミリタリーバランス等によりますと日本は第七位ということになっております。
 なお、今先生が御指摘の議論の中心は、フローで毎年の予算がどうかという点でありますけれども、我が国の防衛力は、御承知のように基盤的防衛力構想に立ちまして、必要最小限度の自衛力を限定的な小規模のものを持つという防衛計画大綱の基本方針に沿って整備されておりまして、その兵力量のストックにつきましてはこれは必ずしも三位ではございません。
 ちなみに、これは申し上げてもよろしゅうございますが、長くなりますので簡単に申しておきますけれども、米ソはもちろんのこと、英国、ドイツ、フランス等よりも我が国の兵力量が劣っていることは、これはもう陸上兵力一つとってもかなり顕著な少ない量でありますし、またアジア諸国の例をとりましても、我が国より陸上兵力をとっても相当もう規模の全く違う程度のものを保有しているということでございまして、我が国の防衛力は必ずしも私は先生のおっしゃるような、第三位第三位とおっしゃいますけれども、それは一つのあるいは計算の見方かもしれませんけれども、実態はそうでないということをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
#41
○国務大臣(野田毅君) 正確には四百八十三・七兆であります。
#42
○竹村泰子君 私の質問にはだれも答えてくれないんですよ。三位であろうと七位であろうと、自衛隊をどう削減をするのかと聞いているんです、軍縮を。
#43
○国務大臣(宮下創平君) 世界の軍縮傾向、これは私ども好ましいことと考えておりますけれども、しかしながら我が国の防衛力のあり方というものは防衛計画大綱に基本理念が示されておりますとおりでございまして、我が国が力の空白地帯になっては周辺諸国に不安定を与えるというために、限定的な小規模の抑止力としての自衛力を持とうという基本理念に立っていることは御案内のとおりでございます。
 これを否定なさるかどうかということになりますと、それはもう見方によって違いますが、我々としてはあくまで専守防衛という基本原則のもとに、非核三原則あるいはいろいろの諸原則によって我が国の防衛力整備を図っておるわけでございまして、この点は御理解をいただかなくちゃならぬなと。
 しかし、さはさりながら、かなりのものになっているのではないか、これをこの軍縮時代にどう削減すべきかというお尋ねであろうかと存じますけれども、まず第一に言えることは、国際の安定化、国際情勢は大きく変化しておりますけれども、これがどのような状況で安定していくかということをある程度見きわめつつ我が国の防衛力も背景として考えていかないと、防衛力というのは一気に整備できるものでもございませんし、また一気に削減をしても国際情勢の変化がどうなるかということと関係なしにそういうことはできないわけでございますから、私は安定的な見方が必要だと思っています。
 しかるがゆえに、私は衆議院段階あるいは本委員会におきましても御答弁を申し上げておりますし、政府が基本方針として掲げておりますことは、現在中期防は非常に抑制的なものになっておりますが、その中期防の抑制的なものを三年後見直しということも中期防に書かれておりますから、これに基づきまして、湾岸戦争後における防衛費の削減が一千億ございましたけれども、これらを含めてさらに下方修正もいたしましょうということもはっきり申し上げておりますし、なお人的支援の制約その他の問題ございますから、将来的にはこの防衛力のあり方について、特にそれらの条件、つまり人的制約の条件等を含めてこの今防衛期間中に、つまり平成七年度までに大きないろいろの検討もいたして次期防に反映いたしましょうということを申し上げているわけでございまして、決して我が国だけが防衛費を拡大しているということは絶対ございません。
 ちなみに、一例だけ申しましておきますと、平成四年度予算におきましても三十二年ぶりの低い三・八%の伸び率でございます。伸び額もたしか千六百八十億円程度だったと思いますが、これは昭和五十五年以来ですから十二年ぶりの低い伸び額になっております。当時の防衛費は今の半分くらいでございますから、額としてそれよりも低いということはかなり私どもは抑制されたものと、こう一つは考えます。
 それからもう一つの正面装備につきましては、平成三年度には一六%、前年度に対して削減をしております。これは湾岸の問題も関係しております。そしてなお、中期防では二・三%ぐらい下方修正する計画になっておるが、それを三・七%くらい削減いたしましたから、両年度を通じますと合計二割の正面装備の削減にはなっているわけでございまして、これは防衛費そのものに直接反映してこない、つまり債務負担行為等を使いますから、必ずしも目に見えた形ですぐ出てまいりませんけれども、そういうことで私はこれは一つの軍縮であるというように衆議院段階でも申し上げておるわけでございまして、決して我が国が過大な防衛費をこの情勢の変化に反して行っているというようなものではないことは明確だと思いますので、そのことをはっきり申し上げさせていただきたいと思います。
#44
○竹村泰子君 ストックホルム国際平和研究所というところがありますけれども、ここが、武器輸入は日本は世界第二位だと、これもまた数字が怪しいとおっしゃるのかもしれないけれども、世界の武器輸出は八七年以来減少傾向にある、しかしこの一年間でサウジアラビアに次いで日本は二位である、第三世界の一部と日本では武器調達のための費用が引き続いて増大しているというふうに、ストックホルム国際平和研の九一年版年鑑がそういうふうに伝えておりますが、このことをどうお考えになりますか。
#45
○国務大臣(宮下創平君) 委員御指摘のように、ストックホルムの国際平和研究所におきますところの報告はオールカントリーズ、つまりすべての国の順番がつけてございますが、日本は二位になっております。
 ところで、御指摘の報告書でございますが、この数値がどのような根拠に基づくものか、これは必ずしも明らかでございません。したがって、その詳細を承知いたしておりませんから、これについて言及してどうのこうのということを申し上げるわけにはまいりませんが、ただし平成二年度におきます防衛費の装備品輸入調達額を仮に申し上げますと、FMSで約千三百七十六億円、一般輸入で約八百三十四億円の合計約二千二百十一億円になっておりまして、装備品等の調達総額に占める割合は約一一%でございまして、これは最近ほぼこのような数字になっております。
 我々防衛庁といたしまして装備品を調達するに当たりましては、これは開発でやるかあるいはライセンス生産でやるかあるいは輸入でやるか、おのおのの方式について我が国の防衛の運用構想への適合性といいますか、適切であるかどうか、あるいは取得が確実であるかどうか、また維持補給の容易性、維持補給が容易であるかどうか等の諸点を総合的に勘案して、個々の装備品ごとに最も適切な方式を採用いたしております。
 そういうことでございますので、決して輸入がここへ来て増加しているということではございません。一時は、我が国の自衛隊はゼロベースからスタートいたしまして、日米安保条約のもとで輸入量が非常に多かったことも事実でございますけれども、今は大体今申しましたような一割程度ということに相なっていることを申し上げさせていただきます。
#46
○竹村泰子君 日本の経済力を非軍事的な安全保障と申しますか、そのことにどう生かすのかということで、考え方として、日本は経済大国である、すぐれた技術力を持っているということがここ何年か論じられ、また国際黒字が大きくなったようですけれども、そのことが国際貢献の前提となっている。
 例えばスウェーデンなど北欧諸国やオランダなど、NGOと政府が一体となった形で少なくとも日本がやってきたことと比較にならない貢献をしているんです、国際協力をしている。これはもう御存じと思いますけれども、これらの国は経済大国どころかむしろ経済小国です。飢えている人々に対しての拠金による食糧援助だとか、医師や看護婦を派遣しての危険を冒しての災害援助だとか、それらは経済大国でなくても、もしかしたら心構えの問題なのじゃないか、国のやる気の問題なのじゃないかと思います。
 皮肉な言い方をすれば、むしろ経済大国となって、また生活大国となって、生活大国という言葉はよくお使いになりますが、どういう言葉か私もよくわからないですけれども、その生活大国になったから他国の自然や環境や生活を破壊しているということを思いますと、むしろ経済大国ではない方が、そして心構えを深くして、そして憲法に沿った国際協力をした方がよいのではないかとさえ皮肉りたくなるほど国際協力ということはいろいろと考えさせられる問題でございますが、総理はこのことをどうお思いになりますか。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) 必ずしもお尋ねの御趣旨をきちっととっておったかどうかわかりませんけれども、我々がこれだけの経済の力を持つ国になりましたので、冒頭にも申し上げましたように、それをもって、殊に冷戦後の時代、平和の配当が期待されておる時代に我々の責任を果たしたい、あえて貢献と申し上げますが、貢献をいたしたい、それが我々の務めであるというふうに考えております。
#48
○竹村泰子君 先ほどのストックホルム国際平和研究所は、世界の軍事費が九〇年には五%減だったけれども、それでも九千五百億ドルと計算しています。円に直して百三十兆円に近い大変なお金です。ユニセフは訴えています。年間五億ドルあれば、たった五億ドルあれば、はしか、破傷風、百日ぜきなどの予防接種を受けられずに死ぬ三百万人の子供を救うことができる。世界の軍事費の何と千九百分の一です。これを切り詰めただけで三百万人の子供の命が救える、こういうことに私たちはうかつであってはいけないと思います。
 これは朝日の「論壇」ですけれども、日航の機長でいらっしゃる岡留さんという方、この方はユニセフのボランティアをしておられる方ですけれども、先日、「「子どものための世界サミット」が開かれた。その会議で話し合われたのは、いつの世においても発育中の幼児への福祉が最も優先されるべきだという」ことだったということから、例えば「もし日本が戦争への加担を好まず、世界への貢献と好ましい国としてのイメージや信頼を望み、そして子供への投資の生む経済や社会、世界人口安定と地球環境の保全などの相乗効果を考えるなら、世界への貢献の順序としてまず第一に、体制のいかんや敵味方に関係なくどの国からも喜ばれる、世界の子供への支援から始めるのが得策だと思う。」、こういうふうに投書しておられます。
 軍事費をふやし続ける日本が、経済大国とか技術大国、国際貢献とか言えるのでしょうか。やせ衰えて黙って死んでいく子供たちの顔が見えないでしょうか。多国籍軍のために九十億ドルも気前よくぼんと出す日本、その十八分の一の金額で三百万人ぐらいの子供が救える、これは私たちできることなのではないでしょうか。もし国際貢献を効果的にしたいのなら、国民の半数の反対を押し切って、アジアの国々の反発を受けながら自衛隊を出すのではなく、世界の子供たちへの援助を最優先にするべきであります。これには反対する国はないでしょう。
 一九九二年の世界子供白書によりますと、途上国の弱い人たちに最も必要な基礎保健や初等教育に回された金額は援助額の二%でしかない。この配分の改善のためには援助対象の指定が必要であります。ユニセフにも日本は多くの拠出金を出していると思いますが、目的を指定して出したことがありますでしょうか、外務大臣。
#49
○政府委員(丹波實君) 昨年度の数字をとりますと、ユニセフに対して二千三百九十三万ドルを出しておりますが、そのほか、国連災害救済調整官事務所を通じまして、これはユニセフの関係ですけれども、例えばアフリカの角の緊急援助として使うというような目的の指定、それからリベリアの被災民支援のためのユニセフを通じる二百二十万ドルの援助という、そういう指定の仕方で出しておる場合もございます。
#50
○竹村泰子君 その配分を改善するために、ぜひ援助対象の指定を今後とも検討していただきたい。子供たちを救うために、経済大国であり生活大国であるならば、ぜひそのような指定をお願いしたいと重ねて依頼をしておきます。
 それでは、次の問題に移りますが、総理は二十八日の本委員会の答弁で、なぜ自衛隊を排除しなければならないのか理解できないとおっしゃいました。あなたのような国際通である方のこのお言葉に私は驚いているんですけれども、総理にお答えをいただきます前に、対案を出しております社会党の方に、まず、なぜ自衛隊を海外へ出すことが問題なのか、なぜそこにこだわるのか、お答えいただきたいと思います。
#51
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもとしては、まず第一に憲法を厳格に守っていきたい、いろんな解釈をつけて憲法の抜け道を考えるというようなやり方はよろしくない、これが第一の考え方であります。
 それから二つ目には、せっかくの国際貢献がアジアの国々から懸念を持たれたり共感を持たれない、こういう国際貢献であってはならない、こういうふうに考えております。
 それから三つ目には、一九五四年、自衛隊の発足に当たって本院では、自衛隊は海外に出さざること、この決議が本会議で行われておりまして、この決議は現在も生きている、これを厳格に守っていかなければいけない。
 このことが、私どもが自衛隊を派遣すべきではない、こういう立場をとって対案を出した理由でございます。
#52
○竹村泰子君 総理の御所見をいま一度伺いたい。どういう意味で本当に理解できないとおっしゃったのか、教えていただきたいと思います。
#53
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる国連の平和維持活動の中には、これは戦争をしてはいけない、弾を撃ってはいけないというのがこの活動の本当の趣旨、本旨でございますが、それだけに非常にいろいろ難しい困難な仕事もたくさんある、苦労のある仕事もたくさんございます。そういうときに、そのような訓練をふだん受け、またそのような組織を持ち、命令系統を持っておる、そういう組織でないとなかなかそういう仕事がやりにくい場合が多い。
 これは派遣先の地域にもよりますけれども、いろいろ気象条件、天然の条件等々を初め、現実に例えば、例えばでございますがカンボジアなんかの問題を考えますと、人一人が行きまして、まず自分が食っていくこと自身が非常に難しいのでございますから、そういうところでそういう困難な仕事をやるといたしますと、やはり自己完結的な、自分自身でとにかく食っていける、雨露をしのいで、そして安全を守り、輸送をしながら困難な仕事をするということになりますと、やはりそれだけの訓練と組織を持たないと本当に有効な貢献はできないのではないか。かえって足手まといになるようでは、これは国連に協力することになりませんので、そういうことを考えて申し上げておるわけでございます。
 自衛隊が違憲であると私どもは考えておりませんから、そういう組織が役に立つのならばぜひ役に立たせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
#54
○竹村泰子君 それではお尋ねしましょう。
 日本が世界第三位の軍事費を持ち、さっき第七位かもしれないというお言葉もありましたけれども、かつて侵略者であったことに近隣諸国が強い警戒心を持っております。それは過去のことのみではなくて、現在進行形の形に基づいているんじゃないでしょうか。つまり、憲法九条の決意を実現する政治が不十分で、時には公的に過去の誤りを否定することすらある日本の政治の危険性なのではないでしょうか。
 冷戦構造の崩壊に伴い、日本の侵略の犠牲者となったアジア・太平洋地域、それのみならずオランダ、オーストラリア、ニュージーランドなど世界じゅうから被害補償を求める声が高まっております。もちろん、在日の韓国、朝鮮の人々からも上がっています。その背景として、ユダヤ人、ポーランド人、日系人などへの補償を明確にして補償を実行してきたドイツ、旧ソ連、アメリカ、カナダなどの動きがあることは御存じのとおりです。
 宮澤総理は、コール・ドイツ首相との会見で、コールさんが、今世紀にはいろいろ失敗もあった、特に日本とドイツは失敗した、今世紀の終わりまであと八年の間に全体として失敗の世紀ではなかったとなるよう一生懸命努力をしたい、こういうふうに言われたと聞いておりますが、それに対してどんなふうにお答えになったんでしょうか。戦後処理のお話などは出ましたんでしょうか。
#55
○国務大臣(宮澤喜一君) そのドイツがカンボジアの国連の平和維持活動に人を送っていることを御存じでございましょうか。
 一つおっしゃっておられないことは、自衛隊が勝手にどこへでも出かけていくなんということはないことでございまして、まず国連から要請があって、紛争当事国からの要請があって、周辺の国の同意があって、来てくれといって行くのでございまして、来てくれといっても、また行かないこともあると思うのでございますが、そういう条件が成就しなければ出かけていくことではないのでございますから、この点だけはどうぞ明確にひとつ御認識をいただきたいと思います。
#56
○竹村泰子君 今のお言葉、本当に大変なあれなんですけれども、ドイツの例がいいかどうかはわかりませんが、ドイツと日本とどうしてどこが違うか。
 もう釈迦に説法かもしれないんですけれども、ちょっと例を挙げてみますと、ドイツは連邦補償法、連邦返済法、対イスラエル条約、十二カ国との包括協定、これはそれぞれで合計して六十九億マルク、その他の給付七十四億マルク、そういうふうな形で四十年間かけて補償を実践してきたわけですよ。そういう違いを当然御存じで言っていらっしゃるだろうと思いますけれども、平らに、ドイツは出しているじゃないか、じゃ日本だって同じじゃないかというふうなことにはならないことだけはしっかりお覚えいただきたいと思います。
 二年前、盧泰愚大統領が訪日したときから、今後の真の日韓関係について、また強制連行の問題について、国会での追及が続いてまいりました。従軍慰安婦の資料も続々と発見されております。今三つの裁判が行われていることは御存じのとおりであります。一つはサハリン残留朝鮮・韓国人の裁判、二つ目は日本人として連れてこられたBC級戦犯の方々の裁判、三つ目は従軍慰安婦の方々も入られた裁判でありますけれども、先日、四月二十八日に台湾人元日本軍兵士の補償を求めていた訴訟で判決が出されました。最高裁が請求棄却をいたしました。これは大変残念なことだったんですけれども、しかしこの判決の中に、いかなる措置をとるかは立法政策に属することであるというふうに出ているんですね。
 そして、この方たちはラバウルなどへ徴用されて戦死した四人の軍属と負傷した九人の遺族や本人、二十四人の方たちでありますけれども、旧日本軍の軍人軍属として第二次世界大戦に参戦し死傷した台湾の方たちとその遺族であります。台湾住民である軍人軍属に対していかなる措置を講ずべきかは立法政策に属する問題であるということが、その訴えを退ける判決の趣旨でございます。この方たちは、台湾人兵士に対する補償というので、一九五二年の日華条約で両国間の交渉にゆだねられましたが、その後、日中共同声明で条約が効力を失ったため宙に浮いてしまったという不幸ないきさつがあるんですね。同じ日本人として戦地に駆り出されて死傷したのに、戦後、国籍を失ったために戦傷病者遺族援護法や恩給法の適用を受けられないというのはだれが見てもこれは不合理な話です。
 判決理由の中で園部逸夫裁判官は、この種の問題の根本的な解決については、国政関与者の一層の努力に待つほかないということをこの機会に付言しておきたいとわざわざ言っておられますけれども、このことにつきましてどのようにお考えになりますでしょうか。
#57
○国務大臣(山下徳夫君) この問題につきましては、先般の予算委員会においても検討するということを私申し上げたのでございますが、いろいろ検討いたしましたけれども、やっぱり援護法というものは恩給法に準拠してこれは定められているということでございまして、あくまで日本に国籍を持つ者ということが大前提になっております。
 したがいまして、いろいろ検討いたしましたけれども、どうしてもやはりこの大前提のもとにおいては、おっしゃるような点を私ども実施するわけにいかないということでございまして、特に韓国との間では昭和四十年に日韓協定が締結されまして、補償の問題は在日韓国人も含めて既にもう解決済みということでございまして、その他の韓国内において処理されるべき問題においては、これは私どもがとやかく言うべきことじゃないということでございます。
#58
○竹村泰子君 今、厚生大臣おっしゃいましたけれども、三月五日の衆議院の予算委員会においてこのことが取り上げられまして、これに対しまして渡辺外務大臣は、国際社会の中で恥ずかしくないようにしたいと、今後の検討をお約束されました。
 そこでまた、社会党の筒井議員によっても取り上げられましたが、フランスのセネガル国籍退役軍人七百四十二名が国連の人権B規約、すなわち市民的及び政治的権利に関する国際規約二十六条に違反しているとして国連人権委員会に通報をして、次のようにそれが判断されているんですね。
 それによりますと、これはセネガルの人たち七百四十二名がフランスにフランス兵として戦わされていたその後の年金の問題です。それに差別があったという問題で、この国連の人権委員会の判断は、
 年金は国籍の故に支給されるのではなく過去においてなされた軍務の故に通報者らに支給されるものであるという点である。通報者らはフランス人と同じ条件でフランス陸軍での軍務に服してきた。セネガルの独立後はフランス国籍でなくセネガル国籍となったが、その後も一四年間は年金に関しフランス人と同様に扱われてきた。
  国籍の変更はそれ自体別異の取扱いを正当化する根拠とはなり得ない。何故ならば年金支給の根拠は軍務を提供したことにあるのであり、セネガル人もフランス人も提供した軍務は同じであるからである。従って、委員会は、通報者らに対する別異の取扱いは合理的かつ客観的基準にもとづくものとはいえず、規約の禁止する差別に該当すると判断するものである。
 こういうふうに、国連は差別をしているというふうに判断しているのですけれども、これに対して厚生大臣、そしてできれば総理、これは判決でも極めて政府、国会の責任であると言っておりますので、一言お述べいただきたいと思います。
#59
○政府委員(丹波實君) まず、私の方から今の人権委員会の見解につきましての私たちの考え方を一言だけ述べさせていただきたいと思います。
 先生がお読みになられたその見解の中でも、問題はこの差別が合理的かつ客観的な基準に基づいていないというところが問題でございまして、逆に言いますと、一定の差別があって、それが合理的かつ客観的なものであるならば許容されるということを言っておるとも読み取れるわけでございます。そういう意味だろうと思います。
 問題は、現在問題になっていることがそういう意味で果たして客観的、合理的な基準から出てきているかどうかというところでございます。その点につきましては、その実務を担当しておられる関係のそれぞれの五省庁の法律の問題あるいは事実関係の問題ということで説明される問題ではないかというふうに考えます。
#60
○政府委員(多田宏君) 合理的な理由があるかどうかという点でございますけれども、私どもの援護法、これは経過的に申し上げれば、恩給法の欠落を埋めるというところから始まった制度でございまして、したがって恩給法で考えられている日本国籍を有する者に限定という制度をとっているわけでございます。
 そしてまた、この援護法ができます当時には今回問題になっておられる方々も確かにまだ日本国籍を持っておられたわけでございますが、既にサンフランシスコ平和条約というのがもう目前に迫っておりまして、その中では、この請求権の問題につきましては特別取り決めの主題として扱うという内容が盛り込まれていたわけでございます。そういうことでございますので、この問題については特別取り決めの主題として別に扱われるべきであるということから、日本国籍であっても韓国の方々あるいは台湾の方々、こういう方々については援護法は適用しないという処理を行ったわけでございます。そうしまして、サンフランシスコ平和条約によりまして国籍が分離をされまして、日本国籍を失われたという状況になられたわけでございます。
 そして、その後、それでは特別取り決めがどうなったかと申し上げますと、日韓協定によりまして最終的に解決済みという形になったというふうに承知しておりますので、援護法の適用はない、こういうことでございます。
#61
○竹村泰子君 日本は冷たい国ですね。先ほどのドイツの例を申しますと、BEGという連邦補償法によって年金の支給は一七%が国内に旧ドイツの人々のために使われていて、八三%が国外に向けられているんですよね。今はよその国の人たちのために八三%が使われているということも考えますと、この日本兵として連れてこられて戦った台湾の人たち、そして国籍条項ゆえにすべての支給から外されている元日本人の人たち、いずれも私は政治的責任が非常に大きい、私たち政府、国会の責任が非常に大きいと思いますが、宮澤総理、さっきからお聞きになっていてどうお思いになられますか。総理の御所見を聞いているんですよ。(「総理だ総理だ」と呼ぶ者あり)
#62
○委員長(下条進一郎君) それじゃ、最初に谷野アジア局長、それから総理。局長が先に答えて、それで総理に願います。
#63
○政府委員(谷野作太郎君) 台湾の住民の元日本兵の方々の問題でございますけれども、先生も御承知の上でおっしゃっておるのかと思いますが、経緯につきましては先ほどお話がありましたように、いわゆる特別取り決めというのをなし得ずに日中の正常化にいったということでございました。そこで、国会の方で社会党の諸先生も御参加になった上で、やはりこれは気の毒だという声が政治のレベルで上がりまして、御記憶のように、八七年に立法措置がとられまして、これらの方々に日本から弔慰金あるいは見舞い金等が今に至るまでも払われておるわけでございます。一人当たり二百万円ということでございまして、九一年、昨年の十月現在、件数にいたしまして約二万八千件、支給総額は五百億円を超える額になっておるということだけ申し上げておきたいと思います。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) 実際の法律、条約関係、並びに現実にとられつつあります措置につきましては、先ほどより政府委員からお答えを申し上げたとおりでございます。
#65
○竹村泰子君 総理の御所見を伺いたいと言っているんですから、そんなそっけないお返事でいいんでしょうかね。私は本当にそれは信じられないお答えだと思いますけれども、もう一度総理、もっと血の通ったお返事をしてください。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) 現実にそのような措置がとられておるということを政府委員からお答えしておるのでございます。
#67
○竹村泰子君 何もお感じになりませんか。こういったことで本当にこうしてあげられたらいいのに、今の法律上難しいとか、人間としては人道的にはどうしたいとか、そんなふうにお考えになりませんか。
#68
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど政府委員が申し上げたとおり、何もしていないわけではございません。
#69
○竹村泰子君 弔慰金として一人二百万円を一時的に出しているだけの話でして、それはちゃんと存じておりますけれども、そういったことに対して日本人としては非常に心が痛んでおりますとか、そういうことはお感じにならないんでしょうか。
 外務大臣も、衆議院の三月五日の軍人恩給などの国籍条項見直しの審議のときに、事実関係を総ざらいして改めて検討したいとお答えになっておりますが、二カ月たちました。どうなりましたでしょうか。
#70
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に実は難しい問題なんですよ。この不公平というのは、いっぱいどうしたってどこかにあらわれるんですね。日本人のことを考えてみれば一番いいんです。例えば軍人恩給、十三年の人はもらえるけれども十年の人はもらえない。じゃ何で一年違ってもらえないんだ、下げたらいいじゃないか。たった一カ月足らない人はどうなんだということになると、全部の兵隊さんに何百万人もやらなきゃならぬ、それが軍人欠格者問題ということで大きな問題になって、これについては慰労のための基金をつくったという事実は一つございます。
 それからシベリアの問題でも、シベリアに抑留された方、シベリア抑留者、これも六十万からおった方で生き残った人がそのうち何十万かまだおりますが、これについてもいろいろ政治問題になって、一人十万円ずつということで、あの極寒の中で重労働された方について政治決着をしたということがあります。
 ところが、今言ったように、私がそれを言ったのは国籍条項だけで、ともかく日本に在住する韓国人で、しかも日本の軍人として徴兵されて戦闘に加わって傷ついたりなんかした人がおる。しかも日本にずっと住んでおる。しかし、援護法等の適用が受けられない。中には日本に帰化した人もおりますし、帰化しない人もおります。国籍だけでそういうふうなことでやらざるを得ないからやってあるんだが、それは非常にお気の毒である。お気の毒だという気持ちで何とかできないものかということをいろいろ考えてみたんです。
 そうすると一方、戦災に遭って爆撃を東京で受けて親兄第がみんな死んじゃった、家も焼かれた、こういう人たちは何の補償も国から別にもらってもいない。こういう者はじゃかわいそうじゃないのか、これも非常にかわいそうだ。戦争で中国あたりでもかなりの人が殺されたりいろんなことがあった。そういうものについても実は補償というものは特別にやっていない。
 そういう全体を見ると、どこかでこれは線を引かないと実際は切りのない話になるんですね。線の引き方がドイツよりも日本は厳しかったと、こう言われれば、それはそういうこともあったかもしれません。しかし、それをまた全部蒸し返してやり直しというようなことになれば、これまで収拾がつかなくなってしまう。それは莫大な金額になりますから、そういうことになったら、国民の方はそれは消費税をどんどん上げて結構ですよと、負担は幾らでもしますという国民感情――そりゃそうですよ、国会というのは国民の代表なんだから、財源がなきゃできないんだから、そんなことを言ったって、財源がなきゃ。その財源はどこから出すんだということとワンセットで議論をされるならば、我々はそれはもう御討議に応じる用意があるんです。
 しかしながら、財源のことは一言も触れない、そして、どこでそれじゃ切るんだと、それ以上はそれじゃ広がらないという保証はあるのかという問題になるとなかなか難しい問題で、人道主義者の渡辺外務大臣もそれ以上、勉強はしているんですが、まだ踏み込めないでいるという悩める姿なんです。悩んでいるんです、私は本当に。
#71
○竹村泰子君 大いに悩んでいただきたいと思いますけれども、何もかも一緒にしないでいただきたいんです。私たちはみんな戦争被害を、私も子供のころ戦争被害を受けました。たくさんいろんなものを失いました。だけれども、そういうことと外国の人を日本兵として戦わせて、それを国籍がないからといって何の補償もしないで後ほっぽっているというのとはまるで違う次元の問題です。
 山下厚生大臣もこの三月のときに、戦後半世紀たって戦後処理のはざまに置かれた人があるなら遺憾なことだ、今後勉強して返事をしたいとそのときおっしゃっていますが、いかがですか。
#72
○国務大臣(山下徳夫君) 先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、やはりこれ援護法というのは、先ほど政府委員からも申し上げましたように、あくまで恩給法に準拠した日本国籍を持つ者という大前提があるものですから、どうしてもこれを変えることはできないということであります。
#73
○竹村泰子君 簡単なんですよ、国籍条項を取ればいいんです。物すごく簡単なんです。なるほどお金の問題はあります、確かに。しかし、日本人として連れてきて日本のために働かせた人は、その当時日本人であったから今も日本人としての補償を行うと、たったこれだけのことです。お金の、財源の解決さえすればそれはできる、やりたいと今渡辺大臣はおっしゃいましたけれども、今後の問題として私どももこれからも御一緒に考えていきたいというふうに思いますが、渡辺外務大臣、今の決意のほどをもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
#74
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、戦争に絡んだ話というのは不公平というのはかなりあるんですよ、実際は。例えば同じく兵隊に行って日本人が帰ってきて、それで役場に勤めておるからその人は共済組合の年金通算になる。農協に勤めている人は厚生年金の通算になる。ところが、じゃお百姓さんや商人は通算にならない、不公平じゃないかと。戦争に行った期間同じじゃないか、何で一番有利な通算にもならないんだというような問題があって、年金通算問題は実際は随分もめたんだ。
 だけれども、これはなかなか、沖縄の問題も同じ問題を言っていますよ。そうすると、それじゃ五人未満の中小企業におった人が、厚生年金に長い間入れなくて後になってから入れるようになった、前には国民年金を払っておったんだ、その差額金を払うから厚生年金の方が有利だから入れてくれと言っても、それは何百万単位の話になっちゃって年金法全体がおかしくなってしまうというので、随分私もあなたと同じことでやってやろうと思ってやったんだが、こっちが勉強不足だったせいかどうか知らぬが、結局は難しいということがだんだんわかったんです。
 だから、限定をどこかでできるのか、ほかに広がらないのかという保証がきちっとつけば、物は考えようですが、広がり始まったらこれはもう切りがない話になっちゃう。そこで、非常に私は悩んでいると言ったのはそれなんであります。
#75
○竹村泰子君 これは、幾つかの重要なポイントがあるんですね。私たちがこのPKOの問題、国際協力の問題を考えるに当たって、基本姿勢に関して幾つかの重要なポイントがあります。
 その第一は、アジア・太平洋地域で日本がかつて犯した侵略と戦争の罪をどのように認識し、反省し、それを克服するためにどのような誠意を示すかということだと思うんですけれども、このことについて総理はどう考えておられますか。
#76
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから何度も申し上げておりますとおり、各国との間にはおのおのの条約あるいは共同声明等々で、この問題を我々の先輩並びに我々が今日まで処理をしてまいりました。また、残った問題につきましても、先ほどから政府委員が申し上げておりますとおり、できる限りのことはいたして今日に及んでおると思っております。
#77
○竹村泰子君 政府は、今も総理もおっしゃいましたが、各国政府との賠償協定、請求権協定の締結をもってその義務を果たしたという見解を、すべては終わったという見解をとっておられるようですけれども、それは犠牲に対する反省、謝罪、補償、和解などの全体的なプロセスのごく一部を政治的に処理したものにすぎないと思います。
 侵略と戦争の傷跡は今なお多くの人々の心と体に残っておりますし、戦後速やかに解決されるべき課題で未解決のままとなっている問題も非常に多い。これらと正面から向き合い取り組むことがないならば、日本は道義的な責任を放置しているというそしりはいつまでたっても免れない、日本国民とアジア・太平洋地域の諸国民の間の信頼関係と友好もいつまでたっても確固とした基礎を与えられない、基盤を与えられないと私どもは思います。政府はどのような問題が未解決のまま残っているとされているか、どのように認識しておられますでしょうか。外務大臣、いかがですか。
#78
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう一度れがどれだけどこに残っているかと言われましても、今私が言ったように、見方によってはたくさんあるといえばありますけれども、ほぼ終了したといえばほぼ終了したということにもなりましょう。ですから、これは日本の国民の考え方がどれだけ変わってきたかということで決められる問題だろう。事は、これは負担の問題とも関係がある話でございますから。
 しかし、我々としてはどうしてもやらなければならないという問題が存在をして、それをやることによって、国民がそれを負担しても結構ですというようなことであれば、それはやらなきゃならない問題もあるかもしらぬ。ですから、今ここでどれとどれが残っているということを明確にお答えすることはできません。
#79
○竹村泰子君 例えば従軍慰安婦の問題、政府はこれまで知らない、かかわりはなかったというふうに言ってこられましたけれども、最近、旧日本軍、ひいては日本政府が何らかの関与をした、これを否定できないというように、ちょっと前進をした答弁をしておられるんですけれども、この立場、そして最近になって、従来から多くの関係者が指摘してきた事実関係が証言や資料によって続々と発見されております。しかし、これは政府の手でというよりもむしろ民間人や個人の手で続々と発見されてきております。
 戦後四十七年たっております。それから、国会でこの問題を取り上げ、調査をお願いしてから二年たっております。本気で調査をする気があったのでしょうか。関係各省庁の調査の進行状態はどうなっておりますでしょうか。防衛、労働、警察、厚生、文部、外務、それぞれお答えいただきたいと思います。
#80
○政府委員(村田直昭君) お答えいたします。
 防衛庁におきましては、内閣官房の方から調査依頼がございまして、昨年の末から防衛研究所を初め陸上、海上及び航空の各自衛隊、防衛大学校等の各機関において関係資料の有無について鋭意調査をしているところでございます。なお、これまでに新聞等で報道されたものを含めまして六十九件の資料が発見されております。
 防衛研究所におきましては、戦史部所属の所員が、同図書館所蔵の旧陸海軍の公文書、約十一万六千冊ほどございますが、中から慰安婦あるいは慰安所等の記述のあるものを各冊ごとに調査いたしまして、該当する文書を摘出することとしております。また、各自衛隊等においても、全国の各駐屯地、基地、資料館、図書館等において鋭意調査をしてきたところでございますが、現時点までには昭和十二年ころまでの資料について一応調査を終えておる。それで約二万件ということで、十一万六千のうち二万件、こういう状況でございます。
#81
○政府委員(伊藤欣士君) 労働省におきましても、内閣官房からの指示によりまして、省内関係部局及び関係機懐におきまして所管します倉庫、書庫等を調査したところでございますけれども、朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦に関する公的な資料は発見されていないところでございます。
 また、当時の事情に詳しい行政関係者からヒアリング等を行いましたところ、当該行政機関及び関係機関はこの問題については関与していなかったということでございます。
#82
○政府委員(大森義夫君) 警察庁といたしましても、警察庁本庁はもとより各附属機関、各地方機関、さらには全国の都道府県警察におきまして関係資料についての調査を行ってきておりますけれども、現在までのところ関連資料の発見には至っておりません。なお念を入れまして調査を続行中でございます。
#83
○国務大臣(鳩山邦夫君) 文部省は、昨年十二月内閣官房から調査の協力要請を受けまして、文部省としてできますことは、全国の公共図書館、そして国公私立大学の附属図書館、それらへ調査を依頼いたしまして、現在までのところ、沖縄県教育委員会から、沖縄県浦添市立図書館所蔵資料「浦添市史第五資料編4「戦争体験記録」」という文書の中に当時の資料が転載されている旨の報告を受けておりまして、そのことは既に公表いたしておりますから、先生も中身は御存じではないだろうかと思っております。
 なお、これは各都道府県の教育委員会にお願いをいたしておりますが、都道府県教育委員会の中にはもう既に調査を終えて、そういう該当するようなものはないというような返事もあるようですが、大多数は今現在調査中ということでございます。
#84
○政府委員(多田宏君) 厚生省といたしましても、保管している資料につきまして調査を誠心誠意行っておりまして、もう少しお時間をいただきたいと思っております。
#85
○政府委員(谷野作太郎君) 私ども外務省といたしましても、保管中の文書につきまして誠心誠意調査を実施中でございます。何分膨大な資料に当たっておりますので、いましばらくお時間をいただきたいと思います。
#86
○竹村泰子君 余り芳しい調査結果ではないですね。確かに資料が長い間ほうっておかれたために消失しているということはわかるんですけれども、しかし、ここにはあるだろう、ここにはあるだろうと私たちが思っているところからも出てきていないんですね。
 可能性として、例えば警察関係で言えば警察大学、検察庁、警視庁、各都道府県警察本部などに眠っているのではないかというふうに思われますし、通産省などは企業の工場関係とか事業場の関係などにあるのではないかというふうにも思われます。それから、アメリカの国立公文書館、ここの資料はほとんど日本の国会図書館がマイクロフィルムに収録をしておられるというふうに聞いておりますけれども、総理府の外政審議室か何かそういったところで公文書館関係の資料を統括して、どういうものがあったとかありそうだとか、そういうことは感じておられますでしょうか。
#87
○政府委員(有馬龍夫君) 国内的には、関係があり得ると思われる省庁からの調査の経緯を説明申し上げましたけれども、米国につきましては、私ども直接調査をしているというよりは、もたらされます情報に基づいて入手しているということでございます。
#88
○竹村泰子君 さっきから申し上げておりますけれども、ここのところになって急に従軍慰安婦の資料も、あるいは私たちは強制連行全体の資料というふうに言っておりますけれども、出さなきゃならないということで慌てて調査を始められたというまことにおくれた姿勢が目立つわけです。しかし、誠意を持って引き続きお願いしたいと思いますが、この問題で調査結果を携えて六月とか七月とかに韓国政府と話し合いをされるというふうに聞いておりますが、いかがですか。
#89
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 日本側の作業はただいま各省庁から申し上げたとおりでございます。他方、韓国の側におきましても、六月末までということで時間を切りまして一応真相究明のための調査が進んでおりまして、それらの作業を待ちまして、いずれ必要があれば、もとより韓国政府とこの問題について話し合いも必要ではなかろうかと思っております。
#90
○竹村泰子君 報道によりますと、六月とか七月とかというふうに伝えられているんですが、外務大臣、それはいかがですか。いつですか。
#91
○政府委員(谷野作太郎君) 具体的な日程はまだ念頭にございません。まず、それぞれの調査をきわめることが先でございまして、それを踏まえてと思っております。
#92
○竹村泰子君 調査結果と関係資料、これは韓国政府とだけではなくて、関係するすべての国民に伝達され、公表されるべきではないかと私は思います。この中には当然、日本の国民もあるいは子供たちも含まれます。日本国民は、自分があるい、は自分たちの親兄弟が行ったことを事実として認識して理解する義務があり、その上でないとアジア・太平洋諸国民との平等なつき合いということはできない。国際人、国際協力とかと言っても、こういった歴史の事実を知らないでそういうつき合いをしていけるのだろうか。それなくしては、かつての侵略と戦争の意味、内容についていつまでも日本国民は被害を受けた諸国民との認識、感情のギャップを持ったままになると私は思うのです。そして相互理解と友好の基礎を持たないということになりかねない。
 以上のような観点から幾つかのことを提案を兼ねてお尋ねしたいと思いますが、総理のお考えを明確に答えていただきたいと思います。
 日本がかつてアジア・太平洋諸国に対して、またその地域において行ったのは侵略戦争であった。それにより多数の国民に多大の犠牲と苦痛をもたらしたことを公式に認めるべきであり、その謝罪の意を政府声明または国会決議、そういった形で表明するべきだと思いますが、どうでしょうか。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことは、歴代の首相、私を含めましていろいろな機会に公にいわば謝罪をいたしております。そのことを決して否定いたすものではございません。また、国会におかれましてどういう御処理をなさるかということにつきましては、これは国会の問題でございますので、私どもから申し上げますことは控えさせていただきます。
#94
○竹村泰子君 今、謝罪をしたとおっしゃいましたけれども、謝罪は訪韓に際して韓国に対してなさっただけでございますね。そのことをアジア全体あるいは太平洋諸国に対して、あるいは日本が迷惑をかけた国々全部に対して謝罪をなさったわけではないですね。
 それから、強制連行、従軍慰安婦、サハリン残留者、被爆者、BC級戦犯その他のみずからの意思によらない犠牲者、被害者の実態、実数など、国として公式に調査する機関を設けるべきではないでしょうか。これはもちろん、政府はもとより地方公共団体や教育研究機関、あるいは予算措置も伴う必要があると思いますけれども、私もこの前予算委員会でも提案をしておりますが、国会にもこれらに当たる調査委員会を設置することも考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(加藤紘一君) いわゆる朝鮮人徴用者の名簿調査に関しましては、御承知のように労働省を中心に関係省庁が協力して対応しておりますし、また今御質疑がございました朝鮮半島出身のいわゆる従軍慰安婦問題につきましては、内閣官房の調整のもとで関係各省庁がこの問題を調査しておりまして、その調査の結果、現在まで判明いたしているところは今の御質疑の中でお答えしているところでございます。
 私たちは、特に従軍慰安婦の問題につきましては、かつての軍が何らかの形で関与していることは否定できないということを申しまして、その方針のもとで現在誠心誠意調査しているのでございまして、これは関係各省庁がそれぞれ調査をするということを続けていきたい、これの調査の結果等を内閣官房の方で調整することでこの問題の調査を進めていきたいと思っております。
#96
○竹村泰子君 日本国民自身の反省と将来への歴史の警鐘の意味を込めて、例えば資料館とか記念館、史跡などの保存を行うとともに、学校教育においてもできる限りの正確な歴史教育を行う、そういう必要性があると思いますが、文部大臣いかがお考えになりますか。
#97
○国務大臣(鳩山邦夫君) その点につきましては、たびたびいろいろな委員会でお答えをいたしておりますが、海部前総理のシンガポール演説とか、あるいは宮澤総理の韓国での演説や、あるいは我が国国会での演説等で、正しい歴史教育の必要性というものが何度も主張をされているわけでございまして、その点においては今先生がおっしゃっておられることも私は全く同感でございます。
 歴史というのは範囲が広うございますから、もちろん今回学習指導要領を改訂して、今まで高校の社会科であったものを地歴科、公民料に分けて、地歴科というような教科をつくるわけでございますから、そうした教科の中には、日本史Aという科目は近・現代の歴史のみを教える、そういうような科目も想定をしているわけでございます。
 それで、アジア地域との関係を示す近・現代史ということになりますと、地球全体の中で日本に近いという面、それから時間的に現在からそれほど多くをさかのぼらなくてもいいという、その両面の近さにおいてアジア諸国との近・現代史というのは特に重要であろうということで、かつて教科書問題等もありましたから、教科書の検定基準の中に国際協調、国際理解というような一項を設けまして、それ以来教科書も随分変化をしてきていると思います。いろいろな委員会でお示しをいたしておりますが、先生方がしばしば御指摘されるよりは相当いろいろなことが書き込まれているというふうに思っております。
 ただ、歴史というのは、非常に論理的な学問ではあっても、必ずしもすべて論理的では通らないような部分があって、帰納的な部分が強くありますから、どの事象を取り上げてどれくらいの時間教えるかということについてはなかなか難しい問題がございます。そういう歴史教育の特殊性というものは十二分に御理解をいただきたいと思いますし、我が国の教科書制度は民間の皆様方に書いていただいてそれを文部省が検定するという仕組みになっておりますから、どの事象について書きなさいということを文部省が決める、指導するということはできない仕組みになっております。その辺が歴史というものの難しさだと思いますが、ただ、アジア諸国との近・現代史をきちんと教えなければならないという点については、先生と全く同じ意見だと思います。
#98
○竹村泰子君 同じ、歴史の継承の意味を込めての歴史教育ということで社会党は対案を出しておられますが、これらのこととの、国際協力との関係でどのようにお考えになりますでしょうか。
#99
○委員以外の議員(篠崎年子君) 竹村議員にお答えいたします。
 今歴史教育のお話があっておりましたけれども、今文部大臣は高校の教科書の方で近現代史を少し力を入れていきたいということですけれども、本当にそうなっているかどうかということについてはまだこれから先見ていかなければならない問題です。
 その前に、日本の戦後補償について、先ほど来からお話し合いがあっておりまして、御討議もあっておりましたけれども、海部前首相の北京においての演説の中で、日中両国の間には長い友好の歴史の中で日本が深く反省すべき不幸な一時期があった、過去の戦争に対する厳しい反省の上に立って真に平和国家に生まれ変わっていかなければならない、こう思うとか、あるいは韓国に対しましても、海部前総理もそれから宮澤首相も、盧泰愚大統領が、両国の長い歴史の中に短い期間ではあったけれども不幸な一時期があった、このことの認識をしていかなければならない、こういうことをお話しされて、これに対して宮澤総理もそのとおりだというふうに答弁されているわけです。
 ところが、一方でそういうふうに答弁をしておきながら、先ほど来からお話があっておりますように、従軍慰安婦の問題とかあるいは強制連行の問題についてはさっきの御答弁のように大変冷たい態度でございまして、こういうことでは本当に日本がアジアの国々に対して謝罪をしているかどうかということについては大きな疑問を感じるわけです。
 そこで、私たちはこれから先、将来を担う子供たちにどうしていかなければならないかということをまず考えていかなければならない。それにはまず教育が一番大事だと思います。
 ここに御列席の皆さんの中で、平頂山というところにおいでになった方がおありでしょうか。多分お一人も行っていらっしゃらないのではないだろうかと思いますけれども、これは中国の東北部の撫順というところの近くにあるわけです。ここで昭和七年に三千人の人が一挙に、住民ですけれども、殺されまして、その跡の骨が今八百体ほど掘り出されまして、そしてそこに遺骨館というのが建てられているわけです。このことにつきまして、私たちは戦後三十年余り全然知りませんでした。これがわかりまして私もそこに参りましたけれども、そういうことを今まで日本の現代史の中で、歴史の中で、子供たちに教えたでしょうか。
 日本は、やはりこれから先考えていかなければならないのは、侵略した側とそれから侵略された側、その両方の痛みというもの、あるいは悲しみというもの、償いというものをお互いに考え合いながらこれから先の歴史教育をしていかなければならないのじゃないだろうか。そのためにはやはり両方の国が一緒になって歴史教科書をつくっていく、そういうような歴史教育センターといったようなものも考えていかなければならないのではないだろうかと思うわけです。
 ここにアジアの教科書がいろいろありますけれども、そこの中に書かれておりますようなことは日本の教科書の中には全然触れられておりません。そういうことについてやはり今後触れていかなければならないと思いますけれども、一つだけ申しますと、シンガポールの教科書の中に、シンガポールでは日本の戦争を学校や家庭や社会教育の場で語りかけている。それに反して加害者日本の侵略の扱いは余りにもぞんざいである。近年の日本とアジアとの関係を踏まえるならば、歴史を語り継ぐことに加えて、歴史を通して考えるように子供たちに教育していかなければならない、これが一番大事である。
 私は、こういう意味で、今後子供たちの教育の中に、現近代史を含めて、そこの中に、日本がどのような危害を東南アジアの方々に対して、世界の方々に対して加えたかということをはっきり教育していかなければならない。これがこれから先の日本の世界に対しての貢献であり、そして責任を負うべき姿ではないだろうかと思っております。
#100
○竹村泰子君 大変いい答弁をいただきましてありがとうございました。文部大臣にこういう答えをしていただきたかったですね。このくらいの答えをきちんとしていただきたい。
 私は、国際関係について、国際貢献について、この戦後処理の問題がどんなに大事かということを質問し、提案をしてきました。日本の国際協力が今問われています。こうした未処理の問題を山積みしたまま、幾らお金を出して先進国、経済大国として名誉ある地位を占めたいとしても国際的には通用しない。日本の外交姿勢が基本的に問われている問題だと思います。
 総理、いかがお考えでしょうか。総理のお答えを聞いて、午前中の質疑を終わらせていただきたいと思います。
#101
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘の御趣旨はよく私にもわかります。
#102
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#103
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#104
○竹村泰子君 PKO本論に入っていきたいのですけれども、その前に宮澤総理、あなたは先日、中国の江沢民総書記が自衛隊のPKOへの参加について慎重に対処してほしい、この見解を示されたことにつきましてさきの本委員会で、PKOがどういうものか江沢民総書記が知って答えたかどうか必ずしも明確ではない、かつての歴史があるので関心を持たざるを得ないという気持ちで言ったのだろう、PKOに自衛隊が招請され、国連に貢献することに対し判断を正確に下して言った答えとは受け取っていないという答弁をしていらっしゃる。これ議事録はまだ出ておりませんが、ほぼ正確な記録であるというふうに思いますが、そのような答えをしておられる。
 江沢民総書記が我が国に慎重な姿勢を求めているのは単なる知識不足に起因するものでありましょうか。宮澤首相もその答弁で触れておられるように、まさに歴史認識こそが問題なのではないでしょうか。さっきからの宮澤総理のお答えを聞いておりまして、私も少なからず、本当にどうしてもっと人間らしい血の通った答えをしていただけないのかなと強く思っておりますけれども、残念ながら首相は、江沢民総書記の歴史認識ではなくてPKOについての知識に重きを置いて問題をとらえようとしておられる。
 中国は、これまでも再三再四、自衛隊のPKOへの参加について我が国の過去の行為を根拠として懸念を表明してきております。しかも、中国は安保理の常任理事国でもあり、中国自体がPKOに参加もしております。PKOの何たるものかを知らないなんてことはあり得ましょうか。首相の判断は明らかに間違っていると言わなければなりません。しかも同時に、一国の首脳に対し知識不足だ、正確に判断を下して言った答えとは受け取っていないとか認識不足だとか、こういう言い方は非常に礼を失することだと私は思います。極めて傲慢なというか、日中友好についても今後の影響が大いにあるだろう。ひとつ宮澤総理の御答弁をいただいてこれは撤回していただきたい、そう思います。
#105
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理のお答えの前に、所管大臣でございますから外務大臣として一言。もちろん総理にはしてもらいますよ。その前にちょっと。
 私の感触では、中国はどうぞどうぞという立場にないことはよく私の方も理解しているんです。したがいまして、私が参りましたとき、李鵬首相ともお会いをしたんですが、これは慎重にお願いしたいという話は終始一貫して皆あるんです。もちろん我々は慎重の上にも慎重にやらせていただきたい。
 そういうようなことで、いずれにしてもこれは安保理のお勧めがなければできないんですから、中国自身が安保理の、しかも常任理事国という立場ですから、中国が本当にまずいというときは、それはちょっといけませんよと言えばそれだけの話です。(「それだけじゃないよ」と呼ぶ者あり)いやいや、それは安保理で決めるんですから、それがまずければそれは拒否権ということがあるんですから、だからそういうふうな安全弁もあるじゃありませんかということも私らは申し上げているんですよ。
 したがいまして、自衛隊の派遣ということについて、中国の方々は昔の軍隊の派遣というようなことを連想するという方がたくさんいることもこれは事実なんですよ。事実ですから、そういうような立場に立って慎重にやってくださいと言うのは、中国の立場からすれば私は決しておかしくないし、言ってもそれは仕方のないことだ、私はそう思っておるんです。ですから、例えばやってみた結果が、海上自衛隊が機雷の処理に出かけていくときも大変騒いだ方がいらっしゃいますが、行って帰って来れば、何だこんなことかと、すばらしいことをやったというのが国際評価であるし国内の評価でもあるので、そういうことも念頭に置いてひとつ御審議をいただけたらありがたいと存じます。
#106
○国務大臣(宮澤喜一君) もとより、江沢民総書記に対して非礼というようなことで私は申したのでは全くございません。
 国連のいわゆる平和維持活動、PKOというものは、今でこそお互いがこうやって国会でも十分議論をしておりますけれども、国民の中でもそう深くたくさんの人が知っておられたわけではないし、いわんや数年前に国連の平和維持活動を知っているかと言われたときに、私自身も実は詳しく知らなかったのでございますから、仮に江沢民総書記が我々が今議論しているような細かいことまで御存じなくともそれは無理のないことであります。また、限られた時間でございましたから、私もこれはかくかくこうこうでということは特に深くは御説明をいたしませんでした。
 今、外務大臣の言われましたように、一般的にこれは海外派兵だというふうに、国内でもそういうような議論がないわけではございませんから、いろんな経験をされた中国として十分慎重にやってほしいと言われたことは無理のないことである。私の申しましたのは、かくかくこういう法律でこういうものでございますというようなことまで時間の制約もございまして御説明はいたしませんでしたけれどもと、こういう意味合いでございます。
#107
○竹村泰子君 お答えが全然違うんです。食い違っているんですよ。渡辺外務大臣のお答えはもちろん全部食い違っておりますけれども。
 宮澤総理、宮澤総理が数年前にPKOのことを聞かれたらそればよく存じなかったと、御自分のことと混同しておられるんですけれども、数年前のことじゃないんです。この間のことです。今のことなんですよ。だから、我が国に慎重姿勢を求めているのはそういった歴史認識があるということを私たちは思って聞いたわけですが、宮澤総理は木庭議員の質問に対して、さっきも言ったとおり、知って答えたかどうか必ずしも明確ではない、判断を正確に下して言った答えとは受け取っていないという一国の首相に対して本当に失礼なことをこの委員会の中で言っておられるんですよね。これはやっぱり日中の今後の友好のために撤回をしていただきたいと思います。
#108
○国務大臣(宮澤喜一君) どうしてもそうおとりになるのなら撤回いたします。
#109
○竹村泰子君 委員長、これはどうしますか。撤回をするとおっしゃっていますが、どうすればいいんですか。
#110
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申し上げましたとおり、我が国でこそ今これだけ議論がございますからある程度の知識をお互いに持つようになりましたけれども、中国では別に国連の平和維持活動ということが議論になっておるわけではございませんから、普通の常識論としてそう深い認識がなくても不思議ではない。いわんや我々が議論しておる法案の中身、これは日本独特のものでございますから、それを別に私も御説明したわけでないんで、それを仮に御存じなかったからといって別に私は非礼だと思いませんけれども、そうおとりになるようでしたらそれはそういう意味でないということを申し上げておきます。
#111
○竹村泰子君 御存じなかったとしても非礼ではないと言っているんじゃないんです。御存じなかったのではないかとあなたが決めつけていることを私たちは非礼だと言っているわけですよ。そういうことを言っているわけで、そこをすりかえないでいただきたい。
#112
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、我々が議論している法律案の内容を江沢民書記が御存じなくても一向に不思議なことじゃないと思いますけれども、どうしても竹村さんがそういうふうにおとりになるのなら、私はそういう意味で申したのでないということを改めて釈明をさせていただきます。
#113
○竹村泰子君 PKOの今審議されている法案がどういうものかと言っていらっしゃるんじゃないんです、あなたは。PKOがどういうものかと言っていらっしゃるんです。国連の安保理の常任理事国である中国に対して、しかもその首脳に対してこれは失礼な言葉ではないですかと言っているわけです。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) そうおっしゃいますなら、そういうつもりで言ったのでないということを釈明させていただきます。
#115
○竹村泰子君 PKOは慎重にというこの一連の報道を見ますと、江沢民総書記の言葉ですが、「PKO問題については、日本からの来訪者からもよく提起をされるがこというふうなコメントもあるんですね。これは公明党の委員長も行っておられますし、よく提起をされている。それからまた、PKO協力法案による自衛隊の海外派遣については、「私の考えは終始一貫している。日本の海外派兵という問題は一つの敏感な問題で、友好国としては日本は慎重に対処してほしい」と、これはもう繰り返し言っておられることですね。こういうことを踏まえて、さっき宮澤総理は失礼があったら撤回したいとおっしゃいました。ですから、やはりこれは撤回をしていただいて謝罪をしていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
#116
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、竹村委員がお読みになりましたように、「海外派兵」というふうに言っていらっしゃるんですね。私どもは海外派兵だとこれを思っていないものですから、本当はこの法案はこうでございますと私がもっと御説明をする時間があればよかったのですけれども、私どもは海外派兵だと思っていないものですからそれ以上その点は何も申し上げませんでしたが、くれぐれも私は江沢民さんに失礼になるようなつもりで申したのではございませんので、それは釈明させていただきます。
#117
○竹村泰子君 この今私が読んだところには「海外派兵」と書いてありますけれども、PKO問題についてはということが繰り返し何度も言われておりますね。だから、そういう言葉じりをとらえて、派兵じゃないからいいとかそういうことではなくて、PKOに関して必ずしも明確に知っているとは思わない、的確な判断をしていないというふうなこういう失礼なことについて、私はおわびをし、そして撤回をしなさいと言っているわけです。
#118
○国務大臣(宮澤喜一君) 御審議いただいております法案は海外派兵とは私は関係ないものだ、こう思っておりますので、したがってそういうものとしてのことであれば、それは私どものこの法案で意図しているところではないのでございますけれども、まあ竹村さんのおっしゃるように何かのことでそれが失礼に当たるというふうにお考えであれば、それは私は釈明をいたします。そういう気持ちではございませんでした。
#119
○竹村泰子君 今のは釈明をするとおっしゃいましたが、撤回をするんですか、しないんですか、どっちですか。さっきは撤回するとおっしゃっていました。
#120
○国務大臣(宮澤喜一君) もし失礼な意味にこれが解釈されるのであれば、それは私の本意ではありませんので、その部分だけは釈明をさせていただきます。
#121
○竹村泰子君 釈明は何回もお聞きしましたが、撤回はされないんですか。
#122
○国務大臣(宮澤喜一君) どう申しますか、それが非礼だというふうにおとりになるのでございましたら、その部分は私の本意でありませんから、その部分は撤回いたします。
#123
○竹村泰子君 それでは、非常に失礼があったということで撤回をなさるということですから、(「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)撤回をすると言ったじやありませんか。(「非礼であればだ、よく聞いておけよ」と呼ぶ者あり)それじゃだめですね。
#124
○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#125
○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。
#126
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから御説明申し上げましたことが私の真意でございますけれども、もしそれが非礼にとられるようなことがあればこれは私の本意でございませんので、その点は喜んで進んで撤回をさせていただきます。
#127
○竹村泰子君 はい、わかりました。それでは撤回をしていただきましょう。
 それでは本論に入っていきたいと思いますけれども、カンボジアにおけるPKO活動が注目されております。このことについては我が社会党も調査団を派遣しておりまして、この委員会にも団員がおりますので後刻現状を視察しての調査の報告、質問があるはずであります。
 ところでお聞きしたいのですが、社会党のシャドーキャビネット外交委員長でいらっしゃる久保田議員が、神戸の一日内閣において出されました国際協力に関する提言及びカンボジア和平、復興への支援について、御説明願いたいと思います。
#128
○委員以外の議員(久保田真苗君) 一日内閣では、国際協力十項目というのを提言いたしました。これには、今この委員会に出ております国際協力隊の常設という対案の法案も含みますし、またカンボジア和平、復興への支援という項目、そのほかODA基本法、CISの支援、地球環境の保全、国際軍縮へのイニシアチブ、国際連合の抜本的改革、国際人権保障、国際経済への寄与、情報、文化分野での協力といった十項目でございます。ただ、この委員会に関係の深いものとして考え方を述べさせていただいた上、カンボジア復興について御説明したいと思います。
 今、非常に大きい転機に世界が差しかかっておりまして、私どもこの委員会でも新秩序といった言葉を何回か伺っているんですけれども、考えてみますと、この世紀の中で二度の世界大戦があり、そしてその後は冷戦があり、核兵器があり、大きな犠牲を払っでいろいろなことを少しずつ学びました。今、冷戦が終結したこの大きなチャンスを私どもは絶対逃してはならないと思うんですね。特に平和憲法の立場から国際協力を推進していくというチャンスであるとも思います。この機を逃さずにやるということは、この機を逃さずに平和的に争いを解決するというその方法の選択肢をいろいろしっかりとつくり出すというところに積極的な意味があると思います。
 それで、発表しました提言の中では、例えば武力にかわる法の支配、つまり国際司法制度をもっと強化する、あるいは武力にかわる選挙による政権の担当といったようなこと、政治、経済の面で途上国が自立できるための支援、こういった民主化、軍縮に沿った流れをぜひ追求していきたいものだと思うわけでございます。
 国際協力隊の常設の法案につきましては、もう既に野田議員から御説明しておりますので繰り返しませんが、非軍事、文民、民生の三つの原則の上に乗りまして、国際緊急援助の方も含む法案になっておりまして、そのゆえに総理府に常設の二千人ぐらいのまずは登録者をつくり、中核に常設の専門技術、知識、その他有効な資格を持った人たちをスタートさせるという、そういうことを盛っております。
 また緊急援助の面では、例えばスイスなどの例に倣いまして、あらかじめアジア諸国との間に二国間の協定を結び、迅速に対応できるということがぜひとも必要だと思いますし、こういったものを文民の力でやっていくということを考えているわけでございます。
 カンボジア復興支援につきましては、三つの部分に私どもは当面対応してまいります。
 その一つは、UNTACへの対応でございまして、これはお金だけではと言われますけれども、お金は非常に貴重な状況になっております。そこで、分担金を日本の分担比率にこだわらず、三分の一は明石代表の要望にこたえて出したい。つまり、二千四百七十億円中の九百億円ぐらいを出したいというのが社会党案でございます。
 人的面につきましては、これは文民の分野で最大のものは選挙の事務でございます。これはUNTACの中で民主化という最も積極的な価値を持つ活動であると考えます。そしてまた、日本にぴったりの仕事であるとも思います。日本人は非常に能率的にきちょうめんに民主的な政治を育てるための選挙を実施してまいりましたし、また三千以上の地方自治体で選挙を四十年以上もやってきたという実績を持つものでございます。これはまことに誇るべきもので、カンボジアヘもこのような人的な貢献をしていきたい、すなわち地方自治体を中心に五百人程度の選挙援助人員を派遣したいと考えます。
 そのほか、文民警察でございます。文民警察はこうした選挙事務のためにも必要でございますし、また難民の一時収容所等を警備するにも警察官が必要であると難民高等弁務官から伺ったところでございます。こういったところへ警察官を地方自治体を中心に三百人ぐらい派遣したいという考えでございます。
 また、行政の面につきましては、これは主として国連職員でございますが、まだ四人ぐらいでございまして、それは残念ですが、それが全部女性であるということを伺い、私は大変慰められる心強い思いがしております。
 次に、難民の帰還、定住でございます。これに対する支援は、必要な拠出金百五十億円のうち七十五億円、二分の一を出していくべきであると考えます。すなわち、既存の分に追加するという形でぜひお願いしたいものだと思っております。その他、難民の輸送、レセプションセンター、食糧援助、医療スタッフ、住宅、インフラ整備、農業のインフラ、そして職業訓練と、こういった面に財政のみならずいろいろな人材、そしてボランティアなどを参加させたいと考えております。
 三番目に、国民生活の緊急の必要に対応すると同時に、基盤整備を行うという仕事がございまして、これは国連の予算額は一応一千億円と見積もられておりますけれども、そのうち三百億円以上を拠出したい。これにあわせてODAの無償供与、人材派遣等を行いたいというふうに私どもは考えております。すなわち道路、橋、通信、交通、電力、上下水道、住宅といったインフラ整備のほかに、病院、学校、託児所その他の公共施設、教育施設の建設、関連物資の提供、それからODAの特別枠の設定等、早急にこういうことを実施していきたい。この三本柱でやってまいりたいと思います。
 また、カンボジアが選挙をするに当たりましては、これをどのように国民が情報をキャッチし、また政見放送なども聞いていくかということは非常に大事なポイントでございますので、明石代表の示唆にもございますように、国連の放送する放送を受信できるトランジスタラジオ、こういったようなものを国民の皆様に御協力いただいて大量に贈りたい、このようなこともぜひ私どもも協力したいと思っております。
 以上でございます。
#129
○竹村泰子君 カンボジアに関してはあとまた後日の審議に譲りたいと思いますが、総括的なことを少し聞いておきたいと思います。
 自立支援策について、既にカンボジアではUNTACの編成、展開活動が始まっておりますが、日本に対しても資金だけではなく人的物的な支援の要請があるはずですが、どのような要請があったのでしょうか。公式、非公式を問わず教えていただきたいと思います。
#130
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 今日までのところ、国際連合として日本政府に対して公式なUNTACに対する協力というものは来ておりません。公式なものは来ておりませんが、しかしまあ非公式と申しますか、例えば先生も先ほど引用になられた、明石代表が先般東京に滞在しておられたときの衆議院における御意見の陳述、あるいは各党の方々にお目にかかったときの御意見、そういう中で明石代表は、財政面におきましては三分の一程度ということを言われたほかに、例えば医療分野における日本の貢献、あるいは輸送分野における日本の貢献、それから文民警察ということも言っておられたことは御承知のとおりでございます。
 これに加えまして、同時に、緒方難民高等弁務官は、かつては、カンボジアの地雷の処理について日本が何とかしていただけないかなということをやはり東京滞在中におっしゃっておられたことも、あわせてつけ加えさせていただきたいと思います。
#131
○竹村泰子君 日本は既にナミビアの選挙支援に二十七名の文民を出しておりますね。このときの派遣の根拠となった法令は何ですか。
#132
○政府委員(丹波實君) ちなみに、明石代表は選挙の部門におきますところの日本の協力ということもおっしゃっておられたことをあわせてつけ加えさせていただきたいと存じます。
 ナミビアにおきましては、一昨々年、一九八九年の十月から十一月にかけまして、UNTAG、このGの方はカンボジアの場合はCですけれども、こっちはGなんですが、UNTAGという国連のPKO活動が行われまして、その活動の中の一環として選挙事務ということがやはりあったわけです。世界全体といたしまして相当の数が参加したわけですが、日本からは二十七名の方々が参加いたしております。
 根拠法令とおっしゃいましたけれども、二十七名の内訳は、地方自治体の職員が二十一名、それから自治省から三名、それから外務省から三名でございまして、地方自治体職員の方は外務省に採用して派遣する、自治省の方は外務省に併任して派遣する。基本的には、そういう意味では外務公務員法が根拠になって、外務省の職員として出先に行って国際機関に協力するという形で参加したということでございます。
#133
○竹村泰子君 UNTACが求めている選挙事務や文民警察の派遣についてもこの方式が活用できるはずですね。なぜそうしないんですか。
#134
○政府委員(丹波實君) 現在、このいわゆるPKO法案を当院に御審議をお願いいたしておりまして、私たちといたしましては一日も早く、この法案が成立した暁に、この法案に基づいて、この法案の枠組みの中で参加できるところに参加していきたいというふうに考えている次第でございます。
#135
○竹村泰子君 PKO法案を提出しているため出せないというのは、おかしな理屈ですよね。
 法律的、予算的にはカンボジアヘの文民の派遣は可能だということを確認しますか。外務大臣、居眠りしていちゃだめです。
#136
○政府委員(丹波實君) 法律的には、先ほど申し上げたような二十人とか、そういう三十人弱ですけれども可能でございますが、これが非常に数が多くなった場合に、例えば外務省の定員との関係をどうするかとが、いろんな問題が出てくると思います。
 しかし、それと並んで非常に重要なことは、ナミビアの場合には、実は私、この団長として行った者から先ほど様子を聞いたんですけれども、二十七名のうち二十名ぐらいが実は滞在していたのはウイントフークというナミビアの首都でございまして、滞在しておったのは、もちろんここでも選挙が行われたんですが、女学校の寮であったということを言っておりました。ところが、カンボジアの場合には、気候条件、衛生、電気、水道といったようなインフラの問題、それから治安の問題、大変こういう難しい問題がございますので、基本的な支援体制、そういったものが非常に重要でございまして、まさにこの法案はそういう支援体制というものをつくる法案でございまして、単に外務省員として送れば選挙活動ができるかというと、なかなかそこは非常に難しい問題があることは、全く不可能ということをこの場で私は申し上げるつもりはございませんけれども、やはりカンボジアの状況というものを考えると非常に難しいんじゃないか、そういう判断を持たざるを得ないわけでございます。そういうわけでよろしくお願い申し上げたいというふうに考えるわけでございます。
#137
○竹村泰子君 法律的、予算的には文民の派遣は可能だということですねと私はお聞きしたんです。不可能だとは言えませんがと、難しいのはよくわかります、簡単だとはだれも思っておりませんけれども。
 カンボジアの文民の派遣は可能なんですね、現状でも。大臣、どうですか。
#138
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは今言ったように、三人、五人行くのならいいんですが、ちょうネクタイをしてホテルから通うようなわけにはいかないんですから。これは部隊が行って、先ほど言ったように自分で自衛をして、テントを張って、井戸を掘ったり通信をしたり物を運んだりしながら、治安の悪いところへやるわけですから、だから役立つようなもので組織的に行くのには自衛隊のようなものが行くことが一番いいと。全く不可能だとは言っておりませんよ。しかし、それは相手にされないようなものをやったって仕方がないんですから。
#139
○竹村泰子君 自衛隊が行った方が相手にされない、それは後でやりますけれども。
 法律的、予算的に、あるいはPKO法案を提出しているため政治的に出せない、出さないというのは、カンボジア国民を人質にとったおどしの手法じゃないですか。それが何で国際貢献なんですか。現状でも出せるんですよ。自衛隊は必要ないでしょう。答えてください。
#140
○国務大臣(渡辺美智雄君) カンボジア人を人質にとっておどかしているとか、そういうことは通用しませんよ、国際的には。これは私が野党だったら撤回してくださいと言いたいところだが、私は申しませんよ。私はそういうことは申しませんが、そんな人の言葉じりをつかむようなことで私は争うことは嫌いですから、そういうことは申しませんけれども。
 やはり今、こういう法案を審議なさって賛成の方もたくさんおって、そこで反対の方にも何とか知っていただくために我々は一生懸命これを説明しているわけですから、その最中に今慌てて三人、五人の者をなぜ出さなきゃならぬかということじゃないんです。まして、カンボジアに行った場合、ぜひ早く自衛隊をまとめて出してください、みんな各国の旗が全部立っていて日本の旗だけがない、カンボジアの政府の方もいろいろお世話になるのに日本の旗だけ上げられないのは寂しい、そう言っておるわけですから。
 今、つい最近力ンボジアヘ行って首脳者と会ってきた山崎建設大臣がいますから、ちょっと聞いてください、何でも。私の言ったことがうそじゃないということがよくわかりますから。
#141
○竹村泰子君 各国のNGOはもう多数の団体が既に入っていますね。五百名という情報もあります。困難の理由だけでは出さない理由とはならないのではないですか、丹波局長。
#142
○政府委員(丹波實君) 先ほど申し上げましたけれども、治安の状況、気候その他いろいろなことを考えますと非常に困難である。この場でもこの間御説明申し上げましたけれども、これは軍について国連が言っていることでございますけれども、各国が歩兵部隊を出してくる場合には六十日間の自給自足体制を整えてきてほしいということを言っておるわけです。そういう体制を整えられないためにガーナが今日まで自国の歩兵部隊を出せないという状況すらあるわけですから、ましてや、それはもちろん文民のボランティアの方がおられることは承知しておりますけれども、選挙活動を首都で行うのではなくて、ジャングルとかいろんなところを回って歩いてやるにはやはり非常にそれなりの支援体制が必要で、この法案はまさにその支援体制というものをつくろうとしている法案であるということをぜひ御理解いただきたいというふうに考えます。
#143
○竹村泰子君 一九八八年以降、アフガニスタン、ナミビア、イラン・イラク、アンゴラ、中米、五つのPKOが創設をされたわけですけれども、中でもナミビアは独立以降、支援グループは最も多くの予算が投じられ、かつ南アフリカによる長年の支配を終わらせる上で重要な役割を果たした。中東の問題のように、国際的には一定の一致が見られながら超大国が一方の当事者と結びつきなかなか国際世論への歩み寄りが難しい、PKOがその役割を十分に捉えない、こういうこともあるわけですけれども、この点ナミビアのPKOの役割あるいはNGOの働きをどういうふうに評価しておられますでしょうか。
#144
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、ナミビアにつきましては大変いわば苦難の歴史と申しますか、そういう歴史の中からその独立を達成したわけです。独立を達成するに当たってはやはり国連の手をかりる、そういう中で選挙を行い、自主的、民主的な政府を樹立するということができたわけですが、この過程におきますところの国連のPKOの果たした役割は大変に高い役割だったというふうに考えています。
 したがいまして、こういうことに見習ってカンボジアの場合も、名前も非常に近い名前ですが、UNTACというものをつくってこれから同じような民主的なカンボジアというものをつくっていこうという、そういう過程にあるというふうに理解いたしております。
#145
○竹村泰子君 NGOの働きはどう評価していますか。
#146
○政府委員(丹波實君) ナミビアにおきましてもNGOがいろんな分野で果たした役割は国際的に高く評価されておりますし、それからUNTAC、カンボジアにおきましても、例えば選挙分野で見ますと、その国際要員千四百人のうちの四百人はボランティア活動によって賄おうとしておるわけでございます。それから、先生が先ほど言及された難民の分野あるいは復興の分野でいろんなボランティア活動が行われておりますし、行われることになっておりますし、やはりこれは高く評価される活動であるというふうに考えております。
#147
○竹村泰子君 私も、八八年以降比較的新しいと言われるPKOの報告書をいろいろ拝見しました。ナミビアが自由で主権を有する独立国へ移行するための憲法制定のための制憲議会選挙、そういったことを中心にしながら独立支援グループが衝かれた。それは大変よくわかりますし、どんなに御苦労が多かったかということもわかります。そういうことを踏まえながら、多くの困難を乗り越えて難民の帰還や差別的な法制度の撤廃や恩赦、囚人・抑留者の解放などさまざまなことが実行されてきた。その憲法が制定されてナミビアの例はPKOの歴史の中でも一応は評価されると思うけれども、日本もその労苦の一端を文民、民生によって担うことができたわけですね。自衛隊を出したんじゃありませんよね。PKOにおける文民の役割が高まっていますし、日本の一層の活躍が期待されるわけです。
 こう考えできますと、社会党の出している平和協力法案の非軍事、文民、民生の分野で幅広い十分な国際協力ができることになります。この報告書を見てもそういうふうに読めます。何のためのPKO法案なんですか。必要ないじゃありませんか、こんな。平和憲法下の本来の国際貢献は、武力紛争の発生を未然に防ぐために不戦と軍縮を内外で積極的に推進することではありませんか。
 社会党は、この点で具体的にどのようなことができると思っておられますか。
#148
○委員以外の議員(村田誠醇君) お答えいたします。
 憲法の平和主義に基づきまして、私どもで何ができるか。まず第一に、軍縮をアジアの各国と図って、そして相互信頼を醸成していく、そういった中で日本の自衛隊を縮小していく、これがまず第一に基本な点でございます。
 それと同時に、国際的にどういうような協力が日本でできるか。もちろん政府がやることもいろいろ論議されておりますけれども、個人として私どもいろいろ経済的に発展してきたという中にあって郵政省でやっておりますような貯金の利子の一部をNGOに渡す、あるいは国際活動に渡す、こういうような形を通じて一人一人の意思をやっていく、あるいは今企業でいろいろ言われておりますボランティア休暇、これなども積極的に導入することによって、そしてそれを民間で休職してでもこういう活動に役に立てていく、あるいは企業が一%クラブといいましょうか、一定の寄附をすることに税法上の優遇措置を講じておる、こういった制度をもっと充実することによって官民挙げて国際的な協力をしていく。ただ、そのためには前提としてアジアの中における軍事的な緊張といいましょうか、軍事的な部分を縮小していく方式を同時に片一方で追求しなければできない、このように考えております。
#149
○竹村泰子君 自衛隊の削減や非核三原則、武器禁輸原則の国際化のための努力とか、飢餓や貧困など構造的暴力の抜本的な解消とか、地球環境の保全とか、ODAのあり方の抜本的な見直しとか、やることはたくさんあると思うんですね。まず自衛隊を出すことを最初に考えられたということに私どもは大きな国民の憤りの声を感じております。
 そこで、ちょっとお尋ねをいたしますが、自衛隊法改正が出されておりますね。政府は、三月十日の閣議で邦人保護のための政府専用機及び自衛隊の保有する航空機の使用を認める法案の提出をお決めになりました。その理由は何ですか。
#150
○国務大臣(宮下創平君) 六十二年ころから、最近の国際化の進展に伴いまして総理大臣等の海外出張等の機会も非常に増大してきておりますから、政府としてこうした事態に対応すべく、各国もそういった要人の専用機の保有をしておりますから、我が国としてもこれを保有すべきものということで決定をいたしまして、747−400でございますが、これを二機、昨年の秋に取得いたしました。
 他方、この運営に関しましては、やはりこの四月から自衛隊に所属がえをいたしまして自衛隊機としての位置づけをいたしております。これはなぜそうしなければならないかと申しますと、やはりそのメンテナンスその他多数の要員を抱えなければなりませんし、我が国は自衛隊として輸送機のそういったメンテナンスその他もやっておりますし、そこでやることが一番適切であるという考え方で所属がえをしたものでございます。
 一方、この海外における邦人救出の問題は大変重要な問題でございます。とりわけ経済行為等が世界的に拡大しておりまして、現在六十万人以上の邦人が海外に在住して勤務しておるわけでございますけれども、緊急な場合にはこの邦人を救出する作業をするということもこれは我が国として当然のことでございまして、これを今後行い得るようにするためにこの法律改正をしたわけでございます。
 そして、その輸送手段として、政府専用機の特別機を自衛隊機として所属がえをしたもの、これもその場合に使います。同時に、この二機だけではそれが使用された場合におきましてはなかなかそういう救難、人命の救助という事態が生じた場合にそれに対応することもできませんし、また、ああいう大型機でございますと相手国の状況次第によっては着陸できないということもございますので、C130等々の輸送機を使用することも考えることは当然でございまして、私どもは、そういう我が国の邦人の救出のためにぜひ必要であるということで、これを自衛隊の任務として明定していただく、そういうことで自衛隊法の百一条を追加させていただいた次第でございます。
#151
○竹村泰子君 湾岸危機のときに政府が特別政令で難民輸送のための自衛隊機派遣を決め、国論を二分する論議を呼びました。宗教者や弁護士、市民たちがカンパを集めてヨルダン航空をチャーターし、実際に難民を輸送して自衛隊機の派遣を拒んだという事実がございます。政府専用機は総理府の所管でありました。なぜ防衛庁に移管するのですか。それなら政府専用機をきちんと保管できるものをつくるべきじゃないですか。
#152
○国務大臣(宮下創平君) ジャンボを整備し、これを運航するということは、その運転要員とかそういう限られたものではございませんで、大変広範ないろいろの施設等々を要します。これがために自衛隊を使うということが最も適切であるということで自衛隊機といたしたことは、先ほど申し上げたとおりでございます。
#153
○竹村泰子君 危険なところへも行くことが考えられますが、要員は武器を携行するんでしょうか。ハイジャックなどに備えてはどうするんでしょうか。
#154
○国務大臣(宮下創平君) この法案の建前上、これは外国において紛争のおそれがある場合とかあるいはいろいろの場合が想定されますが、外務大臣におきまして適当であると判断した場合に防衛庁長官に要請をしてまいります。それによりまして私どもの方で適切であるということでやるわけでございまして、外務大臣の判断その他も、紛争状況のもとであるいは武器の使用をやむなくせざるを得ないような事態は要請してこないことになっております。
 そして、自衛隊機には武器は積んでおりません。C130につきましてもそれからジャンボ機についても武器は積んでおりません。ただし、今委員のおっしゃられたように、自衛隊は九十六条によりましても警備上の問題等もございますから、あるいは場合によりますと機内におけるハイジャック防止等のためには小銃、けん銃、小銃は持たないでしょう、けん銃くらいは持ってハイジャックに対応することは当然これは必要なことではないかと思います。しかし、機外において武力を行使するためにそういう武器を持っていくというようなことはございません。
#155
○竹村泰子君 派遣をするときの条件は何なんですか。だれが決定するんですか。
#156
○国務大臣(宮下創平君) これは、法制上の建前といたしましては外務大臣の要請によりまして防衛庁長官が判断いたすわけでございますけれども、事案によりましてはさらにハイレベルのところにもかけることも事実上あり得るんではないか。法制上は例えば安全保障会議にかけるとかそういうことではございませんけれども、そういうことも場合によれば必要ではないかと私は考えておりますが、そもそもそのような危険な状況のもとにおいてはそういう航空機の派遣は行わないだろうというように私は想定をいたしております。
#157
○竹村泰子君 そういう取り決めがあるということは私たちはわからないですね、どこでもね。
 そして、自民党の中には以前から邦人輸送に自衛隊機を出すべきだという意見があった、しかし政府専用機とは別のことであったはずなんですが、PKO法案の審議の中でこれが一緒にされたのではないかと元防衛庁長官の山崎建設大臣、あなたはそうインタビューに答えておられますけれども、そうなのですか。
#158
○国務大臣(山崎拓君) ただいま御指摘のありました件は、週刊朝日の本年の四月三日号で自衛隊法改正案についての記事が出されましたのですが、そのときにインタビューがございまして、それに応じて私がお答えをしたものでございます。
 その内容は、私が申しましたここに書いてあるとおり読みますと、「邦人救出に自衛隊機を出すべきだ、という議論は国防族を中心に以前からありました。一方で、政府専用機が飛べる段階になってきた。この二つは別々の流れだったが、PKO法案の議論の中でドッキングしたんですよ」と述べたとここに記述してございます。私はこのとおり言ったという記憶はございませんが、大体こんなことを言ったことは事実でございます。
 とりわけ、邦人救出に自衛隊機を出すべきだという議論は党内に根強く存在をいたしましたし、私自身もそのような意見の持ち主でございましたし、今もそういう意見の持ち主でございます。
 一方、政府専用機に関しましては、これは御案内のとおり、総理大臣等の海外出張等の機会が増大いたしましたことに対処いたしまして、あるいは政府として緊急に対応すべき事態が惹起いたしました場合に際し、適時適切な措置を講ずるための手段として政府の専用機を持つ、航空機を保有するということになりましたわけでございまして、この件は中曽根内閣のときに決定をいたしました事柄でございます。つまり、この二つのことは別々の流れでありましたことは厳然たる事実であると思うのでございます。
 そこで、私が申し上げたいことは、ここに書いてございますドッキングしたというのは必ずしも適切ではございませんで、時系列的に申し上げたわけでございますが、自衛隊機が邦人救出に役立つべきであるという議論とそれから政府専用機を持つべきであるという議論、これは別建てでございました。今般たまたまそれがドッキングした形で運用される事態になった、それはたまたまPKO法案が審議されているこの時点でそうなっておる、そういうことを時系列的に説明をいたしました次第でございまして、わざわざPKO法案の審議を通じましてこれをドッキングさせだということを言ったわけではございませんで、時の流れ、議論の経緯を申し上げたにすぎないのでございます。
 私がこれから申し上げたいことは、邦人の救出問題は危機管理上非常に重要な課題であるということはお認めいただけると思うのでございます。この邦人の救出に当たりまして民間機を活用するということは今までしばしば行ってきたところでございますが、ところが民間機は間に合わなくなってトルコ航空機を使ったこともございます。これはイラクの事件のときでございますが、そういうこともございまして政府専用機を今後活用できるケースもあると思います。
 しかし、政府専用機はでっかい飛行機でございまして、例えば滑走路の延長とかあるいは民間航空機会社の政策であるとか、そういうことで必ずしも活用できない場合も、その政府専用機も滑走路等で使いにくいところもございますし、あるいは既に供用されている、例えば宮澤総理大臣を運んでいる最中だというようなこともあろうかと思いますので、自衛隊機を活用することが適切なケースも私はあり得る、そのように考えるわけでございます。
 このことは自衛隊の海外派遣と言えますことは事実でございますが、しかしこれは海外派兵ではございません。武力行使の目的を持つものではもちろんございませんで、掃海艇の派遣と共通の意義を持っておるものと考えるわけでございまして、ぜひ危機管理上邦人の救出輸送ということが非常に重要な政府の課題であるということを考えました場合には、この際、自衛隊機を積極的に活用するということは当然議論の対象になると考えるものでございます。またそう行うべきであると考えます。
#159
○竹村泰子君 政府はPKOへの環境づくりにこれを無理やりに一まとめにしたかのような、そういう受け取り方をしている人々もたくさんいるわけです。
 邦人保護というのは、非常に麗しいことのように見えて、実は歴史をちょっと振り返ってみますと非常に危険な戦争のきっかけとなっていることが幾つかあるんですね。
 もう皆さん御存じだと思いますけれども、ソビエトが成立した直後、邦人保護を名目にしてシベリアに出兵して、当時の満州、朝鮮に対する対ソ安全保障を名目に四年間占領を続け、列国の非難の結果撤兵をしたということがありますね、一九一八年。それから、歴史を心に刻むというワイツゼッカー大統領の言葉がありますが、歴史を刻まなければ、現在は進路を間違ってしまうんです。山東出兵というのがあります。一九二七年から二八年。これは中国で進んでいた国家統一連動に直面した当時の田中義一内閣が満州、華北に地歩を固め、日本人居留民保護を名目に三度にわたり山東に出兵をしております。
 こういうことを最近のことで言いますと、アメリカの例ですが、グレナダ侵攻がありますね。英連邦傘下り島国グレナダでクーデターによる親ソ政権が成立したことに対して、レーガン大統領は、カリブ諸国の要請やグレナダ在住自国民保護を名目に、カリブ海諸国の軍隊を率いて米軍を投入した。
 このように、邦人保護のためのほかの国への軍事出動は、現実には自国の権益を確保するためのいわば軍事侵略といいますか軍事派兵を正当化する一つの理由として使われてきた、こういう歴史を私たちは忘れてはならないと思うんですね。
 自衛隊は軍隊ではありませんとか海外派兵ではありませんとかさっきからおっしゃっておりますけれども、もし例えばある国で、野放しに銃の携行が許されているような国で日本人が暴行の対象としてねらわれているような場合、日本人の犠牲者が出ているような国でその国の居留邦人が保護を要請した場合、日本政府は邦人保護に必要な人員、装備を派遣することが、自衛隊機も派遣することがおありになるのかどうか、お聞きしたいと思います。
#160
○国務大臣(宮下創平君) 今、委員の想定されますような事態がどのような事態であるかはっきり私も想定できないわけでございますけれども、そのような危険な状況のもとには原則的には派遣をしないだろうと私は考えております。しかも、先ほど申しましたように、自衛隊機には武器は積んでおりませんし、場外、機外における武器使用、これは我々は全然考えておりませんから、もしかそのような事態がありとせば、これは自衛隊の出動の問題以前に外交上のいろいろの諸手当ての問題があるのではないかと私は考えます。
#161
○竹村泰子君 いろいろこれから何が起こっていくかわからない。ベルリンの壁だって崩れるとは思わなかったし、それこそいろいろ世界史は大きく動いているところですけれども、これから邦人保護のためにどのような展開があるかもしれないと想定しておられるのか。何が何でも自衛隊を海外へ出すためにこのような自衛隊法改正を考えておられるというような受け取り方もあるわけでして、場合によっては特殊部隊を乗せていくことも考えられるわけですね。その辺はどうお考えですか。
#162
○国務大臣(宮下創平君) 邦人の救出をやるということは、これは我が国の国として当然なすべき基本的な事柄でございます。しかしながら、いかなる場合であっても、何が何でも自衛隊を持っていって、そこで紛争処理に当たり、邦人を救出するということは考えていないわけでございまして、私どもはあくまでもそういう状況は想定していないということをはっきり、この法案はそのような意図でつくられているということを明確に申し上げておきます。
#163
○竹村泰子君 外へ出れば、自衛隊機は軍隊の飛行機だというふうに見られるわけです。自衛隊は軍隊だと見られるわけです。幾ら国の中で派遣でございます、派兵ではございませんとおっしゃっても、国際社会はそういうふうには見ないわけですよね。自衛隊機を邦人救出に使われるということについてはくれぐれも慎重にしていただきたい。これはまだ審議中というか審議がされておりませんけれども、そういったことについて今後の委員会の審議にまつわけですが、慎重にしていただきたいと心から要請をしておきます。
 これは先日の四月二十日のニューヨーク・タイムズの社説なんですけれども、こういう社説が出ているんです。多分、宮澤総理も外務大臣もごらんになっていると思いますけれども、これはおおむねこんな言い方なんです。
 一体、ブッシュ政権はなぜ第二次大戦後初めて日本に海外派兵をさせようと見当外れな決心を固めているのだろうか。非常に厳しい社説なんですよ。カンボジアやユーゴスラビアのような国連の平和維持作戦行動への日本の参加を認めようという立法措置なく、東京の政界を不必要な混乱状態に投げ込み、アジア各地に不安を広げていくというふうな書き出しで、日本は国際責任を果たす上でも気のきいた非軍事的なやり方があることを身をもって示してきたし、今もそうである。そういうことで日本の憲法は軍事力と軍事的な行動とに縛りをかけている。侵略の再来は何としても防がねばというのがアメリカ占領軍の当初の意向だった。
 と同時に、もし強大な軍事産業ロビーが復活したら、新しい民主的な政治、文化は危機に瀕してしまうだろうというふうなことでこの社説は主張しているんですけれども、これはグローバルなシビリアンパワーということでタイトルがついております。こういうアメリカの新聞の社説であるわけですが、こういったことについて新聞の書くことは一々取り上げていたら切りがないとお思いになるかもしれないけれども、こういった世界の世論というものをやっぱり無視しちゃいけないと思うんですね。
 人道的な国際援助という方に入っていきたいと思いますけれども、私たちが湾岸戦争の際、我が国は人的貢献に当たる医師なと思うように集めることができなかったし、十分な輸送体制もとれなかった。そこで政府は自衛隊を派遣するという方策を講じようとしたのか、実に短絡的な発想であるというふうに思いますけれども、自衛隊派遣の前に政府が取り組むべきことは、もっともっとたくさんあったんじゃないでしょうか。人的貢献がしやすくなるような土壌づくりに努めることだと思います。
 世界には、国境なき医師団を初め国際的に活動している大規模なNGOは数多いですけれども、我が国には大変少ないんですね。政府は、国論を二分する自衛隊派遣を無理押しする前に、NGO育成のための財政的、職域的な環境整備に努力すべきではなかったでしょうか。民間の自発性に根差すNGOが活発であることは、ある意味ではその国の民主主義の成熟度を図るバロメーターなのではないか。もちろん、政府がNGOを育成する一方で国や地方自治体の文官職員を派遣しやすくする方法を講ずることは当然だと思いますけれども。
 そこで、外務大臣にお聞きいたしますけれども、六月にカンボジア復興会議というのが東京で開かれますね。これはNGOが入れますか、どうですか。
#164
○政府委員(谷野作太郎君) カンボジアの復旧に当たりまして、あるいは。復興に当たりまして、NGOの方々の果たし得るお役割、非常に大きなものがあろうかと思います。そこで、六月に予定しておりますこの会議に対しましては、今関係の方面と御連絡をさせていただいておりますけれども、NGOの代表の方々をオブザーバーでお招きしようと思っております。
#165
○竹村泰子君 オブザーバーということは、発言権はないんですね。オブザーバーですか。
#166
○政府委員(谷野作太郎君) 先般、準備会議をいたしまして関係各国の御意見も賜りましたけれども、オブザーバーという資格でお呼びしてはどうかというのがコンセンサスでございました。
#167
○竹村泰子君 大変残念ですね。できればこれからでも考え直していただきたいんですが、大体、国際会議とか政府の主催のいろいろなもの、NGO全部締め出されるんですね。これは見事に締め出されますよ。例えば、私なんかだって入りたい、行きたいと言えば、これは許されないんですね。いつかも国際環境会議に何人かの議員が行きたいと言いましたけれども、それも許されなかった。
 そういう経過もございますけれども、もっもNGOを信頼して門戸を開放していいのではないでしょうかね。何を懸念しておられるのかわかりませんけれども、そういうところでNGOとの一緒の連帯した仕事というのが非常に信頼関係がないからやりにくい、できにくいというふうに思います。ぜひ考え直していただきたいと思いますが、外務大臣、どうお思いになりますか。
#168
○国務大臣(渡辺美智雄君) NGOと一口に言いますが、これはもういろいろあるんですよ。したがって、イラクに対して制裁措置をこちらがやっているというときに、今度は裏から入っていってイラクの援助をするNGOなんかもありましたしね。(「そういう極端なことは」と呼ぶ者あり)いやいや、現実にありますよ。それは政府じゃないんですから、民間団体なんですから、何をやろうともある程度自由なんですよ。そこにNGOのいいところもあれば、政府の統一行動を必ずしもとれない場合もあるんですよ。
 したがって、どれを選ぶかという問題等もございまして、NGOというのは一つのまとまった団体で、政府の方針と全部一緒に協力するというんだったらこれは非常に楽なんですが、そこが民間ですから、自分自分の思想信条に基づいて動いているわけですから、だからどういうふうに取り入れてやっていくかよく相談をしながら、ひとつカンボジア和平について同じような思想のもとで同じようにやろうという方には大いに協力をしてもらいたいと。
 たがら、それはよく団体の実態等も見ながらやっていかなきゃならぬし、またそこで今度はこの団体でいくとこっちがだめだ、何でだめだと、こう言ってかかってこられてもこれは困る場合もあって、それはNGOというのは二つにまとまって動いているわけじゃありませんからね。全体のことを、民間の非政府団体のいろんな国際協力をやっているという人たちを丸めてNGOと、こう言っているのでございますから、そこらの点もひとつお考えいただきたい。
 しかしこれは、同じような方向でやってくださる方についてはできるだけ御協力をお願いしてまいりたいというのが基本的な考え方でございます。
#169
○竹村泰子君 NGOのことについてはまた後ほと追及していきたいと思いますけれども、人道的な国際救援活動について少し法案に即してお聞きしていきたいと思います。
 「人道的な国際救援活動」、第三条二号なんですけれども、どんな主体がということで別表がありますね。別表に国連の要請とその常設の関係機関及び国際移住機関が挙げられておりますけれども、「その他政令で定めるもの」とはどのような機関を想定しているんですか。
#170
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の点は別表(第三条関係)でございますが、その二で「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関で、次に掲げるものその他政令で定めるもの」というその部分についての御質問だと思います。
 何分この二につきましては、イからヌまで、これは私ども今考えつくものといたしまして網羅的に全部記載したつもりでございます。他方、これは人道的な救援活動に従事する国際機関ということでございますので、今読みました二の柱書きの部分、つまり「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関」と、そういう枠組みの中で新たに出てくるものがありますればそれが入り得るということでございますが、他方、繰り返しになって恐縮ですが、現在私どもの承知しております人道的な国際救援活動に従事する機関としましてはここに掲げているものが網羅的でございます。
#171
○竹村泰子君 「その他政令で定めるもの」、大体ここにもう別表で出ているというお答えととっていいのでしょうか。湾岸戦争のときに形成された多国籍軍のような機構はこれには入らないんですね。
#172
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 私申し上げました人道的な国際救援活動に従事する国際機関でございますので、明らかにただいま御指摘のいわゆる多国籍軍はそれに該当いたしません。
#173
○竹村泰子君 湾岸戦争で日本が巨額の戦費を拠出したGCCあるいはその湾岸平和基金などは「その他政令で定めるもの」に入るんですか。
#174
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 私、先ほど別表の二の柱書きの部分を読ませていただきました。実はこの「次に掲げるものその他政令で定めるもの」というものの中には大きな前提がございまして、それは「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関」と、そういうことでございます。
#175
○竹村泰子君 今のお答えですと、国連の常設機関または国連と密接な関係を持つ人道的な国際機関に限ると、そういうふうに確認できますか。
#176
○政府委員(野村一成君) 恐縮でございますけれども、「国際連合の総会によって設立された機関又は国際連合の専門機関」ということでございます。
#177
○竹村泰子君 よくわからないんですが、人道的な国際機関というのは国際赤十字とかそういうものですか。少し具体的に例を挙げてください。
#178
○政府委員(野村一成君) 国際赤十字につきましては、これは政府間機関ではございません。したがいまして、この今申した中には該当いたしません。まことに繰り返しで恐縮でございますけれども、国連総会によって設立された機関というのが一つ大きな枠組み、あるいは国際連合の専門機関ということでございますので、その尺度で判断していただきたいと思います。
 他方、繰り返しで恐縮ですけれども、このイからヌまでで現在私どもの考え得る人道的な国際救援活動に従事している機関というのは網羅的に記載させていただいておる次第でございます。
#179
○竹村泰子君 それじゃ、この「その他政令で定めるもの」というのは要らないんじゃないですか。
#180
○政府委員(野村一成君) 国際連合の総会によって設立された機関という中あるいは国際連合の専門機関という枠組みはございますけれども、それは今後、将来、そういう機関として出てくるものもあり得るという、そういう前提で書いてございます。
#181
○竹村泰子君 よくわからないところが多過ぎるんですよね、この法案を本当にいろいろ読んでみますと。今のところも、その他とういうものが人道的な国際機関に限ると確認できるのかというところで不安が残るわけです、こういう書き方をされると。ですから、もっとはっきりと書いていただきたいし、「その他政令で定めるもの」のようなあいまいな言い方は必要ないんじゃないかと思いますがね。
 それから、三条二号の活動の対象、内容、これも「国際の平和及び安全の維持を危うくするおそれのある紛争によって被害を受け若しくは受けるおそれがある住民その他の者の救援」となっている。また、「紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動」とあるんですけれども、「その他の者の救援」、「その他の者」というのはどういう人々を含むんですか。住民ではない、国際機関の職員やNGO、ジャーナリストなどのことなのですか。あるいはPKOの軍事要員や受け入れ国の軍人なども含むんでしょうか。
#182
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 この法案の「人道的な国際救援活動」で定義いたしておりますのは、まさに被災民の「救援のために又は紛争によって生じた被害の復旧のために人道的精神に基づいて行われる活動」ということでございます。
 今御質問の「住民その他の者」ということが具体的に何かという御質問でございますけれども、先ほど申しました「人道的精神に基づいて行われる活動」ということでございますので住民がもちろん第一義でございますけれども、いろんな経済活動その他でその場に所在する人というのも対象になり得ると思いますし、例えば具体的に申し上げますれば、もし在留邦人がその中におりますればそれも含み得ると、そういうふうに考えております。
#183
○竹村泰子君 人道的救援活動だからということを最初におっしゃいました。じゃ、軍事要員や受け入れ国の軍人などは含まないんですね。
#184
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 「人道的な国際救援活動」、「紛争によって被害を受け若しくは受けるおそれがある住民その他の者」、それの人道的精神に基づく救援のために行われる活動でございまして、この趣旨からいたしましても直接戦闘に従事する者の救援というようなのは目的とされておりません。
#185
○竹村泰子君 「人道的な国際救援活動」の内容は第三条の三のヌからレまでなんですか。それとも、タとレは関連業務だとすれば、ヌからヨまでが人道的な活動の目的と見ていいのでしょうか。どうなんでしょうか。
#186
○政府委員(野村一成君) この法案の第三条第三号の柱書きを見ていただきますればその点はっきりするわけでございますが、我が国が行う「国際平和協力業務」の定義の中で次のように書いてございます。「人道的な国際救援活動のために実施される業務で次のヌからレまでに掲げるもの」というふうな書き方をしております。したがいまして、この三号に具体的に列挙いたしておりますイからレまでの項目の中ではヌからレまでに掲げるものというふうに御理解をいただきたいと思います。
#187
○竹村泰子君 しかし、よく見ますと、タは「イからヨまでに掲げるもののほか、輸送、保管、通信、建設又は機械器具の据付け、検査若しくは修理」とあります。レは「イからタまでに掲げる業務に類するものとして政令で定める業務」とあります。
 ですから、実際には、内容としてはタ、レは関連業務ですから、ヌからヨまでが人道的な国際救援活動と見てよろしいのですねということを言っているんです。
#188
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま私説明しましたのはヌからレまでですが、ヌからヨまでにつきましては非常に具体的に個別的に書いてございます。読めばそのとおりだと思うのでございますが、それ以外にもやはり人道的な救援活動といたしまして輸送とかいうこと、そのもの自体がその活動に該当するというのが十分あり得るという、そういうふうに考えております。
#189
○竹村泰子君 これらの活動には国連の関係機関あるいは人道的な国際機関やNGOが従事することが通常だと思うんですけれどもね。日本はこれらの機関、組織と協力、調整をする必要があるし、そのような協力体制の中での活動が通常であると思いますけれども、この点はどうなんでしょうか。
#190
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 今のこの人道的な国際救援活動、これはある意味でマルチな活動でございまして、人道的な国際救援活動に従事する国際機関からの具体的な要請に基づきましてそれに従事するわけでございますので、まずその要請のある段階、あるいは公式、非公式も含めましてその人道的な国際救援活動に従事する機関との十分な協議、連携のもとになされる活動であると、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#191
○竹村泰子君 じゃ、少し細かく聞いていきたいと思いますが、例えば「ヌ 医療」ですね。これはWHOや国際赤十字、国境なき医師団などが現地に入って、現地の医療機関と共同であるいは単独ででも被災民の医療を行うことが考えられますけれども、このWHOや国際赤十字、国境なき医師団あるいはそのほかの人々との協力はするんでしょうか、するとすればその方法や意思決定はだれがどこでするんでしょうか。
#192
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま赤十字という御指摘がございましたけれども、私ども、これは政府間機関からの要請でございますので、例えば今御質問の中にございましたWHOがそれに該当するかと思いますが、その具体的な要請を受けまして、その要請の中にはまさに日本からの要員にはどこで何をしていただきたいという点も当然含まれておるわけでございますので、その際に、その具体的な要請を発しましたWHOはいろんな、何も日本だけではないのだろうと思います、国際的な救援活動でございますので、当然その過程でWHOとの間の協議の中でいろんな活動の形態が考えられるのではないかと思います。具体的にどうだということを申し上げるのは難しいのではないかというふうに考えております。
#193
○竹村泰子君 意思決定はだれがするんですか。難しいという、難しいというのはやらないということですか。
#194
○政府委員(野村一成君) 私は難しいと申し上げましたが、そういういろんな形態の人道的な国際救援活動があり得るということを申し上げた趣旨でございますので、困難であるというそういう趣旨ではございませんので、その点訂正させていただきます。
 他方、この法案の仕組みといたしましては、具体的に例えば今WHOからの要請があった場合に、それを子細WHOと協議いたしまして、日本が具体的にどういう、どこで何をするかということがある意味で固まってくるわけでございますが、その過程で、この法案によりますと、まさに実施計画を作成するという段階、それを閣議決定するということがございます。それで、まさに本部長の指揮監督のもとで所部の職員がそれに従事するということになるわけでございます。したがいまして、我が国の活動ということに関しましては日本国政府、閣議決定によって、実施計画によって決められる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#195
○竹村泰子君 それでは、ル、被災民の捜索、救出、帰還の援助というところがありますが、これも国債赤十字やUNHCR、IOMなどが関与し、現地当局とも協力することになると思われますけれども、これらとの共同作業になると考えてよろしいでしょうか。どのように共同作業をなぞるおつもりでしょうか。
#196
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま、ルですね、「被災民の捜索若しくは救出又は帰還の援助」ということに着目しての御質問でございます。私、先ほども申し上げましたけれども、こういった人道的な国際救援活動、今のルをとりましても、具体的な活動の態様というのは私はいろいろあるんだろうと思います。したがいまして、一概にこう、今御質問にどういう状況かということを具体的に示すのでなくて、やはりいろんな、もちろんこの人道的な国際機関、例えば先ほどの例で私はWHOを申し上げましたけれども、その要請の中でいろんなその中身を考えながら、ほかの国からの参加者との共同のもとで行うこともありましょうし、一概には申し上げられないという、そういう趣旨を申し上げたつもりでございます。
#197
○竹村泰子君 どうもよくわからないところが多いんですけれどもね。
 それでは、「ヲ 被災民に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布」、これも世界食糧計画やWHO、ユニセフ、その他のNGOとの協力が必要ではないでしょうかね。
#198
○政府委員(野村一成君) 繰り返しで恐縮でございますけれども、そういう協力の可能性を排除しているものでは全くございません。それはまさにいろんな態様があり得るんだろうと思います。また、それがその具体的な要請となって我が国になされた場合に、まさにその要請の具体的な内容を吟味しながら実施計画、その適否と申しますか、それを受けて立つかどうかということを決めていく、そういうことであろうと思います。
 なお、ここで今ヲについて、「被災民に対する食糧、衣料、医薬品その他の生活関連物資の配布」ということに着目しての御質問がございました。これは具体的に、物理的に配布する活動そのもののことを意味しておるわけでございます。
#199
○竹村泰子君 同じような質問ですが、ワの「被災民を収容するための施設又は設備の設置」も、これもUNDROやUNDP、その他のボランティアとの協力が必要だろうと思いますし、力の「被災民の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置」も、これもUNDROやUNDP、WHO、ユニセフなどとの協力が必要なのではないか。あるいはヨの「汚染その他の被害を受けた自然環境の復旧」、これもUNEPやWHOなどとの協力で行うことになるのではないでしょうかね。単独でできないでしょう、これ、どうですか。
#200
○政府委員(野村一成君) 何分、この具体的な要請内容に応じまして我が国の協力の態様を決めてまいるわけでございますので、その要請の内容に応じまして我が国が、その要請そのものが例えば我が国のみで実施することが可能であるものもありますれば、あるいはマルチの援助で人道的な活動に従事する国際機関の要請そのものの中に既に我が国以外のその他今御指摘のような機関あるいはほかの国との共同で行う活動というふうなことも想定されるのであろう。
 私は、繰り返しで恐縮でございますけれども、ここでヌからレまでできる限り具体的に例示しておりますけれども、さらにその中、それをさらにブレークダウンと申しますか、した態様につきましては、それはまさにそのときのニーズと申しますか、国際機関の要請の内容によって決められていくものである、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#201
○竹村泰子君 ヌからヨまでの諸活動はいずれも、一方では現地当局や現地のNGOとの、他方では国連の諸機関や国際NGOとの協力がなければできないし、それが基本となることは明白なんです。日本の協力隊が単独で現地に入って、計画活動を日本だけで決定して実施することは通常あり得ないと、いかにも単独でこれらの活動をするように書かれているんだけれども、それはあり得ないと考えるべきではないでしょうか。どうなんでしょうか。
#202
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 まさに現実にニーズが生じておる、また要請の内容いかんによりましては我が国のみでも、我が国一カ国だけでやり得るというのもあるということ、他方、そうでない場合もあるというふうに申し上げている次第でございます。
#203
○竹村泰子君 例えばどれだったら我が国だけでできるんですか。
#204
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 これは全体の仕組みは、まさに人道的な国際救援活動に従事する機関からの要請に基づいてそれを受けて立つという仕組みでございますので、その要請そのものが我が国だけにこれをやってもらいたい、またそのことによってのみ、我が国の活動だけでもって目的が達成されるというのもあり得るんだろうと思います。具体的には、私、ヌとかレとかそういう個別にどれがどうのこうのというのじゃなくて、やはりそのときの具体的なニーズと申しますか、状況いかんによって判断されるもの、またそれは人道的な国際救援活動に従事する国際機関そのものが判断ずみ、それが基本になるというふうに考えております。
#205
○竹村泰子君 ちっともはっきりしてないんです。詰まってないんです。こういう状態でPKO法案をお出しになるということがそもそもおかしいんですけれども、これらの人道的な救援活動は国連諸機関や人道的な国際機関、国際NGOのいずれも全く非武装、丸腰で行ってきたし、現在もそうではないですか。
#206
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先ほど来御説明させていただいておりますこの人道的な国際救援活動の趣旨からいたしましても、本来武器の携行ということにつきましては、基本的にはもう本当に護身という、それのためにのみ、要員の安全確保という見地からのみ考えられるわけでございます。
 それで、ほかの国の場合どうなんだろうという点でございますが、これは矢田部先生の方からも御質問がございまして、私若干の承知しております例をお答えさせていただきましたですけれども、それらにのっとりましても私今申し上げたような方向でございます。カナダ、ほとんどの場合に武器を携行しない。ドイツ、例えばヘリコプターのパイロットの制服にはピストルが含まれておるのでそのまま携行させる。イギリスについてはその点についての法的な制約がない。イタリアについては軍が参加の場合は武器の携行は当然であって、ただしその場合でも武器の使用例はない。そういった点を把握いたしております。
 何分この人道的な国際救援活動、やはり停戦の合意、基本的にはPKO法案に基づきましては紛争に起因する活動でございますし、停戦の合意直後のまさに治安等がよろしくない、そういう状況において国際的な人道的な救援活動に従事するわけでございますので、やはり要員の安全の確保ということについても応分の考慮が必要である、そういうふうに考えております。
#207
○竹村泰子君 国連の諸機関や人道的国際機関、国際NGO、このいずれも丸腰でやっているでしょうとさっき言ったんですけれども、人道的救援活動に部隊としての自衛隊を出し、武器を携帯させることができるとは一体何を日本は考えているんでしょうかね。丸腰で紛争地域に入って活動している世界の人道機関やNGOにこれは笑われてしまうんじゃないでしょうか。日本では文民の派遣やNGOの支援に力を入れるべきであって、どうしても守ってもらう必要がある場合は現地の警察などに任せるべきではないでしょうか。どうですか。
#208
○政府委員(野村一成君) 恐縮でございますけれども、やはりこの人道的な国際救援活動につきましても、従事する状況と申しますのは治安状態が悪くて、やはり基本的には現地の警察、もちろんそれで十分賄え、安全が確保できればそれにこしたことはないわけでございますけれども、そういうことが必ずしもでき得ない。したがって、要員の安全の確保ということにも応分の考慮をしないといけない、そういう状況での派遣というのをどうしても前提とせざるを得ないんではないか。それはまさに紛争に起因するこういう活動であるということから来る要請事でございます。
#209
○竹村泰子君 この法案で見ますとい自衛隊のみならず、人道的救援に従事する日本の文民の隊員にも小型武器を持たせることができることになっていますね、二十二条。言語道断ですよ、こんな文民の隊員に射撃訓練を施して相手の殺し方を教えてから出すというんですか。重大なこれは基本的な方針の誤りですよ。外務大臣答えてください。
#210
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 この小型武器の保有、貸与等につきましての規定、これはその隊員の安全保持のためということでございますが、これの、現実に保有させ、あるいは貸与の対象になる人ということで考えておりますのは、やはり我が国においてもピストルを現に職務上携行し、その経験のあるという、そういう人たちを当然想定しておるわけでございまして、だれにも、一般の参加の人にもその武器を持たせる、小型武器を持たせる、そういう趣旨の規定では全くございません。
#211
○竹村泰子君 それじゃ二十二条に、「隊員の安全保持のために必要な政令で定める種類の小型武器を保有することができる。」というふうなことは書かなくてもいいんじゃないですか。武器を持たなければ行けないようなところには日本は派遣すべきではないんですよ。国連の諸機関や国際機関もそのようなところには現地に入ることを控えているはずじゃありませんか、外務大臣。ちゃんと答えてください。
#212
○政府委員(野村一成君) 何分、恐縮でございますけれども、私、やはり我が国の要員が従事しないといけない状況と申しますのは、先ほど御指摘のございました警察との関係等を含めまして、やはり治安状況、紛争直後の、停戦の合意直後の極めて治安等が状況が悪いという状況を想定いたしておるわけでございます。
 法案の二十三条をごらんになっていただきますれば、まさに、「現地の治安の状況等を勘案して」、これは本部長がですけれども、「特に必要と認める場合にはこという限定をはっきりと付してございます。あくまで要員の安全の保持の確保というそれ以外の目的に立っている条項ではございませんので、そういう趣旨でぜひ御理解いただきたいと思います。
#213
○竹村泰子君 人道的な救援活動にはそれなりの知識とか技術とか経験が必要であると思います。また、紛争地域の歴史的な経過や政治情勢、言語、習慣、生活、文化などの理解、研修も必要だと思います。簡単な現地の言葉ぐらいは話せるようになっておくことも貴重な能力だと思います。これらの必要に応じるためには常設の組織を置くことが何よりも重要だと思いますが、いかがですか。外務大臣、答えてください。
#214
○国務大臣(渡辺美智雄君) 常設の組織を置けということは、第二自衛隊をつくれということなんでございましょうか。社会党案だったら社会党に質問をしていただけばいいんですが、我々は実際この自衛隊、この法案と同じようなことをやるために別な組織をつくるということは第二自衛隊をつくるということと同じではないかと。
 そして、常に紛争地がたくさんあって、常時どんどんどんどん派遣しなけりゃならないということも考えてはいないんです。臨時的に世界のどこかのところで紛争があって、それが静まったときに再び問題を起こさないようにするためには、やはり自衛隊というようなものはいろいろな点で訓練を受けておりますから、そういう危険なところへ行って、こちらで威嚇射撃をしなくても向こうから撃ってきたときは匍匐前進もできるし、逃げるのも速いし、そういう訓練を日ごろやっておるわけですから。だから、それを自衛隊、国内ではかりやらなくたっていいんであって、海外でもそういうような救援活動とか治安維持のためとかいうとき、臨時的に出かけていくということの方が国の財政上からいってもいいんではなかろうかと。
 例えば、何回も言うようだけれども、この前の機雷の処理という問題、ああいう問題はめったにないですわね、あれ。そういうときに別な常設主体をつくっておいて、どこかで機雷を伏せられないかと待っておったって、それは伏せるかどうかわからないわけだから。たまたま機雷を伏せられたと。ところが内地では、日本では自衛隊がもう毎日のように模擬機雷を伏せたり取ったり伏せたり取ったりやっておるわけだから、だから、その訓練の成果をそっくり現場へ行って実弾射撃をやったのと同じであって、現場で機雷を取ってきたということで、あれを訓練させるには二年も三年もかかっちゃうんですよ、これは費用もかかるし。
 ところが、そういう人が現に国内に存在して国民の税金で頼んであるわけですから、それを活用することが、各国どこでもやっているんで日本だけが初めてやぶから棒にやるんじゃないですから、各国でみんなやっていて長い積み重ねがあってそういうことは平和を維持する、ノーベル平和賞をいただきと、そういうことで、世界的にこれは平和維持団体であるということは認めているわけですから、だから私は第二のそういうものをつくることは非能率であるし、むだであるから、自衛隊を活用するのがいいではありませんかと。これは見解の相違なんです。
#215
○竹村泰子君 外務大臣、あなたはいつもそうやって問題をすりかえておしまいになりますけれども、私は今、人道的救援活動の話をしているので、地雷の撤去のことを言っているのじゃありません。常設の組織を置くことが何よりも重要じゃないかといってお聞きをしたわけです。
 それでは社会党、どうお思いになりますでしょうか、今の点。
#216
○委員以外の議員(野田哲君) まず、こういう合意があることを私は申し上げておきたいと思うんです。一昨年の十一月九日の自民党、公明党、民社党の幹事長・書記長がお集まりになって三党合意というのができています。この三党合意の中では、自衛隊とは別個に国連の平和維持活動に協力する組織をつくる、そしてPKO、人道的救援活動、災害救援活動に協力する、こういうふうになっているわけでありますから、この合意というのは自衛隊とは別の組織をつくるんだということになっているわけであります。
 それからもう一つは、PKOの議論、二年も続いているわけですが、いまだに国論が分裂をして法案も成立をしないという状況になっているわけであります。国際的な要請に迅速に時宜を得て対応していくためには、そしてまた国内の災害活動等にも出動できる、こういう組織を常時保持していくことが国際的な要請に迅速に対応できるんじゃなかろうか。そして、しかもそれは自衛隊ではないことが国民の合意を得られる一番の道だ、こういうふうに考えて、私どもとしては常設の組織をつくっていくことが一番時宜に適したと、こういうふうに考えているわけです。
#217
○竹村泰子君 消防における火事の際のレスキュー隊とか事故や急病の際の救急隊、あるいは災害や事故あるいは食中毒などの際の救急病院や保健所などのチームワーク、こういったものは人道的救援活動のノウハウとしては日本じゅうに蓄積されているではありませんか、自衛隊でなくても。これらの人々の能力は自衛隊よりも人道的救援の面では高いのではないでしょうか。もし高くないのだとすれば問題ですよね。すべて自衛隊が取ってかわらなければならないという奇妙なことになります。いかがですか、どうお思いになりますか。
#218
○国務大臣(渡辺美智雄君) 人的災害と自然災害とあるわけですね。人的災害の部分は、それは内乱の場合もあるでしょうし、テロの場合もあるでしょうし、そういうところは自衛隊をやっちゃいけない。しかしながら、ある人は自然災害ならばいいと言っているところもあるんですよ。ところが、それじゃテロやなんかで爆弾仕掛けられて下敷になった人はこれは人的災害だから、火山が爆発したり地震が起きたりして災害になったのは自然災害だから自然災害の火災は消してやってもいいが人的災害の火災は消してやってはいけないと、こういう議論はないんですよね、余り。だから、同じ精神なんですよ、これは。だから、我々は人的災害の問題においても、やはり自衛隊というものが出たっていいじゃないですかということを言っているんですよ。
#219
○竹村泰子君 本当にちゃんと質問に答えていただきたいですけれどもね。
 自衛隊には海外の紛争地域の歴史、政治、言語、風土、生活などいち早く研修して即応班をつくって準備をしておくという、そういう態勢づくりになじむんでしょうか。防災一つをとっても、自衛隊の中に専門の防災班や組織はないですよね。どうですか。
#220
○国務大臣(宮下創平君) 今申されたような任務は、自衛隊としていろいろの組織的な訓練をやっておりますから、直ちに想定される仕事に適応できるかどうかという問題はケース・バイ・ケースで異なりますけれども、我々はあらゆる場合に対処すべく訓練を重ねておりますし、そういう資質のある隊員を持っておりますし、組織、経験を有しておりますから、法案が成立いたしましてある一定期間があれば必ずその任務は達成できるもの、このように私は思っております。
#221
○竹村泰子君 常設の協力隊が食糧とか医薬品、テント、あるいは建設機材、輸送手段などを備えておくことは必要だし、現実的でもあり、可能でもあると思います。そのための備蓄センターも訓練センターもあわせて設置しておく必要があると思いますが、自衛隊にはこれはできないし、もともとそのための組織でもありませんよね。
 私たちは、その一つの輸送手段について病院船、一万トンクラスの二百床規模のようなものの構想も持っております。これならそのまま現地または近くまで行けるし、高度の救急医療も可能になる。政府案のように、事が起こるたびに人材をほかからピックアップして派遣するという方法では、これはできないわけです。随時編成の方式では、結局、自衛隊に頼って自衛隊が主軸にならざるを得ず、救急能力はほかの文民が持つものよつも劣ってしまうことになるのではないかと思います。輸送機や輸送船についても、常設の組織が最小限のものを持つことが望ましいと思います。
 総理は、自衛隊がこれらのものを既に持っているのに別に持つことになると二重の財政負担になると先日お答えになりましたけれども、過渡的に必要な自衛隊が持つ輸送機、輸送船をこの常設組織に人とともにいただいてもいいんじゃないですか。これなら二重の負担にならず軍縮にも寄与できる、こういうふうに思いますけれども、先日の御答弁の二重の財源負担になるということに関連していかがですか。
#222
○国務大臣(宮澤喜一君) 自衛隊は必要なものを持っておるんだと思いますので、それを向こうへやってしまったらよかろうというわけに私はいかないのではないかと思いますし、それからコストとしては、給与の問題はこれはどうしても二重になる、二重と申しますか、追加になるのではございませんでしょうか。
#223
○竹村泰子君 あなたが二重の財政負担になるとおっしゃったのは、それは今の自衛隊をそのまま、そしてもう一つ常設隊をつくるならば、それは二重の負担になるのかもしれません。しかし、必要であれば自衛隊をどんどん削減していけばいいわけですし、国際協力のために二重の負担にならないように軍縮もしつつということを考えていくことは必要ではないかと思いますが、いかがですか。
#224
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはあなた方は、いかなる場合も小火器を携行しないという前提で物を言っているんだろうと思うんですね。持っていっていいのですか、小火器、自動小銃とか何かを。そういうものを持っていくとすれば、そういう訓練を受けた人を別に雇わなきゃならぬし、第二の自衛隊でやはりそういう武器も持たせなきゃならぬし、同じことじゃありませんか。
 全く何も持っていかないんだということだけでやろうとしてもなかなか、PKO活動というもは、治安が悪いし、ゲリラもいるし、泥棒、強盗もいるし、だから警察でも何でもお手伝いに行くわけです。だから、みんな、世界じゅうそうやっていることであって、警察活動の助言、監視と、このPKOの法案に書いてあるんですよ。要するに監視、助言、そういうものをやるんですよ。
 そういうこともやって、危険なところへも行きますから、もちろん治安出動じゃありませんよ、それはありませんが、そういう部分もあるんですよ。だから、それを全うするためには、別な組織で、文民だけの組織でやるといってもそれは難しいですよということを言っているんですよ。
#225
○竹村泰子君 今私が言っておりますのは人道的援助のことでして、治安の維持が必要だから、治安が悪いからこういうPKOが必要だと今おっしゃいましたけれども、治安を維持するために行くわけじゃないでしょう。特に人道的な救援活動の話を合しています。その土地の住民たちの救出のために、あるいは医療やいろいろな被災民の捜索や、そういったことのために人道的援助というのはあるわけでして、今のお答えは本当に、詭弁といいますか、おかしな御答弁だと思います。
 もちろん私たちはどんな小火器も持たずに行くことを是としておりますから、持たないで行くのにどうして二重の負担になるのかわかりませんけれどもね。
 そういうことについてお聞きをしているわけでして、宮澤さんは二重の財政負担になるということでこの前の矢田部議員の質問にお答えになっておりますけれども、本当にもっとうまく自衛隊の能力や輸送機や輸送船や、そういうものを利用して、常設組織の人とともに利用させていただくということをもっと考えてもいいんじゃないですか。両方同じようにしようということを考えるから二重の負担になるわけですよ。
#226
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はこの法案について言っているんです。要するに、一切武器を携行しないというようなことだけでは、ともかく戦争が終わってまだ末端まで徹底してないという場合が大いにあるわけですよ。したがって、治安も非常に悪い、そういうようなところに全く武器を携行しないで全部行けるかどうかはわからぬです、実際は。だから、危ない場合は自分の生命を守るというために武器を携行するということもあるんですよ。本当にもう何の騒ぎもない治安のしっかりしたところだったら、それは何も持たずに行けるでしょう。例えば、難民の救済とか何とか、難民というのは何でできるかというと、非常に治安が悪くて逃げていったり何か問題があるわけですから、そういう人たちを救ってくるからには周りが全部安全であるとは限らぬのです。
 まして、カンボジアなどの場合は、地雷がいっぱいいけてあるとか、百万発もあるとか言っていましたが、よくわからぬけれども、そういうようなものなどについて、全く平和な我々の村や町と違うそういうようなところに行くためには危険も多少伴うんですよ、これは。いい、悪いという理屈じゃなくて、現実がそうなんだから、そういう点について全く一切の武器を携行しない別団体をつくるといっても、それはこの救援活動、まして戦争が終わったばかりのようなところに出かけていくのは大変危険がありますよ。そういうことを言っているんです。
#227
○竹村泰子君 今の点について社会党はどんなふうに考えられますでしょうか。
#228
○委員以外の議員(野田哲君) 私はこの議論をずっと聞いておりまして、政府の答弁がケース・バイ・ケースで非常にぶれていると思うんですよ。
 それは、国連の指揮下に入って武器を携行した自衛隊が現地に行って国連の指揮下に入ったときには、場合によっては武器を使用することもあるのじゃないか、その場合には集団的自衛権の行使に当たることになるんじゃないか、こういう指摘に対しては、これはもう停戦の合意ができて治安もちゃんと整ったところへ行くのですから、武器を使用するような懸念は一切ありません、こういう答弁をされているんですよ。それから今度は、武器を持たない人を行かせることは非常に危険だ、こういう今の答弁もあって、この点はちょっと整理をしてみる必要があるんじゃないか、こういうふうに思うので、私どもは武器を使うような危険な場所に行く必要はない、こういうふうに考えているんです。
#229
○竹村泰子君 いろいろと議論してまいりましたけれども、ちっともすっきりしないんですね。ちっともこのPKO法案がわからない。そういう中でごり押しをしていくということは、非常に私は危険があると思います。
 アジア諸国は、いまだに過去の歴史の記憶を払拭していない。多くの我が国民においても同様であります。内外の自衛隊派遣に対する懸念を押し切る形で自衛隊のPKO参加を実施すべきではないと思います。無理押しは内外の懸念を増幅するであろうし、かつ、そうした中で自衛隊が派遣されるとすれば自衛隊員にとっても非常に不幸なことであります。
 PKOのさまざまな分野、例えば医療、通信、輸送、難民の帰還、文民警察、選挙監視などのほか、戦後復興分野においても、自衛隊でなくても人的貢献はできることが我が党の調査などでも明らかになっております。少なくとも当面は、文民による協力を、資金・物資協力とあわせて最大限まで行うように努力すべきであると思います。
 自衛隊の派遣の問題は、次の段階の問題として改めて議論すべきであるというふうに私は思いますけれども、総理にお聞きいたしますが、何をそう急いでおられるのですか。
#230
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、最近のことで申しますれば、やはり湾岸危機というものがあって、財政的な貢献はいたしましたけれどもいわゆる汗を流すということの貢献ができなかったことについて、いろいろ国民の間で議論があり、先ほど御指摘もありましたが、海外からもいろいろな賛否両論の批判がありました。
 そこで、我が国の憲法の中で我々としてはどういう汗を流せるかということをみんなで考えようというのが、この法案がつくられるに至った経緯であったと思うのでございます。幸いにして国連というものが機能するようになり、現にこの一、二年の間に新しい平和維持活動が幾つか起こりつつあるわけでございますから、そういうことになれば我が国としても、あの湾岸危機等の経験にもかんがみて、やはり憲法で許される範囲での貢献はすべきではないかというふうに政府は考えまして、御審議をお願いしているわけでございます。
#231
○竹村泰子君 平和維持活動には非常に多彩な分野があります、先ほど触れたナミビアその他の例でもそうですけれども。ところが、日本では軍人が活躍する任務だけが、自衛隊ということだけが強調され過ぎているのではないでしょうか。この法案もまさにそうですが、それぞれの国に似合ったふさわしい任務を遂行することがお互いに納得のいく国際協力ではないのでしょうか。
 国際協力の目的は平和の維持であり、治安の維持ではありません。自衛隊の派遣は、百歩譲ってたとえ許されるとしても、その一つの手段にすぎないのではないでしょうか。自衛隊の内部にも、最初の派遣がアジアでは困るという声もかなりあると聞いております。PKOを受け入れる側と送り出す側と両方からその手段に疑問が出ているとすれば、ほかのことを考えた方がいいです。その手段の一つとして、私たちは自衛隊と別組織の日本型PKO待機隊をと主唱して、提案をしているわけでございます。
 最後に、ちょっと幾つか御提案をしたいと思いますが、まず余りにも問題の多い政府提出のPKO法案は、今国会での成立を目指さず、私たちはあくまでも廃案という主張をしているわけですけれども、しかし対案とともに時間をかけてじっくりと審議をする。先が何かとてもカンボジアということに対する焦りが見られるのですけれども、こんな大きな問題を短期で論議するべきではないと思います。
 それから、カンボジアに対しては非軍事要員による医療、建設、輸送、通信などのチームや選挙対策チームなど、ナミビアに派遣したのと同じように、緊急を要する順に構成して派遣する。これは公務員や公的機関の関係者が主となるかもしれないけれども、一般の参加も大いに歓迎をする。
 三番目ですが、今国会中に国際協力のために大型の委員会を設置する。そして日本の国際協力のあり方を本気で審議する。日本独特の憲法に則したPKOを発足させるためのそういった大型の委員会を設置する、
 この三つのことを私は御提案申し上げまして、最後に総理及び外務大臣の御意見を聞いて、質問を終わりたいと思います。
#232
○国務大臣(宮澤喜一君) るる申し上げましたような理由で、政府といたしましては、御審議を願っております法案をぜひ今国会で成立させていただくようにお願い申し上げたいと思っております。
 それから、じっくり審議をしたいと仰せられました。それはもう委員会のことでございますが、連日、私どもいつでも御疑念には答えますので、どうぞその点よろしくお願いを申し上げます。
 それから、大型の委員会をつくって何か本気で議論をしたいと言われましたが、当委員会も非常に大型でございますし、またもとより本気で御審議を願っておるというふうに存じております。
#233
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、最初から廃案ありきということでは、議論はかみ合わないんですよ。自衛隊は憲法違反、別な自衛隊をつくるということではかみ合わない。
 この法案の中でいろいろありますが、武力行使が比較的行われやすい部門が書いてあるわけですね。それは兵力の引き離しとか、捕虜の交換だとか、あるいは放棄された武器を撤収するとか、緩衝地帯に兵力が入るとかいうのは、武力行使が比較的、武力行使といいますか、武器使用が行われやすいところなんですよ。それから、それ以外のところは武器の使用というものがほとんど行われないだろう。万一の場合ぐらいは自衛上、空砲を撃って、あるいは威嚇射撃して逃げるというようなこともあるかもしらぬが、二つの部門があるんですね。
 皆さんのいろんな議論を聞いて、そしてそれは少しそこらのところは政府も考えないかとかどうとかという話があれば、それは国会でお決めになることですから、そういうような御相談はこれからやっていこう、そういうことを言っているわけでありまして、我々はもう何とかひとつ、世界各国がやっていることですし、六カ月でこれは交代するわけですから、日本だけは交代要員も出せないというんじゃなくて、その点はもう少し日本も国際社会のことも考えて、人様のできることは、世間並みのことぐらいは何かやれないものだろうか、そういうことを国民の皆様にも切々と説明を申し上げておる次第でございます。
 どうぞひとつ審議を継続して円満妥結になるように、よろしくお願い申し上げます。
#234
○竹村泰子君 私どもは、別の自衛隊をつくるとか第二の自衛隊をつくるとか、そういうことは言っておりませんので、その点は御訂正願いたいと思います。私たちは、平和協力のための専門の常設隊をつくりたい、そういう御提案をしているわけです。今のは取り消していただきたいと思います。
#235
○国務大臣(渡辺美智雄君) 別に、あなたの質問にストレートに答えなかったのかもしれませんが、第二自衛隊と思われるようなものを、正確に言えば、だけれども実際は同じような訓練をやるわけでしょう。だから、一切武器は持っていかないというのであれば、そういうものは実際余り役立たないということだと私は思います。
 だから、改めて申し上げますが、社会党が第二自衛隊をもくろんでいないということをよく承知いたしました。
#236
○竹村泰子君 今ちょっと私どもは承服できかねる御答弁がありましたので、社会党から最後に言いただきたいと思います。
#237
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもは第二自衛隊をつくるなどということは一言も申し上げておりません。それから、私どもが提案の中で提起している国際協力隊というのは、武器を使わないということを大前提にした組織でございます。
 そういう点では、政府のナンバーツーの渡辺副総理からそういう表現を使われたことは、私は大変問題があるというふうに感じております。
#238
○竹村泰子君 終わります。
#239
○板垣正君 私は、自由民主党を代表し、質問を行います。
 私は、現在審議中の政府提案のPKO法案及び国際緊急援助隊法の一部を改正する法律案について政府並びに各党間で論議が尽くされ、今国会において成立することを切に望むものであります。そうした観点から、先般社会党が提出された対案の内容を中心に私の見解を申し述べつつ、質問いたしたいと思います。
 まず伺いたいのは、社会党の対案を今般出されましたその基本的な姿勢であります。
 従来の廃案一辺倒路線から軌道を修正したのかどうか。総評センター加盟労組内にも、廃案主張だけでなく国際貢献の具体的な取りまとめに努力すべきだという意見があり、また旧態依然とした廃案一本やりの姿勢では国民の支持は得られず、政権党への脱皮も無理などの声も伝えられております。社会党の田邊委員長は、最後まで徹底的に反対したとか漬かったなどということは政治に携わる者として許されないと言われているそうであります。
 いずれにせよ、対案を提出されたことは、その内容は大いに問題がありますけれども、国際貢献の重要性を認識されたものとして一歩前進であると評価するものであります。
 一部には、対案の提出は引き延ばしを意図しているのではないかという懸念もあります。そうしたことも含め、審議に臨む姿勢について野田議員から簡明にお答え願いたいと思います。
#240
○委員以外の議員(野田哲君) 板垣議員にお答えいたします。
 まず、今回の対案を出したことについて社会党は廃案一辺倒から態度を変えたのか、こういう設問でありますけれども、事実を正確に申し上げますと、衆議院でこの法案が審議されていたときにも我々は衆議院で対案を提出いたしました。さらに、昨年の臨時国会のときにも対案を提案いたしております。今日までの審議の経過を踏まえて、さらに内容を整備して今回改めてまた案を出した、こういうことでございまして、PKOの問題について初めから私どもが廃案一辺倒、こういう態度を国会の中でとったことはございません。毎回対案を出している、このことをお答え申し上げておきます。
 そして、特に私どもは今回の対案の中で強調したいことは、湾岸戦争以来二年近くこの問題を議論しているわけです。そして、いまだに結論が出ていない、国論が二分をされた状態になっている。これはやはり政府・自民党が自衛隊の派遣に余りにもこだわり過ぎるから、いつまでたっても国論が二分された状態で国会の中でも合意が得られない、ここにあるんじゃないでしょうか。
 そういう点を踏まえて一昨年の十一月八日には、先ほども言いましたように、三党合意で自衛隊とは別の組織をつくるということも自民党、公明党、民社党で合意をされているわけであります。
 そういう経過も踏まえて、PKO、国際貢献の法案については、オール・オア・ナッシングではなくてこういう貢献策もあるのではないでしょうか、その方が国民に合意が得られやすいんじゃないでしょうか、そういうことで私どもは今回の提案をした、こういうことでございます。
#241
○板垣正君 次に、国際情勢に対する認識と国際貢献のための基本的なスタンスについてであります。
 対案の提案理由説明の前段は国際情勢の認識について述べていますが、特に「二十世紀の終わりに生きる我々は、こうした世界の平和への新しい潮流をさらに一層推し進めて確かなものにし二十一世紀に伝えていく崇高かつ重大な使命を担っているのであり、そのために果たす課題は数多くある」として、第一に平和の創造と軍縮の実現、第二に南北間の格差是正、人権の保障等、第三に地球の環境破壊に対する課題を挙げ、「このような国際的な重要課題に対し、世界のGNPの一五%をも占める我が国がどのような責任を果たしていくかは、ひとり我が国の将来だけでなく、世界の平和と安定にとっても極めて重要な課題であります。」と強調しております。この点は私は異議ありません。
 しかし、それに続いて「このような諸課題に対応する方策として、「まず自衛隊派遣ありき」という政府の姿勢はまさに時代に逆行するものであり、極めて問題であると言わなければなりません。」と述べているのはどういうことでしょうか。あたかもすべての方面に自衛隊派遣を意図しているがごとき言い分ではありませんか。全く支離滅裂であります。せっかく前段で述べていることに対してもその真意を疑わざるを得ません。まさに、まず自衛隊反対ありきではありませんか。
 しかも、政府提案のPKO法案について「政府案は、その中核に自衛隊の活用を規定しており、平和憲法の理念、近隣諸国の懸念、世界の潮流とも逆行するものであり、絶対に容認できるものでありません。」と断定していますが、相も変わらぬ独善、排他的、硬直した社会党の発想には改めて失望を禁じ得ません。平和憲法の理念と言われましたが、私は、平和に徹した国民の心こそとうといと思います。歴史の教訓として私どもは、平和に徹すること、国際社会で孤立してはならないことを学んだはずであります。日本国民ほど平和に徹した国民はないと信じております。
 しかし、戦後いわゆる平和問題が党派や特定グループのにしきの御旗となり、事ごとに国論の分裂と対立をもたらしてきたのは、不幸な戦後風潮であったと思います。あなた方は意に沿わないものに対し、すぐ憲法の理念に反するとか軍事大国を目指しているとか、大上段に振りかざしますが、私は伺いたい。あなた方は日本人を本当に信頼しているんでしょうか。だれが戦争を目指しているのか。だれが軍事大国を目指しているのか。悲しみも喜びも長い歴史の苦難をともにしてきた日本人相互に信頼し合う気持ちなくして、どうして世界に平和を呼びかけ、共感を得られましょうか。そして、平和とは、座して得られるものではなく、積極的に行動し、つくり上げていくものではないでしょうか。野田議員の率直なお気持ちを承ります。
#242
○委員以外の議員(野田哲君) 板垣議員のこの議論は内閣委員会でもよく拝聴しておりますし、私の主張も述べているわけであります。
 まず一つは、板垣議員もお考えになられるべきではないかと思うのは、先ほども言いましたように、今回のPKOの法案も、自衛隊の派遣に余りにもこだわりを持たれるから二年たってもまだ法案が成立をしないというわけであります。それで、文民を可能な分野から国際貢献のために派遣をしていく、こういう措置をとっていけば今までにも相当な実績のある行動ができたんじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。その点は、板垣議員が指摘されたように、私どもが殊さらに自衛隊のことについてかたくなに反対の態度をとっている、こういうふうに指摘をされておりましたけれども、法案そのものを考えていけば私どもの主張する方が実効が早く上がる措置ではないか、こういうふうに考えるんです。
 それからもう一つは、やはり軍縮をこの時代には考えるべきではないか、こういうふうに思うんです。そして、軍縮を進めながら国際貢献の具体的な措置をとっていく、この方策を私どもは考えるべきではないか、こういうふうに思うわけです。国内でも行政改革によって毎年毎年公務員は一律定員削減をやられているんです。そういう中で、今日の世界の軍縮の潮流の時代に、自衛隊だけはこれは枠外だよと、こういうわけにはいかないんじゃないでしょうか。軍縮を進めていく、その軍縮をどういうふうに活用するか、こういうことで私どもは考えるべきではないか、こういうふうに思うんです。そのことの方が国民の合意も得られやすいのではないでしょうか。
#243
○板垣正君 自衛隊の枠組みそれだけにこだわっている、こういう考え方は私どもは同意できません。自衛隊を含めて、安全保障の問題はまさに国政の基本の問題として総合的に判断されるべきでありましょう。今日の世界情勢を安易に、もうすべて平和に流れていくんだ、防衛費は削るべきである、これは体制を変えるべきである、こうした方向は、よほど慎重に検討しなければならないまさに国家百年の問題であります。そういう立場において、ただいまの御発言には納得できないものがあります。
 次に、PKOに対する基本認識であります。
 私は、この問題が一番の根本問題である。我々はまだPKOについての本当の経験を持っておらない。国際社会においては既に一九四八年以来、いわゆる国連憲章に定めるところの国の安全保障強制措置を伴う国連の措置等については安保理常任理事国の拒否権発動によって国連が機能できない、しかし人類の平和、各地域の安定、これは無視ができない、そういうところに生まれてきたのが既に二十七回を数えるPKOであります。そしてこのPKOは軍隊ではない、これが根本であります。私どもを含めて、まだ日本国民はPKOについての理解は決して十分であるとは思わない。したがって、これをすぐ、自衛隊を派遣することをもって直ちにこれが海外派兵である、憲法違反である、その先頭に立っておるのが社会党ではありませんか。そして、かたくなにこの理解を阻んでいるところに、二年たっても三年たってもこの法案が成立てきない、ますます国際社会から取り残されている事情があるんじゃないでしょうか。
 あの殉職されたスウェーデンのハマーショルド事務総長がいみじくも言ったように、PKOは軍人の仕事ではない、しかし軍人でなければ勤まらない仕事だ。また、PKOは武器は使わない、武器を使ったら一方の当事者になってしまう。それは、PKOの命である公正、不偏的中正、そうした立場を失ってしまうからPKOでなくなってしまう。実質的にはやはり各国ともほぼ九割は軍人であります。ほぼ九割の軍人がこの務めを長年献身的に多くの国々で務めてき、その間に痛ましい犠牲もございましたし、あるいはコンゴのPKOのような、ある意味における錯誤、そうした錯誤を繰り返しつつ、最近の国際情勢の中でPKOの存在が改めて国連のもとにおける平和活動として、人類のまさに求めていた平和共存への道として大きく注目され活動しつつある。
 昨年一年間だけでも四つのPKOが生まれた。ことしだけでも三つ生まれた。しかもカンボジアのような、ユーゴののような極めて壮大な計画のもとに、文字どおり世界の国々を挙げて平和をつくっていく、つくり出していく。米ソ冷戦の雪解けの中で新しい平和の秩序が求められ、まだいろいろな不安定があり不透明な状態。しかし、そうした中で長年の戦火がやみ、カンボジアにもようやく平和が訪れようとしておる。アジアのASEAN諸国ほとんど参加、中国も過般四百名の工兵隊を送る、こういうことに相なったわけであります。
 そうした中で、このPKOは軍隊ではない、そして武器は使わない、そこに国連としての権威がある。その権威は、PKO派遣によって平和が維持され、そして平和がつくられていく、そういう役割であり、まさにそこに八八年のノーベル平和賞に輝いたゆえんもあるわけであります。
 そういう意味合いにおいて、我が国の場合幸いにして自衛隊という組織を持っておる。ありがたいことであります。必ずしも恵まれない、ある意味では日陰扱い、憲法違反憲法違反と、そういう白眼視をされながらも黙々として国の防衛と訓練、そしてまた災害救援等々に励み、この間に組織としての実績を積み、またそれぞれのすぐれた能力を備えてきたわけであります。
 だからこそ、こうした国際情勢の流れの中で、日本国家もお役に立とう、何ができるか、どうするか。国連の決議に基づき多くの国々から二万人を超すPKOがつくられようとしつつある中で、我が国が平和国家の立場において、むしろ平和憲法のまさに理念を生かす意味において一番役に立つ、日本が平和国家としてその真価を発揮できる、そうした意味の自衛隊の派遣ということ、これは当然であり、社会党の立場においてももう一歩踏み込んだこの問題に対する脱皮が必要であります。この点について重ねて伺います。
#244
○委員以外の議員(野田哲君) 脱皮しろという御指摘ですけれども、この点は、国論の中にもいろいろの国論があるわけでありますし、それぞれの政党の持っている思想や政策もあるわけですから、ここで板垣議員に指摘されたからといってそう簡単に脱皮できるわけのものではないのであります。
 PKOの問題について、PKOは軍隊ではない、武力行使をしないんだと、こういうことを強調されたわけでありますけれども、しかし今日までのPKOの歴史を見ると、多くの死傷者が出ているわけでありますし、武器を使った例もあるわけでありますし、先ほども渡辺外務大臣が武器を持たない丸腰の文民を危険なところにやるわけにいかないんだと、こうおっしゃったように、やはりPKOの中にはPKFと呼ばれている軍事的な分野と、行政を監視したり指導したりする分野と、それからインフラの整備とか民生の分野といろいろな分野があるわけでありますから、国論が二分しているような自衛隊を派遣するかしないかという議論を二年も続けていることは全く実効が上がらないことであって、むしろ国民の合意の得られる、私どもが提案している文民による民生分野の貢献、こういうことでPKOに対する貢献は十分できるんではないか、こういうふうに考えているわけです。
#245
○板垣正君 この場で野田さんからすっきりした御回答をいただけるとは期待はいたしておりませんが、しかし、回しお経ではこれは興がさめる、こういうことじゃないでしょうか。
 国民の意識も大きく変わってきているんじゃないでしょうか。あなたの属されている自治労ですか、こちらでもことし二月の組合員の意識調査によって、六割の人が自衛隊は合憲である、こういう意識を持ってきている。自治労、六割以上が容認、こう出ておりますね。
 社会党の国際貢献のあり方に関する基本姿勢に対しては党内外から強い疑問が投げかけられている。過般はPKO廃案の一万人集会を企画したけれども、総評センターの緊急役員会でストップがかかった。あなた方もやはり組合あるいはそうした本当の国民から大分遠くなってきているんじゃないですか。民社党の大内委員長が、平和目的での自衛隊の活用を認めるぐらいにならないと国民は政権党として評価しないと田邊委員長に先般言われたそうであります。田邊委員長は検討しておりますと言われたと報ぜられておりましたけれども、どうも親の心子知らずと。
 組合では、全逓も容認へと。昨年から幹部を中心に意見交換。原発が先行しておりますけれども、この九月の石川大会においては原発容認に踏み切っていきたい。自衛隊、日米安保条約についても現実直視の観点からこれを容認をしてその方向で議論を進めよう、こういうことも伝えられております。全電通、去年の七月、現行憲法のもとで自衛隊を容認、これが多くの意見であったと。
 平和主義を動かすというもっと積極的な行動、現在の憲法、あなた方が平和の理念とおっしゃるなら、座して、また古い抵抗の姿勢ではなく、この国際情勢の中で日本が名誉ある地位を占める国際国家として平和に積極的に取り組むこ七が憲法の生かされる道ではないのか。積極的な貢献については、いわゆる近隣諸国が非常に懸念があるということをいつもあなた方は言われるわけですけれども、この問題についても、私どもが歴史の反省の上に立ちながら平和愛好国家として戦後苦難な道をここまで歩んできたことは事実でありますから、PKO参加各国の人々と肩を並べて汗を流し、危険を冒す、そういう中に初めて、なるほど日本は平和国家、新しい姿に日本がよみがえったという信頼感、本当の友好関係、こうしたものがあらわれてくるんではないでしょうか。
 カンボジアの現状について、山崎建設大臣がこの連休に現地に行かれたということを承っております。生々しいところで、向こうの各首脳等にもお会いになったようでありますので、お話を承りたいと思います。
#246
○国務大臣(山崎拓君) お答えします。
 私は建設大臣といたしまして、現地のインフラ整備につきまして専ら視察を行いましたのでございます。ただし、その間、ついでながもと言っては語弊がございますが、せっかくの機会でございましたので、UNTACの本部にもお訪ねをいたしまして、サンダーソン中将、いわゆるコマンダー・イン・チーフでございますが、にお目にかかりまして、いろいろと実情を聞いてまいりました次第でございます。また、私が会談をいたしましたカンボジア政府の首脳、チア・シム国家評議会議長、フン・セン首相等々とも会談いたしましたが、その際にも、PKO参加の問題につきましていろいろとお話がございましたので、御紹介申し上げたいと思います。
 まず、フン・セン首相でございますが、五月二日にお目にかかりましたが、こう言っておられました。カンボジア和平のために、日本はUNTACの活動に対し、財政面で寄与するとともに人的貢献を強く望むものである。その人的貢献は、自衛隊、文民警察並びに文民一般の派遣をお願いしたいということでございました。また、UNTAC本部の前に旗立てが二十一本ある。これはPKO参加国のための旗立てであり、既に二十本立っている。二十一本目が日本用であるという御発言でございました。
 社会党代表団がつい先日、つまりその五月二日の前でございますが、つい先日見えたときもこのお話をいたしました。社会党代表団は、民間人を大勢出すから日本の旗を立ててほしいと言われた。しかしながら、これはあくまでもPKO参加国用のものであるということを理解してほしいと述べられたのでございます。つまり、このことはいろいろと議論のあるところでございましょうが、フン・セン首相は、PKO参加国といった場合にはPKOの主要部門、委員も先ほど御指摘になっておりましたが、軍事要員部門の派遣があってしかるべきではないかと、そのことがなければ参加国とみなしにくいという意味に解釈できるわけでございます。
 PKFという、軍事部門という御発言が野田議員からございましたけれども、軍事部門というのは、二万二千人のUNTACの考えられている要員の中で一万六千人が軍事要員部門であり、あとの六千人が民間要員でございます、私がこのUNTACの本部で聞きましたところによりますと。そこで、その点についてわかりやすいお話がございましたので、御紹介いたします。
 UNTACのサンダーソン司令官でございますが、UNTACの要員は歩兵部隊、後方支援部隊である工兵、ロジスティック、医療、通信、運輸、各部隊とも着々と整いつつあるが、なお不十分である。ニューヨークの国連本部で決定することであるが、日本に特にお願いしたい分野は、建設技術者を中核とする工兵隊、医療活動を行う部隊の派遣であるということを明確に述べられました。つまり具体に申しますと、自衛隊で言えば施設隊、これは雲仙の噴火災害に関しましても大活躍しておりますが、あるいは衛生隊に該当すると思いますけれども、それらの早期派遣を強く期待しているものと受けとめた次第でございます。
 そこで、先ほどのことに戻りますが、サンダーソン司令官は歩兵部隊と後方支援部隊の工兵とを分けられましたわけでございまして、歩兵部隊がつまりPKFに該当する活動を行うものと、そのように受けとめた次第でございまして、PKFに該当しない後方支援部隊活動が、例えば施設隊、工兵隊と言ってもいいんですが、ロジスティック、医療、通信、運輸等々に該当するということでございました。
 さらに、私が、住民の民生分野にUNTACとしてどういう貢献をするかということをお尋ねいたしましたことに対しまして、軍事部門、軍事インフラの整備を含めまして手がいっぱいである、このことはUNDROであるとかユニセフ等にお願いしたい、UNTACとしては軍事部門に専念していきたい、そのことがひいては民生の安定につながることを確信している、そういうお答えであったことを御紹介申し上げておきます。
#247
○板垣正君 ありがとうございました。
 外務大臣、先ほどちょっと申し上げましたが、いわゆる近隣諸国の考え方、またそれに対する外務大臣の御見解を承りたいと思います。
#248
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、外務大臣になる去年の三月ごろも東南アジアの指導者といろいろ会って懇談をいたしました。当時ペルシャ湾の話だったものですから、ペルシャ湾に輸送隊を出したい、あるいは機雷の除去に当たったりということを前提としてお話をしたんですが、一応前置きがありまして、自衛隊の派遣について、それは極めてセンシティブな問題だとか、そういう頭の話があるんです。
 インドネシアなどは、我が国は海外に軍隊を出さないという憲法を持っているんですというようなことがあったので、消極的かなというように我々は考えたんですが、いろいろ話をしていくうちに、いわゆるそのようなPKOですな、PKOのような活動であれば、それは日本は当然じゃありませんかということです。インドネシアあたりも、自衛隊の飛行機をペルシャ湾にやりたいんだけれども、給油基地にしてくれぬかと言ったら、最初は反対だと言っておったんですよ。よく話したら、それが後になったら、それじゃ基地で給油してもいいというぐらいに、やっぱりわからないわけですよ、話をしないと。話をすればわかりまして、それは皆さんがやることですから、日本としてもおやりになることはそれは当然でしょうというように言うんですよ。
 ある指導者は、いや実はそういうことをなぜ頭から言うかというと、年寄りに、年配者の戦争経験者の中に日本に過剰に反応をする人が多少おるんですということを言っていました。これは私は本当だろうという感じを受けたのでございます。
 したがいまして、一応まくら言葉はつきましたが、今やもうタイにしても、マレーシアにしても、インドネシアにしても、全部兵隊を出す、自分たちが出す、自分たちと同じ規模で同じようなことを、ですから日本がやるのは当然でしょうということに理解をいたしております。
#249
○板垣正君 社会党でも、さっきもお話がございましたけれども、現地調査団を派遣された。そして、お帰りになりまして記者会見、その記録も読ませていただきましたけれども、新聞でも一部報道されたように、現地に行かれていろいろ見られて、これではなかなか民間民間と言っていても簡単に集まらないし、こうした厳しい現場は無理だろう、自衛隊の兵たん部隊等を利用できればいいが、こういうようなことも記者会見で述べられ、一つのスタンスとしては、現地に行って、やはり文民とかいろいろ言っているけれども、現場を見れば、後方支援の面におきましても組織力のある自活できるそういう体制で臨まなければこれは物の役に立たない、こういう印象がやはり記者会見にもあらわれたんじゃないでしょうか。私はこのことは決して恥ずべきことではなくして、当然気がついたことだと思うんですね。
 さっき日の丸のお話もございましたけれども、社会党は日の丸反対、国旗と認めない。しかし、海外に行きますと日本の日の丸を立てると、こういうわけでありますから、余り捨てたものでもないんじゃないか。そういう点、野田さんどうなんでしょう。率直にどういうふうに受けとめられましたか。
#250
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもは野党でございますから、アジア地域の各国の接触をする相手方も政府・与党よりも野党あるいは民間団体、こういうところの方が接触は多いんです。そういう点では、先ほど渡辺外務大臣のおっしゃったことと私どもの受けとめ方にはかなり違いがあるんです。政府の当事者としては、外務大臣が来ればこれはやはり……
#251
○板垣正君 調査団の話ですよ、記者会見の。
#252
○委員以外の議員(野田哲君) 調査団、ああそうですか。
 今の記者会見の話については、私はそういう報告は受けておりません。だから、私どもが承知をしている現地の事情というのは、やはり日本からも百人ぐらい今現地に行って民間人がいろいろ作業に当たっているという報告を受けております。それによると、今一番求められているのは、社会党から行った調査団のこの間の報告でも、やはりインフラ整備、飲料水の確保とかあるいは車の整備とか、交通の手段の確保とかあるいは電線、電話線の修復とか、そういうことが一番求められている、こういうふうに聞いておりまして、とても文民では仕事ができないような状態だという報告は受けておりません。
#253
○板垣正君 恐らく報告書と記者会見の記録を野田さんはまだ見ておられないんじゃないかと思います。
 伊藤団長ですか、伊藤団長はフン・セン首相にも会って、フン・セン首相からまた重ねてはっきり自衛隊を、またそのほかの分も出してくださいとはっきり要請を受けているわけですね。そして、さっき申し上げましたいわゆる自衛隊の能力の平和利用、こういうふうなことを踏み込んで党執行部で発言されたのは、現地を見て帰られた伊藤さんが初めてだということではやはり注目すべきで、これがよりよい方向へ行ってもらいたいと思うのでございます。
 次に、ドイツの例等もございます。ドイツが現在、PKFに参加できるようにするために、つまりNATOに入っている、これは域外には出れない、しかしPKFについてこれに協力を、参加をすべきだと。このドイツが、統一後の初めての議会でコール首相が、国際的な役割、すべての権利と義務を果たすんだと、こういうことを演説されて、PKFなど参加のための基本法の改正、これが現在課題になっておる。
 野党のSPD、社会民主党におきましても、PKOに限る、軍事行動は認めないがPKOに限ることで域外派兵は容認をすると。やはりさすが政権をとった社会民主党だけあって、そういうことで、これは御承知のとおり、一九五九年、大変な論争の中でドイツの社会民主党が綱領を改めマルクス・レーニン主義と縁を切って、国防を認めNATOに入る、これに踏み切ったという画期的な転機があった。その後、十年後に連合政権に入り、やがて政権を担当する。
 こうした中で、既に三十六回基本法を改正して今日に至っているというわけでありますから、私どもが戦後四十五年、不磨の大典のごとく憲法はとにかくいただいて指一本触れられないんだと、この格好は逆に言うと昔に似ているのではないのか。せっかく自由と民主主義の時代でありますから、こうした問題についてももっと自由な論議が展開される。四十五年もたてば時勢に適応できないいろいろな面が出てくるのは当然であります。
 先ほど野田議員が二十九年の参議院本会議の決議に触れられましたけれども、まさかあのころこういう世界情勢の展開をだれが予想したでしょう。そういう中で、PKO派遣協力もつまりは日本の平和、日本の安全、日本の安全保障につながる、そういう立場において、あのスウェーデンにおいても四八年以来ほとんどのPKOに参加し、PKFに派遣をし、高く国際社会でも評価されていることは御承知のとおりであります。
 今度、社会党のあの案は、別部隊をつくる、スウェーデンのあの姿に着目したんだというようなことも伝えられておりますけれども、しかしスウェーデンの場合、あの社会を支えている基盤、これはそういう面においては我々よりもはるかに多くの困難な中から実績を積んできて、いわゆる北欧の体制をつくっていることは恐らく御承知だと思うんです。志願制であります、この待機軍は。PKOに参加する待機軍は志願制でありますけれども、現役、予備役及び一般から募集をする。五、六百名の募集をするそうです。年二回募集しますけれども、募集の都度、約十倍の応募者がいる。現役以外の一般からの採用者もすべて徴兵基礎訓練七カ月半から十五カ月を終了して、北欧待機軍及びその要員は軍隊及び軍人としての法的地位を保有しておる。徴兵基礎訓練終了者が約四、五万人出ているそうであります。
 私も昨年スウェーデンに参りまして、その実態に一部触れましたけれども、スウェーデンの人々、若い人たちも、スウェーデン国民は徴兵に行って国を守る。あの国はまた防衛においては極めて特殊なものがあります。ベテランですから御存じでしょう、一朝有事のとき動員すれば、人口八百五十万で約八十万の動員を四十八時間でやり通す。
 常にそうした有事即応体制があればこそ、彼らの言う中立の姿を守り抜いてきた。申立てあるけれども、国連がスタートし、国際社会における対応においてPKOに積極的に参加することがスウェーデンにとっての安全保障の一環であろう、その意識が若い人たちにも国民にも浸透しておって、これに参加することが名誉である、当然の務めである、こういうことが徹底をしておるというので、徴兵義務を終えた何千名の応募者の中から特に優秀な人材を募集して、これに充てている。
 こういうことでありますから、そういう国情というものはとてもとても現在の日本、いまだにこうした論議を繰り返さなきゃならない日本とは大分開きがあるし、私はスウェーデンの方が平和国家としてはよっぽど先進国ではないかとも思うわけであります。
 北欧待機要員の構成比は、現役将校が四%、予備役将校が回ないし六%、下士官、兵が九〇ないし九二%、中隊長、大隊長等の主要指揮官はすべて現役将校から採用、北欧待機軍数は一千六百から千八百で、年度の契約状況によります。この任務はもちろん停戦監視団あるいは選挙監視団、平和維持軍、こうしたものに交代で参加をしていくわけであります。これは一九五九年、ハマーショルドの書簡に基づいて、一九六四年、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの共同事業としてスタートしてこの四カ国共同の待機軍という形になっているわけであります。
 スウェーデンは国防軍の中に国連待機軍を設置している。国連事務総長の要請に基づき、政府は待機軍を平和維持活動のために国連事務総長の指揮下に置くことができる。災害救援のためにも使える。待機軍の規模は最大二個大隊及び一個大隊に相当する特別部隊合計約二千、最高指令官が要員を募集、訓練する。この志願者はさっき申し上げたとおりであります。
 以下省略しますけれども、この待機軍の場合、やはりそうした社会的基盤がある。国民的なまさにコンセンサスがある。そういう中で国の防衛を全うし、かつ積極的に平和のために行動に、恐らく相当の今まで犠牲者も出ていると思いますけれども、そういうことに参加している姿、この辺を私どもはさらに認識を新たにし、視野を広くして、世界の国々とともどもに、アジアの国々とともどもに汗を流し、危険も顧みずに平和を築き上げていく、こういう姿勢にこの法案の成立によって初めて第一歩を踏み出すわけでありますから、ぜひこの成立について社会党の立場においても野党第一党としての責任を果たしていただきたいものであります。
 次に、四月十五日に社会党の発表している、きょうも御発言がございましたカンボジア国民の自立支援策、これは社会党の外交政策調査会、矢田部さんが会長のようですが、これで広範なカンボジア援助のことをうたわれておりますけれども、この中に重大な誤りがあります。
 さっきもお話がございましたが、五百人の選挙監視員を送ると、こう言う。しかし、さっき外務省のお話にもございましたね。この選挙監視について現在向こうで計画されておりますのは、国連職員が四百名、各国にお願いするのが千名、あと四千名は現地で、つまりカンボジアの国民の方々がこの任務を担当するわけですね。ですから、国連が各国にお願いするのは千名のうち何名か出してくださいと、こういう姿になっているわけであります。これ五百名も出すということは、つまり五千何百名というのが丸々行くんであろうという、これ誤りですね。誤りです。調査不十分ですね。
 それで、しかも五百名を出すんだ、選挙のベテランがそろっているんだ、五百名出すと。これはまたPKOについて本質的な誤りであります。誤りですよ。国連のPKOは四十何年の歴史を持っております。PKOの配分についても国連の決議がもちろんございますし、国連事務総長の責任のもとに極めて配慮を持って人員の割り当て等も行い、それで協力が行われている。当然でありましょう。特定の国がたくさん乗り込んできて、まして日本から五百名も選挙のベテランが乗り込んでいったら、せっかく独立を始めようというカンボジアの行政を全部こちらがおかしくして牛耳ってしまう。
 そんなことはあり得ないことであり、そういうことを堂々と、五百名出す、各県から十名ずつだなどといかにも自衛隊がいなくてもいいんだと、民間からこれだけの人数がいるんだという、そういう見せかけの人数じゃありませんか。こんなことで国民に誤解を与えるということは重大であります。
 ほかにも指摘できます。いわゆる文民警察。文民警察は全部で三千六百名、これをUNTACでは四十七カ国にお願いをする。四十七カ国です。それで一国七十五名程度、せいぜい一国七十五名程度の文民警察をお願いしょう、こういう配慮で行われているわけでありますから、これについても三百名も日本から行くんだと。これは要らないし、根本的なPKOの精神、国連の精神からちょっとずれているんじゃないですか。
 同時に、海外青年協力隊千人、これもまた大変な数字ではありませんか。海外青年協力隊はこれもまた長い歴史を持ち、非常に国際貢献をしてきた。日本の名誉のために若い方々、ベテランの方々が大変成果を上げてきていただいておる。現在海外におるのが約千名だそうです。これは二年勤務で派遣されてそういう千名が行っている。カンボジアはもう二十二年前にああいう状態でありますから、おりました海外青年協力隊を引き揚げて、今度のこういう情勢でありますから、青年協力隊を再び派遣しようという動きがもちろん出てきて現地調査をもう始めようと、派遣計画も徐々に固められつつあるわけであります。
 そこにこの千名というのは一体どうやって集める数ですか。しかも、ただ集めて行けというようなものじゃないわけですよ、青年協力隊というのは。やはりそれぞれの専門家、それぞれの心構えを持っていただいて二年間も行っていただくんですから、その千名の数までここに並べて、それから警察官は三百名だ、選挙監視員は五百人だ。はったりですよ。はったりです、これは。こういう形で、だから自衛隊は要らないんだと。
 というのは、社会党の案ではほとんど狭いんです、やれることが。ああいう状態の中に行くには、やはりそれだけの危険を冒し、かつそれに対応できるだけの訓練、組織また持久力、そうしたものを持たなければ国家としてもそんな無責任に送り出すわけにはいきません。
 したがって、そういう自衛隊派遣には真っ向から反対、それが五百人とか三百人とか千名とか全く根拠のない数字を並べてこれを公表して、いかにも文民なんだ、非軍事なんだ、こういう言い方というのは、私は社会党のためにもその名誉をおかしくするものじゃないですか。この点、どういう見解を持たれますか。
#254
○委員以外の議員(久保田真苗君) これは外交調査会で書きましたけれども、先ほど説明しましたのは私でございますから、私がお答えいたします。
 この内容につきましては、選挙監視あるいは選挙管理事務、こういったものを計算いたします上で、私どもがこれをやりましたときにはまだそれほど中身が固まってはおらなかったんです。(「それはおかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)でも、いかなるものでもそのときそのときの計算というものは必要でございます。
 でございますから、五百人というのはこちらの市町村等から提供していただくその見積もりの数字でございまして、初めの選挙の登録あるいは選挙の準備、そして投票時のたくさんの投票所に張りつけていくその段階でそれぞれ違います。また、市町村から提供していただく上で、必ずしも一人の人が通しで最後までいるわけではございません。そのくらいの動員人数が可能であるというところまで私どもはそうしたいと思ったわけです。
 国連の文書によりますれば、現地のスタッフまで含めまして最盛時には五万六千人が必要だというふうにあるわけでございます。そのうちどれだけを国連の職員あるいは政府のセカンドする職員が担当するかということは、必ずしも今正確に言うことはできないのではないかと思います。
 しかし、板垣議員がおっしゃいますように、確かに一つの国からたくさんの者を出すことはできない。しかし、交代要員として、また、このような仕事には当然通訳がたくさんの数必要でございます。また、たくさんのドライバーも必要でございます。そういったものを合わせれば選挙要員としてその時点その時点で五百人ぐらいを、非常に大ざっぱに丸めてございますけれども、そのくらいを出していくというのは私は妥当な数ではないかと思います。
 文民警察につきましては、三千六百名のうち三千名くらい、これも何段階かに分けて国連は要請するのでございます。今は行っておりません。次のときにそれを変えて出していくという可能性を求めれば、この日本じゅうの、(「じゃ今修正すればいい」と呼ぶ者あり)別に修正する必要はないと思います、稼働能力が五百あるいは三百ぐらいあるということは、そのときそのときの交代を考えるということ、あるいは通訳その他の人員を含むという、まじめに選挙管理に従事しようと思えばそのくらいの各種のいろいろな人員を考えるのは当然でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#255
○板垣正君 いずれにしましても、やはりそうしたことについての説明もありませんので、説明、注書きもあるわけでありませんから、これは極めて誤解を与えるものですね。この扱いについて御検討いただきたいと思います。
 社会党の案の中心は、先ほど来お話しかあるとおりに、別の組織をつくると。これはもう既に現実性がないとか壮大な夢にすぎないとかいろいろな批判が巷間出ておりますけれども、はっきりした具体的な計画がある、こういう点についてお答えいただきたいと思うのであります。
 社会党の国際協力隊構想には極めて問題が多い。社会党は、国際協力隊の創設に一体どの程度の予算が必要と考えておられるのか。また、こうした協力隊が実際活動し得る状態になるまでにどの程度の期間が必要と考えているか。さらに、二千名の協力隊の要員を確保しても、ある時点で稼働し得る要員数は半分以下にとどまらざるを得ないというむだを果たして認識しているのかどうか。おのおのについての見解を伺いたい。
#256
○委員以外の議員(野田哲君) まず、予算については八百億。これは提案のときにも触れましたけれども、八百億を概算として見込んでいます。
 それから(「内訳」と呼ぶ者あり)内訳は、全部言いましょうか。
 内訳もですか。
#257
○板垣正君 結構です。
#258
○委員以外の議員(野田哲君) それから要員についてのことですけれども、これは率直に申し上げますけれども、私どもも自衛隊の訓練され蓄積された能力、これは評価をし、活用すべきだ、こういうふうに考えているわけです。ただ、先ほど言いましたように、例えば施設大隊とかあるいは食糧供給のノウハウとかあるいは医療とか、そういう面での能力、これは私どもも活用すべきだ、こういうふうに考えているわけであります。
 では、その要員をどういうふうにして確保するのか、こういう点でありますけれども、これは私どもとしては、先ほど言いましたように、今日の世界情勢の中で日本も軍縮を進めていく、その軍縮の実を上げていくためには、今の自衛隊の中の能力を持った人たち千人とか二千人とか、これをそちらへ割愛をする、移管をする、このことは私は検討されてしかるべき課題ではないか、こういうふうに考えているわけであります。
 それから、二千人がすぐ確保できるのかということでありますけれども、これはなかなかそう簡単にいかないと思います。初めはやはり二百人あるいは三百人からスタートして二千人。それから、自衛隊だけの身分の移管による要員の確保だけではなくて、例えば政府が雇用責任を放棄した旧国鉄の輸送の経験者、こういう人たちもいるわけでありますし、あるいは公務員の中で行政改革によって職を失っている人たちも相当いるわけでありますから、そういう点はそれぞれの能力に応じて確保していくことが可能だ、こういうふうに考えています。
#259
○板垣正君 今のお話の中にもやはり自衛隊の能力、今までの積み重ねてきたものはこれは無視ができない、こういう趣旨にも受け取れるわけですね。
 それで、これは田邊委員長ですか、今までは自衛隊の退職者に限る、自衛官も予備自衛官も排除するんだ、退職者ならよろしい。その退職者が、PKOならPKOの仕事が終わってまた失職しては気の毒だから自衛隊に戻るのは認めると、こういうようなことをおっしゃっていたと記憶しますが、つまりわかりやすく言えば出向も認める、こういうことじゃないんですか。その点、どうですか。
#260
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもが提案している法案はそうではないのでありまして、これは全然組織が別だ、こういうふうになっているわけであります。
 田邊委員長の発言につきましては私も報道で見ましたけれども、これは今日のPKOをめぐる問題について、例えば御堂の方では金丸副総裁がいろんな発言をされたり、あるいはこれに渡辺副総理がこたえられたり、あるいは公明党の石田さんが発言をされたり、この種の党の最高レベルでの発言でありますから、これはそういうふうに御理解を願いたいと思うんです。
#261
○板垣正君 柿澤外務政務次官も何回か現地に行っておられるようです。そのお話を聞いたりしますと、とにかくインドネシアとかマレーシア、タイ、もうどんどん歩兵大隊も来ていますし、ほかの部隊も入っているようですけれども、皆若いというんですね、若い。もう皆若くて目が輝いている。こういう姿に接して、柿澤さんも非常になるほどという感じてお帰りになったようです。
 国鉄の方でも結構ですけれども、まあ余りシルバーぞろいでは、それこそそうした厳しい環境でお役に立たなきゃならないのが、いろんな形でかえって手間がかかる、お荷物になりかねない。
 湾岸戦争のときに医師団が派遣されたわけですけれども、これはやはり参考になるんじゃないかと思うんですね。この医療先遣隊、この問題いろいろございましたけれども、医療先遣隊を出して人的貢献の姿勢を世界に示し、日本は金しか出さないという姿勢をかわすために出されたわけです。そして一カ月現地に行って帰ってきたわけですけれども、医師本来の仕事が全くできなかったという姿で、結局成果乏しく帰ってきているわけですね。つまり、現地にそういう格好で行ったけれども、サウジとはもう全然意識が違う。
 サウジの場合には、日本から来たらちょうど病院が売りに出ていますと、数百ベッドの。日本は金持ちなんだからこの病院買ってくださいと。ところが、そんな予算どころじゃないんです。先遣隊が行って、とてもそういうことにも対応できない、アメリカあたりがどんどん活発にやっている、生れも当然の動きがございますけれども。結局小規模な一時緊急連絡の施設を設け、それ以上は大病院に送るんだと。小さい施設、最後には結局何か五ベッドぐらいなんです、五つぐらいのベッドの病院。それを借り上げを決めて、借り上げを決めて一カ月たって帰ってきた。
 この派遣、初めはこれ百人と言っていたわけです。医師と看護婦合わせて百人。現地側は百人さっと来てくれるんだろうという期待を持っておった。ところが、日本の場合は一チーム十名。お医者さんが四人で看護婦さん、一チーム十名で交代交代、延べ百名、そういうことであったんです。しかし、サウジの方は、日本はもっと真剣に考えてもらいたいと非常な不満を表明し、かつ日本はごまかしたんじゃないかというふうな印象を向こうが持ったというんです。行かれた団員の方は非常にお気の毒をしたわけです。家族の反対を押し切って、中には遺書を書いて行った人もいるというんです。そういうことで、一体何のために行ったのかわけのわからない格好で帰ってきた。
 そして、深刻な反省として、まずこの分遣隊派遣もそうですし、本隊の派遣も応募者が出てこない、お医者さんが。応募者が非常に少ない。そういうことで、やはり一番の障害は安全性の問題。日本人に戦争の心構え、日本はまさにどっぷり平和に浸ってきていますから、そうした身を守る軍事的な本当の常識すら何にも教わっていない。それがもうほかの国から比べると、まさにこれ何か異常じゃないのかと。その辺に日本という国の持っている、ほかの国から見たらちょっと違うんじゃないかという姿が批判されるわけじゃないのか。
 今、プノンペンのホテルは日本人の観光客あるいは商社マンでいっぱいだというんです。今からまたツアーを組んで、中古車を売り込もうというような人がどんどん入っているようです。それはそれで大変御熱心なことですけれども。しかし、あの地雷処理とか歩兵大隊、いろいろやった方々が二週間なら二週間やって急速に帰ってくる、そういう姿の比べですよね。日本の若者がボランティアで行っていることは知っていますけれども。しかし、そうした観光でぜいたく、すばらしい格好をしてアンコールワットを見に行く。
 多くのより貧しい国々から若い人たちがそれこそ真剣にカンボジアの平和を取り戻そうという形でやっている。現地の今川大使がそのことに非常に感動したと。国籍の違う将校たちが何人も集まって本当に融和してその任務を果たしている姿、今川大使はカンボジアのベテランで非常に長い人ですけれども、ああいう経験、今度初めて自分はPKOの各国の国籍を異にした軍人たちが一つの目的のために実に相和してやっている姿を見て、なるほどこれが国連の姿、国際協力の姿だなと感銘を深くしたということを伺いましたけれども、やはりそういう姿も私どもも本当に考えなければならないんじゃないかと思いを深くするわけであります。
 ちなみに、さっきお話もありましたいわゆる国境なき医師団、これはとにかく素早い救援行動が信条であって、現在三千五百名とも四千七百人とも言われておりますね、登録。フランス政府では、これ三千五百人。すばらしいのは政府から完全に独立している。それで、国境なき医師団でありますから事があればどこへでもすぐ飛んでいく。早いのが本領で、湾岸戦争のときも侵攻から二十日後にはもう現地に行って、そして十八人の医師団がイラクの国境から十五キロほどのところにキャンプをつくって医療活動をすぐ始めると、こういうふうなことも言われておりました。
 日本の場合、あれだけの医師団を出すのにも随分大ごとで、八月下旬になってようやくあれして、現地に着いたらもう九月末でしょう。そういう辺にも、幾ら口先で平和国家でございますと言っても評価されない。黙っていてもそうした実行をする、またそういう方向に国の政治もリードしていく必要が大いにあるんじゃないかなという感をいたします。
 次に、災害救援の方ですけれども、この災害救援も今度の社会党案はあの中に取り入れて、緊急援助隊も取り入れるんですか、皆のみ込んで、国内もやる海外もやると大変欲張った計画を立てているようで、さっきのお話からいうと、恐らく自衛隊から機能できる分はこっちに持ってくるんだというふうなことかもしれませんけれども、しかしこの自衛隊の三年度における救援活動、この間発表しておりますが、これは大変なあれですね。特に雲仙・普賢岳がございますから一挙に多くなっておりますけれども、平成三年度は延べで派遣が九万九千九百六十四人、昨年の六倍増だそうですね。人員が九万九千九百で約十万人、車両が二万七千十二両、これ皆延べであります。艦艇が三十一隻、航空機が三千二百三十八機。
 こういうことで、私どもが平和に暮らす、あるいはいろんな災害に当たっての自衛隊の救援活動、これは自衛隊本来の任務ではないわけであります。本来の任務は国を防衛する任務であります。しかし、国民の生命、財産を守ることも直接間接極めて大事なことであり、実質的には極めて献身的な自衛隊による災害救援が行われておる。一番多いのは、急患の空輸だそうですね。急患の空輸が五百三十四件。ヘリコプターで離島から運んでくる、そういうようなことがもう七〇%。あるいは火災に対しての救援とか山で行方不明になった、そういうものまで求めがあればヘリコプターを飛ばしてあれするとか、いずれにしましても、この自衛隊による災害救援活動というのは、今回の雲仙・普賢岳におきましても、いかに県民あるいは日本国民にああした事態に対して心の安心感を与えているか、非常に大きなものがあると思うんです。
 先般の掃海艇の働きは、もうだれが見ても本当にすばらしい、世界的にも評価されましたけれども。そうではない、こうした国内においても黙々として非常に厳しい救援活動に当たってくれておる、またその中ですぐれた能力を蓄積している、装備を蓄積している。このたびは、この自衛隊に海外の災害にあってもひとつ救援をお願いしょうと。
 今まで民間といいますか、今までの緊急援助隊、まあやっぱり役所が中心ですね。役所が中心で出ておりまするけれども、これは非常に規模が小さいんですね。規模は小さい、期間は短い、しかも大体自分で飯を食ったり寝たりができない。ホテルに泊まるとかそういう格好で行っておりますから、一番遅いし、少ない。その救援の活動においては大変おくれておる。バングラデシュあたりが一番多くても五十名ぐらいですね。あれは消防隊が大分行きましたけれども、ヘリコプターも限られておる、機動力がない。そういうことで、自衛隊本来の任務に支障がない限りにおいてこの海外の救援活動もやっていただこうと。これは日本の立場からも国際的にお役に立つ道ではないか、また国民の多くも御理解いただけるんではないか。このことについても社会党の案においては自衛隊は除外をする、こういう極めてかたくなな姿勢をとっておりますけれども、そういう考え方ですか。
#262
○委員以外の議員(野田哲君) その面についても提案をしております。国際協力隊で対応していく、こういう考え方です。
#263
○板垣正君 さっきちょっとあれしましたけれども、国際協力隊が実際に、仮にですよ、仮に行動を始めるというのはどのくらいの期間を見込んでいるんでしょうか。
#264
○委員以外の議員(野田哲君) 法案が成立をして、そして必要な要員が確保されれば直ちに対応できます。
#265
○板垣正君 その程度の答弁しかできない。つまり、やはり絵にかいたもちなんです。絵にかいたもちです。なぜ自衛隊をそう差別するのか。差別ですよ。
 じゃ、あなた方の協力隊はやはり役人なんですか。政府に属するんですか。これはやっぱり、これをまた海外に出す、こういう問題においては公務員である自衛隊を出す場合と本質的には同じ問題が出てくるんじゃないですか。また、自衛隊の装備を流用するとかというようなことで、だんだんまさにさっきから言われておる第二自衛隊。しかも、こうしたやりとりが、今まで黙々としてその任に励んでおる自衛隊の人なりその家族なり関係者等にどんなに心の面で厳しい思いをさせておるか、そういう思いやりというものは持てないんですかね。私は、そこに血の通わない極めて観念的なそうした立場における変わらざる硬直した姿勢を心から残念に思いますね。
 もう口先だけの平和の時代ではない。一国だけの平和主義の時代ではない。平和をつくり上げていく、そのためにやはりできるだけの手当てをして献身をしていくというのが、恐らくあの戦禍を乗り越え、今日平和国家としてのこの繁栄を築き上げてきた多くの国民の思いであろうし、また亡き人々の思いもそこにあるのではなかろうか。そういうことで、私はこの法案について、社会党においても少なくともこの法案の成立を引き延ばすとか物理的力で審議を妨害するとか、そういうことはぜひとらないでいただきたい。
 このことを最後に申し上げ、いろいろお聞きいただきました宮澤総理からPKO法案成立に向けての強い御決意を承らしていただきたいと思います。
#266
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問を終始感銘をもって承りました。
 以前にも申し上げたことでございますが、いわゆる冷戦後の時代に入りまして、我が国、殊にいろいろな面で国際的な貢献を求められることになりました。また、それは湾岸戦争の経験からも国民が強く感じつつあるところでございますし、殊に国連というものが、米ソの対決がなくなりました結果、大きな使命を担うに至りました。現に、先ほども御指摘がありましたように、最近においても幾つか国連の平和維持活動を求めなければならないような場面が出てまいっております。
 そういう中にありまして、我が国はもちろん財政的な貢献をすべきことは当然でございますが、湾岸戦争のときの反省にも国民の間のまた議論の盛り上がりもございましたように、やはり憲法で許される限り我々の汗をも流してこのような国連の活動に協力をしなければならないというふうに考えるに至りました。我が国の憲法の制約を考えながら、このような案を国会に提案をいたしまして御審議を願っておるところでございます。
 既に、衆議院においては可決をしていただき、本院におきましても前国会からかなり長い期間において御審議をいただきつつあるところでございますが、現実に世界各地に国連の平和維持活動が求められておる。また、我々はアジアの国だとみずからそれを誇りにしておりますが、我々のまさにアジアの地域に今国連始まって以来の大きな平和維持活動が行われようとしておる。それについては、我々の同胞がまた責任の地位に立っておるというようなことがございます。
 あれこれ考えますと、私どもとしては財政的な貢献はもちろんでありますが、我々のいわば汗を流しでそのような国連の平和維持活動に貢献しなければ何をもって我々アジアの国だと言うのか。先ほどもいろいろお話がございましたが、まさにフン・セン首相が言われるように、どうして日本だけがということに、やはりそういう意味でも我々はこたえることが国際に対する我々の務めではないだろうかというふうに考えております。
 これも申し上げたことでございますが、このようないわば気象上あるいは地理上困難な地域において、しかも国連が各国の部隊に対して六十日の準備を持ってきてくれと言っているような場合に、組織のない者が一人で行きましてどれだけの活動ができるだろうか。自分が食っていくだけ、これだけでも大変でございますが、安全であるとか家であるとか輸送であるとか、そういう自分の身を心配していたのでは国連の平和維持活動の助けにはなりません。そういうことは自分で自活をしながら、組織力と経験と技術とを生かして、そして平和維持活動に協力するということがまさに我が国が今各国から求められている金でない面の貢献ではないか。また、国民も多くはそのことを支持せられるに至っておると思います。
 隣接の各国から、第二次大戦の経験にかんがみていろいろな危惧あるいは意見が寄せられていることも事実でございますから、それに対しまして私どもは十分慎重に配慮をする必要はございますが、本来、この平和維持活動は国連から求められなければする仕事ではございませんし、また紛争当事国が求めて初めてこれに参加し得る。しかも周辺国のそれについての同意も必要である。我々が出かけていっては何か勝手に過去そうであったようなことができるということとは全く異なった種類の活動であります。
 板垣委員が抑せられましたように、これは軍事活動ではないが、しかし軍人の経験がある者でなければできない種類の難しい仕事だということをハマーショルドの言葉を引用しておっしゃいましたが、まさしくそのような困難な仕事であろう。しかも、弾を撃ってはこの仕事は実は失敗なのであります。弾を撃たない、国連というものの権威と、したがってそこから生まれる説得と中立性をもって初めてなし得るような困難な仕事である。その困難な仕事を他の、よその国にすっかり任せてしまって、我々だけは何か別の楽なことをさしていただきましょうといったようなことで、果たして我々が国際的な貢献をなしたと言えるであろうかということを考えます。
 どうぞ、この法案につきまして速やかに御審議の上、成立を認めていただきまして、我々の国際から求められております貢献、責任を果たしたいと念願をいたしております。
#267
○委員長(下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、明八日午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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