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1992/05/20 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第10号
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1992/05/20 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第10号

#1
第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第10号
平成四年五月二十日(水曜日)
   午前十一時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     鎌田 要人君     板垣  正君
     木暮 山人君     仲川 幸男君
     清水嘉与子君     森山 眞弓君
     森  暢子君     竹村 泰子君
     吉田 達男君     國弘 正雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                上杉 光弘君
                岡野  裕君
                田村 秀昭君
                藤井 孝男君
                佐藤 三吾君
                谷畑  孝君
                矢田部 理君
                木庭健太郎君
                吉川 春子君
                井上 哲夫君
                田渕 哲也君
    委 員
                板垣  正君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                合馬  敬君
                鹿熊 安正君
                木宮 和彦君
                須藤良太郎君
                関根 則之君
                仲川 幸男君
                永野 茂門君
                成瀬 守重君
                野村 五男君
                星野 朋市君
                真島 一男君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                喜岡  淳君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                田  英夫君
                細谷 昭雄君
                太田 淳夫君
                常松 克安君
                中川 嘉美君
                立木  洋君
                磯村  修君
                猪木 寛至君
                喜屋武眞榮君
   委員以外の議員
       発  議  者  野田  哲君
       発  議  者  久保田真苗君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣  塩川正十郎君
       (国家公安委員)
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣  野村 一成君
       官房参事官
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       内閣法制局第二  秋山  收君
       部長
       警察庁長官官房  大森 義夫君
       総務審議官
       防衛庁参事官   金森 仁作君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練  小池 清彦君
       局長
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       外務大臣官房文  木村 崇之君
       化交流部長
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       外務省情報調査  七尾 清彦君
       局長
       文化庁次長    吉田  茂君
       海上保安庁次長  小和田 統君
       自治大臣官房総  滝   実君
       務審議官
       自治省行政局公  秋本 敏文君
       務員部長
       自治省税務局長  杉原 正純君
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公聴会開会承認要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
 法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改
 正する法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施
 等に関する法律案一野田哲君外三名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。
 この際、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案の審査のため、五月二十六日午前十時に公聴会を開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、公述人の数及び選定等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(下条進一郎君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案につき、現地において意見を聴取するため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(下条進一郎君) 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○合馬敬君 私に割り当てられました時間が百二十と書いておりますけれども、何か半分だそうでございますので、前々から質問を予告しておりました方に失礼かもわかりませんけれども、お許し願います。
 最初に総理大臣にお伺いいたしたいと思うのでございますが、冷戦構造が崩壊した後、国際情勢、大変な激動、混乱を迎えておるわけでございますが、これからの世界秩序がどうなっていくのか、大変な問題でございます。
 国際経済研究所長のフレッド・バーグステンがこう言っているのでございますが、今日の世界秩序、これは三つの歴史的な変革によって形成される。一つは、経済分野におきます三極化の進展ということで、統合が進む欧州、これは九二年ですね、ことしに市場統合が進む。遅くとも九九年には通貨同盟が形成される。その後、外交、安保、防衛政策の形成、こういったような政治同盟の達成までが進むんじゃないか、こういったようなお話もございます。
 それから、アメリカでは北米自由貿易協定というのが結ばれて、資本、労働力、こういったものの移動といったものも自由になる。カナダ、メキシコ、さらにはチリなんかのラテンアメリカも取り込もうと。こういったような一つの世界経済システムの維持という中で進んでいくんじゃないか、こういう問題があるわけでございます。
 それから、次は冷戦の終結に伴いまして、これからなかなかアメリカ、ソ連だけで世界の平和を保っていくというのは非常に難しい、地球規模での集団安全保障体制というものが必要になるんじゃないかと。それに関連いたしまして、湾岸戦争で日本のバードンシェアリングといいますか、こういったような問題も提起されておる。さらに突き進めていきますと、経済では経済G7、そして政治ではポリティカル、P7と、こういったような体制というものが必要になってくるんじゃないかと、こういう考えでございます。
 それに加えまして、第三番目に、冷戦時は経済問題では安全保障上クレームをつけないようにお互いの大国がしておったのが、これからはそういった関係がもうなくなるので非常にぎくしゃくしてくる、先進諸国の間で対立が激化してくるんじゃないか。こういったような歴史的な変革というのが起こってくるんじゃないか。そういう中で、我が日本がこれからはやはりこの自由世界、自由経済市場の中でしか生きていけないと。
 日本の進むべき道はこれからどうされるか、そしてこの新しい国際秩序の枠組みの中で日本の国際貢献というのをどうやっていくか、これにつきまして総理大臣の御見解なり御決意なりをお伺いいたしたいと思うわけでございます。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) フレッド・バーグステンの考え方を御引用になられましてお尋ねがございました。
 私もバーグステンの考え方を大体存じておりますが、まず第一の三極化という問題につきましては、ECなり、ただいま御指摘のアメリカ、カナダ、メキシコあるいはラテンアメリカの一部になりますか、今AFTAと言われるもの。そしてアジア、東南アジアの地域と、こういう三極というのがバーグステンの考え方であろうと思います。
 それは、自然な経済のいわば趨勢としては、この三つの地域ということは私は間違いだとは思いませんけれども、大切なことは、この三つの地域がいわゆるそれぞれ閉ざされた社会にならない、おのおのが要塞化しないということが大事なことでありまして、我々の地域については私はそういうふうにならないであろう、またなってはいけないと思いますが、EC及びAFTAについてそうなってはならないということをバーグステンが言っておりますことは、私は賛成でございまして、そうでないようにしていかなければならない。またこれは、こういう地球規模の経済になりますと、実際にそういう要塞化というようなことは私は避けられる、我々の努力で避けられるものと考えておりますけれども、それが第一についての問題点であります。
 第二についての問題点は、確かに米ソの対立というものはなくなったわけでございますので、大きな戦争の危険というものが減りつつある。そのことは大変に人類全体としていい流れであって、我が国はこの流れを推進すべき立場にございます。そして施政方針演説でも申しましたように、いわゆる平和の配当というものを南北問題のためにも地球規模の問題のためにも活用していくべきであるというふうに考えておるわけでございますが、その間にあっていろいろな別の問題、局地的な紛争というものがあっちこっちに起こりやすい状況である、また現に幾つか起こりつつあるということにつきましては、各国が協力してそれを防ぐべきことであり、平和を回復すべく努力をいたすべきことでありますが、なかんずくこれにつきましては、これはバーグステンは余り言っておりませんけれども、私はここでやはり国連の機能ということが大事になってくると思っておるわけでございます。
 今回御審議願っております法律案も、そのような機能を果たさなければならない国連の平和維持活動及び戦争防止の活動に対して我が国としてできる限りの協力をいたしたいという考えに出るものでございますが、これはバーグステンの申します。その第二の局面における、比較的バーグステンはそのことを言っておりませんけれども、私は世界の大きな趨勢としてこの問題を大事に考えるべきである、また、そのために国連そのものも強化をする、この役割にふさわしいものにしていくべきだというふうに考えておるわけでございます。
 第三の問題は、そのような大きな戦争への危険がなくなった場合に、かえって殊に経済大国の間の関係がぎくしゃくするであろうと言われますことは、これも十分に考えられることでございますけれども、しかし、それは経済の問題でございますから経済の中で解決できるはずの問題である。株にこの点につきましては、ブレトンウッズ以来の体制が崩れかけているとは申しますものの、それにかわる体制が生まれておるわけではありませんので、やはりIMFであるとかOECDであるとかガットであるとか、現にウルグアイ・ラウンドはそのガットのもとに行われておるわけでございますけれども、そういうものを通じましてそういうぎくしゃくという関係をできるだけ最小限にとどめていく。今年の初頭における私とブッシュ大統領の東京宣言あるいはワーキングプランと申しますものもそういう考えに出るものでございます。
#11
○合馬敬君 基本方向は総理大臣がおっしゃったとおりだと思います。
 そこで、その一環としてPKOの話が出てまいるのでございますが、これまでPKOにつきましてのいろいろな審議、それからこれをめぐりまして私のところにもいろんな意見を書いたものが参りますけれども、その中で非常に一つ私、気になりますのは、何か日本国民、日本民族といいますか、これはほかの民族と違って戦争が大好きな、何か理由がなく戦争を始めたいんだ、こういう他国の人と異質な特殊な好戦民族のような考え方をされているということを非常に痛感するのでございます。
 私は、日本の長い歴史の中で、日本人ぐらい鎖国の二百五十年の時代も含めまして平和に生きてきた民族というのは、もちろん地理的条件もございますけれども、ないと思うのでございますが、そういったようなことを含めまして、特に私は社会党の野田先生にお聞きしたいのでございますが、これについてはどうお考えでございましょうか。
#12
○委員以外の議員(野田哲君) お答えいたします。
 日本人全体としては温厚で平和を好む国民性だ、こういうふうに考えています。
 しかし残念ながら、かつて日本が一部の指導者によって専制主義的な国家体制をとってアジア地域に対して武力で侵攻をしたこと、このことがいまだに周辺諸国の日本人に対するイメージとしてまだ尾を引いている、こういうことを非常に残念に思っております。同時にまた、戦後におきましても、例えば長崎の本島市長を襲った右翼の行動とかいうものがやはり日本人のイメージとして非常に暗いイメージを持たれているということは残念に思っています。
 しかし、全体として私は日本の国民性というのね温厚で平和を好む国民だ、こういうふうに考えています。
#13
○合馬敬君 野田先生を初め皆様方そう思っておられて、非常に安心いたしました。
 そこで、私どもは現在の問題を解決するのには歴史をやっぱり見直さないといかぬと思うのでございますが、戦争といいますか、こういった話につきまして、十九世紀、二十世紀、特にアジアにおきまして、日本の話もございますけれども、ヨーロッパ、アメリカ、特にロシアも含むのですけれども、こういったところがどういったような植民地戦争、植民地の進出を行ったか、そして戦後彼らがまたそういった植民地支配をしていたところを彼らの力で独立させてやったのかどうか、そういった問題も含めまして一回見直していかにゃいかぬと思うんです。
 その反省の上に立ってこれからどうしていくかということで、国連外交だとかあるいはODAだとか、このPKOの話もございますけれども、出てまいったわけでございますが、なぜこういった植民地の進出が行われたのか。これはもう原因のないものはないわけでございまして、それは何といっても、それぞれの列強が植民地の資源だ労働力だ、これを安価なものを確保して、そして独占的な市場を確保する、いわゆるアウタルキー経済をつくる、あるいはドイツ語で言えばレーベンスラウムですね、こういったものをつくる。こういったような必要があったからこういった植民地の進出を欧米の列強は全部やったわけでございますね。
 ロシアも、外でもそうでございますけれども、ロシアは御承知のように十五の共和国でできておりましたけれども、それぞれの民族の中でまた植民地的な搾取をやっておるわけでございます。私もロシアに三年おりましたけれども、例えば我々アジア系の民族が住んでおる内陸のアジアの地区におきましては綿花とか穀物だとか単価の安いものしかつくらせない、そして加工するものはバルト三国に持っていって加工させる。そういったような意味でソ連邦の中における経済的搾取、植民地経営というのもやってきたわけでございますが、そういったようなことを踏まえまして、これからはそういうことではいかぬということで、戦後、ガットだあるいはIMFだ、こういったようなものもつくったわけでございます。
 そこで、日本は今やこういった平和な体制があればこそ繁栄が可能なのでございまして、しかも自由貿易体制、自由市場経済体制の中でのみ繁栄が可能なのでありますから、我々はこの平和が乱れては困るのであります。
 そうすると、我々は戦争をする必要は全く何にもないわけでございまして、むしろ自分の国土を守る、他国からの侵略は断固として阻止しなければなりませんけれども、そういった必要は全くないわけでございますし、そういった意思、能力も全くない、持っていない、こういうことを私は考えるわけでございますが、この考え方につきまして、よろしければ外務大臣、もし御答弁ございましたらお願いいたしたいのでございますが。
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く御説のとおりで、つけ加えることはございません。
#15
○委員以外の議員(野田哲君) 十九世紀の後半から二十世紀の前半にかけて、合馬先生御指摘のように、資本主義が勃興期にあって、その市場を広げていくために、安い労働力を確保し資源を確保していくためにその版図を拡大していく、そのために武力を使う、こういう形が世界じゅうで各地でとられてきたと思うわけでございます。
 同時にまた、もう一つの世界の幾つかの戦争の歴史を見ると、幾つかの要因があると思うんです。一つは、国境が非常に不安定なままで国家が隣り合わせでいるということ、あるいはまたその国家の生成の過程での民族的な問題、あるいは宗教的な問題、こういうふうな幾つかの戦争の要因があって、これがいまだに続いている。大国による武力の行使による版図の拡大ということは今はなくなっておりますけれども、依然として国境の紛争あるいは民族間の紛争、宗教間の紛争、こういうものが小規模の戦争の要因になっておりますので、これはやはり国連の場を通じてその要因の除去のために努力をしていかなければいけない、こういうふうに考えております。
#16
○合馬敬君 次に、世界に紛争は絶えないわけでございまして、そういった中で自分の国をどうして守るかという、これは大変な話でございます。何といっても国にとって一番大事なことは、国民の身体、生命の安全、そしてその基本的人権を守ることです。国土が侵犯された場合には、決して侵略軍、占領軍は基本的人権なんか守ってくれないわけですね。それは何といっても国が守ってやらにゃいかぬ、絶対に侵略をさせてはならない、こういう確固とした基本があるわけでございます。
 私は、そういう意味で国の自衛権というのは憲法で当然認められておる、わざわざ書いていないのは、当たり前過ぎるから書いていないというように解釈をしておりますが、まずこれにつきまして法制局の見解をお願いいたします。
#17
○政府委員(工藤敦夫君) 憲法につきましては、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨のものではなく、自衛のための必要最小限度の武力を行使すること、これは認められているところである、政府としてはこのような見解を従来から一貫してとってきているところでございます。
#18
○合馬敬君 そこで、その自衛権に基づいて自衛力というものを装備しなければならないわけでございますが、もちろん自衛権というのは先に発動するものじゃございませんですよね。相手が侵略してきた場合に、自分を守るために、国民を守るために、国土を守るために発動するわけでございますから、しかも、その自衛権に伴う自衛力は相手に対する脅威となって、抑止力となって、侵略をした場合には手ひどい目に遭う、侵略をしたら損だと思わせるための抑止力というのは非常に大事なわけでございますが、そういった考え方で私は自衛かというのを装備していかなければと思っているわけでございます。
 そこで、防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども、私は軍縮というのはもちろん大事だと思います。だから、全世界から軍備が全部なくなって、一切そういった侵略を行おうとする意思も能力もなくなったといった場合には完全軍縮ができると思いますけれども、先ほど申し上げましたように相手があることでございますので、相手に応じたいわゆる基盤的な防衛力、抑止力は断固として装備してもらわないと困るのであります。
 最近はハイテク戦争がどんどん進んでおりますので、中国でも今やハイテク戦争に備えて軍備の拡大ですね、どんどん兵員は減らしておるんです。装備も小銃だ鉄砲だと役にも立たないよ、つなそういったものは減らしておって、どんどん近代兵器に今や拡充を急いでおるわけでございます。私が聞いた話でも、ソ連からスホーイ17、19というのをどんどん導入しておる。それから、前は発展途上国に対しまして軍備は無償で援助をしておったそうでございますけれども、最近は金がないので自分たちの軍備を金で売っておるそうですね。それはけしからぬじゃないか、武器の売却はけしからぬじゃないかということに対しましては、ロシアだってほかの国だって売っておるんだから同じことだと言うんです。そういうことで中国は武器の売却も進めておる。そういったようなことでございますが、それもひとえにハイテク化に備えまして、一たん緩急ある場合に何とか自分の国を守らにゃいかぬ、その装備というものをやっぱり整えておかにゃいかぬという、そういうことがあるんだと思います。
 そして、なおかつ私が思いますのは、そういった相手の問題は全くさておきまして、ただただ日本がどんどん軍縮をやっていきますと、全部だんだん裸になっていきます。しかし、一たん緩急のある場合に国土を守る軍隊というものは、要員それから装備、これは本当にその時代に合った、しっかりしたものでないと、一朝一夕にはできないんですよね。だから私は、そういった面を含めまして自衛力というものはどうあるべきか、どのような水準に持っていくのか、そしてそれを持っていかれる自信があるのか、これにつきまして防衛庁長官にお伺いいたしたいのであります。
#19
○国務大臣(宮下創平君) 防衛のあり方についての基本的な問題の御指摘でございます。
 我が国が主権国家である以上、固有の自衛権を持っておるというのは当然でございまして、これは国際紛争を解決する手段としての集団的自衛権の行使は憲法上禁止されておりますから、個別的な自衛権の範囲内で我が国の防衛を基本的に考えていく、こういうことでございますが、今抑止力のお話がございました。抑止力と脅威対抗とは私はちょっと違うと思うんですね。我が国の防衛は、まさに専守防衛を防衛政策の基本といたしまして、抑止力の見地に立っております。
 つまり、外国に攻められてきたときにのみ、我が国は今委員の御指摘のように国家、国民の生命、財産あるいは基本的な価値、こういうものを守っていくんだという建前になっておりますので、我が国が、相手がこういう国があって脅威だから、それに対抗する防衛力を高めていくという性質のものでないことはしばしば基本論として申し上げているところでございます。つまり、それは基盤的防衛力構想というものでございます。今一々詳しくは申し上げません。
 そういうことでございますが、今委員の御指摘の点は、大変私も同感の点が多うございます。特に、防衛計画の大綱別表におきまして、我が国の到達すべき装備体系、その他兵員の規模はおおむね達成されたものと。その後はやはりそのままでいいというわけにはまいりません。今委員御指摘のように、軍事技術の近代化、進展等がございます。それでなければ本当の抑止力にはならないわけでございますから、私どもは基本的にこの数量の範囲内でハイテクその他近代技術を取り入れたものを、専守防衛の見地に立って装備を採用していく、そしてそれによって本当に専守防衛の実を上げて国を守っていく、これがまさに必要でございまして、まさにこの点は委員御指摘のとおりだと存じます。
#20
○合馬敬君 私は、そういう信念を持っておるわけでございますが、野田先生も、私お伺いいたしましたら自衛隊には大変な御理解を持っていらっしゃるそうでございまして、自衛隊員の給料のアップにつきましても何か社会党さんの中では真っ先に御賛成された。それだけ国防がいかに大事かということを、私も承知しておるわけでございますが、自衛権につきまして基本的な考え方、もし一言ございますれば。
#21
○委員以外の議員(野田哲君) 国家として自衛権を持っている、このことは当然だと思います。ただ、その自衛権をどういう形で持つか、このことについては合馬委員と見解を異にすると思うんです。私どもは、憲法前文そして第九条をそのまま素直に読めば、これは陸海空の軍事力は持たない、こういうことになっておりますし、国際的な紛争のために武力を使わない、こういうふうになっているわけでありますから、私どもの考える自衛権というのは、外交手段によって自衛の実を上げていく、こういう立場に立っている。
 そしてまた、そのことは憲法制定直後に政府から出された「あたらしい憲法のばなし」として国民に、学校の生徒たちに、教育として指導する要領の中でも、日本は軍事力は放棄をしたのです、放棄というのは捨てたことなんです、それによってどこかの国から攻められるというような心配をする必要はちっともありません、日本が平和を守っていくと心に決めた以上は外国から侵略されるような心配はございません、こういう政府の生徒に対する指導要領も出されている。そのとおりだと思うし、また最高裁の憲法判断でも、この憲法九条の中で自衛のために軍事力を持つことを肯定した判決もいまだ出ていない、こういうふうに私ども受けとめております。
#22
○合馬敬君 ここは見解の相違でございますから、ここで議論をする時間もございません。
 そこで、事実といたしましては、冷戦構造崩壊後も国際紛争は頻発、多様化、むしろ激化しておると言ってもいいような状態になっております。どのような仕組みで平和を回復するか、いろんな手段があるわけでございます。PKOは、その一手段にすぎないのでありまして、本当の一手段にすぎない。しかもPKOというのは、現実に戦争が起こっているときに、強引に戦争はやめろと物理的にやめさせるというものでもない。ましてや戦争が起こりそうだからやるなと突然起こる前に入っていって、それを事前に戦争を防止するといったようなこともできないですね。
 私、一部の団体めパンフレットを見ますと、PKOというのはすごいもので、事前に戦争の防止までやるんだといったように宣伝しているところもございましたが、もちろんそんなことはできませんですよね。戦争が起こって、そしてみんながもう戦争はやめたいと、そういったところを、それが戦争の停戦ができて最後の平和回復ができるようにやってやる、こういうような非常に受け身なものだと。この前、国連の明石代表も言っておられましたが、そういう意味で、国連のPKOというのは長年の歴史を踏まえて二十世紀が生み出した人類の知恵だと高く評価しておる、高く評価すべきではないか、こういったように言われておるわけでございます。
 私も、自分の選挙区に帰りましていろいろな報告会をやるのでございますが、ともかく最初のうちはもう無条件に自衛隊の海外派遣反対、武装した自衛隊反対、これはいわゆる保守的な考え方ですね。保守的といいましても、最近のソ連では保守というのが革新で、革新が保守だと、こういうような渡辺外務大臣のお話をお聞きしましたのでございますが、我々のような自由民主的な考え方を持っておる人でも大変なアレルギーがあるんですね。
 そこで、私がこういうように説明いたしますと、ああそうかと、それならぜひやるべきだという人は非常に多いんですよね、いわゆる五原則に基づいて。民族がともかく死に物狂いでお互いに戦っておる、もう疲れた、戦争はやめたい、と四派が言った、カンボジアの場合ですが。しかし、その四派の中でどうも相手が信用できない、おれがやめたいと言っても相手がいつ裏切って攻めてくるかもわからぬというのですね。そんなことでおれが先に武装解除ができるか、信用ができない。そこで国連の決議があり、こういった五原則に沿ってそれを中立を保って引き分けてやろう、担保してやろう、こういうのをやるのがPKOなんですよね。
 そういったような意味で、私がそういったお話をしますと、なるほど、それじゃPKOというものは何も海外に自衛隊を使って戦争をしに行くんじゃないんですねと。しかも、その任務が終わったらちゃんと日本に帰ってくるわけです。それぞれの国に帰るわけでございまして、そのままい続けてその国に進出するとかあるいはおまえに協力してやったからその後経済的な権益はおれによこせとか、そういったようなことは言わないように仕組みができておるわけでございますので、そういうことを言いますと、私は非常に皆さん方に理解を受けまして、これはもうPKOをぜひやらにゃいかぬと、こういうように声援がかかってくるわけでございます。
 よくPKOを使って何かアメリカとミリタリーなグローバルパートナーシップをいよいよ世界に発揮するんだ、自衛隊はアメリカの傭兵となって、何というか世界制覇をやるんだと、だんだん話が大きくなって、私はどうもそこら辺が国民の非常に誤解を招いておるんじゃないかと思います。
 率直に言いまして、私はアメリカのこれからのパックス・アメリカーナ、いわゆるグローバルなミリタリープレゼンスというのは期待できないと思うんですよ。アメリカも何が大事か、自分の国益、ナショナルインタレストが一番大事なんですからね。だから、結局自分の関係のあるところさえ平和が保てれば一極端に言えばカンボジアだアフガニスタンだは関係ないんですから、見殺しにしていいんですよね。湾岸戦争のときは、これは石油が日本と同じように関係がありますから。
 そういう意味で、私はこのPKOというのは、先ほども何回も申しましたように、非常に受け身な、そして二十世紀が生み出した国際平和を築く人類の知恵であると、こういうように評価すべきではないかと思うわけでございますが、まずこれにつきまして政府の見解を聞き、そして野田先生の方からも御意見を聞きたいと思います。
#23
○国務大臣(宮下創平君) 大変、PKO活動というものが何であるかということが正確に理解されていないという点は私も感じます。委員の御指摘のように、私も後援会の人たちが上京いたしますと、この説明を本当に砕いて基本的なことを、うそ宣言わないで本質的なことを説明しますと納得してくださいます。そういう意味では、もうちょっとPRした方がいいかなという感じは率直に私も持っており、またしなければならぬと、こう思っております。
 そして、今PKOは人類の知恵であるというお言葉がありましたが、私もそうだと思うんですね。その基礎にはやっぱり国際秩序をどうやって維持していくか、武力行使の参加でなしに平和的な活動を通じていかに国際の活動に寄与していくかというのがこれからの求められる我が国の進路の像であると思うんですね。そういう意味で、私は全くお言葉に賛成です。
 ただし、今国益という話がありましたが、私はこのPKO法案を率直に見ておりまして、国際貢献、これは確かにそのとおりです、しなければなりません。しかし、私は実は今度ヨーロッパを回ってまいりまして、いろいろPKOについて各国の見解も聞きましたが、各国とも非常にナショナルインタレストということを考えつつ参加を考えているということであります。我が国もこれだけ経済大国になってまいりますと、やはりこの国際平和活動に参加する、PKO活動に参加することが非常に国益にも合致するんだということをもっとPRすべきではないかと、私は率直にそういう感じをして帰ってまいりました。
 そういう意味で、PKOの国際貢献はまさにこれから我が国の進むべき道の国益にも合致するものというように私は確信をいたしておるところでございます。
#24
○委員以外の議員(野田哲君) 私のところにも国民の皆さんからPKOの政府案についてはぜひ反対をしてほしい、こういう陳情の手紙、はがきがこんなに来ています。
 そこで、このPKOの問題でありますけれども、私は冷戦構造が崩れたことによって国連の平和維持機能というものも大きく変わってきている、こういうふうに見ています。それは、それまでソ連とアメリカの対立によって国連としての機能が十分発揮できなかった。これがゴルバチョフさんの新思考外交、あるいはまた一九八八年だったと思いますが、PKOがノーベル平和賞を受けた、こういうことの中でソ連の国連に対する態度、PKOに対する態度も大きく変わってまいりました。それだけに、新しいこれからの冷戦後の平和秩序づくり、このためにはやはり国連の役割がもっともっと大きな機能を果たしていかなければならないと思います。
 そのためには、やはり国連そのものがいまだに戦勝国と敵国という残滓を引きずっているこの運営をまず改めることと、そしてもう一つは、平和維持機能というものがPKOの中のPKFと呼ばれている分野だけを重視して、これを派遣して平和を武力によって維持していく、そういう機能からもっと多彩な、戦争の要因を事前に排除をしていく。国境紛争の調停であるとかあるいは貧困に対する経済的な援助であるとかあるいは民族的な対立、宗教的な対立、こういう分野まで踏み込んだPKOの新しい活動分野、こういうことに私どもは着目をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
 そして、PKOの中のPKFについては、戦争をしない軍隊だ、こういう言葉がありますけれども、依然としてこれは、この間のユーゴスラビアのPKOの活動が被害を受けたことに見られるように、軍事力による応戦の機能というものは依然として懸念は消えていないわけでありますから、そういう分野はやはり日本としては参加しない、文民の分野での活動の幅を広げていく、そういう立場で臨むべきではないか、こういうふうに考えます。
#25
○合馬敬君 そこで、いよいよこのUNTACについて私どもどう対応するかという話があるわけでございますが、UNTACは予算規模、その要員規模、これまで史上例を見ない大きなものでございますが、何よりもこのUNTACの特徴は、国連に与えられた権限というのが平和維持、平和達成、平和建設、こういう複合的なものでございまして、国連が独立国に対しましてこんなに大きな権限を持つというようなものは初めてなんですよね。行政監視の任務は選挙の実施まで与えられている。外交、国防、財政、情報、治安、こういったものにつきましてもUNTACは直接管理権限を付与されておる、そういったような全く新しい試みであると言っても差し支えないものでございます。
 このUNTACの目的というのは、基本的にはカンボジアにおきます和平の実現、公正中立な選挙、そして立法議会をつくって新政府を樹立する、これに対して国連がどういったような効果的な援助ができるか、こういう問題があるわけでございますね。何か野党の、特に社会党さんの話を聞いておりますと、そのためにこのPKO法案を審議するときに、何が何でも自衛隊をまず海外に派遣することが先なんで、すべて自衛隊を海外に派遣することからこのPKO法案の審議が始まっておると、そういったよう宣言い方をされるんですが、私は全く逆だと思うんです。
 UNTACをどうやってうまく成功させるか、そのためにどういった仕事を各国が協力しなければならないか、特に今のようなこれだけの大変な仕事を、しかも期間が限られておる、どうやってやらなければならないかということですね。そのための協力でございまして、私は、非常にそういう意味で社会党の議論というのは議論を矮小化しておるというように思うわけでございます。
 そこで、まず具体的にUNTACの今の構成、実施状況、それから今の時点でどういうところが不足しておるのか、どういう部門が一番求められておるのか、それからその充足の見通し等々、わかる範囲内で結構でございますから、外務省の方から御答弁をお願いいたします。
#26
○政府委員(丹波實君) UNTACの基本的な目的は、先生おっしゃったとおり大変総合的なものでございます。したがいまして、世界から参加してきておる国の数も非常に多うございまして、日々状況によって国がふえてきておりますので数字が違ってきておりますけれども、今日時点で私たちが把握しておる国の数は、どこかの分野で参加をするという決定をした国が四十四カ国に上っております。現実に既に要員を展開している国としては三十カ国ぐらいに上っておるという状況でございます。軍事部門では、歩兵部隊、工兵部隊、通信部隊、ロジ部隊、医療部隊、航空部隊、それから停戦監視団、それに加えて本部の要員、それに加えて文民警察部門というのが各国が今までに展開しておる状況でございます。
 どういうところが未充足がという御質問でございますけれども、この点につきましては先般当委員会におきまして明石UNTAC特別代表がおっしゃっておられましたが、停戦監視団については未充足のところがある。それから工兵部隊、充足度が不足しておる、需要が大きい。それからロジ、これは後方支援という意味ですが、後方支援は八百数十名で、まだ十分じゃない。それから海上部隊で、まだこれも十分ではない。それからこれに加えて、文民警察の部門はまだ非常に足りていない。こういう状況は恐らく今日まで続いているんではないかというふうに考えております。
#27
○合馬敬君 そういうことで、現実問題としてどこに協力しなければならないかということは非常に明らかになっておるわけでございます。
 先ほども申しましたように、中国は一番需要に応じまして工兵隊を派遣するというような話を聞いております。これは私が見た範囲内でも、中国は自衛用に小型機関銃とピストルを装備して、四十七人の停戦監視団と、少なくとも三百人の工兵隊というものを派遣することを、さらに百人上回る工兵隊の派遣に同意したということで、PKF派遣に誇りを持っておるということで中国人民解放軍機関紙「解放軍報」は、「派遣は中国の誇りであり、中国軍は今後世界の平和に貢献すると自賛した。」と、こういうようになっております。
 PKF部門についてはいろいろな議論もあろうかと思いますが、野田先生、こういった工兵隊、本当に一番求められておる部門、特にインフラ関係になると思うんですが、こういったようなものについて派遣することについてはどうでございますか。(「自衛隊のでしょう」と呼ぶ者あり)もちろんそうです。
#28
○委員以外の議員(野田哲君) 中国は中国の政策、国情の中で選択をしたわけですから、これに言及することは避けたいと思うんですが、ただ私は、中国というのは長い間カンボジアの内戦、それによって国内が疲弊したことに対してやはり外交的に責任のある国だと思うんです。ですから、そういう点ではいわゆる軍事部門が余り前に出ないで工兵隊というインフラ部門、この面でとどまっていることはそれなりに評価してもいいんではないか、こういうふうに思うんです。
 それで、では日本からは一体どうなんだと、こういうことでありますけれども、私どもは何回もこの席で申し上げましたけれども、今カンボジアで求められているインフラ整備、民生の安定、そして避難民の救済、こういう分野について自衛隊の持っている能力、ノウハウ、これはやはり評価することにはやぶさかではございません。それを活用するとすれば、やはり憲法の理念からいって自衛隊ではない別組織に組織がえをして派遣をしていく、このことが一番賢明な策だ、こういうことで私どもは法案を提案しているわけです。
#29
○合馬敬君 そこで、一つはPKOのお金でございますが、最近PKO花盛りでございまして、国連のガリ事務総長もPKOのお金が非常に窮迫しておると。今後、我が国としてはこれに協力していく必要があるわけでございますけれども、どのような理念、スキームでグローバルに我が国の負担額、割合というのを決めていくのか、これについて御見解をお伺いしたいと思います。
#30
○政府委員(丹波實君) PKOの割り当ての仕方についての御質問と了解いたしましたけれども、PKOが設置される場合三つの方法で、経費が三つの種類と申し上げた方が正確かと思いますが、種類で経費が賄われております。一つは、国連本部の通常の予算を使うもの。それから二つ目は、サイプラスの例がそうだと思いますが、各国が自発的な拠出金を出していって賄うもの。三つ目は、一番行われている方法ですけれども、総会が費用を決定した場合に一定の分担率によってそれを義務的な経費として割り当てる、こういうことでございます。
 この最後の場合が一番多いんですが、この場合、安保理の常任理事国は普通国連本部に出していく比率よりも多い比率を出しでいっている。アメリカの場合の例をとりますと、通常の分担金は二五%なんですが、PKOの特別分担金につきましては三〇%を超える数字のものを出していっております。日本のような、それ以外の通常の先進国につきましては通常の分担率と同じ比率を出していく。三番目のグループとしては非常に割安なものを出していく。基本的にはそういう三つの国のグループに分かれて分担が行われている、そういう仕組みになっております。
#31
○合馬敬君 それから、時間がありませんが、ちょっと私気にかかることがあるんです。
 一昨日ですか、委員会で角田先生から、停戦の合意が崩れた場合、政府案で国際平和協力業務は中断できる、こういうことになっているが、そんなことは国連との関係でできないんじゃないか、日本の独自判断や行動が担保される保障がないのじゃないか、こういう質問があったわけでございますが、社会党から提出されました法案の第十条第三項で「派遣隊の長はここの「派遣隊の行動についてはこ「国際連合事務総長又は派遣先国において国際連合事務総長の権限を行使する者の指揮に従う」、こうなっているんです。「ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。」、こういうことになっておりまして、「本部長が当該国際平和協力業務を中断する必要があると認めるとき」はこの限りでない、こういうことになるわけです。つまり、この社会党案は停戦の合意等が崩れた場合は国連の指揮に従わなくてよい、こういうことになるわけでございますね。
 一昨日の議論で政府案を批判したのと全く同じ内容が社会党案に盛り込まれているんでありますが、これは一体、自分が提出した法案を否定しようとしておるのか、それとも自分で出された法案の内容が十分理解されずに批判をされたのか、ちょっと私にはわからないわけでございますが、私が言いたいのは、何か政府案に間違いがあるような印象を与えようとしておるのであるならちょっと問題があるということの指摘だけでございます。
 その次に、私この問題に関連しましてもう一回確認をしておきたいのでございますが、矢田部先生が毎日新聞に書かれておる「私見/直言」というのでございますか、この論文の中に「軍隊および文民の部隊を国連に派遣した国が、自国の都合で勝手な行動をとらないように、「国連の排他的な指揮権」を認めることを大原則としている。もしこの原則が破られれば、国連としての活動を受け入れる国の「同意」も、国連の「中立原則」も成立しなくなるから、「国連の指揮権」の貫徹は当然のことである。」と。
 そうしますと、要するに国連は自衛のための武力行使をすることがあり得るので、だから日本が武装した自衛隊を出すというのは、国連の指揮命令のもとに必ず武力行使をするからこれは憲法上の大問題だと、こういうような言い方をされておられるわけでございます。
 私どもは、先ほども何回も説明しておりますように、PKOは戦わない軍隊、敵のいない軍隊ということで五原則をつくっておるのでありますが、国連は自衛のための武力行使をすることがあり得る、したがって日本がPKOに従った場合にはこの指揮命令に従って武力行使をしないといかぬ、するんだと、こういったような書き方になっておるわけでございますが、これについてどういう御見解なのか、もう少し詳しく私どもにわかるように説明をしていただきたいのでございます。
#32
○委員以外の議員(野田哲君) まず、先ほどの指摘なんでございますけれども、角田委員の質問についてお触れになったわけでございますが、私どもが提案をしている法案というのは、これは文民に限定をし、業務の範囲もいわゆるPKFの分野というのは一切参加しない、民生分野に限る、こういうことで提案をしておりますので、そういうことの中で、実際国連の事務総長あるいは権限を委任された者の指揮下に入って文民の活動をやっていく、こういうことになっているわけでございまして、その国連が派遣をされた前提条件が崩れたときにはこれは引き揚げます、こういうことになっているわけでございます。
 角田委員がおとといですか議論をしたことは、これはPKFに参加をした場合の指揮命令権の問題で議論をしたわけでございまして、その点では議論のスタンスが私どもが出した法案とはちょっと違う分野での議論であったと思うんです。
 それ、から、矢田部さんの論文についての御質問がございました。これは隣に当事者がいるので、後でよく本人からお聞きいただきたいと思います。私どもとしては、矢田部委員の毎日新聞の論文というのは、やはり憲法上の問題に対する鋭い指摘だと、国家の基本的な問題についてのまことに見識ある論文だと、こういうふうに思っております。
#33
○合馬敬君 非常に短絡な御説明で、そういう説明だから国民はPKOを派遣したらすぐに武力を行使するんじゃないか、こういう錯覚を持つわけでございます。
 それと、いわゆる非軍事、文民、民生の協力隊員を派遣するということで、私どもはその場合、一つは安全問題、PKOの要員についてはもちろんこれは丸腰で一切武装させない、小型武器も携行させない、文民警察についてもしかりというようにお伺いしておりますが一先般、社会党のカンボジア訪問議員団ですか、これがサンダーソン司令官からPKO要員は自衛能力を備えていることが必要という説明がされておる。社会党の主張している丸腰の文民組織では対応が無理じゃないか、困難じゃないかと、こう言われたことに対しまして、後方に鉄砲の弾が飛んでくる状況をなくすためにPKFがいるのであって、PKFがしっかり活動していれば問題はないと思う、文民組織であってもきちんと組織的に行動すれば安全は確保できるのではないか、こう言っているのでございますが、これはPKFの性格を根本的に誤解しておるんじゃないですか。
 PKFは、PKOに派遣しておる人間なんかの安全を何も守ってやる必要は全然ないんですよ。停戦監視ですよ、武装解除、それをやるためのPKFでございまして、ほかの要員が行ってその安全をお願いしますというような、そんなことはとてもやっている暇がないんで、お邪魔虫なんでございまして、そういう意味で、どうしてこんなことができるのか、私は非常に理解に苦しむのでございます。そういうことで、ともかく一たん緩急あったときにはしょうがないから他国のPKFに守ってもらえばいいと、こんな無責任なことはとても私は言っておれないと思います。
 そして、いわゆる民生部門で何か協力をしたいということで、例えば千人の青年海外協力隊を送る。果たして千人本当に現実に送れるのか。今現実にどのくらい我が国が青年協力隊を送っておるのか。
 今、青年協力隊を仮に送るとしたら、必ずアテンドというのが要りますから、今でも青年協力隊には二十人に一人の割合で調整員、医療調整員ですね、だから合わせて二人、一〇%。千人送るのなら百人の調整員、医療調整員がついて行って現地で面倒を見てやる。しかも、行ったところの住居、そういったものは相手国が全部面倒を見てやる。しかも、派遣人員を含めまして二千人といっておりますけれども、二千人が全部フル稼働はできませんですね。六カ月交代ということになりますと千人しか実際は送れない、こういうことになるわけでございます。そのために二千人送るのだったら四千人を抱えなきゃいかぬとか大変なことになるわけでございます。
 そういうようなことで、私は、それだけから考えても、このUNTACには間に合わない、しかも非現実的なプランであるというように解釈をしておるわけでございます。
 もう時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
#34
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
#35
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#36
○喜岡淳君 社会党の喜岡であります。ひとつよろしくお願いいたします、
 最初にお尋ねをいたしますが、タイにおいてここ数日、政府と軍による市民に対する流血の弾圧といいますか、惨事が起こっておるわけであります。これについて総理及び外務大臣の御見解を賜りたいと思います。どういう措置をとろうと日本政府は考えていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 本当にこれは突然のことでありまして、我々も驚いているのであります。やはり選挙の結果が尊重されないというような民衆の不満が爆発したことであろう。したがいまして、一日も早く民主的な手続による解決策を、日本政府としてもその意向を伝えでございますしばらく様子を見たいと考えています。
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま外務大臣から御答弁があったとおりでございますが、私どもの考え方は、昨日、現地におります岡崎大使を通じましてタイ政府に私どもの考え方として伝達をいたしてございます。
#39
○喜岡淳君 報道によりますと、現地の混乱の状況もございますから、なかなか大使館からタイ政府に対する伝達といいますか、十分よくできていないように承知をいたしております。推移を見守るということも一つの考え方でしょうが、我が国はODAの実施に当たっては四つの原則ということが確立をされているはずであります。特にこのODAの原則の中には、民主化の促進や基本的人権及び自由の保障状況にも十分注意を払う、こういう明確な原則があるわけであります。
 こういう立場から、タイに対する我が国のODAをどういうふうにされるのか、この点についてお考えを伺いたいと思います。
#40
○国務大臣(渡辺美智雄君) ODAそのものをどうこうするということは今のところ考えておりません。まだ一週間もたたないというような状況でございますから、どのような事態に進展していくか、そういうことを見た上で、変更すべき事態になるのか、ならないようにちゃんとやってくれるのか、もう少し様子を見なければ結論を申し上げるわけにはまいりません。
#41
○喜岡淳君 私は、タイで今起きておる人権弾圧、自由と民主主義の破壊行動に対して日本がいつまでも手をこまねいて見ておる、こういう態度は、アジアにおいて重要な発言権を持つ我が国と発して許される態度ではないというふうに確信をいたしております。直ちに日本の立場、原則を踏まえた人権擁護の活動に立ち上がることを要望しておきたいと思います。
 それでは、総理にお尋ねをいたしますが、この指揮権の問題、コマンド、指図、さまざまなことが言われております。この指揮権の問題につきましては、既に衆議院、参議院におきまして政府の統一見解が出されておりますが、先般四月二十八日に、我が党の矢田部理事の方からこの統一見解の撤回を求める意見が出ておったと思います。
 この統一見解については、撤回される意思があるのでしょうか、撤回しているのでしょうか、これについてお答えいただきたいと思います。
#42
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、統一見解とおっしゃいますのは、恐らくは十八日のこの委員会の冒頭におきまして外務大臣が発言をされた、これに関する……
#43
○喜岡淳君 違います。衆議院、参議院で出された政府の統一見解です。
#44
○国務大臣(宮澤喜一君) それでは、ちょっと事務当局から申し上げます。
#45
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、この問題につきましては衆議院と参議院で統一見解を表明いたしました。あわせて四月二十八日の矢田部先生の御質問を受けまして、委員長の方から答弁を整理して検討するようにという御指示を受けました。したがいまして、それを受けまして一昨日の委員会におきまして「外務大臣発言」ということでお答えさせていただき、整理させていただいたものでございます。したがいまして、衆議院あるいは参議院で表明させていただきましたコマンドあるいは指図との、あるいは指揮権との関係ということについては、その一線上、同じ基本的な認識を表明させていただいたということでございますので、撤回云々の問題は生じないというふうに考えておる次第でございます。
#46
○喜岡淳君 去る四月二十八日に矢田部理事が政府に統一見解を求めておりました。委員長の方からも、それに対する答えを出すという御発言があったと思います。したがって、四月二十八日の矢田部理事の質問に対する政府の統一見解、つまり回答、それは五月十八日に外務大臣が発言をされましたあの内容でございますか。そういうふうな受けとめでいいですか。
#47
○国務大臣(渡辺美智雄君) さようでございます。
#48
○喜岡淳君 この「外務大臣発言」という紙が矢田部理事に対する回答ですね、この紙が。
#49
○国務大臣(渡辺美智雄君) そのとおりでございます。
#50
○喜岡淳君 私は、まだ今なお矢田部理事に対する回答は出ていないと考えております。
 なぜかといいますと、矢田部理事が質問をした点はこういう問題なんです。国内法においても指揮権は懲戒権を伴うものではない。国連も指揮権には懲戒権を含まないとあるわけであります。全く国内の法律も国連の規定も同じではないですか。どうして国連の場合だけは「指図」とあえて政府がこれまで言ってこられたのか、こんなものはおかしいではないか。したがって、懲戒権をめぐる見解について整理をするべきではないかと言って矢田部氏は勧めもしたはずなんです。それに対する答えがこの紙だというわけですね。この紙のどこに懲戒権をめぐる整理が書かれているんですか。これが答えだというならば、この紙を使って明確に懲戒権をめぐる見解の整理を述べてください。どこで読めるんですか、これで。
#51
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 私、要するに懲戒権云々の問題につきましては、それが国連のいわゆるコマンドというのについては、これは長年のPKO経験から出てきたものであり、「「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」とは同義である。」ということを言っておるわけでございまして、そういう意味におきまして、法案で規定しております「指図」と「「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」とは同義である。」ということ、つまり外務大臣発言のこの項目でいきますと、第一項目で述べているところにおきまして、実質的、実体的にはそれが同じ意味を持つものであるというところで十分懲戒権云々の問題については答えているというふうに考えております。
#52
○喜岡淳君 それは紙をひっくり返して裏から読めというのと同じなんですよ。矢田部さんが質問をされたことは、政府が従来懲戒権の有無をもって指図というのか指揮というのか、その分水嶺は懲戒権にかかわる問題なのだと、ここを問題にしておるんですよ、質問したのは。それに答えたというのなら、この一のどこに懲戒権をめぐる見解が整理されておるんですか。それを聞いているんですよ。
#53
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 私、冒頭で衆参両院の統一見解と申しますか、それとの関連を申し上げました、今回の外務大臣の。要するに今御指摘の懲戒権云々につきましては、私どもかつて衆議院、参議院、両方で出させていただきましたいわゆる統一見解においてきちんと述べてあるわけでございます。
 具体的に読ませていただきますと、国連のいわゆるコマンドと法案第八条第二項の「指図」の関係についてというところで第一項目、ここでちょっと途中から読まさせていただきますけれども、「一九九一年五月に作成・公表した「国際連合と国際連合平和維持活動に人員及び装備を提供する国際連合加盟国との間のモデル協定案」第七項及び第八項にも反映されているとおり、派遣された要員や部隊の配置等に関する権限であり、懲戒処分等の身分に関する権限は、引き続き派遣国が有する。」というふうに書いてございます。
 今回の外務大臣の発言ということで整理させていただきましたのは、あくまで衆参両院で表明させていただいております国連のコマンド、あるいは我が国法案の指図との関係についての統一見解、それの延長線上にあるわけでございますので、そういうふうにぜひ御理解いただきたいと思います。
#54
○喜岡淳君 もう一度聞きますよ。この紙のどこに懲戒権をめぐる見解の整理があるのかと聞いているんですよ。これが答えだとあなたは言ったんじゃないですか、今。
#55
○政府委員(野村一成君) 私が申し上げましたのは、衆参両院での統一見解で懲戒権との関連における国連のコマンド、あるいは法案において使われている「指図」について、懲戒権との関連について申し述べました。その上で、今回の外務大臣発言の第一項におきまして、法案で使っております「指図」と「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」とは同義である。」ということを申し述べておるわけでございます。したがいましてその点、基本的に、私、懲戒権の有無に関連する問題提起につきましては、ここではっきりと答えているというふうに考えております。
#56
○喜岡淳君 もう一度言いますよ。これは会議録ですよ。矢田部さんが聞いたのは、懲戒権の有無をもって根拠とするということについてどうなのか、整理した答えをくれと言ったのでしょう。だったら、どうしてこの紙の中に、それについて今あなたが言ったようなことを書かなかったんですか。明記すればいいじゃないですか、ここへ。
#57
○政府委員(野村一成君) まことに繰り返しで恐縮でございますけれども、私ども、衆参両院における統一見解の延長として、委員長からの御指摘は答弁を整理検討するということでございました。
 そこで、この外務大臣発言にございます、「「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」とは同義である。」と、その国連の「「モデル協定」第七項にいう」ということで簡略してここでは書いてございますけれども、しかし統一見解、先ほど私読まさせていただきましたその内容におきましては、その点について非常に詳しく、例えばモデル協定ということにつきましても正式のワルタイトルを使ってございます。それで懲戒権の問題についても。考え方をきちんと述べておるわけでございまして、そういう意味で、この第一項で整理してございます考え方というので十分、実体、中身としては答えているというふうに考えておる次第でございます。
#58
○喜岡淳君 これは部隊の配置等についての権限を根拠として書いておるんじゃないんですか、一番のところをあなたは何回も同じことを繰り返すけれども。部隊の配置等についての権限を根拠にしておるではないですか。矢田部さんの質問は、もう一回言いますよ、懲戒権の有無をもって分水嶺とするかどうかということについての整理を求めたんですよ。
#59
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 このPKOに関連する、特に国際連合が各国から派遣されておる部隊に対して有している権限というのがございます。それはまさにこのモデル協定、これは長年のPKO活動の中から出てきているものでございますけれども、モデル協定第七項にいう国連のコマンドというのであって、それについての中身というのは、既にまさに衆参両院で出しました統一見解で懲戒権の関係も含めて指摘してございます。
 その上で、この外務大臣発言の第二項、三項で、我が方の考え方といたしまして、そういう国際連合が各国から派遣されております要員に対して有している権限と、そういうのにつきましては法案の枠内で、「実施要領を介して」ではございますけれども、それに「従う」、それの「下にある」ということをはっきりと申し述べておるわけでございます。したがいまして、その関連におきまして、国際連合と我が国から参加するこの法案の枠組みとの関連におきましては、特に問題は生じないと、そういうことを申し述べておるわけでございます。
 それで、私、あるいは若干敷衍させていただくことになるかもわかりませんけれども、一昨日の委員会におきまして、確かに矢田部先生からも、あるいは角田先生からも御指摘がございましたけれども、派遣と申しますか、国内法体系におきます指揮あるいは指揮監督という用例との関連におきまして一それが懲戒権を持っておらないという場合も含めまして、国際連合とそれから主権国家との関係におきます国連のコマンドというのとは、基本的に性格を異にしているという側面があるということを申し述べさせていただいたつもりでございます。
#60
○喜岡淳君 つもりだとかなどと言われたのでは困るんですよ。これが、文書で出たのが回答だとおっしゃるんでしょう。つもりとは何ですか、つもりとは。明確に読めるように書かなければ、つもりだなどと言われたんではかないませんよ。
#61
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 私、つもりという言葉を使いましたが、その用語、不的確かと思いますので訂正させていただきます。
 私申し述べましたのは、この国際連合のコマンドというのはまさに慣行で形成されてきたものでございまして、派遣国の要員がその国の公務員として行う職務に関して国連が行使する、そういう性格の権限でございまして、これは国内法の既存のいろいろと御引用がございました、そういう中で使われております指揮または指揮監督の用例にも、いずれにも該当しない概念である、そういうふうに考えられる、そういうことを申し述べたわけでございます。
#62
○喜岡淳君 たくさんおっしゃらなくていいです。私の質問にだけ答えてくださいね。もう一回言いますよ。矢田部氏の質問は懲戒権の有無、これを分水嶺として指揮とか云々言われておるから、それについての見解を整理してほしい、それについて整理をしてくれというんだから、これにきちんと整理、書くか書かないかというところを聞いておるわけですよ。
#63
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 一般に国内法上の指揮または指揮監督というのは、これは私繰り返し御答弁申し上げているわけでございますけれども、職務上の上司がその下僚たる所属職員に対し職務上の命令をすること、または上級官庁が下級官庁に対しましてその所掌事務について指示または命令をすることを意味している。それに対しまして国連のコマンドというのは、派遣国の要員がその国の公務員として行う職務に関して国連が行使するという性格の権限である。そういった点から、両者の性格が異なるということ、これも私先ほど申しましたように、国内法の体系というのとは違うということで、単に懲戒権の有無によってその使い分けをしたものではないということを繰り返し申し上げているわけでございます。(「質問のとおりまとめてもらわにゃいかぬ」「これじゃわからないぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#64
○委員長(下条進一郎君) 答弁できますか。
#65
○政府委員(野村一成君) ちょっと御理解いただけなくて恐縮でございますけれども、私申し上げましたのは、従来、衆参両院から出ております統一見解を踏まえて、その上にこの一昨日の委員会におきます外務大臣の発言があるわけでございまして、今まさに委員御指摘の点につきましては、既にかつて本院におきます審議の過程で出してございます統一見解において触れられておるということでございます。
 それで、繰り返してございますけれども、モデル協定「第七項及び第八項にも反映されているとおり、一派遣された要員や部隊の配置等に関する権限」、これが国連のコマンドということ、それで「懲戒処分等の身分に関する権限は、引き続き派遣国が有する。」、そういうことを明確にしておるわけでございまして、その上に立って今回の外務大臣発言で整理しておりまして、そのポイントはまさに第一項で申し述べておりますとおり、この法案で「指図」という言葉を使ってございますけれども、それはまさに「「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」とは同義である。」ということで、明快にその点については答えておるというふうに思っております。
#66
○喜岡淳君 衆参の政府統一見解の上にこの外務大臣発言という紙があるんだというような御発言だろうと思いますが、この回答は、懲戒権の問題についての見解整理そのものについては触れられていないと、私はこういうふうにこの紙を読みますから、やはりこれは早く矢田部氏に対する回答を出していただきますように、委員長にはもう一度お願いをしたいというふうに思います。
#67
○委員長(下条進一郎君) 今の御質問ですけれども、おたくの御質問に対して政府側の答弁は、今伺ったところによりますと、前の分と今度の分と両方でお答えしていると、こういうことだと私は思いますが、その点わかるように、例えば私がちょっとお願いしますが、懲戒権の問題に触れておられるので、懲戒権の問題も含んで今の御質問にお答えをしていただきたい、こう思います。
#68
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 参議院におきます統一見解の部分でございますけれども、
  派遣国により提供される要員は、国連平和維
 持活動に派遣される間も、派遣国の公務員とし
 てこれを行うが、この間国連の「コマンド」の
 下に置かれる。ここでいう国連の「コマンド」
 とは、国連事務局が、国連平和維持活動の慣行
 及び国連平和維持活動に要員を提供している諸
 国と国連との間の最近の取極を踏まえて一九九
 一年五月に作成・公表した「国際連合と国際連
 合平和維持活動に人員及び装備を提供する国際
 連合加盟国との間のモデル協定案」第七項及び
 第八項にも反映されているとおり、派遣された
 要員や部隊の配置等に関する権限であり、懲戒
 処分等の身分に関する権限は、引き続き派遣国
 が有する。そういうふうに明確に述べておるわけでございます。
 それで、その上に立ちましてこの今回の外務大臣発言におきまして、第一項におきまして、
  国連の現地司令官は、各国から派遣される部
 隊が、いつ、どこで、どのような業務に従事す
 るかといった部隊の配置等についての権限を有
 している。この権限は、長年の国連平和維持活
 動の慣行を踏まえて作成された派遣国と国連と
 の「モデル協定」第七項において、国連の「コ
 マンド」と言われている。国連のこの権限を法
 案では「指図」と規定しており、「指図」と
 「モデル協定」第七項にいう国連の「コマンド」
 とは同義である。こういう点におきまして、この両者をあわせ読んでいただきますと、この懲戒権云々の問題につきましてもはっきりとこの考え方を整理して答えておるというふうに考えておる次第でございます。
#69
○喜岡淳君 懲戒権をめぐる見解の整理については、整理を求めたのであって、今までのものを読み上げたからといってこれが答えになるなどということには私はならないというふうに思いますから、これは見解の相違とあなたがおっしゃるのなら、私は答えが出ていないという立場でこの問題を置いておきたいと思います。ですから、早急にやはり正確に四月二十八日の矢田部質問に答えられる内容に整理をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 お願いの次に質問を続けますが、この指揮権の問題について、具体的に私は問題を指摘したいというふうに思いますので、お答えをお願いいたします。
 私は香川県の出身でありますから、例えばの話、私が香川県の県の職員と仮定をいたしましょう。東京で災害が起きて、東京都知事から災害の応援の要請を受けたとしましょうか。私が派遣をされてきて東京で業務につきますが、この場合の業務の指揮権は東京都知事にあるのは当然でありましょう。しかし、私個人の懲戒権というものは当然香川県知事にあるわけであります。じゃ、国連の場合にどうなるだろうかと。国連のSOPを読めば、これはもう皆さん御承知のとおり、国連の指揮権を明記いたしております、指揮権は国連にある。懲戒権については派遣国にあると、このことも明らかであります。
 そういたしますと、いずれにせよ指揮権という、指揮という言葉を使ったって国内での混乱もないし、国連の関係からいったって何の問題もなくすっきりとしておると思います。この点についても、矢田部氏を初め角田議員も先般、具体的な事例を挙げて説明をしてきたところであると思います。国内で言いますと消防組織法、災害対策基本法、刑事訴訟法、海上保安庁法、どの法律を見ても、指揮権は懲戒権を伴わないことが明記されております。国際的に見ましても、NATOの場合、在韓国連軍の場合、国連PKOの場合、これもいずれとも指揮権は懲戒権を含んでいないと明記されておりますね。指揮という言葉を使って何か問題があるんでしょうか。指揮という言葉でどうして書けないんでしょうか。
 この回答なるものを見ますれば、この説明の中で、国内法で言う指揮権という概念は国連では該当しない、こういう趣旨の説明が先般されましたけれども、この発言は私は間違いだと思うんですよ。なぜ指揮という言葉で統一することができないんですか。
#70
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の点につきましても、一昨日の委員会で私、基本的に御答弁申し上げたつもりでございます。やはりいろんな用例、先生もただいま引用がございましたけれども、国内法の既存の用例としての指揮あるいは指揮監督という、そういう用例のいずれにも該当しない概念としてやはり国際連合のコマンドというのを認識すべきであるということでございます。
 その一番のポイントは、やはりまさにモデル協定で言っておりますように、コマンドというのは各国からPKOに参加している要員、部隊を有機的に結びつけ、一体として機能させるために配置等に関して有している権限であるということ、それから、まさに派遣国の要員がその国の公務員として行う職務に関して国連が行使するという性格の権限であるという、その二つを主たる理由として指摘させていただきたいと思うんです。
 そういうことから、指揮権とこれにかかわる懲戒権が異なる機関に帰属するという幾つかの用例があるからといいまして、国連のコマンドを我が国国内法の指揮の用語で表現するのは無理があるというふうに判断した次第でございます。それが一点。
 それから、さらに私は加えて、この法案では、これも本当に繰り返しで恐縮なんですけれども、ほかの場所で既に指揮あるいは指揮監督という、指揮監督の言葉を用いておりまして、同じ法案の中で用語の混乱を避けるという意味からも、また中身におきましてコマンドについては指揮または指揮監督なる用語を用いるのは適当ではないと、そういうふうに判断した次第でございます。
 以上の例からいたしまして、私どもはここでこの実体、国連のコマンドを「指図」と八うことで法案上規定した次第でございます。
#71
○喜岡淳君 総理、いいですか、国内法で言う指揮権とこの国連のSOPで言う指揮権と何か違いがあるんですか。懲戒権をめぐりて何か違いがあるんですか。あるならある、ないならないと言ってください。懲戒権をめぐる何か違い、ありますか。
#72
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだってから何度も御説明してございます。
#73
○喜岡淳君 私は質問をしておりますので答えるように、委員長、言ってください。
#74
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま懲戒権云々につきましては、私、モデル協定の案文を引用いたしまして、これは懲戒権を含まない権限であるということを申し述べました。その上で、この外務大臣の発言をぜひ第一項をそのまま読んでいただきたいのです。それと、法案で使っております「指図」とは同義である、同じ意味であるということを言っておるわけですから、明快に答えていると思っております。(「それを聞いているんじゃない、その先を聞いている」「総理、答えなさいよ」と呼ぶ者あり)
#75
○国務大臣(宮澤喜一君) また同じことを申してはいかぬと思ってあお申しましたけれども、じゃ、同じことを申します。
 一九九一年五月に作成・公表した「国際連合と
 国際連合平和維持活動に人員及び装備を提供す
 る国際連合加盟国との間のモデル協定案」第七
 項及び第八項にも反映されているとおり、派遣
 された要員や部隊の配置等に関する権限であ
 り、懲戒処分等の身分に関する権限は、引き続
 き派遣国が有する。以上であります。
#76
○喜岡淳君 国内法で言う指揮権と国連の方で言う指揮権と、懲戒権をめぐって有無があるとかなんとも言うが、この懲戒権をめぐって国内法と国際法との間に何らかの差異があるのかないのか。ないならないと言ってください。
#77
○政府委員(柳井俊二君) 国内法と国際法の類推あるいは比較ということはしばしば行われますし、これは参考になることもございます。
 ただ、これは今までも御答弁申し上げておりますとおり、国内法と国際法とは全然次元の違う話でございまして、仮に似たようなことがあるからといって、国内法の用語をそのまま国際関係について使うということが適当でない場合もあるわけでございます。
 その点につきまして、先ほど来、野村室長からも御答弁申し上げておりますとおり、平成三年十二月六日の政府見解の二項におきましても二つのことを言っているわけでございまして、後段でございますけれども、前記一、ちょっと引用させていただきますが、
 前記一、にいう国連の「コマンド」は、派遣国
 により提供される要員がその公務員として行う
 職務に関して国連が行使するという性格の権限
 であって、かつ、懲戒権等の強制手段を伴わな
 い作用であり、そのような「指揮」又は「指揮
 監督」とは性格を異にしていることから、混乱
 を避けるため、法案第八条第二項においては
 「指揮」又は「指揮監督」ではなく、「指図」と
 いう話を用いたものである。こういうふうに述べているわけでございます。
 繰り返しになりますが、ここでは二つのことを言っているわけでございまして、ただいま引用しました部分の前段の方では、国連のコマンドにつきましては、その派遣国が提供した公務員、それについて国連が行使するということでございまして、繰り返しになりますが、PKOというのは、加盟国の軍隊であるという国の側面と、それから国連という国際機関の側面と二つあるわけでございます。その点が一つと、それから「かつこということで言っておりますのは、もう一つの点は「懲戒権等の強制手段を伴わない」、その二つを言っているわけでございます。
 いずれにしましても、国内法である県からほかの県に職員を派遣して消防等のお手伝いをすると、先ほど先生も御引用になった点でございますが、そのようなことと、加盟国の軍隊を派遣して国連の職務に従わせるという、この二つの間に確かに似たところが多いと思います。ただ、前者の、すなわち香川県から東京にいらっしゃるというようなことは、これはあくまでも同じ主権国家の同じ法体系の中で地方公務員が移動するという話でございますが、PKOの場合には、加盟国という主権国家から外に出ていって、そこで国連の職務に従うと。また、その活動する地域というのは外国でございますから、これは違う法体系のところで活動するということでございますので、そういうPKOの特殊性を考えれば、似たところはあっても「指図」という言葉を用いてその点の混乱を避けようというのが、これまで何度も御説明申し上げているところでございます。
#78
○喜岡淳君 何回も同じことをまた言うようになりますが、私は懲戒権を伴う問題については全く同じだと思います。そういう意味からも、懲戒権が分水嶺などという従来の整理についてはやっぱりはっきりしてもらわなければこれが進まないというふうに思いますので、この点も説明が間違っておるということを指摘して、そのまま置いておきたいと思います。
 もう一回、ちょっと今聞き漏らしたんですが、総理、PKOで出ていった先で国連の職務に従うと今おっしゃいましたが、そういう考えでいいんですか。国連の職務に従うんですね。
#79
○国務大臣(宮澤喜一君) 職務。
#80
○喜岡淳君 はい。
#81
○国務大臣(宮澤喜一君) だれがそう言ったんですか。
#82
○喜岡淳君 今おっしゃったじゃないですか。国連の職務に従うんですか。
#83
○政府委員(柳井俊二君) ただいま申し上げたこと、あるいは不正確かと思いますのでもう一度その点明確にさせていただきたいと思います。
 このPKOの場合には、国連の活動に参加して活動するということでございまして、先ほど読み上げた統一見解の表現をそのまま使わせていただきますれば、「派遣国により提供される要員がその公務員として行う職務に関して国連が行使する」と、これはコマンドでございますが、そういう性格の権限であると。コマンドの側から着目した表現になっておりますけれども、そのような関係になるわけでございます。
 したがいまして、PKOというのは国連の組織する活動でございますが、これに各国の要員が参加する、そういう関係でございます。その点をさっき申したつもりでございます。あるいは表現が不正確であれば、その点謹んで訂正させていただきたいと存じます。
#84
○喜岡淳君 総理、ちょっと読み上げますから聞いてくださいよ。
 私の手元にあるのは国連広報センターが出した書類です。国連の文書です。指揮権の所在についてはこう書いています。「国連平和維持活動に携わっている間は、各国が派遣した要員はその国の公務員としての地位を保つがこと、「地位を保つ」と書いてあって、「国連の安全保障理事会の権限の下、国連事務総長の指揮下に入る。」と。「地位を保つ」と書いてあるんですね。今の説明は、その国の、国連の職務の問題をおっしゃったですね。
 この問題についてはもう一遍後で触れます。私は今、職務ということでちょっと感じたので、これは後でもう一遍触れますが、この間の十八日のこの説明の中には私はさらにもう一つ問題があると思うんです。
 この二つ目の問題として、指揮権とコマンドの違いについての説明でこういうことを言われておるんです。この一番目ですね。つまり、部隊配置などの調整機能を挙げて、今も説明されましたが、指揮権を行使するために必要な調整をするのは私は当然だろうと思うんです。調整というのは当然あると思うんです。
 それは、国内で私が東京の災害救援の仕事で来た場合も、指揮は受けると同時に、グループの調整、任務の調整などは当然受けるわけです。国連の場合だってそうでしょう。国連のPKOに来たいろんなグループ、いろんな部隊に対して必要な調整は当然行われるわけです。だから、部隊の配置等についての調整の機能を、これを取り上げることによって指揮権とコマンドはやはり違うんだというような説明は私は納得ができないと思うわけですね。調整機能というのは、指揮権を行使するために必要な機能であるのは当然なんです。
 ですから、こんなことを理由に指揮権とかコマンドとかいうことを区別されるのも私は筋の通らない説明だろうと思いますが、この点はどうですか。
#85
○政府委員(野村一成君) ただいま先生は国連の広報センターの文書を引用して国連の指揮と、指揮権というふうにおっしゃいました。私どもは、用語の問題は別といたしまして、基本的にここで国連のまさに有しておる権限といたしまして何があるかというときに、「いつ、どこで、どのような業務に従事するかといった部隊の配置等についての権限を有している。」、それがまさに国連のコマンドであって、この外務大臣発言におきましても、この第二項においてはっきりいたしております。それは、この法案の枠内で「実施要領を介して」とはございますけれども、この国連の有している権限でございますコマンドのもとにある、あるいはそれに従うということを言っておるわけでございます。したがいまして、その点において国連との間で何ら問題を生ずるものではないというふうに考えておる次第でございます。
 何分この国連のコマンドと申しますのは、基本的には、先ほど条約局長からも指摘があったかと思いますけれども、このPKO四十三年あるいは四十四年の長年の慣行から出てきておる権限でございまして、それに各国がそれなりにいろんな対応がございます。
 我が国の場合には、国内法にのっとりましてそれに従うということをこの法案できちんと決める。そのことによって、各国がそういう対応をとることによって全体として国連の権限が行使され、それによってまさにPKOの活動が円滑に実施される、そういう仕組みであるというふうに理解しておるわけでございます。
#86
○喜岡淳君 もう一度整理をして指摘しておきたいと思いますが、この外務大臣発言の一番にある問題ですね。部隊の配置等についての調整機能を取り上げることによって、こういう権限があるから指揮権とコマンドは違うんだ、指揮にはこういった部隊の配置等々についての権限を認めていないとか、それは私の考えてありますが、いずれにせよ、部隊の配置等々の権限を有するか否かによって指揮権とコマンドという言葉を書き分ける、区別するというのは、私は根拠にならないというふうに思いますので、その点を指摘しておきたいというふうに思います。
 それから、先般の十八日の答弁の中で、こういう御発言がありましたですね。国連のコマンドは、長年の慣行から形成されました、派遣国の要員がその国の公務員として行う職務に関して国連が行使するという性格の権限だということでございますと。派遣国の要員がその国の公務員として行う職務と、こういうことをおっしゃっておりましたが、さっき少し引用したように、国連のモデル協定の中にはそういう規定はないわけですね。派遣国の要員がその国の公務員として行う職務じゃないんですよ。
 国連のモデル協定で言われておることは、「各国が派遣した要員はその国の公務員としての地位を保つ」と書いているんですね、「地位」。「国連の安全保障理事会の権限の下、国連事務総長の指揮下に入る。」と書いているんです。「地位を保つ」と書いておるわけですね。具体的に言えば、派遣された公務員は国連の業務をするわけですねd国連の業務に従事するわけでしょう。本国の職務を行うん上やないんでしょう。そこだけちょっと確認したいと思います。
#87
○政府委員(野村一成君) これは、とらえ方によって二面性があるということになるのかもわかりませんけれども、私、改めて引用させていただきたいのは、モデル協定の第七項でございます。その冒頭に、参加国によって利用に供される人員は、PKO活動に派遣される間、引き続き本国の役務に服するものであるが、安全保障理事会の権限のもとに事務総長に付与された国際連合のコマンドのもとに置かれると。これはモデル協定にもそういうふうに、「引き続き本国の役務に服するものである」ということが書いてあるわけで叶」ざいます。私ども、そういう意味で、このPKFと申しますか平和維持隊の活動は国連のコマンドのもとに置かれみ活動でございますけれども、これに参加する我が国の部隊は我が国の業務としてこういった活動に従事するという性格も有しておるわけでございまして、法案では、こうした点を踏まえまして国際平和協力業務というのを定義いたしまして、我が国の業務として位置づけておる次第でございます。
#88
○喜岡淳君 総理、よく聞いてください。これは総理、絶対お答えくださいよ。
 今読み上げもれまして、「本国の役務に服する」とおっしゃいましたね。どこにそういう文言があるんですか。国連の文書にはそう書いているんですか。役務に服すと書いているんですか。
#89
○政府委員(野村一成君) お答えいたします。
 私の持っている、これ仮釈で恐縮でございます。したがいまして、原文で読まさせていただきます。ちょっと英語で恐縮ですけれども、その該当部分だけですが、シャル・リメーン・イン・ゼア・ナショナル・サービスという言葉になっております。これはまあ役務というか任務に、本国の任務に従事する、服すると、そういう趣旨でございまして、意図するところは、御理解いただきたいと思いますが、我が国の公務としての公務に従事するという側面も有しておるということを申し上げている次第でございます。
#90
○喜岡淳君 もう一度、総理、お尋ねいたしますよ。
 外務省が今仮釈をおっしゃいましたが、外務省の仮釈は仮釈でいいですよ。今我々が問題にしておるのは、国連の問題を問題にしておるんです。国連の広報センターというのがございますね。国連広報センターが出した正規の文書の中ではこう書いていますよ。「各国が派遣した要員はその国の公務員としての地位を保つがこと書いているんですよ。「地位を保つ」ことを書いているんです、国連は。
#91
○国務大臣(宮澤喜一君) それはいいじゃないですか。
#92
○喜岡淳君 いやいや、「地位を保つ」ということと「本国の役務に服する」ということは、やっぱりこれは大きな違いがありますよ。どうしてこの立場で説明してくれないんですか。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) どうなんでしょうか。今ちゃんと読みましたように、モデル協定案には、「〔参加国〕によって利用に供される人員は、〔国際連合平和維持活動〕に派遣される間、引き続き本国の役務に服するものであるがこと書いてございますね。それは別に地位を有するということと矛盾も何にもしないんです。今のことをお認めにならないですか。
#94
○喜岡淳君 どうして国連広報センターの正規の文書を利用されないんですか。これ一本でいいじゃないですか。
#95
○政府委員(丹波實君) 先生も先ほどから引用しておられるこの国連加盟国、派遣国との間のモデル協定案、これは国連本部が事務総長の名前で昨年の五月に作成した国連本部としての書類でございます。その中に、先ほどから先生ずっと引用しておられる、あるいは政府側からも引用しています、「引き続き本国の役務に服するものであるがこという日本語になっております。
 先生が読み上げられた広報センターは別の表現になっておりますが、恐らく英語は同じだと思うんです、国連広報センターの使っておる英語は。その英語は、先ほど野村政府委員から読み上げましたけれども、シャル・リメーン・イン・ゼア・ナショナル・サービスということで、要するに派遣国の公務員としての身分を保つということは、本国政府の命令で行くわけですから、そういう命令で職務にといいますかPKO活動に参加する、PKO活動に従事すると、そういうことを意味しているわけでございまして、あくまでもこの原文は、私は広報センターの原文、英語は同じだと思います。そういう趣旨で御説明申し上げておるわけでございます。
#96
○喜岡淳君 この国連広報センターの書き方からいきますと、当然この「地位」という考え方からいきますと、懲戒権は我が国にある、地位は保たれておるわけですから。日本人がPKOに出された場合、「地位を保つ」ということは懲戒権は我が国政府にあるんだ、しかし指揮権は国連総長のもとにあるんだと、こういう意味ですよ。そうですよ。だから、やはりこの懲戒権をめぐって、国連の場合は指揮と言わないと、こういう論拠はこの立場からも私は成り立つだろうというふうに思いますので、やはり先般十八日の説明は私は間違いだというふうに思うわけです。
 以上いろいろ言ってまいりましたが、ですからこの指揮権の問題については、もう一度四月二十八日の矢田部氏の質問にはっきりと答えて、懲戒権の有無をめぐる見解の整理を出していただきたい。このことを再度お願いをしておきたいと思います。
 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 外務大臣にお尋ねをいたしますが、カンボジアの復興援助の問題が非常に急がれておりますけれども、このカンボジアの復興援助に取り組む基本姿勢についてお尋ねをしたいと思います。
 まずその初めに、今度のPKO論議をめぐって政府の主張を聞いておりますと、UNTACに我が国政府がいかに貢献するのかと、そういうように私は聞こえてならないわけでありますが、どうでしょうか。
#97
○国務大臣(渡辺美智雄君) 当面はまずUNTACにこれは協力をすると。そして、バイの援助というのはもっと治安がきちっと確立していかなければ現実問題として協力しづらい点が多いわけですから、そういう手順を追って協力していきたいと考えています。
#98
○喜岡淳君 UNTACは、言うまでもありませんが来年の五月にカンボジアで選挙が実施をされますならば当然任務は終了になるわけであります。このいわば時限組織とでも言いますか、来年五月までの限られたUNTACの任務、組織、これに日本がどう参加するか、これだけの議論では私は国際貢献についての議論とは呼べないのではないか。国際貢献についてはどういうことなのかと、こういった幅広い議論が必要ではないかというふうに思います。
 そういう意味では、ポストUNTACといいますか、もうそういう議論をもっともっと真剣にやらなきゃならないのではないか。カンボジアは復興のこれからの時間の方が非常に長くかかっていき、かつ深刻な問題を抱えておるというふうに思います。そういう意味でカンボジアの復興援助に当たって政府はいかなる姿勢で臨んでいかれようとしておるのか、その基本姿勢についてお尋ねしたいと思います。
#99
○国務大臣(渡辺美智雄君) UNTACが来年の半ばで、六月で完全に完了するということを我々は願っておりますし、ぜひそのようになるように協力もしていきたい。しかし、それ以前は、それならば二国間の援助は何もやらぬのかというとそうではありませんで、社会党も公明党も委員長が行かれ、自民党も行っておりますが、カンボジアヘ参りますとすぐに目につくのはあの日本橋を何とかしてくれとか、よく見えますから、しかも比較的治安のいい所にありますので。無償等で何かほかにもできるものがあるか、こういうようなものも調査団を派遣したりして、それはUNTACが完了する前にもできそうなものはやりましょうということであります。
 しかしながら、全地域に及ぶということになれば、まず治安が確立されなければならないし、UNTACの活動がきちっと終了するというふうなことを待って行政組織が確立されなければ、日本が全部行って勝手にやるわけじゃありませんから、みんな向こうの行政機関を使って、それはこちらは援助なんですから主役じゃありませんから。だから、そういうような機能が果たせるようになった上で復興援助をする、そういうことです。これはかなり息の長い話で、一年や二年で終わるということじゃないんだろうと、私はそう思っております。
 したがって、まずは我々は、民主的な申立・非同盟の、治安の確立しました行政の機能する政府をつくるということがまず一番大前提だと思います。もう行政の機能が全くしないような状態では援助のしょうがありませんから、だからその前提がまず確立されることが援助するにしても大前提だということは御了承願います。
#100
○喜岡淳君 カンボジアの復興支援について、既に社会党の方からカンボジア復興支援策というのが発表されておりますけれども、私は復興に当たっては少なくとも四つほど重要な点があるのではないかと思っております。
 やはり、カンボジアの自立をどう促進していくのかという問題は私は非常に重要だと思います。先般もカンボジアヘ調査に行ってまいりましたが、あれもないこれもないと。病院に行っても、建物はありますが薬がない、器具がない、人がいない。ソビエトを初め東欧圏の国々が援助をしておったんでありますが、それがとまればもう何もできない。そういったいわば援助づけのような状態になっておったのではないかということを感じましたが、やはり、カンボジアのことはカンボジアの人たちがやっていく。したがってカンボジア人の自立に対してどう我が国が協力できるのか、こういった観点が必要ではないかというふうに思ったところであります。
 もう一つは、カンボジアの立場に立った復興支援ということが必要ではないかとつくづく感じました。例えば、病院に行っていろんなお話をいたしましたが、確かに日本にはスキャナーなどという立派な医療器具がある。しかし、医療器具が立派だからといって、今カンボジアヘ持っていって機能するのかどうか。病院は昼間でも電気がついたり消えたり、電力が非常に不安定であります。したがってスキャナーなどはまず使えない。高い物、いい物、ハイテクを持っていけばいい、そういうようなことではやはりカンボジアの復興には貢献できないのではないかというふうに思いました。
 それから、今外務大臣もおっしゃったように、このカンボジアの復興は一年や二年で終わるものではない、極めて長期にわたって今後続いていく過程になるのではないか。したがって、長期の支援体制、援助体制をどう組んでいくのかということを私も感じたところであります。
 さらに私は、カンボジアのプノンペンの町の中を歩いても奇妙に感じました。日本は若い人、年のいった人、バランスがとれて存在をいたしておりますから、向こうへ行って驚きました。子供とか十代の人たちがたくさん道路におる、町中におる。これは日本の大使館から現地で聞いたわけでありますが、二十年に及ぶ内戦とポル・ポト時代の大量虐殺の結果、多くの成人男子が命を落としておる。そして統計によれば、女性の比率が人口の六四%程度、十五歳以下の人口がほぼ半分と見られる、こういう社会であるわけであります。したがって、カンボジアの社会を運営していく人材というものは一体どうやって育成していくのか。人材育成ということが非常に重要だなということも感じてきたところであります。
 さて、今後の見通しについてお伺いをしたいと思うわけですが、まず、五月の選挙がうまく実施できるのかどうか。選挙ができた後に当然新政権が樹立をするわけでありますが、その新政府は強力な政府になり得るのかどうか、この見通しについてお伺いしたいと思います。
#101
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私も心配しておるところでございますが、いずれにせよ、今のカンボジア政府というのは主権があってないようなものでしょう。UNTACが軍事とか財政とか広報とか警察とか、そういうものの権限をみんな持っておるわけですから、それを公正な選挙によって選ばれた新政府に全部移譲しようということです。
 したがって、主権を持った国家がまずでき上がらなければならないということ、それからもう一つは、仲の悪い四派が本当にそれぞれ部署を与えられて仲よくやれるのか。三割ずつの兵力を各陣営がまだ残していくわけですから、武装解除を全部するわけではないですから、七割は武装解除する、三割はとりあえず残すということになっているんですが、新政権ができたときに完全にそれらの部隊をきちっと掌握できるというものができなければ、国連軍が撤退したら不平不満分子がばらばらのことを始めたらまた内戦が起きちゃう、そういうような心配がなきにしもあらず。したがって、そういうことの心配が起きないように注意深くやっていかなきゃならぬな、そのように私は思っておるわけでございます。
#102
○喜岡淳君 カンボジアの復興という意味からも私はやっぱり非常に大事な問題は、この新しくできるであろう新政府が安定したものになるのかどうか、それが最大の要因ではないかというふうに思います。私どもの短いカンボジア滞在ではありましたが、これは外国の問題について干渉はできませんが、干渉するという意味ではなくて私の感想でありますが、あの四派が簡単にまとまるような条件は薄いのではないか、非常に厳しいだろうと思いました。
 我々はプノンペン政府の案内で博物館に連れていっていただきましたが、その博物館はポル・ポト政府がいかに残虐非道なことを行ってきたのか、もうこれをどんどん宣伝するような博物館であります。しかも、国民の中にもポル・ポト派に対する非常に強い憎しみというものもみなぎっておりますし、果たしてこの四派が本当に和解、大同団結できるのかどうか。
 さらに、今おっしゃいましたように、二つ目の問題は軍人の武装解除の問題であります。四派の軍人、四派の民兵、それぞれの七割が武装解除をいよいよされるわけでありますが、そうしますと三十万人近い軍人が解除されてカンボジアの町にあふれてくる。さらに帰還難民も国内に帰ってくる。そうしますと、大量の失業者がカンボジアの国内に発生をする。もちろん、武装解除された兵士については地雷処理センターの方に雇用しようということで、日本の自衛隊が来なくたって、UNTACとSNCの間で地雷処理センターをつくってやるからというサドリ氏からの話を聞いたわけであります。いずれにせよ、大量の失業者が発生をしていくんだろう。しかも、田舎ではやはり食べていけませんから、首都プノンペンに大量に流入してくる可能性が考えられると思います。
 さらに三つ目には、今でさえ既に国家機構が極めて弱体をしておるという印象を私は持って帰りました。それは何かといいますと、公務員の給料が非常に安い、したがってほとんどの公務員はアルバイトに走っておる。これもプノンペンで日本の大使館からいただいた資料であります。この調査結果によりますと、現在カンボジアの公務員の月給は中堅専門職で七ドルから十ドル、プノンペンにおける八人家族の生活費は百ドルに達すると見られると。こういう状況でほとんどの公務員はアルバイトに走っておる。
 さらに、カンボジアのプノンペン政府について言えば、税金を徴収する能力もない、台帳もない。したがって、各役所はどうやって予算をつくるかというと、自分の持っておる役所の土地を売却して金をつくってくるとか、そういう状況でありまして、国家機構が非常に弱体をしておる。これらのことを総合して考えれば、非常にカンボジアの新政権は不安定要因を抱えておるのではないか。
 そこで、カンボジアの復興に当たって一番大切なのは、カンボジアの四つに分かれた民衆の気持ちをどうやって一つのものに統合することに我が国が貢献できるのかという問題ではないかと私は思います。私がカンボジアの各地を回らせていただいた中で、どこに行っても目に入るのはアンコールワットの絵であります。どの建物に入っても、どの役所に行こうとも、必ずアンコールワットの絵がかけられておる。四派ともアンコール遺跡、アンコールワットはカンボジア人民の心の糧であるということが旗を見てもわかります。すべての旗についておる。お金にもアンコールワットがついておる。そういう意味では二十年間四派に分かれて殺し合いを続けてきたカンボジアの人たちも、アンコールワットについて言えばみんな共通したよりどころである。
 私は、そういう意味からは、日本も早急に文化貢献という問題について力を入れて、アンコールワットの修復に率先して取り組むべきではないかというふうに思うわけでありますが、これにかかわる文化庁あるいは文部省のこの件についての考え方を示していただきたいと思います。
#103
○国務大臣(鳩山邦夫君) 今、先生からお話を承っておりまして、どこへ行ってもアンコールワットの絵が掲げてある。今の日本のいろいろな水準からすれば大変粗末なものではあっても、どこへ行ってもそういうものがあるということを私も聞いております。そういった意味では、アンコールワットを中心とするアンコール遺跡というものはカンボジアの方々にとっては民族統合のシンボルのようなものでありましょうから、そうした文化財の保存ということに関して日本の国が国際貢献という観点から、我が国は技術を持っておりますから、できる限りのことをいたさなければいけないと思うし、それができればまた国際的にも評価をしてもらえるであろうと考えるわけでございます。
 私、個人的なことを申し上げれば、今からもう何百年という前に当時のカンボジアの皆さんが大きな国力を持たれて、その国力の反映としてアジア文化の粋を結集したいわゆる石像群を完成させたわけでありますから、そういう過去の彼らの力というものには尊敬の念を抱いております。
 先生も行かれたようでございますが、アンコール遺跡の存在するジェムリアップ市周辺は戦闘の前線に位置しておったということで、破壊がしばしば進み、あるいは盗難、盗掘というものも頻繁であったというふうに私は聞いておりますし、レリーフが砂岩でできていますから、砂岩というのは当然風雨にさらされれば、長年の風雨によって凹凸がだんだん減っていってしまうとか、あるいは遺跡にすみついたコウモリ、ネズミ等の排せつ物が岩を浸食する原因になっているとか、もともと岩を積み重ねた遺跡ですから、いつ崩れてしまうかわからないというような、そんな危険な状況にあるというふうに私は承っております。
 先ほども申し上げましたけれども、このアンコール遺跡は、例えば比較をすれば、インドネシアのボロブドール、ミャンマーのパガン、タイのスコータイやアユタヤ、あるいはベトナムのホイアンと並ぶ東南アジア最大の文化遺産ということは、これは世界的な、今遺産条約という話もあるようですが、世界最大の文化遺産の一つであろう、そのように考えておりますのできる限りの協力をいたすことは、またその彼らの民族の統合のシンボルについて日本が協力をするというのは、日本がカンボジア国民に対して無形の励ましを送ることになる、そのように考えてできる限り前向きに対処していかなければならないと思います。
 ただ、先ほどからもお話がありましたように、カンボジアの復興というのは長い目で考えなければなりませんから、文化財、アンコールワット等の保存とか修復ということも当然カンボジア人自身の手によって進められるようにしていかなければならないわけでありますが、少なくともこういう戦乱が続く中でそのような予算は全く彼らは組むことはできませんでしたし、そういう技術を習得する機運も全くなかったわけでありましょうから、例えば国費留学生でカンボジアの有為な青年を日本にお招きして、そういう文化財の保存、維持、修復の技術等をみっちり教えさせていただいて、彼らが本国へ戻っていずれ本格的な活動ができればいいだろうと思います。
 それには時間がかかることでありましょうから、当然文化庁としてもあの民間の救済委員会とともに調査をいたしておりますし、こういう大きなものの保存には相当な事前調査が必要だとか、あるいは地盤沈下等への対処の問題もあるとか、そんなことも聞いておりますから、事前の十分な調査が必要であろうと思います。また、これは外務省と協力をして、ユネスコを通じた形でどのような協力ができるかということも、これは早急に考えていかなければならないと思っております。
#104
○喜岡淳君 早急に考えるという御答弁でございましたが、早急に考えるという悠長なことでは私はだめだと思うんです。毎日毎日アンコールの遺跡はガラガラガラガラと崩れておるんですよ。今、毎日毎日崩れているんですよ。アンコール遺跡の人類的な文化価値を今御披露されましたが、そういう認識であるならば、もう直ちに我が国はやるんだと、このアンコール遺跡の修復については、こういった文化貢献は文化庁あるいは文部省の専権事項であるというぐらいの気迫で直ちに私は活動に取り組んでいただきたい。
 特に、やっぱり急ぎますのはこの調査ですね。調査を早急にやらなければならないでしょう。そして、専門家といいますか、人材の育成も、これは時間がかかりますので、早くやらないといけない。
 さらに、来年の五月までに選挙が行われればいいですが、選挙の結果できた政府とどうのこうのというんではまたまたおくれていく。やはりユネスコなどの国際機関もあるわけですし、上智大学の先生を初め民間でもやっていらっしゃるわけですから、ぜひ気迫を持ってしっかりとすぐに取り組んでいただきたいと思いますが、この点についての大臣の決意のほどを聞かせていただきたいと思います。
#105
○政府委員(木村崇之君) アンコール遺跡につきましては、先生御指摘のとおり、また文部大臣から既に御答弁いたしましたとおり、カンボジアの国家、国民の象徴としての意味合いを持っております。したがいまして、その遺跡保存、修復のために我が国が早急な協力を行うということは、カンボジア復興の貢献への一環として重要であると私ども考えております。
 これはまた人類全体の文化遺産でもございます。また、カンボジアにとっては貴重な外貨収入源でもあると思います。したがいまして、政府としては、種々の方途から遺跡の保存、修復のために早急な手を打っていきたいと思っております。
 世界の遺跡保存、修復のためにはユネスコに文化遺跡保存日本信託基金というのを設けさせていただいておりまして、これまでに八百万ドル拠出しておりまして、今年度の予算でも三百万ドルの拠出について承認をいただいております。現在までに三十七万ドルの協力を行いまして、アンコール遺跡について専門家の会合を開催、資料整備、調査、カンボジア人の専門家の研修等のための活動を行っております。
 また、本年三月には柿澤政務次官が訪カいたしました際に、本年度の拠出金の中から百万ドルを限度にして追加的な拠出を行うということの意図表明を行いました。これを使いまして、遺跡の保存、修復について緊急を要する部分及びカンボジア人専門家の養成並びにアンコール遺跡保存事務所の改修、一部の機材供与及び技術協力について早急に実施したいというふうに考えておりまして、ただいまカンボジア政府及びユネスコ当局と協議中でございます。
 したがいまして、これからもカンボジア政府及びユネスコという三者の関係で、私ども日本政府としてはその全体を引っ張っていくということで努力をしていきたいというふうに考えておりまして、先生の御指摘のラインで進めておると思っております。
#106
○喜岡淳君 しっかりとやっていただきたいと思います。
 次に、自治大臣にお尋ねをいたしますが、地方公務員の場合はやはり今まで地方自治体、そこで職務をやっている、地域に貢献をするという縦割りで法律体系あるいは機構、さまざまなものがつくられてきたと思いますが、選挙監視とかそういう国際的な活動ということも既に行われ始めておりまして、地域で活動をする、奉仕する、地域でやっていくという従来の立場から、やはり国際的な活動という舞台の広がりが出てきたところでありますが、これから選挙監視の派遣とか等々に当たって、自治大臣はどういうふうに今後の決意を持っておられるのか。
 例えば、今一番問題になるのは、どこの役所でも人手が非常に足らない中で業務を進めておるわけでありまして、これから選挙監視とかそういった場合に、人材の育成ということもやはり考慮をすべきではないか。国際化、国際貢献の時代に向けた自治大臣の今後のお考え方を聞かせていただきたいと思います。
#107
○国務大臣(塩川正十郎君) 過去におきまして、選挙協力のために派遣したこともございますが、今回のカンボジアの場合は、私は相当長期間にわたるのではないかと思っております。それだけに、まず何といたしましても、臨時に派遣するのとは違って、派遣した者の生活がきちっとできて活動できる、そういう体制をとっていただかなきゃならぬと思っております。その意味におきまして、この法案の一刻も早い成立を望んでおるわけでございますが、それといたしましても、今早急に自治省が中心となって各都道府県等を介しまして選挙事務に堪能な要員を募集するといたしましても、それほど多くの者ではないと思っております。
 しかし、国際要件に、要請に合うためには、逐次養成してそれに投入していくその体制はやはり今後においても必要でございますので、今からでもとっていかなきゃならぬと思っております。
 ただ、その人材を派遣いたしますに際して、それぞれの自治体にそれだけの人員の派遣を言うのでございますから、欠落となってその自治体の業務に支障を来すようなことでは困ると思いますが、それだけに全国まんべんにわたって募集いたしたいと思っております。
 それと、なお、派遣いたしましたその人たちが向こうのカンボジア現地におきましてその選挙事務の教育にも携われるような、そういう能力を持った人を派遣したい、こう思っております。
#108
○喜岡淳君 どうもありがとうございました。
 次に、運輸大臣及び海上保安庁の方に御質問をさせていただきたいと思います。
 今度のPKO法案では海上保安庁の輸送業務の問題が法案には含まれております。もちろん、社会党の案の中にも海上保安庁が入っておるわけでありますが、保安庁につきましては一万二千人を超える方が海上における安全の確保とか航路の安全とか、二十四時間勤務で御苦労されていることに心から敬意を表したいと思います。
 私は香川県の生まれ、育ちでございますから、瀬戸内海で春になりますと濃霧が発生して船舶の海難事故、衝突事故がよく起きたり、あの瀬戸内海の狭いところを大型タンカーとか、その合間を縫う漁船の運航とか、さらにはそこに海上ダンプカーといいますか、そういったものも高速で往来をする。昔から海上安全の確保のためには保安庁の皆さん方が非常に御尽力をされてきた。さらに、瀬戸内海の島々には灯台がありますけれども、そういう意味ては大変御苦労をいただいてきたことに感謝をしたいと思います。そういう意味では、ぜひ保安庁の皆さん方が安心をしてこの重要な職務に頑張っていけるように、必要なことをやらなければならないというふうに思っております。
 さてしかし、今度のPKOの参加をめぐって、やはり海上保安庁の方の中には幾つかの戸惑いというものがあると思うわけです。
 一番最初に、運輸大臣が保安庁の責任者といいますか、運輸省のもとに置かれておるわけですから、運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
 海上保安庁の船に積んでおります三十五ミリ砲とか四十ミリ砲、これはけん銃とは違いますよね、殺傷力の点においても破壊力においても。この三十五ミリ砲や四十ミリ砲を殺人、強盗、強姦、放火の際に発射してよいという規定がありますが、これを御存じですか。
#109
○政府委員(小和田統君) 事務的なことでございますので私の方からお答えさせていただきますが、海上保安庁の持っております武器につきましては、部内で「海上保安庁小銃、機銃及び砲使用規則」というものを定めて、それによって処理しております。
#110
○喜岡淳君 私は驚いたんですが、殺人、強盗、強姦、放火、これに四十ミリ砲をぶっ放していいというのは、大臣驚きましたよ。どういうふうに、聞いておられまして感想を教えてください。これは大変なことですよ、こんなことをしたら。
#111
○国務大臣(奥田敬和君) 申しわけないと思っております。不勉強でそこまでの規定とは知りませんでした。
 詳細にわたっては政府委員から説明させます。
#112
○喜岡淳君 私も読んで驚きました。
 海上保安庁は、海上における犯人の逮捕とかそういう際には、けん銃ということも当然これは持っておるわけですけれども、四十ミリ砲、三十ミリ砲というならば、犯人逮捕どころか、その辺の船なら沈没してしまいますし、一緒に乗っておる人はもうみんな死んでしまうわけです。実際PKO業務に出ていくとしても、保安庁の人もこれは悩みますよね、こんなことでは。
 私は、そういう意味で、今から本当にこんな体制でPKO法案、政府案、これで大丈夫なんだろうかというふうな気持ちで質問に立っておるわけであります。
 まず最初にお尋ねをいたしますが、今度のPKO法案で、政府案でですよ、保安庁も本来業務に支障を来さない範囲でPKO業務に参加す省とありますが、そもそも保安庁の本来の業務についてお尋ねいたします。これは何ですか、本来の業務とは。
#113
○政府委員(小和田統君) お答えいたします。
 海上保安庁の本来の業務は、法律の目的にございますように、国内において海難の救助、航行安全指導、災害時における救援活動等の任務を行うということでございまして、そのような仕事を日常行っているわけでございます。
 なお、御指名をいただきましたので、大変恐縮でございますけれども、先ほどの先生の御指摘の中でちょっと申し上げたいことがございます。
 この法律によりましては、海上保安庁の武器の使用に関する根拠条文、これは海上保安庁法二十条でございますが、これは適用しないということがこの協力法案の中に明記されてございます。
#114
○喜岡淳君 私は、その派遣先での問題と派遣途上海上における問題については、先におっしゃりましたけれども、もう一度それは後で触れます。
 それでは、次に尋ねますが、PKO活動で海上保安庁が行う業務というものは一体どういうことを想定されておるか、これについてお尋ねいたします。
#115
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁が船艇または航空機によって行い得る、行う可能性のある業務の範囲につきましては、法律の六条五項だったと思いますが、に規定されておるところでございますけれども、具体的なという御質問でございますので、先ほど申し上げましたような海難救助とかあるいは航行安全指導、あるいは救援活動、そういった日常国内で遂行しております。務を通じて得られた知識、経験あるいはそのために持っております船舶等の装備、こういうものを最も有効に生かせる分野ということになろうかと思います。
 具体的には、平和協力業務の中でも被災民の捜索、救出あるいは被災民の救援のための物資の輸送など、人道的な国際救援活動を中心に可能な範囲で協力をしていきたいと考えております。
#116
○喜岡淳君 そうしますと、PKO業務に参加する保安庁の船は、例えば当面はカンボジアのことを例に挙げますと、日本からカンボジアヘ行く、そういった場合、武器を外して向こうへ行くのか、それともこういった武装をしたまま出かけていくのか、この点についてお尋ねいたします。
#117
○政府委員(小和田統君) 先ほどお答えしましたように、武器の使用に関する庁法の規定はこの法律の上では適用はないということになっておりますので、いずれにいたしましても現地では船舶等に搭載しております武器は使用しないわけでございます。したがいまして、時間に余裕があればあらかじめ取り外していくということもございますけれども、必要によっては出動中の巡視船をそのまま現地に派遣するというようなこともあり得るかと思います。あるいはまた、その派遣先の地域によりましては、途中の海上で海賊あるいは不審船による銃撃等が多発しているという地域も現実に今ございます。したがって、そのような場所で本来の保安庁の任務を行うという可能性があるということも考えられます。ですから、ケース・バイ・ケースということになろうかと思います。
 いずれにしろ、現地でその巡視船等に積んでいる武器を使うということはございません。機銃砲等を使うことはございません。
#118
○喜岡淳君 ケース・バイ・ケースというお答えでありましたが、原則としては外して行くという理解でいいんですか。
#119
○政府委員(小和田統君) そのようにお考えいただいて結構でございます。
#120
○喜岡淳君 そういたしますと、今海賊の話とかありましたが、匪賊、山賊に続いて海賊が出てくるというもう非常にわからない議論になるかと思いますが、この場合、原則としては外していくが、今の御答弁では、洋上においてはいろいろケース・バイ・ケースが考えられるから、つけて行って派遣先で外す場合もあるということですね。
#121
○政府委員(小和田統君) 国有財産の管理のことでございますので、ちょっと簡単にお答えできない面もございますけれども、場合によりましたらその砲身だけは取り外すというようなこともあり得るかと思います。
#122
○喜岡淳君 そのあたりがまだはっきりしていない、非常にあいまいな答えが続いておるというふうな印象を持っております。
 次にお尋ねをいたしますが、海上保安庁の巡視船あるいは巡視艇に装備しております機関銃、機関砲、これはどういう種類のもので保安庁全体で幾つぐらい持っておるのか。例えば四十ミリ砲とかいろいろありますが、それぞれ機関銃、機関砲の種類、そしてその数を教えていただきたいと思います。
#123
○政府委員(小和田統君) お答えいたします。
 四十ミリ機関砲、これは大型の巡視船に積むものでございますけれども、これが総計いたしまして二十九でございます。それから、三十五ミリ機関砲、これが十四。それから、二十ミリ機銃が合計しまして六十七。それから、十三ミリ機銃が三十八でございます。
#124
○喜岡淳君 四十ミリ砲というと、これはいわゆる砲ですね。大砲の部類に入るかと思いますね、今大臣うなずいていらっしゃいますが。やはり四十ミリといえば大砲であります。警察である海上保安庁が大砲を積んでおるわけですね。これをつけて行くか外して行くのか、それもやはりケース・バイ・ケースだというようなことでありますが、この四十ミリ砲というのは私は大砲だというふうに思います。これはどうしてこの四十ミリ砲が装備できるのか、どういう法律に基づいてこれは装備しておられるのか、それを聞きたいと思います。
#125
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁法の四条という規定がございますが、「海上保安庁の船舶及び航空機は」、途中省略させていただきますけれども、業務の遂行に「適当な構造、設備及び性能を有する船舶及び航空機でなければならない。」という規定がございまして、これが根拠でございます。
#126
○喜岡淳君 「適当な構造、設備及び性能を有する船舶及び航空機」、ということは航空機にも四十ミリ砲はついているんですか。
#127
○政府委員(小和田統君) ただいま条文を読み上げたものですからそのようなお答えになりましたけれども、航空機には装備しておりません。
#128
○喜岡淳君 海上保安庁法の四条を今引用されましたが、四条で言う「適当な構造、設備及び性能」、このうちのどれが大砲を示しておるんですか。
#129
○政府委員(小和田統君) 「設備」に該当すると考えます。
#130
○喜岡淳君 いや、設備というと、大臣、いいですか、設備という場合、船の設備というと船員さんのための食事をするところとか、ふろとか、これが設備だというのは当然わかりますよね。四十ミリ機関砲が設備でしょうか。設備という概念、私は全然理解ができませんが、これは国民だれが聞いても四十ミリ砲が設備だという理解は私はできないと思いますね。
#131
○政府委員(小和田統君) 先ほど四条を申し上げましたときに途中省略させていただきましたが、その省略されたところには「海上における治安を維持しこというくだりがございます。私どもが現在巡視船に装備しておりますのは、その治安の維持のために適当な設備と考えております。
#132
○喜岡淳君 海上における治安の維持と言いますが、海上における治安の維持は保安庁の任務だと今おっしゃった。では、保安庁の任務というのはそもそも何ですか。私は一番最初になぜ保安庁の皆さんに敬意を表したかです。保安庁法を読んでくださいよ。第二条に海上保安庁の原則を書いておりますよ、保安庁とは何か。
  海上保安庁は、法令の海上における励行、海
 難救助、海洋の汚染の防止、海上における犯罪
 の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び
 逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水
 路、航路標識に関する事務その他海上の安全の
 確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項
 に関する事務をつかさどることを任務とする。保安庁は海上における警察業務を行うということで読むのが普通じゃないんですか。
#133
○政府委員(小和田統君) ただいま先生保安庁法の二条をお読みになられましたとおり、「海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕」、これらは海上保安庁の任務の一つでございます。
 そして、この場合お考えいただきたいのは、海上保安庁が海上においてそのような業務を行う場合に、相手となりますのは個々人ではございませんで、通常船舶単位だということでございます。
#134
○喜岡淳君 私は、この海上保安庁法二条を読んで、保安庁の業務は海上における警察業務だというふうに言いましたが、これは大臣、間違いですか。
#135
○国務大臣(奥田敬和君) そのように考えていいんじゃないかと思います。ただ、国際的に領海維持とかそういった形での漁船の安全操業等々において、警察とちょっと違う業務も、コーストガードの業務もあるかと思います。
#136
○喜岡淳君 基本的に海上保安庁は警察であると、それは私も納得しますし、これは国民の常識だろうと思いますし、職員の皆さんもそうでしょう。じゃ、警察が四十ミリ砲や三十ミリ砲を持っておりますか。私はだれに聞いてもこんなことはないと思うんですね。
 なぜかと言いますと、海上保安庁は海上における警察業務を行うのであって、海上保安庁は軍事行動をしないんですよ。相手が何であれしないんですよ、これは。相手がいかなる武装をしていようが保安庁は軍事行動はしないんですね。違いますか。そうでしょう、大臣、うなずいていらっしゃるが。そうすれば、この「設備」という範囲から四十ミリ砲を装備してよいということに私は法律的に読めないと思うんですよ。そうでしょ
う。
#137
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁が海上における警察業務も担当する機関であるというのは先生の御指摘のとおりでございます。そして、実際問題といたしまして、最近におきましても我が国の周辺海域におきまして、日本の漁船あるいは商船が国籍不明の不審船に追跡されたり銃撃されたりというケースもございます。中には物品を強奪していくというようなケースもございます。そのような海賊を取り締まることもまた我が海上保安庁の任務の一つでございます。
#138
○喜岡淳君 それじゃ、もう一度聞きますが、大臣、四十ミリ機関砲というのは武器か否か、これをお答えください。武器なのかどうなのか。
#139
○政府委員(小和田統君) 武器か否かという定義で申し上げれば、武器に該当すると思います。
 ただ、確認的に申し上げますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、海上保安庁は軍隊的な性格の組織ではないということはこれまた庁法上明確でございまして、私どもそのような心構えのもとに業務を行っております。
#140
○喜岡淳君 武器かどうかと聞けば武器だと今次長さんおっしゃいましたわけですが、武器ならば、この武器がなぜ保安庁は所有できるんですか。それはやはり法的な根拠があると思いますが、それはどういうところですか、武器を持てるという根拠は。
#141
○政府委員(小和田統君) 先ほどから申し上げておりますように、四条に定められております適当な設備ということでございます。
#142
○喜岡淳君 四十ミリ砲が武器だというわけでありますが、では保安庁法四条一項で言う「適当な構造、設備及び性能」ですね、この「適当な」というのは、大臣、どこまでのことを指すんですか、この「適当」という範囲は。
#143
○政府委員(小和田統君) 「適当な」という言葉の解釈は、これまた具体的な問題に応じて判断せざるを得ない面があろうかと思いますけれども、例えば常識的に見て軍隊的な組織でなければ持ち得ないようなもの、ミサイルなどを考えますと、これは海上保安庁の巡視船に装備ということは考えられないと思います。
#144
○喜岡淳君 次長さん、今の答弁は私ちょっと疑問を感じます。
 軍隊的な組織でなければ持てないような武器、これが範囲だと言いましたね。海上自衛隊は国際的には軍と見られておるのは当然ですね、これは。海上保安庁の武器も四十ミリ機関砲、海上自衛隊の船にも四十ミリ砲はついておりますね。同じ四十ミリあるじゃないですか。同じ四十ミリ砲ですよ。持てないことになるんじゃないですか、その論理からいけば。軍が装備しておるじゃないですか、海上自衛隊が。軍が装備する範囲が「適当な」という範囲だと今おっしゃったんでしょう。
#145
○政府委員(小和田統君) もちろん適当な設備という判断に当たって、第二条に海上保安庁の基本的な任務が明確にされておりますので、「海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕」、そういう業務を遂行するのに適当なということでございます。
#146
○喜岡淳君 だから、その具体的な装備の範囲はどこまでかと。適当だということの範囲ですよ。
 じゃ聞きますが、あなたは今具体的に適当な設備として、私が適当な設備、四十ミリ砲が武器かどうかと言ったら武器だとおっしゃったから、四十ミリ砲が範囲なのかどうなのか。範囲に入っておるという認識だろうと思うんですが、じゃ海上保安庁の船にロケットは装備できるんですか、できないんですか。
#147
○政府委員(小和田統君) 現在、巡視船に搭載しております四十ミリ機関砲は、この海上保安庁法に認められている適当な設備に入ると考えております。
 お尋ねのロケットにつきましては、いかなるロケットであるか、その具体的な内容によっても変わってくると思います。私が一般的な常識としてロケットというものを想定いたしますときには、それは軍隊的な組織が使うものではないかという感じがいたしますけれども、その具体的な内容がよくわかりませんのでお答えいたしかねます。
#148
○喜岡淳君 具体的なものでなければ判断ができないということでは、逆に言うと、どんどん適当な武器の範囲が私はエスカレートしていく危険性があるというふうに思いますが、そういうことは絶対ないんですか。明確な歯どめというものはあるんですか。
#149
○政府委員(小和田統君) 保安庁法の二条に規定されております任務の内容、それから四条に規定されております規定の内容、それからまた軍隊的な性格を持った組織ではないという庁法上の明確な規定、そのような規定から総合的に考えまして、巡視船が持ち得る設備、武器の範囲というものについてはおのずから限界があることは当然でございます。
#150
○喜岡淳君 私は、その見解は逆だと思うんですね。
 海上保安庁法の二条で海上保安庁の仕事は海上における警察業務の遂行ですよ、そして海上保安庁法の二十五条では海上保安庁は軍事的行動はしない、軍隊ではないのだということも明記されておる。そうすると、おのずと保安庁が持てる武器の範囲というものは私は決まると思うんですよ。ケース・バイ・ケースなどというのは私はあり得ないと思うんですよ。相手の海賊が武装をエスカレートすればこっちも武装をエスカレートするなどというのはまずあり得ないことでしょう。違いますか。
#151
○政府委員(小和田統君) 海賊船が武装をエスカレートしてミサイルとかロケットを装備してくるというような事態を私ども想定しておりませんけれども、そのような事態が仮に起きてそれが軍事的な行動をするというようなことであれば、それは保安庁ではなくてあるいは自衛隊にお願いするというようなことになるかもしれません。
#152
○喜岡淳君 海上保安庁が手に負えないような相手については、これは自衛隊法上でも規定があるように、海上自衛隊がそこからは出動する。これは連絡をとり合うことになっておりますですね。ですから、相手がいかなる武装をしてこようともそれに合わせて海上保安庁が武装をエスカレートすることはまずあり得ないでしょう、当然ね。やっぱりおのずと限界というのはあると私は思いますが、だからどこまでが限界なのか具体的に言ってください。四十ミリ砲は持てるんだと言うんなら、どこまで持てるんですか。
#153
○政府委員(小和田統君) 先ほどから申し上げておりますように、四十ミリ機関砲は現在の保安庁法上私ども装備して差し支えない範囲の武器と考えておりますけれども、じゃその上どこまでならいいのかというお尋ねにつきましては、私ども四十ミリ機関砲の上にどういう武器があるのかちょっと承知しておりませんので、必ずしも直接的なお答えはいたしかねますけれども、現在それでは保安庁が何か新しい装備、武器の導入を考えているかという御質問であれば、今のところそういうことは考えておりません。
#154
○喜岡淳君 それでは、これは運輸大臣にお尋ねをいたします。
 海上保安庁が設置されたのは昭和二十三年のことであります。昭和二十三年に設置された当時、保安庁は保安官がけん銃を持っておるという状況であったと思います。したがって、昭和二十三年に保安庁がスタートしたとき、海上保安庁法が想定しておる設備というのは四十ミリ砲なんか当然含んでいなかった、そう見るのが当たり前じゃないんですか。この法律ができた当初、沿革から見て、保安庁の保安官がけん銃を持つというのは当時ありましたが、保安庁が四十ミリ砲とかそういったものを装備するなどというのは、設備の中でそんなものは最初から想定していなかったと見るのが私は当たり前の理解だろうと思うんですが、大臣、どうですか、そのあたりは。
#155
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁発足当時、昭和二十三年発足当時、確かに巡視船には機銃、機関砲等は持っておりませんでしたけれども、それは占領下という時代だったということもあわせて想起していただければと思います。
#156
○喜岡淳君 保安庁の沿革を見てみますと、昭和二十三年に創立された当時は、今も言いましたように、けん銃を持っておった。これは保安官個人が所有をしておったわけですね。設備の中に四十ミリ砲を、私はこれは当然大砲だと思うんですが、こんなものは当時設備としては全然予定をしていなかった、こう考えるのが当たり前なんです。そして、保安庁がこの大砲といいますか機関砲を装備し始めたのは朝鮮戦争の昭和二十五年あたり、こういうふうに言われております。昭和二十八年、二十九年ごろにはもう三インチ砲が装備されておった。
 こういった流れを見ておりますと、海上保安庁法ができた昭和二十三年当時にはこういった四十ミリ砲や三十ミリ砲などという機関砲は全然想定していないわけですよ。後になって三十ミリ砲、四十ミリ砲をつけ始めてきて、さあどういうふうに説明するかというので設備というように説明をされておる。私はこう考える方が歴史的にも筋道立った理解ではないかというふうに思うわけです。
 どうでしょうか。ですから、この四十ミリ砲がなぜ持てるのか、どうして四十ミリ砲がこの「設備」で読み込めるのかと。
#157
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁ができました当時持っておりました巡視船というのは、それまで税関その他海事関係の省庁が持っておられたかなり古い船を寄せ集めて船隊をつくったという事情がございます。私の記憶に間違いかなければ恐らく全部が古い木造船、小型の木造船でございます。そのようなものにもちろん機関砲等を装備するということは考えられなかったということも一つあろうかと思いますが、その後、巡視船が銃撃されるというようなケースも相次ぎました。そのような状況の中で保安庁がその任務を遂行する上で適当な設備ということで現在の機関砲等を装備しているものでございます。
#158
○喜岡淳君 これは運輸大臣にお尋ねをいたしますが、こういった閣議了解があるんでしょうか。
 昭和二十七年の出来事でありますが、当時の李承晩ラインをめぐって緊迫した状況があった。そして、正当防衛の問題でありますが、日本の巡視船は武装していないわけでありますから、正当防衛のような場合やむを得ず所持しているけん銃を使うことは別にして、実力は行使しない、そういう建前で行動すべきだと、こういう閣議の了解事項があるというのは今でも当然生きておるわけですね。
#159
○政府委員(小和田統君) 昭和二十七年当時、ただいま先生御指摘の閣議了解があったことはそのとおりでございます。
#160
○喜岡淳君 そういうことも踏まえますと、やはり私は、こういった四十ミリ砲や三十ミリ砲をたくさん装備しておるようでありますが、この四十ミリ砲を持てる法律的な根拠を「設備」で説明しようとするのは、国民だれが聞いてもすんなりと国民の常識的に理解できるものではない、非常に設備という説明では納得する人が少ないのではないかと、これが国民的な常識だろうというふうに思います。
 したがって、その設備で言うならばどんどんどんどんこの四十ミリ砲が何十ミリ砲にも膨れ上がっていく、そういったことに歯どめをかけることにはなりませんから、この点については私は法律的に非常に問題があるのではないか、歯どめのかかるような海上保安庁法になっていないのではないか、こういうような気がするわけであります。
 次に、この四十ミリ砲の使用、撃ち方の問題についてお尋ねをいたします。
 今日まで保安庁に装備しております機関銃、機関砲、これを実際に使ったことはありますか。
#161
○政府委員(小和田統君) ございません。
#162
○喜岡淳君 急迫不正の場合どうするのか。この三十ミリ砲とか四十ミリ砲、機関銃、機関砲は撃てるんでしょうか。
#163
○政府委員(小和田統君) 任務遂行のために、あるいは急迫不正の侵害に対応するために、必要があれば使用することは可能かと思いますけれども、現在までのところそのような事態はございませんでした。
#164
○喜岡淳君 急迫不正の場合、銃は撃てるのか撃てないのか。これは運輸大臣、責任者としてお答えください、保安庁の責任者として。
#165
○政府委員(小和田統君) ただいま私が、必要があれば使用することは可能であると申し上げたことに尽きていると存じます。
#166
○国務大臣(奥田敬和君) そのとおりであろうと思います。
#167
○喜岡淳君 撃てると。正当防衛ということだろうと思いますが、撃てるという場合にどうして撃てるんですか、それは。その撃てるという法律的な根拠を示していただきたいと思うんです。
#168
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁法二十条に「海上保安官及び海上保安官補の武器の使用については、警察官職務執行法第七条を準用する。」とございます。これが根拠でございます。
#169
○喜岡淳君 海上保安庁法二十条によって警職法七条を準用するから、四十ミリ砲を撃ってもいいということですか。そういうことですか。
#170
○政府委員(小和田統君) 警察官職務執行法七条に基づいて使用することができるということでございます。
#171
○喜岡淳君 警職法七条ですね。警職法七条では丁武器の使用」ということが書かれております。この警職法七条というのは、もう言うまでもありませんが、これは警察法六十七条を受けておるわけですね。警察法六十七条で警察官は小型武器を持ってよろしい。警察法六十七条では「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」と。小型武器を所持することができるという、これが警察法六十七条であります。その小型武器の使用については、警職法七条で確かに「武器の使用」として規定をされておりますから、警察官が小型武器を撃つことは法律的に確立をされておるわけです。
 さて、この今あなたがおっしゃった根拠で、小型武器を撃ってよろしいという法律的根拠をもって四十ミリ砲を撃ってよろしいという根拠になり得るんですか。
#172
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁法二十条は「警察官職務執行法第七条を準用する。」とございます。したがいまして、準用でございますから、必要に応じて海上保安庁の特性に合わせた解釈は可能かと思います。
#173
○喜岡淳君 大臣、どうですか、今のお答えは。海上保安庁の事情に合わせて解釈していいというようなこんなことあり得るんですか。小型武器ですよ。四十ミリ砲が小型武器に当たるのかどうか。
#174
○国務大臣(奥田敬和君) 海上保安庁の四十ミリ機関砲が小型武器に当たるかどうかという形についてのいわゆる法的根拠、それに関しては先ほど政府委員からいろいろ適当な設備の範囲内ということで説明がありましたけれども、私としては、小型武器の範疇に入るかどうかということに関しては今明確に答弁することはできません。ということは、その小型武器であるかどうかという形で、小型武器ですと断定して御答弁するわけにはまいらないということであります。
#175
○喜岡淳君 答弁を求めておりますので、答弁できないと言われたんでは困るんですが。
#176
○政府委員(小和田統君) 海上保安庁法の二十条、先ほど申し上げましたとおり、「警察官職務執行法第七条を準用する。」という規定は、海上保安官等の武器使用についての根拠を定めているわけでございますけれども、その適用範囲は、準用範囲は、海上保安庁法十九条に規定する携帯武器、これは保安官等が携帯する武器でございますけれども、その使用に限定されているというふうに解釈する根拠規定ではございませんで、四条に基づいて船舶、巡視船に装備している武器についても同じように準用される規定でございます。(発言する者あり)
 私のお答えの仕方があるいは足らなかったのかもしれませんが、海上保安庁法二十条で警察官職務執行法七条が準用されているというのは、保安庁法十九条で保安官が携帯を認められている武器、これは通常小型武器でございますけれども、その使用に関してだけ適用される規定ではなくて、先ほど御説明しました四条によって巡視船に装備が認められている機関砲、機銃等についても同様に使用の根拠となる規定であるということを申し上げたつもりでございます。
#177
○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#178
○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。
#179
○政府委員(小和田統君) 先ほどから申し上げておりますことをもう一度整理してお答えさせていただきたいと思います。
 まず基本的に、これは先生も御承知いただいていることでございますが、海上保安庁は庁法上、軍隊的な機能を営む組織ではない、機関ではないという明文の規定がございます。軍隊の機能を営むことを認めるものと解釈してはならないという規定がございます。したがいまして、私どもが、先生が先ほど例示されましたようなロケットとか、あるいはそれを上回るような性能の武器とか、そういうものを持つということは現在のところ考えられません。ただ、私も武器に詳しくはございませんので、どのような武器があるかということについては若干不明でございますけれども、今のところ新しい武器を導入するというようなことは考えておりません。
 それから、使用につきましての根拠は、先ほどから申し上げておりますように海上保安庁の庁法二十条でございますけれども、これは「警察官職務執行法第七条を準用する。」ということでございまして、巡視船に装備している機関銃等についても適用の、使用の根拠となる条文だと考えているわけでございます。
 それからまた、この法案との関係で申し上げますと、再三お答えいたしましたとおり、この海上保安庁法二十条、武器使用の根拠条文でございますが、これはこの平和業務を遂行する上での外国の地域においての適用はないということが明文上規定されております。
#180
○喜岡淳君 今の説明、私は納得できないからもう一回言いますよ、納得できない理由を。大臣、聞いてくださいよ。
 海上保安庁法の十九条は「海上保安官及び海上保安官補はこ、個人はですよ、「その職務を行うため、武器を携帯することができる。」、これは個人なんですよ。四十ミリ砲なんか個人で持てないでしょう、こんなものは。十九条で言っておる「海上保安官及び海上保安官補はこ「武器を携帯することができる。」というのは、当然けん銃のことじゃないですか、これは。だから、このけん銃の使用に当たっては次の二十条で、警職法七条を準用すると書いてあるんですよ。何が四十ミリ砲についてまでけん銃の使用規定を準用できるんですか。そんなものインチキですよ。だめですよ、そんなのは。
#181
○政府委員(小和田統君) 十九条は、御指摘のとおり、個人がその職務を行うために武器を携帯できるという根拠条文でございます。二十条は、「武器の使用については、警察官職務執行法第七条を準用する。」ということでございまして、こちらは四条によって巡視船に装備している武器についても根拠となるものでございます。
#182
○喜岡淳君 ならないと言っているんですよ。だめですよ。四十ミリ砲とけん銃は一緒にならないですよ。何で準用できるんですか。
#183
○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。
   〔午後三時三十一分速記中止〕
   〔午後三時四十一分速記開始〕
#184
○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。
 質疑者のポイントはおわかりですね。設備のところの問題と、警職法の準用の問題と、さらにそれによって拡大解釈が行われる危険がないかどうかと、この三点ですから、それを明快にお答え願います。
#185
○政府委員(小和田統君) もう一度整理してお答えさせていただきたいと思います。
 まず、海上保安官あるいは保安官補が、個人として武器を携帯するという根拠条文が十九条にございます。それから、巡視船に機銃、機関砲等を装備するということについての根拠条文が四条にございます。業務を遂行するに当たって適当な設備ということでございます。
 そこで、それらの武器の使用に当たりましては、二十条で「警察官職務執行法第七条を準用する。」とございます。職務執行法七条、先生御存じかと思いますけれども、ちょっと読ませていただきますが、「警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」。ただし書きで、緊急避難、正当防衛以外の場合に人に危害を与えてはならないという規定もございますけれども、要するに、警察官職務執行法七条というのは、どういう場合に武器を使っていいかという条文でございます。
 それが、どういう場合に武器を……
#186
○喜岡淳君 小型武器を使っていいかでしょう。
#187
○政府委員(小和田統君) 小型武器という規定は、警察官職務執行法上この七条の条文には、小型武器という規定はございません。ただし、警察官が持っているのは小型武器しかないじゃないかとおっしゃるのであれば、実態としてそうであるのかどうか、私はそこは存じません。
 いずれにいたしましても、海上保安庁の場合にはこの二十条の規定が準用されておりまして、十九条で個人が持つピストル等の武器、それから四条で船に装備されております機銃、機関砲等の武器、その両方について、どういう場合に使っていいかという根拠が二十条でございます。
 それから、再三申し上げておりますとおり、巡視船は軍隊的な機能を営むということは想定しておりません。
 以上でございます。
#188
○喜岡淳君 まあ、小型けん銃を使用する規定について、それで四十ミリ砲、いわゆる大砲の使用についてまで説明するなどというのが私は非常に恐ろしいと思いますよ。どんどんどんどんエスカレートしていくじゃないか、こんなことやっていたらね。私は大変問題だろうと思っております。したがって、これについては納得できませんので、このまま残しておきたいと思います。
 ただ私は、ここでひとつ法律体系全体の問題について、聞いておいていただきたいと思うんですよ。
 麻薬取締官、麻薬取締員、この人たちの場合は小型武器を携帯することが法律で保障されております。麻薬及び向精神薬取締法の問題であります。五十四条です。具体的に小型武器を持ってよろしいと法律で書いてあるんですよ、ここは。だから使っていいということが同じく五十四条にあります。
 自衛隊は武器を保有してよろしい。「武器」と明確に書いていますよ。これは自衛隊法の八十七条にありますね。武器を持っていいという法律が明記された以上は、この武器の使用に当たって八十八条、八十九条、九十条、九十二条、九十三条、九十五条、これをずっと詳しく書いておるではないですか。
 税関職員はどうですか。小型武器を携帯してよろしいと、明確に武器の種類も書いていますよ、小型武器と。これは関税法の百四条です。武器を持ってよいと法律が根拠をつけた以上は、使ってよろしいということがこれまた同法百四条で保障されておるわけですね。
 監獄官吏は銃を携帯してよろしいと、持っていい武器は銃と規定をしております。これは、「監獄官吏ヲシテ銃ヲ携帯セシムルノ作」、明治四十一年の勅令の二八九であります。法律でけん銃を持ってよろしいと書いてある。したがって、使っていいという使用の根拠については、監獄法の二十条に明文化されておるわけです。
 入国審査官、入国警備官は武器を携帯してよいとなっております。「武器」と書いてありますね。どういう法律で持っていいかというと、出入国管理及び難民認定法六十一条の四であります。持ってよいという以上は使用してよろしい。同法六十一条に使用の法的根拠が明記されております。
 警察官は、何回も議論になりましたように、小型武器を所持してよいと、「小型武器」と明記されていますね。それは警察法の六十七条であります。持ってよいならば使用してよいという法的根拠は警職法の七条であります。
 さて、海上保安官、海上保安庁。海上保安官、保安官補個人は武器を携帯してよろしいとなっておりますね。それは海上保安庁法の十九条であります。「武器」と規定しておりますね。これは持ってよいから、携帯してよいから使ってよろしい。これはもちろん海上保安庁法の二十条ですね。その二十条の規定に当たっては、警職法の七条を準用するんですね。
 じゃ、四十ミリ砲とか三十ミリ砲、あなたは設備と言った、この設備の使用はどう使っていいという法的根拠が示されておるんですか。これだけじゃないですか、全部の法律体系の中で。どうしてこれだけないんですか。だからあなたは、設備として無理して説明してごまかそうとしておるんじゃないですか。法律体系の中でここだけですよ、ないのは。納得できぬですよ、さっきの説明は。
#189
○政府委員(小和田統君) 他の法律がどのような判断のもとに先生御指摘のような組み立てになっているか私は存じませんけれども、海上保安庁法につきましては、四条で巡視船に適当な設備を持つことを認め、十九条で保安官、保安官補が武器を携帯することを認め、あわせてその使用の根拠として二十条の規定があるという仕組みになっております。
#190
○喜岡淳君 総理に質問します。総理、今のどうですか。法治国家でここだけ法律が抜けていいなどというのはありますか、そんなものは。おかしいですよ、あんなのは。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) 今伺っておりましたが、そう解釈しなければ四条で持った設備は使いようがございません。持ってもいいが使えないというものは法律が書くはずがない。
#192
○喜岡淳君 そういうことは全然説得力ないですよ。法律体系の中で、保安庁の法についてのみは設備で読みかえようとしているんですよ。今までずっと読み上げた麻薬取締官、自衛隊、税関職員、監獄官吏、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官、全部所持できる、あるいは携帯保有できる、武器の種類まで法律で明記しておるではないですか。どうしてここだけ法の明記がないんですか。ですから説明にならないですよ。
#193
○国務大臣(宮澤喜一君) その御説は御説として承りますが、それならば、この四条で、「海上における治安を維持し、遭難船員に援助を与え、又は海難に際し人命及び財産を保護するのに適当な構造、設備及び性能を有する」云々と書いてございます。
 私どもで言えば、こういうものを持っていいと書いてあるんですから、持っていいものは使っていいに決まっているんで、ただ持ってだけいいという法律は、僕はあり得ないと思いますね。
#194
○喜岡淳君 総理が新しい問題をまた持ち出してきたわけでありますが、私がさっきから言っておるのは、四十ミリ砲がなぜ設備なのかと。機関砲を持ってよいのならば、ここをよく聞いてくださいよ、機関砲、機関銃を持ってよいのならば、持ってよいといってどうして法律で明記しないんですか。みんな小型武器を携帯せよとか武器を保有できるとか銃を携帯できるとか、種類を明記してあるじゃないですか、すべての法律は。
 だから、海上保安庁法だって機関砲を装備してよいと法律で書けば済むことじゃないんですか。ほかの法律体系から見ればそう理解するのが普通じゃないですか。どうしてここだけ設備ということで説明するのか。これは私は非常に納得できない答えてあります。
#195
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は、この御質問のお相手をするのに能力のある人間ではありませんけれども、それは別の問題でございます、今おっしゃいましたのは。その構造、設備云々というのは何かというお尋ねならそれはお答えのしようがまた別にあるわけですけれども、構造、設備を持っていいと書いてあるんですから、持っていいものは使っていいと考えるのが普通ではございませんかと言っておるのであって、その構造、設備が何を含むかということならこれは別のお話でございます。
#196
○喜岡淳君 じゃ、ちょっと観点を変えて質問をいたします。
 小銃、機銃及び機関砲、これらのものは、小銃については武器である、機関銃、機関砲は設備であると。別のものですか。同じグループでくくれるものですか、くくれないものなんですか、四条と十九条で説明するということは。
#197
○政府委員(小和田統君) 小銃、機銃、機関砲はいずれも武器でございます。機関砲、機銃、これは保安庁法四条にいう設備でございます。
#198
○喜岡淳君 小銃、機銃及び機関砲のうち、機関砲、機関銃については設備で、四条でずっと説明してこられた、持ってよいという根拠として。けん銃については十九条で持ってよいということを説明してこられた。つまり、けん銃と機関銃、機関砲は、四条、十九条、別々のもので保有を説明してきたわけです。
 したがって、使用についてはどうかという問題。しかし、使用に当たっては、保安庁の訓令では「小銃、機銃及び砲一以下「小銃等」という。)」ということでくくっておるではないですか。「小銃等」ということで、けん銃、機関銃、機関砲、「(以下「小銃等」という。)」とくくっておるではない。ですか。別に、四条と十九条で切り離して説明しなければならない問題ではないでしょう。訓令では一つでくくっているではないですか。
#199
○政府委員(小和田統君) 先生御指摘の訓令は、機銃、小銃等を含めまして部内での運用上のルールを「小銃等」という言葉で定めておるものでございます。
#200
○喜岡淳君 小銃、機関銃及び機関砲を「小銃等」などといって一くくりにしておりますから、この訓令は大変な結論に至っていくわけであります。
 冒頭に大臣にお尋ねしたように、殺人、強盗、強姦、放火に対しては四十ミリ砲をぶっ放していいという訓令ですよ、これは。法律の、訓令の極めて不備な問題がここに出てくる理由は何かというと、今の海上保安庁法では機関砲、機関銃を持ってよいという明確な法規定がないんですよ。だのに機関銃、機関砲を積んでおる。それも一番最初に聞いたように、どんどんどんどん武器の力が大きくなってきておるわけですね。四十ミリ砲とか三十ミリ砲とか、だんだんだんだん歯どめなく広がってきておる。
 そういう意味では、小銃、機銃及び機関砲については訓令ということで、機関砲を撃ってよろしいという根拠をこの訓令で無理して与えておるのではないか。ここで機関砲を正当化する。そのために、機関砲を持ってよいという規定がないために、この訓令の中で「小銃等」ということで入れ込んでおる。そうなってくると、けん銃を撃つ場合と機関砲、機関銃をぶっ放す場合が同じ場合になっていく。それで殺人、強盗、強姦、放火でも四十ミリ砲をぶっ放していいという非常に恐ろしい結論になってくるわけであります。
 したがって、やはりこの場所をかりてもう一度お願いをいたしておきますが、直ちに検討していただきたいことは、麻薬取締官、麻薬取締員、自衛隊、税関職員、監獄官吏、入国審査官、入国警備官、警察官、海上保安官、それぞれは法律に基づいて持ってよい武器の規定があり、使ってよいという規定がある。海上自衛隊がつけておる大砲についても、四十ミリ砲を当然つけておりますよね、海上自衛隊は四十ミリ砲をつけております。これだって、持ってよいという法律がある。だか
ら使ってよいという法律がある。この明文規定がないのは海上保安庁の機関砲、機関銃、これのみであるという法律体系全体から考えたら、やはりこういったところの不備を早急に改めていく。
 そうしないと、やはりPKOに海上保安庁が参加していくといったって、そこには私は少しやらなければならない作業が残っておるのではないかというふうに思って、この問題についてはまだ後日お願いをしたいと思います。
 次に、時間があと十分になってまいりましたので最後の質問だけをさせていただきたいと思います。
 国際緊急援助隊についての御質問をいたします。
 従来、政府の御答弁では、国際緊急援助隊については自衛隊を除いて法律をつくり、自衛隊をのけても十分やっていけるという御説明であったと思いますが、なぜ今度の援助隊法の改正に自衛隊を加えておるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
#201
○国務大臣(宮下創平君) 御承知のように、国際緊急援助隊法は、六十二年の九月から施行して十九回ぐらい出動いたしております。しかしながら、これまでの活動を通じまして肝要な点は、災害の規模によってはさらに大規模な援助隊を派遣する必要があるというのが第一。それから第二は、被災地においてやはり自己完結的な活動を行える体制を充実する必要があるということ、これが第二。それから第三点としては、輸送手段の改善を図ること等が課題になっております。
 他方、自衛隊の国際緊急援助隊への参加を可能ならしめ、自衛隊の保有する能力を十分活用することによって、我が国の国際緊急援助体制の一層の充実強化を図ろうというのがこの法律のねらいでございます。
 あとは、具体的な対応等は御質問があればまたお答えをいたします。
#202
○喜岡淳君 これまでの答弁の中では、緊急援助隊法が成立して以来幾つかの経験を積んできたと。実際に現地に行かれた方は大変御苦労されて、本当に御苦労さんだったと思います。
 ただ、今までの幾つかの経験を踏まえた中から、今防衛庁長官がおっしゃったように、自己完結能力とかあるいは輸送能力の増強とか、さらには早く対応して早期に輸送していく必要性があるとか、今までの経験を通じて以上三点の、自衛隊を加えなければならない理由が明らかになってきたということだろうと思うんですが、具体的にどのような経験の中から自己完結能力が必要だと。
 例えば、自己完結能力が必要だという結論に至った具体的な契機はどの派遣だったのか、さらには輸送能力の増強、大量輸送の必要性が認識されたのは、いついかなる派遣を実際にやったときの経験なのか、何年何月のどのような派遣の場合だとか、あるいは即応態勢が必要だと認識したのはいかなる具体的ないつの経験なのか、それを一つずつ説明していただきたいと思います。
#203
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。
 緊急援助隊の過去のいろいろな経験、先生御案内のとおり、法律ができましてから既に昨年に至るまで二十件ほど出ておりますし、法律ができる前にも実態的に九件ほどいろいろな救助チーム、専門家チーム、医療チーム等を派遣した経緯がございます。したがって、三十件近い過去の経験に基づいているということをまず申し上げたいと思います。
 具体的に、それではどういう点でどういうことを経験として学んだのかという御質問だと存じますけれども、まず一番大きなケースというのは、御記憶と存じますが、ちょうど一年前でございますけれども、バングラデシュの非常に大きなサイクロンというものがございました。これはダッカではございませんでチッタゴンよりさらに南の島々がそのサイクロンの被害に遭ったという状況だったわけでございます。
 我々といたしましては、ほかの国からもいろいろな援助隊、アメリカはたまたま湾岸から帰還途中のマリーンが参加するというようなケースだったわけでございますが、我が方からも消防庁が中心になりましてヘリを二機出しまして、ダッカとチッタゴンの間のいろいろな物資の輸送というものに、これは非常に小型のヘリだったわけでございますが、携わったわけでございます。それによって非常に大きな成果を上げた、それなりの成果を上げたということが言えるわけでございますが、このような際に、自衛隊が今有しております輸送力というものを、その能力を活用いたしますと、例えば輸送機で現地に参りまして、ダッカからチッタゴンの間の少なくとも飛行場があるところの輸送というものを、何回もピストン輸送で行うことができるといったようなことは当然考えられるわけでございます。
 それから、御案内のとおり、フィリピン、それからイランといったようなところで大きな地震があったわけでございます。このような地震に際しましては、現地が当然のことながら大変混乱いたしておりまして、そういう混乱の中で我々も救助隊、医療隊といったようなものを御案内のとおり派遣したわけでございますが、やはり自衛隊が有しておりますような自給自足的な、例えば水を自分で浄化して使うといったような能力、あるいはホテルなどに泊まることなしに自給自足的に活動する能力といったようなものがどうしても非常に必要であるということがつくづく感じられたわけでございます。
 それから、災害の規模によりましては、今のバングラデシュ、あれはあれでよかったという御意見もあろうかと存じますけれども、やはり我が国の経済力、国力というものを背景に考えますれば、アジアの国、近隣諸国なんかでこのような大規模な災害が起こったときに、もうちょっと大規模な自衛隊の活動能力というものを利用するということが我が国の国際貢献の実を上げるその基礎になるのではないだろうかというふうに考えて、今回の改正法を提出させていただいた次第でございます。
#204
○喜岡淳君 自己完結能力というのは自衛隊だけしか持っていない特殊固有の能力ではなくて、社会党が提案しております協力隊、ここも訓練をして装備を整えていけば自己完結能力は整うわけであります。ただ、命ずぐどこがあるかというとそれは自衛隊だというのならわかりますが、やはり社会党案の協力隊も訓練をして設備を持っていけばこれはできるわけであります。
 さらに、輸送能力の問題を今おっしゃいましたが、航空自衛隊が持っておる輸送機C130十五機では物資二十トン、合計三百トンしか運べないわけです、十五機ですから。民間航空会社各社のボーイング747フレーター、十六機、一機九十トンですからこれなら全体で千四百トンが運べるというわ、けてあります。ですから、輸送能力だけの問題でいきますと、かえって民間の方が大きいということも結果的に出ておるわけであります。
 そこで、最後に私の指摘をしておきたい問題は、今緊急援助隊法の改正案が言われておりますが、やはり緊急援助隊を今日までどのようにして政府は強化充実してきたのか、その努力がまず私は先にあるべきだったと思う。それを置いておいて、さあ今度自衛隊にやってもらったらいいではないかと。これは非常に私は問題だと思うんです。今度、国際緊急援助室あるいはJICAの国際緊急援助隊事務局がいろいろ補強されてきておるようでありますが、こういった緊急援助体制の充実強化に政府が日常どう取り組んでこられたのか、これが私は最初の原則だろうと思うんです。
 これからの問題としてお願いしておきたいのは、一つは緊急にいつでも行けるようにやはり二国間協定を豊から結んでおく。二国間協定の締結、緊急援助の二国間協定。さらには医学部とか医科大学の定員の、少し減らしておりますけれども、調整を解除して、国際援助ということを念頭に置いてやはり定員を復活させて医学に関する人材を確保していきたい、そういうふうな方向をぜひ要望して、質問を終わりたいと思います。
#205
○鹿熊安正君 まず、PKOは一九四八年に活動を開始して以来、国際平和と安全の維持のために大きな貢献を行い、一九八八年にはノーベル平和賞を受賞しております。ごく最近でこそPKOの選挙監視分野などに文民も参加するようになったが、その主役はあくまでも軍事部門であります。発足以来八十カ国五十万人以上が参加した実績を持つが、要員のほとんどは軍人であります。
 こうしたPKOの実態と、これに基づくノーベル平和賞の受賞についてどのように評価しておられるのか。社会党は、世界各国の軍人による平和活動であったとしても、それは軍人によって担われた活動であるという理由であくまで否定的な評価をされるのか、まず社会党の見解を伺った上で、政府の所見を問いたいと思います。
#206
○委員以外の議員(野田哲君) 鹿熊委員にお答えいたします。
 国連のPKO活動が長年にわたる地域紛争解決の努力が評価をされて、一九八八年にノーベル平和賞を贈られたことは私どもも評価をしております。特に、ノーベル平和賞受賞が一つの契機になって、ソ連がPKOを積極的に評価する姿勢に変わってまいりまして、その後の八八年のアフガンヘの国連の仲介ミッションの派遣とか、あるいはイラン・イラク軍事監視団、国連のナミビア独立支援グループ、国連のアンゴラ検証団、国連の中米監視団などなどが設立された、合意されたその契機になったという点でも私どもは評価をしております。
 ただ、ノーベル賞受賞を評価したからそれて無条件に日本がそれに参加することの是非については、私ども、それぞれの参加の形態はそれぞれの憲法、国情、国民感情等々の条件によって参加をしていくことであって、日本がPKOのすべての分野で、ノーベル賞を受賞したPKO活動であるからといって協力できるものではない、そのことの範囲の違いはあってもしかるべきだと、こういうふうに考えております。
#207
○国務大臣(宮澤喜一君) 戦争が終結をいたしまして一応紛争当事者が和平の意思を持ちましても、なおその場所は硝煙の漂っている場所でございますから、その中から本当に平和を確実にし、そして新しい国なり地域なりの繁栄をつくり上げるということは、これは容易な仕事ではございません。殊に、土地によっては非常に気象、天然条件が悪い。そうでありませんでも、やはり戦争の後でございますから決して住みよい土地であるわけはございません。そういう中でそういう難しい仕事をするという意味で、やはり自己完結的な組織でありませんと、そのような仕事をなかなか効率的にやることはできないということは事実であろうと思われます。
 そういうようなことはやはり軍人の経験がなければやりがたい仕事でございましょうが、しかし、それはまた戦争であってはならない。弾を撃つということはもう目的そのものを損なうということでございますから、そのようなデリケートな難しい仕事を、しかしやはり苦しいながらやり抜くということはそれだけの組織なり意志力が要ることであって、経験が要ることであって、そのゆえにまたノーベル平和賞受賞をいたしたものだと考えております。
#208
○鹿熊安正君 それでは次の質問に入りますが、社会党案では国連のPKOの中核的活動である平和維持隊及び停戦監視団への参加を非軍事、民生、文民の名のもとに排除していることには、PKOの本質に対する基本的誤解または曲解があります。すなわち、PKF及び停戦監視団の業務は、過去四十三年間の国連PKOの圧倒的に中核を占める活動であり、そもそもPKOの本質とも言うべき活動であります。我が国は将来ともこれらの業務に一切参加しないということでは、国際的に日本は嫌な仕事はしないなどの批判を招きます。
 そもそもPKOの本質は、中立・非強制の立場で停戦の確保と紛争からの立ち直りを支持支援する、いわば戦わない部隊であります。社会党が、政府提出のPKO法案は自衛隊を武装して戦場に送るものといったキャンペーンをしている背景には、PKOの本質に係る基本的認識に誤解があるか、または意図的な歪曲をしているとしか考えられません。
 この点に関し、明石UNTAC国連事務総長特別代表は、去る三月十一日の衆議院PKO特別委員会の参考人として、また五月十二日には本委員会の参考人としておっしゃったことに、PKOの基本哲学は、戦う軍隊ではなく、国連の持つプレステージ、政治的、心理的、道義的な力によって戦争が再び生じないように、停戦が恒久的になるように見てやるものである旨を述べられ、PKOを武力行使といった軍事目的の活動と結びつけて行う議論には誤解がある旨明らかにしておられます。
 従来、社会党は、PKFや停戦監視団の後方支援業務については、これを軍事部門と密接不可分なものとして我が国の参加を認めない立場を示してきており、社会党対案の中でも「軍事部門に係る活動を除く。」との限定を付していますしかるに、五月一日の社会党カンボジア訪問議員団の記者会見においては、これまでの密接不可分論を撤回し、兵たん、輸送、通信、医療等の後方支援業務への参加を容認する一方、こうした業務を民間人にやってもらうことは難しいことを認めつつ、自衛隊員を別の組織に移しかえてその能力を活用したいと述べ、極めて大幅な方向転換を行いました。これはPKF等のPKO活動の本質について誤解してきたことを徐々に認めざるを得なくなってきたことの証左と言えましょう。
 社会党案において、予備自衛官を含め自衛隊員のPKO参加を認めないのは、自衛隊の存在を違憲として認めない社会党の従来からの立場に固執することによるものであり、PKOの本質に係る基本的認識の誤解とあわせ二重の認識のずれであると思います。
 今日、自衛隊の存在及びその活動自体についても国民の間に広範な支持があります。このことは、昨年のペルシャ湾における機雷処理活動に対する国民からの深い理解、さらには社会党の有力な支持団体である自治労も組合員の六五%もが自衛隊のPKO参加を肯定する立場に変わりつつあること等にも明らかであります。
 自衛隊がPKFを含む各種のPKO活動に参加することは我が国の平和憲法の精神にも合致するものであり、この点に関する国民の理解も次第に浸透しつつあります。最近のNHK、朝日新聞の世論調査では、ほぼ半数が自衛隊のPKO参加に理解を示すに至っているからであります。
 中国や韓国など隣国の一部には、過去の歴史にかんがみ、なお自衛隊のPKO参加には慎重に等の発言もあるが、他方、UNTACという当面のPKOを抱えるカンボジアのシアヌーク殿下やフン・セン首相は自衛隊を含む我が国のUNTAC支援を歓迎するとの熱い期待を表明しているほか、ASEAN諸国も自衛隊の参加を含む我が国のPKO協力におおむね好意的であります。さらに、ガリ国連事務総長も我が国がPKFを含むPKO活動に参加することを歓迎する旨の発言をしておられます。
 中国、韓国などの懸念に対しては引き続き理解を深めるための外交努力が必要であるが、加えて実際にカンボシア等で我が国のPKO要員が他国の要員と一緒になって汗を流しつつ世界の平和のために努力する姿を示すことが、我が国が平和国家として生まれ変わった最大のあかしとして理解を深めることに役立つと考えます。
 政府に対して、PKO法案に基づいて自衛隊を派遣することが憲法上問題でなく、またPKO活動においてなぜ自衛隊の参加が必要となるのか、何回も尋ねられたことでありますが、改めてお答え願います。
#209
○国務大臣(宮下創平君) PKOへの自衛隊の参加の必要性については本院でたびたび申し上げておるところでございますが、あえて繰り返して申し上げるならば、今回の平和協力業務はまさに五条件に合致している。これは詳しくは申し上げませんが、国連からの要請があって、我が国が五条件に合致した場合にのみこれを行う意思表明をし、そして実施要領をつくって、コントロールしてやる、こういうことになっております。
 他方、自衛隊を使うことにつきましては、自衛隊の組織あるいは知識、経験、能力等を、これを活用することが最も適当である、この平和目的のためには必要であるという考え方のもとに自衛隊のPKOへの参加を今回規定しているものでございまして、自衛隊の本来の任務は専守防衛でございます。しかし同時に、我が国の憲法に抵触しない範囲内で自衛隊が国際協力を行うということはまことに時宜にかなった措置でございまして、それだけにこの法案でそういった面についての厳しい配慮をしていることも事実でございます。そうしたもとで、これからの国際社会に臨む我が国としての貢献の立場として自衛隊もこれに参加していくことは本当に意味のあることだというように思います。
 なお、本法の構成は自衛隊ばかりではございません。ほかにもあることは当然でございます。
#210
○鹿熊安正君 次に、社会党案の提案理由説明を見ると、「約二千人程度の常設の国際協力隊を置き、国連等の国際機関、関係諸国の要請に対し、非軍事、民生、文民による積極的な国際貢献を行う」としておられます。どのような職種の隊員を何人ぐらいずつ配置しようというのか、その内訳を説明してください。また、さまざまな職種の隊員をどのようにして募集されるのか、さらに業務として軍事部門を除くPKO、人道的国際救援活動、国際災害緊急援助、物資協力などを行うとしているが、二千人でこれらの業務のすべてを実施し得るのか、お伺いしたいと思います。
#211
○委員以外の議員(野田哲君) 二千人というのは総枠として設定しておるわけでございまして、三年計画ぐらいでそれを満たしていく、そういう計画を持っているわけであります。その内訳といたしましては、常勤の協力隊員と、それから関係の各省庁の公務員でそれぞれの分野での能力のある方々、それから任期制の隊員、三つの要素から成り立つことに予定をしております。
 そして、内訳といたしましては、本部の常勤の要員約五十名、それから訓練センター、備蓄センター、これが百数十名、それから病院船を予定しております。これに、船の運航に当たる人、それから医師、看護婦等で三百人、それから交代要員として六百名を予定しておりまして、これは公的な医療機関を中心に考えております。さらに、輸送、通信、建設などで二百人ないし三百人、それ以外は任期制の隊員や関係各省庁からの応援によって確保していきたい、こういう内訳で考えております。
#212
○鹿熊安正君 次に、社会党案を見ると、「この法律の施行に要する経費は、約八百億円の見込みである。」となっております。それは初年度予算なのか平年度予算なのか。提案理由説明によれば、病院船などの船舶や輸送機、ヘリコプター、訓練センター、備蓄センターまでも持つ構想となっておりますが、また今ほどもおっしゃったものを含め、これをひとつ御説明いただきたいことのほかに、人件費、施設費、装備費、維持管理費などの項目別に、それぞれの具体的かつ詳細な積算根拠をお持ちなら説明を願います。
#213
○委員以外の議員(野田哲君) 先ほども言いましたように、三年計画で組織を完了する、こういう予定にしておりまして、その場合の総額が八百億。内訳を申し上げますと、人件費として百二十億、それから輸送機として百二十億の二機二百四十億、ヘリコプター、これは総額で百五十億、六機を予定しております。それから、病院船で二百億、それから訓練センター、本部、備蓄センター等で六十億、諸機材三十億、合計八百億、こういう計算をしているわけでございます。
 以上です。
#214
○鹿熊安正君 三年間ということでありますが、今何を求めておるか、こういった面からしても大変無責任な法案の提出のようにうかがえますが、私、これであなたの案は案として承りました。
 次に、社会党案では、行い得る業務の範囲を文民、民生の分野に限定、すなわち自衛隊員の参加を否定し、かつ自衛のための武器の使用さえ認めない内容となっているにもかかわらず、業務の実施に際し原則事前の国会承認を求めています。これは民社党が、自衛隊のPKF参加等を認めることを前提に、シビリアンコントロールの徹底の見地から主張している国会の事前承認とは基本的な発想において全く異なるものであり、その必要性が理解できません。手続というのは厳格にすればよいものではなく、均衡が配慮されなければならない。そうでないと、かえって問題を生みます。
 これまで現行法のもとで全く問題なく行われてきた選挙監視団の派遣実績を評価せずに、将来のこのような民生部門のPKOや人道的国際救援活動に対する要員派遣にまで国会の事前承認を義務づけるのは、これまで円滑に機能してきた分野にまで機動的対応を行う上での制約を課すとの弊害を生む懸念があります。国会の事前承認は、自衛隊の治安出動など極めて限られたものであり、選挙監視団派遣についてもこのような最も重い手続である国会承認としなければならない理由を社会党にお尋ねいたします。
#215
○委員以外の議員(野田哲君) PKOの派遣先というのは、それまで軍事的な紛争が長く続いていて、それがやっと終結した、こういう地域に派遣することでございますから、これはやはり日本のそれからの国際関係あるいは経済援助、こういう面にも大きな問題を持っております。私どもとしては、文民分野の活動であっても、国会でその派遣先の紛争の経過あるいは国情、経済的、社会的な諸問題等について、国会の承認を通じて十分国民の理解を求めることがその後の国際関係に非常に役に立つし、ぜひそのことが必要だ、こういうふうに考えております。
#216
○鹿熊安正君 次に、当委員会で我が党の板垣、尾辻両委員から日の丸、君が代について質問がありました。本日、この点についてさらに突っ込んで伺ってまいります。
 PKO活動に伴う各国参加の現状を知らせる上からも、日の丸が必要であります。カンボジアのUNTAC本部の前に二十一本の旗立てが用意されており、二十一本目が日本用で、日の丸が立つのをPKO活動に参加することによるあかしとして、現地は、そしてUNTACは待ち望んでおります。この点は先ごろの明石代表の本委員会でのお話からも痛いほどわかったのであります。
 そこで、社会党の野田さんにお伺いしますが、PKO法案の政府案が通過、成立して現地に人を派遣するとした場合、一方、万に一つないと思いますが、社会党提案のPKO法案が国会で成立して人を派遣すると仮定した場合、国旗を使うのか、二十一本日の旗が日の丸になるのかどうか、あなたの考えをひとつ答弁願いたいと思います。
#217
○委員以外の議員(野田哲君) 先日板垣議員の御質問にもお答えいたしましたが、外国の海やあるいは空を航行する船や飛行機が国際的にその国籍を表示することを義務づけられており、それに慣行的にいわゆる日の丸が使われていること、これは私どもも承知をしております。
 したがいまして、国家の任務を持って組織的に外国へ派遣されるその組織の標識をどうするのか、こういうことであれば、私どもが提案をしている法案が成立してそれによって派遣される文民による派遣団であっても、あるいはまた政府案によって派遣される派遣団であっても、それは政府が派遣をするわけでございますから、その派遣される方々が現地でどのような標識を使われるか、日の丸を使われるか、あるいは制服に日の丸をつけられるかあるいは別のものをつけられるか、それは政府のお決めになることであって、社会党が派遣することではございませんので、それは政府で決めていただきたいと思います。
#218
○鹿熊安正君 これまでの答弁からすれば、万に一つ社会党案のPKO法案が通っても日の丸は持てない、国旗として認めていないからという理屈になると思います。そうすると、相当の人数の集団、社会党のPKO法案では二千人としているはずですが、どこの国の人か参加国もわからないことになりかねない。それほどまで国際常識に反して国旗を掲げないPKO、異質のPKO隊でなければいけない理由が国民の大多数は理解できないと思います。また、本当にそうなったら、国際国家日本は吹っ飛んで、それとそ異常な孤立国家日本との汚名が世界ニュースになると思うが、御答弁願います。
#219
○委員以外の議員(野田哲君) 私が先ほどお答えいたしましたのは、今私どもが提案をしている社会党案が成立をした場合でも、あるいは政府案が成立をした場合でも、あるいは政府案が修正されて成立しても、いずれにしてもPKOに派遣される人たちは、国家、政府として派遣をされる組織でありますから、その組織の方々が現地に行って国籍を明らかにするためにどういう標識を使われるか。それは社会党案であっても成立すれば政府の派遣によるわけでありますから、それは向こうでどういう標識を掲出されるかということは政府がお決めになることであろう、こういうふうにお答え申し上げたんです。
#220
○鹿熊安正君 次に質問を進めます。
 野田さんは五月八日、尾辻委員の質問に、「日の丸についてはこ「東南アジア、中国においては侵略のシンボルというイメージがいまだに消えていないわけでありますから、それについてきちっと払拭をする国会決議等の措置が伴うことによって私どもは国旗という。ものについて認めてまいりたいこ「シャドーキャビネットでもそういう議論を高知で提起をした」と答弁しておられます。一前段の「侵略のシンボル」云々は別にして、後段の「きちっと払拭をする国会決議等の措置が伴うことによって私どもは国旗というものについて認めてまいりたいこと言われている点からは、逆に言えば、それが行われなければ国旗でない。そうすると、たとえ社会党PKO法案が成立しても、国旗は持たずに行く、さきの二十一本日の旗立てに日の丸は立てない、そういう結論になるはずですが、それでいいのでしょうか。
 国民は、そしてまた参加する多数の人々は満足して国際貢献だと胸を張って頑張って活躍することができるでしょうか。社会党が考えるPKOのもとでの国際貢献は、国旗も持てない、国際的に肩身の狭い、そんな惨めな思いをさせるものなのでしょうか。そういうことでよろしいと考えているのですか。御答弁願います。
#221
○委員以外の議員(野田哲君) 先ほど申し上げましたように、国際的な場で日の丸が使われていることについては私どもも否定しているわけではございません。
 しかし、先日板垣議員にもお答えをいたしましたが、これはまだ国家の制度としては正式には決定をされていないわけでありますから、もしここで日の丸をPKOの活動についても掲出をし、あるいはまた正式に日本の国旗として制度化するということであれば、やはりそのことについては、かつて日の丸がアジア諸国に対して侵略の一つのシンボルであったというイメージがまだ強く残っておりますから、国会等の決議で十分その決定の際には払拭をする措置をとり、そのことを各国にもよく説明をすることが必要であろう、こういうふうに考えています。
#222
○鹿熊安正君 それでは別の角度でお聞きいたします。
 太平洋戦争が終わって間もなく五十年、半世紀になろうとしております。この長い間に日本社会党は日の丸を国旗とするためにどのような努力をしてきたか伺いたいのであります。
 野田さんが前回答弁された「侵略のシンボルというイメージ」を「払拭をする国会決議等の措置が伴うこと」のために、約半世紀の間に具体的にどのような行動をなさったのでしょうか。国会決議をする努力はどのようなことをされたか。さらに、「払拭をする国会決議」の案文程度でも発表されたことがありましょうか。ありましたらお示し願いたいのであります。
 私が不勉強のせいかもしれませんが、社会党が日の丸を国旗にする努力をしているとは寡聞にして知りません。私どもは、日本社会党は日の丸は国旗として認めないの一点張りで、国の旗は要らないとの主張と見てまいりました。日の丸の国旗化と思える野田さんの答弁にびっくりしたわけでありますが、この半世紀の社会党の主張と行動を念頭に、努力の跡を御答弁願います。
#223
○委員以外の議員(野田哲君) 日の丸を国旗として制定することへの努力をどうしたかとおっしゃられれば、私どもとしてはそういう努力はしておりません。私どもとしては、どのような形のものを決めるにせよ、それは国民の合意のもとでなければならない、こういうことでございますので、今まで日の丸を私どもが国旗として制定するように求める努力をしたことはございません。
#224
○鹿熊安正君 野田さんは五月八日の答弁で、「国の標識としてのそれが日の丸であるかどうか、これについては社会的にあるいは国際的にも必要だということは認識をしております」と述べられたのであります。そこで、日の丸についての、最後の質問として確認しておきます。「国の標識としてのそれが日の丸であるかどうかこという答弁は、社会党及び野田さんは、「日の丸であるかどうかこということから、日の丸以外の国の標識を考えたことがあるという意味かどうか。あるとすればどのような国の標識なのか、それとも国旗なのか、ぜひ伺っておきたいのであります。
#225
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもとしては日の丸を特定してイメージしたことはございません。
#226
○鹿熊安正君 戦後半世紀り間に社会党が検討した日の丸であるかどうかの国旗答弁の中身を詳しく示してほしいと申しましたが、今ほどの答弁でどうも納得がいきません。社会的にも国際的にも国の標識、国旗が必要だということを認識しておりますと言われたが、必要だと認識された時期はいつごろでしょうか。昭和何年ごろからでしょうか。認識された時点から今日まで国の標識をどのようにしようと検討されましたか。検討内容がわかる資料等は社会党にございますか。さらに、情報公開の時代ですから検討内容を公表し、国民に知ってもらうお約束をいただけましょうか。できたら早急に国民に公開していただきたいと思います。
#227
○委員以外の議員(野田哲君) この問題を党内でいつごろからどういう形で議論をしているかといえば、それは明確ではございませんが、公式にこの問題を検討し、一つの考え方を国民の皆さん方に提示したのは昨年の秋、私どもの方のシャドーキャビネットの委員会が高知県で開いた会合で、私が先ほど申し上げたような趣旨のことで検討を始めたと、三ういうことでございます。
#228
○鹿熊安正君 次は、君が代についてです。
 野田さんは五月八日の答弁で、「日の丸と君が代をワンセットにして問題を提起されることについては私どもとしては同意できない。」と述べられました。そこで、私は、ワンセットでなく切り離して、先に日の丸のことを質問いたしたのであります。五月八日の野田さんの答弁で、「君が代については私どもとしては今日の憲法の思想から妥当ではない、このように考えています。」と述べられました。
 そこで、野田さんの答弁の、日の丸国旗化は憲法の思想に合致し、君が代は憲法の思想から妥当でないとされることを国民にわかるように説明してください。
#229
○委員以外の議員(野田哲君) 国家の標識は国際的に必要だということは私どもも認識をしております。それが現在、慣行的に国際的には日の丸が使われている、このことの事情も承知をしております。
 君が代につきましては、私どもとしては、あの歌詞は旧憲法時代の天皇の長寿を祈念した歌詞になっておりまして、これは今の主権者が国民である憲法の理念からして国歌としてはなじまない、こういうふうに考えているわけです。
#230
○鹿熊安正君 新憲法が施行されて間もなく半世紀です。国民主権もそれだけの歴史を刻んだわけであります。
 そこでお伺いしますが、五十年近くの間、国民から選ばれた公党の社会党は、国民主権をうたった憲法にふさわしい国歌を本気で考えたことがあるんですか。本気で考えだというなら、どんな内容を盛り込んだ歌詞なのでしょうか。さらに、曲やメロディーはどうか、お教えいただきたい。さきの国旗同様、不敏にして私は社会党が新しい国歌を考えているとは知りませんし、ただ国歌、国旗反対を声高に言うだけで、何をどう改めるとか、国歌が必要だから、君が代はふさわしくないが、これがあるとかこれをつくったとか聞いたことがないのです。
 野田さんにこの点の答弁を願いたいのと、あわせて前回答弁で国の標識、国旗は社会的、国際的に必要だということは認識していると言われた。国歌、これは君が代しかないのでありますが、社会的、国際的に必要だという認識はお持ちかどうか答弁願います。必要だと認識しているとしたら、天下の公党である社会党はその必要にこたえる国歌は何か、自分たちはこれだというものを示す義務と責任があると判断しているが、どうでしょう。答弁をいただきたいと思います。
#231
○委員以外の議員(野田哲君) 私どもは、戦後一時期を除いてはずっと野党でございましたから、国の基本にかかわる国旗とか国歌、こういうものを自分たちで検討して国民の皆さん方に提起をする、そういう責任ある立場には立っておりませんので、国歌の問題についての歌詞やメロディーを自分たちで特に検討した経過はございません。
#232
○鹿熊安正君 よくわかりました。
 次は、社会党はみずからの主義主張、イデオロギーのしがらみにとらわれ、日本の進路を決定する多くの重要政策に反対姿勢をとってこられました。幾つかの例を挙げてみます。
 サンフランシスコ講和条約を初めとして、日米安保条約改定、日韓基本条約などにも反対しておられます。こうした日本外交の基本を決定する重要政策がその後の我が国の発展と安定、アジアの平和にどれほど役立ってきたか、説明するまでもない明白な事実であります。また、沖縄返還協定にも反対しています。先日、日本国民はこぞって晴れがましく記念式典を挙行し、復帰二十周年を祝ったところであります。さらに、国鉄分割・民営化にも反対した。巨額の赤字で国家財政にも多大の負担を強いていた旧国鉄は地域ごとに分割され、競争原理を導入したJRとなり、黒字に転じ、サービスも格段に向上しております。
 このように、社会党が反対してきたことがどのような意味を持ったのか持たなかったのか、改めてかみしめてみる必要があります。
 今回、政府のPKO法案に反対しているが、それがこれまでの何でも反対姿勢の延長線上であるとすれば、極めて残念であると言わざるを得ません。これは答弁をいただく必要はございませんので、次の質問に入ります。
 我が国を守る専守防衛に徹してきた自衛隊が、世界の平和を維持することを目的とする国連PKOに参加するために海外に派遣されることは、「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてみる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」と規定されている憲法前文の理念に合致するものであります。先日の当委員会において明石参考人は、PKOは朝鮮戦争や湾岸戦争への介入とは異なる、軍人を活用するがその機能は外交官、調停官、警察官的機能であり、ソフトな国連活動であると説明されたのであります。また、平和を祈るのも大切だが、そのための具体的方策を考えるのが大切だとも述べられました。
 私どもは、今まさにその具体的方策を論議しているのでありますが、このソフトな国連活動に対する国民の理解も着実に進んでおります。そのことは、各種調査において半数が自衛隊のPKO参加に理解を示していることにもあらわれております。
 政府は、PKO活動の意義をもっと真正面から国民の皆さんに説き、自衛隊が誇りを持って堂々と任務につけるようにするべきであると思っております。総理より御答弁をお願いいたします。
#233
○国務大臣(宮澤喜一君) しばしば申し上げることでございますが、いわゆる冷戦後の時代におきまして、大きな流れとしては世界は平和に向かって進むことを願っておりますが、しかしまた各地で局地的な紛争も起こっております。そういうこともありまして、国連というものが実際にこの新しい平和を構築する時代にあって大きな役割を担うことになりました。しかも、国連は、急なことでございますので十分この役割を担うだけの準備がまだ完全とは申せませんけれども、我が国としてはそうした国連を育てる、またこの湾岸危機以後特に世界各国から求められるようになりました国連の平和維持活動に対して、私どもとしても憲法上許されるできるだけのことは、財政貢献ばかりでなく、我々の人的な貢献によって国連の平和維持活動に協力をいたしたい、このように考えておるものであります。
#234
○鹿熊安正君 カンボジアの再建に取り組んでいる国連カンボジア暫定統治機構すなわちUNTACは、いよいよ来月十三日から最大の課題である四派の動員解除、武装解除と取り組むことになっております。先般、本特別委員会でUNTACの明石代表から詳細なお話があったように、国連の平和維持活動史上初めての試みである一つの国家の再建が今まさに佳境に入るわけであります。
 この世界の平和創造にとってまたとない機会に我が国の顔が見える貢献を行うことが欠かせないと思うが、総理の御決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#235
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる冷戦後の時代が参りましたその段階で、たまたま湾岸危機というものが起こりました。長い間平和の一方的な受益者でありました国民から、このような国連を中心とした湾岸危機の解決に対して、我が国として単にいわゆる小切手外交と言われました金だけの貢献でいいものであろうかという国民的な議論が起こりました。その結果といたしまして、やはりここまで日本も参りましたから、一方的な平和の受益者であることは許されないだろう、財政的にはもとよりですが、どのような人的な参画ができるかということが国民の強い問題意識となりまして、それがこのたびの法案を御審議願うようになった経緯でございます。
 願わくば、我々のそのような国民的意識並びに、殊にたまたま近くのカンボジアで国連始まって以来の大きな平和維持活動が行われ、また我々の同胞がその何人かの責任者にも国際公務員としてなっておられるということもありまして、アジアの国日本として、このいわば隣で起こっている人道的な国連の平和維持活動にどれだけの参画をするのであろうかということは、世界からもまた注目を受けるに至っておるところでありまして、この法案を成立させていただきまして、内外ともに期待されている我々の貢献を果たして、世界からのあるいは国連からの期待にもこたえたいと政府は考えておるところでございます。
#236
○鹿熊安正君 どうもありがとうございました。
#237
○委員長(下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、来る二十二日午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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