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1992/03/05 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第2号
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1992/03/05 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第2号

#1
第123回国会 労働委員会 第2号
平成四年三月五日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     大塚清次郎君     川原新次郎君
     野村 五男君     岩崎 純三君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     石川  弘君
     平井 卓志君     真島 一男君
     西川  潔君     下村  泰君
 三月五日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     田村 秀昭君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                石川  弘君
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                田村 秀昭君
                真島 一男君
                清水 澄子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                西岡瑠璃子君
                西野 康雄君
                中西 珠子君
                笹野 貞子君
                橋本孝一郎君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業能力
       開発局長     松本 邦宏君
   説明員
       大蔵省主税局税
       制第一課長    尾原 榮夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、川原新次郎君、平井卓忠君及び西川潔君が委員を辞任され、その補欠として石川弘君、真島一男君及び下村泰君が選任されました。
 また、本日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として田村秀昭君が選任されました。
#3
○委員長(向山一人君) 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○庄司中君 これから質疑をいたしますけれども、一番最初の問題は、現在問題になっておりますガット・ウルグアイ・ラウンドの中でサービス貿易の分野で単純労働者の問題が出てきております。我が国の外国人労働者の問題に関係をしまして、これはかなり大きい問題、現在だけじゃなくて将来にわたって大きい問題になるだろうというふうに思います。そして、ウルグアイ・ラウンド自身は、御承知のとおり農業問題で大変難航しておりますけれども、いずれにしましても四月の中旬をめどに解決を求めるというふうに現在なっているわけであります。
 まず一つは、報道によりますと、サービス貿易は十五分野のうちの一つの新しい分野でございますが、この中で、例えば議長案というのが出まして、この協定といいますのは基本的枠組みがあって、さらにその附属書をつけていく、そして附属書の問題で二国間協議に入るというふうに報道されておりますけれども、現在どうなっているのか。労働省としては非常に大きい問題だろうというふうに思いますので、その点を説明をいただきたいというふうに思います。
#5
○政府委員(若林之矩君) ガット・ウルグアイ・ラウンドのサービス交渉問題で、労働移動の問題が議論されておるわけでございますけれども、これはただいま先生御指摘のとおり、今後の大きな影響を及ぼし得る問題でございまして、私どももこの問題につきましては関係各省と協議を重ねながら対処してまいっているところでございます。
 その基本は、外国人労働力問題、わけても単純労働力の受け入れ問題に関しますこれまでの政府の基本方針というものを堅持するという観点でこれに対応してまいっておるわけでございますけれども、平成三年の十二月に最終合意を目指しましたただいま御指摘のダンケル議長提案が出されたわけでございまして、この中におきましてはすべての自然人というものが対象になるということでございまして、単純労働者の問題もその交渉の対象になるということでございます。しかし、これは単純労働者の受け入れを義務づけたものとはなっていないわけでございまして、二国間交渉で単純労働者が交渉の対象とされるという場合にはこの交渉自体を拒否できないということでございます。二国間交渉の相手方が例えば単純労働者を受け入れてほしいというような主張をなされました場合に、それについては交渉に応じていく必要があるということでございます。しかしながら、それはただいま申しましたように、そのことで単純労働者の受け入れを義務づけるものではないわけでございます。これはあくまでも交渉に応じるという義務でございます。
 本年に入りまして、この初期コミットメント二国間交渉が実施されているところでございますけれども、この交渉におきましては、先進国側は経営者、管理者及び高度の専門職などに限って受け入れを約束する、こういう方針で臨んでおるわけでございます。一方、途上国の中では、単純労働者を含む広範な労働移動の自由化を要求する動きがあるわけでございます。そういった面では考え方に大きな差があるというのが現状であろうかと存じます。
 我が国は、冒頭申し上げましたように、外国人労働者の受け入れに関します政府の基本方針に基づきまして、現在この二国間交渉に臨んでいるところでございます。
#6
○庄司中君 附属書に関係しまする議長案は、政府間の交渉の対象職種は制限を設けない。制限を設けないということは、専門的な技術者だけじゃなくて単純労働者も入ってくるというふうになっております。ですから、そういう点では議長案自身を必ずしも義務づけられないということでありますけれども、議長案自身の原則が通りますと、非常に今後難しい課題を抱えていくだろう、こんなふうに思いますけれども、その辺の判断とか状況とかをちょっとお尋ねいたしたいと思います。
#7
○政府委員(若林之矩君) このウルグアイ・ラウンドのサービス交渉におきましては、あくまでも交渉の枠組みを決めるということであるというふうに理解をいたしております。
 ただいま御指摘のアネックス案でございますけれども、ここにおきまして、締約国は、この協定のもとでサービスを提供するすべての種類の自然人の移動に適用される特定のコミットメントについて交渉する、こういうふうになっておるわけでございまして、その交渉の枠組みを決めておりますけれども、その中身をどうするかということにつきましてはそれぞれの交渉当時国にゆだねられている、こういうことであろうと存じます。
#8
○庄司中君 この問題はかなり大きい問題ですから、その背景とか状況とかをよく押さえておかないと、我が国の対応が非常におくれるというふうな状態が僕は出てくる可能性があると思います。
 例えば、この問題がいわば公式のガットという場合、多国籍協議の場に上ったという意味というのは非常に大きいだろうというふうに思います。上った意味といいますのは、その背景には経済活動の国際化がある。商品から始まりまして資本にいきまして、例えばサービス貿易の問題が今出ておりますけれども、情報問題が出てくるということになりますと、つまりサービス、情報の次はやっぱり人間ということになります。商品にも資本にも人間は関係をしておりますけれども、恐らくこの分野は、ある意味では専門的な知識を持った人たち、そして今度は情報とかサービスということになりますと単純労働者ということが当然出てまいるわけでありまして、サービス貿易がどんどん拡大をしていく背景の中で当然この問題が出てくるという認識を私たちはやっぱり持っていかなきゃならないだろう。
 そういう点で、いわばこの問題が出てきた背景、私はちょっと今申し上げましたけれども、その点についてどんな認識を持っていらっしゃるか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
#9
○政府委員(若林之矩君) この点につきましては、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、物の移動が活発になり、そして金の移動が活発になり情報の移動が活発になっていく、そういった国際経済の動きの中で人の動きというものがいよいよ対象になってきたということであろうと存じます。それは大きな一つの流れであろうと存じます。
 したがいまして、私どもといたしましても、そういった面で極めてそういった取引にエッセンシャルなもの、ただいま申しましたような管理的な方々、それから専門的、技術的な方々、こういった方々の移動というものは活発になるでございましょうし、またそれはそういうようなサービスの提供に欠くことのできないものであろうというふうに考えておるわけでございまして、そういった分野での移動というものはこれは積極的に進めていくべきものだろうと考えております。しかし単純労働の分野と言われるところにつきましては、これをそういった移動の対象として積極的に進めていくかどうかということは大変大きな政策の問題であろうかと存じます。
 後ほどいろいろ御議論があろうかと存じますけれども、開発途上国のためを考えました場合に、そういったような一万の賃金が高いからということだけで労働力が移動してくるということが本当に望ましいことかどうか、開発途上国の開発のためにいいことかどうかという基本的な問題があると思うわけでございます。そういう意味で、そこはやはり専門的な職種に属するものといわゆる単純労働という言葉で一括されております分野とは基本的に違うのではないだろうか、こういうふうに考えておるところでございます。
#10
○庄司中君 今の問題をもう少し具体化してみますと、サービス貿易の分野というのは幾つかあるわけです。その中で単純労働者に関係しそうな職種を挙げてみますと、業種でもいいわけでありますが、一番大きいのはやっぱり建設です。それから運輸が入っております。そしてホテル、レストランが入っております。サービス貿易の分野で、例えば建設でいきますと設計であるとかそれから現場を監督するとか、そういう専門的な能力を持っている人はいいわけでありますけれども、外国の事業者が受注をすれば言葉の問題もありますね、施工する場合に。当然単純労働者を受け入れたいという要求が強まってくるだろうというふうに思います。例えば、レストランにしてもホテルにしても運輸にしても、建設ほどじゃありませんけれどもかなり共通的な問題を抱えている。
 先ほどお話がありましたように、受け入れるかどうかは二国間の協議による。ただ、二国間の協議ということは、例えばガットの原則からいきますと自由、無差別ですから、あるところに許したらほかのところも許さなきゃならないというものがあるわけです。そういう点では、こういう個別な業種をずっと見ていきますと、海外の事業者が受注した場合にかなり単純労働者の受け入れを迫ってくる可能性がある。つまり圧力がここでかなり出てくるんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、どんな感想なり見通しをお持ちでしょうか。
#11
○政府委員(若林之矩君) 私どもこの問題につきましては、先進諸国の基本的な考えと申しますものは、先ほど申しましたように管理者でございますとか専門的な職種に属するもの、いわばそのサービスの提供に不可欠なものと申しますか、そういった分野についてはこれは受け入れを認めていくということでおおむね一致をいたしておるわけでございまして、そういった意味で先進諸国の考え方というものは歩調をそろえているというふうに考えるのでございます。
 もとより、開発途上国の中にはそういう単純労働者を受け入れるというような強い主張をする国もございましょうけれども、ただいま押しましたように先進諸国間の基本的な認識は一致しておるわけでございまして、やはり我が国として従来の政府の基本方針をしっかり貫いていくということ、そこのところが一番大事ではないだろうかというふうに考えております。
#12
○庄司中君 別な面から考えますと、こういうことが考えられるんじゃないかというふうに思います。
 例えば、サービス分野の交渉の中には、先進国が非常に興味を持っております金融であるとか通信、これは先進国がやっぱり強い。これを途上国に受け入れさせるためには、ある意味ではギブ・アンド・テークじゃなきゃいけない。ギブ・アンド・テークの向こうからの要請というのは恐らく単純労働者の受け入れ、つまり労働力の移動の自由化という問題だろうというふうに思います。そういう点では、特定の受注した業者の要求だけじゃなくて、今度は途上国全体が、ギブ・アンド・テークだ、金融も通信も受け入れるのならおれたちの要求も聞けというふうなことになってくる可能性はかなり強いというふうに思われますけれども、その辺の判断あるいは見通しはどんなふうにお考えでしょうか。
#13
○政府委員(若林之矩君) 確かにこの二国間交渉も一つのパッケージの交渉でございますから、それぞれの国がそれぞれのカードを出して議論していくだろうと思うのでございまして、もとよりそういう交渉の中ではただいま先生御指摘のようなやりとりというのは当然出てくるだろうと思うのでございます。今日まで私どもが聞いておりますところ、担当者がジュネーブにおりまして交渉に当たっておるわけでございますけれども、先進各国の態度というものはこの点については非常にかたいというふうに私ども理解をしておりまして、今先生が御指摘のような点での取引と申しますか、そういったものは私ども聞いておりません。
#14
○庄司中君 ちょっとくどいようでありますけれども、新聞なりなんなりの報道によりますと、今言ったようなギブ・アンド・テークという関係で、欧米は当初はおっしゃったように拒否していたけれども、やはり金融とか通信を認めさせるためには譲歩しなきゃならないとして態度が軟化している、あるいは譲歩することに態度を変えたという報道も実はあるわけです。今、まだそういう報告は受けていないというお話であったわけでありますけれども、考えてみますとこういうことも考えられます。
 例えば、外国人労働者に対する態度がアメリカあるいはヨーロッパと日本とは違いますよね、完全に。例えば、フランスやドイツは労働力の需給関係を見ながら労働許可証を給付するということになっています。アメリカはこれはかなり特別ですよ、移民の政策がございますから。それでもやっぱり出稼ぎ労働を対象にして労働許可証を与えるという考え方、制度になっております。そういうことになりますと、我が国の態度と欧米の態度は違うというふうに見なきゃいけない。確かにおっしゃるとおり、一九七〇年代前半のあの石油危機以来、各国すべて先進国は外国人労働者問題については制限的にはなっております。あの大変な問題を生じた反省から制限的にはなっておりますけれども、我が国と欧米とはやっぱりちょっと態度が違うんじゃないのか。
 そうなりますと、例えばこういうことがありました。ECからスイスに対して、スイスは大体我が国と同じような態度をとっていたわけでありますけれども、ECがスイスは外国人労働者の問題について非常に閉鎖的であるという発言をしたことがございます。そういうふうなことが起こり得るんじゃないだろうか。つまり、途上国対先進国の関係から先進国間の関係になっていく可能性というものがあり得るんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
#15
○政府委員(若林之矩君) アメリカは、確かにその歴史におきまして多くの移民を受け入れてまいっておりますから、ヨーロッパ諸国とは歴史を異にしていると思うのでございます。ドイツ、フランス等につきましては、ひところ人手不足で単純労働者を入れたということでございましたけれども、今日におきましては、過去の経験に照らしまして受け入れをいたしておりませんし、現在それを送り帰すと。なかなかこの政策はうまくいかないのでございますけれども、少しでも母国に送り帰そうというような努力を進めているところでございます。
 そういう意味で、現時点におきましては、やはり先進諸国は皆単純労働力の受け入れというものについては大変厳しい姿勢をとってきております。わけても、過去に大変厳しい経験をいたしておりますものですから、そういった面での態度というのは大変厳しいものがあるというふうに私どもは理解をいたしております。
 昨年の三月にローマにおきまして、OECDが関係国の政府職員とそれから学者を集めまして会議をしたわけでございますけれども、ここにおきます結論につきましても、そういう開発途上国から労働力を受け入れるということは決して開発途上国の発展に資するものではないという基本的な認識を確認いたしておるわけでございまして、繰り返すようでございますけれども、そういったヨーロッパ諸国は、単純労働者の受け入れについては現在大変厳しい姿勢をとっているというふうに私どもは認識をいたしておるわけでございます。
#16
○庄司中君 答弁の中にもまだまだ、これからの可能性という点から考えますと、そんなふうにはいかないんじゃないだろうかというふうな感じも実は持っているわけであります。恐らくこれから外国人労働者の問題が、我が国にとっても、それから国際的にも大きな問題になってくる非常にデリケートな問題であるという認識は共通することができるだろうというふうに思います。
 そこで大臣、今お聞きのとおり、やはり単純労働者の問題がガットの俎上に上ったという重みといいますか、ガット自身が自由、無差別の原則でございますから、ガットの協議の場に上った重みということは非常に大きいだろうというふうに受けとめなければいけないだろう。単に途上国対先進国の問題だけじゃなくて、いわば先進国間の問題になり得る条件を持っているんじゃないか、こんなふうに感じるわけであります。
 そこで、例えば外国人労働者の問題については行革審の方からも答申が出ておりますし、それから労働省の方でもプロジェクトチームをつくって検討中だということでございますので、私も検討の結果を待ちながら改めて議論をしていきたいというふうに思います。とにかく国際的な舞台に上がったということは、国内的な問題だけで処理できない、そして国際的にも説得力を持つ対策を用意していかなければいけない、こういう条件がやっぱり出てきたんだろうというふうに思います。
 その点で、大臣、これからこの問題を検討するに当たりまして、基本的な認識をどんなふうに持っているかということをぜひお聞かせいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変いろいろ貴重な御指摘をいただいたわけでございますが、考えてみますと、世界のいわゆる超大国といいますか、例えばアメリカ、それからイギリス、フランスなんかは、まさにアメリカなんかは大勢の移民が来てつくった国と言っても言い過ぎではありません。それからイギリスやフランスも、世界各国にかつて植民地を持っておったわけであります。そこからもいろんな人を呼んできて、そして大きな国になった。こういうことでありますから、まさに経済発展の一つの大きなファクターにいわば外国人労働者がなったと言っていいと思うのであります。
 ただ、今局長からお話がありましたが、私も実はこの間パリのOECD会議で、その席でも、オフィシャルな会合の場ではこの問題は表へ出ませんでした。しかし、非公式なランチョンでこの問題を取り上げて、各国の大臣が率直に意見を述べた経緯もございます。欧米の最近の動きを見ておりますと、やはり多少限定的になっているのも事実でございます。
 実は、しばらく前でありますが、私の友人の、かつて西ドイツの経済大臣をしたラムスドルフさんが、今はドイツのFDP、自由党の総裁になっているわけでありますが、参ったときも私に、日本はドイツのまねをしない方がいいよ。ドイツは、ガストアルバイター、外国人労働者をたくさん呼んで産業発展をやったけれども、いろんな問題が出てきて、今率直に言って送り帰すのに非常に苦労しているんだと、こういう話をして、むしろ外国人労働者を呼んでドイツ国内で物をつくるよりも、それぞれユーゴだとかトルコだとか、現地に工場を持っていって、そこでつくってもらったものを輸入するとか輸出する、そういうことの方がいいのであって、ドイツの間違いを繰り返さない方がいいよという話を、これはドイツ大使に招かれたディナーの席でございましたが、笑いながら言っていたことを私もちょっと思い出したわけでございます。
 そういうことでございますので、やはりこれから日本の場合、日本と周辺諸国との所得格差が非常に大きいわけですから、ぜひ日本に来て高い収入を得たいという気持ちを持つ方々がたくさん周囲にいらっしゃるということもわかります。確かに、またおっしゃったように、貿易が自由化をして、そして資本が自由化をしていく、その中で、では労働力だけは、労働だけはどうなんだという議論は、まさにガットの議論を待つまでもなくあるわけであります。ただ、あえて申し上げますと、労働力の移動、移民の自由化みたいなことまでどんどん言ってくると、一体国家とは何ぞやということまで入ってきますよね。ですから、そういういろんな問題を含めながら、私たち労働省としては、従来もそうでございますけれども、この問題についてはやはり慎重でなければならない。
 ただ、先生から御指摘がございましたけれども、そうは言っても、日本のいろいろな技術、技能を習得して、そして自国に帰ってそれぞれの経済発展の担い手になろうと志した青年がたくさんいるわけでありますから、そういう方々には来ていただいて、そして研修をしていただくと同時に、単に頭で覚えるのではなしに体を通じて身につけていただく。実務、実習、研修というものを、研修と実務を兼ねた実習制度をこれから労働省としてはいろいろ先生方の御意見を承りながら考えて、そういう形の積極的な技術研修を通ずる外国の若い方々に来ていただくということは、これはこういう時代でございますし、日本のこれからの国際的な貢献でもあると考えて、今省内で真剣に検討している最中でございます。
#18
○庄司中君 時間の関係がありますから、大臣の答弁にほぼ共鳴できますので、次の問題に移りたいというふうに思います。
 現在、労働問題で、例えば今春闘の真っ盛りでありますけれども、その課題の中心の位置を占めておりますのは時間短縮の問題だろうというふうに思います。そして、時間短縮といいますのはもう今や国民的な課題になってきたという感じすらあるわけであります。先ほども国際問題が出ましたけれども、一番時間が短い欧米の人たちから、日本が例えば長時間労働を武器にして競争に参加してくるのは絶対に許せないという声が出てきているわけでありまして、これはもう国内的にもそうでありますけれども、国際的にもこれは大変な問題になってきている。いわば貿易摩擦、経済摩擦、それが今や労働摩擦になりかねない状態に実は来ているというふうに思います。
 そして、きょうはこれから、労働省としては促進法の準備もされているようでありますから、いわば時間短縮の問題についてのある意味じゃ総論といいますか認識といいますか、そういう問題を中心に質問していきたいというふうに思います。
 最初の問題は、八八年に策定をされました経済運営五カ年計画の問題で、その後この計画の中に例の週四十時間、年間千八百時間という目標が設定をされました。そして、労働省としても推進計画を翌月につくられた。それから非常に努力をされているわけでありますけれども、しかし、努力の結果必ずしもいい成果を生んでいない。
 例えば、一月の三十一日に労働省が発表いたしました九一年の一人当たり労働時間、三十人以上でありますけれども、年間総実労働時間が二千十六時間ということでございます。所定内でとってみますと千八百四十一時間、これは確かに前年と比べまして三十六時間減ったわけでありますけれども、千八百時間の目標と比べますとまだかなり距離を持っている。そして、状況としては難しい状況にかかってきているということがございます。巷間ではもはやその経済計画の千八百時間というのはもう困難ではないだろうかという声すら大多数だというふうに思いますけれども、労働省としてはその経済計画の関係で、つまり来年度いっぱいでありますから、あと一年間でこれが達成できるのかどうか、その辺の認識といいますか、あるいは一年あるわけでありますから見通しと言っていいと思いますけれども、その辺をお聞かせいただきたい、そういうふうに思います。
#19
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、本来ですと平成四年度末までに千八百時間をその目標として努力する、こういうことでございますが、お話しのように、大体今のレートが、率が年間三十数時間ずつ減っているわけですから、この率でこれからあと一年推移するとすれば千八百時間は達成できない、こういう計算になるわけでございます。
 そこで、実は今先生御指摘がございましたように、今や日本の労働者の生活環境、それから勤労環境というのは単に国内の問題だけじゃなくなっちゃっていて、もう国際的にも問題になっていて、これが日本の貿易なり産業構造が公正じゃない、公平じゃないという、そういう言い方の原因にもなっているような状況でございますので、私どもとしてはまず千八百時間に向けてできるだけ早い機会にこの目標を達成したい、こういうことであります。
 御案内だと思いますけれども、今の政府でも経済五カ年計画の見直しをしよう、ことしの夏に新しい計画をつくろう、こう言っておりますし、これらと対応いたしまして、労働省としても雇用審議会の議を経まして雇用政策課で雇用対策基本計画というものをその五カ年計画と並行してつくって、その中で労働時間にどういうふうに取り組むのか、どのくらいの時間において千八百時間を達成するのかということについて、これはいろいろな議論を現実に進めていきたい。
 ただ、現行の五カ年計画で千八百時間をどうも達成するのが難しいという状況にあるのは、これはいろんな理由があってのことでございまして、後でまたいろいろ詳しいことは事務的にも御説明させますけれども、やはり日本の場合横並び意識があって、殊に中小企業なんかの場合には自分の会社だけやっちゃうとほかの会社を追い詰めるだとか、また下請、元請の関係もございますし、そういうことも含めて具体的に労働時間が短縮できるためには、ある程度の労働省として指針を与えながら、また関係企業、産業、さらに関係企業の労使のお話し合いもしていかないとできないわけです。ですから、単に数字だけではなしにハウツーですね、ハウツーも考えた計画をひとつぜひつくらせていただいて、全力を挙げてこの目標達成に努力いたしたい、こういう基本的な考えでございます。
#20
○庄司中君 大臣からの答弁がございましたけれども、その中を拾ってみますと、あと一年ではちょっと難しいという御判断がおありになるようにうかがえます。そして、全力を挙げてこれから努力をする、新しい法律でもつくってというお話でよろしゅうございますか、その辺は。難しくなったという点は認められますか。
#21
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘がございましたように、暦年の平成三年で二千十六時間ということですね。大体過去の数字を追ってみますと、三十七、八時間ずつ着実に減っていることは減っておりますけれども、二千十何時間から三十何時間ずつ引いて、これは暦年と年度の違いがございますけれども、引いてまいりますと、どうも平成四年度末までに千八百時間に達するのには多少のまだ差があるなど、こういう認識を私どもとしては持たざるを得ない。ですから、この三十数時間ずつの時間短縮というものをどうしたらもうちょっと加速化できるかということについて、具体的な施策を考えていろいろ御協力を得なければならない、こういうことでございます。
#22
○庄司中君 施策を強化しないと短縮は進まないだろうという点についてあると思います。だから、例えば今までは大変な景気の上昇期にあって、上昇期にあったから残業がふえた、今停滞しているから残業は減るだろうというふうに考えて、総実労働時間が減るだろうというふうに経済循環だけで自然に見ていってはまずいんじゃないだろうか。
 例えば、今までずっと長中期に見てみますと、確かに景気の上昇期は所定内は短縮されますよね。そして、その分残業がふえるという感じでしたけれども、景気が後退をするあるいは停滞をしますと、今度は逆に残業は減るけれども所定内の短縮が進まないという傾向が実はあるわけでありまして、自然の状況に任せておいたら恐らく時間の短縮は難しいというふうに思います。大臣が今おっしゃったように、施策を強めていく、施策を強めることによって短縮を図っていくという基本的な態度がやっぱりどうしても必要だろう、そしてまたそれが重要だろうというふうに思いますけれども、どういうふうにお感じなり、お考えになっておりますか。
#23
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今私たちが考えている法案について、要綱についてはまだ局長に説明させますが、私は今思っていますことは、これまで我が国の労働条件、賃金また労働時間なんかは、先生おっしゃったように景気がぶれてきますからそれに応じて変わってくるわけです。景気がいい、会社が利益が上がったから賃金を上げるだとか、またこれは逆に忙しいから労働時間を延ばしたとかいろんなことで、いわば景気だとか会社の経営に応じて労働時間だとか労働条件がそれに適応してきた。私はこれは日本の労働条件というのは景気とか経済状況の従属変数であった。こっちが決まってあとで労働者のいろいろ条件が決まるんだ、こういうこと。これは経済発展のいろんなずっと戦後から考えて、私はそういうことでよかったと思うんです、それは経済的には。
 しかし、先生から時短のお話がございましたけれども、これからは一体それをどれぐらいの計画でうちの会社で千八百時間に達成していくのか、また産業はどうするんだと、こっちを先に決めてそれに適応するような形の会社の経営だとか産業のありようを決めていく。だから、労働条件というものを従属変数であるところから、私の言葉で恐縮ですが独立変数にしようと、国際的に共通な労働条件というもの、こっちから決めて、それをきょうにはできなければ三年か五年、それぞれ産業ごとに違いがあると思いますけれども、やっぱりその決めた形で、こっちを先に決めて、そしてその経営のあり方は産業ごとに考えていただく、こういうことでございまして、そういうことがおできになるように、ひとつその労働時間短縮促進法というものを考えさせていただいて、この要綱を見ながら、また下請、元請、いろんな関係、しかも労使との話し合いを通じて実現できる方向にぜひひとつやらせていただきたい、こういうことでございます。
#24
○政府委員(佐藤勝美君) 基本的には大臣が今御答弁申し上げたとおりでございますが、若干補足をさせていただきますと、御指摘のように最近景気の状況が変わってまいりましたので、所定外時間が減ってきておりますけれども、これは言ってみれば景気に伴う問題でございまして、私どもが考えております労働時間の短縮というのはそういった景気の流れに沿って上がったり下がったりするものではなくて、構造的に減らしていく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
 それで、千八百時間に向けてできるだけ短縮をするという場合の具体的な内容は、御承知のように完全週休二日制の普及であるとか、あるいは年次有給休暇二十日付与の完全消化あるいは所定外労働時間をできるだけ低く抑える、多くても百五十時間程度に抑えるというようなことが内容になってまいるわけでございます。こうした問題につきましては、六十三年から改正労働基準法が施行されまして、従来よりも前進を見たわけでございますが、現在さらに基準法の改正につきましては中央労働基準審議会に検討をお願いして、ことしじゅうにも建議をいただきたいというふうにお願いしておるところでございます。
 また、先ほど大臣が触れられました事業主が計画をつくって時短を進めることができるような法律的な枠組みをつくるということで、昨日中央労働基準審議会にその法案の要綱を諮問させていただきました。近く答申がいただけると思いますので、それに沿った新しい法案を国会には提出をさせていただくという予定にしております。また、その間特に中小企業の団体あるいは個別の企業に対しましていろいろ相談に応ずるあるいはアドバイスをするというような制度、あるいは集団的な指導をする、各般の方法によりまして、特に中小企業の集団を対象にした時間短縮の取り組みに対する援助というものを鋭意進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#25
○庄司中君 大臣も局長も、施策を強化していくというふうな方向で、しかも従属変数じゃなくて独立変数にこれをとらえていくというのは非常にやっぱりいいことだというふうに思います。
 施策を強化していくというのは、法律をどうしていくかということが一つの大きな問題だろうというふうに思います。八八年に基準法が改正されまして、それから時短のピッチが確かに上がってまいりました。そういう点で大きな効果があったと思います。ただ、法律を変えていく上で考えてみますと、四十年間週四十八時間労働できまして、そして八八年に四十六時間、そして去年に四十四時間になっていったわけです。本則の四十時間に向かうのはあと四時間ございます。ですから、この四時間をどうしていくかというのがこれからの検討であります。
 先ほど大臣も、例えば千八百時間が難しくなったというふうな発言がありましたから、責任を持って次の大きな飛躍、施策をつくっていかなきゃならない。そうしますと、四十八時間、四十六時間、四十四時間という二時間のテンポでいくのか。例えば、審議会で今検討されていらっしゃるという話でありますがら、思い切って経過措置を設けながら一挙に四時間を飛び越える、四十四時間から四十時間にする、その方向と二つあると思いますが、その辺はどっちの選択を考えているのか。どういう方向で問題をとらえているのか、この辺をお聞きしたいというふうに思います。
#26
○政府委員(佐藤勝美君) 現在検討をお願いしております基準法の改正の方向ということでございますけれども、これはまさに三者構成で議論をしていただいております審議会にお願いをしていることでございますので、ここで私どもが方向性をはっきり申し上げるということは大変難しい、正直言って難しい問題でございますが、おっしゃるように方向としては二通りあるわけで、いろんな経過的な措置を残しながら四十時間に移行するのか、あるいはそういうことでなくて非常にトラスチックにやっていくのかということにつきましては、やはり御承知のように残念ながら日本の実態としまして業種なりあるいは事業の規模によりまして大変に格差がある中での御検討ということでございますので、そういう点を考えながらの三者によります真摯な御検討が行われるということを期待しているというふうにしか申し上げられないわけでございます。
#27
○庄司中君 今の段階で方向とかそういうことは話をするのは難しいというふうに思いますから、次の問題に進みたいというふうに思います。
 大臣がさっき、例えば時短を独立変数にしていく、経済の従属変数じゃなくて独立変数にしていくというのは全く賛成でございまして、むしろ強力な独立変数をやっぱり考えていかなきゃいけないということは、例えば経済のサービス化が進みますと、労働力でいきますとホワイトカラーがどんどんふえてくる、そしてブルーカラーがどんどん減ってくる、そしてその中間のグレーの分野も出てくるわけであります。いわばかつての六〇年代の高度成長の鉄鋼産業でいきますと、大型高炉をつくれば人が何分の一がになって生産量が何倍かになったというタイプとはかなり違うんじゃないか。ホワイトカラーなりなんなりがふえていきますと、いわば定型的労働よりも判定的労働がふえてくる。別な言葉でいきますと裁量的労働の分野がふえてくるだろうというふうに思います。
 ですから、そういうふうな状況の中に、例えば独立変数だといって簡単に上には乗っからないということです。つまり、省力化投資をしましてもかつてのような省力化の効果が出ないということになるわけでありますから、今の現状をそのままにして時短を乗っけようとしてもそれはなかなか乗っからない。だから、かなりこれを独立変数にしていかなきゃいけない。いわば週四十時間というものを一つの与件といいますか、あるいは前提にして、そして企業の活動のシステムを見直していく、これぐらい思い切った独立変数の地位を与えないといけないだろうというふうに思いますけれども、大臣、この辺は、独立変数の大きさとか、そういうことはどういうふうにお考えでしょうか。
#28
○国務大臣(近藤鉄雄君) 裁量労働ですかの問題については、これは大変難しい問題でございまして、後でまたちょっと局長に話をしてもらいますが、私はあえて従属変数から独立変数にしようと申し上げたのは、例えばAという会社が今二千百時間労働していましたと、そうするとこれは千八百時間にするという計画をつくっていただきます。三年間でやろうとすると、百時間ずつ減らします。三年後には千八百になりますから、そうすると今度百時間減らすということは経営者の立場で考えると百時間は大ざっぱに言いますと五%ですから、三年間で一五%労働時間がカットということになります。そういうふうにすると、それじゃ会社として一五%労働時間をカットした場合に生産高はどうなるんだという議論が片一方で出てきます。
 それからまた、組合の側で言いますと、組合というか労働者の側で言いますと、五%、五%、五%と減らしていきますから、他の条件にして等しければ賃金は一五%カットになります。現金収入は自然にそうなります、単純に考えると。それでどうなんだ、それはとってもできない、こういうことですから。そうなってくると五%ずつ時間短縮するけれども、賃金は、ウエートは、率は五%もとへ戻していかないと、少なくとも現在の現金収入は得られない、こういう理屈です。
 ですから、そういうことを踏まえながら、しかし三年後に千八百時間にするということを決めたのなら、そういうことを経営の面で生産額はどういうふうに考えていくのか、それから勤労者の側の現金収入はどういうふうに据え置くのか、オフセットしていくのか、そういう具体的なプログラムをまさに会社で、労使で考えていただいて、それで一つ一つ具体的にこなしていく。それは最初申しましたように、産業が発展をして会社がこうなったから賃金がどうだ、時間がどうだという、そういう決め方が従属変数であったということです。
 私が独立変数にしていただきたいというのは、今申し上げた形をまず考えて、会社の経営のあり方だとか産業のあり方だとかそういったものを具体的に考えて、そのため例えば必要な設備投資をするだとかいろんな問題をその場で総合的に考えていかないと、ただ千八百時間にしろということを抽象的に言うたって実現はできないのじゃないか、そういうことを申し上げただけでありまして、それができるような形のどういう社会的な仕組みを準備するかということがこれからの労働行政の大きな役割じゃないか。それに基づいて法律も出させていただいて、ぜひひとつ御審議いただいて御承認いただきたい、こういうことでございます。
#29
○庄司中君 大体了解できますので、次の問題に入りたいと思います。
 去年の労働白書の中で、労働時間の問題についての国際比較、寄与率まで計算をして出していただきまして非常におもしろかったわけでありますけれども、もう言うまでもなくアメリカ、イギリスと比べますと二百時間日本が多いとか、フランス、ドイツと比べますと五百時間多いとかということはもう一般化したわけであります。さらにそれを個別の項目でとってみますと、国際比較の上から問題点を出していきますと、少なくとも週休日の問題あるいは有給休暇の問題、それから所定外の問題と、恐らくこの三つの問題がやっぱり大きい。つまり、ほかの欧米の労働時間の状態等を見ますと、大きい問題はこの三つだろうというふうに思います。
 そこで、先ほどもお話がありましたように、まず週休日の問題であります。週休日の問題は何としてもやっぱり週休二日制を実現するということだろうというふうに思います。そういう点で平成二年度の労働省の統計を見てみますと、完全週休二日制をとっておりますのは企業数で言いますとまだ一一・五%なんですね。大企業が中心でありますから労働者の数は三九・二%、四〇%いっていますが、企業数がまず少ないということです。一〇%をちょっと超えた程度だということであります。そういう点では問題は中小企業のところにあるということです。ここをどうしていくかというのがやっぱり問題だろうというふうに思います。
 例えば、さっき言われましたけれども、労使で協議して決めていくんだというお話でございましたけれども、これは組織率が低い分野なんです、中小企業といいますと。つまり、労使の交渉が成立をしない分野であります。成立をしない分野には公的権力が入っていかざるを得ない、これは最賃でも何でもそうです。そういう点で、週休二日制の問題を普及させるために、大臣がさっき言ったように独立変数をどういうふうに考えていくのかという問題が当然出てくるだろうというふうに思いますけれども、その辺のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います、
#30
○政府委員(佐藤勝美君) 御指摘のとおり、確かに我が国の労働時間がいわゆる先進国と比べまして長いことの内容には、完全二日制の普及率が大変に低いということがございます。もともと外国といいますか、先進国では週休という観念が古くからあって、その上に週休二日に進んできたわけでございまするけれども、我が国はそういった意味では戦後労働基準法ができまして週休一日の普及から始めなければいけなかったという、言ってみれば後発の国でございます。というわけで、まことに御指摘のとおり、大変週休二日制の普及、特に完全週休二日制の普及率ということになると残念ながらまだまだというところでございます。
 特に、この問題になりますと、やはり大企業では比較的完全週休二日制の普及率が高くなっているのに対しまして、中小企業が特にこの分野ではおくれているというのもこれまた御指摘のとおりでございます。それで、労働省としましては前々から特に中小企業の集団をとらえまして完全週休二日制、とにかく何らかの週休二日制をとる、さらに進んで完全週休二日制を採用することができるようにいろんな指導、ノウハウをどういうふうにすればとれるかというふうな指導をきめ細かにしてきたわけでございますけれども、その場合にもやはり個別の中小企業の事業で取り組むというのは非常に難しいという実態がございましたので、元請、下請の関係を含めました一つのグループごとに指導をしてきたわけでございます。
 さらに加えまして、先ほどから何回か出てきております、新しく考えております法案におきましては、なかなか自分のところだけでやるということについては競争の問題もあって非常にちゅうちょがあるという問題を解消するために、複数の事業主が申し合わせて例えば週休二日、完全週休二日制をやろうというようなことができるようにしたい。現在ではなかなか独占禁止法との関係が若干難しい問題がございまして、これをやる場合に時々問題が起きるわけでございますけれども、そういう問題もクリアできるような形での制度をつくりたいということを準備しているわけでございます。
 こういうことが実現いたしますれば、今後は週休二日制を初めといたします労働時間の短縮、改善に非常に役に立つのではないかというふうに考えております。
#31
○庄司中君 お話しの今度の法律、促進法に関係する問題は、その時点でまた突っ込んだ議論をしたいというふうに思います。
 それから、二番目の有給休暇の問題でございますけれども、確かにさきの基準法の改正で最低付与六日を八日、十日にいたしまして、それから中小の場合も去年から八日にしているようでございますけれども、これをずっと統計をとってみますと二つ問題がございます。一つは日本の平均の付与率が少ないわけです、国際比較をとってみますと。例えば平成元年で日本の場合には十五・四日しかないわけです。そして、国際比較をとってみますと、大体欧米の人間は有給休暇を残さないわけです。ほとんど一〇〇%消化をしていくという、つまり余暇に対する考え方がございます。あの表で見てみますと、アメリカが少ないけれども、それでも十九日ですね、消化のところを見ていけばいいわけでありますから。それからドイツで二十九日あるわけです。ドイツと日本を比べますと、日本は半分なんです、付与率は。ですから、付与日数が、つまり有給休暇の日数が少ないわけでありますから、当然休む日数が少なくなってくるという問題があるというふうに思います。
 これは、労働基準法は最低基準だと言いますけれども、やっぱりこれから大きな問題になる。それは国際比較の上では、ドイツの半分とはひと過ぎるという状態が実態としてはあるだろうというふうに思います。その辺のお考え、例えばこれからの対策上でのお考えどうなのか、その辺をまずお聞きしたいと思います。
#32
○政府委員(佐藤勝美君) おっしゃいますように、外国との比較において、我が国の労働時間あるいは休日を比べてみた場合に、一番目立ちますのが完全週休二日の状況と、それから今おっしゃいました連続的な休暇、年次有給休暇の問題であります。
 付与日数につきましては、今お話があったとおりでございまして、しかもこれを完全に消化するという習慣が定着している国と、日数がそこまでいかない上にその消化率が非常に低い、半分程度というような我が国の状況が非常に全体の労働時間の状況に大きく影響しているわけでございます。
 それで、これまた質問の中で既にお触れになりましたけれども、基準法で最低付与日数を増加した。特に、三百人以下の事業場につきましては、現在まだ経過措置で、平成三年度から八日になりましたが、二年後にまたこれが十日になるという、付与日数が増加のまだ途上にあるわけでございます。そういう段階でございますけれども、この問題、やはり付与日数もさることながら、現在与えられております権利さえも十分に消化ができていない、この状況が非常に問題であろうと思いますので、これまた審議会の議論におきましては、有給休暇の消化率を上げるためにどういう方策があるんであろうかということについての熱心な御議論をいただいているところでもございます。また、その中では、やはり日数の問題もあるでしょうし、繰り返しになりますが、とりわけどうしたら消化率を上げることができるのか、制度的にどういうふうな問題があるのかということについても御議論をいただいている現状でございます。
#33
○庄司中君 取得率の問題もありますけれども、付与日数が少ないということは非常に大きな問題だろうと思います。つまり、権利を行使しようと思ってもできないわけでありますから、僕はドイツの半分というのはちょっと、平均的ですよね、あれ。やっぱりひど過ぎるというふうに思います。ですから、六日を十日にしたからいいやということじゃなくて、むしろこの面もこれから強化をしていかなきゃいけないというふうに思います。だから、両方あるわけですね。付与日数はとにかくという議論ではだめだというふうに思いますので、その辺改めてお願いをしたいというふうに思います。
 それから、取得率の問題でありますけれども、これがまたひどいですね。約半分という状態であります。十五・四日付与日数がありまして、実際にとったのはその半分ということになります。平成元年度の調査でも五一・五%でありますから、付与日数が少ない上に取得率がまたひどく低いというふうな問題があるわけであります。
 例えば、これは総理府の調査がございまして、取得率、さっきおっしゃった消化率でもいいわけでありますが、なぜ少ないのかということで総理府の調査に出ておりまして、主なものは次の三点だということです。あとはもうずっと少ない。一つは、後で忙しくなるから、同僚の迷惑になるから。おれが休むと同僚が忙しくなるからとれないということが一つ。それから、病気や家族に何かがあったときのためにとっておきたいというのが一つ。それから、個別に職場の雰囲気の中でとれない、そういう雰囲気がないということ、つまりとりにくいということですね。こういうことの三つになっております、総理府の調査によりますと。
 そうしますと、どういうふうにとっていったらいいかという問題がやっぱり大きい問題になります。さっきの促進法の話が出たときに横並びという話が出てまいりましたけれども、労働者の場合もそうなんです。おれが休むとみんなが忙しくなるからとれないとか、何となくみんなが一生懸命やっているのにおれだけとれないとかということになるわけでありますから、思い切った計画的な取得を考えざるを得ないだろうというふうに思います。しかも、五〇%の取得率を計画の場合には何%に持っていくのかという段階的な施策が必要だろうというふうに思います。
 そういう点で、横並びの意識を逆にとってこの消化を図っていくということを考えざるを得ない。労働者の側からいきますと、権利を実現させる方向をとっていかなきゃいけない、こういうふうに思いますけれども、どんなことをお考えなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#34
○政府委員(佐藤勝美君) 年次有給休暇の取得率が低い原因につきましてはおっしゃったとおりでございますが、この理由の背後にある考え方も、言ってみれば日本的といいますか、後で忙しくなる、あるいは周囲に迷惑がかかるというような問題は、休んでいる期間だれがそのかわりをするのかとか、あるいは権限がどういうふうに移譲されるのかというようなことが今まで必ずしもはっきり決められていないというような問題もございますし、それから、まことにあいまいも言葉でございますが、とりにくい雰囲気というのもあることも事実でございます。
 そういう環境、つまり年次有給休暇を取得しやすいような環境をつくるということが大事でございます。それとともに、年度の初めに計画を定めて計画的に取得をするということも一つの方法でございますので、この点につきましては六十二年の法改正のときに新しく計画的取得という制度が一部取り入れられましたけれども、こういった制度を今後どういうふうに考えていくのかということも一つの論点でございましょうし、それから何となく有給休暇がとりにくい、あるいは周囲に迷惑がかかる、その他の配慮でとりにくいということにつきましては、労使に対する働きかけあるいはいろんなキャンペーン、例えば「ほっとウイーク・フォーラム」なんというキャンペーンもやっておりますし、それから平成二年には連続休暇取得促進要綱というものを策定し、どういうふうにしたら長期休暇を制度化しとることができるのかというようなことを、ノウハウをかなり詳しく書いたような資料もつくりましてその普及に努めております。
 そういうようないろんなキャンペーンあるいは資料によります啓蒙普及を踏まえまして、個別の企業でそういうものを取り入れた制度をつくってきているところも非常にふえてきております。私どもとしては、そういう動きがさらに加速をされますように、今まで申してきたような啓蒙普及あるいは指導というものを強化いたしたいのと、同時に法制的な面から年次有給休暇の取得率がどういうふうにしたら上がるのかという検討も鋭意並行して今進めている、こういう段階でございます。
#35
○庄司中君 総理府の調査の中で職場の雰囲気でとりにくいというのは、つまり企業条件の中に労働者の権利を制限する要因があるということでありますから、その点をしっかり踏まえていただきまして今度の施策に生かしていただく必要があるだろうというふうに思います。
 それから、その次の問題の残業問題に入っていきますけれども、統計上見てみますとこういう結果が出ています。規模別に見てみますと、総労働時間は中小も大企業もそんなに差がないわけです。大企業の場合には、所定内は短いけれども残業が多いという状況があります。中小の場合には、所定内は長いけれども残業が少ないという感じがあります。そうしますと、所定外の問題、つまり残業の問題を考えていきますと、これはどちらかといえば大企業の問題じゃないか。所定内は短いけれども残業は多いという状況があるわけでありますから。
 そうしますと、今までいろいろ残業問題は景気変動に関係しまして議論をされてまいりましたけれども、九〇年に労働省がこの問題を分析しました結果、景気変動、つまり雇用調節機能といいますか、不況になっても首を切らないために好況になっても残業でそれをカバーするというのが雇用調節機能だと言われていたけれども、労働省の分析によりますと、変動要因は全体の四分の一です。数字を見てみますと二三・二%ですから、全体の四分の一ということになります。それから、恒常的要因、先ほども局長が言われましたけれども、恒常的要因が実は四分の三あるということです。恒常的な要因が圧倒的だというのは、つまり残業問題に本格的なメスを入れなきゃならぬ時期に来ている、こういうことだろうというふうに思います。いわば雇用に影響はないんだ、これ自身が問題なんだというふうに問題を立てなきゃいけない、こういう時期に来ているというふうに思いますけれども、その辺は認識はどういうふうにお持ちでしょうか。
#36
○政府委員(佐藤勝美君) 全体の労働時間、その中での所定外時間の問題につきましては、今先生の方から中小企業とそれから大企業との比較の話がございまして、そのとおりでございます。
 大企業では所定内労働時間は総体的に短いけれども、その分残業が長くなっている。結局、規模の大小を問わず総体の時間が余り変わっていないということもそのとおりでございます。それから、所定外時間のうち恒常的な部分がほとんど八割を占める、これも労働白書の分析では製造業についてのものでございますけれども、そういう結果も出てきております。おっしゃいますように、確かに景気変動に伴って変化をする部分というのは言われているほど大きくないということがこの分析の結果から出ているわけで、私どもも同様の認識をいたしておる次第でございます。
#37
○庄司中君 さらに、サービス残業という問題が所定外にはあります。例えば、昨年東京の労働基準局が都銀の五社の立入調査を行いました。そして、勤務時間の把握を正確にしなさいという厳重注意を与えました。ところが、内部の関係者の声を聞いてみますと、銀行には時間外の予算制度がある、だから幾ら働いたって予算を超えるわけにはいかないというふうな関係者の発言も実は出てまいったわけであります。そうしますと、このサービス残業の問題というのは非常に根が深い問題だろうというふうに思います。
 例えば、ある研究者が最近論文を書きまして、サービス残業を考えてみた場合に、例えばさっきの千八百時間もそうでありますけれども、これは毎勤統計の数字です。この毎勤統計の数字よりも年間で二百時間は多いんじゃないかという総理府の労働力調査と毎勤を比較しまして推計しますと、一年間で約一割サービス残業があるんじゃないだろうか。一橋の先生でありますけれども、こういうふうな推計をされていらっしゃるわけであります。これは多い、少ないという問題と同時に、そういうものがあること自体が国際的には非常に異様に映るんだというふうに思います。
 さっきもお話がありましたけれども、価値観が違う、つまりキリスト教文化の中では一種の契約社会でございますから、日本のサービス残業というのはある意味では異様に映るんだろうというふうに思います。そういう点でも、国際的にもこの問題はきちんとしておかなきゃいけないというふうに思いますけれども、どういうふうに現在お考えでしょうか。
#38
○政府委員(佐藤勝美君) サービス残業という言葉自体はいろいろ多義的でございまして、かなり解説を要する言葉ではないかと思います。
 ただ、私どもが監督指導いたします場合を考えますと、多くの場合は、労働基準法に規定をいたしております労働時間の規定あるいは割り増し賃金の規定に違反をするという問題でございます。そういった法違反があってはならないことは当然でございまして、私どもといたしましても、監督指導の際にそういうものを発見しましたときには厳重に是正指導する、悪質なものにつきましてはそれに相応した処置をとるということで対応しております。
 いずれにしましても、そういった法違反に対しまして厳正に対処するというのは当然でございますが、一方におきまして、やはりサービス残業という言葉が出ますのは、単純に法違反であるのかどうかというのが必ずしもはっきりしないような面も何となくある、そういうニュアンスのある言葉ではないかと思います。私どもとしましては、この言葉は、使用者が命ずる場合もあり黙認の場合もあるわけですけれども、残業を命じておきながらその時間数をみずから明確に把握をしない、あるいは労働者の側から申告をすることが何となく難しいような雰囲気をつくっておるというようなことから来る不払いの問題あるいは協定を超える残業の問題ではないかというふうにとっております。
 そういうことからいたしますと、先ほど申しました労働基準法に基づきます監督指導のほかに、そういったものを容認するような土壌がやはり問題である場合も非常に多いわけでございます。そういうことからしまして、昨年の八月に労使の専門家にも御参加をいただきまして、所定外労働削減要綱というものをつくりましたときに、従来そういった問題を正面から取り上げていたことはなかったわけでございますが、このサービス残業の問題も取り上げ、そういうものを生む土壌をなくしていこうというようなことも盛り込みましたし、また残業そのものにつきましてもとりあえずは毎年一〇%ずつ削減をしようではないかということを盛り込みまして、これに基づきまして企業あるいは労使に対しますキャンペーン、啓蒙普及ということをやってきたわけでございます。
 それとともに、基本にあるのは、やはり何といいましても安易な労働時間管理をやめてもらうというところが基本でありますし、例えば残業の予算制度といったようなもの、これは予算制度があるのは当然かと思いますけれども、予算があるならば、その範囲内でしか支払わないということではなくて、残業そのものもその中でおさめるというのが当然でございますから、そういう方向での指導をしていきたいというふうに思います。
#39
○庄司中君 局長、これは国際的にはかなり大きい問題だと思います。やっぱり契約社会の人からはとても考えられない事態だというふうに思います。そういう点ではもっと重く受けとめる必要があるだろう。重く受けとめるという意味では、労働と私的な時間、つまり生活時間と労働時間の定義をもう一度する必要がある、局長はわからない、あいまいな分野だというふうな話をされておりましたけれども。そして、何としてもこれをなくしていかなきゃ、国際的にもおかしいわけですし、ある意味ではちょっと恥ずかしいことでもありますから、むしろ積極的に例えばガイドライン、運用基準をつくっていくとか、それくらい積極的な態度でこれ自体に取り組む姿勢が必要だろうというふうに思います。
 時間の関係もありますから先に進みますけれども、もう一つは、残業問題でいきますと割り増し率の問題があるだろうというふうに思います。
 例えば、経済企画庁の国民生活審議会の基本政策委員会中間報告、これは去年の十一月に発表されましてかなり反響と呼んだわけでありまして、「個人生活優先社会をめざして」というサブタイトルがついております。その中ではっきりと割り増し率の低いことが問題というふうに書いてあるわけです。それから、割り増し率といいますのは言うまでもないわけでありますが、基準法制定以来二五%で来ているわけです。これまた有名でありますけれども、アメリカとかカナダが五〇%であって、ヨーロッパの場合には段階的に五〇%にいくんだよという国際比較の上での格差も非常に大きいというふうになってまいります。
 今や、春闘の中でもこれが大きな問題になりまして、この割り増し率の問題が大きな問題になってきつつありますけれども、労働省としてはどんなふうにこの問題を見ていらっしゃるのか、まずその辺をお聞きしたいと思います。
#40
○政府委員(佐藤勝美君) この時間外労働の問題が非常に時間短縮の上で大きな問題になってまいりますと同時に、ただいまの割り増し率の問題もこれまた非常に大きな注目を集めて当然の問題でございますけれども、確かに外国で行われている割り増し率、外国といいますか、先進国で行われております割り増し率から比べますと、我が国の基準法の二五%というのは、これはまあ低い方であるというふうに言って間違いではなかろうと思います。
 ただ、外国の場合にも、法律で例えば五〇%なり、そういった率を決めているかというと必ずしもそういうところは多いわけではなくて、やはり労使協定で高い割り増し率を決めているという例が非常に多いわけでございます。その点は日本の場合にいろいろ組織率その他の問題、先ほど御指摘の問題もございまして、なかなか労使協定で高い割り増し率を決めているという例はそう多くないわけでございますが、いずれにしましてもこの問題が今後所定外労働時間にどう影響するのか、所定外労働時間を削減していくためにはこの問題をどう扱っていくべきなのかということが大きな問題であることは間違いのないところでございます。
 非常に基本的な議論をいたしますと、割り増し率を上げることによって事業主へのコストからくる抑制効果があるというようなことから残業が減るであろうというようなことも言われますし、あるいは時間単価が上がれば時間短縮によります労働者の収入減が一部カバーをされることもあろうというような議論があるのと同時に、他面では時短自体が事業主に相当なコストの負担になるのに割り増し率が上がるというのはダブルパンチではないか。とりわけ、現在法定の方は二五%でほとんど全部が行われております中小企業に対する影響が非常に大きいのではないかというようなこと、あるいは学者の中にはむしろ現在の所得に対する選好意識がなお強い我が国の現状では、割り増し率が上がるとむしろ時間外労働をふやすような方向に働くおそれさえあるというような御指摘もあります。
 とかく両面からいろんな議論がある非常に大きなかつ困難な問題だと思いますけれども、こういう点も含めまして、これも現在見直し検討をしていただいております中央労働基準審議会におきまして議論が行われている、こういう段階でございます。
#41
○庄司中君 もう一つ別な角度から考えてみまして、例えば残業の単価の計算というのは基準法で大体労働の対価以外の賃金項目から全部除かれます。例えば通勤手当であるとか、あるいは家族手当であるとか、一時金までこれは除かれます。そうしますと、残業の単価二五%を加えましても、一時金というのはボーナスですから大きいわけですから、所定内の一時間当たりの単価よりも残業の単価を実数で比較すると小さくなります。ほとんどのところがやっぱりそうだと思います。
 そうしますと、こういったことが起こりませんか。経営者としては残業をやらせた方が人を雇うよりコストが安いということになります。だから、できるだけ人を雇わないで残業でやるということになります。
 何年か前に労働白書はこの計算をしたことがございます。つまり、新しく人を雇うのと残業単価をどの辺まで上げたもイコールになるかという計算をたしか労働白書の附属資料でされたことがあります。その数字をとってみますと六二・九%という数字が出てまいります。割り増し率を六二・九%にしなければ、つまり残業をやらせた方が人を雇うよりも安くなるという計算をしてあるわけです。そうなってみますと、経済法則が働くだろうというふうに思います。人を雇うより残業をやらせた方が安ければどんどん残業をやらせる、つまり企業行動が残業抑制的に働かないということになります。促進的に働くということになります。
 例えば、今環境問題が非常に大きな問題になっておりますけれども、つまりCO2を出すエネルギーを節約するためには、環境税をつくるとか炭素税をつくるとかという議論が今度のサミットの議案の中にも既に出ています。つまり、市場メカニズムの中に政策課題を織り込むということなんです。これが僕は今必要なことだろうというふうに思います。
 しかも、新しい人を雇うのと残業単価を六二%上げてイコールなわけでありますから、むしろ五〇%にしてもまずいわけです。まだ経済法則が政策目標に向かっては働かないということになるわけでありまして、つまり企業行動自身が残業を抑制して所定内で効率を上げる、必要な仕事をこなすというふうになっていかないとやっぱりだめだと思います、大臣がさっき言われた独立変数の効果というのはこういうことだろうと思います。しかも労使の交渉はあるわけですから、労使の交渉というのはある意味では市場でございますから、具体的には市場にゆだねたらいいけれども、政策的な目標は市場の中に埋め込んでおかなきゃいけない、そうしないと効果は出てこない、こういうふうに思います。さっきの局長の答弁ですとまだそんな議論までとてもいっていないという感じを受けますけれども、どうなんでしょうか。
#42
○政府委員(佐藤勝美君) お話しのように、労働白書で製造業について試算をして、新規雇用とそれから残業でカバーするものとの損益分岐点といいますか、それが割り増し率六二・九%という計算をいたしたことがあるわけでございます。そういう観点から、所定外労働時間を制限するといいますか、減少させるには割り増し率を上げるのが非常に有効であるという御議論が一方であるというのはそのとおりでございますし、これは大変この問題に関する議論では非常に大きな議論であろうかと思います。
 また、それと同時に、この議論は専ら残業抑制効果という面からの御議論でもあろうかと思いますけれども、そういう点も含めましていろんな議論が現在行われている。とてもその議論までいかないというようなことではございますが、あるいは私の説明が若干舌足らずでそういうふうに御理解になったかもしれませんが、そういうことではなくて、そういう点も含めての議論が今行われつつあるところである、こういうことでございます。
#43
○庄司中君 そこで大臣、今御存じのとおりいろいろ課題を抱えているわけです。時短を促進するためには、大臣がおっしゃった独立変数を、むしろ制度的な与件とか前提にまで高めないととても事態は進まない。今省内で検討されているお話を聞きましてもそんな感じを持ちます。
 ところが、客観的な情勢からいきますと、去年の総理府の調査によりましても、例えば政府目標の千八百時間の賛成者は実は四八・一%いるわけです。半分いるわけです。しかも、ドイツ、フランス並みの千六百時間がいいというのが一三・六%もいるわけです。積極的に推進すべきだという数字が六一・七%に実はなるわけです。しかも、その調査の中では、所得よりも時短の方が望ましいという意見が前の調査と比べたらかなりふえてきているわけです。
 さっきも申し上げましたけれども、国際的には、長時間労働を武器にする競争は絶対許さないという声が日々高まってきている。そして国内でもこういう状態が出てきているわけです。やっぱり国際的にも国内的にもいわば時短を推進する、大きく前進させるという追い風が非常に強く吹いているというふうに思いますので、そういう点で大臣の決意とか認識とかをお伺いしたいと思います。
#44
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに庄司先生御指摘のとおりでございまして、特に若い諸君たちとも私いろいろ話し合う機会が多いわけでございますけれども、賃金よりも土曜日曜休みがどうだろうと、土曜はともかく日曜、それより休みがどうかだとかですね。残業残業では困る、こういうことでございます。実は、私は労働大臣になりましてから省内でいろいろ議論しまして、幾らGNPが土曜日曜なしに働いて残業残業残業で伸びたって、これまではともかく、これからは意味がないじゃないかと。こういうことで、そういったものをカウントしたGNP、俗称私は生活GNPと言っておりますが、生活GNPで計算してみると、こう言いました。
 端的に言って、千八百時間を目標とすれば千八百時間マイナスX。だから、例えば二千時間とすればマイナス二百時間ですね。この二百時間でGNP、これは四百兆なら全体の一割だから一割カットと。そうすると四百兆マイナス四十兆ですから三百六十兆。したがって、通俗GNPは四百兆だけれども、生活GNPは三百六十兆だということです。そして、こういう形でGNPを計算し直して、結局千八百時間マイナスXがゼロになった場合、すなわち千八百になったときはちょうど通説GNPと生活GNPがクロスすると、こういうようなことでひとつ考えようじゃないか、こういう議論をしております。ただ、これでは余り単純過ぎるからもう少しいろんなことを考えて、新しいGNP、つまり労働省で生活GNPというものを指数化して、一つの今後の労働行政の努力目標、計数的なそういうことをしよう、こういうことを言っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、そんなことで今度の春闘もいろんな要求ございますが、しかし、ともかくこの労働時間の短縮というものを私は今度の春闘の最大の目標にしておるわけです。宮澤内閣についていろいろおっしゃられますけれども、私はあえて言っておりますのは、宮澤内閣ぐらい上は総理大臣、下は労働大臣に至るまで時短、時短、時短と言っている内閣はないんで、ぜひこれはひとつ時短だけは何とか実現をいたしたい、こういうことで一生懸命令頑張っている次第でございます。
#45
○庄司中君 大変な問題ですから、おっしゃられましたように、かたい決意で断固として進んでいただきたいというふうに思います。
 それから、次の問題に移りたいというふうに思います。
 次の問題は高齢者の雇用問題でございまして、これまた大変な課題でございまして、二十一世紀に向かいまして高齢化が進んでいく、そうして労働力の供給が先細ってくる中では、すぐ外国人労働者じゃなくて国内の資源をどうやって生かしていくか、人材を生かしていくかというのは恐らくこれは大変な問題だろうというふうに思います。そこで八六年と九〇年に例の高年齢者雇用安定法が改正をされまして、かなり中身がよくなってきたといいますか、それなりの成果も出てまいりましたけれども、まだまだ全体としては十分な成果を上げていないというふうに思わざるを得ないわけであります。
 まず定年問題、定年制問題でいきますと、昨年、六十歳以上の定年制をとっている企業の割合が七〇・八%になったというふうな発表がございました。そして、恐らく二年ぐらい先には、予定を含みますと八五・七%という数字が出ているわけでありますけれども、これは五年前と比べますとかなり大きい進歩がございます。ですから、法律を改正する、つまり独立変数の強化をするという効果は大きいわけでありまして、例えば五年前だと五六%しかいっていなかったわけでありますから、非常に大きいというふうに思います。
 それで、労働省はこの問題で対策基本方針をつくってございます。その中で、平成五年、つまり来年に暦年でいいますとなるわけでありますけれども、完全定着という目標を掲げていらっしゃいます。この完全定着というのは一体どの辺のことを指しているのか、まずお聞きをしたいと思います。
#46
○政府委員(若林之矩君) 六十歳定年というのは六十五歳までの安定した雇用機会の確保を図る基盤でございます。ただいま先生御指摘の平成二年の十二月に改正法に基づきまして高年齢者等職業安定対策基本方針というものを策定いたしました。そこの中で、公労使の方々がお集まりになりまして、この内容についての御審議があったわけでございますけれども、ただいまお話しのように、平成五年度までに六十歳定年を完全定着させるということが目標として掲げられたわけでございます。
 この御審議の中で、完全定着という概念が具体的にこうだというものは実はございません。しかし、私どもはできる限り一〇〇%に近づけていくということがこの完全定着の意味であろうというふうに考えておりまして、そういった考えに立って現在行政指導を進めているところでございます。
#47
○庄司中君 定年制の問題については、法律の中で六十歳未満定年であることに特段の事情がないと認めるものについては一定の行政措置を行える。最終的には企業名の公表とかそういうことを意味していると思いますけれども、それ以前に幾つかの段階がございます。そして最終的には企業名の公表になるわけでありますけれども、今もって企業名の公表はないと思います。例えば引き上げの要請であるとか、引き上げ計画の作成命令であるとか、適正実施勧告であるとか、こういうことが行政措置の中に含まれておりますけれども、法律が改正をされて以降どの程度の件数があるのか、この辺をちょっと数字的に、申しわけありませんけれども、お聞かせいただきたいと思います。
#48
○政府委員(若林之矩君) 六十一年の高齢者雇用安定法に基づきまして、ただいまお話ございましたように、定年引き上げの要請、定年引き上げに関する計画作成命令等の一連の行政措置が定められたわけでございます。そして、これもただいまお話ございましたように、政令で一定の基準がございまして、そういったような基準に該当するものを別として私どもそういった手続で行政指導を進めるということになっておるわけでございますが、平成三年九月一日現在で、要請いたしました件数が一万七千八十九件でございます。そして、計画作成命令となってまいりましたものが千七百三十件でございます。これらの行政措置の結果、一万三千五百二十七社の企業が六十歳定年に到達いたしております。
 なお現在、この計画作成企業で六十歳定年をいまだ達成していない企業に対しましては強力な行政指導を進めておるわけでございますが、そういったことでその計画作成命令の次に参りますのは適正実施勧告でございますけれども、適正実施勧告はまだ発出いたしておりません。
 以上が状況でございます。
#49
○庄司中君 ありがとうございました。
 次の問題に移りたいというふうに思います。
 もう一つの問題といいますのは、年金との関係が実はかなり大きい問題になっているわけであります。御承知のように、厚生年金を土台にしますと在職老齢年金という制度がございまして、そしてこの前の制度の改正で、所得に応じて段階がございまして、例えば収入が多い人は減額をされるという制度で、三段階のものが七段階になりまして、前よりは多少緩和をされたわけであります。つまり、働く所得が多ければ年金が少なくなるということになりますと、二つの問題が出てきます。
 これは東京都の労働研究所が集計したわけでありますけれども、雇う側からいきますと安く雇えるんです。年金が出ているんだから賃金は安くていいんだという話になる。事実経営者はこれを意識して賃金を低目に誘導しているというのが東京都の調査でも出てまいります。
 それからもう一つは、今度は労働力の供給側で、働いて収入があると年金が削られるということになりますと、就業意欲が停滞をする、減退をするという問題が、これも調査の結果非常にはっきり出ております。例えばヨーロッパでも部分年金制度をめぐる問題というのは非常に大きな問題がございます。高齢者の雇用を拡大しながら所得を保障していくにはどうしたらいいかというのはヨーロッパでも大変な問題でございますけれども、労働省としてはこの年金問題について厚生省と協議をしたか、あるいは協議するシステムがあるか、そんなことは事実関係としてはどうなっているんでしょうか。
#50
○政府委員(若林之矩君) 年金と雇用の問題、これは大変大きな問題でございます。そしてこれは当然私どもと厚生省とで緊密な連携を持って進めていかなきゃならない問題でございまして、これまでもたびたびそういった意味での協議を重ねてきておるわけでございますけれども、今期におきましても、この年金と雇用の問題につきましては、厚生省とまず局長レベルそれから課長レベル、こういったところで会合を重ねているところでございます。
#51
○庄司中君 具体的な例を挙げまして、この現行の制度が持っている機能と役割について認識していただきたいというふうに思います。
 例えば、標準的な金額でいきますと、今年金をもらっている標準というのは、もらっている人たちを見ますと二十万円ぐらいが大体中心なんです。そして、これはもう労働省の局長よく御存じですけれども、六十歳を超えた人たちが働こうというふうになりますと、都市部でも賃金が大体十五万円ぐらいです。二十万円の年金をもらっている人が十五万円の所得があった場合にはどうなるか。さっき申し上げましたように、その収入において減額する率が出ていますけれども、これを計算しますと年金が半分になるんです。つまり、二十万円もらっていた人は十万円になるわけです。そうしますと、賃金が十五万円ですから、十万円を加えますと二十五万円です。一カ月フルタイムで、年金をもらっているよりも五万円しかふえないんです。これで働けますか。恐らくこの制度がある限り高齢者は働くことをしないでしょうね。ばかばかしいですね。そういうふうに今の制度は高齢者雇用を拡大する上で制限的、抑制的なんです。
 もう一つ例を挙げますと、二十四万円以上の所得がありますと年金はゼロになるということなんです。二十四万円以上の所得といいますと、専門職それから経営者、経営能力を持った方は、二十四万円以上所得があって年金がゼロになったら、これはもう仕事をする気にはなりません。つまり、市場に参加をするといいますか、参入するのを拒否します。
 そういう意味では、高齢者雇用を拡大していく上で、今の在職老齢年金というのは、これは厚生省には悪いわけでありますけれども、制限的なんです。ふやす方向じゃないわけなんです。よく御存じのように、例えば六十歳から六十四歳ぐらいの就業者をとってみましても、年金受給者は二〇%を超えているわけです。みんなこういう状態の中でなおかつ働いているわけです。よほどの事情がなければ働かなきゃならないということだと思います。
 そういう点では、僕はヨーロッパの年金と雇用の関係については、ある意味では非常に促進的だと思います。ドイツが八九年に新しい部分年金制度、年金と雇用の関係の制度でありますけれども決定をいたしまして、ことしから、九二年度から実は適用になるわけであります。これはかなりヨーロッパでは共通をしておるわけでありますけれども、年金部分は、つまり労働者の従前所得と現在所得の差を補てんするということなんです。前にもらっていた賃金が、転職をするあるいはパートタイマーに回ることによって減った場合に、減った額について幾つかの段階で年金で補てんをしていくという制度なんです。そういう意味では、ヨーロッパの場合には雇用促進型といいますか、機能としては持っているというふうに思います。
 そういう点では、我が国の場合にはいろんな問題がありますけれども、雇用抑制型の機能を今は持っている。そして、恐らくヨーロッパは促進型の機能を持っている。制度というのはそういうことにあるだろうというふうに思います。そういう点では、年金問題は、もう厚生省の管轄だからおれは知らぬよ、口は出さないよという、まあそんなことはないでしょうけれども、雇用促進型に持っていかないとだめだと思います。やっぱりヨーロッパ的な発想を持たないといけないだろうというふうに思います。
 そういう意味では、これから部分年金制度といいますか、雇用と年金をどうやって組み合わせていくかということは、これはもうヨーロッパも同じでありますから、高齢化社会でありますから、国際的な大きな問題になるわけでありますから、むしろ労働省の側が労働の立場できちんと発言をしていくことがどうしても必要だろうというふうに思うわけです。そういう点で何かお考えがあればお伺いしたいと思います。
#52
○政府委員(若林之矩君) この年金の制度と雇用、具体的に例えば高齢者の労働力率と申しますか、こういうものは大変に緊密に結びついているわけでございまして、これも先生御専門でいらっしゃいますけれども、ヨーロッパもそういった面で大変にこの制度の構築について苦しんできているのだろうと思うのでございます。ある意味では、必ずしも私はヨーロッパの制度が雇用促進型になっていない現状があって、それをやはり各国の担当者が非常に苦しんでいる状況でもあろうというふうに思っているのでございます。
 我が国の在職老齢年金の問題につきましては、既にこの前三段階のあれが七段階に修正をされまして、いろんな面での改善がなされておりますけれども、なおその後におきましても労使の方々からいろいろな面での雇用と年金との観点から御意見があることは私どもも十分承知しているところでございます。これはやはり大変基本的に難しい問題であると存じます。年金制度の持っている基本的な枠組みというものもございますものですから非常に難しい問題だと思っていますが、しかし、やはり先生ただいま御指摘のような点から見て一つの重要なテーマであるという認識は持っております。
#53
○庄司中君 実際の現場を踏んでみますと、この問題は非常に大きいわけです。六十歳になりますと年金をもらえますから、体力があって働く意欲がある人が働こうとすると、この制度が抑制型に働いちゃうわけです。働いたら引かれちゃう、ばかばかしい、おれは能力を持っているからもっと高い賃金もらえるけれども二十四万もらったらパアよ、年金がなくなるということでは市場参入すら拒否しているというふうに思います。こういう点では、これからかなり大きい問題ですし、それから制度の改定ということが日程に上っているわけでありますから、むしろ労働省の立場で発言をしていっていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、時間がなくなりましたので大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、全言った定年制と年金の関係以外にもいろいろ問題があるわけであります。
 例えば年金の受給の開始年齢、現在六十歳ですけれども、御存じのように六十五歳が財源問題から検討課題になっています。それから、この前六十五歳の問題が出ましたけれども、労働組合が断固として拒否しましたのは、雇用の方がそっちへいっていないんじゃないか、今六十歳定年制が七〇%を超える、そして六十五歳になったらこの五年間はどういうことになるんだろうということが一番大さ。い問題であったわけであります。
 ところが、制度が変わりまして、九〇年度の改正で継続雇用の問題が努力目標になっていましたけれども、これ自身も定年制がそういう状態でありますから充実されているとはとても言えない。だから、もう定年制をとにかく何でもかんでも六十以外は認めないというふうにしていかなきゃいけない。そして、次の課題である六十歳前半層の雇用の拡大、今は非常にこの面が弱いわけでありますけれども、年金受給だけじゃなくて高齢者の能力をどうやって生かしていくかということになりますと、いろんな制度なりいろんな誘導装置なり施策をつくっていかなきゃならないだろうというふうに思います。
 それから、大企業の場合には継続雇用できますけれども、中小の場合には受け皿がないわけです、関連企業はないわけでありますから。だから、一般市場でやりますと、御承知のとおり、有効求人倍率は一を超えておりますけれども、六十歳を超えますと〇・二四段階に入っちゃいますね。こういうふうにいろんな問題があって、いわばそれが未整備の段階に今ある、そして急がなきゃならない、こういう段階にあると思いますので、この点につきまして大臣の御所見なり決意なりを伺いたいというふうに思います。
#54
○国務大臣(近藤鉄雄君) 庄司先生から大変大事な点についての御指摘がございました。私も、いろいろ御意見を承りながら、まだまだ勉強しなきゃならないことが数多くあるなということを改めて自覚をいたしました。今局長からも話がありましたけれども、ひとつ総合的にもう一回私も自分の頭でちゃんと考えてみたいと思ったわけです。
 ただ先生、私労働大臣になりまして思うことは、日本はもうともかく今労働力不足です。これからも経済発展するためには人手が足りないということで、それじやお年寄りも来ていただいて働いていただこう、またそこの奥さん方も人手が足りないからひとつ来ていただこう。加えて言えば、障害者の方々も労働力不足だから来ていただいて、皆さん集まって大いに物をつくろうではないか、こういうことだけではまさに我が国は悪名高き生産第一主義になっちゃいますよね。
 ですから私は、労働力不足だからお年寄りも奥さん方もそれから障害者の方々も全部労働にいらっしゃいという形だけではいけないのじゃないかな、こう思っているわけです。むしろ、社会が豊かになってきたから、お年寄りでもうおれはいいよ、リタイアだよとおっしゃる方はもちろん安心した老後を送っていただく、これも社会のゆとりだと思います。同時に御年配の方、まだまだお元気な方がたくさんいらっしゃるわけでございますので、そういう方々が積極的に社会参加を続けていこうというときには、それが続けていただけるような体制をつくっていく。しかし、若い人もどんどん下から上がってきますから、だから御年配の方々が従来のようなポストにずっと長くいらっしゃると若い方々のまた活躍の場がないという面も現実にあるわけでございます。
 そういうことで、六十歳定年ということは、これはもう現在の日本人の健康事情から考えれば、私もこう見えても六十二歳でございますから、まだまだ少し頑張ろうと思っているわけでございますから、六十歳で定年なんというのはとんでもないことであって、それまでは、六十歳までは好きにやっていただいて、後は継続雇用という形でそれぞれに適合した形の雇用の形態を考えて選択していただく。
 また、今年金が雇用促進型じゃなしに抑制型じゃないかというお話もございましたが、こういう点についても、やはり元気で社会参加していただくんだけれども、年金との関係で余りこれは得しゃないななんというお気持ちを持たれるのもこれも問題でしょう。片一方で、いろいろ言っちゃいますけれども、これから高齢化社会で将来の年金のいろんな負担はどうするんだと、社会的に。そういう問題もありますので、まあいろんなことをごっちゃに申し上げましたけれども、私もこういう大臣という職を得た以上は、この問題について、もちろん厚生省といろいろ相談しながら、先生の御指摘も十分踏まえてひとつこれからのいろんな制度に取り組んでまいりたい、こう思っておりますので、よろしくひとつお願いいたします。
#55
○庄司中君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#56
○委員長(向山一人君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#57
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#58
○田辺哲夫君 私は、三十分しか与えられた時間がございませんので、世上今極めて関心のある、また論議の多い基本的問題につきまして二、三お尋ねしたいと思います。
 まず、生活大国づくりと労働行政の関係でございます。
 過般の労働委員会におきまして大臣は、生活大国づくりのための労働行政は極めて重要な関係にある、生活大国づくりの使命に燃えて推進したい、このような抱負を述べられたわけでございます。私も心からの賛意を表する次第でございます。
 本通常国会の本会議におきまして、宮澤総理が生活大国づくりを大きく政治、行政の目標に掲げました。そしてその達成のために六本の基本的な柱というものを説明なさったわけでございますが、その大半が私は労働行政に関係がある、このような解釈でございます。
 具体的に申し上げますならば、労働環境の改善、特に労働時間短縮の問題または高齢者、障害者の社会参加、これも要するに高齢者、障害者の雇用、労働という問題が大半であろうと思います。または女性の社会参加、これも同じように解釈するわけでございます。さらには国土の均衡ある発展、これも柱に言われたわけでございますが、これもやはり総合的な地域雇用対策、地域の労働の活性化、これが大きな骨子をなすものだと思います。
 かように考えますと、生活大国づくりは労働行政にまつところが多い、労働行政の進展なくして生活大国づくりは到底実現できないだろう、私もさように思料するわけでございます。
 先ほど大臣は生活GNPというような新機軸を御説明いただいたわけでございまして、私どもも大変意を強くしておるところでございます。大臣のお考えは当然わかっておりますが、ここで生活大国づくりのための労働行政の推進に関しまして、その決意と抱負を改めてお聞きしたいと思います。
#59
○国務大臣(近藤鉄雄君) 我が国の経済的な実力に見合った豊かでゆとりのある生活を国民の皆さんのものとして実現したい、これが総理のおっしゃる生活大国ということだと私は考えておりまして、先生がら御指摘ございましたようにこうした生活大国づくりの最も重要な政策の担い手は我々労働省であると、こういう自負と同時に責任感で大臣以下一生懸命努力をしているわけでございますが、先生御指摘のようないろんな条件がございます。もう今や我が国の労働条件、勤労条件、生活というのは一国内問題だけじゃなしに国際的な関心が集まっているということも事実でございます。
 そこでいろんなことがございますが、私はもう端的に絞りまして、まずさしあたってこれが国際的な問題となっておりますが、我が国の欧米に比較して長い労働時間をできるだけ短縮をする、これが第一点。
 それから、豊かなんですからやはり家庭生活と職場というものの調和と御婦人の方々の能力を発揮する、まさにぜひそうしていただきたいわけでありますけれども、結果的に家庭生活とか、例えば育児なんかとお仕事との問題が出てきては困りますので、育児休業法を四月一日から施行するわけでございますが、同時に介護休業、これも家庭と職場の調和の問題でありますが、これについてもいろいろ考えてみたい。
 また、これはかねてからの懸案でございますが、勤労者財産形成、働いてフローの所得があってもストックの財産がない、特に住居環境はおくれている、こういう指摘もございますので、こういったことを中心としながら、まさに生活大国を目指す宮澤政権において重要な役割を担ってまいりたい、こういう意気込みで頑張っておるわけでございます。
#60
○田辺哲夫君 次に、外国人労働者につきまして質問したいわけでございますが、庄司先生から先に質問がございまして、重複する点があるわけでございますが、私も極めてこれは重要な問題だと思いますから、重複をお許しいただきまして質問したいと思います。
 去る一月十五日でございますか、パリで経済協力開発機構、いわゆるOECDの世界労相会議が開かれたわけでございます。私は新聞でその内容を知りました。そして、そこで大臣が基調演説を行ったということが新聞に報道されておりまして、私は多大の関心を持ったわけでございます。新聞の記事によりますと、二つの点を浮き立たせておりました。
 一つは、大臣が、研修制度を拡大して、そして日本の技能移転と申しますか、技術を外国人に習得していただいて国際貢献を果たしたい、これが一点。それの裏返しというわけじゃございませんが、しかしながら外国人の労働の自由化、ウルグアイ・ラウンドのサービス面の交渉でございますが、これは慎重に対処して拒否したい。この二つが大きな柱であったと思います。私もこの大臣の所見というものは私の考えと同じであるということで、心からの賛意を実は表したわけでございます。
 そこで、単純労働者の自由化の問題でございますが、重複する点が多々あるわけでございますが、私も現今の日本のいろいろな社会体制または労働市場、または治安、または高齢者とか婦人の雇用、いろいろの面から考えまして、ウルグアイ・ラウンドの労働の自由化というものは拒否すべきではなかろうか、このような考えでございます。
 先ほどから大臣の御意見というものは既に拝聴しておるわけでございますが、先進国と後進国の問題、極めてこれは大きな国内的、国際的な問題を絡んでおる件だと思います。場合によりますと、米の問題よりももっともっと大きな問題であるという私は考えでございます。先ほど御答弁ございましたが、この問題につきまして結論だけで結構でございますから改めて所見を伺いたいと思います。
#61
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私、労働大臣になりましてから、日本経済は労働力不足で大変で、そして単純労働者も呼んだらどうだと、こういう御意見も承ったこともございます。
 ただ、先生御指摘のように、私、OECDの労働大臣会議に参りまして、なぜ今労働大臣が集められたかというと、今OECDだけでも三千万人の失業者がいるんですね。世界最大の政治問題が失業問題である。それを比較いたしますと日本はまさに労働力不足、完全失業率が二%、全く逆な状況でございますが、私は、むしろ労働力不足というものを一つのてこにして、そして日本経済の構造改革をしたいというふうに思います。そして、本当に豊かで安定した生活ができるような政策をとるべきだと、こう思っておりますから、率直に言って安易に外国の方々に来ていただいてただ安く働いていただくということではないんで、むしろこういう高い労働力、そして労働時間も短縮した大変難しい状況でありますから、これをてこに新しい経済のあり方や産業のあり方を考える、こういうことを皆さんに話したわけでございます。
 そういう観点からまいりますと、ウルグアイ・ラウンドでもサービス業に付随して単純労働者を入れる入れない、こういう議論であった。これは担当二国間で話はしてくださいということでありますから、そこから先は私たちの考え方でいいと、こういうことであると思いますので、午前中申し上げましたけれども、私どもは単純労働者の受け入れということは原則として行いません。しかし同時に、意欲を持った若い外国の青年労働者の方々には来ていただいて、そしていろんな技術を研修していただいて、また帰ってそれぞれ母国の経済発展にそれを役立てていただくと、こういうことは従来よりも大幅に今後制度を変えて実行してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#62
○田辺哲夫君 そこで、今の我が国におきまして外国人労働者の具体的な数とか中身でございますが、これは細かく聞いておる時間がございません。私が知る範囲を申し上げまして、それが正しいかどうかお答えいただけば結構でございます。
 法律に基づきまして、技能者等の資格ある就労外国人が約十万人ぐらい。日系二世、三世の外国人就労者が十五万人ぐらい。不法就労者、これが十五万人ぐらい。不法在留者が十五万人以上ということでございますから、私はこれはイコール不法就労者ではなかろうか、このような判断でございます。そして密入国が一万人以上。留学生でアルバイト等々をやっておる方が五万人ぐらい。または研修制度が四万人弱。現在約五十万人ぐらい。このような数を伺っておるわけでございますが、これは正しい数字でございますかどうか、お答えいただきたいと思います。
#63
○政府委員(若林之矩君) 毎年新規に入ってまいりますフローの数と在留している数と違うわけでございますけれども、今ある時点で在留しているというベースでまいりますと、平成二年末におきます就労目的の外国人登録者数、適法に入ってきて働いている数、これは六万八千人でございます。それから日系二世、三世の方につきましては最近大変ふえておりますけれども、平成三年六月現在で約十五万人、これは先生御指摘の数字でございます。それから不法就労者でございますが、法務省によりますと、平成三年五月現在で十六万人を超える潜在的な不法就労者がいる、こういう推計でございます。それから研修生でございますが、平成二年末におきまして研修生という在留資格で外国人登録をしている数、これが一万三千人でございます。毎年フローで入ってくるのは三万人ぐらいでございますけれども、外国人登録をして研修しているのは一万三千人でございます。それから留学生でございますけれども、これも平成二年末におきまして留学生の在留資格で外国人登録をしているのが約五万人、こういう数字でございます。
#64
○田辺哲夫君 大体私の承知しておる数と合致しておるようでございます、若干違いもございますが。
 そこで、不法就労者でございますが、平成二年には何か十万人ぐらいいた、それが現今は十六万人である。一年程度で五割増してございます。これは極めて私は重要な問題であろう。研修制度の維持拡充は結構でございますが、この不法就労という問題は厳正に対応しなきゃいかぬ。今治安問題とかまたは病院の問題とか労災の問題とか、いろいろ枝葉の問題が出ておるわけでございまして、労働省におきましても法務省、外務省等々、また政府、あらゆる機関と連携いたしまして厳正な対応を望みたいということを期待いたしまして、お答えをいただきたいと思います。
#65
○政府委員(若林之矩君) 不法就労者の増加はいろいろな問題を含んでおりますけれども、特にやはり労働市場、労働条件への影響という観点からいたしますと極めて大きな問題でございます。そこで私ども、この不法就労の防止のために事業主の方の啓発、指導を相当徹底して行っております。全国の六百の安定機関で相当数の啓発活動を行っているわけでございますけれども、加えまして、不法就労をあっせんする違法な仲介業者、ここを重点にいたしまして排除に努めております。
 この不法就労対策は、やはり関係省庁が相携えて進めなきゃならないことでございまして、本年の二月に、労働省と法務省と警察庁の間で最近の不法就労の急増に対処するためを目的といたしまして、不法就労外国人対策等関係局長連絡会議というものを設置いたしました。加えて、課長レベルの連絡会議も設けました。さらに、地方レベルでもそういった連絡体制をとりまして、関係省庁相携えてこの問題に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
#66
○田辺哲夫君 大臣のパリの基調演説のもう一点、研修制度の充実、発展。この点でございますが、今政府におきましても、また各政党におきましても、この問題を積極的に検討しておる最中でございます。聞くところによりますと、技能実習制度を創設し、そしてその門戸を大きく開きたい、また長期間、研修実習制度というものを二年間ぐらいにしたい、また対象人員を大幅にふやしたい、こういうことをよく承るわけでございますが、時間がございませんからその骨組みたけ、ひとつ労働省の考えをお聞かせいただきたいと思います。
#67
○政府委員(松本邦宏君) 先生今御指摘の技能実習制度につきましては、昨年の末に臨時行革審議会の方から答申が出ておりまして、そこで大枠が決められておるわけでございますが、それに基づきまして今労働省の中で検討している段階でございます。
 これは、もとより法務省等と最終的には突き合わせをいたすということになるわけでございますが、現在労働省で考えております基本的なところを若干御説明いたしますと、行革審の方では今おっしゃいましたように滞在期間全体として二年ということになっておりますが、その中でいわゆる研修と技能実習期間との割り振りをどういうふうにするかというようなことについては必要最小限の研修期間にしようということだけをおっしゃっているだけでございまして、期間については定めておられません。
 そこで、労働省では、九カ月程度の研修期間、その後一年三カ月程度の技能実習というものを設けてはどうかというようなことでありますとか、あるいはその技能実習制度を実効あらしめるためにはやはり技能評価という問題が非常に重要でございまして、本当に技能が付与されたかどうかということを中間段階あるいは最終段階できちっと評価をするという仕組みをつくりませんと、ともすれば単純就労に流れがちでございますので、そういった評価の仕組み、これは幸い労働省は技能検定制度という制度を持っておりますので、これを踏まえながら若干モデファイした形でつくるとか、そういった点、あるいは研修期間中の管理体制をどうするかというようなこと、そういった点を今詰めておるところでございます。あわせて、技能の従来の研修対象がともすれば大企業が中心でございましたけれども、やはり開発途上国に必要なのは中小企業の技術であろうということで、中小企業の事業主の方で研修をしやすいような仕組みというものも考えなきゃならない、こういった点を現在詰めているところでございます。
#68
○田辺哲夫君 次に、いわゆる過労死という問題につきましてお尋ねしたいわけでございますが、この一、二年過労死問題は大きくマスコミ等でも取り上げられ、世上で大きな関心を呼んでおるわけでございます。そうして、この問題が裁判所の訴訟に係り、またはいろいろの会合が持たれ、これを援助しようという弁護士の集団がつくられる、いろいろな問題があるわけでございます。
 私は、労働省の認定基準が間違いである、こういうことは思っておりませんし、またそれを言うつもりはございませんが、なかなか世上非常に論議がある、関心がある。こういうことで、この際、労働省でももう一度認定基準というものを検討して、そして今の認定基準が正しいならばあらゆる科学的根拠を世間に示しまして理解を求めなければならないんじゃないか、このような時期であろう、このような判断をしておるわけでございます。
 マスコミ等で、労働省は冷たい、人権というものを認めないんじゃないかとか、こういういろいろな論議がございまして、それらを読んだり聞いたりする国民はそうかなというような判断に傾きがちでございます。ですから、この因果関係というものは法律的に一番難しい問題でございまして、刑法であろうが何であろうがあらゆる法律で因果関係は難しい。仕事と死亡の因果関係、この認定の判断でございますが、これは非常に難しい問題がございます。
 質問の第一点は、労働省といたしまして現在の認定基準というものはどうかという点。そしてもう一点は、この際もう一度認定基準というものは正しいという前提の上に立ちましても検討して、正しいなら正しい、これを世間に公表して納得させるべきではなかろうか。そして、万一認定基準を是正する点があるならばまたそれも考えるべきではなかろうか、こんなことを考えるわけでございますが、この三つにつきまして御見解を承りたいと思います。
#69
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまのいわゆる過労死の問題、おっしゃるように大変大きくいろんなところで取り上げられるようになってきておりますが、とりわけ労災補償制度との関係で取り上げられることが多いわけで、それが今のお話の認定基準の問題であるわけです。ただ、過労死という医学概念はないわけでございまして、いわゆる過労死と言われているものは脳出血とか心筋梗塞といった脳、心臓疾患から由来をするものでございます。
 その基礎にありますのは動脈硬化等の基礎疾患でございまして、これは御承知のように業務に関係なくても年をとるということ、あるいは一般生活における食生活その他のいろんな要因によって悪くなってくる。それが症状として出てくる、発症するというものが過労死と言われているもののほとんどでございます。そういった基礎疾患のある方が業務上非常な無理をされたということで、そのことが有力な原因になって症状が出たというものを業務上と判断して労災認定をし労災の給付をしている、こういう問題でございます。
 今申しましたように、動脈硬化等の基礎疾患というのは一般生活の中で年をとるにつれてだんだん出てくるというものでございまして、その結果である病気が業務が有力な原因となって出てきたものであるかということの判断は、元来非常に難しいということは事実でございます。したがいまして、その判断が全国的に斉一的にかつ適正かつ迅速に行われるように必要な要件を定めて示したものがその認定基準であるわけでございます。
 この認定基準は、専門の医師で構成をされました専門家会議におきまして医学的知見を踏まえまして慎重に検討していただいた結果をもとに策定をされたものでございまして、私どもは妥当なものと考えております。しかしながら、この認定基準を適用するに当たりまして事実の判断、あるいはその前提となります調査、それからそれの認定基準に対します当てはめにつきましては、これは十分慎重に行って適正な判断を下すということにつきましては、特に慎重にやるということは当然でございまして、その点につきましては今後とも十分に気をつけてまいりたいと思います。
 それから、認定基準そのものにつきましては、今後とも医学研究の動向を十分見守りまして、その結果の収集及び分析に努めてまいる所存でございます。
 それで、この認定基準というのは、これはもう公表されているわけでございまして市販もされているものでございます。私ども内部資料として持っているというようなものでもございません。しかしながら、とかくいわゆる過労死と言われるものの性質、それと労災補償制度との関係につきましては必ずしも正しく理解されてない場合が多いということで、そういうことからいろんな問題が報ぜられるというようなことでございますので、私どもとしましてはこの問題につきましてのわかりやすいリーフレットをつくりまして事業主あるいは労使の団体に配付をするとか、労災の被災者の方にお配りをする、あるいは相談窓口を設けてそこでの相談に応ずるということを鋭意やっているつもりでございますけれども、まだまだ不十分でございますので、そのことにつきましてはさらに努力をいたしたいと思っております。
 そういうことでございまして、私どもとしては謙虚にこの問題について受けとめるとともに、制度の正しい理解をしていただくという努力をさらに強くやっていきたい、こういうふうに思っております。
#70
○田辺哲夫君 もう時間がございませんので質問を終わりますが、最後に、大臣が生活大国づくりのために労働行政の進展を大いに図ると、これが労働省の一番大きな使命である、また私ども委員会におきましても誇りを持って労働行政を論議できるわけでございます。ひとつ大臣及び労働省の御健闘を期待しまして質問を終わります。
#71
○山東昭子君 先ごろ発表された労働力調査によれば、平成三年の女子雇用者が初めて一千九百万人を超え一千九百十八万人となり、雇用者全体に占める割合は四割に迫ろうとしております。一方、年齢別に見ると、二十ぐらいから仕事につき、出産、育児期に仕事をやめ、四十近くからまた仕事につく女性が依然として多いし、パート労働者も八百二万人のうち女子が五百五十万人を占めております。このように、女性は日本経済社会の発展に大きな役割を果たすものになってまいりました。今後、女性が職場において能力を十分発揮できるようにするとともに、仕事と家庭を両立てきる環境整備をしていかなければなりません。そのため特に重要なことは本年四月一日から施行される育児休業法と施行後六年を迎える男女雇用機会均等法の問題だと思いますので、この二つの点を中心に質問いたしたいと思います。
 まず、育児休業法について。
 先国会で普及状況は一九・二%と説明がありましたが、現時点での状況はどうでしょうか。
#72
○政府委員(松原亘子君) ちょっと古いんですが、昨年の二月時点での調査を私どもいたしておりますが、それによりますと、従業員三十人以上の事業所の二一・九%が既に育児休業制度を導入しているというふうに結果を得ているわけでございます。その後、先生の御指摘がございました育児休業等に関する法律が成立したというようなことを受けまして、民間の労使の間でこの導入についての話し合いが行われ、かなりの企業でこの四月一日からの施行に合わせて導入されることが予定されているというふうに聞いております。
#73
○山東昭子君 この法律の施行のために平成四年度の予算案には五十七億八千万と前年の三倍近い額が計上されておりますが、具体的にはどのような施策を考えているのか教えていただきたいと思います。
#74
○政府委員(松原亘子君) 私ども、この成立させていただきました育児休業法につきましては、何よりもまず適正な形で社会、企業に定着するということが重要であると考えておりまして、そのためには広く知っていただくということが第一でございます。
 そういうことから、今御指摘がございました予算案の中で私どもが予定しておりますことは、広くこの周知、広報を図るための経費と、それから先生御存じのとおり三十人以下の事業所に対しましてはこの適用が三年間猶予されておるわけでございますけれども、その猶予されております事業所におきましてもなるべく早く育児休業制度が導入されるということが望ましいのは言うまでもございません。そういうことから、なるべく早期に導入していただけるようそのための奨励金制度なども入っております。
 それからさらに、育児休業制度というのは労働者がこの制度を活用することによって育児期にも退職することなく継続して長期に雇用できるような条件整備ということから導入したわけでございますから、スムーズに職場に復帰していただくということが極めて重要な点でございます。そういうことから、育児休業期間中の労働者の職場適応性ですとか職業能力の維持回復、企業や職場に関する情報の提供など育児休業後の職場復帰に資するようなさまざまな措置を事業主にとっていただきたいというふうに考えておりまして、そういったことをとられる事業主に対する奨励金を創設するというようなことも盛り込んでいるところでございます。
#75
○山東昭子君 今従業員規模が三十人以下の事業所についてのお話がございましたけれども、このような事業所に雇用される労働者もできるだけ早く育児休業をとれるようにすることが大切だと思います。しかし、実際問題として小さな会社になればなるほど代替要員の確保など難題があると思います。
 そこで、三十人以下の事業所への制度導入を促進するためにはどのような施策を講ずるのでしょうか。
#76
○政府委員(松原亘子君) 今お答えいたしました奨励金に加えまして、やはり企業の方によくこの制度の内容、趣旨を知っていただくということ、特に中小企業の方にとっては重要だというふうに考えておりまして、三十人以下の事業所の労務担当の責任者の方に集まっていただいてこの育児休業法についてのセミナーを開催するというようなことも予定しておりますし、今御指摘の代替要員の問題につきましては、公共職業安定所において特に育児休業についての代替要員の情報提供を特別にやるというようなことも予定をいたしているわけでございます。
#77
○山東昭子君 次に、男女雇用機会均等法について伺います。
 均等法が施行されて社会の意識も企業のスタンスも大きく変わり、男女を同一に扱わなければならないとの認識はかなり定着したと思います。私の手元の資料でも、四年制大卒の求人は、男女を問わすというのが、昭和六十一年三月では三二・四%、六十二年では七二%に急増しております。また、男女別定年制についても、法施行前から男女別定年制がなかった企業が八二%、法施行後改善した企業が一五%で、両者を合わせるとほとんどの企業でこの問題は解消しているようです。しかし、なお問題もあるのが事実なので、今後も各都道府県の婦人少年室の効果的な活躍が期待されるところだと存じます。
 昨年、総務庁は行政監察を行い、均等法の趣旨の徹底のため数点にわたって勧告を行いましたけれども、労働省の対応をちょっとお伺いしたいと思います。
#78
○政府委員(松原亘子君) この総務庁から出されました婦人就業対策等に関する行政監察結果、その中に勧告が入っているわけでございますけれども、これは今回初めて出されたものでございます。こういったことが初めて出されるということ自体私どもとしては婦人就業者の我が国の経済社会に果たす役割が極めて重要になってきているということのあらわれではないかというふうに思っているわけでございます。この勧告におきましても、そういった女子労働者の経済社会に果たす役割の重要性にかんがみまして、今御指摘の男女雇用機会均等法につきましては、その趣旨の徹底などの効果的推進を図るため、婦人少年室における啓発、指導等に当たり、労働省の他の地方支分部局との連携協力システムの確立を図るといったようなことが指摘をされておるわけでございます。
 私どもといたしましては、この男女雇用機会均等法の施行当初からなかなか婦人少年室だけでやるというのも限界があるということは承知いたしておりまして、労働基準監督機関、職業安定機関等地の労働関係機関と連携をとりながらこの周知徹底を図るということをやってきておりますけれども、こういう総務庁からの御指摘も踏まえ、今後ともますますそういった関係機関との連携を図って効果的な均等法の浸透のための施策というのをやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
#79
○山東昭子君 昭和六十年に男女雇用機会均等法の制定にあわせて労働基準法の女子保護規定についても改正が行われましたけれども、これによりまして女子の職域はどのくらい拡大したんでしょうか。
#80
○政府委員(松原亘子君) 労働基準法の女子保護規定、時間外労働とか深夜業の規制の緩和というのを行ったわけでございますけれども、それによってどの程度女子の職域が広がったかということをなかなか直接的な関係として御説明するのは難しいかと思いますけれども、例えば国勢調査で昭和六十年と平成二年の比較で見てみますと、先般の労働基準法の改正におきまして専門職として時間外労働、深夜業の規制を解除いたしましたものに相当すると考えられます例えば科学研究者とか技術者といったようなところでは非常に女子労働者の数もふえておりますし、全体に占める女子の割合というのも高まっているわけでございます。また公認会計士などの数もふえております。
 また、この国勢調査以外にも、私ども業界団体ですとか個別の企業からいろんな情報を聞いたところによりますと、タクシーの運転手だとか新聞記者などでも非常に女性がふえている。タクシードライバーについては深夜業の規制というのを本人の申し出によって解除するというような措置をとったわけでございますが、新聞記者につきましても深夜業とあわせて時間外労働の規制を解除するというふうにいたしました。そういったこともありまして、非常に女子労働者がふえているというようなことを聞いているところでございます。
#81
○山東昭子君 また、女子保護規定の見直しについては労働省はどのように考えておられるでしょうか。
#82
○政府委員(松原亘子君) 昭和六十年に労働基準法の女子保護規定が改正されたわけでございますけれども、その改正案を国会に提出する前に婦人少年問題審議会で随分長い間検討がなされてきたわけでございます。その検討の中におきましても、男女の機会均等を確保するためには男女が同一の基盤で働けるようにその労働条件の法的枠組みを同じくする必要があるということが指摘をされたわけでございます。しかしながら、直ちにそれを昭和六十年時点で行うかといいますと、労働時間等全体の労働条件、それから女子労働者がやはり家庭責任を重く負っているという状況はあるわけでございますので、その家庭責任と職業責任とを両立できるような条件整備がどのように整っているかといったようなことも考慮に入れなければいけないということから、直ちに男女同一にするにはその時点では適当でないということから、原則は制限し例外をふやすという形で措置がなされたわけでございます。私どもとしては、一応将来の方向はそういった形で、昭和六十年時点に法案を出しますとさの審議会の結論でも一定の方向は出ているわけでございます。
 しかしながら、当然のことながらそれに向かう道筋においては全体の労働条件とか、先ほど申し上げましたような女子労働者、必ずしも女子だけではないんですけれども、家庭生活と職業生活の両立を可能にするような条件整備の実態がどうなっているかといったようなことを十分考えながらやらなければいけないというふうに思っております。当然のことながら、そういったことも勘案しながら必要に応じて検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
#83
○山東昭子君 結婚、出産、そして育児などの理由により職業生活を中断した女性の中には、再就業を望みながらも就業希望条件と企業の提示する条件とが合わないというような問題、あるいは職業能力の陳腐化などのために就業することのできない者が非常に数が多いということが言われておりますけれども、こうした人たちに対する対策は大変必要となっているわけでございます。
 労働省は今年度レディス・ハローワークを創設し、大変大盛況と聞いておりますけれども、一体どのような事業を行っているのか、また今後の設置方針はどうなっているのかお聞かせ願いたいと思います。
#84
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘がございましたレディス・ハローワークでございますけれども、潜在的女子求職者の方の再就職を援助いたしましてその能力を活用していくということを目的といたしまして、事業といたしましては就業希望の登録と登録に基づく職業情報の提供、それから計画的な就職活動の促進、今お話がございました職業講習、就職ニーズに即しました多様な職業紹介の実施、さらには託児施設等のサポートサービス情報の提供、こういったものを公共職業安定所の出張所として昨年十月に東京と大阪に正式に設置をいたしまして事業を進めさせていただいているところでございますが、ただいまお話しのように大変好評でございまして、開設後月大体平均二千から三千人の来所者を迎えておるところでございます。
 今後の設置方針につきましては、女子の有業率が全国的に見ましても比較的低い水準にとどまっておりまして、かつ潜在的な女子求職者の方が相当数いると考えられます。そういう大都市部におきまして展開をしていきたいというふうに考えておるところでございます。平成四年度につきましては、具体的には三カ所増設を図りたいと考えておりまして予算計上をいたしておるところでございますけれども、場所といたしましては神奈川、兵庫、福岡を計画いたしているところでございます。さらに、今後の具体的な設置箇所につきましては、大阪、東京の今後の運営状況、こういったものも踏まえまして検討していきたいと考えております。
#85
○山東昭子君 子育てが終わった主婦の再就職希望者に対してどのように能力開発の機会を提供していくお考えか、これも聞かせていただきたいと思います。
#86
○政府委員(松本邦宏君) 先生御指摘のように、最近の女性の職場進出、特に目覚ましいものがございまして、公共職業訓練施設でも女性の能力開発というのは大変重要になっております。
 現在、転職希望の方に対しましては長期あるいは短期の能力再開発訓練というのをやっております。長期といいますのは六カ月でございますが、この中では女性向けの販売科あるいは和裁科、そういったものはもう一〇〇%女性でございますが、そういった女性向けの科を新しくつくりまして訓練をやるというようなことをやっております。それから短期、これは極端に短いのでは十二時間から二カ月程度の短期の訓練でございますが、その中では女性のパート向けの訓練というようなものも特別にやったりいたしておりまして、長期の能力開発で言いますと、もう四割ぐらいの受講者は女性というようなことになっておるわけでございます。
 こういった点を充実いたしておりますし、それから家庭婦人の再就職希望者の方につきましては、これまたそういった方々向けの特別の短期の能力再開発訓練というのを平成四年度から実は二千人ほどを対象にしてやろうというようなことも考えておりまして、御指摘のように家庭婦人あるいは女性の転職希望者、そういった人力も頭に置きながらの訓練充実を図っていきたいというふうに考えております。
#87
○山東昭子君 いよいよ春になって女性たちが新しい職場に進出する。いろんな夢を膨らませている人も多いだろうと思いますけれども、女性労働者の中には、もっともっと自分自身を磨いて職場の中でその企業のために働きたいと思っていても、逆になかなか企業側が研修を受けさせないというような状況があったり、またそんなに長いこと働く気はないということで、余り意欲もない人も中にはいるんではないかと思います。
 それで私は、個人的な考え方なんですけれども、やはり企業サイドで入社のときにもっとそれぞれじっくり女性労働者と話し合って、大体どういう方針でいくのか、それによっていろいろな職場の勤務の状況とかあるいは配置であるとか、そんなこともこれから考えていく必要があるんじゃないかな、そんなことも考えているんですけれども、いかがでございましょうか。
#88
○政府委員(松原亘子君) 男女を問わず、採用に当たって企業は、どういう希望をその人が持っているのか、どういうキャリアプランを持っているのかといったようなことは当然聞くかとは思いますけれども、先生御指摘のとおり、女性の場合にはマクロで見ますと、いわゆるM字型カーブに代表されますように子育て期に一たん仕事からリタイアするという方が多いわけでございますし、また意識としてもそういう働き方がいいという方もあるわけでございます。しかしながら、一方ずっと働き続けたいという人たちもいるわけでございますので、そういった女性の多様性といいますか、そういったものも十分踏まえて企業として対応していただくのが私どもとしても一番いいんではないかというふうに思っておりますが、そこについては私どもも、例えば女子労働者の雇用管理の好事例集みたいなものもつくりましてお勧めをするといいますか、企業の参考にしていただくといったようなこともやっているわけでございます。
#89
○山東昭子君 そこで、希望に胸を膨らませている女子労働者に対しまして、キャリアウーマンの先輩であられる松原局長に、やはり今までいろんな女性労働者を見てこられて、あるいはいろいろな企業などの状況も見てこられて、何かアドバイスといいましょうか、心構えをひとつお伺いしたいと思います。
#90
○政府委員(松原亘子君) まあ一般的に言われましてもなかなか難しいんでございます。また、どういう生き方をするかというのはその人の選択だというふうに思います。
 家庭というのは男女で営むものでございますから、そこでの責任をどういうふうに女性の側からどの程度シェアして人生を送っていくかというのはまさにその方々が考えていただくということになろうかと思いますが、私ども、私どもというか非常に個人的な気持ちといたしましては、やっぱり若いときから自分がどういう生涯を送りたいかということをよく考えて、仕事を選ぶ場合にもそういうことを踏まえてやっていただきたいというふうに思いますし、また子育てにつきましてもなかなか難しいのは確かでございますけれども、そういったこともある程度計画的にといいますか、周りの協力を得られるようにといったようなことも含めまして、計画的にやるということもまた女性自身の努力なり責任にかかっている部分もあるというふうに思います。
 いろいろ女子労働者の活用の阻害要因なんかを調査で見ますと、もちろん企業の経営者が十分認識していないといったようなこともあるわけですけれども、女性自身のまだ職業意識が十分ではないといったようなことも出てきておりますので、働く者といたしましては、やはり十分職業というものについての考え方を固めてといいますか、よく考え、かっ人生八十年時代でございますので、この八十年をどういうふうに有効に生きるかということをみずからやはり考え、プランを立てるということが必要なんじゃないかというふうに思う次第でございます。
#91
○山東昭子君 とにかく企業と労働者の両サイドのニーズが高まっている折から、最も大切なことは、各都道府県の婦人少年室の人員の数、これももちろん大切なことですけれども、やはり親身になって話を聞く、そういう人を置くなど体制整備を図ることが重要だと考えるのですけれども、この問題に関してはどのようにお考えでございましょうか。
#92
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生からいろいろ大事な御質問を受けまして、私も松原局長を初めいろいろ局長が答弁をするのを聞いておりまして、改めて婦人の仕事、役割というものの重要性を認識したわけでございます。
 先生、ちょっと冒頭に一言申し上げたいのは、私午前中申し上げたのですが、人手不足だから御婦人に仕事に来ていただくという考え方ばかりではどうかなと、むしろ山東先生を前にしてなんでございますが、山東先生は科学技術庁長官までおやりになったわけでございます。我が松原局長もそうですが、立派な能力を持った先生方も、こう言っちゃなんですけれどもたくさんいらっしゃるわけです。だから、こういった能力のある女性の方々が家庭にとどまらないで、むしろ社会的に積極的に参加をしていただくということが、単に人が足りないから女性も働きなさいということ以上に私は大変に日本にとっても、また世界にとっても意味があることだ、こういうふうに考えております。そういう点で、単に労働力不足対策だけでなしにいろんな角度から御婦人の方々が積極的に能力を発揮できるような体制をつくっていく、そのために家庭生活とか、それこそ育児だとかそういったこととの調和というのも同時にあわせて考えていくことかな、こんなことでいろんな施策を進めているわけでございます。
 やはり山形県で、私山形なんでございますが、山形県は女性の働いている割合が全国で最も高い方なんです。しかし、それと同時に賃金の水準が全国的にむしろ低い方だ。だから、山形県の男性は幸せ者で働き者の嫁さんを持っているということだけれども、雇う方では少し安心しちゃって、どうせ嫁さんが働いているんだから少し安く使ってもいいんだということを思っていらっしゃるのかなんということを私反省もしたわけであります。
 先生、御質問の婦人少年室長さん、歴代、山形県の場合は特に立派な人をよこしていただいておりまして、私もお会いしてお話しすをわけであり号すが、非常に大事な、まさに啓蒙的なお仕事をしていらっしゃるわけであります。ただ、人数的に申しますと、それだけいろんな仕事やっていらっしゃる割には人手不足がなという感じも率直に言っていたします。ただ、労働力の有効活用というのを言っているのが労働省でございますから、だからそういう点も考えて、さあすぐに人が足りないから人数をふやすというわけにもいかないような面もございまして、大事な仕事をやっておられる婦人少年室でございますから、その方々が適切なお仕事をしていただけるようなことを、また私も大臣として、今後どういうふうにしたらいいのか、いろいろこれから勉強をして御期待におこたえ申し上げたいと、こういうように考えております。
#93
○山東昭子君 ただブームだから働くというようなことではなしに、女性も目的意識を持って働くということ、そういう人たちの方がむしろ仕事も長続きするというようなことも言われております。そしてまた、女性労働者にとって何よりも大切なことは、やはり配偶者なりあるいは子供たちなりその家族の協力態勢といいましょうか、そしてもちろん一緒になって仕事を手伝う、あるいは家事を手伝うということだけではなしに、やっぱり精神面からの心の支えというんでしょうか、あるいは疲れただろうとか、あるいは感謝しているよとか、そういう言葉一つで随分違うだろうと思うんです。
 いろいろ総理府の調査によりましても、年齢が若くなるにつれて、男は仕事、女性は家庭というような形で割り切るのではなしに、意識も大分変革してきているようでございます。そういうことを大切にしながら、大臣も男性でございますので、男性が女性に対して協力をするというような考え方、そしてまた家庭の中であるいは職場の中で、これは労働大臣としてということではなしに、男性としてどのような心構えが必要だとお感じになっておられるのか、それを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#94
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御質問にお答えするには、私どうも不適格かもしれませんが、実は私の娘が大学で物理をやって今研究者になっています、ある会社の研究所で。なぜそうだと聞きましたら、反面教師でございまして、自分の母親を見ていると、あんなにもだんなの言うなりになっていろいろ選挙運動で押しつけもれてこき使われている、あっちへ行け、こっちへ行けというのを見ていると、とってもああいう人生は歩みたくない、やっぱり女性も何か仕事を持っていないとああなっちゃうんだと、反面教師を見ておって、それで自分が勉強して研究者になっちゃったんでありますが、そういう点では先生の御質問にどうもお答えするのに最もふさわしくない男性じゃないかと、こう思うわけでございます。
 ただ、まさに先生お話しになったように、言葉で済むことじゃないかもしれませんが、単にそれこそ苦労かけるなだとか、多少おいしくなくたっておまえのつくった料理はおいしいだとか、まあ言葉で済みませんが、そういうこともやっぱり大事かなと。私も、女房に苦労かけるなと、こき使うものですから、多少言葉で済むことなら豊富に言葉を使って、時来れば頑張ってもらう、こういうことでございます。
 先生、レディス・ハローワークで、私この間話をしてこれはと思ったのは、履歴書に学歴、職歴ありますね。学歴、職歴で、そしてそれしかないのはちょっと寂しいので、例えばPTAの役員をやっておったとか、それから何かの支部長をやっておったとか、そういう社会経歴もあわせて書いていただく。そして、育児でしばらく休まれていた方が今度出ていらっしゃるときに、それなりに地域のいろんなことをやっていらっしゃる、ボランティアも含めて、そういうことも書いていただいたらどうだと。そうすると、それも一つの再就職される場合の大きなポイントになるじゃないか。ですから、学歴、職歴だけじゃなしに社会参加歴も今度は履歴書に書いていただいて、それを参考にしながら積極的に雇用や就職を奨励するということをやったらということを実は両局長に先日話をしたわけでございますので、多角的にひとつ御婦人の方々に活躍していただくということで頑張りたいと思いますので、御指導をよろしくお願いいたします。
#95
○中西珠子君 私がお聞きしたいと思っていたことは、これまでの同僚委員の方々がお聞きになってしまいまして、大体お答えも方向としてはわかったわけでございますけれども、ちょっと違う角度から労働省の対応をお聞きいたしたいと思います。
 それは、ことしの二月の十七日にジュネーブで国連人権委員会が開かれまして、その席上アメリカのNGOであるIEDと申しますのが日本の過労死問題を取り上げた。そして、国連人権小委員会には昨年の八月にやはり同じIEDというのが取り上げまして、相当辛らつな批判並びに労働省に対する要望というものを披瀝したわけでございますが、その昨年の国連人権小委員会の場では、日本政府は答弁の機会を与えられたにもかかわらず、答弁することを拒否なさったそうです。そういう新聞報道があります。これは昨年の日本経済新聞八月三十日号にもありますし、法律新聞の中にもあるんです、やはり八月、ちょっと日付まで覚えていませんが。
 それで、小委員会で全然日本政府が答弁拒否されたということもありまして、今度はことしの二月十七日に国連人権委員会そのものに提出して、そして昨年、東京の労働基準監督署が金融機関に対して、定期監督とおっしゃっておりますが、定期監督をやったところが、違反件数があってサービス残業なども出てきた。こういうことも加えまして、そして報告書並びに労働省に対する要望を提出しているわけですね。
 それで、国連の人権規約がございますが、殊に社会的、経済的、文化的な権利の規約というものの違反であると、殊に第七条の違反であるというふうに申しておるわけでございますけれども、この二月十七日の国連人権委員会そのものに対して出されたということは、この委員会で初めてこの過労死問題と日本の時間外労働の問題、長時間労働の問題が人権の問題として出されたと、初めて議論されたんだというふうに報道されているわけでございますが、この会合におきましては日本政府はやはり対応をなさらなかったのか、答弁を拒否なさったのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
#96
○国務大臣(近藤鉄雄君) 一言最初に。
 この委員会でもけさ以来お話し申し上げておりますが、日本の勤労者、労働者の労働条件、職場環境というのはまさに国際的な問題になっておるわけでございます。その中で過労死という話、何かもう英語でカローシと、こういうことになっておるそうですね、そういうこともちらっと聞いたのでありますが、いろいろ国際的にも取りざたをされていて、そしてそれが日本の過重労働の代名詞みたいになっているのは大変残念なことでございますので、そういうことがないようにいろいろ労働省としても努力をしております。
 今先生御指摘の具体的な問題については基準局長から答弁させますが、快適な職場をつくって、そして時間を短縮して、過労死なんて言われるようなことが起こらないように私たちも全力を挙げてまいりたいと、このように思います。
#97
○政府委員(佐藤勝美君) 今先生から御指摘のありました国連の人権委員会、それからその小委員会の問題でございますが、おっしゃるように昨年の八月でございますか、一つは小委員会、それからことしの二月になりまして人権委員会で取り上げられた。そして、特に昨年におきましては、政府が発言を求められて拒否をしたというふうに報道されておりますが、私どもが承知しておるところでは、国連のこの人権小委員会、それから人権委員会では、登録されているNGOが発言をし、あるいはその文書を出すことが認められているわけでございまして、その手続に従って昨年は発言をされ、ことしは文書を出した。そのことをこのアメリカのIEDというNGOに関係をされておる日本人の方が新聞に発表されたということで一部の新聞にも大きく出たというふうに承知しておりますが、先生が今おっしゃいましたように、小委員会の場で日本政府が対応を求められてそれを拒否したという事実はございません。そのようなことを求められたようなこともございませんし、それがらこの二月の人権委員会につきましても同じでございます、
 この問題が今後人権小委員会あるいは人権委員会の問題になるのかどうかという点につきましては、手続上ではそういうつながりにはならないというふうに私どもは承知をいたしております。
#98
○中西珠子君 昨年八月の国連人権小委員会で全然日本政府が対応をなさらなかったということもあったのかもしれませんが、この関係の団体の方がニューヨーク・タイムズに意見広告を出されたんです。御存じですか。九月の十二日だったと思います。私はその直後にニューヨークへ行ったんです。そうしたら、過労死というのが何かもう英語のようになっていまして、一体過労死はどうなんだと、労働省の対応はどうなんだとか、いろんなことを聞かれたわけです。
 それで私は、過労死というのは、オーバーワークしたことによって過労で死んじゃったという、殊に循環器系統の病気を発症して死んじゃったというふうなことだろうという話はしたんですけれども、長時間労働とか時間外労働規制とか、そういうことについて確かに労働省としては大いに時間短縮をやっていただかなきゃいけないということは私は考えていますけれども、過労死そのものを認めないと労働省が言っている。そして労災の適用にもしないというふうにおっしゃっているというふうなことをアメリカ人からうんと聞かされまして大変困ったわけなんです。
 この国際人権規約の違反ということで人権小委員会に提訴をしたときのものと、それが取り上げられなかったということで人権委員会そのものにもう一度提訴したという問題の中身というのを私は手に入れたのでございますが、それをどういうふうに労働省としては御説明になるのかちょっとお伺いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
 まず、過労死というものの存在を認めていないとそういうことを言われておりますが、労働省はいかがなんですか。
#99
○政府委員(佐藤勝美君) まずその前に、提訴というか、人権規約に違反をしておるという御主張をなされたというふうに理解しております。
 これが人権小委員会、あるいは委員会の提訴手続に当たるのかどうかということは私は承知をいたしておりませんが、過労死という概念は、先ほどの御質問に対してもお答えいたしましたけれども、医学上の概念ではないわけで、いわゆる過労死と言われているものは脳・心疾患、基礎疾患のある方が、これは普通日常病気になる、あるいは亡くなられるという場合があるわけですけれども、その過程で特にその基礎疾患が、非常に業務上無理な負荷がかかったと、これを過労と言ってもいいわけですけれども、そのために発症して倒れられたというものは、これは業務による災害、疾病であるということで労災補償の対象にいたしているというわけでございます。したがいまして、そういう意味では、そういうものが全くないと言っているわけじゃなくて、過労死と言われているものの中に正確にそういうものに当たるものとそうでないものがあるということを申し上げたいと思います。
#100
○中西珠子君 確かに、過労死上して労災申請した人の中で一〇%ぐらいは、昨年は三十三件だったそうですけれども、過労死として業務に起因するものとして認定されているわけですね。ですから、全然労働省が認めていらっしゃらないわけじゃないと私は言っているんです、外国人に。しかし、先ほど田辺理事から御質問がありましてお答えになったときに、労災の認定基準というものは全然秘密のものではなくてちゃんと公開しているし、市販もしているとおっしゃいましたね。このIEDの文書の中には、認定基準は秘密にしていると書いてあるんですよ。全然秘密にしていて、巌し過ぎてインポシブルと、適用はちょっと不可能なようなものをつくっているとこう書いてあるんです。そして、おまけに、認定手続は公正なヒアリング、聴聞手続ですか、そういうものが全然ないのだと。そしてまた、どのくらい長時間労働、殊に時間外労働をさせられたのかということを証明するための資料を過労死の犠牲者の遺族が使用者側から手に入れたいと思っても、そういうものを要求して手に入れる権利はないのだというふうに書いてあるわけです。
 それで、とにかく男性労働者は三六協定さえ結べば幾らだって時間外労働ができる、その時間外労働の規制がないということもそもそも間違いであり、おまけに昨年度東京労働基準局が定期監督を実施して、その結果金融機関十二行、延べ八十店の中で三五%は労基法の違反、殊に時間外労働割り増し賃金も払っていなかった、全然無給でやっていたというふうな、そういうケースもあって、これはサービス残業と言うのだ、これがまた過労死に大いに寄与しているというふうなことが書いてあるわけですね。それで、割り増し賃金を払わないのはもちろんいけないから、労働省はそれを取り締まらなくちゃいけないんだけれども、割り増し賃金率そのものが非常に低過ぎる、こういう批判もしているわけです。
 割り増し賃金率というのは、先ほど庄司委員からも引き上げを要望なさったと思いますが、アメリカでもイギリスやほかのところでも一種のペナルティーと考えているんですね。だから、オーバータイムプレミアムというだけじゃなくて、ただの割り増しじゃなくて、時間外労働というのをさせないためにたくさんの割り増し率をつけてペナルティーとして使用者側に払わせるというそういう意味もあるわけです。だから、日本の一・二五というのは非常に低過ぎるということを言われて、タイム・アンド・ハーフぐらいじゃないと、一倍半ぐらいでないと絶対だめだということが言われているんです。
 ですから、これは割り増し賃金率を上げることという要求も出ておりますし、そういうふうなことがたくさん出ていまして、サービス残業を減らすこととか男性の時間外労働ももっと規制しなくちゃいかぬ、時間外労働を規制しているILO条約は全部批准していないではないか、殊に一九一九年の昔々の第一回ILO総会のときの労働時間の条約は一日八時間、週四十八時間制ですけれども、それでも時間外労働は八時間を超えて一時間以上させちゃいかぬ、ですから全体で九時間以上働かせちゃいかぬというふうなことが書いてあみのにそれすら日本は批准していない、こういうふうなことがたくさん書いてあるわけです。
 このようなものに対して私自身もいろいろ聞かれると、労働省のお立場はこうだと言わなきゃいけないわけで、そういう意味で、今申し上げたような問題に対して労働省がどのようにお考えになっているかということをちょっとお聞きしたいと思ったわけでございます。
#101
○政府委員(佐藤勝美君) 私もその意見広告は昨年読んだんですけれども、ちょっと時間がたっておりまして忘れておりましたが、今先生のお話を聞きまして……
#102
○中西珠子君 ちょっとごめんなさい、訂正。
 意見広告は、労働省が過労死を認めていない、ですから長時間労働のためにどんどん日本人が殺されている、だからその過労死というものを労災として認定するように労働省に手紙を書いてくださいというのが意見広告です。今申し上げたことは、人権小委員会並びに人権委員会そのものに出したIEDの批判と要望の報告書でございます。
 それに対して、もうジュネーブの今度の人権委員会では答弁を拒否するなんていうことをなさらないでちゃんと御説明になったと思いますが、私自身もしょっちゅう聞かれるわけで、労働省の方の対応、それから労働大臣のお考えというものをこの場でちょっとお聞きしたいと思ったわけで、それで延々と内容を続けて申し上げたんです。というのは、三十分しか時間がなくて、一つずつ聞いていたらとても時間が間に合わないので一遍に申し上げました。そういうことでございます。よろしくお願いします。
#103
○政府委員(佐藤勝美君) まず中身の前にその手続の問題でございますが、その場で日本政府が対応を求められたということはないわけで、したがって対応はいたしておりませんのが一つ。
 それから、認定基準の問題につきましては、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、これはちょっときょう現物を持っていないのは残念でございますけれども、市販をされておりますし、別に隠しておるような代物ではございません。
 それから、労災給付の請求がありましたときにいろいろ事実調査をしなければならないわけでございます。その場合に、事業主が協力をしないということはこれは事実の問題として大いにあり得ることでございますけれども、ただ事業主はそれに協力する義務がございますし、監督署の方も職権で必要な調査をやるということでございますので、できるだけ十分の調査をするように努力しているところでございます。もちろん、いろんな制約の中でその事実を確認をしなければいけないという困難はいろんな場面であるわけでございますけれども、それは制度の問題としてそういうふうになっておって、そのとおりに一生懸命やっている。その点の努力は今後もいとうつもりはございません。
 それからあと、その小委員会の発言あるいは
#104
○中西珠子君 公正なヒアリングがないという点はどうですか。認定手続の中に公正なヒアリングの手続……
#105
○政府委員(佐藤勝美君) これは当然その被災者、死亡の場合は遺族その他の関係者から事情聴取は必要な範囲でいたしますし、それから御本人が疾病または負傷ということで生存されていれば御本人からも当然聞くわけで、そういう意味ではその資料あるいはいろんな人からのヒアリングも含めて調査をいたしておる。そして、仮にその決定について不満であればこれは審査請求をするという手続は別途あるわけでございますので、したがって、今お聞きをした限りでは、ちょっとそれは事実でないように思われるということでございます。
 それから割り増し賃金、これは先ほど来出ておりますように、労働基準法の最低基準ては二一五%ということでございまして、この法定の最低基準そのものは、これは国際的に見て、高くはないわけですけれども低いわけでもございません。ただ、各国で非常に高い率あるいは段階的な率を設けておるというのはむしろ労使協定によって上げているところが多いという実態、その辺は日本の事情としてなかなかそれが行われがたいということで、ほとんどがこの基準法の最低基準でやっておられるという実態があることは事実でございますが、それ自体、例えば日本はまだILOの批准をしておりませんけれども、ILOのこの点に関します基準に比べても低いというわけではなくて、一応二五%ということの要件は満たしておるということでございます。
 その他いろいろございましたが、要するにこのIEDの言っておられることは、常に非常に非人間的な長時間労働が行われておるというようなことが中心になっているのかと思いますし、とりわけ時間外労働については制限がないというようなことでございますが、ただ日本の制度、これが労使協定で特に労働者側のチェック機能に期待をしているという制度、これが適正に機能しているかどうかという議論は別途ありますけれども、そういう制度になっておるのと、それから政府あるいは労使その他の関係者が今は盛んに労働時間の短縮のために一生懸命努力をしているということでありまして、全然そういう問題に関係なく、長時間労働に狂奔しておって全然反省の色が見えないというふうなところまで言われますと、若干いろいろ事実と違う点があるのではないかという感じがいたすのでございます。
#106
○中西珠子君 三六協定を結んで時間外労働を労使で決めさせる、労使の力関係で決めさせるということだけではだめだと言っているんですね。それで、国がその上限というものを設けて法律的に規制しなければだめなんじゃないかということを言っているわけでございまして、これから時短の法律をお出しになって労使で一生懸命努力していこう、その計画が業界との話し合いでできれば、それを労働省としては大いに支援、推進していらっしゃるという御決意も聞いたわけでございますから、これから大いにそういうことも宣伝していかなきゃいけないんですけれども、何しろ日本が経済大国になってしまって、あれは労働者を搾取して長時間働かせて、もう死ぬほど働かせたあげく、非常に企業は利潤を得て労働分配率も低い、それから日本は世界じゅうの債権国になっているんだからというふうな非常なねたみという気持ちも交えての批判があると思うんです。
 それであるがゆえに、一層日本としては国際的にそういう摩擦を起こしたり変な批判をされたりしないように努力していかなければならないと私自身も考えるし、またどのように説明していけばいいかということも考えるものですから、きょうはもう労働省の方にざっくばらんにお聞きしたいと思ったわけで、また非常に国際的なセンスもおありになって英語もお上手な労働大臣におかれましては、大いにそういう本当に国内での労働者の労働条件をよくしていく、また時間も短縮していくけれども、本当に人間的なゆとりのある生活をできるような人間本位の施策というものを展開していっていただきたい。
 今転換期にあると思うんです。今まで産業中心で本当に追いつけ追い越せでやってきてやっとここまできたのですから、ですから労働者がやっぱりゆとりある生活ができて、そして何とか子供たちも一緒に生活できる家も確保できて、そして教育も子供たちに与えてやれるような本当のゆとりのある、またそれこそ創造性を培うような生活とか、きれいな文章で表現する作文だけに終わってもらいたくないんですね。ですから、本当に実質的に労働省が労働者の立場に立って、そしてまた企業の方にもいろんな指導を与えてくださって時間短縮を実現し、人間的な生活がそれぞれ一人一人のために保障されるような、そういう日本にしていただきたいと思うものですし、それから余りにもどんどんどんどんひどい中傷や誹諾が国際的に高まっていますので、それで私は大変心配しているわけです。ですから、労働基準監督官の数もいつも少ないと私申しておりまして、もっともっとおふやしくださいと、必要なところには予算をお使いくださいと申し上げているんです。
 そういう意味で、男性も女性も含めて本当にゆとりのある人間らしい生活ができるように、また高齢者も身体障害者も含めてそういう人たちのための働ける環境づくり、また生活の環境づくりというものを労働省が率先してつくっていただきたい。それで労働大臣に対する期待も非常に私大きいわけですから、どうぞ頑張っていただきたいと思いますので、大臣の決意をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#107
○国務大臣(近藤鉄雄君) 中西先生は労働省の先輩でございますから、ILOにいらっしゃったので先輩と私はかねてから思っておりますので、今も大変貴重な御意見を承って、特にそれこそ先生御専門の国際環境の中で日本の労働者それから日本の労働環境がどう見られているかということについて、過労死というものを取り上げてお話があったと思います。
 局長から説明もありましたけれども、働き過ぎて亡くなったということよりも、もともと心臓とか脳に欠陥のおありになった方が長時間の労働を続けられることでそういう疾患を誘発し過労死と言われるような状況になってしまわれた場合もあるわけでありますから、そういうことがないように、まず労働時間やまた職場環境や、またおっしゃったような通勤それから教育、住宅問題、そういったものを総合的に私は考えたい。幾らいいものをつくったってフェアプレーではないじゃないかというような意識が欧米各国から持たれることは決していいことじゃない。ここまで経済的に進んできた日本でございますから、まさにそういう観点から私午前中申しましたけれども、労働条件というものを経済状況の従属変数じゃなしに、そっちを特別に決めて、これはこういうふうにしてこれだけのことやるんだというふうに、人間というのは週休二日、一週間四十時間しか働けないものだよと、そして通勤一時間以内に立派な家があるんだという、それが私の言う基準労働ユニットとこう言っておりますが、基準労働プラン、いわゆるそういうコンセプトみたいなもの、それを積み上げた形で会社の経営、最終的には産業を考えるべきことじゃないかと、こう思っておりますが、ただなかなか一挙にできませんので、一つ一つ必要な法案を整備して環境をつくっていくということをやってまいりたいと思っているわけであります。
 割り増し率につきましては、たしか二五%というのは少ないとかじゃなくして、むしろ最低じゃないかというお話もございますが、そうかもしれません。ただ、これは率直に私は関係者に申し上げております。今最大の問題は時間短縮をすることで、千八百時間というものを本来なら来年の三月までに実現したかったわけでございますが、どうもおくれそうでありますから、これだけはきちんとやりたいと思います。これはもう断固、それこそ断固いろいろ関係者とお話ししながらやっていきたい、労使話し合いをしながらやっていきたいと思っております。そこで割り増しについては、これはやった方が時間短縮になるよという議論もありますし、片方で時間短縮やって、これやらなきゃたまらぬと、特に私のおるような山形ではそういう意見もございますので、一つ一つやっていきたい。ですから、まず私は今は時間短縮に全力を挙げてそれを実現したその上で、今度は外部事情についてもいろいろお話を進めることが大事だ、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、労働行政非常に大事な時期でございますので、一生懸命私どもやってまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#108
○中西珠子君 どうぞ頑張ってくださいませ。
 ちょっと一つだけ局長にお聞きしたいんですけれども、東京の労働基準局で金融機関を取り上げて、定期監督と称していらっしゃいますから立ち入りで急に検査をなさりに行ったんじゃないとは思うんですけれども、金融・保険業というのは表向きの労働時間はすごく短いんですね。千七百九十六時間ぐらいということになっていまして、年間の総実労働時間が二千十六時間だからいわゆる優等生的に思われているにもかかわらず、その裏で非常にサービス残業やなんかが多いという、これはどのようにとらえていらっしゃいますか。
#109
○政府委員(佐藤勝美君) 今の御質問の中の数字は、恐らく毎月勤労統計調査の数字で、その中で産業別に見ますと金融・保険業というのはほかより非常に低い、千八百時間台であるのはこれは実態ではないのではないかということだろうと思います。
 一つの問題は、この金融・保険業というふうになっていまして金融と保険が一緒になっているというのが一つなんですが、実は中を分けて見ますとやっぱり金融の方が保険よつば多いわけです。それが薄められているという点が一つ。
 それから、実態として言われるように特に男子行員が非常に長い残業をしておるという実態があるということをよく言われます。あるいはそういうのがあるかもしれませんが、少なくとも所定内時間については、御承知のように現在完全週休二日制が金融機関全体についてとられておりますから短い。それと残業の問題になるわけですけれども、やはり金融機関の男女別の職員構成としまして非常に女子の割合が多いということでありますので、特に支店の女子については、女子は一般に基準法上残業時間が制限をされておりますので短いわけでございますので、かっ本店についてはいろいろ問題があるようなことも取りざたいたされておりますけれども、支店については比較的そういう問題が少ないというようなことがありまして、結局は数字上は短く出てくる。したがいまして、あの数字が非常に隠してあるから短くなっているという問題ではないと思いますけれども、いずれにしても非常に大事な問題でございますので、我々としても十分留意をしていきたい、こういうふうに思っております。
#110
○中西珠子君 あと二、三分ありますので。
 サービス残業ということで超過勤務手当も払わないで、そしてこれだけしかもう残業はさせないよと、いわゆる残業予算制度ですか、これだけしかさせない、この以内でないと割り増し賃金は払いませんということになっているという管理の仕方ですね、それと同時に金融機関などで出世競争があって、大いに残業して頑張らなきゃならないような事情もあるのだろうということも言われておりますし、また女性はとにかく金融機関でたくさん働いているから、女性の残業は規制されているから、女性も入れると全体的に何というか短い総実労働時間ということになっているのだろうというふうな今お話がありましたね。しかし、金融機関で働いていて、そして残業を物すごくさせられちゃって過労死した女性のケースが今裁判にかかっていますね。ですから、これはまた機会均等法をもっともっと厳密に推し進めていって、女性の雇用上の差別を絶対なくしていって、平等にしていくためには女性に対する時間外労働規制も外さなきゃいけないという、こういう主張があることも私もよく存じております。
 やっぱり母性機能というものは結局社会的な機能であり、また今度育児休業法ができまして施行になりますけれども、そのときも私いろいろ申し上げましたけれども、育児というものも社会的な問題として社会全体が責任を持ってやらなければいけない問題というふうに考えているわけです。それで、ただただ時間さえ短くすればいいんだというふうに企業がとらえて、そして短い所定内労働時間または時間外労働というものを報告してくるということであると、これはまた困ることだと思うんです。ですから、これ非常に難しい問題ですけれども、やっぱり内情というものをよく調査なさって、本当にサービス残業がどのくらいあるのかというふうな問題だとか、ただただ労使に任せればいいということではなくて、やはり労働省としてはその責任ある指導というのをやっていただきたいと思うわけで、これは要望でございます。大臣、ひとつこの要望に対してもお答えをいただきたいと思うんですが。
#111
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは、サービス残業もいろいろ問題にされておりますので私も検討させております。やはり先生がきょう一貫してお話しになった適正な労働体制といいますか、勤務時間というものをもっと確保することが国際的にもまさに評価できる意味において大事だ、こういう観点だと思いますけれども、実現のためいろんなハードルもございます、問題もございますが、一つ一つこれから全力を挙げて解決してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
#112
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
#113
○山中郁子君 けさほど来の論議の中からも多くの委員の皆さんから提起されておりました、すなわち総理大臣あるいは労働大臣の所信の中でも生活大国という言葉を使われまして、豊かでゆとりのある勤労者の生活ということが強調されています。具体的な問題として時間短縮。この時間短縮の中で不可欠な問題として完全週休二日制、そしてさらに所定外労働時間の削減ということが大きく浮き彫りになっています。
 私ども日本共産党も、せんだってこうした今国内的にも国際的にも重大な問題になっております勤労者の労働実態の問題に照らして、労働基準法の抜本的改正を図るべきであるという立場から改正の大綱を発表し、労働省の労働大臣ほか皆様方も御承知いただいていると思います。その中でも、第一に一日拘束八時間、完全週休二日、週四十時間労働制を直ちに実現すること。それから残業時間の上限を決める、つまり残業の規制ですね。こうしたこと等々を柱にいたしまして労基法の抜本的改正を今提起しているところであります。
 大臣もまた政府もこれらの問題についていろいろなところでお触れになっています。私は、やはり今非常に重要な問題は、政府がガイドラインとして示し、けさからもいろいろ議論になっている例えば年間千八百時間という問題にいたしましても、それからまた時間短縮、豊かでゆとりのある勤労者の生活、所定外労働時間の削減というような問題に関しましても、これを実現していく上でもう本当にたくさんのハードルがあるわけです。
 その中で、一番その底辺にある一つの重要な問題として、ただいまも議論になっておりましたけれども、いわゆるサービス残業の問題がある。これはサービス残業というとちょっと聞こえがよく聞こえてしまうので、もっとありていに言えばこれはただ働きですよね、実際問題として。この問題がまず底にある限りは、それが隠されている限りは、形式的に例えば残業規制がされたように見えても、あるいは時間短縮がされたように見えても、実際の勤労者の労働時間というものが過労死に結びつくようなそういう事態を生み出すという現実が解決されないという問題があります。
 大変限られた質問時間でございますので、そういうことを念頭に置いて、私は、きょうは具体的には今までもさまざまなところで議論にもなり、また新聞紙上などでも報道され、労働省においても問題意識としてとらえていらっしゃるはずのところの銀行でのオーバーワークの問題、今申し上げましたサービス残業、ただ働きの問題も含めてただしたいと思います。
 それで、昨年のことですけれども、銀行で、金融機関の長時間労働とか不払い残業が問題になって特に浮き彫りになっているんですが、不払い残業については、実際の長時間労働をごまかすというためと、それから人件費を圧縮するということですね。業務成績や営業成績を上げる、その競争ですね。その体質自体も社会的な問題になっているわけですけれども、それを続けてきたことは労働省御自身がよく御承知のことだと思うんです。それで、昨年十一月二十日に新潟の第四銀行の二つの支店長を不払い労働の件で書類送検したということが報道されましたけれども、その後この件ばどのように推移しているのか、地検の取り組みなどどのような情報を労働省としては得ておられるのかなとについて、まずお伺いいたします。
#114
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま御質問のように、株式会社第四銀行につきましては、昨年の十一月に所轄の労働基準監督署におきまして、この第四銀行の駅南支店とそれから沼垂支店におきまして労働基準法の三十七条等に違反する事実が認められたということで、これらの支店の支店長らを書類送検したところでございます。この件につきましての地方検察庁におきます処理につきましては、私ども現在承知をしているところでは、起訴猶予処分となっておると聞いております。
#115
○山中郁子君 その問題についての未払い賃金は払われたのかどうか、その金額などについても御報告いただきたい。
#116
○政府委員(佐藤勝美君) この送検となりました事案につきましての未払い額は、これは確認をされたものでございますけれども、二つの支店で合わせまして四十七万六千円でございました。この未払い分につきましては、その後支払われたというふうに承知をいたしております。
#117
○山中郁子君 幾ら、幾ら支払われたか。
#118
○政府委員(佐藤勝美君) 全額、四十七万六千円、確認をされた分は支払われておるということでございます。
#119
○山中郁子君 金額それ自体がどういうふうに把握されているのかということについては問題を残しているところだと思いますが、御答弁はわかりました。
 それで、起訴猶予処分の問題に関しては、労働省としてはどのような御見解をお持ちでしょうか。
#120
○政府委員(佐藤勝美君) これは検察庁の側でおやりになったことで、それ自体について今すぐどうこうするということは、そういう立場にないというふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
#121
○山中郁子君 この書類送検に至る過程で新聞報道などにも再々報道されているんですけれども、それまでにも七回の臨検監督をして指導してきた、それであるにもかかわらず改善されないために、悪質な問題として書類送検したということがあります。こういうことが今まで積み重ねられてきているわけですね、何回もね。何回も臨検、つまり調査に入って指導をしても、またあるいは注意しても、それについて聞かないで相変わらずそういうことが繰り返されている。こういう是正指導に対しては銀行の方から報告というか、こういうふうに是正しましたよとかしますよとか何らかの報告があるはずだし、それからまた、銀行がこういう問題についてどういう態度をとってきたのか、あるいはいるのかということについても労働省の把握されるところをお示しいただきたい。
#122
○政府委員(佐藤勝美君) この第四銀行の支店につきましては、かねてから法違反の疑いがあるということで是正勧告をしていたと承知いたしておりますが、平成二年にも監督指導を行っておりまして、そのときに一部の労働者につきまして時間外労働に対する割り増し賃金不払いの違反事実が確認できましたけれども、一般労働者の法違反の確認ができなかったということで労働時間の適正な把握を行うように指導したところでございますが、その後も法違反の事実があるという情報があったというようなこともありまして、改めて監督をいたしたわけでございます。
#123
○山中郁子君 これまでも労働省はたびたび長時間労働と残業手当の不払いについて基準局長名の通達、いわゆる指導文書だと存じますけれども出してこられました。ところが、今御答弁もありましたように、実際なかなか解消されていないのが現状です。新潟の第四銀行の件は、それが一つは書類送検という形ではしなくも表へ出たわけです。
 具体的に、例えば一九九〇年、九一年、この二年間にわたって何件の指導勧告が出されているのか、そしてそれはどの銀行に対して出されているのか、それらのことについてぜひお示しをいただきたい。これは労働省が企業名、つまり悪質な銀行の名前を申告者にはもちろん、こういう国会の場でも明らかにされること自体がやはりそうした問題を解消していく上での重要なことだというのは、ほかの事例に照らしても共通する認識だと思いますので、ぜひこの点についての銀行名などをお示しいただきたい。
#124
○政府委員(佐藤勝美君) 一九九〇年度につきましては、この金融関係につきましては件数にいたしまして全国で約一万一千件の監督をいたしておりまして、その中で何らかの法違反が認められ、是正勧告を行った事業所数が率にして三五%弱でございました。
 なお、一九九一年度、つまり平成三年の監督指導結果については現在取りまとめ中でございます。
#125
○山中郁子君 それでは、どういう銀行に対してそういう指導勧告を行ったのかということについての結果ですね、銀行名、それをお示しいただきたいというふうに申し上げておりますので、後ほど資料としていただくのでもいいんですけれども、当然申告に基づいて調査に入られるわけですから、申告者に対してはその結果がどうであったかという報告もされるはずでありましょうし、それらについてのお約束をぜひ大臣からもちょうだいしたい。
#126
○政府委員(佐藤勝美君) 大変申しわけないことをいたしました。先ほど一万件と申しましたのは約千百件の間違いでございましたので、ここで改めて訂正をさせていただきます。
 それから、個々の銀行の、銀行に限らないわけでございますが、個々の監督対象の事業所の名前を公表するということは従来からいたしておりませんし、それだけの理由があるわけでございます。ただ、司法処分した、つまり具体的には書類送検をしたというような事例につきましては公表いたしておりますけれども、それ以外のものについては原則的には公表していない取り扱いにいたしております。
#127
○山中郁子君 その問題については議論があります。しかし、深入りすると時間がなくなりますので、大臣にこれだけはちょっとお約束いただきたいと思うんですが、申告者がいるわけですよね。だから、申告した人に対してはその結果を知らせるのは当然じゃないですか、調べた結果を。それはそうでございましょう。そのところだけでも最低でもお約束をいただきたい。昔はちゃんと報告していたのよ。
#128
○政府委員(佐藤勝美君) 申告がありまして、それに基づいて臨検監督したという場合に、本人には特にその内容について通知をするということはいたしていないということでございます。
#129
○山中郁子君 いたしてないとおっしゃったの、今。そうおっしゃったんなら、ちょっと大臣にさっき伺ったんだけれども、当然それは御報告なさるべきじゃないですか。今後の問題としてとにかく検討していただくというお約束でも結構でございますから、余り局長から悪い知恵はもらわないで、政治家としての、いろいろいいことをおっしゃっているその理念に基づいてお答えいただきたい。
#130
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、私ちょっとこの事例を今こうして初めて伺いましたので、余り詳しいことはわからないので、ここで回答もどうかと思います。
 ただ、今事務局に聞きますと、そういう申告に基づいて臨検をして、この事実をまず改善するということが主眼であって、そういうことについてはちゃんとするように指導をしてまいっておる、こういうことでございまして、そういうことを第三者に発表することはこれまでは差し控えておった、こういうことのようでございます。
#131
○山中郁子君 何かやっぱり局長から悪知恵が入ったみたいですけれども。
 私が問題にしているのは、一つは申告者が申告したことに基づいて調査をされたんだから、調査した結果はあなたのおっしゃったとおりでした、あるいはあなたのおっしゃったようなことはありません、あなたのおっしゃったとおりだからこれはこういうふうに改善、是正させますということを新聞記者に言うのは当たり前のことじゃないですか。世の中の常識でしょう。そうしなきゃわからないわけよね。
 それからもう一つは、一般的に悪質なそういう事例が絶えないということは労働省も認めて、そしてこういう形で監督行政の一つとしての書類送検などにも踏み切られてきているんだから、銀行の社会的なそういう任務に照らしても、余り悪質なものについてはやっぱりみんなが知るところとならなければ、これは改善していけないですよね。そういうことを政治的な立場で労働大臣としてぜひ積極的に今後検討していくというか、考えていくというか、大臣の責任においてそういうお約束をいただきたい。官僚の方たちのその場しのぎの問題じゃなくて、大臣の誠意を私は期待して質問申し上げております。
#132
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のおっしゃることは私も理解できます。同時に、今までやってきたことはそれなりの行政的な理屈があってやってきたことだというふうに思いますので、先生から御指摘がございましたから、改めてよく検討いたします。
#133
○山中郁子君 つけ加えて申し上げますが、これはかってはそういうものはちゃんと報告もされたし、公表もされていたんですよ。それがだんだんだんだん秘密主義になっていって、それはけさほど来からの御質問の中にも、労働省はどうも一般国民の側、勤労者の側に立ってなくてというふうな印象を与えるという、自民党の委員の方からもたしかそういう趣旨の御指摘というか御意見もあったと思いますが、そういうことも重々踏まえていただきたいと思います。
 次いで、最近東京の都市銀行を初めとする十二行に対しても労働省と東京の労働基準局が立入調査を行ったということが、かなり新聞でも大きく報道されました。新聞の見出しだけ見ましても、相当インパクトを与えるものになっています。サービス残業が横行、時短促進へ追い風、激しい企業出世競争、働き過ぎ改善どこまで、サービス残業二十八店、都銀など労基法違反、過密労働浮き彫りにと、さまざまな大きな見出しでもって伝えられました。こういうことの報道の背景を私どもは分析するだけでも、やはりこの問題が非常に根の深い問題だし、かつ重要な問題だということが酌み取れると思います。それで、その結果について東京労働基準局で取りまとめられたところの大綱を御報告いただきたい。
 新聞報道などによりますと、十二行という中には第一勧銀、富士銀行、三菱銀行、東京銀行、協和埼玉、太陽神戸三井銀行などということで、その六つの銀行については私も新聞報道などで把握できたんですが、十二行というのはとの六つのほかに六行あるわけで、その六行が何かということとあわせて御答弁いただきたい。
#134
○政府委員(佐藤勝美君) まず、東京局で昨年行いました定期監督の対象として金融機関をひとつ選んだわけでございますけれども、昨年の六月から十二月にかけて金融機関十二行、延べ八十店に対して定期監督を行いました。その結果でございますけれども、監督実施事業場数八十件のうち、五十四事業場におきまして労働基準法等関係法令に照らして何らかの法違反があるということが認められたわけで、その違反は率といたしますと六八%でございます。
 その法違反の内容は、主な事項別に見ますと、時間外労働割り増し賃金に関する違反、それからその他衛生管理者等に関する違反、あるいは衛生委員会の開催に関する違反といったものが出てきておるわけでございます。
 なお、十二行の具体的な銀行名、会社の名前ということでございますけれども、都市銀行のほかに信託銀行あるいは信用金庫といったものもあるかと思いますが、その個々の金融機関の名前をここで申し上げるということは、やはり差し控えさせていただきたいというふうに思います。
#135
○山中郁子君 そうしますと、八十の事業所で五十四が違反があって違反率は六八%であって、私どもが労働省からちょうだいいたしました表によりますと、労働基準法関係、労働時間が十六件、時間外労働割り増し賃金が三十五件、これがいわゆるただ働きの問題ですね。それから就業規則の変更届け出、その他労働安全衛生法関係となっております。これは今御答弁になったものと間違いありませんね。
 その三十五件というのが一番多いわけですけれども、これが時間外労働割り増し賃金の問題であるということの御確認をいただくと同時に、他の六行につきましては後で教えていただくのでも結構でございます。新聞なんかでもちゃんと言われているわけだから、そんなの秘密になさる筋合いのことでもないと思いますから、後でお教えいただくのでも結構でございます。
#136
○政府委員(佐藤勝美君) その違反件数の数字につきましては、今先生がおっしゃいましたとおりでございます。
 それから、そみ金融機関の名前につきましては、新聞がお書きになるのはちょっと私どもとして関知せざるところでございますが、新聞と私どもとは立場が違いますので、個別の金融機関の名前を明らかにするということは、この際いたすわけにはまいらないというふうに申し上げます。
#137
○山中郁子君 大臣、私こんなことでひっかかるつもりないし、こんなところで時間使うのは嫌なんですけれども、新聞でこういうふうに報道されているのに、国会の場で、委員会の場でどうして言えないの。十二の銀行に調査に入ったんでしょう。どうしてその十二の銀行の名前が言えないんですか。そんなばかな話ないじゃないですか。
 大臣、だから今それは後で教えてくださるのでもいいですよと私は申し上げているの。だから、それはそんなに大問題だと思わないけれども、十二の銀行に入って、八十店を対象にして五十四店、あなた方の数字によっても六八%の違反率があったというわけでしょう。それを何で隠さな。きゃいけないんですか。そういうことは新聞にだって報道されているんですよ。じゃ、この新聞の報道は違うんですか。第一勧銀や何かには入ってないの。富士銀行には入ってないんですか。そういうことが片方で報道されて、銀行側のコメントさえ新聞にいろいろ共通したものとして報道されているのに、どうして国会の場でそれが答弁できないんですか。委員長、こういう問題を明らかにするように委員長からもぜひ御指摘いただきたいと思います。何ら隠すべきことじゃありません。
#138
○政府委員(佐藤勝美君) 新聞に具体的な名前が出ていためはそのとおりだと思いますが、これは別に私どもの方から発表したものでもございませんし、それから監督をいたしまして、臨検監督は法律に基づく強制権限を背景にやっているわけでございます。その場合に、立入臨検調査をした一つ一つの対象について個別、具体的に名前を明らかにするということにつきましてはいろいろな問題がございます。一つには、監督機関としての公平性についてどう考えられ名がというような点も含めまして問題があると思いますので、個別の名前につきましては、例えば先ほど申しましたように、違反の事実が確定をして、かつ悪質であるというふうなことで送検をしたような事例は別といたしまして、一般的には公表はいたさないということにいたしておるところでございます。
#139
○山中郁子君 先ほど大臣が申告者に対してやはりちゃんとあれするべきだということの御趣旨の、私はぜひ大臣の誠意ある御答弁をいただきたいと申し上げましたが、大臣も今まではこういう趣旨でこういうふうにしてきたようである、しかし私の言うことも理解できるので考えてみようというふうにも御答弁いただいたと思います、趣旨として。同じように、この問題についても大臣においてお考えいただきたいということを申し上げておきます。
 それで、あわせて今回これだけの問題が出たわけですから、私はやはり都市銀行、東京のいわゆる大銀行、こうしたところで行われている労働省が把握している大変悪質な違反、事故、こういう問題も書類送検などより強硬な措置、単に改善を勧告するなどということを繰り返すのではなくて、書類送検など一歩踏み込んだ強硬な手段をもって社会的責任を果たさせるように労働行政としても取り組むべきだと考えておりますけれども、大臣の御所見を伺います。
#140
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生からいろいろ御指摘があったわけでございますけれども、私ども指導監督の結果、基準法その他労働関係法令の違反のような事実があった場合にはまず速やかに是正をしてもらいたいということを勧告しているわけでございますので、先ほど申しましたように、まず是正をすることの努力をしてもらうということであって、第三者にそれを公表することの前にまず是正をしろという勧告をしておるわけであります。ただ、そういうことを言ってもなお是正をしてくれないと、またいろんな悪質と考えられるような事案についてはまさに司法処分を含めて厳正に対処する、こういうことでございます。
#141
○山中郁子君 私は、先ほどの件はきょうの質問の時間の中ではこれ以上時間を使いませんので留保いたします。引き続きこの問題は解明をいたします。というのは、労働省が調査に入った銀行、どこの銀行に入ったかということさえ国会で明らかにできないなどということはもってのほかでありまして、この点については引き続き明確にいたします。
 それで、与えられた時間が迫っておりますので、最後に二点まとめてお尋ねいたしますので、簡潔な御答弁をいただければ結構です。
 一つはパート労働者の問題です。
 これは今やはりいろんな問題、労働行政の中であるいは労働問題の中でクローズアップされていることの大きな問題の一つてあります。私どもの党でも先般労働大臣のところへお伺いいたしまして、婦人局長も御同席いただきました。が、このパート問題に対しての基本的で積極的な対応を要請してきたところです。私どもは、一九八九年の段階でパート労働者の労働条件の改善を目指す法案大綱を発表し、その後実現のために努力してきたところですけれども、その後パート労働者は次々とふえてきております。
 そういう事態のもとで、早急な改善を図るべき問題として賃金、諸手当などの抜本的な改善、それから有給休暇の保証、雇用の安定、退職金の保証、課税最低限度額の大幅引き上げ、これは直接労働省というか、税金問題でございますから大蔵省の問題でもありますが、これは労働行政の重要な中身の一つとして受けとめていただくということで申し上げました。それから、労働基本権の確立、パート労働者の保護のための労働行政の強化、これは七項目になりますけれども、私は本当にごく項目だけを申し上げました。これについて個別の御意見を開陳していただく時間はきょうはありませんので、基本的に積極的な解決のための対応を図るというお約束をいただきたいということが第一点でございます。
 それから第二点は、このパートの労働者が圧倒的にやはり女性によって占められているということは、私が今申し上げるまでもないと思います。この女性の問題の差別のことで、最近も次々とさまざまなところで裁判闘争あるいは裁判の勝利などが進んできて、私はやはり歴史は前進しているなということを痛感しているところなんですけれども、ごく最近も大阪の住友生命でこれらの問題について、既婚者に対する差別ということで雇用機会均等法に基づいて差別告発をして大阪の婦人少年室長に救済を求める調停申請がされました。これもかなり大きく新聞、テレビなどでも報道されております。雇用機会均等法に基づく調停申請で、既婚者に対する差別の問題としてはこれが初めてのケースであるというふうに伝えられています。
 大阪の婦人少年室長に対する救済を求める調停でありますから、この彼女たちの、こうした女性たちが受けている差別の問題を救済する上で実効ある、誠意ある対応を労働省としてもしていただく基本的なお考えというか、お約束をぜひきょうのこの機会にいただきたいと思います。婦人局長からの御答弁があるかと思いますが、一言で結構ですから、労働大臣からもお約束をいただきたい。
#142
○政府委員(松原亘子君) まずパートタイム労働者に関する対策でございますけれども、既にパートタイム労働対策の推進が必要だということは私ども十分認識しております。そのため、一つはパートバンクとかパートサテライトなどを普及していくということによって、いわばパートタイム労働者の需給調整機能を充実させるということをやってきておりますが、加えまして職業能力開発機会を付与するということも非常に重要なことでございますので、公共職業訓練施設でパートタイム労働者として働きたいという方が訓練を受けられるような機会の提供なども積極的に行ってきているわけでございます。
 また、パートタイム労働者の処遇等につきましては、平成元年にパートタイム労働指針というのを定めまして、これを周知する活動というものを私ども、都道府県の婦人少年室のみならず、労働基準監督機関、職業安定機関等労働関係機関一体となりまして、この周知徹底のための啓発活動等をやっているわけでございます。私どもとしては、これらの政策をさらに一層推進することといたしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、第二点目の御指摘でございますけれども、これにつきましては、二月末に申請がなされたばかりのものでございまして、まだ十分労使双方からの事情聴取等もなされていないというふうに聞いております。これからは、労使双方関係者からの事情聴取を進めまして、事実関係を明らかにした上で適切な対応をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#143
○国務大臣(近藤鉄雄君) もう局長も申しましたけれども、パート労働は、これからますます雇用形態が多様化してまいりますから、非常に重要な役割を果たす労働形態だと思いますので、いろんな角度から前向きに考えさせていただきたい、こう思っております。
 住友生命の問題につきましては、女性労働者問題については、局長申しましたように、事情を聞いた上で対処をしていきたい、こう思っております。
 それから最後に、公表できないかということでございますが、例えば税務調査とか、それから銀行検査というようなものもたくさん行政的にあるわけですね、この種のものは。一々税務調査が入った、銀行検査が入ったということで公表はしてないんじゃないかと思いますが、我々の監督指導もそのような範疇の行政措置でございますから、そこでいろいろ見て、違反の事実があればそれなりに指導監督をして是正を求めていく、こういうことが趣旨でございます。ですから、非常に悪質なものについては先ほども言いましたように司法処分も含めてきちっと対応すると、こういうことでございますけれども、ある程度の範囲内においては指導監督をして是正を求める、こういうことでこれまで処置しておったのではないかと思いますので御理解いただきたいと思います。
#144
○山中郁子君 委員長、一言。
#145
○委員長(向山一人君) 山中君、時間オーバーですよ。
#146
○山中郁子君 一言です。今、先ほどの質問に関してまたちょっと戻った御答弁だったものですから一言だけ申し上げます。
 いろいろな事例がございます。ですから、それは発表しないというふうなことではなくて、社会的常識によって発表すべきもので、発表するというか、人に知らされるべきものであるということを私は重ねて申し上げておりますので、そのようにお受けとりください。
 それで、住友生命の問題については、当然調査の上ということになるでありましょうけれども、ぜひ提訴をした女性の立場に立って、誠意あるというか、実効ある対応を期待するということでございます。
 終わります。
#147
○笹野貞子君 ことしのお正月の私ども連合の旗開きのときに大臣にお出ましいただきましてお祝いの言葉をいただいたわけですけれども、そのときには大変私ども連合という組合の組織に対して深い御理解と、特に女性が働くということに対して大臣は非常に協力的というか、希望を与えていただいたものですから、私はあれから初めてきょうお目にかかりますので、時間はたちましたけれども、大変きょうは大臣とお話ができるのが喜ばしいという感じでここに参りました。そういう趣旨を踏まえまして二、三御質問をさせていただきます。
 国会の冒頭の首相の演説にもありましたし、また先ほどから何回も出ておりましたけれども、日本は生活大国になる、もう既になっているというようなお話です。私は、生活大国という意味の中には、毎日働くことが非常に喜ばしい、そういった働くことに誇りを持って、そして生活にゆとり、豊かさがあるという、こういう働くことに喜びと誇りというものがないような生活というのは、これは本当の意味の生活大国じゃないというふうに思っております。そして、この生活大国を実現してきました私たち働く者ですけれども、働くというのはこれは基本的人権の中の勤労権でありますから、働くということに誇りと喜びを感じるというのは、その社会その時代によってこれが形だというそういう定型はありません。そのときそのときの人間の英知と努力によってその働き方というのを変えていかなければならないというふうに思っております。
 そういう意味で、今三K職場などというのがあらわれまして、非常に働くことに苦痛と嫌な思いがあるというような現状というのは、これはどうしても変えていかなければいけないと思います。そして、今働くことの現状を変えるためには、時短という問題がもちろん今審議されているというふうに思いますけれども、時短をするということは、現状のままで考えますと、した分だけ人手不足になる。人手不足になるからまた条件をよくするために時短をする。そうすると、またそれを補わなきゃいけないという、そういう非常に二律背反をした現状が出てまいります。
 そこで、大臣にお聞きいたしますけれども、この二律背反をしている現状に対してどのような御所見、御意見を持っているか、まずお聞きしたいと思います。
#148
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、私大臣になって以来、おまえは大変なときに労働大臣になったと、人手不足で大変だよと、私の選挙区なんかもみんなそういうことを言ってくれるわけであります。
 ただ私は、まず基本的に日本で何でもかんでもつくっちゃいまして、そして日本人が使うだけでなく世界にどんどん輸出しちゃって、さあ人が足りないからまた人を呼んでこい。そして物をつくってまた売って、さあ人が足りない、また外人を呼んでいらっしゃいと。これでは私は、よく言われるのは東京一極集中じゃないけれども、日本一極集中になりかねないんじゃないかと思うんですね。
 ですから、私、実は前に経済企画庁長官をやったときに、そのときはまさに円高不況にどう対応するかということで、そのためには産業構造調整政策をやって、国際調整というようなこともやったわけでございます。私は、労働大臣になって思っておりますのは、やっぱりまず人手不足に対するマクロの対応は、何でもかんでも日本でつくることをやめて、日本でなきゃできないこと、例えば三Kとおっしゃったけれども、住宅とか道路をつくるだとか、それからまさに看護・介護だとか、こういう日本で日本人がしなきゃならないことはもちろん我々一生懸命やって、その方に労働力を誘導しているけれども、ある程度のものはまさに国際分業にゆだねる、積極的に海外から買ってくる、こういうことで産業構造調整、国際分業を推し進めるということがマクロの面からの労働力不足対策ではないかと。
 こういうことで、少し労働省も大きく構えまして、いろんな関係各省と相談しながら、そういう構造調整を進めて国際分業を進める、こういうマクロの政策をまず考える。後は、個別のいろんな労働力対策。例えば三K職場について、今の日本のハイテクを駆使すれば、建設労働だって、額に汗して働く云々という話がありましたけれども、もっともっと機械化することで、コンピューターや自動車に働くよりも、ある意味では建設機械のオペレーターとして女性から見ても格好いい職場になるということだってあり得るわけです。だから、いろんなことがこれからやっていけるんじゃないか、こう思っていろいろ考えてみたような次第でございます。
#149
○笹野貞子君 まさに私は、労働省の存立する理由というのは、そういうやっぱりマクロの面から一つの労働政策というのをしていただきたいというふうに思っております。
 また、先ほど大臣の御発言の中に一人手不足だからそれを補うために女性を引っ張り出すんだと、そういうのはよくないと。これはまさに女性にとってはそのとおりの考え方でして、今人手不足だから云々というのが話されていますけれども、私は非常にそれに対してはちょっと違うんじゃないかというふうに思っておりましたけれども、まさに大臣のお考えと合致しておるわけです。
 そこで、ちょっと発展をさせまして、だから女性を引っ張り出すんだということではなくて、やっぱり働く喜びを感じるためにも、今まで労働力市場になかった女性と高齢者というのが喜ぶ働く職場づくりというのをしなければいけないと思うんです、そこで、今大臣の善言葉で私も全くそのとおりと言ったんですけれども、どうも女性を引っ張り出すのに、人手不足だからいらっしゃい、一緒に男性と働きましょうと、こういうふうに男性が非常に嫌々ながら労働したり残業させられたりあるいは過労死したりする、その現状の職場に引っ張り出そうとしても、もう女性はそういう状態のところには嫌だというのが現状なんですね。
 ですから、労働省は今まで女性が働くことに障害になっているのを取り除くという何か消極的な行政だったというふうに記憶しておるんですね。ですから、そういう考え方はもうここでやめて、女性が喜んで働くというそういう環境づくり、これから積極行政というんでしょうか、そういう方向転換をする。まあこれはちょっと重複するかもしれません。しかし、この私の考え方に対して、どのようにお考えでしょうか。
#150
○国務大臣(近藤鉄雄君) 女性労働の形態といいますか、歴史的にいろいろございまして、例えば農家の場合はもう昔から共稼ぎでやっておったということもございますよね。ただ、私もちょっとさっき申したのでありますが、豊かになって技術革新が進んだからある意味では女性の方々は家事労働から解放されて積極的に職場に出て、そして自分の能力を発揮できるチャンスを開かれたと、こういう見方を私はしておりまして、従来とも若い先生なんかそうかもしれませんけれども、もう前から大いに女性として能力を発揮しておられる。
 大衆的な、大量的なベースでは、女性の人たちが、例えばサラリーマンの主婦の方々が積極的に仕事につかれるようなことはそういうふうに豊かだからできたという面もあって、そうして積極的に今度は社会参加をし、また生産活動に参加していただいて大いに能力を発揮して、結果的にはそれはまさに国民所得を増大し、国家の富をふやすことになるわけであります。だから、そういう観点に立って、しかし女性の方々の、まあ特性と言うとあれですけれども、そういう特に家庭とかさらには育児とかというふうなことも大事ですから、これと、それから積極的な生産活動への参加、社会参加、女性の方の能力の発揮というものをどういうふうにうまく調和するかということがまさに私たち労働行政の側の知恵の出し方ではないか。
 先ほどバート労働の話が出ましたけれども、私は、パート労働という、とても女性が多いわけでありますが、そのあたりもそんな角度からひとついろいろみんなで考えて、これまで以上の前進を見たい、こう考えておる次第でございます。
#151
○笹野貞子君 図らずも、今大臣はパート労働は非常にこれから女性にとっても重要であると。私は、女性だけじゃなくて働き過ぎの男性もやっぱりパート労働の持っているいいところをこれからまねしていかなきゃいけないというふうに思っております。
 それにちなみまして、どうもパート労働といいますと、女性の方も、毎日働くのはちょっと困難だし、あるいは一日八時間びっちり働くのは嫌なので、ちょっと軽い気持ちでというような考え方を持っておる人も中にはありますし、もっといけないのは、これは企業側というんでしょうか雇い入れる方が、パートというのは、これは非常に便利で安くて都合が悪くなったらすぐ首を切れるんだという、いまだにそういう考え方が私はあることは否定できないと思います。
 そこで、お聞きをしたいんですけれども、これはつまり、パートの方にとやかく今何か言うよりも、パートという労働に理解のない企業、事業主の方に、バート労働というもののこれからのあり方、見方ということを労働省として企業側の認識を改めさせるという努力、そしてもしその現状、何か今具体的にありましたらひとつお知らせいただきたいと思います。
#152
○政府委員(松原亘子君) パートタイム労働者につきましては、特にその処遇ですとか労働条件、それからさらにはその背景となっておりますパートというものをどういうふうに認識しているかといったようなことがバックになるわけでございます。それにつきましては、平成元年にパートタイム労働指針というものを私どもは定めまして、それを周知徹底させるということで、パートタイム労働者というのは、今先生が御指摘になったようなそういう労働者というのではなく、きちんと企業の中に位置づけてもらうことが必要だというようなことを、パートタイム労働指針の定着とあわせまして、特に例えばパートタイム労働月間というふうなものを設けまして、そういったところで啓発をするというようなことで努力を続けているところでございます。
#153
○笹野貞子君 図らずも、パートタイム労働指針というお話がありましたので、そこでお尋ねをしたいんですけれども、今のところはパートタイムというのは非常にいろんな意味で優遇されていない事実があります。ですから、パートタイムというのを労働省としては非常に今力を入れているんだという御発言があるわけですから、いかにパートタイムが差別されていないのかということを社会的にもあるいは事業主にもきちっとするためには、パートタイムの一番弱点でありますところの雇用条件の明文化ということをもしきちっとするならば、ここで大分条件が違ったときにいろいろな問題を処理できると思うんですね。
 この指針を見ますと、第三の一の(一)に、「労働条件を明らかにした書面を交付するように努めるものとする。」というふうに書いておりまして、これは全くの努力義務なんですね。そこで私は、これは努力義務じゃなくて、もし今そういう方向を出すならば法制化をして、これを法律で義務づけるという考え方はどうなんでしょうか。今お持ちなんでしょうか。
#154
○政府委員(佐藤勝美君) 時にパート労働者の場合に、雇い入れ条件といいますか労働条件の明確化というのは、大変一般の労働者にも増して問題がありがちであるということで徹底をする必要があるというわけでございますので、労働省としては、従来から労働条件の明確化を期するために、雇い入れ時におきまして労働条件を明示するということを徹底する点につきまして監督指導を行っております。
 その上に、この今問題になっておりますパート指針におきましても、賃金、労働時間等、主要な労働条件を明らかにしまして雇い入れ通知書という文書を労働者へ交付するように努めるということが定めてあるわけで、労働省としても今後ともあらゆる機会をとらえまして、この告示を定着させるということとともに、この雇い入れ通知書の交付の徹底ということをやっていきたいというわけでございます。
 ただ、今の御質問がこれを法制化すべきでないかと、こういうことでございますけれども、私どもとしては当面この告示の徹底を図る、またはその雇い入れ通知書の交付が徹底されるように図るというのはまず必要なことではないか、かように考えております。
#155
○笹野貞子君 必要なことだというふうにお認めでしたら、これをできるだけパート労働者の方に、不安とそういうものの差別のないようなもっと強い方法をひとつどうぞ考えていただきたいというふうに思います。
 パート労働について給料の面で非常にたくさんの女性が不安に思っております。そこで、大蔵省はいらしていただいているでしょうか、ちょっとお金の面で、給料の面で、きょうはひとつこれを解明していただきたいと思います。
 今、多くの女性と言いましたけれども、パート労働はほとんど家庭の主婦、女性が多いものですから比較的そういうことになりますけれども、私も最初誤解しておりまして、百万円になったら税金を取ってパートを困らせるんじゃないかというふうに思っていたんです。そうではなくて、これを見ますと、労働省から出ております「指針で自信パートと会社の信頼づくり」というところにもちゃんとあるわけですが、しかし今、日本のパートの女性は随分この百万円給料を取るといろんなところで不利になるという考え方で、また事業主によっては雇い入れるときに百万円になったらあなたどうしますかと、百万円以上働きますかとかいうようなことを言って、何か百万円以上出ると大変厄介なことになるかのような印象をつけているということを聞きます。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、確かに百万という税制度の面では不利にはならないということがわかりましたけれども、それ以外のところはやっぱり不利になるという、例えば家族手当、控除の問題、そういうところで不利になるということがわかります。それで、健康保険の被扶養料が百二十万になっているんですが、その百万という税制を百二十万までに上げるということはお考えになっていないかどうかがまず一点。
 それから、夫の給料に関係なしに百万になると何らかの税制上、あるいは控除あるいは扶養手当というものが問題になるわけですから、私は、夫の給料も高い人もいるし、安い人もいるわけですから、全部一律に夫の給料に関係なしに妻は百万以上になったら何かするぞというのは、今のパート労働者にとっては夫の給料が物すごく高ければ問題があるのかどうか、いいか悪いかは別としまして、夫の給料とあわせて税制面を考えるという発想がないかどうかをお聞きすると同時に、あわせて、時間がありませんからもう全部何もかにも聞いてしまおうと思うんですが、こういう、つまり家族手当、扶養控除というような問題があることによってやっぱり逆転現象というのが起きているんですね、給料の。
 実は、きのうの大蔵委員会で公明党の日笠先生という方がちょうどこのことで質問しておりまして、この辺のデータをいただきますと、百二十万を超すと夫と妻を合わせた給料の逆転現象、つまり働かない方が得をしちゃう、働くとかえって夫と妻の給料を合わせた方が少なくなってしまうという逆転現象が百二十万で起きております。
 公明党さんの資料をちゃっかりお借りいたしまして申しわけないんですが、これは大変貴重な資料でして、やっぱりこういうことがあるということは女性の働く意欲を阻害してしまう。午前中の高齢者の年金の問題と同じように、女性がある程度働くと何か損をしてしまうということがあるというのは、これは私は非常によくないと思いますので、労働省といたしましてこういう現象を取り除いて、働けば働くだけやっぱりいろんな意味でいいことがあるんだというような、そういう給与体系というんでしょうか、そういうものに対する指導はなされているか、それとももしなされていなければ、私はやっぱりそういうことをすべきだというふうに思いますが、あわせて御質問させていただきます。
#156
○説明員(尾原榮夫君) 御説明させていただきます。
 税制はとかく複雑だと思っておられる方が多いものでございますから、最初に簡単に仕組みを説明させていただきたいと思っております。
 確かに、パートの方の非課税限度額は百万円でございます。百万円というのはどうして百万かということになるわけでございますが、サラリーマンでございますから給与所得控除がございます。これがどんな収入であっても最低保障というのが認められておりまして、これが六十五万円、それに基礎控除が三十五万円ございまして百万円ということになっているわけでございます。つまり、収入が百万円を超えますと初めて所得税の納税の世界に入ってくるというのが非課税限度額でございます。
 それで、パートと申しますと何か特別なパートの税制があるというふうに思われる方もいらっしゃるわけでございますが、これは実は独身のサラリーマンであれば取り扱いは全く同じなわけでございます。したがいまして、所得税法上パートということのための税制はございませんで、同じように独身であれば取り扱いを受けるということになっております。
 それで、パート問題がこれまで税制と関連して大変議論されてまいりました。何が問題であったかということになるわけでございますが、昭和六十二年以前でございますと、例えば夫と妻で、妻が働いていないという仮定を設けますと、夫の所得税では配偶者控除というのがございます。つまり、奥様がいらっしゃるわけですからそれだけかかり増し経費があるということで、配偶者控除が認められていたわけです。
 そこで、奥様がパートに出られる、そうしますと奥さんの稼ぎがだんだんふえてまいりまして、ある一定限度額を一円でも超しますとここから配偶者控除がゼロになってしまう。それは妻が独立した納税者になるということの結果でございますが、そういたしますと、じゃ世帯として税引き後の手取りがどうなるかといいますと、この一円超したということのために逆転してしまうという問題がございました。そこで、これは税制上も大変問題であるということで、先般の税制改革におきまして配偶者特別控除制度といいますものを配偶者控除制度とは別に設けたわけでございます。
 この控除の仕組みはどういうところに特徴があるがといいますと、妻のパート収入がだんだんふえてまいりますと、その特別控除額で引ける額が少しずつ減っていく形になっていくわけでございます。これは年間パート収入が百三十五万円まで控除が続くわけでございますが、このような配偶者特別控除制度を税制上設けることによりまして、いわゆる奥様が、妻がパートに出てあるところを超すと税負担で逆転現象が起きるというのは完全に解決されたわけでございます。
 少しお時間をいただきますが、それで今国会におきましてもパートの問題をいろいろ御議論いただいております。
 それでは、そういう逆転現象を税以外で何かということになってまいりますと、先生の御指摘にもございましたが、実は二つあるわけでございます。
 一つは、家族手当といいましょうか、扶養手当の話でございます。私ども国家公務員の例で大変恐縮でございますけれども、私の妻が百二十万までのパートであるならば、月一万六千円、年間で二十六万円でございますが、私がもらえるということになるわけでございます。ところが、百二十万を超しますと、それが一挙に二十六万円減るという形になっております。
 それから、もう一つは健康保険、これも拙例で申し上げますと、私は共済組合でございますが、妻の方は健康保険の方に入って保険料を払わなければならなくなる、それも今年度実は十万円上げておりまして、百二十万円になっております。民間のそういう手当がどうなっているか、労使で決まっていると思いますけれども、国家公務員の場合にはそうなっているわけでございます。
 それで、私へのお尋ねばこの百万円をもっと上げろというお話でございます。先ほど申し上げましたように、パートだけの税制ではございませんで、いわゆる一般的なサラリーマンに対する減税をしてはどうかということになってくるわけでございます。今のような財政事情を考えますとなかなか減税というわけにはいかないということをひとつ御理解いただきたいわけでございます。
 もう一つは、やっぱり一人で年間百万円を超えるような収入を得ているのであれば、税法上は、夫の被扶養者としてではなく独立した納税者として相応の負担をしていただくというのが今の民主主義なりの考え方ではないのかなというふうに考えられるわけでございます。
 それから二番目に、夫の給与収入に関係なく税負担が余り変わらないようにしろというお尋ねがございました。実はこれは税法でまいりますと課税単位の話でございまして、つまり家計全体で所得税をいただくのか、一人一人に着目していただくのかという話になってくるわけでございます。我が国の所得税は個人に着目した税制をとっておりまして、フランスなんかではN分のN乗方式と申しまして、家計全体で税負担をお願いしておりますけれども、やはり税制調査会の議論でも個人単位で課税するのが適当であるというのが今の考え方になっております。
 長々と大変失礼いたしました。
#157
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今、いわゆるパート減税について大蔵省の課長さんから説明があったわけでございます。
 もう結論だけ言いますと、私は今の説明を聞いてもそうなんでありますが、だんだんパート労働される御婦人の方がある一定の所得を超えできますと、いわばもうインディペンデント、独立な所得者としてのステータスが変わってくるんでしょうね。ですから、今のパート減税という発想は、だんなさんが働いておって、妻が付随的にパートで小遣いを稼いでいらっしゃるというような形の税制から、一定限度を超えていくと独立の所得者としての扱いを受けてくると、こういうことじゃないかと思います。
 そのあたりを踏まえまして、私はパート労働というのは非常に大事な労働だと思いますけれども、それは何か労働者の人間的な発想でなしに、たまたま時間が短かっただけであって、したがって労働者の収入が低下してしまう。しかし、場合によっては、その時間が短くたって高い収入でいらっしゃる方も当然出てくるわけです。だから、いろんな労働形態の一つが、たまたま時間で言えば短い時間がパートなんであって、それはさっきも言いましたインカマナーとしての身分という形じゃだんだんなくなってくるんじゃないか、そういうふうに少しいろんな角度でこの問題を勉強させていただきたいと思っております。
#158
○笹野貞子君 大変御親切に御説明いただきましたんですけれども、しかし一〇〇%理解したというわけではありませんので、この問題は続けてまた御質問いたしたいと思います。
 特に、こういうふうに、百万を超えるということが何か働くことの阻害要因になってしまうという、そういう給与体系の方にも問題があるというふうに思いますので、その点でもまたもう一度労働省の方にお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
 時間がありませんので、最後に一つだけお尋ねいたしますけれども、パート労働というのは、今、大臣も大切だと、これからもこういう形態は必要だというかけ声は物すごくあるんですけれども、それに対して実態としてこれをよりどうするかということになりますと、どうも労働省も労使協議とか自主解決とかやっていますというようなこと三言うんですけれども、しかし私は、労使協調とか自主協議といっても、やっぱりパートというのは現状では非常に弱い立場に置かれておりますし、そして潜在的には主婦なんですね。そういう人力の意見というのは労使協議では出てこないわけですね。この中に入っていないというのがたくさんあります。
 ですから、やっぱりこういう方の意見をきちっと吸い上げる。つまり、家庭の女性、そして非常に弱い立場に置かれている組織に入っていない女性の意見を吸い上げるということをこれからやらなければ、パート労働に対して理解がありますとか、これは重大ですと言ってもそれは私は口先だけになってしまうというふうに思いますので、その点をこれからどのように改善するか、そして労使に任せておくということに対する、これは余りニーズをくみ上げられないじゃないかというその点について、ひとつ大臣どのようにお考えですか。
#159
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほど申しましたように、パート労働というのはこれからのいろいろな労働形態の一つの型であって、決してこちらが正式でこちらが不正規なものであるという形はこれからなくなっていく、私はなくすべきだと思っております。そういつだって現実に常用雇用の人たちといわゆるパートの人たちのいろんな意味の扱い方に差があるじゃないか、こういうお話は現実問題として私も理解できます。だからこそ、いろいろ労働省も婦人少年室なりでいろいろなパート指針をつくって御指導また御協力申し上げる、こういうことでございますので、まさにそういうおくれたような面については積極的にこれから我々としても指導してまいりたい、こう考えます。
#160
○笹野貞子君 ありがとうございました。
 終わります。
#161
○橋本孝一郎君 大分時間もたちまして、できるだけ重複を避けたいわけでありますが、通告してあります質問との関連でどうしてもダブる部分がありますので、ちょっと別な角度から見てみたいと思うんですが、最近の失業率と日本の労働力不足問題ということについて二、三お尋ねしたいと思います。
 ことしの一月の有効求人倍率は、景気が減速ぎみと、バブルが崩壊して鈍いとは言いますけれども、一・二八倍でありますし、失業率は二・一%で、アメリカ、ヨーロッパいわゆる欧米に比べて完全雇用の状態に近い。まさに完全雇用、労働力不足時代だということではまだ変わりません。
 そこで、労働力不足ということは、労働市場の要因からして賃金とか労働条件の平準化あるいは社会の平準化といいますか、労働者の立場にとってはよい環境だと言えるわけです。さて、それじゃそういう労働力不足ということになりますと、労働省が二年前に提起しておりました二〇一〇年という、これは非常に長い先を見ての労働政策企画プロジェクトチームの報告書ですけれども、それを見ますると、二〇一〇年には約一千万人の労働者が不足するだろう、こういうひとつの大胆な想定がされておるわけです。最近のそういう景気の減速ぎみ、あるいは将来の景気動向、景気動向を見通すのはなかなか難しいわけでありますけれども、この労働省の報告書ですね、最近のこういう状況からして大きな変化はないかどうか、まずひとつお尋ねしておきたいと思います。
#162
○政府委員(若林之矩君) 最近の雇用情勢を見ますと、求人が減少しておるわけでございまして、徐々に有効求人倍率が低下しているわけでございますけれども、依然としてただいまお話がありました一・二八というような水準が高いわけでございますし、完全失業率も低い水準にあるわけでございます。全体を見まして労働力需給は依然引き締まり基調で推移しているということでございまして、中小企業を中心に労働力不足感が強いということでございます。
 中長期的に見ましても、出生率の低下を背景に労働力の伸びが鈍化をいたしまして、さらに二十一世紀になりますと絶対数としても減少していくことが見込まれますので、基本的に労働力需給は引き締まり基調で推移していくというふうに考えておるわけでございます。
 ただいま、労働政策企画プロジェクトチームの報告、二年前に出しまして、二〇一〇年に一千万の労働力不足というようなことでございましたが、これは何と申しますか、需要と供給と別々に試算をいたしまして、その差し引きをしたものでございまして、昨年の一月には学識経験者で構成されます研究会の場でマクロモデルでこの需給の推計を行ったわけでございます。この際には、中長期的に労働力需給は引き締まり基調で推移するわけでありますけれども、経済全体では二〇〇〇年までバランスすると、こういうような結果になっております。
 しかし、さらに現在、第七次雇用対策基本計画の策定に向けまして、その基本的なベースでございます需給の将来推計をしなければなりませんものですから、今改めて学者の方々にお集まりいただきまして、推計をしていただいているところでございます。この需給が引き締まり基調で推移するということについては、基本的に変わりはないだろうというふうに思っております。
#163
○橋本孝一郎君 基本的に変わりはないということでございますが、私はそれはそうだろうと思います。したがって、そういう対策として、いわゆる供給を増加する対策、あるいは需要そのものを抑制する対策と二つの大きな柱に分けられると思うんです。供給増加対策というのは、前からも、またこれからも審議していく。まさに労働時間の問題だとか女子労働の問題、定年延長の問題、いろいろとたくさんございます。これをどんどん進めていかなきゃいけないと思うんです、しかも強力に。
 今、例えば労働力不足という問題を見ますと、すぐ欧米と比較しますけれども、欧米の場合には、例えば定年でも大体六十五歳でしょう。日本は六十歳です。これ違うんです。女子労働にしても、既に過去の女性の職場進出というのは日本と全然違います。非常に昔からずっともうそれが平準化、当たり前になっておる。そのために育児休業法にしても、いわゆるM字型じゃなくて、フラットないわゆる台形型にしてある。これはもう歴史がそういうものにさせておるわけなんです、足らない不足時代を彼らは経験していったわけですから。日本はいわばこれ後追いなんです。ところが、定年延長と書き立てたって、日本のような賃金制度でしたら欧米のようにすぐやれと言ったって基本的に難しいですね。質と量に応じた賃金、職務給、職能給制度というのは、これは少ない。年功とか、あるいは継続要素が多いものですから、これは非常に難しい。したがって、いろいろな形で再雇用制度とかという方法でみんな知恵を働かせておるわけです。
 ですから、問題は、不足ですから、そういう供給を増加するための対策を我々練っておるんですから、欧米並みになっちゃったら必ずしも不足とは言えなくなってくると私は思います。三十年も先を見ておるんです。これは出生率から見たらそうだと思う。確かに出生率の問題だけが、これは経済の動向じゃなくて、人間の寿命と男女数から見れば、大体ほとんど誤差なく計算できますからね。経済はもう一寸先はやみです。どうなるかわからぬ。だけれども、出生率の方はこれは確定的要素があり、分母、分子は変わりませんから、計算は間違いなく、大した誤差なくいきますからいいんです。ですから、供給を増加するための時間短縮にしろ、あるいは女子労働にしろ、定年延長、その他いろいろな供給増加のための政策をやっていますから、これは大いに結構なんです。だからこれをどんどんやはり強力に進めないと、いつまでたっても不足問題は解決しないし、問題が結局何かすりかえられて、今不足のときにこそ一番いい条件にあるわけですから、どんどん進めていただきたいということが基本的に申し上げたいことなんです。
 それで、それが進んでいけば、必ずしも想定するような、私は果たして不足なのかということ、これはやっぱりこれからの経営のあり方も変わってくるでしょう。それでまた産業構造も変わっていくかもわからない。あるいは需要抑制。例えばよく言われますがソリンスタンドのああいうサービスなんというのは、もうアメリカ行ったってないですよね。皆セルフサービスですね、ヨーロッパなんか。JRなんかでもそうですね。切符切っておるなんて、言っちゃ言葉は悪いかもしれませんが、大の男がやっておる仕事じゃないですよ。もう今どんどん機械でやっていますね。機械じゃなくて、あれはヨーロッパにはございませんね。切符買ったらそれで終わりでしょう。検札だけでしょう。そのかわりペナルティーがきつい、インチキに対しては。いわゆる性善説か性悪説がです。日本はお上のやり方で、おまえたち乗せてやるぞと。だから見せるという、まさに全くサービスでないんですよ。口ではサービスと言っているけれども、実際の実態はまだお上の思想なんです、乗せてやるぞという。だから、これらを全部改めていけば、要らぬ仕事なんてどんどん洗っていけます。そうすると必ずしも不足とは言えなくなってくる。
 ですから、不足のときにこそ、そういういろいろな施策を平準化し、社会のやはりレベルを国際化し、公正基準、貿易摩擦を起こさないようにやる最大のチャンスだと私は思うので、あえてちょっと別な角度から皮肉な物の見方を申し上げたわけですけれども、ひとつその点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#164
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変示唆に富む話を承ったわけでありますが、実は、私の友人の大前研一君とこの間話をしたら、全く先生と同じ考えで、日本は今は労働力不足じゃなしにむしろ過剰労働力だと、こっちが心配だよと。それは先生からも御指摘があったように、非常に労働力をむだに使っている分野が結構ありますし、それから製造業については非常な合理化が進んできております。農業なんかを例にとると、農民の責任じゃないんですが、まさに零細農ですから、一生懸命働いても生産性が低い、こういう問題もあります、よく流通の問題だとか、そういった問題を考えていきますと。
 私は、この間OECDの労働大臣会議に行って思ったのでありますが、日本は失業率二%、ほかの国は六だ、七だ、八だ、九だ、一〇だと言っておりますけれども、今風の言い方をいたしますと、日本は雇用大国であっても生活大国ではない。字面は失業率が低いけれども、内容はまだまだという感じが一つ。
 それから、あえて言いますと、やっぱり日本は雇用大国だといっても低位の雇用状況です。だから、高位の、高いレベルの雇用にどう持っていくかということがこれからの労働行政の大きな課題じゃないかと、こういうことでいろいろ今研究しておるところでございます。
#165
○橋本孝一郎君 ですから、そういうことで供給を増加するための施策というのはいろいろ考えられて、また法制化していこうとするわけであります。強力にひとつ私はやっていただきたい。そして国際化の中でアンフェアだと言われることのないようにしていく必要があるんではないかと思います。
 さて、今、何というんですか、生活改善闘争というんですか、このごろはもう賃上げとか春闘とか言わないんだそうでありまして、生活改善と言葉も変わったようでありますが、中身は余り変わってないようであります。賃金の問題は、これは労使間が決める問題でありまするし、労働時間そのものも、今の組織された労働者は、これは労使間で決めることが一つの物の原則というんでしょうか、原点だと思います。ですからそれに任すわけでありますけれども、それにしましても、いわゆる半ば国際的公約というと変ですけれども、一番問題になってくるのはやっぱり労働時間だと思います。
 けさほど来も問題になりました千八百時間問題。そこでそれに向かって時短促進法、今国会に法案を提出されるようでありますけれども、この建議というのは、連合からの労働時間に関する産業別あるいは業種別労働時間短縮システムの創設を願って具体化したもので、時間短縮の取り組みにおいて中小下請受注型産業における時短促進が大きな課題となって、時短に関する労使の取り組み体制の整備、業界・業種がまとまって時短の取り組みを進めることが時短推進の上で不可欠だと、これは非常に当たり前のことでありますけれども、どうしても法案化ということになれば、これは経営側の方が嫌がるのはもう従来からの慣習でありまして、これはやむを得ぬところであります。
 中央労働基準審議会がこれから持たれるわけでありますけれども、今国会の提出をどういうふうに今これを考えておるのか。中身はまた出てからのときにお尋ねしたいと思いますけれども、今の状況、これからの見通しを含めてひとつお尋ねしたいと思います。
#166
○政府委員(佐藤勝美君) 今お尋ねの件につきましては、昨年の十月以来、中央労働基準審議会でいろいろ御議論をいただきまして、この一月三十日に建議をいただきました。その建議の内答に沿いまして法案要綱の案をまとめまして、昨日、中央労働基準審議会にその法案要綱の諮問をさせていただきました。そう遠くない時期に答申をいただけるものと考えておりますけれども、あとは所定の手続に従いまして、今国会に提出をさせていただくということで鋭意準備を進めさせていただいているということでございます。
#167
○橋本孝一郎君 先ほどの大臣のお話で労働力不足、それから労働行政のもう一つの柱として、いわゆる労働力の有効活用といいましょうか、こういう問題もこれから大きな問題になってくると思います。
 そこで、この間の新聞に出た記事なんでありますけれども、常に私、こういう点についてちょっと気になることがあるんですが、通産省で二月二十七日に労働時間短縮の観点から、これたしかアンケート調査した結果に対する一つの施策だと思うんですが、大企業から下請中小企業に終業時間後に翌朝の納入を求める注文について発注の改善を求めるアンケートの回答が多かった。したがって、その結果として発注の改善を求めるよう、そういうことのないようにという通達を出されたというのが新聞に出ておりました。
 これは通産省のやられたことですから、やらぬよりかいいとは思うんですけれども、こうした方法が実際に実効性があるのかどうかということなんです。何か大蔵省の銀行に対する通達みたいなもので、かえって権威がないんじゃないか、実際守られるかどうかわからぬようなことを。こういうことも恐らく労働省あたりと相談されて通産省は出されたのかと思うんですけれども、あったのかどうか知りませんが、大臣どう思われますか。私はこれは非常にプアな案だと思うんですが、お伺いしたいと思います。
#168
○国務大臣(近藤鉄雄君) 詳しいことは、また局長から必要があれば説明させます。
 ただ先生、労働時間を短縮するためにはいろいろ越えなきゃならないハードルがたくさんありまして、今度の労働時間短縮促進法の中でも私は考えておりますけれども、やはり日本の場合には横並び意識があって、例えば地域の建設会社なんかもA社とB社があって、A社は時短やってB社は土曜日曜なしで稼げばどうしてもB社の方が早い仕事ができると、そっちに入札されちゃうというようなこともありますし、それから今度は大企業と下請の関係も、こちらの方が時短をやって場合によったら多少コストが上がってきても、大企業の方、元請の方は時短は勝手だけれども、価格は従来どおりやれというようなことに例えばなった場合に、せっかくの時短もできなくなってしまう。特に、金曜日に発注して月曜までに持ってこいなんていうことになれば、これは土曜日曜なくなっちゃうわけでありますから。
 だから、時短というのを本当に実現するためには、まさに私たち労働行政がベース、中核でありますけれども、いろんな関係の行政当局とも相談をしながら、それぞれ各行政当局がいわば指導している業界に対しても協力して時短するようなそういう指導監督というものをやっていかないとなかなかできないのではないか。だから、建設業に対しては建設省にもひとつ大いに協力してもらう。それからトラック運送業、バス会社なんかについては運輸省がそれぞれの所管官庁でありますから協力をする。
 だから私たちは、労働省が基本的な時短推進基本戦略をきちっとつくって、そしてその基本戦略を実行するに当たってはそれぞれ関係省庁の協力を求めていかないと難しいなと、こういうことを話し合って、それなりの各省へのいわばアプローチというものを基準局が中心になってやっているというのが現状でございます。
#169
○政府委員(佐藤勝美君) 若干事務的なところを補足させていただきますが、特に下請の中小企業の場合に、時短をやりたくても発注元から来る注文というような場合、例えば極端な例で申しますと、金曜日の午後に発注が来て月曜日の朝に納入というようなことになりますと、どうもやりたくても時短ができないというようなことでございます。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
 今回、通産省が通達を出されましたのは、下請中小企業振興法に基づきます基準の中でそういった時短の阻害要因になるような発注方式を改善をしてもらいたいと、こういう通達でありますので、一つの時短の阻害要因に対しまして留意事項を業務所管官庁として指導するという点では有効なものではないかというふうに考えておるところでございます。
#170
○橋本孝一郎君 これは認識の相違かもしれませんけれども、私は通達というものは出した以上はそれを守らすというか、守ってもらうというのが前提であって、どうでもいいような通達を出すとこれはオオカミ少年みたいになっちゃいますから、そういうものはやめた方がいいということをむしろ申し上げたかったわけで、労働省はそんなことはないと思うけれども、それぐらいのやはり権威を持ってやる必要があるのじゃないかと思います。
 時間短縮関係たくさんございますけれども、もう言われておりますので省略いたします。細かいのはのけますけれども、九二年度中というのはこれはほとんどもう不可能に近いわけですね。連合の方は、九三年と言って何かちょっと足でOBの球を動かすような感じのことでなさったようですから、一年ぐらいでもこれまたできそうな感じがすることですけれども、これは四年かかってもできなかったと。これからやるために強力にやらなきゃなりませんけれども、促進法ということで一つのこれが舞台になっていると思います。
 今度はぜひひとつそういう面で、これは労働組合のあるところは労使間である程度それだけの一つの力はある、そこで決めることが一つの原則でしょう、真理でしょうから、第三者が云々したってこれはしようがございません。その力の及ばないといいましょうか、その他未組織一般に対しても早くその影響力を持たすためにも、そういう面での審議会での促進をぜひ私はお願いしておきたい、こういうふうに思います。その点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#171
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生今御指摘ございましたけれども、実は近年ずっと総労働時間は減っているんですね。減っているけれども、減る率が年間で三十七、八時間と、こういうことでありますから、今平成三年暦年で二千十六時間と。そうすると、四十時間足らずでこうやっていけば、まだもっとかかりますね、割り算でいくと。今度の八月に新経済五カ年計画を政府はつくります。それに対応して私どもの方も雇用政策基本計画をつくりまして、その中で、まだこれからいつにするかはともかくとして、そう遠くない時期に千八百時間は達成しなきゃならないと、こういうことであります。
 ただ、これまでの計画は、実は私も経企庁長官で多少かかわっておったわけでありますけれども、多少抽象的な数字が表へ出ておって、いわばハウツーがなかったと、率直に私も関係者の一人でありますから反省しておるわけでございます。したがって、今の労働時間短縮促進法の中に具体的なプログラムをつくる、国が計画をつくる、そして今度は各個々の会社も労使の話し合いで時短計画をつくっていただくし、それからまた横並びでいけるような、また元請下請の関係がありますから、個々にできるような具体のプログラムをつくって、そうはいってもこれは個々の企業のいろんな経営の問題もございますから、しゃくし定規にできないので、多少のバラエティーは私は現実論としてはやむを得ないけれども、プログラムをつくっていこうと、こういうことをこれからひとつ積極的に進めていきたい。
 あえて言えば、先生、私はこれは今内部で議論しておりますけれども、それができるために例えばロボット化、省力化する、必要な投資が要るとなればそっちの投資の方も今度はひとつ我々がバックアップしてやる。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
 既に、中小企業労働力確保法にございますけれども、さらにこの法律の内容を一歩も二歩も前進するぐらいのことでやらないと、殊に中小企業の場合には難しいのじゃないか。こんなことでございますので、一生懸命やりたいと思います。
#172
○橋本孝一郎君 結構です。
#173
○下村泰君 大臣とは初めてお目見えをいたします。
 私は、昭和四十九年にこちらへ参りましてから、一貫して障害児者あるいは難病児者のことについてお伺いしておりますので、本日もその一点に絞ってお伺いしたいと思います。
 去る十八日に介護労働者の雇用管理改善法というのが労働省から提出されたようなんですが、一応厚生省でも法案提出の準備が進められている。私の手元にあります資料ですけれども、これを拝見しましても厚生省で出しているのも労働省で出しているのも内容が大して変わりません。ただ、名前が、ちょっと活字が変わっているだけです。
 新聞の報道も、同じ問題に向かっているのにもかかわらず主導権争いなどというこんな記事が出ております。厚生省の方は、要は病院や施設が利用しやすい制度を選択できればいいのではという強気、労働省も、厚生省が全体を底上げし、こちらがその上乗せを図る、こういうようなことを言っておるわけです。到達する地点は同じなんですけれども、何か途中の道がちょっと違っているというだけのことなんです。
 幸いなことに、たしか労働大臣も厚生大臣も同じ派だそうでございます。何かにつけてちょいと横を向けばお話のしやすい立場で、何かうまくいくんじゃないかなと、こっちは勝手に想像していますけれどもね。
 そこで、伺いたいんですが、介護労働者についての労働省の役割それから立場というのはどういうものなのか、まずお伺いをしたいと思います。
#174
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに高齢化社会に進んで、看護も看護老も看護労働者も大事ですし、それから介護労働者といいますか、介護者も大事です。
 ただ、あえて技術的なことを申しますと、看護労働者というのは看護婦さんですから、看護婦さんとしての訓練を受け資格を持っている方々、これは行政の組織で言いますとどうも厚生省が従来やってきた分野ではないか。介護労働者の場合には看護婦さんと違って必ずしも特定なそういう資格は必要としない分野でございますし、もっと広くこれはいろんな方々の中から介護労働に従事している方々を求めていくべきじゃないか。そうなると、これは一応労働省が従来やってきた職業紹介の分野に入るわけでありますので、労働省がやった方がより広くいろんな方々に御協力いただけるのではないか。
 しかし、そういった方々のためのいろんな大事なお仕事をやっていただくんだけれども、福祉だとかそういった点については必ずしも十分じゃないので、そういう点はそういう労務管理のプロとして労働省がいろんな形でお手伝いをできるのではないだろうか。こんなことで看護労働と介護労働に一応分けた形で法案を準備したわけでありますが、むしろお互い相補いながらまさに高齢化社会の医療、介護に向かって政策の実を上げていくということでやると私は考えているわけであります。
#175
○下村泰君 もっとわかりやすく申し上げますと、例えば家政婦さん、これはどっちかというと介護労働、それから看護婦さんというのはどちらかというとこれはもう即すぐ病人にかかわってくる問題であって、言うなれば厚生省、こういう感じになりますね。
 例えば、厚生省で出しているのは、「看護婦等の就業促進等を図るためのナースセンター(仮称)の指定等の所要の措置を講じる。」、もう一つは、「社会福祉関係職員の人材を確保し、社会福祉の増進に資するために、こういうふうになっています。労働省の方は、「高齢化の進展等の状況」に、ただいま大臣がおっしゃったように介護労働力の需要拡大、こういうことになるわけです。
 これを資格的に拝見いたしますと、例えば介護福祉士という資格がございます。これは高校を卒業すると片方は養成施設で二年で介護福祉士になれる。それから福祉系大学あるいは他資格制度の養成校、こういうのを出て養成施設を一年経るとこれは介護福祉士になれます。それから実務が五年ある、あるいは実務三年に準すみ者が介護福祉士試験を受けるとこれは介護福祉士になれます。ところが社会福祉士という同じ福祉がつきますが、社会福祉士の方は全部社会福祉士の国家試験があるわけです。ここのところもちょっと資格の差が違いますね。これは厚生省で扱った場合そうなんです。労働省は先に申し上げた方。後から申し上げたこの全部国家試験を受けなきゃならないというのはこれは厚生省なんです。ここに何となく資格的に差がございます。もちろんそれは技術的に上のものを望むんですからこれは当然のことだろうとは思います。ここにまた僕は介護とこの福祉士の差がちょっとあるような気がするんです。
 これが今度給与問題その他になりますると、我が国というのは、何か資格を持っている者が上で資格のない者は下と、こういう制度が昔からあってそのまま来て今でも続いているわけです。そうしますと、同じ一つの目的に向かっているのにもかかわらず、なりたくない方となりたい方とあるわけです。こういうところが問題ですね。給与も違います。
 現在、厚生省が出している方のものを拝見しますと、「就業の促進及び処遇の改善を図るための指定法人制度の創設、ホームヘルパーへの退職手当の支給等」、こういうふうになりますね。いわゆるその改善体、こういうものがかかわってくるわけです。ですから、先ほどの労働省と厚生省のそれぞれのお役人さんの言っていることもよくわかるんですがね。今のよく転職する方なんていうのは、例えば少しでも給料の多い方へ行くわけです。それが両々相まってふえるんならいいんですが、キャッチボールをするみたいにこっちへ行ったりあっちへ行ったり、同じ人が動いているんじゃこれはどうにもなりません。
 ですから、もう少しこの視野に立って、こんなことがうまくいかないもんなんだろうかなと。みんなが一つの目的に向かって進んでいくんですから、それがうまく両々相まってうまくいかぬかなと。これはどうぞひとつ労働大臣と厚生大臣とよくお話し合いになってください。これ前から私はお願いしているんですが、橋本龍太郎さんにも私はうそつかれましてね、いつ幾日に会うからと。全然会ってないです、あの方も。
 それで、ここでもう一つお尋ねいたしまするけれども、これずっと疑問だったんですが、ここに介護福祉士というのがあるんです。介護に関する技能検定というのがあります。この介護福祉士の検定試験というのはやったことがあるんですか。それともやらない、やってないんですか。もしやるとすれば、どういうふうにおやりになる。それから厚生省との話し合いはどういうふうになるんですか。
#176
○政府委員(松本邦宏君) 社会福祉士及び介護福祉士法の三十九条第五項で、今先生御指摘のように、介護に係る技能検定の合格者についても介護福祉士になるという道をつくってございます。
 この技能検定の内容等につきましては、実は厚生省と労働省の方が協議をするということになっているわけでございますが、実はその試験の内容、水準等についてまだ厚生省との間で調整ができておらないというのが実情でございます。と申しますのは、一つは、我が方は技能検定というのはほかの職種もいろいろ持っているわけでございまして、どちらかといえば実技中心に考えるというのが従来の技能検定の発想でございますが、厚生省さんの方は、全体の介護福祉士がそうでございますが、養成施設で養成するあるいは試験をやるとか、どちらかといえば知的な方を中心にして考えようというようなバランスの差がございまして、その辺の微妙な調整がまだできておらないということでございます。したがって、まだこの細部が決まっておりませんので、この関係での技能検定をやっておらないというのが実情でございます。
#177
○下村泰君 実は、これは前に厚生省に伺おうと思ったんです。ところが厚生省が断ってきちゃった、これは答えが出ませんと。というのは、今あなたのお話の中にその答えがそのまま生きているわけですね、調整がつかない。調整がつかないのにこんな階級制度といいますか、その資格制度のこういう名前がある。そのものがおかしいんです、私に言わせれば。こういうネームがある以上、そのネームにふさわしい方が既にもうできてなきゃいけないわけでしょう。そして存在してなきゃいけないわけでしょう。それがいないというのはおかしいですわな。
 知的な要素もあるでしょう、何もありましょうけれども、これ何とかひとつ早いことお話し合いになって、もしその資格ができて、その資格者に対するいろいろな待遇その他が生まれてきて、その方たちの待遇がほかの職業から見た場合にああいいなというような、少しでもあこがれ、羨望があれば人がふえる。職業というのはそういうもんでしょう。毎年毎年大学卒業生に、あなたはどこの会社を選びますか、企業を選びますか。その年その年にいろんな職業出てくるじゃないですか。そうすると、そこにみんな集中的に行くでしょう。何でも私はそういうふうだと思うんです。ですから、いつまでもお役所の感覚というんじゃなくして、一般企業のような感覚でどうやったら人が集まるかいなぐらいのことはひとつこれからも考えていただきたい、よろしくお願いします。
 その次に、アメリカのADAですけれども、アメリカ法というやつですね。日本語訳はいろいろあります。とりあえず障害を持つアメリカ人法と言わせていただきますが、この第一章に、雇用差別の禁止というのがあります。従業員十五名以上の事業所。ただし、法律発効後二年間は従業員二十五人以上の事業所では、求人手続、採用、報酬、昇進、解雇などについて、障害者であることを理由に差別してはならないということなんです。
 そこで伺いたいんですけれども、この法律の評価ではなく、障害を理由に差別してはならないという精神について、どう思うかということを伺いたいと思います。なぜ日本でこういう精神に基づく法律ができないのか。どういう感覚をお持ちでしょう、大臣。
#178
○国務大臣(近藤鉄雄君) 障害を理由に差別をしてはいけないという基本的な精神は、アメリカも日本も全く同じだと思うわけでございます。
 ただ、アメリカの場合はそういう精神的な規定といいますか、そういう原則で進んでいて、それで日本の場合にはむしろ実務的に障害者の雇用率というものを決めて、そして各会社にお願いをして実際に雇用していただく。その場合に、障害者の方々の雇用をお願いするわけでありますから、助成金を考えるとか、それからそういった障害者の方々が仕事がおできになるような、例えば設備についても改良といいますか、プラスアルファを加えた設備、そのためにまた必要な助成も考えるとか融資を考えるとか、そういうことであります。精神においては同じでありますけれども、日本の場合には、私はあえて申しますが、より具体的に率を決めて、また努力をしていただく、そのために必要な助成とかそういった措置も絶えず講じてきておる、こういうことでありますので、向こうが悪くてこっちがよいということではありませんが、私は日本の制度はそれなりに現実的、実用的な制度である、かように考えております。
#179
○下村泰君 大変大臣はよくごらんになっていると思います。私は別に、このADA法というものがすべてのものにまさるとは思っていません。内容的にはいろいろと疑問があるんです、ここも。けれども、ただ世界に向かってこういった法案をつくれる勇気といいますか、あれは私はすばらしいものだと思います。こういったことはもう国際的な一つの理念ですね、障害者を差別してはいけない。
 一番簡単な例を申し上げますけれども、例えば脳性麻痺の車いすの障害者です。新聞配達をしたいと本人が思う。ところが、もし申し出たら九九・九%、それこそ日本語でもう九分九厘だめです。断られますよ。恐らく、こう言っている大臣だってその瞬間に、ああ果たしてできるだろうか、これはだれでもそう思います。疑問にだれでも思います。最初からできるはずがないと決め込んじゃうんですね、私どもは。ところが、実際にやっている人がいるんです。それじゃ階段なんかどうするんだというと、はって上がっていくんです。もう何年も続けている方が実際にいらっしゃるんです。
 ですから、本当にその本人の意識と、それから周りで見ている者とやらせる者とが感覚が合えばやれないことはないはずなんです。ここのところが私は一番問題だと思うんです。何かというと、頭からやれないんだ、こういう状態では間に合わないんだとかいうふうに区別をしてます、最初から。そうでなくして、この人の体のハンディでどれだけのことがやれるんだろうか。そこからまずその人の職業の選択を考えていただく、こういう方法がこれからはなくてはいけないんじゃないかなというような気がするんです。
 もっと例を申し上げますと、私の部屋によく来る脳性麻痺の方がいるんです。私が今立っているところから向こうの机があります。これがちょうど私の部屋から会館の廊下へ出る距離です。これに五分以上かかるんです。体のあっちこっちをひねりまして、脳性麻痺ですからそうなる、そこまで行くのに。この人が身体障害者の手帳、四級なんです。よろしゅうございますか、四級だ。車いすに乗ってすっと行ける方がいます。これは一級なんです。下半身が使えない、上半身が使えて一級なんです。こういうハンディがあるんです。これは毎回私は申し上げておるんです。認定されるお医者さんにも文句を言いたいんですけれども、何でこういうばかなハンディをつけるんだというんです。むしろ車いすで動いている人が四級でいいわけです。本当に自分の体を、努力しでこれだけの距離を五分以上かかって歩く人の方が一級でなければいけないんです。それによって今度職業の選択が変わってくる、雇用主の方は。
 ですから、こういうバランスの崩れているところを労働省の方が、むしろ労働省側が雇用をする立場に立って、その相手の障害によって労働ハンディというのをつけていくべきだ、労働等級を私はむしろつけていただきたい。そうしませんと、ただ単に厚生省が認定した等級だけでやられるとできる仕事もできないわけです。こういうハンディが出てきます。いかがでしょう。
#180
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘の点は大変重要な問題でございまして、例えば雇用率を適用いたします場合の重度の概念がございまして、ダブルカウントという制度がございますけれども、こういったものを判断いたします重度の概念のときに、等級は身体障害者福祉法の等級によっておるわけでございます。これは障害者雇用促進法がその等級を使って制度をつくっているわけでございます。確かに、職業という観点からいたしますといろいろな面で議論が出てくるということは御指摘のとおりであろうと存じます。
 私どもは、いろいろな助成金がございますけれども、そういった助成金の場合に、ケースによりましては重度概念につきまして、ただいま先生おっしゃいましたような脳性麻痺の方で、体幹で非常に仕事ができないという方については一定の配慮を加えるようなことをいたしております。
 なお、雇用率制度につきましては従来どおりの制度になっておるわけでございます。しかし、そういう方の職業能力をどう判断するのか大変難しい問題でございます。その点につきましては、引き続き研究をさせていただきたいというふうに思います。問題のあることは十分認識をいたしております。
#181
○下村泰君 例えば、軟骨異栄養症というのを御存じでしょうか。
#182
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は、その名称は初めて承るわけでございますが、申しわけありません。
#183
○下村泰君 結構です、別にわからなくたっていいんですから。これはいわゆる小人症です。育たないんです。バランスの崩れている小人症というのはごらんになったろうと思いますが、例えば顔が異常に大きかったり、手足が短かったり、それがバランスがとれて小さい方もいらっしゃる。空飛小助なんてかつておりましたけれども、そういうのもある。
 ところが現在、そういった小人症の異常な体を持った方でも、ホルモンによって多少育つ、今もう医学的にできている。それから、足の下にジャッキを入れまして骨を伸ばすんです。それである程度の高さまで持っていくことができる。ただ困ったことに、ホルモンで体を大きくすることはできるんですが、成長ホルモンですから、今度は幼年期から少年期になって成年期、この脳の過程は経てないんです。ですから、下手すると十二、三、あるいは五つか六つぐらいの脳のままで大人になっちゃうんです。急に大人になるホルモンです。それで変なことになっちゃうんです。まだその成果が余りはっきりは出ていないらしいんですが、ある程度は体が育つようなことはできるわけなんです。
 困ったことにこの人たちには障害者手帳というのはないんです。厚生省の方でもそのうちに考えてくれるだろうとは思いますけれども、ないんです。ですから、もちろん職業につけるわけがない。こういう問題があるんです。この人たちは、恐らく大臣もごらんになったろうと思いますけれども、小人のプロレスなんというのがありますが、こういう職業にはつけます。あるいはある程度ショー的な要素の中に入っていくことはできます。ところが、いわゆるサラリーマン、一般の健常者と同じような職業というのにはなかなかつきにくいということになります。ですから、こういうことはこれからの課題だろうと思います。そんなにたくさんいるわけじゃありませんけれども、いることはいるんです。
 その次が色覚異常です。いわゆる色盲と言われる方、この方たちなんかは、ほとんどの医科大でもそれから医学部でも幾つかの制限は設けていますけれども、もう弘前大学だけになりました。あとはもうほとんど受け入れています。
 ただ、もう一つおもしろいのは、これは企業によってもまちまちなんです、色覚異常の方は。それで、色覚異常の一一〇番というのがあります。これを設けましたら、訴えてくるのはほとんど就職問題なんですね、ここにも記事がありますけれども。同じタイル屋さんで、片一方はだめなんです。色覚正常であることを条件にしている。片一方のタイル屋さんは、いろいろとやり方があるから構わない、要は本人の能力である。これは日本を代表するタイル屋さんですよ、二つとも。同じタイル屋さんで全然意見が違う。それから、繊維会社の方もそうですね。条件は色覚に異常のない者とあります。ところが片一方の会社は、繊維を扱っているので色覚異常の人に向かない部署もあるが、それは配置のときに考える、こういう感覚で雇用している方もいらっしゃる。それから、フィルム会社です。これは、もうカラーフィルムなんというのは一番色を大事にするところです。この会社もまずは人物、才能。ことしも色覚異常の人が採用者二百八十人の中に十人もいたという、こういう会社もある。
 こういうことに対して労働省としてはどういう行政指導をなさっていらっしゃるのか、これをひとつ伺いたい。
#184
○政府委員(若林之矩君) 私ども、この色覚異常の方の雇用につきまして調査をしたことがございますが、その調査の中では三%ぐらいの企業で色覚異常の方は受け付けませんという求人がございました。そういうような現状でございます。現場では、今まさに先生がおっしゃいましたように、職種によっていろいろとその人の能力を生かす方法があるわけでございますものですから、よくその状況を聞きまして、まだ使えるじゃないか、ほかでも使っているじゃないかということで現場で指導をするようにいたしております。
 今後とも、そういった点で具体的にその採用の職種がどうしても色覚異常の場合には無理なのかどうか、ほかに職務の工夫はないのかどうか、こういった面についての指導を十分やっていきたいと思っておりますし、現在もそれをやっております。
#185
○下村泰君 ありがとうございます。
 とにかくこういうことで就職の窓口が狭くなって、しかもきのうまで内定していた者がけさになって急に変わったという例もあります。これは本当に気の毒です。やみ夜でどたまをはたかれたようなものですからね。どうぞひとつ何とかそういう方たちのためにいろいろと手を尽くしていただきたいと思います。
 次に、手話通訳をやる方の頸肩腕障害です。私も最初、これでいいのかなと聞いたら、やっぱりこういう読み方でいいと。首それから肩、腕、ここに障害が起きるんだそうです。おととし滋賀で、去年は兵庫でこの頸肩腕障害というのが労災に認められました。やっと認知されました。今までは全然認められなかったんです。
 これはどういうのかと申しますと、頸肩腕障害という病気は、手指や腕、これを速いスピードで過度に反復使用したり、長い時間にわたってひじを体から離した位置に保たなければならない仕事に従事する人に筋肉の疲労の蓄積が原因で発生する病気。その症状は、腕や肩や首の痛みや動きの制限を主な症状とし、さらに自律神経系の失調症状や精神症状も示すことがある。ですから、本当にひどいのになると、もう手も上がらないんだそうです。
 昨年の七月に世界ろう者会議というのが行われたんですが、アメリカのロチェスター工科大学、ここは学生数が一万三千だそうです。聴覚障害の方が生徒の中に一千百人もいるんです。この人たちのための専任手話通訳者がおるわけです。そうすると、我が国の頸肩腕障害と同じ病気が多発しまして通訳業務に支障を来したため、その原因を研究し、通訳者を増員して一人当たりの業務量を減らすなどの対策をとったことが報告されているんだそうです。我が国でもまたそういう現状になってきたわけなんです。そうしますと、これは見た目何でもないんですね、こういう方というのは。内部疾患の方と同じ。それから慢性疲労症候群というんですか、あの方たちも見た目何にもわからないわけでしょう。いろんな症状が出てきて初めてわかる。
 労働省の実態調査によっても、手話通訳者健康実態全国調査で全体の三〇%の人が何らかの体の異常を訴えている。それから、労働省の労働者健康調査ではこういう方々が一八・六%出ているんです。ですから、もうおろそかにはできない問題なので、一体労働省はこれから先どういうふうにお考えなのか。
 ただし、労働省のお役人さんの答えているのがあることはあるんです。「手話通訳者の中に頸肩腕症候群に似た症状を持っている人がかなりおられるという実態は私どもも聞いております。ただ、今直ちに手話通訳作業が頸肩腕症候群と結びつくというような医学的な所見、こういったものも特にございませんし、あるいは労災認定の件数も今までわずか三件というような状況でございまして、今直ちに何らかの指針をつくるとか、そういう状況にはない」と、こういうふうに答えているんです。でも、こんなことを言っている場合じゃないと思うんです。ですから、今まで例が三つしかないからとかなんとかじゃなくして、労働省というところはこういうのをきちんとすべきお役所なんですから、これから先どういうふうにおやりになるか、ちょっとお考えだけを聞かせてください。それで私、おしまいにします。
#186
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまの手話通訳をされている方の頸肩腕障害でございますけれども、まず前提として、これは既に御承知のことでございますが、労災保険では、業務に起因することが明らかな疾病について補償を行う、こういうことなんですけれども、現在その頸肩腕障害というものにつきましては、穴あけ作業、せん孔ですが、それからタイプ等の印書あるいは電話交換、速記の業務、その他上肢に過度の負担のかかる業務につきましては、医学工作業形態とその頸肩腕障害との因果関係がほぼ確立をされているということで特段の反証がない限りは業務上として認めているわけでございます。
 この手話通訳につきましては、比較的歴史が新しいということもあるのでしょうか、そういった障害と業務との間の関係が医学上定型的に確立をされていない段階でありますので、現在のところは個別にその医学的判断を含めまして必要な調査をしながら認定している、こういう段階でございます。今お話しのように、大変世界的にもこういう方がふえてきており、日本でももちろんそうでございますので、数が非常にふえてきてそういう障害を持っている方が出てくるということになりますと、その間の医学的な因果関係を確立して、先ほどちょっと御紹介しました作業の種類は、これは労働基準法の規則に定めている表のことを今申し上げたわけですけれども、将来はそういうことをどう扱うのかということを考えていかなきゃいけない問題だと考えております。
#187
○委員長(向山一人君) 下村君、時間ですから。
#188
○下村泰君 これでおしまいにします。
 大臣、先ほど私が申し上げましたように、雇用するときの相手の障害によっていろいろやってもらいたいということを申し上げました。局長もお答えになりましたが、大臣からひとつお願いをいたしたいと思います。
#189
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変貴重ないろんな御示唆をいただきましたわけでありますので、ひとつ十分に考えさせていただきます。できるだけ御要望に近づきたい、こう思っておりますので、よろしくお願いします。
#190
○下村泰君 ありがとうございました。
#191
○委員長(向山一人君) 本件に対する質疑は以上で終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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