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1992/04/23 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第6号
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1992/04/23 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第6号

#1
第123回国会 労働委員会 第6号
平成四年四月二十三日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     堀  利和君     対馬 孝且君
     下村  泰君     西川  潔君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     石川  弘君     川原新次郎君
     星野 朋市君     岩崎 純三君
     真島 一男君     平井 卓志君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     真島 一男君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     平井 卓志君     鹿熊 安正君
     対馬 孝且君     堀  利和君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                鹿熊 安正君
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                真島 一男君
                清水 澄子君
                庄司  中君
                対馬 孝且君
                西岡瑠璃子君
                西野 康雄君
                堀  利和君
                中西 珠子君
                笹野 貞子君
                橋本孝一郎君
                西川  潔君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       労働大臣官房審
       議官       岡山  茂君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業能力
       開発局長     松本 邦宏君
       自治大臣官房審
       議官       遠藤 安彦君
       自治省行政局公
       務員部長     秋本 敏文君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       労働省職業能力
       開発局能力開発
       課長       松崎  朗君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○職業能力開発促進法の一部を改正する法律案
 (内閣提出)
○労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、岩崎純三君が委員を辞任され、その補欠として真島一男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(向山一人君) 職業能力開発促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○清水澄子君 まず初めに、これまでの職業訓練法の変遷と、そして改正内容のポイントについて、さらに民間訓練と公共訓練との役割の位置づけも含めて御説明を願いたいと思います。
#5
○政府委員(松本邦宏君) 職業能力開発法制につきましては昭和三十三年に職業訓練法の制定を見たわけでございますが、それ以来産業経済の情勢の変化あるいは雇用情勢の動向に対応いたしまして逐次改善を図ってきたところでございまして、昭和四十四年には、いわゆる高度成長下の技能労働力不足という状況に対応いたしまして、公共職業訓練施設の整備を図るための改正というものを行ったわけでございます。そして、昭和五十三年には、公共、民間一体となりました職業訓練の実施体制の確立を図りますために養成訓練、向上訓練、能力再開発訓練という三区分に基づきます訓練体系を整備いたしますとか、あるいは職業能力開発協会というものの設立などを内容とする改正を行ったわけでございます。さらに、前回の昭和六十年の改正で、民間の自主的な職業能力開発の振興を図るという観点から、事業主には雇用する労働者に対して多様な職業能力開発の機会を確保するように措置をさせる、これに対して国及び都道府県から援助、助成の施策を行う、そういった点を充実させるということで、労働者の生涯にわたる職業能力開発を促進するということにしたわけでございます。
 今回の改正では、前回の改正の趣旨をさらに発展させまして、特に地域の職業能力開発の中核でございます公共職業訓練施設について情報提供あるいは相談援助機能、そういったものを強化する、あるいは在職労働者を対象といたします技術革新等に対応した高度な職業訓練を実施する、そういった点を充実させて中小企業事業主等が行う自主的な職業能力開発の一層の推進を図るということにしようということと、昭和五十三年以来やってまいりました三区分に基づく訓練体系というものを再編いたしまして、多様な訓練対象者に対して柔軟な公共職業訓練ができるようにしたいということを考えているわけでございます。
 最後に、御指摘の民間と公共の役割について申しますれば、中心になりますのはやはり民間の自主的な訓練であると思いますが、中小企業等を中心にしてなかなかそれが行いがたいという点もございますので、公共がそれをいわば補完するというかサポートする、そういった役割分担、大まかに言えばそういうことで考えているわけでございます。
#6
○清水澄子君 私は、働く人々にとりまして職業能力を開発するための機会と訓練が生涯にわたって保障されているかいないかということは、労働権の保障はもとより、生存権の保障にもかかわる重要な政策であると考えております。しかし、今御説明がありました現行の職業能力開発促進法のもとではこれまで以上に公共職業訓練から企業内訓練中心へのシフトが加速されたのではないかと見ております。法律では、職業訓練の責任主体は事業主であり、国及び都道府県はわき役としての位置づけがされていたのではないでしょうか。
 特に今回、今御指摘もあったんですけれども、ほとんどこれまでのいろんな恩恵というのはむしろ大企業にそれは利用度があったと思いますけれども、中小企業における事業内教育訓練の現状を見ますと、三〇%以上それは使われていない、知らないというところも多いわけです。むしろ公共職業訓練というものがもっともっと中核的な役割を担わなければならないのではないかと思います。
 今回の法改正では、公共職業訓練の訓練課程を再編する、そして多様で高度な職業訓練の実施を図るとしており、また生涯にわたり段階的かつ体系的な体制整備を図るとしているわけです。これらを充実するためには、公共職業訓練施設の役割を強化充実することが絶対に必要不可欠だと考えるわけですけれども、労働大臣はこの公共職業訓練に対してどのような基本認識をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(近藤鉄雄君) 公共職業訓練所といいますか、公共的な能力開発機関を重視しろという先生のお気持ちはよくわかります。同時に、やはり実際産業の要請といいますかニーズをわかっておりますのは個々の企業でございますので、企業においてもそれなりの認識を持っていただくといいますか、それは公共的な職業訓練に全部任せていただくのではなしに、企業内においてそれぞれのニーズに即応するような職業訓練をおやりになる、それに対して国及び県がお手伝いをさせていただくということも私は公共的な職業訓練と並んで大事なのではないかなと、こう考えております。
#8
○清水澄子君 労働者自身の自己啓発を高めるとか、それから特に中小零細の企業が活用できるには、やはり公共職業訓練施設というものがもっともっとこれから重視されるべきだと私は考えます。労働大臣はもっと積極的にその点を御認識いただきたいということを私は要望して、次の質問に入ります。
 今回の改正の基本的な考え方について、国及び自治体は事業主、労働者等の自主的な職業能力開発を促進するための支援の強化を図るとしております。事業主と労働者が併記されているということは、これは労働者等の自主的能力開発を重視されていると受けとめているわけですが、それでよろしいでしょうか。大臣の御見解を伺います。
#9
○政府委員(松本邦宏君) 労働者の職業能力の開発、向上を図るに当たりましては、もとより労働者自身の自発的な取り組みというものがやはりどうしても前提になるわけでございまして、今日事業主等が行う職業訓練が一層効果的にやられるということが必要でございまして、また労働者自身の自己啓発のニーズも非常に高まっているわけでございまして、そういう中では労働者自身の取り組みがますます重要になってくると思います。
 そこで、今回の改正では、能力開発に関する国あるいは都道府県の援助の対象というものに労働者というものを明記いたしまして、各種の情報提供あるいは援助なんかの対象にも、事業主だけではなくて労働者も加えていこうということにしているわけでございまして、御指摘のとおり労働者の自主的な能力開発というのを大変重視した改正になっていると思っております。
#10
○清水澄子君 ところで、従来の職業訓練施設は、どちらかといいますと養成訓練と能力再開発訓練を中心としたものであったと思います。今後は、もちろん中卒の方々の訓練は大切にするということは当然ですけれども、高卒の新規の人々の訓練並びに在職者等への向上訓練とともに、高度な技能労働者の養成機関として地域の職業能力開発をもっと推進する、そのためには地方自治体の役割を重視する必要があると思うわけです。しかし、その場合に国と地方自治体の機能と役割の分担をどう考えていくのか、大臣の御見解をお願いいたします。
#11
○政府委員(松本邦宏君) 今回の改正といいますか、基本的な考え方、先ほど公共施設と事業主の役割についても、事業主はみずからの雇用労働者についての訓練を中心におやりになることだと思います。公共の場合は、それ以外の新規に養成をする場合であるとか障害者であるとかあるいは高齢者であるとか、それから事業主ではなかなかやりがたいような非常に高度な訓練とか、そういうものを分担するというのが公共の役割だと思います。
 そういう公共の中で、今度は都道府県と国との役割をどういうふうに考えていくかということがあるわけでございますが、従来の基本的な考え方は、養成訓練、そういったものは比較的都道府県を重点的にやっていただく、養成の中でも非常に高度な分野については国の方で分担をするということで考えているわけでございます。基本的な考え方は変えていないわけでございますけれども、先生御指摘のように、やはり地方の中でもそういった高度な養成あるいは在職者に対する養成、そういったものが非常に高まってきていることは事実でございまして、そういった地方の事情というものを考慮しながら、国と都道府県との間で重複のないような形で整理しながら役割分担を図っていきたい、かように考えているところでございます。
#12
○清水澄子君 では、これまでのこの三区分の領域というのはこのまま継続はされるわけですね、法的にはなくなっているわけですが。
#13
○政府委員(松本邦宏君) 今回の法改正で、養成訓練、向上訓練、能力再開発訓練という言葉は確かに廃止をいたしましたけれども、今までの養成訓練に内容的に相当するものは当然必要でございますからそれも行いますし、それから能力再開発訓練的な内容あるいは向上訓練的な内容はもちろん行うわけでございます。
 ただ、その内容の分け方といいますか、それを今度はその訓練内容に即して高度な訓練内容にするのか、あるいは普通の訓練内容にするのか。そういった養成訓練といった場合でも、普通訓練程度の内容もあれば、高度なものも必要なわけでございまして、養成訓練というと何となくレベルの低いようなイメージを持ちますけれども、そうではない、いろんなケースがあるだろうということでございまして、むしろ内容あるいは対象者に応じた訓練体系ということで、もう少し柔軟に対応できるような形にしたいということで一応名称を廃止することにしたわけでございます。
#14
○清水澄子君 そうしますと、例えば今まで養成訓練の範囲内に入っていました大工とか左官とか、そういう建築関係の技能労働者の養成訓練の場合、これは長期、短期の養成という形で区分されていましたけれども、今度、高度という場合にはどの辺の区切りから高度になるんですか、普通というのはどの辺を指すんでしょうか、そういう人々に対して。
#15
○政府委員(松本邦宏君) 今回新しく設けました普適職業訓練、高度職業訓練という区分でございますが、言葉の上で言えば、普通訓練というのは高度訓練以外のものを指しているわけでございます。具体的に言えば、現在都道府県の職業訓練校あるいは国でつくっております技能開発センター、そこが実施をしている訓練の程度に該当するものを考えております。高度職業訓練といいますのは、具体的に言えば今職業訓練短期大学校でやっているもの、あるいは技能開発センターの中でも高度技能開発センターというのがございますが、そこで実施をしているレベルということでございまして、非常に抽象的になるかと思いますが、高度技能労働者、テクニシャンという技能労働者の範疇がございまして、これは現場の技能もわかるし、深い理論的な技術についての理解もある、こういう両方間の橋渡しをするようなテクニシャンということでございますが、そういった人たちの養成を図るのが高度職業訓練というふうな形で理解をいたしております。
 今御指摘の在来の分野につきましては、今の高度な技能に、ここで言う高度職業訓練に該当する分野は必ずしも多くはないと思います。ただ、在来工法の中にも最近のコンピューター技術を駆使したような技能が入ってきておりまして、そういったものについては高度技能職業訓練という形で対応していく、こういうことになろうかと思います。
#16
○清水澄子君 そうすると、非常に反復作業と反復の訓練を重ねながら高度な技能労働者になっていく、そういうコースの課程の職種の人々と、今おっしゃったように、短期大学を出てそしてそこで高度なテクニシャンとしての技術者を高度と呼ぶというと、非常にそこに差別的な、何か実態に合わない部分が出ていると思いますけれども、その辺については何ら配慮をなさるお気持ちはございませんですか。
#17
○政府委員(松本邦宏君) 高度という名前を使ったために、それ以外のあれは高度ではない、低度であるというような印象をあるいはお与えしているのかもしれませんが、我々が考えておりますのは、そういう意味での高級なものと低級なもの、そういう区分では必ずしもございませんで、端的に言えば、高度技能訓練というのは、いわゆる最新のコンピューター技術とかそういったものに非常に関連のある技術というものをイメージしているわけでございます。いわゆる伝統的な技能の分野についても、そういった技術が最近はどしどし入ってきておりますから、そういったものについては当然高度の職業技能として考えているわけでございまして、我々は伝統的な技能を低級なものとして考えようなどということは毛頭考えているわけではございません。
 ただ、そういう言葉遣いをしたものでございますから、正直言って若干そういう誤解が生ずる余地がないわけではございませんので、そういうことのないように十分運用面で配慮していきたいというふうに思います。
#18
○清水澄子君 誤解ではなくて、法文上から見たらやはりそういう矛盾が出ているわけですから、運用の中でそういう人々に不安と混乱を与えないような配慮をぜひお願いしたいと要望しておきます。
 先ほどの、国と自治体の機能の役割の分担のところで本当は続けるべきでしたけれども、自治体の役割を重視されていく場合に、実施体制と予算的措置というのは、今回充実されておりますでしょうか。
#19
○政府委員(松本邦宏君) 都道府県が行います予算につきましては、施設設備費並びに運営費の補助を行っているわけでございますが、正直言いまして、最近の非常に財政需要の中で、なかなか都道府県の御満足をいただけるような額が確保できていないというような状態もなきにしもあらずでございますけれども、その中でも我々としてはいろんな理屈といいますか、面を考慮して増額の努力を続けているところでございます。
#20
○清水澄子君 それは、後からまた同僚議員が質問すると思います。
 次に、企業内職業能力開発計画を策定する場合に、労働組合とよく協議して定めていく。そして、労働組合がない事業所では労働者代表と話し合って計画を決めていくべきだということが非常に職業能力開発では大切だと思われるわけですけれども、現状ではそういう計画策定の際に、労働組合や労働者代表と労使協議が行われているのかどうか。そしてまた、中央職業能力開発審議会が今回の法改正に当たっての答申で、「労使協議等により労使が協力しあって取り組むことが期待されことしているわけですけれども、今回の改正法案には、この考え方がどのように生かされているのか。そして、私の方はむしろ法十二条の企業内職業訓練計画の策定においてという項の中に、労使協議が必要だと明記する必要があると思いますが、いかがでございますか。これは大臣お答えください。
#21
○国務大臣(近藤鉄雄君) 詳しいことは局長から答弁をしてもらいますが、基本的に職業訓練と能力開発というものは、やはり労働者といいますか、現場の方々がその意欲を持っていただいて、そして真剣に取り組んでいただくということでなければ実が上がらない。一方的に上から押しつけるようなことではできないわけでございますし、またいろんな新しい状況に対して職場の変換みたいなことも考える。これも考えるといいますか、労働側の皆さんのお考えも十分考えなきゃならないことでございますので、先生の御趣旨は十分に踏まえながらこの法律を実行することになると私は考えておりますが、なお局長から、より詳しく答弁させていただきます。
#22
○政府委員(松本邦宏君) 今、大臣からも御説明申し上げましたとおり、能力開発を進めていく上で、労使が協力をし合ってやっていただくというのは非常に重要なことだと思っております。
 労使協議の現状につきまして、直接把握したデータはないのでございますけれども、例えば「平成三年度労働協約等実態調査」というのがございまして、その中で、新技術導入に伴う教育訓練に関する労働協約を有しておるという労働組合は全体の二一・五%というような数字がございます。あるいは教育訓練休暇に関する労働協約を有する労働組合も全体の一〇・六%ということになっております。
 それ以外にも、例えば就業規則等で決めていると。就業規則を決めるにつきましては、組合ともいろいろ協議をするというようなことになっておりますから、実際上はかなりの部分が協議をされているんではないかというふうに思っております。我々も、行政の運営上も計画的な能力開発を行う事業主に対して生涯能力開発給付金というものを支給することにいたしておりますが、その申請に際しましては、企業内の職業能力開発計画について労働組合の意見を聞くことということを、いわば補助要件の中に書き込んでおります。そういう形で、必ず意見を聞かせるというようなことにいたしております。
 ただ、法律で一律に義務づけるかどうかということについては、審議会の段階でも御意見が出たことは事実でございますけれども、今の段階では必ずしも適当ではないのではないかという判断をいたしているわけでございます。
 ただ、運用の中では、今申し上げましたように、企業内の計画策定について十分労働者側の意見が反映されるように、職業能力開発推進者、これは企業の中に設置をいたしておりますが、そういった人たちの研修、講習、その他いろんな機会をとらえて周知、啓発を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。
#23
○清水澄子君 次に、公共職業訓練体系の改善についてですけれども、国及び都道府県は公共職業能力開発施設を設置して、そして労働者が段階的かつ体系的な職業訓練を受けることができるよう努めなければならないとされているわけですが、段階的かつ体系的な職業訓練とはどのような訓練をイメージしておられるのか、また、実行しようとしておられるのか、御説明いただきたいと思います。
#24
○政府委員(松本邦宏君) 職業能力開発というのは、やはり労働者の入職時から退職に至るまでの職務生活の全期間を通じまして、必要な時期に適切な職業能力開発の機会が系統的に確保されるということが必要ではあろうと思っておりまして、我々はそれを生涯職業能力開発というふうに呼んでいるわけでございますが、そうした理念に沿って行われる必要があるだろうというふうに考えております。段階的、体系的な訓練というのは、いわばそういう理念に沿った形での柔軟かつ多様な能力開発機会を提供する、こういうふうに理解をしているわけでございます。
 今回、三区分を廃止いたしまして、新たな体系に再編をすることにいたしておるわけでございますが、これはまさに生涯職業能力開発の理念に沿いまして、対象となる労働者、あるいは求職者の種類、あるいは職種の多様性、あるいはその段階、そういったものに応じて多様な訓練を提供していこう、こういうことのために改正をしたものでございまして、具体的なカリキュラム作成の中で、そういった面を十分配慮していきたいというふうに考えておるところでございます。
#25
○清水澄子君 今回、公共職業訓練施設と呼んでいたものを、公共職業能力開発施設と名称を変えているわけですけれども、これは単に職業訓練を実施するばかりでなくて、職業能力開発についての情報提供や相談、援助など総合的なサービスを実施していく総合施設としての名称変更と受けとってよろしいのでしょうか。
#26
○政府委員(松本邦宏君) おっしゃるとおりでございまして、今までの公共職業訓練施設というのは職業訓練を行うための施設というような位置づけになっておりますが、やはり事業場、あるいは労働者が行う能力開発に対する情報提供あるいは相談、援助を行うという業務が大変重要になってきておりますので、公共職業訓練施設を単に訓練だけではなくてそうした総合的な施設という形で位置づけをしたいということで、この際名称も職業能力開発施設という形に改めたい、こういうことでございます。
#27
○清水澄子君 そうでありますならば、改正法の第十五条の二では、職業能力開発についての情報提供、相談、援助を行うように努めなければならないと新たに規定しているわけですけれども、第五次職業能力開発基本計画及び今回の法改正に対しての中央職業能力開発審議会の答申においては、事業主、労働者、その他の関係者に対し、情報及び資料の提供については行うものとする。努めなければならないというのと行うものとするというのでは全然違うと思うんですね。ですから、審議会の答申とか第五次職業能力開発基本計画のそういう考え方は、むしろ行うものとするという義務条項の考え方に立っていると思いますけれども、今回の改正法でなぜそれを努力義務条項に変えたのか、その理由は何かということをお答えいただきたい。これも大臣、なぜこういうふうに変わったのかということをぜひお答えください。
#28
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生のお気持ちは私もわかりますが、ただ率直に言って、情報提供や相談、援助機能を従来も多少やっておったのかもしれませんが、言ってみれば、これから新しくこういった機能を能力開発施設に与えるわけでございますので、これはそういうことでまず努力してもらうということからスタートさせていただくと、こういうことではないかと考えております。
#29
○清水澄子君 積極的に労働者に対してそういう働きかけをしていくというもっと確信を持ってお答えいただきたいんですが、いかがですか。
#30
○政府委員(松本邦宏君) 今後、今申し上げましたように、公共職業訓練施設が総合的な施設になるためには、やはりその情報提供、援助業務のウエートというものが大変大きくなることは事実でございます。ただ、現状の中ですべての公共職業訓練施設を当然の義務というような形にするのは、正直言いまして、今の実施体制の中でなかなか難しいのではないかというような判断をいたしまして、今般の改正では努力義務ということにしたわけでございます。やはり体制面、そういったものを十分充実し、あるいは担当職員についてもそういった機運を盛り上げる、そういうものを十分図った上で将来のものとして考えたいと、こんな感じでございます。
#31
○清水澄子君 それでは、公共職業能力開発施設においては、情報及び相談等の援助体制を確立していくということになるわけですけれども、それにはかなりの人員増、体制の拡充が必要だと思うわけです。その増員に欠かせない予算的裏づけの保証はどのようになっておりますか。
#32
○政府委員(松本邦宏君) 公共職業訓練施設の中で、県の訓練校につきましては相談員を設置いたしておりまして、それによって相談体制をとっていこうということで考えております。それ以外に、情報提供するための情報データベースというものをネットワーク化しようということでございまして、当面は各都道府県一訓練校程度になると思いますが、それも徐々にふやしていくということを考えております。
 それから、国の方では既に援助課というような組織もございまして、そういうところで具体的な情報提供、援助をやっていこうということを考えておりますし、国の方の施設につきましても、現在は都道府県の職業能力開発協会までは既にデータベースが行っておりますけれども、そのベースをさらに国の施設についてもつなげていくということを考えているところでございます。
#33
○清水澄子君 なかなかこういう法律ができても現場はそう簡単に状況が変わらないわけですね。非常に仕事だけはふえてくるということが起きるわけですから、今後事業拡大をしていくならば、現行の人員体制では限界があるとだれが見ても考えられると思います。ですから、そういう現場の状況をもっと把握していただきたい、このことを要望しておきますけれども、大臣、そういうところを一度視察なさって、おやりになるという新しい大臣のイメージをひとつつくっていただけないでしょうか。
#34
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、私も大臣になりましてからできるだけ現場を見るようにしております。例えば、先般も訓練大学校の視察に行ってまいりました。それから、幕張の高度技能開発センターを見てまいりましたけれども、大変立派な研究機関であり、教育機関なんですね。ですから、私思いましたのは、あの高度な職業訓練機関、また研究開発機関のノウハウをどういうふうに地方まで積極的に浸透してやるか、そういうネットワークづくりが非常に大事だと思います。
 先生、御指摘がございました、各都道府県にある公共職業訓練施設というのがすべてのいろいろな技術に対応する訓練者を持つことは不可能だと思うんです。ですから、そのときどきの地域の要請や企業の要請やそういったものに応じながら、むしろ常時持たなくても、まさに情報提供するとかあっせんをするとかそういったことが非常に大事で、それを上につなぐ、こういうことで今回いろいろなことを考えているわけでございます。私も私なりにいろいろ歩いておりますし、それから選挙区に帰りましたときには山形の職業訓練校も二、三実は訪れました。先生のお気持ちはわかります。そういうネットワークづくりにこれからもっともっと積極的に取り組んでまいりたい、こういうことでございます。
#35
○清水澄子君 次に、第五次職業能力開発基本計画では、「公共職業訓練施設が地域のニーズに的確に対応して運営されるようにするため、地域の事業主団体、労働組合、市町村、関係行政機関等を構成員とする運営協議会を設置する」、こういうふうにうたっております。また、中央職業能力開発審議会の答申においても同様な意見が書かれているわけです。今後、公共職業訓練施設がだれでもいつでもどこでも本当に地域の労働者にも身近に利用できる、そういう職業能力開発の核として位置づけていくのであれば、こうした運営協議会は私は絶対不可欠だと考えております。この改正法の第十六条に、公共職業能力開発施設は、事業運営に関して、事業主、労働組合、市町村等を構成員とする運営協議会を設置し、その意見等を反映するよう努めなければならないと、私どもははっきりここに明記をすべきだと思うわけですが、いかがでしょうか。
#36
○政府委員(松本邦宏君) 公共職業訓練施設がその地域に開かれた能力開発のための総合的なセンターというふうに機能させたいということで、そういった積極的な運営をしていきたいと考えております。そのためにはやはり地域のニーズに的確に対応できますように、地域の事業主団体あるいは労働組合、市町村、そういった方々の意見を不断に吸収するということがぜひ必要でございますから、そういった方々を構成員とする運営協議会というものを設置するということで地域の具体的なニーズの把握に努めていきたいと考えております。ただ、法条文で書くべきかどうかということについては、そこまでは処置しなかったわけでございますけれども、今の趣旨は法施行に当たりまして通達の中で明記をさせたいというふうに考えております。
#37
○清水澄子君 ありがとうございます。ぜひその趣旨を通達の中で明確にしていただきたいと思います。
 次に、職業訓練と雇用保険の失業給付の関係についてですけれども、失業者が再就職のために公共職業訓練に入校しました場合に、受講料は無料となっております。しかし、失業中で収入がないわけですから、受講を続けようとするにはその間の生活を支えていくための雇用保険の受給は欠かせないと思うわけです。しかも、訓練受講の作業服とか安全靴などの費用は、これは個人負担となっているわけですから、今後こういう人々が雇用保険を受給できるかどうか大変切実な問題だと思います。
 そこでお聞きしたいわけですけれども、現行の雇用保険制度においては、自己都合によって退職して、そして雇用保険の給付制限を受けた方で公共職業訓練等を受けた場合に、どのような給付の取り扱いになっておるでしょうか。
#38
○政府委員(若林之矩君) 正当な理由のない自己都合退職などが離職理由になりまして給付制限を受けているという場合につきましては、これは離職時点において離職の事情により決定をされるものでございまして、こういうような離職理由に基づく給付制限を受けた方につきましては、仮に公共職業安定所長の受講指示に基づきまして公共職業訓練等を受講する場合でございましても、給付制限期間中は失業給付等は支給されない、こういう取り扱いでございます。
#39
○清水澄子君 だから、今後新しく訓練を受けてそして新しい就職を見つけようとしている人々に法律が矛盾をしていると思うんですね、現実に。
 ですから、失業中の方で公共職業安定所長の受講指示を受けて公共職業訓練校に入校しても、雇用保険の三カ月給付制限を受けている人もいるというふうに聞いているわけですけれども、安定所長の受講指示によって公共職業訓練校に入校して新たな技術を身につけようという意欲的な人、そういう人々には給付制限を行わないようにすべきだと考えますけれども、今までの法律がそうなっているという説明だけじゃなくて、今後やはりそういう問題をどこかでこれを改善するということを御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
#40
○政府委員(若林之矩君) この問題は、これまでもいろいろ議論があってお答え申し上げてまいったところでございますけれども、まず基本的にはただいま申しましたように、離職理由に基づきます給付制限というものは、離職時点における離職の事情によりまして決定されるものでございますので、給付制限期間中に公共職業訓練等を受講する場合でございましても、この給付制限というのは解除されないということでございます。
 給付制限の判定に当たりまして、これは受給資格決定時に行うわけでございますけれども、その際に公共職業訓練等の受講の意思を積極的に明らかにしていらっしゃる方につきましては、新しい技術の導入に伴いましてそれに適応できないで離職した場合、こういうものは正当な理由になるわけでございますが、積極的にそのときに訓練受けたいとおっしゃっている方については、こういう新技術の導入に伴ってそれに適応できなくて離職した場合というような、そういう正当な理由のある自己都合退職であるという場合があるわけでございますので、私ども、その受給資格決定のときに給付制限の判定をいたします際に、そういう方についてはその離職理由について十分調査をした上でこれを行う、こういう取り扱いをいたしておりますので、御理解賜りたいと思います。
#41
○清水澄子君 ありがとうございます。
 次に、職業能力開発評価の普及促進と技能尊重社会の形成についてお尋ねしたいわけですけれども、今後技能検定制度による職業能力評価制度をより普及させるためにどのように取り組んでいかれるのか。
 現行の技能検定制度は、在職労働者の職業能力の向上に余り役立っていないのではないかと私どもは見ております。そして、特にホワイトカラーの技能評価制度の強化がもっと必要ではないか、こう考えますけれども、いかがでしょうか。
#42
○政府委員(松本邦宏君) 職業能力評価制度といいますのは、やはり職業能力開発の目標を明確にし、職業能力開発の動機づけに役立つという意味では大変重要なものだと思いますし、労働者の処遇改善あるいは再就職等の際にも有効に働くということであろうと思っております。
 そこで、国家検定でございます技能検定制度について充実を図るとともに、民間団体あるいは個別企業等で実施をされている技能評価制度もございます。いわゆる技能審査あるいは社内検定という制度がございます。そういったものも積極的に活用するということで、できるだけ多くの職種で、しかもまだ、職業能力開発のいろんな段階、初級の段階から非常に高度な段階まで多段階における職業能力の評価というものを整備充実していく必要があるだろうというふうに考えております。
 そういうことで、今回その検定内容につきましては、技能検定につきましては社会経済の変化に対応した検定職種の新設、改廃あるいは検定内容の見直しというものを、これはもう不断にやっているわけでございますけれども、今後も引き続き検討していきたいというふうに思っております。
 それから、御指摘のホワイトカラー労働者が確かに増大をしているわけでございまして、従来の検定職種の中では比較的少ないのは事実でございます。これにつきましては、やはり職種内容が非常に多様である、それから進歩が非常に激しいというようなこともございます。そういうことで、なかなか恒常的な技能検定というような形でまとめるというのは難しい面もございますが、技能評価促進給付金というような形で、先ほど申し上げました技能審査認定、これは業界団体がやるもの、あるいは社内検定、こういう制度もございますので、そういったものを活用いたしまして、職業能力評価の推進を図っていきたいということでございます。
 もとより、技能検定の中でも、そういったホワイトカラー職種についても取り入れられるものについてはできるだけ取り入れる努力を続けていきたいというふうに思っております。
#43
○清水澄子君 この法案の提案理由の説明を見ますと、技能尊重社会を形成するとあるわけですね。しかし、実際にこの技能資格を取った人ですね、技能の資格を取ってもそれが賃金に結びつくとか、昇進、昇格に結びつくとか、そういう処遇の改善につながっていない、いわゆるそういう人々の技能労働者、技能を持った人たちの社会的地位を引き上げるようなそういう積極的な政策が見当たらないわけなんです。そしてまた、現在の技能離れの風潮を改めると言っているわけですけれども、これをどのようにして改めようとなさっているのか。
 私は、これは学校教育のあり方も見直さなければならないと思っているわけです。特に、最近の偏差値重視の教育の影響で、普通高校や大学、短大に行けない者が職業高校や職業訓練施設に行くというような、そういう位置づけが見られますし、それから技能教育を受ける者が、さっき申し上げたように高度とか普通とかというランクがどちらかといえば技能労働者の方がランクが低い、こういうふうに見られる風潮がまだ学校教育の中でも多いと思うんです。ですから、学校教育の中でもこれを根づかせていくということが私は非常に重要だと思います。
 技能尊重社会の形成のためには、また単に労働省だけの取り組みではなかなかこれは進まないだろう。文部省とか通産省、建設省などの関係省庁がもっと連携をして技能尊重の世論形成に努めていく必要があると考えるわけですけれども、これらについてまずお答えいただき、最後に労働大臣はどのように本当にこの技能尊重社会をつくり出していくのか、もっと具体的な答弁をいただきたいと思います。
#44
○政府委員(松本邦宏君) 最近、先生も御指摘のように、若年層を中心にした技能離れというような風潮が言われるわけでございます。我々も大変その点は憂慮をいたしておりまして、何とかそういった流れを食いとめたい、やはり社会的に技能というものが尊重されるという社会をつくり上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 実際には、先ほどの技能検定あるいは例えば我々の方では技能オリンピックとかというのをやっておりますが、そういう検定に合格した人あるいはオリンピックに優勝した人、そういった人たちが例えば処遇面でどういうふうなメリットを受けておるのか受けていないのか、そういった点については残念ながら細かい調査のようなものもございません。そこで、実は今年度そういった点についても詳細に調査をしてみたいということも考えております。
 それからもう一つは、各界で活躍をしておられる有識者の方にお集まりをいただきまして、我々技能サミットと呼んでおりますけれども、技能振興施策についてどういった点から取り組めばいいか大局的な意見の交換をやっていただく、こんなことも考えておりまして、そこでは何かすばらしい御提言がいただけるんではないかと期待をしておるわけでございまして、そういった御提言を受けて具体的な対策に取り組んでいきたい、かように考えております。
#45
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から御指摘があったわけでありますが、私は日本の産業のいわばすばらしさといいますか、世界のどこに行っても評価されるような立派な製品、商品を日本の会社がつくれるのも、これはもちろん優秀な経営者もございますけれども、その根本は技能労働者ですね、末端の労働者の皆さんの技能、技術が進んでいるから、その積み上げで立派なものができるんであって、どんないいデザインがあろうが、それを現実につくる方々の技術がしっかりしなければ砂上の楼閣になってしまうわけであります。そういう点で、やはり技能尊重の社会的な雰囲気といいますか、理解を進める必要がある。
 私もいろんなところを歩きますけれども、一級技能士とか二級技能士ですか、その技能士のバッジを持って胸を張っておられる方がたくさんいらっしゃいます。また、お伺いすると大変そういう方々はよくわかっていらっしゃるんです。最近、労働力不足になってまいりますと、そういう積み上げた技能でなくても、いわゆる何にもなくても結構いい賃金、収入で働く方がふえていて、技能がなくたっていい収入があるじゃないか、こういうことがあることも事実ですね。
 ですから、私は国の政策もさることながら、やはり経営者の方々、現場の方々がそれなりに技術を持っている人、技能を持っている方々を評価されて、そしてそう言ってはあれですけれども、一般の人とは違った処遇をされるということが非常に大事ではないか。そういうことを現場の経営者の方々が理解を持っていただくということが大事であります。私は、先ほど言いましたように職業訓練大学に行ってまいったわけでありますけれども、いわゆる普通高校から皆さん入っていらっしゃるわけでありますが、原則はそういう職業訓練校の中で進まれた方々が短期大学校、さらには進んで職業訓練大学に、大学校まで技能で進んでいく。一般の普通高校からじゃなしに、そういう技術、技能で最高の学習といいますか研究ができる、そういう道を開いていくということも大事ではないか。文部省もそういうことで一般高校以外の道をつくる必要がある。
 私個人のことを申しますと、私実は戦争中海軍兵学校に行きまして、それから高等商船に行ったんです。高等商船を卒業しようと思ったら、みんな先輩が失業しちゃったもので、それで東京大学と東京商科大学両方受けたんだけれども、東大は断ってきたんです。願書受け付けないんです。技術学校の卒業生はそこを受けられない。東京商大というのはリベラルな学校であって、申込書を受け付けてくれたんです。それで頑張って試験を受けて入って現在あるわけでございますので、そういういわゆる偏差値のない形だけのものじゃなしに、あえて言いますと、東大を中心にした偏差値を過大評価する学問体系をもっと開いて、いろんな形で最高の学問をできる道をつくることも大事でございますので、私も前に文部政務次官をした経験もございますので、ひとつそういった面についてもいろいろ話を進めてまいりたいと考えております。
#46
○清水澄子君 あと時間がありませんので、できるだけポイントだけお答えください。
 もちろん国民の意識の改革の重要性を申し上げたわけですけれども、先ほどから申し上げたように、現実に今最も建設業界とかそういう実際の技能労働者の分野は非常に人が集まらないという、それからなかなか伝統的な技術を伝達できないという現実に苦悩を持っているわけですね。そういう人々の問題について、先ほど申し上げたように大工さんとか左官とか木工とか比較の、そういう技能労働者の養成訓練の基準を今度普通と高度に区分したことは、この技能尊重の評価とどのように結びついているんでしょうか。
#47
○政府委員(松本邦宏君) 高度とそれから普通に分けましたのは、先ほど申し上げましたように従来の養成、向上、能開という訓練の基準でやっておったものを、もっと産業経済あるいは技術の発展にあわせて柔軟な形で対応できるようにしようということでございます。したがって、本当に労働者あるいは産業界に必要な技術がそのときそのとき得られるような形に取り上げていこう、変えていこうと、こういうことでございます。したがって、より一層労働者としてもあるいは事業場としても能力開発がやりやすいような仕組みに変えたいということでございます。したがって、能力開発が進めばそれによって技能をいわば尊重する機運、あるいは技能尊重、技能を習得した人に対する尊重機運というものはおのずから高まる面もあるのではないかというふうに考えております。
 ただ、それだけでは不十分でございますから、従来も技能オリンピックでありますとか、あるいは卓越した技能者の表彰だとか、そういう形で、そういう特に伝統的な技能については尊重、盛り上げるような形をやっておるわけでございますけれども、そういった点についてはさらに充実をさせていきたい、かように考えております。
#48
○清水澄子君 今回、改正の中には外国人研修生の受け入れが加えられたわけですけれども、民間企業における外国人研修生の受け入れでは研修という名で、研修制度がありながら残業をさせられたり、通常の労働者と同じ労働時間働かさせられるなど、その趣旨に違反した受け入れが非常に各地で報道をされていると思うわけです。外国人研修生の受け入れについては、基本的には企業責任で受け入れて、入管法に定めております研修期間の三分の一以上の座学を前提とすべきであって、これを崩すようなことがあってはならないと思うわけです。
 しかし、今回公共職業能力開発施設が外国人研修生に対しても今後実施ができるということが明記をされたわけですけれども、このことによって、従来施設やそれらの制度がなくて受け入れができなかった中小企業が今回受け入れることになるわけですが、中小企業全部を私は不純とは言いません。しかし、やはり労働力不足という状況の中でそれを見越した不純な動機でこの制度を利用することがないように、労働省は十分この点を配慮してこの規定の運用に当たるべきだと考えますが、いかがですか。
#49
○政府委員(松本邦宏君) 今回、公共職業訓練施設に外国人研修生を受け入れるという規定を明記いたしましたのは、国際協力というものが非常に重要な日本の役割になっていることは御承知のとおりでございます。そういった技能を移転をするという中では、やはり開発途上国において求められている技能というのは日本の中小企業の中に蓄積をされている技能というのが大変多いわけでございますので、そういう意味では中小企業にやはり役割分担していただかなきゃならぬという面が強いわけでございます。
 ただ、中小企業は人材の面、施設の面、そういった点で必ずしも十分でない点がございますので、特に取っかかりの基礎的な部分をきちっと公共職業訓練施設で技能を付与して、その上で中小企業での現場の技能を付与していただく、こんな考え方でいるわけでございますので、それこそ研修でない単純就労にわならないように基礎的な技能をきちっと付与することによってむしろ歯どめをかける、こういう趣旨でございますから、もとより研修がその目的を達成するように十分我々としても運用上配慮していきたい、かように考えております。
#50
○清水澄子君 ですから、今後民間企業から公共職業能力開発施設に対して外国人研修生を受け入れるという要請があった場合、労働者を受け入れるわけですから、その当該企業の労働組合とか、そういう労働団体の意見を聞くべきだと思いますが、その点はいかがですか。
#51
○政府委員(松本邦宏君) 企業において外国人研修が実効あるものとして実施されるためには、当然研修が職場で行われるわけでございますから、職場に働かれる労働者などの協力が不可欠でございます。したがって、十分に企業で外国人を受け入れようという場合には、労働者等を含めた関係者の十分な理解のもとに行われることが必要でございましょうから、そういった話し合いは大変望ましいことだというふうに考えております。
#52
○清水澄子君 次は、女子労働者に対する職業能力開発についてお尋ねいたします。
 昨年の六月に総務庁が、都道府県の婦人就業援助施設と女子専門職業訓練校並びに雇用促進事業団がやっています技能開発センター及び働く婦人の家における短期の訓練・講習等の効果的実施について行政監察をしているわけですけれども、そこで出されている報告書があります。その中で指摘しているのは、それぞれの施設の設置状況及び訓練・講習等の需要を勘案しつつ受講対象者及び科目の見直しを行うべきだ、そして各施設と安定所との連携を図るなどによってもっと就職率の向上に努めるべきだ、そして都道府県及び雇用促進事業団をもっと指導しなければならないという勧告を行っております。
 特に、私訓練科目を見まして、非常にやはり旧態依然としているわけですね。女性だったら洋裁、縫製、給食、家政科、理容、美容、こういう男女役割分業のそのままのスタイルと変わらない設置訓練科目がいまだに続いている。そういう状況の中で、これに対して労働省はどのように対応されていかれるおつもりなのか。また、この勧告時期と職業能力開発促進法の今回の改正とは非常にいいタイミングであったと思うわけですけれども、そういう意味で制度面において今回改善策が講じられているのかどうか。講じられた点があったらぜひ御答弁いただきたいと思います。
#53
○政府委員(岡山茂君) ただいま御指摘ございましたとおり、総務庁の婦人就業対策等に関する行政監察に基づく勧告が昨年六月にあったわけでございますけれども、そこで一部の施設等につきまして定員に達してないところがあるとかあるいは訓練科目等について考慮する必要があるといったような御指摘を受けておるわけでございます。そこで、労働省といたしましてはこの勧告の趣旨を踏まえまして、それぞれの施設がそれぞれの地域のニーズに応じた特色ある科目の設定を行うように、あるいはまた施設間あるいは職業安定機関との連携を図って効率的な訓練が実施されるように都道府県及び雇用促進事業団について指導をいたしたわけでございます。
 今回の改正におきましても、職業能力開発施設がそれぞれの婦人あるいはそれぞれの地域のさまざまなニーズに的確に弾力的に対応できるようにという趣旨で今回の法改正も行っておるところでございますので、それらを外しまして今後一層地域の実情に合った訓練科目あるいはそれぞれの婦人の方々のニーズに即した訓練科目等の設定をするように指導し努めていきたいと思っております。
#54
○清水澄子君 しかし、さらに総務庁の監察によりますと、例えば都道府県が事業主体となっています婦人就業援助施設と雇用促進事業団が事業主体となっております技能開発センターではおのずと設置の目的が異なっているわけですね。受講対象者についても、前者の方は婦人失業者等の求職者であって後者がパートタイム労働者として軽易な業務等に再就職しようとする者となっているわけですが、実際にはどちらも女性の場合はパート対応の技能講習を実施しているということが指摘されているわけですね。両方とも区別がつかなくなっている。
 もう時間がありませんのでまとめますけれども、やはり今日女性の社会参加は非常に進んでいるわけですし、一方で労働需給の動向からも女性の雇用拡大というのは非常に重要な、社会的に大きな、経済的にも大きな課題になっていると思うわけです。そしてまた、子育てで一たん離職した女性とか、または今度からの育児休業で一時休んでまた職場へ復帰する女性とか、やはり女性たちの能力開発の機会と訓練をもっともっと強化しなければならないという状況に今あると思うわけですね。そうした意味からも、たとえ短期訓練の場合であってもこういう旧態依然の訓練科目じゃなくて、女性が希望しているような、そして新しい職業に挑戦していくような、そして利用しやすい制度を進めていくべきだと思いますし、女性即パート対策ではなくて長期にも、そして自分の技能を開発していけるように専門的な技術的な職業訓練の機会と受け皿をもっとつくっていく必要があると思うわけです。ですから、この点に対しては労働大臣は、今日これからの日本の働く女性たちにもっと希望を与える、そういうひとつ見解と決意を最後にお聞かせいただきたいと思います。
#55
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実は私、たまたま昨日みなとみらいの建設の現場へ参りまして、そしてランドマークタワーですか、七十階ぐらいの大きなビルの建設の現場に参りました。新聞に出ておりましたが、佐藤工務店というところで女性の方々を建築現場の労働者として使っていらっしゃるわけですが、その女性の方々が二十名ぐらいいらっしゃったんでちょっとごあいさつをいたしました。そして、なぜあなた方はこういう建設を選ばれたんですかと言ったら、お父さんが建設会社で自分も後を継ぎたいと、こういうお答えだとか、それから実はじっとしているの嫌なんです、動かしたい、そして何か物をつくってみたいんだと、そういうことで来て大変満足しておるというお話でした。男性が多い職場で女性がいるものだからまず大事にされるというようなこともさることながら、立派なビルができていくわけですね、非常にすばらしいと言って生き生きしていらっしゃって、私は感銘を受けたわけであります。
 今、先生おっしゃったように、職業訓練も女性はこうだというふうに決めてかからないで、恐らくいろんな職業訓練は全部男女共学じゃないかと思うんです、女性はだめだということはないんで。ですから、女性の方は積極的にいろんな職場を希望していただいて、それを受ける体制をぜひつくっていただいて、いわゆる従来の女性の仕事ということじゃなしに、建設事業を含めて、むしろ女性ならではのやりようがあるかもしれませんね。ですから、そういった能力のある方々、女性が積極的に生産活動に参加される、社会活動に参加されるためのそういう体制づくりについて、先生の御指摘ございましたように一生懸命これから取り組んでまいりたいということでございます。
#56
○清水澄子君 終わります。
#57
○庄司中君 私は視点を変えまして、民間から見た今度の法改正の意味ということにつきまして幾つかの質問をしてみたいというふうに思います。
 さっきもちょっとお話がございましたけれども、物をつくる技能といいますか、つくる技術といいますか、この方に我が国は非常にすぐれているというお話がございました。そうしますと、いわば我が国の経済、産業の中で技能の形成の仕方といいますか、それが国際的に見てどんな特徴を持っているのか、その辺を押さえておく必要があるだろうというふうに思いますので、その辺をまず基本認識としてお示しいただきたい。
#58
○政府委員(松本邦宏君) 我が国の産業技術が大変進んだのは、技能習得がうまくいったためであろうと思いますが、我が国の技能習得の形態といいますのはオン・ザ・ジョブ・トレーニングがメインになっているのではないかと思います。それにいわばオフ・ザ・ジョブ・トレーニングというようなものを適宜組み合わせながら技能形成がなされておるということではなかろうかというふうに考えております。
#59
○庄司中君 これにはかなり最近も研究が進んでおりまして、例えばある研究者によりますと、日本の技能者はNC旋盤を一人で三台使っている、ところが東南アジアヘ行きますとどうしても一台しか使えない。これはもうある意味では技能に対する文化的な背景なしにちょっと考えられません。しかし今局長がおっしゃいましたように、企業の中で、職場に入りまして最初は易しい仕事からそしてだんだん難しい仕事、あるいは循環をしながら職場の中をずっと渡り歩いて技術あるいは技能を完全にマスターをしていくと仕組みが十分わかる、そういうことが非常に大きいだろうというふうに思います。
 それから、私もNC旋盤を一人で三台使っているのを見たわけでありますけれども、確かにこれは研究者の話ですと、同じ機械を使っても我が国の労働者がやるのと東南アジアの方がやるのとで大体三倍から四倍の差が出るという、これはある意味で極端かと思いますけれども、技能の維持というのは非常に大きい。例えば理論的なことは同じであっても、同じ機械を使いましても結果は違うわけです。そういう意味では我が国の技能の形成の特色といいますか、すぐれた点を伸ばしていかなきゃいけない。伸ばしていくために公共がどんな援助をするかというのが大きなポイントになると思いますけれども、その辺の認識についてはどんなふうにお考えでしょうか。
#60
○政府委員(松本邦宏君) 在職労働者の訓練ということになりますと、日本の場合は終身雇用でございますから企業が第一義的に責任を持ってやろうという意欲は非常に高いと思います。しかも、日本の場合には単能工ではございませんで多能工という形でやっておりますので、技術の革新に応じてそれぞれの技能を新しくしていく、あるいは職場をかえる場合にそれぞれまた新しい技能を付与する、こういう形で不断にやられているわけでございます。
 ただ、在職労働者につきましてもやはり中小企業分野というのは、どうしても指導者の問題あるいは機械設備の問題、そういった点で劣る部分があるわけでございまして、そういう点を公共的な部門が受け持って援助する、こういう役割分担ではなかろうかという感じを持っております。
#61
○庄司中君 例えば、今度の改正が六〇年改正にさらに何といいますか、事業主、労働者等の自主的な職業能力開発を支援するというのがずっと前面に出てきました。これはいいことだと思いますけれども、そうしますと民間が自主的に能力を開発していこうとする、そして今度の改正でそれを支援しようとする体制ができ上がってくる。一朝一夕にはできないかと思いますけれども、その方向は正しいと思います。そうしますと、今までの支援システムが今度新しくこの法律改正以降どういうふうに変わっていくのかという点が大きな問題だろうというふうに思います。
 その辺で大づかみといいますか、こんな方向でこんな点をというやつを今考えていらっしゃるなら出していただきたいと思います。
#62
○政府委員(松本邦宏君) 一つは、公共施設の重点として、従来養成訓練がかなりのウエートを占めておったと思いますが、その点で在職者の能力向上といいますか、そういった点についてやはりウエートを置いていこうという点がございます。
 それからもう一つは、いろんな訓練を実際に実施するだけではなくて、民間が行おうとする訓練に対するいろんな相談、援助あるいは講師の派遣、情報提供、そういったいわゆる総合的なサービスを提供していく、こういった点が従来に比べて非常に新しくこの法律の中で実施をしていこうと、こういうことでございます。
#63
○庄司中君 その点でもう少し具体的に踏み込んでみたいんですけれども、例えば労働省が実施をしました民間教育訓練実態調査というのが平成二年三月実施ということで去年結果が発表されたわけであります。
 これを見ますと、民間の教育のシステムがかなり明瞭に出ているだろうと思います。例えば、全体では教育訓練を実施しましたのが大体七〇%なんです。非常に高いわけでありますけれども、局長がさっきおっしゃいましたように規模別にこれをとってみますと非常に差が出てくるわけです。例えば、三百人以上ですと九〇%のところがやっている。これが百人以上になりますと八〇に落ちる。これがさらに三十人以上九十九人、百人未満のところになりますと六〇%になるわけです。つまり、企業規模によって物すごく差があるということです。
 それで、私はなぜこう差があるのかということでまた別な資料をとってみました。これはかなり古い資料でありますけれども、中小企業金融公庫の調査を見てみますと、中小企業の一番零細な部分でなぜ職業訓練ができないかというのをとってみましたら、みんなできたら実施をしたいというのが多いんです。できない理由としては、まず講師がいない、指導員がいない、適当な人が少ない、そして施設がないという問題なんです。それから、費用の負担にたえないという問題があるわけです。それからさらに、忙しくて時間がとれないというのもありますけれども、主として講師がいない、施設がない、お金がかかるという問題が実は出ているわけです。
 そうしますと、さっきおっしゃったように、民間の自主的な能力開発を支援するということになりますと、一番困っているのはこの分野でありますから、この分野をどう支援するかという問題が具体的な日程に上がってこないといけない。ある意味では日本の産業の強さというものは中小企業の活力に負うところが非常に大きいわけでありますから、この分野を早急に公共が支援をしていかなきゃいけないという課題があるだろうというふうに思います。
 多少具体的になりますけれども、開発プログラムの作成、教育訓練をやる場合にとにかくプログラムをつくりたい、この作成について、あるいはさっき言いましたように講師の派遣問題の解決についてどんなことを考えているか、あるいは場所がないわけですから施設の開放ということを公共は考えておかなきゃいけない。まずこの三つについて、これからの方向としてどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
#64
○政府委員(松本邦宏君) まず、最初のプログラムの策定ができない。これは先ほど先生御指摘の民間教育訓練実態調査でも、我々の調査しました中でもやれなかった理由の三番目でございまして、その実施すべき教育訓練内容の確定は困難である、どういうことをやっていいのかわからないというのがございます。そこで、我々として今やっておりますのは、都道府県職業能力開発協会というのがございます。これは全都道府県にあるわけでございますが、そこで訓練プログラムの策定等に対する相談、援助、そういったものをもう既にやっております。今度は、先ほども申し上げましたように、職業訓練施設でもそういったサービス、相談に応じられるようにやっていきたいということを考えております。
 それから、二番目の講師がいない、指導員がいない。これも実は先ほどの調査の中では訓練が実施できない二番目の大きな理由でございまして、この点につきましては、一つは公共職業訓練施設で受託をして訓練して差し上げるという方法がございます。それからもう一つは、指導員を現地に派遣をするという方法がございます。こういう形で対応していきたいというふうに思っております。
 それから、施設がないという点につきましては、これは公共職業訓練施設におきましても実は施設の貸与ということをやっておりますし、それから文字どおり施設貸与専門といいますか、そのために地域職業訓練センターというのを全国に設置いたしまして、これは文字どおりの場所貸してございまして、そこを中小企業事業主等に対して訓練施設として提供する、こういうことをやっているところでございます。
#65
○庄司中君 例えば、各県の能力開発校、今まで県訓というふうに私たちは呼んでおりましたけれども、それから短大でもそうであります、それから促進センターでもあるいはおっしゃったように開発協会でもいろんなサービスを行うというふうになりました。いろいろなサービス機関がありますけれども、どこで交通整理をするのか、つまりネットワークをどうやって組んでいくのかという問題が非常に大きいだろうというふうに思います。
 例えば、気軽に相談できる、気軽に養成できる、そのためにはちゃんとしたネットワークづくりと、それからある意味ではキーになる部分が要る、基幹になる部分ですね。その辺については今度は各施設がそれぞれやるけれども、ネツトワークとキーの部分、その部分はどんなふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#66
○政府委員(松本邦宏君) こういう相談施設といいますかサービス機関でございますから、多々ますます弁ずという面もございますので、できるだけ全国に広くあるのがいいと思いますが、御指摘のように確かに能力開発協会と公共職業訓練施設の中で、では具体的にどういう役割分担をするかということになりますと、能力開発協会につきましては職業能力開発に関するデータベースでございます能力開発情報システムというものを設置いたしております。
 これは、今年度全県に設置をすることになっておりますが、そういった情報システムで訓練に関する情報を広く収集して、実際のプランナーあるいは相談員というものを設置して、民間の立場に立った相談、援助を行うということでございます。具体的なむしろ訓練プログラムの作成のような事業は能力開発協会を中心にして行う。一方、訓練施設を提供するとか、指導員を派遣するとか、あるいは受託訓練をやるとか、そういった具体的な訓練面でのサービスは公共職業訓練施設がやる、こんな形で大まかに言えば役割分担をやっていきたいということでございます。
#67
○庄司中君 問題は、やっぱりそれぞれが分担をしながら援助のノウハウを持つというのは必要ですけれども、相談を受ける側からしますと多様な相談ですから、こういう問題についてはこの部分のこういうものをというふうな、ある意味ではネットワークがありませんとまずいだろうと思うんです。だから分担も必要ですけれども、むしろそれをつないでニーズにおいて即応できるような体制を組むということは僕は非常に必要になってくるだろうと思います。その分野は余り言及はなかったわけですけれども、どうですか。
#68
○政府委員(松本邦宏君) 先ほど、職業能力開発情報システムというのは能力開発協会に設置をすると申し上げましたが、職業訓練校にも実はそのネットワークは設置をすることにいたしておりますので、そういう意味では情報網としては両者にくまなく将来は配置するというような形にしていくということになる、それがいわば基礎的なサービス提供のための情報システムということになるだろうと思います。その上で能力開発協会と訓練校がそれぞれのいわば個性を発揮した形での援助を行う、こんな形にいたしたいということでございます。
#69
○庄司中君 もう一つは援助の中身です。例えば訓練のプログラムにしましても、カリキュラムみたいなものは非常に大事だろうというふうに思います。そうしますと、ニーズに応じて非常に敏速に、それから的確なサービスをしていくということを考えてみますと、決して容易なことじゃないだろうというふうに思います。
 例えば、公共施設の場合は、今までどちらかといいますと養成訓練ですね。能開を除きますと養成訓練が主体であったわけでありますから、養成訓練の何といいますかね、こんなことを申し上げていいかわかりませんけれども、やっぱり癖があると思います。一から始まりまして、段階的あるいは体系的という言葉がありますけれども、つまり教育をする一つの体系ができ上がっちゃいまして、ニーズに即応して敏速に必要な部分を提供するということにかなり問題があるんじゃないかというふうに思います。そういう意味ではその開発をしなきゃならない。
 それから、民間は時間がないという問題もありますし、産業とか職場によって技能はかなり特殊ですね。それに即応していくためには、供給するカリキュラムはユニット化されていなきゃならない、つまり一般的であってはいけないということになると思いますけれども、むしろカリキュラムの開発みたいなもの、民間の教育訓練に接合できるような。聞いてみますと、今まで民間が援助してもらっても一般的過ぎて役に立たないというのが多いわけです。そういう点でこれからこの面の開発というものは非常に大きな力を注がなきゃならぬだろう。開発体制をひっくるめまして、今後の開発の方向みたいなことをどんなふうにお考えでしょうか。
#70
○政府委員(松本邦宏君) おっしゃるとおりでございまして、やはり産業界あるいは労働者のニーズに合わせた訓練をやるためには非常に個性的な訓練というものがどうしても必要でございます。そういった訓練をむしろやりやすくするために従来の養成、向上、能開というようなどちらかといえば非常にがちがちな区分を変えまして、もっと柔軟に対応できるようにしようということでございます。
 具体的なカリキュラムの設定のようなものについてはこれから考えていくわけでございますけれども、先生御指摘のございましたようなユニット化というようなものも大変貴重な御意見だと思います。そういった考え方も取り入れながら、産業界、労働者側の実情に合わせたようなカリキュラムの設定、あるいはそれの指導、そういった点について配慮していきたいというふうに思っておるわけでございます。
#71
○庄司中君 そこで、大臣、今ちょっと幾つか申し上げましたけれども、民間の自主的な能力開発、それに公共が支援をしていくというのは実は大変な問題がある。これからいろんなことをしなきゃならない。今までのをそっくりそのまま持ってきて通用するわけはない。例えば、産業の高度化というのが一方にございますから、その辺について、これは大臣の方から積極的な推進の決意をひとついただきたいと思います。
#72
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今までの公共職業訓練体制というのはこちらの方でもうコースを決めておって、そこに来ていただいて養成訓練なりいろいろ訓練をしていただく、こういうことだったと思うのであります。
 御指摘のとおり、非常に産業構造がダイナミックに変わっておりますから、だからこちらで決めたメニューに乗っていただくということでは間に合わない。したがって、いろんな情報交換とか援助、御指導ということに新たに取り組もうということでございまして、むしろ企業の方々のニーズ、また実際働いている方々のニーズを受けながら、場所を提供するとか、場合によっては講師のあっせんをするだとか、それから時間なんかについても、やはり仕事があるんだからちょっと時間がということがあるかもしれませんね。そういったことについてきめの細かい対応をさせていただいて能力開発の実を上げてまいりたい、こういうことだと考えております。
#73
○庄司中君 次の問題に移りたいと思います。
 特に、これは法律の中に明記されておりますように、例の有給教育訓練休暇の問題を軸にしまして、いわば給付金が持つ問題点みたいなものを幾つか質問してみたいというふうに思います。
 自己啓発助成給付金というのがありまして、主として有給教育訓練休暇を対象にしております。先ほども申し上げましたように、民間教育訓練実態調査を見てみますと、非常におもしろいですね。例えば、この有給教育訓練休暇を制度化しているところというのはどのくらいあるかということは、実は一八%なんです。残りの八〇%はこれは制度化していないということになるわけです。二割弱ということになるわけです。制度化しているところがどのくらい実施しているかということを調べたのがございますけれども、七〇%ぐらいが実施しています。制度を持っているとそれが活用されるということがこれでわかります。そうして、多少規模によって差があるということがありますけれども、そんなに大きい差はないですね。
 ただ、一番大きい問題は、助成をする制度を知らないというのが非常に多いわけです。これが非常に多いわけです。例えば、百人以上になりますと大体三〇%から四〇%の企業が知っているわけでありますけれども、三十人から九十九人のところ、先ほどもちょっと指摘をしましたけれども、これが半分になっちゃう。一五%しか制度の活用を、援助の活用をしていないということになりますと、一番大きい問題は国の助成制度、つまり誘導装置、自己啓発制度を普及させていくという、これがどのくらい現場で知られているかというのが一番大きい問題です。
 例えば、知っているかということを見てみますと、休暇を実施している企業でも知らないというのがかなりあるわけです。そして、予算の方から見てみましても、予算と実績の差が非常に大きいですね、この分野について言えば。そうしますと、まず知ってもらうということに全力を挙げる必要があるというふうに思いますけれども、これからはどんなふうにそれを考えていらっしゃるのか、それをまずお聞きしたいと思います。
#74
○政府委員(松本邦宏君) この有給教育訓練休暇制度の実施状況でございますが、先生御指摘のように、平成元年では一八・三%ということでございます。ただ、これは昭和五十五年の調査ですと四・八%でございましたので、それから比べればかなり上がってきているということも言えるのではないかと思いますが、まだまだ不十分であることは事実でございます。
 我々も、従来から職業能力開発推進員等の講習などの際には周知に努めてまいっておりますし、あるいは都道府県職業能力開発協会が行っております職業能力開発サービス業務の中でもそういった制度の周知あるいは説明などを行ってきたわけでございますが、必ずしも十分でなかったかもしれません。そこで、今後は好事例集の収集、そういったものを集めて資料提供する、情報として提供する、こういったこともひとつ工夫として加えてみたいということを考えておりますが、いろんなあらゆる機会をとらえて広報周知方には努めたいというふうに考えております。
#75
○庄司中君 この問題ですけれども、実施の状況の中に少し入ってみますと、それ自身にも問題があるわけです。実施をした人たちをとってみますと、一番大きいのは、これは当然かもしれませんけれども、専門技術職、これが七〇・八%です。次いで多いのが管理監督職、これが六八・二%ということになります。それ以外は少ないわけです。
 それからもう一つ、制度があるといってもこれがどんな制度でやられたかというやつを調べたのがございますけれども、制度の規定が四〇%が労働慣行であらあらなっております。先ほど局長がちょっと説明をいたしましたけれども、労働協約とかそれから就業規則とか言われましたけれども、全部ひっくるめましても労働慣行が一番飛び抜けているわけです。この二つを考えてみますと、果たして自主啓発でいっているのかどうか。企業の都合でいわば有給休暇制度が運用されているんじゃないだろうか、そういう懸念が非常にあるわけです。だから、文字どおり自己啓発になっていない、つまり自己啓発型の制度になっていない、いわば事業主の意向に合わせてかなり運用されているんじゃないだろうか、こんなふうに思いますけれども、この調査を見ましてどんなふうに認識されていらっしゃるのか、まずお聞きしたいと思います。
#76
○政府委員(松本邦宏君) 確かに、この制度につきましては、事業主の方に対する周知も不十分な面もございますし、それから労働者の方々に対する周知の面も不十分な点があるのではないかというふうに思っておりまして、その両者に対する制度の目的なりあるいは給付金制度の仕組みなり、そういったものをやはりきちっと説明を申し上げ、労働者の方からぜひそういった申し出がより積極的に事業主に対しても向けられるように指導していく、あるいは事業主の方もこういう制度を利用して大いに能力開発を進めていただく、こういう機運醸成といいますか、そういった点についてより一層の努力を図りたいというふうに思います。
#77
○庄司中君 一番大事なことは、これは自主啓発ですから、労働者に情報が届かないと意味がないわけです。事業主の意向で事柄が動いていく形というのは自己啓発にならないわけです、これは。
 それから、先ほども問題が出ましたけれども、労働者に情報が届くということは労使協議が要るんですね。労使協議がなければ労働者に正確な情報が届かないわけです。そういう意味では、いろんな努力をされているわけでありますけれども、まず労働者に情報が届くことを考えていただきたい、そして情報が届くことによってあるいは労使協議が進行するかもしれないし、また労使協議が進行をするように、促進をされるようにこれは行政としても指導を強めていただきたい、こんなふうに思いますけれども、今後の方向としてどんなふうにお考えでしょうか。
#78
○政府委員(松本邦宏君) おっしゃるとおりでございまして、労働者の自己啓発でございますから、労働者自身がやはりそういった要望といいますか意欲を持っていただくことが非常に重要でございますので、まず何よりも労働者に対する啓発に努めていきたいと思います。ただ、この制度はあくまで有給教育訓練制度として、いわゆる年休とは別の制度として、いわば事業主との間で制度として確立されなければならないものでございますから、最終的にはもちろん労使の協議という形でやられることはぜひ必要でございます。そこで、使用者に対しても一方でやはり周知を図るということも図っていきたい、かように考えております。
#79
○庄司中君 自己啓発型の訓練といいますか、訓練機会を提供するというのはこれはもう非常に大きい問題だし、恐らくこの問題は今後の我が国の産業とか国の発展に果たす役割というものは恐らく非常に大きいだろうというふうに思います。そういう点で、例えば先ほど技能を尊重する社会の形成というお話がございましたけれども、特に技術自身がマイクロエレクトロニクスであるとか情報技術であるとかというふうに変わっていきますね、ある意味では技術革新のときでありますけれども。そうなってきますと、局長がさっき言われたみたいにいろんなイベントをつくれば果たして技能重視の社会に移行するのか、ちょっとそれだけでは十分じゃないだろう。
 私が考えますには、何といっても企業内の社会、企業内の風土というものが学習社会に変わっていくといいますか、これが一番必要だろうと思います。そういう点では自己啓発の部分が中心になって、そして企業内社会が学習社会になってきている。例えば、ある学校を卒業しますと、それは語学でも何でもいいわけでありますけれども、卒業証書を持っていけば企業がそれに援助を与える。それから、さっきもお話が出ましたけれども、技能検定を受けたらそれが企業の活動の中に十分に生かされていく、これから調査をするということでありますけれども。そういうふうに企業の中が自己啓発型の学習社会になっていかないと、恐らく技能を尊重する社会というのは生まれてこないだろう、こんなふうに思いますけれども、これはある意味では非常に大きい問題ですから、大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
#80
○国務大臣(近藤鉄雄君) 我が国の製品が世界に誇るものができるのも、先ほど申しましたがいかに優秀な技術者、技能者がいらっしゃるかということの証拠でありますし、また結果でございます。私はいろんな工場なんか見て思いますことは、いわゆるQC制度というんですか、企業のいろんなグループ、職場職場で勉強会をしていらっしゃっていろんなアイデアを出していらっしゃる。日本の場合技術革新というのがトップダウンじゃない、むしろボトムアップ、末端からいろんなアイデアが出てきてそれが吸収される。これが我が国の特徴的な技術革新のパターンだと思うわけでございますが、そういうことをもっと積極的に進めろ、こういうお話と私は理解するわけでございますので、御主張のとおりでございます。
 私は、労働大臣になって労働行政を見て思いますことは、みんな労働省でいろんな制度をつくっていますね。例えば、今お話しの自己啓発助成給付金制度もいい制度だと思うんであります。いい制度なんだけれども必ずしも普及されてなくて、そんな制度があったのかと、私も大臣になって知ったことが数多くあるわけでございます。せっかくのいろいろな制度の積極的な普及、PR、これももちろん大事でございますし、そういったのを通じながら日本の優秀な技術者の方々が、しかも非常にダイナミックに変わっていく産業構造の中でさらに自己研修を進めて積極的な技術を身につけて社会に貢献されるし、また十分な支持を得られる、これが基本だと思いますので、御指摘もございましたし、いろいろこれから努力させていただきたいと考えております。
#81
○庄司中君 給付金制度のあり方みたいなもので自己啓発の問題を取り上げていきまして、自己啓発自身が非常に大きな柱になっていくということを申し上げたかったわけでありますが、大臣の答弁がございましたので、次に移りたいと思います。
 次の問題は、民間の認定訓練制度の問題でございますけれども、事業主、事業団体が行っておる認定訓練、今度も第八条に例示があったわけでありますけれども、さっき説明がありましたように養成訓練、向上訓練、再開発の部分が公共と同じように今度はなくなりますね。公共の場合には当然だろうというふうに思いますが、訓練全体として考えても恐らく当然だろうというふうに思います。ただ、民間の場合でいきますと、必ずしもどうかなという問題が実は幾つかあるわけでございます。
 例えば民間の場合ですと、認定訓練の場合には産業職種が一定の範囲の中でもう決まっていますね、実際に。それから、認定訓練の場合には中小企業の団体の方がやっていらっしゃるんですけれども、これがかなりあるわけです。そして、認定訓練を行っているところは今までの三つの区分になれているということがございますね。大体職種も固まってきておる。そして、運営もなれているということになりますと、果たして今度のように例の三区分を、高度、普通、短期、長期というふうに組みかえること、つまり制度全体を一律に組みかえていくことが果たしていいのかなというふうな感じを持ちますけれども、中小企業がやっていらっしゃる認定訓練を頭に置きながら、しかも中小企業ですからいわば在来技能を中心にしてやっておるところがかなりあるわけでありまして、例えば建築大工のところがそうでありますね、さっきもお話が出ましたように。そういうものを含めて、一律に今度は今までの例示を外しちゃって新しいこの四つの普通、高度、短期、長期というふうに分けることがいいのかどうか、その辺の多少のそごを私は感じますけれども、どんなふうにお考えでしょうか。
#82
○政府委員(松本邦宏君) 実は、平成元年度から二年間にわたりまして、職業訓練基準等のあり方研究会というものをやっておりまして、最近の社会情勢の変化あるいは技能の変化を踏まえて、企業あるいは労働者のニーズに合った職業能力開発を展開するためにはどうしたらいいかという新しいいわば訓練基準の見直しをやっていただいております。これは今まだ継続もしているところでございますけれども、その新しい訓練基準の中では、各訓練校における特色をもう少し出していただくということで独自性をもう少し出せるような訓練基準にしよう、そういう意味では従来よりもはるかに柔軟性を持たせようというふうに考えているわけでございます。そこで、認定訓練校においても、今後はそういった特色を持った訓練が大いに展開をしていただけるということになるだろうと思います。
 養成訓練、認定訓練等の言葉を廃止した関係で申し上げますと、言葉自体はなくしましたけれども、その認定訓練校で現在行っておられる養成訓練に相当する訓練そのものがなくなるわけではないわけでございまして、それは今度は名前が変わっても普通訓練の例えば長期課程とか短期課程という形で展開をされるわけでございます。
 そこで、実際の訓練体系の編成あるいは訓練基準の改定につきまして、既存の認定訓練校が実際の訓練をやっていく上でそこを来さないようにその点は十分配慮したいというふうに考えておりますし、実際の、現在やっておられる認定訓練校において従来のような養成訓練を引き続きおやりになるについて、例えば養成コースですよというような名称をお使いになるのはそれは自由におやりいただいて結構だというふうに思っております。
#83
○庄司中君 二つだけ言いますと、例えば現行の養成訓練をやっていますね。新しい基準になりますと位置づけが変わりますか。その辺が一つです。
 それからもう一つは、自由にやっていただきたい、やってくださいというお話ですけれども、養成訓練、あるいは養成課程と言ってもいいわけですけれども、これになじんでいまして、例えばある認定訓練でいきますと養成をするということが一つの大きな訓練体系のメリットになっている。人を募集する場合に、一人前の職業人にちゃんと育てますとか、技術者に育てますというものを使えるわけです。ですから、そういうメリットがなくなってきますと困るわけでありまして、しかも制度はきちんともう組み立てられているわけでありますから、さっきは例の運営協議会の話で通達などで明示をしたいという話ですけれども、これもその辺のことは考えられませんか。
#84
○政府委員(松本邦宏君) 今回の訓練基準あるいは三区分の廃止というのは、もうまさに民間が本当に必要に応じた訓練を柔軟にやれるようにしようという趣旨から出たものでございまして、従来の訓練がやりにくくなるというようなことになってはとんでもないことでございます。名称の変更はいたします。したがって、当面はなかなかおなれになれないんでぎくしゃくする面もございますから、従来のような形で実際の募集に当たって養成コースとか、そういうお名前をお使いになることについては一向に差し支えないという点については、先生御指摘のように通達の中で明示をしたいというふうに思います。
#85
○庄司中君 ありがとうございました。
 それからもう一つは、認定訓練の場合、中小企業の団体がやっている場合にはお金が心配なんですね。助成基準、つまり今度新しい基準になりまして、そのために今度は助成のレベルが下がっちゃうとこれは大変だという不安が実はあるわけですね。ですから、基準の変更に伴う新しい助成の方法あるいは助成率、つまり助成のレベルですね、お金の額になりますけれども。この辺、今までよりも新基準になったら下がるということになるとやっぱり大きい問題だろうと思います。その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
#86
○政府委員(松本邦宏君) 現在、認定訓練については運営費並びに施設設備についての補助をやっておりますが、これは今回の訓練体系の名称を変えたからといって後退させるものではもちろんございません。直接の関連はございません。むしろ、この補助制度というのは、認定訓練を実施していくためにはやはり中核になる制度だというふうに考えておりまして、今後ともその充実に努力をしていきたいというふうに思っております。
#87
○庄司中君 全体として見ますと、例えば今例が出ました建築大工みたいなものは、ある意味ではこれは工業技術とはかなり性格が違うだろうというふうに思うんですね。技量といいますか、腕といいますか、理論的なものよりもやっぱり体で覚えていく技能ですね。そういうふうになりますと、さっきもちょっと話がありましたように、高度とか普通の区別というのはなかなか難しい。腕がいい大工をどこで見分けるかというのは、例えばぺーパーテストをやっただけでは恐らくわからないだろう。こういうふうに、工業技術とは違う技能の性格を持っています。
 例えば、ヨーロッパヘ行きますと職人の労働というのは非常に多いですよね。私たちが行って話を聞きますと、ヨーロッパの中では、労働分野のふところの深さというものを感じるわけでありますけれども、ハイテクを中心にする一種の工業技術あるいは体で覚えていく技能の性格、この二つがないとうまくいかないんじゃないだろうか。恐らく日本の企業内の技能の形成は後の方ですね。体で覚えていく、そして頭でまた次に覚えていくという形があったと思うんですけれども、そういう点では工業技術だけに偏らないそういう技量とか胸とか、その分野をこれからも十分な発展を期待をし、援助していく必要があるだろうというふうに私は思いますけれども、そういうこれからの技能の援助の方向といいますか、その辺についてはどんなふうにお考えでしょうか。
#88
○政府委員(松本邦宏君) もちろん我々としては、伝統的な技術と超最先端の技能との間で区別をしているわけでは毛頭ございませんで、伝統的な技術というのはやはり日本産業の基礎的な技術ばかりでございますから、そういったものについては従来と同じようにやはり尊重してそれを守り立てていくように十分な配慮をしたいというふうに思っております。
 ただ、技術の中にはもとより廃れていく技術もあるわけでございますから、そういう点についてはできるだけ時代の要請に合わせた訓練科の設定とか、そういう点については十分配慮していきたいというふうには思っております。
#89
○庄司中君 ヨーロッパにおける職人労働みたいなものを中心にした労働分野のふところの深さみたいなものが我が国にもかなりある、それが非常に我が国の技能の性格、特色みたいなものを規制していると思うんですけれども、例えばそういう技能の、局長さっき言われましたけれども、技能世界のこれからそれを促進するための力の入れ方、そういう点から考えてみますと、今度の制度改正につきましても、そういう技能をつくっている認定職業訓練の団体と行政がこれからの方向を決めるに当たってじっくりと相談をしていただきたい、そうしてそういう団体からの意向を積極的に受け入れていくようにしていただきたい。この点につきまして大臣から答弁をいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#90
○国務大臣(近藤鉄雄君) たびたび我が国の労働者の技術水準、技能水準の高さということに触れましたけれども、私は、先生御指摘のとおり、やはり日本の伝統的といいますか、職人気質といいますか、職人かたぎといいますか、これは技術、技能もさることながら仕事に当たっての責任感といいますか、そういうものもあって、腕だけでなしにそういう気質というもの、責任を持って最後まで自分でやる、これは非常に大事なことであって、これは大事にしていかなきゃならないと思います。
 さっきコンピューターの話が出ましたけれども、コンピューターは幾らよくても、日本人がコンピューターでつくっているものとそれから外国の方がつくった品物、同じコンピューターを使っていても違ってくる。私の自分の例で恐縮でございますが、山形のニットをやっておりますが、ニットもコンピューターで今やっているわけです。ニット機械はむしろ新しいものが東南アジアに行っておっても結局こっちが勝つというのは、山形のニット職人さんの腕であり責任感、自己宣伝で恐縮でございますが、あるわけでございます。そういったものが非常に大事なんです。
 そこで、私思いますのは、それはもちろん公共職業訓練所の先生方がやっていらっしゃいますけれども、一番いいのは、現場で苦労していらっしゃるそういう職人の方々が、先輩から教えていただくことだと思うんです。学校の先生は大事だけれども、自分で体験した人たちから教えられることは大事だと思います。そういう点で、やはりこれからの公共職業施設の機能というのも、企業内もございますが、こういう公共の場においてもそういう情報を提供させていただくなり、あるいはそういう場を設定してそういう職人さんの方々に来ていただいて訓練をするとか、そういう従来と違ってもっと開いた形の職業訓練を現場で実施するということのための体制づくりになるのではないか、こう考えて皆さんにこの法案の審議、そして御了解を得たい、こういうことでございます。
#91
○庄司中君 どうもありがとうございます。
#92
○委員長(向山一人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#93
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、職業能力開発促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#94
○細谷昭雄君 法案審議に入る前に緊急の質問を申し上げたいと思いますので、お許しを願いたいと思います。
 けさ、NHKのニュースその他新聞で平成三年、去年の十一月、労働省が佐川急便グループの所属事業所に対して実施しました全国一斉監督の結果が本日運輸省に報告をするというふうに報ぜられておりますけれども、本委員会で、ちょうど開かれておりますので、その点を明らかにしていただきたい、このように思います。
#95
○政府委員(佐藤勝美君) ただいまお尋ねの昨年十一月に行いました佐川急便グループに対します。斉監督調査の結果でございますけれども、昨年の十一月にはグループ所属の五十一の事業所に対しまして全国一斉に監督、指導を行ったわけでございますが、このうち四十六の事業所におきまして労働基準法等関係法令の違反が認められたところでございます。
 その内容について見ますと、就業規則にかかわる違反が最も多かったわけでございます。これは三十四事業所、率にして六六%ぐらいということでございますが、続きまして労働時間に関します違反が二十七事業所、健康診断にかかわる違反十七事業所という状況でございました。
 こういった違反が認められた事業所につきましては、速やかに是正をするように勧告を行ったところでございますし、また運輸省に対しましては、この結果を通知しているところでございます。
#96
○細谷昭雄君 今それぞれの監督というふうにお話がございました。運輸省に対しましては、そういう報告をしました結果、きょうの新聞に書いておりますけれども、運輸省はそれはもう当然なごどのように受けとめておるわけであります。そんなに大したことじゃないというふうに我々読者からしますとそんな感じを受けるわけでありますが、あれほど政界を巻き込むようなスキャンダルを生み出したという社会的な責任を負っておる企業でございます。したがいまして、これはもう多くの国民が注目をしておる監督結果だというふうに思いますので、これは大臣にお聞きしたいと思いますけれども、厳正な、公正なそういうものとして国民の目に映るように、これはやっぱりだれの目にも納得のいくような措置が必要だというように思うんですが、大臣の御所見、そして監督行政をしております労働省としての今後の決意、これについてお伺いしたいと思います。
#97
○国務大臣(近藤鉄雄君) 佐川急便の事業所において、今局長が申し上げたように法令違反と認められる事象があったということは我々大変に遺憾に思うところでございますので、こういったことを踏まえまして運輸省と十分に協議をしながら、近く労働基準法等関連法令遵守の徹底について我々としては強く要請を行ってまいりたいと考えております。
#98
○細谷昭雄君 それでは、法案の方に移りたいと思いますが、私は主としていわゆる公共職業訓練の問題について触れたいと思うわけでございます。
 最初に、職業訓練校の短期大学校、これの設置、整備についてでございますが、設置はこれまで都道府県の申請があって労働大臣が認可を受けてこれを設定、設置することができる、このようにこれまでの法律でもそうでありましたが、ことしの平成四年度の予算で初めて都道府県に対する短期大学校の設置が予算化されておるわけであります。今までは法律にあってもこれは置かない。そしてことし初めて予算をとっておる。これは設置方針が変わったのかどうか、予算の内容、そして都道府県のどこに置くつもりなのか、この点を明確にしていただきたい、そのように思います。
#99
○政府委員(松本邦宏君) 先生御指摘のように、法律上は国並びに都道府県が置けるように過去からなっていたわけでございますが、高度技能労働者の養成施設であります短期大学につきましては、そういった全体の需要等も考えまして、従来は都道府県の区域を超えて国が設置するのが適当だろうというふうに判断をして国が設置をするということでやってまいったわけでございまして、現在二十三校が既に開校をいたしておりますが、予定のものも含めますと二十六校が開校することとなっております。
 一方、最近の技術革新あるいは情報化の急速な進展に伴いまして、地方においても高度技能労働者の育成というものが大変大きな課題になってまいりました。都道府県としても、やはり短期大学を建てたいという要望が非常に強くなってきております。それから労働者の方からいいましても、高学歴志向がやはり高まってまいりまして、高学歴の中で高度技能を身につけて、なおかつ地元に就職したいというような方も大変ふえてきているわけでございます。
 そういうことで、都道府県におけるそういった訓練短期大学校をつくりたいという需要も要望も大変強くなってきたものですから、この際国の財政的な援助をお願いして新たに都道府県による職業訓練短期大学校の設置、運営も奨励していこう、こういうふうにしたところでございます。
#100
○細谷昭雄君 都道府県。
#101
○政府委員(岡山茂君) 今年度の予算で措置しておりますのは、山形県の短期大学校でございまして、予算は二億一千二百万円でございます。
#102
○細谷昭雄君 その経緯はわかりました。
 どうしてもやっぱり必要だけれども財政的に非常に困難であるという実情にありますので、これは山形一校ということはまことに寂しい限りでございます。欲しているところがたくさんあると思うんですが、労働大臣の出身県にいみじくも初めて行ったということでございますが、どうもこれは我田引水のような感じがいたします。
 もっともっとたくさんのこれは予算を持ってくるしかないのかというふうに思うんですが、問題は、今後都道府県と国との役割分担をどうするか。自立の短期大学もございます。競合するというふうになると、これはまたうれしいような感じもしますけれども、そういうふうな競合調整、そして役割分担、これをどうするつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#103
○国務大臣(近藤鉄雄君) ちょっとその前に一言だけ。
 山形という話でございますが、これは私、大臣になる前からいろいろ県当局と労働省と詰めたところでございまして、私が大臣になったのとは別でございます。念のために。
#104
○政府委員(松本邦宏君) 平成二年に実施をいたしました技能労働者等の需給状況調査、つまり技能労働者の不足状況調査をやっておりますが、そこでは不足数が四十一万人あるいは不足率四二%、こういう厳しい状況になっておりまして、高度技能労働者のやはり数的な育成というのは、まだまだ大変な課題だと思っております。
 そこで、都道府県の県立短大につきましての設置認可につきましては、高度技能労働者に対する地域のニーズを十分把握いたしますとともに、先生も御指摘のように国立の短大との重複はやはり避けなきゃいけませんので、そういった重複を避けますように効率的な配置等については十分考慮していきたいというふうに思っております。
#105
○細谷昭雄君 そのほかこの短期大学校の卒業生の就職の状況だとか、初任給だとか、それがどう評価されておるのかとか、ないしは訓練職種が十二分にニーズにこたえておるのかとか、いろいろな問題がございます。たくさん項目がございますので私はこれは後から資料をいただきたい、こんなふうに思います。
 先ほど、清水委員それから庄司委員からもこもごものお話がございました。たくさんの現場からの御要望がございます。各党に陳情においでになったわけでございますので、私は念を入れて大臣にこれは確かめておきたい、こんなふうに思います。
 と申しますのは、今回の改正でこれまで例示されておりました三つの訓練、例えば養成訓練とか向上訓練とか、あの例示をなくさないでほしいという非常に強い要望がございました。これは先ほどの御答弁で、多様にしかも弾力的にいろいろなものに対応するつもりなんだと、そして具体的にはこういうふうな養成訓練という名称をそのまま冠して使っても結構でございますと、そういうふうな点では困難や不安が起きないようにきちっとした指示をしますと、こういうことを先ほど局長がお答えになったわけでございます。これは大変私は現場の不安というものを解消する上で重大な問題だというふうに思っておるわけでございます。
 都道府県段階における公共職業訓練校、これは中小企業の団体がやっております訓練校もございますけれども、現在なおこれらの多くは中卒者そして高校中退老、この人力をフォローするという極めて重要な役割を果たしておる。さらに高卒者、こういった方々の訓練機関でございますし、この大方のこれまでの養成訓練が中心でありましたので、この点を継続して保証していくかどうか、これはきちっと保証していきますという言質をいただきたいということ。さらには、今回の改正で弾力的な対応というものは、こうした養成制度、養成訓練、こういったものの継続を保証するということである。そして中卒や高校中退者を含むこれらの人々の社会的なニーズに具体的にこたえるつもりであるということ。この点を現場の皆さん方の不安の解消のためにきちっとした念押しをしておきたいと思いますので、大臣から明快なる御解答を願いたいと思います。
#106
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘のとおり、まさに新規中卒者または高校に入って中退をしてそこから仕事につく若い人たちにとって、基礎的な職業訓練を若い時期にきちっとやっていただくということは、この人たちの人生にとって極めて大事なことであると私どもは考えております。
 御指摘のとおり、従来は養成、向上、再訓練という三つのカテゴリーでやっておったのを今度は普適職業訓練とそれから高度職業訓練に分けました。たびたび午前中も申し上げておりますように、分け方はそうなりましたけれども、実質的な変更ではないんであって、普適職業訓練の中でいわゆる従来の養成と言われている分野についてもきちっとやらせていただきたい、こういうことでございます。先生からの御心配でございますが、通達等によってこの点は万全を期してまいりたいと思っております。
#107
○細谷昭雄君 さらに、都道府県に置かれておりますこういう訓練校というのは、いつでもだれでも入学できるという体制が現在の社会では極めて求められておるというふうに現実に思っておるわけであります。
 そこで、入学時期の多様でしかも弾力的な受け入れ態勢、これが保証されておるのかどうか。また継続して在学できない人がおるわけであります、学卒者で。こういう人力に対しては単位修得制度、モジュール制度もやっておるというふうに言われておりますけれども、これの普及を図るということも極めて重要な側面だと思うわけであります。この点について保証されておるのかどうか、その対応についてお伺いしたいと思います。
#108
○政府委員(松本邦宏君) 従来の養成訓練の中では多くは新規に学校を出てきた方でございますから四月開校で大体対応できるわけでございますけれども、中退者もふえておりますし、それから最近はいわゆる第二学卒と言われる若年離職者のような方もふえているわけでございまして、そういった人たちは時期を選ばず離職してこられるわけでございます。ただ、もちろん一人一人の離職時期に合わせてやるというふうなわけにはまいりませんが、できるだけ四月入校を画一的にやるということではなくて、先生がおっしゃいましたようなモジュール制度を導入するとか、そういった形で入学時期等についてもあるいは訓練期間等についても柔軟に対応するようにできるだけ心がけていきたいというふうに考えております。
#109
○細谷昭雄君 都道府県間の公共職業訓練の格差というのが非常に大きくなっているというふうに言われております。その原因の一つはやっぱり財政力の問題だというふうに私は思っております。
 そこで、昭和六十年に抜本改正された職業能力開発法によって運営経費は負担金方式から事業交付金方式に変わったわけでございます。その際に参議院の附帯決議がございます。ここに私持っておりますけれども、この附帯決議によりますと、都道府県の職業訓練の後退することのないよう地方自治体の財政的援助の弾力的な対応を求めておるわけであります。これはもう大臣おわかりだと思うんです。
 そこで、大臣にお聞きしますが、実際その後の経過を見てみますと、昭和六十年をピークにしまして平成三年度までずっと見ますと、交付金も含めて都道府県の国庫補助金の総額がほとんど変わっておりません。人件費は上がる、その他のいろいろなことが上がっておって総額は変わらない。そこで、都道府県の国庫負担率が昭和六十年以前には二分の一でありました。それが現在、東京都とかそういう富裕県になりますと自分の方でやりますから、結果的には二分の一が今や四分の一に下がってきているということなんです。貧乏県は割合に下がらない、つまり国庫補助以外はやらないということなんです。これは確実に参議院の附帯決議にありますように、後退をしているのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 事業交付金の算定基礎の見直しを含めて事業交付金総額の引き上げというものが何としても必要であります。この際、労働行政、特に今の能力開発事業をやっていくためにこのままでいいのかどうか、大臣の率直な所見を短くお願いします。
#110
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生御指摘の附帯決議の線に沿いまして私ども労働省としては努力をしてまいったわけでありますけれども、御指摘のとおり横ばいでございます。実は平成四年度予算では若干厳しい財政の中でございますけれども、プラスアルファがあったようでありますけれども、御指摘のとおり決して十分とは思いませんので、これからも都道府県における職業訓練が何とかうまくいけるように我々としても財政当局等に働きかけて努力してまいりたいというふうに思っております。
#111
○細谷昭雄君 これは本当に大変なことなんですよ。我々は附帯決議をやるんですね。附帯決議をやっても、これは結局行政府が守らなければ全然意味がないんです。ですから、参議院の附帯決議というのが全く死文になっちゃっている。ぜひ大臣には大蔵省に本気でかけ合ってもらいたい、こんなふうに思うんです。
 自治省にお聞きしたいと思います。
 自治省にお尋ねしたいことは、平成二年度のいわゆる都道府県に対する職業能力開発関係の国庫補助金、これは地方財政法の十条の九、この十条の九に照らして極めて不当ではないか、こんなふうに私は思うわけであります。今後補助金の適正な運用、これを図るためにはまず実態を調べてほしい、そしてその上で労働省が悪いのか大蔵省が悪いのかわかりません。わかりませんが実態としては確実にこれは地財法違反じゃないのか、こんなふうに思うんです。これに対する明確な方針、対応の仕方をお答え願いたいと思います。
#112
○政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。
 御指摘のとおり、地方財政法には十条の九号で職業能力開発校及び障害者職業能力開発校の施設及び設備に要する経費については国がその一部または全部を負担するということで、いわゆる負担の根拠がございます。同じ地方財政法には御案内のとおり十八条という規定がございまして、「国の負担金、補助金等の地方公共団体に対する支出金の額は、地方公共団体が当該国の支出金に係る事務を行うために必要で且つ充分な金額を基礎として、これを算定しなければならない。」という規定があるわけでありまして、地方団体が補助金の交付を受けます場合にその補助基準と実際に合理的な水準で行います実際の類とが大きく違う場合には、私どもこれを超過負担という観点でとらえているわけであります。
 お尋ねの職業訓練校の設備、整備費等の補助金につきましては、過去においてこれも五十六年になりますけれども、関係省庁と共同で実態調査をして、その結果に基づいて超過負担の解消を図ったという実例があるわけでありますが、その後先生の御指摘にもありますように、私どもも一部の地方団体からそのような御指摘あるいは御意見を伺っているところであります。超過負担についてその解消を労働省にも申し入れを行っているところであります。
 今後のことでございますけれども、関係省庁ともよく協議をして地方団体の意見もなお十分にお聞きして実態調査、その他適切な対応を図っていくようにこれから考えていきたいと思っております。
#113
○細谷昭雄君 ぜひ審議官にも篤と大臣にお伝え願いたいと思います。今の件ですね。昭和五十六年に実施した、その後は実施しておらない。五十六年から大分なるんですよ。やっぱり時々そういう実態調査をやっていかなくちゃいけないと思うんです。
 ちなみに、職業能力開発局の予算を見ますと、大変不思議な現象があるんです、これは大臣おわかりだと思うんですけれども。昭和六十年から平成四年まで八年ありますが、全体の予算としては一六八%、大変上がっているんです。ところが、そのうちの一般会計はむしろ下がって九三%、いかに一般会計で労働省が大蔵からとれないかという実態がはっきりしているんです。そして、なぜ一六八になっているのかというと、自分の持っている金で雇用保険財政でカバーしているということだと思うんです。これはけしからぬ話なんですよ、本当は。当然必要な経費は一般会計としてこれは国庫から出すべきだ、こういうふうに思うんですが、このこともあわせて労働大臣はしかと大蔵省にかけ合っていただきたい、こんなふうに強く要望するものでございます。
 次に、私は秋田ですので秋田県の実情を申し上げますと、秋田では、法改正前までは各都市ごとに職業訓練校が八校ございました。ところが、昭和六十年から秋田県でも法改正に準拠していろいろ整備をした結果、現在は四校になっております。その四校も中卒を受け入れるところは三校、高校を受け入れているところが一校ということでありまして、今までの、従来各都市にあったものがついにもう広い地域に四校しかない、しかも結局は中学は三校しかなくなったということですので、いろんな点でこれは大きな役割を果たしてきました訓練校からしますと明らかに後退と言わざるを得ないわけです。
 この実態は、我々も非常に地域の皆さん方から言われておるわけでありますが、問題はいろんな科目を時代に即応してやりたい、こういうふうに思いましても、現在労働省はそういう財政的ないわば枠もございまして、スクラップ・アンド・ビルドの方針というものがありまして、いわゆる増設そのものはまかりならぬ、増設になったら一つなくせという方針だというふうに伺っておりますけれども、こういうふうな枠をはめますと、弾力的に対応するというようなことはほとんど不可能であるというふうに私は思うわけでありますが、労働省はこういうふうな職業訓練の実質的な後退、特に地域、特に財政力の弱い都道府県、都というよりも県ですね、こういう県に対してやっぱり本当にてこ入れをする必要があると思うんですが、いまだにその方針を変えないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
#114
○政府委員(松本邦宏君) 昭和六十年に能力開発促進法が改正をされました際に、訓練校の運営に充てる経費については従来の負担金から交付金に変更したということでございまして、その時点から一般会計の大変厳しいような状況もございまして、努力にもかかわらず伸びてないという実態は先ほどから先生も御指摘のとおりでございます。しかし、若年労働者の大幅な不足という状況は相変わらず進んでおりまして、養成訓練に対する需要は依然高いということでございます。
 そこで、そういう厳しい財政状況の中でできるだけ訓練定員もふやさないで、なおかつ付加価値の高い訓練を与えていくということをやはりやらざるを得ないわけでございまして、我々は毎年県と訓練計画のヒアリングというのをやっておりまして、その中で時代に合ったような科の新設あるいは改廃、そういったものをやっているところでございます。
 最近までは、先生も御承知のように若年労働力がふえてまいりましたけれども、今後は若干減少が見込まれるような状況もございますので、そういう意味では、応募者の、今後は少し減少も見込まれるのではないかということで少しゆとりも出てくるのではないかということでございますので、訓練科の新増設については、やはりそういった需要を見ながら十分配慮していきたいというふうに思っております。
#115
○細谷昭雄君 そこで、お聞きしますが、それは今の御答弁を受けまして、科目の新設それから施設設備の増設、こういったことについて相談が都道府県からいわばおたくの方にあるわけです。その場合、まことにイエスかノーかが長くかかって大変評判が悪い、御承知ですね。これを何とか、この法改正を機会にもっと迅速に親切に早く都道府県の要望にこたえるようなことができないのかどうか、この対応を求めたいと思います。
#116
○政府委員(岡山茂君) 今お話ございましたとおり、各都道府県におきます訓練計画を労働省におきましてヒアリングをいたしまして、今後の訓練計画、施設等の内容につきましていろいろと御相談をしていくわけでございます。もちろん訓練科目の新増設といったことにつきまして大変要望も強いわけでございますが、先ほど来お話もいたしましたとおり、予算の範囲内で進めていくということになるわけでございまして、その中でどのような重点を置いていくかといったようなことを十分慎重に判断していく必要がございます。そのためのいろいろな資料等を出していただくといったようなこともありまして若干長引いたようなということもあろうかと思って反省をいたしております。今後、訓練の実施に支障が生ずることのないようによく関係都道府県と調整をいたしまして、できるだけ迅速な対応をしてまいりたいと思っております。
#117
○細谷昭雄君 次に、職業訓練指導員の養成と確保について質問申し上げたいと思います。
 資料をいただきまして、私、問題があるというふうに思いましたのは、国立の職業訓練大学校、これは四年課程で、しかも各都道府県の需要にこたえるような指導員の養成ということですが、これは平成三年度卒業生が二百十四名、その中で都道府県の訓練指導員になった人は五十八人しかおらない。これは四分の一以下なんです。これは防衛大学校もあるし、それから気象庁関係のもあるし、郵政関係も、国税庁もそれぞれ大学校があります。そこの機関に就職するといいますのはもっと高いと思うんですね。ここは二五%。たくさんの金をかけて養成して二五%しか残らない。これはやっぱり問題があるというふうに思うんですね。この点についてのお答えは要りません、時間がありませんので。特に要望しておきたい。もっと定着できるようにぜひ要望しておきたいと思うんです。
 それから、都道府県関係の職業訓練校では、今言ったように非常に少ないので何とか欲しいという要望が多いわけであります。こういう人力に対して、このとおり少ないために、今回は仮免といいますか、仮免許で教えることができるような特例を設けたいということになっておるようですが、改正法では二十八条、三十条の二の特例で対応するというふうに言われておりますが、これは考えてみますと、第五次職業能力開発計画に基づく職業訓練基準の抜本改正とも関係してくると思うわけであります。したがって、この免許制度の抜本改正について基本的な労働省の考え方をお聞きしたいと思い、ます。
#118
○政府委員(松本邦宏君) 訓練基準の改正につきましては、これは常に技術革新あるいは産業界の進展、労働者のニーズ、そういったものを考慮しながら新しいものにする必要があるわけでございまして、ふだんから見直しをやっているわけでございますが、平成二年からでございましたか、基準のあり方研究会を設けておりまして、そこでいろんな基準の改定を今検討していただいております。
 その基本的な考え方につきましては、従来のようなかたい基準ではなくて、もう少し訓練校なりの独自性を生かせるような、訓練校でいわば独自性を発揮できるようなやわらかい基準にしたい、こういう基本的な考え方を持っているところでございます。
#119
○細谷昭雄君 今回の特例の改正に当たりましては、本来指導員免許がある人が当たるというのが当たり前な話なんです。ないから仮免なり無免許でやってもいいという、そういう考えというのは大変問題があると思うんです。
 そこで、無免許運転といいますか、無免許訓練といいますか、この訓練には一定の歯どめが必要だと思うんですが、どういう歯どめをかけますか。
#120
○政府委員(松本邦宏君) 今度、免許制度を改善しようとしております中身は、基本的には、もとより免許を持った方にそれに対応する職種の訓練をしていただこうということでございます。それともう一つは、技術革新に対応して、もとより指導員の方にも新しい技術に対応した訓練、指導員自身が訓練をしていただくということも充実させなきゃならぬと思っておりますが、何分にもやはりその技術革新が非常に進展をするということになりますと、全部が全部免許を持った方で対応できないような部面もあるわけでございまして、そういうところについては一部外部から人を入れるとか、あるいは若い人が訓練をやりやすいような形態もとってあげる必要があるだろうというようなことで改善をしようとしているところでございます。
 しかし、一訓練単位といいますか、一つの教室に必要な例えば指導員の数、そういったものについてはきちっと押さえるところでございますので、仮に部外講師なんかを入れましても最低限指導員はこれだけの数は確保しなさいという形のものは基準として残すつもりでございますので、現在の指導員の方について従来と異なった待遇改善になるというようなことはないであろうというふうに考えております。
#121
○細谷昭雄君 次に、技能検定制度について若干触れたいと思います。
 現場から要望がございまして、職業訓練校を卒業した生徒にはちゃんとした技能士の資格を与えなさい、与えるように改善しなさいという要望が非常に強かったわけです。それほど現場では技能士の検定制度というのには非常に関心を持っておられた。したがって、今までの制度の充実はもちろんのこと、今度はホワイトカラーの皆さん方に対しても多様なそういうことのニーズにこたえるような技能検定制度を拡充していただきたい、こんなふうに要望したいと思います。
 さらには、先ほどからお話がございましたように、技能尊重の社会形成、これは非常に重要な課題でございます。先ほど大変含蓄のあるお話がございました。ぜひともひとつ心がけていただきたい、このことを要望したいと思うわけであります。
 最後に、若干の時間でございますので、急いでお尋ねしたいと思います。
 普賢岳はきのうも大変な火砕流の発生を見たようでございます。離農を迫られたり、それから転職を余儀なくされておるという人力がたくさんおるというふうに聞いておりますが、これらの人々の職業訓練の対応というのは非常に重要だと思うわけです。
 そこでお聞きしますが、長崎の技能開発センター、それから県立島原高等職業訓練校、これが四月に再開をしたというふうに言われておりますけれども、この入学者、いろいろあると思うんです。これらの救済に十二分に力を尽くしていただきたい。
 それから、四月一日から激甚災が指定になりました。問題点は、周辺の地域が指定になっておらないわけです。同じ被災を受けましても、範囲が広いところでないので、片一方はいわゆる交付金の適用を受ける、片一方の人力は同じ被害を受けても受られない。これでは非常に問題がありますので、範囲の拡大、これも含めて検討願えないのか、この点が一つでございます。
#122
○政府委員(若林之矩君) 激甚災害の指定地域の範囲のことについてお答え申し上げます。
 このたび、被災離職者の再就職を援助いたしますために、被災地域を雇用対策法に基づきます激甚な災害を受けた地域に指定いたしまして、この地域に就業していた方で、雲仙岳噴火災害によりまして離職を余儀なくされた方が公共職業安定所長の指示によりまして職業訓練を受講いたします場合には訓練手当を支給する措置を四月から講じたわけでございます。
 この指定地域の範囲でございますが、特に災害により就業の場が直接奪われまして雇用失業情勢が悪化した地域といたしておりまして、実際には、現地の要望等も踏まえた上で当分の間、昨年五月十五日から本年三月三十一日までの間に災害対策基本法に基づく避難勧告地域または警戒区域に指定されました地域を対象としたわけでございます。対象地域の決定に当たりましては、私ども長崎県の雲仙岳災害対策基金事業の受講奨励金制度の指定地域を参考といたしまして、これと同一の地域にしてございます。
 今後の対応につきましては、災害の状況でございますとか雇用失業情勢、現地の要望等を総合的に考えまして、必要に応じまして地域の範囲については見直しをしていきたいというふうに思っております。現在のところは県の基金の地域と同じで進めていきたいというふうに思っております。
#123
○細谷昭雄君 大臣どうでしょう、今局長のお話でおおよそわかりますけれども、非常に不安に駆られておると思うんです。しかも、これからもまだこうして続くということでございますので、いろんな多様な対応が必要だと思うんですね。センターと訓練所がございますけれども、その他にもできるだけの国の援助が必要な地域だと思うんです。これに対する大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#124
○国務大臣(近藤鉄雄君) 雲仙岳の噴火災害が私たちが予想したよりも長引いて大変御迷惑をおかけしていることは残念でございますし、先般も総理みずから現地へいらっしゃっていろいろ事情を調べてこられて、また我々対応させていただいているわけでございます。
 特に職業訓練は、これは率直に言って、農家なら農家でやっておられた方々が新しい仕事に転職されるという踏ん切りもございますので多少おくれておった面もあるようでございますけれども、ここまで参りますとひとつ積極的に職業訓練を受けて新しい仕事に転職しようという方も大分おいでになっているようでございますが、そういった方々を十分に受け入れまして、そして必要ならば職業訓練をさせていただいて新しい仕事についていただけるような措置を積極的に講じてまいりたい、その間の訓練手当等についても十分に配慮させていただきたいと考えております。
#125
○細谷昭雄君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後の問題ですが、政府は五月二日から今度正式に閣議決定いたしまして公務員の週休二日制、これが実現するということになったわけであります。労働省はいわゆる時短の親玉、総本山でございます。その労働省傘下の職業訓練校の職員の問題、指導員の皆さん方、この皆さん方の週休二日制をどうするかという問題がございます。
 そこでお伺いしますが、まず省令で定める年間訓練時間数、この取り扱いをどうするつもりなのか、簡単にお願いします。
#126
○説明員(松崎朗君) 現在の職業訓練は、先生御承知のとおり訓練基準に基づきまして実施されるわけでございますが、その訓練基準の見直しを現在来年四月の実施に向けまして行っておるところでございます。基本的には、週休二日制の問題と訓練基準の見直しは関係ないわけでございますが、公務員の完全週休二日制が必ず実現する方向へ向かっておりますので、完全週休二日制にもたえられる訓練時間を盛り込んだ訓練基準にしたいということで現在検討を進めております。
#127
○細谷昭雄君 カリキュラムも、要するに都道府県団体でいろいろ話し合いをしておるというふうに私も聞いておりますが、話し合いをしても実際に四月一日からそういうふうに実施に移しているという都道府県は少ないと聞いております。したがって、労働省は、都道府県団体に対しまして今後実態を十二分に踏んまえながら、時短の号令をかけておる役所でございますので、労働省という立場から自治体に対しましてこれは前にやりましたような通達というような形で実施を早めるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#128
○説明員(松崎朗君) とりあえず、昨年度末に急遽事務連絡という格好で都道府県にお願いをしたところでございますが、時短を進めるということで訓練時間を短縮したいと言ってきた都道府県は現在のところございません。もうちょっと実態を見ながらどういった通達の中身にするかも含めまして考えてまいりたいと思っております。
#129
○細谷昭雄君 自治省にお聞きしたいと思います。
 こうした地方公務員の問題というのはあるわけですね。病院、学校いろいろあるんですが、直接自治体に勤務されておりますこうした皆さん方の職種によっての格差、これをどう週休二日制に向けていわば対処されるつもりなのか、都道府県のどういう指導をされておるのか、この点あわせてひとつお聞きしたいと思います。
#130
○政府委員(秋本敏文君) 国におきましては、五月から完全週休二日制を実施するということになってまいりまして、地方公共団体につきましても完全週休二日制導入のいわば根拠となります地方自治法の一部改正を先般成立させていただきました。私どもとしては、国と均衡をとりながらできるだけ早い時期に完全週休二日制を導入するように地方公共団体で条件整備に入っていただくように要請をいたしております。
 そういう中で、住民の皆様方の理解、協力がなければこれはできませんので、例えば行政サービスについては極力低下しないようにということ、このことも考えなきゃならない。しかしまた同時に、予算とか定員とか、これをふやしながらやっていくということにはいきませんので、やはり予算、定員につきましてはふやさないで何とかやっていかなきゃいかぬ。そういったようなことを総合的にひとついろいろ工夫をしていただく、その中で私どもとしてもできる限りの助言をしていくということで今やっております。
 交代制勤務職場の職員の皆さんであるとか、そういった方々につきましては勤務体制の見直しということも必要になってまいります。そのことにつきましても、ただいま申しましたような考え方のもとにいろいろ工夫を今していただいているところでございます。職業訓練校といったような施設それぞれについてそれぞれの地域の実情に応じながら今検討に入っていただいているというところだと思いますけれども、住民の皆さんとの関係あるいはまた例えば職業訓練校でいいますと訓練の内容といったような業務の内容との関連、そういったようなことを十分検討しながらそれぞれの団体で今検討していただいておるところでございます。
 私どもとしましても、関係の省庁の御意見なども必要なものについては聞きながらできる限りの助言等努力してまいりたいと考えております。
#131
○細谷昭雄君 終わります。
#132
○仲川幸男君 問題をたくさん御通知申し上げておきましたが、認定訓練校を含むもろもろの制度の問題については庄司先生からかなり細かいお話がございましたので、私もここで聞いておりまして、そのことをお答えのような方向で進めていただいたらと思う。また、予算の問題についてはただいま細谷先生から御質問がありました。重ねて申し上げないので、この法案が五年の四月から実施をされますので、予算についての労働省の取り組み方というものをひとつ要望もし、大臣からお答えもいただきたいと思うんです。
 今、プランナー、相談員、そして推進員等中央能会から地方の道府県におりできますものは実は四人も五人も抱えておって一千万から二千万の間、そのことで事足りると思わないのは私たちもみんな一緒であろうと思うんです。全部これに似たものでございますので、いよいよ五年度の予算編成へ向かってこれからいろいろの問題でやらなければならないと思うんですが、今の技術者の養成、ここの法案に保っております技術者の養成というのは、もう日本の産業を支えるということを私があえてここで申し上げるまでもないと思うんですが、何さま予算が少ない、こう言い切ってよかろうと思います。
 やはり、労働省の幹部が実行部隊で、相手が納得をするというのは、私は大蔵省を焦点に置いての話ですが、納得をする計画を十分理論的にも組み立てて、大臣の政治力で予算編成をやらなければならないのではないかなと思います。お金の少ない話をやれば、ここに私が持っている資料だけでも三十や四十ではございませんので、それでようやっていけるものだなと。サンシャインの中に人材センターか何か、そういうものの予算を一遍大臣の机の上へちょっと出してみてあげてください、後で帰られましたら、労働省の皆様方。
 それと、もう一つ。国と県と業界がやっております認定、そういう民間との問題の三つを比べましても、これは大変民間のやっておる訓練校というのは厳しい予算の中でやっておるということであります。さきの一千万円か二千万円の各県に配分せられておりますプランナー、相談員、推進員、これが今能力開発協会の中にいすが置いてあるわけですが、私はこのことを重要視して、ひとつ大臣、お考えをいただいたらいいと思うんです。過渡期に来ておりますので、なかなか一人の訓練工を民間が入れようとしてもなかなか来ないんです。中学のと言ったって中学から訓練校へ入ってくるというのはごくごく限られたものですから、ひとつそのあたりのことも、大蔵省を向いてそういう姿勢で予算編成を何が何でもしゃにむに大臣のパワーでやっていただきたいと思います。もらって帰ってこなかったら配分ができぬのですから。重ねて言いますが、ただそれには労働省幹部の英知を集めて納得をする計画を、実績を出して、データを出して、そしてこれでも納得しないのかということになりましたら、みんなやはり与野党を通じて労働省へ乗り込んでもいいぐらいなものではないかな、こう思っておりますので、その点をお願いいたしておきたいと思います。
 まず、そのことにつきまして、それぞれの担当の局長さん並びに大臣のひとつ御見解というか、御覚悟のほどというか、そういうものを承っておきたいと思います。
#133
○国務大臣(近藤鉄雄君) 仲川先生から大変温かいお励ましの言葉と厳しい御叱正のお言葉もあったわけでございますが、我々はしかと承りまして、労働行政がしなきゃならない課題、これも年々非常に大きくなっておりますし、特に御審議をいただいている能力開発関係はまさに経済が変動するに応じて重要になってまいるわけでありますので、万全を期さなきゃならないと思って省で取り組んだわけでございます。
 先ほどもお話し申し上げたように、どうも伸び率が芳しくない、全体としていわゆる近年のゼロシーリング、マイナスシーリングの枠の中のことでございますが、努力はしてまいっておりますけれども、不十分ではないかという御指摘はまさにそのとおりでございますので、ひとつ省挙げて今後とも必要な予算獲得に全力を挙げて取り組む、そして先生方からまたいろいろ御支援をお願いいたしたいということを申し上げて、私どもの決意とさせていただきたいと思います。
#134
○仲川幸男君 皆さんからのお答えをいただくこともない御答弁でございましたので、そのようにひとつ省を挙げてやっていただきたいと思います。
 私も皆さんにたくさん聞いていただきましたから時間もなるべく縮めたいと思っておりますので、要点だけ二、三点これから問題になるであろうこと、外国人労働問題と高齢者の問題をどうするかという問題。例の財団ができまして、研修協力機構ですか、あれができまして出発をいたしておりますが、もうちょっと目配りをきちんとしてガイドラインをしかと決めないと、余りにも幅が大き過ぎて各省からの寄り合い所帯で、私が横から見ている限りにおいては十分能力が発揮できるかなと心配をいたしております。
 いずれにいたしましても、外国人労働問題も外務省もいろいろ理屈を申しておりますし、法務省も法務省なりの物のお話がございます。ございますが、これは労働省がちょっと背筋を伸ばして、外国人労働問題については諸法令についてはそれぞれのところから、また国際情勢についてはそれぞれからお話をいただきますが、労働省が毅然たる態度で外国人労働行政はやるんですぞという、このことを大臣、しかと内外にひとつお示しをしておいていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#135
○国務大臣(近藤鉄雄君) 我が国がこれから果たさなきゃならない国際的な貢献の中で、日本のすぐれた技術、技能、これを海外から優秀な青年に来ていただいて、そして研修もするしまた実務を通じて身につけていただいて、帰ってそれぞれの国の経済発展の中核になっていただく、こういうことで従来も研修制度がございますが、それをこのたびは拡大して研修期間も一年を二年に広げる、こういうことを今計画して案をつくりつつございます。
 私は、外国人労働者に対する基本的な考え方は、そういう技術実習を通じての国際的な貢献というものにウエートを置くべきであって、たまたま人手が足りないから外国人を呼んできていわば安く使うということではいけないんで、むしろそういう人手不足の中では安易な安い外国人労働者ということじゃなしに、むしろ日本の労働者の方々をいかに適切に使うかという、そういう働いていただける形についていろいろ研究をするしまた必要な省力化投資、ロボット化をする、こういうことをやるべきであって、労働力不足対策としての外国人労働者の受け入れということについては基本的には慎重でなきゃならぬ、かように考えております。
#136
○仲川幸男君 御答弁をいただいたとおりでお願いをいたしたいと思います。
 今度は、受け入れ側の方の企業の教育というか、企業が守らなければならないガイドラインというか、そういうものをきちっとひとつ労働省でお示しをいただいておかないと、中小企業は特にそうなんですが、システムで動かない、人情で動くものですから、十人なら十人を入れてやりますと、半年たち八カ月たちますと人情も移りまして、どうしても家族も呼びたいがと言ってくるのです。そのときには、人情としてはもう呼んでやっていいなと、こういうことなんです。これは一例であります。それと同じようなものがたくさんあります。給料も上げてくださいよといういろいろなものがありますが、そういうものはちょっと過酷で受けが悪いかもしれないけれども、きちんと労働省がそのあたりのけじめをつけておいていただかないと、後で大変なことが次々に起こってまいります。
 それと同じように災害の問題は、期せずして死亡災害まで含めまして、この財団ができますときにこれで指導し取り仕切るんだといってつくったんですが、なかなか私は取り仕切れそうにないものと思います。これは生保の方でも保険の方でもそういう話が出ておりますが、そのあたりのもうちょっと突っ込んだ研究をしていただきたい。それが国内の労働力をサポートするものの最良のものにしておかなければならないな、こう思っておりますので、そのことも。もう全部質問か希望を申し上げておきますから、一度にお答えをいただいて終わりたいと思います。
 老人問題については、これは特殊問題で、私たちもここの方に、まあ二、三人老人と称する委員がおりますが、いずれにいたしましても役所方の今の形の受け入れ方ではなかなか難しいと思います。訓練にいたしましてもそうでありましょうし、また訓練から次へ行く、仕事場へ行くまでの距離というのが大変老人就職者というのは違うございますから、これは今私が言った五人もおってたった一千万か二千万かしかもらってないプランナー、指導員、そういう推進員のところあたりで一度地方能開も含めまして御相談をいただきまして、ここでひとつ何かそういうものも。東北のお話がありましたけれども、東北もやはり九州と四国とでは東京から離れておる距離は同じであります。それはまたそこそこの必要な要求度の方がありますから、要求度等を考えながらそれぞれのところで計画をしていただいたらいいのではないかと思います。
 もう一つ、そういうことで地方能開その他の指導箇所に補助金をおろしていく場合に、今私が言いましたような、検定をやらすにしてもなかなかそれぞれのキャップのところへお願いに行ってようよう人を出してもらって、中央から指示された、また申請をした数に合わそうといって一生懸命にやっておるので、書類を出して申し込みがあったりしているんじゃないですから、そのあたりもひとつ十分お考えをいただかぬと、申し込みがちょっと少なかったら銭は減らすよ、交付金は減らしますよ、減額しますよということになっているんですよ、今大臣、この計算の上では。そのあたりも実情に即応したもので、金は渡して地方でひとつ融通をし合っていいところに、効率的なところへ使えるように余りくくらないでやった方がいいんじゃないかなと。くくったら、要らないことに使うほど銭は地方へは流れておりませんから御心配ないように、そのあたり十分ひとつお考えおきをいただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、法案といたしましてはそこそこの修正もしておりますので私も結構だと思います。
 これで私の質問を終わりますので、今申し上げたことについては少々局長の方からもお答えをいただきたいと思います。
#137
○政府委員(松本邦宏君) まず、お尋ねの研修の問題でございますけれども、現在やっております研修生というのは、これは労働者でないという扱いになっておるものでございますから、主たる所管は法務省が入管管理という形で運営されているわけでございます。しかし、実際のやっております内容は技能訓練に近いものでございますので、労働省も大変関心を持っているわけでございます。
 そこで、実際の運営が適正になされますように、先ほど先生御指摘ございました国際研修協力機構というものを関係四省でつくりまして、この研修が適正に行われるような指導体制をつくったところでございます。ただ、これもまだできたばかりでございまして、十分な組織等も完全であるとは申せませんのでさらに一層の充実を図りたいと思いますし、業務面でも先生御指摘の民間訓練に対するいろんなカリキュラムの指導でありますとか、そういった点で訓練が適正に行われるように十分配慮いたしたいと思います。
 それから災害補償の点は、先ほども御指摘がございましたように、昨年新しく損害保険制度をつくってもらったわけでございますが、それをさらに運用の実態を見まして、改善すべき点があれば改善をしていきたいというふうに思います。
 それから、高齢者の能力開発の問題につきましては、基本的にはできるだけ高齢者が既にお持ちになっておる技能をベースにして、それをやはり生かすということが大切ではないか。高齢になってから新たな技術を付与するというりはかなりむだも多いのではないかという感じがいたしております。そこで、そういう実際に現在お持ちになっている技能を的確に把握するという点で、地方の能力開発協会に先ほどの相談員あるいはプランナーというのを配置しているわけでございまして、そういった高齢者の個々の要求、要請を受けて、具体的なプランに基づいて技能開発センター等で能力開発をやる、こういうことをやっているわけでございまして、さらにそういった点の充実を図りたいというふうに思います。
 それから、最後の地方能力開発協会の運営の点でございますが、これは仲川先生にも愛媛の協会の運営で大変お世話になっているわけでございまして、経済的な面で必ずしも十分でない、御苦労は十分我々としても承知をいたしております。予算のいろいろな制約はございますけれども、今後とも地方の運営ができるだけ円滑にいきますように最大限の努力をさせていただきたいと、かように考えております。
    ―――――――――――――
#138
○委員長(向山一人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として堀利和君が選任されました。
    ―――――――――――――
#139
○国務大臣(近藤鉄雄君) 一言申し上げますが、今局長も答えましたけれども、先生から大変に貴重な御指摘がたくさんございました。ひとつ先生の御趣旨に沿ってこれからも努力してまいりたいと思います。
#140
○中西珠子君 今回の職業能力開発促進法の改正の目的は、端的に言うとどこにございますんでしょうか。大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#141
○国務大臣(近藤鉄雄君) 能力開発が果たさなければならない役割はますます広がってきているわけでございますが、率直に言って、従来は公共職業訓練校というここで比較的決まったものを社会へ提供しておったところから少し柔軟な体制にしようと。したがって、今お話もございましたように養成、向上、再訓練、この三つを普通とそれから高度に分けると同時に、単に公共職業訓練所でやることだけじゃなしに従来余りなかった情報交換とか、それから援助、指導を入れて、そして必要な職業訓練を例えばあの会社から専門の方を呼ぶだとか、いろいろそういう情報交換をしながら必要に応じてきめの細かい職業訓練ができるような体制をつくっていきたい。また、地方における職業能力をレベルアップするための都道府県立の短期職業訓練校を認める、そういったようなことを考えているということでございます。
#142
○中西珠子君 御趣旨は大変よくわかりましたし、結構だと思いますが、それで公共職業訓練施設の名称までもお変えになりまして、総称ですが公共職業能力開発施設に変えられた。そういうことは、ただいま大臣もおっしゃいましたように、職業能力の開発について情報の提供とか相談、援助の機能を強化する、ないところは付加する、こういったことで民間の自主的な職業能力の開発というものを促進していこうというお考えだと理解しているのでございます。
 このたび、事業主ばかりでなく労働者に対しても情報の提供、それから相談、援助というふうなことをなさるには相当の人員が必要になるのではないかと考えるわけでございます。また、相当の人員を擁さなければ十分なことはできないのではないか。そういった機能を十分に果たしていくには相談員の役割というものが非常に重要になってくるのだと思うんです。現在の体制ではもちろんだめだとお思いになっているだろうと思いますが、どのくらいの増員をしようとお思いになっているのか。また、相談員の選任に当たっては、その前に研修や何かもなさるのではないかと思うのですが、この情報提供、相談、援助機能の強化についてどのような計画をお考えでいらっしゃいますか、お伺いします。
#143
○政府委員(松本邦宏君) 今回、公共職業訓練施設を名称も改めまして機能的にも強化をする。そのためには、おっしゃいますように、やはりそれに応じた体制づくりが当然必要でございます。
 そこで、各公共職業訓練施設、これは都道府県でございますけれども、ここには向上訓練等推進員というのを各施設に各一名配置いたしておりまして、中小企業のニーズに対応した情報提供、ノウハウの提供、そういったものをやろうと思っております。それから、国立のいわゆる雇用促進事業団で運営しております訓練校につきましては、単なる推進員ではなくて開発援助課ですか、そういった開発組織ができておりまして、そこでいろんな援助をしておるというようなことでございます。
 ただ、これは今回まだ発足をさせたばかりでございまして、これからやはり徐々に機能的にも体制的にも充実させていかなきゃならないというふうに考えております。
#144
○中西珠子君 情報の提供ということでございますが、このような職種はこのようなところで訓練していますよというふうな情報だけではなくて、やはりその職種についてはこのような雇用状況だという雇用情報、労働市場の需給関係とか、それからこれからの雇用の見通し、どこかでこの職種について働いていくと昇進の見込みもあるでしょうとか、もちろん労働条件はこれくらいなものですよというふうな、労働者個人に対して、これからこういう職種で訓練を受けたいのですがという相談があった場合、そういうふうな情報の提供もお考えでいらっしゃいますか、これは私は必要だと思うんですけれども。
#145
○政府委員(松本邦宏君) 現在、職業能力開発情報システムというのをつくっておりまして、これは比較的職業能力開発に特化をした情報システムでございます。その中にももちろん施設の情報、どこへ行けばどういう訓練を受けられるか、あるいはどういう指導員がいますよというような情報、かなり能力開発に特化した情報でございます。一方、労働省全体として実は総合的な雇用情報システムというのをつくっておりますが、将来はそのシステムをいわば訓練校、こういった能力開発施設などにもつなぐことを考えておりますので、そうなりますと、先生御指摘のような、もっと総合的な雇用情報も含めた情報提供ができるようになるだろうというふうに思っております。
#146
○中西珠子君 ぜひ早い機会にこの雇用情報システムをつないてくだすって、データをとれるようにお願いしたいと思います。
 これは非常に重要な情報だと思いますし、既に日本が批准しておりますILOの人的資源開発条約、百四十二号ですが、これの中にも雇用情報の必要性ということをうたっておりますし、これは私は非常に重要な、職業訓練を受けたいけれども、この職業の訓練を受けたら一体どういうことになるかというのはだれでも聞きたいことだと思うんですね。ですから、今は労働力不足で技能者がこれぐらい足らないとかという情報をお出しになっていますけれども、これから先どういうふうになっていくかということは、産業におけるシステムの変化とか技能の変化とか、そういったものもありますでしょうし、ちゃんとした予測を労働省はお持ちなんですから、それを与えてあげるということが大事じゃないかと思います。
 それからまた、労働者に対する相談、援助機能というのを今度新たに特筆大書なすっているわけですが、やはり労働者としては個人相談も受けたいと思うんですね。個人としてやってきた場合、自分としてはこういう職種の訓練を受けたいんだけれども、果たして自分にそういう潜在的な能力があるかどうか、また生理学的にも心理学的にも見て自分に適性があるかどうかというふうなことも相談に乗っていただきたい一つの科目ではないかと思うんですけれども、そういう面は相談員には、そんなことはできませんということをおっしゃいますか。それともそういう資質、訓練、経験というものも踏まえた相談員も備えておくというふうなことをお考えでいらっしゃいましょうか。
#147
○政府委員(岡山茂君) 今お話がございましたとおり、各種の相談につきましてはいろいろな情報を総合的に集めて御相談に応ずることが必要であろうということで、労働省におきましてもいろいろと各種の情報システムを持っております。
 例えば、今申し上げました能力開発協会におきます能力開発の情報システム、あるいは雇用促進事業団の雇用促進センターにおきまして持っております職業あるいは賃金その他に関する情報、それからもっと一般的な労働省の各種の統計といったものもあるわけでございます。それらを総合的にネットワークで結びまして、ある意味ではいろんなところに端末とか相談窓口があるわけでございますので、例えばどこに行きましてもいろんな情報が、よその情報もそこから取り出して御相談に応ずることができるようなシステムをつくる必要があるということで、労働省は現在政策調査部におきましてそういう総合労働情報システムネットワiクをつくるということについて検討しておるところでございます。
#148
○中西珠子君 その御検討は大変結構だと思いますので、早い段階で近い将来に総合的な相談機能を果たせるように総合的なネットワークの情報というものを提供していただけるようにしていただきたいと思うんです。というのは、今あちらこちらにこういうことがあります、ああいうことがありますということであっても、その窓口がたらい回しにされたり、あそこに行かなきゃこれはわからない、ここに行かなきゃこれはわからないという状況が余りにも多過ぎますので、今度せっかく総合的な施設ということで公共職業訓練所を総合的な職業能力開発を促進するものになさるわけでしょう。ですから、やはりそこへ行けば本当にちゃんとした総合的な御相談に応じていただける、また援助もしていただけるというふうにしていただきたいと思います。これは要望でございますが、早い段階でそのようにしていただきたいと思います。
 それから、第十五条の二の三項に、「国は、事業主尊及び労働者に対する第一項第一号から第三号まで」というのは、これは言いかえると助言指導、相談援助、情報資料の提供ということになるんだと思いますが、こういった「援助を適切かつ効果的に行うため必要な施設の設置等特別の措置を講ずることができる。」と書いてあるわけですね。
 先ほど相談員のことをお聞きしまして、相談員も大いに増加していって、質、量ともに増強していくというお話でございましたけれども、もちろん段階的にやっていただかなければ、定員の枠とかいろいろあると思いますけれども、こういう重要なことは重点的に大臣に予算を獲得していただきましてやっていただきたいと思うわけでございますが、施設等特別の措置というのは、これは相談員という人的なものばかりではなく、必要な施設も整備なさるということなんでしょう。まず、ネットワークづくりのためにそれぞれのところに端末機を置くというお話は聞きましたけれども、それはことしじゅうにできるわけですか。
#149
○政府委員(松本邦宏君) 情報ネットワークの端末につきましては、今年度は都道府県の能力開発協会は全部置きます。それから県立の職業能力開発施設につきましては、これは今年度は各県一校だけを選んでそこにまず設置をする、こういう計画でございます。
#150
○中西珠子君 なかなか徐々に徐々にということで、もう少し速いテンポでできないかなと思います。予算の制約もございますでしょうけれども、こういう重要なことは大いに予算を獲得してやっていただきたいと思います。
 今回の改正で技能検定というのを職業能力検定という名称に改められましたね。これは技能だけじゃなくて、それに付随するいろんな知識ということも含めて職業能力というもっと幅の広いものにして職業能力検定とお改めになったのだと思うわけでございますが、改めると同時に受検資格を拡大するということと、技能尊重の機運の醸成を図るためにいろいろ技能の振興に関する事業などを行っていく、こういうことだそうでございます。これは社会を技能尊重の社会にしていくというためにはやはり女性の技能検定受検者、職業能力検定の受検者というものが多くなっていかなけりゃいけないんじゃないかと思うんですが、これは最近の傾向はどのようになっておりますか。
 それから、いろんなことを一遍にお聞きしますけれども、受検資格の拡大はどうなさるのか、それから技能尊重の機運の醸成のためにはどうなさるか、女性の受検状況とそれをふやしていくにはどうなさるのか、この三点をまずお聞きします。
#151
○政府委員(岡山茂君) いろいろとございましたが、まず最初に、職業能力検定ということで拡大をいたしてまいりますが、国がやります技能検定のほかに、いわゆる事業主団体等がやります認定審査あるいは社内検定といったものを含めまして幅広くできるようにしていこうということでございます。それらの各種のいわゆる職業能力の検定に関するシステムを最大限に活用して技能尊重の社会の形成に役立てていこうということで考えておるわけでございます。
 そうして、技能検定における女性の方の最近の動向はどうか、こういうお尋ねでございますけれども、技能検定は特別男女の区別なくやっておるところでございますので、その意味から、特別に女性を区別した取り扱いをいたしておりませんので、数といって正確なものがないわけでございますけれども、やはり最近技能を必要とする職種についての女性の進出は大変活発でございまして、従来におきましては女性の方が比較的少なかったような訓練職種につきましても最近大変女性の方に進出をしていただいておるわけでございます。そういうことから、職業訓練校に入校される方の……
#152
○中西珠子君 技能検定のことを伺っているんですが。
#153
○政府委員(岡山茂君) はい、失礼しました。
 そういうことでふえておりますので……
#154
○中西珠子君 技能検定につきましては女性の統計はないわけですね、男女別の統計はないんですね。
#155
○政府委員(岡山茂君) はい、ございません。
 それで、そういうことから考えまして、技能検定における女性の受検者もふえておるかと思いますが、お尋ねもございまして、ちなみに東京都における状況をちょっと調べてみましたところ、やはり東京都におきましては検定の中に占める女性の数はふえているというふうに報告をいただいております。
#156
○中西珠子君 東京におきましても全国においてもふえているというだけで、これは全く推測なんですね、もしくは印象なんですね。女性の受検者はこれくらい、男性の受検者はこれくらい、合格者はこれくらいという統計が全然ないということですね。ないとさっきおっしゃいましたから、これからは統計を女性、男性と別々にとっていただきたいと思うんです。
 これは国連なんかも、女性の地位向上を促進していくためにはそれぞれの加盟国において男女別の統計をなるたけとってほしいということを言っているわけでございます。昨年、世界女性白書というのが出ましたけれども、それでも日本は随分女性と男性の別のある統計をとっている方でございます。もっともっととっていないが国あるんですね。
 しかし、これから技能を非常に尊重する社会をつくっていくんだというふうなことをおっしゃって、これを重要施策の一つとして推進していらっしゃるというときに、女性はどのくらい受検しているかとか、合格者はどのくらいだとかという、それからまた女性の受検している職種、そういうものにつきまして別々の統計をおとりいただきたいと思います。訓練におきましてもそうでございますけれども、女性の受検を奨励するためにもそういう統計をおとりいただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#157
○国務大臣(近藤鉄雄君) 中西先生のおっしゃるとおりでございますので、ひとつ男女別がちゃんとわかるように統計をとるようにいたしたいと思います。
#158
○中西珠子君 先ほど私がまだお伺いしないうちに、岡山審議官から公共の職業訓練におきましてもなんという話が出ましたけれども、公共の職業訓練におきましてこれまで伝統的に女性の職種と考えられていた職種に来る女性は多いと思うんですね。それで、また伝統的な女性の職種というものに対する訓練も大いにやっていらして、先ほど清水委員からも御指摘がありましたけれども、昨年の六月の行政監察の報告、また勧告におきましても、女性の婦人就業援助施設、それから女性専門の職業訓練校、また技能開発センター、それから働く婦人の家、こういったところで同じようなもうマンネリになっているような、いわゆる女性向きの科目の訓練コース、これはもちろん公共職業訓練の場におけるコースよりも短いコースでございますけれども、それぞれの目的が違いますから。しかし、同じようなことをやっていて、まして就職率もよくない、就職率が大変低いのはこれは安定所との連携が足らないからではないかという指摘が行政監察の報告と勧告の中にございました。
 最近の公共職業訓練で、今まで伝統的に女性が女性向きという訓練を受けなさいという指導を受けていて、そしてそういう指導を受けていた女性は従順にそれに従ってやってきたんだと思いますけれども、欧米の国々では伝統的に女性の仕事と思われていないような職種に対して女性が勇気を持ってチャレンジして、訓練を受けて、そして雇用の場を開拓していくようにということで大変積極的な指導をされているらしいんですけれども、日本ではどのような状況でしょうか。
 公共の職業訓練において、女性に対してこれまで伝統的に女性の職業ではないけれどもこの職種の訓練を受けてみたらどうかということをおっしゃっているかどうか。また、全然女性向きではない自動車整備とかいろいろあると思いますけれども、これまでは男性だけがやっていたようなそういう職種に女性が既に訓練を受けている現象があるかどうか、そういったことについてお答えいただきたいと思います。
#159
○政府委員(松本邦宏君) 我々、訓練職種について、これは女性向け、これは男性向けという区別は一切しておりません。どれが女性向けか、どれが男性向けかというのは非常に難しいわけでございますが、例えば建築製図のような職種をとってみますと、これは実は女性が五〇・八%と、女性の方が多いというような結果になっておりますし、それから情報ビジネスの関係ではもう女性が八五%、電子計算機なんかも五二・四%と、こんな数字になっております。
 それから、伝統的な職種で、例えば建築でございますとか配管ですとかあるいは塗装、先ほど先生おっしゃいました自動車整備、こういった職種にも女性が入ってきておりまして、これは平成二年の数でございますが、自動車整備ですと五十名全国でやっておられるとかいうことでございますので、比較的男性的な職場の分野についてもかなり女性は進出しておられるということだろうと思います。
 ただ、これは安定所等でいろいろ御指導する際にそういった職種への指導はもちろんやらなきゃならぬと思いますが、何よりもやはり女性がそういった職につきたいという意欲がまず大切であると思いますので、女性がつきやすいような職業環境といいますか、そういったものの整備というようなものも必要じゃなかろうかというふうに思います。
#160
○中西珠子君 女性の意欲ももちろん大事なんですけれども、職業指導をなさる方、それから訓練をなさる方がこういうのを受けなさいという、それこそ相談をなさる方が、これはちょっと女性向きではありませんよとか、伝統的に女性はそういう職業にはつけませんよということをおっしゃる方がいまだにあるわけですね。これは職業訓練の場ばかりではなくて教育の場、公的な教育の場においてもそうであるという傾向がまだあるわけでございますので、ちょっとこういう点を脱却しなきゃいけないのではないか。やはり個人差の問題であってその人の適正、その人の潜在的な能力の問題だと思いますので、その点は大いに差別なく御指導をお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、女性がいろいろな職業訓練を受けていくに当たって、短期の訓練とかそれから定時制の訓練とかであれば大変家庭責任を持つ人も易しいわけですけれども、短期の訓練や定時制の訓練で高度な職業能力を身につけることはできない、少なくとも半年とか一年きちっとフルタイムで訓練を受けなきゃいけないというふうな場合に、育児や老人の介護とかそういう家庭責任を持つ婦人が訓練を受けたくても受けられない、こういうケースが多いわけでございます。ILOの百五十号勧告、これは先ほどちょっと申し上げました百四十二号、人的資源開発条約に付随する、対応する勧告でございます。これは一九七五年にできたものでよく御承知と思いますが、この人的資源の開発における職業指導及び職業訓練に関する勧告の第八部の中に、「訓練及び雇用における女子及び男子の機会の均等の促進」のための措置といたしておりましていろいろ列挙してあるわけでございますけれども、訓練施設に保育所の設置などを考えたらどうかということ、それからまた学童を持っている人は学童の年齢に応じたような施設を考えてやったらどうかというふうなことを言っているわけでございますけれども、日本においてはこんなことをお考えになったことは一度もないわけでございましょうか。
#161
○政府委員(松本邦宏君) 女性がこれから職業訓練を受ける機会というのは非常にふえてくると思います。そこで、そういったチャンスはできるだけふやしているわけでございまして、その場面で今おっしゃいましたようにやはり育児等に配慮して、受けやすいような体制を整えるということはどうしても必要だろうと思います。したがって、当面我々考えておりますのは、例えば連日ではなくて月水金の隔日コースでやりますとか、あるいは午前中あるいは午後の一日三時間程度のコースを設定するとかというような形でできるだけ受けやすいような特別コースの設定ということを考えたいというふうに思っているわけでございます。
 託児施設につきましては、その地域におけるいろんな保育所等の状況だとか、あるいは日本の場合は特に交通機関の状況等もございますので、そういった点を考慮して必要性なり、あるいはどれほど実際の利用見込みがあるか、そういった点を慎重に検討していく必要があるのではないかというふうに思っております。
#162
○中西珠子君 もちろんそれぞれの国の国情に合ったようにすればよろしいわけでございますけれども、このようなことは日本でお考えになったことがないのかどうかということでお聞きしたわけでございます。
 それから女性の問題もそうでございますが、高齢者もやはり多様な訓練ニーズがあるわけでございまして、公共の職業訓練施設だけでは対応が難しいという面もあるのではないかと思います。そういった場合に、民間の専門学校とか民間のゼミナールとか各種の教育訓練施設へ委託をされるというふうなこともあると思いますが、どの程度外部機関への委託が行われているのかどうかということをお聞きしたいと思います。
#163
○説明員(松崎朗君) 高齢者につきましては、もちろん公共職業訓練施設の中におきましてもいろんな状況に応じまして実施しております。さらに、御指摘のような委託訓練と申しまして、訓練校が受けますけれども、実際には訓練校から専修学校、各種学校へお願いするという方式をとったり、また事業主への委託ということで、個々の高齢者の方の希望とかそれまでのキャリア、そういったものをいろいろ相談いたしまして、それにどういった能力をさらにプラスアルファとして身につければ就職がしやすくなるといったようなことを個々別々な高齢者の方ごとにコースをつくりまして、そして企業の方にはお願いするといったようなこともやっております。
#164
○中西珠子君 今高齢者のことを御答弁になりましたけれども、女性の場合はどうですか。何かほかの外部の機関に委託する場合が多いですか。
#165
○説明員(松崎朗君) 女性の場合につきましては、特に求職者の方で就職困難な方につきましては事業主への委託訓練といったようなことも実施しております。一般的には訓練施設の中で先ほど申し上げましたように、いろんな通学しやすい格好をいろいろ工夫しながらやっていると、そこに重点を置いているというところでございます。
#166
○中西珠子君 高年齢者の特別訓練コースとしてマスターコースというのを最近おつくりになりましたね。これは大変現代のニーズに合ったものだし、また特定の高齢者のニーズに合ったものだと考えますけれども、その実施状況はどのようになっておりますか。平成四年度はどのくらいの規模を見ていらっしゃいますか。また、対象がたとえ一人でも取り上げて訓練の課程を組んで、そして外部に委託するなり、公共のものを利用するなりしてなさるおつもりか、ちょっとその点を平成四年度の計画をお聞きしたい。
#167
○説明員(松崎朗君) 御指摘のマスターコースにつきましては、平成二年度から開始しておりまして、平成四年度におきましては、全国四十七都道府県に実施県を拡大いたしまして、予算上の定員でございますけれども、三千四百人の定員で実施しようとしております。
 それから、マスターコースのやり方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、一人一人の能力を判定し、どういった能力をプラスすればいいのかということをやりますので、一人一人についてコースを設定するということで、たとえ一人でありましても実施はいたします。
#168
○中西珠子君 都道府県に対する交付金や補助金の話は何回も出ましたけれども、過去数年余りふえていないんですね。これは何とかもう少し地域のニーズに合った職業能力開発を大いにやっていくということでありましたら交付金や補助金をふやしていただきたい、これは何度も質問に出ましたから要望として申し上げておきます。
 それから、有給教育訓練休暇というものが普及しているのは非常に少ないということで、制度を導入しているところはそれは労働慣行によるものが多いということだそうですが、一八%にすぎない。これは自己啓発助成給付金とかいう名前の援助、助成策というものがよく知られてないからじゃないか、周知が不十分だということではないかと思うのでございますが、この有給教育訓練休暇というものは労働者が自主的に職業能力開発をしていくためには非常に重要な制度だと思いますので、これをふやしていくためにはもちろん啓発活動もなさるでしょうけれども、そのほかどのような措置をおとりになるおつもりかお聞かせ願いたい。
#169
○政府委員(松本邦宏君) 有給教育訓練休暇制度の普及というのは、労働者の自主的な能力開発の面で大変重要だと思っております。まだまだ残念ながら周知が行き届いてない面があるのは事実でございますので、都道府県の能力開発協会が行いますいろんなサービス業務の際、あるいは各企業に置かれております職業能力開発推進者、これは講習なんかもやっておりますので、そういった際をとらえてできるだけ広報に努めたいと思っております。午前中もお話し申し上げましたが、今年度新しく好事例集のようなものをまとめまして、そういった形で周知徹底をより一層図りたい、かように考えておるところでございます。
#170
○中西珠子君 予算の消化率が大体半分なんですね、これはずっと。ですから、ぜひ好事例集でも何でもおつくりになって、その推進者の洗脳をやるとかいろいろやっていただきましてこれを推し進めていただきたいと思います。これは一九七四年に同じような名前の条約がILOでは採択されておりまして、日本はまだ批准してないわけでございます。そこまでいかないわけでございますけれども、これからの技術進歩、それから経済社会の変化というものに対応していくために労働者が自発的な能力開発、職業能力を殊に開発するということでこういった休暇がとれるということは重要なことだと思いますし、せっかくいいアイデアで、いい助成をなさっているんですから、それは少なくとも予算が消化されるぐらいには持っていっていただきたいと思います。
 もうあと一、二分でございますか、今回の改正は大変前向きな非常にいい改正で予算の裏づけとか、それから国、労働省としての御指導が行き渡ると非常にいい結果を生むのではないかと考えておりますけれども、とにかく非常な技術進歩、急激な経済社会の変化の中ですべての人が男女の差別なく、また心身障害者も含めて青少年、成年すべての人が生涯にわたる職業訓練の必要というものをやはり感じているわけでございますし、感じていない人も啓発していかなきゃいけないわけでございますし、そういった生涯にわたる職業訓練の必要を満たしていく。
 先ほど局長もこれが理念でございますとおっしゃいましたけれども、その理念はすばらしいんですが、やはりその訓練においては、雇用の安定とか雇用機会の確保というものと緊密に結びついた職業指導や職業訓練を総合的にまた弾力的にやっていただく、そういった政策や計画を強力に展開していただきたいと心から大臣にお願いしたいわけでございます。こういった政策や計画の策定とか実施に当たりましては、使用者団体ばかりでなく、労働組合とか労働者代表、また女性の意見をもお聞き入れくださいましてやっていっていただきたいと思いますが、大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#171
○国務大臣(近藤鉄雄君) 産業構造が急速に変わっていくわけでございますので、それに適応するような労働者側のいわば能力開発が非常に重要でございますし、また同時に労働者の方々が積極的に能力を開発されて、そして豊かでゆとりある生活をやっていただく、そういうためにも職業訓練が非常に大事である。そういった従来よりもっともっと多様化し、またある程度変動する職業訓練ニーズに対応するために、今度は法律改正をさせていただいて、いろいろな対応をできるようにしてまいりたい、こういうことでございます。
 予算についてはまだまだ十分じゃないという、先生初めいろんな先生のお話がございましたので、厳しい予算の状況ではございますが、省を挙げて取り組んでまいって、本当に働く人々が能力を発揮できるように、そういう体制をつくりたい。そして、そういう中で先生お話しの労働組合というお話がございましたけれども、これはいわばトップダウンでできることじゃないんで、やはり実際おやりになる勤労者の方々また組合の方々もいろんな議論をお出しいただいて、労使で話し合いをしながら、了解を得ながら進めていかなければならない問題がたくさんございますので、そういうことを十分に我々としては指導に当たって配慮するようにしてまいりたいと考えております。
#172
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
 時間が参りましたから終わります。
#173
○山中郁子君 けさほど来から多くの方から問題点の指摘がありますので、なるべく重複しないようにしたいと思います。しかし、関係者の方から直接大変熱心な要望などもいただいておりますので、初めに二つだけぜひ労働大臣から、重ねての御見解の表明になると思いますが、お約束もあわせていただきたいと思います。
 一つは、私どもこの法律制定時、一九六九年でございますけれども、このときには考え方として公的な職業訓練が相対的に軽視されていくという、そういう危険を持つ問題として、あるいはまた事業主の恣意的な訓練というものが先行していくような成り行きをもたらす危険を持つという幾つかの点を指摘して反対をした経過がございます。その後何回かの改正が行われてまいりました。私は、依然としてやはり今回の法改正の問題についての基本的な立場として、公的職業訓練の比重が弱められていくということがあってはならないし、そこはきちんと位置づけられる必要があるということがまず第一点でございます。
 それから二つ目は、多くの方がもうこれも指摘されましたけれども、従来の職業訓練課程の養成、向上、能力開発の三区分の廃止によって基礎的な、かつさらに重要なことは日本の伝統的な技術、こういう教育が軽視されることにつながらないか。つまり、法律で明記されていたものが明記されなくなることによってそれにつながらないかという強い心配をお持ちになっていらっしゃいます。これは私は一理も二理もあることだと思っておりますので、そういうことになってはならないということが二点でございます。
 労働大臣から、簡潔で結構ですけれども、改めての御見解の表明とお約束をいただきたい。
#174
○国務大臣(近藤鉄雄君) 今度の改正によりまして、公的職業訓練の役割が相対的に減少するということじゃなしに、むしろ公的職業訓練の役割をもっと多様化しネットワーク化して、そしてたびたび申しておりますが、まさに激動する社会の職業訓練ニーズに適切に対応できるような、そういう言ってみればネットワーク化したオープンシステムをつくっていきたい、こういうことでございますので、決して公的な役割を下げたということじゃない。もっと多様化して柔軟化した、こういうふうに御理解いただきたいわけでございます。
 それから、養成、向上、再開発という三つのカテゴリーを今度は二本にしたということで、またいろいろ基礎的な習熟訓練がおろそかになるんじゃないか。特に従来のような伝統技能について配慮がどうだ、こういうお話でございますけれども、我が国の職人気質、職人の技能、伝統的な技術が重要だということについては、この認識は私はどなたにも負けないつもりでございまして、日本の産業の技能の基礎になる。ただ、いわゆる伝統的な技能、技術というものは限られておりますので、公的な職業訓練の場でやるのがいいのか、それとも企業内とかそういう形の継承、伝承というものを国としてバックアップしろというのがいいのか。私は、専門の方々、職人の方々が守ってこられた技能をバックアップする形の方が、形式的に、公共職業というもののむしろ事の性質上いいのかなという感じを持っておりますので、十分配慮して進めてまいりたいと考えております。
#175
○山中郁子君 やはり法律というのはそこに書かれてあることが一つの担保です。だから、労働大臣のお考えがどうであれ、労働大臣はかわるわけですから、もちろん労働省の幹部の方たちもかわっていかれる、それでもなおかつ法の精神なり法の規定なりがきちんと守られていく保証があるのかという問題点についての関係者の御心配でもあるし、一般論としてもそういうことは大いにあることでございますから、私は逆に、多くの多様化しているニーズにこたえていく上での今回の法改正の趣旨というものも十分承知しておりますから、そこの中に埋もれてしまわないで、なおかつきちんと維持されなければいけない問題がそこにあるんだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 それで、職業訓練の問題につきましては、つまり能力開発あるいは能力向上ということになりますが、女性のパワー、それから高齢者のパワー、これがいろんな意味で女性の側、高齢者の側からいっても生きがいとかあるいは生活上の必要とかそういうことで働きたい、その意欲が高まってきている、それからまた社会経済活動全体の上からもそういう力が必要であるということで、これが大変大きな意義を持っていると思います。
 全般的に触れる時間がございませんので、女性の問題についての求職の動向ですね。先だってレディス・ハローワークという名称での職安の問題が議論されたところでありますけれども、そうした女性たちのそういう、レディス・ハローワークだけじゃなくても結構なんですけれども、そういう求職の動向の変化というか、そういうものが把握されていましたらお示しいただきたい。
#176
○政府委員(若林之矩君) 公共職業安定所におきます女子の方の求職状況でございますけれども、専門的、技術的な職業の新規申し込みの件数につきましては、六十二年の八月の段階で一万二千件、女性の新規求職申込件数の八・六%でございますけれども、平成三年にはこれが一万三千件になりまして、女性の全体の新規求職申込件数の一一・一%になっているわけでございまして、こういった専門的、技術的な職業についての求職がふえる傾向にございます。また、東京、大阪のレディス・ハローワークにつきましては、平成四年の二月で専門的、技術的なこういう職業の女性の方の新規求職申込件数が女性の全体の求職の申込件数の一五%を占めている、こういう状況でございます。
#177
○山中郁子君 私がちょっと関心を持って注目していってほしいと思うし、私どももしているわけですけれども、午前中もちょっと御指摘があったと思いますが、労働省の職業訓練の課程、科目、いつまでもそうだというわけじゃないけれども、お裁縫、縫製とか和裁とかそういうものの範囲じゃなくて、非常に大きく変化しています。そういうものに対応していくものをしていかないと、幾ら公共職業訓練の比重を低めるわけではありませんとおっしゃっても、それが満たされなければそれぞれ専修学校なり専門学校なりに行くわけです、何かインテリアデザインもしたい、あるいはコピーライターの修業もしたいというふうな方たちが。それに対応するものがなければ、労働省が幾ら公共職業訓練の比重は低めませんとおっしゃっても、事実上そういうことによって低まっていくわけです。そのことを私は重視しておりますので、ぜひそういう点での労働省としての積極的な対応、課程、科目、今女性の問題の範囲で結構でございますが、その辺の対応の御見解を伺いたい。
#178
○政府委員(松本邦宏君) 女性の能力開発の機会を高めるためには、先生おっしゃいますように、やはり女性が最近時点で希望する率の高いような職種、訓練科の増設を図らなきゃならぬと思っておりまして、その辺は求人ニーズの高い職種というものを考慮しまして、例えて言いますと機械製図でありますとか、あるいは建設製図でありますとか、それからいろんなデザイン、情報処理、電子計算機あるいはインテリアサービス、そういったいわゆる時代に合った訓練科を設置しておりまして、そこには女性が大変多く入校されているという状況でございます。
 今後とも、そういった女性がやはり入校しやすいような訓練科の増設というものに意を配ってまいりまして、技術革新に対応したME関連訓練科の拡充だとかあるいはサービス経済に対応した第三次産業関連の訓練科だとか、そういったものの充実に努めていきたいと思っております。
#179
○山中郁子君 一遍に解決を図るということはなかなか私は困難な面もあると思うんですけれども、これはかなりダイナミックに積極的におやりにならないと、今相当変わっていますから、その辺のことは十分御承知いただいて取り組まれるように強く求めておきたいと思います。
 それから次の問題として、子育てが一段落して三十歳前半としましょうか、個人個人によって違いますけれども、大体三十歳代後半から四十歳代前半にかけての方たちの就労意欲というのは、初めに申し上げました二つの面からかなり高まってきておるわけです。それで、パートの求人というのはやはりありますね。このパートというのは、基本的には雇用の調整弁的役割を果たしているわけで、基本的な問題はありますが、現実にパートの求人があってそこにパートで働いている方たちがたくさんいらっしゃる。だけれども、労働省としては安易にそこでもって三十代後半から四十代前半にかけての人たちがそこで吸収されるからそれでよしとするという態度であってはいけないというふうに思いますし、その方たちだって、より専門的かつ自分の生きがいとして能力を高めていく仕事につければなおそれはいいという希望を持っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるので、ここのところにこたえる必要、つまり技術的にも専門職的傾向の受け入れの職場、そこのところが必要だというふうに私は思っております。
 これは、具体的には訓練課程の改善なども含められるわけですけれども、総務庁の勧告にも、ニーズの高度化にこたえるためには訓練期間を現在の基本とされている六カ月からやはり延ばして、それなりに中身の豊かな、そうしたニーズにこたえられるものに高めていく必要があるという見解も披瀝されておりますし、そういう点についての具体的な方針をお持ちかどうか、御見解を伺います。
#180
○政府委員(松本邦宏君) パートタイムの求職者の方々につきましては、特に都市部を中心にいたしまして、技能開発センターあるいは都道府県の職業能力開発校で短期の能力開発を中心にやっているわけでございますが、その中でもやはり専門的、技術的な分野が拡大していることは事実でございますので、実際の科の状況を見ますと、例えばポップレタリング科でありますとか商業デザイン科だとかインテリアコーディネート科といったような、かなり専門的な職種に対する基礎的な訓練というものを実施しているところでございます。
 今後ともそういった専門的技術はふえてまいると思いますし、その技術の習得のために従来のような短期だけでは適応できないということであれば、それに合わせた期間の長さも持った訓練というようなものを当然考えていかなきゃならぬと思っております。
#181
○山中郁子君 総務庁の指摘がもう既に出ているわけですから、それで不十分ならば考えなきゃならぬというのはやっぱりちょっと少し遅いですね、対応が。もう既に何らかの形、何らかの計画がなされていなければいけない段階ではないかと私は思います。ぜひ早急にそうした要望にこたえる段取りを進めていただきたい。
 次に、訓練手当の問題でございますけれども、今のこととちょっと関係するんですが、ごく大まかに言いまして、女性の場合、四十五歳以上あるいは母子家庭の母の場合を除くと訓練手当は支給されません。これをやはり私は、今申し上げました三十代、四十代にかけて、日本の社会経済の上からも必要とされるパワー、それからそういう自覚的な進出への自立心、そういう状況の中ではここに訓練手当の対象を拡大していくという積極的な施策が検討されてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。これはぜひ大臣の御意見もお伺いしたいところでございます。
#182
○政府委員(若林之矩君) 女性の方の就業の促進という観点から公共職業訓練機関を活用して能力開発を図るということは重要なことでございますけれども、雇用対策法に基づきまして訓練手当を支給して能力開発を図っていく、そしてその就職を促進していくということにつきましては、これは特に就職が困難と考えられる方を対象にするわけでございまして、具体的には今御指摘ございましたように四十五歳以上で就職が困難な求職者の方、母子家庭の母等の方、あるいは炭鉱離職者の方、こういうような方々が対象になっているわけでございます。
 五十年の雇用対策法の施行規則の改正によりまして四十五歳以上の方を訓練手当の対象としたわけでございますけれども、当時から見ましても、四十五歳以上の方につきましてもかなり最近雇用失業情勢は改善されてきているというのが現実でございます。三十代の方の雇用失業情勢も高い求人倍率にある現状でございますので、現段階で支給対象となる年齢基準を緩和する状況にはないと私どもは考えております。
 もとより、三十代の女性の方だけでございませんで、女性の方々の職業相談、就職の促進その他について私どもは一層努力を図らなきゃならないことは申し上げるまでもございませんで、先ほど先生がおっしゃいましたように、レディス・ハローワーク等設置いたしまして就業希望の方々の登録を図りますとか、そういった方に職業情報を提供しますとか、あるいは就業準備期間中の職業講習をいたしますとか、こういった面はさらに努力を重ねていきたいというふうに思っております。
#183
○山中郁子君 私の質問というか要求にこたえてくださるのかこたえてくださらないのか、ちょっとよくわからないんですけれども、どうも何か余り具体的にはこたえていただけないような御答弁のように伺いました。
 私が言うのは、四十五歳以上困難とおっしゃっているけれども、子育てが終わって働きに出たいという人だって困難なんですよ、女の人の場合。だから、今育児休業の問題だとかいろんな問題が出ていますでしょう。国際婦人年、国連婦人の十年、雇用機会均等法、そういう経過を経ていろんなものが提起されているけれども、それでも育児休業も所得保障の問題や何かでいろいろ隆路がありますね。いろんな側面から、そういう点での女性の就業というものを前進させていかなきゃいけない。三十歳代後半から四十歳代前半というふうに私が申し上げましたのは、四十五歳以上には訓練手当が出るのだから、その前の人たちだって女性の場合には本当に困難ですよ、子供を産んで一たん職場をやめますから。だから、そういうことで非常に困難だからそこに訓練手当の対象を広げていくことをぜひ検討してもらいたいということで申し上げているんで、今の局長の御答弁は、検討はとにかくいずれするという御答弁だと受けとめてよければ、もうこれでいいんですけれども、そうでないんだとしたらちょっと大臣から御見解、何かもう一つ回りくどくてわからない。
#184
○政府委員(若林之矩君) 御質問の趣旨はよくわきまえているつもりでございますが、先ほど来申し上げましたように、三十歳代の方の雇用失業情勢、求人倍率で見ましてもまだかなり高い水準にあるわけでございまして、私どもやはりさっき申しましたように、訓練手当を支給して訓練して職業のお世話をするというのは、特に雇用失業情勢の面で就職が困難である、そういった方々のためにこの制度があるわけでございますから、今の雇用失業情勢の現状から申しますと、これを対象にすることは考えられないという趣旨で申し上げたわけでございます。
#185
○山中郁子君 困難なんですよ。三十五歳以上、子育てが終わって働きに出たいという人は困難なんです。あなた方は数字でもっていろいろおっしゃるけれども、現状のいろんなこと、労働省の施策の経過の中だっておわかりになるでしょう。今すぐ対象にするという御答弁がいただけないにしても、私の申し上げた点の意味がわかったとおっしゃったんだから、ぜひ大臣、少し積極的に考えるという、ちょっとそのぐらいの答弁をしてくださいませんかね。
#186
○国務大臣(近藤鉄雄君) これはわかりやすく言うと、まだ三十代から四十代初めの御婦人の方はお仕事の口が比較的見つけやすいんで、四十五を過ぎられると少し困難だから職業訓練をしていただいて、そしてさらに、こういうことだと思うのでありますけれども、なぜ四十五歳か、こういう先生の御趣旨ですよね。勉強させていただきます。
#187
○山中郁子君 考えてみるとおっしゃってくださったわけですか。
#188
○国務大臣(近藤鉄雄君) 勉強させていただきます。
#189
○山中郁子君 私は、先回の十六日に当委員会で障害者の問題についての議論があったときに、関連して障害者の実態に見合った職業の開発研究という問題を提起いたしました。本法案ともかなり関連がありますので、ちょっとこの点に関してお伺いいたします。
 今全国で障害者の職業訓練校は国立て十三施設、それから都道府県立て六施設あるというふうに調査の結果伺っております。これらの訓練校の定員は合わせて約二千七百人と伺っておりますけれども、これはまず一〇〇%訓練生が充実しているのかどうかをお知らせください。
#190
○説明員(松崎朗君) 入校率でございますが、大体全部を平均いたしまして七五%程度の入校率でございます。
#191
○山中郁子君 ところで、障害者訓練校を卒業する生徒さんのうち重度障害者の方たちの比率がどのくらいおられるのかということをお伺いします。
 障害者の団体の皆さんからもよく伺うんですけれども、訓練校は出たけれどもその後就職が保障されていないという、そういう批判というか悩みというかもっと痛切な叫びがあるのね。その辺のところをちょっときょうは解明したいと思いますので、お示しいただきたい。
#192
○説明員(松崎朗君) 全体の平均でございますが、いわゆる重度障害者の比率は四〇%程度でございます。
#193
○山中郁子君 就職はどのくらいできているのでしょうか。
#194
○説明員(松崎朗君) 就職につきましては、平均いたしまして大体八〇%を超えております。
#195
○山中郁子君 重度障害者の方たちの就職率でございますけれども。
#196
○説明員(松崎朗君) これにつきましては現在とっておりません。
#197
○山中郁子君 それがとられていないということは、やっぱり非常に手落ちだと思うんですね。
 重度障害者の方たちが職業訓練校を仮に出ても、結局なかなか就職ができないという問題が深刻な問題なので、同じ労働省の中でも訓練校は能力開発局である、だから訓練生を送り出す、だけれども障害者の就職あっせんの問題は職業安定局ということで障害者の登録を行っているけれども、いざ就職となるとそれは会社に採用されるような訓練は受けられないでいる、そういう現状があります。
 そうすると、それはただ障害者を職業訓練校に預けたというか、もちろんそこで訓練が行われるんだけれども、預けたというだけであって、その職業訓練を受けたことによって職業が保障される、就労が保障されるという、そういう状況になっていないところが、真の障害者、特に重度障害者の方たちの生活というか家族の方も含めた希望が持てない状況にあるという、せんだって私も指摘しましたけれども、そういう関係になると思いますので、ぜひこの点については中身で実効のある施策をなるべく早急に進めていただきたいと思うのですが、現在職安に登録されている障害者の方たちはどのくらいの人数いらっしゃいますでしょうか。
#198
○政府委員(若林之矩君) ただいまお話ございました訓練と職業紹介との関係は相当密接にやっているつもりでございます。
 私ども、現在雇用率で相当強力な指導をいたしておりますけれども、そういった関係でも、今訓練機関にどういう方がいらっしゃるかということも把握しながら紹介をするということで進めております。
 ただいま御質問ございました公共職業安定所に登録されている求職者の障害者の数でございますが、現在登録の数は三十四万一千人でございますが、そのうち就業中の方が二十七万二千人おりまして、有効求職者としておりますのは五万四千人でございます。
#199
○山中郁子君 かなり連携をとってやっているというお話で、それはそれで結構なんですけれども、私がちょっと伺ったんだけれども、重度障害者の方たちの数は把握されていないのよね。そこにかなり集中的な問題が一つあるんです。障害者全体の問題でもあります、それは。この障害者年あるいは障害者十年の中で随分いろんな角度から議論されたけれども、問題は重度身障者の方たちの数はどうかといえば、やっぱり把握されていらっしゃらないわけなんで、その連携はさらにもっと密にしていただくと同時に、私が今申し上げたいのは、そういう重度身障者の方たちの生きていく希望というんですか、そこのところが家族も含めて今大変大事な求められている課題だというふうに思ってお伺いをしております。
 それで、私は労働省にちょっとお伺いをしたんですけれども、先ほど申し上げましたように、十三の国立の障害者職業訓練校、それから都道府県立は六校ありますということですが、具体的な配置についての資料をいただきました。これを見ますと、私は、各都道府県に最低一校はこうした障害者職業訓練校ですね、これが設置されていて、開設されてしかるべきだと思うのです。細かく詰めればいろいろな考え方もあるし、いろいろな詰め方もあるんですけれども、ごく基本的な考え方として私はそのようになっていないこと自体が非常なおくれであるし、またそのようにすべきだと思っていますが、この点についてはいかがでしょうか。私がいただいている時間が余りありませんので、ぜひ大臣に政治的に御答弁いただければありがたいんですけれども、それじゃ簡潔にそれぞれお願いします。
#200
○政府委員(岡山茂君) 障害者の訓練校につきましては、ただいま御指摘のありました数字でございますが、障害者の職業訓練につきましては、まず基本的に一般の方と一緒に訓練を受けていただくということを基本にいたしまして、そういう方につきましては一般訓練校でお受けするようにしてできるだけやっておるわけでございます。ただ、一般の方と一緒に訓練ができない方、特に重度の方につきましては、特別の対応をする必要があるということで専門の職業訓練校を設けておるわけでございますが、そこにつきましては寄宿舎を設けまして、そうしてそれぞれの地域の状況に応じて設置をしておるわけでございます。
 また、訓練校におきまして重度障害者の方の対策が不十分であるという御指摘でございますが、決してそういうことはございません。職業訓練校におきましては、重度の方を中心にいたしまして積極的な職業訓練をやっておるわけでございまして、また卒業生につきましては安定機関と十分連携をとりながら一生懸命やっておるわけでございますので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#201
○山中郁子君 あなた、絶対に不十分でないなんて本当に言えるの。具体的な例は幾らだってあるんですよ。労働省の幹部がそういう姿勢でこういう問題についてそんな不遜な答弁するようだったら、障害者の問題、一体どう考えているんですか。全面的にあなた、完備されていると言うんですか。全面的に要求が実現できていると言うんですか。もうあなたの御答弁は要らないから。
 労働大臣、これは障害者団体からも毎年毎年労働省に労働大臣に要求が行っているんですよ。最低、各県に一カ所の職業訓練、重度心身障害者が身体障害者が職業訓練を受けられるような施設をつくってほしいという本当に痛切な叫びです。ぜひこれに耳を傾ける、そして労働省としても誠意ある真摯な対応をお示しいただきたい。もう局長さんはいいですから。
#202
○国務大臣(近藤鉄雄君) 障害者の職業訓練が大事なことは私もよくわかってございます。ただ、一県一カ所という形がいいのか、一応軽度の方は普通のまさにノーマライゼーションという形でやっていただいて、ある程度以上の方々を集中的にまとめて徹底的に訓練するということがどうか、この点は私は一県一校でなくてもいいのではないかと思っておるわけであります。
 実は先生、昨日、私は障害者の雇用の実情を見てまいりました。午前中は日本ビジネスサービスというところに参りました。これは身体障害者の方々を雇っておられる会社であります。午後は日本理化学工業に参りました。これは精薄の方々を雇っていらっしゃるところであります。ともに職業訓練校から紹介で呼んでこられて、そして車いすの方々でも例えばソフトをつくったり、それからいろいろパンチャーなんかはもう行っても非常に熱心にやっていらっしゃるわけです。それから、私は知らなかったんだけれども、点字でコンピューターを打っていらっしゃる方もおられまして、非常に感銘いたしました。
 それから、午後の精薄の方々は、何か大臣が行くということで、普通は表情を出さない方だけれども、社長が話されたらみんな笑われてにこっとして大歓迎だと。そして行きましたらもう見向きもしないんですね。わき目もしないで本当に真剣。あえて言いますけれども、率直に言って精薄の方々の雰囲気じゃないですね。まじめに仕事をやっていらっしゃる雰囲気は、もう健常者と同じような顔つきでやっておられて、これは大変だと思いました。
 ですから、私はたまたまきのう二カ所の経験でございますけれども、障害者の方々の雇用というのは、しかるべき訓練をきちっとやってそういう環境をつくっておあげすればまだまだやることがあるんじゃないか、こういうことでございますので、現状を不十分だとおっしゃればそうかもしれませんが、ひとつこれも一生懸命私たちこれからやりますので、御指導をお願いいたしたいと思います。
#203
○山中郁子君 一生懸命おやりになるわけね。
#204
○国務大臣(近藤鉄雄君) やりたいと思っております。
#205
○山中郁子君 終わります。
#206
○笹野貞子君 日本の国の発展というのは、まさに有能な人材というものがいろいろな意味で大変な発展を果たしてきたということはこれはもう言うに及びません。そして、国としては能力を開発するという事業というのは、これまたすばらしいことだというふうに思います。しかし、能力を開発するといっても、どちらに開発するかという開発する方向を間違うと、これまた余りよからぬことであります。
 例えば、私の若いとき、私は旧制の女学校ですけれども、私たちが旧制女学校に入りましたときには、女性が職場に出てお金を取るなんというのはもうとんでもないことだという、そういう良妻賢母型の教育を受けておるわけですから、働くなどということは女性にとっては非常によからぬことということです。それが新しい時代になって変わったわけですから大変いいんですけれども、午前中そして先ほどの中西委員、今の山中委員、こぞって女性の能力開発のことを御指摘になりまして、私もここら辺でやっぱり女性の力を大いに誇示する意味でもう一度、再度突っ込んでお尋ねをしたいというふうに思います。
 労働省の方に女性労働者の能力開発の事業のことについてちょっと資料をいただきました。その資料をいただきましたら、女性ではなくて高齢者向けの能力開発というところの資料をいただくと、園芸科、竹工芸科、木工科、造園科というようにこういうのが高齢者向きの科目だというんですね。そして女性の方は、先ほどもいろいろ御指摘がありましたように、洋裁科、家政科、縫製科、美容科、給食科などというのが軒並みに並んでいる。これは非常に大ざっぱな議論かもしれませんけれども、年をとると盆栽でもいじっておけ、女性は洋裁や和裁をやっていたらいいんだという、こういうふうに受けとめがちなんですけれども、このように科目の設定が違うという何か根拠がありますでしょうか。
#207
○政府委員(松本邦宏君) 我々が科目を設定する場合には、やはりその人の持つ職業能力とそれからその人のつきたい職種の希望、そういった求職者全体についての要望を踏まえてやっているわけでございます。
 もとより、女性の方に全部洋裁科、縫製科に入ってくれということを考えているわけではございませんで、それ以外の科目にも進出していただくことは大いに結構でございます。しかし、まだ女性の中には洋裁をやりたいという方も多いわけでございますので、そういう科も廃止するわけには必ずしもいかないということでございます。女子専門校というものもございますが、そこでも洋裁科、縫製科もございますが、最近はOA事務科あるいはデザイン科、製版・印刷科、そういった職種もふやしているわけでございますので、我々としては、女性だからどうだ、男性だからどうだというようなことを考えているわけではございません。
#208
○笹野貞子君 そうしますと、私がお聞きをしたいのは、この資料をいただきますと、女性の能力再開発訓練を行っている者は全体で九万七千三百七十七人、養成訓練を受けている考が二万九千二百八十五という人数が出ておりますけれども、就職率を見ますと、養成訓練の方は九三・八%、そして能力再開発訓練を受けている者が六八・三%というパーセントが出ております。このパーセントの中でどの科目を受けているのが就職率が一番高いのですか。女性の訓練です。
#209
○説明員(松崎朗君) 訓練科ごとに就職状況をとったものはございませんので、トータルの数字しか手元にございませんので、失礼いたします。
#210
○笹野貞子君 そうすると、ニーズが高いというのは一体どっちに基準を置いてニーズの問題をはかるんですか。
#211
○政府委員(松本邦宏君) 訓練職種の設定につきましては、やはり公共職業安定所等にございます求人申し込み、そういった状況を見まずし、それから科目設定については、先ほどもお答えしたかと思いますが、各都道府県とも協議をいたしておりまして、その都道府県における状況等も把握するということで実際の科目設定はやっているわけでございます。
#212
○笹野貞子君 先ほど大臣の御答弁の中に、こういう訓練というのはこちらの方でメニューをつくってやっていただいている、だから今度は自主的なメニューも必要だという御答弁がありました。そうすると、先ほどの大臣の御答弁では、学校の方がメニューをつくってそれで受講させているということになりますね。では、今生徒が何をとりたいかといってやっているというのは、ちょっと論理の整合性がなくなるんじゃないですか。
#213
○政府委員(松本邦宏君) 訓練科という形でかなり長期的に養成をするというような科につきましては全体の需要を見て設定するわけでございますが、先ほど言いましたような個々の労働者がその科で必ずしも対応できないというようなケースもあるわけでございます。そういう場合については個々の御相談に応じて、対応できない場合には委託訓練に出すというような方策を個々には取り入れているわけでございます。そういう形で数の多いものについては科という設定が可能でございますけれども、科にまでいかないような需要のものあるいは時期的に間に合わないというようなものについては、個別に御相談に応じてそういう委託訓練というような形式で対応すると、こういうことでやっているわけでございます。
#214
○笹野貞子君 私がなぜこのような質問をするかというと、人手不足で男性がいいところをとっちゃって、残りの人手不足の部分を女性にやらせようと、例えば先ほど説明があったように男性が余りとらないような給食の部分をやるとか、そういうところに私は何か意図があるんではないかなと勘ぐりたくなります。こういうふうに勘ぐりたくなるような科目を設定するというところに問題があって、これからの女性は新しい技術とか、外国の方にも女性というのはこういう新しい部分の勉強をしているんだというような印象をつけなければいけないんで、こういうやり方というのは、私は本当に人を疑ったことのない善意の人間ですけれども、しかしこの科目を見ると、何か高齢者と女性というと勘ぐりたくなるような、そういうのは、やっぱりこれはやめていただかなければいけない。ニーズ、ニーズといっても何のニーズかよくわからない。今局長さんが御説明になったのも、私はまだ一〇〇%理解してないんですね、何が何だかよくわからないので。こういうことはこれから直していっていただきたいというふうに思っております。
 そして、ニーズがあると言うんだったら、どの科目が何%女性がとりたいのか、とるというニーズがあるのか、そしてもし就職をしたらどの科目を受けた人が就職率がいいのかというきちっとしたデータがあってこそ、初めて自信を持って女性のニーズ云々というのを言っていただきたいんです。今の言い方からすると、統計もとってない、就職もわからない、数字のデータもない、しかしこれが女性のニーズですなんて言われるとまたもっと勘ぐりたくなりますので、これは今後の課題として、もしもパーセントを出しているとするならば、どの科目を受講している者がどういうところに何%就職をしているのか、そしてどの科目が一番就職率が高いのかというようなもっときめ細かい行政の方向を出していただきたいというふうに思います。
 さて、続きましてもうちょっと話を聞きたいんですけれども、今度の能開法の改正によって、女性というものをどうこの中に位置づけていくかという一つの問題で、女性の能力というのは時期によって違いますが、最初は余り労働意欲がなくて家庭の主婦になっていた、しかしある一定の時期に働く意欲を持って社会に進出しようと思う。こういう人は一般に家庭の主婦と呼んでいいんでしょうか、こういう人は一体この法律ではどこに位置づけて考えたらいいんでしょうか。
#215
○政府委員(松本邦宏君) 公共職業訓練施設は、原則的に言いますと、雇用保険の受給者のための訓練施設というような形でイメージをしているわけでございます。実際には、原則として職業に必要な技能を身につけることを望んでおられる方には何びとでも入校をお認めするということにしているわけでございますので、実際には雇用保険の受給者でなくなっている方、家庭の主婦のように一たんリタイアした方はそういう方だと思いますけれども、そういう方でも当然最寄りの公共職業訓練施設に行っていただいて、ぜひ訓練を受けたいということであれば、喜んで御相談に応じますし、受講の申し込みを受け付けることにいたしております。
#216
○笹野貞子君 その場合ですけれども、そういうときの手続が済んだ後、受講料とかそういうものはどういうことになっておりますか。
#217
○政府委員(松本邦宏君) これは法律にも明記してございますけれども、求職者でございます。そういった家庭婦人が受講される場合の受講料は無料でございます。
#218
○笹野貞子君 統計によりますと、訓練校の入学全体に占める女性の割合は、養成訓練が全体の一六%、能力再開発の訓練が全体の三八%が女性となっておりますが、今家庭の主婦と言われる人も受け付けていると言いましたけれども、この女性の中で家庭の主婦と言われる人のパーセントは何%ですか。
#219
○説明員(松崎朗君) また申しわけないんですけれども、それはとっておりません。
#220
○笹野貞子君 私は、これから女性の能力開発というのはもっときめ細かく、次に私が御質問いたしますけれども、外国人研修生の問題が入ってまいります。この外国人研修生の問題の前に、働きたいという女性をどうやって能力を開発させていくかという問題をきちっと解決しなければ、またまた事混乱をいたします。そういう意味では、これからもっと女性の労働行政に対しては配慮のある行政をやっていただきたいというふうに思います。これは私の要望として申し上げておきます。
 何か、ちょっと女性のことを突っ込みますと、とってないとかわからないとか知らないとかいう答えが非常に多いわけですね。これはよくないというふうに思いますので、その点もひとつ御努力ください。
 さて、続きまして、外国人研修生の問題に移りたいというふうに思います。
 外国人の研修問題は、今日本の人手不足という問題等ありまして、いろいろと問題点を抱えております。現実問題として、新聞紙上では非常にトラブルがたくさん起きております。こういうトラブルの起きている中で、いよいよ研修制度というのを法的に確立しようとする今入り口だというふうに思います。
 そこで、お尋ねをいたしたいというふうに思います。今度の第三次行革審の中の世界の中の日本部会というところに、国際貢献として外国人研修生を受け入れてはどうかということについて、労働省はその計画を発表なさいましたね、私も新聞で見ましたけれども。今度の改正の九十七条の二という条文は、つまり今計画をなさっております外国人研修生を受け入れるための一つの受け皿というふうに解釈してよろしいんですか。
#221
○政府委員(松本邦宏君) 今回、法律上、公共職業能力開発施設でその業務に支障のない範囲内で職業訓練に準ずる訓練を外国人研修生等に対しても行うことができるように定めたわけでございますが、これは従来から規定上は当然認められていたことを明文化したものでございまして、実際にも、実は法律改正の前でございます昨年の十月ぐらいから業務を開始しております例の国際研修協力機構を通じまして、具体的にもう公共職業訓練施設には受け入れをいたして訓練はやっております。
 したがって、今回設けます規定は、行革審が考えております技能実習制度とは直接の関係はございません。しかしながら、技能実習制度で実施をしようと考えております技能実習の中の研修部分について、公共職業訓練施設が御援助するということはやっていきたいということでございます。
#222
○笹野貞子君 私が所属しております連合は、以前から単純労働はこれは認めないという方向できております。そして労働省もその見解だろうというふうに思います。しかし、今受けております研修制度ですけれども、これが単純労働は認めないと言いながらも、その実務研修というところがまさに単純労働を受け入れている格好に現実にはなっているわけですね。これは現行制度が非常にいろんな意味で矛盾点があるわけですから、この矛盾点をしっかり理解した上でなければもう一つのまた矛盾を起こすということになります。
 そこで、お尋ねしますけれども、この実務研修と就労の違いというのをきちっと押さえているでしょうか。
#223
○政府委員(松本邦宏君) 現在は、まだ技能実習制度というのはないわけでございまして、単に研修という仕組みがあるだけでございます。これはいろんな制約がございまして、進出企業等が現地の従業員を連れてきて研修するというようなケースが実はメーンでございますが、そういったこと以外に二年ほど前の法改正の際に、そういった取引関係がないようなところについても一部研修生を連れてきてやれるような仕組みを導入したわけでございます。
 そこで、現在は研修生という形で多くの場合は一年以内の形で実施をされておりますが、これは労働者の扱いにはなっておりませんので、そういう意味では非常に身分的に不安定な存在でしかないということでございます。それから、期間も、法務省が実際に認可をいたします際には三カ月、六カ月、せいぜい一年というようなことでございますので、実際の技能習得ができるかどうかという、そういう技能習得の観点から見ましても非常に中途半端な期間できちっとした習得がなされていないということを懸念いたしております。そこで、実際の技能が本当にきちっと移転されるためにはもう少し長期の研修が必要であろうというふうに考えるわけでございます。
 ただ、これを二年という形で我々は延長しようと考えているわけでございますが、二年間労働者という資格にしないで研修生という中途半端な資格にいたしますと、労働法の保護が全然かぶらない存在になるわけでございます。これは非常に問題があるのではなかろうかということでございます。かといって、それじゃ最初から労働者で入れてしまうかどうかということになりますと、これは正直申しまして単純労働との区別がつきにくくなる可能性もなきにしもあらず、こういうことでございます。
 労働省が提案しておりますのは、例えば九カ月でございますけれども、その九カ月間は従来のような研修生という形で研修士扱いにしていただいて、その間に技能を習得していただく。その九カ月が終わった段階で本当に技能が習得されているかどうかというのをきちっと評価いたしまして、確かに研修生もまじめにやっているし事業場もまじめにやっているという評価をした段階で、その後は今度は労働者の扱いにしてきちっとした労働保護法の適用の中で保護を受けながら残りの一年三カ月、具体的な現場における技能習得をさせるということにしてはどうかということを考えておるわけです。それで二年終わった段階でも改めて技能評価をきちっとやりまして、これは技能を終わった人に証明書のような形で差し上げれば、向こうのお国に帰ったときに就職面でもいろいろメリットがあるだろう、こういう仕組みで考えておるわけでございます。
#224
○笹野貞子君 お話を聞いていると、何かすべてうまくいきそうなんですけれどもね。
 そこで、一つお尋ねをしますが、今のお話ですと、三カ月産学をやって、六カ月実務研修をやって、あとの一年三カ月は就労になるわけですね。そうすると、三カ月、六カ月やったところで検定をする、こういうんですね。そこでお伺いしたいんですけれども、三カ月の座学の中にはもちろん日本語の研修が入っているわけですね、日本に勉強に来るのに日本語を知らないでやってもしょうがないんですが。三カ月の日本語を含めた座学ですけれども、三カ月で日本語がマスターできるんでしょうか。私などは十何年やっても外国語がマスターできないのですけれども、どうやって三カ月で日本語をマスターしたというふうに検定するんですか。
#225
○政府委員(松本邦宏君) 外国人研修におきます日本語研修というのは日本語の習得そのものが目的ではないわけでございまして、実際の技能を習得していく上で必要最小限の日本語の習得ということで考えているわけでございます。
 実は、労働省自身が関与いたしまして日本ILO協会なんかに委託をしてやっていただいている研修がございますが、この研修生なんかを見ておりますと、三カ月たちました段階でも実に見事な日本語を習得しているという実例は本当にございますので、これはやはり必要と熱意の問題ではなかろうかというふうに思っております。私も英語は何年か学校で習いましたけれども、ろくすっぽしゃべれません。それと比べて本当に愕然とするほどの日本語力をつけて私の前にあいさつに見えるのでございます。そういうことでございますから、十分とは言えないまでも、少なくとも技能実習に必要な日本語はかなりの程度習得できると思っているんです。
 ただ、さらに一層よりよい仕組みにするために、先ほど申し上げました国際研修協力機構で日本語の研修カリキュラム、ノウハウ、そういったものも今研究をいたしておるところでございます。
#226
○笹野貞子君 何か局長に言わせると、私は情熱がないものですから語学が発達しないのかもしれません。
 しかし、ここでお尋ねしたいのは、三カ月と六カ月の九カ月で技能試験をする、そこは一級と二級は無理だから、基礎級というのをする、こういうわけですね。基礎級と単純労働者の違いはどうしてするわけですか。つまり基礎級というのは、今私たち連合も単純労働者を受け入れないと言っているんですが、六カ月で単純じゃなくて高度な技能者になるわけですか。
#227
○政府委員(松本邦宏君) 現在、技能検定につきましては一級、二級、それからものによっては特級という制度がございます。これは能力開発を進める上でもう少し多段階化をした方がいいだろうということで、先生今御指摘の基礎級というのを導入することにいたしておりますが、この基礎級というのは、我々がイメージしておりますのは九カ月段階というよりはむしろ二年の修了段階をイメージいたしておりまして、そこの段階で基礎級が取れるレベルまで持っていきたいというふうに思っているわけでございます。したがって、九カ月の段階というのはむしろそれよりもさらに基礎的なものということに考えております。基礎級の方は当然日本人も受けるメリットがあるようなものでございますが、九カ月段階のものはこれは外国人特有のいわば検定制度として仕組むということで考えているわけでございます。したがって、九カ月段階で合格したからといって、それは技能者の扱いにするものでは毛頭ないわけでございます。
#228
○笹野貞子君 この計画を見ますと、九カ月が済んで基礎級の免許を取ったら後は労働法関係が適用される就業になる、そこで給料ももらう、こういうことですね。そうすると、就労でしたら給料をもらうんじゃないですか。ただで働くんですか。違う違うと局長は言っていますけれども、無料ですか。
#229
○政府委員(松本邦宏君) ちょっと先生誤解があると思います。九カ月段階ではまだ基礎級という扱いにはしないということでございます。
#230
○笹野貞子君 済んでからですね。
#231
○政府委員(松本邦宏君) ですから、二年が終わった段階では基礎級になりますが、この研修制度はあくまでもそこで終わったら必ず帰国をしていただくということを考えております。
#232
○笹野貞子君 私とかみ合ってないんですが、私は九カ月終わった後の段階では就労できるわけですねと聞いているわけです。できますね。
#233
○政府委員(松本邦宏君) はい。
#234
○笹野貞子君 ですから、私は日本人の一般の労働者は外国人が九カ月やったよりももっと高度な仕事ができると思うんです。つまり単純労働者は入れないというその単純の中に、九カ月済んだら単純じゃなくて高度な技能者になって、日本人ができないような技術を持つことができるのですかと聞いているんです。
#235
○政府委員(松本邦宏君) 職種の選定が一つ問題になるわけでございますけれども、職種を選定する際にやはり開発途上国の開発の役に立つような職種ということをメーンに考えておりまして、どちらかといえば労働力が不足しているからこの職種を入れたいということを優先的には考えていないわけでございます。しかし、希望職種を受け入れてくれる業界がなければもちろん困るわけでございますから、その業界にはやっていただくわけですが、メーンはやはり開発途上国に役立つような職種ということで考えているわけでございます。
 それから、九カ月の段階で本当の基礎的なレベルが習得されているかどうかということを評価してそこからは確かに労働者の扱いにいたしますけれども、それは先ほど申し上げましたように、研修生というような身分不確定な段階で二年も事実上就労に近いような形でやらせるのがやはり研修生の保護といいますか、そういう観点からは問題があるだろうということを考慮してその段階からは労働者の扱いにしようということでございまして、あくまで目的は技能を習得させるということが目的でございますから、それにそごを来さない範囲内での扱いということで御理解いただきたいと思います。
#236
○笹野貞子君 局長には力説していただいているんですけれども、しかしそれでなくとも今いろいろな問題が起きているわけですから、これの扱いをもし間違えば、国際貢献するんじゃなくて国際的にあちこちであつれきを起こす問題に発展はしないかというふうに私は危惧をいたします。そして、今のお話にもありますけれども、人手不足が目的でないんだと、こう力説をいたしますが、しかし随分人手不足ということでやっぱり労働省には何かのプレッシャーがかかっているんじゃないかと、これまた私のような非常に心のいい者でもそのように勘ぐりたくなるわけです。ですから、この新しい法律を制定したという意味がそういう勘ぐりのないような計画をきちっと立てていかなければいけないと思います。
 そこで、具体的にちょっとお尋ねをいたします。
 まず第一に、業務の遂行に支障のない範囲内でというこの文言は一体どういうことを意味しているんでしょうか。時間がありませんので、単純に言ってください。
#237
○政府委員(松本邦宏君) 公共職業訓練施設はもとより日本人の労働者を相手に考えているわけでございますけれども、若干もちろんゆとりがあるわけでございますので、業務に支障のない範囲内でと申し上げる趣旨は、殊さらに例えば施設を拡充するとか指導員を置くとかいうことをしなくても、現在の状態で受け入れられる範囲内でと、こういう趣旨でございます。
#238
○笹野貞子君 というのは、本当は日本人を受け入れるんだけれども、応募者がなかったからその余ったところに入れようと、こういうふうに受け取ってもよろしいんですね。
 質問する時間がありませんから次に行きますけれども、そうすると、まず人数はどのくらい受け入れる予定ですか。
#239
○政府委員(松本邦宏君) この人数についての計画というのは一切持っておりません。研修規模は山ほどあるわけでございますけれども、具体的にどの程度実際にそれを受けとめてやっていただける企業があるかどうかということだろうと思います。それで、我々は公共職業訓練施設に受け入れますのは、やはり中小企業でやろうという場合に、施設面だとかあるいは指導員の面で問題がございますので、そういった点を公共諸施設で受けて、最初の座学の基礎的なものをきちっとすると、こういう考えでおるわけでございます。
#240
○笹野貞子君 一説によると、例えば中国なんかは何百万も送り込めるというような報道があります。もしそういう場合には、私などはその受け入れができるんだろうかという危惧を大変持ちます。
 先ほど、労働省の皆さん方は、こういう講座というのはニーズに応じてと非常に格好よくおっしゃいますけれども、こういう外国の研修生はどういうニーズを持ってきているのか、どこか一カ所でも構いません、どこの国が日本に行ってどういうものを研修したいと言っているのか、こういうものを研修したいと言っている例を一つ挙げてください。
#241
○政府委員(松本邦宏君) これは、開発途上国は大変なニーズがあるわけでございますが、例えば国際研修協力機構には中国から何万人かのリストが来ているというような話も聞いておりますし、具体的にはインドネシアとの間でもそういった動きがございます。その中には、従来はそういう職種的な把握は必ずしも十分やってないような面もございますが、技能実習制度はこれからの仕組みでございますので、そういった職種面での把握もきちっとやり、それから受け入れの方についてもそういった職種面の把握をするというような形でそういった仕組みをこれからつくっていかなきゃならぬということであろうと思っております。
#242
○笹野貞子君 こういう法律をつくるときにはそういう計画はちゃんとつくってからやるべきではないかというふうに私は思っております。ですから、これからやりますでは非常に不安です。
 時間がありませんので、一つお聞きしますけれども、私は連合出身ですから、私の所属している組合の代弁をしなければいけません。今国際研修協力機構というのができて、ここでいろいろ案を練っていると言いますけれども、これはお伺いしますと役員が五十人いるんだそうですね。この五十人の中で我が連合からはたった一人だけしか入ってないのですが、この中に女性が入っていますか。そして、これからこういう重大なことを決めていくときには連合と何らかの話し合いを持とうという御計画があるかどうか、そこをお聞きします。
#243
○政府委員(松本邦宏君) 国際研修協力機構に今連合からは幹事にお入りをいただいているわけでございますが、女性も一人入っておられます。これは評議員でございますが、運営についていろいろ御意見を聞く委員の中に一人入っておられます。
 それから、この制度を仕組む上につきましては、これは連合も大変関心をお持ちでございますので、先般我々が発表いたしました技能実習制度等につきましても連合の方とは十分話し合いをさせていただいております。
#244
○笹野貞子君 もう時間なんですけれども、大変重大な問題ですので、大臣、この問題について、日本のこれからのあるべき姿とか目的というようなひとつ御決意をお聞かせください。
#245
○国務大臣(近藤鉄雄君) たびたび申し上げておりますが、我が国の国際的な貢献の大きなものの一つが、我が国の優秀な技術、技能を若い外国の方々に研修していただいて、そして帰っていただいてそれぞれの国の経済発展に大いに役立っていただく。従来の一年未満では研修だけでなかなか身につかないということでございますので、研修プラス実習ということで、実は研修をした上で実際に工場の現場で働いていただいて、そして身につけていただいてそれでお帰りいただく。
 ただ、二年じゃ短いじゃないかという議論もございますけれども、余りこれを長くするといろいろ問題も出てきますので、合計二年間できちっと身につけてお帰りいただく、こういうことでございます。その間、今度は実際実務についていらっしゃる場合は普通の賃金をお払いするわけでございますので、その賃金で生活費を見ていただく。それができませんとこれは全部国のお金で、幾らか知りませんが大変なお金になっちゃうわけでございますので、その点は言ってみれば働きながら学んでいただくと、こういうことに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#246
○笹野貞子君 終わります。
#247
○西川潔君 私で最後でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、大変御無礼でございますが、近藤大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣自身働くことについて年齢による変化を最近感じたことはございませんか。
#248
○国務大臣(近藤鉄雄君) 私も若い気でおりますけれども、昔と比較して長続きしなかったりできないこともある。例えば眼鏡をかけないと物が見えませんから、やっぱり身体上の変化は年とともに起こってくると、実感でございます。
#249
○西川潔君 実は、私もこの二月から眼鏡をかけさせていただいておるんですけれども、四十六歳でもう眼鏡が要るようになったんですけれども、本当に自分自身寂しいなと。
 なぜこういうことをお伺いしたかと申しますと、きょうも高齢者のことについてお伺いしたいんですけれども、日本の社会ではどうも年をとることはいわゆる老化、能力の減退であると信じ込まれているような感があるように思うのです。アメリカでは高齢者の職業能力をあらわすのに、ハーバード大学のマクファーランドという博士ですが、初めて提唱したのですけれども、機能年齢という新しい年齢の考え方を用いております。このアメリカの機能年齢という考え方について労働省にお伺いしたいのと、また労働省といたしましてはこういった個人の能力に応じた年齢を考える考え方をどのように感じておられるのか、こういう観点からまた今後どのような施策を進めていき、考えていただけるのかということをお伺いしたいと思います。
#250
○政府委員(松本邦宏君) 私も不勉強で、このハーバード大学のマクファーランド博士の御提案については存じませんでしたが、先生の御指摘がございまして、早速勉強させていただきました。
 我々の理解では、この機能年齢という考え方は、普通のいわゆる生理的な年齢とは違いまして職場での実際の職務遂行能力、そういったものを測定することによって決められる年齢だというふうに理解をしておりまして、実際に与えられた仕事をどれだけ効率的にこなすかということを評価した能力を基準としてその人の老化度をはかる、こういう考え方であるというふうに理解をしております。そのマクファーランド博士の研究結果によりますと、高齢従業員の職業能力というのは予想外に高くて、若年の従業員よりも仕事ぶりが安定しているとか、あるいは事故が少ないとか、勤務時間中のロスも少ないとか、そういった面もあるようでございまして、結論から言えば職業能力はやはり年齢差というよりは個人差ではないかというようなことが指摘されているようでございます。
 この考え方は大変参考にすべき、あるいは傾聴に値する考え方だというふうに考えておりまして、我々、高年齢者の職業能力の開発という点につきましては、やはり個々の労働者が実際にその職業生活の中で習得をされた技能、技術あるいは知識といったものを十分生かして、その能力に応じた職業訓練をきめ細かく行っていく必要があるだろうということを考えております。
 したがいまして、もとより一定の科目設定を行っているわけでございますけれども、より個々の高年齢者のニーズに応じた訓練をやるという意味で、先ほどもちょっと御説明いたしました高年齢者特別訓練コース、いわゆるマスターコースというようなものを設定をしてやっているわけでございます。今回の改正案におきましても、高年齢者等の多様なニーズに応じた職業訓練の課程が設定できますように訓練体系を改編いたしているわけでございますので、従来以上に高年齢者の個々の能力に応じた職業能力の開発ができるのではないかというふうに思っております。
#251
○西川潔君 重複しますが、マスターコースのことも後でお伺いしたいんですが、この博士が高齢者の職業能力についていわゆる定量的実証研究を行った結果ですが、高齢者の職業能力が予想外に高いわけですね。若年者よりも仕事ぶりが安定して、そしてまた事故も少ない、勤務中のロスも少ない、こういうふうに結果が出ているわけです。
 ここに産経新聞をちょっと切り抜いて持ってきたんですけれども、「それぞれのキーワード」という定年の記事があるんですけれども、ちょっと読ませていただきますと、
  「定年は「六十歳」とされても、その実態はち
 がいますよ」
  五十代の半ばで退職に踏みきった元食品会社
 の社員によると、「サラリーマンの定年は五十
 歳をすぎるころ」と思っておくのがいいとい
 う。
  以後、会社に身をおいてはいるものの、肩た
 たきやら昇給ストップやらあって、冷たい風に
 さらされる。
  皮肉なことに、この人物の場合、五十歳をす
 ぎたとき、社員の転職をあっせんする部署の管
 理者を命じられた。社内の中高年に求人企業を
 紹介するとはいえ、一種の肩たたき役でもあ
 る。
  「社内を歩く私の姿を見て、近寄らないでほ
 しいと思う者は多かったことでしょうね。いい
 求人先があっても、私が飛びつくわけにはいか
 んし…」
  この職務で求人企業や人材紹企業の担当者と
 接するにつれて、世間が中高年をどのように見
 ているかも分かってきた。人手不足と騒いでい
 ても、これは若年層と技術者にかぎってのこと
 である。大企業の管理職といえども、特技なき
 者には、なかなか買い手がつかない。定年後の
 再就職の困難さも知った。
  「六十歳まで会社にいたらどうなることか」
  この人、五十七歳で辞め、友人の会社に身を
 寄せた。こういう産経新聞の記事でございます。
 日本の場合はその個々の職業能力によりまして、生まれて何年になるという歴年年齢によるところが多いわけですが、定年後も働く意思と能力を持つ高齢者がたくさんいらっしゃるわけですが、今後の労働力市場は若年層を中心に労働力は不足するわけですけれども、労働時間の短縮などによりまして、その求められる職業能力につきましては大きく変わってくると思うわけですが、今後の高齢者に対する職業能力開発のあり方について、御見解をお伺いしたいんですが。
#252
○政府委員(松本邦宏君) 先生御指摘のように、今後は若年層が不足してまいりますので、高齢者の方々に従来以上に働いていただく必要があるだろうと思っておりますし、高齢者の方々それぞれがやはり生きがいという観点からも長い職業生活を送っていただくということが必要だろうと思います。
 その中では、今おっしゃいましたように、大企業の管理職といえどもほとんど能力のない者については再就職が難しいということでございますので、これは若い時代からの段階的な不断の能力開発の努力というのが要るだろうというふうに思うわけでございます。我々は、今後の能力開発体制の中で、企業内における計画的、段階的な教育訓練の推進にはもとより努めますし、公共職業訓練施設におきましても、そういった高齢者はもとより、若いうちからの段階的な能力開発、そういったものに取り組んでいきたいというふうに思っております。
#253
○西川潔君 先ほど仲川先生の方からも心配されておられたわけですけれども、高齢者が働きやすい環境を整備するために高齢者にマッチした仕事のあり方、人材の配置、雇用形態などがこれからは求められると思うんですけれども、職場での仕事と能力のミスマッチの発生は多数見られるケースがあるわけです。
 私は大阪ですが、大阪には十二坪半工場と言われております工場がたくさんあるんですけれども、社長さんと従業員二、三人という会社でございます。そちらの会社の方にお伺いいたしますと、今までは生産過程の大半をいわゆる手作業で行っていた。最近ではどんどんその工場に、小さいながらもいろいろロボット入れてくれとかというようなことで導入する会社がふえているわけです。そうなりますと、今度はその機械を動かす技術を職人さんに勉強してもらわなくてはいけないわけですけれども、高齢者の方が多いわけですから、急にハードだソフトだと、いわゆるコンピューターと言われてもなかなか使いこなせるわけではございません。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
 こうした高齢者の職場での仕事と能力のミスマッチの発生をしている現状を、労働省としてはどういうふうに認識をされて、これから行政としてはどういうふうに指導されていくかということをお伺いしたいと思うんですが。
#254
○政府委員(松本邦宏君) 高齢者の職業能力につきましては、労働省自身でもいろんな調査あるいは研究会報告をいただいておりますが、それで見ますと、高齢者は豊富な経験知識をお持ちになっている反面、今先生御指摘のございましたように、新しい業務、職務、そういったものに対応しにくい、適応しにくいという面があるのは事実でございます。
 そこで、高齢者が職業生活で得た知識能力を生かしつつそれを新しいものに変えていく、これがどうしても必要だろうというふうに思っておりまして、いわゆる高齢者等につきましては、他の労働者に比べて手厚い給付を行います能力開発給付金の支給の制度とか、あるいは中高年齢労働者受講奨励金ということで、高齢労働者が自発的に自己啓発を行う場合の受講のための奨励金、そういったものも特別に高齢者向けにはやっておりまして、高齢者の効果的な能力開発に努めておるところでございます。
#255
○西川潔君 いろいろお役所なんかにも参りますと、どこのお役所とはここでは申し上げられないんですけれども、随分ハード、ソフトということで困っていらっしゃる方々がたくさんいらっしゃいます。まだお若いですのに、もう窓際ですわ、もうすぐどこへやられるかわからないわというようなお話も随分聞いております。
 今回の法改正でも、多様なニーズに対応することをその目的の一つとされておるわけです。一部の企業には有給教育訓練休暇を導入しているところもあるわけですけれども、中小企業などの場合は、仕事を休んでまででも訓練を受けるというのはなかなか厳しいようでございます。こうした厳しい就業環境にあるわけですから、高齢者が訓練を受けやすい環境を、僕たちは現場を回ってお話をお伺いして、一日も早くやめなければいけないというのがそこに来ている。でも現実に毎日職場に行って働かなければいけない、その中で働きやすい環境を御指導していただく、そのあたりのお話をお伺いしたいんですが。
#256
○政府委員(松本邦宏君) 特に、中小企業の場合につきましては、高齢者に限らず、やはりその仕事の時間中にいろいろな訓練を受けるというのは大変難しいわけでございます。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
 そこで、公共職業訓練施設におきましては、在職訓練を行う場合には、できれば休日でありますとか夜間に行いますとか、そういったことで労働者が訓練を受けやすいような環境づくりというものにも努めているところでございます。
 それ以外にも、事業主が雇用する労働者に対しまして事業所外での教育、訓練を受けさせる、あるいはその事業所の中でもそうでございますけれども、運営費あるいは受講に対する賃金助成、そういった措置を講じて、少しでも受けやすいようにしたいということで実際に措置をしているところでございます。
#257
○西川潔君 よろしくお願いいたします。
 現在、技能開発センターで高齢者特別訓練コース、先ほど局長がおっしゃっておられましたマスターコースが実施されておるわけですが、個々の高齢者のニーズに応じて高年齢者職業能力開発相談コーナーとも連携して柔軟な訓練を行うこの制度は、経験が多種多様な高齢者にとりまして非常に有意義な制度だと思うわけですけれども、平成四年度におきましてこの制度の拡充を図られるとお伺いしておりますが、具体的にどういう内容でございましょうか。
#258
○政府委員(松本邦宏君) 高年齢者職業能力開発援助事業、マスターコースにつきましては、平成二年度から実施をいたしておりますが、対象は五十五歳以上六十五歳未満の在職者あるいは離職者ということにいたしておりまして、期間につきましては高齢者の持っております技能等を勘案いたしまして二カ月以上一年以内というような範囲で運用をいたしております。発足の平成二年度には千六百五十名ほどの定員でやってまいりましたが、本年度からは全都道府県で総数三千四百人を対象にして実施をしたい、かように考えております。
#259
○西川潔君 高齢者の場合は、従来からの技能は高くても、最近のOA化の進展に対応した新しい技能については、先ほども申しましたが、なかなか身につかない面がございます。
 そういう意味から、高齢者にとっても新しいOA化に対応した訓練が必要ではないかなと私は思うわけですけれども、高齢者のニーズを考えますと、短期で集中的に訓練を受けられるようなコーナーを設けていただきたい。いかがでしょうか。
#260
○政府委員(松本邦宏君) 公共職業訓練施設につきましては、従来からも高齢者向けの職種ということで幾つかの職種設定をいたしておりますが、おっしゃるとおり長期にわたって受けるということが困難な面もございますので、短期集中で行うとか、あるいは在職者につきましては、夜間だけをやるということになりますと比較的短期にわたらざるを得ないというふうなところもございますけれども、それはやはり能力の向上の度合いを見ながら必要な期間、必要な形で実施をするということで運営したいと思っております。
#261
○西川潔君 中小企業の事業主のお話では、どうしても若い方に期待を大きく持ってしまう、若い人に立派な技能を身につけてもらうように熱心に指導もしたい、一方、高齢者にはどうしても遠慮がちになってしまうというようなことを現場でもお伺いするわけです。
 自動機械を使うといたしましても、それを動かすコンピューターは人間が入力するわけですから、高精度が求められる金属加工なんかも最後の仕上げは手作業が欠かせないわけですから、新しい技術であっても、若年労働者が今後不足していくことを考えますと高齢者の方々にも頑張っていただかなくてはならぬわけです。そういう意味で、いわゆる事業主による高齢者の職業能力開発を積極的に行っていただくように、そういう人たちに意識の改革のための御指導をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
#262
○政府委員(松本邦宏君) 今後はやはり高齢者の能力開発が必要でございますので、事業主の方についても、若年者に偏らないでそういった方々の活用のための能力開発を進めていただくという意識変革は大変に必要なことでございます。
 従来から、都道府県あるいは公共職業訓練施設、さらには中央並びに地方の職業能力開発協会、そういった関係の機関を通じまして事業主に対するいろんなPR、啓蒙活動はやってまいっておりますけれども、今回の改正の中でも公共職業訓練施設を公共職業能力開発施設ということで機能的に拡充をして資料提供、情報相談をやろうとしているわけでございますので、そういったファンクションを十分に活用いたしまして事業主に対する啓蒙、援助、そういったものに努めていきたいと思います。
#263
○西川潔君 次に、働く高齢者自身にとって、新しい先端技術が自分の職場に導入されることによりまして多様なニーズが生まれてくるわけですが、ある方にとっては新しい技術を身につけようと考える方もいらっしゃる。その場合には、今まで御説明をいただきましたが、訓練の充実が求められるわけですけれども、その一方で私は若いときから長い年月培ってきた技術を生かしたいと、いろいろお話がきょうも出ておりましたが、そういう方も少なくないわけですね。そうした方が新しく職場を探す際の職業紹介、相談、援助等が今度は新たに求められると思うんですが、こういうことになった場合にはどういうふうなことをしていただけるのでしょうか。
#264
○政府委員(若林之矩君) 最近、雇用失業情勢全般は大変いいわけでございます。全体として人手不足基調でございますけれども、しかしやはり高齢者の方々をめぐる雇用失業情勢は大変厳しいわけでございまして、一たん離職されますとなかなか再就職が難しいという状況でございます。
 高齢者の方々は、それぞれ多様な職業経歴を持っておられますし、体力、健康の面で随分いろいろ差がございます。そういうニーズが非常に多様でございますので、私どもハローワークをお訪ねいただきますとわかりますが、高齢者の方々につきましては特別のコーナーを設けまして、専門の就職促進指導官を置きまして御相談に応じているわけでございます。
 まず、基本と申しますのは、再就職をなさいます方が従来の能力を生かせるような仕事を探すということが第一でございますので、求人開拓と私ども言っておりますけれども、関係の事業所にそういう求人があるかどうかということで求人開拓をするわけでございます。そのときは、私ども特定求職者雇用開発助成金といったような助成金制度も使いまして求人開拓をするようにいたしております。それから、これまでの能力が十分生かせるような仕事がないという者につきましては、私ども新たに職業講習とかあるいは職業訓練というものをお勧めいたしまして、こういうものを活用していわば新しい職場にお世話をするというようなことを進めてまいっております。
#265
○西川潔君 ワークシェアリング、ペア就職とか、シルバー人材センターとか、いろいろ私もお年寄りにはお話をお伺いするんですけれども、退職した方でも、一カ月は働きたくない、二十日でいい、十五日でいい、一週間でいい、年金をもらいながら、また小遣い銭程度を稼ぎたいとか、Uターンしたいとか、ターミナルはふるさとでとか、いろんな方がいらっしゃるんです。こちらはお願いするばかりで申しわけないんですけれども、なるべくこういったくさんの方々のお声をそちらの方にお届けしてという役割でございますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、高齢者みずからが再就職のために意欲を持って能力開発に取り組んでいただくことも非常に大事なことだと思うんですけれども、能力開発に取り組むことを援助するものといたしまして中高年齢労働者受講奨励金という助成制度がありますが、これは僕もラジオとかテレビでも本当に労働省以上にPRをさせていただいたんですけれども、なかなかこれがつかみ切れない。現在、この実績というのはどういうふうになっているんでしょうか、お伺いしたいと思います。
#266
○政府委員(松本邦宏君) 現在は、最近のデータでございますと、平成二年度で対象者が約三千人、支給額五千八百万円ということになっております。対象といたしましては、四十五歳以上五十歳未満の者につきましては、そういった教育訓練を受ける場合の入学料と受講料の四分の一、限度は五万円でございます。それから、五十歳以上の方につきましては二分の一で限度十万円という形で支給をしているところでございます。
#267
○西川潔君 今お伺いいたしまして、利用はまだまだ不十分ではないかなと思うわけです。これまた大変すばらしい制度だと思うんですけれども、これをもう少し皆さん方に知っていただけるような、僕なんかもお年寄りの福祉を重点的にやらせていただいているんですけれども、ラジオとかテレビでやらせていただくと随分反響がございます。労働委員会は私やら小南陵さん、西野先生なんかたくさんいらっしゃいますので、出演料なしでやらせていただきます。せっかくこちらの方へ寄せていただいておりますので、本当にそういう意味で真心からこういうふうなお話をさせていただいておりますので、どうぞ一〇〇パーお使いいただきたいと思います。本当によろしくお願いしたいと思います。
 これはもう少しPRというようなことができないものでしょうか、こんないい制度ありますのにね。
#268
○政府委員(松本邦宏君) 労働省はいろんないい政策をやっておりますが、確かに先生御指摘のようにPRが下手くそでございまして、なかなか周知がはかばかしくない点は正直言ってあると思います。できるだけ趣旨、目的が生かされますように、今後とも先生方の御協力をぜひお願いいたします。
#269
○西川潔君 本当に我々は小回りのきく国会議員でございますので、どうぞひとつお使いいただきたいと思います。西野先生もよろしく。本当もったいないですよね、せっかくありますのに。
 今後、労働力の大幅な減少、若者を中心とした技能離れが社会的な風潮となってきているわけですから、長年にわたる経験と高い技能を持った高齢者の方々をいかに活用していくかということがこれからの大きな問題になってくると思います。機能年齢の研究などもしていただきまして、本当に高齢者の方々がみずからの高い技能を生かし、さらに能力を高めることができるように高齢者向けの職業能力開発体制の一層の充実に向けてお取り組みをいただきたいと思います。
 もう時間が参りましたので、最後に労働大臣にその御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#270
○国務大臣(近藤鉄雄君) いろいろ示唆に富むお話をありがとうございました。
 私は、中小企業の労働力不足という問題を聞くんでありますけれども、中小企業の方々が若い労働力を八時から六時まで必要だということは難しいと思うんですね、そういう場合。ただ、時間を限ってそしてパートで来ていただくという形で考えると、まだまだ働きたい人が、御婦人もいらっしゃればそれから御年輩の方もいらっしゃる。それから、普通の若い労働者が使っている機械を使おうとすると大変ですよね。だけど、私も今老眼鏡を使っておりますが、老眼鏡をやればもうちゃんと人並みに見えるわけであります。したがって、労働者向きの機械の開発、生産のありようについて、私はもっともっと今の日本のハイテクを利用すれば可能性があるんじゃないか、こういうこともこれからの課題じゃないかと思うわけであります。
 いずれにいたしましても、労働省はみんなまじめにいろんなことを考えておるのでありますけれども、この問題に限らずPR不足でございまして、なぜこんないい制度があるのを使っていただけないのかということを私も大臣になってから痛感をしております。きょうはいいお話がございましたが、ぜひひとつこの労働委員会の与野党の先生方に、場合によっては国会でも終わったら労働行政PR特別アドバイザーリンググループにでもなっていただいて、そしていろんなことを使って労働省の施策を広く天下に周知するような努力を、我々も考えますが、ぜひひとつお知恵を、御協力をお願いいたしたいということを申し上げて、私の答弁とさせていただきます。
#271
○西川潔君 どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#272
○委員長(向山一人君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として鹿熊安正君が選任されました。
    ―――――――――――――
#273
○委員長(向山一人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#274
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 職業能力開発促進法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#275
○委員長(向山一人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、細谷昭雄君から発言を求められておりますので、これを許します。細谷君。
#276
○細谷昭雄君 私は、ただいま可決されました職業能力開発促進法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブ、各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    職業能力開発促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、事業内職業能力開発計画の策定や実施、職業能力開発推進者の選任等について、労働者の意見が十分反映されるように行政指導を行うこと。
 二、公共職業能力開発施設の運営に当たっては、その円滑な実施体制を確保するとともに、情報提供、相談援助サービスの充実に努めること。また、地域の事業主団体、労働組合、市町村等を構成員とする運営協議会を設置する等により地域ニーズの把握に努めること。
 三、有給教育訓練休暇制度について、その事例の収集、調査、提供を行うとともに、制度の周知、普及に努めること。
 四、公共職業訓練については、指導員の質の向上確保に努めるとともに、新しい訓練体系の下で、在職者に対する高度な職業訓練及び高齢者、女子、障害者等の多様なニーズに対応した職業訓練を弾力的に展開できる体制の整備充実に努めること。その際、中卒者及び高校中途退学者に対する職業訓練を地域の実態に応じて実施する等、新規学卒者及び若年労働者の受講機会の確保に十分配慮すること。
 五、認定職業訓練に対する援助の充実等により、その振興に努めるとともに、新しい訓練体系の導入に当たっては、従来の職業訓練の実施状況に留意し、混乱が生じないよう配慮すること。
 六、技能検定の多段階化等技能検定制度の整備充実及び事業主等の行う職業能力検定の普及に努めるとともに、技能振興施策の拡充を図り、技能労働者の地位の向上等技能を尊重する社会の形成に努めること。
 右決議する。
 以上であります。
#277
○委員長(向山一人君) ただいま細谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#278
○委員長(向山一人君) 全会一致と認めます。よって、細谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
#279
○国務大臣(近藤鉄雄君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存でございます。
#280
○委員長(向山一人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#281
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#282
○委員長(向山一人君) 次に、労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案を議題とし、まず政府より趣旨説明を聴取いたします。近藤労働大臣。
#283
○国務大臣(近藤鉄雄君) ただいま議題となりました労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 建設業においては、人材の確保、とりわけ若年労働力の確保が大きな問題となっております。この観点から建設業の雇用機会としての魅力を高めていくことが重要でありますが、その中で労働災害の防止は重要な課題の一つであります。すなわち、建設業における死亡災害は依然として多く、平成二年においても千人を超える方々が亡くなっており、これは企業種の労働災害による死亡者の四割以上を占めております。このため、死亡災害の大幅減少を目指した建設業における総合的な災害防止対策の確立を図る必要があります。
 また、我が国の職場の状況を見ると、技術革新の進展などに伴う労働態様の変化等により、疲労、ストレスを感じる者が高い割合に達しております。一方、経済的豊かさを実現した今日、勤労者は生活を重視するようになっており、職場に関しても働きやすい職場を求めるようになっております。こうした中で、働きやすい職場、すなわち快適な職場環境が実現されている職場づくりが重要な課題となっております。
 このような状況にかんがみ、政府として、働く人々の安全と健康の確保のための施策の推進を図るため、中央労働基準審議会の建議を踏まえて、労働安全衛生法及び労働災害防止団体法の一部を改正する法律案を取りまとめ、提案した次第であります。
 次に、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、中小規模の建設現場における安全衛生管理体制の充実を図るため、建設会社の支店、営業所等に店社安全衛生管理者を置かせることとし、中小規模の建設現場の安全衛生管理を指導させることとしております。
 第二に、関係請負人が作業場所の安全を確保するための措置、建設機械等を用いる作業の安全を確保するための措置等を適正に講ずることができるようにするため、元方事業者は適切な指導等を行わなければならないこととし、これにより元方事業者等による安全確保の充実を図ることとしております。
 第三に、快適な職場環境の形成の促進を図るため、事業者の責務を定めるとともに、事業者の取り組みが効果的に行われるようにするための指針の公表、金融上の措置などの援助を行うこととしております。
 第四に、快適な職場環境の形成の取り組みを円滑に進めるため、中央労働災害防止協会に、快適な職場環境の形成に取り組む事業者等に対する情報提供、助言等の業務を行わせることとしております。
 以上のほか、都道府県労働基準局長による工事等の計画の審査、労働災害再発防止のための講習制度、指定法人による製造時等検査の実施等につきまして必要な規定を設けることとしております。
 なお、この法律の施行期日は、建設業における労働災害防止対策関係は平成四年十月一日、快適な職場環境の形成促進関係は同年七月一日といたしております。
 以上、この法律案の提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#284
○委員長(向山一人君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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