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1992/05/13 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第8号
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1992/05/13 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第8号

#1
第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第8号
平成四年五月十三日(水曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     井上 章平君     森山 眞弓君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     野村 五男君     鎌田 要人君
     矢田部 理君     篠崎 年子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                上杉 光弘君
                岡野  裕君
                田村 秀昭君
                藤井 孝男君
                佐藤 三吾君
                谷畑  孝君
                角田 義一君
                木庭健太郎君
                吉川 春子君
                井上 哲夫君
                田渕 哲也君
    委 員
                板垣  正君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                合馬  敬君
                狩野  安君
                鹿熊 安正君
                鎌田 要人君
                木宮 和彦君
                須藤良太郎君
                関根 則之君
                永野 茂門君
                成瀬 守重君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                星野 朋市君
                真島 一男君
                森山 眞弓君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                喜岡  淳君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                篠崎 年子君
                竹村 泰子君
                田  英夫君
                細谷 昭雄君
                太田 淳夫君
                常松 克安君
                中川 嘉美君
                立木  洋君
                磯村  修君
                猪木 寛至君
                喜屋武眞榮君
   委員以外の議員
       発  議  者  野田  哲君
       発  議  者  久保田真苗君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       自 治 大 臣
       (国家公安委員  塩川正十郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣  野村 一成君
       官房参事官
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第二  秋山  收君
       部長
       防衛庁参事官   金森 仁作君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練  小池 清彦君
       局長
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛施設庁施設  大原 重信君
       部長
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       局長
       消防庁長官    浅野大三郎君
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
 法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改
 正する法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施
 等に関する法律案(野田哲君外三名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に角田義一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(下条進一郎君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○永野茂門君 おはようございます。
 本日は、最初に社会党から提案されている案について御質問をいたします。
 社会党はその提案趣旨説明において、現在は既に軍縮と協調の時代に入っており、国際貢献のスタンスとしては平和の創造、軍縮の推進、そしてまた南北問題の解決、そして第三に地球環境防衛といいますか、地球環境保全について努力するという三つの大きな柱を中心にして国際貢献をやるべきである、こういうように趣旨説明の冒頭に言われております。
 国際社会は、例えばODAを通じまして、あるいはまた地域的な集団安全保障体制でありますとかあるいは地域的な経済協力等の平和努力を通じ、さらにまた世界的には国連の集団安保その他の国際活動などを通じまして紛争の回避、発生防止に努力し、そしてまたその努力をますます強く、深く、大きくしようとしていることは間違いがありません。そしてまた、確かに現在、冷戦構造は崩壊し、そしてソ連も崩壊し、米ソは軍縮の道を歩み、欧州はCFE等で軍縮努力を始めようとしております。しかしながら、ロシア共和国を初めとしてアジアは、どちらかといいますとこの世界の流れにはまだほど遠く、なお軍拡をしつつある、こういうように認めざるを得ません。
 しかも今なお、例えばユーゴのように、あるいはまたCIS内部のように、あるいはまた南沙群島あるいは西沙群島のように、紛争の継続はずっととどまることなく続いており、さらにそれはきのうの明石代表のお話にもありましたように、民族問題あるいは人種問題あるいは宗教問題等に根深く、紛争の要因はかえって深化しつつある、こういうように見られるわけであります。御承知のように、今世界で紛争処理、平和回復について、十数カ所もPKOの活動が続いておる。これは、いかに紛争の種、紛争の要因の根が深いものであって抜本的な解決あるいは配慮というものが極めて困難であるか、こういうことを示しておるものであると思います。
 そこで、軍縮と協調の時代に入ろうとしながらなお国家間の紛争や民族対立が絶えない、局地紛争といえどもかなり高い烈度の紛争が続く、こういうように見なければならないのであって、直ちに軍縮の方向に我が国が踏み切るということは過早である、非常に危険である。もちろん、軍縮の方向を眺めながら慎重に対応していくというその方向性について私は反対するものではありませんけれども、現実の流れを見きわめながらしっかりとした対応をしなければならない、こう思うわけであります。
 そういう状況では世界的にもこういうような状態を、つまりこういうような状態と申しますのは、力による現状の変更でありますとか打破の行動が絶えない以上、この行動に対して平和の破壊を許さない意思と執拗な抑止力、防止力が必要であります。また現在続行されておりますように、また新しく始まっておりますように、平和を回復、維持し、そしてそれを安定化、固定化するための国際平和努力が継続されねばならない、こう思うわけでありますが、野田先生、いかが観察をしておられましょうか。
#6
○委員以外の議員(野田哲君) 世界の情勢につきましては、かつてのように東西両陣営による力の対立、こういう構造がなくなってきたと、まず私どもは考えております。しかしながら、御指摘のように小規模の地域的な国家間の紛争あるいは一つの国家内での民族的な対立による紛争、こういうものがまだ続いている。この状況についても私どもとしてはその状況を厳しく認めていかなければならない、このように考えております。
 ただ、私どもが今の地域的な紛争あるいは国際間の今ある紛争について救われる気持ちというのは、今までの国際間の紛争のように東西両陣営の大国の介入あるいは援助による紛争というのは終息している、こういうふうに見ているわけであります。かつては地域的な紛争に対しては、それぞれ大国が関与して武器を供与する、あるいは軍事的な使節団を派遣して指導に当たっていく、こういう形の紛争が東西冷戦時代には間々見受けられたわけでありますが、そういう形は姿を消している。こういう点は私どもは明るい見通しを持っていいのではないか、こういうふうに思います。
 それでは、力としての抑止力は全く必要ない、こういうふうに今即私どもも考えているわけではございません。これは世界のすべての国が私どもの憲法の理念あるいはまた国連が理念として掲げているそういう方向に至っていないわけでありますから、この力としての抑止力というものが存在することを認めざるを得ないわけでございます。
 しかし、その紛争の処理に当たっては、私どもとしては、東西の冷戦構造、大国の干渉がなくなった中での紛争であるだけに国連としての役割が今まで以上に一層大きくなってきた、国連の場でぎりぎりまで力による抑止、これを回避していく努力を続けていかなければならないと思います。また、紛争の芽を事前に排除していくために、国境紛争の調停であるとかあるいは武器の移転に対する厳しい監視、コントロールであるとか、そしてまた貧困に対するODA等を通じての支援、こういう形での紛争要因を事前にできるだけ排除していくことを国連の場を通じて粘り強く続けていって、ぎりぎりまで力による直接の行使、これは避けることが望ましい、こういうふうに考えております。
#7
○永野茂門君 国連の役割がますます大きくなったこと、そしてまた事前の紛争防止が極めて重要であるということ、かつまた現状は確かに軍縮と協調の方向に動いておるけれども国家間の紛争は絶えないということ等について意見はおおむね一致しておる、こういうように思います。
 ただ、この提案趣旨において、「軍縮と協調を基調とする時代」になったということのまくら言葉として、「世界は、一部に国家間の紛争や民族対立などの不安定要因を抱きながらも」こういう時代に入った、こういう表現になっておりますが、これはとらえ方が実は逆なんであって、確かに世界は軍縮と協調の時代に向けて努力を始めておるし、その努力がいろいろと実り始めておることは間違いないけれども、なお国家間の紛争や民族対立というものは極めて深刻なものがある、こういうように深刻な方をはっきりと受け取って対応しなければいけないんじゃないか、こう思います。
 それからまた、国連の平和維持あるいは平和回復あるいは平和創造というものについて、紛争要因の事前の排除、平和的な排除、基本的な排除に努力するということが重要であるということをおっしゃいました。そのとおりでありますけれども、その中の一つの手段として一たん起きた、また確かに世界で今たくさん起きつつある紛争に対しては、その紛争をやはり制裁するということ、それ自体が次の発生について十分強い抑止力になるということについてもお考えを願いたいと思いますけれども、この点についていかがでございましょうか。
#8
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもとしては、現在起こっている地域紛争あるいは国際間の紛争、これについては、その背景として、今幸いにして東西の両陣営の軍事的力の対立、これが解消されたわけでありますけれども、東西両陣営の冷戦構造の中での、平易に言えば大国の縄張りの拡大、こういう政策の中で、それが遠因となって国家間の紛争、こういう背景も残っていることを見逃すわけにはいかない、こういうふうに考えているわけであります。それが、冷戦構造の解消によって、今日では現に今起きている国家間の紛争あるいは国家間の対立についても大国の干渉がなくなったということは、それだけ国連でのこれに対する調整機能といいますか、事前防止の役割というものがやりやすくなってきているのではないだろうか、こういうふうに考えているわけです。
#9
○永野茂門君 次に、PKOの活動自体は軍事、非軍事、両部門にわたる活動が極めて重要であることは自明であります。
 しかしながら、ここで一つ考えていただきたいことは、現在十数カ所のPKOあるいはPKFの活動が続いておるわけでありますけれども、PKOないしはPKFの活動というものは、停戦が確立した後において確かに敵は相互に存在しないし、そしてまた武力行使をお互いにやるような敵もいないし、PKO部隊の活動というものは、きのうの明石代表の話にもありましたように、国連の権威、あるいはその参加している多数国の後ろにおる本国の力を背景にした抑止力、そういうものによって平和的に、ソフトに任務は遂行され、業務は遂行されるものである。
 そしてまた、PKO活動の後に多くの民生部門があるということは確かでありますけれども、きのうも指摘されました、例えばUNTACの場合に七つの業務がありますけれども、行政関係でありますとか、人権の問題でありますとか、選挙の問題でありますとか、秩序維持の問題でありますとか、難民の救助の問題でありますとか、復興の問題でありますとか、そして確かに軍事というものは一部門ではあります。
 しかしながら、この軍事が先行をして平和を安定し確定をするということ、治安を確保するということ、これがまさにこのPKO活動の核心であって、それによって初めて他の六部門が遂行できるのでありまして、そういう意味においてこのPKO活動の中では軍事部門が極めて際立って高い優先度を持っておる。重要度においてはそれはおのおのの部門とも変わりはないわけでありまして、それぞれ重要なわけでありますけれども、その基盤をつくるということは極めて大事である。
 しかも、その基盤をつくるという中においては、これはどうしても、きのうの話にもありましたように、山賊もおるでありましょうし、そしてまた地雷もあるでありましょうし、その他の危険というものは存在するわけでありまして、この基盤を確立するためには、PKO活動の中で危険でありますとか困難を克服する能力が大事であり、その危険と困難を他国とともに分かち合って、ともにこれを克服していくという行動がPKO活動の核心であると私は思うわけであります。
 この危険と困難に対して日本が力を出さないということは、一面から見ると危険を回避し、危険を見捨て、世界からまさに汗も流さない、危険を回避するという、非常に異質な国家としての悪評を定着される要因になる。それを別にいたしましても、これだけ大事な仕事に対して日本が参加しないということは日本を孤立化に導くという可能性が非常に高い、こう思うわけでありますが、あくまで危険な業務を回避するというのはどういう意味でありましょうか、これについてお伺いいたします。
#10
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもとしては、文民によって民生分野の活動に参加をすることが危険を回避するための措置、こういうふうには考えていないわけでございまして、現に中南米の方でも海外協力隊の方、農業の指導をやっていた方が誘拐されたり殺されたりした、こういう事例も起こっているわけでありますから、危険な活動ということについては濃淡の差はあっても、民生分野の文民による活動が一〇〇%危険のない業務であるとは考えていないわけであります。
 そういう点から、私たちは非軍事、民生、文民による国際貢献の道を選択することが国際的に孤立するとは考えておりません。PKOの分野、PKFと呼ばれている軍事的な分野、そして行政分野、民生分野、いろいろあるわけでありますけれども、どの分野にどういう形態で参加をしていくか、これはそれぞれの国がそれぞれの国情や憲法に照らして選択をし、国連と協議をして決定することでありまして、現に今まで一九四八年以来展開をされている十数回のPKOの展開の中でも、日本は軍事的な分野には一回も参加をしていないわけであります。
 それで日本が孤立を深め、国際的な発言力が失われてしまったというようなことは、私は聞いておりません。これはやはり日本の憲法の体制が軍事部門には出せないということで軍事分野には参加していない、私はこういうことであろうと思うんです。
#11
○永野茂門君 確かにいろんな民生部門、文民がやる業務の中にもある程度の危険を含むことはおっしゃるとおりであります。しかしながら、PKOの中の特にPKFが、これは分解は非常に難しいわけでありますけれども、これが先ほど申し上げましたPKO活動の中核であり、極めて重要なものであり、そしてまた最も危険性を伴いやすい、危険を求めるものではありませんけれども、回避できない重要なものである。したがって、これに対して他の加盟国とともに克服していくことが真の協力者として、また友人としての当然の仕事である。これから逃避するのはよくないと私は思います。そういう観点を含めまして外務大臣にお伺いいたします。
 PKO業務へ特に自衛隊の部隊あるいは自衛官を派遣するということは、どういうような力あるいは特質を活用することが必要であり、あるいはまた最も望ましいと、こういうように評価されてからのことでございましょうか、改めてお伺いいたします。
#12
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私がお答えするよりも、先生から説明してもらった方が早いんじゃないかと存じます。(「あなたが責任ある立場じゃないか」と呼ぶ者あり)もちろん責任があるからお答えしますが。
 今言ったように、非常に治安の悪いまだ確立されていないところに行くわけですから、何が出てくるかわからないという状態もありましょう。そういうときに、非常に訓練をされた、機敏な規律正しい行動をすることが必要であって、しかもこれは戦争じゃありませんので、いかにして自己抑制を図り、それで武器を行使しないか、そして中立的立場を保つか、こういうことはかなり訓練された人でなければなりません。また、先方からゲリラ等が撃ってきた場合も、いち早く身を隠したり、匍匐前進をしたり、そういうことは素人にやれと言ったって、理論の上ではできるが現実にはかなり訓練をした若い人でなきゃできないんです、実際のところは。逃げ足も速くなくちゃなりませんし。
 そういうような点とか、また輸送の問題におきましても、一つの指令のもとに秩序正しい輸送が効率的にどうできるかということになりますと、やはりこれは自衛隊でそういう訓練を受けた方、工兵業務もそうでしょう。そういうふうなものは言うまでもないし、またそういうような不便な地域に行くんですから、百人とか二百人とか集団で行く場合に、自分たちで食糧も供給する、あるいはいろんな通信活動も行う。あるいは病人も出るでしょうし、そういう場合にも仲間として機能するような組織を持っていなきゃならぬし、人もいなきゃならぬ。そういうようないわゆる自己完結型といいますか、集団活動のできる点で自衛隊が一番効率的であって望ましい、私はそう思っておるわけであります。
#13
○永野茂門君 自衛隊の能力につきまして外務大臣から詳細な御説明がありまして、感激をいたします。
 自活能力、自衛能力、自己完結能力の中で、私は皆さん方がお気づきになっていないかもしれない点を一つだけ申し上げますと、現地で水をつくる能力、池があろうが、川があろうが、たまり水があろうが、これをちゃんとした飲料水に変えて、そしてそれをさらに補給する能力、これもあるということ。かつて東京都内の水飢餓のときに、水に関する災害出動をやり、あるいはまた福岡の渇水のときに、現在でも水の補給をやっておる。これはもちろん自己で浄水をし、そしてそれを分配することができる、こういうような能力もあるということを特につけ加えておきます。
 いずれにしろ、自衛隊の能力の中で、今おっしゃったようなことが大事なことでありますけれども、特に軍事的な識見といいますか、あるいは知識と申しますか、軍事的な能力と申しますか、軍事能力そのものではありませんけれども、軍事的なそういうような識見、能力、そしてまた他の部隊と、他国とある意味で協力しながら、いろんな危険でありますとか、そしてまた困難を克服していくという能力を持っておるということが極めて重要なことであろうかと思います。
 次に、事前の準備について若干お伺いしたいと思います。
 事前の現地に対するいろんな調査でありますとか、そしてまた研修、訓練というようなものの難易度、これから申しまして、派遣を私は段階的にやるのが常に正しいとは思いません。必要なものからやっていくし、要請されたものからやっていく、これが当然でありますけれども、一般的に仮に段階的に考えるならば、また最近外務大臣が特におっしゃっている若葉マーク式のそういうような論理で派遣していくことは、逐次慣熟してくるということである意味で望ましい派遣の考え方かと思うわけでありますが、この派遣の段階的なものを考えますと、やはり第一に直ちにできるんじゃないかと思われることは、非武装の停戦監視団の仕事。
 そして二番目が後方支援業務。輸送でありますとか医療でありますとか、あるいは通信でありますとか工兵作業、日本で言う施設作業、道路の補修でありますとか橋梁の補修、構築でありますとか、これはもちろん応急構築でありますけれども、あるいは地雷処理、不発弾処理、こういう支援業務。後方というのがついているのはいかぬというお話もありますけれども、これは慣例的に後方支援と言っておるわけでありまして、そういう業務。そして最後に、兵力引き離してありますとか武装解除の監視でありますとか、あるいは武器管理等いわゆるPKFの本体の業務とするようなもの、こういうような三段階ないしは前の二つを合わせた二段階のように考えたらどうかというのが一つの案として考えられるわけであります。
 これはもちろん、非常に複雑に絡み合っているものでありまして、決して単純明快に分割することはできないと思いますし、繰り返しますけれども、こういうように段階的にやるというよりも、要請をされたものが優先でありまして、それからやっていくということを原則としなきゃなりませんけれども、仮に段階的に考える場合にはこういうように私は考えられるんじゃないか、こういうように思います。
 そこで、今申し上げました後方支援部隊の業務でありますとかあるいはまた停戦監視の業務というようなものはなるべく早くやるべきである。もちろん、そのPKF本体のこともそんなにゆっくりやっていいというわけではありませんけれども、これはやはりいろいろと研修、訓練を積み、心構えもできて出ていくことが大事であると思いますので、大きくは二つの段階ではないか、こういうように考えますけれども、これに対して外務大臣及び防衛庁長官の御意向を承りたいと思います。
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) もうそのとおりでありますから、つけ加えることはありません。
#15
○国務大臣(宮下創平君) 基本的には先生のおっしゃるとおりであると存じますが、問題は要するに国連の要請の内容いかんによるわけでございますし、また派遣する対象が今カンボジアを中心に議論されておりますけれども、この法律はカンボジアだけを目的としたものでもございません。恒常的な制度の仕組みとしてお願いをしているわけでございます。したがいまして、具体的な個々のケースによって大変私はいろいろ違ってくると思います。
 例えば、停戦監視団にいたしましても、これは非武装で高級将校が出て、各国の監視団と二人ないし三人で組んでやるということでございますけれども、この目的はやはり停戦監視をやると同時に、派遣されたPKF部隊との連携、あるいは国連の全体としての運営、その部隊の運営、指揮、そういうことと非常にかかわり合いがございまして、我が国がPKOを派遣した場合はこの監視団との連携というものは欠かせないものでございます。そういった意味で、必ずしも私はこういった段階的にこの職種を分けてやることがいいかどうかという点は多少ケースによって違うんじゃないかなと思いますので、そこいらは一体的に機能的に、しかも具体的に相手の要請に応じてどう対応すべきかということを検討すべきものだと考えます。
 なお、早期に派遣する必要がある、これはそのとおりでございますけれども、しかし一般論として申し上げますならば、やはりカンボジアを例にとりましても、その前提として語学だとか、あるいはいろいろのPKFそれ自体の、あるいはPKO自体の目的なり、それから各国の軍隊の配置、PKOの配置なりそういった問題すべて了知した上で我が国として臨みませんと適切な効果的な貢献はできないと存じますので、そういった面で準備段階その他も相当やっぱり慎重な上にも慎重を重ねて、そして実効性の上がる方法でやらなければならないと、こう存じておるところでございます。
#16
○永野茂門君 私は、今、もし段階的にやる場合にはと、そしてまた極めて包括的といいますか概括的に分類するならばということを特に申し上げておきましたけれども、例えば停戦監視団の業務の中には、法案の第三条に示されているイ以降の中で、イの停戦監視そのもの、これは入ることはもちろんでありますけれども、口にあります非武装地帯または緩衝地帯をつくった場合に、その中に駐留し、あるいはポストをつくってパトロールをするというようなことでありますとか、あるいはハに示されておる武器の搬入あるいは搬出を検査するとか、こういうことは当然停戦監視団の業務の中に通常入ってくるものであるということ、これはそれぞれの現地の状況によって違うと思いますが、一般的にはこういうものが入ってくるということは考えておかなければなりませんし、またその遺棄された、放棄された武器を収集するというようなことも、これもやはり停戦監視団の業務の中に通常入る、あるいは並行して行われるのが当然だと考えられます。
 地雷のことでありますけれども、私どもが例えば機雷、海の方の機雷について考えますと、第二次大戦中に投下された、あるいは設置された、これは両軍、日本側も連合国側もやったわけでありますが、特に連合国側がやった機雷などはごく最近まで、これは防衛庁長官よく御承知のとおりにごく最近まで処理を続けておるわけでありまして、まだ一〇〇%除いてない。あるいはまた沖縄の激戦の跡というものは、ここに喜屋武先生もいらっしゃっていますが、不発弾の処理は必ずしも一〇〇%終わっているわけではなくて、復帰直後、二十年前から数年間にわたって極めて大きな不発弾処理作業をやったわけでありますけれども、なお残っておるところがある。これと同じように、地雷あるいは不発弾も含まれるかもわかりませんけれども、これは相当長期にわたって残る。
 したがいまして、軍事部門の仕事が終わった後においてもこれは残るのであるし、軍事部門が行動している場合には非武装の監視団といえども地雷処理についてこれを除外しながら、除外というのはその業務を除外しながらやるわけにはいかないわけでありまして、したがいましてみずからやるか、ほかの人にやってもらうかは別にいたしまして、こういうものが並行的に行われるというようなことにつきましては十分考慮をしておく必要がある、こういうことだと思います。
 次に、その事前の調査、訓練でございますけれども、とりあえずUNTACの問題につきまして、これは非常に急ぐものでありますのでお伺いいたしますけれども、UNTACの現在展開されておるカンボジアに到達しておる部隊、そしてまたその後到達していくであろう部隊等の任務でありますとか、編成でありますとか、そういうものに対してもう少し詳しく調査する必要があるのではないか。さらにまた、現在までに業務を遂行している部隊がどういうようなレッスン、レッスンというのは教訓を持っておるか。そしてまた、現地の環境条件等についていろいろと装備その他資材についても事前の準備が必要であると思います。
 そういうことにつきまして、政府は一般的には何個かの調査団を派遣していると承っておりますが、そういう事前に派遣されている調査団からのいろんな情報の収集を含めまして、現地調査に私はもう出ていいんじゃないか、出なければ十分な準備が間に合うようにはできないんじゃないか、こう危惧しておるわけでありますが、法案が通る前にやることについて、私はやってもいいんじゃないか、こう思うわけでありますけれども、これについて防衛庁長官はどういうようにお考えになっておりますか。
 また、所要の研修、訓練につきましても、これももう事前にどんどん始めておく、これは別に今直ちに目の前にあるUNTACに間に合う間に合わないも大事でありますけれども、一般的に必要であり、将来のPKO参加についても必要でありますので、継続的にやるべきではないか。特にまた、自衛隊がもともと必要としておる英語の教育でありますとか、あるいは地雷情報の収集でありますとか、そういうようなことにつきましては、私は事前にやることを余りはばかることはないんではないかと感じておるものでございますが、これについて長官、どういうようにお考えでありましょうか。
#17
○国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘の二点でございますけれども、まず事前の準備でありますけれども、これは本法案が政府提案として出されております以上、そしてまた部隊としての自衛隊の派遣を予定されております以上、私どもとしては先般も当委員会で御報告申し上げましたように、昨年からキプロスあるいはUNDOF等にも要員を派遣いたしまして、PKOの実態はいかなるものであるか、他の部隊との関係はどうか、あるいは指揮系統はどうかというようなことの調査をいたしたわけでございます。
 なお一方、今先生御指摘のように、英語教育でありますとか、このPKOそのものの目的、機能、役割、こういった問題は今まで私どもが、自衛隊の直接侵略、間接侵略に対応する実力集団としての訓練と全く違ったものでございますから、当然この準備はしなければならないものと思いまして、特別の組織がえその他はやっておりませんけれども、こういったことについておさおさ怠りなしの、この法案が通過しなければできないようなことはやっておりませんけれども、相当こういうものは突っ込んでやるべきであるというように考えております。また、現にできる限りのことは、英語教育その他集合教育的なこともそう組織的ではございませんが、やっておるところであります。
 なお、この法案、今審議中でございまして、私も実は当委員会におきまして、与野党の国会議員の先生方あるいはその他の方々がカンボジアに行かれまして、その報告をされておることを非常に参考にさせていただいておりますが、実際に自衛隊が出る場合には、やはり現地の条件はどうなのか、そしてまた現地でどういう要請があるのか、各国の派遣されたPKO部隊とどういう連携になるのか、あるいは地形その他、条件がどうなのか、もうあらゆる点で不明な点ばかりでございます、率直に申し上げまして。
 そういう点がございますので、私としては当委員会で自衛隊の派遣そのものが問われておる今日でございますから、院の御承諾が得られれば、自衛官を私は現在派遣して準備をして見てくることは、これは可能でありますし法律違反でもないと存じますけれども、いろいろ政治的に考えまして、本院をこの法案が通過していただけますならば、公布施行が三カ月以内となっておりますので、三カ月を待っていたんじゃ、これはUNTACの今までのいろいろの予定をお伺いいたしましても、ある機能は間に合わなくなる、ある機能はあるいは継続できるかもしれないということもございますので、本院を通過させていただくならば、その準備のために派遣をいたしたい、こう内々考えているところでございます。
#18
○永野茂門君 次に、国内のPKO、PKFあるいは人的貢献に対する支持の状況、さらには国際の日本に対する要請、理解の問題について承りたいと思います。
 まず最初に、国民の理解、支持の問題でありますけれども、国民が理解、支持するということは、政策遂行の基盤でありまして、また派遣隊員の士気のよって立つところでもありますし、また任務遂行の誇りあるいは使命感の根源であると思います。
 そこで、一昨日の成瀬委員の質疑の中にもありましたけれども、NHKの三月調査でありますとかあるいは総理府の一月調査等を総括いたしますと、国連への協力において平和維持協力が極めて重要であるということ、またその中で人的貢献を積極化しなければいけないということにつきましては、これは国民のコンセンサスは非常によくできておるんではないかと私は個人的に観察しております。かつまた、自衛隊のPKO派遣につきましても、例えば停戦監視団のような非武装なものならと、こう思われるわけでありますが、一般的にはコンセンサスは概成をしておると思います。
 ただ、武器使用があるかもしれないというものについては、なお十分な理解は得られていないのでありまして、その結果として法案については、例えば読売調査では、支持は三十数%、四〇%近いわけでありますが、そうしてかつまた不支持は非常に少ない、一九%しかないわけであります。ところが、わからないとか、あるいはどちらとも言えないというのがその中間にたくさんあるわけでありまして、約四〇%あるわけであります。
 これは結局、まだ国民の皆さん方に、PKO活動というものはいかに重要であって、かつまた憲法に合うものであり、我が国として当然やるべきものであるということ、業務の実態等が十分には理解されていないと思うわけでありますが、こういうことにつきまして政府の方、外務大臣はどういうように御観察になっておられますか、あるいは総理はどうか、承りたいと思います。
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に私といたしましては、全体的なことを国民がわかっているかどうかということは一概に断定しかねますけれども、しかしながら、大体こういうようなやりとりを通じまして国民の間には非常に理解が深まったものだと、そのように見ております。したがいまして、私はそれほど心配することはないだろうと考えております。
#20
○永野茂門君 外務大臣から大変心強い御答弁を得たわけでありますけれども、私も一昨年の湾岸危機が発生以来の国民動向をずっと追跡して感じておりますのは、結論的に申し上げますと、大変に失礼でございますけれども、今外務大臣がおっしゃったことと同様でございまして、国論は自衛隊派遣について二分されている二分されていると言われておりますけれども、二分はされてないのでありまして、やはり国民は実態をもう少し掌握したいということでありまして、かつまた理解、支持は時を経るに従って拡大、深化してきておるということは間違いありません。したがって、このような国会の論議でありますとか、その他の政府広報等を重ねていけば十分な支持を得ることができる、こういうように観察をいたします。
 これについて、野田議員はいかにお感じでございましょうか。
#21
○委員以外の議員(野田哲君) 国民の皆さんの動向ということで私どもが受けとめているのは、永野委員の御指摘もありましたけれども、PKOに対して人的な貢献をすべきであると、こういうことについては国民の皆さんの中にかなり浸透してきた、これは私もそういうふうに受けとめております。
 ただし、それがその内訳に入っていって、しからば自衛隊が出ていくことについてはどう思うか、そして自衛隊がまた向こうでどういう任務を担当するか、こういうことについてそれぞれ設問をいたしますと、それについてはかなりばらつきがあるし、特に軍事的分野に自衛隊が武装して出ていく、このことについてはやはり私は国論は二分をされている、国民のコンセンサスは得られていない、こういうふうに受けとめています。
#22
○永野茂門君 次に、先ほども触れましたけれども、自衛隊のPKO派遣につきまして、国連あるいは国際の動向について承りたいと思います。
 まず第一に、最近における国連当局あるいはカンボジア当局あるいは当事者、アジア諸国その他の諸国は、我が国のPKOへの自衛隊派遣につきましていかなる見解を表明しておるかということを承りたいと思います。
 いろんな国の人たちが大変に支持し、またこれを称揚するという発言をなさっておると思いますけれども、また、国連当局におきましては、昨日、カンボジアUNTACの代表である明石氏が、特にぜひ日本のPKO参加を積極的にやってもらいたい、国連のPKO活動はますます活発にせざるを得ない、それほど紛争処理の数が多くて、ぜひお願いしたいということでございましたけれども、これについて外務大臣、お願いいたします。
#23
○国務大臣(渡辺美智雄君) 最初のうちは、自衛隊の海外派遣ということで湾岸戦争のころ掃海艇を出したり、あるいは後方支援に自衛隊の飛行機を出して難民輸送してやったらどうかというようなときは、マレーシアその他でも、インドネシアででも理解が得られなかったことがございますが、よく説明をいたしますと、それはわかったということになりまして、掃海艇派遣の結果がどうであったか目に見ておるわけですから、もう非常に安心をしてきたということで、もう出すのは当然じゃないかというように変わってきているのは事実でございます。
 それから、当事国がどうかということですが、私は石田委員長と向こうの指導者との間でのやりとりを電報で見ておるわけですが、非常に日本に期待しているんですね。野党の幹部の中でかつて通信隊でカンボジアにおった人があるんですけれども、その人などは、カンボジアでは非常に日本人は尊敬されておったと言っておったが、どの程度だったか知らなかったが、いみじくもシアヌーク殿下が言っているんですよ。
 それは、日本という国はカンボジアで悪いことをしなかった。ほかの国とはそれは違うでしょう。私のところでは非常に助けてもらったことが多い。したがって、日本からはたくさんの人に来てもらっても、自衛隊に来てもらっても何ら抵抗感はありません。恐らくこの和平の問題は、武器を持ったまま、各派が三割の武器を保存したままずっといるわけですから、これがまた始まらないようにするためには多少時間が長くかかるんじゃないか。やっぱり民主主義が定着をする、そして、なるほど、自分たちがやらなくたって、そんな戦争といいますか、銃を構えてやらなくても、仲よくやっていける方法があるんだと見出すまでには時間が多少かかる。半年、一年というわけにはいかない。したがって、その間国連の方々が駐屯してもらうことは非常に必要ではないかというようなことをおっしゃっておりますが、私は極めて現実的な見方であろう、そう思っておるわけでございます。
#24
○永野茂門君 国内の世論にいたしましても、国際の世論にいたしましても、今やPKOに対する我が国の自衛隊派遣についてかなりの理解あるいは支持を与え始めておることは、今御見解に述べられたとおりであると思います。また、極めて重要な我々の役割、日本の役割でございまして、その役割の重要性についてぜひ国民の皆さんにも御理解をお願いしなきゃいけませんし、また、隣国の韓国でありますとか中国のように慎重性を要求している国に対して、十分な理解を得るための活動をお願いしたいと思います。
 さらに、私は次のようなことをつけ加えたいと思います。
 このような重要な貢献を、従来の我が国の惰性から、小児的と申しますか、あるいは自閉症的と申しますか、そういうような立場で拒否するよりも、我が国が節度ある国連の平和維持活動に参加をして、その参加した部隊の行動によって、あるいは要員の行動によって、日本がまさに平和国家であり、そしてまた世界と行動をともにし、その中で特に困難を克服し、危険を克服するためにともに力を合わせる真の世界の友達である、そしてまたできればそのリーダー国であるということについてはっきりと示すべきであると思うわけであります。
 私は、かつてNATOの演習などというものは何度も見ました。NATOの演習を見て感じたことは、これはまた目的は別でありますので目的について云々するわけではありませんけれども、NATOにおける各国の協同の状況というのは、まさにある分担業務については某国がやり、ある分担業務については某国がやり、ある分担業務については某国がやって、そして一つの力ができて、ある目的に向かってそれが総力として結集されていく。そして、各国の人たちはそれを大変に喜んでやっておる。
 あるいはまた、私は昨年UNIKOMで停戦監視団の状況を視察したわけでありますけれども、その一人一人がUNIKOMに参加しておることについて大変に生きがいを感じ、世界が協力して平和を維持する、きのう明石さんが言われましたソフトな軍事力の適用といいますか、あるいは軍事的識見の適用によって非常にソフトな平和維持活動に献身ができる、お互いにそれぞれの国の状況を理解し合って力を合わせていくという形が非常にきれいにでき上がっていっておる。これに我が国が参加して、中国も来ているわけでありますしインドネシアも来ておるわけでありまして、こういうところと力を合わせて、特に軍並びに自衛隊が一緒にやるということはそういう意味において極めて積極的な意味を持つものであります。
 繰り返しますけれども、小児的なあるいは自閉症的な殻に閉じこもるやり方というのはマイナスであって、積極的にこれを推進すべきである、こう思います。これについて野田議員の御感想を承ります。
#25
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもは今、御承知のような立場の法案を出していることについて、自閉症的立場とか小児的立場とかいうような考え方は持っておりません。どういうふうにしたら国民の合意も得られ、周辺諸国の理解も得られ、そして国際的に貢献できるか、各党の動向等も慎重に検討した上で、これがぎりぎり可能なベストな方法ではないか、こういうことで提案をしているわけでございまして、国際的に貢献をしたい、すべきであるという立場については決して自閉症的とか小児的とかいうふうな気持ちは持っておりません。
#26
○永野茂門君 同じ範疇のことです。最後に、次のことを外務大臣に承りたいと思います。
 派遣につきまして改めて何らかの形で国会承認を得ることにつきまして、そのことは広くかつ強い国民の支持を確認する意義があるとしてこれを強調する人もいますけれども、これについて政府はどのようにお考えでございましょうか。
#27
○国務大臣(渡辺美智雄君) 我々は、国会承認ということも考えないわけではなかったんです。しかしながら、今後、このように国会に出すたびにいろいろな理屈をつけて引き延ばしをやるという。少数の方がもしあった場合、少数ですよ、あった場合において、これはもう時期を失するというような問題もございます。
 したがって、議論のための議論をするというようなことがあるならば、最初のうちにうんと議論をしてもらった方がいいということで、この法案においてはいわゆる五原則を初めいろいろな制限規定というものをきちっとこしらえて、そして大いに議論していただく、納得のいくまである程度議論してもらって、そこで賛否を問うのは当たり前のことでございますが、そうすればこの法律の非常に限定された範囲内で出すんだということがわかりますから、国会承認ということは要らないのじゃないかというように考えまして法案には載せなかったというのが事実でございます。
#28
○永野茂門君 今、最後と申しましたけれども、もう一つつけ加えさせていただきたいと思います。
 国民の意見の中に、PKO活動に自衛隊を派遣し、あるいは資金援助をしたり、その他人的貢献も大いにやるということは極めて大事なことであるかもしれないけれども、国連の敵国条項の排除をぜひこの際やっておくべきではないか、依然として敵国条項が残っておるのは不都合である、こういう意見がありますが、これについて、もちろん現在政府がずっとその敵国条項を排除することについて御努力なさっておるし、またそのやり方についていろいろと御苦心なさっていることについてもある程度は承知しておりますが、ぜひお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国連というものは、まだ日本が国連に参加する以前に国連憲章はつくられたものでございます。したがいまして、日本とドイツというようなものについて非常に危惧の感を持っておりましたし、それについては差別的な扱いあり得べしということでつくられたものだと存じます。しかしながら、それから長い年月がたちまして、国際社会における日本やドイツのあり方、やり方がまことに平和主義的なやり方をやってきておるし、したがいましてこの条項は全く必要はない。
 したがって、これはもう死文化しているわけであって、もう日本はアメリカと安保条約を結び、そして世界のためにこれだけ貢献しておって、敵国条項だからこれらをパートナーとは呼べないというようなことじゃないわけでございますから、現実はもう日米グローバルパートナーシップと言われるほど、またその他の西側陣営とは今まで非常に我々は協調的姿勢でやってきたし、最近に至っては、ソ連の崩壊後は冷戦が解けて、解けかかっていると言った方がいいのかもしれませんが、この独立国家の諸国も国家承認をし、また外交関係を結び、そして今までややもすれば我々が対立的関係にあった人たちにすら援助の手を差し伸べてやろうということでありますから、まさに国連憲章の敵国条項などというものは現実的にはもう必要は全くないのであります。
 しかしながら、国連憲章を直すということになれば、そこだけでなくて、もっと国連全体の機能を活性化させる、あるいは機能を強化するというようなことなども含め、常任理事国の問題等も含めまして、ある程度の大きな改正になるんだろう、私はそう思っておるわけであります。したがいまして、そういうものを含めまして、そういう敵国条項のようなものはもちろん撤廃をしてもらうような努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
#30
○永野茂門君 御努力を継続されることをお願いいたします。
 次に、指揮権問題につきまして確認をしたいと思います。
 我が国から派遣された部隊は国連のコマンドに従うことについて改めてここで確認したいと思います。
 その第一は、我が派遣部隊は国連のコマンドに適合するように五原則の枠内で作成された実施要領に従って業務を遂行するものであるということ、第二は、我が派遣部隊の任務、配置などのほか情勢の変化などに応じまして、その都度現地国連当局から出されるコマンドは、今申し上げました我が国の法案の枠組みに従いまして、我が国部隊によりそのとおり実施されることになると、こういうように解してよろしいか、確認をしたいと思います。
#31
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいまの御指摘の法案の仕組みにつきましては、既に私当委員会で答弁させていただきましたとおりでございますけれども、まず現地の国連の司令官がコマンドを出す。次に、本部長またはその権限を委任された者は、いわゆる五原則を盛り込んだ法案の枠内でこのコマンドに適合するように、実施要領を作成、変更する。次いで、防衛庁長官はこの実施要領に従いまして自衛隊の部隊を指揮監督し、国際平和協力業務を行わせる。したがいまして、先生御指摘のように、我が国から派遣された部隊は国連のコマンドに適合するよう法案の枠内で作成されます実施要領に従って業務を遂行するものである。
 また、状況の変化の都度国連から出されますコマンドについても、これに適合するよう法案の枠内で実施要領が作成、変更され、我が国から派遣される部隊はこれに従って業務を遂行するということになります。コマンドは我が国の部隊によりそのとおり実施されることになります。
 今申し上げましたような意味で、我が国から派遣された部隊は国連のコマンドに従うことができるというふうに考えております。
#32
○永野茂門君 今のことを確認いたしますと、そういうようなことで、我が国から派遣された部隊は国連のコマンドに従うということになるというように考えてよろしゅうございますか。大臣、言お願いいたします。
#33
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、派遣をする以上、今お話がありましたように、こちらの実施計画、実施要領というものは向こうの国連の規則とちゃんとすり合わせを、司令官の規則とすり合わせをするわけでございますから、ガイドラインとのすり合わせをやるわけですから、そのとおりコマンダーのコマンドに従うということでいいんだろうと思います。
#34
○永野茂門君 指揮権あるいは指揮というものは単純明快でなければなりませんし、派遣される部隊はこの指揮権を明確にされて初めてそのまますらりと、淡々として任務が遂行できるものであると思います。
 次に、海外に派遣されまして危険な国際貢献業務等に従事する隊員に対しまして功績をたたえるような特別な制度を特設したらどうかということにつきまして、官房長官にお伺いしたいと思います。
 PKO参加隊員でありますとかあるいは緊急援助隊隊員等、これは別に自衛隊員に限るわけではありません。要するに、そういう隊員たちのうち高度な危険を伴う業務を遂行し、そしてまた功績大なる者については、政府がその功績を何らかの形でたたえるという制度を制定してもらったらいかがかと。それによって大変に士気が上がり名誉になる、こういうように考えますが、御検討をいただげるでしょうか。官房長官にお伺いいたします。
#35
○国務大臣(加藤紘一君) PKOに派遣されます隊員は、今委員御指摘のように、非常に重要な任務に従事することになりまして、また当該隊員たちには、その従事する業務がなされます場所の環境等非常に困難なところ、また業務も特殊性、困難性を伴うものでございますので、これは法律にも書いてございますけれども、「国際平和協力手当を支給することができる。」ということになっておりますが、そしてまた、万が一の場合には国家公務員災害補償法等によるいわゆる補償措置を講ずるほか、賞じゅつ金についても今検討中でございます。また、派遣された方々の苦労、功績に対しては、政府としては、委員の御指摘のとおり、十分に配慮していきたいと考えております。
#36
○永野茂門君 引き続きよろしく御検討の上いい制度をつくっていただきたい、こういうように思います。
 時間がぼつぼつ参りましたので、締めくくりとしてまず野田さんの方にお伺いいたしますが、既に議論は尽きているような感じ、あるいは結論も出ているような感じを私は持っておりますけれども、武力行使を目的とせず、かつまた武力行使は行わない、明石さんの言葉をかりれば武力行使をする能力を持っていないと、こういう派遣部隊の性格でありまして、自衛隊をこういうところに派遣することは合憲であり、また海外出動ではありませんので、これは参議院の決議にも違反するものではないと考えられます。
 また、既に多くの論議で明らかなように、国連を初めカンボジアの当事者でありますとかアジア諸国、その他数多くの国が我が国のPKOへの積極的参加、自衛隊派遣について是認ないしは期待と要請意思を表明しております。また、国民の支持もだんだん拡大しつつあり、極めて重要な業務でありますので、政府の方はしっかりとこれへの理解、支持を拡大していくと思いますし、そういうような状況下でなお社会党案をもって最良とするか、つまり非軍事、民生、文民に限定する考えを通すか。私はもうこの付近で修正していただいていいのではないか、こう思いますが、いかがですか。
#37
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもが非軍事、民生、文民にこだわっているのは、一つは憲法の定め、もう一つは国民の合意が得られていない、それからまだ周辺諸国、とりわけ日本が一番被害を与えた中国、それから韓国、朝鮮、こういう近隣諸国の合意が得られていない、こういうことから今回のような提案をしているわけでございまして、これは変更するつもりはないわけであります。
 今日、私ども直接参画をしておりませんが、何か当委員会とは別のところでPKF凍結論というものも有力な意見になってきているように見受けているわけでありまして、こういう点等も私どもは、やはり私どもの立場というものがある程度理解をされて、一番ハードな軍事的分野についてはやはり参加すべきではない、こういう方向に動いているのではないか、こういうふうに見受けております。
#38
○永野茂門君 これだけ明瞭になっておると思いますけれども、なおそういうお考えであることはまことに残念でございます。
 さらに、これを総合いたしまして、総理、御所見と本法案成立についての御決意を改めてお述べ願います。
#39
○国務大臣(宮澤喜一君) 本日の永野委員の御質問の大体の流れは、第一に国際情勢についてお触れになりました。また、次にPKOのこの中における役割あるいは自衛隊自身の教育訓練、それからこの問題につきましての、この法案につきましての国内の意識、それから外国側がそれをどう受け取っておるか、それからいわゆるソフトな軍事的指揮権の適用の問題、あとは個別問題について国会承認、指揮権、報賞制度等々お尋ねがございました。
 基本的に、御質問の背景になっておりますお考えに私はもとより全面的に賛成でございます。この委員会において過去に何度も申し上げたところでございますが、冷戦後の時代になりましてかえってと申しますか、あちこちに局地的な紛争が起こっております。カンボジアの場合はそれをはるかにさかのぼることでございますけれども、この一、二年の間に国連の平和維持活動というものは大変な注目を浴びるに至ったし、大きな役割を担うに至ったわけでございます。
 他方で、我が国はこれだけの経済大国になり、今まで平和の一方的な受益者ということで参りましたけれども、湾岸戦争のことがあり、また国連のそのような米ソの対決にかわる新しい役割というものを大事にしなければならないという、我が国も貢献をする責務があるという国民の意識の盛り上がりがありましてこのような法案を国会に御審議願うことになったわけであります。
 もとよりその間、我が国憲法の持っておる制約というものがございますから、我々はそれはもちろん守らなければならない。しかし、それを守った上では、憲法の許すことあるいはむしろ志向するところは全力を振るってやはりこれを行う責務があるであろう、このように考えましてこの法案を提出いたしておりまして、現実にまたカンボジアの事態もあることでございます。我が国といたしましてできるだけ速やかに国連の平和維持活動に、単に財政的のみならず人的な意味でも貢献をいたしたいと切願をいたしておるところでございます。御審議の上、速やかにひとつ御賛成をお願いいたしたいと思います。
#40
○永野茂門君 ありがとうございました。終わります。
#41
○須藤良太郎君 よろしくお願いいたします。
 前々国会から続いておりますPKO法案でありますが、ぜひ一日も早い成立を心から念願いたしまして、重なる面も多いと思いますけれども、質問させていただきたいと思います。
 最初に、まずPKOの基本的な問題になりますけれども、大きく前面に出た国連中心主義と日本の安全平和について考えを強調させていただきたいと思います。
 第二次大戦後、国連は普遍的な集団安保体制、加盟した各国の共同責任で世界の平和を守るようにつくられたわけでございますけれども、これがいわゆる東西二大陣営の対立によりましてその機能が十分発揮できずに、今までそのはざまの紛争解決に相当苦労してきたわけでございます。しかし、この冷戦の終結は本来の国連中心主義に世界の大きな期待をつなげることになったと思っておるわけでございます。もちろん、地域紛争なりあるいは民族対立紛争はこれからさらにふえるということからいたしますと、ある意味では平和の秩序の新しい模索が始まった、こういうふうにも思うわけでありますけれども、いずれにいたしましてもこの世界情勢、国際情勢の大きな変化、転機ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 日本の平和主義と国連中心主義、これは日本の憲法の理念であります。総理、副総理がたびたび述べられますように、日本の安全平和を守るために世界の平和が必要であり、そのための国際貢献、これがPKOである、こういうふうに思うわけでございます。今日のように世界の各国が地球規模で密接にかかわり合った中におきましては、相互依存によって各国の国益、とりわけ国の安全、生命、財産を守る、これがいわばPKOに日本の安全保障がかかっていると言ってもいいところではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 強調させていただければ、PKOは国家の主権や名誉あるいは国民の権利と生命を守るための手段ではないか、こういうふうに思うわけでございます。私は、今回のPKO法案の決意はそういう意味で選択されたことではないか、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、若干遠い国への手伝い、こういうふうに見られる面もあるわけでありまして、したがってさわらぬ神にたたりなし、こういうこともあるわけでございます。しかし、カンボジア問題はこれをぐっと身近なものにしたと思います。
 いずれにいたしましても、私はこの国連中心主義、それへの貢献、即それが日本の安全平和に結びつくんだ、こういう新しい構図であると思いますけれども、これにつきましてまず社会党の考え、その後総理から若干のコメントをいただきたい、こういうふうに思います。
#42
○委員以外の議員(久保田真苗君) 私ども社会党は、国連という場所は世界じゅうの国が参加してあらゆる分野においての問題を討論しかつ決定するという最も基本的な場所だと思っております。したがいまして、国際政治に関しまして国連を第一義的な場としてやっていく認識は当然持っておりまして、従来もまた今も国連を中心とする外交を守っていきたいという考えに変わりはございません。
 しかし、きのうも明石代表が言っておられましたように、国連は生き物であって、間違えたこともあるということもまた事実でございます。私どもは、国連中心主義は国連絶対主義だとは思っておりません。それは、国連もまた歴史の所産でございまして、今先生がおっしゃいましたように、世界大戦の後の秩序づくり、それから冷戦の時期、これを過ぎまして冷戦終結というそれぞれの時点においていろいろな機能の働いたり働かなかったりということもあるわけでございまして、きのうの着物がきょうも身に合うというわけでない場合もたくさんあるかと思います。
 今の状況を見ますと、確かに国連は主権国家の集まりでございまして、したがって国際紛争、国際的な国家間の紛争への対処ということでチャーターも形づくられておりますけれども、しかし、今私どもが多く直面します問題は必ずしも国際紛争に限らず、国内紛争特にエスニックグループの自決権を求めるという、そういう新しい問題に直面しているわけだと思います。したがいまして、それに対して政府が武力鎮圧を行うという古い型の対応をする場合に国連はどういうふうに対応ができるのか、今までの枠組みの中でこれが本当に対応できるのかどうかということは、これから私どもが発明したり考えたりしなければならない問題だろうと思います。
 国連は今の場合、大小諸国の平等ということを大前提としておりますけれども、一番肝心なところ、つまり安全保障理事会におきましては、従来の例えば勢力の均衡とか三権の分立とかという原則の例外的な局面をつくっているのだろうと思います。これがこのままでよろしいのか、みんな満足なのか、そしてもっと違う枠組み、あるいはこれを改造する枠組みというものができないものか。
 つまり、UNDPなども経済安保理というようなものを提言しているという例もございますし、また学者の方々などは環境安保理というようなことも提言しておられる。私にはそれがどのような方向に進むべきかということはまだとても結論の出る問題ではなく、また私どもはシャドーの中でもこれをやっていこう、時間をかけよう、しかしそのときそのときの提言は必要だということで、すなわち私どもは国連中心主義をとりながら国連改革を志すものだというふうにお答えをさせていただきたいと存じます。
#43
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の基本的な認識につきましては何度もこの委員会において申し上げましたし、また冷戦後の時代においてこの事態の処理に国連が当たる場合が多い。それに対して、ここまで成長いたしました我が国としては単に財的のみならずいろいろな方向で協力をすべきである、憲法の許される範囲においてすべきであるという、基本的にそういう考え方でございますけれども、ただいま御説明を伺っておりますと、国連というものにいろんな問題がある、私はそのことはそのとおりだと思っております。前からも申し上げております。常に絶対的ではないでありましょうし、今もお話しのように、その少数民族の問題というのは確かに非常にさばきの難しい問題であろうということもそうであろうと思います。
 また、安保理事会の機能を初め、いわば第二次大戦後の戦勝国と敗戦国という時代のいろいろなものを引きずっていることも、それも私は事実であると思いますから、国連にいろいろこれから私どもとしても新しい時代のあり方にいわば衣がえをしてもらわなければならない。そういう点は多々ございます。私もまた、ことしの一月にそういうことを安保理事会の首脳会議で言ってまいったわけでございます。
 それだけのことは私はそうだと思っておりますけれども、現実に今国連というものが米ソの対立の後、こうやって世界の平和維持のために機能をしようとしておる。それにはいろいろ問題がございましょうけれども、しかしここで多くの国々がやはりお互いの物事を決めていって、そしていわば世界の平和と繁栄を図ろうという、その一つ一つの行動そのものに問題があるのならば、それは我が国は何も直ちにそれに参画をすることを強いられるわけではございません。この法律はそういうことを強いておるわけではない。
 しかし、国連からそういう要請があり、紛争当事者、当事国から要請があったときには、我が国はその場合には自分の判断においてその国連の要請あるいは紛争当事国の要請に応じよう、それによって国際の平和の維持増進に貢献しようというのでございますから、その主体的な決断は我々の側に残っておるということであろうと思います。
 したがいまして、今の国連にいろいろ問題があるからといって、どうもこの法律の目的とするところは、不要であるとは説明者はおっしゃいませんでしたけれども、そのようなお答えになるように聞こえたものでございますから、私どもはそうは考えていないということを申し上げておきます。
#44
○須藤良太郎君 今もちょっと総理触れられましたけれども、関連して国連強化の日本の取り組みの問題についてこれはお願いをしておきたいと思うのであります。
 今大きく主役として国連が期待されておるわけでありますけれども、急増するPKOの財政基盤、これは追いつかずに国連への期待と現実のずれが見え始めたと、こういう報道がされておるわけでございます。何か三月末の会計によりますと、約三千億近い、通常経費の二倍ぐらいの赤字が出ていると、その原因がこのPKOが大きい原因と、こういうふうに言われておるわけでございます。
 きのうも明石代表、PKO花盛りの話がございましたけれども、特にここ三カ年を見ますと、一九八九年以降派遣されたPKOは八カ国でありますし、カンボジアは二万人を超える。またユーゴは一万四千人を超える。極めて大口でございます。そういう中で、国連中心主義で一致しても分担金がなかなか集まらない。アメリカも大変な負担を持つわけであります。しかし、既に百七十カ国にもなろうとする国連でありますから、今後の世界平和を維持していこうという国連の集団安保体制にはやはり大きな期待を持つわけでございます。
 さきのロンドン・サミットにおきましても、政治面、経済面とも国連が中核となる国際システムの強化が必要と強調されたわけでありますが、これは参加各国が連帯責任を持つことが国際協調、平和の上で極めて重要であるわけでございます。そういうことで、この新しい時代に向かって大きな期待にこたえられる国連づくりに日本の精いっぱいの努力をお願いいたしたいと思いますし、各国のPKO協力はその大きなかぎとも思うわけでございます。いろいろ難しい問題もありますけれども、ぜひひとつ日本の取り組みをお願いいたしたいと思いますが、一言でもお答えいただければありがたいと思います。
#45
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことにそのとおりでございまして、国連が活動するためには資金が必要なのは当然でございます。したがいまして、我が国は分担金等はみんな完納をいたしておりまして、滞納はございません。このたびのPKOの問題等につきましても、これはPKOの支援強化信託基金というものを設立して、他国に率先してこれらには出資をしておるということでございます。今後とも国連については、そのかわりむだなところもあるかもしれませんから、国連自身の行財政の改革ということも必要だ。一遍制度ができますと、どうしてもこれは国内と同じように、いわゆる国際官僚というのができちゃって、その部門だけを守って、つくられたものはそのまま残る、新しい需要はまた出るというようなことはあり得るんです。
 したがって、国連の行政改革ということのためにも、国連賢人会議の設置を呼びかけて、その報告書を作成するために今日本は主導的な役割を果たしておる。しかし、出すものは出すが口は一切出せない、口を出すというのはちょっと語弊があるかもしれませんが、自分たちの意見も一言えないということでは困るわけですから、出すものは出しますが意見も大いに言う場をつくってもらって、そして各国の称賛を浴びるように今後とも努力してまいりたいと存じます。
#46
○須藤良太郎君 次に、PKO問題でありますけれども、カンボジア問題も緊急を要しておるわけでございます。先般、社会、公明、民社等各党の党首の方々がそれぞれカンボジアの現地に行かれて見聞したわけでございまして、これはカンボジア、UNTACにぜひとも何らかの貢献をしようという強い意欲のあらわれと思うわけでございまして、この点高く評価するわけでございます。そして、これがぜひ法案成立に結びつくことに大きな期待を寄せるわけでございます。
 しかし、一部の党派が今なおPKO、とりわけPKFにつきまして、武装した軍隊を戦場に送るといった非常に誤ったキャンペーンを行っていることに象徴されますように、依然としてやはりPKOの哲学、理念についての基本的な誤解は残っている、こういうふうに思うわけでございます。私の方に最近来る陳情の中にも、国連活動への支援には積極的に対応を求めながらも、国連のPKO、武力行使、これの支援は絶対に反対だ、こういう内容のものもあるわけでございます。
 しかしそう言いながら、最近PKOには非常に厳しい論陣を張るというか見解を示してきている朝日新聞の先般の調査を見ますと、自衛隊の平和維持軍への参加に賛成する者の比率が五割近く、反対する者の比率を上回っておる結果が出ております。さらに、いろいろ言われましたように、社会党を支える労組、自治労の意識調査におきましても六五、六%、大変高い肯定の数字が出ているわけでございます。きのうの明石代表の話でも、いわゆる戦わない部隊、真に平和のための部隊であることが繰り返し強調されておるわけでございます。これはぜひひとつ誤解を解いて国民に広く理解を求めていくことがこれからもぜひ必要、こういうふうに思いますので、くどいようでありますけれども、PKOの哲学、要点、これを簡単に説明していただきたいと思います。
#47
○国務大臣(渡辺美智雄君) 簡単に説明いたしますと、内戦が起きたようなところが停戦をすれば再び内乱が起きないように平和維持活動に協力しましょう、したがってPKO活動というものは武力行使が目的じゃありませんし、任務でもありません、中立・非強制の立場から国連の権威と説得によって平和を樹立させていこう、一口に言えばそういうことだと存じます。
#48
○須藤良太郎君 そこで、自衛隊の派遣の問題になるわけでありますけれども、これもくどい話になりますが、私は、社会党案あるいは一部の人たちの言います自衛隊とは別組織で考えるんだ、こういうことは既に外務大臣もたびたび答弁しておりますように、全く不可能なことではない。しかし一口に言えば、時間も手間も金も人も全くむだな、いわば巨大な浪費になるわけでありますし、また時宜も逸してしまう、そういうものではないかと思うわけでございます。
 しかし、浪費をしても、将来の平和のために、あるいは軍事大国への道を歩ませないために必要だと、こういう議論は余りに今日の国内外の情勢、時代の変化を無視した安易な惰性の考えではないか、こういうふうに私は思うわけでございまして、「素粒子」というおとといの朝日の夕刊に、これはどっちにとっていいのかわかりませんけれども、「軍人、文民を問わず大勢来てくれ、とカンボジア。かびだらけの既製品護憲論には難問だ。」、こういうものもありますけれども、一つの惰性によってはかりいるのは非常に問題ではないか、こういうふうに思います。
 それからまた、非軍事部門、いわゆるよく言われる経済なり難民あるいは医療、環境、こういうものをしっかりやれば十分評価され国際的にも通用するんだ、そこに大いに日本の英知と工夫を。やったらどうかと、こういう声もあるわけであります。きのうも話がありましたけれども、それで済むならそうしたいのは各国皆同様だと思います。明石代表も、いわゆる汗を出す人的貢献が今欲しいんだと、こういうふうに述べておるわけでございます。私は、あえて政府が自衛隊の参加をお願いしているのは、PKOのやはり性格、内容にあるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 私も、過去に技術協力で途上国、厳しいところを何カ国も回っております。火事場ではない平穏な国で、しかも相手国の政府の協力が得られるところでも、現地調査はもちろん生活面でも大変なところが多いわけでございます。たまたまこのカンボジアには二十五年前に、ベトナム戦争のときでありましたけれども、シアヌークさんのとき、メーズの開発で一カ月ほど現地に入りましたけれども、まず半分ぐらいは下痢続きでありましたし、場所は違いますけれどもナイジェリアあたりでは、フライパンの上に乗ったような形で脱水症状とかあるいは蚊に刺されれば病気と、こういうことでなかなか仕事が進まなかったことを思うわけでございます。
 こういうことはいろいろ言われて皆さんわかっておるわけでありますが、ぜひひとつ自衛隊でなければ有効適切な大きな貢献はできないんだ、こういうことをやはり繰り返し強調していただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
#49
○国務大臣(渡辺美智雄君) 自衛隊の見方などにつきましても、世の中が変われば認識が変わってくるんですよ。
 私は、ソ連に行きまして、保守派というのは、要するに一番革新的な、革命を起こした社会主義、共産主義をやってきた人たちを今保守派と呼んでいるんですね。固定観念にいつまでもとらわれているということはやっぱり保守派なんですよ。世の中変わっていくわけですから、世の中の移り変わりに合わせて先を見て柔軟に対応していくということが本当の、改良派というのか革新派というのか知りませんが。
 そういう意味におきまして、安保条約があれば戦争が起きると、ずっとこう言い続けてきたグループがありますが、四十年以上たっても戦争は起きなかったというようなことがありまして、自衛隊は憲法違反だと言っておっても、時が変わればそれは自衛隊は違憲・合法だというようなことになってきますし、そのうち違憲もなくなってくれば、これはやっぱり時代にだんだん合ってきたと。ただ、訂正するのがちょっと遅かったんじゃないかなという感じを我々は受けておりますが。
 いずれにいたしましても、やはり物事というものは、政治は現実にくみしているわけですから、世界じゅうが確かにPKOには軍隊を出しているんですよ、どこの国でも。したがって、日本だけが軍隊ではいけないんだということであっては、それはちょっとやっぱり世界の常識からかなりかけ離れているということに私はなるんじゃないかと、(発言する者あり)私は質問者の方にお答えをしておるのでございますから、あしからず御了承願います。
#50
○須藤良太郎君 自衛隊の士気の問題について二点ほどお伺いいたしたいと思いますけれども、私は、PKOの人的貢献、自衛隊の役割が不可欠と、こういうふうに思っておるわけでございます。これまで自衛隊は日本の独立、平和を守るために非常にたくさんの人材、装備を持って平素から厳しい訓練をして、本当にいろいろなノウハウを持っている今最大の能力集団と思います。PKOは、このような長年の間にできた技能なり経験なり、あるいは組織的機能を有効に使おうと、こういうことだと思います。
 しかし一方では、先ほど申し上げましたように、別組織でやるべきだ、こういう考えがあるわけでございますけれども、これは実際の内容は、自衛隊の持つ能力、現役にしろあるいは退役にしろいわゆる自衛隊の少なくともポテンシャルは必要としておる、こういうことだと思うわけでございます。しかし、自衛隊の名前は使うなと、こういうことは形式論だと思いますけれども、余りに不合理な話、自衛隊員の方にとっては失礼な話ではないか、こういうふうにも思うわけでございます。これは自衛隊員のいわゆる士気の維持という問題にもやはり重大な問題ではないか、こういうふうに考えますけれども、政府の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#51
○国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘のように、自衛隊は我が国の独立とそれから平和を守っていくという専守防衛の建前で積み重ねられたものでございます。そして、自衛隊員はそのことに誇りと責任を持って任務を遂行し訓練をいたしておるところでございます。他方、今回の法案は、これは直接侵略、間接侵略に対応する武力集団としての機能ではございませんで、あくまでも平和的な貢献であります。
 しかしその場合は、自衛隊が行けば直ちに武力集団としての武力行使という前提に立っての御議論がよく散見されるわけでございますけれども、これは全くこの法の趣旨と相反するわけでございまして、自衛隊の組織それから訓練されたノウハウ等、これを平和目的のために使おうというのが本法案の趣旨でございまして、私どもは自衛隊の今訓練しているすべての能力をこの平和貢献業務に、武力の行使を含めて、武器使用を含めて適用しようと考えているものではございません。
 武器使用につきましては厳格な制約要件がございますので、これに従うことはもちろんでございまして、あくまで平和目的のためにこれだけ訓練されたノウハウ、そういうものを活用していこうという趣旨でございますので、この点は当委員会にもいろいろ議論がございますが、私お伺いしておりまして、ややもすれば自衛隊は武力行使の集団であるから武力行使になるというだけの議論が先行するように思います。
 実は、この国際協力業務というのはまさに平和的な業務でありますから、自衛隊員は本当に誇りと責任を持ってこれからの新しい時代における平和貢献業務に貢献したいという、こういう気持ちは持っておりますから、この法案を成立させていただいて、自衛隊員が堂々と、武力行使の目的ではない、平和目的のために我々も国際貢献をするんだという意識を明確に持って出されるように私どもは期待をしたいわけであります。
#52
○須藤良太郎君 もう一つ、自衛隊員は本当はPKOに参加したくないんじゃないか、そう考えている人もおるようであります。しかし、これまでも自衛隊はその組織なり装備なりあるいは能力を生かしまして、先般の掃海艇のすばらしい活躍もありますし、国内では雲仙・普賢岳を初め災害派遣あるいは民生協力活動、こういうものに携わっておりますし、きのうのテレビを見ますと大分の森林復旧にも乗り出すと、こういうことでございます。私も雲仙・普賢岳の生々しい自衛隊の救援活動を実地に見たわけでありまして、大変感銘を受けたわけでございます。
 こういう活動を通じまして、周知のように、自衛隊に対する国民の理解が非常に深まってきておるわけでございますし、要するに社会に貢献しているということで隊員の方は自信と誇りを持って活動に従事できるんではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、自衛隊がPKOに加わりまして新しい国際平和秩序づくりに参画する、そしてその活動を日本はもちろん世界の人に見てもらう、こういうことは自衛隊に対する内外の理解、評価を大きく高めることにもなるんではないか、こういうふうに考えるわけでありますし、それはまた自衛隊員の誇り、士気の高揚にもつながって本来のいわゆる国の防衛に好結果を及ぼす、いわば一石二鳥のことではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これは防衛庁長官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
#53
○国務大臣(宮下創平君) まさに委員の御指摘のとおりでございまして、これは機雷掃海艇の場合もそうでございましたけれども、機雷掃海艇をペルシャ湾に派遣する前はこれはもうなかなかいろいろの賛否両論がございまして、反対論もかなり強かったように存じておりますけれども、いざこういった任務に従事し立派に任務を遂行して帰った、その功績と業務については国際的にもまた国内的にも高く評価されているところでございます。そして、何よりも私は感動を覚えましたのは、自衛隊員がこうした平和的な業務に従事し成功したことによって、自衛隊員として入隊してよかったという感想を述べられた隊員もございます。
 私は、そういう意味で、目的を明確にしてそして平和目的のために自衛隊を使うということは、これはもう極めて有効かつ適切な方法であると思っております。そういう意味で、真に自衛隊がやはり自信を持てるような、国際社会でも貢献できるのであるというような意識を醸成していくことが必要であると思います。ですから、本法案によってその制約条件その他は法律にきちっと書かれておりまして、これを遵守していけば私は間違いない、こう思っておるところでございます。
#54
○須藤良太郎君 先ほど永野委員からもお話がございましたので、これはお願いだけにしておきますけれども、この法案が成立しますと、これは国民の代表として自衛隊員あるいは要員の方が派遣されるわけでございまして、各国から集まる方々と一緒に活動するわけでございます。そういう中で、ひとつ国民の支持を十分受けて安んじてこの使命が果たせるようなそういう環境づくりが必要ではないか。特に、いろいろの処遇には万全を期していただきたいと思います。
 またもう一つは、この間これは太田委員の質問の中でありましたけれども、昨年防衛庁がPKOの調査団を派遣して、これにつきまして防衛局長から非常にこれは有益だったというふうにこの結果を聞いたわけでございます。先ほどもこの話がありましたけれども、いわゆる事前調査は極めて重要ではないか。これはやはり自衛隊の専門家によってカンボジアに調査団を派遣して、UNTACの内情なり現地の条件、これを細かく調べる必要があると思いますし、特に事故の未然防止という面、そういう面も含めまして、この法案成立前におきましても私はやはり自衛隊の専門家から成る調査団を派遣したらどうか、こういうふうに強くこれは要望しておきたいわけでございます。お答えは要らないわけでございます。
 次に、UNTACへの具体的協力について一、二お伺いしたいわけでありますが、その前に、地雷の問題でこの前、谷畑さんから、国際法上この地雷撤去は当事者の義務となっているというお話のようなものがあったと思うのであります。この紛争当事者でありますけれども、現実への実際の対応は別にいたしまして、国際法上この紛争当事者というものはこうした義務を負っているのかどうか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
#55
○政府委員(柳井俊二君) お答え申し上げます。
 一九八〇年に採択されまして一九八三年に発効いたしました特定通常兵器禁止条約に附属議定書のVというのがございます。この第V附属議定書の第八条は、関係地域において国連の軍隊または使節団が平和維持、監視任務等を遂行している場合、このような国連の軍隊または使節団の長が要請するときは、紛争当事者は可能な限り地雷の除去等一定の措置をとるという趣旨の規定を置いております。
 この規定は、地雷敷設地域におきまして国連の軍隊や使節団が活動するような特定の場合におきましてその保護を念頭に置いたものでございます。この紛争当事者に地雷を除去する一般的な義務があるということを定めているわけではございませんが、仮に国連等からこのような要請がなされたといたしましても、カンボジアはこの条約の締約国ではございませんので、カンボジア紛争の紛争当事者にはこの条項に従って地雷を除去するという義務があるとは言えないと考えております。もとより、地雷を敷設した者が自分で除去するというのが望ましいことは間違いございませんが、ただカンボジアの場合には、この地雷の除去につきまして国際法上の義務があるというところまでは言えないと考えております。
#56
○須藤良太郎君 最後に、このUNTACへの具体的協力、これはお答えできる面は少ないかと思いますけれども、二点ほどお伺いしたいと思います。
 過去の我が国の国連のPKO協力実績といたしましては、ナミビアあるいは二カラグア、この選挙監視団派遣があるわけでありますが、その規模はせいぜい三十名程度、期間も二十五、六日間と非常に短期間にとどまっておるわけであります。これはいろいろお話しあるように、現行法では定員上あるいは制度上、またPKOの性格上、限度があると思うわけでございます。したがいまして、今度のPKO法案が成立いたしますとUNTACに対していかなる分野でどの程度の協力が可能になるのか。これは成立すれば早急に地すべきだと思いますし、何しろ総員二万人余り、分野も十五分野と、こういうことでございますから、どう対応するのか具体的にはなかなか難しいと思いますけれども、考えがあればお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
#57
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 UNTACにおきましては、停戦の監視、武装の解除あるいは動員の解除などを行います歩兵部隊、それから停戦の監視、外国軍の撤退の検証などを行います軍事監視員、それからこれらの後方支援部門といたしまして工兵の分野あるいは兵たんあるいは医療、通信といった分野、それに加えまして文民警察、さらにはそれに加えまして将来
の選挙登録、選挙の管理、行政監視といったようなものが含まれておりますけれども、現在国会にお願いしておりますPKO法案が原案どおりに成立する場合には、理論的にはこれらすべての分野に日本政府としては要員を派遣することがで煮るという仕組みになっておる次第でございます。
#58
○須藤良太郎君 もう一つは、このPKO法案が成立した暁にはできるだけ早い施行が望まれるわけでございます。
 先ほどちょっと長官も触れておりましたけれども、この法案の附則第一条では、「この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」、こういうふうに規定されておるわけでございますが、この所要の政令条文の検討を含めましてどういう段取りで施行に移していくのか、あるいはまた必要とされる要員の確保、訓練はどうするのか。きのうの明石さんの話でも、軍人としてより外交官として行ってもらいたい、こういう話もあるわけでありますから、そういう面の訓練もどしどし進めていないと困るのではないか、こういうふうに思います。ひとつその見解をお聞きして、終わりにいたしたいと思います。
#59
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、法案が成立いたしました場合に、附則で三カ月以内に施行するということでございます。そのためには所要の政令事項の手当て等を行う必要がございます。カンボジアは既にもうPKOが展開している状況でございますので一日も早くこれに参加する必要があるわけでございまして、そのためにもぜひ一日も早くこの法案の審議、成立をお願いいたしておる次第でございます。
 まず、法案を成立させていただきますと、この施行のためには本部、その中でも中核をなします事務局というものの設置がございます。そのためにも、関係省庁の理解を得つつ、できるだけ一日も早くそういう段取りをできるようにいたしたいと思います。
 さらに、要員の派遣等の段取りといたしまして御質問がございましたが、まず具体的な国際連合の方から要請、日本にどこでどういった業務をしていただきたいかというそういう要請があるという前提で、それにつきまして国際連合と調整を行いまして、その上で我が国の方としてなすべき貢献につきまして具体的な実施計画を作成し、その閣議決定を経まして、閣議決定の後この法案第七条に基づきまして遅滞なく国会に報告いたします。
 その後、この実施計画に従いまして、本部長、内閣総理大臣でございますけれども、実施要領をつくりまして、同時に関係行政機関に対しまして要員の派遣というのを要請することになります。海上保安庁長官あるいは防衛庁長官に対しましてもこういった協力業務の実施を要請することになります。こういった手続と並行いたしまして、関係行政機関におきまして職員の確保、所要の訓練等を行っていただきます。本部長は、そのようにいたしまして任命されることになりますすべての協力隊員に対しまして、この法案第十五条に基づきます研修を行う必要がございます。そういった手続が必要となってまいります。
 これらにつきましても、これは先ほど防衛庁長官の方から自衛隊の派遣についての関連で御答弁がございましたけれども、法案が成立いたしましたら法施行の準備と並行いたしまして円滑に対応できるよう所要の作業に遺漏なきを期してまいりたい、そういうように考えております。
#60
○須藤良太郎君 終わります。ありがとうございました。
#61
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#62
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#63
○常松克安君 私は、人道的な救援活動における自衛隊の参加による医療活動については、PKO活動と国際緊急援助隊の活動に明確な論議が必要であろうと思います。さらに、その効果大にしてこの法案の平和貢献の目的を達するために、各般から問題をいろいろと提起し、認識を深めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 まず、外務省にお尋ねいたします。
 本法第三条に、「人道的な国際救援活動のために実施される業務で」「医療」とありますが、その概念は甚だ荘漢としたものであります。その意味するところは、一体だれがための医療なのか、その辺のところをまずお説を伺いたいと存じます。
#64
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の、法案第三条第三号ヌ、「医療(防疫上の措置を含む。)」業務という規定がございます。その業務といたしましては、大きく分けまして二つございます。一つは国連平和維持活動、いわゆるPKOとして行われるもの、もう一つは人道的な国際救援活動として行われるものでございます。
 ただ、その具体的な業務の内容といたしましては、負傷者の手当てに加えまして、あるいは場合によっては伝染病を初めとします疫病の治療とか、あるいは具体的には予防接種といったことも含まれようかと思います。
 今まさに先生御指摘の対象となる人でございますけれども、国連平和維持活動として行われるものにつきましては、国連の要請内容に応じまして、各国からの派遣PKO要員を初めとして、まずそれが基本でございますが、場合によっては国連の要請に応じまして、地域住民やあるいは避難民も対象になるということが考えられます。
 次に、人道的な国際救援活動として行われるものにつきましては、これは国連の決議または国際機関からの要請の内容に応じて行われるものでございますが、住民あるいは在留しております外国人、あるいは旅行者、さらには避難民といった被災民を対象とし得る、そういうふうに立案している次第でございます。
#65
○常松克安君 対象としては、PKO参加隊員であることはこれはもう当然でありましょう。しかし、今日までの紛争及び内戦によって、人為的に起きた難民の方々を対象にしてこそ、今おっしゃいました人道的な国際救援活動としては、最も大事な第一義でなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
 何ゆえにそうなのか。紛争、内戦によります今日までの歴史をひもといてまいりましても、CWAPです。言うならば、人為的災害を常に受けるのは、力の弱い子供たち、あるいはまた老人、婦人、そしてプアピープル、貧しい人たちであるということは、もう歴史の一こま一こまで指摘できるわけであります。
 そこで、今お答えの中でちょっと聞き漏らしたところがありますけれども、市民及び難民そして避難民と、こういう立て分け方をされましたけれども、これは概括してこういうふうな問題の難民に対しての医療救援活動も第一義的に重要なものである、こういうふうに理解いたしたいんですが、もう一度お願いします。
#66
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま私、住民あるいは在留外国人、旅行者、さらには避難民等の被災民というふうに申し上げました。この人道的な国際救援活動につきましては特に定義がございまして、被災民の救援あるいは被害の復旧ということでございますが、先生御指摘の、まあ具体的な状況によろうかと思いますけれども、避難民というのも、そういう意味におきましてはこの対象となっております被災民に該当するというふうに考えております。
#67
○常松克安君 いやいや、そう申し上げていないんです。難民というものの定義があるんでしょうな、こう申し上げておるんです。
#68
○政府委員(野村一成君) 法案におきましては、具体的に難民という言葉は使っておりませんけれども、紛争によって被害を受けているそういう現地に住んでおられる方、あるいはそれを具体的に難民と位置づける場合もあろうかと思います。非常に広い意味で紛争によって被害を受けている人たちと、そういう趣旨でございます。
#69
○常松克安君 次に、防衛庁にお伺いいたします。
 ただいま外務省から見解が明確に、医療派遣部隊の任務の中にあっては紛争等によって被害を受けた人たちを救援することを明示されました。しからば、その業務と編成についてお伺いいたします。
 衆参合わせてこの論議の中で、医療というものあるいは医療部隊というふうな概念の中で、その編成については特に人数的なもの、大枠というはうなものは余り論議が今までなかったわけであります。しかし、国際緊急援助隊にありましては、今日までそれをトータルして医官も含めて百七十名程度と、これは明確に出てきたわけであります。それを比較対照というわけじゃありませんが、そういう中においてこの業務と編成についてあわせてお伺いいたします。
#70
○政府委員(畠山蕃君) まず最初にお断りをさせていただかなきゃいけないと思いますが、緊急援助隊の方について、今御指摘のとおり、医官二十名を含んで百八十名程度ということで御答弁申し上げていたわけでありますが、その後検討を進めてまいりまして、通信、補給、そういったことについての後方支援体制を強化して、自給自足といいましょうか、自己完結型の能力を高めるという必要から検討し直してみた結果、医官約二十名と准看護士といったような資格を持ちます衛生技能者約五十名、いわゆる看護士でございますけれども、この七十名を含みまして総体で二百七十名程度というのが緊急援助隊の方についての試算の結果でございます。
 PKOにつきましては、若干状況が異なりますので、そういった具体的な数字が、結論が出されているわけではございませんけれども、医療活動そのものに変化があるわけではございませんので、もし一定の前提を置いて、仮に緊急援助隊と同じ程度の自己完結性を求められ、かつまた医療内容も全く同じとするならば、やはりそのような医官二十名、看護士五十名を含んで全体として二百七十名程度の規模になるであろうということは、差がないものと考えております。それは最大限ということでございます。
#71
○常松克安君 まさしくやる気を出してきたと言わんばかりであります。
 百八十名が二百七十名。しかし、この問題は数が多けりゃいいというものではございませんので、後ほどこのところも切って論議したいと思います。
 ここでひとつ、外務大臣及び外務省の方々にもお聞きおき願いたいことがございます。
 もう既にその辺の歴史的な経過はよくよく御存じのことであろうかと思いますが、その経過を顧みますると、一九七九年、カンボジアの内紛、内戦により多くの難民の人たちがタイ国境に七十万ないし八十万の数で押し寄せてきました。そして、一九八〇年よりカンボジア難民医療が始まったわけであります。
 しかしながら、諸外国の難民救済は多くあったものの日本としての援助は人影少なく、日本は物を出すが人は出さないと言われ、ついには海外のマスコミはどこに日本人がいるのかという見出しで各社一斉にこれの論評を始めたようなことが経過にあるわけであります。
 そのことを背に受け、民間でありましたけれども、JMTDRの方々はこぞって、わずかな人数でありながら必死になってこの救援活動の第一歩を踏み出しました。そういう人たちが、いまだにエピソードとして思い出されますのは、赴任して避難民の方々に最初に浴びせかけられた言葉は、本当にあなたは日本人なのかと、こういうふうなことをしみじみと振り返ってそのことを申していらっしゃったわけであります。
 それより、どちらかというとこういうふうな問題は三K、きつい、汚い、危険だという中から、こういう先生方は決意を新たにいたしまして三A運動を始めました。すなわち、あすのある、愛のある、明るい援助だ、これを我々人道的な貢献の目標として日本を代表してやっていくんだと、こういうふうにして今日まで汗水を垂らしていらしたわけであります。
 こういうふうな過去の経過ではありまするが、これに対して大臣の方から何か一言ございましたらお話しいただきたいと思います。
#72
○国務大臣(渡辺美智雄君) もともとそのようなボランティアの活動などは、何か一つの哲学と使命感がなければできるものではありません。したがって、私は、難民活動に従事されるような方がそういう気持ちで進んでやったものと存じます。
#73
○常松克安君 では、改めて外務省にお伺いいたします。
 カンボジアのためだけの法案、そういう考えじゃなくして、これより何がいろいろ国際貢献で要請されるかわかりません。国連より要請があったとして、やはり大事なのは人の今、医療派遣というものを第一に出動すべきじゃなかろうかという私は考えを持っております。
 災害緊急援助は、要請があって、閣議決定後今日まで、二十四時間以内にすべての問題をクリアして出動をたび重ねてきた実績をこういう方々は持っていらっしゃるわけであります。そういう実績の上からいたしまして、今回再度国連から要請があって、あれもこれもこれもあれもとありまするが、その出動のときにこの医療救援活動を第一陣としてスタートさせるということは法の体系の上からいって無理なのでありましょうか、また可能なのでありましょうか、お尋ねいたします。
#74
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先生まさに御指摘のとおり、この医療の業務というのは、特に人命救助という観点からいたしましても、PKO活動あるいは人道的な国際救援活動のいずれの分野におきましても、非常に機動的に対応することに努めることが非常に重要な活動。分野であるというふうに認識いたしております。
 何分、先生御案内のとおり、具体的にこの法案の仕組みといたしまして、国連等の要請に応じまして対応するという形になっておるわけでございますが、特にこの医療活動の分野につきましてもその重要性はいたく認識している次第でございます。
#75
○常松克安君 ごもっともなお話だと存じますが、壊れた、破壊された橋はもとへ復興させればいい、当然であります、貢献の上で。しかし、人の命を救うということの観点からいたしますならば、一刻でも早く、要請の中にきちんとあるならばそれに応じていく、そのことが人の命を一人でも多く救えるとしたならば、法の体系で許されるならば、そういうふうなことを重点に置いて考えるのも至当ではございませんでしょうか。
#76
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先ほど私が申し上げましたとおりでございますが、医療が極めて重要な業務であるということを十分認識いたしておるわけでございます。この法案を成立させていただきます場合には、その分野におきましても、関係省庁の強い協力も得まして、要請がありますれば、先ほど申しましたが機動的な対応がなし得ますよう所要の体制整備、これが極めて重要であるというふうに考えております。その方向で対応いたしたいと思っております。
#77
○常松克安君 再度、防衛庁にお伺いします。
 先ほど局長の方からは、任務の目的及び編成についてのお答えがあったわけでありますが、当然これはまだ法案が通っていない前から、このときはA、B、C、これは一体何事だとおしかりなさる方もございましょうが、しかしもう一方、これは日本の歴史始まって以来、戦後始まって以来の国際貢献というような重要な法案の中に位置するならば、何を聞かれてもある程度はこうだああだと言える確定的な計画立案の原案を持ってしかる
べきだ。先ほどの答弁では少し納得、満足のいかない面を実は心に持っているわけであります。
 こういう点をもう少しはっきりといま一度お尋ねいたしますが、任務の目的あるいは編成それから期間、問題はこの期間であります。こういうことについて、あわせて再度答弁を求めたい。
 もう一言。私は、結局、一概にはなかなかこれは言えない、それはわかります。一概に申すことはできませんというんじゃなくて、そちらは新しい任務であり経験もない、研究すべき資料だに少ない。一刻たりとも早く即応できるように、大いに期待をしながら質問しておるんです。その期待を裏切らぬように答弁してください。
#78
○政府委員(畠山蕃君) 先ほど御答弁申し上げました緊急援助隊の方の検討例に即しまして、その同じようなものとして医療班の編成について申し述べますと、それはすなわちどういうことを行うかということを意味するわけでありますが、一つは治療を行う部門、これは処置部門と治療部門とありますが、それから救急車による後送を行う部門、防疫というのは除染を行う部門、指揮・幕僚活動を行う部門、情報活動を行う部門、装備品等の整備・修理を行う部門、通信を担当する部門、それから衣食住などに係る生活を支援する部門、そういった部門に分けまして編成を考えているということでございまして、基本的には、最大限の運用をする限り、PKOの参加の場合も同じような構成になろうかと思います。
 それから、期間という御指摘がございました。
 期間につきましては、通常の例ですと、緊急援助隊の方はそれほど長くなくて、数週間程度というようなことで運用されているのが各国の実態だというふうに聞いておりますので、私どももそういうふうに理解いたしております。他方、PKOの場合にはかなり長期にわたって、数カ月というような任務のローテーションをもってかなり持続的に行われていくというふうに理解をしておるところでございます。
#79
○常松克安君 では、次が一番大事なポイントになるわけであります。
 自衛隊の医官の方々は国際的な医療救援活動について十分対応できると信じておりますが、しかしどうなのか、このことにお答えください。
#80
○政府委員(金森仁作君) 先ほど審議官の方からお答えがございましたように、PKO活動としては、自衛隊がPKO活動として国際的な医療救援活動に寄与する場合は、PKO要員を対象とする診療、また被災民を対象とする診療等が一応想定されるわけでございます。その活動の内容といたしましては、PKOに設営されました医療施設における医療支援、それからまた簡易な診療施設における応急的な治療、また場合によりましてはそこの国における後方病院の援助等が考えられるわけでございます。
 現在、自衛隊に対してPKO活動として期待されております医療活動がどのような具体的なものか定かではない段階でございます。一応具体的な対応を申し上げることはそういう意味では困難でございますが、一般的にはこうしたPKO活動としての医療救援活動につきましては、現在自衛隊の医官が防衛医科大学で医学教育を受けておりまして、その日常の臨床活動、特に防衛医科大学の場合は他の大学と若干異なりまして、総合臨床医を養成しようということがねらいでございまして、卒前卒後教育を通しでそのような勉強をさせておるところでございまして、ある程度の、かなりの部分は対応できるのではないか。
 ただし、特殊な地域で、例えばマラリアであるとか狂犬病であるとか、また時々日本でも見られますけれどもコレラとか、特殊な伝染病等に対しましては対応しておるわけではございませんので、そういう意味ではまた勉強もしなきゃならぬ。
 またもう一つは、国際的な医療救援活動は自衛隊にとって全く未経験の分野でございますので、先ほど来先生からお話ありますように、現在国際協力事業団が国際緊急援助隊の医療チームに派遣しておりますが、このケースについてやっております研修等を十分させなきゃならぬだろう、そういうように考えておるところでございます。
#81
○常松克安君 そこまでおっしゃるならお聞きします。
 今日まで災害医療の海外派遣の経験はあるんですか。
#82
○政府委員(金森仁作君) 国内での経験は持っております。
#83
○常松克安君 そんなこと聞いてない。
#84
○委員長(下条進一郎君) 質問に答えてください。
#85
○政府委員(金森仁作君) 国外での活動の経験は全くございません。
#86
○常松克安君 どうぞ勇気を持って胸を張っておっしゃってください。
 第二番、国際的に人的交流、すなわちUNDRO、WHO、国際赤十字、ここに全世界の災害医療についての専門官のトップがおります。今日までこういう方々との国際交流はございましたか。
#87
○政府委員(金森仁作君) 防衛庁の我々の関係と日赤との関係は、直接の関係はございません。
#88
○常松克安君 当然でございます、できなかったのですから。じゃ、なぜできないとわかりながらこういう二つを冒頭に申し上げたのか、そこをこれより提言としてお含みおき願いたいわけであります。
 といいますのは、海外の災害の際、その国、地域の災害対策本部長、知事であったり政府高官であったり、いろいろ多種多様の二十カ所にわたる経験を全部網羅しますと、必ず本部長がいます。しかし、こういうふうに人の命に危険を及ぼすような災害が出た場合は、直ちに国連の方からはUNDRO、WHO、国際赤十字社の専門官が全部そこへ派遣をされまして、アシスターとしての立場で着任をされるわけです。そして、各国の要請に応じて駆けつけてこられました各国からの救援の医療団の能力、経験、体制あるいは専門を既に長年にわたって熟知した上で、そして適任適地に配属をさせる、これが今日の運用の妙であります。
 そうしますと、これから体制をつくり上げていろいろされていきますときに、まことに大変でありましょうけれども、大至急こういう交流なりあるいは経験を持っていらっしゃる方々の意見を十二分に聴取していただき、積み重ねて、確たる出動の効果を大にしていただきたい、こういうふうなことを申し上げておるような次第でございます。
 第四番、海外において認知されております唯一の日本としての災害医療団は、国際緊急援助隊医療チーム、すなわちJMTDRだけなんであります、現在は。自衛隊がこれから出ていこうとしても、そういうふうなところで一体何をされてどんな専門でどれだけのことが、過去の経験がないわけでありますから大変つらいと思います。つらいでありましょうけれども、せっかくこの法案をもって国際貢献だと、日本の国が法律をもって出動していただくには十二分に効果大ならしむるような方向であっていただかなければならない。むしろ、今まであったわずかなそういう方々より以上に、自衛隊の医療団が出ることによってこんなに成果が上がっていったんだなというものを持っていかないことには、これより以上の国民的な合意というものは得られていかないのではなかろうか、こう考えております。
 第五番目に御指摘申し上げておきます。
 海外の医療団はほとんど全部が軍人であります。イギリス、スイス、オーストラリア、常にその人たちが衛生兵や看護婦とともに百人から二百人で軍用機でその災害現地にいらっしゃるのが現実であります。特にフランス、アメリカはもっと多いわけであります。二百人から三百人が一挙に時を移さずそこに到着され、その業務を今やっていらっしゃる、こういうふうに認識しておるのでありますが、こういう認識で間違いございませんでしょうか。
#89
○政府委員(金森仁作君) おっしゃるとおりでございます。
 また、これは若干余計なことにも相なりますけれども、私どもも軍の関係では世界に国際軍事医学委員会というのがございまして、日本も参画をさせていただいておるわけでありますが、昨年十一月だったと思いますがブラッセルでこの会議があったわけであります。これに参画させていただいて、これからの国際協力のあり方と、お互いの国が力を合わせて協力しながらやろうじゃないかというような意見が出始めております。できるだけ私どもも、先生御指摘のようなことで勉強させていただきながら御協力をさせていただきたいと思っております。
#90
○常松克安君 今日までの中で、もう一つ重要なポイントを提言申し上げておきます。
 ポイントの一つは、現地の医療水準を超えることは問題である。せっかく行っても、日の丸を背に受けて、よし、どれもこれも救おう、全力投球てやろう、最高の薬も使う、しかしそれは問題であると今現在WHOでは指摘しております。日本の医療をそのまま移入すれば、医療団の帰った段階で現地の人たちはどうするんだ、こういうふうな問題も現実にあることを想定の研究の中に入れておいていただきたい。
 でありますがために、前回も申し上げましたように、WHOでは、ほとんどの災害には感染症がつきものでありますがその感染症に対して四つの抗生物質しか推挙していない。むしろそれ以外は使うということは少し待ってくれ、こういうふうなこともこの意味から出ておるということも言えるわけであります。
 でありますから、PKOで医療団が出ていく。PKO隊員はどのような薬を使おうといいでしょうが、難民に使うとなるとここに薬の制限もかかってくるんじゃないかということも勉強の中には入れておいていただかないと、いざ行ったときに、何でもええ、何でもええというわけで、後で、せっかく苦労して汗水垂らしてやっても功少なしとすればこれは大変なことでございます。それを覚えておいていただきたいと思います。
 そういうふうなことで、ある国がこういう指摘をされました。それ行けと行ったはいいんですけれども、それに対してそういうふうな国際的に認知をされている医療団の方からセカンドディザスターである、第二の災害だと。内容も力も何にもわからぬ、それ行けで何百人も来た、そういうものを交通整理するだけでも被災地の方では困ったと、こういうふうなことにならないように気をつけていかなきゃならない。これは一つ大事なことかと存じます。そういうふうな意味合いを提言申し上げておきましたから、よく研究の材料の中に入れていただきたい。
 次に、もう一度防衛庁にお伺いします。
 部隊派遣は大変だと思いますが、この法律が通ったらじゃすぐ派遣できるのか、ここも大事なポイントで、確認いたしておきたいと思います。
#91
○政府委員(畠山蕃君) お話の筋からいたしまして、部隊といいますのは医療活動部隊ということに限定してお答えさせていただきます。
 医療活動につきまして、緊急援助隊の場合には国内での災害と同様の程度の対応ということで、ある程度国内的な経験があるということから、極めて俊敏に対応することが必要でもあり、かつ可能でもあろうというふうに考えております。他方、PKO活動として、あるいは人道援助活動として行う場合の医療活動におきましては、いわゆるPKO活動等の一環として行われるということでもございますので、さらには治安が十分に確保されていないというような状況もございますので、その準備、調査に十分な時間を必要とするということで相当程度の期間は要するのではないかというふうに思います。
 具体的にどのくらいかというのは、要請の内容、規模等によりますので必ずしも言えませんけれども、数カ月といったようなオーダーが必要なのではないかというふうに思っております。
#92
○常松克安君 次に、こういう人を、マンパワーを出す場合に、本文の中に「自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度」とありますが、この限度とは一体何を指すのかお教え願いたい。
#93
○政府委員(畠山蕃君) 御指摘の「支障を生じない限度」という意味でございますが、これもその時点における状況等によって変わることになりますけれども、例えば医療部隊につきましては、我が国におきます自衛隊の部隊や病院の日常の医療体制に大きな支障を与えるか否かということは現実の大きな考慮要素になろうというふうに思います。
#94
○常松克安君 少しその辺のところが不明確なのでありますが、こういうふうなことも御存じかと思います。大干ばつで、例えば稲が枯れる寸前にある。こうした場合、よく農家の方から教えられました。そういう場合、小さな雨を降らせればかえって腐ってしまう、救うためには一挙に大きな水を与えなきゃならない、こういう生活の知恵を教えられました。
 確かに、そういう限定の人数、いろいろな関係がありますから、中に一言言う人がいまして、PKOへ行っておった、そのときに大災害がこっちに起こったらそういう要員というものはちゃんと用意してあるのか、いや、そういうことも想定しなけりゃならぬものでこれを二つに分けております、それで小さいんです、こうおっしゃるかもしれません。いずれにいたしましても、やるときには一挙に行くと。
 確かに自衛隊の病院は十七病院ございます。ところが、その中で顕著に言えますのは、病院のベッドの充足率といいますか、患者さんは四〇%に満たない。それはそうです、自衛隊の隊員の皆さんが次から次へ満杯になるような病気してもろうたら役に立たぬわけでありますから、あいておるわけです。そういうことを考えれば、いざというときにはもう本当の重症な方だけを限定してでも助けるんだとして、この限度というものを本当に弾力的に、やるなら一挙にやるぞ、こういうふうな姿勢があってもしかるべきだと我々は考えるわけです。
 こう聞いておっても、医官が二十とか三十。ところが、あっちからこっちから今まで過去十数年間の実績の中において二百名も三百名も、その中でお医者さんが何名か、それは私は存じません。しかし、いずれにしてもそれだけのものを、国の身分相応に貢献を現実実行しておるわけでありますから、そういうふうなことについての限度というものはしゃくし定規に考えず、あるいは人的貢献、人の命ということで、防衛庁長官、いかがでございましょうか。
#95
○国務大臣(宮下創平君) 人の命は何よりも大切でございまして、この医療業務というのは、私も大変重要な位置を占めるものと存じております。もう委員御指摘のとおりでございます。
 ただし、自衛隊の場合にどのくらいの規模で派遣できるかという場合は、人数を二十人とか今申しておりますが、後方を入れて二百七十人と局長が申しておりますが、自衛隊の医官の充足率も必ずしも今一〇〇%になっておりません。たしか七割弱程度だと存じます。したがって、これだけの人員を擁しておる自衛隊でございまして、訓練その他けが人も出ましょうし、いろいろな意味で非常に今部隊配置の医者の数が少なくて困っておる事態も一万ございます。
 しかしながら、今先生のおっしゃられるように、こういった国際的に重要な緊急業務でございますから、あとう限りこれに対応するということも一つの大きな義務だと言ってもよろしいかと存じます。
 そういう意味で、必ずしも硬直的に考えているわけではございませんが、一万これだけの大分大きな、実員で二十五万人という者を抱えておるわけでございますから、その医療が必ずしも今現状で万全でないという点も御理解をいただかなくちゃならないかと思います。
#96
○常松克安君 じゃ、今までるる申し上げてきましたところを少し整理いたしまして、本法の第十五条「業務の適切かつ効果的な実施のための研修を受けなければならない。」、これは命令であります。この研修の内容はいかがなものかお教え願い
たい。
#97
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の法案の第十五条におきまして、これは防衛医官等も含むわけですが、すべての国際平和協力隊員は、派遣に先立ちまして国際平和協力業務の適切な実施のために所要の研修を受けるということが義務づけられております。
 実は我が国から派遣する要員の訓練、研修につきましては二通りに大きく分けられると思います。一つは、今私読ませていただきましたこの法案第十五条に基づきます本部長が行う研修と、それから派遣される要員の従事する業務の内容等に応じまして関係行政機関が実施するもの、これは具体的に、法案の十二条をお読みいただきますと、やはり本部長内閣総理大臣の要請を受けますれば関係行政機関は必要な技術、能力等を有する職員というのを派遣することを想定されております。したがいまして、関係行政機関におきまして行われる訓練というのと二種類を考えております。
 ただいま御質問の十五条の研修内容といたしましては、やはり国際平和維持活動、特にPKOあるいは人道的救援活動の性格と申しますか、そもそもどういうものか、その内容等についてのやはり基本的な知識はぜひ持ってもらう必要があろうかと思います。それから、まずどこに行くかによりますが、その派遣先の国情あるいは社会、文化、そういったことについてもよく把握してもらう必要があろうかと思います。
 こういった研修の実施に当たりましては、特に私ども、国連等の要請する機関との連絡を通じまして、実際その現地のニーズと申しますか、それをきめ細かく把握することが必要でしょうし、また現地大使館の協力も得まして、派遣先の国情とか文化とか、そういったことについても十分な情報を把握いたしまして、それを基礎にいたしまして所要の研修というのに万全を期する必要がある、そういうふうに考えている次第でございます。
#98
○常松克安君 防衛庁にお伺いいたします。
 今のこの研修でありますけれども、先ほどからるる今日までの実績、情報、システムを提言してまいりました。これらを含めて、やはり十二分なる研修というものをしていかなきゃならない。とすると、一体だれがその研修をなさるのか。行ったこともない、経験もない、本を読むだけで実態を踏まえたことのない人が研修したって、受ける方も戸惑います。理屈じゃないんです、現場なんですから。でありますから、一体だれがどんな内容で研修をお進めになろうとされるか、お伺いします。
#99
○政府委員(小池清彦君) まず、PKO活動全般について申し上げますと、国際平和協力業務を実施することとなった場合におきまして、基幹となる要員を北欧のPKOの学校等に派遣いたしまして勉強させまして、その後にこれらの者を教官といたしまして集合教育等を実施することになるだろうと思います。そこで、北欧のPKOの学校等でも医療についての教育もいたしておりますので、そういうところにまず医療関係の基幹要員も派遣するということが一つ考えられます。
 また同時に、先ほど金森参事官から御答弁申し上げましたように、国際協力事業団の方では相当な経験を持っておられますので、そちらの方に研修をお願いする、あるいはそちらから講師を招きまして私どもの方で集合教育を行うとか、いろいろな方法をとりまして万全を期する必要があると考えております。
#100
○常松克安君 適切なお答えであろうと存じます。
 次に、これに付言して一言申し上げますけれども、やはり男性の看護士、それからナース、こういう方々もこういうふうな研修を十二分に受けておくべきである。むしろ、国内の救命救急センターへ行って臨床の実習を受ける、これくらいの気構えでないことには、手前どもは自衛隊であり国であります、そんな民間のところへのこのこ行ってお教えを承るような考えはない、こんなことはおっしゃいませんでしたけれども、実際の要員の方々が世界へいろいろ行くよりは、現実二十数年のキャリアを持っていらっしゃる場所があり、人があり、内容を持っていらっしゃるわけでありますから、そういうふうなところのお考えをいま一度確認させてください。
#101
○政府委員(金森仁作君) おっしゃるとおりでございまして、防衛医科大学校の附属病院は一般の方々に開放しておりますけれども、その他の病院は職域病院でございましてかなり患者が限定されるというようなことでございまして、特に救急医療というようなことにつきまして、平時からその努力はさせていただいておりますが、先生御指摘のように一層努力をしてまいらなきゃならぬと考えておるところでございます。
#102
○常松克安君 ちょっとスピードを上げさせていただきます。
 医官の任務地域指定は、法文のどこに入っておるんですか。
#103
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 どこで活動するかということにつきましては、国連の具体的な要請内容に応じまして、この法案におきましては、まず実施計画でその業務を行うべき派遣先国、それから期間というのを定めまして、それに基づきました実施要領におきまして、業務が行われるべき地域及び期間ということで書いてございます。したがいまして、実施計画及び実施要領におきまして、どこでやるかということがはっきりするという形になっております。
#104
○常松克安君 じゃ、次へ行きます。
 特に難民救済に当たってはいろいろなことが想定されますが、どのように具体的に立案されていらっしゃいましょうか、お伺いします。
#105
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 今、先生難民の救済とおっしゃいましたけれども、人道的な国際救援活動に対して従事する仕組みといたしましては、まず今先生御指摘の難民の救済ですと、具体的にそれに関係しております国際機関からの要請がございまして、その要請を受けまして我が国の方で検討いたしまして、それに応ずるべきであるというふうに判断いたしますと、先ほど私が申しました実施計画というものをつくりまして、それを閣議決定する、国会にも報告する、その上でさらにこの実施要領をつくりまして具体的に業務を行っていく、そういう仕組みになっておる次第でございます。
#106
○常松克安君 では、そういう今日までの具体例、実施計画をつくられる上について、やはり具体的なものは活字、法律では拘束でき得ない現実がいろいろあるわけでありますと申し上げておきます。
 エチオピア干ばつ援助に活動した場合、毛布百万枚運動があった。先ほど配ったあの毛布を既に売っている。役人にとんでもないと言ったところ、何でとんでもないのか、彼が、ミルクが買いたい、御飯が食べたいためにお金にかえることがどこが悪い、こう言われた。これはもう現実にいろいろな生々しい懸隔があるわけであります。あるいはまた、その干ばつ災害のとき、食物を与えればよいではないかと皆思うでしょう。これは全くの間違いだ。物を与えても食べられない、その力がない、栄養失調なんだ、食べられる力をつけてあげることがまず必要なんだ、こういうふうな事例をおっしゃっていました。
 あるいは、できものでうみを持った患者が来院しました。エチオピアの彼らはウジ虫で治そうとした、日本の看護婦さんは抗生物質で治そうとしました。ウジ虫などは気持ちが悪いと顔を背けました。ところが、ウジ虫の方がずっと早くきれいに治ってしまいました。ウジ虫がその汚い膿を食べてぽろぼろと落ちていきます。現地の風習や民間医療も非常に大切ですし、理解していかなきゃならない。
 あるいは、日本人の配る薬には毒が入っていると言われた、飲まない方がよいと。よくよく考えてみると、あいさつが終わっていなかった。確かにその土地の村長やウォッチドクターに、我々が参りました、どうぞよろしくと菓子折りを持っていかないのも問題があったようだ。それを持っていってごあいさつが終わった後、以後は日本の薬はこれだけよく効くのだということで成果が上がった。もう考えられもしません。日本の看護婦さんはこれを証明するためにその都度一回一回自分で飲んでみせました。毒じゃありません、大丈夫ですよ。毎日このようなことをしているとこちらの方がだめになって倒れてしまいました、こうあります。
 バングラデシュの洪水のとき、毒蛇やサソリなど毒のある動物も一緒に避難してきて、かまれたり刺されたりして亡くなる症例、これが災害で一番多かったんです。考えられもしないことです。
 カメルーンでの有毒ガス噴出火災、皮膚は高度の熱傷ですが、着ている衣類は全く無傷、外から見て何の破れも何にもない、ところが体全体は全部焼けただれている。全く不思議でした。多分、火山の酸性ガス、例えば硫化水素、亜硫酸ガスが皮膚にしみ込み汗と一緒になって皮膚を侵したと判断される。これは治療ではない別の角度が出るわけであります。
 メキシコ地震では二万五千人以上が死亡しました。死亡の直接の原因は粉じんを吸い込んで窒息死するのが圧倒的に多かった。何かぺしゃんこになったところで全部やられるのかと思ったら、そうじゃない、粉じん窒息死してしまっている。
 あるいはまた、イスラム圏では豚に続いて汚らわしい動物として忌み嫌われているのは犬なんです。その動物に子供たちが私たちの不明になっているお父さん、お母さんを捜してもらうのは一切容認できません、こういうふうな話があったとか、もう一つ一つが、これは例題が生の生きた知恵としてあるわけで、これらの問題をそちらの実施計画の中で篤と御参考にしていただきたいとわざわざ提言申し上げておるわけでございます。
 ブラジルのときは、物がないと言うと全世界から集まって、それはもう競技場にいっぱいになってしまった。けれども、ブラジルで一番欲しかったのは薬を冷やす冷蔵庫だった、こう言う。その辺の情報収集を実務計画の上において、難民救済というものはそうそう言葉で言っているほど、ここで論議しているものと全然違った面の人間の生きざまでありますから、その辺のところの命のとうとさを加えさせていただきたいと存じます。
 次に参ります。
 自衛隊が緊急援助隊に出動するとき、外務大臣が第三条により必要と認めるときの基本的な基準というのは一体どうなっているんでしょうか。
#107
○政府委員(川上隆朗君) 御指摘の法による特に必要であると認めるというケースといたしましては、例えば、とりわけ特に大規模かつ組織的な援助活動が必要な場合、二番目といたしまして災害の態様等からいたしまして自給自足的な援助体制が必要な場合、それから三番目といたしまして民間による輸送が困難な場合で自衛隊の部隊による輸送が必要な場合など、被援助国政府等からの要請の内容、災害の種類、さらには関係行政機関等の対応能力等を勘案すれば従来型では十分な対応が困難であることが判明したような場合というふうに考えております。
#108
○常松克安君 ここで消防庁の方にお伺いいたしますが、今日まで消防、海上保安庁、警察官、いろいろなことで民間レベルにおいてこの国際緊急援助隊には参画されてきた体験を多く積んでいらっしゃいます。非常に苦労の多い、時にはそれはホテルをとれるときもございましょう。フィリピンの地震の場合は、野営約二週間を雨のささ降りの中で、そこで隊員が休息、食事、就寝、いろいろなことをなすった。こういうふうな話も報告書を見せていただきました。しかしながら、もしもそれがもう少し速く、あるいは組織的にバックアップというものができているならば効果が大であったのになと、こういうふうなこともなきにしもあらず。この辺のところのバックアップに対する必要性をお述べ願いたいと思います。
#109
○政府委員(浅野大三郎君) 消防といたしましては、国際緊急援助隊ということで過去五回の出動を経験いたしております。最も新しいものは昨年五月のバングラデシュでのサイクロン災害に対するものでございます。
 それで、実際に現地に参りました者たちの意見を聞いてみますと、一つはやはりその被災国への迅速な輸送手段の確保ということが必要ではないか。それから、一つには日本国内との連絡ができるような通信設備の整備ということ。それからただいま御指摘にもございましたが、いろいろ現地は厳しい活動環境もあるわけでございますが、そういう中においても十分救援活動ができるようにするための装備、資機材、そういうものを一層充実していくことが必要ではないか。こういうふうなことを過去の経験から考えておるところでございます。
#110
○常松克安君 今お述べいただいたとおりでございまして、前回も当委員会でこの辺のところを私は大臣に向けて要請をいたしました。大臣が必要と認めた場合はどうなのかと。今回具体的にこの三つが出てきたわけでございまして、それにおいて今度は防衛庁長官の方はそれを受けて出動でありますが、その一は特にわかるんです。だけれども、二、三については、今消防庁長官の方からも要請あり、あるいは今日まで民間の方々もせいぜい行って今まで三十名なんです。それで、そういう救助へ行くときの専用機はやはり指定してほしいとか、あるいはそういうふうな兵たん部門のバックアップが欲しいとか、こうあればもっと効果大になるんだがというふうな要望、あわせてお聞かせ願い、そして当委員会で質問をいたしました。
 もう一度確認という上からでありますが、こういうふうな民間の方々がこうなった場合について、片っ方はPKOで自衛隊の方は出ておる、片っ方は大災害であったと、そういう場面が想定もされますし、されなくても民間の方々の出動に対してそのバックアップ体制というものを求めたい。これに対する御見識をお伺いいたします。
#111
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊以外の緊急援助隊の参加者に対しまして、自衛隊のバックアップ体制を使用することが可能かという御質問の趣旨がと思います。
 これはいろいろな態様等にもよると思いますけれども、我が国として全体として緊急援助活動を有効裏に行うという建前からいたしますと、我が国の自衛隊のそういったバックアップ体制が自衛隊以外の人たちの医療活動にも役立てるという場面もあるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#112
○常松克安君 非常に前向きな前進した答弁でありますけれども、くどいようでございますけれども、防衛庁長官、いま一度総責任者としてこれを明確に御答弁願いたいと存じます。
#113
○国務大臣(宮下創平君) 今基本的な考え方は防衛局長の申し上げたとおりでございまして、事柄の重要さにかんがみまして十分配慮していかなければならないと存じております。
#114
○常松克安君 では、自衛隊が国際緊急援助隊に、外務大臣より要請を受け、子とし、出動する場合の編成と期間について、先ほども少し触れましたけれども、ここのところは非常に大事なところでありますので、もう一度御答弁願いたい。
#115
○政府委員(畠山蕃君) 先ほどお答え申し上げましたのは、実はこの緊急援助隊の検討成果について御披露申し上げたということでございます。
 まず編成は、医療活動を行います治療を行う部門、それから救急車による後送を行う部門、防疫を行う部門、指揮・幕僚活動を行う部門、情報活動を行う部門、装備品等の整備・修理を行う部門、通信を行う部門、それから衣食住等のサポートを行う部門といったようなことでございまして、これは先ほど申し上げたとおりでございます。
 派遣期間でございますけれども、これは自給体制の継続あるいは迅速な災害救助等の観点から考えまして適切な期間ということで、これまでの各国の例からいたしまして、あるいは我が国が民間で派遣した例からいたしますと、数週間程度というふうに理解をしているところでございます。
#116
○常松克安君 防衛庁長官、ここがえらい狂ってきたんです。期間の問題で前回ここは私は時間をかけてるる申し上げてきたわけです。今まで歯を食いしばって民間の方々がやってきた。今度は自衛隊が行くようになる、参画していただくようになった。とするならば、少なくとも大災害あるいはそれ以下の災害、その態様態様に応じて適当な出動を可能にしていくべきじゃないかと具体的に私は申し上げたんです。
 大災害の決めは一つに決められはしませんでしょうけれども、大干ばつというふうな自然災害は、二週間や三週間世界各国がやっておるからといって、その出動といってもこれは間に合わない。行ったら帰ることになって、二百七十名行って帰るのにも大変な経費と大変な労力が要る。少なくとも四カ月以上の大災害というものに対しての対応があるべきじゃないか。そして、それ以下のところは今日までの皆さんのその民間の方々も必要である。区別つけてつけられるものじゃなくして、人を救助するということを考えればそういう立て方もいかがなものかと。防衛庁長官はそれに対して、先生の御指摘どおりだ、こうおっしゃる。
 ところが、今答弁を聞いておりますと、外務大臣が必要と認めた場合の第一項に、特に大規模かつ組織的な援助活動が必要といって第一番の定義になっているんです、これ。大災害というふうなものをそういうふうに想定して、ところが行かれようとするのは大体世界は二、三週間でございますから、行って帰りますと。全然これは合わないんです。こういうところに対してはいかがなお考えか、差異によってこうなったんでしょうか。
#117
○国務大臣(宮下創平君) 委員御指摘のように、外務大臣が特に必要と認める場合は、まさに特に大規模かつ継続的な援助活動が必要である。そして、在来型と申しますか従来型の国際緊急援助隊で十分な対応が困難である場合にこれを派遣するという建前になっておりますので、今たしか防衛局長、数週間というように申されたと存じますけれども、これは実態に応じまして、せっかく派遣してもその目的を達しないで帰るようなことがあってはこれは何の意味もないことでございますから、十分その目的、機能が達成できるようなそういう派遣を機能的に考えてすべきものだ、このように思います。
 ただ一概に、何カ月かというようなことは、ケース・バイ・ケースによりましょう。それに応じまして有効な国際緊急援助隊としての自衛隊の機能が果たせるようにはぜひともいたしたい、こう思っております。
#118
○常松克安君 では、そこで大きく修正をされたと、このように承っておきましてよろしゅうございましょうか。
#119
○国務大臣(宮下創平君) これは具体的な想定がどうあるべきかという前提の議論でございますから、私どもとしては幅を持って有効に任務が遂行し、機能が十分果たせるようにしたいということを申し上げたわけでありまして、表現上異なっていたとすれば修正とおとりになっていただいても結構でございますが、実態的に法の趣旨に基づいてやりたいということでございます。
#120
○常松克安君 私は言葉じりをどうのこうので申し上げているんじゃない。
 この次に入りますけれども、大体WHOでは、これだけの災害のときには健康を保つための医薬品、医療資機材はこういうものだと教科書がびしっとできておるんです。それを、向こうへ行ってから二、三週間様子を見て、ケース・バイ・ケースでもうちょっとおらなあかんのかな、それだったらおろうか、そんな簡単なものじゃないのでございます。特に大災害、自然災害といいますのはそうそう最初からケース・バイ・ケースという分類の仕方ではなくして、今日までの過去の実績は全部コンピューターに入れてはっきりなっているわけでございます。
 でありまするから、そういうふうな問題を特に研究、研さんなされまして、ここにあります特に大規模かつ組織的な援助活動、大災害ということを明記していらっしゃるものですから、これは今までの民間の方々では少し手が届きかねる。ですから、皆さんの方で自己完結型ということも相まってやはり出動ということが求められているのじゃなかろうか。そういうようにはっきりした自覚を持っていただきたいわけなんです。
 次に入ります。
 次は、それに対する医療活動の能力といいますか、これは少なくともPKOの医療活動じゃなくして緊急援助隊に対しては、医官がどう、あるいは看護士が五十、あるいは自己完結型を合わすと二百七十名ということを明確にされたわけであります。明確にされた上についての御説明を願いたい。能力をお願いします。
#121
○政府委員(畠山蕃君) 能力というお尋ねでございますけれども、この検討のスキームといたしましては、先ほど申しましたように医官二十名、それから看護士等の五十名を含め七十名が中心で、あとはそのサポートということでございますが、まず緊急医療の、これは軽易な手術、後送処置といったようなことを行う班におきましては、一日に大体五十名を処置するという能力を想定いたしております。それから処置班、これは傷病の程度の判別とかあるいは最小限の応急処置といったようなことでございますけれども、想定しておりますのは、一日大体二百名を処置するといったようなことを想定いたしておりまして、それらの医療処置に対するすべての後方支援面を積み上げますと先ほど申し上げました二百七十名ということで、かなりの対応ができるものかなと考えている次第でございます。
#122
○常松克安君 当然まだまだこれからいろんな研究をするわけですから、ここでいろんな論議をして、要請だとかあるいは内容については変更、これはあってしかるべき、当然であります。しかしながら、今一応世界で流れておりますWHOの教科書を見ますと、一万人人口がある、その方々が医療あるいは健康を維持するために三カ月間にわたってこれだけの医薬品、医療資機材が必要だと、これは明確にしてあるわけであります。
 これにつきまして、今まで民間でおやりになっていらっしゃるのは、編成はドクターが三名でナースが六名で補助員が三名、十二名が医療チームの編成でございます。ところが、なぜこんな数字が、少ないから、そんな雑駁じゃないんです。そういう方々に対しては、きちっとあくまで入院患者が三十名、一日外来が百名としていろいろ過去の実績を反省し討議し直して、そうしてここで確立したもので医薬品なり医療資機材というものを確定してきているわけでございます。
 でありますから、今申されました五十名あるいは傷病いかんによっては二百名、いろいろございましょうけれども、少なくとも医官というのが二十名としますと、この倍近い問題であります。倍近い問題でありますが、今言いましたように、くどいようでございますけれども、そういう経験を踏まえずに何でもかんでも完全無欠という自衛隊の精神からいって、全部だあっと行ってしまって向こうの方で逆に邪魔になってしまうような、交通整理を受けなきゃならないような、こういうことではせっかくの苦労というものがこれではむだ。になってしまう。こういうことをあわせて研究の中に十二分に入れておくべきだ、こういうように思うわけであります。
 じゃもう一度。一番心配しますのは、先ほど言いましたように、今日まで緊援につきましては、伝統的に二十四時間以内の出動というものが世界のこういう医療団から認識、評価されている実績なのでありますけれども、さて二百七十名の方がだからといってこれに縛られてしまったら大変な御苦労がかかるな、こういうように思いますし、やはりやるからには一刻も早い方がいいし、この辺のところを二十四時間以内の出動が果たしてどういうふうに可能なのか、お考えなのか、確認をしておきたいと存じます。
#123
○政府委員(畠山蕃君) 出発準備を前倒しで行いまして、まず先遣隊を派遣することを考えております。これは、医官約五名というふうに想定を現段階ではいたしておりますけれども、それと医療補佐をするために必要となる先ほどの衛生技術者、これを含みまして先遣隊約七十名という規模で、これは緊急に対応しなきゃなりませんし、またある程度それが可能であろうというふうに思っておるところでございます。それから、追いかけまして先ほどの規模のものが後方支援体制のフルなものを備えて追いかけて現地に赴く、こういうことを考えているところでございます。
#124
○常松克安君 もう一つやはりそのときに大事なことは、あちらへ参りまして、交通も遮断されており、いろんなことがございます。救急車及び救急ヘリの出動はこの計画立案の中には入っておるんでしょうか。いかがでしょうか。
#125
○政府委員(畠山蕃君) 救急車は必要だということで想定をさせていただいております。救急ヘリにつきましては、ただいま申し上げました人数規模という中には想定に入っておりませんけれども、必要に応じHU1Hというヘリコプターを使うこともあり得べしというふうに考えておりまして、その場合には後方支援体制のさらなる拡充が必要がなというふうに思います。
#126
○常松克安君 では、最終段階に向かいましたので、ここで隊員の方々がそういう法に基づいて業務に参加していただくわけでありまするが、この隊員が海外に行かれる場合の身分でございますが、やはり大事なとうとい我々の国民の同胞が汗をかいていただくわけであります。そうした場合の外交特権というものは与えられているんでしょうか。
#127
○政府委員(柳井俊二君) お尋ねの点が国連の平和維持活動ということでございました場合には、国連事務局が作成いたしましたモデル地位協定というのがございます。その中に含まれております考え方が非常に参考になると存じます。あくまでもモデル協定でございますから、このとおりになるかどうかという点は確定的には申し上げられませんけれども、一応参考になると思います。
 国連といわゆる受け入れ国との間で締結される地位協定におきまして、このモデル案によりますと、一定の、私どもこれを特権・免除と申しておりますが、これが認められるという考え方でございます。
 時間の関係がございますので余り詳しくは申し上げませんけれども、要点だけかいつまんで申し上げますと、PKOのすべての構成員は、公的な資格で行いました行動につきましては、その受け入れ国で訴訟手続を免除されるという考え方でございます。これは刑事、民事、両方でございます。
 それから、PKOの軍事部門の軍事構成員につきましては、派遣国の専属的な裁判権に属するという考え方でございます。これは刑事犯罪についてでございます。
 それからさらに、このモデルによりますと、例えば国連の特別代表でございますとかあるいはPKOの軍事部門の司令官、そういったような方々はより手厚い特権・免除を与えられまして、端的に申しますと、その場合には外交使節と同じ特権・免除を受けるということでございます。
 それから最後に、軍事監視員あるいはいわゆる文民警察官及び国連の特別代表司令官が特に通報する文民の方々はいわゆる国連の専門家ということになりまして、これは別途、国連の特権及び免除に関する条約というのがございます。我が国等多数の国がこれに入っておりますが、そこで認められる専門家の特権・免除というものが認められることになっております。
 大体そういうような考え方でございまして、これらの考え方が参考になると思います。
#128
○常松克安君 じゃいま一つ、過去にやはりこういう方々に参加していただいて現地で事故に遭った場合、この事故も過去の例から見ますと一番多いのは、現場へ行かれての交通事故、こういうのがあります。私は、一番ひっかかりますのは、とうとい医官、一体それの業務の地域指定はどこだと聞きましたのは、普通の方々の地域指定はある程度、面だとか線だとか点が明確に今まで論議があるんですが、人道的援助となると、もうけんかした同士があっちへ行きこっちへ行きして、ありとあらゆるところへ飛んでいかなきゃならないような、非常にこれまた業務の地域指定をはっきりしてあげないと人命が、とうとい医官が一人でも拉致されることがあったら大変なことだ。こういうような気持ちからして、事故に遭った場合の処理に当たって捜査権だとか司法権はどういうふうにガードができるようになっているんでしょうか。
#129
○政府委員(柳井俊二君) 先ほど申し上げましたのはPKOの場合でございまして、PKOの場合には、国連がいわゆる地位協定というようなものを受け入れ国との間で締結して、そして派遣国は国連との間で締結する派遣取り決めを通じましてこのような特権・免除を受けるわけでございます。ただ、これはそのまま人道的な国際救援活動に適用されるというものではございません。
 そこで、人道的な国際救援活動につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたような問題がございますので、これらの派遣に当たりまして、個々のケースに応じて受け入れ国との間で必要に応じて話し合っていくということが必要であろうと思います。ただ、一般的に適用になるようなモデル協定というものはございません。そこで、先ほど申し上げたようなことが一つの参考にはなると思います。
 それから軍人が、日本の場合には自衛隊員ということになりますが、外国にその国の同意を得て受け入れられるという場合には、これも一般的な原則があるとまでは申せませんけれども、ただ多くの場合、一定の特権・免除が認められる、これは話し合いの上で認められるということが多うございます。
#130
○常松克安君 では本日は、私は一応貢献というものを医療を中心にして考え、あるいは論議をしてまいったようなわけでありまするが、我が国の国際貢献は金の面では世界のトップクラスとなっておりますが、人の面では極めて不十分な状態にとどまっていると認めざるを得ません。
 このような認識のもとで、私たちは、我が国の平和憲法の枠のもとで国連の平和維持活動に対して人的貢献を積極的に進めていくべきであり、このため法的枠組みを早急に整備する必要があろうと考えております。特に、カンボジア和平への協力が強く求められている現状をかんがみるとき、今国会においてぜひともPKO法案の成立を図らなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
 これに対する主管でありまする外務大臣の考え、後ほどまた総理、簡潔なおまとめの御意見をちょうだいしたいと思います、
#131
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生からは、非常に現実的で、実務的で、具体的で、建設的な御意見をちょうだいしました。
 この前のときに、飛行機の中での事故について我々が気がつかないような話を随分教えられましたが、今回もなるほどというようなことが多くて大変参考になりました。
 その上で、さらにこの法案の成立についての御意思を御発表いただきまして、御礼を申し上げます。本当に、御趣旨に沿うようにさらに一層勉強させまして、いざというときに手違いの起きないようにやらせたいと存じます。ありがとうございました。
#132
○国務大臣(宮澤喜一君) 本日は、医療を中心に非常に具体的な点にまで入りましていろいろお尋ねがございまして、私ども、蒙を開かれた思いでございます。
 この法律を運用することになりました場合には、十分御指摘の点を注意してまいりたいと思います。
#133
○常松克安君 以上、終わります。
#134
○吉川春子君 質問します。
 今政府は、カンボジア問題を利用してPKO法案の成立をもくろんでおりますけれども、そしてまた自衛隊海外派遣の突破口にしようとしておりますけれども、これは許されないことです。その最たるものがカンボジアの地雷除去、処理問題です。
 本委員会でも議論されましたけれども、特定通常兵器条約の議定書Vの七条から九条には地雷は紛争当事者が除去することになっておりまして、午前中の外務省の答弁では、カンボジアは締約国でないからこの条約の義務はないなどとおかしな答弁もありましたけれども、それではUNTACはどうなっているか、地雷処理について伺いたいと思います。
 一九九一年十月二十三日締結されたいわゆるパリ協定では、附属書一の「UNTACの権限」、「C節 軍事的機能」の(a)には、「地雷の除去の援助並びに地雷の除去に係る訓練計画及び地雷に関する意識向上に係る計画のガンボディア人の間における実施」を規定しています。
 また、附属書二には「第九条 不発弾薬類」の三には、「UNTACは、爆発物を認識し及び回避するための大衆に対する教育計画を実施する。」、それから「不発弾薬類を処理するためのガンボディア人の志願者を訓練する。」、それから「ガンボディア人の志願者に対する緊急の応急医療訓練を提供する。」とある。
 このようにUNTACの軍事部門の工兵隊がこれに当たりますけれども、本協定によれば、UNTACはあくまで地雷撤去に関する教育訓練、援助が基本任務であり、直接地雷を処理することではない、これがバリ協定ではありませんか。
#135
○政府委員(丹波實君) パリ協定におきましては、先生おっしゃいますとおりUNTACは地雷の除去の援助、横文字で恐縮ですけれども、当該箇所はアシスト・ウィズ・クリアリング・マインズというふうになっておりますけれども、そこには後で戻るといたしまして、地雷の除去の援助、カンボジア人に対する地雷除去のための訓練計画及び地雷に関する意識向上計画を実施することとなっております。これは先生がおっしゃいましたとおり、附属喜一のC節第一項の(e)、それに加えてまたカンボジア各派は地雷除去のためのチームを提供する、こういうふうになっておるわけです。
 他方、UNTACの先遣ミッションとして派遣されましたUNAMICにつきましては、任務の一環として地雷除去のための地雷啓蒙計画策定のための勧告提出を行うこととされておりましたけれども、それだけでは足りないということで、ことしの一月に安保理決議がありましてUNAMICに対してマンデートが拡大されまして、地雷除去のための訓練の実施及び地雷の除去計画の実施をも任務として付与した。それを受けてUNAMICが、御承知のとおりタイの軍人さん七百名でございますか、の助けをかりながらUNAMICとしての地雷除去活動を行いまして、それが三月十五日、UNTACに引き継がれてUNTACの地雷除去の作業が行われておるというととでございます。
 結論的に申し上げまして、先生が問題にしておりますのは、UNTACは地雷除去の任務を持っていないのではないかと、恐らくそこだと思いますが、このアシスト・ウィズ・クリアリング・マインズというのは単に地雷除去の援助をするだけだと読む必要はないわけでございまして、まさにみずから地雷除去をすることも可能である。ただ、UNAMICは先遣隊として行ったものですからそういう任務を持っていなかった、それを安保理が後で与えた。UNTACにつきましては、最初からそういう任務というのはあり得たというのが私たちの解釈でございます。
#136
○吉川春子君 パリ協定を素直に読めばそういうことは出てこないんです。そして、今丹波さんが問題にされましたUNAMICに対する権限付与は、よく聞いてください、地雷除去に対する援助の提供を承認すると。追加任務を与えましたが、その前に、カンボジア人による地雷除去に対する援助の提供、こうなっているんですよ。だから、バリ協定の範囲をオーバーしてUNAMICに与えた、だからそれがUNTACで引き続きできるなんというのは、これはそういうふうには読めないことは明らかです。
 それで、パリ協定を受けた国連事務総長報告でも、UNTACの軍事部門の工兵隊が地雷のプログラムを継続し拡大する、それから回避するための大衆プログラムを実施する、そしてカンボジア人による地雷撤去に援助を与えることだ、こういうふうになっているわけなんですね。タイの工兵隊が地雷除去を行っていますけれども、これは御存じでしょうが、今はタイ領内ですよ、カンボジア領内では地雷除去をやっていませんし。
 それからもう一つは、UNTACの避難民の帰還部門が難民や避難民の移動を行う際に、その安全を確保するために、タイの工兵隊が避難民の帰還経路について必要な援助を、これは協定の附属書の二の十二にありますけれども、行っているものなんですね。
 だから、自衛隊がPKOに参加して地雷除去を行うかのような、そして地雷でけがをされたお気の毒な方がテレビの生々しい映像にも映されていますので、そういうところへ自衛隊を送って何かやれるんだと、そういうようなことはパリ協定やSG報告からいっても論外なんですよね。どうですか、外務大臣に伺いたいと思います。丹波さんはもういいんです、もうわかりましたので、外務大臣にお伺いします。
#137
○政府委員(丹波實君) 大臣の前に事実関係を申し上げさせていただきたいと思います。
 そういうタイの軍人さんを使った地雷除去作業というのは一方でありますが、今後の考え方としては、先般もこの委員会で御説明申し上げましたけれどもカンボジア・マイン・アクション・センター、カンボジア地雷対策センターというものがつくられまして、これをもとにカンボジア人を訓練し、カンボジア人として処理していくための考え方が現在出てきておる。これはきょうまで滞在しておりました明石さんの説明によりましても、地雷の撤去は今後十カ国から二十名ずつの専門家を連れてきまして、地雷除去の訓練をカンボジア人に教える、ことしの目標は五千名である、今日まで訓練をニュージーランド、イギリス、パキスタン、豪州などが既に行っておるということを言っておるわけです。
 他方におきまして、現在、一説ではカンボジアに百万から四百万の地雷があるということでございますので、当面の計画はこういうぐあいな計画でございますけれども、今後、事態の変更によってはあるいは外国に依頼されるかもしれません。その問題は将来の問題としてわかりませんということを申し上げた次第でございます。
#138
○国務大臣(渡辺美智雄君) 法的解釈などは国連局長が言ったとおりでございます。
 ただ私は、カンボジア人の子供や何かが地雷にみすみす足を飛ばされることはやむを得ないと、そうは割り切るわけにはいかないのであって、やはりできることであれば、人道的な立場から、そういう専門家がおって地雷があるところを探してやって除去してやる、そういうことが私は憲法の精神に沿うのじゃないか、そう思っております。
#139
○吉川春子君 パリ協定とかSG報告とか、そういうものの原則はどうなっているかということをさておいて、そして何かあたかもそれは、外務大臣が非常に上手におっしゃったけれども、目の前に地雷があるのに除去しないで通れるかと。そういうことはあるにしても、タイの工兵隊もまさにそういうことをやっているかもしれませんが、タイの領土内でですよ。しかし実際に私は、バリ協定の基本はそうだということを今示したわけで、それは否定されませんでした。
 防衛庁長官、要するに、そういうふうに詰めると、今度丹波さんは、いや訓練をするためにお手伝いをしますと、こうきたわけですね。
 それでその次に伺いますけれども、四月十四日の衆議院の安保特で高島参事官は、対人地雷、戦車地雷といった大別して二つの種類があると言われている。カンボジアでも非常に独特なものとして木製地雷があると述べて、その詳細については必ずしも明確に承知していないと言っておられます。そして長官御自身も、自衛隊が直ちに地雷除去ができるという性質のものではない、訓練も重ねなければならないし、どういう地雷があるか、対処方法も研究していかなきゃならない、こういうふうに答弁しておられるわけです。だから今の時点で、どんな地雷が敷設されているかわからない、詳細に知らない、対処方法もこれから研究すると。それで、UNTACは来年の六月まででしょう。そういうことで、自衛隊がこれから研究して地雷除去についてカンボジア人に対して訓練、指導などどうしてできるんですか、そんな早い期間に。
#140
○国務大臣(宮下創平君) この法案三条三号二に、放棄された武器の収集、保管または処分が可能であると平和協力業務として規定をされておるわけでございまして、私どもはこれは今後の平和活動の、PKFの活動の一つとして列記されたものであると理解しております。具体的に今度はカンボジアでどうかというお話でございますが、これは国連から要請があり、それで我が国が必要と認めて、実施計画ないし実施要領等によりましてどのような任務を付与され、また機能を果たすべきかということが決定して初めて具体的に自衛隊の任務が決まるわけでございます、形式的に申しまして。
 ただし、私が申し上げたのは、これは今委員がいろいろ議定書のあり方その他について言及をされました。率直に言って私どもも、それがどういうことを意味するか、国連局長の言われるとおりだと存じますが、センターにおける指導等は私は可能だと思います。
 それはつまりどういうことかと申しますと、我が自衛隊は専守防衛の立場ではございますが、この抑止力としての本土における状況のもとで地雷除去その他の訓練もいたしておりますから、限られた範囲内ではございます、あるいは限られた能力ではございますけれども、十分そういうところで指導的な立場をとることも可能でありますし、また現実に地雷があった場合に、それが国連の要請であり、そしてUNTACの希望するところであれば、我が自衛隊もこれに即応して対応しなければならないという視点から物を申し上げたわけでございます。
#141
○吉川春子君 私は、この点で総理にぜひ御見解をお伺いしたいんですが、今の論議のような経過でバリ協定や国連事務総長報告が基本的にどうなっているかということはおわかりいただけたと思います。そして実際上、自衛隊がカンボジアに何百万か埋まっている地雷を掘って、そしてそれを処理するというようなことは、このUNTACの任務上からもあれだし能力上からもできない。しかし、訓練ならばそのうちできるんじゃないかというのが今の防衛庁長官のお話でしたけれども、あたかも、こういう大変お気の毒な今のカンボジアの状態で、自衛隊が行って地雷を掘ってそしてそれを処理して貢献するんだというような雰囲気を漠然とばらまいて、そして自衛隊を何とかカンボジアに送るべきだ、こういうような立場での宣伝というのは私は政府としてやるべきじゃないんじゃないか。
 それから、きのうも明石さんがおっしゃっていましたけれども、クメール・ルージュは現在まだ地雷を埋めているわけなんですね。そういう報告を受けている。そうすると、これは放棄された武器というふうにも言えないわけなんです。そうなると、まだかなり非常に微妙な問題になります。これは武力行使の問題と絡みますのできょうは触れませんけれども、地雷の処理というのはそれぐらい微妙な問題なわけなんですね。それを何となく雰囲気的に、できるんだ、だから自衛隊を送るんだ、こういうような宣伝の材料にだけは私は自民党・政府に使っていただきたくない。その点についての総理の御見解をお伺いしたいと思います。
#142
○国務大臣(宮澤喜一君) バリ条約のことを、まず私は詳しい専門家でございませんですけれども、地雷を除去するために自衛隊をだから送るんだというようなことを申し上げていることは決してありませんで、この法律の目的を達成するために自衛隊が参りましたときに、そういう問題が生まれた場合に臨機にどういう処理をするのか、どういう訓練をすることができるかということについてお答えをしているのだというふうに私は問答を伺っておりました。
#143
○吉川春子君 防衛庁長官、またお伺いいたします。
 四月十四日の衆議院の安保委員会で長官が、「PKFが凍結されるということは、あそこで十数項目掲げられている前半の数項目が行えないということでこ地雷が「廃棄された兵器の処理というものにずばり当たりませんので、この処理は行い得ない」、こういうふうにおっしゃっておられます。
 地雷の問題離れていいんですけれども、PKFの定義について防衛庁長官はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、伺います。
#144
○国務大臣(宮下創平君) 国連の定義につきましてはあるいは国連局長から正確な御答弁をいただいた方がよろしいかと思いますけれども、今御提案申し上げている法律案で申しますと、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へというところまでをいわゆるPKFと私どもは呼んでおりまして、この中に今委員の御指摘の地雷の、廃棄された機材の処理ということが掲げられておるわけでございまして、このことを私は申し上げたわけでございます。
#145
○吉川春子君 そうしますと、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へまでで、レはどうですか、レは含まれますか。
#146
○国務大臣(宮下創平君) 今私の申し上げた点、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へまでを言ったと思うんですが、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、への六項目ですね。
#147
○吉川春子君 レはどうですか。
#148
○国務大臣(宮下創平君) レは、これは入ります。これは、レはすべての項目、イからタまでに掲げる業務に準ずるものとして法令で定めることが可能でございますから、全部にかかるわけでございます。
#149
○吉川春子君 そうしますと、国民に説明する場合に、イ、ロ、ハ、ニ、ホ、へとレだ、こういう言い方でわかりにくいんですが、これをもうちょっとわかりやすい日本語で定義するとどういうことになりましょうか。
#150
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生、PKFとは何かということに関連して法案との関連での御質問でございますけれども、このPKFということにつきましては、これは国際連合局長が明らかにしている点でもございますけれども、必ずしも国際的にはっきりした定義があるわけではございません。いろんな意味で使われている面がございまして、私も答弁でかつて使わさせていただきました一つの考え方といたしまして次のような点を指摘させていただいたことがございます。
 イから何とかということじゃなくてということでございますけれども、武装解除の監視とかあるいは駐留、巡回、検問、放棄された武器の処分等、歩兵部隊等によって行われる、こういったいわゆるPKFの本体の業務という、これが先ほど法案で三条三号のイからへ及びそれに関連してレというところで規定されている業務と、それから、そういった活動を支援する輸送とか通信等の業務で輸送部隊あるいは通信部隊等で行われるものと、そういった整理ができるんではないか。今、イとかへとかということじゃないということで、どういうふうに言ったらいいのかという御質問でございますので、そういうふうにお答え申し上げます。
#151
○吉川春子君 随分長い定義でわかりにくかったんですが、そうすると、PKOのどういう性格を持つオペレーションといいますか、それをPKFだというふうに言われるんですか。
#152
○政府委員(丹波實君) 簡単に御説明申し上げます。
 前にも当委員会で御説明申し上げましたけれども、国際法上あるいは国連憲章上あるいはその他の条約上、PKOあるいはPKFというものについての条文的な定義は存在しておりません。PKOは、そもそも御承知のとおり歴史的にプラクティスといいますか、慣行を通じてできてきたものでございまして、何がPKOであり、何がPKFであり、何が監視団であるかということについてのはっきりした定義はない。
 先般、立木先生が「ブルーヘルメット」を引用になりまして、国連のPKOは大きく言って、これはそのままその部分を読んでいるわけですが、原則として非武装の将校からなる監視団、それから必要な後方支援要員を擁する軽武装の歩兵部隊から成るPKFに区分されるという表現は、確かに「ブルーヘルメット」にございます。しかしながら、すぐその後に、しかし、これらの区分も完璧というわけではないということが「ブルーヘルメット」に書かれておるわけでございまして、まさにそういう定義は存在していない。
 そこで、先生の御質問に入りますが、PKFとは何かという場合、昨日の明石代表の発言の中にもにじみ出ておりますけれども、明石代表の場合には歩兵部隊の行う活動をとらえてPKFと従来言っておられます。しかし、それに加えて工兵隊、あるいは通信、輸送、そういう軍事要員が行う活動を全部含めてPKF活動と言われる方もございます。そういう意味で人によって使い方も違っておるということを申し上げた次第でございます。
#153
○吉川春子君 とにかくPKFというものは定義がないんだということでした。
 外務大臣にお伺いします。
 五月九日の静岡県内での講演で、大臣は、兵力引き離し、武器回収、武装解除などおっかなくてできないというなら当分やらなくても構わないと述べて、平和維持軍、PKF本体への参加凍結に柔軟に対応する考えを示したと、これは報道で拝見いたしました。確かに、今丹波さんが言われたように、国連文書SOPでもPKOの概念の中にもPKFが含まれますから、両者は混然一体となっておって分けられないものなんですね。にもかかわらず、PKFを切り離してこれを凍結してもいい、こういうふうにおっしゃる大臣の意図、何であえて二つを分けるのか、その点について御説明いただきたいと思います。
#154
○政府委員(丹波實君) ちょっとその前に事実関係だけ、委員長の御指名を得ましたので。
 先ほど申し上げましたとおり、人によってPKFという言葉の意味を違って使っておられる、日本の国会におきまして衆議院の段階で、そのイからへまでの活動を自衛隊が隊として行うところにつきまして、二年後の延長を国会の承認の対象にする修正が行われました。そういう意味で、あれは日本の国会の中におきましてはあの部分がPKFだという、恐らくそういうお考えだったんであろうと私は推測いたしておりますけれども、そういう使い方もあるんではないかという趣旨で御説明申し上げた次第でございます。
#155
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、法案の修正について言ったわけじゃないのでありまして、要するにPKO活動を営むに当たって、いわゆるPKFと言われる部分とそうでない部分と、やや分離、ほとんど、完全かどうかは知らぬけれども、分離をされているわけです、この法案上。したがって、まだなれない日本国民も、少しあなたのように不安を持っている人もいることは事実ですから、ですから後方支援のようなトからレに至るような部分を、法案からいえば難民の救済とか、それから選挙の監視とか、あるいは警察事務に関する助言とか指導とか、それから輸送、保管、通信、建設、機械の取りつけ、検査、修理、こういうようなものを先にやる、こういうことでもいいのじゃなかろうか。法案は通っても、まずはだんだん青葉マークで運転になれることが大切でありますから、そういう意味で私は申し上げたわけです。
#156
○吉川春子君 そうしますと、イからへとおっしゃりながら、停戦監視団には参加してもいいというようなことをおっしゃいますが、そこの中で停戦監視団だけ区別する理由はどういうところにあるんですか。
#157
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは個人で参加するというふうな意味です。
#158
○吉川春子君 部隊で参加するのが悪いとなれば、ト、チ、リ以降も全部部隊で参加できるんですから、そっちもじゃ凍結される方がいいということですね。部隊で参加しない方がいいということになりませんか。
#159
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、法律上の問題は条約局長から聞いてもらえばいいですが、こんなことは常識問題なんですよ、大体が。だから私は、大体、一応基礎の法律がもちろん必要でありますが、その運用に当たっては法律の範囲内で常識的に運用したらいいということを言っているんです。
#160
○吉川春子君 PKOあるいはUNTACにおいて、そうしますと、前方とか後方とか、前線とか後方とか、こういうふうに分けられるものなんでしょうか。
#161
○政府委員(丹波實君) 先生のおっしゃっておられる意味がわかりませんけれども前方というのが狭い意味でのPKFを指しておられるんであれば、これは先ほど申しましたとおり歩兵部隊が活動しておる分野、それを指しておって、それ以外のものは後方と、こういうことに分類されるんではないかと思います。
#162
○吉川春子君 PKOとPKFは分けられないとか、定義が人によって違うとかさんざん説明しておいて、そして、じゃ前方と後方、前線と後方の区別はそういうふうにおっしゃるというのは、もう全然答弁になっていないと思うんですよ。
 例えば、じゃUNTACにおいて前方、後方というふうに分けるとしたら、どの部分が前方で、どの部分が後方なのか、このSG報告に基づいてちょっとおっしゃってください。
#163
○政府委員(丹波實君) SG報告に基づいて御説明申し上げます。
 SG報告の特にパラ九〇というところに、UNTACの歩兵部隊その他の軍事要員の展開ぶりが詳細に規定されておりますので、若干長目になって恐縮でございますが、正確に御説明申し上げます。
 このパラ九〇によりますと、カンボジア全土を九つのセクターに分けまして、各セクターは歩兵部隊と軍事監視団を有するとともに、これら歩兵部隊及び軍事監視団が適当な工兵、航空、通信、医療及び兵たん支援部隊によって支援されることとなっている。そういう意味で、歩兵部隊と軍事監視団があって、その背後に工兵、航空、通信、医療及び兵たんが支援部隊として存在しておると。
 なお、九つのセクターのうち七つのセクターにおいては各一大隊が配属され、二つのセクターにおいては各二大隊が配属される、これで十一になります。残りの一大隊がプノンペンに存在する。こういうことでございます。各セクターには一ないしは二の、今申し上げたような歩兵大隊が配備されることとなりますが、これを支援する工兵以下の支援部隊も同時にセットとして配備されるというふうに字面で読めますが、例えば航空部隊につきまして、それじゃ七つのセクターに全部飛行場があるかというと、恐らくないんだろうと思います。そういう意味では、歩兵大隊と工兵、航空、通信、医療といったものがどのような組み合わせで存在しているかというのは、現地に調査団でも出して現場で調べなければなかなかわからないんではないかというふうに考えます。
#164
○吉川春子君 今、丹波さんがお読みになりましたところに、その少し前にこういうふうに書いてありますね。UNTACの軍事部門は活動目的のためカンボジアを九つの区に区分される。そしておのおのの管区には、九つの管区には歩兵要員と軍事監視団の割り当てを受けて、そして工兵とか航空、通信、衛生、兵たん、こういうものが配備されるわけですね。そして、不可分の第一線及び第二線の支援をそれぞれ持つ、こういうふうになっているわけですね。そうすると、その前の方と後の方というんじゃなくて、もうカンボジアを
九つに分けたら、そこに歩兵大隊とそれからそれぞれの兵たんやらその他の部隊が配備されるんですよ。それをどうやって前方と後方とを分けることができるんですか。できないと思うんですよね。
 それで、私は外務大臣に伺いますけれども、そういう刀NTACの軍事部門の配置になっておりますが、外務大臣が分ける分けないのその分かれ目というのは武力行使の有無、まあ武器使用と政府はおっしゃっていますけれども、それにかかわってPKFを分けていらっしゃるんじゃありませんか。
#165
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、法律を分けるということを言っていないんですよ。運用の部門で、要するに通常PKFと言われるようなところをとりあえず後回しにしたらいいじゃないかと言っているんですから、その接点というのは多少ぼけていますよ、それは。
 それはあらゆるケースを法律や規則できちっと縛るということは、言うべくしてこれはできないことが非常に多い。例えば税法だって同じことでして、いろいろともかく決めますが、政令があり省令があり通達があって決めますけれども、最後は税務署長の認めるところによるとか、あるいは関税法も同じであって、いろいろ規則絡みでやってもケース・バイ・ケースになるともう万に一つとか千に一つぐらいの問題がありますから、そういうものは税関長の認めるところによると。そんなのはみんな行政的にはそういうことは多いんですよ。
 したがって、こういうような問題につきましても極端に言うと完全に分けろと。例えば今言ったようにこれはもう常識の問題ですから、それは紛争が非常に多い、武器を持った人がまだおる、それを引き離しさせなきゃならぬというのはこれは前方に決まっていますわな。しかし、ある地域はもうほとんど武装解除を終わっちゃって、武装解除というかきちっと七割はもう全部出した、そして整然としているという地区はそれは後方地区だと言われたって、そういう見方もそれはもちろんありますよ。それから、兵たんだとか本部だとかというのは一番前線にあることはないんですから、いかなるときだって大体後にあるというのが普通なんですよ。
 しかし、そういうのは完全に安全だと思っておっても、たまたま武器が一丁そこに捨ててあったというようなことだってあるかもしらぬわけですね、それは。そういうときは、捨てたものは後方だからさわってもいけないというようなところまでいけるのかどうかと思うと、これは常識での話じゃないですかということを私は言ったんです。
#166
○吉川春子君 そうしますと、外務大臣、明確に法律上は分けられないで運用でということになりますと、もちろん政府が修正案をお出しになるわけじゃないんで、外務大臣があちこちでおっしゃっていることを前提に伺っているわけですが、そうしますと明確に法律上で線は引けないと、こういうことになるわけですね。常識でいくということですね。
#167
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは大体引けるんですよ。それは引けるんです。引けるんですが、今言ったような幾ら引いたってそういうような問題があることは間違いないと思うんです。税法でどんなに決めたって(「税法じゃない」と呼ぶ者あり)いやいや、税法だというのは、法律というのはそういうものなんです、実際行政やなんかやる場合においては。だから、それは要するに許容限度の範囲内かどうかという話ですから。そういうことは交通法にだって何だってありますよ。
#168
○吉川春子君 防衛庁長官に伺います。
 自衛隊で前線と後方という場合、どういうふうにそれぞれ定義づけるんですか。
#169
○国務大臣(宮下創平君) 私ども、正面と後方というようなことを予算上は使ったりいたします。これは正面装備のことを正面の場合は言います。これはいわば飛行機でありますとか戦車でありますとか、そういうものの装備体系を言います。後方というのは、原則的には隊員の宿舎あるいは隊舎または厚生施設等も主体にいたしますが、同時に弾薬の備蓄その他ですね、そういう訓練経費的なものも含んだものを予算上後方と言っておりまして、これは実際上の戦闘場面における前方後方とはちょっと趣を異にした予算上の概念でございます。
#170
○吉川春子君 PKOは戦争に行くんじゃない、平和になってから行くんだということを盛んにおっしゃられながら、しかし政府の説明は後方支援後方支援と、正面と分けて大分説明されますので、それで伺っているんですけれども、仮に巷間言われていますようにイからヘを凍結した場合にも、そのほかのト、チ、リ以降の自衛隊も参加する場合には部隊参加であり、武器を携行していくのであり、万一襲われたときはその武器の使用をする、そういうことには違いないんじゃありませんか。これは法律の説明として伺います。
#171
○国務大臣(宮下創平君) 用語はそれぞれの法律体系その他でその意味するところを異にすることはもう委員御承知のとおりでございますが、当法案に即して申し上げますと、先ほど来御議論のあります点は、一つのポイントは衆議院で修正が行われております。
 これは、「二年を経過する日を超えて引き続き」これが行われる場合に、行おうとする三十日前の日からその「国際平和協力業務を引き続き行うことにつき」国会の承認を得るという修正になっておりますが、その前文に、この「自衛隊の部隊等が行う国際平和協力業務であって第三条第三号イからへまでに掲げるもの又はこれらの業務に類するものとして同号レ」、さっき議論のございました「同号レの政令で定めるものについては」と、こういう主語がありまして、それを二年継続する場合には国会の承認を要するということになっております。この点は委員御承知かと思いますが、そういう分け方でございますから、ヌからタまで、そしてレで準ずるもの、これも武器使用については二十四条の武器使用の規定はもちろん適用になります。
#172
○吉川春子君 今の防衛庁長官の最後の一言を私は聞きたかったわけです。
 要するに、ト、チ、リは非軍事ですからヌ以下ですね。ヌからヨというのはPKFの凍結の場合もそれは除かれるんだというような御答弁でしたけれども、このヌからヨの医療とかその被災民の捜索とかその他に全部自衛隊が部隊として参加できるし、武器の携行はできるし、二十四条のその武器使用の規定も当てはまると。だから、結局変わらないわけですよ。
 それで、しかもPKO活動というのは正面と後方があるわけじゃない。前線と後方があるわけじゃなくて、さっきもカンボジアの例で示したように、全部九つのところに分けるわけですよ、前方と後方で分けるんじゃなくてね。そこに歩兵大隊から始まっていろんなものが全部付随してあるわけなんで、危険性ということではその歩兵部隊だけが危険でそのほかの部隊は安全だと、そういう分け方にはカンボジアの例をとってもならないし、PKOというものはそういうものなんです。
 だから、総理、最後に、もう時間が私なくなりましたが、こういうPKFをPKOから分けるというのはナンセンスじゃないかと思うんですが、その点についての御見解を伺って、私は終わりたいと思います。
#173
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは人道的な支援をする場合は危険というのはあるんですよ。それはお医者さんがエイズの患者を診たって危険があるんですから、伝染病の患者を診れば危険が全くないとは言えないのでね。だからといって、医者はそれはどうもこの患者は伝染病らしいから診てやらないというわけにもいかないわけでして、それは理屈の世界だけじゃなくて、もっと現実的に物事を考えて御議論をいただきたいと思います。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、法律の上ではこの第三条にイからへまで、それからレまでとずっと細かく分けておるわけでございますね。できるだけ法律上正確にするためにこういうふうに分類をしておるわけでありまして、それでも渡辺さんの言われますようにやはり何かが落ちますから、レのところでその「類するもの」というのを一つ置かざるを得なかった。「類するもの」というのでもはっきりしませんから、さらにその中で「政令で定める」とこうやっておりまして、法律としてはもうできるだけ正確を期しておるわけでございます。
#175
○吉川春子君 時間なので終わります。
#176
○井上哲夫君 私は、きょうは連合参議院の私どものPKO法案に対して当初から主張しておりました別組織の問題について、御出席の大臣にお話を伺いたいと思っております。
 いろいろ新聞を読ませていただくと、政府原案に対して、今論争がありましたいかなるところまでがFかどうかということはさておき、Fの凍結と国会承認を加味するというような修正案がいろいろ考えられておる、こういう新聞の報道がありました。私どもは、むしろ別組織についても考えていただきたいという気持ちを持っているものでございます。
 それで、これまでこの参議院のPKOの特別委員会で、私は宮澤総理を初め各担当の方に、どうして自衛隊が併任の形でPKO協力隊員になって出かけるのか、それ以外の方法はどうして考えられないのかということはお尋ねをしてまいりました。その都度お答えは、一つにはコスト、別の組織にすれば大きなお金が要るということがありました。もう一つは、PKOの業務というのはすこぶる軍事的な経験を持った人でないと務まらない側面が多い、さらに即応性あるいは自己完結能力、それに加えて自分で健康、身の安全を守る、そういう安全性を備えているのは実は自衛隊しかないんではないか、そういうことからこのようになりましたと、こういう御説明は受けております。
 きょうの午前中の質問には、須藤委員の御質問の中に、対案の社会党案といいますか、あるいはほかの人たちの考えの中には虫のいい話が多い、自衛隊の持っている能力あるいは経験を活用したいと言いながら、退職をした自衛隊の身分を離れた人でないと困ると言うけれども、それは大変身勝手な理屈ではないか、あるいは失礼なことではないかというふうなそういうお尋ねもありました。それに対して防衛庁長官は、身勝手、失礼ということではないけれどもと抑制的な表現を使われましたが、従来の直接の侵略あるいは間接の侵略に備えて国を守る、そういう実力部隊である自衛隊、一方では、今回派遣が問題になっているPKOの場合にはそうではなくて、一言で言えば弾を撃たない自衛隊を派遣するんだから、これは本来の自衛隊の任務とまた違う、こういうことをお話しになられた。
 大変私は書生論を展開するのかもしれませんが、全く自衛隊の任務が相異なるところに自衛隊のこれまで持っていた経験あるいは訓練によって得た能力を活用するのだとすれば、別の組織にしても本当はおかしくないんではないか、コスト論は今さておくとして。それを単に書生論とか甘いとか言えるのだろうか。
 これは、コスト論については、国の財政が本当に逼迫をしてこちらに別組織をつくることによって国の今後の経済が到底成り立っていかないということかどうかになりますと、国民一般はそのように受けとめていないと思うんです。大変身勝手な言い方をいたしますが、今私の地元三重県で盛んに論議をされています長良川河口ぜきの建設では実に千五百億円が使われる。それについて、必要ないじゃないか、いや必要だと。したがって、コスト論についても、私は別組織にしたから国の財政が大変逼迫してとんでもないことになるんだというような受けとめ方は実はしていないわけであります。
 さて、そこでひとつ具体的なお尋ねをまずいたしたいと思います。
 停戦監視団といいますか停戦監視員、これは個人参加である、そして将校クラスの人のする役割であると明石代表きのうおっしゃいましたように、なるべく多くの国の人が参加をしてくれればそれだけ参加をした国に矢を撃つということはできない。したがって、そういう意味で多くの方に参加を願う。その典型的なものが停戦監視員ではなかろうかと思うんですね。四十四人ぐらいを最高にしていると明石さんはおっしゃっていました。この停戦監視員四十四人を日本の自衛隊のいわば将校というクラスの人が行くときに、退職をして行っていただいて帰ってきて任務が終わったら復職することを考えることはなぜ政府としてできないんだろうか。
 実は、在外公館で戦前駐在武官と言われた防衛庁の制服の方は、今大体毎年三十余人ぐらい行ってみえると思うんですが、この方たちは、一たん防衛庁職員を退職されてそして外務省の職員になられる。防衛庁の身分は持つのかもしれませんが、外務省の任務を終えると防衛庁の職員として再雇用といいますか再就職をされて、そして勤められてみえる。(「嫌だ」と呼ぶ者あり)そういうことは失礼じゃないか、あるいは士気にかかわることだとおっしゃいます。今もちょっと「嫌だ」という言葉が出ましたが、しかし現職でない自衛官の方の中には、それは結構なことだと私におっしゃる方も多いんですね。
 公務員あるいは企業に勤めてみえる現職の方はやはり勤め大事で、そんな社長の意に沿わないことを言ったらこれは嫌だからやめておこう、あるいは上官の意に沿わないことは言えないと。しかし、おなかの中ではどう思っているんだろうか。そうすると、退職された自衛隊のかなり上のクラスの方が、私がお会いすると、いやいやそれはそういうふうにしてもらって行くというのは何もおかしくないですよということをおっしゃる方は現実にいるんですよね。
 そういうことを考えますと、具体的にまず停戦監視員に仮に四十四名の方を自衛隊で出す場合に、退職をされてという在外公館における駐在武官と戦前言われていた人たちと同じような処遇はできないのか、あるいはやるつもりがないからできないのか、その辺のことについてお伺いをしたいと思います。これは私は政治的な立場でお話を聞こうと思っておりますので、防衛庁長官にお願いをいたしたいと思います。
#177
○政府委員(野村一成君) 事実関係だけちょっと御説明させていただきます。
 ただいま先生、停戦監視団についての御質問でございますが、現実問題としてこのPKOの中におきます停戦監視団、軍人によって構成されてきた沿革がございまして、国連も軍人の資格を有する者の派遣を求めているということからいたしまして、我が国としましてこれらの業務に参加しようとしますれば、国際法上軍人の資格を有する者といたしましては自衛官だけでございます。したがいまして、退職した自衛官の参加ということによっては対応はできないと考えます。
 今御指摘の出向の防衛駐在官の場合でございますが、防衛駐在官は基本的には防衛庁より外務省に出向した外務事務官でございます。職務遂行を容易ならしめるため自衛官の身分を兼ねさせている者でございますけれども、在外公館に勤務して外交使節団としての任務を遂行する、そういう趣旨からいたしましても停戦監視団に参加するということは困難であり、かつ不適当であるというふうに、そういうふうな基本的な考え方がございます。
#178
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは我々がこの法案で考えているのは、停戦監視だけをしようというわけじゃないんですから、そのほかに今カンボジアの例を出せば難民の救済もあるし、それからいろんな復興事業、輸送とか通信とか建設とか、そういう事業もいっぱいあるわけでして、そういうものをみんなできるだけ多くやれるものは協力しようといってこの法案をつくってあるんです。
#179
○井上哲夫君 それじゃ、別にこれ売り言葉に買い言葉ではございませんが、ついでに質問をしたいと思います。
 この外務省からいただいた資料の中に、「国連平和維持活動における文民の活用 一九九〇年九月十八日付事務総長報告書要約(A/45/502)」、この資料の中に、軍人でなくても文民で実行し得る任務は以下のとおりと。原文は英語ですが、訳文を見ますと、「(a)医療 (b)同空輸 (c)内陸輸送 (d)食糧 (e)基幹施設の建設 (f)駐留地の運営・維持 (g)通信設備 (h)供給施設の敷設、上水道・貯水、下水処理、電気、飛行場、道路、舗装
 (i)土木工学、電気工学、建築等のコンサルタント (j)無線、発電機、車両整備、冷暖房等の専門家」と。
 そこで、部隊で自衛隊を出さないと今カンボジアでは困難である、六十日の自給態勢を持った形で来てほしい、こういうふうなことを言われておるということでございますが、調べてみると、私も資料で教えていただいたわけですが、ナミビアのときにはドイツで、当時は西ドイツですか、四十名の自動車整備技士が、民間会社からPKOの部隊に衣がえをして出ておる一文民でもできるという側面をどうも余りお考えになってみえないんじゃないか。
 部隊参加で六十日自己完結能力を備えていないといけないと言っているからということで、自衛隊の活用をしないといけないと。そして活用は、今お答えになりましたが、不適当だから併任でしか仕方がないんだと、この構造を私どもはちょっと理解できないんですね。もっと文民でできることをなるべき大きくとらえ、かつ、不適当かもしれないが、何か知恵を絞って併任でなくて別組織の形にできないんだろうか、そしてさらにコストの問題も多くの国民の納得を得るために努力をしようじゃないか、そういう点がどうも見えてこないような感じがするわけであります。
 それで、実際に文民警察においても、きのう明石事務総長特別代表は、たくさん来てもらっても困る、インドが五百人出しますと言われてもそれは困るけれども、七十五人ならばすぐ来てもらいたいような趣旨の御答弁をされたと思うんです。しかし、ここの委員会のこれまでの審議では、数がまとまると派遣するのはこの法案が通らないと不適当である。その点も私はどうも理解できない。
 そういう点で、まずナミビアにおいて四十人自動車整備技士が民間会社から協力隊員、日本流に言えば協力隊員ということで派遣をされた。そういうことについて日本でもできるかできないか、どういう方法をとればできるのだろうかというようなことについて御検討されたことがあるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#180
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやってできないことはないということは前から私は言っているんですよ。しかし、小っちゃなシェアになり、小っちゃな規模になるんですよ。
 それから、もう治安が完全に確立されれば、それは一般の国際競争入札をやって道路をつくろうが何しようとそれは何でもできるんですよ、そうなってしまえば。その過渡期の問題を言っているわけですから、実際は。だから、治安もそんなよくないというようなときには、各国ともだから軍人を出すのであって、できることだったらどこの国も軍隊を出さないで民間でやったっていいんです。しかし、そういう状況でないし、我々はやはり世界各国がやっていることと同じようなことができないかと、国際協調の中で。それだけのことなんですよ。
 だから、今その法案を審議して非常に理解が深まった中であるから、それ以外のことはまず考えなくても、法案が通ればまた先生のおっしゃるようなこともだんだんふえてくるわけですから、時間がたてばたつほど。だから、ここへ来て特別にこの法案が通らなかった場合のことを想定して物を言っていないというだけのことです。
#181
○井上哲夫君 今、常松議員が医療のことについていろいろ質問されました。それで、自衛隊の医療部隊というんですかどうか知りませんが、医療部隊が災害援助あるいはPKOで出ていく場合には二百七十名がユニットである。そして、今回もし行くことになれば七十名ほどの先発調査隊を送ってその上で二百七十の、最大限ですが、ユニットで行くことも可能性としてある。これは恐らく野戦病院というふうな想定だと思いますが、野戦病院の形でなく、カンボジアにおけるPKO部隊の医療に関する求めがあれば、そういう大がかりなことでなく例えば医官なり医療関係者が出ていくというようなことは可能性がないかどうか。
 実は、私は昨年、スウェーデン、オーストリア、キプロスと、PKOのことで少しだけですが、かいま見てきました。国の名前は申し上げませんが、PKOに派遣した方で、いわゆる戦闘行為で犠牲になった方以外の方である国では四十年ぐらいの間に二十九名亡くなっている。そのうち八名は何と自殺者であったということをおっしゃいました。
 それから私がキプロスに参りましたら、案内のガイドの方が言っていましたが、キプロスに来ているPKOの隊員の方で、ちょくちょくいなくなる人がいるのか知りませんが、新聞の尋ね人の欄に広告がよく載りますと。
 この間、私はカンボジアに本当に駆け足の形で行ってまいりました。カンボジアの関係者の中にも、やはりPKOの隊員というのは大変困難な状況の中で仕事をしなきゃいかぬと。それは何が困難かというと、鉄砲を撃てばいいというんじゃなく、鉄砲を撃ってはいけない。けんかの仲裁、巡回見回りと非常に単調なしかし瞬時も緊張をゆるがせにできないといいますか、そういう中で仕事をしているということで、実は神経内科というか精神科のお医者さんのお世話にならなきゃいかぬとか、あるいはそれ以前にケースワーカーの指導を受けて精神的に良好な状態を維持しなきゃならないとか、そういう需要は必ずありますという話も聞きました。
 そういうことを考えますと、野戦病院を送るのも一つの考え方かもしれませんが、日本は初めてPKOに参加するということを考えると、何十人あるいは何人かの医官と関係者をいわゆる個人参加のような形で送っても、現地での需要といいますか求めに応ずるということは可能ではないかと私は思ったわけでございます。その点についていかがでしょうか。
#182
○国務大臣(宮下創平君) 先ほどの常松先生との御議論は、一つの単位として想定をして申し上げたわけでございまして、私もそのとき申し上げましたように、具体的な要請その他に応じてまた変容されるべきものでございます。そして、今先生が御視察の結果を踏まえての御議論でございます。やっぱり野戦病院で編成する場合もありましょう。それからまた大病院の一翼を担う場合もございましょう。そういう場合に個人参加でもいいのではないかということでございますが、それは実際上は、さっき渡辺外務大臣がおっしゃられましたように、個人としてあるいは可能かもしれませんけれども、私どもが考えているのは、総体としてのこのPKO活動を平和的に行うという一翼として考えて位置づけをしておるわけでございます。
 他方、まあ精神病患者みたいな人たちが出るのではないかということでありますが、私どもは、この任務は並み大抵の任務ではないと思っております。なかなか普通の方々をただボランティアで集めただけではそういったものにたえられるだけの訓練をするのは容易ではないなと、今先生の話を聞いて余計感じました。自衛隊はやっぱり忍耐心の強い、そして職務に忠実で、単純な毎日が繰り返される事業であっても、これをきちっと忠実に行い得るというようないろいろの特性の訓練を行っておりますから、私は十分その派遣する要員としては、まさに自衛隊こそ平和目的というものに使うことがふさわしいものと、今先生のお話を聞いて余計その感を深くしたわけでございます。
#183
○井上哲夫君 私の話で、防衛庁長官はかえって自衛隊を派遣すべしたということでお答えですが、実は私は、大がかりな何でも一番が好きな日本と、そういうふうに受けとめられないような形でいった方がいいんだという考えを持っておりますので、若干。
 実はきのう明石代表は、オーストリアから派遣されている歩兵大隊ですか、訓練をされて大変すばらしいというふうなことをおっしゃっていました。(「インドネシアだよ」と呼ぶ者あり)インドネシアでしたか。私は、日本という国は何か今PKOの参加に出おくれたから、ぴっかぴかのすばらしい部隊なり日本人を出して世界の中でおくれを一気に取り戻してトップランナーになろうと、そういう気を起こしてはいけない。
 むしろ、例えばドイツは基本法の改正ができるまでは非常に慎重な態度をとっている。これは私も新聞だけの知識でございますが、私自身決して憲法改正論者じゃありませんが、ドイツでも今回医療隊を出すにとどめておるというようなことを考えますと、日本の場合も、出す外観もそれから出す仕組みも、できることなら多くの国民が同意ができるようなそういう形でなぜ出さないのだろうか。そして、一段一段階段を上ってやっていけば、むしろ日本の場合は財政支援の方では非常に期待され過ぎるぐらい期待されているというところがあるわけでございますから、それでバランスがとれるのではないかと、そういうふうに私は考えておりますが、対案を出されてみえる社会党の議員の方にお尋ねをしたいと思います。
 社会党の出された対案には、別組織ということで文民のできることを極力考慮に入れて、そしてかつ、自衛隊の方でもPKOで自分の経験を生かしたい、あるいは自分の能力を発揮したいという方は、退職をしてきて参加してくれるのならばそれは部隊参加ではないから大いに歓迎をしたいんだ、そして文民警察や選挙監視等において、その数については若干のそごがあったかもしれませんが、そういうところに文民の参加を多く求めてやっていきたいと。
 こういうふうなことが対案に出ているわけでございますが、仮に自衛隊を退職された方が一人二人じゃなくて我も我もということで百人二百人となった、そうしたら一つの部隊と同じじゃないか、そういう場合はどういうふうに考えるのか、別組織ということでどこまでお考えがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#184
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもが提案をしている文民による別組織というのは常設的な組織として提案をいたしておりますので、そこに入ってこられた方々は国家公務員として常勤的に勤務していただくことになるわけでございます。
 ただ、一つだけ補足的に説明をしておきますと、田邊委員長が、また自衛隊に帰る人についてはそれはそれで職業選択の自由があるんだから結構ではないかと、こういうふうな発言があったということ、先週の日曜のテレビの発言だと思うんですけれども、新聞にも報道されております。このことについては若干私から補足をしておきますと、田邊委員長の発言の真意は、今の参議院の各政党会派の人員からいって、政府の案についてもそのまま通る見込みはないのではないか、社会党の提案も通る見込みはない、相打ちで空白になったときには、これはやはり国際的な責任が果たせないことになるので、とりあえず急がれているカンボジアについて限定的に時限的な立法措置を講じたらいかがだろうかと、こういう発想を述べたわけでございます。
 時限的なということになりますと、一年ないし二年と、こういうことになりますから、そのときに自衛隊の方でおれもカンボジアヘ行って貢献しようという方が入ってこられた場合には、その期限が終わったときには、希望される方についてはまだ自衛隊の方にお帰りになることはこれは御自由じゃないかと、こういう趣旨の発言であるということをつけ加えて申し上げておきます。
#185
○井上哲夫君 自衛隊の方が納得をして出ていくという場合に、併任の身分の形で出ていくべきだと一概に言えるかどうか。
 これは実際には、私は今の野田議員のお話を聞いて、カンボジアで一年、二年限ってPKOの仕事をやってみようと、そしてもし防衛庁なり政府が、いやそれは御苦労さん、結構なことだから帰ってきたらひとつ階級でも上げてあげましょうとか、あるいは万が一災害に遭ったような場合はこれだけの手当てをいたしましょうとか、身分についてもこのように考えましょう、つまり特別な危険手当といいますかそういう手当も考えましょうと、こういうことになった場合に、該当する自衛隊の方が本当におれは行かぬ、ばかにするなとおっしゃる人ばかりかどうか、これはやっぱりあけてみないとわからない。ただ、こういう国の方針としてやらなきゃいかぬという立場の人たちの場合に、そういう軽々なことは言えない。そういう無責任なことは旗振り役としては言えることではない。それは私も理解できるつもりでおります。
 ただ、今現在、このような国論、PKO論争のさなかにあって、やはり工夫をすればできる、困難を乗り越えることができるというところは何かといえば、別組織でのところを申し上げれば、私は併任ではなくて、併任と退職の真ん中には休職・出向があるとかないとかいう見解が出てくるわけでございますが、そういう休職・出向なり退職なりで日本がPKOの活動隊に自衛隊の力をもかりて、もちろん一般公務員の方や民間の方もあり得ると思うんですが、そういうことでやっていく。このことは私は決して、書生論というか何といいますか、くちばしの黄色い者が言っている言葉だとは言えないと思うのでございますが、その点いかがでしょうか。宮澤総理、お答えをいただければと思います。
#186
○国務大臣(宮下創平君) 私の方の、自衛隊の派遣の問題に関することでございますので、ちょっと申し上げさせていただきたいんですが、私は先生の御議論を聞いておりまして一面なるほどなという面も確かにあります。しかしながら、逆に言えば、自衛隊の力までかりて、退職させて部隊をつくる。そして自衛隊の力をかりて同様なことをやるという場合に、併有、これは私どもは併有と言っておりますが、なぜこれをやめなければならないかと、逆に私は本当に質問を申し上げたい気持ちなんです。
 つまり、我々自衛隊の派遣は歯どめをかけて、そしていわゆる武力行使を目的とした集団としての機能は、これは今回の国連平和協力では全く前提にしてないわけでございますから、そこの点がきちっとしているかいないかということがポイントなんですね。私どもはこの法案が五条件、それからあらゆる諸条件を付して武器使用につきましても制約を課してやっておなわけでございまして、そしてこれを国会で御審議いただいております。そういう中で逆になぜ形だけそのような形にしなければならないのかという疑問は、どうしても私はこれは防衛庁長官の立場を離れても感じます。そのことを率直に申し上げさせていただきます。
#187
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生のおっしゃるのは一つの議論でしょうが、現実問題としては国連は文民は受け入れないんですよ、実際のところは。
#188
○井上哲夫君 私は、先ほど国連文書を引用して文民のできる仕事というのを申し上げたつもりでございます。文民が受け入れられないかどうか、文民警察でも実は軍人にやらせた方がいいという議論もあるとかいろいろな資料はございますけれども、国連は特にUNTACの場合には七つの部門を持って、従来のPKOのミッションあるいは今ユーゴに送られようとしているそういう、ミッジョン等に比べて、暫定行政機構というようなところまで非常に幅広く多機能のPKO活動をやろうとしているUNTAC、カンボジアの例を見れば、むしろ文民を利用できるところは文民をどんどん入れて新しいPKOの形を展開すべきではないか。それは私が一存でそんなことを言ってもあれですけれども、私自身はそういう感じも持つわけでございます。
 もう一度野田議員にお尋ねいたしたいんですが、この文民のUNTACにおける活動について、今暫定的な時限法でも考えてもいいんだというふうなお答えがありましたのでお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
#189
○委員以外の議員(野田哲君) 先ほど渡辺外務大臣は、文民は受け入れないんだという説明がありました。これは全く私は今までの議論をずっと継続してきた中では初めて聞いた説でありまして、私どもはそういうことはあり得ない、文民の働く分野というのはたくさんある、それをできるだけ活用して貢献をしていきたい、こういうふうに考えて今の提案をしております。
#190
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちょっと言葉足らずのところがあってなんですが、軍事部門においては文民は受け入れないと。これは問い合わせをしたんですよ、そういう議論がいろいろありますから。特にUNTACというのは、これはカンボジアの情勢が非常に厳しい、困難な環境の中で職務を遂行しなければならないから、かかる職務には軍人が適しているというそういう理由でUNTACの後方支援に各国派遣の文民の参加は考えていない、こういう返事が来ているんです。
#191
○井上哲夫君 今の点、野田議員と同じ質問でございますが、文民の役割拡大について久保田議員に重ねてお尋ねをいたします。
#192
○委員以外の議員(久保田真苗君) 私どものカンボジア派遣団が行きましたときに、これはサンダーソン司令官との会談におきまして、平和維持軍の中でも兵たん技術、通信、輸送、医療部門であれば文民組織による代替が可能でありというふうなやりとりがあるわけでございます。これは先生がお持ちのその国連の事務総長リポートの中でもそのようにはっきり書かれておりまして、そのような部門を文民組織が代替するということは事務総長のそのときそのときの判断によるというふうになっておると思います。しかし、現場のサンダーソン司令官の言葉でありますから、私はこのことは可能なんだろうと。ただ、折衝を、協議をどれだけするかということで、協議をする気持ちのない人がやってもそれはむだだろうと思うだけでございます。
 私どもは、ただし軍事部門というのは原則としてそこには入らないと、私どもの対案はそうなっております。しかし、それ以外の、七つの部門のうちのすべての軍事部門以外におきましては最大限に活動していく、特に難民、復興の面を含めまして、その面で非常に活躍の場が多いということで私どもはその対案を出しておりまして、日本のように、やればもう自衛隊に全部を席巻されるというようなそういった体質の国では、文民の部門を意識的、積極的に開発していくことが私どもの今後の国際友好の道にもつながるというふうに信じております。
#193
○井上哲夫君 ありがとうございました。
#194
○猪木寛至君 きょうは与えられた時間を大変有効に使いたいと思っておりますが、しかしながら、既にもうこの二年越しの議論と、そしてまた今回の各委員の皆さんのお話を聞いておりまして、実際私はもう何を聞いたらいいのかなと、また同じようなことを聞くようなことになるんじゃないかなと思うんです。
 今もお話にありました外務大臣の意見と、そして文民は受け入れないという言葉と、文民を送り込むんだということで、何か聞いておりますと、異種格闘技というか、かつて私がモハメッド・アリ選手と戦ったときに、ボクシングとプロレスが戦うという大変難しい、私の方はつかまえる、相手はぶん殴るという勝負なんですが、全くこれは常識としては不可能な勝負であったんです。しかし、そこにお互いの目的というのは、戦う者同士、おれが強い、いやおれの方が強いということから、その証明ということで、私の方が大分歩み寄った形で実現したわけなんです。こうしていきますと、プロレスに例えて大変申しわけないんですが、こういう議会の中で聞いておりまして、本当にどこかで接点が持てないのかなという気がするんです。
 そういう中で、この間、先週ですね、同僚議員の田渕先生が質問に立たれまして、戦後の状況から、そして戦後の歴史という部分でずっと語られました。私も戦後の歴史というのはほとんどよくわからないので、このPKOを論じるときに、やはりアメリカとの関係と、それからまたずっとその長い歴史の中でいろいろ見ていかなきゃいけない。そういう中で、戦後、五一年の平和条約、そしてまた五三年でしょうか、宮澤総理が当時アメリカに行かれていろんな交渉をされた。本当に敗戦の中で、アメリカからのある意味では一方的な条件をのまなきゃいけないという状況の中で、当時の外務省としては大変努力をされている。本当にある意味では国を興さなきゃいけないということから、命がけで闘った姿勢があるんじゃないかと。私が今読ましてもらった「日本外交のすべて」という本に記されているんです。
 そういう中で、私も多少戦後史を勉強させてもらいまして、本当に四五年のヤルタ体制からずっと始まった、今言った平和条約、それから日米安保、そして国連。総理がいつも言われている国連中心主義というのを私も余り理解できなかった。さっきも永野議員から話がありました敵国条項があるのに何亡国連にそんなにあれしなきゃいけないのか。しかし、戦後の中でいろんな無理があった。そういう中でずっと日本が歩んできた道。
 米ソの対立から協調へということで、宮澤総理が百年にあるかないかの要するに変革ということを言われておりますが、まさに私もちょうどこの四年ぐらいの間、ソ連の関係というかスポーツ関係を通じまして、当時オリンピック選手をプロに転向させるというのは絶対できないような状況であったんですが、乗り込んでみて交渉していくうちにそれが実現いたしました。そのときに世界の流れが変わっていくということを大変強く感じておりました。
 一つは構造の変化ということで、よく私もいろんなところで機会があるとき話をするんですが、米ソの対決で軍拡、その中で日本が軽装武装ということで、戦後かつての先輩たちが頑張られて、そういう中で経済の発展ということをしてきたわけだと思うんです。その構造の変化というのは、一つ例えて言いますと青虫からサナギに変わり、サナギからチョウチョウに変わっていくプロセスというか、生きている生命体は同じなんですが、その都度やはり着ているものを変えて、脱いで変わっていく状況。
 そういう意味で、今日本が本当に問われている、今までは本当に受益国としてただ自分の身だけ考えていればよかったんではないか。しかしながら、ここへきて湾岸戦争の後、もう申し上げるまでもありませんが、そういう中で日本の責務というものが問われている。ちょうど当時、去年でしょうかね、サッチャーさんが来られたときに、私もちょっと質問をさせてもらったら、湾岸戦争においては大変強硬な態度をとったサッチャーさんでしたが、とにかく日本ができる貢献をすればよいじゃないかというようなことを言っておりました。
 この間、あちらの傍聴席におられた人たちが、こういう我々の論議を聞いておりまして、ちょうど散会になりまして立ち上がったときに、PKO法案の論議ってこんなものなのかねということで、大変がっかりしたような声で帰っていかれた。それが私大変印象的だったんですが、私自身もここへずっとつき合っていて、何か体力の勝負だなというような気がしまして、総理のお顔を見ていると本当にもう辟易したような感じもするんですが、やっぱり体力がある方が勝ちかなという気もいたします。
 しかし、それは冗談としても、今本当に我々こうして真剣にこのPKOについて論議をさせてもらっております。いろんな勉強を今私もさせてもらっている中ですが、先ほどからPKOに対する基本、あるいは活動とか、それからいろんな規則が出ておりますので、もう重ねるつもりはありませんが、今ここで私は感じることは、やっぱり現地からの声というか、今PKO自体が、カンボジアを今度入れれば二十七回目ということになるんでしょうかね。そういう中で、私は海部総理のときに質問をさせてもらって、最初のときに、PKOは危なくない、そして危なくなればすぐ引き揚げるから大丈夫なんだという論法から入ったために非常にややこしくなってきたという気がするんですね。
 その後、相当にそれぞれ各党間とも変更、見直しかあったようですけれども、やっぱり一番大事なことは国民にもっと最初に真実を伝えておくべき必要性があったんじゃないか。人間というのは一回そうじゃないと思い込むとそれを変えさせるのは大変な努力が必要であると思いますし、そういう意味で、私も部屋に帰りますと、せっかくテーブルをきれいにしてあるんですが、帰るたびに山ほどのPKOに対する反対の陳情というか、そういうのが来ております。
 実際私は、前にも申し上げましたが、ラジオの番組を担当しておりまして、そのときに直接いろんな国民の声が聞こえてくるわけですけれども、一つ、大変これは誤解だと思うんですが、もし議員、政治家の息子だったらPKOに出しますかという質問があったんです。私自身大変冒険も好きだし、いろんなところへ飛ばしてもらうのは大変興味があるわけなんで、私自身はもしそういう許可がいただけるのであれば喜んで飛んでいきたいと思うんですがね。
 きのう、この国会便覧を見ておりましたら、私はプロレスをやっておりますが、柔道、少林寺拳法、空手、合気道、有段者がずらり並んでおりますね。それで、特に一番すごいのは金丸信先生の柔道七段というのがあります。二、三日前の新聞ですか、きのう明石代表からもありましたが、今十人でも二十人でもとにかく日本人の参加が欲しいんだということを言っておりましたから、もし国会の承認がいただけるのなら、私が先頭になって団長になって飛んで行ってもいいかなという気がしますが、ひとつ御検討いただきたいと思います。
 そこで、もう聞くことは余り政府にはありませんが、きのうの新聞に出ております大内委員長の「民社党が求めてきた「派遣部隊の指揮権の国連への一本化」について、七日に政府側から非公式にこれまでの政府見解を修正する案文が示されたことを明らかにし、「いくつか難点があったので修正を求めた。先週末に、すべて(民社党の要求)受け入れるとの返事が私にあり、解決した」」、こういう記事が出ております。まずこの件について、政府としてそういう考えがあるのかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。
#195
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の新聞報道につきまして、私それについて一々コメントする立場にはないんだと思いますが、基本的な点といたしぎして、四月二十八日のこの委員会におきまして委員長より、御指摘の点の答弁に関しまして政府においてさらに整理検討するよう要請があったわけでございまして、それを踏まえまして鋭意検討を行っているところでございます。
#196
○猪木寛至君 総理の御見解をいただければと思いますが。
#197
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員がお答えを申し上げましたとおり、委員長のお話がございましたので、政府部内において検討をいたしておるところでございます。
#198
○猪木寛至君 それでは、社会党の方にちょっと質問をしたいと思います。
 今回のこの論議というのは、さっき言った異種格闘技というか、本当にかみ合わないというか、基本的に一つ問題になっている問題というのは、憲法論議というか、自衛隊の要するにこれが合憲であるかどうかということについてお聞かせ願いたいと思います。
#199
○委員以外の議員(野田哲君) 猪木議員にお答えいたします。
 私どもは、自衛隊の存在につきましては、今ここでずばり合憲であるというお答えをすることはできない疑念を持っております。とりわけ自衛隊が部隊として武器を持って海外に出ていく、このことについては憲法上私どもは認めることができない違憲の行為だと、こういうふうに思っております。
#200
○猪木寛至君 やはりこれはきのうの新聞で連合の会長の言葉ですが、全部読み上げませんが、憲法論議は棚上げにして、「合憲論で意思統一を図るのは現状では困難との判断を示したものだ。ただ、「凍結というのは、違憲でもないということだ」とも述べ、憲法論議の棚上げを通じて違憲論とは決別したいとの考えを強調した」ということがあります。とにかくそれで最後に「最大限の妥協を勝ち取るべきだ」という注文がついておるんですが、これについては歩み寄る考え方というのはないんでしょうか。
#201
○委員以外の議員(野田哲君) 憲法論を棚上げにして自衛隊を派遣するということについては、私どもとしては歩み寄ることはできないと、こういうふうに考えております。
#202
○猪木寛至君 それでは、武装した自衛隊を海外に派遣するPKFへの自衛隊参加に当たっては国会承認にかからしめることが不可欠の条件である、法案修正の意見があるのかというような質問に対して、これは国会で、PKFの参加に当たっては国会承認が必要であるとの立法府の意思があった、立法府の意見は最大限に尊重しなければならないと。ここで、国会承認という部分で社会党としては、またこれPKFに入っておりますが、PKOについてはいかがでしょう。
#203
○委員以外の議員(野田哲君) お答えいたします。
 私どもが提案をしております法案におきましても、PKFの部分を除き、さらに軍事的分野を除いて文民を派遣するという立場に立っておりますが、その場合でもこれはやはり国会の承認を得て国民の十分な理解を得るべきだ、こういうふうに考えております。
 自衛隊の派遣を容認される民社党の立場で国会承認のことを強く主張されておりますが、私はこれは現在の自衛隊法においても、国内で防衛出動あるいは治安出動に派遣をされる場合でも、自衛隊法の七十六条、七十八条で国会承認の手続を得ることを規定されておるわけでありますし、特に七十六条、防衛出動の場合には、国会、衆議院が解散をして衆議院がない状態のときでも参議院の緊急集会で承認を求める手続まで規定をされておるわけでありますから、民社党の国会承認手続を法律で定めるべきだと、こういう主張は私どもとしても当然の主張だと思っております。
#204
○猪木寛至君 その自衛隊法七十六条なんですが、「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)」と、ここに内閣総理大臣、国会承認というのが出ております。今回のPKO、海外派遣に関しても国会承認が要るということが我々の主張なんですが、総理としてはこの自衛隊法における国会承認についてどういうお考えでしょうか。
#205
○国務大臣(宮下創平君) 自衛隊法に関することでございますので私から答弁させていただきますが、自衛隊法の三条には、御承知のように、「自衛隊の任務」として、直接侵略、間接侵略に対して我が国を防衛するという義務が本来的な義務として課せられております。
 他方、今お話しのように、その場合の国会承認につきましては、自衛隊法の七十六条によりまして防衛出動の場合、今委員がお読みになられた条文があるわけでございます。また同時に、命令による治安出動の場合も同じく国会の承認にかかわらしめられております。これはどういうことかと申しますと、こうした直接侵略、間接侵略に対して我が国が専守防衛の立場に立って防衛出動するということは極めて国の重大な問題でございますし、国民の権利義務に非常に大きな影響を与える問題でございますので、国会承認にかかわらしめておるものと私どもは理解をいたしております。
 他方、このPKO法案におきましては、たびたび御議論のございますように、さまざまな面で法律的な、法律五条件と申しておりますが、法律的な制約を課して、それを国会で御承認を包括的にいただいて行政府としてその範囲内において行動するという建前になっておりますので、従来政府側としては、この五条件が厳守されておればその承認にかかわらしめないでも十分国会のコントロールは法律という形で条件が認められておるならば成就しておるものと。しかも、この平和協力業務を行う際にはやはり緊急性という問題もございますので、そういった点を考慮してこのような法体系になっておるものと承知しております。
 したがいまして、委員の御指摘の点、趣旨としては理解できないことはございませんけれども、私どもとしては三条との関係でこのように考えておる次第でございます。
 なお、この業務が重要でないということを意味しておるわけではございません。この業務は本当に私ども重要な業務、任務であると存じておりますが、しかしながら今回の法体系の位置づけとしては自衛隊の任務遂行に支障のない範囲内においてこれを実行するということにも相なっておりまして、自衛隊のあくまで本来業務は専守防衛で我が国を守っていく、こういうことが基本にあるわけでございます。そういった構成のもとで今申し上げたようなことの論理構成になっておるわけでございます。
#206
○猪木寛至君 社会党にお聞きいたしますが、文民ということで非軍事ということなんですが、例えば軍隊を派遣している他の国のPKO、日本が今言っております平和主義ということに対して外国からの批判は起きないでしょうか。この辺についての考え方をちょっと聞かせてください。
#207
○委員以外の議員(野田哲君) PKOに参加していく場合にどういう分野にどういう形態で参加をしていくかということについては、それぞれの国がその基本である憲法あるいは法制度それから国民の合意、こういうことを踏まえてそれぞれが自主的に決定をしていくことになっているわけでありまして、それで私たちが軍事的分野を除いて民生分野を文民によってやっていきますということで求められている形態について応じていく。このことで私は国際的に決して孤立をしたり非難を受けたりすることはない、こういうふうに思っています。
 もしそうであるとするならば、一九四八年以来ずっと続けられているPKOの諸活動について今まで日本はナミビアヘの選挙監視の派遣を一回やっただけで、それ以外は一回もやっていないわけでありますから、既にその段階で日本はもう国際的に非難を受け孤立しているはずなんですけれども、そういう状態になっていないということで御理解いただけると思うんです。
#208
○猪木寛至君 続けて社会党に質問をさせていただきますが、社会党案では国際協力隊は、例えば文民でもいいんですが、先ほども質問あったでしょうか、国連の指揮下に入るのかどうかということをお聞きします。
#209
○委員以外の議員(野田哲君) PKOに参加をする以上は文民の派遣であってもそれはすべて国連の指揮下に入っていく、これが当然だと思います。
#210
○猪木寛至君 同じ質問を自民党に一外務大臣にさせていただきたいと思います。
#211
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう派遣をする場合、よくそのすり合わせをして国連のいろんなガイドラインに合致するような実施要領や実施計画をつくるわけですから、国連のコマンダーのコマンドに従うということです。
#212
○猪木寛至君 大変そこがわかりにくいというか、さっきも言ったように、この外交の裏というのが大変複雑なようなことも理解できるんですが、お願いしたいのは、もう一つわかりやすく、もうそれでなくたって横文字がだんだんだんだん多くなっていく中で大変頭の悪い私にとっては、資料も今回の委員会のためにどんどんどんどん山になっていくくらいいろんな資料を集めて、そのたびに行ったり来たりということですが、この指揮権について明確に国民の方に、要するに指図という言葉も私は考えるにこれはやはり苦肉の策というか、そういうところから生まれてきたものじゃないかなという気がいたします。
 そこで、社会党に質問をさせてもらいます。
 軍事に参加しないということなんですが、国連が訓練ガイドラインに示された訓練には、PKOの背景、武器訓練、武器、車両及び機器環境に精通する訓練、一般軍事訓練、国連活動における技術訓練、安全予防処置、特殊訓練等、必要な訓練が挙げられている。
 先ほども永野先生の方にも話がありましたが、この間も私はタイの方を回ってゴールデントライアングルというところをずっと回ってまいりました。これはミャンマーとタイとそしてラオスの国境、麻薬の栽培地ですが、そういうところを回ったときに、物すごい猛暑と、それからやはりそういう被災地というか、これはイラクなんかもそうなんですが、被災を受けたときの状況というのは水の問題が非常に大きな問題になってきます。やはり人間が一番必要なものは、食べ物もさることながら水がそういう意味では大変必要なものだと思うんですね。
 そういう水に対する問題、そして文民で派遣されたときに、その人たちがそれだけの体力とそれから技量、いろんなものを備えていなければならない。そういう意味での訓練というのは大変だと思うし、もう一つは、今人手不足の中で本当に日本人が国際貢献に目覚めて、おれは出ていくんだというような人たちが実際にいるんだろうか。実際募集したら集まらなかったという結果が出ることもあり得るという気がするんですが、それはいかがでしょうか。
#213
○委員以外の議員(野田哲君) 今、現地で、カンボジアの例をとりますと、ボランティアの活動、約百人ぐらい日本から行って、猪木議員が今言われた水の確保のための井戸掘りとかあるいは自動車の修理の指導とかその他インフラの修理、こういうことに従事をしているわけでありますし、また青年海外協力隊についても募集の定員よりも予想以上に集まってくる。こういう状態でありますから、私どもとしては国民の皆さんの合意が得られる方法で呼びかけていけばそれは人員は確保できるだろう、こういうふうに考えております。そして、その訓練につきましては、国連の訓練マニュアルというのは主として軍事的分野のマニュアルであるわけでありまして、文民の場合の訓練につきましてはそれぞれ国内でいろんな訓練の施設あるいはマニュアルを持っているわけでありますから、それによって文民の場合の訓練はできる、こういうふうに考えております。
#214
○猪木寛至君 先ほどお話がありました、非軍事にこだわっているのは近隣諸国の同意が得られないからだということを言われておりましたが、例えば具体的にどことどこがどういう反応をして嫌だと言っているのか、その辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。
#215
○委員以外の議員(野田哲君) 一番神経質にこの問題にコメントしているのは中国、それから韓国も慎重であるべきだと、こういう態度をとっております。それから、渡辺外務大臣や政府の方では、東南アジアの各国を回って同意が得られたというふうなことを述べておられるわけですが、私どもが一番考えなければならないことは、政府の首脳がオーケーをしたとしても民衆レベルで合意が得られなければ本当の友好関係はできない、私はこういうふうに考えているわけです。
#216
○猪木寛至君 同じ質問なんですが、政府に。政府は、カンボジアあるいは近隣諸国から逆に強い要望が来ているんだということなんですが、またこれはどことどこと、具体的に。
#217
○政府委員(丹波實君) まず、ASEAN諸国は基本的には日本の参加を歓迎するということだと思います。それから、UNTACの例について申しますと、一番この受け入れ国であるところのカンボジアのいろんな首脳の方が、シアヌークさんを初めとして日本に来てほしいと言っておられることは先生御承知のとおりでございます。
#218
○猪木寛至君 私も最初は、この湾岸戦争の後に貢献という話が出たときに、今は憲法上の問題があるし、もっと違った形ででの支援をすべきじゃないかなという考えを持ったわけなんですが、いろいろ戦後史を見ていく中で、日本もやはりきょう繁栄するに当たっていろんな苦労があったと思います。
 きょうここへきて、本当にその構造の変化の中で、日本がどう貢献するかというところに立たされて、一番私は大事なことは、金だけ出して人を出さない、汗もかかないという論理があるわけですが、これもお答えは要りませんけれども、一体だれが言っているんだというと、多分アメリカが言っているんだと思うんですね。アメリカとの戦後の日米の関係の中にそういういろんな問題があった。恐らくその件についてはほかのヨーロッパも何も言ってなかったと思うんですがね。
 でも私自身こうやってこの議論に参加させてもらって、今ここで本当に二年越しで議論を重ねてきて、それぞれ真剣にやってきたわけなんですが、何とか一つの結論を早く見つけたいなという気になっております。そこで何とかひとつ歩み寄ってもらって、一日も早く一歩を踏み出すということが大事じゃないか。そして、明石代表も言っているように、PKO自体がまだ未成熟というか、完成されたものではないと思いますし、それから国連自体もこれからある意味で本当の国連が確立されていかなきゃいけないという気がいたします。
 そういうことで、私としては最後に、本当にお金と人、そういうことも含めて大事ですが、同時に日本人の心をどうやって相手に伝えるかということがすごく大事な部分である。そういう意味で語学、これは私も外国に出るに当たって本当にやっぱりコミュニケーション、よくソ連の連中とは酒を飲んで、ウオツカを飲み比べて相手を倒したことがありますけれども、しかしながらそれだけじゃ外交は務まらない。やっぱり言葉も大事になってくる。そういうことでこのカンボジアの言葉もなかなか日本人は得意とする人が少ないと思うんですが。
 多少時間がありますが、ひとつ早く結論に到達して、社会党が言っていることも私は正しいという気がします。一方で自民党が今現実的な部分で苦労されているという部分もわかるということで、大変あいまいな言葉になりますが、しかし気持ちとして、やはり私はやらなきゃならない。山本五十六元帥だったでしょうか、「やってみて、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かぬ」ということで、我々が一歩を踏み出す勇気が今一番必要であると思います。
 そういうことで、私の方もこの法案成立に関しては積極的に取り組んでまいりたいと思いますので、ひとつ総理の方も、また社会党の皆さんも、何とかひとつ歩み寄る柔軟性を持っていただきたいということで、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
#219
○喜屋武眞榮君 今、国内的にも国際的にも、テレビ、ラジオ、マスコミをにぎわわせておりますことは、沖縄復帰二十年というスローガンの報道であるようでございます。
 実は五月十日、二十年ぶりにあの辺戸岬で決起大会を持ちまして、与論島とかがり火大会をいたしまして、魂と魂のぬくもりを訴えながら過ごしまして、翌十一日から、A、B、Cの三班に分けて今平和行進の最中でございます。そしてあさって、五・一五、十五日、いよいよ復帰二十年の式典が国においても現地沖縄においても行われるわけでありますが、その最中でございます。
 ところで、実はきのう私も沖縄から戻りましておりましたら、きょう現地からこのような激しい怒りを反映させたマスコミ報道が送られてきました。そのことについて、まず総理にお尋ねいたしたいことは、総理は、きのう事務総長特別代表の明石康さんですか、総理を初め各政党代表にそれぞれお会いになったようでありますが、お会いになった内容は、どういうお話し合いをされたのであるか。現地からはね返ってきた私への訴えは、沖縄県にPKO資材集積所、九州・沖縄地方にPKO共同訓練センターを、こういう内容のお話を明石さんがされた。そのことがある政党からすぐ沖縄に伝わったら、きょうのマスコミに大きな反響を呼んでおるわけでございますが、そこで総理、明石特別代表とお会いになってどういうお話をされたのであるか、まずそのことを。
 と申しますのは、また総理は、沖縄の米軍基地施設返還で米側と協議をする、米国と施設の返還について協議していることを強調されたようでありますが、沖縄の基地返還の内容、どういうお話し合いをされたのか、あるいは訴えられたのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#220
○国務大臣(宮澤喜一君) この二十年という大事な機会でございますし、私どもが沖縄県民に対していろいろ感じておりますことは、もうよくしょっちゅう申し上げて、喜屋武委員の御承知のとおりのことでございますので、そういう沖縄県民の気持ちを反映したことが何か少してもこの際実現できればいいと思って、いろいろに努力をいたしております。
 これはしかし、日米両国の協議の問題でございますので、私からただいまこうということを申し上げるまでに至っておりません。私どもはそういう努力を一生懸命続けておることは確かでございます。
#221
○喜屋武眞榮君 私が率直に申し上げたいことは、喜びも苦しみも悲しみもともに分かち合い、ともに味わうという公平、公正なあり方、政治、行政、このことを絶えず訴えてまいりました。
 私たち沖縄県民は、戦後二十七年、そして復帰二十年経るわけでありますが、戦後二十七年というのは、どの国民も生命、財産、人権を守るのは国の憲法でありましょう、その憲法ではなくて沖縄県民を支配したのは、踏みつけたのは何であったか。布告であり、布令であり、指令。千四百の布告、布令、指令のもとに二十七年間踏みつけられて、虐げられてまいった。そこから沖縄県民の復帰運動の胎動が始まったのであります。
 その復帰も、具体的に申し上げる時間がありませんが、最初は即時無条件全面返還、二つ、時期尚早論、三つ、芋はだし論、四つ、琉球独立論、この四つの胎動がございました。ところが、大衆世論は即時無条件全面返還を集約しまして、私が復帰協の会長に選び上げられた。こういういきさつ、この決意を本土の仲間たちに連動させて、共同の闘いでこの復帰は実現したと私は確信いたしております。
 十日は、本土の仲間たちも三百五十名辺戸岬に来てもらって、そして五・一五の十五日に向けて五百名の仲間たちが本土から与儀公園という場所に結集いたします。こういう闘いの成果、その中に県民の怒りとかあるいは希望というものは当然PKOにも、自衛隊にも考え方がつながってまいります。世界にも類例のない誇るべき平和憲法のもとに即時復帰するというのが県民の一途な意思でありました。
 きのうの「県民意思を無視  明石発言≠ノ怒り、反発」という見出し、これは行進中にこれが報ぜられまして、それから大きな怒りとなって、十五日、与儀公園に結集するわけであります。
 そういう声の中から、毎日のようにPKOに対する訴えのはがきが私のもとにきております。まだたくさんありますが、とりあえず今その一部を持って飛んでまいりました。時間の都合で早口で申しますが、私たちはPKO協力法案に反対します。私たちは軍隊ではなく市民の力で世界の平和に寄与したいと思っています。私たちは自衛隊法改正案にも反対します。軍隊が力を持つ世界は平和ではありません。そんな世界が来ないため廃案に向け努力をお願いいたしますというような、簡単な中にも決意を込めた、これはみんな自筆の文で、簡単な声でございます。これだけ申し添えておきます。
 そういう背景を持って、PKO法案にももう毎日のように、毎晩のように電話で、またはがきで陳情が続々参ります。これは虐げられた過去の歴史の中で、そして命を大事にする、沖縄戦の犠牲の中で生き延びた、そして戦争を知らない戦後派がもう国民の七割を占めておりましょう。それで、沖縄県民の生き残りの連中は、私も含めていかにして平和を、民主主義を、そして世界に誇る文化を継承していくかということで今頑張っておる最中でございます。
 基本姿勢は沖縄に対する問題、単なる同情ではありませんよと、だから恵みの政治や行政は要りません。償いをどうしてもらうかということ、目に物を見せてやるその償いの政治、行政が必要なんです。総理、いかがですか。
#222
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、私がいつも申し上げているところでございまして、戦争の途中から戦後、今日にかけまして、我々が沖縄県民に負うているところは非常に大きい、政治は常にそのことを考えておりますと、こういう気持ちでやってまいりました。
#223
○喜屋武眞榮君 冒頭に申し上げました沖縄県に資材集積所、それから九州・沖縄にPKOの共同訓練センターをつくったらどうかと言う、おっしゃった方は好意的に。ところが過去の足跡の中では、湾岸戦争もそのとおり、ベトナム戦争もそのとおり、すべて沖縄が中継地になって、兵器も物資も沖縄を中継地にしてあの湾岸戦争にも、米兵も一万人も湾岸戦争に向けて沖縄から送った。その米軍の遺族の御婦人方のあのやるせない思いも私はちゃんと目撃いたしております。
 そういうこととつながるこの沖縄に資材集積所を持ったらどうかということとか、九州・沖縄地方にこの訓練センターを施設したらどうかということ、これは決して過去の繰り返してはないということを知りながらも、それほど県民は踏みつけられ、痛めつけられ、またこのほとぼりも冷めないうちにいろいろな問題がやってくるということに対する恐怖症といえば恐怖症であります。
 それで、私が申し上げたいことは、沖縄を平和のメッカに。ベトナム戦争のかなめ基地と言われておった、そうして今後の基地はまた沖縄が捨て石にされつつあるとみんな理解しております。そういう沖縄ではなく、これから沖縄を、平和のメッカの沖縄としての構想ならこの喜屋武眞榮は喜んで歓迎いたします。沖縄を軍事拠点にするような構想には断じて先頭に立って反対をいたします。
 今、汗にまみれ、ほこりにまみれ、足裏にまめをつくりながら行進をしておるあの仲間の心を察しまして、こういう怒りをすぐ私に届けてくるのを思いますときに、飛んでいきたい衝動に駆られておりますが、どうかそういうことで、この問題も含めて考えていただきたい。
 特に、この問題の質疑に対して、渡辺外務大臣の御答弁もたびたび拝聴いたしておりますが、時間の都合でなんですが、どうか今までの私のこの訴えに対して、またこのことに対してひとつ外務大臣としてもコメントをお願いしたい。
#224
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど総理からお話がございましたように、沖縄が戦時中非常な激戦地になって大変な被害を受けたということについてはよくわかっておりまして、本当にこれらについては、できるだけ戦後復興という形でお報いをしなきゃならぬというつもりで特別立法等もつくり、我々はやってきたつもりでございます。なお、沖縄復帰二十周年という年でございまして、これを契機に何かできないかということも検討いたしております。
 なお、PKOの訓練基地を沖縄につくるというふうなことは私は考えておりません。
 以上であります。
#225
○喜屋武眞榮君 それから、防衛庁長官に一言お尋ねします。
 と申しますのは、この沖縄にも自衛隊がおります。最近の世論調査によりますと、もう今のままでよろしいという声が出ておるようで、これは新聞報道でありますが、ふやしてもらうと困る、ふやしてもらいたくない、これ以上はもう必要ありませんと。ふやしてもらいたくない、そのことについては、私、あした実は最終でまた沖縄に飛んで帰りますので直接聞きたいと思いまするが、こういうことと、それからもう一ついつも不思議に思いますことは、防衛大学校の卒業生が毎年のように、特に去年の印象が強いんですが、自衛隊の教育を何年か受けて卒業証書ももらっておるその人たちがその権利を放棄して義務を果たそうとしないのかなと。別の職に自分で求めて変わっていくという、それを一体どう理解しておられますか、防衛庁長官。
#226
○国務大臣(宮下創平君) 沖縄における配置された自衛隊を、ただいまのところ増強するとか、そういう特別な考え方は持っておりません。
 それから、防大の卒業生につきまして、まあことしは比較的少なくて三十数名の卒業生が自衛官に任官をしないで民間に就職をした、そのことでございますね。このことにつきましては、一つはそういう考え方もあるかと存じます。今、もちろん防衛大生には自衛隊員としての給付を一切行っておりますし、それからまた月額約十万円弱のものを与えて勉学にいそしんで、訓練に励んでいただいております。
 私どもは、これについて、任官しない場合にどうしたらよかろうという考え方、これは返すべきではないかという考え方もあることも承知しております。しかしながら、私ども防衛大学校の現在のあり方というものは、昔の旧軍時代の軍の養成機関と異なりまして理工系を中心としてやっておるわけでございますけれども、率直に申しまして、当初入学するときには、自衛隊のこの防衛大学校というのはかなりレベルが高いから受けてみようかな、受かった、そこでほかの大学よりもいいから入ろうというような方が相当あることも事実です。しかし、四年間の修学課程の間に、それが意識の変化といいますか、そういう訓練の結果と申しますか、大方の方は国を守る職務に従事していこうということでございまして、それ以外の方が民間に行かれることは、国家全体の資源配分として見た場合には、私は必ずしもむだなことでもないというように考えておるところでございます。
 他方、防衛医大につきましては、これは医学生の教育、訓練には相当のお金を要します、予算を要します。そういうところからして、防衛医大を発足いたしましたときから、九年間は拘束を加えます。そして、九年間勤めていただいた方はやめてもこの授業料を免除いたしますけれども、九年間につきましては、例えば卒業後一年の人はより多額なもの、それから二年目からは少しずつ低減をしていくという形をとりまして、九年後には自衛隊を退職されても返還を求めないという制度になっておるところでございます。これは、この医官の養成のコストその他を勘案してのことでございます。
#227
○委員長(下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時九分散会
ソース: 国立国会図書館
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