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1992/05/19 第123回国会 参議院 参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第8号
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1992/05/19 第123回国会 参議院

参議院会議録情報 第123回国会 労働委員会 第8号

#1
第123回国会 労働委員会 第8号
平成四年五月十九日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     石川  弘君     川原新次郎君
     石渡 清元君     岩崎 純三君
     岡部 三郎君     平井 卓志君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     岩崎 純三君     成瀬 守重君
     川原新次郎君     青木 幹雄君
     平井 卓志君     星野 朋市君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     藤田 雄山君
     庄司  中君     渕上 貞雄君
     西野 康雄君     吉田 達男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         向山 一人君
    理 事
                田辺 哲夫君
                仲川 幸男君
                細谷 昭雄君
                山中 郁子君
    委 員
                佐々木 満君
                山東 昭子君
                成瀬 守重君
                藤田 雄山君
                星野 朋市君
                清水 澄子君
                対馬 孝且君
                西岡瑠璃子君
                西野 康雄君
                渕上 貞雄君
                吉田 達男君
                中西 珠子君
                笹野 貞子君
                西川  潔君
   国務大臣
       労 働 大 臣  近藤 鉄雄君
   政府委員
       労働大臣官房長  齋藤 邦彦君
       労働省労働基準
       局長       佐藤 勝美君
       労働省婦人局長  松原 亘子君
       労働省職業安定
       局長       若林 之矩君
       労働省職業安定
       局次長      伊藤 欣士君
       労働省職業能力
       開発局長     松本 邦宏君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐野  厚君
   説明員
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部老
       人福祉計画課長  中村 秀一君
       厚生省社会局庶
       務課長      亀田 克彦君
       厚生省保険局医
       療課長      小野 昭雄君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  野寺 康幸君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(向山一人君) ただいまから労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、川原新次郎君、岩崎純三者及び平井卓志君が委員を辞任され、その補欠として青木幹雄君、成瀬守重君及び星野朋市君が選任されました。
#3
○委員長(向山一人君) 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○西岡瑠璃子君 おはようございます。西岡です。
 我が国は、今高齢化社会対策をどうするかということが最も大きな国民的課題になりつつあると思うわけです。
 このことは、一つには我が国の高齢化社会へ到達するスピードがよその国と比べて本当に急ピッチで進んでいる。いろんな資料があるんですけれども、例えばイギリスやドイツに比べましても約二倍、そして福祉先進国と言われるスウェーデンに比べても三倍、フランスに比べると何と五倍という急ピッチで進んでいるわけです。
 もう一つは、この高齢化社会対策をどうするかという国民的課題の理由としてのもう一つなんですけれども、それは高齢化率の高さで、経済企画庁の調査でもピークが二〇二一年、三十年先と言われておりまして、総人口の中で六十五歳以上の高齢者の占める割合、つまり高齢化率が二三・六%ですから四捨五入をして二四%、三千二百万人しと言われているわけでございます。
 こうしたことが日本の高齢化社会の特徴でもありますし、このような例はこれまでの歴史上にも恐らく類例を見ないというふうに思われます。とりわけ国民の四分の一が高齢者になるという、こういう社会が一体どういう社会状況になっていくのか、本当に不安であり、例がないだけにどうすればよいのか、大変難しい問題である。お手本がない。これから描いていかなぐてはならない高齢化社会像だと思うわけでございます。しかし、何だかんだと言っていてもこの状況は確実にすぐにやってくるわけです。
 政府は、近年やっと本格的にこの問題に着手をしていただきまして、八八年にはいわゆる福祉ビジョンを明らかにしてくださいました。そして八九年末には高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランの策定も行われまして、本格的に高齢化社会対策に取り組みを始めてくださっていることは大変結構なことだと思います。戦後の福祉制度の抜本的な見直しと申しましょうか。そして、さらに一昨年には福祉関係八法を一括した老人福祉法等の一部を改正する法律を上程、成立させまして、法律の面からも対応ができてきたわけでございます。このことは決して早いとは言えない、言えないけれども、評価ができるものと思います。
 そこで、今回の介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案につきましても、こうした高齢化社会対策の一環であるものととらえるわけですけれども、いかがでしょうか。本法案提出の社会的な背景についての現状と認識について、労働省にお伺いしたいと思います。
#5
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から今もお話がございましたけれども、我が国の高齢者社会化のスピードは非常に速いものがございまして、これに伴いまして、残念なことでございますが、寝たきり老人だとかまた在宅の痴呆性老人だとか、そういった要介護者の数が急速にふえているわけでございますが、片方でそういった要介護者に対して適切な介護をしていただける介護労働者の供給の面のおくれが残念ながらございます。
 そういったいわば介護労働の需給ギャップをどうして改善するかということが大きな社会的課題でございまして、我々労働省の立場から考えてもなかなか介護労働は大変な労働だという面もございますが、その割には介護労働者の方々の雇用管理体制といいますか、そういったものが必ずしも十分でなければ、またそういった人たちの福祉の問題も残っているし、またある程度能力の開発をさせていただければ積極的にそういったところでやってもいいという人もお出になるかもしれません。また、そういったことで潜在的な需要供給をどういうふうにバランスさせるかという、そういうふうな需給調整の問題とか、そういった問題について、従来から一歩進んで対応をさせていただきたいというのが今回この法案を御審議いただいている基本的な考えでございます。
#6
○西岡瑠璃子君 大臣は、おぐしも黒々していらっしゃいますし、私も大臣も、今は若いと思っていてもいずれは皆さんと同じように人間はだれも老期を迎えるわけでございます。ガルブレイスの「ゆたかな社会」というのがありますけれども、この結論にまつまでもなく、人生の終わりまで私どもは生きがいを持って、生きがいのある社会を求めていく、それは人間として当然の権利でもございます。
 現在、約七十万人と推定されております寝たきり高齢者は、ゴールドプランの最終年には百万人に達すると言われており、こういうことを言っては失礼かもしれないけれども、さらにいわゆるぼけ症状を抱える高齢者に至っては百五十万人にも達するというふうに推定をされているわけでございます。
 そこで重要なことは、これらの人々をケアするヒューマンパワーといいましょうか、人材の確保でございます。今回の法案において「介護労働者」となっております。その「介護労働者について、その雇用管理の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、介護業務に係る労働力の確保に資するとともに、介護労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。」ということで法案を提出されていらっしゃると伺っておりますけれども、この目的については、私は十分とは言えないまでも基本的には評価をされるし、大変重要なことだというふうに受けとめております。
 ところで、介護労働力は現在どの程度不足しておるでしょうか。
#7
○政府委員(若林之矩君) 介護労働力につきましては、広く介護労働力と申します場合、広い意味でございますけれども、看護婦さんの問題がございます。それからホームヘルパーの方々の問題がございます。こういうようないわゆる公的な部分につきましては、このたびのゴールドプランにおきまして一つの数字が出されておるわけでございます。
 一方、ゴールドプランではない公的な部分につきましてはなかなか見通しが難しいところでございます。これは、公的な介護の水準、内容等に左右されるところでございますのでなかなか難しゅうございますけれども、これもやはり民間部門におきましても相当の不足が生じてくるというのが私どもの基本的な認識でございます。
#8
○西岡瑠璃子君 具体的な数はまだ把握をなさっていらっしゃらないということでしょうか。
#9
○政府委員(若林之矩君) これは厚生省の方のゴールドプランの数字でございますけれども、平成十一年までの状況でございますけれども、看護婦さんにつきましては約五万、それから寮母、介護職員の方々につきましては十一万、それからホームヘルパーの方につきましては七万人が必要になるという計算でございます。
 しかし、民間の方につきましてはこれはそういったような数字はございません。現在でもかなりの需給のアンバランスがあるわけでございまして、こういうことから考えますと相当の数が不足してくる、こういう認識を持っておるわけでございます。
#10
○西岡瑠璃子君 介護労働力の確保が当面の問題として必要であるということはこれらの数字からも認識できますけれども、もっと根本的なところで、寝たきり老人をつくらない、あるいは痴呆性老人をつくらない、こういった疾病の予防や治療の確立ということがまず最初にあるべきではないかというふうに思うわけです。その上で、必要な介護を制度としてどのように確保していくのか、介護に携わる労働者をどのように確保していくかを考えるべきではないかというふうに思うわけです。
 私がこの法案について最初に必ずしも十分なものとは言えないと申し上げたのは、そこの点に尽きるわけでございます。その点についてはどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
#11
○説明員(中村秀一君) 先生からお話がありました寝たきり老人等の予防につきましては、先ほど先生から御紹介がありました平成元年度末に策定され平成二年度を初年度として推進いたしております高齢者保健福祉推進十カ年戦略、この中でも寝たきり老人ゼロ作戦ということで、寝たきりの状態の防止を図るため、まず寝たきりというのは防げるんだということを国民の皆様に知っていただくという啓発活動、それから寝たきりの原因は脳卒中とか骨粗鬆症、骨折など、こういったものが主要な原因でございますので、発生の防止、こういうことにまず努めているところでございます。
 また、不幸にしてそういう脳卒中などの原因に遭遇いたしましても、早期のリハビリテーションとかそういうことを実施することによりまして寝たきり状態になることが防げるんではないか。諸外国に比べて我が国の寝たきりが多い、こういうような研究結果も出ておりますので、早期のリハビリテーションそれから住宅の改造とか、こういう事後の措置を適切に講じることによって寝たきりの防止などを図っているところでございます。
 痴呆性老人についてもお話がございましたが、痴呆の原因の半分は脳卒中、脳血管性の痴呆と言われておりますので、こういった面につきましては、市町村が実施しております四十歳以上の住民の方々に対しますヘルス事業、保健事業によってある程度効果があるのではないか、こういうふうに考えております。
 ただ、残念ながらアルツハイマーなどの老年痴呆につきましては今のところ原因、治療方法、こういったものが確立しておりませんのでこの辺は課題だと考えておりまして、やはり十カ年戦略の中で長寿科学の推進というものを挙げておりますので、こういった基礎的な研究などにつきましてもこの十カ年戦略の中で取り組んでまいりたいと思います。
 そういうことによりまして、ある程度介護の対象であります方々の予防ということが図られると思いますが、もちろんこれは介護労働の軽減を図る、こういうことは副次的な効果でございまして、何よりも高齢者の方の生活の質、QOLを確保していく、こういう観点から寝たきりや痴呆というものはできたら防止したい、あるいはそういう状態からできるだけADLを回復したい、こういう観点で仕事をしているところでございます。
#12
○西岡瑠璃子君 ヒューマンパワーの確立の前提として、最初に疾病の予防などがある、そして並行してそうやっていかれるというふうに認識してよろしいんでしょうね。
 そこで、労働省に伺いますけれども、この法案の介護業務にかかわる労働者、こうなっていますけれども、具体的にどのような範囲を指していらっしゃるのか伺います。
#13
○政府委員(伊藤欣士君) 本法で「介護労働者」というのを定義いたしておりまして、「専ら介護業務に従事する労働者」という言い方をしておるわけでございますが、具体的には、社会福祉事業の中の特別養護老人ホーム等の寮母さん、社会福祉事業の中の居宅介護事業等に従事されておりますホームヘルパーさん、それから有料老人ホームのヘルパーさん、あるいは民間事業者による在宅介護サービスに従事するヘルパーさん、民間事業者による在宅入浴サービスにおいて入浴介護に従事する方、さらにいわゆる家政婦さんなどを意味しているところでございます。
#14
○西岡瑠璃子君 特別養護老人ホームの寮母さんと今おっしゃいました。指導員というような方も含まれますか、特養の中に指導員もいますね。
#15
○説明員(野寺康幸君) 指導員は含まれないわけでございます。
#16
○西岡瑠璃子君 含まれませんか。家政婦さんは含むわけですね。
 家政婦さんだとか入浴介護に従事する方も含まれる、それを全部ひっくるめて、今おっしゃったその対象人員というのは大体何人程度になるというふうに法案の対象として想定していらっしゃるのか。
#17
○説明員(野寺康幸君) 正確に把握した調査はないわけでございますけれども、社会福祉施設関係の職員で約四万人ぐらい、ホームヘルパーと称する者が約四万人、それから介護サービス業、これは民間の業者の関係でございますけれども約二万人、それから家政婦さんが十六万人、合わせまして大体二十六万ぐらいというふうに考えております。
#18
○西岡瑠璃子君 多いですね。
 それでは、今二十六万人とおっしゃったわけですけれども、非常にその対象人員が広いんですが、この法案によって雇用管理の対象として、救済されると言うとちょっと語弊があるかもわからないけれども、対象となる方はどの程度の人員になりますか。
#19
○政府委員(伊藤欣士君) 今御答弁申し上げましたとおり、本法の介護労働者は先ほど申し上げたとおりでございまして、それぞれ対象の方によりまして救済といいますか施策の対象は異なるわけでございますけれども、先ほど御説明申し上げました二十六万人が施策の対象になると現在考えているわけでございます。
#20
○西岡瑠璃子君 それは二〇〇〇年を見通した対象人員というふうにも理解してよろしいわけですね、今一九九二年ですが。
#21
○政府委員(若林之矩君) 先ほど申し上げましたように、ゴールドプランに掲げられておりますサービスについての必要な人員について平成十一年までにどのくらい必要だろうかという見通しはあるのでございますけれども、ただいま申し上げました二十六万人のうちで家政婦さんが十六万人おりまして、介護の現場で大変大きな役割を果たしているわけでございますが、これらの方々が、例えば今後十年ぐらいにどのくらい必要になるのだろうかという数字は実はないわけでございます。
 先ほど先生御指摘ございましたように、現在要介護の方々が急速にふえてくるということでございますから、もし仮に、その比率で引き延ばすということも極めて単純な作業としてはできるわけでございますけれども、それ以上のなかなか見通しというのはつくりにくいということで、いずれにしても相当不足してくるだろうと考えております。
#22
○西岡瑠璃子君 私がなぜこのようなことを御質問したかと申しますと、この法案の対象となる労働者というのは介護労働力というふうに位置づけております。この範疇からしますと、極めて限られた範囲にとどまるのではないかというふうに思うわけです。仮に、対象となる労働者自体の数が今おっしゃったように家政婦さんだけでも十六、七万人、全体で多くても二十六万人ですか、雇用管理の改善のための施策によって個々に利益を享受できる、そういう範囲というのは極めて狭い範囲にとどまるのではないかというふうにちょっと危惧を持つわけです。その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#23
○政府委員(若林之矩君) 私どもといたしましては、現在この法律の定義にございます専ら介護の業務に従事する方々、それは食事のお世話でございますとか排せつのお世話でございますとか、こういったことを専ら業務とする介護労働者の方々、これはこういう範囲であろうと思うわけでございます。
 しかし、これは先ほど来申し上げておりますように、将来さらに相当ふえていくということでございます。現在でもやはり二十六万人ということでございまして、これは決して私ども数は少ないものではないというふうに思っております。現在そういったような、法律で規定しております専らそういう業務に携わる方、それは全体をカバーするという基本的な考え方で法律をつくっておるところでございます。
#24
○西岡瑠璃子君 この法案をざっと検討してみますけれども、特定の業種、とりわけ家政婦さんの雇用管理の改善という点に対して手厚くというか、非常に色合いが濃くなっているように思うわけですけれども、その面では一定の前進というふうに考えられるわけですか。
#25
○政府委員(若林之矩君) この法律につきましては、基本的にそれぞれの介護労働者の方々の福祉の増進を図るために必要な措置をそれぞれの方について考えまして、それをカバーしているわけでございます。したがいまして、決してただいま先生御指摘のように、家政婦さんだけについて特に手厚くとか、重点的というようなことは考えていないわけでございます。
 ただ、こういった介護労働者の中でも社会福祉施設に働いておられる方々、こういう方々はいわゆる措置費でカバーしておるわけでございますので、そういう方についてはまたそういったような方策もあるということでございますから、そういうもの全体のバランスをとっておるわけでございまして、介護労働者全体について見ますと決して何かどこかに重点を置いているということでもございません。
 また、介護サービスに働いている方々、こういう方々につきましても相当いろいろな措置を講じているわけでございまして、家政婦さんとそういう方々を比較してどちらがより手厚いというようなことはないというふうに考えております。
#26
○西岡瑠璃子君 介護労働、介護のヒューマンパワーですね、これの確保が今回の法案にとって政策の緊急の課題であるというふうに考えるならば、特定職種の雇用管理の改善だけでなくて、もっと実効性が担保できるようにならなかったものかと思うわけです。この本法の施行によって、実際にはどの程度のヒューマンパワーが確保できるというふうにお考えでしょうか。
#27
○政府委員(若林之矩君) 今回の法律によりまして、介護労働者につきましての労働環境の改善、教育訓練の実施、福利厚生の充実等々を図るわけでございまして、そういったことによって介護労働者の方々の職場をより魅力あるものにする、そういうことによって介護労働者になる方がより多くなる、あるいは定着が進むということでございます。しかし、これはそういったような措置を講じて、事業主の方々が熱心にそういったような職。場を魅力あるものにするための努力をしていただくということが前提でございますし、また働く方々のいろいろな選択の問題もあろうと存じます。したがいまして、この法律ができたことによってどれだけ確保されるかということはなかなか数字として申し上げかねるところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、この法律を成立させていただきました場合には、これを十二分に活用いたしまして、そういったような労働力の確保が図られるように行政的な努力を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
#28
○西岡瑠璃子君 ちょっと視点を変えて厚生省にお伺いしたいと思うんですけれども、近年従来の福祉施設サービスによる態様から、在宅福祉分野のサービスの方にスタンスを置きかえられているというふうに感じるわけですけれども、その点はいかがですか。
#29
○説明員(中村秀一君) 施設福祉と在宅福祉の最近の関係と申しますか、基本的な考え方についてでございますが、高齢者福祉対策、始まりは昭和三十八年からでございまして、約三十年の歴史がございます。昭和三十八年に老人福祉法を施行いたしましたときに最も求められておりましたのは、寝たきりの方々など、常時介護を必要とされる高齢者の方でありまして、自宅で介護することが困難な方に対してそういう施設がございませんでしたので、特別養護老人ホームの制度などを導入してやってきたということでございまして、前半、特に三十年の歴史のうち二十年くらいは施設対策に力を入れてまいったわけでございます。
 しかし、福祉関係の方では、先生御承知のとおりノーマライゼーションとか、障害者福祉を中心にいたしましてそういう理念が浸透してきておりますし、国際的に見ましても、またそういう理念からいっても、また高齢の方の御希望からいいましても、障害を持っても、あるいは障害者の方も同じでございますけれども、できるのであれば自宅に住み続けたい、こういう御要望が高いわけでございます。
 そういうことを踏まえまして、最近では我が国でやや立ちおくれであります在宅福祉についても施設福祉と同様に位置づけていこう、こういうことで、平成二年六月にやらせていただきました福祉八法の改正でも、これまで福祉の法律の中でもきちっとした位置づけがされておりませんでした在宅福祉につきまして、社会福祉事業に位置づけるというようなことを実施いたしましたし、平成二年から実施しております高齢者保健福祉推進十カ年戦略、ゴールドプランの中におきましても、最初の重点事項を在宅福祉の緊急整備ということで大幅な整備を進めているというところでございまして、私ども在宅と施設とニーズに応じまして総合的に供給できる体制を整備する必要があると考えておりますが、現在客観的に見まして我が国の在宅福祉対策の整備の状況が十分でありませんので、この十年間は特に在宅福祉対策について力点を置いてまいりたい、こういうふうに考えて対策を講じているところでございます。
#30
○西岡瑠璃子君 これからやってまいります超高齢化社会におきましては、在宅福祉サービスこそが中心となって、そしてそれをバックアップをするものとして施設サービスが位置づけられるべきものであるというふうに思うわけです。しかも、当然のことであろうと思いますけれども、こうした施策というのは市町村の責任において、自治体の責任において公的責任が明確な形で行われなければならないと思うわけです。ところが、先ほど対象者ということでお尋ねいたしました折に、本法案の対象者に制度が異なる特別養護老人ホームの寮母、いわゆる公的なサービス部門で働くホームヘルパーのみならずに、病院の付添婦さん、家政婦さんを一括して介護労働者として位置づけているわけです。
 それで、お伺いするわけですけれども、来るべき超高齢化社会において、高齢者の在宅福祉サービスについてはだれが担うべきものというふうにお考えになっていらっしゃるか、労働省にお伺いしたいと思います。
#31
○政府委員(若林之矩君) 介護をだれが担うかという問題を含めまして、高齢者の介護についての国の施策の基本的な考え方と申しますものは、福祉行政の方において取り組まれていることでござ、いますので、労働省としてその問題について直接的にお答えするのはなかなか立場上難しいことでございます。
 いずれにしても、労働省としましては、二十一世紀に向けて我が国の高齢化が先生御指摘のように急速に進展するわけでございまして、それに伴いまして介護の需要が増大する、一方では供給の方で労働力人口の伸びが鈍化傾向に転ずるわけでございまして、これもまた我が国が戦後初めて経験することでございます。そういうことで介護労働力の確保ということは中長期的かつ構造的な課題として対処しなきゃならない国民的な課題でございまして、関係省庁一体となって進めなきゃならない問題だというふうに考えておるわけでございます。
 そういうことで、労働省としてそういったような福祉行政の面から必要となるマンパワーというものにつきまして労働行政の面でできるものは全力を挙げて取り組む、こういったような観点に立ちまして今回の法案を提出させていただいているところでございます。
#32
○西岡瑠璃子君 今労働省にお伺いいたしました同じようなことを、急ピッチでやってくる高齢化社会の在宅福祉サービスについてだれが担うべきか、厚生省の方からもお伺いしたいと思います。
#33
○説明員(中村秀一君) 再三お話しございましたように、急速に人口が高齢化いたしておりまして、二十一世紀初頭には現在のヨーロッパ並みの本格的な高齢社会が我が国に出現するわけでございます。また、長寿化も進んでおりまして、人生八十年時代になるということでございますので、国民の方々の介護のニーズというものも相当変わってきている、特に後期高齢者の方がふえてきておりますので、そこのニーズが増大している、こういうふうに認識いたしております。
 先生の御質問の在宅福祉サービスをだれが担うべきか、大変端的な質問でございますが、一言で申し上げますと、非常に大きな高齢社会が出現いたしますし、また短い期間の間で、先生最初にお話がございましたように、二〇二〇年に厚生省の推計では高齢化率二五・二%ということで、これはその時点におきまして世界のどの国も達しないような高齢化率の達成状況、到達度ということになりますので、これにふさわしい社会システムを構築していかなければならないというのが最大め課題だと思っております。
 そういう意味で申し上げますと、国民が皆で支えられるような体制にならなくちゃならないというふうに考えておりますので、在宅の介護をだれが支えるべきかということになりますと、これはあらゆる社会資源を動員して支えていくべきではないかと考えております。もちろん、その中におきまして公的責任というものは極めて重要でございまして、現在私どもが推進しております高齢者保健福祉推進十カ年戦略というのも二〇〇〇年までの計画でございますが、今この十年間に公的な保健福祉のサービス提供体制の基盤をつくっておかないと将来に禍根を残すという意味で頑張っておるところでございます。
#34
○西岡瑠璃子君 私が何かしつこくこのことを労働省、厚生省に続けて御質問したかといいますと、この法案が福祉ヒューマンパワーの人材確保のために提案をされている法案であるからでございまして、また労働行政から考えましても本法案の提出の趣旨は当然のことだと思うからでございます。
 そこで、今必要なことは十年先、いや二十年先の日本における高齢者対策をどうするのか、福祉サービスを受ける立場に立ってどうあるべきかということを考えて施策を立てることだというふうに思うわけです。さらに、この法案が我が国の高齢者対策、とりわけ今後の在宅福祉サービスについて保健・医療・福祉三者一体となって地域において連帯をして強めていかなくてはならない、そういうものであるというふうに考えるわけです。
 そこで、労働省はこの介護サービスの提供のあり方については福祉施策の問題であるというふうにとらえていらっしゃると思うんですけれども、労働省がコメントする立場にないとおっしゃるかもわかりませんけれども、私はあえてお聞きをしたい、そして厚生省には当然お伺いをしたいと思います。
#35
○政府委員(若林之矩君) 基本的には、私どもそういう介護、これからの高齢者雇用介護の政策をどうするかということにつきましては申し上げる立場にないと存じますけれども、先生御指摘のように、在宅介護というものがますます重要性を増してくるということであろうかと存じます。また、介護そのものの質もおのずから高まっていくであろうというふうに考えております。寝たきりをなくしていくということはそれだけの専門的な介護が必要になってくるわけでございましょうから、数字的に申しましても、質的に申しましても、やはり介護のマンパワーというのが多く必要になってくるということであろうと思います。そういう認識に立って今回の法律を提案させていただいているわけでございまして、基本的な認識はそういった点だと思います。
#36
○説明員(中村秀一君) 厚生省の方の在宅福祉対策の考え方でございますが、まず家庭に赴くホームヘルパーさんの増員を図るということ、それから在宅福祉対策でも施設が拠点になってやっております在宅福祉対策もございます。家族の方の介護疲れをいやすために一時的に施設に要介護の高齢者をお預かりするショートステイ事業もございますし、それから近隣の施設に適所するデイサービス、病院でやられます場合にはデイケアとか呼んでおりますが、そういった事業、あるいは住宅改造ですとか日常生活養護の車いす、電動ベッド、こういったものの給付、こういうような事業をやっているところでございます。
 それから、住宅の高齢者の方はそれぞれニーズも異なりますし、家に置かれている家屋の構造ですとか、介護されている家族の構成、それから抱えております心身の疾病の状況、そういったものも異なりますので、サービスといたしましては私が申し上げましたいわゆる福祉サービスだけでは足りませんで、看護婦さんのサービス、訪問看護、それから保健婦さんのサービスとかあるいはOT、PTの方のリハビリといったような保健、ヘルスや医療との連携も必要になるということで、その方のニーズに応じましたサービスを総合的に提供できる体制を地域でつくっていくということが必要だというふうに認識いたしておりまして、そういった意味で老人訪問看護制度をこの四月からスタートいたしておりますし、またこの四月に実施されました診療報酬の改定では在宅ケアの充実に力点の一つが置かれていると、こういうふうに認識いたしております。
#37
○西岡瑠璃子君 先ほども私申しましたけれども、人はいつかはだれしもが老いるわけです。そして、日本の社会ではとりわけ多くが今寝たきりとなっている現実ですね。
 時間もありませんけれども、我が家でも夫の父親がもうことしで六年目寝たきりでございます。一方通行で、私どもがしやべるけれども向こうから何にももう答えることができない、そういう状況です。そして二十四時間体制の家政婦さん、付添婦さんがずっと介護してくださっています。悲しいけれどもそういう現実というのは周りにたくさんあるわけです。
 来るべき超高齢化社会におきまして、いつでも、そしてだれでも、どこでも安心して老後が送れるような、そういう福祉社会の実現こそ図られるべきではないかというふうに私は自分の実生活の体験からも思うわけです。そして、日本はもう既に超一流の経済大国だとも国際的にも言われております。政府も最近は生活大国を目指すというふうに堂々とおっしゃっておられます。それならば、この高齢化社会対策こそが最も重視をされなければならないのではないかと思うわけです。
 今回のこの介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案について、十分ではないが基本的には必要なものであると先ほど私申しましたように、この介護のヒューマンパワーを確保するためには、まず私は介護に携わる方々の劣悪な勤務労働条件を改善することがまず先決ではないかと、こういうふうに思うわけです。労働省、この点についての対策を何か具体的におっしゃっていただけますか。
#38
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のように、例えば家政婦さんの例を見ましても就業条件の問題が一つございます。それから就業条件ではございませんけれども、そういう方々は非常に能力の向上を願っておられますが、そういったような向上、育成のための機会も十分恵まれていないという点もございます。こういったようなことで、職場の魅力というものについて十分な配慮がなされませんと、今後新たにそういった職場に入ろうという方がなくなってまいるわけでございます。現在の家政婦さんの平均年齢は五十六歳でございますけれども、こういったような方々がかなり長い時間の労働をしているというのが現状でございます。
 したがいまして、今回この法律を出させていただきまして、例えば家政婦さんの例で申しますと、家政婦さんについては雇い主というのは個人の御家庭でございます。こういった方々はそういったような家政婦さんの雇用管理というものを行うだけの力がないわけでございますものですから、職業紹介所にそういったような家政婦さんの福祉の向上を図るための措置を講ずる努力をするように、そういう責務を課しまして、そしてそういったような改善を図っていただく、そしてそれについて国もいろいろな助成措置を講ずるということを考えておるわけでございます。
 具体的に申しますれば、共済制度を設けますとか、あるいはこういった家政婦さんのためにいろいろな訓練、研修をする機会をつくるとか、こういった措置も講じようというふうに考えております。これは一例でございますけれども、今回の法律の中にそういったような点も盛り込ませていただいております。
#39
○西岡瑠璃子君 この件について、私厚生省にも伺いたいんですけれども、今おっしゃったことと同じようなことを私の地元の、病院の婦長さんを体験されたことのある家政婦紹介所の職員の方が言っておられます。施設設備が非常に劣悪である、付添婦の労働条件がなっていないと。ベッドもない。患者さんの横に、ござってわかりますか、むしろみたいなものですね、畳の表の部分だけ、ござを敷いて休息をとっている。このようなところをぜひ改善してやりたいと、こういうふうにその婦長さん経験者の方が言っておられました。
 ただ、紹介所の方にそういうふうな補助というかヘルプをしても、私はすぐに直接的にはこういった方々の労働条件が一挙に改善されるというふうにはいかないんじゃないかなというふうに思うわけです。ですからそのことと、やっぱり全体的にこういう介護を公的な責任が果たされるシステムの中で実施をしていかなくてはいけないのではないかと思うわけです。このことは介護に当たる方々もやはり生存権といいますか、人権を保障されるべき方々であります。憲法二十五条にも生存権を具体化をするということが福祉そのものなんだというふうにうたっております。そういう点で、私は今公的な責任において介護の労働者の方々の労働条件の改善といったものがなされなければならないのではないかというふうに思うわけです。
 そこで、厚生省にお伺いしたいのですけれども、国は診療報酬の改定によって病院の看護婦さんなど看護職員の介護そして福祉力をアップいたしまして、基準看護の方向に今後進めていくということでございます。医療の分野でも介護の人材をレセプトでということになるわけですけれども、家政婦紹介所から回される付添婦をなくしていこうという、そういう方向にあるのでしょうか。
#40
○説明員(小野昭雄君) 入院されました患者さんに対しまして適切な看護ある。いは介護サービスを行うということは、患者さんの病状を左右する非常に重要な要素であるというふうに認識をいたしております。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
 そういう観点から申しますと、そういう看護あるいは介護サービスといいますものは、病院の責任のもとで一体的に提供されるということが本来望ましい姿であろう。しかしながら、どうしても院内力で看護・介護サービスができないという場合には、現在付添サービスを認めているところでございます。
 今先生御指摘ありましたように、今回の診療報酬改定におきましてはできるだけ院内化を進める。サービスの院内化ということと同時に、付添看護といいますのはどうしても保険外負担を伴いますので、これの是正を図るという両面の対策を講ずる必要があるという観点から、今御指摘ございましたように、基準看護を拡大できるような所要の改定等を図りましたほかに、保健医療機関の付添看護に関します責任の明確化あるいは付き添いの要件の見直しというふうな両方の措置を講じたところでございます。
 締め出すのかという御指摘ではございますが、これは雇用形態は多様な形態があろうと思いますので、そういった中で院内化の方向にできるだけ行っていただくということが私どもとしては好ましい方向ではないかというふうに考えているところでございます。
#41
○西岡瑠璃子君 せんだって看護職員の人材確保法案というのも別建てで出ているわけですけれども、現状の看護婦さん不足の問題が解消されないという時点では、移行期の混乱というものほかなりあるのではないかというふうにこの紹介所の方も心配をしておられました。そして私は、介護労働力の確保という観点から提案されている法律案でありますから、看護婦さんも一本化して取り扱うのが本筋ではないかというふうに思うわけですけれども、なぜ別建てで立法化するのですか。労働省に伺います。
#42
○政府委員(若林之矩君) 看護婦さん等につきましても、ゴールドプランにおいてその確保が必要とされていることは先ほど申し上げたわけでございます。その雇用管理についてもやっぱり立ちおくれが見られるわけでございます。そこで、労働省と厚生省で共同で看護婦等の人材確保の促進に関する法律案を提出させていただいておりまして、御審議をいただいたところでございます。
 ただ、看護婦さんと介護労働者につきましては、看護婦さんの場合は資格独占職種でございますけれども、介護労働者につきましてはそういったことがないわけでございます。そういったことで対象とする労働市場の性格でございますとか、あるいはその確保施策の内容、こういったものに差があるわけでございまして、私どもも研究会でも随分こういう点、御議論もいただきました。政府部内でも調整をいたしました結果、そういった特性に応じて別の立法措置を講ずるということで、今回こういう形で提出をさせていただいているものでございます。
#43
○西岡瑠璃子君 また、本法案の策定の過程におきまして、当初は介護労働者の派遣法として検討が行われたと聞いております。こうした事実はございますか。
#44
○政府委員(若林之矩君) 労働者の派遣事業の対象業務に介護業務を加えるということにつきましては、家政婦さんの就業条件の向上等を図るための方策の一つとして、法案の検討過程におきまして中央職業安定審議会の場などで議論されたわけでございます。この問題につきましていろいろ御議論がございまして、その結果、引き続き検討を行う必要があるということになりますために、この法案におきましては介護労働安定センターの行う事業等によりまして介護労働者の福祉の増進を図るということにしたものでございます。
 介護業務に関します労働者派遣の導入等の現行のシステムを改善する方策の検討につきましては、介護に係ります新しい需給システムのあり方等も含めまして、今後関係審議会等の場でいろいろと御議論をいただくことになっているわけでございます。労使等関係者の皆様方の意見も十分伺いました上で対応したいというふうに考えております。
#45
○西岡瑠璃子君 私は、ホームヘルプ事業が在宅福祉サービスの中心として、在宅の高齢者の自立支援のために行われているものである以上、派遣にはなじまないものであるというふうに思っておりますし、地域における二十四時間のケアシステムとして、高齢化社会におきましては保健・福祉・医療が一体となって介護サービスに当たるべきものであると考えております。ホームヘルパーのみが派遣労働者ということになれば、このシステムづくりというのはちょっと難しいものになるのではないかというふうに思うわけです。そうしたことからもこの件につきましてはもっと御議論を深めていただいて、慎重な取り扱いをぜひしていただきたいというふうにお願いしておきます。
 また、労働省として、介護サービスは制度として将来どのようにあるべきか、制度としての位置づけですね、それをどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#46
○政府委員(若林之矩君) 介護サービスのあり方をどうするかという問題は、やはり福祉行政の問題であろうかと存じますけれども、少し問題を絞りまして、介護サービス事業と申しますか、民間の入浴サービスでございますとか、民間で行います在宅のホームヘルプサービスでございますとか、こういったものがございます。
 先ほど来お話が出ておりますように、ゴールドプランにおきましては公的なサービスの問題が論じられているわけでございますけれども、今後やはり非常にいろんな面でのニードが多様化してくると思うわけでございまして、そういった面では、ただいま申し上げましたような民間の介護サービス事業というものがますます必要とされてくるのではないだろうかというふうに認識をしておるわけでございます。
 先ほど申しましたように、その人数は二万人ぐらいということでございますけれども、今後ますますそういったようなサービス事業に従事する労働者がふえてくるだろう。しかも、現在なかなかその実態はわかりませんけれども、ヒアリングなどをいたしますと、やはり仕事はなかなか負担がきついというようなことを働いている方はおっしゃっているわけでございます。そういった面で、こういった介護サービス事業に従事する労働者の方々の福祉の向上というものに早くから取り組んで対応していく必要があるだろうということを考えておりまして、今回のこの法案でもそういったような労働者の方々を対象にさせていただきまして措置を講じていくということを考えているわけでございます。
#47
○西岡瑠璃子君 私、最初に冒頭のところでもちょっと申し上げましたけれども、福祉先進国と言われるデンマークにおきましては、「寝たきり老人のいる固いない国」という本もございますけれども、寝たきり高齢者はいないというふうに言われております。介護労働力の確保が来るべき超高齢化社会に向けて、緊急でなおかつ重要な問題であるということはもうだれもが認めるところでございます。しかし、痴呆性高齢者をつくらないといった対策、それこそが最も必要だと思うわけです。
 政府に対しまして、私はこうした対策の強化を改めて強く御要請申し上げるわけでございますし、また我が国が経済の分野におきまして一流になっております、一応ですね。東南アジアを含めた外国人労働者が大量に流入をする、こういう現象の一方で、今介護労働者の雇用管理を提案せざるを得ないという労働行政というのは、私はちょっと貧困ではないかと、大いに反省の余地があるのではないかというふうに思うわけです。
 本法案におきまして対象となっております介護労働力につきましても、さっきも申しましたように家政婦紹介所については一定実効性が期待はできますけれども、家政婦自身の労働条件の改善にはちょっとほど遠くて、福祉人材確保については、私はまた言わずもがなというふうな状況になっているというふうに思うわけです。この法案が国の保健・医療・福祉政策と密接に結びつくものとして、法案の目的から当然労働省、厚生省の共同提案とされるべきものではなかったかというふうに私は思うわけですけれども、この点につきまして、それぞれの省庁からお聞きをしたいと思います。
#48
○政府委員(若林之矩君) 人口の高齢化の進展等に伴いまして、必要となる労働力の確保につきましては、関係省庁一体となってこれに当たるべきでございますし、そういった意味で、事業所管官庁と労働者の需給調整あるいは福祉の増進を所管する官庁が一体となって労働力確保のための法案を提出することが望ましいということは、先生御指摘のとおりだと思うのでございます。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
 そういったことで、労働省と厚生省は時間をかけて協議を重ねてまいったわけでございますけれども、厚生省の法案といたしましては、社会福祉事業法等の既存の法律の一部改正ということになるわけでございますが、労働省にはそういったような既存の関係法律がないわけでございまして、どうしても新規立法にならざるを得ない、こういったような法律技術上の問題から両省別々に法案を出すということになったような経緯でございます。
 労働省、厚生省、法案の関係につきましては、厚生省の法案は、社会福祉事業を対象といたしまして、その事業が適正に行われることを確保することを目的といたしているのに対しまして、労働省の法案は、雇用管理の改善等による労働者の福祉の増進を目的といたしまして、社会福祉事業の職員のみならず介護サービス事業の労働者あるいは家政婦さんも含めた介護労働者を広く対象としたものでございます。
 こういうことで、この法案の観点、対象範囲は異なっておりますけれども、両者相まって介護労働力の確保に貸すべきであるわけでございまして、労働省といたしましては厚生省と連携を図りながら介護労働力の確保に努めていきたいというふうに思っております。具体的には、こういったような法案を所掌する両省の関係部局が集まりまして連絡協議会をつくりまして、定期的に協議してお互いに協力し合っていくと、こういう体制をつくろうということにいたしております。
#49
○西岡瑠璃子君 私は、地元の家政婦さんの心からの叫びというか、手紙の写しを持ってきたんですけれども、きょうはちょっと時間がありませんので、また次の機会にしたいと思います。
 来るべき超高齢化社会へ向けまして、厚生省、労働省、両省のより一層の一体的な高齢化社会対策の充実に向けた対応というものを強く御要請申し上げまして、最後に、寝たきり高齢者をつくらない日本のために労働大臣の御決意をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
#50
○国務大臣(近藤鉄雄君) 寝たきり老人というのはどうしてもできるだけ避けてまいりたい、先生の御質問のお気持ちは私もよく理解するものでございます。
 そういったお年を召されてからの健康状態というのは、私素人でございますけれども、いろいろな健康管理の積み上げです。きょうは厚生省からも説明員が出ておりますけれども、いろいろ厚生行政と労働行政が一体となりまして、中高年齢者の方々の健康管理ということについてきめの細かい対応を、例えば現代医学の粋を集めながらいろんな研究をし、そしてそれをまた職場を通じて御理解いただくと、こういったこともやっていくべきではおいか。
 スウェーデンでしたかね、寝たきり老人がいないとおっしゃったのは。私も実は不勉強ですので実情を詳しく存じ上げませんが、先生から大変貴重な御示唆がございましたので、なぜ医学的にもそういった状況が日本では多くて、そしてスウェーデンにはないのかということについても、これからひとついろいろ厚生省の方の指導を受けながら勉強させていただきたい、こう考えております。
#51
○西岡瑠璃子君 よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。終わります。
#52
○西野康雄君 先ほどから厚生省の皆さんの答弁だとかいろいろ聞いておりまして、私安易にデイケアだとかショートステイとか、そういうふうな言葉を使うというのはいかがなものかなと思うわけでございます。なるべく横文字を排してやっていただきたいなと。と言うのも、老人会の慰問なんか、僕は、西川潔先生もそうですけれども、慰問なんかにいってデイケアやショートステイやとかいろんなことを言うたって向こうは理解できぬのです。もっとやさしい言葉で言ってやらぬことには下の方におりていかぬな、そんな感じがしたわけです、これは答弁も何もないのですけれども。
 地元の兵庫県の自慢をさせていただきたいと思います。この間の新聞に「兵庫県 呼び戻しに成功」、こういうふうな記事が載っておりました。
 五百二十人白衣の感動再び
  「3K」「8K」などと呼ばれ、深刻な看護婦不足の中で、結婚や育児を理由に退職したOGがカムバックを始めた。兵庫県では昨年度は五百二十人と前年度に比べ一挙に百四十人増。
 フレックスタイムの導入などの呼び戻し作戦で「白衣の天使」の使命感がよみがえったらしい。
 県内の看護婦就業者数は約三万二千人(平成二年度一で、約二千九百人が不足している。県は、昨年度から資格を持ちながら家庭に入っている潜在看護婦に独自の呼び戻し作戦を展開。
 現場復帰に伴う不安を取り除くため、地域ごとに病院側も加わった合同就職説明会や現場研修会を計三十五回開き、主婦業と両立できるよう勤務時間を自由に選択できるフレックスタイムの導入など就業条件を改善した。
 「ブランクが長く、不安だ」などといったOGが多かったが、研修会では医療の現状を詳しく説明、現場体験なども組み入れ復帰への自信をつけさせた。
こういうふうなことで、もちろんこの中に、自治体の努力でカムバックがふえても給料だとか休日の増加など、まだまだ待遇面で考えていかないとカムバックしたのがまた帰ってしまうというふうなこともあるかと思いますが、工夫次第によっていろいろと介護労働力が確保されるというふうなことの一例としてちょっと挙げさせていただきました。
 そういうふうな意味からいくと、今介護労働力の確保が困難だと言われている。若干これはサボってたの違うかいな、こういうふうな気がしないこともないわけですが、困難な原因についてどのように認識をなさっているのか、ちょっと大臣からお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
#53
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生から大変いいお話を承ったわけでありますが、私も先生と全く同じ意見でございまして、必要なのはわかっておるけれども労働力不足だ、こういうことです。
 単純経済的な原則で申しますと、需給関係というのは結局価格ですね。ずばり言ったら、介護においでになる方々の報酬、労働環境というものと、それから需要との見合いをどこに持っていくかということであります。その点から考えます上、介護労働は大事だと言いながら、それにふさわしい報酬とか雇用条件だとか、それからまた福祉だとか、そういったことが整備されていかなくてはいけないわけです。まさにこれは労働省が今度新しい法案をつくってお願いするのは、そういう介護労働者の立場に立っての、来ていただきやすい環境をどうしたら整備できるか、こういうことでございます。皆さんからパートのお話がありました。毎日は大変だけれども、二日に一遍ならやってもいいよというような、そういった方がたくさんいらっしゃると思うんです。そういうことで需給調整を今後積極的に取り上げてまいりたいと考えております。
#54
○西野康雄君 ありがとうございます。若干西岡委員とダブる部分があるかとも思いますが、人数あるいは見通しについてちょっとお伺いをします。
 公的なヘルパーや施設の職員から家政婦に至るまで一括して介護労働者、こういうことにしておりますが、いわゆる介護労働者というのは今何人ぐらいいらっしゃるんでしょうか。
#55
○説明員(野寺康幸君) 先ほどお答えしたわけでございますけれども、改めて申し上げますと、正確に把握した調査は現在のところないわけでございますが、とりあえず社会福祉施設関係の職員で約四万人、ホームヘルパーと称する方が約四万人、それから民間の介護サービス業関係で約二万人、家政婦さんという範疇の方が十六万人、合わせまして大体二十六万人ぐらいではないかというふうに考えている次第でございます。
#56
○西野康雄君 やっぱり正確には調べていませんがというふうな部分に、若干僕は今ふっと立ちおくれかなというふうな気がしたわけでございます。
 そうすると、お年寄りだとかいろんな方がいらっしゃいますが、それで何人の方を介護なさっているんですか。
#57
○政府委員(若林之矩君) ただいま二十六万人の介護労働者が介護業務に従事しているということを申し上げましたが、実は結論から申しまして、こういう二十六万人の方々がどれだけのお年寄りの介護をしているかという数字はないのでございます。寝たきり老人が現在七十万人いる。それから在宅痴呆性老人が約七十四万人いる。これは重複もございます。こういうことは承知いたしておりますけれども、今先生の御質問にお答えする直接の数字はないということでございます。
#58
○西野康雄君 何であえてダブって聞くかというと、そこなんです。これは言わぬでももう局長もおわかりだと思います。そこの正確な把握ができていないということが一番問題じゃないかなと思うんですが、この法案が通りました、皆さん方が努力なさいました、効果が発揮され始めました、さあ平成十年ごろどういうふうになっているのか。介護労働者は何人ぐらいで、その数で何人のお年寄りを介護しているのか、そういうふうな見通しをちょっとお聞かせください。
#59
○政府委員(若林之矩君) 厚生省の推計でございますけれども、現在寝たきり老人が七十万人ぐらい。この数字が平成十二年になりますと百万人ぐらいになるということでございます。それから、在宅痴呆性老人の数が現在七十四万人でございますが、これが百十二万人ぐらいになるというふうに見込まれております。
 今回の法律では、こういったゴールドプランで必要な人数、公共サービスの基盤整備を目標としてつくられているゴールドプランでは、平成十一年度までに寮母、介護職員が十一万人、ホームヘルパーが七万人新たに必要だということが見込まれております。
 一方、民間部門の介護サービスにつきましては、公的部門によって提供されるサービスの内容、質によって左右されますので、なかなかこれは数字を申し上げることは難しいわけでございますけれども、しかし、民間サービス業の労働者あるいは家政婦さんにつきまして相当数の増加が必要であろう。現在もかなり需給が厳しいわけでございますから、このことを考えれば相当数やっぱり増加が必要だろうというふうに考えておるわけでございます。
 将来、この法律が効果を発揮して、それではどのくらいを充足するのかということはこれはなかなか難しい問題でございます。この法律を大いに活用していただいて事業主の方が労働環境を整備していただく、熱心に推進していただくということが前提でございますし、働く方々の選択の問題もございます。しかし私どもは、この法律を成立させていただきました暁にはこれを十二分に活用させていただきまして行政努力を重ねていきたい、そして職場を魅力あるものにして一人でも多くの方がその職場に入って生きがいのある仕事をしていただく、こういうことの実現に全力を挙げていきたいというふうに考えております。
#60
○西野康雄君 全力を挙げて、そして皆さん方が努力をなさいました、それで効果があった場合はいいんですけれども、そうなると、本法案があった場合となかった場合で介護労働者の確保にどれだけの差があるか、これは難しい質問だなと思われるでしょうけれども、ちょっとお答えください。
#61
○政府委員(若林之矩君) ただいま申し上げましたように、この法律を成立させていただきました場合、私どもはこれを活用させていただきましてできる限りの行政努力を払ってまいりたいと思います。そういうことによりまして職場環境の整備を図りますとかあるいは能力開発の機会をできる。だけ大きくして新しい方にこの仕事を理解していただく、あるいは現在いらっしゃる方の質の向上を図るというようなことを進めていきたいと思っておりますし、また需給調整についてもより円滑に進むようなシステムをつくっていきたいというふうに思っております。
 しかし、こういった努力によりましてどれだけ、あった場合となかった場合ということになりますと、やはりこれは一つは事業主の方々の熱意によるところもございますし、働く方々の選択にもよるものでございますから、何とも申し上げることはできませんけれども、しかし私どもといたしましては、この法律を成立させていただいてこれだけの成果が上がったと言うことができるように最大限努力を払ってまいりたいというふうに思っております。ただいまはそれ以上のこと申し上げる材料はないので、お許しいただきたいと思います。
#62
○西野康雄君 というのは、今なぜそういう質問をしたかというと、実効力があるかないかというその点にかかってくるわけです。本法案を見ておりますと、七条、十一条、十二条などに事業主に対して要請や指導をすることができることと、こうしてあるわけですけれども、どの程度実効力があるのか、そして事業主が従わないというふうなことになった場合どうなるのか、その辺あたりをちょっとお伺いします。
#63
○政府委員(伊藤欣士君) 御指摘ございました第七条、十一条、十二条関係について申し上げますと、第七条は介護雇用管理改善等計画におきます労働大臣の要請の規定でございますし、また第十一条につきましては認定計画に係ります改善措置の的確な実施に必要な指導ということになっておりまして、罰則は設けられておらず、事業主がこれに従わなかったときの法的な意味での制裁措置はないわけでございます。ただし、これらは介護雇用管理の改善等計画におきまして認定特定事業主の改善計画の円滑な実施を図るためのものでございまして、労働大臣、国、都道府県それぞれの立場で雇用管理の改善が実効のあるものになるよう要請、指導を行う所存でございます。
 なお、御質問にございました十二条につきましては、報告の徴収につきまして都道府県知事から必要な報告を求められたにもかかわらず報告をせず、また虚偽の報告をした認定特定事業主に対する罰則でございまして、二十万円以下の罰金を科すこととしているわけでございます。
#64
○西野康雄君 法案では、直接介護労働者を雇用する事業主は改善計画をつくり、認定を受けて雇用保険からの援助を受けることになっております。これは十条等ですね。そして、職業紹介事業者についてはこのような認定など何もなくても債務保証などさまざまな援助を受けられることとなっております。これは三十二条等ですね。若干バランスを欠いているんじゃないかな、こういうふうな感がするわけですが、どうですか。
#65
○政府委員(若林之矩君) この法律では雇用管理改善等のためのいろいろな助成策が考えられております。ただいま先生御指摘の雇用促進事業団によります債務保証事業でございますが、これを一つ取り上げますと、これは介護サービス業の事業主、これは民間の入浴サービスなどを行う事業主でございますが、こういう介護サービス業の事業主と職業紹介事業者のいずれを対象とする場合でございましても、改善計画の策定とかあるいは都道府県知事による認定を必要としないわけでございまして、この債務保証という問題につきましては両者の扱いは全く差がございません。
 助成金制度がございまして、福祉施設等を設置いたしました場合に、お金を借りてつくったというような場合に五十万円から五百万円までの助成を出すという業務体制等改善助成金というのがございますけれども、これは介護労働者の福祉の増進を図るに当たりましての債務の度合いに着目いたしまして、介護サービス業の事業主に対象を限って出すことといたしておりまして、これは家政婦紹介所には出ないわけでございます。この制度につきましては相当手厚い措置でございますものですから、やはり全体の雇用管理の改善についての総括的な計画をつくっていただいて、それが認定された場合に初めて出すということにいたしております。これは家政婦紹介所には出ませんで、介護サービス業について限定して出すということになっております。
 こういうことで、この法律に基づきます助成、援助措置につきましては、介護サービス業の事業主と職業紹介事業者とでそれぞれ特性に応じて施策の差は設けられておりますけれども、一つの項目について見ますと、それは要件上のバランスは欠いておりませんで、同じ扱いにいたしておるわけでございます。
#66
○西野康雄君 また新聞記事からの引用で恐縮ですが、去年の十二月の東京新聞で、寝たきり老人の看護に当たっていた看護婦から紹介所がピンはねをしていたという記事が載っております。「看護婦不足解消に冷水 公認紹介所がピンハネ 報酬五%など一年余で三十五万」というふうなことで、
  介護労働力を確保しようと厚生省や労働省
 は、資格を持ちながら職に就いていない潜在看
 護婦の掘り起こしに懸命だが、訪問看護をして
 いる一看護婦から「お役所の姿勢は掛け声だ
 け」との訴えが東京新聞に寄せられた。現在、
 この女性は訪問看護労働に見切りをつけ、受付・
 事務の仕事をしているが、「私に知識がなかっ
 たため、危うく大損するところだった。お役所
 はもっと真剣に、看護婦紹介所の指導をして働
 きやすい職場づくりをしてほしい」と訴えてい
 る。という内容でございます。
 やっぱりこういうふうな紹介所があったりすると、本当に皆さん方が一生懸命やっておるのをまさに記事どおり冷水を浴びせているような、そういう結果になるわけです。こういうふうな紹介所があってはならないと思いますが、最終的に労働省はこの紹介所に対してはどのような処分をなさったんですか。
#67
○政府委員(伊藤欣士君) 先生御指摘のように、まさにあってはならない事例でございますが、昨年十二月十七日付の東京新聞によって報道されたものでございますして、有料職業紹介所が法定手数料以外の金銭を求職者から徴収していたという事案でございます。
 東京都及び管轄の公共職業安定所を通じまして、実態調査並びに是正指導を行いまして、不当に徴収した金銭を返還させますとともに、手数料規制に関する職業安定法第三十二条第六項違反として所要の聴聞の手続等を経た後、同法第五十条第一項の規定に基づき」まして、平成四年二月二十四日付をもって二カ月間の職業紹介事業の停止の処分を行ったところでございます。
#68
○西野康雄君 今御答弁の中に、実態調査を行いましてと、こういうふうなことがございました。そうしたらほかの紹介所でも同様のケースがあったんじゃないか。恐らくこういう手口というんですか、それは共通して、あなたのところもやっているからうちのところもやるわというふうな、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という式でやっているんじゃないかなと思うわけですが、実態調査をしたという弁がございました。そうしたならば、その結果をちょっとお聞かせください。
#69
○政府委員(若林之矩君) ただいま御指摘ございましたようなケース、私ども日々安定所を通じまして指導に努めてまいってきておるわけでございますけれども、こういったような事案が発生したことはまことに残念に存じておる次第でございまして、今後こういったことが発生しないように指導に努めてまいりたいと思います。
 民営の職業紹介事業は、公的職業安定機関を補完するものという位置づけでございまして、その事業の適正な運営につきましては、いろいろな形での指導監督をしてまいったわけでございます。残念ながら悪質な職業紹介事業者というのは出てくるわけでございまして、こういったものにつきましては事業の停止それから許可の取り消し等を行っているケースもございます。厳正に対処をいたしているわけでございます。
 今回の事案を踏まえまして特別の調査は行っておりませんが、ことしの二月に全国の職業安定課長会議が開催されましたので、その席におきまして私から、全国の職業安定機関に対しまして、紹介所に対する定期検査及び指導を徹底するようにという指示をいたしたところでございます。また、民営職業事業者の団体がございまして、この全国民営職業紹介事業協会に対しましても会員事業所に対しまして周知、指導の要請を行ったところでございます。
#70
○西野康雄君 そうすると、実態調査というのはそこの紹介所の中身、その一カ所のみのことを調査したと、こういうふうなことですか。
 再発防止のためにいろいろと頑張っていただきたいと思いますし、こういうふうな紹介所が全国に散在をしておったりすると公的援助を与えることに慎重にならなければならないケースもあると思うんです。この法案ではそのあたりも少し不明でございます。どのように運営していくのか、ちょっと方針をお聞かせください。
#71
○政府委員(若林之矩君) ただいま申し上げましたように、私ども全国におきまして職業紹介事業者の指導監督をしてまいっておるわけでございまして、そのほとんど大多数は適正に事業を実施し、それぞれの現場で介護等の重要な役割を潰しているわけでございます。それは紹介事業者そしてそこの求職者ともどもであるわけでございますけれども、残念ながらごく一部におきまして先生の御指摘のような不適切な事例が見られておるわけでございます。
 今回の法案におきましては、職業紹介事業者に、職業紹介事業に係る介護労働者及び介護労働者となろうとする求職者の福祉の増進に資する措置を講ずるように努めるという新しい責務を課したわけでございますけれども、そういう責務を課しまして、あわせて介護労働者の福祉の増進を図るための各般の施策として、例えば介護労働者の福祉の増進のための施設の設置、整備の借入資金に対する債務保証などの援助事業につきまして紹介事業者に対しまして行うということにいたしておるわけでございます。
 こういったような紹介事業者に対しましての援助事業の実施に当たりましては、ただいま先生御指摘になりました趣旨を十分踏まえまして、対象者において紹介事業が適切に運営されていくということを要件といたしまして運用していきたいというふうに考えております。
#72
○西野康雄君 この法案によって介護労働安定センターを指定することになっておりますけれども、これはどんな法人を予定しておりますか。それでまた、四月から同じ名前の法人が存在していますけれども、ここを予定しているわけですか。
#73
○政府委員(伊藤欣士君) 法律に基づきます指定法人たる介護労働安定センターにつきましては、介護労働者の福祉の増進を図ることを目的といたしまして設立されました公益法人でありまして、業務の運営が適正かつ確実に行われ、介護労働者の福祉の増進に資すると認められるものを指定することといたしておるわけでございます。
 具体的には、先生御指摘ございました財団法人の介護労働安定センターというのが発足しておりまして、同センターをこの指定法人として指定したいと考えておるところでございます。
#74
○西野康雄君 そこで、少しおかしいなと思うのは、今、国会で審議を継続中ですね。法律で指定する予定の法人を先につくってしまっている。これはちょっと国会審議の軽視じゃないかなと思ったりもしますし、介護労働安定センターのあり方について、紹介者やその団体との関係など十分留意しなけりゃならぬこともあるんですね。何で先に発足させたのかなと。どうせまた与野党一致で賛成してくれるからもう先にやってしまおうかと思ったのと違うかいなと思うんだけれども、これはしかしもう少し慎重にやらなければいかぬのと違うかなと思いますよ。国会審議をちょっと軽視しているなどいう部分があると思いますが、どうですか。
#75
○政府委員(若林之矩君) この介護労働安定センターの業務、もとより指定法人としては本法律を成立させていただいた場合に指定をするということでございますけれども、その基本はやはり民間の関係者、介護労働というものの職場環境の改善、介護労働者の福祉の増進というものを図ろうという民間の皆様方の自主的な動きというものを前提にいたしまして進めるということがやはり基本でございますものですから、まずこういうものがしっかり機能し始めるということがございませんと、私どもも、これからそういったものがありそうですということで審議をお願いするということはできない性格のものだろうというふうに考えておりまして、そこのところは御理解を賜りたいというふうに思っております。
#76
○西野康雄君 先ほど、不祥事件を御紹介いたしました。このような事件の再発を防ぐためには紹介所に対する指導を強化していかなければならないと思うわけですが、そこで介護労働安定センターは、そのような紹介所から不当な取り扱いを受けた家政婦の労働者としての権利を擁護するようなそういうふうな業務を行うべきだと思うんですが、行うんでしょうか。
#77
○政府委員(若林之矩君) 民営職業紹介事業の適性な運営確保、これは先ほど申しましたように職業安定機関を通じましてその指導監督をさらに徹底していきたいというふうに思っております。また、民間団体との連携によります啓発活動も重要でございまして、従来から民営職業紹介事業者の団体でございます、これは社団法人でございますけれども、全国民営職業紹介事業協会を通していろいろと指導を行っておるわけでございます。
 この介護労働安定センターにおきましては、介護労働者等からの苦情の処理の業務も行うことといたしております。介護労働者の方々からの苦情、また利用者の方々の苦情もございますけれども、あわせてそういったような苦情を受け付けて措置をしていく、指導をしていくということもその業務として加えられておるわけでございまして、仮に紹介所から不当な取り扱いを受けました家政婦さん等の苦情がございました場合には、このセンターを通じて相談に応じまして安定機関とも連携をとりましていろいろ指導を進めていく。そうしてそういったような方々の権利の擁護を図っていく、こういうことにしていくべきだというふうに考えております。
#78
○西野康雄君 労働者の権利擁護を行うということならば、指導対象となるそういった紹介所とか団体からこの安定センターが出資を受けたりするというふうなことがあってはならないなと、そういうふうにも考えるんですけれども、癒着してしまうというふうなことも考えられるんですが、その辺はどうですか。
#79
○政府委員(若林之矩君) これはまず財団法人でございます。そして、広くいろいろな関係者がこの意思決定に参加をいたしておるわけでございます。そしてまた、この法律におきまして、これが団体として指定されるということになりますと、労働大臣のいろんな細かい指導監督が入るわけでございますので、先生御懸念のようなことはまず考えられないわけでございますけれども、そういったことがもとより起こらないように私どもも十分な指導をすべきであるというふうに思っております。
#80
○西野康雄君 まず、考えられないことが起こるのがこの国の通例でございます。十二分に私もくぎを刺しておきたいと思います。運用に当たっては、そういうふうにしていただきたいと思うわけです。
 このセンターには各県に支部を置くというふうなことで、コーディネーターを配置するというふうなことも書かれておりますが、どのような人材を何人配置するのか、お聞かせください。
#81
○政府委員(伊藤欣士君) 御指摘のコーディネーターの業務といたしましては、家政婦を雇用しようとする家族等からの問い合わせがあった場合に、紹介見込みのある紹介所の情報を提供する事業、あるいは要介護者、家政婦等からの苦情処理等の事業を予定しており、その人材といたしましては、社会的信望があり、かつ民営職業紹介事業、看護・介護労働問題に精通した者の中から委嘱したいと考えているわけでございます。
 その人員につきましては、現時点では各都道府県に設置する支部ごとに一人ずつを配置いたしたいと考えているわけでございます。
#82
○西野康雄君 答弁の中にもありましたけれども、コーディネーター、そういうふうないろいろな経験者をということですが、家政婦経験者というものの登用も考えておられるわけですか。
#83
○政府委員(伊藤欣士君) 先ほど申し上げましたように、社会的信望があり、民営職業紹介事業、看護・介護労働問題に精通した人の中から委嘱したいということで考えておりますので、この基準に照らしますと、看護婦さんあるいは家政婦さんの経験者が主たる選任対象になるのではないかと考えております。
#84
○西野康雄君 家政婦紹介所では、手数料を労働大臣が決めるなど統制下にあるわけですけれども、その家政婦紹介所の経営状況というのが明確にわかってこないわけです、私の不勉強かもしれませんが。
 そこで、平均的な経営状況です。例えば、何人ぐらいの家政婦さんが、特に一カ所について登録を受けているのかとか、平均的に何人ぐらいの顧客に紹介しているのかとか、家政婦さん自身の報酬総額だとか、そういう手数料収入が幾らで、報酬総額が何割ぐらいなのか、あるいは必要経費はどのくらいで、どの程度の利潤があるんだろうか、そういうふうな基本的なところをちょっと押さえておきたいと思いますので、お答えください。
#85
○政府委員(伊藤欣士君) 昭和六十三年三月の数字でございますが、社団法人の全国民営職業紹介事業協会というところが七百八カ所の紹介所を対象といたしまして調査した結果があるわけでございますが、登録している家政婦さんたちの数は、一紹介所平均で約九十人ということになっております。また、一紹介所当たりの平均の求人数、求職者が九十名でございますけれども、求人の方は約百名ということになっておるわけでございます。また、紹介所に求職しておられる家政婦さんの報酬の総額といたしましての年収は、平均約百七十一万円という数字でございます。
 他方、家政婦紹介所の手数料収入は、年間一千万円未満の紹介所というのが全体の四三・五%、一千万円から三千万円未満が四一・四%、それから三千万円以上が一四・四%ということになっておるわけでございます。そして、紹介所が徴収いたします手数料の額につきましては、法令によりまして、求人、求職を受け付ける場合に一回当たり五百四十円、それから紹介手数料としては賃金の一〇・一%、これは求人の方からいただくわけでございますけれども、定められているわけでございます。
 なお、有料職業紹介事業は、法令により徴収する手数料について一定の規制を設けて事業を許可しているものでございまして、必要経費の額ないし利潤の額については特に集計していないところでございます。
#86
○西野康雄君 大体わかりました。
 それで、そういうふうな紹介所ですけれども、これも新聞の報道ですが、日本国籍の日系南米人を大量に本国から呼んで、病院の付き添いなどの紹介をしているという、そういう紹介所もあると聞いているんですが、最近やはりいろんな摩擦が生じております。そういうことで、その実態というのは把握なさっておられますか。
#87
○政府委員(伊藤欣士君) 日系ブラジル人の方が日本で付添婦として就労をされておられるケースにつきましては、昭和六十三年から平成二年にかけまして、看護婦、家政婦紹介所の団体が窓口になって約三百名を受け入れた経緯があることは承知しているわけでございます。
 また、最近の状況につきましては、いわゆる個人ベースで入国されまして、個々の紹介所の紹介を受けて付添婦として働いておられる方がおられるということは仄聞しているところでございます。
#88
○西野康雄君 その報道の続きなんですけれども、そういうふうなことだとかもうひっくるめて大量の出稼ぎ、それで本国の日系人社会が青年だとか壮年の働き盛りの人がおらなくなりましてうまく機能しなくなった、そういうふうなこともございます。働きに来るなとはこれは言えないわけですけれども、さまざまな問題を引き起こしていることは事実でございます。受け入れる側が個人ベースで来ているのでようわかりませんということだけではいけないんじゃないだろうか。お互いがうまく機能し合うようなかっちりとした仕組みというものをつくっていく必要があるんじゃないかなと思うんですが、いかがですか。
#89
○政府委員(若林之矩君) 日系南米人の方は、現在十五万人ぐらい日本で働いているというふうに推計されておるわけでございます。私どもは、もとより、今先生御指摘のように、ブラジルでも大変な貴重な働き人でございますから、日本にそういった方々を吸引すると申しますか、そういったような政策は全くないわけでございます。しかし、日本で正規に働くことができる方でございますから、こういった方につきましては、安定した就労が図られるようにできる限りの努力をしておるところでございます。
 特に、こういった方々につきましては、間にブローカーが介在しているという問題があるわけでございまして、六割ぐらいがブローカーの手で働いているというのが実態でございます。したがいまして、私どもは公的な安定機関を通していろいろ仕事をしていかれるという体制を整備していきたいというふうに考えておりまして、上野に日系人のサービスセンターを設置いたしまして、全国の六百の安定所とネットワークを組んでお世話をいたしております。特に最近、雇用調整をされている方がおりますものですから、住宅問題なんかも大変に紹介が難しゅうございますけれども、全国のネットワークを挙げて今取り組んでいるところでございます。
 やはり先生おっしゃいますように、日本だけではなくて、現地にもそういったような相談の窓口をつくるということがブローカーの排除のためにはやはりぜひとも必要でございますので、現在外務省とも協力をいたしまして、ブラジルのサンパウロにそういった相談窓口を開設したいということで現地政府と折衝を重ねているところでございまして、何とかそういったようなサービスセンターをつくりまして、両々相まって、適正な就労経路と申しますか、そういったものを確立していきたいというふうに思っております。
#90
○西野康雄君 今御答弁の中にも公的だとか、正規だとかいろんな言葉が出てまいりましたが、そういった日系ブラジル人、南米人が日本に来て、個人の家庭で家政婦として働いている。お年寄りを担いで階段をおりようとして階段を踏み外したりとかいろんな例が出てくるかと思うんです。そういうふうな、個人家庭の家政婦としてそのような方々が労災に遭ったときにはどうなるのかということが非常に僕としては気になるところです。そしてまた、新たにつくる福祉共済制度で医療費から障害年金まで全部カバーできるのかなと、こういうふうなことも疑問に思うわけで、その点御答弁ください。
#91
○政府委員(若林之矩君) 労災保険につきましては、日本国内の事業場に雇用される労働者でございますれば適用があるわけでございまして、そういう意味では日系南米人の方も対象になるわけでございます。ただ、ただいま先生おっしゃいましたように、個人家庭に雇用されます家政婦さんにつきましては、個人家庭に事業性がないということ、それから労働基準法上の労働者に該当しない家事使用人であることが多いというようなことで一般に労災保険の対象となっていないわけでございます。このことは、日本国内において個人家庭に雇用される家政婦として就労される日系南米人の方についても同様でございます。
 こういったような家政婦さんの置かれている状況、これは日系南米人の方だけに限らないわけでございますけれども、そういった状況にかんがみまして、介護労働安定センターにおいて福祉共済制度を運営する介護労働者福祉増進援助事業というものを実施いたしまして必要な援助を図ることにいたしておるわけでございますが、この給付の種類でございますとか補償の水準、掛金の額等その他具体的内容につきましては、今後介護労働安定センターにおきまして研究会を設けまして検討を進めるということにいたしております。
 この共済制度の水準につきましては、研究会における検討結果を待つことになるわけでございますが、公的な補償と一致させるということは難しい点があろうかと存じます。しかし、それらの制度を参考にしましてできるだけ一般の労働者並みの水準が確保されることが私ども望ましいと考えておりますが、いずれにしても研究会で御検討いただきたいと考えております。
#92
○西野康雄君 やっぱり介護労働力をいろんな面で確保していくときに、その方たちの労働条件、けがしたときはどうするんだまでひっくるめて考えてやる必要があるかと思いますし、また今後そういうところをより一層研究を進めていただきたいと思うわけです。
 家政婦の労災については、今回の法案により福祉共済制度を設けるということを今も御答弁いただきまして一歩前進というふうなことですが、私も芸人をやっておりまして、いろんなところで労災というものを考えてみるとあっちに壁がある、こっちに壁がある、なかなかいかないんですね。そういうふうなことで、さらに一歩進んで労災法を改正して特別加入の道をこういう家政婦さんたちにも開いてやるとか、そういうふうなことも必要じゃないかなと思うんですが、どうですか。
#93
○政府委員(若林之矩君) 労災保険の特別加入の制度は、もう先生たびたび御言及ありまして御承知でございますけれども、業務の実態、災害の発生状況などから見まして労働基準法適用労働者に準じて保護するのにふさわしいものであるかどうか、それから業務の範囲が明確に特定できるかどうか、これがなかなか難しいのでありますけれども、業務の範囲が明確に特定でき、業務災害の認定を初め保険関係の適正な処理が技術的にも可能なものであるかどうか、こういったことを考慮いたしまして特別加入の具体的な範囲を定めておるわけでございます。
 今回、私どもこの法案を検討いたします過程で、特別加入制度も随分議論をいたしました。労働省全体でいろいろ議論を重ねたわけでございますけれども、やはり家政婦さんにつきましては建設業の一人親方などと異なりまして、特別加入制度によって労働者に準じて保護しなければならないほどの危険、有害な就労であるかどうかという問題があります。それから、業務上外の認定を果たして適正にできるだろうか、その業務の範囲を特定する責任の範囲と申しますか、そういうのをどうやって特定するだろうか、こういったような問題がございました。こういうことでございますので、ここで新たに特別加入を認めるということになりますと事務処理の面でもなかなか難しい問題がございます。こういったことで、私ども特別加入の対象とすることは難しいという結論になったわけでございます。
 そこで、こういったような事情から国の制度として労災保険を適用するということは困難でございますので、今回新たにこの福祉共済制度というものを設けまして、この制度を積極的に普及し活用するということによりましてこういった方々のニードにこたえていきたいというふうに考えている次第でございます。
#94
○西野康雄君 近ごろは、家政婦の紹介所の中に別法人をつくるなどして直接労働者を雇い入れ、介護事業を展開している、そういうところも出てまいりました。労働者の保護の観点からはこのような形態もまあいいなと思うわけですが、このような形態転換を労働省としては私は積極的に支援していってもいいなと思うんですが、労働省はどのように考えておられますか。
#95
○政府委員(若林之矩君) 介護労働者の方を直接雇い入れまして介護サービス業を行うという場合には、事業形態としては介護サービスの請負業という位置づけになるわけでございます。これは御指摘のように、この形態になりますれば労働者はその請負業者に雇用されることになるわけでございますから、基準法等が適用になりまして労働者保護が図られるという面があるわけでございます。しかし、その労働の実態を見ましたときに、入浴サービスでございますが、これは請負でやっているのがございます。入浴のような定型的な請負になじむサービスですと比較的問題がないのでございますけれども、やはり介護労働の性格からいたしまして、介護労働者が労働に当たりまして就労している先で個々の御家庭からいろいろ個々具体的な細かい指揮命令を受けていくということになるわけでございまして、そういうことになりますと適正な請負の範囲を逸脱するということにもなりかねないという問題がございます。そうすると結果的に労働者保護の観点から問題が出てくるということになりまして、これも随分いろいろな議論をいたしたところでございます。
 こういったことで、介護労働をめぐります労働関係をどう考えたらいいのかということにつきましては、今回の法案の検討過程で関係の審議会等でも随分御議論、御検討をいただいたところでございますが、なおこの新しい介護システムのあり方を含めてそういった労働関係をどう位置づけるか、構築するか、こういったことも含めて引き続き検討する必要がある、こういう結論でございました。
 したがいまして、引き続き御議論をいただくことになるわけでございまして、労使の方々初め関係者の方々の御意見を十分踏まえてこの問題に対処していきたいというふうに考えております。
#96
○西野康雄君 事業主経由の支援というんですか、そういうふうな形で今回なっておりますね。パート労働者に対しての税制を改めて介護労働者の中心である主婦が働きやすいようなそういう控除を引き上げる等、直接家政婦さんとか介護労働者に働きかけるようなそういうふうな施策があっていいんじゃないだろうかと思うんですが、どうですか。
#97
○政府委員(松原亘子君) お答えいたします。
 パートの問題につきましては、御承知のとおり、今年度の予算案に対します四党の修正共同要求の中にも盛り込まれておりまして、それに対しましては与党から、パート問題については配偶者特別控除の創設、拡充など税制問題のほかにも、配偶者手当など給与体系一慣行、社会保障負担の求め方、企業等における経理処理等さまざまな分野にわたって多種多様の問題があるということから、この問題について多方面にわたる研究が必要であるという観点に立ちまして、政府の関係省庁においてしかるべき検討の場の設置等を行うという旨の回答が出たということは私ども承知しているところでございます。
 労働省といたしましても、パート労働力対策というのは非常に重要だというふうに考えておりまして、雇用の安定、労働条件の改善等各般の施策の推進をこれまでも図ってきておりますし、さらに今後も図りたいというふうに思っておりますが、加えまして、高齢化社会や人手不足への対応など各方面にわたる観点から、今後ともいろいろな方々の御意見を伺いながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#98
○西野康雄君 いよいよ時間がやってまいりました。最後に大臣にお伺いをしたいわけですが、この法案を見ていると、ひょっとしたら労働者の福祉向上を図ることを目的としながら、紹介所の保護をねらっているんじゃないだろうかなんて、人間疑り深いものでございますからそういうふうにもとれるんじゃないかなと思っておるわけですね。そういうふうな労働者本人の保護であったならばもう少しいろんな施策も出てきそうじゃないかなと思いますし、ボランティアを活用するだとかいろんな新たな発想みたいなものが介護労働者の確保の上において必要じゃないだろうかなと、もっといろんな発想があっていいんじゃないかなというふうなことをずっと法案を見て思ったわけでございます。
 最後に労働大臣、この法案に対しての取り組みだとか、私が今新たな発想と申し上げましたけれども、そういうふうなことについての御見解をお述べいただきたいと思います。
#99
○国務大臣(近藤鉄雄君) 介護労働力の確保に新たな発想が必要じゃないかというお話、私も賛成でございます。さっきもちょっと申し上げました」けれども、例えば家庭の主婦の方で、もう子育てが終わって時間が余っていて、いずれ御両親もいらっしゃるからその事態も予想しなければならない、そのために少し勉強しておこうというような方々がお集まりいた。だいてやっておるようであります。そして、介護サービスも研修をしていただいて、毎日は大変だけれども、よろしかったら一週間に二回だったらということで、いろんな形の介護労働者の方々を引き出すことは可能だと思います。私は、その場合にやはり町役場なり市役所なり公的な機関が積極的に入ってくることも必要だと思っているわけであります。しかし同時に、まさに民活、民間活力でやっている、そういう方をある程度考えながらやっていただく、そういう民間活力も必要かな、公的な形だけじゃなしに民間の発想があって、多少競合しながらいく、こういうことも大事じゃないか。
 そこで私は、厚生省は今おりませんが、厚生省とそれから労働省の同じ問題の取り扱いの違う点は、やはり厚生省の場合はどっちかというと病院の経営だとかマネジメントサイドでトップダウン。私はもう常に言っているのは、労働省はボトムアップだ、働いている労働者の方々の立場で雇用条件だとかその福祉だとかを積み上げていくのが労働省の立場だと、そう思っている。両方から行くのがいい、こう考えているわけでありますので、そういう点で基本はやっぱり介護労働者の方々のいろんな福祉だとか雇用条件だとか、そういったものを見ながら、しかしそこに介在してやはりそういう民間の職業紹介という方もいらっしゃるわけでありますので、その方々が介護労働者のための福祉施設をやる場合にはじゃあお金を貸しましょうとか、そういうことをやるとか、きめの細かい対応のできるフレームワークづくりをひとつこの法律でさせていただきたい、こういうことでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
#100
○西野康雄君 どうもありがとうございました。
#101
○委員長(向山一人君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
   〔理事仲川幸男君委員長席に着く〕
#102
○理事(仲川幸男君) ただいまから労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告をいたします。
 本日、庄司中君、西野康雄君及び青木幹雄君が委員を辞任され、その補欠として渕上貞雄君、吉田達男君及び藤田雄山君が選任されました。
#103
○理事(仲川幸男君) 午前に引き続き、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#104
○清水澄子君 この法律は、「介護業務に係る労働力の確保に資するとともに、介護労働者の福祉の増進を図る」という非常に大きな大前提に立っていらっしゃるわけですけれども、労働省は介護サービスを提供するという、そういう社会システムというのはどのようなものを想定されてこの法案を提出されたのか、その基本的なお考えをお尋ねしたい。大臣、どうぞお答えください。
#105
○国務大臣(近藤鉄雄君) 御指摘ございますように、まさにこれから高齢化が進んでまいりますと、介護労働に対する需要がふえてくるわけでございます。ところが、一方においてはこの介護労働者の供給が必ずしも十分でございませんので、いかに要介護者に対して必要となってくる十分な介護労働者の供給を図るかということは、これは政府のいろんな機関で研究もし、それなりの施策を進めてきているところでございます。
 労働省の立場としては、やはり介護労働をしていただく方々の雇用の安定とか改善だとか、それからそういった方々の能力の開発をさせていただくとか、それから需給の調整をしていくだとか、そういった面、またそういった方々の福祉の増進だとか、そういったことで、介護労働を行っていただく方々を中心にした介護労働力の確保対策を図りたい、これがこの法案の位置づけであると私は理解をしております。
#106
○清水澄子君 きょうは福祉について論争する場でもありませんからちょっとできないんですが、非常に私は問題だと思うのは、高齢者がふえてきたふえてきた、大変だぞと、まるで六十五歳以上の人口がふえるともうあしたから何か大変な社会になるみたいな、まず介護という問題を考えたときに、そういう日本の私は認識の前提に問題があると思っているんです。
 それは、きょうはちょっとさておきますけれども、今日の社会政策としての介護サービスというのは、高齢者はもとよりですけれども、身障者そして病弱者あるいは子供を持つ共働き家庭など、介護を必要とするすべての人々に提供されるべきものではないか、そしてその実施主体というのは、これは言うまでもなく居住地に密着した市町村による公的サービスを主軸としたものだと私は思っております。そして、さらにそれに対して、都道府県が支援の体制を整備していく、国は財政的な裏づけをもって人的配置の保障を行っていくという、それぞれの各行政機関の責任をもっと明確にしていく必要があるんだと思います。
 特に、労働行政としては、質の高い介護労働力の確保を図るために介護労働者の労働条件の改善とその社会的地位を高めるという施策が最重点になされるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#107
○国務大臣(近藤鉄雄君) まさに先生がおっしゃるとおりでございまして、いわゆる三K職場ですね、例えば看護だとか介護だとか、そういった社会的に必要とされる職場に十分な人材の確保ができないということをよく皆さんおっしゃいます、我々も言っておりますけれども。やっぱりそういったところに積極的に大勢の人々が参加していただくためには、その職場の環境がよくて、そしてしかるべく報酬があって、そしていろんな福祉その他の対策も講じられている、そういうことがなければ、幾ら福祉でここが必要だからいらっしゃいと言ったって、なかなか皆さん来ていただけませんですよね。ですから、先ほども言いましたように実際介護に働く方々の雇用関係だとか福祉だとか、そういったことを中心に置いてひとつ私どもは取り組んでまいりたい、こういう気持ちでございます。
#108
○清水澄子君 この法律の中に介護業務の定義が書かれております。ここで言う介護業務というのは、「身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行う業務をいう。」とあるわけですけれども、「その他の介護」の業務というのは、具体的に何を想定していらっしゃいますか。
#109
○政府委員(伊藤欣士君) 先生御指摘のように、介護業務の事例といたしまして「入浴、排せつ、食事」、それにあわせまして「その他の介護を行う」ということで書いてございますけれども、「その他の介護」といたしましては、具体的には例えば着がえの世話をするとか、それから体位の変換をするというようなことが考えられるわけでございます。
#110
○清水澄子君 労働省に介護の定義を聞いたら難しいのかもしれませんけれども、法律にわざわざこの三つを掲げていらっしゃるんです。本来言われている介護の定義というのは、それはもちろん入浴やそれはあるわけですが、やはり家事労働、いわゆる家事サービスですね、それと生活相談やそれに対する助言というものがこういう介護労働の中の定義としては、これは特に公的なヘルパーにはそれが法律上明確になっているんですけれども、そうするとここが非常にあいまいになっている、こういうことで業務の上でも法律で分かれてしまっているというところは非常に問題だと思います。
 ここを聞いていても、ちょっとこのまま書かれているわけですから、そういう発想がその後の法律に全部出てきているような気がするわけです。ここで、この法案の介護労働者とはどのような範囲を考えておられるのでしょうか。
#111
○政府委員(伊藤欣士君) 本法案の対象となる介護労働者といたしましては、先ほど定義があったわけでございますけれども、具体的には特別養護老人ホーム等の寮母さん、ホームヘルパー、有料老人ホームのヘルパーさん、在宅介護サービスのヘルパーさん、それから在宅の入浴サービスにおいて入浴介護に従事する人、または民営職業紹介所から紹介される家政婦さん等を対象にしているわけでございます。
#112
○清水澄子君 ですから、社会福祉事業法のもとにちゃんとした資格を持って働いている人とそうじゃない人と一緒にまぜて介護労働者というふうに見ていらっしゃると思います。
#113
○政府委員(伊藤欣士君) 介護労働者の考え方といたしまして、定義にございますように、専ら介護業務に従事しておられる方を介護労働者と考えてこの法律の施策の対象にしているわけでございますので、雇用の形態なり社会福祉施設で働いておられる方々、民間の介護サービスの事業についておられる方々、家政婦さんたちもあわせてこの法律の対象と考えておるわけでございます。
#114
○清水澄子君 今回のこの労働省の案は、先ほど厚生省の方で出されました看護婦の人材確保促進法と、そして福祉施設職員やホームヘルパーの確保を盛り込んだ社会福祉事業法の一部改正案とこれがセットだという形で出されていると思うわけですけれども、私はこの法律を三つ見ましたとき実に不思議だなというふうに感ずるわけです。と申しますのは、厚生省から出されている看護職員とか社会福祉施設職員のところの雇用管理の改善というところは直接看護婦労働者あるいは社会福祉に働く介護労働者、そういう人たちの勤務条件とか賃金とか手当を大幅に引き上げるとか、労働者自身の労働条件が改善されているわけです。ところが、同じような労働省案を見ますと、そこは事業主に対する相談と援助、助成、全部事業主に対するものになっているわけです。ですから、ここで介護労働者の労働条件の直接的な改善につながらない方が労働行政の案というのは非常に何か不思議な気がするわけです。先ほども今度の法案を通せば大変将来展望があるような御答弁をずっとされているのを聞いていて、みんなそれは本当に実効性はどうなんだろうという半分疑問を持っているんです。
 例えば、ここで研修をするといいますけれども、この案を見ますと、後に介護労働安定センターの行う研修というのがありますけれども、年間で全部合わせても全国で二百何十回の研修センターを盛り込んでいるだけです。ですから、後ほど聞きますが、ここで対象になっているのは家政婦さんだろうと思いますけれども、そういう研修によって地位を高めるといっても非常にわずかな施策だと思うわけです。その点において労働行政としてこれでいいのかどうかということをお尋ねしたい。
#115
○政府委員(伊藤欣士君) ただいま御指摘ございました、例えばということで研修の話でございますけれども、能力開発をする場合におきまして、例えば公立の訓練校で専門の介護関係の施設等で訓練をする場合、それから現在でも一部行われているわけでございますけれども、現に家政婦さんの仕事をしておられて、自己の能力を向上させるというような研修あるいはこれから介護の仕事につこうとする家政婦さんになろうとする方々に対する研修等がいろいろあるわけでございます。
 先生、先ほど御指摘になりました数字は、公立の訓練施設における数字だろうと思うんでございますけれども、例えばこの法案において介護労働安定センターで行うこととしております訓練等につきましては全体で延べ四千人ぐらいのことを開始しようとしているわけでございます。具体的には、働く婦人の家であるとか民営職業紹介事業協し、今後この能力の開発の点につきましても充実を図っていきたいと考えているわけでございます。
#116
○清水澄子君 やはり名称が介護労働者と銘打っているわけですから、大変みんなは大きなことを期待するわけですけれども、中身が非常に一部に限定されているためにとてもわかりにくい法律だと思います。そういう中で、人材確保というのは、特に介護というのは医療、いわゆる看護とやはり一体のものでなきゃならないんじゃないかというさっき同僚議員が質問しておりましたけれども、私もそれはそう思うわけです。
 それはちょっとさておきまして、私は介護労働と看護労働の価値は非常に差別があっていいものなのかという気がしているわけです。それは、同じ人材確保の法律でありながら、看護職員の法律には「国民の責務」として、「国民は、看護の重要性に対する関心と理解を深め、看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がけるとともにこと書いてあるんですね。感謝の念を持ちなさいということを法律にわざわざ書かれたものというのは、非常に不思議な法律だ、おかしな法律だと思うんですけれども、同じ介護労働者の方は介護に感謝を持ちましょうとはなっていないのです。介護労働、看護労働というのは両方ともこれはお互いに一対のもので、人の命を支えていく大切な私は労働だと思いますけれども、この法律は同じように厚生省と一緒に労働省はつくられたわけですけれども、なぜここに差別があるのかお答えください。
#117
○政府委員(若林之矩君) この法律におきます介護労働者の概念は、先ほど申しましたように、「専ら介護業務に従事する労働者」と定義をされておりまして、入浴、食事、排せつの介護等に従事する者でございますが、他方、看護婦等の人材確保の促進に関する法律におきます看護婦等とは、保健婦助産婦看護婦法に基づきます看護婦等を言うものでございますから、療養上の世話または診療の補助を行うというものでございます。
 介護労働者と看護婦等につきましては、看護婦等が資格職種でございますのに対しまして、介護労働者はそうではないということ等を理由といたしまして別の立法にしたわけでございますけれども、看護に従事する労働者と介護に従事する労働者はともに高齢化社会においてそれぞれの担当する持ち場でその特性に応じて重要な役割を果たすわけでございます。
 今先生御指摘のように、看護婦等の人材確保の促進に関する法律案におきましては、看護婦等の社会的地位の向上を図るためには、国民一人一人の看護の重要性について関心と理解を特に深める必要があるということで、国民の責務として「看護に従事する者への感謝の念を持つよう心がける」という規定を置いたわけでございますが、労働省単独ということになりますと、私ども労働者の福祉の増進を図るという観点から法律を構成しているわけでございまして、すべての職員がひとしく重要であることは申すまでもないことでございます。したがいまして、そういった観点から申しますと、特定の職種の従事者に対する感謝の念という規定をこういった労働者の福祉の増進を図るという観点の法律の中に盛り込むということは困難でございまして、ここには入ってございません。
 しかし、看護従事者でございましても介護労働者でございましても、これはそれぞれその持ち場で重要な役割を果たすわけでございまして、どちらかに差別をつけるということは全く考えられないことであると私どもは考えております。
#118
○清水澄子君 介護サービス業とは何を指しているのでしょうか、その実態と対象をお答えください。
#119
○政府委員(伊藤欣士君) 介護サービス業、いわゆる民間の事業主の方々が入浴サービス、有料老人ホームなどを経営しておられるわけでございます。その内容につきましては、シルバーサービス産業の業界団体でございます社団法人シルバーサービス振興会が実施いたしました調査によりますと、介護にかかわるサービスを提供している企業は百四十社ということで、そこを調査したようでございますけれども、従業員は約二万人、比較的小規模のところが多いようでございまして、三十人以下の従業員数の企業が合計で五四・三%ということで過半数を占めているようでございます。
 その業務の内容につきましては、入浴サービスが二七・九%、有料老人ホームの経営が二七・一%、ホームヘルプサービス一八・六%などとなっているわけでございます。
#120
○清水澄子君 この法案によりますと、どちらかといえばやはり家政婦紹介所に対する援助というんですか、その比重が大きいと思うわけですけれども、次にこの家政婦についてお伺いをしたいと思います。
 家政婦という職業のできてきた歴史的な経緯、そして今日の実態はどういうことなのかお答えください。
#121
○政府委員(若林之矩君) 歴史的な経緯を御説明申し上げたいと存じますけれども、その前に結論だけ申しますと、決してこの家政婦に対する施策の比重を重くしているということではございませんで、介護サービス業と申しますか、こういった分野につきましても手厚い助成を講じておるわけでございまして、それぞれの特性と申しますか、ニーズに応じた対策を講じているということでございまして、全体としてはバランスのとれているものだというふうに私どもは認識をいたしておるところでございます。具体的にお尋ねがございましたらまた詳しく御説明いたします。
 次に、家政婦の歴史的経緯の問題でございますけれども、戦前は派出婦、付添婦等の労務供給事業、派出制度でございまして、そういったものとして行われておりましたが、二十二年の職業安定法の制定に伴いまして、基本的には労働者保護の観点から、労働者供給事業と申しますものは労働組合が労働大臣の許可を受けて行う場合以外は禁止されて行うことができなくなったわけでございます。ただし、当時から特別の技術を要する職業につきましては、労働大臣の許可を受けて有料の職業紹介事業を行うことが認められておりまして、家政婦につきましては昭和二十六年に有料職業紹介事業の職種指定が行われたわけでございます。
#122
○政府委員(伊藤欣士君) あわせましてその実態でございますけれども、昭和六十三年の全国民営職業紹介事業協会における調査でございまして、対象は七百八カ所ということになっておりますが、民営職業紹介所に求職申し込みをしている家政婦の平均年齢が五十六歳でございます。その勤務場所につきましては、病院付き添いが七七・九%と最も多くなっておりまして、次いで家庭家事が一一・一%、家庭介護が六・六%となっておるわけでございます。また家政婦を扱います民営職業紹介所の数は、平成二年度末で全国で千二百四十四カ所になっておるわけでございますけれども、経営形態は個人経営が七一・二%ということで最も多く、次いで有限会社が二六・一%となっておるわけでございます。さらに、一紹介者当たりの平均の家政婦さんの求職登録者数は約九十人ということでございます。
#123
○清水澄子君 ところで、東京都は家政婦さんをホームヘルパー制度を補完する在宅福祉サービスの一環として位置づけておるわけです。介護サービスの提供のあり方としてはこれは非常に問題のあるところなんですが、なぜ東京ではこういうことが行われているのか。また、労働省はこの法律をつくることによってこういう東京のような形態、市町村が実施していく、そのホームヘルパー制度を援助する、補完する一環としてこれからも家政婦さんたちを広げていくというんですか、確保していくというんですか、そういうふうにほかの地域にもそれを広げていくということを考えていらっしゃるのかどうか。これはひとつ労働省と厚生省から御見解をいただきたいと思います。
#124
○政府委員(若林之矩君) 東京都の介護券システムにつきましては、これは東京都の判断によりましてホームヘルプサービス事業の実施に当たって民営職業紹介所を活用しているものでございまして、こういった事業、こういった制度をどう評価するかとかいう問題につきましては、私どもこれについて立場上コメントをするものではないと思うのでございます。
 ただ、いずれにしましても、私どもはその家政婦を初めとする民営職業紹介事業の対象労働者の雇用の安定を図るという観点でございまして、この点、短期臨時的な就労形態の家政婦さんにつきましては労働条件が不明確になりやすいといったような指摘も従来からございます。したがいまして、こういった職種の労働者につきましてのモデル的な雇用契約約款というようなものを作成して普及するというような形でその就業条件の明確化を図っていきたいと考えておりますが、その他いろいろな施策を講じまして、こういった労働条件が不明確になりやすいといった問題点についての改善を図っていきたいというふうに思っております。
#125
○説明員(中村秀一君) 先生の方から厚生省に対しまして、東京都におきます家政婦紹介所へのホームヘルプ事業の一部委託の問題について、経緯なりどういうふうに認識しているかという点についてのお尋ねでございますので、お答え申し上げます。
 まず、我が国のホームヘルプ事業の歴史と関係がございますので、そこから御説明させていただきますが、我が国のホームヘルプ事業の歴史は昭和三十七年に、それ以前から地方公共団体などで単独事業として行われてきたわけですが、昭和三十七年に国の補助事業として予算上講ぜられたのが始まりでございます。昭和三十八年に老人福祉法ができました折に、我が国の老人福祉法の中では唯一の在宅福祉対策のメニューといたしまして法定化されて今日に至っているわけでございまして、法的な公的ホームヘルプ事業の始まりは昭和三十八年であったと、こういうふうに言えると思います。
 昭和三十八年にホームヘルプ事業は始まりましたけれども、当時は国の制度は派遣対象先が低所得世帯に限定されておりまして、それが昭和五十七年度まで継続いたしておりました。この間、東京都の方におかれましては、昭和四十八年度からホームヘルプ事業を利用される家庭の所得にかかわりなくホームヘルプサービスを提供されるという事業を開始されましたので、そのときいわば国の事業の横出し的な事業としてスタートしたわけでございます。その横出し部分につきまして、家政婦協会の方と連携をしてこの事業が組み立てられたと、こういう経緯になっております。
 ところが、国の方が、先ほど申し上げましたように昭和五十七年度の半ばからホームヘルプサービスの利用対象を拡大いたしまして、一般世帯まで拡大したと、こういうことで東京都の方の事業を観念的にはと申しますか、全体的にはカバーすることになったということでございますが、もちろん制度というのは歴史的な経緯とか、実際の運営に当たってはその実態になじんでいるとか、そういう問題がありますので、東京都の方としては四十八年度から行ってきておられる歴史がある事業でございますので、直ちにこの制度について転換を図るというようなことはできないような状況でございますので今日に至っていると、こういうふうに認識しているところでございます。
 それから、このホームヘルプサービスのこういう方式が全国に広がるんだろうか、あるいは広げる意図があるかどうかと、こういうようなお尋ねでございますが、ホームヘルプサービスの事業はほぼ全国の市町村に公的な事業の方は広がっておりますし、平成元年度から、特に家事援助サービスよりも身体介護などに重点を移していく。それから、できれば二十四時間のサービス、まだまだ供給量が少なくてそこまで追いつきませんが、ニーズに応じてサービスを組み立てていくとか、保健・医療・福祉との連携とかいろいろ求められることがありますので、そういった体制にこたえていくためにはむしろ東京都方式というのは例外的な事例に属しまして、今日の段階で東京都方式をおとりになろうとする地方公共団体はないというふうに認識いたしております。
#126
○清水澄子君 では、将来こういう形態はなくしていく方向だということですね。その見通しはどうなんですか。
#127
○説明員(中村秀一君) この事業につきましては東京都の方の事業でございますし、先ほども申し上げましたように歴史的な経緯とが成り立ちもございます。またそれから、現にこういうことで動いているということもございますので、そのあり方のどういう供給形態を選んでいくかということについては、またこれらの事業は市町村の事業でございますので、まさに市町村が自己決定権を持っている。その市町村の委託を受けまして東京都がこういう方式をとっておられるわけですから、都のお話も含め、東京都とも相談していかなければならないと思っておりますが、将来の方向としては今の方式のデメリットというようなものを是正し、先ほど私が申し上げましたような在宅福祉の中心としての公的ホームヘルプサービスによりふさわしい方向に進んでいくよう、東京都とも協議を始めているところでございます。
#128
○清水澄子君 次に、職業紹介事業者というのは、家政婦紹介以外にも二十九の職種があると聞いているわけです。日本では既に三十六年前に有料職業紹介所についてのILO九十六号条約を批准しているはずだと思いますけれども、この条約の趣旨、そして批准している国の数についてお聞かせください。
#129
○政府委員(若林之矩君) 有料職業紹介事業の対象は、今先生御指摘の二十九職業でございます。
 ILOの九十六号条約、有料職業紹介条約と言っておりますが、これは有料職業紹介所を規制することを目的とするものでございまして、有料職業紹介所につきまして一定期間内に廃止するものとする第二部と、一定の規制のもとに事業を行わせるものとする第三部とが併記されておりまして、これを選択的に受諾することとされております。
 現在、二部、三部合わせまして四十カ国が受諾をいたしております。
#130
○清水澄子君 日本は、この第二部の「営利を目的として経営される有料職業紹介所の漸進的廃止」というところは批准をされていないわけです。ですから、その理由は一体何なのか。そして同時に、こういうILO条約が採択され、また日本も批准をした理由には、こういうやっぱり前近代的な雇用形態、労働形態を改めるものという、そういう認識の上に立たれていたのだと思うわけです。これらと今度の法律の中で、もちろん家政婦さんたちの有料職業紹介所は現在認めているわけですけれども、もう少し今日の労働形態というのはもっと近代的なものに変えていかなきゃならないと思うんですが、その点で二部のところを批准していない理由と、それからこの法案がたとえ通ってもこういうシステムが残っていく、そして結局家政婦さん一人一人の労働条件の改善にはつながりにくいということ等の関連でどのようにお考えになるか、お答え願います。
#131
○政府委員(若林之矩君) 第三部を受諾している国は、我が国を含めまして現在十カ国でございます。
 我が国におきましては、職業紹介につきましては、公共職業安定所が無料で行うことを原則といたしておるわけでございますけれども、特別の技術を必要とする職業につきましては、労働力需給の円滑化、効率化を確保する観点から、一定の職業につきまして有料職業紹介事業を認めて公共職業安定所の機能を補完させることが適当であるという考えから、一定の規制のもとに有料職業紹介事業を認めるこの第三部を受諾いたしまして、迅速かつ適切な需給調整を図りますとともに、事業が適正に行われますように職業安定法に基づく規制を行いまして指導に努めておるところでございます。
 この第二部の受諾につきましては、我が国において現在有料職業紹介事業が円滑かつ効率的な労働力の需給調整に果たしている役割にかんがみまして、受諾することは考えていないわけでございます。この三部と二部とはいわば全く選択でございます。そして、例えばアメリカとかカナダとかイギリスとかオーストラリアとか、こういうところは批准はいたしておりませんが、民営職業紹介事業を認めておるわけでございます。ですから、こういう事業形態そのものが前近代的というような評価は、私はできないのではないかというふうに思うのでございます。
 ただ、もとよりこういったような有料職業紹介事業というものが適正に運営されることは必要なわけでございまして、そういった意味でこれまでも指導監督に努めてまいっておりますけれども、今後もその努力を重ねていきたいとふうに考えております。そして、仮にいろいろと改善すべき点があるということであればそういうものを改善していくというようなことで、この有料職業紹介事業のより適正な運営を図ってまいりたい、こういうふうに思っております。
 今回、この法律を提案させていただきまして、これまでのいわゆる家政婦さんという方々につきましては、個人の御家庭に雇用されるということでございますので、なかなか雇用管理という面での手が行き届きかねているという点があったわけでございますけれども、今回の法律で、職業紹介事業者に対しまして福祉の向上のための措置を講ずることに努めるという、いわば責務を課したということ。そして、これに伴いまして国としてもいろいろな助成を行うということによりまして、よりこの紹介事業所をめぐります労働環境と申しますか、こういったものが改善されていくように進めてまいりたいと思っておるところでございます。
#132
○清水澄子君 今おっしゃっているように、現在の家政婦さんの働く条件というのは、大変重い仕事をしながら労働基準法の保護も受けられない労働者であるということです。ですから、労働基準法が禁止している三十キロ以上の重量物を持ち上げてはいけないと一方ではあっても、この方々はそれを毎日やらなきゃならないということになったり、それからいわゆる食事の時間、睡眠時間というのもゆっくり与えられない。
 特に、先ほど家政婦さんの実態の中で、病院の付き添いが八〇%近くという数字をおっしゃいました。これは、実際私たち自身も経験しているわけですけれども、病院の付き添いというのは二十四時間本当にべったり付き添いなんです。ですから、こういう形の労働形態というのは、やはりこれはもう少し近代化しなければ、本当の意味の介護労働者の雇用の安定とか、それから確保とか、社会的地位を高めるといっても、これでは今後介護労働というイメージはこういうところで問題があるし、さまざまなこういう労働の仕方をする人たちがそのままいるというのは病院の中でも非常に大変です。ですから、どうしてもこれは改善されなければならないんじゃないか。
 同時に私は、労働省に介護サービス、介護労働のあり方をどう見ているのかということを何回もお聞きしましたのは、幾ら個人の雇用とはいえ本当のホームヘルプサービスというのは、二十四時間体制というのは、いろんな形のサービスが二十四時間いろんなところで受けられるという社会福祉システムが確立されていて二十四時間体制の介護サービスを受けるのであって、一人の人がべったり二十四時間づきっきりで、そこでその人と三カ月とか四カ月という契約をしていく労働というのはこれはどうしても矛盾があると思いますし、これは将来的には何とか変えてい。かなきゃならない、そういう労働のあり方だと思うわけです。しかし、この法律はそこには届いていない。むしろこれまでのシステムを前提にした上で、事業者を通して少し間接的な福祉を提供するというものであっていいのかどうか、その点を私は最後に御質問したいと思います。
#133
○政府委員(若林之矩君) 家政婦さんの従事しております。務の実態は先生の御指摘のとおりだというふうに思います。家族の方とともに、あるいは家族の方にかわって二十四時間付き添っていかなきゃならないというような場合もあるわけでございますし、平均年齢は五十六歳ということでございます。したがいまして、こういうふうに高齢化した家政婦さんがこういったような仕事に従事しているその肉体的あるいは精神的な負担、苦労というものは大変に重いものがあると私どもも考えておるわけでございます。そして、もしこうしたような就業環境が続くといたしますと、これは職業としての魅力を欠くことになるわけでございまして、新たな就業者の方々が参入してくるということも期待できないわけでございます。そうすれば、現在の高齢の家政婦さんの負担もさらに重くなる、こういうことであろうかと存じます。
 そこで、今回の法案でお願い申し上げておりますことは、介護に係る雇用管理の改善を図りまして、職業としての魅力を増して必要な介護労働力の確保に資するということでございます。そういうことで就業者の方がふえてまいりますれば、ただいま先生がおっしゃいましたようなペア紹介と申しますか、こういったことも一つの方式として可能になるわけでございますし、それは家政婦さんの負担を軽減することにもなるわけでございます。また、私どもモデル的な契約約款というものをつくりまして、家政婦さんの働き方について十分契約関係を明らかにしていくということも普及促進していきたいというふうに思っております。そういったことでこれらの方々の労働条件の改善を図っていきたいというふうに考えておりまして、先生の御指摘くださった点と同じような認識を持ってこの問題に取り組んでいくつもりでございます。
#134
○清水澄子君 そうでありますならば、むしろこれから本当に家政婦さんたちが安心して働けるような、それから質的な職業訓練も受けられるような、そういう社会的地位を獲得していくような公的責任が明確になっているホームヘルパー制度に将来一本化していく、そういう方向性を持つべきだと思いますけれども、これについてはどうお考えになりますか。労働省と厚生省にお尋ねします。
#135
○政府委員(若林之矩君) 家政婦さんの仕事につきましては、長い歴史を持っておりまして、現場の介護について非常に根づいている仕事の仕方でございます。これはいわゆる個人の御家庭におきましてもそういったニードは大変高いわけでございますし、こういった仕事に従事している方も多くおり、またそれに従事しようという方もおられるわけでございます。
 また、こういう方は、紹介所に対する帰属意識も大変強いわけでございまして、いわば紹介所と家政婦さんが一体としてこの事業を支えているというような現状もあるわけでございますから、私どもはそういったような現状を前提として、今後必要とされる介護労働力というものを、こういった家政婦さんが十二分に活躍して支えていけるようにその職場環境と申しますか、それを改善していくということが求められているのじゃないだろうかというふうに考えております。何でもかんでも現在の形を肯定するということではないわけでございまして、いろんな面で改善をしていかなきゃならないというふうに考えておりますけれども、そういったような改善を図りながら、この制度がより介護労働という局面で大きな役割を果たしていくようにしていくべきものというふうに考えております。
#136
○説明員(中村秀一君) 家政婦さんにつきまして、雇用の形態で公的ホームヘルプサービスに組み込んではどうか、こういう御指摘だと思いますが、基本的な認識で申し上げますと労働省と同一の認識でございます。
 つまり、これから非常に介護ニーズがふえるわけでございまして、私ども公的福祉として基礎的なサービスにつきましては、先生方からも常に御指摘いただいておりますように、市町村の責任できちっとした体系をとりたいというのはもちろんでございますが、ほかの介護サービスあるいは家政婦さんというような格好でのサービスについてのニーズがあり、そういうサービスを求められる方があり、かつ職業選択の自由がございますので、当然のことでありますが、家政婦さんとして働きたいという人がいる以上、それを無理に転換するということはちょっと現実的ではないんではないかと思っております。
 もちろん、公的福祉として多くの介護マンパワーが必要でございますので、公的なホームヘルパーさんとして就職されたい、あるいは働きたいという方については、積極的に門戸を開いておりますし、歓迎させていただきますが、このような別な意味でのニーズがあり、かつ収入の点でも家政婦さんの方がいいというようなことで、そういう形態の職業を選ばれる方があるのであれば、その方の立場を尊重すべきではないかと思います。
 なお、多くの家政婦さんは、付添看護婦という形で病院に勤務されておりますが、そういう病院の医療サービス、看護サービスの供給体制として院内の介護力、看護力が弱くて、そういう中で付き添いという形態がいいかどうか。おるいは国民皆保険のもとで、付添看護婦さん、付添さんをつけた場合に個人の負担が重くなるのでそういうことがいいかどうかという議論は、今の家政婦さんを雇用の形で公的ホームヘルパーに転換すべきではないかというものとは別の次元の問題として議論すべきではないかというふうに考えております。
#137
○清水澄子君 ですから、家政婦さんの労働のあり方、存在というのは、非常に重要な大切な仕事をしながら、いろんな問題を抱えていますから、今後ぜひ本当に根本的にこの人たちの雇用の安定が図られるような、そういう対策を緊急にお願いしておきたいと思います。
 そして同時に、もっといろんな角度からの発想があってもいいというのは、さっき西野さんも言っていましたけれども、私もそう思います。特に、家政婦さんだけじゃなくて、介護労働というのは女性が割合にこの労働につきます。ですから、介護労働に当たる女性の労働を余りむだに使わないように。例えば、スウェーデンなんかでは、週十六時間とか十七時間内で働いているそういう人たちは、女性だけじゃないですがほとんど女性です。そういう人たちの働いた時間を個々人のカードに記録していって、そして三年間たつとそれが付加年金に支給されるとか、いろんなことが工夫されています。ですから、もう少しそういう新しい方法も取り入れていただきたいと思うわけです。
 もう時間がなくて、あとはいろいろ魅力ある職場のところをいっぱい言いたかったんですけれども、最後に私は、労働省というのは介護労働者の労働条件を高めていくということと同時に、やはり働く労働者全体の介護のためのさまざまな福祉、その両面をつくって充実していく役割があると思うわけです。
 そういう中で、まず一つは家庭生活と職業生活をともに生きるという形の中で、特に均等法絡みで介護休業の法制化ということが大きな課題になっておりますけれども、その問題についてはどういうふうになっているのかということをお答えいただきたいのと、あわせて最後に、私は大臣に、そういう介護休業の法制化を含めて、全労働者が本当に職業生活と家庭生活の両立が可能な質のよい介護サービスを受けられるような、そういう介護の需給システムをもっと明確に新しいものを展望していただきたい。そして、介護に働く人々の権利がちゃんと保障されていく、同時に介護サービスを受ける側の人々の権利も確立する。それがやはり福祉というものが人権として確立されていく、両面からやはり考えていくべきで、一方は私の方ではわかりませんなんて言うんじゃなくて、介護労働者の雇用の管理とか労働条件というのはそういう両面を持っている。特に、労働省の場合は両面から考えていただきたいと思いますので、ぜひ労働大臣が人権としてこれを確立していくんだというビジョンと御決意を最後にお願いしたいと思います。
#138
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生も御指摘あったわけでありますが、我々最終的には要介護労働者になるわけです。ですから、そういう点では介護労働問題というのは勤労国民すべての問題に最終的にはなる、こういうことでございますので、私どもがいわば人生を全うするためにもこれはきちっと手当てをしていただく必要がある。しかし、それがちゃんとできるためにはそうした今度は介護をする方々の雇用条件とか福祉条件というものがちゃんとしなければそれはできない、これがこの法案を出している趣旨でございます。
 同時に、片一方ではやはり家族による介護ということも大事になります。ですから、介護休業問題ということについても我々実際に実績を踏まえながらいろいろ検討中でございますので、そうした面で介護問題というのはやはり労働行政の非常に大きな課題であると、こういう考えでこれからもいろいろ先生から御指導を受けながら取り組んでまいりたいと考えております。
#139
○中西珠子君 今回の法案をお出しになりましたことにつきましては、やっと出てきたという感じを持ったわけです。というのは、急ピッチで欧米に比を見ないほどの速度で進んでいる人口の高齢化の中で長寿社会に対する総合的な政策が後手後手というか立ちおくれの感があったわけでございます。殊に、平成元年十二月に高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランをおつくりになりまして、その後積極的にどのような対策が講じられるであろうかと考えておりまして、徐々に少しずつやってはいらっしゃるのでしょうが、労働力不足基調の中で殊に看護婦さんが非常に足りない。ある病院に至っては病棟を閉めなきゃならないほど足らないとか、それから看護婦さん以外の介護労働者の方々も非常に不足しているということが言われている中でやっと今回介護労働者の確保に関する法律が出てきたわけでございます。
 一方、厚生省の方でも看護婦の不足をカバーしていく、また確保をしていく人材確保のための法律もお出しになってそれが成立したわけでございますけれども、とにかくちょっとこの法律を拝見したところで、現在はもう寝たきり老人が七十万もいる、また在宅の痴呆性老人というふうな者も七十四万人もいる。このゴールドプランの目標年次であります平成十二年には、それがそれぞれ百万になり百十二万になるということが推計されているわけでございますけれども、高齢者ばかりでなく心身障害者の方もやはり介護のための労働力を必要としている。こういった中で、この法律で果たして介護労働力を確保できるのかという大変疑問を持ったわけでございます。
 いろいろこれまで同僚議員の方が御質問になりましたので、私はちょっと法律に則しましてお聞きしたいと思いますが、第六条に労働大臣が介護雇用管理改善等計画というものを策定される、こういうことになっておりまして、またこれはあらかじめ厚生大臣と協議される、そして中央職業安定審議会の意見を聞くことにする、こういうふうになっておりますが、一体どのようなことを具体的にこの計画の中にお入れになるおつもりなのかお伺いしたいと思います。
#140
○政府委員(若林之矩君) 介護労働者対策を円滑かつ効率的に実施してまいりますためには、介護労働者の雇用の動向を基礎に対策の総合的かつ長期的な施策の目標、方向を明らかにすることによりまして、その実施に当たる行政機関等に対しまして行政運営に当たっての適正な方針を示すことが必要でございます。この行政運営上の方針を示すのが介護雇用管理改善等計画でございます。
 この計画におきましては、第一点といたしましては、介護労働者の雇用の動向に関する事項でございまして、この事項といたしましては、介護労働者の雇用を取り巻く経済、社会の動向を示しますとともに、介護労働力の需給の動向を示すことといたしております。第二点といたしましては、介護労働者の雇用管理の改善を促進し、並びにその能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項でございまして、この事項として、介護労働者について事業主が行います雇用管理の改善に係る措置を促進するための国の施策の推進方法及び公共職業安定訓練施設の充実の方向及び内容等を示すことにいたしております。第三点は、その他の介護労働者の福祉の増進を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項でございますが、この事項といたしましては、家政婦の福祉の増進を図るための国の施策の推進方法及び介護労働力の需給調整機能の強化の方向と内容等を示すことにいたしております。
 以上がこの計画の具体的内容でございます。
#141
○中西珠子君 介護労働者の福祉の増進、また雇用管理の改善というものを、まあ職業紹介者というふうに言っておりまして、家政婦会の会長さんというふうなそういう人たち、また社会福祉施設、殊に老人福祉施設なんかを経営している人たち、それからまたシルバーサービスというか介護のサービスを提供する業者、そういった人たち、いわば使用者には当たらない者もおりますね、職業紹介をやっている家政婦会の会長さんなんというのは使用者には当たらないんでございますけれども、そういう人たちに対する相談援助、また債務の保証とか、それから助成とか、そういったことをなさるということは非常に結構なんでございます。また、雇用管理の改善のためにいろいろ研修をなさるということも結構なんでございますけれども、そういう雇用管理の改善のために、労働者自体に直接的には及ばない、環境をよくしていったり、それから福利厚生の施設をつくっていったりすることによって間接的に労働者が潤うというやり方で雇用をふやすことができるか、また介護労働力を確保することができるかということがちょっとなかなか理解に苦しむ面があるわけです。
 例えば、家政婦さんたちはそう給料は悪くないけれども、いわゆる紹介料というのを取られていて、そして小さな自宅を改造したようなところで寮生活をしているような人もいますし、そういう福利厚生の施設のために、また働く環境をよくしていくために債務保証なんかをするということにもなっていますけれども、一体限度額なんていうのはどのようにお考えになっているかというふうなことも大変疑問に思っているわけです。それからまた、例えば社会福祉事業、老人福祉の施設なんかで寮母さんなんかをやっている人たちは、結局そこから責任者が出てきてそして雇用管理の改善のために一生懸命研修を受けるというふうなことになっておりまして、ちょっといろいろ調査がありまして、社会福祉協議会なんかがやった調査の中では、寮母さんなんかの一番不満に思っていることというのは賃金、給料が低いということです。給料が低いというのが出てきたのは全国の社会福祉協議会の調査なんですが、東京都の社会福祉協議会の調査におきましても、やっぱり給与、労働条件それから福利厚生の改善というものを挙げているわけです。
 これはそれぞれ労使間で決めたり、また一応看護婦やなんかの会がございますからそういうところで決めたりするんですけれども、労働省の方の管轄である社会福祉事業の方の、例えば老人福祉施設の寮母さん、この人たちは一体どのくらいの給料を取っているんでしょうか。これは、措置費という中から人件費が幾らと割り当てられていて、また職員の配置基準というのもあってそういうところから出てくるんじゃないかと私は思っているんですが、その点に関して厚生省の方でちょっと御説明をしていただきたいと思います。
#142
○説明員(中村秀一君) 先生のお尋ねの老人福祉施設などにおきます寮母さんの給与の水準の件でございますが、仕組みといたしましては、例えば特別養護老人ホームでございますと、五十人の入所定員の施設の場合には、国の基準では、職員の配置基準につきましては五十人の入所者に対しまして二十三人の職員の方を置いていただく、こういう基準になっております。その職員の方は総数二十三人で施設長、生活指導員、寮母、看護婦、栄養士、介助員、調理員、医師といったような職種に応じまして職員の配置基準が決まっているわけでございます。その二十三人の職員につきましてそれぞれ勤務の長さ、それから看護婦さんと寮母さんでは受けてこられました専門教育とか養成期間の長さの差などもございますので、平均的な施設に従事される形態、そういったものを考慮いたしまして一人当たりの国の補助基準を決めております。これが先生の今お話にありました措置費と言われるものでございます。
 特別養護老人ホームの寮母さんにつきましてその決め方を申し上げますと、全国の平均をとりますと、寮母さんの典型的な像といたしまして、高等学校を卒業されて十二年勤務されているということで、高等学校を卒業されて十二年勤務している国家公務員相当の賃金ということで積算をいたしておりますが、寮母さんの業務形態につきましては夜勤もある、それから大変御苦労な仕事もされているということで、特殊業務手当ということで普通の公務員の手当に一六%を加算するというような加算もいたしておりまして、今の基準で申し上げますと年額四百八十七万四千円、こういうふうになっております。
 先ほど二十三人職員がいると申し上げましたが、こういうような格好で各職種決めまして、その二十三人分を施設に一月当たりでしたら一月当たりということでお渡しするわけでございます。もちろん、施設によってはその施設の建てられてからの長さ、職員の方の年齢の構成の違いとかそういうものはございますが、平均的な基準でお支払いしておりますので、その中でどういう配分をするか、どういう給与水準を決めてお支払いするかというのは施設の方にお任せをしているというような状況でございます。ただ、基本的には国家公務員に準拠いたしまして、ただいま申し上げましたように、職種ごとに学歴や勤続年数を勘案してお支払いしていると、こういうことになっております。
#143
○中西珠子君 そうすると、給与改定は公務員に準拠しているとすれば人事院勧告に従っておりますか。
#144
○説明員(中村秀一君) はい、毎年の人事院勧告に応じて改善をいたしております。もちろん、そのほか例えばいろいろな意味での制度改善とかそういうことはやらせていただいておりますが、基本的には人事院勧告に従ってアップをいたしております。
#145
○中西珠子君 それからホームヘルパー、こういった人たちの賃金というのはどのようにやっていらっしゃるんですか。
#146
○説明員(中村秀一君) ホームヘルパーにつきましては、これは在宅福祉サービスであるということで昭和三十八年からホームヘルプ制度は老人福祉法の制度として位置づけられていたわけでございますが、何分我が国の社会事業制度上ホームヘルプサービスが社会福祉事業というふうに位置づけられましたのは、二年前の老人福祉法を初めといたします福祉関係八法の改正によって初めて在宅福祉サービスも正面から社会福祉事業と位置づけられるというようなことで大分歴史が違う形態になっております。
 したがって、賃金につきましては、基本的には人事院勧告に従って毎年改善をしてきたわけでございますが、歴史的な経緯がありまして、非常に低い定まった額の賃金で実は平成元年度まで推移してきておりました。平成元年度にそういうことではいけないということで、賃金アップも図るということで介護従事型のヘルパーさんの賃金を設定いたしまして、従来の家事型のヘルパーさんに比べて一・五倍の賃金を設定したわけでございますが、それでもまだ賃金水準が低いという御指摘がありましたので、実は平成四年度からホームヘルパーの賃金については大幅な見直しを行いまして新しいルールでホームヘルパーの手当については賃金水準を設定いたしたところでございます。
 基本的に申し上げますと、ホームヘルパーさんの勤務形態は二つに分かれます。一つは常勤型のホームヘルパーさん、それからもう一つは非常にパートの労働の方が多いということで、二つに分けまして、常勤のホームヘルパーさんにつきましては国で実態調査をいたしまして、その実態調査などに基づきまして基本的にはそのホームヘルパーさんの平均の水準を勘案いたしまして、平成三年度に常勤型のホームヘルパー手当といたしまして普通のホームヘルパーさんについては三百十八万円を基準にして実態に応じてお支払いをするということになっております。
 実態に応じてと申しますのは、従来の介護型のヘルパーさんでございますと三百六十二万円程度の平均の水準になりますので、その三百六十二万円にさらに勤務の長さとかそういうものに応じてお支払いできるように、つまり大体そこのヘルパーさんのいただいている、支払われている手当について国が補助できるような弾力的な運用をするというものでございます。このほか、チーム方式の主任のヘルパーさんにはさらに六十三万円を加算するとか、要するにこれまでのホームヘルパーの手当を改善いたしまして常勤型のヘルパーとそれからパート型のヘルパーと手当を二つに分けたということでございます。常勤型のヘルパーさん、パート型の単価につきましては従来どおり人事院勧告に従って改善を図る、こういう方式を採用することといたしております。
#147
○中西珠子君 最近になって非常に改善が図られたということで結構でございますが、とにかくこういうホームヘルパーやその他の社会福祉施設で働く人たち、そういった人たちの雇用管理の改善というのはやっぱり賃金抜きには考えられないのではないかと思いますので、今厚生省が最近なさった改善をお伺いしたわけです。
 とにかく、労働大臣が雇用管理の改善等の計画をおつくりになって、そして労働省の方の管轄の中の介護労働力に対してはいろいろなさるわけですけれども、その前に厚生大臣と協議すると書いてございますから、関係を密にして厚生省と労働省で本当に介護労働力、また看護婦の賃金、労働条件をよくする、そして雇用の改善を図っていただきたいと心から切望しているわけでございますので、これはこちらの所管これはこちらの所管とおっしゃらないで、有機的に御相談をいただいてやっていただきたいと思うわけです。厚生大臣と協議なさって、それから今度は中央職業安定審議会の意見を聞くんですね。
 この中央職業安定審議会の女性委員の比率をお聞きしたいのです。と申しますのは、介護労働者というものはほとんどが女性でございますし、女性の声がいかに反映されているかということが非常に重要なことだと考えます。また、労組代表もこれは三者構成ですから出ていらっしゃると思うんですけれども、その労組の代表の中に女性の代表がいるかどうか。
 伺うところによりますと、慶応大学の佐野陽子先生が学識経験者の公益委員の方に入っていらっしゃると伺いましたけれども、二十一名の委員の中でだった一人、その方だけが女性ではないか、こう思っているわけです。ですから、何とかこれをもう少しふやしでいただきたい。労組からいらしている方も一人も女性がいないというのはちょっとおかしいし、とにかく女性の意見をもう少し取り入れていただきたい。働いている人たちは女性がほとんどなんですから、どうぞそれをお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
#148
○国務大臣(近藤鉄雄君) 実は、国の審議会等委員への婦人の登用を促進するという、昭和六十二年五月策定の西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画では、委員の大体一五%は女性を据えると、こういうお話でございます。
 今お話がございましたように、中職審は佐野先生お一人、公益代表としてお願いしているわけでございますが、御案内のとおりこれは三者構成でございますので、組合の代表の方、雇用主団体の代表、人選に当たってそれをお一人お一人出していただけると二十一名掛ける一五%でちょうど三人になる、こういうことでございます。私が聞きましたら、まだ残念ながら労働組合及び雇用主団体の女性の御推薦がないようでございますので、公益代表お一人と、こういうことになっているようでございます。
 私も今後いろいろ機会を見て、いわゆる三者構成の雇用主団体、労働組合団体の方にも積極的に女性の委員を御推薦いただくようにお願いしてまいりたいと思います。
#149
○中西珠子君 よろしくお願いいたします。
 さっきちょっと簡単な聞き方をしましたので御答弁を後にいたしましたけれども、介護労働者の福祉増進のために施設設備を設置し整備する事業主、職業紹介者などに資金の貸り入れにかかわる債務保証をなさるのは大変結構なんです。助成というのは、予算の中に出ているのを拝見しましたけれども、大体余り大きくないという感じを受けたんですが、債務保証の方は限度額は幾らぐらいなんですか。東京都とかそのほかの都市の中で寮をちゃんとつくってやろうとか、いろいろ福利厚生施設をつくるというのはすごいお金がかかるんじゃないかと思いますが、どのくらいを限度として債務保証をなさるおつもりですか。
#150
○説明員(野寺康幸君) 七千万でございます。
 もうちょっと詳しく申し上げますと、住宅でございますとか福利厚生施設でございますとか、いろいろなケースがございますけれども、七千万で保証期限十年というふうになっております。
#151
○中西珠子君 第三十二条、雇用促進事業団が介護労働者の福祉の増進を図るために行う業務の中で、ずっと書いてございますが、第五号というのは「前各号に掲げるもののほか、」、「必要な業務であって政令で定めるもの」と書いてございますが、その政令の内容はもう既にどのようなこととお考えでいらっしゃいますか。
#152
○政府委員(伊藤欣士君) 家政婦の福祉の増進を図るために介護労働安定センターが行います家政婦の職業生活の安定を図るための援助事業、介護労働者福祉援助事業と言っておるわけでございますけれども、これを普及、定着させることが有益でございますが、そのためには家政婦の方々と実態的に結びつきの強い職業紹介事業者、紹介所の所長さん方が介護労働安定センターの行う事業、介護労働者の福祉増進援助事業に協力していただくということが不可欠であるわけでございます。そういうことで、雇用促進事業団に介護労働安定センターの行う福祉増進援助事業に協力する職業紹介事業者、紹介所長さん等に対する助成を行わせることとしたものでございます。
 したがいまして、その意味で政令では介護労働安定センターの行う家政婦の職業生活の安定を図るための援助事業に協力する職業紹介事業主に対して必要な助成を行うということを定めたいと考えているわけでございます。
 なお、その具体的な助成の内容につきましては、今後検討していくことといたしておりますけれども、おおむね介護労働安定センターが実施いたします介護労働者の福祉増進援助事業の運営事務を分担する、共済制度等の事務を分担していただきます紹介事業者に対しまして、援助事業に加入している家政婦の数等に応じて事務費の一部を助成したい、具体的にはそういうふうに考えているわけでございます。
#153
○中西珠子君 家政婦さんは、「職業紹介事業者」とここに書いてあります家政婦会の会長さん、その人とは雇用関係にないわけです。ですから、共済制度を導入なさるのは大変結構だと思うんですけれども、共済制度を導入したときに共済の掛金を払うという義務は全然この人にはないわけですし、それから今度は雇用主というのが、例えば家庭に行った場合は家庭の所帯主、それから病院に行ったときは患者もしくはその患者の家族ということになるんでしょうけれども、そうすると労使折半で共済掛金を払うということができなくなるわけです。
 そうすると、結局向こうで家庭なり病院なりに行ったときの雇用主と考えられる人、それも長期じゃなくて一週間なんという短いのもあるでしょうし、二、三日ということもございますでしょうけれども、そういう事実上雇用主となる人、そういう人から掛金をなるたけ出してもらうように奨励なさるおつもりらしいんだけれども、そうすると雇用関係には一応ない職業紹介事業者、これは有料職業紹介ですから、一応一割なんて決まってたって、さっきもお話ありました一五%とか、二〇%とか、そういうひどい取り方をしているところもあるらしいんです。そういう人たちが果たしてどの程度協力してくれるかということは難しい問題だと思いますので、これは本当に協力させるためには周知徹底、それから啓発しなきゃいけない、指導もしなきゃいけない、そして助成もするということはこれはいいことだと思うんです。
 だから、今この政令の中身をお聞きして、一生懸命やっていただきたいという思いでいっぱいでございますけれども、なかなかこれは大変な仕事でございまして、小さい家政婦会もあるし、大きいところもないわけではないんですけれども、今までそういうことに慣れてないところだから、もう新しい仕事に大きな仕事に挑戦なさらなくちゃいけないと思うので、大臣初め労働省は大いに頑張っていただきたいと思うわけです。
 それから、介護労働安定センターの中で相談援助という業務があります。この相談援助がちょっと私のところで御説明いただいたときには、事業主やそれから職業紹介事業者、そういった人たちが来たときに相談援助に応じるので、雇用の改善のため、雇用管理の改善のため、そういった相談にむしろ応じてやっていくのだというお話だったんですが、そうすると不平不満を言って訴えに行った介護労働者はだめなんですかということになるのかと思いましたけれども、けさの安定局長の御答弁聞いてますと、そういう人たちも相談に応じてやるんだとおっしゃったような気がしたのでもう一度確認させていただきたいと思います。
#154
○政府委員(若林之矩君) 事業主の方々に対します雇用管理の指導援助、こういうことをやろうと思っているわけでございますけれども、この介護労働安定センターにおきましては、ただいま先生御指摘のような家政婦さんのいろいろな苦情も受け付けまして、そしていろいろと私どもとも連携しながら紹介所を指導していくということをしたいと思っております。
 また加えまして、利用者でございます個々の御家庭の方々のいろいろな苦情、御希望もありましょうから、そういうものも受け付けまして事業の改善の材料にしていきたいというふうに思っております。
#155
○中西珠子君 中央職業安定審議会の平成四年一月十七日の建議の中で、審議会は、看護・介護労働者の不足というものは、これはもう社会福祉や保健医療分野の問題であるばかりではなくて、一般労働者が、介護・看護労働者が不足しているとどうしても自分自身で老親などの看護を行うために休職や退職を余儀なくされることになる、だからこれは全産業の労働力確保にかかわる重要な問題であると、こう言われているんです。
 それから、それ以上には踏み込んでおっしゃっていないんでございますけれども、介護労働力研究会の方の報告書にはちょっと触れられておりますが、介護労働力の確保対策と並行して、一般の勤労者が老親の介護をするために、仕事と介護の両立を何とか可能とするような条件整備ということが必要だと思うんです。早く言えば、介護休暇とか、それから一月とか二月とか長いときは一年とか、そんな長い休暇をとれなくても、例えば要介護者の状況によっては病院に連れていってそしてそこに入れていただければ後は何とかなるというふうな人もいて、入院のときに半日介護の時間をもらうとか、それからまた一週間に一回ずつ介護の時間をもらうとか、そういうふうなやり方でもやっていけるという、そういう人たちもいるだろうと思うんです。
 ですから、介護休暇という長い連続的な休暇を、それも一日全日制でとる、それで引き続き二カ月、三カ月、一年ととるばかりではなくて、やっぱり時間的に遅く来たらいいんだ、また早く帰らせてもらえればいいというふうな、いわば悪い目で見れば遅刻、早退になるような、そういうやり方ではなくて、介護労働時間としてそれを与えてあげる、また労働者の側から言えば権利としてそれを行使させていただくという、こういう少し多様性を持たせた仕組みが要るのではないかと思っているわけでございますが、介護休業と言ってしまうと労働省のお考えでは所得保障を全然伴わないものを休業とお呼びになっているわけですか。
 今介護休業を促進する運動を労働省の方でやっていらっしゃるとお聞きしておりますが、今申し上げた介護時間と言われるもの、それから介護休暇と言われるものについての労働省のお考え方、それからどのように推進していらっしゃるかということについてお伺いしたいと思います。これはやっぱり婦人団体の方で、介護するのは女の人がほとんど多いんだから、介護休暇というまとまったものでなくていいから介護時間というものをどうしても欲しい、こういう要望が私どものところにも随分寄せられておりますので、局長からでも大臣からでもお聞きしたいと思います。
#156
○政府委員(松原亘子君) 労働者が家族の介護をしなければいけないというような状態になった場合にどういう対応をとるか、さまざまあううかと思いますけれども、その中の一つとして、企業がそれを支援するということも非常に重要なことだというふうに私ども思っております。
 そういうことから、平成二年度から介護休業制度というものについての社会の認識を高めるということでシンポジウムなどの開催をやってきたわけでございますが、今先生いろいろ御指摘になりましたように、介護の必要性というのはその要介護者の状況によってさまざまでございますし、介護をする人も、その人でなければ介護者がいない場合もありますし、そうでなくていろいろ兄弟の中で分担できるような場合もあるだとか、さまざまな状況がございますので、これを具体的に進めるにはやはりガイドラインをつくる必要があるだろうというふうに私ども考えまして、現在もう最終コーナーでございますけれども、このガイドラインの作成をいたしているところでございます。
 これをつくりまして、それをもとに普及指導をしたいというふうに思っておりますが、そのガイドラインの検討に当たりましては、一定期間といいますか、かなり長期に継続して休むということのみならず、例えば育児休業等に関する法律の中にも、育児休業を取らない人のための措置といたしまして、勤務時間短縮制度というようなことを一つのオプションとして書いてございますけれども、ああいったものも含めまして検討を今いたしているところでございます。
#157
○中西珠子君 一言。休業というのは所得保障を伴わないという意味があるんですか。そういうコノテーションが労働省ではあるわけですか。
#158
○理事(仲川幸男君) 時間が過ぎておりますので、明快な御答弁を願います。
#159
○政府委員(松原亘子君) 休業の意味が必ずしも所得保障が厳密な意味でないとかあるとかということでは、ないと思いますが、この育児休業の場合もそうですし介護の場合もそうですけれども、当面、休業というのは休むことができるということに着目して進めたいというふうに私ども思っておりまして、所得につきましてはできれば労使でお話し合いを進めていただくということが適切ではないかというふうに当面は考えているところでございます。
#160
○国務大臣(近藤鉄雄君) 一言だけですが、私も先生のお考えに全く賛成でございます。休むだけがいいわけじゃないんであって、こちら側の時間とそれから必要な、そういうものをいかにうまく調合するかということで、私は、一般に言われるフレックスタイムとかそういったいろいろなことをこれから考えて、八時から六時までというそういうのが基本労働であって、あとは何か二次約三次的労働という形じゃない新しい勤労形態、就業形態があっていいということでございますので、いろいろ検討させていただきたいと思います。
#161
○中西珠子君 ありがとうございました。
#162
○山中郁子君 本法案は、その目的とするところ、つまり趣旨について、今後介護労働力の需要が増大することにかんがみ、介護労働力の確保に資するとともに介護労働者の福祉の増進を図るための所要の立法措置を講ずるというふうにうたわれております。そこで、私はまず、こうした法律が提案される背景になっている基本的な問題点について最初に二、三大臣の御所見を伺うという立場でただしたいと思いますので、よろしく御見解を述べていただきたいと思います。
 介護労働力の確保ということが大変重要な課題になっているということは、もう改めて言うまでもない緊急の課題になっています。この社会的需要は、現実の貧困な福祉政策、社会的評価や待遇、つまり介護労働者に対する社会的評価や待遇の低さなどのおくれた部分を引き継いてきている面と、それから人手不足、労働力不足、特に若年労働力が不足しているということによる二つの面があると思います。
 それで、このおくれを急いで克服することが大切であるわけですけれども、私は第一に問題にしたいのは、そしてこの点ぜひ労働大臣の御見解を伺いたいと思っておりますのは、こういう状況、つまり国の直接所管は厚生省になるわけでありますけれども、この貧困な福祉政策というのは、長いこと私どもも断固としてそれについては反対をし続けてきたいわゆる臨調行革路線による、福祉切り捨てと一口に言われてまいりました助成金や補助金の切り捨てにある。私は、今の事態はまさにこの政治の路線が明らかに破綻しているという、その明瞭な結果を示していることだと考えておりますし、改めてそれに対する批判を強めているわけでありますけれども、その政治的責任を明らかにされなければならないと思いますが、大臣の御所見はいかがでございましょうか、まずお伺いをいたします。
#163
○国務大臣(近藤鉄雄君) この法案は、介護労働者が必要だとしてもいないではないか、こういういろいろな御意見、御指摘に対して、いないわけじゃないんであって、やっていただけるような条件を整備すれば、例えば雇用だとか福祉だとか能力開発だとかそういったことをすれば、おのずからそれならやってみようとか続けてみよとかという方がたくさんいらっしゃるんじゃないか、そういう形で必要な労働力を確保しようということでございます、第一点は。
 第二点は、それは国が逃げるんじゃないか、こういう御意見ですよね。私はそう思わないんで、私も実は役人をやっておった経験がございますが、何もかも役人がやらなくたっていいと思っていまして、むしろ民間の方々の創意工夫だとかきめの細かい対応ということがあっていいんであって、それを促進していく。国が逃げるわけではない。国がやることはやります。だけれども、民間でやっていただけることはやっていただこう。そういった意味で、介護労働者の紹介をやっていらっしゃる、派遣をやっていらっしゃるところに対して、その方々がそういった方々の福祉や福祉施設をやるようなときに、それじゃ資金的な提供も融資もいたしましょう。こういうことで、民間活力を積極的に介護の分野で従来以上に取り入れていこう。逃げるんじゃなしに、国と公の機関とそれから民間の機関がともどもに、ある意味では刺激し合ってやっていこう、こういうことではないかと思うわけです。
#164
○山中郁子君 まさに今民間活力とおっしゃいましたけれども、臨調・行革路線の推進の過程では、それは紙の裏表の問題で多くの批判が集められたところであります。このことについて見解の違いを議論するという状況ではありませんが、私は当院においても今大きな焦点になっているいわゆるPKO法案の問題をめぐっても関連して考えられることでありますけれども、軍事費を削って暮らしを、福祉を、教育をという、その切実な叫びというのが私は一番最初に指摘したこの問題の背景の一つとしてあるということを改めて批判せざるを得ないということを申し上げました。
 それから、そういう状態の上に立って、今大臣がおっしゃったんですけれども、結局実際の問題として民間の事業に頼らざるを得ない。そしてまた、その事業が一定の役割を果たしている。このことは現実の問題として我々は踏まえているわけです、当然のことながら。それで、福祉政策を公的に推進するのか、あるいはシルバー産業の育成強化に力を入れていくかということは、理論の問題あるいは政治的な立場の問題、分析の問題としては分かれるところであるにしても、現在の公的福祉が大きく立ちおくれている現状、そしてシルバー産業も現在一定の役割を果たしているという現状、そういう上に立って、ここで働く労働者の皆さん方の労働条件や待遇が悪いということを改善する、そしてまたその労働力を、公的であろうと民間であろうと、それは介護労働力として確保していくということはやはり火急の重要な課題であるということは当然のことであるわけです。
 それで、これはもう衆議院の議論も私議事録を通読いたしましたし、またけさほど来からも言われていることですが、端的に言って労働省の労働行政の観点からお伺いしたいんですけれども、介護労働者の条件が非常に悪いですね。介護労働者の皆さんの中にもいろんなケースがありますし、それによって違いもおるんだけれども、とにかく全体として待遇も悪いし労働条件も、つまり社会的評価も非常に不十分だということがありますが、これに対して本格的に労働省としては具体策を、総合的な具体策というところはどこに求められているのかということをちょっと簡潔にお述べいただきたいんです。
 私は、例えば具体的な現場のホームヘルパーさんのお話なども聞いたり調査をしたりしますと、賃金だとか休暇だとかありますよ、週休二日制の問題だとか。家政婦さんなんかにしてもそうですね。そういうことでは、ちょっと簡単には思い及ばないようないろんなことがあるんです。
 というのは、対象のお年寄りの方たちのところで一人で対応するという場面が多い。しかし、判断に困るケースがいっぱい出てくるわけです。緊急、火急の問題のときに一人ではちょっとどうしようもないという問題も出てくる。したがって、増員計画の問題がどうなのかとか、あるいは複数派遣の問題の展望はどうなのか。それから、バイクや自転車では雨の日だとか遠距離の場所だとか、またごみを運ぶとか買い物だとかいろんなバリエーションがあるわけですね、お仕事の中身には。それで、荷物運搬のために軽四輪で活動できるようにしてほしいとか、そういうような要求も具体的に現場のヘルパーさんなんかは持っていらっしゃるわけですね。それから、研修に出かける際、これは今までの厚生省の管轄の中での研修の問題だとは思いますけれども、研修に出かける際の交通費が自弁だと、したがって交通費を支給してもらいたいと。私が今御紹介したのはほんの一部です。
 そういうふうに多岐にわたった具体的な仕事の上での要求を含めた待遇改善の諸課題があるわけで、これは私、もちろん厚生省がどうだとかというそういう御答弁でなくていいんです、労働行政として今介護労働者を確保していく上での労働条件の向上という問題について、大きく根っこのところでどういうふうに対応されるかということを一つお示しいただきたい。
#165
○政府委員(若林之矩君) やはり介護労働者の方々をめぐる雇用管理というものが立ちおくれているということは事実でございます。それから、いろいろとこういう方々が能力を向上したいというような考えを持っておられるがなかなかその機会に恵まれていない、こういうところが問題点として指摘されているわけでございますから、私どもはそういうところに的を絞って、今回この法案でいろんな改善の措置を講じさせていただきまして、職場そのものを魅力あるものにしていく、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。
#166
○山中郁子君 基本的に国が責任を果たすべき分野に、この法案の中身とされている事業者に対する支援ないしは債務保証だとかそうしたことが行われるということになっているわけですけれども、その点は私もやはり中心の問題がそこによって解決されるものではないということは、この法案を勉強すればするほど改めて思わざるを得ません。それに対し、政府が一生懸命考えているんだよという、そういう装いを凝らす目的だなんというところまでは申し上げませんけれども、そういう点については改めて痛感をしているところです。
 それで、それらの前提に立って具体的な問題でお伺いをしたいんですが、この法案を適用する対象事業は、法案の趣旨を生かして、私は可能な限りその点でも幅広い適用をするという立場に立つべきではないか、せめて。せめてという言葉も申し上げるんですが、その点で対象としている事業をお示しいただきたいわけであります。
#167
○政府委員(伊藤欣士君) 本法案には、「専ら介護業務に従事する労働者」ということで、その対象の定義、範囲を決めているわけでございますけれども、具体的な対象者といたしましては社会福祉事業の中におきます特別養護老人ホーム等におきます寮母さん、それから社会福祉事業の中の各種の居宅介護等の事業に従事いたしておりますホームヘルパーさん、それから有料老人ホームのヘルパー、在宅介護サービスのヘルパー、それから在宅入浴サービス等において入浴介護に従事しておられる方々、それに民間職業紹介所の家政婦さんたちを考えているわけでございます。
#168
○山中郁子君 今のお答えの中に、何らかのところに入るのかもしれませんが、ちょっと具体的な質問や疑問なども出ておりますので、二、三具体例について答弁をお願いいたします。
 民間の老人ホームですね、一般的に、そこでも例えば介護を必要とする方たちと必要としない方たち、したがってそこで働く人たちも介護労働というふうな範疇に入る場合とそうでない場合とが混在しているというんでしょうか、そういうケースがあります。その場合にはどういうふうに考えたらいいのかということが一つです。これは、衆議院で我が党の金子議員も質問をして一定の答弁はいただいているんですが、もう一つそこのところをはっきりしたいと思ってお伺いするんです。
 障害者の共同作業所、この場合も実質的にはほとんど介護労働と言っていい状況の仕事が多いわけです。そういう場合に共同作業所は今の御答弁の中のどこかに含まれるのかどうか。含まれるというか、専らその実態に照らして考えられるという御答弁が衆議院ではあったように私は会議録で読みましたけれども、そこのところを具体的にもう少し知りたいということです。
 それから、続けてお伺いしますが、自治体がヘルパーの方たちを家政婦会に委託するというケースがあるんですね。その場合にはその自治体のヘルパーの方たちには厚生省の側からのお金がそれなりにつくわけだけれども、そういう人たちを多く抱えている家政婦会があるわけで、その場合でもそれは余り関係なしにこの法案の適用対象の事業となるというように理解してよろしいか。そのあたりについて伺います。
 とりわけ、専らというところが具体的な問題になると、争いというのはおかしいけれども、解釈の仕方がいろいろと出てくると私は思うので、きょうは余り突っ込んだ議論はここで時間的にも余裕がありませんけれども、専らというと、それでは何%なのかという話になってくるとあれだから、私も例外的なものはともかくとして、普通常識的にそういうものがある場合には適用とするという柔軟な考え方の基本だけをお示しいただければ、今後の問題としては積極的に運用ができるんじゃないかと思っておりますので、その辺を踏まえて御答弁いただければ幸いです。
#169
○政府委員(若林之矩君) 私から最初の二つの御質問についてお答え申し上げたいと存じますけれども、民間の有料老人ホームで介護を行う部分と介護を行わない部分が併設しているというような場合はどうだ、こういう御質問だと思いますが、有料老人ホームの中で介護を行う部分と介護を行わない部分が独立しておりまして、別個の事業とみなされる場合を除きましては、基本的には同一の有料老人ホームの事業の中で介護を行わない部分が一定の比重を占めておりまして、事業全体として専ら介護業務を行う者と認められないものにつきましては本法の適用はないということでございまして、これは数字でこれということはなかなか難しいことだろうと思います。やはりそれぞれのケースで判断をさせていただくことだろうというふうに思っております。
 また、通常は介護を行わないけれども、入居者の状況が悪化しているというような場合で介護を行うというようなもの、特に病院に移送するまでの間のみ介護を行うというようなものにつきましては、これは臨時的、短期的に介護業務を行うものでございますから、専ら介護業務を行うという者には認められないというふうに考えます。
 それから、共同作業所の問題でございますけれども、重度障害者等が適所するいわゆる小規模共同作業所につきましては、厚生省の方で在宅重度障害者通所援護事業等の対象になっておりまして、これら作業所が法律に基づきます施設等へ移行ができるように指導されているわけでございます。労働省といたしましては、これらの作業所の福祉施策上の位置づけ及びそこでの労働者の業務の実態が、やはりこれも専ら介護業務に従事するものであるかどうか、これもやはりケースケースで判断をさせていただくことであろうというふうに考えておりまして、衆議院でもそのようなお答えをさせていただいたところでございます。
 なお、第三の質問につきましては課長からお答えいたします。
#170
○説明員(野寺康幸君) 先生の最後の部分でございますけれども、若干技術的な面でもございますので私の方からお答え申し上げます。
 自治体のヘルパーにつきましては、基本的に本法の対象でございます。
#171
○山中郁子君 なりますか。
#172
○説明員(野寺康幸君) なります。
 例えば、先生あるいは東京都のことをイメージ、されておられるのかもしれませんが、東京都の場合、介護券システムのもとで老人家庭奉仕員等事業運営要綱といったような要綱をおつくりになりまして、家事援助者の名称でこういったサービスをしておられますけれども、その従事しておられます。務の実態は本法にいう介護であるというふうに承知しておりますので、間違いなく適用されるということでございます。
#173
○山中郁子君 個別のケースでもう一つちょっと教えていただきたいんですが、介護福祉士の資格をお持ちの方が、私も専門家じゃないのでよくわからないんですが、個人営業というか、個人で委託をされて事業をされているというケースがあるらしいんですね、つまりヘルパーさんを介護福祉士の資格を持っている方が。そういうケースの場合も今お答えいただいたのと同じように理解してよろしいかどうか。
#174
○説明員(野寺康幸君) その点につきましてはちょっと微妙な問題がございます。個人が一人で営業しておられるような場合も考えられるわけでございますけれども、その場合は労働者という実態に値しないと思っておりますので、その場合には適用はないということでございます。
#175
○山中郁子君 いや、そうではなくて、一人の方が個人的に委託を受けてヘルパーさんを家政婦会に委託をしているというそういうのではなくて、個人の一人の介護福祉士で資格を持っている方のところにヘルパーさんを委託する、こういう形です。そのケースの場合はどうでしょうか。
#176
○説明員(野寺康幸君) 具体的によく見てみないとわからないのでございますけれども、実態として労働者的な場合には適用されます。
#177
○山中郁子君 わかりました。それでは、それは私の方ももう少し実態を調べた上で、またそちらでも御調査いただいて、はっきりさせたいと思います。
 先ほどの御答弁との関連なんですけれども、共同作業所の問題で言うならば、そちらも御承知だと思うんですが、三千カ所あると言われているんですね。それは、規模はもうそれこそピンキリというか、認可された結構立派なものから、本当に数人でやっているところから、そういういろんなバラエティーに富んでいる規模があって、そういうものを専ら一つ一つ調べて判断するというのは、ちょっとそういうことは実際上どうなんでしょうね、御答弁ではありますけれども。私は、そういうことは現実には不可能というか、そう簡単に線が引けるものではないから、だからそういう身障者の介護に当たっている部分がある、特別な例外は別ですけれども、そういう身障者の介護に当たっているという状況があるところは、例えば申告なら申告があれば、申し出ですか、そういうことがあればそれで判断していくという柔軟な対応が必要ではないかということを今お尋ねしているわけでございます。
#178
○説明員(野寺康幸君) 特に、共同作業所の場合にはいろんなケースが考えられると思います。業務の実態につきましては、これを所管します関係行政機関から十分御意見を伺いました上で、本法の適用を判断してまいりたいと思います。
#179
○山中郁子君 これは、労働省もこういう問題について努力をしていますよということをアピールするだけでない中身のある法律として生かしていくために、ぜひ大臣、私が申し上げた趣旨を踏まえていただいて、積極的な運用を図るというお約束をいただきたい。専らこのぐらいしかその部分がないからそれは適用外だとかという機械的な運用でなくて、積極的な中身のある法律として機能していけるようなそういうふうな運用をお図りいただきたい。その点のお約束はいただけますでしょうか。
#180
○国務大臣(近藤鉄雄君) 大事な介護労働力を確保していこう、こういうことでございますし、その介護労働者の自主的な雇用関係、福祉関係、そういったものの向上を図っていくということでございますので、いろいろ先生から御指摘もございましたし、基本的にはできるだけ柔軟に運営させていただきたいと考えております。
#181
○山中郁子君 この問題のもう一つの重要な問題として、先ほどもちょっと中西委員の方から御質問があったように承りましたけれども、十分御答弁全部把握できなかったので、重ねて労働省の考えを伺いたいと思うんです。
 その一つは、介護労働力の不足とかあるいは確保とかということが大きな焦点になっているということは、それの裏腹の関係で潜在需要がまだ一つはあるということなんです。今は足りないというふうになっているけれども、その数字がどうなのか、ゴールドプランがどうなのか衆議院でもいろいろ随分議論されていますけれども、実態を素直に見れば足りない、だけど潜在需要というのはまださらにもっとあるということは考えられるわけです。
 その一つは、例えばホームヘルパーサービスの問題についても住民によく知られていない。これは厚生省の管轄になるということもありますけれども、余りそういうことにこだわらないでお聞きになって、またお考えも承りたいんですが、住民がよく知っていないということが一つはあるんです。そういうことがあるのか、できるのか、してもらえるのか、そういうことです。しかし、私はそれよりももっと大きい潜在需要というものの原因というのは、やはりお金の問題、経費の問題だと思うんです。
 今介護労働者自体はさまざまな条件の悪さというもので非常に苦しんでいらっしゃるし、それの改善を図らなければいけない。しかし、今度は介護を要する人々を抱えた家族にしてみると、例えば病院で家政婦さん、付添婦さんを頼むといっても、これはやっぱり経済的に大きな負担です。私自身も自分の家庭の中でのそういう経験をたくさんしてまいりましたから身にしみてよくわかりますけれども、大きな出費が強いられることになります。したがって、そうしたことができないという人たちがたくさんいらっしゃる。つまり潜在需要です。こういうものが一つは把握されなければならないというふうに思うのですけれども、私はこの点は事前に労働省に、その数を把握していれば教えてほしいということをはっきりお願いしてありませんでしたので、もし把握されてなければよろしい、よろしいというか後ほどでいいんですけれども、その辺はどういうところでどのような把握がされる仕組みになっているでしょうか。そちらできょう現在おわかりになる範囲で結構ですが、ひとつ教えていただきたい。
#182
○政府委員(若林之矩君) 例えば、公的なサービスというものにつきましては、平成十一年までにこれだけの従事者が必要であるという一つの見込みがあるわけでございますが、民間の部門につきましては、実はそれはないわけでございます。しかしながら、現在もかなり需給は厳しい状況でございますから、こういった状況からいえば相当数の不足になるだろうということは容易に想像できるわけでございますけれども、それでは大体皆さんは、例えば家政婦さんの例をとった場合にどのくらいの料金ならばそういう方にぜひ来てもらって助けてもらいたいんだというふうにお考えであるか、そういう場合にどのくらいの人数になるのかといったようなデータはございません。
 しかし、いずれにいたしましても、これからこういったような民間の部門につきましても含めて、介護労働者の需給の問題、いろいろな面からこれはやはり見通しと申しますか、これを調べていかなきゃならない問題だと思います。なかなかその作業は容易じゃないことだろうと思いますけれども、これから介護雇用安定センターの事業といたしましても調査研究をすることになっているわけでございまして、そういった事業の中でいろいろな介護労働の需給をめぐる問題、こういった問題を調べていきたいというふうに思っております。
#183
○山中郁子君 それはぜひ、やはりしかるべき省庁との連携も必要ならば、そういうことで積極的に進めていただきたいと思います。
 それで、この問題と紙の裏表の関係になるわけなんですけれども、介護休業という性格のものが大変切実な要望になってくるわけです。介護労働者の確保が切実な問題になるということは、それと同じようにその反面でもって介護休業的なものの要求がやはり必要になってきて切実な要求になっていると思います。長い間の議論を経てことしの四月から育児休業法が施行されたわけですけれども、介護休業の問題につきまして、最後に労働大臣から一言労働省のスタンスと今後の展望について、お考えについて、私どもの要求は今まで何回もしていますので私も重ねて今申し上げませんけれども、お考えを承っておきたいと思います。
#184
○国務大臣(近藤鉄雄君) 育児休業に続いて介護休業というものをどうこれから普及をしていくかということが私どもの大きな課題でございますが、育児休業よりも介護休業の方がいろいろと多様性に富んでおりますし、なかなか簡単ではございませんので、今いろいろなモデルを設定しながらやっていただくのを見て、またこっちも研究しようという状況でございます。
 先ほどの御質問の中にもございましたけれども、休業という形でいいのか、それとも例えば遅く出ていただいて早くお帰りいただくだとか、フレックスタイムといいますか、もっと言えば多少その間はパート化して働いていただくとか、それぞれ要介護者の状態にもよりますから、また期間もありますので、そういったことも考えながら、ただやはりこれからの労働行政の大きな課題はそうした介護需要という、これは家庭的にもまた社会的にも大きな課題と、実際の雇用関係といいますか、雇用状況というものをどういうふうにうまくマッチしていくか、そういうことであると思いますので、いろいろ関係者、皆さんの御意見を聞きながら、しかし私は積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと、かように考えております。
#185
○山中郁子君 終わります。
#186
○笹野貞子君 先週の委員会の席上、私が提案しました勤労権の問題で、大臣と非常に貴重なお話をいたしました。大臣は、労働行政として勤労権というものの具体的な推進に対しては大変意欲をお持ちですし、この間のときには名前はともかくとして連合労働大学を二十一世紀に向けて一緒につくろうということも何とはなしに約束したような感じで受けとっておりますので、私は大変気を強くしております。あのときには、勤労権の問題は、遅くとも一歩一歩人類の歴史というのはその内容を充実させてきたというふうに私は表現をしたわけですけれども、今回の法律を見まして、こういう歴史というのは一歩一歩のときもあるし半歩半歩のときもあるんだなと思いながら、この法律は一歩までいかなくても半歩前進しただけでもよかったなというような評価はしております。
 しかし、私たちというのは何が大切で何が大切じゃないかという評価のときに、以外と身近なものを粗末にする、そういう悪いところがあります。介護というとっても重大なことを私は今まで余り光を当てなかったり、あるいは法制の面でそれをしっかり法の対象に入れなかったという嫌いがあるのではないかというふうに思います。そういう点では、今度のこの法律によって介護という今まで日が当たらなかった部分にちょっと薄日でも当たったというのは大変評価に値することだというふうに思っています。そういう観点から、とれからいろいろと御質問させていただきたいと思います。
 先ほど大臣は、どの委員だったかちょっと忘れましたけれども、つまり介護労働者というのはその需要供給ということによって価格が決まり、そして介護労働者の賃金が高くなれば必然的に社会的にそれは重要になる、そうお答えになっているのを聞きまして、確かに全くそのとおりで、それに対しては何の疑義も挟みませんけれども、しかしお金がたくさんあるからみんながするというものでもないんですね。
 そこで、私の質問に入るわけですけれども、こういう労働というのはお金がたくさんあって、しかも誇りを持てるような労働じゃなければいけないわけです。そういう点で私は、この介護労働者というのは今まで社会的ステータスあるいは誇りの部分できちっとしたそういうものがあっただろうかということをしっかり反省しなければいけないというふうに思うんです。そこで、私は今回の介護労働者に対してのイメージアップ作戦とでもいうんでしょうか、やっぱり労働行政として今まで非常に冷遇されていたこの労働力にどうやって社会的なステータスを高め、イメージをアップして、こういう仕事ならば少々いろんな困難はあろうともやってみようかという、そういう形で確保しなければいけないというふうに思っております。
 そういう意味で、介護というのは、昔は家政婦さんなんという名前で呼ばれました。先ほどからの御議論を聞いていますと、やっぱり家政婦さんという名前を使っておりますけれども、これはいいのか悪いのかわかりません。しかし、このごろ労働行政は何でも英語を使うとイメージアップしているかのような印象を受けます。しかし、そんな名称じゃなくて中身で、仕事の内容が重大ならばどんな名称でもいいんじゃないかなと私は思います。昔は、家政婦というのは何か女性が家の中でやっていたんだというような印象を与えて粗末にされたわけですが、今は非常に機械化をされていますし、例えば入浴するときでも機械を駆使したりするわけで、そういう機械的な技術がなければだんだんできなくなってくるし、またそういう技術があっても私はいいと思うんです。そういう意味で、イメージアップのために技能検定試験のような試験を行って、そして資格を与えるような、いろいろな専門の機材があるわけですから、そういう資格を与えていくような、例えばの話で、そういうようなことをしながら介護労働というのが重大なんだし非常に大切なんだというようなイメージアップ作戦というのを私も考えたんですが、そこで大臣、積極的なイメージアップ作戦で何か労働省としての妙案を今考えているでしょうか。
#187
○国務大臣(近藤鉄雄君) とっさの質問でございますので、ちょっといい知恵が浮かびません。
 ただ、私はさっきちょっと申しましたんですが、いわゆる介護労働者というのは、必ずしも物質的な報酬だけでないかもしれませんね。英語で恐縮だけれども、ソーシャルステータスがあって、私も実は現実に、ある身近な奥さんで、もう子供を全部育ててしまって時間があるんで、そういうお年寄りの介護のような仕事ができればやってもいいという人がおられた。具体的にどこに行っていいかわからぬので、それでいろんな看護や介護労働の厚生省のパンフレットも読んでみたら、難しいんですね、何か高校卒がどうだとか、そういうので、それならということになってしまう。
 だから、これからもまさに要介護者がふえていくわけでございますし、そういうお年寄りはぶん投げちゃって、ただ金もうけばかりの社会でなしに、お年寄りに対してまさに一種の社会的な気持ちとしてお手伝いをする。ただ、問題はそういうことに対する社会的評価というものがどうなのかであって、私も今先生のお話を聞いていて、ホームヘルパーもそうだし、例えば生活アドバイザーだとか生活アシスタントだとか、余りいい名前はございませんけれども、御指摘のことはよくわかりましたので、やはり名前としてのイメージアップすることも、まさに人はパンのみに生きるにあらずでございますから大事なことだ、いろいろ知恵をこれから出してみたいと考えております。
#188
○笹野貞子君 私たち連合というのは、まさに組織労働者の集まりで、今までは組織労働者というものの待遇改善ということに一生懸命力を入れたわけです。しかし、この組織労働者の連合がみんなからよくやったというふうに褒められるのは、今度は未組織労働者をどうやって組織労働者と同じような待遇にしていくかという使命のようなものがありますので、私は今回の問題では非常に一生懸命頑張っているつもりで似いるわけですけれども、これからやっぱり女性の一つの大きなウエートを占める職業として、今まで未組織労働者と言われて非常に冷たく扱われた部分に何とか温かい光を当てていただきたいというふうに思います。
 今私がそういう技能試験をしたらどうかというこのヒントも、これは看護婦・家政婦実態調査という資料を見ますと、ここにイエスですかノーですか答えてくださいというその回答の中に、技能や能力向上の教育訓練が必要であるかという質問に対して、大変必要だと思ったのは五六%ある、半分以上がそう思っているんです、そういう訓練を受けたい。それから、老人や病気の世話には資格が必要ですかという質問に対して、四一・八%が資格が欲しいというふうに答えているわけです。そういう意味で、やはり何か自分の労働に対して、私はプロなんだという誇りを持って対処するというのがこれから必要じゃないかというふうに思いますので、どうぞその点もこれからあわせてお考えいただきたいというふうに思います。さて、続いて御質問させていただきますけれども、今までまさに法律の枠の中での保護というのがなかったわけですが、今度ちょっとそれに対して保護を与えようという部分が出てきているわけです。この家政婦さんに対してちょっとした保護を与えようというその中に保険制度を持ってきているわけですけれども、この保険制度のまずメリットというのをうよっと私は考えてみたんですが、一つは全体を対象にすることで保障内容のアップや保険料の軽減ということが考えられる。もう一つは、制度の運営を介護労働安定センターというものをつくって、そこで行おうとしているんじゃないか、その事務負担の軽減などというのがこの保障になっている。第三には、福祉基金による援助によって紹介所の事務経費の負担とかいうものがこの法律で考えられるわけですが、今まで何度も皆さん方言っているように、まさに隔靴掻痒の感というのでしょうか、かゆいところにばちっと手が届かないという感じなんで、私はこんな隔靴掻痒じゃなくて、もっとみんなが望んでいるところにばちっと手が届くような方法が必要だと思います。
 さっき局長もお答えになっておりましたけれども、労災の対象とするためには、業種としての確定したものがなく、また危険、有害としての認定も少ないというふうに御答弁されておりました。そこで私はどうして危険、有害でないのか、非常に重い病人を抱えたり、あるいは薬もたまには飲ませなければいけませんから、そういう薬のことも知らなければいけませんし、自分も年をとってくるわけですから、階段から落ちる場合もありますし、考え合わせると私は労災の対象にもうそろそろなってもいいんじゃないかというふうに思います。
 そこで、どうしてなんでしょうかということを聞きたいんですが、回答は何かもうわかっているような気がします。非常に冷たい回答が返ってくるんでしょうが、でも一応お聞きいたします。
#189
○政府委員(若林之矩君) 今回の法律案の策定の過程におきまして、私ども労働省の中で労災の特別加入制度は可能かどうかということを随分議論したわけでございます。
 こういう特別加入制度は、一つは業務の実態、災害の発生状況などから見まして、労働基準法適用労働者に準じて保護するのがふさわしいものであるかどうか。二点目は、業務の範囲が明確に特定できて業務災害の認定を初め雇用保険関係の適正な処理が技術的に可能であるかどうか。こういったことを考慮して特別加入の具体的範囲を決める、こういうことが基本でございます。
 家政婦さんにつきましては、建設業の一人親方等と異なりまして、特別加入制度によって労働者に準じて保護しなきゃならないほどの、そういったレベルの危険、有害な就労はあるんだろうかというような問題。それから業務上外の認定も果たして適正にできるだろうか。責任の範囲はここまでというようなことを決めて、それを認定するということはできるだろうか。こういったような問題等々がございまして、特別加入の対象とすることはやはり難しい、こういう結論になったわけでございます。
 こういった事情で、国が保険として行うということについては、国の制度として行うということは難しいという判断でございまして、そういった観点から今回新たに福祉共済制度を設けまして、できる限りこういった家政婦の方々のそういった問題の解決を図っていこう、こういう判断をしたわけでございます。
#190
○笹野貞子君 そういうふうにお答えいただくだろうと思って、私もそれではということになるんですが、業種を確定できない、今のようにいろいろと認定できないということですが、私は労基法の八条を見ると「家事使用人」というふうに業種を選定しているんじゃないかと思うんです。家事使用人という言葉である種の業種をイメージしているわけですから、そういう回答で、家事使用人というのは業種じゃないのか、何が何だかわからないものなのかということになるわけなんです。
 今、ここで私は労働基準法の議論をしようとは思いませんけれども、しかし大変おもしろい議論ですのでちょっとお聞きをするわけですけれども、この労働基準法の第八条のただし書きのところは立法趣旨としてはどういう趣旨だったのかちょっとお答えいただけますか。
#191
○政府委員(佐藤勝美君) 労働基準法の八条のただし書きのお尋ねでございますが、このただし書きのところには、労働基準法の適用範囲として「但し」云々と、前の方は省略いたしますが、「家事使用人については適用しない。」というふうに規定をしているわけでございます。このことのお尋ねだと思いますけれども、家事使用人につきましては、その労働の態様が普通の事業として行われているものとは大分労働の内容が異なっているというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、これを労働基準法によって同一の最低労働条件で律するという場合に、いろいろ無理が起きる場合が多いというふうに一般的には考えられます。そういうこともありまして、いわゆる先進諸国といいますか、労働基準法の先輩のような国におきましてもこの家事使用人の労働条件に関する立法例は極めて少ないわけでございます。
 そこで、この日本の労働基準法を制定いたしましたときにも家事使用人の適用を除外するというふうに決めたものでございます。
#192
○笹野貞子君 先週の委員会のときに、私は勤労権のところで、勤労権というのは憲法の二十五条に合わせて健康で文化的ということを実現したものである。要するに、二十七条とともに二十五条というのがあるわけですから、生活の内容が向上していく。つまり今私ども連合は、ゆとり、豊かさなどというすばらしい標語を掲げてやっているわけですから、生活の内容、そして文化の内容が変わるならば勤労権の内容も変わっていいはずだというふうに御指摘をいたしましたら、大臣はそうだというような御趣旨の発言をなさったわけです。
 そうすると、労働基準法というのも、これが制定されたのは随分前のことで、今の日本の生活、文化、いろんなことはその質、内容とも向上しておるわけです。そういう意味でその立法趣旨が、つまり家政婦というのは、主婦が家で家事労働をやって、その家事労働の一端をやっているのだから、そういう職種というのはこれは余り重大じゃない、そういう考え方がこの中にちょっとはあるんではないか、それがずっと踏襲されてきているんではないかというふうに疑いたくなります。今まさにそういう意味で法律を変えていってもいいという時期なわけです。
 そこで、大変大臣にはお答えしづらいと思いますけれども、しかし別に私は大臣をいじめる意味は毛頭ないんです。これからの女性のためにはやっぱり不利益になるものは排除していかなきゃいけません。大臣、家事使用人と言われるこの呼び方の中の家事の部分に当たる労働というのは大切や否や。そして、もしも大臣はこれから労働基準法というものを手直しするとするならば、こういう何か余り説明のつかない、私に言わせると労働者の方を保護しているのか事業主の方を保護しているのか。午前中からも随分議論になりましたけれども、労働者を保護するのじゃなくてあたかも事業主を保護しているようなただし書きというのは考えなければならないというふうに思うんです。まず一つ、家事使用人という言葉の中の家事という部分からお答えください。
#193
○国務大臣(近藤鉄雄君) これは先生、私ども、家事がちゃんとなされていなければ仕事にも出てこれないわけでございますから、大事か大事じゃないかとおっしゃれば、これはもうまさに我々の生活の根幹である、こういうお答えになろうかと思います。
 私は、労働基準法というのは、これまで最低賃金であるとか職場の安全衛生だとか、そういう働く人の最低限、ミニマムの条件、これを何としても守りたい、こういうことでできた法律だと思うわけであります。そして今国会でも、この間御審議いただきました労働安全衛生法の改正の中でも、快適な職場ということは、ミニマムの条件から、いかに積極的に改善するか。だから、ミニマムを超えていかに向上するかということがこれからの労働行政の根幹であり、私は労働基準法といえどもその例外ではなくなってくる、こう思うわけであります。
 それから、第三点として私が思っておりますのは、いわゆるスタンダードな勤務時間が例えば八時から五時、こういうことであって、これが労働力の主力、基準であって、いわゆる時間を切って働く労働は、例えばパートであれ家内労働であれ、労働力としては二軍、三軍だ、そういう発想ではなくなってくると思うんです。むしろ一つの形態がいわゆる常用雇用ということだと思うんです。時間を切ってやるのもこれも堂々とした立派な雇用形態であり雇用時間だから、こっちが主でこっちが従だということではないんです。
 そういうことをよく考えてまいりますと、いわゆる介護労働というものは、私はあえて申しますと堂々たる労働だと思うんです。それはもうハイテク企業に働くのと同じぐらい立派な、時間がどうだこうだということはあっても。したがって、それに応じてのあらゆる権利と言いますか、機能があっていいと思うわけであります。ただ、この点はちょっと専門家に聞かなきゃわかりませんが、端的に申しまして労災保険というのは、お金を払っているのはいわば雇用者なんです。それでお金をプールして、組み入れて、それで保険を払うわけです。そうすると、そこがひとつ問題になってきて、いわば介護労働というのは個人で雇われている、そうするとその負担をだれがしていくんだということになってきます。そのあたりをもうもよっと保険体系として整理していかないと私の理解する労災法の対象にならないのではないかな。これは素人論議でございますが、一応専門家の話を後で聞いて回らなきゃならないわけでありまして、そんな考えでございます。
#194
○笹野貞子君 今大臣は堂々たる職業だ、誇りを持っている、こう言うわけですから、これはやっぱりそういう堂々たる職業に対してはもっと何かやるべき手はあるんではないかというふうに思います。先ほど局長は、特別加入制度、これは大工さんや左官屋さん、そういう一人親方の制度が既にあるわけなんです。そうすると、そういう一人事業主というんでしょうか、そういう人のことはもう認めているわけです。ですから、私は今大臣が堂々たる職業だと、これはもう誇るべき職業だと言うんでしたら、特別加入の道はおのずからつくるべきだというふうに思うんです。
 要するに、業じゃないとすると、また一つ大臣にお伺いしますけれども、家事というと大臣はもう何度も言うように大切だ、こう言っているわけで、先ほど家政婦の中には洗濯と、こう次長言いましたね。家政婦さんが洗濯をするということは、もし職業にするとクリーニング屋さんになるわけです。そうすると立派に業になっているわけです。
 そういう意味で、家事労働論争というのは女性問題で物すごくやられているわけです。しかし、今介護労働者とわざわざつけているわけですから、きょうは私はうんと食い下がりたいというふうには思っておりますけれども、そうやって考えますと、これが業じゃないというふうに切って捨てるには少しまだ温かい考え方がないんじゃないかというふうに私は思うんです。ですから、もう既に一人親方の事業主という特別加入制度を設けているんですから、そこは何とかひとつクリアすることはできないんでしょうか。
#195
○政府委員(若林之矩君) まさに仕事として大変立派な仕事でございますし、欠くことのできない仕事であるということはもう御指摘のとおりでございます。しかし、それじゃその仕事というものをとらえてそれが特別加入に必要な制度であるかどうか、これはまた別の検討が必要だと思うんですね。ですから、先ほど来申しましたように、確かに家政婦さんの仕事も災害というものがあるわけでございます。まさにそうでありますがゆえに共済制度を創設させていただこうという考えでございますけれども、その災害の内容というものを見ましたときに、それが国の制度として特別加入制度を、特別加入制度はあくまでも例外的な制度でございますから、そういったような例外的な制度をつくるかどうかという判断になると、それは非常に難しいということを一つ申し上げたわけでございます。
 それから、もう一つは技術的なこととして、そういったような家政婦さんの仕事の範囲というのをどこまでのものとして認識するかということでございます。やはり、なかなか仕事の範囲がある意味では広くなる可能性がございます。そうすると、どこまで責任を負うのかという問題もあるわけでございまして、こういった点がなかなか制度を構築するということになりますと難しい、こういう結論になったわけでございます。
#196
○笹野貞子君 特別加入というのは難しいから特別に考えたわけですね。それが一般論ですっといくんでしたらそういう制度は要らないわけです。どうも私はそこら辺を論理的に納得していないので、局長さんが優しく言われるとそうかなと思いがちなんですが、ここで私は態勢を立て直して、要するに今社会的急務なんですね、この問題は。ですから、そういうふうに急務な問題に対して、そして今まで非常に光が当たっていなかった部分というのに急激に光を当てる、急激に特別なそういう待遇をするということをしなければこの急務には対処していけないというふうに思いますので、ただ難しい難しいと嘆かずに、ひとついい知恵を出してやっていただかなければいけないというふうに思います。
 もう一つ、最後にまた私の資料を見ますと、家政婦さんは何があなた方が一番不安ですかという質問があります。その質問に対して、退職後の生活が不安である、これが五七・二%、非常にみんながそう思いながら生活をしております。
 そこで、退職金制度のことについてひとつお伺いいたします。
#197
○政府委員(若林之矩君) 今回、福祉共済制度を創設するにつきましては、まず介護労働安定センターにおきまして、学識者の方あるいは統計数理の専門の方、保険関係の専門の方、それから民営職業紹介所の団体の代表の方あるいは家政婦経験の方々、こういった方々を構成員として研究会を設置いたしまして、この共済制度の内容につきましての検討をお願いいたしました。それを踏まえて制度をつくろうということになっております。
 そこで、この共済制度の中でどこまでカバーするのか。これは掛金とかそういったものと相関するものでございます。まず、当面考えておりますことは、そういった仕事の中でけがをしたというようなことがございます。こういうものをカバーする。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
それから、賃金の不払い等のことが不幸にしてあるという場合にそれを補償していく、こういうことでございますが、それに加えて退職金制度を今先生御指摘のような点でございまして、それはやはり将来の生活という面から申しますと家政婦さんにとっても非常に喜ばれることでございましょうけれども、これはまた掛金との関係等もあるわけでございますから、そういった点を含めて全体でこの研究会で検討していただこうと。それを踏まえて新しい制度を発足させる、こういうふうに考えております。
#198
○笹野貞子君 時間ですので、最後に大臣に御所見をお伺いいたしますけれども、これは女性問題と言っても過言ではない問題なんです。そして、いろんな意味でまだ不利益がいっぱいある部門です。そういう意味では、非常に女性に優しい大臣のことですから、先ほどどなたもみんな言っておりますように、これは余り形式的に、そして硬直的にこの問題を考えるならばいつまでも日の当たらない場所に捨て置かれるという傾向があります。どうぞ大臣、今後この問題に対して積極的に、大学をつくったときのあの大きな議論を踏まえて推進していただくことをひとつお聞きかせいただけますでしょうか。
#199
○国務大臣(近藤鉄雄君) 社会的にますます大事になってまいります介護労働に対して、まさに適切な形で介護労働者の確保を図っていきたい、こういうことでございますし、そのためには、必ずしも従来日の当たらなかった面もございますから、それを表に出してきちっと雇用の形もするし、また福祉のことについてもいろいろお手伝いもしよう、こういうことでございます。
 ただ、きょう先生いろいろ御指摘がございまして、まだまだ十分じゃないじゃないか、労災はどうだというような議論がございましたので、こういった面についても、我々これからどういう形が可能なのか研究をし、勉強させていただきますけれども、そういった介護労働、私が言ったように、堂々たる社会的に必要なる労働の形なんだと申し上げたわけでありますが、これが従来よりも一歩でも二歩でも前進するために、今こうして本法案を御審議いただいておりますので、我々も一生懸命努力いたしますが、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
#200
○笹野貞子君 終わります。
#201
○西川潔君 長時間にわたって御苦労さんでございます。私で本日いよいよ最後でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 朝からの御議論をいろいろと聞かせていただきまして、本当にお伺いすればするほど老後が不安になってまいりますが、死はだれにでも訪れてまいります。本当に老後を安心して暮らせるような社会をつくるために、皆さん方一生懸命御議論を交わしておられるわけです。
 せんだって、予算委員会でも、ぎんざん、ぎんさんのお話を宮澤総理大臣にもお伺いしたわけです。百歳になりまして、皆さんがああいうふうな年のとり方であれば、これはもう言うことはないんですけれども、これからは年々百歳の人が千人ずつふえていくというふうにも予想されているわけです。高齢化が進む中で寝たきりや痴呆症、介護を必要とするお年寄りが年々ふえてきているわけです。
 ことしの二月の二十六日ですけれども、読売新聞に載っておりましたが、この新聞によりますと、秋田県の精薄児の施設でございますが、入園している子供たちがひもや布で腕などを縛られていたということが報道されております。記事の内容によりますと、施設側では、現在の人手と施設では対応がし切れないので、仕方なくそういうふうに縛ったということなんです。人手不足ということが結果的に弱者へのしわ寄せになっているわけですけれども、今後こうした状態を解消するように、我々一人一人が努力しなければいけないと思います。
 いろいろ現場を回りますと、先だっての土曜日に大阪の堺のある病院に行ってまいりました。お年寄りの方々がたくさん入院をしておられたんですが、そちらでお伺いすると、毎月平均二十九人お亡くなりになるわけです。一日にお一人のお年寄りがお亡くなりになる。皆さん方が本当に必死の介護をしておられるわけですけれども、そういう意味におきましても、今回私が思うのには、国とか地方とか、地域の支え合い、労働省は労働施策として介護労働者の福祉の増進という観点から法案を策定されたわけですけれども、保健医療、福祉マンパワーの確保について、労働省としてどういう役割をどういうふうに今回考えておられるのか、もう一度改めて一からお伺いし直したいと思います。
#202
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先ほど申しましたように、これからますます大事な介護労働力でございまして、経済大国と言われますけれども、その大国のまさに国民の最後がもうぶん投げられちゃって、そしてだれも見ないというようなことであれば、これはもう何が大国だということでございますから、まさにだれもが最後に迎える要介護状況の中に適切な形で労働力の供給を図るということでございます。それも不足だ不足だと言っておりますけれども、しかしある程度自発的な善意、好意もあるし、片方では金銭的な条件、経済的な条件があればそれをやってもいいよという人も私はたくさんいらっしゃるのじゃないかと、こう思います。
 ですから、そういった形で介護労働というものをきちっと供給していただける枠組みをこれから一つ一つ積み上げていこう。私は、今度の法案もそういった積み上げの一つだと、こういうふうに考えて御理解を賜りたいと思っておる次第でございます。
#203
○西川潔君 朝からのお話にもたくさん出ておりました、平成元年十二月に高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランを策定して、今後整備すべきサービスの内容と量とを国民の前に明らかにされたわけですけれども、今後高齢者への適切な公共サービスを確保していくために、このゴールドプランの着実な実現を図っていかなければいけないと思うんです。
 労働省といたしまして、ゴールドプランについてどのような認識を持っておられるのか。また、今回の法案は、ゴールドプランの達成にどのような効果をもたらすのか。例えば、寝たきりにいたしましても七十万人と言われておりますが、約二十数万人はおうちで、二十数万人は老人ホームで、二十数万人は病院で、社会的入院などいろいろ言われておりますが、達成にどのような効果をもたらすのかという意味におきまして労働省にお伺いしたいんですけれども。
#204
○政府委員(若林之矩君) ただいま先生お話しございましたように、国として平成元年十二月に高齢者保健福祉推進十カ年戦略、いわゆるゴールドプランを策定したわけでございまして、高齢者の保健福祉の分野におきます公共サービスの基盤整備というものを進めておるわけでございます。
 労働省といたしましても、政府の一員として、今後の介護の需要の増大に対応するように、ゴールドプランの達成のための介護労働力確保対策を一体として講じていく必要があるという認識でございます。そこで、このたび、こういったような課題に対応するということでこの法菜を提出させていただいたわけでございます。
 この法案の考え方は、介護職場の魅力を高めていくということによりまして、新規労働者の参入を図っていく、あるいは現に働いている方々の定着を図っていく、こういうことによって労働力の確保に資していきたいというものでございます。
 それでは、今言ったようなプラン、これは数字が出ているわけでございますけれども、ではこの数字に対してどれだけの効果があるかということになりますと、これはなかなか数字で申し上げるのは難しい問題でございます。こういったような私ども基盤整備の法律をつくらせていただきまして、これを成立させていただきました暁は、この法律をも十二分に活用いたしまして行政努力を進めていきたいと思っておりますけれども、やはり基本はこういったベースの中で事業主の方々がどれだけの熱意を持ってこれに取り組んでいただくか、また働く方々の選択もあろうかと存じます。
 しかし、いずれにいたしましても、私どもとしては、この法律というものをベースといたしまして最大限の行政努力を払っていきたいというふうに考えているところでございます。
#205
○西川潔君 ありがとうございます。
 次に、ゴールドプランの実現を含めまして、高齢者の基礎的な介護サービスの確保、これはまず、何と申しましても公的サービスの拡充だと思うんですけれども、労働省といたしましては、高齢者の介護についてどのような基本的な認識をお持ちなのかお伺いします。
#206
○政府委員(若林之矩君) 高齢者の介護サービスのうちで、どこまで公的サービスでカバーしていくかというようなこと、これは今後の高齢化社会におきます介護サービスの提供のあり方等も含めまして、高齢者介護についての国の施策の基本的な考え方の問題でございまして、これはやはり福祉行政の問題であるわけでございます。労働省として直接的にお答えすることは難しいわけでございます。いずれにいたしましても、すべてが公的サービスでできるものではないわけでございまして、公的サービスと民間サービスがそれぞれ分担をして対策を講じていくということであろうかと存じます。
 公的サービスにつきましては、先生御指摘のゴールドプランで一つの姿が描かれているわけでございまして、私どもこの法律は、ゴールドプランに必要な労働力をどうやって確保していくかということが一つの大きな柱でございます。しかしまた、民間のサービスの需要についても非常に多様なものがあるわけでございますので、この法律も民間部門をもやはり施策の対象といたしまして、ゴールドプランとの整合性も保ちながらそういったいろいろなニーズにこたえた介護サービスを提供する、そういう体制をつくっていきたいということを考えているわけでございます。
#207
○西川潔君 次に、高齢者への介護のあり方を考えた場合、今回の法案では家政婦さんを正面から取り上げておられるわけですが、この家政婦さんの方々について今後どのような役割を果たされるとお考えなんでしょうか。僕は、本当に地域に根づくということが大変重要なことだ、と思うんですけれども、そういった観点からお伺いしたいと思います。
#208
○政府委員(若林之矩君) ゴールドプランにおきましては、高齢者の保健福祉分野の公共サービスの目標が示されているわけでございまして、これに伴い必要となる介護労働者の確保が重要な課題になっているわけでございます。今後予想される一層の高齢化の進展の中では、しかしまたゴールドプランにおいて言及されていない民間部。門の介護サービスにつきましても大幅な需要拡大を図らなきゃならないということでございます。この家政婦さんにつきましては、介護労働力の中核として従来から民間部門の介護サービスの需要にこたえてきた実績があるわけでございまして、今後ともやはりその役割に対する期待が大きいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 現在の家政婦さんの就業場所につきましては、病院付き添いが約八割を占めているところでございますけれども、今後は民間の在宅の介護についての需要が相当にふえていくだろう、そして家政婦さんがそういった現場を担っていくということを期待されているのではないかというふうに考えております。
#209
○西川潔君 今お伺いいたしまして、特に病院の付添婦の方も、患者さんが別々に雇うのではなく、病院が雇用いたしまして労働基準法のもとできちっと処遇するべきであると僕は思うんです。また、それが望ましい医療の提供という観点から厚生省としてもそういう方針で施策を進めているというふうに聞いておりますが、労働省といたしましても同じ方向と考えてよろしいのでしょうか。
#210
○政府委員(若林之矩君) 労働省といたしましては、そういう保健医療のあり方、病院の中の体制をどうするかという問題につきましては、労働者がこうあるべきだというのはなかなか難しいと思うのでございます。ただ私どもは、何と申しましてもそういうところで働く方々、具体的に申しますと家政婦さんの場合ですね、そういう家政婦さんの雇用環境の改善をしっかりしていくということが基本であるというふうに思うのでございます。
 付添婦が病院に直用されます場合には、労働基準法の適用を受けることは先生御指摘のとおりでございますけれども、介護業務に従事している家政婦の希望あるいは紹介所に対する高い帰属意識がございますし、また要介護者とかその家族のニード等も反映して現在の状況があるわけでございますから、やはりこういう現状というのもなかなか無視できない問題であろうと存じます。そういう中で、どうやって家政婦さんの職場環境を改善していくかというのが私どものスタンスと申しましょうか、考え方でございます。
#211
○西川潔君 それでは次に、社会福祉分野の人材確保、そしてその養成のための具体的な取り組みにつきましてお伺いしたいのですが、現在ハローワークにおける職業紹介の実績はどうなっておりますかということと、またその実績をどのように評価されているのかお伺いします。
#212
○政府委員(伊藤欣士君) 平成三年度におきまして公共職業安定所、ハローワークにおきましてのいわゆる福祉分野の従事者の職業紹介状況につきましては、新規求人や約十五万四千人でございました。新規求職が七万二千人、そのうち就職されました方が福祉分野全体で二万二千人となっているわけでございます。福祉分野は大きく分けまして介護、看護部門があるわけでございますが、この大部分は看護婦さんでございますけれども、看護婦さん等につきましては、新規求人が約十四万二千人、新規求職者が約六万二千人、年間で安定所を通じて就職されました看護婦さんが一万九千人強になっておるわけでございます。また、寮母、介護職員につきましては、新規求人が約一万二千人、新規求職者が約一万人で就職者は約三千人となっているわけでございます。
 安定所では、福祉分野での就職促進につきまして一定の役割を果たしていると考えておりますけれども、今後の高齢化の急速な進展等によります福祉サービス需要の増大に対応する福祉人材を確保するために、なお一層の機能を強化していかなければならないと考えているところでございます。
#213
○西川潔君 私も特養というところによくお伺いするんですけれども、そういう関係でラジオなどでおしゃべりさせていただいても、お便りでは福祉関係の仕事につきたいというお尋ねをよく受けるんです。福祉関係で働きたいといいましても、福祉ニーズの多様化と拡大が進みまして、それぞれ高度な専門技術が必要となりますので簡単には御紹介できないんですけれども、社会福祉の各分野に従事する職員の職種は本当に多種多様になっております。
 そういう意味におきまして、福祉分野で働きたいという希望を持ってハローワークに訪れた方に対して、スムーズに職種の選択ができるように専門的な相談、情報提供を行っていただきまして、また逆に事業主側には夜勤の回数といった労働条件や賃金など求職者の要望を伝えまして、例えばこんな条件では仕事はできませんよといったようなアドバイスを行っていただくとか、ハローワークにおける福祉分野の職業紹介につきましての改善、機能強化が必要であると思うんですけれども、こういう面での労働省のお考えはいかがでしょう。
#214
○政府委員(伊藤欣士君) 福祉分野の従事者を確保するためには、家庭の主婦等で介護の経験のある方であるとか介護に関心のある方などの潜在求職者の就職の促進を図るとともに、この人たちが働きやすい労働環境を整備することが重要であるのは先生御指摘のとおりでございます。
 このため、本年度から福祉分野の労働力を確保する拠点となるハローワーク、公共職業安定所を各都道府県に一カ所ずつ福祉重点ハローワークという形で指定いたしまして、潜在求職者の方々を把握し、またそれを登録する。あるいは福祉関係求人の情報を一元的に把握して提供する。それから潜在的な求職者の再就職を容易にするための講習とか実習を実施する。さらには福祉分野におきます事業主に対しまして専門的な雇用管理指導、援助の実施をするために、介護労働専門官を福祉重点ハローワークに配置する。さらには専門的な職業相談、紹介の実施とか、福祉関係の求人者、希望求職者を集めて合同の選考会を開くというようなことを積極的に行いまして、福祉人材の確保に今後最大限の努力を払ってまいることといたしております。
#215
○西川潔君 日ごろ特養の方々にお伺いをいたしますと、やっぱり人手の問題をよくお伺いするんです。西川さん、働く時間が長い、給料が比較的低い、つまり安いということをおっしゃるわけですが、それで人手がなかなか集まらぬ。夜勤のことなんかもお話しすると本当になかなか人手が集まらない。その上施設側といたしましても、人間相手の仕事ということでやはり知り合いの紹介、仕事関係者、いわゆる性格のはっきりした方を採用するということになりまして、なかなか人手の確保が難しい。施設にとって人が足りないということになりますと入所者の生命にもかかわることでもありますので、急に人手が要るようになったときのことを考えますと大変心配だということですが、こうした状況の中で福祉分野で働きたい人のために、また施設側が人手を必要とするときに即座に希望に合う施設、人を選ぶ、いわゆる紹介する、そういうネットワークシステムが求められていると思うんです。
 その点で、昨年度から設置が進められている福祉人材情報センターは大変有意義なものだと思うんですけれども、ここでまず福祉人材情報センターの業務内容について厚生省にお伺いしたいんですが。
#216
○説明員(亀田克彦君) 福祉人材情報センターでございますが、この事業、ただいま先生からお話ございましたように、平成三年度から予算措置をして開始しておる、こういう事業でございます。この事業の目的でございますが、これは福祉サービスにつきましてのあるいは福祉の仕事につきましての地域住民の理解を深め、新たな福祉マンパワーの育成を行うとともに、そういう方々の就業の促進も図る、こういうことを目的にいたしてございます。
 具体的には四つの業務を行う、こういうことにいたしておりまして、一つは申し上げましたように福祉サービスあるいは福祉の仕事というものについての地域住民の理解と関心を深めるための啓発、広報事業ということでございます。それから二つ目は、福祉に関心を持っておられる方を対象にしました福祉入門日曜教室等の開催ということでございます。それから三つ目は福祉の職場に就職を希望する方等に対します専門的な研修を行う。それから四つ目に福祉の職場への職業紹介事業、この四つが具体的な事業になっておるところでございます。
#217
○西川潔君 実は、ことしの三月の初めごろなんですけれども、ある福祉人材情報センターに具体的な業務の内容について問い合わせをいたしましたのですが、そのときにいただきました説明では、相談や情報提供については現在も行っておりますが、最終段階の就職先のあっせんについては労働省の無料職業紹介の許可がまだおりていないために行っておりませんという答えをお伺いしたんですけれども、早速厚生省にもお伺いしたんですが、現在その件につきまして厚生省、労働省両省の協議中ということでしたが、約三カ月たっておるわけですけれども、現在どうなっているのかを両省からお伺いしたいと思います。
#218
○政府委員(若林之矩君) この問題につきましての協議の経過と現状を申し上げたいと存じますが、このセンターにつきまして、厚生省から労働大臣の無料職業紹介事業の許可を受けて職業紹介をしたいという申し入れがございました。私どもはやはり福祉分野におきます労働力の確保問題というのは大変大きな問題でございますので、可能な範囲においてこれを御協力すべきものというふうに基本的に考えて対応してまいったわけでございます。
 基本論といたしまして、職業紹介事業というのは求職者の利益を図りながら産業全体の適正な労働力の需給調整を行うというそういう見地から、国の機関である安定所が一元的に行っていくのが基本でございます。ただ、一定の職種につきましては、国の職業紹介事業を補完するものとして民間の組織で無料職業紹介を許可でやる、こういう格好になっておるわけでございます。
 この福祉人材情報センターにつきましては、社会福祉事業経営者の方々の過半数が参加するということを要件とする民間組織がその主体でございます。つまり、ある意味では事業主と申しますか、事業主の方々が非常に大きいウエートを占める団体がその事業をなさるということでございます。それから、その設置数も対象範囲も大変大きいということでございまして、そういう事業主の方が中心になった団体がなさることでございますから、そういうところでどうやって求職者の立場に立った職業紹介ができるんだろうかということが一つございます。それからそれだけの大きなあれでございますから、産業ごとに閉鎖的な需給調整システムができますと全体の産業間の需給調整ができないという問題がございますので、ここも一つ問題点がございます。
 こういったことで、厚生省との間で、では公共職業安定機関を補完するものとして位置づけてどういう連携体制をとったらいいだろうか、対象の職種の範囲をどうしたらいいだろうか、こういうようなお話し合いを続けてまいったわけでございますが、これらの調整の結果、連携体制とか取扱対象職業の範囲等一定の条件のもとに、各都道府県一つに限りまして無料職業紹介事業の許可を付与するということで話がまとまりまして、現在まで申請のございました十五都県のセンターのすべてに対しまして許可を行うというのが現状でございます。
#219
○説明員(亀田克彦君) 人材情報センターにつきましては、先ほど申し上げましたように、啓発広報事業とか研修事業とか、幾つかの事業をやることになっておりまして、これらの事業につきましては、現在がなり多くの方々の参加を得まして順調に事業を実施しておる、こういう状況にございます。
 御指摘のございました、無料職業紹介事業でございますが、ただいま労働省の方から御答弁ございましたけれども、職業安定法の労働大臣の許可を受けるため、対象職種等その細部につきまして労働省と協議を行ってきたところでございます。話がございましたように、先般その調整ができまして、三月二十六日と四月二十二日に労働省さんの方から中央職業安定審議会の方に諮問をいただきまして、その了承を得て労働大臣から御許可をいただいた、こういうことになってございます。
#220
○西川潔君 ありがとうございます。安心をいたしました。本当に大切な重要な問題でございますので、今後もよろしくお願いをいたします。
 そこで厚生省にお伺いしたいのですが、既に許可手続が整った福祉人材情報センターの就職あっせんの状況はどうなっているのか、また今後厚生省では全国にどのようにまた設置していかれる計画があるのか、お伺いしたいと思います。
#221
○説明員(亀田克彦君) 就労あっせんの状況でございますが、労働大臣の許可をいただきましてまだ間がない、こういう状況がございまして、許可を受けたセンターは電話等で紹介いたしておりますけれども、現在のところあっせん業務を開始するためにいろいろ準備中だ、あるいはあっせんを始めたけれどもまだ始まったばかりだ、こういうところが多い状況でございまして、大変申しわけございませんが、現在のところ具体的なあっせんの状況、件数等は把握をいたしてございません。今後、適当な時期にあっせんの状況を把握いたしますとともに、引き続きあっせんの事業が効果的に実施されますよう最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
 次に、人材情報センターの設置の計画でございますけれども、私ども平成三年度からの三カ年で全都道府県に設置をしたい、こういうふうに考えてございまして、予算措置も必要になるわけでございますけれども、今後とも計画的な整備ができますように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#222
○西川潔君 私の受け持ちが四時まででございますので、たくさん用意いたしましたが、これを最後にしたいと思います。
 国会に来るまでは政治とか行政とかいうものが本当に見えなくて、ここへ来たらはっきり見えるのではないかな、わかるのではないかなと思ってやってまいりましたが、勉強すればするほど複雑で難しい部分もあるんですが、ここへ参りまして、労働省と厚生省は僕にとってはやっぱり夫婦、いや兄弟、いとこぐらいかなと、だんだんついたり離れたりというような気持ちになるんですけれども、ひとつ仲よくしていただいて、我々の日々の生活に役に立つような行政を特にお願いしたいんです。
 そこで、福祉人材情報センターが無料の職業紹介を行う場合に、ハローワークとの連携のもとにこれを行う必要があると思うんですけれども、伺いますと、センターの情報はハローワークにおいても提供するが、逆にハローワークの情報についてはセンターで提供できないということでございます。この両者の連携のあり方、情報の提供について、国民一人一人がわかるような行政の対処の仕方ということをお願いをしたいんですけれども、両省はこれからどういうふうにやっていかれるのか、これを説明していただきまして、最後の質問にしたいと思います。
#223
○政府委員(若林之矩君) 先ほど申し上げましたような基本的な考え方に立ちまして、ハローワークと福祉人材情報センターが密接な連携を持って事業を進めていくということでございます。
 ただいま先生御指摘ございましたように、福祉人材情報センターにはその受理した求人・求職情報を福祉重点ハローワークに定期的に提供していただきまして、この福祉重点ハローワークにおきまして福祉関係の求人・求職情報を一元的に管理をして効率的な職業紹介を実施するということを基本にいたしております。公共職業安定所の方からは、福祉人材情報センターの要請によりましてセンターが必要とする雇用情報、これは求人・求職情報じゃございませんで、賃金の動向でございますとか、需給の問題でございますとか、こういったようなものを、あるいはほかの職種がどういう賃金であるのか、そういったようなさまざまな雇用情報を提供するということにいたしております。
 ハローワークの求職者というものは大変な数でございます。ですから、これを無制限に単に出すということは技術的にも難しい問題がございますし、またある種の守秘と申しますか、こういった問題もございます。ですから、そういったものを十分踏まえた上で今後とも十分な連携を図って進めていきたいと存じます。
 先生御指摘のように、ハローワークとそれから福祉人材情報センター、大いに連携をして福祉の場に多くの方々が参入していただく、そして福祉施設等でできるだけ多くの方が確保されるといいますか、そういった体制をつくっていきたいというふうに思っております。
#224
○説明員(亀田克彦君) 厚生省といたしましても、ただいま労働省から答弁がございましたように、人材情報センターの情報につきましては労働力全体の需給調整をしていただいておる公共職業安定所の方に御提供申し上げる、それから公共職業安定所からは求人求職の動向等の雇用情報の提供を受ける、こういう形で連携をとって仕事を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 先生からお話がございましたように、この人材確保という仕事は息の長い、長いスタンスで取り組まなければいけない仕事だろうと思っております。そういうことから、今後とも労働省と十分調整、連携をとりましてこの仕事を進めていきたいというふうに考えております。
#225
○西川潔君 ありがとうございました。
#226
○委員長(向山一人君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#228
○委員長(向山一人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、細谷昭雄君から発言を求められておりますので、これを許します。細谷君。
#229
○細谷昭雄君 私は、ただいま可決されました介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合及び参院クラブ、各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、介護業務に係る労働力の確保に資するため、次の事項について、特段の配慮をすべきである。
 一、介護労働者の雇用管理の改善の促進、能力の開発及び向上等の介護労働力確保対策を総合的に推進すること。
 二、労働行政と厚生行政の連携をはじめとする関係行政の十分な連携の確保を図ることにより、実効ある介護労働力確保対策を講ずること。
 三、家族の介護に携わる労働者の職業生活と家庭生活の両立を可能とするため、介護休業制度の普及促進に格段の努力を払うこと。
 四、公共職業安定所における介護労働者の職業紹介機能及び体制の充実強化を図るとともに、その他の職業紹介機関との連携を確保し、利用環境の整備に努めること。
 五、介護労働者の能力の開発及び向上のため、公共職業訓練及び事業主等の実施する教育訓練に対する支援等職業能力開発施策の適切な実施を図ること。
 六、本法に基づく各種助成・援助制度については、介護労働者の雇用管理の改善が確実に促道されるよう適切な運用に努めること。また、介護労働安定センターについては、その業務が適切に行われるよう、十分指導すること。
 右決議する。
 以上でございます。
#230
○委員長(向山一人君) ただいま細谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(向山一人君) 全会一致と認めます。よって、細谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、近藤労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。近藤労働大臣。
#232
○国務大臣(近藤鉄雄君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#233
○委員長(向山一人君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#234
○委員長(向山一人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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