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1992/03/17 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 予算委員会 第3号
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1992/03/17 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 予算委員会 第3号

#1
第123回国会 予算委員会 第3号
平成四年三月十七日(火曜日)
   午前九時二十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     橋本孝一郎君     井上  計君
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     前畑 幸子君     三石 久江君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                井上 吉夫君
                鹿熊 安正君
                前田 勲男君
                吉川 芳男君
                梶原 敬義君
                久保  亘君
                佐藤 三吾君
                太田 淳夫君
                吉岡 吉典君
    委 員
                井上 章平君
                石井 道子君
                石原健太郎君
                大島 友治君
                合馬  敬君
                北  修二君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 文夫君
                須藤良太郎君
                田中 正巳君
                西田 吉宏君
                野末 陳平君
                初村滝一郎君
                國弘 正雄君
                小林  正君
                櫻井 規順君
                清水 澄子君
                種田  誠君
                細谷 昭雄君
                前畑 幸子君
                三石 久江君
                村沢  牧君
                森  暢子君
                吉田 達男君
                及川 順郎君
                白浜 一良君
                常松 克安君
                上田耕一郎君
                乾  晴美君
                高井 和伸君
                井上  計君
                寺崎 昭久君
                西川  潔君
   国務大臣
       内閣総理大臣   宮澤 喜一君
       法 務 大 臣  田原  隆君
       外 務 大 臣  渡辺美智雄君
       大 蔵 大 臣  羽田  孜君
       文 部 大 臣  鳩山 邦夫君
       厚 生 大 臣  山下 徳夫君
       農林水産大臣   田名部匡省君
       通商産業大臣   渡部 恒三君
       運 輸 大 臣  奥田 敬和君
       郵 政 大 臣  渡辺 秀央君
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
       建 設 大 臣  山崎  拓君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員  塩川正十郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣  加藤 紘一君
       (内閣官房長官)
       国 務 大 臣  岩崎 純三君
       (総務庁長官)
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      伊江 朝雄君
       (沖縄開発庁長
       官)
       国 務 大 臣  宮下 創平君
       (防衛庁長官)
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  野田  毅君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  谷川 寛三君
       官)
       国 務 大 臣  中村正三郎君
       (環境庁長官)
       国 務 大 臣  東家 嘉幸君
       (国土庁長官)
   政府委員
       内閣審議官
       兼内閣総理大臣  野村 一成君
       官房参事官
       内閣法制局長官  工藤 敦夫君
       内閣法制局第一  大森 政輔君
       部長
       内閣総理大臣官  高岡 完治君
       房審議官
       警察庁警務局長  安藤 忠夫君
       警察庁刑事局長  國松 孝次君
       警察庁交通局長  関根 謙一君
       警察庁警備局長  吉野  準君
       総務庁長官官房
       交通安全対策室  賀来  敏君
       長
       総務庁人事局長  山田 馨司君
       総務庁行政管理  増島 俊之君
       局長
       総務庁行政監察  鈴木 昭雄君
       局長
       北方対策本部審  麻植  貢君
       議官
       防衛庁参事官   高島 有終君
       防衛庁参事官   三井 康有君
       防衛庁長官官房  村田 直昭君
       長
       防衛庁防衛局長  畠山  蕃君
       防衛庁教育訓練  小池 清彦君
       局長
       防衛庁人事局長  坪井 龍文君
       防衛庁経理局長  宝珠山 昇君
       防衛施設庁総務  竹下  昭君
       部長
       防衛施設庁施設  大原 重信君
       部長
       経済企画庁国民  加藤  雅君
       計画局長
       経済企画庁総合  長瀬 要石君
       計画局長
       科学技術庁科学  須田 忠義君
       技術政策局長
       環境庁長官官房  森  仁美君
       長
       環境庁企画調整  八木橋惇夫君
       局長
       環境庁企画調整  柳沢健一郎君
       局環境保健部長
       環境庁自然保護  伊藤 卓雄君
       局長
       環境庁大気保全  入山 文郎君
       局長
       環境庁水質保全  眞鍋 武紀君
       局長
       国土庁長官官房  藤原 良一君
       国土庁長官官房  森   悠君
       国土庁計画・調  田中 章介君
       整局長
       国土庁地方振興  小島 重喜君
       法務省民事局長  清水  湛君
       法務省刑事局長  濱  邦久君
       法務省人権擁護  篠田 省二君
       局長
       法務省入国管理  高橋 雅二君
       局長
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房領  荒  義尚君
       事移住部長
       外務省アジア局  谷野作太郎君
       長
       外務省北米局長  佐藤 行雄君
       外務省欧亜局長  兵藤 長雄君
       外務省中近東ア  小原  武君
       フリカ局長
       外務省経済局長  小倉 和夫君
       外務省条約局長  柳井 俊二君
       外務省国際連合  丹波  實君
       外務省情報調査  鈴木 勝也君
       大蔵省主計局長  斎藤 次郎君
       大蔵省主税局長  濱本 英輔君
       大蔵省理財局長  寺村 信行君
       大蔵省証券局長  松野 允彦君
       大蔵省銀行局長  土田 正顕君
       国税庁次長    冨沢  宏君
       文部大臣官房長  野崎  弘君
       文部省学術国際  長谷川善一君
       局長
       文部省体育局長  逸見 博昌君
       厚生大臣官房総  大西 孝夫君
       厚生大臣官房老  岡光 序治君
       人保健福祉部長
       厚生省健康政策  古市 圭治君
       局長
       厚生省生活衛生  玉木  武君
       厚生省生活衛生  小林 康彦君
       局水道環境部長
       厚生省社会局長  末次  彬君
       厚生省児童家庭  土井  豊君
       厚生省年金局長  加藤 栄一君
       厚生省援護局長  多田  宏君
       社会保険庁運営
       部長       奥村 明雄君
       兼内閣審議官
       農林水産大臣官  馬場久萬男君
       房審議官
       農林水産大臣官  今藤 洋海君
       房審議官
       農林水産大臣官  白井 英男君
       房審議官
       農林水産大臣官  山本  徹君
       房予算課長
       農林水産省経済  川合 淳二君
       局長
       農林水産省構造  海野 研一君
       改善局長
       農林水産省農蚕  上野 博史君
       農林水産省畜産  赤保谷明正君
       局長
       食糧庁長官    京谷 昭夫君
       林野庁長官    小澤 普照君
       水産庁長官    鶴岡 俊彦君
       通商産業省立地  鈴木 英夫君
       公害局長
       通商産業省機械  熊野 英昭君
       情報産業局長
       工業技術院総務  横田 捷宏君
       部長
       運輸大臣官房長  豊田  実君
       運輸大臣官房総
       努審議官     土坂 泰敏君
       兼貨物流通本部
       長
       運輸省鉄道局長  井山 嗣夫君
       運輸省自動車   水田 嘉憲君
       運輸省航空局長  松尾 道彦君
       郵政大臣官房長  木下 昌浩君
       郵政大臣官房経  山口 憲美君
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準  佐藤 勝美君
       局長
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定  若林 之矩君
       建設大臣官房長  望月 薫雄君
       建設大臣官房総  斎藤  衛君
       務審議官
       建設大臣官房会  近藤 茂夫君
       建設省都市局長  市川 一朗君
       建設省河川局長  近藤  徹君
       建設省道路局長  藤井 治芳君
       建設省住宅局長  立石  真君
       自治大臣官房総  滝   実君
       務審議官
       自治大臣官房審  遠藤 安彦君
       議官
       自治大臣官房審  石川 嘉延君
       自治省行政局公  秋本 敏文君
       務員部長
       自治省行政局選  吉田 弘正君
       自治省財政局長  湯浅 利夫君
       消防庁長官    浅野大三郎君
   事務局側
       常任委員会専門  宮下 忠安君
   参考人
       島根大学教授   保母 武彦君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成四年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議
 院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成四年度総予算三案の審査のため、本日の委員会に島根大学教授保母武彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#4
○委員長(中村太郎君) 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 昨日に引き続き、総括質疑を行います。佐藤三吾君。
#5
○佐藤三吾君 まず、委員長にお願いして。おきたいと思いますが、私の質問に当たりまして、答弁者を私が指定した場合は、ぜひひとつ委員長で勝手に変更しないように、その点まずお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#6
○委員長(中村太郎君) 先ほど理事会の中でいろいろ御意見を申し上げたとおりでございます。御発言の趣旨はわかっておりますけれども、ただいまの御意見については、私自身若干の意見がありますけれども、この際申し上げることは遠慮させていただきます。
#7
○佐藤三吾君 あなたはちょっと誤解しておるのじゃないかと思うんですが、さっきの理事会の延長で。そうではなくて、私が言うのは、今から質問者を私が指名した場合には、そのとおりひとつよろしくお願いしたいということです。
#8
○委員長(中村太郎君) 承りました。
#9
○佐藤三吾君 まず、昨日我が党の久保委員からも質問がございましたけれども、政治改革の問題について総理の御見解をただしておきたいと思うんです。
 あなたも奈良、それから宮城の選挙の応援に行かれたようでございますが、審判についてどのように御認識なさっておるのか。特に宮城では四八%が棄権をしました。これは国民の政治不信が限界に来ておる、こう私は受け取ったんですが、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) ことしに入りましてからいろいろ政治と金との問題につきまして幾つかの出来事がございまして、目下司直が糾明を続けておるものもございますし、また既に公判に付されたものもございますが、いずれにしても、そのような政治についての国民の信頼というものが低下をしている。それに対して政治改革を望む声が非常に高いわけでございますけれども、そのよう一なことが底流にある。その他景気問題等々、いろいろほかのこともございましょうけれども、そういうことは事実であると思います。
#11
○佐藤三吾君 そういうことで、総理がにわかに政治改革に熱心になられた、そういうふうに報道されておりますが、しかし、原点は私はリクルート、共和、佐川、この問題について司直の手を待つまでもなく、みずから政治家自身が政治倫理に基づいて国民の疑惑を解く、こういう姿勢が必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) それは大切なことであると存じます。
#13
○佐藤三吾君 大切なことには間違いないんですが、共和などについては御案内のとおりに、まさにあれは典型的なたかりとゆすりですね。これがやっぱり私は国民の皆さんが政治に一気に不信を高めた理由であろうと思うんです。しかも、その主役を務めた阿部さんがあなたの派の事務総長と。そして、この方が国会においでにならぬことによって何一つ解明ができない、そういうことで衆議院では終わったように私は理解しておるんですが、総裁として総理として、この間に国会喚問を含めてどのような努力をなされたんですか。私は残念ながらあなたの努力の姿が見えないんですが、いかがでしょうか。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 阿部議員は自民党を離党をしておられるわけでございます。国会に、衆議院におかれまして、国政調査との関連で阿部議員の意見を徹すべきや否やということはいろいろ御議論があったように存じますけれども、今日までのところ出席を求められておらないというふうに承知をいたしておりますが、政府といたしまして、これにつきましてかれこれ申すべきことではないと存じております。
#15
○佐藤三吾君 それはないでしょう。あなたの派の事務総長でしょう、事件のときは、ゆすり、たかりをやったときは。そして、事が露見して離党なさったにすぎない。そういうあなたの姿勢に問題があるんじゃないですか。どうですか。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと御質問の意味をっかみかねますけれども、国会において国政調査との関連で阿部議員から意見を徴せられるべきか否かということ、そのこと自身につきまして今の私の職員上何か申すべきことではない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#17
○佐藤三吾君 それでは、別の角度でもう一つ聞きましょう。
 鈴木さんは参考人として国会にお出ましになりまして、そのために、出るまでに二週間ほど空転しましたね、国会は、一国の首相の経歴を持つ者が倫理綱領に基づいて進んで疑惑を解くというのはわかりますけれども、私は非常に残念に思っておったんですが、あなたの場合もリクルート事件でかかっておりますし、政治倫理の確立が政治に対する国民の信頼のゆえんじゃないかと私は思うんですけれども。そういう意味で、鈴木参考人のいわゆる善意の保管ということで、お金を一千万か二千万かを保管しておった、二年有半。こういうことについて、あなた自身どういうふうに、まことに善意の保管と思うのか、これはそういうものじゃないと思うのか、どうなんですか。
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) それは事実関係を正確に存じませんので、どのような状況のもとにどのようなことが起こったかということを正確に存じませんので、私としてこういう公の場で判断を申し上げることはやはり控えた方がよかろうと思います。
#19
○佐藤三吾君 あなたは、報道によりますと、あの参考人のテレビをずっと終始見て、終わったときにほっとしたような顔をして、これで終わりましたなということで感想が出ていますね。そういうあなたのことから私は今言ったように、本当にそれで終わったんですか、善意の保管というのをあなたは納得なさったんですか、こう聞いておるんです。
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) 終わったと申しましたのは、衆議院の予算委員会における参考人に対する意見の御聴取が終わったというふうに申しましたわけでございます。
#21
○佐藤三吾君 なかなか老練な御答弁で、国民の皆さんもよくわからぬのじゃないかと思うんですがね。
 いずれにしましても、塩崎さんの証人喚問、鈴木さんの参考人は実現したんですが、肝心な、鈴木さんがおっしゃったようですが、根幹ですね、阿部、森口の証人喚問はいまだに実現していない。
 これは法務省に聞いておきたいんですが、この間、阿部喚問で衆議院が空転しているときに、喚問に反対という印象を与えながら衆議院の各会派を要請して回った、こういうことが起こりました。これは何の目的なのか。率直に言って、阿部さんのいわゆる刑事事件というのは九千万にすぎない。五億三千万の中身の問題については、私はやっぱり国会でただす以外に国民の前に明らかにならないんじゃないかというふうに思うんです。しかも、この塩崎、鈴木喚問を通じて明らかになったことは、横領もやっておるんじゃないが、詐欺もやっておるんじゃないか、こういうことも明らかにされておると私は思うんでございますけれども、法務省がこの喚問に反対して回った理由は一体何ですか。
#22
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 法務省の者が各党の委員の方に御説明に回りましたことについてお尋ねでございますので、お答え申し上げますが、司法に密接に関係する立場にございます検察を所管し、かつまた刑事事件関係者の人権の保護にも特に留意しなければならない立場にある法務当局といたしまして、司法の公正やあるいは関係者の人権に影響を及ぼすおそれのある事態を招くことはできるだけ避けるように努力する必要があるという考えとともに、国会における証人喚問をめぐる議論に幾らかでもお役に立てていただければという気持ちで、法務当局の考えを御説明に回ったわけでございます。
 今、委員仰せになりましたように、どなたを証人として喚問されるかどうかということは、もとよりこれは国会がお決めになられることでございますし、国会が国会の御良識に基づいて御判断なされましたことにつきましては、法務当局もこれを尊重して従うべきは当然のことでございます。
 ただ、今申しましたように、現に裁判係属中の刑事被告人を証人として喚問することについての問題点を御説明させていただい。たということでございます。そういう私どもの考えを御考慮された上で、国会において御判断をいただくよすがにしていただきたいということで御説明に回ったつもりでございます。
#23
○佐藤三吾君 問題点というのは具体的に人権にかかわるということをおっしゃるんですが、国会証人に呼んだらどんな人権にかかわるんですか。
#24
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 私、先ほど二つ申し上げた一つは、司法の公正あるいは司法の公正に対する国民の信頼を確保する上で問題が生ずるおそれがあるということが一つ。もう一つは、刑事被告人の憲法上の権利との関係で問題が生ずるおそれがあるということでございます。
 もう少し御説明申し上げますと、委員も御案内のとおり、刑事被告人は刑事裁判の法廷におきまして広い範囲の黙秘権を保障されているわけでございます。国会で証人として喚問されるとなりますると、証人として偽証罪の制裁のもとに証言を強いられるということになるわけでございまして、そういう意味で、刑事裁判の法廷において保障されております被告人の憲法上の権利との関係で申し上げたつもりでございます。
#25
○佐藤三吾君 おかしな話をおっしゃいますね。それは、留置場に行っておったり刑務所に行っておった方が健康上どうだということについては、御案内のとおり、今代用監獄問題が起こっておりますが、国会が、御案内のとおりに、自分が法律上の罪に問われる事柄については証言を拒否することはできますよ、そういうことを前提として証人として呼んでおるわけであって、何でそれが公正の妨げになったり、もしくは人権とか健康に問題が起こるということになるのからっともわかりませんよ。説明してください、詳しく。
#26
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 もうこれは委員御案内のとおりと思いますけれども、刑事裁判の法廷におきましては刑事被告人は犯罪事実を否認することも、また広い範囲の黙秘権、黙秘することも認められているわけでございます。しかしながら、国会において証人として証言を求められますると、これは先ほど申し上げましたように……
#27
○佐藤三吾君 証言を拒否することもできる。
#28
○政府委員(濱邦久君) 今、お尋ねの議院証言法に書いてございますように、証言を拒否する事由を明確に疎明しなければならないわけでございまして、それ以外のことにつきましては、先ほど申しましたように、偽証の制裁のもとに証言を強いられるということになるわけでございまして、広い範囲の黙秘権を保障されているところとは全く異なるわけでございます。
#29
○佐藤三吾君 これは、私は国会に対する侮辱だと思うんですよ。国会証言法でも御案内のとおり、自分の法律上の罪に問われるようなことについては証人は証言を拒否することができますし、それから、私どもが国会に証人として喚問しようとするのはなぜかといえば、法務省が刑事事件としてとらえているのは五億三千万の中でわずかに九千万にすぎない。あとのお金をどこにどうやったかというのは本人を呼ばなきゃわからないという仕組みになっている、この事件は。そういう点を解明するのが、道義的な意味を含んで私はこの国会であり、同時にそういう意味で裁判所と両立てきると、こういうふうに思っておるわけです。ましていわんや、国会が国権の最高機関として三権の分立の位置づけの中で横並びじゃないわけです。
 そういう意味も含んで、国会が決めようとすることに対して、私は、今度の法務省がとった態度というのは断じて容認するわけにはいかない。法務大臣、いかがですか。
#30
○国務大臣(田原隆君) お答えします。
 法務省の担当官は、今政府委員が説明しましたように、非常に純粋な気持ちで、まだ裁判をやっと提訴したばかりの刑事被告人が、ここで国会証言を求められると裁判そのものに予見を与えるということを心配したり、あるいは今政府委員が心配しておりましたように、被告人といえどもまだ被告人であって罪人ではありませんから、その人権は最小限守ってやらなければならないという純粋な気持ちから申し出たわけでありまして、したがいまして、これは実務者のレベルの話であって、その前提には、憲法で言われる三権分立の中の国政調査権というのが優先するという前提で物を申しておるわけでありますから、その点、御勘案いただきたいと思います。
#31
○佐藤三吾君 私は、法務省の中間報告、それから阿部、森口両氏の贈収賄の中で九千万以外、いわゆる訴追に足るものではないと断定しておるわけですね、この問題もおかしいんじゃないか。刑事事件は当然としても、それ以外全貌を、全体を明らかにしないまま中間報告で処理することを国民が納得できるのかといえば、私はやっぱり納得してないと思う。そういうので政治不信が高まってきておるわけでありますから、私はどう言っても、今、法務大臣がおっしゃいましたが、純粋という言葉はそれはそれなりに受けとめましょう、しかし、出過ぎた行為であることは間違いない。その点は、私はやっぱり今度の場合には妨害に値するんじゃないかというぐらいに憤りを持つわけでございますが、それだけに阿部喚問というのはどうしてむ国会の責任で果たさなきゃならぬ、こういう気持ちを持っておるわけでございますが、この点についてはこれはひとつ総理に聞きましょうか。いかがでしょうか。
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねは、阿部喚問を国会で実施すべきであると思うが、総理大臣はどういう所見かと、こういうお尋ねでございます。
 同じことを繰り返して申しわけございませんけれども、国会の御決定になられるべき事項でございますので、私のこの立場からとやかくそれについて申し上げることは差し控えるべきであろうと存じます。
#33
○佐藤三吾君 それではもう一つ、検察庁にお聞きしましょう。
 塩崎氏の丸紅への口ききは、丸紅と共和の架空取引で第三者から金を引き出し、だまし取る行為だが、塩崎氏が口をきいた八九年六月後に大規模に悪質化をしておる、こういう事例になっておるわけでございます。すなわち、このだまし取った六十八億九千八百三十九万のうち、五十九億九千二百五十三万というのは口きき後に起こっておる。飯田産業が倒産に追い込まれたのもその結果になっておる。こういう点について中間報告の中における検察庁の見解というのは定かではないんですが、定かでないというよりも阿部以外は取るに足らない、こういうことになっておるわけですが、これはいかがでしょうか。
#34
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 まず、これは委員に正確に御理解をいただきたいというふうに思いますのであえて申し上げるわけでございますが、私どもが各党の委員の方に御説明に参りましたのは、あくまでも先ほど申しましたように、一般に刑事被告人を証人喚問することについては、司法の公正、あるいは国会法、あるいは議院証言法等のもとで認められておる制度との関係で、刑事被告人の憲法上の権利との関係で問題が生ずるおそれがあるということを御説明して、正確に御理解をひとつ賜りたいということで御説明に回ったわけでございますので、その点はひとつ御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
 それから今お尋ねの、いわゆる共和事件自体についてのお尋ねでございます。この点につきましては、国会の御要請がございまして衆議院の予算委員会でも御報告申し上げたわけでございますが、要するに東京地方検察庁におきましていわゆる共和事件全体について捜査を尽くしました結果、公訴を提起いたしましたいわゆる商社金融を仮装した詐欺等の事件、それから阿部議員に係る合計九千万円の受託贈収賄の事件、これら起訴しました事件以外につきましては、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足りるものは認められなかったという結論であったわけでございます。
 従来もそういうふうにお取り扱いをお願いしておったわけでございますが、起訴されていない具体的事実関係につきましてはお答えを差し控えさせていただいているわけでございます。これも十分御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 これも申し上げるまでもないわけでございますが、捜査機関が捜査を行うにつきましては、捜査自体が強制権限を用いて他人の秘密にわたる事項に立ち入るわけでございますから、捜査の結果得られた資料等捜査の秘密に属する事柄につきましては、これを秘匿しなければならないということになっているわけでございまして、捜査の秘密に属する事柄、今の委員お尋ねの分も含めまして、要するに起訴されていない事実関係につきましても捜査の秘密に属する事柄を公にいたしますことは、関係者の名誉、人権の保護はもとよりのこと、本来国民の信頼と協力のもとに円滑に遂行しなければならない今後の捜査、公判に対する支障をも来たすことになるわけでございまして、そのような理由からお答えを差し控えさせていただいているわけでございますので、十分御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#35
○佐藤三吾君 結果的には、捜査を理由にして内容ははっきりできない、しかし訴追の対象に値しないと、こういうことでございますから、これでは私は納得できない。
 特に塩崎氏の場合は、さっき言ったように、口きき後に六十九億の中の九割近い大きな融資が行われておるという実態。塩崎さんは証言の中で、春名会長に共和をよろしくと、こういうことを言ったわけですが、春名会長は鉄鋼部に伝えると答えたと、こう証言していますね。このときの部長である久保田さんなり堤林さんが逮捕、起訴されておるわけでございますが、この共和をよろしくということが鉄鋼部に伝えられたときがちょうど架空取引を継続して強化しようという一つの大きなばねになっておる。
 そういうことを想像しますと、これはやっぱり架空取引の封印助、詐欺の封印助になるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#36
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 塩崎議員が国会でどういうふうにお答えになられましたという事柄につきましては、法務当局から御意見を申し上げる立場じゃないと思うわけでございますが、今お尋ねの具体的事実関係につきましては、先ほどお答え申し上げましたように、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
#37
○佐藤三吾君 私は、今言うように、塩崎さんの証言をもとにしてその場合はどうなのかと、こう聞いておるわけで、これについては答えなさいよ。もしそうなら、それはこうですということを言ったっていいじゃないの。どうなんですか。
#38
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 塩崎議員が御証言されたことにつきまして、法務当局として御論評を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
 また、共和事件の具体的事実関係につきましては、先ほどお答え申し上げました以上のことはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに申し上げているわけでございます。その理由は先ほどるる申し上げたとおりでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
#39
○佐藤三吾君 それではもう一つ、角度を変えましょう。
 刑事事件の疑いでは、私は阿部氏についてもまだ幕引きが早いと思うんです。阿部氏は鈴木元首相に渡すと一億円を預かり、鈴木事務所のビルに行ったのを森口が確認をしておる。ところが、鈴木さんは参考人の証言の中で受け取っていないと。事実とすれば阿部氏は詐欺横領ということになる。いかがですか。
#40
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 東京地検におきましては、この共和事件につきましてあらゆる角度から捜査を尽くしたわけでございまして、その捜査を尽くした結果、先ほどお答え申し上げましたように、公訴を提起した事件以外には犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足り得るものは認められなかったということでございますので、私ども法務当局もそのように承知しているわけでございます。
#41
○佐藤三吾君 これは何を聞いてもお答えできませんお答えできませんでやるわけですね。しかし、私が今申し上げたように、このほかまだございますよ。阿部さんが一千万を共和からもらった中で、家族用マンションを改装してやる、そういうことでもらったということを言っておりますけれども、どうもあれはただでやったらしい。そうなると、一千万プラス一千万、二千万でなかったのかという疑義が生まれてくる。
 こういうことであるとかいろいろございますが、どうも捜査にかかわるということ、公判にかかわるということの理由ではっきりしませんから、ここで墜言いませんから、これはやっぱり昨日久保議員から要求したように、どうしても阿部さん、森口の証人喚問を要求していかない限りこの問題は片づかないということだけは、委員長、確認できると思うんですが、いかがでしょうか。
#42
○委員長(中村太郎君) 御意見として承っておきます。
#43
○佐藤三吾君 加藤長官にお聞きしますが、平成二年二月十日ごろに東京新宿のセンチュリーホテルで共和の森口副社長と水町医師と会っておりませんか。
#44
○国務大臣(加藤紘一君) 会っておりません。
#45
○佐藤三吾君 そこで、阿部長官は選挙が弱くて大臣として応援の余力がないから、あなたはそのころ事務総長をやっておったんですか、配慮してほしいということで一千万を森口が渡したと言っておるんですが、これはいかがですか。
#46
○国務大臣(加藤紘一君) そういう事実はございません。
#47
○佐藤三吾君 それについて、何か阿部さんは二月じゃなくてたしか十二月だと、こう言っておるんですが、いかがでしょう。
#48
○国務大臣(加藤紘一君) ちょっと意味がわからないんですが。
#49
○佐藤三吾君 先ほど言ったように、二月じゃなくて、阿部さんの記憶ではたしか十二月じゃなかったかと、こう言っておるんですよ、そのセンチュリーで会ったのは。
#50
○国務大臣(加藤紘一君) 私と阿部さんとが会ったという意味ですか。私と阿部さんとは新宿では会いません。
#51
○佐藤三吾君 そうじゃなくて、森口さんから一千万をあなたに渡したセンチュリーホテルは、阿部さんの記憶では十二月だったと、こう言っておるんですよ。
#52
○国務大臣(加藤紘一君) ちょっと御質問の意味がわからないんですが、いずれにいたしましても、そういう金品を受け取ったことはございません。
 それから今二月十日とおっしゃい。ましたけれども、その日は私は東京にはおりません。
#53
○佐藤三吾君 それでは、阿部さんが選挙の応援に行ったのは隣の渡辺省一さんの選挙だけで、そのほかは広くは行っていないようですね。
#54
○国務大臣(加藤紘一君) 阿部さんが選挙の応援に行かれたということですか。私ですか、阿部さんですか。
#55
○佐藤三吾君 阿部さん。
#56
○国務大臣(加藤紘一君) 阿部さんがどこに行かれたかは、ちょっと私は覚えていません。
 それから二月十日と今おっしゃいましたけれども、そういううわさ話が週刊誌にちらっと私についてありましたので調べましたけれども、その日は私は東京におりません。
#57
○佐藤三吾君 わかりました。またひとつこの続きは次にしましょう、もう少し調べて。
 そこで、法務省に要求したいんですが、いずれにせよ検察が政権党の判断で手かげんするということがあってはならないわけでございますから、そのための担保が必要である、こう私は思うんで、法務大臣、法務大臣の検察に対する指揮権発動の仕組みを定めた刑事関係報告規程、処分請訓規程、この二つの公開を大臣に要求したいと思いますが、いかがでしょう。
#58
○国務大臣(田原隆君) 処分請訓規程ですか、これらは非公開、秘密ということになっておりまして、ただし汚職事件に関するものは秘密の取り扱いをしない、その他は秘密の取り扱いということになっております。
 それから私自身、検察に不当な制圧を加えて捜査をゆがめるようなことはいたさない覚悟でおります。これは検察を信じ、公正公平、厳正中立にやっておる、過去にも現在にも未来にわたってもそうであると信じております。
#59
○佐藤三吾君 大臣、汚職に限っては公開するんですね。
#60
○国務大臣(田原隆君) 先ほど言葉が足りませんでしたが、私も専門家でありませんので、細かい法規の規定については政府委員に答えさせます。
#61
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員お尋ねの処分請訓規程あるいは刑事関係報告規程についてでございますけれども、このいずれも私ども法務省の内部規程でございまして、検察権行使の具体的内容にかかわるものでございますので、公にすることはひとつ御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。
 ただ、正確に御理解をいただきたいと思いますので内容を申し上げるわけでございますけれども、まず処分請訓規程と申しますのは、例えば外患罪とか内乱罪というような国の安危にかかわる犯罪等につきまして、これは犯罪の罪種を限定列挙しているわけでございますが、そういうものにつきまして検察官が処分をする際に検事長、検事総長を通じて法務大臣の処分の指揮を受けるという仕組みになっているわけでございます。ただ、今申しましたように、挙げてあります罪種は内乱罪とか外患罪とか特殊な罪種だけを挙げているわけでございます。今仰せになりました贈収賄罪というような罪はもちろんこの中には入っておりませんし、したがいまして処分請訓規程の適用のらち外にあるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 この点につきましてはここで申し上げるのはいかがかと思いますが、衆議院の予算委員会におきましても委員の方からお尋ねがございまして、同様の御説明を申し上げて御理解を賜ったというふうに私どもは承知しているわけでございます。
 それから刑事関係報告規程は、これは今申しました処分請訓云々とは全く関係ございませんで、各種の事件がありますと、これももちろん特殊の罪名を挙げておるわけでございますけれども、事件の受理、処理あるいは処分の際に報告をするということでございますので、これは事後に報告される場合が多いと思いますが、そういう内容のものでございます。
 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、具体的な検察権の行使の内容にかかわるものでございますので、公にすることはひとつ御勘弁をいただきたいというふうに思いますので御理解を賜りたいと思います。
#62
○佐藤三吾君 わかりました。贈収賄は処分規程外で、したがって公開をできる、こういうことのようですから、そういうことで受けとめておきます。大臣、いいですね。
 そこで、この際もう一つ総理に聞いておきたいんですが、総理は大蔵出身ですね。塩崎さんもあなたの後輩になるか知りませんが、大蔵出身ですが、二千万円の性格づけに迷って一年半以上申告しなかった、こういうことを証言で述べておるわけです。謝礼か献金か迷ったというけれども、元総務庁長官、当選八回、ベテランで大蔵省出身で、そういうものでしょうかね。私はやっぱりそうじゃなくて、この二千万が架空取引に加担した謝礼じゃないかというところで迷いがあったんじゃないかと思うんですが、これは総理として、大蔵省出身として、いかがでしょうか。
#63
○国務大臣(宮澤喜一君) 事実関係がわかりませんので、その点お答えができないのでございますけれども、なお一種のケースとしてそういうことを税法上どう考えるかということでございましたら、政府委員からお答えをしてもらいます。
#64
○佐藤三吾君 これは政府委員から聞くまでもないと思うんですけれども、いずれにしても、さっきから言っておりますように、どうしても阿部喚問以外にこれらの問題について国民の前に明らかになる道はないような感じがしますので、これは昨日、委員長にも久保議員から要請しましたように、ぜひひとつお願いしておきたいと思います。
 そこで、時間がございますから三点セットの問題についてお聞きします。
 私が第百二十二国会で総理並びに両渡辺、加藤三大臣のリクルート株の三点セットについてコピーをいただいて、そして加藤さんははっきりぬれ手にアワだということでまことに申しわけないということで明確だったんですが、どうも総理並びに両渡辺氏についてはそこら辺が鮮明でなくて、再度、昨日要求しました三名の証人喚問の要求になったわけでございますが、どうしても霧が晴れていない。きのうの答弁を聞いてみても、総理の答弁を聞いてみてもここら辺がすっきりしない。江副さんははっきり公判で言っているわけです。秘書には渡していない、全部本人に渡したんだということを言っているんです。
 そういう面で、あなたがはっきり加藤さんと同じように確かにいただきましたと言えば、これは問題が片づくわけです。すっきりする。ところが、あなたはなかなかそうじゃなくて秘書の服部が云々と、こうやるものですから、それではこの三千万の購入代金、四人の友人から調達したというのは、いつ、だれとだれから幾ら調達したのか、こういうことになるわけですが、もうそろそろ出していいんじゃないですか。
#65
○国務大臣(宮澤喜一君) これはもう何度も申し上げたことでございますけれども、昭和六十三年の暮れに私は大蔵大臣をいたしておりまして、そのような関係書類を提出すべきであるという御議論がありまして、当時私の手元に十分それらのものがございませんでしたということもございまして、責めを負ったわけでございます。
 その後、図らずも首班指名を受けましたので、所信表明におきまして、このことにつきましては誠意を持って私から事実関係を申し上げるつもりでございますということを申し上げまして、と申しますのは、事件がある意味で終結いたしました結果、関係のいわゆる三点セットと言われる関係書類、証憑等を入手することができましたので、それでそう申し上げました。そして、当委員会にもそういう書類を提示いたしましたし、また私から今日まで繰り返しその間の経緯を御説明してまいったところでございます。
 この取引が服部氏の取引であるということにつきましても、御提示いたしました書類をごらんいただきますとはっきりいたしておると考えておりますし、またこの支払いというものも現金で行われておるということも銀行関係の書類で明らかになっておると存じております。
#66
○佐藤三吾君 はっきりしていないんです。ですから、私がさっき言ったように、三千万どこで調達したか、いつだれからどれだけの額でしたのか、こういうことの資料を出してくれと言ったけれども出さない。
 また、十一月五日には服部秘書の銀行口座に五千二百二万が入ってきておる。そこから四人に対するお金が出ていない。出金伝票、その証拠がない。借りたら当然これを返すはずだから、あってしかるべきなんです。加藤さんはその分も出しておる。あなたは出さない。これはいかがですか。
#67
○国務大臣(宮澤喜一君) それも何度も申し上げたところでございまして、服部恒雄氏の口座に金が入っておるということは今おっしゃいましたとおりでございますので、それがまた何にどうされたかということは、これは服部氏のいわばプライベートな関連でございますので、三点セットという御要求はそこまでのことをおっしゃっていらっしゃるのではないというふうに私は当初から考えております。
#68
○佐藤三吾君 また、六十一年十月十五日付で松本雅雄名でファーストファイナンスに三千万振り込んだことは、ファーストファイナンスに購入代金を融資または立てかえ払いをしてもらったことになるんじゃないか、私はそういう質問をしたんですけれども、加藤さんが出したように、金銭消費貸借契約書があるはずなのにこれも出さない。九月三十日から十月十五日までの三千万の取り扱い台帳はどうなったのか、これも出さない。なぜこだわるのか。
 私は、もうあなたの場合、大蔵大臣を棒に振ったうそ発言とあわせてどうしてもそこら辺が信用できない。国民の皆さんもそうだと思うんです。いかがです。
#69
○国務大臣(宮澤喜一君) これも何度も申し上げましたが、金銭消費貸借契約があるはずなのに書類を出さないとおっしゃいますが、金銭消費貸借契約はございません。
#70
○佐藤三吾君 なければ、何でここに金を入れたのか、これもわからない。
 渡辺外務大臣、あなたも、眠っているようですが、息子さんが九月三十日に株を買った、しかし代金千五百万は十月二十二日に払ってあると。この間だれが立てかえたのか、これも資料が出てない。千五百万振り込みの証明書は私はあると思うんですけれども、あなたは先般の回答で、女房と息子は言うことを聞かないなどというしゃれを言っておりますけれども、そんな場合じゃないんじゃないですか。
#71
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、何を聞きたいのかそこが知りたいんですよ。事実関係を知りたいとおっしゃるんだから、聞いてみたところが、確かに買いましたと、売りましたと、代金はいただきましたと、全部わかっているわけですから。何を知りたいんですか。そこのところがよく私にはわからないですね。だから、買った事実があって、買わないと金払い込むはずはないんでしょう。買ったから払い込んで、それでそいつを今度は売って金が戻ったから、もう金払って、売って戻っちゃ、あと関係ないから関係書類はもう破棄しちゃったと。いただくものいただいちゃったんだから。だから、必要ないわけですよ、何年間もとっておく必要が。だからわからないということを言っているんであって、事実を隠したりなんかして……だから何を聞きたいのか、そこのところよく教えていただきたいんです。
#72
○佐藤三吾君 さっき言ったように、九月三十日に株を買ったわけです。十月二十二日に払ったわけです。その間はだれが立てかえたのかと聞いておるんです。
#73
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはだれも立てかえません、うちの子供はそのくらいの金ありますから。借金だって数億円の借金がありますし、事業をやっているんですから、一千五百万や三千万の金、自由になるんです。
#74
○佐藤三吾君 それならその証明を見せてくださいよ。
#75
○国務大臣(渡辺美智雄君) それ、証明も何もないんですよ。同じ通帳から出て同じ通帳に入っているわけですから。その証明書は銀行から出ているわけですから、だからそれは何の心配もないんです。
#76
○佐藤三吾君 その銀行通帳を見せてくださいよ。
#77
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもう古い話ですから通帳は見せませんが、そういう事実があったと、うちのせがれの通帳から出てその通帳に入ったと、それだけでいいんじゃないんですか。何もそれ以上のことを、個人の問題でとやかく言われてもうちのせがれは言うこと聞きませんよ、それは。事実関係をそっくり認めましたと言っているんですから。
#78
○佐藤三吾君 あなたがおっしゃることはそうだろうけれども、その証拠を見せてもらいたいということですね。
#79
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、銀行を信用しなければ何をか言わんなんですよ。銀行が渡辺喜美の通帳からそれだけの金が出ましたと、喜美の通帳に入りましたと。事実関係ははっきりわかっているわけですから、それでいいんじゃないんですか。現金じゃなかった、たまたま。通帳から出して、もう五年も前の話でしょう。だからその通帳へ戻ったという、その証明を銀行からとったわけですよ。それで私は十二分だと思うんです。隠しているわけでも何でも、私の金でも何でもないんですから。
#80
○佐藤三吾君 どうも納得ができぬね。
 総理、あなたの説明だけではなかなか国民の皆さんも理解できないんじゃないかと思うんですが、やはりさっき私が申し上げた資料を出していただくか、証人喚問に応じていただくか、いずれかしかないんじゃないかと思うんで、この際についてはひとつどちらかを選択なさる、こういう御所見があればいただきたいと思うんです。
#81
○国務大臣(宮澤喜一君) 資料は既に十分御提出いたしたと思います。すなわち、金が現金で支払われておるということの銀行の書類、それから消費貸借の書類を出せとおっしゃいますが、立てかえを受けておりませんのですから消費貸借はありません。そういう契約はしたがってございません。
 なお御不明の点があれば、幾らでも私から誠意を持って御説明を申し上げたいと存じます。
#82
○佐藤三吾君 きょうは時間がございませんから、またひとつ一般質問の際にも渡辺大臣もあわせてゆっくりやりましょう。
 そこで、佐川に移ります。
 佐川急便事件ては、御案内のとおりに、強制捜査に入って一カ月余かかっておりますが、残念ながら我が党にもこの問題について政治倫理にかかわる問題が起こっておりまして、この点については国民にまことに申しわけないと思っておりますが、党の規律の自浄能力を尽くして鮮明にしてまいりたいと思っております。
 そこで、この問題については、政界だけで一千億、暴力団も含めて五千億、九千億という事件でございますから、徹底的に追及していかなきゃならぬと思っておるんですが、総理の認識と決意を聞いておきたいと思います。
#83
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、ただいま当局によって事態の糾明が行われておるというふうに存じておりまして、私は当局がこの糾明に万全の努力を尽くすことを信頼いたしております。
#84
○佐藤三吾君 総理に私があえて冒頭にお聞きしたのは、この事件で報じられておる類を当たってみましても、政治家あり暴力団あり右翼あり、イトマン、リクルートの関係、富士銀行事件登場者、仕手グループ、セゾングループの秘書課長、昭成グループ、大蔵省、林野庁課長グループ。また、○○メモでは、政治家では田中さんはもちろん、河本さんを除く自民党の全領袖、宮澤さんも渡辺さんも報じられたのは億単位の数字が並んでおるわけです。既に表面化した都知事選の問題でも、金丸さん、小沢さんが登場してくるし、メモによれば三塚さんに二重丸がついておる。
 こういった事件の内容でございますからあえて総理に私聞いたんですが、総理、渡辺さん、せっかくおいででございますから、感想をお聞きしておきたいと思うんです。
#85
○国務大臣(宮澤喜一君) もし不正なり犯罪がございますれば、我が国の検察、警察、あるいは税務当局もあるかもしれませんが、当局は全力を挙げてその糾明をいたすということは、私は全面的に信頼をいたしております。
 なお、私に関して何かおっしゃいましたが、そういうことはございません。
#86
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、国会の衆人環視の中で国会議員が発言することについて、それは責任は院外に問わないということは、院内で重大責任があるということですよ。何を根拠にして億単位の金が派閥の領袖に渡っていると、何を根拠にしておっしゃっているんですか、言ってください。
#87
○佐藤三吾君 何を根拠にしておっしゃっておるかと言うけれども、あなたも毎日見ておる報道の各新聞もしくは週刊誌を含めて、そういう報道がされておるじゃないですか。ですから私は感想を聞いたわけでありまして、その点はやっぱり素直に受け取りなさいよ。
 それから、運輸大臣にちょっと聞いておきたいんですが、元東北佐川急便の会長、元北海道佐川急便社長をやっておる武島さんの発言によりますと、なぜ佐川がもうかるのか、なぜ政治がくっつくのか、簡単だと。佐川と同じことを同業者がやれば、道路運送法違反、労基法、労安法、道交法、違反で挙げられたはずだ。なぜ佐川だけが捕まらないのか、わずか三十年で独占的地位を築けたのは、佐川の前では法の平等はなかったと、こう断言しておるわけです。そして、政治家と暴力団の役割と活用について行政官庁もあった、こう言っておるわけです。ずさんな行政措置としてこの人が反発して、歴代運輸大臣にはそういった問題をお手紙を差し上げて抗議しておる、こういうことも言っておるわけですが、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(奥田敬和君) これは決して弁解するわけじゃありませんけれども、私も、昨年の十一月、運輸大臣を拝命する、それからようやくこの佐川問題に関して、はっきり言うと非常にお行儀の悪い事実がたくさんあったんだなということがわかったんです。それまではどちらかといえば、正確、迅速、働いている人も何か給料を百万円とっている人たちがたくさんおる。しかも、私もかつて北陸佐川の、金沢が所在地でございますから、やっぱり新年会等へ出る機会もございました。そういうときでも、軍隊式の社員の統制力というか、これはすごい優良な企業だなというイメージしかなかったわけでありますけれども、こういりた事態の背景の中に、非常にいわゆる精算金を多く取っておったとか、あるいは労働過重の中で非常な厳しい勤務状態であったとか、あるいは路線認可をめぐって政治力が介在した云々というような形で、私自身行政当局の責任者としてその内容については詳しく事情を聞いた次第でございます。
 確かに、路線認可等々は物流二法が通ってから相当緩和されましたし、従来の路線問題なり区域問題なりでのそういった問題は比較的少なかったと思っております。しかし、その東北佐川のかつての社長さんがいろいろ指摘されておるような、いわゆる行政との癒着によって勝手ほうだいやれたんだというような形に対しては、私も当時の行政管理に当たっている連中からよく聞きましたけれども、そのようなことはないということですから、それを素直に今受け入れて聞いておるところです。しかし、そういった形の指摘が余りにも大きいわけですから、それぞれの問題点を通じて先生方の御質問の内容をそれぞれの担当部局に通達して念査させておるというのが現状でございます。
#89
○佐藤三吾君 水戸のターミナルを昨年市街地の千波のところから郊外へ移転した、ターミナルを建設した。ここは市街化調整区域で農地もあり、区域貨物免許しかない佐川に建設することは不可能であった。当初は東日本運輸で建築確認を申請されておった。昨年八月、北関東佐川に名義変更が出された。市は県を経由して運輸省に問い合わせたところ、認めない、取り下げ指導中だ、こういう回答があった。ところが佐川は、そんなはずはない、時間の問題だと。ところが、昨年十二月末、関東運輸局自動車第二部長名で佐川の言うとおりオーケーの文書が届いた。いかがですか。
#90
○国務大臣(奥田敬和君) ちょっと実務のケースに関することで、政府委員から答弁させるようにいたしたいと思います。
#91
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 先生御指摘の件でございますが、この関係は関東運輸局の茨城陸運支局の権限に属する事項でございます。昨晩先生からお話を聞いたばかりでございまして、具体的な事実関係について現在調査中でございまして、調査をした上でまた先生に御報告いたしたいと思います。
#92
○佐藤三吾君 具体の内容はまだいいとして、これは認めたんでしょう。
#93
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 認めたかどうかということも含めまして、まだ茨城支局の方と連絡がついておりませんので、整理をして御報告をいたしたいと思います。
#94
○佐藤三吾君 労働省、警察庁、国税庁、運輸省、各関係で佐川の問題に対して、各法の違反検査の結果、内容、天下りの状況について御報告いただきたいと思います。
#95
○政府委員(佐藤勝美君) 労働省といたしましては、佐川急便グループの所属事業所に対しましては、主管店を中心に昭和六十二年以降四回にわたりまして全国一斉に監督を行っております。
 その結果でございますけれども、昭和六十二年には四十四事業所について監督指導を実施、そのうち四十二の事業所について労働基準法等関係法令違反が認められたところでございます。平成元年におきましては、十八事業所について監督指導を実施、そのうち十二事業所について同様に法令違反が認められた。平成二年は十三事業所について監督指導を実施し、そのうち十事業所について労働基準法等関係法令違反が認められたところでございます。
 これらの違反の内容でございますけれども、主なものは労働時間にかかわるもの、賃金台帳にかかわるもの、就業規則にかかわるものでございます。
 なお、平成元年には佐川急便グループを統括しております清和商事株式会社に対しまして、労働省労働基準局及び京都の労働基準局による調査を実施いたしております。平成元年の一斉監督及び清和商事に対します調査結果を踏まえまして、平成元年十二月、清和商事株式会社代表取締役社長を労働本省に招きまして、労働省労働基準局長名で労働時間の適正な管理等、労働者の適正な労働条件の確保についての要請を行ったところでございます。
 以上のとおりでございます。
#96
○佐藤三吾君 天下りはございませんか。
#97
○政府委員(佐藤勝美君) そのようなケースは承知をいたしておりません。
#98
○政府委員(関根謙一君) 警察の取り締まり方針は、交通の安全と円滑を図るという見地から悪質、危険、迷惑性の高い違反の取り締まりを重点にいたしまして、かつ、公平を旨として行っているところでございます。したがいまして、特定の企業につきまして特に厳しく取り締まるということでありますとか、特にそうでないというようにすることはあり得ないと存じます。
 ただ、数字の点でございますが、私どもは法人を監督する立場にございません。したがいまして、企業別に違反の取り締まりの統計を作成しているわけではございませんので、企業単位の数字は不明でございます。しかしながら、これは最近の取り締まり担当者の印象でございますが、ここ数年で見る限り、特に当該企業が他の運送業者に比較して違反が多いという印象は受けていないとのことでございます。
#99
○佐藤三吾君 天下りは。
#100
○政府委員(安藤忠夫君) 佐川急便への再就職状況でございますが、組織で紹介したものあるいは本人が知人等を介して就職したケースもあって正確には把握できておりませんが、現在警察庁OBで再就職している者はございません。都道府県OBでは約十五名程度ございます。ポストにつきましては、役職者はなくて参与、参事等で、安全運転管理の業務に携わっていると聞いております。
#101
○政府委員(冨沢宏君) お答えいたします。
 佐川急便グループの関係で過去に脱税事件になったものについてお答えいたしますと、昭和五十二年に九州佐川急便について福岡国税局が、株式会社佐川急便について高松国税局が、それから大阪佐川急便について大阪国税局が、それから東京佐川急便については東京国税局が、それぞれ法人税法違反の疑いにより検察庁に告発をいたしておりまして、これらにつきましてはその後の裁判によりまして有罪が確定をいたしております。
 そのほか、任意調査につきましては個別の案件でございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
 それから、天下りにつきましては、突然のお尋ねでございますので私つまびらかには承知をいたしておりませんけれども、私の知る限りそういうケースはないと承知いたしております。
#102
○政府委員(水田嘉憲君) 運輸省関係で、佐川急便グループに対して過去に特別監査を二度にわたってやったわけでございます。六十一年から六十二年にかけて八十一社に対しましてやりまして、さらに平成元年に主管店を中心とした十三社に対してもやったわけです。その結果、道路運送法の規定に違反する事実が明らかになったという事業者に対しまして厳正な処分を行い、さらには違法行為の是正指導等をやっております。さらにその後、業務運営面の問題につきましても、国会からの指摘もございまして、指導をやってきておるところでございます。
 天下りの関係の話でございますが、当省の職員が国家公務員法第百三条の規定によりまして佐川グループに再就職をしている事例はございません。
#103
○佐藤三吾君 運輸省と労働省に聞きますが、今お聞きしますと、六十二年以後に処分その他がやられておるんですが、これは安恒質問に基づいてやられたと思うんですけれども、その前はいかがなんですか。
#104
○政府委員(佐藤勝美君) 六十二年の一斉監督以前のことでございますが、昭和六十一年の十二月におきまして中京佐川と横浜佐川につきまして労働基準法違反で送検しております。そのような事例が二件ございました。
#105
○佐藤三吾君 運輸省は。
#106
○政府委員(水田嘉憲君) 六十一年から六十二年にかけて、あるいは平成元年に一斉監査を行ったわけでございますが、それ以外に途中でも、それからその前でも、各運輸局ごとにそれぞれ決めて、あるいは具体的な垂れ込み等があった場合、監査をしておるというのが実情でございます。
 ちょっと今手元に、いつ、どうしたかという数字がございませんので、これも後で整理して御報告させていただきたいと思います。
#107
○佐藤三吾君 運輸省、特別監査の際の四、五日前の内通の問題であるとか、それから異動に伴ってせんべつとして役職者に五万、一般職三万とか、内部文書が漏れておるとか、これは新聞報道で出ておりますが、局長クラスは異動のときには京都にあいさつに行くというのはどうですか。
#108
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 私も去年の七月に局長になったわけでございますが、そういうあいさつに行ったことはございません。また、過去にそういうことをやった事例はないというふうに聞いております。
#109
○佐藤三吾君 局長クラスの異動の際には、まあ昇任でしょうね、お祝いとして特注の小判をもらうと、お土産に。これは特注で九十八万するそうですが、いかがなんですか。
#110
○政府委員(水田嘉憲君) 私自身そういうものをもらったことは一切ございません。また、過去にもそういう業界から運輸省の局長でもらったというようなことは聞いておりません。
#111
○佐藤三吾君 いずれにしましても、時間がございませんから……。
 先ほどからお待ちいただきまして、保母先生に心からお礼を申し上げます。
 まず、きょうは長良川の問題に入りたいんですが、その前に中海・宍道湖の淡水化事業が六十三年に凍結しました。この中で、保母先生がいろいろお書きになったものを読んで、状況についてお聞きしたいと思うんですが、どういう意味で凍結なさったのか、いかがでしょうか。
#112
○参考人(保母武彦君) 島根大学の保母でございます。
 今の御質問についてお答えいたしますけれども、この中海・宍道湖の淡水化事業というのは昭和六十三年の五月の段階で凍結になっております。事業が二十五年間にわたりまして七百五十九億円投入されております。
 凍結の理由は幾つかございますけれども、一つは、何よりもこの事業が計画されたのが、干拓、淡水化事業を計画されたのが昭和三十年代です。それ以降、二十五年にわたって事業が継続中であった。計画の段階とその後の情勢が大きく変化して、事業が情勢の変化に対応できなくなったという点が一番大きな点かと思います。同時に、言葉はきついかもしれませんけれども、政策的な欠陥があったのではないか。環境政策において、それから同時に、地域の経済、財政政策において問題点があったのではないかと思います。過大な米の生産の計画、そして水資源の開発の問題、これが事業が始まりまして二年足らずの段階ですぐ減反政策が入って水田をつくるという計画がだめになっております。その後も継続されていたというところに一つの大きな問題があったと思います。
 もう一つは、住民の反対の世論が非常に大きくなったという点です。地元では島根、鳥取両県にまたがりまして約四十四万人の人口が中海・宍道湖の周辺におりますけれども、世論で、NHK等の調査によりますと、七四%がこの事業は中止すべきであるということを言ったわけです。それに対して、この世論の動向に当時の内閣そして国会が機敏に反応していただきまして、ここに当時の新聞記事がありますけれども、当時竹下総理でしたけれども、衆議院の予算委員会において昭和六十三年の二月二十二日、県民全体のニーズは大変に変わってきた現実は無視できないということを言われまして、この三カ月後に両県知事は凍結を宣言いたしまして、五カ月後に閣議で了承されております。
#113
○佐藤三吾君 たしか、この中海淡水化事業は農一水省の直轄事業であったと思うんですが、河川管理者である建設省はこの事業にどのような対応をなさったのか、現地にいて、あなたの動きとあわせて御報告いただきたいと思います。
#114
○参考人(保母武彦君) この事業は今言われましたように農林水産省の直轄の事業です。しかし、事業が行われておりますのは一級河川の斐伊川の流域でして、そこに中海・宍道湖があります。これは一級河川ですので当然建設省の管轄になっております。建設省は当時、この問題について環境保全、水質保全という立場から非常に慎重に対応していただいております。
 これは幾つかの例を申し上げますと、島根県庁が最終的にこの事業を継続するか、それとも凍結するか、こういうのを調べたのがありますけれども、その中で建設省の態度として、水質の極端な悪化、生態系の崩壊等が明らかに予測できるので、この事業の継続は認められないというのが建設省の態度であるということを明確に県の方でも言っております。あるいは島根県の自民党県連の報告が出ております。この中でも、建設省の態度はこういう意見だと。既に、一級河川の斐伊川、そして宍道湖・中海については、人間に例えればコレステロールがたまって成人病の大変な状況になっている、それに一升酒を飲ませていかに二日酔になるか、すなわちアオコの発生なり水質汚濁の問題、それを実験するようなものである、これは認められないというのが建設省の態度であるということを言っております。
 当時建設省は、土木研究所、ここにも昭和六十年に委託研究をやりまして、そしてやはり汚れが生ずるということを言っております。これに対して国会の方でも、衆議院の予算委員会で河川局長さんが当時お答えになっておりまして、三点でこの問題について慎重に検討しておるということを言っております。それは治水上の問題、それから水質の問題、もう一つは水利上、水利用の問題で必要があるかどうかというのを検討しておるということを言っております。
#115
○佐藤三吾君 先生どうもありがとうございました。
 最後になりますが、一つお伺いしておきたいのは、凍結後もう約五、六年たっていますが、どういう問題点が起こっておりますか。
#116
○参考人(保母武彦君) さまざまありますけれども、凍結が余りにも遅過ぎたというところから、水の流れが弱くなっている問題、水質への影響が出ている、これが大きいかと思います。
 同時に、財政負担の問題があります。凍結された昭和六士三年五月末の段階で三百九十六億円が地元の財政負担ということになっております。これを、水を農業用水へ売り、それから土地を売って返さなきゃならない、しかしそれができないというところで財政負担の問題が大きく残っております。この問題は先ほども言いましたように、国の公共事業が非常に長い間かかって計画段階からこうなった段階にどのようにするべきかということが中海・宍道湖の教訓点としてあるのではないかと思います。
 三点申し上げておきたいと思いますけれども、一つは、これは水の需要の問題、それから同時に環境に与える影響、こういう問題についての十分な科学的な調査を行って、もしそれが途中で環境上の影響なり需要に変化が生じた場合にはこれを中止することも含めて、そのような制度をつくらなければならないのではないかと思います。現在、先ほど長良川との関係と言われましたけれども、この五月の段階で長良川の河口ぜきは六一%の進捗だというふうに聞いておりますけれども、島根県、鳥取県で、この中海三宍道湖の事業が七五%ほど進んだ段階で凍結されております。その意味では、より早くこのような科学的な調査を行っていくということが大切だろうと思います。
 二つ目に、資料の公開を十分関係官庁が行って、そして最もよい選択を地域ができるようにしていくということが大切かと思います。最近、愛知県の方の研究者が宍道湖に来られまして、そのときに新聞にこういう記事が出ているというので言力れましたけれども、それは愛知県の土本部長さんが議会で答弁をされておりますけれども、「私の方としては国に対して(必要性を証明する)資料をもう少し出してくれと要求しているのに出してくれない。国の資料をいただき、もう少し(要望に)こたえられるような答弁をしたい」、こうなっておりますけれども、こういうような問題はやはり宍道湖・中海においても同じような問題があったので、その点をぜひお願いしておきたいという点です。
 それから三つ目には、これはまさに予算を審議しておられる国会でぜひ考えていただきたいと思っていることなんですけれども、中海・宍道湖では中止ではなく延期という形で現在事業がストップしております。延期という処置をなぜしたのか。これは公共事業を進めて途中で問題があった場合に、その事業を中止するという制度が法律の中にないわけです。したがいまして、苦肉の策として延期という形になっておるんです。そのために、淡水化事業を進めるための水門は既にできておりますけれども、毎年の維持管理費だけで五億円かかります。これは地元そして国全体でもこの負担を税金等でしていかなきゃならない、延期のままであれば永久に五億円毎年払っていかなきゃならないと、こういう大変な問題があります。ぜひ、こういう問題は制度をつくって、そのような問題が生じた場合には、やはり事業についても見直していくという、これをやはり法律制度としてつくることが、私たち、宍道湖・中海のところでこの事業をずっと見ておりまして、一番の大きな問題ではなかったかというふうに思います。
 ただ、制度をつくる場合にはいろいろの問題がございます。時間もかかりますので、もし全国的な問題でこういう問題がある場合には、例えば、先ほど佐藤議員さんの方から言われました長良川の問題とかこういう問題については、これは先ほど当時の竹下総理の話を出しましたけれども、やはり行政ではなしに、まさに議会が判断をして決めるということが大切であろうかと思います。
 以上でございます。
#117
○佐藤三吾君 どうもありがとうございました。本当に大変貴重な御意見をいただきまして勉強になりました。
 そこで、今総理もお聞きになったんですが、宍道湖の凍結後の今の問題点、これについてどういうお考えなのか、まず聞きたいと思います。
#118
○国務大臣(宮澤喜一君) 所管大臣からお答えをいたします。
#119
○政府委員(海野研一君) 私からかわってお答え申し上げます。
 この事業は大臣の御就任前に延期をしたものでございまして、その後、両県知事からの御意見を待っておるところでございます。
 少なくとも、両県知事の意見では、水資源の安定的確保の観点からは今日においても事業の必要性は変わっていないものの、現在直ちに宍道湖・中海の淡水化を行うことは水質保全の面で懸念があるため、当分の間これを延期し、引き続き水質保全上の問題等の解決に努めたいという回答でございますので、現在、その後の両県の動きを待っているところでございます。
#120
○政府委員(近藤徹君) 中海・宍道湖の事業に建設省がこの事業は認められないというふうに発言したとありますが、これは全く事実と違います。
 なお、河川局長が当時国会で御答弁しましたように、治水、水質の問題についで河川管理上の立場から答弁していたものと存じております。
#121
○国務大臣(田名部匡省君) 先ほど御答弁申し上げたとおりでありますが、島根県、鳥取県の知事の申し出にこたえて一時延期をいたしております。当面直ちに淡水化を実施する状況にないということの認識は変わっておりません。
#122
○佐藤三吾君 大蔵大臣はどうお聞きになりましたか。
#123
○国務大臣(羽田孜君) ただいま農林水産大臣からお話しいたしましたように、両県知事からの話があり、それによって現在は何というんですか、とどめておりますけれども、今後またお話し合いというものを聞いていきたいというふうに私ども承っております。
#124
○佐藤三吾君 凍結して、後の五億円ずっと永久に払っていくわけですか、維持費を。
#125
○国務大臣(羽田孜君) 実務的なことでございますがら、担当の者にお答えをさせます。
#126
○政府委員(海野研一君) 二つの湖の水質保全上の問題の動きを見守りながら的確に判断をしてまいりたいと思っております。
#127
○佐藤三吾君 総理、まとめてどうですか。
#128
○国務大臣(宮澤喜一君) 今お聞きのようなことでございますので、私もしばらく推移を見守りたいと思います。
#129
○佐藤三吾君 それでは長良川の問題に入りますが、この問題について、昨年の十一月十五日、本委員会で、一時中断をして環境調査をすべきじゃないかと、こう私は申し上げたんですが、建設大臣は環境問題には十分配慮しながら工事を中断することなくやっていきたいと、こういうお答えのようでした。
 それから総理は、各方面の御意見を承るという回答でございましたが、どのような御意見を承ったのか、お聞きしたい。
#130
○国務大臣(山崎拓君) その後現地も視察いたしまして、現地におきまして住民代表の方々から直接お考えを承ることもいたしましたし、また三県知事、関係三市七町一村の市町村長、あるいは議会の代表の方々、あるいは国会の先生方等々、数々の御意見を承る機会がございました。
#131
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま建設大臣が言われましたとおりと存じております。
#132
○佐藤三吾君 総理、各方面の御意見をお聞きして参考にしたいと言ったんですが、それはどこどこを聞きましたかと聞いたんです。聞いていないんですね。
#133
○国務大臣(宮澤喜一君) 所管大臣が十分聞いておられると存じております。
#134
○佐藤三吾君 建設大臣、今岐阜市では建設省と水資源公団が河口ぜき説明会を開いておるんですよ、毎晩。しかも、全市四十九小学校校区ごとに。これはなぜかというと、建設の一時中断を求める、賛否を問う条例制定要求に驚いて、そうして正しく理解されていないというのが説明会の理由だそうであります。これは全く逆じゃありませんか。正しく理解したから工事中断の請求となったわけであって、みずからが絶対に正しく、住民が間違いか正しく理解していないという発想は思い上がりじゃありませんか。なぜ民意を聞こうとしないんですか、いかがですか。NHKはこの問題で昨年世論調査をやった結果、八九%の市民が工事の一時中断を求めておるんですよ。どうなんですか。
#135
○委員長(中村太郎君) 建設省近藤河川局長。
#136
○佐藤三吾君 冗談じゃない。さっき私言ったでしょう。指名したら大臣呼びなさい。
#137
○国務大臣(山崎拓君) 岐阜市においていろいろな調査をやっておるということでございますが、それはそのとおりであると思います。先ほど来申し上げましたとおり、現地の意向、これは極めて私ども重要に受けとめているのでございまして、先ほど宍道湖の例もございましたが、これは鳥取、島根両県知事が一時中断について要望したということも参考人がおっしゃったのでございますが、本ケースにおきましては、関係三県知事はいずれも工事の進捗と申しますか、早期実施を強く御要望なさっているのでございまして、建設省といたしましては関係住民の声を十分に受けとめまして、またその声を大切にいたしまして工事に取り組んでいるところでございます。
 NHKの調査というふうにおっしゃいましたが、私もあのテレビは後ほど録画で拝見をいたしたのでございますけれども、八七%の住民が反対しているというところは……
#138
○佐藤三吾君 中断を含めてね。
#139
○国務大臣(山崎拓君) 記憶をいたしておりません。中断を含めてということでございますが、その点はちょっと私の記憶にもございませんし、もしそのようなことが報道されたとすれば、それはいかなる根拠に基づくものであるか、どういう調査によってやったか、私は疑うものでございます。
#140
○委員長(中村太郎君) 近藤河川局長。
#141
○佐藤三吾君 質問者が要求してない。冗談じゃないですよ。要求していませんよ。
#142
○政府委員(近藤徹君) お答えさせていただきます。
 まず、なぜ地元説明会を開いたかということでございますが、岐阜市議会等でしゅんせつの土砂はどこへ捨てているのかとか、あるいは水利条件はどうなっているのかと極めて専門的な質問が出ておりまして、議会当事者も答弁に窮しているような状況でございます。これは挙げて事業者である我々が説明すべきであるという観点に立ちまして説明会を開いているところでございます。
 それから、NHKのアンケートの問題でございますが、手元にありませんので記憶でお答えさせていただきますが、例えば長良河口ぜきは治水上危険か有効かというような設問がございまして、回答欄に危険である、あるいは有効であるという回答がありまして、なぜかわからないという回答がないわけでございます。この問題は、長良河口ぜきの前提とする大規模しゅんせつによって長良川の水位を下げることによって治水の安全を確保するということでございまして、これは科学的知見でございますので、本来アンケートになじまないものと思っておりますが、そういうような設問がなされて、その結果が報道されたものと私は存じております。
#143
○佐藤三吾君 あなたも勝手なことをやっては困りますよ。私がさっき言ったでしょう、私が指名した以外はやってはいかぬということを。
 今言うNHKの調査を見ると、建設大臣、八幡町が八六%、一時中断、凍結、岐阜市が八九%、海津町が四五%、長島町が七四%です。そういう意味では、宍道湖の七五%よりはもう上回っておるわけです。この点についてどうか。
#144
○国務大臣(山崎拓君) アンケートの調査が、まず、先ほど河川局長がお答えをいたしましたとおり、調査項目によりまして住民の反応というのがいろいろな形で出てまいっておるのでございます。そのNHKの調査をもちまして、ただいま佐藤委員がおっしゃるような住民の意向というものが明確、かつ正確に示されておるものとは到底考えられません。私どもは日ごろから地元の議会、まさに地元の議会は地元住民の意思を代表しているものとこれは受けとめておりますし、それが民主主義の大原則であると思いますが、その議会の関係者、あるいは行政の最高責任者である、かつ政治家でもある知事、市町村長の考え方は住民の声を代表していると思いますので、その点を私ども受けとめまして工事の実施に当たっているところでございます。
#145
○佐藤三吾君 大臣、それなら何であなた、もう二十何年前から始まった工事を今ごろになって小学校区ごとに説明会をやっていかなきゃならぬのですか。もうそこまできておるんですよ。そのことをあなたはもっとじかに肌に感じなさいよ。政治家なら。これは行政官が責任をとるものじゃないでしょう、最終的には政治家でしょうが。どうですか。
#146
○国務大臣(山崎拓君) 最終的には政治家であるということは事実であると思いますのでございますから、私は建設大臣といたしまして、この工事が当該地域におきます多年にわたる治水に対する強い願望、あるいは利水に対する要請等を受けとめ、かつ関係の住民がそのことを強く希望していると、そのように判断をいたしましてこの工事の進行、実施に当たっているところでございます。
#147
○佐藤三吾君 それでは、もう一つ聞きましょう。
 さっき保母先生おっしゃった、科学的調査が必要だと。もう一つは、省の資料公開を住民にして住民の判断できるような状況をつくるべきだということなんですが、いかがでしょうか。
#148
○国務大臣(山崎拓君) 今日までいろいろと調査も行ってまいりましたし、必要な情報公開も行ってまいったところでございますが、詳細につきましては河川局長に答えさせます。
#149
○政府委員(近藤徹君) 一昨年の十月たつたと思いますが、当時の建設大臣の命を受けまして、長良河口ぜきに関します治水、利水、環境問題全般にわたります資料を作成いたしまして、関係県知事、関係市町村長、また地元の皆さんにも御説明したところでございまして、現にその資料によりまして各地の説明会を実施しておるところでございます。
 なお、環境の問題につきましては、特に水産資源、魚類に対する調査につきましては、この工事着工の五年前から徹底的な調査を行いましてその都度公表し、漁業関係者を初め一般の皆様の御議論の中でこの調査は取りまとめ、やってまいった次第でございます。そういう意味では徹底的なアセスメントを尽くしてきたと私どもは信じております。
#150
○委員長(中村太郎君) 佐藤君、時間が来ております。
#151
○佐藤三吾君 最後になりますが、今河川局長からの答弁を聞きました。山崎さんの答弁も聞きましたが、私はやっぱり最終的にはこういう問題については政治家が責任をとらなきゃいかぬ、そういう意味で同感です。政治家らしくきちっとひとつ対応してほしいという意味で求めておきたいと思います。
 京都のワシントン条約会議に出席したWWFの総裁であるエジンバラ公は、長良川について、本当に美しい川ですね、一度始めた大きな事業は悪いとわかっても中止しない国が多くて困りますと言っております。また、IUCN、国際自然保護連合の兄事務局長で環境コンサルタントのテビット・モンロー博士は、三月七日に現地を視察なさって、長良川は国際的にも関心のある人は心配している、生態系の綿密な調査が重要で、そのため一時中断しても決してむだではないと表明しております。また、このモンロー博士は、六月ブラジルで開かれる地球サミットに提案される新世界環境保全戦略のまとめ役でもあります。さらに、ワシントン条約会議に参加した二十八団体が連名で工事の一時中止とアセスメントを求めて、昨日、首相、建設大臣、環境庁長官に申し入れたと聞いております。
 総理はまだ現地に行っていないようでございますが、いつ行かれますか。同時に、この申し入れも含めてどのようなお考えを持っておるのか句専門家に対する回答を含めて御意見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#152
○委員長(中村太郎君) 簡潔に願います。時間が来ております。
#153
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろな御意見を承ることは大切と存じますが、ただいまといたしまして、関係の県、市町村が建設大臣が言われましたようにこれを支持している、建設大臣もそういう御方針でありますから、私はそれを支持していきたいと思っています。
#154
○委員長(中村太郎君) 以上で佐藤君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#155
○委員長(中村太郎君) 次に、及川順郎君の質疑を行います。及川君。
#156
○及川順郎君 初めに、最近の時局問題につきまして二点お伺いしたいと思いますが、五年ぶりに。東証の平均株価が二万円を割りました。その原因が何なのか、また経済に及ぼす影響は何なのかということに関心が集まっております。
 今回の出来事を考えますと、海外への影響がさほど動いていないという状況から、ちょっと通常の常識とは異質の感じがいたします。証券業界に対する不信、これを指摘する声もございますけれども、金融政策やあるいはまた今後の景気への影響等を含めまして、その対策について総理、大蔵大臣の所見を求めたいと思います。
#157
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 日経平均株価でございますけれども、本年に入りまして二万一千円前後で推移しておりました。しかし、昨日一万九千八百三十七円ということでございまして、現在、前引けの十一時でございますけれども、一万九千七百七円七十九銭ということでございまして、九時十五分のときには少しあれしたんですけれども、また今戻っているといいますか、下がっているという状況でございます。これの理由は、決算期を迎えるということでございまして、特金ですとかファントラの解約、これに伴う売り物がちょうど三月の期末を目前にした一時的な一つの要因だろうということが私どもは考えられます。
 経済の現状認識につきましては、これまでも申し上げてまいりましたように、確かにこのところ景気の減速感は強まっておりますけれども、我が由経済のファンダメンタルズは良好であろうと思っております。現在の調整局面を経まして再び着実な安定成長を続けていくんじゃないがというふうに考えております。その意味で私どもといたしましては、記者会見その他でも申し上げたのでございますけれども、こういった事態というものを冷静かつ慎重に受けとめていただきたいなというのが率直な思いであります。
 なお、私どもといたしまして、先ほども申し上げましたように、期末の一時的な要因ということが大きいと考えられますけれども、しかし、最近の株価というものの売買高の低迷の要因といたしましては、やっぱり昨年の損失補てんなんかの不祥事で失われた証券市場に対する信頼、特に個人投資家の信頼というものがまだ回復しておらないということでありますし、特に最近新たに表面化しておりますいわゆる飛ばしというようなバブルの残滓がまだ出てきておるということであろうと思っております。
 加えまして、企業業績の悪化ですとかあるいは景気の先行きに対する不安感、こういうものがあるんじゃないかというふうに思われております。特に、昨年の一連の証券問題を機にいたしまして株式投資に消極になっている面が見受けられますけれども、株式市場は企業の資金調達ですとかあるいは投資家の資金運用、こういった両面におきまして国民経済に非常に重要な役割を果たしているやっぱり大切な市場であろうというふうに考えております。その意味で、私どもといたしましては、証券業界ですとかあるいは発行企業ですとか、また市場参加者の力を一緒にいたしまして証券市場に対する信頼の回復に努めるとともに、証券会社の適切な営業体制の確立、あるいは投資家にとっても魅力のある株式市場、いわゆる配当性向ですとかあるいは配当率ですね、こういったものを高めていくような市場というものをつくり上げていくことが必要じゃなかろうかというふうに思っております。
 そして、ちょうど私ども衆議院で予算を通過させていただきまして、今参議院で御審議いただいておるわけでございますけれども、この予算の中身というものはまたこれから御論議をいただくわけでありますけれども、私どもといたしましては、予算の面でも公共事業等を中心にしまして景気に配慮したものであるということと、特に財投におきましても二けたの伸びを示しておること、あるいは地方の単独事業も一一%を超えるものが認められておるというようなことで景気に相当配慮しておるということがございます。
 加えて、例の三次にわたるところの公定歩合の引き下げ、これの効果というものが今顕著に長期プライムレートですとかあるいは短期プライムレートなんかにもあらわれてきておるということでございまして、私どもはこういったものを総合して勘案いたしましたときに、現在の株価というものは低迷しておりますけれども、その辺をきちんととらまえていただければ、私はこの決算のときを越える、あるいはこの数日にして一つの方向を出してくるんじゃなかろうかということを期待いたしておるというところであります。
#158
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま大蔵大臣が詳しくお答えをされましたのでそれに尽きておりますけれども、いわゆる日経平均株価、本年に入りましてから二万一千円前後で低迷をいたしておりましたが、昨日並びに本日の前場におきまして二万円を下回った。今大蔵大臣の言われましたように、間もなく年度末でございますので、特金であるとかあるいはファンドトラストであるとかいう解約に伴う売りが出ている。そういうことは予想されなかったわけではございませんが、期末でございますのでそういう一時的な要因がかなり働いておるであろうと思います。
 これに対します対策につきましても、今大蔵大臣から詳しく御説明がございました。それに加えまして、平成四年度予算におきましてはかなり積極的ないろいろな対策を盛り込んでおりますので、ひとつ予算を早く成立、お認めを願いまして、その執行を急いでやりたい。企業家なり投資家の心理がこれ以上冷えることのありませんように経済運営に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
#159
○及川順郎君 ぜひ要因をしっかり見きわめまして対策をお願いしたいと思います。
 それからもう一点は、トルコ東部の地震ですが、日を追うごとにその惨状が拡大しております。もう既にトルコ駐留の米軍が救援物資を運んでおりますし、それからイギリス、フランス、スウェーデン、これなども救援隊を派遣している、こういう状況でございますが、日本政府といたしまして事態をどのように掌握し、そしてまた、その対応をどのように考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
#160
○政府委員(小原武君) お答え申し上げます。
 日本時間十四日未明にトルコ東部で大地震が起きたという第一報を受けまして、直ちに現地の大使館を通じましてトルコ側に日本政府として緊急に援助する用意ありという申し入れを行いました。これに対しまして十五日、トルコ側から緊急物資と救援活動用の資金の提供を受けたいとい、「要請がありまして、これに基づきまして直ちに検討を行いまして、昨十六日午前に緊急援助物資といたしましてテント、毛布、発電機など約三千万円相当の供与、それから資金といたしましては現金五十万米ドル、円にいたしまして約六千五百万円相当でございますけれども、これを供与することを決めまして、直ちにトルコ側に伝達いたしたところでございます。
 なお、緊急援助隊につきましては、派遣の用意ありということを当初トルコ側に申し出たのでありますけれども、トルコ側から現時点では必要がないという回答がありましたので、トルコ側が希望する分野で対応することとしたところでございます。
#161
○及川順郎君 総理、今の件で所見がありましたたら、どうぞ。
#162
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま政府委員が御報告を申し上げたとおりでございますが、なお地震被害の規模等々まだ十分にトルコ政府そのも^が把握していないようでございますから、ただいま申し上げました金銭及び救援物資の輸送、さらに必要があれば人道的立場から新しい措置も考えていかなきゃならないと思います。
#163
○及川順郎君 それでは、生活者の政治に視点を当てたところから質問させていただきたいと思います。
 総理は所信表明で「生活大国への前進」を掲げられました。私ども公明党も立党以来、福祉優先の施策充実のために取り組みまして、さらに六十年代これをさらに発展いたしまして、二十一世紀の高齢化社会をにらんで生活小国からの脱出、さらにはまた生活優先の政策の展開、ゆとりと真の豊かさを実感できる生き生きとした人間社会の構築を目指しまして政治活動を推進してきたわけでございます。そういう意味で、総理のこの「生活大国への前進」ということは非常に中身の面で私たち関心を持っております。したがいまして、そういう観点から、総理が目指す生活大国への理念、具体的なプロセスをお示しいただきたいと思います。
#164
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は何年かにわたりまして考えていたところでございますが、きっかけになりましたのは、我が国が海外に非常に輸出をしていながら海外からウサギ小屋に住んでいるんではないかという批判を受けた、そこらあたりから国民的な意識もその問題について高まってまいったと思います。したがいまして、社会資本の整備ということから発想いたしましたが、しかし同時に、それはただ社会資本の整備というばかりではないであろう。先般、施政方針の演説で申し上げましたように、やはり確かに生活環境というものは第一の問題でございますけれども、第二に労働時間であるとかあるいは通勤時間といったようなもの、これがもっと、何といいますか合理化をして、個人が十分に余暇と申しますか、それを活用することができないであろうか。あるいは高齢者、障害者に安心をして暮らしていただかなければなりませんけれども、同時に社会に何か貢献をしているという、そういうふうな自覚を持っていただければそれが生きがいにも通じるということも大事であると思います。
 それから、女性が社会で仕事をされるということはもうつ当然のことで、このことはわざわざ言うに当たりませんが、しかし女性が社会で仕事がしやすいような環境というものを社会の方でも家庭の方でもつくっていかなければならないということもあると思います。
 また、国土の均衡ある発展、中央と地方との格差と申しますか、あるいは国土全体が交通情報のサービスなどでつながれていくということが必要であろうと思います。
 それから最後に、このような世界の激変の時代でございますから、我々も自分自身のいわば創造性と申しますか、日本人らしい一つのアイデンティティーを持つ、そしてまた国際的にも貢献をする国民でありたい。このようなことにつきまして施政方針の演説でも申し上げましたが、その後、明年度は新しい五カ年計画の初年度に当たるはずでございますので、先般経済審議会に諮問をいたしまして、この経済大国をつくり上げますための具体的な方途についても経済計画でお示しを願いたい。ただいま作業をしていただいておるところでございまして、恐らく夏前ごろには大体の姿が答申あるいは中間答申という形で出てまいるものと考えております。
#165
○及川順郎君 住まいとか暮らし向きの中での楽しさあるいはまた労働、この件につきまして経済企画庁がまとめました平成三年度の国民生活白書が出ておるわけでございますが、大変興味深く私も目を通させていただきました。これについて、まとめられました経企庁長官、御所見があれば承りたいと思います。
#166
○国務大臣(野田毅君) ただいま総理から生活大国についてのイメージについて概略御説明ございました。これは一連の流れの中で、私ども今日までいわば所得水準の多さを求めて一生懸命走ってきたわけでありますが、都市に住む者は都市に住む者なりに、あるいは地方に住む者は地方に住む者なりに、我が人生果たして豊かなりや、こういうことを問うてみますと、それぞれいろんな問題を抱えておる。そういった物質優先ということのみならず、人間の生きざまとしてもう少しそういうゆとり、豊かさというものを実感できるようなそういう生きざまができないものか。
 そしてやはり、一生懸命働いておる者が公正に報われていくとか、あるいは多様な価値観が存在をし、そういう多様な価値観のもとに自己実現ができていけるような社会、そういったことをイメージいたしますときに、やはり豊かさの指標というものが単に所得水準の高さであるとか、そういう物質的な尺度だけで比較をするというようなことよりも、より人間生活という側面から、あるいは自由時間の問題であるとか、住むといいますか、生活というような側面だとか、そういったところから一つの考え方として、問題提起として国民生活白書の中でそういったことを提起したわけでございます。
 まだ、もちろんこれは完全に整合性のある構築されたものではございません。これは一つのいわばスタートでありまして、そういったことについて、それぞれいろんな御意見がありいろんなアイデアがあって僕はいいと思うんです。特にそういったことを念頭に置きまして、この四月に全国シンポジウムを開いて、そしてそれぞれの県なりにそういう生活に関する豊かさ指標というものを大いにアイデアを出してそれぞれのふるさと地域づくりに役立てていっていただければ大変ありがたいと思っておるわけであります。
#167
○及川順郎君 地域別の豊かさ総合指標では、山梨県がこの平均偏差値五〇を超えて五六、日本一というこういう大変名誉な数字が出ておるわけであります。その反面、東京圏がこれがワーストに入っているわけですね。
 ただ、実際に日本一となった山梨県民の声を聞きますと、若干意識の上で乖離がある、こういうことを感ずるわけでございます。東京圏や大阪圏の居住者が地方に魅力を感じている。自然が多いとかゆとりがあるとか、家が広いとか混雑しないとか、家賃、物価が安い、こういうことをたくさん挙げている。そして、そういうことを持ちながら、しかし首都圏から地方へ人は動かない。その辺に一つの問題点があろうかと思うんです。政策誘導に対してのいろんな考え方はあろうかと思いますが、社会資本の整備についてはどこに力点を置くと考えておられるか、関係省庁から伺いたいと思います。
#168
○国務大臣(野田毅君) 豊かさ指標の問題は、今御指摘のとおり、それぞれまだ確立されたものではございませんで、いろんな指標のとり方がありますので、さらに研究を積み重ねてまいりたいと思っております。
 社会資本のこれからの整備の重点ということでありますけれども、一つは、先ほど来総理からお話しございましたように、私どもの生活、特に下水道であるとかあるいは公園であるとか、そういういわゆる生活関連の施設をどのように整備していくかという、これは一つの重点でございます。同時に、いま一つは、居住水準というものが少なくとも欧米に比べてまだまだ、特に都市部における居住環境というものは十分でない、大いに力を入れていかなければならない分野でもございます。
 さらにまた、いわゆる一極集中ということもございます。そういった中で、どうやって首都圏なり大都会への集中を抑制し、首都機能を移転するということもございますが、特に地方の拠点都市をどう整備していくか、そしてその地方の拠点都市を中心として、周辺の市町村を含めたいわば地方経済全体をネットワーク化して活性化していくという、これをどう進めていくかということになりますと、当然のことながら交通基盤のネットワーク化を進めていかなければならない。同時にまた、国土保全という角度からこれはゆるがせにできないテーマでございます。
 そういったさまざまな重点事項はあるわけでありますが、少なくともいわゆる公共投資推進十カ年計画という中におきましては、四百三十兆円という総枠の中で、これは国、地方、民間への資金を全部合わせながら大いに努力をしていくわけでありますけれども、そういう中で、いわば生活環境、文化機能というようなものへのウエートを、少なくともそれまでの五〇%台前半から六〇%を目標として整備に重点を入れていこうということでいわゆる十カ年計画の中で目標として置いておるわけでございます。
#169
○及川順郎君 今、長官が指摘されました最後の方で、交通網の整備、これは非常に大事でございまして、白書が出た後、一般紙に識者の問題指摘としまして、やはり空と陸とのネットワーク、つまり交通体系の整備ということが大事だという指摘がございました。私もその点については同感でございまして、日本列島をそういう観点から大づかみに見ますと、やはり太平洋ベルト地帯と言われて発展してきた過程と日本海側は大変格差がございます。
 日本列島全体から見ますと、日本海を取り巻く国際情勢、ロシアとの関係も変化が出てきておりまして、このアクセス的な地域の特徴も出だしている、こういうことから考えまして、やはり日本海地域の活性化が非常に大事になってきている。日本海側の交通幹線の確立、あわせまして生活関連の道路網の整備ということも大事でございますが、一つは、太平洋側と日本海側を結ぶ幹線道路の整備が非常に急務ではないか、こういう感じがするわけでございますが、この点についての所見を承りたいと思います。
#170
○国務大臣(山崎拓君) 先ほど来寸経済企画庁長官等から御答弁申し上げておりますとおり、交通道路網の整備は、生活大国づくりの上におきましても、あるいは均衡ある国土の形成のためにも最も重要な事柄であると考えているのでございます。
 先生御案内のとおり、高規格幹線道路網の整備につきましては一万四千キロを予定いたしておりますが、平成四年度で六千キロを超えたい、このように考えているのでございます。特に、ただいまお話がございました日本海側と太平洋側を結ぶ高規格道路の重点的整備の問題でございますが、環日本海時代を迎えましてその重要性は御説のとおりであると考えております。
 今日までの経過を簡単に申し上げますと、昭和四十一年の七月に全国七千六百キロメートルの国土開発幹線自動車道ネットワーク計画を策定いたしました。その時点で、日本海側とをつなぎます道路といたしましては、東北横断自動車道、関越自動車道、東海北陸自動車道、中国横断自動車道等を計画いたしましたのでございます。
 その後、昭和六十二年の六月になりまして、先ほど申し上げました高規格幹線道路網の整備一万四千キロメートルを計画いたしましたのでございます。その時点で追加されましたいわゆる日本海側にわたりますネットワークといたしましては、東北横断自動車道、中部横断自動車道、中国横断自動車道等でございます。
 そして、昨年の十二月三日に第二十九回の国幹審を開きまして新しい基本計画あるいは整備計画を決めましたのでございますが、その中に日本海沿岸東北自動車道、山陰自動車道、東北横断自動車道、中部横断自動車道、中国横断自動車道等の一層の事業の進展を図るべく、基本計画、整備計画をさらに大きく前進させたと考えているところでございます。
#171
○及川順郎君 それでは、もう一つ交通体系の中で大事な点が新幹線の整備でございます。特に、北海道に向けての新幹線の伸びが九州に向けてより遅い、そういうある一面からとらえますと西高東低型と、こういう声を聞くわけでございます。
 そういう状況の中で、もう一つは、東海道新幹線の輸送量がパンク状況になっている。これにおきまして中央リニアエクスプレスの早期具体化、これが期待されているところでございますが、現在、運輸省所管のJR東海では時速三百キロから三百五十キロの次世代新幹線三〇〇X系の開発を今進めておりまして、もしリニアの開発がおくれた場合にはこちらを代替として使うというような考え方もあるように伝えられておりますけれども、運輸省としてはどのような考え方をお持ちでしょうか。
#172
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 まず第一点の、先生おっしゃいました北海道への新幹線の問題でございますが、先生御承知のとおり、整備新幹線が国土の均衡ある発展とか地・域の振興開発に非常に資するものであるということはそのとおりだと思いますが、具体的に、整備に当たりましては、先生御承知のように基本スキーム、整備の手順の枠組みみたいなものでございますが、これを決めて順次やっているところでございます。
 その中で、特に北海道につきましては、長崎と同様でございますが、昨年の秋の着工には至りませんで、具体的には、予算等におきましてはいわゆる地質調査だとかいろんな意味の技術調査がございます。あるいは環境影響評価、経済設計調査等々の調査を着実に進めていって、それでいずれ事業に結びつける、こういう枠組みになっているところでございまして、私どももそういうあれに従いまして順次調査を進めている、こういう実態にございます。
 それから、もう一つ御質問のリニアの話で三〇〇X系の話がちょっと出たのでこの際申し上げますが、確かに東海が三〇〇Xというのを開発しようとしております。これは必ずしも中央リニアがうまくいかなかったときのかわりということではございませんで、いずれにしましても、今の東海道、先日から「のぞみ」という二百七十キロが走り出したわけでございますが、それにかわりましてさらに進歩したもの、その成果は別にJR東海だけではなくてほかの会社も全部使えるわけでございます。そういう意味で鉄道の高速化、これの一環としてJR東海もこの開発に当たりたい、こういうことで進めているというふうに聞いております。
#173
○委員長(中村太郎君) 及川君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#174
○委員長(中村太郎君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 平成四年度一般会計予算、平成四年度特別会計予算、平成四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、及川順郎君の質疑を行います。及川君。
#175
○及川順郎君 宮崎のリニア実験線で事故がありましてから、何となくリニアの推進が水を差されたような感じがございますが、考えてみますと、山梨のリニア実験線をこれから建設しようというときに重要な問題提起になった。むしろ、前向きにリニアの開発に向けて意欲的にこれを進める、リニア中央新幹線の早期実現は二十一世紀に向けて不可欠の問題、こういうことで地元関係者はとらえておりますけれども、この点につきまして改めまして総理、運輸大臣の御決意のほどを承りたいと思います。
#176
○国務大臣(奥田敬和君) 宮崎事故で大変心配をいたしましたけれども、リニアの実験実用化は平成九年の実用化完成をめどにして現在その路盤、トンネルなんかの工事にも着工しているところで、用地の面において多少地元同意が難航しておった気配がございましたけれども、最近に至りましてまた非常に地元も協力態勢が見えてまいりまして、喜んでおります。したがいまして、予定どおり、今の段階では間違いなく実用化段階のいわゆる実験三年間の区間も含めまして九年にはめどが立つだろうと。
 東海道新幹線の代替として高速のリニアというのは、もうまさに私たちの常識的な意見になっておるわけでございまして、何としてもこういった形の実用化が成功いたしまして、そして東海道新幹線の代替線と申しますか高速リニアの時代の到来を、二十一世紀の交通機関としてぜひその線で邁進いたしたいと思っております。
 なお、先ほど来先生の御質疑の中で、あわせて日本海時代に対して大変深い御提案をいただきまして、心から感謝申し上げます。
#177
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま運輸大臣からお答えがございましたように、既定の方針に変更はございません。
#178
○及川順郎君 通勤通学時間の問題に移りたいと思います。
 東京圏における往復通勤時間でございますが、三時間を超える方が全体の二〇%を超した、こういうデータが出ております。午前中に取り上げました生活白書では、拘束時間を含めた新しい労働時間の概念というのが生まれつつある、こういう状況がございますけれども、問題は、交通輸送の利用者サービスという観点から見ますと、大都市圏に働く人が往復通勤するのに三時間拘束される、こういう事態というのは果たしていかがなものか、こういう感じがするわけでございまして、まず交通機関の公共性をどう位置づけるか、この点についてお伺いしたいと思います。
#179
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生今御指摘のごとく、最近片道一時間半、往復しまして三時間を超える通勤の方がふえているのはそのとおりでございます。距離的にも都心から四十キロ圏を超えるあたりに住宅が今どんどん建っておりまして、そこからお通いの方が多いわけでございます。現在、実際通勤の方の利用する交通手段は半分以上が鉄道でございまして、そういう意味で鉄道の役割というのは大変重要だと思っております。それに対応しまして、私どもも新線を建設したり複々線化をしたりあるいはスピードアップをしたりいろんな工夫をしておりますけれども、実際のところお金がかかるとかいろんな原因でなかなかうまくいっておりませんけれども、そういう意味で頑張ってやっておるところでございます。
#180
○及川順郎君 昨年の十一月ですが、総務庁が旅客鉄道株式会社に対しまして利用者サービスの向上で勧告をいたしております。
 「旅客鉄道株式会社に対する監督 行政監察結果に基づく勧告」というその中で、一つは特急利用者の乗り継ぎサービスの向上、それからもう一つは定期券の販売方法の見直し、それから利用者用施設設備の整備推進、こういう勧告がなされておりますが、これを具体的にどう反映しようとなさっておられるのかお伺いします。
#181
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生今御指摘のとおり、昨年の十一月に総務庁からJR各社の事業運営につきまして勧告をいただいております。これを受けまして、私どもとしては直ちにJRに対しまして勧告の趣旨を体してすぐ改善策を講ずるように指示をしているところでございますが、今先生がおっしゃいました特急利用料金の話、これにつきましては技術的にもいろいろ問題もあるかと思いますけれども、何とか工夫の余地がないかどうか今一生懸命検討をしてもらっているところでございます。
 それから定期券の購入手続を簡単にしてはどうか。これはそう難しい話でもございませんので、実現の方向で今どんどん進めております。
 それから交通弱者のための施設整備の話でございますが、これは例えばエスカレーターをつけてさしあげるとかエレベーターをつける、あるいは点字ブロックをつ付で目の見えない方も利用しやすくする、こういうような施設整備でございますが、これにつきましても現在私どもの方で整備基準というものをつくりまして着々と整備を進めようということで、ソフト面ハード面、いろんな面から検計を進めて、今実効を徐々に上げつつある、こういう段階にございます。
#182
○及川順郎君 通し料金の設定は、これはやる方向で考えておられますか。
#183
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 通し料金の方は、昔国鉄の時代に、例えば新幹線と在来線の特急を乗り継ぐとかいう場合に、乗り継いだ先の方を五割引きにするという制度がございました。これが現在各社に分かれましてもその制度だけは、何といいますか、経過措置として引き継いでおるわけでございます。これに新たにどういうものを追加するかという問題がございまして、これは当時とは違いまして会社が別々になっている場合が多うございまして、ここら辺は調整のかなり難しいところもございますけれども、この辺は技術的に何とか解決できるんではないか。例えば企画切符というようなもので特別な措置をとるとか、いろんな方法が考えられるわけでございまして、その辺は実務的にも今検討をしてもらっているところでございまして、何とかいい方向に向くように努力したいと思います。
#184
○及川順郎君 利用する側から見ますと、列車ごとに料金適用による割高感というのがあるわけですね。ですから、これをいっぐらいまでに改革しますという答えは出ませんでしょうか。
#185
○政府委員(井山嗣夫君) いつまでということはちょっと今、年限を切ってはあれでございますが、直ちにできますのは例えば先ほど言いました企画切符、ああいうもので新しいものを考えていくということはそう時間がかからずにできると思います。根本的な全部の制度を先生おっしゃるとおりにするのはなかなか難しいと思いますけれども、しかし企画切符等で工夫をする余地は十分あると思いますので、その方向で努力したいと思います。
#186
○及川順郎君 それからもう一つは運賃体系の不合理さなのでございますが、JRと私鉄の運賃格差があるわけでございます。特に首都圏において、例えば東京−小田原間それから新宿−小田原間というのは、これはJRとそれから私鉄、キロ数においては大体八十三キロ前後、そんなに変わりません。その場合における運賃の差がどのぐらいありますか。お金の面と、何倍ぐらいになっているか、それをお示しいただきたいと思います。
#187
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の東京、新宿と小田原の間でございますが、今申し上げますと、東京−小田原間がJR、小田急とも八十三キロ程度でございます−JRを使いまして新宿から回りますとこれは八十七キロほどになりますが、いずれにしましても運賃は東京・新宿−小田原間ですが、JRで千四百二十円でございます。それから小田急の方は現在七百五十円でございまして、差が六百七十円ございます。比率で申しますと、一・九倍JRの方が高いというふうな結果になっております。
#188
○及川順郎君 通勤定期、通学定期で見ますといかがでしょうか。
#189
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 通勤定期の場合は、これは一カ月の場合でございますが、新宿−小田原をとってみますとJRの方は三万九千二百九十円でございます。それから小田急の方は一万一千五百七十円、三・四倍ぐらいになろうかと思います。それから通学定期の方でございますが、これは大学生をとらせていただきますと、大学生でJRを使いますと一万九千九百十円、それから小田急を使いますと五千二百円ですから、ここで三・八倍でございます。
 これは特に通学の場合、私鉄の場合は比較的安く昔から抑えているという経緯もございますけれども、JRは全体との関係で、こういうふうにキロ当たりの賃率がやや高こうございますので、こういう結果になっているわけでございます。
#190
○及川順郎君 今の運賃は、これは昨年十一月の大手私鉄の運賃改定後の比較なんですよ。これだけの差がありますと、これは利用者にとって納得できませんですね。
 総理、いかがですか。感想をお聞きしたいと思います。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) 何か理由があるのかもしれませんが、今政府委員の話は私も正直驚いて聞いておりました。
#192
○及川順郎君 理由というのがいみじくも出ましたけれども、その原因は何だと思われますか。
#193
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 このJRと私鉄の運賃の差でございますけれども、これはJRの場合は昔からの歴史が若干関係しております。
 といいますのは、大手私鉄というのは、先生御承知のように、大体大都市の周辺で比較的お客様の多い、いわば優良線区を運営しておりまて、そういう意味ではお客さんが多いということで、比較的昔から安い賃率でお客さんにサービスしております。それに対しましてJRの場合、国鉄時代からそうでございますが、いわゆる地方の赤字路線等も抱えておりましたことから、学問的には内部補助と言うようでございますが、こういう幹線部分のあるいは大都市部分の黒字で地方路線の赤字を埋めていた、こういう経緯がございます。
 かつ、運賃制度としては一キロ幾らということを単純に適用しておりましたので、全体的に、国鉄の再建途中、昭和五十何年から六十年ごろにかなり頻繁に値上げをさせていただきました。その結果、全国全体に上がったんですけれども、私鉄の方は比較的抑えぎみ、それに対してJRの方、国鉄の方は素直に上げていった結果こういう差が出てきたということになるのかと思います。
#194
○及川順郎君 これは利用者の側から見れば納得のいく運賃ではございません。特にやっぱり通勤定期、それよりも通学定期が四倍近い料金になっているということは、私は政治責任は重いと思います。監督官庁としてこれをどう指導されていくか、運輸大臣、御所見を承りたいと思います。
#195
○国務大臣(奥田敬和君) JR民営化に伴いまして、やっぱり採算性老重視するというような形の中で従来の運賃格差がまだ詰まっていないんだということは、まことに遺憾ながら事実であろうと思います。民鉄の場合、どうしても採算効率の高い、クリームスキミングと申しますか、そういった形での路線開発でございますから、サービスも実は大変行き届いております。駅舎等々にしても、民営とJRと比べるとまだまだJRの方はそういう点において劣っておる。特に交通弱者対策についても、私はJR側は民鉄経営者に比べてまだまだ努力が足りないということを痛感いたしております。
 いずれにしましても、通勤定期でもう格差四倍という先生の御指摘は、私も不勉強でございますけれども、実際本当に国民の利便性、そういった形の中で何とか少しでも安くという形で民鉄経営に肩を並べてほしい。そういった意味で、JR東海、東、西、この三社は収支採算も非常に好調でございますから、そういった形の収益をそちらの方に振り向けていくようにできるだけ努力をして、民鉄との格差を四倍格差から一遍で同等にしろということは無理でございますけれども、できるだけ詰めてまいって、経営努力によって少しでも格差が縮まるように指導してまいりたいと存じます。
#196
○及川順郎君 赤字路線と黒字路線の込み込みの国鉄時代の状況というのは私も承知しておりますけれども、JRが民営化されまして、決算実績でここ三、四年の実績がどういうぐあいになっているか示していただきたいと思います。
#197
○政府委員(井山嗣夫君) お答えを申し上げます。
 最近のJR、特に本州三社の収支状況、おかげさまで比較的順調でございます。
 簡単に申し上げますと、東日本を申し上げますと、六十二年の分割・民営化以来、大体初年度で七百億、それから最近では一千億ちょっと超える利益を上げさせていただいております。JR東海も同様でございまして、初年度は六百億でございましたが、昨年の場合は千百七十億というふうに非常に順調に業績を伸ばしております。これは税引き前の当期利益を申し上げております。それから西日本でございますが、初年度九十億程度でございましたが、昨年の決算では六百億ほどの黒字を出しておりまして、そういう意味では、経営者側それから労働者側も非常三に努力をしていただきまして決算としてはかなりいい決算を出している、こういう実績になっております。
#198
○及川順郎君 やはりこれだけ黒字が出ておりますと、運営上この黒字を何とか運賃値下げの方向にという大臣の所見というのは非常に大事な視点。だろうと私は思います。
 全体的に値下げをというのがもし仮に無理でありました場合、その場合でも、大都市圏の特定割引区間というのがございますから、これの対象地域を拡大する。少なくとも私鉄とJRが並列して走っているようなところはこのような格差が出ないようにぜひ改善をしていただきたいと思いますが、その点の御決意を承りたいと思います。
#199
○国務大臣(奥田敬和君) 通勤客、通学客に利便を図るために、特に今御指摘のような区域拡大によってサービス向上に努めさすように指導してまいります。
#200
○及川順郎君 もう一つ、プリペイドカード、この利用があるわけですが、カードにつきましてはテレホンカードが先駆的な状況でしたけれども、JRもオレンジカードを発売しているわけですね。このプレミアムのっけ方が違うんですね。この点の実態をどう掌握されておられますか。
#201
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生今御指摘のいわゆるオレンジカードでございますが、今JRは各種のものを出しております。五百円、千円、三千円、五千円、一万円とございますが、一番たくさん売れておるのが一万円だそうでございますけれども、これが先生今御指摘のように、三千円までのものはいわゆるプレミアムはついておりません。五千円のものになりまして六%、三百円、したがいまして五千三百円の値がある、こういう扱いでございます。一万円になりますと一万七百円で七%、こういうことでございます。
 それに対しまして、いわゆるテレホンカードでございますが、五百円のものはプレミアムがございませんが、千円になりますと五十円、五%になりましょうか、のプレミアムがついております。あと、三千円のものが三千二百円、五千円のものがございますが、これが五千四百円ということで八%でございましょうか、こういうプレミアムをつけて販売しておるところでございます。
#202
○及川順郎君 横浜市でやはり地下鉄、バスに本格的にこのプレミアムのプリペイドカードシステムの導入を図り出している。見てみますと値引き率が九・一%なんですね。ですから、やはりこの公共性にかんがみましてオレンジカードもその点の統一性といいますか、プレミアムの公平という改善が必要だと思いますが、いかがでございましょうか。
#203
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 プレミアムを幾らつけるかというのは、これは企業種といいますか、テレホンカードから何からひっくるめまして一律というのはなかなか難しいんではないかと思います。といいますのは、実際にプレミアムをつけるときにどれだけ会社側にとってメリットがあるかということが一つの基本になるのではないかと思います。これはいわゆる現金を扱わなくて済むという意味で、例えば集金の手間とかこういうものを考えますと、事務上の合理化措置だとか、あるいは料金を先にいただきますので金利がそれだけ先にいただけるということがございます。そのカードを何日間ぐらいで平均で使ってしまわれるかという問題もございます。テレホンカードの場合、平均でいくと一回十円でございますから、かなり長い間一枚のカードが使える。ところが、JRの場合には運賃が高いせいもございますが、仮に千円、三千円のを持ちましても比較的短期間に使い切ってしまうというようなことがありまして、その辺はやはり事業者の方でいろいろと判断をしながら決めていくべきものだろうというふうに思っております。
#204
○及川順郎君 自主的判断ということもございますが、やはり冒頭確認しましたように、交通機関の公共性ということから指導監督を強めていく必要があるのではないか、このことはぜひ主張しておきたいと思います。
 次に、利用者の視点に立って考えられるのは、通勤通学の過剰混雑、長時間化の中で、これは大変な苦痛になっておるわけでございますが、首都圏の七路線で二五〇%。つまり二五〇%を超す混雑率というのは、電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かない状態である、こういう状態なんですけれども、これぽどのぐらいあるかお示しいただけますか。
#205
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 現在、私どもの調べでは二五〇%を超えるところというのは二カ所ございまして、一つは京浜東北線の上野から御徒町の間でございます。これが一時間当たり二七〇%を超えている。ごく短い距離ではございますが、そういったところがございます。それからもう一つは中央線の快速の上りでございまして、新宿と四谷の間、これが二五五%というのが最近のデータでございます。その他の線区はだんだんよくなりますが、それでもやはり二〇〇%を超えるところがまだかなりございます。
#206
○及川順郎君 大変な混雑の中で利用していて、しかも料金が高い。これはやはり利用者側からすれば納得のできるところではございません。
 そこで、この解消のためには新線建設がどうしても必要なわけでございますが、私鉄の新線建設がなかなか進んでいないという状況の原因をどのように掌握されておられますか。
#207
○政府委員(井山嗣夫君) お答えに入ります前に若干前提を申し上げたいと思いますが、首都圏の場合をとりますと、ここ二十年から二十五年の間に輸送力自体は二・二倍に実はふやさせていただいております。しかし、お客様も一・八倍ぐらいふえておりますので、混雑率はかつては二五〇%ぐらい平均でございましたが、今は二〇〇%ぐらいになっている、こういうことでございます。
 それからお尋ねの新線建設がなかなか進まないという原因でございますが、これは最近の土地の取得が大変難しいということが一つございます。それからもう一つは難工事が多いということでございます。私鉄の中には地下部分もございますが、特に地下の場合は都心に入りますと深いところへ深いところへと潜らざるを得なくなっております。そういう関係で工事費が非常に高いということで、私鉄だけの力で、何の助成もないで自分の力だけで敷けということになりますと大変困難を極めるという実態にございます。そういう意味で、我々も幾つかの助成制度を設けましてそれの推進を図っているところでございます。
#208
○及川順郎君 私鉄の新線建設に財政措置ができるようにしなければならない。今のお話でもその状況がわかるわけでございますが、現行の鉄道助成制度を見直す必要の是非につきまして、大臣の見解を承っておきたいと思います。
#209
○国務大臣(奥田敬和君) 詳しくは政府委員から補足させますけれども、助成制度は一般に、先般昨年の十月に鉄道整備基金をつくっていただきまして、この一兆円の基金を元にして、整備新幹線も含め、今言われましたような都市の私鉄のそういった整備路線に対しても補助制度をとっておるところでございますけれども、私としては、こういう財政状態の厳しい折ではございますが、できることなら鉄道整備基金という果実を生む形の基。金をふやしていただくことによって、そして必要度に応じ、そういった国民便益の見地に立って、私鉄助成も含め、また一般の路線、地方のローカル幹線路線の整備も促進してまいりたい。ともかく果実を生む金の元をぜひつくっていただきたいというのが運輸行政当局としてのお願いでございます。
#210
○及川順郎君 快適な通勤輸送という点とは裏腹に、先ほども出ましたけれども、土地の高騰というもので住宅取得が非常に困難になってきている。こういう状況でだんだん遠距離通勤が多くなってきている。現在進められております常磐新線、約五十キロで十九駅、平均駅間距離が二・六キロ、これはやっぱり従来の通勤鉄道思想の延長線だと思うわけでございます。
 今後の状況を考えますと、首都圏から百キロぐらい離れたところからノンストップで入つでくる高速、それからもう一つは五十キロから六十キロぐらいの住宅地から入ってくる輸送、それから都市圏輸送、こういうことを考えますと、地下鉄を含めまして土地の高度利用という観点から、少なくとも五、六十キロのところは地上二層の構造、それから地下を入れて都心部は三層の構造に向けた鉄道構築の改革をしなければならぬ、こういう発想が出てくるわけでございますけれども、この点についてはどのようにお考えになりますか。
#211
○政府委員(井山嗣夫君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の百キロを超えるようなところからノンストップでの輸送を図るということが第一点。それから五、六十キロに関しては途中から二層三層を使う、このアイデアはまことに傾聴すべきものと思います。
 常磐新線の例を出されましたので申し上げますと、常磐新線は確かに五十数キロですので駅もそれだけございますが、実際の運行形態は、遠距離のものにつきましてはいわゆる快速運転をしまして最高時速百キロというようなスピードで走りたいと思っております。それから別途各駅停車のサービスもする。こういうようなことで、到達時分をなるべく早くするということを第一のねらいとしております。
 それからもう一つ、二層三層の話でございますが、おっしゃるとおり、最近二層三層がいろいろ計画をされております、用地取得が難しいというようなことで。ただ、これをすべての線にできるかといいますと、問題は、現に都心の主な道路はほとんど地下鉄が既にできておりまして、その真下を掘るというのは実は浮かせながら掘るということで、技術的に大変難しい問題がございます。それから、関係なく非常に深いところを走るというやり方もございます。この場合には駅部に大変お金がかかりますので、いわゆる郊外で一カ所とまったらあとはもう都心の駅までノンストップ、こういうようなことで考えざるを得ません。
 そういう意味で、技術的に大変いろんな工夫の余地があることだと思いますので、今後技術的な面、あるいは防災という面もございますが、環境の面も含めまして検討させていただきたいと思います。我々も重大な研究テーマとして今勉強しているところでございます。
#212
○及川順郎君 現在の鉄道整備につきまして、これは昭和六十年に運輸政策審議金が答申しました東京圏における高速鉄道整備基本計画、いわゆる七号答申に基づいて行われておるわけでございますが、その後の利用者の変化、そういうことを含めますと、やはりこの見直しが必要ではないか。
 あわせまして、総理にこれはお伺いしたいんですけれども、生活大国の中の六つの指標の中で、快適通勤、これが一つのテーマになっておりますけれども、この指標をどのようにお考えになっておられるか、この点も含めて御所見を賜りたいと思います。
#213
○政府委員(井山嗣夫君) 失礼いたします。総理のお答えの前に、先ほど言いました東京圏の見直しの話でございますが、これは先生も御承知のとおりの日付で、二〇〇〇年を目途にした計画でございます。
 この実施状況でございますが、現在までのところ大体七〇%以上に手がつけられておる、一部、完成をもちろんしておりますけれども、こういう意味で、今のところ私どもとしては、路線計画としてはあれ自体を即見直すことは必要ないんじゃないか、あとはいかに実施していくかということを工夫していく必要があると、こんなふうな認識を持っております。
#214
○国務大臣(宮澤喜一君) 過般の施政方針演説におきまして、生活大国の具体化の一つの問題として通勤時間の短縮ということを指摘させていただいたわけでございます。
 今、いろいろお尋ねがございましたように、いろいろな輸送力増強の努力にもかかわらず、通勤通学者の増加によりまして、混雑率は大都市における鉄道において相当高い状況でございます。グたがって、公共交通網の計画的かつ着実な整備が不可欠でございますし、地域ごとに策定された整備計画に基づいて、例えば複々線化でございま十とか、あるいは新線の建設等、いろいろ困難がございますけれども、増強に努めております。
 鉄道のいわゆる混雑率というのをそのようなことで早急に低下をさせるとともに、通勤通学時における利用者の負担をできるだけ軽減していくこと、これらのことが早急になされなければなりません。いろいろ困難がございますが、先ほどから政府委員も申し上げておりますように、いろいろな努力をいたしているわけでございます。
#215
○及川順郎君 もう一つは、高速道路の通行料金でございますけれども、身体障害者、精神障害者等の運賃割引につきましては、JR、民鉄、航空旅客線、バス、タクシー、ほとんどあるわけでございますけれども、一人対一人で身障者あるいは精神障害者の介護の方が一緒になって通行する場合、この場合の通行割引制度、これを実施すべきではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
#216
○政府委員(藤井治芳君) 先生今御指摘の高速道路等の、いわゆる首都高速もそうでございますが、自動車専用道路という質の高い道路を身体障害者の方々が御利用になるときに、今現在はみずから自動車を運転される上肢、下肢、体幹を含む肢体不自由者の方々が御利用できるような形で割引制度が設けられております。
 御指摘のように、先生おっしゃったような方々にもこういう制度の適用対象を広げるべきではないかと、こういう御指摘は国会の御請願その他一多々いろいろな方面から御要望がございます。私ども十分承知をいたしております。
 私どもの基本的な考え方は、障害者の方々のこういう御負担の軽減は、基本的には福祉政策とか所得政策といったような全般の中で検討されるべき問題であるとは思っておりますけれども、やはり有料制度というものを私どもが守らせていただいているということである以上、そのあり方にかかわる基本的な問題だと認識しておりまして、現在、道路審議会というのがございますが、建設大臣からこの一月の十六日に道路審議会に今後の有料道路制度のあり方についての御審議をお願いいたしております。
 そういう中で、こういった有料道路における割引というものをどう考えるか。本来、こういう有料制度というのは、建設費、管理費等諸費用を利用者の料金で償還するということで、利潤を生ずる余地がないわけでございますから、結果的に他の利用者の御負担になります。
 そういう意味で、そういう方々の御納得や理解を得るという手順を経ながらの議論もございますので、私ども今審議会の御検討を慎重に見守りながら、関係機関と御相談してこの問題に対応させていただきたいと思っております。
#217
○及川順郎君 今の検討している結論はいつごろというぐあいに見られますか。
#218
○政府委員(藤井治芳君) 六月の末をめどに道路審議会の御答申、御建議をいただくようにお願いを申し上げております。したがって、そこで六月末ぐらいにはその方向づけがいただけるのではなかろうかと私どもは期待いたしております。それを待ちまして新しい五カ年計画というもの、第十一次道路整備五カ年計画でございますが、これを平成五年度から発足させたいと思っておりますので、そういう中でもってこの問題を慎重に関係機関と御相談しながらではございますが、対応してみたいと思っております。
#219
○及川順郎君 それでは、その状況を見きわめてまたこれは推進させていただきたいと思います。
 次に、駐車場不足の問題でございますけれども、平成三年度を初年度といたしまして、第五次交通安全五カ年計画がこれは実施されておりまして、新たに駐車場整備事業が現在進んでおるわけでございますが、五カ年計画の最終年度となる平成八年度の駐車場の目標水準、どのところに設定されておられるのか、この点を承りたいと思います。
#220
○政府委員(藤井治芳君) お答えさせていただきます。
 駐車場の問題は、いわゆる違法駐車といいますか、路上駐車の問題をまず認識しないとまずいものですから、一つだけちょっと実態を申させていただきたいと思います。
 昭和六十年度に実施した道路交通センサスのデータに基づきますと、ピーク時間に目的地での駐車需要を推計いたしますと、全国で七百万台ぐらいございます。そのうちの八割に当たる五百四十万台は何らかの形で駐車場がございます。残りの百六十万台が路上に駐車しております。そのうち、いわゆる既成市街地、東京を初めとする既成市街地の路上に駐車しているのが約百万台ぐらい、このような感じでございます。
 それに対して駐車場対策はいろんな形がございます。まず、公共と民間の役割分担、そこで建築物に対する附置義務、これによるもの、これが平成二年度末では八十六万台ほどでき上がっております。あるいは民間駐車場に対する融資、優遇税制の推進、あるいは中心市街地等の公共駐車場に対する有料融資事業による無利子貸し付けとか、あるいはこの平成三年度から附置義務の一層の強化をいたしましたが、さらにそれにあわせまして交通安全事業による駐車場、商業系の地域の共同駐車場等々、もろもろの施策をいたしました。そういうものを見ますと、いわゆる都市計画駐車場で現在約七万台、届け出駐車場、いわゆる料金を取ってやる駐車場が七十八万台一百七十一万台がこのような形で供給をされております。こういう中で、私ども道路事業による駐車場は約四万台というものになっております。道路事業で積極的にやり出したという歴史は古いわけでございますが、これは届け出駐車場の約二〇%に相当いたします。
 こういったようなものをもどに、私どもはこの平成三年度を初年度とする第五次交通安全施設等整備五カ年計画におきまして、単独事業も含めてでございますが、約四万台分の駐車場整備に着工し、二万台分の駐車場を平成七年度までに完成させたいという考え方を持っております。しかし、それ以外にも、この計画期間内に有料融資事業あるいは道路開発資金による事業も含めて一年間に約一万四、五千台分は供給させていただきたいと思っております。
 要は、これからの駐車場需要に対していろんな施策を組み合わせて駐車場の供給をさせていただくわけでございます。その中で、用地難ということ、これが非常に大きいものでございますから、道路や公園等の公共空間や地下を使う、あるいは上空を使うといったようなもの、あるいは民間の駐車場でも小さなものをたくさんつくるのではなくて、共同でつくっていただく、こういったものを検討させていただきまして、そういうものの成果をもとに新しい道路整備五カ年計画に入れたいと思っております。今、先生が御指摘の駐車場目標についても一応の目標は持っておりますが、こういう今申し上げたものではございますが、五カ年計画の策定に合わせて新たにその方向づけをまとめさせていただきたいと思っております。
#221
○及川順郎君 いずれにしても、これは駐車場問題、大変な問題でございますので、ぜひ現在の駐車場難、これに対する解決策をしっかりと確立していただきたいと思います。
 次に、勤労者の住宅問題に移りたいと思いますが、やはりマイホーム志向というのは基本的には変わっていない。そういう状況の中で東京やあるいは大阪圏、サラリーマンは非常にマイホームを取得するのが難しくなってきている今日の御時世でございます。ちなみにアメリカで三年ぐらい前のデータですけれども、大体平均賃金、年間所得の三・四倍、イギリスでは四・四倍、西ドイツでは大体四・六倍、こういうデータが入手されておりますけれども、三大都市圏における住宅価格のサラリーマンの年収との倍率ですね、どの程度をにらみまして住宅政策の推進を図ろうとなさっておるのか、この点をまず承りたいと思います。
#222
○政府委員(立石真君) お答えいたします。
 中堅勤労者世帯の住居費負担につきましては、昭和五十年の住宅宅地審議会の答申をいただいておりまして、標準的な世帯であれば、住宅ローンの支払いは世帯収入のおおむね二五%を限度とすることが妥当であろうという答申をいただいております。
 したがいまして、そこで中堅勤労者の世帯が取得可能な住宅価格というのを試算してみるわけでございますが、首都圏の平均的な勤労者が自分の持っている貯蓄を自己資金として住宅の頭金にし、そしてまた住宅ローンの返済の負担率が二五%になるまで住宅金融公庫のローン、民間ローンを借り入れるものと、そういうように仮定しまして、現在の金利水準を前提として取得可能な住宅価格を試算いたしますと、おおむね四千四百万円程度、結果としましては、現状では年収の五倍程度というような数値になるところでございます。この辺をめどに住宅政策を進めていきたいと考えているところでございます。
#223
○及川順郎君 これは、平成三年度上期の三大都市圏で民間企業が供給した標準的な中高層住宅の価格でございますけれども、東京圏で七千万円台、大阪圏で五千万台、名古屋で三千八百万円台、こういうデータが出ております。今の価格の設定は低目で設定されているように思うんですが、いかがですか。
#224
○政府委員(立石真君) 住宅の価格につきましてはいろいろな統計がありまして、いろいろな数値を示しているところでございますが、その有力な情報としましては民間の調査機関の数値でございますが、不動産経済研究所の数値によりますと、平成三年のマンションについて首都圏で供給した価格の平均は五千九百万円、建て売り住宅でございますと六千八百万円、また、近畿圏におきますマンションにつきましては、平成三年五千五百万円ということでございまして、有力な数値であろうかと思っておるところでございます。
#225
○及川順郎君 現実的にサラリーマンの意識の中には、東京都内にはもう住めない、こういう感じを持っておるわけでございまして、この住宅政策を抜本的に検討しなければならぬ状況にきていると思います。
 そこで、首都圏地域の農地の宅地転用、これを押し進めようと、こういう施策の試みがあるわけでございますが、現在の首都圏における宅地供給のため、それから農地の保全をしていく、その方向性についてどのように現状を掌握しておられますか。
#226
○政府委員(市川一朗君) 現在、三大都市圏におきます市街化区域内農地の宅地化促進と、保全する農地とのかかわりにつきまして都市計画手続を進めておるところでございますが、まず全体量といたしまして、三大都市圏全体では農地が約六万ヘクタールございまして、市街化区域が六十万ヘクタールでございますので、その約一割が農地でございます。それが首都圏におきますと約三万ヘクタールに農地がなりまして、これも市街化区域が三十万ヘクタールちょっとでございますので、やはり一割ぐらいが農地であるということになっておるわけでございます。これにつきましては、この数年来政府におきましても、また本院におかれましてもいろいろと御議論があったわけでございますが、昨年の税制改正及び生産緑地法の改正によりまして、平成四年、本年の十二月三十一日までの経過期間を置きまして、これらの市街化区域内農地につきまして、今後保全するものと宅地化するものとを都市計画で明確に区分するということになりまして、現在その法改正に基づきまして関係地方公共団体で鋭意作業を行っておるところでございます。
 現在のところ、農地所有者の方々の意向把握を三月末ごろを期限に行っている地方公共団体が多うございますので、まだ確定値は出ていないわけでございますが、現在までの申し込み状況から見まして、現在あります農地の約三分の一が生産緑地として指定される、それ以外は生産緑地というよりは宅地化の方向に出てくるというふうに私どもは見ておりまして、それぞれにつきまして必要な施策を的確に推進してまいりたいと思っておる次第でございます。
#227
○及川順郎君 取得されました、取得というよりも宅地としてできましたところにマイホーム取得の困難な次善の策といいますか、そういう対応としまして、自治体や国が関与いたしまして土地を借り上げてそして良質な賃貸住宅を供給していく、こういうことが大事ではないか。地域特別賃貸住宅制度の充実や土地借り上げ公共賃貸住宅の施策の推進が必要だと大変強く思っておるわけでございますが、その辺に対する取り組みについてお伺いしたいと思います。
#228
○政府委員(立石真君) 地域特別賃貸住宅制度は、国が地方公共団体と連携して、家賃対策補助を行うことによりまして家賃を軽減して、良質なファミリ」向けの賃貸住宅を中堅勤労者に供給しようとする制度でございます。
 この地域特別賃貸住宅の供給の方式でございますが、一つは、地方公共団体が直接土地を取得し、あるいは借り上げ等を行い建設する方式。そしてさらにもう一つは、平成三年度に制度化されたものでございますが、土地所有者が建設する良質な賃貸住宅を地方公共団体が借り上げて中堅勤。労者に賃貸する借り上げ公共賃貸住宅制度。二つの制度がございまして、大都市地域等で供給を促進してきたところでございます。
 平成三年度の地域特別賃貸住宅の実績は全体で六千三百戸、そのうち倍り上げ公共賃貸住宅制度が三千七百戸でございます。平成四年度におきまして地域特別賃貸住宅全体では一万戸、借り上げ公共賃貸住宅では五千戸を計画し、制度の拡充を行っていきたいと考えているところでございます。
#229
○及川順郎君 もう一つ。住宅・都市整備公団の団地の建てかえをめぐるトラブルがございます。その原因は、建てかえの際に家賃の大幅アップが負担になりまして出ていけない、あるいは出ていかない、こういう方々、建てかえた後住めないというこういう状況があるわけでございますが、家賃が居住者の負担能力を超えた場合、既得権を尊重しながら、国が一定のガイドラインをつくりまして、そして家賃の補助を行う、こういう施策が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#230
○政府委員(立石真君) 住宅三都市整備公団の古い住宅を建てかえて新しい住宅を供給した場合には、やはり従前のものと比べますとかなり高くなるところがございます。この高くなる理由でございますが、建てかえ後の住宅が床面積も広く、また設備、機能が新しく、全く新しい住宅として供給されるものであるために、基本的には建てかえ後の住宅の家賃につきましても通常の新規賃貸住宅と均衡のとれた適正な扱いであるというように認識しております。
 しかしながら、御指摘のように、公団賃貸住宅の建てかえに際しまして、従前から居住されていた方々に対する施策が重要な課題になるわけでございますが、まず第一点は七年間の家賃激変緩和措置を一般に講じておること、第二点は七十歳以上の高齢者等の方に対しましては家賃を十年間住宅扶助限度額以内に抑える特別措置を講じること等、従前居住者対策を充実しておるところでございまして、現在公団の役割の範囲内で適切な従前居住者対策を行っていると承知しているところでございます。
 さらに、公営住宅制度と連携をとりつつ、一つは建てかえ事業に伴いまして公営住宅への優先入居の措置をとっていること、第二に一定の要件を満たすような比較的犬規模な公団団地の建てかえにおきましては、その団地内に公営住宅を併設して、低額の所得者の方を入居させること等の措置を講じようとしているところでございまして、今後とも従前居住者対策については充実を図ってまいりたいと思います。
#231
○及川順郎君 いずれにしましても、年金生活者や低所得者、この方々が継続して住めるようなそういう住宅政策をぜひ推進していただきたい、このように思っております。
 それから、私たち公明党は、住宅基本法の制定に関しまして、これまで何回も提案をし、この推進をしてきたわけでございますが、国の取り組み、政府がこの立法に熱心に取り組んでこないというのはまことに遺憾でございます。宮澤総理、生活大国を目指す総理の姿勢から、やはり衣食住というのは人間の生活の根幹にかかわる問題ですから、既に東京都におきましても住宅基本条例大綱を決定している、こういう御時世でございますので、ぜひ国としてもこれは住宅基本法の制定に向けて取り組む姿勢をきちっと堅持していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#232
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、従来からそういう御議論がいろいろあるところでございますが、国としては第六期の住宅建設五カ年計画を推進しておるわけでございます。
 今いろいろお話がございましたけれども、つまり住宅政策というものの目標であるとか、あるいは国と地方公共団体の責務といいますか、役割の分担であるとか、居住水準のあり方であるとか、基本法となりますれば、そういう目標なり標準なりについてもう一つはっきり実現可能なコンセンサスがなければいけないのじゃないか。こういうものは要らないと言っているわけではありませんで、そういうものが実はできるような具体的な施策が積み重なっていきまして、コンセンサスが得られるというようなところで、やはり基本法で目標を設定するということがいいのではないか。問題意識は持っておりますけれども、今の状況の中で市ぐにぞこまで行けるかどうかという問題であろうかと思います。
#233
○及川順郎君 総理、コンセンサスを得られるような状況づくりにリードしていく、その指導的責任というのは、私は国、政府が持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#234
○国務大臣(宮澤喜一君) それにまさに違いないと思いますけれども、もう一つそこが詰まってまいりますと、基本法という形でみんなが合意できるのだろうと思います。ですから、そういう問題の意識は持っております。
#235
○及川順郎君 次に、廃棄物処理行政に関しまして幾つか伺います。
 最近、特に廃自動車が捨てであるのとか、それから古タイヤの不法投棄、特に四月からスパイクタイヤが使用禁止になります。使えなくなったスパイクタイヤの回収業務はどこが責任を持つのか、あるいはまたその指導監督はどこまで権限を持って及ぼすのか、この点が非常に関心が持たれるところでございまして、この点について行政官庁の考え方をまず承りたいと思います。
#236
○政府委員(小林康彦君) お答えいたします。
 自動車がふえてまいりまして、放置されております廃自動車及び古タイヤも社会的な問題になっておるわけでございます。市町村がやむを得ずこれを処理する場合もございます。廃・放置自動車につきましては、放棄をいたしました者が処理をするのが原則ではございますが、やむを得ず市町村が処理をする場合もございますので、その場合には自動車業界によります路上廃棄車処理協力会が組織をされまして、昨年の七月から市町村の求めにより処理費用を負担する体制を整えているところでございます。
 スパイクタイヤにつきましての処理の方法といたしましては、市町村がみずから処理をいたします方法、廃棄者に処理をさせます方法、下取り等により販売店等に引き取ってもらう方法などが考えられますが、具体的には市町村がその収集体制、処理能力、地域の実情等を勘案いたしまして廃棄物の処理計画、処理方法を決めていくことになると考えられております。現実には、大部分は販売店等により下取りルートで回収されておりますが、市町村が処理しているタイヤも存在をしているという状況でございます。
#237
○及川順郎君 現実に現場でこの処理ができるような実効性のある対応をお願いしたいと思うわけでございます。
 最近、空き缶が手数料をつけないととってくれないということであちこちで困っておるわけでございますけれども、この実態はどのように掌握されておられますか。
#238
○政府委員(小林康彦君) 空き缶につきましては、地域の集団回収及び市町村が資源ごみとして回収をします方法、混合して集めました後、磁気等を利用いたしまして回収をする方法等ございますが、最近、空き缶の引き取りに対して買い取っていただけない、処理料をつけませんと引き取っていただけない、逆有償というような言われ方をされておりますが、そういう実態が出始めているという状況でございます。
#239
○及川順郎君 その出始めていることに対する対応は、どのような対応をなさろうとしておられるのでしょうか。
#240
○政府委員(小林康彦君) 市町村が中心になりまして、地域で空き缶等の回収、リサイクルの計画を策定し、都道府県も公益的観点から市町村に対する援助の体制を強化し、適正な回収、リサイクルのルートの流れるようにどいうことで、現在新年度の予算におきましても、そのための国としての助成費を計上いたしまして準備し、努力をしておるところでございます。
#241
○及川順郎君 生産事業所から流通を経まして消費者に行く、使い終わったものが再生業老を経て生産事業所に戻る、こういう状況があるわけですね。そこのところで、再生資源業者が行う事業に対する助成の資金、財政措置、これは国がやるんですか、それとも自治体がやるんでしょうか。
#242
○政府委員(小林康彦君) リサイクルの推進という観点からいきますと、再生事業者が経済的なベースで活動できるのが望ましいわけでございますが、実態といたしまして、多少の費用を、お金をつけませんと引き取ってくれないという状況が出てきております。そのため、市町村によりましては助成策を講じている市町村が現在出ておりますし、平成四年度の予算で検討されておる市町村も幾つかございます。
 国としては、直接的な助成というものは計上しておりませんで、市町村が計画的に総合的に取り組めるような形、市町村に対する資源化、減量化のための施策の助成の予算を計上しておるところでございます。
#243
○及川順郎君 リサイクル法というのができました。しかし、これは生産事業所に対する指導権限を所管庁が持ったということでありまして、問題はその実態に有効に機能していないというのが現実なんですね。
 この法的問題点を見てみますと、つまり物流の、生産から消費を経て還元されてくる静脈経路、これに対する責任の所在が明確になっていない。そういう意味ではリサイクル法というのは名ばかりであって、欠陥法律であるというような感じを強くするわけで、現場でもそういう指摘があるわけでございますが、この点について認識はどのようにお持ちになっておられますか。
#244
○政府委員(鈴木英夫君) 先生御指摘の静脈産業対策でございますけれども、私ども、このリサイクル法の施行によりまして、再生資源の原材料としての利用を促進し、または再生資源の回収をより容易にするということによって、再生資源の利。用が促進されますので、ひいては再生資源に対する需要量が増加するということ、そういうことの中で経済活動全体の中での静脈産業にとっても良好な関係を生み出すことになっていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、リサイクル法の施行に加えまして、先ほど御指摘がありました缶の問題等も含めまして、地域におけるリサイクルモデル事業を推進していく、平成三年度におきましては飲料用の金属缶でありますとか、あるいはガラス瓶でありますとか、飲料用ペットボトルについて、このようなモデル事業を推進することを支援しておるわけでございます。
 さらに、再生資源の回収、再利用を促進しますために、金属製缶回収設備その他資源化設備についての特別償却、そういった税制上の措置、あるいは再資源化施設に関する開銀の低利融資といった金融上の措置も講じまして、引き続きリサイクルシステムの構築に努めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、リサイクル社会の構築のためには、国、地方自治体、事業者あるいは国民が、それぞれの役割分担の中でお互いに強い意識を持ちながら協力して事に当たっていくことが非常に大事ではないかと思っておりまして、通産省といたしましても、単に法に定められたことを運用していくということだけではなくて、各層各界の努力を奨励、促進するための支援策を展開して、リサイクル社会の構築に努めてまいりたいと考えている次第でございます。
#245
○及川順郎君 国、自治体のお話が今出ましたけれども、一番大事なのは生産事業所の責任というものがもう少しやはり強化されていいのではないか、このように思うわけですね。そして、生産事業所が、つくりました製品につきましてリサイクルにかかる費用の応分の負担を負う、このことを明確にする必要があるのではないか。ある意味では、それをリサイクル基金のような形で制度を創設いたしまして、そこにプールいたしまして、そして再生資源業者や回収業者に助成をする、あるいは自治体がやる事業に対して助成をやる、このような制度の確立が必要だと思いますが、所管大臣の所見を求めたいと思います。
#246
○国務大臣(渡部恒三君) 今、政府委員から答弁いたしましたように、これは消費者、販売店、また製造業者、こういったもののモラル、また、行政としては地方自治体を預かる自治省、また厚生省、通産省、これが緊密な連携をとっていかなければならないわけでありますけれども、ただ、一言でこれは製造業者に全部負担をさせると言えば、これは極めて簡単な話ですけれども、製造業者にしても社会福祉で商売しているわけでありませんから、そうすれば結局その分の金は販売する製造品にこれは乗せて、結局は消費者が負担するということになってしまう。
 なかなか難しい問題ですが、基本的にはやはりこれからの地球環境保全というような方向からいっても、資源は大事にしなければならないということから、資源リサイクル、いわゆるごみを集めてクリーンにすること、また物を大事にすること、こういうものの基本的な考え方の中にリサイクルがあるわけでありますから、それぞれの緊密な行政上の連絡、また缶の問題とか自動車の問題とかいろいろ今出てまいりましたけれども、私どもは今、高炉メーカーに対しても、くず鉄をできるだけ引き取ってくれとか、あるいは自動車の販売店、製造業者、こういった面でも、あの粗大ごみを引き取ることについてできるだけ努力をするようにというような強力な指導を行っておるところでございます。
#247
○及川順郎君 いずれにしても、これは生産事業所だけに責任を持たせられない、こういう状況は私は理解できますけれども、国がしっかりとその辺の責任の所在を明確にして、現場がごみの山で埋まらないように、ひとつぜひ対応をお願いしたいと思います。
 次に、一昨年の当委員会におきまして、私は、交通事故による死亡者の数が一万人を毎年超えてきている。第一次交通戦争ということがありましたけれども、第二次交通戦争の趣を強くしている。こういう観点から、救急医療業務へ救急ヘリコプターの導入、それから事故者搬送にお医者さんが乗り込むドクターカーの充実、さらに救急救命士養成の制度化、この三点を主な論点といたしまして提案をいたしました。
 救急救命士につきましては、昨年から既に実施されておりまして、この四月に国家試験が実施される、こういうところまで進んでおりますが、この具体的な配置体制とか今後の充実に対する見通しにつきまして、まず承りたいと思います。
#248
○政府委員(浅野大三郎君) 救急救命士でございますけれども、私どもといたしましては、全国にあります救急隊にできるだけ早く救急救命士の資格を有する救急隊員を配置できるように、その養成に努めてまいりたいと考えております。
#249
○及川順郎君 陸海空の言うなれば公的輸送機関、人的輸送機関に対する対応はいかがでしょうか。
   〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
#250
○政府委員(浅野大三郎君) これは、救急救命士を配置いたします場合には、救急救命士が特に高度な処置をする場合は、これは医師の具体的な指示のもとでやるわけでございますから、医師との連絡をやるという手段をそこに持ってこなければいけないと思います。
 それからもう一つ、必要な高度な食器材というものを備えなければいけないと思いますが、そういうものを備えた状況であれば、これは陸上、空、いずれも配置は可能である、こういうふうに考えております。
#251
○及川順郎君 将来の課題といたしまして、ぜひこれは御検討をいただきたい、このように思っております。
 それで、事故発生から医療行為が開始されるまでの時間、これが死亡につながるか生還するかというのに非常に重要な因果関係があるということを前回の質問のときに、私は西ドイツやスイスの救急ヘリの活動状況を踏まえまして質問をしたわけでございますけれども、救急ヘリコプターの導入の各県配備の計画、それからドクターカーの充実は、どの所管でどこまで水準を高めようとしているのか、この点について承りたいと思います。
#252
○政府委員(浅野大三郎君) ヘリコプターの活用というのは、特に離島でありますとか交通の不便な地域の救急患者の搬送に極めて有効であると考えております。
 消防の場合は、救急はもとよりでございますが、あわせて山林火災対策でありますとか、あるいは高いところからの救助というような面にもヘリコプターは非常に有効でございますものですから、そういう意味で、消防・防災全体としてのヘリコプターの導入を積極的に進めたいと考えてきております。
 現在、都道府県でいいますと、十三都道府県の区域にわたりまして二十六機の消防・防災ヘリコプターがございますが、とにかく全県にこれは配置するんだということで今後さらに積極的に進めてまいりたいと考えております。
#253
○及川順郎君 何年ごろまでという目標を持っておられますか。
#254
○政府委員(浅野大三郎君) これはあくまでも地方公共団体が整備する、それに対して私どもは、現在持っておる手段は国庫補助、それから今後は国庫補助にとどまらずさらに財政措置、地方財政措置等を含めていろいろと検討はしてまいりたいと思いますが、そういう状況でございまして、確たる何年までにというものは持っておりませんが、少なくとも二十一世紀までにはやはり全県配備するというような目標でいきたいと思っております。
#255
○及川順郎君 具体的な配備計画につきまして、まだ詰めていないという感じが非常にするわけでございます。二十一世紀という気の長い話ではなくて、もう少し具体的に年次計画をしっかり立てていただきたい。
 あわせて、ドクターカーの充実につきましても年次計画の想定はございますか。
#256
○政府委員(古市圭治君) 現在、ドクターカーにつきましては、全国の救急センター百九カ所の中、三十九カ所に配置をしている状況でございます。これも年次計画はございませんが、早急に整備の拡充を図りたいと消防庁とも連絡をとっておる次第でございます。
#257
○及川順郎君 年次計画を将来つくった方がよろしいと思いますが、いかがでしょうか。
#258
○政府委員(古市圭治君) 国の三分の一の補助という財政の裏づけをもってやっていることでございますが、そのような計画を検討させていただきたいと思っております。
#259
○及川順郎君 いずれにしても、人間の命を大切にする、守る、これは大事な政治の責任分野、政府の行政としても全力を挙げて取り組むべき施策と考えます。
 あわせまして、命にかかわる問題として、国民健康カードのシステムに対する試行が現在行われているというぐあいに聞いておりますけれども、厚生省、通産省、文部省それぞれで、この試行状況についての現況を御報告いただきたいと思います。
#260
○政府委員(古市圭治君) 厚生省分におきましては、第二次の計画というのが現在進行中でございます。これは平成三年、四年、五年という期間の間に、小さな町での実施は既に終わったわけでございますが、十万以上の都市においてこの健康カードの実用上どのような問題があるのかということを検討しております。平成五年にその総括をいたしまして、その先の計画を立てたいという状況で進んでおります。
#261
○政府委員(熊野英昭君) 通産省といたしましては、従来からニューメディアコミュニティー構想等で地域の情報化のための施策をいろいろ推進してきております。
 その一環といたしまして、神奈川県の伊勢原市でありますとか、兵庫県の加古川地域でありますとか、岩手県の沢内村等におきまして、ICカードでありますとかあるいは光カードを利用して、地域住民の健康管理、緊急時の基礎的な健康データの管理でございますとか、さらには慢性疾患の指導、管理等に資する地域医療情報システムのモデル構築をいろいろ進めてきているところでございます。
 また、情報処理システムの活用によりまして、高齢者の積極的な社会参加を支援するために、メロウ・ソサエティー構想という構想を推進してきておりますけれども、その一環といたしまして、平成四年度より三年計画で、個人健康医療情報ファイリングシステムの開発を厚生省と共同して着手することとしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、医療用に規格化されました光磁気ディスクを活用いたしましてエックス線写真、CT画像等の医療画像を含めた個人の健康に関するいろいろなデータを一元的に管理することのできるシステムの開発、構築を行うものでございます。当面は国立がんセンターにおいて実験を行うこととしております。
 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、関係省庁と連携をとりながら、引き続きICカード等の電子媒体を利用した医療情報システムの開発を積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
#262
○政府委員(長谷川善一君) お答え申し上げます。
 文部省では、科学研究費の補助金を昭和六十三年度から交付いたしておりまして、昭和六十三年度から平成二年度までの三年間、医療用光カードのフォーマット統一に関する研究ということで、十四大学十九人の研究代表者が集まりまして、種々の実験、テストを行いまして、一般診療用の標準フォーマットを作成したと承知いたしております。
 それから、平成二年度から三年計画で、二年度、三年度、四年度ということで、東京医科歯科大学が中心になりまして、医療用光カードによる診断記録の管理プログラムの開発研究というのを実施中でございます。
#263
○及川順郎君 私自身も実施しているところ、沢内村とか山梨県の白州町、現地へ行って見てまいりましたが、非常に効果の期待できる、今日の医療行政の問題点に対して対応できる要素というものが非常に多いわけでございます。例えば本人の健康の自覚と向上、それから自分自身が健康づくりに対してみずから自分を管理できる、こういう管理推進ができるということや、健康診査が簡単にできるということから早期発見、早期治療の期待もできる。あるいはまた、いわゆる薬づけと言われるような医療費の増大対策にもプラス効果が期待できる。さらにはまた、健康データの中にその人の既往症のデータがずっとできたり、健康の基礎的なデータが入っておるために誤診を防止することができる。
 こういう状況を考えますと、この国民健康カードシステムの導入というのは、今後の高齢化社会に向けて一日も早く実施をすべきものであるというぐあいに私たちは思っておりまして、ぜひ国の段階で年次計画をきちっとつくりましてこの具体化に取り組むべきであるということを強く要望いたしたいと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#264
○国務大臣(山下徳夫君) この効用については今おっしゃったとおりでございます。したがって、まず自治体の方から逐次準備を進めてまいりまして、年次計画でもって全市町村に及ぼすようにいたしたいと思っております。
 非常に有効な方法の一つでございますが、まだ実験的段階で問題もございます。入出力に非常に手間がかかるという問題、あるいは患者のプライバシーをどういうふうにして守るかという問題、あるいは実施主体ごとのシステムの交換性、例えばビデオがソニーと松下がどこかがあって、非常に最後までこれは問題になった、今もそのとおりでございましょうけれども。そのようにこれも、ある町村はソニーを使う、ある町村は東芝であったりあるいは松下であったり、これをどうやって一本化していくかということが一つの大きな問題であろうかと思っております。
 いずれにいたしましても、今兵庫県等で十万人単位まで大体やれるところまで来ておりますので、なるたけ早くこれは進めてまいりたいと思っております。
#265
○及川順郎君 少なくともプライバシー問題や現在課題になっている問題等につきましては、現場で聞いてみますとかなり問題点をクリアしているという状況があります。ですから、私は、一つの考え方ですけれども、母子健康手帳の健康カード化から国として取り組むのも一つの手法じゃないか、こういうことを考えておりますので、ぜひこの具体化に取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。
 さて、最近の人口の推移でございますが、出生卒が非常に低下していて人口問題、日本の将来に対して非常に危惧する意見が多くなってきておりますが、過去十年間の出生率の実績値の推移、それから今後の見通し等についてまず承りたいと思います。
#266
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。過去十年間の出生率を年次を追って申し上げます。
 合計特殊出生率の方で参りますと、五十五年一・七五、それから一・七四、一・七七、一・八〇、一・八一、一・七六、一・七二、一・六九、一・六六、一・五七、一・五四ということになっておりまして、これが今後の見通しては、昨年六月の、私どもは六月暫定推計と言っておりますが、その推計によりますと、中位推計では平成五年に一・四八まで下がってその後上昇に向かい、二〇〇〇年には一・八ぐらいまで上がっていくと。もう少し厳しい見方では、平成八年ごろまで下がり続けるんではないかと。そのときが、一番下が一・三五で、その後だんだん上がり始めて二〇二〇年ごろに一・五七ぐらいまで上がっていくんではないか、こういう見込みが立っております。
#267
○及川順郎君 この出生卒の原因をどのように分析されておられるのか。それから、平均的な出生率が大体二・一で人口横ばいというような、こういう考え方がございますけれども、この辺をにらみまして現在の要因をどのようにとらえておられるのか承りたいと思います。
#268
○政府委員(大西孝夫君) 出生率の低下の原因といたしましては、一般的には未婚率の上昇、それから夫婦の出生実数の減少といったことが大きいということでありますが、最近の出生率の急激な低下は、主に晩婚化によりまして二十歳代の女性の未婚率が著しく上がっておるということが指摘されております。
 それで、このような晩婚化の要因には何があるかということでありますが、一つには高学歴化、それから独身生活の魅力の増大、あるいは結婚適齢期意識の希薄化といったことが指摘をされております。しかし、この晩婚化というのはいつまでも続くものではないという見方がありまして、ある程度結婚の年齢がおくれた後その状態になった段階からは普通に出生が始まるということになりますと、いずれ回復に赴くんではないかというのが専門家の見方でございます。
#269
○及川順郎君 ちょっと状況の見方が、とらえ方が違っているんじゃないかという感じがいたしますけれども、少なくとも今までのこの関係の調査によりまして出ている状況では、やはり子供を産みたくても産めない状況があることを忘れてはならない。経済的な理由や住宅事情、子育てをしていくための環境整備というもののおくれが大きな要因になっているというぐあいに指摘されておりますが、この点はいかがでしょうか。
#270
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 私どもが人口推計をい足してまいります場合には、その推計の要素となる直接の要因、例えば未婚率でありますとか、そういうことを中心に考えますから、その環境条件については直接言及する指標がないわけでありますが、御指摘のような点がいろいろなそういう二十歳代の未婚率の上昇でありますとかというようなその要因にもちろん背景において働いておりまして、そういうことの大きな全体の要因を形づくっているというふうに考えております。御指摘の要因は、私どもも非常に関係がある要因であると思っておりますが、人口推計上直接数値化して扱う要素には入ってこない、こういうことでございます。
#271
○及川順郎君 それでは、今お答えの中で晩婚のお話が出ておりましたが、やはり母子保健関係の特徴として、妊産婦の死亡率が平成二年で八・六、アメリカの六・六、スウェーデンの四・八に比べて高い、こういう状況が出ておりますけれども、この原因をどのように分析されますか。
#272
○政府委員(土井豊君) 妊産婦の死亡率についてでございますが、お話しのとおり、平成元年一〇・八、平成二年八・六、これは出生十万単位の数字でございます。
 それで、この妊産婦の死亡率につきましては、アメリカあるいはヨーロッパの各国に比べてなお悪い、したがって改善する余地があるというふうに考えておりまして、現在私どもこれからの母子医療に関する検討会というのをつくっておりますけれども、そこでいろいろ御検討をいただいております。その結果は、この検討の取りまとめは本年春、四月か五月ごろにちょうだいできるという段取りでございまして、それに基づいて今後適切な対応を検討してまいりたいと思っておるところでございます。
#273
○及川順郎君 健やかに産み、健やかに育てる、こういう観点から、この問題につきましてはサーベイランスシステムの導入や周産期医療システムといった母子保健医療の整備充実がどうしても必要だ、こういう強い要望がございます。ぜひ政府の取り組み、これについての所見を承っておきたいと思います。
#274
○政府委員(土井豊君) お話にありましたとおり、いろんな取り組みが必要でございまして、私ども乳児死亡率等につきましては世界のトップレベルというような成績を上げていると考えておりますけれども、先ほどもお話がありました妊産婦についての状況はまだ悪いというような状況でございます。これらにつきましては、例えば集中治療管理室、NICUとかPICU、あるいはドクターカーといったようなものの整備に努めてきているところでございますけれども、今後、先ほど申しました検討会の御提言も踏まえまして十分取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#275
○及川順郎君 出生率の低下というのは当分続きそうである、こういうことから考えますど、生まれてきた人をやはり大事に育てるという観点が必要になってまいります。そのために、やはり医療の充実というのは今申し上げたとおりでございますが、もう一つは子供さんを抱える育児のための費用負担、これが非常に若い夫婦にとっては重荷になっているという状況がございます。現在、保育所の保育料年間二十万円、これは平成二年度に保護者が支出しました幼稚園にかかわる教育費が私立幼稚園の場合年間で十八万円、これは全幼稚園児の八割が私立幼稚園でございますから、この金額は公立高校の十四万円をはるかに上回っている、こういう状況がございます。
 現在、税制上の問題としましては、高校や大学就学の年齢の子供さんを持つ御家庭に対しまして一般の扶養控除に加えまして十万円の特定扶養親族控除が認められておるわけでございますね。私は、年間の保育料を勘案いたしましてこういうことを考えますと、ゼロ歳から六歳ぐらいまでの間、やはり養育する中堅所得者、この人たちを対象といたしまして、これを制度化いたしまして保育控除制度、こういうものの制度がどうしても必要ではないか。平たく一言えば子育て減税的な制度の創設が必要ではないかということを考えておるわけでございますが、この点について厚生大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。
#276
○国務大臣(山下徳夫君) 御案内のとおり、扶養控除というものは一般的にこれはだれでももらえるようなシステムでございますけれども、その上に子供を育てるための別のことを考えたらどうかということですが、これはもうおっしゃるとおりでございます。したがって、これを扶養控除の上に上乗せしろという御意見かもしれませんが、だからといって、例えばベビーシッターの金を出せといったってこれは容易なことではございませんし、どういう形で今後やっていくのか、非常に難しい問題でございますけれども、御指摘の点はよくわかります。したがって、今後の問題としてはやはり勉強していかなければならぬと思っております。
#277
○及川順郎君 ぜひ前向きに御検討いただいて実現をしていただきたい、このように思います。子育てが今大変な中で、一生懸命やっている若い人たちの切なる願いでございますので、厚生大臣、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、高齢者保健福祉推進十カ年戦略でございますが、このゴールドプランがスタートいたしまして今日までの進捗状況をまず承りたいと思います。
#278
○政府委員(大西孝夫君) お答えを申し上げます。
 御指摘のいわゆるゴールドプランは、二十一世紀までの十年間におきます高齢者に対する保健福祉サービスの基盤整備目標を示すという考え方に立ちまして、平成年度から事業の進捗を始めたところでございます。
 初年度でございます平成二年度の実績を申し上げますと、在宅福祉対策では、ホームヘルパーは三万五千九百五人の目標に対しまして三万八千九百四十五人、ショートステイは七千六百七十四床の目標に対しまして九千六百七十六床、デイサービスセンターは千七百八十カ所の目標に対しまして千六百十五カ所、それから施設整備の方で、例えば特別養護老人ホームは十七万二千十九人の目標に対しまして十七万四千八百十五人、老人保健施設は四万七千八百十一床の目標に対しまして四万四千七百四十三床というように、おおむね順調に推移していると考えております。
 平成三年度分につきましてはまだ実績がつかまっておりませんが、おおむね順調に推移していると思います。
 ただ、例えば在宅介護支援センターのように新しくその制度を導入しました部分がございますが、この部分はまだPR不足ということもあるんでしょうか若干おくれておりまして、例えば在宅介護支援センターは三百カ所の目標に対しまして平成二年度で百六十三カ所というように、まだ目標達成に遠いという状況もございますが、総体としましてはおおむね順調に進展していると考えております。それから長寿科学研究の推進という項目も入っておるのでありますが、この部分につきましても、その中核となる機関の整備につきましてこれまでも準備を進めまして、平成四年度には実施設計を行い、さらに施設整備に入っていくという段階まで進んできております。
 このように、スタートとしてはおおむね順調ではないかと思っておりますが、今後ともその整備に努めてまいりたいと思っております。
#279
○及川順郎君 やはり現場の実情を聞いてみますと、今のような回答ではちょっと乖離がある感じがいたします。もう少し現場の実情をよく踏まえまして、少なくとも、この平成十一年の目標の達成は難しいんじゃないかということを現場の人たちはみんな言っていますよ。ですから、ちょっと今の説明では私は難しいんじゃないかと思いますが、大丈夫ですか。もう一回それを確認しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#280
○政府委員(大西孝夫君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、確かに難しい面を持っておると私どもも認識しております。特に、これはスタートしたばかりでありますから、比較的土地が取得しやすいというような要素があったところもあるでしょうし、しかし、これからは土地の取得から人材確保、両方含めまして大変難しい課題をしよっておるわけでありまして、この十カ年の計画を目標どおり達成することは至難のわざではないかと思いますが、とにかく何としても達成しなきゃならぬ目標でもございますので、精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
#281
○及川順郎君 もう一つは、当初在宅介護振興基金でスタートいたしました高齢者の在宅介護を充実する基金制度でございますけれども、現在は長寿社会福祉基金として社会福祉・医療事業団が事業主体で実施をしておりますが、基金は七百億円の利子運用ということになっておりますが、具体的な事業内容につきまして御説明をお願いしたいと思います。
#282
○政府委員(末次彬君) 長寿社会福祉基金の事業につきましては、六十三年度と平成元年度の補正予算におきまして、社会福祉・医療事業団に出資金として七百億円を積み立てまして、その運用益により実施いたしております。
 この事業につきましては、高齢者、障害者の在宅福祉等の充実と生きがい、健康づくりの増進を図るために、民間の創意工夫を生かしつつ地域の実情に即したきめ細かな在宅福祉事業の推進を図るという観点から、例えて申しますと、民間公益団体あるいはボランティア等が行いますモデル的な在宅福祉事業の推進、ヘルパー等の在宅福祉事業等に従事する職員、要員の養成、研修、あるいは福祉機器の開発普及というような高齢者、障害者の日常生活の環境の向上に対する支援、あるいは介護マニュアルの作成あるいは介護情報の提供といった在宅で介護に当たっている家族への支援、また長寿社会講座あるいは障害者のスポーツといった高齢者あるいは障害者の生きがい健康づくり事業の推進、こういった事業を現在実施しておるところでございます。
#283
○及川順郎君 いずれにしても、高齢化社会を迎えましての介護・看護家族に対する政策上の充実というのは大事な要素になってきているわけでございますが、私たちは今まで介護・看護休暇制度の導入を積極的に図るべきである、こういうことを言ってきておるわけでございますが、この点の具体的な取り組みについて所管大臣の御所見を承りたいと思います。
#284
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、これから高齢化社会を迎えまして、ますます介護の需要が増してくるわけでございます。
 家庭生活とそして職場の調和、調整というものがこれからの労働行政の大きな課題でございまして、そういった意味で、御案内のように育児休業制度を先国会で法案を通していただいて、いよいよこの四月一日から始めるわけでございますが、介護休業につきましては実際に会社の現場でまだそれを実施しているところが極めて限られてございますし、必要は十分に認めますので、社会的な気分の醸成といいますか、そういったものをこれからもシンポジウムとかなんかで少し広めていこうということで、労働省は実は平成二年からこういうことで広くいろいろその検討を進めている次第でございます。
 ただ、育児休業ど違いまして、介護休業の場合にはそれなりにいろいろ難しい問題もございますので、まずこの気分、そうした雰囲気をつくって、そしてある程度ガイドラインを示しながら具体的にその企業においてそれがどの程度できるのか、どうしたらいいのか少し検討させていただきたい、こういうことでございます。
#285
○及川順郎君 総理に伺います。
 私は、当委員会におきましてたびたび日本型福祉社会の具体像、これよく政府の閣僚の方がおっしゃっておりまして、これについて質問しましたけれども、どこまでが長寿社会の中で国が責任を持ち、どこまでが自助努力で自分がやらなきゃならないのか、どうもその辺のところが依然としてあいまいなような感じがしているわけでございます。そういう観点から、生活大国を目指す総理の社会保障ビジョンですね、これについてお考えがあれば伺いたいと思います。
#286
○国務大臣(宮澤喜一君) 推計によりますと、二〇二〇年あたりで大体国民の四分の一が六十五歳以上になるということが言われておるわけでございますから、そのときにいわば本格的な高齢化社会がピークに近くなるということであろうかと思います。
 施政方針演説でも申し上げましたが、私は、そういうお年寄りがいわば安全にといいますか、無事に生きていかれるということも極めて大事なのですが、同時に、何か自分が社会的に貢献をしているという、そういう意識を持って生きていかれるということが、これが日本的といいますか、ちょっとアメリカなんかの場合と多少あるいは違うかもしれぬ。完全なリタイアというよりは、何か社会のためにしていきたいというそういうことができれば、私は日本的な一種の高齢化社会の福祉というものができていくんじゃないかと思います。
 おっしゃいますように、今まだそれほどの高齢化をしていないものですから、どの部分が公的な責任であり、どの部分が私的なものであるかということははっきりいたしません。しかし、昭和六十三年でございますか、福祉ビジョンで申し上げましたように、少なくとも基礎的なニーズについては公的な施策で対応する。それで基盤をつくりまして、その上で、その上のいろいろなバラエティーのある、あるいは高度なニーズについては民間の保険会社でありますとかそういったようなものがございますし、あるいは個人、そういうことでやっていこうというのが、大変抽象的でございますけれども、ただいま持っておりますビジョンの基本だと思います。
#287
○及川順郎君 総理、社会保障制度の中で、やっぱり関心は年金に対する関心が非常に強いわけでございますが、この年金財政は五年に一度見直しか行われるわけでございますけれども、非常に年金財政は悪化の一途をたどっている。公的年金に対する年金加入者の不信といいますか、不安というのがやはり根強いものがあるわけでございますね。新しい経済五カ年計画の中でこの問題、公的年金制度の信頼を回復するための年金体制の位置づけというものをどのようにお考えになっておられますか。
#288
○国務大臣(野田毅君) まさに二十一世紀に向けて高齢化社会が本格化していくわけでございまして、それに備えての大事な社会保障の枠組みを具体的にどういうふうにつくっていくのか、年金体系をどういうふうに見直していくのかということを目下、精力的に勉強していただいておるわけであります。そういった中で、基礎年金部分もございますし、同時にいろんなメニューの多様化ということをも念頭にも置きながら、いろいろ今御議論をいただいておる状況にございます。
#289
○及川順郎君 年金。に関しまして二、三続けてお伺いいたします。
 私は、六十三年の三月十七日だったと思いますけれども、この予算委員会で無年金老が結果として生じないようにぜひ努力をしていただきたいという強い要望を申し上げましたのに対しまして、竹下総理がこの主張を、具体的な努力をしなければならぬ課題と、こういうぐあいに受けとめていただきました。その後、どのような努力をなさったか、政府の取り組みと現在この問題についてどういうぐあいに受けとめておられるのか、これは政府の担当の方と総理の御所見をあわせて承りたいと思います。
#290
○政府委員(加藤栄一君) 無年金対策でございますけれども、高齢化社会を迎えますので、年金は老後生活の支えの中核でございますので、無年金者があらかじめ生じないようにするという考えのもとに対策を講じているわけでございますが、無年金者対策につきましては、現在六十歳から六十五歳に達するまでの間は任意加入を制度化しておりまして、本来二十歳から六十歳までの加入三でございますが、加入期間を見まして、さらにその後五年間追加することができるという制度を制度化しております。
 また、保険料を納めやすくするために、従来はまとめて納めるということでありましたんですが、保険料の毎月納付の仕組みを導入するというような措置も講じておりますが、さらに保険料が負担できない方々につきましては免除制度の整備を図っているところでございまして、免除制度につきましては必要な時期に見直しをしまして実態に合うように検討しております。また、免除期間につきましては、十年間は追納制度があるということは御存じと思いますが、追納制度があるわけでございます。また、口座振替、納めます場合に納めやすくするということで保険料の口座振替の推進等を図っておりますし、その他保険料を納めやすい環境づくり、また年金広報の徹底、こういったことが大切だと思いますので、そういうものを推進いたしまして無年金の方の発生を防止する対策の推進に努力しているところでございます。
#291
○及川順郎君 今いろいろおっしゃいましたけれども、現場は、例えば期間が不足であって年金券受けられないという人がかなりありまして、やはり制度上年数が多少少なくてもその年数に応じて年金が受給できるような方向をぜひ検討していかだきたいという声は依然として強いわけです。その点に対する改革の方向というか取り組みについて、政府は取り組む姿勢がございますか。
#292
○政府委員(加藤栄一君) 現在、公的年金におきましては、原則といたしまして基礎年金の場合でございますと四十年保険料を払うということにかりまして、それに対応いたしましてフルペンションをもらえるわけでございますが、年金の資格右得るためには最低二十五年は保険料を支払って加入するということになっております。この受給資格期間を撤廃ないしは短縮するということにつきましては、年金を受ける世代をそのときどきの現役世代の方の保険料を中心にして支えております世代間扶養の考え方で現在の年金制度はもっているわけでございますので、一定期間以上保険料を納付された方に年金を支給するという仕組みを変えるということは大変に困難な問題であると孝之ております。
 しからば、その二十五年に達しないような人をどうするかといいますと、先ほども申し上げましたように、四十年間保険料を納めるところを二十五年最低納めればいいということでございますので、もちろん保険・料額は少なくなるわけでございますが、受給資格を獲得するには十分な幅を持って対応できるようになっておりますし、六十歳に達して不足であればさらに五年間加入期間を延ばすということもできるわけでございます。また、低所得のために保険料が納めにくい方は免除措置を講ずる。免除の期間は資格期間に加入されますので、そういうことないしは年金広報等を活用いたしまして無年金の方が生じないような方法を講じていくということを中心に対応してまいりたい、かように考えております。
#293
○及川順郎君 国民皆年金という本来の趣旨から考えまして、ぜひそういう現場の声を反映いたしまして適切な措置で柔軟に対応するような幅があってもいいのではないか、このように思いますので、ぜひこれは持続して努力をお願いしたい、このように思っております。
 それからもう一つは、専業主婦の場合、子供のいない主婦の方で、遺族年金の基礎年金の部分、この額をやはり最低生活を保障するように改善すべきだということを主張してまいりました。具体的には、現在遺族厚生年金につきましても現行の七五%、これを改めまして一〇〇%給付するように私たちは提言をしておったわけでございますが、この厚生年金の報酬比例配分について、一〇〇%確保についての取り組みをぜひ推進していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#294
○政府委員(加藤栄一君) 遺族年金についての御質問でございます。現行制度では、年金額というのは基礎年金とその上に上積みになります報酬比例部分と二つの部分から成っております。それぞれ保障の程度に応じまして組み合わせているわけでございますが、厚生年金制度におきます遺族年金は、保障の必要度に応じまして適切な給付になりますように、子供さんをお持ちの配偶者の方、子のある妻でありますとかあるいは高齢の妻に対しましては手厚い給付を行う、遺族基礎年金と報酬比例部分と両方差し上げる、それから子供さんのない若い寡婦の方につきましては就労可能性を考えまして報酬比例部分のみを支給しております。
 ただ、子供さんがない場合でありましても、夫が死亡されましたときに、三十五歳以上の中高年というのは語弊があると思いますが、比較的高年齢の寡婦の方につきましてはより若い方に比べまして就労可能性も相対的には少ない、こういうような事情を考慮いたしまして、報酬比例の年金額のほかに四十歳から六十五歳になるまでの間は老齢基礎年金の四分の三の部分を加算いたしております。
 現行のこういう遺族年金でもいろいろ工夫をしておりますので、報酬比例年金の一〇〇%まで支給するといいますと御本人と同じことになってしまいますので、そこのところは大変困難であると考えております。
#295
○及川順郎君 不満でありますけれども、これはぜひ今後も努力をしていただきたいと思います。
 それから、障害基礎年金の三年後の失権問題につきまして、私は前国会でこれも予算委員会で聞きました。これに対して今後検討するという御答弁でございましたけれども、その検討状況について御報告をいただきたいと思います。また、少なくとも現在の検討の状況を踏まえまして次期財政再計算に当たる平成六年には結論を出すようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#296
○政府委員(加藤栄一君) 昨年三月の予算委員会におきまして、先生の御質問に対しまして、大変難しいけれども検討はいたしますという御趣旨の答弁があったところでございます。
 私どもといたしましては、障害の状態の観察期間を三年の期間といたしておりますが、確かに三年間で大部分の方は、障害の再発ということがあるとすればその間に大部分の方が発生するわけでございますが、精神障害でありますとか内部障害の場合には三年を超えて再発するというケースがある、こういう御指摘もあります。現在はそういう傷病の実態等を個別ケースなどを見ながら部内で検討しているところでありまして、また関係団体の研究会等にも私ども意見を聞かせていただいたり、こういうことでせっかく検討しているところでございます。現在、次期財政再計算に向けまして検討を始めようとしているところでございますので、並行いたしまして検討させていただきたい、かように考えております。
#297
○及川順郎君 検討ではなくて結論を出してもらいたいんです。
 もう一つ、障害者の権利擁護機関の設置という方向につきまして質問したいわけでございますけれども、昨年でしたか、新潟で重度の身障者を持つ家庭で、お母さんが亡くなったそのわきで身障者の子供が餓死していたと。どんな身障者でも生きる権利があるわけでございますが、そこにどのような手だてをなすべきか、ここが非常に欠落しているというのを問題提起した出来事であったと思うわけでございます。現在、障害者を持つ親たちが自分の亡き後子供をどう守ってくれるのかという、こういうことに対して非常に不安感がある。
 こうした問題に対する取り組みにつきまして、ようやく東京都におきましては、昨年の秋、権利擁護センターが開設されている。しかし、アメリカや欧州等を見ますと、アメリカのアドボカシー制度、あるいはまた西ドイツにおいて身障者も対象にした成年者世話法、こういう障害者の自己決定権に基づく世話と支援の制度、これに対する充実に取り組み出している。本年、国連の障害者の十年、これが終わろうとしておるわけでございますが、この締めくくりに当たりまして、最低限この障害者の人権擁護、財産管理から身体の介護にかかわる権利機関を設置する、そのために法的整備をぜひお願いしたいと思っておりますけれども、この点についての所見を求めたいと思います。
#298
○政府委員(土井豊君) 御質問にありました新潟県の事件でございますけれども、障害者のお母さんが亡くなられて、それから子供さんも重度の精神薄弱等の重複障害者であったということで、お母さんの亡くなった数日後に御本人も亡くなった、そして町内会長がそれを発見したのが数日後であったという事件だと思います。大変痛ましい事件だと思っております。
 私ども、新潟県からその間の事情を聞きましたが、民生委員の方がお母さんの相談にあずかっていた。ただ、ホームヘルパーの派遣等については必要がないというお母さんの返事で派遣されていなかった。あるいは警報装置等につきましても、市がそれを取り入れる準備をしている直前の事故であったというようなことで、大変気の毒な事件であると思っております。
 私どもとしましては、在宅福祉サービスをもっと利用しやすくするというような形で、今後厚生省としまして最善の努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#299
○及川順郎君 雇用問題に移ります。
 一昨年でしたが、私は当委員会におきまして雇用保険料に関する質疑を行いました。その焦点は二つありました。
 一つは、雇用状況の安定の中でこの積立金に累積残が非常に余裕が出てきているという状況にかんがみまして、少なくとも以後三年ぐらいは雇用保険料の自己負担分、これを半額ぐらいに軽減すべきだという主張をいたしました。もう一つは、六十年の三月まで高齢者の雇用保険料の免除年齢が六十歳、それが現在は六十四歳になっております。これを当初に戻すべきであるという主張をいたしましたけれども、この点についての取り組み、検討の結果、どのような改善でこの問題解決に当たろうとしているのか、この点を承りたいと思います。
#300
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘ございました雇用保険の積立金の問題でございますけれども、最近の雇用状況の結果、積立金が大変に多くなってまいりまして、平成二年度の末で二兆九千億に達しました。徴収保険料に対します比率が二倍を超えた状況になってまいったわけでございます。
 こういったような状況でございますので、私どもこういった収支状況等にかんがみまして労使双方につきましてその負担の保険料率を引き下げるということにいたしておりまして、平成四年度につきましては千分の二の引き下げ、これは二月十日に労働省告示をいたしております。それから、平成五年度以降につきましてはさらに千分の一を引き下げまして、合わせて千分の三を引き下げることを内容といたします徴収法及び雇用保険法の一部改正法案を今国会に提出させていただいているところでございます。平成五年度以降の措置につきましては、当分の間という暫定措置にすることにいたしておるわけでございます。
 また、ただいまお話のございました高齢者の雇用保険料の免除でございますけれども、この問題につきましては前回御答弁申し上げたところと同じでございまして、私ども議論をいたしておりますけれども、六十歳代前半層の高齢者につきましては一般に再就職が困難でございますことから、若年層と比べまして給付面で手厚い措置が講じられておるわけでございます。したがいまして、こうした中で六十歳以上の高齢者の保険料を免除いたすことになりますと、今後高齢者が増加していくわけでございまして、そういった中で給付と負担の面におきまして他の年齢層との不均衡がどうしてもやはり拡大してしまうという問題があるわけでございます。また、六十歳前半層の高齢者の対策という観点からは、雇い入れの助成でございますとかあるいは雇用継続の制度の導入に関します助成など、高齢者の雇用の場の拡大のための措置を充実してきておりまして、今後におきましてもそうした助成面、給付面での対策によりまして対処すべきものと考えておるわけでございまして、今般の雇用保険法の改正案におきましても高齢者の継続雇用の促進を図るための改正を織り込んだところでございます。
 こういったところから、免除年齢を六十歳以上とするということにつきましてはやはり適当ではないと考えておるわけでございまして、この点につきましては御理解を賜りたいと存じます。
#301
○及川順郎君 これは、御理解を賜るわけにいきません。今の高齢者の雇用促進と福祉の向上に私はプラスになると思いますし、この高齢者雇用のこれから促進を図っていかなきゃならないこういう状況を考えますと、免除年齢の引き下げというのはプラス効果の方が大きいのではないかという考えを強く持っておるわけです。ぜひこれは引き続き検討をお願いしたいと思っております。
 先ほどのもう一つの自己負担分の軽減でございますけれども、これはサラリiマン減税がしばらくない状況の中で、減税効果というのも非常にそういう面での効果も見られるわけでございまして、具体的に年間所得が四百万円あるいは六百万円、八百万円ぐらいのサラリーマンでどのくらいの軽減になるのか、これを示していただきたいこととあわせまして、保険料の引き下げ対象者はパートタイマーや臨時雇用労働者も対象となっていると思いますけれども、その辺の認識に間違いがないかどうか確認させていただきたいと思います。
#302
○政府委員(若林之矩君) 雇用保険料引き下げに伴います労働者の負担減額でございますが、四百万円の方につきましては、平成四年度では四千円でございます。平成五年度以降は六千円でございます。年間賃金六百万円の方につきましては、平成四年度が六千円、それから平成五年度以降が九千円でございます。それから、年間賃金八百万円の方につきましては、平成四年度が八千円、平成五年度以降が一万二千円ということになっておるわけでございます。そして、現在被保険者は三千二百万いるわけでございます。この中にはもとよりただいま御指摘の短時間労働者も含まれておりますが、この被保険者三千二百万が対象になるわけでございます。
#303
○及川順郎君 パート労働者に対する課税最低限の引き上げ問題は、衆議院段階で、関係各省で検討の場を設置するとともに、政党間でも各党協議の場を設置して継続協議する、この二点が確認されましたけれども、この具体的スケジュールはどういう見通しが承りたいと思います。
#304
○国務大臣(羽田孜君) この問題につきましては、今もお話がありましたように、四野党の皆様の修正案、これを受けました自由民主党のお答え、そういったものを踏まえまして、私どもと各省の中にその場を設けまして検討をしてまいりますということになっておりまして、具体的なスケジュールはまさにこれから私どもが検討していかなきゃならぬと思っております。
 ただ問題は、この配偶者の特別控除、いわゆる逆転現象を起こしてしまう、御主人と奥さんとの、パートの方の働きによって所得が逆転現象を起こすという、これに対応するための配偶者特別控除というのが行われたわけでありますけれども、この問題については案外まだパートの方も知られておらないということ。あるいは、これを雇用する方々も知られておらないというようなことがございますから、この問題につきましては、やっぱり徹底して皆様方に積極的に知っていただくような手はずを整えようということでございます。
 また、私どもの省といたしましては、税ではこうこうこういう議論がありましたよということにつきましては、政府税調の方にもよく説明を申し上げていきたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、各党間でも大変な議論が実はあった問題でございますから、私どもとしましても各省におきまして積極的に検討、議論をしていきたいということを申し上げておきたいと思います。
#305
○及川順郎君 二月七日、東京地方裁判所で水俣病に対する判決が出ました。この水俣病問題の早期解決に向けた環境庁長官の見解を改めて承りたいと思います。
#306
○国務大臣(中村正三郎君) 水俣病問題は、我が国の公害問題の原点であると同時に、今なお残っている環境行政の重要な課題の一つであると認識しております。
 国といたしましては、従来、公害健康被害の補償等に関する法律に基づきまして、患者の公正な救済に努めてきたところでございますが、現在は新たな患者の発生は考えにくくなっておるという状況でありますけれども、なお相当数の未処分者が残されているわけでございます。今後とも、国、県一体となって水俣病患者の認定業務の促進に努め、水俣病対策の推進を図ってまいる所存でございます。
 また、平成四年度からは新たに中公審の答申に基づきまして、水俣病とは認定されない方々に対する対策も含めて、水俣病に係る総合的な対策を講じることとしておりまして、これらの行政施策の実施によりまして、水俣病問題の早期解決に向けて最大限の努力を払ってまいりたいと存じております。
#307
○及川順郎君 裁判所から和解勧告がなされまして、やはりこの解決への期待が指摘されておりますけれども、この際、政治的判断によりまして和解による解決を図るべきではないかと思いますが、再度御答弁をお願いしたいと思います。
#308
○国務大臣(中村正三郎君) この争点の和解ということでありますけれども、これは究極的に考えてまいりますと、何らかの損害が起こったときにどこまで国が、すなわち国民全体の負担によりそれを補てんすべきかという、行政の根幹にかかわる問題が含まれているものでございますので、行政当局といたしましては交渉等により妥協を図るということはなかなか難しいんではないかというふうに考えているわけでございます。
 東京地裁の判決に対しましても、原告の方たちは判決を不服として控訴されまして、また和解協議の打ち切りを申し立てておられると聞いておりまして、当事者間の主張の隔たりが依然として大変大きいわけであります。そういう中で、和解による合意が得られるということはなかなか考えにくい状況にあると存じます。
 環境庁といたしましては、先ほど申し上げました総合対策を進めることによりまして、水俣病の早期解決が図られるように最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
#309
○及川順郎君 立法府におきまして、各党間でこの問題を議論して早期解決に向けて知恵を出し合う、これはやはり大事なことだと思うんです。環境庁長官としまして、このような方法についてどうお考えになっておられるか、もう一度お願いしたいと思います。
#310
○国務大臣(中村正三郎君) 先ほど御答弁させていただきましたように、行政としての対応というものにある程度の行政の立場という限界があるという中で、立法府におかれまして広く意見を交換されまして、そこから有意義な結果が得られるとすればそれはまた水俣病問題の早期解決へ向けての貴重な御努力ではないかと考えております。
#311
○及川順郎君 外国人労働者問題に移りたいと思いますが、外国人の不法労働者、この問題が社会問題になりつつあるような気配がございますけれども、この点についての状況認識を承りたいと思います。
#312
○国務大臣(近藤鉄雄君) いわゆる外国人の不法就労問題でございますけれども、法務省によりますと、現在約十六万人に上る潜在的な不法就労者がおりまして、その就職の職種は製作工程作業や土木建設作業、ウエートレス等で九〇%以上を占める、そういうような状況でございます。
  こういうふうに外国人労働者がふえてまいりますと、我が国労働市場にいろいろな影響をもたらしまして、例えば、今はよろしいのでありますが、景気が悪くなると、まず最初に失業するのが外国人労働者であり、また、外国人労働者と我が国労働者の間のいわば労働市場の二重構造というのが出てくる。こういうことでございますので、労働省といたしましては、こうした不法就労防止のために今後とも事業主等への啓発指導を積極的に実施するとともに、関係行政機関と連携をとりながら、この不法就労の排除に努力をしてまいりたい。
 現実には、ことしの二月に法務省、労働省及び警察庁の間で不法就労外国人対策等関係局長連絡会議を設置してこの問題に真剣に取り組んでまいる体制にございます。
#313
○及川順郎君 上野公園を中心に、月曜日と木曜日が多いと言われておりますけれども、私も現地に行ってまいりましたが、大変イラン人と目されるような方がたくさん集団化している。異様な感じなんですけれども、大臣、視察なさったそうですけれども、所見を承りたいと思います。
#314
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今、先生御指摘のとおり、イランの方々が大勢で上野公園の西郷隆盛の銅像の周辺にいらっしゃるものですから、私も視察に参りました。
 これは率直に言って、皆さん集まって、大変明るい感じで雑談をしていらっしゃるわけでありますが、やはり最初申しましたように、この不法就労という問題は厳正に散り締まっていかなきゃならないということでございますので、お帰りいただくような措置を講じたいということでございます。ただ、私、これから先は相当、非常に厳密に厳格にやることでございますが、今労働省が中心になりまして、外国人の研修制度を現行のものよりももう少し幅を広げていこう、こういうことも考えております。ここにおられている若い外国人労働者の方々にそういう研修制度で研修を受けて、そして、せっかく日本へ来られたんだから、ある程度の実技を身につけてお帰りいただくということも考えたらどうかなというようなことで検討をいたしましたが、ただ、こういう不法就労の正規化、アムネスティーとこう言っているそうでございますが、アメリカ、フランス、イタリア等でやってみるとなかなか難しい。やはり一たんそういうことで甘くするとといいますか、チャンスを聞いちゃうと、それを前提にして不法就労を求めて外国人の方が日本にいらっしゃる、こういう例がほかの国でもございますので、余りそう簡単なことではないなと、こういうことでございます。
 私は、これから日本が国際的な役割を果たしていくためにも外国人の若い労働者の方に来ていただいて、それで実務を研修していただいて、そして帰られてそれぞれの国の経済発展に協力をされる、そういう機会をこれから広げていくべきであるというふうに考えております。
#315
○及川順郎君 イランとのビザの免除協定、これは一時中止のニュースが流れておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#316
○政府委員(荒義尚君) お答え申し上げます。
 イランとの関係でございますけれども、先生御承知のとおり、一九七四年から査証の相互免除の取り決めをやっております。
 しかし、近年の不法労働者の急増にかんがみまして、私ども外務省としましては昨年以来、イラン政府とかかる事態の是正につき話し合いを行ってまいりまして、一昨日ようやく協議が相調いました。それで、昨日、対外的に発表させていただきましたけれども、来る四月十五日をもちましてイランとの査証免除取り決めを一時的に停止するということにいたしたわけでございます。
#317
○及川順郎君 時間がなくなってまいりましたので、農業問題について若干承りたいと思います。
 昨年の台風被害によりまして林業、果樹農家に対する甚大な被害がありましたが、この対策について救済策が見えてこないという不満がありますけれども、取り組みを伺いたいと思います。
#318
○国務大臣(田名部匡省君) お答えをいたします。
 まず金融対策、これは農業共済対策でありますとか天災資金、自作農維持資金等であります。また果樹の改植、補植等の果樹対策をいたしました。また森林災害復旧事業、治山事業等の森林対策、この三つをあわせて既存の制度を十分活用するだけでなくて、新たな予算措置等も実は講じておるところであります。これらの対策によりまして地元の要望に対しましてもおおむねこたえることができたと考えておりますが、今後ともまた一層充実を図っていく所存であります。
#319
○及川順郎君 大臣の国元になりますか、青森県では果樹共済金が払えない、十万円ずつ減額で払っておるというような状況にありまして非常に怒っておりますけれども、この対策について、果樹共済金のあり方を抜本的に見直す必要ありという声がありますが、いかがでしょうか。
#320
○政府委員(川合淳二君) 果樹共済につきましては、本年度の果樹の被害にかんがみまして、支払い共済金額が約百八十億円になっております。
 この制度は、掛金を農業者が払いまして、これにつきましては国庫負担が約五割あるわけでございますけれども、それを原資といたしまして共済金を払うということになっております。こういう災害に対します。ある種の保険制度でございますので、これを共済組合と県段階の連合会それから国の三段階で負担する、責任を分担するということになっておりますが、この果樹共済の場合は組合が全体の一割を負担するということになっております。
 今回のように災害の規模が大きくなりますと、当然のことながら国の責任部分がふえるということになっておるわけでございますけれども、今お話しの青森県の場合には、国とそれから連合会の責任にかかわる部分は全額支払うことが決定されているわけでございますけれども、組合につきましてその一割の責任部分につきまして一部削除するということが出てきているわけでございます。
   〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
 農業共済、これは災害を補償するということでございますものですから、保険収支が長期的に均衡するということになっております。したがいまして、短期的には支払い財源が不足するということが生ずるわけでございますが、これにつきましては借入金をもって充てるという制度をとっているわけでございますが、今回の共済組合では借入金をした場合の返済の見通しが立たないというようなことがございまして、一部削減する。これは、制度的に共済制度でございますものですから、そういうことができることにはなっているわけでございますが、そういうことをしたいと言っております。現在、青森県は借入金など、これに利子補給をするというようなことも考えまして今指導を続けておりますが、そういうような事態になっているわけでございます。
 これにつきましては、共済制度そのものの制度のこともありますが、例えば掛金を引き上げる、あるいは責任分担の見直しということが考えられるわけでございますが、それぞれ一長一短ございます。掛金が上がるということは入りにくくなりますし、責任分担の見直しというのは収入が組合には減るというような面もあります。やはり基本的には、これは加入率がかなり低いということが一番の問題ではないかということでございますので、私どもはこの加入率を高めるということについてさらに何か方策がないかということで対応していきたいと思っておるところでございます。
#321
○及川順郎君 その期待はなかなか現場は難しいと思います。
 今回のような大型の自然災害、これを教訓といたしまして国として果樹共済基金の創設が必要じゃないか、こういう感じがいたしますし、それから山も相当木が倒れてそのままになっております。やはり森林育成基金のような、そういうものの創設が必要ではないかというぐあいに思いますけれども、この点の所見を所管大臣に伺います。
#322
○国務大臣(田名部匡省君) 私の県の知事を初めいろんな人たちがこの問題でお見えになりました。何といっても、調べてみますと加入率が非常に低い。県内でもばらばらでありまして、今回の場合は被害の少ない太平洋側、こっちの方が加入率が高い、リンゴ地帯の方が低いということでありまして、今局長お話しのように、やっぱりみんなが入ることによって掛金も安くなるんですけれども、どうも入りにくいのか、制度を若干手直ししてもっと入りやすいようにする方法がないかとか、いろいろ考えてみるのでありますが、基本的にはこの問題についてはいろいろと難しい問題を私も感じました。感じましたが、結局は被害に遭うと農家の皆さんが困るわけでありますから、実情を十分に把握していろいろともう少し勉強してみたい、こう思っております。
#323
○及川順郎君 ぜひ実現の方向で御検討いただきたいと思います。
 それから、ことしの十二月に停止になります公海流し網漁業、これに対する減船並びに生活保障問題について政府はどういうぐあいに考えているか、承りたいと思います。
#324
○国務大臣(田名部匡省君) この問題につきましても、実は昨年の国連総会において、この流し網に賛成する国はもうどこもありませんでした、残念ながら。一生懸命努力したのでありますが、とうとうこれをことしの七月以降全面禁止ということでありましたが、今すぐ全面禁止では漁師に与える影響が今お話しのように大変大きいということで、操業期間を半年間延長したわけでありますけれども、お話しのように、これ世相当この影響が出るであろう。
 特に、イカ釣りが四百五十七隻、大目流しか百四十九隻ということでありますから、関連業界、地域経済にも与える影響が大きいのではないかと考えておりまして、今当面十二月までは釣りによってやれないだろうかということで予算をとりまして今御審議をお願いいたしておりますが、まあとってはいかぬということではありませんから、要するに混獲がいかぬということでありますから、釣り漁法に転換できればどのぐらいそれにいくか。しかし、この漁法によってもなかなか採算がとれないということになると減船をせざるを得ない人たちが出てくるであろう。今大体この研究のために一生懸命、七月ごろまでやってみます。やってみてこれが成功すればまた変わってくると思いますが、いずれにしてもそれを見きわめた上で、どうしても減船をせざるを得ないという人たちが出てくればまた関係省庁とも十分打ち合わせをして対処してまいりたいと考えております。
#325
○及川順郎君 漁法転換は現場は無理と。肉がやわくて釣るのは無理だと言われておりますので難しいと思います。ぜひこれは補償の方向で、一〇〇%減船、これに対する対応を考えてもらいたい、これが現地の要望でございます。
 それからもう一つは、米問題について、非常に現場で怒っておりますのは、ことしの単年度に限って減反を八十三万から七十万に減らす、単年度だけの減反ができるのかどうなのか、米づくりを知らない人の意見じゃないかという非常に怒りの声が出ておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#326
○政府委員(上野博史君) 減反面積十三万ヘクタールの緩和の件だというふうに理解いたしました。
 この作業は現在進めているところでございまして、またどの程度の話になるのかわかっておりませんが、これまでの転作の対応で青刈りの稲であるとかあるいは保全管理というような形で転作に応じてまいった地域につきましては余り問題なく入っているというふうに聞いておりますし、それから今お話ございますように、一方で、転作が定着をしている地域であるとかあるいは担い手が脆弱で稲作への回帰というものが非常に難しいような状況にあるというようなところなどでは水稲作への復帰がやや難しいというような事情にあるというふうに聞いております。
 ただ、この措置自身は、単年度ではございますけれども、言うなれば去年の稲作の不作に伴います安定的な在庫を確保するというそのためにやる仕事でございまして、単年度の需給ということで考えますと六十万トンを超える生産超過というようなことになるわけでございますので、これを多年にわたって続けるということについては問題があるというふうに考えております。平成五年度の稲作の問題はいわゆるポスト後期の問題として考えなければならないわけでございまして、これからことしの稲作の状況であるとかあるいは生産能力の問題であるとか、あるいは今後の需要の見通しというようなことをもとに先行きの生産の問題については考えてまいりたい、かように考えているところでございます。
#327
○及川順郎君 いずれにしても、現場の状況をよく聞いて現地の掌握をしていただきたいと思います。これは無理です。
 それから、牛肉・オレンジの自由化の影響というのが深刻でありまして、特に畜産農家は牛肉の値下がりで大変困っておりますし、もう一つは、北海道の日高でやっております軽種馬の地域で、一月に中央競馬会が出された外国産馬の出走制限緩和五カ年計画、これがちょっと現場の声が反映されていない、こういう声が非常に強いわけでございますが、一たん白紙に戻して現地の声を十分に反映して計画を立て直すべきだ、こういう考えがありますが、この点についての所見を承りたいと思います。
#328
○政府委員(白井英男君) 我が国の競馬につきましては、海外から外国産馬の参入機会の増大等の要請がございます。それからまた、国内からも外国産馬の参加によるレース内容の充実を求めるファンの声というのもあるわけでございます。こういう声にこたえまして、中央競馬会では、内国産馬に加え外国産馬が出走できますいわゆる混合競走、これにつきまして、生産者団体、関係者の皆さんの理解を得ながらこの二十年間にわたりまして毎年段階的な制限緩和を進めてきたところでございます。
 今般、日本中央競馬会が提示いたしました出走制限の緩和案、これにつきましては、世界的な潮流となっております競馬の国際的な進展、特に最近アメリカ等から制限撤廃等の要求が強まっているというようなことがございますので、これらを踏まえまして、今までの年度ごとの出走制限緩和案というのではなくて、もう少し長期的な緩和案を示すということによりまして生産者におきましても計画的な対策ができるということで提示をしたものでございます。
 なお、これにつきましては、今後とも内国産中央競馬を堅持しながら、競馬の国際化のために段階的にどう対処していくべきかということにつきまして、関係者と十分に協議をいたしまして速やかに成案を得るということが緊要であると考えておりまして、必要な場合には関係者の協議が円滑に進みますように指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#329
○及川順郎君 最後に、政治腐敗防止に関する問題で一、二点伺いたいと思います。
 共和汚職事件、東京佐川急便事件に関する捜査の現状についてまず御報告を求めます。
#330
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 まず、いわゆる共和事件につきましては、東京地方検察庁が株式会社共和の元副社長森口五郎らに対する一連のいわゆる商社金融を仮装した詐欺事件等についての捜査処理を遂げた後、本年一月十三日に阿部元北海道開発庁長官を受託収賄罪により、森口を贈賄罪によりそれぞれ逮捕いたしまして、両名を二月一日及び十七日の二回にわたりこれらの罪により東京地方裁判所に公判請求いたしまして、一連の捜査を終了したというふうに承知いたしております。
 一方、いわゆる佐川急便事件についてでございますが、東京地方検察庁が東京佐川急便株式会社元代表取締役渡辺広康ら四名を二月十四日に特別背任罪で逮捕した上、三月六日に同罪で東京地方裁判所に公判請求し、その後、昨年八月に告訴を受理いたしております特別背任罪の嫌疑につきさらに捜査をなお続けているというふうに承知いたしております。
#331
○及川順郎君 佐川急便の業務内容につきまして、大変急成長した要因は何なんだろう、物流業界というのはそんなにうまみがあるところかという素朴な国民の疑問があるわけでございますが、この点についての御所見を所管大臣から承りたいと思います。
#332
○国務大臣(奥田敬和君) 東京佐川の前経営人の暴力団絡みの融資や多額の債務保証というのは、自動車運送事業のいかに利益があっても、とてもそれで賄えるような金額ではございません。そこまでうまみのある仕事であるとは思いません。そのために、結局、東京佐川の債務保証に関連して、これを完済するためには中核企業が六社、とりあえず六社合併することによってこういった債務の返済を図ろうという状態でございます。
 したがって、今先生御指摘のような、世間に、何とうまみのある、余裕というか、お金をまき散らすくらいの余裕のあるのが物流業者だと思われると、まじめにやっている物流業者にとっては大変迷惑なことであろうと思っております。
#333
○及川順郎君 用意しました質問、時間の関係で後の私の同僚の委員の質疑に譲ることといたしまして、私から、衆議院の予算委員会の審議段階で、参考人質疑で鈴木元総理の答弁では、阿部氏が平成元年に持参した一千万につきまして麹町倶楽部の名誉理事長就任の見返りではないかとの指摘が行われまして、これに対しては否定されました。しかし、返金したのが平成三年十一月、いかにも不自然であります。また、阿部氏の手で鈴木事務所に運ばれたとされる一億円につきましては、元首相は否定いたしました。しかし、阿部氏は持っていったと、こういう言い分に食い違いがありまして、真相の究明のために上申書の写しを提出するよう求めております。本委員会におきましても、この写しの提出を委員長においてお取り計らい願いたいと思います。
 なお、共和事件汚職絡みに加えまして、株式会社共和からの巨額の資金とされるこの金額、これも政界ルートは不明でございまして、この真相解明のためにまず当面、森口五郎株式会社共和元副社長、阿部文男衆議院議員を証人として当委員会に喚問することを要求いたしたいと思います。
 また、佐川事件に関しましては、現在証取法違反で逮捕されている状況であり、うわさされる政界とのかかわりは全く不透明であります。したがいまして、現在一番証人喚問したい方が司直の手にゆだねられている状況にかんがみまして、佐川清・佐川急便の会長を証人として喚問することを委員長にお取り計らい願いたいと思います。
 なお、当委員会は、前国会の予算委員会におきまして、宮澤総理自身のリクルート事件にかんがみましての服部恒雄元秘書、松本雅雄秘書、これも証人喚問を我が党はいたしました。これ、あわせて今予算委員会におきましても証人として真相解明のために喚問することを委員長においてお取り計らい願いますことを御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#334
○委員長(中村太郎君) ただいまの及川委員の御要請に対しましては、後刻理事会において慎重協議いたします。
#335
○及川順郎君 終わります。
#336
○委員長(中村太郎君) 以上で及川君の質疑は終了いたしました。(拍手)
#337
○委員長(中村太郎君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
#338
○上田耕一郎君 私は、ポスト冷戦と安保問題、金権政治の問題、それから国民生活の問題、三つの柱で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、総理にお伺いします。
 ソ連の解体で冷戦が終わったとしてアメリカは新世界秩序なるものをつくろうとしていますが、これは一体いかなるもので、日本はどういう役割を果たさなければならないと総理はお考えでしようか。
#339
○国務大臣(宮澤喜一君) 詳しくは外務大臣からお答えをいただきますけれども、私が考えております新しい世界秩序というのは、やはりこれから平和とそして民主主義、あるいは市場経済等々が中心になりますところの、いわばそれこそ平和の配当がおのおのに与えられ、また南北問題にも余計それが与えられるような、そのような新しい秩序がいわゆる冷戦後の時代に構築されるということを私は施政演説でも申し上げましたが、そのために我が国も貢献をいたしたいと考えております。
#340
○上田耕一郎君 そろそろ二十世紀が終わろうとしていますけれども、総理も言われましたが、二十世紀全体は平和、民族自決、民主主義、全体としてそれに向かう世紀だったと思うんです。それで帝国主義、覇権主義が破綻していった時代だと。ソ連の崩壊も、口先だけ社会主義でやることは帝国主義と同じ、アフガニスタンなんかそうなんですけれども、それの破綻だと私たちは思うんです。ところがアメリカは、ソ連の崩壊で唯一の軍事大国になったということで、逆にそういう危険な傾向を強めつつある、こう我々は懸念しています。ブッシュ大統領は一般教書の中で、朝鮮やベトナムのようなところで冷戦の勝利をもたらした人々のことが思い浮かぶと、ベトナム侵略戦争まで賛美し始めるということが起きています。総理はベトナム戦争、どうごらんになっていますか。
#341
○国務大臣(渡辺美智雄君) 第二次大戦が終わりまして世界はもう戦争やるまいということで私は国際連合というものが生まれたんだと。しかしながら、そこにはやはり思想の争いがあって、その結果共産主義というのが全世界的にはびこってきた。それを民族解放とかあるいは搾取された人民を救うという名目でソ連などが応援をする。そこにキューバの革命も起きる、朝鮮戦争も起きる、ベトナム戦争も起きた、そういうことだろうと、私はそう思っています。
#342
○上田耕一郎君 五十四万の大軍を派遣して大変な大破綻だったベトナム戦争まで、どうやら渡辺外務大臣は共産主義を抑えるためのいい戦争だったというふうにおとりのようで、これは徹底的に間違っているということを申し上げておきたい。ブッシュ大統領と同じ考えなんですね。
 外務省にお伺いします。
 ニューヨーク・タイムズの三月八日付がアメリカ国防総省の「国防計画指針」、これについて報道しました。今、犬反響が起きていますけれども、その内容を外務省つかんでいたら説明してください。
#343
○政府委員(佐藤行雄君) お答え申し上げます。
 ニューヨーク・タイムズに報じられました「国防計画指針」と言われますものは、ニューヨーク・タイムズ自身に書いてありましたように、一部の方から意図的に新聞に出されたリークだと言われております。かつ、その後の国防省のスポークスマン等の発言を見ておりますと、事務的なレベルの、次官補代理レベルという意見もあるようでありますが、事務レベルの草案であるということでございますし、ブッシュ大統領自身が自分の見ていないものにコメントすることはできないというようなことを記者会見で言っておられます。そういう性格のものでございますので、我々新聞で承知していること以上のことは承知しておりません。
#344
○上田耕一郎君 ここに全文ありますけれども、ウォルフォウイッツ国防総省の国防次官政策担当が筆者だというんですね。しかし、もう客観的に報道されて非常に大きな反響が始まっています。世界秩序をアメリカが支えるという態度で、もし国連の集団的行動ができない場合は独自でやるというんですね。ガリ国連事務総長はワシントン・ポストとのインタビューで懸念を表明したと。アメリカの地球的規模でのヘゲモニーという考え方が実際の政策につながると国連の終わりになる、国連事務総長がそういう態度表明をしているんですが、外務省は何の関心もないんですか。
#345
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今、北米局長から説明があったとおり、ブッシュ大統領もチェイニー国防長官もそこまで言っていない、ごく一部の人がそういうことを話したということだけれども、それはアメリカの大勢にならないと私は思っていますよ。
#346
○上田耕一郎君 そういう知らぬような顔をしていても、アメリカ・ブッュ政権国防総省のこういう方針は、日本にも直接の影響が及んでくるんです。ポスト冷戦といいながら、日本では安保体制は依然として強化されつつあります。
 それで、お聞きしますけれども、ソ連の脅威がなくなったのに、日本における米軍展開、これは軍事力行使の対象は一体どこなんですか。
#347
○国務大臣(宮下創平君) 我が国の国防の基本方針といたしまして、我が国は必要最小限度の自衛力を保持する。同時に、日米安保条約によりまして、我が国は専守防衛の立場でございますが、侵攻を受けた場合には米軍の来援を受ける。そして同時に、非核三原則によって米軍のこの存立が我が国に対する侵攻を防止する、こういう役割を依然として持ち続けておるわけでありまして、我が国の防衛力自体は、これは基盤的防衛力構想、たびたび申し上げておりますように、そういう立場から今の防衛体制、基本的な防衛政策を持っておるところでございます。
#348
○上田耕一郎君 まるで日本を守るために米軍が展開しているかのようですけれども、おととしのアメリカの国家安全保障戦略にははっきり書いてある。我々の軍事力を行使する対象にはソ連は含まれない、第三世界だとはっきり書いてあるんですよ。二千万のアジア人民を殺したこの日本で、日本軍国主義が、再びアジアの第三世界の国々に対して軍事力行使を対象とする米軍をこのまま置き続けると。私は許されないことだと思うんですね。日米安保条約は、私どもが前から主張しているように、もう終了、廃棄すべき、そういう歴史的時代が来ている。自民党はそのことに全く背を向けているということを指摘しておきたい。
 冷戦終了したんですから、やっぱり本当に日本の国際貢献というのは、文字どおり憲法前文、憲法九条を守った平和的貢献でなけりゃなりません。ところが、PKO法案など自衛隊の海外派兵、こういうものをいまだにねらっています。しかし、心ある、共産党だけじゃありませんよ、心あるアメリカ国民も憲法の平和的原則を非常に高く評価している。フルブライト元上院の外交委員長は、「私の履歴書」という本の中で、大国の日本が非武装、非軍事国家に徹する姿勢を守ってきたことは他に類例がない、世界史的に見て今日非常に意義が大きいと、そうまで書かれている。首相、フルブライトさん御存じだと思いますけれども、感想はいかがですか。
#349
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、頭の中でソ連はもう消滅した、軍事力はなくなったという。実際は消滅してないんですよ。西部にあったいろいろなバックファイアを初め、戦艦等も極東に来ているんです。極東が逆にふえちゃった。だから現実の問題として、ソ連の国内も残念ながらエリツィンさんの言ったようなことでしっかりと固まったというところまではなかなかいっていない、それが現実ですね。
 したがって、そう評論家のように、もうソ連が消えてなくなっちゃったんだからアメリカの軍隊は要らぬじゃないかというようなわけにはいかないんですよ。しばらく様子を見ながら我々やっていかなきゃ。ならないし、アメリカ一国で全世界の警察官になるといったって、そんなことは実際問題として、もう財政は赤字だ、軍事費はふやすわなんてできるわけがない。したがって、アメリカ自身も大いに軍事費を削減しようと、こういうことで議会等で決議がされているんでしょう。それは上田さん、よく勉強しているからおわかりのはずだと私は思いますがね。
 だから、これはもう多少時間ががかるかもしれませんが、方向としては世界的に軍縮を進めるという方向にある。また、それを育てていかなきゃならないと私は思っておるんです。しかし、短兵急にそういうわけにはいかない。殊にイラクのフセイン大統領が突如クウエートに侵入してくるということは予想しておったですか、だれも予想しないんですよ。ところが、残念ながらそういう国がほかにないとは言えない、私は外務大臣だから国名は申し上げませんがね。だから、そういうときにどう対処するのかということは、やはり全世界的な立場でこれは国連等でも検討していかなきゃならぬことであると私は思っています。
#350
○上田耕一郎君 どうも外務大臣は、依然としてソ連の脅威が日本の周りにもあるかのようなことなども、イランのことも含めながらおっしゃっていますけれども、この間の東京宣言では一前方展開なんていうことを初めて書き入れるという状況で、本当に日米安保体制はむしろ危険な方向に、PKOの法案に見るように地球的規模に拡大されつつある。双子の赤字で困っているアメリカは、金も人も日本にということでますます要望強くなってくる。このことに私は警告を発したいんです。
 二月に来日されたアメリカのオハイオ大学の名誉教授のオーバビーさん、かつて日本に寄ったとき、広島へ行かれて原爆資料館を見て本当にショックを受けて、湾岸戦争の中で、日本の憲法九条をアメリカを初め世界の憲法に生かすべきだというので、九条の会というのをオハイオ州でおつくりになっているんですよ。そういう方までいるのに、憲法の平和原則を踏みにじってPKO法案をまた今国会に提出する、私はこの法案の撤回を強く要求します。返事は要りません。世論は必ず三たびこういうものを粉砕するだろうと私は確信している。
 それで次に、昨年も取り上げましたシベリア抑留者の問題、もう一度取り上げたいのは、ことしの一月十七日に全抑協の斎藤六郎会長あてにロシア共和国から労働証明書がいよいよ出たんですね。ロシア共和国のこの問題のピホヤ委員長はこう言った、長い間人道的行為を怠ってきた我が国の怠慢を許してほしい、これを機会に日ソの友好が一層前進することを信ずると。斎藤会長が、どんなにこの日を待っていたか、ロシア政府の決断に心から感謝する。これからずうっと労働証明書が出始めるんですよ。
 そこでお聞きしたい。戦後、東南アジア諸国などでの連合国の捕虜になった日本兵士には、労働証明のカードに対して日本政府が支払っているんですね。その経過と予算措置、これを述べていただきたいと思います。
#351
○政府委員(寺村信行君) 終戦直後、外地からの引揚者が帰国されます際持ち込まれます通貨または有価証券等につきまして、当時のGHQの指示によりまして、一定の金額以上の持ち込み、または交換を認めないという取り扱いを行っておりました。
 具体的に申し上げますと、一般人は千円、それから将校が五百円、それから下士官、兵が二百円、こういう取り扱いでございました。しかしながら、御指摘の東南アジア地区、オーストラリア、ニュージーランドから引き揚げてこられました捕虜の方々に対しましては、捕虜期間中の収入金を立証する証明書を所持している場合には、この限度を超えて日本円と交換するという取り扱いを行っておりました。これは、日本政府が連合国にかわりまして支払いを行ったものと承知をいたしております。この実際の取り扱いは、当時、日本銀行の本支店等で行っておりまして、予算措置といたしましては、終戦直後から当初の間は日本銀行が立てかえ払いをいたしました。昭和二十一年度予算で日銀返償費として計上いたしております。その後のものにつきましては、厚生省の所管経費として計上されていると承知をいたしております。
#352
○上田耕一郎君 そういう経過があって、連合国軍の捕虜に対しては払ったんですね。ですから、裁判でも裁判長は国に対して、労働証明があれば補償に応ずるかと何度も法廷でただした経過がある。今度はいよいよロシアから労働証明が出るんですね。当然これは、h日本政府は連合国の捕虜と同じ態度で支払うべきだと思うんですね。差別する何らの理由もないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#353
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは正本政府が怒られるのでなくて、スターリンのやったソ連のやり方をしかってもらわなきゃ困るんですよ。話が道なんです、実際は。それは、中立条約が結ばれておるものを一方的に破棄をして攻め込んできて、罪とがのない日本人を拉致して、いいですか、六十万人も連れていって、それで六万人近い人を死に至らしめたことは事実なんですから、本来ならばこれは賠償要求をすべきところですよ。しかし、いろいろ法律上の共同宣言その他の問題があって、そのいきさつについては、法律上の問題は条約局長から説明させます。
#354
○政府委員(柳井俊二君) 先ほどお触れになりました南方からの帰還捕虜の問題につきましては、先ほど大蔵省の方から御答弁があったとおりの経過だと承知しております。
 この点につきまして、いわゆる捕虜の方々がシベリア等におきましていろいろな過酷な労働に従事された。そして、それに対する支払いの問題をどうするかという点につきまして、国際慣習法上これは捕虜の属する本国の方で払うべきではないかという考え方もございますが、私どもいろいろこの問題を勉強してみましたが、国際法上この捕虜の所属国である国、シベリアの抑留者に関しましては我が国ということになりますが、我が国がこの捕虜に対して労働賃金を支払うという義務があるというふうには考えられないという結論に達したわけでございます。
 このいわゆる労働証明書がどのようなものであるかということにつきましては、私の承知しております限りでは、ロシア側が捕虜になられた方々に対しまして賃金を帰国のときに支払うべきであったというようなことを証明しているというふうに承知しておりますが、ただいま申し上げましたように、捕虜の本国が支払うというような国際法上の原則はない。むしろ、この労働によって利益を得たのは抑留国の方でございますので、本来抑留国が支払うべきであり、この労働証明書でもそのような考え方が示されていると思います。抑留国の方が支払うべきであるという点につきましては、戦前の条約あるいは国際慣習という面からそのように言えると思います。
 ただ、日ソ間におきましては、御承知のとおり、五六年の三共同宣言におきまして相互に第二次大戦に起因する請求権を放棄しておりますので、国家間の問題としてはこのような請求を外交上持ち出すことはできないという状況でございます。
#355
○上田耕一郎君 渡辺外相、私たちはスターリン批判は人後に落ちないですよ。去年の一月に土屋前参議院議長と一緒にソ連へ行ったとき、私はソ連側に会うたびごとに、スターリンが日本国民とソ連国民の間に差し込んだとげが二つある、大きなとげが。一つは千島問題だ、一つはシベリア抑留だと、そう言ってきた。シベリア抑留では、ソ連側で反省が始まってこういうふうになってきた。条約局長はいろいろ言いましたけれども、去年やったように、これは従軍慰安婦問題と同じように、日本が戦後責任をきちんと果たしていないという問題の一環なんですよ。ドイツを初め、ソ連に捕虜になった人たちに、どれだけ国がちゃんとやっているか。だから、スターリンの批判はするけれども、日本として戦後処理、戦後責任を果たしていないということで我々はこの問題を取り上げて、重視しているということを申し上げておきます。
 次に、金権政治の御題に移ります。まず、宮澤さん、三点セット問題、これはやっぱり歴史的経過がありまして私も責任がある。
 臨時国会で宮澤さんは、私が、服部秘書がリクルート側と会った場所は宮澤事務所がと聞いたら、肯定されなかった。その後、調べました。どうやらリクルート側は小野敏広社長室次長で、場所は大蔵省の秘書官室だったようなんですが、どうですか。
#356
○国務大臣(宮澤喜一君) 前にお尋ねがありましたのですが、やはりあれは昭和六十一年でございますかのことでありますものですから、忙しく当人はしていまして、幾つかの事務所を持っていましたので、どこであったか明確でないようでございますが、その小野という人であったことは言われるとおりのようでございます。
#357
○上田耕一郎君 そのときリクルート側は、購入代金の支払い方法として、一つは融資する方法、もう一つは立てかえる方法、融資の場合はこの書類と言ってファーストファイナンスあての金銭消費貸借契約書を見せたんです。服部さんが、名前が残らない立てかえを選んだ。それで経過がわかった。いいですか。場所は恐らく秘書官室。
 三点セットと言いますが、売買約定書の署名は宮澤喜一、振り込み依頼人は松本秘書、売却代金受取人は服部秘書、三点セットどころか三人セットじゃないですか。宮澤事務所ぐるみであることはこれを見ても極めて明白なんですね。三人セットですよ。
 それで、結局真相解明は国政調査権に基づく証人喚問以外にないので、服部恒雄元秘書官、松本雅雄秘書の証人喚問を要請いたします。
#358
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、何遍も申しましたのでもう一度申し上げますけれども、今の消費貸借したか立てかえかということは、実は同じことでございますね。消費貸借しておりません。立てかえでをい証拠には、金を払っております。それで、それははっきりしていると思います。金の払い方は……
#359
○上田耕一郎君 十月十五日まで立てかえている。
#360
○国務大臣(宮澤喜一君) 金の払い方は、何度も申しました、銀行の資料にありますとおり、現金で払っておりますから、これは仮に私の事務所とおっしゃれば、それは口座間の送金をするのでございますから、わざわざ現金で払うというようなことはないと思っています。
 それから、名前が私が書いたんでないということは、これも写しを御提示申し上げてありますので、おわかりいただいておると思います。
 なお、これは私が自分でこの資料を、当時大蔵大臣を引責しました当時ございませんでしたものですから、事件の終結に伴いまして各方面の協力を得ましてお求めの三点セットを入手することができましたので、それで所信表明におきまして自分から誠意を持って御説明を申し上げますと申し上げまして、書類も御提示いたしましたし、前国会で何度がお尋ねにお答えをしてまいりました。これからもお尋ねがあれば幾らでもお答えをいたしまして、事実の解明に役立たせていただきたいと思っております。
#361
○上田耕一郎君 宮澤事務所がリクルートコスモスの株だけではなくて、もう明らかになっておるように、五千万円リクルートから別個に受け取っていたんですね。日本共産党として確認した政治資金規正法違反事件での服部元秘書の供述調書、これにはその五千万円の使途が詳しく述べられていますね。刑事局長、どういうふうに述べておりますか。
#362
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今の委員お尋ねの点については、法務当局からお答えすることはいたしかねるわけでございます。
#363
○上田耕一郎君 きのうの打ち合わせでは、私がそう言えば述べるというはずだったんだけれども、圧力がかかったようですから、しょうがないから私が読みます。
 「この五〇〇〇万円に他の金も足して二人で総裁選の裏工作資金として、自民党の代議士に配って回り全部使ってしまいました。」、総裁選の裏工作資金ですよ。「宏池会所属の代議士七・八人に一〇〇万円位ずつ、宏池会以外の派閥の代議士七・八人に二〇〇万から五〇〇万円位ずつ配りました」、そう述べています。
 刑事局長、共和疑獄でも、阿部文男元北海道開発庁長官のところに共和から五億円を超える資金が入って、その一部を総裁選の裏工作費に使った疑惑が指摘されていますが、この問題に関心をお持ちで、経過はどうだったですか、
#364
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 いわゆる共和事件をめぐる容疑につきましては、東京地方検察庁におきまして捜査を尽くしまして、いわゆる商社金融を仮装した詐欺等事件、それから阿部議員にかかる合計九千万円の受託贈収賄の事件、これについて公訴を提起したことは委員御案内のとおりでございます。
 今申し上げた公訴を提起した事件以外の点につきましては、犯罪の嫌疑ありとして訴追するに足るものは認められなかったという結論であったと承知しているわけでございます。したがいまして、起訴されなかった具体的事実関係についてお答え申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
#365
○上田耕一郎君 その態度が間違っているんですよ。つまり、代議士が代議士に総裁選挙の資金としてお金を渡せば、これは贈収賄罪になる、そういう可能性が、疑惑があるんですよ。
 私は七六年に、七二年の田中、福田の総裁選挙問題の法的問題を予算委員会で追及したことがあります。私の質問も役割を果たして、七八年に瀬戸山法務大臣が、自民党の総裁選挙と首相指名に当たって国会議員が金品をもって投票依頼した場合、刑法の贈収賄罪が成立するかどうか、これを法務省に検討させたんです。検討結果を述べてください。
#366
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 まず、具体的事実につきまして、今委員お尋ねの贈収賄罪をも含めまして犯罪が成立するかどうかということは、これは申し上げるまでもなく捜査当局が法律に定められた手続にのっとって証拠を収集いたしまして、その収集した証拠に基づいて事実を確定した上で初めて判断することができるわけでございます。したがいまして、法務当局から今のお尋ねの点につきまして責任あるお答えはいたしかねるわけでございます。
 ただ、一般論としてお答えできる範囲でお答えをさせていただきたいというふうに思うわけでございます。
 これはもう申し上げるまでもないわけでございますが、収賄罪あるいは受託収賄罪の構成要件は、公務員がその職務に関してわいろを収受した場合に収賄罪が成立するわけでございますし、また受託収賄罪の場合にはそれに請託が加わった場合に加重要件とされているわけでございます。
 一般的に政党の党首あるいは総裁を選出する行為というものは、本来これは党員としての党活動というふうに考えるべきものであろうと思うわけでございます。また他方、国会議員が国会におきまして内閣総理大臣の指名議決を行う行為、これは申すまでもなく議員としての公務というふうに考えられるわけでございます。したがいまして、後者、今、後で申しました国会議員の国会における内閣総理大臣の指名議決行為に関する趣旨で利益の授受がありました場合には、贈収賄罪の成立の余地は十分あり得るわけでございます。他方、政党の党首の選出行為に関する趣旨で利益の収受がありました場合には、これは贈収賄罪で問擬することは難しいであろうというふうに思うわけでございます。
 加えて申しますと、政党の党首の選出行為に関する趣旨と国会における内閣総理大臣の指名議決行為に関する趣旨をもあわせて利益の授受がありました場合には、これはもちろん贈収賄罪の成立する余地は十分あるでみろうというふうに思うわけでございます。
 委員がお尋ねになっておられますのは、その政党が国会において多数を占める場合の事例を想定して、委員既に御研究になっておられますところの都議会議長選挙に関する東京地裁の判決あるいは大館市議会議長選挙に関する最高裁の決定を踏まえてお尋ねになっておられるのではなかろうかと思うわけでございますので、その点をも含めてお答えを申し上げたいと思うわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、政党の党首を選出する行為について見ました場合に、党の総裁たる地位は、これは単に内閣総理大臣候補者たるにとどまるものではございませんで、党の内外を問わず、それ自体が政治的にもあるいは社会的にも重要な価値ある地位として認められている。そういうものである以上、その総裁の選出行為もそれなりに重要な意義を持つものであるというふうに考えられるわけでございます。逆に申しますと、党の総裁党首たる地位あるいは党活動の一環として行われるその選出行為というものは、国会議員による内閣総理大臣候補者の選出行為となっているとは必ずしも言えないというふうに認められるのではないか。この点につきまして、先ほどちょっと私触れました都議会議長選挙をめぐる東京地裁判決におきまして、都議会議長候補者選定に直接向けられた準備行為というような事例とは基本的には問題を異にするのではないかというふうに思うわけでございます。
 もう少し加えて申しますと、要するに党の総裁たる地位が実質的に意味を持って、その選出行為が党員としての党活動と認められる以上は、その決定がたとえ事実上国会における内閣総理大臣の指名に影響を及ぼすものであるといたしましても、これをもって公務員たる国会議員の公務そのものと評価することはできないというふうに言わざるを得ないのではないがというふうに思うわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、先ほど申しました都議会議長選挙に関する東京地裁判決の事例、あるいはこの事例におきましては、御理解をいただくために少し付加して申し上げますと、本件における議長候補者選出行為は議会で投票する候補者を選出するものであり、議会での投票という職務権限の行使に実質上しかも直接影響を与えるものであるという実体のある事案につきまして贈収賄罪の成立を肯定した事案であるというふうに思うわけでございまして、いずれにいたしましても、この都議会議長選挙をめぐる東京地裁判決の事例、あるいは先ほど申しました大館市議会議長選挙に関する最高裁決定の事例、それぞれの具体的事例の実体に即して贈収賄罪の成立を肯定した判断であるというふうに思うわけでございます。したがいまして、政党の党首選挙、総裁選挙と国会における内閣総理大臣の指名議決との関係について、このような判断が直ちには及ぶものではないのではないかというふうに考えるわけでございます。
#367
○上田耕一郎君 文書をお読みになったように、七八年の文書があるんですよ、公表されてないけれども。私、ちょっと聞いたときはわかりませんから、文書を提出していただきたいと思います。
#368
○政府委員(濱邦久君) お答えいたします。
 今、委員が文書とおっしゃられるのは、私どもの内部の解釈を検討した際のものをおっしゃっておられるのかと思いますけれども、これは内部の文書でございますので、国会に提出することは御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。
#369
○上田耕一郎君 しかし、これは日本国民全体にとっての大問題なんですよ。自民党の総裁選挙というのは、自民党が絶対多数である限り、まあ参議院は今違いますけれども、自動的に総理になるんですよ。だから、もし総裁選挙に金をまかれれば、これはそれで贈収賄になるんですよ、受託贈収賄、請託贈収賄。それだけの大問題なんだから。
 それで、今のかなり複雑なお話でわかりにくかったかもしれないけれども、簡単に言うと、おい、総裁に頼むと言って幾らか金品を渡す、そのときに首相の指名のときも頼むよと言わなければ大丈夫だと、そんなばかな話はないですよ。言わず語らずで、わかり切ったことじゃないですか。今の東京地裁の判決ではこう言っているんです、議員の職務権限自体とまで言えないにしても、極めて密接不可分の関係にあることはほとんど自明の理だと。総裁を選挙するときの行為というのは首相指名の行為と密接不可分だ、自明の理だと。皆さんおわかりですよ。それをああいう複雑な法律論で何が何だかわからなくしちゃう。
 宮澤さん、お笑いになっているけれども、もし阿部さんやあなたの秘書がああいうふうに裏工作資金で渡していたら、あなた自身に疑惑がかかるんですよ。日本の政治は一体どうなっているんだと。もし首相の座さえ金で左右されているとすれば、これは日本の議会制民主主義の大問題じゃありませんが。
 私は、共和問題について、阿部文男元北海道開発庁長官、森口五郎共和元副社長の証人喚問を真相解明のために要望したいと思います。
#370
○委員長(中村太郎君) ただいまの御要望につきましても、後刻理事会で検討いたします。
#371
○上田耕一郎君 次に、佐川急便問題に移ります。
 非常に巨額の資金が政界、暴力団に提供されたと言われておりまして、前代未聞の事件ではないかと言われている。自民党と行政、広域暴力団、大企業、その癒着がどういう恐るべき事態を生み出すかということだと思うんですね。この問題、大きく言って幾つか問題があると思う。
 一つは、御夫婦で始めた飛脚商売が三十数年間に日本第二の物流プロジェクトに急成長した、その過程でいろんな癒着があったのではないかという問題。二つ目は、日本共産党を除いた与野党、これはいろいろ報道がありますけれども、百数十人に渡ったのではないかと言われているんでしょう、巨額のお金が。大臣の任命や総裁選、これも出てくるんですよ。佐川急便が関係したという指摘まで出ている。深刻広範な問題が提起されているんですね。それから、巨額の債務保証、広域暴力団と政治家。しかも、これに金融機関、農林中金、都市銀行までかかわっていたとすると、こういう問題にもメスを入れなきゃならぬと思うんです。
 きょう私、その最初の第一回ですし、時間の許す範囲で幾つかの問題を質問したいと思います。
 第一に取り上げたい問題は、各府ごとのドライバー一人当たりの売上高、取り上げ高、これで給与を決めるという極めて特異な佐川急便の経営方式の問題、これがさまざまな違法行為やら脱税やらいろんな問題をやっぱり生み出している根源のように思われます。
 それで、国税庁、労働省、運輸省にそういう違法行為の問題等々、これまで問題になった点を簡潔に述べていただきたいと思います。
#372
○政府委員(冨沢宏君) 査察事件で刑事裁判となったものについてお答えをいたしますと、佐川急便グループのうち九州佐川急便株式会社について福岡国税局が、株式会社佐川急便について高松国税局、それから佐川急便株式会社及び大阪佐川急便株式会社について大阪国税局が、それから東京佐川急便株式会社につきましては東京国税局が、それぞれ法人税法違反の疑いによりまして、昭和五十二年、検察庁に告発をいたしております。
 告発をいたしました事件につきましては、その後裁判が行われまして有罪が確定をしておるところでございます。
 一般の調査につきましては、個別案件でございますので答弁を差し控えさせていただきます。
#373
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準監督機関といたしましては、佐川急便グループの所属事業場に対しまして主管店を中心に昭和六十年以降、四回の全周一斉監督を行っているところでございます。
 その結果でございますが、昭和六十二年は四十四事業場について監督指導を実施して、そのうち四十二事業場につきまして労働基準法等関係法令違反が認められたところでございます。平成元年は十八事業場につきまして監督三指導を実施し、そのうち十二事業場について労働基準法等関係法令違反が認められました。また、平成二年は十三事業場について監督指導を実施し、そのうち十事業場につきまして労働基準法等関係法令違反が認められました。
 これらの法違反の内容でございますけれども、主なるものは労働時間にかかわる問題、それから賃金台帳にかかわるもの、就業規則にかかわるもの等が多く認められた次第でございます。
 以上でございます。
#374
○政府委員(水田嘉憲君) 運輸省関係お答えいたします。
 佐川急便グループの貨物自動車運送事業の運営に関しまして、運送の安全確保の観点から監督指導を徹底する必要があるということで、昭和六十一年の十二月から六十二年の八月にかけましてグループ全体に対しまして特別監査を実施したわけでございます。さらに、平成元年の九月から同年の十二月にかけまして、いわゆる主管店を中心としました事業者十三社に対しまして特別監査を実施したわけでございます。その結果、道路運送法違反の事実が明らかとなった事業者に対しましては車両の停止処分等厳正な処分を行うとともに、違法行為の是正指導を行ったわけでございます。
 行政処分の具体的な内容でございますが、第一回目の処分につきましては、一社に対しまして事業の一部停止処分、七十七社に対しまして延べ五千七百二十五日車の車両使用停止処分、四社に対しまして警告処分を行ったわけでございます。さらに二回目の処分につきましては、十一社に対しまして延べ五百七十三日車の車両使用停止処分、二社に対しまして勧告等の処分をしたわけでございます。
 この処分に際しまして、違法行為の是正のための指導を行っているわけでございます。さらに、その後もグループ全体の事業運営面の問題であります賃金制度等につきまして所要の指導を行ってきておるところでございます。
#375
○上田耕一郎君 この佐川急便の問題は、五十九年に民社党の柄谷議員。それからその後、安恒議員七回、ほぼ五年にわたって国会でも大問題になっている。
 局長、それだけの処分を受けたトラック企業というのはほかにあるんですか。
#376
○政府委員(水田嘉憲君) ほかの企業体ではこんなに処分を受けた例はございません。
#377
○上田耕一郎君 ないんですよ。極めて異常な違法行為を重ねてきた企業なんですね。それが何で三十数年にこんなに大きくなったんだと。すると、やっぱり運輸省のこの指導監督にどうしても問題があったと思わざるを得ない。
 運輸省からいただくと、照会文書、私のところへ来たのが三通あります。指導した文書です。一番重視しているのは、例えば九〇年五月三十一日付の局長照会で、一人当たり取り上げ高制度の改善、最も重視していると書いてある。なぜこれを最も重視するんですか。
#378
○政府委員(水田嘉憲君) 先ほど御説明いたしましたが、二度にわたる特別監査を実施したわけでございます。それから先生今御指摘がございましたが、国会の審議があったわけでございます。そういう場で、グルーブ各社の過労運転の防止等の適正な運行管理を図っていくためには、このグループ全体の事業運営面の問題でございます賃金制度等についても改善を指導していく必要がある、その方がより効果的であろうというふうに考えまして所要の指導をしてきたわけでございます。
#379
○上田耕一郎君 一人当たり取り上げ高制度、どういうものか説明してください。
#380
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 それぞれ主管店ごとに全体の、取り上げ高とおっしゃっていますが売上高があるわけでございますが、それを運転手の数で割りまして一人当たりというものを計算する。それを踏まえてその支店に属する方々の賃金が決まるということでございます。
#381
○上田耕一郎君 とにかく佐川急便のドライバーの仕事というのは物すごいんですよ。一時、今若干週休二日なんかになっていますけれども、私がいろいろ聞いたんでは、午前六時から翌日の午前二時まで働き続けで、三、四時間寝でまた午前六時から働く。大体二、三カ月やると十キロから二十キロやせるそうですよ。つまり、一人で二人分働かしているんですよ。社会保険なんか一人分払えばいいからそうなるんですね。それで、一人当たりの取り上げ高、ドライバーの数で割るんですよ。百万円割ったら社長が首になったりするんですから人をふやせないんです、ドライバーの数をふやすと減っちゃうから。
 運輸省は、この現行制度が長時間労働を誘発する原因になっている、要員増もできない、だからこれが一番の問題だというので最も重視しているんですね。
 ところが、この六十年の六月末、佐川清会長の答弁、運輸省からもらいました。このことを一言も触れてなくて、減額はしないと。取り上げ高でもう給料下がるんですから、下げないと。ボーナス制度をつくるというだけの答弁。
 運輸省、その後この一人当たり取り上げ高問題の改善は行われたんですか。放置したままですか。
#382
○政府委員(水田嘉憲君) 先生御指摘のとおり、文書によりまして給与制度の改善をお願いしてきたわけでございます。中身としまして三つのことがあるわけでございます。これは当時参議院の運輸委員会におきましても御指摘がありまして、それを踏まえて私どもとしては会社側に要請をしたわけでございます。
 一つは、今先生がおっしゃいましたとおり、ドライバー一人当たりの売上高を基準として決定されるということが一つ問題である。それからグループがあるわけでございますが、グループの各社の自主的な判断で給与制度が決まってないんではないか、自主的な判断が給与制度に十分反映されてないんではないかという問題でございます。それから三つ目が、頻繁に改定される。上がったり下がったりするという意味で頻繁に改定される。この三つが問題であるという考え方で指導したわけでございます。
 そこで、こういう考え方をどうして我々が持ったかといいますと、ドライバー等が減給をされましたりあるいは昇給を期待するということで、売り上げの確保のみが優先して過労運転等の法令違反を生ぜしめる誘因ともなるおそれがあるということで改善を指導したわけでございます。
 これまでの指導によりましてどこまで改善されたかという御指摘でございますが、これにつきましては、まず給与の決定については、主管店社長会議で目安を決めまして各府の社長がこれを参考にして自主的に決定するということにしたわけでございます。
 それからもう一つは、給与のアップダウンがあるということでございますが、はっきり給与の減額は行わないということを会社側から回答をもらっているわけでございます。こういう面での改善が図られているということでございます。
 さらに、昨年の八月以降は、業績評価とか勤務評価によって定める部分を月々の給与から切り離して期末手当として別途支給する方向を目指すという考え方を示してもらったわけでございます。そして、ボーナス制度が現在導入されているとの報告を得たところでございます。
#383
○上田耕一郎君 基本は改善されていないんですよ。
 今裁判になっている東北の長江社長のケースだって、一人当たり取り上げ高百三十万円、これ実行できたが、できなかったと、これで首になっているんですからね。こういう労働強化で居眠り運転が出るんです。交通事故が多発するんです。
 私はある社長から話を聞いた。ドライバーに対する教育で一番重視するのは、事故を起こしたときに絶対居眠り運転と言うな、わき見運転と言えと。朝礼のときにも強調しているというんですね。それで、松山の元店長の濱田さんが「佐川急便を内部告発する」という本の中で、昭和六十二、三年には年間四十人くらいの死亡事故が起きていると聞いていると言うんです。ドライバーもかなり死ぬんですよ。その何倍かの死亡事故が起きるんです。だから、国民にとっても大問題なんですよ、交通事故がこういうことになってくるのは。最近は若干改善されてはいるようですけれどもね。
 私は運輸省にお伺いしたい。
 六社合併申請、これが問題になっていますね。きょうの新聞を見ると、三月二十一日の承認を六月上旬に延ばす、その際、金融支援の問題と同時にトラック運行面の安全管理問題、これも重視するという報道ですけれども、そういう方針ですか。
#384
○政府委員(水田嘉憲君) 佐川急便の合併案件の審査でございますが、これは事業許可の際の基準が準用されております。事業計画の適切性と事業遂行能力というものを見ることになっているわけでございます。
 今回の合併につきましては、ほぼ施設は従来持っていた施設を使うということでございまして、ハード面ももちろん審査する必要がありますが、どちらかというとソフト面の審査が非常に重要になっているというふうに私どもは思っております。具体的には、先生今御指摘のとおり、新会社の財務面の基礎がどうなっているかということを見る。もう一つは、社内の事業遂行のための運行管理等の体制がどうなるかというようなことも見ていく必要があると思っております。
 以上の問題につきまして基準に適合しているかどうか十分審査を行った上、合併案件の処理について結論を出したいというふうに思っております。具体的にいつ結論が出るかということについては、今の段階では申し上げかねるわけでございます。
#385
○上田耕一郎君 奥田さんにお伺いしたいんですが、私は佐川急便問題を取り上げているけれども、つぶしちゃっていいと言っているんじゃないんですよ。やっぱり大事な企業ですし、こういうひどい状態を直せと。これは交通事故の被害を受ける可能性のある国民の安全にとっても、また二万人の佐川の社員にとっても、まともでない企業からまともな企業にと。そういう点では合併の問題でも、やはり一人当たり取り上げ高という、これが佐川清さんの経営の命だったんだから、これをやめないと言ったんですよ。例えば渡辺さんなんか一時期月給二千六百万円です。佐川清さんは八千万円ですよ。とにかくそういう変わった会社をまともなものにする。
 だからこの合併審査は、単に借金をどうするかというだけじゃなくて、そういう立場で取り組むべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたい。
#386
○国務大臣(奥田敬和君) やはり二万人以上の従業員の立場を思うときに、まじめにやってきた人たちは痛恨の思いであろうと思います。したがって、正すべきは正すという形で、特に運行管理面、財務面も含めましてその適正な診断、審査のもとで、再建可能であればそういった形の決断もしなきゃいかぬときもこようかなと思っておる次第でございます。
#387
○上田耕一郎君 次に、運輸省の許認可問題、これをやっぱり解明しなければならないんですね。例えば積み合わせの認可とか増車の認可、きょうは時間が余りありませんので、増車それから車庫の認可だけ取り上げたい。
 お配りした運輸省からいただいた資料に増車それから車庫の数字が出ておりますけれども、運輸省、わかりやすくこの資料について説明してください。
#388
○政府委員(水田嘉憲君) 資料を先生の方にお出ししたわけでございますが、中身については増車の状況につきましての話でございます。
 増車につきまして佐川急便あるいは佐川急便グループの」数字が出ておるわけでございます。昭和五十五年度と平成元年度の比較で相当伸び率があるということになろうかと思います。その次のページが、増車の申請につきまして、申請と認可の車両数がそれぞれ各年度出ているわけでございます。それから次のページが、増車申請の年月日と認可の年月日につきまして六十一年ごろの数字が出ているわけでございます。それから、最後が車庫の面積でございます。これも申請の面積と認可の面積が出ておるわけでございます。
 先生の方から六十二年以前の数字も欲しいという話でございましたが、申請の関係の書類が、特に地方運輸局では文書の保存期間が三年ということになっておりまして、既になくなった部分があったということでこういう形で整理をして先生にお出ししたわけでございます。
#389
○上田耕一郎君 この資料の二、車両数、十年間に全国平均ですと一・四五倍なんです、車のふえ方は。佐川は何と十年間で四倍になっている。こんなに問題の多い会社になぜ四倍も認可したんですか。
#390
○政府委員(水田嘉憲君) トラック運送事業の増車の申請を運輸省がどう処理しておるかということから御説明した方がいいかと思います。
 昭和四十五年六月十五日付の当時の自動車局長通達によりまして増車の処理が決まっているわけでございますが、内容は、車庫の収容能力が不足している場合を除き直ちに認可することといたしているわけでございます。さらに六十三年四月七日付の貨物流通局長の通達によりまして、行政処分終了後一定期間が経過してから認可することといたしているわけでございます。したがいまして、増車の事案につきましては、これらの基準に基づきまして処理しているわけでございます。
 佐川急便グループが特に有利だとか、ほかのところが特に有利だとか、そういう区別はなしに適切に処理してきているというふうに理解をいたしております。
#391
○上田耕一郎君 しかし、どうしてもおかしい。
 三ページを見てください。これは六十一年度、六十二年度、物すごくふえているんです。五十年代の後半は三百台前後ですよ。五十九年度五百二十台。一挙にふえて六十二年度千三百三十三台。一挙に認可されるんですね。六十二年度がふえている。東京を見てください。二百六台から七百五十七台、三・七倍です、特に東京は。なぜこんなになるんだろう。
 その次の四ページを見てください。特に東京佐川急便、六十二年四月六日に認可でしょう。これは四十五日間使用停止処分のわずか一週間後なんですよ。使用停止処分を受けておいて一週間後にはもう早くも増車の認可。東京は六十二年には何と十回も増車認可を受けている。ところが、六十二年に増車になるけれども、今の局長の話だと、その前に車庫の認可があるというんです。
 車庫の資料を要望したのが五番目です。これは六十一年度、北海道、大阪の数字しかありませんけれども、大阪を見ても北海道を見ても六十一年度の車庫認可、これがやっぱりどんとふえるんです。だから、六十二年度に今度は増車認可がどかんとふえるんです。私もいろんな証言を得たんだが、証言だけではあれだからこういう数字を出しています。
 運輸省に、六十年、六十一年、六十二年の運輸大臣ばどなただったかをお伺いしたい。
#392
○政府委員(水田嘉憲君) お答えいたします。
 五十九年の十一月から六十年の十二月までが山下運輸大臣でございます。それから六十年十二月から六十一年七月までが三塚運輸大臣でございます。六十一年七月から六十二年十一月までが橋本運輸大臣でございます。六十二年十一月から六十三年十二月までが石原運輸大臣でございます。
#393
○上田耕一郎君 私は、何も運輸大臣だけの責任といってこう言ったんじゃなくて、この時代の運輸省の問題、もう既に監査の日の事前通知、資料の漏えい、これは奥田さんも認めているんですね。何かやっぱり問題があったんじゃないか。こうやって疑惑が提起されている以上、政府として、運輸行政と佐川急便との何らかの癒着の問題があったのではないかという点を厳正に調査して、国会に報告していただきたい。これは運輸大臣と総理にお答えをいただきたい。
#394
○国務大臣(奥田敬和君) 今、局長からお話し申し上げましたように、車庫を完備しておる形においての増車認可という形の中で、私も昨年十一月に運輸大臣を拝命以来、報道で問題になっておる箇所については相当担当局にきつくただしました。ですけれども、適正というかある程度法の中できちっと処理されておるという実態の報告を受けましたので、その点は了承したわけでございますけれども、なお委員御指摘のようなそういった行政の面で誤りがあったかどうかについては、一応もう一度調べてみたいと思います。
#395
○上田耕一郎君 首相。
#396
○国務大臣(宮澤喜一君) 運輸大臣の言われたようにいたします。
#397
○上田耕一郎君 これだけ大問題になっておりますので、ひとつ厳正に調査をして国会に報告していただきたいと思います。
 第三の問題。これは閣僚席にいらっしゃる方を含めて社内報の「飛脚」、それからビデオの「ふれあい」、こういうものに三十三名の議員の名前が出ているんですね。それで、私はやっぱり閣僚の発言を求めたいんです。政治倫理綱領には、議員の義務についてこう書かれておる。「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」。私は、きょう何も新聞記事で全部答えろということじゃないんだけれども、やっぱり閣僚は、そうやって提起されている以上、述べてほしい。
 そして、佐川清会長はTBSのインタビューで、政治家の秘書二百八十人、そう言われておるんですよ、給料を出していると。会長自身が言われたんだから。耳を疑うような数なので、秘書の給料を佐川急便に負担させていなかったかどうかについても閣僚の方は明らかにしていただきたい。
 まず、渡辺副総理、赤坂エザンスでの問題などがありますが、お願いします。述べてください。秘書の給料問題。
#398
○国務大臣(渡辺美智雄君) 秘書の給料は受けておりません。
#399
○上田耕一郎君 赤坂エザンスのあの会合は何ですか。
#400
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは赤旗に書いたやつですね。一九八五年というんだから今から七年前ですかね。
 これは、私の仲間で代議士に出たいという新潟県の人がおりまして、それで佐川清さんが京都から来ているので、いろいろお世話になっておるからひとつぜひあいさつをしてくれませんかというので頼まれてここへ行ったことは事実なんです。ところが、たまたまそこには、ここに書いてあるように、政治評論家の細川さんとかその他の方がおった、これも事実。それだけのことですね。あとは何もありませんから。
#401
○上田耕一郎君 渡辺秀央郵政相。
#402
○国務大臣(渡辺秀央君) 秘書の給料を肩がわりしていただいたことはございません。
#403
○上田耕一郎君 世界平和研究所。
 秘書の給料だけでなくて、御自分のかがわりがあったことについて、は述べてほしい。
#404
○国務大臣(渡辺秀央君) 財団法人世界平和研究所の設立の際に、同研究所の正規の指定寄附行為の寄附をお願いするために東京佐川にお伺いしたことはございます。
#405
○上田耕一郎君 山下厚生大臣、ベンツを借りた問題などもお答えいただきたい。
#406
○国務大臣(山下徳夫君) 秘書の給料を出してもらったことは一度もありません。
 ベンツにつきましては、今からもう何年前でしょうか、大分前ですね。これは交換ですよ、私の持っていたセンチュリーと向こうのベンツと。大体、値段からいえば僕の方が少しよかったかもしれない。ですから、持っていって、わずか三月の間とにかく交代して乗ったというだけの話でございますよ。
#407
○上田耕一郎君 近藤労働大臣、勉強会出席の問題など報道されていますが。
#408
○国務大臣(近藤鉄雄君) 佐川清という人は全く面識がありません。それで、東京佐川の渡辺という人はある会合で、もう数年前ですが、会ったことがあります。以上です。
#409
○上田耕一郎君 奥田運輸大臣。
#410
○国務大臣(奥田敬和君) 金沢に北陸佐川の本店がございます。私は、この事件が報道される前まで、いわゆる佐川という会社のそういった労務運営の状態も知りませんでしたけれども、大変超優良企業だという印象を持っておりました。そして、日時は定かではありませんけれども、北陸佐川の新年会に出席をしまして、その盛大さと規律正しさに何かびっくりした印象を今でも思い出すことができます。
 金銭面においては、政治家として身に恥ずるところはございません。
#411
○上田耕一郎君 昨年、北陸佐川急便の本社屋増築その他の工事で三億二千四百万円を請け負った治山社という建設会社と奥田大臣との関係をお伺いします。
#412
○国務大臣(奥田敬和君) 治山社というのは、私の実弟が経営しておる、県下全域を主として営業範囲にしているゼネコンの業者でございます。
 もっと詳しく言えば、昭和二十八年に父親が創業した会社でございましたけれども、非常に危機の状態に陥りまして、昭和三十三年から一私がまだ三十歳のころですけれども、昭和三十三年から四十五年まで約十二年間にわたり会社社長をやったという経緯のある会社でございます。
#413
○上田耕一郎君 昨年の資産公開で公表されていますが、今でも筆頭株主でしょう。
#414
○国務大臣(奥田敬和君) 今話したような経緯の中で、売ることもできない株ですから持っております。
#415
○上田耕一郎君 奥田さんは、昭和五十八年の北陸佐川急便の完成祝賀の祝辞の中でオーナーには初めてお会いしたと書かれていますが、その後、佐川清さんの京都のお屋敷に行かれたことはありませんか。
#416
○国務大臣(奥田敬和君) ちょうど亡くなられました参議院の河本嘉久蔵先生のおうちの隣でございまして、河本嘉久蔵先生が入閣でお祝い会を京都でやられたときに私も呼ばれまして、そして隣が佐川さんだということで一回顔を出した経緯はございます。
#417
○上田耕一郎君 奥田さんは東京佐川急便の渡辺元社長とも面識があるのではないでしょうか。
 昭和五十八年から料亭福田家で、元自民党代議士の中尾宏氏が世話人で勉強会が開かれています。第一回目が佐川会長、二回目以後は東京の渡辺さんがずっと出席している。奥田さんは出席していませんか。
#418
○国務大臣(奥田敬和君) 面識はございます。そして、料亭は定かではございませんけれども、不特定多数の同僚代議士と会食をした経験もございます。
#419
○上田耕一郎君 奥田さんは超優良会社だと言われましたけれども、この佐川清さんの家屋敷にも行っている。勉強会にも出席されている。明敏な奥田さんとしては余りに不用意だ。あれを超優良だと。あれだけの問題を起こしている企業ですよ。
 秘書の給料は北陸佐川急便に支払っていただいたことはありませんか。
#420
○国務大臣(奥田敬和君) 私は、地元事務所に関しては全く弟に全面的に任せて、選挙区にもろくに帰らないような政治活動をずっと続けてまいりましたので、その点については全くないと思っております。
#421
○上田耕一郎君 治山社の社長をやっている弟さんに金沢事務所を任せているというお話なんですね。
 私ども調査しました。中西利雄さんという秘書がいらっしゃいました。去年市会議員になられました。中西利雄さんが昭和六十三年から平成二年まで二年五カ月間、北陸佐川急便から給与を出されています。これは私ども資料も確認しました。
 自治省、こういう秘書の給与を企業に受け持ってもらった場合、どういう扱いになりますか。
#422
○政府委員(吉田弘正君) 個々具体の事実関係は私どもよく承知しておりませんので、具体の御質問に即してお答えすることはできないわけですが、一般論として申し上げますと、政治活動に関する寄附のうちには、金銭によるものに限らず職員の派遣等労務の無償提供などによるものがあるとされております。が、具体の事例につきましては、それぞれの事実関係によって寄附であるか否かを判断する必要があるということでございます。
 従来から、例えば企業等が研修や訓練のために職員を派遣しているような場合には、必ずしも寄附とは言えないと言ってきたわけでございます。あくまで個々具体の事実に即して寄附に該当するかどうかを判断すべきものであると考えております。
#423
○上田耕一郎君 中西さんは、去年市会議員におなりになったように、何も北陸佐川から派遣されているんじゃないんですよ。
 奥田さん、どうです。中西さんが北陸佐川急便から給与をもらっていたと、二年五カ月。だとしたら、これはやっぱり寄附として政治資金規正法に基づいて届け出が必要になる。それこそあなたは今責任のある運輸大臣ですよ。どうお考えになりますか、この事実について。
#424
○国務大臣(奥田敬和君) 中西という私設秘書がおったことは事実でございますし、昨年の選挙で金沢市議会選挙に立候補いたしまして当選したことも事実でございます。しかし、二年何カ月余にわたって佐川から給与をいただいたということは実は私は初耳です。ということは、中西も五年余いますけれども、弟の会社からの出向形態という形の扱いになってきておったことは事実でございます。したがって、どういう経緯でそうなったのかは調べてみます。
 もしその内容において先生の御指摘されたことが事実であれば、当然届け出をしてきっちりと責任をとる形をとります。
#425
○上田耕一郎君 宮澤さん、私は奥田さんの善意は疑わないつもりでいますけれども、客観的事実としては佐川急便との関係がやっぱり深い方ですね。そういう方がこの問題を扱うのは適当だと首相として思いますか。
#426
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のお話では、私は別に何ということもない、特におっしゃるようなことに私は思いませんが、どの点を言われるのでしょうか。
#427
○上田耕一郎君 何が起きてもああいう答弁する首相ですから、それであなたは顔が見えないと言われるのですよ。これだけ私がずっと追及して、これだけ大問題になっているのに何が問題か全然お感じにならない。今度はもうあなたの首相の資格もううんというふうに考えちゃうんですよ。
 異常な債務保証行為の問題がありますが、もう時間がございません。
 警察庁にただ一つ聞いておきたいのは、警察庁は佐川グループと暴力団とのかかわりをどう認識しておられるのか、どうすることが必要だとお考えになっているのか述べていただきたい。
#428
○政府委員(國松孝次君) 現在、警察において佐川急便関係で捜査をいたしておりますのは、警視庁において行っております東京佐川急便の前社長と前常務らがその任務に背き北東開発株式会社という会社に対しまして約百十億円の不正貸し付けを行ったという商法違反事件が一つでございます。それからもう一つは、福岡県警察において行っております佐川急便会長らによる土地売買をめぐる公正証書原本不実記載容疑事件の二つでございます。
 そして、この東京佐川急便の貸し付け先として登場してまいります北東開発という会社は、暴力団稲川会と関係の深い会社と私ども判断をいたしておりますし、また福岡の事件における土地の譲渡先というのは同じく暴力団会津小鉄会系の会社であるなど、佐川急便と暴力団との関係につきましては今後の捜査の過程で解明を進めるべき点があると考えております。
#429
○上田耕一郎君 問題は非常に大きくて、議会制民主主義のあり方、国民生活それから交通安全の命にかかわる問題でもある。
 私は、リクルート、共和、佐川とこうなってきますと、金権腐敗の根を断つためには企業献金の禁止、団体献金の禁止、これは選挙制度審議会でさえかつて主張をしていたんです。これをいよいよ実行すべき時期に来ていると思うんです。
 これは日本共産党は前から主張しているだけじゃなくて、我々は大企業からも一銭ももらいませんよ。向こうも余りくれる気しないようですけれども。我々は労働組合からももらっていないんですよ。主張するだけじゃなくて、実際に企業献金、団体献金、我々はもらってないんです。党への寄附ど党費と赤旗その他の購読料などで活動しているんですから。これは、自分の党の政策、見方を国民に知っていただいてそれを党活動の資金にしているというのは最も近代的な政党のあり方ですよ。私は、各政党もやっぱりそういう方向に、いつも共産党を除く除く言っているばかりが能じゃないでしょう、踏み切るべきだと。
 首相どうです、この企業献金禁止。アメリカはとっくにやっているんですから、あなたが尊敬するアメリカも。踏み切るべきだと思う。
#430
○国務大臣(宮澤喜一君) それは以前にも申し上げたことなのですけれども、企業も一つの社会的な存在でございますから、そういう活動をしてはいけないということは私は言えないであろうと思います。ただ、企業は個人でありません、株主もおることでございますから、その限度というのにはおのずからやっぱり節度がなければならないだろう、そういう常識の範囲というものは私はあると思います。
#431
○上田耕一郎君 企業は投票権なんか持っていませんからね。これは主権者は国民なんですよ。一人一人の個人が政治やっているんですから、責任持って。
 委員長に、疑惑解明のために、佐川清・佐川急便会長、佐川会長のところには各主管店から五十万円以上のすべての裏献金もすべて報告が行っているという話です。やっぱり佐川さんを呼べば全貌がわかると私は思います。渡辺広康東京佐川急便の前社長、早乙女潤前常務、松沢泰生平和堂不動産社長の四人の証人喚問を要求いたします。
#432
○委員長(中村太郎君) ただいまの御要請に対しましては、これも理事会において検討してみます。
#433
○上田耕一郎君 次に、最後のテーマとして国民生活の問題に移りたいと思います。
 日本の資本主義のあり方も、今、国際的国内的批判の対象になっています。
 昨年十一月、首相の諮問機関の国民生活審議会の基本政策委員会が「個人生活優先社会をめざして」という中間報告を発表しました。企業中心社会、これから人間を大事にする社会へ変わらなきゃならぬということを国民生活審議会も主張し始めている。ソニーの盛田会長の論文が非常に大きな反響を呼んでいることも御存じです。
 私はきょう、長時間労働、特にその長時間労働に加わるサービス残業の問題を取り上げたい。サービス残業というのはただ働きなんで、だから労働時間に統計上出てこないん。ですよ、隠れちゃって。欧米諸国と比べて二百時間から五百時間多いという日本の長時間労働は、サービス残業を加えるともっと多いという大変なことになるんですね。しかも、何で日本人はただで残業するんだ、死ぬまで働くんだと、外国人わからぬらしいですね。いつまでも残業というと、何かガードマンがドアに構えていて帰れないのかということを外人記者が聞いたというんですけれども、非常に異常なんですね。
 労働省、欧米諸国では見られないこういうサース残業の実態をどう把握していますか。
#434
○政府委員(佐藤勝美君) いわゆるサービス残業といいますのは、終業時刻後に行われるものもあればあるいは朝ということもあるんでしょうけれども、一般的に使用者が明示または黙示の指示によって労働者を時間外に従事させながらその正確な時間外労働時間を把握しようとしない。また、労働者が時間外労働時間に対する賃金の請求を行うことができにくい環境をつくることによって時間外労働に対する賃金が支払われないものというふうに理解をしておるわけですが、ただ、私どもが労働時間の数字としてふだん用いております毎月勤労統計調査におきましては、賃金支払いの対象となったかどうかを問わず、実際に働いた時間を記入する、こういうことにしておるわけでございますから、その限りでは今申し上げましたようなものも把握をされているはずでございます。しかしながら、サービス残業と言われているような実態がある。これは監督をした場合に割り増し賃金が払われていないという事例が実際にあるわけでございますが、毎月勤労統計調査の問題とは別にサービス残業ということだけをとらえて、これが統計的量的にどのくらいあるかということはその性質上非常に把握することは難しいものというふうに考えております。
#435
○上田耕一郎君 ここに東京労連準備会による一万八千名の生活実態調査報告があるんですけれども、これによると調査結果は、「タダ働きプラス一部タダ働き」、金融・保険六〇%、運輸・通信四一%、公務員三六・五%、公務員もあるんですよ。建設業二九・八%となっていますね。非常に広い。これは一橋大学の教授の調査また労働省の調査で、私どもの赤旗が試算しましたら、ただ働き、払わない賃金の総額は二兆円から十兆円に達するだろう、そういう数字さえ出ているんですからね。
 私は、去年の六月二十六日に決算委員会で、銀行のただ働き問題を取り上げたんですが、ここも銀行もやっぱり一番ひどいんです。百時間残業していても、もう予算が決まっていて、男子工員は二十時間以内とか女子行員は十時間以内というので申告できないわけですよ。
 労働基準監督署が昨年調査をされた銀行くの立入調査結果、報告してほしい。
#436
○政府委員(佐藤勝美君) 今言われました監督は、東京労働基準局におきまして平成三年度、具体的には昨年でございますけれども、金融機関を監督指導の対象といたしまして都内の金融機関十二行八十店に対しまして、通常の監督指導の一環として臨検監督を実施したものでございます。この結果、臨検監督を実施した八十事業場のうち五十四事業場におきまして、労働基準法、労働安全衛生法に関して何らかの違反が認められたわけでございます。
 違反の内訳を見ますと、労働時間に関する違反がニハ%、時間外労働の割り増し賃金に関する違反が三五%、就業規則の届けに関する違反が一五%等となっているわけでございます。
 これらの法違反につきましては、速やかに是正するよう勧告を行ったところであり、私どもとしては当該勧告に基づき是正がなされるものと考えております。
#437
○上田耕一郎君 これ残業代払わないのは労働基準法違反で六カ月以下の禁錮ですから企業犯罪だと言わざるを得ない。銀行はこういうことで、今ある程度この問題と取り組み始めています。
 ところが、その後調査しますと、結局銀行は早朝出勤を今度は言い出して、早く帰れ、うちで仕事をしろと、いわゆるふろしき残業ですよ。ふろしきに包んでうちへ持って帰るんですよ。ここに、ある銀行の、富士銀行です、「顧客情報持出し承認簿」というのがある、これに書いて届け出て、持って帰るんですよ、うちへ。やっぱりこういうことが起きている。
 労働省、この早朝出勤と持ち帰りふろしき残業、これについて調査すべきではありませんか。
#438
○政府委員(佐藤勝美君) 一般的に労働基準法等の労働関係の法令違反、労働基準行政が所管しているものにつきましては、それぞれ重点的、効率的に監督対象を選びましてやるわけでございます。その中で法違反を見つけた場合にはこれは的確な措置をとるということでやっておるわけでございます。
 今言われました早朝出勤というものにつきましても、これが使用者の指揮命令によって行われているということであればこれは当然労働時間でございます。それから、ふろしき残業というものにつきましては、これは持ち帰ってやるということで、そこが実際に労働時間に当たるかどうかということの事実を判断するのが大変難しい問題であろうかと思いますけれども、仮に法違反であるということが把握できた場合には、それに応じた処置をするということになると思います。
#439
○上田耕一郎君 この問題で最後に総理にお伺いしたい。
 一つは、やっぱり公正な国際的競争のためにも、全産業、全官庁でサービス残業をなくす決意をお伺いしたい。これが一つ。
 二番目に、その際大事なことは、労働者がただでもとにかく残業をしたいということになるのは、やっぱり賃金が低いから所得をふやしたいというのでやるわけでしょう。そうなると、残業の割り増し率ですね、これの問題が起きてくる。労基法三十七条の二五%という割り増し率は、占領時代に、四十五年前に決まったんだが、当時もうGHQ内にも五〇%にすべきだという強い主張があったというんです。この際、欧米並みの五〇%に引き上げることが時間短縮のためにも効果的だと思いますけれども、割り増し賃金の二五%から五〇%の引き上げ、その時期に来ているんじゃないか。
 この二点について総理の見解をお伺いしたいと思います。
#440
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるサービス残業の話は、私も時々耳にいたします。ですから、やはり直さなきゃいけません。急に全部が直せるがどうかということはありますけれども、やっぱり直していかなきゃいけませんし、そういうどうしてもしなきゃ。ならない残業の対価というものは正当に評価されなきゃならない、そう思います。
#441
○上田耕一郎君 次に、税金問題を取り上げたいと思います。
 きょうは日本資本主義のおくれの問題をずっと挙げてきましたが、納税者の権利、これが確立されていないこともやっぱり日本資本主義のおくれた面の一つだと思うんですね。欧米で七〇年代、八〇年代に制定された納税者憲章、納税者権利宣言などについて、外務省から説明していただきたい。
#442
○政府委員(濱本英輔君) 主税局長から御答弁をさせていただきます。
 欧米諸国におきます納税者の権利と義務の現状につきまして、一九九〇年のOE・CDの報告書、「納税者の権利と義務」と題しておりますけれども、OECD加盟国の制度の概要をまとめたものでございますが、この中に御指摘の点がまとめられてございまして、この報告を見ますと、納税者憲章に類する文書を有します国は、OECD二十二カ国中五カ国でございまして、他の国では納税者の権利は法令で規定されております。
 納税者憲章に類します文書としましては、一九八五年にカナダで、以後イギリス、フランス、アメリカにおいて制定されたとございまして、カナダ、イギリスの納税者憲章におきましては、課税当局と納税者の関係に関する原則をいわば一般的な声明で記しておる。また、フランス、アメリカの納税者憲章におきましては、賦課手続の段階における納税者の権利を文書で明らかにしております。
 なお、制定後若干の改正もございまして、カナダにおきましては一九八九年に、例えば英語、仏語、両方でサービスを受ける権利が追加されるとか、イギリスにおきましても文書をより明確にするというような改正が行われております。
 以上でございます。
#443
○上田耕一郎君 アメリカ、カナダでどうしてこういうものが制定されたか、経過がわかったら説明してください。
#444
○政府委員(濱本英輔君) アメリカ、カナダでどうしてこういうものが制定されたか詳しい経過というものは存じておりません。ただ、こういった納税者の権利、義務というものを明確に位置づけるべきだという議論がそれらの国において従来から存在しておったことは伺っております。
#445
○上田耕一郎君 全国商工団体連合会がカナダ、アメリカヘ調査団を派遣しまして、日本共産党の木島日出夫代議士も一緒に行ったんですが、やっぱりアメリカなんかでもひどいことがあったんですな。それで、破産する人も出て、上院で小委員会を設置して公聴会をやったんですね。それで大問題になって、アメリカでもそういう納税者の権利を定めるということになったんです。
 それで、アメリカでもひどいと言ったが、日本はやっぱり非常にひどいと思うんですね。特に八〇年代後半、臨調行革が始まり、売上税、消費税、大型間接税、軍備拡張のためそういう徴税攻勢が非常に激しくなった。プライバシーの侵害が頻発しています。立合人を認めない強権的調査、直ちに反面調査をやって、勝手きわまりない推計課税で更正処分、こういうふうに荒れ狂っているんですよ。税理士連盟との懇談でも、この三年間に税理士もこの問題を最大の問題として政党との懇談会で提起しているぐらいなんですね。全国と東京についてこの十年間、青色申告取り消し、不服審査請求数、どうふえてきたか説明してください。資料に入れでありますが。
#446
○政府委員(冨沢宏君) 先生から御配付いただいた資料、私どもの方から差し上げたものでございますが、これでよろしゅうございましょうか。これは私どもの方から差し上げた資料だと思いますが、大体こういう経過になっておると承知しております。
#447
○上田耕一郎君 自分に不利なことは説明も嫌だという態度なんですね。いいですか、これは大蔵省からもらったんですよ。青色申告取り消し件数、昭和六十一年金国で百十件が九〇年には三百二十六件ですよ、三倍ですよ。不服審査請求申し立て件数、八六年千四百八十六件が九〇年には二千九百十一件、約二倍になっているんですね。これは全国の数字、大蔵省の数字なんだから。特に東京はひどいです。東京局の数字があるでしょう、資料六です。例えば審査請求が六十二年二百八十九件です。平成元年は千四百二十三件ですよ。それだけ不服審査要求が物すごいことになっているんです。青色申告取り消しも、東京のは出てこなかったんだけれども、とにかくぷっかけておいて青色申告、そういう特典をおまえら認めないぞというのでやるんですから。裁判でこれは税務署側が負けた例ももう既に出ているんですね。これは戦後、新憲法のもとで自主申告制度になったんだから、これを踏みにじったやり方で私は許せないと思うんですね。
 国税庁にお伺いする。あなた方は民商などの民主的組織を納税非協力団体として差別的扱いをしているんじゃありませんか。
#448
○政府委員(冨沢宏君) 税務行政は、本来適正な課税の実現ということを目的といたしまして、公平に執行されるものでございまして、特定の団体に対して先入観念を持って行うべきでないというのが国税庁の基本的な考え方でございます。したがって、どのような団体に対しましても、国税庁といたしましては中立の立場で税務行政を行っているところでございます。
#449
○上田耕一郎君 全く国会で虚偽の答弁をすることは許せない。資料の十、十二を見てください。これは国税庁の文書ですよ。これに納税非協力者団体、明確に書いてある。協力団体と区別して、一切事前通知は行わない、立ち合いも認めない、こういう態度をとっているんですよ。昭和六十一事務年度の留意事項では立ち合いの排除、反面調査の早期着手ということを始めているんですね。やっぱり、だから僕は国税庁は本当に、納税者の権利を認めるどころか、頭からまともに権利を主張する団体を非協力団体と称してめちゃくちゃなことをやっている。民商だけじゃありませんよ。こういうところに参加していない国民に対しても恐るべきプライバシーの侵害などが起きているんです。
 私、ここで特に主張したいのは、欧米諸国並みに納税者憲章、納税者の権利ですね、調査にはちゃんと事前に通知する。立合人を認める権利。アメリカはちゃんと録音の権利までやっているんですよ。税務署とのやりとりを録音する権利まで認めている。日本共産党は、先ほど、政党として初めて納税者憲章案を発表しました、私、記者会」見をいたしましたけれども。宮澤さん、どうです、あなた、欧米諸国並みにということをよく言われるんだけれども、やっぱり納税者の権利を守る憲章を、アメリカ、イギリス、フランス、カナダのような方向に、納税者が日本を支えているんだから、出すべきだとお考えになりませんか。
#450
○委員長(中村太郎君) 簡潔に願います。
#451
○国務大臣(羽田孜君) ただいま主税局長の方からお答えいたしましたように、確かにヨーロッパ、アメリカには憲章があることは私どもも承知いたしております。ただ、OECDの方の報告によりますと、納税者憲章等を有しない国においても納税者の権利は同様に尊重されており、事実上これらの憲章等で規定されている権利と同様な権利を有しているということでございまして、確かに個々に、今御指摘があったわけでありますけれども、私どもといたしましては、今日までも納税者の権利というものを守りながら、執行に適正を持ちながら進めてきておる。もちろん個々にはいろんな問題というのはあるんだと思いますけれども、基本的には紙税者の権利というのは守られておるということでございまして、納税者憲章というものを改めて持たなくても私どもは対応することができるであろうというふうに思っております。
 それから、先ほどあれが何か、テープレコiダーですか、こういったものなんかもアメリカはとれるんだよというお話もありました。実は、木島先生からその本もいただいて私ども勉強させていただきましたけれども、ただその場合には、いわゆる調査に行きました者に対して、こういうテープをとりますけれどもよろしゅうございましょうかという、たしか許可をとるというようなこともあるんじゃなかろうかというふうに思っております。
#452
○上田耕一郎君 総理、要望しているんだから。
#453
○委員長(中村太郎君) 宮澤総理、一言だけ願います。
#454
○国務大臣(宮澤喜一君) 大蔵大臣から申し上げたとおりでございます。
#455
○上田耕一郎君 それでは終わります。
#456
○委員長(中村太郎君) 以上で上田君の質疑は終了いたしました。(拍手)本日の審査はこの程度といたします。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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