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1992/05/13 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 環境特別委員会 第7号
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1992/05/13 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 環境特別委員会 第7号

#1
第123回国会 環境特別委員会 第7号
平成四年五月十三日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     橋本孝一郎君     山田  勇君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     西野 康雄君     粕谷 照美君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
    委員長         渕上 貞雄君
    理 事
                石川  弘君
                森山 眞弓君
                西岡瑠璃子君
    委 員
                井上 章平君
                石渡 清元君
                大島 慶久君
                木宮 和彦君
                須藤良太郎君
                原 文兵衛君
                真島 一男君
                粕谷 照美君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                高桑 栄松君
                沓脱タケ子君
                中村 鋭一君
                山田  勇君
   政府委員
       環境庁大気保全
       局長       入山 文郎君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        宅間 圭輔君
   参考人
       神奈川大学外国
       語学部教授    猿田 勝美君
       早稲田大学理工
       学部教授     大聖 泰弘君
       大阪府環境保健
       部環境局長    服部 正敏君
       北海道大学工学
       部教授      溝口  勲君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○自動車から排出される窒素酸化物の特定地域に
 おける総量の削減等に関する特別措置法案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(渕上貞雄君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十二日、橋本孝一郎君が委員を辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。
 また、本日、西野康雄君が委員を辞任され、その補欠として粕谷照美君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(渕上貞雄君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法案の審査のため、本日の委員会に神奈川大学外国語学部教授猿田勝美君、早稲田大学理工学部教授大聖泰弘君、大阪府環境保健部環境局長服部正敏君、北海道大学工学部教授溝口勲君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渕上貞雄君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(渕上貞雄君) 自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法案を議題といたします。
 本案についての趣旨説明は既に聴取をいたしております。
 本日は、本案審査のため、参考人の方々から御意見を賜ることにいたします。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。自動車から排出される窒素酸化物の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法案につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に順次御意見をお述べいただくわけでございますが、議事の進行上、お一人十五分以内で御意見をお述べいただきたいと存じます。すべての方々の御意見を拝聴いたしましたところで委員の質疑にお答え願いたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、これより参考人の方々に順次御意見を述べていただきます。
 まず、猿田勝美参考人からお願いをいたします。猿田参考人。
#6
○参考人(猿田勝美君) 私は窒素酸化物自動車排出総量抑制方策検討会の座長を務めさせていただきました神奈川大学の猿田でございます。よろしくお願い申し上げます。
 初めに、現状の大気汚染の状況と自動車の関連について申し上げてみたいと思います。
 我が国の大気汚染の状況につきましては、過去におきましては硫黄酸化物によります大気汚染が深刻な状況を呈しましたことは先生方も御存じのとおりでございますが、これにつきましては規制の強化、さらに産業界の御努力によりまして一応全国的に危機的な状態は脱することができたということが言えるんではないかと思います。しかし、残念ながら窒素酸化物につきましては依然として大都市地域を中心として深刻な状況にあるわけでございます。
 昭和五十六年には、東京都特別区等地域、二十三区と周辺五市でございます。それから横浜市等地域、横浜市、川崎市、横須賀市でございます。それから大阪市等地域、大阪市等十七市町、この三大都市圏におきまして、工場など固定発生源にかかわります総量規制方式が導入されまして窒素酸化物の削減に努力してきたところでございまして、固定発生源につきましては一応削減目標を達成したわけでございます。しかし、これらの固定発生源の対応だけでは環境基準は達成できなかったわけでございまして、依然として大都市圏の環境濃度は横ばいまたはやや増加の傾向にあるというような状況でございます。
 それで、同じ総量規制地域の中にありましても硫黄酸化物は御承知のように有効な規制が行われたわけでございまして、窒素酸化物につきましても硫黄酸化物と同様に将来の汚染濃度につきまして科学的な予測を行い、昭和六十年度の達成について期待し、各種の対策を計画、実行してきたところでございます。硫黄酸化物につきましては主として固定発生源が原因ではございますけれども、窒素酸化物につきましては固定発生源並びに移動発生源の両発生源が関与しておるわけでございます。
 私は長く横浜市で地方自治体の公害行政、環境行政に関与してきたわけでございまして、直接窒素酸化物対策あみいは硫黄酸化物対策を実施してまいった経験があるわけでございますが、その経験を通じて申し上げてみますと、窒素酸化物の総量規制が必ずしも期待どおりの成果を得られなかった理由として二つ考えられるんではないかと思います。
 その一つは、自動車を対象とした規制の難しさでございます。すなわち、単体規制等によります窒素酸化物排出量の低減効果というものと、物流その他社会経済活動あるいは産業構造などの変化によります交通量の増大、特にディーゼル車の伸びによる相殺作用と申しましょうか、によりましてなかなか達成が困難である。これにつきましては、また後ほど述べさせていただきたいと存じます。
 もう一つは、実際に環境汚染対策を実施しております地方自治体といたしましても、自動車排出ガス低減に関しまして本質的に携われる領域が少ないということでございます。亜硫酸ガスのような固定発生源につきましては、その根源と申しましょうか工場そのものに立ち入りし、直接いろいろな指導をすることが可能でございました。移動発生源につきましては、道路上を走る自動車の数やそれからその種類というものを調べることは可能でございますけれども、一体どこからどのような理由でどのくらいの量の窒素酸化物を排出している自動車が移動しているのか、なかなかその把握が困難でございます。いわゆる移動発生源の根源に触れるということはなかなか地方自治体としては難しいという問題がございました。
 したがいまして、窒素酸化物総量規制におきましては、固定発生源については昨年目標を達成することはできましたが、移動発生源につきましては、将来における窒素酸化物削減量の推定はしておりますけれども、単体規制に期待する以上に交通量の増大等によりまして環境基準の達成が困難になってしまったわけでございます。
 昭和六十年度における二酸化窒素の環境基準未達成を契機にいたしまして、幾つかの自治体でも、東京、大阪、神奈川、横浜というような自治体におきましていろいろな検討を経まして自動車公害防止計画などを作成してまいりました。やはり自治体としてやれることに限界があるわけでございまして、環境基準の達成のためには国が移動発生源について基本的な計画をお示しになり、それに基づいて地方自治体が地域特性を生かしながら協力していくという体制が現在最も期待されているどころではないか、私はそう思っておる次第でございます。
 ちなみに、横浜、東京、大阪等の先ほど申し上げました三地域の環境基準の達成状況を平成二年度のデータで見てみますと、まず一般環境測定局におきましては、東京都では二十五局中二十一局の八四%が、また横浜市等地域におきましては三十一局中二十五局の八一%、大阪市等地域におきましては五十三局中十三局の二五%が環境基準未達成でございます。同年度の自動車排出ガス測定局で見てみますと、東京地域では二十八局中二十六局の実に九三%、横浜市等地域におきましては十七局中十六局の九四%、大阪市等地域におきましては二十七局中二十二局が未達成という、同年度においてはそういう多数の局が未達成という状況でございます。
 神奈川県で見てみますと、横浜、川崎、横須賀のいわゆる総量規制地域を除いた周辺地域の自動車排出ガス測定局十一局の中で八局の七二%が不適合となっております。首都圏で見てみますと、東京都西部地域あるいは千葉、埼玉、神奈川県西部へと拡大してきておるわけでございまして、近畿圏でも大阪地域周辺、兵庫県へと汚染地域が拡大しているというのが現状であろうと思います。
 このように大都市地域における大気汚染の状況は、主として自動車から排出されます窒素酸化物を中心といたしまして依然として深刻な状況にあるわけでございます。同時に、その影響は大都市地域から周辺地域に汚染範囲が拡大してきているということでございます。国におきましても自動車の単体規制の強化等種々の対策を講じられてきておるわけでございますが、近年における経済成長あるいは産業構造の変化、大都市への人口並びに機能の集中化等を背景といたしましてこれらの地域における自動車交通量は増大してきたということでございます。
 近年、最近いろいろ新聞などを拝見いたしますと車の需要も鈍化の傾向を示しているようではございますけれども、過去二十年間の傾向を見てみますと、昭和四十六年の全国における保有台数が二千百二十二万台に対しまして、五十一年度は三千百五万台、五十六年には四千八十三万台、六十一年には五千二十二万台、平成二年度末には六千万台を突破したわけでございまして、これは全国的ベースでございますけれども年を追うごとに一千万台ぐらいずつ増加してきているということになるわけでございます。また、単位面積当たりの保有台数で見ましても首都圏及び近畿圏とも全国平均を大きく上回っておるわけでございまして、特に東京都、神奈川県、大阪府等におきましては全国平均の約十倍またはそれ以上となっておるわけでございます。
 伸び率につきましても、首都圏またその周辺における伸び率などはかなり大きいものがございます。特に保有車両の中でディーゼル車の伸びが著しいわけでございまして、トラック、バスに占めるディーゼル車の割合の推移を見てみますと、昭和五十二年には二五・四%であったものが平成元年には実に六五%に増大してきておるわけでございまして、二〇〇〇年にはこのまま推移しますと七〇%程度まで増加することが予想されておるわけでございます。
 窒素酸化物の排出量で見てまいりますと、東京都地域の五万二千七百トンの中で約七〇%が自動車の排出ガスの窒素酸化物である。横浜市等地域では五万四千七百トンの中の約四〇%、大阪市等地域では四万二千四百トンの中の約五〇%が自動車からの排出量と言われております。東京都のデータによりますと、東京都区部における窒素酸化物排出量の約七〇%がディーゼル車からの排出と試算されておるわけでございまして、自動車からの排出量が全体の七割、さらにその中の七割がディーゼルとなりますと、全体の約五割がディーゼル車からの排出ということになってくるわけでございます。
 このように自動車から排出されます窒素酸化物量につきましては大都市におきまして大きな比率を占めておるわけでございますが、特にここで申し上げたいのは、固定発生源のように高い煙突から上空に排出され大気中で大幅に希釈される窒素酸化物と違いまして、自動車の排出ガスは我々の身近なところから排出される、非常に低いところで、地上のところで排出されるということがあるわけでございます。すなわち、発生源が地上に近く我々のいわゆる生活圏に影響を及ぼしやすいということでございまして、固定発生源と同じ排出量でありましても我々の環境に及ぼす影響は大きいということが言えるのではないかと思います。
 また、走行量の増大や大都市圏への集中化傾向のほかにも、自動車からの窒素酸化物の排出量を増大させる要因といたしましてディーゼル車の伸びが大きい、先ほど申し上げましたけれども。特にトラック、バスの大型車ではディーゼル化の伸展が著しいわけでございまして、その中でも窒素酸化物排出量の大きい直噴式が増大しているということでございます。これはガソリン車よりもディーゼル車の方が経済的にすぐれている、いわゆる燃費がよいということも関係していると思います。また、各車種の平均使用年数について見ますと、乗用車に比べまして貨物車及びバスの使用年数が長期化する傾向にあるわけでございまして、このことが一つにはディーゼル車の最新規制適合車への代替をおくらせる要因にもなっておるということでございます。
 また、物流という面から見ましても、年々自動車の分担率が高まっておるわけでございまして、近年では五割を超えておるわけでございます。昭和三十五年度の貨物輸送量で見ますと、自動車が一五%、鉄道が三九%、内航海運が四六%でありましたけれども、平成元年には実に自動車が五一・五%、鉄道はわずか五%ということでございます。貨物輸送における車への依存度が非常に高まっておるということでございます。
 その要因といたしましては、先ほども申し上げましたけれども、近年の産業構造の変化あるいはサービス経済化あるいは生活様式の変化等に伴いまして、それに対応したジャスト・イン・タイム方式やあるいは宅配需要の増加、いろいろな要因によりまして結果といたしまして少量多頻度輸送あるいは輸送距離の長距離化等が進んだことも一因であろうと思います。また、そういう中では貨物輸送における交通機関の間の連携を図る必要があるわけでございまして、いわゆるモーダルシフトなどを推進いたしまして、自動車に依存しております貨物輸送を鉄道あるいは船舶に誘導することも必要ではないかと思うわけでございます。
 このように種々の要因によりまして、国を初めといたしまして地方自治体も環境基準の達成に向けまして努力してきておるところでございますけれども、自動車の単体規制の効果が相殺されてしまって自動車からの窒素酸化物の排出量の削減が思うように進んでおらないということでございます。このような状況を踏まえまして、新たな抜本的な対策が必要であるとの認識に立ちまして窒素酸化物自動車排出総量抑制方策検討会において検討してきたところでございます。
 検討会は御存じのように平成元年八月以来二年二カ月にわたりまして十六回の検討を重ねてまいりました。その結果報告書を取りまとめたわけでございますが、これまでの対策レビューを行った後、各種の新たな手法を比較検討いたしました。物理的手法あるいは規制的手法あるいは誘導的手法として何があるかというようなことでいろいろ検討いたしまして、その中で特に使用管理規制あるいは走行規制手法等についてより具体的な検討を行ってまいりました。その検討を踏まえまして、議論のたたき台として、また関係各方面の方々の御意見をちょうだいするための素材といたしまして中間取りまとめを行ったわけでございます。
 自動車からの窒素酸化物の排出総量の抑制方策を具体化するに当たりまして、施策が国民生活にさまざまな影響を及ぼすことも考えられますことから、社会的合意の形成を図りつつ抑制方策をめぐる諸問題につきまして十分な検討がなされる必要があるわけでございまして、検討会といたしましては慎重に検討を進めたつもりでございます。その後、中間取りまとめに対します関係各方面の御意見をお聞きするのと並行いたしまして法制度面からの検討も行いました。これらの検討結果を踏まえまして最終報告を取りまとめたわけでございます。
 具体的には、大都市における窒素酸化物の解決のためには、まず一つとしては、ディーゼル車の寄与が大きく増加傾向にあることからその対策が不可欠であること。二つ目には、大都市地域に焦点を絞り特別かつ総合的な対策を集中して行うことが必要である。三つ目には、都市構造等の改造を必要とする交通量の抑制方策も重要ではありますけれども、これらはかなり長期的な課題でございますので、当面、緊急に対策を実施することが必要であることから、早期に実施し得る施策であり効果的なものを最終報告として取りまとめ、提言したものでございます。
 報告の内容といたしましては、大都市地域において各種の自動車交通に関する対策を総合的、計画的に実施する制度を設けること。また、当該地域内においては現在の技術水準で可能な最も排出量の少ない車種の使用を義務づける。さらに自動車の使用方法の合理化を進めることが必要であるというようなものでございまして、早急に法制度化が図られるよう環境庁に対しまして要請したところでございます。
 今回、環境庁で法案の取りまとめが行われまして今国会に提出されたわけでございますが、法案の内容を拝見いたしますと、その調整を通じまして、これは地方自治体でも同じでございますけれども、従来の縦割り行政の枠を越えまして横断的に関係省庁の協力体制ができましたことは前進であろうと思います。また、その効果が十分に発揮されるよう期待しているところでもございます。自動車からの窒素酸化物による大気汚染問題は非常に難しい問題でありまして、しかし現在の大都市における大気汚染状況は厳しい状況であることは御存じのとおりでございます。自動車からの排出ガス総量を抑制する方策の早期導入というのは不可欠な要件であろうと思います。
 自動車の使用につきましては、社会活動のあり方あるいは国民生活に深くかかわっておるわけでございます。自動車からの窒素酸化物対策の実施に際しましては、国、地方公共団体等の行政機関の適切な対応が求められることは当然でございますけれども、自動車を使用する事業者また国民一人一人が自動車使用、利用のあり方について問い直した上で施策の実施に御協力いただくことが必要であろうと思います。また、自動車メーカーあるいは販売関係者におきましても、より低公害な車の開発、普及に努力していただきたいと思うわけでございます。
 最後に、本法案が早期に成立いたしまして、国がお示しになる総量削減基本方針あるいは知事がおつくりになる総量削減計画の中でさらに必要な諸施策が総合的、計画的に示されまして、実効性ある制度が一日も早く施行されることを期待しておるわけでございます。
 以上でございます。
#7
○委員長(渕上貞雄君) どうもありがとうございました。
 次に、大聖泰弘参考人にお願いをいたします。大聖参考人。
#8
○参考人(大聖泰弘君) 大聖でございます。
 私は大学におきまして理工学部機械工学科の熱コースというところに所属しておりまして、日ごろ燃焼あるいは燃焼に関連して発生いたします汚染物に関するいろいろな研究、とりわけ内燃機関を対象に研究をいたしております。また、環境庁におきまして設置されております自動車排出ガス低減技術評価検討会という検討会がございます。ここでは自動車メーカーあるいは関連の部品メーカーを対象にヒアリング等を行いまして、技術的な進展を評価しているところでございます。そのメンバーということでございます。
 また、既に猿田先生の方から御説明ございましたように、総量抑制方策検討会のメンバーでもございまして、このような立場から本委員会におきまして参考人として御指名をいただいたものというふうに理解いたしております。したがいまして、ここでは主として技術的な観点に重点を置きまして、本法案に関連いたします事柄について御説明並びに意見を申し述べたいというふうに思っております。
 さて、まずこの法案に関連いたしまして、自動車排出ガスにかかわる規制の現状についてちょっと御説明申し上げたいというふうに思います。
 我が国の自動車排出ガス規制、これを単体規制というふうに呼んでおりますけれども、この単体規制につきましては、平成元年十二月に中央公害対策審議会から特にディーゼル車から排出される窒素酸化物と黒鉛並びに粒子状物質、これを微粒子というふうに呼んでおりますが、こういったものを対象としまして短期と長期の目標値が提示されまして、その短期目標につきましては既に実施時期が措置されたところでございます。したがって、今後は長期目標の実施が問題となってまいりますが、これにつきましては現状のレベルから最高で六割近い低減を実施するということが目標となっておりまして、世界的に見ましても大変厳しい規制レベルであろうというふうに思っております。
 これに対応する対策技術でございますが、これについては後で御説明申し上げますけれども、かなり高い水準の技術が要求されているところでございます。我が国のメーカーの技術水準は、多くのエンジニアそれから研究予算を投入しておりまして、この分野で最高の水準にあるというふうに言えようかと思います。しかしながら、これをもってしましてもなお多くの解決すべき技術的な課題が残されているのが現状でございまして、長期目標の実施時期につきましては遅くとも平成十一年以内ということがうたわれておりますけれども、まだその達成の見通しが現状では立っていないというところでございます。
 次に、このような厳しい長期目標に対します技術的な対応と課題について御説明申し上げたいと思います。
 まず、自動車から排出されます窒素酸化物それから黒鉛、微粒子、こういったものは相反する排出傾向を持っている点に非常に大きな特徴がございます。したがって、その一方を減らそうといたしますと他方が悪化してしまうといったような特性がございまして、これを同時に低減しようとすることが技術的にもかなり難しい面がございます。これはディーゼルエンジンの燃焼の特性によるものでございまして、その特徴としましては、エンジンの中に燃料を噴射いたしまして空気と一緒にまぜながら燃焼させるといった方式に起因するものでございます。したがって、例えば燃料と空気をあらかじめ混合させてエンジンに導入するいわゆるガソリンエンジンの燃焼方式と大変異なっております。
 ガソリンエンジンにつきましては、三元触媒を使いまして窒素酸化物、一酸化炭素並びに炭化水素を同時に大幅に低減できるという技術が確立しておりまして、非常に有効な対策ということになっておりますけれども、一方、ディーゼルエンジンについてはその排出ガス低減というのが技術的に非常に難しい点が多々あるということでございます。また、ディーゼルエンジンの場合には排出ガス対策に伴ってエンジン性能あるいは耐女性、燃費への悪影響といったものを招く弊害がございますので、そういった対策もあわせてとる必要があるということでございます。
 さて、窒素酸化物について若干御説明申し上げますと、これを大幅に低減する必要からEGRと言われる方法が採用される見通してございます。これは排気ガスの一部を再循環いたしまして吸気にまぜまして一緒に燃焼させるということでございまして、排気再循環方式というふうに呼ばれております。これによって燃焼温度を下げまして窒素酸化物を低減しようというものでございます。
 しかしながら、この方法をとりますと燃焼が悪化いたしましたり黒鉛あるいは微粒子が増加してまいります。さらに、燃料の中に含まれます硫黄成分に起因します排ガス中の酸性成分がEGRによって混入いたしますために、エンジンの磨耗あるいは潤滑油の劣化を早めるといった現象が起こっております。このために燃焼を改善する方法を工夫する必要がある、あるいは燃料中の硫黄成分を減らす必要が出てまいっております。
 それで、硫黄分の低減につきましては燃料の精製段階で減らす必要がございまして、その方法あるいは実施時期について現在各所で検討されているところでございます。これにつきましては、短期目標の値に対応すべくことしの十月には〇・二%まで硫黄が低減される予定でございまして、一方、長期目標への対応としましては最終的には硫黄分を〇・〇五%まで減らすということが目標とされております。これには精製設備の改修あるいはそれへの投資の必要がございまして、五年程度のリードタイムが必要とされているところでございます。
 一方、黒鉛並びに粒子状物質でございますが、これにつきましてはシリンダーの中に噴射する燃料の噴射圧を高くする方法などの燃料供給方法を改善するやり方、あるいはフィルターシステムなどを使いまして排気の後処理によってこれを捕集、除去する技術が検討されております。このような後処理で触媒を使う方法も試行されておりますが、このような方法では軽油の中の硫黄成分に起因しまして硫酸塩が生成されます。これが微粒子の一部として排出されますので、このためにも低硫黄化が必要とされているわけでございます。
 これらの燃焼技術あるいは後処理技術につきましては、これらを複合的に組み合わせて最適な状態で適用する必要がございます。また、いろいろな装置の信頼性それから耐女性の点でも改善すべき点が多々ございます。したがって、今後自動車メーカーあるいは部品メーカーに対しましてこれらの課題につきまして一層の開発努力を期待したいところでございます。
 さて、先ほど指摘いたしましたように、現在この分野の我が国における技術は世界的に見ても高い水準にあるということでございますが、これをもってしても長期目標の達成にはなおしばらく時間を要するものというふうに判断いたしております。したがって、当面この長期目標を上回るような対策というのはまず不可能であろうというふうに判断いたしております。それゆえ、現在急を要する課題といたしまして窒素酸化物による大都市での大気汚染を改善するという目的のためには、今御説明しましたような自動車一台一台の排出ガスを対象とする単体規制の強化といったことだけでは無理があるというふうに考えられます。
 したがいまして、本法案でうたっておりますような寄与度の高いトラック、バス等のディーゼル車を対象にしましてその重量区分を設定して車種の使用を規制するやり方、こういう方法によりまして現存の自動車の中で最も排気対策の進んでいるものを使用するという対策が現実的に見まして最も効果的な方法ではないかというふうに思っております。さらに、このような車種規制に加えまして、もちろん物流、人流、交通流対策、それから車の使用の合理化あるいは低公害車の普及促進、これらもあわせて実施していただきまして、全体として削減効果の上がるものにする必要があろうかというふうに思っております。
 いずれにしましても、窒素酸化物の実効ある低減のためには特に車種規制の早期かつ円滑な実施が必要でありまして、この点でメーカーあるいはそれを使うユーザー等に対しまして特段の御努力をお願いしたいと思っております。また、基本的にはこれとあわせて先ほど御説明しました単体規制の長期目標を早期に実施することが重要でございまして、この点につきましてもメーカーに一層の御努力をお願いいたしたいと思います。また、国に対しましても研究開発を促進するような努力を極力していただきたいというふうに思っております。また、燃料中の硫黄分の低減につきましても同時に不可欠でございまして、その早期実現を推進していただきたいというふうに願っております。
 また、本法案はほかの諸外国に例を見ない新しい意欲的な試みでもございます。本法案が実効あるものとなりますよう強く期待しているわけでございます。
 以上でございます。
#9
○委員長(渕上貞雄君) どうもありがとうございました。
 次に、服部正敏参考人にお願いいたします。服部参考人。
#10
○参考人(服部正敏君) 大阪府の環境局長の服部でございます。本日は私どもの意見をお聞き取りいただくということで、大変ありがたく厚く御礼を申し上げます。
 意見を申し上げるに当たりまして、大阪府域の現状、そしてこれまで大阪府がとってまいりました措置、そしてこの法案に対する考え方あるいは国に対するお願いの順で申し上げたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず初めに汚染の状況でございますが、自動車排出ガスの測定局につきましては三十五局設置をいたしておりまして、平成二年度の実績ではそのうち二十三局が環境基準を超えております。つまり、ざっと三分の二が基準をオーバーしておるというような状況でございます。ここ数年そのような形で推移してまいりましたが、平成三年度の速報値で見ますと少し幹線沿いに府下へ広がりを見せて数カ所基準をオーバーするところが出る可能性があるというような状況で深刻な状況でございます。
 汚染のレベルでございますが、環境基準をオーバーしておる局だけの平均を見てみますと、平成二年度の値でございますが〇・〇六九。この数値そのものはここ数年下がってまいっております。したがいまして、超えているものもそんなに多く超えてはいないし、環境基準をクリアしておってもその基準すれすれのところにあるというのが大阪府の現状と申し上げていいかと思います。
 原因となっております窒素酸化物の排出量でございますが、これは昭和六十三年度のデータで申し上げますと、自動車、工場、事業場それから家庭、船舶、飛行機、そういったあらゆるものを含めまして年間ざっと六万トンでございます。このうち自動車から出ますのが三万一千トン、率にいたしますと五二%ということで、この自動車からの排出量の伸びが他に比べて大きいというような状況でございます。
 それから自動車の保有台数の点でございますが、これもやはり平成二年度の数値で三百三十四万台。これはここ十年程度年率四%強という状況で伸びてまいっております。猿田先生の方からもお話がありましたが、ディーゼル車の割合が年々ふえておりまして、同じ年のデータで一五%を超えております。もちろん大型車両についての率がふえておるわけですが、自家用車につきましても徐々に増加する傾向にございます。十年ほど前には一%未満でございましたが、それが現在では自家用車の中でも六%を占めるというような状況に相なっております。
 それから交通量の問題ですが、交通量につきましては六十三年度の状況で年間五千七百九十万台キロメートルというふうになっておりまして、これも年率三・三%程度伸びておるというような状況でございます。
 環境汚染の状況あるいはその背景となる交通量等の伸びから考えまして、大阪府といたしましてはこの問題を非常に深刻に受けとめておりまして、昨年、大阪府の新環境総合計画、これは二〇〇一年を目標年次とする長期計画でございますが、この計画の中でも排ガス問題というものを最重要課題というふうに位置づけたところでございます。
 これに対しまして府の取り組みでございますが、平成二年の七月に大阪府自動車窒素酸化物総量規制検討会というものを設置いたしました。これは学識経験の方に加えまして環境庁の方からも御指導いただいたわけでございますが、昨年八月に報告をちょうだいいたしました。
 この検討結果を御説明申し上げますと、広域拡散シミュレーションというような手法を用いまして現在ある窒素酸化物をどれだけ削減すれば環境基準を達成できるかということで、固定発生源に対する総量規制を実施いたしております。十七市一町、これは大阪府域の市を中心とする中心部でございますが、それを計算いたしますと六十三年度比で三六%落とす必要がある、そういうことが認められました。そして、その三六%を達成する手法として総量規制を仮に行うとすれば、一日二百グラム以上の窒素酸化物を出すところに対しまして五〇%削減していく必要がある。これは四万四千事業所になるわけですが、こういうふうな検討結果が得られました。
 実質的な問題といたしましては、このような方式というのは、地方公共団体としては実効性の問題がありますから、執行体制の確保等非常に問題があり独自に対応することは困難でございまして、そのため広域的に対処するという観点で法整備を強くお願いしてまいったところでございます。同時に、一方でさらに実態を十分に把握する必要があるという観点から、走行実態調査等も実施いたしておりまして、これは関係業界の御理解を十分いただいて実施しているところでございます。
 今回の法案についての考え方でございますが、今回の法案につきましては、大阪府といたしましては、これまでも申し上げましたようにいろいろ窒素酸化物問題を解決するための方策を検討してまいりましたが、単体規制の強化だけでは十分できない、あるいは総量規制等の方策についても地方公共団体独自の能力では限界があるというようなことで、措置法の成立を心から期待するものでございます。
 この法案に対しまする評価について具体的に申し上げますと、まず第一番に、地方団体の立場からいいますと二酸化窒素の環境基準の達成に向けての展望が開けた、こういうことが言えるかと存じます。特に車種規制を実施されるにつきまして車検制度を適用されるということになっておりますが、実効性の確保というのが我々大変難点でございますので、これによって規制が公平かっ効率的、しかも確実に行われるということで、実効性というものが相当程度確保されるんではないかというふうに喜んでおる次第でございます。
 それからその次に、国が窒素酸化物対策につきまして基本方針を策定され、関係省庁が挙げてこの問題に取り組まれるということで体制が明記をされております。このように国の姿勢が明確にされたこと、このことは地方公共団体として非常にありがたく存じております。
 先ほども申し上げましたように、物流の合理化の問題、これは社会経済的に非常に影響が大きい問題ですから府県では対応できません。あるいは低公害車についての技術開発、こういった点も地方団体としては手の行き届かないところ。あるいは交通流、人流も含めてですが、流れの円滑化というものについて、なかなか地方団体の立場では難しかった点について関係業界に対する国の指導あるいはそれに伴う施策展開、そういうものが期待されるということは基本的に有効な措置であるというふうに我々は期待をいたしております。この上は、関係省庁がこぞって積極的な姿勢でもって対応されることをぜひお願いしてまいりたいというふうに存じております。
 それから、この法案につきまして、地域外からの流入車の問題、それから自家用車の問題、これが実は協力の問題といいますか啓発の問題といいますか、そういった問題として扱われております。流入車について申し上げますと、負荷量として大阪府でもやはり十数%のものが見込まれます。実際問題として流入車を規制するというのは実効性の確保ということについて大変難しいことだというふうに考えられますが、特に運輸業等の理解協力、そういったものを得られるよう業界指導について万全を期していただきたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、自家用車の問題につきましては大阪府では毎月二十日をノーマイカーデーというふうに指定をいたしまして、これは交通渋滞なりあるいは違法駐車問題の対応も兼ねてでございますがやっております。まあ五・十払いという商習慣との兼ね合いで必ずしも一〇〇%の実効は上がっていない状況でございますが、それでも交通量にいたしまして七%程度の減は実績として出ております。したがいまして、自家用乗用車につきましては、我々としては当面はやはり府民に対する啓発なりあるいは住民運動の領域の問題として解決を図るべきではなかろうかというふうに考えておりまして、これはもう地方団体独自の知恵でやってまいりたいと思いますのでよろしくバックアップをしていただければと、このように存じます。
 今後、地方公共団体といたしましては、総量削減計画策定協議会の場を通じまして計画策定に当たるわけでございますが、これまでの検討や調査の蓄積をベースにいたしまして創意工夫を凝らしながら環境基準の達成に向けての努力をしてまいりたい。重ねてということになりますが、協議会に参画をされる関係地方行政機関の理解ある御指導あるいは御協力ということをお願いしたいというふうに思うところでございます。
 最後に、この自動車排出ガスによります窒素酸化物対策として最も我々が今後重要な課題であるというふうに考えておりますのは、先ほど大聖先生の方から御説明がございました単体規制の強化、特に平成元年の十二月に中央公害対策審議会が答申をなさいましたいわゆる長期目標、この早期達成というものがぜひとも必要であるというふうに考えておりますので、その実現方について関係各方面の最大限の努力をお願いしてまいりたいというふうに考えております。
 以上をもって意見とさせていただきます。ありがとうございました。
#11
○委員長(渕上貞雄君) どうもありがとうございました。
 次に、溝口勲参考人にお願いいたします。溝口参考人。
#12
○参考人(溝口勲君) 溝口でございます。
 私は五年前から北海道大学工学部衛生工学科で大気汚染の制御の問題あるいは影響の問題ということをやっているんですが、そこに行く以前は十六年半ばかり東京都立衛生研究所の環境保健部長ということで大気汚染の影響の問題をやっておりました。そういう観点で大気汚染、特に窒素酸化物の生態影響というようなことに関しましてごく最近の研究調査から二つばかり申し上げまして、それに関連して私の意見を申し述べたいと思います。
 皆さんのお手元に陳述資料ということでお配りいたしました資料がございます。大変簡単なものでございますが、見ていただいた方がわかりやすいんじゃないかと思って配らせていただきました。
 初めの報告は、東京都衛生局が昨年八月に発表いたしました大気汚染保健対策に係る健康影響調査総合解析報告書というものでございます。これは私もずっと以前から参加しておりまして、この報告書自体は昭和六十二年から平成元年までの三年間にわたる調査のまとめでございます。この報告書は大変広範なものでございまして、道路沿道の健康調査、学童の調査、健康監視モニタリング調査、それから基礎的実験的研究というような大きく分けまして四つの部分から成っております。その中で、第一番目の道路沿道の健康調査の大変簡単な概要についてお話ししたいと思います。
 図三−三−一を見ていただきますと、汚染物質、特に窒素酸化物あるいは浮遊粒子状物質というのは東京都区内の道路沿道からゼロメートル、二十メートル、百五十メートルというふうにいたしまして、道路沿道はいろいろな汚染物質が高いということが図から読み取れると思います。
 そういうところでそれではどんな健康に対する悪影響が起こっているかといいますと、図三−三−二を見ていただきますと、持続性のたん、これは毎日たんが出るということでございます。それから、息切れグレード三というふうに書いてありますのは平地を普通のスピードで歩いても息切れがする。特に坂を上るとか走るとかそういうことをいたしませ人でも息切れがするというのが息切れグレード三ですが、こういうのが沿道の、特に東京二十三区の沿道に持続性のたんでありますと約八%、平地を歩いても息切れがするというのが三・三%というようなことです。市部というのはこれは実は東大和市なんですが、そこに書いてありますように、沿道は墨田でございまして、後背というのは墨田の幹線道路から百五十メートル程度離れているところの住民ということでございます。こういうふうに調査では沿道住民の方が健康に対する悪影響を訴える率が非常に高いということがわかります。
 ちなみに線で書いてございます図三−二−三という一番左下の図を見ていただきますと、道路沿道というのが汚染物質の濃度もやはり高い。それが墨田の場合ですと百五十メートル離れても二十メートルと余り変わらない。というのは、東京の場合には大変幹線道路の後ろにもやはり自動車交通が多い、比較的小さな道路も自動車が入ってくる、そういうことを反映しているのではないかというふうに思われます。
 時間がありませんので少しはしょらせていただきますが、二番目には、学童の健康影響調査というところで二つばかり特徴的なものを挙げておきました。一つは欠席率。これは目黒の大変交通量の多いところ。それから板橋、これも比較的交通量が多い。しかし目黒に比べると若干少ないんですが、それと東大和市という三つの小学校を使いましていろいろ調べたものです。これが図三−一−四というものを見ていただきますと一目瞭然なように、一年間の病欠率というのがきれいに目黒、板橋、東大和という順に並んでおります。
 図三−一−二というのは肺機能。もちろん学童でございますから年齢が高くなっていきますとどんどん成長して大きくなっていくはずなんですが、その伸びがどうも目黒はほかの二校と比べて違いがあるというようなことで、現在の東京都の沿道といいますか、大変窒素酸化物の濃度の高いところでは学童の健康に対して好ましくない影響が出ているというようなことでございます。
 そのほかにもぜんそくの有症率というような点もございますが、やはり目黒はほかと比べてよくない、そういう結果が出ております。しかし、例えばアメリカでどこの都市がぜんそくが一番少ないかというとロサンゼルスが一番少ない。ぜんそくだったらロサンゼルスには住めない、こういうこともございますので当然のことながらそこに住んでから発症したというようなこともチェックしてございますが、目黒に住んでいてそこで発症しているということで、やはり発症率も高く出ております。東大和の方は東大和に住んでいて発症したというのが今東大和の学童のぜんそくの中で言うと約六割ということでございまして、四割の人はぜんそくのためにぜんそく疎開というとちょっとおかしいんですが、そういうことになっているというふうな結果も出ております。
 健康監視モニタリングというのは東京都十カ所、例えば板橋であるとか大田区であるとか中央区であるとか杉並区であるとか、そういう比較的交通量の多いところを対象にいたしましてやはり沿道、後背というようなことでやった結果でございます。これも道路沿道調査と大変よく似たことで、持続性のなんというのと息切れというようなことでやはり差が出ているという泉うになってございます。
 いろいろ広範な調査なものですからあとはちょっと省略させていただきますが、現在の東京の大気汚染の状態で健康に好ましくない影響が出ているということがおわかりかと思います。
 三枚目の資料でございますが、これは去年の秋に環境保健雑誌、アーカイブス・オブ・エンバイロンメンタル・ヘルスというふうに言われる国際的に大変権威のある雑誌があるんですが、そこにヘルシンキ市の衛生局のペンケという医者が発表したものでございまして、これはぜんそくの患者が大気汚染と連動して緊急入院するとか入院するというようなことが起こっているということで、一九八七年から八九年までの三年間ヘルシンキ市でやられた結果をちょっと皆さんにお知らせして考えていただきたいというふうに思います。
 ヘルシンキというのは人口六十数万でございまして、札幌の半分くらいしかない都市でございます。大気汚染の状態というのをその一番下にちょっと書きました。表七というのは低濃度と高濃度の大気汚染のときのぜんそくによる入院数がどんなふうに変わるかという表でございますが、その真ん中の三番目に書いてあるNO2のところを見ていただきますと、ヘルシンキで言うと高濃度時というのが実は私がちょっと万年筆で書き込みましたが〇・〇二ppmということでございますから、日本で言うと環境基準の中に入っている、一年間の平均が。こういうような状況が実は高濃度時で、〇・〇一四ppmというようなのが低濃度時ということになるわけでございます。
 それで、これは大変立派な論文で、ここに現物を持ってきておりますが、これの第一番目に出されている大変長い相当きちっとしたものでございます。もちろん、ぜんそくの患者がふえるというのは非常に低温になる、気温が急に下がるとかそういうことで、表六に星を三つつけてございますが、最低気温が大変下がると逆に入院患者、これは緊急入院もふえるし全体の入院もふえるのだというそういうことでございます。
 万年筆で書いた星の数が多ければ多いほど関係が深いということでございまして、年齢別に分けてみても特に中年、高年というようなところでNO2の濃度がふえあるいはNOの濃度がふえると緊急入院の患者がふえ、ぜんそくによる全体の入院患者がふえるのだというようなそういうことが出されております。これは環境基準というものをどう考えるかというようなこととも関連しまして、これくらいの低濃度で人間の健康に対する悪影響というのが出るということはやはり注意しなきゃならないのじゃないかというふうに思います。
 最近の二つの調査研究のことから私がここで申し上げたいのは、四枚目に結論的にということで書かせていただきました。今まで環境庁でも随分熱心に長く調査研究をやられておりますが、我が国でもたくさんそのほかにもございます。あるいは今御紹介いたしましたような諸外国で行われた調査研究というのもございますが、自動車排ガス、特にディーゼル排ガスを中心にして、自動車排ガスというのが沿道住民の健康に大変悪い影響を与えているということはどうも否定できないというふうに思われます。
 それで、先ほどのヘルシンキ衛生局のペンケ博士の報告をちょっと御紹介いたしましたが、我が国の環境基準以下の濃度レベルでさえも悪影響が認められているということから考えますと、我が国のNO2の環境基準の速やかな達成というのは言いかえれば最低の必要条件で、本当に全体の健康が守れるという点の保証ということでは必ずしもなくて必要条件にすぎないのではないかというふうに私は考える。
 ただ問題は、三に書かせていただきましたように、人間の健康に対して悪い影響を与えるのは二酸化窒素だけじゃございませんで、排ガス中の浮遊粒子状物質というのが大変悪影響を強めるというようなことが、これは実験的にも疫学的にもいろんなところで認められていることでございまして、先ほど参考人の先生からもお話がありましたように非常に相反するといいますか大変コントロールが難しいということはあるのかもしれませんが、粒子状物質の影響というのもやはり十分考えていかなきゃならない。
 特に粒子状物質の中で問題になるのは、やはり発がんとの関連性というようなことではないか。これはやはり実験的には十分認められていることでございますし、疫学的にも幾つかの報告では認められているというふうな現状でございますから、遅発性の影響ということに関しても考えていかなきゃならない。
 最後に、人間というのは大変体質が多様だということです。実験動物というのは、遺伝子をそろえるために昔は純系のマウスとかラットとかいいまして、今は近交系のラットとかマウスとかということで遺伝子をそろえるような形で実験に使う動物をつくります。しかし人間はもう大変多様でございますから、この影響を非常に強く受ける集団というのがどうしても出るんです。これはアルコールを飲んだときに杯一杯でも苦しくなる方とボトル一本あけても平気だというようなばらつきがどうしてもある。
 こういうのがやはり汚染物質に対してもいろいろございまして、ぜんそく患者が排気ガスに対する健康影響を大変受けやすいというグループがあるということはその一つの代表みたいなものでございますが、ぜんそくの患者だけじゃなくて、むしろいろんな酵素活性が違うとかオゾンに対して非常に弱いとかそういうような集団がこれはあるのが当然でございます。そういうことから考えますと、やはり社会というのは、多様な人間が健康に悪影響がなくて、弱い人間でも生きられるというようなそういう条件をつくることが必要ではないかというふうに思います。
 「最後に」ということでそこに書かせていただきましたが、この二酸化窒素の総量の削減が実現されるようにということで、今回の実効性のある法案の制定のために諸先生方の努力をお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#13
○委員長(渕上貞雄君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの御意見の聴取は終わりました。
 これより参考人の方々に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○清水澄子君 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 まず、私は服部参考人にお伺いしたいと思います。
 今大阪の現状を非常に具体的にお伺いし、そしてまた大阪府は非常に熱心に検討会などをつくって総量規制のために努力しておられることに非常に敬意を表しておりますけれども、今御報告にありましたように現在の環境基準も三分の二は基準を達成できない、超えている。これがやはり東京や大阪の現状だろうと思います。それで、この名称が長いからNOx法案と言いますが、今回提案されていますこの法案の内容では二〇〇〇年までにおおむね環境基準を達成できるというそういう目標でおるわけですけれども、今出されました大阪府の検討会などによる環境基準の予測数値、これはとてもそういうものは達成できない非常に厳しいものが出されていると思うわけです。
 大阪府としては、今いろいろ法案に対する評価もありましたけれども、しかし本当にこの法案によって環境基準の達成が可能と見ておられるかどうか。もし困難と考えておられるのであれば、今幾つかは御提起ありましたけれども、さらにどのような施策を講ずれば環境基準の達成が可能とお考えになるか、まずそれを一つ質問させてください。
#15
○参考人(服部正敏君) まず大阪府の検討会の結論でございますが、大変厳しいようになっておりますが、全部その地域にある自動車の排ガスだけで低減するとすればという前提になっておりますので五〇%というような値になっております。
 お尋ねの環境基準達成についての見通しはどうかということでございますが、この前提となる例えば交通量の予測等の問題があろうかと思いますが、私ども考えておりますのは、使用車種規制とそれから単体規制の自然進行といいますか、そういうことによって相当の削減が見込まれて効果あるものというふうに考えております。そして、今次法案の中に盛られております低公害車の普及促進でありますとかあるいは物流合理化あるいは交通流の円滑化といった要素、これは非常に大きなウエート、地方公共団体の立場からはその辺がまだ具体的に読み取れませんが、そこらの対策を非常に効果的に実施されればまさにおおむね環境基準は達成できるんではなかろうかというふうに考えられます。
 くどいようですが、何にも増して中公審の長期目標の達成、これがかぎではなかろうか、こんなふうに考えております。
#16
○清水澄子君 その場合に、物流合理化というのは大変難しいことなんですが、大阪であればそれらをどういうふうに具体的に今後やろうとしていらっしゃるのか。それから、走行距離の削減とか使用台数の削減など物流合理化を保証するもう少し具体的な考え方、こういう施策を講じたならばという今まだ実行されていなくても提案できるものがあればぜひひとつ教えていただきたいと思います。
#17
○参考人(服部正敏君) 地方公共団体の立場から大変お答えをしにくい問題であるかと思うんですが、走行距離の削減でありますとか使用台数の制限というためには、例えば共同輸送・配送の推進でございますとかあるいは退路の貨物の確保、要するに積載効率を上げていく必要がある。あるいは船舶とか鉄道への輸送転換といったような措置が要するに走行距離の削減、使用台数の削減ということになろうかと思います。それを保証するためには、例えば配送基地といったようなハードの整備を含めましていろんな条件整備、これは主として国の方で行われることになろうかと思いますが、そういう施策が必要であろう。
 また、これを進めるためには荷主の側の意識改革といいますか、そっち側の方の問題も大変だと思いますが、そういう意味でのPR。自動車の運行に係る業者あるいは事業者というのは極めて多種多様でございます。現実問題として総量規制というような形のものは困難な点が多いのではないかというふうに考えております。
#18
○清水澄子君 次に、今度の法案では、地方自治体の知事が総量削減計画を立てる場合には、それを総量削減計画策定協議会の意見を聞いて、そして内閣総理大臣の承認を受けなければならないということが明記されているわけですけれども、これまでの大気汚染防止法とか他の法律では自治体の独自の権限、条例をつくれるとかそういう権限があったわけです。それらの問題と、今度のこの法案が実質的に地方自治体の独自の権限でもって環境基準達成を図ろうとする施策との関係では障害にならないのかどうか、不安もないのかどうか、その点についてはどうお考えになりますか。
#19
○参考人(服部正敏君) 今のお尋ねは都道府県独自の対策の障害になるかどうかということでございますが、むしろ独自の対策というものが非常にとりがたい点がこの問題ではなかろうかというふうに考えております。
 つまり、固定発生源の場合には、それを防除する技術的なレベルが何段階もございますし、それを企業の側で選択することも可能でございます。そして、都道府県でそれをチェックすることも可能でございますが、ただ、自動車排ガスの場合には例えば基準にしましてもメーカーの製造するものを受け入れるだけでございますし、固定発生源の場合は、煙突からどこへ汚染の負荷を与えているかというのがかなり明瞭になって事業者の理解を得やすいわけですが、自動車の場合には走行実態等非常に多種多様というようなことから独自の対策というのがまさに困難。特に社会経済的に影響の大きい物流対策等は地方団体の仕事としては荷が重過ぎるのではないかというようなことでございます。
 したがいまして、むしろこういうふうな形で国の関係の省庁が挙げて一体的に取り組んでいただくという方が都道府県の立場からはありがたい問題だと。残された都道府県独自の問題としては、例えば住民意識の啓発であるとかそういった点についてはまだまだやる余地はあるというふうに考えておりますが、独自施策そのものが非常に難しいんではないかというふうに考えております。
#20
○清水澄子君 それではあれでしょうか、今回の特別措置は特定地域に対する規制ですね。そうすると、周辺地域と大阪府とか特定地域との関係、やっぱり周辺との関係も規制されなければ特定地域だけでは他からの流入とかいろいろあるわけでしょう、そういう問題は。それはさっきの単体規制とかそういう車種規制は、これは今特定地域の措置法ですから、それだけで可能だと思いますか、規制できること。
#21
○参考人(服部正敏君) 地域指定がこれからの問題でございます。そして、特に国の方のお考えでは汚染の著しいところ、このまま放置しておいては環境基準が達成できないところということを御指定いただくということでございますので、そのあたりで問題の解決をしていきたい。
 また、地方独自では、例えば大阪府と京都府、それから兵庫県と連檐する地域で我々は行政レベルで連絡会を持つことを意思決定いたしておりまして、そういう横の連絡等も十分にとっていきたいというふうに考えております。
#22
○清水澄子君 それでは、溝口参考人にお伺いしたいと思います。
 大変具体的な資料をいただいたんですけれども、そして道路沿道の健康影響調査の問題を提起していただきました。環境庁の大気保全局もそういう報告を出しているわけですけれども、今回の法案の内容でもって西暦二〇〇〇年を目途に本当にNOxの環境基準が達成できるとお思いでしょうか。そして、今の法案の内容でこの道路周辺で健康被害に遭っている人たちの健康が改善されるという見通しがあるでしょうか。
#23
○参考人(溝口勲君) 私の専門的なところからちょっと外れてしまうんですが、この法案で達成できるかどうかというふうに聞かれますと私自身としてはわかりませんというふうにお答えする以外にないんですが、もし環境基準が速やかに達成されるということになれば今よりははるかに改善されることは期待できると思います。
 それは、私札幌市に行きまして、札幌は環境基準が達成できるかできないかというちょうど境目になっておりまして東京なんかに比べてぐっと低いんですが、若干の調査なんかやってみましても東京と比べるとやっぱり随分違うということを感じさせられますので、もし環境基準が達成されれば改善の希望は持てるんじゃないかというふうに思います。
#24
○堂本暁子君 きょうはお忙しい中、参考人の皆様方、私たちのためにいろいろ御意見をお述べいただいてありがとうございました。
 私は最初に猿田参考人に伺いたいんですが、二年間にわたる座長のお役をお務めになられたということですけれども、平成三年の十月に検討会が取りまとめた最終報告が提示されて、それをベースに今回の法案もつくられたというふうに聞いています。中間報告では、先ほどのお話にもありましたような固定発生源、それから移動発生源、それからステッカー方式とかいろいろ報告されていた中で、今回使用車種の規制だけになったわけですけれども、こういったことで十分だとお考えでしょうか。
#25
○参考人(猿田勝美君) 今、先生のお尋ねの十分かということでございますが、これにつきましては中間取りまとめの中でも三式のメニューをお示しいたしました。その後いろいろと検討させていただきまして、その中間取りまとめにおける趣旨を生かしながら最終報告の中で取りまとめたわけでございます。
 今回の法案の中にも総合的ないわゆる基本方針をつくり削減計画を知事がまたおつくりになる。その中に総合的な施策が取り入れられてくれば、要するに単体規制あるいは車種規制ということだけではこれはなかなか困難でございますけれども、先ほど大阪府の御説明にもありましたが、そういうような総合的な施策が行われていけば可能であるというように考えております。
#26
○堂本暁子君 もう少し詳しく御説明いただければうれしいのですけれども、三つの方策が一本化されていくそのプロセスと申しますか過程はどのようなものだったのでしょうか。
#27
○参考人(猿田勝美君) 今お尋ねの三方式の中で、例えば総量規制方式が一つございます。これにつきましては、工場、事業場ごとに排出量を割り当てていこうということでございます。
 自動車からのNOxの排出に関してとり得る方策といいますと、やはり車種の代替、新しい規制車に代替していくあるいは低公害車に代替していくということ、それからもう一つは自動車の合理的な使用というものに限られてくるであろうというようなことが考えられるわけでございまして、それ以上の削減というのはなかなか困難であるということが一つございます。
 特に車種の代替となりますと、運輸業などの場合には、大規模業者から零細企業までと申すと失礼かもしれませんが中小まであるわけでございますけれども、一応そういう形で総量規制を導入するといたしますとある一定規模以上のものに限らざるを得ないだろう。総量規制という形でまいりますとそういうことになるわけでございまして、やはりそういうところにまた一つ問題が出てくるのであって、それから逃れた部分のいわゆる中小企業の台数がかなりこれまたあるわけでございますが、それが対象にならないというふうなこともございます。
 それで、そういうようなこととそれから委託業者、いわゆる委託輸送といいましょうか取引先によります輸送など自分がなかなか支配し切れない、業者自体がなかなかコントロールできない、調整できないという問題等もございまして、そういう結果から今回のような、この前最終報告で御報告したようなことが一つ、車種代替とそれから合理化というようなことで進められるのではないかということで、中間報告の考え方をベースに整理していったということでございます。
 それからステッカー方式。域外からの流入規制方式でございますが、これも中間取りまとめの中でいろいろと御意見をちょうだいする議論のたたき台として我々が一つのあり方として考えたわけでございますけれども、その後の検討の中ではやはりかなりいろいろな問題が出てきたわけでございまして、地域内外の公平性の観点からどうであるかというような問題もございます。
 そういう意味ではむしろやった方が公平性はあるのかもしれませんけれども、ステッカーによる走行規制というものに対して考えますと、これは全国的な規模に広がらざるを得ないというようなこと。それから、それに対する取り締まりをどの段階でどうできるのか。地方の環境行政部局ではこれに対応し切れないわけでございまして、道路運送車両法、いろんな中で何らかの方策を考えなきゃいかぬわけでございますが、非常にこれは難しいというようなことも出てきたわけでございます。いわゆる大都市地域におきまして広域的な路上取り締まりというものは可能であるかどうか。
 そういうようなことをいろいろ考えた末に最終報告で申し上げたような形に整理させていただいたということでございます。
#28
○堂本暁子君 先ほどの御報告の中で、地方自治体の枠を越えて横断的な規制でより効果あらしめたいというふうにおっしゃいましたが、同時に、猿田参考人は横浜市の元公害対策局長でもいらっしゃったわけですけれども、実際に自治体が命まで積極的にNOxの対策に取り組んできた仕組みがある。そして、今回のこういう法案になって、今最後にお述べになったようにより効果的になるのか。逆に、自治体で規制することの方がむしろ直接的な規制ができるのではないかというような危惧も持つわけですけれども、その点をもう一回確認させていただきたいと思います。
#29
○参考人(猿田勝美君) 私も実は昭和六十一年度に横浜市で自動車公害防止計画というのを約二年間かけてっくったわけでございます。これは、物流問題、人流問題、いろいろ総合的な施策として一応自動車公害問題のマスタープラン的なものを考えたわけでございますけれども、しかしこれはあくまでも要請という段階であり、お願いするというような範疇からは出られないわけでございます。
 と申しますのは、道路取り締まりの権限も自治体にあるわけじゃございません。それから、車種規制については国が単体規制でしっかりおやりいただいているわけでございまして、では、あと物流基地をどうつくるか。これも業界にお願いして何か考えていただくとか、しかし六十年に達成できなかったという事実はあるわけでございまして、自治体としては何らかのことを考えていこう、少しでも環境を改善しようということで俗に言う自公防計画、自動車公害防止計画をつくりました。
 ですから、今回の法案の中にも示されておりますように、ここにちゃんとした法的な根拠を持って総合計画、いわゆる物流、人流あるいは道路の改造、これなどはまさになかなか一自治体ではできない問題もあるわけでございます。そういうような、立体化の問題であるとか交通渋滞をどう解決するかとか、いろんな分野とかかわりがあるわけです。
 そういう中で、今までのような縦割りではなくて横断的に、地方自治体ですと比較的とりやすい面もございますけれども、そういうような横断的に各部局が協力してやらなければできない。物流、人流にしても交通局の協力も必要でございますし、そういうような形で、自治体は一応計画はつくりましたけれども、実際には各団体あるいは国の御協力をいただかなければある枠からは出られない。そこに問題があったわけです。
 しかし、今回の法案の中で、総合的な基本計画をお示しいただき、それに基づいて削減計画を知事がおつくりになる。まあ国の御承認をいただくとしましてもそういうものをつくられる。ですから、基本方針の中にそういうものが盛り込まれておればこれはかなり総合的な成果が上がってくるのではないか。私はそこに期待しておるわけでございます。
#30
○堂本暁子君 大聖参考人、よろしくお願いいたします。
 私専門ではないのですが先ほどの御報告の中で興味を持ちましたのは、長期目標とおっしゃいました中に黒煙とか粒子状物質、そしてNOxは相反する、全部を排出量を少なくすることは技術的になかなか難しいというお話がございました。今、まさに地球温暖化の問題ですとかそういう中で、窒素酸化物というのもどれだけ少なくできるかぎりぎりの限界というのが求められていると思うんですけれども、これからの技術的な可能性について例えたらと思います。
#31
○参考人(大聖泰弘君) 今御質問いただきましたのは、長期目標の達成にかかわる技術的な難易度といいましょうか可能性についてお尋ねがあったわけでございますが、私ども環境庁の中に設置してございます自動車排出ガス低減対策にかかわる評価検討委員会で逐次最新の技術情報をヒアリングいたしております。そういった中で申し上げますとかなり難しい状況がございます。特に先般の中公審でうたわれております平成十一年を目途に達成を図るということでございますが、これは非常に難しい状況ではなかろうかと思います。
 ただ、車種によって難易の差が多少あるかなというふうに思っております。例えば小型、中型、大型というふうに分かれますけれども、やはり一番難しいのは大型のものでございまして、十一年が一応期限ということでございますが、可能性としては小型、中型から前倒し的にやれる可能性はあるのではないかというふうに予想いたしております。ただ、大型車につきましては今のところ予測ができないという状況がございまして、これはいろいろと技術的な問題がございます。あるいは諸外国の技術状況なども調査いたしておりますけれどもなかなか難しい。特に日本の場合にはNOx、粒子状物質、両方とも非常に厳しいものがございますので両方達成するということが求められておりますけれども、大変難しいというのが現状ではなかろうかと思います。
 もう少し時間がたって見通しが得られましたらはっきりしたお答えができるというふうに思っております。
#32
○堂本暁子君 ありがとうございました。
#33
○石渡清元君 自由民主党の石渡清元でございます。きょうは四人の参考人の先生には大変御足労をいただきまして、それぞれのお立場でお話を伺わせていただきました。ありがとうございました。
 私は十分でございますので、先に質問全部申し上げてそれぞれ御答弁いただくのがやっとじゃないかと思っております。
 まず猿田参考人にお伺いをするわけでございますけれども、大変検討会最終報告をおまとめになりました御努力を評価するわけでありますが、その資料を拝見する中で、中間報告と最終報告に内容的に少し違いがあり、またさらに、この最終報告と今回の法案でもその違いといいますか、衆議院でも議論があったそうでありますけれども、二〇〇〇年の環境基準達成の見積もりが甘いんじゃないかとかあるいは後退しているんじゃないか、そういうようなことがあったそうでございます。そういったような一連の作業の流れと今回の法案をどのようにお考えになっているか。結局、この法案の効果はどうかということを皆さん聞きたいんじゃないかと思いますけれども、それをまずお伺いしたいと思います。
 そして、法案ができたからその効果がすぐ上がるというものではなく、むしろ関係の皆さんの努力を結集していかなければ効果が上がらないと思いますけれども、その必要性等々をどのようにお考えになっているか、お伺いをいたします。
 それから、大聖参考人にお伺いいたしますけれども、今もちょっと堂本委員からお話がありましたが、長期規制の前倒しとか早期達成とか言われております。ディーゼルの場合、日本はかなり排出規制の先進国だと思いますけれども、メーカーサイドとかユーザーの経済性とかそういうことは抜きに、純アカデミックに、技術的に単体規制の目標克服という見通しをお伺いするのが第一点。
 もう一つは、議論の中であったかと思いますけれども、この単体規制を全国でやれと、こういう意見もあるようでございますが、これは実際可能なものかどうか、その辺についてお伺いをいたします。
 それから、服部参考人にお伺いいたしますが、自治体での具体的な経験に基づく御意見があったわけでございます。今までのお話にもございましたけれども、その効果と限界について自治体サイドからの、私も地方自治体、神奈川県議会におりましたので同じようなことに取り組んでまいりましたけれども、それについてお伺いをしたい。
 あるいは、一方では自治体にもっと権限をよこせ、そういう意見があるわけでございますけれども、それに対して、権限だけもらってお組織とか具体的なものが伴わなければ地方団体では何もできないわけでありますので、その辺の十分効果が上がる方策等々がないか。それは余り今のお立場にこだわらずに私的な意見でも結構でございますから、何かございましたらお聞かせいただければ幸いでございます。
 以上でございます。
#34
○参考人(猿田勝美君) ただいまの御質問にお答えさせていただきたいと思います。
 まず最終報告の中で中間報告との関係、次に法案との違い等の御意見がございました。
 先ほども申し上げましたように、中間取りまとめの中では、検討会のいわゆる議論のたたき台として、あるいは関係方面の御意見をちょうだいするためのいわゆるヒアリングを行うための素材として取りまとめたわけでございます。それをペースにいたしまして、最終報告の中では、中間報告で御提示申し上げました案を取捨選択するのではなくて、そのねらいとするところを実質的に取り入れた形にするよう努めたつもりでございます。
 具体的に申し上げますと、工場、事業場などの総量規制方式につきましては、工場、事業場ごとに排出量を割り当てたといたしましても自動車からの排出に関してとり得る措置というのは限りがあるわけでございまして、一つは車種の代替であろう。それからもう一つは自動車使用の合理化であろう。そういうものに限られるんではないか。それ以上の削減を求めるというのはなかなか困難なわけでございます。
 この総量規制の中では、先ほども申し上げましたけれども、対象を一定規模以上の事業者に限らざるを得ない。それから、委託輸送とか取引先によりますいわゆる荷主側による輸送等、なかなか運送業者が自分で支配し切れない自動車がたくさんあるわけでございまして、そういうような効果的な制度として仕組むにはかなり問題があるということがございました。
 また、中間報告で述べましたいわゆるステッカー方式、流入規制方式でございますけれども、これは地域内外のいわゆる公平性という問題からいきますと流入車も対象とすることが望ましいわけでございます。手法としてはその場合にはステッカーであろうということからステッカー方式というようなことが出てきたわけでございますが、規制対象が全国に拡大していくであろう、それから大都市のような広域での路上取り締まりとなりますと現実的には不可能に近いんではないかというようなことがございます。
 そういうことから規制として取り組むことは適切でないということで、車種の代替並びに自動車使用の合理化というものを報告書の中で提言申し上げた次第でございます。
 法案との関係でございます。最終報告に比べてということでございますが、御指摘の点は、特にその中でも事業者による抑制計画制度などがなくなって変わってきているわけでございますけれども、これが法案におきましては事業所管大臣による事業者指導という形になっておるわけでございます。これにつきましては、都道府県知事が個別事業者に対してNOx抑制に関する計画書の提出を求めるという仕組みを報告書の中で御提言申し上げたわけでございます。
 今回の法案の中では、事業所管大臣の協力を得ることができるということで、さらに効果的な制度になったのではないか。それは先ほどもいろいろ自治体の関連のところで申し上げましたように、いわゆる自治体のできる限界というのはあるわけでございまして、それがかなりそういう意味では明確にできるようになるんではなかろうかということでございます。
 それから、自動車使用の合理化を効果的かつ円滑に進めていきますためには、個別事業者の御力をいただくことは当然でございますけれども、物流施設の適正配置あるいは合理化への支援等をあわせて講じなければならないわけでございます。特に中小企業者も含めました業界全体を通じて対応を図ることが必要なわけでございまして、今回、それらを所管する省庁の方でこれらの観点を踏まえて対処することになったということは、より効果的なものではないかということでございます。
 今、先生御指摘の効果があるのかないのかということから見ますと、車検制度で車種規制も担保される。これも前進だろうと思います。それから、知事の削減計画の策定に関して協議会が設置される、関係機関の協力が得られるというようなことでございまして、全体として一歩前進、二歩前進ということではなかろうかというように考えます。
 以上でございます。
#35
○参考人(大聖泰弘君) 長期目標の達成に関する可能性はどうかという御質問であろうと思います。
 一つは、具体的に申し上げますと、この長期目標達成のためには燃焼技術だけではとてもクリアできないという見通しがございまして、出てまいります排出ガスそのものに何らかの後処理を施す必要が生じております。この後処理という技術は非常に難題でございまして、信頼性、耐女性を含めた意味での実用性がまだ確立にほど遠い状態でございます。
 具体的にさらに御説明申し上げますと、この後処理のためには、黒鉛をこし取る、捕集するフィルターが必要とされております。あるいは触媒によりましてその一部を酸化させるといったような方法がとられております。これの技術がまだ確立、にほど遠いという状況でございます。もちろん先ほど御説明申し上げましたように燃料の中に含まれます硫黄分を低減していただくということがその効果を高める上で必要でございます。
 それと同時に、その後処理本体の技術を確立するということがまだ不十分であるというふうに思います。特に先ほど申し上げましたとおり大型車につきましては非常に困難であるというふうに予想しておりまして、現時点でその達成が可能かということを断言できない状況でございます。ただ、小型あるいは中型につきましては、その後処理装置あるいは燃焼技術、こういったものの複合的な組み合わせによりまして何とかいける見込みがほの見えてきたと、そういったような状況ではなかろうかというふうに思っております。
 それからもう一つの御質問でございますが、車種規制を全国的に展開してはいかがかという御質問でございましょうか。
#36
○石渡清元君 いや、可能かどうかです。
#37
○参考人(大聖泰弘君) この法案の趣旨としましては、要するに単体規制のように全国一律の基準で規制するということに対するいわば上乗せの規制でございます。これがこういった大都市圏の窒素酸化物の低減には非常に有効な手法ではないかと思っております。環境基準を超えていない地方にまで全体に厳しいそういった規制を施すには少し効率的でもないですし、技術的にも不可能ではないかということで、特にそういった上乗せをやっている規制であるというところに本法案の趣旨がございますので、効率のよいあるいは実効の上がる手法ではないか。
 これは運用の仕方によりますけれども、そういったふうなねらいがございますので、そのようにやっていただければというふうに思っております。
#38
○参考人(服部正敏君) 二点のお尋ねがあったかと存じます。
 まず第一点の効果と限界ということでございますが、私ども先ほど申し上げましたように、新環境総合計画への位置づけでありますとかあるいは物流合理化のマニュアルをつくるといったような形でこれまで努力を重ねてまいりました。また一方で、大阪工業会、百貨店協会、チェーンストア協会、そういったところとこの問題について十分な話し合いをさせていただいておりますが、そこらでも大阪府の施策に十分に協力をしていこうと。この問題は非常に重要なことであるという御認識をちょうだいいたしておりまして、我々がこれまで努めてきたことというのがそういう御理解を得る上で一定の効果があったものではないかというふうに存じております。
 そして、限界という点でございますが、先ほど来出ておりますように自動車の問題というのは関係の機関が非常に多い。メーカーからユーザーに至るまで事業者も多種多様であるというようなことから、自治体の環境部局だけでできることにはおのずから限界があろう。要するに、NOxの低減に向けて本法案に盛られていますように関係の各方面の力を結集するということが肝心でなかろうかというふうに考えております。
 それからもう一点、同じような観点から自治体に権限を与えればというお話でございましたが、NOx対策というのは自動車問題の事の性質上、それから個人的な立場でもというお話がありましたが、実務的な人員等の面から申しましても、環境部局にその権限を与えられたということで直ちに実効ある措置がとれるかということについては疑問でございまして、まさに国の関係各省庁、それから自治体の中でも関係各部局というものが力を携えて対処することが必要であろう。
 今回の法案というのは、こうした体制をつくる、要するに自治体としても制度的にこれまで何の手がかりもなかったものについて一定の方向づけをしていただいたということで、我々大いに前進できるものというふうに存じております。
#39
○高桑栄松君 きょうは各参考人、大変お忙しいところをいろいろ貴重な御意見を承らせていただきましてありがとうございました。
 それでは、それぞれの先生方にお伺いしたいと思います。
 まず猿田参考人にお伺いしたいと思いますが、昭和六十年をNOxの基準値達成の年次にしておった。これがどうしてもできなかったその最大の理由は何であったかというのと、もう一つは、今度の総量規制というのは総量ですから全部足してということなわけですけれども、項目別で言うとどれが一番期待されるのか、つまり削減効果の寄与率というふうなことを承りたいと承りたいと思います。
#40
○参考人(猿田勝美君) 環境基準が改正されまして六十年度をめどにしておったわけでございますが、その間、私もちょうどその当時地方自治体におりましたので窒素酸化物対策などをやってまいりました。しかし、予想以上に自動車の増加率、走行量の増大と申しましょうか、これが大きかったということで固定発生源などに対応する削減というものが相殺されてしまった。これがやはり一番大きな原因ではなかったか。その中で特にディーゼルの伸びによる排出量の増大ということでございます。これが六十年以後もずっと後を引いているわけでございます。
 それから、削減効果につきましては何が一番ポイントかというお尋ねでございますが、大聖参考人からもお話ございました単体規制の強化という長期目標の早期達成ということ。これは我々としても最大の眼目になっておるわけでございまして、そのほかそれぞれが飛び抜けて四〇%、五〇%削減できるというものではございませんで、やはり総合的な施策の中で物流、人流あるいは道路構造対策、いろいろなものが絡み合って初めて成果が上がってくるものであろう。
 しかし、その基本になるものは一〇%あるいは一五%であろう。やはりそういうものの積み重ねが大事なのではなかろうか。これだけが飛び抜けてという、まあ今回の車種代替で我々は一〇%から二〇%ぐらい、こう予測しております。中では比較的車種代替による、大都市圏における規制効果としては大きな数字でございますけれども、しかしそれでも上限で見ても二〇%程度、下限でいけば一〇%程度でございまして、その幅の中にあるだろう。
 しかし目標としてはさらにもっと削減が必要でございまして、それは総合施策の中でいろいろな物流、人流あるいは交通流、交通対策というもので考えていかなければならないだろうというふうに思っております。
#41
○高桑栄松君 猿田参考人は座長でおられたので座長の御答弁だったなと思って伺ったわけです。
 大聖参考人に承りたいのは、一つは、これは世界的に見ても珍しいというか新しい法案だとおっしゃったですね。これはそうするとどこが新しいのかなと思うんです。つまり、よそは野放しなのか。例えばどこかの国はこういうことをやっていた、そういうことなのか、全くやっていないのかというのが一つでございます。
 もう一つは、今猿田参考人もそれから服部参考人もおっしゃったと思うんですが、単体規制にやっぱり力を入れておられると思うんです。先生は燃料工学の専門家でおられるから、単体規制は一番大事なポイトだと思うんですが、先ほど来のお話を承っていますと何だか難しいみたいなお話に聞こえちゃうんですね。そうすると、今までディーゼルエンジンというのは改良せよと言われていながらしないできたのか。それとも十年前に比べてどれくらいか改良されたのか。その改良の延長線上にあるとすれば何年後にどうなるんだろうか。
 今の猿田参考人がおっしゃったのは、協力というのはエデュケーションみたいなものですから、それは効果は期待できる場合とできない場合とありますよ。私は協力ではないと思うんです。それほど人間は倫理観が発達していませんので法律に触れなければとことんまで潜った方がいいという考えの人が多いのではないか、こう思うんです。日本人だけが倫理観が高いとは考えられません。今度のサミットだって、アメリカがあれだけ世界の良心みたいなことを言っていて炭酸ガスについては自分の国の経済を主張しているんですから、これはもう話になりませんので、人間は全部疑ってかかることになるんじゃないかと。私の意見をちょっと申し上げて申しわけなかったんですが。
 やっぱり単体規制というのをがっちりやれば、もうディーゼルエンジンをぎゅっと締めていったらぐっと減るわけですから、ですからどうしても私は単体規制に重点を置かなければいけないと思うんです。大聖参考人にその辺を伺いたいと思います。
#42
○参考人(大聖泰弘君) このたびの規制はどこが新しいかということでございますが、諸外国に見られないそのポイントはどこかというお尋ねだろうと思います。
 一つは、やはり厳しさの点でかなり進んでいるという面がございます。それからもう一つは、やはり車種の使用を限定するというところに非常に諸外国に見られない試みがあるかというふうに思っております。今、使用しております車を一定の時期を超えて使うことを車検による取り締まりで禁じるわけでございますから、これはほかに例のない手法ではないかというふうに思っております。この二点がほかと違う点ではないかというふうに思います。
 それから、もう少し規制を強化していける余地はないかということでございます。
 ディーゼルエンジンの排気の取り締まりの歴史をさかのぼってみますと、長期目標では未規制時から比べまして七四%ぐらいの低減を求めております。これはかなりの低減幅でございまして、これまではどういうふうに対応してきたかと申しますと、燃焼技術を中心に燃焼を改善しながら排気をよくしていくということでやってまいっておりますが、この長期規制に関しましてはそれだけではどうにも立ち行かないという一つの技術的な壁に当たっておりまして、先ほど申し上げましたように何らかの後処理が必要になってきております。
 この後処理といいますのは、ガソリン車では三元触媒などを使いまして非常に有効に働くわけでございますが、ディーゼルエンジンではその燃焼の中に含まれます酸素が過剰でありますためにその触媒がうまく使えないわけでございます。これが一つのディーゼルエンジンとしてのウイークポイントであり、あるいは後処理技術をさらに技術開発していく一つの大きな目標になっているところでございます。
 ですから、燃焼技術でやれるところまでやっていただいて、あとは先ほど申し上げたような後処理技術を何とか確立していただきたい。これはもう正念場ではなかろうかと私ども技術的に正直言いまして見ております。世界的に見ましてもこれが可能であるといった技術的な保証はまだ得られておりませんし、日本の各メーカーいろいろやっておりますけれども、まだそこまで到達していないということでございます。これは本当に正直申し上げまして技術的な非常に大きな課題というふうに認識いたしております。
#43
○高桑栄松君 ついでにもう一つ伺いたいんですが、今壁にぶつかったとおっしゃいましたが、壁にぶつかるから研究があるわけで、壁がなければ研究は要らないわけでございます。
 私が聞きたいのは、そのときに研究費はどうなんだろうかと。例えば重点研究項目になっているかとか、科技庁が特に何かしているとかあるいは環境庁はどうしているかとか、何か注文があったらこの際ちょっと伺いたいと思います。
#44
○参考人(大聖泰弘君) 国からやはりそういった面での研究予算が出ております。実は私ども文部省から重点領域研究と称しまして科学研究費をいただいております。
 私どもの行っております研究は、まさに話題になっておりますNOxですとか粒子状物質の発生を科学的に解明するということに重点を置いております。それを低減するといいますのは、やはり実用的な意味からいいましてメーカーの役割ではないかということで、燃焼上どういうふうにしてその粒子状物質ができてくるかということはまだ実は世界的に解明されていない面がございます。これは非常に高温でしかも非定常な条件で出てまいるものでございますから、いろいろ測定上難しい。科学的にも解明されていない面がございますので、それを私ども大学あるいは国立の研究所の方々が注目して解明を進めているところでございます。
 そういった知見をもとに燃焼技術で何とか減らせるところまで減らして、それから後処理でそれの足りない分を補って、全体として減らしていこうというのが現状ではなかろうかというふうに思っております。
#45
○高桑栄松君 服部参考人に伺いたいと思うんですが、自治体の限度みたいなことをいろいろおっしゃいました。単体規制のこともおっしゃっておりましたし大体ほかの先生方への御答弁もありましたが、一つ伺いたいのは、ノーマイカーデーを毎月二十日とおっしゃっていまして、七%ですか、交通量は減ったと。大変効果があるなと思って、よく考えてみたら一年間では三百六十五分の七%でございますからもうゼロに近いぐらい少ない。
 東京都は毎週水曜日とかと言っていましたね、効果はなかったと思いますけれども。しかし、毎週水曜日と毎月一回では違いますけれども、その辺は毎月二十日で年十二回ですからそれはまあいいんですが、それで効果があったら次の段階に進もうとお考えだったんですか、どうなんでしょう。
#46
○参考人(服部正敏君) ただいまのノーマイカーデーの件につきましては、効果があれば次の段階へというよりも、むしろ住民の方の御理解をいただく啓発の側面も非常に強いものでございます。
 今後の方向についてでございますが、実は先ほどもちょっと申し上げましたが近隣の府県、ローカルな話ですが四十三号線沿いの神戸、西宮、尼崎のあのあたり、あるいは伊丹といったような近隣のところと同調するような方向づけといったようなものができないか。いずれにしても、ここまで成果を積み上げてきたわけですから、これをさらに効果あらしめる方法というものを今後検討していきたいというふうに考えております。
#47
○高桑栄松君 それじゃ、最後に溝口参考人に伺いたいと思います。
 先生、大喜多さんの後ですね。
#48
○参考人(溝口勲君) はい。
#49
○高桑栄松君 そうですか。私の後輩みたいなもので、北大の教授でいらっしゃるから敬意を払って何か質問をしないと、せっかくおいでになって悪いかと思います。
 非常に医学的なデータをお示しいただいたので、私がそう思っていることもいろいろありましたし大変おもしろいと思ってこれを聞いたんですが、ヘルシンキのデータで〇・〇二ppmで影響があったと。
 これは国立公害研究所、今の環境研究所の嵯峨井君という人が、たしか私は〇・〇二だと思ったんですけれども今数字の正確な記憶がないんですが、日本の現在の基準よりももっと低いところだったと思うんですが二年半ぐらいマウスを使って、ですからもうマウスを使う限度ぐらいの実験ですね、それで肺胞の粘膜が肥厚するというデータを挙げていましたよ。ですから、これは非常に重要なデータであったと私は思っているんです。
 それで、先生のデータの発表を見て、やっぱり〇・〇二が問題だったかなと。最初のときのNOxのあれは〇・〇二でしたから、ですからそれと軌を一にしているわけで、非常に私はこれはやっぱり示唆に富んだ考えるべきポイントだと思うんです。ただ、現在〇・〇四または〇・〇六のゾーンでさえも達成できてないんだから大変なことなんですけれども、そのためにもしっかりしなければいけないと思うんです。
 先生の結論のところの三−四というところに、発がんや遺伝子異常というのが出ておるんですね。この発がん、遺伝子異常というのはNOxでおっしゃったのか。それとも浮遊物質ですね、サスペンデイッド・パーティキュレート・マターですか。あるいはその相加作用なのか。この文献というのはどういうことから出てきているのか。疫学的とありますから何か調査研究だろうと思いますけれども、これはいかがでしょうか。
#50
○参考人(溝口勲君) これは浮遊粒子状物質が主体になります。疫学的研究の場合浮遊粒子状物質の方が発がんのウエートが高くて、例えばカリフォルニアでたばこも吸わないしお酒も飲まないセブンスデーアドベンティストというようなそういう宗教、クエーカーなんかと似たような集団がございますけれども、そういうもので発がん率なんかを調べますと、やはり大気中の浮遊粒子状物質を加算していくことが発がん率を高めている、そういう結果が出ております。
 ですから、NO2の場合には非常に高い濃度だと発がんという動物実験がございますが、むしろディーゼルの中の粒子状物質が大変問題であろうと思っています。
#51
○高桑栄松君 今おっしゃったことはそうだと思うんですね、パーティクルの方が発がん物質を含んでいる。例えばベンツピレンのようなものが入っている。そうするとそれは発がん性を持っている。それは燃焼産物ですから発がん物質を持っていますからね。そういったさっきのNOxで肺胞壁が肥厚するというふうなのは、気管支の細胞の粘膜も肥厚するでしょうから、そういうところにパーティクルがつくと発がん性を起こすということは私は当然考えられることでないか、こう思うんです。
 これは東大のたしか物療内科のデータだったと思いますけれども、ディーゼルエンジンの排気ガスを集めて形花粉症をやったら、ディーゼルエンジン排気ガスを入れているものの方が非常に多く出る。だから、最近形花粉で過敏症が多くなったのはディーゼルエンジンのせいではないか、こういう話があったんですが、これについて先生何か御意見ございますか。
#52
○参考人(溝口勲君) 実はその調査をやったのは私が東大の医学部のときの同級生の小泉君で、日光の古河病院の院長をやっていたんですが最近やめまして開業しております。
 彼が、日光というのは昔から杉並木が有名なんですが、何も並木だけじゃなくて山にたくさんあるんだけれども、どうも自分のところに来る患者さんが国道四号線沿いといいましょうか、大変そういうところの方に花粉症の患者というのが多い。ところが、もっと田舎の方が杉林があるんだけれども杉林に近い人よりもというようなことから、実験的にもいろいろなことを東大の物療内科を中心にしてやりまして、やはりアレルギーの発症に対して、ディーゼル排ガスの粒子状のものをとりまして動物実験をやりますと大変アレルギーに感作されやすくなるし、反応が強く出るというようなことをやっております。
 これはもちろん動物実験で疫学的なデータを裏づけたということで、大変意味のあることだというふうに考えております。
#53
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#54
○沓脱タケ子君 参考人の先生方、どうも御苦労さまでございます。わずかな時間でございますので各参考人の先生方に一問ずつお伺いをしていきたいと思っております。
 まず猿田先生にお伺いをいたしたいんですが、実は御案内のように七八年にNO2の環境基準値が緩和をされまして、そのときに八五年に達成期限の目標を決めたんですね。ところが、それがクリアできなくて八八年まで、中期展望あるいは新中期展望ということで新しい環境基準もクリアできないままに次から次へと来たということなんですね。そういう段階で今度車の排ガス規制という形の総量削減という特別措置法が決められるということは、国民的に特に大都市では渇望しているところなんですね。
 そういう中で、猿田先生にお伺いをいたしたいと思いますのは、もう各先生方からも御意見が出ておりますように、中間取りまとめをしていただいたのが最終報告で後退をしたというふうに受け取られているわけです。というのは、三点が実質的には一点になってしまった。これは大変国民の期待からいいますと失望したということは否めないんです。そういうことになった理由は何であろうかというのが一つです。
 それから、大聖先生にお伺いをいたしたいのは、そういう大前提に立ちまして、本来ならディーゼルエンジンあるいは自動車メーカーの人たちに来ていただいて直接お聞かせをいただくというのが一番望ましいわけです。五十一年規制のときにはそれをやったんですね。しかし今回はそういう条件がございませんでしたので、先生大変御大任を果たしておられますが、排ガス低減技術評価検討会にも御参加をいただいておる御専門家でありますのでお聞かせをいただきたいと思います。
 陳述のときのお話のように、長期目標はこれは見通しが立っていないというお話でございます。国民サイドからいいますと、これは一体どうなんだ、せっかく法律をつくるのに長期目標の展望さえ持てないというのでは見通しがないじゃないか、極端に言いますとそういうことになるんです。
 そこで、私技術的なお立場からぜひお伺いをしておきたいというのは、例えば陳述の中でおっしゃられましたように、軽油のS分を削除するということをどうしてもやらないとエンジンの改善もできないんだということのお話がございました。そういう問題が総合的にやられても長期展望が持てるというめどが立たないのか。そういうことが総合的にやられたら、大体めどはいつごろには持てるということを純粋な技術的なお立場からぜひお聞かせいただきたいと思うんです。
 といいますのは、五十一年規制のときなんかでも技術問題で随分甲論乙駁しましたが、メーカーの方はいろいろな状況でいろんな言い方をしてきたという経過を私存じ上げておりますが、先生の場合には科学的なというんですか専門的なお立場でどうだろうかという御意見を、そのめどは本当に持てないのか、こうすれば持てると言えるのか、その辺をお聞かせをいただきたい。
 服部参考人、大阪で大変御苦労いただいておりまして御苦労さまでございます。私大阪で大変だと思いますのは、随分御苦労いただいていても改善がされなくて、やっぱり依然として苦労が続くという状況でございますが、この法律案が施行されますと大体二〇〇〇年までに現在の環境基準の目標達成の確信がお持ちになれるかどうか、その点だけをお伺いさせていただきたい。
 溝口参考人にお伺いをいたしたいと思いますのは、私どもがこういう法案についてちょうちょうしておりますのは、やはり人間が生きていく上で企業あるいはそういう自動車排ガス等で人間の健康に被害を受けるという事態が起こっているのを、それをなくすためにどうしたならばいいのかというのが最大の課題でございます。
 お話のように、随分これはショックを受けましたけれども、ヘルシンキのデータ。〇・〇二ppmで既に被害がひどくなってきているという状況なんですが、これで私が溝口先生にお伺いをしておきたいと思いますのは、御指摘のSPMをも、これはNOxだけではなしにともに加味して問題を見ていかなければならないということになっておりますが、私は非常に心配だと思っておりますのは、今回の法案が施行されることによって果たして今沿道の住民が不安を持っておる健康被害というのが払拭されて、沿道の人たちの健康は守っていけるということが展望できるのかどうか。
 今の環境基準達成が二〇〇〇年目標ですけれども、恐らく二〇〇〇年目標でできないですね、長期目標のあれが立ってないんだから。これから十年、二十年先まで我慢していくということであればこれは大変なことになると思うので、やっぱり当面の環境基準達成が第一だと思うんですけれども、二〇〇〇年にはとてもできそうもないと私ども素人でも思うんです。
 そういう点で、沿道被害の国民、住民の健康を守れるという立場というのは、これで安全であろうか、安心できるのだろうか。環境基準は今上限が〇・〇六ですが、これはやっぱりヘルシンキの例を見たら、もとの〇・〇二に戻さなくちゃならないのじゃなかろうか、そんな感じがいたしますが、その点についての御見解をお伺いしておきたいと思います。
#55
○参考人(猿田勝美君) ただいま先生の御質問ございました中間取りまとめ、それと最終報告との関係でございますけれども、中間取りまとめにおきましては三方式と申しましょうか、総量規制、車種規制、それから走行規制の三方式をお示ししたわけでございます。
 中間取りまとめの段階では、これは先ほど申し上げましたが、いずれも御意見を承るための素材として、あるいはまた検討会の内部におけるたたき台としてまとめたものでございまして、この三方式のうちのどれか一つ、いわゆる単独で導入するか、あるいは複数の方式を組み合わせて何かもっと効率的なものをまとめていくか、いろいろ検討したわけでございます。その中で、ステッカー方式につきましてはその時点でも幾つかの問題点は指摘しておいたつもりでございますが、規制対象地域が全国的に拡大するけれども妥当かどうか、あるいはステッカー交付事務は可能かどうか、あるいは路上の取り締まり体制が現実的かどうかというような問題点は指摘しておいたわけでございます。
 その後の検討段階におきまして、結果的には中間取りまとめの内容を生かしながら総合的かつ現実的なと申しましょうか、方向でまとめさせていただいたわけでございます。特にその中で工場、事業場等にかかわってまいります総量規制、それから自動車の車種規制、これにつきましてはトラック、バスにかかわる特別の規制等自動車使用の合理化という形でまとめさせていただいたわけでございます。さらにその中で、今回の法案に入っておりますように、総合的な各種施策を強力に展開することが必要であると。要するに、車種規制あるいは単体規制というだけでは総合的な効果、交通量の抑制とかいろいろな考えがあるわけでございますので難しいということで、総合的な施策というものの展開ということで基本方針あるいは削減計画を導入したこの制度を御提言申し上げたわけでございます。
 今回の法案の中ではそれが基本方針あるいは削減計画の策定ということでお取り上げいただいておるわけでございまして、中間から最終への間での変化というのは、あくまでも中間が一つのたたき台の段階でまとめ、その中で幾つかのメニューをお示しして、実際に効果的なものは何かというためにいろいろと討論あるいは検討させていただいたということでございますので、中間が最終的なこの一つの施策の方向を全部示したものではないということでございます。その辺御理解を賜りたいと存じます。
 以上でございます。
#56
○参考人(大聖泰弘君) 長期目標の達成の見通しということでございますが、その中で燃料中の硫黄分を減らすということが一つの前提条件になっております。これは技術的には可能でございます。それで、先ほど触れましたけれども、大体五年ぐらいのリードタイムを置けば軽油中のS分を〇・〇五%程度に低減することが可能であろうというふうに思っております。ただし、ディーゼル車の側の技術という観点から見ますと、こういった〇・〇五%まで低減するということを織り込んでさらに減らす必要が出ております。したがって、これはあくまでも前提条件だというふうに御理解いただきたいと思っております。
 それから、平成十一年以内にできるかどうかということでございますが、何が何でもやらねばならぬということで申し上げますと、特に大型車は見通しが立っていないということを申し上げましたけれども、これはやろうといたしますと、エンジンのクオリティー、燃費あるいは耐女性、信頼性をかなり落として、かつエンジンが高いものにつくといったマイナス面がかなり突出してくるのではないかというふうに思っております。したがって、それはメーカー側にも負担になりますし、ユーザー側にもかなりの負担を強いることになろうと思います。
 それを前提にしまして、少し考え方を変えまして、そういった大きな犠牲を払いつつそれを達成させるということであれば不可能ではないと思いますが、それが実際のバス、トラック、そういったものに使う原動機として成立するかどうかということを考えましたときに、まだもう少しその技術的評価を続ける必要があろうというふうに思っております。私の感じでは、ここ一年から三年ぐらいに何とかそういった実現可能性を見出したいという状況でございます。
 一方、小型あるいは中型につきましては、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますが、何とかいけそうな見通しが見えてきておりますので、なお一層の開発努力をお願いして達成を図っていただきたいということでございます。
 以上です。
#57
○参考人(服部正敏君) 環境基準の達成についての確信というお尋ねでございますが、既に実施されております単体規制の進展、そして今回使用車種規制ということで相当程度の効果が見込まれるのは確実でございます。したがいまして、今後、環境基準達成のためにはこの法案に盛られております低公害革の普及、それから物流の合理化あみいは交通流の円滑化、こういった諸対策が効果的に実施されれば環境基準の達成は可能であろう。
 我々としては、それこそ国の御指導を得ながら、確信の持てる総量削減計画というものを策定していくべく努める覚悟でございます。よろしくお願いします。
#58
○参考人(溝口勲君) 先ほど高桑先生の御指摘にもありましたように、一日平均〇・〇二ppmを超えるとどうも何らかの影響が出そうだというようなデータがやっぱり出てくるわけですから、そういう点では理想的なゴールとして考えれば少なくとも旧基準というのを目標というふうにはすべきだろう。しかし、それよりもはるかに濃度の高い今の環境基準が二〇〇〇年になってできるかできないかと言っているわけですから、やはりそれは現実的に考えるとなかなか厳しいという感じでございます。
 私が先ほども申し上げましたのは、沿道の住民の健康はどうかということになれば、それは今よりは明らかに改善されるというふうに期待できる。ただ、一〇〇%本当にそれでいいのかというふうに言われると、もし今の環境基準が達成された後にまたもう少しさらなる改善をというふうになるのではないかというふうに考えております。
#59
○中村鋭一君 御苦労さまでございます。
 初めに猿田先生にお伺いをしたいんですが、私の手元に、これは日弁連がまとめたものでございますが、環境庁の中間取りまとめを踏んでのまとめがございます。その中に、ディーゼル自動車が現在の大気汚染の主要な原因となっていることは明らかであるが、一つのデータとして、普通の乗用車に比べますと、直噴式の八トンから十トントラックはガソリン乗用車の四十一・六倍、同じく十から十五トントラックは六十二・三倍、十五トンを超えると実に九十六・五倍というけた違いの窒素酸化物等の排出量を示している、こういうデータが提示されておりますが、これは猿田先生、信用に値する数字であるとお考えでございますか。
#60
○参考人(猿田勝美君) ただいまのお話で八トン車で四十一・六倍というお話でございますが、これは恐らく未規制時のディーゼルと比較すればかもしれません。現在では大体十トン車で十倍前後、十二、三倍。新しい規制ですと逆に七、八倍というようなデータもあるわけでございまして、十トンぐらいで六十二倍というのはちょっと大き過ぎる数値ではないかと思います。ちょっと飛躍しているかなどいう感があります。
#61
○中村鋭一君 これは日弁連が出しているんですから相当信用に値するような数字ですが、九十六・五倍、十五トン超は。こういう数字なんです。
 いずれにしても、ディーゼルが元凶といいますかそういう有害酸化物等を出す元凶であるとすれば、先ほどから参考人の先生方の意見をお伺いしておりますと、なかなかこれを規制していくのは大変なことである。ですから、猿田先生にこれは感想で結構でございますから、それを完璧に規制することができないのであれば、例えばここにあるデータは九十六・五倍と言っているわけですから、十五トン超のディーゼルトラックは製造を禁止する、そういうものは一切町を走れなくするというふうなところまで踏み込んだ対策というものを考えるべき時期に来ているというふうに先生はお考えでございますか。
#62
○参考人(猿田勝美君) 十五トン以上の車を都市部に乗り入れ禁止ということにつきましてどうかというお尋ねでございますが、これはそれなりに都市構造あるいは流通機構、そういうものが整備された段階では可能かと思いますが、現段階ですぐ、はいやろうということは難しいと思います。
#63
○中村鋭一君 大聖参考人にお伺いいたしますが、黒煙、それから粒子状、パーティクルですか、それから窒素酸化物、これの一方を抑えれば一方の値が大きくなる、こうおっしゃいましたが、いずれにしても健康被害というものを考えれば、全部を同じように抑えることができないのであれば、一番影響の大きいものを抜本的に抑えるというふうな技術開発をしていかなければいけない、こう思うんです。ですから、黒煙と浮遊物と酸化物と、先生のお考えとしてはまず一番どこにその開発の重点を置くべきであるとお考えでございますか。
#64
○参考人(大聖泰弘君) これは私はほぼ同等の力点を置く必要が。あるだろうというふうに思っております。とかく窒素酸化物の低減ということが前面に出ておりますけれども、長期目標にうたわれておりますように、窒素酸化物と同時に黒煙並びに粒子状物質の低減も求めております。これはかなり厳しい低減レベルでございますので、これをやはり私はどうしても両方減らす、どっちもおろそかにできないものだろうというふうに考えております。
#65
○中村鋭一君 それで、それは先生の御研究の分野からして必ず可能なことであるというふうに御理解ですか。
#66
○参考人(大聖泰弘君) 私どもは実用化とかあるいはエンジンの新しい開発とかそういったものには直接タッチしておりません。むしろ、先ほど申し上げましたように、その発生のメカニズムを科学的に究明したいというところに力点を置いておりますが、どうも私の感じではこれを燃焼技術だけで減らすことはちょっと難しい。すなわち、先ほど来申し上げておりますように、何らかの後処理が必要なところまで、もう燃焼技術でもって減らせる限界に来ております。したがって、後処理技術ということになるわけですが、これにつきましては先ほど来申し上げておりますように何らかのフィルターでこれを除去する、これが必要であろうというふうに思っております。
 それから、これはちょっと余談でございますが、NOxにつきましてはそういった燃焼技術で減らすということと同時に、将来これも触媒で減らせるといったようなことが技術的に可能かどうかということが検討されております。事実、そういった触媒も見つかってきております。ただし、これは長期目標の達成に間に合うような技術ではございませんので、私は来世紀の技術として考えております。そういったものができますとさらにNOxの低減が可能であろうと思いますし、燃焼への負担が総体的に減らせるのではないかということで期待している技術でございますが、現状では実用化という点ではやはり随分先になろうかというふうに思っております。
#67
○中村鋭一君 服部参考人にお伺いいたしますが、大阪は貨客混合といいますか、乗用車と貨物車が混在して走るという点ではこれはもう日本一だと思うんです。特に沓脱先生の御専門の四十三号線沿いなんかは、これはもう貨客混在して物すごい通行量があるわけです。
 そこで、例えばディーゼルの車がいけないということを言うためには正確なデータをとらなければいけませんが、大阪の方ではそういった車種別、重量別等の窒素酸化物等の測定のやり方、これは特定してやっていらっしゃるわけですか。
#68
○参考人(服部正敏君) いわゆる走行実態調査ということでございますが、かって固定発生源につきまして総量規制を実施したときには煙突一本一本からどこへ影響するかというような形の調査をいたしましたが、それが随分御理解を得る上で役に立ったわけでございます。
 自動車排ガスにつきましても同じような観点からの調査が必要であるということで、昨年秋以来、トラック協会でありますとか百貨店、チエーンストア、先ほど申し上げました諸団体の御協力を得まして調査を実施しております。それは一台一台ごとに何時にどこへ出てというような走行の実態というものを把握して、もう間もなくその集計ができる予定になっております。
#69
○中村鋭一君 最後に溝口参考人にお伺いをいたしますが、このデータをいただきました、学童の健康影響調査ですね。落語に「目黒のさんま」というのがあります。お殿様が「さんまは目黒に限る」、こうおっしゃる。このデータを見ていますと、これはもうせき・たんは目黒に限ると言わざるを得ないような恐ろしいデータでございますね。このような現況があって、そうして「結論として」の中で「実験動物と違い、人間は体質の多様性が特質であり、高感受性の集団が含まれていることを常に前提とし無ければならない」、こうおっしゃっています。
 これは犯罪ですと疑わしきは罰せずでいいんですけれども、こういう問題は疑わしきは徹底的に罰するといいますか、厳罰に処すというような覚悟でないといけない、こう思うんです。溝口参考人がイメージとして持っていらっしゃいます、例えばある人口比における健康被害というものはどの点までが常識の範囲内であって、どこからがいわゆるミニマムといいますかマキシマムといいますか、高感受性というものの具体的なパーセンテージ、それをもしイメージしておられるんでしたらお伺いいたしたいと思います。
#70
○参考人(溝口勲君) 大変難しい質問でございまして、例えば学童の場合ですと、約五%というような数がぜんそく素因を持っている。素因といいましょうか既に発症したことがあるとかそういうことでございます。これは大都会。しかし、例えば田舎で言いますとそれは一%から一・五%というように、白黒の場合には普通の三倍というようなことでございます。
 ただ、先ほどちょっと高桑先生から御指摘ありましたアレルギーの問題ということで、例えば形花粉症というようなことになりますと、東京都が秋川市を対象にして調査してみますと、全人口の約二〇%がアレルギー性、形花粉に対して非常に敏感ということになります。ぜんそく患者ということでとってみますと例えば一%、二%、三%というパーセントの低いレベルでしょうが、形花粉症を今度対象にして考えますと、それは全人口の少なくとも十数%とか二十数%というようなことになります。
 私も今から十年近く前、沖縄県とか横浜市とか富山県とかいろんなところ、あるいは東京都なんかも含めましてアレルギー性鼻炎の有症率を調べたことがあるんですが、例えば富山県ですと中学生で約一〇%ぐらいなのが東京で言いますと約二〇%。女子医大の学生とか帝京大学の学生とか東大の医学部の学生、そういうのを調べますと約三〇%、三分の一がアレルギー性鼻炎で、風邪を引かないのに鼻水がとまらないというようなことでございます。もちろんそれだから治療が必要だというレベルというのはぐっと減ります。
 これはもちろん大気汚染だけじゃなくて、食事の問題とか家屋の構造とかいろんなことが問題になりますが、決して少ない数でない人たちが影響を受けるんだというふうに御理解いただきたい。
#71
○山田勇君 四参考人、大変御苦労さまでございます。限られた時間よりかなり時間がオーバーをいたしております。最終質疑者でございますので最後までどうぞよろしくお願いをいたします。
 まず猿田参考人にお尋ねをいたします。
 環境庁によれば、新法が完全に実行されればいわゆる二〇〇〇年までに環境基準、NOxの総量を新たに四割削減が達成できるとしている。その内訳というのは、車種制限により一割から二割、使用革対策で一割から二割、それと電気自動車の普及等で一割を期待しているということでございます。それに伴う交通体系であるとか物流の合理化とか、そういうものも加味されることは十分承知ですが、大体この基準どおりいくと猿田参考人はお思いでしょうか。
#72
○参考人(猿田勝美君) 今、先生のお話の数値は大体そのとおりでございます。いわゆる単体規制で一割、それから車種代替で一ないし二割。しかしあくまでも総合的な施策の中で、さらに物流とかそういうものの中で三ないし四割の削減というものがいわゆる単体規制のほかに必要になるわけでございます。
 これはあくまでも先ほど来申し上げております基本方針に基づく総合削減計画、そういうものが実効ある形でつくられないと非常に難しいわけでございまして、そういうものがつくられることを我々は期待しておるわけでございます。
#73
○山田勇君 次に、大聖参考人にお尋ねをいたします。
 先ほど来の同僚議員の質疑の中で、メーカーサイドとしてはもう正念場に来ていると。全く私はそのとおりだと思います。実は、この法案ができる前に、私たちユニオンの関係で支援団体に二大メーカーがございますので、研究所の方へ参考に回ってまいりました。これはもう必死でやっております。だから、これを仮にあしたからやめて全部変えると言われたら困ります。それはもう物理的にできない。だから、多少この規制、法律の緩和されている間に一生懸命努力をして、まあ何年とか言っているけれども、あすにでもできれば、来年にでもできればなるべくそういうことをやっていきたいと。
 そういう形の中で、大聖先生はいわゆる燃焼の専門家でいらっしゃってそういうデータを各メーカー側にもお出しになるでしょうし、またそういう研究をする機関があると思います。その中で、いわゆるエンジン構造そのものを変えるのに今メーカー側は必死になっていまして、燃焼の部分はそういう専門家の先生方にお任せをして、何とかエンジンを改良して少しでも基準に近づけようとメーカーが努力していることも事実でございますので、何とかここ二、三年には追いつくであろうと。
 日本の新技術、戦争が起これは科学が進歩するというような例えば悪いんですが正念場、がけっ縁へ来ておりますので、そういう点で先生のもう一度御決意をちょっといただきたいと思うんです。
#74
○参考人(大聖泰弘君) 先ほど申し上げましたように大変難しいということで、そういうメーカー側の過大な負担あるいはユーザー側の負担を前提にして、何とかそういう考え方を少し変えなければいけないかなというふうに思っておりますので、そういうものを前提にしながらその時期までに何とかまとめていただきたいというふうに思っております。
 実はガソリン車におきまして五十一年規制、五十三年規制というのがございまして、その経緯を見てみますと、やはりメーカーにとっては大変厳しい規制であったわけですけれども、あの場合には三元触媒という救世主があらわれまして、それで何とかクリアできたということもございます。ただ、クリアしたわけでございますけれども、その過程でいろんな技術が出てまいりまして、それが五十三年の規制をクリアすることにつながったというふうに見ております。ただし、その後、五十三年をクリアした上でやはりまた消えていった技術もございまして、よりよいものが出てまいっております。
 したがって、このたびの長期規制の目標をもう最後の目標という形でやっていただきまして、そこまでに何とか到達していただいて、その後さらにまたよりよいものを模索していただくということに私どもは期待をしたいというふうに思っております。
#75
○山田勇君 五十三年の規制等々、重厚長大、経済高度成長の中で重い物を運ぶ、そういう中ではああいう何トン車というのはやはり普通のガソリンエンジンではできない部分で、メーカー側はそれなりの車をつくってきたんですが、それがどんどん規制をされてきたということに相なったんだろうと思います。なるべくメーカー側に期待をしたいところでございます。
 それから、服部参考人にお尋ねをいたします。
 四十三号線という大きな問題を抱えていることも事実ですが、私は大阪なりに物すごく努力している部分があると思うんです。例えば北大阪トラックターミナル、東大阪、今度新しくできた南港、もう一つこれから埋立地等々、大阪ベイエリア開発という中に恐らくこのターミナルも考えておられるように思います。そういう中で、なるべくディーゼル車、大型車は都心から少し離れたところに持っていって、そこから小型車で市内に入るという、大阪はわりかたそういう意味では努力をなさっておりますが、いかんせん尼崎、神戸、兵庫へ向かう車との合流ありますが、これも湾岸道路等々ができたりしますと随分と緩和されるんじゃないかと我々も期待をしております。
 ノーマイカーデー、私はそれなりの効果はあったと思うんです。徐々にあったと思います。私が今服部参考人に申し上げたいのは、ノーマイカーデーといってもなれてくるとどうしてもまた乗り入れるので、私はアメリカのマンハッタン方式と言っている。建設でも環境でも言ったことがあるんですが、バスレーンがあります。これは今大阪では結構職員の方が出て規制しておりますが、バスレーンにバスが入ってこないときにアメリカでは四人以上乗せた乗用車を通過させているんですね。それでバスが来たらとめてバスを優先と。
 何かそういうふうな工夫も大阪府として今後私は欲しいという気もいたしますので、その点いかがでしょうか。
#76
○参考人(服部正敏君) いろんな形で今後NOx対策を進めるために、ハード整備をしていくと同時に、今御指摘のございましたような形で府民の理解を得る、それぞれの意識改革を図っていくというようなことが必要だと存じております。
 関係各方面の御意見も賜りながら、今後大阪らしい知恵と工夫というものを凝らしてまいりたいというふうに考えております。よろしく御指導いただきたいと思います。
#77
○山田勇君 最後に溝口参考人にお尋ねをいたします。
 かく言う私も物すごくアレルギーなんです。もう毎朝起きたらどろどろ。それで、この間やっと病院へ行って、血液をとってもらって原因を調べてもらうと花粉症ではないんですね、ダスト、いわゆるごみからくるやつ。もっと悪い言葉で言えばノミ類ですね。というのは、我々貧乏人というのはマンションを買うとじゅうたんをばあっと敷き詰めるんですよ、ここまで入るようなじゅうたんを。そこへ犬を飼っているものですからこないになりまして、それで一気にここ六年ほど前からアレルギーになっているんです。
 そこで、溝口先生は今北海道におられますが、かつてスパイクタイヤ、これは規制されて今なくなりました。スパイクタイヤで物すごく粉じんを出して、浮遊物の中にまざってえらい公害を起こしましたが、これは規制をされました。その効果というのは私はあったと思うんですね。だからこの総量規制の中でメーカーがまたいろんな形の中で努力をすると私はある程度の効果が出てくるんではないかと期待しているんですが、最後に溝口参考人のお話を伺って、質問を終わりたいと思います。
#78
○参考人(溝口勲君) 山田先生のおっしゃられたのは多分ダニアレルギーだと思うんですが、ダニには湿度が大変重要な役割をしておりますので、できるだけ乾燥させるようにしていただきたい。そしてじゅうたんを日光浴させるとよいと思います。実はスパイクタイヤの問題その他というようなことでも、私、実は自転車で通勤しておりまして、三月、四月というのばもう札幌に行ったとき本当に仰天しました。ところが、やはり去年、ことしというふうに随分もう目に見えて少なくなっているようであります。もちろんまだ私が自転車を通っているそばをばりばりいわせて四月になってもまだずっこけているのが百五十台に一台ぐらいあるんですね。ですから、法を恐れぬ人もいるものだ、怠けるにもほどがあるというふうに私は思いますが、先ほど高桑先生もちょっとおっしゃっていましたが、やはり決められればこれだけ違うのかと。
 実はことしの四月までは罰則がなかったわけです。しかし、一九九二年、平成四年の四月からは札幌市でスパイクタイヤは罰しますよというふうになりましたら、まだ罰則がないもうおととしあたりから相当程度変わってまいりました。ですから、そういう点で言うとある種の方向づけというのが、確かに悪者ばっかりじゃなくて人間ですからついつい安易な方に行くという、それをやはり何か導いていくというのか、法律にはそういう役割もあるんだなということを非常に実感いたしました。
 いろいろ難しい問題が大変多いと思うんですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#79
○山田勇君 ありがとうございました。
#80
○委員長(渕上貞雄君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本圧は、長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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