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1992/02/27 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 外交・総合安全保障に関する調査会 第3号
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1992/02/27 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 外交・総合安全保障に関する調査会 第3号

#1
第123回国会 外交・総合安全保障に関する調査会 第3号
平成四年二月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    会 長         中西 一郎君
    理 事
                尾辻 秀久君
                赤桐  操君
                和田 教美君
                立木  洋君
                粟森  喬君
                猪木 寛至君
    委 員
                井上 吉夫君
                加藤 武徳君
                沓掛 哲男君
                木暮 山人君
                下稲葉耕吉君
                田村 秀昭君
                成瀬 守重君
                野沢 太三君
                林田悠紀夫君
                宮澤  弘君
                一井 淳治君
                翫  正敏君
                細谷 昭雄君
                三石 久江君
                山田 健一君
                上田耕一郎君
                井上  計君
   政府委員
       防衛庁参事官   高島 有終君
       外務省情報調査  鈴木 勝也君
       局長
   事務局側
       第一特別調査室  下田 和夫君
       長
   説明員
       防衛庁防衛局防  藤島 正之君
       衛課長
       外務省北米局安  小澤 俊朗君
       全保障課長
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○外交・総合安全保障に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (「九〇年代の日本の役割−環境と安全保障の
 あり方このうち安全保障のあり方について)
    ―――――――――――――
#2
○会長(中西一郎君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査会を開会いたします。
 外交・総合安全保障に関する調査を議題といたします。
 まず、先般行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。
 なお、本日は、報告、説明、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。赤桐操君。
#3
○赤桐操君 本調査会の中西会長、大城理事、尾辻理事、和田理事、立木理事、粟森理事、猪木理事、加藤委員、木暮委員、永野委員、一井委員、三石委員及び私、赤桐の十三名は、去る二月六日、七日の両日、地球環境問題等に関する実情調査のため、岡山県及び大阪府に派遣されました。以下に調査の概要を報告いたします。
 岡山県では、まず、県勢の概要及び環境行政について説明を聴取いたしました。
 環境行政面で岡山県は、地域環境あるいは地球環境の問題に積極的に対処するため、環境行政組織の充実強化を図るとともに、自然景観や自然環境の保全、省資源・省エネルギー対策など、地球環境に優しいライフスタイルヘの転換のための施策を進めるなど、人類と自然が共存し得るような環境行政に取り組んでおります。
 次に、水島臨海工業地帯にある川崎製鉄水島製鉄所を訪問いたしました。
 水島製鉄所は、世界の年間鉄鋼生産量の約一%に当たる七百万トンないし八百万トンを生産しておりますが、これに要するエネルギーは、石油換算で、我が国が消費するすべてのエネルギーの約一%、約三百五十万トンとのことであります。これは諸外国に比べてかなりの省エネルギーであるとのことでありまして、仮に世界各国がこの水準で鉄鋼生産を行ったとすればエネルギー消費は今より約三〇%削減することができ、二酸化炭素の排出量も炭素換算で約一億トン、これは全世界の化石燃料による二酸化炭素排出推定量の約二%に当たりますが、これだけ削減し得るであろうとのことでありました。我が国製鉄技術の徹底した省エネルギーと、この技術を海外移転することによる効果を痛感した次第であります。
 次いで大阪府では、まず、大阪市の消費電力の約三分の一を賄う天然ガス専焼の最新鋭火力発電所である関西電力南港発電所を訪ね、排煙脱硫・脱硝装置、太陽光発電設備、排煙脱炭パイロットプラント等を視察し、説明を聴取いたしました。
 このうち、排煙脱炭パイロットプラントは、火力発電のボイラー排ガスに含まれ、地球温暖化の一つの原因とされている二酸化炭素を分離、回収するための実験施設でありまして、まだ小規模ではありますが、排ガスからの二酸化炭素回収率九〇%以上で、一日に二トン回収しているとのことであります。もっとも、回収コスト、回収した二酸化炭素の処分方法など、まだ克服すべき問題が多くあります。
 最後に、平成二年七月に開設された大阪のウオーターフロント施設「天保山ハーバービレッジ」を訪問いたしました。ここには世界最大級の水族館「海遊館」がありますが、ここに導入されている熱電併給システムであるガス・コジェネレーションシステムを視察し、説明を聴取いたしました。
 このシステムは、総合熱効率が七〇ないし八〇%と極めて高く、地球温暖化対策の一つとして非常に有望視されておりますが、海遊館では四百八十キロワットのガスエンジンを二基設置し、これによって水槽内の生物の生命維持装置の安定性、信頼性を確保し、また、館内の照明、冷暖房などを行っております。
 以上が今回の調査の概要でございます。
 なお、詳細につきましては、別途、文書による報告書を提出いたしますので、これを本日の会議録の末尾に掲載されるよう、お取り計らい願いたいと存じます。
#4
○会長(中西一郎君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 ただいま御報告がございました派遣委員から別途報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○会長(中西一郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#6
○会長(中西一郎君) 引き続き、外交・総合安全保障に関する調査を進めます。
 本調査会は、「九〇年代の日本の役割−環境と安全保障のあり方こをテーマとして調査を進めてきておりますが、本日は、このうち安全保障のあり方について政府から説明を聴取した後、質疑を行うことといたしました。
 それでは、まず政府から説明を聴取いたします。外務省鈴木情報調査局長。
#7
○政府委員(鈴木勝也君) 外務省情報調査局長の鈴木でございます。
 それでは、九〇年代の我が国の安全保障のあり方を考えるに当たりまして、まず、最近の国際情勢を概観させていただきたいと存じます。
 最初は、冷戦の終えんでございます。
 八九年以来、急激に進展してまいり良した東欧諸国における民主化、共産主義体制の崩壊や、八九年十二月のマルタ及び九〇年五月から六月にかけてのワシントンにおける二回の米ソ首脳会談、さらには九〇年十月のドイツ統一の達成等を通じまして東西関係は既に対話と協調を基調とする関係へと変化してきておりましたけれども、昨年八月の旧ソ連における保守派のクーデター失敗の後、旧ソ連の共産主義体制が崩壊いたしまして、さらには昨年末ソ連邦自体が解体し、東西間の対立は基本的に解消いたしました。
 新たな国際秩序構築への動きでございます。
 冷戦が終結いたしまして、米ソ、米ロ間の協調が進展する中で、国際社会は、現在、新たな国際秩序の構築へ向けて動き出しております。湾岸危機の際には国際社会は国際的な協調によってこれに対応し、また、この過程で国連は安全保障理事会を中心に大きな役割を果たしました。また、欧州では、九一年十二月のマーストリヒトにおけるEC首脳会議におきまして、EC諸国は伝統的国家概念を超え、自由、民主主義、人権といった共通の価値を基盤として欧州連合の形成を目指すことが合意されました。
 また、安全保障の分野でも、欧州では例えばWEU、西欧同盟及びNATOの関係をめぐって種々の議論が行われる一方、旧ソ連、東欧諸国で行われている改革のプロセスをいかに安定的に進めるか、そのための枠組みをいかに構築するかが重要な問題になってきております。北大西洋協力理事会、NACCの創設、欧州安全保障協力会議、CSCEの機能強化などもその一環でございます。
 さらに、CFE条約、これは欧州通常戦力条約でございます。それからSTART条約、戦略兵器削減条約の署名、それから米ソ、米日による核兵器の大幅削減提案などの軍備管理・軍縮の進展に加え、核不拡散体制の整備強化の動きや、我が国とECが共同で提案いたしました通常兵器の国際移転に関する国連登録制度の創設など、大量破壊兵器の拡散防止や通常兵器の国際移転防止への取り組みも活発化するなど、国際関係の安定化を図るための種々の努力も積極的に行われております。
 次に、不安定要因の存在でございますが、国際社会は依然としてナショナリズム、民族問題、領土問題、宗教等に起因する地域紛争などの危険を内包しております。ナミビア問題やニカラグア内戦の解決に示されているように、冷戦の終えんがイデオロギーの対立に基づく地域紛争の解決を促す側面を有したことは事実でございますが、他方で、カシミール問題とかあるいはサイプラス問題などのように東西対立と直接の関係なしに発生し、現在も未解決の問題も少なくない。また、ユーゴスラビアや旧ソ連における民族対立の激化に見られますように、民主化、自由化の進展が、それまで抑えられていた各種の対立抗争を表面化させるという側面もございます。
 また、旧ソ連情勢は、既に述べた民族対立の激化のほか、経済状況の悪化それからソ連の解体に伴う不安定性、不確実性等も高まっているということがございます。さらに、湾岸危機を契機にいたしまして、大量破壊兵器及びミサイルの拡散と通常兵器の移転に対する関心が増大する中で、第三世界における核兵器等の拡散に対する懸念が高まっております。また、ソ連の解体に伴って旧ソ連の核兵器や関連技術の流出の危険が新たな懸念を呼んでおります。
 アジア・太平洋地域の情勢でございますが、アジア・太平洋地域におきましては、東西対立の解消の影響をも受けつつ緊張緩和に向けての動きが見られます。カンボジア問題については、九一年十月に和平合意が成立し、これを受けまして、翌十一月には既に改善に向けて動きが見られました中越関係が正式に正常化されました。朝鮮半島におきましても、九一年九月に南北朝鮮の国連同時加盟が実現いたしました。九二年二月には、第六回南北首相会談におきまして、南北間の和解・不可侵と交流・協力に関する合意書及び朝鮮半島の非核化に関する共同宣言が発効するなど、南北関係は進展しております。
 また、この地域は東アジアを中心に世界の中でも最も着実な経済成長を示しておりまして、これは平均して年率五・五%ぐらいでございますが、これが民生の安定を高め、地域の政治的安定に寄与しております。
 他方、この地域には北方領土問題、朝鮮半島問題等の未解決の問題が依然として存在しております。また、核兵器開発問題等に関しまして、今後北朝鮮が具体的にどのような対応を行うか見きわめる必要がありまして、情勢は依然として流動的な面が残っているということでございます。
 極東地域における旧ソ連の軍事力は、近年は量的に削減が行われる一方、質的な向上が図られてまいりました。最近では活動の全般的な低下が見られますけれども、長期的な趨勢はなお不透明でございます。他方、この地域の旧ソ連の軍事力は、依然として核兵器を含む膨大なものでございまして、極東ロシアを含む旧ソ連情勢が極めて流動的な中で、かかる軍事力の存在は潜在的な不安定要因となっております。
 以上が国際情勢でございます。
 これを踏まえまして、我が国の安全保障政策でございますが、御承知のとおり、政府は従来より日米安保体制の堅持、みずからの防衛力整備及び国際環境の安定を確保するための外交努力を安全保障政策の三つの柱といたしてまいりました。
 まず、日米安保体制でございますが、日米安保体制は、東西対立の中で我が国が必要最小限の自衛力を持って国の安定を図ることを可能にしてまいりました。最近、冷戦の終えんやソ連邦の解体といった動きを背景に、日米安保体制の意義が改めて問われておりますが、政府といたしましては、日米安保体制は今日なお次のような意義を有していると考えております。
 第一に、国際社会は依然多くの不確実性を有し、かつ局地的には不安定性を高めており、このような中で我が国が引き続き平和と繁栄を享受していくためには今後とも日米安保条約に基づく米国の抑止力が必要である。
 第二に、日米安保条約は日米同盟関係の中核である。この同盟関係は、両国がグローバルパートナーシップのもとでおのおのの役割と責任を担うために協力していく上での政治的な基盤となっております。このように日米安保条約によって裏打ちされた広範な日米協力関係は世界の平和と安定に役立っている。
 第三に、アジア・太平洋地域における米国の存在はこの地域の安定材料になっている。日米安保体制は、この米軍の存在を確保し、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を促進するための不可欠の手段となっている。
 第四に、日米安保体制は、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという日本の基本的立場に信頼性を与える結果も生んでいる。このような日米安保体制は、我が国とアジア・太平洋近隣諸国との関係を安定的に発展させていく上での重要な基盤となっている。
 以上、四点でございます。
 このような日米安保体制を堅持し、その信頼性を高めていくためには、日米双方による不断の努力が不可欠でございます。しかし、軍事面で我が国が米国に依存するところが大きい反面、米国が経済的な困難を抱えており、かつ日米間の経常収支が日本の大幅黒字となっている状況を考えますと、日米安保体制の信頼性の向上とその円滑かつ効果的な運用の確保のためには日本側の一層の努力が必要でございます。
 このような状況を踏まえまして、我が国は、安
保条約に基づく施設・区域の提供等に加えて、在日米軍の駐留経費の負担や安全保障面での米国との技術交流等の施策を推進しております。
 特に、在日米軍駐留費の負担については、昨年四月に新たな在日米軍駐留経費特別協定が発効したことに伴い、平成三年度から始まる五年間を経て、現在、米側が負担している在日米軍従業員の基本給等及び光熱水料等を日本側が一〇〇%負担できることとなりました。平成七年度末に在日米軍従業員の基本給等及び光熱水料等のすべてを日本側が負担する場合には、我が国は在日米軍駐留経費の総額の約五〇%を負担することになると見込まれております。政府は、平成四年度予算政府原案におきまして、在日米軍駐留経費といたしまして約五千百七十七億円を計上いたしております。
 また、安全保障面での米国との技術協力につきましては、近年、特に我が国の技術水準が向上してきたことにかんがみ、我が国としても防衛分野における米国との技術の相互交流を図ることが極めて重要となっております。
 このような観点から、先般、ブッシュ大統領が訪日した際に、日米両首脳が発表した東京宣言におきまして、双方向の防衛技術交流を推進するための措置をとることが明記された次第でございます。米国との緊密な協力関係は我が国の外交の基本であり、日米安保体制はかかる日米関係の基軸となっております。このような意味からも、ブッシュ大統領訪日時に、日米両首脳がさきに述べた東京宣言を発表し、二十一世紀に向けて日米グローバルパートナーシップのもとで地球的、世界的な責任と役割を果たしていく決意を表明するとともに、日米安保条約の円滑な運用及び信頼性の維持、向上を誓ったことは意義深いことであると考えております。
 今後とも、日米両国は新しい時代に対応しつつ、これまで以上に日米安保体制を堅持強化していくための努力を払うことが重要でございます。
 防衛力整備でございますが、我が国の平和と安全を確保するために、日米安保体制の堅持と並んで重要なことは、みずから適切な規模の防衛力を整備することでございます。
 我が国は、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力の整備に努めてまいっております。
 外交努力の面でございますが、国際社会が新たな国際秩序の構築に向けて動きつつある今日、安全保障政策のもう一つの柱としての外交努力の重要性はますます高まっております。
 アジア・太平洋地域の長期的安定を確保するためには、北方領土問題、朝鮮半島問題等の未解決の問題の解決を図っていくことや、この地域の国々の経済発展の一層の促進を目指す外交努力を多面的に行うことは、我が国の安全保障の見地からも極めて重要でございます。
 朝鮮半島問題は、第一義的には南北両当事者間の直接対話を通じて解決されるべきものでありますけれども、我が国としては、南北対話の進展、ひいては南北の平和的統一に向けた動きを支援いたしまして、さらに朝鮮半島の安定のために日韓両国関係の一層の強化を図ることが重要でございます。
 また、ロシア連邦との間では、北方領土問題の解決に加えて、民主化と市場経済の導入を定着させる方向でロシアにおける変革を安定的に促進することも重要でございます。開発途上国が多いこの地域では、経済開発が域内諸国の政治的、社会的強靱性を高め、地域の安定を図るために不可欠の重要性を持っており、我が国としては、引き続き政府開発援助等を通じ各国の経済開発に協力するとともに、ASEAN拡大外相会議、アジア・太平洋経済協力会議、APEC等の経済面を中心とする協力の枠組みに積極的に参加、協力していくほか、貿易、投資、観光等の面での民間部門の交流を促進していくことが重要でございます。
 また、アジア・太平洋諸国との間で、地域の安定発展にかかわる政治、経済両面の課題や世界的な問題について二国間、多数国間で協力して問題の解決に当たっていくことはこれからますます重要になってきております。さらに、アジア・太平洋の国々の日本に対する不安や懸念に率直に耳を傾け、そのような問題についての議論を深めるために、日本がみずから進んでこれらの国々とのさまざまな対話の場に参加していくことは、これらの国々との間の相互信頼を深めるためにも重要でございます。
 また、国際的な軍備管理・軍縮の努力の促進に協力していくことは、国際社会における日本の責任を果たすという見地に加えて、我が国の安全保障という観点からも重要でございます。大量破壊兵器の拡散防止のため、輸出規制体制や国際原子力機関、IAEAの保障措置制度の強化を図ること及び化学兵器禁止条約の妥結などに向けて努力することはこの観点から重要でございます。
 この関連で、我が国は、北朝鮮との国交正常化交渉に当たり北朝鮮にIAEA保障措置協定の即時無条件の締結、履行を強く求めてまいりましたが、今後とも北朝鮮の動向を注視しつつ、保障措置協定の完全な履行を求めていくことが必要でございます。
 通常兵器の国際移転の問題に関しては、移転の状況を把握しやすくすること及び兵器供給国の自主規制に関する枠組みの整備強化が重要でございます。さきに述べましたように、我が国はECとともに通常兵器の国際移転に関する国連登録制度を提案し、昨年十二月に総会で採択されました。今後はその円滑な実施に努力していく考えでございます。
 さらに、平和の維持のための国際的な努力に憲法の範囲内で協力していくことは、我が国の国際的な評価を高め、我が国の安全保障にとり好ましい環境の醸成に資するものでございます。我が国は、今やこれからの国際秩序の基本にかかわるほとんどすべての問題に大きな影響を与え得る存在となっております。我が国としては、世界の期待にこたえ、自由と民主主義といった普遍的な価値に配慮しつつ、世界の平和と安定のために積極的に貢献を行う必要があると考えております。
 以上でございます。
#8
○会長(中西一郎君) 次に、高島防衛庁参事官。
#9
○政府委員(高島有終君) 防衛庁参事官の高島でございます。
 最近の国際軍事情勢の変化と、我が国の安全保障につきまして御説明させていただきます。
 まず、最近の国際軍事情勢でございます。
 今日、国際軍事情勢は、東西冷戦が終えんいたしまして、全体として世界の平和と安定への流れが強くなってきていると言えると思います。しかしながら、将来動向の不透明な旧ソ連地域、内戦の続くユーゴスラビア、流動的な中東情勢、大量破壊兵器の拡散などの危険性など、世界には依然として多くの不安定要因が存在しており、今後ともさまざまな対立や武力紛争が容易に姿を消すとは思われません。むしろ、これまでの東西二極対立のもとで抑え込まれてきた種々の紛争、対立要因が、冷戦終えんの結果といたしまして表面化し顕在化する危険が高まっているというふうにも見られているところでございます。確かに、核戦争を含む大戦争の危険は減少いたしましたが、湾岸戦争や今日のユーゴ内戦は、新しい安定的な国際平和の秩序が確立されるまでの間は地域的に限定された紛争の危険がむしろ高まっていることを示すものと見ることもできると思われます。
 第二次世界大戦以降、四十年以上にわたりまして世界の軍事情勢の基調をなしてまいりました東西対立は、東欧諸国の民主化、ドイツの統一、ソ連のクーデター失敗という歴史的展開の中で終えんを迎えたことは御承知のとおりでございます。
 この歴史的変化の契機となりましたソ連は、昨年十二月に解体いたしまして、ロシア連邦など十一カ国から成る独立国家共同体、いわゆるCISが創設されました。
 ソ連邦の解体に伴います旧ソ連軍のあり方につきましては、現在CISの中で議論が行われてい
る最中でございます。これまでにCIS加盟国間の戦略軍の合同管理については合意を見ておりますが、戦略軍の範囲や一般目的軍の創設に関して依然として意見の対立があり、独自の軍隊を創設する共和国もあるなど、今後の動向は依然として不透明なものとなっております。また、旧ソ連地域におきましては、現在既に深刻な状況にある経済問題や民族問題が今後さらに激化する可能性もあり、事態の推移いかんでは共同体の基盤を揺るがすことにもなりかねないと思われます。
 こうした中で、旧ソ連軍の核を含む膨大な軍事力が安定的に管理され得るか否かが国際的に極めて注目されているところでございます。さらに、核兵器等の大量破壊兵器技術が旧ソ連から拡散することをいかに防止するかが今日重大な国際的課題となっております。
 他の地域に目を転じますと、世界各地では、最近の中東和平の動きのように、東西対立の終えんを背景とした紛争解決への好ましい動きが見られますが、他方、湾岸危機のような地域紛争につながるおそれのある宗教上の対立、民族問題、領土問題あるいは国家利益の対立などの不安定要因が依然として多く存在しております。
 例えば、幾つかの東欧諸国では民族問題が深刻化してきております。さらに、過剰な軍備の蓄積をもたらすような兵器の移転、拡散、特に大量破壊兵器の拡散等の危険性は各地の不安定要因を一層深刻なものとさせています。このような状況を踏まえまして、各国はそれぞれの役割に応じて協調しつつ新しい世界平和の秩序を構築しようと模索している段階であろうと見ております。
 米国は、新たな安全保障戦略において、全世界的な対峙への対処から地域的紛争への対処により重点を置くようになってきております。また、欧州におきましても、NATOやECなどで新しい安全保障め枠組みが議論されております。NATO、EC、CSCE、WEUなどの果たすべき役割についての議論が注目されているところでございます。
 昨年十一月のNATO首脳会議では、前方防衛戦略や柔軟反応戦略を修正した新戦略コンセプトが採択されておりますが、これは中・東欧諸国の深刻な経済、社会及び政治問題や、旧ソ連の改革に伴うリスクと不確実性、湾岸戦争に見られるNATO域外からのリスク等を前提としたものでございます。
 また、国連は、最近の国際情勢の変化のもとで、湾岸危機や国連カンボジア暫定機構、UNTACに代表されますように、世界の平和と安全を維持する機能を従来以上に発揮することが期待されておるところでございます。
 さらに、米ソ間または欧州における軍備管理・軍縮の動向も注目されます。例えば、昨年五月、中距離核戦力についてINF条約に基づく廃棄が完了いたしております。次いで昨年七月、米ソ間で戦略核削減条約、いわゆるSTARTが署名されました。さらに、戦術核を含む核戦力について、昨年九月、十月及び本年一月に、米国及び旧ソ連邦及びロシア首脳によりまして地上配備戦術核の一方的廃棄などが発表され、NATOも約八〇%の戦術核の削減を発表いたしております。また、通常兵器につきましても、欧州において一昨年十一月に欧州通常戦力条約が署名されまして、昨年六月、その批准に向け米ソ間において最終合意が見られております。
 このような軍備管理・軍縮の進展は、東西間におけるいわば飽和状態とも言える高いレベルの軍事的対峙から脱却し、より低いレベルでの安定を目指すものとして高く評価されるところでございます。ただ、軍事力が国際社会の平和と安定の重要な要素であることに変わりがないということにも留意する必要があると存じます。
 次に、我が国周辺における軍事情勢について御説明いたしたいと思います。
 東西冷戦の終えんを背景といたしまして、アジア・太平洋地域におきましても韓ソ国交樹立、南北朝鮮の国連加盟、カンボジア包括和平協定の調印など、この地域の緊張緩和に向けた注目すべき動きが見られております。しかしながら、この地域の軍事情勢は、大陸、半島、海洋、島嶼などのさまざまな地形が交錯し、民族、歴史、文化、宗教などの面でも多様性に富み、伝統的に各国の国益や安全保障観が多様でございまして、地域的な一体性に乏しいことなどもございまして、複雑多様なものとなっております。したがいまして、現在のところこの地域では、欧州で見られたようにNATOとワルソー条約機構の対立を背景に、CSCEのような地域の安全保障の枠組みがつくられるには困難な状況にあると言えます。
 このような地域にございまして、欧米の一部の諸国とは異なり、中国、韓国、ASEAN諸国などは国防の充実を図っているところでございます。さらに、この地域には朝鮮半島や南沙群島、我が国の北方領土などの未解決の問題が残されております。したがいまして、この地域の安全保障の環境を改善するためには、関係諸国間の政治的信頼関係を強め、安全保障についての相互理解を深めていくことが必要であろうと思います。
 極東における旧ソ連軍につきましては、ゴルバチョフ書記長時代の一方的削減発表以来、最近二年間におきまして量的縮小は示しておりますが、極東における旧ソ連軍の軍事力は依然として大きな存在でございまして、これまで質的強化が図られてまいりました装備及び再編合理化、近代化されてまいりました戦力が依然として蓄積された状態にあります。なお、CFE条約に関連いたしまして、ウラル以東に移転した装備の一部が極東地域に移転されたと見られる兆候もございまして、こうしたことも極東における旧ソ連軍の質的向上につながった可能性があると見られます。今後、CIS全般における旧ソ連軍再編の過程におきまして、極東における旧ソ連軍がどのようになっていくのかは我が国としても引き続き注目していく必要があると考えております。
 次に、地理的にも歴史的にも我が国と緊密な関係のございます朝鮮半島におきましては、最近、南北朝鮮の国連加盟や南北間の対話が進展していることは評価すべき動きと考えております。しかしながら、今日におきましても韓国と北朝鮮合わせて百四十万人を超える地上軍が非武装地帯を挟んで対峙しているという事実そのものに変わりはございません。また、北朝鮮における核関連施設の建設や地対地ミサイルの長射程化のための研究開発への懸念はこの地域の大きな不安定要因となっております。
 このような中で、昨年十二月十八日、韓国の盧泰愚大統領による核不存在宣言が行われ、十二月三十一日に南北間で朝鮮半島の非核化に関する共同宣言に合意が見られております。これは朝鮮半島、ひいては東アジアの平和と安定に資するものと評価いたしております。また、本年一月三十日、北朝鮮は、国際原子力機関による保障措置協定に調印いたしました。北朝鮮が核兵器の不拡散に関する条約上の義務でございますこの協定を速やかに批准し、これを完全に履行することが強く望まれておるところでございます。
 一方、米国は、アジア・太平洋地域の戦略的枠組みで明らかにされた計画に基づきまして、現在この地域の戦力の再編合理化を進めているところでございます。フィリピンにつきましては、昨年十一月、クラーク基地がフィリピンに返還され、フィリピン政府から米国に対して本年十二月までにスビック基地からも撤退するよう通告がなされております。また、韓国における第二段階の削減の実施につきましては、昨年十一月の米韓安保協議会で、北の核開発の脅威と不確実性がなくなり、地域の安全保障が完全に確立するまでこれを延期する旨発表されました。一九九三年から九五年までの第二段階の削減については、本年四月に議会報告が行われる予定であると承知しておりまして、日本についてはその前にあらかじめ協議する旨の通告がなされております。
 いずれにいたしましても、この地域の平和と安定のために必要な米国のコミットメントと前方展開戦力の維持が今後とも継続されるものと承知いたしております。
 以上、簡単でございますが、最近の国際軍事情勢の変化と我が国の安全保障につきまして御説明申し上げました。
#10
○会長(中西一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○木暮山人君 ただいま政府からの説明、外務省、防衛庁それぞれの説明につきましては、本当に現段階の現状をよく理解させていただいたと思います。
 私は、この外交・総合安全保障に関する調査会のメンバーといたしまして特に御質問申し上げたい問題につきましては、国会におけるいろいろな問題提起そのものというものは、従来、各政党間の政策論争というような大きな意義を持って今まで論じられてきておるようでありますが、今御説明願いました問題等につきましては、これは国益という観点から考えまして国の今の現状で対応できる力、何をどういうぐあいにしたらいいかという最も基本的な問題等につきまして今から質問をさせていただきたいと思うのであります。
 これは事によりますと、国益ということになるとなかなか大変でございますので、それにつきまして会長にひとつお願いがあるのでございます。これを記録として残しておいていいものか、よしあしの問題もございますし、私もなれませんもので、できましたら一度速記をとめさせていただいて、自由に発言させていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。
#12
○会長(中西一郎君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#13
○会長(中西一郎君) 速記を起こしてください。
#14
○木暮山人君 まず第一に、外務省の鈴木情報調査局長さんの御説明に対しまして質問させていただきたいと思います。
 いろんな現状の情勢、これは全く私たちも通常、新聞等で見せていただくような状況ではないかと考えているところでございます。しかし、私の考えますには、我々は半世紀近く、言うなら第二次世界大戦時代以前、この百年ぐらいからずっとさかのぼって国際情勢というものをひもといて分析して現状というものを考えますとき、その間にはいろんな紆余変転があったと思います。その結果今日があるわけであります。
 そこで考えたいことは、ここで冷戦が終わっちゃったよ、ソ連は崩壊したよと簡単に第一行で申しておいでになりますけれども、どういう理由でこの冷戦が終えんし、どうして今のようになったか。また、少なくとも外務省のお立場でございますと、この七十年間というものは大変な御苦労があったと思うんです。言うならば、日本はいわゆる共産主義、社会主義イデオロギーによるところの国内への侵攻、それに対応するもう本当に大変な消耗をして現在の日本が保たれているわけであります。これはどなたにお伺いしても違うと言う人はいないと思います。そういう耳ざわりのいい政治政策、外交政策で日本の国は相当多大な、いわゆる国家の大切な資産を消耗して今日に至っております。その政策を持った政党がどういう理由で崩壊したか、まず第一点それをお聞きしたいと思います。
 それと、その政党が崩壊する前に、やはり耳ざわりのいい言葉でございますけれども、いろんな政党がそれをもじって論理的にやはりいろんなことをおっしゃっておるわけではございますけれども、結局、現状やってみれば崩壊せざるを得ないということになりますと、そういうような意味合いからも何か大きな禍根があるんじゃないか。それが現状でありますけれども、崩壊してしまいますと、根拠がなくなったらもうあしたから今度は人道的に振る舞わなきゃいけない。簡単に言いますと、日本の国は赤化されたり共産化される、社会化されていくのに相当抵抗してきたと思うんです。国家の大きな税金を使いながら対応してきたと思うんです。
 しかし、それがなくなったら、それの側についている人がいやこれは間違いだったよなんて言う人はだれもいなくて、すぐ即応して、何か今までいいことをやってきて今からもいいことをやっていこうと、そしていろんな問題を提起している。
 私は、そこら辺のけじめをまず最初にきちっとつけなければ外交も防衛もうまくいかないんじゃないかと。まず第一点、余りたくさんになりますと悪いですから、その点につきましてひとつ御説明願いたいと思います。
#15
○政府委員(鈴木勝也君) 冷戦がなぜ終結したか、言いかえれば共産主義体制というか社会主義体制の国がなぜああいうことになったかという点については、もちろん定説があるわけではございませんし、多分、後世の歴史家が分析をするということなんだろうと思います。
 ただ、冷戦の終結に至った、社会主義体制の崩壊に至った原因というのは、これは一つというふうにはとても申せないわけでございまして、その背景には政治的、経済的、軍事的あるいは科学技術的、いろんな要因が絡み合っての結果だというのが一般の見方だろうと思います。
 その中で、じゃ何が主要なものなのかということでございますが、私どもの見方としては、あえて一つ挙げるとすれば、統制経済の生き詰まりということが構造的な要因としては一番大きなものであったのではないかという気がいたします。同時に、全体主義の体制のもとで国民の自由が抑圧されてきたということが国民にとって耐えられないものになってきたということがあると思います。そういう状況になったことにつきましては、これは主たる要因であるかどうかは別でございますけれども、やはりテレビ、ラジオ、新聞等の発達によって国境の向こう側の番組や何かがみんな入ってきてしまうという、これは何も東西に限りません、ほかの国境についてもあることでございますけれども、そういう状況のもとではなかなか一国だけで閉鎖的な体制を維持していくということは難しくなってきているということがあろうかと思います。
#16
○木暮山人君 それは大体その程度で、そのかわりそこから先はそれぞれよく考えていくということでこれはいいと思います。
 しかし、そこでひとつやっぱりもう少し歯切れよくスタンスを決めていかないと、今からの日本の外交政策というのはなかなか大変なことがたくさんあるんじゃないか。やってみてだめなら、これでだめならあの手でいくさというようなやり口では、日本の国の将来の姿というのは思いやられることがたくさんあるんじゃないか、私はこんなふうに今感じているわけでございますが、具体的にそういうことを論争しましても時間もございません。
 第二点の質問といたしましては、旧ソ連が今まで長年蓄積しておりましたいわゆる核兵器、これは一万何千発あると称されているようでございますが、そのような核兵器の拡散ということが我々の大きな脅威になってくるんじゃないかと。そんなことに関しまして外交的にはどのようなお考えをお持ちなものでしょうか。お聞かせ願いたいと思うのでございます。
#17
○政府委員(鈴木勝也君) ただいま御指摘になりました旧ソ連邦が保有しておりました核兵器の拡散と申しますか、流出と申しますか、これは現在の国際社会にとって最も深刻な問題であるという認識を有しております。
 御承知のとおり、独立国家共同体の方におきましては、核兵器の一元的かつ厳格な管理をするということを申しております。戦略核兵器につきましては、まさにだれかがボタンを押しちゃうというようなことはないような体制をつくったということを明言いたしておりますし、戦術核兵器につきましても、ロシア共和国にすべて回収するという方向で物事が進んでいるということではございますけれども、一つは、特に戦術核兵器のように非常に動きをとらえにくいもの、それから仮に核兵器が解体されたといたしまして、そこから出てくるプルトニウム等の燃料でございますね。それから一番厄介なのは、核兵器の製造に携わっておりました研究者、技術者等のいわゆる頭脳流出の
問題でございます。これをいかに迅速かつ厳格に実施していくか。特に、第三世界等に核兵器あるいはそれを製造するノウハウが無秩序に流れていくようなことがないようにするという観点から、今、各国の間でいろいろなアイデアが出されておりますし、また、意見交換も行われております。
 御承知のとおり、先般アメリカ、ドイツそれからロシアの三カ国が国際科学技術センターというものを設立しようということで提案しております。
#18
○木暮山人君 済みません、時間がないものですから。大体わかりました。
 最後に、もう一点だけ御質問を外務省にしておきたいことは、カンボジアの和平問題がありまして、もう平和になっちゃったよと、なるんだよという見通しかもしれませんけれども、実はカンボジアの中に大体どんな種族がおいでになるか、わかったら教えていただけませんか。
#19
○政府委員(鈴木勝也君) 今ちょっと手元に詳しい資料がございませんので……
#20
○木暮山人君 なきゃ結構でございます。
 防衛庁の方に一つ、高島防衛庁参事官に質問させていただきたいと思うのでございますが、確かに、論旨はよく理解させていただきました。しかし、こうやるんだと。今こうなっているんだじゃなくて、日本の自衛隊でございますから、挙げて日本の国を基本的にどうしようとお考えになっておいでになるか、ちょっと一言だけお願いします。お立場です。
#21
○政府委員(高島有終君) 全く基本的な問題を御指摘になったところでございますけれども、申し上げるまでもなく、私どもの基本的な目的は日本を守るということでございます。
#22
○木暮山人君 はい、それでいいです。
 それで、守るにつきましてどれぐらいの自信があるか、ちょっと自信のほどをお聞きしたいんです。簡単に一言でいいです。
#23
○説明員(藤島正之君) 我が国の防衛の基本は、昭和五十一年度につくりました防衛計画の大綱に定めてございまして、平時から基盤的な防衛力を維持しておる、限定的かつ小規模の侵略があった場合には独力で対処する、こういうふうに規定しておるところでございます。
#24
○木暮山人君 はい、わかりました。
 限定的な小さいというのが、そこいら辺が問題でございますが、時間があと三分しかありませんものですから。
 それでちょっとお伺いしたいのは、私は日本の国民でありますから、例えば例を挙げて申し上げますと、各自治体で火事に備えての消防器具をそろえると。それは、昔はバケツから始まって、今は近代化されて高層ビルの高層用のはしご車までそろえているわけでございますけれども、日本の防衛庁の考えておいでになるのはバケツの程度か、それとも化学消防の程度か、そこら辺をちょっと簡単に一言。
#25
○説明員(藤島正之君) 防衛力の整備に当たりましては、国際的な軍事技術の動向をにらみながら、それに対応しつつ整備していくと……
#26
○木暮山人君 はい、わかりました。
 そうしますと、例えばクウエート、イラクのように突然ほいと何か変な物が飛んできたらどうなりますか。例えば、いきなり国境外からミサイルが日本に飛んできた、間違って飛んできたと。そんなのは防ぐわけにはいかないものですか。
#27
○説明員(藤島正之君) これまでそういったことを考えて整備してきておりませんので、ちょっと御質問にお答えしかねるんですが。
#28
○木暮山人君 ソ連には、ウラン235ないしは二百三十何とか、プルトニウム、水爆、いろいろあるわけですね。それがどれぐらいあって、例えばガンタイプの原爆が何個あって、あと内圧式のものが何個ある。そこら辺まではある程度は御存じだと思いますけれども、ミサイルの先にくっついているのを間違ってスイッチを押したらどこからどう飛んでこないとも限らないわけですね。
 これは安全保障で、飛んできたよ、破裂したよ、それから安全は保障してもらうことになるんですか。それとも、それが日本に到着する前に何か保障していただくことになるものでしょうか。
#29
○説明員(藤島正之君) 核に関するミサイル等につきましては、米軍の核抑止力に依存しているということでございまして、短いミサイルで、我が国に今先生おっしゃるような光景があるというようなことを今までのところは余り想定してはおりません。
#30
○木暮山人君 はい、よろしいです。
 もう時間がないですからもう一つだけ。
 中途半端な防衛の対応では私は困ると思うんです。やはりあくまでも日本国民が安心してこうやって日々を健やかに暮らしていけるような社会を私ども政治家は確保していかなきゃだめなわけです。そのための、火消し人足と言っちゃまずいけれども、火事場で言ったら何でも消せるような、バケツだけ持って、来たら火を消しますよじゃ困るんです。もうだれが見ても消えるよと、それは水もあるし化学消防も全部そろえているようにやっぱり考えてもらわなきゃ困ると思うんです。それで、今みたいに、原爆が落ちてきたよ、もう私は死ぬかもしれない。それでああ死んじゃった、じゃやろうか、こんなことじゃ私は困ると思うんですよ。
#31
○会長(中西一郎君) 時間です。
#32
○木暮山人君 どうも済みません。じゃこれで失礼します。続きはいつかまたこういう機会を持っていただきたいと思うんです。
 きょうは、なるべく当たりさわりのないように話したつもりでございますけれども、どうも御無礼しました。どうもありがとうございました。
#33
○翫正敏君 外務省の鈴木情報調査局長にお尋ねいたします。
 「アジア・太平洋の戦略的枠組」という題の、一九九一年二月二十八日、アメリカの国防総省が発表しております文書に書いてあります内容に即してちょっとお尋ねをしたいんですが、「九二年十二月三一日までの間にその地域のアメリカのプレゼンスを一四〇〇〇人減らすものである。その後の声明の追加された撤退を含めると全部で一五〇〇〇人に上った。」ということで、「日本、韓国、フィリピンにおける米軍部隊を一五二五〇人減らせ得ると決定した。」というふうに書いてありまして、それを表で見ますと、国別には日本から四千七百七十三人、韓国から六千九百八十七人、フィリピンから三千四百九十人、合計一万五千二百五十人。あと国別の細かい陸、海、空、海兵隊、また別の表にはそれぞれ陸、海、空ごとの分類とか細かく書いてありますけれども、国別合計というところで見ると、こういう三国で一万五千二百五十人削減するという計画が発表になって、九二年十二月三十一日までに減らすものである、こういうふうになっていますが、このことについて日米間でどのような協議が、この文書が発表になってから一年ぐらいたっていますので、進んでいるのかをお尋ねします。
 それから、その場合、日米間のその協議は安全保障協議委員会とか防衛協力小委員会など、防衛ハンドブックを見ますと日米間の安全保障協議フォーラムというものが幾つか書かれておりますが、どの場において検討されてきたのか、それもあわせてお答えください。
#34
○政府委員(鈴木勝也君) 北米局の安全保障課長の小澤が参っておりますので、小澤の方からお答えさせていただきたいと存じます。
#35
○説明員(小澤俊朗君) 今の御質問につきまして、私どもチェイニー国防長官が平成二年二月に訪日しました際に説明を受けて以来、これまで日米間で緊密に連絡協議を続けてきております。
 具体的に申し上げますと、アメリカの国防省の計画は九〇年からの十年間を三つの段階に分けまして、その第一段階は今先生から御指摘のあったようにことしの末まで、九〇年から九二年の末までの間に約一万五千名を削減するというものです。当初の計画によれば、日本から約四千八百、それから韓国から約七千、フィリピンから約三千五百、こういうことでございますけれども、御案内のように、フィリピンにつきましては、昨年、
米軍の基地協定が合意に至らなかった経緯がございます。そのためにことしの末までに在比米軍は撤退する。その結果、今般発表されましたアメリカの国防報告によりますと、第一段階における東アジアからの削減の総数は約二万五千名、当初の一万五千名から二万五千名、その増加分は基本的にフィリピンからの追加的な増加ということになるわけでございます。
 第二段階につきましては、九三年から九五年ということでございますけれども、私ども従来から米側と話し合ってきておるところを申し上げますと、在日米軍からの大幅な削減というものを米側としては今予定しておりません。このことにつきましては、昨年十一月にチェイニー国防長官が訪日いたしました際、在日米軍の規模は東アジア戦略構想第二段階において基本的には変わらないということを明らかにしていることからもうかがえると思います。
 それから、第二段階の韓国からの撤退につきましては、先ほど防衛庁の参事官からも御紹介ありましたように、米側としては、北朝鮮の核計画をめぐる危険と不確実性が解消し、この地域の安全が完全に確保されるまで在韓米軍の第二段階の削減を延期するということを発表しております。
 御質問ありました日米間のどのフォーラムでこういう連絡協議をやっているかという点についてですが、これはいろんな機会をとらえてやってきております。御指摘のあった委員会に限らず、例えば国防長官が訪日したとき、あるいは外務大臣が訪米あるいは防衛庁長官が訪米、のみならず事務当局間においてもいろんな機会をとらえて意見交換をしてきております。
#36
○翫正敏君 日本の削減計画が約五千とおっしゃいましたけれども、第一段階ですか、それはどんなふうな話し合いになって進んでいますか、この一年間。
#37
○説明員(小澤俊朗君) 沖縄につきましてはこの間発表がございまして、既に沖縄にいる在日米軍については二千名以上を削減したということを米側は発表しております。第一段階全体で約四千八百名を削減するということでございますけれども、その進展は順調にいっているというふうに私ども聞いております。具体的に現時点で何名削減したかということにつきましては、これは米側としても、軍隊というのは常に移動するものですからなかなか正確な数は把握しにくいというところもあって承知しておりません。
#38
○翫正敏君 韓国は今のところゼロで、フィリピンからはかなりの数が撤退しつつあるということですか、したということでありますが、こういう撤退部隊が日本へ移駐してきまして、結局のところ、日本の在日米軍は減るけれども、さらに移ってきたものがふえるので結果とするとふえる、そういうことになることはあり得ないというふうに理解をしてよろしいですか。話し合いではそういうふうになっていますか。
#39
○説明員(小澤俊朗君) 韓国につきましては、第二段階は削減を凍結するということを発表しています。これは、九三年から始まる削減は凍結するということでありまして、第一段階は今現在も米側は実施しているわけでございます。
 フィリピンにつきましては、これは意図せざる削減を米側として余儀なくされているところだと思いますけれども、一カ月前に、我が国への影響について、沖縄に一部の部隊が緊急避難的に避難していた部隊があるんですが、その部隊をいろいろ検討した結果、引き続き代替地を発見できるまで日本の沖縄に駐留するということを発表するに至っておるところでございます。
#40
○翫正敏君 そうしますと、日本、韓国、フィリピンからの削減計画というものが戦略的枠組みの中で発表されておりますけれども、その結果として玉突き式にといいますか、減るところの部分が日本の方へ移ってきて日本はふえるということもあり得るということですか。それとも、そういうことについては、この計画の中では日本も減らすというふうになっておりますからこの方向で話し合いが進んでいて、日本の在日米軍がふえることはないというふうに理解していいのか、そこをちょっと簡単に説明してください。
#41
○説明員(小澤俊朗君) 私ども米側と協議しておりまして、米側としてはこれまで発表してきています削減計画を実行していくということを述べております。ちなみに、私どもとしては米側の太平洋地域における前方展開戦略、これは非常に重視しております。二国間の安全保障取り決めを担保するものでございますので、米側が行っている削減計画というのは一つの調整であって、そういう調整として理解しております。こういうような考えに立って米側と引き続き連絡協議を行っていく、こういう考えでございます。
#42
○翫正敏君 具体的に、日米の話し合いの中で、在日米軍基地の返還をするとかなくするとかという話が固有名詞を挙げて出ていますか、今日のところまでに。
#43
○説明員(小澤俊朗君) 正式に出ておりません。
#44
○翫正敏君 出ていない。こちらから名前を挙げて米側に要望するとかという、こちらとは日本のことですけれども、日本側から要望するという、そういうお考えはございますか。
#45
○説明員(小澤俊朗君) 今の答弁、若干訂正することになりますけれども、日米合同委員会という場があって、その場においていろんなことが、これまで基地の返還、整理統合について決定されてきているわけでございます。そういう意味で、そこに列挙されている幾つかの事案というものがございまして、これらについてはもちろん具体名を挙げて日米間で話し合われてきております。
 今、私が申し上げたのは、さらにそれに追加する形で具体的な基地名を挙げての話し合いが行われているかということで、そういう話は正式にはないということを申し上げた次第でございます。もちろん、これまでの過去の話し合いというのはあって、それは今申し上げたとおりでございます。
#46
○翫正敏君 過去の話し合いで、具体的に固有名詞として基地名なり場所名が挙がったところを説明してください。
#47
○説明員(小澤俊朗君) ただいまちょっと資料を持ち合わせておりませんので、また改めて説明させていただきます。
#48
○翫正敏君 資料がないのならやむを得ませんけれども、後刻ちゃんと連絡していただけますか。
#49
○説明員(小澤俊朗君) 承知いたしました。
#50
○翫正敏君 次に、先ほどいただきました、また説明をいただきましたこのぺーパーの中に、日米安保体制についてこのような意義を有するということで一、二、三、四と書いてございます。これは、大体ほとんど同じことが外交青書の六十六ページ、六十七ページのところに書かれておりますので存じ上げておりますけれども、この中で一、二、三、四それぞれについて私も意見を持っておりますから言いたいのはあるんですが、一から三までについては時間もないのでやめまして、四番だけちょっとお尋ねしておきたいんです。
 「日米安保体制は、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという日本の基本的立場に信頼性を付与。」するという、こういうふうに書いてあるのが、私にはどういう意味なのかどうもちょっとのみ込めないんです。
 それで、三番目の、「防衛力整備」のところには、「わが国は、平和憲法の下、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力の整備に努めてきた。」、この「節度ある防衛力」というのはどういうのか、またいろいろ考えて議論もしなきゃならないんですが、それもちょっと省きまして、こういうふうに書いてございますね。
 そうしますと、日本がみずから実施する基本政策としての事柄であって、日米安保体制、言葉をかえて言うならば在日米軍の存在ということなんでしょうか、こういうものによって我が国が「他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという日本の」と、青書の方にはそういうふうに書いてありますね、こちらは書いてありませんがね。
そういう諸国への信頼性を高めるんだというのは、どうも言っておられる意味合いがよくのみ込めないんです。簡単に言うと、アメリカの在日米軍などの抑えの、おもしの圧力によって日本が軍事大国にならないという、そういう信頼性が日本周辺のアジアの諸国に生まれる、こういう意味なんですか。
#51
○政府委員(鈴木勝也君) 簡単にお答えいたします。
 日米安保体制というものが維持されているということは、日本が軍事大国への道を目指しているんではないということの一番明確な物理的な証拠になるという意味で、日本が経済的には巨大な存在になり、潜在力は持ちながらもそういう道を歩むものではないということを周辺、特に東南アジア諸国等にわかりやすく示す結果になっておるということでございまして、ですから、これはそれをねらってやっているというわけでなくて、結果になっているということでございます。
#52
○翫正敏君 そういう政策を遂行するということは、それは我が国の基本政策として進めるべきことであって、在日米軍にいてもらうことによって信頼性が高まるというのはどうもよく理解できないんですけれども、今までも外務省は大体そういうふうな考え方で説明をしてこられ、考えてこられたと理解していいですか。
#53
○政府委員(鈴木勝也君) これは、先ほども申し上げましたように、日米安保体制の存在がそういう側面的な効果を有していますよということをここで申し上げているわけでございまして、その点は従来から同じような効果を持っていたというふうに考えております。
#54
○翫正敏君 防衛庁の高島参事官にちょっとお尋ねしたいんですが、防衛白書のところにも日米安全保障体制ということについていろいろ書かれておりますけれども、これを私なりにずっと読んでみましても、今の外務省の方の説明の第四に当たるところですね、一、二、三に当たるところはるる書いてございますが、四に当たるところ、つまり日米安保体制が、米軍が日本に存在することによって日本が他国に脅威を与えるような軍事大国にならないという保証なり信頼性なりを高めるんだ、確保するんだ、そんなようなことはどうも読んでも余り書いてないようなんですが、書いてあるとすればどの辺に書いてあるのかちょっとお教え願いたいんです。
#55
○政府委員(高島有終君) どこに書いてあるということよりも、私どもの考え方として御説明申し上げますと、先ほど防衛課長の方からも御説明申し上げましたように、自衛隊は小規模、限定的な侵略に対処する、それを超えるものにつきましては日米安保体制のもとで共同で対処する、こういう形をとっているわけでございます。こういう形をとっているということによりまして自衛隊の基本的な方向も基盤的な防衛力の整備にとどまる、そういう結果で防衛体制をやっていける、こういうことでございますので、そういう形で日本は軍事大国になる道を歩む方向はとっていないという形に日米安保体制のもとでなっている、こういうことであろうと存じます。
#56
○翫正敏君 防衛白書の中にはそういうことが書いてないと思うので、防衛庁の方の考え方と外務省の日米安保体制に対する受けとめは若干ずれておるんではないかなというふうに私なりに考えたので両方の方にお聞きしたわけなんですけれども、やっぱり第四番については今後もっとよく考えてみなければならない問題ではないかと私は思います。さらに、いろいろ研究や検討をしまして、外務省の日米安保体制、在日米軍の存在というものについての認識を今後確かめていきたい、そのように思っております。
 もう一つお聞きしたいのは、これは外交青書の中に書いてあることなのでありますけれども、四ページのところに、これは湾岸戦争のことにつきまして、こんなのどこに書いてあってもいいことなんですけれども、「このような事態に軍事的に対処するに当たって指導的な役割を果たしうる国は、米国をおいてほかにないことを明らかにした。」、そういうことで、アメリカの湾岸戦争における武力行使を全面的に支持し賛美するということが書かれております。これはもちろんのことですが、一昨年の青書には書いてなくて、昨年の青書には章を改めて湾岸危機についての教訓ということで大々的に論じられている中のごく一節だけなんですけれども、読んだんです。
 この湾岸危機の教訓ということについては、外交青書に書いてある面とは逆の論調というものが実はアメリカの中に起こっていて、有力な政治家などが今や声を大にしてブッシュ政権の自作自演なのではないかというようなことまで、ことまでですよ、言い始めているというようなことが新聞には報道されております。
 つまり、イラクの方を軍事的に支持したり、支えたりしながらきていたものが、クウエートに侵攻した八月二日を期して百八十度転換をして、そして正義の味方になって国連という舞台で次々と決議を上げ、武力行使容認の決議までして、そして武力行使まで進んだということについて、戦争終結当時は九〇%以上に上る支持率があったのが今や半分以下の支持率に下がっている。有力な政治家の声としてアメリカの中にそういうのがあるというふうに報道されているんですけれども、外務省の、特に情報調査局というようなところで調べておられる鈴木さんあたりは、もちろんアメリカの世論動向といいますか、そういうものも把握しておられると思うんですけれども、私が今申し上げたような状況はアメリカの国内にも起こっているというふうに把握しておられますか。
#57
○政府委員(鈴木勝也君) 事実としては、この問題に限らずあらゆる問題についてアメリカという国はいろんな見方がございますし、有力な方が米国政府の見解とは違ったことを言うことももちろんございます。
#58
○翫正敏君 私がお聞きしたのは、ブッシュ政権の自作自演なのではないかというところまで極論するような、そこに行かないまでもかなりそこからレベルが下がっていても、つまり非常に批判的な意見がアメリカの有力な政治家や言論界の中に今や大きく出ているという、そういうことを外務省として把握しておられますかと尋ねているんですけれども。
#59
○政府委員(鈴木勝也君) もちろん把握しております。
#60
○翫正敏君 そうしますと、日本の外務省が昨年つくられたところの外交青書は、湾岸戦争終結直後のブッシュ政権支持率九〇%と言われたようなときに起草されて、印刷に回されてつくられたものなのではないかというような感触を受けます。またことしつくられると思いますから、世界のさまざまな世論、多国籍軍の中心的な役割を果たしたアメリカの国内の世論や動き、そういうものも配慮をした総括なり書き方なりというものにことしは変わっていく可能性もあるというふうに理解してよろしいですか。書いてしまったものだから、これはもう確固不動たる我が国の湾岸戦争に対する方針である、総括である、こういうことでありますか。
#61
○政府委員(鈴木勝也君) 平成三年度の外交青書の当該部分に書いてございますことは、別にブッシュ大統領の支持率を念頭に置いて書いたことではございませんので、その点については平成四年度版でも特に変更する必要はないというふうに私は考えておりますが、これから編集するものでございますので余り深入りは控えたいと存じます。
 ちょっと先ほどの先生の御指摘の点について申し上げておきますと、米国以外になかったという点が問題であるかのような御指摘だったと存じますけれども、まず湾岸戦争に至る経緯を考えてみますと、自作自演であったかどうかということとは全く別に、イラクがクウエートに侵攻したということ、これは厳然たる事実でございまして、それを押し返すのについて、当時の国連の安保理が最初にとりました措置はもちろん経済制裁等でございますけれども、軍事力を行使してまで押し返すかどうかという点につきましては、やはり米国のリーダーシップというものが決定的な意味を持
ったというふうに私どもは考えております。
#62
○翫正敏君 経済制裁を国際社会の名において行ったことについて、私はこれを支持するものでありますが、軍事力の行使にまで至ったことについて批判的な見解を持っておりますので、そういう立場に立って質問をしたところです。
 終わります。
#63
○和田教美君 鈴木情報調査局長と高島防衛庁参事官の報告は、前半はいずれもポスト冷戦期におけるアジアの安全保障、いわゆる新秩序づくりという問題と関連がある報告だったと思います。
 そこで、まず御両人に同じ質問をいたしたいと思います。
 アメリカのブッシュ大統領が、去年の十一月だったと思いますけれども、ポスト冷戦期におけるアジア・太平洋の新秩序づくりという問題について、アジアでは欧州型のいわゆる包括的な安全保障システム、つまりCSCE型のシステムは適当ではない。例えば、日米安保条約あるいは米韓安保条約、米比条約のような二国間軍事同盟条約によって現在つくられている既成のシステムをそのまま延長していけばよい、それが将来の安全保障の基盤にもなるというふうな趣旨のことを述べたことがございます。
 これは、ポスト冷戦期におけるアメリカのアジア戦略の基本的な考え方だと思いますし、いわゆる前方展開戦略というものもそういう考え方のもとに展開されているというふうに私は理解をしておるわけです。
 先ほどの御意見の中にも、高島参事官は、やはりアジアは民族、歴史、文化など多様性があって、地域的な一体性がないからCSCE型の枠組みは不可能であるというふうなことを述べられましたし、それから日米安保体制を非常に重視される外務省の考え方の中にも、日米安保体制は、先ほどからもちょっと議論に出ておりますように、アジア・太平洋地域の安定材料でもある、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を促進するための不可欠の手段であるというふうなことを強調されたわけでございます。
 確かに、ヨーロッパとアジアとを比べてみますと、CSCE型の安全保障システムというものは一朝一夕にできたわけではなくて、十数年来の対話のチャンネルがあって、それが積み上がってきてそういう受け皿ができたということであろうと思うので、アジアにおいてすぐそういうものができるということはなかなか困難である。そうすると、とりあえずアメリカとしては既存の軍事同盟条約の延長線上で安全保障というものを考えざるを得ないということではないかと思うわけです。しかし、そういう既存の軍事同盟条約の延長線上だけで物事を考えていくということにはそれに伴ういろいろな問題点もあるというふうに私は思っております。
 まず第一に、既存の軍事同盟条約の延長線上で物を考えるということになると、どうしても軍縮という視点がぼけがちであるということが欠落するのではないかということが第一点でございます。
 それから第二点は、二国間の軍事同盟条約の枠組みといっても、アジアにおいて既に相当ほころびが目立ってきているということがございます。先ほどもちょっと話題に出ておりましたけれども、フィリピンでは上院の拒否によってクラーク、スビック両基地の機能がもう使えなくなって米軍が全部撤退するというふうな状況になってきておる。
 それから、例えばANZUSを見ましても、ニュージーランドでロンギ元首相の非核政策によってニュージーランドとアメリカとの関係というものが機能不全に陥ったということもございました。これは政権がかわって修復に動いておるというけれども、昔どおりになるかどうかということは私は疑問だと思っております。
 それから、朝鮮半島ですけれども、朝鮮半島も新しい展開の中で韓国における米軍基地の意味というものがかなり変わってくるんではないかというふうな問題もあるわけでございます。
 それと、翫さんもさっき指摘されましたように、確かに米軍はアジアから少しずつ引いていくけれども、しかし完全に機能しているのは日米安保体制だけだということになってくると、フィリピンにおった海軍が一時横須賀に来るとか、そういうふうなことで在日米軍基地はかえって強化されていくというふうな問題点もあろうかと思います。
 そういう意味で、長期的に見れば軍事同盟条約の延長線上で物を考えるということでなくて、ポスト冷戦期にふさわしい新しい枠組みつくり、非常に難しい問題ではあるけれども、また困難な問題ではあるけれども、やっぱりグローバルなCSCE型の安全保障システムというものを目指していくべきではないか。それが一挙にできないとしても、例えば東北アジアは東北アジアで、あるいはまた東南アジアは東南アジアで、地域的なフォーラムをつくっていくというふうな努力をもっと考えたらどうかというふうに私は思うんですけれども、そういう基本的な考え方についてお二人の御見解をお聞きしたいと思います。
#64
○政府委員(鈴木勝也君) 先生御指摘の点につきましては、長い将来をとってみた場合の方向性というのは、私はあるいはそういう方向であろうかなという感じがいたします。
 冒頭の説明でも触れましたように、欧州とそれからアジア・太平洋とが客観情勢において非常に大きな違いがあることも事実でございまして、先生まさしくおっしゃいましたとおり、CSCEというものも十数年の歴史の積み重ねがあって始めて出てきたものでございまして、その基盤にあるものはやはり価値観を共有しているとかそういうようなものがあったわけですね。
 ですから、じゃ今アジア・太平洋地域において関係諸国が全部集まって、例えばCSCEの第三バスケット、これは人権でございますけれども、そういったことについてすんなり議論に入っていけるような環境があるかと申しますと、現実はやはりまだ多様性と申しますかいろいろな考え方、あるいはいろいろな経済状況、社会状況にある国というのがあるわけでございまして、直ちにということは必ずしも現実的ではなかろうという気がいたします。
 他方、御承知のとおり、ASEAN拡大外相会議の昨年の会合のときに、当時の中山外務大臣の方から提案をいたしまして、ASEANとそれから域外の対話国との間でも広い意味の政治と安全保障の問題も忌憚なく話していくという習慣を育てようという提案をいたしまして、これはもちろんASEAN側からも受け入れられておりますから、やはり対話を多数国間で、あるいは地域単位でやっていこうという方向性はあると思います。
#65
○政府委員(高島有終君) ただいま和田先生御提起になりました問題の本質は、基本的には外交上の問題であろうかというふうに私ども考えます。
 ただ、先ほど私冒頭の説明で申し上げましたのは、現状における私どもの客観的な認識という形で申し上げた次第でございまして、将来の展望という点につきまして、その長期的な目標といたしまして何らかの地域的な方向、地域的なCSCEタイプの方向が議論になるということについて、私どもはその可能性を現時点で判断しているという趣旨では必ずしもございません。
 確かに、長期的に見ますと御指摘のような方向が望ましい側面は十分あり得るのではなかろうかという感じはいたします。ただ、現状におきましては、ヨーロッパのような考え方をアジアにそのまま適用することは非常に難しいという点は私ども冒頭に御説明申し上げましたとおりでございますし、それから、中期的に見ましても、地域の複雑さあるいは地域の抱えている諸問題といった点を勘案いたしますならば、いきなりアジア・太平洋地域全域をカバーするような形ではなくて、やはりこの地域にございます個々の問題に着目し、個々のサブリージナルと申しますか、より全域ではない地域にございます問題を一つ一つつぶしていくような努力というのがとりあえずは必要なのではないかなという感じがいたします。
#66
○立木洋君 一九九〇年代の日本の役割、安全保障のあり方についてということなんですが、九〇年代に入ってもはや一年余を経過しましたけれども、これからのあり方を考える場合には、やはりこれまで九十年歩んできた二十世紀がどうだったのかということを考えることが私は非常に重要だと思うんです。
 これはもう言うまでもなく、二十世紀のこれまでの歩みというのは、二十世紀が始まった当初は共和制の国家はわずか三つしかなかった。それがその後、君主制国家が漸次減って、共和制国家が続出してきたということに見られるように、民主主義の前進の過程がやはり二十世紀だったし、それから当初は植民地、従属国というのが極めて多かったのが、この世紀の中で百カ国以上が独立してきている。そういう民族自決権の擁護、尊重という点から見ても、二十世紀の歩みというのは人類にとっての進歩ということを示してきたと思うんですね。
 ところが、一面を振り返ってみると、あの第一次世界大戦のように、力を競い合って人類に多大な損害をもたらしたという状態の中から国際連盟が生まれ、一九二八年の不戦条約が締結されるという事態がありましたし、その後、日本もかかわって日独伊の軍事ブロックによる侵略戦争、これが大変な敗北を喫して、そしてその後国連憲章が生まれ、日本国の、つまり国際的には軍事的には関与しないという平和原則を持つ憲法がつくり出された。その後のアメリカのベトナムに対する侵略の敗退、あるいはソ連のチェコスロバキアに対する軍事介入やアフガニスタンに対する軍事介入、これらの事態というのが世界的な歴史の中から厳しい審判を受けて、そういうことが誤りだということが示されてきた、人類に対する進歩に逆行するあり方がやっぱり一方では審判されてきた。
 そういう流れを考えるならば、私は、あなたが先ほど述べられた問題の中で、二十世紀というのは軍事力を万能として、それによって安全保障が維持されるんだというふうな考え方ではなくて、やはり問題は民主主義、そして民族自決権の擁護、尊重という前提がない限り真の安全保障の確立はあり得ないということをひとつ重視する必要があるだろう。
 その点で見れば、あなたが述べられた問題の中で、日本の安全保障の役割の中で軍縮という問題をどう位置づけるのか、日本の安全保障、これからの世界の安全保障という問題を考える場合に、軍縮というものの位置づけが明確にされていないんです、あなたの発言の中には。これはやはりこれからの歴史を考える上で、軍縮という問題を抜きにして本当の意味での民主主義や民族自決権の尊重を前提とした真の安全保障はあり得ないという見地で、軍縮の問題についての考え方を安全保障とのかかわりで述べていただきたい、これが一つ。
 それからもう一つは、軍事ブロックが解体したということは、軍事ブロックによる安全保障という考え方が誤りだということの二十世紀の歩みの中での証明だと思うんですね。ですから、先般の当調査会でも、日米安保条約の役割はもう過ぎ去った、だから、そういうものについてはノーと言える日本でなければならないという参考人の発言等もありました。結局、日米安保条約というのは冷戦の産物だということを日本の政府が認めてきたわけで、冷戦が解体したという今日の状況の中で日米安保条約というものは解体させるべきだというのが私たちの主張ですが、もちろんあなた方は同意しないでしょう。
 それなら、冷戦の産物であった安保条約が、冷戦が終わったと言われる後の状況のもとで日米安保条約の機能と役割は変わったのではないか、どこが変わったのかということについて、以上二点を外務省にお答えいただきたいと思います。
 それから防衛庁の方には、一九八八年の防衛白書の中では、「ソ連は、わが国周辺において強大な軍事力を配備しているが、これまで一貫してその質量両面にわたる強化を続けてきたのが特徴的である。このような事実は、この地域の国際軍事情勢を厳しくしているのみならず、わが国に対する潜在的脅威を増大させることにもなっている。」と述べられているソ連の脅威についての認識です。一九九一年の防衛白書には、ソ連の潜在的な脅威という文言は全くなくなりました。そして、第三世界の問題を取り上げて、「この地域の地域紛争を未然に防止し、また、紛争が発生した場合にこれにいかに対処すべきかという問題が、今日の国際社会の最大の課題になっている」と、こういうふうに述べられております。
 この点について、現在の状況のもとでソ連の防衛力が、量は減少したが質的に強化されているという発言もありましたけれども、しかし問題は、ソ連は実際に質が強化されるような経済状態だろうかという問題も一方ではありますけれども、まあ別として、ソ連の脅威という問題について、今どういうふうな判断をお持ちになっているのか。これが一つ。
 それからもう一つは、ソ連の脅威というものは現実に存在しないということはブッシュ大統領も言っているわけですから、それは存在しないという認識であるならば、日本にとって当面する脅威というのはどこからどういう形であらわれているのか。この問題については九一年の防衛白書では、「実際にわが国に対して具体的にどのような規模、態様の侵略が起こり得るかについては、武力紛争の原因やその時々の国際環境等により千差万別であり、一概にはいえない。」という述べ方をしておって、これは極めてあいまいで、明確性のない防衛白書の内容になっていると思うんですが、この点について、今考えられている点があればそのこととあわせて二つの点を防衛庁にお聞きしたい。
#67
○会長(中西一郎君) お二方に申し上げます。
 立木君の持ち時間はあと三分なんですが、質問が複数でございますので、お二人で適宜簡潔に御答弁をお願いします。
#68
○政府委員(鈴木勝也君) 簡単に申し上げます。
 第一点目の、軍縮ということが私の冒頭説明で抜けているではないかという御指摘でございますけれども、あるいはお聞き取りいただけなかったかと思いますが、私の説明の中で軍縮に触れております。これは後で御説明申し上げます。読み上げるのも時間がかかると思いますので。
 それから、冷戦の産物たる日米安保体制はその必要性がなくなったのではないかという御指摘でございますけれども、この点についても、安保条約の意義というのは私の冒頭説明で十分触れていると思いますので繰り返しませんけれども、一点だけ追加して申し上げますと、なるほどソ連邦というものは解体いたしました。しかし、物理的な状況、要するに核兵器国が隣国として依然として、特に極東におきましては相当の核兵器を存続させたままであるという事実は全く変わっていないということでございまして、我が国は基盤的防衛力ということでございますから、もちろん核の攻撃に対応する体制は独自には持っていないわけでございますので、そこをカバーしているものはあくまでも日米安保であるということでございます。
#69
○政府委員(高島有終君) 私の方からも簡単に御説明申し上げたいと思います。
 まず、潜在的脅威という表現が防衛白書から落ちたその背景ということでございますけれども、潜在的脅威という点につきましては、侵略し得る軍事的能力に着目し、国際情勢なども含めて総合的に判断される概念としてこれまで潜在的脅威という表現を用いてきたわけでございますが、今日のソ連の状況の変化を勘案いたしまして、依然として軍事的な能力は非常に膨大なものがございますけれども、現在の情勢下においてはこれを潜在的脅威と表現するのは適切でないという趣旨で落とした次第でございます。
 それから、日本にとっての脅威とは一体何ぞやという第二の点でございますが、これは先ほど外務省の局長からの答弁にもございましたように、私どもの防衛力は基本的に脅威に対抗する形で整
備してきているという趣旨のものではなくて、基盤的な防衛力の整備ということでございまして、そういう意味で脅威対応型の発想をとっていないということでございます。
#70
○立木洋君 軍縮という言葉はありますけれども、軍縮の明確な位置づけがないんですよ。それから、安保条約がどう変わっているかということについてあなたはお答えになっていないので、後から述べてください。
#71
○粟森喬君 本来なら猪木委員が先でございますが、会長なり猪木委員の御配慮によりまして、この後常任委員会がございますので、先にやらせていただくことをありがたく思っています。
 日米安保条約について集中的にお尋ねをしたいと思います。
 一つは、先ほどからるる述べられているように、安保の基調の中には対ソ戦略というのが当然これはあり得たと思うんですね。今、核そのものが例えばロシアにも残っているから基調は変わらないと言われているけれども、やっぱり客観的には日米安保条約を取り巻く状況というのはかなり変わったという認識があるんですね。今までの外交青書なり外務省の出されたものから必ずしも十分に描き切れない背景というのは果たして何なのか。
 私どもの立場として言えば、日米安保条約というのは客観的には政治的にもこれを解消するというような状況に今ないと思うけれども、いずれにせよ、安保条約を取り巻くソ連邦の体制、それから例えば北朝鮮と韓国の問題などなどを考えたときに、そういう日米安保体制を支える相手側の情勢が大きく変化したという認識は外務省としてはおありなのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
#72
○政府委員(鈴木勝也君) 国際情勢そのものに大きな変化が起こったこと、これはもう否定すべくもないことでございます。
 ただ、日米安保条約がそれによってどういう影響を受けたかということは、国際情勢が大きく変わったことと直ちに連結することではないという点を先ほど来申し上げているわけでございまして、特にアジア・太平洋地域という枠組みの中で判断した場合に、日米安保条約と関連のある重要な物理的な環境というものがどう変わっているかという点について、むしろ私は不確実性がふえているという面もありますと申し上げているわけでございます。
#73
○粟森喬君 その辺の外務省の情報認識といいますか状況認識が、現実に定期協議とかいろんなことをやられている中で、全く変化として見えないというのがどうも日本の外交姿勢、やっぱり日本における独自のリーダーシップみたいなものが全く見えない日本の外交姿勢だと私は思います。
 そこで、核の脅威を何人かの委員の質問に対して今お答えになりましたが、例えばソビエトに対しては一定のいわゆる脅威ということで反ソ的というか、親米反ソという言葉で言えば反ソ的と言われるところから、今のロシア体制を中心にしたところではそれがないとすれば、二国間安保条約ということなら例えば日ロ安保条約とか日中安保条約というのがあり得ても不思議でないと。しかし、外務省としてはそういう別の国との二国間の安全保障条約というのは日米安保条約との間で論理的に矛盾を起こすというふうに考えているかどうか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。
#74
○政府委員(鈴木勝也君) まことに仮定の問題でございますので、ちょっと私どもそこまで詰めて考えたことがございませんので、余り深入りしたお答えは差し控えさせていただく方がよろしいんじゃないかと思いますが。
#75
○粟森喬君 何となく仮定の話は答えられないということでございますが、仮想敵国を想定するようなところが、そういう話として論理を逃げられるというのはまことに私としては遺憾でございますが、まあいずれにしても軽々に答えられないという現状だけはわかりました。
 次に、防衛庁に幾つかのことをお尋ねしたいと思います。
 世界的に軍縮の傾向があるというのは、私の手元に各国の防衛費の推移というのが、これたしか国防白書の資料だと思います、既存の資料でございます。
 一つお尋ねをしておきたいのは、その中で、イギリスが一九九〇年に対して九一年の前年度比では一三・二%というふうにかなり大きな伸びを示している。これは新しい整備をやったということですけれども、この種の問題が国際的に何ら問題にされていないのかどうか。世界的に軍縮と言われる基調の中で、先進国の中でいうとイギリスですね、中国もかなり伸び率は非常に激しい。ただ、中国の場合は、経済的なインフレなどの要素で絶対的な数字が伸びているんではないかと。ミリタリー・バランスから出したこの資料から見ても、現実には軍人の数も減らしているはずでございますから、各国の防衛費における軍縮の傾向と、この突出した二点について防衛庁としてはどういう認識と問題意識を持っているか、そこをお尋ねしたいと思います。
#76
○政府委員(高島有終君) ただいま御指摘になりました英国の防衛費の伸び、一九九一年度は確かに一三・二%という非常に高い数字になっていると理解いたしております。ただ、九一年は湾岸戦争という特殊な要因が加味されている結果だというふうにも承知いたしております。したがいまして、湾岸経費を除いた金額といたしまして、私、今ここに正確な数字は持ち合わせておりませんが、大体七%強の増加というふうに理解いたしております。したがいまして、一三・二というのはそういう特殊な要因の入った数字と。
 それから、中国につきましては、確かに今先生御指摘のように、実は八九年から九〇年、九一年と二けたのかなり高い防衛費の伸びを示しております。他方、この三、四年間につきましては、例えば地上軍の数などはほぼ横ばいでございまして、十年前と比べますと確かに兵力は減っております。そういう意味で、私どもの中国についての理解は、現在はかなり軍の近代化が中国の重要な政策目標の一つになっている、そういう意味で一方において兵力を大きくする形ではなくて近代化を進めていく、そういうふうな努力が行われているというふうに理解いたしておりますし、かつまた、恐らくこれは若干の、国際的な見方の一つの側面ではございますが、近代戦争が行われた湾岸戦争の結果も中国の今後の軍の近代化には非常に影響を及ぼしていくのではないかというふうな見方もあるということを御紹介させていただきたいと思います。
 全般的な軍縮の状況という点について見ますと、確かにヨーロッパにおきましてはソ連の崩壊、それから東西冷戦の終えんに従いまして軍の再編の傾向がかなり顕著でございまして、今後ともそれが軍事費にも反映されていく可能性はかなり強いんではなかろうかというふうに見ております。
 他方、アジア地域におきましては、今の中国の例にもございますように、必ずしもヨーロッパと同じような傾向を取っているわけではなくて、韓国あるいはASEAN諸国などを含めましても、当面のところ数値で見ます限りは軍事費はまだ増加の傾向にあるというふうに見ております。
#77
○猪木寛至君 ここに書いてあります「国際軍事情勢は東西冷戦が終焉し、平和と安定への流れが強くなっている」と。安全保障を論じるときに、経済問題というのは切り離せない部分ではないかという気がするんですが、まず今ソ連の崩壊と同時に、一方で起きている物すごい西側諸国における飢餓であったり犯罪であったり、だから一般的に短絡的に言えば、社会主義が負け自由主義が勝ったみたいな表現をする人がいますが、世界全体として見たときに、今経済問題というのは――ちょうど二十三日の新聞でしたか、エリツィン大統領がインタビューしている記事があるんですが、これからロシアは兵器輸出に関して外貨獲得のために貿易必要性は今日一層切迫したものになっている、兵器は極端に不足している外貨の獲得源だ
という記事があるんですが、一方で軍縮をどんどん言っているんです。
 先ほど、同僚議員からありましたが、そういうような情報、世界的な部分というのはどのようにして入ってくるのかということが我々には非常に見えない。こういうふうにして出された部分を、はい、わかりましたと読むのか。一方で、私が自分の足で世界を歩いているときに、必ずそこで起きている経済状況を見ていかないと、内戦であったり、そういうものの要因というものが見えてこないんじゃないだろうか。
 そこで、外務省に質問したいんですが、今たしか武器を輸出する国あるいはそれを買った国に対しての経済援助はしないということがありましたよね。これは今後ソ連については、こういう記事が出ているんですが、今、ソ連に対して日本は多額な援助をしようということで進んでいるようですけれども、これはどうでしょうか。
#78
○政府委員(鈴木勝也君) 御指摘のとおり、外務省と申しますか、これはもう日本政府としての方針でございますが、経済技術協力、いわゆるODAの供与に当たりまして、受け取り国の軍事費が非常に著しく過大ではないかという点は一つの尺度として考慮に入れるという方針はございます。
 ただ、先ほどのロシアと申しますか旧ソ連邦の場合には、現在ODAということで考えられているわけでは必ずしもないわけでございまして、今の軍事費の問題というのはODAとの関係で出ている方針で、若干違いがございます。
#79
○猪木寛至君 近々に私はトルクメンというところに行く予定にしているんですが、ここもやはり地下資源が大変豊富だということで、これは今トルコとイランでしょうか、先日、ベーカー国務長官がわざわざトルクメンで一泊していくというような、何かまだ日本には十分な情報は入っていないようですけれども、将来、大変重要なところになってくるような気がするんです。当然イラクとクウエート、ああいう問題と同じような、将来、一番心配しているのがトルクメンの、地下資源を持っているために、先ほど申し上げた経済と安全保障という部分で、持たなければ攻められることがない、持っているために攻められるというケースが出てくると思うんです。
 時間がもう余りありませんから、いろいろもうちょっとお聞きしたいんですが、今、南北朝鮮統一問題というのが進んでいるわけですけれども、南北が統一されたときに日本としては脅威と一どのように見ているのかというか、統一されることは当然歓迎すべきことなんですが、ここにあるきょうのテーマとしては、安全保障の立場からこれを脅威として、どういうふうに見ているかということをちょっと聞かせてください。
#80
○政府委員(鈴木勝也君) 簡単に申し上げますと、日本政府のたびたび表明しております方針というのは、南北両朝鮮が双方の国民の念願である統一を果たすということは我が国としてはもちろん歓迎することであるということでございます。その裏側というのは、歓迎する以上別に脅威だというふうには考えていないということだと私は結論しておりますが、脅威であるか脅威でないかという議論で論じられたことは余りないような気がいたしますけれども。
#81
○猪木寛至君 将来、脅威として考えますか。どうでしょうか。
#82
○政府委員(鈴木勝也君) それは統一された朝鮮と申しますか、何という国の名前になるかわかりませんけれども、統一された朝鮮半島の国家がどういう国家になっていくかということと関係があるわけで、今脅威になると考えるかどうかとおっしゃられてもちょっとお答えしかねる問題ではないかと思います。
#83
○猪木寛至君 答えにくいんでしょう。
 それで、北方領土問題について、返せ返せと言って、しかし実際には返ってきたときにはもう計画を既に練っているはずなんですね。だから、統一されたときには当然どういう形になっていくかというのは、外務省としてもそういう想定の上にいろいろ考えておられると思うんですが、もし答えにくければそれはもう結構です。
#84
○政府委員(鈴木勝也君) もちろん、私ども仕事でございますから、部内の作業としてはいろんな可能性というものを検討して、その場合にはどうなるかというようなことは考えておりますけれども、それは別に対外的に御説明するようなものとしてやっているわけではないんで、頭の体操といってはなんでございますけれども、あらゆる可能性を想定していつも作業しているということは事実でございます。
#85
○猪木寛至君 次の、「日米安保体制を堅持し、その信頼性を高めていくためには、日米双方による不断の努力が不可欠。」、ここのところに駐留経費の負担、米国がこの部分について、やはり日本としては十分に米国が満足し得るような、満足するというのはこれは切りがないと思いますが、とりあえずこういう負担額というのは米国としては満足の状態なんでしょうか。
#86
○説明員(小澤俊朗君) 先般、チェイニー国防長官が訪日いたしましたときにも表明しましたし、また、今般ブッシュ大統領が来たときにも先方として謝意を表明しております。
 御案内のように、昨年、新たな協定を結んでいる状況でございますので、それが今後さらに四年間続いていくことになるわけです。そういう新しいレジームをつくった段階でございますので、米側としては現状の駐留経費負担について大変感謝の意を表明しております。
#87
○猪木寛至君 安保条約、日米にとって大事な問題だと思うんですが、一つは、日本がリーダーシップということを言われているわけですが、そうすると、あくまでもまだアメリカの軍事力の傘の下に日本は頼るという考え方ですかね。それで、お金で買うとよく言われますが、今ここに出ていることを読ませてもらうとそういう感じがするんですが。
#88
○会長(中西一郎君) 時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
#89
○政府委員(鈴木勝也君) 狭い意味の安全保障という面について考えれば、アメリカの核の傘と日本の基盤的な防衛力という組み合わせでいこうという点は変わりがございません。しかし、日米関係全体で見ますと、グローバルパートナーシップという言葉にもあらわれておりますように、両者相携えてあらゆる問題に対応していこうじゃないかということでございまして、これはもちろん対等だからこそパートナーということだろうと思います。
#90
○会長(中西一郎君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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