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1992/04/07 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第4号
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1992/04/07 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第4号

#1
第123回国会 労働委員会 第4号
平成四年四月七日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     久世 公堯君     川原新次郎君
     成瀬 守重君     岩崎 純三君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     鈴木 貞敏君     佐々木 満君
     星野 朋市君     平井 卓志君
     木庭健太郎君     中西 珠子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                平井 卓志君
                清水 澄子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                西野 康雄君
                中西 珠子君
                笹野 貞子君
                橋本孝一郎君
                西川  潔君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労政局長  清水 傳雄君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業能力
       開発局長     松本 邦宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       法務省入国管理
       局警備課長    大久保慶一君
       外務省国際連合
       局社会協力課長  隈丸 優次君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  冨岡  悟君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○平成四年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送
 付)、平成四年度特別会計予算(内閣提出、衆
 議院送付)、平成四年度政府関係機関予算(内
 閣提出、衆議院送付)について
 (労働省所管)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 去る三月二十五日、予算委員会から、四月七日の一日間、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管について審査の委嘱がございました。
 この際、本件を議題といたします。
 予算の説明につきましては既に聴取しておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○西野康雄君 日本社会党の西野でございます。どうかよろしくお願いをいたします。
 世間ではお花見、少し散りましたけれども、まだまだ花見シーズンということで、いろいろと皆様方、夜桜見物などをなさっておられるようです。
 花見シーズンとはいいながら、上野のお山の外国人労働者は花見どころではないということは、これは週刊誌にも載っておりました。働くに働けない、帰るに帰れないという状況でございます。
 しかし、彼らは俗に三Kと呼ばれる職場や、あるいは下請、孫請の企業で働いております。紛れもなく不法就労とはいいながら、日本の経済を支えてきたということは、これは事実だと思います。彼らがなかったならば、まず人手不足で倒産をする、そんな企業もたくさんあったかと思います。その働く方が合法であろうとあるいは不法であろうと、その事実そのものは変わらないと思います。また、不法であろうとなかろうと、日本で働く労働者には日本人と同じ労働基本権が認められるべきだと私は思うわけでございます。
 しかしながら、事実そういうものを見ておりますというと、そういうものが認められているような実情にはないと判断をせざるを得ないわけでございます。いろんなことについて質問をいたしますが、外国人労働者に対しての基本的な見解、不法就労に対しての、そういうふうなことに対してどういう見解をお持ちなのか、まず大臣からお伺いをしたいと思います。
#4
○国務大臣(近藤鉄雄君) 外人労働者の問題でございますが、先生も御案内だと思いますけれども、我が国はいわゆる技術や技能を持った労働者が我が国に来て働いていただくことは認めているわけでございますが、いわゆる単純労働者という方々については原則禁止をしているわけでございます。現実に、そうはいってもいわゆる単純労働に従事している外人の方々、先生おっしゃった上野の山に集まるイランの方々を初め、いらっしゃることも残念ながら事実でございます。
 そこで、御指摘のいろいろな、例えば労災その価どうなんだ。我が国といたしましては、いわゆる労働基準法、労災保険法、労働安全衛生法等の労働基準関係法令は、日本国内の事業に使用されている労働者であれば、仮に外人であっても、またこれがいわゆる不法就労であっても適用されるということにしてございますので、労働省といたしましても、仮に労働者の方々にこういった問題が起こっても、それはきちっと適用するようにということで指導監督をしておりますし、また外人労働者、不法労働者であるということで、仮に事故が起こっても、それはやみに葬ってしまうというふうなことがあれば、これは厳重に対応処置をする、こういうことでございます。
#5
○西野康雄君 労災の適用等不法、合法を問わず適用していくというふうな御答弁でございましたが、基本的にその外国人労働者の実態というものをきっちりと私なりに把握していきたいと思います。
 そこで、今日本で働いている外国人の労働者の数、これは合法、不法を問わずちょっとお伺いをしたいと思います。
#6
○政府委員(若林之矩君) 日本国内で就労しております外国人労働者の不法就労者等含めての数というのはなかなか把握が難しいことでございますけれども、平成二年におきまして就労目的の在留資格を有する外国人の登録者は六万八千人でございます。それから、平成三年の六月現在で日系人、日系の南米人の方は約十五万人でございます。それから、これは法務省の方で推計されたものでございますけれども、平成三年の五月現在で不法残留者、オーバーステイが約十六万人ということでございます。時期も違いますのでこれを合計することは必ずしも適当でないかもしれませんが、仮に単純に合計いたしますと約三十八万人ということになります。そのほかに留学生あるいは就学生の資格で来てアルバイトなんかをやっている方がおります。そういう資格外の活動の許可を得てアルバイトで就労している方がおります。それから、観光ビザで来て、その期間中に観光ではなくて仕事をしているという資格外就労を行っているケースもございます。これは不法就労でございますが、こういったものは今言った三十八万人に比べますと相当の外国人が就労している、現場で働いているということが言えようかと思います。
#7
○西野康雄君 そういう不法労働者の数、あるいは不法労働でも四つに内訳ができます。資格外活動、不法残留、不法入国、不法上陸、こういうふうなものの内訳がわかりますれば教えていただけますか。
#8
○説明員(大久保慶一君) 平成三年度分につきましては現在集計中でありまして不明でありますが、平成二年中に当局が摘発した入管法違反者についてお答えしますと、その合計が三万六千二百六十四名でございました。その違反の事由の内訳を見ますと、資格外活動が七百五十一、不法残留が三万二千六百四十七人、不法入国が二千三百二十人、不法上陸が三百五十七人でございました。
 そしてなお、平成三年一月から六月までの間にちょっと集計しましたところでいぎますと、違反者で摘発したのが一万三千六百人でありますが、その違反の事由の内訳を見ますと、資格外活動が三百五十人、不法残留が一万二千二百八十六人、不法入国が六百九十六人、不法上陸が百六十七人というような状況でございます。
#9
○西野康雄君 この不法労働者とか大変な数が日本にいらっしゃるわけでございます。これはしかし、このまま無理やり帰すのか、あるいは景気が回復してくるとまたそのまま受け入れるのか。この間もネパールから来た方が大変な病気にかかった。そして、大変な治療費をその方は払えない、それに対して日本は非常に冷たいじゃないかというふうな新聞記事が載っておりました。
 今後も、ますます日本の強い円を求めて外国人労働者がふえてくるかと思います。そういうふうな外国人労働力の受け入れの影響あるいは問題点、多々あるかと思いますが、労働省としてはこれも今後どういうふうにしていくのか、現状をどう把握して今後どういうふうな対処をしていくのか、そういうことをちょっとお聞きしたいと思います。
#10
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお話もございましたが、このイランの人たちを含めてそういう人だちがいないと成り立たない経営もあるじゃないか、殊に中小企業はそうだというお話でございますけれども、その実情もわからないじゃありません。
 今の日本経済は労働力不足である、私は労働力不足経済というのは悪い経済だと思わないわけですね。失業が町にあふれている経済と人手が足りないくらい仕事がある経済というのは、もうまさにそれぐらい我が国経済のダイナミックな経済活動の現象のあらわれですから、だから私は労働力不足経済というものを一つの新たな挑戦と考えながら、我が国の労働者の生活環境、勤労環境の向上、例えば時短という問題も人が足りなくて時短なんだというお話がありますけれども、人が足りないからある意味では時短をしなければ人が集まらない、こういうような問題もあります。私はてこにして日本の雇用関係の改善をすべきで、安易に外人労働者を呼ぶことは、例えばこれまで苦労されてきた御年配の方々が、もうおまえ要らないからそっちへ行けと、若い外人の方がいいよということになってしまいますし、そういうことで外人労働者、それから日本の労働者、二重構造が出てまいったり、最近ちょっと出ております、景気が悪くなると最初に首切るのは外人労働者ということになってまいりますし、また若いときには使って、働いたらあとは年をとったらお帰りなさいとはいかないんで、これは来られた以上は、極端に言えばさっきお話があったけれども、いろんな社会的な条件、生涯医療とか年金を含めて一生その面倒を見させていただくということまでいかないと、なかなか問題は残ると思いますが、その点はいろんな角度から私ども慎重に検討させていただきたいと、検討しておりますということでございます。
#11
○西野康雄君 労働力不足経済の方がいいんじゃないか、非常にダイナミックである、それ自身は私も否定はいたしません。しかし、今の日本の現状を見ると大変にいいとこ取りをするというんですか、労働力不足のときだけは外国人労働者をまさに三Kのところで雇う、そして要らなくなったらほったらかしにしておくというふうなことで、私自身はそこの部分をとこか前向きに検討していかないと国際的な人的交流の面でも非常に摩擦が生じる、日本のイメージが大変に悪くなるんじゃないだろうか、そんな感じがするわけですけれども、どうでしょうか。
#12
○国務大臣(近藤鉄雄君) ですから先生、私はいいときだけ外人を連れてきて使って、あとは言葉は悪いけれども使い捨てということじゃなしに、働いていただけるならまさに日本と同じ条件で、いろんな労災その他についてはお話ししたとおりでありますが、その他についても全く同じ条件で雇用するということでなきゃならないと、こう思うんです。そこまで本気で踏み切る前にいろいろやっていただくことがあるのじゃないかな士、こういうことでございますので、合理化、ロボット化または全体の経営の合理化その他についてもっともっと我々真剣に取り組んで、そうした後で外人労働者というものを考える。
 ただ、外人労働者の場合も単純じゃない形の労働者とか、それからまさに技術・技能研修のために来ていただける方々は来ていただいて、実習もしながら身につけていだだいて、また帰ってそれぞれの産業発展に大いに働いていただくという形は、これは積極的に進めてまいりたいと考えております。
#13
○西野康雄君 どうも混乱の原因とでも申しましょうか、これほどあふれているところの基本的なルールづくりがまだ日本はできていないんじゃないだろうか。シンガポールなんかは、外国人の女性労働者を受け入れるときには結婚してはいけない、あるいは妊娠をしていたらというふうな非常に酷なルールまでつくっているやに聞いております。そういうふうな基本的なルールづくりというんですか、そういうふうなものは進んでおるんでしょうが。
#14
○政府委員(若林之矩君) ただいま大臣からお答え申しましたように、いわゆる単純労働者というものは受け入れについては十分慎重に検討するということでございまして、ただいま申し上げましたように、やはり先進諸国の例を見ましても、外国人労働者というのは一番景気の調整を受け入れやすいということがございますし、三K労働というようなところについているというのも先進諸国の例でございます。そういった点で十分慎重でなければならないということでございます。
 例えば、スイスとかシンガポールなどでは比較的ルールづくりがうまくいっているというふうに言われております。しかし、いずれにしてもこの二つの国は大変人口の少ないところでもございますし、国民の通報体制と申しますか、ちょっと別の人が来たらすぐ警察に通報するというような国民性があるとか、あるいはただいま先生御指摘がございましたけれども、シンガポールは大変厳しい不法就労者に対する刑罰を科したりいたしておるわけでございまして、人権その他の問題からいって果たして我が国においてそういったような方策がとり得るだろうか。それは先進諸国の例から申しましても大変難しいことであろうと思います。
 先進諸国でもそういったルールづくりをしようということで、随分かつて苦労をしたところでございますけれども、そういったものはすべて裏目に出ているというのが私どものこれまで調査してまいりました現状でございまして、なおさらにそういったものを私ども調査研究を進めたいと思っておりますけれども、大変に難しいという認識を持っております。
#15
○西野康雄君 難しいからこそ知恵を本当に絞って、日本の経済も発展をさせ、そしてまたその方たちの暮らし、あるいはその方たちの国も発展をしていく、そういうふうなルールづくりというんですか、そういうものが今こそ求められている時期ではないだろうか。特に景気が下降ぎみになってまいりました。そのときにこそ問題というのは噴出をしてくるわけでございますから、そういう意味においては大いにお知恵を絞っていただきたいと思います。
 私の地元の兵庫県尼崎で、外国人労働者に対する一一〇番、こういうものを設置いたしまして、その結果の報告みたいなものが私の手元に届いておりますので、少しそれを読ませていただきます。
 パート一一〇番あるいは外国人労働一一〇番を設けました。その中から抜粋をいたします。
  企業からの外国人募集の相談
  今回の一一〇番で驚いたのは、経営者から
 「外国人労働者を紹介して欲しい」という問い
 合わせが、十件近くあったことです。業種は
 はっきりしませんが、零細企業であることは
 はっきりわかります。
  パート相談の報告でも記載しましたが、外国
 人労働者に頼らざるを得ない零細企業の人手不
 足の実態の反映でしょう。もちろん私たちは就
 職斡旋はできませんので、事情を説明してお断
 りするしかありません。
景気が下降ぎみの現在でもやっぱり零細企業の方々は外国人労働者を求めておられるということがわかるかと思います。
 それに対して外国人労働者の方はどういうことかというと、
  資格外就労者やオーバーステイの人から求職
 相談
  求職の問い合わせがあることは、予想はして
 いましたが、求職が七件ありました。これも当
 然、私たちとしてはどうしようもありません。
  全国でいわゆる不法就労が社会問題化しつつ
 ありますが、その是非を言う前に実態として、
 そうした外国人労働者が拡大している。また、
 日本の企業も特に三Kといわれる職場では、資
 格外を知りつつ雇用せざるを得ない実態がある
 のではないかと思います。したがって、どんど
 んアジアの人々が強い円をめざして日本に来る
 のだろうと思います。
ここで本当に思うのは、景気が下降していながらうまく調整機能がいってないな、片一方で零細の人たちはいまだに求めている。不法就労の人たちもどこかに職がないかということで求めている。うまく何かそれの組み合わせがいくようなシステムがないだろうかな、こういうふうなことを私自身考えるわけでございます。
 そして、「ある日系ペルー人女性から悲鳴」というふうなことで読ませていただきます。
 今回の相談の中で、これは根が深いと感じた事件がありました。日系三世のペルー人女性からの相談です。ブローカーを通して、九カ月前から東大阪のあるプレス工場で働いていました。そこには三名のペルー人女性が働いていました。慣れない日本での生活、きつい仕事で彼女が言うには、「体が大変傷ついた。腰・首・腕は痛い。このまま三年も働いたら、ボロボロになると思った」。そこで、会社に退職を申し出ました。会社は拒否をしたそうです。「辞めるというならどうなるかわからぬぞ」と何度もおどしたそうです。幸い彼女の兄が三重で働いていました。彼女は三重に逃げました。ところが、どこで兄の会社を知ったのか、何度も兄の会社におどしの電話が入り、結局ペルーに二十数年間生活していた山口に住む人に来てもらい会社と話し合うことになったそうです。会社と会う直前に電話があり、交渉に行くことになりました。
 結果的には、円満解決し、彼女は三重で兄と一緒に働くことができるようになりました。
 交渉に臨んだ彼女の表情はおびえていました。しかし約二時間の交渉の結果解決した後の彼女の表情、姿は、ラテン系の人々特有の陽気で明るい女性に変身しました。
 後で聞いた話ですが、今、日系ブラジル人・日系ペルー人が日本に働きに来ています。日本政府も特別な就労ビザで三年間の就労を認めています。ところが、その仕事場は監禁状態で、まさに「女工哀史の現代版」が幾らでもあるということでした。逃げようにもパスポートを取り上げられ逃げることができない。それでも仕事があればいい方で、成田空港についても誰も受け入れの日本企業は来ていない。パスポートを取り上げられ、強制的に売春を強制されている女性は幾らでもいる。労働災害で腕を落として、解雇された人もいた。自殺してだれも引き取り手のない遺体を葬った経験もある。これは通訳に来ていた日本人の話です。
 一部新聞などで取り上げられていますが、実態はもっとすさまじいものなのだろうと考えさせられた事件でした。
という、そういうふうな報告が来ております。
 今大臣が、日本で働く以上は労災の適用も、そういうふうなことをきっちりとやっていく、またやっておられるというふうなことでございましたが、この報告はことしの報告でございます。つい二、三日前にファクスで送ってもらったわけですが、実態はやはりそういうふうなパスポートを取り上げられて過酷な労働を強いられているように私は思うわけでございます。このパート一一〇番あるいは外国人労働者一一〇番というものがあってこういうものが出てきたわけですが、現実はもっと隠されている部分というのは大変にあるかと思うんです。
 そこで、まず一つは、外国人労働者のためのこういう労働一一〇番、そういう相談窓口を全国でいっぱいつくっていく必要があるんじゃないだろうか。そういう中でそういう相談を聞いた上でまたきめ細かいルールづくりあるいは指導なんかができていくんじゃないだろうかと思うんですが、そういうふうな窓口は労働省としてはあるんでしょうか。
#16
○政府委員(若林之矩君) 最近のように景気の調整期でございまして、私どもただいま先生御指摘のような相談活動というのは非常に重要であるというふうに思っておるわけでございますが、全国の公共職業安定所で外国人の方のそういう相談を受け付けておりますけれども、何分にもやはり言葉や慣行の違いがございますのでそういう壁がございます。
 そういったことで、平成四年度からは特に外国人の多い地域の安定所に特別の相談窓口をつくりまして通訳の相談員をつけまして対応していきたいというふうに思っておるわけでございますが、ただいまお話ございました南米日系人の方でございますけれども、これらの方々につきましては日本で正規に働けるわけでございますけれども、就労経路がブローカーを経由しているのが大変多いわけでございまして、そういったブローカーを経由して参りますケースにただいま先生御指摘のようなケース、パスポートを取り上げられるとかやめると罰金を取られるとか、こういったようなケースが多いわけでございます。
 私ども、何とかそのブローカーを排除したいというふうに考えておるわけでございまして、昨年の八月に上野に日系人専門の雇用サービスセンターをつくらせていただきました。ここで求人求職の相談をいたしますと同時に、ただいま御指摘のような個別の相談の解決というものに努めておるところでございます。現在、こういう景気調整期に入りまして相談件数がふえてまいりまして、大体一日の来所者が五十件、それから電話による相談が三十件でございます。いずれも大体これは通訳を通してやる仕事でございます。そして、やはり多くがブローカーを通して来たことによる事例でございまして、パスポートを取り上げられるとかあるいは罰金を取られるとか、こういった例が大変多うございます。これにつきましては、監督署と連携をいたしまして解決を図っておるところでございます。
 さらに、こういうものにつきましては現地の、南米側の方に窓口をつくることがブローカー排除になるものでございますから、現在ブラジルに現地の相談所をつくって来る前に十分御相談に応じよう、こういう体制をつくりたいと思って外務省と協力して今努力をしているところでございます。
 また、労働条件の問題そのものについての御相談は監督署でも特別の相談窓口を設けて受け付けておるところでございまして、今後一層そういった相談体制の充実に努めていきたいというふうに思っております。ただいま先生の御指摘のようなケースをまず未然に防止する、発生した場合には速やかに解決していく、こういう体制をつくっていきたいと考えております。
#17
○西野康雄君 日系の場合にはそういうふうなことでございますけれども、どうでしょうか。その日系以外の部分においての相談窓口等は。
#18
○政府委員(若林之矩君) 何分にも不法就労者の方についての求人求職相談というもの、それは安定所においでになるのでございますけれども、大変残念ですけれども紹介はできませんと、できるだけ丁寧によく事情を説明するようにいたしておりますが、事が労働条件の問題、労働基準法違反の問題等につきましては監督署で不法就労といえども受け付けておりますし、安定所に来られてそういう御相談があった場合には監督署と連携して解決するということにいたしております。
#19
○西野康雄君 問題は、そういうふうな尼崎であった一一〇番でも、通訳の方をボランティアで呼んで周知徹底をいろいろ宣伝をして、そしてやっと外国人の方々も、ああそういうことがあるのかということで電話をなさってきたわけで、やっぱりいろんな面で、労災だとかいろんなことが彼らにはわからぬわけですわね。わからぬことにつけ込んでパスポートを取り上げたり、まさにほとんど休憩のないような状況の中で働かせたりするわけでございます。
 どうでしょうか、そういうふうなPRの方を、職業安定所へ来てくださいよとか、そういうふうなことはお考えでしょうか。
#20
○政府委員(若林之矩君) 私どもも心がけていろいろな媒体でPRをいたしておりますけれども、なお一層、御指摘も踏まえてこういった相談窓口のあることをPRしていきたいというふうに思っております。
#21
○西野康雄君 労働省の対応はさようで、また前向きにいろいろとやっていかれるということですが、こういう強制的な売春だとかそういうふうなことになりますと、法務省としてもやっぱり看過できない、見過ごすことはできないと思うわけでございます。その外国人労働者のための法務省の側の対応というんですか、そういうふうなものを少し、相談窓口等があるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
#22
○説明員(大久保慶一君) 当局では賃金搾取だとか、それから労働災害の事件などが起こりますと、それについても関心を持っております。そのような事件がありましたり、それから悪質なブローカーや雇用主が絡んだ事件というものについては優先的に摘発するというように努めております。
 これらの被害に遭った外国人に対しては、未払い賃金の支払いをするようにという援助をしたり、それから労働災害や、先生がおっしゃったように病気になった人がいたといったような場合には退去手続を一時留保いたしまして、労働省等関係機関に通報して救済措置をとれるよう努めてきております。売春事犯等がわかりますと、もちろん警察等へ通報して対処するということに努めておりまして、今後とも同様の方法でやっていこう、こういうふうに考えております、
#23
○西野康雄君 本当に法務省と労働省がうまく連携をとって、やっぱり日本の信用というんですか信用度にかかわっていく。無理やり帰されようと、あるいは合法的に帰国しようと、その人たちが日本に対しての印象というのをその国で話をするわけです。そのときに、日本というところはもう大変なところだと、日本人というのは我々を搾取するだけ搾取して体をぼろぼろにして帰すんだと。そういうふうなことになると、これから国際化時代で、日本の企業が海外へ進出していくというときにも大変にいろんな摩擦が生じるんじゃないかなと思うわけです。積極的に逆に外国人にしっかりと教育を施していくというんでしょうか、研修をしていくというんですか、そういうふうな制度の充実というものもこれは解決の方法の一つではないかなと思うわけですが、外国人研修生の受け入れの現状、それを受け入れている国と人数、あるいは研修の種類等々お教え願えますでしょうか。
#24
○政府委員(若林之矩君) 外国人研修生は年々増加をいたしておるわけでございますが、平成二年には中国から七千六百人、タイから約五千百人、韓国から約四千五百人、マレーシアから約三千五百人など、全体で三万七千人を受け入れておりまして、前年に比べますと二七%ぐらい大幅な増でございます。
 外国人の研修は、我が国が外国人を受け入れまして、座学や事務研修を通じまして直接的な技能技術の移転を行うものでございまして、政府が関与して受け入れるものと、それから民間ベースで受け入れるものとございます。民間ベースでございますと、我が国の進出企業から受け入れているというものと、商工会議所等の団体が受け入れるものと、こういうふうに大別されるわけでございますが、公的な受け入れにつきましては労働省もそういった研修生受け入れ事業を行っておりますけれども、労働省の例を申し上げますと、将来指導的立場に立ちます技能労働者を対象といたしまして日本ILO協会で行っております国際技能開発計画というのがございます。また、中核的な技能労働者となります若い方々を対象といたしました、中央職業能力開発協会が行っております海外青年技能研修計画というのがございます。その他、各省でこういったような研修制度を設けております。
#25
○西野康雄君 法務省の方もお手を挙げておられましたけれども、法務省の側で把握していることがございましたら御答弁願います。
#26
○説明員(大久保慶一君) 労働省から御答弁なされましたような状況でございます。
#27
○西野康雄君 ありがとうございました。
 やっぱり外国人の不法労働者、そういうふうな者にも労災が適用だとか、いろいろとなさっておられるということで、今後また前向きにいろいろと対処をしていただきたいと思いますが、労災の適用等外国人労働者だけではなくて、実はもっと幅広くしていただきたいなと思うのがございます。それは何かというと、我々芸能人であったり、あるいは映画、お芝居、歌舞伎、そういったものに携わる裏方さんのことでございます。本当にロケ現場でけがをしても補償はない、泣き寝入りをしている、そういうふうな実態が多うございます。
 私もいろいろなドラマだとか映画だとかにも出させていただいたりもするわけですけれども、そのときにふと、大けがをしたらだれが一体これを補償してくれるんだろうか、そういうふうなことが不安としてよぎります。契約を結んでないじゃないかと言われればそのとおりなんです。西川潔議員もいらっしゃいますけれども、我々は製作会社から電話一本受けて、「何月何日あいてますか」、「はい、あいてますよ」、「そしたらギャラはこれだけですけれども、来てくれますか」、「はい、いきます」と、この程度のことでしかないんです。
 ここに「あるカメラマンの死」というのが芸団協という雑誌の中に記事として載っております。
 ある映画カメラマンが仕事中に死亡した。遺族は過労死として労働基準監督署に労災補償を請求したが、不支給となり、東京労働基準局に審査を請求七芸団協はこの件を全面的にバックアップすることを決め、このほど意見書を提出した。
 こういうことでございますが、このお亡くなりになったカメラマンというのは、瀬川治という方です。
 「砂の女」「他人の顔」などの映画カメラマンとして活躍。その撮影手法はヌーベルバーグの先駆と言われた。一九八五年秋から七カ月の予定で、記録映画「古代東北の伝達」(青銅プロダクション)の制作に参加。八六年二月、三回目の東北ロケ時、酷寒のなかの徹夜撮影などの無理がたたり宿泊先で発症し、四日後入院先で亡くなった。享年六十歳。脳梗塞だった。
  亡くなる直前の九日間、休日はなく一日平均約十三時間の連続勤務とマイクロバスによる一日平均百七十九キロの移動、気温も零度以下のなかの寺院あるいは屋外の撮影という状況だった。発症三日前には午前九時二十分から翌日午後十一時までの三十七時間四十分の間、四十分と四時間三十分の二回の仮眠だけだった。
  青銅プロとは「昭和六十年十月から同六十一年五月までの間に東北地方のロケーション三回、延べ五十日間」という期間と賃金等を取り決めた労働契約を結んでいた。
  一九八八年二月、瀬川さんの遺族(夫人、子息)は、瀬川さんの死因は「業務起因性」(いわゆる過労死)として新宿労働基準監督署に労災保険(遺族補償給付)を請求した。翌年、業務起因性には触れず、「本件は、労働基準法第九条に規定する労働者とは認められない」との理由で不支給が決定した。
 ということですが、この件について、なぜ不支給なのか、そこの辺からお聞きしたいと思います。
#28
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま先生が述べられました瀬川さんの労災の件でございますが、これは先生もおっしゃいましたように、労働者性がない、簡単に申せば、労働者ではないということで、不支給処分になっております。
 これはどういうことかと申しますと、御承知のように労災保険法は労働者に対して適用されるということでございます。もとは、労働基準法の事業主の補償責任から来ているわけでございます。したがいまして、適用対象が労働者に限られるわけでございますけれども、この瀬川さんの場合には、株式会社青銅プロダクションとの関係においては、フリーカメラマンとしてこの映画制作に参加をされた。契約の内容としては請負契約であるというふうに見られるわけでございます。そういう内容で、みずからの裁量によって作品の制作をしておられた。
 また、報酬につきましては、カメラマンとしての瀬川さんの持つすぐれたといいますか特殊な才能と、それからそれとあわせまして作品完成に対して支払われるということで、賃金とは性格を異にする報酬の形態であるというようなことで、先生おっしゃいましたように、労働基準法第九条に規定をいたします労働者とは認められないということで、労災保険法の適用外という判断を所轄の監督署で行ったものでございます。
#29
○西野康雄君 労働者ではないということが基本的なことですが、では労働者とは一体どういうふうな規定なのか、その辺からお伺いいたします。
#30
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法第九条では、労働者を「使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」というふうに規定をいたしております。
 具体的にこの労働者というものに該当するかどうかにつきましては、雇用契約、請負契約といった形式的な契約形式ではなくて、個別具体的な実態によって判断をするというふうに取り扱っているわけでございますが、それではどういうふうな具体的な基準になっておるかといいますと、他人に従属して労務を提供しているのかどうかということ、それから報酬が使用者の指揮監督下で一定時間労務を提供していることに対する対価であるのかどうかということが基本になるわけでございます。これに加えまして、御本人が事業者としての性質を備えているかどうか、あるいは専属性があるのかどうかというようなことも補足的要素として勘案をしながら総合的に判断をする、こういう取り扱いをいたしているところでございます。
#31
○西野康雄君 そんなことを言っておりますと、フリーであるというならばまさに日本全国、映画に携わっている者、あるいはお芝居に携わっている者は皆フリーなんですよ、ドラマに携わっている者も。
 今、例えばテレビドラマをつくるにしても、局がつくらないです。今全部製作会社におろします。製作会社が今度は個々のタレントあるいは個々のプロダクションにスタッフ等を配置いたします。映画でも照明は照明の専門家、音声は音声の専門家という形で全部おろしていくわけです。ですから、それをフリーであるとか請負契約であるとか、そういうふうなことで規定をしていったならば、日本の芸術文化というものは、これはもう成り立っていかない、後継者も育っていかない。まさにそういうふうなしゃくし定規な規定をしていったならば、これは文化そのものの破壊につながっていく、そういうふうな感じすらいたします。何が労働者であり何が雇用者で、そうしたら賃金だ賃金だと言うけれども、我々のギャラ、これは賃金ではないのか、そういうふうな細かい細目から争っていかなきゃならないわけです。
 雲仙の普賢岳で取材をしておりましたカメラマンは労災の適用を受けました。でも、あれは果たして労働災害と言い得るのだろうかということになってくる。つまり、個々の適用が本当にまちまち過ぎるような、そんな気さえします。法律がこうであるからといって、それが弾力的に運用ができないというふうなことになったら、これはだれも映画制作なんかに携わらないですよ。ちょっとその運用の仕方がおかしいと思いますが、どうですか。
#32
○政府委員(佐藤勝美君) 労災補償制度は、御承知のように労働基準法によります事業主の無過失責任を保険制度で行っているというものでございます。したがいまして、厚生年金なりあるいは国民年金といった一般の社会保障制度とは別の労働者を対象にする制度として仕組みができております。
 したがいまして、そういった映画制作等の過程で亡くなられた方には大変お気の毒であると思いますけれども、ただその問題と労災補償制度の対象となるのかどうかという問題とは、やはりこの労災補償制度の性質というものに、照らして判断をしなければいけない、こういうふうに考えております。そういうことで、まさに労災補償制度の対象になるかならないかというところは労働者であるかないかというところの分かれ目でございますので、先生の御質問になっておるお気持ちは大変よく理解をいたしますけれども、やはり制度の性質として今私が申し上げたような運用になるということでございますので、そこのところは御理解を賜りたいと存じます。
#33
○西野康雄君 労働者か労働者でないかというけれども、例えば映画をつくるときは、映画を制作している間はまさにプロダクションあるいは発注元から雇用されているわけですね。その期間雇用をされておる。厳然たるその雇用性という事実はあるわけです。映画というものを制作するときのある一定の期間がある。その期間の中で何日までに仕上げようというふうなことで、従属性もあれば雇用性もある。それは芸術に対しての対価なんだと言われるけれども、しかしカメラマンあるいは照明の方々は自分たちはこれはそういうふうな対価だと思っていない。賃金だと思っておりますし、世間一般の常識から考えたってこれは賃金ですし、上の人から指揮命令を受けていくわけでございます。そして、その期間は身体的な従属等もあるわけでございます。日給であろうと、月給であろうと、時間給であろうとも、参加契約ごとに支払われている。そういうふうなことを考えますと、一般的にギャラと呼びならされているけれども、これはギャラというものは賃金と考える方が妥当だと思いますし、今そういうふうな制作現場で事業所得として申告をしているというけれども、それはそういうふうに申告せざるを得ない、みんなフリーでやっているわけですから。
 そういうふうな状況を踏まえたときに、これは労災適用できませんよというふうな、そういうふうなことが言い得るんだろうか。このカメラマンの場合も働いて働いて、三十分と四時間三十分との、こんな仮眠しかない。九日間休みもなしに、六十歳という年齢の中で、非常に寒い中で撮影をしていった。私は、法律は法律であるけれども、そこに何か埋めるものがあってこそ行政のような気がするわけでございます。一体、どこにこれの雇用性だとか身体的従属あるいは経済的従属という面において労働者じゃないんですか。
#34
○政府委員(佐藤勝美君) この瀬川さんの具体的な例とはまた別の一般的なお話を申し上げますと、今先生が申されましたように、例えば映画制作の場合に、非常に多種多様な職種の方がたくさん働かれているわけでございます。そういう方の中には、先ほど申しました基準に照らして労働者であるというふうに判断をされる方もあると思います、あるいはそうでない方もあると思います。
 したがいまして、全体をひっくるめて一般的にギャラをもらっている方が、それが賃金で、全部労働者であるというようなことは言えないかと思いますけれども、個別具体的に労働者である方もあるというふうに考えておりまして、私どもは映画制作に携わっている方全体が労働者ではないというふうに申しているわけではございませんので、具体的なケースによって労働者であるというふうに認められて、そういう方が業務上の災害に当たれば、これは労災保険の適用があることは当然でございます。そういう見地で適切な対応をしていきたいというふうに思います。
#35
○西野康雄君 これは、基本的な部分で置いたならば、やっぱりフリーの方々に対してのルールづくりというんですか、基本的なものができ上がっていない、非常に谷間に置かれたままである。昔は、映画全盛のころはみんな映画会社がお抱えであった、テレビ局もお抱えであった、そういう中でいろいろと保険なんかもおりてきたわけでございます。ところが、人減らしになってくる。製作会社の方にどんと落としていく。製作会社だってもう請負のところだけでいいと。もう月給で、そんなものは常雇いができないという、今そういう現状になったときにいろいろな事故が起きてくる。事故が起きてきたときに、労災が適用されないということで大変な問題が出てきているわけでございます。我々もけがしてもそうですけれども、個々の俳優さんだとかいろんな芸人さんに聞くと、現場で少々の事故があっても泣き寝入りをせざるを得ない、今度文句を言うたら雇うてくれない、こういうふうな実例がたくさんございます。
 ある俳優さんが撮影現場で、撮影現場といいますのは真剣を振り回したりするときもあるわけでございます。顔に傷が入って数針縫ったわけでございますが、ところが数針縫うて補償してくれ、病院の入院費だとかも補償してくれ。そのプロダクションは補償はしてくれましたけれども、後はその人に対しては仕事は一切来ない。だから、そういうふうな実例をいろいろと見てみると、文句が言えない非常に弱い立場に、カメラマンも照明さんも音声さんも出ている俳優さんもそういうふうなところがあるわけでございます。
 どうでしょうか、労働大臣、そういうふうなまさに谷間に陥っている、そこを救っていくような前向きな姿勢というものが今必要じゃないだろうか。過去はそういうふうなことでうまく運用されていたし、会社丸抱えでした。今はもうそうではない、事故が起きたら泣き寝入りをせざるを得ない、労災の申請なんてできない、資格のある人だってしようとしたならば次の仕事を考えるともうできない、こういうふうな状況がございます。そういう中で、この瀬川さんでもそうですけれども、光を当てていかなきゃならぬのじゃないかなと思うんですが、どうでしょうか。
#36
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今基準局長からいろいろ御説明を申し上げましたが、これは建前で言いますと、いわゆる労災保険制度というものは労働基準法に規定する使用者の災害補償責任を保険の仕組みで履行するものである、こういうことでございますので、いわゆる雇用関係にある相手、だから労災保険を適用されるのは労働基準法の労働者であって、いわゆる雇用関係にあって使われている、こういう立場の者に対しての制度でございますのでありますから、今たまたま先生御指摘の映画の制作現場の問題ではいろいろ説明をいたしましたけれども、就労形態が多種多様でありますから、個々の就労形態の実態に即しながら判断をする、こういうことになっております。
 先生御指摘のように、いろいろ雇用関係がなしに一人で個別に契約をしながらこういう仕事をする者がふえているのだ、そういう人たちはどうするのだというお話ですので、これは現在の法律の建前では外れる形になっておりますけれども、問題の所在については私ども十分に理解をしておりますので少し検討すべきじゃないか、私は個人的にはそう考えております。
#37
○西野康雄君 ぜひともそういうふうな谷間にある人たち、それがまた日本の文化を支えておるわけでございます。
 我々も家へ帰るとテレビドラマを見ます。皆様方もそうであるかと思いますし、たまの休みのときには、日曜日には家族で映画へ行ったりもいたします。そういう中で、例えば今度公開される「東方見聞録」だとかそういうのを見ましても、やっぱり死者が出ているんですね。ロケ現場で重いよろいかぶとを着ましてそして滝つぼに落ちる、そういうふうなところで一人お亡くなりになっておられます。しかし、これに対しても何一つ補償がございません。我々が楽しんでいる裏でそういうふうなことが数多くあるわけでございます。
 ですから、どうでしょうか、こういう例を出していいのかどうかわかりませんが、建築現場ではその場その場ででき上がるまで、何というんですか、そこの中で事故が起きた場合にはいろいろと補償の適用があるようでございます。そういうふうなシステム、制度というのはどうでしょうか、つくる可能性あるいはそういうふうなことができるんだろうかということをちょっとお聞きしたいと思います。
#38
○政府委員(佐藤勝美君) 今、先生が言われましたのは、先生の表現をかりさせていただきますと、谷間にある方々を救うための一つの考え方であろうかとは思います。
 しかしながら、先ほど申しましたように、労災保険制度の適用範囲というのは、先ほどからるる御説明を申し上げているところでございますが、今先生が挙げられました建設現場の例にいたしましても、これもまた映画の制作の現場とあるいは似ているという意味は、いろんな職種の方が一つの現場で働いているということだろうと思いますが、この場合にもやはり労災補償制度の適用対象となっている方に対します補償が行われているという形でございます。
 したがいまして、先生のお考え、意とするところは理解をいたしますけれども、それを法律制度としてどうするかということにつきましては、これは大変慎重なかっ非常に難しい検討をやらなければいけない問題であろうというふうに思います。
#39
○西野康雄君 大変に難しい、それはわかるわけですけれども、現実にそういうふうなことの谷間で泣いている人たちはたくさんいらっしゃる。しかし、それを救うのが行政であるし、また政治であるかと思います。制度の中でどんどん落ちこぼれていっている、そういう人たちを救っていく、そういうふうなシステムはできませんか。
 例えば、雇用契約というものを結ばなければなりませんよとか、制作を発注した段階で雇用契約があると、そういうふうなことにみなしますよとか、一つ一つルールづくりとでも申しましょうか、合意事項とでも申しましょうか、そういうことをしていかないとだめじゃないだろうか、そんな気がするわけですが、どうですか。
#40
○政府委員(佐藤勝美君) 先生の一つの御提案だろうと思いますけれども、先ほどからの繰り返しになって恐縮でございますけれども、労災補償制度が他の社会保障制度と違う点というのは、やはり労働者に対して適用されるかどうかという一点にかかっていると言ってもいいぐらいのものでございますので、それを一つの何といいますか、労働者ではないけれども、それをそのようにみなすというような形での適用というのは、いろんな問題をほかに惹起するおそれのあることであろうかというふうに考えております。
#41
○西野康雄君 私は、そういうふうなことを今聞いているわけじゃなくて、そういう人たちを救うようなシステムをどういうふうにつくっていくか、つくってあげなさいよ、そうしないと日本の文化だとかそういうものを支える人たちが絶えず悲しい目を見ますよ、こういうことを言っているわけで、労働者でないと労災適用されないだとか、そういうふうなことを聞いているわけじゃないんですよ。
 こういうふうなこと、また新たなシステムはできませんか、そういうふうなことを検討したらどうですか、労災だけではなくてそういうふうなことに対してのほかのシステムはつくれないんですかということを聞いているわけで、それは雇用性がないだとかどうだとか言われる。それもわかるわけですけれども、そういうことをやっぱり前向きに検討をしていくことが必要じゃないかと言っているわけです。カメラマンだって皆労働者である、現実に労働者なんですよ。そんな高いギャラをもらっているわけでも何でもないんです、この人たちは。それを労働者でないというふうな形ではっさり切っていく、それが行政ですかというふうなことも問いたいわけでございます。
 時間がやってまいりましたけれども、最後に労働大臣、どうでしょうか、こういうふうなことの谷間に入っている人たちが随分とおる。これは労働者とみなしたらそれで済む。細かい法律的にまた不服は官僚の側としてはあるだろうけれども、しかし今緊急に困っている人たちを救う、そういうふうな緊急措置があって、次にまた新たにシステムをつくりましょうという、これは無理なことではないんじゃないだろうかと思うわけですが、最後に大臣の御所見を聞いて、私の質問を終えさせていただきます。
#42
○国務大臣(近藤鉄雄君) たびたび御説明申し上げておりますように、労災保険というものは使用者の補償責任を保険制度によって代行する、こういうことでございますから、やっぱり使用者と被使用者という関係が基本にあるわけでございます。
 ただ、先生から御指摘のようにいろんな形の勤労形態がございますし、被使用者でなくても実質としては勤労者であることは事実でございますから、そういった方々が不慮の事故に仕事の上で遭われた場合にどうするかという問題は、いろんな形の勤労形態が今後は多様化してまいりますから、だから単純にいわゆる被使用者、被雇用者という形じゃない形態がふえてくることをどうするのだという御指摘でございます。大変大事な御指摘でございまして、現行法でも災害の内容などから見て雇用労働者に準じて特に保護することが適当であると認められる一定範囲の者については、労災保険の建前を損なわない範囲で、かつ保険技術的に可能な範囲で特別に任意加入を認めておりますのが特別加入制度、そういうのがございます。
 きょう先生からいろいろ御指摘もございましたので、さらにひとつそういういろんな角度からこの問題については検討させていただきたいと考えております。
#43
○西野康雄君 どうもありがとうございました。
 一点だけ例を申し上げますと、「森は生きている」というお芝居に出ていた津島康一さんという方は大腿骨骨折の重傷を負いましたけれども、このときは労災がおりております。ですから、そういうふうな制度をつくってもらいたいと思いますし、現実にこういうふうな例もあるということだけ申し上げて質問を終えさせていただきます。
 ありがとうございました。
#44
○清水澄子君 労働省の地対財特法の施行に伴う職業相談事業についてお伺いいたします。
 労働省は、部落の不安定就労の改善を目的としまして同和担当の職業相談員を配置しておられるわけですけれども、これらの職業相談の果たしている役割ですね、それをどのように認識されておられるでしょうか。
#45
○政府委員(若林之矩君) 同和担当職業相談員は、公共職業安定所の行います職業相談、職業紹介に協力いたしまして、同和関係住民の適正な職業選択と就職後における職場への適応促進という業務の円滑な運営を図るということで四十七年度に設置されたものでございまして、この制度は同和関係住民の方々の雇用の促進と職業の安定を図るというための効果的な制度として現在でも機能しているというふうに考えております。
#46
○清水澄子君 機能だけじゃなくてどういう役割を果たしているのか、それをどう認識しておられるかということをお伺いしたんですけれども、それは重要な役割は果たしておらないでしょうか。
#47
○政府委員(若林之矩君) 言葉が少なかったかもしれませんけれども、全く先生の御指摘のとおりでございまして、同和関係住民の方々の雇用の問題、改善はされてきておりますけれども不安定就労というものが依然として多い状況でございますし、残念ながら就職差別もまだ後を絶たないという状況でございまして、そういった中で同和関係住民の方々の職業の安定ということのために大きな役割を果たしていると私どもは認識をいたしております。
#48
○清水澄子君 そこで、労働省は一九八七年四月に各都道府県知事に「職業安定行政に係る地域改善対策特定事業等の推進について」という百八十八号の通達をお出しになっていらっしゃいます。そしてその別添えの要綱に、職業相談員の配置、見直しに対応した体制づくりに十分に配慮をするということをその中で強調されておられるわけですけれども、その体制は現在どういうふうに進行しておるでしょうか。そして、各都道府県知事への指導状況はどうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。
#49
○政府委員(若林之矩君) 先生の御質問の御趣旨は、六十一年十二月に地対協におきまして、相談員の設置等の人的事業についても一般対策へ移行することを検討するということが言われまして、これに基づきまして六十二年度以降計画的に一般相談員に移行してきていることについての御指摘かと存じます。
 平成三年十二月のさきの意見具申におきましても、現行事業の見直しの具体的基準につきましては六十一年意見具申を参考とすべきというふうにされておりまして、今後とも引き続き一般相談員への移行に努めていくことにいたしております。
 ただいま申し上げましたように、同和関係住民の就労状態、一定の改善は見ておりますけれども、なお金国水準に比しまして依然として不安定就労の割合が高い、就職差別につながるおそれのある事象も後を絶たないということでございまして、私どもはそういうことを十分認識いたしておりまして、こういった実態を踏まえまして各都道府県におきまして公共職業安定所の職員による巡回相談を積極的に進めるということにいたしておるわけでございまして、これは私ども十分に徹底していると思っております。相当の回数地域に対する巡回職業相談を行っておるところでございます。今後とも努力を重ねていきたいというふうに考えております。
#50
○清水澄子君 同じくその要綱の中で、中高年齢層の優先的な採用をですね、事業主に理解と協力を求めていくことということを指導されていらっしゃるわけですけれども、その点での具体策はどのようになっておるでしょうか。
#51
○政府委員(若林之矩君) ただいま不安定就労が、まだ比率が全国平均に比べて高いということを申し上げましたけれども、それはやはり中高年の方を中心としてということでございます。
 そこで、私ども具体的には、日雇い等不安定な就労状況にある方につきまして、職業に必要な知識及び技能を修得させるための講習を実施いたしまして受講奨励金等の支給等によります受講を容易にする、それによって職業の安定を図るということをいたしておるわけでございますが、これが一つでございます。この点につきましてはさらに昨年、いろいろ御議論を踏まえまして、また通達を出しましてその活用徹底を図っておるところでございます。さらに、一般求職者につきましては、ただいま申し上げましたような巡回職業相談等をいたしておりましてきめ細かな職業相談を行っているところでございます。また、職業訓練の実施によりまして御本人の適性に合った仕事に、常用雇用につけるように、こういったような努力も進めておるわけでございまして、私どもやはり中高年の方々の雇用の促進に一層努力していきたいというふうに考えております。
#52
○清水澄子君 ぜひ労働行政のところでひとつ拡充をお願いしたいと思います。
 やはり、まだまだ部落差別というのは深刻な問題於ありまして、現実に部落の人たちの七〇%は五十人以下の企業に働いておるわけです。ですから、労働法の適用も十分に受けられないという零細な企業とか、それから雇用保険とか健康保険すらも入っていないというそういう状況でとても不安定な雇用を強いられている人たちが多いわけです。ですから、この部落差別による就職差別の状況を改善していくというのは、とてもこれは日本の労働行政にとっても大きなことだと思いますので、大臣、労働行政における同和対策についてどのように御決意を持っていらっしゃいますか、ぜひ御見解をお聞かせください。
#53
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに同和問題というのは民主的な社会において、その生まれ育ちによっていろいろな形で差別を受けるということはあってはならないことでございますので、こうした同和問題の解消については、従来も労働省としても全力を傾けて改善のための措置を講じてきたわけでございます。実は、昨年の十二月の地域改善対策協議会の意見具申、そしてそれに基づいて政府大綱も決定をいたしまして、従来以上に就職差別の解消のために企業に対する啓発指導や、またいわゆる不安定就労者の職業の安定を図るための諸施策、こういったものを積極的に進めてまいりまして、同和関係住民の雇用促進と職業の安定に今後とも最大の努力をしてまいる決心でございます。
#54
○清水澄子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、育児休業に関してお尋ねいたします。
 四月一日から育児休業法が施行されたわけですけれども、私自身は、私の党もこの所得補償抜きの育児休業法につきましては非常に問題のあるところだと思っております。しかし、今回の法律の施行に当たりましてもまだ非常に多くの点で危惧される点があるわけです。
 新聞の報道によりますと、育児休業制度の導入に伴って本来就業規則の変更の届けを企業はやらなければならないと思うんですが、そういう届けをした企業がまだ半分にも満たないという労働基準監督署もあるということが報道されていたんですけれども、実際のところ、就業規則の変更届は完全に行われているかどうか、どの程度出されているのかということをお伺いしたいと思います。そして、出されていない企業があるならばいつまでに提出をさせるのか、その点をお聞かせください。
#55
○政府委員(松原亘子君) 育児休業等に関する法律、この四月一日から施行されたわけでございます。この法律が適用される事業所につきましては、すべてのところが育児休業や勤務時間の短縮等の措置を導入しなければいけないということになっておりまして、こういう制度を導入した企業はそれに伴ってその制度を盛り込んだ就業規則がつくる、既存の就業規則を改定するといったようなことが必要になってくるわけでございます。そういうことを行った場合には、その変更届が労働基準監督署長に提出されるということになるわけでございますが、今先生御指摘の新聞記事はちょっと恐縮ですが承知しておらないんですが、労働本省といたしましては、どの程度の企業が提出したかどうかということは把握をしておりません。
 ただ、いずれにしましてもこの育児休業法は社会の中に定着させなければいけないというふうに思っておりまして、そういう提出がなされていない、または改定がなされていないというような企業が仮にあるとすれば、それは施行機関でございます婦人少年室が、これからも集団指導ですとかさまざまな方法で周知を図りたいというふうに思っておりますが、そういうことについてもあわせ指導いたしたいというふうに思っているところでございます。
#56
○清水澄子君 やはり、あわせて指導だけでは結局実効性が問われてくるんじゃないでしょうか。せっかく育児休業制度を法制化したわけですから、それが実行されるように、これは非常に強力な指導を、やっぱりある程度の日時を決めて、一カ月以内にこうするとかそういう指導をされるべきだと思いますが、いかがですか。
#57
○政府委員(松原亘子君) おっしゃる御趣旨はよくわかるんですが、施行初年度でもあるわけでございます。数多くの企業にこういう制度が導入されたんだということを知っていただく必要があるわけでございます。もちろん、おっしゃるように非常に問題があるというようなことについては個別の企業に対して指導するということもございますけれども、私どもとしてはまず何よりも多くの企業に、こういう制度が導入されたんだ、したがって適用される企業はなるべく早く就業規則等の必要な改正の手続を行ってもらうということを広く周知するということを当面は主眼に置かざるを得ないというふうに考えておりますが、もちろん必要な場合には強力な指導をやるというのは当然のことでございます。
#58
○清水澄子君 育児休業法施行規則第二十条は、事業主が講ずる措置として幾つか、育児休業制度以外に短時間勤務制度とかフレックスタイム制度とか時差出勤制度とかいずれかを講じなければならないと、こういうふうになっているわけですけれども、実際に各企業はこれらの措置をどの程度講じようとしているのか、その点の状況も把握されていらっしゃるでしょうか。
#59
○政府委員(松原亘子君) 何せ施行されてまだ一週間足らずというところでございますので、このような措置がどの程度行われているかというところまでを把握するには至っておりません。もちろん個別の情報として、特定の企業がこういう制度を導入したという情報は得ておりますけれども、お示しできるような、いわば統計的といいますか、大数的に把握したものはまだございません。
#60
○清水澄子君 でも、その繰り返したと私がだんだん質問をしても、まだ施行したばかりですと。そうでなくて、施行する間にずっと何年間の議論もありましたから、やはりその決意というのは私は労働省に必要だと思いますね、これが本当に施行されていくための前段の事業主への徹底、そしてそれの措置を早く急がせるという。そういうことをやっぱりもう少し強力に、私たちは本当にこの法案を私たちの国民の側でも働いている人の側でも徹底していきたいと思っているわけですから、ですからぜひそういう、もう少し強い気持ちが伝わってくるようにひとつ答弁をお願いしたいと思います。
 そこで、これらの制度は、今申し上げたように制度を一つつくっただけではなかなか十分に利用ができないと思うんですね軌それは、例えば企業内託児所をもしつくるところがあっても、しかし非常に通勤の距離が長い人にはそれは無理ですし、それからまたラッシュアワーのときに子供を連れて通勤することも不可能ですね。ですからそういう場合には、時差通勤制度などと併設するというように複数の制度を導入していくように指導なさったらいかがかと思いますが、その点いかがですか。
#61
○政府委員(松原亘子君) 御承知のように、この法律及び規則にございます勤務時間の短縮等の措置と言っておりますけれども、それ以外にフレックスタイム制や時差出勤の制度の創設ですとか、所定外労働時間をさせない制度、それから託児施設の設置運営等が規定されているわけでございます。この法律上はいずれかの措置をとるということで足りるということになっておるわけでございまして、もちろん企業の実情なり労働者のニーズを踏まえて労使間のお話し合いで複数の措置を導入するということがあっていいのは当然でございますけれども、行政としては、まずこの中のいずれかの措置をとにかくとっていただくというのが重要だというふうに思っておりますので、やはり指導の重点は、育児休業制度の導入と、今申し上げた勤務時間短縮等の措置のうちのいずれかを早期に導入していただきたいということで申し上げるということになろうかと思います。
#62
○清水澄子君 次に、適用猶予を受けております労働者三十人以下の事業所ですけれども、その事業所にいかにこの制度の早期導入を図っていくかという点でございます。
 この点で労働省も、平成四年度から、適用猶予対象企業に対しましては、育児休業奨励金制度を創設しておりますね。そして、導入一企業当たり七十万円を支給するというふうに予算化されているわけですけれども、新聞報道によれば、来年度以降はこの奨励金額を下げていくんですか。何か新聞にはそんなようなことが書かれていたので、そして早くことしじゅうに導入すればするほど有利だということがありましたけれども、そのことも、下げられるのかどうかというのをちょっとお聞きしたいんです。
 そして、このまま実行されたとしましても、実際にこの程度で育児休業に消極的な事業主の態度を積極的な方向に変更させていけるのかどうか、そういう点について非常に疑問があるわけです。それは、例えばこの十年間の育児休業奨励金や特定職種育児休業利用助成給付金ですね、それの実績を見てみますと、非常にその利用状況は低いわけです。それを見ましても、例えばほとんど予算に対して五分の一とか六分の一の実績しかこの十年間余りないんです。そういう利用状況を見てみますと、これまでのような形の奨励金のあり方では本当にこの制度の早期導入を図ることができるんだろうか、そういう疑問を持ちます。
 ですから、私はここで、労働省はこれまでも十二、三年間続けているんですけれども、これまでの奨励金の利用実績がなぜ低かったのか、その低い理由をどのように分析をしておられるか、そしてその上に立って今後どのような普及の仕方をされていくのか、具体策をお示しいただきたいと思います。
#63
○政府委員(松原亘子君) これまでの育児休業奨励金の支給決定件数、平成二年度で千三百九十八件で、支給金額は五億三千万ということになっておりますが、確かに予算と実績との乖離といいますか、差は生じているわけでございます。これは制度を導入しただけこの奨励金がもらえるというような仕組みにはなっておりませんで、実際にこの制度を利用して休業した方が出るということが申請のために必要な要件になっているわけでございます。そういうことから、この利用が少なかったという背景には、一つは制度導入だけではだめで、実際に一定期間以上の育児休業をする労働者が出た場合だけということに、二重の要件がかかっているというようなこともあったんではないかというふうには思いますが、もちろん私どものPR不足があったことも否定はできないわけでございます。
 ただ、法施行直前の平成三年度、昨年度でございますけれども、法律が国会で成立をしたといったようなこと、それからことしの四月一日から制度化されるといいますか、三十人以上の企業に対しましてはすべて義務づけられるといったようなことになったことを背景といたしまして、平成三年度は前年度に比べまして一・七倍の件数が出ているわけでございます。
 そういうことを考えますと、三十人未満の企業といいますのもずっと猶予されているというわけではございませんで、三年間だけ猶予されているわけで、平成七年の四月一日からは義務づけられるわけでございます。そういう意味では、私どもとしては今後はかなり利用がされるんではないかというふうに思っているわけでございますが、おっしゃるとおり十分周知がされるということが必要なわけでございます。あらゆる機会をとらえてこの制度についてのPR、導入指導等をやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#64
○清水澄子君 次に、育児休業制度を本当に社会に定着させていきますには、行政体制の充実は欠かせないことだと思うわけです。
 この点に関しましては、参議院社会労働委員会において育児休業法の審議がされましたときに、対馬理事から、代替要員確保のための公共職業安定所の機能の強化拡充と、そして実効ある運営確保のために婦人少年室を中心とする行政体制の充実強化、いわゆる人員増、それがないともっとこの徹底指導ができないんじゃないかということで確認質問を行っておるわけですけれども、この点につきまして平成四年度予算でどのような措置をとられたのでしょうか、お伺いします。
#65
○政府委員(松原亘子君) まず、育児休業に伴う代替要員の確保のための公共職業安定所の体制整備でございますけれども、これにつきましては専門の相談員を配置する等体制の整備を図るということにいたしておりまして、このための経費といたしまして、四年度予算案に二千二百万円を計上させていただいているところでございます。
 一方、婦人少年室につきましては、育児休業法の実効ある運営を確保するということで、いろんな集団指導等を初め周知の活動その他をやっていくわけでございますが、そのために地方育児休業指導官を新たに十六名増員させていただくということで、そのための経費といたしまして、平成四年度予算案に約三千三百万円を計上させていただいているところでございます。
#66
○清水澄子君 これから新しい事業をやるということに対しては、少しは配慮されているんですけれども、本当に婦人少年室の機能をもっと強化するということが、機会均等法の問題も両方含めて、これからまだ後に質問しますが、介護休業法とかいろいろこれから働く女性、そしてさらに勤労者家庭の家族の福祉とか、そういう問題の政策が非常に必要になってくると思いますので、その点もさらに今後も強力に進めていただきたいと思います。
 そこで、各職安とかそれから婦人少年室とか基準監督署ですね。それぞれの方が県の段階でもっと育児休業法を徹底していくために、それぞれがもっと連携を密にして、そしてその県内においてその指導監督の徹底を図られる必要があると思いますけれども、その点についてはどのように進めていらっしゃるでしょうか。
#67
○政府委員(松原亘子君) まず、都道府県段階では、この育児休業法の問題に限らず、婦人労働行政を進めていくに当たりまして、都道府県それから労働基準局と常日ごろから意思疎通を図り、協力体制をつくっていかなければいけないということで、常時連携をとるような体制をとらせていただいております。
 特に、育児休業等に関する法律の施行業務に関しまして、基本的にはこれは都道府県の婦人少年室が行うものではございますけれども、公共職業安定所において例えば周知用のパンフレットを所内に展示をするとか、求人者が職業安定所には来るわけでございますけれども、そういう求人者に対してそういうものを配付するといったようなことで協力するということになっておりますし、また求人受理ですとか求人内容についての助言指導を行う場合も安定所の窓口であるわけでございますが、そういう場合にもこの法の趣旨に留意するようなことを勧めるといいますか、助言するといったようなこともするということになっているわけでございます。
 また、労働基準監督署におきましても、育児休業を制度として導入しておらず、就業規則の記載のない場合には、基本的にはこれは都道府県婦人少年室が指導するという観点から、室の指導を受けるようにという協議をするということにしているところでございまして、労働関係機関、都道府県レベルでお互いに協力し合いながらといいますか、婦人少年室からさまざまな協力要請をいたしまして、この法律の施行を確実にやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#68
○清水澄子君 厚生省にお伺いいたします。
 今度の育児休業制度の制度化に当たりまして、それに対して保育の面の諸制度を改善されたわけですが、それはどの部分をどういうふうに改善されましたか。
#69
○説明員(冨岡悟君) 御説明申し上げます。
 本年四月から実施されました育児休業制度の円滑な実施に向けまして、保育所といたしましてもきめ細かな対応を行うことといたしております。
 具体的な対応につきましては、いろんな方面から検討いたしたところでございますが、大きく分けまして二つの課題がございました。その一つは、育児休業を終了されまして職場に復帰される場合、年度の途中にお子様を速やかに保育所に入れる、年度途中入所対策でございます。もう一点は、育児休業をとられるまで保育所に入所していました、いわゆる上の子供の問題でございます。
 実は、上のお子様につきましては、制度的に少し難しい点がございまして、保育所は御家庭で保育できないお子様をお預かりし保育するという制度でございまして、保育のために、育児のために休暇をとるといった場合には、実はなかなか対応しにくい面があったわけでございます、そうはいいましても、待望久しい育児休業制度でございますので、私どもといたしましてはこの制度との調和をどのように図ったらいいかということで検討を進めてまいりましたが、いわゆる上のお子様につきましては、保護者が育児休業を取得したからといって一律に保育所から退所させるといったような取り扱いではなくて、例えば次年度に小学校への就学を控えているといったように、入所児童の環境の変化に留意する必要がある場合、それから集団指導が必要とされます三歳以上のお子様について、その地域に児童館といった受け入れ先がない場合、それから当該児童の発達上、環境の変化が好ましくないと考えられるといった場合につきましてはそのまま入所しても差し支えない、そのような取り扱いにすることといたしました。
 もう一点、年度の途中の入所につきましては、まず平成四年度予算案におきまして、年度途中入所対策費を計上いたしたところでございます。
 それから、保育所が既に定員がいっぱいで入れないといったケースにつきましては、認可定員の一〇%を超えても、私ども措置費と申し上げておりますが、運営費の補助をする。特に、上のお子さんと下のお子さんを同じ保育所に入所させるといった事情がある場合には、一五%まででも措置費を出すといったような措置をとる。
 それから、例えば下のお子様を保育所に入れる場合に、上のお子様と下のお子様を同じ保育所に入所させるようできるだけ努力する、このような対策を講ずることといたしたところでございます。
 以上でございます。
#70
○清水澄子君 随分今度は初めてと言っていいくらい女性たちの希望が、十分とは言いませんけれども大分取り入れていただいて、とても評価をしたいと思います。
 こういう一定の保育政策に改善があったわけですけれども、やはりこのことを労働省としましても事業主を通して、こういうふうに保育所も変わりましたということを労働者に周知を図って、そして育児休業を取得しやすい環境をつくっていくべきだと思うわけです。そういう点で、ひとつぜひ、本当は保育政策というのはもっともっと、きょうはそこには深入りできないんですが、働いている女性、それから今日の子供の置かれている状況、それから勤労者の家庭の状況、そういうものを見ますと現在の保育のあり方では非常に不十分で、もっと現実に対応した政策に改善する必要はあると思いますけれども、現段階のところでも結構ですから、労働省と厚生省はお互いに労働者の育児のための環境整備についてさらに今後改善をしていただきたいと思いますが、両方からお答えをいただきたいと思います。
#71
○政府委員(松原亘子君) 御指摘のとおりでございまして、私どもたまたま同じ建物の中に厚生省と一緒に入らせていただいておりますので、さらに一層今後とも意志疎通を密にし、女子労働者にとって職業生活と家庭生活の調和が容易になるようなという観点から私どもも努力をいたしたいというふうに思います。
#72
○説明員(冨岡悟君) 女性の職業と育児を両立支援する上で、保育制度はその基幹的な制度だと思っておりまして、今後ともその充実に努めてまいりたいと思っております。
 御指摘の周知徹底につきましては、実は今回の私どもの保育の対応につきましては育児休業法の施行に先立ちまして三月五日、各都道府県知事に対しましてこの内容につきまして通知いたしたところでございます。また、同日開催いたしました全国児童福祉主管課長会議におきましてその具体的な内容につきまして詳細な説明を行いまして、市町村に対します指導をお願いしたところでございます。この取り扱いの内容につきましては、マスコミ各社のおかげさまで即日報道されまして広く知られるところとなったところでございますが、今後とも必要に応じまして関係省庁と連絡をとりながら、可能な限りの対応について努力してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
#73
○清水澄子君 どうぞお願いいたします。
 そこで、やはり現行法でも非常にまだまだ不十分なところが多い上に、休業期間中の所得保障が何ら担保されていないという状況では、本当に働く人が安心して育児休業を取得することはできないんじゃないかと思います。
 最近、東京都や大阪それから埼玉県などで休業期間中に百万円とか百二十万円の低利の生活融資制度が設けられてまいりましたけれども、むしろ地方自治体がこの育児休業を取得できるような、そういう制度の欠陥を補う努力があるわけですけれども、私は労働省がもっと本当に休業期間中の所得保障を実現するために、もっと強い意思を持ってこれを推進していただきたいと思うわけです。特に、中央職業安定審議会雇用保険部会でもこれらの検討の必要性が強調されていたわけですので、このことにつきましてはぜひ私は大臣が決断をしていただきたい、これは政治的に決断をしないと進まないと思います。前向きにやりますというお答えをいただきたいんですが、ひとつどうぞよろしくお願いします。
#74
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生、女性の方々が積極的に職場に進出される、大変すばらしいことだと思うわけでありますけれども、その中で大きな問題の一つが、まさに家庭生活とそれから職場、仕事との調和をどう持ってくるか、こういうことでございます。その中で育児というのは、大変大きな課題でございますから、これをうまく積極的に調和しながらやっていただける方策を考えなきゃならない。いろんなことを考えてございまして、今も保育所の問題とかいろいろな問題がございますが、まさに育児休業制度というのはその大きな政策であると私は思うわけであります。
 ただ、この制度の法的整備のあり方について御審議いただいた婦人少年問題審議会の建議の中においても、その育児休業期間の所得保障については、これはいろんな議論がございますのでさらに検討いたしたい、こういうことでございます。
 私の選挙区は山形でございますけれども、お話を聞くと、山形は大変女性の働いている割合が多い県でございまして、そういう方々から育児休業はありがたいけれどもその間の収入がなくなってしまったんでは休むに休めない、こういうようなお話も私も直接関係している方に承っておりまして、休業期間中の所得保障の問題を今後どうするかということは大きな課題でございます。各地方自治体でいろんなお話があれば、また企業ごとで、企業内で対応を工夫いたしたところも既にあるわけでございますので、婦人少年問題審議会等で御議論いただいたことでございますが、私としてはこれは前向きに取り組ませていただきたい、御審議を待っての話でございますが、そんな気持ちでございます。
#75
○清水澄子君 ありがとうございました。
 次に、介護休業制度がさらに緊急度を帯びているということは、もうその背景は御存じだと思いますが、労働省の今年度の新規政策は何になっておりますか、どういうふうになっていますか。
#76
○政府委員(松原亘子君) 介護の問題は、高齢化、核家族化の中で労働者が職業生活と家庭生活を両立させる上で極めて重要な問題になってきているわけでございます。このため、労働省では平成二年度からシンポジウムなどを開催いたしまして、この制度導入の機運醸成などをやってきたわけでございますし、また三年度から介護休業、それ以外にも介護を支援する制度というのはあるわけでございますが、そういった企業内の福祉制度についてのガイドラインを策定するための検討会議というものを開催いたしております。
 現在、引き続きこのガイドラインについての検討というのをお願いいたしておりまして、もう最終的な局面には来ておりますけれども、来年度はここの検討会議でまとめていただいた結果をもとに労働省としましてガイドラインを策定し、それに基づいた施策をやっていきたいというふうに思っておりますけれども、一つは具体的な地域でこのガイドラインに沿ったモデル事業をやるということを予定しておりまして、そういったものを突破口として、この介護休業制度の普及といったようなものについて私どもとして力を入れていきたいというふうに思っているところでございます。
#77
○清水澄子君 そういう労働省の施策は、今の非常に切迫している状況に対しては非常に何かおくれているような気がしますね。普及啓蒙の段階ではもうないんじゃないですか。このことはもう少し強力な指導、行政での政策が必要だと思うんですけれども、労働大臣、少なくとも介護休業制度普及促進のための奨励金制度の創設ぐらいはやるということにはなりませんか、約束できませんか。
#78
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほどもお話をいたしましたように、家庭生活と仕事との調和、調整というものはこれからの大きな労働行政の課題でございますので、育児休業とそして今度は介護休業、こういうことでありますけれども、育児休業もこれいろいろ経験を積んでここまで普及をして、今度は法制化に踏み込んでいるわけでありますけれども、介護休業の場合は育児休業以上にいろんな複雑な問題がございますので、今局長の話もございましたが、ガイドラインを示してまず普及を計るということから、その実績を踏まえてさらに一歩前進をするということであると思うわけでありますが、奨励金をつくってはどうだというお話もこれは十分に私ども承りますが、やはりまず具体的な実施状況を見ながら次の段階を考えていくことかな、こんな考えでございます。
#79
○清水澄子君 ところで、勤労者の中には、別居をしている親の介護を認めてほしいという切実な要望があるわけです。連合の調査によりますと、同居または扶養で他に介護する人がいないというそういう条件を企業が付している場合が七七・五%という調査が出ているわけですけれども、たとえ別居しておりましても、夫婦はどちらの親もやっぱり介護してあげたいし、また介護しなければならない立場の人もおると思うわけです。ですから、別居している親の介護をできるように、労働省はそれを企業が認めていくようなそういう指導をされる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#80
○政府委員(松原亘子君) 先ほどガイドラインの策定のための検討をお願いしているというふうに申し上げましたが、その検討の中で今先生御指摘の被介護者の範囲をどうするか、それからさらにいろいろな条件をつけるかどうか、つまり同居をしているとか扶養しているといったような条件をつけるかどうかというようなことも含めまして今検討をお願いしているわけでございます。労働省としては、やはりその検討の結果を待って対応したいというふうに思っているところでございます。
#81
○清水澄子君 そのガイドラインはいつ発表できるんですか。
#82
○政府委員(松原亘子君) 先ほど申し上げましたように、今最終の取りまとめの段階でございますが、この被介護者の範囲の問題に加えまして、さらにどの程度の期間が必要なのか、また育児休業のように連続する期間なのか、それとも断続的にもとれるようにするのかとか、育児休業以上にいろいろ検討しなきゃいけないことがございまして、最終の取りまとめの段階ではございますが、なお時間を要するというところでございます。私もなるべく早くというふうには思っておりますが、今しばらくお時間をいただきたいというふうに思っているところでございます。
#83
○清水澄子君 介護休業の代替措置として短時間勤務制度の導入が必要だと思いますが、それの普及促進策はどのようになっておりますか。
#84
○政府委員(松原亘子君) これについても同じような御答弁で恐縮なんですが、介護休業だけではなく、その介護を支援する措置、今御指摘の勤務時間の短縮措置その他の措置も含めまして、今ガイドライン検討会議の中で検討をいただいているところでございます。したがいまして、やはりその検討の結果を私どもとしては待ちたいというふうに思っているのが現状でございます。
#85
○清水澄子君 労働大臣は、この三月三十一日に婦人少年問題審議会に第二次女子労働者福祉対策基本方針(案)を諮問されていると思うんです。その中に、今回初めて介護休業について、「必要に応じ法制化を含めた有効な普及対策の検討を行う。」という記述があるんですけれども、「必要に応じ」などという段階ではないと思うわけですね。ですから、この際婦人少年問題審議会で正式に介護休業制度の法制化について検討を開始するようなそういう依頼を労働大臣はぜひしていただきたいと思うわけですけれども、大臣の積極的なお答えをいただきたいんですが、いかがですか。
#86
○国務大臣(近藤鉄雄君) これから高齢化社会になってまいりますと、介護の問題が大きな問題になってまいりまして、それをどうするかということがある意味では適正な労働力を確保するためにもまさに大事な条件になってまいるわけでございますが、たびたび申し上げておりますように、育児休業以上に介護労働というのはもう複雑でございまして、どの期間で、それから別居か同居かといういろんな議論がございますし、またそれに対する会社といいますか、雇用者の側もいろんな考え方もございます。これはもちろん前向きに取り組みますが、またいろんな角度から検討しなきゃならないんで、そこで今回は、「必要に応じ法制化を含めた有効な普及対策の検討」という形でお願いをしているわけでございます。
 私どもといたしましては、先ほどから申しておりますけれども、これをいかに各企業レベルで普及をするか、そのために今啓蒙活動といいますか、シンポジウムだとかいろんなことをやるし、また企業内福祉制度というものも考えていただくとか、そういったことを考えながらひとつこの問題についての社会的なコンセンサスを得ていきたい。そして、まさに必要に応じて法制化の措置も講ずる、こういう考えでございます。
#87
○清水澄子君 もっと積極的な対応をお願いしたいと思います。
 次に、ILOの第百五十六号条約の批准についてでございますけれども、これは家族的責任を有する労働者の機会及び待遇の平等に関する条約でありまして、家庭責任を男女が担うことを前提にしたそういう施策の充実を述べた、非常に私どもは、女性たちは特に期待をしている条約であるわけです。この条約の批准問題につきましては、機会均等法制定当時の国会審議の場でもこれは非常に積極的に論議がありました。そして、当時の安倍外務大臣は、これを積極的に批准したいと、そういう答弁をされたわけですけれども、もう六年が経過をいたしました。大体こういう問題は本当に政府が批准をしようというそういう強い意思がないとなかなかこれはおくれていくわけですけれども、このおくれている理由は私は政府の怠慢だと思うわけです。
 そこで、ぜひこの批准に向けて、もう育児休業法が一つできたわけですし、そして介護休業法も積極的に推進していただいて、そして批准に向けて積極的に対応していただきたいんですが、次の通常国会には提出をしたいという意思をぜひ労働大臣、お示しいただきたい。そして、外務省もさらにそれを促進していただきたいと思うわけですので、御答弁いただきたいと思います。
#88
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお話は私たち十分理解をいたしますが、我が政府は、この問題に限りませんけれども、ILO条約の批准を行う場合には、行った以上はそれがきちっと国内で実行できるような必要な国内的な法体制をとりながら批准している、そういうことでございますので、この問題につきましても、今いろいろ国内的な法制との整合性をうまく図ろうと、その上で批准に進みたいということでございますのでいま少しお時間をいただきたい、こういうことでございます。
#89
○説明員(隈丸優次君) 委員御提起の本条約と国内法制の整合性の問題でございますが、例えば「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない。」という条約の規定が国内法制において満たされているかどうか、またこの条約は、「国内事情を考慮した上、必要な場合には段階的に適用することができる。」旨定めていますが、仮に「段階的に適用する」場合、最低限どの程度まで施策を講じておく必要があるかなどの問題がございます。本条約の批准につきましては、我が国の事情等をさらに考慮の上さらに検討を進めてまいりたい、かように思います。
#90
○清水澄子君 本当にこの条約の批准というのは、国際的にも非常にやはり日本の民主化または日本の働いている人々の福祉なり権利の状況のバロメーターになりますので、ぜひひとつ強力に進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、仕事をやめないで老親とか子供たち、そういう介護のために安心して介護に専念ができるようにするにはやはり休業中の所得保障というものが、私は不可欠の問題だと思うわけです。
 そこで、現在介護休業中の賃金についての支給状況というのは、もうこれ統計に出ていますけれでも、約七〇%が無給であるわけですね。ですから、そういう状況の中で、やはり育児休業のときにもこの所得保障のことが、今もお願いをしたわけですけれども、これがないと本当に安心して休業という働く人の権利としてはなかなか行使できない。そういう状況を考えましたときに、この介護休業中の所得補償の問題につきましても中央職業安定審議会の雇用保険部会等でも審議なさるわけですし、それから婦人少年問題審議会でも検討なさるわけですから、お互いにそれぞれでやられるんですけれども、やはりいかに早期にそういう問題に結論を出していくかということでは、合同でも検討されるというふうなことをぜひお図りいただきたいと思うんですけれども、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
#91
○国務大臣(近藤鉄雄君) 育児休業の場合を申し上げましたけれども、休業はありがたいけれどもその間の所得がなくては困るというのが率直に私なんかの受ける地方の声でございます。
 まず、介護休業は先ほど申しましたように育児休業以上にいろんな問題がございますので、これをまたいろんな角度から検討させていただいて、同時に私は個人的には休業という形がいいのか、例えばある程度のフレックスタイムという形でいくのか、いろんな対応の仕方がある。介護労働の場合に、育児の場合はやはり赤ちゃんですからつきっきりということかもしれませんが、介護の場合には多少そのあたりのいろんな形態も考えられると思いますので、すぐに所得保障という問題の前に、介護休業とか介護のありようについていろんな角度から検討しながら、まさに社会的なコンセンサスを得ていくことではないかと、かように考えております。
#92
○清水澄子君 その点は大臣のおっしゃるとおりだと思います。やはり、介護休業がすべてではない。しかし、働く人々にはいろいろに選択をできる権利が必要なわけです。ですから、介護休業をつくれば全部が介護にすべて休むということだけでとても介護はできないと思いますので、当然これは厚生省との関係になるでしょうけれども、その点はもっと本当にあらゆる角度から検討する必要があると思います。
 しかし、とりあえずは休業というのはまず最初の段階は必要なときがありますので、それがないと、一番介護を引き受けさせられている女性は職業の中断ということが迫られてまいります。ですから、それだけにこの制度というものを早く検討していただきたい、こういうことを要望しておきたいと思います。
 最後でございますけれども、今日パート労働というのは、これはもう日本の経済の基幹労働力になってきていると思うわけです。しかし、その身分とか待遇というのは、これは非常にもう不安定な状況にありますし、それから使用者側も相変わらず雇用調整弁的な扱いからなかなか変わらない、こういう状況がございます。
 労働省は、「パートタイム労働指針」というのを出してパートタイム労働者の雇用管理の適正化に努めておられるわけですけれども、平成三年の総務庁行政監察局の監察報告を見ますと、パートタイム労働指針を知らない事業所が二〇・四%ある。そして、雇い入れ通知書を交付していない事業所が一八・六%ある。パートタイム労働者に適用される就業規則が整備されていない事業所が四分の一あると、こういう問題が指摘されているわけです。
 これは結局、労働省が示しているパートタイムのガイドラインの実効性がいかに薄いかということが逆に示されていると思うわけです。それはもう、今やヨーロッパ、EC諸国すべてにおいて、パートタイム労働者は労働時間の差自体によって差別的待遇が客観的に正当化されてはならないという考え方でもって、やはりフルタイム労働者と同等の待遇を受ける、そういう法律や改善が行われているわけでございます。ですから私は、日本の国におきましても、当然パート労働を正当に認識、評価をして位置づけていくということが、非常にこれはパート労働者のためだけというのじゃなくて、今後の日本の経済発展を維持するためにも大変重要なことだと思います。
 そういう意味では、やはりしかるべく法的規制が必要であると考えるわけですけれども、既に四党及び連合参議院の共同で、短時間労働者の通常の労働者との均等待遇及び適正な就業条件の確保に関する法律案、いわゆるパート労働法ですけれども、これを今国会に衆議院の方で提出をしております。ですから、ぜひ政府それから自民党にも私たちの法案を基礎にパートタイム労働法の制定に積極的に取り組んでいただきたいということを強く希望するものでございますけれども、これにつきましてぜひ労働大臣の御決意を伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、これからパート労働者というのですか、パート労働力というのがますます重要な役割を果たしてくるわけでありますので、たまたまパート労働者である、パートタイム労働だからといって、一般の労働者の方々に比較して不利な扱いを受ける、また必要な法的な保護といいますか措置を受けられないということは問題でございますので、まさに「パートタイム労働指針」の中でも、常用労働と同じ、一般の労働と同じような条件で企業としても扱うようにということを示しているわけでございます。
 ただ、先生、パート労働というものは、従来とっちかというとやっぱり家計補助的労働で、奥さんがバートで働く、そういう家計補助的な労働ということのようであります。たまたま先日、NHKの朝のテレビで「くらしの経済」だったか何かの特集で、パート労働にお出になる御家庭の三人か四人の例が出ておってうちの女房と見ておったんだけれども、リビングルームとか台所だとか、我が九段の議員宿舎よりも相当立派な内容なんですね。
 だから私、そういう家計補助的な労働という立場から、もっと女性の方々が家計、家事から解放されて、積極的な雇用機会を求められて、その能力を発揮される、そういう従来と違った面もだんだん出てきている。こういうことでございますし、また単に女性労働者だけじゃなしに、男性の方々もむしろ、八時から五時までというよりも、午前中は何かしらやって、午後から働くとかですね。ですから、これからの雇用形態のその一つの新しい形態でもあると、こう考えますと、従来の家計補助的なパート労働という形の議論から、もうちょっと多角的な、多面的ないろいろな形の議論をこれからすべきだ。
 こういうことで、実はこの間予算を通すときに、四党のお話の中で、我が党の回答の中にもございますけれども、パート労働問題を、これは積極的に政府と検討しよう。各省またがっているものでもございますので、労働省といたしましては、実は省内にパート労働研究会を松原局長を中心にして各省集まっていただいて、これから総合的に前向きに検討していろいろなことを考え、また先生方の法案の御提案もございますので、いろいろ御指導を受けながらひとつこれから積極的に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。
#94
○清水澄子君 終わります。
#95
○委員長(向山一人君) 本審査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#96
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#97
○中西珠子君 私は、介護休暇、育児休暇その他につきまして御質問しようと思っていたのですが、けさほど非常に詳細な御質問がございましたので、ちょっと角度を変えまして、この平成四年度予算の概要に基づきまして、特に「国際社会への積極的貢献」の項目についてお聞きしたいと思います。
 本年度の予算は、昨年度に比べますと十二億八千六百万円減っているという大幅な減少でございますが、この注には、「海外派遣労働者健康管理センターの建設費が三年計画の最終年次により城となったこと等によるもの」と書いてございますね。大変広い国際的視野をお持ちで、言葉も大変達者でいらっしゃる労働大臣が、国際社会への積極的貢献ということを大いにお考えになっている。特に、職業訓練その他の労働分野における国際貢献ということをお考えになっているのではないかと私は期待していたのでございますが、なぜこのように大幅にこの「国際社会への積極的貢献」という項目が減っているのか、御説明いただきたいと思います。
#98
○政府委員(齋藤邦彦君) この前予算の概要を御説明いたしましたときに、「国際社会への積極的貢献」という項目の中で、御指摘のように十二億ばかり前年度より減になっております。平成三年度予算額百二十二億でございましたので、それに比較しますと減になっておりますが、これは先ほど先生言われましたように、実はその海外派遣労働者健康管理センターというものの設置費が、三年計画でやっておりまして、平成三年度の予算額が二十六億でございましたが、平成四年度は七億六千万ということで、十九億減になっております。
 したがいまして、そういうような大幅な減がございましたので、総体として十二億減になっておるということでございまして、ちなみにこのセンターの建設を除いた額で比較をさせていただきますと、三年度の予算額は九十六億、四年度の予定額は百二億ということでございまして、六億ばかり増になっておるということでございます。
#99
○中西珠子君 その六億の増の中には新規の事業というものが入っているわけですね。例えば、この概要によりますと、「日ソ技術支援事業の実施(新規)」となっているわけです。これはどのような内容の国際協力をなさるのか。また、予算規模はどのくらいなんでしょうか。
#100
○政府委員(齋藤邦彦君) 日ソ技術支援事業というふうに名前をつけておりますが、これは昨年四月にゴルバチョフ当時のソ連大統領が訪日をされましたときに調印されました日ソ技術支援協定というものに基づきまして、旧ソ連邦におきます社会経済改革に資するための労働分野におきます支援事業をやりたいということで盛り込んだものでございまして、予算規模は約五千万でございます。
 内容でございますが、内容といたしましては、旧ソ連邦から労働関係者や労働問題の研究者等を日本に招聘をいたしまして、旧ソ連邦におきます労働事情あるいはそれの問題点を的確に把握して、それの改善のために協力をしていきたいというようなことを主とするものでございます。ただ、当時と若干事情が変わっておるというようなこともございますので、今後の国際情勢を見きわめながら、関係省庁とも十分御相談しながら、実際のこの経費の支出につきましてはやっていきたいというふうに考えております。
#101
○中西珠子君 大体旧ソ連から招聘するということで、CISができましたから、どのような国から招聘するということはまだわからないわけですね。
#102
○政府委員(齋藤邦彦君) 先ほど申し上げましたように、今後外務省とも協議をして招聘すべき方々を決めたいというふうに思っておりますが、原則といたしましては、旧ソ連邦の領域内の各共和国というふうに考えております。
#103
○中西珠子君 昨日ですか、読売新聞にキッシンジャーの論文が出ておりましたけれども、大臣、ごらんになりましたでしょうか。
 旧ソ連に対する援助、援助と言っているけれども、長い長い強権主義の、権威主義の歴史というものはツァー以来のものであって、共産主義体制になってもそうであったし、その長い権威主義の歴史を持ったソ連で幾ら支援をすれば市場経済が実現し民主化が促進されるというふうなことを考えるのは一種の錯覚であるというふうな、一種のこれは警告でございますが、お読みになりましたでしょうか。
#104
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生まことに申しわけないんですが、キッシンジャーの寄稿があることは読売新聞ですか、存じ上げておりますが、内容は存じ上げておりません。ただ、今先生おっしゃいましたように、ソ連の体制は幹部がかわったからといって一挙に変わるものでもないし、また同時に長い共産体制の中でいわば個人の創意工夫で仕事をするようなそういう職場のいわば習慣がない、欠く方々でございますので、簡単な形での経済再編や市場経済への移行というのはそう簡単なことではないのではないか、私はかように考えています。
#105
○中西珠子君 次にもう一つ、新規の事業として「湾岸危機の影響を受けた諸国への支援」というのがございますが、その内容と予算規模はどのようになっておりますか。
#106
○政府委員(齋藤邦彦君) 平成二年に起こりました湾岸危機、それによりまして非常にアジア各地域におきまして影響を受けているわけでございます。その中で特に影響の大きいと思われますバングラデシュ、パキスタン両国におきまして調査研究を行おうということでございます。
 内容といたしましては、労働力の需要、供給の関係ですとか、就職促進の手法ですとか、公共事業におきます雇用開発、そのような雇用開発のあり方について総合的な調査研究を行うことによって、両国内におきます就労を促進していこうということでございます。この事業は、我が国が資金を拠出いたしましてILOが実施主体として行う、いわばマルチ・バイ・プログラムと申しますか、そういうようなものでございまして、平成四年度予算額は六千万を予定しております。
#107
○中西珠子君 アフリカ地域に対するそのような調査とか技術協力は、今回は考えていらっしゃらないわけですか。
#108
○政府委員(齋藤邦彦君) 当面、アフリカ諸国につきましては考えておりません。アジアを中心にして考えておるということでございます。
#109
○中西珠子君 今ILOのマルチ・バイラテラル・プログラムというのが出ましたけれども、非常にマルチ・バイを多くやっていただいているということに対しては高く評価しておりますが、ILO条約の批准というものはどのようにお考えなのでしょうか。欧州諸国の批准数に比べますと、日本の批准数はまだ半分以下という状況でございます。
 今回、身障者関係の条約を批准のために国会に御提出になっておりますけれども、けさほども出ましたILOの百六十五号条約、これは御承知のように家庭責任を持つ男女労働者の機会均等条約でございますが、育児休業法も四月一日から実施になり、また育児休業法につきましては、将来はいろいろまだ多々改正させていただきたいという点もございます。例えば所得保証がないとか、その他いろいろあるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、男女労働者の双方に育児休業の権利を法律によって認めたということは非常に大きな前進であると思っておりますし、それから介護休暇に関しましても、非常に労働省は力をお入れになってこの普及促進方に大いに努めていらっしゃるところでございます。このようなことを考えますとき、この百六十五号条約が批准できるのではないかと私は思うわけでございますけれども、大臣、けさほども御答弁ございましたけれども、いかがなものでございましょうか。
#110
○国務大臣(近藤鉄雄君) けさほども御答弁申し上げましたけれども、我が国がILO条約を批准するときには、批准した以上はまさに条約にのっとって、国内体制が整備されているということで批准をしておりますので、そういう点では先生御指摘のように育児休業も法制化でき、介護休業につきましては今いろいろ御検討いただいているところでございますが、方向としては、これはいろいろ問題あっても法制化の方向で検討していくことでございますが、そういった国内的な体制を一つ一つ積み上げながら、百六十五号においても批准の方向でこれから進んでまいりたい、こういうことでございます。
#111
○中西珠子君 この条約は、一日も早く批准していただきたいというのが全国組織を持つ五十婦人団体の意向でもございますし、それからまた労働組合の女性の組合員の方々の熱望でもございますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
 すべての条件が整わなければ、すべて法律的にも合致しなければというのが日本の立場でございまして、非常に厳しい対処をなさって、そして慎重に批准するというのがこれまでの日本の行き方でございますけれども、批准することによって法律、慣行における改善というものもだんだんに見られるということもほかの国の例にございますので、なるたけ早く国内の法制を整備することはもちろん大事でございますけれども、相当普及促進も一生懸命やっていらっしゃる介護休暇の法律ができなくても、とにかく前向きに、なるたけ早い時期に批准していただきたいということを御要望申し上げます。
 もう一つ、新規の事業として出ておりますのが、「海外進出を行う中小企業に対する相談援助の実施」、こう書いてあるんですけれども、これの窓口はどこになるということでお考えなのか。また、予算の規模はどういうものでございますか、お伺いします。
#112
○政府委員(清水傳雄君) これからますます国際分業が進んでいく、あるいは我が国の労働力の供給制約が進んでいく、あるいは海外に対する技術の移転、雇用の創出、そういう意味合いでの海外進出の問題というのは極めて重要であるわけでございますが、しかしいろんな進出に当たっての労働面での課題を抱えるものが多くて、円滑にそれを進める上にはこういった問題が非常に重要であるというふうに思っております。
 これまで日本労働研究機構におきまして海外からの情報収集、研究、そうしたものの蓄積が進んでおりますし、またそうしたものを東京とか大阪なんかではセミナー等も開きましてそういう情報を一般に公開する、そういうこともやってまいったわけでございます。さらに、中小企業を対象に平成四年度から十四の都道府県に国際労働問題専門の相談員を設置をいたしまして、これまで日本労働研究機構で蓄積をいたしてまいっております。その種の情報、ノウハウ、それを提供し、中小企業に対するそうした問題についての相談、情報提供を行う、こういうことを考えておるわけでございまして、予算規模といたしましては二千六百三十四万を予定いたしておるところでございます。
#113
○中西珠子君 海外進出を図ろうとする中小企業に対するあっせんの事業というのは、商工会議所もずっとやってきましたし、それから在外企業協会というのは既に進出しているところの企業の集まりだと思いますけれども、そういったところでやっている仕事とはどのように連携をなさるおつもりでいらっしゃいますか。
#114
○政府委員(清水傳雄君) ここで直接海外進出のあっせんということは考えておりませんで、全く労働問題に関する現地の事情、慣行、法令あるいはまた労働者を日本から派遣をしていかなきゃならない。そういう方々の安全なり健康の問題なり、さまざまな問題もあるわけでございまして、そうした事柄について労働分野についてのいろんな諸問題について情報を収集し、ノウハウを蓄積したものが、一定のものが日本労働研究機構にございますので、これらを中小企業向けに提供していく、こういうことをねらいとするものでございます。
#115
○中西珠子君 「外国人雇用サービスコーナーの設置」、これも新規事業として挙げられておりまして、コーナーの設置が十一カ所となっておりますが、どのようなところにこういうコーナーをお置きになるのか、その十一カ所はどこなのか、それからどういう問題を対象にお扱いになるおつもりなのかお聞きしたいと思います。
#116
○政府委員(若林之矩君) 専門技術的労働者でございますとか、あるいは日系の南米人の方でございますとか、留学生、就学生など、こういった外国人の求職者の方は日本国内で就労が可能なわけでございますけれども、日本語の能力等の問題から求職活動がスムーズに行えなかったり、あるいは違法な仲介業者の被害に遭うというようなケースが多く出ているわけでございます。
 そこで、平成四年度から、特に外国人の求職者の来所相談の多い公共職業安定所につきまして、ただいまお話しございました外国人雇用サービスコーナーというものを設けるという準備を進めさせていただいておるところでございます。このコーナーにおきましては、英語とかポルトガル語などの通訳の相談員を配置いたしまして、こういった外国人の求職者の方に対する職業紹介、職業指導等のサービスの充実、整備を図っていきたいというふうに思っております。この事業にかかわります予算は、二千二百万円を計上いたしております。
#117
○中西珠子君 例えば、どういうところですか、お置きになるのは。
#118
○政府委員(若林之矩君) ただいま申しましたように、外国人求職者の来所の多いところでございまして、その設置……
#119
○中西珠子君 多いところというのは、具体的にどういうところなの。
#120
○政府委員(若林之矩君) 設置箇所につきましては、現在検討を進めておるところでございます。
#121
○中西珠子君 けさほどちょっと出た問題でございますが、日系人の就労適正化対策の推進ということで現地に相談窓口をお設けになるそうですが、これはブラジルのサンパウロだけですか。
#122
○政府委員(若林之矩君) 御承知のとおり、今日系南米人の方は十五万人と推定されておりますけれども、この相当数がブラジルから来ている方でございます。したがいまして、まず第一にブラジルのサンパウロに。現地相談事務所をつくりまして、就労経路の適正化を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。
#123
○中西珠子君 悪質なブローカーなどにひっかけられて来る人が随分多いらしいんですが、そういったことに対してはどのような予防策をこの窓口でおとりになるわけですか。
#124
○政府委員(若林之矩君) まず、この相談窓口ができました場合には、我が国でそういう日系南米人の方を雇用したいという事業主の方、こういう方につきましては、現在いろいろ研修会などを開催いたしまして、日系南米人の方を雇う場合のいろんな注意なども勉強していただいておりますけれども、安定所でそういう求人を受け付けまして、その求人をチェックいたします。そして、現在ございます上野のサービスセンターを通じまして、これを現地の相談事務所に送るということでございます。したがいまして、チェック済みの求人を現地に送りまして、それに基づきまして御相談をするということを考えております。
 それから、やはり現地の方は日本の雇用慣行でございますとか、生活慣行でございますとか、あるいは日本の労働法の状況とか、こういったものは御存じないわけでございますので、こういった点につきましてもできるだけ窓口でPRをし、御相談にも乗る、こういったこともしていきたい、こういう構想で準備を進めているところでございます。現地といろいろと折衝等も必要であろうと思いますので、円滑に進むように努力していきたいと思っております。
#125
○中西珠子君 経済が非常に下降ぎみになってまいりまして、こういう日系のブラジルの人とかアルゼンチン、ペルーその他の人たちの雇用機会が非常に減ってきたということが言えるのではないか、そういう報道もございますね。それで、悪質なブローカーに連れられてきて、経済が非常にブームの間は何とか働けたけれども、今度は首切りされちゃってどうしたらいいかわからないとか、そういうふうな人たちも多いと思うのでございますが、上野にございますサービスコーナーでは就職口というのは依然としてたくさんあるわけですか。
#126
○政府委員(若林之矩君) 現在上野のセンターには、こういった経済の調整過程の中で来所の方がふえておりまして、大体一日五十人来所されて、電話相談が三十件に上っております。やはりそういう中にいろいろと事業所とのトラブルのケースもございますのと、契約の更新ができないというようなケースも最近は少しずつ出てきております。私ども、そういう方につきましては一生懸命就職のお世話をしておりますが、最近はやはりこういう局面でございますので、日系南米人の方に対する求人が徐々に減ってきております。しかし、まだ求人もございますのと、全国の安定所とネットワークを組んでおりますものですから、求職に来られた方につきましては、私どもできる限りのお世話をしていきたいというふうに思っております。
#127
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御案内のように、一般の海外からの単純労働者は就労を認めないわけでございますけれども、庁系の方々については単純労働者といえども雇用機会を与えるということになっております。それは考えるにプラスの面ですけれども、また私も実はあそこの上野のセンターへ参りまして若いブラジル、ペルーの人と話をしたんだけれども、率直に言いまして、単純労働者で入っているのがいいのかどうか。例えば、お話しのような景気が悪くなると最初に首を切られちゃうという問題もあるわけです。ですから、私は実は単純労働者を入れることが得となるかどうかということを考えなきゃならないと個人的に思っておりまして、せっかく若い人が来るなら、一つは日本語と、あと基礎的な研修をやった後でしかるべき仕事につかれる、そうすれば仮に景気が悪くなったって、何も手に職がないんだから一番最初に首だということにはならないで済むようになる。
 実は私は、この間ペルーの大統領が来られたときにも、一緒に宮中で呼ばれたものですから雑談する機会がございまして、フジモリ大統領にも、私はこう思いますよ、日系の方々来てもいいけれども、せっかくいらっしゃるなら日本語と、それから訓練をされてお仕事につかれるということの方が御本人のためにも帰られてもプラスじゃないでしょうかということを申し上げたら、フジモリ大統領も、それは労働大臣の考え方は私もよくわかります、考えます、こういうお話でございました。そんなことでございますので、これは内部でまたいろいろ検討しなければならないことだと思いますけれども、せっかく来るなら、ペルー、ブラジルの日系だからといってただいらっしゃいということが必ずしもいいのかどうかと私は個人的には考えております。
#128
○中西珠子君 大臣の微意見ごもっともと思います。
 外国人基礎技能の研修生受け入れ事業、百人おふやしになるそうですけれども、この中には日系の人は入っていないわけですね。
#129
○政府委員(松本邦宏君) 御指摘の研修には日系人は入っておりません。
#130
○中西珠子君 そうすると、大臣のお考えは別枠でまたやらなければいけないということになりますでしょうか。現地でやってきた方がいいとお考えですか。
#131
○国務大臣(近藤鉄雄君) これまでは、一般の外人は訓練をした人しか入れないということで、ペルーとブラジルの日系は別だ、こういうことだったんですけれども、私が申し上げたいことは、単純労働で来られることが本当にその方々にとって得かどうかということを将来にわたって考えた場合に、再考に値するのではないか、こういうことでございます。
#132
○中西珠子君 それでは、国際貢献の問題はさておきまして、人口の高齢化がどんどん進んで、年齢別め有効求人倍率というのは非常に低うございまして、六十歳−六十四歳は〇・二三、六十五歳以上が〇・六、こういう状況でございますが、継続雇用制度導入奨励金、それは前からあるんですが、継続雇用移行準備奨励金、これを新しくお始めになるわけですね。この二つの違いはどういうところにあるんでしょうか。
 継続雇用制度導入奨励金の方は、平成二年度の予算は半分以下しか消化されていないわけですね。三年度はわかりませんけれども、四年度にもずっと引き続き三年度よりも多く予算要求をなすっております。それで、継続雇用移行準備奨励金の方は新たに予算要求をなすっているわけでございますけれども、とにかく予算の消化率が半分以下というところで、それでこれは周知徹底が足りないのか、どういう理由なのかよくわかりませんけれども、労働省の方ではどのようにこれを受けとめていらっしゃいますか。そしてまた、新たにお始めになる、これにつきましてはどのようにして実施なさるおつもりなのですか。
#133
○政府委員(若林之矩君) 継続雇用奨励金は、六十歳定年の制度があります企業がさらに六十五歳までの間の継続雇用制度を新しく導入いたします場合にその奨励金として出すものでございます。
 御指摘のとおりの活用状況でございますけれども、私ども各企業に六十五歳までの継続雇用を強力にお願いをしているところでございます。これからの大きな課題でございます。そして、逐次そういった制度が導入されてまいりますので、この制度の活用状況は年々上がってきておるところでございまして、その消化と申しますよりも、まず制度をつくっていただくことが大事でございますので、私ども一層そういった指導を続けてまいりたいと思っておりますが、こういった継続雇用制度がございます場合でも、六十歳定年になりまして、ある意味では一つの区切りのついたところで少しリフレッシュしたいというような希望をお持ちの方が多いわけでございます。そういったようなニーズがございます。一遍心身の準備をした上で再び働きたい、こういうような希望を持っていらっしゃる方が多くいるということがわかっておりますので、私どもといたしましては、定年到達者に対しまして、定年時にその後の継続雇用に向けまして準備期間を与える事業主に対しまして助成をする、そういう制度を創設しようというものでございまして、これがただいまおっしゃいました、長い名前でございますけれども継続雇用移行準備奨励金という制度でございます。
 この制度は、六十歳の定年制を有しまして、かつ六十歳以上の継続雇用制度を有します企業の事業主が、定年到達者に定年前後各一年間に継続雇用に向けました一カ月以上の有給の準備期間を与えました場合に、その事業主に対しまして制度を利用した高年齢者の人数と期間に応じまして助成をしようというものでございまして、一般被保険者の場合でございますと一人一カ月当たり六万円、これを三カ月を限度として支給しよう、こういう制度でございます。
#134
○中西珠子君 継続雇用制度導入奨励金の方を制度としてつくってもらい、そしてこの奨励金を与えるというやり方は今どのようになすっているんですか。それができているところにこのリフレッシュをするための継続雇用移行準備奨励金をお出しになるわけでしょう。だから、初めにどういうふうに企業にアプローチしてどのように奨励をなすっているのか。
#135
○政府委員(若林之矩君) これは、継続雇用奨励金というのはそういう新しい制度をつくっていただくものでございます。ですから……
#136
○中西珠子君 つくっていただくのにどのように企業にアプローチなさるんですか。同じ業者の組合のようなものを呼んでそこでお話をなさるか、それとも個別にアプローチなさっているのか、今はどのようになすっているのか。平成二年度は半分以下しか使っていないですよね。消化が大変悪いわけですね。それで三年度はまだ出ていませんね、平成三年度の予算は出ているけれども。年々ふえているとおっしゃいましたけれども、どのようにアプローチしてどのようにこれをつくらせていらっしゃるか。これは大変いい制度だと私は思うんですよ。有効求人倍率も六十から六十四歳までは〇・二三なんて本当に低いんですね。年をとってもまだまだ働ける能力を持った人、また体力もある方、そして意欲もある方がいい仕事がなくて困っているわけですから、同じ企業で継続雇用ができればそれはもうそれにこしたことがないんですね。
 ですから、これは大変いい制度だと思って、それでなぜ消化率がこんなに低いのか、こう私は思っているわけだから、どのようなアプローチをなすっているか。また、周知徹底が足りないのではないかというふうな考えてお聞きしているわけでございますので、事実、どのようなアプローチをなすってこれを広めていらっしゃるのか。継続雇用制度があるところにリフレッシュする新しい継続雇用移行準備奨励金をお出しになるわけでしょう。そうすると、もともと前から、平成二年からあるものをどのようにしてアプローチして広げていらしたかということをお聞きしたいわけです。
#137
○政府委員(若林之矩君) まず、私どもは平成五年度までに六十歳定年を完全定着させるということを第一課題にして現在進めておるわけでございまして、これは着実に進んでいるというふうに考えております。
 こういうような定年制がてきたところに対しまして、これまでこういった制度がありますので継続雇用をつくっていただきたいということをPRしてまいりましたが、これからはいよいよ六十五歳までの継続雇用、再雇用制度を定着させるということが大きな課題になってまいります。これからは、まず六十歳定年ができております大企業のところは大体六十歳定年が定着してきておりますので、こういうところを中心にいたしまして、こういうところで継続雇用制度のないところに個別にお願いをしていくということを進めてまいりたいというふうに考えております。
#138
○中西珠子君 ありがとうございました。
 終わります。
#139
○山中郁子君 初めに、労災隠しの問題についてお尋ねいたします。
 これは、労働省の労働基準局長名で昨年の十二月五日に出された都道府県労働基準局長あての、「いわゆる労災かくしの排除について」と銘打たれました通達でございます。これは、やはりこういう言葉を使って通達が出されるということはかなり労災隠しか目に余るものがあるという実態を反映していると思いますが、このような通達がどうして出され、そしてその背景にはどういうものがあって、さらにその通達の趣旨とするものはどういうものであるか。あるいはこうした種類の通達は、私は過去に出されたことはないというふうに認識していますけれども、それはどうであったかを初めにお伺いいたします。
#140
○政府委員(佐藤勝美君) ただいま先生が申されました通達の内容等についてでございますが、御承知のように労働安全衛生法の百条に基づきまして規則で、労働者が労働災害等によって死亡あるいは休業したときは、事業者が遅滞なく監督署に死傷病報告を出さなければならない、こういうことになっているわけですが、いわゆる労災隠しと言われておりますものは、労働災害の発生事実を故意に隠す目的でこの労働者死傷病報告書の提出を行わない音あるいはまた提出をいたしましても虚偽の発生事実を記載して提出する者を言うのであるというふうに私どもは考えております。
 これの対策のための通達を昨年の十二月に出したわけでございますけれども、最近、先ほど私が申し上げましたような意味での労災隠しか行われている事実があるという指摘がいろんな機会に出されている状況が見受けられたわけでございます。もちろん労働基準監督機関としましては、このような労災隠しか横行するといいますか、多く行なわれるというようなことでありますと、労働基準行政の重要な柱であります労働災害防止対策を推進する上で大変な障害になるという可能性がございますので一その排除に徹底を期する必要があるということでこのような通達を出したわけでございます。それが昨年の十二月でございます。
 この通達の内容でございますけれども、労働基準監督官によります臨検監督あるいは集団指導等あらゆる機会を通じまして事業主等に対しまして労働者死傷病報告書の提出を適正に行うように指導をまず徹底する。それから、死傷病報告書が提出されました場合に、その内容について虚偽の記載がないかどうかについて十分審査をする。そのことによって労災隠し事案の発見に努める。また、万一労災隠しの存在が明らかとなった場合には、その再発防止の徹底を図るために厳正な措置を講ずるというようなことをこの通達では書いてあるわけでございます。もちろん、このような通達がなくても、もともと法令上義務づけられた報告をしないあるいは虚偽の報告をするということは違法なことなので許されることではございませんけれども、特にこういう通達を出しましたのは、そういう事例が最近非常に目立つということが方々で指摘をされているということによるものでございます。
 私ども労働基準監督機関といたしましては、今後とも労災隠しか行われないように的確な監督指導を実施するというようなこと、それから万一そのような事例を発見した場合には厳正に対処するということで、労災隠しか行われないように努めてまいる所存でございます。
#141
○山中郁子君 今の御答弁にもありましたけれども、とにかく労災を隠そうとする要求が企業の側にあるわけですよね、現場に、それでなぜ労災を隠そうとするかということはどのように認識されているか、ちょっとお伺いしたいんです。
 労災あるいは職業病なんかもずっと減ってきている数字はあるんですけれども、死亡事故自体は減る数字が出てこないと、私は数字を見せていただいたときにそういうふうに思ったんですけれども、それもやはり労災隠しと関係があるというふうに思っていますけれども、これはどの辺に大きな原因があるというふうにお思いでしょうか。認識されているでしょうか。
#142
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまの御質問、二つ中身があると思います。一つは労働災害の件数の問題、それからもう一つは労災隠しかなぜ行われるかということであろうかと思います。
 一つは労災事故が減少しているというのは、昭和四十年代の中ごろからほぼ一貫して労働災害全体の件数が減ってきているわけでございます。これはやはり対策がとられてきたこと、あるいは労使に対するそういう点の啓発、労働災害の防止についての認識が深まったということが原因でございますけれども、その中で死亡災害がこの三、四年といいますか五年ぐらいをとってみますとほぼ一進一退で余り減らないという実態でございます。
 これはなぜかということなんですが、災害原因別の労働災害の態様を見てみますと、最近交通事故とかそれから転落、墜落あるいは機械等に巻き込まれるといった、一たん起きますと死亡に直結することの多いタイプの災害が減っていないということでございます。そういうことで全体の災害が減る中で死亡災害が減っていないということが一つ言えるわけでございます。
 それから、労災隠しはなぜ行われるかということでございますが、これはいろんなことが考えられますけれども、労働災害が起きたというようなことになりますと企業のイメージが悪くなるというようなこともございましょうし、あるいは労災保険制度の保険料率の算定に当たってのメリット制ということで経済的な問題を考えるということもありましょうし、あるいは下請の場合に元請のことにも配慮をするといったようないろんなことがあろうかというふうに考えております。
#143
○山中郁子君 よく無災害記録何千時間だとか何千日だとかとわっと大きく張り出しているけれども、その内実を詳しく見ると相当な労災隠しかあるわけです。だから一つは、それは本質的な意味で企業イメージのアップじゃなくて、だましていることになるわけです。そういう労災があるにもかかわらずそれを隠して、それで我が社は労災無事故何千時間とか何千日とか、こういうこと自体が企業のモラルが問われるものなんです。
 今局長が御答弁なさいましたもう一つの点、つまり保険料率の問題その他のいわゆるメリット制というふうに言われておりますけれども、労働保険徴収法に言うところの特典ですね。この問題は企業イメージアップの問題と紙の表裏の関係だと思うんですけれども、それによって経済的な利益があるわけでしょう、労災が少なくなれば、減らせば。そこが私はやはり非常に大きな一つの動機というんですか、労災隠しというそういうものの動機になっているし、現実にも私はそれは否定できないと思います。
 したがいまして、この労働保険徴収法で言うところのメリット制、つまり特典ですね、これを考え直していくということが必要じゃないかと私は思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。大里の御見解も伺っておきたいところなんです。
#144
○政府委員(佐藤勝美君) 一つは無災害表彰の問題でございまして、これは御指摘のように、続いてきた無災害記録を中断させるのは残念というようなことで隠す事例はときどきあるわけでございますが、そういうようなことで昨年十二月に出しました先ほどの通達におきましても無災害表彰内規を改正いたしまして、無災害表彰を受けた事業場で労災隠しか発見をされた場合にはその表彰状を返していただくというようなこともしております。
 それからもう一つ、労働保険徴収法に基づきます労災保険料のメリット制の問題でございますが、このメリット制はやはり労働災害を減らす、あるいは減らす努力をして、それが結果にあらわれた事業場につきまして保険料率の軽減を図るということで、本質的にはこれは労働災害防止への努力を刺激する制度であるわけでございます。しかしながら、これが逆に労災隠しの動機になるというようなこともちょっと考えますとあり得ることのようではあるんですけれども、私どもはやはりこのメリット制によります労働災害防止努力の刺激という方を重視したいと思っておりますのと、それからこのメリット制の適用を受ける事業場でもし労災隠しか明らかになりました場合には、その事業場にかかわります収支率の再計算を行いまして、必要に応じまして還付金の回収を行うというようなことで、労災隠しを行ったために経済的な利益を得るということがないような方法を今とっておるところでございます。私は、こういう方法をとることの方がやはり災害の防止、それから労災隠しの防止につながるのではないかというふうに考えているところでございます。
#145
○国務大臣(近藤鉄雄君) もう言うことはございませんが、労災隠しというのは大変遺憾なことでございますので、こういったことがないように指導すると同時に、そういったことが明らかになった場合にはやはり労働省としては厳正に臨む、こういうことでなければならないと思います。
#146
○山中郁子君 労災をなくすという、そういう趣旨のものが逆に労災を隠すというものになってきている現実については労働省もお認めになっていらっしゃるわけですので、私は今ここで短い時間でそのことを決着する論争をしようとは思いませんけれども、問題提起としてお受けとめいただきまして、御答弁のようにとにかく本当の意味での労災をなくすということにはどういうふうにアプローチしたらいいのかということについては御検討いただきたい。
 次に、過労死の問題について二、三お伺いいたします。
 一つは、最近の社会状況の変化、職業環境の変化によりまして、脳障害だとかあるいは心臓疾患などが労災ないしは職業病、そうしたものの対象になるということは医学界の研究なんかも進んで常識的なものとなっています。しかし、労働基準法の施行規則で一つ一つ対象の労働災害が出ているわけですけれども、やはりこういう脳血管障害それから心臓障害、これが現代の変化による代表的な二つの病気だというふうに言われていますけれども、そのほかにもぜんそくだとかストレスによる神経障害だとかいろいろあります。こういうものもやはり明記して、そして過労死に至るような悲劇にならないような形できちんと労働者の保護、健康を守っていくという、そういうふうに法整備を図っていく時期ではないかと考えていますけれども、基本的なお考えをお伺いいたします。
#147
○政府委員(佐藤勝美君) まず、医学的な知見の問題といたしまして、いわゆる過労死と言われているもののほとんどは脳出血とか心筋梗塞といった心疾患、脳疾患の基礎疾患が悪化をしたケースでございますけれども、そういった基礎疾患の悪化と、それから業務といいますか、職業上の活動がどういうふうに関係をするのかというそのあたりについては医学上め定見は現在ないわけでございます。
 一方におきまして、先生今申されました労災の種類の問題でございますけれども、これは業務上の原因と、それからその結果として生ずるところの負傷なり疾病との間の因果関係が医学的に確立しておりますものにつきましては、御承知のように基準法施行規則の別表ではっきり書いておるわけでございます。ところが、いわゆる過労死というものにつきましては、先ほど申しましたように、業務とそのよって来る疾病との因果関係がはっきりいたしませんために、「その他業務に起因することの明らかな疾病」という項目の中で判断をする、こういうことにいたしているわけでございます。したがって、現段階でいわゆる過労死と言われるものを職業病の一つとして明確な形で規定をするという段階にはないものというふうに思っております。
#148
○山中郁子君 やはり今業務外として認定された死亡、それが裁判なんかでひっくり返ってこれは業務上のいわゆる今言われている過労死だということで判決が出ているケースがあるわけです。私は、労働行政が、例えば裁判で決着がつくのがうんと重なっていかなければそれを認めないようなおくれをとったものではなくて、むしろ先取りして労働者、勤労者の健康と生命を守るという、そういう立場にしっかりとお立ちになるべきだというように考えております。
 それで、現在過労死がどんなふうに社会的なあるいは国際的な問題になっているかということは、大臣も御承知のように、先日私予算委員会の質問で取り上げて、総理大臣からも積極的にその問題については考えていくという、そういう長時間労働と関連して御答弁をいただいたところなんです。ですから、ぜひ最低今の認定のさまざまな基準、今局長が答弁されたこともその中身の一つになるんですけれども、そういう基準について、業務外と認定したものが裁判で業務上だというふうに、そういうふうにひっくり返って過労死が認められているという事実が現実にある以上、その問題について積極的に勤労者の、日本国民の命と健康を守る立場で労働省が行政上の認定基準についての積極的な検討、見直しを図っていくという、ごく基本的なスタンスで私はきょうのところは論争はそれ以上踏み込まない、踏み込む条件もございませんからそのつもりでおりますけれども、ここのところはひとつ大臣から積極的な御答弁をいただきたいところなんです。
#149
○政府委員(佐藤勝美君) 大臣の前にちょっと一言だけ。
 いわゆる過労死といいますか、脳心疾患の業務上であるかないかの判断の基準でございますけれども、これにつきましては多くの医学者によります医学的な知見を踏まえて策定をされたものでございまして、私どもとしてはこれは現在の段階で非常に適当なものであると思っております。ただ、事実関係とそれからこの基準とを突き合わせて適用いたします場合に、適切な運営ができるようになお一層努力をいたしたいと思っております。
 それから、行政機関でやりました判断が裁判で覆される例が若干ございますけれども、そういったものの中身もよく見まして、果たしてその事実認定あるいは事実調査が十分行われていたのかどうかということにつきましては絶えず反省をいたしまして、今後基準の運用につきまして遺漏のないようにしてまいりたいと思っております。
#150
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今局長が言ったことに尽きるわけでございますけれども、基準自体は専門家が慎重に検討されてつくられたことでございますので私は妥当なものであると考えております。ただ、その前の長時間労働だとか労働条件がどうだこうだ、いろんな判断が多少分かれて、そして先生御指摘のような裁判の判決が出たのかなというふうに思いますけれども、これはいろいろ判断の分かれるところでございますが、認定基準自体は私は医学的な十分な検討の上にできたものである、かように考えております。
#151
○山中郁子君 機会を得て、その認定基準がいかに不合理なものがあるしまた時代おくれのものがあるかということについては詰めなければならないと思います。今できないことは大変残念です。
 あなた方のおっしゃるのは、基準に不都合はないけれども適用に誤りがもしあったとしたらそれは反省もしまた注意もしなきゃいかぬ、こういうことに尽きるわけですよね。裁判なんかで業務外だと認定したものがひっくり返る場合にはそれは適用上の誤りがあったのかもしれないから、こういうお話で、私が申し上げているのは、そういうこともあり得もでしょう、大いにあります。だけれども、認定基準そのものにいろいろな問題があるということを私は、今国際的に国内的に大きな問題になっている過労死をめぐる実態を本当に率直に素直にとらえ、そして正確にとらえるならば、そこのところに目を向けていかなければ大変おくれた行政にならざるを得ないということだけ改めてもう一度指摘をして、しかるべき機会を得たいと思います。
 それから、もう一つ過労死の問題につきまして、行政処分に不服を唱えて再審査を請求する場合に、その死亡した労働者の遺族が過重な労働状態であったことを証明しなければならないということに手続上なっているんですね。これがいろんな点で非常に困難なんです。しかし、この手続自体に今私は踏み込んで議論するつもりはないのですが、どういうことかといいますと、企業側がやはりこういうものを、例えば出勤簿だとかあるいはタイムレコーダーの資料にしろあるいはオーバーワークの記録にしろ、そういうものを協力しないんですよ、非協力的で。いろんなそうでないところもありますよ、だけれども悪質なところでは改ざんしたりあるいは隠して出さなかったりということで、本当に私はこれは死者にむちうつことだと思うんですけれども、そういう点では資料提出義務を企業に課すべきだと思いますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。
#152
○政府委員(佐藤勝美君) まず、最初の手続としまして、労災請求をされる場合には請求書を監督署に出していただくわけでございますけれども、その場合に災害発生の状況とかあるいは被災労働者の被災前の状況を詳細に調査するのは監督署の方でございます。必要によって医学的な証拠を集める、あるいは専門医による意見聴取を行うというようなことで監督署がまず第一義的に因果関係を判断するわけでございます。それによって、業務上であるかあるいは業務外であるかの決定をいたすわけでございますが、そういう意味におきましては、災害の発生状況等の事実関係を出していただくということなので、これは業務上であったかどうかを証明するというのは第一義的には被災労働者あるいはその遺族にあるわけではないわけでございます。
 今先生が、事業主がその資料の提出について非協力である、あるいは甚だしきはその資料を改ざんするような例があるというようなことを言われました。ここでそういった具体的な事例について承知はしておらないんですが、そういうこともあるのかなという気がいたしますけれども、ただ監督署としましては職権をもってそういう調査をすることができますので、そういう御指摘もございましたから、なお今言われたような事業主の非協力であるとかあるいは資料を改ざんするというようなことによって事実の判断ができないという事態のないように、さらに一層努力をしたいと思っております。
#153
○山中郁子君 何かそういうこともあるかななんて、そんなのんきな状態じゃないんですよ。やたらいっぱいそういうことがあるんです。それで亡くなった人の家族の方たちが本当に苦しんでいるのよね。だから、もうちょっと血の通った――私に答弁してくれるのを血の通った答弁してくれという意味じゃない、本当に働いている人たちに、そして亡くなって本当に悲しんで苦しんでいる遺族の人たちのその願いをもっとちゃんと耳を傾けて聞いて、血の通った行政というものを考えてほしい。私は、毎回そんなことを言うのは嫌だから、もう毎回言っていなきゃならないというのは本当に残念だと思うんですけれども、労働省というのは本当に何のためにあるのかということは設置法をもう一度一からよく読んでくれ、こう言いたい。そのことを大臣も含めて政治の問題として受けとめられるよう重ねてきつく申し上げておきます。
 次に、前回住友生命の雇用機会均等法によるところの調停申請の問題についてお伺いしまして、私の記憶によれば、申請が出たばかりなので内容について十分精査して公正に対処するようにしたいという御趣旨の御答弁がありました。何らかの進展があれば、それについて把握していらっしゃることがあればお伺いしたいと存じますけれども、あわせてこの問題は、労働省側から調停申請があれば調停を行うようにするというふうにしなければ、この部分が機能してこないんですね。
 これは、婦人局長よく御存じのところなわけなんだけれども、雇用機会均等法の議論の中でもいろいろ議論があった一つです。労働者が調停を申請しても結局両者がそれについて、相手も申請しなければ調停を受けられない、申請が受け入れられないということはやはりこれは法の欠陥だと思いますし不備だと思いますし、ほかにもたくさん不備はあるけれども、具体的にこの調停が機能しないという事態が今一つ出てきているわけなので、ぜひこの点については検討をするべきではないかということをあわせて御答弁いただきたい。
#154
○政府委員(松原亘子君) 御質問の最初の点でございますけれども、あれから約一カ月たってはおりますけれども、現在大阪の婦人少年室において労使双方からいろいろ御事情を伺いながら事実関係を明らかにしているという段階でございます。この一カ月間の推移ということで経過はございますけれども、まだ申し上げられるような状況にはなっていないということでございます。
 それから、第二点目の調停申請についての他方当事者の同意の件でございます。
 これは先生もおっしゃいましたように、機会均等法の審議のときからいろいろ御議論があったことでございます。ただ、私どもがこういうことに案としてさせていただき、最終的にああいう法律が成立したということは、調停といいますのは、紛争の当事者間に第三者が関与して当事者がお互いに譲り合うという精神で紛争を現実的に解決していこうというものでございます。そういうことから、両当事者の任意による話し合いを進めるということが基本になっていますから、実際に調停を行うことについて双方の同意がなければ実際上は調停そのものが成立しないということから、双方が申請するか、または一方が申請の場合には他方当事者の同意が必要ということにしたわけでございます。
 私どもは、必ずしもこういうことがあることによってこれが機能していないというふうには考えておらないというところでございます。
#155
○山中郁子君 もう一点は、よく御承知のところですけれども、最近幾つかの点で男女差別の問題、つまり雇用機会均等法が趣旨とするところのものです。その男女差別の問題で裁判で訴えた側が、つまり女性労働者が勝利をするという判決が出てきております。例えば支払い金の賃金差別、昇格、昇給差別の問題、これは東京高裁の判決です。それから仙台高裁の判決で、岩手銀行の家族手当の男女差別の問題、それも原告の側の、つまり女性労働者の側の勝利で高裁判決が出ています。
 私は、やはり雇用機会均等法がそういう差別があってはならないというところで一生懸命国際婦人年、国連婦人の十年を契機にしてつくり上げられ、多くのやはり議論を呼びながら、問題点がたくさんあって私どももさまざまな点で意見も申し上げてきましたけれども、その基本とするところの男女平等がこのように機能してないというところは、やはりこれも当時の法成立の過程での議論でありました罰則がないという問題に一つ象徴的にあらわれていると言って私はいいと思います。
 そういう点で、先ほどの調停申請の問題に関して、機能しているのかしてないのかということについては局長にも別のお考えがあるような御答弁がございましたけれども、細かいことには今入れませんが、いずれにいたしましても本当に男女平等、差別をなくすということの上で、雇用機会均等法が機能していく上での罰則をつくる、あるいは先ほどの件で言うならば労働者側の申請によって調停が行われるというように問題点が改善され、この附則の中に見直しの問題が若干入って、これも議論になったところなんですけれども、少なくとも今施行してみて、実施してみてそういう問題が出てきているのだから、だからそのことについての積極的な実際の男女平等を実現していく、法律として機能させていくための今申し上げました点を含めた考え方で積極的に対応されるべきではないかと考えていますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
#156
○政府委員(松原亘子君) 最初に罰則のことを先生おっしゃいましたけれども、男女雇用機会均等法案審議のときも政府提案のこういう法律では実効が上がらないのではないかというような御議論はさまざまございました。その中に罰則をつけるべきではないかという御議論もあったわけでございます。
 実際にこの法律が成立し、施行して丸六年たったわけでございますけれども、この六年間の推移を見てみますと、当初そういうことで御批判もありましたけれども、実際にはふたをあけてみますと、この法律が成立したということによって世の中の女子労働者に対する見方というのは大きく変わったのではないかというふうに思っております。男女差別はいけないんだということは社会的にも広い認識として定着しつつあるというふうに思いますし、女子労働者自身も職業意識を高め、積極的に企業の中で能力を発揮していこうという機運というのは、手前みそで恐縮ですけれども、機会均等法が成立したということは非常に大きなやっぱり役割があったというふうに思っているわけでございます。
 もちろん、見直し規定が入ったということも私どもは承知はいたしておりますし、法律なりそれに基づく規則ですとか指針、均等法に基づくもの、そういうものがございますけれども、こういったものについてはもちろんその後の変化といいますか、施行状況を見ながら、企業の雇用管理の実態がどうなっているか、女性の職業意識等がどうなっているかということを勘案しながら検討していかなければいけないというふうには思っております。ただ、それがすなわち法律の改正だということには直ちにはならないのではないか。いろんな方策があるはずでございまして、実態を踏まえながら有効な機会均等を定着させるための政策というものを検討していくべきだというふうに考えているところでございます。
#157
○山中郁子君 私も雇用機会均等法は何の役にも立っていないというような立場に立っているものではございません。それにしても、雇用機会均等法で言うところの女性の責任ある部署への進出なども含めて、労働省の幹部の皆さんの中が一番そういう点では先進的な状況をつくり出されていらのしゃるわけですので、皮肉を言っているわけじゃありませんけれども、婦人局長などとももう少し真に女性の立場に立った実効ある雇用機会均等法にしていくための、もっと本質的な議論ができれば大変うれしいことだという思いを強くしております。
 育児休業について一点お伺いする予定でおりましたが、時間が参りましたので後の機会に譲らせていただきます。
 終わります。
#158
○笹野貞子君 「官界」という雑誌の四月号の中で大臣のインタビューとして、「ゆとりある豊かな勤労生活をめざして」というインタビューの記事を大変意義深く熟読させていただきました。このインタビューの中での最後の部分で大臣はこう語っておられます。
 政策の究極の目標は働いている勤労者国民が去年よりは今年、どれだけよくなったか、先月より今月、どれだけよくなったかということです。それが政治の最終目的ですから、そう考えると、労働大臣というのは非常に大事なポストだなと思うのです。労働省で皆に激励しているのですよ、これまで以上にもっともっと誇りと自信を持ってやろうと。
こういうくだりがありまして、私はこれ読みまして、本当に大臣はやる気満々、とてもすばらしい大臣だと、こう思っているわけです。しかし、大臣がもっともっと誇りを持ってやると言いましても、やっぱりそれも裏づける予算がなければ大臣も多分動きがとれないだろうというふうに思います。
 そこで、きょうはちょっと日本の労働省の予算のことをお聞きしたいというふうに思っております。
 大変雑な数字で申しわけないのですけれども、他の外国の予算をちょっと見てみました。これを数字を挙げて一々やりますと時間をとりますので、本当に雑ですけれども、つまり全予算における労働関係のパーセントだけをとって見ますと、アメリカでは三・三%、イギリスでは一・八六%、ドイツ七・九九%、フランス五・二三%という、そういうパーセントになっております。これは本来でしたら一々分析するといいのですけれども、丸い数字でこういうつまり諸外国の予算を見て我が国の労働省予算を見ますと、一般会計で見ますと〇・六七%という非常に極端に少ない比率になっているわけです。特別会計を見ますと、これは相当大きな額ですけれども、しかし大臣がいろんな仕事をやるとするならば、この一般会計というのが非常に問題になってくるわけです。
 そこで、私はこういう少ない予算で大臣がせっかく意欲を燃やしたとしても一般会計における政策が硬直化してしまいはしないかという不安が一つと、それからことし雇用保険法が改正されまして、つまり特別会計の方の予算も削られてしまった。そうすると、この特別会計の予算が少なくなるということは、一般会計の方の予算にも影響はしないだろうかという大変危惧を持っているんですけれども、その点、大臣ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#159
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに先生おっしゃるように、また私もそういうことを内部で話をしているわけでありますが、労働行政というのは現下の最も重要な行政であると、かように考えて省を挙げて頑張っているわけでございます。予算について具体の数字を挙げて御指摘がございました。私もうっかりして、全体の予算の中で労働省予算が何%かという数字を実は今持ってないわけでございますけれども、先生の御指摘の各国との比較でひょっとしたら少ないかもしれませんが、ただこれは何をやっているかということとの相対的な関係でございまして一私も大臣になって日が浅いわけでございますが、各項目を見てそれなりに必要最小限度の予算的な措置は講じているんじゃないか。ただ、各省とも御案内のようにマイナスシーリングでずっと減らされてきておりますし、これはもう各省について言えることでございますが、一般政策費的なものが特に減らされておりますが、その中ではいろいろ省内努力をして、いい予算ではないかと思うわけであります。
 雇用保険の問題については、料率を下げてどうだというお話でございますけれども、これは御案内のように、積み立ての類とそれから年間の収入との比率が二倍を超えるという状況で料率の改定をしよう。そこで、労働者の払う分と企業の払う分と、そして国の三位一体で会計を支えてきておりますので、国の負担についても減額をいたしました、こういうことでございます。そのこと自体は、雇用保険の会計で行っている従来の施策がいろいろな障害を受けるということでは必ずしもないので、従来のやることをやりながらなおかつ全体としての負担の軽減を図ったと、こういうふうに御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#160
○笹野貞子君 料率を下げたのと、それに伴う四分の一から五分の一になったという、予算のカットですね、これは非常に私も危惧をしておりますので、その点は大臣、やっぱりいい仕事をするためにはお金がたくさんなければいい仕事もできませんので、どうぞ予算獲得のために頑張っていただきたいと私の方から激励を反対にさせていただきたいというふうに思います。
 さて、大臣のこのインタビューの中で大変興味のある言葉が幾つかあるんですね。それはこう書いています。「毎年の春闘はその時々の景気の状況を反映する形になっていますが、私は今回の春闘は違った形にしていただきたいと思うのです。」という、この「違った形」というところが大変私は興味を持った一つなんです。そこで、特に私は連合の出身ですから、春闘についてのお尋ねを二、三したいというふうに思っております。
 大臣のこのインタビューの中で、「賃金とか労働時間は、これまでは産業発展や会社の経営状況とかの従属変数だったと思うのですが、労働時間等の勤労条件はこれからは独立変数にしなければならない」と、こういう言葉を使っております。この「独立変数」というのは私たち働く者にとっては大変ありがたい言葉で、今度の春闘では大臣は組合の方にエールを送っていただいているんじゃないかというふうにさえこの言葉は思えるわけです。
 そこで、この春闘についてお聞きしますけれども、今どんどんもう大手から妥結をしていっております。大臣は、金属労協の回答を見て、「いい意味でも悪い意味でも、企業内組合の特徴が出た。もう少し長期的、戦略的な発想があってもいいのではないか」という感想を述べられております。そこで、この大臣の独立変数論からしまして、ことしの春闘という、後から春闘の平均値をお聞きいたしますけれども、労働省でまとめた数値をお聞きいたしますけれども、まず総論として、大臣の独立変数論から見ることしの春闘についての御所見をひとつお伺いいたします。
#161
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は、これからは労働条件、労働時間、そして賃金も独立変数、こっちが先に決まると。従来は経済が発展し企業が利益を生む、そして賃金が上がる、労働時間を短縮させる、それで条件がよくなる、こういうことであったんではないか。それは、日本の経済の発展を考えれば当然そういうふうであるべきで、やっぱり産業が発展しなければ国民生活はよくなりませんから、だからそれでこれまで来て、それが成功されたと思うわけでありますが、今まさに日本の労働条件というのが単に国内問題であるだけでなしに国際問題になっている。もう世界各国が、一体日本人は幾ら働くんだ、何時間働くんだ、賃金はどうだと、従来も関心がなかったわけではありませんけれども、非常にいろんな、日米貿易から日本と海外との貿易収支の問題も含めて出てきておる。
 そこで、私が、これから新しい発想で申し上げたのは、今度は労働条件が決まって、そういう労働者の組み合わせでどういう経営を考えるか、そして、そういう経営が成り立つような産業を考えると。だから、従来は経済が、経営が先で労働事情が決まったといういわば段階から、今度はこっちを先に決めて、そして経営や産業構造を考えるという、そういう発想の転換が必要であるわけです。
 特に、私はこの中で強調したかったことは労働時間でございまして、私はよく言うんでありますけれども、我が宮澤内閣ぐらい労働時間短縮について熱心な内閣はないと、こう言っておるわけでありますけれども、単に内閣だけじゃなしに連合を初めとする労働組合の皆さんもそうであれば、経営者の方々も同じようなことをおっしゃっている。ですから、まず労働時間を短縮する。しかし、それはもう一挙に例えば二千時間から千八百時間というふうに下げるということは、端的に言って一割カットですからそれはすぐできない。そうすると千八百時間目標にしながら、例えば年間百時間ずつ減らしていくのか、五十時間減らしていくのか、こっちを先に決めて、そして五十時間なり百時間なり減らすためにはどういう経営を考える、どういう産業構造を考える、こういうことでひとつお考えいただきたい。それが私の労働条件、従属変数ではない労働時間独立変数論、こういうことを言ったわけでございます。
 そういう観点から、今度の春闘をはしょって申しますと、私は率直に言って非常な成功ではなかったかと思うわけであります。成功であって、そして具体的に労働時間についての話し合いがいつまでどうするんだという話がついたところもあれば、具体的話がつかなくてもそういう方向で労使の基本的な了解ができておると、こういう意味では私はすばらしいことじゃないかと、こう思うわけであります。
 ただ、賃金について私率直な感想を申し上げたのが新聞記事になっているわけでございますが、やはり、企業別組合と私が申し上げたのは、最終的には組合も企業の経営ということを考えて、景気が悪いときには無理なことは言えないなということで、労使双方で話し合って決められたということでありますから、それは企業別組合のいい面であり、片っ方で見ると多少企業内で話がまとまり過ぎちゃって食い足りないのかなというそういう御意見もある。そういうことをまとめていい意味でも悪い意味でも企業組合の特色が出た春闘がな。企業の採算というものを越えてという中でなしに、ある意味では内部での話し合いがついた春闘であったかなと、こういうふうに考えるわけでございます。
#162
○笹野貞子君 今の大臣のお話ですと、時短とかそういう問題では大臣の独立変数論はまあまあ達成されましたけれども、賃金の部分では大臣は悪い意味の方に入るというふうに受けとめても構わないわけですね。
#163
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは悪い意味ということじゃなしに、先生、いろんな条件は一つ一つ解決をしていく、こういうことでありますから、そういう点ではまず今度の春闘は労働時間については基本的な解決というか、方向をセットした、その上でさらに賃金についてはまたいろいろ話し合って、次のステップで考えられてもいいのかな、今回はやっぱり労働時間短縮ということがメインに労使の間で話し合いがついた。このことはすばらしいことであるというふうに私は評価しています。
#164
○笹野貞子君 それでは、労働省の方てづまり今度の春闘についての妥結水準というんですか、どのぐらいに見ているんでしょうか。
#165
○政府委員(清水傳雄君) これは、いろいろ今生での結果につきましては新聞報道等でも御承知のとおりでございますが、現在まだ春闘自体が終わっているわけじゃございませんし、自主的にそれぞれの産業、企業で交渉が継続中でございます。そういう段階の中で、その水準等の見通しにつきまして私どもの方から見解を申し述べさせていただくことはこれは差し控えさせていただきたい。この辺ひとつ御了解をお願い申し上げたいと思います。
 いずれにいたしましても、真剣に話し合いが行われて合理的にかつ円満な解決ができることを私どもとしては期待いたしているところでございます。
#166
○笹野貞子君 本来ならば大臣の独立変数論からするとこのぐらいのところが一番望ましいというようなところがあるとするならばそれをお聞きしたかったんですが、先を急ぎますので次に参ります。
 さて、大臣は、二月の七日だったと思います、これは私は報道で毎日新聞の二月の八日に見たのですけれども、今度の春闘の特徴というのは一つは時短の推進、そしてもう一つは時間外割り増し率の引き上げ、そして労働生産性と労働分配というこの議論が大きく、これは二十年越しですけれども、特に労働分配率の問題が大きく取り上げられてまいりました。このときに労働省独自の、つまりマクロ経済から、マクロ的な論議から見た労働生産性指数を公表しているわけですね。これは多分宮澤総理の、アメリカの労働者は労働倫理観が欠如しているというあの発言の後、大臣がこの表を持っていって、それでいかに日本の労働者の労働生産性が低いか、反対に言うとアメリカの方が高いかというその数字を持っていっておりますね。新聞で見ますと、日本を一〇〇とするとアメリカが一四一、ドイツが一〇八、フランスが一二〇、イギリスが一〇五というそういう表ですね。最も大きな開きがあるのが農林水産業で、アメリカが三一三、ドイツ一一一、フランス一九四、イギリスが一八九という数字をお示しになっておられます。
 私たち連合から見ますと、この二月七日という日付はまさにこれから春闘のたけなわに入る一番大切な時期なんですけれども、どうもこの表を見ると、我が国の労働者はアメリカの、諸外国の労働者に比べると生産能力が低いんじゃないかというようなことを言われているかのような感じさえいたします。
 そこで、大臣にお聞きいたしますけれども、二月七日にこの表を出したという真意はどの辺にあったのか、お聞かせください。
#167
○国務大臣(近藤鉄雄君) 我が国の労働生産性については従来からもいろいろ問題にされることがございますけれども、特にことしに入りましてからいわゆる櫻内議長の発言、そして宮澤総理の予算委員会における発言。宮澤総理が発言されたのは、前の通産大臣の武藤嘉文さんが、アメリカの労働者は働かない、しかも休み過ぎて、月曜と金曜の車は買っちゃだめと言った、そんな議論が前にあって、そういうときに総理の発言がある程度誤解もあり多少マスコミ的にオーバーに取り上げられて、そして国際問題になった。実は、私の友人というか、この間パリで会ってきましたアメリかのマーチン労務長官も、そんなことはない、アメリカの労働者の生産性は世界で最も高いんだということを発言している。
 そういう状況の中で、私の考えてこの勤労倫理観、ワークエシックスとかそういったものは、これはいろいろ主観的な問題もありますけれども、客観的に日本の労働者が欧米諸外国と比較して一体生産性はどのようなものであろうかということの計数を整理してみよう。そして同時に、いわゆる為替レートだけではなしに購買力で評価し直そう。ということは、仮に貨幣的な賃金が幾らであってもその使いではどうだというと、貨幣的な賃金が高くても購買力平価で計算し直すと思ったほど使いでがないということもあります。そういうことで、為替レートと購買力平価両方で全体はどうだ、それから産業の点でどうだ、しかも労働時間も考慮に入れて一時間当たりどうだと、こういうことで客観的なデータを提供していろいろ日本断の労働者の生産性についての不必要な誤解を避けることが労働問題を扱う官庁としては大事なしとかなと、こう思って急選データを集めさせ発表をさせたわけであります。国内的な配慮は全くなくて、むしろ国際的な関係の中で日本の労働者の生産性、その評価の仕方によって違うわけでありますから、それをある程度まとめて整理して国の内外に示すということで先表させたような次第でございます。
#168
○笹野貞子君 今の大臣のお話で言いますと、国内的なことは配慮せずに外国との比較という意味で二月七日という日だったというふうに御理解してよろしいんでしょうか。
#169
○国務大臣(近藤鉄雄君) たまたま総理が予算委員会で発言されて、これが一斉に外電に報道されて、そしてアメリカの有識者とかマスコミで相当騒がれたのがあれが二月の初めじゃなかったかと思うんですね。ですから、それを受けまして、無用な誤解を避けるためにできるだけ客観的な数字を発表したと。そして同時に、国内問題でなくと申し上げましたけれども、ややもすればアメリカの車を強引に買わされる、何だ、アメリカ人はよく働かないでそして高い物を日本に売りつけるじゃないか、けしからぬと、そういうような言い方をする人たちも我が国内ではいらっしゃるわけでありますから、そういう方々に対するやっぱり正確なデータを提供することも意味があるのではないかと、こういうことでございました。
#170
○笹野貞子君 まだまだお聞きしたいんですけれども、時間がなくなりますので、次に大臣にお尋ねいたします。
 これはいろいろ解説をつけると長くなるんですけれども、端的に言いまして、今度の春闘は、生産性基準原理ということが随分長らくにわたって企業者側の論理でした。ところが、企業の中でもこの議論に対しておかしいんじゃないかという、具体的に挙げますとソニーの盛田会長の発言が出てまいりました。
 そこで、端的に聞きますけれども、大臣はこの生産性基準原理に対する企業の中での賛成、反対の意見に対してどのような御感想をお持ちですか。
#171
○国務大臣(近藤鉄雄君) この生産性基準原理というのは、全体の賃金のベースアップを我が国全体の生産性の伸びの範囲に抑える、こういうことでありますから、逆にマクロ全体の話をすると、そういう生産性の伸びを超えて賃金を上げた場合にはそれはまさにコストプッシュ、賃金プッシュのインフレになる、こういうことだと思うんですね。
 ですから、そういう点で考えてまいりますと、今回の春闘については、生産性を幾らに見るか、そしてそれに今度は物価を幾らに見るかという議論もありますが、だから全体の生産性プラス消費者物価の水準、アップ率という形で考えてまいりますと、これは労政局長も、まだ終わったことじゃない、こういう話でありますが、今のところは全体としては大体そんな感じに落ちついているのかなということで私は見ております。
#172
○笹野貞子君 そこで大臣、ソニーの盛田会長の発言はどのように御感想をお持ちですか。
#173
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私は、盛田さんの考え方は大変おもしろい考え方であって、むしろ労働の分配率という前に、盛田さんがおっしゃっていることは、かかるものほかけて、そしてその上にコストを積み上げて、その価格で海外に売ることをしないと、海外からはまさに不当な競争であるということで反対を食うと、こういうことではないかと思っておりますので、私はそれはそれなりに一つの見識ではないかと、こう考えております。
#174
○笹野貞子君 大変私も興味がありまして、大臣といろんなお話をしたいのですけれども、時間の関係で。
 この間の委員会のときに、もちろん時間がないものですから質問が中途半端になってしまいましたので、ちょっと外国人労働者のことをもう一度お聞き直ししたいというふうに思っております。
 それは、先ほどから外国人問題のことが出ておりましたけれども、雇用保険法の適用のときに、外国人労働者という特別な扱いはこれはしてないはずです、この定義の中で。すべて被保険者になるんだということですけれども、その取り扱いの中で、被保険者としない在留資格の問題があるわけです。この間も、これはこれからの問題ですよというような言い方をして、質問を中途半端にしちゃったんですけれども。
 そこできょうの質問といいますのは、雇用保険については、永住者、配偶者が日本人である音あるいは定住者が被保険者となるが、ここからが問題ですが、短期滞在、そしてこれは就労している者はもとより、というのは不法入国のことだと思うのですが、それともう一つ、技術、人文知識・国際業務等の在留資格で合法的に就労している外国人労働者についても、つまり読むと時間が長くなりますけれども、そういうのは被保険にしないんだというこういうところがあります。
 そして、私が質問をしたいのは、この在留資格がある人ですね。具体的に言いますと、ここに表がありまして、教授とか芸術家、宗教家、報道、いろいろあるんですね。こういうのがこの資格以外には就職させないということなんですね。それ以外に転職すると被保険者にしないというこういう意味ですね。まずちょっとその定義を聞かせてください。
#175
○政府委員(若林之矩君) まず、これは入管法の方の取り扱いの問題でございますけれども、一定の在留資格を持って入ってまいります場合は、あくまでもその在留資格の職種、技術なら技術ということで入国をしてくるわけでございまして、具体的にはどこどこで勤めるということを前提にして入国してくるわけでございます。したがいまして、仮にそこで離職をしました場合、別のところのそういう技術なら技術という以外のところで就労するということはできない。これは入国管理法上の制限でございます。
#176
○笹野貞子君 そこで大臣にお聞きしたいんですけれども、これは入国管理上の問題なんですね。そこで、労働行政の問題からお聞きをしたいと思うんです。
 いかに外国人であろうとも、日本に現に入ってきて働いている人は、いろんな事情で失職するときが、失業するときがあると思うんですね。そういうときに憲法で保障しています二十二条の職業選択の自由というのは、これは非常に大きな自由だと思うのです。外国人には職業選択の自由を認めないという方針でこれからも労働行政をなさるのでしょうか。
#177
○政府委員(若林之矩君) 少し技術的な問題ですので、私が事前にお答えさせていただきます。
 そういう技術とか人文知識・国際業務等々の在留資格を持って合法的に就労してこられる方につきましては、先ほど先生おっしゃいましたように、まずその範囲がございますのと、それから期間も定められているわけでございます。したがいまして、もしこういう方が仮に離職をいたしましても、そういった期間が限られておりますから、改めて再就職ができないというようなことも出てまいります。そうしますと、雇用保険は保険料をお掛けになったけれども、いざというときになると今度は保険のその対象になってこないというケースも多く発生し得るわけでございますものですから、そういったことを考えますと、そういった方を強制的に適用していくということは、やはり取り扱い上問題があるんじゃないか。そういうことで、私どもはこの被保険者としての取り扱いとしないということにしているわけでございまして、ただいま先生おっしゃいましたような、何と申しましょうか、権利を剥奪するとか、そういったような観点は全くない取り扱いでございます。
#178
○笹野貞子君 時間がないので、また舌足らずになりましたけれども、技術的な問題を聞いているわけではありません。技術ではその期間を決めていますけれども、意外と期間を長くすれば済むことですね。ですから、これからの保険のあり方によって、今一年でも二年になるかもしれない。もっと国際的になったらもっといろんな技術的な問題が出てくるかもしれない。
 そんなことを聞いているんじゃなくて、つまり労働行政としては、そういう在留資格という問題に対して、これからどのように対応していくつもりですかということを、これは労働行政これからの問題だと思います。だから今を聞くんじゃなくて、外国人という差別をしてはいけないというふうにありますけれども、そういう人に対して職業選択の自由という問題をどのように考えるんですかということを大臣にお聞きしているわけです。
#179
○国務大臣(近藤鉄雄君) 午前中の御質問にございましたけれども、いわゆる労働基準法、労働災害法、そして安全衛生法、これはもう不法、合法関係なしに日本で働いている方についてはすべて同じに適用すると、こういうことになっております。雇用保険につきましては、今局長が説明したこの外国人労働者の方々が非常に限られた期間の就職状況であるということでありますので、いわゆる失業保険の対象になるかどうかという問題は一つ残ります。
 ただ、基本的な姿勢はどうだと、こういうふうに先生がおっしゃるのであれば、私は外国の方々はともかく国を問わず、また性別を問わず、まさに日本と同じような雇用条件、労働条件を享受していただくということでなければならないと考えております。
#180
○笹野貞子君 ありがとうございました。おしまいにします。
#181
○橋本孝一郎君 ことしの九二年春闘ですが、先ほどからいろいろと賃金、労働時間の問題が出ておりますけれども、私は時間短縮、つまり時短問題にちょっと限って二、三質問から入ってみたいと思います。
 まだ継続中でありまするから、全部を把握しておらないと思いますが、大体山場は過ぎたといいましょうか、大企業、労使間、特にIMF・JCを中心にした毎年の春の賃上げなりあるいは生活改善の労使間交渉というものは、一つ大きなもう山を越したと思います。
 一方、労働時間問題については、御案内のように経済運営五カ年計画において九二年度中に千八百時間という一つの目標はもう公的にずっとカバーが出ておるわけであります。それとの関連において、ことしのいわゆる賃上げはもう結構ですから、時間短縮の結果、個々ばらばらですけれども、それとの結びつきで実態はどうか。その把握状態からまずお聞きしたいと思います。
#182
○政府委員(清水傳雄君) 労使とも積極的に取り組んでおられた春闘でございまして、三月上旬までに御承知のように電機産業の中で関西系の有力企業を中心といたしまして、年間総実労働時間千八百時間の実現に向けた合意がなされたのを初めといたしまして、鉄鋼は昨年じゅうに千八百時間台を一九九〇年代の半ばに実現するという合意を見て、そのレールの上に立ちましての今春闘で休日増が行われた。また、電機におきましても年休付与日数の増等がなされた。あるいは全繊関係におきましても化繊関係で一九九〇年代半ばを目標に千八百時間台の実現を図る、こうした合意がなされましたし、また電力につきましても時短についてさらに引き続き労使協議を進めていく。自動車につきましても所定外労働時間の二〇%削減、こういうふうな形の合意がなされる等々、主要産業におきまして着実な前進が図られてきている、このように把握をいたしているところでございます。
#183
○橋本孝一郎君 ありがとうございました。
 今挙げられましたような産業がことしの交渉において進展を見た。これは賃金も同じですけれども、過去からの労使間交渉の蓄積の上にこういう事態になっておることを承知しておるわけであります。しかし、やっぱり依然として日本の労働時間が長いということは、これは国際的には絶対的な評判であります。したがって、これをそういう国際的な非難を受けないように労使間でやるというのは一番正常な方法でありまするし、もともとこの問題は労働者と経営者、当事者間の問題であることはもう言うまでもないわけであります。
 しかし、これはずっと任せておいてもなかなかできないというのが実態なのでありまして、それにはいろいろな原因があると思います。原因を当然労働省も把握されておると思いますけれども、マクロ的に見て私は言えることは、一つは国際的な要因についてはむしろ日本は長いという方ですから、これはフォローですから短くするには問題ないわけです。問題は国内の過当競争だと思うんです。国内で過当競争がある限り、なかなかこれはほっておいては一向に進まない。したがって、当事者に任せておいてはだめだということになるわけであります。
 余談ですけれども、かってのドイツのDGBのあの金属労協のように、七、八年前に三十六時間要求をやって大ゼネストをやりました。できるものかと国際的に注目しましたけれども、余り大した問題にならずに、足して二で割ったような三十八・五時間ぐらいで終わったようでありますが、しかし日本でそれを今求めようとしてもこれは無理だと思うんです。ああいう職業別、産業別に組織してでき上がってきた労働運動と、日本のように企業内組合で、しかも過当競争という中で育ち上がってきた組合との本質的な差がありまするから、力の問題じゃなくて私は本質的な問題においての無理があると思いまするから、無理を私は言うつもりはございません。したがって、どうしてもそういうふうなものに任せておいてできないならば、これは法制化によるより方法はない。そういう意味で、今度労働省が、どういう内容がこれから審議に入っていくと思いますけれども、時短促進法を出されたということは、私は一つのすばらしい思い切った方法だと思うし、それでやっぱり引っ張っていかないとなかなかできないだろうと思います。
 時短促進法については、これは次の法律が出たときに譲るといたしまして、そういう関連で、いわゆる今の千八百時間目標というものはずれることは確かですけれども、大体どのぐらいずらすことを一つの目標に置くのか、その点ひとつお考えがあったら大臣にお聞かせ願いたいと思います。
#184
○国務大臣(近藤鉄雄君) 御案内のように、今年度末、だから来年三月末までに千八百時間にしようということであったわけでありますけれども、現在のスピードでいく限りそれは難しいということでございますが、御案内のように現在、いわゆる政府の経済審議会において新しい五カ年計画の策定中でございます。これに並行いたしまして、雇用審議会においても雇用政策基本計画をつくろうと。二つの基本的計画の中で当然労働時間問題を取り上げてまいるのでございますので、ここで決めて結論が出ることでございますから、私の段階で今いついつまでに幾らと、こういうことは言う段階ではございません。
 ただ、今年度末まで千八百時間であったものを延ばすわけでございますから、そう先延ばしをするわけにいかないということと同時に、二千時間から千八百時間まで下げるということは、お話をいたしましたように、百時間減らすのに二年かかる。そうすると、百時間というのは全体の労働時間の五%ですから、五%減らすということは経営にどういうような影響をするのか、そういったこともございますので、やっぱりなぜできなかったということは、そういう具体的なことについてのしかるべきコンセンサスや措置が講ぜられなかったわけでございます。そのあたりを具体的に今度時短促進法で講じてまいりたい、こういうことでございます。
#185
○橋本孝一郎君 時短関係は次のそういう促進法の方に譲るといたしまして、中小企業労働力確保法の施行をめぐる問題についてお尋ねしたいと思います。
 中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善、これを促進するための法律が昨年八月一日から施行されておるわけであります。言うまでもなく中小企業での労働力不足という問題、これはもうずっとここの委員会でも取り上げられてきている問題でありまするし、一方また、大企業と中小企業との間に労働時間あるいは職場環境、福利厚生等々、雇用管理の面で格差というものが拡大しておる。したがって、この法律で雇用管理の改善を促進して中小企業の職場としての魅力ある職場とするように援助しようとする一つの法律であることは言うまでもございませんが、まだ実施してから半年でありまするのでその効果というものを期待するのも無理でありますけれども、大体現在の状況はどういうふうになっておるのか。特にその中で、今回の緊急経済対策の中でも中小企業労働力確保法に基づく「各種支援措置の迅速かつ積極的な活用を図る。」とされていますけれども、具体的にどのような対策を進めようとされておるのか、まずお伺いしたいと思います。
#186
○政府委員(若林之矩君) ただいまお話ございましたように、中小企業労働力確保法は昨年の八月に施行されまして半年を過ぎたわけでございますけれども、現在までに百二十一の協同組合等が都道府県知事の認定を受けて労働力確保のための改善事業を始めたところでございます。
 これは五年間の事業でございますので、まだその効果について判断できる段階でないことは先生のおっしゃるとおりでございます。これまで百二十一でございますが、そのやっております改善事業の取り組みの状況は、労働時間短縮の取り組みが百十五団体、職場環境の改善が百三団体、福利厚生の充実が百六団体等々となっておりまして、着実に当初の目的としております時間短縮等に取り組み始めておるというところでございます。したがいまして、そういったことで今後これが労働力の確保につながっていくということを私ども期待いたしているわけでございます。
 さらに、今年度につきましても指導を進めまして、多くの団体がこの事業を進めるようにしていきたいと思っておりますけれども、ただいまお話ございました緊急経済対策の関係でございまして、この中小企業労働確保法に基づきます「各種支援措置の迅速かつ積極的な活用を図る。」ということが掲げられておるわけでございます。私どもは、まず通産省を初めとする関係行政機関と連携を図りながら、より一層この中小企業労働力確保法に基づきます雇用促進融資でございますとか、あるいは労働環境整備貸し付け等の支援措置が活用されますように積極的な周知活動に努力をしたいというふうに思っております。
 また、この法律に基づきます改善計画の認定申請が出ました場合には、できるだけ早くこれを認定いたしまして、認定団体としての事業が進められるように、そういった努力を進めてまいりたいと考えております。
#187
○橋本孝一郎君 今一つ数字が出されましたけれども、これは業種別にはある程度わかりますか。
#188
○政府委員(若林之矩君) 業種別には、製造業関係が六十九団体でございます。それから卸・小売が十八団体、サービス業が十四団体、建設業が四団体、運輸・通信業が五団体、鉱業が一団体、その他十団体、そんなようなことになっております。
#189
○橋本孝一郎君 ありがとうございました。
 雇用管理改善計画の認定ですけれども、前の委員会でも政府は法案審議の際に国会の答弁の中でも、平成三年度で約二百五十ないし三百団体が本法に基づく雇用管理の改善に取り組むと見込んでおり、その波及効果を含めて労働力確保に貢献できる、こういうことをおっしゃっておられたわけですけれども、それに比べるとちょっと少ないような気がするんですが、何か問題点があるのかどうか。特に、今聞く中でも問題になりそうなと思われる、これから時間短縮も含めていろいろな雇用管理環境等に必ず絡んでくる建設業界並びに運輸業界というのが非常に少ないように思うんですけれども、それら二点について御説明願いたいと思います。
#190
○政府委員(若林之矩君) この法案の審議の際に御説明いたしました二百五十から三百団体のうちで、一部は従来から行っております予算上の措置によりまして平成三年度に労働力確保のための雇用管理の改善に取り組むと見込まれました中小企業団体でございまして、二百五十ないし三百団体の全部が平成三年度に中小企業労働力確保法に基づく認定を受ける見込みがあるという趣旨ではございませんで、結果的には平成三年度につきましては、この法律に基づきます認定を受けました団体と予算上の措置の対象となります団体と合わせまして約二百七十団体がこの労働力確保のための雇用管理の改善に取り組んでいるという状況でございます。先ほど申しました百二十一団体は、この法律に基づきます認定団体ということでございます。予算上の措置を加えますと二百七十団体ということになっております。
 それから、建設、運輸業の認定件数は、ただいま申しましたように、建設業が四団体、運輸業が五団体で計九団体でございます。まだこういった建設業、運輸業が今後どんなふうになってくるか予想できませんけれども、いずれにいたしましても、建設業、運輸業におきましては労働力不足というのは大きな課題になっているところでございますので、私どもといたしましてもこういった関係業界に働きかけを行いまして、大いにこの制度を活用していただいて、労働環境を改善していただき労働力の確保を図っていただく、こういう努力を進めていきたいというふうに考えております。
#191
○橋本孝一郎君 さらに努力を重ねるということでありますけれども、やっぱり予算との関係も含めて平成四年度、特に法律のアピールを積極的に行っていただくようにお願いしたいと思います。
 そこで、これとの関連における三者構成の機関の設置状況についてお尋ねしておきたいと思います。
 こういう問題が出てきますると、必ず社労委員会等におきましても附帯決議の一つとして、「本法が目的とする中小企業における雇用管理の改善の実効が確保されるよう、本法の施行に関し労使関係者の意向が十分反映されるよう配慮すること。」ということが附帯決議としてつけられておるわけであります。雇用管理改善計画の策定を経営者だけに任せていくのではなくて、県レベルの認定段階で職場での実施の段階、それぞれ労働者の意見を十分聞いて反映させていくという必要があります。したがって、法律の運用の中で、労使代表を含む三者構成機関を県段階で設置していくことが大事なことだと思います。そういう趣旨で現在、行政、労働、使用者による三者構成機関が各県に設置されていることになっておるわけでありますけれども、設置状況はどうなっておるのか、お尋ねいたします。
#192
○政府委員(若林之矩君) 中小企業労働力確保法の目指します労働力の確保のための魅力ある職場づくりというのは、労使双方の理解と協力のもとに進められることが不可欠であると考えております。そしてまた、法案の審議のときにもそのように御答弁申し上げた次第でございまして、こういった観点から都道府県段階での商工担当部局、労働担当部局及び労使の代表を構成員といたします意見交換の場を原則として年二回実施いたし属して、改善計画の認定の状況や認定を受けた改善計画の実施状況について行政側から報告を行いまして意見交換を行うということにいたしておるわけでございますが、現在三十五の道府県におきましてそのような場が設置されているところでございます。まだ設置されてないところもあるわけでございますが、この設置されてないところはそういった既存のものの活用ではなくて、新たな意見交換の場をつくるということで努力を進めているところでございまして、既存のものの活用に比べますと若干準備がかかるようでございます。
 いずれにいたしましても、これらの残りの都府県につきまして、速やかに実施されますように引き続き指導したいというふうに思っております。
#193
○橋本孝一郎君 結局、既存の組織を利用しているところは比較約三十五というふうに早くできているというふうにお聞きしたんですけれども、まだ設置してないところは既存の組織を利用せずに全く新しく出発しようというふうに聞こえたわけであります。
 いずれにしてもこの種問題は、せっかくこういうものをつくりましても、やはりPRと同時にそういう対象になるところが積極性を持って認定を受けるように能動的に動いてくることを期待したいのですが、それがなかなか出てこない場合には、やはりもっと大きな場でPRを含めてこういう三老構成機関を利用してせっかくの法律を生かしていく必要があると思うんですけれども、そういう面についてのちょっとくどいようですけれどもアピールなりそういう新しくつくろうとするところに何か問題があるのかどうか。問題があるとするならばそれを除去するようにしなきゃなりませんし、そういう点についてひとつ把握しておる状況についてお尋ねしたいと思います。
#194
○政府委員(若林之矩君) 先ほど三十五につきまして既にそういう意見交換の場ができているというところを申し上げたわけでございますが、ちょっと敷衍して申しますと、そのうちの二十二は地方職業安定審議会等の既存の審議会の活用をいたしているものでございまして、十三府県が新たな設置をしたところでございます。これで三十五でございますが、それ以外のところは主として新たに設けるということで現在準備を進めているということでございまして、私どもの現在把握しているところでは、特に何か大きな問題があっておくれているということではないように理解をいたしておりますので、これは速やかに設置されるように指導を進めていきたいというふうに思っております。
#195
○橋本孝一郎君 最後に、大臣に一つお願いしておきたいんでありますけれども、せっかく景気対策としてあるいは緊急対策としても、労働時間の短縮あるいは省力化とかいったものを含めて、中小企業の労働力の確保法の活用によって中小企業の活動を助けていこうというそういうせっかくの法律でございまするから、これについて大臣としてもっと積極的な面でどういうふうに推進していくかということについての御決意があればひとつお聞きをしたいと思います。
#196
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実は先般、中小企業労働力確保法でどれくらいの融資がなされているんだということを内々、中小企業金融公庫、国民金融公庫から聞いてみましたら、中小企業金融公庫では約九百数十億融資がなされた、そして国民金融公庫では二百八十か七十億なされている、こういうことでございます。ですから、合わせて大体千二百億前後の融資がなされておる、こういうことでございます。
 実は私、今度の緊急経済対策を政府で策定するに際しまして、閣議の席やまた経済対策閣僚会議の席で強く主張したわけでございますが、現在の景気が低迷しているいろんな理由の一つに設備投資がもうぐっと下がってきている。従来は、まさにバブル時代には比較的安い金利の金を調達できて、それで強気でどんどん設備投資したけれども、今やそれで過剰設備になっていて、しかも今度は金利が高くなったということで設備投資が抑えられているのが経済の見通しを暗くしているといいますか、在庫調整も進まない原因でございます。
 問題はどうしたら民間の設備投資をふやすか。国の公共事業の前倒し等もございますけれども、民間の設備投資をふやすには私は省力化関連、まさに時短促進関連投資を進めることではないか。これが自動車やコンピューターやそういったものが頭打ちになっても新しい投資市場に出てくる、こういうことで積極的に国は時短促進法をつくって進めるし、また先ほど春闘ということがございましたけれども、春闘でも時短については労使一致していこうということでございますから、あとは金繰りを積極的にする、こういったものが一斉にムードになってまいりますと、みんなが時短投資をする。
 殊に、大企業は安い金利の金で多少設備投資が過剰ぎみでございますが、中小企業はもう週休二日制をやる、時短をする、大変だとみんな思っているわけでありますから、みんなで投資をするとなれば一つの景気を上乗せするファクターになりますので、そういうことで今度の中小企業労働力確保法で組合をつくっている場合には五・五%、個人の場合には六%にということなんだけれども、実はもう一鳴きして安い金利で、しかもここ二年間に限って思い切ってやったらどうだと、こういうことを言ったんでありますけれども、これから新たな予算措置も必要だということは、現行制度を拡大して積極的に適用していこうということで、緊急経済対策でもわざわざこの省力化時短関連投資という柱を設けて皆さんにアピールしよう、こういうことでございます。
 実は、労働省といたしましても、従来労働力確保法は、局長でいうと職安局長の分野であったわけだけれども時間短縮は基準局長の分野になるわけです。したがって、職安局とそれから基準局との車の両輪で積極的にこれはPRしよう。例えば具体的に、地方の労働基準局や地方の労働基準監督署にこの中小企業労働力確保法の簡単なパンフレットを置いて、そして時短の御相談に来られたらぜひやってくださいと、実はこういう制度がありますから活用してくださいよと、場合によっては中小企業金融公庫や国民金融公庫に監督署長さんが紹介して積極的に融資までやるというぐらいのことを踏み込んでやれと、こういうことでございます。せっかくいい制度ができてもまだまだ浸透していませんから、これをみんなに活用していただいて、ひとつこれで景気を盛り上げていく大きな原動力にしたいということを考えた次第でございます。
#197
○橋本孝一郎君 ありがとうございました。
 いずれにしましても、時短問題、これは大企業、中小企業含めて余暇増大というスローガンを含めて一つの時代的なムードになってきておることは事実でありますから、せっかくこのムードを立ち消えさせないように、そしてそういう法律的なバックアップと同時にムードもやはり当事者に、当事者も十分知った上でのことだと思いますけれども、法制的な側面でやはりそれをさらにプッシュしていくというような方法での御努力をお願いしておきたいと思います。
 以上です。
#198
○西川潔君 本日は、最初に労災の遺族年金、遺族補償年金についてお伺いしたいと思います。
 まず、給付目的と遺族の範囲についてお伺いします。
#199
○政府委員(佐藤勝美君) 労災補償の遺族年金の給付目的と遺族の範囲のお尋ねでございますけれども、労災保険の遺族補償年金あるいは遺族年金は労働者が業務上の事由または通勤によって死亡された場合に被災労働者の遺族がそれまで扶養されておりました利益を失うということでございますので、これを補う、そのことによりまして遺族の保護を図ることを目的としているものでございます。
 それから、遺族補償年金等を受けられます遺族の範囲でございますけれども、被災されました労働者のまず配偶者、それから子、父母、孫、祖父母、それから兄弟、姉妹でございます。こういう方々でかつ労働者の死亡の当時、その収入によって生計を維持していた者とされております。それからまた、当該遺族が自助で生計を維持できるかどうかという点に着目をいたしまして、夫、父母または祖父母につきましては五十五歳以上であること、それから子または孫につきましては十八歳未満であること、それから兄弟、姉妹につきましては十八歳未満または五十五歳以上であることなどが要件とされているところでございます。
#200
○西川潔君 ありがとうございました。
 私は、先日の予算委員会におきまして、遺族基礎年金、児童扶養手当など、満十八歳打ち切りの問題につきましていろいろとお伺いをいたしました。そこで、母子世帯などに対する手当や年金につきまして、子供の年齢が、今もお話が出ましたが、満十八歳になると打ち切りになっておりますが、この満十八歳というのは、つまり高校在学中の場合も本当に数多く、たくさんの子供さんがいらっしゃるわけですが、母子世帯にとりましては、経済的に大変な打撃であります。これから、年金、手当等支給期間を満十八歳に達した日以後その年度末まで、つまり高校を卒業するまで延長していただけないでしょうかというお願いを委員会でいたしました。厚生省の御答弁では、一つの問題点として、いろんな制度すべて十八歳未満という一つの線が引かれているために、国民年金あるいは児童扶養手当だけが決め得る問題ではなく、労災やその他の手当にも関係する問題であるのでということでございました。
 今や高校進学率は九五%にも達しております。また、国家公務員の扶養手当、また民間企業の六割が扶養手当を支給する期間を延長しております。労災の遺族年金につきましてもこの問題が関係しておりますが、この問題について労働省として、ひとついい御答弁をいただきたいのですけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
#201
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお気持ちは私、予算委員会でも承りまして十分わかるわけでございます。
 局長からもちょっと御説明申し上げましたけれども、一応十八歳を過ぎますと、超えてくると今度は、高校、大学の方は別として、直接お仕事につかれる方もいらっしゃる。いわば生計を自立される年齢に達するわけでありますので、その年齢を超えてまでの遺族補償というのはどうかな、こういうことで先生も御指摘ございました横並びで十八歳未満までと、こうなっているわけでございます。おっしゃるように今九五%以上高校に行くんだよ、わずかじゃないかというお話は御指摘のとおりでございますけれども、横並びでそういうことになっておりますので、なかなか今の段階では難しいのかなとこう考えておりますが、これは関係各省あることでございますので、いろいろ検討させていただきたいと思っております。
#202
○西川潔君 九五%まで本当に高校進学率、そしてまた本当に夫婦共働きで、そしてお母さんがパートに出られてと、大変その中にあって、ましてや母子家庭の皆さん方、定期的にもそういう会にお伺いするんですけれども、本当にこの何カ月の分で学校をやめてしまったというような御家庭もたくさんやっぱりあるわけでございまして、厚生省もこういう御答弁をいただいたんです、今大臣からも労働省を代表してそういうふうに御答弁をいただいたんですけれども。そこで、それでございましたら、大臣の方からリーダーシップをとっていただいて、労働省から各省庁に働きかけていただいて、これは何とかならないものなんでしょうか。我々が将来かすかな夢でも持てるようなことなんでしょうか、いかがなものでしょうか。
#203
○国務大臣(近藤鉄雄君) 労働災害で亡くなられた方の御遺族の子供さんが十八歳になったら、もうあなたは働いて生活できるんだから働きなさい、したがって労災の遺族補償を打ち切りますよというのも先生のお気持ちを考えれば、多少問題かな、こういうことですよね、先生おっしゃるのは。ですから、ただこれ、十八歳というのは一つの区切りになっておりますので、いろいろ積み上げて議論してきていることでもございますので、なかなかここで先生の御期待にこたえるような御答弁は申し上げられないかもしれませんけれども、労災で亡くなられた遺族の息子さん、娘さんが引き続いて高校、大学に進められるように、ある程度そこは考えられなきゃというお気持ちは十分体して、ひとついろいろ勉強させていただきたいと思います。
#204
○西川潔君 とうぞよろしく。大臣にこういうふうに御丁寧にこの内容は答弁いただけるとは思わなかったものですから、ちょっと入り込んでお話をお伺いしまして、いい御答弁をいただいてありがとうございました。
 私もことし選挙でございますので、しっかり質問だけはしておかないと、次に来れるか来れないかわからないものですから、それは最後までまじめにお願いをしたいと思います。
 次に、昨年の九月の本委員会におきまして、小児糖尿病患者のお母さんからいただきましたお手紙をこちらで御紹介させていただいたんですけれども、小児糖尿病の患者の方々の就職に対する問題をこちらで御質問いたしました。患者さん御本人、そして御家族の皆さんのお話ですと、日本では糖尿病に関する知識がまだまだ不足している、正しい認識がされていないために就職は本当に困難を極めるんです、西川さん、というお話をいただきまして質問させていただきました。
 就職するときは病気を皆さんひた隠しにしておられます。そして、就職試験のときの身体検査ではもちろん尿検査もございますが、尿検査のときにはお父さん御一緒、またはお母様が御一緒なさって、尿をとりに行くときにはさっとおトイレに参りましてそこでお父さんの尿を、またはお母さんの尿を提出されるわけですね。無事パスをして仕事についたりいたします。しかし、入社いたしましてすぐにそういうことを会社に言うわけにもまいりませんし、ひた隠しに隠し続けるわけですけれども、その時点では健康保険もやっぱり使わないわけです。自由診療で病院へ行くなどお金のことも大変だそうです。
 人に言えない数々の苦労があるという報告をこちらの方でさせていただいたんですが、労働省の御配慮をお願いいたしますという質問を委員会でさせていただきましたところ、当時の小里労働大臣から、具体的に検討させていただきたいと思います、それは私も存じ上げなかったという御答弁をいただきました。職業安定局長からも具体的に調査研究を進め、「事業主に対する啓蒙、啓発あるいは具体的な職業紹介を進めていくように今後検討を進めていきたい」という御答弁をあのときにいただきました。あれから半年たったわけですけれども、そういうふうに検討を進めていただいておりますでしょうか。僕ももっともっと何カ月に一回ぐらいにはお伺いしたかったんですけれども、半年間待とうということで待ちましたので、お答えをお伺いしたいと思います。
#205
○政府委員(若林之矩君) 先般、ただいま先生お話ございましたように、この委員会で、小児糖尿病の患者さんの職業上の問題について調査研究を進めました上で、それを踏まえて事業主に対する啓蒙あるいは職業紹介について検討させていただくということを申し上げました。
 障害者の職業上の諸問題に係ります調査研究につきましては、日本障害者雇用促進協会におきまして各種の調査研究をやっておりますものでございますから、平成四年度におきまして糖尿病等による障害者につきましても、患者の就職阻害要因はどういうものがあり得るのか、あるいは現実に職場についていらっしゃる方についてどういう問題があるのかないのか、また事業所での配慮事項はどういうことがあり得るのか、こういったことを調査研究をさせていただきたいというふうに思っております。その結果を踏まえまして、必要に応じまして事業主に対する啓発をどうしていくか、それから私どもの現場の安定所の職業紹介をどういうふうにしていくか、こういったことを検討していきたいというふうに考えております。もうしばらく時間をちょうだいしたいと存じます。
#206
○西川潔君 もう半年ほどまた待って聞かせていただかなければいけない。
 それでは、次に移らせていただきます。高齢者の雇用問題について今回もお伺いします。
 宮澤総理の施政方針演説では、高齢者の方々が「生き生きと安心してその人生を送ることができるような社会をつくりたい」、こうお述べになりました。その「安心」という二文字が本当の安心となってこそ豊かで明るい長寿社会が、また生活大国が実現すると私も思っております。老後の心配として、大きく分けて所得とか住宅、医療、そして働く場の確保というふうに思います。大臣の所信表明では、「諸外国に例を見ない速度で高齢化が進展していますが、高齢者の雇用の場が確保され、高齢者が長年にわたり培ってきた知識、経験を発揮できることが必要であります。」とお述べになっておられます。働く意欲と能力のある方の就労の場を確保するということは、生きがいという点からも非常に大切なことだと思います。その意味でも、労働省の施策は今後さらにその重みを増していくと思うわけですが、本格的な高齢化、社会に向けてどのようにこの問題に取り組んでいかれるのか、大臣の基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#207
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生からも御指摘がございましたが、まさに本格的高齢化社会でお年寄りがどんどんふえてまいりますが、そのお年寄りの方々、高齢者の方々は、働く意欲も能力も十分お持ちの方々がたくさんいらっしゃるわけでございますので、そういった方が積極的に社会参加、生産活動に参加していただくことは、これは社会的にも例えば労働力、経済的な側面からも大事であるだけではなしに、御本人がやはり立派な人生を全うされるためには極めて大事だと、こういうことでございます。
 労働省としても、この問題は真剣に取り組んでまいりまして、まず六十歳定年制度を定着させて、さらに六十五歳まで継続雇用制度というものを実現、進めていきたい。さらには、いろんな高齢者の方々の職業安定業務、需給調整、これはシルバー人材センター等を活用する。同時に私は、やっぱり御年配の方々が働きやすいような就業構造、例えば八時から五時までというような形じゃなしに、まさにフレックスタイムだとかバートだとか、そういう形でお年寄りの体力に相応した雇用状況を考えるとか、それから今のまさにハイテクで御年配の方々がオペレートできるような機械ということについても私はいろんな可能性があると思いますので、そういったことをひとつ総合的に考えてやる。これまでの日本の社会に大きな貢献をされた方々が、まさにさらに人生を全うされていくために、最後まで豊かで実りある人生であり得るようなための施策をひとつ真剣にいろいろ知恵を絞って考えていきたい、こういうことでございます。
#208
○西川潔君 次に、具体的な問題として六十歳までの定年延長と六十五歳までの継続雇用について今度はお伺いしたいと思います。
 高年齢者雇用安定法では、六十歳定年と六十五歳までの継続雇用が努力義務として定められておりますが、さらに高年齢者等職業安定対策基本方針では、六十歳定年の平成五年度完全定着と六十五歳までの継続雇用制度の普及が目標と示されております。六十歳定年制は平成五年度という目標年次が示されておるわけですが、普及の状況は、そしてまた現在どうなっているのか、目標の達成は可能かどうか。さらにお伺いしたいのは、六十五歳までの継続雇用制度につきましては、いつまでにどの程度の普及を念頭に置かれているのか、その目標があるのかどうかという部分をお伺いしたいと思います。
#209
○政府委員(若林之矩君) 六十歳定年につきましては、平成三年一月時点でございますけれども、約七一%の企業が導入をいたしておりまして、今後導入が決定または予定の企業を含めますと約八六%になる見込みでございます。そういう意味で、六十歳定年は、完全定着に向けまして私ども着実に進展しているというふうに認識をいたしております。引き続き強力な定年延長指導を進めてまいりたいというふうに思っております。また、勤務延長、再雇用等によりまして、労働者が希望すれば六十五歳以上まで働くことができる、こういう制度を有しております企業は現在二割程度にとどまっております。
 こういう状況でございますので、労働省といたしましては、六十五歳までの高齢者の雇用機会の顕著な増加を図る、これが高年齢者等職業安定対策基本方針ではそう書かれておりまして、高齢者の雇用機会の顕著な増加を図るということが書かれております。こういうことを目標にいたしまして、この六十歳定年を基盤といたしまして、継続雇用制度導入奨励金等の各種助成制度の活用によりまして継続雇用制度の最大限の普及に努めてまいりたいと思っておりますが、六十歳定年につきましては、平成五年度までに完全定着という年度目標を決めておりますけれども、六十五歳までの継続雇用につきましてはいつまでにどの幅でと、こういう目標はございません。したがいまして、この高年齢者等職業安定対策基本方針に基づきまして、六十五歳までの高年齢者の雇用機会の顕著な増加を図るということが目標でございます。そのために継続雇用制度を広げていくということでございますので、それに向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
#210
○西川潔君 それでは、定年延長及び継続雇用の促進を図るためにどのような施策を進めていかれるのか、そしてまた、高年齢者雇用安定法には定年延長計画作成命令、社名公表などの制度が規定されております。行政措置による普及促進等さまざまな援助をすることによる普及促進施策をとられておりますが、高齢者の就労機会の確保を図るための援助措置について定年延長と継続雇用に限った場合はどのようなものがあるか、お伺いをしたいと思います。
#211
○政府委員(若林之矩君) 高年齢者の定年延長と継続雇用を推進いたしますために大きく言って三つの制度がございます。
 一つは、定年延長や再雇用、勤務延長によりまして、六十一歳以上の年齢まで雇用する制度を新たに設けます事業主に対しまして、継続雇用制度導入奨励金という制度がございます。それから第二は、六十歳代前半層の高齢者を一定率以上雇用しています事業主に対しまして、高年齢者多数雇用奨励金という制度がございまして、これによって助成金が支給されております。それから三つ目でございますが、これは平成四年度からの新しい制度ということでございますが、定年時にしばらく休んで働きたい、こういうニーズにこたえて、継続雇用に向けた準備期間を与えまして高齢者のニーズに応じた継続雇用を推進する、そういう事業主の方に対しまして継続雇用移行準備奨励金、これは制度利用者一人一カ月当たり六万円、三カ月を限度として奨励金を差し上げる、こういう制度の創設を予定いたしておるところでございます。
#212
○西川潔君 ありがとうございます。皆さんが助かっておられるお話も随分お伺いします。
 次に、高年齢者職場改善資金融資制度について、この制度の内容と利用状況をお伺いしたいと思います。
#213
○政府委員(若林之矩君) 高年齢者職場改善資金融資制度でございますけれども、高齢者の方が働きやすいような環境をつくるように、作業施設とか作業設備を新設、改造いたします場合に融資を行うものでございます。かがむ作業を避けるために自動車などを動かしまして立ち作業で作業ができるとかそういうようなものがございますが、そういった職場の施設、作業設備の新築、改造に対する融資でございます。
 この資金につきましては、最高一億二千万円を限度として低利の融資を行うものでございますが、平成二年度の利用実績がわかっておりますが、予算額は二十億円でございますが、利用状況は十七億円でございます。
#214
○西川潔君 高齢者を雇用する企業に対する助成制度や融資制度の周知、利用促進のためにどのような方策をとっておられるのか。昨年出されました大阪府の産業労働政策推進会議の「高年齢者雇用労働対策の新たな展開について」という中間報告書によりますと、事業所ではこの制度自体を知っている割合が三三・一パー、利用した事業所の割合は知っている事業所の一・八パーとなっております。三分の二の事業所が制度の存在自体を知らないわけですね。さらに、利用した事業所に至っては全体の一パーにも満たないという状況でございます。
 今後、高齢者の職域を拡大していく上で、高齢者の体力がだんだんと低下していくことを考えますと、例えば重たい物を運ぶことを容易にする設備の改善や、先ほど大臣もおっしゃっておられましたが、かがんで行うような作業をなくすための作業台の改善というような高齢者の特性に配慮した職場づくりが大切であると僕は思います。そのために、せっかくの制度がありながらなぜこういうふうな状況なのかなということも疑問ですし、職場を改善してまでも高齢者の雇用を望まないという企業側の考えであるのか、あるいは行政側の周知の仕方にひょっとしたら不備があるのか、利用の少ない現状を分析なさっているのでしょうかという、その辺の分析をなさっているのかどうかもきょうはお伺いしたい。
 また、来年度予算案ではこの制度の拡充がなされておるわけですけれども、利用を促進するための方策を今後どのように行われるのかということをお伺いしたいと思います。
#215
○政府委員(若林之矩君) 私どもも事業主の方々のお集まりの席でいろいろパンフレットをつくりまして説明をさせていただきましたり、あるいはそういった資金を活用などして職場の改善をしていらっしゃるケースの展示会をいたしましたり、そういったことをして努力いたしているつもりでございますけれども、ただいま先生御指摘のような数字でございまして、なお私どものPRが足りないということであろうかと存じます。
 したがいまして、今後一層そういった事業主の方々の会合その他私どもとして使い得る媒体を使いましてPRに努力をしてまいりまして、これを利用していただきまして、職場の環境改善が進むようにしてまいりたいと考えております。
#216
○西川潔君 ありがとうございます。
 人間というのは本当に勝手なものですから、いただくものはいただいて、返さなければいけないようなお金はなるべくならというのは、これは人情でもあると思いますけれども、そういう点で我々をPRに使っていただけるのでしたら、本当に協力させていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
 次に、シルバー人材センターについてお伺いしたいのですが、高齢化社会を迎えまして、健康で働く能力と意欲を持った高齢者の方々のふえる中で、高齢者の生きがいのためにと設立されたシルバー人材センターの役割はますます重要になってきております。会員数も年々ふえまして、現在ではもう二十三万人、企業、家庭、自治体などからの仕事も毎年ふえ続けまして、地域社会からも高い評価も得ております。現場を回りますと、大変お年寄りの皆さん方にも喜ばれておりますことも僕も存じ上げておりますが、いろいろなことをおっしゃる方々もいらっしゃいます、現実に。
 現在五百六十五団体あるシルバー人材センターを平成四年度には六百四十団体に増設しようと新規予算も組まれておりますが、一方では通勤途中や仕事中のけがも多発しております。中でも、新聞にも載っておりましたが、もう御存じだと思うんですけれども、暴走したショベルカーによりまして両足切断の重傷を負ったお年寄りの方もいらっしゃいますし、屋根の雪おろしの作業中に転落して死亡された方もいらっしゃいます。また、放置自転車を整理中に車にはねられてお亡くなりになった方もございます。本当にお年寄りの死亡事故が多発しております。
 そこで、お伺いしたいのは、シルバー人材センターの方々の通勤途中や仕事中のけがなどの事故発生状況について、まずお伺いしたいと思います。
#217
○政府委員(若林之矩君) シルバー人材センターの会員の方々の災害発生状況でございますけれども、平成二年度におきます災害発生延べ件数は三千五百件でございまして、うち通勤災害が約千件でございます。それから、就業中の災害が約二千五百件ということでございまして、大変残念なことというふうに思っております。
#218
○西川潔君 時間の関係で早口になって申しわけございませんが、ひとつ飛ばさせていただきます。
 昭和六十一年の高齢者雇用安定法に関する議論を会議録で読ませていただいたのですけれども、シルバー人材センターの紹介で仕事をする方々の災害に対して、労災保険の適用を行うべきであるという意見が強く出されております。私も同感だなと思うわけですけれども、これに対しまして労働省は、雇用関係が存在しない場合には労災制度を適用することは理論的になじまないとして、国庫補助によりまして仕事の実態に合った傷害保険制度を設けてその活用を図るという考えをお示しになっておられるわけです。国庫補助があるとはいえ傷害保険では不十分であり、何とか労災保険を適用すべきではないかと思うんですけれども、同じ会員でありながらシルバー人材センターの行う職業紹介事業により雇用関係のある会員には労災保険が適用されます。一般の臨時的また短期的な仕事を行う会員の方々には適用されないという現在の制度では、同じシルバー人材センターの紹介によって仕事をしている会員の間でもごれだけ差があるし、また不公平感があるということでございますが、いかがでしょう。
#219
○政府委員(佐藤勝美君) シルバー人材センターの会員の方の労災の問題でございますが、職業紹介によりまして就労する会員、つまり先方の事業主に雇用されるということになると、これは当然労働者ということでございますので労災が適用になるわけでございますが、そうでない形の方、つまり雇用労働者でない場合には、どうも労災を受ける理屈上被保険者にならないということにならざるを得ないわけでございます。ただ、この問題につきましては、シルバー人材センターの制度ができましたときに、必ずしも雇用によらない自由な形でのいろんな就労の制度をつくるということが本旨であったというようなことも承知をしておりまして、そういうこととの関連で考える問題であろうかとも思います。
 ただ、今おっしゃいましたように、同じ会員であっても先方に雇用されている労働者であれば適用になり、そうでない場合には適用にならないという、その点だけを考えますと何か不公平な感じもするわけでございますが、そこはどうも制度の割り切りといいますか、そういう制度であるということで御理解いただきたいと存じます。
#220
○西川潔君 朝から西野先生の撮影のお話も出たのでありますけれども、労災保険は必ずしも雇用関係がないと加入できないというわけではない。一人親方の労働者、例えば大工さんとか左官屋さん、商店主、一定の条件を備えた農業の人たちには、雇用関係がなくても特別加入制度が認められておりますし、このような特別加入制度があるわけですから、労働災害がふえる中で、シルバー人材センターの紹介により働く会員の方々にも特例の措置として労災制度への加入を認めるべきだと思うんです。現行制度を継続せざるを得ないのであれば、労災保険の給付内容と給付水準と差のないような保険制度の適用を何とか導入していただけないものでしょうか。そういうふうに思うわけです。
 事故対策には万全を期すとともに、不幸にして事故に遣われてしまった場合には、十分な補償をしていただけるように今後とも努力をしていただきたいと思うんですけれども、政府の方、そしてまた代表して大臣からも言いただきたいと思います。
#221
○政府委員(若林之矩君) まず、シルバー人材センターの会員の方々の仕事につきましては、安全な仕事をお世話するということが第一でございまして、これは私どもの方もそういった指導を強力に進めておるところでございます。しかし、不幸にして災害を受けられた方につきましては、今後もこのシルバー人材センターの団体傷害保険で進めていきたいと思っております。
 この給付水準につきましては、私どもいろいろとこれまで制度を構築してまいります場合に、基本的にはやはり労災保険の給付内容と申しますか、そういったものをバランスさせてこの制度をっくってきているつもりでございます。そして、その保険料と申しますか、それにつきましては二分の一の補助をしてきているということでございます。
 今後ともこういった労災保険、この制度を団体保険を導入しましたときにやってまいりましたそういう考え方、それをきちっと貫きまして、給付水準が遜色なきものになるように今後とも努力してまいりたいというふうに思っております。
#222
○国務大臣(近藤鉄雄君) 午前中の西野先生のお話の中にもあったわけでありますけれども、この労災保険というものは、まさに雇用関係にある場合に、雇用者が被雇用者の災害に対しても補償をするという形になっておるわけでございますので、一人でお仕事をされるとか、そういった場合について、また派遣の場合なんかは適用ができない、こういうことでございますが、一応特別加入制度の話もございましたのですが、そういうこともいろいろ検討して、対象になれるものがあるのならまた考えるということもあるかもしれませんし、一方では今職安局長が申しましたシルバー人材センター、団体傷害保険、損害保険業界等もやっているわけであります。
 いずれにいたしましても、労災保険というものの性格でカバーできないいろいろな就業形態がこれからふえてまいると思いますし、そういった問題を含めていろいろ私どもとして勉強させていただきたい、こう考えております。
#223
○西川潔君 ありがとうございました。たくさんお願いすることばかりですけれども、お年寄りのこともたくさん質問させていただきましたが、お答えの順番待ちといたしまして、どうぞ糖尿病の皆さん方の御対応を早くよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#224
○委員長(向山一人君) 以上をもちまして、平成四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係期間予算中、労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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