くにさくロゴ
1992/05/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第12号
姉妹サイト
 
1992/05/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第12号

#1
第123回国会 国際平和協力等に関する特別委員会 第12号
平成四年五月二十七日(水曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     狩野  安君     森山 眞弓君
     鎌田 要人君     真島 一男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                上杉 光弘君
                岡野  裕君
                田村 秀昭君
                藤井 孝男君
                佐藤 三吾君
                谷畑  孝君
                矢田部 理君
                木庭健太郎君
                吉川 春子君
                井上 哲夫君
                田渕 哲也君
    委 員
                板垣  正君
                尾辻 秀久君
                大島 慶久君
                合馬  敬君
                鹿熊 安正君
                木宮 和彦君
                関根 則之君
                仲川 幸男君
                永野 茂門君
                成瀬 守重君
                西田 吉宏君
                野村 五男君
                星野 朋市君
                翫  正敏君
                小川 仁一君
                喜岡  淳君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                竹村 泰子君
                角田 義一君
                田  英夫君
                細谷 昭雄君
                太田 淳夫君
                常松 克安君
                中川 嘉美君
                立木  洋君
                磯村  修君
                寺崎 昭久君
                喜屋武眞榮君
   委員以外の議員
       発  議  者  野田  哲君
       発  議  者  村田 誠醇君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       通商産業大臣   渡部 恒三君
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
       建 設 大 臣  山崎  拓君
       自 治 大 臣
       (国家公安委員  塩川正十郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
   政府委員
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣  野村 一成君
       官房参事官
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       内閣法制局第二  秋山  收君
       部長
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       防衛庁参事官   金森 仁作君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛庁装備局長  関   收君
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省経済協力  川上 隆朗君
       局長
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       大蔵省主計局次  田波 耕治君
       長
       資源エネルギー  川田 洋輝君
       庁公益事業部長
       運輸大臣官房総
       務審議官
       兼貨物流通本部  土坂 泰敏君
       長
       海上保安庁次長  小和田 統君
       郵政省通信政策  白井  太君
       局長
       建設省建設経済  伴   襄君
       局長
       自治大臣官房長  森  繁一君
       自治省行政局公  秋本 敏文君
       務員部長
   事務局側
       常任委員会専門  辻  啓明君
       員
   参考人
       日本国際ボラン
       ティアセンター・ 清水 俊弘君
       カンボジア事業担
       当
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国際連合平和維持活動等に対する協力に関する
 法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改
 正する法律案(第百二十一回国会内閣提出)
○国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施
 等に関する法律案(野田哲君外三名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を開会いたします。
 国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律案、国際緊急援助隊の派遣に関する法律の一部を改正する法律案及び国際平和協力業務及び国際緊急援助業務の実施等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(下条進一郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 三案の審査のため、本日の委員会に日本国際ボランティアセンター・カンボジア事業担当清水俊弘君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(下条進一郎君) 本日は、カンボジア問題に関する集中審議を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○喜岡淳君 社会党の喜岡です。よろしくお願いします。
 カンボジアの集中審議に当たって、非常に重要な問題でありますので、最初にお尋ねしておきたいと思います。
 まず、塩川自治大臣にお尋ねをいたしますが、去る五月二十三日、大阪府庁におきまして、次のように発言されたという報道がございます。衆参同日選挙については今のところはおどしのように思うが、社会党が力ずくならあり得るかもしれない、こう述べたという報道がございますが、今はおどしのように思うと、だれかの発言がおどしのようにやはり聞こえたんだろうと思いますが、こういう発言が記事に出ておりますけれども、どういう発言をされたのでしょうか、お伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(塩川正十郎君) ほぼそれと同じようなことを言ったと思っております。
#8
○喜岡淳君 やはり解散、選挙というのは脅迫であるというような概念を持っておられたということを言われたわけですね。
 それからもう一つの問題は、社会党が力ずくならあり得るかもしれないという問題について考えてみたいと思います。参議院の今特別委員会できょうはカンボジアの集中審議さえ行われておる、この参議院の特別委員会の運営に当たっては、当然のことながら審議を尽くすというルールで運営されておるわけであります。審議を尽くすというのが前提の大原則です。与野党の間でルールを守って審議を尽くす、こういうことで公平な運営をやっていくならば強行採決などということはあり得ないはずでありますし、力ずくの社会党が云々かんぬんということも考えられないわけですね、当然。審議を尽くすというのが前提なんですから、力ずくの問題なんかないんですよ。なのに、自治大臣が力ずく云々かんぬんとおっしゃるというのは、ひょっとして自治大臣は強行採決ということを念頭に置いておられるんですか、どうですか。
#9
○国務大臣(塩川正十郎君) それは、社会党の委員長が物理的抵抗をするとおっしゃるから、そうなるわけであります。
#10
○喜岡淳君 審議を尽くすわけでありますから、自治大臣もそういう前提に立ては、こういう発言は私は出てこないというのが常識だろうというふうに思います。私は自治大臣御自身の見識とお考えを聞いておるわけです。人のせいにしないでいただきたいと思います。御自身の御意見はどうですか。
#11
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、やはりこの問題は国会の開会中に結論は出されるべき問題であろうとこう思っておりますし、そのためにこれだけ十分審議されておられますから、審議は継続されておると私は見ております。しかしながら、もし強行するならば物理的抵抗も辞せずと、そういうことをおっしゃること自体が私は何か非常に挑戦的だなと思っておりまして、もしそういうことがあるとするならば、この問題はやっぱり国民の信を問うだけの値打ちのある問題だと、私はそう思っております。
 それだけの重要な政治問題であるから、話し合いでおやりになって国会は決めるべきであると、これは原則であります。しかしながら、やはりそれは政治の決定をしなきゃなりませんので、そこには賛成、反対が起こるのは当たり前のことであります。その賛成、反対が力ずくで物理的抵抗をするんだとおっしゃるならば、これはやっぱり国民に信を問うべきだろうと、私はそう思います。
#12
○喜岡淳君 国会で議論をやっておる問題でございますから、軽々に行政府の方がこの問題に立ち入った発言をするということは、私ばこれは非常に問題だろうというふうに思っております。その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#13
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は確かに現在大臣といたしまして行政府の一員でございますが、同時に立派な衆議院議員、政治家でございますから。
#14
○喜岡淳君 この問題につきましては、今参議院におきまして整然と議論を進めておりますし、これは審議を尽くすという前提でやっておるわけであります。国会の審議こそが原則であり、優先されるべき大前提だろうというふうに思いますので、この原則について再度求めておきたいというふうに思います。
 続きまして、外務大臣にお尋ねをいたします。
 五月二十三日、福岡におきまして、物理的抵抗をするなら見せしめのために解散もやむを得ないと発言をされたと報道があります。今この問題をめぐって大きな国民注視の問題に発展をいたしております。また、翌日の二十四日には佐賀市で同様な趣旨の発言を繰り返されておる、これまた報道が続いておりますけれども、こうした一連の見せしめ発言について、実際に発言されたのでしょうか。
#15
○国務大臣(渡辺美智雄君) 意味はどういうふうにとるかは別として、見せしめというように詰めてしゃべったことは事実であります。
#16
○喜岡淳君 見せしめなのか、首絞めなのか、そういう意味が新聞ではいろいろおもしろおかしく、見せて絞めるのだというように非常に新聞で解説などが出て、ますます国民の中には外務大臣の真意を疑いたい、こういうような反響が昨今特にマスコミ関係でも頻繁に報道されております。私は一国の外交を預かる責任大臣として、しかもこのカンボジアに対して平和貢献、生きるための協力をしようという議論をしておる最中において見せしめるんだ、絞めるんだなどという発言は、極めて私は不穏当だろうというふうに思います。生き抜く話を今はしておるんです。どう人間が生き抜いていくかという知恵を絞ろうと言っておる議論の最中に、こういった発想は私は非常に問題だろうと思います。この見せしめとは一体どういうことを考えておられるのでしょうか。
#17
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは見せて首を統一めるとかそういう意味では全くないんです、それは。それは要するに見さしめると言えばよかったんです、確かに。見さしめると、ごらんに供するというようにもとれますし。これは言うならば、ジョークというものはやっぱり政治の世界にないと無味乾燥なんです。それは厳粛なる国民の批判を問うと言えば普通の言葉になっちゃうんでしょうが、そういう、しかし真意はそれしかないじゃないかというのが真意でございます。私は別に解散待望論者でもありません。私はあと二年有余、二年近く任期があるんですから、できることならもう金もかからぬで済むし、任期いっぱいぜひひとつ命を長らえたいというのが、人のことは知りません、私はそういう意見なんです。
 それから、決して少数党を何か、見せしめというのは孤立化させて、きのうも質問ありましたよ、孤立化させて人の前にそれを見せるという意味もあるんだと言うけれども、それは違うじゃありませんかと。それは、選挙をするということは、それはその我々のやったことが世間から受け入れられないでこっちが孤立化をするかもしれないので、見せしめられるのは自民党であるかもそれはわからぬわけですから、結局は選挙民がこれは決めることであって、どちらが勝つか負けるかということを我々言ったわけでも何でもないんです、実際は。だからそういうふうなことも考えていただきたい。
 それからもう一つは、ちょっと長くなっていいですかあと五、六分、よければ御了解を得て申し上げますが、私としては多数党だから自分の意見ばかり勝手なことを言っていると、そんなことないです。衆議院の段階におきましても自民党は多数でございますが、しかしながらより多くの少数意見もできるだけ尊重をしてやりたいということで、あのような修正案に応じてやってきたわけでございます。したがいまして、参議院におきましてはなおさら自民党は少数党でございますから、自民党たりで法案を成立させるなんて言ったてそれは不可能、最初からそんなことは不可能なんです、これは。したがって、より多くの政党の、少なくとも過半数以上の方々の御理解と御協力を得なければ、幾らじたばたしたって法案は成立いたしません、これは。
 したがって、我々はそういう意味において、いろいろ党の間では呼びかけていることも事実、私どもは原案でやってください、余り骨抜きになるのは困りますよと、それは政党問で話し合いをなさるのは結構でございますが、政府の意図と全く違ったものをつくられちゃってもそれは困るわけですから、それは困りますという抵抗も党内で示しているのも事実でございます。
 だから、そのような話ですが背景があるわけですから、そういうようなときに大体長い間長時間議論をした結果、この辺で結論を出さなきゃならぬと、やはり時間があるわけですから、だから先のことを私言っておるわけです、先のことを。転ばぬ先のつえを言っているわけですから、だからそういうようなことでどこかでやはりこれは採決ということになります。そのときに、要するに議事規則やなんかに反するような問題が出てきて、もうごたごたしちゃうというようなことになれば、これは解散という事態になってもそれはもう仕方がないという趣旨のことを言ったのでございます。
#18
○喜岡淳君 さっき大臣は、お話の中で、演説会だからおもしろおかしくなどとおっしゃっておるけれども、新聞報道でもこういった重要な問題について、「会場の爆笑を誘った」などと書かれておるわけです。そういう受けとめ方なんです、聞いておる方は。会場の参加者のほほ笑みを誘ったというならば、これは外務大臣のやはり高格な人柄ということになるでしょう。爆笑を誘ったと言われておるわけですよ。やはり私は、こういう慎重な問題についてはきちんとした納得のいくこと宣言うべきだろうというふうに思います。今の議論を聞いておりますと、やはり私は、時間が切迫してきた、そういう意味では反対する人に対して何らかのいらいらした気持ちが出てきておる、こういうふうに聞こえてならないわけです。
 しかし、大臣にもう今さら言うまでもなく、国会にはさまざまな会派が存在しております。それぞれの思想信条の自由によってこの会派ができておるのは言うまでもありません。それぞれの会派が自分たちの信条に基づいて、自分たちの考えに基づいて本法案に対する賛否の見解を明らかにするのは当然の保障された自由と権利でありまして、何人たりとも侵すことはできない問題です。それに、政府法案に反対だからといって見せしめ発言が出てくるなどというのは、私は議会制民主主義、各会派の自由に対する重大な侵害だと思っております。政党政治に対する私は挑戦だと思えてならないのであります。これについてどういうふうにお考えですか。
#19
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くそんなことはございません。それは御意見はこれだけ自由に発言されておられますし、それはもう大いにそれぞれの意見を発表なさることは御自由です。
 しかし、しかしですよ、こういう国会というものは、みんな同じ自民党の中だっていろんな意見がありますよ。あるけれども、しかし各人が自分の意見に固執しておったんでは政党そのものはもたない、実際は。だから、六割意見が通ればまあ満場一致ということでやってきておるのでありまして、我々はこの国会におきましても自民党の政府原案が絶対もうそれは不可侵であるというようなことを言ったことは一回もないわけでありまして、最善のものと思いますと。
 しかしながら、それについては党派間で決まればそれは尊重しますと総理大臣もおっしゃっておるんですから、それはどんなことをおっしゃることも御自由でございますが、当然これは時間があるわけですからどこかで結論を締めくくらなければならない、これは当然のことじゃないですか。だから、永遠に延々と少数意見が満足するまで審議を続けるというようなことはあり得ないです、議会政治には。
#20
○喜岡淳君 こういった発言は従来もあったと思います。例えば政府が重要法案を審査する際には、これまでも国会では会期延長という方法で延長して成立するまで粘り込んでいく、こういう方法もとってきたのは事実でしょう。国会というのは会期が決まっておるから、その間に国民の合意が得られるのか得られないのか決まっていくのではないでしょうか。当然この問題も会期は決まっております。だから、急いだといって見せしめ発言などというのは、私は絶対政党政治の否定につながる危険なものだと思えて仕方がないわけであります。
 さらにお伺いをいたしますが、五月二十三日に外務大臣は、法案を犠牲にしても仕方がないという発言をされたと、この会場におった人のこれは発言ですね。外務大臣は、PKO法案が廃案になっても仕方がないんだ、これは責任ある立場からどうしてこういう発言が出てくるんでしょうか。
#21
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは結果論でありまして、だれも法案を犠牲にしてもいいなんということは言っておりません。それはがっちゃがちゃになっちゃって解散という事態になってしまえば、それは仕方がないということじゃないですか。だから、その前に結論を出さなければならぬという意味です。
#22
○喜岡淳君 こういった所管大臣の責任放棄とも言われるような発言が出ておるようでは、私は非常に問題だろうというふうに思います。
 言うまでもなく、外務大臣の発言に対しては、私は外務大臣と同時に総理についても御質問をしたいと思います。
 極めて単純な質問をして恐縮でございますが、解散権というのはどこにあるんでしょうか。総理にお尋ねします。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) 総理大臣に属するものと考えております。
#24
○喜岡淳君 では、どうして外務大臣のこういう発言が、つまり解散の議論が出てくるんでしょうか。
 しかも、この解散の発言をされておるのは外務大臣お一人ではないですね。五月二十三日、くしぺも全く同じ日ですよ。五月二十三日の午後に全国で一斉に発言されておるわけですね。中曽根元総理は、社会党が抵抗すれば解散だ、五月二十三日午後ですね。綿貫幹事長も五月二十三日の午後、社会党が抵抗すれば解散だと。金丸副総裁も。一斉に社会党批判を展開されておりますね。きょうは大蔵大臣お越してはございませんが、大蔵大臣も解散の可能性は当然あるんだと、こういう発言をPKO絡みでされておる。塩川自治大臣も、この件に絡んで二十三日午後、同じく大阪で発言をされておる。皆さん一斉に発言しておるではないですか。
 総理、こういった問題どういうふうに受けとめておられるんですか。どこに解散権があるんですか。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、過般本院の本会議で御質問がありましたときにお答えを申し上げておりますが、重ねて申し上げますならば、衆議院の解散は立法府と行政府の意思が対立する場合、あるいはまた、国政上の重大な局面において特に民意を確かめる必要がある場合に、主権者たる国民に判断を求める重大な意味を有するものでありますので、軽々に論じられてはならないものというふうに考えております。
#26
○喜岡淳君 参議院の本会議でも、総理大臣に御答弁いただきました。しかし、こういった一連の事実を国民の目から見たら、当然これは内閣の中で何らかの意思一致が行われておるのではないかと見ない方が不思議でしょう。だれが見たって、これだけ一斉に主要な人たちが発言をすれば、ああこれはもう内閣としてもそういう方向なのかと、だれだってそういうふうに見るんじゃないですか。
 それぞれの国務大臣を任命した責任者としての総理の責任を聞きたいと思います。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) おのおのが政治家でございます。また、喜岡委員におかれてもそうでございますから、政治家の立場において政治上の判断、あるいは自分の考えを申すことはこれはもう自由でございます。
 ただ、これは私が、私だけが決められることでございます。
#28
○喜岡淳君 総理、この点を一点確認したいと思います。
 国会の審議を尊重していくというのが、私はまず何よりも大原則だろうというふうに思います。今、国会で審議をしているときに、総理の任命されたそれぞれの国務大臣が、総理が憲法六十八条に基づいて任命をされた各国務大臣であるその人たちが、全くいろんなことを発言して、政治家個人として言っていいことと悪いことが私は当然あるだろうと思うんですよ。
 この重要な問題に当たって、総理大臣の指導性ということは一体どういうふうに受けとめたらいいんでしょうか。総理の閣僚に対する指導性という問題を私は問いたいと思うんですよ。これは重要な問題です。個人の見解として、何でもかんでも言っていいことと悪いことがありますよ。
 今、一生懸命国会で審議をしておる問題に対して、反対派については力ずくでやるんだとか、あるいは見せしめをやるんだとか、こんな血なまぐさいことを言っていいんですか。個人の勝手な発言とは私は思えませんね、この問題は。個人の勝手な発言だと総理はお考えですか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、政治家といたしましてこういうことについて自分はこう考えるという自由は、これはなければなりません。
#30
○喜岡淳君 今までの御答弁を聞かせていただきましたけれども、やはりこの見せしめ発言というのは、国会における自由な審議、審査、各会派の自由な墾言、これに対する重大な政党政治の否定であるというふうに私には受けとめられてならないわけであります、
 次に、外務大臣にお尋ねをいたします。
 いよいよ国連のUNTACは、来月十三日から武装解除に入っていくわけであります。非常に重要な武装解除のプロセスが始まっていくわけでありますが、従来から政府は、カンボジアにおいては停軌協定が遵守されておるという答弁を繰り広げてこられております。現在のカンボジアにおける停戦状況、停戦協定が遵守されておるのか否なのか。この状況について、外務大臣の御認識を伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(渡辺美智雄君) 完全無欠に遵守されておるならば、UNTACの必要は余りないんですね。たけれども、一応遵守されておると。お互いのそれぞれの司令官が、署名捺印して下に申し渡してあるという事態ですから、私は遵守されておるというように見るのが穏当であろうと存じます。
#32
○喜岡淳君 一部報道によりますと、UNTACのヘリコプターが撃墜をされたという報道もございました。四月末に私どもがカンボジアヘ行って各方面に聞いて回ったところでも、そう簡単ではないぞと。プノンペンのある日本人にお聞きをしたところ、ポル・ポト派がそんなに簡単にやめることはないだろうということをおっしゃる十数年向こうで生活しておられる日本人もいらっしゃいましたし、現実に毎日そういう戦闘行為も起きておるということでございました。
 そこで、ことしに入ってカンボジア国内では停戦協定を侵犯するような事件がどの程度起きておるのか。これは外務省の方でわかるでしょうか。
#33
○政府委員(丹波實君) カンボジアにおきます停戦の状況につきましては、基本的な認識といたしましてはただいま外務大臣が申し上げたとおりだと思いますが、先生も御承知のとおり、問題はコンポントムにおける状況だと思います。
 この点につきましては、UNTACの活動が本格的に始まりましたのは三月十五日、明石特別代表がプノンペンに入られて以降でございますが、コンポントムヘのUNTACの軍の展開というものにつきましては、その時点では不安定な状況にあったということで、UNTACは非常に慎重に、散発的な衝突が起こっている間は展開を差し控えていたということでございます。状況がある程度落ちついたという見通しの上に立って四月一日に先遣隊が十六名入りました。それから四月二日に百五十数名の歩兵部隊が入ったということでございます。
 先生恐らくお読みだと思いますが、この五月一日付で国連の事務総長報告というものが出ておりまして、その中にもこの状況が記述されております。UNAMICのヘリコプターが攻撃されたことも記述されております。それに合わせて次のような表現がございます。UNTACが展開した以降、状況は一般的にはクワイエットである、一般的には平穏であるというのがこの事務総長報告でございます。それ以上散発的な衝突的なものは全く起こっていない、ゼロであるということまでは断言するつもりはございませんけれども、基本的な認識としてはコンポントムはまさに一般的にはクワイエットであるというのが国連の認識でもあり、私たちが承知しているところでもあるということでございます。
#34
○喜岡淳君 私の手元にインドネシアで発行されております英字新聞、ジャカルタポストの五月七日付号がございます。皆さんのお手元にお配りをしておりますのでぜひ目を通していただきたいと思います。全部を読みますとあれですので、仮釈をした部分の私の引用したいところだけ読み上げさせていただきます。
  ジョン・サンダーソンUNTAC軍司令官は
 四日、コンポントムに飛び、現地で起きた襲撃
 事件はUNTACの軍部隊が本年はじめに展開
 して以来、最悪のパリ協定侵犯事件である、と
 述べた。
  砲撃によって、派遣軍はあやうく銃撃にさ
 らされそうになったが、反撃を許されなかっ
 た。
  インドネシア派遣軍のあるオフィサーは、
 「われわれが永続的な平和を求めるならば、停
 戦協定に違反した者に制裁を加え、処罰する強
 力な権限をUNTACの平和維持軍部隊に与え
 られるべきだ」と語った。
  このオフィサーによると、「二百七十一人の
 インドネシア中隊が駐屯するUNTAC地方本
 部から、わずか八キロ離れたところで彼らは攻
 華を仕掛けている。攻撃事件は、ほとんどプラ
 サード・サンボ、サンタム両地区に集中して起
 きている」という。
  コンポントムの国連本部の警備に当たってい
 るプノンペン政府の警察官は、UNTACのイ
 ンドネシア派遣軍部隊がクメール・ルージュ軍
 に反撃することを期待している、と述べた。
  国連の報告によれば、この十八日間で停戦協
 定違反が毎日起きている。一部を引用させていただきましたが、現地のコンポントムを中心とした雰囲気がおわかりだろうというふうに思います。
 現地のインドネシア軍というのは、御承知のとおり、UNTACのPKFの中では最強の軍事組織、軍事部隊だと評価をされておりますが、このオフィサー、幹部が、もう辛抱できない、停戦協定に違反する者に対しては制裁を加え、処罰する強力な権限を平和維持部隊に与えてもらいたい、こういういら立っておる状況が述べられておるわけであります。
 こういった事実について、外務大臣はどういうふうな御認識を持っておられるんでしょうか。現地の最強の訓練された部隊の幹部さえ、もういら立って、おれたちに反撃する権利を与えてくれ、やっっけさせてくれと言っておるわけです。この問題についてはどういうふうに理解されておりますか。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは新聞報道ですから、そのままうのみにすることはできません。しかし、完全に停戦協定が守られていればこういう問題はないわけですから、それが守られないおそれもあるので、国連の各部隊が入って、国連の権威と説得によって、極力末端の人たちを説得して平和を確立しようという努力をやっておるんですから、部分的には多少のことはあり得ると思います。
#36
○喜岡淳君 この衝突事件が十八日間も続いておるということでありますが、こういった衝突があっちこっちで起きていくことになりますと、これが積み重なればなるほど、やはりUNTACの部隊とゲリラとが衝突する危険性について果たして排除できるのかどうか。従来から多くの人たちが心配をしてきたように、UNTACは交戦することになるのではないか、こういった心配する声がまたまた強まってきておるというふうに私は認識をいたしております。UNTACとカンボジアのゲリラが交戦する可能性について、絶対に排除できるでしょうか。総理及び外務大臣にお尋ねをいたします。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体PKO活動というものは、前から言っているように、治安が非常にまだ不安定である、そういうところで治安を確保しようというために各国が協力をして部隊を出しておるわけでございますから、だからこういう問題があったからといって何ら不思議はないのであります。
 一方、これはやっぱり根気強く話し合いをしながら説得をして、だんだん鎮静化させていくという根気が必要だと考えています。
#38
○国務大臣(宮澤喜一君) ともかく十三年間戦争をしておったわけでございますから、いろいろなものが残っておりますでしょう。それをみんながとにかくSNCというものをつくって平和を回復し、国をっくろうというのでございますから、それは少しぐらいはいろんなことが途中でむしろあるのが、これが普通かもしれません。
 ただそのときに、国連の平和維持部隊は発砲をしてはいけない、発砲すれば交戦当事者になってしまうというのが伝統的な教えでございますから、それだけやっぱり苦労の大きい仕事をしておる。私は、明石さんあるいはサンダーソン氏等々が良識を持って、この事態に忍耐を持って対処されるに違いないと考えております。
#39
○喜岡淳君 もう一度外務大臣に確認をしておきたいと思います。
 UNTACとゲリラが交戦する可能性は絶対ないと断言でき得るかどうか。ここだけ答弁ください。
#40
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはケース・バイ・ケースで見ないと断言はできません。
#41
○喜岡淳君 外務省として、また政府としてもUNTACがゲリラと交戦する可能性を完全に否定したのではない、こういうふうに受けとめておきたいと思います。
 それでは続きまして、カンボジア援助の問題についてお尋ねをいたします。
 まず最初に、気になっておる問題が一つありますので、これは外務省の方にお尋ねをしたいと思います。
 かつて湾岸戦争の際に、我が国からサウジアラビアに送りました救急車十二台が現地の事情にそぐわずに使いものにならなくなったという事件がございました。私はこの事件について、あのとき以来非常に関心を持ってフォローしてまいりました。少し事情を言いますと、一九九〇年の十一月ですが、湾岸戦争に貢献するということで日本は約一億円分の救急車十二台をサウジアラビアヘ急遽輸送いたしました。十二台が向こうに着いたのはいいんですが、向こうの車両法規によりますと、左ハンドルのサウジアラビアではこの日本から持っていった右ハンドルの車は走れないんですね。右ハンドルのものを持っていったってだめだったんです。
 もう一つの理由は、向こうは救急車がひっくり返った場合の車両火災などを心配して、軍のエンジンについては救急車の場合はディーゼルエンジンと、これも法規で決めておるわけですね。日本から持っていったのはガソリン車であった。したがって、この十二両は全然向こうで使いものにならずにそのまま放置をされていた。
 最終的にはもうこの十二台は超法規的に使っておる。そこで、十二台とは別に約束どおり五十台をまた納品したと。結局十二台分の一億円は全くの意味をなさなかったといいますか、むだ遣いに終わってしまった。私はこの事件について非常に関心を持って今でも見詰めております。一回決算委員会で今度は質問しようと思っておりますが、この事件について外務省の方はどういうふうに受けとめておられますか。
#42
○政府委員(川上隆朗君) 先生突然の御質問で、ちょっと担当の局長がおりませんので余り権威を持って申し上げられませんけれども、当時の状況というのは非常に緊急な状況であって、やはり事前のニーズといいますか、これに対する調査が必ずしも十分じゃなかったという側面があったのかもしれないと思います。
 私の担当で申しますと、やはり経済協力の分野一般に迅速性ということは当然必要でございますが、事前にきちっと調査を行ってからやるということが非常に肝要だということを経験から常に考えているところでございます。
#43
○喜岡淳君 質問するつもりはなかったんですが、御答弁いただいてありがとうございました。
 どうしてこの問題言うかといいますと、やはり援助ということに当たってはしっかりした準備、援助の理念、援助の立場、こういうことが非常に重要だということをこの事件は示しておるだろうというふうに思います。新聞報道ではお粗末という見出しかつけられておりました。
 さあ問題は、これからカンボジアの援助を考える際に我が国がどういうふうに臨んでいくのか。私は、援助に当たっては、まず第一に現地の実情に合わすということ、二つ目には相手のニーズにこたえるということ、こういった問題が必要ではないかと思いますし、さらに相手の自立ということも考えた援助、これが必要だろうというふうに思いますが、政府の皆さんはカンボジア援助に当たってどのような基本的な理念で臨もうとされておられるのか、これについてお尋ねしておきます。これは外務大臣の方にお尋ねします。
#44
○政府委員(川上隆朗君) 先生御指摘のとおり、援助に当たりましては相手方のニーズというものを踏まえて対処するということが一番大事だと思います。
 カンボジアにつきましては、政府といたしましては、基本的に当面は人道援助を中心とする緊急に必要とされる援助というものがやはり大事である。ただし、中期的に見ますと、カンボジアのニーズというのは非常に大きい、多岐にわたっているということで、特に先方は農業、エネルギー、電力でございますが、それからインフラストラクチャー一般、それから人の養成、人材養成でございますけれども、こういう分野に基本的に留意しながら協力を行っていく必要がある。
 それから、ここでももう既に議論されておりますけれども、カンボジアの場合にやはり行政の体制が十分できてないということがございますので、そういう事情を踏まえまして、従来から我々が言っております要請主義といったような点につきましても、相手方と協議をしながら柔軟に解釈して対処するというような、そういう意味での迅速性というものも緊急援助との関係では必要なのではないか。ただし、先ほど申しましたように、やはり全体として援助は的確に行っていくということが必要でございますので、適正援助ということのためにも事前の調査ということもきちっとやっていく必要がある、こういうふうに考えております。
#45
○喜岡淳君 援助に当たっては相手の立場に立ってというお答えでございましたし、そのとおりだろうというふうに思います。
 ここで、きょう清水さんには参考人でお越しをいただきましてありがとうございました。お忙しいところ済みません。
 清水さんは、カンボジアの難民の皆さんがタイの方でキャンプ生活をされておるところで、二年半にわたってタイ領内での難民キャンプでボランティア活動をされてきた。非常に困難な状況の中で非常に人道的な精神を発揮されて、日本の貢献ということを現地の皆さんに印象づけてきた。私はそういう意味で心から敬意を表したいというふうに思います。
 そこで、清水さんにそういった現地で活動されてきた立場からお尋ねをいたしますが、NGOの皆さんは現地の実情を裏道の中まで全部御存じだろうと思います。したがってそういう立場から、我が国政府が、我が国がカンボジアに援助を行う際にどのようなポイントを考慮すべきなのか。その基本的な重要なポイントだと考えておられる問題についてぜひお聞かせいただきたいというふうに思います。
#46
○参考人(清水俊弘君) 私どもカンボジアには八二年から活動しているわけですけれども、カンボジアにおいては、あるいっときの急激な人的損失と、その後十三年間にわたる内戦及び国際機関等からの開発援助の凍結等ありまして、さまざまな意味でゼロからの出発というよりもマイナスからの出発というふうに言われているわけですが、このポイントは非常に重要だと思いまして、まず人材の育成ということが非常に求められていることだと思います。そして、いろんな援助なんかの供給、資金の投資を含めて、その人材の育成に見合ったペースでの復興協力ということが一番重要なポイントだと思います。
 私どもNGOのこういう協力活動に対する基本的なスタンスとしましては、我々に何ができるかという前に、まず現地でどのようなニーズがあり、それに対して彼らの自助努力を阻害しない程度にその中で我々に協力することがあれば若干の力添えをするということが基本だと思います。
#47
○喜岡淳君 どうもありがとうございました。
 カンボジアの状況がゼロからの出発ところではなくてマイナスからの出発ということでございましたが、それを聞いて非常によく感じがつかめたと思っております。それで、私の聞いておる範囲の中で考えておるわけですが、やはり援助に当たっての基本理念というのは、現地のニーズ、現地の状況、こういうことが何よりもまず的確につかまれなければならないということだったと思います。
 そこで、これも外務大臣にお尋ねいたしますが、現地の状況をきちっとつかむためには、やはり現地での拠点といいますか、情報活動、調査活動の拠点が必要だろうというふうに思います。そこで、カンボジアの日本大使館、私、ここへ行ってちょっとびっくりしたんですが、日本大使館はカンボジアの人たちがもう全く無縁のところに存在をしておるという印象を最初に持ちました。
 日本大使館が入っておりますホテル・カンボジアーナ、このホテル・カンボジアーナというのは私たちが泊まりましたが、一泊百六十五ドル、税込みで。そこに大使館が入っておるわけですね。カンボジアの人たちの平均生活といいますと、大使館の説明によりますと八人家族で一カ月の生活費が七、八十ドルぐらいではないだろうかと。百六十五ドルといいますと庶民生活の二カ月ぐらいの生活費だと。日本だって二カ月の生活費で一泊のホテルだともうべらぼうに高いところですから、当然そういうところにはカンボジアの人たちの出入りは一般的にはありません。
 そういうホテルの中に日本大使館が、在カンボジア日本国大使館と紙にマジックで書いたやつを張りっけておる。これでは日本がカンボジアに存在して貢献しておるというふうには国民には映らないだろうというふうに思います。しかも、この忙しい業務を八人の方でやっておられる。現在のカンボジアの日本大使館が、あれでカンボジア貢献にとって拠点になり得るのかどうなのか、外務大臣のお考えを聞きたいと思います。
#48
○国務大臣(渡辺美智雄君) とりあえず仕方がないから、住めるところがなければ大使館も開けませんので、そこでカンボジアのホテルの中に開いたと、これは事実でございます。しかし、いつまでもそこにいたのでは今言ったような不便なこともございますし、なるべく早く物色をして別なところに引っ越す、移転をするとか、そういうことをするように目下努力をしておる最中でございます。
 人も足りないといえば足りない。アメリカ並みぐらいのところでしょう。フランスは旧宗主国ということもあって二十二名と言っておりますが、日本がやはり中心的に今後の復興その他についてもやっていかなければならぬということを考えると、臨時的であってももっとふやして、周りから少しもき取る、もぎ取ると言ったらまたっかまっちゃうかもしらぬが、人員を派遣してもらって充実をさせていきたいと考えております。
#49
○喜岡淳君 大使館の職員の方もホテルの中に仮住まいをして、そのホテルの同じフロアにまた大使館事務所が仮住まいをしておる。ですから、仕事と生活がもう全く入り混じって、一日じゅうが仕事であると。もちろんカンボジアの事情が事情ですから、仕事は仕事、プライベートな生活はプライベートな生活と簡単に割り切ることは不可能でしょうが、事務所の中で遅くなったらやはりその中で寝てしまって、朝は知らないうちに早く日が上ってくるから、明るくなったら目が覚めて、仕方なくまた仕事を自動的にしてしまう。こんな状況が続きますと、やはり人道的支援をするということも絵そらごとになっていくわけですね。
 現地の大使館自身の人道的なことができずして、人権配慮ができずして、果たして人道的な支援というものが成り立つのかどうか。私はそういう意味からもやはり必要な人員の確保、こういったことについては外務大臣は積極的にやっていくべきだと思います。
 それで、もう一つの問題がありますが、今大臣おっしゃったように新しい物件を物色されておる。物色と言うと言葉は悪いですが、新しい大使館の事務所を探しておられる。私も新しい予定の建物を見せていただきました。この黄色い建物がそうですが、(資料を示す)しかしこれも見たところそんなに広くはない。大きくはない。やはり電話だってきちんと急いだときにかけたいところへかけられるような通信システム、あるいは水が悪いですから飲料水をきちっと自給できるような設備、さらには発電装置、エアコン、こういったさまざまなことが必要だろうと思います。新しい建物にさえ移ればいいということでは私はないだろうと思います。現地での大使館機能が発揮できるような必要な装備、人員、これの配置をすべきだと思います。
 聞けば、近々これがオープンの予定だというふうにも聞いておるんですが、また情報によれば、いやいや完成時期のめどが立っていないとも聞いております。一体どっちでしょうか。
#50
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 先生から現地の大使館のこと、建物のことにつきましていろいろ御心配いただきまして、どうもありがとうございます。先ほど大臣も申し上げましたように、好きこのんで高い料金を払ってホテルにおるわけでございませんので、その点ばせか御理解いただきたいと思います。
 そこで、お尋ねのいつどういう段取りで移るかということでございますけれども、ただいまのお示しの場所にホテルから早急に移らなければならないと思っております。事務所の問題が一つ、それからもう一つは今川大使の公邸でございますけれども、これもしかるべきところを借り上げ得れば、そこでやはり外交活動がより活発にできるわけでございます。
 そこで、事務所の移転、公邸の移転でございますけれども、物件は一応見つかりました。そこを懸命に今整備中でございまして、事務所の方から申し上げますと、これもただいま話がありました発電機の問題、給水施設の問題、これを今懸命に整備中でございます。それから警備の問題もございます。この点も措置を講ずることをしておりまして、近々、事務所の方は部分的に、全部一緒にオープンできればいいんですけれども、とりあえず部分的にでも事務所開きを近々することになろうかと思います。他方、公邸の方は若干おくれまして、しかしながらこれも十月ごろには今川大使が夫人とともにそちらの方に入居が可能になろうかと思っております。
 それから八名では少な過ぎるというお話もございました。私どももそう思っております。これから援助も活発に始まりますし、UNTACへの人を通ずる協力ということも始まりますのでより多くの人員が必要だと思いますので、引き続きそういう方向で努力したいと思います。
#51
○喜岡淳君 大蔵省にお尋ねをしておきたいと思いますが、人員、装備、必要な予算はやはり当然つけるべきだろうと思いますが、その点はどうでしょうか。
#52
○政府委員(田波耕治君) 私ども財政当局といたしましても、外交を円滑にやっていく、あるいは現在のカンボジアのように大変な困難の中で外交をされておられる方々への配慮というのは非常に大事なことだというふうに考えております。現地のいろいろな状況、進捗度合い等を勘案しながら、外務省とよく御相談をして円滑に対処をしてまいりたいと思っております。
#53
○喜岡淳君 それでは続きまして、カンボジア支援の非常に重要な関係を持っておりますUNTACの財政について外務大臣にお尋ねしたいと思います。
 一九九二年、ことしの四月から十月までのUNTACの予算、四月から十月まで当初予算案では、原案七億六千四百万ドルだった。しかし、これが二〇%削減されまして六億六百万ドルになったという報道がございます。しかも、二〇%削減された上に、ただでさえ国連の財政は大きな滞納金を抱えておるという状況でございます。PKOの特別予算八億ドルのうち滞納が六億六千五百万ドル、この六億七千万ドル近いPKO予算の滞納の中でアメリカとロシアが五億ドル以上滞納しておるわけですね。こういった国連の財政事情を考えた場合に、UNTACの本年十月までの予算もさらに二〇%削減された。削減に当たっては、要員の到着がおくれたから人件費が軽くなったんだとかいろいろ言われておりますが、いずれにせよ、このUNTACの予算が厳しいというのは衆目の一致するところであります。
 そうなってきますと、このUNTACの予算を本当にきちんと集めることができるのか、そのあたりについて外務省として外務大臣、どういうふうなUNTACの予算についての見通しを持っておられますか。
#54
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 基本的な数字は先生がおっしゃったとおりでございまして、先週の二十二日、国連総会でとりあえず十月の末までのUNTACの予算というものが決定を見たわけです。十八カ月全部の予算が決定を見なかったのは、全体の手当てについてまだどうしても整理がつかないということ、他方、時間がどんどんたっちゃっているということで、とりあえず十月三十一日までの経費ということで、丸い数字で総額八億ドル認められた。この中には立ち上がり経費の二億ドルも入っております。
 この二億ドル、まず立ち上がり経費の二億ドルにつきまして、最近の状況で私たちが把握しておりますのは、今日までのところ約七割が払い込まれておる、一億四千万ドルが集まったと。したがいまして、六千万ドルがまだ未払いの状況にあるということでございます。
 先般、さらに追加的に決定された、先生が今言及された六億ドルにつきましては、これから加盟各国にPKO分担率に従ってその分担金として割り当てられていくわけですが、日本も迅速に支払いを行いたいと思います。アメリカもこの二億ドルの立ち上がり経費の分の三〇%、六千万ドル強につきましては既に支払いを見ております。私たちは、この六億ドル分についてもアメリカがその三割強、一億八千万ドルになりますか、やはり迅速に支払いをしてもらいたいということでアメリカには働きかけをしていきたい。しかし、その前に日本が支払う必要があると思いますが、その他大口支払い国につきましても、我が国が支払った後にやはりいろんな機会を通じて働きかけをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#55
○喜岡淳君 そこで、具体的にお答えをいただきたいんですが、この六億六百万ドルがきちんと期間内に集まるのかどうなのか、その見通しはどうですか、集まりますか。
#56
○政府委員(丹波實君) 先生の御質問の、期間内という意味が十月の末までということであろうかと思いますが、その時点まで一〇〇%集まるかと言われれば、従来の例にかんがみますれば恐らくそうはならないんじゃないかというふうに思います。
#57
○喜岡淳君 このUNTACの予算は、アメリカ、ロシアの現実を見てもなかなか難しいだろうというふうに悲観論が強まっております。それはもう報道のとおりだろうと思います。
 さらに、UNTACの総予算、来年七月までの十七億二千百万ドル、見積もりを出しておりますが、これは今なお国連総会で承認されていない。UNTACは非常に財政問題が緊急の課題として浮かび上がってきたというふうに思います。
 そこで、いよいよ来月六月には東京で復興国際会議が開催されるわけでありますけれども、この復興国際会議、援助会議には我が国政府としてどのような姿勢で臨んでいかれるのか。特に外務大臣、これは非常に重要な問題がございます。去る四月に私たちがカンボジアを訪れた際、UNTACのサドリ副代表、ナンバーツーのサドリさんが私たちにこういうことを言いました。六月の東京会議では、世界が日本の財政的リーダーシップを期待している、このことを非常に強く強調されておったわけであります。
 この問題について、六月の東京会議にどういう態度でこの財政問題を中心に臨んでいかれるのか。外務大臣の御決意のほどはもう既に固まっておるだろうと思います、来月のことですから。お聞かせいただきたいと思います。
#58
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず、UNTACから具体的な、もっと具体性のある実情についての話や要望を聞いた上で、各国がどういうような支援をしていくか相談をするということが主たる目的です。もちろん、日本が提唱して東京でやるわけでございますから、できるだけ財政当局の御理解、御協力を得てやはりリーダーシップをとれるような程度のことはせねばならぬと考えております。
#59
○喜岡淳君 それでは、この東京会議に関連して、清水参考人に御意見を聞かせてもらいたいと思うんです。
 かねがねNGOの皆さん方は、この六月会議で正式な参加者として参加させてもらいたいという強い要望が出てきておりますが、この点について御意見を聞かせていただきたいと思います。
#60
○参考人(清水俊弘君) この会議に関しては私どもも非常に強い関心を持っていまして、先ほども申しましたように、カンボジアの国際機関等からの開発援助、開発復興援助が凍結されていた時代から、カンボジアの人たちとNGOとの協力によるカンボジア復興の基礎固めというのが行われてきたと思うんです。この間かかわってきたNGO、現在では六十団体を超え、人間的にも四百人以上に達しているわけですが、そのNGO全体がこの会議に、今までNGOをやってきた経験ないしこれからの展望をぜひ発言できるチャンネルがいただければというふうに考えております。
#61
○喜岡淳君 ぜひ、外務省の皆さんにはそういう方向で、NGOの皆さんも正式のメンバーとして正式参加の方向で御尽方いただきますように、強くお願いをしておきたいと思います。やはり、議決権もなくオブザーバーということで参加をしても、なかなか発言の機会、決定権というものはございません。カンボジア復興も、御存じのとおりオフィシャルなものとNGOがやるものと、それがうまく絡み合って進んでいくわけですから、ぜひNGOの参加を正式に決定いただけるように御尽力を賜りたいと思います。
 その点について、外務省の方はどうですか。
#62
○政府委員(谷野作太郎君) 本委員会でたびたび御答弁申し上げておりますように、カンボジアの復興を考えます場合にNGOの役割は非常に大きいものがあろうかと思います。
 そこで、何らかの形で御参加いただく方向で今協議中でございますが、他方、この会議主体は政府間の閣僚会議ということでございますので、一応先般の準備会議ではオブザーバーという形でお呼びしてはどうだということが関係国のコンセンサスでございました。しかしながら、オブザーバーと申しましても御発言の機会は十分になさっていただいて、御発言をいただいて、そういった御意見を賜りながら私どもの参考にもさせていただくということでございます。
#63
○喜岡淳君 大臣には重ねてお願いをしておきたいと思いますが、やはり開催国として積極的にNGOの正式参加ができるように、残された時間、御努力いただきますようにお願いしておきます。
 それから、もう一つ清水参考人にお伺いしたいんですが、現地では皆さん当然普通の生活をされておると思うんで、鉄砲とかそんなものは持たずに生活されておりますよね。それから、食事とか水とかそういう生活もやづておられると思うんですが、毎日の生活はどうですか。どういう状況ですか。
#64
○参考人(清水俊弘君) 私ども日本国際ボランティアセンターに関して申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもは現在プノンペンとそれからバッタンバンの二カ所に事務所がありまして、合わせて十人の常駐職員がいますが、私どもの基本的なカンボジアとのかかわり方としては、そのカンボジアの文化、生活様式そのものが好きでといいますか、そのものに敬意を表し、彼らの生きざまに共鳴する中でカンボジアとのかかわりをしているわけでありまして、その中でもやっぱり大切なことは彼らとのコミュニケーションということが出てくると思うんです。
 そういう意味において、私どもはもちろんカンボジアの食事そのものを楽しみ、また水も、多少もちろん我々の日本での生活から比べれば不便な点もあるかもしれないですが、逆にそれを楽しみながらみんなおもしろくといいますか、暮らしている状態であります。
#65
○喜岡淳君 カンボジアを尊敬する、そういう意味ではやはり危険を感じないというか、非常に向こうの方を尊敬して、信頼関係ということが前提であると今受けとめさせていただきました。どうもきょうはお忙しいところをありがとうございました。
 それから、時間の都合がございますので、次にカンボジアの復興の問題でお尋ねをしたいというふうに思います。
 四月の三十日に私たちがカンボジアのチア・シム議長とお会いをした際に、議長の方からは四つの要望をされました。一つは、道路、橋、港、空港、この建設問題、二つ目にはカンボジアの電力の問題、三つ目には米を中心とした農業の増産問題、四つ目にはアンコールワットの観光開発を中心とした復興援助、この四点についての要請がございました。
 そこで、外務省を中心にさまざまな調査団が今派遣されておると思いますが、そういったカンボジア復興援助の総括的な立場にある外務省の今後の復興援助に当たっての計画といいますか、現在の調査状況とか今後の計画とかについてお尋ねしたいと思います。
#66
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、カンボジアに対しましては基本的に人道援助、緊急援助というものを中心に当面やっていきながら、中期的には今御指摘のような農業、電力、インフラ、人材育成といったような分野に焦点を当てていくというのが基本的な考え方でございます。我が国といたしましては、とりあえず、既に御案内のとおり三月から五月にかけまして、御指摘の分野、農業、医療それから通称日本橋、チュルイ・チョンバー橋でございますが、それから電力、さらには青年海外協力隊の派遣に関する調査といったような五つの調査を既に行っております。
 農業分野につきましては、カンボジア農業の生産性が非常に低い、それから農家が貧困であるといったような基本的な問題があるわけでございまして、農業インフラの整備ということを中心に、専門家の派遣、研修員の受け入れを通じた人材の育成、農業技術の普及といったようなことがどうしても必要なのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 医療分野につきましては、先般もちょっと御説明させていただく機会がございましたけれども、とりあえずカンボジア側からは結核対策、人材養成、これは医師、看護婦等の養成でございますが、病院運営の管理といった分野につきまして技術協力の要請が出ておりまして、現在我々の部内で検討、さらには先方と協議中というふうな状況でございます。
 青年海外協力隊の派遣につきましても、現在調査の結果に基づきまして緊急に何人かの協力隊を派遣するということで、今後のリクルートにもよりますが、できれば年末にはさらに多人数の各方面での協力隊を派遣するというふうな計画でございます。
 電力分野につきましては、非常に深刻な電力不足がある。特にカンボジアの電力は今ディーゼル発電に依拠しているようでございます。火力発電もあるようでございますが。こういうことで、中長期的には水力発電ということに目がいく必要があると思いますけれども、とりあえず今十分稼働していないディーゼル発電等についての手当てを何らかの形でやらなきゃいかぬのじゃないかなというふうに考えて、鋭意検討しているところでございます。
 橋につきましては、既に何回もここで御説明する機会がございましたが、単なる橋の修復のみならず、国会でも御指摘のある国道六A号線といったようなものをも計画の中に入れながら検討してまいりたいというふうに考えております。
#67
○喜岡淳君 それでは具体的に通産大臣、運輸大臣、郵政大臣、それぞれのやりとりにつきましては、今から関連して田先生の方から質問をいたしますので、よろしくお願いいたします。
#68
○委員長(下条進一郎君) 田英夫君から関連質疑の申し出がありますので、これを許します。田英夫君。
#69
○田英夫君 今の喜岡委員の質問に対する関連の分をちょっとしばらく横に置かせていただくので、もう少し関係の大臣はお許しをいただきたいと思います。
 最初に、日本政府のカンボジア政策という基本的なところを総理、外務大臣に伺いたいと思います。
 といいますのは、日本政府の過去のカンボジア政策というものは、いわゆる三派連合政権を承認していた。つまり、シアヌーク、ソン・サン、そしてキュー・サムファンという、指導者の名前で言えばその三派の連合政権を承認して、現在のフン・セン首相に代表されるプノンペン政権は承認をしていなかった。これは一体なぜかということです。なぜ相対立していた三派対一派というこの中で三派を承認して外交的なつき合いをしてきたのか、この理由をまず伺いたいと思います。
#70
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、三派はカンボジアを代表する政府の扱いで国連に加盟をして認められておった。その背景というのは、やはりベトナムがカンボジアに出兵をして三派を追い出した、そういうことで、そのベトナムの力をかりてヘン・サムリン政権がカンボジアを運営している、こういう背景があったものと存じます。
 もう一つは、やはりこのベトナムについて、もちろんアメリカとの関係は戦争をやって平和回復していないという不正常な関係にございますし、また、タイ、マレーシア、シンガポールを初め東南の諸国が非常に警戒心を持っておった、こういうようないろんな事情があったものと考えております。
#71
○田英夫君 外務大臣の言われたとおりだと思います。
 そういう中で、現在はどういうことになるか。これは当然、SNCができて、四派の間に和平がパリ協定によって成立をしたという上に立ては、日本政府の相手はSNCになる。これがやがて選挙を経て政権という形に確立すれば、その政権との正式の交渉というか関係になる、こういうことになってくるだろうと思うんです。
 そこで、先日、たしか谷畑委員の質問に対して、外務大臣が最近のカンボジアの歴史を述べられました。ただ、あれをお聞きしていて、非常に重要な部分がなぜか、抜けてはいなかったかもしれませんが、強調されていなかったと思います。カンボジアのことを考えるときに、近代史といいますか、非常に重要な部分が二つあると思います。
 それは、戦後フランスからの独立を果たして、これはシアヌークさんが大変苦労をされたわけですが、シアヌーク政権がカンボジアに誕生をしていたときに、例のロン・ノルのクーデターというものが起きている。その理由は、アメリカがロン・ノルの後押しをして、CIAなどを使ってクーデターをやったと言われております。そのアメリカの言い分は、シアヌークさんが、当時の東西対立、冷戦構造の中でシアヌークさんなりにこの小国、生まれたばかりの小国というか、歴史はありますが新しい政権になった、その生き抜く道としてソ連、中国、こうした社会主義陣営との密接な関係をつくっていった。いまだに北朝鮮ともシアヌークさんは非常に密接でありますが、そういう東西対立のさなかのシアヌークさんの姿勢に対してアメリカは快く思わなかったと私は思います。
 そういう中で起こったのがロン・ノルのクーデターでしょう。あれがもしなければ、まあ歴史上、「たら」とか「ければ」という仮定はいけませんけれども、しかしシアヌーク政権があのまま続いていたならば、カンボジアはあのような内戦にもならなかったかもしれないと思います。そういう中で、このロン・ノルのクーデターというのは、アメリカが背後にいたということはもう通説でありますが、アメリカの失敗だったと言わざるを得ないと思う。余りにも過剰にイデオロギーのことを考え過ぎたんじゃないでしょうか。
 そして、次の大きなカンボジアの悲劇の始まりは、言うまでもなくベトナムのカンボジア侵攻であります。これは私どもも大変驚きました。私ごとですが、実は私はベトナムとの深いかかわりがありましたので、日本ベトナム友好議員連盟をつくろうじゃないかと呼びかけて、櫻内さんに会長になっていただいて、今もそのままです。私は、ベトナムが侵攻したことに怒りを感じて、この議運を、実は事務局長をやっていたんですが、飛び出しました。以来、まだ入っておりません。
 私は、ベトナムのあのカンボジア侵攻というものは、理由はどうあれ明らかに侵略的行為であると言わざるを得ない。したがって、クメール・ルージュのキュー・サムファン氏は私に、多くの人たちはカンボジアの内戦と言っているけれども、これは内戦ではない、ベトナムの侵攻に対する愛国的な戦いなんだ、そしてプノンペン政権はそのベトナムの侵略者によってつくられたかいらい政権である、こういうことを強く言っております。
 歴史上、この二つのことをないがしろにしてカンボジアは語れない、このことを私はあえてこの際申し上げておきたいと思うんです。
 現在のSNCは、言うまでもなく十二人の代表がいて、そのうちの六人はプノンペン政権、そして残る六人をいわゆる三派が二人ずつ分けているということですから、力関係からいうと、実はプノンペン政権が大きい力を持っているということは現実であります。しかし、日本政府から見れば、あるいは日本側から見れば、やはり我々の相手は、これはSNCでなければならない、四派平等につき合わなければならないと考えるべきじゃないでしょうか。外務大臣、いかがですか。
#72
○国務大臣(渡辺美智雄君) 我々はSNC、つまり各派代表でつくられておる暫定政権、それを相手にしておるわけであります。
#73
○田英夫君 そういう中で、最近、フン・セン・プノンペン政権首相が来日をされたときの報道を、まあ見出しは短くしますから、見ておりますと、カンボジアのフン・セン首相というのもありました。カンボジア・プノンペン政権のフン・セン首相というのが大部分でありました。しかし、余り事情を知らない多くの方々は、カンボジアの首相はフン・センさんだと、こう思っても仕方がなかったんじゃないかと思う。この辺のところを私は非常に不満に思っております。
 そのフン・センさんにも四月末、連休中に行って会いました。私はこの四派の指導者どこれで全部会ったということになるのでありますが、この最近の、他党のことを申し上げるわけではなくて一般的な論として申し上げるんですが、プノンペンに行って、そして、ああこれがカンボジアだなというふうに思われるのではないか、思っておられるのではないかと思う節があります。もちろん、今川大使初め外務省の方々は各地も歩いておられますし、カンボジア語も達者な人たちがそろっているということで、政府の出先である大使館はそういうことはないと思いますが、一般的にプノンペンを見て、象の鼻をなでて、カンボジアは細長いものだと思ってはいけないんじゃないかなと。
 プノンペンは別天地であります。八百五十万の人口の中で八十五万が集まっている、一割がいることは事実でありますが、そのプノンペンはカンボジアの中では別天地。さっき喜岡委員が言ったホテル・カンボジアーナはまだその中の別天地。生活のしやすさということから、危険度の問題、食糧、物資の豊かさ、これは結構豊かですよ。しかし、本当のカンボジアは人口の九〇%を占める農民の住んでいる農村地帯、それは大部分が実は二派の支配地域ということになるわけでありまして、もうかれこれ七、八年前ですが、私が訪れました北部のカンボジアは、千人の村の人口の中でおよそ三百人がマラリアにかかっているという、そういう状態でありました。
 この間参りましたときに、大使館の篠原参事官、この人はカンボジア語が恐らく外務省の中でも一番うまいんじゃないでしょうか。カンボジアのことのためなら命をかけてもいいと、大変なカンボジア通でありますが、その篠原さんに、二人で食事をしながら、あなたから見て今カンボジアの国民の立場から一番必要なことは何ですか、ずばり一つだけ言ってくれと言ったら、彼が挙げたのは衛生ですと、こう言いました。皆さんは医療とおっしゃるかもしれませんが、私は衛生だと思います。衛生という言い方は大変私は考えられたなと思います。それは医療も含むでしょうし、水のこと、食事のこと、病気のこと、そういうことを一番今大事に思うという、これは大変私はなるほどと思いました。
 ここで、清水参考人に、いきなりですが伺いたいんですけれども、カンボジアにおられて、さっき、楽しみながらと言われたところが実に私は若い皆さんうれしかったんですが、そういう中にいて、今の篠原さんの衛生という言い方、それと同じような質問をしたいと思うんですが、清水さんから見て、今のカンボジアの国民の立場からすると、例えば日本などにしてほしいという意味を込めて、何が一番必要ですか。
#74
○参考人(清水俊弘君) 非常に難しい質問だと思うんですけれども、私どものスタンスから考えて、日本から考えてというのはどうもやっぱり難しい感じがするんです。向こうの人たち、カンボジアの人たちにとってまさにもちろん衛生のことも必要でしょうし、その彼らの住んでいる地域地域での生活そのものが安定していくような、ちょっと抽象的な言い方しかできないんですけれども、これだけというふうに限らず、かなり複合的になってくると思うんです。水にしても、ただきれいな水というよりも、より手近なところで水が供給できるようなことですとか、さまざまな意味があると思うんです。
 済みません、何かまともに答えられないんですが、まさに彼らの農村地域での生活そのものが安定できるような形での協力ができれば、だから、それに関しては何も構えてやる必要もないことなのかもしれないですが。
#75
○田英夫君 ありがとうございます。
 そういうような意味を込めて、わざわざお忙しい中を御出席いただいた関係大臣に御質問をしたいんですけれども、先ほど喜岡委員も言いましたように、私もチア・シム議長、これもまたプノンペン政権の国会議長ですけれども、チア・シムさんに会って、かなり私は長時間懇談をしました。何か批評をする人によると、カンボジア・プノンペン政権の金丸さんのような人だという批評をしたジャーナリストがおりますが、農村に非常に大きな力を持って理解がある。大変人気というか、そういう意味で国民からの人気のある人のようですが、チアニンムさんは、自衛隊の派遣とかそういうことは一切私には言いませんでした。フン・セン首相はしきりにそのことを言いましたが、論争になりましたけれども、テア・シムさんが言ったのは、さっきも喜岡委員が申し上げたように、日本に対してやってほしいことというのをこう挙げて言ったわけです。
 順次各大臣にお聞きしたいんですけれども、まず第一に鉄道、今これは本当に寸断をされているという状態で、レールもろくにつながっていないところが大部分。コンポンソムという港がありまして、ここがカンボジアにとっての玄関口ですが、ようやくそことプノンペンの間に、これも週一、二便というんですから推して知るべしです。それからもう一つの玄関口はタイにつながるところですが、これはまだ全くつながっておりませんけれども、そのカンボジア側のところまで、これも週一便辛うじて走っていて、先日タイにいる難民が難民列車という形で、この列車で三百キロを十三時間かかって帰ってきたという、そういうことを聞いております。
 そういうことで、テア・シムさんはそういう言い方しかされませんでしたが、後でつけ加えて言った人が、例えば日本のJRのもう使い古したものでいいんですが、機関車とか客車とか貨車とかいうものを払い下げていただけないだろうか、軌道の幅が違うそうですが、それは自分たちの方で修正いたしますと、こういうことを、これはやや雑談的ですけれども、話しておりました。
 運輸大臣、こういうことが今言われておりますけれども、例えば今の状況の中で、どこからお金が出て、あるいは将来どうとか、そういうことまでは到底私は今の状況で言えるものではないということは十分理解しておりますが、可能でしょうか、こういうことは。
#76
○国務大臣(奥田敬和君) 先生が四月末カンボジアを御訪問なさって、その結果報告をいただいて、日ごろから本当にカンボジア友好協会の理事長さんとして御活躍なさっているのに敬意を表しております。私も、閣僚の今立場ですけれども、カンボジアの平和復興にかけては友好議連の会長を務めさせていただいておる立場です。先生とは車の両輪になって、側面応援隊として頑張らなきゃいかぬということを常々思っています。
 今御指摘の鉄道の件でございますけれども、先生の御質問の中にもはっきり明示されておられますように、狭軌でやっていることは一緒なんですけれども、レール幅が千ミリ、ちょっと向こうの方が狭いんです、こちらの方が千六十七ということで。改造すればいいじゃないかということでございますけれども、そういった狭軌幅を合わすのに多少手を入れたり、ブレーキや連結器等々考えていきますと、JRにも問い合わせましたが、中古はもちろんありますけれども、これを向こうで使えるように改造して直すときには新品とそうほとんど変わらぬというようなこともございました。
 ですから、もし政府間で政府がそういった形で、輸送が一番大事だということは確かにそうですし、プノンペンーコンポンソムですか、あそこの港までの間の二百六十キロくらいを早く結んで、一日に何便か行けなきゃ平和復興できないわけですから、そういった意味において、何か二百両ほど持っておるというんですけれどももう全然使い物にならぬようでございますし、機関車も薪をたいて走っているような状況であるということも知っておりますけれども、そういったことで政府が援助をするという方針が決まれば、別に中古改造じゃなくても堂々と立派な形で援助すべきじゃなかろうかと私は思います。その際、運輸省としては技術的にもいろいろな面で全面的に応援をしてお手伝いできると思います。
#77
○田英夫君 後でまとめてそういういわゆる復興援助というものをどういうふうにしたらいいのかということを議論したいと思います。
 次に、実はチア・シムさんが本当に一番力を入れて言ったのは電力なんです。この電気が、一応とにかく国会議長という人と話しているときでも、こういうふうに明るくなったり暗くなったりしているんですね。それはどこへ行ってもそうです。そのくらいもう電力が明らかに不正常であるということですから、本当にまず一番先にと言ったのは無理もない。
 通産大臣に同じようなことの立場からお聞きするわけですが、私も東京電力など友人がおりますから聞きましたら、もちろん技術的には可能だけれども、それは政府の方針が出なければ我々としては何ともしょうがない、こういう立場でしょう。そこで、今の運輸大臣にお聞きしたと同じことなんですが、これもすぐに右から左にということはなかなか難しいでしょうから、本当に日本政府としてカンボジア復興を支援するというならまず電力だという意味を込めてお尋ねしたいんですが、可能性としてどうでしょうか。
#78
○国務大臣(渡部恒三君) カンボジアの電力不足、田先生から今御指摘がありましたが、私も聞いてみましたら、あの国の電力出力量が三万キロだというんです。我が国とこれは比較するのは無理ですけれども、我が国と比較すれば三万人分の出力量しかこれはないということですから、今お話がありましたが、まさに深刻であろうということは推察するに余りあります。
 このために、通産省としてカンボジアの復興等のための電力分野への緊急な対応が極めて重要であるということを認識し、今月の九日から十七日まで通産省の職員、電力専門家を含む国際協力事業団調査団を派遣し、カンボジアの電力事情、また我が国に期待される協力案件等についての調査を行ってまいったところでございます。したがって、今後政府の方針が定まり、またあの国の政局の安定とかいろいろの問題はあると思いますけれども、そういった中で、今先生御指摘の問題等をも含めてこれらに対する協力のあり方について検討してまいりたいと思います。
#79
○田英夫君 もう一つは電話であります。郵政大臣においでいただきましたが、一番驚きましたのはプノンペン空港に電話がないという。これは外務省の大使館の皆さん、大変苦労しておられる。例えば私が行っているときに建設大臣が来られて、この飛行機は定時に来ましたからいいんですが、しばしばバンコクから来る飛行機はおくれる。すると、到着するVIPがおくれますというその連絡すら大使館の迎えに行った人と大使館本体との間でできない、こういう事態。これはもう象徴的なことで、いかに通信がひどいかということがおわかりいただけると思います。
 いわんや第二の都会であるバッタンバンとか、玄関口であるコンポンソムというようなところとの地方都市との連絡はもう本当にひどいことだ。それでいて、なぜかホテルから東京へ直通の電話がかかるんですね、〇〇八一で。こういう状況にあるわけでありますが、今両大臣にお聞きしたと同じような意味で、郵政省としてこれに対する復興援助の可能性についてお答えいただきたいと思います。
#80
○国務大臣(渡辺秀央君) お答え申し上げます。
 先日も先生から実態をお聞きいたしたり、あるいはまた私ども郵政省としてことしの二月に、運輸通信省の郵便・電気通信総局長、ネット・チョロングという方だそうですが、以下五人の方を実は郵政省にお招きをいたしまして、実態の把握あるいはまたいろんな御要望、あるいはまた意見の交換、そして郵政省の持っておりますノウハウを話し合ったりいたしました。
 今日でも積み重ねてはきておるようでありますけれども、先生が先日お見えになられてのお話のとおり、カンボジアの復興に当たっては、もちろん今まで各大臣からお話がございましたとおりの各分野においての援助も大切だと思いますが、何といってもやはり通信、情報が的確に正確にそして間断なく伝わっていくということ、民心の安定やあるいは情報を把握し、そして国民の皆さん同士の意見交換が広く行われているということは大切なことだと思っております。
 私といたしまして、先生からお話を承って、直接おいでをいただいてのお話でもありましたので、省内で早速検討させました。できるだけ早く現地に行って調査をしないことにはどういう分野からということになりませんので、現地の方に行かせまして、そして調査をし、行くに当たっても外務省、政府部内で縦割りだと言われないように十分意思の疎通を図りながら、あるいはNTT等の技術あるいはまたノウハウもございますし、郵政省に関連する機関とも十分連携をとりまして早速に調査団をと、実は今検討中であるという御答弁をきょうさせていただきたいと思っております。
#81
○田英夫君 どうも三大臣、ありがとうございました。
 象徴的な三つのことを取り上げさせていただきましたが、チア・シムさんはそれ以外に農業技術ということも重要な部分だとして取り上げております。言うまでもなくカンボジアは米どころであったわけですけれども、今は全く荒廃をしてしまっている。この点についても農水省を中心にして援助をしていただきたいと思うわけです。
 さて、そうした復興援助ということをやる場合、これは最後の統括は総理大臣でしょうけれども、現実的には外務大臣が中心にカンボジアという外国のことですからおやりになると思いますが、例えばUNTACという、今カンボジアの和平のためのまさにピースキーピング、ピースビルディングと言ってもいい、そういうことをやっているその状態の中で、さっき喜岡委員も言いましたように、財政的に極めて困難に直面しているUNTACがやれるのは、私は実はきょうの中で一つだけ外した道路なんですね。
 道路は緊急の部分だけUNTACがやっています。それで、中国から工兵隊が行ったというのも、実はこれは全く道路建設のために行ったわけでありまして、これはUNTACの中でできるでしょうが、今のような問題はUNTACという状況の中でできるとはなかなか思えないのでありまして、ここが宮澤総理の御決断の、あるいは渡辺外務大臣の具体的な御決断のところじゃないかと思うんですね。
 中長期的なことはODAという、そういうやり方が当然出てくるだろうと思いますが、緊急なんですね、今の電話とか電力とか鉄道とかいうことは極めてことしじゅうにも手をつけてほしいという緊急の問題であります。こういうことに対して何か方法をお考えになっているだろうか。相手はまだ正式の政権とも言えない状態ですから極めて異例のことになる、ならざるを得ないと思うんですが、しかしSNCと話し合っていく中で、そうした緊急援助、復興援助というものに日本がお金だけじゃなくて技術、人間、そうしたものまで含めて援助をしていくということ、その具体的な方法というのをお考えになっているかどうかということを伺いたいと思います。
#82
○国務大臣(渡辺美智雄君) まず、SNCが法律上の政府ということにおっておるけれども、現実には支配地域というものが人によってみんな違うわけです、言っているところが。田先生の話だと、今のプノンペン政府はプノンペン周辺とおっしゃいましたが、私はそう思いません。大体、現実的には八割ないしそれ以上の地域を押さえているのではないかと。したがって、シアヌークさんの方と両方合わせればその程度の私は実効支配をしているだろうと。その実効支配している中に時々あらわれて、ポル・ポト派のゲリラ活動あるいはその他の派のゲリラ活動というものがあったということも事実でございます。
 したがって、それは皆集まってSNCで話を決めて、どういうことをやるかということでも下におろすとすれば、やはり自分の実効支配をしている県なり市町村におろす以外にないわけですから、だからいみじくも今お話があるように、じゃソン・サン派のだれと話をしてどこにどういう援助をやるんだ、ポル・ポト派のだれと話をしてどこの地域にどういう援助をやるんだといったって、それは答えは出てこないんですよ。
 ですから、やはり現実は、国連の指導によって暫定機構がそれぞれの地域の中で私はそういうような援助の仕事をこなしていく以外には実際できないんじゃないか。そのためには、一刻も早くその治安の確立、これがなければ、幾ら言ってもそれは下まで仕事はおりていかない。だから、治安の確立が最優先課題だと私は考えております。
#83
○田英夫君 カンボジアの現実をごらんになるとおわかりになると思うんですが、今のお答えでは私は大変不満であります。カンボジアに対して、アジアの経済的に豊かな国であると言われる日本として本当に心のこもった援助をしようというならば、今のようなことにはなってこないはずであります。
 治安ということ、もちろんこれは大切ですけれども、この問題は後で触れたいと思いますが、二国間のつまり相手が、今おっしゃるとおり、私も申し上げましたが、SNCという形です。これはしかし、少なくとも機能し始めている、これは事実であります。いわゆるクメール・ルージュの中に一部強硬な人たちがいるということも事実であります。今、治安が乱れているということはその部分であります。ですから、今川大使ともじっくり話し合いましたが、今川大使は逆に大変楽観的です。こういうところもぜひ連絡をとり、現実を直視していただいて、緊急援助ということをぜひ政府の課題にしていただきたい。これはお答えをいただこうと思いません。ひとつ宿題にしていただきたいということを総理にお願いをしておきます。次に、選挙監視というのが非常に今度のUNTACの中でも重要な日本の役割になるだろうと思います。
 これは報道によればと言わざるを得ないのが残念ですが、報道によると、公明党の方々が要求しておられるいわゆるPKFの凍結ということになってその部分には自衛隊が行かないという、そういう話が出てきているんですね。実は、これを一日も早く、修正をするなら、何党か知りませんが、話し合って修正案をここへ出していただかないと、私どもは実はPKFのことに非常に問題があると思って指揮権その他取り上げておりますけれども、実際はその部分が凍結してしまうというならこの我々の今の議論というのは一体何なのか、非常にむなしくなるわけですね。このことをぜひこれは真剣にお考えいただきたい。
 これは実は政府に申し上げてもしょうがないことなんですね。こっち向いて言わなくちゃいけない、あるいはこっちも向かなくちゃいけないんですが、関係各党の間でもっときちんとはっきりしていただきたいというのが私どもの気持ちであります。審議する対象がないんですね。きのうの公聴会だって実はおかしな話なんです。あれはちゃんと法律で、公述人は賛否を明らかにするということになっておりますが、どの法案に対して賛否を明らかにしているのか。
 私は、一生懸命で議論をしたらその部分は凍っちゃった、いやしかし、凍ったというのは、凍結というのは、電子レンジじゃないですが、チンといえば出てきちゃうんですから、自衛隊の洋服を着たのがあらわれるということを前提に考えればそれは私ども議論できますけれども、そういうことだということをこの際申し上げておきたいんです。
 そこで、どっちに転んでもというところで申し上げれば、選挙監視というのは、凍結されようとあるいは社会党案が通ろうと、選挙監視というものは極めて重要な部分になります。
 自治大臣さっき立たれましたが、それは構わないんです。実は自治省はまだその問題については立ち入って参加していないということでありまして、外務省の野村さんのところでこの問題はやり方を考えているということでありますから、それで結構なんですが、そのくらい実は自治省、大臣がおられないから言うわけじゃありませんが、自治省はまだ真剣にこの選挙監視ということを担う場合に日本としてどういう関与の仕方をしたらいいのかということを勉強していないですね。これは勉強していなかったら絶対うまくいくわけないですよ。国内で整々として選挙が行われている日本でもなかなか大変なのに、この間のフィリピンも、聞いてみますと大変な選挙ですね。それどころじゃないですよ、カンボジアは。
 今、問題点を若干申し上げますが、今度プノンペンへ行っても、中央市場というのがありまして、これはもうにぎわっています。物資もタイなどから流れ込んで、まことに日常生活のための生活物資は豊富であります。そこで、よく東南アジアなんかでも売っている金ぴかぴかの女性の装身具、指輪だとかネックレスだとかいうそういうものを売っている店がだあっとあるが、これは全部ベトナム人。そう言われてみると、なるほどそういう顔つきだなと思いました。
 それから、例えばプノンペン市内でも家が今建築ラッシュです。そういう家を設計し、つくる技術者というのはほとんどがベトナム人であります。あるいは漁船、つまり海で魚をとる仕事も大部分がベトナム人、そしてカンボジアに住んでいるわけです。合計何十万と言われる。そして、さっきも申し上げたように、カンボジアの人は九〇%が農民なんですね。
 そういう状況の中で、このベトナムの何十万の人たちは選挙権があるかといったら、これはベトナム人ですから、国籍は明らかにベトナムですから、ただカンボジアに住んでいる。華僑の人たちもたくさんいます。当然、華僑の人たちはカンボジアでも経済の流通、経済を握っている。こういう状況の中で、さあ選挙だと。そこへもってきて、三十七万と言われる難民がまだ、果たしてことしじゅうに引き揚げられるか極めて疑問です。これから六月から十一月まではほとんど交通が途絶するほどの雨季になるわけです。川があふれ湖の大きさが倍になるという。トンレサップという大きな湖が大きさが倍になるそうです。そういう状況の中で、難民の帰還はますます延びるでしょう。
 そこで、例えばソン・セン氏は、クメール人民民族解放戦線の議長といういわゆるソン・サン派の大将ですが、この人がたまたま五月十一日にシンガポールに行ったときに記者会見で話しているのは、カンボジアにいるおよそ百万の、彼は百万と言っているんですね、百万のベトナム人を来年の選挙までにベトナムに帰還させる必要がある、こう話ったという報道があります。
 それからもう一つ、いわゆるキュー・サムファン、クメール・ルージュの議長ですが、これは直接私に話してくれたんですが、入植者と称してカンボジアにいる数十万、彼は数十万と言いました、数十万のベトナム人のうち、もしカンボジア人と偽って投票する人がいたら大変なことになる。しかし、彼は帰せとは言っていないんですね。それは住んでいていいという方が正しいでしょう。住んでいていいけれども、投票はできない。ところが、偽って投票しようとした場合に、まさに選挙監視の人たちはベトナム人かカンボジア人かの区別はつかない、それができるのは我々お互い同士だけなんだ、こう言っております。
 ですから、日本から何十人かの地方自治体の人が行ったとしても、それは恐らく難しいでしょう。私は、何度かベトナムにも行きカンボジアにも行きましたから、そう言われてみればわかるという、さっき申し上げたような程度の区別はつきますけれども、こういう状態の中で、もうさまざまの困難が選挙ということに対してはある。来年の四月末か五月に総選挙をやるとUNTACは言って、明石さんもそう言っておりましたが、私は無理じゃないか、こう思います。
 そういう状況の中で、ここから先は野村さんしかいないそうですから野村さんに答えていただきたいんですが、どういう準備をしているんですか。
#84
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 一言で選挙監視と申しましても、まさに先生御指摘のとおりだと思います。選挙管理、この法案でも監視と管理ということで区別してございますけれども、管理の側面も含めて、これはUNTACのいろんな業務の中でも非常に重要な役割を占めている分野であるというふうに認識いたしております。
 何分、私ども、具体的な準備ということになりますとどうしても法案が成立した前提でどうかという、そういうことでぜひお答えさしていただきたいんでございますけれども、その場合に、やはり法案にのっとりますと三カ月以内に施行しないといけない、法律そのものを施行するということでございます。その施行の準備というものはすぐ始めないといけないと思っております。
 施行の準備に並行いたしまして、まさに先ほど申しましたような選挙監視の重要性にかんがみまして、具体的にUNTAC等との話し合い、あるいは選挙監視の要員をどうするかという、そういう確保の面に努めることが必要だろうと思っておりますし、ただいま先生御指摘のいろんな施行後の訓練、研修、それから実態把握、そういった点についての手続についてもできるだけ早く実施できるように努めるようにいたしたい、UNTACへの協力がそういうことで円滑に行い得るように配慮していきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
 具体的な準備とおっしゃいましても、私ども今の段階で申し上げられるのは以上でございます。
#85
○田英夫君 大体そういうことだろうと思うんですね。自衛隊を出すの出さないのということばっかりがこの委員会でも議論になっていて、そして政府の準備もそっちの方は、防衛庁長官おられるけれども、自衛隊の方は早くも部隊の編成、特に国際救援の方についてはもう陸上自衛隊の部隊のローテーションまで決めておられるというように準備が進んでいるにもかかわらず、一番重要な、実は日本としてどっちに転んでもやる選挙監視については準備が全く進んでいないということは、今の政府の姿勢を象徴しているんじゃないだろうか、こう思います。
 それで、喜岡委員からの時間をもう少しいただいて関連質問を最後にもう一つしたいんですが、それは防衛庁長官に関係のあるPKOの軍事部門にかかわる問題です。
 この前、常松委員が質問されたときに、防衛局長ですか、医療部隊の方の数を最初百八十と言われたのを二百七十にされました。また、何か大きくなっているという話があるんですが、それはどうですか。
#86
○政府委員(畠山蕃君) 確かに御指摘のとおり、緊急援助隊の医療チームの派遣につきまして、以前に総数で百八十名程度と申し上げていたのに対しまして、医療関係技術者七十名を含む二百七十名程度というのが最大の規模でございますというふうに申し上げました。それは、そのときも申し上げましたけれども、後方支援の自己完結性の機能をより充実するという観点からそういうふうに見直しを図ったということでございまして、もちろんその時点時点におきますもろもろの前提を置いての話でございます。
 そういうことからそういうことになったわけでございますけれども、現段階でさらにそれを見直しているということはございません。
#87
○田英夫君 確かめておきたいんですけれども、PKOでいわゆるUNTACに医療部隊を送られるという場合と国際緊急援助ということで医療班を送られるのと、数は同じですか。
#88
○政府委員(畠山蕃君) 一般的に両者の場合違うと思います。といいますのは、一つは期間の問題がございます。期間が、緊急援助隊につきましては、これまでの各国ないしは我が国から送った場合の前例からいたしますと大体数週間程度ということでございますので、大体二、三週間を想定して、それに見合う自己完結性を求めておるということでございますが、一方PKOの場合にはかなり期間が長くなるのではないかという点が第一点。
 それから、第二点として、自己完結性がどこまで求められているかということがございます。緊急援助隊の場合にはかなり、一〇〇%に近い自己完結性が求められ音すが、PKOの場合には、国連局長の話によりますと、二カ月の自己完結性を求めるということではございますけれども、その具体的な意味が緊急援助隊において求められる自己完結性と同じかどうか。さらに、二カ月を超える場合にどの程度の支援が国連当局から得られるのか、その辺が必ずしも明らかでないという点が二点目でございます。
 それから、三点目といたしまして、医療について具体的に申しますと、緊急援助隊の場合には、野外において、例えばテントなりプレハブといったようなことを想定いたしまして、そういう中での医療行為が必要になる。それに対して、一般的にPKOの場合には、病院施設みたいなところで治療行為が行われることが多いであろうということが違う点でありますから、それに応じて、期間についてはむしろ要員が多くなるファクターである。それから、自己完結性の有無についてはむしろ要員が少なくなる方の要因であろう。三番目の点については、要員が少なくなる方の要因であろうということから、一般的には違うと思います。
#89
○田英夫君 全くこれは違わなくちゃおかしいと思うんです。国際緊急援助隊の場合は全くその場所に独自で行くわけですから、これは私どもは自衛隊が出るべきではないと思いますけれども、いずれにしても自己完結型でないといけない。ところが、この前からお話を聞いておりますと、PKOの方も自己完結型を考えておられる。それから、総理も自己完結という言葉をこの前も使われました。
 これは私は、PKOの精神からいって全く違うと思います。現に今カンボジアに行っている外国の軍隊、私も一部見てきましたけれども、例えばバッタンバンにいるフランスの航空隊、航空部門はフランスが引き受けているわけですが、これは全く操縦士と整備員しか来てない。したがって、食事はどうするかというと、町のレストランへ行って食べている、こういうことなんですよ。それから、ドイツの医療部隊は医者と看護婦しか来てない。その警備はどうするんだといったら、それはほかの外国から来ている歩兵部隊、例えばインドネシアの部隊がその警備は担当する。これがPKOなんですよ。
 そういうことをもう一回、私どもは自衛隊が出るべきでないと思っていますから検討していただかなくて結構ですけれども、少なくとも間違った案をつくっておられることを私たちは黙って見ているわけにいきませんから、これは自己完結型というのは、PKOは違いますよ。このことだけ申し上げて、ひとつあとはまた喜岡委員の方へ戻します。
#90
○喜岡淳君 自己完結型の問題が今、田先生の方から指摘されましたけれども、やはり間違った見解については直ちに撤回をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。
 最後になりましたが、文民警察の問題でお尋ねをさせていただきたいと思います。
 去る五月十一日、本委員会におきまして、谷畑議員の方からこの問題が取り上げられております。文民警察の派遣状況については、現在幾つの国から何名の文民警察官がカンボジアに来ておるのか、派遣国数及び派遣の人員数について教えていただきたいと思います。
#91
○政府委員(丹波實君) 先生御承知のとおり、全体の規模は国連といたしましては三千六百名の文民警察を考えておるわけでございましで、先ほど査言及いたしました五月一日付の事務総長報告によりますと、あの時点で関係国と約千九百名程度の要員の派遣が合意されておる、そういう記述がございます。
 そこで、現在の状況でございますけれども、私たちが承知いたしておりますところでは、十三カ国が現に今の五月二十五日時点で送ってきておる。数字は約四百三十名でございます。国の数といたしましては、例示的にお挙げいたしますと、インドネシア、フランス、フィリピン、ハンガリー、フィジーあるいはガーナ、オランダ、そういったところを含めて十三カ国ということでございます。
#92
○喜岡淳君 国連の方では文民警察は三千六百名が必要だというのに対して、四百三十名と今おっしゃったんですか。現在四百三十名ですね。文民警察の状況が非常に穴があいておるといいますか、全然集まっていない状況がこれで明らかだと思います。
 それで、この文民警察の派遣の問題につきましては、現行法のもとでも、警察の方から出向して例えば外務省に出向されるという方法を使えば派遣ができるではないか、現行法のもとでの枠組みでも他の行政機関に出向させた上でPKOに参加させることはできるというのがこの間の大森政府委員の御説明だったと思います。私は、こういうことを考えれば、この文民警察の問題については早急にやはり対応すべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
#93
○政府委員(安藤忠夫君) PKO業務の遂行は現行法上は警察の任務とはなっておりませんので、日本の警察官がいわゆる警察官としての身分でPKOの活動に参加することはできないと考えております。
 今お示しの、現行法の枠内でも他の行政機関に出向させた上でその行政機関の職員としての身分でPKOに参加させる方法は、理論的にはあり得ると思いますが、今回の想定によりますと、現地でかなり長期にわたること、またある程度まとまった部隊としての活動が必要なこと等を考えますと、警察官としてのふさわしい業務に従事するためにはやはり警察官としての身分で参加することが望ましいと考えております。
#94
○喜岡淳君 緊急な援助ということが求められておるときに、やはり現行法のもとでできる範囲のことを積極的にやっていく、こういう姿勢がなくて、PKO法案ができなければ何もできない、こういった後ろ向きの姿勢で我が国が積極的に援助するなどというのは私は無理があると思います。
 最後に、重ねて外務大臣に要望しておきますが、先般の見せしめ発言については撤回することをお願いして、発言を終わりたいと思います。
#95
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十五分開会
#96
○委員長(下条進一郎君) ただいまから国際平和協力等に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、三案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#97
○木庭健太郎君 きょうはカンボジアの集中審議ということでございます。私、前回カンボジア問題については実は随分やらせていただいておりまして、私どもの立場は質疑の中でやっていけばいいんじゃないかという気持ちも本来は持っているんですけれども、集中ということでまた機会を与えていただきましたので、前回に引き続きカンボジア問題で何点かお伺いしておきたいと思います。
 前回、カンボジアの支援のあり方について私どもたしか三点を言いました。やっぱりその中長期的にわたる復興援助はもちろん大事です。NGOの支援、また緊急対策、これも極めて大事だと思っております。それとともにやはり次かしてはならないのは、私たちはUNTACの支援をどれだけ本当にできるのか、この視点を失ってはいけない、この三点を指摘いたしました。そういった総合的な貢献がなければこの支援というのは一つの形をなさないのではないか。我が国がこれから国際貢献をやっていく一つの試金石がこのカンボジア問題であるという指摘もさせていただきました。
 そこで、冒頭、外務大臣にお伺いしたいんですけれども、午前中も論議がありまして、要するにいろんな分野がおるという話もありました。もちろんUNTACのこともございます。そういう現地事情それから現地のニーズというのを正しく把握するということは極めて大事ですし、しかも今いろんな調査団を日本から出しておるんですけれども、日本としてカンボジア支援の姿勢を示すという意味を込めても、この法案の審議の過程もございますけれども、いっ成立するかという問題いろいろありますけれども、そういうことも含めても、我が国を代表する形で外務大臣が直接カンボジアに入られるということもこれは極めて大事なことだと私どもは思っております。
 その時期はいつかということは申しませんが、やはり早期の外務大臣のカンボジア訪問、これをぜひ検討していただきたいと思っているんですけれども、外務大臣御自身の御意見を伺っておきたいと思います。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) 外務大臣として一日も早く訪問したいという気持ちは重々ございますが、いろんな外交案件その他がありますから、なかなか近いうちに訪問するということは外務大臣に在職していると難しいということが言えると思います。
#99
○木庭健太郎君 もちろんいろんな案件があると思います。ただ、確かに私たちが考えると、湾岸戦争以後、日本の国際貢献などをずっと論議してきたわけですが、やはりその試金石がカンボジアにあるわけですから、外務大臣、ぜひ御検討をしていただきたいし、外務大臣御自身の判断でできないならば、総理、ぜひそういう応援もしていただいて、日本のそういう形を示すということをやっていただきたいと思っております。
 それと、午前中から各大臣来られていて、これからの復興支援の問題の論議をなされました。本当は各大臣にお伺いした方がいいんでしょうけれども、きょうは建設大臣に来ていただきましたので、ある意味では代表してぜひお伺いしたいと思っているんです。
 建設大臣 前回の委員会でカンボジアに行かれたときの事情をお話しになり、道路事情の厳しさの問題とか日本橋の復旧の問題とかさまざまな点を指摘していただきました。そのほか、こういった中長期の取り組みのほかに、緊急整備のためには工兵隊の問題まで何が御指摘をいただきました。建設省御自身も月内に道路や橋などの調査研究に行かれるというようなこともお伺いしております。
 私がここでお伺いしたいのは何かといいますと、中長期的な復興援助というのがあります。前回の建設大臣の発言をお聞きしていますと非常に意欲的でございまして、逆に言えば、あすにでもこういう問題はすぐお金を出し、人を送り、やれるんだというふうに聞こえないこともないんですね。ただ、現地の状況、治安の状況、これから日本が計画を立てる、六月に復興閣僚会議も開かなくてはいけないわけですよね。そういった状況を考えれば、大臣として早くやりたい気持ちはもちろんわかります。私たちも早くやってほしいとは思っております。ただ、そういう総合的な視野からいけば、大体こういった問題にどのくらいの時期から取り組める状況になるのかということもお話をお伺いしておきたいと思うんです。
 大臣御自身、現地を見ていらっしゃって、現地の状況から考え、また日本のこれから援助を考えていき、例えば日本橘の問題、道路の問題、具体的に取り組める時期は一体いつごろになると御判断されておるのか、その点を聞いておきたいと囲います。
#100
○国務大臣(山崎拓君) この件につきましては、外務省事務当局からお答えするのが筋だと思います。ただ、私も建設省のチームを率いて現地に参りました関係で、私の知るところで申し上げたいと存じます。
 まず、現地におきましては、私どもが見ましたのはチュルイ・チョンバー橋、通称日本橋という橋でございますが、これが真ん中から切断をされておりまして、現在使われておりません。木庭委員もごらんになったことと存じます。この復旧が一日も早くということがございまして、フン・セン首相からも、ぜひ日本の手で復旧してもらって日本とカンボジアのいわば友好の橋と名づけたい、こういうお話がございました。
 それから、その橋だけを完成させたといたしましても、それにつながる国道が整備されません片実は効率を上げ得ないという問題もございますので、たまたま私は建設大臣といたしまして、チュルイ・チョンバー橋につながります国道六号のAというのを視察いたしまして、四時間もその道路を走ったのでございます。まことに劣悪な状況下にあるということをみずから体験をいたしまして、一日も早い修復が必要であると存じました次第でございます。
 それのみならず、これはフン・セン首相も言われましたし、客観的にもそう言えるわけでございますが、仮に国連、UNTACの活動によりまして永続的な和平が確立いたしたといたしましても、もしインフラ整備を果敢に行いまして経済の復興が進んでまいりませんと永続的な和平そのものがまた壊れてしまうという要因を残すことになるのでございまして、これはいわば革の両輪であると痛感をいたしました次第でございます。
 そこで、いつになったらできるのかという話でございますが、そこまで来ますと私の、建設省の守備範囲を越えていくわけでございますけれども、今私が承知している範囲では、チュルイ・チョンバー橋に関しましてはこの夏にも第二次の調査団、これは極めて基礎的な調査をこれにて完了するということを聞いておるわけでございます。
 向こうに行きますと、日本から調査団はたくさん来るけれどもさっぱり進まぬという声も実は聞いた力いたしまして、確かに日本の経済協力にはいろいろ手続もシステムもございまして、若干時間をとるという傾向もあることは否めないと思いますが、まず調査を行い、その後その調査を踏まえましていろいろとフィージビリティースタディーをいたしまして詳細設計をやる。さらに、詳細設計が双方において受け入れられるものであった場合に工事に着手する、こういうことでございます。
 さきの委員会におきましても、外務大臣も極めて意欲的な御発言をなさったところでもございますので、時間を申し上げるのはどうかと思いますが、例えば平成五年度中には完成をするような方向で政府として努力したらどうかという私なりの感想を持っておる次第でがございます。
#101
○木庭健太郎君 あと、経済協力の問題で外務省として既に五つの調査団を送った。医療、農業、海外青年協力隊、橋の修復、電力、この五分野について調査団を送られた。先ほど午前中、その結果について局長の方から御答弁があっておりました。それぞれどういったところに問題点があるかということがほぼ見えてきた段階だと。例えば医療については結核対策であるとか、電力については現在ディーゼルで厳しいとか、いろんな話がございました。
 それを受けて、これもぜひお伺いしておきたいんですけれども、海外青年協力隊については先ほど派遣の時期の話がございました。緊急にOBを派遣して、年末には多人数、新聞報道によれば数十人の海外青年協力隊を派遣できる状況になりそうだというのも載っておりました。そうすると、残りの分野、例えば農業、医療、それから電力、橋、こういった問題については外務省としていつごろの時期からこれに具体的に人を派遣し、金をつけ、どういう形でやろうとなさっているのか、その点についてだけ御答弁をいただきたいと思います。
#102
○政府委員(川上隆朗君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、五つの調査団を派遣いたしまして、今海外青年協力隊については大体先生が言われたようなラインで検討しているわけでございますが、他方、橋につきましては、今、山崎建設大臣から御答弁がございましたように、我々といたしましては橋のみならず、ニーズが既に指摘されております六A号線という道路なんかの修復ということも踏まえまして、全体として積極的に考えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 農業分野、医療分野につきましても、若干けさほども触れましたが、農業分野につきましては、我々といたしまして特に人の分野の協力、人材育成の分野の協力というのが何といっても必要だということで、そういう意味での技術協力はこれはもう具体性を持ってできるだけ早くやりたい。つまり、可能ならもう極端に言えば数日中、数週間、数カ月といったような単位で、これは来年やるとかいうような話ではないということで、先方と具体的に調整している状況でございます。
 医療についてもほぼ同様で、分野につきまして先生先ほどもう既に言われましたけれども、やはりこれも人材の育成の分野あるいは病院の管理の分野、結核対策の分野といったようなことが向こうから要望として出ておりますので、さらに具体的な要望を先方と協議中であるというふうに御理解いただければと存じます。
 電力分野につきましては、けさほど通産大臣からも御答弁がございましたが、電力の事情が非常に悪い、とにかくまずこの分野が必要ではないだろうか、この分野の修復、特にディーゼル発電というものが非常に稼働率が落ちているということでございますので、その手当てを何らかの形で早急にやると、これもできる限り早くやりたいというふうに考えております。
#103
○木庭健太郎君 私がなぜこんなことをわざわざ聞いているかというと、要するにこのカンボジア支援の問題で反対される方は、これは自衛隊派遣のためのカンボジア支援だ、ほかは政府は一切やっていないと。別に政府を守るわけじゃないです。ただ、いろんな形でやっていることをある意味では国民の目に見える形で、外務大臣、ぜひ外務省としても伝えてほしいわけです。
 我々別に自衛隊を派遣したいからこの法案をつくろうと思っているわけでもない。ただ、カンボジアで今困っている人がいらっしゃるなら、それにどれだけ総合的な支援ができるかということを論議をし、きちんとした形でやりたい、そう願っているわけです。そういう意味で今幾つかお聞きしましたけれども、おっしゃったように、すぐにでも派遣できる農業分野とか医療とか、実際にそこで文民ができるのであれば、そのバックアップ体制ができている部分があるならばなるべく早く対応していただきたい、このことを思っているわけでございます。
 もう一つ、大きな問題になっている難民の帰還の問題についてもお伺いをしておきたいと思います。
 この三十七万人の難民の帰還、午前中の論議の中ではとてもとても来年の選挙までできない状況じゃないかという厳しい指摘もありました。確かに状況は深刻であると思います。この点について、難民の帰還が今どういった現状になっているのかというのを具体的に教えていただきたいし、またこの面で我が国として資金援助のほかに、例えば医療とか定住指導とかの人的貢献はできないのかどうか、その面も含めて御答弁をいただきたいと思います。
#104
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 御承知のとおり、ことしの三月三十日から難民の帰還が始まったわけでございますが、四月九日までに計二千五百七十四人のカンボジア難民、避難民がカンボジア国内に帰還した。それで、旧正月の休みがあったものですからしばらくオペレーションがとまっておりましたけれども、四月二十一日から再開されまして、五月二十二日までに計一万三百三十四人が帰還したということでございます。したがいまして、私たちが五月二十二日までのオペレーションで合計として承知いたしておりますのは一万二千九百八人ということでございます。これはトータル推定三十七万人のうちから、ようやく五月二十二日現在までに一万三千名弱が帰ったということでございます。
 UNHCRによりますと、HCRの当初の計画では四月末までに一万人の難民、避難民を帰還させることを目標としていたわけですが、安全の確保、これは地雷の撤去状況ですが、それから帰還先の土地の選定の問題、あるいは水の供給等インフラ整備の問題のために若干おくれぎみということでございます。
 先般、四月の半ばに緒方高等弁務官が東京に滞在しておられたときに私も会談いたしまして、この難民のおくれについてどう考えておられますかとお伺いしましたところ、四月の段階はとりあえずオペレーションを始めた段階なので、今後難民の帰還をスピードアップしていくということで、今のところ難民の帰還のおくれということを自分としては余り心配はしていないということを言っておられました。
 それから日本としてどういう援助その他を行ってきているかということでございますが、先生御承知のとおり、難民の帰還につきまして国連が帰還計画のアピールを国際社会に出しておりまして、一億一千六百万ドルというのが総額でございますが、これに対しましては、各国に先駆けまして各国中最大の合計三千五百万ドルというものを拠出しておることは御承知のとおりでございまして、この点につきましても四月に東京に来られたHCRは、日本が本当にどこの国にも先駆けでこれだけの巨額の拠出をしていただいたこと、大変感謝しているということを言っておられましたので御紹介させていただきたいと思います。
 それから、それ以外にどういう対応があり得るのかということでございますが、基本的にはUNHCRは、先生よく御承知のとおり、非常に何と申しますか、物資の調達あるいはオペレーションのための人の雇用、こういうものについて大変経験を持っているものですから、UNHCRとしては一番重要なのはそういう資金源だということを言っておられるわけです。ですから、例えば日本からランドクルーザーを買って、調達して、それをカンボジアで現在使っているというのは御承知のとおりで、人の面についてもそういうことなんだろうと思います。
 ただ、それじゃお金以外何もしなくていいかといいますと、緒方さん自身が一つ言っておられましたのは、今後難民の帰還がスムーズにいくかいかないかは、結局帰ってきてみたが仕事がない、あるいは農業に手をつけてみたけれどもどうも開発がうまくいかぬという、そこのところがネックになるのは非常にやっぱり問題だと。そういう意味で、御承知のとおり、六月にカンボジア支援のための国際会議が東京で開かれますけれども、そういう経済復興、それにほかの国と一緒になって日本がどの程度のことができるかというのは、難民の帰還に非常に大きな影響を与えるのではないかというふうに考える次第でございます。
#105
○木庭健太郎君 それでは、少し角度を変えまして社会党の発議者の方にお伺いをしたいと思います。カンボジア問題に関連してですから、特に私はUNTACの協力のあり方についてお聞きをしたいと思うんです。
 UNTACの形も、ほぼ形がかなり見えてまいりましたけれども、社会党案に即してするとどの部門にどれくらいの人間が派遣できると予想されているか、簡潔に教えていただきたいと思います。
#106
○委員以外の議員(野田哲君) まず、私どもの提案をしている案では文民による協力という立場でございますから、第一は文民警察、それから第二番目には選挙に関する必要な要員の派遣、こういうことになりまして、この二つの分野につきましては、これは政府案と共通の立場に立っているわけでありますから、必要な法整備ができれば直ちに準備に入れる状況にあると思います。
 それで、文民警察につきましては、午前中の論議の中でも現在の状況について外務省の方から十三カ国四百三十名という報告がされております。したがって、法整備ができれば直ちにUNTACと協議に入ることになりますが、その場合には七十名ないし七十五名ぐらいの要員の派遣ということを想定しているわけでございまして、これにつきましては、必要な現地での警察行政に対する指導、助言、それから警察行政に対する監視、こういう分野が主たる任務でございますので、それに必要な行政能力あるいは語学力等につきましてトレーニングをした上で派遣ということになろうかと思います。
 それから選挙の要員につきましては、午前中の議論の中で、来年五月というのは準備の状況からいってちょっと無理なのではないかと思いますが、私どもの方としてもなかなか五月というのは難しいんじゃないかと思います。
 業務は大きく分けて二つあると思います。一つは選挙人名簿をどうやってっくっていくか、このことが一つ。これがまず先行される業務でございます。それから二つ目には、実際に選挙になったとき、選挙が公正に行われるための必要な監視。そういう業務について、それぞれ選挙人名簿の作成についてもあるいは選挙の実務についても指導、助言ということが主たる任務になってまいります。
 この点につきましては、かつてナミビアのことについて経験をしておりますから、地方自治体と協議をして有能な職員を派遣していただければ、大体UNTACとしては当面一カ国で二十五名前後の要請があるのではないか、こういうふうに考えておりますので、それに沿っての交代要員をも含めた体制がとれるのではないか、こういうふうに考えております。
 それから三つ目は、経済分野を中心にしての行政指導、技術指導、あるいは人権保護の部門、あるいは経済流通部門、そして医療、保健、こういう分野が想定をされておりますので、これにつきましてもそれぞれ文民あるいはボランティアを中心にして数十名の派遣は可能である、こういうふうに考えております。
#107
○木庭健太郎君 今、UNTAC側から別に本格的な要請があったわけではございません。ただ希望として、例えば停戦監視団が不足しているから欲しいという話もあります。確かに今おっしゃった文民警察の話もございました。この辺は、停戦監視団については、社会党案で言えば軍事部門ですからだめだということだと思います。そして文民警察はやる。ただ、残りの例えば輸送、それから緊急のインフラ整備、それから通信といった部門も希望が強いと聞いておりますけれども、これについてはどう対応されるお考えでしょうか。
#108
○委員以外の議員(野田哲君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました文民警察、それから選挙の業務に必要な要員、それから一般的な行政面についての指導、助言のための行政要員、これに加えて難民の問題あるいは被災民の救援、そして復旧のために必要な各分野における技術的な要員、こういうことが想定されると思います。
 特に、当面の課題とあわせて中長期的に生活、経済のインフラの再建、整備、こういうものを中心にして人材の養成を主眼にしての人的な協力、資金的な協力、こういうふうに私どもは考えているところでございまして、この点につきましては、午前中にも御出席がありました清水さんなどのNGOの皆さんの経験、現地で既に長い間活動しておられますが、こういう方々の経験等も十分反映させながらこれらの分野で取り組んでまいりたい、このように考えております。
#109
○木庭健太郎君 厳しい言い方をして申しわけないかもしれませんけれども、そうなると要望の出ている輸送、通信、緊急のインフラ整備みたいなものは、現状では取り組めないという御返事だと私は聞こえました。
 法案を見ると、軍事部門を除くと言いながら、一応紛争被害者の帰還の援助、それから輸送、通信、医療、建設分野に参加できるとなっているわけでございます。ただ、UNTACの場合はこうした分野が一応軍事部門に組み込まれてしまっている。そこがネックになってだめだとおっしゃっているのかなとも思いますけれども、その辺の見解をお聞かせ願えれば幸いです。
#110
○委員以外の議員(野田哲君) 今おっしゃった分野について、率直に言って私どもとしては二つの分野があると思うんです。一つは輸送とかあるいは通信とか建設とかいう分野についてのいわゆるPKF、軍事部門に対する後方支援の分野としての医療や建設、輸送、こういう分野と、もう一つは民生安定のための医療、輸送、建設、通信、この二つの分野があると理解をしております。したがって、私どもとしては民生の安定、難民救済のための医療の分野あるいは輸送、建設、通信など、この分野にできる限りの協力をしていく、そういう立場に立っているわけでございます。
#111
○木庭健太郎君 そういう区別がなかなかできてないのが、このPKOの私は本質だと思っております。
 先ほども論議になっていましたけれども、例えば今カンボジアで医療というものを考えた場合、ドイツが確かに派遣しております。だれを派遣しているかというと、これは軍人を派遣せざるを得ない状況もある。自己完結能力という話が午前中にもございました。そういった問題とともに、やはり例えばPKO全体の構成を考えた場合にどうなるかといえば、一つの組織体を考えた場合、そこに文民がまじることの難しさも一面あるんです。確かに、選挙や文民警察のように独立した別部門で文民ができる部門もある。しかし、そうでなくて、PKO全体を考えた場合、今言われた輸送、通信、建設という部門は、これは確かにPKFの後方支援であり、なおかつ民生安定のため、この二つを兼ね備えてやっているわけです。そういうことを言っていると、私は、この法案に則して何もできなくなってしまうのじゃないかという気がしてならないんです。
 それともう一つは、今御指摘したように、輸送、通信、医療はもちろん、最近ごらんになったと思うんですけれども、例えば難民の帰還の問題がある。難民の帰還をするときに、タイを越えて国境線まで来るんですよね。では国境線から定住地まで難民を運ぶ場合、バスにだれが同乗するか。これは難民の安全を確保するために、こういうPKFの、軍事要員といったら軍事要員ですよ、そういう人がやっぱり警護して乗るんですよ。
 だから、確かに難民帰還部門というのはUNTACの構成でいえば非軍事部門です。しかし、そういうまじり合っているのが、ある意味では特徴にもなっているわけでございます。特に、今回のUNTACの場合では今言った輸送、通信、医療、難民帰還の援助、それから緊急のインフラ整備、すべて軍人が担当しております。逆に言えば、今の状況では、文民が参加できる状況にはその部門についてはないと言わざるを得ないと思うんですけれども、かえってそういう構成の中に文民が入っていった場合に整合性がとれないんじゃないかと私たちは思っております。その辺の認識についてもしあれば伺っておきたいと思います。
#112
○委員以外の議員(野田哲君) 現にカンボジアで、午前中出席をされました清水さんなどを中心にした、私どもの聞いているところでは約百名ぐらいの現地での活動が行われているわけでありまして、これは主としてインフラ整備、民生の分野、こういうことでやっていらっしゃるわけでありますから、そういう点では政府が派遣する文民の分野の仕事というのはかなり広い範囲である。
 御指摘になりました、また私どもが想定をしております例えば輸送とか通信とか、こういう分野の仕事というのは、車を動かすとかあるいは汽車を走らせるとか、それを直接やるということではなくて、できるだけ現地の自立をするためのアドバイス、技術指導、こういう分野を想定しておりますので、そういう点はPKFの分野とまじり合うというようなことは、私はないというふうに認識をしております。
 それから、難民輸送の分野につきましては、確かに、木庭委員御指摘のように、軍事部門といいますか、軍人が直接輸送に当たっているというケースが多いわけでございますから、これは私どもとして、文民という立場で行く場合には、その分野まで私どもの仕事が受け持つということにはならないのではないか、そういうふうに思います。
#113
○木庭健太郎君 今短いやりとりをやらせていただきましたけれども、やらせていただくと、結局、現状で社会党法案でやろうとしても事実上できるのは文民警察と選挙監視である。そのほか、ボランティアの方たち、NGOの方たちにお手伝いをいただいて、これは別の形で、NGOの形で支援をする、野田発議者から今伺った感じでは、そういう形にならざるを得ないと思うんです。
 そうすると、これは申しわけないんですけれども法案の必要性が、今後の問題は別です、今後PKOがいろんな形で変化して文民部門がふえてくれば別ですけれども、事UNTACだけに限って言えば、ある意味では、これは社会党の方がおっしゃったんですけれども、文民警察と選挙監視については現行法でも出せるじゃないか、そう厳しいおっしゃり方をいたしました。でも、そうなると、この法案をせっかく出しているのにこの法案が生きるのかといったら生きない。その辺の難しさを非常に私は感じざるを得ませんし、私もこのNGOの支援ということは非常に大事だと思っています。
 ただ、NGOがもっともっとふえて活動するためには、逆に言えばUNTACによる民生の安定であり治安の安定であり、そういういわば、どういう意味の後方支援になりますかね、軍事的な後方支援じゃなくてバックアップ体制という部分では、UNTACの充実というのはこれは絶対必要であり、それができていけばできていくほど、これはNGOの方たちも入っていってより早いカンボジアのお手伝いができると私は認識しております。
 そういった意味では、私たちはぜひこの法案を通していただいて、そういう民生にも役立つ後方支援を、ある意味では通信とか医療の分野、それが実際今のUNTACの中では軍人の方たちが担当していらっしゃる。そういう一貫性の問題、またいつも言われる機構の問題、いろんな問題あります。そういうことも含めてもぜひこの法案を、政府案を通した形で支援をすることが大事じゃないかというふうに思っておるんですけれども、最後に防衛庁長官からその辺の話を聞いて終わりたいと思います。
#114
○国務大臣(宮下創平君) 大変御理解のあるいろいろ御発言を拝聴して心強く存ずるところでございますが、自衛隊は、何が何でも自衛隊をPKOに派遣するということがまずありきではございません。
 今議論されておりますように、社会党の野田委員からもお話のございましたように、民生協力、最後はやっぱりカンボジアが新生民主国家として再生すること、これが何よりの目的でございます。ただし、現状においてはやっぱり軍事部門の果たす役割が非常に大きいからこそ、二万有余の中で一万六千人も各国の軍隊が、今三十六カ国だったですか、最終的に四十四とか言われておりますが、そういう国が参加するわけでございまして、私どもはそういうことに思いをいたすときに、何が何でも自衛隊をまず派遣しなければならないという観点ではございません。あくまでこの現状に即した国際貢献をやるには、自衛隊の能力とか組織とか経験とかそういうものを生かしていく。しかも、現実には監視団あるいはPKF本体業務も各国とも軍隊を派遣をいたしまして、その協力体制のもとでやっております。
 今、先生、後方部門のことについてもお触れになりましたが、後方といえども画然と文民でやるところと軍事部門の参加者でやるところと厳密に区別できないとおっしゃるのは、私はもうごもっともだと思います。そういう面で、輸送、通信等々大変ないろいろ量的なまた装備も必要でございますから、私どももそういった面の活動はぜひともやってまいりたいと思いますので、そのように御理解いただきたい、こう思います。
#115
○木庭健太郎君 終わります。
#116
○立木洋君 カンボジアにおけるUNTACの決定で業務が進められているわけですが、これは国連を中心とする関係二十カ国、その参加のもとで締結したパリ協定、これに基づいて進められているわけです。
 ところが、そのパリ協定に加盟している国々の中で、日本がこのカンボジアのUNTACの軍事部門に自衛隊が参加することについては、異論や事実上の反対意見が複数の国から出ている。しかも、そのうち中国は国連安保理の常任理事国である。つまり、パリ協定に基づいて作業を進めるその加盟国の中で日本の参加に異論が出ているという状態を、国連中心主義だと言われる日本としてはどのようにお考えになっているのか。これをこのまま放置しておかれるのか。その点について、まず最初に宮澤首相の御見解をお聞きしたいと思います。
#117
○国務大臣(渡辺美智雄君) 別に中国が反対しているわけではありません。中国は、海外派兵は慎重にというのはもうずっと前から言っておることでございまして、今すぐ始まった話ではありません。これは国連が決めることでございますから、国連の要請がなければ出ていかないんですから、中国は国連の常任理事国でもございますので、これがそれは賛成しかねるということになればもともと出ていかないんですから、心配ないんです。
#118
○立木洋君 中国だけではなくて、複数の国というふうに私は述べたんです。中国は安保理常任理事国であるが、複数の国がやっぱり異論及び事実上の反対を述べている。正確にちょっと聞いていただきたいんですが、ですから問題は、そのようにアジアの諸国における国々が述べておる、しかもパリ協定に参加している国々が述べておられる意見をそういうふうに安易に考えるということは、国際的な世論が二分化されている状態の中で、今後の日本のとるべき進路を誤ることになるんですから、それはちゃんと受けとめていただきたいということをこの際述べておきたいと思うんです。
 カンボジアの協力には、午前中来いろいろ同僚議員の中からも指摘が出されましたように、軍事部門に対する問題だけではなくして、七つの部門がUNTACにあるわけで、これらのすべての部門にやっぱり協力する。どうしてその中で日本政府は軍事部門にだけ固執をされるのか、その点について改めてお尋ねしたいと思います。
#119
○国務大臣(渡辺美智雄君) 軍事部門にだけ固執をするというんじゃないんですよ。要するに、いろんなことをやるについても治安の確立ということは必要なんですね。それで、停戦は協定で終わりましたといっても、本当に約束が守られているかどうか、末端まで徹底しているかどうかわからなければ困るわけですし、やはり停戦でお互いに武装解除に応じますと。だから応じると言っているんですから、それじゃ武装解除の、だれが預かるんだと。第三者が預からなければ、お互いに戦っている同士の者が預けるはずはないんですから、中立な人に要するに武器を預けますと。預けて、それを破壊するなり価するなりはこれ相談の上やるんでしょうが、そういう中立の人が行かなければこのけんかの仲裁の後始末、けんかの仲裁と言っては語弊がありますが、わかりやすく言えばそうですわな。
 だから、そういうことは要するに手なれた人でなければやりづらいんですよ、手なれた人。軍人さんとか何かは兵器の扱いも知っているし、それは地雷の撤去も知っているでしょうしいろんなことを知ってますから、捕虜の交換とか、いろんな武器の今度は弾薬庫を警備するとか、そういうのは民間の人に行ってやってくださいと言ってもなかなかそれは向かないので、だから各国とも国際常識として軍人さんが行く。軍人さんが行くから軍事部門とこう言われるのかもしれませんが、各国とも軍人さんが主として行っていることは間違いないんですよ。これは国際常識なんです、これは常識。
#120
○立木洋君 大臣、一九九〇年の十一月に、あなた方は自衛隊はだめという結論を一たん出されたんじゃないですか。
#121
○国務大臣(渡辺美智雄君) 話がどういうことかいきさつはよく知りませんが、いずれにいたしましても自衛隊がやっぱり行くことが一番いいという結論に達したんですよ。やはり勉強の結果というのはあるわけですから、いつまでも固定観念だけにとらわれなくて、勉強の結果そういうことにまとまったんです。
#122
○立木洋君 重大な問題なんです。どういう経過があったか私はよく知りませんがなんというようなことで、外務大臣あなた勤まるんですか。一たん政府自身がいわゆる自衛隊はだめだという結論を出したんじゃないですか。私はそのことを聞いているんです。自衛隊はだめだという結論をあなた方は一たん一九九〇年の十一月に出したのか出さないのか、はっきりしていただきたい。
#123
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はその当時外務大臣というよりも、詳しいいきさつ知ってますから、その人に言ってもらいます。
#124
○政府委員(野村一成君) これ事実関係の御指摘、いわゆる三党合意についての御指摘だと思います。
 三党合意におきましては、その三項目でございますけれども、特に組織の面につきまして、「自衛隊とは別個に、国連の平和維持活動に協力する組織をつくることとする。」ということでございまして、要するに、組織的にどういうふうに自衛隊を活用するのがいいかということを言っているわけでございまして、今先生の御指摘は自衛隊を出さないという、そういう点での御質問だと思うんですけれども、そういうことをこの三党合意が意図しているものではございません。
#125
○立木洋君 野村さん、あなた自民党のどういう役職についておられるんでしょうか。
 自民党とあなた方が引き継ぎなさっているんでしょう。だから、自民党はだめだという結論を一たん出したのか出さないのか、それをはっきりしてくださいよ。出しているなら出している、出していないなら出していない。自民党ではだめだという結論を一たん出されたのか出されないのか、はっきりしてください。
#126
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、私が外務大臣になる前の話だと思いますがね。前でしょう。これは三党でやった話ですから、三党で話が解消しても修正しても三党の話なんですよ。それはほかの党と約束したわけじゃないから、三党だけで話したんだから、三党に聞いてもらった方がいいんです。
#127
○立木洋君 第百二十国会における海部内閣総理大臣の施政方針演説で、これは九一年一月二十五日です、ここではぴしっと「自民、公明、民社、各党間の合意を尊重して、新たな国際協力のあり方につき、一日も早く成案を得たいと考えております。」、政府の施政方針演説ですよ、あなた。その政府の引き継ぎをあなたなさっていないとなったら、それはだめじゃないですか。
 だから、一たん自民党はだめだという結論を出されたのか出されていないのか、政府としては。出していないなら出していない、出しているなら出している、明確にしてください。
#128
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、三党で決めたことについて政府は尊重すると言っているわけですから、三党が別なことを決めれば政府は尊重するということですよ、それは。
#129
○立木洋君 やっぱり総理に明確な答弁をいただかないとだめですね、どうも。
 では、宮澤首相にお尋ねしますが、三党合意で自衛隊とは別組織にするというふうにしたのは、自衛隊がだめだという結論ではなかったとしたら、どういう根拠で別組織にするということを政府としては認めたんでしょうか。
#130
○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#131
○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。
#132
○国務大臣(宮澤喜一君) 平成二年十一月九日に三党においてそういう合意覚書がございました。そこで海部総理大臣も、この覚書の趣旨を政府としても尊重するということを言われたわけでございます。その後、三党におきましてこの覚書をどのように実行するかという協議がございまして、その協議をしていきますと、やはりこの合意覚書からさらに一歩進めないと有効な対応というものができないということで、三党がいわば新しい考え方を打ち出すということで検討が進められた、こういう経緯であったと存じます。
#133
○立木洋君 宮澤首相、私がお聞きしているのは、政府として一たん自衛隊ではだめだという結論を出されたのか出されなかったのか。出されていないなら出されていないで結構なんです。だから、出されたのか、出されていないのか、そのことを明確にしていただきたい。
#134
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府の決定というのは、政府が責任を持って法案を提出するということでございますから、海部総理大臣が演説をされた段階においてはこの三党の合意で政府としてもひとつ考えてみよう、こういうふうに演説されたことは私はそうであると思いますけれども、しかしそれは法案というような具体的な形をとったわけではございませんで、さらに三党の間で協議をした結果、さらにそれよりも今のような考え方の方が現実的であるということになりまして、政府として初めて提案を申し上げた、こういう経緯かと存じます。
#135
○立木洋君 この三党の合意が十一月九日にあって、そしてそれに基づいて、政府としてはこの自公民各党の合意を尊重して、それが一日も早く成案になるようにということで海部さんが述べられたわけですね。ところが、そういうふうにして施政方針で述べられておきながら、政府がその内容をひっくり返す提案をしたというのはどういう意味でしょうか。
#136
○国務大臣(宮澤喜一君) 海部さんが言っておられますとおり、三党の合意を自分としては誠実にやりたいということを言われたわけでございますね。その後、三党が検討していった結果、この覚書よりはもう一つ現実的な処理があるではないかということになりましたので、前と同様の精神に基づいて政府はその三党の新しい合意を尊重した、こういうことだと思います。
#137
○立木洋君 ところが、事実はそうではないんです。平成三年八月にまるっきり三党合意とは違うのを政府は提案したんです。新たな国際平和協力に関する基本的考え方――三党の協議のための中間報告、平成三年八月、明確にそこに書いてあるのは、五のところ、「「平和維持活動協力隊」の構成」、その(二)「本部長の要請を受けた関係行政機関等よりの任期を定めた職員の派遣(自衛隊の部隊または自衛隊員の参加については、「隊員」の身分および自衛隊員の身分を併せ有することとして所要の検討を行う)」、三党合意を尊重して検討すると言っておきながら、三党合意を検討する前に政府は中間報告を出している。これを八月の二日に公明党と民社党にあなた方示したんじゃないですか。政府が三党合意を受け入れると言っておきながら、それを尊重しないで政府がひっくり返す案を出したというのはどういう意味ですか。
#138
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 何分事実関係の若干違った御認識をお持ちでございます。三党合意、確かにおととし十一月できまして、その後、三党間でも具体的に協議を進めてまいるその過程で、これは五月でございますけれども、三党の方から政府に対しまして、ひとつこのいわゆる三党合意を踏まえましてたたき台となる考え方をつくってもらえないか、そういう要請がありまして、それを受けましてつくりましたのがただいま先生御指摘の八月のいわゆる私ども中間報告と呼んでいるものでございます。それはあくまでさっき申しましたように三党に対して政府が求められて出したものでございまして、それを受けてさらに何回か三党間で協議が行われまして、それで党としての、三党の合意を踏まえてこの案が成立に至った、そういう経緯でございます。
#139
○立木洋君 事実の経過についてはそれはほぼそのとおりだと思うんです。しかし問題は、私が言っているのは内容なんです。三党合意の内容、自衛隊とは別組織とするという三党合意とは違ったまとめ方を政府は進んで行ったということですよ。だから、八月の二日に出されたときに公明党の方々は反対したじゃないですか。ちゃんとこう書いてある。「中間報告は、自衛隊の使用が前提となっているのではないか。完全な別組織にすべきである。」「形式的に「本部」をつくって実体は自衛隊というのでは駄目だ。新組織が実体を持ったものにすべきだ。こう言って強烈に反対が出たじゃないですか。
 政党間の政治であるなら、三党合意のそういう主張があるならば、それに基づいて政府がまとめるならば考え方はわかるけれども、それとは全く違うものを政府が主導的にやった、しかも施政方針演説で三党の合意を尊重すると言いながらそういうことをやっていないんですから、これはとんでもない。もう野村さんの答弁ではなくて、やっぱり首相に。
#140
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっとしかし、やっぱりおっしゃっていることは私違うと思うんですね。
 三党合意を十一月の九日の夜中にやりました。それで、それから多少時間がたって、皆さんいろいろ考えて、それは初めてのことでございますから試行錯誤の過程があると思いますね。それで、この三党が改めて政府にというよりは実は事務当局にひとつ新しい考え方を、たたき台を考えてみろというお話があって、それを提出したと。そのときに、三党はすぐにそれでいいと言われたわけではないでしょうけれども、やっぱりいろいろ考えてごらんになったら、うん、やっぱりどうもそれしかないだろうということになっていったわけですから。
 つまり、三党合意というものが十一月九日にあった、これはもう金科玉条であって、それを変えたらおかしいじゃないかというお話らしいのですけれども、そうじゃないので、やっぱり三党がいろいろ考えてみたら、もっといい案がある、現実的な案はこうだったということになりまして、やはり三党の合意がそういうふうに改まって、その上で政府が御提案をしているということですから、確かに三党合意の内容は平成二年の十一月とその後で変わりました。そのことはそうでございます。しかし、それは三党合意が変わったのであります。
#141
○立木洋君 三党合意を尊重するということを受けて、政府として施政方針演説で全国民に明確に自民党の政府の方針を示したのです。そうですね。もう三党合意ではなくなっているんです。政府の態度になっているんです。ですから、自民党の大会の中でも、海部さんは明確に平成三年一月二十四日、自民党大会でも方針として三党合意を尊重すると明確にされた。そして施政方針も明確にされた。そして、御承知のように去年、全国的な地方選挙が行われましたが、そのときにも自衛隊を海外に出しますなんてことは一言も公約では述べられていない、自民党の公約でも。
 そういうふうな国民に対して責任を持つべきところで、明確に自民党政府として、また自民党として態度を明確にしておきながら、それを結局は踏みにじるという結果になっているということは明白であります。そのことは、総理がどのように国民に対して施政方針を演説しようが、自民党の大会で国民に対する公党としての責任としてどういう方針を決めようが、党間でどういう合意をしようが、そういうものほかなぐり捨てて、結局は自衛隊を海外に送り出すということがまず先にあったということは、結果としては明白です。私はその点をはっきり指摘しておきたいと思います。
 最後に述べる点では、一番最近の全国の選挙、これは去年の一斉地方選挙であります。このとき自民党は、自衛隊とは別組織とするという態度をとって選挙では戦われました。別組織ということで国民に信を問うておきながら、公約にない別のことをやろうとすることは、国民に対して、主権者国民の意思をないがしろにする結果になるのではないか、この点については総理はどのようにお考えなのか、明確にしていただきたい。
#142
○国務大臣(宮澤喜一君) 重ねて申し上げますけれども、三党合意の結果を政府としては尊重するということは終始一貫しておりまして、十一月の三党合意とその後の三党合意が違うじゃないかとおっしゃいますことは、私はそのとおりと思います。それは試行錯誤の結果そうなったのであって、政府の一貫した態度はいずれにしても三党の合意を尊重すると、こういうことに変わりはないと思います。
#143
○立木洋君 今の総理の答弁は、私は納得するわけにはいきません。つまり、国民に対する政府の施政方針の演説で明確にされなければならない、その方針の中でも三党合意を尊重すると述べておきながら、そしてしかも、それがなぜそういう三党合意に至ったのかという点について私は繰り返し質問したにもかかわらず、その点については明確な答弁がないまま、結局は最初から自衛隊の海外派兵をもくろんでいたというふうになるならばこれは国民に対する大変なペテン的なやり方であるということも指摘しておかなければならないと思う。私はそのことをもって、時間が来ましたから質問を終わります。
#144
○磯村修君 連合参議院の磯村でございます。
 私、午前中からいろいろな質疑をお伺いしておりまして幾つかの疑問を持ちましたので、その点を中心にお伺いしたいと思うんですけれども、その前に、過日の当委員会で山崎建設大臣が、サンダーソンUNTACの司令官とお会いしたときに、日本側に対しましてカンボジア復興のために建設技術者を中心とした工兵隊、自衛隊でいえば施設部隊というのでしょうか、あるいは医療部隊の派遣を求められている、こういうふうなお話を承ったんですけれども、これにつきましてそういう場合にはどの程度の規模の自衛隊を派遣するのか、その規模等につきましてちょっとお伺いしておきたいと思います。
#145
○国務大臣(宮下創平君) まだ私ども具体的に調査したわけでも、また先方からの要請も承ったわけでもございません。大体はいろいろの情報を得て私どもとしては検討をしておることは事実でございますが、今委員の御質問の中の施設隊、医療隊を派遣する場合にどの程度の規模になるかということは、これはこれから詰めなければならない問題でございますので一我的にお答えを申し上げることはできません。
 ただし防衛局長が、ユニットとして、単位として医療隊を出す場合は、医官を二十名のときは百八十名というのを二百七十名くらいになりますというような、これは一定の前提を置いた上での規模の答弁を申し上げたことがございますけれども、これは必ずしもそういった単位で出すということではございませんで、自己完緒的な意味で編成いたしますとこのような編成も考えられますということを申し上げたわけでありまして、それ以上でもございません。
#146
○磯村修君 カンボジアの戦後の復興、紛争後の復興は大変なことだと思います。特に午前中の質疑を聞いておりましても、もろもろの住民の生活に直接かかわる問題を早急にお手伝いして復興させていかなければならないというふうな感じを一層強めたわけなんですけれども、ともかく政府側の方の答弁を伺っておりますと、いわば政府方針がこれから決まれば具体的に進めていくというふうな程度の答弁だったと私記憶しております。やはり民生面でのお手伝いというのを強力に促進して協力していくような形を早く整備する必要があるんじゃないか、こういうふうに私は思います。
 例えばこれまでの質疑では、自衛隊派遣あるいは派遣しないというふうな、これは大変今度の法案の中心的な問題として論議を呼んでいるわけなんですけれども、午前中、社会党・護憲共同の田委員が申しておりました。PKOというのは各国の、私流に理解したんですけれども、各国の相互援助によって成り立っていくものだと、こういうふうに私受けとめました。
 つまり、例えばドイツは医療、医師とかあるいはそれに伴う看護婦というものを送っている。あるいはフランスはパイロットあるいは整備士だけというふうな形でもって、いわば警備の面は他の国から来ている歩兵がやっている。こういうふうなことを承ったんですけれども、やはりそういうふうに各国がそれぞれの立場で援助しながら成り立っていくものが、全体のそういう形がPKOというものであろう、こういうふうに私思ったんですね。
 そういう意味合いにおいても、日本の場合もやはり相互援助という各国のお互いの力を合わせてのお互いの立場の仕事で協力していくという、そういう全体のPKOということを考えた場合に、日本もやはり自衛隊云々というよりも、やはりできること、民生面での技術提供とかあるいはいろいろな面での、医療面での援助とかということをまず積極的にそれを考えて、我々の立場から言えば別組織をつくって派遣すべきではなかろうか、こういうふうな私印象を強めたんですけれども、相互援助の形でのPKOということにつきまして、総理はどんな印象をお持ちになりましたか。
#147
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまおっしゃっておられます限りのことで申しますならば、それは我が国としてやはり各国と協調しながらできるだけのことをして、国連の平和維持活動に協力しよう、こういうことであります限り私どもそう思っておりまして、その中で、しかしこれだけのものは排除しなければならないとか、こういう方法はいかぬとかいうことについては、それはいろいろな御議論があると思いますけれども、政府としては憲法で許される範囲において総力を挙げてできるだけのことをしたいというのが基本的な態度でございます。
#148
○磯村修君 先ほどの質疑の中にもありましたんですけれども、カンボジアは協定は結ばれているけれども、なお、何と言いましょうか、攻撃と申しましょうか衝突と申しましょうか、そういう紛争の状態が続いている部分もある、こういうふうなことのようでございます。
 そこで私、疑問に思ったことを一つお伺いしたいんですけれども、例えばコンポントムの例のように、停戦の合意あるいは協定があってもなお一地域では攻撃的な行動があるというふうな場合に、そういうふうな状況にある中に例えば自衛隊を展開することもあるのかどうか、まずその辺をお伺いしたいと思います。
#149
○国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘のように、プノンペンとそれから十九の州がございまして、その中でも今御指摘のコンポントム州等においてその可能性が強いということは今川大使も言っておられました。ほかの川よりもコンポントム州に問題が集約されてきているというような見解の披瀝もございましたので、もしもコンポントム州で紛争に巻き込まれるようなおそれがある場合は、我が方としては、この法案の趣旨に沿いまして、事前にわかるような場合はよく調査をして、この法律の目的の機能が果たし得る状況がどうかということを判断をして、その配置についても事前協議をすべきものだと私は考えます。
#150
○磯村修君 それから、それに関連しまして、例えば自衛隊の部隊がある一定の地域に派遣されたとき、その場合、その後同じような攻撃的な行動があった場合、こちら側はもちろん撃たないかもわからないけれども、そういう攻撃的な行動が相手側の方からどこかからあった場合、その場合にはやはり自衛隊は撤収せずしてそのままそこにとどまるということになりましょうか。
#151
○国務大臣(宮下創平君) これはまさに当委員会で一番中心的なポイントとして議論されているところでございまして、そういう戦闘のおそれのある場合は、業務を中断いたしまして逃避するなりなんなりいたします。そして、それが長期に続いた場合は業務の中断をするということでございますから、カンボジア国の中のある特定地域に派遣されてそういう事態が起こった場合も、そのようなやはり基本的な原則に従って対応すべきものだと考えております。
#152
○磯村修君 政府は、五原則も法案にはございます、不測の事態とかあるいはそういう攻撃的な行動に遭う非常に危険な状況が展開されるような場面に遭遇した場合に、業務の中断とかあるいは撤収とか、そういう措置をとるというふうな、いわば実施計画の変更と申しましょうか、そういうふうな解釈でこれを補っているわけなんでしょうけれども、私は一つ疑問があるんです。例えばこの法案で、停戦の合意という前提条件が仮に崩れた場合、自衛隊の部隊は必ずそこから撤収しなければならないということが法文の解釈からいって義務づけられているのかどうかというふうなことをお伺いしたいんです。
#153
○国務大臣(宮下創平君) この中断、撤収につきましては、基本的な事柄でございますから、実施計画及び実施要領によりましてきちっとこれは決めていただかなければならない。そのことは法律ではっきり書いてございます。ただし、その前提としては、国連との協議がもちろんあるわけでございます。
#154
○磯村修君 それは、要するに法文上撤収せよと、せねばならぬというふうな義務的な解釈ということに、どういうことになりましょうかね。
#155
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生、撤収についての問題提起がございました。いわゆる中断の状況が短期間に回復しない場合にとられる措置として撤収があるわけでございますが、この撤収につきましては、この法案の、これは衆議院修正を含めまして第六条の今は十項になっておるのでございますけれども、そこで実施計画の変更という手続がとられます。
 実施計画の変更は、これは閣議決定でもって行うわけでございますので、先ほど先生、義務がどうかという御指摘がございましたけれども、これは閣議決定で撤収するということが行われるわけでございますので、明らかに派遣された部隊はそれに従って派遣を終了させるということになるわけでございます。
#156
○磯村修君 この法文の解釈といいましょうか、私どうもこの政府の見解、閣議決定ですか、それによって決まるということなんですけれども、素直に法文を見てまいりますと、義務づけられているというふうな受け取り方がどうしてもできないんです。その辺に一つの大きな疑問自体を私持っているんです。この実施計画、それに沿わない場合には実施計画を中断あるいはとにかく計画を変更するというだけで、隊員そのものに対して撤収せよというふうな義務づけが何か法文上きちっとないというふうな、私どうしてもその辺が疑問が晴れないんですけれども。
#157
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 撤収につきましては第六条で、閣議決定で撤収するということが行われるわけでございますので、当然出ている部隊がそれに従って対応しなけりゃならない義務を生ずるということになるという趣旨を私は申し述べたわけでございます。
 中断につきましても、これは第八条に掲げてございます。この第一項の六でございますか、その中で「第六条第十項各号に掲げる場合」、これは前提条件、停戦の合意が崩れた、そういった場合でございますけれども、「において国際平和協力業務に従事する者が行うべき国際平和協力業務の中断に関する事項」ということで、ここで書いてございます「行うべき」というのは、まさに行われることとなるという、そういうことと同義に使っております。
 したがいまして、今、先生申されました、まさにいわゆる五原則の第四番目の原則でございますが、これはまさにこの法案にきちんと盛り込んで、特に憲法との関係で問題のない法案にしたわけでございますので、今問題提起がございました中断とか撤収とか、そういう場合にはきちっとそれに対応しなければならない、そういう仕組みになっております。
#158
○磯村修君 もう一つお伺いしておきます。
 カンボジアに自衛隊を派遣する場合に、五月十一日の当委員会で防衛庁長官が、自衛隊が自己防衛的、民生協力の意味から地雷処理を行わざるを得ない場面も出てくるというふうな趣旨の発言をなさっておりますけれども、これは仮に部隊が派遣される場合には、そうした業務も実際に実施するということでございましょうか。
#159
○国務大臣(宮下創平君) 現在ただいま御審議をいただいている法案の第三条の平和協力業務のイからへまでの中の一つとして、放棄された武器の処理の任務が掲記されておりますから、当然地雷処理の問題も含まれるということでございます。
#160
○磯村修君 この地雷処理というのは、いわゆる本年度導入するところの地雷処理車というのは持っていくということなんでしょうか。
#161
○国務大臣(宮下創平君) これは五十九年から技研におきまして開発いたしましてようやく平成三年度で実用試験を全部完了して、いよいよ実用化の第一歩が踏み出されるわけでございまして、平成四年度の予算で初めて計上をお願いして認められておるものでございまして、今存在はしておりません。完成までにしばらく時間を要しますから、なお期間等にもよりますけれども、直ちにはこれは持参できないもの、こういうふうに思います。
#162
○磯村修君 その性能はおわかりになりましょうか。
#163
○政府委員(関收君) お答え申し上げます。
 地雷処理車と申しますのは、処理車から発射したロケットにより曳航された爆薬により地雷原を爆破処理する装置でございます。
 平成四年度の予算でお認めいただきましたこの地雷処理車の主たる性能でございますけれども、処理幅が五・五メートル、処理の縦深と申しますか奥行きと申しますか、それが約二百メートルと想定されているものでございます。
#164
○磯村修君 これはいろんなお話も伝わってきているんですけれども、まだ本体があらわれてこないから論議の汁象にもならないんでしょうが、これはまだその時点でもってどういうふうな扱いになるのかをお伺いしたいと思っているんです。
 ともかくカンボジアの援助というのは、私どもの立場から申せば、まず今の住民の方々の生活に直接かかわる問題、いわば民生面の事業からお手伝いをしていくような整備の体制を早くづくっていく。それのためには、いわば自衛隊云々の問題については今国論が分かれている最中であるので、どうしてもこれは別の組織を編成して、そして対応していくべき問題である、こういうふうに私どもは考えております。
 例えば、これは例えばの話なんです付れども、自衛隊の指揮命令系続から外して、そして総理府なら総理府の下に置くようなそうした別組織でも、直ちにやる場合は一つの方法論としては考えられるんじゃないかというふうな、いわば国民が納得し得る一番至近距離の方法論として考えるべきである、こういうふうに私どもは考えております。
 ともあれこれは、政府はとにかく最善の方法として今の法案を提出しているということでありますので、私どもの考えがどこまで取り入れられるのかわかりませんけれども、ともかくそうした立場でもって国民の合意を得られるように努力すべきである、こういうふうに私は申し上げて、質問を終わります。
#165
○寺崎昭久君 まず、総理にお伺いします。
 民社党は、これまで日本の国際貢献を前進させるという立場から、PKO法案については今国会で成立させるよう努力してまいりました。そのために褒言やあるいは献策を行ってきたわけでありますけれども、しかし政府・自民党の対応ということになりますとちょっと首をかしげるようなことが幾つか出てまいります。
 例えば、先日、見せしめ解散発言ということがございました。それからきのうは、やはり自民党の首脳の言として、民社党が国会の事前承認の枠を拡大しようと主張するならば衆議院を解散するぞということを我が党の幹部に伝えてきた方がいらっしゃいます。そういうことを考えますと、本当に政府がこのPKO協力法案を成立させようとしているのかどうか、考え直してしまうわけであります。
 こういうことが重なりますと話がぶち壊しになりかねないわけで、私どもとしては懸念しているわけでありますが、総理は、政府のそして自民党の総理・総裁として、本当にPKO協力法案を今国会で成立させたいとお考えになっているのか。もしそうであるとすれば、こうした不穏当な発言に対しての釈明と今後の対応について何らかの措置を示してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#166
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、この法律案はぜひともこの国会で成立をさせていただきたい。お願いを申し上げ、また念願をいたしております。
 次に、解散云々のことでございますが、ちょうどお尋ねがございましたので、いい機会でございますので申し上げますが、今朝も申し上げましたとおり、このことは総理大臣である私が決断をすべきことでありまして、私以外の方がそれについて云々されるということは御自由でございますけれども、それは私の考えを代表したものではないということを申し上げておきます。
#167
○寺崎昭久君 きのうの自民党首脳発言の中にはもう一つ問題があります。
 民社党は、かねてからPKOへの自衛隊派遣に当たっては事前に国会承認を求めるということを主張してまいりました。これは総理も御存じだと思います。その後、この種の法案というのはできるだけ多くの政党、会派の賛同のもとに成立させるべきだという観点から、例えばPKF凍結論にも前向きに対処しようということで今日まで努力してきたわけであります。
 しかるに、先ほども御紹介しましたように、自民党首脳がその我が党に対して、まだPKFの範囲、対象も定かでない時点で、国会承認の枠を拡大しようとするならば解散するぞと言うのは何事かと思うんです。これは今までの我が党の努力あるいは意図を踏みにじる行為以外の何物でもないし、とりようによっては民社党にブラフをかけるのかということを言いたくなるわけです。
 国会承認というのは、冒頭申しましたように、我が党にとっては政策の根幹をなすものであり、そう軽々に扱ってもらっては困ります。もし自民党が、小さい民社党のことだから余りがたがた言うんだったらおどかすということであれば、このPKO協力法案への今後の対応というのは再検討しなくちゃいけないと思いますが、総理、いかがですか。
#168
○国務大臣(宮澤喜一君) 具体的にどのようなことを申し上げ、どのような会話がございましたか私は存じませんけれども、少なくともこの法案の御審議に当たって各党各会派が誠心誠意、国のためによかれかしといろいろ御努力をなさっておられる、それ以外の何物でもないと私は理解をいたしておりますので、もしそのようにとれる発言あるいはそのような解釈がなされているとすればそれはまことに遺憾なことであって、各党とも真に国民のため国益のためにいろいろな御検討をなさっておるものと私は信じております。
#169
○寺崎昭久君 総理は、我が党の主張する国会承認を重く受けとめていただいていると理解してよろしいですか。
#170
○国務大臣(宮澤喜一君) 毎々申しますとおり、政府といたしましては、政府の提案を最善のものと信じて御審議をいただいておりますけれども、各党各会派において国益のためにいろいろな御意見がある、あるいは修正の御意見もあろうかと思います。それが国会の、院の多数となりましたときは、もとより立法、行政の分権の建前から政府としてはそれを尊重しなければならない。当然のことと考えておりますし、また各党会派におけるただいまのそのような御検討は、文字どおり、何がよりよい国益であるかということを踏んまえて御検討が続いておるというふうに考えております。
#171
○寺崎昭久君 きのうの発言に関連して外務大臣に一つお伺いいたします。
 もとより、国会承認と凍結と今言われているのは厳密に言えば同じものではありませんが、同じ内容ではないと思いますが、ほぼ重なる部分があるということで、私は五月二十二日の当委員会で、承認、凍結の対象として法案第三条二号のイからへ及び同号レで規定するもの、そしてそれ以外の業務であっても、このイからへ及びレと複合して行われる場合は国会承認の対象にしてもらいたいということを申し上げました。
 これに対して外務大臣は、例えば道路整備をやっている途中に地雷が見つかった、その場合には処理することもあるということをおっしゃられましたので、私は重ねて、緊急避難的なものは考えておりませんと、ただ道路整備をすれば地雷が出てくるであろうということがあらかじめ予想されていれば、それは国会承認のあるいは凍結の対象に考えていただきたいんだということを申し上げたつもりなんですけれども、昨日の発言などを聞いておりますと、どうも私が申し上げた意図が厳密に伝わっていないんじゃないかということを心配しているわけです。
 もう一度外務大臣のその辺の御見解、複合業務の国会承認を主張する我が党の考え方をどう受けとめられているのか、お尋ねします。
#172
○国務大臣(渡辺美智雄君) 正確に理解してなかったと言われれば、あるいはそうかもしれません。先生のおっしゃることは、PKO活動だといっても、あらかじめ明らかに客観的にいろんな事情から、橋をかけかえようとするときに、その橋のたもとにはたくさんの地雷が埋められているという確実な情報なり、そういうように思われる、合理的に推定が明らかにされるというような場合は、それは複合的なものじゃないかと。たまたまほかの人がその橋を全部点検した結果、地雷はないというので仮に日本なら日本がその橋をかけかえようと思ったら、掘っているうちに一発、二発出てきたというのとは別だと、こういう御意思であるならば理解できないことはありません。
#173
○寺崎昭久君 きょうの朝日新聞に、カンボジア問題に関連して防衛庁の首脳が、地雷処理ができないというのは困る、付随的にやることはあるという趣旨の発言をされたと報道されております。付随的という言葉も大変歯どめのかけづらい、かかりにくい概念ではないかと思っているわけでありますけれども、我が党が主張しているのは、PKFと後方支援、その境目というのがなかなか分けづらいときがあります。分けづらい場面があるでしょう、したがって複合的な業務については国会承認の対象に考えるべきであるということを主張しておりますので、そのことを十分お考えいただきまして、次の問題に入らせていただきます。
 まず、カンボジアに関してですが、カンボジア和平の回復、維持、また復興に対して我が党が積極的に対応しようとしているのはもう御存じのとおりで繰り返しませんけれども、これは仮の話で恐縮なんですが、総理は、もしPKO協力法案が成立しない場合でもUNTACに対して最大限の協力をやる、そういう決意があおりなのかどうか。もし法案が不成立の場合には、日本が当面UNTACに参加できる人的貢献というのはどの分野でどの程度の人員になるのか。この問題は当局からお答えいただいても結構です。それから、不成立になった場合に国際的にどういう評価を受けると感じられておられるか、この点を総理に伺いたいと思います。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府といたしましては、御審議も非常に長いこと慎重に行われておることでございますので、この法案が成立させていただけるものと考えております。そうでない事態をただいま想定いたしておりません。が、仮にということでございますと、政府はこのような各方面における国連の平和維持活動についての人的活動を、国会のお許しを得たいということで法案の御審議をお願いしているわけでございますが、それについて国会がノーという御意思表示でありますと、こういう法案が全然ないような状況で、現行法のもとでいろいろなことができるかできないかと考えるのと違いまして、これだけのことを全部ひとつまとめてお許しを得たいといっておるときに、国会からそれをお許しいただけないということになりますれば、これは政治的な責任といたしまして政府のなし得る行為は非常に限定せられるであろう、またそういうふうに考えるのが恐らく立法府の御意思を尊重するゆえんであろうと思わざるを得ませんので、したがいまして国連の平和維持活動について人的な意味での迅速、有効な協力をする、実質的な協力をするということは極めて困難ではないかというふうに考えております。
 財政的な貢献は、これは国会がいかぬということを言っておられませんし、またこの法案でお許しを得ておゐという筋のものでございませんので、これはできるであろうと思います。
 また、国連の平和維持活動と別の切り離された形でカンボジアと我が国の間の経済協力、復興援助ということは、これはある程度できる問題があろうと思いますけれども、国連の平和維持活動に関します限り、人的な貢献はやはり事実問題といたしまして極めて困難になると考えるべきであろうと思います。
#175
○寺崎昭久君 私もPKO協力法案はぜひ成立させなければいけないという立場に立ちながら、もし不成立の場合というのは余り適切じゃないかもしれませんが、いよいよ大詰めの段階を迎えて、やはりこの問題については結論をそろそろ出すべき時期に来ていると思いますので、もし成立しなかったらどうなのか、成立した場合にはどこまでできるのかということを国民に明らかにする必要があると考えているからでございます。
 ところで、五月十二日の当委員会でUNTACの明石代表が発言されておりますけれども、日本の人的貢献として、特に兵たん、エンジニアリング、輸送部門を挙げておられましたけれども、例えばこの法案が成立しない場合にでもこの部門への参加というのは可能なんですか。どうなんでしょうか。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、まず私がお答えを申し上げたいと思いますのは、法律的に可能か可能でないかという問題が一つございますけれども、その前にこれらのものを一括して国会にお許しをお願いしておる立場から申しますと、法律の問題よりも前に政治的な判断が私はどうしても大事であろうと思います。
 そういう意味では、法律の解釈は今政府委員が申し上げますけれども、政治的な判断といたしますと、それはなかなか政府として簡単に踏み切れることではないだろう、やはりそういう要素を大事に考えなければいけないのではないかと思います。
#177
○政府委員(丹波實君) 四月のことでございますけれども、国連本部に対しましてUNTACの軍事部門の編成についての考え方を聞きました。それに対する答えは、UNTACの編成に当たっては、先生がおっしゃった兵たんとか輸送面というのは軍事分野だと思いますけれども、軍事分野については文民に参加を要請するつもりはないということを言っておるわけです。
 そういう意味では、こういう部門に参加していくためには軍事要員を送らざるを得ない、軍事要員はこの法律の成立なくしては送れない、そういう関係になろうかと思います。
#178
○寺崎昭久君 外務大臣にお尋ねします。
 六月十三日からいよいよUNTACの活動は第二フェーズに入るわけでございます。武装解除その他が予定されているわけでありますので、いよいよ緊張が高まるのかなと思う反面、ぜひ円滑に無事にこの業務が行われるよう願っているわけでありますけれども、先日の明石代表のお話でも、やはりこういう地域ですから不安材料といえば幾つもある、そういう中で努力していかなければいけないんだということを強調されたように受けとめております。
 現時点においてカンボジアの情勢をつぶさにお尋ねするのはいかがかと思いますけれども、現状において武器を使用せざるを得ないような場面に遭遇しないだろうか、あるいはそういう場面に遭遇したときに適切に法律に定められているような措置がとれるだろうかという国民の疑問、知りたい点について、外務大臣の見通しとか判断をお聞かせいただければありがたいんですが。
#179
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど田委員から、インドネシアの新聞を例に出しまして、最近におけるUNTACの活動に対する一部妨害的な行為があったというようなことを聞かされましたが、私はそれは全くないというようには思いません。全くないんであるならば、もともと監視団は必要ないわけですから。だから、本当に何万人もいる人の中ですから、上の言うことを聞かないという人だっていないとは限らないわけです。
 そういうような中にあっても、司令官はそれに対して発砲するなというようなことを言って抑えてきた、そういうことは私は正しいことであるし、その間、時間をかけながら国連の権威と説得によってじわじわと末端まで徹底をさせる、そういうような根気のいいやり方が今後も継続されていくものと考えます。
#180
○寺崎昭久君 法律の第二十四条には、武器使用に関する規定が書かれております。政府のこれまでの見解によれば、緊急避難あるいは正当防衛として武器を使用せざるを得ないときには個人の判断で行うんだということを言われておりますけれども、これは私的な護身行為なのかそうでないのか、これは大事なところだと思うんです。もし、私的な護身行為であるということになれば、恐らく国家賠償法の適用も受けられないと思いますし、過剰防衛だということで例えばカンボジアの官憲に身柄を拘束されたときに、日本として何ができるかということの問題も残ると思うんです。
 この点に関して、PKOへの派遣と武器使用と国家賠償法との関係、この辺について御説明いただきたいと思います。
#181
○政府委員(野村一成君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の法案第二十四条に定めております武器の使用、これは全く私的な護身行為ということではございません。個々の要員の判断によって行われます。務上の行為というふうに位置づけられておりまして、刑法で申しますと三十五条の正当行為といたしまして類型的に刑事免責の対象となるわけでございます。
 また、武器の使用により発生した損害というのに対しまして我が国が責任を負うべき場合というときには、国家賠償法の適用を含めまして政府として遺漏なさよう対処する仕組みになっております。
 さらに御説明をさせていただきますと、実はモデル地位協定というのがございます。それに示された考え方によりますれば、PKOのすべての構成員は、ただいま申しましたような公的な資格で行った行動に関して、受け入れ国におきます刑事、民事上の訴訟手続を免除されるということになっております。我が国の要員に対しまして、法案第二十四条に定めます武器の使用について、受け入れ国において訴訟が提起されることはないということに相なります。
 このように、今回の法案におきましては、二十四条の要件に沿った武器使用である限りにおきましては、今申し述べましたような各般の法律的な責任についてそれぞれ国として当該行為を保護する仕組みになっておる次第でございます。
#182
○寺崎昭久君 ありがとうございました。
#183
○喜屋武眞榮君 カンボジアに対する理解を深めることができました。まだひとり歩きの自信はございませんけれども、問題点を二、三お尋ねいたしたいと思っております。
 まず、外務大臣にお尋ねしたいことは、現在、日本政府はカンボジアに対してどのようなかかわりをしているのか、率直にお聞かせ願いたい。
#184
○国務大臣(渡辺美智雄君) ちょっと質問の趣旨がよくわからないのでございますが、カンボジアは、一応内乱が治まって各派が連合してSNCという暫定政府をこしらえておりますので、対外的にはこれがカンボジアを正当に代表する政府であるというように見ておりますので、それを相手に日本政府としては外交関係を結んでおるということであります。
#185
○喜屋武眞榮君 次に、外務省にお聞きしたいんですが、UNTACに対する日本の分担金はどれくらいで、その拠出状況はどうなっているのでありましょうか。
#186
○政府委員(丹波實君) お答え申し上げます。
 UNTACにつきましては、国連で二回に分けて経費が決まっております。一つは立ち上がり経費という名前の二億ドル、それから先週の二十二日になりますが、十月三十一日までの経費として六億ドル、この二つにつきましては義務的な分担金として国連加盟国に割り当てられております。日本の分担率は一二・四五%、この二億ドルに対するものは既に支払っております。六億ドルに対するものはこれから国連本部から通知が来ますので、それに対して日本として一二・四五%の支払いをすると、そういうことになっております。
 先生、申しわけありませんけれども、せっかくの機会でございますので、前の委員会のときに私が先生に武器の携行と武力の行使の問題について御説明申し上げましたときに、国連では自己の生命の場合とそれから国連の任務が妨害された場合の二つにつき武器の使用が許される、二つとも武器の使用の問題であって武力の行使の問題ではございませんということを申し上げましたけれども、基本的にはそういうことでございますという意味でございまして、後者につきましては、場合によっては武力の行使にあるいは当たる場合もあるということを申し上げて、補足的に御説明させていただきたいと思います。
#187
○喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいことは、五月十二日の明石UNTAC代表の当委員会における参考人意見陳述によりますと、UNTACの軍事部門は国連のカンボジアにおける七つの役割の一部にすぎない。そうしますと、政府はなぜその他の部門の協力を積極的に進めようとなさらないのであるかということに疑問を持つものでありますが、この点総理にお尋ねいたします。
 関連して、明石代表は、UNTACの成功のためには他の何物にも増して予算面の協力こそ日本に強く期待しておられると理解しておりますが、この点もあわせて総理の御見解を承りたい。
#188
○国務大臣(宮澤喜一君) 七つ云々ということをちょっとっまびらかにいたしませんけれども、我が国は憲法の許す範囲におきまして、国連の平和維持活動には全面的に協力をいたしたいと考えております。
 次に、予算の問題につきましては、ただいま政府委員からも申し上げました。我が国の義務的拠出につきましては、もう既に立ち上がり分二億ドルの該当分は拠出いたしましたし、次の六億ドルにつきましても、通知があり次第速やかに拠出をいたします。また、その他今後いわゆる拠出制でない、いわば任意性の費用につきまして貢献を求められる場合もあるでございましょうし、二国間の経済協力についても、これはもともと任意的なものでございますけれども、ございます。そういうことにつきましては、我々の財政が許します限りでできるだけの協力をいたさなければならないと思っております。
#189
○喜屋武眞榮君 私は、特に総理にお尋ねしたことでおっしゃったことに対しては、その実現の暁まで粘り強く、執念深く追及していくというこの気持ちを持ち続けておるということをお忘れにならないように。
 その一つに、それこそ総理のお肝いりで組織づくりを進めていただいた、すなわち厚生省と沖縄開発庁と、それから内閣内政審議室、この三者で沖縄問題の最たる厚生年金の格差是正の問題、それを検討する窓口を総理のお勧めでつくらせていただいた、それができておるわけですが、その機関が機能を発揮しておるかどうかお尋ねいたしたい。
#190
○国務大臣(宮澤喜一君) 沖縄関連の厚生年金の問題は、既に過去におきまして二回かなり思い切りました特別措置を講じたわけでございまして、なお今日問題が残るということで、しかし過去において二度是正をいたしておりますものですから、年金という領域ではどうしてももうこの問題は解決の方法がないということは、残念ながら政府部内の各省庁一致した意見でございます。
 しかし、沖縄の方々には特別に御苦労をおかけしておるということもみんなが知っておりますので、それでは年金外において何か気持ちだけでもそういう沖縄の方々の御労苦に報いる方法はないかというのが、今御指摘の関係省庁による協議機関を、これはつい先日でございますが発足させたところでございまして、この協議機関におきまして、せめてこれぐらいのことはできるという何かの結論が得られるかどうかという仕事が今始まったばかりでございます。
#191
○喜屋武眞榮君 私があえてこのことをこの場で申し上げましたのは、せっかく総理のお肝いりでこの三者が前向きで検討する組織ができたけれども、開店休業、その後何ら機能を発揮しておらない。その事実を私は毎日のようにどうなっているか、どうなっているかと実は調査しておりますが、全然機能しておらないということをこの場で率直に申し上げまして、できたからには開店休業ではいけません。困難ではあってもこの問題を解決する方向に進めていってもらいたいということが私のこの場でのお願いなんです。その組織はできたけれども、何ら三者の機能は全然しておりませんよ、話し合いも持っておりませんよ。これじゃ有名無実じゃありませんか。そのことを重ねて申し上げまして、きょう直ちにその関係者に念を押していただきたい。せっかくの御好意を実らせて、機能を発揮してもらわなければいけないと思っているからです。
 以上強く要望いたしまして、終わります。
#192
○委員長(下条進一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、来る二十九日午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト